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1991-12-04 第122回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月四日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 久間 章生君    理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君    理事 坂本 剛二君 理事 武部  勤君    理事 村田 吉隆君 理事 左近 正男君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       阿部 文男君    木部 佳昭君       二階 俊博君    橋本龍太郎君       平泉  渉君    古屋 圭司君       星野 行男君    細田 博之君       増子 輝彦君    宮崎 茂一君       赤松 広隆君    緒方 克陽君       小林 恒人君    関山 信之君       常松 裕志君    細川 律夫君       草川 昭三君    佐藤 祐弘君       高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 敬夫君         運輸大臣官房総         務審議官    土坂 泰敏君         兼貨物流通本部         長         運輸省運輸政策 大塚 秀夫君         局長         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         運輸省海上交通 大金 瑞穗君         局長         運輸省海上技術 戸田 邦司君         安全局長         運輸省港湾局長 上村 正明君         運輸省航空局長 松尾 道彦君         海上保安庁次長 小和田 統君         気象庁長官   立平 良三君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第三 石橋 純二君         課長         国土庁大都市圏 溜水 義久君         整備局整備課長          厚生省社会局更 松尾 武昌君         生課長         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事 荘司 晄夫君         )         運輸委員会調査 長岡日出雄君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     小岩井 清君   高木 義明君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   小岩井 清君     小林 恒人君   大内 啓伍君     高木 義明君     ――――――――――――― 十一月二十五日  長崎県の気象事業整備拡充に関する請願(田  口健二紹介)(第二号)  北海道気象事業整備拡充に関する請願外三件  (伊東秀子紹介)(第一三号)  三重県内気象事業整備拡充に関する請願  (伊藤忠治紹介)(第一四号)  上野測候所夜間無人化撤回に関する請願(伊  藤忠治紹介)(第一五号)  山口県の気象事業整備拡充に関する請願(小  澤克介紹介)(第一四九号)  佐賀県の気象事業整備拡充に関する請願(緒  方克陽紹介)(第一五〇号)  熊本県の気象事業整備拡充に関する請願(田  中昭一紹介)(第一五一号) 同月二十九日  宮崎県の気象事業整備拡充に関する請願外一  件(北川昌典紹介)(第一七〇号)  山口県の気象事業整備拡充に関する請願(小  川信紹介)(第三九一号)  北海道気象事業整備拡充に関する請願外六件  (小林恒人紹介)(第四七五号)  ハイヤー・タクシー運転者処遇改善等に関す  る請願佐藤祐弘紹介)(第五九九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件      ――――◇―――――
  2. 久間章生

    久間委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に興する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  陸運に関する件について、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事荘司晄夫君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久間章生

    久間委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――
  4. 久間章生

    久間委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今津寛君。
  5. 今津寛

    今津委員 奥田大臣就任おめでとうございます。大きな政治力を発揮されまして、我が国運輸行政のために大活躍されることをお祈り申し上げたいと思います。  第六次空港整備五カ年計画中心に、航空行政について質問させていただきたいと思います。  さて、先般決定いたしました第六次空港整備五カ年計画でありますが、御案内のとおり、平成三年から平成七年まで五カ年で三兆一千九百億円の投資が決定いたしました。これは第五次よりも六六%増であります。ちなみに、第五次は昭和六十一年より平成二年まで一兆九千二百億円の計画でおりましたが、実績は二兆九百七十二億円、一〇九・二%でありました。今回の計画の柱は、いわゆる新東京国際空港成田空港の二期工事でありますし、二番目としましては東京国際空港羽田沖合拡張、そして関西新空港の三大プロジェク トを最優先し、新しく六つの地方空港を新設することにあるわけであります。  最初にお聞きを申し上げますが、最近の航空輸送状況及びそれを踏まえた第六空整五カ年計画の基本的な考え方についてお聞かせを願いたいと思います。
  6. 松尾道彦

    松尾政府委員 最近非常に航空界伸びておりまして、平成二年度国内旅客が六千五百万、国際線が三千百万というふうな数字になっておりまして、内外とも相当め伸びを持っております。  これに対応しまして、空港現状でいいますと、今先生指摘のように、まだ国内国際路線集中する、特に東京、大阪では非常に混雑が激しくなっておりますし、また地方空港においてもターミナル地区混雑も激しくなっております。したがいまして、今回国際空港では三大プロジェクトを積極的に推進をさせていただき、また地方空港におきましては今後の新しい地域活性化を含めて空港の新設を含めた計画推進させていただきたいと思っております。  この五カ年計画では、このような状況を踏まえまして成田の二期施設完成羽田沖合展開事業完成、関西国際空港の開港、この三プロジェクトにつきまして積極的に進めてまいらせていただこうと思っております用地方空港についてもこれから積極的に進めまして、二極集中というのを多極分散型の方向促進してまいりたい、このように考えております。
  7. 今津寛

    今津委員 人口及び国土面積を勘案しました総滑走路延長指標という数字がありますが、欧州先進諸国は平均で一〇四八、日本は七六〇、日本の立ちおくれが非常に但立っているということでありまして、とにかく混雑混雑でもうどうにもならないということでありますし、成田羽田混雑ぶりをいつも目の当たりにしております私たち外国へ旅行したときに、外国の近代的な空港を見まして、日本も早くこのように整備をしなければならないといつも思っているのは私だけではないと思っております。日本の立ちおくれが非常に目立っているということであります。  我が国航空輸送は、平成二年で国内線旅客六千五百二十五万人、国際線が三千百四万人、貨物国内線が六十九万一千トン、国際線が百五十八万一千トン、ちなみに平成一年は二千九百九十五万三千人の国際線旅客であった。この十年間の伸び率は一〇・五%、五年周では一四・二%と、急激に案は旅客数貨物数が伸びているところであります。今後とも、時間価値の上昇に伴う、一つ高速交通ニーズの高まり、もう一つ国民生活における旅行需要の強まり等を背景に、国内線においては、中長距離の高速交通の主要な担い手として航空輸送の役割はますます大きくなるものと考えられるところであります。国際線においては、人的交流を支える唯一の交通手段として、また、国際航空貨物需要増大を支える重要な交通手段止して、我が国届際交流促進に大きく寄与していくことになるでありましょう。  このような内外航空への要請の強まりを背景に、今後とも航空輸送需要は顕著な増大が見込まれるわけでありますが、航空輸送は、その需要の顕著な増大とともにニーズ高度化多様化も見込まれるところでありまして、航空ネットワークの全体を通じて利用者利便向上を図るためには、競争促進施策推進するべきであると考えますが、その実施状況はいかようになっておりますか。  また、これらの利用者ニーズの動向を踏まえて、航空運賃については本年六月の運輸政策審議会答申において新しい国際航空運賃政策が示されたと聞いておりますが、これを受けて運輸省としてはどのように対応しておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  8. 松尾道彦

    松尾政府委員 今先生の御指摘のとおり、私ども航空サービス向上という立場からできるだけ競争促進策を積極的に促進してまいりたいということでございまして、ちょうど五年前の六十一年六月の運政審答申も踏まえまして、国際線複数社化、それから国内線における競争促進ということから、特にダブルトラッキングトリプルトラッキングというふうなことを進めてまいりました。  具体的に数字で申し上げますと、国際線につきましては、この答申をいただいて以来、全日空につきましては十九路線日本エアシステムについては三路線の参入が行われております。また、国内線につきましてはダブルトリプル化施策も謝しておりまして、特にトリプル路線につきましては現在国内線で十一路線普及されております。  それから、ただいまの第二点目の国際航空運賃でございますが、これも国際航空旅客の著しい増大あるいは旅客ニーズ高度化多様化背景といたしまして、運賃の水準、内容につきまして利用者要求に適切に対応することが大変重要でございます。ただいまの先生の御指摘のとおりでございまして、本年六月の運政審答申におきましてもこの中身が出まして、私ども、特に企業の出張等個人客が広く利用されておりますエコノミー運賃でございますが、これに対しまして新エコノミー運賃の導入を図ってまいりまして、ヨーロッパ運賃につきましては既に十月から実施をいたしておりますし、太平洋あるいはオセアニア路線につきましても来年の一月、場合によっては来年の四月、こういうふうな格好団体包括旅行運賃あるいは特別回遊運賃値下け等の実施も図るなど、新国際運賃政策答申の趣旨に沿って進めてまいりたい、このように考えております。
  9. 今津寛

    今津委員 今の御答弁の中でダブルトリプルトラック化の問題でありますが、例えば私の地元の例をとりますと、私は旭川市でありますが、今、民間航空会社なのですが、何とかしてダブルということでお願いをしたり陳情をしたりしておるところでありますが、なかなかならない。いろいろな面があると思うのですが、概して日本航空会社採算面から新路線の開設には非常に消極的であると言わざるを得ないと思うのですね。基幹空港を含めて、空港能力が高まれば、日本国内だけではなくて、乗り入れる海外の航空会社の便がまたふえますから、競争が激化するとの判断も働くらしいということを聞いているのでありますが、私は、自由競争を通じてこそ経営能力が高まるわけでありますから、これはやはり積極的に推進をしてもらいたいと思うわけでありますが、もう一度このことについて御答弁いただきたいと思います。
  10. 松尾道彦

    松尾政府委員 やはり利用者サービス向上という立場から競争促進を積極的に進めてまいりたいと思います。具体的な空港別の問題もいろいろ収支上もあろうかと思いますが、例えばトリプルトラッキングで、あれば年間利用客が一路線について百万というふうな一つの基準もつくっておりまして、先生の御指摘のような方向で、できるだけ私どもダブルトリプルというふうな格好競争促進を通じて利用者サービス向上を図ってまいりたいと思います。
  11. 今津寛

    今津委員 そこで、三大空港プロジェクトのうち、新東京国際空港、いわゆる成田空港拡張工事のことでありますが、新東京国際空港乗り入れているのは今三十八カ国五十二社。しかし、それぞれの国、それぞれの会社から増便要望が出ている。それから、成田への乗り入れを希望しながらまだ四十三カ国もの国が乗り入れできないで、我が国国際社会の中における地位を考えますと、大変残念な状況にあるわけであります。まさしく各国とも、成田のこの第二期拡張工事が進んで、そして乗り入れをしたい、日本人ばかりでなくて各国世界の人がこの成田工事が進むように祈っているところでありまして、緊急の課題であると言えると思います。  また、平成二年、航空機の発着回数が十一万八千、これが当初計画、すなわち第二期工事が順調にいけば十八万から二十二万の発着数ですね。それから、年間航空旅客数が、現在は二千四十六万でありますが、これが三千八百万、貨物量が現在百三十七万トン。これはやはり工事がおくれているために実際の思惑どおりにいってない、まさしく大きな問題になっていると思うのです。  そこで、この局面を打開するために、先般大臣はこの問題の解決のために、大変情熱をお持ちになって二十五年断で初めての国といわゆる反対派との成田空港問題シンポジウムを開催されました。その開催に参加をされました大臣姿勢に心から敬意を表したいと思っているところでございます。これに参加されまして、大臣のコメントなども実は新聞などにも載っているわけでありますが、これは当日のある大手新聞の夕刊でありますが、大臣記者団の質問に、「この日を待っていた。農民の方の話を聞き感銘を受けた。話し合い解決に向けた第一歩が踏み出せ、(今後)誠心誠意、話し合えばきっと道は開ける」、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、屋上屋になるかもしれませんが、大臣シンポジウムに参加された御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 奥田敬和

    奥田国務大臣 成田現状については、今津先生が御指摘されたとおり、日本玄関口として果たして現状でいいのかという点についての厳しい反省がございます。既に四十三カ国からの新規乗り入れ要望があるにもかかわらず、これらについて御要望を満たすわけにいかないといった点は、まさに緊急に解決が迫られている課題であると認識します。  そこで、去る十一月二十一日、隅谷委員長を初め成田関係皆さん方の大変な努力で、初めて公の場でシンポジウムという話し合いの場をつくっていただくことができました。私も喜んで参加させていただき、今後の協力方お願いもいたしてまいったわけでありますが、本当にこの二十五年、四半世紀に及ぶ長い間、何と不毛な対立を続けてきたものであろう、このボタンのかけ違いの当初の発火点から、何とか話し合いの場に、話し合い和解解決、こういう方向に持ってこれないものだろうか。大臣就任前の当初からも、この成田現状に関しては、国民の一人として、政治家の一人としても非常に残念な気持ちでおったわけでありますが、私もシンポジウムに参加させていただき、あの開拓をされた農民皆さんがようやく土になじみ土に生きてきた、血と汗の結晶と言うべきそういった農地に対して、いわゆる政府の決定といいながら、そういった農民の皆様の御心情に対してお互いに琴線に触れ合うような話し合いが真摯に行われてきたかどうかということに関しては、率直に言って、私たち立場からいっても反省する点がございます。そうして、そういった過程の中の歴史を踏まえまして、シンポジウムで切々たる反対派農民皆さんのお気持ちも承ることができました。率直に申して今御指摘のように感銘も受けました。  しかしながら、もう時代は大きく変わりつつありますし、我々もこの二十五年間の不毛な対決から、何としても立派な実を生み出すような話し合いで、和解で、日本玄関口にふさわしい新しい成田を何としてもお互いの協調の中からやらしていただきたい。そして、誠心誠意お互いに謙虚な立場に立って話し合いを継続すれば、必ず和解解決の道は開けるという確信も持っております。何とか反対派農民地域住民皆さんとの、そして成田の将来における本当にすばらしい玄関口としての空港を目指すために、私は今後とも誠心誠意、一生懸命に対話を続けて解決に当たりたいと思っております。どうかひとつ先生方の御協力も御支援のほども心からお願いを申し上げる次第でございます。
  13. 今津寛

    今津委員 今大臣の御感想をお聞かせいただいて、率直に言いまして私も感銘を受けたところであります。たしか昭和四十一年、二十五年前は中村寅太大臣ではなかったかと思いますが、そのときから歴代幾人の運輸大臣が誕生しましたでしょうか、その中にあって、村岡前大臣が御苦労され、そして今歴代大臣の中で初めて奥田大臣が直接農民対話をなさった。これ以上のことをお聞きしません。ぜひひとつ頑張っていただきたいと思っているところであります。  ただ、一つだけ申し上げるとすれば、やはり過激派ですね、これは率直に言って国と農民との話し合いになかなか入れなかった一つの原因にも過激派存在というものを否定し得ないと私は個人的に思っています。すなわち、空港周辺の常駐の過激派人たちの違法なゲリラ活動の繰り返し、昭和六十三年九月には千葉県の収用委員会の会長を襲撃し重傷を負わせたために収用委員の方が全員辞任をなされたとか、平成二年から三年にかけて千葉県の県議会議長宅、それから運輸省幹部宅、それから関係会社などを放火したり、卑劣きわまりない無差別ゲリラであったと思います。  ちなみに、実は私の家も今警察の方に守っていただいている状態でありまして、それは、私は自民党の中の小沢調査会に入っておるのでありますが、何か過激派がいろいろと考えているという情報が入りまして守っていただいているわけであります。私は政治世界に入った者ですから、いつでも命を捨てる覚悟ができておりますが、家族に迷惑をかけたりというか被害があったら本当に寂しいことだなと思っているところでありまして、過激派に対しては毅然とした態度で臨んでいただきたいと思っているところであります。  しかし、ようやくここまで参りました。反対派農民方々も大きな視野に立って成田存在意義を問い返していただきたいと思うところであります。例えば、今ここに国会が建っておりますが、この国会は昔は何でありましたでしょうか、恐らく農地でありましたか民有地でありましたか、やはり国の諸政策に御協力いただいて社会というものは成り立つわけでありまして、どうかその点を勘案をしていただいて、日本人ばかりでなくて世界の人がこの一刻も早い解決を望んでいる、第二期拡張工事推進を望んでいるという前提に立って農民方々に御理解賜りたい、私からも申し上げたいと思います。  これについて大臣、もし御見解があればお聞かせ願いたいと思います。
  14. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全く同感でございます。不法なゲリラに対してはこれは毅然として排除してまいるという基本的な姿勢は貴いてまいらなければなりません。しかし、過去の経緯の中での反対派農民皆さん、そして地域活性化を願う地域住民皆さんとの対話に関しては、誠心誠意臨みたいというのが基本的な姿勢でございます。
  15. 今津寛

    今津委員 ありがとうございました。よろしくお願いを申し上げたいと思います。さて、もう一つプロジェクトのいわゆる羽田空港の問題でありますが、現在は成田羽田、伊丹、この三つの基幹空港国内線は七八%、国際線は八六%の旅客率になっているわけでありまして、特に私などは羽田中心として乗りおりいたしておりますが、とにかく混雑している。そして問題は、羽田空港からいわば目的地まで、私ども国会が多いのですが、そこまで来るのにとにかく時間がかかる、いらいらする、もう考えられない時間のむだ、そういうふうに思うわけでありまして、その羽田沖廃棄物埋立地の活用、空港沖合展開と同時に、周辺アクセス、これが早急に整備されるべきだと思いますが、これについてのこれからの計画をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 松尾道彦

    松尾政府委員 羽田沖合展開後の空港アクセスでございますが、軌道系では東京モノレール京浜急行の両社がターミナル地域乗り入れを考えております。道路系といたしましては、高速道路一般国道から成る湾岸道路、環状八号線及び空港アクセス道路、これを計画しておりまして、これらの施設整備されればアクセスとしては何とかなり得るというふうに考えております。  なお、現在の状況でございますが、西側ターミナル施設を供用する二期計画に合わせまして、とりあえず東京モノレール西側ターミナル地域への乗り入れを考えており、かつ、京浜急行羽田空港入り口でのモノレールとのドッキング、湾岸道路からの西側ターミナル地域への東京側からの接続、このような格好でとりあえず鋭意工事を進めさせていただいている段階でございます。
  17. 今津寛

    今津委員 余り三大空港集中するものでありますから、近距離の国際航空便については地方拠点空港をできるだけ利用してそこから発着をする、こういう考え方に立っておられるようであります。  例えば平成三年では、広島-ソウル岡山-ソウル福岡-ホノルル新潟-イルクーツク平成三年の十一月令現在で、新千歳、仙台、新潟、小松、名古屋、岡山広島福岡長崎熊本、鹿児島、那覇の十二地方空港から計三十二の都市へ国際定期便が行っているわけですね。また、チャーター便も最近は頻繁でございまして、例えば私の地元のすぐそばのソ連に行きましても、札幌からユジノサハリンスクだとか、それから函館からユジノサハリンスク、ノボシビルスクだとか、こういうチャーター便も盛んに行き来いたしておりまして、将来のいわば定期航路化を目指しているところでございますけれども、この地方空港における国際線発着の問題、この進展について運輸省がどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたい。簡単にお願いしたいと思います。
  18. 松尾道彦

    松尾政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、現在地方空港十二空港国際定期便が入っておりまして、私ども地方空港国際化を一生懸命推進してまいりたいと思います。現在では過当なり三百五十便程度が運航されておりまして、全国際線のおおむね二割程度の比率になっております。今後とも、地方空港における定期便就航等を初めといたしまして、航空需要状況を見ながらこのような方向促進を図ってまいりたいと考えております。
  19. 今津寛

    今津委員 輸送の問題は、新幹線、自動車、船舶などを含めてやはり交通体系の問題も考えるべきだと私は思うわけであります。  最後になりましたけれども、この第六次空整の今後の推進に向けての大臣決意をお聞かせいただければ幸いだと思います。
  20. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生地元のことに触れますけれども、千歳空港を初めとして、ここはもう東洋一の貨物拠点国際空港にしなければならぬ、広大な北海道の魅力はまず航空ネットワークを立派に確立することであろうということで、今度の六次空整におきましても北海道に関して重点的な拠点整備を行うという方針を決定したわけでございます。  北海道に限らず、全国の物流、人の交流を含めましてこの地方空港整備を重点的に行うことによって、一極集中を排除しながら地方分権化も図っていけるという基本姿勢に立って、この六次空整においては御期待に沿うように地方空港整備を積極的に進めてまいる決意でございます。
  21. 今津寛

    今津委員 例えばサハリンなどの新しい航路については、今大臣もおっしゃいましたが、北海道といいますと新千歳とすぐ浮かぶわけでありますが、必ずしも私は千歳でなくてもいいと思っています。例えば旭川でありますとか、例えば稚内でありますとか、プロペラ機でもいいわけですから、そういうことも考えることがやはり地方活性化にもつながると思うわけでありまして、大臣のお力添えも特にその点についてお願いをしながら、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  22. 久間章生

    久間委員長 細田博之君。
  23. 細田博之

    ○細田委員 まず最初にお伺いいたしたいことは、運輸行政全般にわたる許認可事務の問題でございます。  アメリカからも、構造協議などによりまして、我が国の許認可が非常に多過ぎるんじゃないか、それが貿易の障害になっているんじゃないかというような指摘も受け、合理化も進んでおる。また、国民生活向上といった観点からもあるいは行政の効率化の向上といった観点からも、行革審などにおきまして指摘があり、既に運輸省さんも組織改正をされるとともに、トラック問題その他大幅な規制緩和をされているということは承っているわけでございます。しかしながら、まだまだたくさん残っているわけでございます。運輸省といえば許認可官庁という答えが返ってくるようなイメージで運輸省を見ている人たちも多いわけでございます。  また、地方に暮らしてみますと、例えば自分はタクシーを営業したい、あるいは地元におってちょっとした運送業を営みたい、それから旅館の登録も得たい、いろいろな要望があるわけでございますけれども地方部局に参りますとより厳格な基準が運用されるというようなことがございまして、一生懸命やりたいと思ってもなかなか許認可、登録等が得られないというようなことがあります。  現在は非常に人手が不足しておりますし、過当競争という従来型の行為というものがなかなか起きにくいという情勢にもなっていると思うわけでございますけれども、今後の問題といたしまして、許認可の整理合理化の問題について、運輸省さんは一般的にいってどのように取り組んでいかれる姿勢であるのかということからお伺いいたしたいと思います。
  24. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 運輸事業といいますのは、御案内のとおり、国民生活であるとか経済活動の基盤になっておる非常に重要な役割を果たしておるわけでございます。したがいまして、安全で良質なサービスというもの、それを安定的でまた効率的に提供していくということがやはり世の中にとって極めて大切なことだと思います。  ただ、経済社会はどんどん変わってまいりますので、利用者ニーズというものも高度化多様化いたします。それから、先生指摘のように、人手不足の問題も出てきておりますし、あるいは行革審答申、日米構造協議などでいろいろ御指摘もありました。運輸省としましては、こういう運輸事業の特性というものを踏まえながら、やはり新しい時代の要請に対応できるように、常に規制というのは見直していかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  既に、今までも行革審答申等で指摘されたことはすべて実施をしておりますし、特に最近は、物流二法などによりましてトラック事業の大幅な規制の緩和を行ったところでございます。これからも、今仰せになりましたような点を踏まえまして、運輸省としても時代の要請に合った許認可のあり方というものについて常に考えて前向きに見直しに取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  25. 細田博之

    ○細田委員 また今後ともさらに規制緩和に取り組んでいかれるというお気持ちがおありになるということはわかったわけでございますけれども、確かに余り自由化を進めますと、アメリカにおけるように、航空会社の過当競争が起こり、軒並み赤字になり合併をされていく、むしろ利用者に大きな迷惑がかかるというような面があって、アメリカあたりでも逆に少し規制をしなければならないというような、そういう動きもあると思います。  また、菓市では、タクシー会社が値上げに対して反対して、一社だけ安い値段で走っている、そのことが大きな話題になっていて、むしろそういうものは一物一価でやるべきじゃないかという指摘があるというようなことはわかります。  したがいまして、料金問題などは運輸行政の基本であろうと思うわけでございますが、例えばバス会社で、ここはなかなかいいところであるから路線をふやしたいとか、先ほど申しました地方の個別事情からタクシーをやりたいとか、いろいろ細かい要請というのは幾つもあるわけでございまして、事情を聞いてみると、なるほどもっともだな、こんなにやりたいものならやらしてあげればいいのになと思うこともたくさんあるわけでございます。  車検制度につきましても、我が国世界に冠たる車検制度を持っておりまして、しかも基準も厳しく、そこに何兆円という所得が発生していることも理解はするわけでございますが、合理化の余地はまだまだあると思うわけでございます。  したがって、総論的で結構でございますから、大臣にお伺いしたいのでございますが、さまざまなそういった問題もあるこの運輸行政について、基本的な方向についてのお考えをちょっとお聞かせいただけたらと思うわけでございます。
  26. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ちょっとほかのことを考えておりまして、済みませんでした。  物流の問題について――許認可事務に関しましては、確かに御指摘のように、運輸行政というのは許認可行政じゃないかという厳しい御批判のある点も十分わきまえておりますけれども、何としても安全、しかも国民生活に最も密着した分野を担当しておりますので、そういった大局に立っての視点から、できるだけ許認可業務を簡素の方向に持っていくという方向は当然でございますけれども、そういった輸送確保、安全、そういった面に対して留意して行政の衝に当たりたいと思っております。
  27. 細田博之

    ○細田委員 私も質問がなれないものですから、最初に、大臣にお伺いしますがと言うべきでございました。失礼をいたしました。  次に、私は島根県の選出でもございますが、隠岐島とかあるいは出雲空港、米子空港と大阪とか、YS11機という国産機の大変立派な飛行機がありまして、約六十五人乗って飛ぶわけでございますが、非常に重要な動脈として大いに活用が行われているわけでございます。  しかしながら、百五十機つくったものがそれで大体生産打ち切りになり、部品の供給もこれで途絶えるということから、現在六十五機も飛んでいる、五十三路線もある、そういうところでもうそろそろ整理をするという動きが出ているわけでございます。  その中で、大きな空港について考えますと、これはやや大型、中型のジェット機にかえることもできるということがあるわけでございますが、私ども地元の例えば隠岐島の隠岐空港とか、あるいは伺ってみますと、伊豆大島にしましても、三宅島、壱岐、種子島、屋久島、与論島、沖永良部島、与那国島、こういうようなたくさんのところでYSが飛んでいる。しかし、簡単には中型ジェットまではかえられない、かといって六十数人乗りのYS機に見合う型のものが余りない。そこで、小型機にかえなければならないのじゃないかというような、非常に住民にとってもあるいは観光客にとっても大きな障害のあるような動きがあるように伺っております。その辺の現状あるいは展望について御答弁をいただきたいと思います。
  28. 松尾道彦

    松尾政府委員 今先生指摘のとおり、YS11につきましては、就航路線が五十三路線、かなりの数がありまして、具体的には日本エアシステムが二十路線、エアーニッポンが二十四路線、南西航空が大路線日本エアコミューターが四路線、こういった格好で各地区の特に足の確保、離島空港なんかには今御指摘のとおりYSが活躍しております。  それで、今後の問題でございますが、こういったYS路線につきましては、ジェット化を図れるところはできるだけ促進をしておりまして、既にYSにかわるべき、ちょっと大きいジェットでございますが、A320型機が運航を行っております。これは座席数は百六十六でございます。  それから、一方におきましては、需要規模の小さい路線につきましては、これにかわるべきものは、日本エアシステムで来年二月から導入されますが、スウェーデン製のサーブ340型機というのがございまして、座席数が三十六席で、大分YSより小型になりますが、むしろフリークエンシーサービスを強化することによって十分対応し得るのではないか、このような方向で今努力中でございます。
  29. 細田博之

    ○細田委員 今御答弁がございましたように、中型機になるものは、むしろ六十五人が百何十人乗りになるわけですから、採算の面はわかりませんが、住民としても観光客としても喜ぶ、そういうところもあるわけでございますが、三十五席ということになると半分になってしまう。そうなると、今フリークエンスサービスというのですか、しばしば飛ばして便数をふやして対応したいということでございますが、何分半分でございますので、それで十分対応できるかどうかという点は依然として心配は残るわけでございます。  何とかYS11をもう一回つくれないのかということを言いましたら、これはできないそうでございまして、昔つくった、日本航空機製造というところがつくったわけでございますが、そこの型がありますね、その型を使って飛行機をつくるのでございますが、全部もう捨ててしまった。これは捨ててしまうのはいかがかと思うのですが、捨ててしまったものはしょうがないということで、これは新しく開発しようと思うとまた長年の歳月がかかるわけでございます。  なかなかいい道がないのでございますが、我が自由民主党、そこに宮崎委員がいらっしゃいますけれども、離島振興委員会というのがありまして、大変精力的に検討を行っております。宮崎委員がその委員長でもございまして、自民党としても大いに頑張って考えていこうじゃないかということで、力を入れているわけでございます。  特に離島の問題について言えば、今言いました離島の航空路については、これから新型機がどんどん入っていく、場所によっては採算が非常に悪くなる、会社としては頻繁に飛ばすといっても余り機数をふやしたくない、抑えたいというところもあるわけでございますし、できれば政府で補助金などどうかな、お願いしたいという要請もあるわけですし、また、航空路だけではございませんで、航路の問題もございます。最近は佐渡島初め大変な高速船が走っておりまして、島根県の隠岐においてもそろそろ高速船を就航させるという話が進んでおりますし、ほかもそれを望んでおります。スピードでいいますと約半分の時間で行けるということで、大変にいいのでございますが、安いものでも十数億円、高いものになりますと三十億、五十億というお金がかかってきますし、港湾整備も必要ということになるわけでございます。  特に離島につきましてはそういういろいろな厳しい清勢がありますので、特に、きょうは航空局長もお見えですから、この航空路の整備空港整備も含めて、ぜひともそういう離島の人々の立場に立った運輸行政というものを進めていただきたいと思います。それについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 松尾道彦

