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1991-11-21 第122回国会 衆議院 科学技術委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成三年十一月五日)(火曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 中馬 弘毅君    理事 佐田玄一郎君 理事 渡海紀三朗君    理事 光武  顕君 理事 村井  仁君    理事 山本 有二君 理事 関  晴正君    理事 辻  一彦君 理事 近江巳記夫君       今井  勇君    小沢 一郎君       大野  明君    河野 洋平君       塚原 俊平君    羽田  孜君       渡瀬 憲明君    大畠 章宏君       佐藤 観樹君    渋沢 利久君       松前  仰君    森井 忠良君       長田 武士君    吉井 英勝君       永末 英一君     ――――――――――――― 十一月八日  中馬弘毅委員長辞任につき、その補欠として  近岡理一郎君が議院において、委員長選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 平成三年十一月二十一日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 近岡理一郎君    理事 斉藤斗志二君 理事 渡海紀三朗君    理事 光武  顕君 理事 宮路 和明君    理事 山本 有二君 理事 関  晴正君    理事 辻  一彦君 理事 近江巳記夫君       河野 洋平君    中馬 弘毅君       塚原 俊平君    簗瀬  進君       大畠 章宏君    松前  仰君       森井 忠良君    長田 武士君       吉井 英勝君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)  出席政府委員         科学技術政務次 二木 秀夫君         官         科学技術庁長官 林  昭彦君         官房長         科学技術庁科学 須田 忠義君         技術政策局長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術振興局長         科学技術庁研究 井田 勝久君         開発局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         科学技術庁原子 坂内富士男君         力安全局長         科学技術庁原子 谷   弘君         力安全局次長  委員外出席者         原子力安全委員 内田 秀雄君         会委員長         防衛庁教育訓練 河尻  融君         局訓練課長         外務省北米局地 原田 親仁君         位協定課長         大蔵省主計局主 乾  文男君         計官         文部大臣官房文         教施設部計画課 西口 千秋君         長         文部省高等教育 若林  元君         局専門教育課長         文部省学術国際 雨宮  忠君         局学術課長         通商産業大臣官 河面慶四郎君         房参事官         工業技術院総務 平松 博久君         部計画課長         気象庁観測部管 櫻岡  勉君         理課長         気象庁地震火山         部地震予知情報 栗原 隆治君         課長         郵政省電気通信         局電波部基幹通 清水 英雄君         信課長         建設大臣官房技 青山 俊樹君         術調査室長         消防庁危険物規 猪野  積君         制課長         科学技術委員会 松尾 光芳君         調査室長     ――――――――――――― 委員異動 十一月五日  辞任        補欠選任   羽田  孜君    愛知 和男君 同月六日  辞任        補欠選任   村井  仁君    井上 喜一君 同月七日  辞任        補欠選任   佐田玄一郎君    近岡理一郎君 同月十一日  辞任        補欠選任   愛知 和男君    斉藤斗志二君   井上 喜一君    与謝野 馨君   大野  明君    宮路 和明君   渡瀬 憲明君    簗瀬  進君 同月二十一日  理事村井仁君同月六日委員辞任につき、その補  欠として与謝野馨君が理事に当選した。 同日  理事佐田玄一郎君同月七日委員辞任につき、そ  の補欠として斉藤斗志二君が理事に当選した。 同日  理事渡海紀三朗君同日理事辞任につき、その補  欠として宮路和明君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 近岡理一郎

    近岡委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、科学技術委員長に就任いたしました近岡理一郎でございます。  今日、我が国科学技術発展は目覚ましいものがあり、今後とも、人類の福祉の増進、地球環境保全等貢献することが期待されております。このように我が国国際社会で果たす役割がますます増大する中、本委員会に課せられた使命はまことに重大であると言わなければなりません。  何分微力ではございますが、練達堪能な委員各位の御協力、御指導を賜りまして、委員会の円滑な運営を図り、その重責を果たしてまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――
  3. 近岡理一郎

    近岡委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事渡海紀三朗君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近岡理一郎

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任による欠員のほか、委員異動に伴う欠員二名、計三名の理事欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近岡理一郎

    近岡委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       斉藤斗志二君    宮路 和明君    及び 与謝野 馨君を指名いたします。      ――――◇―――――
  6. 近岡理一郎

    近岡委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する事項  原子力開発利用とその安全確保に関する事項  宇宙開発に関する事項  海洋開発に関する事項  生命科学に関する事項  新エネルギー研究開発に関する事項以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 近岡理一郎

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  8. 近岡理一郎

    近岡委員長 この際、谷川国務大臣及び二木科学技術政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。谷川国務大臣
  9. 谷川寛三

    谷川国務大臣 このたび、科学技術庁長官を拝命いたしました谷川寛三でございます。よろしくお願いいたします。  科学技術振興重要性が強く指摘されておりますこの時期に、科学技術庁長官に就任いたしましたことの重責を痛感しておるところでございます。  申し上げるまでもございません、科学技術振興を図りますことは、二十一世紀に向けまして、我が国及び世界発展を遂げ、平和で豊かな社会を築いていくためには不可欠な重要課題一つでございます。  特に、近年我が国は、科学技術によりまして世界貢献していくことが求められており、創造的な基礎的研究強化国際協力を通じて人類全体のための共通的な知的資産を生み出し、これにこたえることが我が国の責務となっております。  また、原子力につきましては、エネルギー安定供給に不可欠な主力エネルギーといたしまして、安全確保を大前提に、着実な推進を図るとともに、宇宙海洋ライフサイエンスなど先導的な研究開発につきましても積極的に推進していくことが重要でございます。  このような政府に課せられた重大な使命を果たすべく、科学技術行政責任者といたしまして、微力ではございますが、全力を尽くしてまいりますので、委員長を初め各委員の皆様におかれましては、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  10. 近岡理一郎

  11. 二木秀夫

    二木政府委員 このたび、科学技術政務次官に再任されました二木秀夫でございます。  ただいまの大臣のごあいさつにもありましたとおり、我が国にとって科学技術振興を図ることは極めて重要な課題であります。  委員長さんを初め委員先生方の御指導を賜りまして、政務次官として引き続き科学技術振興に努めてまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手
  12. 近岡理一郎

    近岡委員長 科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  13. 宮路和明

    宮路委員 それでは私は、科学技術に関する諸問題につきまして、自民党を代表して、谷川大臣を初め政府当局に若干の質問を行いたいと存じます。  言うまでもなく、科学技術経済社会発展の基盤でございます。とりわけ我が国におきましては資源に乏しいわけでございますが、こういう中で今日の経済的豊かさが実現いたしましたことは、国民の勤勉さと科学技術進歩向上によってもたらされたものと言っても、それは過言ではないと思います。その意味で、我が国はまさに技術立国でございまして、今後における我が国経済社会発展推進力といたしましても、また今日我々にとって大きな課題とされております世界の平和と繁栄への貢献という面におきましても、科学技術の一層の振興を図っていくことが不可欠であると思います。  科学技術庁は、こうした科学技術に関する基本的な政策企画立案あるいは総合調整を行う官庁であると同時に、宇宙開発原子力海洋開発、さらにはライフサイエンスといった我々人類にとって未来を大きく開拓する大規模プロジェクト推進母体でもございます。このような重大な任務を担う科学技術庁でございますが、このたび、谷川大臣を迎えられました。  谷川大臣は、かつて大蔵省担当主計官として科学技術庁草創時代の予算と政策に多大の御尽力をされた方だと聞いておるところでございますし、また、自民党科学技術部会長とされても科学技術政策立案に深く関与されてこられた方でございます。このため、内外とも課題が数多く山積する時代にあって科学技術振興のかじ取りとされてうってつけの方と、大いに期待をいたしておるわけでございます。  そこでまず最初に、谷川大臣に、今後の科学技術振興あり方についての抱負をお伺いいたしたいと思います。
  14. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お答えいたします。  先ほどもごあいさつで申し上げましたが、また、委員言葉の中にもございましたとおりでございまして、私は、人類社会発展のためには科学技術振興こそ必要である、こう考えております。ただいま、エネルギーの問題とか、それから地球環境の問題とか、大きな課題がたくさん山積をしております。こういった課題を解決いたしまして、豊かな二十一世紀を切り開いていくためにも、まずこの科学技術振興こそやらなければならぬ、こう思っておるところでございます。  その場合に、私は、何と申しましても基礎研究をもっともっと充実していかなければならぬと思っております。御案内のとおり、欧米諸国から日本基礎研究ただ乗りだという非難も受けておりますが、こういう非難を一日も早く返上しなければならぬ。そうして、これは数年前の前川レポートにも書かれておりましたが、日本のすぐれた科学技術を、お言葉にありましたように、国際貢献にうんと役立てていかなければならぬ、こういうことを基本にいたしまして、大変非才ではございますが、科学技術振興のために一生懸命頑張っていきたいと思っておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。
  15. 宮路和明

    宮路委員 ただいま長官お話として二つの点が特に指摘をされたところでございます。一つには基礎研究、もう一つ国際貢献ということであったと思います。  そこで、基礎研究の問題についてお尋ねいたしたいわけでございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、我が国科学技術分野におきまして、諸外国基礎研究の成果にただ乗りをしているのではないかという批判をよく耳にするところでございます。現に半導体だとかあるいはコンピューターといった今日我々の社会にとっ て不可欠となりました重要発明、その多くが外国でなされたものであります。  今さら申し上げるまでもなく、基礎研究は、商品の販売によって利益を得ることを主目的としておりますところの民間部門に多くを期待することには当然無理があるわけでありますから、やはり国が主体的にあるいは先導的に推進をしていかなければならないものであると思います。そして、こうした基礎研究を行うに当たりましては、最近では特に研究内容が先端化し、あるいは大規模化するに伴いまして優秀な人材がまず必要である、そして同時に高価な装置、機器が必要であるわけでございます。そのために多額の資金が必要となってきているところでありますけれども、従来、基礎研究に対する政府取り組み姿勢というものを見ますと、いろんなデータから考えても、我が国欧米諸国にはるかに劣るものがあるというふうに認識をいたしておるわけでございます。  そこで、科学技術庁長官に、今後の基礎研究の一抜本的な拡充対策についてまずお尋ねいたしたいと思います。
  16. 谷川寛三

    谷川国務大臣 ただいま基礎研究に力を注いでまいるとお答え申し上げましたが、そのためには、何と申しましても関係省庁協力をしながら基礎研究の主要な担い手でございます大学、それから今お話がありました国立試験研究機関等研究環境をもっともっと改善していく、そしてその研究開発能力強化していくことがまず必要であると考えております。  そこで、科学技術会議におきましても、二十一世紀を展望しました科学技術の総合的な基本方策に関する審議を進めておりまして、近く答申が出る予定と聞いておりますが、その中で、今申し上げました。ような考え方に立ちまして、基礎研究充実強化のための施策を取りまとめていくことになるようでございます。今後、その答申に盛り込まれる施策の実現に向けまして、答申をいただいた後、私も一生懸命努力をしていきたいと考えておるところでございます。  なお、科学技術庁といたしましては、これまでも創造科学技術推進事業等施策によりまして基礎研究推進を図ってきたところでございますが、また委員サゼスチョン等もいただきまして強化をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  17. 宮路和明

    宮路委員 ただいま基礎研究の問題につきまして、科学技術会議答申等を踏まえて積極的にその対策に取り組んでいきたいというお話がありましたが、科学技術庁に課せられました科学技術に関する総合調整官庁として、さらに一段のお取り組みを願いたいと思う次第でございます。  次に、今日我が国に対しましては、国際貢献あり方というものが各分野においていろいろと強く求められておるところでございます。我が国科学技術が高いポテンシャルを有していることにかんがみますと、地球環境問題への対応を初めといたしまして、科学技術分野こそ我が国にとって国力にふさわしい国際貢献を行い、あるいはリーダーシップを発揮していくべき適切な分野であると言えるのではないかと私は思います。第三次行革審の世界の中の日本部会におきましても、科学技術分野における国際貢献についての審議を現在積極的に進めておられるというふうに聞いておるところでございますが、この国際貢献基本的な考え方について科学技術庁長官にお尋ねいたしたいと思います。
  18. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お答えいたします。  ただいま委員からも御指摘がございました、また、私が最初基本方針としても申し上げましたが、豊かな経済力科学技術力を有するに至りました我が国としましては、科学技術によりまして国際社会に積極的に貢献していくことが絶対必要だ、こう考えておるものでございます。このためにグローバルな視点に立ちまして地球環境問題、エネルギー問題等人類共通の問題の解決のための研究開発に取り組んでいく、それから人類全体の知的な財産を生み出す基礎研究推進してまいる、さらに主導的、主体的な国際共同研究開発推進していく、こういったことが非常に大事なことであると考えております。  今後こういったような科学技術グローバル化基本理念といたしまして、国際的な科学技術活動を積極的に推進いたしまして、科学技術によりまして国際貢献に努めていきたい、こう考えておるところでございます。
  19. 宮路和明

    宮路委員 どうもありがとうございました。  次に、原子力の問題についてお尋ねいたします。  原子力は、先ほど長官のごあいさつにもございましたように、将来にわたり国民エネルギーを安定的に供給する上で非常に重要な役割を果たすものでございます。特に青森県の六ケ所村に計画が進められております核燃料サイクル施設は、原子力開発利用推進する上で不可欠な施設であり、その計画を着実に進めていくことが極めて重要であると思います。  ところが、新聞報道によりますと、去る十一月八日、三沢市の対地訓練区域内に米国空軍F1戦闘機が二千ポンドの実爆弾を投棄したということのようであります。本財爆場は、六ケ所村の核燃料サイクル施設の南方約十キロメートルのところにあるわけでございますから、サイクル施設にもひょっとすれば爆弾が投棄され、大きな事故になるのではないかといったような不安が周辺住民等にもあると聞いております。  そこで、本件に関しまして、その事実関係をまず外務省防衛庁に確認をさせていただきたいと思います。
  20. 原田親仁

    原田説明員 お答え申し上げます。  今回の事故につきましては、十一月八日、米空軍三沢飛行場F16が、鳥島の射爆撃場に向けて三沢飛行場を離陸した直後、発電機が不調となったため、パイロットは安全確保のために沖合に向けて飛行し、付近海上漁船等船舶の航行かないことを確認した後、実弾の二千ポンド爆弾二個を天ケ森対地射爆撃場東方水域に投下したと承知しております。米側によれば、投棄された爆弾起爆装置が作動されないようになっておりまして、爆発するおそれはないとしております。  政府といたしましては、この事件が起きました八日、事故通報に接し、直ちに米側に対し遺憾の意を表明するとともに、事故原因究明再発防止措置の申し入れを行った次第でありますが、さらに昨日十一月二十日、日米合同委員会の場においても米側に対し遺憾の意を表明するとともに、事故原因究明再発防止措置、さらには投棄された実弾の捜査及び回収を要請し、さらに米空軍飛行に当たって、先ほど先生がおっしゃいました地元方々の不安を考慮いたしまして、従来からも申し入れていることではございますけれども、米空軍飛行に当たって、六ケ所核燃料サイクル施設付近飛行しないように改めて申し入れた次第でございます。
  21. 河尻融

    河尻説明員 お答え申し上げます。  三沢対地射爆撃場におきましては、現在航空自衛隊戦闘機、これは第三航空団F1が主体でございますが、これが爆弾ロケット弾機関砲の空対地射爆撃訓練を実施しているところでございます。この訓練につきましては、訓練弾を使用いたしておりまして実弾は使用していないところでございます。
  22. 宮路和明

    宮路委員 ただいまの説明によりますと、三沢対地訓練区域内での訓練は、訓練爆弾模擬爆弾を使用されておって実爆弾は用いられていないということのようでありますが、今回、三沢基地を飛び立ったF16が鳥島の方へ行く途中で何か電気系統トラブルを発生させて、そして実爆弾が投棄されたということは事実であるわけでございまして、先ほど外務省の方としても米国の方に対して既にそうした表明をされたということでありますが、非常に遺憾なことであると思います。  そこで科学技術庁に、この施設安全性核燃料サイクル施設安全性に関してお聞きしたいわけでありますが、本サイクル施設安全審査には従来から航空機による事故も考慮されているというふうに聞いておるところでございますが、今回 のこうした事態の発生というものを受けて、この安全審査をこの際見直す必要性というものはないものかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  23. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  米軍のF16による実弾投棄が起こったということにつきましては、地元方々に大変御心配をかけたということで、私ども残念なことだというふうにまず考えております。  それで、初めに核燃料サイクル施設安全審査における航空機の問題についてちょっと振り返って御説明したいと思います。  まず一この核燃料サイクル周辺航空機につきましては、施設の南の方に三沢空港及び三沢基地があり、かつ同じく南方向ですけれども、三沢対地訓練区域通称天ケ森爆場と言っておりますが、これがございます。そして、ただいま御説明がありましたが、そこで米軍航空自衛隊航空機訓練を行っているということでございます。  まず三沢空港三沢基地に関してでございますが、これはこのサイクル施設から距離が約二十八キロメートルというふうに非常に離れておるということ、それから航空機は原則として原子力施設の上を飛行しないというふうに規制されるということから、その影響が核燃料サイクルに及ぶということは考えられません。  次いで、天ケ森の射爆場につきましてですが、これは南の方向約十キロメートルにございますが、そこで訓練をしている航空機施設に墜落するという可能性は極めて小さいというふうに考えられますけれども、多数回の飛行か行われているということを配慮しまして、再処理施設それから廃棄物管理施設では、仮にエンジン故障を起こした訓練機が衝突したとしても、安全上重要な建屋の屋根とか外壁、そういったものが壊れないよ一つに設計をすることとしております。審査においては、この天ケ森爆場訓練機については実弾の搭載といったものを想定してございませんが、訓練で使用するのは模擬弾であるということについて関係機関から確認しているということによるものでございます。  以上のことから、核燃料サイクル施設安全審査におきましては、航空機に関しては安全上問題がないというふうに判断しております。  次いで、今回のF16の実弾投棄核燃料サイクル施設航空機に関する安全審査との関係でございますが、先ほど外務省からの御説明もありましたが、今回の事態天ケ森爆場における訓練ではなくて南西諸島の鳥島にかかわる訓練であるということ、それから、その射爆場沖合実弾が投棄されたことにつきましてトラブルが起こったわけですけれども、それを起こした後に米軍安全規則に従って投棄したということ、それからまた、実弾を使用した訓練というものは年に六回程度であるというようなこと、米軍等の発表を総合しますとそういうことでございまして、こういったことから今回のような事態が起こるという可能性は低いというふうに考えられますし、仮に起こっても、今回のように投棄場所の安全を確認した上で投棄するということになると考えられますので、実弾施設に到達する可能性は無視できるというふうに考えられます。したがって、現状の安全審査で十分であると考えております。
  24. 宮路和明

