運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-11-22 第122回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月二十二日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 武藤 山治君    理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君    理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君       甘利  明君    新井 将敬君       井奥 貞雄君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    久野統一郎君       小坂 憲次君    佐藤 守良君       斉藤斗志二君    塩谷  立君       田辺 広雄君    高橋 一郎君       谷川 和穗君    仲村 正治君       鳩山由紀夫君    増田 敏男君       大畠 章宏君    沖田 正人君       加藤 繁秋君    木間  章君       小岩井 清君    渋谷  修君       鈴木  久君    安田  範君       吉田 和子君    権藤 恒夫君       渡部 一郎君    小沢 和秋君       川端 達夫君    阿部 昭吾君       江田 五月君  出席国務大臣         通商産業大臣  渡部 恒三君  出席政府委員         通商産業大臣官 内藤 正久君         房長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業大臣官 中田 哲雄君         房審議官         通商産業省立地 鈴木 英夫君         公害局長         通商産業省生活 堤  富男君         産業局長         工業技術院長  石原 舜三君  委員外出席者         文部省高等教育 工藤 智規君         局大学課長         文部省高等教育 若林  元君         局専門教育課長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十二日  辞任           補欠選任   岩屋  毅君       井奥 貞雄君   梶山 静六君       高橋 一郎君   佐藤 信二君       鳩山由紀夫君   中山 太郎君       塩谷  立君   仲村 正治君       久野統一郎君   武藤 嘉文君       小坂 憲次君   小岩井 清君       沖田 正人君   水田  稔君       木間  章君   江田 五月君       阿部 昭吾君 同日  辞任           補欠選任   井奥 貞雄君       岩屋  毅君   久野統一郎君       仲村 正治君   小坂 憲次君       武藤 嘉文君   塩谷  立君       中山 太郎君   高橋 一郎君       梶山 静六君   鳩山由紀夫君       佐藤 信二君   沖田 正人君       小岩井 清君   木間  章君       水田  稔君   阿部 昭吾君       江田 五月君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一号)      ――――◇―――――
  2. 武藤山治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本拓君。
  3. 山本拓

    山本(拓)委員 山本拓でございます。  きょうは、高圧ガス取締法の一部を改正する法律案に関連して質問をさせていただきます。  まず初めに、久方ぶりの大物大臣であられる渡部大臣お尋ねをいたします。  近年の高圧ガス事故発生というのは、中長期的には減少傾向にあるわけですけれども、なぜかことしだけはと申しますか、本年だけは十月末現在で七十九件ということで、昨年の一年間の実績を上回っているわけでございます。  大臣就任早々ではありますが、この問題についてどのように取り組んでいかれ、そして基本的に高圧ガス保安行政の進め方についてどのような考え方と決意を持っておられるのか、お尋ねをいたします。
  4. 渡部恒三

    渡部国務大臣 高圧ガスによる事故件数は、昭和四十年代後半にピークに達した後、順調に減少してきたのでありますけれども、今山本先生指摘のとおりに、近年下げどまり傾向にございまして、特に御指摘の本年の事故件数は、十月末現在で七十九件と昨年の実績を残念ながら既に上回ってしまっております。これらの事故の中には、特殊材料ガス利用増大など高圧ガス利用分野拡大に伴う事故に加え、事業者保安に関する意識の低さに起因するものが多数含まれております。こうした状況にかんがみ、また先般の大阪大学におけるモノシランガス爆発事故を踏まえ、今般高圧ガスによる事故の根絶を目指して、高圧ガス取締法改正案提出させていただいたところでございます。  通産省としては、事業者保安レベルの向上を図っていくために、各都道府県保安担当部門と密接な連携を図りながら高圧ガス取締法の厳正な運用を行うとともに、事業所における保安活動を促進し、高圧ガス利用実態に即したきめの細かな保安対策等を進めて、御指摘のような先生の御心配をなくするように精いっぱい努力してまいりたいと思います。
  5. 山本拓

    山本(拓)委員 今お話がございましたとおり、近年モノシラン等の特に危険な性質を有する特殊高圧ガスと言われる消費が物すごいわけですけれども、ここで具体的に四点ばかり立て続けにお尋ねをいたしますが、このモノシランガスですか、私も全然知らんかったといってしゃれを言ったらおかしなものですが、特殊高圧ガスによる事故発生状況はどのようになっているのか。先日大阪大学爆発事故がありましたけれども、それ以外にどのようなことが現実的にあったのかということと、そしてこれまで通産省としてどのように取り組んでこられて、そして先ほども申し上げましたが、大阪大学におけるモノシラン爆発事故実態ですね、その概要、そしてそれに対して通産省がどのような対応をとられたのか、さらには今後通産省としていかなる対策をとっていくのか、具体的な手順なども教えていただきたいと思います。
  6. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点でございます。これまでモノシラン等特殊材料ガス、これはいわゆる金属水素化物等ガス化物でございますけれども、これによります事故は、本年十月二日の死者二名、負傷者五名を伴った大阪大学事故を加えまして、昭和五十七年に初めて事故発生して以来十年間で十二件の事故発生しております。特に平成元年以降、特殊材料ガス消費が非常に拡大をしておりまして、例えばモノシランでありますとこの四年間で四十八トンから八十二トンというふうに拡大をしております。急速に伸びております。これに伴いまして事故も急増してきておりまして、先ほど申し上げました十二件の事故のうち八件、死者三名の全部、負傷者十七名のうちの十名がこの三年間に集中をしておるというような状況になっております。  これに対しまして、第二点のこれまでどのように取り組んできたかという御指摘でございますが、この特殊材料ガスによります事故は、昭和五十七年の十月に宮崎で初めて火災事故が起こりまして、それを契機にいたしまして、私ども高圧ガス保安協会委員会を設置いたしまして、特殊高圧ガス製造販売貯蔵消費、それから移動等に関します自主基準を検討し、昭和六十年の八月に特殊材料ガス自主基準が作成されたわけでございます。私どもは、この自主基準関係者への周知徹底都道府県に対しまして通達するとともに、関係団体に対しましても、販売店から関係者周知徹底させるというようなことで指導してまいったわけでございます。  三点目の大阪大学におきます事故でございますけれども、御承知のように、十月二日大阪大学電気工学科教室におきまして、学生が半導体の研究のための実験をしておりましたところ、突然爆発発生いたしまして、二人のとうとい若い学生さんの命が奪われたということでございます。その後の調査によりまして、これまで、この教室の中にありますシリンダーキャビネット、いわゆる容器収容庫でございますけれども、そこにありましたシランガス容器爆発していることが判明しておりまして、何らかの原因でこのシランガス爆発したというふうに考えられておるわけでございます。私どもといたしましては、事故発生後直ちに近畿通産局及び大阪府の担当職員を現地に派遣をいたしますとともに、高圧ガス保安協会の中に大阪大学事故調査委員会を設置いたしまして、事故原因の究明に当たっておるところでございます。また同時に、全国の都道府県に対しまして、管内の大学とか研究機関に対する立入検査の実施関係者に対する自主基準周知徹底を再度指示しておるところでございます。  第四点目、今後私どもといたしましては、今回の法律改正によりまして、モノシランあるいはジボラン、アルシン等の七種類特殊材料ガス消費する者に届け出義務を課すとともに、これによりまして消費施設技術基準維持義務でありますとか、保安教育実施義務でありますとか、取扱主任者選任義務、さらには定期自主検査実施義務を新たに課してまいりたいと考えております。また、消費行為のほか製造移動貯蔵行為につきましても、特殊材料ガスの危険な物性に着目をいたしまして、政令技術基準強化してまいりたいというふうに考ておる次第でございます。
  7. 山本拓

    山本(拓)委員 特殊高圧ガス高圧ガスといいますと、最近私たちが非常に身近に使っていますのは、スキューバダイビングガスなんかもその一つなんですが、そういう意味から考えますと物すごく消費が増加しているわけで、消費者保護対策が望まれるわけですが、ただ一つここで気がかりなのは、高圧ガス販売業者というのは意外と中小企業が多いのですね。だから義務づけ義務づけは非常にいいことだと思うのですが、ただそこで行政配慮していただきたいのは、余り零細な販売業者に重荷にならないように配慮をしていただきたいなと思うわけですが、そういう点、今後どのような配慮と申しますかお考えがあるのか、その点についていま一度たださせていただきたいと思います。
  8. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のとおり、最近スキューバダイビング用圧縮空気につきましては、現在ダイビング人口が推定で三十万人、年間五万人のペースで増加しておるというふうに言われておりまして、また片一方で在宅酸素療法用酸素消費につきましても、現在その使用件数が四千件ぐらいございまして、最近五年間で四倍に増加いたしました。こういう高圧ガス消費する一般消費者は、高圧ガスの安全な取り扱いに関する知識を必ずしも十分持っていないということから、今後このような安全な取り扱いに関します。知徹底が十分行われなければ、消費件数増大に伴ってまた今後事故増大する可能性があるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  具体的には、このスキューバダイビング用圧縮空気につきましては、ボンベが非常に過酷な条件のもとで使われるということでございますので、ボンベ管理点検には十分な注意が必要であります。また、在宅酸素療法用酸素につきましても、支燃性ガスでありますために、使用しておりますとき、あるいは親の容器から子容器に充てんをしますときに、火気に十分注意をする必要があるということでございまして、こういうことにつきまして、消費者に対して周知徹底をすることが必要であろうかと考えております。  先生指摘のように、今回の改正におきまして、消費者に対して必要な事項周知させる義務を、今度は販売業者に課すことになるわけでございますけれども、従来からこの高圧ガス消費にかかわる保安につきましては、高圧ガス専門家であります販売業者が一定の役割を果たすことが期待されているわけでございまして、この措置は従来からの役割を一歩進めて法律に明記をしようということでございます。したがいまして、周知内容につきましても、これまで販売業者消費者に対して指導してまいりました内容とほぼ同じでございまして、販売業者にとって過重な負担にはならないものというふうに考えております。具体的には年に一回程度書面を交付し、あるいは販売の都度、口頭でこれを補足していただくということでございますので、確かに販売業者の中には零細な企業の方もおられるわけですけれども、十分対応していただけるものと私ども考えております。
  9. 山本拓

    山本(拓)委員 こういう規制はただ強化していくだけでは不十分であることは言うまでもないわけで、事業者自身による保安活動徹底すること、いわゆる自主保安重要性をいま一度考えなくてはならないと思います。そこで改めまして自主保安現状強化策についてお尋ねを申し上げます。  そしてもう一つ、最後に、規制というのは今までもいろいろありますので、さらに規制規制というとむだな規制がダブっできますので、規制合理化も必要だと思うわけですが、そういう規制合理化していくこともあわせてお考えがありましたらお尋ねをさしていただきたいと思います。
  10. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 第一点目でございますけれども、この保安確保は、先生指摘のように自主保安といいますか事業者の自主的な活動が非常に大事であるというふうに考えております。したがいまして、私ども従来から高圧ガスにかかわる保安確保のため、高圧ガス取締法運用に加えまして、事業者による自主的な保安活動指導でありますとか、あるいは保安関連技術開発の推進をすることでありますとか、あるいは高圧ガス危害予防週間実施いたしますとか、そういう手段を講じまして高圧ガス保安協会あるいは事業者団体を通じまして事業所における自主保安活動の促進に努めてまいったところでございます。しかしながら、事業者の中には作業の際の注意事項従業員に十分知らせなかったり、あるいは保安教育を十分行っていなかったりといったようなことで保安のための取り組みが必ずしも十分ではないと見られる者もあるわけでございます。このため、今回の法改正におきましては、第一種製造業者に対しまして都道府県知事危害予防規程の遵守あるいは保安教育実施を命令または勧告できることといたしているわけでございます。また、これとあわせまして高圧ガス保安協会におきましても、単に技術的な事項にとどまらず、自主保安体制を促進しますために事業所内保安の全般について調査でありますとか研究指導等を行えるようにしたいと考えておるわけでございます。さらに、これらの趣旨を踏まえまして、もちろん各都道府県におきましても、事業所内保安活動徹底指導するとともに、高圧ガス保安協会を中心とした活動強化を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  さらに、規制合理化との関係でございます。高圧ガス取締法規制は、高圧ガスによる保安確保のために必要な規制として制定されて運用されてきたものでございますけれども、御指摘のように制定後の環境変化によりましていろいろ技術進歩でありますとかあるいは国際情勢変化というようなことが起こっております。したがいまして、ある意味実態とやや乖離したかな、不適切な規制となっているものもあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。このため今回の改正では、必要な規制強化に加えまして、輸入手続簡素化でありますとか安全性の高い設備にかかわる規制の変更でありますとか、あるいは保安上支障のない範囲で規制合理化するというようなことを盛り込ませていただいておるわけでございます。今後とも高圧ガスを取り巻く環境変化に適切に対応をいたしますため、私ども高圧ガス取締法規制が適切かつ合理的なものとなりますように配慮してまいりたいというふうに考えております。
  11. 山本拓

    山本(拓)委員 どうもありがとうございました。これで聞かしていただきたいことはすべてお答えいただきましたので、これで終わります。
  12. 武藤山治

    武藤委員長 次に、小岩井清君。
  13. 小岩井清

    小岩井委員 それでは質問をさせていただきたいと思いますが、最初に第二十四条の二の関係について伺いたいというふうに思います。  これに現在の法定ガスが六種類載っておりますね。これについて数量規模別としてあるわけでありますけれども、この点について消費段階事故の態様について、どんな内容事故があったのかということを具体的に伺いたいというふうに思います。  それからさらに、未規制ガス規制をされていないガス、それから、法定ガスの中に含まれますけれどもLPG液化石油ガス、この事故についても伺いたいというふうに思います。
  14. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のように、第二十四条の二に六種類ガスが従来の特定高圧ガスということで特定されておりますけれども、この関係事故状況でございますが、昭和六十一年から平成二年までの五年間で事故が百九十六件発生しております。それで、そのうち八十件が特定高圧ガスにかかわるものでございまして、九十六件はアセチレンにかかわるものであります。それ以外の高圧ガスにかかわるものは二十件にとどまっておるわけでございます。  さらに、特定高圧ガスすそ切り以下の事業所のうち、LPガスでございますが、この液化石油ガスにかかわる事故は五十二件発生しております。  これらの事故は、多くは、コックの締まりを十分確認していなかったといったような極めて単純なミスによる事故であるというふうに私どもは分析をしておるわけでございます。
  15. 小岩井清

    小岩井委員 全体で百九十六件、特定高圧ガスが八十件、アセチレンが九十六件、その他二十件ということ、LPG事故は五十二件、数字間違いありませんね。  これは先ほど質問申し上げましたけれども、ここの六種類法定ガスの中に数量、要するに例えば圧縮水素の場合に容積三百立米とかあるわけですね。これ以上とこれ以下の区分した事故内容について伺いたいと思います。
  16. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘の、数量によります基準法定されておるわけでございますけれども先ほども申し上げましたように、八十件のこの六種類特定高圧ガス事故のうち、すそ切り以下といいますか法定されております量以下の事業所におきます事故は七十四件でございます。またこのうち、先ほどLPGの五十二件と申し上げましたのは、このすそ切り以下での事故七十四件のうちの五十二件がLPガス液化石油ガスによるものであるということでございます。
  17. 小岩井清

    小岩井委員 法定で六種類の中ですそ切り以下が七十四件ですね。全体の八十件のうち七十四件。すそ切り以上が六件しかないわけですね。六件しかない。それで、そのうちLPGについての事故が五十二件ですから、大部分占めているわけですね。ということは、このすそ切りの数字について、要するに事故と照らし合わせて、現状に合わないんじゃないですか、どうですか。
  18. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 まず第一に、当時特定ガスに量的な基準を設けました理由は、大量のこういったガス工業消費によりまして大規模災害を想定して法定をしたというふうに私ども理解をしております。特に、昭和三十九年に液化塩素ガスで五百三十三名の方が被害を受けられるというような事故もございまして、四十年に特定高圧ガスにこういうものを指定したというような経緯がございます。  御指摘のように、この八十件のうち七十四件がすそ切り以下で発生しておりますけれども、これらの多くは、負傷者が一人あるいは二人程度の比較的小規模事故にとどまっておるわけでございます。さらに、この中で多いLPガスでございますけれども、今回LPガスにつきましては、販売者周知徹底義務を課すことによりまして事故減少を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 小岩井清

    小岩井委員 七十四件、これはすそ切り以下だけれども事故小規模事故だということですね。ただ、事故であることは間違いないですね。とすれば、この基準は既に現状に合わないというふうに考えられませんか。基準の見直しの必要性についてどうお考えになりますか。
  20. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先ほど申し上げましたように、現行の六種類特定高圧ガス消費規制につきましては、消費事業者におきます大規模災害発生防止することを目的として規制をしておりまして、その消費実態一般消費者に類似しております小規模すそ切り以下のもの、あるいはそのすそ切り以下のものにかかわります事故実態というようなことを考えますと、私ども必ずしもその特定高圧ガス消費者としての規制にはなじまないのではないかというふうに考えておりまして、むしろ、先ほど御説明申し上げましたように、事故の多いLPガス等につきましては、販売者周知義務、こういうことによりまして対応していくのが適切ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  21. 小岩井清

    小岩井委員 販売者周知義務だけで事故はなくなりますか。それと、この法律改正案も含めて、内容含めて、基準を変更できるような措置の条項はないですよね、ありますか、どうですか。
  22. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 特に基準を変更するといった点については考えておりません。
  23. 小岩井清