    松尾政府委員 YS路線の問題につきましては、できるだけ中型化できるところにつきましては、先ほどの五カ年計画の中でも空港整備、ジェット化を図ってまいりたいと思います。離島問題についても、今回例えば佐渡空港なんかは二千メートルの計画も考えていますし、また小笠原空港についても環境が整えば千八百メートル程度のジェット化も可能だというふうなことで、できるだけジェット化を図ってやってまいりますが、どうしてもそういった需要面でできないところについては、小型ターボプロップ機の導入によってYSの後継機という格好で対応してまいりたい、このように考えております。
  31. 細田博之

    ○細田委員 大臣、御答弁は要りませんけれども、今おっしゃったように努力はされています、しかし大きなところから少しずつ整備するという考え方がどうしても出まして、数多くの、先ほど例示を出しましたような離島ではまだまだ展望がないというのが現状でございますので、よろしく御検討方お願いを申し上げます。
  32. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先ほどからの細田先生の御意見の中で、YS11の問題については私もこだわりを持っている男でございます。なぜああいった騒音が少なくて、離発着の距離において短い滑走路でできる、しかも離島においては最適の飛行機が、どうして、単にスピードが遅いというだけの問題で簡単に廃止されるのかということに関しては、私は今まで運輸委員会に所属した経験はございませんけれども、このYS11は世界に誇ってもいいくらいの機種だと思っておりましたし、現に私も海外に行って、ロールスロイスの、英国なんかの企業の人に聞いても、YS11をどうしてそんな簡単に日本側として、後継機もろくに、あれだけ経済効率がよくて音はなくて、あれは見直すべきじゃないかというような意見を外国の人からも聞いたくらいでございます。  そういった意味において、今たまたまYS11の問題が指摘されておりましたからお答えするわけではありませんけれども、離島に関しては本当に小規模な輸送採算面においてとかくの問題点はあるかもしれませんけれども、そういった特性を生かした機種を何としても開発してそういった形に応用すべきじゃなかろうか、それに対して政府は研究開発なり助成は惜しむべきではなかろう、基本姿勢をそういう形で取り組みたいと思っております。
  33. 細田博之

    ○細田委員 この離島の問題で実はもう一つ大きな問題があるわけでございます。それは、海上保安庁とも関係するわけでございますし他省庁にまたがるわけでございますが、救急医療患者、急病人が発生した場合にどうしてもその人を急に運ばなければならない。重大な心臓病があったり、脳内出血があったり、複雑な骨折、内臓破裂、いろいろな急な出来事がございましで、どうしても島では対応できないということが数多くあります。それが深夜に発生いたしましたりすると、もう町村、県庁、消防署一体となって、あるいはお医者さん方も一体となってその事態に対処する体制を組むわけでございます。  幸いなことに自衛隊も大いに活動してくれるわけでございますが、例えば島根県、鳥取県の場合は、隠岐空港にそれで出動するという場合に、C130というのですか、中東に対する緊急援助で、平和協力で有名になった大型輸送機などが入っておりまして、あれを一人の患者だけのために飛ばすというようなことすら行われております。一回飛ばすと三百万円かかるそうでございまして、もっと小さなヘリコプターでできる体制をとらなければいけない。  そして、今海上保安庁は予算要求をされ、どんどん古いヘリコプターを新鋭のヘリコプターにかえて導入しているということも聞いておりますし、あるいはこの日本海沿岸は北朝鮮や韓国との違法操業問題もありまして、海上保安庁のヘリコプターは大いに今活用され活躍をしているという実態にあるわけでございます。そういった意味から見ましても、医療の問題やあるいはこういう海上監視の問題、海難事故はもとよりの本務でございますからそれもあわせまして、海上保安庁さんにできるだけ柔軟で、しかも速やかな体制を整備していただきたい。これは何も島根県がどうこうということでなくて、全国的にいろいろ大きな問題があると思いますので、その体制整備をしていただきたいわけでございますが、現在の運輸省さんのお考え方を教えていただきたいと思います。
  34. 小和田統

    ○小和田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたとおり、海上保安庁の業務、ますます複雑多様化しておりますし、地域住民方々にとっても期待の大きい仕事をしているわけでございますので、今後とも、航空機あるいは船艇ともに性能のすぐれた、業務遂行に十分使えるような新しいものを整備していくように努力したいと思います。
  35. 細田博之

    ○細田委員 次に、いわゆる物流合理化の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  この夏以降の予算要求あるいは税制改正問題あるいは法律問題の大きな焦点というものは、実は物流にあるわけでございます。昨年はいわば小売でございました。小売業、大型店舗の進出をどういうふうに考えていくのか、地元商店街との調整をどう考えていくのか、そしていわゆる小売面での物流合理化と消費者の保護、そしてこの地元経済の維持ということをどう進めていけばいいのかということで大店法改正その他が議論になり、また小売業に対する大幅助成というものが実現したことは御存じのとおりでございます。  昨今の情勢を見ますと、小売業の方はある程度手当てをした、しかしそれにつながる卸売業はどうかというと、卸売業においては合理化が非常におくれておって、しかも各地場産業の卸売業というのはなかなか経済的にも有力な方がおられて、地場経済でも中心の方がたくさんおられるわけでございます。地元地方経済の中心であるわけでございますが、営業も大変に成績が下がり、どういうふうに体制整備をしたらいいかがよくわからないと言う人が多いわけです。  そして、それのみならず、これにつながります運送関係の業務あるいは倉庫関係の業務というものも同じような問題があります。そういう革命も起こりまして、いわゆる宅配便というものも起こったわけでございますが、あれも優良で低コストに耐え得る企業と、どうしても耐え得ない企業というものが出て、いわば二極分化を始めてしまったわけでございます。一般の運送業についてもさらに、例えば倉庫のコンピューター化を図るとかシステム化を図る、運送自体システム化を図り、そうして、例えばトラックだけではなくて、ピギーバックというようなものに載せて貨車で輸送して、両端をトラックで輸送するというような新しい流れによる合理化というものが模索されているわけでございます。  したがって、現在経済活動にとって焦眉の急でありますことはこの物流合理化問題であるというふうに私は認識しているわけでございます。幸い運輸省さんはこの点を大変先取りされまして、昨年以来大いに政策を打ち出してぎておられるわけでございますが、この辺の問題につきまして、現状認識あるいは今後の政策的な取り組みについて、特に中小企業関係の物流合理化についてどのように取り組んでいかれるお考えか、お答えをいただきたいと思います。
  36. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 物流につきまして今いろいろお話をいただきましたが、基本的な認識は私どもも全く同じでございます。特に昨今は労働力不足の問題あるいは環境の問題、こういったようなことで物流というものが大変厳しい環境に置かれておるわけでございまして、従来と同じように荷主の要請にこたえて何でもやっていくということが難しくなってまいりました。  それに対して、やはり経済が発展し国民生活向上いたしますと物流の多様化とか高度化という要請が高まってまいりますので、そういう厳しい制約要因の中で物流を確保していこうと思いますと、どうしても物流の効率化、今ピギーバックの例を仰せになりましたが、そういうことも含めて物流の効率化ということに取り組んでいかなければならないというふうに私どもは考えております。  幸い、物流業界もそれから産業界も同じような物流問題に対する認識をお持ちでございますので、みんなでこの問題に取り組んでいく状況がそろってきているように思う次第でございます。  具体的には、やはり物流の効率化の対策として運輸省で今思っておりますのは、幹線の部分というのは、これはやはりトラックよりももっと効率のいい鉄道や海運にモーダルシフトをしていくということ、それから、幹線でない部分についてはこれはトラックを使わざるを得ませんので、積み合わせ輸送などによってなるべくトラックを効率的に使っていくこと、こういったような施策をこれからは進めていかなければならない。  その際、中小企業のことをおっしゃったわけでございますが、やはり中小企業は経営基盤が不十分でございまして、資金面その他で大手と比べて不利な地位にありますから、取り組みについてはやはり特段の支援が必要ではないかというようなことも考えまして、中小企業が物流の効率化に円滑に取り組めるように、そういうことを考えた施策も考えていかなければならないというふうに思っております。  いずれにしましても、先生が仰せになりましたような方向運輸省として物流問題に一生懸命取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  37. 細田博之

    ○細田委員 奥田大臣にも申し上げ、また御要望申し上げたいわけでございますが、ただいまお答えがありましたように、非常にこの物流合理化問題、焦眉の急でございます。いろいろな予算要求、税制改正要求もしておられるようでございますし、さらに中小企業対策としての充実もしようということになっているわけでございます。そうして、伺いますと、これまで以上にこれはすばらしいことだなと思いますのは、中小企業担当官庁であるあるいは卸売業担当官庁である通産省とも非常に密接な連携をとっておられるようでございまして、通産省の方にも聞いてみたんですが、実にうまく相談しながら事を進めているんだということも聞いたわけでございます。  やはり物流というと経済の動脈のようなものでございます。物資の動脈でございますので、ぜひともこの点についての施策の拡充というのをお願いしたいわけでございますので、最後に運輸大臣の御所見をお伺いして終わりたいと思います。
  38. 奥田敬和

    奥田国務大臣 物流関係問題というのは国民生活に直結している重要な政策課題でございます。私は、所見を述べろということですから、ちょっと変わっておるかもしれませんけれども、今までの物流、どちらかというとマラソンランナーのように一人で、汽車なら汽車。トラックならトラックといった形。私はこれからの物流はやはりリレーランナーの形式で、空なら空、陸なら陸、海なら海。例えば陸の場合はもう当然新幹線化、高速電化されていくわけですけれども、海は海でテクノスーパーライナーの実用化時代も目の前に来ておりますし、空は空で先ほど申されたような地方空港のジェット化整備を含めて、空、陸、海のこのネット網が確立されていくことで、初めて物流体制が整い、豊かな生活大国の道が開けるんだという認識で考えております。  いずれにいたしましても、大変物流問題は重要な問題であります。通産省とももちろん協議して新しい法案準備にも取りかかっておるようでございますが、そういった認識のもとに全力を尽くしてこの課題に取り組みたいと思っております。
  39. 細田博之

    ○細田委員 質問を終わります。
  40. 久間章生

    久間委員長 赤松広隆君。
  41. 赤松広隆

    ○赤松委員 それでは、一時間という限られた時間でございますので、ほぼ四点にわたって大臣を初め関係の皆さん方に御質問を申し上げたいと思います。  まず第一は、従業員の福祉旅行の充実についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  運輸省は今、テン・ミリオン計画の期限内達成、こういうことを受けまして今後十年の観光促進政策を示した「観光交流拡大計画(ツー・ウエー・ツーリズム21)」という中身でございますけれども、これを掲げて熱心に取り組まれようとしておりますことに、まずもって敬意を表しておきたいと思います。  言うまでもなく、国民各層の現在の生活に対する最大の願いは、真にゆとりと豊かさのある生活の実現でございます。これは単に金とか物とかいうことだけでは実現できないことは自明の理でございまして、労働時間の短縮、休日、休暇の拡大によって生まれた余暇時間を有効に生かしながら、個々の選択に基づく多種多様な活動の場やレジャー活動のでき得る環境をつくっていくことが、行政、企業、社会に課せられた義務だとも言えます。  こうした中、現行税法上では、企業が行う従業員福祉旅行について、一定の条件はございますけれども、その条件の河とで、三泊四日以内に限り国内旅行、海外旅行とも従業員の所得税及び住民税は非課税扱いとなっております。言いかえれば、従業員の給与扱いとせず福利厚生費として企業が処理をするということを認めておるわけでございます。この制度自身が果たしてきた役割、すなわち、特に中小企業等の人材確保や定着、従業員の国際化社会における国際感覚の涵養等にはその効果ははかり知れないものがあったと思っております。  一方、この制度の定着化とともに、三泊四日では海外に行くといっても範囲が非常に限られてしまう。具体体的に言いますと、例えば韓国、台湾、香港、これらのところに限られてしまう。ぜひもう一泊ぐらいふやしてもらって、ハワイだとかオーストラリアだとかあるいはアメリカ西海岸までぜひ足を延ばしたいという声が、従業員の皆さん方やまた実際にお金を出す中小の企業経営者から数多く今聞かれておるという現実もあるわけでございます。  こうした声を受けて、仄聞いたしますところ、運輸省でもこれらの声を的確に把握をされまして、来年度の予算編成に向けて大臣を先頭に積極的にこれらの問題の前進のために取り組んでおられるということを聞いておりますけれども、この問題についての基本的な考え方あるいは今日までの取り組みの状況、また大臣にはそれに向けての決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  42. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のとおりに、ゆとりのある生活、こういうことを各企業間でも、従業員の福祉の点も考慮されまして、現在のところの三泊四日から四泊五日へ強い御要望が出ておりますし、私たちとしても、税制改正の主要課題として運輸省としても真っ正面から取り組んでおるところでございます。確かに三泊四日だと東南ア中心になりがちで、これがもうちょっと四泊五日になりますとアメリカなりカナダなり、もっと大きい意味でのそういった国際交流の実が上げられる、従業員の面においても非常に福祉対策として強い御要望である点は十分認識して取り組んでおります。  ただ、率直に申しますけれども、重点項目として取り組んでおるわけですが、今日の財政当局は税収の見通しが甚だ厳しいという情勢を踏まえまして、見通しとしては率直に申しましてなかなか厳しいといった感触でございます。しかしなお、先生の御指摘のとおりの御趣旨は我が省としても基本的な姿勢でございますので、引き続き実現に努力してまいりたい、この姿勢で臨むつもりでございます。
  43. 赤松広隆

    ○赤松委員 極めて前向きな大臣の御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  しかし後段、運輸省としては最重点項目で取り組んでいるんだけれども、財政当局がなかなか厳しい対応だというようなお話があったわけですが、私どもも、事務局といいますか実務を担当しておられる運輸省皆さん方からも、折衝しているけれども平成元年に二泊三日から三泊四日に拡大をしたばかりだとか、今大臣がおっしゃったような大変財政見通しが厳しいとかいうようなことを理由にして、なかなかこれに財政の立場からはいい答えが返ってこないというようなことを聞いておるわけでございますけれども、まあしかし、財政状況が厳しいとかあるいは前に一日拡大してまだ日にちがたってないとか、そんなことは理由にならないわけであって、私は、やはり国の政策なり運輸省の方針というのは、いいことであればそれはもう絶対にそれはそれとしてやっていく、ただ、後その財源をどうしていくか、あるいは何に優先してこの政策をやっていくかということが重要なんであって、その意味でぜひ新大臣奥田大臣の今後の、これからまた年末に向けて最終の折衝もあるわけですから、ぜひ期待をしておりますからお取り組みいただき洗い。  要望しながら、今税のお話も出ましたので、そこで確認のためにお尋ねをしておきたいと思いますが、もしこの三泊四日が四泊五日となった、すると当然非課税扱いになって入るべき税収が入らなくなるわけですから、その場合に税の減収につながるというそういう論に対して、現行の三泊四日を四泊五日にすることによって一体どれほどの税収の減額になるのか、当然運輸省としても試算をしておられると思いますので、その点について明らかにしていただきたいと思います。
  44. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 当省の推計でございますが、この旅行期間の要件が緩和されますと、平成四年度の減税額は所得税が約十四億円、住民税が約十七億円の見込みでございます。
  45. 赤松広隆

    ○赤松委員 国の大きな予算の中で、その歳入の中で、今の大塚さんからの御答弁でございますと所得税で十四億円、住民税で十七億円、言ってみれば大変わずかな金額だと思うわけです。合わせて三十一億円ぐらいですが、これによって、今人手不足問題、先ほどの質問者からも、いろいろなこの業界、物流業界、あるいはこうした物流業界に限りませんけれども、特に中小企業を初めとする各業種の中で今人手不足問題が言われております。あるいはちょっと条件が悪いとなかなか従業員が定着をしないというような中で、こういう施策を先取りしてやることによって従業員の定着化につながっていく、あるいは新たな新規採用につながつていくということになるわけですから、この程度の減収で済むということですから、何としてもこれはお取り組みをいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  そして、もう一つこれに関連をしましてお尋ねをしたいと思うのですが、ツー・ウエー・ツーリズム21の中で、「永年勤続表彰に伴い旅行か報奨として贈与される場合の税制上の措置を活用して、海外旅行を奨励する。」という項目があるわけでございますけれども、これについては具体的に何をどのようにしようとしているのか、運輸省としてどういうように変えていこうと思っているのか、あるいはどのような取り組みをしようとしているのか、ちょっと具体的にその辺を御説明いただきたいと思います。
  46. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 永年勤続表彰に伴い報奨として贈与される旅行につきましては、国税庁の通達によりまして、社会通念上相当と認められる額のものについては税制上の非給与扱いの措置が講じられているところでございます。そこで私ども、今後、観光交流拡大計画にも触れておりますように、このような制度を活用して永年勤続の方、特に男性は中年以上の海外旅行か少のうございますので、こういった方々にも海外旅行をしていただきたいと考えているところでございます。  この社会通念上相当と認められる額につきましては、個別のケース、運用に任されていると聞いておりますが、今後、ゆとりのある旅行の実現などの観点からこの運用の見直しなどが必要となる場合には、国税庁その他関係機関と鋭意調整を、行っていきたいと考えております。今後の永年勤続の方々の旅行状況その他全体的な状況を見て対処していきたいというのが私どもの考えでございます。
  47. 赤松広隆

    ○赤松委員 長年勤めた退職者の人にこうした報奨制度を与えながら、そしてまた別の観点からは海外旅行そのものの促進を図っていくという政策だろうと思っております。  今、大塚さんから御答弁いただいたのですが、抽象的にはわかるのですが、それは免税額を引き上げていこう、今例えば何十万円ぐらいの感じ、それをあと五割ふやすのかあるいは倍にふやすのかわかりませんが、とにかくその免税額をより多く国税庁にも認めてもらうように働きかけをしていこうということだろうと思うのです。話を非常にわかりやすくするために、これはいろいろなケースがあるというふうに今言われましたから、それも十分承知しながら、概略的な、現在のところはおおよそこの程度のことまでは認められているのだと、それを社会通念上妥当だというのはこれぐらいの金額で、そしてその運用の見直しをするようにというお話があったわけですが、それをどの程度に持っていこうとしているのか。その辺のところが具体的に見えてこないと、抽象的に見直しを図るよう働きかけますとかどうとか言ったってわからないわけで、まあいろいろ具体的に金額を言うことがどうなのかということはあると思いますけれども、おおよそのところだけやはり出してこないと、せっかく運輸省の方でいい取り組みをされようとしておるのにその辺が具体的に見えてこないということですから、ぜひその辺をもう少し突っ込んで具体的に御答弁をいただきたい。
  48. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 個別のケースでございますので正確に申し上げられませんが、私どもの把握しているところでは、おおむね一年につき一万円というのが、国税庁当局の運用上、社会通念上相当と認められる額になっているようでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、これからゆとりのある旅行を実現していくためにはこの額を引き上げていく必要もあろうかと思いまして、そういった方々の旅行実態あるいは希望も踏まえて今後折衝していきたいと考えているところでございます。
  49. 赤松広隆

    ○赤松委員 一年一万円というのはわかったのですが、では、それを運輸省としてどれぐらいのところに持っていこうとしているのか、働きかけをしようとしているのか、その辺はどうですか。
  50. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 まだ具体的に幾らというわけではございませんが、もちろん多々ますます非ずの中で、例えば一万円という額が五割増しぐらいになればということも考えているところであり、今後そういうことを念頭に置きつつ折衝していくつもりでございます。
  51. 赤松広隆

    ○赤松委員 例えば二十年勤めると、今の大塚局長のお話ですと、一年一万円相当というようなことになると大体二十万円ぐらいということになるわけですね。そうすると、一年一万円で二十万円で大体行けるところというとかなり限られてしまうわけですが、これが今局長さんが言われるように五割アップというようなことになると、三十万円というとぐっと広がるわけですね。ですから、二十年、三十年働いてきて、本当に卒業を記念してといいますか、そう何回もあるという旅行じゃないわけですから、ぜひその意味で、運輸省としても今御答弁のあったような中身で国税当局にその辺の要望を出し御折衝賜るように、そしてまた実現ができるように御期待を申し上げておきたいと思います。  それでは、次の問題に行きます。  次は、やはり観光行政にかかわることでございますけれども、添乗員に対する研修問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  これはやはり、運輸省が出していますこの「観光交流拡大計画(ツー・ウエー・ツーリズム21)」、この中でも再三にわたりまして、「多様で個性豊かな旅の演出者」としての添乗員の研修の充実やその必要性についてうたわれております。高い費用と貴重な日数を費やして旅に出かけるわけですから、行った以上は、より中身のある個性豊かな味わい深い旅行となるよう、あらゆる努力とそうした制度をつくることは私自身は大賛成でございます。しかも、そうした中身のある旅行になるか否かは相当部分添乗員のよしあしによるというのも十分理解しておるつもりでございます。そうした前提に立って、以下質問をしてまいりたいと思います。  業界紙等にも、運輸省がこのたび旅の演出者としての添乗員の資質の向上を目指して、あってなきがごとしと言われる添乗員の労働条件の改善や研修体制の充実などの検討を進めることを目的とした添乗員の資質向上のための方策検討懇談会(仮称)、これを設置されたということを聞いております。また業界紙でも拝見をいたしました。こういうことで間違いありませんね。設置されていますね。  だとすれば、この懇談会の構成というもの、一体どういう人たちによってこの懇談会が成り立っているのかということをお尋ねしたいと思いますが、当然その人選等に当たっては、目的からして、添乗業務をよく熟知して、問題点やあるべき将来像についてもしっかりした見識を持った人たちによって構成をされるべきであるというふうに思いますけれども、まず最初に、その懇談会の構成の具体的中身について明らかにしていただきたいと思います。
  52. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 ただいま先生指摘いただきましたとおり、運輸省として、観光交流拡大計画に基づきまして、添乗員の資質の向上を図るために添乗員問題懇談会を設けて関係者にいろいろ検討をしてもらっているところでございます。  メンバーは、座長を山本雄二郎高千穂商科大学教授、そのほかに、学識経験者、日本旅行業協会、日本添乗サービス協会など関係団体の方々で構成しております。
  53. 赤松広隆

    ○赤松委員 非常に重要なことなので本当はそちらで中身を言っていただけるとありがたかったのですが、私の方で座長さん以下の方のメンバーを御紹介したいと思います。  学識経験者として、ほかに、溝尾さんと言われる立教大学の教授、そして旅行業関連団体といいますか、関係業界からということだろうと思うのですが、西村康雄日本添乗サービス協会副会長、三橋滋子TCSA、これは今言った日本添乗サービス協会の専務理事、それから勝野良平日本旅行業協会、通商JATAと言っていますけれども、この専務理事、同じくJATAの常務理事である児島英一さん、それから池田淳全国旅行業協会専務理事、あと運輸省から後出観光部長と梅田旅行業課長が入っていると聞いておるわけです。こういう中身で間違いありませんか。
  54. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 そのとおりでございます。
  55. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、私は、先ほど申し上げたように、本当に添乗業務の中身がわかっていて、あるべき今後の団体旅行のあり方なり、添乗員はこうあるべきだということがやはりわかっている人じゃないと、こういう懇談会をつくっても意味がないと思うのですね。  それで、例えば学識経験者、山本雄二郎さん、元産経新聞の論説委員だというふうに聞いていますが、この商科大学の先生だとか溝尾先生、これは大学の先生も入れておこうということで二人を入れておかれたのだろうと思うのです。あと、これは悪いという意味で言うのじゃないのですが、例えば先ほど言った西村日本添乗サービス協会副会長というのは元運輸省観光部長さん、それから勝野さん、日本旅行業協会専務理事、これまた元運輸省のお役人、そして池田淳さん、全国旅行業協会専務理事、これまた運輸省のお役人、そしてJATA常務理事児島さんだけが近畿日本ツーリストの社長、ある意味で言うと本当の業界の代表だ。それから三橋滋子さんという、これは日本添乗サービス協会の専務理事さんでございますけれども、元日本航空のスチュワーデスで、非常にやり手の、自分でいろいろな若い優秀な人たちを集めて、それを派遣添乗員としていろいろなところへ出して、言葉は悪いですが、紹介料としてあっせん料をピンはねをして、そしてこういう業界では有名な方だということですけれども、果たしてこういうメンバーで正しい添乗業務のあり方が求められるのだろうか。  もっと具体的に言いますと、例えば、派遣業務をやっておる三橋さんという専務理事さんは、かつて自分のところが出したその添乗員がたまたま事故に遭って、さあ後の補償問題をどうするかというときに、労災にも入っていない、大問題になって、いろいろな方がいろいろな御努力をされて後始末をされたということも聞いております。  本当にこんな人を代表で入れて、そして運輸省の観光部長やなんかをやられた人たちは、もちろん行政側の知識としては十分あると思いますけれども、本当にお客を連れていって添乗した経験なんてあるわけはありませんし、また、今私が申し上げたこのメンバーの人で果たして、団体旅行というと、専門家はみんな知っていますけれども、ジャンボジェットでも後ろの方のいわゆるエコノミークラスの安い座席で何十名、あるいは場合によっては何百名というのがずっと案内をされて、そういう旅行をしていろいろなところを見てくる、いろいろな知識を深めてくるということなんですが、果たしてこの人たちがそういう旅行をされるときには、エコノミークラスの座席に乗ったことがある人があるのだろうか。ファーストクラスかビジネスクラスか、そういう感覚でもって添乗がいいとか悪いとか、添乗員はこうあるべきだとかというようなことが果たしてできるのかということを非常に疑問に思うわけですね。ですから、私は別に運輸省の各業界におりた人たちが入ってはいけないということを言っているのではなくて、そういう人たちと同時に、やはり本当の観光業界なり添乗とは何かということを知った人たちをもっと入れていくべきだ、現場の声をもっと聞くベきだということを思うのですね。  そこで、結論的なことに入ってくるわけでありますけれども、例えば一つは、実際に旅行に行く人は一般の人ですから、こういう利用者の代表も一人ぐらいはこういう中へ入れるべきじゃないか、あるいは実際に添乗業務をやっている、この三橋さんのところのような一日幾らではい派遣しますよという派遣添乗員もあるけれども、旅行に行っているほとんどの添乗員というのは、大体は日本交通分社とか日本旅行とか近畿日本ツーリストとか、そういう会社に籍を置いて添乗業務をやっている人が率で言えばもう圧倒的に多いわけです。だからそういうところの代表を入れる。  例えば今観光労連という労働組合があるのですが、こんな例を出して大変恐縮ですが、ある業界だと組合がいっぱいあって、どの組合の代表を選んでいいかわからないというようなことも場合によってはあると思いますが、幸いにしてといいますか、この観光業界は、もう交通分社からとにかく皆さん方が知っておられる旅行業者はすべてそこの観光労連という一つの組合の中に入っているわけです。ですから、そこの代表を選んでいけばその意味では働く人たちの代表もその中に入っているということになるわけですから、ぜひそういう働く立場人たち、もっと具体的に言えば、例えばそういう労働組合の中からも代表で来てもらって、あなたたち実際に仕事してどうですか、何が一体問題点なんですか、どうあるべきだと思いますかというようなことを十分にそういう懇談会に出してもらって、それでいい方向というものを求めていくべきではないかなと思いますけれども、どうですか。
  56. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 添乗員の資質の改善あるいは条件の改善等を推進する立場にある方、あるいはそれについて過去に行政責任者であった人、そういう立場から議論していただくということでメンバーが選ばれており、個々の企業というよりは業界の団体の代表ということになっておりますが、確かに先生指摘のとおり、添乗の実務、現場を十分熟知しているかという面において、このメンバーの方々が目的を達せられるかどうかという問題がございます。  そこで、そのように現場を熟知している、あるいは添乗の業務に従事したことのある方々、そういう方々については今後、どれも審議会等ではございませんで懇談会という緩い組織でございますので、ヒアリングするなりおいでいただいていろいろ意見を聞く、そういう機会を設けるように私どももこの懇談会の運営に留意していきたいと考えております。
  57. 赤松広隆

