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1991-11-22 第122回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月二十二日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 太田 誠一君    理事 井奥 貞雄君 理事 中川 昭一君    理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君    理事 柳本 卓治君 理事 小野 信一君    理事 中村 正男君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    石原 伸晃君       岩村卯一郎君    江口 一雄君       狩野  勝君    亀井 善之君       久野統一郎君    小林 興起君       左藤  恵君    関谷 勝嗣君       戸塚 進也君    林  大幹君       前田  正君    増子 輝彦君       山下 元利君    大木 正吾君       佐藤 恒晴君    沢田  広君       仙谷 由人君    筒井 信隆君       富塚 三夫君    早川  勝君       細谷 治通君    堀  昌雄君       渡辺 嘉藏君    東  祥三君       宮地 正介君    正森 成二君       中井  洽君    菅  直人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 羽田  孜君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    谷  弘一君         経済企画庁総合         計画局審議官  太田 道士君         大蔵政務次官  村井  仁君         大蔵大臣官房長 篠沢 恭助君         大蔵大臣官房総         務審議官    日高 壮平君         大蔵大臣官房審         議官      小川  是君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省主計局次         長       田波 耕治君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省関税局長 吉田 道弘君         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融         局長      江沢 雄一君         国税庁次長   冨沢  宏君         国税庁課税部長 坂本 導聰君  委員外出席者         総務庁行政管理         局管理官    保坂 榮次君         防衛庁装備局管         理課長     鳥居原正敏君         法務省刑事局刑         事課長     但木 敬一君         外務省北米局審         議官      川島  裕君         通商産業省産業         政策局取引信用         室長      寺坂 信昭君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ————————————— 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   河村 建夫君     増子 輝彦君 同日  辞任         補欠選任   増子 輝彦君     河村 建夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計税制及び金融に関する件      ————◇—————
  2. 太田誠一

    太田委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村上誠一郎君。
  3. 村上誠一郎

    村上委員 羽田大臣におかれましては、このたび、また引き続き重責御苦労さんに存じます。  まず、自由民主党を代表しまして質問をしたいと思いますが、最近の経済情勢についてお伺いしたいと思います。  我が国は、個人消費設備投資が総じて非常に底がたく推移しておりますが、乗用車の販売が今までに比べたら落ち込むとか、住宅投資の大幅な減少も続いている等、拡大テンポが非常に減速している面も見られます。そこでまず、経済現状についての御認識と、また、物価現状についての御認識を簡単にお伺いしたいと思います。
  4. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答えいたします。  ただいま村上委員の方から御指摘のございましたのは基本的な一つのあれだと思っております。これまでのやや高目成長に比べますと、拡大テンポ、これは緩やかに減速しているものの、消費設備投資に支えられまして依然底がたく推移しているというふうに考えられております。とりわけ、有効求人倍率、これはなお高い水準でございまして、いわば完全雇用、これを維持しつつ、インフレなき持続可能な成長に移行する過程にあるというふうに考えるところであります。  今後につきましても、物価の方につきましては総じて安定しておるということでありますけれども、こういった問題にもよく目配りしながら私どもはこの調整局面というものを注視していかなければいけないというふうに思っております。
  5. 村上誠一郎

    村上委員 次に、金融面中心にした今後の政策運営についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、前国会で問題になりました証券金融問題の不祥事、また、バブル経済崩壊というものについて私なりに総括してみたいと思います。  私は、バブル経済出発点は、一九八五年のプラザ合意にさかのぼるのじゃないかなという気がしております。それはどういうことかと申しますと、プラザ合意におきまして円高政策をとって、何とか日本黒字減らしを含めてやっていきたいということで始まったと思います。その間、日本の各企業が血のにじむような企業努力をして乗り切った。そのときには、景気が落ち込むという予測のもとにいろいろ金利引き下げども行われたわけであります。そして、内需拡大ということでやっていったわけでございますが、私自身、そのときに感じますのは、我々政治家の責任だと思いますが、そういう事態になったときに、カントリーリスクの金を初め、海外に投資された金も全部日本に集中してきたわけでございます。本来そういう時期には、やはり二十一世紀高齢化社会対策をどうするかとか、また、二十一世紀産業構造をどうするか、また、百六十八兆になんなんとする累積赤字をどうするかというようなことを我々政治家も考えるべきだったのですが、そのときに減税金利引き下げをやってしまった。そのたみに、金が集中してどっと来て、一集中豪雨のような状況になりながら、本来堤防を上げるべきところを下げてしまった、そして、その金余り現象が結局土地や株に流れ込んでバブル経済が起こった、そういうふうに感ずるわけであります。  私自身、今後の課題としまして、二十一世紀は低金利時代に入るのじゃないかなと思うのです。それはどういうことかと申しますと、今、日本全国預金残高は約五百七兆でありますが、二十一世紀になりますと約一千兆になるわけでございます。そうしますと、日本人の気質を考えておりますと、やはりみんなが金もうけに走ると我も我もと走るというこの気質を考えた場合に、私は第二、第三のバブルが起こり得る危険性があるんじゃないかなという気がするわけでございます。そういう面で、今後有効な金の使い方、金融政策全般のマクロ的な発想が必要だと思うのですが、今後大蔵省はそういうマクロ的な対策をどのように考えているか、お聞きしたいと思います。
  6. 日高壮平

    日高政府委員 前回のいわゆるバブルの発生の過程におきまして、私どもが一番意を用いておりましたものは、プラザ合意の後のいわゆる円高不況というものにどう対応するかということであったかと思います。御指摘がございましたように、金融を緩めるというだけでなしに、いわゆる三兆円あるいは六兆円の景気対策というものも当時行いまして、その結果円高不況を乗り切り、その後のいわゆる景気拡大につながっていったということは否定できないだろうと思っております。したがいまして、今先生指摘になりましたように、その過程においていわゆる金融が緩み、それに伴いいわゆるバブルが発生したということも否定できないわけでございますので、私どもとしては、今までの、特に前回のそうしたバブルが発生したその過程十分反省をし、それをいわば種といたしまして、今後の財政金融政策を行ってまいりたいというふうに考えております。
  7. 村上誠一郎

    村上委員 今の答弁では非常に不満でありますが、これは重要な課題でありますので、長期的課題として大蔵省は今後真剣に考えていっていただきたいと思う次第であります。  それに関連してお伺いしますが、このところ金融機関の慎重な姿勢や企業側の借り控えを反映しまして、貸し出し伸びが低下しております。マネーサプライの伸び率が大幅に低下しており、他方、こうした状況の中で、証券市場の低迷から証券市場での資金調達も困難化しております。特に日本企業は、今回、設備投資においてエクイティーファイナンスということで非常に資金調達をしてきたわけでございますが、こういう企業資金調達円滑化という観点から証券市場活性化についてどのように考えているか、御意見を伺いたいと思います。
  8. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘のように、現在株式市場は非常に不振の状態にございます。したがいまして、エクイティーファイナンス、いわゆる株式に関連いたしました資金調達というのが円滑に行われないという状況になっているわけでございます。それにかわる資金調達手段として一般事業会社が最近特に普通社債発行するという意向を強く出してまいっております。  普通社債発行につきましては、従来は発行コスト国内では高いということもございまして海外市場発行かされていたわけでございますが、私どもとしては、国内発行コストをできるだけ引き下げて、企業コストの安い普通社債発行できるようにいろいろな制度、特に手数料社債発行にかかわります手数料というのはいろいろ高いわけでございまして、これをできるだけ引き下げるように関係者に要請をしておりまして、徐々にではございますが下がってまいっております。そういったことで、普通社債による企業資金調達というパイプといいますか、これをできるだけ広げていきたい。それをやることによって企業資金調達エクイティーファイナンスが困難な状況のもとでの資金調達を円滑に進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。  なお、エクイティーファイナンスの方につきましては、これは株式市場状況によって大きく左右されるやや不安定なものでございまして、私ども、今回の事件によって株式市場に対する投資家信頼が失われたわけでございます。その信頼を一刻も早く回復することによってエクイティーファイナンスの再開をできるだけ早く実現したいというふうに思っているわけでございます。
  9. 村上誠一郎

    村上委員 この間は証券特証取法改正がなされたわけでございますが、私は、証券問題の根っこにある問題は、証取法改正で行われた問題のほかにやはり手数料の問題と新規参入の問題が基本にあると思いますが、手数料自由化とまた新規参入について、大蔵省の今後の方針についてお伺いしたいと思います。
  10. 松野允彦

    松野(允)政府委員 今回の一連の事件を契機といたしまして、今御指摘がございました新規参入あるいは手数料自由化による競争促進必要性ということが指摘をされているわけでございます。私ども、この点につきましては行革審の答申あるいは国会におきます御決議を受けまして、現在証券取引審議会において議論をお願いしているわけでございます。  新規参入につきましては、現在の証券会社に対する免許を与える基準が不明確だ、もう少し具体化、明確化して、新規参入者がどういう条件が整えば新規参入、つまり免許申請ができるかということを明確にすべきであるという御指摘をいただいております。この点につきまして、できるだけ免許基準具体化、明確化していきたいということで、証取審議論をいただいているわけでございます。  それから、もう一つ手数料自由化の問題でございます。特に株式売買手数料でございますが、これにつきましては現在証券取引所固定手数料を決めているわけでございますけれども、この手数料自由化して競争を促進すべきであるというような御提言を行革審からいただいているわけでございます。手数料自由化いたしますと、例えば小口手数料が上がるというような問題、したがって小口投資家株式市場から離散する、あるいは機関化現象が促進されるというような問題、それから証券会社の経営に大きな影響を与えて証券市場の、安定性も失われるおそれがあるというようないろいろな問題が指摘をされているわけでございますが、そういった問題と、それから自由化によって競争を促進し、あるいはサービスを多様化する、あわせて証券株式市場効率性をより高めるというようなメリットもあるわけでございまして、そういった点をあわせ考えながら手数料自由化方向について証取審で精力的に今御検討をお願いしているわけでございます。
  11. 村上誠一郎

    村上委員 そのようなバブル経済崩壊景気の減速によりまして、非常に歳入不足と申しますか、税収不足の問題が言われております。  それで、歳入不足の問題についてお伺いしたいと思いますが、いろいろ報道されておりますが、大蔵省としては歳入不足はどのぐらいだというふうに見積もられておりますか。
  12. 濱本英輔

    濱本政府委員 お答え申し上げます。  税収動向でございますけれども、これまで増収をもたらしてまいりましたいろいろな要因が流れをすっかり変えてきておりまして、現時点での収納状況は大変低調である、極めて厳しい状況にあるというふうに受けとめております。  三年度の税収につきまして、これまでの収納実績、それから大法人に対しまして聞き取り調査を続けてまいったわけでございますけれども、そういうものを現在精査いたしておる段階でございますが、これまでのデータから見まして、当初予算額に対しましておよそ二兆八千億円程度の減収になるのではないかと今の段階で判断いたしております。この点につきまして、本朝、閣議におきまして大蔵大臣からその旨を明らかにしていただいております。  ただ、より詳細な数字につきましては、もう少しお時間をいただきまして、最新のデータを織り込みながらさらに詰めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 村上誠一郎

    村上委員 大体二兆八千億というお話でございますが、この財源をどうするかというのは大きな問題になってくると思います。  私は、一個人としてはやはり消費税率を上げるということが経済的に見ても、公平的な見地から見ても妥当だと思うわけでございますが、今の国会現状を見ておりますとなかなか難しいというふうに考えております。そのために、今いろいろ考えられておりますのは、法人税減税を先送りする案や、また自動車の六%の税率を二、三年間延長するとか、湾岸への九十億ドルの支援財源のためにつくった法人税などの臨時増税の延長、いろいろ考えられておりますが、今の段階あとどのような方策、またどういう方向を考えていらっしゃるのか、お話しできる範囲でお話ししていただきたいと思います。
  14. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘の点につきまして、来年度の税制、これの改正作業というのはまさにこれからでございまして、今御指摘のございましたものについてもそれぞれ経緯があることは委員はもうよく御存じの上でのお話であろうと思っております。  いずれにしましても、私どもといたしましては、税調におきましてこれからの税制についてどうしたらいいのか、これからお願いをして、議論を踏まえながら対応していかなければいけないというふうに思っております。いずれにしても、国民負担にかかわる問題につきましてはやはり十分慎重に対処する必要があろうというふうに思っております。
  15. 村上誠一郎

    村上委員 私自身、最近感じますのは、税収動向というのはそのときの経済状態によって非常にアップダウンというか波打つわけでありますね。ところが一方、歳出というのは常に恒常的に放物線状にふえていく。そうしたときに、やはりいつも景気動向によって歳入不足が起こって、そのたびにびほう策をやっていくというのは、これからいろいろ国際貢献や、またいろいろな方面で、高齢化社会対応等財源がますます必要になってくる状況において、果たして今までのようなシステムというか方法だけでいいんだろうかという気がしておるわけでございます。そういう面で、これはなかなか難しい問題でありますし、長期検討課題になると思いますが、例えば中長期の財政の余裕のあるときにそれを蓄積して不足のときに使うような財政安定化資金という発想もこれからは必要じゃないかな、私、個人的見解で思うわけでございます。  その点につきまして、大蔵省見解をお伺いしたいと思う次第であります。
  16. 小村武

    小村政府委員 先生指摘のように、一定の自然増収等が生じた場合におきまして財政景気安定機能を充実させるということで資金を積み上げ、歳入欠陥が生じたときにはそれをまた使っていく、そういうことを通じて弾力的な財政運営を行うというのは一つの考えだろうと思います。  しかしながら、残念ながら現在まだ私ども財政状況は多額の建設公債発行しておりまして、それに巨額の利払いを行っているという状況がございます。それからもう一つ、各方面から、財政審等からも指摘されておりますが、歳出下方硬直性というものがございまして、果たしてそういった資金をプールすることが現実問題として可能であるか、さまざまな歳出圧力を惹起し、財政放漫化につながらないかという懸念もございます。  こういった点を踏まえまして、私どもとしては現在の財政状況ではまだ現実的にそうした対応の仕方は困難ではないかというふうに考えております。
  17. 村上誠一郎

    村上委員 なかなか当局としては思い切った答えはできにくいと思うのですが、やはりそれも長期的課題で真剣に取り組んでいただきたいと思うわけであります。  それから、あと予算執行の面についてお伺いしたいと思います。  特に公共事業において、委員の諸先生方承知のように、三月になりますと東京都内ですと、また地方でもそうですが、道路の掘り起こし等非常によく目立つわけでございます。これは御承知のように当然その年度の予算を消化するということで、最後の追い込みということでそういう状態になるわけでございますが、ただ、いろいろな業者の皆さんお話を伺いますと、もうちょっと平準化と申しますか、できないのだろうかという話があるわけでございます。そこら辺について大蔵省見解をお伺いしたいと思います。
  18. 小村武

    小村政府委員 公共事業執行に当たりましては、その発注が特定の時期に過度に集中することのないように計画的に実施するということが最も重要なことと認識をしております。従来から、工事の発注を計画的に行うよう、その平準化をするよう、私ども実施計画等に当たりましても鋭意努力をいたしておりまして、御指摘のことのような事態が発生しないよう実施計画早期承認等について今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  19. 村上誠一郎

    村上委員 そういう御答弁が出ると思ったのですが、私自身考えますに、やはりもうちょっと、今の予算のプロセスからいきますと、四月に決まって、五月、六月、七月ということで設計や積算の見積もりをし直す、それで八月、九月、十月において発注が行われるということが現状でございます。そうしますと、どうしても下半期に集中することは避けられないわけでありますし、やはり私はもっと前倒しをするようにどうしたらいいか、またその予算体制をどういうふうに早く整わせるようにしたらいいのか、また、例えば一つ考え方ですが、ゼロ国債を発行して、特に継続事業前倒しでやっていく、そういう考え方も私はあると思うのですが、その辺について大蔵省見解をお伺いしたいと思います。
  20. 小村武

    小村政府委員 公共事業の円滑な執行のために、一つ予算の手法といたしましては債務負担行為というのが憲法上認められておりまして、これを活用するということが大きな要素となると思います。それから、先生指摘のように、積雪寒冷地域等公共事業執行円滑化を図るために、例えばゼロ国というものを活用するというのも一つの有力な手段であると考えております。
  21. 村上誠一郎

    村上委員 それから、日本は国際的な公約として今後十年間における四百三十兆の公共事業を行うということを明言しておるわけでございます。ところが、皆さん承知のように、非常に労働力不足、特に三K一Yということでなかなか人が集まらない、そして結局外国人労働者というのはいろいろな問題があって簡単にはできない、そういうのが現状であります。  特に、私自身考えますのは、その公共事業配分についてお伺いしたいと思うのですが、せっかく四百三十兆新しくやっていこうという、含めてですがやっていこうというのでありますが、建設省の内部を見ておりますと、例えば緑地公園、下水、道路、今までの建設省配分比率をそのまま移行していこう、そういう感じであります。私自身地元のことを言って恐縮でありますが、実は愛媛県は例えば下水道普及率が二二%ということで非常に残念ながらおくれているわけであります。そういう中で、やはり例えばそれぞれの地域に合った、またそれぞれの地域の必要なニーズに合った予算配分ということが必要じゃないかなと思うのです。そういう面におきまして公共事業配分が非常に硬直化している。私はこれは非常に残念なことだと思うのですが、そこら辺についての大蔵省見解をお伺いしたいと思います。
  22. 小村武

    小村政府委員 公共事業事業配分につきましては、従来より経済社会動向あるいは社会資本の整備の状況等を踏まえまして対応してきております。例えば、先ほど御指摘下水道につきましては昭和四十年度では二・二%、これが平成三年度では二・五%のシェアを占めるに至っております。ただ、先生指摘のように省庁別の分野で見ますと、その配分においては御指摘のような実態も見受けられます。  平成四年度におきましては、生活関連枠二千億円を設けますとともに、さらに公共投資充実臨時特別措置というようなものも概算要求として加算をするという制度を設けました。今後とも国民生活の質の向上といった点に重点を置くようにという御指摘でございますが、そうした方向に沿って努力をしてまいる所存でございます。
  23. 村上誠一郎

    村上委員 ちょっと話題がもとに戻るのですが、先ほど金融問題について一つ抜かしましたので、追加質問させていただきたいと思います。  実は、バブル経済反省として総量規制というのが出たわけでございますが、地価動向にかんがみまして昨年の四月に導入されて以来、金融機関不動産業向け貸し出し伸びが大幅に鈍化しております。その効果は着実に浸透してきていると認識しております。しかしながら他方で、総量規制土地取引を過度に抑制して健全な住宅投資までも低迷させる原因になっているのじゃないかなという指摘もあるわけであります。今後の総量規制の取り扱いについての御所見をお伺いしたいと思う次第であります。
  24. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘総量規制につきましては、御案内のとおり地価問題というのは都市計画ですとかあるいは国土計画あるいは構造的かつ総合的な対策、これを着実に推進することによって対処すべきでございまして、まさに総量規制というのは非常緊急の措置として導入されたものであろうというふうに思っております。ですから、これはただいつまでも続けるという性格のものでないということを私たちも認識していなければいけないと思っています。  ただ、御案内のとおり、関西ですとかを中心にして、また東京あたりでも多少地価の低下というのは見られるわけでありますけれども地方においては、まだ地方都市などでは二けたで実はアップしておるというような状況もあるわけですね。そういったことで現在国土庁の方でもその把握、いわゆる直近の価格動向というものを把握するために今懸命に御努力いただいておるということでございますので、そういったことに加えましてこれからの金融情勢あるいは金融機関の融資動向、そして土地政策全般の推進状況、こんなものを総合的に勘案しつつ私たちは適切に対応していかなければいけないというふうに考えております。
  25. 村上誠一郎

    村上委員 それから、最後にお伺いしたいのですが、これからの歳出面、今まで日本日本国内のことだけを考えていればよかったわけでございますが、私は、日本が戦後四十年間ここまで発展してきたのはやはり平和であったことと自由貿易体制があったことだと思います。今後日本が世界から注目されておりますのは、その平和と自由貿易体制に対してどのように主体制を持って貢献していくか、それが大きな課題だと思います。まさにことしの湾岸戦争はそれを試された問題じゃなかったかなという気がしております。  その中で、ただ私が今一番懸念しておりますのは、ODA初め海外援助、これは非常に重要であり必要であると思うわけでございますが、今後ドイツは、東西統一いたしまして東ドイツを抱え込んだわけであります。まさにドイツ国民というのは賢くて、東ドイツを抱えたことによって自分の国は手いっぱいだという防御線を張っているわけでございます。日本はそういうエクスキューズができないわけでございますが、日本国民の血税を使うわけでありますから、どこら辺が妥当でどこら辺が適正であるか、これは我々国会国民が一生懸命考えていかなければならない問題だと思いますが、大蔵省はその線についてはどのぐらいが適当な範囲だというふうに考えているか、メルクマールを示していただけたらと思う次第であります。
  26. 小村武