    小岩井委員 この点については、六種類法定ガスについての基準現状に当てはまらない、この点だけ御指摘申し上げておきます。したがって、将来検討していただきたいと思います。  次に伺いますけれども、今回の政令指定をすると言われている特定高圧ガス、これについての具体的な基準、選ぶ基準、これについて伺いたい。  今回、七品目というふうに言われているのですけれども、七品目の名前も挙げていただきたい。
  24. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 特殊材料ガスとして七種類指定を予定しておるわけでございますけれども、この七種類特殊材料ガスとして指定いたしますこととしましたのは、これらのガスが、ほかの高圧ガスとしての危険性に加えまして、自然発火性でありますとかあるいは自己分解性あるいは強い毒性といった危険な物性を有しておりまして、また近年、先ほど申し上げましたが消費量が急増しておるということもございまして、事故防止のための対策が必要であると考えて私ども指定をすることにしたわけでございます。
  25. 小岩井清

    小岩井委員 七品目指定をするということでありますけれども特殊材料ガスの表を見せていただいておりますけれども、実は、高圧ガス保安協会で出している特殊材料ガス災害防止自主基準の中に出ております、三十七あるのですか、これだけある中で、シリコン系で六品目砒素系で五品目燐系で六品目硼素系で四品日、金属水素化物で五品目ハロゲン化物で九品目金属アルキル化物で二品目あるわけですね。これだけある中でこの七品目だけ選んできたということですね。特殊材料ガスについては、それ以外の品目の中で、毒性の高いものもあるでしょうし、あるいは爆発性の強いものもあるでしょうし、あるいは発火性のものもあるでしょうし、この必要最低限の七品目に絞ったという理由が明確でないのですね。この点について、伺いたい。
  26. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘のように、三十七種類ガス高圧ガス保安協会自主基準に取り上げられておるわけでございますけれども、この三十七種類のうち、今回指定いたします七種類以外、つまり三十種類については、大きく分けて三つに分類できるというふうに考えております。  第一は、今回指定いたしますがスと同様に、同程度自然発火性あるいは自己分解性毒性といった特別の性質を持っているガスがございまして、例えばテルル化水素、スチビン、これらはいずれも自己分解性がございます。このようなものにつきましては、今のところ消費実態がございませんので、今回この七種類には挙げなかったわけでございます。  それから、第二に、残りますもののうちで、自然発火性とか自己分解性あるいは強い毒性といった特別の性質を持たないものがございまして、例えば、四弗化珪素でありますとか五弗化砒素でありますとか、たくさんのものがございますけれども、そういうガスにつきましては、ほかの一般高圧ガスと同様に、特定高圧ガス消費の対象ということではなくて、消費技術基準のみを課すことでこれに対応していけるのではないかというふうに考えた次第でございます。  さらに、残ります幾つかのガスの中には、圧力の高くないものが存在しておりまして、これらはそもそも高圧ガス取締法の対象となりませんものですから、これらにつきましては、他の法令による規制のほか、自主基準による保安に私どもは期待をしたいというふうに考えている次第でございます。
  27. 小岩井清

    小岩井委員 三十七品目ですね。今回指定するのは七品目。三十品目については自主規制に期待をしたいという答弁ですね。  ただ、今回の法改正の中身を見てみますと、政令指定をすることになっていますから追加指定は十分可能ですね。今回必要最低限、七品目をやった。将来追加指定をする可能性はもちろんあるだろうと思うのですけれども、その点について、どうですか。
  28. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のとおり、ただいまお願いをいたしております改正法案では、この特殊材料ガスにつきまして特定高圧ガスの対象として政令指定ができる仕組みを盛り込ませていただいております。したがいまして、将来消費実態が生じて、かつ自然発火性とかあるいは自己分解性、強い毒性といった特別の性質を持って危険であるというようなガスが新たに使われるようになりました場合には、速やかに政令改正することによりまして特定高圧ガスの対象とすることを検討してまいりたいと考えております。
  29. 小岩井清

    小岩井委員 前向きの答弁だというふうに理解をいたします。  先ほど質問にもございましたけれども、高圧にかかわる事故についての件数は最近ふえていますね。平成三年度、現在は七十九件と先ほど言いましたか、二年度から見るともう既に九件ふえているのですね。あと消費先の事故件数、これもふえていますね。そのうちアセチレン事故がかなりふえていますね。この点についてどう把握をして、要因はどこにあるかということを承りたいと思います。
  30. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のように、近年高圧ガス消費にかかわります事故件数が、やや下げどまりといいますか、かって四十年代の後半には百三十件を超える災害がございまして、それが最近では七十件程度に落ちついてきておったわけでございますが、元年には七十六件、平成二年に七十件、本年十月末で既に七十九件ということでございます。その中で、特に溶接・溶断用アセチレンガス事故を見てみますと、元年に二十二件、平成二年に十六件、本年十月までに三十件という状況になっておるわけでございます。  ただ、私ども、このアセチレン消費事故をいろいろ分析をしてみますと、設備の不備というよりは、むしろ操作上の不備といいますか初歩的なミスによるものが多いというふうに考えておりまして、消費に対するいろいろな注意事項周知徹底を図ることによってこのアセチレンガス事故も何とか減らしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  31. 小岩井清

    小岩井委員 周知徹底させることによって事故を減らしていきたいということでありますが、もちろんそのとおりだと思うのですけれども、一覧表を見させていただいておりますと、昭和六十一年が二十件、六十二年十三件、六十三年十九件、元年が二十二件、二年が十六件、ということは、まだことしの末まで日にちがありますけれども、要するに今までで最高を記録しているというふうに見ていいのですか、これは。周知徹底だけで事故減少させていくことができるのだろうかなというふうに、もっとほかの要因があるのかなというふうに思うのですけれども、いただいた数字で今までで最高を記録しているということになりますね、どうですか。
  32. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この三十件は、まことに残念ながら一番多い件数である、最高であるというふうに私どもも見ております。この周知徹底事故が本当に減っていくのかという御指摘でございますけれども、私ども実は、LPガスにつきましては、一般消費者に対して販売業者からの周知徹底義務昭和五十四年に課したわけでございます。その結果、五十六年にLPガス災害が七百十四件ありましたのが、もちろんそれだけの理由ではございませんけれども、年々減少いたしまして、平成二年は二百六十九件という災害にまで減少してきた。この間に三分の一弱に減少したわけでございます。もちろんこれは周知徹底義務のほかに、いろいろ設備の問題等の高圧ガス保安協会を中心にいたします販売業者と一体となった努力が実ってきたのだろうというふうに考えておりまして、私ども、そういった意味で、このアセチレンにつきましても、消費者周知徹底を行うことによって自主的な保安ということを浸透させて事故の撲滅に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 小岩井清

    小岩井委員 今後、事故の撲滅のための努力に期待をいたしておきたいと思います。  次に移ります。  高圧ガス消費先における保安対策、第十四条の二の関係について伺いたいと思います。  これは販売業者等に周知義務を課すわけですけれども、ここで、省令に定める予定の高圧ガス基準について伺いたい。それから、省令指定の四品目以外に指定が必要な高圧ガスはないのか、これだけにとどめるのか、この点についても承っておきたいというふうに思います。
  34. 中田哲雄

    ○中田政府委員 販売業者周知義務の対象といたしましては、スキューバダイビング用圧縮空気在宅酸素療法用酸素並びに溶接・溶断用アセチレン、工業用液化石油ガスの四種類を今考えているわけでございますが、この指定基準といたしましては、一つは、当該ガスの使用者が多数に上りまして災害が現に多発していること、あるいはその可能性があることというのが第一でございます。それから第二に、一般消費者または保安の知識レベルがそれに準ずるような消費者が使用しておりまして、保安上必要な知識の欠如が事故原因になっている、そのようなものを指定していきたいというふうに考えているところでございます。  なお、これら四品目以外にもこの基準に合致するような消費実態が生じた場合には、逐次追加の必要性について検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  35. 小岩井清

    小岩井委員 四品目は、今スキューバ用空気ボンベと言いましたか、それから在宅療法用液化酸素アセチレン、工業用LPガス、この四品目と言いましたね。逐次必要に応じて追加をするということですけれども、今度この四品目ということに予定されているわけですけれども、やるならば、逐次と言わずに、周知義務を課さなきゃいけないと思われるものについては最初から指定したらどうかというふうに思うのですけれども、これはどうですか。
  36. 中田哲雄

    ○中田政府委員 現時点での消費実態からいたしますと、当面規定をしていかなきゃならないという品目はないわけでございますけれども、私ども消費の動きを注意深く見守りながら、必要に応じて機動的に指定をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  37. 小岩井清

    小岩井委員 ちょっと明確さを欠いている答弁で不十分だと思いますけれども、次に移ります。  販売業者は、消費者に対する災害防止上必要な事項周知させるとありますね。これは具体的な内容はどんなことを考えているのですか。それから、これは予防効果を期待をするわけでありますけれども、それだけで、今考えているものだけで期待できるのかどうかなという、若干疑問があるのですけれども、どうですか。     〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕
  38. 中田哲雄

    ○中田政府委員 販売業者周知義務にかかわります。知の内容でございますけれども消費いたします高圧ガス種類あるいは消費の態様に応じまして、消費設備の管理、点検に関して注意すべき事項、あるいは消費する場所の環境に関する事項、緊急時にとるべき措置に関する事項などを周知させるようにいたしたいというふうに考えているわけでございます。  例えば、スキューバダイビング用圧縮空気につきましては、ボンベが非常に過酷な環境下で使われるわけでございますので、ボンベの管理、点検に十分に注意をするようにといったようなことでございますとか、あるいは在宅酸素療法用酸素につきましては、使用時やあるいは親容器から子容器への充てん時に火気には十分注意する必要があるというようなこと、また、先ほど指摘のございましたアセチレンにつきましては、過去の事故例からいたしまして、容器のバルブ開閉時の火気の取り扱いでございますとか消火器等の備えつけ、あるいはゴムホースや火花や材料が接触しないようにするというようなこと等の注意をするというようなことによりまして、相当大きな保安確保に役に立つだろうというふうに思っておるわけでございます。
  39. 小岩井清

    小岩井委員 保安確保の役に立つという、かなり自信があるようですね。その点期待をいたしておきたいと思います。  この法改正の中で、販売業者等がその周知義務を怠った場合についてのことが法改正の中に入っていますね。都道府県知事は当該販売業者等に対して勧告ができることとする、勧告に従わなかった場合にはその旨を公表することができるということになっていますね。勧告と公表だけでこの予防の効果が上がるのかどうか。どういうふうにお考えですか。
  40. 中田哲雄

    ○中田政府委員 委員指摘のとおり、仮に販売業者周知義務を果たさない場合には、都道府県知事による勧告を受け、それにも従わない者につきましてはその旨を公表するということになっておるわけでございますけれども、この販売事業者は、一般的にそれぞれの地域に密着しながら営業活動をやっているわけでございます。このような地域に密着している販売業者にとりまして、その勧告を受けた、あるいはそれが公表されるということは非常に大きな影響を与えるわけでございまして、罰則と同等以上の効果があるだろうというふうに私どもは見ているところでございます。     〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 小岩井清

    小岩井委員 勧告をし公表することで大きな効果が上がる、罰則以上の、というふうにおっしゃったけれども、これはこの法律じゃないのですけれども、証券取引に関して、公正取引についての罰則規定がないということで、おとといこの場で取り上げたことがあるのですよ。やはり抑止するというのですか、予防するということについては、要するに勧告し公表し罰するのが目的じゃないんだ、周知義務徹底させるのが目的なんだということになれば、これはきちんと罰則を含めて法改正をしておいた方がこの法律の効果は上がるというふうに私は思うのですよ。その点とうなんですか。
  42. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この周知義務でございますけれども、私どもやはり、保安というのは自主保安というのが一つございますし、それから、販売業者の方々の努力というものも非常に期待をしております。一例を申し上げますと、ただいま全国にLPガス消費者、これが二千三百万世帯ぐらいあるのでございますけれども、そういう一般消費者のところで事故が多いということで、これに何とか最近開発されましたマイコンメーターというものをつけようということで、実はこれは販売業者の方々を通じまして、大変な御努力をいただきまして、この数年で設備設置率が五〇%になる、非常に山の奥深いような消費者のところまで販売業者がお回りになってそういう安全器具をつけるというような努力をしておられまして、私ども、この間そういう販売業者の表彰をさせていただきましたが、そのときに皆さんのお話をお伺いしましても、この販売という、営業に直接結びつくといいますか、自分の利益に直接結びつかないけれども、しかしこれは保安が大事だということで、消費者に対しましていろいろな努力をしておられるという実態がございます。  したがいまして、もちろんその罰則を科すというのも一つの方法かもしれませんけれども、私どもは、そういう販売業者の方々の、ある意味では企業の社会貢献といいますか、そういう熱意から出たそういう保安に対する取り組みというのを何とかエンカレッジしていくといいますか奨励をしていきたいというふうに考えておりまして、この場合罰則はございませんけれども、そういった意味で効果が上がるものと期待をしておるわけでございます。
  43. 小岩井清

    小岩井委員 勧告と公表だけで効果が上がるという答弁ですね。不十分ではないかということを申し上げておきます。  この中で、四品目の中で在宅酸素療法用圧縮酸素、それからスキューバダイビング用圧縮空気ですね。これは事故実態、どういう事故が具体的にあったのか、この点についてお伺いします。
  44. 中田哲雄

    ○中田政府委員 最近五年間の事故状況を見ますると、スキューバ用の圧縮空気につきましては幸いにして事故発生しておりません。  また在宅酸素療法用酸素事故昭和六十三年十一月に一件発生しておりますけれども、これは在宅酸素療法中にたばこを吸おうとしてライターに火をつけたところ、衣類等が焼け負傷したというものでございます。
  45. 小岩井清

    小岩井委員 たばこを吸ってやけどをしたということですけれども、これは療法を受けている人ですか、それとも取り扱いをやっている人ですか。
  46. 中田哲雄

    ○中田政府委員 療法を受けている方でございます。
  47. 小岩井清

    小岩井委員 これについての、取り扱いについての周知、療法を受けている人に対する周知を怠っていたということですか。それともこれは不注意なんですか。
  48. 中田哲雄

    ○中田政府委員 必ずしも明確ではございませんけれども、やはりその取り扱いについての知識が欠けていたということではなかろうかと推測しております。
  49. 小岩井清

    小岩井委員 その点についてはわかりました。  続いて伺いますが、事業者が行う保安活動強化、第二十六条、二十七条の関係について伺います。  これについては、保安規定の遵守の状況、教育の実施状況の把握、これはどういうふうにやるのか、実務上どういうふうにやっていくのか、この点伺います。
  50. 中田哲雄

    ○中田政府委員 危害予防規程の遵守、実行につきまして、これを遵守、実行していなかったという例が事故事例中にたくさん見られるわけでございまして、製造に係る事業所におきます事故の半数以上は、主たる事故発生原因がこの危害予防規程の不遵守、不実行であるというふうに見られているところでございます。
  51. 小岩井清

    小岩井委員 そういう状況は把握しているんですね。把握しているというふうに――どうです。
  52. 中田哲雄

    ○中田政府委員 危害予防規程の遵守状況につきましては、都道府県が随時立入検査を実施しておりまして、この際に把握をしているところでございまして、これからもさらにその把握に力を入れていくようにしたいと思っておるところでございます。
  53. 小岩井清

    小岩井委員 そのための監督体制ですが、把握していくように指導するということですね。監督体制は十分なんですか。
  54. 中田哲雄

    ○中田政府委員 今後の監督体制につきましては、都道府県が行います立入検査の内容の充実、あるいは保安検査のうち定型化しております部分を今般民間機関に行わせるといったようなことを含めまして重点的な保安行政体制の確立に努めていきたい。その過程で、この危害予防規程の遵守状況の把握、遵守の指導、これらをさらに充実させていきたいと考えているところでございます。
  55. 小岩井清

    小岩井委員 次に移りますが、第五十九条の二と五十九条二十八の関係高圧ガス保安協会の業務範囲の拡大で、高圧ガス保安協会の目的及び業務のうち、調査研究及び指導並びに情報の収集及び提供については技術的な事項に限定しないということで業務範囲を拡大をするということになりますね。その内容理由について伺います。
  56. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 高圧ガス保安協会の業務範囲でございますけれども高圧ガスによる事故の根絶のためには個々の事業所におきます保安活動徹底というのがやはり基本であろう、かつ不可欠であろうというふうに私ども考えております。そのためにはやはり事業所におきます保安管理体制の整備でありますとか、あるいは経営者の方々がこの保安問題に対して高い意識を持っていただく、あるいは事業所内保安のための広報活動を行ったり、小集団活動を行ったり、こういうこともやっていかなければいけないだろうというふうに考えておるわけでございます。  もちろんこういうのは今までもやられておりますけれども、ただ、従来この法律の規定によりますと、少なくとも高圧ガス保安協会の業務といたしましてはこういった活動につきまして必ずしもカバーされておりませんで、協会は技術的なことについて指導、情報収集等を行うこととされておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたようないろいろな面で、今後は高圧ガス保安協会もソフトな面でのコンサルティングといいますか、そういうものにも十分寄与する必要があるということを考えておりまして、したがいまして「技術的」という言葉を外しまして、もう少し広く業務が行われるようにしたいというふうに考えておるわけでございます。  具体的にこの協会にやってもらいます事業につきましては、例えば事業所内保安管理体制、人事管理といった面でのコンサルティングでありますとか、経営者の保安意識向上のための経営者の交流会あるいは経営者研修といったようなものでありますが、あるいは事業所内におきます広報活動あるいは小集団活動等に関します従業員の研修でありますとか、そういう広い観点からの保安に関する業務を行わせることといたしたいと考えている次第であります。
  57. 小岩井清