    宮路委員 今局長の方からいろいろと御説明がなされたわけでございますけれども、現実に先般そうした事態が発生をしたわけでございます。したがって、何度大丈夫だ大丈夫だ、こういうふうに言われても、こうした周辺住民の皆さんたちの不安といいましょうか心配といいますか、それは払拭されるものではないというふうに思われるわけでありまして、したがって、何よりも重要なことは、こうしたことが二度とこれから起こらないということだというふうに思うのですね。  そこで、先ほど外務省の方では、既に米軍に対して強い申し入れをしているということでございましたけれども、やはり原因の徹底究明と再発防止のための措置をきちっと講じてもらうように、繰り返し米軍に対してそうした態度で対応するように、この際、政府に強く私の方からも要望をさせていただきたいというふうに思います。  次に、最後になりますが、科学技術分野でいわば日本の夢とも言うべき、あるいは夢となり得る宇宙開発の問題について、特に我が国宇宙開発に関して今重要なプロジェクトとなっておりますところのHⅡロケットの問題と宇宙ステーションの問題、これを中心にお尋ねさせていただきたいと思います。  まず一つは、HⅡロケットの問題でありますが、我が国が今日の国際的な地位にふさわしい宇宙開発活動を展開していくためには、これらの宇宙開発活動を自在に遂行する能力を有することがまず不可欠の前提だろうと思います。また、その能力の前提となるのが自前のロケットを持つことであると思います。なぜならば、打ち上げる衛星が幾ら立派なものがあっても、ロケットを外国に頼っていては打ち上げたいと思う時期に打ち上げることができないといったようなおそれもあるわけでございます。既にアメリカでは、静止軌道に四・五トンの衛星を打ち上げることができるタイタンⅣが一九八九年に運用開始され、またヨーロッパでも、静止軌道に二・三トンの衛星を打ち上げることができるアリアン4が一九八八年に運用開始されているというふうに聞いておるところでございます。  一方、我が国でございますけれども、最近通信衛星や放送衛星、さらには気象衛星等々各種の衛星がその役割の高度化、に伴いまして大型化していく傾向にございまして、こうした状況を踏まえて、静止軌道に約二トンの衛星を打ち上げることができる国際的水準のHⅡロケットの開発に今取り組んでおるところでございます。去る八月にはそのエンジン試験中に不幸な事件が発生するなど、幾多の困難をいろいろ克服しながら、第一号機の打ち上げを再来年早々に控えて、開発が今まさに正念場に差しかかっているかと承知をしております。  そこで、このHⅡロケットの開発状況についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  25. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、我が国宇宙開発世界の一流国となるためには、その宇宙への輸送手段でございますロケット、そして、それもまた欧米諸国のロケットに比肩できるような独自のロケットの開発が何より重要であろうかと思っておるわけでございまして、そういう観点からいたしまして、HⅡロケットの開発は大変重要なプロジェクトである、このように認識しておるところでございます。  これまでの開発の状況を御報告申し上げますと、第一段の主エンジンでございますLE7エンジンを除きましては、開発はおおむね順調に推移しているところでございます。問題はこのLE7エンジンでございますが、このエンジンは世界的に見ても非常に高い水準の技術でありますがゆえに、その開発はまた大変難しい点がございます。それで、今先生指摘のとおり、幾つか技術的課題に直面しておりまして大変御心配をかけておりますが、私ども全力を振るいまして、その都度克服いたしまして開発を進めているところでございます。  このHⅡロケットは平成四年度の冬季の打ち上げが目標でございます。関係方面から高い期待をいただいているわけでございますので、私ども全力を振るいまして、今後、安全で信頼性の高いロケットをきちっと完成いたしましてその打ち上げをしたい、このように考えまして全力を挙げているところでございます。
  26. 宮路和明

    宮路委員 すべての技術を自前の技術で開発をしていく、新しい技術を駆使したロケットを開発していくということになりますと、予期せぬトラブルもつきものであろうかと思うわけでございますが、拙速に走ることなく、まずしっかりと着実に開発に取り組んでいただいて、お話のあったような所期の目的をぜひとも達成していただきたい、このように念ずる次第であります。  次に、もう一つの重要なプロジェクトでありま す宇宙ステーション計画でありますけれども、昨年アメリカは、この宇宙ステーションの予算を大幅に削減するとともに、計画自体をも見直したと聞いておるところでございます。また、ことしの米国議会における九二会計年度予算審議におきましても、二十・三億ドルの要求額に対して、最終的には要求額どおりに決定を見たようでございますが、その過程におきまして、一時は下院の歳出委員会がこの予算を全額削除するといった事態もあったと聞いておるところでございます。アメリカは何といっても宇宙ステーション計画推進の中核であるわけでございますが、そのアメリカでこのような不安定な状況であることを私どもは非常に心配をいたしておるわけであります。こうした状況の中で、我が国宇宙ステーション計画にどのように取り組んでいくのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  27. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  宇宙ステーション計画でございますが、これは約四百キロメートル上空の地球周回軌道の上に常時四人から八人が滞在できます全長約百十メートルの施設を建設する壮大な計画でございまして、御承知のように、日本、欧州、カナダ、米国、こういった国際的な共同プロジェクトになっているわけでございます。我が国は、この宇宙ステーション計画にJEM、日本実験モジュールと言っておりますが、これをもって参加するということで、この開発を今一生懸命進めているところでございます。  このようなやさき、今先生指摘のように、昨年来、米議会におきまして宇宙ステーション計画につきましていろいろな議論が行われてまいりました。その際の議論といたしまして、行政府が提案しておりますNASAの予算が大幅にカットされる、こういう状況にありましたけれども、その際、我が国を初めとする国際パートナーが議会にも証言いたすなどいたしました。それから、強い働きかけもいたしました。こういうこともありましたし、また、アメリカの議会の議論も、これはやはりよくないという議論になりまして、最終的には二十・三億円という当初の要求どおり通ったわけでございます。  今後のことでございますが、私もアメリカのNASAの幹部といろいろ話しました。その結果、これは国際協力プロジェクトである、こういうことは何よりも大きな意味がありまして、各国協力のきずなのもとに開発をきちっと進めていくことが、これから議会でもいろいろ議論があるかと思いますが、そういうものに対抗してきちっと進められるゆえんである、このようなことでとにかくきちっとやらなければいかぬということを確認してまいったわけであります。  そのような意味におきまして、私どもといたしましても日本のJEMをきちっとつくらなければいけません。そういうことで、まだ今いろいろ機能的な試験の段階でございますが、そういうことを進めまして宇宙ステーション計画をしっかり実現するよう努力してまいりたい、このように考えているところでございます。
  28. 宮路和明

    宮路委員 今お話ございましたように、この計画関係各国がそれぞれ協力をし合ってやっていって初めて効果的に進められるものでありますから、絶えずそうした観点に立って、お互いに連携し合って、我が国もまた今日の国際的地位にふさわしい役割を果たして、しっかりと実現を図っていってもらいたいと期待をする次第であります。  次に、国際宇宙年に対する政府取り組みについてお尋ねしたいと思います。  ただいまの宇宙ステーション計画もそうでありますが、宇宙開発推進には高度な技術やあるいは多額の費用を要するものであります。私ども自民党といたしましても、政府宇宙開発を全面的にバックアップしていきたいと考えておるところでございますけれども、多額の国費を長期にわたって投入するという観点からいたしましても、この宇宙開発に対しては国民の理解を得るための積極的な広報普及活動が極めて重要であると私は思います。  そこで、来年はコロンブスのアメリカ大陸発見から五百年ということでもございまして、国際宇宙年として、世界各国の衛星を利用した地球観測分野における国際協力活動や、あるいはまた宇宙開発に関する各種の普及活動が予定されていると聞いているところであります。  私の地元鹿児島は、御承知のとおり昭和三十七年に内之浦町というところに文部省の宇宙空間観測所が設置をされましたし、昭和四十四年には種子島に宇宙開発事業団によります宇宙センターが建設されるなど、宇宙開発の一大拠点を今形成してまいっておるところでございます。そうした成果といいますものを広く国民に理解していただきたいということが第一点、また、国の宇宙開発推進地元としても今後とも一層協力貢献を行っていきたいという観点も踏まえて、国際宇宙年記念事業として宇宙科学舘建設の要望を関係方面にいたしておるという状況にあるわけでございます。  これらの点も含めて、科学技術庁として国際宇宙年というものに対してどのように取り組んでいくお考えであるかをお聞かせいただきたいと思います。
  29. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  まず最初に、ちょっと私、答弁の数字をさっき間違えまして、二十・三億円と申しましたが、二十・三億ドルでございますので、訂正さしていただきたいと思います。  国際宇宙年でございますが、今御指摘のように、コロンブスのアメリカ大陸発見から五百年と大変記念すべき年に開かれるわけでございまして、これは宇宙開発の利益が先進国だけではなくて開発途上国にも、いろいろ地球観測等、こういったことを通じて広くそういったものが享受できるということを広く認識させよう、そしてまた御指摘のように、次世代を担う若者を対象とした宇宙開発に関する教育、普及、こういうことを行いまして将来への夢を育てようということで、大変意義ある年になる、このように考えているわけでございます。  それで、今御質問のどのような準備かということでございますが、これは米国、欧州、日本というのがそれぞれ中心になりましてISYの中心の団体をつくりまして、それでいろいろな活動を繰り広げるということになっておりまして、米国では既に米国ISY協議会、また欧州でも欧州ISY協議会というものが設立されまして、こういった活動の中心になっているわけでございます。日本でもこういうものをつくるということでただいま民間からも大変幅広い協力を得まして、近く日本のISY協議会というものを設立したい、このように考えているわけでございまして、この協議会を設立後、来年にはアジア・太平洋地域の各国によりますアジア・太平洋ISY会議というものを開催いたすことをメーン事業といたしまして、作文コンテストでございますとか、青少年に対する幅広いそういった宇宙に対する理解と夢を育てる活動をしていきたい、このように考えているわけでございます。  地元鹿児島県については、日ごろ大変宇宙開発について御協力を得ているということは私ども非常に感謝しておりまして、そういう意味でもこれからもいろいろ御協力をお願いしたい、このように思っているところでございます。
  30. 宮路和明

    宮路委員 ひとつしっかりとした対応を図っていただいて、まさに国際宇宙年にふさわしい内容のあるプロジェクトを進めていただきたい、このようにお願いをいたす次第であります。  最後に、二十一世紀を間近にいたしまして、科学技術先進国としてこれから世界をリードし、また世界貢献していかなければならない我が国といたしまして、宇宙開発については特に積極的に取り組んでいく必要があると私は思っておるところでございます。  そこで最後に、この宇宙開発に対する大臣の御決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  31. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お答えいたします。  我が国宇宙開発は着実な進展を遂げつつございます。そうではありますが、広範かつ多様な宇宙開発活動を自在に展開していきますためには、さらに一層の強力な推進が必要であると考えております。さっきも話がありましたが、青少年に宇宙開発は大変な夢を持たせる、また科学技術の粋がここに集まっておりますので、私は今後とも最重点の一つとして取り上げていきたいと思っております。  このために、地球的規模の環境問題の解決に向けた地球観測、それから移動体衛星通信、放送衛星の高出力化といったようなこと、それから、高度化する社会国民のニーズに的確にまたこの方面から対応していく、これも考えていかなければならぬじゃないか。また、今後とも必要となります国際的水準の技術基盤の確立に努めますとともに、これらの技術蓄積を踏まえまして、宇宙ステーション計画我が国の国際的地位にふさわしい国際協力を積極的に推進していく、こういうことも考えていかなければならぬ。いずれにいたしましても、今後とも積極的に宇宙開発推進していきたい、このように考えておるところでございます。
  32. 宮路和明

    宮路委員 では、ひとつその意気込みで邁進をしていただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  33. 近岡理一郎

    近岡委員長 関晴正君。
  34. 関晴正

    ○関委員 新大臣就任に当たって最初の質問になるわけですが、まず、大臣就任早々、一番先に事件が発生したわけであります。  それは、私は爆弾事件と言っているのですが、F16が一トンに及ぶ爆弾を積んで演習をしておる、その演習がうまくいかなくて、青森県の三沢の沖に投下をされました。これまで私ども青森県民に対しては、米軍の演習というものは模擬弾でやっておる、したがって、爆弾なんという心配はまるっきり要らない心配である、こういうことで科技庁は、核燃の施設の諸許可に当たってはそれぞれまた説明をしてきたわけであります。ウランの濃縮工場にしろあるいは低レベルの廃棄物の処分場にしろ、そうして今は再処理の申請に当たっての審査の中にまたあるわけです。こうしたことが、青森県民にとっては、いつもいつも国はだましているんだなという気が非常にみなぎっております。特に、爆弾が落ちても大丈夫ということはないだけに、この問題は非常なショックでもあるわけです。  そこで、一番に聞きたいことは、長官はこの爆弾の投下というものを聞いて何を思い、そうしてまた、どうしなければならないとお考えになったかという点を先に聞きたいし、この点については、おいでの原子力安全委員長にもお伺いしたいと思います。爆弾投下で何を思い、何をしなければならないと思ったか、この二点についてお二人から先にお答えをいただきたいと思います。お考えをお述べいただきたいと思います。
  35. 谷川寛三

    谷川国務大臣 せんだっての事故につきましては、地域の皆様に大変な御心配をおかけしましたことを私も大変遺憾に思っております。今お話がありましたが、早速に担当の局長を呼びまして、どういうふうに施設の整備を進めておるか、その前にどういう四囲の状況を調べてどういうふうに安全性につきまして精査をしてきたかということを、まずよく一緒にもう一遍研究をいたしました。  私は、この間も先生に申し上げましたが、高知県でございますけれども、窪川町という町で、十何年かにわたりまして原子力発電の問題をめぐりまして、賛成、反対、大きな、町を二分するような騒動がございました。そういうこともありまして、エネルギーの安定的な供給それから地球環境の問題を考えますと、原子力の問題はこれから大きな課題として取り上げていかなければならぬけれども、安全の上にも安全、それから、皆様にもこれが安全だということを周知していただきながら、理解と協力を求めていきながら推進していかなければならぬ、もう腹の底から考えておりまして、今申しましたように、すぐにそういう検討をした次第でございます。  そうして外務省に、米軍に対してどういう措置をとったかすぐに聞きただしましたら、さっきお話がありましたように大使館の者を呼びまして厳重に遺憾の意を表明して、そして調査をし、再発防止についての勧告をしたようでございまして、そしてその後も日米合同委員会で協議がなされた旨の発言がありましたが、米側も大変恐縮して恐れ入って従ったということを聞いております。これから再び起こらぬように注意をしてもらうし、私の方は、重要な施設でございますから、これから原子力発電をやっていく上におきましてはなくてはならぬ施設でございますから、今言ったようにさらに安全の上にも安全をあれしながら進めていきたいと思っております。
  36. 内田秀雄

    ○内田説明員 下北地方にあります核燃料施設につきましては、現在再処理施設と高レベルの貯蔵施設につきましては審査中でございますので、核燃料安全専門審査会の審査の結果を待ちたいと思います。  一般的に申し上げまして、原子力施設に関します航空機の問題につきましては、原子力施設の上空は航空機は飛ばないということになってはおりますけれども、飛行場に関しましては、飛行場の位置でありますが、例えば三沢の地区でありますと二十八キロ離れておりますから十分離れていると思いますが、その飛行場の位置と離陸、着陸の方向の問題を中心に考慮の対象になるかどうかを検討しておるところであります。  再処理施設につきましては、今行政庁の審査を終わった段階ではございますけれども、天ヶ森の訓練飛行にかかわります飛行機の落下が仮にありましても、安全が十分保てるように施設の設計をするということを聞いております。いずれにしましても、詳細は安全専門審査会の審査を待っているところでございます。
  37. 関晴正

    ○関委員 委員長大臣についてはまたさらにお尋ねをしていきたいと思いますが、防衛庁外務省が見えておりますからこの際お聞きしておきたいのは、こうした訓練飛行といいますか、実弾爆弾投下実習というのでしょうか、こういうようなことが先ほどのお話では二千ポンドについては年六回、こう言っておるのですが、六回と決まったものでもないだろうと思うのです。何回なのかわからないぐらい演習は行われるのだろう。また、二千ポンドの爆弾じゃなくても千ポンドの爆弾あるいは五百ポンドの爆弾、それぞれに行っているのだろう、こう思う。  この際、この爆弾の投下地点、投下場所、演習場と申しましょうか、今言われたのは鳥島ですね、ここまではどういう格好で飛んでいくのでしょうか、三沢から出たF16は。どういう飛び方をしていくのでございましょうか。それからその飛んでいく飛行機の速さはどのくらいの速さで行くのでしょうか。飛行コースとスピードとそれから投下爆弾の種類、それはどういうことになっておるのかということについてひとつお知らせいただければと思います。
  38. 原田親仁

    原田説明員 先生の御質問にお答えいたします。  天ケ森爆撃場への飛行ルートということでございますけれども、米軍は、米軍の具体的な飛行ルートの詳細につきましては米軍の運用にかかわることでもあるのでこれは公表できないとしております。ただ、天ケ森爆撃場に向かうに当たっては、米側は、原子力施設付近の上空の飛行につき日本側の規制を十分尊重しており、核燃料サイクル施設の南にある鷹架沼より南の空域を飛行して赴くということを言っております。天ケ森の射爆撃場で使用する爆弾は、これは模擬弾でございます。
  39. 関晴正