    小村政府委員 御指摘のように、我が国のこれからの国際社会への貢献というのは大変な課題を抱えていると思います。同時に、国内問題としましては、高齢化社会への対応という、これまた大きな問題を抱えております。定量的に私どもどの程度ということは現在直ちに申し上げるような試算はございませんが、いずれにいたしましても、財政の面から申し上げますと、これからの高齢化社会を迎えまして、再び特例公債を発行しないことあるいは国債残高を累増させない、こういう財政体質をつくり上げていくとともに、こうした課題に的確に対応できるような財政体質をつくり上げていく、これが私ども課題だ上考えております。
  27. 村上誠一郎

    村上委員 本当にまだまだ質問したいことがいっぱいあるわけでございます。  私は、世界は大きく変化しつつあると思います。二十世紀後半に組み立てられてきた、そしてだれもが変わり得ないと思っていたシステムが、今非常に速いスピードで変化しつつあります。今世紀に残された十年間、日本が二十一世紀に向けて何をなすべきか、また、どうしたら世界から尊敬を受け、また評価される国家になるか、今後当委員会を通じて一生懸命皆さんとともに討論していきたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。御清聴ありがとうございました。
  28. 太田誠一

    太田委員長 中村正男君。
  29. 中村正男

    ○中村(正男)委員 まずもちまして、羽田大蔵大臣、御就任まことにおめでとうございます。心からお喜びを申し上げます。  私も、大蔵委員会にお世話になりましてかなり年月がたったわけでございますが、竹下大蔵大臣も総理大臣になられました。また、今の宮澤総理大臣も大蔵大臣をやられて総理大臣、若干宮澤さんの場合は途中で一服されましたけれども。ぜひひとつ、羽田さんも上を目指して一層の御精進をお願い申し上げたいと思います。  まず、よいしょをやりまして、それから質問に入らせていただきますが、十一月十四日に公定歩合が〇・五%下げられまして、年五%になりました。このことについては、宮澤政権への御祝儀だとか、あるいはタイミングを失したとか、市場金利に対する追認ではないか、さまざまな意見が出ております。一昨日の大臣の所信表明では、調整局面だ、まだ個人消費も底がたいものがあるし、そんなに先行き景気は心配してないというふうに私は受け取ったのですが、そういうことからいたしまして、今回のこの公定歩合の引き下げが、果たして全体的な、産業界に潜在的にある、というよりもむしろ大きくそれが表に出だしてきております景気不安、これに歯どめ的な役割を果たすことになるのか、その辺をまずひとつお聞きをしたいと思います。
  30. 羽田孜

    羽田国務大臣 御親切なあれをいただきましたことにつきまして、お礼を申し上げます。ともかく一生懸命努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。  今御指摘のございました、これで経済の減速に歯どめがかかるのかということでございますけれども、確かに現在の状況についての見方というのは、それぞれいろいろな方々によってお話がございます。ただ、幾つかの指標を見ておりますと、今までこの数年間が余りにも高いものであったものですから、それと比べますと確かに減速しているということがあろうと思っております。  ただ、そのほかのいわゆる消費動向等を見守ったときにも、割合と底がたいものがあるなということを感じておりますし、また設備投資なんかにつきましても、確かにここのところ減速だということを言われますけれども、この間公定歩合を下げたときに、各社の代表の方々のいろいろなお話を聞きましても、やはり設備投資は従来どおり続けていこうというようなコメントなんかも実は出されておるということであろうと思っておりまして、私どもは依然底かたいもので推移するであろうというふうに思っております。  それで、〇・五%引き下げられたということで、これは以上のような経済情勢に加えまして、物価も非常に落ちついておるということ、あるいは市場金利、これも今まで引き下げられてきたということでございまして、そういうことを考えたときに、企業家の心理に及ぼす影響というものは、いい影響というものを与えたのではないのかな、時宜を得たものであろうというふうに考えております。今後、今回の公定歩合の引き下げ企業家心理に対して良好な影響を与えて、これまでの市場金利等の低下と相まって、インフレなき内需中心の持続的な成長、これを続けさせていくものに資するものであろうというふうに私ども認識しておるということを率直に申し上げたいと思います。
  31. 中村正男

    ○中村(正男)委員 景気の先行きは、私は、今回の公定歩合の引き下げでそれはかなりの下支えになるとは思いますけれども、いろいろな状況を考えますと、さらにもう一段の金融政策が必要になってくるのではないか。今の段階で、きょうは日銀にもお越しをいただいておりませんし、抽象的なことでお尋ねをしても、答えも抽象的な答えしか返ってこないと思いますから、見守るしかないと思います。  ただ、先ほど総量規制の問題が出ましたけれども、私は、景気は確かに下降ぎみですけれども、潜在的にまだまだ土地だとか株だとか、そういうところが危険な要素をはらんでおると思いますから、とりわけ土地投機というのは全くなくなったものではない。したがって、総量規制の解除というのは極めて慎重に考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そこで、公定歩合の引き下げに伴って、ちまたの声として銀行局長にお尋ねをしたいのですが、週明けにも定期性、特に一年物の定期預金が〇・五%下げられる。もうこれは数字となって、新聞で決まったという形で報道されております。公定歩合と過去の一年物の定期預金の金利をずっと見てみますと、いわゆる一〇〇%そのまま連動したというのは余りないのですね。特に、公定歩合が上げられたときには、それの八〇%ぐらい定期預金の金利が上がる。今回はもろに今の数字が、それが事実であれば、〇・五%公定歩合が切り下げられて、ストレートに一年物の定期性預金が〇・五%下げられる。これは一般の本当に貯蓄をまじめにやっておられる方については、非常に厳しいじゃないか、ちょっと今までと違う、なぜかな、素朴な疑問が今あると私は思うのです。いや、これは簡単なことなんだと、銀行当局はそういうふうにお思いかもわかりませんが、意外と大衆心理というのはそういうところに敏感なものがございますので、国民に向けてわかりやすく御説明をしていただきたいと思います。
  32. 土田正顕

    ○土田政府委員 預金金利の定め方の問題でございますが、今回は御指摘のように、公定歩合の〇・五%引き下げに伴いまして、いわゆる規制金利の定期預金が引き下げられる、その幅は公定歩合と同幅の〇・五%ということで、定期性預金全体について考えられているところでございます。  ところで、その背景その他について若干立ち入って御説明を申し上げます。  全般的に、定期性預金につきましては、預金金利自由化が進展しているわけでございます。そのような自由化された場合には、それぞれの金融機関が自主的に預金金利を定める、そういうことになります。それもしかも非常に頻繁に、いわば毎週金利の建て値を変えるというようなことが行われ始めておるわけでございます。その際に、金利決定に最も影響を及ぼしますのは市場金利動向でございます。それに加えて、やはり預金者から良質な預金を受け入れたいということで競争が働くわけでございます。そういうことで、だんだんと預金の世界にも競争が入り込み、効率化が進む、こういうことなのでございます。ただ、現在は過渡期でございますので、なお従来のような規制金利がございまして、それは公定歩合が変わりますと見直されるという慣行になっております。  そこで、今回その意味での規制定期金利を見直したわけでございますが、そのときの背景といたしましては、前回の公定歩合改定、これは七月一日以降でございますが、市場金利は大幅に低下しております。それを勘案いたしまして、若干この規制定期金利が高い水準にとどまっているということも考えまして、いわば市場金利とその規制定期の、定期性預金金利との間の整合性を確保するという観点から、同幅の〇・五%下げが考えられているわけでございます。それは、もちろんこの預金者の金利、手取りの金利そのものの減少にはつながるわけでございますが、他面、これは金融機関資金調達コストの軽減を通じまして貸出金利引き下げを促しますし、それは公定歩合引き下げの目的でございますいわゆる物価安定を基盤とした持続的成長の実現に寄与するということでございますので、そのような全般の操作を通じて国民経済全体、ひいては預金者の利益に資するというふうに御理解をいただけないかと考えておる次第でございます。
  33. 中村正男

    ○中村(正男)委員 理屈としてはそういうことだと思いますけれども、実際預金者にとっては非常に、今回初めてこういう一〇〇%連動する、しかも過去上げるときはそれは切られて上がっておって、下がったときにはそれがストレートに下げられる、非常に預金者の気持ちとしてはやはり納得できないなというのが率直な感情ではないかなということだけ私は申し上げておきたいと思います。  次は、補正予算の問題でございますが、規模と具体的な内容をひとつお示しをいただきたいと思います。
  34. 小村武

    小村政府委員 補正予算につきましては、先般人事院勧告の取り扱いが決定されました。こうした人件費の取り扱いあるいは義務的経費の追加等あるいは災害復旧事業費等、さまざまな追加財政需要がございます。こうした点について、今日ぎりぎりの査定をいたしまして、現在その算出の見直しを行っております。  一方、先ほど主税局長からお答えがありましたように、本年度の税収は二兆八千億円程度の減収が見込まれるということがございまして、こうした点を踏まえまして、各省庁に既存の政策的経費を含めまして経費の見直しを図り、不用財源等の洗い出しをしているという状況でございます。
  35. 羽田孜

    羽田国務大臣 一つだけ補足させていただきたいと思いますけれども、今お答えがあった上に、日本開発銀行等の各財投機関の資金需要につきまして、これに的確に対応することが必要であると考えておりまして、各機関に対する財投追加につきましては、資金需要を見きわめ、適切にひとつ対応していきたいということを申し上げておきたいと思います。
  36. 中村正男

    ○中村(正男)委員 主計局次長の答弁、極めて不親切だと思うのです。私は具体的に中身を尋ねておるわけですから、それに対して全くございません。新聞では詳細に出ておりますから逆にこっちからそれを申し上げて確認をしたいと思うのですが、一つは台風に対する災害復旧費、これが農水関係で約七千百億円ぐらい、建設省関係で約二千億円ぐらい、トータルして約一兆円前後、こういうことになっております。これは被害金額については私、直接それぞれ省庁に確かめましたからそう変わりはないと思うのです。ただ、このうち今回の補正で手当てするのは五千億ないし六千億、こんなふうに報道されておりますが、これで十分な手当てになるのかどうか、これを確認したいと思います。それから、公務員給与については三・七一%の引き上げ、差額計算を含めて、改善予備費が千三百五十億円ございますから実際は二千七百五十億程度でいい。それから三点目は都市整備公団の利子補給金、これが千七百億円ぐらいある。その他経費として医療費、義務教育国庫負担金五、六百億円、トータルすると約一兆円ぐらいになる。これを既定経費の削減でもって半分程度の規模にする、大体そんな報道が出ておりますが、それはそのとおりなのかどうか。  時間がありませんから重ねて聞いておきますが、この災害復旧費ですね、これは先ほど申し上げましたけれども、後はどういう手当てになるのか。地方財政でそれは賄うということになろうと思いますが、それが一つと、それから税収不足、これは先ほど大臣の答弁で二兆八千億円、ほぼそういう数字になるだろうということでございます。これに対する手当てとしては、建設国債の八千億円余りの増発。それから九〇年度剰余金約一兆円、九千九百八十三億円。これは本来二分の一を国債整理基金に入れなければならぬのを今回は全額財源として使う、こんなことが出ておりますが、この剰余金の処理については、これはやはり聞いておかなければいかぬ。財政再建のためにはこういう措置をするんだとわざわざこれは法律をつくったわけですから、今回全額これを一般財源に使うというのはどういうことなのか。  まとめてお聞きをしておきたいと思います。
  37. 小村武

    小村政府委員 補正予算の編成につきまして、現在、先ほど申し上げました各経費について念査を加えております。  先生指摘の災害復旧につきましては、現段階、十一月十五日現在で公共土木施設等の被害総額が約九千億円というふうに報告を受けております。これをどう対処するかということにつきまして、今念査をしておりますが、いずれにいたしましても的確に対応いたしたいと思っております。ただ九千億円につきましては、この中には補助事業もございますし、さらに本年度中ではなしに債務負担行為において対処すべきものもございますので、現在補正計上額等についてぎりぎりの詰めを行っているという段階でございます。その他の歳出項目につきまして現在作業中でございまして、その金額等についてはまだここで申し上げる段階には至っておりません。  それから、歳入の手当てにつきましては、二兆八千億円の税収減に対応しまして各種の手当てを今考えております。先生指摘の剰余金の取り扱いにつきましても、私どもとしましては、補正関連といたしまして財政法の特例をお願いせざるを得ない事態になるのではないかというふうな状況でございます。  詳細にわたってはもう少しお時間をいただきたいと思います。
  38. 中村正男

    ○中村(正男)委員 財投の活用を大臣わざわざお述べになったのですが、これは具体的にはどういうことなのか、もう少し詳しくお聞きをしたいと思います。
  39. 日高壮平

    日高政府委員 御承知のように、現在のいろいろな金融情勢のもとにおきまして、政府関係金融機関に対するいわば需要というものがかなり強く出てきている状況にございます。現在、特に開発銀行の場合には、いろいろな投資関連の需要についていろいろな申し込みが来ているということでございますので、これから所要の措置、いろいろな種々の措置を講ずる必要があろうかと思いますが、そういう措置も講ずることを必要に応じてまた国会の方にもお願いをしながらその手当てができますれば、そうした政府関係金融機関、特に開発銀行に対する需要については財投の追加措置も考えていいのではないかとい、つことで、私ども現在鋭意検討しているところでございます。
  40. 中村正男

    ○中村(正男)委員 最後に、補正予算はいつ出すのか、もうこの国会、会期は十二月十日で終わるわけですから、本来この臨時国会というのは補正予算を論議するのが最大の我々の課題だ、こう思っておったのがいまだに出されていない。この辺、大臣から明確にいつ出すということを、きょうは大蔵委員会ですから、ひとつ具体的にお答えをいただきたいと思います。
  41. 羽田孜

    羽田国務大臣 先生の御指摘、ごもっともだと思うのでございますけれども、今それぞれからお答え申し上げましたように、まさに一つずつぎりぎりのところで今詰めておるというところでございまして、いつということについて今申し上げることはひとつお許しをいただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。
  42. 中村正男

    ○中村(正男)委員 大変これは私はちょっと不満だと思います。少なくとも臨時国会中に審議できる日数を残してやはり出していただきたい。これは最低限政府の責任ではないかということを申し上げておきたいと思います。  次に、九二年度の予算編成につきましてひとつ考え方をお聞きしたいと思うのですが、具体的な予算編成の歳入歳出の中身に入る前に、私は先ほど来の大臣の答弁、先般の所信表明等々、お聞きをいたしておりまして、来年度予算はもう日本財政といいますか、それにとっても極めて大きな転換点といいますか、分岐点ではないか、そういう認識を持っております。  財政再建、辛うじて今旗はおろさずに頑張っておるわけですが、これがどう維持されるのか、片や景気は非常に先行き懸念がある、それに対して財政としての役割をどう果たしていくのか。拡大的な財政規模というのがどうしても起きてくるわけでございまして、そういう意味合いで、単に来年度は九二年度単年度の財政あるいは財政運営あるいは財政再建ということではなしに、中期的な、二〇〇〇年に向けての大きな展望を持った形でぜひひとつ編成をしていただきたい、あるいはまた、九二年度以降一つの、一定の考え方というものを示しながら予算編成をすべきではないか、私はこういう立場で若干私見を述べたいと思います。  九〇年代、私は経済を展望するとき、三つの大きな制約条件があると思うのです。これをどう克服し、安定的な持続的な成長を続けていけるのかということになろうかと思います。  まずその第一点は、これは生産年齢人口の伸び悩みであります。一九九〇年、これは八千六百二十万人、九五年には推定でわずかふえまして八千七百十万人、二〇〇〇年にはまた九〇年に戻って八千六百二十万人、こういう数値が既に出ております。一方、これも御案内のとおりでございますが、高齢人口というのは、九〇年度一二%のものが二〇〇〇年には一七%になる。生産人口が減ると同時に負担もふえるということでございまして、高齢者人口を生産にどううまく活用していくのか、これも一つの大きなかぎを持つと思います。いずれにしても、この生産人口だけを見ても、生産を伸ばしていく意味合いにおいての大変な足かせになるのじゃないか、これが第一点。  それから二つ目は地球環境の保全、こういうことが地球全体の大きなテーマでありますし、とりわけ先進諸国は最も重視をしなければならぬ課題であります。CO2、これの排出量を二〇〇〇年まであるいは二〇〇〇年以降も少なくとも九〇年レベルで維持をしなければならない、これが義務づけられてくると思うのです。そうなりますと、かなりの省エネが必要になる。そのことは、いわゆるエネルギー多消費型の経済構造を大きく方向転換をしなければならない、これも二つ目の制約条件ではないか。  三点目は、これはこれからの大きな問題でありますが、国際社会の中で一層の資金貢献が求められる。こういった九〇年代の大きな課題、私はそういう認識を持っておるわけですが、まずそのことについての大臣の所見をお聞きをしたいと思います。
  43. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のあった三点、高齢化が進むであろう、あるいは地球環境の保全に対して日本としても役割を果たさなければいけない、そしてまた国際社会の中での一つの役割というこの三点、将来に向かって私たちが考えていかなければならない基本的なお考え方で、私も全く同感をいたすところであります。  そしてとりあえずの、私たちがあれしますときに一番念頭に置かなければならないのは、現在の財政事情は、先ほどから御議論がありましたように、ともかく公債残高は非常に大きいということが一番のあれだろうと思っております。そしてまた、私ども今いろいろと運営を進めていくに当たりましても、多額の建設国債、これに依存する財政構造であるということ、これも私たちは認めなければいけないだろうと思っております。ということになりますと、一たび景気が落ち込んだり何かして著しい税収の鈍化が生じたときには再び特例公債を発行するようなこと、こういう脆弱性も持っているということも私たちはよく踏まえていかなければいけないであろうと思っております。いずれにいたしましても、そういった意味で私たちは、後世の時代に政策の選択というものを非常に硬直化させてしまうような公債依存度というものから脱却して健全な財政をつくり上げていくということ、これを基本に考え、財政運営を図っていかなければいけないのかなということを改めて思っております。  そういう中で、ともかく歳出について極力削減をしていくということ、しかもその削減するときには、今お話があったようなことも基本に置きながら、めり張りをつけたものをやっていかなければいけないのかな、非常に苦しい、厳しい作業であろうと思っておりますけれども、そういった姿勢で臨んでいかなければいけないと考えております。
  44. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そこで私は申し上げたいのですが、そういう認識の上に立ちますと、来年度以降の財政運営財政再建というものは極めて構造的にも弾力性を持った進め方が重要になってくるのではないか、私はこう思うわけです。八〇年代を振り返ってみますと、とりわけ短期的な、単年度の収支重視型、特に一般会計については収支じりの重視といいますか、そういう形で推移をしてきたと思うのです。これからは、そうではなしに、今言った、大臣もお認めになったそういった状況の中で、単年度から多年度ベースに重点を置いた財政再建あるいは財政運営というものを目指していかなければならぬと思います。  例えば、現在の「財政の中期展望」、この前提となっております名目成長率四・七五%、租税弾性値一・一、これを基礎に二〇〇〇年度までの税収を単純計算してみますと約八百兆円になるわけです。この八百兆円というものを基準税収というふうにみなしまして、これを長期財政計画の基礎にする。そこで歳入歳出というものを検討すべきではないか。極めてラフな言い方でございますが、まずそういう指摘をしたいと思います。  そこで、そういう前提に立った歳入を、じゃどう考えていくのかということでありますが、やはり景気が変動することによって実際の税収とこの基準税収とに当然単年度で差が出てくる。そうしたときに、例えば税収増が生じた場合には、仮に財政安定資金というものを設けましてそこへ繰り入れる、そして、税収不足が生じた場合には、この資金から財政に逆に補てんをする、こういう調整をすることによって、いわゆる一時的な歳入歳出の変動から切り離された形で財政再建というものが進められていくのじゃないかというふうに考えるわけです。  歳入についてはそんな一つ考え方を示したわけですが、今度は歳出の面、じゃ、どう考えていくのかということでありますが、この八百兆円、この約半分は当然のことながら国債費と地方交付税の交付金に大体消えてしまうだろう、残りの四百兆円が実際的に政策経費として使われる分になる。そこで、それも総花的な使われ方ではなしに、いわゆる二〇〇〇年を展望した重点的な配分、重点的な基本構想というものを持つ必要があるのではないか。  それは、三点あると思うのです。第一点は、国債残高を減らしていく。これは、財政再建に使っていくという視点もあるでしょう。それから二つ目は、高齢化社会に向けての充実。これは、もちろん年金だとか医療の充実は当然のことですが、それだけではなしに、高齢化社会そのものをどういうふうに、例えば住宅だとかケアだとか、どういうふうにしていくのか、こういう視点での高齢化社会の充実というテーマも一つあるだろうと私は思うのです。もう一つは、国際貢献の充実。これは大きく言って、まだいろいろあると思うのですが、やはりこれからの十年は今言った三つが重要課題ではないか。それを中期的にどういうふうにこの四百兆円を配分してそれを推進していくのか、こういう多年度ベースに置いた歳入なり歳出、しかも重点的な基本構想、こういうことが極めて重要になってくるのじゃないかというふうに私は思うわけですが、大臣、御所見はどんなものでしょうか。
  45. 小村武

