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1991-12-04 第122回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月四日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 木間  章君    理事 三野 優美君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       瓦   力君    久野統一郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       野田  実君    萩山 教嚴君       光武  顕君    山本 有二君       石井  智君    上野 建一君       貴志 八郎君    鈴木喜久子君       松本  龍君    山内  弘君       伏木 和雄君    薮仲 義彦君       辻  第一君    菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁計画・調 田中 章介君         整局長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         国土庁地方振興 小島 重喜君         局長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総 斎藤  衛君         務審議官         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         警察庁交通局交 古賀 光彦君         通規制課長         環境庁水質保全 石田 祐幸君         局水質管理課長         大蔵省主税局税 窪野 鎮治君         制第三課長         大蔵省銀行局銀 福田  誠君         行課長         林野庁指導部治 工藤 裕士君         山課長         労働省労働基準 山中 秀樹君         局監督課長         建設大臣官房技 豊田 高司君         術審議官         自治省税務局企 香山 充弘君         画課長         参  考  人         (首都高速道路 佐藤本次郎君         公団理事)         参  考  人         (日本道路公団 山下 宣博君         理事)         参  考  人         (首都高速道路 渡邊純一郎君          公団理事)         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     梶山 静六君   瓦   力君     中山 太郎君   久野統一郎君     森  喜朗君   塩谷  立君     武藤 嘉文君   野田  実君     佐藤 信二君   萩山 教嚴君     仲村 正治君   鈴木喜久子君     水田  稔君   辻  第一君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     川崎 二郎君   佐藤 信二君     野田  実君   中山 太郎君     瓦   力君   仲村 正治君     萩山 教嚴君   武藤 嘉文君     塩谷  立君   森  喜朗君     久野統一郎君   水田  稔君     鈴木喜久子君   木島日出夫君     辻  第一君     ――――――――――――― 十一月二十九日  総合保養地域整備法の廃止に関する請願寺前  巖君紹介)(第六〇三号) 十二月二日  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する  請願小沢和秋紹介)(第六三二号)  同(金子満広紹介)(第六三三号)  同(木島日出夫紹介)(第六三四号)  同(児玉健次紹介)(第六三五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第六三六号)  同(菅野悦子紹介)(第六三七号)  同(辻第一君紹介)(第六三八号)  同(寺前巖紹介)(第六三九号)  同(東中光雄紹介)(第六四〇号)  同(不破哲三紹介)(第六四一号)  同(藤田スミ紹介)(第六四二号)  同(古堅実吉紹介)(第六四三号)  同(正森成二君紹介)(第六四四号)  同(三浦久紹介)(第六四五号)  同(山原健二郎紹介)(第六四六号)  同(吉井英勝紹介)(第六四七号) 同月三日  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する  請願小川信紹介)(第一〇六一号)  同(佐藤恒晴紹介)(第一〇六二号)  同(清水勇紹介)(第一〇六三号)  同(関晴正紹介)(第一〇六四号)  同(三野優美紹介)(第一〇六五号)  同(渡部行雄紹介)(第一〇六六号) 同月四日  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する  請願貴志八郎紹介)(第一二一四号)  同(松本龍紹介)(第一二一五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事山下宣博君、首都高速道路公団理事佐藤本次郎君及び同理事渡邊純一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 古賀誠

    古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡武司君。
  5. 片岡武司

    片岡委員 自由民主党の片岡でございます。  まず、山崎建設大臣、また東家国土庁長官、それぞれ御就任おめでとうございます。建設行政に関するお仕事というのは大変広範囲にわたりますし、特に国民生命財産を守る上におきましても最も重要なお仕事でございますので、どうぞ全力を尽くしていただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。  きょうは、与えられた時間が三十分でございますので、三つの問題に絞ってお伺いをしたいと思います。  まず最初に、不動産コンサルタントにつきましてお伺いをしたいわけであります。建設大臣告示という形で、土地所有者等相談に応じて不動産に関するアドバイスを行うための不動産コンサルタントという新しい資格制度をスタートされようとしておられるわけでありますが、いろいろとお聞きいたしますと、私が頭が悪いのかもしれませんが、その業務範囲がどうもよくわかりません。また、ほかの資格上、例えば税理士さんあるいは不動産鑑定士さん、そういったほかの資格士皆さん職域を侵害するような感じも実はいたしておるわけでございますが、その点の御見解をまずお伺いをしたいと思います。
  6. 伴襄

    伴政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、今不動産コンサルタントにつきまして検討中でございますが、この不動産コンサルタントは、その土地所有者、特に不動産業からいいますと顧客でございますけれども顧客からいろいろ多岐にわたる相談を受けるわけでございます。特に、その不動産有効利用をどうするべきかといったようなアドバイスを求められるわけでございまして、そこでそれにこたえようというようなことでございますが、そうなりますと、業務に必要な知識としては、不動産に関する権利関係あるいは不動産市場状況というようなことだけでなくて、関連する、例えば一般的な金融常識税務常識あるいは法律知識建築技術知識等々が必要があるわけでございます。  ただ、こういった分野につきましては、御指摘のとおり、一定の業務につきましては税理士あるいは公認会計士弁護士不動産鑑定士等専門資格士がいらっしゃいますので、そういう専門資格上しか行えないとされている業務、そういったものについては当然のことながらこの不動産コンサルタントは行い得ないと思っております。したがって、この点については、そういうことをやらないということをはっきりと制度創設のときの大臣告示で明示したい、そういうことによって徹底してまいりたいというふうに考えております。
  7. 片岡武司

    片岡委員 資格士範囲を侵さないということでありますが、考えてみますと、関係分野との調整というのは非常に多岐にわたるわけでございます。非常に広範囲にわたっておるわけでありまして、ことしの四月の不動産コンサルタント制度研究会報告書によりますと、不動産鑑定士鑑定評価、あるいは公認会計士税理士さんは金融とか税務、あるいは弁護士さんは法律建築士さんは建築技術等、そういった分野との調整が必要だということであります。しかし、それぞれの資格士皆さんは一応法律に基づいてその資格が与えられて、またその業務が行えるわけでありますが、こうした不動産コンサルタントという資格、これが例えば違反を犯した場合どういう措置をとられようとしておるのか、その点をお聞かせください。
  8. 伴襄

    伴政府委員 不動産コンサルタントが、税理士あるいは弁護士等々の専門資格上しか行えない業務、そういったものを行い得ないというのは先ほど申し上げたとおりでありますけれども、もしそういうことをやった場合には、公認会計士税理士弁護士等のそれぞれの法令がございますから、その法令違反、そういうことでその各法令に基づく措置を受けるということはまずあろうかと思います。  それから、この不動産コンサルタントの側の制度におきましても、もしそのような他法令違反があった場合には不動産コンサルタントの登録を抹消するというようなこととか、場合によっては宅建業法に基づく監督処分を行うといったようなことも考えて、そういうものにつきましては厳正に対処したいというふうに考えております。
  9. 片岡武司

    片岡委員 ぜひお願いをいたします。  それで私は、はっきり申し上げれば、この不動産コンサルタントというのは宅建取引業に基づく資格を持っておる方、またそれを営んでおられる皆さんにとりましては、その資質の向上だとか社会的な責任を果たす上において非常にいいことだと実は思っておるわけであります。したがって、もし資格を与えるならば、もっと重い資格にすべきではないかと実は私は思っておるわけでありますが、なかなか難しい問題があるようでございますので、それはこれからの検討にしていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、それぞれの専門資格を持っておられる皆さんからの批判もかなりある。反対の御意見も相当出ておるわけでございます。建設省としてのこの制度創設に対してのこれからの方針、どんな方向で臨まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 伴襄

    伴政府委員 今先生からも御指摘いただきましたけれども土地利用について国民ニーズも非常に高度化、多様化しているわけでございまして、それに対応する不動産業界人材育成を図るということも非常に重要な点でございまして、不動産業界からもこの業の発展に大きく寄与するということで、この制度については大きく期待されているところでございます。ただ、検討中のこの制度につきましては、税理士会等から職域侵害の懸念があるといったようなことで御意見があることは十分承知しておりますので、従来から本制度の趣旨とか内容について説明理解を求めてきたところでありますけれども、今後とも税理士会等と十分に話し合いまして、国民ニーズに的確に対応した制度となるよう努力してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  11. 片岡武司

    片岡委員 ぜひそれぞれの業界調和を図っていただいて、お願いをしたいと思います。  次に移ります。私の地元であります愛知県、岐阜県、三重県の県境に木曽三川、大きな川が三本流れておるわけでございますが、その一つてあります長良川河口せきをつくるという、現在工事が行われておるわけであります。いろいろな御意見が今出ておるわけでありますし、現実工事そのものはもう始まっておるわけでございまして、地元悲願として、何としてもこの河口ぜきというものを早期建設完成お願いしたいという要望が非常に強いわけであります。  川というものは、本来自然に流れていくのがベストだと思いますし、ダムをつくる必要もなければ、堤防もつくる必要もなければそれでいいわけでありますが、残念ながら、我が国は狭い国土の中でこの一億三千万余の皆さん生活をしておる。当然川との共半生活をともにしなければならぬわけでありまして、川そのものを自然のままに放置しておくということはなかなか難しいわけであります。自然環境との調和を図って、当然人工的に手を入れなければならない。ダムをつくったり、堤防をつくったり、さらに強化をしたり、あるいは川の流れを変えてみたり、そういったことが必要になってくるわけでありますが、この河口ぜきそのものもそういった必要性の中から生まれてきたものだと、我々はそう信じておるわけであります。  あの地域は、昭和三十四年に伊勢湾台風が襲いまして五千人以上の方が亡くなられて、私もちょうど小学校四年生でありまして、水にはつかりませんでしたけれども、家の屋根が吹っ飛んだという経験が実はあるわけであります。しかしそれ以後、あの地域には大きな被害をもたらす災害というものは実はないわけでありますが、唯一、十数年前に長良川堤防が一部決壊をした、そういった経緯があるわけでありまして、被害を受けていない方々がかなりの人口比を占めてきた。しかし、この地域の歴史というものは、まさに水との闘いであります。江戸時代薩摩藩のあの努力によって今の骨格ができたわけでありまして、その水との闘いの中で、何としても水とともに生きなければならない、川とともに生活しなければならないという、その切実な悲願というものが実はあるわけであります。  輪中という独特の工法を編み出したのもそういった経緯があるわけでありますが、その推進の中で、具体的に今塩害という問題が実は出てまいりました。反対派皆さん塩害は起こらないと言っておられますけれども、私はどうもそうは思えないわけでありまして、深くしゅんせつをするならば、当然塩害被害は相当の上流に行くのではないかと実は思っておりますし、そういった経緯の中で、河口ぜきの必要性あるいは本当に塩害が起こらないのか、そういったことについて建設省の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 長良川河口ぜきの必要性、またその地域治水の劣悪な条件下にあるということについては、ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。長良川流下能力をふやすために、長良川川底を大規模しゅんせつして、その結果、塩水が従前以上に遡上するものに対する塩どめぜきの機能を持ったものを建設するというのがこの事業の目的でございます。  大規模しゅんせつを行いますと、現在河口から十五キロ付近塩水がとまっているわけでございますが、これが上流三十キロ付近まで及ぶことになります。この結果、今淡水を利用しております高須輪中地域三千ヘクタールの農業用水、また三重北伊勢地域の約六十社、七十工場へ影響を与えるとともに、この地域の千六百ヘクタールの地域において地下水、土壌が塩分で汚染されることになるわけでございますので、こういう事態を人為的に引き起こすことを防ぐためにこの河口ぜき計画を立案したものでございます。  なお、反対派の皆棒が塩害は起こらないと言っている論拠に、高須輪中の下流にあります長島輪中塩害が起こってないということを論拠としておりますが、この長島町では、昭和三十年、四十年代に大変激しい塩害経験いたしました。この塩害を防ぐために、木曽川上流岩屋ダム建設し、木曽川中流木曽川大ぜきを建設し、海部幹線水路木曽川水管橋等建設することによって大規模木曽川総合用水による水源を確保して、その水源に頼ることによって現在塩害を顕在化させてないわけでございます。  仮に、これから岐阜県管内の高須輪中等塩害同様手法で防ごうとするならば、長良川上流に大規模ダム建設する必要がありますが、実は適地がなくて大変苦慮しております。また、長良川中流に結果的にはやはりせき建設する必要がありますので、これらの計画現時点では大変現実性の少ない計画でございますので、私どもとしては、長良川河口ぜきを建設することは最も緊急にして重要な課題と受けとめております。
  13. 片岡武司

    片岡委員 その塩害の苦労というものは、我々も子供のときからいろいろと聞かされておるわけでありまして、長島町の皆さんが、特に伊勢湾台風を契機にして新しく木曽川の方から水をとるという方法をとって今の状態をつくってきたわけでありますが、これから河口ぜきをつくらんとなれば、当然川底を掘らなければならない。掘るとすれば塩水が相当上流に行く。それは、今真水を井戸水に頼っておる高須輸中だとか安八郡の方の岐阜県側の方にすべての塩害被害が行くということはわかっておるわけでありますが、やはりもっともっとそういうところを強調していただいて、何かこちらの発言の方が少ないような感じが実はいたしますので、ひとつ精いっぱい努力をしていただきまして、地元悲願を何としても達成していただきたいと心からお願いを申し上げる次第であります。  そこで、今、河口きの建設について、自然環境を破壊するということをいろいろと言われて、その工事を一時中止せよというような乱暴な意見も実はあるわけであります。これまでの手続あるいは事業をどう進めてきたのか、また環境面についてどのような調査を行ってきたのか、またそれをどのように地元説明をしてきたのか、その点をちょっとお聞かせください。
  14. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、手続としては私どもは万全の手続をし、環境調査については、当時の水準として、また現時点での水準として十分な調査を行い、また住民については丹念に説明してきた次第でございます。  まず手続の面でございますが、治水計画につきましては、河川審議会の議を経まして、木曽川水系工事実施基本計画を立案し、また水資源開発計画の面からは、関係行政機関の長に協議するとともに、岐阜愛知三重等関係県知事意見を聞き、水資源開発審議会意見を聞き、さらに閣議決定をいたしまして定めた木曽三川水資源開発基本計画に基づいて立案をし、同様な手続を経て事業実施方針を作成し、水資源開発公団の事業として推進しているところでございます。  また、調査の面でございますが、この事業に着手しましたのは昭和四十三年でございますが、そのさかのぼる五年前の昭和三十八年から五年間にわたりまして約九十名の最高レベル学識経験者から成る木曽三川――KST調査と言っておりますが、漁業等資源調査団を編成し、魚類等水生生物に加え、水質底質物理環境など広範囲な徹底的な環境影響調査を実施し、なお、それ以降におきましても引き続き事業の進捗に合わせまして、その都度、陸上動植物を含む広範囲環境調査を実施し、その成果を踏まえて環境保全対策を講じてきたところでございます。また、この結果につきましては、関係県や市町村あるいは漁民団体等に十分説明し、その十分な了解を得て工事を推進しておるところでございまして、内容としては、十分な調査を実施してきたと考えております。また、地元説明についても十分実施いたしましたので、実質上の環境アセスメントを二十年間にわたって実施してきたものと自負しております。  なお、アセスメントを実施していない云々という議論がありますが、制度的には、昭和五十九年だったと思いますが、政府要綱を定める前の事業でございますので、そのいわゆる政府手続にはのっとっておりませんが、内容的には十分なものと考えております。  本事業は、先生がおっしゃるとおり、長良川沿住民六十七万人の生命財産に直接関係する事業でございますので、早期完成するよう努力してまいりたいと考えております。
  15. 片岡武司

    片岡委員 お話を伺いますと、相当の御努力をされたということは理解できますので、これからも頑張っていただきたいと思います。  もう一つ長良川関係する話でありますが、あの地域は非常に人口が増加をしておるわけでありますが、水と土地というのは地域発展にとってなくてはならない資源であります。土地と水なしに将来の豊かな社会の実現というのは全くあり得ないわけでありますが、そこでこの名古屋市を中心とした地域ですが、水は今余っているという意見も実はあるわけであります。また、将来それほど水需要は伸びないから、水資源開発も必要ではないという意見もあるわけでありますが、実態は一体どうなっておるのか。また、水資源の確保というのは短期間でできるわけではございません。長期にわたりますし、長期の視野の中で検討し、そして実施していかなければならない、時間のかかる話であります。今すぐということではないわけでありますが、この地域の将来の人口等、成長の伸びを勘案しながら、どの川に水資源を依存し、どういう方針で確保されようとしておられるのか。  また、どうも今まで、この建設まで、完成に至るまで、非常に長い時間がかかっているようでありますが、計画から完成まで一体どの程度の時間がかかっておるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、水が余っているという一部に御意見がございますが、木曽川水系では昭和四十八年度から平成二年度までの十八年間のうち、十カ年については取水制限を余儀なくされておりまして、全国でも有数の渇水頻発地域でございます。特に昭和六十一年度の渇水では、既設の水源である牧尾ダム岩屋ダム貯水量はほとんど底をつき、約五カ月間にわたり厳しい取水制限を余儀なくされたわけでございます。また、一時断水、出水不良等、延べ約九万世帯に及ぶ地域において被害を受けたわけでございます。ただ、名古屋市については、その取水制限が一番最後になりましたので、あるいはこの地域の人でそういう不便を感じていなかったというふうに思っている方がおると思います。  なお、おっしゃるとおり、この中部圏におきましては、最大の水資源賦存量があるのは木曽三川でございます。したがって、最もこの木曽三川によってこの三県が将来の発展計画を決めなければならないという状況にあり、とりわけ長良川はまだ水資源開発としては後発の川でございますので、最後水源として重要な位置づけにあるわけでございます。  それから、水資源開発完成期間でございますが、現在実施計画着手から完成まで平均二十年間、長いものでは三十年近くかかります。これは、水没される方、あるいは長良川のように漁業関係で大きな影響を与える方のそれぞれの将来の生活再建を含めて、それぞれの皆様が十分納得いただくのに、やはり自分の孫子の世代まで見通したそれぞれの家族計画も考えれば、その程度期間がかかるのは現時点ではやむを得ないかなと思っております。私どもは、十分皆さんの御理解を得るために努力いたしますが、そういう期間がかかることを前提にいたしますと、大変長期水資源計画に基づいて、それぞれの水源をそれぞれの県の将来計画発展の礎とするために必要と考えておりまして、それぞれの県の要望を踏まえて、私どもも鋭意その方向に向かって努力してまいりたいと考えております。
  17. 片岡武司

    片岡委員 ぜひその決意で、また環境等にも十分に配慮していただきまして、水資源開発事業の促進をお願い申し上げたいと思います。  もう一つ、余り時間もございませんが、川に関係する話をさせていただきたいと思うわけでありますが、ことしは台風が非常に日本を襲いまして、それぞれの被害を大変受けたわけであります。特に私ども地域でいきますと、伊勢湾台風のときでも堤防が決壊しなかった、水害が出なかった地域が、今回は水害の被害を受けておる。名古屋市内だけでも二千五百戸の床上浸水が記録されたわけでありますけれども、我が国は水害大国だと実墜言われておりまして、一人当たりの水害の被害額も第二位のオーストラリアと比べますと約三・五倍、あるいは被害総額も第二位のアメリカと比べますと約二借という、非常に大きな被害を毎年出しておるわけであります。  特に最近では、中小河川のはんらんということが非常に大きな問題であります。今回も、大きな川ではなくて中小河川のはんらんが多かったわけでありますが、いろいろな対策として、時間五十ミリの雨量を計算されてそれぞれの対策を講じておられるというように伺っておるわけであります。お聞きいたしますと、中小河川に至っては、その計画が達成できておりますのはわずか三四%しかないというお話もあるわけでありますが、これは非常に大きな驚きであります。二〇〇〇年を目標とした公共投資基本計画においても重要な課題だと私は思いますし、十分に投資されるべきであろうと思うわけでありますが、来年度から第八次の治水事業五カ年計画が始まるわけでありますが、その要求の考え方と、この中におきます中小河川の今後の整備方針についてお伺いをいたしたいと思います。
  18. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 近年の都市化の進行に伴いまして、従来は浸水をしていたところはどちらかといえば農地的な利用がなされておったわけでございますが、そういうところに住宅地が進出する等、水害が顕在化しておりまして、中小河川の大きな課題になっております。  おっしゃるとおり、時間雨量五十ミリに対して、現在中小河川の整備率は三四%でございますが、私どもは二十一世紀までに、人家連檐部におきましてはこの雨量に対する整備率を一応概成させたいという方向で進めておりまして、それに必要な五カ年分といたしまして、今度要求しております第八次治水事業五カ年計画では二十兆円の規模のものを想定して要求しております。これによりまして、二十一世紀初頭におきましては、大河川については一応三十年から四十年に該当する降雨に対して安全を確保するとともに、中小河川のうちでも人家連檐部におけるはんらんを防除するよう努力してまいりたいと考えております。
  19. 片岡武司

    片岡委員 ぜひお願いをいたします。大河川よりも、これからはどうも中小河川の方が非常に危険な状態になるのではないかと思いますが、今の川というのはほとんどが大正時代に相当の投資をして整備してきた、その財産を食っているのではないかと実は言われておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  実は、先ほどちょっと質問を忘れまして、改めて不動産コンサルタントのところに戻りたいと思うわけでありますが、もう一つ、同じく大臣告示で再開発プランナーの資格創設をされたと伺っております。これも不動産コンサルタントと一緒でありますが、既存の業界専門資格士さんの職域を侵さないものかどうか、その点を確認しておきたいと思いますので、お願いをいたします。
  20. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御質問ございました再開発プランナーでございますが、これは本年の十月二十八日に建設大臣告示として定められました認定制度でございまして、また、これに基づきます具体的な手続が進行中でございますから、制度それ自体はまだ動き出していないわけでございますが、この制度を設けました基本的ねらいは、都市再開発事業に係ります企画、事業計画の作成あるいは権利調整等に従事する方々の事業に関する知識及び技術の水準につきまして、公的な審査、証明等を行いまして、その資格についてきちっと評価しようという考え方でございまして、これによりまして、具体的には再開発事業等が行われます地域住民の方々にとりまして、その再開発事業調整に当たる方が事業に関する一定の知識及び技術を有する方が加わっているんだというようなことから、安心して住民の方々が事業に参加することが期待できるのではないか、こんなところを考えて私ども創設した制度でございますが、ただいま御質問ございましたように、いわゆる税理士公認会計士弁護士等専門資格士につきまして、その専門資格上しか行い得ない事業等があるわけでございます。そういったような事業を行わないということは当然でございまして、平たく言いまして、私どもといたしましてはそういった方々の職域の侵害を行わないのは当然の前提であるというような考え方で、しかしながら、再開発の円滑な執行のためにぜひ必要である、そういう考え方で設けた次第でございますので、よろしく御理解のほど、御支援賜りたいと思う次第でございます。
  21. 片岡武司

    片岡委員 ぜひ調整を図っていただきますようにお願い申し上げます。  終わります。ありがとうございました。
  22. 古賀誠

  23. 貴志八郎

    貴志委員 私は、時間の限りもございますので、国土の均衡ある発展という立場から地元和歌山の道路の問題、さらに生産緑地の問題、そして公契約法の問題の三点に絞って質問をいたしたいと思います。  まず第一点の道路の問題でございますが、和歌山は「故郷」の歌にありますように、山は青き水は清きふるさとで、まことに環境のいい状態のところでございますが、この住みやすいはずの和歌山は、このところどういうわけか経済的にも沈滞ぎみでありまして、近畿のおまけなどと陰口がたたかれるありさまで、人口もせんだっての国勢調査の結果から見ましても、またもや減少という非常に残念な状態を続けておるわけであります。このまままいりますと、ひょっとしたら衆議院の定数が減らされるのではないかと大変心配をするようなありさまでありまして、何とかこれを食いとめたいという県民全体の願いがあるわけであります。  実は、平成六年の夏には関西新国際空港も開港される、そういう好条件を抱えておりながら、空港からわずか二十キロメートル足らずの和歌山に、まだその波及効果と申しますかそれに呼応する動きがない、なぜかというところが問題でございます。去る十月十一日に、我が党の関西空港対策特別委員会のメンバーが、和歌山を関空の駅裏、扇風機の裏側にするな、そういう私どもの呼びかけに応じて、大変な風雨の強い日でございましたが、それをついて視察をしていただきました。実に十六名という前例を見ない数の国会議員が、大挙して関空と和歌山の現状を視察をいただいたわけであります。このときには、我が党の建設委員会の両理事も参加をいただいたわけです。  この中で、運輸省に係る問題はさておくにいたしまして、建設省関連だけを取り上げてみますと、和歌山を中心とする交通のアクセスがいかにおくれているかということが浮き彫りにされたように思います。言うまでもなく、和歌山は大阪経済圏下にあります。ところが、この大阪と和歌山を結ぶ現在の国道は片側一車線という非常に条件の悪い国道二十六号線一本だけてあります。さらに、この一本の二十六号線は、これは当然のこととして渋滞に次ぐ渋滞、まさに動脈硬化の状態にございます。これでは、和歌山の人口が減り続けるのも当たり前だと言われるゆえんもあると思います。  今計画され、事業化しておりますいわゆる第二阪和国道にいたしましても、その中の和歌山北バイパスと呼ばれる和歌山側のわずか二・数キロのバイパスも遅々として作業が進まない、そういう状態でありまして、ちなみに申しますと、地元の和歌山市が事業促進のために土地買収の交渉を地元と行っております。もちろんこれは建設省工事事務所との連絡の上に立ってやっておるわけでありますが、合計約三十一億円、本年度買収の交渉が同意をいただいておりますけれども、それにつけられておる予算はようやく一割に満たない、そういうありさまであります。先ほど申し上げましたように、国土の均衡ある発展という立場から申しますと、近畿の中で唯一取り残されている和歌山に対して、一度でいいからライトを当ててやってもらいたいという希望を強く持つのは、無理からぬ点であると御理解をいただきたいと思います。  第二阪和国道についてさらに申し述べますと、先ほど申し上げた北バイパスの終点に一級河川の紀ノ川を横断する部分がございます。満々と水をたたえた紀ノ川の河口近くのこの橋は、現在単線通行の粗末な仮橋でございます。私どもが子供の時分と申しますともう五十年も前になるわけでありますけれども、そのころ対岸の楠見村というところから和歌山の市内に通す橋として一銭支払って通行を許す、要するに有料の橋でございまして、通称一銭橋と私どもは呼んでおりました。そのころの五十年前の一銭橋も現在の南海橋も、幅員においても形態においてもほとんど変わりがないわけです。この南海橋、一銭橋がここ数年の間に二回火災を起こしました。火災の原因は一体何であるか。たばこの吸い殻の不始末である。一級河川の、しかも四十万都市のど真ん中にかけられておる橋がたばこの不始末で火災を起こす、昨年のちょっとした増水で橋げたが流される、そういっていたらくでございます。これが一体四十万都市の真ん中にかけられておる一級河川の橋か、思わずだれでも疑う、そういう状態のことになっております。  しかも、この橋が一たん事故で通行か不能となりますと、片側一車線の橋ではありますけれども、その一本の橋が通行かとまるということになりますと、現在では和歌山市の中心部になっておる対岸から県庁にやってくるのに、通常十五分から二十分で十分やってこられる地点であります。ところが、この橋が火災のために通行不能になった。そうすると一時間、場合によったら一時間半かからなければ県庁にすらやってくることができない、そういう状態になっておるわけであります。ですから、この南海橋の必要度というのがどういうものであるかということは、今申し上げた点だけでも御理解いただけると思いますし、またそれを早く何とかしなければ、この地域発展を随分阻害しているということについても理解をいただけるものではないかと思います。  つい先ほどでありますが、全和歌山の自治連合会、要するに住民の代表の人々が全部、全員参加をいたしまして中央に対する陳情を行いましたが、これはまさにおくれた和歌山を、均衡ある国土発展という立場から見ても何とかしてもらいたいという地元住民の熱願であります。そういう点を勘案いたしまして、和歌山北バイパス、あるいは我々は新南海橋と呼んでおりますけれども、これらの地元の問題についてどのように受けとめていただいておるか。先ほど具体的な予算の問題を申し上げましたけれども、一体来年度からどういうふうにしてこれを解決するために考えてくれておるのか、そういう問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
  24. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先生指摘の和歌山北バイパス、これは本当に大阪と和歌山を結ぶ、しかもまだ和歌山の地域にとっても重要な路線であり、私どももかねてからこれには注意を払って事業を進めているところでございます。地権者から御要望が出ております事業量、確かに先生指摘のように、私ども直轄では九千七百万ほどの四件にわたって買い取りをさせていただきました。市の地元の御協力もいただきまして、九件の三億七千五百万の事業も御協力をいただいております。さらにそれ以外に、地元からの御要望が二十二件、二十七億、要望が出ていることも承知をいたしております。そこで今現在、市とさらに御協議申し上げながら、どういう形でこの二十七億、かなり膨大な額でございますので、私どもも一生懸命予算の計上に当たっては努力いたしますが、市にも御協力いただきながら、両方でもってこれを少しでも対応させていただきたいというふうに思っております。  ただ問題は、このバイパスに一つ問題点がございます。それは、紀ノ川の左岸側にJR紀勢線がございます。そのJRと交差をいたしますので、これの高架化がどうしても必要でございます。そのため現在、JR及び和歌山市と立体化の事業について協議も進めさせていただいております。この部分を橋梁部分にしなきゃいけませんので、これとあわせて今何とか早くこれができるように調整、協議をさせていただいている状況でございます。いずれにいたしましても、先生の御指摘のとおりここが大きな交通のネックの解消のポイントになるということは承知しておりますので、今後とも具体的に対応をするように、来年度においても検討させていただきたいと思っております。
  25. 貴志八郎

