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1991-12-03 第122回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月三日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 清水  勇君    理事 植竹 繁雄君 理事 畑 英次郎君    理事 松岡 利勝君 理事 光武  顕君    理事 村上誠一郎君 理事 緒方 克陽君    理事 川俣健二郎君 理事 石田 祝稔君       岩屋  毅君    衛藤 晟一君       金子原二郎君    金子徳之介君       木村 義雄君    小坂 憲次君       鈴木 俊一君    住  博司君       野中 広務君    平田辰一郎君       増田 敏男君    宮路 和明君       簗瀬  進君    山本  拓君       山本 有二君    有川 清次君       石橋 大吉君    田口 健二君       鉢呂 吉雄君    松前  仰君       山内  弘君    山中 末治君       吉岡 賢治君    鍛冶  清君       薮仲 義彦君    吉井 光照君       藤田 スミ君    菅原喜重郎君       高木 義明君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁地方振興 小島 重喜君         局長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官   委員外出席者         防衛庁防衛局運 宝槻 吉昭君         用課長          文部省学術国際 雨宮  忠君         局学術課長          厚生省生活衛生         局水道環境部環 浜田 康敬君         境整備課長         農林水産大臣官         房総務課環境対 坂野 雅敏君         策室長         農林水産省構造         改善局農政部農 神村 義則君         政課地域農業対         策室長          農林水産省構造         改善局建設部防 岡本 芳郎君         災課長         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き 小高 良彦君         課長         農林水産省食品         流通局野菜振興 桑原 勝敏君         課長         林野庁林政部森 関川 和孝君         林組合課長          林野庁指導部造 村田吉三郎君         林保全課長          資源エネルギー         庁公益事業部業 片山登喜男君         務課長         中小企業庁長官         官房総務課倒産 小林 憲明君         対策室長         気象庁総務部航 古川 武彦君         空気象管理課長          気象庁予報部業 瀧川 雄壯君         務課長          気象庁予報部予 櫃間 道夫君         報課長          気象庁地震火山         部地震火山業務 森  俊雄君         課長         郵政省電気通信         局電気通信事業 森   清君         部業務課長         労働省職業安定         局業務調整課長 吉免 光顯君         労働省職業安定         局地域雇用対策 上村 隆史君         課長         建設省建設経済 澤井 英一君         局調整課長          建設省河川局河 市原 四郎君         川計画課長          建設省河川局砂 高橋 哲雄君         防部砂防課長          自治大臣官房参 北里 敏明君         事官          特別委員会第三 中村  信君         調査室長      ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   菅原喜重郎君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     菅原喜重郎君     ――――――――――――― 十一月二十九日  雲仙普賢岳噴火災害対策に関する請願(串原  義直紹介)(第二二八号)  同(清水勇紹介)(第二二九号)  同(木島日出夫紹介)(第四三二号)  台風十九号による農作物災害対策に関する請願  (串原義直紹介)(第二三〇号)  同(清水勇紹介)(第二三一号)  同(木島日出夫紹介)(第四三三号)  活動火山噴火災害対策推進に関する請願(松  岡利勝紹介)(第二三二号) 十二月二日  雲仙普賢岳噴火災害緊急対策に関する請願  (岩村卯一郎紹介)(第七一一号)  雲仙普賢岳噴火災害対策に関する請願井出  正一紹介)(第七一二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第七一三号)  同(小坂憲次紹介)(第七一四号)  同(田中秀征紹介)(第七一五号)  同(中島衛紹介)(第七一六号)  同(村井仁紹介)(第七一七号)  台風十九号による農作物災害対策に関する請願  (井出正一紹介)(第七一八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第七一九号)  同(小坂憲次紹介)(第七二〇号)  同(田中秀征紹介)(第七二一号)  同(中島衛紹介)(第七二二号)  同(村井仁紹介)(第七二三号) 同月三日  雲仙普賢岳噴火災害対策に関する請願堀込  征雄紹介)(第八六七号)  同(北沢清功紹介)(第一〇七二号)  台風十九号による農作物災害対策に関する請願  (堀込征雄紹介)(第八六八号)  同(北沢清功紹介)(第一〇七三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件     ――――◇―――――
  2. 清水勇

    清水委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。光武顕君。
  3. 光武顕

    光武委員 災害特別委員会の今回の委員会で、私から台風関係それから私の地元でございますかねてより皆様方に御心配をいただいております雲仙関係について、大きく二つに分けてお尋ねをいたしたいと思います。  まず今回の台風でありますが、十七号、十八号、十九号、続けて参りまして、特に十八、十九の方については九州もそしてまた全国的な被害が大きかったわけでありまして、その被害状況対策現状について一点お伺いをいたします。
  4. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 ことしは、九月十二日から二十八日までのわずか十七日間でございますけれども、台風十七号、十八号、十九号が相次いで日本列島に上陸または接近をいたしまして、停滞しておりました秋雨前線と相まって全国各地に大きな被害を及ぼしたとこみでございます。  一連台風によります被害状況でございますけれども、消防庁の調べによりますと、一般被害として死者、行方不明者八十一名、住家の全半壊約一万四千棟、床上、床下浸水約七万一千棟等となっております。また施設関係被害でございますけれども、十一月一日現在関係省庁において取りまとめられたところによりますと、建設省関係公共土木施設で約一千八百億円、運輸省関係港湾施設で約二百億円、文部省関係公立学校施設文化財等で約百八十億円等の被害発生をいたしております。今回の災害強風等によって最も大きな被害となりました農作物等被害でございますけれども、農林水産省調べによりますと約四千億円にも及んでおります。林産物等被害が約千四百八十億円、水産物等被害約二百九十億円、それから公共土木施設等被害約千四百二十億円、これらを合わせました農林水産業関係の全体の被害総額が約七千百九十億円というふうに聞いております。  このように相次いで発生いたしました台風等によります今回の災害被害状況にかんがみまして、国におきましては既に九月二十日、そして三十日に災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、住民生活の安定のための応急対策に万全を期するとともに、被災者に対する適切な救護救済措置の当面の推進事項につきまして申し合わせをいたし、これを推進しているところでございます。一連台風災害に対しまして、去る十一月十九日でございますけれども、天災融資法発動激甚災害法の適用について政令が公布、施行されてございます。  今後とも、関係省庁地方公共団体と密接に連携を保ちまして、政府としても対策に万全を期していきたいというふうに考えております。
  5. 光武顕

    光武委員 ただいま被害状況についていろいろお話がありましたのですが、私の方も農林業あるいは水産業について県内を調べてみましたところ、被害は先ほど来お話がありますように極めて大きいのであります。  その中で特に意外に思いましたのは、対馬におきます林業が当初調査をした段階からだんだんと被害状況がわかってくる。と申しますのは、何と申しましても奥地に踏み込んでいかなければよくわからないという面もあるわけでありまして、その他大分県におきましてもかなり大きな被害がある。その中に、例えば倒木をした、つまり倒れた木を伐採し、そして運び出すのに十年とも二十年ともかかるといったような話も出てくるわけであります。そうだとしますと、これは二次災害といったことも考えられますので、そうした問題。さらにまた林業農家が、かなり長期にわたるということで植林等について意欲を失う、経済的な負担、そしてまた回復するまでの期間、そういったことについて非常に大きな負担を感じているということでありまして、特にこの際、森林災害対策について農林省にお伺いしたいと思うのであります。
  6. 村田吉三郎

    村田説明員 御説明をいたします。  先生お話しのように、今回の台風十七号から十九号にかけましての災害で四十三道府県林野関係に甚大な被害発生をいたしております。その被害額は、県等からの報告によりますと、立木の倒伏あるいは折損等森林被害が三十道府県で千四百八十億円、それから林地荒廃等が四百二十五億円、林道が百一億円となっておりまして、総被害額は二千六億円余となっております。また主な被害県は、大分県が五百五十四億円、福岡県が三百三十六億円、熊本県が百五十億円、石川県が百二十六億円、また長崎県では三十一億円などとなっているのでございます。  このため林野庁といたしましては、森林被害につきましては激甚災害法に基づきます森林災害復旧事業実施によります早期復旧、あるいは大量に発生しております被害木の処理を円滑に進めるための高性能機械導入促進及び被害木の利用の促進、また林地荒廃につきましては災害関連緊急治山事業等実施によります早期復旧、あるいは被害を受けました林業者に対する金融税制措置等の適切な実施によりまして、この災害復旧を早急に進める考えでございます。  今先生からお話のございました二次災害防止観点からの復旧を急ぐべきであるという御指摘についてでございますが、この森林災害復旧につきましては、二次災害防止あるいは国土の保全機能維持回復観点から緊急に事業を行う必要があるわけでございまして、できるだけ早期事業が終了するように適切に対処をしていくことが肝要であると考えております。  このため、特に森林災害復旧事業につきましては、先ほど申し上げました大型機械導入でありますとか、あるいは広域にわたる労働力調整等を図ることによりまして、災害発生年度を含めて五年間という計画期間内で事業が終了するように最善の努力を傾注してまいりたいと考えておりまして、現在、該当県と復旧計画についていろいろ調整を行っている段階でございます。  また、倒木等が次期の降雨で災害を与えるおそれのある箇所につきましては、災害関連緊急治山事業等によりまして、スリットダムでありますとかあるいは山腹工等を早急に行いたい、このように考えております。  また、被災林家が極力負担のかからない方法で復旧をすべきではないかという御指摘でありますけれども、確かに今次台風によります被災林家の経済的な負担は大変なものがあるわけでございまして、復旧に当たりましては極力負担を軽減するという観点に立ちまして、被害が甚大な市町村につきましては一般造林に比べて手厚い助成内容となっております激甚災害法に基づく森林災害復旧事業実施でありますとか、あるいは被災林家負担のかからない災害緊急治山事業あるいは保安林改良事業等による早期復旧、それから府県造林公社等の分収林方式によります復旧造林あるいは被害を受けた林業者に対する金融税制措置の適切な実施等の諸対策を総合的に講じまして、また関係県とも連携を密にしながら災害復旧の万全を期してまいりたい、このように考えております。
  7. 光武顕

    光武委員 ただいま質問に対しまして詳細に被害状況あるいはその対応についての答弁があったわけでありますが、おおむね私もその答弁に対して了解をいたします。しかしながら、実際にこういった被害が起こりますと、国の方で考えております諸対策、そしてそれは私は十分時と場所を心得てやっていただけるということでそれなりの信頼はいたしているのでありますが、とかく現地の方ではその辺の考え方ミスマッチといったようなことが起こりがちでありまして、そうした不満がこれから出ないとも限りません。私も現地水産関係もいろいろお話を聞いてみたのでありますが、早速、県あるいは国の方からの調査があっており、激甚災害指定も受けたので何とか立ち直れるだろう、一応今のところ安堵しているようでありますけれども、特に林業関係については、そうした二次災害防止といったようなことに重点を置いてひとつこれからも施策を進めていただきたいと思うのであります。  以上、今回の台風関係についてお尋ねしましたが、雲仙災害の問題に入る前にいま一つだけお伺いしたいことがございます。それは、最近は非常に天気はよくなったのでありますが、特に七月から八月の上旬にかけまして異常低温が続いたのですね。その異常低温によります米作、水稲作被害というものが、これは全国的なものであろう、作柄も、ことしは例年に比べましてやや不良ですか、九五といったような数字も出たようにも思うのですが、その中にありましても、特に東北地方では甚大な影響、そして全体としての被害が出ているというふうに聞いているわけです。したがいまして、これらの地域におきましては、天災融資法発動に当たりまして、特に激甚災害地域指定をお願いしたいと思うのですが、ただいまそこら辺のところはどうなっているかをお尋ねしたいと思います。
  8. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生御案内のとおり、激甚災害指定指定基準という尺度に合わせまして災害被害状況に応じてこれを行うものでございます。仰せの、ことしの七月から八月にかけましての異常低温等による作物被害につきまして、現在私ども関係省庁から被害報告を受けているところでございます。この被害報告から見てまいりますと、異常低温等による農作物被害については相当の被害が生じているというふうに言えると思います。激甚指定が早急に行えるように所要の手続をただいま進めている段階にございます。
  9. 光武顕

    光武委員 大体それはいつごろまでにそういった指定ができるとお考えでしょうか。
  10. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 早く作業を進めまして、御要請に沿うように一生懸命やりたいと思います。
  11. 光武顕

    光武委員 ただいまの件につきましては、東北地方方々は非常に大きな不安を持っておられますので、可能な限り早く作業を進めていただいて指定を行っていただきたい、このように御要望いたします。  次に、雲仙関係についてお尋ねをいたしますが、この問題については、私も今回また引き続き災害対策特別委員会委員を務めさせていただきまして初めての質問であります。これまでも関係当局さらにはまたこの委員会でも各委員皆さん方が大変な御熱意を持ってこの問題に取り組んでいただき、さまざまの施策を今日まで実行していただいておりますことに、まずもって心から感謝申し上げる次第であります。  しかしながら、依然として雲仙火砕流あるいは土石流というものは皆様御承知のように今日も続いているし、さらにまた、これから先もいつ終息するともわからないといったような状況の中で、地元方々は非常に大きな不安と、そしてまたあすなき生活、希望がないといった日々の生活を送っておられる住民皆様方にとりましては、それなり施策がとられているとはいえ、かつての、みずからの生活と比べますと大きな不満が残ることは当然であると私は思うのであります。そういう意味で、これから先も従前以上に手厚い御配慮そしてまた御支援をお願いしたい。これは当局はもとよりでありますけれども、この委員会皆様方の今日までの御支援に感謝をしつつ、今後とも引き続きよろしくお願いしたいと思うのであります。  さて、雲仙岳噴火が続いておりまして、火砕流発生あるいは溶岩ドームの形成などが今日続いておりますが、島原では、太田一也九州大学理学部島原地震火山観測所長を初めとした大学等研究者雲仙岳火山観測研究を行っているということでありますが、現在、大体大学観測研究体制現状がどうなっているのかといったようなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  12. 雨宮忠

    雨宮説明員 御指摘九州大学理学部附属島原地震観測所中心といたしまして、昨年七月からの地震活動活発化、それから十一月の雲仙岳噴火につきまして、臨時に地震計等を配置しまして、より高密度の観測実施いたしておるところでございます。もちろん九州大学地震火山観測所中心ではございますけれども、あわせまして北大でありますとか東北大、名古屋、京都の関係学部あるいは京都大学防災研、東大の地震研等々の関係研究機関等も参加いたしまして、直接に普賢岳地震観測実施しておるということとあわせまして、半島全体の地球科学的な状況の変化などにつきましても、あわせまして調査研究実施しておるところでございます。
  13. 光武顕

    光武委員 観測体制についてのお話を聞きましたけれども、しかし、一部マスコミあたりには「宙に浮いた雲仙観測強化計画」「経費要求削られ、四カ月間実施されず」といったようなことが報道されているのであります。私もいろいろお尋ねをしてみましたけれども、それはそれなりの理由があり、お尋ねした限りでは私も納得できるのでありますが、現在の大学研究者による火山観測研究に伴って必要な観測設備というものがさらに充実されなければいかぬ、そういうような観測設備等について、文部省はどのような措置を講じてきたのか、もう一度ひとつお尋ねをしたいと思います。
  14. 雨宮忠

    雨宮説明員 観測研究に必要な経費等についてどういう援助をしてきたかというお尋ねでございます。  一つ設備関係でございまして、より高密度な観測研究ができるようにということが一つございます。もう一つは、先ほども御説明申し上げましたように、関係研究者島原に集まりまして協力して研究体制をとっておるということでございまして、そのための研究者旅費等が必要なわけでございます。  それらのことのために文部省といたしましては、緊急に科学研究費補助金三千八百五十万円を交付するということとあわせまして、特別会計の上で約一億二千八百万円、これらは主として設備関係でございまして、GPS受信装置でありますとかあるいはデータレコーダーなどの設備等中心でございますけれども、それらの措置を議しておるところでございまして、今後とも九大を中心にいたしまして観測強化を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  15. 光武顕

    光武委員 とかくこの観測についてはいろいろと話が出るわけでありまして、今お話を聞きましても、GPS受信装置等一億二千八百万といったような新たに措置をした観測設備があるということたのでありますけれども、地元に参りますと、自衛隊の観測というものが一般的に文部省大学関係観測機器に比べましても精緻である、そしてそちらの方が頼りがいがあるといったような声も聞くわけなんですね。したがって、文部省としては、そうした地元の意向を十分踏まえまして、この観測研究体制については大学側等々の意見をよく聞いてこの予算措置に努めていただきたいというふうに思います。  それでは次の質問に進みますが、実はこの項についてはかなり私もいろんな角度から研究してみたこともありますので、多少時間をかけて、いろんな回り道をいたしますが、お尋ねをしたいと思います。  実は、今国土庁の方で、この災害体育館等に、言ってみれば一時避難しておられる皆さんが、その後建設省等の協力もあり、御理解も得て、緊急避難所的なところから個別にいろんな支援をしていただきました。例えばプレハブ住宅建設であるとかあるいは住宅世話等々していただいたわけでありますが、その中でも体育館等で当時食事供与を受けていた方々が、個別に住むようになるとそれができなくなるといったようなことで、特に十月から食事供与についての新たな措置をとっていただいたわけであります。この問題、実はいろんな事柄がこれから発生してくると想定されますので、その点をひとついろいろ私も私見を交えながら御質問を申し上げたいと思うのであります。  この食事供与事業について、これは現在までに供与対象となっております世帯の実数、その職業別といったことについてまずひとつお伺いをしておきたいと思います。
  16. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 十一月二十七日現在で長崎県から報告を受けておりますところによりますと、対象となっております世帯数が七百六十一世帯、二千八百八十六名ということでございます。  その職業別内訳でございますが、農林業者が四百十、漁業者が二十五、大工左官業者六十三、給与所得者が四十九、年金生活者が三十五、その他自営業者百七十九となっております。
  17. 光武顕

    光武委員 この食事供与者の決定に当たりまして、基本的にどんな基準考えたのか、それはいかがですか。
  18. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生仰せられましたとおり、体育館等応急避難施設から仮設住宅等に彩られた後の支援の方策として、水災害長期に及ぶことからこういう施策を講じてまいることになったわけでございます。  そこで基準と申しますと、二カ月以上の長期間避難を余儀なくされている被災者のうち、この災害が継続することによりまして本来の生活拠点における収入の道が断たれた人、そしてその扶養親族という方々対象といたしております。
  19. 光武顕

    光武委員 供与期間が六カ月ということになっておりまして、三月いっぱいか四月の早々。で切れるということになっているわけですが、この六カ月間という期限を定めるに当たってどういう基本的な考え方があって六カ月となったのか、その辺を改めてお伺いしたい。
  20. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 一般災害ですと、先ほど先生指摘のとおり、体育館等応急避難施設でしばらくの間お過ごしをいただくということで災害を乗り越えることが可能であろうというわけでありますけれども、今回の災害長期化し終息の見込みがなかなか立ちにくいということから、六カ月間という期間を設けまして、食事供与することにより被災者自立をしていただくということに関しましてこれを支援するというような趣旨で、それぞれの努力によりまして生計の手段を確保していただこうというような考え方で設定をしたものでございます。
  21. 光武顕

    光武委員 ただいまの局長答弁によりますと、この六カ月の期間の間に自立促進する、自立促進するというためにも逆に言えば六カ月ぐらいの期間が必要であろうというようなことで決めたということなんでありますけれども、仮にこの六カ月が経過した後引き続き現在の状態が変わらないといったようなときに、この六カ月間の特別措置については新たな検討がなされるのかどうか、その辺をあわせてお伺いしたいと思います。
  22. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 現在、この制度の趣旨によりまして長崎県におきましては、食事供与事業対象者に対しまして就業の意向調査、それから個人の面談等を実施をいたしまして、この期間中に積極的に就業の機会を得ていただきまして自立促進のお手伝いを図ろうということをやっております。  また、さらに既存の制度に加えまして、災害対策基金により事業者に対しまして事業再開の準備を助成するとか、地場産業振興事業への助成をするとか、工場等の移転への助成、雇用開発の助成、職業訓練手当の支給等の措置を講じまして就業の再開促進を図っていただこうということをやっております。  結論的に申しまして、被災者方々には、この六カ月の期間の間にそれぞれ大変なことであろうかと存じますが御努力をしていただきまして、新たな生活の手だてを確保していただきたいという趣旨でございます。したがいまして、この事業期間経過後延長するという考え方は持っておりません。
  23. 光武顕

    光武委員 今のお話の中には、この六カ月の間に自立促進する、そのためには就職のあっせんをし、あるいは就職の機会を何とかひとつつくっていって、安定した生活に移行するようにといったようなお話もあったわけなんですね。  そこで、労働省にお尋ねしたいのですが、この六カ月間という就業の機会があるということなんでありますけれども、実際にここのとこう就業の実績、職業あっせん等についてどんな実績になっているのか、それをひとつ労働省の方から御説明願いたいと思います。
  24. 吉免光顯

    吉免説明員 お答え申し上げます。  噴火以降十一月三十日までに島原の公共職業安定所の雇用相談コーナー、これは六月十八日に開設したものでございますが、そこに申し込まれました新規求職者は六百三十四人でございます。それから、そのうちの就職者は百六十六人でございます。それから、口之津臨時相談所、これも六月十八日に開設しておりますが、こちらの方の新規求職者は四十八人、うち就職者は十三人でございます。それで、これらの人たちの求職申し込みの合計が六百八十二名になるわけでございまして、就職者は百七十九名という状況でございます。
  25. 光武顕

    光武委員 今二カ所で、島原とそれから口之津でやっているというお話だったのですが、職業あっせんについて具体的にどんなふうになさっているのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
  26. 吉免光顯

    吉免説明員 求職申し込みをいただきまして、その人たちのこれまでの職歴でありますとかあるいはこれからの就業についての希望、また、希望に係るいろいろな条件がございますが、そういったものを十分に相談をさせていただくと同時に、希望に合った求人を管内あるいは県外にもお願いしながら雇用機会の確保を図っていくという形で相談をさせていただいております。
  27. 光武顕

    光武委員 先ほど答弁がありました、全体といたしますならば六百八十二名ですか、就職の希望者がおりまして、そして現実には百七十九人ですか、就職ができた、こういうことですね。労働省としては、この実績が労働省側として考えているような実効が上がっているというふうにお考えでしょうか。私は、被害を受けた方々の中で六百八十二人、その中で百七十九人しか就職の機会を得ていないということは、私自身の感じで申し上げますならば、非常に就職率が悪いというふうに感じるのですが、労働省側はどんなふうにお考えでしょうか。
  28. 吉免光顯

    吉免説明員 噴火以降の求職者が、噴火状況の推移にもよると思いますけれども、御自分の希望等十分に考えながら対応されるという面もございますし、私どももそういった人たちの就職について、我々の方は一日も早くということで対応させていただいているところでございますし、これからなお就職率が上がるように一層の努力をしてまいりたいというように考えております。
  29. 光武顕

    光武委員 先ほど国土庁に私がお尋ねしたのは、実はこのお尋ねのために伏線としてお尋ねしたわけでありますけれども、食事の供与対象になっている方々、七百数十戸でありますが、その中で農業、漁業それから自営業をやっておられる方は恐らく全体の六〇%以上に達するのではないか、こう思うのですね。今就職の実態についてお話がありましたけれども、その中に農業者と言われる方々が本当に入っているのかどうか。つまり、食事供与を受けるという立場の人は今日的に就職をする機会もない。農業をやっておられる方は、農地は当然のことながら災害に遭って、そこでは農業を営めない。そこからプレハブ住宅にお住まいになっているわけですが、さて、お仕事をするにいたしましても手に職はない、どうするのか、こういうことになるわけですね。労働省がその調査をなさっているかどうかでありますけれども、先ほどお話がありました食事供与者の中で、特に農家、漁業あるいは一般経営者等々につきまして、実際に就職のあっせんが成功した事例についておわかりであれば教えていただきたい。
  30. 吉免光顯

    吉免説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました求職申し込みをしている人六百八十二名についてでありますが、農業に従事しておりました方が百二十八名でございます。そのほか自営業でございますと二十六名でございますが、そのほか多いところではホテル勤務者でありますとか縫製業の勤務者等々ということになっております。
  31. 光武顕

    光武委員 ちょっと今あれしましたけれども、農家の人で就職をなさった人が百二十八名ということですか。
  32. 吉免光顯

    吉免説明員 ただいまの数字は求職申し込みの数でございまして、その中の就職数についてなお内容を調査しているところでございます。
  33. 光武顕

    光武委員 今の御返事では、先ほど来お話がありました食事供与者として生活をなさっておられる農家の方々が、申し込みは百二十数名あったけれども実態的にどうなっているかということはわからないというお話だったのであります。  私は、これは県の方でも、先ほどちょっとお話があったのですが、この方々に対してきょう、十二月の三日ですか、きょうまでに実ははがきによるアンケートで就職に対する調査等をやっているというふうに聞いております。その結果は恐らく数日後には出るのだろうと思いますけれども、私は仄聞するところでも、なお就職をしていないという方々が大半であるというふうに聞いているわけですね。それは、この農家の人たちは、やはり自分たちは本来的には農業をやりたい、しかし、ふるさとの方は御承知のような状態であって、今直ちに農業がやれるという状況にはない。さてそれではということで集団移転をいたしまして、そして他に農業の代替地を求め、そこで農業をやりたいという希望を持っている方もおられるわけであります。中には、そうはいいながらやはり自分のところへ帰ってやりたいんだという希望を持った方がたくさんおられるということも知っております。しかしながら、仮にやるにいたしましても、自分のふるさとでと申しましても、あれだけの灰をかぶっているところでありますから、これは今の火砕流、土石流等危険な状況が去りましても、それから灰土を除去したり、あるいは盛り土をするといったようなことについても相当の年月がかかるということも御存じなはずなのですね。したがいまして、この代替地が仮にうまく見つかればというお気持ちも実はあるであろう。  農林省にお尋ねいたしますけれども、そういった代替地をという希望があって、仮にもし適当なところがあれば行きたいということがあるとするならば、それに対応しなきゃならないわけですが、その辺のところの調査はどの程度進んでいるのでしょうか。
  34. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 代替地につきまして御説明いたします。  火砕流なり土石流によりまして被災した農地農業用施設復旧に当たりましては、火山活動の鎮静化、被災実態の調査結果を待たなければなりませんが、従前の位置に復旧することが不適当な地域におきましては、代替開墾を行うことも必要と考えております。このため、現在長崎県におきましては、代替開墾の適地を鋭意調査中でございます。農林水産省といたしましては、これらの調査結果を踏まえ、地元の意向を十分尊重するとともに、従来の営農にも配慮しつつ、適切な復旧が図られるよう指導しているところでございます。
  35. 光武顕

