○川端
委員 ありがとうございました。
ところで、実際、大変だ、大変だというお話はよくあるのですけれ
ども、本当に大変なのですね。国立
大学の教授の一年間の出張旅費、枠がございます。どれぐらいか、まあ御存じないでしょうけれ
ども、一年間に七万円なんですね。間違っていたら御訂正ください、ほかからの情報ですので。これで国内、海外全部なんですね。そういう
実態にあるなということで、私たち同じ院内にこういう理科系の
大学で学んだ者がたくさんおります。そういう者の有志でいろいろこういう
実態を勉強しているんですけれ
ども、たまたま五月に、「アエラ」という週刊誌がございますが、ここにいろいろなレポートが載っておりまして、見出しも「頭脳の棺桶 国立
大学」と書いてあるわけです。随分ひどい見出しなんですが、その中から少しつまんで拾い読みをしてみますと、いろいろな
大学の現場の、これも東京
大学、京都
大学、
大阪大学等々の第一線の、それも世界的と言われるような
先生方のお話であります。
「ビーカーを買う金がないからね。たいがいは、ほら、ワンカップだよ」、ワンカップのコップをビーカーのかわりに使うんだ。「だいたい、この実験室にある物は、拾ってきたものが多いんだから。ほら、このモーターも、廃品置き場で見つけた。拾うのばかりうまくなったね」「これはみんな、卒業生が下宿やマンションを引き払うときに、生協で売りに出した冷蔵庫。一個、五千円くらいで買ったかな」「毎年、国際学会に招待されるが、行ったことはないね。第一、旅費がない。カネができれば、廊下のものを直さないといけないし」「カネがあるから、いい仕事ができるとはかぎらない。でも、ま、ごまめのはぎしりかな。冷蔵庫くらいは、自分のカネじゃなくて買いたいね」「国が教授に支給する旅費は、年間たったの七万円」等々書いてありました。
その中にも、「薄汚い工場群のイメージである。」「
大学のキャンパスとは呼べない。」「学内の
研究室、実験室は、内部が機器と書籍、机で足の踏み場がないばかりか、廊下という廊下にそれらがはみ出している。危険な水素、
酸素ボンベが廊下わきに並び、ヘリウムの
ボンベが二十本ほど、廊下の天井からぶらさがる。」等々、まだありますね。「廊下は、岩石標本などに占拠されている。「消防法違反」どころでない」、こんな惨たんたるような中に置かれていて、
大臣冒頭おっしゃったように、日本を今日まで支え、そしてこれからも支えなければいけない優秀な人材を教育すると同時に、今海外摩擦の問題が起きているいわゆる基礎
研究というものにもしっかりやらなければいけない、こういう
状況にあって、
先ほど御
指摘があった産業界も非常に注目している。ところが、産業界の
実態は、いわゆる国立
大学の
研究を当てにするのではなくて、いわゆる海外にどんどんお金を出していく。ある人に言わせれば、日本の
大学は卒業生だけ
企業に送ってくれればいい、中身は会社で鍛え直すんだ、こんなことを暴言する方までおられる。しかし、その
学生を教える
大学院生、助手等々のなり手もなくなってきているというふうな中で、本当にこれは相当深刻な問題ではないかな。そして、いみじくもおっしゃいましたけれ
ども、これは文部省に頑張れよという話ではなくて、
大学の教育という、特に理科系の教育のあり方というのは日本の産業、経済にとって、そして国際的な
役割の中で大変大きな
意味を持つからという部分では、まさに
内閣の大きな課題としてぜひとも
考えていかなければいけないというよりも、具体的な枠組みをつくっていくべきときが来ているんではないかな、教育というのは一朝一夕にはでき上がらないけれ
ども、崩れるのはすぐに崩れてしまうということだと私は思います。そういう
意味で、今私、具体的に何か案があるわけではございませんが、
先ほどの補強になるかもしれませんが、そういう大きな位置づけで、文部省だけの話ではないということで、
内閣として、日本の産業基盤を支える教育をどうするんだということをぜひとも
通産省も提唱者の一人としてお取り組みをいただきたいというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。