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1991-10-17 第121回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十月十七日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   委員異動  十月十五日     辞任         補欠選任      猪熊 重二君     針生 雄吉君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         永田 良雄君     理 事                 北  修二君                 菅野 久光君                 三上 隆雄君                 井上 哲夫君     委 員                 青木 幹雄君                 大塚清次郎君                 熊谷太三郎君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 星野 朋市君                 一井 淳治君                 大渕 絹子君                 谷本  巍君                 村沢  牧君                 刈田 貞子君                 針生 雄吉君                 林  紀子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   近藤 元次君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    説明員        外務省経済局長  林  貞行君        農林水産大臣官        房長       馬場久萬男君        農林水産省経済        局長       川合 淳二君        農林水産省経済        局統計情報部長  須田  洵君        農林水産省構造        改善局長     海野 研一君        農林水産省農蚕        園芸局長     上野 博史君        農林水産省畜産        局長       赤保谷明正君        農林水産省食品        流通局長     武智 敏夫君        林野庁長官    小澤 普照君        水産庁長官    鶴岡 俊彦君        気象庁総務部企        画課長      山本 孝二君        気象庁観測部管        理課長      櫻岡  勉君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (台風第十七・十八・十九号による農林水産関  係の被害状況及び対策について)  (当面の農林水産行政に関する件)  (台風による農作物等被害対策に関する決議  の件)     ―――――――――――――
  2. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、猪熊重二君が委員を辞任され、その補欠として針生雄吉君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  この際、前回に引き続き、台風第十七、十八、十九号による農林水産関係被害状況及び対策について政府から報告を聴取いたします。馬場官房長
  4. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) お手元に配布してあります資料に基づきまして、台風第十七号、十八号、十九号による農林漁業関係被害について御報告申し上げます。  まず、被害概況でございますが、台風第十七、十八、十九号により九州地方及び東北地方中心全国的な広い範囲にわたって農林水産業関係に大きな被害が発生しました。その被害額は、現在調査中ですが、十月十四日までの都道府県報告によれば、果樹等農作物森林等を含め農林漁業関係総額六千億円を超える状況となっております。  次に、災害対策本部設置状況でございますが、十月一日本省内農林水産省災害対策本部を設置するとともに、九州中国四国東北地方農政局災害対策本部を、林野庁災害対策推進本部水産庁災害対策連絡会議をそれぞれ設置し、被害状況把握対策指導に万全を期しているところでございます。  次に、現地調査でございますが、被災後直ちに東北、関東及び九州地方主要被災地にそれぞれ審議官クラスをベッドとする調査団を派遣し、被害状況の迅速、的確な把握に努めましたほか、その他の全国の主な被災県についても担当者を派遣し、被害状況調査しているところでございます。また、特に果樹被害につきましては、深刻な状況を示しております県に対しまして、本省及び地方農政局担当官並びに果樹試験場のエキスパートによる特別なチームを派遣して、被害状況調査及び技術指導を実施してまいることとしております。  次に、これらの被害に対して現在までに講じた措置といたしましては、被災農林漁業者実情に応じた既往貸付制度資金償還条件の緩和の指導自作農維持資金等融資枠の確保等金融対策農業共済金等早期支払い指導等共済対策果樹水稲等について各県等に対する技術指導を行っているところでございます。  最後に、これらの被害に対します今後の対策等についての考えでございますが、被害状況の迅速、的確な把握に努めているところであり、取りまとめの結果を待って天災融資法発動等について検討するとともに、農地・農業用施設森林治山施設、漁港、漁業用施設等災害復旧については、現地準備が整い次第早期査定を行い、被災箇所早期復旧に努めるなど対策に万全を期してまいる考えでございます。  以上でございます。
  5. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 以上で報告の聴取を終わります。  これより本調査に関する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 三上隆雄