    貴志委員 南海橋についての展望について、ぜひお答えをしておいていただきたいと思いますのと、先ほど申し上げました問題については、これは関空の開港と同時に四国から関西国際空港へのルートとしても非常に重要なルートとなりますので、その点もぜひ御配慮をいただきたいと思います。  さらに、同じ道路の問題について、国土軸から離れた和歌山にとって、京都、奈良、和歌山を結ぶいわゆる京奈和道路の構想につきましては、特に関空開港を控えてこの構想、計画ができたことは、地元にとっては大変な福音でありました。そして、橋本道路と呼ばれる橋本――高野口間約十一キロ余りの事業開始が行われて、関係者一同は一層の事業促進を求めておるところでありますが、問題は高野口以西、和歌山市に至る約二十キロ間の都市計画決定が、今日きょう現在いまだ行われていない。既に基本計画ができているのでありますから、何とか早く都市計画の決定をしてもらいたいという熱望がございます。陳情も昨日行われたようでありますが、一日も早い開通を求める熱意のあらわれであります。早期に日程に上せる用意があるのか、見通しを含めてお答えをいただきたいと思いますし、また、京奈和道路を立体的に活用するためには、特に橋本、伊都地方から泉南に向けての国道三百七十一号線の整備促進がさまざまな形で地元要求を織り込んで求められておりますが、この点につきましてもぜひ促進を図っていただきたい。時間もありませんので、簡単にそのことに対するお考え方をお示しをいただきたいと思います。
  26. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 それでは、まず先ほどの南海橋についてのお答えをさせていただきます。南海橋は紀ノ川を横断する橋でございますから、約二・二キロの中にある橋でございます。これは堤防と直接連結をできません。堤防道路と連結をできません。前後に直接川を渡ってつながる道路でございますので、この橋だけをつくっても効用が果たせません。したがって私ども、この橋は橋としてかなり時間がかかりますので、これは事業は進めてまいりますが、前後の、先ほど言いましたJRとの関係あるいは用地買収との関係を見ながら、全線が同時に使えるようになるような、そういう工程、計画をつくってこれに対応させていただきたいと思っております。いずれにしても重要な橋だということは、十分地域からの御要望、御説明を承っておりますので、やってまいりたいと思います。  それから京奈和道路につきましてでございますが、京奈和道路は、特に和歌山県分につきましては奈良の橿原の方から大和・御所、それから五條道路、橋本道路、そして通称紀北道路ということで全線事業化ないしは基本計画が出ている、そういうもうすべてが事業検討に上っている箇所ばかりでございます。その中で大和・御所道路は、平成四年度に新規事業を要求いたしております。また橿原――五條間についても都市計画決定が完成をいたし、この十二月三日付で整備計画を決定いたしております。また、橋本道路の終点でございます。先生指摘の高野口から和歌山に至る紀北道路、約三十一キロでございますが、平成二年の十一月に基本計画を策定いたしまして、今環境影響評価に必要な調査をさせていただいております。これは高規格道路でございますので、環境影響評価だけはきちっとさせていただきたいと思っておりますが、これが終わり次第、すぐにでも都市計画決定の手続を進めてまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、これはつながらなければ意味のない道路でございますので、先生の御指摘の御趣旨を体しまして、一生懸命早まるように努力させていただきたいと思います。
  27. 貴志八郎

    貴志委員 それでは次に、生産緑地法の運用につきまして若干の質問をいたしておきたいと思います。一生産緑地につきましては、当委員会におきましても審議をいたしまして、本会議で可決されたわけでありますが、都市における環境保全と農業生産者の保護という課題にこたえるために改正されたものと理解をいたしております。ところが、この生産緑地の地区指定申請の扱いなどの運用をめぐりまして、せっかくの法改正が十分機能するような形になっていないのではないか、出発点でそういうふうに思われる前もございますので、ぜひお尋ねをいたしておきたいと思います。  その第一番目は、法を施行した以上はこれをいかに周知徹底させるか、そして関係者に活用の機会をいかに与えるか、そういう点で行政当局の責任があると私は思うのです。ところが、この法律は来年の末に指定が完成という一応の期限が立てられておりますが、にもかかわらず、例えば大阪府の場合は本年の十二月二十日を申請の締め切りにしている。愛知県の場合は来年の一月中旬を締め切りにしておるわけであります。そうなってまいりますと、現場からの声では、改正された生産緑地制度の趣旨が農家など農地所有者に十分理解されていない、そういう状態のままで見切り発車をしてしまうことになって活用の機会を与えられない、そういう農家が生まれてくる、そういうおそれがある、このように申し立てておるのであります。そういうことに対して一体どのように指導をしていくつもりか、これでいいのかということをお尋ねしたいと思うのです。  時間の関係もありますので、あわせて一緒に聞いておきますが、第二点目は、やはり期日の問題でありますが、固定資産税や相続税が今見直しをされております。この見直しが確定いたしまして、取り扱いが変わってくる。そういう取り扱いが変わったことが決まった後で生産緑地の地区指定申請を提出したいという希望を持つのは当然のことでありますが、そういう点から考えますと、どうしても来年の春以降まで申請の締め切りを延ばしてやらないということは、いかにも不親切ではないか。そういうことに対する指導は、建設省としては一体どのようになさっておるのか、ぜひお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  28. 市川一朗

    ○市川政府委員 生産緑地制度につきましていろいろお尋ねいただきました。現在、第一線におきまして、関係十一都府県ございますが、鋭意作業に入っておる段階でございますので、地元における先生方の基本的ないろいろな御理解の中での御指摘と思いまして、御質問の趣旨まず全般につきまして、私どもただいまの御質問をかなり貴重な御指摘として承っておるところでございます。  まず、基本的にどういった周知徹底を図ってまいったかということにつきまして、ごく簡単に御説明させていただきたいと思いますが、生産緑地法が改正されまして、まだ施行前でございました本年四月に、すぐに私どもは、関係十一都府県ございますが、十一都府県に対しまして個別に事前説明会を行いました。それから、パンフレットを二十八万部作成いたしまして、関係方面に配付いたしました。それから、九月十日に法が施行されたわけでございますが、その施行後改めて十一都府県に対しまして、それぞれ個別に説明会を行いますとともに、各県の農業協同組合中央会におきまして関係特定市の農業協同組合あるいは農業委員会等に説明を行いまして、パンフレットを配付し、それらを通じまして個々の農家の方々への周知徹底在国としては行ってきたつもりでございます。  ただいまの期限等の問題でございますが、これはそもそもこの生産緑地制度の改正に踏み切りました最も基本的な背景は、地価高騰を受けました総合的な土地政策を推進する必要があるというところから、市街化区域内農地につきましての課税の適正化を図るということで、その前提として宅地化するものと保全するものとを都市計画で明確に区分する、それは平成四年中に行うのだということを前提として、今回生産緑地制度に入ったものについては宅地並みの課税は免れるといったような方針が出まして、それを受けて私ども展開した法改正等でございます。それが第一点でございまして、したがいまして、平成四年中に作業を完了する必要があるということが背景にあるわけでございます。  もう一つ、もっと実質的な背景といたしましては、御案内と思いますけれども、税法との関係で、実は来年の平成四年一月一日から税は動くわけでございますが、初年度の特例措置といたしまして、初年度に限り平成四年十二月三十一日までに生産緑地に入った場合には、さかのぼって課税を農地並みにするといったような規定がございまして、その背景が固定資産税のみならず相続税にもございますので、そういった農地所有者の方々の不利益を招くことのないようにということで、実は関係地方公共団体も必死になってこの問題に取り組んでいるわけでございます。  ただ、実は都市計画手続におきましては、農地所有者の方々の意向を把握いたしましてから都市計画の具体的な案の作成に入るわけでございますが、他の都市計画との整合性の確認とか図書の作成から、いわゆる縦覧等のいろいろな手続がございまして、従来でございますと大体一年ぐらいかかるわけでございます。しかしそれではちょっと間に合わないだろうということで、できるだけ作業を急ぐようにということを私ども指導しているわけでございますが、そういったものも含めましての意向把握でございますので、その府県によりまして少しずつ期限は違うようでございますけれども、大体は本年中に農家の方々の意向を把握して、年明け早々には都市計画の変更手続に入りたいということで動いているわけでございまして、私どもとしては、ぜひ来年の十二月三十一日までには作業を完了してほしいということを基本線に考えておりますので、各都府県の取り組み方につきましては、私どもとして十分理解し、支援しておるところでございます。
  29. 貴志八郎

    貴志委員 来年の年末までに事業を完了させたいということについては当然のことでありますから、それに否やを言うわけではありませんが、先ほど申し上げたような事情で、先を急ぐ余り積み残しをするということだけはぜひ避けるよう、またそのための指導をぜひ強化をしていただきたい、このように思います。  その次に、次の問題として区画整理事業との関係につきましてちょっと申し上げておきたいと思うのでありますけれども、区画整理事業に関係、関連する農地の生産緑地指定についての考え方であります。法の精神は、建設省の都市局長の通達にもありますように、良好な生活環境のため積極的、計画的な保全をするために地区指定に努めよ、こういうことになっております。そういう点から申しますと、特に都市計画との関係では、生産緑地は事業の施行を妨げないようにするべきだというふうに述べております。ところが、現実には例えば兵庫県では、私が聞いたところでは十六カ所の計画決定あるいは事業計画の予定地があります。そういうところに対して生産緑地の指定を行うべきかどうかということを県から国の方に問い合わせたところ、一部には指定できないところがあるというふうに回答をされた。あるいは埼玉県では、都市計画実施予定の場所で、区画整理事業の妨げとなるので指定はできないという回答をしておる。こういうふうに、農業団体の方に苦情が寄せられておると聞いておるのであります。  こういう問題については、私の理解としては、この生産緑地が区画整理事業と相互妨げにならないように、相互に邪魔をしないようにというのが精神であるというふうに思うわけでありますけれども、個々の問題がありましょうけれども、原則的にはそういうお互いに邪魔をしないという、お互いに妨げにならないようにするというのが精神ではなかろうかと思うので、その辺についての指導のあり方についてお尋ねをしておきたいと思います。
  30. 市川一朗

    ○市川政府委員 土地区画整理事業と生産緑地の問題はなかなか都市計画上難しい問題もございますので、私ども施行通達におきましてはかなり議論いたしまして、できるだけ混乱が生じないように詳しく通達したつもりでございますが、それでも事が事なだけにいろいろと混乱を生じていることにつきましては、御指摘の点がありますことを私遺憾と思う次第でございます。  通達で流しました基本的な考え方といたしましては、土地区画整理事業は宅地の造成と公共施設の整備ということを目的として行われるものでございますので、基本的には都市計画決定者の判断が大事なのではないかということをうたいまして、しかしながら区画整理事業が行われたところにおきまして農地所有者等の意向がある場合には、生産緑地を指定することは可能であるということ、それから生産緑地地区の指定が行われましても、そこで区画整理事業を施行することを妨げることにはならない。要するに、ただいま先生の方から御指摘がありましたように、そこは両者共存でうまくやってほしいというようなことで通達したつもりでございまして、その辺がかえって混乱したのかなと思いますが、改めて申し上げますと、区画整理事業と生産緑地というものの両立というのは、都市計画のあり方としてなかなか難しいテーマでございますが、決してそれがお互いがお互いを排除するものではないということでやってほしいということを通達では流しておるつもりでございますが、今後、指導に当たりましても、その辺の趣旨の徹底につきまして努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  31. 貴志八郎

    貴志委員 それでは、公契約の問題に移りたいと思います。  まず、基本的な考え方を建設大臣にお尋ねをしたいと思うのでございますけれども、我が国の建設業界状況であります。欧米の建設業界と比較いたしまして、技術的には私は世界一流だと思うのです。しかし、組織的あるいは制度的には、ひょっとしたら外国から指摘をされるように三流かもしれないなと思うような状態でございます。特に、国際化の問題については時代的な要求、世界的な潮流であります。その国際化の要求にこたえるためには、業界の近代化が必要だと思います。ところが、その近代化がなかなか進んでいないのではないか。そのゆえにこそ日米構造協議でもやり玉に――やり玉に上がったという言い方はどうですか、とにかく問題に挙げられまして、アメリカの建設業界の日本の事業への参入、あるいは公正取引上の問題として談合の問題などまで外国で取り上げられるといっていたらくでありまして、これはただ単に、日本の建設業界が古い体質を持っているということでアメリカから非難を受けるというそれだけではなしに、これが日米構造摩擦のある意味では大きな材料になっているし、世界の自由な経済という観点からいいましても、日本の経済がいかに古い体質を持っているかということを世界に示す材料になりかねない。そういうことをやはり我々はしっかりと見据えて、日本の建設業界の改革、近代化、国際化というものを図っていかなければならない、そういうことが焦眉の急になっているという認識を私はいたすわけでありますけれども、大臣はそういう考え方について、まず基本的にお答えをいただきたい、御意見を賜りたい。
  32. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  我が国が宮澤政権のもとで生活大国づくりを目指しているのでございますから、そのためには住宅、社会資本の整備がさらに一層進められていくということが必要でございます。その意味におきまして、その事業を担っていく建設業界の近代化、国際化は当然重要な事柄であると存じます。このような建設業界の役割を、国民生活と産業活動の基盤づくりにふさわしい業界として近代化、国際化を図っていくということが基本的な考え方でございます。  先生指摘の国際化につきましては、我が国建設市場は内外無差別かっオープンでございますが、昭和六十三年五月に、外国企業が日本市場の制度に習熟することを目的といたしまして、特例措置を設けるということで日米間で合意いたしました。その後、特例措置の誠実な実施に努めますとともに、本年七月には、外国企業の一層の参入促進を目的とした追加的措置を講じたところでございます。さらに、本年六月には、建設技術の高度化建設市場の国際化等の新たな社会経済情勢の展開に対応した今後の建設業のあり方につきまして中央建設業審議会に諮問しまして、現在幅広い観点から御検討をいただいているところでございます。  建設省といたしましては、ただいま申しました中建審の検討結果も踏まえまして、建設業界の近代化、国際化に向けまして的確な対応を図ってまいる所存でございます。
  33. 貴志八郎

    貴志委員 この問題につきましては、もっと時間をかけていろいろ論議をしたい。日本の市場の慣習が一体外国企業に受け入れられる条件があるのだろうか、その基準、ガイドライン、どうなっているのかというふうなことなども聞きたいのでありますが、きょうは本題が残っておりますので、直接本題のILO九十四号条約の適用問題について質問をしておきたいと思います。  これは、一九四九年六月に国際労働機関において、いわゆる公契約における労働条項として採択されたことは御案内のとおりでございます。今にして思えば、この条約を批准し、さらにILO八十四号の勧告に従っておれば、我が国の建設業界は既に近代化され、あるいは外国企業との問題も摩擦も今日のような状態にはなってなかったのではないかと私は思っております。特に、外国人労働者の問題も後で時間があれば触れますが、そういった問題から考えても、今それを批准していないことを私は大変残念に思う一人であります。四十年以上前のこの条約の採択の時点から、欧米の業界と日本の業界との間における近代化の格差が生まれてきている、そしてさらにその格差が拡大青続けて今日の状態になっておる。政治が制度の選択を誤ることがいかなる事態に発展するかということを、この問題が余すことなく我々に教えてくれるような気がするわけであります。  そこで、直接この問題を所管する労働省は、この条約が採択されて四十二年、今から四十二年前になりますが、昭和二十五年の当時に、ILO条約をモデルにした公契約法案を用意しておるというふうにILOに対して報告を出しておるわけでありますけれども、その後さっぱり公契約法案なるものが出てこないのでありますが、それは政府部内の調整が問題があったのか、業界反対したからできなかったのか、一体どういうわけで今日までそれが行われていないのか、そういうことについてお答えをいただきたいと思います。
  34. 山中秀樹

    ○山中説明員 先生指摘のILO九十四号条約につきましては、私ども日本政府が昭和二十八年にILOに対して、未批准条約に関する検討報告を行っております。  その中で、本条約の規定を実施するための法律について、先生指摘方向での検討中であるというふうに報告しているところであります。しかしながらこの報告は、戦後のインフレーション対策のために政府支払いにおける労務費の単価等の最高限を規定していた政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律が廃止されまして、政府直用の公共事業労働者への一般職種別賃金が暫定的に適用されていた段階において出されたものであります。その後、公共事業の労働者等の賃金につきましては、民間と同様の最低賃金を適用されるというふうになったということであります。  また、公共事業の労働者への一般職種別賃金の暫定適用は、昭和三十八年法改正によって終了いたしております。したがってそれ以後、検討は行われておりません。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 貴志八郎

    貴志委員 今も答弁ありましたように、何とか公契約法をつくりたいという意向を報告しながら、その後、今言われたような理由にならない理由でそのまま置いておかれておる、これが日本の建設業界の近代化をおくらせている。アメリカにもイギリスにも先進国にはみんなちゃんと、公契約にかかわる労働賃金の決定等についてはILO条約に基づいてつくられておるわけなのです。日本だけがつくられていない。だから、日本でせっかく今制度上、大臣が言われたように外国企業が日本の市場に参入しても、今度労働賃金の問題で日本の実態が全部わかってしまうわけなのです。  そうなってまいりますと、日本の古い体質という問題が、建設業界のそういうおくれ、この条約を批准しないで実行しなかった体質の古さというものが、もう日本全体の企業がそうであるかのごとくにやはり受けとられて、それが経済摩擦の大きな原因になっていくということは、やはり大いに思いをいたしてもらわなければなりませんし、私はここで今までそれを怠っていたことに対して非難をするというよりは、むしろこれから日本のためにこれを真剣に前向きに考えていかなければ、日本の公契約等に対する労働賃金の問題やあるいは労働条件の問題について外国との間で摩擦をさらに深める、そういうおそれがあるがゆえに、ぜひこれからこの条約の批准に向けて、それに基づく法律がつくれるように努力をすべきであるという強い意見を私は持っております。このことに対してどのようなお考えを持っておるか、基本的な考え方で結構でございますから、お答えを賜りたいと思います。
  36. 山中秀樹

    ○山中説明員 公契約に基づいて使用される労働条件の決定につきましては、基本的には個々の労使当事者間において自主的に決められるべき問題であるというふうに基本的に思っております。ただ、労働基準法あるいは最低賃金法に定める法定労働条件に反する場合は、私どもとしてそれを守らせる、確保するよう努力いたしますが、これについて政府は直接これに介入することは適当でないというふうに考えております。その意味で、非常に本条約の批准は困難であるというふうに考えております。
  37. 貴志八郎

    貴志委員 最後に注文をつけておきたいと思うのでありますけれども、今労働省の方では、日本の建設業界が重層的下請関係、そういう状態にあるということは十分認識しておるはずでありますが、とするならば、このままで公契約で役所が策定した人件費が末端ではその人件費の分だけ渡っていない、そういう現実が十分に存在する、その状態が外国企業にはっきりと見えてしまうということに対する国際的な感覚を持って臨むべきだと思うのです。今の答弁では、まさに事務的な感覚であります。それはもっと政治的な感覚で、国際的な感覚に立っていかにこの問題と取り組むかということを、ぜひ労働省の中だけではなしに建設省の当局とも十分協議をして取り扱いを進めていただきたい。  注文をつけて、私の質問を終わります。
  38. 古賀誠

    古賀委員長 山内弘君。
  39. 山内弘

    ○山内委員 私の質問は、今の都市計画の実態というものが果たして現状に合っておるかどうか、この点について非常に私は疑義を感じておるわけでございます。特に、バブルの崩壊と同時に大都市の地価もどんどん下がっておる、そういう状況にもあるわけでありますが、先般、私もこの問題について参加をいたしましたあの大都市法、この問題の及ぼす影響というものがある程度功を奏した、そういうふうな認識を私は持ちたいのでございます。しかし、現実は必ずしもそういう方向にだけ行っておるわけではないわけでありまして、前回のテレビ放映を見ましても、政府から借りておる農地がそのまま貸されておる。住宅に貸されたり駐車場に貸されたり、いわゆる使用目的外の状況というものが非常に出ておるわけでございます。これは、果たしてあの大都市法の制定による効果というものがどこまでその成果をおさめておるのかという疑念にも通ずるわけでございます。  一体建設省は、そういう国民ニーズと、そしてまたこれに対応する政策のおくれといいますか、そういうものに対してどういう観点でこの問題を考えておられるか、まずその観点をお伺いをしたいと思うわけでございます。
  40. 市川一朗

    ○市川政府委員 私どもといたしましては、都市地域におきまして住宅宅地供給を図るために、良好な都市環境の確保に配慮しつつ適正な土地の有効、高度利用の促進を図ることは極めて重要な課題であると認識しておるわけでございます。このため、都市の発展土地利用の動向、人口及び産業の将来の見通し、住宅宅地需給の実態等を踏まえまして、例えば都市計画制度におきます基本的な枠組みでございます市街化区域及び市街化調整区域の区域区分、さらには用途地域等の設定につきまして、常時、見直しも含めまして的確に執行しておるつもりでございます。  しかしながら、ただいま御指摘ございましたように、大都市地域におきまして極めて深刻な宅地不足を背景といたしました地価高騰等の問題も生じておることにかんがみまして、昨年、大都市法を改正いたしまして、基本的な物の考え方につきましてきちっと整理をいたし、その考え方に基づきまして長期的な方針を定め、計画を定めて各種の事業の重点実施等、総合的に進めてまいるという考え方に立っておる次第でございまして、いろいろと必ずしもうまくいっておらないのではないかという御指摘につきましても、謙虚に受けとめながらも、私どもとしても真剣に取り組んでおりますということを御報告申し上げさせていただきたいと思う次第でございます。
  41. 山内弘

    ○山内委員 御答弁は、地方都市の問題も含めて言われておるわけでありますが、まず大都市法の制定の問題、この欠陥の問題に対してどのような、今までのやってきた日数は極めて短いわけでありますが、その間の欠落条項といいますか、そういうふうな問題に対して今直ちに対応しなければならない状況があるとすれば、一体それは何であるのか、その点からお尋ねをしていきたいと思うわけでございます。
  42. 立石真

    ○立石政府委員 お答えいたします。  大都市法におきましては、大都市地域における住宅宅地問題の解決のために、国におきまして住宅宅地の供給基本方針を立てることになっているわけでございます。この基本方針につきましては、ことしの三月に建設大臣が決定したところでございますが、これに則しまして都府県におきまして住宅宅地の供給計画を策定いたしました。既に十一都府県全部につきまして、九月いっぱいでこれらについての計画が策定されたところでございます。  それらの中におきましては、三大都市圏合わせまして、住宅につきましては十年間に七百万戸、また宅地につきましては四万六千ヘクタールを供給する計画としております。非常に即地的な計画ということで策定したところでございまして、今後の大都市地域におきます住宅宅地供給に非常に有効な計画となろうというように思っているところでございます。
  43. 山内弘

    ○山内委員 三月の状態と今の経済的状況というのは、大分変化があるのではないかというふうに私は考えるわけでございます。制定当時は、いわゆる土地がどんどん高くなりつつあるという状況の中で、あの大都市法というものはある意味では極めて歓迎されておったわけでございまして、今でも歓迎されてないというわけではないけれども、今バブルの崩壊によって経済状況というものは極めて変化の状況にあるわけでございます。  一体そういう状況の中で、今、十年間七百万戸という住宅の造成、そしてまた都市の中では、いわゆる住宅がなかなか売れないという状況もまた出てきておるわけでございますけれども、そういう経済変化に対応した大都市法というものの法律の精神というものは、微動だにもしないという状況の中で進められていいのかどうか、その点いま一回お尋ねをしたいと思うわけです。
  44. 立石真

    ○立石政府委員 先ほど申し上げました大都市の供給基本方針、供給計画におきましては、長期的な観点から、大都市地域における中堅勤労者の住宅取得を中心として住宅政策を進めるべき基本的な方策、そしてまた即地的な方策等について定めたものでございます。これらにつきましては、長期的な観点から、今後の住宅施策を進める上での基本になもものと考えているところでございます。  また、先生のお話がございましたが、短期的な問題といたしましては、最近の住宅建設状況等にかんがみまして、適切な住宅施策、特に財政、税制、金融上の措置をとっていく必要があると考えているところでございます。
  45. 山内弘

    ○山内委員 土地の利用関係において、この間テレビジョンにも出ておったけれども、農地を又貸しするというふうな状況というものが出ておる。これはやはり、そういうふうな状況が出てこざるを得ないという客観情勢があるわけでありますから、その点について、そういう国民ニーズに対応する体制というものが出てこないところに問題があるのではないかと私は思うわけです。  それで、大都市は別にいたしまして、これは地方都市にも今の都市計画の欠陥というものが随所にあらわれてきております。それは、都市計画の構えが定かでない。市内の都市計画が、市長がかわれば東の方の都市計画が進み、また市長がかわれば西の方に移る、こういうふうに極めて都市計画というものは任意によって勝手気ままに行われておるという証拠があるわけでございます。きょうは時間がないからこの議論はやめますけれども、いずれ明確にはいたします。  こういう現在の都市計画というものが、建設省がせっかく大都市法を制定し、国民ニーズにこたえる、こういうふうなものをやりながら、都市においては、また地方都市においても、その国民の期待にこたえることが極めて浅い。これをもうちょっと――まあ今の農地の問題においても状況は非常に大きく転換しておるわけでございます。したがって、都市計画はこの際ひとつ、もっと積極的に推し進める必要があるのではないかというのが私の考え方でありますが、建設大臣、言わんとする意味がわかるとすれば、これに対してどのように考えておられるか。なかなか意味不明のところもあると思うのですが、私自身もある程度オブラートに包んで物を言っておりますから、時間がないから余り突っ込むとおかしくなってしまうので、ひとつ大臣の答弁をお願いをして今後の討論の参考にしていきたい、こう思うわけです。
  46. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  国民ニーズに対応する都市計画を進めるという御指摘、全く同感でございます。一般的なお答えで恐縮でございますが、都市計画の役割は、健康で文化的な都市生活と機能的な都市活動を確保することを目標といたしまして、計画的な土地利用の整序等を行うとともに、道路、公園、下水道等の整備や土地区画整理事業、市街地再開発事業等の実施を通じまして、良好な都市環境の形成に資することと私は認識いたしております。宅地供給の促進につきましては、勤労者の住宅取得が困難となっておる現状にかんがみまして、都市計画におきましても一層重要な課題になると存じます。  今後とも、先生指摘のような都市計画の果たすべき役割を踏まえまして、良好な環境の市街地形成、住宅宅地供給の促進など、町づくりの諸課題に的確に対応してまいりたいと存じます。
  47. 山内弘