    小村政府委員 御指摘のような視点は大変重要なものと私ども認識をしております。これからの高齢化社会対応するために財政がその体質の強化をしなければいけない、さらに高齢化そのものへの対応の仕方、いろいろなアプローチがございますが、先生おっしゃるような福祉の面あるいはケアの面を中心にしたこれからの財政需要が増大してくると思います。それから国際社会への貢献、こういった課題財政が的確に対応していくというのが基本的な課題であろうかと思います。  ただ、歳入面、歳出面の、これらの施策について長期的な展望のもとに予算編成を毎年行っていかなければならないわけでございますが、歳入面におきましては、これは一つの見積もりという性格でございまして必ずそうしたものが確保できるかどうか、その辺のところが非常に我々としては不安定な要素があるのではないか。一方歳出面におきましては、これが一たび具体的な形で長期の形をあらわしますと、それが既得権化いたしまして財政の硬直化を招かないか、そうした懸念もございます。こういった点を踏まえまして、私どもとしましては毎年の予算編成につきまして、先生指摘のような基本的な方向を見失わないようにいたしまして、そのときどきの財政事情に応じまして予算編成を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  46. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私は、そういった中期的な、しかも多年度ベースということを考える時期に来ているのではないかという指摘をしておきたいと思います。  そこで、具体的に来年度の予算編成につきまして幾つか問題を指摘したいと思います。もちろん、今から申し上げる数字は八月にまとめられました概算要求を基礎としておるということを前提として申し上げておきます。  まず、各項目に入る前に、今私が申し上げた中期的な、あるいは多年度ベースということとの関連で、昨年もそういう一つの新しい予算の枠組みというものが出されました。生活関連重点化枠二千億円、九二年度も公共投資充実臨時特別措置枠二千億円、こういうものが設けられたわけですが、これはどういう意味合いを持つのか。私、中身のことを聞いているんじゃないのですよ。中身のことを聞いているのではなしに、その枠として設けたところにどういう意味合いがあるのか、まずそのことをお聞きしたいと思います。
  47. 小村武

    小村政府委員 御指摘のように昨年度におきまして生活関連重点化枠二千億円、これを概算要求基準の設定の段階におきまして設けました。本年度におきましても、この生活関連重点化枠二千億円に、先生指摘のように公共投資臨時特別措置二千億円を設けました。こうしたものを踏まえまして現下の財政需要に的確に対応していこうということで概算要求基準設定の際に設けさせていただきまして、その配分等につきましては、予算編成段階で各方面の御意見を踏まえながら生活関連を中心としたその配分について御相談をし、決定してまいりたいというふうに考えております。
  48. 中村正男

    ○中村(正男)委員 もう一つよくわからぬのですが、まあそれはいいでしょう。  私が言いたいのは、結局これら昨年の生活関連、ことしの公共投資充実特別措置の枠というのは、いわゆる米国との国際的な公約である公共投資四百三十兆円、これとの関連が非常に強いのじゃないかという認識でおるわけですね。そうしたときに、四百三十兆円のこの問題は今言った対応策でやっていかれる。ただ、これからもそういう意味合いの予算が必要になってくるのじゃないか。例えばソ連に対する金融支援というものも、これは直近の問題で当然考えていかなければならぬでしょう。それから、あってはならないことですけれども、あの湾岸支援金のような形で何らかのそういった国際的な要請に基づく出費も考えられるわけですね。そうしたとりわけ海外に向けて日本が果たしていくべきもの、まあ公共投資四百三十兆円の問題は国内でそのものが生み出されていくわけですけれども、そういうものに対する予算上の考え方は一体どうしていくのか。私は、今回の枠、昨年の枠とことしの枠はある意味では大蔵省が一定の財源の基本的な考え方をまだ持てない。したがって、とりあえずこういう別枠で考える。これは対ソ支援が仮に具体化したときにはまた別の枠というようなものが想定されるんじゃないか。あるいはあってはならないけれども、国際的な緊急的な支援金が必要になるというふうなときにもそういったことは考えられる。私は、むしろこれからは恒常的に、先ほど言った中期的なあるいは多年度ベースということを考えた予算からしても、一定のこれらに対する財源というものは明確にしていかなければいかぬ時期に来るんじゃないかな。今それは政策的にも大蔵省は打ち出せない、したがって、別枠でこういう処置をしようとしている、私はそんな認識をしているのですが、その辺は大臣いかがなものでしょう。
  49. 羽田孜

    羽田国務大臣 先生の御指摘、私ども理解できる面が実はあるわけでありますけれども、しかし、実際に湾岸危機というものは本当に突発的に起こってきたものであるということ、それから、ソ連の今日の状況というのも私たちはかっては余り予測できなかったことであるということでありまして、私どもとしてこういう事態というものが起きてくるそのときどきの世界の情勢ですとかあるいは社会情勢ですとか財政事情、こういったものを勘案しながらやはり適時また適切に対応していくことが必要でございまして、特定分野につきまして特別の枠を今つくり上げてしまうということになりますと、これもまた制度化していくということになりますとやはり財政の硬直化を呼んでしまうのではないのかということで、私ども、こういった問題についてやはり慎重に対応する必要があるのかなというふうに考えております。
  50. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私は今申し上げたように、これから国際的な要因で起こってくる、とりわけ公共財というのですかね、そういう認識というものを国民全体で考えていかなきゃならぬのじゃないかな、単に単年度でとりあえず何とか枠、何とか枠で指定、糊塗していくということが果たしていいのかなと率直な疑問だけを申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的な来年度予算の数値、大まかなところを申し上げたいと思うのですが、まず概算要求を基礎として考えますと、七十六兆一千八百億円、前年比八・三%、これはいささか膨らませ過ぎではないかという指摘であります。特に建設国債その他の税外収入、NTT等々を勘案しても、純粋に税収として六十八兆二千七百億円程度が必要になってくるんではないか。まず、この辺の数字はそう間違ってないかどうかお聞きをしたいと思います。
  51. 小村武

    小村政府委員 来年度の予算編成、ただいま進行中でございまして、各種経費について洗い直しをしておりますが、具体的には先ほど三年度の税収お話がありましたが、二兆八千億の減収ということが見込まれることによりまして、四年度税収もこれを土台にして見積もりますと、かなりの額の、私ども中期展望で見積もった額との開差が生じてまいります。こういった歳入面の問題。あるいは歳出面におきまして、各種経費について、先ほどの高齢化への対応あるいは国際社会への貢献等を中心にいたしまして歳出拡大要求も根強いものがございます。  こうした面につきまして、ただいま予算編成の作業を私ども進めておりますが、いずれにいたしましても、これまでの行財政改革の成果が水泡に帰することのないよう歳出歳入面において徹底的な見直しをしているというのが、現段階の作業状況でございます。
  52. 中村正男

    ○中村(正男)委員 当然九一年度の税収見積もり六十一兆七千七百二十億円が今の時点では二兆八千億円ぐらい減収になる、それを土台にして来年度の税収を見積もっていく、こういうことだと思いますから、当然この六十八兆二千七百億円よりはかなり下回る見積もりにはなるわけですね。しかし、あくまで私は今、ことしの当初予算税収を前提にして申し上げたいわけなんですが、仮に六十八兆が若干減ったとしても、これだけの税収を上げようと思えば、私は成長率、租税弾性値等々勘案しても、名目的な成長率は八%台の高い成長率でなければ六十八兆に近い税収というのは無理ではないか、まずそういう認識なんですが、その辺はどうでしょう。
  53. 小村武

    小村政府委員 私ども、対外的に申し上げております数字は、中期展望で見積もりました税収でございまして、三年度予算編成を行った後、中期展望を国会にお示しいたしました。その中での税収は六十五兆ということで見積もっておりますが、これはこの当時見積もられた経済成長率に弾性値を掛けて単純に算出したものでございまして、現在の経済情勢等々がその当時予想されたものと異なってまいりましたので、先生指摘のように新たな状態を踏まえまして試算いたしますと、かなりこれよりも厳しい数字が出てくるのではないかというふうに懸念をしております。
  54. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そうしますと、八月時点の七十六兆一千八百億円というのは相当これは小さくなるという表現が適当なのか、減るという表現なのか、そういう理解でいいわけですか。絞り込むということですか、今先輩から教えてもらったのですが。その程度はどの程度と見込んでおられるのですか。
  55. 小村武

    小村政府委員 中期展望をお示しした段階におきましても、要調整額が三兆六千億ございました。その時点からさらに歳出の需要増等がございます。さらに歳入面におきまして税収減が生じますと、恐らく要調整額は当時見積もった額よりも相当大きなものになろうと思います。概算要求で要求していただいたものはあくまでも要求でございます。私どもは、歳入歳出のバランスのとれるように今この要調整額を調整するためには、歳出両におきまして相当思い切った各種の見直しをしなければならないというふうに考えております。
  56. 中村正男

    ○中村(正男)委員 歳出の各項目でいろいろ質問したかったのですが、時間も経過しておりますから、とにかくこれはちょっと大き過ぎる、膨らませ過ぎの規模だ、もっとやはり絞り込んだことにしないことには税収では貯えないわけですから、当然建設国債の増発等々になってくると思いますので、この点で一応規模の問題はやめておきます。  次に、これは一転して若干細かいことになるのですが、当然のことながら、私は、実効のある予算執行ということが大変重要ではないか、厳しくなればなるほどそういう面に切り込んだ大蔵省の作業、態度というものがやはり問われてくると思うのです。  そこで、総務庁の監察報告、これは防衛庁、厚生省、中小企業関係、通産省ですね、読ませていただきまして、執行面でかなりまあいろいろ問題があるな、そういう認識を持っております。  きょう防衛庁にお越しをいただいておると思いますので、ちょっとお答えをいただきたいと思うのですが、それを読む中で、例えば一般の装備品の調達についても、一般の市販品も指名契約だとか随意契約等々がかなり高い比率で行われている。もっと自由競争、一般競争契約というものを拡大すべきじゃないかという指摘がなされております。それから、部品等の標準化についても極めておくれている。互換性あるいは共通性があるものでもなかなかそれが標準化されてない。普通の産業では当然のことが行われてないわけでして、そういった指摘がございます。これは端的な例ですけれども、双眼鏡の修理に四十日もかかるというふうな指摘もされておりまして、今防衛庁、いろいろな意味でにぎやかでございますが、そういう監察報告に対して防衛庁、ちょっとお答えをいただきたいと思うのですが。
  57. 鳥居原正敏

    ○鳥居原説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘のように、この八月に総務庁から諸々の勧告を受けております。例えば調達における経済性の確保であるとか、その業務の運営の効率化あるいは合理化でありますとか、あるいは補給業務の合理化、効率化、さらには整備業務の効率化、例えば外注整備の推進でありますとか、そういったもろもろの御指摘を受けておりますが、防衛庁といたしましても、そういったことにつきましては従来から公平性あるいは経済性、合理性あるいは効率性といったようなことで業務の改善を進めてきたわけでございますけれども、今回総務庁からもこういった勧告を受けておりますので、庁内におきまして諸処の部局でさらに一層の改善を図るべく努力をいたしているところでございます。
  58. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そういったお答えがあったのですが、これは防衛庁だけに限らず、例えば中小企業関係、通産省でありますが、今回大店舗法が改正されました。それに伴って中小零細事業者、商工、業者に対する振興策が予算つけられました。千六百億円ついているのですが、これもほとんど余り活用されてない。地方はわりかしましなのですが、大都市周辺は非常に低調である、こんな問題。さらには、厚生省関係では、高齢者福祉関係で、ホームヘルパーの対象となります要介護者の把握が十分されてない。そういう状況の中でゴールドプランだ、やれ予算づけだといったっておかしいのではないか。もっとそういう予算に裏づけされる現実的な実態をもっともっと厳しく追求をしていかなければならぬのではないかという指摘をしておきたいと思います。  それからいま一つ、似たようなことで、各特別会計が四十本余りあるのですね。それを見てみますと、すべての特別会計に全部予備費というのがついているんですね。これは普通常識的に特別会計、当然いろいろ支出がある、予備費がある。ずっとそのまま見過ごされてきているのですが、この合計金額が二兆三千八百七十九億七千五百万円ある。それはほとんど使われてない。問題ないではないかというけれども、結局歳入と歳出というのは同額ですから、予備費の分だけは当然これはふえるわけですね。そうすれば国民に掛金だとか負担は当然その分ふえるわけですから、もっとこれも、予算執行上にのったら最後ずっとそのまま続いているということにもメスを入れなければならぬのではないかという指摘をしたいと思います。  それからいま一つ、これは農林予算で借入限度額というのは一兆六千億あるわけですね。これは政府が過去大量にお米を買い入れしなければいかぬ、そのときに予定した金額よりもふえた場合借り入れが必要になるということでそういう予算があるわけなんです。お聞きしますと、昨年は一応それも一定の支出があったということなんですが、今どき一兆六千億円も別に借り入れをしてまで政府が大量にお米を買わなきゃならぬ、買うような状況なのかということを考えると、これもむだな見積もりではないかな、私はこういう指摘をしたいと思います。  今の点について、総括的にお考えがあればお聞きをしておきたいと思うのですが。
  59. 小村武

    小村政府委員 第一点の特別会計の予備費の件でございますが、予備費は一般会計同様特別会計においても財政法、憲法上認められている制度でございますが、その計上について、多額の計上をし過ぎているではないか、こういう御指摘だろうと思います。私ども、その計上方法については各特別会計の事情に応じ、例えば保険会計の場合には一定の保険給付費の割合をもって不測の事態に備えるといった考え方に基づいて計上しております。結果的に使用していないものもございます。こうしたものにつきましては漸次また実績等を勘案しながらその予算編成において工夫を凝らしていきたいと思っております。  それから、食糧証券の件でございますが、これは一定の米の買い入れの場合に収入と支出のタイムラグがございます。そのいわば資金繰り資金として発行するものでございますが、これも食管の運営上過去の実績等に照らして必要な額を計上するということでございます。漸次米の買い入れ数量に応じましてこれも減らしてはきておりますが、適正な規模の計上をし国会の御承認をお願いするという基本的な考え方は守っていきたいと思っております。  各経費の計上方法については、御指摘の点を踏まえ今後もまた私ども工夫を凝らしていきたいと考えております。
  60. 中村正男

    ○中村(正男)委員 最後に、もう時間がございませんので、国税庁、税関それぞれお見えいただいておると思いますが、それぞれの職場からぜひひとつ要請をしておいてほしいという問題が提起されておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  まず国税庁なんですが、要は人の問題です。九一年度は二百人増員をしていただいたんですが、定員削減がかなりあって実際純増というのは余りない。ことしは地価税の導入だとか消費税見直し、あるいは機構改革等々で慢性的な残業が続いている、ぜひひとつ思い切った増員をしてもらいたい、こういう要望が来ております。特に税に対する国民の意識、認識をやはりちゃんと持ってもらわなければいけないという意味合いで広報官制度というのがあるのですが、これは全国で百名足らずしかおられない。税務署の数は五百十八ある。もっとこういうのはふやしてやるべきではないか、この指摘だけしておきます。  それから同時に、詳細な資料をいただいたんですが、寮や宿舎、これが絶対数が非常に不足している。さらには木造の老朽化したものがある、規格が小さいという問題がございますので、これもぜひ善処方お願いいたします。  それから、職務上車がなくては仕事はできません。ところが、駐車場も極めて不足している。  これが国税に対する要請であります。  それから税関。税関は最近の傾向として、地方空港から海外へ出る、帰ってくる、そのチャーター便が非常にふえている。それらには、地方空港にはきちっとした税関は全然ないわけでして、臨時に設けられるとか、そういう新たな業務がふえております。また、関西新空港が平成六年夏に二十四時間体制でスタートするわけですし、成田の二期もきのうから対話が始まっております。そんなことで、これもやはり増員がぜひ必要だ。ところが、九一年、ことしの人員を見てみますと、確かに七十五名増員された、ところが定員削減で七十四名やめられた、結果的には一名しかふえていない。とりわけ中期的な、今言った関西新空港と成田二期を目指した別枠で五百九十七名どうしても必要なんだという職場からの指摘でございますので、これはぜひひとつ検討をお願いしたいと思います。  最後の最後で、全く関係ないことなんですが、一つだけ、これは予算に絡む問題としてお聞きをしておきますが、いわゆる地対財特法の関係で、来年度概算要求に各省庁まとめて約千五百億円ぐらい計上されておると思うのです。これは我々としては当然、少なくとも最低限、法の裏づけがなければ予算というものはつかないわけでありますから、そういう認識をしておるということだけ申し上げて、これについては答弁要りません。  時間が参りましたので、今国税と税関にお願いしたこと、よろしくお願い申し上げまして、終わりたいと思います。  最後に、来年度予算でいろいろ言われましたけれども、増税だけは絶対にだめだ、景気が下降ぎみの中で増税は絶対にだめだということだけ強く申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  61. 太田誠一

    太田委員長 大木正吾君。     〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
  62. 大木正吾

    ○大木委員 最初に、個別の問題を二、三伺わしていただきます。  証券問題でございますが、大蔵省証券局を中心といたしまして、結果的には大手関係を処分いたしまして不祥事件が終わった、こういうように受けとめておられるかどうか、この辺の問題について、まず松野さんから伺います。
  63. 松野允彦

    松野(允)政府委員 一連のこの証券問題につきましては、私ども証券会社に対する処分あるいは行政指導違反に対する対応というようなことを求めてそれを実行したわけでございますが、しかし証券市場、特に株式市場に対する一般投資家信頼を回復するという点につきましては、まだまだやるべきことがたくさんあるというふうに考えております。よくこの一連の問題の中で御指摘を受けました、例えばルールが不明確ではなかったかとか、あるいはペナルティーが厳正に適用されなかったのではないか、行政の姿勢についてもそういう御批判をいただいております。  現在、そういう問題を中心にいたしまして、さらに競争促進のためにどういうふうな方策が必要かというような証券市場全般にわたります問題、広く証券取引審議会を初めいろいろな行政部内でも検討を進めているわけでございまして、その中には自主規制機関の機能の強化というような問題もございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては証券市場、今回の問題に対するその再発の防止、あるいは証券市場信頼回復というためにいろいろなとるべき措置を今後着実に実行してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  64. 大木正吾

    ○大木委員 これは、きのう帰って夕刊の日経新聞を見たら、アメリカのSECが四大証券の現地子会社に対しましてこれから本格的な調査をする、こういう記事があってちょっとびっくりしたのですが、恐らく証券局長知っていると思うのですが、どういうようになりましょうか。日本の四大証券の方にも響いできますか。
  65. 松野允彦