    三上隆雄君 私は、ガット・ウルグアイ・ラウンドでいろいろせっぱ詰まった問題がございますけれどもさき台風十七号、十八号、十九号の被害甚大にかんがみまして、特に青森県の被害は今までの歴史にないような大きな被害を受けたわけでありますから、その問題を主として質問いたしたいと思います。  今回の一連の台風被害については全国的に甚大な被害をもたらしたわけでありまして、被災者に対して心からお見舞いを申し上げる次第でございます。なおまた、政府及び社会党の調査団そして自民党、各党の調査団がいち早く現地を訪問され、現状をつぶさに見ていただいて、その復旧あるいは救済に当たっての熱意のあるところを示していただいていることに対して心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  なおまた、ただいま馬場官房長から被害状況について全国的な報告がございました。私どもも大変な被災状況にありますけれども全国的にこのような被害、六千億という被害をもたらしている。しかし、きのうの衆議院質問のやりとりで、近藤大臣からは七千億を超えるのではないかというようなそのような被害をもたらしたわけでございまして、何とかこの被災者に温かい政府援助措置を講じていただきたい。このことから、きのうの衆議院委員会でそれなりのお答えは得ておりますけれども、私なりに、自分そのもの被災者であって、また被災者の代表ということも含め全国的な立場からも質問をしてみたいと思います。  去る九月二十八日の台風十九号は、全国的に甚大な被害をもたらして、洞爺丸台風以上の百年に一度あるかないかという大被害を及ぼしたわけであります。特に本県では最大瞬間風速五十三・九メートル、これは公式発表であります。ただ、黒石市という農業試験場そしてまたりんご試験場のあるところでは六十二メートルという計測もされたわけでありまして、青森地方気象台観測史上かつてない暴風となったわけであります。県内全域において多数の死傷者、建物の全壊、破損等、県民の生活生産全般にわたって甚大な被害をもたらしたわけであります。  特に、リンゴ収穫を目前にして、すべての投資を終わった時点での収穫直前被害でありましたので、しかもまたことしのリンゴは大変できばえがよくて、史上最大収穫になるんではないかというそういう情報下での今回の被害でありました。八〇%から九〇%の落果を見たわけでありますけれども、しかしながら樹上にまだ残っているリンゴも確かにございます。  そこで、大臣なり政府委員方々に、この写真集を持ってきましたので、これをごらんいただきながら私の質問を聞いていただきたいと思います。(資料を示す)  わずかに樹上になっているリンゴも、その写真で見るように全く売り物にならない、加工品よりほかにならないというようなそういう状況。そしてまたリンゴだけでない、来年からの再生産に伴う絶対的資本である樹体そのものが裂開したり倒れている、そういう現状でございます。本県栽培史上例のない規模に達したわけでありまして、青森県は、言うまでもなくリンゴ百万トン時代の約半分の数量四十七、八万トンを例年生産しているいわゆるリンゴ産業県であります。おかげさまで昨年度来一千億を超えるリンゴ産業のそういう実績を示しているさなかに、今回の被害リンゴだけで七百四十億を超えるという膨大ないわゆる壊滅的な打撃を受けたわけであります。このため県では同日、第十九号台風によるところの被害対策本部を設置して、官民一体となって所要応急対策を鋭意進めている状況でありますけれども、今回の被害特徴を若干申し上げてみたいと思います。  今回の被害は、全県の被害総額が現時点で一千八十八億円に達しております。そのうち農林災害と言われるものが八百四十一億円であります。そのうちの七百四十一億円がリンゴ被害であるという、大変リンゴ農家に与える影響が大きいわけであります。そして、今回の被害産地状況を見ますと、リンゴの主産地中心として、リンゴのある地域が比較的暴風が強かったわけでありまして、全県的に七〇%を超える被害になったということであります。  それからもう一つ特徴は、今回の暴風雨は、さっきも言ったように、すべてのなすべき投資を全部してしまってこれから収穫すればいいその直前被害であるということに今回の被害の厳しさがあるわけであります。  それから次の特徴は、普通、各県の被害積算を見るときに、公共の被害、いわば橋梁とか道路とか河川とか、そういうものの被害積算によって何千億という被害がありますけれども、今回の被害農家個々経済被害積算によって七百億を超えるリンゴ被害、全県の被害も一千億を超える被害だというところに特徴的な、いわゆる民間被害が大きかったと言わざるを得ないと思います。  それからもう一つ特徴は、落果被害でなく、これからの営農に最も大事な樹体そのものが来年の再生産ができないような倒伏の状況。そして五番目の特徴は、どちらかというと精農家に、一生懸命営農に努力されている方に被害が大きかったわけであります。皮肉にも今回の青森県の被害は、台風だけでなく、水稲にあっては県南地方太平洋側の方ですね、いわゆる南部と言われる方が水稲冷災害が多いわけでありまして、この稲も持ってまいりました。これは半作以下の状況であります。これは九月の末に十和田市会議員方々が陳情に来た際に持ってきて、若干乾燥はしましたけれども、このような状態半作以下の状態県南地方には多く山積している、そういう状況でございます。青森県をいわゆる往復びんたの形で今回の天災災害をもたらした、こう言っても過言ではないと思います。  今まで青森県は日本の安全な食糧の基地として、それぞれ県あるいは民間生産者一体となってその成果達成のために努力しているやさきでありましたが、このような被害に遭いました。農業後継者がいろいろ厳しい状況にある中で、鋭意努力しているいわゆる精農家と言われるそういう農家が皮肉にも災害に遭った。リンゴの場合は、国、県の指導によって完全に防風網を設置して、そうして制度資金を使って、去年、おととしあたりから盛果期に入ったリンゴ園が無残にやられた。そしてまた一方、米については、当初の生育から吟味して精魂込めてつくって、幼穂形成期出穂期を早めた稲ばと七月の冷夏、そして八月上旬までの冷夏によって精農家被害が大きかったというところに今回の被害の厳しさ、惨めさがあったわけであります。  以上、青森県の実情を若干申し上げて、これから具体的な質問に入らせていただきます。  きのうも衆議院農水委員会でそれぞれ質問され、きょうの日本農業新聞にも出ておりますけれども農水大臣から天災融資法発動に向けて検討を進めているというお答えをいただきましたけれども、今回、参議院の農水委員会でそれに対する御見解をもう一度確認いただき、もう一歩踏み込んだお答えをいただければ幸いと思います。具体的には、激甚災害法の適用、そしてまた天災融資法早期発動激甚災も適用させていただきたい、このことについての要望であります。そしてまた、関連資金の利子の軽減、融資条件改善等についての政府の見通しと御見解をいただければと思います。
  7. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 答弁をさせていただく前に、今次台風被害を受けられた皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。あわせて、諸先生方には、災害後、調査あるいは御支援、御指導をいただいておりますことを心から厚くお礼を申し上げさせていただきたいと思います。  今ほどお尋ねがございました青森県の実情についてでありますけれども、このことは青森県のみならず全国的に同じような状況でございまして、極めて深刻に受けとめて今後対応していかなければならない、そう認識をいたしておるわけであります。  今次災害は、ことしは異常気象の上に十七、十八、十九という連続的な台風、また十九号が特異な、風速、風力においてもかってないほどの大変な台風であったと同時に、また台風後に来る雨が来なかったというようなこともあわせて被害を増大させておるところであります。  その災害が起きた後における復旧について一番関心のあることが、激甚法指定になるのか天災融資法発動するのかというのがまず最初の被災民被災地政府に対する関心事項であろう、こう認識をいたしておるわけであります。激甚法指定につきましては国土庁ではありますけれども、私ども過去の経験にかんがみて、十月十四日の被災額でも六千億を超えておるわけであります。過去の災害調査段階では、農林水産省として昭和五十五年に七千億という歴史はありますけれども、今次の六十億は十月十四日の中間まとめでありますから、七千億は残念ながらはるかに超えるという状態調査が進んでいくんではないだろうか、こう認識をいたしておるわけであります。  そういう関係からして、今鋭意調査把握をしておる段階でありますけれども法的手続その他では災害が終わると大体五、六十日というのが過去の実例のようであります。この法的手続も早めなければなりませんけれども、それよりも一刻も早く、その手続以前に、激甚法で国が対応するのか天災融資法対応するのかということだけは何とか知らせてあげたい、こういう気持ちで昨日の衆議院委員会でも、天災融資法は私の分野でありますので、今天災融資法発動に向けて協議をしております、こういうことで答弁をさせていただいておるところであります。激甚法指定につきましても、国土庁との報告協議を重ねてきておるわけでありまして、その方向にいくものと私ども確信をして今国土庁の方に報告協議をさせていただいておるということであります。  あと融資関係につきましては、当然のことながら災害が起きれば融資の問題と既に借りておる金の処理の問題、金利の問題、そして枠の問題というのが関連をしてくるわけでありますけれども、この問題は万全を期して災害復旧に対処するように今検討作業を進めておると同時に、資金需要というものがまだ定かではありませんけれども資金需要が整い次第その粋なり内容、制度なりについてはやはり万全を期していきたい、そう考えておるわけであります。
  8. 三上隆雄

    三上隆雄君 ただいま大臣から、天災融資法発動については大臣の権限でできるような方向検討を進めているということ、どうぞひとつ一日も早く被災者にそのことをはっきりさせるようにお願いしたいと思います。あすからの生活に向けて国の対応が、県の対応がどう出るかによってまた一日一日と被災者対応もおくれていくわけでありますから、一日も早い救いをいただきたいと思います。  それでは次に、リンゴ加工向け対策についてお尋ねをしたいと思います。  今回のリンゴ被害はおおよそ三十四万五千トンの落果があったわけでありますけれども加工向けの能力というものが十四、五万トンよりないという実態にあるわけであります。したがって、あとの十七、八万トンから二十万トン近いものは生果で消費するとかあるいは捨てなきゃならない実態が出てくるわけでありますから、それに対する案出荷の輸送あるいは原料保管助成等について特段の御配慮をいただきたい。そしてまた、あわせて今回需要以上に加工品が出るわけでありますから、その製品の調整保管についても御援助をいただきたい、こう思います。その点について政府の御見解をいただきたいと思います。
  9. 上野博史

    説明員上野博史君) 今委員発言のとおり、大変多量な落下果実全国にわたって、青森県だけでございませんで生じているわけでございます。これらにつきましては、できるだけ生食用なり加工用として利用していくことが当然大事なわけでございまして、そういうことの方向に沿いまして積極的に対応していただきますように関係団体等への指導を現在行っているところでございます。  加工向け処理量がどうなるかということにつきましては、今の段階ではまだはっきりいたしておりません。といいますのも、ぶじ等の晩生種熟度の問題というのもございまして、どの程度利用できることになるのかというのははっきりいたしておりませんが、ただ、昨年の果汁原料仕向け量の二十二万トンという数字をどうも上回るということは間違いがないんじゃないか、かように思っている次第でございます。  したがいまして、出てまいります果汁を今後どう販売していくかということが問題になるわけでございますが、リンゴの需給の動向というのを見てみますと、かなり国産果汁というのも、品質がいいということもございまして売れているようでございます。そういうことと対比をいたしまして、今回の落下果実原料にいたしました果汁というものが、その品質がどうであるかこあるいは出てまいります量がどうであるかというようなことによりまして今後の販売の成り行きというものが決まってまいろうというふうに考えております。しかしながら、いずれにいたしましても、量が大変多いということで果汁調整保管というようなことも必要になることは予想されるわけでございまして、これに対応し得るように現在所要準備を進めているところでございます。
  10. 三上隆雄

    三上隆雄君 案出荷なり原料保管については今までも過去に国の援助あるいは県の援助があった実例があるわけでありますけれども、今回、原料保管に対する助成については、現在ミカンにはその制度があるということを聞いておりますけれども、それと同じような条件リンゴについても調整保管していただけないものか、その辺の確たるお答えをいただきたいと思います。
  11. 上野博史