    ○山内委員 終わります。
  48. 古賀誠

    古賀委員長 石井智君。
  49. 石井智

    ○石井(智)委員 石井智でございます。  今回の宮澤内閣の発足に伴いまして、両大臣の御就任を心からお喜び申し上げます。  そこで一言、両大臣に御抱負をお伺い申し上げたいというふうに思うわけですけれども、宮澤内閣は生活大国を目指すんだ、こういうスローガンが大きく掲げられました。私たちもずっとそのことを願っておったわけでございます。そういう点で、宮澤内閣も今国民が大きくゆとり、豊かさというものを心の中で求めておる、そのことを実現をしていくんだ、こういうふうに私は伺うところでありますけれども、その宮澤内閣が目指す生活大国の中で、それぞれのお立場でそれぞれの分野で果たしていくその生活大国への道というのは、それぞれどういう御抱負を持って臨まれていかれようとしているのか、まず建設大臣、ひとつお伺いを申し上げます。
  50. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 石井委員の御質問にお答えいたしますが、御指摘のとおり、宮澤内閣は生活大国づくりを大きく標榜いたしまして、政権の政策の柱に据えているのでございます。生活大国と申しましても、真に豊かさを実感できる生活大国、ずっしりと豊かさの重量感を持った生活大国、いろいろな言い回しかあるわけでございますが、いずれにいたしましても、そのような生活大国を築いてまいりますためには、住宅、社会資本の整備、これが中核になると考えております。  我が建設省といたしましては、従来から住宅、社会資本の整備に努めてまいったわけでございますが、とりわけ政権の標榜いたします生活大国づくりを目指しまして、その責任の重さを十分受けとめまして、先生の御指摘のような生活大国づくりに一層邁進してまいりますことをお誓いいたしたいと存じます。
  51. 石井智

    ○石井(智)委員 宮澤内閣は実力者内閣というふれ込みで、その中でもとりわけ実力者中の実力者の建設大臣に大いに御期待を申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それから、国土庁長官にもあわせてお伺いをしたいと思いますが、とりわけ国土庁長官はこの建設畑をずっと歩んでこられて、俗に言う族議員という呼ばれ方をしておりますけれども、これは言いかえれば、正式にはベテラン議員という形になろうと思います。そういう立場で、日本の国土行政を通じて生活大国、どういうふうにお考えでしょうか。
  52. 東家嘉幸

    東家国務大臣 今建設大臣もおっしゃられましたように、真の豊かさというものは、我々のどうあるべき今後の姿にかかわってくると思っております。一極集中を排除し、国土を均衡ある、そうした活用にどう取り組んでいくかということが今大変論議されているところでございますし、行革審の方からも豊かな暮らしの部会等からもいろいろの提言がございます。  国土庁といたしましては、そうしたいろいろな角度から企画調整を総合的に今後どう取り組んでいくかということについては、やはり各省庁のそれぞれの持っておられるこれからの法案に向けての取り組まれることに、我々が国民の税金をより有効にどう生かしていくかということが私たちの役所の重要な役割だと思っておりますし、また、住宅問題が特に問われている今日でございます。これのことは、土地が高騰したこと、これはやはり計画的に長期にわたる通した土地政策というものが、地方においても十分に先の読める、そうした対策というものが必要ではなかろうかと思っております。  まあ、いろいろと申し上げれば、それは真の豊かさを求めることに対する国民の考え方はたくさんございます。ただ、私はお願いしたいことは、やはりこれは建設委員会先生方にも、これからそうした長期計画の中で国が方向を示すときに、非常に今までアンバランスがあり過ぎた。特に、高くなったり安くなったり、住宅が百七十万戸が百十万戸、二十万戸になったりというようなこと等が、やはり私は大きく住宅政策に支障を来している面が多いと思っております。これはもう私の所管ではございませんけれども、しかし土地対策というものは長期的に取り組まなければならない。しかし、やはりこれは役所主導型、民間と一体的にやっていかなければならぬときに、下がったときに何をやっているのだというおしかりを過去大分受けて、そうした方向で頑張ろうとする公共の皆さん方もやはりどうしても意欲を失う。やはり長期的観点に立つ土地政策というものが地方における、都市における豊かさというものの実感を享受できる大きな問題だと思っております。  以上、長くなりました。
  53. 石井智

    ○石井(智)委員 どうもありがとうございました。今、国土行政というのは将来の日本の大きな進路を示していくという役割を担っていただいておると思うのです。そういう点で、役所を束ねて大いに頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。  それで、次に雲仙・普賢岳の問題についてお伺いを申し上げてまいりたいと思います。  先日、長官は普賢岳の方を御視察いただいたようでございます。何か地元の方は、十分や十五分のぞいてもらったってわかってもらったのかなという思いがテレビで報道されておりましたけれども、そういう点で、長官になられて早速御視察をいただきました。現地の皆さんは仮小屋でいろいろ苦痛な生活をされておるわけでございます。その辺の実感をとらまえてどういう対策を講じようとなされておられるのか、ひとつ長官の感想と今後の方針を例えればというふうに思います。
  54. 東家嘉幸

    東家国務大臣 昨日も災害対策委員会でいろいろな御意見がございました。その中に、私どもの現地調査が何か十五分間でちょろちょろっと行ったという、何か印だけのようなことにつながるような記事になりまして、実際私たちはもうびっくりしているのですよ、何でこんな記事が書けるのかと。二日にわたって計画的に、本当に食事も短くして、全く被災者の皆さん方の心を体して、皆さん方と手を握りながら、握手しながら、皆さん何を求めますかということの大方の意見を聞いたり、特にまた写真を撮ったからどうかとかですね。これはもう災害特別委員会皆さん方もそういうような処置をしておられる前例があるから、私は何も意識せずにすんなりとそれにおさまったわけです。まあいずれにしましても、そういう誤解を招くような報道がなされたということは、それは私の不徳のいたすところかもしれません。しかし、甚だ私は残念でなりません。  なおまた、今後の対策等については、特別立法を求める声のあることも承知いたしております。しかし県の皆さん、市の皆さん、いろいろな角度から研究したり、または国土庁、他官庁の所管の皆さん方とも協議しましても、今とるべきことはやはり基金、何とかこれから長期化するであろうと思われるその被災者の皆さん方の当面の問題、そして将来復興に向けての問題。当面の問題等については、何とかひとつ自治省の方にもお願いして、そして割り増し、またふやすことができるかどうかということでお願いもいたしておりますし、理解をしていただいているものと承知をいたしております。  そういうことで、今後の対策、現実の年を迎えての皆さん方の苦しみ、よく承知いたしておりますから、もう細かなそうした今までの取り組んだことについては答弁いたしませんが、御案内のとおりのことで処置いたしておりますし、今後は今後として大きな復興対策について取り組んでいくことも、建設省と、また関係省庁ともよく協議の上でまいりますことをお誓い申し上げて、答弁とさせていただきます。
  55. 石井智

    ○石井(智)委員 報道に対して相当、自分のやったことは精力的に取り組んでおるんだということがああいう報道をされたことについて、遺憾だというお怒りの気持ちはよくわかりました。そういう点で、本当に精力的にお気持ちのとおりに取り組んでいただきたいというふうに思うわけですが、今大臣、特別立法の声もあるけれどもという言い方をされました。やはり特別立法を考えてでもやろうという御意思はございませんか。
  56. 東家嘉幸

    東家国務大臣 声があることは承知いたしておりますが、しかし県ともよく協議して、どういう措置でこれから再建に向けて、そして現実生活をというようなこと等は、やはり私たちは、基金をさらに上積みする必要があるという事態のときはよろしくお願いいたしますということで自治大臣から理解いただいている。だから私たちは、そういう措置方向で進みたいというふうに思っております。
  57. 石井智

    ○石井(智)委員 いろいろな報道を聞くと、政府部内では、特別立法は考えずに現行法の運用の範囲で最大限の対応をしていくんだ、こういう形で今日まできておりますし、これからの姿勢も私たちにはそういうふうに伝わってきているわけですけれども、その中で本当に今の、大臣が御視察をいただいて、報道がおれの気持ちをあんな形でしか報道せぬという形でお怒りになるほど実態は大変な状態を感じてこられた、こういうふうに思うわけです。そういうことに対応していくのに、私たちやはりどうしても今の法の運用の範囲で十分対応ができるというふうに思わないわけです。  そこで、具体的な案件として一つ伺いをしたいと思うのですけれども、今被災地がああいう状態で、あそこへ戻って復興をするということは考えられない状態というのはもう御案内のとおりでありますし、そこが集団で移転をしていきたい、移転をさせなきゃならぬ、そういう状態にもう現実の問題としてなっておると思うのです。政府としては、災害が起きたらそれを復旧をして、その後どう対応していくかということで、まず復旧に精力を注ぐのだというスタンスのままでまだおられるような気がしてならないわけですけれども、並行しながら、復旧と再建とを同時に行っていく、こういうことがあってもいいのではないかというふうな気がいたします。  そういう点で、もう既にそこへ戻りようのない人というのはたくさんいるわけですから、その人たちをどう新たなところへ移転をさせて、新たな生活の基盤をつくってあげるのか、このことが今大きな課題になっているやに思うわけです。そういう点で、この移転をしていくのに十戸まとまって、同じところへ十戸以上動くもの以外は対象にしないんだ。しかし、それぞれの個々の人たちが今ああいう状況の中で、どこかへかわりたい、でも十戸以上まとまって、地域単位でまとまって、そんなことを十分議論して協議をしておる暇もないと思うのですけれども、何とかそのことを、移転をしてもう再興したい、こういう思いの人たちの気持ちをどう酌んでやるのか。今の現行法で十分対応できるとは思いませんけれども、その方策というのはどういうふうにお考えでしょうか。
  58. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  今雲仙はああいう状況でございまして、実は先生も御案内と思いますが、地元でも、集団的に移転するのかしないのか、これを現地で意向調査をついせんだってですか、やりました。まだ多くの住民皆さん方、率直に申し上げまして迷っているというのが実態ではないか。特に、例えばこれは農林省のお話によりますと、農地が百五十ヘクタールくらい関係があるようではございますが、そのうち十ヘクタールくらいはちょっとなかなか復旧は難しいけれども、あとの方は何とかなるんじゃないか、こういう御意見もありますものですから、やはり先祖伝来の土地にいたいという思いが大変強い、これはやむを得ないことだと思うのです。そういうことがございまして、なかなか地元の意向が固まらない。  その中で、例えば一戸だけ出たいというようなこともあるようでありますが、政府として考えます際には、今おっしゃるように、その危険な区域にお住まいになっていただくということは、これは大変危険なことでもございますので、やはり集団的にどこかへお移りいただいた際にできるだけの行財政上の措置を構ずるというのが今の建前でございますし、たまに中で一戸あるいは二戸というような話もないわけではないようでありますけれども地元としてはできるだけまとまって行動、しようじゃないか、こういうような意向のようでございますので、私どもといたしましては、できるならやはりせっかく現在の法制があるわけでございますので、その法制の適用を受けてやる場合には、私ども最大限努力して積極的にやっていきたいということでいろいろと議論はいたしておりますが、御案内のとおり、災害というのは集落を直撃する例が多いものですから、その集落はやはりコミュニティーがあるということで、どうせ移るのなら一緒にということ、そういうことを前提に今の法制度ができておりまして、せめてそのコミュニティーとしては、隣組をつくるにしても十戸くらいはなきゃいかぬだろう、こういう仕組みでございます。  したがいまして、個々の問題につきまして、私どもも長崎県とよく相談いたしまして、今大臣からもお話がございましたような、例えばその基金で運用ができないのか、あるいはその基金の中で今現に、例えば農地をどこかから借り上げようとかあるいは新たな農地を開墾しようとか、こういうことも中で検討をされておりますものですから、あわせてその際にはやはり住宅の問題も出てまいると思います。私ども、できるだけ県と、今の御指摘の趣旨も踏まえて十分連絡を取り合いながらできるだけのことをしてまいりたい、かように考えております。
  59. 石井智

    ○石井(智)委員 まあできるだけのことをしていこうというお答えらしいのですけれども、できる限りのことをしようという気持ちでひとつ対応していただきたいと思います。そうなれば、どうしてもやはり今の現行法の運用の範囲では難しいなというお気持ちが生まれるだろうと思います。それにこだわらずに、やはり特別立法も考えてできるだけのことをしよう、こういうことで取り組みをいただきたいというふうに要望をいたしておきたいと思います。  それから、あそこへ埋まってしまったあの土地を、移転をする際に、資産、家屋もひっくるめてですが、というふうに評価をして買い上げてあげるのか、このあたりが、今後その人たちの移転をより有利に、スムーズにしてあげるための財政補償につながるんだろう、こういうような気もいたしておるわけでございます。  そういう点で、今言われておるのは、どうもああいう状態になった価格ということになればただ同然という表現になるんだろうと思いますけれども、そのあたりを、もうあそこを放棄をせざるを得ない、そこのその人たちが持っていた財産をどのように評価をしてあげるのか、このあたりが一つ大きな今後の課題になると思うのですけれども、これはやはり再生産をしていくという立場での補償的な意味合いを持たせてあげるのが必要だろうというふうに考えております。それができなければ、災害以前の実勢価格ぐらいは最低補償をしてあげる、それぐらいの価格設定をしていかないと、その人たちが再建していくためにも大変な状況になるのではないかな、こういうふうに思うわけです。そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
  60. 小島重喜

    ○小島政府委員 たしかそういうお話も、私どもも前々から伺っておるわけでありますけれども、御案内のとおり、今の法律の中で跡地を買い上げるというのは、やはり御承知のように税金で買い上げるということでございまして、基本的に地方公共団体が土地を買収する、そういう場合の土地の価格というのは、その買収の時点における適正な時価ということが基本原則でございますので、お気持ちは私どもも十分わかるわけでございますけれども、その点はなかなか現行のといいますか、今までの私ども土地の買収という点から申し上げますと困難ではなかろうかと思うわけでございます。
  61. 石井智

    ○石井(智)委員 今の答弁を聞いていると、やはりどうしようもない状態が今の法の範囲内だということになろうと思うのです。そこで、どうしてもそういう問題に突き当たるわけですから、やはり並行して特別立法を考える前提に立って議論をすれば、おのずと被災者の立場に立った議論ができるのではないかな、こういうような気がいたしております。そういう点で、ひとつ今後精力的に取り組んでいただきたいというふうに思うわけであります。  もうちまたではクリスマスの声が聞こえてきつつありまして、非常に年の瀬を楽しむムードが全国的に漂い、テレビではもうそういう明るいムード一色になろうと思うのです。そういう中で、被災者の皆さんはこの年の瀬をどんな思いで起さなければならぬかという立場でひとつ御議論をいただければというふうに思うわけでございます。どうぞ精力的な対応を、被災者の立場に立ってお考えいただきたいということを要望いたしておきます。  次に、総量規制の地価の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  バブル経済が地価の暴騰というのか、地価の操作によっていろいろな弊害をもたらしたわけでございます。その中で、地価の暴騰を何とか抑えようという形で総量規制がなされて、今日高いところから見ればやや下がりぎみという状況になってきております。こういう点で、これからの日本の経済の中に占める土地の騰貴による日本の経済の姿というものをやはり排除していかなければならぬ、そのためには地価の安定を図っていかなければならぬ、こういうふうに思うわけですけれども、この地価そのものがどこが適正な価格なのかというのが非常に難しいと思うのです。そういう点で、今地価が少し下がりかけたから、景気も後退ぎみだから、総量規制を外していろいろな角度から対策を緩めていこうという空気が非常に出てきております。  先般の閣議の後の新聞で報道をされておりました。近藤労働大臣は、今総量規制どころじゃない、さらにもっと引き締めていかなければならぬという言い方をされておりました。そのときに建設大臣は、やはりもう緩和せいという反論をされたやに報道がなされておりますけれども、今の地価の状態というのは本当に緩和していいのだろうか。まだまだもっと規制をして、もとの近い状態まで下げる必要がある。私は、今高い状態でとめておくという形でいいとは思っていないわけで、そのあたりの地価そのものが将来にわたって安定した状態をつくっていくためにはどうすればいいのか。これはやはり金融政策だけではなしに、国土政策に大いに期するところがあるわけですけれども、そういう点で地価の安定化、適正な地価の運用というものを、国土行政にも大きくかかわると思うのですけれども、当面の課題として、建設省建設大臣がそのことに対して、非常に規制を緩和して不動産業者の倒産を食いとめようという意味合いもひっくるめて御発言をなされたという報道がされておりましたので、真意のほどを伺いたいと思います。
  62. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  地価の安定は、生活大国づくりの上におきましても最も重要なポイントであると考えております。先生指摘のとおり、地価政策は、例えば総量規制のような金融政策もございますし、あるいは税制で地価対策を行うこともやっておりますし、あるいは先生のお使いになった表現をかりれば、国土政策によって地価の安定を図っていくべきである。総合的に各般の施策を講じまして、今後とも地価の安定を図ってまいりたいと考えているのでございます。  総量規制につきましては、昨年の四月に大蔵省銀行局長通達によって行ってまいったところでございますが、御案内のとおり、これはいわば臨時応急の措置でございまして、いつかは解除すべきものであります。そこで、地価の調査を見ますと、具体的なことは事務方から答弁させますが、かなり安定をしており、特に三大都市圏では地価が下がってきておるという実態もございます。そこで、この総量規制の問題につきましては、やはり不動産業界の経営の安定ということも必要でございますし、また宅地の供給を促進していくということも必要でございまして、もろもろの見地から検討すべきものと考えております。  そこで、国土庁長官がいらっしゃいますが、国土庁の方で直近の地価調査を行っていただいておりますので、近々その結果を出していただけるものと存じますが、その地価調査の結果も踏まえまして適切に対処すべきものと考えているということを閣議で申し上げました次第でございます。
  63. 石井智

    ○石井(智)委員 大蔵省の方は規制緩和の方向の動きが非常に活発になされておりまして、三重野総裁におしかりを受けているような報道になっていると思うのですけれども、大蔵省は国土庁の調査結果を見ずに、まだ見ていないわけですけれども、その中で何か緩和の方向を目指している、緩和のできる条件を、国土庁にその数値を出せという催促をしているように聞くわけですけれども、大蔵省のそのあたりの、国土庁にどんな数値を求めているのかお伺いをしたいと思いますし、また国土庁にも、近々発表されるんだろうと思いますが、その数値そのものが、国土庁の立場としてはどういう見解のもとにそれを活用されることを望んでみえるのか、このあたりをあわせて大蔵省と国土庁にお伺いしたいと思います。
  64. 福田誠

    ○福田説明員 お答え申し上げます。  ただいま建設大臣の御答弁ございましたが、私どもといたしまして総量規制を解除するか否か、現時点は全く白紙でございます。大蔵省といたしましては、現在国土庁で把握に努めておられます直近の地価動向の結果を一つの判断材料として注目しているところでございますが、あくまで総量規制の取り扱いそのものにつきましては、国土庁の調査結果に加えまして金融経済情勢あるいは金融機関の融資動向、さらに土地政策全般の推進状況などを総合的に勘案しながら、適切に対処してまいりたいということでございます。
  65. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 総量規制につきましては、ただいま大蔵省の方からも御答弁がございましたが、去る一月二十五日に政府として閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱の中でも、これはあくまでも臨時応急の措置でエンドレスに続けるものではないという前提で、当面続けるけれども、今後において総量規制を実施しない間にどういうことをやるか、いわゆるトリガーと言っているのでございますけれども、タイミングを逸することなく効果的に発動される仕組みというのを創設するということを考えておるところでございます。  私どもといたしましては、一月一日の地価公示それから七月一日の都道府県地価調査という六カ月のオフィシャルなものがあるわけでございますが、それでは短期の地価の動向あるいは実勢に裏づけられた地価の趨勢というものがなかなかつかみにくいということから、十月一日時点におきまして、民間の調査あるいは都道府県が国土法の運用としてやっておられます監視区域の詳細調査、それから各ブロック担当の不動産鑑定士意見、それから業界の実感ベース、どういう市況動向になっているかというものを現在逐次調査あるいはヒアリングを進めているところでございまして、これが出ますれば、私どもの判断として現時点において地価がどうなっているかというのを関係方面に十分伝えたい、かように考えているところでございます。
  66. 石井智

    ○石井(智)委員 総量規制の問題は、これからの土地の価格をどう誘導していくかという点で大きな影響を持つと思いますので、より慎重な対応をお願い申し上げたいと思います。  今景気は若干減速傾向という見方をされております。その中で、どうしてもその景気を維持し浮揚させようという動きが出るときというのは、公共投資に依存するところが過去の例からいっても非常に多いわけでございます。今日まで公共投資というのは大型投資、大型プロジェクトに集中をされていって景気浮揚策がとられてきたという、そのことの経済効果というのは実証済みであります。しかし、そのことが生んだこの東京一極集中という弊害もまたあわせ持つ一面、側面が負の財産としてあるのではないかというふうに考えております。そういう点で、今国土庁が主導をしておるように、日本の将来、やはり多極分散型国土を形成していく、そして地方にそれぞれ核の拠点をつくって分散をしていくんだ、この方向が正しいというふうに、またこれから日本挙げて目指していかなければならぬ、その方向には変わりないと思うわけです。  そういう点で、この景気浮揚策を通じてさらにそのことが大型に集中をしない、一極集中をまた加速させるようなことにならないように、地方分散にさせた公共投資というものを考えていく必要があるのではないか、そういうふうに私は考えるわけですけれども、経済効果からいけばそのことは否定をされる説明をされる人が多いわけですが、そのあたりは、本当に地方分散型では景気の浮揚策にはならないんでしょうか。私はそれを、何としても地方に経済活力を求めなければならぬという、地方に活力を持たせていくためにもその方向をとらなければならぬと思うわけですけれども、そういう点でこれからの公共投資、特にこの景気刺激策としてとられる公共投資の行方というのか、そういう点で地方への方向性を持たせていくというお気持ちがあるかないか、ひとつお伺いしたいと思うのです。
  67. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 必ずしも公共投資は景気刺激策として行われるわけではございませんが、必要なときには公共事業の出番ということもあろうかと思います。  いずれにいたしましても、国土の均衡ある発展を図っていくことは先生指摘のとおり非常に重要な見地でございまして、地方分散政策が必ずしもうまくいっているとは私は認識いたしておりませんで、今後の公共投資が地方の発展につながりますように十分考えてまいりたいと思います。
  68. 石井智

    ○石井(智)委員 ひとつその方向で御努力をいただきたいと思います。  あと一点、時間をオーバーしましたけれどもお許しをいただいて、公共下水道の問題ですけれども、今全国的に公共下水道を普及をさせよう、こういう形で大きく取り組んでいただいております。その中で、とりわけ閉鎖性の小さな湾あたりで、どうしても今の一般基準の範囲を超えて高度処理をしたいというところがたくさんあるはずであります。例えば三重県の阿児町という、真珠の養殖をしている英虞湾ですけれども、ここにはリゾートの関係もありましていろいろな施設が大分来ております。そこは町で条例をつくって、五%に規制をしてそれぞれの事業所に施設を設置させて実行しておるわけですが、町自体の公共下水道をしようということになると、その条例に合わせて公共下水道も五%にしなきゃならぬ。そういう高度処理の対応をしていきたいというふうに思っておりますけれども、なかなかその道はあるようなんですけれども、高度処理をしていただくには補助対象の幅が非常に狭い。けもの道ぐらいで人が通るにはまだ通れないんだというぐらいの狭さみたいな話になっておりまして、町自体が相当苦労をしておりますので、ひとつそのあたりの道を大いに広げていただくという方向で、これから閉鎖性の湾をきれいにしていくという立場での御努力お願いいたしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
  69. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘ございました英虞湾も一つの代表でございますが、いわゆる閉鎖性の海域あるいは湖や沼、水源河川等は、私ども水質保全を図る必要性の高い水域と考えておりまして、そういったところを中心といたしまして三次処理を行う必要があると考えまして、施設の建設費に対しましては国庫補助をしておるところでございます。ちなみに平成三年三月末現在では、多摩川、琵琶湖、霞ケ浦湖北等を含めまして、二十三処理場におきまして二百三十万人の三次処理を行っているところでございます。引き続き本年から第七次下水道整備五カ年計画が始まりましたが、その最終年度にはさらに五百二十万人の三次処理施設の整備を図ってまいりたいと思っているわけでございます。  そういった中で、ただいま御指摘がございました阿児町につきましては、現在、平成二年度から特定環境保全公共下水道事業に町で着手してございまして、まずその早期供用を目指して私どもも鋭意協力しておるところでございます。三次処理につきましても、現在三重県におきまして、英虞湾流域別下水道整備総合計画におきまして三次処理を検討しておるところでございます。建設省といたしましても、ただいまの御指摘も踏まえまして、あの風光明媚な阿児町の海域を守るということは極めて重要であるという観点から、ぜひ前向きに取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  70. 石井智

    ○石井(智)委員 委員長、どうもありがとうございました。  終わります。
  71. 古賀誠

    古賀委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  72. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本龍君。
  73. 松本龍

    松本(龍)委員 まず冒頭、両大臣、地元福岡また隣の熊本ということで心強く思いますし、またお喜びを申し上げたいと思います。また、古賀委員長もきょうは御苦労さまです。  ことしはもう十二月に入りまして、一年を振り返るにはまだ早いわけでありますけれども建設省所管におきまして印象に残るといいますと、やはり大きな事故が、三月の広島における橋げたの落下事故を初めとして非常に続出をいたしました。その後、クレーンの横転の事故あるいは草加市での土砂崩れ、さらに松戸市でのトンネル事故等、亡くなられた方々に対して心から今哀悼の誠をささげるわけであります。  さて、十二月の二日に、広島の事故に関しまして労働省が特別調査団最終報告を出されました。最終報告については私も新聞で拝見をしまして承知をいたしておりますけれども、この事故につきまして建設省としての見解あるいは教訓をまずお尋ねをしたいと思います。
  74. 市川一朗

    ○市川政府委員 平成三年三月十四日に発生いたしました広島新交通システムのけた架設工事中の事故につきましては、多数の死傷者を出したわけでございまして、改めてまことに遺憾な事故であったと痛感しておるところでございます。建設省といたしましても、事故直後に事故の状況把握それから原因の究明のため、担当官を直ちに現地に派遣いたしました。それから、広島市が設置いたしました広島新交通システム事故対策技術委員会にも委員として参加させまして、この委員会におきまして八カ月余りにわたり事故原因の究明に努め、十二月三日にその報告が行われたところでございます。  報告によりますと、今回の事故原因はジャッキの置き方等についての施工上のミスが主因であるということが判明いたしました。私どもといたしましては、今後二度とかかる事故が発生しないようにするためには、詳細な施工計画書の作成、それから安全な施工管理体制の充実などが極めて重要であると認識しておりまして、さらなる安全対策に取り組んでまいる所存でございます。
  75. 松本龍