    小岩井委員 高圧ガス保安協会の業務範囲の拡大内容について今御答弁いただいてわかりましたが、法改正の作業をするに当たって、これは相手のあることですから、通産省高圧ガス保安協会との間には十分協議が進んでこの法律案を提案されているというふうに見ていいのですか。
  58. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘のとおり、協会サイドとは十分意見の打ち合わせを行っております。
  59. 小岩井清

    小岩井委員 その点についてはわかりました。  続いて伺いますが、容器証明書の廃止で、第四十五条の関係ですね。ここで容器証明書制度を廃止して、刻印可能なすべての容器について刻印制度を適用する。刻印することが困難な容器については刻印にかわる標章による表示制度を設けるとありますね。それで、これまで証明書に記載された内容はどこで確認するのか、型式認証制度について、この点について、見通しについても伺いたいと思います。
  60. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 結論を申しますと、これまで容器証明書に記載されていました事項、そのほとんどが刻印で表示されることになります。例えば、容器の記号でありますとか、あるいは番号でありますとか、充てんガス種類でありますとか最高充てん圧力でありますとか容器製造者の名前でありますとか、あるいは材質、内容積あるいは質量といったようなものが刻印で表示されることになるわけでございますけれども、ただ一点、過去の耐圧試験結果の数値につきましては、従来容器証明書に記載をしておりましたけれども、これは刻印ではなかなか難しいといいますか、刻印ではカバーできない部分でございます。ただ、これは過去の耐圧試験結果の数値につきましては、これまで検査方法が非常に手動といいますか、マニュアル、人的にやっていた結果、こういう検査結果を容器証明書に記載しておく必要があるというふうに判断をしておったわけでございますけれども、最近は検査機器の精度が非常に向上いたしまして、こういうものをつけなくても十分保安確保できるということで、この点を除きまして刻印制度に移行したいというふうに考えておるわけでございます。  それから、容器認証制度導入の見通しの御質問でございますけれども、私ども基本的に高圧ガス容器というのは、高圧ガスが充てんされた状態で国内を転々と流通するものでございまして、万が一にも欠陥のあるものが流通してはならないというふうに考えるわけでございます。一方、現在の容器製造技術では、たとえ型式が同じでありましても、溶接容器につきましては溶接の過程でばらつきが発生しますとか、あるいは継ぎ目なしの容器につきましては底部の鍛接工程、こういったものでばらつきが生じるということで、常に一定の品質を保つということがある意味では難しい製品でございます。このため、近年でも容器検査によって不合格となるものが発生しておりまして、この数もかなりに上っておるわけでございます。そういった意味では、現在においても第三者による全数検査を受けさせまして、万全の体制をとっておく必要があるというふうに判断をいたしまして、今回容器認証制度導入ということは考えないということにいたしたわけでございます。
  61. 小岩井清

    小岩井委員 考え方はわかりました。  続いて伺いますが、指定保安検査機関の導入で第三十五条、第五十八条の十八の関係ですね、各種指定検査機関ということになっているわけですけれども、これはこれまでこの制度を利用されていない理由について伺いたいと思います。
  62. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 従来、この検査の定型化というのがなかなか難しいというような事情もございましたし、あるいは必ずしも民間のこういう機関が育っていなかったということもあろうかと思いますけれども、そういったことで従来は本制度を置いていなかったわけでございます。
  63. 小岩井清

    小岩井委員 これは「今後の高圧ガス保安行政の基本的方向」ですね、平成三年六月十日に出ている。その後に十一月七日に出ている「今後の高圧ガス保安対策の在り方」、答申ですね。それで今度法律になっていますね。この面についてはこの段階でそれぞれ内容が変わってきているのではないですか。報告では都道府県ごとに指定保安機関をつくるということになっていませんか。法律内容と違いますね。どうですか。
  64. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この答申との関係でございますけれども指定保安検査機関制度につきましては、民間検査機関を活用するための道を開くということは重要でありますけれども、まず既存の民間機関の活用から始めるのが適当ではないかという観点から、審議会の答申の中には述べられておりましたけれども、今回は既存機関を活用しようということでお願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 小岩井清

    小岩井委員 今回、既存機関を活用するということですね。これは小規模機関の乱立になるおそれがある、経営基盤からも広い地域をカバーするような機関を育成すべきだというふうに思うのですね。この点についてはどうですか、懇談会報告の方がいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  66. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 失礼申し上げました。先ほど答申と申し上げましたが、懇談会報告の誤りでございますので、訂正させていただきたいと思います。  この指定保安検査機関でございますけれども、私ども基本的に近年この特定施設にかかわります保安検査が定型化が進んでおる、そういったことで保安検査に際して都道府県行政的判断が必ずしも必要ではないのではないかというものが出てきているということも事実でございます。そういうことでありますし、かつ、都道府県の事務の中で保安検査にかかわる事務量が非常に増大してきておるというようなことで、都道府県の中ではこれが他の業務の妨げになっているということもあります。そんなことから何とか指定保安検査機関を活用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、小規模なものが指定されますと非常に中立性といったような点で問題がありますとか、いろいろな問題がございます。私ども指定保安検査機関の指定につきましては、公益法人のうちで通産省令で定める検査員とか検査設備を十分に有しているかどうか、あるいは検査能力が十分担保されているかどうかというようなことを確定をいたしまして指定をしてまいりたいと考えておりますし、かつ、検査員に公務員と同様の守秘義務を課すこと等により中立性を担保することとしたいと思っておるわけでございます。そういった意味で、ただいま都道府県の中には都道府県所管の高圧ガス関連公益法人でありますところの都道府県高圧ガス保安協会とか、都道府県LPガス協会でありますとかLPガスの認定調査機関等がございますけれども、そういうものから厳選をいたしまして指定保安検査機関の認定をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  67. 小岩井清

    小岩井委員 私は、むしろ都道府県でやるべきではないかと思うのですね。第三者機関に移していくということについて問題はないのかなというふうに思うのですよ。これは行革なりあるいは民間活力を導入する、そういう考え方でやっているのでしょうけれども、この点についてはどうなんでしょうか。
  68. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先ほど申し上げましたように、この指定機関につきましては、一つは検査の内容がかなり定型的になってきているものもございまして、そういった意味では都道府県の持っておられます力をむしろそういう定型的な検査よりも、より指導的な監督あるいは保安検査その他のことに振り向けていただきたいというようなこともございまして、もちろん都道府県でやっていただくのが望ましいということもございますでしょうけれども、片っ方でやはり民間活力を活用いたしまして、行財政改革の趣旨にも沿うといったようなことで、先ほど申し上げました通産省令の基準に合うものであれはこれを活用してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  69. 小岩井清

    小岩井委員 その場合、先ほど答弁ありましたけれども、中立的検査機関としてのあり方、活用は可能ですか。そういう行政指導、きちっとできますか。
  70. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先ほど申し上げましたように、もし指定保安検査機関を指定いたしますとしますれば、検査員に公務員と同様の守秘義務等を課すことによりまして中立性を保っていきたいというふうに考えております。かつ、やはりこの保安の問題といいますのは、それに携わる方の熱意、これによって保安が担保されるといいますか、いやしくも人命にかかわりますような保安に関して中立的立場を損なうような検査員がおられるとは私ども想定をしておりませんで、やはり人命尊重の立場から、指定された暁には中立的な立場でやっていただけるものと信じている次第でございます。
  71. 小岩井清

    小岩井委員 それでは、この法律昭和二十六年に制定されているものですね。この二十六年以降、第一種製造者と第二種製造者の境界となる処理量三十立米ですか、これは現在でも変更されていませんね。現在の経済規模と比較してどうですか。どう考えますか。
  72. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 三十立米の規定につきましては変更いたしておりません。先生指摘のように、経済規模が変わっておりますけれども、やはり保安の問題に関しましては経済規模がたとえ大きくなろうとも、あるいは小さくなろうとも、一定の設備に対していろいろな義務を課していくということが大事であろうと考えておりますので、今のところこの三十立米という方向で進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  73. 小岩井清

    小岩井委員 これは将来検討課題だというふうに御指摘申し上げておきます。  最後になりますが、大阪大学事故シランガス爆発事故について伺いますが、事故原因、きっちり特定をして解明されているのかどうか、これについて伺います。
  74. 若林元

    ○若林説明員 御説明申し上げます。  初めに、大阪大学基礎工学部におきまして爆発事故発生し、死傷者を出しましたことはまことに遺憾でございまして、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方に心からお見舞いを申し上げます。  先生指摘事故原因でございますが、現在警察署、消防署等において調査中でございます。さらに、大学におきましても事故原因調査専門委員会を設けて調査をいたしているところでございます。
  75. 小岩井清

    小岩井委員 まだ調査中ですか。ということは、大学研究機関の、これは大阪大学だけじゃなくてどこの大学もそうなんでしょうけれども研究機関保安体制というか、あるいは施設設備、こういうものが不十分じゃないか、そういうことから来る原因もあるのじゃないかというふうに思うのですよ。これはどうですか。
  76. 若林元

    ○若林説明員 御説明申し上げます。  大学におきます今先生指摘のようないわゆる危険物の取り扱いでございますが、これは今回御審議いただいておりますこの高圧ガス取締法を初め関係法令を遵守して取り扱われているものと承知をいたしております。今回問題になりましたシランガス等について、一番よくこれを使用しております国立大学の工学関係学部について調査いたしましたところ、三十一学部、五三%でございますが、保有をしておるという状況でございます。その保管状況取り扱い状況でございますが、これはボンベ専用のボックスに保管し、さらにチェーンロックをして保管する、さらには換気扇装置を設置し、ガス漏れ警報器を設置するなどして保管しているというのが一般の状況でございます。
  77. 小岩井清

    小岩井委員 どちらかというと大学についての研究機関に対する施策については十分じゃないというふうにずっと指摘されていますね。ですからこれは予算上の問題もあると思うのですね。この点についてどうかということを伺っておきたいわけでありますし、それから取扱主任者、これは一殻高圧ガス保安規則第七十九条にありますけれども、これに照らしてどういう人を想定して、あるいはどういう人がなっているのか、これも伺っておきたい。  予算上の問題についてはこれは大臣に承っておきたいというふうに思いますけれども、さらに大臣には、先ほど不十分な点を全部指摘をしてきましたから、指摘をしたことを全部挙げるとは申し上げません。指摘をしたことを含めて、この法律が成立して以降の施行についての決意について大臣にひとつ承っておきたいというふうに思います。
  78. 工藤智規

    ○工藤説明員 お答え申し上げます。  大学における安全管理あるいは保安体制はどうなっているかということでございますが、国立大学におきましては教職員について人事院規則に基づきますほか、文部省健康安全管理規程というのを定めておりまして、安全管理者の設置あるいは安全管理規程の作成、安全教育の実施、各種安全管理のための委員会の設置等を行っているところでございます。これまで、先ほど専門教育課長が申し上げましたように、既に指定されております高圧ガスにつきましては、その安全管理につきまして法令の規定に基づきまして適宜適切を期しているところでございますが、先生指摘のようにその背景として予算措置等教育、研究環境の問題があるのではないかということでございますが、大阪大学の案件につきましてはただいま関係当局におきまして原因究明中でございますのでコメントを差し控えさせていただきますが、ただ、御案内のように国立大学の施設を含む教育、研究環境の悪化につきましては私どもも憂慮しているところでございまして、来年度概算要求におきまして、特に限られた財源の中ではございますけれども、施設整備を重点的に行うなど努力してまいりたいと思っている所存でございます。
  79. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先ほど先生から御指摘がありました取扱主任者の件でございますけれども取扱主任者の業務は、特定高圧ガス消費にかかわる保安に関する業務を管理することにございます。一般的に言いまして、この法体系から言いますと、学生でありましても取扱主任者の資格要件を満たす者もいると考えられますけれども大学において学生保安に関する業務を責任を持って管理する立場にはないというようなことから、取扱主任者には教授とかあるいは助教授等大学側から選任をしていただきたいというふうに考えている次第でございます。  また、大学が最近半導体の研究というようなことで、ああいった特殊材料ガスを使うような状況に非常になってきておるわけでございますけれども、私ども先ほど申し上げましたようにただいま都道府県に、大学関係特殊材料ガスを使用している研究室等に対する立入検査をしてもらいまして、いろいろな実態の把握に努めております。事は人命にかかわる問題でございますので、早急な改善が必要であろうと考えまして、文部省さんとも十分相談をしながらこのための対応を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  80. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今回の改正は、近年の事故発生状況、特に高圧ガス利用分野拡大等を踏まえて、事故の根絶のために所要な制度改正を行おうとしておるものでございます。今後改正法の施行においては、ただいまの先生の御指摘等を十分に念頭に置きまして、対象機種の実態を踏まえたきめ細かな対策を講ずることによって高圧ガス保安確保に万全を期してまいりたいと存じます。
  81. 小岩井清

    小岩井委員 ありがとうございました。終わります。
  82. 武藤山治

    武藤委員長 大畠章宏君。
  83. 大畠章宏

    ○大畠委員 日本社会党の大畠章宏でございます。  この今回の高圧ガス取締法の一部を改正する法律案質疑に入る前に、一つ大臣にお伺いを申し上げたいと思います。  それは現在進行中のガット・ウルグアイ・ラウンドにおける課題でございますけれども、今アメリカの方では、いろいろお伺いしますと、レコードレンタルの全面禁止を前提とした主張をいろいろしてきている、そういう状況を聞いているわけであります。これまで日本に同調していたECもこのアメリカ案に賛成といいますか理解を示しているというような情報も入っているわけでありますが、大臣御存じのとおり、今、日本の独特の流通形態として出現したレンタル業、これはいろいろな論争を呼んでおりますけれども、現在では、レコードあるいはCDを含めて有力な流通システムとして定着して、年間百億円にも及ぶ著作権使用料の支払い等が発生しているというのも実態でございます。  そういう中で、このレコードレンタル業というのは、ドイツ以外では諸外国に例がないということから国際的な風当たりも強くて、今いろいろそういう意味でアメリカがガット・ウルグアイ・ラウンドの中に含めてきているということでありますが、昨日参議院の方の文教委員会におきまして我が党の同僚議員が質問したところ、文部大臣から、大臣も御案内のとおり、レンタル制度を維持していくという立場を明らかにしたということでありますが、通産大臣としてこのレコード等のレンタル業、大変重要な課題でございますので、どういう姿勢でこのウルグアイ・ラウンドに臨まれようとしているのか、決意をお伺いしたいと思います。
  84. 渡部恒三

    渡部国務大臣 レコードレンタル権問題で、アメリカは我が国の報酬請求権に伴ったレンタル権制度自体に強く反発しており、TRIP、知的所有権に関する交渉でございますが、この場所で、排他的貸与許諾権のみを規定すべく、依然強硬に残念ながら主張をしております。先般来日したヒルズ代表からもそのような趣旨のお話がございました。  しかし、先生指摘のように、我が国はレンタル店が約六千店も存在する等の実態があり、これは通産省としても報酬請求権を伴った制度が必要である、こういう基本的立場に立って、アメリカと、その他関係国と今後粘り強い交渉を続けてまいりたいと存じます。
  85. 大畠章宏

    ○大畠委員 昨日の文部大臣の方でもそういう意向を示しておりますので、通産大臣としても、今お話がありましたように六千軒に及ぶそういう仕事をしている人がいるわけでありますから、そういうことの実態を踏まえて、ぜひその方向で力強く取り組んでいただきたいということをまず要望申し上げたいと思います。  それでは次に、本題であります高圧ガス取締法改正案に対する質疑をしてまいりたいと思います。  ただいま、同僚であります小岩井議員からもいろいろ質疑がされました。そういうことで、重複を避けながら、こういう質疑を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。  今いろいろ質疑の中でお伺いいたしましたけれども昭和二十六年に制定されたこの高圧ガス取締法も、いろいろと時代とともに取り扱う量が急増して、地域社会や国民生活に広く浸透して、この高圧ガス保安行政を取り巻く情勢も大きく変わってきたということが先ほど説明がありました。また、昭和五十年の改正がこの高圧ガス取締法の最後の改定でありまして、その後、高圧ガスに対する一般消費者の知識不十分等のためのいわゆる取り扱いミスの事故が多く発生しているというようなことがございました。この改正案が提案された背景ですとかあるいは事故の最近の状況、あるいは事故原因調査分析等についてお伺いをしようと思いましたけれども先ほど既に同僚の小岩井議員の方からいろいろと質問をし、関係局の方から答弁がございましたので割愛をしたいと思いますけれども、いずれにしても、ここ数年間に非常に高圧ガス取り扱いミス等による事故が多くなってきているというのは事実だと思います。  それから、いろいろ原因調査等もしておられるそうでありますけれども、いずれにしても、今回のこの法律改正のスタートポイントになったのは大阪大学の実験室でのガス事故だと思いますが、そういうものを踏まえて、いろいろ先ほどの御答弁も踏まえて考えますと、今回の法改正というのは、特殊高圧ガス消費についての事故防止一つですね、二つ目が高圧ガスの一般消費先での事故防止、三点目が、幅広く産業界で使用されているアセチレンガスLPガスに伴う事故防止、それから四点目がガス事業者保安活動強化、そして五点目が、技術の向上並びに安全性の向上に伴う規制簡素化合理化と理解してよろしいでしょうか。まずお伺いしたいと思います。
  86. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のように、最近の高圧ガス事故下げどまり傾向、あるいは特殊材料ガスといった新しいタイプのガスが産業界あるいは大学研究所で使われ始めだというような時代背景を受けまして、私ども、この特殊材料ガス対策、あるいは、先生もおっしゃいました高圧ガス消費先における保安対策、あるいは、事業者が行います保安活動強化、さらには、高圧ガス保安協会の業務範囲の拡大等を中心にいたしまして、保安確保を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  さらに、一言加えさせていただきますと、時代の変化とともに、技術の進歩あるいは国際的な環境条件の変化等もございますので、一部高圧ガス輸入手続簡素化でありますとか、あるいは安全性の高い高圧ガス設備にかかわる規制の緩和でありますとか、あるいは容器証明書の廃止でありますとか、そういった合理化も回らせていただきたいというのが今回法改正を御提案申し上げております背景でございます。
  87. 大畠章宏