    説明員上野博史君) 通常の量以上の果汁原料落下果実調整保管をされる、つまり熟度を上げるために調整をするというようなものもあるようでございまして、保管の必要があるというふうに我々も聞いておりますので、その点も含めて考えてまいりたいと考えております。
  12. 三上隆雄

    三上隆雄君 その必要を認めその方向検討するということですから、期待をしてそのお答えを受けとめておきます。よろしくお願いを申し上げます。  そこでもう一つお願い申し上げたいことは、昨年の四月からリンゴ果汁自由化が実際行われたわけでありますけれども、その影響をどう受けとめているのか、その点について簡潔なお答えをいただきたいと思います。
  13. 上野博史

    説明員上野博史君) リンゴ果汁自由化平成二年の四月から行われておるわけでございまして、自由化の直後にはかなり輸入量が急増するという現象が起こったわけでございますけれども、その後鎮静化いたしているというふうに我々思っております。といいますのは、そういう状況の中におきまして、国産果汁品質がいい、輸入品に比べてもいいというようなことがございまして、割に順調に推移をしているという状況にあるというふうに考えております。
  14. 三上隆雄

    三上隆雄君 消費そのものについてはただいまの御認識で私は間違いないと思いますけれども生産現場では大変な影響があるということを改めてこの機会に御理解をいただきたいと思うんです。今までは、自由化になる前は大体千円から千五百円というのが加工品の相場であったわけでありますけれども自由化以来、五百円から、特別な事情があったときに七、八百円という状況、平常時では五百円前後という実態になっているわけでありますから、実際生産現場では相当な影響をもたらしている。今までより三分の一の値段でしか原料が売れていないということを御認識いただいて、でき得るならば、ミカンリンゴも、日本果汁調整保管している段階では、輸入果汁の禁止まではいかないにしても抑制はすべきではなかろうか、こう思うわけでありますけれども、それについての御見解もいただきたいと思います。
  15. 上野博史

    説明員上野博史君) 今の委員の御発言一般論として承りますと、去年の四月以来自由化という体制に入っておりまして、輸入果汁を量的に制限をするという手段はなかなかないというふうに申し上げざるを得ないと思っております。
  16. 三上隆雄

    三上隆雄君 このことで余り議論すると別たことに影響があるかもしれませんけれどもリンゴミカンも別な果汁も同じだと思いますよ。量的に過剰な場合に、期待する価格が維持できるはずがないわけでありますから、やはりその量的な調整は政治がある程度調整の手だてをしない限り私は不可能だと思いますから、今回リンゴジュースが量産されるわけでありますから、日本果汁全体に及ぼす影響というものが目に見えているわけであります。その辺慎重に政府が対処していただくことを心からお願い申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、この機会に、前にも私質問要望を申し上げておきましたけれども学校給食用ジュースとしてリンゴもひとつ含めていただけないものか、その点についての御見解をいただきたいと思います。
  17. 上野博史

    説明員上野博史君) 現在のところ、学校給食用に供しております果汁としてはミカンだけに限られておりまして、リンゴ学校給食用として用いるという体制にはございません。ただ、先ほど来の御質問は、今度の落下果実を使ったリンゴジュース消費を大いに促進すべきではないかという御趣旨だろうと拝察するわけでございまして、そういう観点で言えば、先ほど申し上げましたように非常に品質がいいということもございまして需要はあるわけでございますので、我々とすれば一層国産リンゴジュース消費拡大に努めてまいりたいと思いますし、それから輸入関係につきましても、輸入商社等々に話をするというようなことによりまして、できるだけ秩序ある輸入が行われるような努力はやってまいりたい、かように考えております。
  18. 三上隆雄

    三上隆雄君 消費拡大のための学校給食についても、輸入調整についても日本果樹産業影響を余りもたらさないような方向政府の鋭意改善方の御検討措置を講じていただきたいと思います。  それでは第三点に入りますけれども、今回の被害は、先ほど来言っておりますけれどもリンゴ樹そのもの被害が大きいわけでありまして、しかもまだ防風施設も、その写真にあるように、県の指定された業者を通して、完全に設計どおりやった園地でも無残な被害を受けたという事情から、この改植と復旧についての緊急対策事業の創設ができないか、その辺についての御見解をいただきたいと思います。
  19. 上野博史

    説明員上野博史君) 果樹農家被災園地の復旧ということにつきましては、公庫資金等の資金制度による対応というのが可能なわけでございます。  それからもう一つ、樹体被害の回復というような点につきまして非常に大事なことは、当面技術的な対応をしっかりやるということではなかろうかと思いまして、先ほど房長からの御報告の中にもございましたように、技術者の派遣というようなことをやっているわけでございます。そういう過程を通じまして、我々といたしましては、今回の災害の回復問題について見通しが得られたところで、果樹産業の振興を図るという観点に立ちまして所要対策検討してまいりたい、かように考えております。
  20. 三上隆雄

    三上隆雄君 ただいまその見通しが得られた段階で、その意向に報われるような検討を加えたいというお答えと私は聞きましたが、そのように受けてよろしゅうございますか。
  21. 上野博史

    説明員上野博史君) リンゴ関係ではございませんが、ミカン等につきましては塩害という今まで余り経験をしたことのないような被害も起こっているわけでございまして、全体として果樹の今後の回復発展を図るという上でいかなる方策をとることが必要であり適切なのかということについては、もう少し時間をかけて検討しなければならないわけでございまして、お時間をいただきました上でしかるべき対策検討に入りたい、かように考えている次第でございます。
  22. 三上隆雄

    三上隆雄君 どうぞひとつミカンを初めリンゴ被災農家が救われるような方向へ向けての御検討をいただきたいと思います。  そこで、この復旧事業に当たって、いわば御提案ということになるかもしれませんけれども、実は、今回の災害に伴って天災融資法あるいは激甚法指定を受け発動されたとしても、やはり被災農家そのものを直接的に政府が助けるというか、そういうことには法そのものがなっていない。来年度からの再生産に向けての投資に対して融資をして手助けするという程度の救済よりないわけです。あすからの生活費をどうするかという被災農民の悲痛な立場もあるわけであります。したがって、きのうの朝のテレビでも報道されていましたように、ある程度の片づけが済めば出稼ぎに行かなきゃならない、しかも夫婦そろって行かなきゃならない。既に、町名と名前を言わないでくれということですから報道されていませんけれども、南部のある町の中堅農家の夫婦がとうとう自殺をしました。そういうことがこれから出てくると思うんですよ。  その意味で、直接農家が園地の復旧に携わったときに、その農家の労賃を一つの事業費として見て、共同施行の場合は、援農事業という意味を含めまして何とかそれを救ってやれないか。あの法を見ますと、公共なり共同の施設については相当なパーセンテージで補助の規定が示されているわけでありますけれども、現行法では個々の農家についてはその補助という救いの手がないわけでありますから、どうぞ援農事業として地域挙げて園地を改造するというときに、一つの事業とみなしてそれに対する応分の補助を付加していただく方途が今回緊急暫定的にできないものか、その点について政府の見通しとお考えをいただきたいと思います。
  23. 上野博史

    説明員上野博史君) 委員の御発言の趣旨を必ずしも私よく把握できているかどうか自信がないわけでございますけれども災害被災農家方々に対しましては、当面の生活を維持継続するというようなことも含めまして融資制度というものがございます。これは自作農維持資金というようなものがそういうものに当たる面があろうかと思うわけでございますが、こういうものの貸し出しを早急に迅速にやるというようなことを指導する等によりまして対応してまいりたいというふうに思います。  それから、災害復旧事業等で労賃収入を得る場を考えていくというようなことは、今後現実の個々の具体的な地域地域の問題として考えられるのではないかというふうに考えております。
  24. 三上隆雄

    三上隆雄君 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の第二条で、後段の方に、特別の助成を行うことが特に必要と認められるときにその地域を指定するということがあります。その特別の助成を行う措置法としての農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の第二条に、災害を防止する施設または災害復旧するための共同施行に対する云々という条項がございます。この辺から、共同で施行したときには農家個々にその事業費の一部を応分の補助で救ってやれないかということ、特にその措置を講じていただくことと、それに対する政府の御見解をいただきたいと思います。
  25. 海野研一