    光武委員 今日のような状態が続いている中では、実際に自分のふるさとに帰ってどの程度営農ができるのかという適当な土地が、量的にもなかなか難しいでしょうし、さらにはまた、決意をして代替地を求めて外に出るという人がどの程度おるかということについても、なかなか皆さんの心が決まらない状態で、その需要等についても予測しがたい面があると思うのですね。  一方、代替地の供給という面から考えてみますと、私も、実はこの島原、深江地区は直接の選挙区ではありませんけれども、長いこと県会議員をやっておりましたのでしょっちゅう調査や視察に行ったこともありますので、実態を知っておりますけれども、考えてみれば、被災地が、これは大まかであるようにお聞きしておりますけれども、大体農地として全部で百五十ヘクタール以上あるのではないか。さて、そこの代替地を他に求めるということになりますと、これはなかなか難しいのですね。したがいまして、この農家の人が実はそういったことも知っておられまして、もとには戻れない、さりとて先に行くにいたしましても、代替地が本当にそれに見合ってあるのかということについては大きな不安を持っているわけであります。  一方、六カ月という日にちが刻々迫ってくるわけでありまして、先ほど国土庁局長の御発言によりますと、これの延長についてかなり厳しい判断を示されておりました。私は、その時期が参りましたときに現地状況がどうなっているのか、皆さんがどんなお気持ちを持っておられるのか、そのことをまたひとついろいろと御相談をしなければならないかと思っているのでありますけれども、いずれにしても農業はなかなか困難であるという中で、さりとて就業いたすにつきましても手に職はないというようなところで、閉塞状態にあるわけです。そうした事柄について、今後どのようにしなきゃならないのかなということを今一生懸命自分ながら考えているわけであります。  今まで労働省の御答弁、あるいは農林省さらには国土庁御自身の調査、そしてまた六カ月という範囲等についていろいろお話がありましたので、私の方から改めて国土庁長官お尋ねをしたいと思うのであります。  東家国土庁長官は、今回御就任なさって早速被災地の方に御訪問いただき、現地皆さん方に激励をいただくととっもに、いろいろとお感じになっていることがあると思うのでありますが、そのうち一点だけお尋ねしたいと思います。  それは、先ほど来の答弁の中で、六カ月ということで決められているのでありますが、就業の今日の現状だとか、あるいは対策等々をいろいろ踏まえまして、どんなふうな認識を持っておられるのかお伺いしたいと存じます。
  36. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 食事供与事業対象者は現在就業していない者とみなされるため、特にこれらの対象者に対し積極的に就業機会を与え、就業促進を図る必要があるということは十分承知いたしておりますし、現地でもそのようなことに非常に熱意を持って取り組んでおられることも私もよくお聞きしてまいったわけでございます。また、そういう対象者の就業意欲を的確に掌握する必要があろうかと思っておりますし、これをもとに、これらの人に対し、積極的な就業対策実施はこれからさらに私ども努力していかねばならない。これはもちろん県、市当局の御協力をいただかなければならないというふうに思っております。  今後とも関係省庁連携を図りながら、この被災者の就業の問題については取り組んでまいる所存でございます。
  37. 光武顕

    光武委員 私、ちょっと時間を間違えておりまして、迫ってまいりましたので、第二点、国土庁長官にさらにお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  先般、被災地につきまして御視察をいただいた際に、現地の方で、今関係各省、なかんずく自治省、国土庁、いろいろ御配慮いただきまして三百億の災害基金というものができております。先般来、私もその内容について、県が立てました計画を十分拝見したのでありますが、期待する以上にあの三百億円の基金が被災者皆様方に今後役に立つということについては本当に感謝を申し上げているのでありますが、長官が先般おいでになりました際に、増額をしてほしいという現地の希望も出たやに伺っておりますし、その後長官は、閣議の席上で自治大臣に対して、現地からそういう声が上がっておるということで申し入れをなさったというふうに発表されておりました。  私は、長官にお尋ねしたいのでありますけれども、これは単に現地の希望をそのままお伝えしたということでもないであろう、多分長官としては、あちらにおいでになりましてそれなり被害の実態、皆さんのお気持ち、そういうものを勘案した結果、やはりこの点についてはというある思いがあって自治大臣におっしゃっていただいたと思うのでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  38. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先日、雲仙岳現地視察に行ったときに、長崎県知事さん初めから、現行の基金の額ではどうしても不足することが予測されるであろうというようなことの内容について、私どもいろいろな角度から検討いたしました。その増額の要望をしなければならない事態になったときにはどうしてもお願いせねばならないということで、先般自治大臣に対し、私の方から誠実にお伝えいたしたところでございます。  長崎県の設置した基金の規模は、基金を活用して行う住民等の自立復興支援事業でございますし、地域経済復興事業等の事業に必要な金額を長崎県において積み上げ、検討した上で三百億円、さらに最近では義援金の一部を活用して三百三十億とし、適切に決定したものであると承知はいたしております。  私としては、この基金が被災者等の救済対策の中で大変重要なものと認識しておりますし、今後、県からの基金の額、内容等について具体的な相談があれば、自治大臣にさらにお願いをしていきたいと考えているところでございます。
  39. 光武顕

    光武委員 ただいま国土庁長官から、現地を視察した結果考うるところがあるということも含めまして自治省に対するお願いがあったと思うのでありまして、心から感謝を申し上げます。どうかひとつ、今後この問題について国土庁あるいは関係省庁挙げて取り組んでいただくようにお願いしたいと思うのでありますけれども、時間が参りました。私、ちょっと十分ばかり間違っておりましたので時間が参りましたが、最後に私の方から希望と申しますか考え方一つ申し上げますので、どうぞひとつ関係省庁方々にはお聞き届けをいただいて、研究をお願いしたいと思うのであります。  それは先ほど来私がいろいろな就業状況等についてお尋ねをいたしましたけれども、一万。で食事供与をされている方々も、六カ月という限られた時間がある、それについてはこの期間が非常に厳しいものであるというお話もあったわけでありますけれども、農業をやろうにも農業はやれない、さて就職のあっせんを、こう言われましても手に職がないわけですよ。そうしますと、どうすればいいんだという気持ちがわいてくるのは私は当然でなかろうかと思うのですね。  そこで、そのずっと以前にどういう施策がこんな場合になされたであろうかと考えてみますと、例えば造船不況がありましたときに、雇用不況のところについては特別な措置がなされて職業訓練手当が出ている、これはそれなりに労働省の雇用保険という枠の、中で考えられたものもありますし、あるいは自然災害等で起きました激甚災害指定に関して、離職者に対しては職業訓練手当が出たといったような知恵も働いているわけなんであります。県の方は災害基金の中で一部この職業訓練手当を出そうということで予算化もしているようでありますけれども、しかし仮に農家の人が千人なら千人という方々、これは恐らくこの火砕流等が終わりましたら島原に対する災害復興というのは大変な膨大な年月と金が要るわけですね。その中に技能労働者というのはたくさん要るわけですよ。したがって、農業に対しても先行きなかなかきょうあすというわけにはいかない、しかし、また一方で手に職がなければ就職のあっせんをしたってできないので、そこで今そういう方々、一応六カ月間という期間がありますけれども、それが切れる前に何とかひとつこういう方々に、生活ができながら一方で職業の訓練ができる、そして、それは決してむだ金ではないのであります。そのことが将来大量に技能労働者が必要とされる場合に役に立つし、また手に職を持った人は将来の生活設計に大きな張りができるといったような意味におきまして、私は、かつてさまざまなこの雇用安定のために講じられた、これは労働省が中心でありますけれども、今回の災害についてはそうした面を含めていま一度とう対応すればいいのか、その方々が安心して一時的にであれ将来的にであれ職につけるという状況をつくり上げることが必要である、そうしなければ人心の安定は得られないというふうに感じますので、一応この点を最後に申し上げまして、研究をしていただきたいということを提案申し上げます。  以上であります。ありがとうございました。
  40. 清水勇

    清水委員長 これにて光武顕君の質疑は終わりました。  次に、田口健二君。
  41. 田口健二

    ○田口委員 私は、雲仙普賢岳噴火災害中心にして幾つか具体的なことについてお尋ねをしたいと思います。  まず、東家国土庁長官におかれましては、早速先日現地を視察をしていただきまして、地元皆さん方にも激励をいただきましたことをこの場をかりてお礼を申し上げます。特に大臣は隣の熊本当身ということで地元も大変期待をいたしておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  普賢岳は、昨年の十一月に噴火をいたしまして、はや一年が経過をいたしました。六月三日のあの四十三名というとうとい人命の犠牲を出しましてからも既に六カ月が経過をしておりますが、今なお噴火状況は御案内のように終息するどころかますます活発化をしています。現在もなお、二千百世帯八千百人の人々が今日過酷な避難生活をまだ続けておるという状況にございます。この間政府は、二十一分野九十項目にわたるさまざまな対策を講じていただきました。私は、これで十分だとは思っておりませんが、これまでの災害状況、他の災害の状態から考えますと確かにこれは異例な措置でありまして、その点については率直に評価を申し上げるところであります。  六カ月が経過をしまして、今さまざまな要望、意見が地元の自治体あるいは住民皆さんからたくさん私のところに寄せられています。きょうは非常に限られた時間でありますので、幾つか具体的な問題について政府の見解を承りたいと思っています。  第一が、話がありました雲仙災害対策基金の増額の問題であります。これはやはり現行法制度のもとで、あるいは今申し上げました二十一分野九十項目にわたる政府のさまざまな施策の中でもなお救済ができない、十分な手当てができない、こういうものに対して、この対策基金の果実を利用してさまざまな施策を行っていこうという極めて重要な内容を持っておる基金であります。私どもは、これは当初県とも話し合って最低五百億というふうに考えておったのです。しかし、結果的には三百億ということで現在基金が設置をされているわけですね。こういう状況でありますから、当初から不足をするということはもう目に見えておるというふうに私ども思っておりますので、ぜひひとつこの増額について、再度大臣の御見解をいただきたいと思います。
  42. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先日雲仙岳現地視察に行。ったときに、長崎県の方から、現行の基金の額ではどうしても不足することが予測される、何とか増額してもらえないかというようなことの要望がございました。このことについては、早速私といたしましてはこの内容について自治大臣に誠実にお伝えし、お願いをしたところでございます。  長崎県の設置した基金の規模は、基金を活用して行う住民等の自立復興支援事業地域経済復興事業等の事業に必要な金額を長崎県において積み上げ、検討した上で三百億、さらに最近では、義援金の一部を活用して三百三十億円とし、適切に決定したものであると承知はいたしております。が、この基金が被災者の救済対策の中で大変重要なものと認識しておりますので、今後、県の方から基金の額、内容等について具体的に相談があれば、自治大臣にお願いをしていきたいというふうに思っております。     〔委員長退席、緒方委員長代理着席〕
  43. 田口健二

    ○田口委員 次に、普賢岳災害激甚災害法の適用の指定の問題ですね。たしか現行は準用という形で処置をされておるのではないかというふうに思うのでありますが、激甚法についてはいろいろ基準等がございますので、非常に難しい問題もあるという先ほどからの防災局長のお答えなどもありましたが、この普賢岳災害に対する激甚法指定についてはどういう状況にあるのか、お答えをいただきたいと思います。
  44. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 もう先生御案内のとおり、激甚災害指定にはその被害状況の把握が前提となります。雲仙関係につきましては、その物的被害状況を正確に把握することが、現在立ち入りができませんので困難でございます。しかしながら、今次の噴火活動が長期化しているといったような状況にかんがみまして、従来の取り扱いのまま事態の経過を待つのでは不適当であるということで、中小企業、環境衛生関係、それからまた農林漁業の関係、この関係につきまして去る七月二十三日、閣議決定等によりまして激甚災害指定があったと同じような措置を講ずることといたして現に実施をいたしております。例えば三%の低利の融資というような事業がただいま申し上げました諸事業に適用されております。ただ、公共土木施設、それから農林水産業施設関係につきましては、災害の終息後直ちに当局によります調査が行われると思っておりますけれども、この被害実態の把握を受けまして私ども適切にこれから対応してまいりたいというふうに考えております。
  45. 田口健二

    ○田口委員 次に、防災集団移転の問題ですね。これもいろいろ今日まで議論があっておりましたし、率直に言ってまだ地元の方でもはっきりした意向というのはなかなか固まっておらないわけでありますが、いずれこういう時期が来るのではないかというふうに私どもも予測をしております。ただ、この法律によりますとさまざまな条件があって、この条件から見ますとなかなか現実にこういう事業実施できないのではないか。移転先住宅団地の十戸以上だとか転居住宅の戸数が半分以上であるとかさまざまな条件がありますので、この条件をもう少し緩和することにならないのか、そういう検討は行われておらないのか、この辺はひとついかがでしょうか。
  46. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  今お話しのように、地元の意向調査などもしていらっしゃるようでありますが、お話しのようないろいろとまだ固まっていない点もございます。ただ、私どもといたしましては、地元の意向が固まり次第その防災集団移転が円滑にできるということが大変重要なことではないかということで、現在御指摘のような各般にわたります要件の見直しの問題につきましては事務的には検討いたしております。  ただ、申し上げておきたいことは、この法律に基づきます集団移転というのは、住民皆さん方が危険な地域から集団的に出ていただく、そして二度とそういう目に遣わないということが前提でございますので、例えば危険区域から全部出ていただかないとせっかくの施策がまた意味なくなるとか、こういうことがございまして、例えば全戸移転でありますとか、あるいはある程度のコミュニティーというものが形成される必要があるだろうということで、十戸程度というのはやはり最低のコミュニティーとして必要ではないか、こういうような点につきましては、私どもは現行の制度をやはり維持しなければならないのではないかと思います。例えば二分の一要件とかあるいは補助限度額がちょっと低過ぎるのではないか、こういうような点につきましては現在それぞれ関係当局とも事務的に折衝いたしておりまして、今御指摘がございましたように、できる限りそういう態勢、地元の意向が固まれば私どもとしては積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  47. 田口健二

    ○田口委員 次に、中小企業関係の融資問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  中小企業体質強化資金、こういうのがございますが、現行ですと限度額が二千万円、運転資金については一千万円、あるいは融資期間については、運転資金は五年以内、うち据え置きが一年とかいろいろこういう条件の融資制度がありますし、さらに、災害関係についての特別融資制度というのも一千万というのがあるんですが、地元に参りましても、先日私は島原で約二百人くらいの方に集まっていただきまして、深江でも百五十人くらいの住民皆さんに集まっていただいていろんな意見交換をやったんですが、特に商工業関係の方からは、この融資制度の限度額の引き上げ、それから償還期間の緩和といいますか、こういう要望が非常に強いんですね。今私この二つの融資制度を申し上げましたが、これについて少しこれを緩和する、あるいは限度額を引き上げるという意向はないのか、この辺をちょっとお尋ねをしたいと思います。
  48. 小林憲明

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  当省といたしましては、雲仙岳噴火災害発生に伴いまして被災中小企業者の方の経営の安定を支援するということで、今御指摘ございました政府系中小企業三機関の災害復旧貸し付けの発動、それから中小企業体質強化資金助成制度の活用、さらには、政府系の中小企業三機関からの災害復旧貸し付けについて閣議決定を行いまして特別措置を講ずるなど、被災中小企業者の実情を踏まえましていろいろ最大限の努力をしてきたところでございます。  今先生の御指摘ございましたように、被災の長期化に伴いまして、これらの制度融資につきまして、地元から運転資金の枠の拡大ですとか運転、設備資金の融資期限の延長など、こういったような要望が出されていることは十分に承知しているところでございます。これらの要望に対しましては、今後とも地元長崎県等とも密接に連絡をとりながら、中小企業者の資金需要等の実情を踏まえながら検討を行っていきたいというふうに考えております。
  49. 田口健二

    ○田口委員 次に、労働省にお尋ねをいたしますが、昭和六十二年度から地域雇用開発等促進法に基づいた雇用開発促進地域というのが指定をされておるようでありますが、現地島原の場合には平成三年度をもってこれが終了をする、こういうふうに言われておるわけでありまして、たしか平成四年度から施行される雇用機会増大促進地域というのが何かあるようでありますが、ぜひこれに島原公共職業安定所管内も指定をしていただきたい、こういう具体的な要望が出ております。  で、関連をして、先ほども同僚委員の方からも御意見ございましたが、この被災者に対する雇用促進のための施策あるいは就労事業、こういうものを何かお考えになっておられるのかどうか、この辺も含めてお尋ねをいたしたいと思います。
  50. 上村隆史

    ○上村説明員 今お話のございました雇用機会増大促進地域、これは従前、昭和六十二年当時雇用開発促進地域と言ったものをことしの四月の法律改正で名称が変わったものでございますが、島原地域も含めまして昭和六十二年に指定された地域はすべて今年度の年度末、来年の三月三十一日をもって切れることになっておりますが、その時点で雇用失業情勢等を見まして、再指定も含めまして期限切れ後の取り扱いについて検討を行い、指定すべき必要がある地域についてはその時点で改めて指定を行うということを考えでございます。島原地域につきましては雇用失業情勢が悪化しているというふうに承知しておりますが、いずれにしましても、そういった地域一つとしまして今後ともその地域の雇用失業情勢を注視した上でその時点でまた判断することにしたいと思っております。
  51. 田口健二

    ○田口委員 二点目は何もないのですか。
  52. 吉免光顯

    吉免説明員 雇用対策についてのお尋ねでございますが、今般の災害に伴います雇用対策としまして、先ほどもお答えいたしましたが、一つは、島原の公共職業安定所の中に雇用相談コーナーを六月十八日に設置をいたしております。それから、災害による交通規制で安定所に来られない被災求職者等のために島原半島の南部に口之津臨時相談所、これも六月十八日でございますが設置をさせていただいておりますし、そういった中できめ細かい職業相談を行うということでやっております。また、災害救助法適用地域の被災労働者の生活の安定を図るということで、雇用保険の特例措置として事業所の休業に伴う一時的な離職者に対しても失業給付を行っているところでございます。それからさらに、災害に伴う休業が相当数に上っているという状況考えまして、災害地域としてはこれは初めての特別措置でございますが、当分の間、島原公共職業安定所の管轄区域にあります事業所で休業等を行う者に対して雇用調整助成金を八月一日から支給するという措置をとってございます。  いずれにしましても、今後の推移もにらみながら、こういった人たちに対する就業機会の確保というのは御指摘のとおり大変重要な問題だというふうに考えておりますので、関係機関とも十分連携をとりながら必要な求人等の確保にさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  53. 田口健二

    ○田口委員 次に、気象庁にお尋ねをします。  この雲仙普賢岳の監視観測体制強化ということになるのですが、これは警戒区域が設定をされまして、中に立ち入りが制限をされる。それから、島原半島のいわゆる大動脈であります国道二百五十一号線、今昼間は開通をしておりますが、これは夜間の通行かまだ解除されておりません。これはもう島原半島全体にとっての大動脈でありますから、非常に大きな影響を与えているわけですね。地元皆さん方は、これは素人ですから率直に言ってわかりませんが、いつ火砕流発生をするのかあるいは土石流が発生をするのか、十分な監視体制がでさればある程度わかるのではないか、そうなればもう少し監視体制を強化をして、国道二百五十一号線の夜間通行も可能になるのじゃないか、あるいは警戒区域にも一部入ることができるのではないのか、こういう要望というのも非常に強いのですよ。私は、そういう意味から、一体この監視観測体制というのは現状どうなっているのだろうか、そういうことが可能なのか不可能なのだろうかということをちょっとお尋ねしたいと思います月
  54. 森俊雄

    ○森(俊)説明員 御説明させていただきます。  まず、気象庁の監視体制について御説明いたします。  気象庁におきましては、雲仙岳について従来から常時観測火山の一つとして地震計を整備し、火山活動状況の監視を行ってきたところでございますけれども、昨年来の活動にかんがみ、地震機動観測班を派遣することにより地震計等観測機器の整備増強を行うとともに、雲仙岳測候所の職員を増強する等、観測監視体制の強化を図っているところでございます。  今後の活動の予測につきましては、非常に困難でございますけれども、マグマの供給は依然として続いておりまして火山活動の鎮静化を示すデータは現在のところ得られておりません。先ほどお尋ねにございました火砕流発生の予測についてでございますけれども、現在のところ溶岩ドームがどんどんと成長いたしまして、それが崩落することにより火砕流発生しておるのが今の現状でございます。ですから、それを予測するということは、いつ崩落が起こるかというようなことでございますけれども、これについては非常に難しい生言わざるを得ないと考えでございます。ただ、今非常に不安定な状況でございますので、私どもといたしましてはいつ崩落が起きてもおかしくないというような状態にあろうかというふうに考えてございます。  それから土石流の発生についてでございますけれども、一時期といいますか、ここしばらく土石流の発生は起こっておりませんけれども、その一つの原因といたしまして、周辺といいますか火砕流による熱がかなり残っていたんではなかろうかというふうに考えておりまして、ただ、だんだん火山灰等が冷えてきておりますので、土石流に対する警戒というのは依然必要であろう。これは雨が降った場合に土石流が発生するわけでございますから、雨が降らない場合は安心してもよろしいかと思いますけれども、それにつきましてはアメダス等の雨量のデータをもとにして注意報、警報等について発表していきたいというふうに思っております。  あと、雲仙岳の今後の長期にわたる監視につきましては、来年度要求といたしまして地震計や傾斜計などの整備を計画しているところでございます。気象庁といたしましては、今後とも、関係機関と緊密に連携をとりながら雲仙岳の活動について厳重な監視を続けてまいりたいと存じております。     〔緒方委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 田口健二

    ○田口委員 今気象庁の方からお話伺いましたけれども、先ほど申し上げましたように現地のそういう状況から非常に住民としても、監視観測体制強化して、人的にも、もちろん機械その他も含めてでありますがぜひ強化をして、的確にその情報を住民に伝えていただいて、住民が安心できるような体制をひとつつくってほしい、こういう強い要望がございますから、あえてこのことも要請をしておきたいと思います。  次に、建設省関係でありますが、これからいよいよ災害復旧、まあ終息の状況がどうなるかわかりませんので、どこまで本格的なものに入れるかどうかわかりませんが、いずれにしても土石流の状況を初めとしてさまざまな公共土木事業が行われることになろうかと思うのです。そこで地元被災者が一番気にしておること、それは、さっきの集団移転の問題とも関連をするのですが、用地を買い上げるときに一体買い上げの基準価格は何でやるのか。現在の状況でそれが買収をされるのか、あるいは被災前の状況の評価によってその価格を決めていくか、これによって大変な違いが出てくるわけですね。もし被災後の現在の状況などということになったら、これはもう被災者は絶対にそういうものには応じないだろうと思います。非常にそのことを気にかけているんですね。この辺の考え方、これはひとつ建設省の方にまずお尋ねをしてみたいと思います。
  56. 澤井英一

    ○澤井説明員 地元の方から被災前の状況で評価できないかという御要請があることは承知しております。ただ、私ども公共用地の買収をする際は財産権に対する補償ということでございますので、考え方といたしましては契約を締結するときの価格ということになります。  ただ、契約を締結するときの価格というのはそのときの現況そのものということでは必ずしもございませんで、こういった被災地の場合には被災前の標準的な土地利用の状況を前提といたしまして、一方でその買収時点におきまして今後の復旧の見通し、これは交通ですとか土地利用もろもろあると思いますが、そういったもの、あるいは地質とか地盤とかいわゆる価格形成要因、こういったものを総合的に勘案して買収価格を決めていく、こういうことになると考えております。
  57. 田口健二

    ○田口委員 次に、同じく建設省関係ですけれども、これは恐らく将来計画になると思うのですが、土石流の防止などを含めて水無川、赤松谷川に大規模な砂防ダムをつくるという話で、これは知事の発言によるとスーパーダムというような問題が出てきまして、これをめぐってまた地元ではさまざまな意見が飛び交っているわけですね。一体そういう計画があるのかどうなのか、建設省においてはどういうふうに指考えになっておられるのか。  それから、中尾川についても砂防ダムを五基ほど設置してほしい、こういう要望も出ておるわけでありますが、この辺、いわゆるスーパーダムというのでしょうか、そういう大型、大規模の砂防ダムの建設等について、考え方、計画などがあればひとつこの機会にお知らせをいただきたいと思います。
  58. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 御説明申し上げます。  現段階では水無川流域への立ち入りが不可能な状況にございます。それで、砂防施設計画につきましては、航空写真等の資料に基づきまして、机上で長崎県と意見交換をしながらその基本的な考え方を勉強しているところでございます。知事の御発言は、多分こうした過程の中で知事としてのお考えをお示しになったものと私どもは考えております。  また、今後の火山活動が鎮静化し次第現地調査を行い、早急に砂防計画の策定を行う予定でございます。この砂防計画の策定及びこれに基づく事業実施に当たりましては、安全な地域づくりが重要な課題になってまいりますという認識に立ちまして、大量の火山噴出物による大規模な土石流災害から地域住民の生命財産を守るため、地域の土地利用にも十分配慮しつつ適切な対策を図ってまいりたいと考えております。  また、北東斜面の三河川につきましては現在砂防ダムを設置しつつございます。先生指摘のさらに五つのダムというのは、現在の北東三河川のダムの設置後に改めて考えさせていただきたいと思っております。
  59. 田口健二

    ○田口委員 次に、台風十九号関係で一点お尋ねをしたいのであります。  さきの十七号、十九号が長崎を直撃いたしまして、大変な風台風でございました。私の記憶では、昭和三十一年にたしか二度ほど連続して大変な台風被害を受けたのでありますが、今回はさらにそれを上回る大変大型な台風でありまして、長崎名産の茂木ヒワも全減するなど、農産物に対する被害もかなり多かったのでありますが、同時に、家屋の倒壊とかかわらが飛んでしまう、私の見たところでは、恐らく長崎市の人家の四割ぐらいはかわらの被害を受けたのではないかなというぐらいに点々とやられています。  そこで思わぬものが実は出てきたわけですが、いわゆる台風被害による廃棄物といいますか、それが道路を埋め尽くしてしまって、まずこの取り除きにかからなければならないということで長崎市もやったわけでありますが、大体十トントラックで四千台分、六万立米ぐらいという報告を実は聞いているわけです。このために要した経費も約二億五千万円かかった、こういう話であります。こういう経費については国の補助制度というのが一体あるのかどうなのか、これをお聞きしたい。  それから、この台風による廃棄物を埋め立て処分地に持っていって捨てるわけですが、ところが、その量が通常の数カ月分に相当する。これだけの量が十九号によって実は生じたわけです。したがって、その埋め立て処分地に持っていきましたら、そこがまた埋まって、当初の計画よりも一年ぐらい早くそれが終わりになってしまう。次のまた造成事業の計画を始めなければならぬということで慌てているのですね。そういうことは御存じかどうか厚生省の方へお尋ねしますが、もしも、そういうことになりますと、やはり次の造成事業の補助枠というか、そういうものを早急に認めてもらわないと、これほどうしようもなくなる。実は台風災害によってこういう問題も一つ生じておるわけです。ひとつその辺の見解をいただきたいと思います。
  60. 浜田康敬