    ○関委員 こんな答弁、委員長もびっくりしたでしょう。――アメリカが日本の国の中でどう飛んで演習をしているのかということも知らない外務省ですよ。せっかく昨日、日米合同委員会を開いだというなら、聞いたのでしょうか。聞いても教 えないというのでしょうか。教えないから聞きもしないということで過ごしたのでしょうか。  まず、その飛んでいく飛行コースは陸上を飛んでいくのか、陸上といえば本土の上を飛んでいくのか、海上を飛んでいくのかの飛行コースですね。それから目的地まで行くのにどのくらいの距離があるのか、スピードはということぐらいはお答えになったらどうですか。今お答えできないならば聞いて、私の質問約七十分ぐらいありますから、その間でもよろしゅうございますよ。今の点について、どのくらいの高空で飛んでいくのか、それも含めて。そんなことも答えられない、そんなことも知らせられないというなら、これは話にも何もならない。そういう点で、ひとつ知っているところをお答えいただければと思います。
  40. 原田親仁

    原田説明員 先生の御質問は天ケ森の……(関委員天ケ森じゃない、弾を落とした飛行機の話だよ」と呼ぶ)失礼いたしました。先ほど天ケ森爆撃場ということでお答えした次第ではありますけれども、いずれにいたしましても飛行ルートの詳細というものは、米側は、これは米軍の運用にかかわるということでございまして公表できない。ただ、米側によれば鳥島爆撃場に向かう米軍機は、これは三沢飛行場から離陸後速やかに洋上に出て、その後主に洋上を目的地に向かうものというふうにしております。  飛行距離でございますが、これは飛行ルートの詳細がわからなければわからないわけでございまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように飛行ルートの詳細は我々承知しておらないわけで、具体的な距離というものは承知しておりません。(関委員「スピードは」と呼ぶ)具体的に、実際にいかなる速度で鳥島爆撃場に向かうかは我々としては承知しておりませんが、F16は最大速度はマッハ二以上と承知しております。
  41. 関晴正

    ○関委員 日本の国を守るという米軍を置いていながら、演習におけるコースも知らない。詳細はわからなきゃわからなくてもいい。しかし、どういう飛び方をしているのか、どういうコースで行くのかということぐらいも知らないということは大変なことじゃないだろうか、こう思いますので、これはひとつよく聞いて、また後刻でもいいから御報告いただければと思います。  そこで問題は、これは私どもの方の調べからいきますというと、鳥島というところは久米島のやや北にある、恐らく三千キロ近い地点になるのじゃないだろうか、こう思うのです。そういうところにわざわざ飛んでいくのだが、そうして今回の場合は十一機飛んでいった。そのうちの十機は成功したが、一機は用が足せなくて戻ってきた。戻っそきて、その爆弾三沢の制限水域のところに落としたというのだが、これもどうかわかりません。そこへ落とすつもりだったろうけれども、そこに落ちたかどうかわかりません。  そういう点で、もうこの投下事件以来二週間ですよ。二週間近いですよね。その爆弾の処理をどうするのかということ。捜しているのか捜していないのかということ。さらに、この飛行機の故障は何であったのかということ。飛行機の故障の話をしますというと、ここ五年の間に墜落事故から不時着の事故から誤爆から、そういうものが二十二件も発生しております。いかにこのF16という飛行機というものが欠陥機であるかということもまた示しております。  さらに、ただいまの御報告によるというと、F16のスピードはマッハ二を超えている。恐らく二・二ということが示されておりますので、マッハ二・二といったら時速何キロだと思いますか。マッハ一といいますというと時速千二百キロですよ。二・二ならば、千二百に二・二を掛ければ時速二千六百キロでしょう。そんな速さで飛んでいくのですよ。先ほど安全委員長は、二十八キロぐらいの距離があるから大したことがないとか、あるいは安全局長も、距離は天ケ森から行けば十キロぐらい、三沢から行けば二十八キロぐらい、そう言って大した距離があるように言っていますが、これは距離と言えますか、こんな近いところにあるものを。のこのこ走っていくなら距離に値するかもしれませんけれども、マッハ二・二ですよ。時速二千六百キロですよ。秒速何ぼになりますか。三十秒もかからぬうちにもう二十二キロも行ってしまいますよ。  そういうことを見ますというと、爆弾を積んで飛んでいる飛行機なんというのは核燃の施設の上に近寄せるわけにいかないものだと思うのです。そういう恐ろしいものが飛んできて、それでも大したことがないと思っているなら、これはとんでもない話ですよ。今までは爆弾はない、模擬弾だ。模擬弾だって大変でしょう。一トンの模擬弾、落ちても大丈夫ですか。飛行機が落ちても大丈夫だといって計算をしておるけれども、それも実際上日本で実験をしたわけでもない。どの程度本気になってやった実験かわからぬけれども、そんなものに頼って安心でございますからといったって、だれもそんなことで安心できません。  そこで私は、こういうような爆弾についての始末、処理について、米軍はいつごろまでに片づけようとしているのか、何の用も足してないのでしょうか。答えてください。
  42. 原田親仁

    原田説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたけれども、米軍は、投棄された爆弾は安全ということでありますけれども、政府としましては、地元方々の心情も理解して、昨日、日米合同委員会で申し入れた際に、米側に対し、爆弾の捜査、回収を要請した次第でございます。米側は、爆弾の捜査、回収の努力を行う、現在、右について鋭意検討中であるというふうに承知しております。
  43. 関晴正

    ○関委員 この爆弾が落ちても、言うなれば破裂しない、爆発しない、そういう装置を施してやった、こうあるのですが、そういう事故が発生したときのマニュアルはどういうふうになっているのか、マニュアルの内容を教えていただけますか。
  44. 原田親仁

    原田説明員 これは米軍内部の運用規則でございますので、我々としても詳細については承知しておらないわけですけれども、米側三沢の航空関係規則では、三沢基地周辺を飛行中の飛行機のパイロットは、緊急の場合には爆弾天ケ森爆撃場の制限水域に投棄し得るということになっているものと承知しております。
  45. 関晴正

    ○関委員 そういうようなときには、天ケ森爆撃場の制限水域に落とすようにと指示されているという御報告であります。しかし、爆弾が爆発しないというならば、どうしてそのまま三沢の空港におりなかったのですか。おりれば爆発するのですか。そこのところを教えてください。
  46. 原田親仁

    原田説明員 私も専門家でございませんので詳しいことは承知していないのですが、今回不調を来しました飛行機のパイロットは、安全確保の観点から、飛行機が安全に緊急着陸できるように爆弾を海上に投棄したというふうに承知しております。
  47. 関晴正

    ○関委員 さっきは、安全装置を施して爆発のおそれがないようにして投下したから安全だ、こうお答えになりましたよね。そういう安全なものであるならば、安全装置を施しておればショックを受けても影響ないのでしょうとこれは素人的に考える話ですよ。しかし、それを積んだまま着陸することは飛行機自体に影響を与える。ということはどういうことなんでしょう、爆発の可能性があるということじゃないのですか。そこはどうなんですか。そこへ来るならば爆発するので困る、しかし海へ落とすならば爆発しないから大丈夫だ、これはちょっと科学的ではないですよ。その辺どうなんです。
  48. 原田親仁

    原田説明員 米側によれば、投棄された爆弾起爆装置が作動しない形で投棄したわけでございまして、投棄したのは、着陸の際に爆弾そのものが爆発するというおそれのためではなくて、あくまで飛行機自体が安全に緊急着陸できるというために、飛行機の操縦の、専門的な問題は知りませんけれども、あくまでも緊急着陸を安全に行うという観点から爆弾を投棄したものと承知しております。
  49. 関晴正

    ○関委員 だから、一トンの爆弾を持ったままでは機体がもたないということですか。爆発のおそ れはないんだが機体がもたないということですか。ここをはっきりしてください。
  50. 原田親仁

    原田説明員 安全に緊急着陸をするために重さを軽減する必要がある、そういう観点から投棄したというふうに承知しております。
  51. 関晴正

    ○関委員 これは一トンの爆弾での訓練一つの状態の御報告として受け取ったのですが、こういう爆弾を、一トンばかりじゃなくて、あるいは二千ポンドの爆弾じゃなくて千ポンド、五百ポンド、そういうようなことでの爆弾の、実弾の演習というものをどの程度おやりになっているのでしょうか。
  52. 原田親仁

    原田説明員 具体的にどのような爆弾をどういう頻度で訓練しているかということは米軍の運用にかかわる問題でございまして、我々としては承知しておりません。
  53. 関晴正

    ○関委員 まあひどいことですね。日本の国を守ると言っておるのでしょう、アメリカは。守り方の一つの技術訓練をいろいろやっているわけですが、それをちっとも知らない。知らないのか知ろうとしないのかわかりませんよ、これも。いずれにしても想像でいくしかないのだけれども、訓練には実弾は使わない、模擬弾で、こうやってきたのだ。これまでの許可の申請に当たっても、科技庁にしろ安全委員会にしろ、模擬弾模擬弾だ、こういうことで来たのです。模擬弾だって実際にぶつかったら、一トンのものが一瞬にぶつかったらどうなるのだろうなと思うというと、これは大変なことだと思います。実弾でないから大丈夫だというものでもないと思います。  しかも、常時、日本の空を守ると言ってそうして実弾を積んだ米軍飛行機が飛んでいる。三沢の射爆場を除いて飛んでいるというわけじゃない。これは三沢の空も核燃の空も積んで飛んでいる、そういうことになっているのでしょう。どうですか。
  54. 原田親仁

    原田説明員 天ケ森爆撃場におきます米軍機の訓練については、これは模擬爆弾が使われて実弾爆弾演習は行われないということははっきりしております。一方、三沢飛行場配属の米軍機が実弾演習に向かうに際して、これは実弾を一切搭載しないということは、これまでも米側はそのように言っておりませんし、我々もそのようには承知しておらなかったわけです。  具体的な頻度、先ほど私は若干舌足らずだったのでございますが、鳥島への実弾演習のための頻度につきましては、詳細については先ほど申し上げたとおり承知していないのですが、頻度につきましては年平均六回程度というふうに承知しております。
  55. 関晴正

    ○関委員 私の聞いているのは、天ケ森の演習には模擬弾でやっている、しかし、だからといって演習に使うとき以外に、一般的に実弾を積んで飛行機が飛んでいるということは日常茶飯事のことなんでしょう、どうですかと聞いているのです。演習には模擬爆弾、演習でなく飛行しているときはそういう実弾を積んでいることが常にございます。こういうことになっているのじゃありませんか。一  それからただいまの、年六回だと言いましたが、年六回というのは二千ポンド、その他のものにはどうなっているのですか。その他の爆弾実弾はないのですか。やっていないのですか。やっているのでしょう、それも。その場合どういうことになっているのですか。二つお答えいただきたい。
  56. 原田親仁

    原田説明員  先ほど申し上げました年平均六回程度と申しますのは、私は爆弾が二千ポンドの射爆撃の演習の場合ということで申し上げたのではなくて、鳥島への射爆撃演習をやる頻度として申し上げた次第でございます。
  57. 関晴正

    ○関委員 では、その内容はどうなんです。
  58. 原田親仁

    原田説明員 訓練の詳細につきましては、これは運用にかかわる問題でございますので、承知しておりません。
  59. 関晴正

    ○関委員 今の答弁はいただけません。年六回だという話も、二千ポンドの話じゃなくて核爆弾のものも入っておるのかなという感じがしますよね。種別を言えと言ったら種別が言えないと言う、運用にかかわるといって逃げておるのだが、もっと踏み込んで聞いていただかなきゃならないと思います。  いずれにしましても、知らないことが多過ぎるし、アメリカが勝手なことをしているのかなという感を深くします。また、これからの我が国の進み方、進め方からいっても、こういう爆弾の演習は用のないことにしなきゃならないのじゃないだろうかとも思います。私は、そういう方向に進んでいかなきゃならないし、進めさせなきゃならないな、こう思うわけです。  そこで、これは長官、それから安全委員長に聞きたいのですが、こういうような実弾を積んであの周辺を飛行機が飛んでいるということを今回初めて知ったのではないでしょうか、その点どうですか。
  60. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、核燃料サイクル施設安全審査では、三沢基地から二十八キロ離れているというようなこと、それから原子力施設の上空を飛行しないように制限されているというようなこと、こういったことで三沢基地での離着陸航空機施設に墜落する可能性を無視できるというふうに判断しております。もう一つ、そういった場合に搭載している爆弾実弾であるか否かということにつきましては、航空機施設に墜落する可能性というものを無視できますので、三沢基地を離着陸する航空機実弾を搭載しているか否かということを確認する必要はないというふうに判断をしております。
  61. 関晴正

    ○関委員 何という話です。だれが確認しろとかと言いました。あなたに聞いたのじゃないのだ。私は大臣委員長に聞いたのです。こういう実弾を積んで飛行機が演習をしているということを知ったのは今回初めてではないですか、前から知っておったのですか、そこのところを私は聞いているのです。何も確認しろとか確認しないとかということを言っているのじゃないですよ。安全局長にも聞いたわけじゃないのです。大臣として、また委員長として、こういうことは初めてのことである、飛行機にそういうものを積んで飛んでいるなどということは知らなかった、知らなかったら知らなかった、知っておるけれども、演習のときは模擬であって、ふだん飛んでいるのは実弾積んでいることもそれはあるだろう、こういうふうには思っていた、どっちでもいいですよ。これについての認識を私は示していただきたいと思います。局長、あなたは要らないよ。お二人です、長官委員長
  62. 内田秀雄

    ○内田説明員 核燃料施設にかかわります航空機の影響につきましては、先ほども申しましたように、飛行場の位置と飛行場を離陸、着陸する方向を中心に考えるのが普通でございまして、そういう意味で、三沢の地区を利用します飛行機につきましては、核燃料施設に対しての影響はないというふうに判断している次第でございます。  天ケ森訓練区域につきましては、訓練関係します飛行機につきましての衝突の可能性あるいは衝突したときの施設に対する影響というものは十分考慮することになっております。詳細は現在審査中でございます。
  63. 谷川寛三

    谷川国務大臣 私どもは、今答弁がありましたように、近くに訓練場がありますから、ここで訓練する飛行機が実弾を積んでいるかどうかということでございますが、使用するものは模擬弾であると承知しておりました。  それで、今回のあれも、今速力等の話がありましたが、全く訓練場とは反対の方角へ、今外務省の担当者が話をしましたように、飛行場を出ましたらすぐ洋上に出るように指示されておりまして、それから今度の爆弾も、安全規則で指示されました地域にわざわざ飛行航路から外れてやってきて落としていっておる状況でございますから、これは約束をされましたようにもう今後はない、だから、そういう点では今までの考え方施設の建設を推進してもいいというふうに判断をしておるところでございます。
  64. 関晴正

    ○関委員 これは、非常に認識やそれについての研究が私は弱いと思います、ということは、外務省当局も言っているわけですよ。訓練のときには模擬弾訓練でなくて実弾を積んで飛んでいるということは、これは場合によってはあることだ、それまでないなんというのは言えるものじゃない、こう言っているのです。だから、何も今はそんなことはないであろうなんて言って、味方したような、あるいはまた遠慮したような考え方で臨む必要は私はないと思う。  大体、アメリカは何にも言わかいのでしょう。どう飛んでいるかまで言わないのですよ。日本の国土の上を飛んでいっているのか、洋上だけ飛んでいっているのか、領海を越えたところの海の上を飛んでいっているのか。しかも、三千キロのかなたに行くとき、来るとき、どんなことがあるかわからない。だれもわからない。核燃料施設の上は飛んでいませんと言っても飛んでいるかもしれない。何も訓練じゃないのだから、まだできたわけでもないから、あり得ることです。また、できたからといって、今度は飛ばないようにするというのは一つの注意ですよ。注意、配慮でしょう。だけれども、事故というものは全部注意が不注意になって起きるのでしょう。配慮が足りなくてまた事態が生ずるのでしょう。何のために水戸の射爆場をあの東海村の原子力施設をつくるときに移転させたのです。これはやはり核燃の施設と射爆場だとかそういう訓練場だとかいうものは合わないからでしょう。  そういうことを考えますというと、これはもう当初のときから、この施設を置くときに私は申し上げてきた。米軍はどう考えるか、自分の国の空ならばこんなものは認めないと言うであろう。日本の国のことならば何もそこまでは言うことはないといって黙ってやっているのでしょう。そういうことを考えますというと、やはり基地とそれから核燃の施設というものは共存できないのだ。何もわざわざそういうところにこんなものをつくる必要はない。基地の撤去を求めるか、あるいはまたこちらの方の施設の建設を取りやめるか、どっちかに行かなきゃならないことになるんじゃないでしょうか。  そういう点からいけば、私はやはりここで考えなきゃならないことだと思いますし、去る十月三十日にヒアリングが行われましたね。このヒアリングの席上でも今のようなことが出ました。出たけれども、模擬弾だから、模擬弾だからと言って終わっているわけです。なるほど演習には模擬弾かもしれない。しかし実際、演習にもこの三沢の基地から実弾を積んで青森の空の上を飛んでいるし、日本の空の上音飛んでいるわけですね。さらに、核燃の施設の上をも飛んでいることがあるわけです、実弾で。  そういうことを考えますというと、ここで私はもう一遍見直してみる必要がある、こう思いますし、これまで許可してきたところの施設についても、こういうものが落ちたらどうなるんだろうかという検討もまたしてもらわなきゃならないだろう。コンクリートの厚さを九十センチにしておるから大丈夫だろう、こういうことは言えるかもしれない。しかも、このときの落下の姿だって、エンジンがとまって、落ちてくる力だけでの計算しかしていませんよね。まあいずれにしても大きな爆弾であれ小さな爆弾であれ、爆弾が落ちてくるようなことになったらどうかということも、ひとつ審査の過程において当たって見なきゃならないことじゃないでしょうか。そうなってくればやはり一つの結論は出てくる。  これは、もう爆弾は全然考える必要はないんだということで乗り切るつもりですか、それとも、ここは考えなきゃならないなということに分別が回ってまいりますか、どちらです。長官委員長にお尋ねします。
  65. 谷川寛三

    谷川国務大臣 先ほど来御答弁しておりますように、訓練場との関係におきましては従来どおり心配なくやっていける。洋上に向かうものにつきましては、これは全く別の方向へ行ってくれておるのでありますが、今度のようなことが起こらぬように、外務省を通じまして厳重に申し入れをしてありますし、米側も再発防止につきましての注意を約束しておりますから、私は、もう起こることはない、でありますが、今後とも、さっきから申し上げておりますように、安全の上にも安全ということを期しまして施設の建設を進めていきたい、こう考えておるところであります。
  66. 内田秀雄