    ○大畠委員 今回の法案提出の背景並びに状況等についていろいろ御回答があったわけでありますが、端的に申し上げまして、今回の法改正大阪大学での事故等の再発防止はできると考えておられますか。
  88. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 大阪大学発生いたしました事故は、まだ原因究明が必ずしも十分なされておりませんけれどもモノシラン爆発によるものというふうに現段階では推定をされておるわけでございます。  それで、今回の法律改正によりまして、私どもモノシランでありますとかジボランあるいはアルシン等の七種類の特種材料ガス消費する者に届け出義務を課す、それとともに消費施設技術基準維持義務でありますとか、あるいは保安教育実施義務取扱主任者選任義務、それから定期自主検査実施義務、こういうものを課すことにいたしております。  これらの措置によりまして、事業者、つまり大学も含めてでありますけれども保安確保上必要な消費施設を用いることが義務づけられますし、また、定期自主検査実施義務づけられることになりまして、施設が安全に維持されることになるのではないかというふうに期待しておるわけでございます。  さらに、こうしたハードな面以外に、取扱責任者の選任でありますとか、あるいは従業員に対します保安教育義務づけられるということになりますので、保安上必要な知識を持つ者が施設を取り扱うことになります。加えて、都道府県へこういう消費についての届け出を義務づけるということによりまして、今度は都道府県サイドでも、事業者技術基準の遵守の状況でありますとか自主検査の実施状況でありますとか、あるいは保安教育実施状況について、立入検査等の実施によりまして実態を的確に把握できることになりますので、所要の指導を行うことが可能になるというふうに考えております。  以上のような法改正によりまして、私ども大阪大学発生したような事故の再発防止に万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  89. 大畠章宏

    ○大畠委員 今、大阪大学ガス爆発事故については、その原因がまだ調査中であるので明確に言えないけれどもというお話がありましたけれども、そうなりますと、この大阪大学事故原因分析をして、この法案ではカバーし切れないような内容が万一あった場合には、そのときはどういうふうにされますか。
  90. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この大阪大学のような新しいガスによります事故につきましては、具体的には技術基準、これは省令で定めることになっておりまして、この省令の中で事故原因を十分踏まえて対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  91. 大畠章宏

    ○大畠委員 この技術基準並びに省令等で十分対応可能だろうというお話でありますけれども、大変悲惨な事故発生しまして日本の将来を担う学生が二人亡くなりましたし、そういう意味では、ほかにもガス事故で亡くなっている方がたくさんおられますので、できる限り再発防止といいますか、同じような事故で人命が損なわれない、そういう観点から、通産省としてもぜひしっかりとこの事故原因を分析して対応策を練っていただきたいと思います。
  92. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今政府委員から説明がありましたけれども、まさに人の命は地球より重いのでありますから、このような事故で人命が殺傷せられるというようなことがあってはならないことでありますから、先生の今の御指摘を十分に踏まえて、この法案を通していただき、また、これを施行するに当たっては、今の先生の御注意を十二分に念頭に置きながら、このような事故が二度とないように全力を尽くして頑張ってまいりたいと思います。
  93. 大畠章宏

    ○大畠委員 それから、そういう意味でちょっと何点かお伺いしたいと思うのですけれども、いろいろガス事故がありますが、ガス危険性というものを大まかに分けると何種類あるのでしょうか。注意しなければならないガス種類であります。
  94. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 今回問題になっております特殊材料ガス危険性の区分でございますけれども、私ども、大きく分けまして三つほどあるというふうに考えております。  第一に、特殊材料ガス自然発火性でございます。自然発火性と申しますのは、空気その他の支燃性のガスとこの問題のガスが接触しました場合に、たとえ発火源がなくても、マッチとかそういう火がなくても発火あるいは爆発するといったような性質をいっておりまして、モノシランでありますとかジシランでありますとか、あるいはホスフィン、こういうものがこの性質を有しているわけでございます。  第二番目の分類は、自己分解性でございまして、この特殊材料ガスは、一般的に言いますと、金属分と水素が化合いたしましてでき上がっておるガス体でございますけれども、この物質の化合が非常に不安定でありまして、圧力上昇、温度上昇等によりましてみずからが分解をする、こういうものがございます。分解をいたしますと、それに伴って発熱が生じますので、さらにこの発熱によって急激に膨張をする、こういった自己分解性を持っているものがございます。これの例といたしましては、例えばジボランでありますとかモノゲルマン、こういったものがこの自己分解性を持っておるわけでございます。  それから、最後の三つ目の分類でございますけれども、強い毒性を有しているものがございます。代表的な毒性ガスであります塩素と比べましても約十倍といった極めて強い毒性を持つものがございまして、その例には、アルシンあるいはセレン化水素等が挙げられるわけでございます。
  95. 大畠章宏

    ○大畠委員 わかりました。  今回のこの法改正の中に、容器内容等を示す添付資料といいますか保証書といいますか、そういう紙をなくして、容器そのものに刻印をするという話でございます。その内容も、先ほど答弁の中からお伺いしますと、ガス種類ですとかナンバーですとか圧力、製造者、材質、耐圧試験ですね。耐圧試験の内容についてはその刻印が難しいというお話がありましたけれども、いずれにしてもこの中には今おっしゃったような危険性というものを表示するものがないのですが、私は、どうせ刻印をするならば、例えば今お話がありました自然発火ですとか自己分解、毒性、せめてそういうものは表示しておけば――私も工学部を出ていますが、モノシランガスというのは、この委員会でこの法案が出されるまで私は知りませんでした。したがって、恥ずかしいことかもしれないけれどもモノシランガスということが容器に表示されていたとしても果たして何人の人が、これは自然発火性ガスなんだ、したがってこれは取り扱い注意しなきゃと思うか。いや、そうじゃない、そういう特殊なガスを扱う人は既にそういうガス危険性を十分知っている人しか扱わないのだと言うかもしれないけれども、私は、こういう事故対策というときには、なるべく、全く一般の人が携わったとしても、よりその危険性に気づくような対応策をとるのが事故対策じゃないかなと思うのですが、そういう点で、この事故を契機として、この対策案としてこの法改正をするならば、せめて今おっしゃった三つの、自己発火性ガスです、あるいは自己分解性ガスです、あるいは毒性です、あるいは二つだけでも、毒性の強いガスあるいは爆発性の強いガスとか、そういう一般の素人の方でもその容器の表示を見れば注意することができるような対応策をなぜこの刻印の中に入れなかったのか、それについてお伺いしたいと思います。
  96. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この容器でございますけれども、私ども、一般的には、特にこの特殊材料ガスが使われます現場といいますのは、半導体産業、いわゆる先進産業でありますとかあるいは最高学府であります大学等、極めてこういうことに対して知識の豊富な方がお使いになる場合が多いのではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、もちろんこの容器に必要な表示をすることは非常に大事なことでございます。  この容器の表示につきましては、最初に容器検査を行った段階に容器検査を行った者が行う表示と、それから今度は、容器検査に合格しました後、所有者が行う表示と二つに分けられるわけでございまして、容器検査を行った場合には刻印制度によって、先ほど申し上げました合格の記号でありますとか実施者の符号でありますとか充てんガス種類でありますとか、その他所要のことを刻印をするわけでございます。その後、容器検査に合格した後に所有者が行います表示といたしまして、ガス種類ごとにボンベを塗色いたしますとか、あるいは充てんするガスの名称を書き込む、あるいは所定のガスにつきましては「燃」という字、これは燃えますよという字、あるいは「毒」、これは毒性がありますよという字を書かせることにいたすことによって、そのような間違いが起こらないようにしてまいるということでございます。
  97. 大畠章宏

    ○大畠委員 そうすると、刻印の種類の中には入っていませんけれども、そういう毒性が強いもの、あるいは可燃性といいますか自己発火性自己分解性、そういうものについては、今お話がありましたとおり、「毒」とかあるいは自然発火性とか、一般の人が見てもわかるような塗装といいますか、文字を記入するという、そういう規定がどこかに入るということですか。
  98. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 これは従来からも実は行わせておりまして、そういう意味でこのボンベのところに、ちょっと私基準を失念いたしましたが、かなり大きな字でそういう表示をするということになっております。
  99. 大畠章宏

    ○大畠委員 わかりました。タンクローリーとかなんかでは、確かにマル危とかなんかそういう記号がありますが、ぜひそういう、一般の人が見ても、そのボンベを見ればどういうものか、危ないものかどうかがわかるような表示をしていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。  それから、そういう方向がされればいいと思うのですが、今、こういう特殊なボンベ等を取り扱うところにはそういうものについてよく知識を持った人が入るんだという話でありましたけれども、最近の大学等では、工学部の建屋の中に文学部の人も入ってきますし、いろいろな人が入ってくるのですね。そういうことから考えますと、余りそのガス等を取り扱うのは専門家だけなんだという想定のもとにこの法案等を考えていきますと抜けができると思うのです。したがって、工学部の部屋にも文学部の女性の方も来るでしょうし、またその反対の状況もあるでしょうし、そういう意味では、ぜひ一般の人が見てもわかるような表示、そういう表示でもってこの事故の再発防止を図るんだという姿勢で、今後、省令ですとかそういう基準等については考えていただきたいということもあわせて要望しておきたいと思います。  それから、容器の耐用年数等については今の刻印等の中には入っていなかったような感じがするのですが、この容器の耐用年数の基準ですとか確認はどういうふうな形でやるつもりか、お伺いしたいと思います
  100. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 容器の耐用年数の御指摘でございますけれども、結論から申し上げまして、実は容器の耐用年数は決めておりません。これは、容器の扱われ方でありますとかあるいはガス種類等によって、容器が使用不能になる時期がそれぞれ異なるということでございますので、一律になかなか決められないということでございます。  それじゃ安全が担保できるのか、こういうことでございますけれども、私ども、耐用年数にかわるものといたしまして、容器再検査というのを定期的に行っておりまして、これによって容器安全性を確認しております。もちろん、容器再検査に合格をしなければ、それはもう容器として使えないわけでございますので、そういうことによって実質的に劣化した容器が使われないような措置を講じておる次第でございます。
  101. 大畠章宏

    ○大畠委員 わかりました。  それから、ちょっと話が戻るのですが、先ほど容器に表示をする、ちょっとその表示の方法については失念をしておるという話なんですが、十二時二十分まで質問を続けていますので、その間に、どういう表示をするのか、それをちょっと調べておいていただけますか。例えば、先ほどの自己発火性自己分解性毒性、そういうような形の、果たして一般の人が見てわかるような表示なのかどうか、それを確認したいと思うのです。
  102. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 大変失礼をいたしました。先ほど申し上げましたように、可燃性のものは「燃」あるいは毒性のものは「毒」という表示が義務づけられているわけでございますけれども、これらの表示は容器の見えやすい箇所に、縦横五センチメートル以上の文字によって表示をするということになっておりまして、私ども消費者にとってわかりやすい表示になっているものと認識をしております。
  103. 大畠章宏

    ○大畠委員 それは容器に直接プリントされるのですね。
  104. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 さようでございます。
  105. 大畠章宏

    ○大畠委員 それから、今回モノシランガス等が、これは特定高圧ガスの認定をされるわけでありますが、そうなりますと、第二十八条において取扱主任者の設置をしなきゃいかぬということでございます。先ほど小岩井委員の方からもこの取扱主任者の話が出ましたけれども、例えば教授ですとか助教授ですとか、大学側の人を認定したいというような話がありましたけれども、この取扱主任者というものの定義はどういう定義なんでしょうか。ただその研究室の教授は取扱主任者だとかそういうふうな形でしてしまうのか。どういう基準取扱主任者というものを認定するのか。取扱主任者とする法案の中の定義は何ですか、それを教えていただけますか。
  106. 中田哲雄

    ○中田政府委員 特定高圧ガス取扱主任者は、大学等において理学もしくは工学に関する課程を履修した者または高圧ガス保安協会が行う講習の課程を修了した者にあっては取り扱う高圧ガスにつき半年以上の経験を有している人、その他の者にありましては、取り扱う高圧ガスにつき一年以上の経験が必要であるということになっているわけでございます。
  107. 大畠章宏

    ○大畠委員 これは従来からある定義かもしれませんけれども、今回の事故にかんがみて、そういう基準でいいのかどうかも含めてぜひ御検討いただきたいと思います。本当に再発防止という観点から、もう一回そういう定義でいいかどうか、それは要望にしておきますが、ぜひ検討をしていただきたいと思います。  それから、今回の特定高圧ガスの認定に伴いまして幾つかの義務が課せられるわけでありますが、例えば今のお話のように、取扱主任者の設置ですとか、そういうのがあるのですが、果たしてそういう今回の法案のベースに本当にそういう体制がとられているかどうか。それをどの部署がどういう方法で点検をするといいますかチェックをするのか、フォローアップをするのか。  それと、その対象箇所というのは今どのくらいの箇所数なのか、それをあわせてお伺いしたいと思います。
  108. 中田哲雄

    ○中田政府委員 特殊材料ガス規制の遵守状況の確認でございますけれども、これにつきましては、まず特殊材料ガス消費の届け出というものが都道府県知事に出されるわけでございます。これによりまして、実態、実数が確認される、その上に都道府県知事行政指導といいましょうか検査等も行って遵守状況を確認するということになるわけでございます。  この遵守状況を確認する対象でございますけれども、現時点での想定ではおよそれ百件ほどの消費実態があるだろうというふうに見ているわけでございます。
  109. 大畠章宏

    ○大畠委員 私が質問させていただいたのは、まあ九百件はわかりました、それから都道府県というのもわかりましたけれども、その都道府県の担当者がそうすると九百件をずっと点検に回るのですか。例えば一年三百六十五日とすると、一人でやるとしたら、一日に二カ所ぐらいずつ全部点検して、ちゃんと取扱主任が入っている、あるいはそういう詳細な規則等についても、設備等についてもきちっとやっているとか、そういう点検はどういう形でされるのか、あるいは新たに人を県として雇わなければならないのか、そこら辺は実態はどうですか。
  110. 中田哲雄

    ○中田政府委員 実質的には、届け出をいただきまして、この届け出の概要を審査させていただくわけでございますけれども、その内容いかんによりまして巡回して指導をしていくということになろうと思います。これは都道府県の能力と現実に都道府県内におきます各種の事業者の数とのバランスということもあろうかと思いますけれども、年に一回ぐらいの立入検査を行うということになろうかと思っております。
  111. 大畠章宏

    ○大畠委員 そうすると、各都道府県がその立入検査等を実施するということですね。そうなりますと、例えば、私も前県会議員をやっていましたけれども、県の方のコストが今度はふえるわけですね。そこら辺の県に対する助成といいますか、新たにそういう仕事がふえるわけですから、例えばまた同じ職員の中でやれというと、今いろいろ労働時間の問題も出ていますが、いずれにしてもそういう予算措置を伴った形でこれは実施されようとしていますか、それをお伺いしたい。
  112. 中田哲雄

    ○中田政府委員 私どもこれまでのところ都道府県からお伺いしている範囲では、現在の体制で何とかこなしていく、経過措置が若干ございますが、そのようなふうに承っております。
  113. 大畠章宏

    ○大畠委員 公式に通産省から問い合わせがあれば、そういう答えをもう往々にしてしなければならないという状況なんじゃないですかね。実際は担当者の方は、またこれは仕事がふえる、人が来るのかな、いややっぱり今の中でとにかくやるんだと言われたら、これはやらざるを得ないかもしれないけれども、そういう人的な予算措置、いわゆる本当に、先ほどの原点に返りますと、高圧ガスをベースとした事故が起こった、したがってその事故をどうやったら再発防止ができるだろうかという観点から今回の法案改正が行われたと思うのですが、そうならば実効あるものにさせなければならぬですね、理論的に正しくてもそれが実際に行われなければ再発防止になりませんから。そうなってくると、実際に九百件というところを各県が担当してチェックに回らなければならない。そうなるとやはりお金がかかるのですね。それを今の中でやっておけよというのでは、これはやはり現在の担当の方にとってはより仕事量がふえる。現在の仕事を持っておりますから、やはり現在の仕事を中心として片手間にやるということになってくるのじゃないですかね。そういう点では、現在の中でやっておけというのではなくて、きちっと予算措置もすべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  114. 中田哲雄