    説明員(海野研一君) 今の農林漁業施設の災害復旧につきましては、建前といたしますと、公共的な施設ということで共同施設までは入っているわけでございます。例外的に農地というものだけが個人財産ではあっても対象になっているわけでございますが、どうも今の樹園地の改植のような個人財産の復旧そのもの、これは現在の日本の、何と言いますか、いろんな国費の体系からいって、これをそのまま補助の対象にするというわけにはまいらないだろうと思います。  ただ、先生おっしゃるような、本当に収入の道がなくなっているという問題がございますので、樹園地の復旧そのものではございませんけれども、なるべくそのほかいろいろな、例えば一般的な区画整理でありますとか農道でありますとか、そういうような事業の運営につきまして、被災農家に就業の希望があるならばできるだけ就業をさせるような方向での指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 被災地、特に特異的な今次災害において新しい課題というものが幾つか出てこようかと思います。特に果樹のような永年作物に多大な被害を受けておるものですから、後年度の所得を得られないという農家もたくさん出てくるので、補助事業の対象になっているものは、いずれにしてもそこにはそこにおける労働単価というものが組み込まれておるわけでありますから、それを受ける人の中で、小さければ小さいほど地域に雇用の場が提供できると思うわけでありますが、さらに大きなものになっていくとその現地だけで対応できないかどうかという問題がありますし、被災地にできるだけ地域の人が雇用の場を確保できるように私は次の閣議で各省庁に協力要請をしていきたい、そう考えているわけであります。  災害復旧、施設復旧等々、それらの補助のものについてはすべてそこに働く賃金が入っておるわけですから、それが被災者の中でできるだけ雇用の場になるようなことについての今後指導もしていきたいし、それを実行していかなければならない新たな課題である、こう認識をいたしており雲すので、でき得る限りのことはひとつ今後対応していきたい、そう考えております。
  27. 三上隆雄

    三上隆雄君 ただいま近藤大臣から意のあるところを御理解いただいて、今回その方向でできる限りの御検討をして措置するというお答えをいただきました。まことにありがとうございます。  それでは、次の問題に入らせていただきます。  果樹共済金の早期支払いと共済制度制度そのものの見直し、それから農業共済基金からの借入利息の軽減についてのお願いでございますけれども、おわかりのとおり、こういう災害についての補償というものは、政府ではっきりと農業共済制度というものを創設して救いの手だてはしているわけでありますけれども青森県の加入率が一三%台であるというそういう現実、そしてまた全国的に見ても二〇%台、主要生産県が二〇%から三〇%未満という加入の実態を見るときに、やはり現段階でこの共済制度の根本的な見直しも必要ではなかろうか、こう思いますから、その点についての御見解をいただきたいと思います。
  28. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今回の災害に際しまして共済金の支払いにつきましては、まずできる限り早く対応したいということで見回り調査等も実施しているところでございますので、損害評価などを迅速かつ的確に行いまして、状況によっては仮渡しなどということもあろうかと思いますが、支払いを早期に行うように現在指導をしているところでございます。  見直しの点につきましては、これは今先生御指摘のように、果樹共済二二%という加入率になっております。私どももこれまで、例えば特定の災害を対象といたしましてその補償の限度を七割から八割に引き上げるというような措置、あるいは危険段階別の共済掛金率の設定というようなことをやってまいりました。こうした改正をするに際しましては、加入者あるいはその関係者、未加入者などの意見をお聞きしながらやってきたわけでございます。  果樹につきまして、今先生お触れになりましたけれども、県によっての加入率の髪もございます。特定の県ではかなり高いところもあるというようなこともございまして、私どもこの制度につきましていろいろな改善を進めてきているわけでございますが、依然としてそういうような状況にございます。この原因がどういうところにあるかということが一つ。私どもは、やはりリスクとそれからそれの負担、保険でございますのでリスクと掛金との関係ということがありますので、そこに対する農家農家もいろいろ多様化しているというようなことで、きめ細かく対応していく必要があろうかと思いますが、そのこと自体がまた制度を複雑にするという面もありますので、もう一度今回の災害に際しまして、加入者あるいは加入していない方の御意見をいろいろな形で聞いてみて、この制度についての勉強を進めてまいりたいと思っております。
  29. 三上隆雄

    三上隆雄君 きょうは、この場で具体的なこの制度の見直しについての議論は、私なりの考え方は持っていますけれども、時間がないので割愛させていただきますけれども、とにかく加入しやすい条件で、そして被害があったときには必ず補償の対象になるという、そういう状況、そしてまた適正な掛金ということ、このことを検討の主要課題にして検討していただきたい。  それから、災害というのはとかく条件の悪い園地、そういうところがあるわけで、条件のよいところは掛金だけかけてもらえる機会が少ないという実態があるわけで、そういう園地こそ加入していない実態があるわけであります。そのことを解消するためには、これは水稲の共済制度にあるように無事戻し制度というものを含めまして被災のない農家の掛金は順次安くなっていくという、そういうことも含めて御検討をいただきたいと思います。  なお、一部加入されている方の共済金の支払いについては、はっきり確定。する前に、ことしは該当することがはっきりしていますから、ことしでももらえないというのであればだれも入る人はございません。はっきりするわけでありますから、仮渡し制度という形で早期に一日も早く共済金の支給をしていただくことをお願い申し上げたいと思います。  それでは次に、五番、六番の自作農維持資金災害枠の設定、貸付限度額の引き上げ等の措置については、きのうも衆議院の方でもそれなりのお答えが出ましたので、県の要望に沿うようにひとつ積極的な対応をお願いしたい、こう思います。  それでは、通告の七番になりますけれども既往貸付制度資金償還条件の緩和、そして長期の償還の猶予等についての政府の見通しとお考えをいただきたいと思います。
  30. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 災害に際しまして既借入制度資金償還条件の緩和などにつきましては、被災農林漁業者実情に応じまして対応するようになっておりまして、既にこの指導をしておるところでございます。今回の樹園地などの被害を受けた農家につきましても、その実情に応じまして償還期限の延長あるいは中間据置期間の設定などの条件の緩和などが適切に行われるように、引き続き私どもの方も関係機関に指導してまいりたいと思っております。
  31. 三上隆雄

    三上隆雄君 その点についてもよろしくお願い申し上げたいと思います。  通告の八番になりますけれども、これまた額面では少額と言えばそれまでですけれども、農業者年金制度の減免と延納措置についてお尋ねをしたいと思います。  年額十四万五千円という額でございますけれども、全く収入の閉ざされた実態の中で、この掛金をしかも前納で納めるということは大変であるし、その時効も二年間ということではなかなか立ち上がれない状況も見込まれますから、その延期方についての御見解をいただきたいと思います。
  32. 海野研一

    説明員(海野研一君) 農業者年金と申しますのは、釈迦に説法でございますけれども、農業者が毎年少額ずつ保険料を払っていって、それで一定の年齢が来てから年金を受けるというようなものでございます。これそのものを減免してしまうというわけにまいらない性格のものでございますけれども、確かに全く収入が閉ざされたようなときに、少額といえどもこれを支払うのは相当な苦痛になるわけでございます。そういう意味で、実は最初に質問で答えを封じられてしまったんですが、二年間の猶予ということで、これを活用していくようにということで農業者年金基金から農業会議等に対して指導を行っているところでございます。余り長い延納をやりますとかえって後になって多額のものを払わなきゃならないということになると思いますので、この二年間の延納をうまく活用するようにしていただきたいと思っております。
  33. 三上隆雄

    三上隆雄君 私の言いたいことは、現在、二年間滞納した場合はその保険が破棄されるという、その期限を延長していただきたい。現実に国民年金制度の中には収入のないときには減免措置が講じられているわけでありますから、国民年金と並行しての農業者年金ですから、その辺を考慮いただいて意のある措置を講じていただきたい、こう思うわけですが、その方向で御検討いただけないでしょうか。
  34. 海野研一