    ○赤松委員 局長さん、だめなんですよ。そんな用事のあるときだけ、おまえらの意見を聞くよというような態度じゃだめなんです。緩い懇談会の組織だから入れたって別に支障ないでしょう。定数あるんですか。何人以上になってはいけないということないでしょう。費用がかるんですか。まあ交通費ぐらいは払うかもしれないけれども、お金だってかからないことだし、よりいい中身をつくろうと思ったら、なぜそういう代表も入れることを検討しますということが出てこないのですか。おかしいじゃないですか。現に旅行業法がかつて改正されたときは、ワーキンググループかもしれませんけれども、その中にそういう代表を入れているのですよ。だから別に前例がないわけじゃないし、なぜ入れないのか、入れられないのか。  これはやはり基本的な運輸省姿勢の問題ですから運輸大臣にぜひその辺のお考えをただしておきたいと思いますが、どうですか。入れるつもりがあるのかないのか。
  58. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御希望に沿うように指導してまいります。
  59. 赤松広隆

    ○赤松委員 ありがとうございました。それじゃ、このあれは本当はもっと言いたいことがあったのですが、もうやめます。大臣の温かい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  次に行きます。  次は、先ほど細田委員からも若干物流問題についてお話がございましたけれども、また別の視点から若干お尋ねを二点させていただきたいと思います。  一つは都市内物流の効率化の推進についてお尋ねをいたします。  運輸省から十月三十日付「運政審答申のフォローアップ及び当面の運輸省行動計画について」というような冊子をいただきましたけれども、この中で新規の事業として掲げられている「都市内物流の効率化」についてお尋ねをしていきたいと思います。この文書の中には、次期通常国会に中小企業物流効率化法案として提出するよう所要の準備を進めているというふうに書いてあるわけですが、まずこの中小企業物流効率化法案の目的、そして方策について、簡単で結構ですが、まず最初にお尋ねをしておきたいと思います。
  60. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 物流がいろいろな面で労働力不足その他の制約要因にぶつかりまして、効率化を図っていかなければいけないということでございますが、都市内というか、幹線以外の部分はトラックによらざるを得ませんので、トラックをなるべく効率的に使っていく必要があるというのが基本的な方針でございます。  そうなりますと、積み合わせ輸送などを進めてトラックの積載効率を高める、こういうことが大事になってくると私ども思っておりまして、それを今後、配送センターの整備などを通じて支援をしていきたいというのが基本でございます。  その場合に、大企業と中小企業ではやはり資金の手当てその他で格差がございますので、大企業にももちろん必要な手当てはしなければいけないわけですが、中小企業については特に手厚い支援が必要ではないかというふうに思っておりまして、そのために法律が必要になるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。  そういう意味で、今先生が仰せになりました法律は、中小企業がその配送センターの整備などを通じて都市内の物流の積み合わせという格好での効率化、これを進めていくことを支援するということを目的にして考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  61. 赤松広隆

    ○赤松委員 余り具体的ではないのでわからないのですが、言ってみれば、営業トラックの積み合わせ輸送を都心部で行うことによって、運輸業界の人手不足の問題だとか長時間労働の解消だとか都心部の混雑緩和だとか、そういう意味でいうと環境問題に配慮するとかいうようなことをやっていきたいということだろうと思うのです。  私どもが聞いておりますのは、特に今総務審議官からお話がありましたように、共同の配送センターだとか、そのほかにも荷受けの施設だとか配送用の車両の整備だとかいうようなことについていろいろと配慮して、それが推進できるようにしていきたいというのが法の趣旨だろう、目的だろうというふうに思っておりますけれども、具体的に答えにくいかもしれませんが、だとすれば、これらの施設に対する、例えば建設の助成だとか建設費の補助だとかあるいは税制上の優遇措置だとか、どのようなものを考えているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  62. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 いろいろ言葉が足りなかったわけでございますが、法律の趣旨は今先生が仰せになりましたような趣旨で考えておるわけでございます。  また、具体的な要求の中身も、今先生仰せになりましたけれども、配送センターの整備が円滑に進むためのいろいろな対策、税制面、資金面の対策というのを考えておるわけでございますが、これは現在財政当局その他と折衝中でございまして、予断を許さない状況にございますので、ここでその中身について、どういうふうになっていくというようなことをちょっと申し上げられる状況にございません。いずれにしましても、税制面、資金面でそういうものの整備が円滑に進むような支援策、これについて関係省庁とよく相談をいたしまして、できる限りの措置を講じてまいりたい、こういう気持ちで今やらせていただいております。
  63. 赤松広隆

    ○赤松委員 いろいろな事情があるようですから、しつこく中身についてはもう突っ込んで聞きませんけれども、ただ、この点だけちょっと明らかにしておいてもらいたいと思うのですね。  この運輸省が出した文書の中では、「都市内物流の効率化」ということで、「都市内」ということを明確にうたっているわけですね。この法の施行、これからやっていくわけですからまだやると決まったわけではありませんけれども、その目的とするところは都市内と限定をするのか、もし限定をするとしたら、では都市の範囲というのは一体どこまでなのだ。ということは、もっとわかりやすく言えば、これは大都市の交通混雑や何かを解消するのが第一目的なのだから、例えば東京、大阪、名古屋あたりしかこういうことはやりませんよ、中小の地方の都市はこれは直接的にそういう共同配送や何かはつくりませんということになってくるものですから、いや、そうではなくて、これは「都市内」と書いたけれども、実際は例外なくどの地域にも適用してやっていくのですよということがあるので、ちょっとその点だけ明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  64. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 「都市内」と書いてございます意味は、いわゆる幹線の部分というのはこれはモーダルシフトを進めていくという対策を考えておるわけでございますが、幹線以外の部分というのはトラックによらざるを得ない、したがってトラックを効率的に使う。この幹線部分以外のところを便宜的に都市内というふうに呼んだわけでございまして、どこか特定の都市、特に大都市に限定するというようなこと、あるいはその都市の範囲をどうするというようなことを考えているわけではございません。例えば労働力不足の問題をとれば、これは何も大都市に限ったことではございません。どの都市でも、どこのところでも、やはり効率的な人の使い方はしていかなければ日本の経済はもたないわけでございます。そういう意味で、これは特定の都市を想定し、それに限定をするという趣旨ではございません。
  65. 赤松広隆

    ○赤松委員 わかりました。そうすると、確認をしますと、大都市に限らない、ある場合には町にも、もっと極端に言うと村にも場合によってはこういうことは適用される、あり得るというふうに理解をしておいていいですね。――わかりました。  それでは次に行きます。  そこで、問題なのは、今の輸送実態というのは、皆さん御存じのように、多品種で少量物品というのが実態であるわけでございまして、こういう輸送実態に照らし合わせながら、しかも、今三万六千から四万、もうふえて四万ぐらいになっているんじゃないかと言われる全国のこうした中小を含めた運送業者、これの共同化というのは本当に可能なんだろうか。やらなければいけないということは私もわかりますけれども、果たして今、これは中小から始めるというようなことでこの説明は書いてありますけれども、それが可能なんだろうか。私は、そういうモデルケースをつくるといいますか、モデルのそういうシステムをつくるという意味でいうと、むしろ行政指導によって大手業者間における共同配送なりにまず取り組んだ方が、そして、それを見習って中小も一緒にやる場合もあるでしょうし、あるいは、中小はあのああいう形を見習ってこうやってつくったらどうですかというふうにやった方がより現実的だと思いますが、その点についてはどうですか。
  66. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 共同輸送というのは、労働力不足その他の制約要因からトラックを効率的に使っていこうということで出てきた考え方でございますので、中小に限らず、大手についても同じようにやっていただかなければならないと思っております。  ただ、たまたま中小という言葉が前面に出てまいりますのは、中小が大手に比べて経営基盤の面でいろいろ不利な状況にありますので、特段の支援措置が必要であろうということで中小というのが前面に出てきておるわけでございますが、対策としましては、中小に限らず、大手も含めて物流の効率化のための積み合わせというのはやっていただかなければならないと思っております。
  67. 赤松広隆

    ○赤松委員 そういうことであれば結構だと思います。むしろ同時があるいは大手先行でやっていかないと、現実にはなかなか難しいと思うし、審議官が言われるように、中小の場合はなかなか大手ほど資金やその他のことでやれる余力がないので、それを行政としてバックアップしていこうという趣旨であれば、私ども大賛成でございます。ただ、実際の法の施行ということに将来的になってくれば、その運用あるいは適用についてはいろいろと工夫をしていただきたい、また、関係業界ともやはり綿密な連絡をとってやっていただきたいということだけ要望しておきたいと思います。  あと、それに関連して、今積み合わせの輸送なりあるいは物流の効率化なり、いろいろな議論があるわけでありますけれども、それに私ども大賛成でございますけれども、そうした考え方一つの今日の一番大きな課題といいますか問題点というのは、本当に輸送の効率化なり車両を減らすという視点でいうと、今までにも何度も他の委員からも指摘がありましたけれども、問題になっておるジャスト・イン・タイム、これの是正が今なかなか進んでいかないげそれから、コンビニエンスストア、スーパー等への複数配達。とにかく、朝配達して、それも少しだけ持っていって、夕方また同じものを配達していくというような複数配達等の見直しについても、やはり運輸省として考えるべきではないのか。  今までもやってこられたと思いますけれども、やはり道路やトラックの荷台が倉庫がわりに使われるというのではたまらないわけでありまして、その意味で、やはり在庫は在庫として荷主の責任できちっと保管をし、また、その日なり、場合によっては二日、三日、別に悪くならないものであればそれはそれでストックをして、その店なり企業の責任でやればいいわけであって、それを一日何回も配達をしたり、あるいは、倉庫を持たないかわりに、部品がなくなったらそれだけ持ってこいとかいうようなことというのは、やはりなかなかトラック業者から荷主に言えといっても、それは立場が弱いですから、これはやはり行政指導できちっとその辺の荷主企業に物を言ってもらう、あるいは行政指導していく、そういう姿勢がないと改善されていかないと思いますが、その点についてはどうですか。
  68. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 ジャスト・イン・タイムといいますのは、生産側あるいは販売側の方から、在庫のコストを縮減するという目的のために時間を定めて納品を求めるというサービスでございます。これはこれなりに物流コスト全体が削減されるという意味で意義のあることなのでございますが、やはり昨今の労働力不足その他でジャスト・イン・タイムを求めてもそれができないという状況になってきておるのと、それから、こういうものがどうしても場当たり的に、乱用というんでしょうか、要請されますと非常に積載効率の悪い格好での輸送が行われることになりまして、これは結果的に輸送コストが上がるものですから、物流コスト全体を縮めていくという当初の目的も達成できない。そればかりでなくて環境問題であるとか道路混雑であるとか、社会的にもいろいろ問題を招くということが出てまいりまして、今までどおりの姿でジャスト・イン・タイムを要求していくことについてはいろいろ問題があるということを物流業界も認識をし、産業界も認識をするようになってまいりました。  そこで、これからはやはり生産や販売側が在庫コストを縮めるということだけ考えていたのではうまくいかないので、物流も含めてその限られた労働力というものをうまく使うという意味で、生産、販売、物流一体になってどういう仕組みにしたら一番効率的なのかということを考えなければならない、こういうことでございまして、それは今申し上げましたように、物流業界も産業界もそういうふうな機運が盛り上がってきていると思います。  私ども、基本的にジャスト・イン・タイムの見直しというのはこれは物流業界と産業界でやっていただくべきことだと思いますが、今仰せになりましたような問題もございます。物流業界も今度は物流団体連合会ということで大きな横断的な組織ができましたし、そういう大きな組織を通じて産業界に物を言っていく、産業界ともよく話をしていく、運輸省としても関係官庁とよく協力をしてそれぞれの業界を指導していく、いろいろな手法を使いまして本来の一番効率のいいシステムというものをこれから探っていかなければならない、こういうつもりでやらせていただきたいと思います。
  69. 赤松広隆

    ○赤松委員 中身はもうお互いにわかっているんですよね。要は運輸省が今まで、前の村岡運輸大臣にむ私申し上げましたが、ジャスト・イン・タイム、あれは是正しなきゃだめですよと大臣も言われるんだけれども、あるいはそんな朝夕配達する必要ないですよねということを言われるんだけれども、それは解説にとどまってしまっていて、じゃ、運輸省としてどうしたのか、あるいは今後どうしていくのかというのが出てこないと、二年たっても三年たっても中身は変わらないということになると思うので、今それぞれ関係業界をそれぞれ他省庁を通して指導してもらうというようなお話がありましたが、ぜひ運輸省としてもそのあたりの問題について積極的な今まで以上のお取り組みをいただきたいというふうに思っております。  大臣の方で資料を持って御答弁いただけるような何か態勢のようでございますから、じゃ、奥田大臣の方から決意のほどをぜひお伺いさせていただきたいと思います。こうした輸送効率化に向けて、特にジャスト・イン・タイムや複数配達等の見直しについて運輸省としてどういう対応をこれからしていく御決意かということだけ、簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  70. 奥田敬和

    奥田国務大臣 せっかくの御指摘でございますので勉強させていただきますけれども、ジャスト・イン・タイム・サービスについては、見直しが行われるように関係業界を指導してまいります。
  71. 赤松広隆

    ○赤松委員 ありがとうございました。  それでは、一つ提案申し上げたいと思うのですが、例えばこれは輸送効率化ということでお話をするのですが、今非常に少量物品、とりわけ、通常宅配便と言っていますが、宅配便の数量等も多くなってきているわけですね。こうした中で、一番むだが多いと言われていますのは、団地等で今非常に、どの家庭でもそうですが、共稼ぎが多い。そうすると、ああいう団地のような家が集中したところで運送業者が一つの荷物を届けるのに、きょう行ったけれどもいない、紙に書いて置いてきて、また来る、またいないというようなことで、何度も何度も足を運ぶというケースが多いわけですね。  そういうことがあるので、例えばこれは一つのモデルのケースとして、大型の公団団地あたりに荷預かりデポみたいなものを、公団が用地を確保いたしまして、そこにそういう荷預かり所のようなものをつくる。人の配置はもちろん企業からしなければいけないと思いますけれども、どの会社のものであっても共同でそこへ荷物を持ってきて、例えばその人が配送するとか、あるいは、団地内にあるわけですから、そこへ取りにきてもらうとかいうようなことを一回考えるというようなことで、旧来ある輸送に対する、あるいは物流に対する考え方から大きく発想の転換もしながら、こんなことも一回考えてみた方がいいのじゃないか。もちろんそれは、運輸省がやりますとかやりませんとか、公団との関係もあるわけですから、すぐには言えないと思いますけれども、こういうこともやはり含めていろいろと工夫をしてもらう、その第一歩として、団地などといっても、何千戸あるなどという公団団地はいっぱいあるわけですから、そういうところをひとつモデルケースで一回そんなことを考えてもらったらどうだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  トラック事業につきましては、労働力不足その他の問題から物流の効率化が要請されているところでございます。このような状況のもとで、先生指摘のように、都市圏におきまして荷受け人の不在率が非常に高いということで、宅配便の配達が非効率になっているわけでございます。この点につきまして、解決すべき一つの大きな課題ではないかと思うわけでございます。  この問題の解決一つの方策として、先生指摘のような住宅団地における集団の荷受け施設の設置を行うということが考えられるわけでございますが、これにつきましては、住宅団地の設置者によります荷受けスペースの確保の問題、さらには荷受け人たる住民の理解と協力が必要であるというふうに考えておるわけでございまして、これを支援するために、運輸省といたしましても関係省庁の協力を得てその機運の醸成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  73. 赤松広隆

    ○赤松委員 いろいろ課題はあるけれども、関係省庁と相談をして前向きに取り組みたいというようなお話でございましたので、ぜひ期待をして、またお答えもお待ち申し上げたいと思いますので、これでこの件については終わらせていただきたいと思います。  あと十分程度しかありませんから、最後に簡単に運輸業全般に係る労働力不足問題についてお尋ねをしていきたい、と思います。  運輸省の中に運輸産業における労働力確保問題総合検討委員会というのを既に設置され、当面の対策についても、本年三月の第五回の委員会でその中身も決められたというふうに聞いております。今日までこの労働力確保の問題について、いろいろな業界と言うとまだややこしくなりますから、とりあえずきょうは、この物流業界における労働力確保問題についての取り組みについてどのように進められてきたのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  74. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 労働力確保の問題は大変深刻な問題でございまして、物流関係につきましては、今先生仰せになりましたレポートより前の昨年の十二月でございますが、運政審の物流部会の方から労働力不足の物流関係の対策の御答申をいただいております。  それの中身というのをちょっと簡単に申させていただきますと、二つ大きく柱がありまして、一つは、やはり労働力というものを確保していくという対策でございます。これは具体的には、三Kとかいろいろ言われるわけでございますので、労働条件などを改善して職場というものをもっと魅力のあるものにしていくこととか、あるいは中高年の労働者を活用するためにいろいろな機械化を導入するとか、そういった施策をやっていくということが一つでございます。  それからもう一つは、労働力を確保するということではなくて、限られた労働力というものを非常に効率的に使っていくための工夫でございまして、これがいろいろ先ほどからも御議論がありましたところのいわゆる物流効率化の関係の対策でございます。したがって、モーダルシフトであるとかトラックの効率化というようなことになるわけでございますが、そういう大きな二つの柱で答申ができておりまして、基本的には物流業の労働力確保対策はその考えに従って進めておるところでございます。  どういうことをやっておるかといいますと、これは労働条件の改善その他、やはりまず第一義的には物流業界が自分自身の問題として積極的に取り組むべき課題であるというふうに思うわけでございまして、産業界の御協力も得ながら、物流業界が基本的に自分の責任で対応してもらわなければならないと思っております。ただ、運輸省としましては、それを支援していくということが基本的な使命であると思っておりまして、いわゆる物流関係の基盤整備であるとか支援誘導策であるとか、そういったような対策を通じてその努力がうまく進むように支援をしていきたい、こういうことで進めているところでございます。
  75. 赤松広隆

    ○赤松委員 運政審答申のフォローアップの中では、魅力ある職場形成のための施策の一環として、労働時間の短縮は最重要課題であり、運輸省として労働時間短縮の指導を行ってきたというふうなことも書いてあります。  我々の調べでは、トラック運転手の月間総労働時間は、これは九〇年度の実績ですけれども路線で二百八十時間、区域で二百三十時間、年間でいいますと大体二千五百から二千七百時間というふうに言われているわけです。こういう九〇年度の実態があるわけですけれども運輸省としても今申し上げたようにいろいろ指導してきたというふうに言われるわけですから、この指導の結果、今日までこうした長労働時間というのは一体どういうように推移をしてきたのか、本当にこういう指導のもとで短縮されてきたのだろうかということを非常に疑問に思いますので、まずその辺の具体的た数字について、把握をされておると思いますのでお聞かせをいただきたいと思います。
  76. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 道路貨物運送業の総労働時間でございますが、労働省の調査によりますと、六十三年以降着実に減少いたしております。六十三年まではふえている傾向がある程度あるわけでございますが、六十三年度を過ぎますと減少の傾向に転じているわけでございます。しかしながら、全産業平均の総労働時間と比較いたしますと、先生も御案内だと思いますが、依然として長い状況にあるわけでございます。
  77. 赤松広隆

    ○赤松委員 これは本来労働省の所管ですが、例えばことしの四月から一般業種については週四十四時間、そして運輸業については業界の実態もあるので四十六時間ということになっているわけですね。これが、二年後の見直し、一九九三年には一般業種では四十四時間が、またどうこうなるかもしれませんが、今言われているのは、一応予定されているのは四十時間、そして当然それにスライドして、運輸業界だけ四十六時間のままというわけにいきませんから、四十時間になるかどうかは別としてこれも一定程度短縮をされるだろうということを思っているわけですね。今こういう実態の中で、果たして本当に二年後、今はもうとても四十六時間なんてやっていないわけですから、四十六時間をさらに短縮していけるのだろうかということについては私は非常に厳しいと思っているわけです。  ただ、厳しい、とてもできっこないと言っていたのでは話が進みませんから一運輸業界を所管する運輸省として、ではどうしていくのかということについてやはりきちっとした方針というものを持っていなければいかぬと私は思いますが、具体的にその辺をお答えいただければありがたいと思います。
  78. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 運輸省といたしましても、トラック事業におきます長時間労働の是正ということにつきましては、安全で良質な輸送サービスを提供するという見地から大変重要な問題だというふうに認識をいたしておるわけでございまして、所要の対策を講じてきているつもりでございます。  まず、事業者監査に際しまして、過労運転の防止というものを最重点項目として取り上げて、その徹底を図ってきているところでございます。また、運賃改定のときめ問題でございますが、例えば昨年の運賃改定に際しましても、労働時間の短縮のための人件費の増加分というものを原価に織り込んで算定する、そして個々の事業者に対して、労働時間の短縮、労働条件の改善の実施状況について報告を求めるというふうなことなど、非常に強力にその実現を指導してきているところでございます。  今までそういうようなことをやってきているわけでございますが、さらに、労働省におきまして平成三年十月三十一日付で二・九告示の改正が行われまして、トータルの労働時間の短縮というものがさらに求められているところでございますので、これを踏まえまして労働時間の短縮の指導をさらに徹底したいと思います。よろしくお願いします。
  79. 赤松広隆

    ○赤松委員 もう時間が来ましたのでこれでやめますけれども、これは当面の一番大きな課題ですから、そしてまた、先ほどから出ている物流の効率化なりあるいはモーダルシフトなり、これらの課題というのは労働時間短縮の問題ときっちりかみ合わせながら進めていかないと運輸行政の意味がないくらいに思っておりますので、ぜひ大臣を初め関係局長さん等のお取り組みを期待申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 久間章生

    久間委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  81. 久間章生

    久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細川律夫君。
  82. 細川律夫

    ○細川委員 私の方からは四点ばかり御質問をいたしたいと思います。  まず最初には、運政審答申中心にして質問をいたします。また、その後では、特に最近大きくクローズアップされております鉄道関係及び物流関係について質問をして、最後に地震の問題について御質問をしたいというふうに思います。  最初に、運政審答申について全般的なことをお伺いをいたします。  運輸行政をどういうふうに基本的に進めていくかということについての答申については、これまで昭和四十六年、そして五十六年、そしてことしの平成三年、答申が出されているところでございます。おおむね十年ごとに答申がなされているところでありますけれども、これまで四十六年、そして五十六年に出されました答申と、ことし、今回出されました運政審答申、これらの内容を比べまして、今度のこの答申と四六答申、五六答申とどのように違いがあるのか、その特徴についてまず御説明をいただきたいと存じます。
  83. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 今先生指摘いただきましたように、十年ごとに運輸政策審議会で基本的な交通政策答申を出しておりますが、昭和四十六年の答申におきましては、当時我が国は高度経済成長の最中でございまして、この経済成長のテンポに交通施設をいかに追いつかせるか、交通施設の隘路を防ぐために積極的な整備をしなければならない、交通体系の量的拡大を中心とした答申でございました。  それから、その後十年たちまして昭和五十六年、これは石油ショック後の我が国の経済のさま変わりにより高度成長から安定成長期に入ってまいりまして、四十六年の答申を見直す必要もあり、再び検討を行い、いわゆる五六答申を出したわけでございますが、この五六答申におきましては、安定成長期の中で、交通施設の積極的整備というよりは、既存の交通施設を効率的に使う、乗り継ぎ利便を向上させるとか、あるいはトラックで言えば車両を大型化するとか、こういった効率的な活用、効率的な交通体系ということがその基本理念にあったと考えられます。  それに対しまして、その後十年たちましてことしの六月を中心として出されました新しい答申におきましては、今後十年間を見通して、経済社会情勢の変化の中で、環境問題、労働力不足問題、公害問題、いろいろな制約要因が出てくる中で、その制約要因をどのように交通施設交通体系が克服していくか、そういう問題意識の中で、公共大量輸送機関を今後新たに積極的に活用していく必要がある、こういった点が中心であろうかと思います。  ただ、今回の答申におきましては、今までと違い、そのような基本的な交通政策のほかに、全体で十の答申が出ておりますが、現在運輸行政の各分野で問題になっております事項、例えば物流の労働力不足問題、あるいは外航客船の振興対策、こういった個別な問題についてもそれぞれ提案がなされているというのが特徴だと存じます。
  84. 細川律夫

    ○細川委員 私は、今回の答申につきましての特徴というのは、これまでの四六、五六答申は、先ほど局長もお話ありましたように、人や物をいかに効率的に運ぶのかというような、そういうことを課題として答申がなされていた。今回の答申におきましては、利用者立場に立った、人と環境にやさしい運輸行政、これを基本にするというようなことがうたわれているというふうに思います。  それからもう一つは、これまでの交通・運輸政策というものが、まず都市計画なりあるいは国土計画なりそういうものが進んだ後にそこで発生した交通問題、これを後追いをするようなものが多かったのではないかというふうに思います。しかし、今回の答申におきましては、他の部門と連携を強化して、しかも早期に解決をするというような、そういう対策をとっていくというようなこともうたわれております。  これが私は特徴ではないかというふうに思いますけれども、具体的に運輸省の方では、他の部門との連携を強化して、そして交通政策、運輸政策が後追いにならないようなことをやっていくということは、具体的には何をどのようにやっていくのか、具体例を挙げて説明をしていただけたらというふうに思います。
  85. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 最近、経済社会の構造が高度化、また多様化しておるそのような状況の中で、交通施設整備していかなければならないという要請がございます。また、多極分散型国土の形成、東京への人口集中の排除、このような観点から、地域振興と関連した交通体系整備していかなければならないという要請もございます。  このような中で交通施設整備いたします際には、土地対策あるいは地方の振興政策、こういうものと、つまり他の部門と密接に関連を持たせて我々の交通対策を講じていかなければならないと考えられます。また、大都市におきましても、通勤混雑の緩和を図るためには宅地の開発と一体となった、つまり宅地開発という部門と一体となった鉄道の整備をやらなければならない、こういう要請をまとめて「他部門の政策との連携の強化」と述べているわけでございます。  具体的に申し上げますと、例えば都市交通の分野では、常磐新線の建設のように、新線沿線の宅地の開発とこれのアクセス交通としての常磐線の一体的整備を進めて、一方では通勤輸送混雑を緩和するとともに都市の住宅対策を推進する、そういう方式を今進めておりますほか、業務核都市や副都心の整備を支援するような鉄道ネットワークの整備、また、新空港や学術研究都市などの大規模プロジェクトに対応するようなそのアクセス交通の整備周辺開発と一体となった空港整備、こういった問題、ほぼ交通の全分野にわたって他の部門と連携を強化していく必要があると考えているわけでございます。
  86. 細川律夫

    ○細川委員 今局長の方からお話がありました常磐新線の問題などにつきましては、また後でいろいろお話を聞かせていただきたいと思います。  ところで、四全総におきましては、一極集中を排除いたしまして多極分散交流ネットワーク構想を実現をする、こううたっておりまして、その手段として高速交通ネットワークを構築することが肝要だというふうになっております。  そこで、今回のこの答申におきまして、高速ネットワークをどう構築をしていくのかということがこれは大変大きな課題になっているわけなんですけれども、この今回の運政審答申というのが二十一世紀を展望した交通政策についての答申でございますけれども、今回のこの答申が十分に実現した場合、十年後の二〇〇〇年には一体日本の交通はどういう姿になっているのか、これを、鉄道と航空の方だけでもよろしいんですけれども、一体十年後にはどういう姿になっておるのか、その描いておられる構想を実現したらどうなるのかということについてお聞かせ願いたいと思います。
  87. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘の四全総においていろいろな考え方が示されておりますが、その中で鉄道に関して申し上げますと、やはり整備新幹線それから在来線を柱といたしまして効率的で質の高い高速の幹線交通体系をつくる、それによって多極分散型国土の形成を図るということが重要課題だというふうに御指摘がございます。  それから私どもの、ことしの六月に運輸政策審議会の答申がございましたが、その中でもやはり、鉄道が特性が発揮できます中距離あるいは近距離の分野におきまして現在の交通ネットワークの高速化を図る、これを推進する結果、高速鉄道ネットワークに今の鉄道ネットワークを再構築するということが不可欠だ、こういう御指摘がございます。  今申し述べましたように、整備新幹線でございますとか在来線の活性化というようなことに当たりましては、もちろん鉄道の特性を生かしながら他の交通機関と相互に補い合う、こういうことでございますが、具体的に答申につきまして、十年後の姿を私どもで今お示しするような答申自体は考え方を示しております。その結果、今私どもこれからまさに鉄道網につきましては勉強をこれに基づいて具体的にやろうと思っておりますが、現時点では具体的な姿というのは今のところ持っておりませんが、この答申で述べられました考え方に基づきまして、これから運輸政策審議会の場などを使いまして具体的な姿をつくっていきたい、こういうふうに考えております。
  88. 細川律夫