    ○中田政府委員 御指摘の予算措置につきましては従来から高圧ガス取締法に基づきます手数料収入と、それからまた事務の増大も含めました国からの地方交付税交付金といったようなことで都道府県の一般財源でやっていただいておるわけでございますが、委員指摘のとおり、事務量の増大というものにつきましては私どもも非常に合理化を進めていかなければならないというふうに思っているわけでございます。今般の改正法でも各種手続の簡素合理化等も含まれているわけでございますけれども、これにとどまらず、省令段階まで含めましてこの都道府県の事務の合理化、手数を軽減して災害防止のために本当に大事なところにこのエネルギー、パワーというものが向けられるような手当てをしていきたいというふうに考えております。
  115. 大畠章宏

    ○大畠委員 これは事故対策事故対策でやらなければならないのですが、その一方では、日本全体として何とか年間千八百時間の労働時間に短縮しようとして動いておりますので、そういうものも念頭に置きながら、どういう形で、その千八百時間の労働時間短縮も、そしてこの事故対策もどうするか、そういうことを念頭に置いて実際の現場といいますか担当の方が困らないように配慮しながら、予算措置等も含めてぜひお願いしたいということを要望しておきたいと思います。  次に、ちょっとここで、この特殊高圧ガス消費先での事故としての大阪大学事故がベースとしてこの法案の提出時期が早まったと聞いていますが、ちょっと文部省の方にこの問題についてお伺いしたいと思います。たしか文部省の工藤さんもお見えになっていますね。  一つは、先ほど小岩井さんの方からもありましたけれども、今回の事故の再発防止策をどういうふうに考え、どういうふうな指示を出したのか、先ほどちょっと、全国にそういう指示を出したということでありますが、その状況と、それからもう一つ、この法案が通った場合に大学としてはどういう実際の行動をしようとしているのか。例えば取扱主任者ですとか、あるいはいろいろな装置等の点検ですとかなんかもしなければなりませんけれども、お金的な、予算的な裏づけのある行動がとられようとしているのか、そこら辺の受け入れ体制をお伺いしたいと思います。
  116. 工藤智規

    ○工藤説明員 お答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げたところでございますけれども、今回の事故以前から私ども大学における安全管理につきましては指導してまいったところでございますが、悲惨な事故を教訓にいたしまして、改めまして各関係の学部長会議、さらには先般国立大学長全員がお集まりの会議もございましたし、事務局長が全員お集まりの会議もございましたので、そういう会議で改めて各大学における全学的な安全確保、安全点検についてさらに徹底を図りますようお願いを申し上げたところでございます。  ただ、残念なことにといいましょうか、大阪大学事故につきましては、目下原因究明中でございますので、その再発防止のためにいかなる手段がさらに必要なのかどうかということの細部につきましては、まだ不明な部分もあるわけでございますけれども、今回の法案が成立いたしますと、これまでの特定高圧ガス取り扱いと同様のような安全管理の規程にのっとりました体制整備を図りますほかに、さらに実際にどのような措置を講ずればいいのか、原因究明を待ちながら必要な措置を講ずるつもりでございます。  ただ、私ども若干懸念しておりますのは、先生も御指摘のように、大学は特にそうでございますが、大学以外の研究機関におきましても、教育、研究というのはある程度研究者等の自発性に基づきまして自由な形で、できるだけ制約のない形で行われることが望ましい部分もあるわけでございますので、余り危険防止ということが前面に出まして教育、研究活動が萎縮するといいましょうか、そういう教育、研究の発展の上で阻害のあるようなことになっては困るなという部分の他方にございますので、その辺の兼ね合いを考えながら、実際にどういう手当てを、あるいは通産省でお決めになる省令等の細かい規定の上でどういうふうな指針をつくっていただくか、大学通産省とも御連絡、御協議いたしながら適切を期してまいりたいと思っているところでございます。
  117. 大畠章宏

    ○大畠委員 確かに余り自由度を阻害すると研究も非常に制約を受けるというのはわかるわけでありますが、いずれにしても、この学生二人の御両親にとっては、とにかく自分の息子が事故で亡くなったという意味では、非常に悲しい事故であるけれども、二度とそういう事故を起こしてほしくないというのがやはり御両親の今の気持ちだと思うのです。そういう意味からすると、確かに研究の自由度を阻害してはいかぬですけれども、人の命が亡くなっているわけでありますから、そういう意味で、文部省の方としてもいうい兼ね合いがあるでしょうけれども、とにかく徹底した再発防止には取り組んでいただきたいなということを御要望申し上げておきたいと思います。  それから、これはこの法案とはちょっとそれますが、今十一月ですから学生さんは卒論の真っ盛りだと思いますが、この亡くなられたあるいは負傷された学生さんそれから周りで一緒に研究して卒論を書いていた、こういう学生の卒業論文ですとかそういうふうなものの配慮というのは今されておりますか。要するに、来年の二月かそこらにはもう卒論を出さなければならないと思うのですが、そこら辺の手厚い救援措置といいますか、それはされているのでしょうか、どうでしょう。
  118. 工藤智規

    ○工藤説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃった趣旨が、先般の大阪大学の事例に見られましたように、大学院生に対して上級生が指導に当たるとかいう形の指導形態が見られているわけでございますが、そういう教育指導をしている上級生等に対する配慮、どのようなものがあるかということかと存じます。  これは御承知のように現在のところ特に制度がございませんので、いわばボランティアとして行われている部分がかなりあるわけでございますが、私ども来年度の概算要求におきまして、正規の助手でございますとか助教授、教授の先生方が指導いたしますのはもちろんそれなりの処遇があるわけでございますが、上級の大学院生が後輩に指導するような場合の手当につきまして、ティーチングアシスタントという制度を新たに設けましてその労に報いるような形の処遇改善を図ってまいりたいと思っているほかに、限られた財政事情ではございますけれども大学院生の奨学金を幾らかなりと上げさせていただくとか、あるいは学術振興会というところで特別研究員という制度ですぐれた若手の研究者に対する支援制度がございますけれども、それの処遇改善をさらに徹底するとか、いろいろな手当てを考えてまいりたいと思っているところでございます。
  119. 大畠章宏

    ○大畠委員 そういうことも新しい制度としてぜひ考えていただきたいと思いますし、また私がちょっと質問した趣旨の二番目になりますけれども、卒論が間近で今までずっと研究していた、その成果をまとめていたのだけれども多分そういうのも全部消失したりなんかしたと思うのですね。そうすると、その方の卒業というのが危うくなるのじゃないか。したがって、そういうことについてもぜひ文部省としても大阪大学の方に、大学の方はもちろんやっているかもしれないけれども、そういうものにも十分配慮した措置といいますか、例えば別な大学の同じような研究室に学生を移して研究を続行させるとか、そういうこともぜひ検討し善処していただきたいということを要望を申し上げたいと思います。  次の質問に入ります。文部省の方は結構でございます。ありがとうございました。  今までのお話は特定高圧ガスについてでありますが、高圧ガス、いわゆるアセチレンガスですとかLPガス、こういうものについての事故防止についてちょっとお伺いしたいと思います。  今回の法改正一般消費者に対して販売者災害防止に必要な事項周知徹底されるということでありますが、これは第十四条の二ですね、これはどういう手段と内容考えておられるのかお伺いしたいと思います。
  120. 中田哲雄

    ○中田政府委員 周知の方法につきましては、販売業者消費者と日常接触しておることでございますので、消費者に対しまして年に一回以上周知内容を記載した書面を直接に手渡していただく、そしてまた口頭でこれを補足していただくというようなことを考えているところでございます。  それから内容につきましては、消費いたします高圧ガス種類消費の態様に応じまして消費設備の管理、点検に関して注意すべき事項あるいは消費する場所の環境に関する事項、緊急時にとるべき措置に関する事項などをその内容としていただきたいというふうに思っております。
  121. 大畠章宏

    ○大畠委員 こっちの方の事故もいろいろ起こっているということでありますから、そっちの方に対する対応についても十分配慮して力を入れてやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、先ほど小岩井議員の質問に対する回答の中で、特に多いのがアセチレンガス等ですとかLPガス事故が多いということでありますが、この原因は、いわゆる人手不足ですとかそういうことから、これまで特殊な技能を持った方がその作業現場の周辺におられたと思うのですけれども、今や外国人の労働者の方ですとか、あるいはそういう知識を持たないでその作業現場の近くで付随する作業をしているとか、そういうことも非常に多くなってきているのじゃないかと思うのです。そういう意味で、このアセチレンガスLPガスの産業界での事故等に対して、この法案をベースとして通産省はどういう指導をしようとしているのか、あるいは多いアセチレンガスLPガス等事故原因分析を、その産業界の方々からの話を聞いてその適切な対応をしようとしているのか、それをあわせてお伺いしたいと思います。
  122. 中田哲雄

    ○中田政府委員 委員指摘のとおり、アセチレン等の事故防止のためには事業者自身がその従業員に対しまして保安上必要な事項徹底するための教育があるというふうに考えておるわけでございまして、この中身につきましては、販売業者周知事項と同様な項目についてぜひ教育をしていただきたいというふうに思っております。  また、現場の声につきましては、これは大いに取り入れて十分工夫をしながら周知義務の具体的内容を決めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  123. 大畠章宏

    ○大畠委員 私もいろいろこれまで事故対策というかそういうのも手がけてきましたけれども、いずれにしても事故というものは、机上で考える以上に現場というもの、あるいはその事故状況というものが多くのことを語っていますので、ぜひ通産省としても、単なる机上の計画、机上の対策案ではなくて、幅広くそういう一般事業者の生の声を聞きながらの事故防止のための対策というものをぜひやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、今度はガス事業者に対する保安活動についてお伺いしたいと思いますが、今回ガス事業者自身保安教育をするという内容でありますが、この保安教育というものの内容はどういうものを考えておられるのでしょうか。
  124. 中田哲雄

    ○中田政府委員 保安教育につきましては、従来から第一種製造者は都道府県知事に届け出た保安教育計画に基づいて従業者に保安教育を施さなければならないということになっておるわけでございますし、また第二種製造者、販売業者特定高圧ガス消費者等もその従業者に対しまして保安教育を施さなければならないということになっております。  この内容でございますけれども、それぞれ取り扱う高圧ガス種類に応じましてこのガス性質、設備の操作方法、高圧ガスを取り扱う際の注意事項、緊急時の対応措置等々をその内容考えているわけであります。
  125. 大畠章宏

    ○大畠委員 わかりました。  それから、先ほどのお話と同様でありますが、このガス事業者がこの法案に基づいて保安教育ですとかそれを実際に実施しているというような状況はどういう形でだれがフォローアップするのですか、それをお伺いしたいと思います。
  126. 中田哲雄

    ○中田政府委員 危害予防規程実施状況と同様でございまして、都道府県におきます担当職員保安検査の際等に行われるということになります。
  127. 大畠章宏

    ○大畠委員 これも先ほどと同じですが、そういう意味ではどうも千八百時間の労働時間短縮はなかなか難しくなってくるなという感じがするのですが、ぜひこういう問題についても、やはり現場の声を聞いて、担当者の声を聞いて、予算措置も含めて検討するように要望しておきたいと思います。  それから、今回の改正法案の第五十六条の七に「公共の安全の維持又は災害発生防止に支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定める設備の製造をする者、」云々という除外規定があるのですが、この「公共の安全の維持又は災害発生防止に支障を及ぼすおそれがないもの」とはどういう内容が、それをお伺いしたいと思います。定義をひとつ。
  128. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま委員指摘指定設備でございますけれども、この制度の対象となります設備は、製造段階で機器の安全性の認定を受けた上で、事業者による定期的な検査が担保されました場合に「公共の安全の維持又は災害発生防止に支障を及ぼすおそれがないもの」であるということで適用になることになっておるところでございます。  そこで、この公共の安全の維持または災害発生防止に支障を及ぼさないということの具体的な内容はどうかということでありますけれども、私ども、以下の五点ぐらいが要件として必要なのかなと今の段階で考えております。  一つは、そういう設備をつくりますときに、工場において全体が一貫して組み立て製造されるようなものであって、現地に持ってきましたときには据えつけ作業のみで済むといったたぐいの設備というのが第一であります。  それから第二番目に、安全確保上重要と思われます部分につきましては耐腐食性の材料でつくられておりまして、かつ高圧ガスの大量な漏えいを防ぎ得るような二重殻構造、ダブルの殻で囲まれたような構造になっているというのが二点目であります。  それから三点目には、設備の稼働部分が少ない、作業者の操作する部分が総体的に極めて少ない、あるいはコンピューターによって自動制御されておりますとか安全装置を備えているというようなことで、人間の運転管理能力によって安全が左右される要素が極めて小さいような条件を具備したものということを三点目に考えております。  さらに四点目には、基本的に使用される高圧ガス種類が不活性ガスである、そういった意味では安全なガスであること。  五番目に、現在まで事故を起こした例がない。そういったことをもちまして相当程度安全が担保できるというふうに考えておりますので、「災害発生防止に支障を及ぼすおそれがない」と認定できるのではないかと考えている次第でございます。
  129. 大畠章宏

    ○大畠委員 わかりました。  それから、いろいろ今までこの事故を契機として法改正が行われようとしているわけでありますが、この法改正に伴っていろいろ準備といいますか、その法を施行するに当たっての環境を整える必要があると思うのです。例えば民間検査の機関の育成ですとかあるいは販売者の教育、あるいは都道府県指導体制の準備が整っているか、いろいろお伺いしますと、現在でも都道府県によってはその現在のガス取締法に対する運用方法ですとか体制がどうもばらばらであるという話も伺っているのですが、そこら辺はどういう猶予期間を与えてどういう形でそれを育成していくのか、そういうものについてのお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
  130. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま御指摘のように、この高圧ガス取締法規制につきまして、都道府県ごとの運用に差が生じているのではないかというような御指摘でありますけれども、私ども、そういう差がないように、従来から都道府県との連携それから都道府県相互の調整といいますか、そういうものに努めてまいったところでございます。  ただ、通商産業省令の解釈の細部、非常に細かい部分あるいは許可の申請、届け出等の際の添付資料等について若干の差があるのではないかという御指摘もございまして、現在その改善方法の検討を進めているところでございます。今後こういう検討を受けまして、必要に応じて改善策を講じてまいりたいと思いますけれども都道府県から事業者に対します指導は、基本的には私どもの通商産業省令で定める技術上の基準に基づいて行われておりますので、基本的には都道府県ごとにその内容に大幅な差が生じるということはないのではないかと思っております。なお、省令の解釈でありますとかあるいは運用あるいは各部の手続につきまして、都道府県ごとにそごが生じないように全国あるいは地域ごとに、例えば担当官会議を開くというようなことで十分調整を行うように努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、特に第二点目に御指摘の、特殊材料ガス等に関します規制強化によって混乱が生じ、ないように猶予期間の問題がございます。この点につきましても私ども事業者に混乱が生じないように、技術基準を定める際に所要の経過措置を設けるといったような工夫をいたしまして、混乱が生じないように努めてまいりたいと考えております。
  131. 大畠章宏

    ○大畠委員 質問の最後になりますが、今、日米構造協議等でも、あるいはまた日本とアメリカ、日本とヨーロッパとの関係のいわゆる貿易の黒字の問題が大きくクローズアップされております。そういう意味では、輸入するこのたぐいのものに対して日本はどういうことを適用するのかということも考えなければならないと思うのです。  したがって、ちょっとお伺いしたいのは、諸外国でのこういう基準と日本の基準というものはほぼ整合性がとれているのですか、それをお伺いしたいと思います。
  132. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 我が国の高圧ガス設備に関しまして規格あるいは基準等がございますけれども、まず高圧ガス設備そのものに関します規格は、戦後、石油化学等の技術導入に伴いましてアメリカの規格が大幅に導入されております。したがいまして、以来、基本的にはこのアメリカの規格に従った体制になっておるわけでございます。換言いたしますと、我が国の規格と例えばアメリカの規格はほぼ一致をしておるということであろうと思います。  他方、容器につきましては、これは我が国独自にかなり古くから規格が決められておりましたので、それを変更すべき特段の理由がなかったものですから、アメリカの規格とは若干違った規格になっております。そのほかイギリスとの比較、そのほかの国々との比較もありますけれども、例えば日米の容器の規格を比較してみた場合には、先ほど容器についてはちょっと違うんだということを申し上げましたけれども、設計、製造基準あるいは確認試験基準にそれぞれ違いはございますけれども、ほかと比較いたしまして設計、製造基準の項目が甘い場合、甘いといいますか緩い場合には、確認試験基準の項目がきつくなっているというようなバランスでありまして、全体的に見ますとアメリカと同等の規格が適用されているということが言えると思います。
  133. 大畠章宏

    ○大畠委員 今いろいろ質疑をしてまいりました けれども、いずれにしても今回のこの法改正というのが、先ほど言いましたようにお二人の学生のとうとい犠牲をベースとしてといいますか、本当にそういうことで早く提案されるようになりましたので、ぜびこの学生さんの死をむだにしないように実効ある施行か行われるように要望しまして質問を終わります。ありがとうございました。
  134. 武藤山治