    松野(允)政府委員 この一連の問題につきましてSECから、大分前になりますが、一連の書類、資料の提出を四大証券のアメリカの現地法人に求めてまいりまして、それに対しては四大証券の現地法人対応したわけでございます。新聞に報ぜられております。その四大証券の現地法人の代表者をSECが召喚するということでございますが、私ども現在まで報告を受けておりますところでは、四大証券すべてに対してそういう召喚状が来たというふうにはまだ聞いておりません。確かに四大証券の中でそういう召喚状が来たところもございます。それにつきまして、その内容を聞いたわけでございますが、もちろんまだすべてのそういうSECによる事情聴取が終わったわけではございませんが、現在までのところ、報告を受けておりますところでは、直接今回の日本国内におきます損失補てんの問題に絡んで事情聴取するということではなくて、アメリカの現地法人でございますからアメリカ法人でございますが、それがアメリカにおいて証券取引行為を行っているわけでございますけれども、その実情についてヒアリングをするというようなことを始めていると聞いております。
  66. 大木正吾

    ○大木委員 それぐらいで終わってくださればいいと私も思っているのですが、これが子会社の方から本店の方に、東京の方に連動してくる心配はないかどうか十分にひとつ御注意を願いたい、こう考えております。  それから、この前、十月十七日だと記憶いたしていますが、金子審議官においでいただきまして、実は証券の後始末につきまして報告をいただいたんですね。そのときに、私の方から補てん行為について、実際問題、非常に把握がしにくい問題が、今でもまだわからないのですが、できれば幾つかのリーディングケース、事例を挙げまして資料としてちょうだいできないか、こういうことをお願いしてあったのですが、きょう金子さんいらっしゃらないかもしれませんけれども、ぜひこういった問題については、我が党の大蔵部会としてやった問題でございますので、お約束事項については守っていただきたい、このことをお願いいたしておきます。  それから、大臣、御就任本当におめでとうございます。人柄からいたしまして私も尊敬いたしておりますが、大蔵大臣、これはあくまでも将来の総理コースでありますので、ぜひ御研さん願いたい、こう考えております。  これは大臣のごあいさつの中にございましたけれども、実は証券問題、これについて国会の決議の尊重ということも入ってくるわけでございますが、内容について、この問題について御承知なのか、あるいは具体的に、今局長もおっしゃったのですが、国会決議の中身について言えば、法人の重課問題等については新聞記事等で若干出ていますが、それ以外について幾つかの項目がございますが、こういったことで具体的な問題としまして実行に移されるお気持ちが本当にあるのかどうか、伺っておきたいと思います。
  67. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答えいたします。  大蔵省といたしまして、今御指摘のございましたように行革審答申及び国会における諸決議、これを最大限に尊重いたしまして、証券金融に関する不祥事の再発防止及び我が国証券金融市場に対する信頼何波を図るという意味におきまして、法制上、行政上の総合的な対策に今取り組んでおるところでございます。  具体的には、答申及び諸決議で御指摘いただきました証券業の免許基準具体化という問題それから明確化、先ほどお話がありました株式等の委託手数料自由化、それから自主規制団体の機能強化あるいは通達の見直し及び金融制度改革の推進等の問題につきまして、現在証券取引審議会金融制度調査会、ここにおきまして検討をいただいておるところでありまして、その他の事項につきましても私たちは鋭意検討を進めていきたいというふうに考えております。
  68. 大木正吾

    ○大木委員 いずれにいたしましても、通常国会等におきまして新しい法案等出てきましたら論議いたしたい、こう考えていますが、ひとつよろしくお願いいたしておきます。  それから松野さん、もう一つ伺いますが、例の亡くなった稲川会会長の石井さん、これにかかわりますいわゆる野村、日興等が系列ファイナンスの方から相当な金を貸していますね。この問題については、結果的には故人になっているわけですが、要するに融資の返済、そういった問題を含めて暴力団との関係につきまして追跡なり、あるいはなるべく介在がされない形でもって御指導をされているかどうか、その辺について伺っておきたいと思います。
  69. 松野允彦

    松野(允)政府委員 野村証券と日興証券の子会社、具体的には野村ファイナンスと日興クレジットの二社でございますが、これが亡くなられた石井稲川会前会長にそれぞれ百六十億、二百二億の融資を株式を担保にして行っているわけでございます。この件につきましては、私どもできるだけ早く回収に努力するようにということを従来から指導しているわけでございます。この融資が、現在利息は入ってまいっておりますが、その融資は依然として継続をされているわけでございます。ただ、この点につきましては、両社とも私どもの指導を受けまして鋭意交渉をしております。  現在まで報告を受けましたところでは、岩間開発という会社がございますが、それが今後新たにこの融資についての債務の保証といいますか、引き受けを行うということになったようでございますし、また岩間開発が持っております土地について、担保不足になっておりますのでその担保に入れるというような提案もなされております。利息は入ってまいっているようでございます。いずれにいたしましても、この債権を早期に、かつできるだけ元本全部を回収するということで鋭意交渉を進めているわけでございますが、今のような状況で担保価値あるいは保証がかなり強化されている。具体的には、私どもが報告を受けたところでは来年の三月末までそういう担保あるいは債務を強化することによって延ばしてもらいたいというような話で、それをめぐって話し合いが進められているところでございます。  なお、一般的に、証券取引と暴力団の関係でございます。これにつきましては、私ども証券業協会に対しまして暴力団関係者との取引についてはっきりした態度を示すようにということを要請してまいったわけでございますが、今般、証券業協会の理事会決議が行われまして、この暴力団関係者との取引についてその資金づくりを助長するような取引、信用取引なりあるいは大口の現物取引というようなものについては注文を受けないという決議をしたところでございます。  いずれにいたしましても、こういう問題は、行政の立場もさることながら、やはり業界が証券市場信頼を回復するためにいわば自衛策として真剣に考えるべき問題だろうということを私どもも協会に言って、今のような決議をし、その実行を期待したいというふうに思っているわけでございます。
  70. 大木正吾

    ○大木委員 ぜひ、暴力団問題等につきましてさらに、大臣の答弁がございましたが、国会の決議につきまして善処方をお願いいたしたい。同時に、私たちも来国会等で、この問題についていずれ法案等も出てきましょうから、さらに深く吟味していこう、こう考えています。  次に、証券局長じゃありません、理財の方かもしれませんが、NTTの株式発行について二、三伺っておきたいと思います。  これは直接の関係はないかもしれません。予算書の上を見ていきますと、昨年も産業特会に一兆三千億円のNTT売却費の一部が充当されているわけですが、最近話題になっていますことは、十年にわたりまして五十万株ずつ売却していくという話の中の一部といたしまして、本年度も五十万株売却する、こういう話がございます。結果的に、こういった問題についてごく最近の新聞紙上を拝見いたしますと、東証の理事長長岡さんあたりは、市場の現況なりを考えたときに慎重に扱ってもらいたいというか、反対というか、そういった意味の発言をされておりますし、同時に、私の手元にございますが、現在でも株主が個人で百六十万人以上いる状態でありますし、同時に、株価があの状態ですからね。大体百十九万で第一回売りまして、その当時私随分大蔵省の理財の方々にも話したことがございますが、百万を切ったらどうですかという話をしたのです。百十九万でいったのですが、第二回が二百五十五万で大蔵は予算書に計上しております。そういったことからしまして、現在の株価が七十五、六万から八十万前後に低迷している状態ですね。個人株主は一体これについてどういう感じを持つだろうか。もし新しく売りますと、恐らく引き受け側といたしましても、現行の株価をまさかべらぼうに上回った状態で引き受けることはしないだろうと思うのですね。そうした場合に、個人株主の方々の心証という問題もございますから、この辺の売却をしなければいけないという立場にありながら、周辺の環境なりタイミングといいますか、そういったものが非常に難しい。これについては私も若干心配しておりますので、もし大蔵省考え方がございましたら伺っておきたい、こう思います。
  71. 羽田孜

    羽田国務大臣 今も御指摘がございましたように、要するに平成三年度におきまして予算においての処分限度数として授権を得た五十万株、これは極力売却を図りたいということでありますけれども、今御指摘がございましたようなもろもろの市況といいますか、現状があるというのは事実でございましょう。そういったことで私どもといたしましては、いずれにしましてもこれは平成三年度ということでございます。そういったことで現下の証券市場、これを取り巻きます状況、こういったものを十分見詰めながら時期等についても判断していかなければならないというふうに考えております。大蔵省としましては、今後さらに証券市場を取り巻く諸情勢、これを十分見きわめていくということを申し上げておきたいと思います。
  72. 大木正吾

    ○大木委員 これは郵政省の電通審議会ですか、そこでもって、従来国内市場の消化だけでございまして国際的にこれを売ることはしなかったわけでありますが、たしか審議会において二〇%までは外国に対して買わしてもいい、こういった答申が出ているはずなのですが、いずれ通常国会に法律改正が出てくるだろうと思うのですが、そういったこと等も勘案しながら、私一番怖いのは、きょう手持ちがありますが、九月現在でもって百六十五万人弱おりますね、こういった方々に対しての、株に対する不信感、業界は一生懸命努力しておりますが、同時にNTTなり大蔵省に対するいわば不信感というものが増幅する、こういったことが大変心配でございますから、大臣の御答弁はわかりますが、来年の三月三十一日まで何らかの方法でもって個人株主等を中心とします株主の方々のお気持ちを十分にそんたくしながら問題をぜひ扱ってもらいたい、こう考えております。
  73. 寺村信行

    ○寺村政府委員 先ほど大臣が御答弁を申し上げましたように、現在大蔵省としては証券市場を取り巻く情勢の推移を注視しているという状況でございます。  昨年の十二月に政府は、政府の売却方針が不明確なために市場に不透明感が生じて、かえって問題があるというような御指摘もございまして、計画的な売却方針を決めたところでございますが、現在におきます証券市場の情勢を見ますと、いまだ売却時期を具体的に決断する状況ではないという状況でございます。  また、昨年十二月の政府の決定の際に、同時に郵政省におきまして、外人保有規制についての緩和を検討するということで、現在電通審でその審議が終わりまして、郵政省におきましては、来るべき通常国会にそのような法案を準備しているというふうに聞いていることは、御指摘のとおりでございます。  その辺の状況も勘案し、なお市場の情勢を見ながら、具体的な売却の時期について判断をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  74. 大木正吾

    ○大木委員 慎重な対処をお願いいたしておきます。  次の問題に入りますが、ノンバンク問題なんです。これは特に、銀行不祥事の問題に絡んで、依然として残っております問題としてノンバンク問題があるわけですが、現在の融資残高、同時にその中に占める不動産、建設業等を中心としましたシェアの状態、そういったことについて大蔵省側の説明を例えたらと思います。
  75. 土田正顕

    ○土田政府委員 ノンバンクは非常に多数ございますが、その中で上位三百社の貸付金の実態調査をいたしましたものがございますので、それにつきまして申し上げます。  ことしの三月末時点でございますが、融資残高そのものは、この三百社合計ということになりますと、六十五兆一千億強でございました。その中で、主な貸出先の業種ということを見ますと、これは実は、ノンバンクにも消費者向け、事業者向け、その他いろいろな業種がございますが、全体として見ますと、不動産業向けがただいまの六十五兆一千億のうちの二十四兆二千億強でございまして、三七・二%に相なっております。それからなお、建設業向けも、これは三兆一千億程度でございますが、構成比としては四・八%を占めておるというようなところでございます。     〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 大木正吾

    ○大木委員 証券業界、同時に銀行関係も、大手関係についてはぼちぼち整理が始まって、金融不安といいますか、そういったものは解消に向かいつつあるわけですが、ただ、依然として会社倒産件数が多いですね。その中に占める不動産業あるいは建設業等が割合に多うございます。そういう関係に絡みまして、ノンバンクが貸し出している分が不良債権化する、そういった心配を私たちいたしておりまして、とにかく金額が相当多うございますから、そういう点で現在ノンバン久に対する大蔵省の指導に限界があることは知っていますが、こういった問題等を心配しますと、またまた証券・銀行不祥事の延長線上で、倒産関係の中に占める不動産、建設業、そういったものが多く、万が一これが貸し出している銀行等にも響きましたり、逆に、関係する企業、工場等に響きますと問題になりますので、どのような監督を現在されているか、この辺を伺いたいのです。
  77. 土田正顕

    ○土田政府委員 御指摘のような問題は、近ごろ報道それから討論にも非常に多く見られるところでございます。  不動産市況の状況などによりましては、このノンバンクの経営面に影響が出てくるということも予想されるわけでございます。ただ、それが具体的にどの程度のものであるかということになりますと、これはやはりノンバンク、多種多様でございまして、個別のノンバンクの融資内容によりさまざまでございます。  それからまた、当然ノンバンク側もそれぞれの経営判断に基づいて、別途さまざまな債権保全措置を講じているところもございます。そこで、一概には申し上げられないというのが率直な感想でございます。ただ、全体といたしましては、いろいろ御指摘にございますように、ノンバンクの融資業務は非常に量的にも大きくなりましたし、それから質的にもいろいろ発展しているわけでございますので、その動向は我が国の金融システムの中でますます重要な地位を占めるようになっておるということでございますので、私どもといたしましても、これもただいま委員から指摘がございました、制度的には指導に若干限界はございますけれども、そこはノンバンク側の自主的な協力を前提としながら、当面できる限りノンバンクの実情把握に努力してまいりたい。ただいまのところは、そのような実情把握に努めているという段階でございます。
  78. 大木正吾

    ○大木委員 実情把握はぜひしていただかなければなりませんが、銀行法四十二条絡みの問題といたしまして、大蔵省はもう少し行政上の監督権限をしっかり確立をする必要を感じていただかなければ困ると思うのですが、その辺どうですか。
  79. 土田正顕

    ○土田政府委員 御説明申し上げます。  いわゆるノンバンクというのは、私どもの所管しております法律上は、貸金業規制法上の貸し金業者としての位置づけでございます。これにつきましては、この委員会でもこれまでいろいろ御議論のあったところでございますが、ことしの通常国会の終わりごろの法改正によりまして、それまでは資金需要者等の利益の保護の目的に限られておりました貸金業規制法の目的規定その他を改正いたしまして、新たにノンバンクから事業報告書その他の報告を求めることができるようになったわけでございます。  ただ、もちろんこれも御高承のように、この活動は土地関連融資の実態把握及びその適正化のため必要最小限でなければならないということになっておりまして、なかなか一般の貸出金についてまで報告を求める法的権限は認められていないというような状況ではないかと考えております。  しかしながら、このような法改正が施行されましたのはことしの九月でございまして、まだそのときから二カ月も完全にはたっていないような状況でございますし、このような法的権限には制約がございますが、当面ノンバンク側の自主的な協力を前提といたしまして、一般的な貸付先の状況についてもできる限り実情把握に努力していきたいということでございまして、これまでのところ、例えばノンバンクの預金担保融資の実態調査、その他いわば任意調査も実施いたしましたが、当面これに対しては協力が得られておるというふうに私どもは考えております。  今後の指導の骨組みはこれでよろしいかというお話でございますが、これも従来本委員会でも御議論がございましたようなところでありますけれども、実はこの貸金業規制法は、制定当初から与野党関係の議員の方々によって熱心に御議論をされ、議員立法として制定され改正されてきたという経緯もございますので、私ども、今後なお立法府の御意見などを拝聴しながら、いろいろ考えてまいりたいと思っております。
  80. 大木正吾

    ○大木委員 バブルの終えんといいますか、そういった形はノンバンク問題、これの先行きをはっきり見通して、大体心配ない、こういう状態になりませんとどうも安心ができないという気がいたしますので、銀行局長は非常に慎重に言葉を選ばれて御答弁ちょうだいいたしましたが、幸い大蔵委員会の中には金融問題の小委員会がございますので、その中で掘り下げた議論をぜひ続けていただきたい。私たちが心配せずに、いわばバブルの終えんということがしっか旦言える状態まで、確かに本年の九月に改正したばかりでございますから、余りそう急ぐことはできませんが、そういった今の実情把握、そして行政的な若干の内面的指導等を含めながら、将来はこういった問題について、いわば大変な倒産あるいは金融不安、そういったことが起きないようにぜひ御努力をお願いいたしておきます。  次の問題に入ります。  国際的な関係で、貿易収支等について若干伺っておきたいのでございますが、何か新聞記事を一部拝見いたしますと、OECDですね、これが最近、三日ほど前ですか、新聞に出ておりまして、日本の来年度、平成四年、一九九二年の貿易黒字が一千九十億ドル、そして経済成長がその際には大体二・五%、こういったちょっとショッキング的な記事を拝見したのです。それは大蔵省の方々も見ておられると思いますが、こういった問題についてどういう御感想をお持ちでしょうか。
  81. 江沢雄一

    ○江沢政府委員 お答えいたします。  我が国の国際収支の見通しにつきましては、これはいろいろな要素がございまして、今、現時点でなかなか見通しが立てにくいわけでございますけれども、一九八六年度にGNP比で四・四%という大変高い水準に達しましたが、その後着実に減少してきておりまして、昨年度、一九九〇年度にはGNP比で一・一%にまで低下をしたわけでございます。確かに今年度に入りましてからこれが反転をいたしまして増加をしてきておることは事実でございますけれでも、これは円高によります円建て輸出額のドル換算額が増大をするとか、あるいは投資用金あるいは奢侈品の輸入が昨年非常に多かったものが、ことしになりまして急減しておるとか、そういう名目上の黒字額の増大という面が非常に大きいわけでございまして、輸出数量の伸びはわずかでございます。  そういうことで、私どもは今後為替レートや内外景気動向をよく注視し、国際収支の推移を見ていかなければなりませんけれども、これまでの我が国の製品輸入の拡大状況あるいは海外での現地生産の進展等の構造的な変化も進んできておるわけでございまして、今後かつてのような大幅な黒字の拡大が生じ、国際的に問題が大きくなるという可能性はそれほどないのではないかというふうに思っております。
  82. 大木正吾

    ○大木委員 今年度の分について見通しが三百八十億ドルから八百億ドルぐらいにいくだろうという話はあっちこっちから出ているのですが、政府も政府調達物品について、外国製のものを使うということについて二倍ぐらい購入したいということで開放努力をしている。通産省も十七業種団体に対しまして、いわば行動計画、アクションプログラムを要請していますね。こういったことをやっているということは、今御答弁があったような、数量的にそう変化はないといった程度に、あるいは貿易の、結局取引の中身をドルベースでもってやっている問題とか、そういったようにいわば余り心配ないという形でとらえてよろしいですか、これは。もしそうだったら、何でこんなに政府が調達物品をたくさんにしようとか、通産省がおっ取り刀でもってこういったことを業界に対して指導をされるんですかね。ちょっと話が合わない。
  83. 江沢雄一

    ○江沢政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、最近の国際収支の動向を見ますと、数量的に伸びている部分はわずかでございまして、価格による要素が非常に大きいということは事実でございます。ただその結果、金額として黒字が拡大していることは事実でございまして、これが海外からいろいろ問題にされることはないとは言えない。  私どもといたしましては、これまで内需拡大あるいは国内市場の開放ということで輸入の拡大に努め、海外との関係を円滑にしていくように努力をしてきたわけでございまして、現時点におきましてそういう輸入面の努力をするということはこれは必要なことであろうと思います。  ただ、私が先ほど申し上げましたのは、いろいろ特殊要因があってこの黒字が拡大している面がございまして、この黒字の今の拡大基調というものが今後ともさらに強まっていくということは余り予想できないのではないかということを申し上げたわけでございます。
  84. 大木正吾

    ○大木委員 見方としまして日銀さんなんかを中心として一時的な要因だという話があったりしますが、中身をちょっと拝見いたしていきますと、金貯蓄商品の購入が減ったとか高級車、絵画、奢侈品が減ったとか、旅行者が減ったとか、円高に伴ってドル換算の輸出がふえたとか、どれを見ましても日本国内国民なり市民の立場から考えた場合、こんな立派な車が国内生産でもってどんどん出ている世の中で、わざわざアメリカなどの高級車を狭い日本でもって走らせるばかはいないと思うのですよ。ですから、そういったことを考えましても一時的なものという説明の中身が全然なっていないんですね。これは日銀の資料でもって示したメモですけれども、そういったとらえ方でいいのかどうか。  これは大臣にちょっと伺っておきたいのですけれども、ブッシュさんが一月に来られますね。恐らく米の問題、羽田大臣大変な御苦労をされた経験もありましょうけれども、この年内にある方向が出るかもしれませんが、ただ相当な無理をアメリカ自身が言ってくる。自動車関係の部品の問題から始まりまして電気機器関係、それから素材関係まで含めるかもしれませんか、そういう点からしますと、私、今の担当局長答弁では少しやっぱり政府の側として構え方がいわば不足というか、余り安心というか、もうちょっと厳しく問題を受けとめておいた方がいい、こう思うのですが、大臣いかがですか、これは。
  85. 羽田孜