    ○内田説明員 下北の核燃料施設につきましては、天ケ森訓練区域に飛来しております訓練にかかわります飛行機についての落下の可能性並びにそれの安全に関する影響について審査するつもりでございますし、また、過去の濃縮ウラン、それから低レベル廃棄物についても、それについて十分審査したところでございます。
  67. 関晴正

    ○関委員 安全委員長の方は、検討する際に検討したいというような御意向でありますから、ぜひひとつこれは再吟味をしていただきたいと思いますし、長官も、まあ先に許可してしまった責任があるからと思っているかもしれませんが、念には念を入れというお言葉がございました。しかし結論からいけば、何もあなた、言葉だけですよ、念には念を入れてという。飛行機が来ないようにしておけばいいだろうと、こんな安易な考えじゃだめですよ、あなた。私は、山東長官よりもこっちは今度は一等長官がな、こう思っているのですよ。山東長官よりも下がったような話をすれば、長官は五等長官ですよ。これじゃいけませんから、これは真剣に考えていただきたい。  爆弾が落ちたらどうにもならないでしょう。二千ポンドの爆弾であろうが百ポンドの爆弾であろうが、爆弾が再処理工場に落ちるようなことになったら、チェルノブイリのあの原発の事故以上の災害が起きるのですよ。何も青森県民だけが死ぬんじゃない、これは日本国民がみんな死んでしまうほどの事故になるのですよ。青森の人間が死ぬならばいいだろうと思って処理された日にはかないませんよ。大間違いですから、その認識は。だから、我が国一つ原子力行政においても、再処理工場がなきゃならないのかどうかという吟味も、私は新しいところに来たと思う。私どもは、再処理の要はない、再処理せぬで使用済みの燃料の保管ということを考えた方がいいんじゃないだろうか、こう思っているわけです。  それらについてはまた後刻質問することにしまして、とにかく、爆弾問題にかかわる科技庁それから安全審査委員会、慎重にも慎重に、そうして国の足らざるものあるいは外務省の不足していること、そういうような点についてもよく調査をして、よく聞いて、私は、速やかにこの問題についての決断をして、再処理工場はやめようという方向に進んでいただければ、こう思いますので、その点は希望を申し上げておきます。  次の質問に入りたいと思います。  次の質問は、これは前にも安全委員長にちょっとの時間でしたけれども、ひとつこれは考えておいてくれ、こう申し上げておきました。それは、私が前に科学技術委員でおりましたときにもしばしば申し上げたことでありますが、この青森県におけるいわゆる三点セット。本当は三点ところじゃない、高レベルも入るというと四点にも五点にもなる、そういうセットなのですが、それについての詳しいことは次の委員会でまたお尋ねします。  きょ一つは、あの下北半島の東の海岸、あの東の海岸には百キロに及ぶ活断層が走っておる。南北に走っておる。すぐ近くを走っておる。この南北百キロに及ぶ活断層の走っていることについては、ことしの三月に出された我が国における活断層、日本の活断層について出された出版物においてもきちんと明記されております。ところが、この問題で前に議論したときは、それは活断層ではないということで、電力会社の資料だとか何だとかといって答えておりました。じゃ一その電力会社の生データを出せと言ったら、生データは出すことができない、こう言ってきたわけです。  今回の科技庁の審査の中でも、この下北東部海岸における南北百キロにわた谷活断層というものを活断層として認定しようとしない。そうしてこ の活断層については大したものではない、こういうようなところから踏み込んで調査をしていないのじゃないだろうか。百キロの活断層がもし爆発するようなことになったら、地震を全力で起こすようなことになったならば、これは大変な地震でしょう。大変な地震になると核燃施設も転んでしまいますよね。幾ら耐震設計で立派につくったからといって、それに耐え得るほどの耐震技術というものは私はまだできていない、こうも思っております。そういう点から、この活断層についてどう見ておられるのか、お答えいただければと思います。
  68. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  御指摘の下北半島の東方沖を含む敷地周辺海域での地質構造の問題でございますが、この海底の地形であるとか地質構造に関する資料を得るために、海上保安庁水路部、東京電力、東北電力等が非常に詳しい調査をしております。すなわち、百八の側線、総延長二千九百キロメートルに及ぶ海上音波探査記録というものがございます。それの解析、それからまた海上ボーリング等による地層の時代の確認等、こういったものについて十分な資料に基づく検討が行われております。  それで、審査におきましては、いわゆる耐震設計上最も考慮する必要のある第四紀後期の活動性を判断する上で重要と考えられる、海域の第四紀更新世の地層について詳しく調査されましたマルチチャンネルディジタル記録、こういったものに主に検討を加えた結果、調査海域全体におきまして断層を示唆する地層の乱れは認められないということを確認しております。それで、今御指摘のありました「日本の活断層」というものにおいて敷地東方海域の活断層とされている位置付近において、第四紀後期に活動した断層はないとしていることが私どもは妥当であるというふうに判断しております。  それで、もう一つ先生今「新編 日本の活断層」、ことし三月出版ということのお話でございますが、この敷地東方海域の活断層とされているものにつきましては、この本を出版するに当たっての新たな調査結果を盛り込まれておらず、旧版をそのまま使っているというふうに私どもは理解しております。  以上でございます。
  69. 関晴正

    ○関委員 ひどい話です、これも。旧版を出したから大したことないというお答えですね。なぜ、旧版のまま出たんです。それは、あなた方の調査によって活断層でないということで否定されれば、その否定を肯定すれば直しますよ、あなた。あなた方が否定していることが否定されて、今度新しく出版されたのにも前と同じように出されたんでしょう。水路部で調べたときは何と言いました。私は、水路部の調べた資料を自分の部屋で全部並べてみましたよ、断層間違いなしって。それが断層でないというならば、生データを出してくださいよ。生データも出さないで、言葉だけじゃ困ります。科技庁で調べたんですか。  それから、もう一つは、一九七八年の五月十六日、ここに地震が起きていますよね。地震が起きているということは、これは活断層の証明ですよ。あなた方は、爆弾が落ちないうちはないんだといって逃げる。今の話も、抽象論でいけば活断層でないんだと言って逃げる。しかし、今回出されておりますところの、これは「新編 日本被害地震総覧」、宇佐美龍夫さんの書いたものですよ。この書いた本によりますと、この本の四百七ページに、一九七八年五月十六日、昭和五十三年、十六時三十五分、青森県東岸において発生した地震、その地震の記録がきちんとあります。ここには主震が二つ。しかも、この主震の二つというのは陸上から十キロ以内ですよ、これは。五、六キロのものと七、八キロのものです。そうして、陸上には余震が幾らあるかというと、六つもあります。海上にも五つぐらいあります。  こういうデータが出ているということを見ますというと、核燃の施設の近くにも活断層があるなということは十二分にわかることです。私の質問した時点にはこの本がありませんでした。しかし、今回この本を見まして、やはりそうじゃないか。これを否定して、あなた方がここにあるところの――これも「日本の活断層」が示していますよ。これは縮尺千キロのところで出されているんですが、明確に、確実な活断層と書いてあるのですよ。これは公開されているものですよ。南北百キロですよ。南北百キロだったら、あなた、どのくらいのマグニチュードになりますか。    logl=〇.6M-2.9 という方程式があるでしょう。この方程式でいくならば、マグニチュード八・二になるのでよ、これは。  しかも、すぐそばですよ。二百キロや三百キロや四百キロのかなたじゃない。こういう近くにある明々白々なものを、もし、あなた方が否定するならば、この「日本の活断層」を訴えたらどうです。国民を惑わすものだからと言って訴えたらどうです。論戦したらどうです。その自信もなく、そうして平気で欺いたまま事を進めようとすることは許されません。科技庁長官長官にこれを上げますから、後で見てください。本物をまた見てください。これがうそだというならば、科技庁、訴えなさいよ、東大の出版協会を、またこれの出版社に対して。  私はこれを書いている人、つくった人と直接に会いました。うそだというならば、ここで科技庁がボーリングをしてうそだと示せばいい。二百メートルも落ち込んでいるところの断層があって、うそだというならば、ここでボーリングすればいい。ボーリングのデータを我々に見せて直してくれというならばこれは別だ、こうも言っていますよ、これにかかわった教授の一人は。  ですから、こうした大きな活断層を目の前にするときに、なぜこれを否定しようとするか、なぜこれが大したことがないと言うのか。あなた方の文書にそう書いていますよ、大したことがないから調べる必要もない。冗談じゃない。どんなに金をかけても時間をかけても私はこれを調べてもらわなければならない。ないと言うならば「日本の活断層」に、今後はこういうものは出さないでくれと言えばいい。なぜ前のとおりだからいけないということになるんですか。直す必要がないから前のとおり出したんでしょう、あなた。旧版のままだから正しくない、そんな非科学的な答弁ありますか。旧版のままならばなぜ悪いんです。変更する必要がなければ旧版のままでいいでしょう。知らない人をだますような答弁はやめてください。  そういう意味からいって私は、この活断層に対して活断層でないと言うならば、科学技術庁長官それから安全委員会委員長しきじきこれをひとつ調査をして当たっていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
  70. 坂内富士男

    坂内政府委員 ちょっと誤解があるようですので訂正させていただきたいと思うのですが、先ほどちょっと私が言葉足らずだったかと思いますけれども、一九七五年、海上保安庁の水路部の調査によりますと、そこは断層という性格づけをやっております。ということでもって、活断層という性格づけではない、断層という性格づけであるということをまず申し上げたいと思います。  それから、一九七八年の青森県東岸の地震についてでございますが、マグニチュード五・八という地震でありましたが、この地震発生後に海上保安庁の水路部がこの震央付近において海上音波探査を実施しております。これには報告書がございまして、この音波探査の報告書一これは海上保安庁水路部、一九八二のむつ小川原でございますが、それによれば、震央付近に活断層は認められなかったということが書いてございます。それから、申請者が実施した海上音波探査記録の解析からも同様の結果が得られております。  そういったことで先ほどの答弁になったわけでございますが、もう一つ、先ほど生データというお話がございましたのでお答えいたしますが、こういった海底の断層に関する審査に当たって用いた申請者の音波探査記録、こういったものは公開されている申請書に添付されています。  以上です。
  71. 内田秀雄

    ○内田説明員 活断層という定義につきましては、いろいろ専門家によって意見が違うように聞いておりますけれども、一般に第四紀後期、すなわち百七十万年とか二百万年以前以降に活動した断層についてを活断層と言っているわけでございます。しかし、原子力施設の耐震設計上重要な活断層というのは、それがどの程度の活動をする可能性があるかとか、あるいはそれの位置等を十分検討して耐震設計に考慮するわけでありまして、原子力施設の耐震設計上は、五万年以前以降に活動した活断層を耐震設計の対象として考慮しているところであります。  いずれにしましても、地質それから地震地体構造等を考慮しまして、その位置と大きさ等を考慮いたしまして、耐震設計上どのような設計地震動を仮定する必要があるかということを考慮するわけでありますので、今委員がおっしゃいましたような地質ももちろん審査の対象として十分考慮することになっております。核燃料安全専門審査会において十分審査していくようにいたします。
  72. 関晴正

    ○関委員 今の安全局長がデータがあるというならば、データをひとつ示してください。  それから、これは私が前に言ったときも、水路部が行ったときの話の中にもありますけれども、距離上の問題で、地点の問題でいろいろ違いがあるなとも見ております。一番大事なことは「日本の活断層」がここに堂々と下北半島の数キロの地点の海底下に百キロに及ぶ活断層を明記しているわけですから、これは疑わしき活断層じゃないですよ。間違いなく活断層として示しておる。  ですから、その水路部で示したものによって合わないというのは、どこのところが合わないのか、これがみんなうそだというならば、どうですか、これは直すようにする、そういう申し入れなり何かする必要があるのじゃありませんか。自信ありますか。人の書いたものはどうでもいいと言っておくのですか。これは権威あるものですよ。そういう点において、やはり権威ある扱いをするのが筋じゃないだろうか、私はこう思うのです。それはどうです。これを否定するのですか。さっきのは地点において否定する、全体的にこれを否定するのですか。そういう自信ありますか。
  73. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  ただいまの先生の持っておるものは、ちょっと私どういうものか正確に承知しておりませんものですから、どこにどういった食い違い云々ということについてちょっと答弁いたしかねますが、大筋を申しますと、先ほど海上保安庁の一九七五年に行った断層という性格づけのものについて、「日本の活断層」という本の中では、確かに一九九一年の三月に新版が出ましたけれども、前のデータを用いたものであろうというふうに理解しておるということでございます。  それで、活断層とはという形に若干なるわけですけれども、この「新編 日本の活断層」の中では二百万年前以降に動いた可能性のあるものを活断層としているようでございまして、私どものこの原子力発電所等の安全審査においては、活動性といったものを考えまして、五万年前以降に動いた可能性のあるものを活断層と考えているということで、そこのところの食い違いも少しあるのかな、こんなふうな感じがいたします。
  74. 関晴正

    ○関委員 今のそれぞれの部面についての違いの話は、それはそれなりとして聞いてはおきますよ。聞いてはおきますけれども、今、一九七五年の水路部の調査というのは、その後に、一九七八年に地震が起きているでしょう。調査の確実性といいますか、調査の信頼性というものを見ますというと、その三年後にここに地震が起きているのですよ。しかも、その地震の主震が海底において二つ、施設の近くのところにおいて四つも五つも余震が起きている。震央ですよ。そんなことから見れば、これが活断層でないなんというようなことはお話にならないんです。  活断層なものだから、あなた方が近くに寄りたくなくて、大したこともないという言葉で、文書で片づけているんでしょう。その文書を真に受けているんでしょう。その方が許可に都合がいいからでしょう。それじや科学になりませんよ。政治的に許可するんじゃないんです。やはり科学的に分析してもらわなければなりません。ですから、これがうそだというなら、あなたの方で告発するなりこれと論戦するなり、そういうようなことがなければならないと思うのですが、どうですか。ありますか、ありませんか。どっちか、それだけ答えてください。
  75. 坂内富士男

    坂内政府委員 先ほど答弁いたしたつもりですが、今もう一度問いがございましたので繰り返します。  一九七八年の青森県東岸地震につきましては、その後に海上保安庁の水路部が海上音波探査を実施しておりまして……(関委員「その後というのはいつだ、何年だ」と呼ぶ)これは一九七八年五月十六日に起こったというふうに承知しておりますので、その後ということでございます。(関委員「その後というのはいつのことだ」と呼ぶ)報告書は一九八二年に出ておるということでございます。それで、その結果震央付近に活断層は認められないということでございます。  それから、先ほどのデータの公開の話にまた戻りますが、こういった海底の断層に関する審査に当たって用いた申請者の音波探査記録といったものは公開されている申請書 に添付されているものですから、それをごらんいただいて関係者の方、いろいろと御議論があればそちらでもってやっていただきたいというふうに私どもは思います。
  76. 関晴正

    ○関委員 そういう出したものの信憑性ですね、出しているから、じゃ、本当かというと何にも見せないんだから。コアを見せると言ってもコアを見せるわけでもないし、地質について、断層があるんじゃないかと言えば、あることは認めるけれども活断層ではないとか、断層と断定するにはまだどうかとか、いろいろなことを言っております。  いろいろなことを言っておりますけれども、実際にあの地域というのは軟盤です。軟盤、軟岩です。でも、パンフレットや何か見ますというと、かたい岩盤にがっしりと建設するのだから何の御心配もなく、こう、うそを書いていますよね、うそを。水を含む、含水率が五〇%にも近いようなものですよ。手でさわって折れば折れるような岩質ですよ。これは前の長官にも言った。山東長官のやわらかい手でも、折れば折れるようなもの。これが何がかたいか。こんなやわらかいものを、軟岩を硬岩と言い張っているんじゃないか。これは軟岩でしょう。軟岩だし軟盤でしょう。そうしてここに断層が走っているのでしょう。そこにこんな大きな活断層がそばにあって、マグニチュード八二一なんということになったならどうなるのですか。さっきの爆弾も当然怖い。しかし、この地震災害、この活断層の破裂が起こったならば、これまたたちどころにだめになってしまうでしょう。  それが今のように権威ある者同士が、それは活断層でない、それは活断層であると言うならば、堂々とやり合ったらどうです。この「日本の活断層」を訴えたらどうですか。科学ですもの、真実の追求にはきちんと当たっていただきたい、こう思います。  この話の続きはまたこの次にやりたいと思うし、本会議のベルも鳴ったようでございますから、私としてはきょうはここで終わらせていただきますが、いずれにしても、科学が信頼されるように、その名のとおり科学的に事に当たるということで私は対処していただきたいし、先般十月三十日にヒアリングが終わったからといってさっさと許可しようなんというようなことはみじんも考えないで、これは委員長に申し上げておきたいと思うのです。十月三十日にヒアリングが終わった、もう早く許可しようなんというようなことは絶対に考えないで、私は、この問題については権威ある安全委員会の誤りのなき態度がこの後も示されていただくように希望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  77. 近岡理一郎

    近岡委員長 午後一時から再開することとし、 この際、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  78. 近岡理一郎