    ○細川委員 運政審答申方向についての答申だということで、十年後の交通、運輸の姿といいますか、それはまだ描き切れないんだというお話でございますけれども、二十一世紀、もう十年後に到達するわけなんですけれども国民皆さん方が、一体十年後にはどういう交通ネットワークあるいは体系ができ上がっているのかということについては大変関心もあろうかと思います。ぜひそれを早急に私どもの中に、国民の中に、描いて提示をしていただけたらというふうに思います。  そこで、今後そのような答申に沿っていろいろな政策を進めていく場合、大変な金、資金が必要であろうというふうに思います。昨年から公共投資基本計画ということで四百三十兆、これの計画も進んでいくわけなんですけれども、これから十年間、鉄道、航空港湾にこの四百三十兆が一体どれぐらい使われるのか。この四百三十兆のうちどれぐらい鉄道に使われ、あるいは航空に使われるのか、具体的にどれぐらい使われるかということをそれぞれの部門でちょっとお示しをいただぎたいと思います。
  89. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 ただいま先生が御指摘されました公共投資基本計画は、社会資本整備の充実を図っていくための指針とされているものでございまして、金額としては公共投資総領である四百三十兆円のみを示しておりまして、個別の分野の具体的な姿は、本計画を踏まえまして各種公共事業関係の長期計画、それから各年度の予算などにおいて示されることとなっております。  ただ、本計画の策定によりまして公共投資が全体として拡充されていきますならば、運輸省関係の鉄道、港湾空港等の公共投資も同様に拡充強化が図られていくものと期待しております。  なお、最近策定されました第六次空港整備五カ年計画あるいは第八次港湾整備五カ年計画においてもそれぞれ相当な伸び率となっていることは、先生御案内のとおりでございます。
  90. 細川律夫

    ○細川委員 具体的な数字はなかなか難しいと思います。ぜひこの四百三十兆を交通政策の方により多く振り向けられるように御努力もお願いをしたいと思います。  次に、鉄道の整備の方に移りたいと思いますけれども、今回のこの運政審答申におきます注目すべき点というのは、鉄道の整備を重視をしている点だろうというふうに思います。答申自体も、例えば答申の五では「大都市の鉄道整備の基本的方向と具体的方策について」というふうにも論じられておりますし、それに加えて二の方でも、「幹線旅客交通システムの構築の基本的方向について」ということで、高速鉄道ネットワークの再構築が最優先の課題として取り上げられているところでございます。  これを受けまして、また運輸省の方ではさらに十三号で諮問をされまして、「二十一世紀に向けての中長期の鉄道整備に関する基本的な考え方について」ということで、今審議会の方で御検討、審議をされているというふうにも聞いているところでございます。  また、ことしの七月には、運輸省の方では大規模な組織改正が行われまして、鉄道局が設置をされまして、そして鉄道行政の一元化ということができたわけでございますし、この前の通常国会では鉄道関連の三法案が成立をいたしまして、鉄道整備基金の発足もまた見たわけでございます。  そういうふうに、鉄道整備について極めて重要な課題としていわゆる鉄道の復権というようなことが言われるようになっておりますけれども、このように鉄道が非常に重要だというふうになってきたその背景についてはどのように運輸省の方では考えられているのか、説明をお願いしたいと思います。
  91. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘いただきましたように、マスコミなどではいわゆる鉄道の復権という言葉を言われております。この言葉が正しいかどうかは別といたしまして、鉄道自体は昔から、大量で、高速で、かつ定時、安全な輸送手段だ、特に低公害だと言われておりますけれども、そういう意味で国内の幹線あるいは都市の通勤通学輸送に非常に大きな役割を果たしてきておったわけでございますが、近年の車社会の発展によりまして、自動車、特に自家用車だと思いますが、この伸びが大変著しくございまして、今日輸送量においても、例えば陸上交通の場合四一%は自動車によっている、こういう大きなシェアを占めておる。ただ、それに対しまして、最近やはり鉄道の重要性が再認識されつつあるというのが私どもの認識でございます。  その背景となるものとしては、第一に、最近よく言われております地球の温暖化対策だとか自動車による大気汚染が激しくなってきた、そういう意味から、自動車から旅客、貨物とも低公害の鉄道の方へ移っていく、誘導していく、こういう政策が必要でないかということが求められてきておるわけでございます。第二には、やはり省エネルギーという観点から、大量交通機関であります鉄道というのが非常に省エネであるということで、これをもっと活用すべきではないか。それから第三には、高齢化社会が到来しておるわけでございますが、その高齢者の方に向いた公共輸送機関としてはやはり鉄道が一番安全でよろしいのではないかということで、鉄道のネットワークの整備が要請されているということがあると思います。  それから第四には、自動車交通が道路混雑のために定時性が確保できない、あるいは死亡者の方が年間一万人を超えているという現状にございます。そういう意味で、やはり安全で定時性にすぐれているという鉄道が見直されてきたのではないかと思っております。第五でございますが、都市におきましては、もうそういう意味で自動車で用を足そうといってもなかなか難しいということで、やはり都市における生活をきちんと維持していくためには、特に通勤通学の場合などを考えていただきますと、その足としては鉄道がもう不可欠だ、こういうようなことから鉄道を再認識して鉄道の整備を図っていこう、こういう動きが出てきたというふうに私どもは見ております。
  92. 細川律夫

    ○細川委員 私も自宅からこの国会に来るには、鉄道を利用してこちらの方に来ております。大体電車に乗るだけでも一時間費やすわけなんですけれども、私の場合は東武線で越谷で乗りまして、北千住乗りかえ、それから千代田線で国会議事堂前というコースでございます。そこで、ラッシュ時、例えば七時から八時ごろまでの間に乗りますと、この一時間もう立ちっ放し、新聞も読めるような状態ではないわけでございます。  昨今、国民の生活にゆとりをというようなことが言われております。しかし、このゆとりがないということの最大の障害というのは、その問題はやはり交通問題にあるのではなかろうか。特に大都市圏の人たちにとっては通勤通学などでの通勤ラッシュといいますか、混雑、これが大変私たちの日ごろの生活に影響を及ぼしているだろうというふうに思います。  十一月の十九日に経済企画庁の方、で国民生活白書が出されまして、そこでは東京圏の通勤時間は平均片道一時間十二分、ラッシュ時の混雑度というのが二〇〇%を超える路線が二十本近いというようなことで、自由時間とゆとりを喪失しておるのはいわゆる通勤通学などでの交通問題だというふうに指摘をされているところでもございます。また、運政審の方の答申の総合部会からは「長期輸送需要の予測」ということで報告がなされておりまして、その報告によりますと、国内旅客輸送については、二〇〇〇年には一九八八年の実績と比較して一・三倍の増加が見込まれる、こういうような予測がされております。  そうしますと、今の通勤通学地獄に対して、さらにこれに輪をかけるような、あるいはこれが加速をされるというふうに予測もされるわけなんですけれども、こういう首都圏の通勤状況、交通状況に対して運輸省が主体となって交通体系整備を進めていかなければいけないと思いますけれども、一体どのように対応をされるのか、ひとつ御説明をお願いをしたいと思います。
  93. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 今先生が御みずからの御体験に基づいて御指摘いただきましたように、まだ東京圏におきます通勤通学輸送混雑状況はかなりひどいと私どもも認識して、申しわけないと思っておりますが、一応数字で申し上げますと、ここ二十年ぐらいの間をとってみますと一応輸送力自体は二倍ぐらいにふやしてきております。ところが、通勤通学の方の増加がやはり一・八倍ぐらいあったんじゃないかと思いますが、これは混雑緩和をとりました場合。そうしますと、混雑率は昔から比べますとかなり下がってはきておりますが、それでも総平均いたしますと二〇〇%ぐらいになるわけでございます。ですから、時間によっては、あるいは列車によってはもっと高いところも当然あるわけでございます。現実にそういうところがあることも事実でございます。そういう意味で、私どもこれは何とかしなければいかぬということで従来からいろいろな政策をやってきております。  それともう一つ、最近の問題としてはいわゆる東京における住宅問題というのがございまして、東京圏に生活している人が適当な、適正な価格で住宅を取得できない、そのためにやはり住宅と鉄道を同時に整合性をとりながらやっていく、こういう構想もどんどん具体化してきております。一つの例が先ほどの常磐新線でございます。  このような状況でございますので、私どもといたしましては、特に東京圏について申し上げますと、やはり抜本的な改善をしなければいけないということで従来から計画的な整備を進めてきております。  それで、具体的には昭和六十年に運輸政策審議会が東京圏の将来の都市交通、特に鉄道の整備計画を立てておりますが、ここでは西暦二〇〇〇年ごろを目標にいたしまして約五百三十キロの新線あるいは線増、複々線化等を行うこととしております。そのうちで、現在までにいわゆる埼京線、京葉線、それから先日開業いたしましたが地下鉄の七号線、南北線と言われているものでございますが、などなど約百四十キロ余りが開通しております。それから現在工事中なのが地下鉄の十二号線、これは東京の中の第二環状線のような線でございますが、あと、あるいは横浜の三号線等の新線等約百六十キロございますが、これが今工事中でございます。  これを進めるためにはやはりお金が必要だということで、これは民鉄が中心でございますが、まず六十一年から特定都市鉄道整備積立金制度というものを創設いたしました。これはいわば運賃を先に若干いただきましてそれを工事費に充てて資本費の負担を減らす、こういう制度でございますが、これを六十一年に創設いたしました。また、ことしの十月から鉄道整備基金を設置いたしまして、鉄道に対する助成を効率的あるいは総合的に行おうとしているところでございます。あるいは、三年度予算としましては地下鉄補助金を大幅に増加するとか、営団地下鉄に対しまして無利子貸し付けをしながら地下鉄の建設を進める、こういうようないろいろな手を尽くしております。  さらに、短期的でございますが、こういう大規模投資が多額の費用と期間が長いということで、とりあえず当面の対策といたしましては、ホームの延長をいたしまして列車編成数を長くするとか、運転保安システムを改善いたしまして列車の運行本数を増加させる、こういうようなことをいろいろとやっているところでございます。
  94. 細川律夫

    ○細川委員 いろいろ御説明をいただきましたけれども、このラッシュ時の混雑を少しでも少なくしていくことについては、いわば応急的なものと抜本的な解決という二つが考えられるというふうに思います。  応急的なものについては、ラッシュ時には大変利用客が多い、しかし他の時間帯には電車はすいている、そうしますと、時間帯をずらせばラッシュも多少緩和される、いわゆる時間差出勤など、こういうことも進めていかなければいけないのじゃないかというふうに思います。したがって、運輸省の方でもいろいろ御検討をされているようでありますけれども、ぜひそういう点についても積極的な御指導をお願いしたいというふうに思います。  しかし、何といっても抜本的な解決がどうしても必要でありますし、それには利用者の数に対応した輸送のシステムをつくっていかなければいけないというふうに思います。そうしますと、首都圏における通勤の足としての新線の建設ということが考えられるわけなんですけれども、今御説明をいろいろお聞きしまして、これまでにも地下鉄あるいは従来の国鉄の新線などいろいろありました。それに、何といっても大きなプロジェクトとして予定されておるのが常磐新線であろうというふうに思います。この常磐新線につきましては、既に第三セクターとしての会社も設立をされまして、ことしの九月にはいわゆる基本計画なるものが関係省庁によって承認をされたというふうに聞いております。  さて、この常磐新線についてお伺いしますけれども、一都三県によって策定され関係省庁から承認を受けましたこの常磐新線の基本計画についての内容を、簡単でいいですけれども、まず御説明願いたいと思います。
  95. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  常磐新線につきましての基本計画、これは先生御承知のとおり、いわゆる一体化法と我々言っておりますけれども、これに基づきまして一都三県の知事が関係大臣三人に承認を求めたものでございます。  簡単に申し上げますと、計画路線と駅の位置の概要というところで、起点を東京の秋葉原のあたりから、最後は終点を筑波の研究学園都市、約六十キロでございます。その間に駅を十九ほどつくっていきたい、こういうことでございます。目標年次といたしましては、平成十二年を完成目標としております。  この地域の中で宅地供給をどれぐらい考えているかということでございますが、平成十二年度までにはとりあえず約二千九百ヘクタール、最終的にはもっと規模が大きいと思いますが、とりあえずは二千九百ヘクタールということでございます。こういう宅地を供給したい。その際には必ず鉄道と一体的にやりますので、住宅開発側から鉄道に、ある程度の助成といいますか、そういうことも考えたいというようなことでございます。  このプロジェクトは、この計画の中でも書いてございますが、関係地方公共団体が鉄道事業者に対しまして出資をする、あるいは建設資金の一部の貸し付けを行う、あるいは施設用地の先行取得について協力をする、こういうようなことがはっきり書いてございまして、そういうことで、これは今までになかった鉄道整備あるいは宅地開発のやり方かなと思っておりますが、これがうまく進むように我々も努力してまいりたいと思っております。
  96. 細川律夫

    ○細川委員 常磐新線を進めてまいります首都圏新都市鉄道株式会社、この会社が鉄道事業の免許申請を現在されているというふうに聞いておりますが、今後、この常磐新線の開業に向けまして一体どのような手順で進んでいくのか、御説明をお願いしたいと思います。
  97. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のとおり、首都圏新都市鉄道株式会社から運輸大臣に対しまして、十月の末かと思いますが、この鉄道の免許の申請が出ております。現在私どもの運輸審議会というところでいろいろな角度から審議していただいております。私どもとしましては、審議会の御答申をいただき次第、鉄道事業法に係る諸手続を速やかにやってまいりたいと思っておりますが、この免許がありました後の手続といいますか概要でございますが、まずこれを終わりますと、鉄道事業法としては工事施行認可といいますか、一種の設計の認可みたいなものでございますが、土木関係、電気関係、施設関係というように細かい技術的なチェックを私どもとしてさせていただく、これは何士か平成四年中くらいにやってしまいたい。これは膨大な量になると思います、六十キロでございますので、大変でございます。  それから一方、これらのプロジェクトは、必ず鉄道は周りの市街地の計画と一緒に都市計画を決定していただかなければならないわけでございますが、都市計画は、その地元の市町村あるいは県も入りまして地元にいろいろ御説明を申し上げ、皆さんの御了承を得ながら、案を住民の方にお見せして、それで御意見を伺って都市計画審議会で決めていくという手続がございます。  それから、もう一つ大きいのは環境影響評価の手続でございまして、これは今原案を勉強しているところでございますが、工事施行認可などと同時ぐらいに評価試案を地元にお示しいたしまして、そこでまた御意見を聞いて固めていく、こういう大きな手順があると思います。  あと、これは法律の手続ではございませんが、これらと並行いたしまして、地元の公共団体に御協力をいただきまして、土地の取得、特にこの鉄道は宅地開発の地域の中を通るということでございますので、宅地開発の土地を取得するときに一緒に鉄道用地も買っていただく、こういうふうなことで事実上鉄道用地が円滑に取得できるようにということでお願いもしておりますし、各関係都県は大変協力をしていただいておる、こういうところでございます。
  98. 細川律夫

    ○細川委員 そうしますと、平成十二年軍西暦二〇〇〇年開業ということで、これを目指して進められているということなんですけれども、具体的な建設工事の着工というのは、これはいつごろを予定されておりますか。
  99. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  着工というのをどの時点で俗に言うかといいますと、私どもが従来使っております言葉としては、先ほど申し上げました工事施行の認可と都市計画の手続と環境影響評価の手続は大体何とか平成四年中に終わりたいと思っております。そういたしますと、具体的な設計に入って、地元とのいわゆるくわ入れといいましょうか、こういうこともできるのではないかと今期待しておりますけれども、一応私どもとしては四年度中に何とか着工という形をとりたいと思って今努力しているところでございます。
  100. 細川律夫

    ○細川委員 いろいろ大変な点もあろうかと思いますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そこで、今、井山局長から御説明がありましたこの常磐新線の西暦二〇〇〇年開通、このころまでに沿線の宅地が約三千ヘクタールできるだろうというふうなことでございます。そうしますと、約三千ヘクタールのこの土地に住宅が張りついてべる、そうしますと、これらの住宅に住むようになった人たちがこの常磐新線を利用いたしまして東京に通勤通学というようなことになろうかと思います。  そうしますと、これまで言われております、東京一極集中を排除してそして多極分散的なそういうものをつくり上げていこうということなんですけれども、この常磐新線ができることによってさらに東京東京へとたくさんの人がまた集中をする、一極集中をさらに加速するようなことにもなるのではないかというふうに私は懸念するわけなんですけれども、そういう点について、この常磐新線の沿線の整備というものをどういうふうにお考えになっているのか、御説明いただけたらと思います。     〔委員長退席、今津委員長代理着席〕
  101. 溜水義久

    溜水説明員 常磐新線並びにその沿線地域の開発につきましては、先ほど手順的に運輸省の方から御説明があったわけでございます付れども地元の方でも非常な努力をされているわけでございます。国土庁といたしましても、首都圏整備というような観点から実りの多いものになるようなことを期待いたしております。そういうことから、第四次首都圏整備基本計画におきましてもいろいろ位置づけをしているわけでございます。  この沿線地域の開発整備の進め方につきましては、一つには、先ほどからありますように良好な住宅宅地の供給であるということでございますけれども、加えまして、この鉄道が筑波研究学園都市という研究、教育の大きな機能集積と東京国際的な業務機能とを結ぶ重要な路線でございまして、そういう機能との連携を図りながら業務機能や高次都市機能の広域的な受け皿としての整備ができるのではないかとか、あるいは複合的な機能を持つ拠点整備ができるのではないかというようなことを考えておりまして、東京大都市圏の地域構造を多極的な形へ変えていく一つの方策をとり得るんじゃないかということでございまして、そういうような地域整備が進められますよう期待しているところでございます。
  102. 細川律夫

    ○細川委員 運輸省の方では何かその点についてはございますか。
  103. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 今国土庁の方からお話があったとおりでございまして、私どもといたしましても一極集中というのはもちろん大問題にしておりますけれども、この発端が、やはり今首都圏の中で、特に都心部で住宅にお困りの方のための宅地供給というのをねらいにしておりますので、決して一極集中を助長するためにつくるということはございません。それと、この路線の特徴といたしまして、反対側に筑波の研究学園都市という大きな人口集積がございますので、必ずしも全部が都心の方へ入ってくるということはございません。逆方向も当然あるわけでございますし、あるいは途中から今まで住んでいた方が筑波の方へ行っていただく、こういう機能もございますので、この線自体が直ちに一極集中を助長するとかそういうことではないと考えております。     〔今津委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 細川律夫

    ○細川委員 今国土庁あるいは運輸省の方からお答えをいただきましたけれども、その常磐新線の沿線に業務都市あるいは高次都市というのですか、そういう都市をつくり上げていく、それによって、東京へ単なる沿線の住民を運ぶというだけではなくて、逆の方向に人を輸送するということも考えておられるんだろうと思いますけれども、そういう業務都市なりを沿線につくり上げていく、それをどういうふうな手法でつくり上げていくのか、その実現に向けてどういう形をとっていくのか、国土庁の方でお考えになっていることを御説明願いたいと思います。
  105. 溜水義久

    溜水説明員 先ほどお答えしましたような形をやっていくためにはいろいろなことをやっていかなければいかぬわけでございますけれども一つには、国土庁調査によりまして、この沿線地域の望ましい将来像であおとかあるいは整備の進め方等につきましてこのたび提案を行っております。その中で、この地域整備の進め方につきましては用地取得とかいろいろな難しい問題がたくさんあるわけでございますけれども、私ども、業務集積等を進める上でのやり方につきましては、首都圏を多極構造にしていくというようなことにつきまして業務核都市の制度等を持っておりまして、それに倣いながら業務集積等が進められるように検討していきたいというふうに思っております。  なお、各地域の開発整備計画がまとめられていく段階におきまして、関係省庁とかあるいは地方公共団体、開発事業主体等との連携を深めながらこの構想の実現に努めていきたいというふうに考えております。
  106. 細川律夫

    ○細川委員 常磐新線につきましては沿線住民の期待も大変強いところでありますので、ぜひ関係省庁の御努力をよろしくお願いしたいと思います。  今私がお尋ねをしてまいりましたのは、新線をつくることによって首都圏の交通問題を解決していくという観点からお話を伺ったわけなんですけれども、既存の鉄道についてこれを改善していくということも首都圏の交通問題を解決していくということで重要であろうというふうに思います。  最近では、JR中央線の三鷹-立川間の複々線化が実現に向けて進み出しました。あるいは私鉄などでも複々線化が行われておりますけれども、首都圏で、複々線というよりも、いまだ単線になっているというような緑もございます。例えば東武野田線などにつきましては、大宮-岩槻間は複線でありますけれども、そのほかは単線でございます。この東武野田線につきましては、岩槻あるいは春日部、柏など最近東京のベッドタウンとして大変人口も多くなっておりますし、あるいはまた工場とか事務所とかそういうものも集中をいたしておりまして、大変利用者が多いにもかかわらず単線ということで本数が少ないということでございます。この複線化についてひとつできないものだろうか、これについての運輸省の方の見解を聞かせていただきたいと思います。  さらに、東武野田線はJRの大宮駅と接しておりますけれども、これについては埼玉の自治体、知事から、JR線、京浜東北線に乗り入れをということをJR東日本の住田社長にも話をいたしまして、検討するというようなお答えもいただいたという新聞報道もされておりますけれども、ぜひこれも実現をしていただきたいと思っているわけなんです。この点について運輸省はどのように御認識をされ、どのように対応をされようとしているのか、ひとつその見解をお聞かせ願いたいと思います。
  107. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘の、まず複線化をどういうふうに進めているかどいうことでございますけれども、鉄道め複線化、あるいは電化もそうでございますが、施設整備をやる場合には、一般論でございますが、基本的にはやはり個々のプロジェクトごとにご輸送需要がどうなっていくか、あるいは投資の額がどうか、あるいは採算性がどうか、こういった点を勘案した上で、基本的には各社の経営判断によるのが原則だろうと思っております。  先生のお話のございました東武の野田線でございますが、大宮から船橋まで全線六十二・七キロかと思いますが、そのうちでまだ三十三キロが単線が残っているわけでございます。東武鉄道の方に聞いてみますと、やはり緊急性の高い区間から順次複線化を今進めていっておりまして、現在は、これは南の方でございますが、馬込沢-新鎌ケ谷信号所間というようなのを複線化を工事実施しているところでございます。残る区間につきましても、輸送需要の量とかこういうものがふえてきておりますので、順次やっていきたいというのが東武の考え方のようでございます。  それから、もう一つの御指摘ございました東武野田線の電車を京浜東北線に乗り入れられないかという、これは地元からの御要望があることは私ども承知しております。それで少し勉強してみましたところ、やはり幾つか問題点があるだろうと思います。  一つは、線路をつなぐことになるわけですが、大宮駅のJR線と東武線を相当大改良が必要なようでございます。その結果、線路の配線を変更いたしました結果、上を通る、たしか十六号だと思いましたが、跨線橋の橋脚にさわる、そうするとこの跨線橋を動かさなければいかぬという問題もあるのではないかとか、それから信号方式がJRと東武とは全く違っておりまして、JRの方はいわゆる車内信号でATCでございます。東武の方は地上信号でATSということで、保安方式が全部違っておりますので、やるとしたらこれを全部直さなければいけない。あと、編成両数が、JRは十両、野田線は今六両でございますので、野田線の方のホームを全部十両対応で直していくということで、その他細かいところはございますが、かなりお金もかがりますし、いわゆる技術的な問題点も幾つかあるということで、今すぐ着手するというのはなかなか難しいなという印象を私は持ちました。
  108. 細川律夫

    ○細川委員 もう時間もなくなりましたのでこの辺で終わりにしたいと思いますけれども、東武野田線とJRの大宮での乗り入れにつきましてはぜひ積極的に進めていただきたいと思いますし、大宮駅の大変な混雑がございますので、この解消に向けてもまた御努力をいただきたいというふうに思います。  あと、物流関係についての質問をさせていただきたいと思って予定をいたしておりましたけれども、時間がございませんので割愛をさせていただきたいと思います。航空宅配便というものがこれから行われようといたしておりますが、その点についてはまだ別の機会に質問をさせていただきたいと思います。  また、先月の十九日であったかと思いますけれども東京で震度四の地震がございまして、電車がストップをするなど、大変びっくりいたしました。いろいろ関係省庁にお聞きをいたしますと、南関東では直下型の地震が発生の切迫性もある、しかし残念ながらその予知については非常に困難だし、その体制もなかなか整っていないというようなこともお聞きをいたしておりますので、きょう関係省庁おいでをいただいて質問ができずに大変失礼をいたしましたけれども、ぜひその点についても積極的にお取り組みをお願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。
  109. 久間章生

    久間委員長 常松裕志君。
  110. 常松裕志

    ○常松委員 まず初めに、大都市、とりわけ東京の通勤通学の混雑緩和のための抜本的な対策について、細川議員に引き続いて運輸大臣にお尋ねをいたします。  去る十一月二十日に輸送力増強のための工事費負担を理由に大手私鉄の運賃改定が実施されましたが、一方、首都圏鉄道の混雑緩和は一向に進んでいないのが実情でございます。  まず第一に、首都圏の主要な路線混雑状況がどうなっているかについてお答えをいただきたいと思います。二つ目に、通勤通学の混雑緩和のためこれ妻で運輸省がどのような取り組みをしてきたのかという点についてもお答えをいただきたいと存じます。三つ目に、今回の大手私鉄の運賃改定は、通勤客ひいてはその定期料を負担している企業に輸送力増強のための工事費の負担を求めるとして、通勤定期の改定率を高くしていると聞いています。私が心配なのは、この値上げによるサラリーマンやOLの個人負担がどんなふうになっているのかが心配でございますので、ひとつ通勤定期について企業及び事業主の負担がどの程度定着をしているがという点について三点目お答えをいただきたいと存じます。
  111. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  第一点の首都圏の通勤鉄道の混雑緩和が進んでいない、特に主要な路線混雑状況はどうかという御指摘でございます。  まず一般論だけ申し上げますが、先ほど申し上げましたように、輸送力自体は二十年くらい前と比べて約二倍、ただしお客様の方がやはり一・八倍くらいになっておりますので、混雑自体は若干緩和しておりますけれども先生指摘のように平均いたしましてやはり二〇二%というのが実情でございます。  御指摘の主要路線で特に高いのはどういうところがあるかということでございますが、JRで申しますと、京浜東北線の上野-御徒町間、これは一時間当たりですが二七六%という数字がございます。それから中央線の新宿-四ツ谷間、これは最混雑区間ですが二六三%、それから東海道本線の川崎-品川間で二五四%というような数字がございます。私鉄につきましては、西武の池袋線の椎名町-池袋間、これが二〇八%、それから小田急の小田原線の世田谷代田-下北沢間で二〇八%という数字がございます。それから営団地下鉄でございますが、銀座線の赤坂見附-虎ノ門間で二〇六%、それから丸ノ内線の新大塚-茗荷谷間で二一八%、日比谷線の三ノ輸-入谷間で二一五%、こういうような数字でございまして、JRのいわゆる通勤線の混雑度はかなりまだ改善されてないということがあると思います。  それで、第二の御質問の通勤通学輸送混雑緩和のため運輸省は今までどんなことをやってきたかという御質問でございますが、私ども、基本認識はやはり抜本的な改善を図るためには鉄道を中心とする交通網の計画的かつ着実な整備が不可欠である、こういう認識でございまして、特に東京圏につきましては、六十年七月でございますが、運輸政策審議会の答申に基づきまして新線建設とか複々線化等をやってきているところでございます。その中で、制度面では、先ほどちょっと申し上げましたが、特定都市鉄道整備積立金制度というのをつくりまして、あらかじめ運賃に若干の上乗せをさせていただきましてそれを必ず工事に使う、こういう約束のもとにそういう積立金制度を設けてよろしいというのを六十一年に発足させております。それから、ことしの十月には鉄道整備基金を設置いたしまして、助成制度の総合的かつ効率的な運営を行おうとしているところでございます。特に平成三年度予算では、地下鉄が大きかったのでございますが、地下鉄補助金を五割アップというようなことで六百億ほどの補助金を確保いたしております。それから、営団地下鉄に対しましては無利子貸し付けというような制度的な改善を図る、こういうことでございます。  そのほかに、細かい話でございますが、当面の対策ということで、現在ある施設をフルに活用いたして輸送力増強を図れということで、ホーム延長でございますとか運転保安システムの改善、それから時差出勤の奨励、こういうようなことで何とか混雑緩和を少しでも図ろうということで努力をしてまいってきております。  それから、第三点の御質問で、大手民鉄の運賃改定に当たうまして、企業の負担が高くてもよろしいのではないかということで通勤定期の改定率を高くしている、それで、実際は企業の通勤費の負担はどうだという御質問でございますが、これはたまたま平成三年に、人事院がいわゆる我々に対します人事院勧告をするときに民間企業における通勤手当の支給実態調査というのをやっておられます。その一部のデータをいただいておりますので、それに基づいて申し上げますと、人事院が抽出しました調査対象事業所のほとんど全部の事業所で何らかの形で通勤手当を支給している、そのうちで八七%はほぼ全額を支給している、こういう実態があるそうでございます。この数字は大体正しいものだと思っておりますし、こういうようなものに基づきまして、私どもの通勤手当も今年度から上げていただけるということになったようでございます。
  112. 常松裕志