    羽田国務大臣 基本的にはもう今局長がお答えしたとおりだと思うのです。確かに今また黒字が少しふえつつあるという状況にありますけれども、これはどうしてもやっぱり円高になってくるということがありますし、また逆に輸入の方では石油の値段がやっぱり低目であり、また為替のあれが上がればまたこれが安くなるということでありますから、そういった点ではあれですけれども、しかし、製品輸入はやはり着実にふえてくるのかなということと、もう一つは、このところずっと強力に世界各地に投資してきておる。そして私どもがそういった現地をこうやって見ておりますと、その人たちが日本に対して逆輸出といいますか、アメリカからあるいはヨーロッパからアジアから、そういったことなんかをまじめに、相当真剣に考えておるということ、それから日本の市場をよく彼らは知っておるものですから、そういう意味でこれから相当成果は上がると思いますというような話もされておりまして、これはそういう意味で、日本の黒字というものがふえていく基調というのはこれからだんだん変わってくるのかなという感じを実は実感として私たちも持っておるところであります。  また、この間ベーカーさんなんかが来られたりヒルズさんなんかが来られましたときにも申し上げたわけでありますけれども、こういった面について、日本側としても黒字を変なふうにふやすということは国際的にやはり許されないのだということはもう国民が本当にひとしくみんな身にしみて実は感じておることで、我々はありとあらゆる努力をしながらこれを消すためにあるいは少なくするために努力しているのですよ、ただ、あなた方の方でも財政をきちんとすると同時に競争力をつける努力、これはSIIの協議のときに、日本側だけが言われただけじゃなくて日本側から指摘している面がありますが、こういった面を着実にやってもらうことが重要なのですよということをよく申し上げてまいったわけであります。  いずれにしても、ブッシュさんなんかが来られたときにもそういう話を率直にしながら、お互いにやり得ることをやっていくという努力をしていかないと、ただ政治問題化していってしまいますと、今言われる嫌米感だとかあるいは嫌同感なんて、もうこのごろは反米とか反日なんというよりは嫌米とか嫌日なんという嫌な言葉が生まれてきているわけで、そうなったら本当に悲劇だと私は思いますので、今御指摘がございましたように、私どももそんなことにならぬようによく注意深く見守りながら適時適切な対策というものをとっていかなければならないであろうということを認識しております。
  86. 大木正吾

    ○大木委員 ある新聞でしたかに出ていましたけれども、アメリカの国会議員、上下両院議員の九十何%が日本はけしからぬ、こういった話が出ておりまして、ちょっとショッキングな感じなのですが、私もアメリカに対して言いたいと思いますことは、さっき村上君も質問しておりましたけれどもプラザ合意問題以来の問題なのですけれども、アメリカの財政赤字あるいは個人の方々の借金、貯金をしたくないという気持ちとか、会社も同じなのですけれども、アメリカ側の努力——ただ最近はEC関係からも大分問題が出てきていますからね。そういった点も含めて、確かに局長答弁で中身の問題としては私はいいかと思うのですが、もう少し貿易の黒字といったものに対しての注意深さといいますか、そういったことと同時に、外交政策等を含めて日本が誤解をされないような形でもっていかなければいけないと思うのですね。  私も実は頭に来ている問題が一つあるのですけれども、例えば公共事業発注ですね。あるいは上野駅の近くの工事とかNTTの初台の本社ビルとか東京都内にも幾つかございまして、結局アメリカの大きな業者が来られました。そして本当に相当な技術者を連れてきて、何百人来られでやるかと思って調べてみましたら、大手ゼネコンに聞きますと、大体二十人程度の方々が来られまして、ピンはねをして、あと日本の鹿島とか大成とかそういうところにやらすのだ、こういう話を聞きまして、それでもって市場開放とかなんとか、人をばかにした話じゃないかと思ってちょっと頭に来たことがあるのですが、ぜひ大臣おっしゃったように、日本のまじめな自由貿易体制という問題につきましてしっかりあれして、同時にキャンペーンということも非常に大事だと思うのですね。部品から入ってもう素材から何でもかんでもめちゃくちゃにアメリカから手を突っ込まれまして、私たちもやり切れぬ気持ちもいたしますし、業界の方々も大変なのですね。ですから、そういったことも含めて貿易収支黒字という象徴的な数字になりますが、中身を含めてぜひこれはキャンペーン等も含めた御努力をお願いしておきたい。  私たち自身が、さっき中村委員も質問いたしましたとおり、言えば国内経済状態の中で建設国債の発行とかあるいは財政出動とかそういったことを迫られることがありましても、それは国内問題です。同時に、経済関係を克服するためにも若干関係しますが、そういった立場でもって自主的にやることはいいのですが、何か外圧によりましてがたがたするなどということは一番みっともないし、政権の中枢である大臣にそういった問題についてしっかり考えて努力してもらいたい、こう考えております。大臣、所見があったら伺います。
  87. 羽田孜

    羽田国務大臣 もう御指摘のとおりでありまして、よそから言われてどうこうするということよりはみずからが、まさに国民生活をまた上げていくことにもなるという視点からもやはり私たち自身が積極的に考え、そして指摘されるまでもなく行動すべきものは行動していくということが重要であろう、そんな認識でこれからも対応していきたいと考えます。
  88. 大木正吾

    ○大木委員 これは企画庁にお伺いいたしたいのでございますが、本年の経済計画、実質成長三・八%、こういうふうになっているわけでございますが、現状としてこの三・八%が完全に達成できるというふうにお考えかどうか、若干質問が前後いたして申しわけありませんが、企画庁の方から主として伺いたい、こう考えます。
  89. 谷弘一

    ○谷(弘一)政府委員 お答えいたします。  我が国の経済現状につきましては、住宅建設の減少というような傾向がはっきりしておりまして、そういう意味で景気拡大テンポは緩やかに減少しつつある。この減少しつつあるという状況はこれからどうなるかということでございますが、経済企画庁といたしましては、我が国の経済が今後ともインフレなき持続可能な成長経路に移行していく過程にある、こういうふうな認識をしております。  もう少し具体的に申しますと、個人消費につきましては、現在でも労働需給は非常に逼迫しておりますし、また労働時間の短縮というようなことがございますので雇用者の数はふえていくということでございますので、雇用者所得も順調に伸びていくということでございます。また物価の安定基調ということもございますので、消費につきましてはこれが堅調に推移していく。また設備投資につきましては、人手不足という基調の中で合理化、省力化投資、あるいは将来に向かっての研究開発投資、こういった設備投資の要因、こういうものが非常に底がたいものが見込まれるということでございます。また、公共投資につきましても着実な増加が見込まれておりますということ、そしてまた十四日に公定歩合の引き下げがございまして、これが景気の底をまた支持していくというようなことかと思っております。  そういうことで、我が国経済は引き続き内需を中心といたしました成長を持続していくというふうに考えておりまして、政府の経済見通してございます三年度の実質経済成長率三・八%程度ということでございますが、以上のようなことからいたしまして、この線に沿って我が国経済が推移していく、こういうふうに見ております。  しかしながら一方で、先生指摘のように、景気の減速、あるいは企業家やあるいは消費者心理というものに及ぼす影響というものも十分注意しなければならないと考えておりまして、この点につきまして今後ともきめ細かな機動的な経済運営に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  90. 大木正吾

    ○大木委員 民間の会社の幹部と話しますと企画庁は余り評判よくないですよ、率直に申し上げまして。数字的には大変に立派なことを言っておられるけれども、具体的に申し上げれば、最近の日銀の第二次の公定歩合引き下げによりましても、企業のマインドとしましては余り設備投資をふやす傾向はありませんし、住宅投資は、つい最近の新聞記事ですと百二十九万にまで落ち込んだのですね。同時に個人個人が、年末のボーナスの時期はこれはおつき合いですから、日本的なおつき合いでお歳暮等を贈ったりもらったりしますけれども、しかしどうでしょう、今、日本列島を覆っている若干冷ややかな景気の中で個人消費が、宣伝によって一時的にショック的な買い方をする方もいるかもしれませんけれども、総体的にマイナス傾向というかあるいは横並びというか、そういった状態だというふうに私は見ておりまして、民間の、例えば日本経済研究センターだとか日興リサーチ、大和リサーチ、こういったところですと、いずれも三・二から三・五という数字を出していますね。この辺になったり、あるいは今度補正予算、先ほど大臣も御答弁いただいたのですけれども、とにかく建設国債を出すという事態でしょう。そういう点等含めて総合的に考えたときに、それじゃ実質成長三・八%、達成ができるということを、デスクの上ではそういった計算で見ているかもしれませんし、また一遍言い出したのだから簡単には言い方を変えるわけにはいかないというのだとこれはまたわかりますけれども、私たちは、こういった実質三・八%成長は無理だ、よくて三・五%、こういうふうに見ておりまして、その辺経企庁は考え方は全く頑として変えないのですか。
  91. 谷弘一

    ○谷(弘一)政府委員 重ねて御説明させていただきます。  今、全体の見通し三・八%程度ということで推移していくという根拠を少し申し上げましたが、もう少し詳しく申し上げさせていただきますと、設備投資そのものも一応一けた台くらいの伸びになっていくだろう、これまで二けたの伸びで来たわけでございますが、一けたの伸び。その根拠といたしましては、人手不足というのは各経営者、六十年代に入って十分御承知の点だと思います。そういうことから、今後とも人手不足対応いたしました合理化、省力化投資というものを怠るということはないだろう、また、これまでの発展の中から、技術革新のために研究開発をしていくという手を休めることはできないということで、投資意欲というものは底がたいものがあるというふうに見ております。  そしてまた、今回公定歩合の引き下げがございまして、そうした貸出金利の低下による下支えというようなものが働くのではないか。  そしてまた、御指摘の個人消費についてでございますが、これにつきましては、人手不足ということで、これは一方で労働時間を短縮していくという動きが着実に進んでおります。そういうことでございますので、雇用者数が落ちるというようなことはなくて、逆に雇用者数もこれからも着実に増加していくであろうというふうなことを考えますと、消費につきましても、雇用者所得等がなり順調な伸びが期待できるということで、これまでの実績にございますような消費テンポというのはこれからも続くだろう、こういうふうに見ております。
  92. 大木正吾

    ○大木委員 会社が実際に経費の節減をしている問題の中身と今の御答弁、大変ギャップがあるのですよ。例えば、交際費はもちろんですけれども、時間外労働が減ってきているとか、確かに雇用は非常に人手不足なことは間違いありませんけれども、そういったものを中心としながら相当な節約ムードに会社経営の中では入っております。  例えばの話が、電話料なんかでも、言えば同じ用事を話して鹿児島と東京で連絡し合うときに時間でもって切ってしまうとか、そういった話が出たりしていまして、エレベーターなんかでも、開く方のボタンは押させるけれども閉じるボタンは押させないとか、同時に、週刊誌でも、お客さんの持ってきた週刊誌も全部自分のところに置いておった新聞と含めて、始末するときには雑収入に入れるとか、涙ぐましい努力を会社等ではしているわけです。同時に、個人の方々の気持ちを私ずっと電車の中や車の中でもって伺いましても、もうぜいたくをする時期は過ぎたな、こういう感じがあるのでして、やはり企画庁の見方と私たちが実感している問題とは、率直に申し上げてどうも違います。建設国債の発行、補正予算等によりまして助けてもらって三・八%にするというのだったらまたそれは話は別ですけれども。もちろん、大蔵省と企画庁ですから非常に密接な関係にあることは認めるにやぶさかではありませんが。  いずれにしても、景気調整局面という形でもって人の気持ちを不景気、不景気に追いやることはまずいという立場で、じわじわとソフトランディングしていくんだ、こういう気持ちはわからぬでもありませんが、ただ、数字ですからやはり非常にはっきり出てくるわけでして、そういったことから、民間の方の調査等は、リサーチは信用できないで、あくまでも企画庁の言うことは正しいという言い方は、若干論争になりますけれども、私の考え方としましては三・五%成長ぐらいが実質成長としてはいいところではないか、こういう見方をしていますので、見解の違いとしてこの際あえて申し上げさせていただきたいし、同時に、そういったことが必ず与党の政策判断の中にも出てこざるを得ない問題ではないか、こう考えています。あえて申し上げさせていただきます。  それから最後ですけれども、時間がありません、大臣に先ほどの中村委員の申し上げた問題に絡みまして申し上げておきたいのですが、御答弁いただきたいと思います。  実は、予算の固定化といいますかあるいは硬直化とか縄張り根性、そういったものはなくすことはなかなかできないですね、役人さんはすごいですから。そして私たちの感じますことは、むしろ、非常に財政的に税収が減りつつある、なかなか見込みどおり入ってこない、補正でも二兆八千億円、来年度五兆か七兆という歳入欠陥というか税収見込みが減ってくる、そういった厳しい財政状態の中でこそ、今までの官庁縄張りなり固定的な経費といった問題につきまして、俗に言う縦割り行政といったものをなくしていくチャンスと私は相対的にはとらえて見ているわけです。  そういった中でもって、先ほども中村委員の方から国際化とかあるいは高齢化とか幾つか申し上げたのですが、目玉問題として私は高齢化問題等について見ていきます士、ぜひこれは宮澤内閣の一つの政策の中心に置いていただきたいのですけれども、ある程度建設公債を出しましても、結果的にはそれが自分の老後の、例えばいろいろな病院関係の設備、福祉の設備といったもので結局設備が拡大していくことになりますれば、若干の建設国債で問題を処理いたしましてもそれはそれなりに相当に国民の理解が得られる、こういう感じがいたします。問題は、竹下さんのときにやった例の各自治体に対して一億円給付をするというのですね、ああいうことはもちろんできる状態ではありませんし、やめると同時に、やはり一つの問題に絞りまして、高齢化問題非常に悩んでいますから、こういったことに絞った中でもう少し各役所の縄張りなり縦割り行政というものを一本化していくことができないかどうか。例えば病院を建てるときに、これは厚生省の所管だということになるのか、あるいは土地の関係で建設省絡みになるのか、いろいろなことがありましょうけれども、そういったことを含めて財政が厳しいときにこそ従来の縦割り行政、各省庁がなかなか予算執行で——さっきもだれか申し上げておりましたけれども予算を余したら損だ、こういった考え方を直しまして、そしてなるべくむだな財政配分等を避けていく、そういった形で問題をとらえることはできないかどうか。これは大臣にぜひ所見を伺いたいと思っています。
  93. 羽田孜

    羽田国務大臣 基本的な考え方として、今先生指摘があったことについて私ども実は理解をするわけでありますけれども、いずれにいたしましても公債の発行というのは、もうともかく公債費だけで二割を超えてしまうというような、財政を硬直化させているという大きな原因でもあるということでありまして、目的はまさにおっしゃるとおりであり、しかもこれは建設国債でやることによってそれはちゃんと高齢者のためにも残っていくんだからという御指摘もあるわけでありますけれども、その辺のところは私たちは基本的にはそういう考え方は、やはり歳出の、今先生お話の途中にもありましたように、どちらをめり張りをつけるかというところが、基本的に私たちがしっかりと考えながら財政運営をしていくことであろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今お話ありましたことなどを含めまして、高齢化社会対策につきましても、要するにやはり公債を累増させるようなことだけはないこと、これをやはり念頭に置きながらやらせていただきたいなということを申し上げさせていただきたいと思っております。
  94. 大木正吾

    ○大木委員 もう答弁要りません。私の方から一方的に申し上げておきますけれども、今の大臣の御答弁との関連ですが、さっき村上君も言ったんですが、本来ならば消費税の税率を上げるなんという話がありましたけれども、小沢さんもそういったことを書いてますね。これは国際貢献関係でもって書いているのですけれども、私はやはりそういったことを論じる前に、合理化といいますか、行政関係の問題として問題をとらえておくべきことが非常に多いと思うのですね。一部の新聞にもありますとおり、例えば一億円の問題でもって各自治体が仕事を始めた、そうしたら建設省と自治省はこの領分を取り合いをしたという記事もありました。ただ私自身が申し上げたいのは、要するに建設国債あるいは財投資金、そういったものを使いまして国の負担が、結果的にはそういったものによって国民負担が残っていく。しかし残る場合でも、自分が年をとった際にこういうところでお世話になるんだという考え方のもとに建設国債——特例公債は絶対出してはいけませんけれども、そういうふうな配慮がどうしてもこの際必要だし、同時にあわせて、縦割りの行政というものを排除するために高齢化社会対策を考える。この二つの問題意識を持って、ぜひ大臣に、こういった財政の厳しい段階でなければ、バブル財政時代になかなかできませんからね、金はあるんですから、そういうときには。今こそやはりやるべきものだ。全部はできません。どこか一カ所でもいいから、そういったことを目指して予算編成の際には御努力願いたい、こういうことを申し上げさせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  95. 太田誠一

    太田委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  96. 太田誠一

    太田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日笠勝之君。
  97. 日笠勝之

    ○日笠委員 まず、羽田大蔵大臣と村井新政務次官に心から祝意を表する次第でございます。  本来ならば、羽田大蔵大臣の顔を見ますと、米問題とか政治改革でしっかり議論をしたいなと思うのですが、きょうは金融財政を所管する大蔵委員会でございますから、この問題に限りまして、四十分ほど時間がございますので、何点か御質問をさせていただきたいと思っております。  さて、大蔵大臣は、証券金融スキャンダルということでことしは大変に揺れに揺れましたけれども、そういうときには政治改革の方で一生懸命に頑張っておられたようでございますが、外から見ておられまして、この金融証券スキャンダル、不祥事、どういう御感想をお持ちでございましたか。感想で結構です。
  98. 羽田孜

    羽田国務大臣 まず祝意を、お礼を申し上げたいと思います。  感想といたしましては、自由主義経済、特に市場経済にあってこれを動かしていく一番の基本というのは、やはり金融あるいは証券市場にあろうと思っております。ここが、ああいうことが起こってしまったということによって、これに対する不信というのは国民の中に非常に大きく起こってきたのじゃなかろうか、また外国からもこういったことに対する批判も出てくるだろう、こういったときに国内的にもあるいは国際的にも非常にまずいことであろう、私どもこれを監督しなければならない立場としまして、私がそのときはどうということじゃありません、感想ということからいけば、これはやはり一日も早く信頼を取り戻すことが重要であろうというふうに認識しております。
  99. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひその御決意で今後の再発防止に御健闘をお願い申し上げたいと思います。  さて、九月二十四日に証券及び金融問題に関する特別委員会で、当時の橋本大蔵大臣よりいわゆる大手四社の特別検査の中間報告、これが公表になったわけでございます。これはあくまでも中間報告ということでございました。なぜかならば、例えば東急電鉄株のいわゆる株価操作の問題であるとか、また利回り保証の問題であるとか、これは引き続き調査をいたします、このように明確に特別委員会で申されておるわけでございます。あれから既にもう二カ月近くが来ようとしておるわけでございますが、この特別検査は中間報告で終わっておるわけでございますが、最終報告、終結宣言といいましょうか、これはいつごろの御予定なのか、このことをまずお伺いしたいと思います。
  100. 松野允彦

    松野(允)政府委員 大手証券四社に対しましてまだ特別検査を継続しているわけでございます。その大きな検査の中身といたしましては、やはりいろいろ御議論がありました損失保証あるいは利回り保証というようなものは本当にないのかどうか、それから二年三月期以前において自主報告で損失補てんが報告されているわけでございますけれども、これに果たして漏れがないのか、つまりこれ以外にないのかどうかというような問題、それから今御指摘のありました東急電鉄につきまして引き続き株価操作あるいは暴力団との関係がないのかとかいうような問題、あるいはあと国会でいろいろ御指摘いただいております点、いろいろございます。例えばワラントの取引についてどうだとか、そういった点について継続して調査を行っているわけでございますが、何分特に二年三月期以前の補てんということになりますと、非常に膨大な期間、膨大な資料の調査ということになっておりまして、現在のところこの特別検査になおしばらく時間が要るというふうに検査官から報告を受けているわけでございます。  いつまでという御質問でございますが、そういう事情でございまして、私どもいつまでということを今の時点で時間を切るということはできないような状況にございます。しかし、いずれにいたしましても特別検査が終了いたしましたら、その結果については何らかの形で明らかにしたいというふうに考えております。
  101. 日笠勝之