    近岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松前仰君。
  79. 松前仰

    松前委員 大分時間が過ぎてまいりましたので、私の時間がどうなっているのかわかりませんが、何か質問する気が全然なくなってしまったんで、こういう状況じや、委員会、ちょっと問題がありますね。  委員長、こういうことのないようにこれからしっかりやってもらわないと、国会の政治改革と言っているのに、こんなものでは政治改革どころじゃないですよ。だから、こういうことのないように、この委員会の内容を国民にみんな知らせるようにテレビで中継するとか、アメリカはClSPANでしたか、何かそういうことでやっているんですね。そういう方向でやらなければいけない。これじゃ、とても国会は改革どころしゃないですよ。選挙制度なんて変えたって全然こんなのは改革にならない。もう本当にだめだ。いずれにしても、しょうがない、公明党さんに大変失礼なことになりますのでやらせてもらいます。  まず最初に、きょうは時間がないからほとんど何もできないと思うけれども、科学技術庁長官にちょっとお尋ねしたいのです。  これまでの科学技術、先ほどお話がありましたように、科学技術庁では大変最先端のことをやろうとしているわけですけれども、これは戦後の復興から今日まで、資源のない日本が一生懸命努力をして、科学技術中心に進めてきて今日の隆盛を迎えた、そして今経済大国になったわけです。経済大国になって、この時点でさらに同じように進んでいくということ、これはやはり問題じゃないだろうか。世界のトップになったらトップらしいやり方をすべきだろうというのですね。私はそう思うのです。  これからの科学技術、これはどうするかというと、心の豊かさとか人道的な方向とか、こういう方に向けた科学技術というもの、とりわけ、大きなレベルでの科学技術じゃなくて、一人一人のためになる福祉とか人命尊重とか、そういうものになる科学技術、これは大変難しいのです。物すごい難しいから今まで余り取り扱うことがなかった。もうかることはどんどんやったけれども、そういうところはお金もかかるし、また利益もない。そういうところの科学技術というものをやっていかない限り世界のリーダーとして世界から認められない、そう思うのです。  今PKOが論議されているけれども、PKOなんというのは結局はみんなと一緒になってやる、それでまた国際貢献だなんと言っていますけれども、バングラデシュとかこの間のフィリピンとか、がけ崩れがありましたね。あれも何か日本が問題だとかいうようなことさえささやかれているくらいでございます。いろいろあちらこちらで災害が起こっている。こういうものに対して私たちは科学技術で、本当に最先端の科学でやっているならば、そういうところに対する科学技術というものを提供、そしてまた貢献をするということが一番世界貢献する道じゃないかというように私は思っておるわけでございます。  けさめ新聞でしたか、日米間の問題を解決するには、PKOとかそういうことじゃなかった、経済摩擦を解決すればいいという人が九四%アメリカにいるということですね。これは何方といったら、何も日本はPKOで何か知らないけれども自衛隊が出ていってもらったって、そんなのは余り歓迎しないということです。経済摩擦、日本がトップになってしまって、そしてまだもうけようとしているから問題なんだ。そういうところが出ているわけでございます。ですから、先ほど申し上げましたけれども、私は、今ここでやるべきことは東南アジア、アジア開発途上国、こういうところが大変いろいろな災害をことし特にこうむっている。それにまた国内だって台風十二号から二十一号まで、こんなにいろいろなことが起こってきている。こういうところに対する科学技術というものをしっかりやっていかなければいかぬ。そういうふうに方向を少し変えていかないと、日本のリーダーたる存在価値というのはないんじゃないか。そうすれば世界からも認められ、そして国の中からも認められる科学技術になっていくと私は思うのであります。当然先端技術もやることはやる。それもやるけれども、災害とかそういうところに対する人道的な部分についても力を入れるということ、これをやっていただきたいと思っておるのですけれども、まず科学技術庁長官にその辺を聞いておきたい。
  80. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お答えいたします。  お説のとおりでございます。今お話しのように、ことしも十二号から二十一号までの台風によりまして人的被害を伴う大きな被害が出ました。このたびの災害のお悔やみを申し上げ、また心からお慰め申し上げたいと思っておるのでありますが、土砂災害、それから雪害その他多くの災害に見舞われます自然的条件にあります日本といたしましては、今お話しのようにいろいろな研究も大切でございますが、防災に対する研究もこれから一層力を入れてやっていかなければならぬ、このように考えております。当庁におきましては、防災研を抱えておりますから、そこを中心にいたしましていろいろやっていきたい。  予算が少ない等、大変残念に思っておりますが、今後とも財政当局にも理解を得まして、一生懸命やっていく所存でございますから、よろしくお願いいたします。
  81. 松前仰

    松前委員 今、長官がおっしゃいましたように、予算が非常に少ないという点が私は大変問題だと思います。  それから、国際的に、例えば今のフィリピンの地すべりの問題ですね。こういうところに日本国際協力事業団から何人か行っておりますけれども、そういう災害が起こってからのことについてはみんな一生懸命やるけれども、それにしても、あそこだってたった十億円か二十億円ぐらいの予算しかないのですよ。そんなところで何ができるかと私は言いたい。これから先は、国際災害救援は非常に重要で、これを私どもは一生懸命やらなければいけない立場になりますので、どうしても予算関係について考えていただきたい。来年度予算はもうかなり編成されていると思いますけれども、その辺をどうかまた考え直していただきたいと思っているのです。  そこで、災害は事前に防止をしなければいけないということは間違いない。フィリピンの災害について、気象庁あたりは何か、そのほかもいろいろ援助しているようでございますけれども、向こうに技術提供をしているということもちょっと聞いているけれども、その辺、どういう状況か教えてもらえますか。
  82. 櫻岡勉

    櫻岡説明員 御説明申し上げます。  フィリピンにつきましては、特に気象レーダーの観測技術に対して技術的な協力を行っておりますし、また、気象庁に太平洋台風センターがございまして、そこから台風に関する情報を逐次送っております。そういう状況でございます。
  83. 松前仰

    松前委員 気象庁にわざわざ答弁をしてもらったのでありますが、代表的なことということでそうしたのです。国土庁もいらっしゃいますし、科学技術庁も当然いらっしゃるのですけれども、気象庁の方で多少やっているという話も聞いたから、ちょっとお話を聞いたのですが、ほとんどやっていないに等しいですね。たとえやっていたとしても、今の気象庁のやっていること自体が、国内においても十分だとは私は考えておらないのでございます。  そこで、そのフィリピンの災害、これは土砂崩れでございますけれども、国内においては昨年からことしにかけて土砂災害もかなり起こっている。また、災害を全部見てみますと、土砂崩壊による災害が一番死者を出している。災害の中の死者の五〇%が土砂崩壊である。一瞬にして裏山が 崩れてきてやられてしまうというのがその特徴でございますが、それが毎年、後を絶たない。毎年毎年何か対策をやっているけれども、それが結局何の役にも立っていない。いつも亡くなる方ばかり出てくる。そして、そのたびに災害弔慰金が幾らとか、事後にいろいろなことをやらなければいけない。そして、崩壊すれば、その土木作業をやらなければいけない。大変なお金を後でつき込まなければいけないという状況でございます。そういうのをいつまでも続けていたのではちょっと恥ずかしいのではないか。それで海外に救援、援助なんていってそういう技術が向こうへ行ったにしても、恥ずかしくて仕方がないので、そういうものをしっかり改善していかなければならぬ。  予報でアメダスのシステムというのがあるのですが、大体豪雨が降るときにどれだけ降るかということが事前にわかっていれば、かなりの人的災害も防げるというのが浜田の災害の例であるわけ  でございます。昭和六十三年と五十八年の災害だったと思うのですけれども、そのときに同じように大変な豪雨が降ったわけであります。数字は省略をいたします。この島根県浜田の災害、最初の五十八年は死者、行方不明合計百七人。そして六十三年になったらそれが六人になった。同じ状況が起こつている、何がこの間に変わったかといえば、当然土木の問題もあったでありましょう。それよりも、住民が事前に情報を知って、観測・予報体制が整備されて事前にそれを知って、そして危険箇所も知って避難をした、逃げたということです。逃げるということしか今はないと思うのですね。  科学技術庁の防災センターで例の土砂崩れの実験をやられて、そしておりにも自然をばかにしたものだからいろいろ人的災害が実験の中で起こってしまったということがあったのですけれども、火砕流だって同じことですね。雲仙の火砕流も、自然をばかにしているからああいうことになってしまう。油然の大変な力というものがあるのです。そういうところを一生懸命崩れないように処理することは大変な金がかかるし、土木作業が要る。それは当然やらなければいけないけれども、間に合わない。それならば何かというと、事前に情報を知って避難をするということが今一番やらなければいけないことだろうと思うのです。フィリピンの例だって、全然情報がないからどしゃっと来て全部やられて、しかも海に流された人たちはサメのえじきになった。サメが大喜びして食べた、これは英字新聞に書いてあったけれども、本当のことです。そういうような状況があるわけです。  その事前の対策はアメダスでできていないと私は思うのです。伊豆下田の例は、私は一番近いところで具体的に見ていますので申しわけないけれども地元の周辺のことを申し上げますが、僕は災害の部会長もやっていますから熊本の一の宮の阿蘇山の崩壊も見ましたけれども、みんな同じ現象です。その中で一番詳しく見たのは下田なんですけれども、そこを見ても、アメダスはなぜだめかというと、結局おれは雨量計が十五キロ四方しかないのです。しかも下田というところは過疎地域ですから余り密に置いていない。大体アメダスの雨量計は、東京都とか都市部にはいっぱい置いてある。ところが土砂崩壊が起こるのは、みんな山の奥の過疎というか余り人のいないところ。そして、そういう弱い、物を言えない人たちがみんな土砂崩壊でやられてしまうという現象が今あるのです。しかも十五キロ四方しかない。東京あたりは恐らく五キロ四方ぐらいのところに全部置いてあると思うのですけれども、十五キロ四方。  この下田の災害などというのは顕著なものでありまして、災害対策本部をつくったら既にもう死んでいた、亡くなっていたという状況でございます。下田市の雨量は八十三ミリ、そして災害の起こった落合の町は三百八十ミリも降っている。それがたったの四・五キロしか離れていないのです。たったの四・五キロしか離れていないところでそれぐらいの違いがあるという集中豪雨、この集中豪雨が今この土砂崩壊の最大の原因になっている。そこを考えれば、アメダスシステムで十分じゃないかと気象庁は言われているようでございますけれども、それじゃだめだと思うのです。その辺、気象庁さんどうですか。
  84. 櫻岡勉

    櫻岡説明員 御説明申し上げます。  気象庁におきまして、雨の監視でございますけれども、これはアメダスのほかに、レーダーの観測あるいは気象衛星ひまわりの観測をもちまして、それぞれ観測の特徴を生かしまして総合的に今実施しておるところでございます。  また、このうちのアメダスにつきましては、先ほどお話ございましたように、約十七キロメッシュで、平均的でございますけれどもその間隔で配置しております。この間隔は、事前に技術的な検討を行った上で定めたものでございますけれども、局地豪雨に対しましても、このような観測成果を組み合わせることによって精細かつ的確な監視を行っておるわけでございます。さらに、これらの結果に基づきまして三時間先までの詳細な降水短時間予報を行っております。  また、県などで保有しております資料等も利用して防災に努めておりますが、今後とも市町村等の外部機関の資料も活用しで、適切な情報発表に努めてまいりたいと考えております。
  85. 松前仰

    松前委員 今全部大丈夫みたいな御説明があったけれども、こういうものが外国へ行って設置されて、そして災害が起こったら、それこそ恥でありますよ。今おっしゃったことは、これは全部不十分。いろんな方法を使っておりますと言うけれども、今は五キロ四方ごとしか、三時間先の予報しかできない。さっき私は四・五キロと言いましたが、五キロですから、まずそこでそういうメッシュが余りにも大き過ぎるということがある。それから、そういういろいろなシステムを使って、全部気象庁に入ってそこから情報が流されるということですから、そんな遅いことはない。直接今降っている雨が大変だよということがわかる、そういうシステムをつくらなければいけないということでございます。  それは、何もないところからつくれと言ったってなかなか難しい。今あるんですよ。何か利用してできないかということを、私も技術屋だからいろいろ考える。提案を今ちょっとさせてもらいますけれども、放送衛星が上がっていますね。全国に測定用の電波が出ているんですね。これは何で測定用と言ったかというと、放送衛星というのは、郵政省さん御承知のように、雨が降ると電波が」切れるとかいって随分たたかれて、あんな衛星だめだといって文句を言われたけれども、そこを逆に利用する。集中豪雨が降ったらあれは電波がぐっと減衰しますから、すぐどのぐらいの雨が降ったかということがわかるんだ。これは各家庭に将来はつくでありましょう。そうしたら、もう測定はどこでもできるようになってくる。  そういうシステムをやれば、これは簡単に個人がすぐにわかる。隣近所に、おまえのところの受信機はどうなっているよ、数字は幾つ、これは大変だ、避難しよう、そういう訓練ができていればすぐ避難はできるということになる。気象庁の予報だか何だかを一生懸命待っている時間、それで何か災害対策本部ができたときには既に亡くなった方がいるというようなととは、これからはそういうことをやれば起こらなくなるということもあるわけでありますから、そういうようなシステムを、やはりこの防災科学研究所ですか、こういうところでやっていただきたいな、こういうふうに思っているのです。  郵政省さんにちょっとお聞きしますけれども、今一生懸命ニューメディアを使ってそういう防災についての情報をやろうとしていらっしゃるということもあるようでありますが、どうですか、その辺。
  86. 清水英雄

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、集中豪雨のときにはやはり正確な情報を行政庁が把握して、それから、それを市民等へ伝達していくためにいろいろな手段を確保することが大切でございます。私ども従前から、国土庁、消防庁あるいは地方公共団体など の防災関係機関のところに対しまして電波を優先的に割り当てて、ネットワークを整備促進ということで図ってまいりました。  最近はこの防災通信ネットワークについても、大分新たなニューメディアということでファクス等による一斉同報機能を備えたり、雨量・水位等のテレメーター機能等も取り入れたりしておりますが、近年では衛星通信ですとかあるいはビデオテックス等を用いまして映像データ通信等も可能にするなど、防災通信ネットワークの高度化に積極的に対処してきているところでございます。平成三年十二月には、静岡県を初めとしまして、衛星を用いました全国自治体のネットワーク等も成立いたしまして、各都道府県でのリンクだとかあるいは高度化した通信網を構築することが可能になってまいります。
  87. 松前仰

    松前委員 私が言いたいのは、そういうものを整備するのは結構ですけれども、余り複雑過ぎますよ。複雑過ぎてしまって、そういう情報を自分のところに持ってくるまでどれだけ時間がかかって、どれだけ加工されて、どこがどうなってしまうのかわからない、こんなんじゃとても防災には役立たないんですよ。しかも、この間の伊豆のは、御承知のように電話線が切れていますよ。切れていれば、そんなものは全部だめです。無線だけですよ。無線は、防災無線といったって外にある同報無線のものなんかでは豪雨のときには何にも聞こえない。そういうような状況でしたよ。  ですから、一番見ているのはテレビなんです。これが一体どういう状況になっているかといったら直接すぐつかめる簡単な安上がりなシステムをつくったらどうか、そういう研究をやはり科学技術庁はしたらどうでしょうかということ。これをやりなさいとは言っていません。ほかにいいシステムがあればいい。すべての住民が簡単に今の状況を把握できる、そしてそれについて防災の基準が設定されていれば、これは避難しなければいけないというようなことでさっと避難ができる。  大体山が崩れるかどうかなんて、下田の場合の亡くなった方は全然思ってもいなかったらしいんですね。川の方があふれるから大変だといってそっちの方の電話を一生懸命かけていたら、後ろからどさっとやられちゃった。二日間三百ミリ以上降った。一時間九十ミリ降ればほとんど崩れて人が亡くなっているんです、全国ずっと調べていくと。どこの地域でもそうです。そういう状況はわかっているんだから、気象庁もわかっているんだし国土庁もわかっていると思います。ですから、その辺どうですか。
  88. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  先ほど先生からも御指摘がありましたように、科学技術庁では、防災科学技術研究所におきまして土砂災害危険度予測手法に関する研究とか、斜面崩壊の発生時期に関する実験的研究など、土砂災害に関する研究をやってきたわけでございまして、この研究は、それなりに豪雨時の道路封鎖の判断への利用でございますとか、ダムの建設計画の作成等に反映されているわけでございます。  まず土砂災害でございますが、その前にもっと雨量が正確に測定できれば大変効果があるということで、まさに御指摘のとおりだと思うわけでございます。  ただいま先生指摘の問題でございますが、この問題を研究していくに際しましては、放送衛星の受信レベルを利用した降雨量の観測を的確に行わなければいけないために、受信設備に附帯して電波の減衰を測定する設備の整備が必要になるかと思うわけでございまして、さらにこの受信レベルと降雨量の関係解明ということが重要になるかと思っているわけでございます。したがいまして、放送衛星の受信レベルを利用した降雨量の観測予測につきまして新たな設備の整備が必要である、こういうふうに考えておりますが、現在気象庁で活用されているアメダスの施設設備等の関係も含めまして今後勉強していきたい、このように考えているわけでございます。
  89. 松前仰

    松前委員 降雨量と減衰の関係なんて、これはもう研究は全部終わっているんですよ。だから放送衛星ができるんですよ。そういうデータはあちこちにあるんだから、さっと集めて、システム的にどうなのかという検討ぐらいはできる。何も私は放送衛星ばかりやれと言っているのじゃないですよ。この辺が一番できるところだから、できるところからやっていかないといけないよ、がけ崩れが起こらないように当然土木工事も一生懸命やってもらわなければいけないけれども、科学技術庁だったら、こういうもうからない仕事、国際貢献につながるような感じのするところもできるんじゃないか、そう思うので、科学技術庁が防災科学研究所ですか、ここのところをもっと充実させて、そしてこれからの時代のためにもっと大きく、今のものは突破口ぐらいにして国際貢献できるぐらいにやっていく、これがどうも日本が将来認められていく方向じゃないかな。今言ったのは非常にその一部ですけれども、具体例を出して言わせていただきました。よろしくお願いしたいと思います。  それで、結局何でこんなことを言ったかというと、科学技術庁は先端のことばかりやっている。私は先端のことをやってきたのですから、先端のことはみんな言うからもういいというので、こういうところが取り残されているから言っているのであります。  一九九〇年から「国際防災の十年」が開始されたということは御承知ですね。我が国にも国際防災の十年推進本部が組織された、これは科学技術白書か何かにちゃんと書いてあるのですよね。そうなっている。それで、五十六年か何かに総理大臣が、防災に関する研究開発基本計画を決定をしている、この中にいろいろすごいことが書いてありますよ。これをやってもらいたいということです。何か予算がえらい少なくてやってない。ほかのところは、二トン級のロケットを上げるなんというのは一生懸命やっているようですけれども、私が、あれは二トン級じゃなければだめだといってやったものが今ようやくこうなっているのです。しかし、そこばかりやるのも、何か目的がなくてやるよりも、こっちに目的があって人道的に人命のためにやれるというならば、こちらの方がずっと意義があるのじゃないか、そういうふうに思うので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  ちょっと時間が前でございますが、公明党さんに失礼と思いますので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  90. 近岡理一郎

