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野田国務大臣 長年私も、
通産大臣同様、この
商工委員会で水田先生初め
先生方の御
指導をいただきながらまいった者として、よろしく
お願い申し上げたいと思います。
今、
通産大臣から、基本的に
景気の問題あるいは生活の豊かさの問題について
お話がございました。現在の
経済の
情勢でありますけれ
ども、先生御指摘のとおり、住宅であったり、あるいは
自動車、あるいは消費の中身、あるいは
設備投資の動向、それぞれ御指摘のとおり指標の上で一時ほどの元気な姿でなくなっておる、こういうものもたくさん実はございます。
しかし、マクロ、鳥瞰図で見ますと、基本的には私
どもは、今までのいわゆるバブルを含んだ
経済という
表現がありますけれ
ども、結論から申し上げると、やや高目の成長の
時代から、むしろより
物価の安定を基礎とし、
内需を
中心とする持続的な
拡大といいますか
経済成長への経路に今ずっと移行しつつある
段階にあるということではなかろうかなと実は考えております。
例えば住宅にしても、今の地価の水準は確かに昨年のピークから徐々に徐々に低下してきております。しかし、まだ今の水準が、これが底だということではない印象がある。まだ水準が高いから下がっていくのではないかという、実はそういう期待感が、もうちょっと待てよ、もうちょっと待ったらもっと下がるかもしれぬというある種の効果を生んでおるということも一方では指摘がなされるわけであります。
そういった意味で、先生先ほど御指摘がありました実業、虚業という言葉をお使いになりましたが、その言葉を利用させていただくならば、まさにそういう実業の
世界が
中心になってこれから持続可能な安定的な成長に今移行しつつある
過程にある。ただ、今までのハイスピードから見るとかなり
減速感があるということはそのとおりだと思いますし、業種あるいは
中小企業を
中心にそれぞれミクロでずっと見ていきますと、かなり厳しい物の見方をしておられるということもよくわかっておりますが、トータルとして見れば、私は今そういう
段階にあるのではないか。
今後、じゃどうなるのかということでありますけれ
ども、これは
雇用者数は着実に伸びてきておりますし、それを背景として
個人消費もやはり堅調な姿で推移する。あるいは
公共投資がこれからも持続的な下支え効果をもたらしていくわけでありますし、
設備投資も、特に合理化あるいは省力化あるいは新商品の研究開発投資への意欲そのものは非常にまだまだ旺盛なものが潜在的にはある。こんなことを考えますと、今申し上げましたように、これから
内需中心型の持続可能な成長への今ラインにあるというふうに判断をいたしておるわけであります。
生活の問題については、通産省の方でも九〇年代のビジョンなどでお出しになっておりますが、実は我が庁も、御
案内のとおり
国民生活白書をお出しをして、そういう中で、確かに今日まで、我々個人の側面においても収入の増大に重きを置くような発想があったわけです。しかし、むしろ収入の増大よりも
自分たち一人一人の生活を大事にしていきたい。つい先般総理府の
調査もありましたけれ
ども、そういう中で非常に特徴的なことは、収入の増加よりもむしろ労働時間の短縮を選びたいという発想が実は出てきておる。これは個人のゆとりとか豊かさというものはそれぞれ個人差がありますし、見る角度によっておのずから異なってくると思いますけれ
ども、基本的に、充実した生活、人生をどうやって設計をしていくのかという多様性というか、いろいろな意味でのゆとりというものが必要になってきた。そういうことが、これは雇用の面においても必要になってきた。したがって、
中小企業でもこれからは、賃金さえ高くすれば人が集まるという
時代ではなくて、むしろ労働時間というものが非常に大事なポイントになってくる、そういう
時代になってきた。さまざまな
企業活動にしても、
企業の収益
中心型の
企業経営ではなくて、むしろ社会への
貢献ということを逆に前面に出していくということが
企業イメージのアップにつながっていくとか、さまざまなものが出てきた。さらに、環境の問題だとか、いろいろなかっては成長の制約要因と考えられ、二律背反的なアプローチの仕方があったんですけれ
ども、むしろ逆に、それと共存していかなければ成長そのものが達成できないのでは一ないか、そういう物の考え。そういう中で、むしろこれまでの
企業社会
中心型であった姿から個人の生活重視型のそういう形に変わっていく、
消費者重視というか生活者という視点からの
経済運営ということも非常に大事なことになってきた。そういう中で、個々人の
分野は別として、少なくとも住宅であったり、あるいは通勤時間の問題であったり、あるいは下水道だとか公園だとか、そういう生活環境に関連する社会資本ということについては、これは公的セクターが大いにその役割を果たしていかなければならぬわけですから、そういう意味で、いわゆる四百三十兆の
公共投資の基本
計画を着実に達成をしていく必要がある、このように私は考えております。御指摘のとおり、
世界経済も非常に大きく変わってきておりますし、
日本の
経済が単に
日本の
国内向けだけでなくて、
世界経済の中での調和といいますか、そういう中での責任が非常に大きくなってきたということもしっかりと踏まえて
経済運営をしっかりと頑張っていきたい、こう考えております。