    ○日笠委員 応援をいただいて銀行局の方からも特別検査を行っているということでございますし、銀行局の方もそんなに応援の人を出しっ放しで、後からやりますけれどもあと金融機関の方の検査が進まないようではなりません。大体局長、もろもろあるでしょうけれども、ほぼ終結に近づいてきた、ことしいっぱいには何とかなりそうだ、大体そういうところですか。
  102. 松野允彦

    松野(允)政府委員 特別検査、まだ先ほど申し上げたような調査項目があるわけでございますが、御指摘のように金融検査の方も検査をしなければいけないわけでございまして、金融検査官の応援をいただいておりましたものにつきましては、もう金融検査の方に従事していただくということで、証券検査からは手を引いていただいております。  それから、私ども実はもう一つ問題がありますのは、御存じのように証券会社の収支状況が急速に悪化をしているわけでございます。そういった環境のもとで大手証券四社以外の証券会社の実情というものも実際に実地に検査をして把握する必要というものも迫られてまいっております。したがいまして、特別検査、今申し上げたようなことで続けるわけでございますが、私どもとしては態勢をかなり縮小いたしまして、準大手以下の証券会社の特に収支状況が悪化している状況の中で、経営体制に直接合響くということはないと思いますが、その中で経営者としてどういう対応をしようとしているのかというような点も含めて現地調査を近々始めたいというふうに思っているわけでございます。  特別検査につきましては、今御指摘のような最終段階に来ているのかというお話でございます。私どもも一日も早く終わらせたいと思っておりまして、今申し上げたように態勢をある程度縮小して一般検査の方に手を振り向けなければいけないというような事態が、そういう状況に来ておりまして、そういうことから申し上げますと、特別検査はまだ調査項目はございますが、人手を絞って重点的に行っていく、しかも、そんなにだらだらとやっているわけにもまいりません。これはできるだけ早く最終的な結果を取りまとめたいというふうに思っております。
  103. 日笠勝之

    ○日笠委員 証券の特別検査に関連するかもしれませんが、九月二十六日の証券特委員会でも私質問いたしまして、局長からの答弁をいただいております。いわゆる本州製紙株の株価操縦でございますが、これも九月二十六日現在、証券局長は、今後も引き続いて調査をしたい。また、長岡東証理事長も参考人においでくださいましたけれども、売買状況全般にわたってさらに調査大蔵省とともにしたい、こういうことでございますが、あれから二カ月近くたつわけですが、本州製紙株の株価操縦のその後の調査状況はいかがですか。
  104. 松野允彦

    松野(允)政府委員 本州製紙の株価につきましては、特に平成二年の五月から八月の間に急騰いたしております。またさらに、平成二年十月初旬にやはり三日間ではございますが急騰が見られているわけでございまして、国会での御指摘も受けまして、さらに取引所と協力をして調査をしているわけでございます。  ただ、現在までの把握いたしましたところでは、確かに複数の大口の顧客あるいはそのグループというものの売買が見られるわけでございますが、それにあわせまして、不特定多数の顧客の売買注文も集中をしておりまして、その中でいろいろ精査をいたしましても、特定の投資家による人為的な価格操作と見られるような注文というものが見つからないという状況、あるいはいわゆる仮装売買、なれ合い売買というようなものも現在までのところ把握できていないわけでございます。そういった点で、現時点まで調査を進めておりますが、百二十五条の株価操作に該当するという確証が得られていないわけでございます。  また、もう一つ問題になりました例のオプションの契約の問題がございます。これにつきましても、当時、大量保有報告書が出てまいりましたときに、その報告者の代理人の弁護士などからヒアリングをしたり、あるいは一部契約書を確認したわけでございますが、御指摘を受けまして、報告書の提出者の代理人の弁護士からさらに事情を聞き、あるいは契約の相手方、特に売り主について全員に当たっておるわけでございますが、現在までのところ、すべてから回答はまだ参っておりませんが、回答をいただいたところでは、架空の契約であるという確証は得られていないところでございます。
  105. 日笠勝之

    ○日笠委員 きょうは法務省の方からもおいでいただいておりますけれども、法務省も関心をお持ちといいましょうか、いろんな端緒となるわけでございますが、あれから二カ月たちましたが、その後どのような進展がありましたか、お聞かせ願えればと思います。法務省の方からお願いをいたします。
  106. 但木敬一

    ○但木説明員 委員指摘のとおり、その後も種々の報道がなされており、またきょうも国会でこれが論議の的になっているというような点につきましては、検察当局においても承知していることと思っております。  ただ、まことに恐縮ではございますが、捜査をしているのかしていないのか、あるいは捜査が進展しているかしてないかというような点につきましては、捜査の秘密に属することでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  107. 日笠勝之

    ○日笠委員 ことし大きなというか、大問題と言った方がいいかもしれませんけれども金融証券不祥事が惹起されまして、証券局長お話を聞くと、そろそろ人数も絞って、大手四社の特別検査も、私はそろそろ終わりに近づいたのかというような感触にとりましたけれども、しかし、最終報告それから本州製紙株の株価操作、こういう問題にある程度のめどが立たないと、これはいわゆる不祥事を反省し、そして正すべきことは正そう、次の新しい抜本的な証取法改正であるとか、監視機関の設置であるとか、固定手数料自由化、また新規参入の登録制の問題、そういうところまでなかなか議論がいかない。また最終報告はどうなった、本州製紙株はどうなった、こういうようなことでなかなか進まない。ですから、ぜひひとつ、年末も控えておりますし、特別検査、そしてまた法務省におかれましては本州製紙株の問題、精力的に、次の段階に進むためにも心から督励を申し上げておきたいと思うわけでございます。法務省さん、お忙しいところありがとうございました。  それから、十一月二十日、公正取引委員会が証券大手四社に、独禁法第十九条規定違反ということによります排除勧告をしたわけでございますが、大蔵省といたしますれば、独禁法の世界なので大蔵省は関係ないと言われるのか、改めて独禁法の勧告を受けたということについて、免許業者でありまして、それを所管する大蔵省とすれば、大手四社に対して何らかの対応はとられる御用意があるのでしょうか。
  108. 松野允彦

    松野(允)政府委員 公正取引委員会が、問題となりました損失補てんを独禁法上の不公正な取引方法の一つであるということで、独禁法違反ということで大手四社に対して勧告を行ったわけでございます。この独禁法違反ということが免許会社であります証券会社について認定され勧告が行われたということは、免許会社を監督しております私どもの立場として非常に残念で、かつ免許会社として非常に適切でないということになるわけでございます。  ただ、損失補てんにつきましては、御存じのように、既に累次にわたりまして私ども法人部門の営業停止という要請を行い、実際に法人部門の営業が停止をされたわけでございます。十月八日には大手四社に対しまして、三年三月期の損失補てんに基づきまして一週間から三週間の法人部門の営業活動の停止を指示したわけでございますし、また、あわせて営業姿勢の適正化あるいはモラルの確立のためのいろいろな指示をしております。また、厳正な社内処分も行わせたところでございます。  私どもとしては、公正取引委員会の独禁法違反という勧告については大変重く受けとめているわけでございますが、今申し上げたようなことで、損失補てんにつきましては我々として既に所要の措置を講じ、証券会社も社内的に所要の措置を講じてきたところでございますので、今回の公正取引委員会の勧告を受けて、さらに証取法に基づく行政処分を行うというところまでは必要ないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  109. 日笠勝之

    ○日笠委員 処分ではなくて、大蔵省として、このことについて四社に対して何かコメントはありませんですか。
  110. 松野允彦

    松野(允)政府委員 大手四社が公正取引委員会から勧告を受けるということで、私どもも大手四社に対しましては、独禁法違反ということを免許会社として行ったことは大変遺憾であるということを申し入れて注意をしたところでございます。
  111. 日笠勝之

    ○日笠委員 次に、暴力団への融資の問題を取り上げたいと思います。  きのう朝起きまして、朝日新聞の一面トップの記事を見ましてびっくりいたしました。この記事によりますと、指定広域暴力団山口組の直系。団体百十二団体を調査されたところ、一割以上の十九団体の組事務所を担保に、地方銀行、信用組合、ノンバンクから総額二十億円以上の融資や債務保証をしていたことが判明したそうでございます。これはまさにゆゆしき問題でございまして、まず大臣、この記事を読まれたと思いますが、大臣として、金融行政を預かる最高責任者として、このことについての御感想を先にお伺いしておきたいと思います。
  112. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘がございましたように大変残念なことでございまして、私どもといたしましても、暴力団対策法を所管いたします当局の方から助言を受けながら、これからも十分注意していかなければいけない、かように考えております。
  113. 日笠勝之

    ○日笠委員 銀行局長、このことに対しまして何らかの対応はされましたか。また、されますか。
  114. 土田正顕

    ○土田政府委員 具体的な報道についての対応ぶりの話でございますので、これも具体的に申し上げます。  朝日新聞であったと思いますが、御指摘の暴力団への融資問題の報道がございました。これに関連いたしまして、私どもは直ちに関係財務局や都道府県に事実関係等の調査を指示したところでございます。ここで都道府県と申しますのは、御高承のとおりでございますが、新聞記事にもございますけれども、かなり信用協同組合の関連がある。やに見受けられますが、この信用協同組合に対する指導監督権限は都道府県知事に委任されておりますので、そのような意味で都道府県に調査をするように指示をいたしたところでございます。したがいまして、現時点ではまだそれ以上具体的な事実関係を当局が把握しているということを申し上げることはできませんが、もちろん全体的な考え方としては、大臣から御説明申し上げましたように、社会的責任を自覚した業務運営が求められておるということで、従来にも増して慎重な審査について引き続き厳正な指導に努めてまいる所存でございます。また、関係省庁ともよく相談し、般的な対応について検討を続けてまいりたいと考えております。
  115. 日笠勝之

    ○日笠委員 調査によりますと、全国の暴力団事務所の三・四%の調べで二十億円ですね。だから、これをもし一〇〇%に直しますと六百億円ということでしょうか、もう多額のお金が暴力団関係へ融資ということで便宜供与されておる。大変これはゆゆしき問題でございます。いわゆる暴力団対策法をつくったり、また本年四月でございましたか、銃刀法改正で、いわゆるピストル、こういうものを買った場合は資金提供者にまで罰則をつけるとか、また、財団法人をつくって暴力団追放推進センターをつくるとか、もう官民挙げて今この暴力団対策というものを一生懸命やっておる。そこの中で抜け穴がこのような融資問題でございます。これはもう、大蔵大臣、それから銀行局長、全国的にこの暴力団への融資実態がどうなっておるか総点検するぐらいの強い強い決意がなければ、新聞に出たから関係のところだけに再調査するなり、また報告を受ける、そういう小手先じゃいかぬと思うのですね。どうでしょうか。来年新暴力団法も新たに発足して、今やもう暴力団は下へ下へ潜って、バッジも外し、ちょうちんも外し、看板も外して、今度は正業者のふりをして表へ出てこようとしておるわけですから、この際、免許業者であり、いわゆる営業免許を与えているわけですから、大蔵大臣、総点検をしなさいと。けしからぬのは、暴力団と知らなかった。そんなことはありませんよ。地元密着型の金融機関が相手が暴力団の関係者かどうかわからないとは、一体何を審査し、どういう融資をしておったのですか。それこそ問題じゃありませんか。どうですか、そういう御決意はございますか。
  116. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のとおり、金融機関にはその業務の公共性あるいは社会的責任を自覚した業務運営というものが求められるところでありまして、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましても、関係の各省庁と十分相談をしながら、また情報を交換しながら、こういったものに適宜対応していかなければいけないであろうというふうに思っております。
  117. 日笠勝之

    ○日笠委員 ですから、大臣、銀行局長、どちらでもいいんですよ、総点検をやりなさいと。新暴力団法ができるし、徹底してもう一度融資体制を再検討しなさい、これくらいの強い御決意がなければ、幾ら警察庁が何とかしよう、官民挙げてやろうとしたって一抜け穴じゃないですか。便宜供与でどんどん融資して、表経済へ出てくるわけですよ、これが。そういう御決意はございませんか。例えば全国財務局長会だとか銀行、全銀協だ、とか地方銀行の協会に申すことぐらいできるんじゃないですか、それぐらいのことはやりなさいよと。どうですか、大臣。
  118. 土田正顕

    ○土田政府委員 この暴力団関係への取り組みにつきましてはかねがね私どもも気をつけてまいったところでございますが、先国会におきまして一連のこの金融不祥事が審議されましたことに対応いたしまして、私ども金融システムの信頼回復のための措置を発表したところでございます。  その中で、公共性、社会性の確保の観点から、暴力団、それからそのほかに類似の問題としては麻薬取引に絡むマネーロンダリング問題もございますが、そのような問題について一層積極的に取り組むという決意を明らかにいたしました。具体的には、全銀協その他業界団体に対しまして、暴力団新法の制定に合わせ、警察当局と協力をし、金融取引面で暴力団対策が適切になされるような組織づくり等について対応を求めたところでございます。これに対応いたしまして、全銀協のような、これは業界団体でございますが、その対応のための活動を開始しております。その一例でございますけれども、暴力団の介入排除のための特別専門委員会を設置するということを全銀協でも決定をしたというところでございます。そのほか、この関係の一連の行動は、財務局を通じ関係の金融機関地方団体に周知し、徹底を期しておるというところでございます。  具体的に、どのような事案が実は暴力団関連であるかということを発見できる場合と、それから、やはり個別具体例に引きますと、申し込みその他の段階では発見できなかった場合と、いろいろあるようでございますが、その辺につきましては、再度申し上げますけれども、今後とも審査の充実ということに期待してまいりたいと考えておるわけでございます。
  119. 日笠勝之

    ○日笠委員 審査の充実ができてないからこういう問題が起こるわけですよ。ですから、銀行法の第一条「目的」をよく体して、もう二度とこういうことがないように、これはもう声を大にして、大臣から言わなければいけませんよ、こういう問題は。あらゆる場所で、銀行の幹部と会ったときとか、また全銀協の会合で会ったときとか、生保の総会とか、大臣が出席する会合がいろいろありますが、必ずこれは入れる。これはどうですか、大臣。お約束できますか、あらゆる機会に大臣として暴力団の問題はぴしっとやるということで。
  120. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のございました点を私どもは腹に置きながら、そういった機会あるごとに皆さんに訴えてまいりたいと思います。
  121. 日笠勝之

    ○日笠委員 そこで、融資は融資としてでございますが、私もかつて証券特で申し上げました、大蔵省よ、平成のエリオット・ネスたれと、こう言いましたね。  暴力団に対して幾ら課税されているのか。平成三年の警察白書、これによりますと、警察庁の方から、県警なんかもそうでしょうが、税務当局に通報することによって、平成二年に九十二億円の課税通報を行った。たった九十二億ですよ。ということは、警察庁は一生懸命何とかしたいということで、暴力団の封じ込め、資金源を断ち切るということでやっている。しかし、本家本元の国税庁の方が一生懸命やってくださらないと、国民の納税への信頼関係はなくなると私は思うのです。  例えば、最近兵庫県警は、山口組総本部長らに逮捕状を出したそうですね。これは、高級乗用車を買ったけれどもいわゆる自動車取得税をごまかしたということで、地方税法違反で逮捕し告発をする、こういうふうな記事が出ております。そこで問題は、例えばある最高幹部はベンツのリムジン三千九百八十万円のを買ったとか、また、ある組長は二千八百万円のロールスロイスを買ったとか、ある組長は千八百万円のベンツを買ったとか、このお金は一体どこから出てきたのでしょう。これを兵庫県警は、自動車取得税をごまかして、安く買ったということで安い納税しかしなかったということで、いわゆる地方税法違反で逮捕し捜査したわけですよ。こういう端緒がいっぱいあるわけですね。どうですか、国税庁さん。平成のエリオット・ネス、シカゴのギャングをついに所得税法違反で倒したということは御存じのとおりでございます。こういう端緒で、目に見える形でもう暴力団の最高幹部が所得税法違反で逮捕された、こういうのが一つ二つ、毎年あればいいと思うのです。  ですから、私は、国税庁の中に警察庁あたりと連携を密にする暴力団対策室をつくる、つくるだけでもこれはもう大変な反響を呼びますよ。どうですか。そういう暴力団対策室をつくって徹底的に暴力団の資金源を断つ、課税を徹底的にしていく、こういうことを普通の国民と同じレベルじゃなくて、目っこに入れてやる。公正にやらなきゃいけない、そんなことは公正でなくてもだれも納得しますよ、ここにおる人は。どうでしょう、国税庁、平成のエリオット・ネスたれ。どうですか。
  122. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 国税当局といたしましては、納税者の適正な課税を実現するという観点から、暴力団についても他の納税者と同様あらゆる機会を通じ今御指摘のような課税上有効な資料の収集に努め、これらの資料と納税者から提出された申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどにより、適正な課税の実現に努めているところでございます。  ただ、しかしながら、暴力団の所得については、率直に言って一般的に課税の端緒がつかみにくいという面あるいは他の納税者に比べ調査に対する協力が得にくいなどということから、国税当局だけで所得を正確に把握することには困難な面もございます。このため委員指摘のように、従来から警察当局等と協力関係を緊密にして暴力団の課税に関する情報の提供を受け、これらを活用することなどにより暴力団に対する課税の適正化に努めているところでございます。今後とも警察当局と緊密な連携を図りつつ、引き続き有効な資料情報の提供を受けるなどして適正公平な課税の実現に努めてまいりたいと考えております。  なお、御指摘のように、警察と私どもとの関係では、定期的な連絡会議を設けて絶えず情報の交換に努めているところでございます。
  123. 日笠勝之

    ○日笠委員 端緒は先ほど言ったようにあるんですよ。何ぼですか、三千九百八十万のベンツを買ったとか、即やったらどうですか、これは。どこからその金が出たのか。イタリアなんか税務警察があるそうですね。税務署と警察が連帯でとにかくマフィアに徹底して課税していく。私はそれぐらいの強い御決意が必要だと思うのです。普通の納税者と同様じゃいけません、これは。税収も厳しいんだから、これはあるじゃありませんか。御答弁はいいんです。  ですから大臣どうですか、国税庁の中に暴力団対策室をつくる、これくらいの御決意はどうですか。これは大臣答弁で。
  124. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 ただいま御答弁いたしましたように、現在既に警察当局と私どもとの関係では緊密な連絡体制ができておりますし、これをさらに発展活用してまいりたいと考えております。
  125. 日笠勝之

    ○日笠委員 だから、そんなことは暴力団に見えないんですよ。だから対策室をつくれ、こう言っておるわけです。  時間がありませんから、大臣、私の要望という、ことでちょっとこの辺青念頭に入れておいてください。また後日やります。  そこで、時間も来ましたので、大変たくさんきょうは用意し過ぎたのですが、地価税、これは三千から四千億円の税収は見込んでおるわけですが、どうも最近の報道を聞くと、土地対策に資する、また減税ということで、私どもは、たしか与野党一致だったと思いますね、決議をしておるわけです、所得課税の減税土地対策等に配慮してこの使途については考えると。ついこの前決議したばかりですよ。一遍もまだ税収が入ってきてないのにもう何か一般財源化する、これはとんでもない信義違反だと思いますね。これは大臣、ぜひひとつ国会決議を尊重する、先ほど証券特での国会決議を尊重するとおっしゃったように、地価税の使途については国会決議を尊重します、そんな一般財源になんかしませんよ、土地対策に資するため、また所得減税やります、はっきりとここで申し上げていただきたい。一遍も入ってない税金をもう何か一般財源にするなんてとんでもありません。どうですか。
  126. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘の点につきましては、国会決議や税調答申等踏まえまして、これからひとつ検討させていただきたいと思います。
  127. 日笠勝之

    ○日笠委員 これはもし一般財源になりましたら、もう私ども国会で、まだ一遍も税収が入ってないものを信義違反で一般財源にするということであれば、もう審議の方法を考えなければいかぬと思うのですね。約束が違うのですから。三年前、五年前の決議ならそれはまだわかりますよ、社会経済情勢が変わっておるから。一遍も入ってないのですから。これはぜひひとつ強く要望しておきますので、政府税調にこれを明確に言ってください、政府税調に。主税局長はどうですか。
  128. 濱本英輔