  91. 近江巳記夫

    ○近江委員 安全委員長が二時から会議ということでございますので、余り時間がありませんので安全委員長のところをまず初めに何点かお伺いしたいと思います。  一つは、美浜の問題につきましては最終結論に向かって今努力されておることと思いますけれども、ほぼこの時点でどの程度進捗しておるか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  92. 内田秀雄

    ○内田説明員 美浜の蒸気発生器細管破断事故に関しましては、安全委員会の発電用炉部会においてワーキンググループをつくりまして審議しているところでございますが、その中間的な審議状況の報告が参りました。それから、現在通産省で事故の原因、対策について十分検討した報告がそろそろ煮詰まっているというふうに聞いております。その報告書が通産省から参りましたならば、改めてそれを発電用炉部会にダブルチェックを指示する予定でございます。  技術的な内容につきましては中間審議状況の報告で御存じと思いますが、蒸気発生器の細管の破断が高サイクル疲労によって破断したのであろうということはほぼ確実でございまして、その主なる理由は流力弾性振動が原因だろうと思っております。細かい調査はただいま行っておるところでございます。
  93. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産省のそうした中間報告といいますか、それをお受けになって、安全委員会として特に注目をして、さらに今後精査しようとされている問題はどういうところですか。
  94. 内田秀雄

    ○内田説明員 通産省の最終報告書が参りまし て、それから発電用炉部会のワーキンググループ、発電用炉部会でダブルチェックをした結果を見ましてから安全委員会としての見解をまとめたいと思っております。今直ちにどうということはちょっと申し上げられないと思います。
  95. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので、この問題は次に聞きたいと思います。  次に、大学におきます原子炉、臨界実験装置の問題でありますが、御承知のように、東京大学、京都大学、立教大学、武蔵工大、近火等にこうした原子炉が、また臨界実験装置があるわけでございますが、こうした大学の施設につきまして、安全委員会としては今まで何か報告を受けておりませんか。
  96. 内田秀雄

    ○内田説明員 ちょっとどういうふうにお答えしてよいかわかりませんけれども、研究炉につきましては、御存じのようにまずその設置許可におきましては、発電用の原子炉と同じような設置許可に対する基本設計についての安全審査をして設置許可が出されているところでございまして、研究炉でありましても、小さな事故、故障、トラブルがありますと一々、これは科学技術庁が所管でありますが、科学技術庁から報告を受けまして、安全委員会としての意見を申しているところでございます。
  97. 近江巳記夫

    ○近江委員 例えば、武蔵工大の場合は運転が休止になっておりますね。それからまた、こうした大学の原子炉というのは非常に人家の密集地域にあるんですね。ですから、この辺のいわゆる日常の管理といいますかそういうこと、また付近住民に与えるそういう心理的な問題等々、やはりこれは見過ごしにすることはできないと思うのです。その点文部省、科学技術庁はどのように対応しておりますか。また、今まで指摘のあった事例があれば報告願いたいと思います。
  98. 雨宮忠

    ○雨宮説明員 ただいま先生指摘のございましたように、大学におきます研究それから教育用の原子炉につきましては、五大学六基の原子炉が置かれておるわけでございます。御指摘のようないろいろな問題がございます。安全確保には十分配慮しなければならないということでございまして、かねてから注意を喚起しているところでございます。  最近、先ほど武蔵工大の例がございましたが、それ以外特段の報告は受けておらないところでございます。
  99. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりに、大学におきます研究用原子炉につきましては、原子力研究開発推進上非常に大きな役割を果たしていることは御承知のとおりでございます。  これに関連いたしまして、先ほど御指摘のような点もあるわけでございますけれども、私ども、その将来方向につきましては事務的な勉強を始めつつあるところでございます。ぜひその大学の原子炉の意義が今後とも十分達成されますよう、文部省とも相談しながら今後のあり方につきまして検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に人家の接近した地点に大学の原子炉というのが置かれているところが多いわけですね。そういう点、原発なりなんなりの問題につきましては、国会でもこうして私たち常に問題を指摘しておりますし、緊張感もあるようでございますけれども、こうした点が案外盲点になる可能性がある。したがいまして、原子力安全委員会としても科学技術庁としても、大学当局とよく連携をおとりになって、そういう付近住民にも心配をかけない万全の対策を今後ひとつ講じていただきたい、このように思うわけですね。それにつきまして大臣から。
  101. 谷川寛三

    谷川国務大臣 御指摘のとおりでございます。  もちろん、文部省とよく協議いたしまして、安全の上にも安全に運営できますように措置いたす所存でございます。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、「むつ」の問題でございますが、「むつ」につきまして正式にひとつお聞きをしたいと思います。  「むつ」は廃船が決まったようでございますが、今後の方向につきまして、まず科学技術庁の方から御答弁いただきたいと思います。
  103. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  原子力船「むつ」につきましては、昭和六十年三月の政府が決めました基本計画に基づきまして、おおむね一年を目途とした実験航海を終了しました後、関根浜新定係港におきまして解役する予定でございます。それから、この「むつ」の解役につきましては、約一年間燃料を冷却いたしました後、原子炉施設の廃止措置を行う予定でございます。  「むつ」の解役の方法につきましては、現在原研におきまして「むつ」の後利用の仕方を勘案しながら、原研のこれまでの経験でございますJRR1、研究一号炉でございますが、JRR1あるいはJRR3、それから動力試験炉等の廃止措置をやったわけでございまして、これらの知見を踏まえまして具体的な方法の検討を行っているところでございます。今後、実験航海が終了するころまでに、解役に関する実施計画を取りまとめる予定でございます。  なお、解役後の「むつ」の後利用につきましては、現時点ではまだ具体的な計画が定まっていないところでございます。ただ、海洋研究にも使うということにつきまして、そういう構想もあるわけでございますが、これも有力な案といたしまして、今後地元の意向を踏まえながら検討を行うということにいたしておる次第でございます。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 原子炉建設等につきましては一歩一歩積み上げのそれをしておると思うわけでございますけれども、廃炉、解体ということについてはまだまだ非常に不安がある、このように私は思うわけでございます。この点、原子力安全委員会としても、これはもう当然重大な関心を持ち、万全を期さなければならぬ、このように思うわけでございます。  この「むつ」の廃炉の問題につきまして、委員長の御見解を伺いたいと思います。
  105. 内田秀雄

    ○内田説明員  「むつ」の原子炉についての廃止措置につきましては、廃止措置の仕方がどういうことか、その届け出等がありました段階で安全委員会として必要な対策をとりたいと思っております。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 同じ問題、ひとつ科学技術庁から。
  107. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  御承知のとおりに、原子炉の解体の方法としましては幾つかあるわけでございます。それらにつきまして、現在原研、日本原子力研究所で鋭意検討しておるところでございまして、それがまとまりますならば、しかるべき原子炉解体の計画にいたしまして、関係方面に御相談し、しかるべき行政措置を講じてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 この点もひとつ万全のそうした手続を踏み、対策をとってやってもらいたい、このように思います。  それじゃ、委員長、私もまだ質問したいわけだけれども、あなたは二時から会議だといいますからやむを得ないと思います。それでは、どうぞ退席してください。  次に、地震の問題を聞きたいと思いますが、東京で十九日午後五時二十四分、関東地方を中心に、東京で震度四、マグニチュード四・九と報告を受けておるわけでございますが、この地震につきまして報告を願いたいと思います。
  109. 栗原隆治

    ○栗原説明員 御説明申し上げます。  一昨日の十九日十七時二十四分ごろ、東京湾の北部の深さ八十キロメートルのところでマグニチュード四・九の地震が発生しております。この地震によりまして、東京では震度四の中震、それから横浜、千葉などでは震度三の弱震を観測いたしました。  気象庁では、地震発生後、直ちに津波なしの津波予報を発表するとともに、地震の位置、それから規模、各地の震度等の情報を発表いたしました。  以上でございます。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 地震予知連の副会長の力武常次日大教授が、一九九〇年から二〇〇〇年までの間の十年間に、首都圏直下型でマグニチュード六以上の地震が起きる確率は四〇%だ、こういう確率予測をは、じき出されておることは御承知のことと思います。この間の夕方の地震というのは都民を非常に驚かしたわけでございますけれども、そのときに力武さんのこうしたことが関係者は本当に頭に浮かんだと思うのです。そういう意味におきましてこの地震予知という問題、特に直下型等、予知はまだまだ確立といいますか万全な体制ができておらない、そういう不安がまたある、こういうことで、この地震予知の体制の充実ということは焦眉の急でございます。そこで、力武さんのこういう説につきましては、科学技術庁としてはどう見ておりますか。
  111. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  力武先生の説、それが一つの我々に対する警告だと思っております。そういう意味で、私どもとしましては、こういった首都圏直下型の地震に対応いたしましてきちっと対応をとらなければいかぬ、このように考えているところでございます。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 直下型の対応をとらなければいかぬということはおわかりになり、体制をとっておられるわけでございますけれども、それじゃ今、どういう体制をおとりになっていますか。
  113. 井田勝久

    ○井田政府委員 先生御承知のとおり、東海地方で発生されますマグニチュード八クラスの海溝型地震につきましては、観測を集中することによりその予知がある程度可能だ、このように言われております。しかし、首都圏で発生が懸念されておりますマグニチュード七クラスの直下型地震につきましては、エネルギー量がマグニチュード八クラスの地震の三十分の一と大変小さいわけでございまして、しかも地震が地中深くで発生するということでございまして、高精度の微小地震観測が必要であろうかと思っているわけでございます。しかも、首都圏におきましては建設、交通に伴う振動等、微小地震の観測は非常に難しいところがございまして、このために特別な対応が必要であるということでございます。  特に、防災科学技術研究所がやっております微小地震の高精度観測、これは三千メートル級の深層観測施設を首都圏め三カ所に設置いたしまして観測しているわけでございますが、これにつきまして、このデータ、この観測網によりまして今まで不明でございました首都圏直下のプレート構造の解明の手がかりや地震発生の機構の一部解析が可能になった、こういうような成果を上げているところでございます。  今後、この三本だけではなくて、さらにこういった施設充実強化が必要でございます。東京湾北部の三千メートル級の深層観測施設、これを本年度から着手してこういった研究強化を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 今おっしゃったそういう三千メーター級あるいは二千メーター級、やはり計画でやらなければならない、決まったことにつきましては、これはやはり早急にやる必要があると思うのですね。今おっしゃったことをきちっと計画を完遂するには何年度になるのですか。
  115. 井田勝久

    ○井田政府委員 この三千メートルの深井戸でございますが、これにつきましては、来る十一月末から掘り始めるわけでございます。残りの分につきましては、来年度全部穴を掘り終わるような予算をただいま要求しているところでございます。その穴は少しずつ掘ったのでは効率が上がりませんので、一遍に来年までに掘りたい、そして所要の施設を次の年に整備いたしまして観測ができるような形に持っていきたい。  この東京湾北部の三千メートル級の深井戸が完成した暁には、さらに東京周辺の関東地域、そういうものにもこういった深井戸をどんどんふやしまして、そういった精密な深層データが得られるようにいたしたい、このように考えているわけでございます。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、科学技術庁計画をして各地点に深井戸を掘り、ここから得られるデータで、それだけのデータがあればほぼ予知できる、その計画がきちっといくまで、今のペースでいったら何年になるのですか、いつになるめですか。
  117. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  先ほど申しましたように、まず、東京湾北部の三千メートル級の井戸に着手しております。その他関東の各地域に十二本の二千メートル級の深井戸、これを十年計画で撃備するということで今進めることとしております。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 力武さんは、いわゆる二〇〇〇年までに四〇%ということを言っているわけですよ。それは予測ですからそんなものわかりませんよ。だけれども、何十年研究してきて、またそれに基づいてこの人は言っておるわけです。  例えばサンフランシスコのあの地震のときも、米国の地質調査所が力武教授と同じ手法で一九八八年から三十年以内の発生確率は三〇%と算定しておった。ところが、その翌年に早くもマグニチュード七・五の大地震が起きて、あれだけの大惨事が起きた。力武さんはそれだけのスパンの中でマグニチュード六以上の起きる確率は四〇%と言っている。今の御報告ではまだ十年かかると。そんな遅々とした対策でいいのですか。そうでしょう。  この予算を私もいただいて見ておりますけれども、微々たるものですね、伸び方というのは。平成二年度関係各省全部合わせて六十一億九千二百万、平成三年度六十六億六千九百万。若干の伸びというのは、これは各省庁皆努力されてあるのです。何も突出したものじゃないでしょう。少なくとも地震予知という問題については全力を挙げて関係省庁が取り組んでもらいたいということは、私も本委員会においても何回もこれは言っておるわけです。予知のことなのに今から十年かかったらどうするのですか。力武さんはこのように警告を発している。そうでしょう。  まずこういう予知に力を入れ、そして同時に防災対策というのは全部それに連動して充実していくものなのです。先駆けをしなければならぬ予知対策というものが、こういう状況で果たしていいかということですね。国民はみんな心・配していますよ。やります、やらせますというかけ声だけなのです。行政は結果が問われる、もっとスピードを速める必要がある、私はとう思うのです。  まず、それじゃ大臣の前に、きょうは関係各省来てもらっておりますから、各省ごとに一遍それをお聞きします。
  119. 井田勝久

    ○井田政府委員 地震予知の予算、私どもも大変大事だと思っておりまして、平成四年度の要求でございますが、これは先ほどお話がありました平成三年度の予算に対しまして九・四%増の七十二億九千四百万円、これは政府全体でございますが、そういうことで全体の苦しい、中、私ども一生懸命全力を尽くしてこの予算の確保に当たりたい、このように考えているところでございます。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 各省来てもらっておりますから、文部省、通産省工業技術院、運輸省気象庁、建設省国土地理院、それから郵政省ですか、順番に。
  121. 雨宮忠

    ○雨宮説明員 大学におきましては、北大、東北大、東大、名古屋、九州の五つの国立大学の理学部、それから二つの研究所、東大の地震研あるいは京都大学の防災研を中心といたしまして、地震予知に有効な観測研究推進しているところでございます。  今年度十九億余りの予算額ということでございまして、先ほど微小地震のお話もございましたが、全国で約二百の微小地震の観測点を設けておりますし、年々充実を図ってきたところでございます。  御趣旨を体しまして今後とも努力してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  122. 平松博久

    ○平松説明員 私ども通産省工業技術院におきましては、地質調査所におきまして、地質学に関する研究の一環といたしまして地震と地質の関係についても研究を行っておるところでございます。地質調査所がこれまで地質層に関して蓄積してき ました知見を、地震予知等に役立つと考えられるものにつきまして地震予知連絡会等に提供して積極的に協力しているところでございます。  今後とも、地質学の観点からこうした研究を積極的に進めてまいるとともに、関連機関に情報を提供いたしまして、積極的に協力してまいる所存でございます。
  123. 栗原隆治

    ○栗原説明員 御説明申し上げます。  気象庁では、全国的に展開しております地震観測網に基づいて日本及びその周辺に発生する大中小地震の観測を行っておりますが、その成果によって津波予報及び地震情報等を発表しております。また、地震活動の状況に応じまして地震機動観測班を派遣して観測監視体制を強化するなどの適切な対応を図ることにしております。  東海、南関東地域におきましては、地震計それから体積ひずみ計及び海底地震計を整備するとともに、東海地域につきましては、関係機関協力を得まして、延べ百三十三項目のデータを気象庁にテレメーターして東海地震の予知のための観測監視を実施しております。また、気象研究所におきましては、直下型地震予知の実用化に関する総合的研究など地震に関する研究も行っております。  これらの予算につきまして、気象庁におきましては平成三年度は十三億四千八百万円でございましたが、平成四年度は十四億八百万円を要求中でございます。  今後とも、関係機関と緊密な連絡を図りながら、観測監視の充実に努めてまいる所存でございます。
  124. 青山俊樹

    ○青山説明員 建設省の対応策を御説明させていただきたいと思います。  建設省におきましては、国土地理院が全国を対象といたしまして三角点、水準点等における測量を繰り返し実施いたしまして、地殻の水平変位及び上下変動を監視いたしております。特に東海及び南関東地域につきましては、これらの測量を重点的に実施しているところでございます。  また験潮場、これは潮位をはかる観測でございますが、全国二十三カ所に設置いたしまして地殻の上下変動を調べているほか、東海及び南関東地域につきましては、地殻活動観測場におきまして地殻の伸縮及び傾斜を常時観測いたしております。  また、平成二年度より人工衛星を利用した新しい測量技術でございますGPS測量というものを導入いたしまして、地殻変動観測の一層の効率化と地震予知観測の高精度化を図っております。  予算は、平成三年度十六億二千七百万でございます。平成四年度は十六億四千百万という要求をいたしておるところでございます。今後とも地震予知対策の充実に努めていきたいということでございます。  以上でございます。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 今答弁を聞いておりましても、関係省庁がまだ本当はあるんですよ。主なところにきょうは来ていただいたわけですね。ほとんど予算、聞いておりましても本当に横並びにちょっと頭を出したという程度なんですね。これほどこに原因があるかということなんです。これは非常に残念ですね。大蔵省もきょうは来てもらっていますけれども、関係各省、予算要望を出すと思いますけれども、これは最低ですよ。きょうは私が特に要求したわけですから、これは一遍関係各省、お帰りになってさらに積み上げをやり、対策強化してもらいたいと思うのです。そうでないと、こんな同じような状態でいったのではどうしようもありませんよ。しかも観測強化地域、これは南関東、東海の二カ地点あるわけですけれども、そのほか全国で特定観測地域八カ地点があるわけですね。これをカバーしていくということになってきたときに、今のような予算規模でどれだけ前進するのか。  先般も私は雲仙・普賢岳のことに関し火山問題を取り上げて、余りにも貧弱なその実態に唖然としたわけですね。何とか政府自身が本腰を入れてもらいたいということを私は申し上げたわけです。今のようなそういう意気込みでは、私はなかなか本当に不安を解消することができないと思うんですね。ですから本当に姿勢を改めて、今いよいよ年末にかけては大事なときでございますので、もう一度ひとつ再検討してもらいたいと思うんです。  御承知のように、予知というものは最大の防災である。しかも、九〇年からは「国際防災の十年」がスタートしている。我が国は地震火山国です。現に雲仙はあのような火砕流が発生し、多くの人が、あれだけ犠牲者も出し、苦しんでいるわけでしょう。地震がまた最大の被害を起こすわけです。世界の中でも、これだけの地震火山、その上に乗っかっているのが日本列島じゃないですか。その我が国がとるべき姿勢というものがこんな弱体でいいんですか。根本的にひとつ考えを改めてもらいたいと思う。まず大蔵省さん、しっかりと財政を握っていらっしゃるわけですから、それに対する姿勢をひとつお伺いしたいと思います。
  126. 乾文男