    松本(龍)委員 直接の事故原因は、最終報告にあるようにジャッキの設置ミス等と言われておりますけれども、私先般の四月の建設委員会で質問しました折には、政府の方からは、あるいは熟練工が不足をしているような問題もあるのではないか、熟練工の皆様方が高齢化している、工事を取り巻く状況も著しく変化をしている、あるいは発注者におきます工期の設定あるいは積算が適当であるかどうか等々、調査に臨んでそういうことを言われておりますので、私は建設省としてのこの事故に学ぶ教訓あるいは見解をお聞きをしたい、独自の見解をお述べをいただきたいと思います。
  76. 豊田高司

    ○豊田説明員 建設省では、かねてから建設工事の安全確保につきまして土木工事安全施工技術指針、こういうものと、それから市街地土木工事公衆災害防止要綱、そのほかいろいろ定めておるわけでございまして、これら定められました指針、要綱の徹底を図ってきたところでございますが、御指摘のように、最近重大な事故が発生しておるということはまことに遺憾と認識しております。建設工事の安全対策を図るためには、現在の建設事業を取り巻く状況、特に作業員の不足とか高齢化、熟練工の不足とかあるいは施工形態の変化など、そういったものへの対応が大変重要だと認識しておるところでございます。  そこで、建設省では総合的な対策を推進するために、建設技術開発会議の中に安全施工専門部会というのを設置して、六月と十二月に既に二回専門部会を開いて、種々の角度から検討しておりますし、また、建設産業におきます総合的な安全確保に関する研究会、これは学識経験者、請負の方、専門業者の方、各方面から成る研究会でございますが、これを設置いたしまして、既に十一月にはその研究会で各種の議論をしておるところでございます。  これらの検討会の中では、まず第一といたしまして、例えば工事発注に際しましては施工条件の明示を徹底する、それから適正な安全対策費用を見込むというようなことを考えて発注を適正に行うということが第一点である。  それから第二点目には、施工業者、建設業者の施工管理体制の充実が大事である。これは、例えばどういう専門業者が入っているかというような施工体制台帳の整備というものも大事だ、その中にはどういう労務者が働いておるかということを含めまして、施工体制台帳の整備が必要だというようなことを考えております。  それから三番目には、技術基準等の整備、それから新しい技術開発、普及といったことが大事である。これは、例えば先ほど申し上げました土木工事安全施工技術指針だとか市街地土木工事公衆災害防止要綱をもう一度全面的に改定をするというようなこと、それから安全な施工技術を現場へ積極的に取り入れるという、こういった技術開発だとか普及だとかいうことが大事だと考えております。  そのほか、事故防止のための体制の強化、こういうことが大事でありまして、この四項目につきまして現在鋭意検討を進めているところでございまして、できるだけ早く結論を得て、実施できるものから実施してまいりたい、このように考えているところでございます。
  77. 松本龍

    松本(龍)委員 広島の件についてはここでとどめますけれども、九月の十九日、松戸市におきましてトンネルの事故が起きました。若い、本当にこれからを嘱望された建築労働者を初めとして、七人の方々が亡くなられたわけですけれども、この松戸の事故ももう二カ月半ぐらいたつわけですけれども、その後の経過を今おわかりの点で結構ですから、御報告を願いたいと思います。
  78. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 九月十九日、台風十八号による出水によりまして、松戸市で国分川から江戸川へ分水するための工事として、二千五百五十五メーターのトンネルの上流から千六百メーターまで掘り進んだ段階で、折からの出水でこのトンネル内におられました七名の方が水没のため亡くなられたわけでございまして、私どもも、人命財産を守る治水事業の中でこのような事故が発生したことはまことに遺憾に存じますし、また、亡くなられた方には衷心より御冥福を祈る次第でございます。  今回のトンネルの坑口における締め切り工の破壊の現象につきましては、まず技術的な解明の観点から、九月二十二日、高橋彌千葉工業大学教授を委員長とします学識経験者建設省土木研究所の専門家から成る国分川分水路事故技術調査委員会を設けまして、早速同日に現地調査を行いました。さらに、トンネル内に水が長期間湛水しておりましたが、十一月九日に第二回の現地調査を行ったところでございます。また、十月五日と十一月二十六日に委員会を開催いたしまして、事故当時の水理関係につきまして検討をしているところでございまして、これらの検討を徹底的にやっていただくことによって技術的な原因の解明を待っておるところでございます。また一方で、本件事故の詳細について千葉県警及び千葉労働基準局においても現在調査中でございますので、これらの調査結果も待って原因解明を行うことを期待しているところでございます。
  79. 松本龍

    松本(龍)委員 今お話をお伺いしましたけれども、先般の委員会で上野委員も御指摘をされたと思うのですけれども、バルクベッドというのがございます。つまり、国分川と事故が起きました中間立て塊との間に、いわゆるトンネルを掘削をしない自然の防護壁としてそこを残す状況があったわけですけれども、それが三月か四月に取り除かれたという話を私は現場の方から聞きましたし、また、ここに数度にわたって浸水あるいは冠水をしたという話も聞いたわけですけれども、その辺の事実関係調査をなされてどういうふうにとらえられているか、御報告を願いたいと思います。
  80. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 国分川は松戸市の非常に水害常襲地帯でございまして、下流に市川市がございますので、また、延々改修をすることは時間的にも効果の点でも大変問題があるということから、このトンネル工事計画した次第でございます。したがいまして、早期にトンネル開通ということを念頭に置いて進めてきたわけでございまして、おっしゃいますように、トンネルのみ口部にバルクベッドと言われる掘り残しの部分を残したままトンネルを掘進しておったわけでございますが、早期完成の観点からはそののみ口部に将来的には水門を建設する必要があり、平成二年度よりこの水門工事に着手した次第でございます。  水門工事に着手いたしますと、トンネル内の掘り残された区間の取り除きのために重機作業の機械を入れなければならないというような工程上の関係もございまして、おっしゃるとおり本年早い段階でこのバルクベッドと言われみものを取り除いたわけでございますが、その対応としまして、のみ口部には流入防止工を設置したものでございます。今回の災害では、この流入防止工が破壊した結果トンネル内に水が流入したということで、こんな悲惨な事故につながったわけでございます。  私どもとしては、早期完成の観点から、上流中流、下流の三工区に分けてそれぞれ着手し、また一方で、水門工事も早く着手することによって全体の工事を早めようとする計画のもとに実施していたわけでございますが、結果的にこのような災害が起こったことは大変我々も遺憾に存ずる次第でございまして、私どもこの災害が起こった直後に、まず事故再発防止するために全国の地方建設局、都道府県を通じまして施工業者に指導するなどして、施工中または準備中の仮設の締め切り工を点検し、現場作業員並びに公衆の一層の安全の確保が図られるように、緊急に仮設締め切り工に関する点検を指示した次第でございます。また、技術調査委員会においても、この調査の過程におきましてその原因が明らかになり次第、その教訓を安全対策に生かすように、各関係機関に指示してまいりたいと考えております。
  81. 松本龍

    松本(龍)委員 それでは、今局長の見解は、バルクベッドを取り除いたのは不適切であるという見解なのでしょうか。私は、もうこれがあったれば、残されていたならば、あの事故は本当に未然に妨げたのにということを、返す返すも残念でならないわけであります。  建設省の河川局開発課が監修をしています「ダム施工の手引」という本の中に、仮排水トンネルの掘削工事は、「工事期間中の出水に対処するため、下流吐口より片押しで施工するのが普通である。」「工程上からやむをえず出水期に行う場合にはこ今言われたように「呑口部における掘削の一部を残して貫通させずにコンクリートの巻立を実施するのが普通である。」というふうに書いてあります。つまり、下流からやるのが普通であり、またバルクベッドを残すのが普通であるというふうに、建設省の監修をされている本に書かれてある。それでも適切であったかどうかの判断をされませんか、お答えを願いたいと思います。
  82. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 ダム工事におきましては、私ども先生がおっしゃいましたような工法、工程で進めておるのが通常でございます。この地点におきましては、非常に水害が頻発しているということで、わざわざこのトンネルを三工区に分けて一斉に着手したということ、また、水門を早期に実施したいということもあって、結果的にこういう水害事故につながったということは、まことに私ども遺憾だと存じます。  ただ、この水害が起こる以前におきまして、頻発する水害に対応しようということで、あらゆる努力をする過程においてこのような施工計画をとったということ、災害以前において責めるということはいかがかと思いますが、結果的にこうなったということについては、私ども今後の施工計画、例えば浸水事故が二年や三年多少頻発してもやむを得ない、しかしそういう意味では人命を守る点で、施工計画は例えば片押しでやっていくとかいうことも、私ども今後の事業実施の上の大きな教訓にさせていただきたいと存じます。  ただ、若干釈明させていただきますと、ダムのように数メートルに大変な水圧が一挙にかかるおそれが常時あるようなところと、ある意味では平地の河川においてそこの技術判断の上に差異があり、結果的にそういう施工計画をとったということも一応はうなずけるものでございますが、私どもこういう災害が起こったことを教訓に、とにかく死亡事故を起こさないという観点に立って、なお一層気持ちを引き締めて今後も対応していきたいと考えております。
  83. 松本龍

    松本(龍)委員 今言われたのは、一番危険な箇所、最も人命を守るべき重要な箇所が非常にないがしろにされていたというのが、私、現地に参りまして思ったわけであります。  先般の小岩井議員の質問の中で局長が答えられましたのは、「流入防止工というのは最終的な施工物ではございません」というふうにお答えになっておられます。確かに私はそうかとも思いますけれども、仮設のものであるならば、その仮設のものが実はトンネルで働いていた人たちを守る一番の防御であった。そうしたら、これは仮設で済むのかというところを私は非常に今思うわけです。そういう意味で、今こちら側は流入防止工をつくったんだ、それは仮設なんだから恒久的なものではない。「手戻りを防止しつつ、あるいは手戻りは若干やむを得ないとしても、そのかわり避難という形によって経済的に、あるいは一般の付近住民の方に迷惑をかけないように」というふうに言われていますけれども、そういう意味でこの事故は総合的な安全システムが確立されていなかった。つまり工区が細切れであったり、施工業者が横の連携がとれなかった。そして、そういう意味では総合的な安全システムが確立されていない、あるいは最も危険を予知しなければならない危険な状況に置かれている人たちの避難の計画なりがまさに行われていなかったということがあると思います。  そういう意味で、私は、これからの建設業における安全のシステムは、それだけをやはり研究をする機関が必要ではないか。いわゆる直接的な原因の究明は、あるいは労働省でされたりさまざまな機関でされると思いますけれども、総合的な安全管理のシステムというのはまさにそういう場ではできない。トータルなリスクファクターをつまみ出して洗い直すという作業をこれからやはり建設省でも鋭意行っていただきたいというふうに、強く今要望いたしておきたいと思います。  さらに、大臣にお尋ねいたしますけれども、今申し上げましたとおり、こういう事故が多発をいたしております。大臣は以前から、大臣になられる前から、日本はインフラストラクチャーの整備が大変おくれている、喫緊の課題であるというふうに言われておりました。私もその言葉を聞いておりますし、今心強く思っているわけでありますけれども、これから公共投資四百三十兆円ある中で、いわゆる労働力が不足している、熟練工が不足している。若い人たちが建設業離れをしているという状況がございます。そういう中で、これから二度とこういう事故を起こさないんだという決意、あるいはそういうことを起こさないためにどういうことをやったらいいかという所見をお聞きをしたいと思います。
  84. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  ただいま広島、松戸両市で起きました事件を具体例とされまして、非常に専門的なお立場で御質問がございました。傾聴していた次第でございます。  ただいま松本委員が言われましたとおり、インフラストラクチャーの整備は我が国の今後の国土建設上どうしても取り進めてまいらなければならないのでございますが、それは国民の幸せのために進めていくわけでございまして、それにもかかわりませず人命が失われる等の痛ましい事故が起こるということは、まことに遺憾なことであると思います。我が国は、そもそも自然災害の起きやすい、あるいは工事災害の起きやすい国土条件を持っていると存じますので、施工環境の変化等に、これを速やかにキャッチ、対応するという体制が必要であると存じております。いずれにいたしましても、安全な施工管理を行いますために最善を尽くしてまいりますことをお約束いたしたいと存じます。
  85. 松本龍

    松本(龍)委員 ありがとうございます。  それでは、雲仙・普賢岳のことについてお尋ねをしたいと思います。  六月三日の大規模火砕流、四十数名の方が死亡され、あるいは行方不明になられておられるあの大きな痛ましい出来事から、きのうでもうちょうど半年になりました。早くから避難をされている方は、もう半年以上の厳しい避難所での生活を続けておられると思います。私も九月に現地に行ってまいりましたけれども、やはり見ると聞くとでは全然違う。大きな火砕流も目の当たりにしたわけですけれども、これは本当に厳しい状況に島原あるいは深江町があるなということを痛感いたしました。  そして、まず御報告を申し上げたいのは、やはり島原の方たちの不満は、大臣視察あるいは総理の視察、閣僚、国会議員の視察の中で、いわゆる特別立法をにおわせるような、特別な配慮をにおわせるような発言が相次いだ、そして希望を持ってこれから何とかなるんじゃないかというふうなことを期待をしていたけれども、なかなかそれが実行されなかったということが、島原の人たちから非常に大きな声で聞かれました。私は、このことはまず御報告を申し上げたいと思いますけれども、やはりこういう発言をされたということは、善意に解釈をいたしますと、まさに目の当たりにするとかなり厳しい状況があるというふうに皆さんが思われた、そしてそういう発言をされたというふうに私は理解をいたしています。  さらに、警戒区域に指定をするということなんですけれども、この警戒区域に指定をするのには非常な決断が要る。まさにせめぎ合いといいますか、生活を奪われ、あるいは土地を奪われ、農地を奪われ、すべてのものを残していかなければならない。そういったときに、市町村でも大変な決断が要るだろうし、住民も厳しい決断が要る。いわゆる災害対策基本法の警戒区域の指定なわけですけれども、命にかかわる問題であるというのは十分わかります。そういう意味で、島原のことを教訓として警戒区域を今後なかなか発令できないような状況が起きるんじゃないか。いわゆる損害補償というものが現行法ではなされないということもありまして、そのせめぎ合いで、目の当たりにいわゆる災難が来ないと警戒区域を指定しない、それがおくれるようなことがありはしないかということを私は今考えているわけであります。  そういった中で、いわゆるその警戒区域を指定するというシステム、そして住民皆さんも言われていますけれども、法によって損害を受けたんだから法によって補償してほしいということも、私は一理はあると思います。そういう意味で、そういうせめぎ合いのところでこれからの災害対策基本法のあり方あるいは警戒区域指定のあり方等に関して何らかの協議をされるべきではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、そういうところが今行われているのか。  そして、長官にお尋ねをいたしますけれども、今の二十一分野九十項目あるいは三百億の基金で事足れりとするのか。それ以上のことを今考えている――先ほど基金のお話もありましたけれども、ふやすという意向で今当たられているというふうなことを私は聞いたわけでありますけれども、その辺の決意をもう一度お聞きをしたいと思います。
  86. 東家嘉幸

    東家国務大臣 雲仙岳噴火災害については、政府におきましては二十一分野九十項目にわたる措置を今日まで救済対策としてとり行ってきたところでございます。国及び市町とも、今次災害に関し予測し得る必要な対策は講じられてきたものと私は思っております。引き続き国、県及び市町村の連携のもとに、これらの救済対策についてはできるだけ万全を期するように努めていきたいと思っております。また、火山活動が長期化する中で、避難されている方々等の御苦労は数多いと思うが、これらの救済対策を大いに活用して生活の再建と安定を図っていただきたいということでございます。  しかしながら、今後の火山活動の鎮静化に備え、長崎県が主体となって、国や地元市町と十分連携しながら将来の防災づくりも行っていかねばならない。なおまた、地域振興と活性化に取り組んでいくことも肝要であろうと思っております。政府においては、既に県を指導し、調査検討を進めているところでございます。  なおまた、最後にお尋ねの基金のことにつきましては、現地でも知事さん初め関係者の皆さん方と協議いたしました折に、今後なおまた一層長期化する中で、必要とするときはぜひ上積みをしてほしいというような要望がございましたので、私はその席で、今ここで御返事するわけにはいきませんけれども、帰京いたしましたならば早速自治大臣に私は御要請、お願いをしたいと思っておりますということで、帰京後、大臣に二度にわたりましてお会いし、お願いをしましたところ、大変理解を示すような答えがございましたので、私は将来にわたって必要なことと思われるときは、そのような措置で対処したいというふうに考えております。
  87. 松本龍

    松本(龍)委員 時間が参りましたけれども、鈴木委員の御理解をいただきまして、最後に少し質問をさせていただきたいと思います。  長官におかれましては、熊本から普賢岳はごらんになれると思います。そして、観測所の太田所長さんも、これは終息はしていない、ますます活性化しているというふうな話もありました。十分この辺のことを御勘案いただきまして頑張っていただきたいと思います。  最後に、建設大臣にお尋ねをいたします。  一九六五年に同和対策審議会答申が出まして、六九年より特別措置法が施行され、今日まで鋭意努力をされてこられたことに私は敬意を表したいと思います。ハード面は一定の進展が図られました。確かに住宅もよくなってまいりましたけれども、今なお住宅の密集地あるいは少数の点在した地域や、そしてソフト面におきましては差別事象が後を絶たないような状況があります。そして、今日もなお厳しい状況があります。そして、先般十一月二十三日に亡くなりました私の同僚須永徹議員とも、未実施の地区に視察をしてまいりました。彼の、まさに不正義を許さない熱血漢と一緒に回ったわけですけれども、亡くなって返す返すも残念でありますけれども、そういったことも今思い出しているところであります。  先般、総務庁でもこれから三千八百八十八億の平成四年度以降の事業が残っている、建設省でも二千四百六十億という数字を挙げられております。まさに牽引者である建設省が、これからどういう立場で部落問題、いわゆる同和問題に対して取り組まれていかれるのか。さらに、七月の三十一日、前の大塚建設大臣は奈良の部落を視察されました。あわせて視察の意向、私は願うわけですけれども、そこのところも決意とともにお尋ねをしたいと思います。
  88. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  同和問題は、憲法に保障されました基本的人権に係る重要な問題であるという認識のもとに、建設省といたしましては、地域の環境を改善することはその解決を図る上で極めて重要であると考えまして、従来から住環境の整備等を積極的に推進してまいったところでございます。  現行の地対財特法が失効する平成四年度以降の方策につきましては、現在、地域改善対策協議会におきまして審議されているところでございます。その意見も踏まえまして、具体的に検討してまいりたいと存じます。今後とも、本問題の重要性にかんがみまして、地方公共団体と一体となって一日も早い解決のために最善の努力をしてまいりたいと存じます。  なお、現地視察につきましては、御指摘の趣旨も踏まえまして検討してまいります。
  89. 松本龍

    松本(龍)委員 どうもありがとうございました。
  90. 古賀誠

  91. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 まず初めに、東京の中の大きな高速道路の問題なんですけれども、中央環状新宿線、もう前々からいろいろと伺っているところでありますけれども、その工事計画が今どのようになっているか、計画の進捗状況、それから用地や路外換気塔の処置などについてもどのような計画になっているか、それをお知らせいただきたいと思います。
  92. 佐藤本次郎

    佐藤参考人 ただいま御指摘の中央環状新宿線、これは目黒区青葉台から豊島区の南長崎に至る約九キロメーターの区間でございますけれども、この区間につきましては、平成三年の三月十一日に都市計画事業の承認を受けまして、四月二十六日より五月十五日まで、環状六号線の道路拡幅事業もあわせまして、目黒、渋谷、中野、新宿、豊島の関係各区におきまして事業説明会を開催いたしました。その際、約千九百名の地権者等の方が出席されました。また、この環状六号線の拡幅化につきましては、その後、六月二十五日より八月二十七日まで、用地補償対象者約千五百五十名の出席を得まして、延べ三十四回説明会を開催させていただきました。  引き続きまして、現地の平面測量や地質調査を進めているところでございます。平面測量につきましては、現在、環状六号線沿いは約八割程度完了いたしました。また、民有地の地下を通る区間がございます。これは目黒区の駒場、大橋地区でございますけれども、その区間につきましては約二割程度の進捗でございまして、私どもといたしましては、今年度中に完了いたしたいと思っているところでございます。なお、用地交渉につきましても逐次進めているところでございます。また、もう一つ、都営地下鉄十二号線と併設されている区間がございます。ここにつきましては、ちょうど駅が三駅ほどございますが、その三駅の駅舎部分につきましては、東京都交通局に委託いたしまして、これは先ほど申し上げましたような作業を進めているところでございます。  現在の進捗状況は、以上でございます。
  93. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 この中央環状新宿線というのは、ただ道路を拡幅するばかりでなく、その地下にも同じような幅で自動車の道路が通るという計画になっているわけですけれども、この地下道路についての脱硝装置、自動車の排ガスからNOxを除くという装置について、いろいろ研究その他実験等が建設省でも積極的にされているというふうに伺っていますけれども、どの程度具体的な段取りになっているのか、お知らせいただきたいと思います。
  94. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先生指摘の低濃度脱硝技術については、昨年の八月、中央環状新宿線の都市計画決定の際に、環境庁長官の意見において、技術的可能性についての調査研究を進め、その成果を踏まえて換気塔における脱硝装置等汚染物質の除去装置の導入を図るよう最善を尽くす旨の御意見がございました。その際、環境庁等々の御研究の中で、低濃度脱硝技術の実用化には、実道路換気ガスに対する性能の確認が必要である、あるいは耐久性の確認が必要である、装置の小型化の努力が必要である、省エネルギー化も必要であるというような御指摘をいただいております。そこで、私ども建設省といたしまして、実際のトンネル換気ガスを用いまして性能、安全性、耐久性等の検討を行うために、この平成三年度より当面二カ年程度首都高速道路湾岸線東京港トンネルの大井、十三号地両換気所におきまして実験を行うことといたしました。  現在、首都高公団では、その実験に必要な換気所の改造等工事を今鋭意進めております。三千万円以上のお金をかけてこの工事を今進めております。また、それに加えでいろいろな実験装置を入れるわけでございますが、実験参加各社においても、入れる際の実験装置の設計とか製作、事前テスト、こういったものを今現在進めております。これらが現在、年度内には全部実験装置を現地に搬入いたしまして、逐次現地での実験が開始される予定でございますけれども、こういう場合にやはりむだのない開発計画、しかもスピードの上がった開発計画をする必要から、昨年設置させていただきました学識経験者から成る委員会において、実験結果の評価、小型化、省エネルギー化等、こういったものについて御検討いただくような体制を、私ども建設省及び首都高公団及び阪神道路公団にも御参加いただきまして、一緒になって同時にその成果がお互いの事業に生かせるように今進めている最中でございます。
  95. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。この問題については、ずっと私もかかわりながら質問させていただいていた経緯もありますので、ぜひともこの中央環状新宿線の中にそれが取りつけられて、住民に対する大気汚染等々の影響のないような形をとっていただきたいと心から思うので、迅速な実験ということに私は非常に関心があるわけです。  今の見通しとしまして、この中央環状新宿線の中に、実験ではなく本物の装置が実用化されてつくということの見通しはあるのでしょうか。
  96. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 御承知のように、新宿線の環境対策、この環境影響評価書で示された対策でいろいろなものがございます。そういうものは全部やるつもりでございますし、この脱硝装置、これは今現在実用化されておりません。ですから、これは実用化されない限り取り入れられるわけにいきませんが、実はこの研究をかなり余裕を持って、数年といいますか、私ども今考えているスケジュールから見ると数年の余裕を持って始めております。したがって、これは技術の問題ですから。私がここで保証するわけにまいりませんけれども、余裕を持って進めておりますので、可能ならば、また可能な限りといいましょうか、そういうものを必要に応じて取り入れられる、そういう考え方を持っております。ただ、何はともあれ私が研究するわけじゃございませんので、努力は最善にやらせていただきます。
  97. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 局長がされるわけじゃないのはよくわかっておりますけれども、鋭意この点について、実験的にでもその中に取り入れるということで早くやってもらいたいというふうに思います。やはりそこに、都心に人が住んで住み続ける、大気をきれいな空気にしてほしいという、そういった住民の願いをぜひともかなえていただきたい、さすが建設省だと思われるような形でやっていただきたいというふうに思います。  では次に、不動産コンサルタント制度というのについて伺っていきたいと思います。  平成三年の四月に「不動産コンサルタント制度研究会報告」というものが出されております。これに基づいてそのコンサルタント制度大臣告示創設するというふうに言われているのですけれども、趣旨等についてはこの研究会報告の中にもるる書かれておりますので、余りたくさんは要りません。時間がありませんので、簡単にその趣旨だけでもまず聞かせてもらいたいと思います。
  98. 伴襄

    伴政府委員 不動産コンサルタント制度でございますが、近年不動産業の仲介業務等におきましても、土地有効利用をしてほしいというようなことで土地所有者等から、顧客から各種の相談を受けます。事業所をどうしたらいいかとか、土地利用をどうするかとか、あるいは資金計画をどうするかとか、テナント募集はどうしようかといったような相談があるわけでございますが、そういったものに対して、いわゆる不動産のコンサルティング業務をする必要が高まってきておりますので、それにこたえるような人材を養成したいというようなことでこういう制度を考えておるわけでございます。現在検討中でございます。御指摘のとおり、不動産コンサルタント制度研究会、ことしの四月に結論を出しておりますので、それを受けまして現在検討しております。現在検討中の仕組みは、特定の公益法人が不動産コンサルティング技能の審査のための試験事業を行う、そういう試験事業を行うことを建設大臣告示で認定しようというものでございます。こういった大臣告示に基づく技能認定資格制度というのはほかの省でもございますけれども人材育成の一環としてやりたいというふうに考えておるものでございます。
  99. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 ほかの省でもあるのかどうかよくわかりませんけれども、ここのところでビル経営管理士制度、それからもう一つが再開発プランナーの制度、こういったものもぽんぼんと、これも同様な趣旨だと思います。再開発にこれこれ必要だ、こういうニーズがあるからということだろうと思います。また、ビル経営についても同じだと思うのですが、ビル経営管理士、こういったものは、これがわからなかったのは私の方の手落ちかもしれませんけれども、もう告示されちゃっているという段階で、今わかっているわけです。不動産コンサルタントについては、幸いなことにまだ告示されていないわけでございますけれども、この制度というのは、まずなさりたいと思っていることの内容が、登記を含むところの司法書士の分野の問題、それから税金で税理士分野、それからまた行政書士の分野、そして不動産鑑定士やら土地家屋調査士、そして弁護士、士という名がついて法務畑の分野に非常にかかわりのあるといいますか、同様に重なり合う部分の多い、そういったコンサルタント業務だと思うのです。  こういったところについて、この研究会のメンバーというのを見てみますと、出ているのがずっと大手の不動産業者のだれそれさんが並んでいます。三菱地所、三井不動産、長谷工コーポレーション、それから三井不動産、東急リバブル、そして住友信託銀行開発不動産部、野村不動産、ほとんど不動産業でございます。あとは建設省の方々、それにある程度不動産流通近代化センター、要するに不動産業だけでこれをやってしまって、今申し上げましたような、もっとあるかもしれませんが、こういった法務の関係が大いにあると思うのですが、そういうところの人たちと何の相談もなくでき上がったこの報告に基づいてこういうものがもしできたとしますと、非常に大きなあつれきがあちこちで起こってくるのじゃないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  100. 伴襄