    武藤委員長 森本晃司君。
  135. 森本晃司

    ○森本委員 まず質問を行う前に、去る十月二日に大阪大学における実験中に亡くなられた二人の学生の方の御冥福をお祈り申し上げます。それとともに、二度と今回のような事故で前途ある青年を失うことがないように対策をも講じていかなければならないと思っているところでございます。  最近、高圧ガス消費の多様化や、あるいは製造事業における現場管理の複雑化に対処して、保安確保を図るために、特定の高圧ガス消費及び高圧ガス製造事業所等における保安に対する規制強化する必要があると感じているところでありますし、それと同時に、近年の高圧ガス保安に関する技術向上など高圧ガスを取り巻く環境変化しており、規制合理化をも行っていかなければならないと思っているところであります。  去る十月に発生した大阪大学爆発火災事故は、先端分野に潜む危険性を露呈したものでありますし、と同時に、業界や大学任せになっている安全保安管理について問題点を浮き彫りにしたのではないかと言えます。未然防止という観点から遅きに失したという感じはぬぐえませんが、今回の事故をどのように受けとめられ、現状を今どのように把握されているのか、お伺いしたいと思います。大臣にお願いいたします。
  136. 渡部恒三

    渡部国務大臣 お尋ねの件でございますが、特殊材料ガスについてはその危険な物性にかんがみて、従来から規制の必要については認識しておったつもりでございます。高圧ガス保安協会における自主基準の作成を支援するとともに、当該基準関係者への周知徹底などに努めてまいりましたが、残念ながら森本先生指摘のように、今般の大阪大学におけるような事故が起こってしまいましたことは大変遺憾なことでございました。こうした事故の再発を防止するために、今回、本改正法案をこの国会に提出いたしたのでございます。  この法案を成立させていただきましたならば、先生指摘の趣旨を十二分に踏まえて所要の手続をとり、法律の厳正な運用に努め、二度とこんな悲しいことが起こらないように全力を尽くして努めてまいりたいと存じます。     〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕
  137. 森本晃司

    ○森本委員 今、大臣のお話を伺いました。どうぞこの法案を機に、さらに安全管理について徹底をしていかなければならない、これは私どもも思うところでございます。  大臣、いろいろと御多用のところでございますので、どうぞ結構でございます。  では、同様の報告と、文部省は今どのように現状を掌握されているか、お伺いしたいと思います。
  138. 若林元

    ○若林説明員 御説明申し上げます。  先般十月二日に、大阪大学基礎工学部におきまして実験中に爆発事故発生いたしまして死傷者を出しましたこと、まことに遺憾だと考えております。亡くなられました二名の方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷されました方々に心からお見舞いを申し上げるものでございます。  文部省におきましては、これまでも学生の実験、実習中の安全確保につきまして万全を期していただくよう、大学に対しその対応方をお願いをしてまいっておるところでございます。また、大学におきましても毎年安全講習会を開催をし、実験、実習に伴う災害防止のための教育を実施してまいっております。大阪大学につきましても、本年度は四月十日に安全講習会を開催いたしまして高圧ガスを安全に使用するための注意を行うなど、安全教育を行ってまいったところでございます。  また、今回事故を起こしましたガスボンベにつきましても、ボンベボンベボックスに収納しチェーンで固定するとか、あるいはボンベボックスから室外に排気筒を施設しましてファンによって常時換気を行う、さらにはボックス内にシランガスのセンサーを設置するというふうな安全確保に努めてまいったところでございます。  今回の事故後、文部省ではこの事故の重大性にかんがみまして、直ちに関係学部長会議におきまして安全対策の再点検を含め一層の安全確保に対する配慮を要請したところでございますが、事故原因につきましては現在、警察それから消防等で調査中でございます。その結果を踏まえますとともに、今回御審議いただいております高圧ガス取締法改正によって対処すべき要件がございますれば、大学それから通産省とも十分協議しながら十分に安全確保に努めてまいりたい、このように考えております。
  139. 森本晃司

    ○森本委員 今安全確保のためにいろいろと徹底し、あるいは阪大も先般そういったことに対して事故前にもあるいは事故後にもいろいろと徹底されたということでございますが、素人の私たち、高圧ガスについては余り認識はないわけでございますけれどもガスといえばたまるものであり怖いものであるという感覚があります。また同時に、そばにそういうボンベ等々が置かれていると危険だなという感じは持つわけでございまして、我が家の、家庭においてもプロパンガスは家の外に置いてあるという状況なんです。ところが、今回の場合すぐそばにガスボンベ等々もあったということでございますが、私は研究室というのはある程度環境の整った中で研究が行われなければならないと思うところでございます。しかし、最近特に叫ばれていることは、大学研究室に対する資金不足、これはもう今冬の時代に入ったとも言われているような、大学研究体制というのは万全でないのだ、資金不足による体制不備だという点が数多く指摘されておりますが、今回もやはりそういったところに一つ原因があったのではないかという感じもいたします。  平成三年度の教育白書、欧米諸国に比較して施設や研究費などの面で立ちおくれが指摘されています。今回の大阪大学では、拠点となった研究室はベニヤ板で部屋を仕切り、二つの部屋を一緒にしてT字型にしてベニヤ板で仕切っていた、そしてそこに所狭しと実験機器やガスボンベを置いていたということであります。  こういった状況、いろいろなところで聞きますと、残念ながら国立大学では決して珍しい状況ではない、もうそういう状況しかあり得ないのだということで、さらにまた雨漏りがしたりあるいは壁が落ちたりしている、非常に劣悪で危険な研究環境の中にあるというところは少なくないと言われています。今回の事故の背景にはこのような点も指摘されるのではないかと思いますが、大学研究費の不足等も含めまして、文部省としての御意見を伺いたいと思います。
  140. 工藤智規

    ○工藤説明員 お答え申し上げます。  いろいろ先生にも御心配いただきましてまことに申しわけないと思っているわけでございますが、特に、近年における国の財政事情の悪化によりまして、施設費につきましても国立学校の施設費が一時の半分ほどになるなど、言うなれば物件費が圧縮されたという事実はございます。そのために、国立大学の施設設備等の教育研究環境の悪化というのが各方面からも御指摘いただきまして御心配かけているわけでございますが、私どもも極めて憂慮している状況でございます。  このため私どもいろいろな努力をしておるわけでございますが、依然として厳しい財政事情の中ではございますけれども、少なくとも大学というのは、学術研究の推進、それから有為な人材養成という意味で幅広く国民の皆様からも期待されておるわけでございますので、そういう大学の教育研究条件の改善充実ということは、将来にわたる我が国の発展の上でも欠かせない条件の一つであろうかと思いまして、来年度概算要求におきましても、施設費につきまして特にアクティビティーの高い理工系の施設の関係を中心にしながら重点的な概算要求を行うとか、あるいは設備、研究費の面でも、限られた予算の有効活用を図る意味での重点的な措置を図るとかいう工夫をしているところでございます。  今回の阪大の事故との関係につきましては、先ほど来申し上げておりますようにまだ原因究明中でございまして必ずしも施設が原因というわけではないかとは思いますけれども、それとは別に、こういう教育研究環境の充実ということについては努力しているわけでございますが、あわせて今後、この事故を契機にいたしまして、今回の法案の改正に伴って新たな措置も必要になろうかと思いますけれども、そういうことも含めまして、今後とも国立大学の教育研究環境の整備につきまして必要な事項につきましては最大限の努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  141. 森本晃司

    ○森本委員 我が党にも斉藤節先生がいらっしゃるわけですけれども、かって国立大学の教授で研究室でいろいろと学生たちを指導した。その斉藤先生が以前にも、文教委員会かと思いますけれども、こういった非常に厳しい状況指摘したことがございます。どうぞこれからも、日本にとって大事な人材を育てるためにも、この研究費、我々も努力していかなければなりませんが、文部省もこれからも大いに頑張ってもらいたいと思うところであります。  さらにまた、今回のこういった事故を機会に安全管理について先ほど若林教育課長からは大学にいろいろと指示をしたというふうにお話がございました。そこで、研究費非常に厳しい中で、こういう通達が多く流されますと、わずかの研究費の中から今度はまたそちらの方に予算が回っていってしまって、わずかな研究費がまた削られていってしまうのではないかという心配もなきにしもあらずであります。安全も確保しなければならないし、同時に大学での自由な研究を阻害するようになってはならない、それから同時にまた安心して研究に専念できるようなものにしていかなければならない、これはもうそうなっていきますと研究費の予算の確保しかないわけでございますけれども。どうぞ研究を阻害することのないように、また安心して研究できるように今後も指導していただきたいと思いますが、文部省の考え方をお伺いしたいと思います。
  142. 工藤智規

    ○工藤説明員 先生指摘のとおりでございまして、今回の事故を教訓にいたしまして、安全管理の徹底を図ることと同時に、先生方も学生も自由なといいましょうか発想に基づきまして独創的な研究ができますように教育研究環境、教育研究を適切に遂行するような措置があわせて必要なわけでございます。そのために、今回の改正に伴う事項につきましては、新たに対処する必要がございますれば必要な措置につきましては、大学通産省とも御相談しながら適切を期してまいりたいと思うわけでございますが、他方で、先生おっしゃいますように大学における研究費の確保につきましても私ども苦慮しているところでございまして、大変財政事情厳しいわけでございますけれども、例えば国立大学関係で申しますと、特に、先ほどの施設のほかに、アクティビティーの高い大学を中心にしました高度化推進特別経費というのを来年度概算要求で四十二億円ほど新規に要求しておりますほかに、科学研究費補助金、これは自由な研究者の研究活動を助成するお金でございますが、このお金につきましても六十二億円増の六百五十一億円要求するなど、いろいろ限られた財源の中で工夫をしながら努力しているところでございます。またいろいろ御支援いただきたいと存じます。
  143. 森本晃司

    ○森本委員 それでは文部省、ありがとうございました。  続いて、本法案に入って伺いたいと思います。  今の大学事故もあったということでございますが、本来はまだ今回の臨時国会に提出される予定ではなかったというふうに伺っておりますが、この事故があって急いで出されたのかもわかりませんが、この臨時国会に出してこられたその理由。並びに、この法案が本日成立いたしましたら、早期施行に向けての、いろいろと政省令の見直しが大分複雑になっているようでございます。特に省令の方が複雑でありますが、早くこの臨時国会で出してきて、そしてそれを早期施行する場合にどうなのか、その準備状況についてあわせて伺いたいと思います。
  144. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 高圧ガス取締法改正案につきましては、実は私どもかねて、先ほど来申し上げております高圧ガス災害下げどまり傾向でありますとかあるいは特殊材料ガス消費拡大というようなことも踏まえまして、法改正の準備というのをしてきておったわけでございますけれども、直接的にはやはり先生指摘のように十月二日の大阪大学事故で、非常に悲しい事故が起こり、前途有為の若者、学生が二人命を落とされる、こういうことになったものですから、私ども行政側の責務として、これは一日も早く法律をつくり上げて国会に御提出申し上げたいということでございまして、あえてこの臨時国会に法案を提出させていただいたわけでございます。私ども、基本的に人命にかかわる重大問題でございまして、ぜひ本臨時国会で御成立をお願い申し上げたいというふうに考えておる次第でございます。  さらに、この成立後、おっしゃいますように、政令、省令の整備、その地やはり新しい規制を行いますので、業界に対しましてもある程度の準備をしてもらわなければいけないということでございますけれども、私どもは、本法律案が成立いたしましたら、公布した後六カ月以内のできるだけ早い時期に施行開始できますよう、具体的な技術基準の検討等の準備を進めてまいりたいと考えております。
  145. 森本晃司

    ○森本委員 次に、今回の大学事故ではシランガスを使用していたということですが、私も詳しくはわからなかったのですが、このシランガスというのは常温で自然発火するという非常に高度な危険物である。これが、しかも今相当多量に使用されている、特にいろいろな半導体の事業所等々において今急速にこのシランガスがふえてきているという状況でございますが、なぜ今回までこのシランガス指定されていなかったのだろうかというふうに思うところでございます。今回の指定予定としてシランガスを含む七種のガスを選ばれたということでありますが、その理由とその特性並びに使用状況事故発生状況についてお伺いしたいとともに、高圧ガス保安協会災害防止基準を作成しているのは三十七種類にも上っておりますが、今回はそのうちで七種類だけが指定になるということでもあります。果たしてその七種類だけでいいのか、さらにまた、今後追加指定をする場合には機を逸せずに機動的に行う必要があると思いますが、その見解をお伺いしたいと思います。
  146. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘モノシランに関します事故でございますけれども、このモノシラン等を含めまして特殊材料ガス事故は、本年十月の先ほど死者二名、負傷者五名を伴った大阪大学事故を加えまして過去に十二件発生しておりまして、三名の方が亡くなり、十七名の方が負傷されております。特に最近、平成元年以降に入りましてからは、特殊材料ガス消費が急速に伸びてまいっておりまして、ちなみに、先ほど申し上げました十二件の事故、このうちの八件はこの三年間に集中して発生をしておる、こういう状況に至ってまいったわけでございます。それで、モノシラン事故も、そういった意味ではこの三年ぐらいに集中しておるわけでございますけれども、それまでは、事故は散見されたものの消費量も非常に少なく、かつ、自主基準によりましてかなりの程度保安確保されるのではないかというふうに私ども考えていたわけでございます。  ただ、今申し上げましたように、ここ両三年に至りまして、特殊材料ガス消費量が急増した、それに伴って平成元年以降事故も増加したというようなことで、さらに、平成元年十二月に初めて死者を伴う事故があったわけでございます。そういったことの理由によりまして、モノシラン等特殊材料ガス特定高圧ガスとして指定し、その特性に応じた厳格な規制を行う必要があるのではないかということで勉強をしてまいったやさきの大阪大学事故であったということでございます。  御指摘のように、高圧ガス保安協会自主基準には三十七種類ガスが挙げられております。そのうち今回の特定高圧ガスとして指定いたしますのは七種類のみでございますけれども、基本的にはまず、この三十七種類の中に、非常に自己分解性があるとかそういった特別の危険性があるもの、これは今回の七種類指定以外にも、実はテルル化水素とかスチビンとかございますけれども、これはただ使用実績がないということでございます。  さらにそのほかのガスにつきましては、自然発火性とか自己分解性とかあるいは強い毒性といった特別の性質を持っていないものも存在いたしますので、これらにつきましては、特定高圧ガス消費の対象とせず、他の一般高圧ガスと同様の消費技術基準、こういうことで保安確保できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  ただ、先生指摘のように、時代は刻々と進歩し、技術も変貌してまいります。そういった意味で、今後新たに危険な物性を有する高圧ガス消費されるようになった場合には、速やかにこの特定高圧ガスとして指定追加をしてまいりたいというふうに考えております。
  147. 森本晃司

    ○森本委員 次に、販売業者等の周知義務について伺いたいわけでありますが、LPGの場合の周知義務は年一回以上の書類配布であります。本件については省令でどのようなことを書かれるのか、その点をお伺いしたいこと。  さらにまた、LPG関係事故消費者のミスによるものが依然として大半を占めておりますが、周知活動のあり方に一層の工夫と努力が要るのではないか。  LPGに比べて高圧ガス消費者は多種多様でありまして、消費量も急速にふえており、販売業者役割は特に重要であります。政府は、販売業者等に本改正の趣旨とその役割重要性について十分認識させるよう指導することが必要であるかと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。
  148. 中田哲雄

    ○中田政府委員 販売事業者周知義務内容でございますが、消費する高圧ガス種類あるいは消費の態様に応じまして、消費設備の管理点検に関し注意すべき事項消費する場所の環境に関する事項、緊急時にとるべき措置に関する事項等を周知していただくように考えているところでございます。  それから、委員指摘の、この周知活動について実効を上げるために工夫が必要ではないかという点につきましては、御指摘のとおりでございます。消費者に対しまして年間一回以上周知内容を記載した書面を直接手渡しまして口頭によってこれを補うということをやってまいりたいと考えておるわけでございますけれども、文書の内容や説明ぶりも含めまして効果が得られますように衆知を集めて工夫をしてまいりたいと考えているところでございます。  それから、販売事業者に対します今回の改正の趣旨につきまして認識を徹底させるべきという御指摘でございますが、通産省といたしましては、販売業者等の団体等を通じまして販売業者に対して災害防止するための事故等の消費先への周知必要性を強力に指導をしていきたいと思っているところでございます。  また、都道府県におきましても、販売業者への立入検査等の際に周知必要性について指導を行うよう徹底をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  149. 森本晃司

    ○森本委員 次に、事業者自身が行う保安活動強化についてお伺いいたします。  危害予防規程は各事業者が独自に作成するものでありまして、その内容事業所によってさまざまであります。都道府県は遵守義務のチェックはどの程度行うのか、またそれによってどういう場合に勧告、命令を出されるのか、さらに許可の取り消しの処分を行うのはどういう場合なのか、同じく保安教育実施の担保措置の場合についてはどうなのか、こういった点についてお伺いいたします。
  150. 中田哲雄