    ○浜田説明員 台風十九号に関連いたしましたお尋ねにつきましてお答えを申し上げます。  まず第一点目の、災害時、風水害等あるわけでありますが、その際の廃棄物の処理費用に対しまして国庫補助制度があるかという点でございます。  こうした災害時の廃棄物を適正に処理するということは生活環境の保全あるいは公衆衛生の向上に大変重要なことでございまして、市町村が災害のために実施いたしました、御指摘のかわらなども含みます廃棄物の収集、運搬あるいは処分に係る事業に要した費用につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定によりまして補助できるということになっております。厚生省といたしましては、この規定に基づきまして補助金の交付要綱を定めておりまして、従来から、災害時に発生した廃棄物が適正に処理されるよう、市町村に対しまして直接的な費用の二分の一の助成をするということを行ってきております。  台風十九号に関しまして、現在、十月末現在でございますけれども、厚生省に報告がありましたものは相当額、全国で十一億七千万余に上っておりまして、長崎県につきましても先生お話しのように二億五千万強ということでございます。我々としてもこれに関しまして、先ほど申し上げました要綱に基づきまして調査いたしまして、市町村に対して万全を期するような助成をしてまいりたいということでございます。  それから第二点目の、そうして発生した廃棄物の埋め立て処分をする際の用地の確保の問題でございます。  廃棄物処理施設整備に対しましては、一般的な国庫補助制度といたしまして、ごみ処理あるいはし尿処理に並びまして、一定規模以上の埋め立て処分施設につきましても補助対象ということで、毎年各市町村から申請が上がりました段階で、全体の計画を見た上でその整備の必要性を判断してまいるというシステムでやっておりますが、先生指摘のように、その際、災害によりまして多量の廃棄物が発生しているという事情があるような市町村の事業につきましては、私どもといたしましても特別な配慮をしていく必要があるだろうと考えている次第でございます。
  61. 田口健二

    ○田口委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  62. 清水勇

    清水委員長 これにて田口健二君の質疑は終わりました。  次に、有川清次君。
  63. 有川清次

    ○有川委員 私、今質問されました田口委員と一緒に現地調査に参りました。たくさんの住民の要望などを聞いてきたところでございまして、重複する面が若干というよりも多々あるわけでありますが、お許しを願っで、はしょりながら質問を申し上げたいと思います。  災害基本法の六十三条一項によりまして警戒区域が設定をされましてから、間もなく六カ月になる。これはかって想像もしていなかったような長期間のものでありまして、さらにまた非常に活発になっており、危険な状態が続いておるわけでありますが、一部解除があったといたしましても、住民皆さん方の不安や物心両面にわたる苦難な状況は現場にいなければなかなか理解をしないのではないか、このように考えたところでございます。万全な態勢をとりながらこれからの対応をしなければならないし、またこれまでも一定の措置はされておりますが、今先ほど来質問がございましたように、これでよいのかという、そういう皆さんの、私たちの判断もあるところでございます。  国土庁長官は今度就任されまして早速現地に行かれました。実態について、あるいは今行っておる施策についてどのような感想をお持ちになったのか、あるいは対処方針を考えられたのか、そういう所感をひとつまずお伺いをしたい、このように思います。  そして、既に実施に入っておりますが、二十一分野九十項目にわたる諸施策がとられておるところでございますけれども、先ほども質問がございました。これでよいのか、三百億で足りるのかという問題もありますし、その辺の問題について十分とお考えになったのかどうか。先ほど若干の答弁がありましたが、含めてまずお聞かせをお願いを申し上げたいと思います。
  64. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 私は、去る十一月二十二日、二十三日の両日、非常災害対策本部長として現地を視察し、被災地の現状を直接把握するとともに、地元方々の生の声も伺ってまいりました。  今回の災害のすさまじさをこの身で実感し、改めて亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。  政府においては、既に二十一分野九十項目にわたる雲仙岳噴火災害に係る被災者等救済対策を決定し、現在推進しているところであります。これにより、国、県及び市町とも、今次災害に関し、予測し得る必要な対策は講じられたものと理解しております。引き続き、国、県及び市町連帯のもとに、これらの救済対策を強力に進める所存でございます。  火山活動が長期化する中で、避難されている方々の御苦労も数多いと思いますが、これらの救済対策を大いに活用して生活の再建と安定を図っていきたいと思っております。  しかしながら、今後の火山活動の鎮静化に備え、長崎県が主体となって、国や地元市町と十分連携しながら、将来の防災地域づくり、地域の振興と活性化に取り組んでいくことが肝要と考えております。政府においては、既に県を指導し、必要な措置について調査検討を進めているところでございます。  さらに、被災地で自衛官と一緒にいろいろと問題がございましたことについては、私も十分今後とも注意してまいりたいと思っております。
  65. 有川清次

    ○有川委員 決意のほどもわかりましたが、ただ、基金の問題についてですけれども、これまで、これだけあれば何とかやれる、地元との話し合いの中でもそういうような結論になっておるのでありますが、もう既に長崎県の方ではこれの取り扱いについて具体的に内容が明示されておるところでありますけれども、初年度、二年度以降を含めて、大体基金の果実をどの程度の額に見込んでいらっしゃるのか、その点が一つ。  それと、前の国務大臣も、今後極めて長期的な状態になれば別途検討しなければならないという答弁を先般されました。また、東家国務大臣の方も、地元から具体的に相談があれば検討したい、こういうことでありましたが、地元等を含めてもっと積極的な、長期というのはもう既にかつてない長期状況になっておるわけで、噴火が始まってから一年たっておる、こういう実態でもあるわけですから、その辺のことをきちっともう少し前向きにやっていくべきではないかと思いますが、もう一回、見解をお伺いをいたします。
  66. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先日、雲仙岳現地視察に参りました折、長崎県から、現行の基金の額では不足することが予測されるため、増額の要望をしなければならない事態になったときには支援を賜りたいという趣旨の要望がございました。私といたしましては、帰京後、その内容等について自治大臣に対し誠実にお伝えし、お願いをしたところでございます。長崎県の設置した基金の規模、基金を活用して行う住民等の自立復興支援事業地域経済復興事業等の事業に必要な金額を長崎県において積み上げ、検討した上で三百億円。さらに最近では義援金の一部を活用して三百三十億円とし、適切に決定したものであると承知をいたしております。私といたしましては、この基金が被災者等の救済対策の中で大変重要なものと認識いたしております。今後、県からの基金の額、内容等について具体的な相談がございますれば、自治大臣にもさらにお願いをいたしたいというふうに考えております。
  67. 有川清次

    ○有川委員 地元に行きましていろいろお伺いすると、基金の中で対応できるような内容もかなり含まれておる。そういう意味では、地元皆さんの要望をきちっと踏まえながら、十分な基金の活用、あるいは不足するとなれば十分な措置を要請しておきたいと思います、  それから続いて、噴火が続いておるとはいいましても、先ほど答弁もございましたが、中に立ち入りができないので被害の実態がわからない、こういうふうに言われまして、一部わかった部分は激甚の対象にしたというお話もありました。現地では、被害の実態もこんなに長くなるのにほとんどわからないということではおかしいのではないか、ある程度の概算ぐらいはわかるのではないか、こういう御意見もあり、調査も行っていないのではないかという不満もありましたので、概算等の状況があれば、わかっておるだけお知らせを願いたい。  それから、二十一分野九十項目にわたりまして救済措置があるわけですが、非常に関心を持って皆さんこの内容を見ていらっしゃるわけですけれども、一つ不満が出ましたのは、電気・ガス料金の免除及び支払い期限等の延長の許可、電話料金等の減免等が示されておるわけですが、そこには、立入禁止になって、警戒区域で入ってないのに電話料金やそうした電気・ガスの料金を取るのはどだいおかしいのだ。それを九十項目の中に入れて、いかにもそういうこともしておるよということで思わせぶりな施しをしておるようなことを言っておるが、けしからぬという意味の御発言がございました。それぞれの立場で、とめたりいろいろしなければ料金は基本料金なりあるところだろうと思いますが、現実には使えないわけですから、そういう意味でこの辺の取り扱いの実際の内容というのはどうなっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  68. 片山登喜男

    ○片山説明員 お答え申し上げます。  今先生から御指摘のありました電気・ガスの特別措置についての考え方ということでございますが、今回の災害につきましては、災害が継続しているということもございまして、避難命令または避難勧告の対象となりました需要家の皆さんに対しまして、とりあえず必要な措置ということで実施しているものでございます。  具体的な中身につきましては、一つは、今お話もありましたような避難命令または避難勧告発令の日から避難命令または避難勧告の解除によって電気・ガスの使用が再開できる日までの料金の免除が一点でございます。それから二点目に、この避難命令または避難勧告の発令中にかかる料金の支払い期限を使用再開後まで延長する、この二点でございます。料金につきましては、供給規程に基づきまして具体的な徴収等が行われているわけでございますけれども、供給規程におきましては、電気・ガスを使わなかった月でありましても基本料金等の一部をいただく、こういうことになっておりまして、特例的な措置をとらなければ料金をいただかざるを得ないということになるわけでございますし、既に期限が参りましたものにつきましては、検針等調定が済んだものにつきましては支払いをしていただかなければならない、そう、いうことになるわけでございます。したがいまして、実際問題として使えない状況、それから災害発生する、命令が出る前に使われた料金、電気料金等について支払いをしていただく、そういうものを猶予するという意味でこれは特例的な措置をとらなければならないというふうに考えております。
  69. 森清

    ○森(清)説明員 電話の料金減免についてお答え申し上げます。  NTTにおきましては、現在までに次の三つのことを実施してきております。一つは、避難勧告婿域の加入電話の基本料金につきまして、避難勧告の発令の日から電話の使用を再開する日までということで免除を実施しております。それから二つ目には、避難勧告地域から避難勧告地域以外へ電話を移転される場合の工事料金を免除いたしております。それから三点目に特設の公衆電話、無料の公衆電話を設置しておりますが、そこからの通話料については無料の扱いを実施しているところでございます。なお、NTTにおきましては、そうした料金面の問題のほかに、一番の重要な問題は通信を確保する、通信がとぎれないように、つながるように確保するということが最大の使命でございますので、例えば交換機の増設、中継回線、光ファイバー回線の設置、増設、それから自動車電話、携帯電話の基地局の増設等の措置もあわせて実施しておりますので、そうした点を含めて御理解を賜りたいと思っております。  以上でございます。
  70. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生から被害額の把握状況につきましてのお尋ねがございました。現地に立ち入りは困難でありますから、ヘリコプター等上空からの調査というものによりまして推定される被害額県等から関係省庁報告されているものが一部ございます。建設省関係公共土木施設で約百二十億、それから農林水産業関係で農作物、林産物等で約六十七億円等の数値がございます。いずれにいたしましても、現在火山活動が活発でございますので、鎮静化後調査をしていきたいというふうに考えております。
  71. 有川清次

    ○有川委員 大体わかりましたが、電気・ガスの場合、まあNTTもそうですが、警戒区域から避難をしてきた人たちのだれとだれが中止の申し出をした、こういうことになれば、これは当然免除になるのじゃないですか。何か特例の手続とかそういうものが要るのかどうか、ちょっとぴんとこないところであります。NTTの方はその他のいろいろな通信の確保ということで努力をされていることは理解をいたしますけれども、ただ、公衆電話の使用料というのが警戒区域内の公衆電話ということになるのか、そこへ入れないわけですから、ちょっと説明をよくわかるようにしていただきたいと思います。
  72. 森清

    ○森(清)説明員 お答えいたします。  公衆電話でございますが、特設の公衆電話を避難場所に設置いたしまして、最大五十六台設置した時点がございましたけれども、それをお使いになる場合については特に通話料をいただかないで無料扱いにしている、こういう意味でございます。
  73. 片山登喜男

    ○片山説明員 電気・ガス料金につきましての特別措置でございますけれども、これは電気会社、ガス会社から通産大臣に対しての手続が必要でありますけれども、実際に使っておられる需要家の皆さんの手続というものは特段必要ございません。  それから、先ほどちょっととりあえず必要な措置をとっているということをお話し申し上げましたけれども、災害が鎮静化いたしまして具体的な復旧という事態になりました場合には、その状況に応じてさらに必要な措置というものを考え特別措置の追加というものも必要であろうかと考えております。
  74. 有川清次

    ○有川委員 ということは、それぞれの機関で協議をしながら一定の努力をしたという内容だというふうに理解をいたします。それから、公衆電話というのは避難をした場所ですね、それで理解ができました。  それじゃ、次に自治省にお伺いいたします。  交付税や特別交付税でいろいろな自治体の持ち出し補てんを十分にします、しておりますと、こういうことを言われるわけですけれども、これは国税三税の三二%とか、たばこ税二五%、消費税一九・二%ですか、そういう形になっておって、すべてが込みになって地方自治体に交付される、こういうことで、限度額はあるわけですから、限度額を超えてこれだけは特別にという状況ではないわけで、そういう特別に面倒を見ておられる実態というのは現地ではわかっているのかどうか。あるいは、せっかく見たのに今度は交付税がちょっとあるから別な方に活用するとか、そういう問題も出てくるわけで、そういうものも自治体では許されるわけですから、その辺のところをちょっとはっきりしていただきたいと思うのです。
  75. 北里敏明

    ○北里説明員 お答えいたします。  雲仙岳噴火災害に係ります財政措置につきましては、その内容が明らかになるように努めているところでございますが、例えば災害復旧事業につきましては、地方債と普通交付税によりまして措置をされております。また、雲仙岳災害基金につきましては、起債、転貸債と申しておりますが、その発行、二百八十億の起債を許可をいたしました。その利払いにつきましては、普通交付税で措置をしますような方向で今検討をしておるわけであります。また、その他の種々の災害対策経費につきましては、財政状況等も考慮しながら、特別交付税により措置することとなるわけでございますが、その算定内容につきましては、例えば災害救助費の地方負担分、あるいは活動火山法に基づきます事業に要する経費、あるいは消防費じゅつ金の支給に要します経費等、可能な限り省令に定めるところによりまして、皆様に理解いただけるような形で措置をしていきたい。ただ、災害に伴います財政需要というのはさまざまあるわけでございますので、その性質上、すべての需要をルール化して省令で明記するということは困難であるという点については御理解をお願いしたいと思います。  それから、先ほど雲仙基金の果実の件がございましたので、補足をさせていただきます。三百億を五年間運用ということで、仮に年六%と仮定をいたしますと、その果実につきましては年十八億、五年間で九十億円程度というものを予定をしておるわけでございます。  また、基金の増額等につきましては、国土庁長官から答弁されたとおりでございますが、今後事態のさらなる長期化あるいは新たな事態の発生などによりまして、県から事業の追加等によります基金規模の見直し要望等がございますれば、その時点で相談をしてまいりたい、このように考えております。
  76. 有川清次

    ○有川委員 大体わかりましたが、次に、現在の火山法によっては、警戒区域がこんなに長くなるという、そういうことを想定した一つ長期避難対策ではないと思うだけに、いろいろ不備な点があって、皆さん御苦労されておるわけであります。この際、柔軟に対応するというだけで済ませずに、災害対策基本法なり災害救助法、こういうのを具体的に全体的な見直しをする必要があるんじゃないか、このように思いますが、前回の質問でも委員長にも要請をしておったところでありますけれども、御見解をちょっとお伺いをしたいと思います。
  77. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 災害対策基本法は、先生御案内のとおり、火山災害を含めまして、多種多様な災害を想定してつくられております。制定以来三十年たってまいりましたが、この間、避難長期化いたしました災害の例、これは幾つも経験をいたしております。こうしたさまざまな災害に対しまして、基本法と申しますのは、災害対策制度の中心的な重要な役割を今日も果たしているというふうに理解をいたしておるところでございます。  それから、私どもの所管に関しますと、今先生仰せの中で、活動火山対策特別措置法というようなものもございます。これは、火山の爆発によりまして著しい被害を受け、あるいはおそれがある場合に、地域指定をいたしまして、避難施設、降灰防除の施設、防災営農施設等の整備あるいは降灰除去事業実施等のそういった事業実施することを定めてあるわけでございますけれども、今次の火山災害への対応でも御理解いただけますとおり、この活動火山対策特別措置法の運用ばかりではございませんで、災害対策基本法に基づきまして、たくさんの法律によります措置を動員をいたしまして対応をいたしておるわけでございます。  その結果、雲仙対策で申しますと、地元から御要請のございました一つ一つの内容につきまして多角的に検討をいたしました。そして、今日、御理解いただきますとおり、二十一分野九十項目にわたります救済対策として、まとめてこれを実施をしているところでもございます。法制度の整備ということも当然必要かもしれませんけれども、そういったことをまつまでもなく、私ども、救済対策を十分にやらせていただいているというふうに理解をいたしております。  今後におきましても、各省庁、そしてまた地元、県、市町とも連携をいたしまして、対策に万全を期していきたいというふうに考えております。
  78. 有川清次

    ○有川委員 活火山法が制定されておるわけですが、桜島が爆発したときにいろいろ運動が起こりまして、議員立法でこうできたと思っておりますけれども、火山の質が全然違うわけで、届かない面がかなりあると思うのです。ずっと今までの論議の中でも、この辺の拡大解釈とか柔軟な対応とかいうことでなしに、この際、そういうこともきちっと見詰めながら対応するという、そんな判断というものが検討されてしかるべきじゃないか、このように思っております。これは、また私たちも検討しながら、さらに提起をしていきたいと思います。  それから、現地に行きまして皆さんがいろいろ言われたのは、この危険な状態が何年続くんですかと。何年ですよ、何カ月じゃなくて、何年続くんですかと。私たちの生涯の暮らしの中で、先の目鼻がつかずに、あるいは農地を放置して、不安な状態で、不安定な状態でずっと生活させられる、こういう状況にあるんだが、政府は、あるいは自治体は、もっとその辺のことをきちっと対応してほしい、こういう切実な訴えがありました。  ちなみに、桜島ではもう三十年ですよ。きのう、おととい上京する前も物すごい噴き出しで、大きな火山情報も出ながら噴火をしております。また、霧島の新燃岳も非常に危険だという噴き出しか始まっておる。そういう状況でありますが、とにかく桜島も三十年たっておるわけですから、同じ苦しみ、だんだんひどくなってくる、こういう状況にあるわけです。  普賢岳の場合も、これは特に火砕流があって危険な状況があるわけですが、そういう立場から警戒区域というのが決められているわけで、たくさんの人たちが生活が追い詰められておる実態がございます。根本的な検討がやはり求められてしかるべきじゃないか、これは人災であり、法災だ、こういうふうにおっしゃり、命は助けてもらったけれども、立入禁止に見合う何らかの補償がないと我々はどうにもならぬ、こういう言い方があるわけです。ある農家の方が言われましたが、鶏四万八千羽、牛が八頭、母豚が二十頭、中小の豚が百頭、全部そこにおれば食べさせて今でも生き延びておるのにみすみす殺してしまった、私たちはその家畜に今まで養ってもらってきた、ところが自分の命だけ長らえて家畜を殺してしまった、こういうことを言われ、六千万円の借金ができたとおっしゃるわけであります。このままでいけば首をつらなければならなくなるんじゃないか、必ず自殺者も出るだろう、こういう言い方をされた方もございました。また、果樹園芸の場合も、避難をしたために、避難もあって、結果として八割方枯れてしまった、生活のめどもつかない、こういうことなどを盛んに言われる。先ほど来就職の問題でずっと出ておりましたが一自立せよという言葉が皆さんの、当局の、政府の方からも出てくるわけですね。農家の皆さんやそういう人たちは、生産基盤がないのに自立せよとは何だ、こういう激しい言葉も飛び出してくるわけでありまして、抜本的な特別立法、このごろそういう声が消えたようでありますが、十分な見直しと検討というのが必要なのではないか、このように思うわけです。  さらにまた、これは衆議院法制局の見解ですけれども、期間が長くなれば見舞い金を支給する制度の創設等はできるんじゃないだろうかという御意見等もございますし、集団移転の場合の国の補助率の引き上げの問題も可能性を探るべきだということも私たち考えておるところでありますが、たくさんの満たされない部分を補っていく、そういう意味の検討、見直しというのは考えられないのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  79. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 御指摘長期避難に対する見舞い金が個人補償の意味であれば、個人が災害による被害を受けた場合については、従来から個人による自主的な回復を原則としていることでございます。災害対策基本法に基づき市町村長に与えられている避難の勧告または指示の権限及び警戒区域設定権は、住民の生命または身体の安全を確保するため与えられているものであり、補償といった考え方をとることは困難でございます。被災前の価格での農地の買い上げ等についても同様に考えております。また、長期避難に対する見舞い金が単なるお見舞いの観点であるとしても、前に述べましたように個人による自主的な回復を原則としていること、また、自然災害による回復不能の、死亡や重度の障害といった痛ましい人的被害に限って、社会連帯の見地から災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき公的給付が行われているところでございます。これを超えたところまで見舞い金を支給することはなかなか困難であるという見解でございます。
  80. 有川清次

    ○有川委員 もうそれは何回も聞いて、あなたたちの見解はわかっているんですよ。ところが、こういう状況になりまして、この噴火に基づく立ち退きをさせて六カ月もそこに入れない、そこに問題があるということで、そういう立場の一つの判断というのがあってしかるべきじゃないか、こういうことが皆さんが切に言われる中身になっておりますので、十分な研究、検討をこれはぜひ要請をしておきたいと思います。  時間がありませんで、申しわけございません、一つだけ、霧島の新燃岳の関係で、東大観測所が観測体制をとってこられたけれども、六キロ離れた観測所の職員三人が、データができておるけれども、その調査に行くのに片道三時間かけてデータを回収しておる、こういうのが新聞で出されてまいりました。もっと火口に近いところのデータがすぐに手に入るような体制をとってほしいという物理学者の意見もあるわけであります。本当にこれでは機敏な対応ができないと思っておりますけれども、その辺の考え方についてお知らせを願いたいと思います。ただ私、今、今度はここが起こってびっくりしたんですが、霧島の皆さんは危険な状態を余り新聞やテレビ等で報道したり、宣伝をしてもらうと困る、その火山情報の出し方も慎重にしてほしいと言われた。それは雲仙普賢岳の今日の長期間にわたる警戒区域の問題があると思うのです。お客さんが減った雲仙の温泉街の問題もあると思うので、慎重な対応をお願いいたしますが、一つだけそれを簡単に、時間もありませんのでお伺いしておきたいと思います。
  81. 雨宮忠

    雨宮説明員 先月末に東大の地震研の霧島火山観測所の方から報告がございまして、京都大学防災研の桜島火山観測所と連携をとりまして、データの回収に機器の設置場所に赴かなくても、必要なデータを取得できるという体制をとったというような報告を得ておるところでございます。したがいまして、少なくとも当面のところ先生指摘のような問題はなかろうかと思うわけでございますが、今後ともいろいろな手段を講じまして観測強化に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  82. 有川清次

    ○有川委員 終わります。
  83. 清水勇

    清水委員長 これにて有川清次君の質疑は終わりました。  次に、山内弘君。
  84. 山内弘

    ○山内委員 火山災害の問題は非常にしつこい災害であり、対応は大変でございますけれども、私は、これから質問する台風十九号のリンゴ災害の問題、これも一過性のものであるというふうに考えておりましたが、決してそうではない。まさにこれは、時がたつにつれてこの災害の実態、深刻さ、そしてまた物心両面にわたる非常に大きな苦しみというものが今あるわけでございます。私どもは、この問題に対して政府は決していいかげんなことをやったとは思っておりません。相当対応を、対策については非常に適切な方法もあったわけでありますけれども、またこれらの問題に対しては不十分な問題がたくさんございますので、これらの問題に対して御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  国においては、今回の被害の大きさにかんがみ、いち早く災害対策本部を設置し、栽培技術指導の万全を期する一方、天災融資法発動激甚災害法の適用等、金融対策においてもある程度の手当てをしたことはわかるわけであります。しかし、被災農家はこの災害の以前にも相当な借金を抱えておったわけであります。この生産意欲を喚起するということはなかなか大変なものであって、今のままの状態では決して満足いく状態ではない、こう考えられるわけであります。特に、改植、補植の実施や防風網の整備の問題、被災園地の復旧など、この問題はまさに多額の経費を要するわけでございます。  また、リンゴが実をつけて収穫が可能直前でありましたので、この問題については少なくとも七年から八年を要する、復旧のためにこの期間を要するということは今非常に大きな負担になっておるわけでございます。被災農家の経営状態から見て、農家の復旧対策というものは極めて困難な状況にあるわけでございます。国は、被災農家の救済の観点から、被災園地の復旧対策を早急に講ずるべきであると考えますが、この点についてはどのように考えておられるか、まずこの点について質問してみたいと思うわけでございます。  また、その実施に当たっては、リンゴの被災に関する調査研究を徹底的に行うとともに、単にもとの姿に復興するのではなくて、トレリス方式による矮化栽培等の推進、効率的な防風施設の整備等、新しい手法を取り入れ、さらに、これからの時代を見きわめた復興を目指すべきではない一が、このように考えるわけでございます。この点に対する御所見をまずお伺いいたしたいと思います。
  85. 小高良彦

    ○小高説明員 お答え申し上げます。  被害を受けました果樹の樹体管理につきましては、果樹試験場の専門家等から成る果樹被害技術対策チームを現地に派遣しますとともに、被害実態の調査及び技術指導を実施するとともに、技術対策チームと県指導者等によります技術検討会を開催するなど、技術指導の徹底を図り、樹勢の回復を指導しているところでございます。また、今月十七日に本省におきまして、都道府県の行政、試験研究部局等を集めまして、被害要因の分析、今後の技術対策中心といたしまして営農指導の方向の検討会を行うこととしておるところでございます。  被害園地の復旧対策につきましては、御指摘の点を踏まえまして、これらの状況を見つつ、今後の果樹農業の振興に資するという観点に立ちまして検討しているところでございます。
  86. 山内弘

    ○山内委員 いろいろ検討されておるわけでございますが、ただ、ここで私は資金の問題について一つだけ質問しておきたいと思うのです。  それは、いろいろな方法があると思うわけでございますが、特に予算の前倒しの問題、それからまた、これは大蔵省とも関係があると思うのですが補正予算の問題、さらにはまた、今ある体制の中において最も効果的な資金対策として、今の災害復旧整備の問題に対してどのようにやらなければならないのか。その点はお考えになっておるとは思うけれども、若干の所感を申し述べていただきたい、こう思うわけです。
  87. 小高良彦

    ○小高説明員 お答え申し上げます。  園地の復旧対策実施する場合におきましては、災害に強く、また生産性の高い産地を育成するという観点に立ちまして実施することが基本である、このように考えておるところでございます。
  88. 山内弘

    ○山内委員 この問題は未通告でもありますから、課長答弁ではこれは若干無理だと思うけれども、その点に対しては十二分にひとつ農水省の幹部諸君にお伝えをいただきたい、こう思うわけです。きょうはこの程度で終わりますが、この次の段階においてはもう少し踏み込んだ答弁ができるような態勢をとっていただきたいと思います。  次に、災害対策の基本的な農業共済制度、これはあるわけでございますけれども、果樹共済の加入率を見ると、リンゴの場合、残念ながら青森県においては平成三年産で約一五%、全国の平均で二十数%、極めて低いわけでございます。この原因として、掛金の負担と補償水準のあり方、ここに大きな問題があると思うわけであります。このように加入率の低い原因というのは一体どこにあるのか、また、今後どのような対策を講じ、この問題に対して対処する考えなのか、お聞かせをいただきたい。
  89. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 果樹共済の加入率につきましては、樹種ごと、地域ごとに差はございますが、今お話ございましたように全体的に低い状況でございまして、平成三年産では二二%程度となっておるわけでございます。この原因といたしましては、基本的に果樹共済は任意加入制ということになっておりまして、農家の方々災害に対するゾスク、そういうものの考え方いかんということでございますし、また近年、災害が比較的少なかったということも影響していると考えているところでございます。  果樹共済につきましては、これまでも、暴風雨なら暴風雨といった個別の危険のみを対象とする特定危険方式の導入でございますとか、そうした場合の補償水準につきましても七割から八割へ引き上げるといったようなこと、さらには、防風ネットといったような防災施設を設置する場合に割引を行うといったようなことで、より安い掛金で補償を提供するというような努力をしてきたところでございます。しかしながら、今申しましたように任意加入であるということでございます。そういうことでございますので、基本的にやはり制度の内容を十分農家の方々に御理解いただく、また必要性についても認識していただくということで、そういった制度改正といったものについての普及宣伝を今後十分やってまいりたいと思っておりまして、農業共済団体を指導してまいる所存でございます。  さらに、実は十一月の十三日に青森でリンゴ農家の方々の御意見を聞くための現地検討会も実施したわけでございますが、今後ともそういった地域の要望の把握に努めまして、いろいろその場でも出ておりました基準収穫量でございますとか価格の設定、それから掛金と補償水準のあり方、こういった種々の問題につきまして今後検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  90. 山内弘