    伴政府委員 そのメンバーは学識経験者等も入ってやっておりますが、実は、この制度をどうしてもつくりたいという要望は、むしろ中小の宅地建物取引業の方に非常に強い要望がございました。と申しますのは、今四十四万人の宅地建物取引業主任者がおりますけれども、やはりその上のランクの何かもう一つ、いろいろ勉強してレベルアップをするという目標を設けたいというようなことで、かねてから例えば全宅連等の団体についても、自発的なそういう資格制度みたいなものを実施に移して、それで最終的にはこういう形に持っていきたいという強い要望があるところでございます。  御指摘のとおり、いろいろ御相談に応じるわけでありますので、確かにこの不動産コンサルティング業務に必要な知識としては、土地利用とか建築規制とかいうような問題だけではなく、一般的な金融とか税務とかあるいは法律とか建築技術とか、そういった分野知識も必要なわけでございます。御指摘のとおりでございますが、これら関連分野では、法律上には税理士とか弁護士とか不動産鑑定士等専門資格士がいらっしゃるわけでありますけれども、それはそれぞれの法律でもってその方しか行えない業務というのがございますので、この不動産コンサルタントについては、そういう士の方しか行えないようなもの、それについてはやらないということを前提にしたいと思っておりまして、例えば先ほどの大臣告示におきましても、資格士専門分野に関する業務は行わないという旨をはっきり明示したいというふうに考えているわけでございます。
  101. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 これは資格の部分の中を、領分を侵さないとか侵すという問題ではないと思うのです。その周辺の部分というのは、相談業務というのが一番大きいわけでしょう。ここの不動産コンサルティングというのだって、その中ではどういうふうな不動産を買ったらいいのか、土地有効利用をしたらいいのか、いろいろと相談に乗る。そのときに、こういう形でもって節税ができますよとかそういうことを相談しながら、どういう物件を買ったらいいでしょうかということをやるわけですよね。その分野になってくれば、これはまた節税の部分であれば税理士相談業務と重なるわけです。そこのところで、そんな截然と分けることができないことは明らかだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  102. 伴襄

    伴政府委員 それぞれの特に資格士の方の場合には法律がございまして、その法律の中でこういうものが職域ですよ、これは専管的にやりますよということを書いてあるわけでございます。それが先取りになっておりますので、それは侵さない、それはやらない。もしそういうことをやれば、当然それぞれの士法で法令違反ということで取り締まれるかもしれませんし、それから私どもの方も、もしそういうことがあればその登録を取り消すというようなことをやってもいいかなと思っておりまして、その辺はきちんと仕分けてきるものだと思っております。  ただ、コンサルティング業務をやるときに、税のことを全く知らないというわけにはいかないと思いますし、法律知識がないというわけにもいかないと思いますので、その辺は、それぞれ明文で除かれていることについてはやらないということをはっきりさせたいと思っております。
  103. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 そんなことを私は聞いているのじゃないのですよね。今言っているのは、侵す部分が侵されたら、それはいろいろ弁護士だったら非弁活動になるでしょうし、税理士違反になるでしょう。そんなことは当たり前のことですよ、だれがやったって、コンサルタントがやろうがやるまいが。  そういうことを私は今聞いているのじゃなくて、ここで今言っているのは、お互いにいろいろとその分野ということでない相談業務みたいな部分で触れ合ってしまう部分があるでしょう、そこが大変じゃないか。結局は、それをしかも法律ということを通さずに、ここで全く国会の審議ということを通さずに大臣告示という形でやられた場合に、結局はその関連業務との調整ということは本来不可能だから、今のような御答弁しか出てこないのだと思うのですよ。調整ができないからその部分について告示ですり抜けよう、そういうふうに考えているのじゃないかということを私は聞いているわけです。この問題は、要するにそれだけの問題にとどまる問題ではないと思います。  もう一つは、資格というものについて、先ほどおっしゃったのは宅建という一つ資格がある、それよりもう少し程度が高いというような形でおっしゃいますと、それではそれは、ほかの弁護士でありますとか税理士でありますとか、そういった資格のレベルということとの中間点にあるのですか、それとも同じようなレベルということを考えておられるのですか。
  104. 伴襄

    伴政府委員 くどいようですが、例えば税理士法でどういうものが税理士業務になるかということが書いてあるわけです。例えば税務相談というような問題がありますけれども税務相談の場合も、これは御案内と思いますけれども税務相談はどういうものが税理士専管がということを書いてあるくだりを見ますと、それは申告書等の作成に関してその計算についての事務について相談に応ずると書いてあるわけです。だから、いろいろな土地税制とかなんか一般的なことを聞かれたときにそれに答えるというのは、この税理士法上禁じているものではないというふうに考えておりまして、それぞれの士法でこれは絶対やっちゃいかぬといったようなところについてはやるつもりはないということでございます。
  105. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 だから、絶対やっちゃいかぬということをやるなとか言っている話じゃないのだとさっきから申し上げているわけです。そうでない部分で、そこで抵触するだろうということをさっきから申し上げているのです。  今ここで程度については伺いませんでしたけれども、その真ん中辺、仮に宅建ということとそれから税理士というふうなものがあるのでしたら、税理士というものとの真ん中辺である程度税務知識というものを持った者をもしもコンサルタントとすることを大臣告示で決めたとしますね。しかし一般の人たちは、その不動産業者のところに行ってこのコンサルタントからいろいろなことを聞いて、こういう資格を持った人なのだからこれは大変重要な人だろうということで、一般に取引の信頼をすると思うのです。そうなったところで、税理士という資格、税法上の税理士資格の試験を法律上通っている人と比べれば、ある程度あいまいなというか、少し低目の程度のところでやっておられる方であれば、また専門分野が非常に狭いということであれば、いろいろ見落としの部分も出てくる。こうなったときに、これは不測の損害を国民に与えることになるのじゃないか。こうしたことについて、それはひいてはコンサルタント業務または不動産会社というものに対する信頼を損なうばかりでなく、これまで既存の業務税理士とか鑑定士とか弁護士とか、そういうものに対する信頼や秩序というものが乱れてくるのではないかというようなことが、一つ非常に心配な部分であります。  もう一つ、企業に偏ったアドバイスということが行われるのじゃないか。要するに、中小の不動産業者のところでそういうアドバイスをするわけですから、どうしたって、このようにうちのこういうものをお買いになった方がお得ですよということにならざるを得ないのではないか。こういった意味では非常に難しい、真の国民の利益にはなかなかなり得ない、そういったものを持っているのじゃないかと思うのです。それを、何もしっかりした国会の論議を経ずに、告示という方法でこういうふうな制度をつくられるということは、非常に問題が多いのじゃないかと思います。この点について、一言まずお答えください。
  106. 伴襄

    伴政府委員 ちょっと誤解があるかもしれませんが、資格士制度を新たにつくるのではなくて、もともと宅地建物取引業の主任者がいるわけでありますから、それ以上の技能の認定をしようということでございます。したがって、新たな不動産コンサルタント業というのができるといったようなことではございません。  それから、もちろん専門分野がございますので、当然この業務をやるときには弁護士とか税理士とか、そういう方と連携を保ってやっていくということになると思いますので、ある意味ではそういう専門分野の方と十分連携をとりつつ多様化、高度化する消費者ニーズにこたえていくというものでございますので、一面からいうと、そういう弁護士さんあるいは税理士さんの仕事範囲が広がるという面もあるのじゃないか、相携えてやっていけばいいじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  107. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 こちらも誤解のないように言っておきますけれども、これは何も職域が狭まるというような問題でこれを申し上げているわけではありませんので、それぞれの職場が広がるじゃないかとか、仕事が広がるじゃないかというような言い方でこの問題を考えてほしくないと思います。  今おっしゃったような形で業務の連携ということをおっしゃるのですが、もう一つの言葉で言いますと、コンサルタントという資格といいますかその制度によって各業務、例えば司法書士であるとか弁護士も含めましていろいろなそういう主業について、それをコーディネートするという言い方を建設省はされているようですけれども、そういった形で今まで一つ一つ士法の独立を保ちながら仕事に携わり、それに誇りを持ってやっているといった主業のそれぞれについて、コーディネートなどをされてそういった独立性を損なうような形というのも、これはまた一つ重要な問題を含んでいる。幾つもありますけれども、時間がもう幾らもありません。こういった問題について非常に大きな議論が、今ほんの十分か十数分やっている議論の中でまだまだ出てこなければならないものを、単に大臣告示でやってしまうということは、これから先非常に大きな禍根を残すことになり、後で問題が起こったときに建設省はどうやって責任をとるかと言われたって、とりようがないのじゃないかと思うのです。  こういう問題について大臣、どういうふうに思われますか。こういった調整ができない部分を告示でクリアしながら、法律に基づかずにこういう制度をつくっていくということは、私はするべきではないと思うのですが、初めてお目にかかる大臣でございますので、その点、御所信を伺いたいと思います。
  108. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  鈴木委員が御指摘をされましたとおり、大臣告示に基づく資格制度は、我が省も他省庁も含めまして既に多数存在しているわけでございます。そのような大臣告示に基づくいろいろなコンサルタントが、従来業務独占をいたしております分野と例えばどういうトラブルを起こしたか、私は寡聞にして存じませんが、そういう点もよく調査をいたしたいと思っております。いずれにいたしましても、再々局長が答弁いたしましたように、就業制限を伴う資格制度創設するものではございませんで、またさらに、コンサルティングの対価として特別の報酬を取るということもございません。新たな資格士創設するものでないということでございまして、したがって、大臣告示に基づく公益法人の認定事業として実施することが適当と思慮いたしまして検討を進めておるということでございます。  重ねて申し上げますけれども税理士等の分野に対しまして、その業務を侵害するということがないように十分調整を進めまして、万遺漏なきを期してまいりたいと思います。
  109. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 やはり大臣も、これを業種そのものの部分でのあつれきの面だけでとらえられていると思います。そうではなくて、こういう問題で国民の信頼ということ、国民の取引の安全という見地から考えた場合に、こういったアドバイスによっていろいろと取引にトラブルが生じた場合、別に税理士だの司法書士だの弁護士だの、そういうものとのトラブルではなく、これから取引に臨んで、一生に一度の取引をしようとしている一人一人の国民の利益というものを念頭に置いていただかなければならなくて、それを不動産業の業の方から見たり、また、お金を取らないからいいだろうという問題ではない。この告示に関しては、今ここで取り上げましたけれども、各分野いろいろな意見を持っております。くれぐれもこのことについて、この告示については慎重な態度をおとりいただくように心から望みまして、私の質問を終わります。
  110. 古賀誠

    古賀委員長 上野建一君。
  111. 上野建一

    ○上野委員 建設大臣、就任早々でありますので、まず第一に、建設業界で大変中小企業の業者、会社が圧倒的に多いわけでございますので、その点について、この育成強化が非常に重要な段階に入っているというふうに思いますので、そういうことについて大臣は積極的に育成を考えておるかどうか、これから考えようとしておるのかをまず最初にお伺いしておきたいと思います。
  112. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいまの御質問でございますが、正確な大企業、中小企業の企業数、就業人口等をちょっと今資料を持ち合わせておりませんが、いずれにいたしましても、我が国のGNPの二割を分担している業界でございまして、その業界を支える中小建設業者がその経営を健全にされまして、その使命を、あるいは経済的、社会的役割をきちんと果たしていただくということは極めて肝要なことだと思いますので、中小建設業者の健全な育成に今後とも心がけてまいりたいと存じます。
  113. 上野建一

    ○上野委員 今資料を持ち合わせないというお話で、それは資料は、私の方からちょっと若干その点申し上げてみますと、個人の場合と、団体の場合もそうですが、資本金二百万未満の法人、企業は全国の全体五十万八千社の五四・一%を占めています。そして、資本金二百万以上一千万未満の法人、企業の比率は三〇・九%、約十五万七千社、それからさらに、資本金一千万以上一億円未満の法人、企業の比率は一四・二%、約七万二千社でありまして、最後に一番大きいところ、資本金一億円以上の法人、企業はわずか〇・八%、約四千社という形でありまして、したがって一億円に満たないのが九九・二%を占めている、こういう実態であります。この数字だけでは明確でない点ももちろんありますけれども、この建設業は何といいましても中小零細業者の集団である、このことを理解をして仕事をする必要があるということで、その点について大臣は今、その健全育成に努力する、こういうお話でありますので、具体的にひとつ御意見もまたお伺いしたいわけであります。  私は前に、百二十一国会でのこの委員会平成三年の九月六日でありますけれども、中小企業のこの問題について質問をいたしております。その続きになりますけれども、さらに一歩進めて具体的に質問をいたしたいと思います。前回にはさらに、中小企業の業者の場合に特に労働時間が長いということから、その時間短縮についてのこともお伺いをいたしました。具体的な適切なことはすべてこれからになっておりますので、ぜひ時間短縮できるような発注者側の仕事のやり方をさらに強く求めてまいりたいと思います。  きょうはまず第一には、この建設業法の改正によりまして、監理技術者を置かなければならぬことになっております。この点も前回お聞きしておったわけですけれども、しかし具体的な点では、中小の監理技術者、主任技術者、そういうものについてはレベルアップを図れというのが局長の御意見で、そのレベルアップを図るために技術者を補てんせよ、こういう御意見でした。技術者を補てんできるようならわざわざ私はここで申し上げるようなことはいたしませんが、問題は、この技術者の補てんが無理であるという中小の苦しみをどう解決するのか、このことにやはりかかっているのだと思います。  今専任技術者を置かなければならぬのは、二千万以上の土木工事、それから三千万以上の建設工事の場合に専任技術者を置かなければならぬ、こういうふうになっております。しかし、今実際に公共事業を含めて五千万から一億の場合が多いのですね。ところが、五千万以上になりますと、一級監理者を置かなければならぬ、こういうことになりますが、一級監理者を補てんしようどしますと、給料が低い方でも年俸七百万から八百万、少しちゃんとした人というか、年齢にもよりますけれども、この技術者を置きますと一千万近くの年俸が必要になる、こういうことになります。したがって、このことは大企業の場合ならできるけれども、小さいところは実際問題できない、こういうことになるわけでありますので、この場合にどうすればいいのか。補てんは事実上無理だと思うけれども、改めてこの点について伴建設経済局長、この前の続きとして御意見をお伺いしたい。
  114. 伴襄

    伴政府委員 これは業法の改正によりまして、経営力と技術力のすぐれた建設業者が栄えるような条件づくりをしようという一環でこういうことをしたのが、この建設業法の改正であるわけでございます。それで、それは昭和六十二年の改正でございましたが、そのときには既にそういう資格を持っておられた技術者であった方をなるべく経過的に救おうということで、たしか二年間の経過措置だったと思いますが、その間に講習会を開きまして、それで講習を受けた方を国家資格者と同等の認定を行うというようなことをやったわけでございます。これでもうかなりの数を、五万人近くの方を認定いたしまして、そういうようなことで今までやられてきた方については経過的に救おうということをやってきたところでございます。  それは経過的に認定した人でございますが、そのほかに試験に受かった人もございますので、現在一級の国家資格者というのは四十八万人強おりますし、それから今、多分先生指摘だと思いますが、監理技術者の資格者証を持っているのはそのうちの三十万人ぐらいまでおるわけでございます。こういう資格を持っておる方が工事を、先ほど二千万、三千万という話、これは下請の金額でございますので、元請の金額ですと、下請率が五割あるいは七割というようなことになりますから、元請の金額でいきますと四千万から五千万ぐらいの工事ですね。それ以上の工事につきましては、こういう監理技術者が公共工事で要るということになるわけでございますが、その資格者証の要る公共工事というのは大体五万件ぐらいでございまして、五万件の工事に対して三十万人の資格者がいるという状況でございますので、全体的にならせば十分な数になっているわけでございます。  御指摘のとおり、中小企業で今持ってないのはどうするかということがございますが、本当はその認定のときにきちっと講習を受けていただけばよかったなとつくづく思うわけでございますが、そうでない人につきましては、やはりその資格を取ってもらう必要があるわけでございまして、これにつきましては、私ども建設業振興基金という財団を持っておりまして、そこから講習会をやるときにいろいろ援助措置をするといったようなことなどやりまして、何とか、もう既にその中小企業の方でもそういう形で努力しておられる方もございますので、ぜひともそういう形で乗っていただければなというふうに思っておるわけでございます。
  115. 上野建一

    ○上野委員 この建設業法の改正によって、確かに一定の効果は上げています。例えば昭和六十三年、一九八八年、五十二万の業者があったわけですけれども、それがこの業法の改正によって翌年の三月末には五十万八千、一万二千の淘汰されたといいますか不良業者、全部がそうだとは言いませんが、かなり不良業者が淘汰された経過はあります。したがって、その一定の効果はこの業法の改正によってあったと思うのですね。あったけれども、今局長を言われたことは、実はもうことしは切れているのですね、その大臣認定というのも。したがって、そういう意味での対策が必要だ。  例えば、資格者が五万人いて、必要な工事は五万件ぐらいだからいいじゃないかというのは、これは前回もあなたがそうおっしゃった。しかし実際は、先ほど言ったように、まず給料の問題がある。それから不公平なのは、大きな企業は何億、何百億、何千億の工事でも一人の専任技術者で済むわけですね。一級のその人が一人いれば済む。ところが、小さいところは年俸一千万も払わなければならぬような形で、その一人を雇いますと一億の工事を請け負わなければならぬのですよ。完成で一億の工事を新たにやらなければ一人置くことができない、こういう実態なんですね。ですから、局長の言われることはやはり実態を見てない。いわば大企業の立場から物を言っているような感じがしてならない。だから、今私が質問しているのは、一人の技術者を置くとすれば年間一億の新たな仕事をとらなければだめだ、しかしそんなとれっこないような状態があるわけですね。  ですから、そういう場合のことを考えますと、具体的に申し上げる時間がないから申し上げますが、せめて今の三千万、二千万を、土木の場合には五千万以上の工事にその点を適用したらどうなんだ。物価も上がっているわけですしね。したがって、実態が五千万から一億というのが大体公共事業は多くなっているわけですから、これを中小企業が今持っている二級の技術者でやれるように配慮すべきじゃないか、こう思うのです。この一級というのは、建築の場合は一億以上でいいのではないか、そう思いますけれども、その点の措置はとれないでしょうか。そんな難しいことじゃないと思うのですけれども、どうでしょう。     〔委員長退席、北村委員長代理着席〕
  116. 伴襄

    伴政府委員 先ほどの資格者の数は三十万人でございました。五万件に対して五万人と先生おっしゃいましたが、三十万人おるということでございます。  今の二千万、三千万の話でございますが、これは監理技術者を置かなければならない下請の金額を法律で決めておりまして、一般的には二千万でございますけれども、建築の場合は三千万以上、こういうことになっているわけでございます。これは法律で決めてあるわけでございますが、これを変えるとすると、例えば物価変動があったとかそういうことであろうと思うのですが、これは実は昭和五十九年に決めておりますけれども、その後、物価等については非常に安定的に推移しておりまして、これを大幅に変えるというふうな状況でもないというようなことがございました。  それと、今お話のありましたように、例えば土木五千万ということになりますと、これは下請で五千万でございますから、五割の下請の率だと一億以上の工事になりますね。その一億近い工事を監理技術者も置かないでやるということがどうかという点も非常に問題があるわけでございまして、この辺は先生指摘のとおりいろいろな問題点があることは承知はしておりますけれども、なお一層その実態をよく調べまして、それで具体的な対応を考えたいなというふうに思っておりまして、目下のところ残念ながら、二千万を五千万に上げるとか三千万を一億に上げるという状況じゃないんじゃないかなという気がしておるところでございます。
  117. 上野建一

    ○上野委員 あなた、技術者、資格の保有者が五十万人ほどおりますというのは、前回のあなたの答弁なんです。だから五十万と申し上げたので、その点は、では三十万ということでなっておるのですね。  そこで、今言った下請の場合でも、しかし今の下請の現状はあなただってわからないわけじゃないでしょう。もう大きいところで話し合って、実際はもうほとんど全部中小企業が仕事をやってしまう、こういう実態ですよね。実際の工事ではむしろ下請が主体になっている。そういうことでやりますから、その点についてはやはりもっと実態を見ておく必要があるだろうというふうに思います。その点はあなたもおっしゃるから、それではこの点については具体的に調査をされる、その意思があるというふうに受けとめてよろしいですか。
  118. 伴襄

    伴政府委員 いろいろな、先生のおっしゃるような実例があろうかと思いますので、そういうのは十分よくお聞きして、またほかの方面からも、どういう状況になっているかということは十分把握したいと思っております。
  119. 上野建一

    ○上野委員 大臣、これは中小の場合の技術者、御承知のとおり現場監督の経験は長い、非常に有能なんですけれども、とにかく大学をちゃんと出てないわけですから、いざ学問的な問題になりますと、特にペーパーテストなんかやられますと、もうペーパーテストだけで上がっちゃう。端的に申し上げますが、とても試験にならないのですね。ところが、実際を見ますと、現場経験が不足しておりましても、大学を出て二、三年たつと資格を取っちゃうのです。やはりそれはそういう環境で、大学で勉強していますから専門的な知識を持っていますから、これはまた当然だと思いますが、問題は、中小業者の中で働いている技術者をやはりこの際、能力がなければ別ですけれども、現場の経験も豊かだし今までも多くの工事をこなしてきている、こういう人に対しては大臣認定があったわけですが、これは今切れちゃってなくなっている。こういうものを、別途の方法でも結構ですけれども、これはやはりやる必要が、今日の中小企業の健全育成というならば必要だと思うので、その点について検討をされるようにお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  120. 伴襄

    伴政府委員 今の腕のよい現場監督のような方、こういう方につきましてまさに先般の経過措置で、これは実は中央建設業審議会でも、その経過措置として、実務経験の豊かな高齢者のように必ずしも試験になじまない技術者に資格取得の機会を与えるようにというような御示唆があって、そういう特別の認定講習をやりまして経過的にそういう方に入っていただいたということがございます。これはあくまで特別措置でございますので、経過的にやったわけでございまして、これを新たにもう一度復活するというのは、恐らくそのほかで、それでは本格的な試験を受けようということで一生懸命努力されている方もいらっしゃいますので、やはりそちらめ方の道を、したがってそちらの中小建設業における技術者の資格取得に対する応援、支援、そういったことはいろいろな形で、先ほど申し上げた振興基金の補助金みたいなこととか、そのほかいろいろな形の支援策ができると思いますので、そういった形でやらしていただければというふうに考えておるところでございます。
  121. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいまの先生の御提案でございますが、もちろん生きた行政、血の通った行政ということは必要なことであると思っております。一方におきまして、建設業が国民の負託にこたえる立派な仕事をしていただくということも重要でございますので、その兼ね合いも十分考えまして対処してまいらなければならないと思っております。  中央建設業審議会によりますと、「技術検定に関する特別の研修による資格取得は、実務経験の豊かな高齢者のように必ずしも試験になじまない技術者に資格取得の機会を設ける特別な措置であるので、特別の研修によって安易に資格を取得するような傾向は厳に慎むべきであると考えられる。」そのような答申も出されているところでございまして、先生のせっかくの御提案でございますから、よく検討させたいと思います。
  122. 上野建一

    ○上野委員 決して安易に、だれでも簡単に取れるようなことを申し上げているのではないので、ぜひ今日の実態を、特に公共事業の場合で結構ですから実態を調査していただいて、しかるべき措置をとっていただいて、この人手不足、特に中小企業の場合のこの厳しい現状を認識してお願いいたしたい、こう思います。  そこで伴局長、下請業者のこの問題、それから技術者の専任め問題、この問題について、お金の上で私が先ほどから言っているように、実際の仕事は五千万から一億が多いんですよ。実際多くなっている。だからその点が、あなた、実際現場を調べて大勢としてやはり多い、中小下請業者が働いている場所はそういう場合が多いということになれば、そういうことは考慮するということは考えられるわけですね。その点どうでしょう。
  123. 伴襄

    伴政府委員 今の二千万、三千万はその下請代金で、恐らく複数の下請が入るのはどの程度のところかというところで切っているというのが一つの考え方だと思います。したがいまして、そういう実態も必要でありますけれども、同時に、現在のその工事の発注単位とか、そういったことも含めていろいろ勘案、検討する必要があるのかなという気がいたします。
  124. 上野建一

    ○上野委員 そういうことであれば、なおさらよく実態の調査をしていただきまして、現実に今中小企業の健全育成という場合にぶち当たっておるものは何かということを、ひとつもう一度丁寧にお願いをいたしたいと思います。  時間がありませんのでもう一つ、これも前、私も一度申し上げておりますが、単価を決める農林省、建設省、運輸省、この三省協定とり関連で、一つの県は一カ所で調査をされている。ところが、実際は同じ県でも、例えば私の出身は千葉ですから千葉を見ましても、房総の先の方と東京に近い方では、人件費の問題一つとりましても単価が相当違うんですね。それが一つでやられているものですから、確かに房総の方は結構だ、これはそう思っているのですが、東京に近い方にしてみるとなかなかそれでは人が雇えない、こういう実態があります。したがって、やはり一つの県を一カ所というのではなくて、二カ所なり三カ所なりできめの細かい調査が必要になってきているんじゃないかということを、前も申し上げでありますが、その点についての進展はないのでしょうか。
  125. 伴襄

    伴政府委員 ちょっと今手元に資料がなくて正確にはあれでございますが、労務単価の調査というのは、それぞれの公共工事の現場でそれぞれ賃金台帳を出していただいて、それぞれ具体の数値を把握しておるわけでございます。したがいまして、それぞれの県の中でもいろいろな方面別に出せると思いますが、多分発表のときには平均か何かして一本化しているということだと思います。したがって、実際の適用に当たっては、そういう差というようなことは十分考えて積算などをしているはずだと思います。
  126. 上野建一

    ○上野委員 いや局長、それはそうなってないんですよ。なってないから申し上げているので、前もその点は認めているのです。あなたの前の局長だったかもしれませんがね。その点で、やはりその調査のことが、きめの細かさが必要だというのはそこなんで、ぜひこれも実態を調べて検討してみてくれませんか。運輸省、農林省よりもやはり建設省工事に関しては常に先見性を持ってやっている、こういうことでぜひお願いしたいと思います。その点は全国的にも重要な問題だと思いますので、特に関東圏とか関西圏とかと言われる地域では過疎と過密と極端にありますから、そこら辺のことを調査をしていただきたいと思います。そういうことで、全体として中小企業の育成をぜひお願いいたしたい。  きょうは時間がなくなりましたので、実は談合の問題を申し上げたかったのですが、これは次の機会に譲らせていただきますが、談合の問題、実はこれはもうほとんど実際問題としては談合が行われている。時たま摘発されるのがありますけれども、実際は行われている。また、中小零細の場合には、談合をやらなければ生き延びれないという意見もかなりあります。したがって、この点についても改めて談合の問題、特にこの中小の場合には、今の公正取引委員会関係で独占禁止法その他の問題とも関連しますが、改めて検討する段階に来ているのではないだろうかと思いますので、ぜひ建設省、積極的に検討をいただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  127. 古賀誠

    古賀委員長 薮仲義彦君。
  128. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、建設国土両大臣に建設行政国土行政万般にわたりまして、きょうは質問をさせていただきたいと思います。時間が限られておりましてどこまでいけるかわかりませんが、住宅、道路、河川、ことごとく聞いてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  最初に、先ほど来話題になっておりました不動産融資の総量規制ということが最近騒がれております。それで、やはり総合土地対策要綱等にありますように、建設行政を行う、日米構造協議による四百三十兆の公共投資を行うにしましても、地価が高騰しますと、これは非常に住みにくいことでございます。さはさりながら、現実不動産業界そのものが失速したのではこれまた相ならない、ここにいる建設委員会に所属する一人一人が思っているわけでございます。しかし、かつてのような地価高騰は二度と起こしては相ならない、このことも心に決めておることでございます。  そこで、両大臣にお伺いしたいのは、両大臣の地価に対する認識ですね。特に最近地価調査等を見ますと、地価は確かに下がるトレンドになっております。また、不動産融資もマイナスということになっておりますが、そういうことを含めまして、現時点における地価に対して、地価担当の大臣でございます国土庁長官並びに公共事業執行の衝に当たる建設大臣、現在の地価を高いと認識しているか、適正な地価と認識しているか、あるいはもっと下げろと考えていらっしゃるか、その辺を含めて両大臣の見解を冒頭にお伺いしたいと思います。
  129. 東家嘉幸