    説明員(海野研一君) 国民年金の場合には、国民だれもがひとしく年金を受けなければならないというようなことで行われているものでございまして、それに対して農業者年金は、一定規模以上の農業生産の担い手となっている農家に対してその上乗せで行われる制度でございますので、なかなか国民年金と同じというわけにはまいらないわけでございますけれども、確かに収入が全くないという事態が二年を超えてさらに続くというような場合が出てくるような場合には何らかの検討をせざるを得ないというふうに考えております。
  35. 三上隆雄

    三上隆雄君 どうぞひとつ農業会議の方との連携をとりながら適切な措置を講じていただきたい、こう思います。  それでは、次に、さきの十九号台風で陸奥湾に避難した外国船がホタテの養殖施設を破損したわけでありまして、その船舶が補償の交渉をする前に湾内から出航したという実態があるわけであります。これは県レベルではその交渉に当たれない事情にあるわけでありますから、国が積極的に外交ルートを通して対処していただきたい。それについての御見解をいただきたいと思います。
  36. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 御指摘のように、台風十九号の影響を避けるために日本船のほか外国船が陸奥湾に避難し、そのためホタテの養殖施設に被害が生じたというふうなことは、青森県から報告があり承知いたしているところでございます。御指摘のように、その外国船のうち韓国船籍の漁船が天候が回復した直後発航したということで、現場で交渉ができなかったというふうに承知いたしておるわけでございます。  損害賠償は、もう御案内のとおり、当事者がはっきりしている場合には当事者間で解決を図ることが原則であり、この件につきましても、青森県漁連と加害企業との間で賠償交渉が行われるものと承知しておりますが、水産庁といたしましても、韓国政府に対し交渉が速やかに開始されるよう申し入れるとともに、事故発生の未然防止と事故発生時における適切な対応について要請していくということにいたしております。
  37. 三上隆雄

    三上隆雄君 どうぞひとつ国が万全な体制で対処していただけますことをお願い申し上げたいと思います。  時間がないのでこれは省略せざるを得ないわけでありますが、今回の台風被害について気象庁にお尋ねをしたいと思いますけれども青森県の気象観測の実態がどうであったのか。我々聞くところによりますと、気象庁の報道が函館が台風中心になるという情報の中で、函館は大した被害もない、もちろんそれはあったと思いますけれども青森県のような強風ではなかった。その気象観測の実態がどうであったのか御説明をいただきたいと思います。
  38. 櫻岡勉

    説明員櫻岡勉君) 青森県での観測結果につきましては、先生から冒頭に数値をお示しいただきましたが、再度申し上げますと、青森地方気象台におきましては最大風速二十九・〇メートルでございました。それから最大瞬間風速五十三・九メートルを観測しております。この値はこれまでの青森地方気象台による観測開始以来の記録でございました。それから、青森県につきましては、青森地方気象台以下四カ所に気象官署を配置してございまして、それ以外に御存じのとおりのアメダスの観測所、ここで風、気温等を観測しておりまして、今回の台風十九号の際には風を含めまして降水量等の監視が適切に果たされたものと考えております。
  39. 三上隆雄

    三上隆雄君 気象庁にせっかく来てもらいましたけれども、時間がないのでこの次の機会に、実態も私ももう少し見きわめながらもう一度質問させていただきたいと思います。  最後に、米の冷災害に対することでお願いと政府の御見解をいただきたいと思います。  先ほど来言っていますけれども、津軽半島の北部と県南の太平洋岸の方が総じて冷災害に遭って、不稔障害に遭っている。それにあわせて今回の果樹、それから畜産、そしてまた園芸施設等々に被害をもたらしたわけでありますから、どうぞその冷災害の地帯についても、ナガイモのつるも今生育している最中に倒れて上が根から切れてしまいました。それもまた生育の支障になるわけでありまして、どうぞ県南地方も、激甚災とまではいかないにしても、天災融資法の適用になるようにひとつ御配慮をいただきたいと思いますし、それに対する御見解をいただきたいと思います。  なお、米の状況については、食糧庁長官も来ておりますので、県から諸対策が望まれておりますし、きょうの新聞でも出ておりますように、規格外米も自主流通米として集荷、限度枠も調整するというようなそういう通達も出されておりますけれども、いわゆる冷害地帯についての今回の天災融資法についての御見解をいただきたいと思います。
  40. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 青森県南部の冷害による水稲被害天災融資法の対象になるかどうか、その対象にするようにという御質問でありますけれども、まだ十分被害実情の掌握が終わっておりません。台風と冷害と一緒になかなかならないという問題点がありまして、恐らく農家にとっては複合経営をされておるような人もたくさんおられることは私も承知はいたしておるわけですけれども、今次台風被害と冷害の被害とを一緒にして天災融資法ということにはならぬようなことになっておるものですから、局地的な南部地域の冷害による被害の掌握が終わって、その上で被害の規模や深度等を総合的に勘案していこうということで、若干の猶予、検討期間をいただきたいと思っておるわけであります。
  41. 三上隆雄

    三上隆雄君 何とか善処されるようによろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  42. 菅野久光

    ○菅野久光君 まず、今回の台風によって被災された皆さん方に心からお見舞いを申し上げます。  ただいま三上委員の方からいろいろ災害対策の問題について質問をしまして政府当局からお答えをいただきましたが、手厚い対策が講じられるように、そして、特に農林漁業者の方々については来年度以降のそれぞれの立場での仕事がうまくいくように、何とか早急な対策を講じてもらうように私の方からも特段要請をしておきたいと思います。  天災による災害対策についてはただいま三上委員の方から詳細にいろいろ質問いたしました。私からは別な意味で、人災と一言おうか政治災害とも言うべきか、そのことによって農林漁業者の方々が今本当に大変な状況になっておりますので、それらの点について質問を申し上げたいと思います。時間が余りございませんので、私もできるだけ端的に質問をいたしますが、大臣答弁は非常に声もはっきりしていて我々にも聞こえるんですが、政府当局の方はどうも言葉がはっきりしないので、はっきりした言葉で答弁をしてもらうように初めに要請をしておきます。だんだん年をとりますと耳が遠くなるので、その点はひとつ配慮をしていただきたいということを初めに申し上げておきます。  初めに、去る十月九日に畑作三品の価格が一%から一・三%下げで決まりました。特に本年は大豆の価格決定が大豆作の状況から見て注目されました。この中で、価格は一・二%引き下げましたが、関連対策として、一定の要件を満たした場合には六十キログラム当たり五百円を生産者に交付するというような流通改善緊急対策を実施することとして、要件を満たせば実質的には二・二%引き上げるということになりました。農民団体の方からも配慮ある決定ということで評価を受けましたが、これは言えばあくまでも緊急対策であって、根本的な対策にはならないというふうに思うんです。畑作の輪作体系の中で外すことのできない大豆作であっても、このままの状態が続けばこれは大幅な作付減、そのような状況になるというふうに思うんです。これを食いとめるための施策をどのように考えておられるのか、まず初めにお伺いいたします。
  43. 上野博史