    ○山内委員 いろいろな方法を考えられておるようでありますが、リンゴというのは収穫に至るまで早く見ても七年から八年かかる、非常に時間が必要であります。今回の被害によって、リンゴの実の落下にとどまらずリンゴの木の被害が多発しておるという状況、そしてまた、加入率の低い果樹共済、なかなか入らないというのが実情であります。このために青森県では、果樹共済の加入の促進を図るため、農家の賦課金に対して一部の助成措置を講ずる。そしてまた国においても、果樹共済加入促進措置について被災農家救済の立場からいま一歩救済の手を打てないのかどうか、また、農家が加入しやすい共済制度の改善策というものはないのかどうか、この点いま一度御答弁をいただきたいと思います。
  91. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 私どもの共済制度につきましては、先生御案内のとおり、共済団体の事務費につきましても国庫負担をしておりますし、また共済の掛金につきましても、例えば果樹でございましたら五〇%の補助をするといったようなことで、なるべく農家の方々負担が少ないようなことで今やっておるわけでございます。青森県等におかれましても県で独自にそういった加入促進策を検討いただいているということは大変ありがたいわけでございますが、いずれにしましても、現地の要望を十分またお聞きした上で、運用改善で対応できるようなものにつきましてはなるべく早目にこれを実現していきたい、このように考えておるところでございます。
  92. 山内弘

    ○山内委員 共済制度については相当な検討が必要だと思うので、今後ともひとつしっかり対応を考えていただきたいと思うわけです。  次に、落下リンゴの問題であります。  これは、もうあと二週間くらいで食えるという状態で落下したわけでございます。これは農家の所得があっという間に水に流されてしまったという状況でありますけれども、ジュース加工の問題においても、これはやはり一時的に県内の冷蔵庫に保管されたわけであります。この間の保管料が非常に大きな負担になりました。青森県内の加工能力が月三万トンに対し今回の落果量は三十四万トン、大きく上回ったわけでございます。加工に至るまで、最大で五カ月から六カ月保管が必要でございます。この間の農家の負担に対して助成する考えがないかどうか、お伺いをいたしたいと思います。  また、加工されたリンゴジュースとして製品になったものについても、順次販売されるまでの間やはり冷蔵保管の必要がございます。青森県では、長いもので二年間見込んでおったわけでありますが、この間の加工業者の保管料の負担に対し、助成の考えがないかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  93. 小高良彦

    ○小高説明員 お答え申し上げます。  落下リンゴの有効利用につきましては、出荷団体、加工業界を通じまして関係者の指導を行っているところでございますが、その大部分の仕向け先でございます加工原料につきましては、貯蔵、搾汁等を計画的、効率的に行っていくことが重要であると考えております。  このような取り組みを支援いたしますために、農家が共同で行う加工原料の一時貯蔵に要する経費、並びに落下果実から搾汁した果汁の品質等の面から見まして、果汁の需給状況によりましては長期の保管が必要となる場合の保管に要する経費等に対しまして助成することとしておりまして、総額約十億円を予定しておるところでございます。
  94. 山内弘

    ○山内委員 どうもありがとうございました。  次に、リンゴ以外についてでありますが、この問題については、青森県は農産県でありますので、野菜、葉たばこ、ブドウ等ハウスもまた甚大な被害を受けたわけであります。特に、青森のような積雪寒冷地では、ハウスを活用した栽培が不可欠であります。これをもって水田転作に対応した新たな複合経営へ向けていろいろな努力をしておるわけでありますけれども、今回の台風被害は全壊棟数で五千二百三十三棟、金額で約十五億円となっております。  青森県では、単独で、復旧費に対し一部助成措置を講じたところでありますが、国においても被災農家救済の立場から考えるところはないかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  95. 桑原勝敏

    ○桑原説明員 お答えいたします。  先般の台風十七号及び台風十九号によりまして、東北、九州を中心といたしまして全国的に強風によるビニールハウスの倒壊、損傷等の被害が生じているところでございます。これらの台風等によるビニールハウス等の被害に対しましては、園芸施設共済加入農家の被害施設につきましては施設ごとの損害金額を的確に把握いたしまして、確定次第共済金の支払いを行うということにいたしております。また、損壊したビニールハウス等の復旧につきましては、農林漁業金融公庫資金などの活用によりまして復旧が円滑に行われるように配慮しているところでございます。なお、今回の被害の特例といたしまして、農林漁業金融公庫の農林漁業施設資金、これは災害復旧資金でございますが、これにつきまして、青森県を含む被害の大きい十四県について貸付限度額二百万円を八百万円に引き上げを行ったところでございます。  このほか、ビニールハウスの生産資材でございます農業用ビニールの確保を図るため、全農それから社団法人の日本施設園芸協会に対しまして資材の確保と円滑な流通について協力要請を行うとともに、各地方農政局を通じまして各都道府県に対し、施設の修復、資材の確保、便乗値上げの防止等について指導の徹底を図るよう指導をいたしているところでございます。
  96. 山内弘

    ○山内委員 最後に、東家国務大臣、リンゴ災害の問題に対して、災害復旧の問題に対して現地をひとつこの際視察していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  97. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今回の災害等につきましては、十一月十九日激甚災害指定したところでございます。今後、これからの復興に全力を挙げていくべく適切に対処していきたいと思います。(山内委員「青森県に来てくださいよ」と呼ぶ)現地視察等については、よく打ち合わせの上また御返事申し上げたいと思います。
  98. 清水勇

    清水委員長 これにて山内君の質疑は終わりました。  この際、休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十八分開議
  99. 清水勇

    清水委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉岡賢治君。
  100. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大変御声援いただいておりまして、ありがとうございます。  きょうは本会議で大変な採決がございましたから、その後でほっとした人やあるいは重々しい気持ちの方もあろうかと思いますが、以下質問させていただきますことに真剣た御答弁をお願いをしたいと思います。  まず最初に、気象庁にお尋ねをしたいと思います。  気象予報とひまわり、そしてアメダスの活用についてということで質問をさせていただきたいと存じます。  気象庁は、災害の予防あるいは交通の安全の確保、さらには産業の興隆など公共の福祉の増進に寄与するとともに、気象業務に関する国際協力を行うことを目的にし、天気予報あるいは豪雪、豪雨、こういうことについての注意報あるいは警報、津波警報、さらには地震、火山についての情報、海流や海水についての情報を発表しています。こうした各種の気象情報をマスコミや自治体などを通じ国民に正確かつ的確に提供するために尽力いただいているわけでございます。国民の社会活動に大きく貢献していることは、まことに敬意を表するところでございます。  さてそこで、天気予報は、各種の気象データを解析し検討を重ねて正確を期しておられます。ということになりますが、とりわけ静止気象衛星ひまわりと、全国千三百十三地点で、メッシュ二十七平方キロではありますけれども、アメダスの観測網が威力を発揮している、こういうふうに言えると思います。  つきましては、この件についてお聞きしたいわけであります。  まず一つは、一九八六年十二月二十八日、これは御案内のとおり、兵庫県の北部地域で突風が起こり、そして全部鉄橋での列車転落事故、こういうものが起きました。そして、死者六名、負傷者六名という大惨事があったところであります。三十三メートルの風、この地域ではあいの風、こういうふうに言われておりますが、谷間に吹き込んだ、こういうような突風で起こったというように言われております。機関車を残したまま客車七両が空から降ってくる、こういう状況の中で、水産加工業の工場の上に落ち、大きな事故を起こしたわけであります。  そこで、当日の気象状況と兵庫北部管内の測候所、いわゆる豊岡測候所におけるひまわりとアメダスの観測の実情というのをお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  101. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  当日、先生の御指摘の十二月二十八日でありますが、この日には前線を伴った低気圧が本州の東の海上にありました。したがって、日本付近は全体的に見ますと冬型の気圧配置になっておりました。その中で、上空の寒気に伴う小さな低気圧が日本海の西部に発生しました。これが東進して、この日の午後、本州中部に達しました。  そこで、豊岡測候所に対するひまわりあるいはアメダスの活用状況ということでありますが、ひまわりの画像については当時雪解析図というものがありまして、これが測候所に配信されておりました。それから、アメダスにつきましては、付近、隣の県を含めてですけれども、毎時のデータが配信されておりました。測候所ではこれらを用いて予報作業を行っておりました。
  102. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 鳥取地方気象台の分析によりますと、冬の日本海特有の小さな低気圧が発生し、突風を巻き起こした、それは三十三メートルに及んだのではないか、こういうふうに言われております。私も現地の測候所の皆さん方に聞いてみますと、冬型の日本海気象は高気圧が白頭山に当たりまして、白頭山から風が分かれていく、その風が日本海の中に複雑に注いでくる、そういうような状況の中で、日本海は暖かいですからその上昇気流というふうになり、渦巻き状の雲、言うなれば下層雲を生む、こういうことで、いわば小さい低気圧の循環が起こっていく、こういうふうに聞かされているわけでございます。全部は、先ほど申し上げましたように事故現場でございますけれども、谷間に吹きつけるようにということで、あいの風というふうに言われているわけでございますが、この気象の状況というのをもう少しつまびらかにしていただけませんでしょうか。
  103. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の小さな低気圧というのは、確かに先生のおっしゃるように冬の日本海で時々発生いたします。ただ、その発生のメカニズムについてはまだ必ずしも十分解明されてはおりません。しかし、この低気圧というのは、小さいけれども気象現象としては比較的激しいもの、例えばこの事例の突風であるとか、あるいは局地的な大雪であるとかそういったものをもたらすということはわかっておりますので、今、私どもその発生メカニズムあるいはその振る舞いなどについて鋭意研究、調査を重ねているところであります。
  104. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 直後の豊岡測候所の発表では、当日のアメダスで、ちょうど十キロほど離れたところでありますが、香住町で十分間平均十七メートルの風が吹いていた。普通向こうの地域ではその平均値の倍くらいに瞬間風速はなるというふうに聞いております。したがって、この場合三十四メートルを超すという突風になっていたと思われます。そのあいの風というふうに言われている風は、昭和三十七年から六十一年の二十五年間に、方向を北風、北西、北東の風、こういうことに限定をしましたら、二十メートル以上の風速の回数が四十五回を記録した、言ってみれば年に二回は大体起こっているというふうに豊岡測候所は発表しているのですが、その点についてはどうでしょうか。
  105. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 確かに先生のおっしゃるとおり、豊岡測候所の観測値で調べますと、昭和三十七年から六十一年までの二十五年間ですけれども、その間に観測された最大瞬間風速二十メートル以上の強風、それを風向を西から北それから北東という範囲に限りますと、四十五回起こっております。
  106. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ちょっと話はそれますけれども、ことしの夏に兵庫県の村岡町で阪急航空のヘリコプターが濃霧のために墜落し、大惨事を起こしました。このときはどんな気象状況であったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  107. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  事故の現場に一番近い気象官署というと豊岡測候所になりますが、そこにおける天気概況というのは次のとおりになっております。「朝から雲が多く、午前中一時晴れ間もあったが、おおむね曇天であった。午後からは雲も低くなり、夕方から夜半にかけては霧雨になった。視程は朝から次第に悪化したが、十キロメートル以上あった。風は弱く、午前中は南寄り、午後は北寄りの風が吹いていた。」このように観測されております。
  108. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 濃霧があったのか、それから、雲が垂れ込めていて、有視界飛行でございますから、そのせいで落ちたのか、その辺についてちょっともう一度お聞かせいただきたいと思います。
  109. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  ヘリコプターがどのようにして墜落したかという点については、これ旭別途航空事故調査委員会において詳しく調べられているところでありますので、私としては気象観測データについてのお答えをいたしたいと思いますけれども、それについては先ほど申し上げましたとおり霧雨ということでありまして、霧雨というのはいわゆる霧ではありませんで、気象観測においては霧といいますと視程が一キロ未満ということで、すなわち千メートル以上のところは見えないのが霧という状態、こういうふうに気象観測では定義されております。先ほど申し上げました霧雨というのは、そういうことではなくて、視程とは一応無関係に、いわゆる霧のような状態の細かい雨が降っている、そういう状態を霧雨というふうに気象観測では定義しておりまして、そのような霧雨が降っておりましたが、別途視程の観測というのをしておりまして、これは先ほど申し上げましたとおり、十キロメートル以上という値が観測されております。
  110. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 以上、兵庫北部の気象状況のことについてお聞きしたわけでございます。  今申し上げた二つの例でございますが、それを見ても、兵庫北部地方のいわゆる豊岡測候所管内というのは、両あるいは霧、そして雪、突風、こういうことで気象の変化の非常に激しいところと見て差し支えないか、お聞きをしたいと思います。
  111. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  但馬、丹波地域といいますのは、兵庫県の南部と比べて気候特性は異なります。これは先生十分御存じのことと思います。そういうことから、豊岡測候所において注意報、警報、こういうものを発表しております、  しかし、こういった山陰の気象特性が山陽側と違うとか太平洋側と違うというふうなことは、ほかの地域についてもそれぞれあることでありまして、すなわち、この地域がほかの地域に比べて特に気象の激しい地域であるというふうなことはありません。
  112. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 それにつきましてはまた後で、激しいか激しくないかというのは聞きたいと思っております。  ここで、実は一九八六年十二月二十八日のアメダスとひまわりのデータを持っているところでございます。これによりますと、ひまわりのデータが朝九時に発出された。そして、そのときに実は非常に重要な問題が起こっているわけであります。言うなれば、先ほどおっしゃいました小さい低気圧、これのボルテックスセンターということで、その低気圧の渦の中心が明記されているわけであります。そして、次に送られた画像というのは、六時間後にしか送られていないわけでございます。  この事故の起こったことをどうのこうのというふうに今言おうとは思いませんけれども、もし仮にこのひまわりをリアルタイムで受信できる装置があったとしたら、この十三時過ぎに起こった事故に対して、もう少し的確な気象情報が出せたのではないか、このような感想を漏らす人たちがあります。そして、現にこの日は、このひまわりの映像を見ながら速やかに警報を出しておられる。その上でさらに近づいた段階でということでは、もう過ぎ去ってしまったときにしか、六時間後にしかひまわりの映像が届かなかった。こういう現状だそうであります。  したがいまして、こういう気象の激しい地域のところに、言うなればリアルタイムでひまわりの情報が受信できる受信機をぜひ設置していただきたいというのが豊岡測候所の切なる願いであるわけでございます。より的確な予報ができることによってその事故が防げたかもしれないという可能・性さえ持っておるというようなことを聞きますると、なおのこと非常に重要な意味を持ってくる、そういう立場から何らかの対応をしていただけないだろうかということが聞きたいわけであります。
  113. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 お答えいたします。  ただいまの、豊岡測候所にリアルタイムでひまわりの画像というお話でございますけれども、豊岡測候所におきます気象資料のリアルタイム受信につきましては、今後一層の充実を図るべく、現在気象資料伝送網、これはいろいろな気象資料を送る通信網であり、また、その情報処理装置でございますけれども、この気象資料伝送網、気象庁ではLアデスと呼んでおります。この更新整備を進めているところでございます。この気象資料伝送網の中でひまわりの資料等につきましても即時的に受信できるように現在計画を進めているところでございます。
  114. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 Lアデスの導入計画を進めているということですが、全国的に張りめぐらせていくということの中で、大阪管区気象台管内が最後に残っているようにお聞きしているわけであります。その辺の新アデスの導入の全貌について、どの程度の測候所まで入れるようにしておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  115. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 Lアデスの導入計画についてお答えいたします。  気象庁では、昭和六十三年度に東京から始めまして、一年ごと。に仙台、札幌Lアデスと整備を進めてきております。今年度、平成三年度は福岡にLアデスを整備するつもりでおります。それから平成四年度につきまして、来年度でございますけれども、大阪Lアデスを更新整備する計画でございます。その後まだ沖縄が残っておりますけれども、それですべて整備することになります。  それからもう一つ、どこの測候所までというお話ございましたけれども、このLアデスにつきましては、各級の官署でもって業務内容がいろいろ異なっておりますから、その業務内容に合ったような形で整備していく、そのように考えております。
  116. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 業務内容が異なってということですが、例えば地方気象台、そして航空観測所、地区観測所、その中でも指定地区とそうでないところ、あるいは特区測候所、無特区測候所、こういうふうに分かれているわけですね。どの段階まで入れて、どうされようとしているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  117. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 このLアデスにつきましては、先ほど通信網であると同時に情報処理の機能を持っているというお話をいたしました。まず、地方気象台クラスを考えますと、そこにはワークステーションが三台入ります。それと、ひまわりあるいはレーダー等を見られるディスプレーが入ります。これにつきましては、地区測候所でございます豊岡測候所におきましても同じものが入ります。それから地区の測候所につきましては、レーダー、ひまわり等の画像が入ります。しかしながら特区測候所につきましては、このような機能は現在考えておりません。特区測候所につきましてはファックスの受信装置考えております。  以上でございます。
  118. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 それでは大阪管区気象台は平成四年で導入がすべて完了する、このように理解したらいいのかどうか、確かめておきたいと思います。
  119. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 先ほど申し上げましたように、現在大阪管区につきましては平成四年度の概算要求中でございます。したがいまして、ここで確実にどうこうなるというお答えをする立場にございませんので、御了解をお願いしたいと思います。
  120. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 概算要求をしていただいているということで、ぜひここでもう一つ訴えておきたいのは、先ほど申し上げますようにいわゆるひまわりの情報が的確に入る、あるいはアメダスの受信装置が的確に入るということはその地域の気象を把握する上では非常に重要な意味を持つと思うのです。今お答えがございましたように、地域測候所までは入れるけれども特区測候所あるいは無特区のところには入れない、こういうようなことをおっしゃっているわけであります。しかし、日本全国の気象のあり方を真剣に追求するという立場からいえば、特区等にも入れてもいいのではないか、こういうような感じを持つわけでございます。先ほども触れましたように、一つの事故が救われる、こういう可能性があるとするなら、この非常にすぐれた技術、そしてすぐれた機器、そういうものによって国民の暮らしか救われ、さらに市民に安心感を与えていく、こういう方向であるとするなら、そういうところにも設置をする、こういう要求を堂々と運輸省そしてまた気象庁の方ではすべきだというように私は思うところでございますが、その辺についてもお答えいただきたいと思います。
  121. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 お答えいたします。  先ほどLアデスの展開を進めているというお話をいたしましたけれども、これは従来の通信システムに比べまして約三倍のデータを送れるシステムでございます。このように、近年予報業務におきまして使用する資料の量が非常に多くなってきております。また、その質も高度化してきております。さらに、その予報技術も非常に進歩してきております。そういうわけで、兵庫県内の気象の監視、また県内の予報の作成、こういうものにつきましては、神戸海洋気象台におきまして県内の気象状況をこれらの資料を使いまして的確に把握し、またその地域特性等を考慮しながら対処していくのが最も効果的だろう、そういうふうに考えております。したがいまして、洲本、姫路、これは特区の測候所でございますけれども、こういうところに関しましては、業務に必要な各種天気図、指示報等を送りまして神戸海洋気象台の方で今後とも支援を行っていく、そういうふうに考えております。
  122. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 測候所の現場の人の声はこういうことを言っておられます。新アデスは言うなればブラウン管で来る。それはNTTの回線を使ってだというようになっている。気象情報というのは限られた情報である。その一つは予報資料であり、観測値であり、特別異常な指示事項だ、こういうことに限られておるというふうに聞いておりますけれども、どうでしょうか、それ以外にあるのでしょうか。
  123. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 ちょっと御質問の趣旨、よくとれなくて申しわけなかったのですけれども、ブラウン管というお話がございまして、確かにこの装置にはたくさんの資料が送られてまいります。なお、そういう資料を人と機械とのインタラクションでもっていろいろ予報を作成する、警報を作成する、そういう機能を持ったものでございまして、従来のように人手ですべての作業を行っていくというものに比べますとはるかに機能性が高まったもの、そういうふうに考えております。
  124. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今までと比べれば、今申し上げるように大体四つの、予報資料だとか観測値あるいは特別異常の関係というような限られた情報でしか来ないということをおっしゃるわけであります。したがって、それをもっと補えるということではSDUS、これがあるというふうに聞いているわけでございます。SDUSの導入が今管区気象台に限られている、こういうことでございますけれども、気象の激しいあるいは厳しい地域やあるいは台風等災害に弱い地域、こういうところにはSDUSの導入をしながら、先ほど言います新アデスでは情報キャッチに限界がある。それ以上の情報も直接いわゆるひまわり、これは気象衛星ですが通信衛星でもあるわけでありますから、そこからの情報を直接パラボラで受けていく、こういうような装置が現実にあるわけであります。その点について、SDUSというものの導入についてお考えになっていないのか、それを例えば地区観測所あたりに設置する考えはないのか、お聞きをしておきたいと思います。
  125. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 SDUSの導入につきましては、先ほど先生指摘のように限られたところにしか入っておりません。しかしながら、そこで処理されましたひまわりのデータは、先ほど申しましたLアデスの線に乗っかりまして地方気象台及びその指定地区測候所まで配信する、そういうふうに計画しております。
  126. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今申し上げているのは、例えば豊岡の測候所の例をとってみますと、新アデスは入る、しかしそれで十分かというとそうではなかろう、ほかの情報も得たい、直接SDUSを導入することによって、その新アデスの情報もあるけれども、新たに一時間おきに走っておるひまわりの情報を直接受信し、それから画面を拡大したりいろいろなことができる、こういうようなことで非常に便利だというふうにお聞きしておるわけでございます。現に余り高くない、ケンウッドというところから出ておりまして、これを見ますと、ソフトもきっちりできておる。現在価格はどのくらいだといったら、二百五十万円ぐらいでパラボラを含めた受信装置が購入できる、こういうことに聞いているわけでございます。そういう意味でいきますと、百台買ったって二億五千万ということになるわけでありますから、こういう軽易なもので非常に便利、しかも拡大等ができて多角的に活用できるという部分を、今それぞれの予報を行うような測候所に対して設置するということを真剣に考えていただけないだろうか、このように思うのですが、いかがでしょう。
  127. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 Lアデスにつきましては、先ほどおっしゃいましたようにデータ等が主として入ってくるわけでございますけれども、先ほど申し上げました三つのワークステーションにはそういうデータが入ってまいります。そのほかにもう一つ、レーダー及びそのひまわりの画像を受けるためのディスプレーはそれとは別につける予定にしております。そこでは、レーダー画像につきましては管区等で合成いたしまして、そういうものを当該官署に送りますし、また、その間を縫いましてひまわりの画像を一時間ごとに送る、そういうことで、先生おっしゃいました市販のものもございますけれども、ほぼ同等の機能が新しいLアデスには付加されるもの、そういうふうに考えております。
  128. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 局部的なものを見たいということで、それじゃ拡大機能もそのプログラムの中で消化できますか。
  129. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 お答えいたします。  拡大機能もついております。
  130. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 現場の方では先ほど言いますように、新アデスの導入もそれはそれで大切だ、しかし、さらにいろいろなデータが、新アデスで受けられないデータを直接受けることができる、こういう話をするわけであります。そういう細かなところが、先ほども申し上げましたようにボルテックスセンターが今近づいておるのか近づいてないのか、こういうことについて拡大ができる機能もあるというようなこと等を含めて活用に非常に便利だというふうに言われているわけですが、もしそれで十分だというふうにおっしゃっていましたら、おっしゃっているようでございますけれども、それなら管区気象台で何でSDUSをつけるのですか。やはりそれはそれで一つの機能が発揮されるからつけておられるのでしょう。管区気象台まではついておるのですよ。
  131. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 お答えいたします。  管区におきます気象業務、これは予報業務を中心考えてみますと、管区が中心になりまして各地方気象台へ資料のサービスを行う、そういう位置づけを管区気象台は持っております。これは、ひまわりができましたのほかなり前になりますけれども、その当時、ひまわりの画像を東京で受けますけれども、その膨大なデータを各管区に送るだけの回線は気象庁は持っておりませんでした。したがいまして、管区ごとにSDUSをつけまして、その管区内につきましては管区が地方気象台の指導を行う、そういう方針でこれまで進んできております。
  132. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 管区気象台についているのですけれども、先ほど言いますように、気象条件の激しい、そういうところ等を含めて、そのいわば測候所のランクでいいますとどこになるのですか、極端に言いますと豊岡測候所、こういうところにはぜひつけるように検討いただきたい。  さらに言いますれば、先ほど姫路や洲本というのは神戸の海洋気象台からで十分だというふうにおっしゃいますけれども、地域的な特性というものをつかむという意味ではやはり必要であります。いろいろなところから気象の問い合わせが姫路の方にもあるというふうにお聞きしておりますので、その点についても今後御検討いただきたい、このように思っておるところでございますがいかがですか。まあ、それはもういいことにします。  次に、予報官の問題についてお聞きをしたいと思います。予報官というよりも、豊岡測候所は地区測候所になっているわけでございます。全部で地区測候所が三十八ありまして、指定地区というのが十四、予報官がいるところには大体四人予報官が配置されておるのですね。そしてまた、要員もほかのところより豊岡が一番少ない、こういう現実があるわけですが、その点について特に理由があればお聞かせをいただきたい。
  133. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 ただいま予報官の数の問題を御質問になりましたけれども、予報官の配置につきましては、基本的には県単位で考えております。と申しますのは、予報業務は県単位に行うというのが基本になっております。先ほど予報官が四名と言われましたのは、これは、県を担当しております地方気象台におきましては予報官が四名ついております。それから十幾つあると言われました指定地区測候所につきましては、これは一名の予報官がついております。  それで、予報の仕組みを簡単に申し上げますと、どの県におきましても、県内を担当しておりますのは地方気象台が担当しております。県内に豊岡のように指定地区測候所がある場合には、指定地区測候所におきましては県の地方気象台の支援を受けながら予報業務を行う、そういう形で行われております。例えば天気予報は地方気象台で。一日五回出しております。しかし、指定地区の測候所におきましては日中のみ二回出すということで業務の量も変わってきておりますし、その指導体制、そういうものを考えますと、指定地区測候所におきましては一名の予報官で業務できる、そのように考えております。
  134. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 気象の変化が激しい地域であるし、台風災害には非常に弱い地域です。円山川というのは常にはんらんをし、そして交通を途絶さす、こういうことが大体二年に一回くらい起こるような地域であります。そういう状況の中で予報官が三日も四日も測候所に泊まり込み、こういう現実も生まれているわけであります。また、技術者が、いわゆる技術専門官が四人いらっしゃいますけれども、それも地震だとかあるいは観測、それから測器の関係、通信というふうにきちんと仕事が与えられておる。そのいわゆる技術専門官が予報官の役割をしなければならぬ。宿直を、技術専門官と一般の事務員の方というか業務員の人と二人で、どういった表現ですか、三直四交代というようなことでやっておられる。こういう状況の中でその技術専門官が結局予報官も兼ねなければならぬということで、現実的には非常に厳しい作業内容になっておる。こういうことで、大阪管区気象台の中で豊岡に行くのは赴任を嫌がるというか、そういう感情さえあるという地域であります。とするなら、もう少し考えていただきたいと思うのです。  現に、一九八六年の十二月に、気象注意報の発出は一カ月に三十四回出ています。神戸海洋気象台は十九回であります。一九九〇年九月、これは一カ月に五十七回警報を出しているのです。こういう地域であります。しかし予報官は一人しかいない。夜間だとかあるいは台風のときなんかはまさに責任を問われていく、こういう状況があります。市民も、常襲地帯でありますから家財あるいは家屋の浸水、これが起こると大変ですから、水位がどこら辺まで来るだろうか、台風情報とかそういうものは物すごい敏感であります。そしていつ引くだろうか、今度は引くということが大事でありますから、そういうことを通じて、家財道具やそんなのを毎年と言っていいほどつからせているわけで、そういう状況の中で予報というものは非常に意味があるわけであります。  現に、この豊岡測候所管内には、気象連絡会というのが九団体あるわけです。さらに気象照会も年に二百件を超すというふうに言っています。技術開発の業務といいますか予報部門の総合評価だとか、あるいは全国予報検討会だとか土砂の災害のポテンシャル予報だとか洪水予報、こういうようなことを四件抱えながらそのこともやっている。こういうようなことを考えてみますと、また夜間は予報官が先ほど言いましたように不在であるということも現実としてなっているわけで、それで一人だ一人だというふうにおっしゃいますけれども、私も地域の市民の一人としてこういう実態で本当にいいのかということに非常に問題を感じるわけでございます。  予報業務の充実というのを図る、こういう立場で予報官をふやす、こういうお考えに立っていただけないか、ぜひひとつ検討いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  135. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 御質問の趣旨のように、現場の第一線では職員が非常に苦労してその業務を行っている、これは豊岡のみならずいろんなところで行われていることだろうと理解しております。先ほど非常に警報の数等が多いというお話もございましたけれども、これは警報の中身にもよりますので、私今ここでちょっと数を把握しておりませんので即座にお答えできないのですけれども、これらの警報を出すにつきましても、豊岡におきましては実際の業務の中では神戸と相談されて出されている、そういうふうに理解しております。  それから、予報官をふやすということに関しまして、先ほど申し上げましたように気象の予報のシステムと申しますのが地台を中心としてでき上がっております。そこがその県内につきましては全部監視あるいはその予報等の支援を行っている、そういうことになっておりますので、私どもとしましては、現在の形で各級官署におきまして業務が可能であると考えております。  しかしながら、実際に、先ほどもいろいろ御指摘ありましたように、いろいろ業務が多くなってきているということで、新しいLアデスを入れまして情報処理機能をそこに持たすということで、予報文の作成、警報文の作成あるいはその送るデータを非常に使いやすいものを送る、そういうことで予報業務の向上を図っていきたい、そういうふうに考えております。
  136. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 いろいろ言われますけれども、大阪管区の中で予報を出している測候所で予報官が一人というのは豊岡測候所と西郷測候所の二つですね。あとはみんな四人おるじゃないですか。私はそういう意味で、輪番を組んでいただくというようなことで、二十四時間予報官がいるという体制は何で悪いのか、このことを真剣に考えるべきでないのか回今おっしゃったように、神戸の気象台で事足りる、こういうふうにおっしゃるなら、豊岡の問題はそんな簡単なことじゃないでしょう。指定地区にしたという意味は、兵庫北部における気象条件がいろいろ激しいものがある、そういうことを理由にして地区指定されたと思うのですよ。そういうことを考えた場合に、私の市民要求というか、そういうことが本当におかしいのかどうか、その辺も含めて御検討いただきたい、こう思いますが。
  137. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 再度指定地区のお話でございますけれども、指定地区と申しますのは、できましたのほかなり古く、昭和二十五年ごろだと記憶しております。その当時、御存じのように日本は戦後で通信手段もほとんどなく、唯一電報が通信手段としてあった、そういうことで指定地区の測候所というのは全国に幾つか置かれております。それは非常に通信手段が悪いということで、非常に離れたところで、気候特性が違う、そういうところに予報の判断をする機能を残す、そういうことからできたというふうに私は、古い話でございますけれども、伺っております。その後、通信手段は非常によくなっておりまして、さまざまな面でコミュニケーションをとりやすくなっている、また、そのデータ等もたくさん入るようになってきている、そういう状況から現在のような形が形成されてきているもの、そういうふうに考えております。
  138. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 過去の経緯はいいんですわ。もしひまわりの受像機が入ったりあるいはアメダスの受像機が入って、あるいは通信も十分になっているというなら、ほかのところは減ってないですがな、四人おるところはそうでしょう。それだけ人が要るんですよ、予報するには、おたくの論理で言うと、一人で十分足りるのだ、いろいろ新機器が入ったから今後もまたいけるんだ。じゃ、四人のところはどうなんですか。違うんですよ。やはり予報官は要るのですよ、二十四時間。そのことをしっかり踏まえていただきたい、こう思います。  そこまでおっしゃるなら、これは職場から要求出ていますでしょう。豊岡の測候所の所長は大阪管区気象台の方に送っています。大阪管区気象台は本庁に送っておるわけであります。その辺について、皆さんの方で把握しでないということなのか、要求について、そういう要求が出ているけれども、処置できないのか、検討中なのか、はっきりしてください。
  139. 瀧川雄壯