    濱本政府委員 国会決議の存在あるいは今大臣の御答弁にもありましたように、税制調査会の答申がございます。今後のこの地価税収の使途の問題というのはこれから論議が始まるところでございますので、ただいまの御指摘、あるいはその他にもいろいろ本件につきまして論議がございます。そういった論議を税調でよく受けとめていただいて、十分に税調としての御審議を尽くしていただきたい、私どもはこう考えております。
  129. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ税調が一般財源でもいいなんてことを隠れみのにしないでいただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  話がちょっと変わりますが、現在はカード地獄とかクレジット破産だとかカード症候群だとか、いろいろとクレジットに関することで大きな問題が今また再び、五十八年のサラ金問題のときと同じように起こりつつございます。アメリカでは、カードは利便性はあるが悪魔のささやき、こう言われておるそうでございます。  そこで、通産省もきょう来ていただいておりますが、通産、大蔵、もう時間がありませんから御答弁をそれぞれこれから申し上げることについてお願い申し上げたい。  一つは、現状はどう認識されておられるのか、数字的な裏づけがあればそれをあわせて御報告いただきたい。今後どうするのか。五十八年にあの大サラ金問題が起こって、いわゆる議員立法で貸金業規制法をつくりましたね。それと同じようなことが、これから御報告いただければ、数字的にも破産、免責、その当時と同じぐらいの大きな件数がカウントされておりますが、そういうことで通産、大蔵両省から、このカード破産と称する問題に対しての現状認識対策をお願いしたいと思います。
  130. 土田正顕

    ○土田政府委員 まず、私どもの方から考え方を御説明申し上げます。  このクレジット破産の問題は、最近例えば裁判所への破産事件の持ち込み、なかんずく自然人の自己破産の申し立ての持ち込み件数の増加というような報道とも関連していろいろ話題を呼んでおるところでございます。  これは御高承のとおりかと思いますが、裁判所の方の資料によりますと、自然人の自己破産の申し立て件数は、昭和五十九年二万四千件をピークとして、その後は一万件を割り、大体減少傾向にあったのでございますが、昨年は、平成二年一万一千件を超え、それから本年は一月から八月までの間だけで一万二千件を超えております。こういう数字を所持しております。  このような問題は、私どもの方としましては、いわゆる多重債務者問題というようにとらえておるわけでございますが、これにつきましては、まずやはり借り手である利用者の側において消費者信用の節度ある合理的な利用がなされることが必要であると考えます。同時にまた、貸し手である業者の側におきましても、顧客審査に当たって過剰な貸し付けが行われないように適切な対応を行っていくことが必要であると考えております。  この二つの考え方を基本といたしまして、私どもの直接の仕事では、貸金業規制法につきまして所管しておるわけでございますが、この貸金業規制法ではいわゆる過剰貸し付けの禁止規定がございますし、それから実際上の窓口における簡易な審査のみによって無担保無保証で貸し付ける場合のめどとしまして、一業者当たりの貸付金額について五十万円またはその資金需要者の年収額の一〇%に相当する金額とするよう指導を行っておるわけでございます。  そのほかの行政といたしましては、これはプライバシー保護に配慮する必要がございますが、業界によって組織しております信用情報機関を活用するということ、それからさらに苦情とか債務整理の相談に応ずる窓口の設置を進めること、その他の努力も促しておるわけでございまして、今後ともそのような信同情報機関、さらには窓口の相談機関などの充実をも含めて関係省庁、関係業界と協力しつつ対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
  131. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 破産につきましての数字は今大蔵省の方から御説明があったとおりでございますけれども、また私どもは別途個別に、夏、主要なクレジット会社から調査をしております。その調査におきましても同様の傾向があるわけでございます。こうした現状が続きますことは、消費者信国産業の健全な発展を阻害するのみならず、国民生活上も重要な問題になりかねない、そのように考えてございまして、今、次のような具体的な措置を講じつつあるところでございます。  まず、実態をきめ細かく分析していかなければならない、そのような観点から、自己破産者の数につきまして引き続きヒアリング調査をいたしますとともに、さらにその対象数をふやし、毎月の報告を聴取いたしたいと思っております。  また、本問題につきましては、クレジット会社の信用供与、これが十分な情報のもとに行われていないというところに大きな課題があるというふうに考えておりまして、私ども通産省からの要請に基づきまして、現在社団法人日本クレジット産業協会におきまして、与信精度向上のための信用情報機関への登録情報内容の拡充、それから信用照会端末、俗にCATと呼んでおりますけれども、そういうCAT等によります信用照会システムの整備、これについて検討中でございます。その早急な取りまとめを指導いたしたいと思っております。  さらに、本問題に対しまして各クレジット会社の姿勢をより一層適正にする、そういう観点から、主要なクレジット会社の与信体制の整備、社員教育の徹底、消費者啓発等につきまして、割賦販売法に基づきます立入検査等を通じまして指導を行っていきたいと思っております。  もう一つ、基本的には本問題につきまして消費者意識の向上、これがまた重要なポイントでございます。消費者教育を含めまして消費者への普及啓発等の充実に努めてまいる所存でございます。  いずれにいたしましても、学校教育あるいは貸金業関係等、当省の所管以外の分野での対応も必要でございますので、関係各省庁と綿密な連絡をとり合って対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  132. 日笠勝之

    ○日笠委員 どうか大蔵省と通産省、一億六千万枚からのカードを発行し、五十七兆円の与信をしておるわけです。よく綿密に連携をとって、割賦販売の方は通産、キャッシングのいわゆる貸し金の方は大蔵ということで、どうですか、これはよく綿密に連携をとってもらいたいということが一つ。  それから、三つ情報センターがございますね。銀行系、クレジット系、それから貸金業系、これの横の連携も、今ブラックの情報だけですから、ホワイトの情報も早急に充実するように、また消費者教育もさらに充実するように、以上のことを御要望して、二度とサラ金問題のようなクレジット破産だとかカード地獄ということがないように、貸し手責任ということも念頭に入れた指導をお願いを申し上げて、終わりたいと思います。
  133. 太田誠一

    太田委員長 正森成二君。
  134. 正森成二

    ○正森委員 まず最初に、NTTの問題について伺います。  午前中同僚委員も既に質問をされましたが、NTT株というのは、八六年の第一回では百十九万七千円ということになり、八七年の二回目は二百五十五万円、三回目の八八年は百九十万円ということになっていたはずであります。それがきのうの株価を見ますと、最近八十万円前後で低迷していましたが、七十七万円ということになっています。ただ株価が低いというだけでなく、一説によると、新聞によると、大蔵省は金がないから幾らでもいいから売りたいと言っているそうですけれども、五十万株売ると四千億円市場から資金を吸い上げる。そうすると、ほかの民間企業のいろいろなエクイティーファイナンスども遠慮してほしいというような状況では、とても無理であるというような意見が東証の理事長その他から出ており、失礼ながら羽田大蔵大臣もその意見に近いように新聞では報道されております。次の質問に移る前に、同僚委員がもう既にお聞きになりましたが、この問題についての大蔵大臣の率直な意見を承りたいと思います。
  135. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほどもあれいたしましたように、昨年の十二月に、未売却の五百万株のうち二百五十万株を毎年度五十万株ずつ計画的に売却することを基本とする売却方針を決定したところでございます。平成三年度におきまして、予算においていわゆる処分限度数量として授権を得たのが五十万株ということでありまして、大蔵省としては、さらに証券市場を取り巻く諸情勢、これを見きわめまして、今年度内にNTT株式の円滑な売却が図れるように売却時期等具体的な売却方法について検討してまいりだい、これをずっと実は申し上げておるところであります。
  136. 正森成二

    ○正森委員 今のお話を聞いておりますと、依然として売却したいという気持ちは捨てておられないようであります。  そこで、事務当局に伺いますが、報道によりますと、証券局は証券会社との定期的な懇談を再び再開したというように報道されております。  例えば、これは朝日新聞ですが、「今年十月下旬、大蔵省から大手証券の幹部に「証券局と業界の懇談会を再開したい」と連絡が入った。」こういうように報道されておりまして、これは株式部長との懇談だったそうですが、それだけにとどまらずに、別の報道によりますと、「証券界は十三日、七月以降会合を中止していた大手四社社長会などが十二日までに、日本証券業協会を新たに加えて再開していたことを明らかにした」というように報道されております。  そうすると、松野証券局長は九月二十六日に野党の質問に対して、癒着の点をいろいろ追及されたので今後定例会合はやめていきたいと言ったはずであります。ところが、それからわずか一カ月か一カ月半のうちに再び再開したというのがもし事実であるとすれば、これは朝令暮改のそしりを免れないし、あるいはやむを得ず必要があるから会合を開いたというのであれば、一月くらいでそういうぐあいになることをなぜ九月二十六日には国会で言ったのかということで食言の疑いがあります。当面を糊塗するためにだけ言ったのかということになります。ですから、実際に再開しているのかしていないのか、また、再開しているとすればその理由や前の答弁との整合性はどうなるのか、答えていただきたいと思います。
  137. 松野允彦

    松野(允)政府委員 さきの国会におきまして、確かに私は定例的な会合はやめたいということをお答え申し上げました。ただ、その際、証券行政上必要があればその都度意見交換を行っていくということはやる必要がある、しかし漫然と定期的、定例的に会合を開くということは必ずしも必要がないということで、定例会合はやめたいというふうにお答えを申し上げたわけでございます。  新聞に報道されておりますように、最近この証券業協会主催の会合、理事会等におきまして私どもが出席をいたしまして行政の考え方を説明したわけでございます。これは実は、この一連の問題が起きまして、ちょうど六月ごろから明らかになったわけでございますが、その後業界との間の会合は持っていなかったわけでございます。証券業協会の方からこの一連の問題の、特に再発防止策の検討について行政当局の意見を聞きたいという要望がございました。私どもの方も、再発防止策の中には業界あるいは証券業協会で対処していただかなければならない問題もあるわけでございまして、そういった観点から会議に出席をいたしまして、この一連の問題についての再発防止策あるいは証券市場信頼回復策というような点についての私ども考え方、中には例えば手数料自由化とかいうような重要な問題もございますが、そういった点について説明をしたわけでございます。したがいまして、定例的な会合を復活したということでは全くございません。臨時的にそういう必要があれば我々としては出かけていって行政の考え方を説明し、業界の理解を得、また業界の意見も聞くというような、そういう機会は今後も必要の都度証券業協会などの場を利用して行いたいと思いますが、従来のような、例えば月に一回定例的にやるというような会合を復活するつもりはございません。
  138. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁では、定例会合を復活するわけではない、証券業協会の会合などを利用して意見の交換というか、行政上申し上げたいことを言うというように答弁されたと伺っております。それでは、癒着を疑われるような四社社長との、定例的な証券局長との会合とかそういうようなものは、国会に一たん答弁した以上それを尊重していただきたいと思います。  銀行局長がおられるようですから念のために聞きますが、銀行局では都銀と銀行局長との月一回の定例会合というのは今までやっておったのですか、また、これからもやるのですか。
  139. 土田正顕

    ○土田政府委員 私どもの方は所管業界が非常に多数ございまして、それぞれの業界ごとに構成員もまた多数でございますので、事務的ないろいろの現況の説明、それから我々の考え方について相手方の理解を得、浸透を図るという目的で種々の会合に出席をしております。  具体的に都市銀行についてのお尋ねでございましたが、これは都市銀行懇話会と申しますか、都銀懇と申しますか、ちょっと正式な名称は失念いたしましたが、そういう事業者団体がございまして、この事業者団体と二カ月に一回または毎月、そのとき出席できる幹部が出席しまして、そのような事務的な話し合いを含めて会合を持っております。
  140. 正森成二

    ○正森委員 証券局にしても銀行局にしても、行政指導の心要もあるでしょうし、私たちは全く接触してはいけないというような非常識なことは言いません。しかし、証券局の場合には十一か十二ほど重層的に毎月昼食会だとか何やら会だとかいってその会合をしていたということがこの間の証券スキャンダルのときに指摘されたわけであります。したがって、適切な、事情を聴取するとかあるいはこちらの意向を伝えるというようなことが必要な場合はあり得るでしょうけれども、漠然と定例的に会合を開いて昼御飯を食べて、そこはかとなく顔合わせをするというようなことは、国会で言われたように慎んでいただきたいというように思います。  それでは次の問題に移りたいと思います。  報道によりますと、湾岸戦争の問題について日本が増税までして九十億ドル支出した、全体ではその後の追加も入れて百三十五億ドル拠出しておることは皆様御承知のとおりであります。ところが最近の報道で、米議会附属機関の会計検査院、GAOというそうですが、下院軍事委員会に二十四日付で送った報告書によりますと、湾岸戦争による費用で外国から約束が四百八十三億ドルあったが、その八八%の四百二十四億ドルが払い込み済みで、米財務省の防衛協力特別勘定に計上されておる。ところが戦争が早く済んだのでお金が余って、アメリカが運転資金として百五十億ドル出していたんだけれども、この百五十億ドルは全然要らなくなったから国庫に返還する。つまり、アメリカは一文も出さない。言葉は悪いが、人のふんどしで相撲をするという言葉がありますが、他国の金で戦争をするということをやった上に、お金が余った、最小限八億ドル余っだということが報道されているのですね。  しかも、この八億ドルというのは、実は本当は八億ドルではない。まだ戦争の最中の一月に米連邦準備制度理事会のグリーンスパン議長が言っているところでは、このアメリカの言うところの戦費というのは非常に過大に見積もられておる、はるかに少なく済むということを言いまして、その中で、戦争の場合の武器弾薬の使用というのが非常に過大に見積もられているということを除いても、グリーンスパン氏の言葉をそのまま使いますと、「ソ連との全面戦争に備えた米軍の兵器の備蓄は極めて高水準にあり、冷戦構造の解体によりその水準は中長期的に低くなると見込まれるのに加え、古い兵器・弾薬は戦争で使わなくてもいずれ破棄されることなどをあげ、「(消耗した兵器・弾薬の)相当な部分は、明らかに補充する必要がない」」というように言いまして、「予算局の試算は、消耗した兵器・弾薬を完全に補充し、さらに旧式兵器だった場合は後継の新型兵器で埋め合わせることを前提にして」おって、著しく過大である。これは我々が言っているのじゃないのですよ。アメリカのグリーンスパンがそういうぐあいに言っているということで、八億ドルというのはもう最低の余剰である。報道によっては、三十五億ドルは余るだろうとか、いやいやもっと余るだろう、こういうように言われているわけであります。  そこで、こういう余った金についてどういうように政府当局は対応をなさるのか、お伺いしたいと思います。
  141. 川島裕

    ○川島説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の九月二十四日に、GAOでございますか、会計検査院が提出した報告書の報道は私ども承知しております。それで、これはどういうことかということで私どもも米行政府に対して照会いたしたのでございますけれども、米行政府の説明は次のとおりでございます。  まず第一に、GAO、会計検査院は米行政府の機関ではなくて、したがってこの報告というものは米行政府の見解とは異なるものである。それで行政府の行政管理予算局、OMBと言っておりますけれども、これが議会にかねてより出しておる報告書によりますれば、これまで要しておる追加経費というものは六百十億ドルを超えると見積もられておりまして、それがこの所要額である。これに対しまして、既に米国に対して各国から行った、日本のも入っておるわけでございますけれども、総額は五百四十億ドルでございまして、したがってそもそも余りが生ずる事態とはなっていないというのが米行政府の説明でございますし、私どもはそれに沿って考えております。
  142. 正森成二

    ○正森委員 そんな人のええことを言っておって国民が納得しますか。確かにこう言いましたのは米議会附属機関と言われる会計検査院、GAOであって、政府機関そのものではないかもしれませんけれども、こういうように明確に言っており、しかもそれは非常な過小であって、もっと余るというように言っているのですね。あなたが言うた六百十億ドルとかなんとかというのは、戦争をまだやっておった最中かはるかその前に非常に高く見積もった見積書がありましたが、その中で言っていることなんですね。あなたも専門家だから知っているでしょうけれども、議会予算局その他で、六カ月戦闘が続くという場合でも八百六十億ドルと言っていたのですよ。一カ月の場合には二百八十億ドルというように言っていたのですよ。現に資料がありますからね。そんなもの、一月の十六日や十七日に始まって、もう二月中には済んでしまったんでしょうが。だから物すごく余る、こう言っているのですよ。  現にここにありますが、三月十九日にフィッツウォーター米大統領報道官は、資金協力が実際の戦争経費を上回って余剰が出た場合は返還することになるだろう、こういうように言っていますよ。それで、そのころドイツなどは非常に素早く行動して、まだ払っていないのが二十五億ドルほどあったらしいですけれども、これをどうしようかということでアメリカと相談を始めたという報道まであります。報道によりますと、今のところ八八%しか拠出されていないようですけれども、例えばドイツはどうしましたか。全部出しましたか。
  143. 川島裕

    ○川島説明員 お答え申し上げます。  見積もりについてはいろいろな数字が早い段階であったわけでございますけれども、例えば夏過ぎの、七月下旬にOMB、ダーマン行政管理局長が、総経費見積もりは各国の拠出総額を上回っておって、その余りが生ずるということは全くあり得ないというふうに、これは下院の歳出委員会において証言しております。私どもがこのGAOの報告を踏まえましていま一度照会したときも、依然六百十億ドルが必要経費と見積もっておるというのが米行政府の回答だったわけでございます。  それで、今のドイツの御質問でございますけれども、確かに報道で、余るんじゃないかということで、調べようかというような動きがドイツの中にあったというのが出ておりましたのですけれども、これもチェックいたしましたら、そもそも返却を求める云々というような動きは全くなく、ドイツは全額を支払っております。——全額支払っております。
  144. 正森成二

    ○正森委員 ダーマンの発言というのは、これはことしの二月二十二日に、多分余らないだろうということを報道したというのが私の手元の資料にあります。しかし、戦争があれだけ早く済んで余っておるというのは、これは隠れもない事実なんで、現にGAOはこのお金を、例えばクルド族救援費三億二千五十万ドルあるいは作戦に参加した米軍兵員の長期的福祉の財源に回すということを提言しておる、こういうぐあいに言っているのですね。  ところが実際上、湾岸戦費の問題はどうであ。ったかといえば、ここに三月一日の参議院本会議における海部総理の答弁がありますが、「九十億ドルの問題につきましてはこ途中略、「輸送関連、医療関連、食糧・生活関連、事務関連などの諸経費に充てる方針で湾岸平和協力基金に出しておるものでございます」、こういうぐあいにはっきり答えた上、「九十億ドルの使途については、運営委員会を通じて資金供与後、その使用について報告を受けることになっております。報告が参りましたら、適切な方法で皆様に明らかにしたい」というようにちゃんと国会答弁しているわけであります。  ですから、湾岸協力基金に出したということになっており、米議会が勝手にこんなものを、おれはあれに使う、これに使う、まして米軍が帰ってきたときの長期的な福祉資金なんていったら、直接の給料でもなければ、けがをした米兵に対する治療費でも何でもない。そんなものに、余ったからといってよその金を使うなんということになれば、これは我が国が米国の属国であるか、米国が我が国の資金に頼って財政を行う日本の属国であるか、そのどちらかだということになるじゃないですか。こんなおかしな会計原則がありますか。そういうのには金を使って返せとも言わないのに、一たび金が足りなくなれは、大臣、今度は消費税の税率を上げようかというようなことを自民党の税調会長が言う、あるいは前の有力な幹事長が文芸春秋などで言う。そんなことで国民が納得しますか。為替の差額があると言うたら五億ドルさっさと出す。余ったら返さない、自分は一文も出さない。それなのに増税までしてその金を出した日本国民が、またぞろ今度は消費税の税率アップだ、そんなことで国民が納得しますか。  外務省は事務的に答えたのだから、大蔵大臣から政治的に答えてください。
  145. 羽田孜

    羽田国務大臣 消費税の部分について申し上げますと、これも従来からお答えしておりますけれども、今消費税の税率についてどうこうするということについて私の念頭にはございません。消費税の税率の変更は、ほかの税と同じように国会の議決を要するものであるということでありますし、結局のところ、基本的には今後の財政需要の動向ですとか税制全体としての負担のあり方などを踏まえまして、また、そのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択する事柄であろうというふうに思っております。国民の御理解のない税制改正というのはなかなかできるものじゃないということ。いずれにしましても、私たちは国民の御意思というものをそんたくしてまいりたい、かように考えております。
  146. 正森成二

    ○正森委員 前の海部内閣のときには、私の内閣の間は税率アップはいたしません、こういうように言われておりましたが、宮澤内閣になってから答弁のスタンスが変化したことは隠れもない事実であります。このことは、結局二つのうちのどちらかだと思うのですね。それは、宮澤内閣がよほど自分の内閣が長く続くから将来何とも言えないと思って長期政権に自信を持っておるか、それとも折あらばすきを見て増税をしてやろうと思っているあしき意思を持っておるか、そのどちらかだと思うのですね。どっちですか。
  147. 羽田孜