    説明員上野博史君) 大豆の問題につきましては、北海道の大きな畑作地帯の作目であるということと、それからもう一つ、やはり都府県を中心に水田転作の関係から植えられている大豆というものがあるという両面を考えていかなければならないというふうに考えているところでございます。大豆作におきましては、非常に大きな規模で生産組織や何かをつくって真剣に取り組んでおられる経営といいますか生産のところと、言うなれば転作対応で大豆をつくっているというところとで非常に単収の格差等があるというのが現状でございます。私どもといたしましては、商品流通に乗るような大豆の生産を進めていく、このごろ国産の大豆に対する需要がふえているということもございますのでそういうことが必要だというふうに考えておりまして、どうしても規模の大きい生産体制というものをつくっていくという方向で努力をしなければならない、かように考えているわけでございます。  そういうことで、先般、畑作振興対策という今後の方針を取りまとめて概算要求もいたしているところでございますけれども、その中でも、やはりコンバイン等の収穫中心とした機械化の推進、あるいは麦の後に大豆作を入れていくために必要な不耕起播種技術の導入、あるいは単収を上げていくための新品種の研究開発というようなことに重点を置いた対策を取り進めるということにいたしているわけでございます。  それからまた、先ほど委員からお話がございましたように、今年の価格決定に当たりましては、交付金制度の運用面の改善を図るということで、概算払い比率の引き上げであるとかあるいは精算払いの早期化ということもやることにいたしたわけでございます。そのほか、先ほどお話がございましたように、大きな規模のまとまったロットでの商品流通、これが需要側から求められているものでございますので、そういう要望に沿ったような大豆の生産が行われてまいりますように必要な緊急対策を講じた、こういうことでございます。
  44. 菅野久光

    ○菅野久光君 特に大豆の場合にはやっぱり単収が問題ですね。ですから、単収が上がるような品種改良について、今バイオ技術など日本農林水産省の技術というのは大したものだというふうに評価しているんですが、特に大豆の面についてはおくれているんじゃないかというふうに思いますので、その点についてひとつ努力をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、春の畜産価格の決定から、麦価、米価、そして畑作三品と価格の決定がずっとなされてくるわけでありますが、大臣がいつも終わった後むなしい思いをしたというようなことを前に話されたことがありますが、私も本当にそう思います。今回の畑作三品の価格決定に当たって、北海道の農民団体が三次にわたって延べ八十人上京して、みんなのカンパで来ているわけです。結果は先ほど申し上げましたように一%から一・三%という下げだった。価格決定のときには内外価格差等を理由にコスト低減が求められてきました。しかし今の農家の人たちは、このことがずっと続いてきたものですから、コスト低減についてはもうその努力は限界だというのが偽らざる農民の人たちの声なんです。  そこで、農畜産物輸出国のコストと日本のコストというものを同じにしなければならないのか、どの程度のレベルまでいったときにコストの低減というのは限度だということになるのか。その辺、生活レベルも違いますし、賃金も違いますし、生産資材の価格あるいは農地価格、あるいは経営規模なども違うそういう諸外国との内外価格差、こういうものを日本生産者に求める場合に、一体今の価格から見てどの程度まで下げなきゃならぬのか、その先行きの見通しが農民の方々にはわからないわけです。  だから、ある程度の見通しがあって、一遍に下げるわけにいかないから徐々に下げます、しかし、それにかわる生産対策といいますか、農家の所得を確保するための対策はこういう形でやります、だからひとつ農家の人は安心して頑張ってくださいというようなことが示せれば農民の人たちも将来に希望を持って営農できるわけです。そういった意味でもコスト理念といいますか、そういうものがどのように確立されているのか、その辺をまずちょっとお聞きしたいと思うんです。
  45. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) お尋ねのように、確かに最近の農産物の行政価格の決定に当たりましては、それぞれの需給動向なり生産費の水準ということを勘案しながらでありますが、また、内外価格差の縮小という努力をして国民の理解と納得が得られる価格にしようということで考え方を進めてきているわけでございます。  ただ、今先生御質問のような、それじゃどこまで下げればいいのか、明確な目標を示してやるかということになりますと、これは御案内のように、国際価格そのものがそのときどきの国際的な農産物の需給事情によって変動するものでありますし、また、それぞれの国におきます土地なり労賃なりというもののそれぞれ価格が違うわけでありますから、一概にそれを今どのぐらいまで下げればいいんだということを示すことはなかなか困難だろうと思います。  ただ、先ほどの御質問にもありましたように、国内の生産においても、例えば大豆で言いますと、その単収も大きな差がある、経営の規模も大きな差があるというような意味でまだまだ努力が必要ではないかということは、やはり国民の目から見て要請されるところがあるわけでございます。  したがいまして、確かに農家の皆さんに御努力いただいてかなりここ数年価格も下げてきました。農家の皆さんの御努力も限界だという声もあるわけでございますが、やはり我々としては、農政全体として、構造政策等の実施をしながら生産性の向上あるいはコストの低減ということをさらに努力していくという方向で施策を講じていきたいと思いますし、またその辺は国民の理解、納得が得られるようにということで、農家の皆さんにも御努力をいただきたいというふうに考える次第でございます。
  46. 菅野久光

    ○菅野久光君 支持価格の下げについてはどこまで続くぬかるみぞというような感じなんです。その国民の理解を得られるということなんですが、畑作物の政府の支持価格は、六十年からてん菜で約一五・七%、原料用バレイショで一六・五%、大豆で一六・三%昨年までで引き下げられているわけです。大豆の基準価格で、昭和六十年を起点として昨年までで一六・三%生産者の価格は引き下げられているんです。  一方、消費者の方のあれはどうなっているかというと、豆腐は六十年から見て六・一%上がっているんです。しょうゆは三・二%上がっている。みそは五・二%上がっているんです。生産者の価格はこれだけ下げておいて、消費者の価格は上がっているんです。どうやって理解を求めるんですか。そこのところが何としても納得できないというのが農民の人たちの偽らざる声なんです。どう思いますか。
  47. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) 御指摘のように、生産者価格、殊に行政価格は先ほど申しましたように需給動向なりあるいは生産費の動向を勘案しながら下げてきているわけでございますが、それが流通段階あるいは加工段階におきます価格が上がっているということで、消費者の手に渡るときは製品としては上がっているじゃないかと。それはそのとおりだろうと思うんです。この点は御理解いただきたいんですが、行政価格として決めているものと、それから市場のメカニズムの中で決まっているものと価格の違いがございます。消費者価格を行政として決めているわけではございませんので、これは需給関係によって決まっているというふうに考えなければいけないと思います。  ただ、そのままでいいんだ、流通、加工の段階は価格がどうであってもよくて、生産者だけが行政価格として下げていくんだということはおかしいではないかという御指摘はあろうかと思います。私どもとしましても、そういう意味では流通、加工の合理化ということについても意を用いていかなければならないというふうに考えておりまして、その面での施策についても今後充実をさせていきたいというふうに考えております。
  48. 菅野久光