    ○乾説明員 ただいま御指摘のありました地震予知、防災の観点につきましては、私ども、国民生活の安全を図るという観点から大変に重要な問題であるという認識を持っておるところでございます。そのような観点から、地震予知関係の予算につきましては年々拡充が図られているところではございますけれども、なおいろいろな努力をしてまいりたいと考えております。  四年度の予算につきましても、各省庁の要求を踏まえ、また一方で来年度の財政事情を踏まえながら、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 大蔵省の担当の主計官が今そのように御答弁になったわけでございまして、大いに期待をしたいと思いますが、何といいましても地震予知推進本部長は科学技術庁長官ですから、今のことを踏まえてひとつ長官の決意をお伺いしたいと思います。
  128. 谷川寛三

    谷川国務大臣 実は私は高知県の中村というところの出身ですが、昭和二十一年の暮れに、この中村を中心にしまして南海大地震というのがありました。今思い出しておりましたが、私の身内でも二人の犠牲者を出しました。地震といいますと、震度一でもびくっとするのです。  さっきお話がありましたように、また松前先生からお話もございました、土砂でも住民に対する予知システムを確立すべきである。今お話がありましたように予知は最大の防災だ、そう思っております。何とか予知できないものであろうか。お話がありましたように、確かに予算もどうも十分ではございません。私もついこの間来たばかりでございますから、今すぐ何と言うこともできませんが、さっき主計官のああいう発言もありましたから、相談をいたしまして、できるだけ早く予知体制が整備されるように努力をする覚悟でございます。予知本部長でございますから、またいろいろ御支援もお願いいたします。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしましたら、地震関係の各省の人はもう退席してもらって結構です。  次に、最近の基礎研究あり方等につきましてお伺いしたいと思います。  何といいましても国立の研究機関あるいは大学の研究室等の充実を図らなければいかぬわけでございますが、そういう中で非常に象徴的な事故が起きました。それは御承知のように大阪大学基礎工学部の事故でございまして、二人死亡しておる。本当に痛ましい事故がございました。このことにつきまして、まず御報告を受けたいと思います。
  130. 若林元

    ○若林説明員 御説明申し上げます。  初めに、今先生指摘ございましたように、大阪大学基礎工学部におきまして実験中に爆発事故が発生し死傷者を出しましたことはまことに遺憾なことでございまして、亡くなられた二名の方の御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方々に心からお見舞いを申し上げます。  今回の事故は、十月二日に大阪大学基礎工学部の電気工学科におきまして、大学院生が集積光エレクトロニクスに関します研究の一環といたしま して、光デバイスを作成することを目的として、CVD装置を使用いたしまして薄膜を形成する実験を行っていましたところ、爆発事故が起き、火災が発生したものでございます。  この事故によりまして、基礎工学研究科博士課程前期課程一年の内山勝夫さんと基礎工学部電気工学科四年の奥野優治さんが亡くなられ、五人の大学院生等が負傷されたものでございます。  文部省では、今回の事故を踏まえまして、関係の学部長会議におきまして、これまでの安全対策の再点検と一層の安全確保について配慮方を要請したところでございます。今後とも引き続き、諸会議を通じまして一層の安全確保に対する注意を喚起してまいりたいと考えております。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 各大学に安全対策を言った、それはわかるわけですけれども、もっともっと根の深いものがあるのですね。要するに今回のこの事故だって、本当にガス漏れも検知することはできなかった。それはできないでしょう。ベニヤ板で仕切っておるわけですよ。すき間だらけもいいところでしょう。学生にだって本当に危険なガスを扱うことについてのそういう教育、指導教官も不足しておる。言うならば、本当に素人に近いような人がそれだけの危険なガスを扱っておるというのが今のほとんどの状況なんです。それは、聞けば聞くほどぞっとしますよ。  それで、例えば機械にいたしましても非常に高額な機械である。ところが、大学の研究予算が足らないがゆえに後のアフターケアというもの、例えば一回検査をメーカー側にしてもらう、点検してもらえば三十万かかる。その金がない、できないのですよ。ですから、教授や学生がやっておる。当然根本的な本当のそういう点検はできておらないという中で、操作の誤りだとかいろいろなことが起きるわけですね。  その指導する教官自体も、大学においては指導教官が、定員法の関係でしょう、足らない。実験は助手が今まで見ておるわけですけれども、各大学とも助手の数が減って、大学院生が学部生を指導しておる。そして、圧倒的に言えることは、本当に教室が狭い。狭いものですから、設備が廊下にも置いてあるというようなところもありますよ。私も先般東大に行きまして、これは医学部の実験のあの辺のところを見てきましたけれども、廊下に置いてある。天下の東大が本当に古色蒼然たる建物でございまして、機械はかなりいいのは入っていますけれども、部屋が狭い。本当にこんな狭いところで頑張っているのです。押しなべて全国の大学みんなそうですよ。  ですから、いろんなところからそういう提言があるわけでございますけれども、例えば日本の主要大学の研究室を訪問した米国オハイオ州立大のパクエット教授は、リポートを日本学術振興会に提出しているわけですね。「研究室、建物の状態はひどい。短期、長期の保守は全くない。こんなみじめな例は米国では皆無だ。 教官と学生の健康は毎日危険にさらされている。排気装置のない実験装置から漏れ出た蒸気が廊下や隣の研究室に侵入している。 スペースが極端に不足し、廊下は機器や薬品であふれている。米国の消防当局ならこんな危険な状態は認めない。 汚い研究室を嫌って学生は大学に残ろうとせず、民間企業に就職する。」外人がちょっと来ただけでこういうような問題をぱっと指摘している。  日本は、いわゆる技術立国としてこれから二十一世紀を生きていかなければならぬわけでしょう。しかもこの基礎研究というものは、常に欧米諸国からは、日本は応用だけはうまい、まねだけはうまい、基礎研究には力を入れてない、非常にそういう批判が今強いわけでしょう。そういう中でそれじゃ、基礎研究に力を入れますと大臣も――私も科学技術庁長官を歴代の方全部知っていますよ。基礎研究には力を入れます、おっしゃることはいいのですよ。いいけれども、各大学を初め、国立研究機関を初め、本当に前進したそういう姿が一歩一歩感じられなければならぬ。それが非常に鈍いのですね。根本的に一遍考えなければいかぬです、こういうことは。  ですから、大学の今のこういうような状態をこのままで放置しておいていいのですか。文部省は、危険だから各大学十分注意しなさい。ただ一片の通達でそんなものできる問題じゃないですよ。今私が何点か申し上げたように、もっともっと根本的な問題がある。今後どのように改革をしていくのですか。こんなもの、通達だけ出して済む問題じゃないですよ。もう一度御答弁いただきたいと思います。
  132. 雨宮忠

    ○雨宮説明員 ただいま先生の御指摘いただいた大学の施設設備、研究費等々すべて極めて重要な事柄でございまして、私どもにとって極めて重要な政策課題である、かように思っておるところでございます。  現在の大学、これは全体の研究の中でも特に基礎研究を担っておるわけでございまして、真理をきわめるということだけでなく、結局のところ、将来における我が国の経済社会を支えるという重要な機能を負っているわけでございます。今後基礎研究の基盤を何とか改善を図りたいということで、来年度の予算要求も含めてでございますけれども、文部省といたしましてできる限りの努力をさせていただくということでございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 この優秀な大学院生、国立大学に学ぶこういう学生が二人も亡くなり、そうして三名、隣室で負傷した人がまた二名、五名ですな、そういうようにけがをしている。本当に痛ましいことですね。  こういうような例えばシランガスだけでも平成元年には七十三トンが使用されている。ところが、これは高圧ガス取締法に規定されてないですね。先端研究をやる上において、こういう特殊ガスの使用というのはどんどんふえてきているのです。そういう危険があるのはわかりながら、そういうことを指定にもしない。これはどういうことかということです。保安協会からそういうような指導はされておると私は思うのですけれども、そういうようなことでは私はなかなかこういう危険を排除することはできないと思うのです。その点、特殊ガスについて通産省はどう考えておりますか。このまま放置するのですか。
  134. 河面慶四郎

    ○河面説明員 お答えいたします。  今先生お話ございましたシランガス等の特殊材料ガスでございますが、これは近年の半導体産業の発展とともに使用量がふえてきたものでございます。もちろん現在の高圧ガス取締法におきましても、技術基準の維持等若干の規制はかかってございますが、これまでのところ大きな事故もなかった、それから技術革新が非常に激しい世界であるということで、特段のそれ以上の措置はとられてこなかったわけでございます。  しかしながら、通産省としましては、その後の半導体産業の発展それから特殊材料ガスの使用量の増大ということもございまして、実は二年前から法改正を検討してきたところでございます。私どものかつての計画によりますと、実は通常国会に改正法案を提出して御審議願うというふうな予定でございましたけれども、御指摘のように十月に大阪大学で事故がございましたので、急速この臨時国会に法案を提出いたしまして今御審議をお願いしておるところでございます。  この法案、御審議いただきまして成立すれば、この特殊材料ガス、いわゆる特定高圧ガスということで指定をさせていただきまして、消費の届け出という義務を課したいと思っておるわけでございます。これまでどこで使われていたかということも十分には把握できなかった部分がございますが、法律成立後は十分に把握ができるとともに、県知事等が折に触れ立入検査をし、あるいは指導ができるというふうなこととなるわけでございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 早急に万全の体制をおとりになっていただきたいと思います。  消防庁も、こういうケースをごらんになって、災害の発生の原因というのは、非常にこれだけの高度化された都市あるいはまた実験室、工場、危険なところはもう無数にあると思うのですけれども、消防庁としては、今回の事故にかんがみてど ういう反省をされ、今後こういう点を強めなければならぬという点、ありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  136. 猪野積

    ○猪野説明員 お答えいたします。  可燃性ガスや危険物等を取り扱う大学施設等に係る防火安全体制につきましては、従来から消防機関の査察等を通じまして指導を行ってきておりましたが、今回の事故を契機といたしまして、第  一に大学の各研究室等における可燃性ガスや危険物等の貯蔵及び取り扱いに関する教育の徹底や管理体制の確立、第二に大学事務局等における各研究室等の可燃性ガスや危険物等の貯蔵や取り扱い状況の把握の徹底、第三に火災発生時における可燃性ガスや危険物等の貯蔵や取り扱い状況の消防隊への情報提供体制の整備といったことにつきまして、重点として、実情に応じて立入検査を行い、これらの施設の管理者に対し防火安全体制の一層の確立を指導するよう、都道府県を通じて消防機関に通知をしたところでございます。  また、消防法では、消防計画を定めて、これに基づき定期的に消防訓練を実施することとされておりますので、今後ともこれらの施設における訓練等につきまして積極的に実施するよう指導してまいる所存でございます。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんので、ほかに諸問題をお聞きしようと思って各省の方に来ていただいたのですが質問できなくて、また次の機会にさせてもらいたいと思いますので御理解いただきたいと思います。  最後に大臣、要するに私が申し上げておるのは、研究開発予算というもの、これが我が国は余りにも弱体過ぎるのですね。政府研究開発予算、平成元年度の実績でもGNPの〇・四、五%、これを少なくとも一%に高めよう、あらゆる機関からそういう声が出ておるわけなのですよ。政府自身が本腰を入れて取り組まないと、ただ項目に上乗せをしたぐらいで、そんな累積で根本的な改革ができるわけがないのです。ですからその点、大臣がしかと一遍閣議でも提議をされて、この基礎研究につきまして、大幅な改革といいますか画期的な提案ができるように、ひとつ今後努力していただきたい、このように思うのです。それをひとつ御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  138. 谷川寛三

    谷川国務大臣 私の方針につきましては、冒頭にもごあいさつで申し上げましたが、これから基礎研究を一生懸命やります。また、これを通じまして国際貢献もやっていかなければならぬと思っていますが、今すぐいわゆるGNPの何%にするというふうに持っていくことも、これはなかなか簡単ではないように思いますが、一生懸命やりますことをお誓いいたします。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  140. 近岡理一郎

  141. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私はまず、せんだって阪大基礎工学部で発生いたしましたガス爆発事故の問題から質問に入りたいと思います。  亡くなられた二人の学生の方、また負傷された皆さんに対して御冥福と、そしてお見舞いを申し上げたいと思います。  あれから一カ月半がたちました。通産省の方は今も、先ほど御答弁ありましたように、高圧ガス取締法を一部改正する法律案を準備しておられます。それはこの説明の冒頭にも、先般大阪大学での事故を契機にしてということで言われているわけでありますが、一方文部省の方、阪大のシランガスを使う研究室でこれから防災対策をとった上でこの分野研究ができると――つまり、通産の方は管理規制強化方向は法律として準備したわけですね。管理したり規制を強化するだけで何もやらなかったら、研究ができなくなる。これは本来、あの事故の教訓を酌み取って事故のないような形で研究発展させるということでは少しも教訓を酌み取ったことにならないわけですから、この点で文部省としてはどういうふうにしておられるのか、これをまず伺いたいと思います。
  142. 若林元

    ○若林説明員 御説明いたします。  初めに、先生指摘のように、大阪大学基礎工学部におきまして爆発事故が発生しまして死傷者を出しましたこと、まことに遺憾でございます。特に、亡くなられた二名の方の御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方に心からお見舞いを申し上げます。  文部省におきましては、学生の実験、実習中の安全確保につきまして、これまでも大学に対しその対応方をお願いしてきておりますが、今回の事故後、安全対策の再点検を含めまして、一層の安全確保に対する配慮を関係各部長会議を通じまして要請をしたところでございます。  大阪大学におきましては、事故後、まず安全管理、安全教育の徹底を学長から各部局長に指示をいたしますとともに、事故原因調査専門委員会を設置いたしまして、事故原因調査を現在行っているところでございます。  さらに、今回事故のございました基礎工学部におきましては、従来行っていたわけでございますが、重ねて安全講習会、さらには特殊材料ガスの取り扱いの講習会等を実施いたします等の対応をとっているところでございます。
  143. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私、先日研究現場を見てまいりました。基礎工学部の電気というのは、実はこの間科学技術委員会、当委員会におきまして夏ごろに視察に行きました三洋電機でアモルファス太陽電池などの研究開発をやっておられる桑野さんという研究員の方、この方もここで学ばれた方なんです。私は、末田先生とこの爆発事故のあったところを見ましたが、浜川教授であるとか蒲生教授とか、その他現在もCVD装置を使っておられるところにも寄せていただきました。  そこで、浜川教授のところでお話を伺ったのですが、実はこのCVDの装置、今とめているのですね、あの事故の後。再開しようと思うと何が必要か。まずやはり、あなたがおっしゃった精神訓話的な、安全管理を徹底しなさいとか気をつけなさい、これも大事です。しかし、それだけじゃできないのですね。だから、防災対策として何が必要かということで見積もりをとられたわけです。ガス検知器あるいは排気セットその他を入れて大体少なくとも二千万円かかる、これが命見積もりをとったところ出てきておるわけです。そうすると、その装置をもし文部省の方がちゃんと面倒見てあげましょう、こうならなかったら装置を動かせないのですね。今、四回生の諸君もいるのですが、卒業研究真っ最中でとまってしまったわけです。卒論が書けないのです。卒論テーマを変更するかどうか、そういう問題も今出てきているわけですね。  ですから、文部省に本当に考えてもらわなければいけないことは、こういう場合、防災対策をとってなおかつ研究が進められるようにするには具体的にどんな手だてを講じなければいけないのか、これを考えなかったならば、この間の事故の教訓を少しも酌み取ったことにはならないと私は思うわけです。  教授の皆さん方ともお話をいたしました。防災対策をちゃんととって研究をしたい、この分野の先端を行っているという自負を持って取り組んできました、国際的にも貢献してきたつもりです、このままでは国際水準からもおくれていくことも懸念される、私はこれは非常に率直なお話であったというふうに実感をしております。  そこで重ねて文部省に伺いたいのですが、こういう大学における研究者、関係者の皆さんによってまとめられてくる、防災施設をこうしようとか、また体制上はこうしようとか、そういう防災対策計画書とでもいうべきものが出てきたときに、やはりあなたの方はちゃんと予算措置を講じて直ちに対応する、そういう姿勢をとっていただけるのかどうか、これは非常に大事な点なので伺っておきたいのです。
  144. 西口千秋

    ○西口説明員 先生のただいまのお話で、いろいろ研究費あるいは設備費として二千万ほどというお話がございましたが、既に私どもの方では全体の被害に伴います復旧の見通し等についていろいろ検討が進められております。現在のところ、爆発あるいは火災によりまして直接被害を受けました面積が約二百平米ございます。それ以外に消防 活動、消火活動によりまして水をかぶった部分というのがかなりございます。こういうことの中で、少なくとも建物の復旧だけで申しますと一億四、五千万かかる。また、水をかぶりました設備等の改修あるいは買いかえ、更新ということが必要になるわけでございますが、そういうものにつきましてもほぼ同額程度はかかるだろうという話が大学の方から参っでございます。  現在、緊急事態の中での予算措置ということになりますので、非常に財政状況も厳しい折ではございますが、当局ともいろいろ協議を進めながらできるだけ善処してまいりたい、そういうふうに思っております。
  145. 吉井英勝