    東家国務大臣 大変な地価高騰によっていろいろなひずみが出ましたし、また今鎮静化の中でひずみが出てきているわけでございます。地価が今日どういう評価をされているかということについては、それぞれの見解の相違もありましょうけれども、私どもは、地価をサラリーマンが住宅を建てられるような価格水準に持っていくことを目標とせねばならないと思っております。なおまた、長期的に見ても安定的に供給できるような対策を講ずるべきではないかと思っております。
  130. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 国土庁長官の申されたことは私もそのような認識を持っておりますが、先ごろ国土庁がお取りまとめになった都道府県地価調査の結果を見ますと、地価は、地方圏ではかなり上昇を示す地域もまだございまして予断を許さない点がございますが、大都市圏を中心に鎮静化の傾向を示しているものと認識をいたしております。
  131. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは最近の新聞情報でございますけれども、大蔵省は年内解除あるいは来年には解除する、その一つのメルクマールとして国土庁が緊急に行っております地価調査専門家等の意見を聴取するわけでありましょうけれども、二十日前後に出る、それによって年内に解除しなければならないのじゃないか。先ほど聞いておりますと、鎭西土地局長もこれはいつまでも続けるものじゃないぞというような御発言もおありのようでございますが、この新聞では大蔵省首脳ということになっておるわけでございまして、これは首脳としては解除しなければならぬぞというような御意見のように新聞記事は書かれてあるのです。大蔵省の首脳というふうな書き方をされておりますけれども、ここでそのとおり答えなさいということではございませんが、大蔵省としては、二十日に出る地価調査によって、現在の地価調査は全部下がっているトレンドになっておりますが、そのときもしも下がっていれば、総量規制は解除すべしという判断に立つのかどうか、その辺も含めて大蔵省の見解をお伺いしたいと思います。
  132. 福田誠

    ○福田説明員 お答えいたします。  御指摘がございましたように、大蔵省といたしましては、現在国土庁が把握に努めておられます直近の地価動向の結果を一つの判断材料として注目いたしているところでございます。しかしながら、総量規制の取り扱いそのものにつきましては、このような国土庁の調査の結果に加えまして、金融経済情勢あるいは金融機関の融資動向、さらには土地政策全般の推進状況などを総合的に勘案しながら適切に対処してまいりたいと思っております。そういう意味で、現時点で総量規制について解除云々ということにつきましては白紙でございます。
  133. 薮仲義彦

    薮仲委員 それ以上聞いても、小田原評定じゃありませんけれども、何のプラスにもなりませんので、土地政策上どうすればいいかということが我々に与えられた立場でございますし、総量規制が解除されるだろう、仮にそうなったとしても、建設行政としても国土行政としてもきちんとやるべきことをやって地価は抑制しますよということが一番大事だと思いますので、これは国土庁として、総量規制を解除しても地価を高騰させないためにあらゆる政策手段によって努力いたしますと、この辺はどうですか。
  134. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、総量規制自身は臨時応急的なものでございましてエンドレスに続けるものではないという前提のもとで、一月二十五日の閣議決定も、それを解除した後におきましてもいわゆるトリガー方式等の導入が必要であるというように書いているところでございます。したがいまして、これを今続けているわけでございますので、解除した場合の仮のお話ということをするには時期的には適当ではないというように私は考えておりますけれども、私どもといたしましては、基本的には総合土地政策に基づいてやっております、あるいはこれからやろうとしております構造的な土地政策、これはこれからもきちっと実施することによりまして目標でございます適正な地価水準の実現というのを図っていく必要があろう、かように考えております。
  135. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはそのぐらいにしておきますけれども、本当はもうちょっと都市計画でこういう問題は――今度は都市計画も見直そうとしていらっしゃる。いかに商業地の地価を鎮静化させる方向で都市計画というものをきちっとやるか、あるいはマネーサプライも地価の動向等調べでやってみよう、あるいは土地税制も平成四年から効いてくるとか、あるいは宅地並み課税あるいは生産緑地等がいろいろ効いてまいります、ですからこうこうこうですぐらいはここで言ってもいいんですよ。我々ここにいるのは建設委員ですから、そんなしゃくし定規の答弁なさらずに、ここで国民皆さんに、どういう政策で国土庁としてやるかということをきちっとお答えいただきたいと思うのです。私も含めて、この建設委員会ではきちっとした、国民に向かって自信のあることを堂々と言っていただきたい。きょうはやめますけれども、もっとしっかり言われた方がいいですよ。そうしないと、そんなのじゃ国民は納得しません。もっとしっかり政策を持っていらっしゃると思うのです。でも、きょうはもうほかのことをやりたいから……。これから御答弁なさる方はずばっと答えてくださいよ、もうわかり切ったようなことはこちらで言わせないように。  先般、十一月二十五日の参議院の環境委員会で、いわゆる長良川河口ぜきについて、四人の方を呼んで参考人意見聴取が行われました。この長良川河口ぜきについて、私は建設委員として建設大臣、河川局長等にきっちりとした問題点をお伺いしたいし、また、環境庁、林野庁等もきょう御出席いただいておりますから、きちんとしたスタンスでお答えをいただきたい。  特に最近、河口ぜきの問題が環境問題としてクローズアップされております。しかし、本来この閣議決定した河口ぜきという問題は、治水の面からどうあるべきかということを重大問題としてやったことだと私は思うのです。ですから、河口ぜきのあのマウンドをしゅんせつしないで現在の状態で、いわゆる洪水による被害をあの濃尾平野の皆さんに与えないというのであれば、今のままで自然を守り、今の河川の流量で大丈夫ならばそのままにしてほしい、私はこう感じておる一人です。  しかし、私も国会に籍を置いて、特に当選以来災害対策をずっとやっておりますけれども、いつも台風であるとか梅雨前線の被害を現地に視察に参ります。大洪水、超過洪水による被害というものは大変な状態でございまして、これを何とかしなければならないなといつも胸を締めつけられます。特にこの長良川、濃尾平野を流れておるわけでございますが、御案内のように、この濃尾平野というのは四百二平方キロメートル、日本のいわゆる海抜ゼロメーター地域というものの三五%は濃尾平野なんです。それほどあの濃尾平野の治水ということは大変なわけです。  昭和の三大洪水と言われますように、昭和三十四年九月、これは伊勢湾台風です。それから三十五年八月、三十六年六月。この三大洪水によってあの濃尾平野は、一時は水の中に沈んだのじゃないかと、これは新聞が報道した状態です。このときに、あの長良川計画高水流量は四千五百トン・パー・セックです。いわゆる毎秒四千五百トンの水は流せます。これではだめだということで、あのとき毎秒八千トンの水を流せるようにしよう、上流で五百トンの水をカットして、いわゆる計画高水流量は七千五百トン一パー・セック、これが長良川治水計画であったと思うのです。しかもそれからずっと進んでまいりまして、昭和五十一年になりまして、裁判で有名なあの安八の訴訟がございますけれども、五十一年九月の台風十七号、あのときはまた記録的な集中豪雨でございます。長良川右岸の堤防が決壊しまして、安八町の一帯が床上、床下浸水約七万戸と報道されるほどの大災害が起きたわけです。このときにもしも七千五百トン・パー・セックの治水容量を長良川が持っていればあの長良川の右岸の決壊は防げたのじゃないか、こういうことも専門家の中で語られたわけでございます。  あの当時どのくらい流せたかといいますと、これは河川局長御承知のように、毎秒六千四百トンぎりぎりが流せる状態だったのです。まだ八千トンあるいは七千五百トンという現在の計画にはいっておらない。今の状態をこのままで安全とするかしないか、この辺のところをきっちり、あの長良川沿川、濃尾平野の皆さん方が本当に洪水によって大丈夫かどうか。これはもう申すまでもなく、堤防をかさ上げするか、あるいは堤防を引っ張って川幅を広げて水位を下げるか、あるいはしゅんせつするか、この三つしかないのは理の当然です。しかし、かさ上げしようというと天井川です。また、引っ張ろうとすると千数百戸の家がひっかかってくる。ダム一つつくろうとしたって、わずか数百戸、数十戸の家を動かすのに何十年とかかるのです。千二百戸動かすということは、これはどういうことなんだ。こういうことを考えて、ぎりぎりで今計画を進めていらっしゃると私は思うのですが、じゃ、きょう現在で長良川が流せる流量はどのくらいなんだ。今のままで大丈夫なのか。この三大洪水であるとか、思わぬ集中豪雨があったときにも、長良川流域の皆さんに思わぬ堤防が決壊するとか越波するとか、こういう事態を起こさないで大丈夫ですというんだったら、思い切ってやめた方がいい。本当に建設省として、あの長良川、濃尾平野の皆さん被害を食いとめるためにはやるべしとお考えなのかどうか、まず河川局長のお考えをお伺いしたい。
  136. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 大変十分御説明いただきました。現在の計画が八千トンでございますが、これは、昭和三十五年の出水のときに、流域の至るところで大はんらんを起こした水が、仮に河川改修が終了していてはんらんしなかったとすれば八千トンになったであろうという洪水でございました。それを対象としているものでございまして、私どもなりの計算では一応九十年に一回程度規模と考えております。  実は全国の大河川、利根川、淀川クラス、あるいは筑後川クラスにつきましては二百年に一回の洪水を対象にしておりまして、例えば矢作川とかそういう中くらいの河川におきましても、既に百五十年に一回の洪水を対象とした計画にしておりますので、この計画規模は決して大きい方ではございません。しかしながら、現在まだその八千トン対応、うち上流五百トン、ダムカット、河道改修によって七千五百トン処理の実力がない段階では、計画規模は上げられない状態でございますので、まだ八千トン計画というのを維持している状況でございますが、それに対して今流下能力がどこまで来ているのかということでございます。  先ほどのお話の中でも、たまたま運がいいときに六千四百トンというのが過去に流れたということがございますが、海の水位が低くて、いろいろな適期な条件のときに流れるかもしれませんが、昭和五十一年度以降大分改修してまいりましたけれども現時点で、海が高潮的状況の段階では六千四百トン程度と私ども考えております。それで、じゃ、この状況で七千五百トンの洪水が来たらどうなるかということでございますが、長良川対象区域、はんらん面積が約三百五十万キロ、区域内の人口六十七万人の方が被害に遭う危険性がございます。御承知のとおり、伊勢湾台風では五千人の方が亡くなったという、過去に悲惨な経験がございまして、これらの方の中に相当の人身災害を含む大きな災害が想定されますので、私ども早期にこの計画完成させて、またさらに全国平均、全国横並びでも、この重要な地域でございますから、治水の安全度はさらに一段拡大する必要があるというふうに現在は考えております。
  137. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、この河口ぜきの問題について環境問題ということは非常に大事だと思います。でも、やはり流域に住んでいらっしゃる住民皆さん生命財産ということもまた非常に心が痛む問題でございますので、ある意味では環境問題ということも踏まえながら、治水の安全について地元皆さんかどう考えられるか、こういう点でももう少ししっかりとした話し合いということが大事じゃないかと私は思うわけでございますが、それは最後建設大臣に御決意を伺います。  ここで、環境庁や林野庁を呼んでございますので、ちょっと環境問題としてお伺いしておきたいのですが、私も実は河口ぜきを視察させていただきました。三川公園で木曽三川治水の苦渋、苦闘の歴史を学んでまいりました。遠くはあの薩摩藩士の血と源といいますか悔しさ・無念さ、どれほどつらい思いでのあの治水工事であったか、私はあの三川公園のビデオを見て、自分でも胸を打たれました。よくテレビでは、長良川は日本でたった一つの残された自然の川です、人工の手が入っていませんというようなことをおっしゃるキャスターの方もいらっしゃいますけれども、私は、三川公園に行ってあの木曽三川治水の歴史を学んだ限り、ある意味では、木曽三川は人間が水と闘い、水と本当に取り組んで、水を治めようとして苦しんだ歴史であり、あれこそまさに人工の、最も手の入った河川じゃないかなと私は考えております。特にあの明治の改修、オランダからヨハネス・デレーキ、あの方を呼んで初めて三川を分流したわけです。あの分流は薩摩藩士が何とか、何回も何回もやって実現できなかったのをこのデレーキによってできた。これはもう治水の恩人と言われるほど、これは地元で歴史の一こまとして残っておるわけでございますけれども、あの木曽三川の分流、背割り堤、あれは決して自然ではないわけです。歴史が、そして多くの人が苦しみの中に悲願としてあそこに背割り堤を実現した。それが現在は、あの緑豊かな自然という感じになっておりますけれども、あれはまさに百年前は人工であったわけです。天然そのままではないわけであります。  そこで、私はきょうは環境庁に御意見をしっかりとお伺いしておきたいのでございますが、環境庁が環境を守ろう、私も、あそこでアシだとか水生あるいはいろいろな動植物を守るということは絶対必要です。やらなければならない。と同時に、先ほども申し上げ人ように、洪水被害に遭う方を何とか守らなければならない。  しかし、ここで環境庁それから林野庁に伺っておきたいのは、この計画は、先ほども申し上げましたように、昭和四十三年十月、木曽川水系水資源開発基本計画として閣議決定された事業であります。その後、この閣議決定は変更されておりません、特に河口ぜきについては。そのまま来ておるわけでございます。私は野党でございますから云々する必要ございませんが、閣議決定というのは、いわゆるその内閣が決定したことであって、関係省庁は、そこに大臣がいるわけですから、少なくとも閣議決定は守らなければならない、それが行政マンとしての務めだと思うし、少なくとも私は行政省庁の最低限守るべきことだと思うのです。  そこで、もしもこれに異議を唱えるのだったら、閣議決定を覆して、はっきり環境庁はこれは反対です、林野庁は、反対はしていませんけれども、こうですということで閣議決定を覆すということがいいと思うのです。我々野党ですから、閣議決定したって、野党として、これは環境庁、もっとこうすべえ、ああしなさいと言うことは、立法府ですし議員ですから、これは言っていいと思いますが、行政官庁としてはやはりきちんとした対応をしなければならない。そうしますと、決定の変更を求めないのだったら、環境庁のスタンスとしては、環境をどうすれば保全できるかということを提言すべきが私はむしろ住民を納得させ、混乱させないでこのことを理解させるのにふさわしいと思う。私はまず、環境庁の基本的なスタンスをお伺いしたいのですが、環境庁は、どのような環境を守ろうとし、どのような環境が今破壊されようとし、そして基本的にはどうあるべきなのか、このことをきょうはここできちっとおっしゃってください。
  138. 石田祐幸

    ○石田説明員 お答えいたします。  長良川河口きの建設は、昭和四十三年に閣議決定され、既に建設省及び水資源開発公団において工事が進められております。しかし一方で、環境に及ぼす影響、これについてさまざまな懸念が表明されてきている、こういう特別の事情もございます。これを踏まえまして昨年の十二月十八日、環境への影響に関する追加的な調査検討を提案する環境庁長官の見解を明らかにした次第でございます。この見解に沿いまして環境庁と建設省が協議した結果、建設省及び水資源開発公団において、学識経験者の指導を得て追加的な調査検討を実施し、平成三年度末、来年の三月まででございますが、を目途として公表するということになっております。  環境庁としましては、追加的な調査検討の結果を踏まえまして、また、既に建設工事が進められていること及び長良川治水上の緊急性が高いこと、こういったことも考慮しまして、建設省調整を図りつつ長良川の環境保全のためにとり得る最善の措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。  なお、河口きの建設が環境にどういった影響を及ぼす可能性があるか、この点につきましては、既に建設省と協議した追加的な調査お願いしてございますが、その中で考えてございますのは、一つは、せきの設置後の水質に関する詳細な予測、それに関連いたします必要な水質項目についての調査、それから二つ目には、せきの設置あるいは水質の変化、これに伴います回遊性魚類、特にカジカ類等の生息に及ぼす影響、それから三つ目に、今後工事が予定されております高水敷における動植物の生息に及ぼす影響、こういった点について、現在建設省あるいは水資源開発公団の方で補足的な調査を実施していただいております。こういったことを踏まえまして、また、過去にこれまで建設省あるいは水資源開発公団、こういったところで行われました調査結果をも含めまして今後取りまとめ、公表してまいる所存でございます。  環境庁といたしましては、治水事業のあり方でありますとかあるいは利水のあり方、さらには河口ぜき建設事業の進め方、こういったことについては、所管の官庁がございますのでそちらにおいて判断すべきもの、こういうふうに考えております。
  139. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは環境問題もっとやりたいですけれども、たくさん質問があるものですから、続いて林野庁にお伺いします。  木曽三川の環境を守れという団体の発言の中を精査いたしますと、木曽三川の洪水を防除するためには、長良川の河川流域における植林をしっかりやれば、いわゆる緑のダムと言われる植栽によってダム効果を発揮して河口ぜきは不要である、こういう意見があるわけです。これを逆に言いますと、林野庁の行政がなっとらぬ、不十分だからもっとしっかり木を植えろ、そうすれば治水は完全に抑えられて、いわゆる植林によって、河口ぜきなどというものをつくらずに、マウンドも削らなくていいんだ、こういう意見を言っておりますけれども、これは全く林野庁の林野行政がなっとらぬということに私はとれると思うのでございますが、もしもあそこを本当に改植すれば、河口ぜきあるいはマウンドを削らないで林野庁として治水は完全ですという立場に立てるかどうか、お答えをいただきたい。
  140. 工藤裕士

    ○工藤説明員 河口ぜきと森林の整備の状況の問題でございますけれども先生御承知のとおり、森林は土壌中の孔隙量を多くいたしまして水の浸透や一時貯留に有効に働き、また、根系の腐植などによりまして地下水層への透水を容易にいたしまして、地下水の増強に役立っているところでございます。そのために、豪雨時のピーク流量が低減することによりまして洪水の防止に役立ちますし、また、降雨後の流雨量の減少が緩やかになりまして流量の平準化が進みまして、渇水緩和にも役立っているところでございます。  これらの森林の機能につきましては、一般的に、間伐とか保育等によりまして健全な森林を整備することによりましてその向上が期待されるところでございますけれども、具体的な保水能力、これにつきましては、いろいろな土壌状況とか林務状況がございますので、そういったさまざまな要因がふくそうしておりまして、定量的にきちっとした数値で算出するというようなことはなかなか困難な状況にございます。  また、長良川河口きの機能効果につきましては、先生が先ほどからるるおっしゃいますように、多方面に及ぶと言っておるところでございまして、林野庁といたしましては、河口ぜきの要否、これを森林の整備の状況のみの議論の中で判断するということは適当でないというぐあいに考えているところでございます。
  141. 薮仲義彦

    薮仲委員 それ以上のことは無理ですから、お伺いしません。  私が余りこれをがりがり言うと、私は自然環境を破壊していいとかそういう誤解は一切しないでいただきたいのですが、私は、やはり地球環境は最も大事にしよう、もうガラス細工のような地球環境、一回壊したらもとへ戻らない、よくわかっております。そして、地球環境というのは自分たちが先祖から受け継いだものじゃない、これから生まれてくるかわいい赤ちゃん、これから生まれてくるみずみずしい生命の子供たちから預かっているのです、こういうつもりで私たちは自然環境を守りましょう。これは、ここにいらっしゃるすべての議員の皆さん、そしてまた行政の皆さんも同じだと思うのです。本当に環境を守ろう、一度壊したら戻らない。でも、さはさりながら治水という面でどっちをとるかというぎりぎりの判断を我々はしなければならない、ここがまた一番苦しいところかもしれませんが。  私はここで、河川局長建設大臣にお伺いしたいしお願いしておきたいのは、サツキマスとかカジカとかいわゆる回遊性の魚類、あるいはヨシとかアシとか、そういう植物等を守って自然の景観や自然環境を守ってくれ、これは私納得できますし重要だと思うのです。ならば、これから私は建設大臣お願いしたいのは、建設省は何か環境破壊をするというイメージでとられることは、たとえ道路であろうと住宅であろうと都市計画であろうと何であろうと、もちろん今河川の問題をやっているわけですが、あってはならない。建設省が行くところそこに自然が再生する、蘇生する、あるいは自然をクリエートする、創造する、緑豊かなすばらしい環境が建設省事業のもとにできてくるんだ、道路をつくればそこに自然がよみがえってくる、こういうような姿勢、非常に困難かもしれませんけれども、私はそういう姿勢がこれから国民に共感、共鳴を受けることだと思うのです。  ですから、最近はドイツの河川の工法等が出てきて、ドイツ流に言うと近自然と言いますけれども建設省は多自然と言うそうですけれども、それは翻訳の違いだということであるそうですが、本当に自然を愛するならば、サツキマスやアユが自然と全く錯覚を起こすような急遽をつくったらいいじゃないですか。コンクリート張りのばりばりにじゃなくて、河原のような、魚も全くこれは自然の河川かなと思うような急遽をつくればいいじゃないですか。建設省の持っている土木工事プラスいろいろな専門家の意見を取り入れて、自然の石を並べ、水生植物を生やし、魚が間違うような、擬餌針だってあるんですから、魚が間違って揖斐川へ行くなんて言われているのですから、今度みんな長良川へ来るようなすばらしい河口ぜきを河川局長がつくっちゃえばいいのじゃないかと私は思うのです。そして、護岸もコンクリート張りのばりばりにしないで、私はやはり護岸はがっちりやってもらいたい。しかし、蛇かごだって相当のものなんですよ、あれ、昔の。あれもすぐれているんです。中はコンクリートで、鉄筋でがぢがぢでもいいですから、表はソフトにした方がいいと思うのですよ、コンクリートでがぢがぢにしないで。水鳥も来る、バードウォッチングもできる、ヨシもアシも生えてる、全くこの下はコンクリートとはわからないような自然を、私は優秀な技術を持っていらっしゃる河川局長なら、ばっちりできると思うのです。自然を逆につくり変えたらどうですか。本当に長良川は立派な自然の景観を保った河川になったな、前よりはるかによくなった、こういうようにしてしまえばいいじゃないですか。環境団体から、建設省のやったあの河川工事はよかったですね、もっとやってください、こっちもやってください。考え方を改めて、真っ正面から四つに組んでけんかやっているんじゃなくて、ちょっとわきを甘くして、いらっしゃいと受け入れてあげた方が私はよろしいのかなと思うわけでございます。  そういう意味で、私は自然をむしろ再生し、蘇生し、クリエートしていくという姿勢で長良川の急遽や護岸をやっていただきたい、こう考えますが、河川局長、いかがでしょう。
  142. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 大変貴重な御意見で、私ども全く同感でございます。人命を守ることと環境を保全するということは両立すべきものであると考えております。私ども、全国で人命を守り、財産を守るために多くの河川工事をやってまいりましたが、とりわけ厳しい予算制約の中でさまざまな工事をやってきましたのがいろいろ皆さんの御批判があるとすれば、これは謙虚に受けとめまして、先生おっしゃいますような姿勢でこれからの河川行政を展開してまいりたいと存じます。  ただ、若干長良川河口ぜきについて申し上げさせていただきますと、この工事に着手する以前から、私ども自然の保護、環境の保全については最大限の注意を払い、当時の水準としては最高の英知を絞って対応してきたつもりでございます。毎度御説明いたしますが、この事業に着手する昭和四十三年にさかのぼること五年前の昭和三十八年から、木曽三川河口資源調査ということで、約九十名に及ぶ生態学を初めとする専門家によりまして環境調査を徹底的に行い、その保全策を考えてきたわけでございます。  ちなみに現在、魚類のためには呼び水式魚道、ロック式魚道の開発を行うこと、アユやアマゴ及びサツキマスの人工種苗技術の開発を行ったこと、また、環境教育も兼ねまして急遽に遡上状況の把握できる観察窓を設置したこと、河口ぜきが環境全般に与える変化と保全対策の効果をせき完成後も継続して調査するようにしていること、それから自然環境を復元するためにも、ブランケットの前面にアシ、ヨシ等の植生を復元すること、ブランケット上部にも植物群落の復元を図ること、また河口付近に干潟を造成することによって貝類等の生息域の拡大を図ること等を進めておりまして、決して環境を破壊するというようなことは一切ない、そういう所存で進めておるところでございます。
  143. 薮仲義彦