    ○中田政府委員 危害予防規程の遵守状況のチェックにつきましては、都道府県知事が随時行います立入検査の際に行っていただくということにしておりまして、具体的には、それぞれの危害予防規程に則しまして、その実施を記録した帳簿の確認、現場におきますマニュアル等の整備状況の確認、実際の作業状況の確認等を行うことによりまして遵守状況を把握していくということにしておるわけでございます。  次の、命令、勧告、許可取り消しはどのようなときに行うものかということでございますが、危害予防規程には、法令上一般的に義務づけられている事項を具体化する部分と、保安確保のために個々の事業所におきましていろいろ工夫をして書き込んでおります部分とがあるわけでございます。  このうち、法令上守るべき基準を具体化した部分につきましては、これを遵守しないという状況があって災害発生可能性が予見されるようなときには命令を行うということになろうかと思います。また、災害防止上重要ではありますけれども直ちに事故発生につながる可能性が低いというものにつきましては、まず自主的な遵守を促すということのために勧告を行っていくということが適当だろうと考えております。  なお、事業者が任意に定めておりますものの中には、より高い保安レベルを目指して、通常求められているよりも数字の高い内容が盛り込まれる場合もあるわけでありますけれども、これらにつきましては、災害防止上の必要性あるいは事業者の自発的な創意を尊重するという観点からいたしまして、命令、勧告に係らしめるのは適当ではないのではないかというふうに考えております。  また、許可の取り消し、事業の一時停止命令につきましては、事業者都道府県の行う命令に従わなかった場合に、大変に事故の蓋然性が高くなるわけでございますので、かような場合に発動し得るということになるわけでございます。  それから保安教育計画、保安教育実施についてのチェック等でございますけれども、これらにつきましても、都道府県知事が随時行います保安検査の際に行うこととしているところでございます。具体的には保安教育計画及び保安教育実施を記録いたしました帳簿の確認、実際の教育状況の確認等によりまして実施状況を把握していくということにしておるわけでございます。この結果、特に保安教育計画を忠実に実施していない場合におきまして、公共の安全の維持もしくは災害発生防止のために必要があるときには勧告を行うということになるわけでございます。  具体的にどのような場合かと申し上げますと、定期的に行うべき現場研修などが全く行われない、あるいは保安教育を全く受けでないような従業員が作業をしているというふうなことが把握されました場合に、このような保安確保上基本的なところが抜け落ちているというふうなことがあった場合には勧告を行うことがあるということでございます。
  151. 森本晃司

    ○森本委員 輸入規制の緩和についてお伺いいたします。  高圧ガスを導管で陸揚げする場合と緩衝装置内で輸入する場合、許可も届け出も要らないということになるわけでありますが、そのほか二十二条三号の省令で考えているのはどういう場合があるのかお伺いします。
  152. 中田哲雄

    ○中田政府委員 二十二条第一項第三号の適用除外規定につきましては二点ございまして、一つは、現在想定または実用化されていないけれども輸入における取り扱いに関しまして規制を課しておく必要がないようなものが、将来実用化された場合にはこの規定の適用になるわけでございます。まだ現実になってはいないわけでありますけれども、例えば高圧ガスを使った自動車安全用のエアバッグなどが出てまいりますとこのようなことがあり得るわけでございます。  それからもう一点は、現在輸入における取り扱いに関しまして規制を課しております高圧ガス製品が、今後安全装置等が大変に技術的に進歩いたしまして規制の必要がなくなったという場合には、この規定の適用によりまして規制の除外の措置をとるということになろうかと思っています。
  153. 森本晃司

    ○森本委員 時間がなくなってまいりましたが、お伺いいたします。高圧ガス保安協会の整備の点についてお伺いしたいと思います。  技術的事項の枠を超えた業務範囲の拡大とは具体的にどういうものが考えられるのか、コンサルティング業務や対外支援業務等を考えているようでありますけれども、現体制でその機能は有しているのか、また関係業界の支援体制についてはどのようになっているかをお伺いしたいと思います。
  154. 中田哲雄

    ○中田政府委員 高圧ガス保安協会の業務につきましては、委員指摘のとおり、事業所内保安管理体制、人事管理といった面でのコンサルタント業務でございますとか、あるいは経営者の保安意識向上のための経営者交流会、経営者研修、事業所内におきます広報活動や小集団活動等に関します従業員研修、こういったものを新しくつけ加えていきたいというふうに考えているわけであります。  協会は発足当初、昭和五十年の民間法人化の際には職員八十三名であったわけでございますけれども、その後業務の拡大に伴いまして体制の充実を図ってきているわけでございまして、現在は職員約百八十名ということでございます。  それで、職員がこれまでも事業所危害予防規程に関します審査や意見書の交付でございますとか各種の講習、研修の実施等をやってきておるわけでございまして、現在の人員体制で当面は新しい業務にも対応していけるのではないかというふうに考えているところでございます。
  155. 森本晃司

    ○森本委員 最後に、もう一度保安協会のことについてお伺いしたいわけでございますが、今後自主保安体制強化の方向を一層進めていこうという中で、政府は協会に対してどのような機能と役割を期待し、指導されていくのかお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  156. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 私ども、今後高圧ガス災害減少、撲滅を図っていきますために、自主的な保安活動重要性、これが強調されなければいけませんし、また、それによって保安確保されていくというふうに考えておりまして、その中核母体としての高圧ガス保安協会に対しましては、役割は非常に重要であり、かつ期待も大きいということを感じております。このため、今後の協会の業務に当たりましても、その業務が効果的かつ円滑に実施されますように、いろいろな面で私どもも協会と連絡をとり、相談をし、あるいは支援をしてまいりたいというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、自主保安体制の確立によって、大阪大学のような悲惨な事故が一日も早く撲滅されることを期待したいというふうに考えております。
  157. 中田哲雄

    ○中田政府委員 大変恐縮でございますが、一言訂正をさせていただきます。  先ほど高圧ガス保安協会の業務の御質問の中で、現在の体制の問題があったわけでございますが、仏そのときに、昭和五十年の民間法人化の際に職員数八十三名と申し上げましたが、民間法人化は六十一年でございまして、昭和五十年には職員数八十三名であったが、現在は百八十名というふうに拡充されてきているというふうに訂正をさせていただきたいと思います。
  158. 森本晃司

    ○森本委員 終わります。
  159. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員長代理 小沢和秋君。
  160. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ちょっと手違いがあったようですから、私の方も質問の順序を変えてやりたいと思います。  私は、これまでの高圧ガス取締法製造段階中心の取締法になっていたと思います。もちろん製造段階での事故は地域社会全体に致命的な被害を与えるし、これをなくすことが引き続いて中心的課題であることは間違いないと思います。しかし、今後は消費段階にもっと重点を移さなければならない。実際、事故件数消費段階の方が多いというふうに理解をいたしました。特に、死亡事故はここ数年すべて消費段階発生しておるようでありますけれども実態はいかがでしょうか。     〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のように、最近の高圧ガス事故消費段階で特に多いということでございます。ちなみに、高圧ガス事故件数七十九件、平成三年、本年の十月までの数字でございますけれども、七十九件のうち消費先での事故件数が四十五件を占めておりまして、もちろん製造段階でも死亡災害等起こっておりますけれども、特に消費先の事故がこれから問題であるという御指摘は、まさにそのとおりであろうと考えております。
  162. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 特にその中でも、アセチレンガス事故が今年の十月までで三十件、これは史上最高だということをさっき伺ったわけであります。それで、今回の法改正は、確かに消費段階での規制指導を強めようとしておりますけれども、しかしそうなると、対象の件数が多いために、たじろいだのか販売業者消費方法についてのパンフレットなどで周知をさせることを義務づける、この程度に終わっておるように思われます。私も、高圧ガスを使用している一軒、一軒の家庭まで全部目を光らせるというような無理なことを言おうとは思いませんけれども、少なくとも、最も事故件数が多い、しかも増加傾向を見せているアセチレンの使用をしておる事業所などに対しては、例えば必要に応じては立入検査をする権限を持っているわけですから、こういうような伝家の宝刀をそういうときには抜くというようなことも考えなければいけないんじゃないか。あるいは安全器具の使用を義務づけるとか、消費技術基準強化ども行うべきではないかというふうなことも考えるわけであります。先日の高圧ガス及び火薬類保安審議会の答申でも、この安全器具の普及などが提案されているわけでありますけれども、法改正案の文言の中にはこういうようなことが見当たらないのですが、こういうようなことは一体どういうふうに考えておられるのでしょうか。
  163. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 従来から、先ほどお話のございましたように、溶接あるいは溶断用のアセチレン消費にかかわる事故、これが消費にかかわる事故のさらに半分ぐらいを占めておるということで多いわけでございます。ただ、私どもこの事故の分析をいろいろしてみますと、保安上必要な知識を必ずしも有しないがためにミスが起こったというような初歩的なミスが多いというふうに分析をしております。したがって、そういう知識の周知徹底が非常に大事ではないかということでありますけれども消費者が極めて多数に上っておりますために、行政庁による指導、取り締まりのみでは限界がございまして、これをむしろ補完するために、販売業者に対してその販売先であります消費者に対する災害防止上必要な知識の周知というようなことで行っていくのが効率的ではないかというふうに考えておるわけでございます。もちろん技術的にも、アセチレンガス事故というのは実は逆火、炎が逆戻りする現象で起こるようなケースも多いわけでございまして、そういう逆火防止装置のようなものは極力取りつけてもらうように、これはまた高圧ガス保安協会等を通じてそういう指導もしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  164. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今極力取りつけるようにさせたいということはお話がありました。そういうようなことは省令などで盛り込むのだろうと思いますけれども、せっかく省令に盛り込むのだったら、これはもう極力、取りつけていただきたいというようなことじゃなくて、義務づけるというようなところまで踏み込んだらどうなのでしょうか。この逆火防止の装置というのは非常に効果が確実だというふうに私は聞いていますが。
  165. 中田哲雄

    ○中田政府委員 今の委員指摘の逆火防止装置につきましては、省令の技術基準等で決めて義務づけをするという考え方もあるわけでございまして、私ども技術的に検討をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、先ほど委員おっしゃいました普及対策でございますけれども、現在大蔵省に低利融資制度を通じましてリースによる安全機器の普及という要求もしておりまして、安全機器の普及面でも力を入れていきたいというふうに考えているところでございます。
  166. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の助成策のことは次に聞こうと思っておったのですけれども、一足先に答えてもらったからそれはそれでいいと思うのです。私たちも安全器具などを普及しろということばかりいろいろ要求すると、中小零細業者の中にはこれが非常に大きな負担だと言って私たちに逆にクレームをつけられる方もありますし、だから、私たちはそういうことを普及するためにはそれなりにいろいろ助成策が必要だというふうに考えます。  今のお話ではリースというようなことを言われたのですが、それはちょっともう一遍確認をいたしますが、私アセチレンのことで今言ったのですが、このアセチレンの安全器具の関係だけなのでしょうか、そのリースの制度は。あるいはもっと言わせていただくなら、私いろいろな業者に聞いてみたのですよ。そしたら、LPガスの業者なども、安全器具をつけるというようなことは自分たちにとって大きな負担になっている、だけれども何の助成もないというようなことは、やはり私も聞いているのですよ。だから、これがそういうような業者なども含めたようなもっと幅の広い制度であれば本当にいいことだと思うし、そこまでいかないのであれはこの機会にぜひ、問題提起しますから、そういうようなことを積極的に考えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  167. 中田哲雄

    ○中田政府委員 アセチレン用の逆火防止装置以外にも、一般消費者向けのマイコンを用いました安全装置等についても対象にするということで検討をしているところでございます。
  168. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、次の問題をお伺いしたいと思います。  今回、指定保安検査機関制度が導入されることになっております。先日担当者の方に説明を伺ったところでは、LPガスなどの充てん所を対象とするということでありますけれども、その対象箇所というのは全国にどれくらいあって、現在検査を行っている箇所数の何%くらいにそれが当たることになるのか。それから、今回は近年定型化が進んでいる保安検査業務に限定してこの制度を導入するというのでありますけれども、これが将来広がっていくことはないのか、これについてはこの関係行政に携わっております都道府県職員の中に不安の声もありましたので、明確な説明を願いたいと思います。
  169. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘指定保安検査機関でございますけれども、充てん所等を対象にいたしますとすれば、恐らく、というのは正確なデータがあれなものですから、二千八百カ所くらいになるのではないかというふうに想定をしております。  それで、この指定保安検査機関でございますけれども、これまでもいろいろ指定検査機関については議論がございまして、やはり都道府県にやってもらった方がいいのではないかというような声もあることも事実でございますけれども、私ども先ほどの充てん所のようにかなり定型化している検査につきましては、むしろ民間の力を活用して検査をしていくということが行財政改革の趣旨にも沿いますし、そういう方向も案ではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、的確に検査をしていただくということが非常に大事でございますので、この指定保安検査機関の指定につきましては、公益法人であることがやはり大事であろう。さらに、公益法人でありましても、省令で定めます検査員とか検査設備といったハードの面での完備がなされておるかというようなことあるいは検査員が十分検査能力を有しておるかということを慎重に見きわめまして、十分な検査能力を持ち、かつ、中立的に行えるような機関を指定していきたいというふうに考えておる次第であります。
  170. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これまでも指定試験機関、指定容器検査機関、指定特定設備検査機関など、民間に保安行政の一部を委任する制度が次々につくられてまいりましたが、それはどのような実績になっておりましょうか。
  171. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 今のところ、この指定検査機関として活用されておりますのは中央の高圧ガス保安協会のみでございまして、ほかのものの指定実績はございません。
  172. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 こういう制度を次々につくって時間もかなりたつのに、結局対象になる組織が一つも出てこなかったということは、逆に言えば臨調などが幾らやれやれと言っても、元来高圧ガス保安行政などのようなものはやはり国や県がやるべきだということを結局これは証明するようなことになっておるのではないかと私は思うのです。今回については実現する見通しというのが、特にあるような事情でもあるのでしょうか。
  173. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 お答えする前に、先ほどちょっと私中央の高圧ガス保安協会指定されていると申し上げましたが、これは業務の範囲としてやれることになっておりますので、指定ではなくて実態的にやっているということでございます。  さらに、これからでございますけれども、最近都道府県におきまして、各都道府県にあります高圧ガス保安協会といったようなものがかなり充実され、人材もそろってきたというような背景もございますので、いつ、どのくらい指定をするのかというのはまだ私ども的確な見通しを持っているわけではございませんが、そういう地方での組織が育っているということもございまして、この規定を設けさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  174. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私どもは全体としてはこの法案に賛成をする考えですけれども、この部分については今も申しましたように、あくまでこのいわゆる保安検査というような行政部門というのは国や県が直接やっていくべきものではないかという立場から、重大な疑問を持っておるということを申し上げておきたいと思います。  次に、高圧ガス保安協会についてでありますが、今保安検査等を唯一民間でやっておるわけですけれども、今回、この協会の活動内容を一層拡充する方向を出されておりますので、改めて私これを勉強してみたわけであります。既にこの協会が民間保安検査機関として活動しているからには、一層公平中立な検査を国にやってもらわなければならないと私は考えるわけであります。  その点で一つ問題を提起したいと思いますのは、役員構成であります。今、常勤、非常勤を含めて協会の運営に当たる役員は何人か、そのうち何人が業界出身かということを示していただきたい。
  175. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま現在、高圧ガス保安協会の役員、非常勤の理事、監事さんも含めまして十二人であるというふうに理解をしております。そのうちで、民間の方として理事になっておられますのは七名であるというふうに記憶しております。
  176. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 非常に業界出身が多いというのが私の印象であります。取り締まりの対象になる業界の方が検査機関の運営に大挙して参加するということは、公正な検査に対する信頼にかかわるような問題ではないかと思うのです。業界出身の方が状況がよくわかるというようなことなのかもしれませんけれども、それは別の面からいえば、お互いに事情がよくわかるから適当にやる、なれ合いになるというようなことにもこれはつながりかねないと思うのですね。そういう不信を買わないように役員構成について考えていただきたいということを、私、問題として提起をしておきたいと思います。  時間もぼつぼつ迫ってまいりましたし、文部省の方もようやく来てくれたようですからお尋ねしたいのですが、もともとこの法案は通常国会に出るはずだったのを急いでこの臨時国会に繰り上げるようになったというきっかけは、先ほど来問題になっておりますように阪大の事故であります。私どもの党としても二回ほど調査に現地に行ってもらったのですけれども、つい最近行った人が帰ってきてびっくりして言っているのは、もう復旧の方はあのまま、ほとんど手がついていませんよと言うのですね。こういうようなことも予算が確保されないと全く動き出せないということなのかもしれませんけれども、これはちょっとあんまりひどいんじゃないかと思うのですが、その見通しはどうか。  それからもう一つは、これは先ほど問題になりましたけれども学生がこの事故のために、後、実験などができなくなった、卒論を抱えているような人は実験できなくて本当に困るというようなことは私たちのところにも言ってきておるのです。この人たちについて特別に手を打って、実際に今、その卒論の見通しが立つような状況になっているかどうか、御報告をいただきたい。
  177. 若林元

    ○若林説明員 御説明申し上げます。  まず御指摘の施設の復旧の見通してございますが、これは先生御案内のように、現在なお事故原因について警察、消防署さらには大学におきます事故専門委員会調査中でございます。そういう関係もございますので、なお今のところ現状のままに置いているという状況でございます。しかしながら私どもとしては、どれくらいの被害状況があるかというふうなものは既に大阪大学から報告を受けておりますので、そのあたりが進展いたしますならば早期の復旧に向けて努力をしたい、このように考えております。
  178. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それだけじゃないでしょう。卒論。
  179. 若林元