    ○常松委員 混雑緩和の抜本的な対策としては新線の建設及び複々線化があるわけでありますが、先ほど細川議員の質問に対する御答弁もございましたから、それらの進捗状況について、細川議員の御質問に対する御答弁につけ加えることがありましたらひとつ御答弁いただきたいと存じます。特にありませんか。
  113. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 先ほどに尽きておりますが、一言だけ申し上げますと、この路線の新線建設、複々線化、今進めておりますけれども、客観情勢として環境が大変厳しゅうございます。それは、一つは用地が非常に買いにくくなっているということでございます。それから、どうしても鉄道は音を出すものでありますから、地元の方との御調整といいましょうか、お願いをしながらやっていくわけですが、そこにかなりの時間がかかるということもございます。しかし、鉄道事業者は一生懸命やっておりますので、今後とも我々もしっかりやるように指導してまいりたいと思っております。
  114. 常松裕志

    ○常松委員 私は東京都かの国分寺市に住んでおりまして、実は中央線を毎朝利用しております。とにかくひどい込み方でございまして、腕を上げたまま下へおろすことができないという状況で、こういうのを混雑率何%というのですか、二五〇%ぐらいというのでしょうか、とにかくそれが実情であります。そういう中央線の最近の混雑率についての推移を御答弁いただきたいと思います。  続いて、その中央線についての混雑緩和対策としてどのような取り組みがされているか、これは少し具体的にお答えをいただきたいと思います。  三つ目に、去る十一月十二日に東京都とJR東日本の間で中央線の三鷹-立川間の複々線化、立体化についての合意が行われたところでございます。二十四年間、凍りついていたみたいにこの事業についてはストップをしていたわけでありますけれども、再スタートを切ることになったということで、地元の代議士として、この事業の再開のために取り組んできた者の一人として大変喜んでおりますし、この点についての運輸大臣の大変な御指導にも心から感謝を申し上げるわけでございますが、具体的にこの複々線化なり立体化なりはいつごろ完成の見込みなのか、この点を三つ目御答弁をお願いいたします。
  115. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 幾つか御質問がございましたが、最初の中央線の混雑率の推移はどうかということでございますが、中央線で特に一番込んでおりますのが快速線の新宿-四ツ谷間でございます。この間をとってまいりますと、これは年によって若干の差がございますけれども、大体二五〇%から、年によっては二六〇%というところもございますけれども、これは年によって少しふえたり減ったりしておりますが、大体この水準というか、はっきり言いまして、これ以上乗っていただけないといいましょうか、物理的に困難ということなのかもしれません。一方、緩行線というのがございまして、いわゆる各駅停車でございますが、これは大変すいておりまして、ラッシュ一時間でも一〇〇%でございます。したがいまして、お客様がうまく乗り継いでいただけると大変均等化するのでございますが、やはりお急ぎの方が多いとみえまして、どうしても快速線が非常に込むという実態にございます。  それで、ではJRの方では中央線の対策をどうしたのかということでございますが、一番込んでいる時間帯には列車増発は今の状態では物理的に無理でございまして、その前後に列車の増発をしております。ラッシュの本当に込んでいる時間帯はもう物理的に入りませんで、その前と後ろに増発をいたしまして、お客さんが少しでもそちらの方へ流れていただくということを考えて増発をしております。  それから、新宿・高尾間とか新宿・青梅間というようなあたりにいわゆる通勤ライナーというのを新設するとか、それから青梅線等へ直通で入ってくる列車を増発するとか、こういうようなことで奥の方の輸送力の増強はかなりやっているようでございますけれども、何さま都心部の方は大変難しい。  で、今後どうするかという問題も一つありまして、私ども聞いているところでは、今新しい信号保安システム、ATS・Pというのをやっておりますが、これが完成をいたしました場合にはもう少し列車の増発ができるようだということで、それに少し期待をしているところでございます。  それから第三点目の、東京都とJR東日本で三鷹-立川間の複々線化、立体化の合意、これは先生指摘のとおり先日基本的な合意に達したわけでございますが、内容を簡単に申し上げますと、在来線と複々線の計画がございますが、この四線につきまして同時に都市計画決定はする、ただ、当面は現在線の高架化をする、この方を先にやります。それで十八カ所の踏切を解消いたしたい。それから、複々線化の実施時期については今後関係者間でなお検討する、この三点が合意事項でございます。  それで、その工期はいつかということでございますが、今そういう基本合意に達したところでございまして、まだ具体的に両者の間で今後の手続は細かく詰めておりません。まず地元の御了解を得て都市計画を決めて進めていくわけでございますが、高架化だけをとりますと、今のお金で事業費約二千億円で、期間も、かなり難しい工事のようでございますが、やり始めて八年から十年くらいかかるかなというのが私どもの質問に対する担当者の答えでございました。したがいまして、いつできるかというのは現時点ではまだ確たることは申し上げられない、申しわけございませんがそういう状態でございます。
  116. 常松裕志

    ○常松委員 今の点についてちょっと補足して質問いたしますが、ATS・Pはいつごろ完成するのでしょうか。  それから、時差出勤についての指導ですけれども、これは具体的に東京都庁なら都庁に対して、あるいは各省庁に対してこういうふうにしてくれというのは、いつから具体的に指導が始まるのか、この点について二つ目お答えください。
  117. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 ただいまのATS・Pでございますが、今の計画では今年度中に何とかATS・Pの工事完成させたい、その後で列車増発の方に持っていく、こういうことを考えているようでございます。  それから、時差出勤の運動でございますが、これはかなり前からやっておりまして、それなりの効果は上げていただいておりますが、基本的には行政の側からお願いをする、あるいは鉄道事業者の方からお願いをするということでございまして、官公庁関係は、先生御承知のとおり音から時差出勤に一番先にいわば協力をして、大体九時半が原則、前後ございますが、それが原則になっております。ただ、民間の事業の方々は、やはりそれぞれの会社のいろいろな営業上の問題もあるようでございましてなかなか難しいのでございますけれども、個別に例えば鉄道事業者の方がお願いをしていくというようなことで、これはずっとやっているところでございます。
  118. 常松裕志

    ○常松委員 これは要望ですけれども、時差出勤対策については、当面の緊急措置としては非常に期待をしているわけです。これは一般論じゃなくて、もう少し具体的に、この運輸省の重点政策の中にもあるはずですから、ぜひひとつ具体的に進めていただきますように要望いたしておきます。  中央線の工事費の問題に少し話を進めますが、今、高架化で二千億円かかる、こういうことでしたけれども、私が聞いておりますところでは、この新線の方、計画線の方、これを仮に新しく地下につくるとしてもこれで二千億、上につくるとしても二千億ぐらいかかる、ですから複々線化、立体化の工事費が合計四千億ぐらいかかるというふうに言われているわけなんです。  そこでお尋ねいたしますが、この立体化工事の場合のJR東日本東京都の負担割合はどうなるのか、及びこの新線建設の場合にその建設費は一体どこが負担するのか。私が聞いているところでは、特に新線を地下につくるような場合には全額その事業者負担、こういうふうに聞いているわけでありますけれども、そういうことなんでしょうか。
  119. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生が御指摘のとおりでございまして、いわゆる高架化、我々は単純高架化、連続立体交差化と言っておりますが、この場合には、従来国鉄と建設省の間の協定がございまして、これによりますと、高架化は一〇%が鉄道側負担、あとの九〇%が都市計画事業の施行者の方の御負担ということでございまして、通常はこれでやっているわけでございます。ただ、民営化後に、JRになってからそこの一〇%でいいかどうかという協定は今いろいろとやりとりしておりますけれども、今暫定的に一〇%でやっておりますが、最終協定ができて多少負担割合が動く可能性がございますが、今のところは従来の割合でいくと一〇%でございます。  それから新線、線増部分、あるいは今先生がおっしゃった場合のように、今回の場合のものは地下化の部分ですが、従来の一般的なルールではやはり鉄道の方が負担するというのが大原則でございます。
  120. 常松裕志

    ○常松委員 私は、用地買収費などが非常に高くなってきている現状におきましては、複々線化、新線建設が地下で進められることがこれから民鉄なんかの場合も多くなるだろう、こんなふうに思っているわけでございます。  そこで、この中央線の場合は特にそうですけれども、仮にこの二千億円の新線建設の費用を全額鉄道事業者に負担させるというのは全く困難なんじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、どうなんでしょうか。あるいは、この鉄道整備基金を活用するということで、大塚さんが前の総括審議官のときに鉄道整備基金で御質問をいたしまして、これは中央線にも使うという御答弁をいただいているんですけれども、この鉄道整備基金を一体使えるのかどうか。そう言ってはなんですけれども、ほとんど地方のもうかりもしない新幹線のために全部使われてしまっているんじゃないかというふうな、私はそういう思いを持っているわけです。  また同時にもう一つ伺いますが、そういうJRに対して、私鉄でやっております特定都市鉄道整備積立金制度を適用することができないのかどうか、この点についてもお答えをいただきたいと存じます。
  121. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、新線部分を鉄道事業者が全額負担する場合、二千億、ちょっと二千億で済むかどうかよくわかりませんが、従来私鉄が連続立体交差を今工事を幾つかやっております。例えば小田急の東北沢から和泉多摩川とか、こういうときは高架化部分は先ほど申しました道路側がかなり持ってくれますが、線増に対応する部分は全部鉄道事業者の負担ということになっている原則がございます。それでいいのかという議論は別途それはもちろんあることはあるのでございますが、現状はそういうことでございまして、JRも何とかいい工夫はないだろうかと考えていることは確かでございますが、今のところ、確たるこういうものでやるべきだというのはございません。  それで、先生おっしゃったように鉄道整備基金を活用できないのかという御質問でございますが、鉄道整備基金制度は、先生よく御承知のとおりでございますが、既設新幹線の輸送力増強とか主要幹線の整備あるいは大都市鉄道の整備というのが一応項目に挙がっております。これが無利子貸し付けの対象でございますが、制度的にもそれは確かに中央線の複々線化というのも対象にはなり得るわけでございます。  ただ、それを対象として採択するかどうかと具体的な問題になってまいりますといろいろ問題がございます。その一つは、この無利子貸付制度というのは、先生御承知のとおりでございますが、基金が清算事業団に対して負っておりますいろんな債務がございますが、その債務の償還を一時待ってもらって、それで無利子貸し付けの方へ利用するということがございまして、一応清算事業団の債務の償還が確実かつ円滑な実施ができるという前提で無利子貸し付けをやろうということでございます。そういう意味でいろいろ計算してまいりますと、おのずからその無利子貸し付けの総額というのは限度が出てまいるわけでございます。  そういう意味で限度がございますけれども、私ども、今御指摘のその中央線について適用できるかどうかというのは、結局このプロジェクトの収支の採算でございますとか、あるいは地方負担がどれくらい持てるのか持てないのか、こういうものを含めて総合的に検討しなければいけないプロジェクトだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つ、特定都市鉄道整備積立金制度は適用できないかという御質問でございますが、この特定都市鉄道整備積立金制度の認定プロジェクトの要件の一つといたしまして、その特定都市鉄道工事費が年間旅客運送収入に相当する金額におおむね等しいか、またはこれを超えるものであること、すなわち一年間の収入よりもそのプロジェクトの方が金額が大きい、ということは一様に後々の資本費負担がもう非常に大きくなる、そういう意味であらかじめ多少の運賃収入をストックしておく、こういう制度を認めたものでございます。JR各社の旅客運送収入を見てみますと、まあ東日本ですと一兆三千億とか、運賃収入だけでございますが、こういうところから見ますと、直ちにこの制度に即適用できるということにはならないわけでございます。
  122. 常松裕志

    ○常松委員 この中央線の立体化、複々線化事業の場合に地域が期待をしているのは、やはり抜本附な対策として複々織化、新線建設の方に期待をしていもわけですね。  そこで、今のお話ですと、鉄道整備基金も余り展望がない、それから積立金制度の方はこれはもう全然だめだ、こういうことであります。もともと国鉄の分割・民営化の前提にたった旧国鉄の赤字ですけれども、これは局長御存じのとおり、新幹線の建設や青函トンネルの建設やそういう設備投資を全部国鉄の借金、借入金で進めてきたためにどんどんどんどん借入金が膨らんで、その利息の返済のためにこの国鉄の赤字が膨らんでいった、こういう構造だったわけですけれども、この新線建設など、今度のような中央線の新線建設などをJR東日本に全額またやりなさい、こういうことになりますと、結局かつて来たのと全く同じ道をたどることになるわけです。したがって、JRの方も断るでしょうし、政治としてもそういうことがあってはいけないんじゃないかと思います。  そうだとすると、この大都市の通勤通学の混雑緩和のための抜本的な新線建設のためには、何か新しい制度がつくられていきませんと、結局都市のサラリーマンはこれから二十一世紀になっても年じゅう手を上げたきりおろせない状況で通勤が続く、こういうことになるわけですけれども、その辺について運輸省としてぜひひとつ検討してもらいたいと思うんですけれども、新しい制度の創設についていかがでしょうか。
  123. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 先生おっしゃいましたように、私どももその点の問題意識は十分持っております。一つのやり方としてもちろん先ほどの無利子貸し付けというのもございますし、それから、先ほどの特定都市鉄道整備積立金制度の適用範囲を今のように厳密なものをもう少し緩めてこういう大規模プロジェクトにも適用できるようにするとか、いろんな工夫はあると思います。それは今後の課題としてぜひ勉強させていただきたいと思います。
  124. 常松裕志

    ○常松委員 次に、JR各社に対する地方労働委員会の命令を各社が速やかに履行するように運輸大臣の指導を求めまして、幾つかの質問をさせていただきます。  非常に厳しい寒さで有名な旭川で、元清算事業団職員の湯浅さん、須藤さんの御一家に対して、明け渡し訴訟の上に、暖房を切る、テレビのアンテナを切る、こんな事態が起こっているのですけれども奥田運輸大臣は御存じでございましょうか。ちょっとここで湯浅さんの奥さんからいただいた手紙を御紹介しますので、大臣、ぜひ聞いてください。   私は、昨年四月一日に、清算事業団より、千  四十六名の仲間と共に解雇されたものの妻で  す。   夫と二人の娘と共に苦しい生活の中を頑張っ  ています。   此の度、十月十五日に入るべき集中暖房、集  中アンテナが廃止されてしまいました。   旭川は朝晩が大変寒く、子供の学校の都合  で、朝五時半に起きて部屋を暖めてやるのです  が、小さいストーブではとても寒くて、暖まる  まで、毛布をかぶったり、おフロに入ったり、  風邪をひいてはかりいます。こういうお手紙を湯浅まさ子さんからいただいたところでございます。  北海道の労働委員会はJR北海道に対して、湯浅さん、須藤さん初め解雇された皆さんを採用するように救済命令を出しているわけでありますが、出ていけと言うのだったら代替宿舎を用意するのが当然じゃないか、そう思いますし、また、厳しい冬に入った旭川で、人道上から見てもこういうことは到底許されないのではないかと思うのであります。  きょうは事業団にも来ていただいていますから、ぜひひとつ事業団、そういう非人道的なことをしないで、暖房を入れて、テレビを入れてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  125. 荘司晄夫

    荘司参考人 ただいま御質問の湯浅さん、須藤さん御両氏の宿舎と申しますのは、先生もおっしゃいましたけれども、旭川市にございます通称宮下通り宿舎と呼ばれておりましたところだというふうに存じますけれども、旧国鉄のこの宮下通り宿舎につきましては、六十二年四月一日の改革時に、一部分がJR北海道へ、あるいはまたJR貨物へ帰属したものもございます。そのうち、私ども事業団には七棟の宿舎と全体を賄いますボイラーとがございます敷地が帰属をいたしたわけでございます。  先生御承知のように、私どもへ帰属いたしました宿舎用地と申しますのは、原則として、私どもが国に対する責務として負っております膨大な債務償還のためにこれを売却して充てるというためのものでございます。当宮下通り宿舎で私どもに帰属いたしましたものにつきましても、平成四年度にこれを売却する計画を持っておるものでございます。売却いたしますには、原則として建物を取り壊しまして更地化いたしまして処分する必要があるわけでございます。そういうことでございますので、私どもに帰属しました宿舎につきましては、既に二棟を取り壊し済みでございますし、残りました四棟とボイラー室所在地でございますか、これを今回、事前に御通知申し上げた上で取り壊し作業にかかっておるところでございます。  ただいま申し上げましたように、これは債務償還のために処分するものでございますので取り壊さざるを得ないというふうに私ども考えておりますし、今御質問の須藤さん、湯浅さんにつきましては、平成二年五月三十一日現在で私どもの部内規程によります宿舎の利用の権限を失われた方でございますので、私どもとしては、先ほど申し上げましたような処分の計画もあり、それ以来たびたび御退去いただくようにお願いを申し上げておったところでございます。しかしながら、四年度の処分の時期も迫ってまいっておりますにもかかわらず御退去いただけないものでございますから、ことしの七月五日に残念ながら明け渡しということで提訴をしたものでございます。  今申し上げましたような事情でございますので、用地処分のために取り壊さざるを得ない。そうだとすれば、当然にボイラーの敷地についても更地化するために取り壊さざるを得ない。御両人に対しては、恐縮でございますけれども、資格を失っておられるわけでございますから。それ以来一年半以上たっておるわけでございまして、御退去をお願いせざるを得ないという事情にございますことをぜひひとつ御理解いただきたいと思います。
  126. 常松裕志

    ○常松委員 大臣、実はきょうそこに当の須藤さんの奥さんも北海道からこの委員会の審議を見守りに出てきていらっしゃるのです。  就職未内定者が出ましたのは清算事業団及びJRの責任であって、湯浅さんや須藤さんら解雇された方々に責任は一切ないというのが私の理解であります。清算事業団は、その首を切った千四十七名の方々に対して、あるいはそういう方々が今闘争団を組織しているわけですけれども、清算事業団は反省するどころか、千四十七名はJRにこだわり過ぎだから就職あっせんできなかったのだ、責任は清算事業団にはないのだ、被解雇者、首を切られた人たちの方にあるのだ、こういうのが今までの清算事業団の一貫した態度です。私は、これは官僚の責任転嫁の典型だと思っているのです。  大臣、ぜひ聞いてもらいたいのですが、その湯浅さんと須藤さんから私のところに手紙が来ました。この湯浅さん、須藤さんの手紙ですけれども、御本人たちが、決してJRではなくて、ほかに就職口があったら就職したかった、そういうふうにこの手紙の中で訴えています。読みますから、どうぞそこのところを聞いていただきたいのです。今そこに来ている須藤さんの御主人の手紙 です。   私は昭和五十七年国鉄に入社しました。両親をはじめ周囲の人達も大変喜んでくれました。   私自身普通の人間ですし、極普通に仕事をしてきました。まさか首になるとは夢にも思いませんでした。それでも妻と子供二人がいましたので、首になった事はあきらめて、早く再就職しようと考えていました。しかし、なかなか自分に合う所は無く、一度受けた所も落ちてしまいました。清団のあっせんする所は新聞の切り抜き等が多く、職場にはアルバイトニュースがありました。(中略)   そんな中、北海道でも地労委から勝利命令が出されました。はじめは「どうせ長くなるのでは」とか早く生活を安定させたいという気持ちから、あまり喜びはありませんでした。自分には関係ないと思っていました。(中略)今年九月の終わり頃、訴訟の通知と共に、集中暖房は入れない、テレビの配線は切るという通知がありました。(中略)なぜここまでされなければならないのでしょうか。今も横で子供達(四才と三才)が見たいテレビも見れずに二人で遊んでいます。誰に子供達までもこんな目に合わせる権利があるのでしょう。 これが須藤泰樹さんからの手紙であります。  湯浅さんの手紙を紹介します。   私の清団時代のことですが、私は管理者から三件の就職をあっせんされて、面接に行って二件はことわられ、一件は条件がおりあわなくてことわった。一応私は公的部門を希望をしていたのですが、年齢が行っていることでもあり、試験にも受けにも行ったんですが、どういうわけか採用されませんでした。広域採用は、私や妻の両親が年なので、一応考えに考えたのですが、妻の身体が丈夫じゃないので、断念しました。 これが湯浅幸一さんからの手紙であります。  こんなふうに、大臣そして委員皆さんもぜひお聞きいただきたいのでありますが、お二人とも再就職を希望していた、JRにこだわっていなかったということがわかります。そしてそれは、私が調べた限り、千四十七名の全員とはいきませんけれども、ほとんどの皆さんがそうだったというふうに私は思っています。就職ができなかったのは、私は、JR、清算事業団、ひいては運輸省の責任ではないかと思っております。にもかかわらず、首を切り、その上今度は家から出ていけ、この寒い旭川で家から出ていけ、暖房を切ってしまう、テレビも奪ってしまう、そういう答弁には私は全く納得がいきません。  もう一度ひとつ清算事業団、この二家族も含めて、解雇された皆さんの社宅の居住権をきちっと認めて、この二家族については暖房を入れてやってほしい、テレビのアンテナをつないでやってほしいとお願いいたします。いかがでしょうか。
  127. 荘司晄夫

    荘司参考人 ただいま先生から、私ども実施をいたしました再就職のあっせんの業務について不十分だったのではないかというふうな御指摘がまずあったかと思いますけれども、御承知のように、私ども事業団におきましては、事業団法に定めるところ、仕事の中身といたしましては、いわゆる再就職促進のための特別措置法に基づきまして、六十二年四月一日から三年間の期限の中でこの再就職対策に私どもとしては全力で取り組んできたものでございます。これも先生もう御承知のように、千五百人の要員を配置いたしまして、当初七千六百人ばかりおられました方々の再就職のあっせんをやってまいりまして、六千六百人までは再就職等で円満に御退職いただいたわけでございますけれども、最後に千人余りの方を、特別措置法の期限が切れたことによりまして、私どもとしては、事業団としては、もう再就職の促進の業務を行う余地がなくなったということで、やむを得ず就業規則上解雇するに至ったわけでございます。  三年間最大限の努力をしてきたわけでございますけれども、特に最終局面を迎えました平成二年の十一月から十二月にかけましては、政府雇用対策本部の御決定を受け、政府初め関係者の御指導のもとに、また新たなJRの広域採用を初め、そのほかにも、トータルで申し上げますと三万件以上の雇用の場を確保して未内定者にこれを提示いたしますとともに、意を新たにして再就職活動に取り組むように強くあっせんを申し上げたところでございます。  いよいよ三年間の期限が切れるぎりぎりになりまして、私どもとしてはやむを得ず解雇予告をする事態になりましたけれども、さらにその後の時点でも、運輸大臣の御指導によりましてさらにもう一回広域採用の機会を与えていただき、また、退職後みずから再就職活動を行うという方には俸給の六カ月分の支給を新たに措置として加えるなど、最後の最後まで再就職と生活の安定に努力をしてきたつもりでございます。したがいまして、私どもとしては最終的に今おっしゃるような方々を解雇せざるを得なかったのは大変残念でございますけれども、私どもとしては今申し上げましたようなことによりまして、再就職の意思のあられた方についてはできる限りの手だてを尽くしたというふうに考えておるところでございますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。  それから、個人的になって恐縮でございますけれども、湯浅さん、須藤さんにつきましても、私ども既に雇用対策の事務所を閉じまして一年八カ月ばかりたつわけでございますけれども、当時の仕事の記録によりますと、湯浅さんにつきましては、稚内から旭川の第四支所というのへ転勤をされまして、その旧旭川第四支所というところで就職相談に応じ、ごあっせんを申し上げたわけでございますが、今お手紙にもございましたように、JRということではなくいろいろ御希望もあったことは私どもも承知をしておるところでございます。  第四支所では、そういった御当人の希望も伺いながら、いろいろ職場の開拓にも努めてまいったわけでございまして、私どもの記録では三十七件の職についていかがかという御相談を申し上げたというふうに承知をいたしております。多くは御希望に合わなかったということでございましょうか、御辞退されたということでございますけれども、そのうち、今三件と申されましたが、私どもの記録では四回採用試験に御応募いただいておるというふうになっております。残念ながら不合格ということの結果ではございました。最終的には、御希望を伺う過程で、途中でもございました自営ということもお考えになったということもございまして、そういったことを含めて十分な御相談を申し上げたというふうに存じておるところでございます。  須藤さんにつきましても同様、これは旭川の第二支所というところで御相談をさせていただいたわけでございますけれども、須藤さんにつきましても二十三件のごあっせんをして御希望をお伺いしたというふうに記録になっております。残念ながら再就職に至りませんでしたけれども、須藤さんにつきましては、私どもの記録では、地元のJRということも最後はある意味ではお考えになったというふうに聞いておりまして、そういうことで結果的に、大変残念でございますが解雇というふうにお二人ともなったわけでございます。  なお、ちなみに申し上げますと、湯浅氏のおられました旭川第四支所におきましては、全体で三十五人私どもでお世話を申し上げたわけでございますけれども、大変残念なことに湯浅氏を含めて六人の方が、須藤さんのおられました第二支所では九十七人の中で十五人の方が残念ながらそういうことになりましたが、私どもとしては、今お二人の例でも申し上げましたように、最大限の努力をしたということでございます。  そういう上での身分をなくされるという事態に立ち至ったわけでございまして、宿舎を考えろということでございますけれども、繰り返しになりますが、私どもとしては債務償還に努めるという重大な責務を負うているわけでございまして、当該宿舎の敷地につきましても、それに充てるための貴重な資産でございまして、四年度の売却を予定しているところでございます。そういうことから、私どもとしては、部内の規程に従いましてぜひ当宿舎からはほかのこういった方々と同じように退去ということでお考えをいただきたい、御理解をいただきたい、重ねてで恐縮でございますけれども、そういうことでございます。
  128. 常松裕志

    ○常松委員 清算事業団には、責務の償還も清算事業団の仕事の一つですけれども、七千人の方々の就職のあっせんを全員することも清算事業団の仕事のもう一つの目的だったはずです。七人のうち一人が就職しないで残っているのですよ。七千人のうち千人が残っているのですよ。これは、それでも清算事業団がやるべきことはやったなどということは決して言えません。しかし、これ以上清算事業団と話をしてもしようがありませんから、運輸省にお尋ねをいたします。  旧国鉄の皆さんは、なぜ国鉄に就職したのですかというふうにお尋ねをいたしますと、鉄道の仕事が好きだったんだとか、あるいは賃金や労働条件は悪いけれども、倒産することがないからだとか、ふるさとや両親のそばで仕事をすることができるから、大体こういうことをお挙げになるわけであります。  ところが、そういうことで国鉄に入られた方々に対して、政府及び国会は旧国鉄を民営化いたしました。その政策の結果としていわゆる余剰人員が出てまいったわけでありまして、政府国会がそのために就職あっせんの約束をいたしました。で、全力を挙げて就職のあっせんをすると国会で答弁が行われ、決議も行われ、そして専門の事業団までつくられました。組合による差別などは決して行わないという再三の約束もありました。日本国民であれば、そういった約束はきっと履行されるだろうというふうに信頼をするのは私は当然だと思うのです。したがって、湯浅さんにしても須藤さんにしても、あるいはこの千四十七名のたくさんの方々にしても、みんな政府国会を信頼しました。ところが、事実はそれに反しておりまして、組合による差別が行われた、その工事業団をもさっさとやめてしまえと言わんばかりの就職あっせんの実態であった。  そこで、法に基づいて地方労働委員会に対する提訴が行われました。この五年間に全国で三十九の地方労働委員会で百を超える命令が、一つも残らず全部ごとごとくJR及び旧国鉄によって差別が行われたということを認めて、地方労働委員会は救済命令を出しておるわけであります。この救済命令を受け取ったいわゆる国鉄労働組合の方々は、日本国民であるならば、法に基づくこの救済命令は今度こそは守られるだろうというふうに思い込むのは私は当然だと思うのです。  ところが、そういうふうに信じて、そしてこの法が守られるだろう、救済命令も守られるだろうというふうに、日本で法が守られることを見守っているそういう方々が、国や国会や法律を信じている方々が、首を切られてしまう。私は、一体その千四十七名の方々がどこが間違っているのか、そういう皆さんの物の考え方のどこに間違いがあるのか、ぜひひとつお聞かせいただきたいと思うのですけれども、いかがですか、運輸省
  129. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 先生がただいまるるおっしゃいましたことにつきまして、私どもといたしましてはこういうふうに考えております。  国鉄改革というのは、あの状態の国鉄を生き返らせて、それで日本の鉄道を守っていくというためにやむを得ないあれだったと思います。その過程におきまして、いわゆる効率的な経営等を目指した場合に、必要人員たしかプラス二割と思いましたが、その方を関連事業要員ということで御採用する、それでも北海道、九州の場合にはどうしても採用できない方が出てくる、こういう仕組みだったと記憶しております。  その過程におきまして、まず不当労働行為があっなかなかったかということにつきましては、確かに先生がおっしゃるとおり、地労委からいろいろいわゆる命令が出ていることは承知しております。ただ一方、それを受けたJR側の方から、それについては不満であるということで中労委の方に再審査の申し立てをなさっているということも事実でございまして……
  130. 常松裕志