    薮仲委員 局長のおっしゃるのは全くよくわかるのですけれども、例えばこれは、建設省河川局監修でいろいろおやりになっているこういう本を見るでしょう。ここに書かれているのは、どう見たってがぢがぢのコンクリートですよ。この急遽、確かにおっしゃるように書いてあるのですけれども、これを見るとコンクリート。わざわざコンクリート道路をつくって走りなさい、ハイウエー道路をつくって走れというような感じしかしないので、私の言うのは、これをもっと自然の河道と同じように、もっとだれが見ても、ああ、これは自然と同じだとわかるようにもう少し研究して――わかりますよ、理論的には私よくわかるのです。でも、もう少し近自然にデザインをお考えになった方が受け入れやすいですよ。私は、今局長おっしゃったとおり建設行政、いわゆる自然環境と人間というのは、自然の動植物が住めないところに人間が住めるわけはない、同感なんです。自然の動植物が住めないところに人間が住んでおること自体おかしいのであって、私はおっしゃるとおりだと思いますし、道路行政も住宅行政も都市行政も、私は人が住んでこそ都市であり、人が住んでこそ、快適に過ごせてこそ道路であり、やはり人間中心の政策であってほしい、住宅も安心して住める住宅であってほしい、私はそのとおりだと思うのです。  そこで、最後にこの河口ぜきの全体を建設大臣にお伺いしたいわけでございますが、その前に河川局長にもう一つお願いだけしておきます。我々を含めて、マウンドを削るということがどういうことなのか、削らないとどういうことになるのか、文章ではわかるのですが、目で見てよくわからないのです。ですから、例えば今はコンピューターグラフィックの技術もすぐれておりますから、ああいうのでシミュレーションを出して、マウンドを削らないとこれだけ洪水が出ますよ、削るとこうなりますよとか、あるいは塩害はこうやってやりますよとか、本当に精密なモデルをつくるか、コンピューターグラフィックで我々国民にそしてまた住民皆さんに、このマウンドを削るということの重要性を理解いただけるようなことを研究をしていただきたいということはお願いをしておきます。  最後建設大臣、何か私、荒っぽい言い方をして環境庁や林野庁に嫌われるのじゃないかと思うのですが、決して今の環境行政や林野行政が悪いなどということは思っておりません。ちょっとひどい言い方をしたと思って反省しておりますが、やはり各省庁が力を合わせて環境を守ってよりよい事業完成があってほしい、もしも危険であれはこれは考え直さなければならない。そういうことを含めて、やはりその責任は建設大臣にあるわけでございまして、最後建設大臣の、この河口ぜきに対して、環境にも配慮して完成させていただきたいと思いますが、御決意をお伺いしたいの
  144. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先ほど来、薮仲委員の立派な御見識を傾聴してまいりました。特に、自然を放置するのでなくて自然を守る、かつ自然をクリエートするという立派な御見識を承りまして、全くそのとおりだと存じております。  そのことは水についても言えることでございまして、当該地域は全国のゼロメートル地帯の三分の一を占めているということでございますし、お話にございましたとおり、歴史的に見まして、伊勢湾台風を初め甚大な洪水被害に遭ってまいった地域でございます。治川の三市七町一村でございますが、住民六十七万のまず生命を守るということは、古来水を治めることが政治の要請であるという見地からいたしまして、一番大切なことではないかと考えているのでございます。  私も就任以来、関係三県知事の御陳情をいただきまして、その中で早期にこの工事完成さすべしという直接の要望も承りまして、この信念につきましてますますかたくいたしておるのでございます。同時に、自然を守るということは、これは当然でございまして、先生が貴重な御提案をしていただいたと思っておりますので、できるだけ自然をクリエートするという見地から、今後の工事も進めさせていただきたい、そのように考えております。
  145. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか環境団体の皆さんの御意見、私は耳を閉じることなく、我々はいつも御意見を承りながら、その貴重な御意見の中で建設省ができること、そしてやらなければならないことを進めながら、環境団体の方も大賛成、地域の方も喜んでいただける河口ぜき、あるいは河道改修をやっていただけるものと信じておりますので、大臣、よろしく重ねてお願いをいたしておきます。  きょうは道路の問題、都市計画、住宅問題と駐車場の問題等、こう質問を持ってきているのですけれども、余りもう時間がなくなりまして、どれをやろうかと思っていたら、袋から出てきたのが道路でございますから、道路へ行きます。  私は道路について、道路局長並びに大臣のお考えをお伺いしたいわけでございますが、この道路といいますとやはり道路建設、道路をつくるというハードな面があるわけでございます。しかし、このハードな面だけで果たしていいのか。というのは、もう大臣並びに道路局長御承知のように「コンピューター、ソフトがなければただの箱」、こういう言葉があるように、やはりハードだけがあったのではコンピューターはただの箱になってしまう。道路も確かに、車をつくれば走るだろう、人が歩くだろう、これは確かにそうなんですけれども、いかにソフトパワーといいますかソフトを兼ね備えてやわらかくして使いやすい道路にするかということは、私これから非常に考えていただきたい。なぜそう申しますかといいますと、これから例えば東京で道路の幅員を広げよう、あるいは道路を新しくつくろうといったら、とてもじゃないですけれどもこれは局長が心を痛められるようにつくりにくい。そうなってきますと、じゃどうするかといえば、そこで私はソフトだと思うのです。では、これをどう使いやすくするか。今持っている道路容量を最大限使ってどうするとか、いろいろな形でソフトがあると思うのですが、きょうはソフトのたった一つ、交通管制ということだけで、ソフトというのは交通管制だけではありません、いろいろなものがあると思うのですが、きょうは交通管制に絞って大臣、局長の御見解をお伺いしたいわけでございます。  特に、我々が道路を走っておりまして、今の道路管制というのは目で見る標示がほとんどでございます。しかし高度情報化社会、特にきのう国幹審があって、後ほど局長にもお伺いしたいのですが、我々地元の第二東名あるいは中部横断道等も格上げされました。大変に地元では喜んでおりますし、次のステップを待っております。こういうようなハイウエー時代になってまいりますと、一万四千キロの高規格幹線道ができるわけです。そうすると、のろのろ走っている車がにわかに百キロとか、あるいは第二東名などはいわゆる速度の構造設計は百二十キロあるいは百四十キロまで出ているんじゃないかなというようなことすら言われておりますが、そうなってまいりますと、目で標識を追っていることが果たして安全かどうか。今、車にナビゲーターがついているのですが、ナビゲーターに目をやることすら、ある専門家は非常に危険である。いわゆる視界から目を離すということは、ここにナビゲーターを置いておいて、自分の場所をやればいいんだということにも非常に不安を感ずる専門家の方もいらっしゃいます。そうしますと、百四十キロ近いスピードで走っている軍が道路標識だけで判別できるか。遠くにあるのを見ておいてさあっと通り過ぎるわけでございますから、あそこにやらなければならないのは、限られた情報を相当大きな字で標示しなければならない。そうしますと、伝わってくる情報量というのは必然的に少なくなってまいりますし、不正確になってまいります。そうすると、道路管理者として道路を管制するということになりますと、私も東名高速はしょっちゅう使っておるのですが、ほとんど管制されてないといえば管制されてない。勝手に走っているわけですけれども、インターとインターの間に標示板があります。インターの手前五百メーターのところにいわゆる標示板があるわけでございますが、東名高速でいえばほとんど途中にハイウェーラジオがついていますけれども、あれも三キロ区間だけです。三キロ区間に、大体同じテープが三回聞けるかなという程度の交通管制になっているわけでございます。  こういうことをこれからいろいろお願いするわけでございますけれども、例えば今渋滞しておる。渋滞したときにドライバーとして我々が一番嫌なのは、これは事故で渋滞しているのか、それとも自然渋滞でやがてこれはだらだらと走り出すのか、そういう経路変更の判断ができますとドライバーは非常にほっとするわけですね。あるいは道路情報によって、そこの込んでいるところは避けて、じゃ迂回して行こうかとか、いろいろと道路情報さえ出ておりますと、今の混雑している道路をいろんな形で避けて通れますから、交通渋滞とかあるいはモビリティーが非常に改善されてくる。そういう意味で、この交通管制ということをきょうは問題点にしているわけでございます。  それも目だけでなくて音声、いわゆる通信とか放送、そういう手段によって、電波媒体によってこの情報を伝達できないか。現在、首都高速や東名高速は路側放送をやっていらっしゃって、私はこれは非常に努力していらっしゃるということは評価いたしております。首都高に行ってまいりました。交通管制室でいろいろと勉強をさしていただきました。私はあれだけ渋滞する首都高で大変御苦労していらっしゃる、しかもよくここまで努力してくださったなと敬意を表しつつ質問するわけでございますが、現在の首都高は三百メーターで一つの監視装置をつくって情報を処理しておる。ほとんどリアルタイムに情報が処理できるのですが、現在は一分三十秒で提供できるようにしておりますという御報告もいただきました。しかし、あれだけ情報を持っておっても、ドライバーの方へ情報が入ってこない。いかにドライバーに情報を提供するかということが非常に大事だと思うのです。きょうは時間が限られていますから、ここでいろいろ聞きたいのですけれども、言いたいことを言いますから、後でまとめて答えてください。  例えば首都高でどういうことをドライバーとして望むかといいますと、一つは、自宅を出るときに首都高の込みぐあいがどうですかということが的確にわかるということが、まず自分の経路を決定するのに役に立つ。しかし、その情報だけでは不確かで、いわゆるランプヘ乗るか乗らないかという、ランプの手前で情報が出ていれば、路側通信で今このランプは乗ってもいいですけれども、この先は渋滞しております、もしもお急ぎの方はこのまま真っすぐお進みくださいとか、そういうランプの手前でもしも情報が提供されたら随分違うなという感じがあるわけでございます。それから、もちろん図面での標識等も当然おありになるということはわかっておりますが、やはり耳の情報でもこういうことがわからないかな。それから、本線の中では渋滞の状況によって、今後この次のランプでおりた方がいいのか、それともこのまま首都高速をお走りになったらいいのかという、ランプの手前の案内があればいいな、こういうようなわがままなことをいろいろと考えておるわけでございます。ですから、自宅を出るときの電話も、東京のようにこんなに広いところは地域別とか路線別とか、あるいはランプをグループにして、ここに電話すればいつも情報がわかりますよ、リアルタイムの情報がわかる、これをやれば非常にいいと私は思うのです。ランプの入り口の路側通信、あるいは途中でのおりるかおりないかの判断等々、路側通信の基本的なことはお考えをいただければなと思うわけでございます。  これは、東名もたくさん持ってきたのですが、東名もやめておきます。東名はやはり同じような意味合いで、これは、局長は中部地建の局長をおやりになっていますから静岡県には詳しいと思うので、例えばの例で道路公団それから一号線の関係を言いますと、清水から御承知のように名古屋に向かうわけですね。静岡を過ぎて焼津とか藤枝とか掛川へ行こうとするとき、一号線を走ってくるわけです。ちょうどインターの取りつけ道路は左折するわけです。そのときに、今東名は込んでいるか、そこでドライバーがどういう判断をするかというと、一号線を行こうか、東名に乗ろうか、百五十号のバイパスにしようか、経路の選択は三つあるのです。ところが、一号線には一号線の標識しかわからないのです。道路公団の標識もない。道路公団の標識はインターの手前にばさっと出てくるわけです。百五十号の案内もない。一号線からこっちへ逃げられるわけですから、あのときにどうするかということはお考えいただきたい。このように、インターの取りつけ道路のときの情報の整理の仕方等は、これは静岡を例に挙げましたけれども、全国で同じようなケースとしてお考えいただけないかなと思うわけです。  それから、今道路公団に非常ににわかに言っても無理なのですけれども、現在道路公団の情報は五分間のタイムラグがあるのです、路側通信に対して。これは、五分間の情報処理時間といいますと、我々ドライバーが聞くのは五分以降、簡単に言えば六分から十分の間の情報を聞いているわけです。東名高速は百キロで走りますから、六分から十分、仮に十分としますと十数キロ走っちゃうわけですね。そうすると、高速道路における五分間の情報処理のタイムラグというのは、これからリアルタイムにならないかなという感じもございます。しかし、これは希望ですよ、なっておらぬとは言いませんから。  それで、きょうはもう時間ですからもう一つだけやりますけれども、例えばこれは局長御存じでしょう、日本坂トンネルです。これは私が撮った写真ですから間違いない。これは上り線、こっちが下り線です。この日本坂トンネルは上りと下りがあるのですが、ことしのお正月のときを言っておきますと、上り線はもう菊川まで何十キロ、これはもう局長御存じでしょう、延々とつながるのです。ところが、トンネルに入るともうすうっと抜けるのです。よく落語で言う、渋滞の先は何でしょう。日本坂トンネルに入ると先は渋滞していないのですよ。今度下り線は、すうっとほとんど流れていくのです。同じトンネルでありながら、なぜ片っ方が渋滞してなぜ片っ方が渋滞しないのか。こうやって写真を撮って、私見て、幾つか感ずることがあるのですよ。  というのは、なぜこういうことを申し上げたかというと、第二東名はほとんどトンネルのようなところなのです。トンネルをハードだけ、土木工学だけでおつくりにならずに、もう少し社会心理学とか、いろいろなお年をとられた方、女性の方もいらっしゃいますから、心理学的に、トンネルに入るときにちょっとブレーキを強く踏みますとだあっと並んじゃうのですよ。ですから、そういう心理学的なトンネル構造はどうするか。しかもトンネルが続きますと、真っ暗になって明るくなって、真っ暗になって明るくなるのです。そうしますと、果たして自分の目の力が正確に物を判別できるかどうか。そうしますと、トンネルを出るときの照明はどうするか、トンネルの中の色合いはどうするか、いろいろと今のうちからこの第一東名の中でベーシックな研究をしっかりやっておかれて、トンネルが連檐したときに困らないような構造を今から研究していただけないか。今渋滞するネックは、トンネルそれから登坂、もちろんカーブもありますけれども、登坂とトンネルが一番渋滞するのです。ソフトの方はいろいろごちゃごちゃ申し上げました。きょう道路公団と首都高、お見えいただいて申しわけないのですが、希望だけ言っておきましたので、御答弁は結構でございます。  道路局長、私にちょっと答弁する時間を与えていただいて、短くはしょって、例えばトンネルはなぜ渋滞すると思うか、それだけちょっと答えてください。
  146. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 今のトンネルのことについてのみ、まず御答弁させていただきます。  日本坂トンネルは、正直言いまして、トンネル部において普通の一般部よりも幅員が小さくなっております。それから明暗もはっきり分かれております。そういうことがいわゆるドライバーの心理的影響になりまして、どうしても一時的に多少ブレーキを踏む、こういうことが渋滞の原因だと思っております。特に上り線については、静岡インターチェンジの混雑の影響というのが、これは非常にすぐもろにきく状態になっております。  そこで、まことに申しわけないのですが、一点だけつけ加えさせてください。第一東名は今二車線ですが、路肩の幅を七十五センチしかとっておりません。したがって、今度の第二東名は路肩を三・二五ないし二メーター、非常に多くとっております。したがって、トンネルの断面でいいますと、第一東名の全断面が六十七平米です。それに対して百四十二平米と非常に大きくなります。言ってみれば、一般の道路と同じ幅ないしは心理的にはもっと広くなったような感じで、しかも入り口は自然に入りやすいようにトランペット型といいますか、ラッパ型のように非常に吸い込まれるような工夫もしていこう。そうするとブレーキを踏まなくていいのです。そういうような、いろいろな心理学的な研究もしながらやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  147. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう時間が来ましたから、私の考えをちょっと言っておきます。  今おっしゃったように、日本坂には不幸な火災事故があったのです。下り線は天井を取っ払ってあるのです。ジェットファンがついて、天井は全然排気が違っているのです。上り線はあのときに火災に遭っておりませんので、天井がついておりまして、中へ入ったときも、これは自分がハンドルを握ればおわかりですが、非常に圧迫感が、今局長がおっしゃったとおりなのです。それから照明等もございます。  ただもう一つ、これから道路構造をおつくりになるときに非常に研究していただきたいのは、あの上り緑も、トンネルの手前約一キロ前後のところに、左側に日本坂サービスエリアがあるのです。あそこは約八百メーターあるのです。サービスエリアを出て、余り性能のよくない車は、加速して例えば七十キロのスピードにやるまで、どうしても合流地点ができるのです。ですから、私はサービスエリアの位置をにわかに変えろなんて言いませんけれども、あれは渋滞の大きな原因、合流地点ができるわけです。ですから、今後道路をおつくりになるとき、トンネルの手前とかそういう危ないところにサービスエリアをつくって合流点をつくるということが私は非常に、これは私が見た見解ですから専門的な見解ではございません。毎日お世話になっておって文句を言ってはいかぬのですが、あれをこれからもうちょっと変えられたらいかがかなとは思っておるわけでございます。どうかそういうことも含めまして、お願いをしておきます。  あと残された時間が本当にちょっとでもうできませんけれども、期待をしておきます。  まず住宅政策。住宅政策でお願いしておきたいのは、住宅というものの一番大事なことは、安心して一生住める、住宅ローンであろうとか家賃であろうとか、不安を持たれない。特に今公営住宅も所得制限がかかっておりますから、どうしても追ん出される。ある一定所得になると追ん出される。公営住宅の今までの重要性、私はよくわかります。でも、だんだん高齢化が進んでまいりますと、あそこにお年をとられた方がどうしても多くなってきます。若い方はあそこから新しいところへ行こうとします。  私が何宣言いたいかというと、これからの住宅政策はやはりコミュニティー。コミュニティーというのは、本当にごく自然な社会です。私が地元に帰れば、町内会に社長もいれば大工さんもいれば八百屋もいるのです。もう社会はそういうものだと思うのです。大学教授もいればお医者さんもいる。そこが一つの混然たるコミュニティーで、一番そこが幸せだと思うのです。ところが、所得制限でカットされますと、局長御存じのように団地はある特定の階層しか入っていない、コミュニティーとは言いにくいのです。ですから、公営住宅をこれから建てかえるときに来ていますから、お年寄りもお体の不自由な方も若い方も赤ちゃんも、みんなが住んでいる。一生そこの、いわゆるパブリックの住宅へ住みたいと言えば、大金持ちの人も学者の先生も入ったっていいのです。新しい情報文化の発信地になるような、そこへ住みたい、住むことが誇りになるような地域形成を公営住宅の上で考えていただきたい。  それからもう一つは、大都市においてあの低層木造住宅のところを、昨年公明党はいろいろと住宅局の皆さんと激論を闘わせて、建設省並みでいうと地域特賞A、B、ファミリー型、公明党的にいうとコミュニティーパブリックですね。あれは本当に使いやすい住宅政策だと思うのです。これはやはりこれからの再活性化の中で考えていただきたい。特に地域特賞B型は、高齢者向きにちゃんとあのシルバー政策と合致しておりますから、あの辺もよく考えて住宅政策をやっていただけないか、これは期待しておきます。  それから、都市政策の中でございますけれども、今度都市計画が改革されるのですが、やはりあの土地基本法の中で、計画なくしてということや、持っ者と持たざる者とか、私権制限とか公共福祉優先ということは、もう都市局長が十分御承知だと私は思うのです。この都市計画の中でも、地価を抑制し、しかも美しい町づくりができるように、すばらしい町をつくっていただきたい、こう私は心から念願をいたしておるわけでございます。  最後になりますけれども、これからは道路も住宅も都市ももっと駐車場ということを自信を持って政策の前面に打ち出して、この都市のモビリティーや快適さはやはり駐車場をどうつくるかということだと私は思うのです。都市計画の中であるいは住宅政策の中で、道路行政の中で、ただ走って目的地へ行くというのではなくて、きちっと駐車場というものの考え方を入れていただきたい、こう思いますが、もうこれでやめます。  最後建設大臣、これから四百三十兆の公共投資、建設省に課せられた課題は数多くございますが、どうか本当に生活大国ということを、大臣の親分と言っては悪いですけれども、総理大臣がそうおっしゃっているわけで、生活大国のために建設行政が大事ですが、これからの大臣の御決意を伺って、質問を終わります。
  148. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先ほど来、実に豊富な先生の御見識を承りまして、感服して承っておった次第でございます。それらの御提案を十分取り入れるように努力しながら、真に豊かさを享受できる生活大国づくりに邁進してまいりたいと思います。ありがとうございました。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  150. 古賀誠

    古賀委員長 辻第一君。
  151. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず最初に建設省に、新しい生産緑地地区制度に関連をしてお尋ねいたします。  私は、さきの法案審議の際にももちろんこの生産緑地制度の問題やあるいは相続税、固定資産税など関連税制の問題についてもお尋ねをしたところでございます。さて、九月の生産緑地法一部改正案の施行後、関係自治体では生産緑地地区指定の準備作業に入っております。この過程で、関係農家からさまざまな疑問や意見が出ております。私ども日本共産党は、この問題に関してさきに、宅地並み課税の実施と生産緑地指定に関する緊急提案を発表いたしまして、また、関係各省にも申し入れました。今回は、生産緑地指定の作業過程で出てまいりましたいろいろな問題について質問をいたします。  まず最初に、今回の改正は、昭和六十三年に閣議決定された総合土地対策要綱やその後の総合土地政策推進要綱などを受けて制度化されたものだと思います。これらの要綱では、土地の有効高度利用の促進策としての市街化区域内農地の宅地化促進のため、特定市街化区域内農地を宅地化するものと保全するものとに区分し、固定資産税の課税の適正化、長期営農継続農地制度の廃止、相続税の納税猶予制度の見直しを行うとしております。この効果を見れば、この生産緑地制度、宅地並み課税、長期営農継続農地の制度改正、相続税の納税猶予制度、こういうものの改正は相互に関連を持った制度改正、さらに言えば、一体性を持った制度改正であると思いますが、建設省にお尋ねをいたします。
  152. 市川一朗

    ○市川政府委員 三大都市圏の特定市におきます市街化区域内農地につきまして、政府の総合土地対策要綱等におきまして、保全する農地と宅地化する農地との区分を都市計画において明確化することを基本といたしまして、宅地化する農地については計画的な宅地化を図るとともに、保全する農地については市街化調整区域への編入や生産緑地地区制度の見直し、活用を図る措置を講ずべきものとされたわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、こうした措置とあわせまして固定資産税、相続税等の税制を見直しまして、保全する農地についてのみ農地としての課税を継続し、宅地化する農地につきましては、従前とられておりました長期営農継続制度を廃止する等、宅地並みの課税とすることといたしたわけでございまして、固定資産税それから相続税、それぞれ税制の適用も含めまして一体的に取り組んでおる政策でございます。
  153. 辻第一

    ○辻(第)委員 一体的に取り組んでいただいているということですね。  さて、この法の改正は九月に施行されました。実際に生産緑地地区の指定完了は来年の十月から十二月ごろになるように聞いております。その生産緑地地区の指定の時期と、相続税の納税猶予制度の改正時期、長期営農継続農地制度の廃止や固定資産税制度の改正時期の整合性に欠けているのではないか、そこからいろいろな問題が出てきておるわけでございます。先ほども申しましたように、こういう問題、私、法案審議のときにも申し上げてきたわけですが、そこでこれは自治省にお伺いをいたします。  固定資産税の制度の仕組みとの関連で、このままでは平成四年度の特定市街化区域内農地の固定資産税の課税については、一たん通常の宅地並み課税を行った上で、生産緑地の指定があった後還付するという手順になることと思います。これは農家にとって従来の税額の十倍から数十倍ですね、場所によっては九十倍という例も聞いているのですが、税金を一時的に納めなくてはならないということになります。資金対策などやはり大変な問題だと思います。また、自治体にとりましても還付の事務が増加をするなどの問題点があります。こうした事態を回避するための措置が当然講じられるべきである、このように考えております。どのように検討されているのか、お尋ねいたします。     〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
  154. 香山充弘

    ○香山説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がありました生産緑地制度の問題につきましては、現在建設省あるいは地方団体の都市計画部局におきましてその指定作業等が行われておるところでございます。これは改めて申すまでもございませんけれども、十二月中にこの指定が終わりますと、明年度の固定資産税の課税、農地並み課税ということになるわけでございますが、その指定がおくれました場合に、宅地並みの税額で一たん課税をした上で差額を還付する、こういうふうな仕組みに現行はなっておるわけでございます。  ただ、今御指摘のような問題点、我々も地方団体等から耳にいたしております。したがいまして、今後、地区指定の作業がどのように進捗しておるか、そういったところを建設省等ともよく御相談しながら、何らかの措置が必要かどうか、そういったことを含めて、地方団体の意向も踏まえながら検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  155. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど私が申しましたような事態を何としても回避をしていただく、そのような十分な対応をぜひしていただきたい、このことを重ねて要望をいたします。  次に、大蔵省にお伺いをいたします。  固定資産の場合は最悪の場合でも還付という措置がありますが、相続税では、盛り込まれた平成四年中の相続に係る経過措置によっても、平成四年前半、一月から六月までというのでしょうか、その間に発生した相続では納税猶予制度を受けられないということですね。これは本来一体性、整合性を持ってやられるべきものだと思うのですが、そういう政府の施策の中でこういう極めて大変な矛盾が出てくるということは、あるべきことではないと思うのです。そういう状況の中で、相続税制度全体の見直しという関係、そこで申告期限の猶予なども話題になっているようですが、ぜひ実現をしてほしいと思うのです。いかがですか。
  156. 窪野鎮治

    ○窪野説明員 御説明いたします。  先般の土地税制改革によりまして、平成四年一月一日以後の相続から、三大都市圏の特定市の市街化区域農地につきましては、御指摘のように相続税の納税猶予の特例の適用を廃止する、そういうことになっております。ただ、申告関係につきましては、初年度における経過措置といたしまして、平成四年中に開始いたしました相続につきましては、相続税の申告期限、または平成四年十二月三十一日のいずれか早い日までに都市計画上生産緑地と位置づけられた市街化区域農地につきましては特例の適用を認める、こういう経過措置を講じているところでございます。  さらに、相続税の関係からでございますが、やはり先般の土地税制改革の一環といたしまして土地の資産としての有利性を縮減する、こういう観点から、土地の相続税評価の適正化をやはり平成四年一月一日から行うことといたしております。その適正化の一つといたしまして、土地の相続税の評価時点でございますが、従来はこれを前年の七月一日をもとにやっておりましたのですが、これをできるだけ直近に近づける、こういう観点から、平成四年からは地価公示価格の評定日であります平成四年の一月一日、これに評価時点を合わせるということにしております。そういたしますと、従来に比しまして半年評価時点をずらしたわけでございますので、相続が発生した方に路線価をごらんいただく時期、これに特に初年度につきましては支障が生じてくる可能性がございます。こういう観点から、現在、政府の税制調査会におきましても、相続税の申告期限について何らかのそういう環境整備が必要である、こういう御指摘があり、さらに現在審議を開始していただいて、具体的内容について検討していただいているところでございます。  私どもといたしますと、政府の税制調査会におきます評価の適正化に伴う相続税の負担調整のあり方とあわせまして、こういう申告期限の問題につきましても御審議いただけるものと思っておりまして、その御審議を踏まえまして、今後相続税の申告期限の実際の取り扱いについても検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  157. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひこの問題を解決していただくようにお願いをいたします。  次に、建設省伺います。  現在、地区の指定の準備作業が進んでおります。関係自治体は関係農業従事者に対する説明会なども進めておられるようですが、関係自治体、大変努力をいただいているのですが、説明が十分でないというような声もいろいろと出ているのです。改めて関係自治体に対して十分な説明を実施をする、周知をする、関係者に対する相談などの対応をやっていただけるようにお願いをしたいと思います。  一つの例ですが、奈良県の大和高田市の農家組合の代表者らでつくる生産緑地法並びに農地税制改正対策会議というのがあるのですが、この十一月二十日に市長に対して九項目の要請をされております。一つは、殊に小作地ですね、こういうことにかかわる申し出期間の延長でありますとか、あるいは宅地化の指定を受けた農地の道路、上下水道の整備の問題でありますとか、税の納付時期の問題、こういうのが出されておるのです。全体として私はもっともなものだ、このように考えておるわけです。  さて、一部には、要件を満たして指定の申し出があっても、いろいろの理由で認められないということがあるようであります。建設省の通達では、農林漁業従事者の意向を尊重することとしておりますね。そういう観点から、基本的には申し出のあったものは指定するということだと考えるのですが、いかがですか。
  158. 市川一朗

    ○市川政府委員 生産緑地として市街化区域農地を保全する場合に最も基本になりますのは、やはり適正な肥培管理が継続するということが必要でございますので、いわゆる営農の意思があることが基本的に必要でございます。そういうことで、都市計画として生産緑地を指定する際の基本的条件の一つに、そういう農林漁業従事者の意向を十分尊重するということが前提となっているわけでございまして、言葉としては意向の確認というような考え方をとっているわけでございますが、現実に指定作業に入る段階におきましては、やはり農地所有者の意向といいますか申し出の意向がどういう形で出てくるかということが一つのキーポイントになるわけでございまして、その点につきましてはいろいろ物の考え方につきまして混乱が生じないように、都市局長通達で関係都府県知事あてに、農林漁業従事者の意向を十分尊重することということを通達いたしまして、またそういう指導をしておりますので、その点につきましては私どもの態度は基本的に徹底しておるものと確信しておるところでございます。
  159. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひその農家の意向を尊重していただきたいと思います。  次に、先ほど申しました大和高田市の対策会議請願書でも書いております申し出期間の問題でございます。指定の完了は来年十二月末までどのように聞いております。指定は一回限りという意向のようでございますが、しかし制度的、法的には一回限りとはなっておらないようです。また、旧生産緑地法の時期にも、必要に応じて指定してきております。そういう点で、建設省の見解を伺いたいと思います。
  160. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回の生産緑地制度の改正に伴います作業に入ります前提は、いわゆる政府の総合土地政策推進要綱に基づいて行っておるものでございまして、地価高騰によります諸問題に総合的に対応するために、金融措置、税制措置等をあわせましていろいろと講じておるところの一環でございますが、その中で市街化区域農地につきまして、これまでは長期営農継続制度というものが固定資産税のところでございましたけれども、それを平成三年度限りで廃止いたしまして、先ほども御答弁申し上げましたように、都市計画で宅地化するものと保全するものとを明確に区分して、それで保全するものとして都市計画上位置づけられたものについては、農地課税を継続といいますか農地課税を行う、こういう考え方を推進することとしたわけでございますが、その際、昨年の末からことしの閣議決定に至ります過程におきましていろいろと方針が議論され決定されたわけでございますが、まず第一の問題として、ただいまの期限の問題に関係するテーマでございますが、平成四年までに都市計画において宅地化すべき農地と保全すべき農地とが明確に区分されることを前提としてという考え方で私ども一つ取り組んだわけでございます。  それからもう一つは、御案内のとおり税制改正によりまして、新しい改正された税制が来年の一月一日にはスタートするわけでございます。先ほど御指摘がございましたように、その時点では生産緑地等の手続が進んでおりませんから、固定資産税につきましてはとりあえず宅地並み課税が課せられるわけでございますが、初年度に限り、来年の十二月三十一日までの間に生産緑地になればそれは還付される、こういう考え方でございますし、また、相続税につきましても、十二月三十一日までに生産緑地に入れば納税猶予の適用がある。しかしながら、先ほど辻先生から御指摘ございましたように、相続税に関しましては別途相続税法上の申告手続というのがございまして、申告期間が六カ月に限られるというところから、またそれが半年分だけ早まるという、リャンファンといいますか、そういったようなことで期限上の問題がございます。私どもといたしましては、生産緑地法の改正の際にも再三再四、委員の方々から御指摘を受け、私どもも御答弁申し上げましたように、そういった仕組みの中で、農地所有者の方々が都市計画手続等の行政上の手続の遅延によりまして不当な不利益をこうむることのないように十分配慮しようということでございましたが、私どもも精いっぱいそれに向けまして、とにかく来年の十二月三十一日までにすべての手続が完了するようにということでやってまいっておりまして、その結果が、この最終段階におきましてかなり厳しい状況になっておりまして、それがいろいろな形で先生方のお耳に達しておるようでございます。  私どもといたしましては、個々の農地所有者の方々の将来を見据えた非常に厳しい選択を迫る結果にもなるわけでございますので、大変な御苦労があろうかと思いますが、そういった意向も十分尊重しながら、しかも、私どもの事務遅延によりまして不測の不利が生じないように、両方のバランスをうまくとるようにということで、今後とも精いっぱい努力してまいるつもりでございますので、どうかひとつ御理解の上、御支援賜りたいと思う次第でございます。
  161. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十二分の対応をしていただきたいと思います。  宅地化する農地を選択した場合のことですが、宅地化する農地を選択しても、道路、下水道その他、都市施設め整備が進んでいない場合は、すぐ宅地化することが難しい場合があると思います。条件整備をどう進められるのか伺います。簡明にお答えをいただきたいと思います。
  162. 市川一朗