    ○若林説明員 大変失礼をいたしました。  学生が今回の事故で、特に関係研究室の学生さんたちが卒業に支障がないように、これは大学関係委員会でも御議論をいただいているところでございますので、私どもとしても先生方にそういうふうなことをお願いをして、先生指摘のように支障のないようにしてまいりたい、かように考えております。どうも失礼をいたしました。
  180. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、卒論の方は今具体的にどこかに頼んだりしてそういう実験ができたり、できるようになっておるというふうに理解をしていいのか。  それから、復旧が手がつけられるようになったら早期にやりたいというお話だったのですけれども、それはだから具体的にある程度のめどをお持ちじゃないかと思って聞いているのですよ。その点いかがですか。
  181. 若林元

    ○若林説明員 御説明申し上げます。  まず初めの、個々の学生さんたちがどの大学のどの研究室で先生指摘のように卒論の指導を受けるかということにつきましては、まことに申しわけございませんが本日手元に資料を持っておりませんので具体にはお答え申し上げられませんが、施設の点につきましては、具体的に御説明申し上げますと、今回の爆発火災事故によりまして直接的に被害を受けたものが約二百平米、それから消火活動の際放水により浸水したものが約三千六百平米で、合計三千八百平米というふうに報告を受けております。この建物の復旧に要します経費は、約一億四千万程度というふうなものが見込まれております。先ほど御答弁申し上げましたけれども、そういうふうな状況が進展いたしましたならば早急に復旧すべく努力をしてまいりたい、こういうことでございます。
  182. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まだ答弁に不満ありますけれども、時間もぼつぼつ参ったようですから、最後に大臣お尋ねをいたしたいと思うのです。  私は、今の阪大の事故というのは非常に象徴的な事故じゃないかと思うのです。国立大学やあるいは国立研究機関などの予算が全体として非常に貧困、そのために安全施設などを犠牲にして、極端に言えば命がけで自分たちのやりたい実験を少しでもやろうというような無理をしているということがこういうような形で出てきたのではないかと私は思うのです。  そこで、根本的にはそういう国立大学やあるいは国立研究機関などの予算を全体としてうんと充実をするようにしていただかなければなりませんけれども、この法案がもう急いでこうやって可決をされるというようなことになりますならば、少なくともこの法律が要求するレベルの安全施設につきましては、国立大学やあるいは国立研究機関などについてはもう来年度の予算を待つとかあるいは今までのそういう研究予算の枠の中でやれなどということじゃなくて、とにかく急いで、別枠をとってでもそういうような関係の機関についてはもう直ちに手を打たせる、これはもうこういう法律を急いでつくらせる趣旨からいったら私はそうでなければならないと思うのです。あなたは実力者大臣だというふうに言われているそうですけれども、大いに実力者ぶりを見せる意味ではこういうようなときにひとつ力を発揮していただきたいと思うのですが、最後に大臣の決意なり姿勢なりを明確なところを伺いたい。
  183. 渡部恒三

    渡部国務大臣 貴重な御意見として、よく承ってまいります。
  184. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いやいや、もうせっかくやめたいと思ったのですけれどもね。だから、承ってもらっただけじゃいかぬのですよ。私は本当に、こういう法律を急いでつくるのだから、だから急いでつくったにふさわしい、あなたの方も行動を急いで起こしていただいて、少なくともこのレベルの施設については今までの予算がどうのとかあるいは来年度とかいうようなことを言わないで、とにかく別枠で急いでこれをやらせるという立場に立って努力していただきたいがどうかと言っているのです。
  185. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今申し上げたように、大変貴重な御意見として耳を傾けておりましたから、今後このことを念頭に置いて努めてまいりたいと思います。
  186. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  187. 武藤山治

    武藤委員長 川端達夫君。
  188. 川端達夫

    ○川端委員 大臣、よろしくお願いいたします。  先ほど来議論にありましたように、この法案がこのように急いで出てきた大きな背景として大阪大学基礎工学部のモノシランによる爆発事故があったことは御案内のとおりだと思いますが、この事故発生以来いろいろな報道もされていますが、事故原因についての調査というものが行われているわけですが、どういう段階まで来ているのか、概要をごく簡単に、結果が出ていないなら出ていないだけでも結構ですので、お願いします。
  189. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この大阪大学事故につきましては、私ども事故発生後直ちに近畿通産局の職員等を現地に派遣しますとともに、高圧ガス保安協会の中に大阪大学事故調査委員会を設けていただきまして、鋭意事故原因の究明に当たっているところでございます。ただ、現在までのところ結論が出ておるという状態には至っておりません。今後、事故原因の究明を急ぐとともに、再発防止に向けて万全の努力を行ってまいりたいと考えております。
  190. 川端達夫

    ○川端委員 この事故の本当の原因というものはまだ調査中ということでわからないわけですけれども、私も六年間大学で、いわゆる工学部の研究所で学んできた者として想像する部分として、大きな直接原因ではないけれどもこの背景に、やはり現状の理科系、工学系大学研究機関における研究実態というものが背景にあるのではないかな。  費用でいいますと、いわゆるそういう研究の機能的な部分とそれから安全性というものとは性格が違うと思います。その部分にどのようなウエートが置かれるかということは費用に関連している。機能が満足しないものはこれほどうしようもないわけですけれども、その部分に付加的に安全機能、安全性というのが配慮される。車で申し上げますと、車が人、物を運ぶという機能であるならば、シートベルトは全く機能には関係がございません、エアバッグも関係がない。しかし、やはり人命を守り、事故から身を守るという意味でそういうものが必要になってきてそういうものがだんだん義務づけられてきた、こういうことだと思うのです。そのときに、今の大学研究費用、環境実態からいうと、そういうものをとてもじゃないが考えるような余裕がないということがやはり全体的に大きな背景にあるのではないかな。今の科学技術でいえば、相当高度な危険なガスであっても、本当にフェールセーフといいますか、どうしても、もうほとんど事故が起こらないというふうな対策をとる設備というのは可能だと思います。それがこういう事故を起こしたということの背景には、やはりお金がなかったのではないかなというふうに思います。  こういう実態を見るときに、大臣にぜひともお伺いをしたいのですが、いわゆる工学系、理科系の大学というものが、日本というこういういわゆる工業立国と言われる経済を支えている役割というのですかね、今までも重要な役割を果たしてきたと思いますし、これからも果たさなければならないと思うのですが、今時にそういう理科系の大学研究機関役割に対して通産省を所管される大臣としてどのような期待を持っておられるのか、それから、そういう期待に対して今の実態というものをどのように御認識されているのか、この二点について御所見を賜りたいと思います。
  191. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいまの川端委員の御質問、常々私どもも重要な問題として考えさせられておるところでございます。大学の理工学系学部や大学院は、人材育成、基礎研究開発の拠点として産業技術の発展、ひいては技術立国を標榜する我が国の発展にとってこれは極めて重要なものであります。また、技術ただ乗り的な論調に対応して基礎研究の積極的な推進を図っていくことが緊急の課題であり、そのための拠点としての大学や国立研究所の役割はこれからもさらに重要になってくる、私も今先生指摘考え方と全く同感でございます。
  192. 川端達夫

    ○川端委員 私もそう言っていただいて心を強くしたのですが、そういう重要な役割を担っている研究機関が今、その大臣の期待されている役割を果たすに十分な体制で動いているのかどうかということに関しての御見解を賜りたいと思います。
  193. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大学における研究環境に関しては、産業界を初め各界の関心も大変高く、先ほど申し上げたように、通商産業省としても重要な問題であると認識しております。今お尋ねの、こうした中で研究費、研究施設費の不足等によって大学、国立研究所の機能について大変懸念が生じておることについても私ども承知をいたしております。これは私の所管外の問題もございますけれども、政府全体として今の先生の御意見を貴重な御意見として今後早急な検討、対応が必要である、こういうふうに考えております。
  194. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございました。  ところで、実際、大変だ、大変だというお話はよくあるのですけれども、本当に大変なのですね。国立大学の教授の一年間の出張旅費、枠がございます。どれぐらいか、まあ御存じないでしょうけれども、一年間に七万円なんですね。間違っていたら御訂正ください、ほかからの情報ですので。これで国内、海外全部なんですね。そういう実態にあるなということで、私たち同じ院内にこういう理科系の大学で学んだ者がたくさんおります。そういう者の有志でいろいろこういう実態を勉強しているんですけれども、たまたま五月に、「アエラ」という週刊誌がございますが、ここにいろいろなレポートが載っておりまして、見出しも「頭脳の棺桶 国立大学」と書いてあるわけです。随分ひどい見出しなんですが、その中から少しつまんで拾い読みをしてみますと、いろいろな大学の現場の、これも東京大学、京都大学大阪大学等々の第一線の、それも世界的と言われるような先生方のお話であります。  「ビーカーを買う金がないからね。たいがいは、ほら、ワンカップだよ」、ワンカップのコップをビーカーのかわりに使うんだ。「だいたい、この実験室にある物は、拾ってきたものが多いんだから。ほら、このモーターも、廃品置き場で見つけた。拾うのばかりうまくなったね」「これはみんな、卒業生が下宿やマンションを引き払うときに、生協で売りに出した冷蔵庫。一個、五千円くらいで買ったかな」「毎年、国際学会に招待されるが、行ったことはないね。第一、旅費がない。カネができれば、廊下のものを直さないといけないし」「カネがあるから、いい仕事ができるとはかぎらない。でも、ま、ごまめのはぎしりかな。冷蔵庫くらいは、自分のカネじゃなくて買いたいね」「国が教授に支給する旅費は、年間たったの七万円」等々書いてありました。  その中にも、「薄汚い工場群のイメージである。」「大学のキャンパスとは呼べない。」「学内の研究室、実験室は、内部が機器と書籍、机で足の踏み場がないばかりか、廊下という廊下にそれらがはみ出している。危険な水素、酸素ボンベが廊下わきに並び、ヘリウムのボンベが二十本ほど、廊下の天井からぶらさがる。」等々、まだありますね。「廊下は、岩石標本などに占拠されている。「消防法違反」どころでない」、こんな惨たんたるような中に置かれていて、大臣冒頭おっしゃったように、日本を今日まで支え、そしてこれからも支えなければいけない優秀な人材を教育すると同時に、今海外摩擦の問題が起きているいわゆる基礎研究というものにもしっかりやらなければいけない、こういう状況にあって、先ほど指摘があった産業界も非常に注目している。ところが、産業界の実態は、いわゆる国立大学研究を当てにするのではなくて、いわゆる海外にどんどんお金を出していく。ある人に言わせれば、日本の大学は卒業生だけ企業に送ってくれればいい、中身は会社で鍛え直すんだ、こんなことを暴言する方までおられる。しかし、その学生を教える大学院生、助手等々のなり手もなくなってきているというふうな中で、本当にこれは相当深刻な問題ではないかな。そして、いみじくもおっしゃいましたけれども、これは文部省に頑張れよという話ではなくて、大学の教育という、特に理科系の教育のあり方というのは日本の産業、経済にとって、そして国際的な役割の中で大変大きな意味を持つからという部分では、まさに内閣の大きな課題としてぜひとも考えていかなければいけないというよりも、具体的な枠組みをつくっていくべきときが来ているんではないかな、教育というのは一朝一夕にはでき上がらないけれども、崩れるのはすぐに崩れてしまうということだと私は思います。そういう意味で、今私、具体的に何か案があるわけではございませんが、先ほどの補強になるかもしれませんが、そういう大きな位置づけで、文部省だけの話ではないということで、内閣として、日本の産業基盤を支える教育をどうするんだということをぜひとも通産省も提唱者の一人としてお取り組みをいただきたいというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  195. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大学、国立試験研究機関等の公的部門の研究機能充実については、まさに今川端先生おっしゃったとおり、日本は、基礎研究、ここから出発する、これが外国の研究に頼っていいところばかり利用しておるというような批判も受けておるわけでありますから、新しい二十一世紀に向かっての日本の役割ということを考えると、先生おっしゃるとおり、この基礎部門の研究を充実していく、これは極めて重要なことであり、私も宮澤内閣の国務大臣の一人として、内閣全体がこういった一番大事な問題に心を注いでいかなければならない。まさに先生は京都大学の工学部大学院の秀才でございますから、その先生のいわば経験に立っての貴重な御意見をこれから内閣が実現していくように努力をしてまいりたいと思います。
  196. 川端達夫

    ○川端委員 後半の部分はちょっと間違いがあるのではないかと思いましたけれども、ありがとうございます。  そこで、所管の中心であります文部省にもお伺いをしたいのですが、こういうふうなまさに惨たんたる現場になっているのではないか。幸いにも私がおりました二十数年前はまだ恵まれていたの かなというふうに思いました。その当時からいろいろ調べさせていただきましたけれども、一番多いときに比べると文教施設費は約半分くらいになっている、それからいわゆる講座費というのですか経常費、一講座当たりの費用、これは旅費とか光熱費とかそういういわゆる運営費用は十年間ほとんど変わっていない、そして定員は大幅に削減をされたというふうに、どれをもっても全部悪い方に行っているという状況にあるわけです。  それで、今までも恐らく文部省としてはいろいろな御努力をされたと思うのですが、実際のレベルとして、例えば先ほども数十億上積みするという要求をされているという文教の施設費に関しても、ことしで言えば八百九十八億ですか、科学技術研究費、自由な研究ができるという科研費で五百八十九億、こういうレベルですけれども、ここの列にもおられると思いますが、御出身の大手の企業では、人件費も入れると一企業で年間四千億ぐらいの研究費を使っている。人件費、半分までいかないと思いますけれども、半分と見ても一企業で一千億だ、二千億だという研究開発費用を使っている。それは当然施設も含まれているわけですが、それが大学の施設費が八百九十八億で科学技術研究費が五百八十九億だということでは本当に、しかも今日本が世界の中で言われている、大臣もおっしゃったいわゆる基礎研究という部分というのは企業はまさに、見向きもしないという言葉はいけないですね、果実を求めるという意味では、やはりそれはどこかからいただくという部分であります。そういう実態の中で、これから文部省としてはどのような取り組みを、一生懸命頑張っておられると思うのですけれども、それと同時に通産大臣、せっかくお答えをいただきましてバックアップもしていただけると思うのですけれども、そういう意味ではこれからのそういう文教、特に科学技術研究に対する施策としての取り組みに対して御見解を賜りたいと思います。
  197. 工藤智規

    ○工藤説明員 先生にはいろいろ御心配をおかけし申しわけないと思いますとともに、応援いただきましてまことにありがとうございます。  御指摘いただきましたように、施設費あるいは研究費の悪化というのはまさにここ十年でございまして、といいますのはちょうどいわゆる国家財政も悪化が顕在化いたしまして、いわゆるマイナスシーリング、財政抑制に入った途端に、私ども教育、研究というのはいろいろな分野で着実に伸びているわけでございますけれども、残念ながら予算の圧縮というのが、せめて研究費を確保するために施設費といいましょうか物件費を圧縮せざるを得なかったこともありまして、先ほど指摘ありましたように、施設費については一時の半分ぐらいまで下がってきたわけでございます。そういう意味では、教育・研究条件の悪化が大変憂慮される状況になってございます。  そうはいいましても、先生も御指摘ありましたように、大学というのは単に人材養成だけではなくて、我が国の基礎的な研究企業と違いまして全く金のネタになるかどうかわからない、科学に対する好奇心を前提にした全く純粋な基礎研究の担い手としては、大学の教育・研究条件を充実するしかないわけでございまして、それがひいては我が国のこれからの国際貢献の基盤となるものでございますので、文部省といたしましても、今極めて財政事情が厳しい折ではございますけれども、アクティビティーの高い大学を中心にしながら、限られた予算の効率的な重点的な配分をいたしまして施設設備、研究費あるいは教官の処遇等を含めましてそれぞれの面での充実を図ってまいりたいというつもりでございます。  特に、アクティビティーの高い大学という中でも、これからの教育、研究の方向といたしましては、学部レベルにおける教育の成果というほかに、大学院を中心とする教育、研究の高度化というのが大学審議会でも言われております方向でございまして、そういう意味で、実績のある大学院を中心とした、しかも理工系の整備というのが緊急でございますので、そういう分野を中心にした重点的な整備についてより一層努力してまいる所存でございます。また御指導いただきたいと思います。
  198. 川端達夫

    ○川端委員 まだいろいろと申し上げたいことはあるのですが、大臣にも御答弁をいただきました。これで終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  199. 武藤山治

    武藤委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  200. 武藤山治

    武藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 武藤山治

    武藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  202. 武藤山治

    武藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、額賀福志郎君外五名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。和田貞夫君。
  203. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     高圧ガス取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、高圧ガス事故の未然防止に万全を期する観点から、次の諸点につき特段の配慮を払うべきである。  一、大学研究室等における高圧ガス事故の再発を防止するため、特殊高圧ガス消費先の保安体制が速やかに整備され、保安管理が適切に行われるよう指導するとともに、特定高圧ガスの追加指定は機を失することなく機動的に行うこと。  二、高圧ガス輸入手続簡素化指定保安検査機関及び指定設備制度の導入等の手続の簡素合理化については、保安上問題の生じることとならないよう措置するとともに、これにより生じる行政事務の軽減効果が危害予防規程の遵守、保安教育徹底等の指導監督に十分活がされるよう努めること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  204. 武藤山治

    武藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  額賀福志郎君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 武藤山治

    武藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、渡部通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部通商産業大臣
  206. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。大変ありがとうございました。     ―――――――――――――
  207. 武藤山治

    武藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 武藤山治

    武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  209. 武藤山治

    武藤委員長 次回は、広報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十七分散会