    ○常松委員 答弁、聞いていることに答えてください。僕が聞いたのは、そんな経過を言っているのじゃなくて、そういう国労の人たちが、千四十七名の方々地方労働委員会の命令が守られていると信じてきた、その遵法の気持ちというのはどこか間違っているかということを聞いているのです。それを答えてくださいよ。
  131. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 失礼いたしました。  間違っているかどうかというのは、私自身が即判断することはできません。ただ、先生、申し上げたいのは、現実に地方労働委員会の命令に対してJR各社が、それは私どものあれに反するということで中労委に申し立てている、これも事実だと思います。そういう意味で、私どもにどちらが正しいかあるいは間違っていたかという御質問に対しては、今まさに係争中でございますので、私は、運輸省としての判断といいましょうか、これは差し控えさせていただきたいと思っております。
  132. 常松裕志

    ○常松委員 私は運輸省はそういう答弁をしていてはいけないと思いますよ。地方労働委員会の命令を遵守するようにJR各社に対して指導すべき責任があると思います。そもそも、この旧国鉄の分割・民営化のときに改革法二十三条の審議をめぐって、この二十三条というのは、国鉄とJRの法人格が違う、そういう法律形式を悪用して必ず差別が行われる危険がある、こういうことを社会党の当時の先輩議員は質問いたしました。それで、国会では、きょう先ほどまでいらっしゃった橋本運輸大臣も、あるいは平井労働大臣も、決して差別はしないという約束をしました。与野党で満場一致した参議院の決議もありました。これは改革法二十三条をめぐる議論についてで行われたわけでありますよ。そして、しかもそれが踏みにじられたわけです。  さらに、運輸省の設置法からも私はそういうことが言えると思うのです。運輸省設置法の第三条の二の百三のところには、鉄道等の労務に関することというのが運輸省の所掌事務として挙げられているではありませんか。こういうことが挙げられているのは、各省の設置法を私全部調べましたけれども運輸省だけですよ。しかも、地方労働委員会の命令の中では、不当労働行為によって安全が脅かされているということも指摘をされています。例えばこれは中原電車区の事件がそうですし、あるいは東所沢の事件もそうですし上野保線区の事件もそうですよ。そうしますと、これは設置法第三条の二の百二の所掌事務からしても、あるいは鉄道事業法第二十三条の一項六号によりまして運輸大臣はJR各社に対して事業改善の命令を出すことができるはずです。運輸大臣からJRに対して一遍の警告だって私は行われていないと思いますよ。これは運輸省の怠慢です。  そこで、最後に私はぜひひとつ運輸大臣にお答えをいただきたいわけでありますけれども、現在御存じのとおり中央労働委員会において労使の事情聴取が行われています。それで、JR各社がこれに速やかに応じて一刻も早く和解するように、先ほど私が申し上げましたのはJR各社が救済命令を守るように運輸省に指導してもらいたいということですけれども運輸大臣に対する御質問は、JR各社が和解に応ずるように指導するつもりはないかということをぜひお尋ねしたいと思うわけであります。  JRの北海道や九州では来年も新採用の予定があるというのです。新採用の予定があるのだったら、どうして事業団に命じてこの千四十七名の方々北海道に採用してあげないんだ、それが、大臣も含めて我々政治家がした国会での約束、大臣の答弁、そういうものを守ってきている国民皆さんに対して信頼を回復する道なのではないか、私はそう思うのです。  そもそも再就職の促進に関する特別措置法の第四条というのは、これは昨年の四月一日で失効したことになっていますが、そこにはこう書かれていました。国は、「再就職の機会の確保及び再就職の援助等を図るために必要な施策を円滑かつ総合的に推進するように努めなければならない。」と規定されていたはずです。そうしますと、この失効前に地方労働委員会の命令は全部出ていたわけですから、そのときにこの履行を迫ることこそこの特別措置法第四条の国の義務に沿ったことだったのじゃないか、こう私は思うわけです。やや遅きに失した感はあります。しかし大臣、千四十七名の解雇者の方々は、既にこの二年間に四名の方々が亡くなっています。実は今夜はその四人目の儀牲者である名寄の加藤将清さんのお通夜の日です。  ぜひひとつ大臣政治家としての決断を期待いたしまして、大臣の御答弁をお願いいたします。
  133. 奥田敬和

    奥田国務大臣 常松先生からの具体例を挙げての御指摘でございます。  私の立場としては、今言えることは、身分救済に関してはなお至らない点はあったと思いますけれども、目下中労委で係争中と聞いておりますのでこれ以上踏み入ることはいかがかと思いますが、先ほど来のお話を聞き、JR以外でも再就職の意思ありとしてずっと来られておる、そういった方に対して果たして納得のいく温かい応対がなされてきたのであろうか。他方、今清算事業団の話を聞けば、何か土地売却を急がなければいかぬ、そしてそれに関連して立ち退きもお話をしておった、しかし話し合いができずに今日に至っておるというような実情もお聞きいたしました。  今すぐここでどちらがいいとか悪いとかという形を即時に御答弁するわけにはいきませんけれども、ただ、救済命令が出されておる、そしてJR経営者各位に対しても、救済といいますか和解と申しますか、こういった形で私に一汗かけということでございますから、これはいたします。  そしてできるだけ、特にこの千余名の皆さん方の、多いのは北海道、九州です。これはやはり土地に根づいて、先ほど言いましたように旧国鉄時代にあこがれの就職を果たして、やはり親兄弟の身近なところで土地に対する愛着心も人一倍強い地域である。しかし、残念ながら、北海道JR、九州にいたしましても、経営安定基金の果実を得てようやく何とか経営をしておるという実態、そういったこと等々も考えまして、私が言いたいのは、再就職あっせんにも温かい対応でいったのかどうか、通り一遍の労労間の争いの中に巻き込まれたりしたことはなかったと確信はいたしますけれども、そういった実態も踏まえながら、もう一度再調査して、そして再就職あっせんも含め、中労委の裁定に関しては、JR各社に対して和解あっせんということが係争の干渉にならぬ範囲内におきまして、できるだけそういう方向で話してまいりたいと思っております。
  134. 常松裕志

    ○常松委員 どうもありがとうございました。大臣和解に向けてのJR各社への強力な御指導を心からお願いをいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  135. 久間章生

    久間委員長 春田重昭君。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  136. 春田重昭

    ○春田委員 来年の三月のダイヤ改正で、「ひかり」の新型でございます「スーパーひかり」が運転されると聞き及んでいるわけであります。この列車は、一日東京-新大阪間を二往復、従来三時間かかっていた時間を三十分短縮して二時間半で運転する、大きな目玉となっているわけでございますが、この列車は現行料金にさらに特別料金が加算されるのではなかろうかといったことが言われておりますけれども、JR東海からそういった意向が示されているのかどうかお答えをいただきたいと思います。
  137. 奥田敬和

    奥田国務大臣 「スーパーひかり」、三時間が二時間半になるという形で報告は受けておりますけれども、まだJR東海から申請は出ておりません。仮に申請が出された場合には、運輸審議会の手続を経た上で処理してまいりたいと思っておるところでございます。
  138. 春田重昭

    ○春田委員 正式な申請は出されていないと思いますが、事前の打ち合わせはあるやに伺っておるわけでございますが、そんな話は出ておるのですか。
  139. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 ただいま事務的に極めて非公式に、特別料金ということじゃなくて特急料金に、超特急料金といいましょうか、別建てになると思いますが、そういうものを取れないかどうかということについての非公式の御相談はございます。
  140. 春田重昭

    ○春田委員 新たな路線ができたわけではないのに、時間が短縮したからといって特別料金を加算するのはいかがかと私は思います。JR東海も幸い経営が順調にいっているわけでございますので、新たな利用者負担については運輸省としては慎重に考えていただきたい。それに、JR西日本もまた東日本でもそういったことが計画されるやに聞いているわけでございますので、ひとつこの特別料金といいますか加算料金につきましては、利用者に負担のないように運輸省として御配慮いただきたい、こう思います。  次に、新幹線の通勤定期、FREX制度でございますが、このFREX制度が導入されたのが昭和五十八年であります。多くのサラリーマンの方が利用しているわけでございますが、この定期券の販売実績を若干調査してみますと、平成二年度の実績と元年度の実績を比較してみますと、東海道と山陽新幹線で対前年度四五%の増加、東北新幹線では七一%の増加、上越新幹線では七六%の増加となっております。鉄道全体の伸びが、平成二年度、対前年の伸びを調査してみますと、三・四%の伸びであります。したがって、このFREX制度というのは驚異的な伸びであると言っても決して過言ではございません。さらに、この東北・上越新幹線はことしの六月、東京乗り入れが実現されたわけでございますので、このことを考えた場合、もっと伸びるであろう、こう思います。  そこで、何点かについて御質問したいと思いますが、一つは割引率でございます。  現在、この割引率、FREX制度は在来線の割引率が五〇%に対して六〇%の割引率を採用されておりますので、その点は配慮もされております。しかし、東京を起点として一時間以内の通勤の範囲を想定した場合、例えば東海道新幹線では東京-三島間の運賃は八万七千九百五十円なんです。東京-宇都宮間が九万七千三百二十円、東京-高崎間が九万七千十円となっております。個人負担を軽くするためにそれぞれ企業が負担しておりますけれども、その対応もさまざまでございまして、大企業では全額支給しているところもございますし、それに近い通勤手当を出しているところもございますけれども、中小零細企業はそうはいかない、体力の差があって手当が少ない中小零細企業は大変でございます。  そういったことを考えた場合に、多少割引率は高いのですけれども、元の運賃が非常に高い、そういった点で、私はこの割引率、非常に利用がふえてくるこのFREX制度をさらに充実するために割引率の引き上げができないかどうか、運輸省の御見解をいただきたいと思うのです。
  141. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘いただきましたように、新幹線の通勤定期、いわゆるFREXが大変評判がいいといいましょうか、大変な伸び率を示していることは確かにそのとおりでございます。しかし、割引率が、先生も今おっしゃいましたように六〇%でございまして、普通の定期の割引率が五〇%、普通の定期よりも高い割引率を実はしておるところでございます。これ以上割引をすることが一般の方とのバランス上どうかという議論がありまして、実は一般の定期につきましては、先般もちょっと議論がございましたように、通勤輸送需要とそのいわゆる新規投資の必要性というバランスから考えると、通勤定期はもっと上げていいんではないかという議論も別途あるわけでございます。そういう意味で、なかなか理論的といいましょうか、理論的な問題と、それから一般の方が受けた感情論というのとで、どう調整するかというのはなかなか難しい問題だと思います。  それからもう一つは、これは鉄道家の悩みでございまして、大変評判がよくてお客様はふえてありがたいのでございますが、最近新幹線の通勤時間帯に百何十%ということで非常に込んでまいりまして、もともとは座れたのが最近は座れなくなった、それでおしかりをこうむっている。ところが、やはり列車ダイヤはそう簡単にはどんどんふやせませんので、そこら辺が最近また悩みになってきたという、ある意味でうれしい悩みかもしれませんが、そういう実情にあるようでございます。そういう意味で、今よりももっと割り引けと言われる場合、ちょっと、もう少し慎重に検討させていただきます、こうお答えせざるを得ないのが実情でございます。
  142. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、通勤手当は税額の控除制度がございます。現在五万円、平成元年度税制改正で二万六千円から五万円に引き上げされたことは承知しているわけでありますが、しかし先ほどから言っているとおり、非常に利用者がふえてきている現況で考えて、今後の税制改正の中でこの五万円の引き上げについて運輸省として強く働きかける意思はないかどうか。  さらに、あわせてお答えをいただきたいと思うのですが、五万円以上支給された場合、所得税の対象になるわけですね。この個人負担分については、いわゆる申告時に控除できる新たなそういった制度ができないものかどうか。この二点につきましてお答えをいただきたいと思うのです。
  143. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生今御紹介いただきましたように、これは平成元年度の税制改正で、私ども、遠距離通勤がふえてきたのでぜひいわゆる非課税限度額を上げてほしいということで、当時は百キロメートルの通勤帯、大体一時間半ぐらいのところを目がけまして、そのときの通勤定期の運賃を考えまして非課税限度額を二万六千円から五万円に、大変な大騒ぎをして上げさせていただいたわけでございます。  今般、来年度の税制改正でこれをどうするかということでいろいろ調べてみたわけでございますが、一つは、いわゆる普通の定期といいましょうか、これを買っている方々のエリアを見ますと、この方々は普通定期の場合は大体五万円でほとんどカバーされているようでございます。  それから、じゃ新幹線の通勤の方についてはどういうことになっているかということで、少しいろんな調査したところの資料を見てみますと、大体企業でかなり新幹線の通勤費を負担してもらっているところがあるようでございますが、一応今のところはだれでもいいということでは必ずしもないみたいでございまして、大企業の、例えば転勤いたしました結果単身赴任になってしまう。例えば地方の、宇都宮に工場がありまして、今度本社勤務だ、こういうことになった場合に、御主人は今までですと本社に単身赴任するということで家族が別れちゃう、それじゃまずいということで、そういう方については特に新幹線通勤を認めようということで認めているとか、あるいは従業員に持ち家をなるべく持たしてやりたいということで、新幹線の一定の金額の範囲なら持ってやるよ、こういうようなことでやっているようでございます。  それと量でございますが、先ほど先生指摘のようにどんどんふえていますが、一万二千人ぐらいが今東京へ入ってくる三新幹線の利用人員でございます。  そういうことなどを考えてみますと、いわゆる非常に新幹線通勤が一般化してぜひ非課税限度額を上げなきゃいけないかという理論的な根拠といいますか、これは私どもまだ不勉強で、今後もっと勉強いたしますけれども、ちょっと弱いのではないかということで、もう少しいろいろな勉強をしてみようということにしたわけでございます。  今後いっそういう引き上げを発議するか、それからもう一つは限度額をどこまで上げるか、それから先生先ほど御指摘の所得控除ですね、こういうものが一体理論的にあり得るのかどうか、あるいはやった場合にどういう影響が出るかというようなことにつきまして、ぜひ検討してまいりたいと思っておりますので、またよろしくどうぞお願いしたいと思います。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 ぜひ前向きに御検討いただきたい、こう思います。  それから、人事院の方がお見えになっておりますのでお伺いいたしますけれども、現在この通勤手当、公務員の通勤手当の上限は現在三万五千円が上限となって頭打ちとなっております。非課税の限度額が五万円となっているのでありますから、私は限度額いっぱいの、満額として五万円を支給するのは当然じゃないか、こう思っておるわけでございます。民間企業を主導すべき立場の国として、その範を示してもらうためにも、私はこの限度額引き上げをぜひ国として率先してやっていただきたい、こう思いますが、どうでしょうか。
  145. 石橋純二

    ○石橋説明員 通勤手当のお尋ねでございますけれども、通勤手当につきましては、先生ただいまお話しになられましたように、現行制度では三万円まで全額支給、これに二分の一加算五千円を行いまして、手当額としては三万五千円にしておるというところでございます。これによりますと、現行、これは勧告前の状態でございますけれども、全額支給で職員の九二%程度運賃額を全部手当でカバーをされる、三万五千円ですと九八%程度カバーされるという状況でございました。  本年は通勤手当につきましては大幅な勧告をいたしておりまして、全額支給限度額につきましては三万円から四万円と一万円のアップをいたしました。これに伴いまして、全額支給限度額の四万円で運賃額を全部カバーされる職員の割合は九二%から九八%と大幅に上がっておりまして、二分の一の加算を加えますと九九・六%と、私どもといたしましては、実態として私どもの公務員の通勤手当の支給状況は全額支給制に近いものになっているのじゃないかと思っております。  なお、制度のあり方につきましては、民間の実情などを見ながら研究していきたいと思っておるところでございます。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 次に、新幹線の最終列車の時間延長の問題です。  非常にそういった声が最近強まっているわけでありますが、関東地域で民鉄が最近深夜運行の時町延長を図ったところであります。現在東海道新幹線の最終便は、東京発が午後十時四十四分で三島着となっております。東北新幹線は東京発午後十時四十四分で那須塩原着、上越新幹線は東京発二十三時で高崎着となっております。この東京駅発の時間延長とともに終着駅の距離の延長ができないかどうか、この辺の検討ができないかどうか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  147. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御紹介いただきましたように、東京圏におきまして、最近深夜輸送の時間帯、接続改善を含めまして、そういう深夜の輸送体制の強化ということを私鉄を中心に今やろうとしているところでございます。ことしの年末の繁忙期と来年の春ぐらいに実施しようと思っております。  ただ、今御指摘の新幹線でございますが、実は公害対策基本法に基づきまして、新幹線につきましては、環境庁の告示でございますが、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」ということで、新幹線の運行時間帯は一応午前六時から午後十二時までの間ということになっているわけでございます。それを超えますと大変皆さんに音、振動等で御迷惑をかけるということだと思いますが、そういう意味で、ただいま実態と申しますと、大体新幹線はぎりぎり最終駅に着くのが二十三時五十七分とか五十九分とか、こういうことで非常にぎりぎりのところで運行しております。そういう意味で、これをさらに延ばせと言われましても、環境問題との関連で実は大変難しい事態にございます。なお研究いたしますけれども、現時点ではそういう制度になっておりましてちょっと延長は難しいということをお答えさせていただきます。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 次に進みます。  若干順序を変えまして、関西新空港の問題についてお尋ねいたします。  関西新空港の全体構想調査費として運輸省平成四年度幾ら要求なさっておりますか。
  149. 松尾道彦

    松尾政府委員 平成四年度予算要求として、六億の要求お願いいたしております。
  150. 春田重昭

    ○春田委員 平成三年は二億六千万の要求運輸省がした、しかし結果的には八千万しか予算が認められなかったわけであります。平成四年は今局長の御答弁のとおり六億円の要求でございます。  この関西新空港平成六年の夏ごろを開港の目標としております。開港時は滑走路一本で開港するとなっておるわけでございますが、御案内のとおり日本で初めての二十四時間空港です。一本で需要に対応できないのは当然だと思うのですね。目に見えていると思います。したがって、どうしても全体構想でありますもう一本ないし二本、三本必要になろうと思うのです。ともあれもう一本はどうしても必要である。その一本をつくるためには、やはり平成四年度、このボーリング調査とか空港計画調査、また環境のアセスメント調査等がどうしても並行して必要になってくるわけであります。一部では開港の状況を見ながら今後の計画を考えてもいいのではないかという意見があるやに聞いておりますけれども、それでは成田の二の舞になってしまう。いわゆる需要が賄い切れた中で計画がスタートしても遅いわけでございますから、そういった面で、この平成四年の六億円のいわゆる全体構想の調査費、ぜひとも満額要求し、から取っていただきたい、こう私は思うわけでございます。  これから年末にかけまして大蔵省との折衝があろうかと思いますので、運輸大臣のひとつ御決意をいただいて、この問題については終わりたいと思います。
  151. 奥田敬和

    奥田国務大臣 二十四時間の国際空港としての関西新国際空港でございますから、新しい年度予算要求に対しまして、今の委員の御要望が達せられるようにせっかく努力いたして万全を尽くすつもりでございます。
  152. 春田重昭

    ○春田委員 よろしくお願いしたいと思います。  最後に、交通弱者、とりわけ身体障害者の公共の交通機関の施設整備の問題につきましてお伺いしたいと思うのです。  現在、身体障害者の方々は全国で二百五十万人、精神薄弱者の方々は三十七万人と言われております。大体四十人に一人の割合という計算であります。また、人口の構成比率を見ましても、最近非常に高齢者の方が高くなっています。これからの高齢化社会を考えた場合、この比率は年々高まってくるのではないかと私は思います。  私は、これらの方々が日常生活において健常者と同じレベルで生活できるのが本当の福祉社会であろう、こう思います。大臣、どうでしょうか。
  153. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そのとおりだと思います。やはり本当の豊かな生活大国を目指す上におきましても、身体障害の皆さん方や高齢の皆さん方に、本当にぬくもりと、そういった温かい思いやりと申しますか、そういった形が社会全般の隅々まで行き渡るような施設が必要だ、まさに御指摘のとおりだと思っております。
  154. 春田重昭

    ○春田委員 運輸省昭和五十八年、「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」を発表されました。ちょうどこの年が「国連障害者の十年」がスタートした年であります。運輸省として障害者の社会参加への道を開くための施策として発表されたのでありましょう。そのガイドラインは、駅舎のエレベーター、エスカレーター、便所、また誘導・警告ブロック、段差解消等々の改善を促進する方向が定められていました。  しかし、十年近くなった今日、そのガイドラインに示された方向に決して進んではいない。例えば、駅舎数に比較いたしましてエレベーター、JRは二%の設備です。大手民鉄が三%、営団地下鉄が一七%、エスカレーター、JRが三%、大手民鉄が一〇%、営団地下鉄が七三%。便所、JRが六%、大手民鉄が二七%、営団地下鉄が五四%となっております。ガイドラインをつくった運輸省として、この現況といいますか現実、このおくれた最大の原因をどう認識なさっておりますか。
  155. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 ガイドラインをつくりまして以来十年間、整備は着実に進んでおると思いますが、今先生が言われましたように、全体の駅数等から比較しましてまだ普及率は少のうございます。この原因としては、特に既設の駅等については物理的に構造改善がなかなか難しい。また、仮にそのようなところで改良するとすると相当な費用がかかる。こういった費用負担をどうするか。一般の利用者が負担していただくというのが原則でございますが、そのような御理解を得た上でどう整備していくか、このようなところに問題があるかと思いますが、私どもとしては、そのような条件の中でできるだけ整備をするように指導してきたつもりでございます。
  156. 春田重昭

    ○春田委員 この施設整備は通常の費用よりはるかに予算がかかります。しかもこの施設整備はすべて各事業者の単独負担となっております。事業者は受益者負担の原則でコストで賄っているわけでございますけれども、しかし混雑の解消問題、踏切の事故問題、こういった対策等で、なかなかこれら身体障害者の施設整備まで予算が行き届かないのが現状でございます。  アメリカは、ADAという身障者法が昨年の七月成立いたしました。この法律では国が積極的に関与していくことが示されております。運輸省として、こうした施設整備には、事業負担オンリーから一定の国の助成が今後必要ではないか、私はこういったことを思うわけでございますが、どうでしょうか。
  157. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 このような施設整備につきまして、基本的には利用者全体の負担によって行うということにはなっておりますが、同時に、国としましても、利用者全体に過重な負担をかけずに必要な整備促進するために、日本開発銀行のJRや民鉄に対する融資の対象の中に交通弱者対策としてのエレベーター、エスカレーターなどの施設あるいは車両を含めていますし、また、地下鉄などの補助対象事業にありましては、交通弱者用の施設整備に要する費用についても補助金の対象にする措置を講じてあります。  私どもとしては、こういう助成措置を通じでできるだけ事業者が施設整備するように今後とも指導していきたいと考えているところでございます。
  158. 春田重昭

    ○春田委員 駅舎、ターミナルの施設整備については融資制度はある。低利の融資だけれども、やはり借金は借金なんです。そういった面で、私は補助制度を確立していただきたい。要望しておきます。  従来の身障者に対する整備は、駅舎、ターミナルが中心でございました。これは乗り物に対しても充実していくべきであろうと私は思います。先月の十一月十四日、大阪市が全国で初めての身障者用のリフトつきバスを導入いたしました。介護者の必要がないということで大変関係者の方に好評を得ているみたいであります。今後こうしたバスの導入を全国に広げていく考えがあるかどうか。また、バスに限らず、鉄道、タクシー、航空機等にもこうした改造を運輸省として強く働きかけていくべきであろうと私は思いますが、運輸省のお考えをいただきたいと思います。
  159. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 身障者の方々が交通機関を容易に利用できるためには、先生指摘のとおり、単にターミナルだけではなしに車両等についても必要な施設整備しなければならないと考えております。  車両等につきましては、平成二年の三月に「心身障害者・高齢者のための公共交通機関の車両構造に関するモデルデザイン」を作成したところでございます。これまでモデルデザインに基づきまして交通関係事業者の指導を進めてまいりましたが、今お話にもございましたように、大阪の方でバスについて新たにそのような車両を導入をいたしました。また、その他の大都市の市営バスについても今年度から来年度にかけて導入計画がございますので、私どもは、こういうことをきっかけとして他のバス事業者あるいはタクシー事業者についてもできるだけそのような車両等が整備されるように、今後とも引き続き指導してまいりたいと考えております。
  160. 春田重昭

    ○春田委員 時間が参りましたので最後に質問いたしますが、この新しいガイドライン、新しい指針づくりを私はぜひともやっていただきたいということで御質問を申し上げたいと思うのです。  先ほど質問したように、昭和五十八年にガイドラインが発表されました。平成二年に車両構造に関するモデルデザインが発表されました。さらに、ことしになりますと、国と民鉄協会による鉄道駅の身障者整備指針等が発表されました。さらに、運輸省当局としても、運政審答申のフォローアップと行動計画というのが相次いでことしになって発表されておるわけでございまして、かなり運輸省としても力を入れておられるのはよく認識しております。  したがって、これらを土台といたしまして、従来は身体障害者の方が大体中心でございますから、これから高齢化社会、こういった方たちも交通弱者でございますから、これらの方も含め、さらに従来の駅舎、ターミナル中心からさらに乗り物も含めた、そういったいわゆる新しいガイドラインといいますか、指針といいますか、私はつくるべきではなかろうかと思っております。来年で「国連障害者の十年」が終わります。そういった意味で、新しい次へのスタートとして運輸省としてできるこの身体障害者、高齢者、交通弱者に対するそういったガイドラインをつくるべき、また発表すべきではなかろうかと私は思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  161. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 来年度予算でそれに関連した調査費も要求しているところでございますので、さらにガイドラインを見直し、充実させることを考えております。
  162. 春田重昭

    ○春田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  163. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 草川昭三君。
  164. 草川昭三

    ○草川委員 ただいまの春田委員に引き続いて、交通機関における障害者問題を取り上げたいと思います。  本年の十月四日だと思いますけれども世界観光機関、WTOというのがありますが、ここが障害者の観光のため環境整備について総会の決議を行っておりますが、日本の対応はどのようなものか、お伺いしたいと思います。
  165. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 この会議には私どもの運輸政策局観光部の企画課長出席いたしまして、その結果の報告を受け、またこの勧告の趣旨については業界にも伝えております。現在報告の内容について翻訳等を行い、その内容をさらに周知普及するべく準備をしているところでございます。
  166. 草川昭三

    ○草川委員 先ほど来から、環境整備の費用については利用者全体が負担をすべきだ、こういう基本的なスタンスだということを言っておりますけれども、基本的にそのような考え方と受け入れないのがこの世界観光機関のいわゆる環境整備についての提言ではないか、こう思います。ぜひ大きな立場に立って障害者の利用の環境整備を抜本的に考え直してもらいたいということを要望したいと思うのです。  障害者の旅行希望が近年非常に増加をしてきておりますけれども、車いすに乗る障害者の移動環境の整備は大変おくれているんではないかと思います。最低限の移動環境が整備をされることが障害者が社会参加をできる大前提ではないか、ここが非常に欠けている点だと思います。  欧米と日本の障害者を取り巻く移動環境の整備に対する考え方に決定的な違いがある、実はその違いを体験するために、私の知人でございますけれども、友人が、車いすに乗る障害者の青年とアメリカ、欧州を旅行した経験があるわけでございまして、一部これは雑誌等にも紹介をされておりますが、それをもとに質問をしたいと思うのです。  私は、以前本委員会でも、都内の中心の大手ホテルに車いすの障害者の方々が利用できるトイレがない、一流のホテルであるにもかかわらず、ないということを指摘をいたしました。これもその後余り改善をされておりませんけれども、きょうは、日本の表玄関であるところの新東京国際空港成田の旅客ターミナルビルにおける車いすの障害者の利用状況についてお伺いしたいと思うのです。  この新空港において車いす利用の障害者が出入国について不便があるのかないのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。
  167. 松尾道彦