    ○瀧川説明員 ただいまの具体的な豊岡測候所の増員に関しまして、残念ながら、私今ここに資料を持っておりませんので、出ているのかどうか、私のところからはちょっとお答えできかねますけれども、先生のおっしゃるように、出したと言われるのであれば、恐らく気象庁には届いているのではなかろうか。ただ、私の方にそういう形ではちょっと記憶がございませんので、申しわけございません。
  140. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大臣、先ほどからの私の質問でございますが、その点についていかがでしょう、真剣に考えていただけませんか。
  141. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 ただいま気象庁より説明があったところであるが、御指摘のとおり、気象観測災害対策の重要な柱であると認識いたしております。今後とも、総合調整の立場から、その積極的な推進が図られるよう働きかけてまいりたいというふうに思っております。
  142. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大臣、ちょっと僕耳悪かったのかわかりませんけれども、検討していただけると思ったらよろしいのでしょうか。
  143. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今お尋ねいただいたことについては、災害防止上にも必要であるかどうかということを私どもも検討させていただき、場合によってはそれは要請をしていただくこともあり得るかと思っておりますが、今お聞きしたことでございますので、私は持ち帰り、よく意見を聞いてみたいと思います。
  144. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 なぜこんなことをしつこく聞くかといいますと、実は但馬空港が平成六年に飛ぶんですわ。三種空港です。そういうことも含めて考えていくと、予報官がいるかいないかというのは、市民にとっても大変不安な材料だ、こういうふうに思います。そこで、空港ができましても、飛行場の設置者が自治体でございますから、その気象関係は、コミューター機だったら自治体がやれ、こういうふうになるわけでございます。  そういうことを含めて考えてみますと、豊岡測候所の位置というのは非常に大きくなるわけでございまして、その辺について、飛行場の設置の暁には、測候所と自治体のいわゆる航空気象の責任者といいますか、そういう方とどのような連携をとってもらえるのか、その辺もちょっと聞いておきたいと思います。
  145. 古川武彦

    ○古川説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の、但馬空港のようないわゆるコミューター空港につきましては、その性格上から申し上げまして、気象観測施設の整備主体は空港の設置管理者にゆだねられておりまして、気象庁は観測の種目や観測方法の必要な技術的な支援を行うというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、但馬空港と同種の、初めてのコミューター空港でございます鹿児島県の枕崎空港は、既に本年一月から開港しておりまして、相当の飛行実績を持っておりますが、そこでは航空機の離発着に必要な視程であるとか風等の気象要素のうち、パイロットがみずから把握できない風と気圧につきましての観測が行われております。したがいまして、但馬空港におきましても同様の観測が必要と考えております。  なお、但馬空港の設置管理者であります兵庫県とは既にコンタクトを持っておりまして、今後ともその空港の運航形態に即しまして、航空機の安全が損なわれないように、県と十分な調整をとっていきたいというふうに思っております。  以上です。
  146. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 地方自治体との関係については、今相談があるということでございますが、気象庁と、それから自治体ということになりますけれども、ともすると日本の政治の仕組みが縦割りにずっとなっておりますので、やはりその地域との連携をとってもらわなければ困る、こういう状況もございますので、ぜひひとつ御協力をお願い申し上げたいと思います。  以下、質問したかったことがほかにあったのですが、時間が切れましたので、またの機会にさせていただきたいと思います。これで質問を終わります。ありがとうございました。
  147. 清水勇

    清水委員長 これにて吉岡賢治君の質疑は終わりました。  次に、石田祝稔君。
  148. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 まず最初に、大臣にお伺いをしたいと思いますが、大臣も、十一月二十二、二十三日と雲仙普賢岳噴火災害の視察また調査に行かれた、このようにお伺いをしております。大臣が実際に被災地を訪れられて、感想といったら語弊があるかもしれませんが、行かれてどういう思いをされたりか、まずお伺いをしたいと思います。
  149. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 私は、去る十一月二十二日、二十三日の両日、非常災害対策本部長として現地を視察し、被災地の現状を直接把握するとともに、地元方々の生の声を伺ってきました。現地をこの目で視察し、今回の災害のすさまじさをこの身で実感し、改めて亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災者方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。  政府においては、既に二十一分野九十項目にわたる雲仙岳噴火災害にかかわる被災者等救済対策を決定し、現在、強力に推進しているところであり、これにより国、県及び市町とも今次災害に関し予測し得る必要な対策は講じられたものと理解いたしております。火山活動が長期化する中で避難されている方々の御苦労は数多いと思うが、これらの救済対策による特別措置を大いに活用していただき、生活の安定と再建に役立てていただきたいと思います。  先日、雲仙岳現地視察に行ったときに、長崎県から、現行の基金の額では不足することが予測されるため、増額の要望をしなければならない事態になったときには支援を賜りたいという旨の要望がありました。私としましては、帰京後、その内容等について自治大臣に対し誠実にお伝えし、お願いを申し上げたところでございます。私としては、この基金が被災者等の救済対策の中で大変重要なものと認識しており、今後、県からの基金の額、内容等について具体的な相談があれば、自治大臣にお願いをしていきたいと考えております。
  150. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ちょっと、私がこれから聞こうと思うこともお答えになったようで、被災地に行かれた思いはいかがですかというところで私は聞きたかったのですけれども、基金のこともお一つしゃいましたのでお尋ねをいたします。  実は、本日の十二月三日付の新聞に、島原の鏡ケ江市長が、「論点」ということで書かれております。その中で、特にきょうは、火砕流で亡くなった四十三名、死者、行方不明者が出ておりますけれども、ちょうど半年たちました。また、噴火が起きましてから約一年を経過したわけでございます。その一年、また半年という区切りの中で当事者である市長がこのようにおっしゃっております。ちょっと読み上げさせていただきますと、当初、「自然災害は自主復興が原則。国による救済は前例がない。」こういうふうに言い続けてきた。しかし法の拡大解釈をしていただいて、いろいろと助成措置をしていただいた。この後、「いつまで続くかわからない火山活動だけに現行法の拡大措置だけではどうしても対処しきれない。問題によっては基金の増額と特別立法の措置を講じてもらいたい。」こういうふうに述べられまして、集団移転の問題とか農地の買い上げの問題、そういうこともずっと述べられておるわけであります。  この中で特に、大臣がその後長崎ではなくて御自分の地元に帰られて三百億を五百億にというお話がされた、こういうことが新聞報道で載っておりました。今大臣が、私はそのことを聞こうと思いましたらお答えを先にしていただきましたけれども、こういう形で現場の実際の担当者と申しましょうか、御苦労されておる市長も、基金の増額、また特別立法、こういうことも考えてもらいたい、こういうふうにも言われております。先ほどお答えをちょうだいいたしましたけれども、ぺーパーを読むんじゃなくて、大臣の生のお考えをひとつ私はもう一度基金に対してお寄せいただきたいと思います。
  151. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 私は、現地で知事さんからもまた市長さんからも個別に、また同席の中でそれぞれの御要望を承りました。その節、特別立法のことについては私の方に要請はございませんでした。特に知事さんの方から、先ほど説明申し上げましたように、何とか基金をさらに設けていただいて、そして、それの充実を図っていただいた上での対策が一番自分たちも適切であるかと思われるような質問と答えが私どもにございました。  なおまた、私が熊本でそのようなことを申し上げたというようなことはございません。いろいろと報道の中にかなり私たちの行動について、先ほども申し上げましたが、誤解を招くような報道をなされたことはまことに私は――真剣に、そして被災者皆さん方の心を十分踏まえながら私たちは二日間にわたり取り組んだつもりでございます。そのような評価を受けることはまことに私は、不徳のいたすところだったと思いながらも、残念でございます。
  152. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 いつ終わるかわからない状況ですので、新たな状況が来たときはまたひとつ御尽力をいただきたい、このように思うわけであります。  さて、六月三日以降、この雲仙普賢岳噴火災害でいろいろなことが明らかになったと私は思います。要するに行政側のいろいろな対応とか、もちろん災害というのはすべてがすべて予測をされて態勢を組めるものではありませんので、それなりに慌てたり準備ができてたいところもあろうかと思いますけれども、やはりその次の災害のために、ここで、行政側の対応としてどういうところが問題であったのか、どういうところが不備であったのか、こういうことは振り返ってみて明確にしておく必要があると私は思います。その意味で、この今回の雲仙普賢岳噴火災害で明らかになった行政側の対応としての問題とは何か、問題点というのはどういうものがあったのか一これについてお答えをいただきたいと思います。
  153. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生仰せられますとおり、まだ災害は進行中であります。現時点において私どもが受けた教訓と申しますか教えをこの際整理をする時期ではないかなとは思いつつ、一つ、二つ申し上げてみたいと存じます。  一つは、火砕流という人的、物的被害を見ました今日までまれな災害を私ども経験をいたしたわけであります。防災行政上の経験に照らしましても、この火砕流につきましては大変乏しかったわけでありましたけれども、私ども、地元、国一体となりまして、住民の生命、安全をまず第一義として、体系的に、そしてまた迅速に対応することが一番肝要だということを確認をいたしたわけでございます。その結果、大変しつこくなりますけれども、かねてから実施をさせていただいております例の二十一分野九十項目という形で今日施策をそれぞれの立場から推進をし、地元方々に御活用いただくということでお願いをいたしてございます。  それから二つ目でございます。こういった火砕流が初めてと言っていいぐらいの経験でございますので、火砕流による被害の予測が非常に重要となってまいります。雲仙噴火災害につきましても、バザードマップというものを団体に委託をいたしまして調製をし、これを基本にしていろいろ災害の危険区域等の設定をいたしたわけでございます。もちろんこれにより多くの人命を失わずに済んだというふうに理解をしてよろしいかと思いますが、これを基本にして、活火山を有する地域の防災計画に貴重な示唆を与えたのではないかと思っております。  しかしながら、雲仙岳を除きますと、現在までにこのハザードマップといったものを整備しておりますのは、北海道の駒ケ岳、十勝岳、二つでございます。私ども国土庁といたしまして、平成三年度末を目途に六十三年度から実施をしてまいりましたが、火山噴火災害危険区域予測図作成指針という長い文章でございますけれども、ハザードマップのいわゆる作成マニュアルというものの策定をいたしてございます。これを基本にいたしまして、全国で火山を有する自治体にお配りをいたしまして説明し、周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。火山活動はまだ続いておるわけでございますけれども、今後活動が鎮静化しました後、いろいろ教訓もまた整理をいたしまして今後の防災行政にさらに生かさせていただきたいというふうに考えております。
  154. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そういう形で一つ災害をきっかけに新たに体制を見直すということが私は非常に大事だと思いますので、先ほど言われましたハザードマップ、これは八十三ですかね、活動火山があるうちの二つしかできていないということはもう何カ月も前に一応新聞等でも指摘をされているところでございますので、これの公表によっていろいろ問題が出るということはまた承知もされるところでありますので、そういう公表とはまた別の問題といたしまして、やはりハザードマップ等については早期に作成していく、こういう方針でひとつ臨んでいただきたいと思います。  それから、今回私も感じましたのは、こういう形で雲仙普賢岳災害島原市を含む何カ町村かが対象になる、そのときにやはり一つの自治体ではそういう災害に対して対応するのが非常に困難である、特に人的に困難ではなかろうか、結局そういう人をもう通常から日常業務という形でレギュラーのメンバーとして抱えておくというのは、なかなか人件費等の問題からも非常に難しいのではないか、このように私は思います。そういう意味で、例えば災害が起きたときに、国でそういう専門官を養成する、そういう専門官を例えば災害のアドバイザーというんですかね、そういう形で現地一つのチームとして派遣をしていく。例えば行政の言う連絡体制の整えられる方とか、また医療関係、各種のいろいろな専門知識を持った方、そういう人たちを一つのチームにして、そういう災害のあったときにぱっとその自治体に派遣をしていく、そしてその自治体の対応をバックアップしていく、また指導をしていく、こういうふうな体制が必要ではないだろうか、これは私、島原に行きまして非常に感じました。  なかなか現地で人件費が高い中、常時抱えるというのはこれは大変難しいことだと思います。また災害自体がそんなに頻繁に起きてもらっても困るわけですから、いわゆる忘れたころにやってくる流の災害に対応するためには、ある意味でいえばそういう災害のプロのチームをぜひとも国の方で養成してそういうところへ派遣をしていく、こういうふうな制度が必要ではなかろうか、私はこういうふうに思いますけれども、いわゆる仮称防災アドバイザー制度、こういうものについての提案を私はしたいと思うのですけれども、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、光武委員長代理着席〕
  155. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生指摘のとおり、災害というのはそういつもいつも経験するものではありませんので、担当者ももちろん交代をいたします。いろいろ過去の経験にかんがみ適時的確な行動をするためには、仰せられたようなアドバイザー制度というのは大変重要な御提案であろうかというふうに思います。これから担当省庁いろいろこぞり合いまして検討いたしたいと思います。
  156. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ぜひ検討をお願いしたいと思います。  それから、今回台風災害も非常に多うございました。同じ災害ということでちょっとお聞きをしたいと思いますが、幸い、幸いというか今回十一月の十九日に激甚災と天災融資法発動されまして、この発動の要件についてお伺いをしたいと思います。  例えば今回は十七、十八、十九とこれをセットで判断をする、そして、その結果それぞれを積算をしていって激甚災または天災融資法発動の要件が整った、こういうふうに判断をされて十一月の十九日に発動されたと思いますけれども、これ。はどういうふうな、ある意味でセットと私申し上げましたけれども、そういう認識を持っているし、聞いておりますので申し上げましたけれども、ここらあたりの経緯についてお聞かせをいただきたいと思います。
  157. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 私の方から激甚災害法関係で申し上げさしていただきたいと存じます。  法律の規定によりまして災害を特定して、その災害による被害が激甚であったという場合にこの法律により特別の措置を講じようというのが趣旨でございます。そういったことで、災害を特定するときに一つ災害としてとらえるには災害の原因となる気象現象の同一性等によりましてこれを判断をしなければいけないという原則によっているわけでございます。  さきの十一月十九日に激甚災害指定を行いました台風十七、十八、十九一体としてとらえた災害につきましては気象庁とも相談をさしていただきましたし、この委員会におきましても御指導いただいたと記憶をいたしてございますけれども、これを一つ災害としてとらえて、その災害による被害が激甚であったというとらまえ方をしようということで実施をさしていただいたわけでございます。  これは気象庁の見解でありますが、九月の十二日に日本付近に停滞し始めた前線が九月二十八日くらいまで日本付近に連続して存在をし、この期間に上陸、接近した台風十七、十八、十九号の通過とともに活動が活発になりまして各地に大雨等をもたらしたということでございます。したがいまして、この期間中の暴風、大雨は、台風十七、十八、十九と同期間中連続して存在しておりました前線によってもたらされたものであり、一連の気象現象として考えてよろしい、こういうことに基づいて実施をしたものでございます。
  158. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 農水省から。
  159. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 天災融資法発動についてでございますが、天災融資法農作物等被害が著しく、かつ国民経済に及ぼす影響が大であると認められる天災について発動する、こういうことになってございます。今回の十七号、十八号、十九号につきましては、今国土庁からもお話ございましたように一連の気象現象であるということとともに、水稲、果樹、森林、そういったものに対しまして潮風害等によります分離不可能な被害発生をしたということでございますので、これを同一の災害として天災融資法発動したということでございます。過去にもこういった事例は幾つかございます。
  160. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そうすると今回の台風十七、十八、十九号の被害というものは正確には秋雨前線の被害であった、秋雨前線に台風がいわゆる縁となって大きな被害をもたらした、こういうふうなことでいいんでしょうか。
  161. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 指定した災害の名称でございますけれども、平成三年九月十二日から二十八日までの間の暴風雨及び豪雨ということで一連にとらえてございます。
  162. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今後同じような形でやはり一連のものととらえていただいて災害被害を積算していただく、こういうことも必要なこともあろうかと思いますので、ぜひともまた今後とも柔軟な運用をお願いをしたいと思います。  それから、私は特にことしの雲仙普賢岳噴火災害現地に三回参りました。その中で今までこうした天然災害、自然災害というものは国は救済をしない、こういう原則であった、これは私はそのとおりだったと思います。しかし、この九月の一日の防災の日の各紙の社説を見ますと、やはり今までと同じような考えの延長線上でいいんだろうか、こういう趣旨の社説がたくさん載っておりました。要するに、一つは今回の問題というのは、災害期間が長いということはもちろんですけれども、いわゆる個人補償的なものに対する国の助成というもの、救助というもの、こういうものがやはり考えられない、感じられない、こういうことが私は今回の災害の大きな特徴、雲仙でございますけれども、であろうかと思います。  それに際しまして、これも新聞ですからどういうふうなお答えになるかわかりませんけれども、十月十三日の新聞に「自然災害に共済制」、そして十二日に国土庁がこういう方針を固めた、こういうふうな記事が載っております。これはどういう内容かというと、この記事によりますと「現行の災害対策では限界のある被災住民らの「生活補償」要求に配慮したもので、同時に、地方自治体の財政負担の軽減が狙い。」こういうふうな形で書き出しかありまして、ざっと、今までの現行の法制度のもとでは無理ないろんな状況にかんがみて何とかこれを別の角度から、いわゆる住民救済、国民救済ということをやっていきたい、やっていかなくちゃならぬ、こういう観点国土庁が共済制、こういうものの検討を始めたという記事になっております。この件に関しまして、実際そういう形で検討されておるのかどうか、また実際進められておるのかどうか、最初にお聞きをしたいと思います。
  163. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 個人が自然災害によりまして被害を受けた場合には、従来から自力救済が原則だということはいささかも変わりはないわけでございます。ただその際、国、地方公共団体がこれを支援するという救済措置を幾つか今日までも持っておるわけでございます。例えば、災害救助法による炊き出しなどから始まりまして支援があります。そしてまた、災害弔慰金法によります弔慰金の支給等の規定もございます。あるいはまた、住宅建設する場合に住宅金融公庫からの低利の融資、あるいはまた、農業者、漁業者、中小企業者に対する低利の融資等もございます。  ただ、それはそれといたしまして、私ども結局災害の、もうちょっと自然災害に対する支援措置というものを、一人一人の方が講ずる場合にそれぞれ応援をす各方法というのがないだろうかということで御意見もたくさんちょうだいをいたしておりますので、その一つといたしまして、例えば共済制度たるものも勉強してみていかがかなということで、今その勉強の着手に至ろうとする段階にございます。と申しますのも、災害は火山もあれば水害もあればいろいろ種類がたくさんございます。そしてまた、その地域地域によりまして発生の確率等も異なってまいります。共済型の制度一つをとりましても、そういう二つのことを考えただけでもなかなか課題が多いわけでございますので、現行制度によります救済の状況、問題点、そしてまた地方公共団体の意向なども踏まえまして、共済制度の必要性とか実現可能性、こういったものを検討してみたいということで、現在どんな形で実施をしたらいいか、その研究会のスタートに当たるまだ前段の準備状況にございます。
  164. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これは防災局長ももちろん御存じだと思いますけれども、この自然災害被災者に対する国の救済措置に関しましては、いわゆる昭和三十六年の災害対策基本法制定の当時から四十五年、四十六年に至るまで、各方面で自然災害の犠牲者を救えないか、こういうふうなお声があっていろいろ討論も行われてきた、そして四十三年五月に当時の佐藤総理大臣が、共済であればあるいは考えられるかもしれない、考慮の余地があるのではなかろうか、こういうふうなことが答弁をされたようでございます。そのことを受けて総理府は昭和四十五年から四十六年に個人災害共済制度に関する調査を行った、こういうふうにも聞いておりますけれども、このいわゆる個人共済制度、災害個人共済制度、こういうものがその当時に一つ考え方として上がっておったのが、今日、二十年たった今改めて検討の前段階というところでとまっておるのはなぜなんでしょうか。当時の経緯等はなかなかわかりにくいかと思いますけれども、なぜそういうものができなかったのだろうか、その理由についてわかりましたらちょっと教えていただきたいと思います。
  165. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 共済制度としては今日まで農業関係の制度とかいろいろ我々先輩を持っているわけでございます。ただ、一般的な個人災害共済制度は、今先生仰せられましたとおり昭和四十五、六年ごろ突っ込んで検討が行われたわけでございます。しかしながら、それが難しかった理由として今記録に残っておりますのは、一つは、まず給付の目的、内容を絞るのが難しいということ、そしてまた強制加入方式を採用するだけの公益性は認めがたいというようなことに問題があるというようなことが指摘をされておりまして、当時制度化が大変困難であるということで見送られまして、その後、災害弔慰金法という形で昭和四十八年に結実をしたというふうに記録が残っでございます。
  166. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 時間もございませんが、私は、ぜひともこの共済制度というのはいい方向で進めていただきたいと思います。その件で私は、個人の考えということも交えまして、自治省も来ていただいておりますので、いわゆるお金の面も含めて提案かたがたいろいろとお伺いをしたいと思います。  当時は、個人でお金を集めるという、個人に対して一人幾らということで集めるということで、なかなか難しい、そういう面もあったように聞いております。ですから、私は一つ考え方として、いわゆる都道府県単位で加入する災害共済制度にしたらどうか。ですから四十七都道府県、加入者はまあ四十七ということになります。そしてこの掛金を、例えば人口、そして災害の起こる確率等を勘案して考えていく。ですから、例えば一人千円としますと人口が百万の県は十億円、これが年間の掛金です。そしてその掛金を決めるときに、災害が起こらないところもたくさんございますので、例えば地震保険というものがありますが、これに地震保険都道府県別等地、いわゆる一等地から四等地まで分かれております。これは地震に関してこういう形でいわゆる安全度というのでしょうか、逆に危険度というのでしょうか、そういうものを勘案して保険料も決めております。  地震に関してはこういう形で大蔵省も認めておるようなものがあるわけですね。ですからこれと、例えば台風とかあらゆる災害をある程度厳選をする。幾つかに絞ってインプットをして、いわゆるその土地の危険度ということはおかしいかもしれませんけれども、そういうものを勘案して掛金を考えていく。それが私は一人全国平均で一年間で千円程度、これは何とかこういう形ではできないだろうか。そしてそのお金に関しては、地方自治体の財政需要額に算入していただく、こういうことも考えられるのではないかと思います。そしてこの掛金を民間の損保会社等に委託をする、そしてそこである意味では運用してもらう、こういうふうなことも考えられるのではないかと思いますが、この件に関しまして自治省の方にお伺いしたいのですが、これを例えば県単位で入るとした場合に財政需要額に算入することが可能なのかどうか、そして掛金を民間の損保会社等に委託することが法律上可能かどうか、この二点をまずお伺いをしたいと思います。
  167. 北里敏明