    吉井(英)委員 その善処するという方向でぜひ頑張っていただきたいのですが、今おっしゃったのは、主に末田研究室のあの装置の部分をおっしゃっておられるのですね。実は私が言いました浜川教授のところのCVD装置などは、一つ研究室の中にバッチ式というのと連続式というべき装置、なかなかのものがあるわけですが、それは二階にあるのです。爆発現場から随分離れたところにありまして、装置そのものは健在なんですよ。  問題は、健在な装置であっても、それを動かすには少なくともその研究室でとりあえずの防災対策をとらないことには実験ができないというところへ今いっているのです。それが見積もりをとれば二千万円だ、こういうことになるのです。現にある二千万円を、あなたがおっしゃっておる善処ということで、大きいのほかなり時間がかかるでしょうが、しかし直ちにこれをやらなかったら、これはもう半年も一年も装置はありながら眠らせるということになるのですね。研究できないわけです。ですから、防災対策をとって研究ができるように、その点で文部省としてもやはり特段の努力をしてもらう必要があるのじゃないかということを申し上げているのです。この点、もう一遍お願いします。
  146. 西口千秋

    ○西口説明員 ただいまお話しのような形のことは確かにあるわけでございますが、基本的には既に各大学に配分しております経費の中でどこまでやれるかということをまずは検討していただくということになっております。  もちろん、安全対策そのものについて今までなかったかというと、確かにそうではない、しかしもう一つ再チェックをして、安全を確認してから実験をやりたいということで大学側が現在検討を進めておるということでございます。当然その既定の予算の中でやれない部分につきましては、緊急的な形で私どもの予算班の方へそういう状況を説明しながら、応急的な要求というものが出てくることになっております。そのときにはできるだけ対応をよろしくしてまいりたいというふうに考えております。
  147. 吉井英勝

    吉井(英)委員 これは既定の予算の枠内での議論でいきますと、そうすると防災対策に金を使うと、今度は研究費が圧縮されるのですね。同じ大学の研究者として、自分のところで防災対策を進めるためによその皆さんの研究費を圧縮してはということで、やはりちゆうちよが出てしまうのです。  これは私はもう少し後ほど詳しい議論をしたいと思いますが、結局総枠をそのままにして議論をしておったのでは、もうどうにもいかないところへ防災問題は来ているんだ、その点をひとつぜひ御認識いただきたいし、規制や管理強化だけを言っておりますと、実は学問研究の自由、これが損なわれてしまうわけなんですよ。私は、そういう点で、応急的要求については対応するとおっしゃったので、ぜひそれではそういうふうにしていただきたい、このことをお願いしながらも、発想そのものをやはり変えていただきたいと思うわけです。  大臣にもお聞きいただいたとおりなんですが、実はこのCVDという装置を使って大型の集積回路であるとか太陽電池であるとか、まさに先端技術の開発もやれば、その基礎的な研究部門も国公立の試験研究機関や大学でやっているわけですね。そこでたくさんこのCVD装置があるわけなんです。現在使っておるところについての点検を行って、それぞれの研究所で防災対策についてはやはり研究者が一番専門家ですから、専門家である研究者の自主的な防災案といいますか検討案といいますか、そういうものを出してもらって、それをまとめた上で、国の方はやはりそれに応じた予算措置を講じていくということについて、私はそういう形で、今CVDの事故が起こったから特にこれは申し上げているのですが、少なくとも事故を契機にして、シランガスを使っているこのCVD関連についてはそういう対策を具体化するように、関係する閣僚の皆さんとともにそういう対策を強めていただきたいと思うのです。この点についてまず大臣に伺っておきたいと思います。
  148. 谷川寛三

    谷川国務大臣 これまでも各種研究機関の安全対策につきましては万全の措置を講じておりますが、従来以上にひとつこの安全対策に配意してやっていきたいと思っております。
  149. 吉井英勝

    吉井(英)委員 さらに、事故があった基礎工学部を少し調べてみますと、一九七五年から九一年の十六年間にかけて四回生と大学院生と教職員の合計を出してそれで床面積を割ると、一人当たり床面積が三三・七平方メートルから三一・九平方メートルヘと、つまり年々学生数はふえているのだけれども、建物をふやさないために減っていっているのですね。そしてそこへ大型機器をどんどん導入しているわけですから狭隘になってきているわけです。まさに、常に危険と同居というふうな事態のところは多いですよ。  私はかなりあちこちの研究室を見せていただきましたが、この間十六年間で学生数は七十四名ふえているのです。教授、助教授、講師で十五名ふえている。ところが、研究をサポートする教官としての助手が十三名減り、技官、教務員は五名減っている。つまり実験スペースは年々狭くなるわ、防災空間はとれなくなるわ、研究費は実質削減で防災対策をとる予算がなかなか出てこない。そして高圧ガス、危険物、毒劇物を扱う、そういう専門知識も持った熟達した技官の方などサポーティングスタッフが随分削減されてきているわけですね。  ですから、ここに実は事故を招いた背景となる問題があるんだ、こういうことは多くの教授や、その他サポーティングスタッフの人を含めて、やはりこのことが指摘されているのですね。私は、この事態については、これは今に始まった問題じゃなくて、また阪大だけじゃなくて、研究者の間では、随分これがこの間ずっと問題になっているわけです。  少しその実態の方を次に伺ってみたいのですが、この間、各省直轄研究所長連絡協議会代表幹事の春野さんが、朝日の「論壇」で六月五日に書いておられる、「国立研究機関は人・金とも危機的」だと御指摘しておられる中でも、人当研究費が少ないということを訴えておられます。  実際、ここで科学技術庁の方からちょっと聞かせていただいたことを確認しておきたいのですが、国立試験研究機関の経常研究の経費、すなわち基礎研究の中心となる人当研究費が、一九八一年の単価百四十四万円が、これをずっと九年間据え置かれてきて、ようやく昨年度一万円アップ。それがその百四十五万円ですから全く少ないわけですが、この少ない上にさらに一九八三年から一律五%カットがやられているのですね。これは春野さんがおっしゃるのももっともだなと思うのですが、経常研究費の実態はこういうことで間違いないですね。
  150. 長田英機

    長田政府委員 先生指摘のとおり、五十六年から平成元年までが百四十四万円でございまして、それから二年で一万円上がり、三年でまた一万円上がり、今一・五万円の増額を要求中です。
  151. 吉井英勝

    吉井(英)委員 経常研究を賄っている試験研究機関庁費の特殊経費の方ですね。これが一九八一年で二百二十一億円、この三年来見てみますと、二百十二億、二百二十一億、二百十九億と、昨年で二百十九億ですか。ですから、この方もふえていない。むしろ、この十年を見れば減っている。 これが現状だと思うのですが、これもやはり畚野さんらが指摘しておられるように、研究費の分野では本当に悲しい実態だと思うのですが、これもそのとおりですね。
  152. 長田英機

    長田政府委員 特殊経費につきましても、最近の状況を見てみますと、ほぼ横ばいぐらいの感じでございます。
  153. 吉井英勝

    吉井(英)委員 次に私は、またいろいろ指摘されている中の出張旅費の現状、これもぜひ大臣にお聞き願って、考えていただきたいと思うのです。  学会という、成果を発表したり情報交換したり、そういう場へ出張していくときにどんな実態がというので、これは電子技術総合研究所の研究員の方の例です。半導体結晶の中で規則正しく並んでいる原子間隔を超高精度で測定して、原子サイズの欠陥の性質を明らかにするという研究をやってこられて、なかなかの成果を上げられた。ロンドン大学やオレゴン大学の教授たちが非常に注目されて、共同研究をやりたい、こういう申し入れもあった方なんです。  それで、イギリスでガリウム砒素の国際研究シンポジウムが行われることになったときに、ぜひそこへも行って、そういう学者の方たちとも交流したいと願われたところが、予算がないということで出張旅費が出ないのですね。しかし、おまえさんは学会へ出張するんだから、欠席扱いにはしないでおいてやろう。つまり、出張を公務として認めてやろう。これが研究交流促進法の第四条に基づくものだ。ですから、確かに欠席扱いにはならないのですが、だから休暇届は要らぬが、金は出ない。結局、この方は御本人が貯金をおろして、五十二万円自費負担で出張されました。それも一番安い航空会社を探して、南回りの暑いところを通ったりとか、時間をかけて行き来されたという例です。  それからまた、国内の場合も、化学技術研究所の研究員の方ですが、若手の研究員で、プロジェクト研究に参加したので、研究費は大学時代よりも割と潤沢だなと思ったようですね。一人で二千万円ほど予算を使って研究できた。  それで、ニューセラミックの国際シンポジウムが大阪で開かれるということで参加をされたのですが、このときも出席は公務として扱ってやるから休暇届は要らぬ。これも研究交流促進法四条だ。しかし、交通費は正規出張旅費の枠がないから出せない。結局、正規の出張旅費の出た方の交通費分を差っ引いた残りをカンパと称して拠出して、みんなで研究所内でプールをして、これでその人の分も交通費だけは出してもらう、ホテル代なんかは出てこない。これが現実の姿としてあるわけなんです。私はそういう訴えを聞いているわけなんです。  電総研の場合で見てみますと、五百五十人の研究員がおって、八九年度に海外出張二十名、これが粋なのかどうか知りませんが、行っているわけですね。つまり、研究者は一生に一度行けるかどうかというぐらいのところなんです。国内の学会出張については、研究者は二年に一回。その一回が大体二万三千円ですかの予算。だから、鹿児島で学会やった日には一回に十万ぐらいかかりますから、とてもじゃないが足が出てしまってどうしようもない。これが今の公費出張の実態だというふうに伺っているのですが、大体こういう内容だと理解していいですね。
  154. 長田英機

    長田政府委員 学会の出席旅費の関係でございますが、先生が御指摘のように、交流法では職務専念義務免除で出席ということに法律的にはなっておりますが、予算措置の問題としましては、近年ふえてございませんが、実は昭和六十年度から科学技術振興費を活用しまして、重点基礎研究という制度をつくりまして、学会出席旅費等の増額に努力しているところでございます。  非常に厳しい予算情勢の中で、先生指摘のように人当研究費の問題、学会出席旅費の問題、いろいろございますが、この重点基礎研究制度によって何とかカバーすべく努力しているというのが現状でございます。
  155. 吉井英勝

    吉井(英)委員 それから、私は、これも研究者は非常に指摘しておられるサポーティングスタッフの問題なんです。例えば、私、二十数年前お世話になりました東大の原子核研究所へもせんだって行ってきたのですが、サポーティングスタッフが本当に削り倒されてしまっているのですね。東大の原子核研究所をのぞいてみますと、旋盤とかフライス盤とか、研究者が研究に必要な機器類を自分で設計して、すぐに研究に間に合わすように、かっては、それをお願いずれは名人芸の機械工の方におってもらったのです。ところが、名人芸の職人とでもいうべき方が今やだんだん削られてしまって、いないのですね。  それから、地質調査所というところでは一いわば人間国宝級の方がおられたわけです。この方の技術というのは、岩石の薄片、顕微鏡シャシーに乗せるように〇・〇三ミリに石を切るのですよ。〇・〇三ミリという、まさに名人芸なんです。そういう人が試料をつくってくださって研究者は研究ができたわけなんです。ところが今は、この地質調査所では、一九七九年四百二十一名が三百五十三人に、六十八人、十三年間でそういうスタッフが減ってくる中で、その岩石の薄片をつくる技術者が九人から六人に減ってしまった。三分の二に減ってしまっているのですね。仕事量はふえるが、名人芸の人はどんどん減ってくる。これは研究上も深刻な事態というのが今生まれてきているわけです。  外国の例では、例えば化学技術研究所の方が留学したドイツのマックス・プランク研究所の例も紹介しておられますが、総員六十名の研究所だけれども、充実した工作部門を持っていて、そこの工作部門の長たる人はマイスターと呼ばれて非常に所員の尊敬も集めている。だから生きがいも持ち、仕事にやりがいも持って頑張ってくれる、そういうサポーティングスタッフがおって研究が成り立っているわけですね。  ところが、今の国立の研究機関の場合は、どんどんこの部門が切り捨てられてしまっているわけなんです。私はこれでは、いろいろ指摘されているような事態を招来するのはもう当然じゃないかと思うわけです。  これは私、勝手に申し上げているわけじゃなくて、実はこの点については、国立大学協会がことし三月にまとめられた「教官の直面する教育研究費の現状」に始まって、「高等教育費充実についての要望」とか、幾つかのものが出されております。それからまた、科学技術庁の方でも、実は六月に「国立試験研究機関の定員の現状について」とか、それから九月には「国立試験研究機関の研究環境について」とか、その他一連のものを出しておられます。だから皆さん方が、実際に直轄研究所長の皆さんにも集まってもらって、議論をしてもアンケートをとってもみんなこのことを指摘しているわけなんですよ。  だから、私が指摘していることは、これは極端な話を御紹介しているのじゃなくて、まさにこのことが今大問題になっているときなんです。そして大学の関係者は教育研究環境の悪化に極めて強い危機感を抱き、将来の研究水準の維持に悲観的な見通しを持たざるを得ない、ここまで大学の関係者は言っておられるし、また大学財政懇談会からは、そういう中では高等教育並びに基礎研究にかかわる予算については概算要求基準にとらわれないで概算要求できるようにしてほしい、私はこれも本当に深刻な訴えだと思います。また、公費の負担率についても日本は〇・七%にすぎないが、せめて諸外国並みに二倍に引き上げてほしい。  だから大臣、なかなか一遍に二倍はというさっきのお話ありましたけれども、これは本当にみんなの切実な、悲痛な訴えたということをよく肝に銘じていただきたいと思うわけです。  それから、国立大学協会の有馬先生の方からは、大学教官の定員削減計画に対する要望書の中で、やはりサポーティングスタッフをぜひ増員してほしい、もしそうでなきゃ日本のこれからの技術は大変なんだということを訴えておられるわけ です。  なお科学技術庁の方も、これは九月に発表されたもので、西暦二〇〇五年には、こういう定員を抑えているやり方では、工学系で三十万人、理学系で十三万人、合計四十八万人の研究者の不足が懸念される。ですから、国公立の研究所も充実しながら、同時にそのことに意欲を燃やして、実際入ってくる後継者をどう養っていくか、育てていくかということについても今本当に真剣に考えなきゃならないところへ来ておるということを、私は各種のデータが示しておると思うわけです。  その中で、かつては予算削減、人員削減の臨調行革を主張して旗振り役をやってきた経団連でさえ、十月の八日に「二十一世紀をめざした研究開発体制の確立を望む」というこの文書などでは、我が国科学技術の土台というべき大学、国立試験研究機関の教育環境研究環境は劣悪化している、足元が崩れ始めていると、そこまで言っているわけです。この科学技術予算、高等教育予算のシーリング枠を撤廃せよ、行革とは別枠で思い切った予算を投入せよという主張をしているわけです。  そこで大臣、私は、抽象的な議論じゃなくて、こういういろいろな人たちの訴えを受けて、具体的に本当に思い切った予算を組まなきゃだめだというところへ来ているわけでありますから、この点についての大臣のお考えというものを伺っておきたいと思います。
  156. 谷川寛三

    谷川国務大臣 そういう点、よく勉強いたしまして、冒頭に諸先生の御質疑に答えましたように、研究施設の充実とか研究費の充実等に一生懸命頑張っていくことを申し上げまして、お答えといたします。
  157. 吉井英勝

    吉井(英)委員 時間が大体追ってまいりましたので、最後に一点だけ伺いたいと思います。  本当に充実していただきたいというのは、私がことしの夏、京大の理学部へ参りましたときに、世界の学者が注目して、日本で、例えばナウマンゾウならナウマンゾウの、いろいろなのがあるようですが、それは何年ごろのものとか、そういう種類なり年代を決める標準となるような貴重な標不類がいっぱいあるわけですが、これが火災対策など全くない貧弱な老朽建物に置かれているわけなんです。行革を口実にして予算を削ったりとか、研究者の生命、安全にもかかわるようなそういう防災対策もないがしろにされたり、あるいは科学研究の財産を守らないということの合理化というのは絶対許されないというふうに思うわけです。  そういう点で、現在の研究者の方たちの悲痛な訴えというのは本当に一刻の猶予もならないところへ来ているわけですから、ぜひそのことに心を砕いて頑張ってもらいたいと思うのです。  最後に、大臣の記者会見も私見せていただきましたが、アメリカの超電導大型粒子加速器、SSC建設計画の問題ですね。かなり激しい外圧がかかってきておる。総額一兆二千億のうちの三千億を日本に負担せよというかなりの外圧がかかっているようでありますが、私は、こういう国際的な共同研究として進める場合と、またあの場合はアメリカの国立研究所なんですね。日本研究所やあるいは日本と一緒の共同研究所じゃなくて、委員長、ここが大事なところだと私は思うのです。共同研究所、これは日本も負担しましょうという議論じゃないですね。アメリカの国立研究所なんです。そこへ金を出す。これは何ぼ何でもむち寸な話だと思うのです、だれが考えても。  ここで原則的に考えなきゃいけないことは、この高エネルギー研究方向について現在日本の学者の間でもいろいろな意見があるのです。それについても考えなきゃいけない。それから、SSCについて我が国研究者の間でやはり意見が分か札でいる面があるのですね。それから、国際交流については学術会議は五原則を出していますね。自主性とか対等、平等で、どこかの国に日本が貢ぐ国になるとか、金だけ貢いで後の運営については意見が全然言えないとか、それではだめだとか、それから日本基礎研究推進の障害にならないこととかですね。  いわばCERNのような国際共同研究機関なのか、それともアメリカの国立研究所なのかということも含めたそういう全体としての議論や検討を原則的に解決しなければならない問題があると私は思うのですが、それをあいまいにして、資金分担をやったり科学の正常な国際交流の道に背くようなことがあってはならない。そういう点で、大臣はこの記者会見で意見を言っておられますが、改めて私が言いましたようなこのSSCへの資金分担を簡単にやってしまうとか、あるいは正常な国際交流の道に背くようなことはないですね。この点の大臣のお考えを改めて伺って、質問を終わりたいと思います。
  158. 谷川寛三

    谷川国務大臣 きょうの諸先生の御質疑にもありましたように、我が国といたしましてはただいま基礎研究の整備で手いっぱいでございまして、SSCに対しまして資金的援助をする余裕はない、ただいまのところ困難であるというふうに申し上げます。
  159. 吉井英勝

    吉井(英)委員 終わります。
  160. 近岡理一郎

    近岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時九分散会