    松尾政府委員 まず、空港の諸施設につきましても今先生指摘のようにできるだけ一般人と同様な格好で利用できるように努力をいたしておりますが、具体的た点について、ちょっとお時間をおかりしまして御説明させていただきます。  現在の成田空港の旅客ターミナルビルでございますが、車いすを御利用いただくお客様に対しましては、出発する場合にチェックイン、四階でございますが、四階から三階へ移動するために、南側と北側にそれぞれウイングがございまして、これの両端にそれぞれ一基ずつの身障者用のエレベーターが設置されておりますので、これを御利用できるようにいたしております。また、到着の場合でございますが、各サテライトとも到着経路の一部をできるだけ省略いたしまして、極力短いルートで済むように措置をいたしておりますし、第二あるいは第三サテライトのつけ根にあるエレベーターを活用していただいて御利用いただく、こういう格好です。  なお、第一サテライト、第四サテライト、両方の端でございますが、この場合には、車いすを御利用の旅客につきましては、このエレベーター利用まで若干距離が長うございますので、現在のところやむを得ない状況でございますが、この経路についてもできるだけ重複しないよう、速やかに通過できるよう、特に途中の保安検査場を、今までともすると入国と出国のお客が混在するような場合がありますので御迷惑をおかけしている場合がございますが、保安検査を再度受けないように一層の徹底を図ってまいりたいと思っています。
  168. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁を聞いておりますと、非常にスムーズにいっておるような答弁ですね。ところが我々が経験をした実例を申し上げますと、まず車いすの障害者の方々と同行のボランティアの方ですが、成田空港でドッキングできなかったのです。片一方の方はリムジンバスでお見えになったのでしょうが、リムジンバス自身にリフトがないわけです。私はリムジンバス会社に聞いたら、東京駅の前に来ていただければ障害者の方はみんなで応援をしましょうという程度なんです。それに乗っていかれたのでしょう。同行の方々とドッキングできない。  なぜかというと、駐車場から入国の手続をする場所に行くのに、まずエレベーターに乗らなければいけない。そのエレベーターは貨物と混在なんですよ。障害者用のエレベーターなんかないのですよ。それで、いっぱいの荷物があるから待っていた、迎えに行く、なかなかドッキングできないというので、とうとう第一日目に飛行機に乗れなかったんですよ。車いすの方の時間は十分ありながらドッキングできなかった、やむを得ず翌日の便を利用せざるを得なかったという大変ショッキングな話が第一日目にあるのです。  それで、今お話がありましたように、逆に今度は入国をされる場合に、先ほど比較的距離の長いのと短いのがある、それは第一と第二の違いだと思いますけれども、我々が入って、いわゆるハイジャック防止のゲートを通るわけです。そこから飛行機に乗るわけでありますが、入国するのですよ、外国から日本に来た場合にもう一回ハイジャック防止用の入り口を通らなければいけない、しかも、それはずっと待っていなきゃいかぬわけです。大体皆さんも旅行されたらおわかりでしょうが、免税店の前のハイジャック防止のゲートというのは乗降客が随分並ぶんですよ。少なくとも十人なり二十人並ぶ。それを、並んでもう一回通って、今度もまた職員用のエレベーターに乗るわけです。しかも、その職員用のエレベーターというのは一人か二人ぐらいの小さなエレベーターですから、たまたまこの前は三組か四組、障害者の方々が並んだんですよ。そうしたら、最後の方が上がるのに大変時間がかかった。  これが一体日本の入り日なんですか、玄関なんですか、成田空港というのは世界の表口として恥ずかしくないかというのが、外国というかヨーロッパの方々の第一印象だったわけです。  今、ハイジャック用の入り口を通らないようにするというようなお話がありましたが、それはいつから決めたのですか。つい最近でしょう、それが決まったのは。長い間成田空港がオープンをしておきながら、つい最近まで障害者の方々がもう一回ハイジャック用のところを通らたければ入国の手続ができないというのは問題があると思うのですが、その点どうでしょう。
  169. 松尾道彦

    松尾政府委員 現在のターミナルビルの関係で若干そういう事態が出たわけでございまして、改善するのには施設そのものの本格的な改造が要るわけでございまして、とりあえず今先生の御指摘のようなことがないように、最近ではございますが、二度ダブルで検査を受けるようなことのないように努力をしていきたい、最近指示をいたしまして徹底を図っておるところでございます。
  170. 草川昭三

    ○草川委員 これはぜひ大臣もよく聞いていただいて、日本の国の玄関の話ですから、全く対応がおくれていた、我々が指摘をしてごく最近ようやく何かカードをもらって、空港職員がそれをもらってダブルチェックのないようにするということが行われたようでございます。新しいターミナルはそういうことがないと思うのでございますし、新しいターミナルは一般健常者の方々と同じような形で入出国ができるようにぜひ配慮していただきたい。あるいはまた、その新しいところに、これは来年の暮れになると思うのでありますけれども、私は、早急に障害者の方々の入出国の利便というものを図っていただきたいということを強く要望をしておきたい、こういうように思うのですが、大臣どうでしょう。
  171. 奥田敬和

    奥田国務大臣 新しいターミナルビルは先生が言われましたように来年暮れを予定しているわけでありますけれども、今御指摘のとおり、新しいターミナルビルはそういった御批判を受けないように、まさに日本玄関口でございますから、そういった形で御期待に沿うように、自慢できる施設にするように強く求めてまいりたいと思っております。  なお、先ほどからなるほどそうかなと思っておったのですが、一般の健常者と同じルートで行けるように、スロープ化等々、今既にやっているのだと思いますけれども、さらに点検してみたいと思っております。  また、リムジンバス等々、これは一番先に手をつけなければいかぬ、そしてまた私たちも、ああ、そこまでできていないなという思いをいたしながら先生の御質問を聞いておったわけでありますけれども、これらの点についても、車いすで移動が健常者と同様にでき得るような措置を講ずるように指導してまいりたい、そう思っております。
  172. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、たまたま今リフトバスの話が出ましたけれども、アメリカなんかでは障害者の差別を禁ずる法律がありまして、アメリカ障害者法というのがあるのですが、これには公共の路線バスにリフトをづけることや新しく建設されます公共の建物にはスロープをつけるというような障害者の利用を可能にするための幾つかの方策が義務づけをされているわけです。残念ながら、日本路線バスなんかにもリフトつきというのは非常に少ない。先ほどの春田委員の質問にもありましたが、大阪市営にわずか一両しかない、その他の公営バスにはリフトつきのバスの導入というのがないようでございますが、一体どのような導入状況になっておるのか、お伺いしたいと思います。
  173. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  リフトつきバスにつきましては、先生指摘のとおり大阪市の交通局が本年十一月に路線バスとしては全国で初めて一両を導入したところでございます。大阪市の交通局におきましては、本年度中にさらに十両を導入する予定でございますが、このほか京都市、神戸市及び横浜市の公営バスにつきましても本年度中にリフトつきバスを導入する予定であるというふうに聞いております。  なお、運輸省といたしましては、車いす利用者にとって乗り合いバスを利用しやすくするという観点から、従来から車いすを折り畳まずに乗車できる低床、広ドアのバスを導入するよう事業者に指導してきたところでございます。平成元年度現在、全国でこうしたバスが全路線バスの大体六割程度に相当する四万両余り導入されておるわけでございます。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  174. 草川昭三

    ○草川委員 今、低床バスが全国で四万一千、こういうお話がございましたが、全国の路線バスは六万五千ですから、まだまだ利用できるのとできないのがあるわけです。  先ほどもアメリカの状況を申し上げましたが、アメリカはもっと今進んでおりまして、車いすではなくて、お年寄りがつえをついて停留所にいると、バス全体がエアによって床が低くなる、プシュッと空気を抜いて、エアを抜いて低くなって、お年寄りが階段を非常に楽に上がることができる、お年寄りが上がったと見ると、もう一回スイッチを入れて床が上に上がる、こういうバスがずっと普及をされておるわけです。しかも、停留所には、路線バスの時刻表に、何時のバスはリフトつきですよとか、あるいは低床バスですよというようにきちっとサインが示されているんですね、印が示されている。非常にそういうのを見て驚いた。一体日本はどうなのか、こういう反省がございました。  先ほども十カ年計画があと一年というようなお話がございましたが、今のこの十カ年計画は、どちらかというといわゆるエレベーターの問題だとか、あるいは盲人の方々のマークの問題だとかいうことが中心ではないかと思うのですが、私は、今申し上げたように、これからは高齢化社会なので、いわゆる低い床の低床バスばかりではなくて、今言ったように多少上下ができるような、そういう車両構造というものを念頭に置きながら施策を立てていただきたいということを要求しておきたいと思うわけであります。  いずれにいたしましても、障害者の「完全参加と平等」というのは、私は、最低限の移動環境、先ほど来から言っておりますが、移動することができる環境整備、またその環境整備を健常者の方々も十分理解をする、そういう中で初めて生まれて、それが全体的に融和をすることが先進国のあかしたと思っているのですよ。だから、日本は高度に発展をし世界の一四%のGNPの誇りを持っておるわけでありますから、そのようなことに配慮するようぜひ検討をしていただきたいということを要望して、次の問題に移りたいと思います。  今度は、信楽高原鉄道のその後の補償問題についてお伺いをしたいと思うのです。  この補償問題は、その後円満に進行しているかどうかお伺いしたいと思います。
  175. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  信楽高原鉄道、大変残念な事故が起きたわけでありますが、補償につきましては、運輸省といたしましても信楽高原とそれから関係いたしますJR西日本がしっかりやれということで指導いたしまして、両社が合同でご被災者相談室というのを大津と大阪の二カ所に設置いたしまして、七月初めから本格的にいわゆる交渉を開始しております。体制につきましては、滋賀県からの出向者が中心となりました信楽高原鉄道側から二十名、それからJR西日本側からは五十八名、合わせまして七十八名の方が従事しているわけでございます。  これまでの状況といたしましては、死亡者、四十二名の方が亡くなったわけですが、この全員の方とは訪問いたしまして面談を開始しておりまして、一部には補償額の提示までいっているところがあるようでございます。それから、けがをなすった方が六百十四名いらっしゃったわけですが、そのうちで三百五十六名の方と示談が成立したというふうに報告を受けております。  そういう意味では、いろいろ御被災者の方のお気持ちもあるかと思いますけれども、鉄道側としてはそれなりに一生懸命やっているというふうに私は考えております。
  176. 草川昭三

    ○草川委員 それは、鉄道側というのはJR西日本のことを言っておみえになるのか信楽高原鉄道のことを言っておみえになるのか、双方のことを言っておみえになるのか、お伺いしたいと思います。
  177. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 不正確に申しまして失礼いたしました。  私は両方のことを申しているつもりでございます。
  178. 草川昭三

    ○草川委員 被害者の方々からは、JR西日本側の対応が非常にまずいということを繰り返し我々の方に訴えられているわけであります。  それで、一部我々が漏れ承るところによりますと、JR西日本側は、謝ると責任を認めたことになるので謝れないというような趣旨のことをどうも言っておみえになるようですね。ですから、先ほど来いろいろと遺族の方々の訪問をしたり、いろいろなことをやっておると言っておられますけれども、いまだかつて社長が被害者の方々との会合に顔を出さないというような問題もあるようであります。あるいは遺族会は遺族全体を代表しているわけではない、こういうようなことも言っておるようでありますね。あるいは、被害者の方々の心証を非常に害しておるのは、遺族会はJRを責めて賠償額の増額をねらっているんではないか、こういうようなことを言っておみえになるようでありますが、このような態度を運輸省は指導しておみえになるんですか、どうでしょう。お伺いします。
  179. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 先生ただいま御指摘の、謝ると責任を認めることになるとか、遺族会は代表していないとか、賠償額を引き上げるためにやりているとか、そういう話を私実は聞いておりませんで、実際そういうことをもし本当に言っているとしたら、非常にまずいという判断をいたしております。  ただ、JR西日本の方としましても、私どもなりに見たときに、事故が発生して以来、それなりに人を大量に出して、そのときの対応から、病院に全部お付き添いをするとか、御葬儀においてとか、その他いろいろやっているとは聞いておりますけれども、確かに今先生おっしゃったようなことが言われているとすれば、やり方が非常にまずいのじゃないかと思いますので、ちょっとその辺はもう一度事情を調べさせていただきます。
  180. 草川昭三

    ○草川委員 それで、この細かいことは別といたしまして、旧国鉄時代には約款に相当する営業規則があったと思うのでありますが、旅客の死傷、死んだり傷ついたりという場合ですが、死傷の場合の鉄道事故の責任について何らかの規定があったのかどうか、あるいはまたそれを引き継いだ今日のJR西日本にその種の規定があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  181. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 先生指摘のように、確かに国鉄時代には営業規則というもので全国一本のあれでございますが、その場合に、先生指摘の今度の事故のような人身事故等があった場合の損害賠償の基準というものの規定はございません。これはいわゆる一般論といいましょうか、商法とか民法によってその都度損害賠償に関する規定を適用していたということがございます。  それから、JRになりましても基本的には国鉄時代の営業形態は変わっておりませんので、営業規則自体も、中身はそういう意味の損害賠償そのものに関する規定というのはないかと思います。
  182. 草川昭三

    ○草川委員 参議院の運輸委員会、五月三十日でございますが、公明党の片上委員の質問に対して、いわゆる運輸に関する協定の中に三つある、車両直通運転契約と直通乗り入れに関する協定書、それから運転作業協定書、三つがあるというような答弁を言っておりますが、このような延長線上で、複数の運送事業者が今回のような運送を行う場合の態様について、この信楽の場合は、部分運送になるのか下請運送になるのか、同一運送になるのか共同運送のジャンルになるのか、どの部分に当たるのか、お伺いをしたいと思うのです。
  183. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  JK西日本と信楽高原鉄道の間では三本の基本的な協定書がございまして、それは御指摘のとおりでございます。  この協定には先生今御指摘のどういう運送形態といいますか契約形態になっているということは直接出ておりませんけれども、私ども届けを受け、それからその内容を検討いたしましたところ、これは信楽線の線区に入った場合には完全な信楽鉄道の経営責任といいましょうか、それによる運送というふうに考えております。ただし、これは東京などでも行われているところでございますが、大阪にもございますが、車両はJRから借りる、それから運転士さんも借りる、そういう意味で運送責任はあくまでも利用者との関係では信楽高原鉄道が直接の当事者となる。もちろん内部関係で、例えば申し上げますと、車両の保守管理はJR西日本がきちんとしたものを保守整備して提供するということになっていますので、仮にその車両に関する事故があった場合には、当事者であるお客様との関係では信楽高原は表に立ちますが、内部求償関係でJRと信楽鉄道の間で、適切でない車両を提供したということで損害賠償関係が生ずる、こういうふうに考えてよろしいのではないかと思います。
  184. 草川昭三

    ○草川委員 この点は、現在かまた今後裁判になりますので深く触れませんが、私は、いろいろと本件をそれなりに勉強させていただきますと、いわゆる甲と乙という言い方をいたしますが、連帯責務というのが出てくるのではないだろうか、まさしくこれは共同運送のジャンルに入るのではないか、こんなことから先ほどの質問をしたわけであります。  時間がもうございませんので、この事故当日に、JR側の亀山にCTCのセンターがあるわけでありますが、ここに優先てこが引かれており、それが信楽駅の出発信号に影響を及ぼしたのではないだろうかというようなことが、今一部の報道で出ておるわけでございます。運輸省は、関西線の亀山のCTCの優先でこが信楽鉄道側の信号システムに影響を及ぼすということを事故前に知っていたのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  185. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  優先でこというのは、単線区間で列車のダイヤの乱れが大きくならないように防ぐということで割と使われているシステムでございますが、この信楽鉄道の信号システムで優先てこが使われているということは、私ども実は事故が起こった後、ごく最近でございますが、発見したところでございます。発見したといいますか、届けがあってわかったということでございます。
  186. 草川昭三

    ○草川委員 もう一回念を押しますが、要するに事故後初めて報告がなされたというふうに承知していいわけですか。
  187. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 JR西日本からの届け出は、事故後でございます。
  188. 草川昭三

    ○草川委員 それで、この優先でこの問題について、これはどういう内容なのか、あるいはどういう契約でJRと信楽鉄道が行われたのか、その間の経過はある程度調査をされたのですか、お伺いしたいと思います。
  189. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 経過につきましては、私どもなりに事情聴取などをやらせていただいておりますが、一応JR西日本からの説明を聞きますと、JR側の方からダイヤの乱れを防ぐために優先でこが必要ではないかということを話をし、信楽高原鉄道は結構でございましょうということで、JR西日本側が、その具体的なCTCセンターのスイッチといいましょうか、これを工事したと聞いております。  反対側の信楽鉄道の側でどういう認識でどうやっていたかということにつきましては、実はこの方の運転の責任者である人があの事故で亡くなっておるわけでございます。そういう意味で、そちらの側からのお話は実は聞けない状態になっております、記録等もございませんので。  ただ、JR西日本の方からそういう列車の乱れを少なくするためにこういうものを使ったらどうだろう、結構でしょうということで話し合いをしたというような報告を受けております。
  190. 草川昭三

    ○草川委員 この優先でこの問題については、現在捜査当局がある程度調べており、その捜査当局のいろいろな現況から一部報道機関が取り上げたのではないかと聞いておるのですが、その間の事情についてどのように運輸省は掌握をされておみえになりますか。
  191. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  私どもは、この優先でこの両社のやりとりといいましょうか、これにつきましては、実は警察の方からもそういう話は聞いておりませんでした。NHKだと思いますが、報道でそういう優先でこの話があったということで、それ自体はそれとしまして、そういう、何といいますか、報道機関へ流れていった経過については、実は私ども全く知らないところでございます。
  192. 草川昭三

    ○草川委員 それはそれでいいのですけれども、そういう上に立って、この優先でこの亀山CTCセンターにおける設置あるいは信楽との関係、この関係を改めて運輸省調査をされるお気持ちはあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  193. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  優先でこ自体は通常単線区間でよく使われているものでございますが、先生、先ほどちょっとあれですか、信楽駅の方に影響するということでございますか。この点につきましては、確かに何か報道でそういうのがあったということで、実は私ども、先日警察の差し押さえの解除がありましたので、その後実地調査をしばらくやりまして、具体的にどういうことをやればどういう信号が出たり出なかったりするかということの調査をやって、今それの分析をしているところでございます。  私どもだけでは手に負えない場合もあると思いますので、大学の先生に集まっていただきまして、この信楽の信号システムの勉強会をやっておりまして、そこにいろいろなデータを出して、どういう状況でそれがあるのかないのか、そういうことも含めて、全般に信号システムがうまく作動していたかどうかということの勉強を続けております。
  194. 草川昭三

    ○草川委員 運輸省は、貴生川駅から小野谷信号所までは優先でこが影響するんだということを言いたがっていると思うのです。ところが、実質的には信楽までも影響しておるんではないだろうか、すなわち、優先でこの経過によってはJR西日本側の関与というのはかなり重要な問題があるのではないだろうか、こう我々は推測をしたいわけであります。  いずれにしましても、もう時間が来ましたのでこれで終わりたいと思いますが、最後に大臣から、一番最初に申し上げましたように非常に重大な事故が発生をしたわけであります。どうか新しい大臣としても、このJR西日本側の対応が非常にまずいということを私ども申し上げておるわけでございますので、ぜひ運輸大臣としても誠意を持って少なくともJR西日本の社長は遺族会の方々の会合には出席をするように勧告をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。どうかひとつ最後に大臣からの見解をお願いして、終わりたいと思います。
  195. 奥田敬和

    奥田国務大臣 信楽鉄道の事故、特に財政負担力のない第三セクター方式のこういった脆弱な基盤の中で、最大の悲惨な事故を起こしたという形の中で、目下原因究明に当たっておるところでございますから即断は避けたいと思いますけれども、もし御指摘のようなJR西日本側の対応について、そういった遺族の方々の御不満、御批判があるとすれば、それを正すように話してまいりたいと思います。
  196. 草川昭三

    ○草川委員 以上です。ありがとうございました。
  197. 久間章生

  198. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 きょうは、交通分野における障害者対策、これを中心に、限られた時間でありますがお尋ねをしていきたいと思います。  「国連障害者の十年」が来年最終年を迎える、日本政府としても、八二年に長期計画を決めましたし、八七年には後期重点施策というものを決めて推進に努めてこられたわけであります。それがこの十年、実際どうだったかという点で、振り返ってみますと、若干の前進面はあると思います、しかし全体として見ますと、国際的にも著しくおくれているというのが実情だろうと思うのです。そういう点で、私たちは先日、先月末でありますが、改めて政府に、国際障害者年の理念に見合った、理念の実現に向けて格段の努力を要請するということもしてまいりました。  大臣に冒頭お聞きをしたいのですが、私は障害者対策の考え方国際障害者年を契機に大きく変化した、発展したというふうに思うのです。もう大臣ももちろん御承知のことと思いますが、従来の障害者対策というのは、どちらかといいますと保護といいますか救済という感じが基本になっておった、しかし、今はそうではなくて、障害を持つ人たちが健常者と同等にといいますか、積極的に日常生活、社会活動が行えるようにしていくべきだという考え方だと思うのです。そういう点で、特に移動・交通の自由というのは非常に大きな柱の一つだと思いますし、したがって運輸省の役割は非常に大きいと思うのですね。ところが、実情はいろいろ問題が多いということであります。  運輸大臣として、長期計画の中にも移動・交通対策ということが一項あるわけでありますが、その進みぐあいについてどう評価しておられるか、十分だと思っておられるかどうか、そういう点で最初にお考えをお聞きしたい。
  199. 奥田敬和

    奥田国務大臣 まことに残念でありますけれども、十分だとは思っておりません。ただ、確かに保護的な目で見ておった国民、私たちも含めて、身体障害者の参加と平等を求める、そういった強い意識変革があったということは大変重大だと思っております。  いずれにしても、付き添いなしで安全にというような、いわゆる健常者に劣らない社会参加ができるような体制に持っていくためにはまだまだ不断の努力が必要であろうと思いますし、障害者の十年のまた新しいスタートでもあるという認識の上に立って整備を急ぎたいと思っております。
  200. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 新しいスタートとしてもとらえていきたいというお話もあったわけですが、なぜなかなか進まないのかという問題ですね。やはりここにメスを入れる必要があるというふうに私は思います。  移動交通といいますと、陸もありますし空もありますし、いろいろありますけれども、主に鉄道分野で考えてみた場合に、端的に言ってJRが大変おくれていると言わざるを得ない状況があるわけです。  私、先日新宿駅を障害者の方と御一緒に見てまいりました。そこでの問題点は後でお聞きをしたいと思っておりますけれども運輸省にお尋ねをしたいのは、JRに対して障害者対策、駅施設の改善、いろいろありますね、ブロックの問題とか券売機とか障害者用トイレとかエスカレーター、エレベーター、いろいろありますけれども、そういう問題についてどういうふうに指導されているかという点をまず運輸省にお聞きしたい。
  201. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、全体的に鉄道駅の身体障害者の方々のための施設整備というのはおくれているということは私ども十分認識いたしております。  それで、ただいま御指摘のように、我々も計画的に順繰りにやっていこうということで指導を続けているところでございますが、そのうち大手の民鉄につきましては、先生御承知かと存じますが、民営鉄道協会で申し合わせをいたしまして、これは身障者用のトイレとか券売機の問題、それから点字ブロック等々につきまして、できるものは平成四年度いっぱいくらいに何とかやってしまおうということで、やるようにいたしております。  それからJRの方でございますが、その設備の整備率といいましょうか、これ自体は必ずしも全くおくれているというわけではございませんが、それなりにやってきておりますけれども、私どもとしては、計画的な整備促進するということで引き続き現在も指導をしておりますし、今後とも指導をしてまいります。JRの方もそれなりに実態調査をして進めるべく準備をしているところでございます。今後とも指導を続けてまいります。
  202. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今局長が言われたところに、一つ大きな、大事な問題点があるというふうに私も思っております。つまり、私鉄の場合は一応計画を持っているわけですね。平成四年度までにこれこれを実現するというのと同時に、平成四年度からの第八次五カ年計画でこういうことをやる、こういうことをやるというのがあります。そのもの自体につきましても、私は対象駅数が妥当かどうかとか、特に最近要望が強いエレベーターですね、これは極めて弱いのですよ、計画自体が。そういう問題点はあると思っておりますが、より問題なのは、JRにはそういう計画がないということなのですね。まるでないということなのです。今計画的に進めるように指導しているとおっしゃっているが、実際そうなっていませんよ。  先日も東日本の人に来ていただいて状況をお聞きした。そうしましたら、首都圏、いわゆる大都市近郊区間といいますか、大手私鉄と大体競合しているような地域の比較が目安になりますから、全国的にいいますと地方のローカル線とかいろいろな問題があるので、大体そういうところでの状況もお聞きしていったのですが、こういうことなんですね。誘導・警告ブロックとか券売機、こういうものはできるだけ早期にやりたい、しかし、トイレだとかスロープ、エスカレーター等々、こういうものについては全く目標というのはないんだということなんですよ。その後、書面で送られてきたものによると、駅舎改良等の時期をとらえ利用状況等を勘案しながらやっていく、大変抽象的といいますか、ことにとどまっているのですね。  ですから例えば、六月でしたか、エスカレーターの整備指針というのを運輸省は出された。新設駅はもちろんのこととして、既設の駅についてもできるだけ早期に、遅くともおおむね十年程度を目途にというような指針も出されておるわけですが、JRの対応としては、運輸省がどんな指針を出しておろうがJRの判断でこれはやるんだと、別に指針どおりにやるわけでもないんだというふうにしかこれは到底思われないような態度なんですね。運輸省としては今いかにも計画的にやるように進んでいるかのような御答弁があったけれども、ちょっとそれは事実と違うと私は思うのですよ。  局長自身が参議院の九月十九日の運輸委員会で、我が党の小笠原議員の質問に対しまして、なるべく早く計画をつくれというように指導しているとおっしゃっておられたわけですが、それからもう三カ月近くたっておりますが、具体的に局長はどういう指導をされましたか、いつ計画をつくるようにというような指導をされたか、お聞きしたい。
  203. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 今先生の御指摘のように、九月にたしか小笠原先生からそういうお話がございまして、それで、各社の責任者に口頭で、こういう世の中の情勢からして計画的にやれということで、私が伺っている話では、それなりにそれ以降は、JRというのは今まで私鉄のように計画というのになれていないといいますか、つくっていないわけでございます。その前提としては当然実態調査みたいなのが必要でございますので、それをまとめております。それでまとまり次第計画的にいきたい、こういう話を私は聞いております。そういう意味で、実態調査ができてやれればいけるだろうと私は思ってお答えを申し上げました。
  204. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 九月十九日ですよ。実態調査といったってやる気になればほんの短期間でできるのですよ。実態調査といっても難しい何かの調査ではないわけですからね。駅を見て、エスカレーターがあるのかないのか、ブロックがどうのこうのということですからね。だから、余りに遅いのじゃないですか。今の御答弁でいつまでにということはないのですか。
  205. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  実態調査も、あるかないかだけじゃなくて、どれくらいの長さがあって、そこに可能かどうかも含めて調査をしなければいかぬと思います。遅過ぎるという御指摘でございますけれども、私どもも、相手の事情もございますから、いつまでに絶対守れというところまでは実は言っておりませんで、そういう意味では手ぬるいという御批判があろうかと思います。
  206. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、やはりここに一つ問題があると思うのです。もとになっている政府計画、長期計画それから後期重点施策、全部持ってきておりますが、これ自体に、要するにメニューはいろいろあるのですよ、しかし、いつまでにどういうふうに実現していくかという具体的な手だてがないのですね。目標と計画がない、年次計画が。ですから、どの段落もそうですが、大体、充実を図ること、努めることとか、そういうことが多いのですね。いわゆる精神的な努力目標というのか、そういうことにしかこれはなってないのですね。やはり本当に真剣に障害者対策を進めようとするなら、どういうものをどこにいつまでにつくるか、法制上の整備や財源の整備も必要だろうと思うんですが、やはりそういうことをやらなければならぬ、そうでなければ本当になかなか進まないと思うんですよ。  そういう点で、アメリカ障害者法、当運輸委員会でも何度かそのことは出ております。これがやはり参考になると私は思うんです。きょう厚生省に来ていただいていると思うんですが、このアメリカ障害者法の特徴、現物をここに持ってきておりますけれども、私の方から先に言いますと、特徴点としては、社会参加の保障ですから移動・交通の自由の保障ですね、これについて相当大きな柱で位置づけているわけです。それぞれやはり年限を区切って、こういうものは三年以内にやりなさいとか五年以内とかいうような立て方になっているんですね。やはりそれが一つ大事な特徴点じゃないかと私は思っておりますが、厚生省の全体的な見解をお伺いしたい。
  207. 松尾武昌

    松尾説明員 お答えいたします。  ADAの特徴といいますか、大きな内容は四つございまして、一つは雇用についてでございます。それから第二に公共交通機関についてでございますが、交通機関につきましては鉄道やバスの車両や駅舎を障害者が利用可能なものでなければならないとし、段階的にその適用範囲を広げていく、こういうようになっております。第三としまして、レストラン、ホテル等の公共施設についての規定がございます。第四に、電話会社におきます聴覚障害者のリレーサービスの内容がございます。  公共交通機関のところで特徴的なものを申し上げますと、例えば新規に発注されるバスや車両は、障害者がアクセス可能、つまり利用可能なものでなければならない、これは一九九〇年八月二十五日から実施をする、こういうように規定をしております。それから、一列車当たり一車両がアクセス可能でなければならない、これは一九九五年七月二十六日から実施をする、こういう内容で、いろいろな面にわたりまして規定をしております。  以上でございます。
  208. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今言われた点なんですね。非常に厳しい指摘になっておりまして、例えば一列車に一車両は障害者が自由に利用できるものでなければならぬというところでは、それをしなければ差別とみなす、これは、差別とみなすというのは各条ごとにあるぐらいの厳しい規定なんですね。そして三年あるいは五年、もちろん長いのには例外的に三十年というのもありますけれども、その場合も、そのうちの二十年目には三分の二が達成していなければならぬというように決めるとか、非常に具体的なわけですよ。私は、やはりこういうようにはっきり年次計画を持っていく、これが大事だというふうに思うんです。  日本の障害者法の体系でいいましても、基本法には「個人の尊厳」とかいろいろありますが、同時に福祉法では、「すべての障害者は、社会を構成する一員としてあらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。」となっている。それで基本法の八条では、「政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」こういうことが決められておるわけですが、実際にはなかなかそういう強力な措置はとられていない、せいぜい関係省庁による行政指導ということにとどまっていると思うんですね。やはりここを変える必要がある。運輸省の領域でいいましても、空港の場合は整備五カ年計画とか港湾の五カ年とか、ほかの分野でも下水道とか、やはり皆年次計画を決めてやるわけですね、そうしなければうまく進まないから重視してやるわけですね。ところが、この障害者の施策の場合にはそういう点がそうなっていないわけですね。  そういう点で、これは大臣のお考えをお聞きしたいんだけれども、「国連障害者の十年」が来年で終わると、当然これから新しい、十年にするかどうかは別にして政府としても計画が必要だろうと思うのですね。そういう際にきちっと年次計画的なものを据えたものをやはりつくる必要があると思うのですが、その点、大臣はどう考えておられますか。
  209. 奥田敬和