    ○市川政府委員 できるだけ簡単にお答え申し上げます。  市街化区域内農地の宅地化につきましては、御指摘のように、道路、下水道等の都市施設の条件が整備されることがやはり極めて重要であるというふうに考えております。私どもといたしましては、一番基本的には、土地区画整理事業を行いまして、整然とした公共施設の整備がなされ、宅地として立派に区画割りされた形で行われますと、長い意味で極めて良好な町づくりにつながるというふうに考えておる次第でございます。
  163. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、国土庁長官にお尋ねをいたします。時間が余りありませんので端的に申し上げます。  日本のこの数年のまさに狂乱ともいうべき地価の高騰、そのことは大切な国民皆さん方の住宅の願い、マイホームの夢を吹き飛ばす、そして長時間かかって通勤をされるというような問題、いろいろな問題を引き起こしていますね。それから、もちろん国土建設する、あるいはいろいろなものを建設する、そういう道路、住宅など公共投資の問題にも重大な影響を及ぼしているということは言うまでもないことだと思います。  そういう中で、国土庁としてもこれまで土地対策にいろいろ御努力をいただいたわけでありますが、最近は十一月十四日に公定歩合が引き下げられる、こういう一つ金融緩和がありました。そしてまた、そういう状況の中で、いわゆる不動産業界を中心に財界はへ一例を挙げますと、東急不動産の社長の安芸さんなどは、今度の公定歩合引き下げでは、「住宅需要回復にはつながらず、景気浮揚効果もない」「早期のもう一般の利下げが必要」そして「土地融資の総量規制の撤廃」が必要だ、そして「地価は完全に沈静化しており、利下げによる反騰はない」などと言っておられるのですね。あるいは、坪井不動産協会会長は、「今回の利下げにある程度の効果を期待したいが、不動産向け融資の総量規制が継続している限り、梗塞状態を抜け出せない。総量規制は早急に解除すべきだ」このように述べておられます。  そういう状況の中で、大蔵省は二日、「総量規制はあくまで臨時的な措置。総合的な土地政策を進めてもらう必要があり、すべての人が住宅を手に入れられるほど地価が下がるまで、わき役の総量規制を続けるわけにはいかない」といって、総量規制の年内解除の方針を明らかにした、このように言われております。そういう中で国土庁長官は、国土庁の調査の結果もまだ明らかになっていない時期に大蔵省がこのように言うのは適切ではないのではないかなどと言われた、このように私は新聞記事で伺ったわけであります。また、綿貫幹事長が、総量規制の解除を年内にやるというようなことを言われたという報道もあるわけですね。私は、これはとんでもないことだと思うのですね。いわゆるバブル経済、株と土地という問題がその中心的な役割を果たしたと思うのですが、そういう中で銀行を初め金融機関の土地高騰を助長した役割というのは非常に大きいものがあったと私は思うのですね。  しかも、最近の大蔵省の数字でも、ことしの九月末、全国銀行の不動産向け融資残高は四十九兆五千億、依然として前年同期を上回っているのですね。さらに、リース業などノンバンクの業種別貸し付け、これはちょっと古いのですが三月末、これでも、大蔵省が確認できた二百六十八社の貸付総額のうち、四二%に当たる二十七兆四千億が不動産建設業に向けられておる、こういうことですね。しかも、総貸出残額に対する不動産業向け融資残高、これが、昭和五十八年三月には六・九八%だったのが六十二年三月には一〇・一六%になり、そして最高は平成二年三月の一〇・七四%、ことしの九月でも一〇・一六%、非常に高水準にとどまっているのですね。こういうのが現状だと思うのですね。  そういう中で地価も、ことしの十一月二十二日、日本不動産研究所の発表した九月末時点の市街地価格指数によりますと、住宅地の平均価格は、大阪府で一二・八%、東京都区部で四・三%下落となったが、一方、三大都市圏と政令指定都市を除く県庁所在地の平均は二・三%の上昇ということですね。栃木県などは一四・一%の上昇、こういう数字もあるのですね。こういうのが実態だと思うのですね。都市部では幾らか下落をしたけれども、まだまだこれは超高値でとどまっているというのが現状だというふうに私は思うわけであります。  そういう状況の中で、先ほど申しました融資の総量規制を緩和をする、こういう問題が出てきたのですけれども、私もこの問題で、これは土地特ですけれども平成元年の六月に野中国土庁長官、十一月には石井国土庁長官金融機関の規制をすべきだということを本当に強く要請をいたしました。当時はひどい話で、もう末端の金融機関が、農協なども物件を示して、これをお金貸すから買え、買ってくれませんかなんというようなことまでやっていたというような話がいっぱいあるのですね。そういう状況の中で、しかしなかなか、やりますよというお話でしたけれども、具体的にそれがやられたのが昨年の四月、非常におくれて、毎日新聞なんかに書かれておるのですが、これはもう一年早く総量規制をやっていれば、この土地の高騰を大きく抑えられたのではないか、こういう考え方もあるのですね。それに比べて、やるときは非常におくれて、今度これを緩和するときは非常に早い。もう私はとてもとても納得のいける問題ではない、許されない問題だと思うのですが、そういう点で、ちょっと長いこと言い過ぎたのですが、長官に今の地価の状況をどのように認識をされておるのか。私はもう非常に高きところでとどまっておる、まだまだとどまっておるというふうに考えるのですが、それはどうなのか。それから規制は、私はぜひ続けていただきたい、そのために努力をしていただきたい、このように考えるのですが、その点での長官の御所見を伺って終わりたいと思います。
  164. 東家嘉幸

    東家国務大臣 もう時間の関係で、簡潔にお答え申し上げます。  地価というものは、そのときどきの金融状況または経済情勢または土地政策に対する総合的なもろもろの政策の推進のもろもろの判断等々によって決まるわけでございますが、今回はまさしく異常であったと私は思っております。  なおまた、我々に与えられた直近の地価動向を、結論を早く収集し、そしてまた、私どもはそうしたことのみならず、業界それぞれの、各界の皆さん方の御意見を聞いたり等々で、我々はあくまでも、金融当局にそのことを報告するところまでが私たちの仕事でございますから、それから後のことは金融当局においてどう判断されるかということではなかろうかと思いますが、私たちは私たちの判断したことを報告申し上げようと思っております。     〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
  165. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来ましたので、終わります。
  166. 古賀誠

  167. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 質問に先立ち、山崎建設大臣東家国土庁長官の御就任に心からお祝いを申し上げます。同時に、国政のため万全の努力お願いするものであります。  さて、両大臣の所管事項は国民生活、とりわけ宮澤内閣が標榜する生活大国の実現に極めて重要なポジションを占めているわけでございますが、多極分散型国土の形成及び地域の活性化を図るため、特に高規格幹線道路を初め、地域の経済を支え生活の根幹となる道路の整備について、また、道路特定財源制度の堅持及び一般財源の投入拡大について、まず建設大臣の御所見をお伺いします。
  168. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  二十一世紀に向けて、多極分散型国土を形成し、地域の活性化を図り、真に豊かな国民生活を実現する上で、道路は欠くことのできない最も根幹的な社会資本でございます。また、地域住民の日常生活基盤としても重要な役割を果たしていると考えております。  このため、現在、昭和六十三年に策定した第十次道路整備五カ年計画において、よりよい都市のための道路づくり、地方部の定住と交流を促進する道路づくり等の課題を掲げ、高規格幹線道路から市町村道に至りますまでの道路網を体系的に整備いたしておるところでございます。特に、地方部の振興、活性化は、国土の均衡ある発展にとって不可欠であり、高規格幹線道路を軸として地域における交流の一層の拡大を図っていくことが必要と考えております。  今後は、地域の主要な幹線道路のうち、広域的な交流圏の形成や地域の一体化を図っていく上で骨格となる道路を、自動車専用道路や主要交差点の連続的立体化による質の高い道路構造を持った地域高規格幹線道路網として重点的に整備してまいりますことを検討中でございます。  次に、道路財源の問題でございますが、道路整備に当たりましては、受益者負担あるいは損傷者負担の理念に基づいて、自動車利用者に特別の負担を求めるべく、揮発油税、自動車重量税等の道路特定財源の税収を道路整備費に充当して所要の費用の確保を図ってまいりました。我が国の道路整備は、欧米先進諸国と比較いたしましても依然として極めて立ちおくれております。したがって、今後とも、道路整備の促進のため、道路特定財源制度の堅持はもとより、広く国民全体が道路整備の利益を享受していることにかんがみ、特定財源以外の財源をも充当して道路整備を推進する必要がございます。  平成四年度概算要求におきましては、道路特定財源税収二兆七千九百七十七億円の全額を道路整備費に充当するとともに、さらに一般財源を投入し、生活関連重点化枠及び公共投資充実臨時特別措置を含め、前年度化五%増の二兆九千百八十二億円の道路整備国費を要求いたしております。今後、予算編成に向けて、道路特定財源制度を堅持するとともに、さらに一般財源の充当を図ることにより、所要の道路整備費の確保に努めてまいりたいと存じます。
  169. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この一般財源の投入拡大は各市町村から強く要望されておりますので、大臣の特段の御努力お願いいたします。  次に、地価は鎮静化を見せてきたわけでありますが、その一因として、不動産関連融資の総量規制が挙げられます。建設大臣は、就任後のマスコミ会見の中で、総量規制は緊急避難的措置で、撤廃を検討してもよいのではないかと述べています。このことは、冷え込みが懸念されてきた時点なので、私としてはむしろ真剣に検討さるべき問題である、こう思うわけでございます。ついては、大臣の意向をお伺いいたします。
  170. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 昨年四月の大蔵省銀行局長通達により総量規制は始められたのでございますが、これは、当時の異常な地価の高騰に対します臨時応急の措置としてとられたものであると認識をいたしております。  地価の安定は極めて重要でございますが、最近の地価調査を見ますと、大都市圏部を中心といたしまして鎮静化の方向に向かっていると認識をいたしております。したがいまして、ただいま国土庁において直近の地価動向調査行っていただいておりまして、その結果等を踏まえまして、総量規制の解除の問題につきましては、タイミングを誤らないように実行に移すべきだと考えております。
  171. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 道路事業を円滑に推進するためには、土地所有者の協力が必要でございます。公共事業用地及び代替地の提供に関する租税の特別控除制度の対応も考えられますが、地方自治体からの要望もありますので、御所見をお伺いいたします。
  172. 伴襄

    伴政府委員 公共用地の問題でございますが、最近、その用地の取得をめぐる環境はなかなか厳しいものがございます。用地の売り惜しみやら、あるいは先生指摘のとおり、代替地要求の増大が見られるところでございます。平成三年度の税制改正におきまして、一般の譲渡については相当課税が強化されましたけれども、公共用地の取得に係る税制につきましては、例えば収用交換等の場合の譲渡所得の五千万円特別控除、これが恒久化されました。また、国・地方公共団体への土地の譲渡についての税率は一五%に下げたといったようなことで、いろいろな措置がなされております。  来年度につきましては、予算におきましても、事業用地や代替地の先行取得を行う土地開発公社に対して国の低利融資制度を設けようということで、そんな要求をしておりますし、総合的な公共用地対策を要求しておりますが、あわせて税制措置につきましても、例えば今、道路公団あるいは水資源開発公団が代替地を取得するときには軽減税率の適用がございません。そういうものについて軽減税率を適用してほしいとか、あるいは事業用地の先行取得は、例えば地方の開発公社が取得しますときには、都市計画区域内ですと千五百万円控除がございますが、区域外ではございませんので、区域外にも適用してほしいといったようなことを要望しておるところでございます。  今後とも、円滑な用地取得を進めていくためには、税制上の支援措置が非常に重要かと思っておりますので、積極的な活用、拡充を図っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  173. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この代替地の提供に対する税制の措置をしまして、何とか積極的な土地の取得ができるような方法をまず考えていただきたいということを要望しておきます。  次に、駐車場についてですが、駐車場法に基づく駐車場には、附置義務駐車施設、都市計画駐車場、届け出駐車場があります。実態として国民ニーズに十分対応し切れず、絶対量の不足と料金の高騰という問題を抱えていることは、警視庁等の実態調査でも明らかであります。最近では家賃並みの駐車料金を徴収しているところもあると聞いておりますが、現在、大都市において不足する駐車場は何台分あるのか、現在のまま推移すれば駐車場不足の解消はどうなるのか、また、車庫法の改正により路上の違法駐車は減少しているのかどうか、まずお伺いします。
  174. 市川一朗

    ○市川政府委員 最初の部分につきましてお答え申し上げます。  まず、現在大都市で不足する駐車場は何台分ぐらいあるのかというお尋ねでございます。これは正直申し上げまして、なかなか正確に把握することが困難でございまして、明確な数字は持ち合わせてございません。ただ、最近いろいろな実態調査が行われておりまして、ただいま先生もちょっとお触れになりましたが、昨年、東京都は四月ごろ、大阪府は八月、九月ごろでございますが、それぞれ瞬間的に路上に何台の駐車台数があるか、そのうち違法駐車は何台であるかという調査をいたしました。それによりますと、東京都では約二十一万台、大阪府では約三十一万台、名古屋市では約五万台の瞬間違法路上駐車が生じていることが判明しておりまして、この辺が一つの駐車場不足の目安にもなるのではないかと私どもは思っておるところでございます。  これに対しまして、今回駐車場法の改正をさせていただきましたが、これがこの十一月に施行されております。この改正駐車場法に基づきまして、市町村に対しまして駐車場整備地区ごとに駐車場整備計画の策定を義務づけたところでございますが、この中では、おおむね十年後を目標とした駐車場整備計画の策定ということにしてございます。機械的に十年間ですべてが解消できるかどうかといったような問題は難しい問題として抱えているわけでございますが、一応私どもの行政の目標といたしましては、十年間の計画の中で問題点を解決していきたいということで取り組んでおるところでございます。
  175. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 違法駐車は交通渋滞や交通事故、災害時の障害など、その他社会問題となっています。公園や道路の地下あるいは高速道路下等を活用するなど、積極的に駐車場を増設すべきだと考えますが、どのような施策を予定されているのか、お伺いします。  また、今、港区、渋谷区では、第三セクターで地下鉄と都道路敷の中間に地下公共駐車場をつくろうとしています。台東区、練馬区でもこの第三セクターを検討中ということでございますが、これは工事費がかかり黒字となるのに二十年以上を要するというので、経営的に難しい面もあるのではないかと思うわけですが、国として、私はこういうことには積極的に協力すべきではないかとも思うわけでございますが、その対応をどのように思っているか、お伺いいたします。
  176. 古賀光彦

    古賀説明員 答弁漏れがございます。  車庫法の改正によりまして路上の違法駐車状況はどうなって一いるかというお尋ねでございますが、七月の保管場所法の改正に伴いまして、広報警察活動、取り締まりなどを実施いたしましたところ、自動車保有者の方々に保管場所確保の意識が高まってきたこと、あるいは駐車場の建設などが促進されてきたことなどに伴いまして、道路の車庫がわりの駐車につきましては減少の傾向が認められているところでございます。  具体的には、東京都内におきまして八月に実施いたしました調査結果によりますと、およそ二三%減少している状況がございます。また、九月から十月にかけまして、東京都ほか十府県におきまして、夜間の路上駐車の多い地域の周辺五百メートルの範囲における路上駐車の実態調査を実施いたしました。これによりますと、路上駐車の台数は、施行前と比較いたしましておよそ四〇%減少している状況でございます。
  177. 市川一朗

    ○市川政府委員 駐車場対策につきまして御答弁申し上げます。  道路交通の渋滞緩和あるいは既存商業地区の活性化等円滑な都市活動を確保するために、駐車対策、駐車場対策を推進することは現下の極めて重要な課題であるという認識に立ちまして、平成三年度におきましては、道路法及び駐車場法を改正させていただきました。これによりまして、道路管理者による駐車場整備事業創設も行われましたし、また、税制上の優遇措置の拡充等も図られたところでございます。しかしながら、御指摘もございましたように、特に駐車場整備が求められております都心地区におきましては、地価も高くて用地の取得が困難な場合が多いわけでございます。  このような地区におきまして駐車場を整備するに当たりましては、それぞれの施設の機能を保全することは当然ではございますが、そういった保全を図りながら、公園や道路の地下、高架下などの公共的な空間を積極的に活用できるよう配慮してまいりたいと考えているところでございます。  それから駐車場料金についてでございますが、いわゆる民間の駐車場の場合、時間貸し駐車場と月決めの専用駐車場の問題があるわけでございますが、時間貸し駐車場の料金につきましては、この数年間ほとんど伸びておりませんで、そういう意味では安定的に推移しているわけでございますが、月決めの専用駐車場につきましては、特にここ最近に至りまして、需給関係の逼迫を背景といたしまして大きく値上がりしている例が散見されることは十分認識しておるところでございます。  私どもの政策といたしましては、基本的には一般公共の用に供する駐車場対策が緊急であるとの観点に立ちまして、いわゆる専用駐車場対策ではなくて公共用駐車場対策ということで、どちらかといいますと時間貸しの駐車場に対する各種の融資や補助制度あるいは税制上の優遇措置を構ずるなどによりましてその整備促進に全力を傾けているところでございますが、こういった施策の推進によりまして駐車施設の全体量が増加すれば、トータルとしての駐車場料金の安定に寄与できる、こういう考え方で進めておるところでございます。
  178. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 あと、港区などの第三セクター。
  179. 市川一朗

    ○市川政府委員 失礼申し上げました。  それから港区、練馬区、渋谷区等で、御指摘のように第三セクター方式による駐車場整備が進められております。場所によりましては第三セクターではなくて、いわゆる第二セクターともいうべき区の公社が直接行っているものもございますが、こういった問題は、先ほど来申し上げております駐車場問題の深刻化を背景といたしまして極めて地域社会において期待されておるところでございまして、私どもといたしましても、この第三セクターが整備する駐車場に対しましては、主として融資制度による助成措置をいろいろと講じておるところでございます。  ちょっと具体的に申し上げますと、NTT株式の売却収入を活用した無利子融資あるいは道路開発資金や民間都市開発推進機構、さらには日本開発銀行等による低利融資等も近年続々と創設し、あるいは拡充したところでございます。さらには、税制上の優遇措置も講じてまいっておりますので、今後第三セクター方式による駐車場整備はより積極的に推進されていくものと思っておるところでございます。
  180. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、国土長官にお伺いします。  四全総は東京圏一極集中の是正と均衡のとれた国土づくりを基本として設定されたわけですが、現状は必ずしもその方向にないと言わざるを得ません。より的確に多極分散型国土形成を目指すには、新たな全総策定が必要になっていると思いますが、国土長官の御所見をお伺いします。  また、国土の開発及びその利用の高度化を図るための国土調査事業についてはいまだ十分な状況にありませんので、長官として今後本事業の促進についてどのような方針で対処されるのかもお伺いいたします。
  181. 東家嘉幸

    東家国務大臣 四全総の目標としております一極集中の是正、多極分散型国土の形成は、今日も引き続き重要な課題であると認識をいたしております。政府におきましては、四全総に基づき、地域主導の地域づくりの推進を基本として、その基礎となる交通、情報通信体系の整備等の諸施策の推進に努めているところでございますが、最近では東京圏の人口の社会増の鈍化、工業立地の地方分散等の動きが見られるところでございます。国土庁といたしましては、このようなことを踏まえつつ、関係省庁との緊密な連携のもと、引き続き四全総の推進に努める所存であります。五全総の策定は今のところ考えておりません。  なおまた、いろいろな拠点づくり、都市づくり等々の問題がいろいろと案があるようでございますから、そういうことも踏まえて、国土庁としてはそういう調整役を図りながら地方の活性化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  182. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 国土調査事業の促進策について、簡単に御説明させていただきたいと思います。  委員御承知のように、国土調査事業、特に地籍調査土地の戸籍とも言うべきもので、非常に基礎的なデータでございまして、従来から国土調査法あるいは国土調査促進特別措置法というものでやってまいったわけでございますが、現在は平成二年度を初年度といたします第四次の十カ年計画に基づきまして計画的に推進しているところでございます。  しかしながら、ただいまお話がございましたように、進捗状況は全国平均で三五%ということでございますし、また、特に都市部におきまして進捗が非常におくれているということで、第四次の十カ年計画におきましては、都市部におきます促進ということを考えまして、新たに都市部地籍調査促進事業というものを導入いたしまして、これから鋭意実施していこうというようにしているところでございます。  最近特に、土地施策の前提となります土地情報について、これの総合的な整備というものが非常に重要になってまいっておるわけでございますけれども国土調査は今申しましたように土地に関する最も基礎的なデータでございまして、極めて重要な意義を持っているのだろう、かように考えております。また、地籍調査は、用地取得の円滑化等に資するということから、大規模プロジェクト等社会資本整備を計画的、効率的に進めるための前提条件としても非常に重要なものであるという認識をいたしておりまして、私どもといたしましては、今後ともこの第四次十カ年計画に基づきまして着実に実施していきたい、かように考えているところでございます。
  183. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この国土調査事業は、豊臣秀吉の土地検分に毛の生えたような、そういう台帳でやっているところもまだあるわけでございますので、ひとつ促進方をお願いいたします。  次に、地方から陳情が来ている問題につきまして御質問申し上げます。  北上川水系一級河川夏川の改修でございますが、過般の東北地方に接近しました台風二十一号の大雨増水で決壊寸前にまでなった箇所がございます。水防団の必死の作業で食いとめられたわけでございますが、この改修についてはどのようなお考え、対処の仕方をなされようとしているのか、お伺いします。
  184. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 夏川は岩手県花泉町と宮城県中田町、石越町の境を流れる北上川の支川でございますが、昭和二十年代前半のカスリン、アイオン台風の災害復旧工事で施工された弱小堤防のままで、過去幾度となく水害の危機にさらされてきたわけでございます。このため、昭和五十七年度より岩手、宮城県両県におきまして同時に夏川小規模河川改修事業に着手しまして、下流より順次改修を促進しているところでございます。本年の危険箇所なども含めまして、今後とも一層本事業によりまして対応してまいり、事業の促進に努めてまいる所存でございます。
  185. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、平泉上流堤防及び衣川堤防築堤工事早期着手についても陳情を受けておりますので、この点についても御説明お願いいたします。
  186. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 北上川治水事業の最大の眼目は一関遊水地事業でございます。これは、一関市、平泉町の洪水被害の軽減を目的に、昭和四十七年度に事業に着手し、現在までに第一遊水地の周囲堤を、戦後経験しました第三位の洪水である昭和五十六年八月出水に対応できるように、ようやく概成したところでございます。今後は、戦後第二位になりますアイオン台風に対応した築堤を進めておるところでございます。  ただいま先生のおっしゃいました平泉上流堤防及び衣川堤防築堤工事につきましては、この一関遊水地事業上流に隣接する地域でございますので、遊水地事業の進捗とあわせて、できるだけ早期に着手するよう検討しておるところでございます。
  187. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、北上川右岸の石鳥谷築堤工事の促進ですが、下流に役場、中学校、工場がありましてたびたび洪水の被害が出ておりますので、この促進方についても御説明お願いいたします。
  188. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 北上川の人家連檐部であります石鳥谷地区の堤防でございますが、この地域は人家連檐部であるという事情も踏まえまして、パラペット工事によって昭和五十年度より着手し、現在、全延長千九十メートルのうち六百三十メーターを完成したところでございます。さらに、ここに流入します薬師堂川でございますが、これにつきましては、昭和六十三年度から下流の用地買収から実施しておるところでございます。また、支川葛丸川の改修ともあわせまして計画的に実施し、早期治水の安全の確保をするよう努力してまいりたいと考えております。
  189. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、またこの一級河川の北上川のことでございますが、桜づつみモデル事業の推進、猿ケ石川上流地域の、東和町の分でございますが、築堤等の整備促進、さらにこの北上川右岸堤防、金ケ崎町三ケ民地区、補強と河岸崩壊防止工事早期着工について、さらに北上川右岸自山堤防上流早期事業完成について、これは前沢町でございますが、さらに北上川上流日形地区築堤工事早期着工について、これは花泉町でございますが、ひとつ対応策の内容を御説明いただきたいと思います。
  190. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず桜づつみモデル事業でございますが、北上川右岸の高田地区から小舟渡地区にかけてのものでございますが、平成二年度に事業採択として認定いたしまして進めておるところでございまして、今後とも計画的に促進してまいりたいと考えております。  それから猿ケ石川の東和町地区の築堤でございますが、この十三・八キロの全延長のうち平成二年度までに四・一キロを完成したところでございます。今後も河積不足の東和町落合地区の築堤工事を実施しまして、支川毒沢川改修とあわせて計画的に実施してまいりたいと考えております。  金ケ崎町の三ケ民地区におきます北上川右岸堤防の補強につきましては、地元要望を承っておりますが、今後調査の上、対応してまいりたいと考えております。また、河岸崩壊防止工事については、昭和五十七年八月災害で二百二十メーターについて対策を実施しているところでございますが、今後とも河岸洗掘、背後地の状況等を勘案しながら対応を検討してまいりたいと考えております。  それから前沢町の北上川右岸の白山堤防でございますが、下流部三千三十メートルを計画高水位、ハイウオーダー堤で概成したところでございます。上流八百メートルは無堤区間でございますので、現在、平成二年度より用地買収に着手しておりまして、支川川端川の改修とあわせまして計画的に対処してまいりたいと考えております。  花泉町におきます北上川上流日形地区の築堤工事でございますが、下流千九百七十メーターをハイウオーター堤で概成しておりまして、なお上流千百七十メーターが無堤地区になっておりますので、昭和六十一年度より用地買収に着手しておりまして、早期工事に着手するよう努力してまいる所存でございます。
  191. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間が来たので、終わります。どうもありがとうございました。
  192. 古賀誠

    古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会