    ○北里説明員 貴重な御提言をいただいたと思うのでございますが、その全体像というのがいま一つはっきりといたしませんので明確なお答えをしかねる面もあるわけでございますが、現行の災害救済制度すなわち災害復旧制度あるいは特別交付税制度等に加えましてこういう制度が必要であるかどうか、あるいは必要な場合にどういう制度が可能か、今御提言もあったわけでございますが、またそれに国、地方、今は地方ということでの御指摘かと思いますが、どういう役割を果たすべきであるか、また負担するに適するかというような、その根本的なところをまず御議論いただくのが先決かというふうに考えております。それから財政措置につきましては、そこのところがはっきりいたしまして、そして国、地方の役割分担等がはっきりするという中で、仮に交付税の措置になじむかどうかということを検討するということになろうと思います。
  168. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これは自治省の方もお聞きをいただきたいのですけれども、いわゆる個人の自然災害は補償しないという大原則があるわけですね。ですから、結局その原則をそのまま踏襲していくと、こういうものは当然できないということになるのじゃないかと私は思います。その意味で、その根本のところをこれからやはり議論を煮詰めていくべきであろうと思いますけれども、今までの、自然災害に対しては政府はいわゆる個人財産の形成に当たるようなことはしたい、できないというふうな考え方で、その延長線でいいのかという議論というか、そういうものが今起きてきているのではないか、そういうことを前提にして申し上げておりますので、根本のところをもうちょっと議論してもらいたいということはちょっと横に置いていただいて、システムとしてそういうものができるのかどうかということをぜひ教えていただきたいと思います。  ですからこの場合、都道府県単位で基金を、例えば損保全社等に委託をして、災害が起きた場合、掛金を納めているところ、まあ全部納めてもらうわけですけれども、災害が起きた場合に都道府県単位で、今回の雲仙災害の基金もつくりましたけれども、そういう形で、基金をつくるときの原資というのでしょうか、そういうものにできるのではないか。今回も長崎は二十億円県費を使って、そして二百八十億の起債を認めてもらって三百億の、今三百三十億になっているというふうに聞きましたけれども、いわゆる基金をつくったわけであります。ですから、この原資を例えばそこから出す、こういう形も一つ考えられるのではないだろうか。そしてその起債を認めていただいて、その基金の果実で災害救助事業を各都道府県の責任でやってもらう、こういうことも考えられるのではないだろうかと私は思います。  そして、救助事業がどれくらいかかるかわかりませんけれども、ある意味で言えば、その救助事業が終わったときには原資はそのまま残っておりますから、原資はまたもとの共済制度の方に返してもらうか、またはほかの形もできるかもしれませんけれども、こういう形で、そして機動的に、法律であればなかなか難しいようなところまで踏み込んでそういう制度をつくって、ぜひ共済的な考え方でやっていくことも必要じゃないだろうかと私は思います。  こういうものはお金の問題にも絡んでまいりますので、ぜひとも自治省さんがそういうときに起債を認めるとか、ある意味で言えば災害の起債に関しては何日間でオーケーを出すとか、そういうことも必要だろうかと私は思いますけれども、そういうことも含めまして、これは本当のアイデアにすぎない段階かもしれませんが、何とかしてこの共済制度というものに関して一歩でも二歩でも進めていくことが大事じゃないだろうか。今までの延長線上で、根本のところから無理ですよ、こういうことではなくて、ぜひとも考えていただきたいと私は思います。これは私のアイデア等を含めて話をしております。  時間が参りましたので、最後に大臣、こういうふうないわゆる自然災害に対して個人補償はしないというのがずっと大原則で来ておったと思いますけれども、大臣の個人のお考えとしてでも結構でございますが、本当にそのままでいいのかどうか。また別の形で、いわゆる国内貢献というふうな考え方にも立ってやっていくべきではないかと私は思いますけれども、これは答弁というよりも御感想でも結構でございますが、ひとつ最後にお聞かせをいただきたいと思います。     〔光武委員長代理退席、委員長着席〕
  169. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 自然災害による個人被害については自力救済が原則ということになっているわけでございますが、先ほどからお聞きしておりますと、大変貴重な御意見を賜りました。担当の省または我々国土庁の内部においても意見としての御提言をよく検討していきたいというふうに思っております。
  170. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ありがとうございました。
  171. 清水勇

    清水委員長 これにて石田祝稔君の質疑は終わりました。  次に、薮仲義彦君。
  172. 薮仲義彦

    薮仲委員 東家長官が大臣就任早々に被災地を視察なさったこと、その労を多とするものでございます。大変に御苦労さまでございました。私も冒頭に、雲仙普賢岳の問題について長官の思いやりのある対策をお願いしたいわけでございます。  普賢岳が火山活動を始めてはや一年、避難生活をなさる方はもう六カ月を過ぎなんとするような現状でございまして、暑い季節から北風の吹く冬の季節を迎えております。私は、国民の多くが望んでいるのは、あの避難なさった方が健康を害さないであの苦しみに耐え抜いて、普賢岳のあの活動がおさまって、一日も早く再建の明るい人生を歩んでほしい。しかも全国の人は新しい年を迎えるわけで、いろいろな御家庭があるわけでございますが、ひとしく新年というものは、国じゅうが平和で明るく、喜んで迎えたいものだ、これは長官が最も心を痛めていらっしゃることだと思うのでございます。ここにいる災害委員会のメンバー一人一人が同じ気持ちでございますが、私はまず冒頭に、この火山活動が早く終わってほしい。最近どうやらドームがおかしい状態でございますが、この状態を気象庁に専門的な見地から、普賢岳の火山活動の現状はどうなのか、少なくとも鎮静化の方向にあるのか、その辺をお伺いしたい。  もう一つは、お隣の霧島山もどうやら煙を出しておるというようなことも伺っておりまして、大変心の痛むことでございますが、まず気象庁に、普賢岳と霧島山の現状をちょっと教えてください。
  173. 森俊雄

    ○森(俊)説明員 気象庁より説明させていただきます。  まず、雲仙岳状況でございますけれども、最近の状況を申し上げますと、十月下旬から火口直下で地震が増加しており、十一月八日ごろから一層増加してまいりました。現在も多い状態が続いておりまして、溶岩ドームは引き続き成長しており、依然不安定な状態が続いてございます。今後の予測につきましては困難ではございますけれども、マグマの供給は依然として続いており、火山活動の鎮静化を示すというようなデータは現在のところ得られておりません。次に、霧島山の状態でございますけれども、霧島山の新燃岳周辺では、十一月十三日ころから地震の群発が始まりまして、微動も観測されるようになってございます。二十四日に新燃岳火口内に新たな噴気が始まり、十二月二日には微量の火山灰を噴出していることが確認されました。このような状況でございますので、気象庁といたしましても現地に機動観測班を派遣し、現在、地震計等を増設いたしまして観測に努めているところでございます。  今後とも、関係機関と緊密な連携をとりながら厳重な監視を続けてまいりたいと存じます。
  174. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官、お聞きのように非常に心の痛む事態でございますが、普賢岳のマグマの供給はおさまっておらない、非常に危険な事態にある。長官が心を痛められるように、全国のすべての人が早く終わってくれないかなと心を痛めていらっしゃると思うのです。そういうことを前提にしながら、まだこれから耐えなければならない、そうなるときに、私は長官にお願いしたいことがある。恐らくきょうの委員会でも同僚委員があるいは指摘したことかもしれませんが、重複したらお許しいただきたい。  先日テレビを見ておりましたときに、普賢岳の様子を放映しておりました、NHKでございましたけれども。プレハブの各家庭を映しておりまして、海からの寒風にさらされて、普通家庭でストーブをたけば結露ができるのです、部屋の温度が暖まって。ところが、あのプレハブは結露もできません。床下から風がぴゅうぴゅうと吹き込んできます。戸外で洗濯をしていらっしゃる映像が映っておりました。恐らく多くの国民の方はそういうことのないように、いろいろな意味で助け合いの義援金に参加なさった数多くの方もいらっしゃると思うのです。私はあの映像を見ておって非常に心が痛みました。今、日本の国のこの経済力で、義援金のことはさておいて、国土庁長官が本気になってやろうとすれば、あの北風を妨げるぐらいの防風のフェンスぐらいできないのかな。あるいはお洗濯をするについても、あんな寒風吹きさらす中で、家庭の主婦がうちへ帰ってきてから夜九時、十時まで手で洗っていらっしゃる。私はああいうのを見ておって、もう少し思いやりのある、温かみのあることができないのかな、洗濯をもっと暖かくできる方法はないのだろうか、例えば一つのハウスを建ててそこへ洗濯機を並べて皆さんでお洗濯をなさったらどうですかとか、私はあのテレビを見ていて非常にやるせない気持ちでした。  あそこで新しい年を迎える多くの方がいらっしゃるわけで、私は同じ九州出身の東家長官ならば必ずやってくださると思いますので、新年を暖かく迎えられるように、どうか防風のフェンスとか御家庭の洗濯をもっと暖かくできるような、そういう施策をやっていただきたいと思うのですが、長官いかがでしょうか。
  175. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 お許しを得まして、具体の問題ですので、最初、前段をやらせていただきたいと存じます。今回の災害に関しましては、国としても今日まで、長期避難者に対する食事の供与事業とか、五年間無利子据え置きの十年間貸し付けという生活安定再建資金の貸し付けあるいはまた災害対策基金の設置など、非常に画期的なものを含みました二十一分野九十項目というのを現在定めまして、政府を挙げて強力に進めてまいっております。県におきましては、国の救済対策に加えまして、三百億の災害対策基金、義援金の一部、三十億を原資にいたしました基金、これをもちまして、食事供与事業に加えまして、一世帯当たり月三万円の生活雑費の支給とか生活安定再建資金の償還時の五年分の無利子化などの被災者生活安定対策をきめ細かに実施してもらっておるところでございます。  今先生から大変具体に細やかなお話がございましたが、聞き及ぶところによりますと、被災者への越冬対策といたしまして、県におきましては、年末見舞い金として、火砕流及び土石流による住家半壊以上の世帯には五十万円、現在警戒区域の指定を受けている世帯に十万円を加算するほか、  一人当たり一万円をこれに支給するといったような義援金の第三次の配分をすること、これを一つ予定をしておるわけでございます。それからまた、警戒区域の世帯や家屋が全壊、減失した世帯に対しましては、布団、毛布等の配付とあわせまして電気ごたつの配付を既に行ったというふうに聞いてございます。それから個別には、大変恐縮でございますけれども、洗濯機とか乾燥機とかそういったものはすべて自動のものを設備をしたというようなことでございまして、冬を越すために本当に住民方々がお困りにならないように、細かな対応を今現地でやってもらっておるということでございますので、申し上げます。
  176. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと答弁する方に言っておきますけれども、私は少なくとも災害を十年やり、雲仙普賢岳については皆さんと同じようにこういう国土庁のペーパーから何からしっかり勉強してここへ臨んでいるのですから、私に説明して宣伝する必要は全くありませんよ。もっと人間味のある、心の温まる質疑をここで大臣とやるのですから、事務的なレベルの報告ならペーパー持ってきて私の方に来ればいいんです。私もそんなものは持っていますよ。そんなのを聞いているんじゃないのですよ。一人の人間として、政治家として国土庁長官がどう思うか、国民はそれを思っているんですよ。事務屋の説明ならば局長が行ってやってくればいいんですよ。政治家はそんなことじゃ済まない。その人を本当に温かく抱きかかえて、頑張りましょうというのが政治家のやることですよ。事務的な報告ならば部屋で報告しなさい、そんなことは。ここでやっているのは本当に国民の生命財産を守り、あすへの勇気ある人生を歩ませるためにどうするか、そんなことは承知の上でやっているのですから、長官の本音の声を聞かしてくださいよ。
  177. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今までの経過については局長の方から申し上げましたが、私も先日知事さんから本当に皆さん方のお困りのことをいろいろな角度からお聞きいたしまして、そして避難者の皆さん方の御家庭を回りました。何度か、正直、涙があふれました。そうした苦しい立場におられる皆さん方をどのように激励し、そしてまた冬を迎える皆さん方が、暖房は大丈夫ですか、水はどうなんですか、洗濯を外に干しておられるが、これはやはり今おっしゃられるように別個におつくりすることはできないだろうかというようなこと等も、市長さんと一緒に回り、市長さんから、この方はこういうことで家を失われた方です、本当に苦労しておられるというようなこともお聞きして、今の現状が、当初はこんなに長期的にわたる避難ということは予測し得なかったことであろうとも思いますけれども、あの体育館から仮設の二間の狭いところまで何とか移ることができた。しかし、実際に中に入ってみて、そして腰かけてみて、狭いですな、四人、五人の家族では本当にお困りだろうなというようなことですから、今後さらに、太田先生初め、将来の観測をお聞きいたしました折に、どうも長期化するような意見もございました。  だから今後そうした被災者の立場に立って、どのようにして現行法の中でやり得る問題があるかということに真剣に取り組んでまいりたいと思っております。いろいろと考えておりますことの具体的なことはまだ勉強の上で災害特別委員会皆さん方にも御報告したいと思っております。
  178. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も当選以来この災害に入っているのですけれども、災害委員長さんは強硬な国会対策で有名な腕力家でございますけれども、かって自民党に天野光晴さんというすごい腕力のある方がいらっしゃって、困っている人を救えなかったら法律をつくればいいんだ、これが立法府じゃないかという姿勢で我々は災害に立ち向かってきたわけです。どうか東家長官も、応援団はたくさんいますから、ここは超党派でございますから、困っていることを、あんな寒風吹きさらしているのを、何とかしたとか洗濯場をつくったとか、今おっしゃったようなことはすぐやっていただきたいと思うのですよ。この寒い中あんなことをやらしておいて十分だとかなんとかと、このペーパーに書いてあることはいいんですけれども、テレビの映像を通して見るとき、我々はこれじゃいかぬなと思いました。恐らく長官もそうだと思うのです。暖かくしてやっていただきたいと思いますので、お願いいたしておきます。  今局長に大変御無礼なことを申し上げて、お許しいただきたいと思うのでございますが、次の問題に移らせていただきます。  先ほどハザードマップの話がございました。今度のハザードマップは、長官も御承知のように非常に有効であった。これは砂防・地すべり技術センターが六月二日に作成し、島原市に四日の日に提示した、こうなっておりますが、八日の大火砕流は避けて人命を守れた、それによって警戒区域や避難区域をきちっと選定して住民避難に非常に役立った。これに、今防災局長答弁いただいたのでございますが、気を取り直して、明るく御答弁いただきたいのです。どうも申しわけない。  今この雲仙普賢岳の想定図はできています。今局長の方から、十勝岳とそれから駒ケ岳についてございますとございました。しかし、これはもう少し突っ込んで、今マニュアルを出されると言ったけれども、マニュアルを出すということは非常に危険もあり、慎重でなければならない。なぜかと申しますと、例えば局長がおっしゃった十勝岳は、美瑛町がこういう避難図をつくっているわけです。これはどういうことでやったかといいますと、過去の噴火に伴って、北海道大学の専門の先生がこの図面をつくっているわけです。こういうときにはこういう場所へ逃げなさいという避難図です。それから駒ケ岳。駒ケ岳もやはりこれは過去の噴火の事例に見習って、どうしたらいいかということで、これは一九二九年、昭和四年の大噴火、それから避難地域を選定しているわけです。それぞれどうやっていいのかということを、古い歴史や何かをひもといて、非常に苦労してこれはつくっていらっしゃるわけです。  最近は、今申し上げた砂防・地すべり技術センターの正確な予測によってできているということはわかるんですが、私は、やはりこの日本の国の八十三もある活動火山、その中で常時監視体制は十九ある、年に十カ所の火山は何かおかしいことを起こす。これはもうここにいらっしゃる方が皆さん御承知のように、日本心火山国でございますから、どこかで何かが起きている。そうしますと、やはりこのハザードマップということは真剣に検討しなければならない。しかし、これをいいかげんにつくるとかえっておかしくなる。でも、世界的にも、あのコロンビアのネバドデルルイス、あの想定図もあったのです。しかし、あれは公表されなくて、多くの人が死にました。セントヘレンズのときも想定図は持っていました。いかにこの火山のハザードマップが大事かということは論をまたないわけで、やはり私はバザードマップをつくり、避難のマニュアルをつくるについては、しっかりとした体制でおつくりいただきたい。私は、絶えずこの情報伝達ということは前々から言っているんですが、間違った情報や精度の悪い情報を流しますと、これはかえって危険になりますので、現状についてちょっと伺っておきたいのですけれども、建設省の砂防の方、お見えでございますか。現状はどういうことができるか、ちょっとお答えいただきたいのです、
  179. 高橋哲雄

    ○高橋説明員 御説明申し上げます。  今先生指摘のように、雲仙普賢岳噴火に伴う火砕流、土石流災害につきましては、財団法人の砂防・地すべり技術センターが建設省の指導によりまして作成いたしました火山災害予想区域図をもとに、島原市や深江町が警戒区域等を設定いたしまして、六月八日の火砕流、六月三十日の土石流等による人的被害を未然に防止いたしました。さらに、その後の火砕流につきましても、住民の警戒、避難に役立っておると思っております。  建設省におきましては、土石流等から住民の生命財産を保全するために、砂防設備等のハードな対策を進めるとともに、土石流発生監視装置の設置等のソフトな対策を従来から推進しておるところでございます。雲仙普賢岳のように噴火に伴って火砕流、溶岩流等が流出し、人命財産等に被害を与える可能性のある火山は全国に多数ございます。このような火山につきましては、今後、火山災害予想区域図を作成するとともに、ワイヤセンサー、監視カメラ等の設置を初め、住民の警戒避難体制の整備に役立つ対策をさらに進めてまいりたいと考えております。
  180. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは防災局長にお願いをしておきます。  来年度からそういうマニュアルを作成なさるということは、私は、非常に大切なことで有効だろうと思います。どうかそれをおつくりになるのには、今砂防課長からお話がございましたように、砂防・地すべり技術センター、あるいは建設省の資料の中にありますけれども、これはもう防災局長建設省の出身でございますからよくおわかりのように、建設省の土木研究所にも砂防研究室があって、いわゆる堆砂の範囲や何かは研究していらっしゃるようでございます。こういう専門的ないろいろな学者の先生や技術者を集められて、すばらしいマニュアルをつくって、避難に万全を尽くせるようないわゆるハザードマップ、八十三ある活動火山についてしっかりとおつくりいただきたいと思いますが、防災局長の御決意を承りたい。
  181. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生が仰せられますとおりでございますので、このマニュアルを年度内に作成をいたしまして、一生懸命これが具体化していきますように努力をしてまいります。
  182. 薮仲義彦

    薮仲委員 東家長官に一つお願いしておきます。  と申しますのは、今ハザードマップがございましたけれども、やはり情報を伝達するといいますか、避難をするべき正確な情報を的確につかむということは、我々国民の側から非常に安心できることです。それで、歴代の国土庁長官に私はお願いをしてまいりました。最近の長官で佐藤長官から西田長官、国土庁長官が非常に御熱心にこの努力をしていただきまして、建設省の河川局初め郵政省あるいは気象庁、自治省、あらゆる関係のところが集まり、もちろんNHKや民放の方も参加していただいて、どうしたらば国民に情報を流して、情報といっても危険を予知させる情報をどう流したらいいんだろう、不安を与えないで、しかも正確な情報を流して、安全なうちに避難する方法はないだろうか。特に現在、長官も御承知のように、台風が来るわけでございますが、気象庁のあの雲画像、予報円、アメダスの雨量というのは、これは非常に有効でございます。と同時に、私の住んでいるそばの河川、川の水は大丈夫かなというのが、我々国民のいつも心をよぎる状態でございます。  長官ももうお聞きになっていらっしゃるとおり、歴代の長官が御尽力いただいて、今いわゆるそのテストケースといいますか、そのプログラムは順調に進んでおります。後ほどお渡ししますけれども、これはちはうど台風十八号のNHKの映像の写真なんです。これは台風が来ていますよというので、その次にこれ。ちょうどこのテストケースは、申しわけないのですが静岡と富山県でやっているケースですが、この静岡の河川の水位がテレビの画像、家庭のテレビで受像されたわけです。これはまだ一級河川なんです。このことを県民の方は、非常に快くといいますか、非常に好評であったわけです。しかし、さらにこれを中小河川まで拡大して、安心できる情報を提供してほしい。このことはやはり防災の見地から非常に重要でございまして、長官の御尽力によって関係省庁で今御努力いただいているわけでございますが、現状について建設省の河川局、いわゆる中小河川までという希望もあるようでございますが、これをさらに来年は全国的に進めていきたい、こう熱心に取り組んでくださっているようでございますので、現状を御理解いただくために、ちょっと現状お話しいただけますか。
  183. 市原四郎

    ○市原説明員 先生の河川関係の情報の現状、情報伝達の現状はいかにという御質問について、御説明申し上げます。  建設省につきましては、国民の生命財産を守るために治水施設の整備というのが非常に重要であると認識しておりますけれども、特に、そういう整備だ竹でなく、災害のときに正確な河川の情報を地域の防災機関等に対してより早く伝達するということが重要と認識しておりまして、その趣旨に基づきまして、昭和六十年十月に財団法人の河川情報センターというものを設立いたしまして、現在までに、地方に九地方センター、一支所を設けまして、そこから河川及びその流域に関する情報を国だとか都道府県だとか市町村等の約二千八百の機関に提供しておるというところでございます。さらに、そういった情報をNHK等の放送機関を通じまして一般の国民にも提供するということが非常に重要であるというふうに考えておりまして、こういった認識のもとに、関係省庁、NHK等の関係機関の協力を得まして、河川情報の放送機関を通じての提供につきまして、平成二年度からモデル地域について試行を実施しているところでございまして、平成二年度は静岡県の安倍川、それから関東の荒川の主要な地点につきます水位を河川の横断図に表示いたしまして、そういった地点水位図というのをNHK放送局に提供いたしまして、九月の台風十九号、これは平成二年でございますが、それから台風二十号のときにNHKの静岡放送局から放送していただいたわけでございます。  さらに検討を進めまして、本年度は静岡県それから富山県におきまして、県内の一級河川の主要地点における水位の状況を示す全県の水位一覧図というもの、それから河川の主要地点におぎます地点の水位図、それから水位の時間的変化をあらわします地点水位履歴図、この三種類につきまして、一また関東の荒川につきましては地点水位図と地点の水位の履歴図というものを、本年六月よりそれぞれNHK放送局から放送できる体制を整えることができました。そしてその結果、ことしの六月末の梅雨前線豪雨時にはNHK富山放送局から放送いたしましたし、また八月の台風十二号、十四号、それから九月の台風十七号、十八号のときにはNHKの静岡放送局から放送していただいたところでございます。今後、これらの三地域の試行結果を踏まえながら、さらにNHK等の放送機関を通じた河川情報の一般住民への提供につきまして、平成四年度には重点施策として取り上げて、NHK等の放送機関の協力をいただきながら全国的な展開を図っていきたいということで検討を進めたいと思います。  また、先生強く御指摘の中小河川の河川情報についてはどうかということでございますけれども、現在都道府県の中小河川の河川情報は、所要の河川情報システムが整備された都道府県から順次河川情報センターを通じて市町村等の防災機関に情報提供ができるように建設省として指導しているところでございまして、現時点では河川情報を提供しております都道府県は十六都道府県になっているところでございます。  なお、静岡県所管の河川情報につきましては、六月の下旬に県下の市町村等の情報提供を開始するとともに、九月下旬にはNHKの静岡放送局にも提供を開始しているところでございます。今後、こういった先生指摘の中小河川の河川情報につきましても、NHK等の放送機関の協力を得つつ、都道府県等の関係機関とともに放送機関を通じた情報提供という点について研究をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  184. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官お聞きのとおり、いよいよ来年から全国へ展開しようというところまで御努力をいただいてきておることでございます。どうか長官のお力添えでさらにこのことが推進されるよう、心から期待するわけでございますが、長官の御決意を一言。
  185. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 防災機関が保有しておる情報をテレビ放送等を通じて流すことは、より具体的かつ的確な情報を速やかに住民に提供することを可能とし、災害を予防し、また被害の軽減を図る防災対策観点から、極めて重要であるというふうに考えております。ただいまいろいろな角度から御提言なされたことをさらにまたよく踏まえ、検討し、こうした情報活動が徹底でき得るように、今後も努めていきたいと思います。
  186. 薮仲義彦

    薮仲委員 済みません、これをちょっと長官に見ていただいてよろしいですか。
  187. 清水勇

    清水委員長 どうぞ。
  188. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、質問を次に変えます。  これは、この間の委員会林野庁に大変御無礼したので、きょうはちょっと林野庁に反論をしていただきたいと思うのですが、台風並びに集中豪雨、これは、九月十日、十一日の伊豆半島を襲いました集中豪雨でございますが、そのときの被害の箇所の図面でございます。これは私は現地落合にも行ってまいりました。前の災特の委員会でも指摘しましたように、決して杉の木はだめだというわけではございませんけれども、今いわゆる林業に従事する労働者の方が非常に少なくなっておりまして、必ずしも間伐が適切に行われない、あるいはまた枝払いも行われない、もやしのようにひょろひょろしておるわけです。風が来ますとざわざわ揺れて、ださんとおっこちてくる。この下田の落合でも多くの方が亡くなったのですけれども、多くといっても、その数はそんなに多くないのですが、とうとい人命を失われているわけでございますけれども、この大きな原因は何かというと、杉の崩落なんです、山腹崩落なんです。  やはり私は、この杉の単純植栽というのは非常に問題があるのかな。いろいろと治山治水の専門書や何かを読ませていただきました。きょうは時間がないからここから抜粋するのをやめますけれども、やはり混交林にしなさい、針葉樹林と広葉樹林との混交林につくる。しかも、根の深い木と根の浅い木をまぜたり、いろいろと努力をすることによって山腹崩落が非常におさまる。これは建設省の土砂災害の平成三年の今後の砂防要求のパンフレットですが、この中にも出てくる大きな写真、やはり杉の山林が崩落しているところなんです。私はやはり単一樹種による植林というのは検討していただかなければならないな。専門家の方あるいは河川管理者、道路管理者等々の御意見もあわせ聞きながら、この杉の手入れをしないところは非常に危険でございますので、山地崩落の危険あるいは道路閉塞の危険もございますので、松林がだめだなどという野蛮なことは決して申しません、木を一本植えで、十年、二十年、三十年、五十年と一本の木が育つわけで、林野庁の今日までの努力を多としつつも、今後防災という視点からもう一度危険なところについての改植を、建設省や国土庁の御意見や消防庁の御意見、地方自治体の御意見等を伺って研究していただきたい。そして改植して、山腹崩落のときにこの木があって助かった、こういうような事態にしていただきたい。  あのバングラデシュの災害を見ましても、マングローブがあったおかげで部落が助かったとか、フィリピンのときには山を切って大きな災害が出たとか、その治山治水の、植林の果たす役割は私は非常に重要と思っております。しかし、最近はこういうことが、間伐や枝払いが行われないので、非常に残念な結果が起きておりますので、林野庁に何とか防災の見地からさらなる御尽力をいただきたいと思うのでございますが、御意見いかがでございましょう。
  189. 村田吉三郎

