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説明員(寺田逸郎君) 多少
技術的な問題でございますので、私から御
説明させていただきます。
旧法は、そもそも法律の書き方自体が
土地の所有者と
借地権者ということですべて法律の規定がございますしからば、
土地の所有者でない、人から借りた人がさらに第三者に貸す、これはどういう法律
関係になるかと申しますと、これもやはり
借地権であることに逢いないわけでございます。ただ、そのことを旧法はどういう形で明らかにしているかと申しますと、全く明らかにしている規定は実はないわけでございます。もっとも旧法は、旧法と申しますか現行法でございますが、第八条におきまして「
借地権者カ更二
借地権ヲ設定シタル場合二之ヲ準用ス」という規定がございまして、いろいろな制定のいきさつを考えますと、この規定自体が命のような法律
関係、つまり人から借りた人が第三者に貸すという場合の借りた人とさらに借りた人、この二人の
関係をも規律するという
意味で制定されたのではないかと疑われる余地があるわけでございます。
しかし、その後の解釈論を見ますと、現在ではほぼ争いがないと理解してよろしいのではないかと思いますが、今申しましたように、人から借りた人がさらに第三者を相手にして貸し借りをする、このような
関係もすべて
土地所有者と
借地権者、つまり借りている人が
土地所有者で、さらに借りている人が
借地権者、こういうように条文自体を読むということになっております。
しからば、第八条は何を規定しているかということになりますと、これは例えば
更新の請求がある場合に、当然のことながら第三者がさらに借りている場合には建物は第三者の建物なんです。そういう建物が建っている場合に、例えば現行法の使用継続の
要件に当てはめてみますと、第三者が使っているのに借り主が使っていると同じように見られるかどうかという解釈論上の疑義がございます。その疑義をこの第八条がカバーしているんだ。つまり、第三者である転借人が使っていても貸借人が使っていると同じように評価して、貸借人ともとの
土地所有者との間の賃貸借
関係の使用継続による法定
更新があるかどうかということを決めるというのがこの第八条の実質的な
意味だというように現在では解釈されております。
しかしながら、このことを第八条だけで読むには新しい法律をつくったというのに甚だ不親切だというように考えまして、したがいまして、今回はそもそも定義におきまして、
土地所有者に当たる者は
借地権設定者、その者から借りている者を
借地権者、こういうように定義自体を変えまして、さらに今言いました三者
関係になる場合に転
借地権という新たな定義を設けまして、転
借地権者と
土地所有者はどういう
関係に立つのかということを明らかにしたわけでございます。
したがいまして、今御
指摘になりました五条の第三項におきましては、今私がまさに申し上げましたような
関係が明らかにされておるわけでございまして、使用継続の有無については、第三者であります転
借地権者が使っているのはその転
借地権者の利用自体を
借地権者の利用、こういうようにみなして、もとの
土地所有者と
借地権者の間の法律
関係における
更新の有無を
判断する、このような
意味が第三項の
意味でございます。
なお、ただ一言付言しなければならない点がございますのは、長くなって恐縮でございますけれ
ども、新たに
意味が出てきた規定が幾つかございます。
それは、例えば現在、建物買取請求権の規定がございますけれ
ども、転貸借が行われている場合に、転借人であります第三者が建物の所有者でございますが、その者が建物買取請求権を有するかどうか、つまり条文上は
借地権者が建物買取請求権を有している、こう書いてあるのに、転借人であります第三者が建物買取請求権を有するかどうかという解釈論上の疑義がございます。これは現行法の枠内では解決されておらない問題でございまして、ただ有力な解釈論としてそれは当然有すべきだと、そうしないと借方でいる人も建物買取請求権を持ってない、転借人も持ってないということではまことに投下資本の回収に不合理ではないかという有力な意見がございます。その意見に従いまして、今回は新たに建物買取請求権の規定、これは十三条でございますけれ
ども、十三条の第三項で転
借地権者と
借地権設定者、先ほど申しました
土地の所有者と転借人、これの間において準用するということの
意味は、第三者であります転借人が
土地所有者に直接建物買い取りを請求することができる、こういうような
意味でございまして、このような
意味では現在よりもさらに借りている側に保護が厚くなっているというように御理解いただければと思います。