    奥田国務大臣 年次計画を立てて整備していくという基本的な姿勢に対しては全く賛成でございます。  しかし御存じのように、今JRと民鉄関係の比較の数字が並べられましたけれども、JRの立ちおくれという形は歴然としておるわけですから、これを何とか、障害者用のトイレなり改札口あるいは点字券売機とかそういった諸施設整備を、第一の目標としてはせめて民鉄並みの線ぐらいに直ちに持っていけるようにできるだけJR各社と協議してまいりたいなと今思っておりました。  それから次の段階として、今JR各社は上場目がけて、そういった大事な福祉施設の投資という形について、多少それよりも現実的な利益を上げるために頑張っておるのかもしれませんけれども、そういった点も含めまして、十分福祉施設の対応におくれをとらないように、できれば年次的にめどをつけながら持っていきたいなと今思っておったところであります。
  210. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 JRに対していろいろな形で指導なりをしていただく上でも、私はぜひこういう事実があるということを問題にしたいのです。これは本当に障害者の方が憤慨して話しておられたので言うのですけれども東京のJR新宿駅、大臣は余り詳しく御存じないかもわかりませんが、南口というのを大改良したわけですよ。それはいいんです。  その際に、大改良の計画があるということを聞いて新宿の障害者団体の方、これは半ば公的なもので新宿区障害者団体連絡協議会というのがあるのです。いろいろな障害の方が入っておられる、視覚も聴覚も、その他いろいろな車いすの方が入っておられるわけですが、この団体の方がJR東日本に駅の増改築に当たって私たち要望を聞いてほしいということを申し入れたら、私は名前も聞いてわかっていますが、この場では言いませんけれども、JRの人は一切障害者団体の人とは会わないとはねつけたというのです。そんなばかな話があるかと思うのですね。この障害者団体の方も憤慨して、そんなことはないだろうということで繰り返し折衝されて、それじゃ電話でだけなら要望をお聞きしましょう、会わないが電話だけなら要望をお聞きしましょう生言ったというんですよ。私は、JRが障害者対策に力を入れます――力を入れますとも余り言ってないと思うんだな、現状は。  いずれにしても、そういうふうにさせないというふうに運輸省は言っておられるわけだけれども、こういう姿勢では論外だと思うのですね。こういうことはやらせない、こういう態度はとらせないということを厳にやってもらいたいと私は思うのですが、大臣、どうですか。
  211. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そのようなことはないと信じていますけれども、もしありとすれば、そういうことはやらせないように指導してまいります。
  212. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それで、ちょっと具体的な問題といいますか、私は今、一つの論点としては、きちっと目標を持って年次計画を持って進めることが大事だということを申し上げたのですが、もう一つ、いろいろ施設整備を進める上で、本当に障害者の身になってというか、本当に心のこもった、魂のこもったことをやらなければうそだということなんですよ。  これは新宿駅の例です。とにかく新宿駅は、今一日の乗降客が乗りかえを含めて百九十万人です。すごい駅ですね。日本一ですし、都庁舎が移転したこともありまして障害者の方の新宿駅の利用も大変多くなったのですよ。その駅の実態がどうなっているかということで見たのですが、例えば、誘導ブロックというのは大臣ももちろん御存じですよね、このつぶつぶ、ぼつぼつの。あれが新宿駅の場合には、南は別ですよ、新しくしましたから。これまで、従来からあるところは誘導ブロックがホームにしかないのです。  運輸省が「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」というのを八三年に出された、さっきから話も出ていますが、この中には非常に詳しくブロックはどうつけなければならぬかというのが書いてあるわけです。図までここに出ておりまして、まず切符売り場ですね、今は券売機ですが、それから改札、改札を入ってコンコース、階段を上ってホームというところに誘導ブロックをつけなければならぬということまで詳細に出ているのです。しかし、ホームにしかないのですよ。一方、西口へ出ますと、小田急、京王には改札の前から誘導ブロックがあるのです。JR構内は一切ないのです。違いが歴然としているのですね。  今は西口に都庁ができましたから都庁行きのバスが来るのですよ。超低床のバスだというふうに運輸省で言っておられるが、障害者がずっと乗れるバスが来るのですね。ところが、JRの構内から超低床のバスの乗り場に行くガイドもないのです。ブロックもないのです。これは莫大な金がかかるとか大変な工事が必要というのじゃないのですよ。本当にやる気になれば短時日で可能なんですね。これは一つの例です。  あるいはもう一つ、二つ言っておきたいと思うのだけれども、今券売機がありますね。大体点字シールを張るのは常識になってきています。これは視覚障害者のためですね。車いすの方も券売機を利用するわけです。ところが、皆さん駅に行って券売機を見られたらわかると思うけれども、こういう壁の上に券売機の表面が出ておるでしょう。車いすで行きますと、前がつっかえて手が届かないのですよ。こんなことは考えればすぐわかる話でしょう。横向きになれば届くかわかりませんが、雑踏で込んでいてそんな余裕はないですよね。私は念のために運輸省のガイドラインをよく読みました。これにはけ込みをつくれ、車イスの頭が入るようなけ込みをつくれというのが図解までして載っていますよ。これもやっていないわけですね。本当に気持ちが入ってない。こういうことはほかにもいろいろあるのです。  余り時間がありませんからそう詳しくも言えませんけれども、もう一つぜひ言っておきたいのは、エレベーター問題。今エスカレーターの工事一つやっていますね、山手線の内回りですが。それはそれとして、最近は高齢者の方がふえられたこともあり、エレベーターの要望が大変強いのですね。アメリカその他へ行きましても、地下鉄などは各駅にエレベーターがあるというのは常識になってきている。ところがこの新宿駅には、そういうように障害者の方が自由に使えるエレベーターというのはJRのものとしてはありません。JRはあると言いますが、それは駅の事務室の中へ、細いところへ入っていって駅の人が使うためにつくられたエレベーターがあるだけなんです。それを使ってくださいと言うが、とてもじゃないが使えるものじゃないです。  だから、隣設のデパートのエレベーターを使っているのが実情です。ところが、こういう状態になりますと、デパートがお休みの日はエレベーターが使えないということなのです。普通のエスカレーターでは車いすは上りおりができないのです。特別の装置、改良が必要です。そうなると、あとは周りの人にお願いして抱えて上がってもらうということになるのです。ですから、今後の駅施設を考える上では、私はエレベーターの位置づけというのをぜひきちっとやる必要があるというふうに思います。  ところが、この問題でもこういうことがあったのです。実は、内回りホームに今エスカレーターをつけているところですが、エレベーターの要望が障害者の中から出たわけです。それに対してJRの担当者がどう言ったかというと、エレベーターの設置は技術的に可能ですと言われたんですよ。費用面は、私は別途調査しましたが、エレベーターはエスカレーターより決して高くはありません。何メートルの場合というのを皆原価も聞きましたけれども、高くはないのです。ただ、そのときにJRの担当者が言われたことは、エレベーター工事をやりますと、その間一般乗客に迷惑がかかります、だからエレベーターはつけられませんという答え方をしたんですよ。これで障害者の方は猛烈に怒っておられる。それこそ差別の思想じゃないか、一般乗客が一定期間若干混乱するから障害者辛抱せよ、そういう考えなのかと言われているのです。私は当然だと思う。そこの考えを転換しなければ国際障害者年じゃないですよ。  幾つかの点を挙げましたが、これは運輸省に早急に改善を指導していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  213. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 ただいま先生から具体的にいろいろ御指摘いただきました。必要なものは調査もいたしますし、今後ともぜひ指導を続け立派な成果が上がるように努力いたします。
  214. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そのガイドラインに反して、ガイドラインどおりにもやっていないという点はどう思いますか。例えば券売機の問題でもいいですよ。け込みもつくらない、点字シールだけ張って、障害者対策は十分やっておりますというような顔をされても現実には困るわけです。少なくともああいう大きな訳ならば一カ所、二カ所、車いすで買えるような場所をつくるのが精神じゃないですか、局長、どう思いますか。
  215. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 先生おっしゃるとおり、心のこもったといいましょうか、そういう対応がされてないという面もあろうかと思います。その辺も含めましてJRをよく指導いたします。
  216. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大体時間が近づいてきましたから、最後に申し上げたいと思うのですが、日本の障害者対策、具体的な町づくりとか交通機関その他ありますが、非常におくれているというのは、今国際的にも話題になっているのです。  実は八月二十八日に、障害列車のひまわり号というのがありますね、十周年記念のシンポジウムというのが開かれたのですよ。マクドナルドさんという方がそこに出席された。この方は元アメリカ国連大使ですが、同時に「国連障害者の十年」の決議の起草者なんです。私ども日本の実情を見るというので来られて、本当に日本の実情は障害者にとってひどい、障害者が自由に歩けない町だと強く批判をしておられたということなのです。それで感想的におっしゃっていたことは、日本は経済大国だ、エレベーターの問題一つにしても、本当にやる気があればできるものだ、お金の使い方が間違っているのじゃないかということまで言っておられた。東京駅も行かれたそうです。エレベーターがありますよというので行ったところが、何か地下の薄暗いようなところをしばらく歩かされて、これがそうですと言われたエレベーターは、もともと荷物用のエレベーターなんですよ、東京駅のホームのエレベーターというのも。人間用のエレベーターではなかったというようなことも指摘をされているわけです。  繰り返しますが、経費が大変かかるからできないとか、いろいろを言いわけがあります。この問題について国としての強力な支援措置といいますか、そういうものも必要だろうと私は思いますし、何よりも年次計画の目標を立ててやっていくということですね。そういう点で、来年「国連障害者の十年」は一応終わるわけですけれども日本政府として、さらにこの十年間の教訓を生かして、充実した本当に日本人国際社会で胸を張って歩けるような計画をぜひ策定し推進していってもらいたいというように思いますが、最後に大臣のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
  217. 奥田敬和

    奥田国務大臣 国際批判にたえ得るような立派な施設整備を心がけて、でき得れば年次計画等々を立て得るような方向で努力してみます。
  218. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 以上で終わります。
  219. 久間章生

  220. 高木義明

    高木委員 私は四つのテーマについてお尋ねをいたします。  一つ空港問題でございます。  御承知のとおり、航空審議会が十一月二十八日、第六次空港整備五カ年計画答申をいたしました。二十九日には閣議決定がなされております。この内容を見てみます失特に、まず第一点で成田羽田、関西の三大プロジェクト推進をしていく、二つ目には中部新国際空港については調査に着手をする、三つ目は既設の新広島、仙台などこういった空港の拡張整備を行う。そして大館能代、小笠原、静岡、びわこ、神戸、新石垣、こういったいわゆる地方空港につきましては条件つきで新設をする、こういうことになっておる点であります。  特に私が注目したいのは、いわゆる多極ネットワークの形成を推進するという我が国航空交通政策の観点から見ても、私は地方空港のこの部分というのは極めて重要であろう、このように思っております。いわゆる地域振興の核としてこの飛行場が果たす役割、それぞれの自治体ではそういう上に立って熱烈な誘致の運動があっておるのもそのとおりでございます。  しかし、需要とか環境あるいは空域の調整、こういった課題がたくさんあるわけでありまして、今後地方自治体としましても克服すべき多くの問題が横たわっております。しかし私はこの課題をそれぞれ解決をしながら、国としても十分な指導、支援を講じて早期の実現を果たすべきだ、このように考えておるわけでありまして、これらの答申あるいは閣議決定の内容につきまして、当局の今後の取り組み、決意についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  221. 奥田敬和

    奥田国務大臣 六次空港整備計画については、せんだって閣議決定を見たところでありますけれども、今回の決定に当たりまして、各地方から新規空港を含めて大変要望が強うございましたけれども、おおむねその形を整えることができたと思っております。      ――――◇―――――  もちろん大きな三大空港整備プロジェクトは別といたしましても、地方拠点空港つく力を進めるという形はまさに一極集中排除のそういった国土政策からいっても肝要でございます。そういうわけで、内外皆さんからはこれは非常に期待を持って喜ばれましたけれども、一番今大事なことは、先生が御指摘のとおり、それぞれの各自治体協力、環境問題等々を含めて、早く予定事業から着手事業に移れるように、この五カ年の間に拠点空港整備が満足のいける方向完成することを願っております。
  222. 高木義明

    高木委員 この空港建設で一つ大きなポイントがありますが、今建設中の関西国際空港について、これは当初九三年の三月に供用開始、こういう目標でありましたのが、いわゆる地盤沈下が大変激しい、したがって一年ずれ込んで九四年になる模様だ、こういうふうに言われております。そういう意味では、漁業補償あるいは地盤対策、こういった経費が予定以上に増加をしておりまして、当初計画の何と五〇%増ということも言われておるわけでありまして、空港経営に当たりましてはその負担が大きな悩みの種になっておると言われております。  しかし、地元関係者の努力によりまして何とかその開港にこぎつけたいと今努力をされておるわけでありますが、こういうものを見ましても、私は今環境問題というのが空港建設にとって大切な課題であろうと思っております。したがいまして、それまでも一部言われてまいりましたが、そういう環境問題を十分考慮したいわゆる浮体工法による空港建設については、今後十分に考慮してかかるべき問題ではないか、このように思っておりますので、その点について当局のお考え方を聞いておきたいと思います。
  223. 松尾道彦

    松尾政府委員 浮体工法問題ですが、今先生指摘のように、関西国際空港のときにも若干問題になったわけでございますが、将来の維持運営あるいは運航の安全、信頼性ということから現在の埋め立て方式になったわけでございます。  今私どもの承知しておるところでは、空港建設について浮体工法という格好での具体的なプログラムはございません。しかし、小型の例えばヘリポート問題について、浮体工法についても私どもも内々に勉強をしておる段階でございまして、今後の研究を見守りながらよく検討していきたい、このように考えております。
  224. 高木義明

    高木委員 今後十分な研究を重ねていただきたいと思っています。  二つ目のテーマは、整備新幹線について若干質問をいたします。  運政審の総合部会の答申におきましても、いわゆる「幹線旅客交通システムの構築の基本的方向について」と題して、高速鉄道ネットワークヘの再構築を推進するため、国土の基軸となる新幹線ネットワークの形成どこれに連携する在来鉄道の高速化を図る、こういうことを明らかにうたっておるわけであります。具体的には何といっても整備新幹線の建設の推進になるわけでありまして、既に整備三線につきましては基本スキームに沿いまして今世紀中をめどに整備推進するということでございます。  しかし、その他の整備計画のあるルートについては、調査をするということで、このたび十一月に出されました運輸省の「運輸経済年次報告」におきましても、いわゆる整備五線の中の三線を除く部分につきましてはほとんど触れられてないと思ってもいいような記載の仕方でございました。いわゆる北海道、北陸の小松以西、九州・長崎ルート、こういったところにつきましてはもう忘れられたんじゃないかというふうなことさえ言われるような始末でございます。  この辺について一体どうなっておるのか。私は少なくとも整備五線につきましては完全にやり遂げる、こういうことが大切ではないかと思っておりますが、この点についていかがお考えですか。
  225. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘いただきましたように、運政審答申、あるいは先ほどちょっと話が出ました四全総におきましても、やはり将来とも日本交通体系の骨として高速鉄道を中心としたネットワークをつくるべきだという御指摘はそのとおりでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、この十月に鉄道整備基金というものをつくりましてとりあえず三線三区間、御指摘の区間の着工に入ったわけでございます。それから、そのほかの残りで未着工区間のうち、北陸新幹線の金沢―高岡とか魚津-糸魚川につきましても着工に向けての諸手続が今進められているところでございます。  それから、先生ただいま御指摘北海道、それから北陸新幹線の西の方、それから九州・長崎ルート、これは今忘れたのではないかという御指摘でございますが、そんなことは決してございませんで、いわゆる整備新幹線の建設推進準備事業費というのをきちんと計上いたしまして、必要な技術調査、環境調査等を着実に進めていくという方針でやっております。
  226. 高木義明

    高木委員 今申されましたように、平成三年度予算にはいわゆる長崎ルートなどについては建設推進準備事業費二十億円というのが予算計上されておりますが、具体的にその二十億円の進捗状況なり内容等について、どの程度成果が上がっておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  227. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 手元の資料でございますけれども、ちょっと具体的になりますので恐縮でございますが、例えば北陸新幹線の部分でございますと、輸送調査から始まりまして経済調査、運転計画調査、それから技術調査、自然条件調査の方では地質、概略設計、航空測量、こういうような調査をいろいろやっております。例えば九州新幹線の福岡長崎の間でございますと、輸送調査、経済効果調査、それからトンネルの施工工法調査というような各項目につきまして具体的に研究をしているところでございます。
  228. 高木義明

    高木委員 時間がありませんのでこれ以上突っ込みませんけれども、そういう調査をされましたら、それを建設の方向に生かすような、そういう形でさらにひとつ努力をいただきたい、これは強く要望をしておきたいと思います。さらに、JR九州あるいは地元自治体とも十分連携をとりながら、今陸路となっている問題の解決に向けて国としても十分力を注いでいただくようにお願いをしておきたいと思います。  次に、物流問題についてお尋ねします。  最近の物流業をめぐりましては、労働力不足の深刻化、道路混雑の激化、環境問題、こういったいわゆる制約的な要因が非常に目立っております。特に、労働力不足の問題につきましては、これはもう深刻であって、このまま放置するといわゆる円滑な輸送サービスの提供に支障を来す、こういうおそれが強まっております。  運輸省でも昨年の十二月の運政審物流部会答申に沿って諸対策を検討していると思われますけれども、この問題について二つの方向があると思います。一つは労働力の確保をどうするのか、第二は労働力不足に対応した物流の効率化をどうしていくのか、こういうことであろうと思っておりますが、この点について運輸当局の考え方を示していただきたいと思います。
  229. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 労働力不足問題が深刻化しているというのは先生の御指摘のとおりで、私どもも同じ認識を持っておるわけでございます。  これに対する対策につきましては、昨年の十二月に運政審の物流部会から答申が出ておりますが、その答申の柱は、これも先生仰せられましたのと同じでございますが、二つございまして、一つは人を集めていくというか労働力を確保していく、このために魅力のある職場をつくるとか、あるいは中高年齢の方を活用するとか、そういう人を集めていく、確保していく面の対策、それからもう一つは、限られた労働力というものを効率的に使うために物流の効率化を進めていくための施策、この大きな二つの施策に沿いまして各種の提言がなされておりまして、これに従って運輸省としても対策を進めているところでございます。
  230. 高木義明

    高木委員 労働力不足に対応した効率化の中に、これまでもよく言われておりますが、いわゆるジャスト・イン・タイム・サービスというのがございます。この見直しというのが今大きな課題一つとされております。  このジャスト・イン・タイム・サービスというのは、在庫費用の圧縮を通じて物流コストの低減を図るということでは大きく寄与しておりますけれども、こういうことについての問題点、いわゆる運政審答申の中でも、物流の効率化、省力化の面からもある意味ではマイナスの面が指摘されておるわけであります。したがって、この問題について何とか対策を講じなければならないという動きは、それはそれで必要なことだろうと私は思います。しかし、このシステムはいわゆる生産、流通、販売、こういった各段階に大きな影響を及ぼすことも事実でありまして、私は慎重を要すると思うわけであります。  運輸省として、具体的なこのシステムの見直しに関してどのようにお考えなのか、お聞きをしておきたいと思います。
  231. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 ジャスト・イン・タイムにつきましては、仰せのように在庫コストを削減するということがねらいで、産業側つまり生産なり販売側から出てきたものでございます。しかしながら、その在庫コストを削減するために何回も持ってくるということが前提になっておりましたところが、労働力不足であるとかいろいろな事情で、やはりそういうことが現実に要請をしてもできないという事態になってまいりました。また、できても非常に高いコストになりまして、結果的に物流コスト全体を圧縮するという目的が達成できない、あるいは道路混雑であるとか環境問題であるとか、別の問題を生むというようなことで、いろいろな問題が出てまいりました。やはりこのままではだめだということなのでありまして、それは物流だけでなくて、産業界もよく御認識を持っておられるところでございます。  しかし、仰せのように生産のやり方、販売のやり方の一環として物流をそういうふうにするということでできた仕組みでございますので、物流側だけで直る問題ではございません。産業側と物流側で一緒になって考えなければならない。物流というものを生産なり販売の一部としてきちんと位置づけて、どういうふうにしたら一番効率的なのか、限られた労働力なりいろいろな制約要因の中でどういうふうにすれば一番いいのかということを、やはり物流業界、産業界両方で考えなければならない。  幸い、さっき申し上げましたようにそういう機運が盛り上がってきておりますし、物流業の方も、ことしの九月に物流業全体横断的にいろいろな施策を進める物流団体連合会という組織もできました。こういうような組織を通じて産業側とよく相談をしながらやっていかなければいかぬ。運輸省も、関係官庁と協調いたしまして、それぞれの業界をそちらの方向に向かって指導してこの問題に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
  232. 高木義明

    高木委員 物流の効率化のもう一つの流れとしましては、幹線輸送においては、いわゆるトラックから鉄道、内航海運へのモーダルシフト、そしてまた都市内輸送につきましては、自家用トラックから営業用トラックヘの転換、あるいはまた輸送・配送の共同化、こういったことも考えられておりますけれども、これらについて運輸省としてどう取り組んでおられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  233. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 モーダルシフトにつきましては、トラックの部分を鉄道や海運に変えていかなければなりません。したがって、それを受けるための鉄道の輸送力なり海運輸送力というものがきちんと整備されていくということが大事でございます。そういう意味で、例えば鉄道の列車を長編成化して輸送力をふやすとか、あるいは海運のコンテナ船やローロー船をふやして輸送力をふやすというようなことで、そういう基盤整備というのを運輸省として推進をしていきたいと思って現に取り組んでいるところでございます。  また、都市内の物流の合理化につきましては、トラックの積み合わせということを推進していく必要があると思っておりまして、そのためにはやはりその拠点になる配送センターが必要であろうというふうに思っておるものですから、そういう配送センターの整備に対していろいろな格好で支援をすることによってこの問題に取り組んでいきたいということで進めているところでございます。
  234. 高木義明

    高木委員 海運界においての物流の効率化、いわゆる新物流システムとしまして大型超高速船、テクノスーパーライナーの開発導入が要請されておりまして、現在その推進が官民挙げて行われておるわけであります。九二年度には実海域模型船が建造着手されます。既に各地方自治体におきましても、北海道宮崎新潟、九州におきましてもそういったテクノスーパーライナーの誘致検討も開始されておるという流れになっております。  したがいまして、運輸省として、そのテクノスーパーライナーの取り組み状況、そして就航見通しなどにつきましても、この際お示しをいただきたいと思います。
  235. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 テクノスーパーライナーの開発につきましては、目的としまして、一つは船舶に関する技術開発を通じて造船業の活性化を図る、もう一つは、ただいま先生から御指摘ありましたモーダルシフトを推進していく、そういう目的を持ちまして、平成元年度から、速力五十ノット、時速九十三キロ相当でありますが、それで千トン積み、それを目標に開発を進めてまいっております。  この実施主体としましては、造船大手七社を組合員としまして研究組合を結成しまして、研究計画も三年目に入りまして、開発は非常に順調に進んでおります。  今後の予定になりますが、来年度は船体構造とかあるいは推進方式、そういった基礎的な研究開発を終了いたしまして、その後の研究の進め方としましては、大型の模型船を建造しまして、実際に海上を走らせまして、それで技術的な問題点をすべて解決する、そういうようなことで進めたいと思っておりますが、大体その模型船の海上実験が平成六年度ごろには終了できるだろうと思っております。そういうことで、実際にテクノスーパーライナーの就航の目途としましては、一九九〇年代後半、早ければ九八年ごろには可能がな、こういうことで一生懸命進めているところでございます。
  236. 高木義明

    高木委員 ぜひ目標に到達できるように、その促進お願いをしておきたいと思います。  そこで、このテクノスーパーライナーは、早ければ一九九八年ごろに就航するということでございます。それこそ物流の新革命と言えるものであろうと思っておりますが、ここで大事なのは、このテクノスーパーライナーとともに、それが寄港する港湾整備であります。港湾整備はかなり自動化された近代的なものでなければなりません。したがって、この整備も、これは年月のかかることでありますので、このテクノスーパーライナーが実際に就航するときには港湾整備は終わっておるということが必要ではないか、むしろ、そのことがたくさんの経費と努力をされた結果に即応するものではないかと私は思っておりますので、この港湾整備についてどうお考えであるのか、お示しをいただきたいと思います。
  237. 上村正明

    ○上村政府委員 テクノスーパーライナーに対応しました港湾のあり方につきましては、港湾局としましては既に調査を開始しているところでございます。先ほども話題になったところでございますが、一九九〇年代の後半には実用化の見込みということでございますので、私どもといたしましては、今後とも海上技術安全局の方と連絡をとりながら、具体的な方策について結論を出して、テクノスーパーライナーが円滑に就航するように努めてまいりたいと考えております。
  238. 高木義明

    高木委員 ぜひ高速貨物船と同様に、港湾整備につきましても先手先手の対応をお願いをしておきたいと思います。  最後になりますけれども海運と関連をしますが、いわゆる地球環境問題については、これはもう今キーワードとも言われておる重要な課題であります。二酸化炭素による温暖化、あるいは窒素酸化物による大気汚染、こういったものにつきましても、この運輸交通の分野におきましても私は大切な課題であろう思っております。  したがって、こういった環境問題をめぐる内外の動きが著しい中で、運輸省としまして、これらの問題についてどう考え、どう対応していくのかという基本的なスタンスについてお尋ねをしておきたいと思います。
  239. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 地球環境問題につきましては、運輸省としましても、国際海事機関などの関連国際機関と協力しながら積極的に取り組んできたところでございます。  具体的には地球温暖化、海洋汚染防止などの、地球環境問題に対応するため、気候変動に関します観測・監視・予測体制の充実強化、それから先ほどから説明させていただいておりますモーダルシフトの推進、また海洋への油流出規制の強化など、各般の施策を積極的に進めております。
  240. 高木義明

    高木委員 今お答えの中でありましたように、特に油流出の防止につきましては、これはタンカーの二重船殻問題が注目されております。いわゆる海洋汚染防止という法的規制の問題になるわけであります。  御承知のとおり、国際海事機関によりましては、タンカーの二重船殻構造、いわゆるダブルハル方式の採用は、新造船については三千重量トン以上の採用が基本的に了承されておる、そして、既存船への規制の具体的内容を含めて、一九九二年三月には条約が決定する、こういう方向にあると言われておりますが、こういった国際動向についてどのようにとらえられておるのか、お尋ねをいたします。
  241. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 ただいま先生から御質問ございましたように、この問題はそもそもアラスカ湾で発生しましたアメリカのエクソン・バルディーズの事故がきっかけになっております。そういうことで、その後国際海事機関において検討が進められているわけでございますが、この国際海事機関での検討につきましては、海洋汚染防止条約というのがございますが、これを改正しまして、新しく建造される油タンカーに対してはダブルハルを強制する、それから現存船についても何らかの措置を強制する、そういった方向で今検討が進められております。  我が国としましても、これにつきましては、造船国として相当の技術力を有している、また世界有数の石油輸入国であるということから、この検討については非常に積極的に対応しているところであります。  今後の見通しということになりますが、先生からお話ございましたように、早ければ平成四年の三月にこの条約改正が採択され、平成五年の七月ごろに発効するというような予定でありますが、私どもとしても、できるだけ早くこの条約改正が採択されることを希望しまして、前向きに取り組んでいるところであります。
  242. 高木義明

    高木委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、いわゆるタンカーの二重船殻問題等につきましては、それなりの技術開発支援ということも大切な課題でございますし、今後ともひとつこれまで以上に強力に取り組んでいただきますように要望しまして、終わります。  ありがとうございました。
  243. 久間章生

    久間委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会