    村田説明員 御説明いたします。  我が国固有の樹種の一つであります杉につきましては、その生育適地が広く分布をしているということもございますし、また建築用材としての利用価値も高いということもございまして、昔から全国各地で広く植栽されてきているというのが実態でございます。今後の森林整備に当たりましては、その立地条件等に即しまして、適地適木を旨とした樹種の選定、保護樹林帯の設定、そうしたことを進めるほか、広葉樹施業、複層林施業等きめ細かな施業を実施いたしまして、治山事業の計画的な実施と相まって、災害に強い健全な森林の整備に努めてまいりたい、こう思っているわけでございます。  また、先生から御指摘のございましたように、森林の持っている公益的機能の発揮は、その適切な施業によって確保、向上が図られるわけでありますので、今後とも育成過程にあります人工林の間伐、枝払い等を適切に実施いたしまして、森林の有する土壌保全機能等を高度に発揮させるように努めてまいりたい、このように考えております。
  190. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が参りましたので終わります。どうか長官、温かい思いやりと、すばらしい新年が迎えられるように御配慮いただきたいと思います。  終わります。
  191. 清水勇

    清水委員長 これにて薮仲君の質疑は終わりました。  次に、藤田スミ君。
  192. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 質問を始める前に、鹿島防災局長と大臣に確認をしておきたいと思うのですが、東北地方中心にして低温被害が広がりまして、それで水稲を中心に千六百六十一億円の被害が出た、こういうことが発表されておりますが、激甚災の指定並びに天災融資法発動というのはもう近日中に行われるというふうに聞いていいんで一しょうか。これが局長へのお尋ねです。確認です。  それから、大臣、今国会は本来十二月十日、本来じゃなしに、終わってもらわなければいかぬと思いますが、臨時国会は十二月十日ですよね。この国会は国民の立場からすれば、補正予算を出して、そして審議をして、早く災害対策関係の予算も組んでもらいたい、これが大きな期待でございました。そこで大臣にお伺いいたしますが、この補正予算案はいつ提出されることになっているのでしょう。
  193. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 まず、異常な低温によります農作物被害に関する激甚災害指定の件でございます。  現在、関係省庁から被害報告を私どもちょうだいをしたところでございます。これによりますと、相当の被害発生しておるわけでございますので、現在、激甚災害として指定ができますように手続を踏んでいる段階でございます。現在作業中でございます。
  194. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 補正予算のことについては財政当局とただいま検討中でございますので、いつまでにということについては今私の方で即答できることではございません。
  195. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 手続を踏んでいるということは、そういうことを前提にして文字どおり手続を進めていらっしゃるというふうに聞き、それは、十二月に入りましたけれども、そんなに遅くない時期にその手続の踏みぐあいは完了する、こういうふうに理解しておいてよろしいですね。
  196. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 激甚災害指定はいろいろ各省庁との協議とか手順がたくさんございます。そういったことを今やっておりますので、御要請の線に沿いまして一生懸命努力をいたします。
  197. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣は、閣僚の一人として、特に災害にかかわる国土庁長官という大事なお立場から、私は閣議の中でも最も深い関心を持って当たっていらっしゃるというふうに考えたいわけです。したがって、まだ一言えない、検討中ということですけれども、常識的に考えて、十日に終わるこの国会を、九日に出したんじゃこれほどうしようもないですよね。だから、この国会で一日も早く補正予算案を提出するべきだ。少なくとも大臣はそういうお気持ちですか。後ろの方じゃなしに大臣にお伺いしたい。
  198. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 閣議の席においても、ただいま御質問のようなことについては私も何回か発言をいたしております。なおまた、例えば厚生大臣にも、やはり個々に防災局長、官房長ともどもお会いしながら、民生の安定のために、どうも長引く嫌いがございますからひとつ今後とも御協力を願いますというようなこと等で、各省にまたがる問題でございますから、鋭意取りまとめられて、この結論ができるだけ早く補正として提出できるように頑張っていきたいと思っております。
  199. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 PKOがどうにかならなければ、あの法案がどうにかならなければ補正予算案は出せないよなんというようなことのないように、大臣にぜひ御活躍をいただきたい。  次の問題に移ります。  私は、前国会からもうずっと災害の個人被害対策について質問を重ねてきました。個人被害救済だとか補償だとかという点は、我が国の災害対策の中で極めておくれた分野だというふうに思っているわけです。現在の災害対策諸制度は、公共施設の事後の復旧に重点があって、雲仙災害のような被害者、被災者個々人の生活が重大な課題になるような災害ケースに対しては大変制度的な弱点を持っております。  そこで、大臣の御見解をお伺いしたいのです。政府は、個人の被害については、先ほどからも御答弁がございましたが、自力復旧が大原則なんだというようなことをおっしゃったり、また、せんだって私どもが災害対策関係の補正予算について申し入れをしましたときに、関東大震災のようなときは払えなくなるんじゃないかというようなことで、とても考えられないといったようなことも大臣から実は聞かされております。私は、島原にいらっしゃった大臣がその後この問題についてどういうふうにお考えがお伺いをしたいわけです。
  200. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先ほどからもお答え申し上げておりますように、一般的に自然災害による個人被害については従来から共済制度、保険制度を初めとして自力救済を原則としているところでございます。この場合、個人の自力救済を公的に支援する仕組みとして、死亡者に対する災害弔慰金や災害障害者に対する見舞い金、さらに災害援護資金の貸し付け等の諸制度がございます。今後さらに、自力救済を支援する必要性やその実現可能性について、現行制度による救済の状況地方公共団体の意向を踏まえて研究を行っていくことが必要であろうというふうに思っております。
  201. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 幾らか含みのあるお言葉かなというふうに聞きましたけれども、大規模地震法でも活火山法でも災害弔慰金法でも防災集団移転促進法でも、私は歴史としてはこの法律の歴史はまだまだ浅いし、改善充実を図っていかなければならないというふうに思うわけです。そういう中で、個人の災害被害に対する補償というものをやはり考えていかなければならない。  同時にもう一つの問題は、雲仙でも今回の台風災害でも、個人の被害に補償できない、家屋被害だとか警戒区域の設定による経済的な損失の補償はできないというところが住民にとっては最も大きな不満というのですか問題点になっているわけですから、そういう点からも考えなければなりませんが、それまでずっと議論の経緯を見てみますと、例えば大震災が起こったときにどうするかということで、JAPICが何年前でしたか震災後の復興についての提言というのを出しています。ここでは、区部の緊急復興だけで八十兆のお金が要る、こういう発表をして、何だ、財界は震災予防でなく金もうけの話だけをしているじゃないかという大きな批判が逆に上がりました。国土庁の方も、震災市街地復旧指針策定調査というのを行っていらっしゃいますけれども、ここでも、もとより個人被害救済という問題については考えられていないわけです。  私は、そうではなしに、今島原の問題が起こっているときに、こういう歴史的な被害災害問題の中で真剣に議論をし考えていくことが今我々に問われているのだということをしばしば繰り返してまいりました。私は、先ほど大臣がそういうことを検討したいというふうなことをおっしゃったと思いますけれども、ぜひそういう立場でこの問題はお互いに議論をしていかなければいけないと思いますが、大臣、いかがですか。
  202. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 特別立法のことでの御質問がと思いますが、個人救済というものとそれの救済対策というものをつないだ考え方ということでの御質問ではなかろうかと思います。  しかし、先ほどから申し上げておりますように、個人補償ということになりますと、将来において国の財政上の問題に大変な支障を来すというような見地から一この問題についてはやはりいろいろな角度からの議論があるところでございますし、私、国土庁長官としてこれについて、個人補償についての突っ込んだ意見を申し上げることは、私の一存でこの問題が解決できることでもございませんし、そういうことについては慎重の上に慎重を期していかねばならないと思っております。
  203. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 財政上に支障を来すような問題が出てくるという心配を、多分関東大震災のような災害が起こったときに国の財政はパンクするということの意味を込めておっしゃっていると思うのです。しかし、それは大きな後退ですよ。西田大臣もやはり個人補償の問題については今後検討を、少なくとも研究はしていかなければならない、そういうふうにおっしゃったのです。  国土庁は、一生懸命考えて、個人救済、個人補償とは言わないけれども個人支援だ、私は言葉は救済でも補償でも支援でもいいと思うのです、支援だということで現行制度の枠内で何かできないかということで今回の対策、この雲仙普賢岳にかかわる対策についてはいろいろな知恵を発揮されたという点について、私は決して評価をすることにやぶさかではないのです一そして今、国土庁が共済制度もつくろうか、その自治体の中で共済制度をつくっていこうかというところも研究をしていらっしゃるということについても私は評価をしているのです。だけれども、そういう苦しい現行枠内の取り組みではなしに、もう一つ進めていくというのがお互い政治の舞台で問われている問題じゃないかという立場で、私は長官にお伺いをしているわけです。  とても慎重ですが、しかし大臣、幾ら慎重にされたって、これは時代が今求めている問題ですから、そして現実に国土庁は一生懸命その道をつくっていこうとして苦労されているのですから、そのトップに立たれた長官としてもう一月積極的な御答弁をいただいて、私は次の問題に移りたいと思いますが、いかがでしょうか。
  204. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 いろいろな御意見の中で、では特別立法によって対処でき得ることはどこまでなんだということについても一応検討はしてみました。しかし、現行法の修正、拡大によってなし得る方がむしろベターではないかというようなことからして、県当局皆さん方ども研究を重ねた上でさらに基金を拡大し、そして拡大していただくことの前提に立ってこの方針でこの対策を練っているところでございます。
  205. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 与えられている時間が非常に短いので、長官、よくいろいろと研究をしていただいて、そして次のときにはぜひもう少し突っ込んだ議論をしていきたいというふうに思います。  そういうことで、農業共済制度の問題についてお伺いをいたします。  今度の台風災害では、既に何人もの方が災害を原因に自殺をされたというふうに伝えられています。小さな子供を残して夫婦で出稼ぎに行くしかないというようなことで、青森ではことしは例年の二倍を超える人が出稼ぎに出ていっている、そういう地方があるということです。私は今度のことで、何遍も言いますが、国の対策というものが被災者に届くか否か、これをしっかりと見ていかなければ前進をしないということを痛感するわけです。農家の方は、融資だけではだめなんだ、現在の農業経営の状態からして農家にもうこれ以上の借金を許してぐれないんだ、だからどうしても被害を現金で補てんするということが求められるんだ。  そこで、言うまでもなくそういう点で大きな役割を果たす農業共済制度というものの充実もまた、今回の災害は大きな問題を投げかけてきました。特に、リンゴを中心とする果樹では共済加入率が一割とか二割とかいう大変お粗末な状況です。だからこういう制度をもっと改善することに力を入れなければなりませんが、国の方のこれに対する補助金のつけ方はどうかということを調べていきましたら、臨調でいろいろと補助金が高過ぎるなどといって指摘をされまして、八五年からは事務費の国の負担金は据え置かれたままであります。それからまた、掛金の負担は八五年の引き下げ以来ことしまで二割もカットされています。もちろん逆に農家の負担はふえているわけです。だから、加入せずに済むならなるべくやめようかということで加入者がだんだん減っているわけですが、やはり国の補助をふやして加入者が加入しやすいような制度の改善が求められる。今、私のところ健は、この共済制度の事務費の負担金が来年度は削減されるかもしれないということで大蔵の方からいろいろ聞かされて心配をしている、そういう要請書がたくさん届いております。これでほもうまるで逆行ですので、ぜひともそうではなしに増額ということで頑張ってもらわなければなりません。農水省にお伺いをしたいわけです。
  206. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 ただいまお尋ねの、農業共済制度厄対します国の負担関係でございますが、まず事務費の負担金ということで、農業共済団体の事務費のうちの基幹的な経費、すなわち役職員の人件費でございますとか旅費、事務費、こういうものにつきまして国が負担をするということに相なっておりますけれども、これにつきましては昭和六十年度に定額化されてございまして、その後毎年五百四十一億円ということで確保しておるところでございます。最近の農業共済団体の業務収支、こうした事務費関係の収支を見ますと、組合の広域合併でございますとか事務の機械化、こういった経営の努力によりまして、おおむね安定的に推移しておると理解しておるところでございます。この事務費につきましては、先ほども申し上げました定額化されておるわけでございますが、これを確保するということによりまして、農家への負担増を招くことのないよう今後とも最大限の努力をしていきたいと思っております。  また、共済の掛金についての負担金というのがございます。これにつきましては、この制度に多くの農家の方々に加入していただくということで国庫負担を行っているわけでございますが、さらに、こうした加入を進めていくということで果樹共済につきましても、例えば特定危険方式の導入でございますとか防災施設割引といったような制度面での改善も図りまして、より安い掛金で適正な補償をするといったような制度的な改善も努めておるところでございます。  この掛金の国庫負担割合につきましては、平成二年産の実績で見てみますと、農作物共済につきまして、水稲では五三%、麦で五九%、蚕繭、蚕でございますが、五五%、それから畑作物については六〇%、その他は五〇%、こういったことで、加入していただく上で一つの適正な水準になっているのではないかということを考えておるところでございます。  なお、こうした制度が十分に御理解いただきますように、制度の普及推進、こういった面につきましても、私ども、一定の事務費を持ちましてさらに普及推進に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  207. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣に御答弁を求めませんが、現実に国の負担金が据え置かれたままであったり減らされたりしているのです。だから、制度を一生懸命改善して誘おうとするわけですが、うまくいかないのです。しかし、加入率が低いと、こういう災害が起こったときにたちまち本当に困ってくるわけです。したがって、大臣は、直接の担当ということにはなりませんけれども、この問題に大いに関心を持って、逆にこういうときに事務費を減らすというようなことはあってはならないんだということでぜひ応援を求めておきたいというふうに考えます。  うなずいてくださいましたので、次の問題に移ります。  雲仙普賢岳問題で三点お伺いをいたします。  これまで県、市などで実施した対策はおおむね六百億ほどだと聞きました。この中の国の金は、特別に予備費で組んだものは三十億円であります。私は、今回の補正で国は十分な対応を行うべきだ、この点ではどうなっているかということもお伺いしておきたいわけですが、先ほどからも出ておりますように、雲仙岳災害対策基金三百億円の問題です。  これは、前の西田長官も九月の私の質問に対して、足らない場合には別途検討するんだということをおっしゃっておいででありました。大臣も、県から具体に要望があれば自治省にお願いする、こういうことでありましたけれども、今回、義援金を三十億円繰り入れて義援基金というのをつくって、避難住宅の家賃補助だとか警戒区域からの施設移転に補助をするというようなことが行われるようになっているわけです。私は、こういう基金に対しては国がもっとお金を出し、五年間貸すというのではなしに、もともと国がお金を出して基金を膨らませる、そういうことをするべきだということをずっと言ってきたわけですが、せっかく義援基金という三十億円をもとにして国民のいただいたお金を活用しょうというわけですから、これを機会にぜひ国の方も本当に増額を考えていただきたい。  この点について大臣は、具体に相談があれば。しかし、先ほどからの御報告を聞いておりましたら、あれ以上具体の御相談があるのかなと実は思ったわけでありますが、大臣、お願いじゃなしに、大臣としてやらなきゃいかぬよという、その決意のほどを聞かせてほしいのです。
  208. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先日雲仙岳の視察に行ったときに、長崎県から、現行の基金の額では不足することが予測されるため増額の要求がございましたことは、再三申し上げているところでございます。私はその現地視察の最後の記者会見の折にも、私の方として、こういうことを帰ったならばぜひ自治大臣に誠実にお願いをしたいという気持ちを持っておりますということは、現地で申し上げたことでございます。  なおまた、百八十億という義援金をいただいたことに、本当にそうした心のある皆さん方に心から感謝しているところでございます。こうした事業にいろいろな越年の資金もその義援金の中からも回されましょうし、そしてまた、今後の三百三十億円をもとにしての基金が有効に生かされるように、そして今申し上げましたように、なおかつこれから長期にわたるというような予測もされることでございますから、このことについては自治大臣にも心から私の方からお願いをしていることでございますので、一そのことは私は理解をいただいているものと思っております。
  209. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 百八十億円の義援金を提出した国民の厚い思いにこたえるのが政治だというふうに思います。自治省にお願いをするとおっしゃるのは、多分、三百億の起債を五百億にするとすれば、そこで求めていけばそういう話になるでしょうが、しかし私は、国土庁長官として、そういう形じゃなしに、由がお金を出すという道もあるんだという立場から大臣の決意のほどを求めたわけでございます。しかしながら、大臣のお気持ちのところは全くわからないというわけじゃございませんので、ぜひ三百億を当切言われていたように幾ら何でも五百億には膨らませていくということで頑張っていただきたいというふうに思うわけです。  現地島原、深江両地域以外にも、今、活火山法による学校の降反対策あるいは避難施設整備や、また中小企業への特別融資事業実施するために降灰防除地域指定を拡大してほしいという、そういう要望が出てきております。有明町ではそのための決議もなされております。また、防災営農事業島原市、深江町周辺にも広げていってほしいという要求もあるわけであります。この点についてどういうふうに対応されますか。
  210. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 降灰防除地域は、去る七月九日、島原市そして深江町を指定いたしたところでございます。先生今仰せられましたけれども、これから先この地域指定を拡大するかどうかということでございますが、長崎県、そして関係省庁とも協議をしてまいりたいと思います。  その際重要なのは、降灰の量はもちろんでございますけれども、それが継続するという継続性のこと、そしてまた降灰防除のための施設の整備計画というものを地元でお持ちにならないといかぬわけでございます。そういったことを総合的に勘案をしながら、これから御提案がございましたら相談をしてまいります。
  211. 神村義則

    ○神村説明員 御説明申し上げます。  仰せのとおり防災営農対策事業についてでございますが、雲仙岳の活発な火山活動によりまして、火砕流の直撃を受けました島原市、深江町はもとよりでございますが、降灰がかなり広範囲に及んでおりまして、作物の減収なりあるいは品質の低下ということで、農家の所得減につながっているという実態がございます。私ども、こういう地域の農家の経営の安定と地域農業の、何といいましょうか健全な継続、発展という観点から防災営農対策事業考えていかねばならないというふうに考えております。現在県と協議中でございますが、最終の段階に入ってきておるところでございますし、お尋ね地域につきまして、こういう被害状況を踏まえまして適切な対応をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  212. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次の問題です。  自衛隊が出動していろいろやっておられます。私は、せんだって島原市の予算を見せていただきました。また自治省からも資料をとったわけですが、驚いたことに島原市が、自衛隊関連予算ということで、くみ取り料だとか、一人二百円の隊員の入浴料だとか、防じんマスク、防じん眼鏡、写真、それから防衛庁提供と書いてありますから自衛隊提供ですか、普賢岳溶岩ドーム、テレビでしょっちゅう映して見せてもらう、あれのビデオ代だとかそういうものが全部島原市の負担になって、実にその額、自治省の私に届けていただいたあれでは四千七百万円、こうなっているわけです。これはどういうことなんでしょうか。何をどれぐらい負担させるかというのは、当然一定のルールに基づいて自衛隊からも根拠を示して協議をして決めるはずでありますので、ぜひ負担項目や金額についてお示しをいただきたい。  もう一つは、これは災害派遣というのは自衛隊法八十三条に基づく自衛隊自身の行動であります。防衛庁は、既に装備費、教育訓練費、通信費、燃料費、人件費、糧食費等々の予算を持っております。基本的に自衛隊の任務である以上、私は自給自足が原則ではないかというふうに思っておりましたら、こういう負担になっています。しかし、長引くこの災害の救援でふろとかくみ取りを自治体が負担をするということになると、本来防衛庁が持っていた予算どこれは二重取りというような感じにならないか。私どもも、子供を夏休みぽんとどこかへほうり出したときに、彼がいないためにおふろの沸かす回数が減って、今月はちょっと家計が楽になったとかなんとかとその面では思いますが、しかしながら、翻って、彼が出ていくについてそのお金をまた別途負担するわけですから、結局同じになるわけですが、少なくともそういう自給自足が原則で、こういう二重取りというのはいかがなものかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  213. 宝槻吉昭

    宝槻説明員 御説明いたします。  まず、自衛隊の今回の雲仙災害派遣に関しましての地元から御支援いただいている項目等でございますけれども、先生も今おっしゃったように、防じん眼鏡、防じんマスクまたは隊員の入浴料あるいは写真撮影等の写真とかビデオテープといったものについて提供を受けております。これらは地元長崎県そして島原市、深江町と現地部隊との間で話し合って御負担いただいている、提供いただいている、そういうものでございます。  それで、その二重取り云々という御指摘がございましたけれども、もともとこの自衛隊の災害派遣というのは、自衛隊が持っている組織あるいは機動力あるいはその能力といったものを、現に持っているものを活用して対応する、こういう考え方でございます。しかし、当該災害の救助作業とかあるいはその応急復旧作業とか、当該の作業に当たりまして、特に現地で必要として消費するといったようなものについては、地元の県あるいはその自治体の関係者との間で調整して御負担いただいている、こういう性格のものでございます。  先ほどのお話の中で、入浴料といったようなことで例示されて二重取り云々ということがあったわけですけれども、何せ現地において宿営して、その際の入浴といったものは、これは全く隊員が駐屯地、基地等で入浴するものとはまた別に必要になってくるというものでございますので、そういう予算的なことでのふぐあいはないものと考えております。
  214. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 全然納得できませんよ。組織の労力を活用して対応するその作業に当たって、必要なもので消費するものは負担をしてもらうんだということですが、これはこの島原のように長い長い期間そういうふうな対策を組まなければならぬ場合には、少なくとも考えなければならないんじゃないでしょうか。八六年の伊豆大島の噴火でも、八二年の長崎水害でも、公民館などの使用は当然あったわけです。しかし、自治省の調べでは自治体がそのために特別の予算を組んだわけじゃありませんし、自治体の経費負担をした例はないわけであります。それで、雲仙ではビデオテープとか写真まで負担させて、それで所有権は自分が持ったままで、それでは人様に説明がつきますでしょうか。余りにも国民感情に合っていないというふうに思うわけです。  私は、地域防災計画の問題もぜひ国土庁初め全体でよく検討してもらいたいと思いますが、とにかく地元の受け入れ施設とか付随施設の利用で、時期が非常に短い、だからある程度自治体の経常費の中でやりくりできるというようなことならともかく、今回のような、長期にわたって部隊としての活動費、維持費、装備費というようなものをわざわざ被災自治体に予算で負担をさせるというようなことはやはりやってはならない、そんなお金があるたら、どうしてあの住民の、先ほどからいろいろ洗濯物の話まで出ましたが、そういうきめ細かなところにお金を使えないのか、こういう声は当然でありますので、これはぜひ考えていただきたいわけです。  最後のところで長官に御答弁を求めますから、ぜひ長官、この問題は一度検討してみてください。こういうふうに半年にもわたるようなところへ来られて、それでふろ代、くみ取り料、仮設のトイレの何か振りかける薬代まで請求書を出すなんていうのは全くみっとも悪くて人にも話のできぬ話ですよ。この国会で問題になっております国際救援活動というものは、自衛隊が自給自足できるところに値打ちがあるという政府の御説明でしたよ。国内で何で自給自足できないのか。この問題はぜひひとつ長官から御答弁をいただきたいわけです。
  215. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 私現地に参りまして、自衛隊の約二百名の方々が活動しておられることについて非常に実は感銘を受けたことは事実でございます。  私は、ただいま初めてこの支出、島原市の支出の問題についてはお聞きいたしたことでございますから、中身についてどうなっているのかについては、防衛庁の方に私の方でお聞きをしてみたいというふうな感じで今おります。
  216. 宝槻吉昭

    宝槻説明員 ちょっと誤解のないようにということで補足させていただきますけれども、自衛隊の災害派遣に際して、必要な燃料であるとかあるいは隊員の糧食であるとか、そういった自衛隊が既存の予算で手当てされているものについては、これは当然自衛隊の負担でやっているわけでございます。ただし、災害に際しまして、その災害に特に必要になってきて現地で費消されるもの、そういったものに関しては、これは基本的に防災に関して責任を有する関係地方自治体において御負担いただいている、こういうことで、雲仙の例だけでなくてほかのケースについてもそういうふうにしていただいてきているということでございますので、御理解願いたいと思います。
  217. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので終わらなければなりません。  しかし、幾ら弁解されたってだめですよ。「文化折り」なんて書いてあるから何かなと思ったら弁当箱です。はし、そんなものまで請求するというのは、これは本当に、まことにけちな話です。だから私は検討を求めているんです。もうこれ以上申しません。  時間が参りましたのでやめたいと思いますが、きょうは農水省にわざわざ来ていただいて、水田が我が国で果たす役割、年間二兆円のダムの役割を果たしているという問題と、その水田が米の自由化でつぶれていった場合、荒廃地になったその水田から流出する水が整備率三一%の中小河川の改修率をますますおくらせ、日本の国土の大変な問題につながるという問題と、それから、大臣が選挙公約で米輸入自由化は絶対にやらないと公約されている文章を読み、大変心強く思いましたのでこの問題を取り上げたかったわけですが、時間が参りましたから終わります。農水省、建設省、本当に済みませんでした。ありがとうございます。
  218. 清水勇

    清水委員長 これにて藤田スミ君の質疑は終わりました。  次に、菅原喜重郎君。
  219. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 台風十七、十八、十九号が連続して来襲し、各地で農作物に甚大な被害をもたらしましたが、被災者方々にはまず心からお見舞い申し上げるところであります。  特に、この台風十九号は、史上まれに見る風台風であり、東北地方のリンゴの落下を初めとして、果樹農業の被害が甚大でありました。被害状況、総集計はどうなっているのか、またその甚大な被害に対して現在までどのような対策を講じてきたのか、お伺いいたします。
  220. 小高良彦