    羽田国務大臣 内閣の長さとかそういうことではなくて、やはり税制というのは、私たちだってもともと消費税もただ喜んでお願いしたということではないのであって、国の財政が非常に厳しいということで、やはり国民の選択として直接税がいいのか間接税がいいのかという中で間接税を選択していただいたということでありまして、そういうことで、やはりそのときの状況というものをきちんと見きわめながらやるものであって、ただし私たちも安易な増税というものは考えるべきではないということは常にみずからを戒めながらやらなければならぬということであろうと思っております。
  148. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたので、外務省、海部総理が三月に言っている、湾岸協力基金から報告を受けて国民皆さんにお知らせしたいということはきちんとするのですか。あなたが言っていることも見込みであって、本当の決算が行われた後ではないでしょう。それをきちんとするのが責任じゃないですか。
  149. 川島裕

    ○川島説明員 お答え申し上げます。  まさに累次答弁いたしてまいりましたとおり、いずれ報告をいたすということに全く変わりはございません。
  150. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  151. 太田誠一

    太田委員長 中井洽君。
  152. 中井洽

    ○中井委員 最初に、私も他党の皆さんと一緒に、羽田大蔵大臣、村井政務次官の御就任を心からお祝いを申し上げます。財政状況大変厳しい時期、また金融証券等難しい時期であります。御奮闘のほどお祈りを申し上げます。  先ほど同僚の村上議員から、バブル経済破綻の原因についての御質問がありました。証券金融の特別委員会等でもたびたびこのことが議論をされ、私もそのとおりだというふうに考えております。その中でもう少しつけ加えて、こういうバブル経済が起こったことに対する大臣の認識等お尋ねを申し上げていきたいと思います。  結局プラザ合意以来かつてない超低金利政策をとってきた、このことが原因だ、こう言われておりますが、私はそれだけではないというふうに考えております。この期間、昭和六十一年、六十二年というのはマネーサプライが前月比で毎月十数%上回るというような増大を続けておったわけであります。この時期に実は私ども民社党は生活先進国ということを言い出しまして、思い切った公共投資、公共事業、これをやるべきだと主張してまいりました。今回宮澤内閣で生活大国ということを言われるようになって、それはそれで結構なことだと思いますが、あの当時、私ども民社党だけではなしに、アメリカも随分財政出動を日本に対して求めておったと私どもは聞いております。先ほどどなたかの御答弁で、三兆円から四兆円ぐらい財政出動もやってやった、こういうお答えがありましたけれども、実際あのときアメリカの要求に対してやりました財政出動は極めて大蔵省的であって、金額的には出ているけれども実際的には公共事業は何もふえていない、こういうテクニックを弄したのであります。その結果、マネーサプライがふえる、金利は低い、財政出動がない、特に財政再建だ財政再建だということに偏ってしまった。このことが、物価が安定している時期もありまして、株と土地にお金がどんと流れた、そして今バブル経済の破綻という時期を迎えたと私は考えています。  そういう意味で、金利政策そして財政出動、こういったものを本当に適宜バランスをとってやらなければ国の経済というのは大変なものになると私どもは実感をいたしております。そういう意味で大臣のお考え、またこれから財政運用に対する御決意等をお尋ねしたいと思います。
  153. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘がございましたように、また先ほどから御指摘のございました問題につきましては、先ほどからお答えしておりましたように、まさにプラザ合意のときのあの時点におきましては、円高不況になろうということのために、相当、それぞれの立場の皆さん方がやはりこれに対する対策をということで、低金利政策がとられたということは事実だろうと思っております。  それともう一点は、やはりあの時期からちょうどボーダーレスといいますか、国境というものが何かもうなくなってしまうという時代になってまいりました。そして各国も、日本が向こうへ投資すると同時に向こうからもやはり日本へ投資しよう、あるいは新しく参入していこうというような中で、いろいろな企業日本に上陸するというような動きがあった。そういう中で土地の買い占めですとかあるいはそういう人たちに対応する土地を買おうなんという、土地を求めるあるいは準備する、あるいは建物を準備する、そんなことが何か一つのきっかけになったのかなということを私は実は感じておったわけでありますけれども、しかし、総じて申し上げますと、やはり金融政策と財政、こういったものは適宜バランスをとって適切に対応するということが重要であろうということについては、私どもも常に念頭に置いていかなければならないというふうに思っております。
  154. 中井洽

    ○中井委員 次のお尋ねをいたしますが、その前にちょっと公定歩合のことで気になっておりますので、一言申し添えだけさせていただきたいと思います。  自民党の新しい幹事長さんが、公定歩合を切り下げられた時点において大蔵省から聞いていなかった、こう言って講演会でおしかりをされたという紙面を私どもは拝見いたしました。公定歩合のことについては私どもは何も大蔵省が自民党さんへ連絡するなんという話は問い。たことありませんし、またやるべきことでもない。幹事長もおわかりになって、講演の中で口を滑らせたのかなんかだと思いますが、十分お気をつけいただくようにお願いを申し上げておきます。  大臣の所信の中で一点だけお尋ねをいたします。  「国際経済情勢を見ますと、先進国では、全体として見れば景気の減速局面からの回復が見られます。」このようにお述べになっていらっしゃいます。私どもはそういうふうには認識をしていない。まだまだじゃないか、かえって難しい時期を迎えているのじゃないかと考えておりますが、「景気の減速局面からの回復」という大変持って回ったこの言い方、どういう御認識のもとに所信を述べられたのかお尋ねをいたします。
  155. 羽田孜

    羽田国務大臣 実はけさも経済閣僚会議があったわけでありますけれども、そちらの方でも、確かにアメリカのあれは、住宅の戸数ですとか自動車等の販売台数ですとかそういったものの復調というのが大分見られる、しかしまだ本格的なものになってないというあれでございます。それからヨーロッパ等におきまして、ちょっと今どこの国とどこの国かはっきりあれしておりませんが、英国ともう一つの国がある程度復調しつつあるという報告を受けております。いずれにしましても、回復基調にあるということは言えるのじゃないかということが思われます。
  156. 中井洽

    ○中井委員 アメリカはいろいろ見方はあるかと思いますが、対ソ支援の金すらほとんど出せない状況にあるのじゃないかと私は考えております。同時に、日本と一緒に機関車として世界経済を引っ張ってきたドイツも東ドイツを吸収したことによって、いろいろな説はありますが、少なくとも今世紀中は一年間に七百五十億ドルぐらい東ドイツの対策にお金がいってしまう。そうすると、この世界の中で経済を支えて、あるいは経済援助ができる国というのはほとんどなくなってくる。そういう厳しい状況の中で日本が責任を果たさなければいけない、あるいは財政運用、景気対策をやっていかなければならない、こういうふうに考えるのが一番正しいのじゃないか、現実的じゃないかと私は考えております。いろいろな経企庁等の景気に対する動向やら大臣のお言葉、余り悲観的なことばかり言えないということもよくわかってはおりますけれども、十分引き締めて、御認識を新たにされてお取り組みをいただきますようお願いをいたします。  その中で、先ほどから議論になりました湾岸の九十億ドル援助の問題についてお尋ねをいたします。  このときには石油税、法人税、増税をして拠出を決定したわけであります。しかし、昨今承りますと、法人税の収入の見込みが当初の大体八割じゃないかと言われておるようであります。そうしますと、この九十億ドル分が足りなくなるのじゃないかと心配をいたしております。この点はどういう計算になるのか、万一足りなかったらどういう対応になるのか、お聞かせをいただきます。
  157. 田波耕治

    ○田波政府委員 委員指摘のように最近税収が非常に悪いということで、その中にあって法人税もかなりの落ち込みになるというような見通しが立てられているところでございます。したがいまして、御質問の、昨年行いました法人臨時特別税につきましても、法人税額を課税標準としておりますから、一応三百万円の基礎控除ということで中小企業向けの対策があるわけでございますので、全く法人税と同じ動きになるかというと、そうではないというところもあるかと思いますけれども、今申し上げましたように課税標準が法人税額である以上、当初予算に対して減収となるというふうに思われるわけでございます。したがいまして、その点については減額が必要になると考えられます。  しかし、どのくらい減額になるかということにつきましてはこれからなお詰めていく必要もございますし、また、もう一つのいわゆる石油臨時特別税の税収につきましては、まだこれからどういうふうになっていくかということも見定めていく必要がございますので、その二つの税を合わせた全体の税収については、現在のところ確たることは申し上げられない段階でございます。  さはさりながら、もし仮にということで、全体の実績が見積もりを下回った場合という御質問でございますけれども、その場合には、この全体の構成が国債整理基金を通じてということになっておりますので、御承知のように国債整理基金は総合減債基金ということでございますので、その国債整理基金内部において、その全体の中で処理をされていくというふうに考えているところでございます。
  158. 中井洽

    ○中井委員 この九十億ドル拠出のときにつきましては大変議論があったところでございまして、増税一色でいくというのを、私どもは、九十億ドル出すことについては賛成、しかし、場合によってはそれは増税なしで金を出すべきである、国会議員が逆に金を出してもいいということまで申し上げて頑張ったところでございます。もし減額という形になって、それでも九十億ドルは出さなきゃいけないわけでありますから、それらが政府内部の処理ということではなしに、きちっと国会で論議をされて九十億ドルという形で出されることを強く要請をいたしておきます。  もう一点、先ほど公明党さんからお話ありました地価税の問題についても、大臣に要請をいたしておきます。  この法案につきましては、私ども、党内で随分議論がございました。しかし、土地対策としてこの法案をやむを得なく認めていく。そのほかに、相続税の評価がえだとか固定資産税の評価がえとか、そういったものを絡ませて、合わせて一本の法律だ。そして、増収は、増収を目的とした税金じゃなしに土地対策として行われた税金であるから、もちろん土地対策に使う、あるいは所得、法人減税に使う。こういったことで、委員会で質問をする人は大半がそういうことで注文をつけられ、国会の決議ができているわけであります。承れば、この決議がどうも実行されそうにないという空気のようでありまして、大変心配をいたしております。これから税調で御論議をいただくというようなお話もありましたけれども国会の論議は既に、この税金は土地対策減税、この二つに使うんだ、こういったことで決着をいたしております。国民の意見といいますが、国民の意見代表は国会であります。その点を十分御認識をいただいて、大臣の御決意を承ります。
  159. 羽田孜

    羽田国務大臣 この点につきましては、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、基本的にはやはり税調で御審議いただくということであります。当然私どもも、国会の決議がございましたことも承知した上で、また税調の方で御議論いただくことになろうと思っております。
  160. 中井洽

    ○中井委員 もう一つ、同じように約束を守っていただきたいことがあります。  この消費税を導入をいたしましたときに、普通乗用車の消費税六%ということで決着をいたしました。附則に期限が書かれて三年間の暫定、三年たったら一般消費税並みに三%にする、これが合意であったと各人が理解をいたしておりますしかるに、昨今、税収不足の中で、これをそのまま延長しよう、こういう動きがあると盛んにマスコミで報じられております。大蔵省はこういうばかなことを本当にやろうと画策をしておるのですが、どうですか。お答えをいただきます。
  161. 濱本英輔

    濱本政府委員 お答え申し上げます。  消費税が導入されましたときに、普通乗用自動車に対しまして六%の課税措置がとられましたのは、当時の……(中井委員「経過の説明はいいです」と呼ぶ)非常に従来の物品税において高い負担を求めていたことと、いま一つ言われましたのは、巨額の国債残高を抱えております財政状況にかんがみまして、税制改革が後代に負担を残すようなものになってはならないということを理由といたしまして、御指摘がございましたように六%という措置がとられたわけでございます。この措置は、平成四年三月末までの措置として規定されておりまして、末日をもって六%の税率というものは期限を迎えるということ、そのとおりでございます。  ただ、中井先生指摘は来年度の税制改正でどうなるのかということでございますけれども、これはもうたびたび大臣からもいろいろな機会にお答えを申し上げておりますように、税制改正作業、これからでございますので、私ども税制調査会にこれから審議をお願いします段階で、これについて何か申し上げるべきことは何も今の段階で持ち合わせておらぬということを御理解、お許しいただきたいと存じます。
  162. 中井洽

    ○中井委員 先ほどから、消費税を率をいじるんじゃないかということについての御議論がありました。私は、もし自動車のこの税率六%を残していくということになったら、これは将来消費税を自動車並みに六%にするための布石である、こういうふうに思います。  税制というのは、先ほどから大臣がお話ありましたけれども国民の理解を得てやらなければならない、言うまでもありません。この消費税導入のときに本当に国論を左右するような形で争われたのは、やはり導入のまずさ、やり方のまずさがあった。やはり税金というのは信頼でありますから、一遍約束したことはきちっと果たす。だから、三年間で三%へ戻すというなら戻す。それで、どうしても将来財源不足消費税を上げなければならないというなら全部上げる。それは堂々と議論をする。私は反対ですけれども、堂々と議論をする。そういう一たん決めたことをこそこそと、財源が足りないからといってこそくな手段でやることが、税務当局に対して、あるいは行政に対して、政治に対して信頼をなくすのであります。だから、もっときちっとこういうことは、約束どおり一たん三%に戻します、そして消費税はみんな三%です。あれだけもつれたのも、各党協議の中で、私どもはまだ不満は残っていますけれども、手直しをして、そして今は消費税が国民の中に定着しているのであります。ここでまたこういうインチキなことをやるとしたら、また不信が出てくると私どもは心配をいたします。重ねて大臣のお考えをお尋ねいたします。
  163. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のとおり、税については信頼に基づいて行うべきものであるということを私どもも十分踏まえております。ただ、税全体につきましては、税調の方で、今これから御論議いただくということでございますので、この点については、ひとつお許しをいただきたいと思います。
  164. 中井洽

    ○中井委員 私どもも本当にまじめに、国の財政あるいは景気、こういったことを心配して議論をいたしているわけであります。従来の国会なら、自民党さんの内部で、税調もお使いになって、いろいろなお決めの仕方があって、衆議院と参議院で日にちがたったら法案が通る、これでよかったんでありましょう。しかし、今や、御承知のように参議院は野党が過半数であります。そういうような形で、税調へ逃げ込んで、そして国会へ出してきたときは増税法案だ、審議をしろといったって、野党は真剣にやれない。ここのところも、政府の方々あるいは行政の方々、自民党の方々はお考えにならなければだめだと私は思います。そういった意味で、本当に必要なものは必要で、私どもも論議をする、しかし、守るべき約束は、先ほどの地価税でもあるいはこの自動車の消費税率でも、きちっとやはり果たしていっていただく、こういう姿勢が私は必要だと思います。そういった意味で、強く要望をいたしておきます。  もう一点、先ほど申し上げましたように、今回地価対策の一環として、相続税の評価、七割から、あるいはそれ以下のものを八割に評価がえをする、こういったことが決定をなされるようであります。大変結構なことであります。しかし、同時に、このことによりまして四千億余りと言われる増収が出てくるわけであります。私ども点、当然この増収分はいろいろと問題のある、あるいは議論のある相続税の減税に回すべきだ、このように考えておりますが、大蔵大臣いかがですか。
  165. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、あくまでも、土地を保有するということ、それによって利益を得てはいけないということで、そのゆがみを正そうというのが基本的な考え方でございますから、そういう趣旨に基づきまして、これからまたこの問題については税調の方で御審議をいただくことになっておりますけれども土地の相続税評価の適正化に伴うものであるという観点から、相続税の課税最低限の引き上げ及び税率区分の幅の拡大がその中心的な一つ検討項目になるであろうというふうに私ども考えております。
  166. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、その中で中小企業の事業承継税制の強化、こういったことを含めて、二百平米以下の小規模の土地にかかわる相続税の評価減額制度についての減額率を引き上げること、あるいは納付方法についても配慮をすること、また同時に、六十万円の贈与税の基礎控除を引き上げること等々を党としてもいろいろな形で要望を申し上げております。  相続税については、国民の中で立場立場でいろいろな議論があります。しかし、この四千億という大変な増収減税に回したところで、相続税そのものが自然増をしているわけでありますから、今回の評価がえで出てまいります数千億、この増収分ぐらいは当然減税に回すべきだ、このことを強く主張して、大臣にもう一度重ねて答弁をお願いいたします。
  167. 濱本英輔

    濱本政府委員 既に明らかになっております事実もございますので、私から一言申し上げたいと存じますけれども、中井先生先ほどからの御指摘は、土地の評価の適正化に伴いまして相続税に増収を生ずる、その分はきちんと負担調整をすべきであるという御指摘であろうと存じます。  この方向はもう昨年の税制調査会におきます審議の過程でも論議されまして、そういった方向が既に税制調査会の今までの議論の中にも姿をあらわしております。恐らくそれに乗っかった議論がこの先行われることになると存じますけれども、ただいまおっしゃいましたいろいろな詳細な点につきましては、相続税評価の適正化に伴う負担調整という全体的な観点が論議の中心点になるというふうに想像されまして、大臣からもただいまちょっと付言されましたように、課税最低限の引き上げでございますとか、あるいは税率区分をどうするかといったようなところが論議の中心になるだろうという気がいたします。
  168. 中井洽

    ○中井委員 もう一点確認をさせていただきます。  前回国会で、これまた土地税制の変更の中で、長期所有の土地から減価償却資産への買いかえ特例というものが廃止をされることになりました。来年一年間は特例措置等が残っているわけでありますが、この法案審議に際しましても私どもは、これをなくしたのでは中小企業の経営者が意欲をなくすんだということで、いろいろと他の政党あるいは政府に申し上げてまいりました。当時の橋本大蔵大臣の方から、「来年度以降の税制改正におきまして、中小企業対策として具体的な御要望が出てまいりましたなら検討させていただく」、こういう前向きの御答弁をいただいております。  今、政府内部でそれぞれ議論が行われておって、そして、中小企業に対する特別の措置をという形で提案があるやに聞いております。これらの議論がどういう形になっておるのか、お知らせをいただきます。
  169. 濱本英輔

    濱本政府委員 お答え申し上げます。  長期の保有土地等から減価償却資産への買いかえ特例につきましては、平成三年度の税制改正におきまして、将来の設備投資資金に充てますために余分に土地を取得しましてその値上がり益を期待するといった行為を助長する弊害が見られるのではないかという指摘がございまして、これを受けて廃止をされるということになりました。先生指摘のとおりでございます。  一方、さきの通常国会におきまして先生から、買いかえ特例の廃止によって中小企業設備投資の意欲がそがれるのではないかという御質問がございまして、これに対しまして橋本前大蔵大臣より、「御指摘のような問題につきましては、来年度以降の税制改正におきまして、中小企業対策として具体的な御要望が出てまいりましたなら検討させていただきたいと思っております。」との答弁がなされたところでございます。  中小企業対策として、中小企業設備投資のための要望としてどのようなものが出ているのかというお尋ねかと存じますけれども、中小企業絡みの要望というのはいろいろございます。いろいろございまして、現在その要望が税制度として適切に仕組めるのか、あるいは、その制度として仕組んだ場合に他の事業者に不公平にならないか、そういった点につきまして内容を検討しておりますちょうど最中でございます。ここでまだそれにつきまして御報告するような段階に至っておりませんことをお許しいただきたいと存じます。
  170. 中井洽

    ○中井委員 漏れ承りますと、なかなか大蔵省の壁が厚いということのようであります。土地については、もういろいろ私どもはおっしゃることもよくわかります。しかし、中小企業者が代々と事業を継続していく、そして、これだけ技術革新の激しいときに設備投資をやり人手対策をやって、そして事業を続けてきたからこそ今日の日本経済の繁栄があったと私は思います。私どもの地元でも、昨今、中小企業の方々が、人が集まらない、もっと楽にもうかる方法があるということでどんどん廃業していく、この傾向が見られております。その中で、辛うじて代々持っておった土地を処分することによって、そして特例があることによって税金が少なくなって、そして新しい土地で新しい機械を買って何とか事業を続けていく、こういう方々の意欲で中小企業は支えられておる、私はそのように判断をいたしております。  そういった人たちがこれからも頑張って日本経済の基礎として存続ができるようにいい知恵を出していただきたい、このことを強く要望して、質問を終わります。
  171. 太田誠一

    太田委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後三時八分散会