    ○菅野久光君 とにかく、こういうように生産者の価格は下げられても消費者の手元に行くときには前から見るとやっぱり上がった価格で行くわけです。そして日本の農産物は高い高いという批判を受けるわけです。そういうことを受けさせないように農林水産省としてどのように国民に対してPRをしていくのか、そういうことなどにおいてもまだ欠けているのではないかというふうに私は指摘せざるを得ないんです。  今例として申し上げましたが、そういった生産性の向上分を上回る価格の引き下げが行われていることから、もう農家の所得というものは本当に減少をして、借入金の返済だとか、あるいは規模拡大に対する投資資金の確保が困難となってきております。経営が不安定となって、経営意欲の減退から多くの生産者が離農しているという実態がある。  特に、最近北海道なんかで私が聞いたのは、四十歳代の農家の人たちの離農がふえてきているということなんです。それは何かというと、大体四十歳代ぐらいになりますと子供が中学あるいは高校に入るぐらいでしょうか。結局そういう農家実態を見て子供自体も農家を継ぎたがらない、継ごうとしない。親もこんな先行き見通しのないことではとても農業をやらせられない。そういうことから、もうここで見切りをつけてほかの仕事に行こうか、こういうことが四十歳代で何か際立って最近ふえてきているという話を聞くわけです。中堅の担い手の農家を育成するとかなんとかといっても、現実的には今の価格政策がそういう形でいっているということでこういう事態を招いている。  ちなみに、北海道の畑作専業農家と勤労者世帯の平成元年における比較を申し上げますと、一五人から二十九人までの製造業世帯、ここの人の租税公課とか負債利子を控除した後の所得、それを一〇〇として見ますと、畑作専業農家は四三・五ということになっているんです。三十人以上の製造業の世帯では一六六・二、勤労者平均世帯で二二五・五ということになっております。製造業世帯の五人から二十九人のところから見ると、実に半分以下というのが畑作専業農家の所得ということになっているわけです。こんな状態をいつまで一体続けさせるのか。こういうことで本当にいいのかということになってくると思います。  農業基本法の国の農業に関する政策の目標は、国の農業に関する政策の目標は、農業及び農業従事者が産業、経済及び社会において果たすべき重要な使命にかんがみて、国民経済の成長発展及び社会生活の進歩向上に即応し、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるように農業の生産性が向上すること及び農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、農業の発展と農業従事者の地位の向上を図ることにあるこういうふうに農業基本法にきちっと書かれていることはもう皆様方も御承知のとおりです。それが現実的にはこのような実態になっている。  そして、国の農業予算についても大変な状況です。日本では一九八〇年を一〇〇とした場合に一九九〇年で八一です。うち価格とか所得の支持費は一九八〇年を一〇〇として一九九〇年は四〇に下げられております。一方アメリカはどうか。一九八〇年を一〇〇とした場合に一九九〇年農務省の予算総額は一三二・二、うち価格・所得支持費は二三三・三という増になっております。ECはどうか。一九八〇年を同じく一〇〇とした場合に農業予算総額は二八六・五、うち価格・所得支持費は二三四・五と、このようになっているわけです。全くアメリカやECと、日本の国家予算の中に占める農業予算、特に農家の所得に関係ある価格・所得支持費については大変な差がある。そこに今日のこの問題が出てくるわけであります。  きのうの夕刊でしたか、農家の人口が三分の二になるというような予測を立てておるわけであります。こういったような実態などを見ながら、これからの日本の農業を一体どうするんだということで新しい政策を策定するいろんな作業に当たっているようでありますが、その価格政策や所得政策をどうするか、そこのところの基本的な考え方をこの機会にぜひお聞かせいただきたい、このように思います。
  49. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) 御指摘のように、大変農業をめぐりますいろいろな問題がありまして、またこれをめぐります御議論もいろいろあるわけでございます。現在、私ども近藤大臣の御指示のもとに新政策本部というものを設置いたしまして、中長期的な展望に立ちまして、多様な担い手の育成あるいは土地利用型農業のあり方、新しい生産体制の確立、さらには新しい地域政策の展開等々の課題を設定いたしまして鋭意検討を進めているところでございますが、現在の時点におきましては、今御批判のありましたような、いろいろなこれまでの農政に対する御批判あるいは御意見等を伺って内部で検討しているところでございまして、いずれ内容についても申し上げる機会があろうかと思いますが、しばらくは検討をさせていただきたいと思っております。
  50. 菅野久光

    ○菅野久光君 本当に大変な状況であるという認識は農水省当局も同じだというふうに思いますが、今日本の農業の置かれている予算的な面あるいは数字的な面を私申し上げましたが、これらについて大臣、感想がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  51. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 今御指摘のような点についても今後の検討の中でまた私ども参考にさせていただきたいと思うんです。大変大きな問題ですので簡単に答えると言われるとちょっと困るんですが、感想だけ一言申し上げたいと思います。  よくて安いものをつくるのは、農産物、食糧をつくる者には永遠の課題だ、こう認識はいたしておるわけであります。ただ、内外価格差というのは、一つは、一般消費にわたるものは品質と国民所得というものが大変関連をしてくるのに、世に情報として伝わるものは価格差だけが伝わっていくということで、一方的に過ぎる、こう思います。大臣に就任すると同時に、米を中心にしてタイと日本の国民所得でどちちがたくさん買えるかということの比較検討を事務当局にさせたら、十倍だと言われる日本の米が日本の国民所得で倍以上買うことができるということでございますから、決してそのことが国際価格で品質と所得と関連をつけたときには高くてどうにもならないというものではないだろう、消費動向を見てもその答えが出ている、こう思うんです。  農産物の中にはもう一面、加工原料という分野が存在するものです。加工原料ということになると余り高品質というものだけではないというものがあるものですから、そういう面では、加工原料に付加価値をつけて食料品とするときの、例えば今先生から御指摘のあった流通の問題はだれしもが気づいていることだと思うので、この問題は解決をしていかなきゃならぬと思いますけれども、そういう原料高の問題についてはまだ国際的に見て少し検討する必要があるのかな、こういう感じも持っておるわけであります。  私が大臣に就任して以来、価格政策だけではなくて、そういう構造政策をやっぱり重視していかなければならない、そして価格を決めるときには、前年度の生産調査が出てくるわけですから、生産調査でこれだけのコスト低減があった農家の努力に対して返す分というものをきちっと説明のできるようにしておきなさい、そうすると、生産調査にやや不信感があるので、生産調査も信頼をしていただけるように、直す直さないは別としても、これだけの状況の変わったときに検討を一度加えるべきだということで、今生産調査検討の作業もだんだんと終局に近づいておるわけでありますけれども、来年度以降、生産調査に基づいて生産費を農産物はやってもらうということでございます。  そういう面で、今日的にはシーリングをかけられている国家予算ですから、人件費が高騰すれば別の分野が下がっていくという分野も、これはもうだれが考えてもシーリングをかければそうなっていくわけであります。そういう面で政策に使う予算が縮小されているということも否めない事実だとは思いますけれども、少なくとも行政価格を決定したら、それが大蔵当局に一方的に入ったということではなくて、それにプラスをして構造政策で農家所得が安定のできるようにしていくことだと、こういうふうに私自身がそのことを考えて作業をいたしておるわけです。  近年、特に他産業が人手不足により高所得になりつつあるという傾向で、また所得差が出てくるかなということをずっとここのところ心配をして、それで離農が出てくるんではないかという心配を正直私が合しておるところですが、他産業との近年の所得差というものをまだ私も調査をいたしておりませんので、今後引き続きそのことも念頭に置いて検討していきたい、そう考えております。
  52. 菅野久光

    ○菅野久光君 大臣考え方は本当に納得できる考え方だというふうに思うので、ぜひ事務当局もひとつその大臣考え方を推し進めるために努力をしていただきたいというふうに思います。  ガットの問題、通告をいたしました。農業交渉の技術的課題を話し合う技術会合が昨十六日から十七、十八と三日間の予定でガット本部で始まっておりまして、ガットもいよいよ大事な時期に入ってまいりました。私の持ち時間の関係がありますので、後から谷本委員の方からガットの問題については質問がありますので、そちらの方に譲らさせていただきたいと思います。  次に、林野庁関係でございますが、これも時間がございませんので、長官、簡潔にひとつ答えていただきたいというふうに思います。  まず最初に、今年の七月五日に策定いたしました国有林野事業の改善に関する計画によりますと、改善期間中に三百十六ある営林署の三分の一程度を統合してセンターに改組するということにしておりますが、今年度の検討状況についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。スケジュール等もあれば、それもあわせてお願いいたします。
  53. 小澤普照

    説明員(小澤普照君) 営林署の統合改組につきましては、先生今お尋ねのように、国有林野事業の改善に関する計画に基づきまして着実に実行してまいりたいと考えております。  そこで、平成三年度の計画でございますけれども、国有林野機能類型の区分をやっておりますが、これに応じました管理経営をしていきたい、森林の流域管理の推進をしなければいけないということでございます。それからまた、間接部門の縮減等の観点も入れまして慎重に検討を進めてまいっておるところでございます。  なお、スケジュールということでございますけれども、これにつきましては従前のいろいろと例もございますけれども、十月の中旬ないし下旬には計画の公表を行わせていただきまして、翌年の三月に実施していきたいということも念頭に置きまして、現在最終的な詰めを行っておるところでございます。
  54. 菅野久光

    ○菅野久光君 平成三年度に営林署を改組するということになるわけで、新しい改善計画の出発の年になるわけですね。それだけに林野庁当局のこのことについての基本的な姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
  55. 小澤普照