    ○小高説明員 お答え申し上げます。  まず、被害についてでございますけれども、台風十九号等によります農作物等被害金額は、農林水産省の統計情報部調査並びに都道府県報告によりますと、三千九百九十三億円となっております。このうち、果樹関係では、果実被害と樹体被害合わせまして二千百十六億円と過半を占めているわけでございまして、また、被害を受けました面積は十二万九百ヘクタールに及んでおりまして、果樹被害といたしましては先例のない甚大なものとたっておるところでございます。これは、暴風、潮風による落果等の果実被害並びに枝折れ、倒伏等の樹体被害でございまして、特にリンゴ、かんきつ類の被害が大きくなっているところでございます。県別に申し上げますと、青森県を初め愛媛県、広島県、山口県、福岡県などが被害が大きい状況にございます。  次に、今までどういう対策をとってきたかということでございますけれども、台風十九号等によります果樹農業の甚大な被害にかんがみまして、まず第一に、落下果実の有効利用を促進するために、加工業界、流通業界に対しまして、被害果の積極的な取り扱いにつきましての協力要請をしたところでございます。  二点目といたしましては、この落下果実を原料といたしまする果汁の需給調整を図るために、加工原料用果実の一時貯蔵並びに果汁の需給状況に応じました果汁の調整保管等の実施をしているところでございます。  三点目といたしましては、被害農家支援観点から、落下果実並びに落下果実を原料といたします国産果汁の消費宣伝事業を現在実施しております。  四点目といたしましては、塩害樹の被害影響度調査被害対策試験並びに落下リンゴの貯蔵加工適性試験を実施をしております。  また、果樹試験場の専門家等から成ります果樹被害技術対策チームの被害地域への派遣、技術対策チームと県の技術指導者等によります技術対策検討会の開催等、技術指導の徹底等の対策を講じているところでございます。  以上でございます。
  221. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 本当に台風十九号の果樹農業に対する被害は、塩風害による落葉、枯死、強風による枝折れ、倒伏等も大きな被害となって重なっているわけでございまして、その果樹生産への今後の影響が懸念され、果樹農家はこの果樹林の回復に関して大変困惑しております。どのようなことに対して処置を講じているのか。また、要求されておりますが、被害の大きな園地についての改植等の復旧対策もどのようになされようとしているのか、今後の処置をお伺いいたします。
  222. 小高良彦

    ○小高説明員 被害を受けました果樹の樹体管理につきましては、塩害樹の被害影響度調査でございますとか、また被害対策試験を実施いたしますとともに、果樹試験場の専門家等から成ります果樹被害技術対策チームを現地に派遣いたしまして、被害実態の調査並びに技術指導の実施、技術対策チームと県指導者等によります技術対策検討会の開催等、技術指導の徹底を図り、樹勢の回復を指導しているところでございます。  また、今月の十七日に農林水産省本省におきまして都道府県の行政、試験研究部局等を集めまして、被害要因の分析、今後の技術対策中心といたしました営農指導の方向の検討を行うこととしておるところでございます。  被害園地の復旧対策につきましては、これらの状況を見つつ今後の果樹農業の振興に資する観点に立ちまして検討をしているところでございます。  以上でございます。
  223. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回のこの災害に対しまして、閣議決定されたところでもありますが、天災融資法発動激甚災害法の適用は、被災者並びに被災市町村が強く要望しているものであります。この対応を早く手厚くしていただきたい。さらにまた、この復旧資金面でもきめ細かな対策が要望されておりますので、このことと共済関係の迅速適切な評価、共済金、保険金の早期の支払いも熱望されているわけでございます。これらのことについてどうなっているのか、お伺いいたします。
  224. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 天災融資法及び激甚災害法措置状況でございますが、去る十一月十九日付をもちまして発動を決めたところでございます。今回の災害状況を踏まえまして、岩手県ほか十四県につきまして天災融資法上の特別被害地域指定できる県及び激甚災害法の適用を検討ということで指定をいたしておりまして、貸付限度額の引き上げでございますとか、償還期限の延長といった特例措置を講じますとともに、特に今日果樹の被害が多かったわけでございますので、新たにこの天災資金の中に五年間の据置期間を設定するとか、賞し付けの取扱期間につきましても、通常に比べて十カ月という長期の延長をしておるということでございます。  また、今回、いろいろな施設資金等につきましても、一つは自作農維持資金というものがございますが、これにつきましても特別の災害枠ということで、岩手県ほか十七県におきまして総額二百億円という災害枠を設定いたしますとともに、限度額につきましても通常百五十万でございますが、三百万ということで拡大したところでございます。また、施設関係の資金につきましても通常二百万円ということでございますが、岩手県ほか十三県におきましては特例として八百万円に設定したところでございます。  共済金の支払いでございますが、水稲につきましては従来から年内支払いということでございます。本年も同様の方針で作業を進めておるところでございます。また、果樹共済につきましては、三年産のナツミカン、指定かんきつ、ブドウ、ナシ、桃、黄桃、ビワ、梅、スモモ及びバイナップルの十の果樹につきましては年内支払い、リンゴにつきましても、今回の被害の甚大さにかんがみまして一部県において仮渡しを含めて年内に予定をしているところでございます。また、ハウス等の園芸の関係施設でございますが、これにつきましてもおおむね年内に支払いを行うということで作業を進めているところでございます。
  225. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この予期しない被害のため、農家は現金収入の道を求めて出稼ぎを余儀なくされておりますし、そういう農業者も少なくない状況になっております。政府にぜひこれに対する手厚い対応をしていただきたい、こう思うわけでございますが、このことについてどのような対応をなさるのか、お伺いいたします。
  226. 上村隆史

    ○上村説明員 台風の被災に伴いまして、青森県においてリンゴの専業農家を中心として新規に出稼ぎに出る方々が相当な数に上るというふうに見込んでおります。これら出稼ぎに出られる方々対策といたしましては、まず出稼ぎ求職者への就労あっせんについて、青森県下の全公共職業安定所に台風十九号被災者就労あっせん窓口、そういったものを設置するとともに、現地選考会あるいは巡回職業相談を実施いたしまして、出稼ぎ就労を希望する求職者に対する職業紹介に努めておるところでございます。  また、新たに出稼ぎ就労を行う方が増加することが見込まれておりますことから、市町村ともよく連絡をとりまして一緒になって各種の届け出、あるいは健康診断の受診等、安全就労についてパンフレットあるいは市町村の広報紙等を通じた啓発指導等を行っておるところでございます。また、新規の就労者の増加が予想されますことから、労働者の相談に対応するための相談員の増員ですとか、健康診断の充実、あるいは安全就労推進会の開催等、県が実施します各種の援護事業に対する助成についても地元青森県の要望を踏まえながら対処してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  227. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今般の台風林業被害も甚大なものがございます。これは、秋田県において民社党の方でも一応視察に行ってまいりました。この被害状況を見まして、本当に対応のいかんによっては、また二次災害も懸念される、そういう状態もあったわけでございますが、このことについての対策をどのようになされるのか、お伺いします。
  228. 村田吉三郎

    村田説明員 御説明いたします。  先生からお話がございましたように、今回の台風十七号から十九号によりまして、四十三道府県林野関係にかつてない激甚な被害発生しております。その被害額は、総額二千六億円となっております。  このため、林野庁といたしましては、森林被害につきましては、激甚災害法に基づく森林災害復旧事業等の実施による早期復旧、それから大量に発生しております被害木の処理を円滑に進めるための高性能機械導入促進及び被害木の利用の促進、それから森林国営保険及び森林共済について被害の迅速な確定及び保険金等の早期支払い、それから林地荒廃につきましては、災害関連緊急治山事業等実施による早期復旧、それから被害を受けた林業者に対する金融税制措置の適切な実施等の諸対策関係県との連携を密にしながら推進をしているところでございます。  特に、この森林災害復旧につきましては、二次災害防止が重要であることは先生の御指摘のとおりでございまして、この復旧に当たりましては、二次災害のおそれのある箇所、それから森林の有する公益的機能が著しく損なわれる箇所等緊急性を要する箇所を優先実施することとしているところでございます。
  229. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、この被害木処理に当たりましては、当該地方自治体の方々から、林業労働力対策は、このまま今の現状ではなかなか対応できない状態だ、深刻な要望をされてまいりました。ついては、林業作業班の対策あるいはそういう編成ということについてはどのようになされようとしておりますか。
  230. 関川和孝

    ○関川説明員 お答え申し上げます。  今般の台風災害では甚大な森林災害発生しておりまして、御指摘のように地域によっては復旧に必要な労働力が不足しているといったことも出ております。このため、受け入れ態勢等の問題もありますけれども、全国それから都道府県段階に設置しております林業労働力育成センターを活用いたしまして、広域就労の促進を図っており、既に大分、石川県等においては、他の地域からの応援を得て被害木の処理を推進しているところであります。  さらに、被害木の円滑な処理を図るためには機械力によることが極めて有効であるということでありますので、北海道で実用化試験中の高性能機械大分に緊急配備するとか、あるいは森林災害復旧事業実施に当たりましては、機械の使用を見込んだ査定単価を導入するとか、あるいは林業構造改善事業、間伐補助事業等の活用によりまして高性能機械導入を図っているところでございます。  いずれにいたしましても、被害木の整理が早急かつ円滑に進みますよう最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  231. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、被害木の有効利用ということについてはどのような対策をしていこうとするのか。また秋田では、市場に出せる秋田杉のいわゆる被害木も随分あるわけでございますので、そういう市場の混乱ということもないような対策をしなければならぬなというふうに見てまいりました。ついては、この有効利用と被害木対策についてお伺いします。
  232. 村田吉三郎

    村田説明員 御説明をいたします。  今回発生いたしました被害木の態様を見ますと、折損あるいは倒伏、振返り等いろいろな形のものがあるわけでありますが、被害木の利用は、製材用材といったようなものからチップ、木炭等としたものまで多岐にわたっているわけでございます。この被害木の有効利用に当たりましては、外見上異常がないと見られるものであっても内部破損も考えられますので、現在試験びきを行い、その内部的な破損を確認するなどのことを行っておりまして、この被害木の適切な利用促進が図られるよう関係県を指導しているところでございます。  また、具体的な被害木の利用につきましては、一つには土木工事の土どめ用の丸太組み工など各種事業の設計施工に当たって被害木を積極的に利用するよう関係県を指導するとともに、二つ目には全国木材協同組合連合会、それから全国木材チップ工業連合会、日本製紙連合会等関係業界団体へその利用促進について協力を要請し、これを受けて関係業界団体においても利用促進につきまして努力をしていただいているところでございます。なお、被害木の有効利用に当たって必要な機械、設備につきましては、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫等の制度資金等を通じまして、バーカー、チッバー等木材加工機械の円滑な導入が図られますように関係県関係業界団体へ指導しているところでございます。  また、国有林関係の秋田杉のことのお尋ねがございましたけれども、秋田天然杉につきましては貴重な資源でもございますし、生立木と被害木との振りかえを行うなど将来的な資源の保続に十分配慮した収穫を行うとともに、委託販売を行うなど市況動向にも十分配慮いたしました販売に努めてまいりたい、このように考えております。
  233. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この森林被害状況を見まして、やはり私が長年主張しておりますところのいわゆる枝打ちあるいは間伐、これがどうも不適切である、いや密植からの弊害を脱却していない、そういうことが災害プラス人災として大きな被害をもたらしているという面が顕著でございましたので、この点に対してひとつ今後とも検討していかれるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  234. 清水勇

    清水委員長 これにて菅原喜重郎君の質問は終わりました。  次に、高木義明君。
  235. 高木義明

    高木委員 私は、雲仙普賢岳災害に絞りまして、国土庁長官初め関係政府委員皆さん方お尋ねをしてまいりたいと思うわけであります。  島原大変、肥後迷惑と言われまして、約二百年前に雲仙普賢岳噴火あるいは眉山の崩壊によりまして、地元島原市ではもちろんでございますが、長官の地元であります熊本県に大変御迷惑をかけた、約一万五千人の方々が亡くなった、こういう歴史も既に御承知でありますけれども、そういう中で、熊本からはよく雲仙普賢岳状況が晴れた日には見えますので、長官としましてもかなり深い関心がおありではないか、このように思います。今なお噴火、火山活動は衰えを見せておりませんで、もう六月七日以来半年の長期にわたっております。十二月十四日の正午まで警戒区域の設定期限も延長されまして、今師走、お正月を前にこの雲仙普賢岳の何とか鎮静化を皆さん方願っておるわけであります。今なお約一千四百世帯、五千七百人が仮設住宅などで避難をしておる現状であります。  そういう中で、東家長官におかれましては就任早々いち早く現地視察をしておられます。心から敬意を表する次第でございます。十一月の二十二日、二十三日の両日でございましたけれども、大変お忙しい中に実際現地に足を運んで具体的な要望等もお聞きになっておられるわけでございます。そういう中で、県としましては改めて十項目の要望をされたわけであります。主なものは、まず第一に島原防災都市づくりの道路網の整備、二つ目には防災集団移転に対する援助、三つ目には被災地などの公共土木事業を施行する際、用地買収につきましては被災前の評価で買い取りをお願いをする、こういったことなどの要望があっておるわけであります。これに対しまして、長官としては、これは新聞報道でありますが、要望を踏まえて、その対策をどうするか、重要性を痛感をしており、今後努力をしたい、この旨お答えになったように聞き及んでおります。  そういう中で、これは前総理も前国土庁長官も多くの閣僚の方々島原現地を訪れましたけれども、現地での言葉とそして永田町に帰られての行動なり発言なりかなりトーンダウンをしておるんではないか。そういう意味では、まあ大変な支援対策をしておられますけれども、それにふさわしい評価よりも、むしろ政治不信的なものもあるんではないか、私はこのように見ております。これではいけないと思っております。したがいまして、長官としまして、現地を訪れていただきました感想を含めて、具体的に今後そういった要望にどうこたえていくのか、この点につきましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  236. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お尋ねの去る十一月二十二、二十三日両日にわたり対策本部長として現地を訪問し、直接私なりに現地状況を把握するように精いっぱいの務めを果たしてきたわけでございます。そのすさまじさをこの目で実感し、改めてやはり亡くなられた方に対する冥福を祈りながらも、現に被災者として大変御苦労なさっている方々に心からお見舞いも申し上げてまいったところでございます。  御案内のとおり、政府といたしましては二十一分野九十項目にわたる災害対策に対しての救済対策を決定して現在このことに取り組んでいるところでございます。特に火山活動が長期化する中で被災者皆さん方が今後の生活安定のためにどう対処すべきかというようなこと等も予想されるだけに、私も大変心配いたしまして、御案内のとおり基金の上積みを何とか、これからさらに予想されることでありますだけに、帰京いたしましてから早速閣議の中でも自治大臣にお願いいたし、そしてまた自治大臣室に、訪問しながら理解を求めるようにいたしたわけでございます。これについては私は大変理解いただいたものだと考えております。特にまた、今後の振興、復興対策については、これから今なおやまぬ噴火状況を踏まえながら取り組んでいかねばならないことに、この取り組む時期または処置等について今検討せねばならないところにあるわけでございます。  特に私が心配いたしますのは、では果たして今日これからの問題で、あれだけの災害を受けた地域皆さんがもとのところに帰る状況にあるのかどうか、そこらあたりをよく説明し、理解を得ながら、ではその移転をどうするのかということは、今既に各省にまたがる関係者の皆さん方と県当局とも検討していることでございますから、そこらあたりの将来の、被災者皆さん方に少しでも安心をしていただくようなことのとり得る処置からとっていかねばならないと私は思っております。  先生長崎の御出身で今日まで大変心を痛め、御苦労なさったことも承知いたしておりますし、私の方も、ちょうど私が天草から何かの用で帰るときに水蒸気が上っているから、私の方の対岸は見えるのですから、夜はあの火砕流が火の玉になって落ちるのがよくわかるのです。そういうことで、私は非常に関心を持っておりましただけに、今後も、今お尋ね現地での発言がここでトーンダウンしたのじゃないだろうかということでございますけれども、一切そういうことはございません。これは今後とも十分被災者の立場に立ってこれからのまた復興に向けて全力を挙げることだけは心から念じておりますことだけ申し上げまして、詳細についてはまだ関係者がち答弁をさせることにさせていただきます。
  237. 高木義明

    高木委員 ありがとうございました。  次に、今もお話が出ましたように、雲仙普賢岳災害に対しては国として二十一分野九十項目の措置をしておる。もちろん、新たな特別措置を含めてでございますけれども、そういう措置をしておりますので、今日段階そういう二十一分野九十項目で大体対応できます、こういうことなんですけれども、実はその認識について改めてお伺いしますが、それにもかかわらず地元ではいろいろな団体がそれぞれの苦情なり要望を立てて運動されておりますし、先ほども私が述べましたように、今回も県として要望事項があった、あるいはまた行政相談員の方々報告にも今の対策では不備だという指摘もなされておるわけですが、いわゆる二十一分野九十項目で十分できるかどうか、その辺どう認識をされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  238. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生仰せられましたとおり、私ども既に二十一分野九十項目にわたります雲仙岳噴火災害に係る被災者等救済対策を決定をいたしまして、現在強力にこれを進めているところでございます。これにつきましては、かねて県知事、市長、町長からも御報告が国会にございましたが、今次災害に関し予測し得る必要な対策は講じられたものと国とともに理解をいたしておるところでございます。したがいまして、これをさらに引き続きそれぞれ連携を保ちまして強力に進めていくことが重要であろうかと思っております。  そういう中で、火山活動はさらに長期化しているわけでございます。避難されている方々、大変御苦労は多いわけでございますけれども、まだもう一つこの九十項目の中身についてすべての方がよくそしゃくをしておられないという感もあろうかと思います。大いにこれを活用していただくべく、そしてこれによりまして生活の安定を、そしてまた再建を得ていただきたいというふうに考えております。  ただ、そういう中で、今後の火山活動の鎮静化に備えまして、長崎県が主体となって国そしてまた地元市町と十分連携を保ちながら将来の防災地域づくり、地域の振興、活性化に取り組んでいくことが大変重要であろうと考えております。私どもは、既に県を指導いたしまして、必要な措置について調査検討をいたしております。今般、長官のお供をいたしまして九州、島原雲仙に参りましたときにも、知事から御要請があった事項、十項目ございましたが、いずれもこれから将来にかけてどんなことが必要かということに焦点を置いた御要請であったというふうに私は理解をいたしてございます。
  239. 高木義明

    高木委員 現地では災害復興基金、いわゆる三百億の基金の増額について強く要望をしておるわけであります。また、先ほど述べましたように、改めて申し上げますが、県の要望の中で島原防災都市づくりの道路網の整備あるいは防災集団移転に対する援助、被災地などの公共土木事業を施行する際の用地買収等につきましては、現行制度の中ではそれを措置できないのではないか、むしろこういうものについてはきちっとした特別立法をもって手だてをしなければならないのではないかと思っておりますが、その点どうでしょうか。
  240. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 まず、道路の御要請の関係でございます。  現在、半島振興法という法律が先生御案内のとおりございます。この中で地域の道路の整備の計画づくりというようなものも一つ打ち立ててあるわけでございます。こういったものの計画づくりを一つ進めていくことが大変重要であろうかと思っております。  それから、具体に私先ほど申し上げました。県の方に強く要請をいたし、指導をいたしておるわけでございますが、これから島原復旧、復興策についてどういうふうに考えていくか、その青写真を早くつくっていただきたいということを事務的にもお願いをいたしてございます。その中で具体にどういったところにどういった施設を配置をする、また復旧の計画の中でどうしてもその土地に帰ることができないというような事態に至る方も出てくるであろうと思います。そういった計画が具体化する中で集団移転法を使いながら移転先地の整備をする、あるいはまた、それに伴いまして立ち退く土地の買い取りということが出てまいると思いますから、それを具体的にどういうふうに処理をしたらいいかということを検討するといったようなことをこれから関係省庁ともども詰めてまいりたいというふうに考えております。
  241. 高木義明

    高木委員 とにかく私は、この際やはり災害全体の法整備を図るべきだという立場をとるわけであります。先ほども出てまいりましたが、県による基金を国による基金にしてはどうか、あるいはまた、広く個人救済を含めた共済制度、そういうものも考えたらいかがか、そして今日までいろいろ自然災害への救済対策については自主救済が原則となっておりました。しかし、必ずしも今回のように災害長期化した場合には、もっときめ細かい問題もたくさんありますけれども、きょうは省略しますが、なかなか対応できない。そのためには、私は、新しい補償、損失補償システム、こういったものもこの際国土庁として考えるべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
  242. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 個人補償のことをお尋ねになっておられるのだと思います。  現行制度のもとでは、個人が自然災害によりまず被害を受けた場合には、従来から自力救済というものが原則とされております。もとよりその際、国、公共団体によって支援をするというような仕組みができておるわけでございまして、災害救助法とか弔慰金法等によるいろいろ援助措置がございます。ただ、こういう制度のもとでございますので、私ども自然災害一般対象として国が基金を全国的に設立するというようなことは考えてないわけでございます。  雲仙災害につきましては、先ほど申し上げましたとおり、長崎県の雲仙の特性にかんがみまして、二十一分野九十項目という特別の措置を講じて現在進めているわけでございます。そしてまた、特にその中で、長崎県がそういう選択をなされたわけであろうかと思いますが、基金を設置して、国の補助と申しますといろいろ制約も出てまいります、そういったもののない使い勝手のいい基金をつくりたいという御趣旨で現在長崎県の方に基金がつくられておるわけでもございます。  一方、ただいま先生仰せられましたとおり、それですべて事が終わるかということについて、私ども諸先生方の御指導も受けながら現在共済制度というものについて勉強をしてみようかと考えております。これは一口に共済制度と申しましても、対象とする災害が多種多様でもございます。いろいろ地域によって災害発生状況も違っております。そういう意味で大変難しい問題を抱えておるわけでございますけれども、現在の制度によります救済の状況とか課題、そしてまた、地方公共団体の意向等も踏まえまして、共済制度の必要性あるいは実現性を含めて研究をしてみたいというふうに考えております。
  243. 高木義明

    高木委員 時間が参りましたが、これで終わりますけれども、新しく長官になられて決意もお聞きをしましたので、ぜひひとつこれまでの措置を十分見直していただきまして、さらに必要なものについては積極的に対応していただきたい。同時に、行革という難しい問題はありますが、私は、国土庁の体制整備も、いわゆる整備といいますか強化といいますか、そういうものも今回出てきたものだと思っておりますので、その点も踏まえてよろしくお取り組みをいただきます。ありがとうございました。
  244. 清水勇

    清水委員長 これにて高木義明君の質疑は終わりました。  最後に、阿部昭吾君。
  245. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大変遅くなりまして恐縮でございますが、簡潔にお伺いをしたいと存じます。  若干準備しておったことがあったのでありますが、今の高木議員の御質問に関連して、若干雲仙普賢岳のことをお尋ねしたいと思います。  自然災害における対策というのは自力更生、これが従来原則であった。実は私の郷里、山形県酒田でありますが、今から十数年前に大火災がございました。町の中心が全部焼け野原になったのであります。ところが、火事というのはある一定期間でちゃんと消火活動が実を結んで火が消えるわけであります。火が消えますと直ちに復興に着手をする、こういうことでありました。そして、一年有半の間に見違えるような新しい町をつくることができました。ところが、私は、今の雲仙普賢岳のあの火山災害というもので痛感いたしますのは、なかなか先が見えてこないということである。その中で人々は、みんなみずからの生活をどうするかという問題に直面しておるわけであります。したがって、この場合にいわゆる今までの考え方だけでいいのかどうかという問題が今問われているのではないかと私は痛感するのであります。今高木議員の御質問にもございましたように、東家長官は就任早々直ちに現地に行かれて、しかも熊本県はすぐ隣接の県でございます。そういう意味で、私は、ああいう見通しの見えない非常に長期化した災害、この場合の政治政策のあり方は一体いかにあるべきかということに、東家長官、あなたはせっかく今この担当の責任を担われたわけでありますから、ぜひひとつ新機軸を打ち立てていただきたいものだというふうに思うのであります。  同時に、今度の場合に、もう一つの問題であります台風災害でありますけれども、七千億を超える台風災害というのは私の記憶ではちょっとないのであります。この台風災害に対して民間の損保会社が現段階で既に支払ったものが三千七百億円に及ぼうとしておる。これはやはり大変なことであります。この手法などは、今再保険のシステムであるとかいろいろなものがあるわけであります。したがって、今後、自然災害といったようなものは一人一人の人間の自力更生だ、これが政策の基本ということで来たのでありますけれども、保険制度とか損保制度とか、いろいろなものを活用しながら、もっと根本的なところに政策を展開することが可能になってきているのではないか、こういうふうに私は思うのであります。  そういう意味で、私は、東家長官にぜひ御希望申し上げますけれども、今災害というのはいろいろな性格を持ってくるわけでありますけれども、雲仙普賢岳のような災害の場合はやはり新しい災害対策の理念というか考え方というのか、そういうものが打ち出されてしかるべきではないかと思っているわけでありますが、一言お気持ちをお聞かせいただければありがたいというふうに思います。
  246. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 多岐にわたる御質問でございますが、まずその救済対策について、個人に補償する道はないのかという意味のお尋ねかと思いますが、これはもう再三申し上げておりますように、やはり現行法の中で何とか救済措置がとれないのかということの前提に立って今取り組んでおりますので、新しい特別立法については措置としてなかなか難しいんじゃないかというふうに私は受け取らざるを得ない今日の状況であるわけでございます。  今日の問題は、早急に被災者皆さん方がこれ以上の苦しみを味わわないようにどうするのかという対策のことも十分承知いたしておりますが、やはり基金をもって対策ができるというようなことでの、地元皆さん方の中でも、不自由ながらでも何とか乗り越えることができるんじゃないかというふうに、私どもは協議の中で認識をいたしたところでございます。今後精いっぱい救済対策については頑張ってまいりますので、このことについては決して私たちが揺るがすことのない、被害者の側に立って我々が取り組むということの姿勢、国土庁中心として関係各省の皆さんとともどもに頑張ってまいりたいと思っております。  それからまた、国土の均衡ある発展を図る上で農村地域の振興が重要課題であるということも今お尋ねでございますが、私は、国土庁として一番今必要なことは、企画調整官庁として、それぞれの各省庁がそれぞれの立場、立場で地方振興の問題に取り組むべき時期ではないというのが私の信念でございます。そういう、与えられた調整官庁としての道をどう開いていくのかということを、真剣に今各省庁が一体となってやってまいりませんければ、今十八県の人口減少県がまだふえてきております。こういうことが如実に物語っているわけでございますから、今後とも、やはり国土保全機能にも着目しながら、一農村の総合的整備の推進を図っていきたいと思っておりますし、なおまた、都市と農村の一体的整備も必要ではないだろうかということも一面あることも、私たちは今後、対策としてとっていかねばならないと思っております。  いろいろな観点から、特に先生は農業問題、林業問題等にもお詳しいわけでございますが、特に先ほどから出ておりますような国土保全、水資源涵養という見地からも、地方の振興と農村対策も図っていかねばならないと思っております。
  247. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 東家長官、大変御親切に、私の意のあるところを全部酌んでもらって、大変ありがとうございます。時間が時間でございますから、本当はもっと本題の方で質問をしたかったことがたくさんあったのでありますが、今長官の方から私の意のあるところを全部酌んでいただいてお述べをいただきまして、ありがとうございました。また改めての機会に、ぜひ東家長官の所信を深めてお伺いをする機会を得たいと思っております。  以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  248. 清水勇

    清水委員長 本日の質疑は、これにて終了いたしました。大変長時間御苦労さんでした。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十四分散会