○
小澤(克)
委員 最初に、私の要求に従って
提出されました
政府見解について、これを
議事録に残す
趣旨で読ませていただきます。
国連のいわゆる「コマンド」と
法案第八条第二項の「指図」の
関係について
一、
派遣国により提供される要員は、
国連平和維持活動に
派遣される間も、
派遣国の公務員としてこれを行うが、この間
国連の「コマンド」の下に置かれる。ここでいう
国連の「コマンド」とは、
国連事務局が、
国連平和維持活動の慣行及び
国連平和維持活動に要員を提供している諸国と
国連との間の最近の取極を踏まえて一九九一年五月に作成・公表した「
国際連合と
国際連合
平和維持活動に人員及び装備を提供する
国際連合加盟国との間のモデル協定案」第七項及び第八項にも反映され
ているとおり、
派遣された要員や
部隊の配置等に関する権限であり、懲戒処分等の身分に関する権限は、引き続き
派遣国が有する。
二、
法案第八条第二項にいう
国連の「指図」は、前記一、にいう
国連の「コマンド」を
意味している。
我が国の国内法の用例では、一般に「指揮」又は「指揮監督」は、職務上の上司がその下僚たる所属職員に対して職務上の命令をすること又は上級官庁が下級官庁に対してその所掌事務について指示又は命令することを
意味しており、その
違反行為に対し懲戒権等何らかの強制手段を伴うのが通例である。これに対し、前記一、にいう
国連の「コマンド」は、
派遣国により提供される要員がその公務員として行う職務に関して
国連が
行使するという性格の権限であって、かつ、懲戒権等の強制手段を伴わない作用であり、そのような「指揮」又は「指揮監督」とは性格を異にしていることから、混乱を避けるため、
法案第八条第二項においては「指揮」又は「指揮監督」ではなく、「指図」という話を用いたものである。
三、
我が国から
派遣された要員は、本
部長が作成する
実施要領に従い
国際平和協力業務を行うこととなるが、
実施要領は、「平和
維持隊への
参加に当たっての基本
方針」(いわゆる「五
原則」)を盛り込んだ
法案の枠内で
国連の「指図」に適合するように作成されることになっている(
法案第八条第二項)ので、
我が国から
派遣される要員は、そのような
実施要領に従い、いわゆる「五
原則」と合致した形で
国連の「コマンド」の下に置かれることとなる。
以上です。これについてはまた後で
質問することにいたします。
そこで、あらかじめ
委員長のお許しを得ているわけでございますので、図面を配付させていただきました。ここに私が持っているこの図面と同じでございます。これに基づいて
質問をしたいと思います。この指揮系統図は、これまでの
政府答弁をわかりやすくまとめたものであります。
若干の
説明をさせていただきます。お手元にありますでしょうか。
左の方に「各国
部隊の指揮系統」というのが書いてございます。これは
国連事務総長、そこから権限を付与された現地指揮官、まあ司令官と言った方がよろしいのでしょうか、フォースコマンダー、そのコマンドに各国から
参加した
部隊の指揮官が従う、極めて単純な図面でございます。
参加国が提供する、その国に属する
部隊が
国連の
活動に
参加するわけでございますから、多かれ少なかれ、
国連の
活動たる側面と
参加各国の
部隊の
活動たる二面性があることは事実でございます。そして、その点について経験的に
形成され、そしてまた、先ほどから出ておりますモデル協定案に集大成されたところでは、結局、
部隊の配置、
組織、指導及び指揮、英語で言いますとディプロイメント、オーガニゼーション、コンダクト・アンド・ディレクション、こういった事柄については、いわゆる作戦面については
国連側に指揮権が集中される、そして懲戒処分、服務規律については
参加国に留保される、なお、今串原
委員からの最後のところでありましたとおり、この懲戒についても捜査等々一部分についてはなお
国連側に集中される傾向にあるという
状況でございます。
なお、このような
国連の権限が発するのは、総理が最初に勘違いしておられたのではなくて、当然に発生するのではなくて、各国と
国連との取り決めによって
国連側に移譲される、そのことによって
国連側にそのような権限が発生するということは理の当然だろうと思います。
そこで、この図では専らオペレーション面、作戦面での指揮系統についてのみ記載してございます。懲戒権等は省いてございます。それが前提でございます。
右側を見ていただきたいと思います。これがこの
法案によるところの「
自衛隊部隊の指揮系統」でございます。簡単に
説明いたしますと、
法案第九条四項に従いますと、
参加した
自衛隊部隊は、本
部長の作成する
実施要領に従いつつ
防衛庁長官の指揮に基づいて
活動をする、こういうことになるわけです。これがこの図の右側の方に書いてあるところでございます。なお、
法案八条二項によって、この
実施要領はコマンド、これはフォースコマンダーですか、が発しますところのコマンド、これを指図というか指揮というか、ともかくといたしまして、そのコマンドと適合するように作成する、これが八条二項でございます。ここ、ニアリーイコールの記号を使っておりますのは、適合という
言葉をこのように表現させていただいたわけです。
なお、これには例外がございまして、八条二項にまさに明記されているのですけれ
ども、業務中断に関する事項、この判断については本
部長の判断が優先する、コマンドと
実施要領とは適合しなくてよろしい。こうはっきり書いてございます。したがって、これをノットイコールの記号で表現させていただきました。極めて明確に本
法案による指揮系統がこれでおわかりになると思います。
さて、このような極めて異例の指揮系統を持つものが
国連の要求と合致するものかどうか、
国連がこのようなものを受け入れるかどうか、これがまさに問題でございます。
既に出ているとおりでございますが、モデル協定案、これはもう先ほど言いました。SOPガイドライン、これについても、その序論のところは既に先ほど串原
委員から紹介がございましたので省略いたします。このSOPガイドラインの作戦のところには次のように書いてございます。これは報道されているところによるわけですが、非武装の監視団を除き、すべての
軍事要員は、
武力行使に関し、完全に同一の方法に従わなければならない。それからまた、これまた残念ながら公開されておりませんけれ
ども、いわゆる訓練マニュアルには、指揮系統を
国連の現地司令官に一元的に統一しなければならない、要員は、給与と規律を除き、あらゆる作戦は事務総長のコマンドのもとに行われる、要員は、
国連の司令官の指示だけを受けるものであり、
派遣国の指示を受けてはならないのが基本
原則である。このような
国連の基準と、このような極めて特殊な指揮系統を持つ
自衛隊部隊が適合しないことは、私は明らかだろうと思います。
そこで、
外務大臣にお尋ねいたします。
この
法案がもし成立いたしますと、
国連との間で
派遣参加に関する取り決めをしなければなりません。その取り決めの中でこのように——先ほど言い忘れましたが、
政府委員の方から、本
法案においては
国連への指揮権の移譲は行われないんだ、終始行われないんだ、このように明言されております。それを前提にこの図面はできておるわけですけれ
ども、そういたしますと、指揮権、作戦面での指揮権も最終的に
国連側に移譲しない、国内側で留保するということを明記するのか。
それからさらに、特に中断に関してはその判断権を
日本側が留保するという留保条項を入れるのか、取り決めにおいて。これは、もうきょうは余り時間がございませんから、
外務大臣にお答え願います。