    説明員(小澤普照君) 基本的な考え方でございますけれども、この方針につきましては、昨年十二月に閣議了解されております国有林野事業経営改善大綱というのがございますが、これに則して策定をいたしましたどころの国有林野事業の改善に関する計画に基づきまして実施してまいりたいわけでございます。この内容は、国有林野の管理経営を合理的、効率的に行い得るものにするために徹底した見直しを行いまして簡素化、合理化を回らせていただきたいというように思うわけでございます。  営林署につきましては、これは国有林の管理経営を行います組織として大変重要でございますけれども、この際、国有林野の機能類型ごとの森林のウエートでございますとか、あるいは業務量等に応じました適切な管理経営を行うということと森林の流域管理への適切な対応という観点から配置を見直すものでございまして、そして、平成三年度当初現在で三百十六ある営林署の三分の一程度の逐次統合を改善期間内に図るということでございます。なお、この際、木材生産機能の発揮に係る業務を主体に行うような場合には森林経営センター、仮称でございますけれども、これらのような組織に改組してまいりたいというふうに考えております。
  56. 菅野久光

    ○菅野久光君 失敗は許されないというような状況の中での作業ですから、大変だと思いますがひとつ頑張っていただきたいと思います。  国有林野事業の再建について、本当に大変な状況の中で、労働組合とも意見を闘わす中で今回方向を決められたということから、これからの国有林野事業の運営に当たっては労働組合だとか、あるいは地元関係者の理解と協力というものが私は非常に大事だというふうに思っております。営林署をセンター化するとしても、やはり関係自治体や労働組合の要望だとかあるいは要求、こういったものに十分こたえることが必要ではないかというふうに思います。  従来の営林署の統廃合、廃止反対というようなことではない。本当に山をつくっていく、国有林野を再建するためにどうあるべきかということでは、これは林野庁当局はもちろんでありますけれども、労働組合もそして関係自治体も本当に真剣に考えているだけに、ここのところの協議がしっかりいくということが今後非常に大事だというふうに思うんです。営林署からセンターに看板を変えるわけですけれども、仕事の内容的には今度の計画とか森林法の改正に伴う計画などでいろいろふえてくる部分もあるわけですが、実質的に従前の営林署とそう変わらないような形になるのではないかというふうに思われますが、その辺についてどのようにお考えがお伺いいたしたいと思います。
  57. 小澤普照

    説明員(小澤普照君) 今般の営林署の統合改組につきましては、労使間でも十分な意思疎通を行って取り組みたいというふうに私ども考えておりますし、また地域につきましては、営林署が今まで地域に果たしてまいりました役割ということも十分考えまして地域の実情把握し、また地元の意見も聞きまして常日ごろから事業の運営にも当たっているところでございます。また今回の統合改組に当たりましでも、地域の実情や地元住民の意向等を考慮しながら適切に対応してまいる考えでございます。  なお、先生お尋ねの実質的な内容の問題でございますけれども、仮称でございますが、森林経営センターというような組織等に改組していく場合におきましては、これは先ほど申しましたように機能類型ということもありますので、特定の機能発揮に係る業務を行うというようなことで設置してまいりますから、従前の営林署と全く同様ということには私はならないのではないかというように考えますけれども、国有林の機能というものを適切に発揮させて管理経営をする、このことは変わりないわけでございますし、また今まで営林署が果たしてきました役割、機能というものを今後も適切に発揮してまいるという考えから進めてまいりたいと思うわけでございます。
  58. 菅野久光

    ○菅野久光君 いずれにいたしましても、本年度からいよいよ始まるわけですので、ひとつ頑張っていただきたいと思いますし、森林法あるいは特措法の改正に賛成をしてきた立場からも私どもとしてもできるだけのことをやらなければならない、このように思っております。ひとつ頑張っていただきたいということを申し上げて、林野関係については終わらせていただきます。  時間もございませんので、最後に韓国漁船の対策の問題でありますが、私は当選以来八年余りの間韓国漁船の問題にずっと携わってまいりました。十二月末の自主規制措置の期限切れを迎えるに当たって、千トンだとかあるいは二千トンという大型の底びきトロール、オッタートロールが日本の近海に来て、そして本当にもう資源を根こそぎとっていってしまうということです。これを何とかしてくれという漁民の悲痛な叫び、そして、資源管理型漁業ということでそれこそ自分たちで規制措置をしてせっかく育てたものを自分たちが全く手をこまねいていて韓国漁船に持っていってしまわれる。その情けなさといいますか、無念さというものは私はだれでも察することができるのではないかというふうに思うんです。  それだけに、何とかそれを守ってもらいたいということで今日まで来たわけですけれども、なかなかこのことについての規制措置がうまくいかない。しかも、取り締まりは旗国主義ということがありますから日本側の取り締まりが全くできないというようなことでありますが、幸い韓国も朝鮮民主主義人民共和国と一緒に国連に加盟したということから、まさに漁業の国際秩序であります二百海里法、これをぜひ韓国もそして日本もやるという中で、相互主義の中でこの漁業秩序というものを守るようにしていかなければならないのではないかというふうに思うんです。  すぐといってもこれはできないわけですから、自主規制措置のことについて、「海上保安の現況」などを読みますと、これはもう本当に大変なことですね。  不法操業を行う外国漁船の中には、船名・登録番号を隠ぺいするとともに、夜陰に乗じ、操業を行う一方、取締りに際しては、捕捉・検挙にあたる海上保安官の停船命令に従わないばかりか、船尾からロープを流し巡視船艇の推進器に絡ませようとしたり、ジグザグ航行によりその接近を妨害するほか、海上保安官の移乗等に際して、鉄パイプなどの凶器により抵抗するなど、極めて悪質・巧妙化しているものが増加してきている。という報告を見て、これは韓国漁船であることはもう明らかなわけです。  そういう意味で、ぜひ取り締まりの問題と同時に二百海里の問題について積極的にやってもらいたいというふうに思うんですが、そのことだけお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  59. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 韓国漁船の問題については今委員からの御指摘のとおりでありますし、私も大臣就任以前からこれにかかわってまいっておるわけであります。韓国側も基本的にこの現状についての必要性というか、認識は一致をいたしておるわけであります。ただ、二百海里という海域を設定するというようなことは、また別の分野で困難性があることも先生おわかりのとおりであります。  不法と言われる海賊船まがいのような状態は、今海上保安庁の報告がございましたけれども、この種のことについては少なくともきちっと対応していってもらわなきゃならない。旗国主義、沿岸主義の取り締まり権についてはいささか若干の問題が、まだ詰めが至っておりませんけれども、年末がその最終期限でもございますし、きのうときょうとソウルにおいて交渉を継続いたしておるわけですが、最終段階になれば私はこの問題は政治レベルでも対応していかなきゃならない問題だというくらいの認識をいたしておるわけであります。今、基本的な問題がまだ詰まっていない交渉の段階ですので、先生の御指摘のような認識は私も持っておる、その気持ちで対応していきたいということで、交渉の内容は、交渉中でありますので差し控えさせていただきたいと思います。
  60. 谷本巍

    ○谷本巍君 ウルグアイ・ラウンドの問題とサトウキビの価格問題について伺いたいのでありますが、私が予定しておった四十分の時間が三十分に短縮されてしまいましたので、極めて簡潔に伺いますので、簡潔に御答弁いただきたいと思っております。  十月十六日から三日間、ウルグアイ・ラウンドの事務レベルの協議が行われております。これが終わりますと、十一月初めにも包括的合意試案とを言われるダンケル事務局長のペーパーが出されるであろうということが言われております。  そこで、まず初めに伺いたいと存じますのは、ダンケル局長から包括的合意に関する文書が出された場合、その後の交渉の進め方はどうなるのか、外務省はこれをどう見ているのか、簡潔にお答えいただきたい。
  61. 林貞行

    説明員(林貞行君) 御指摘のありましたいわゆるダンケル・ペーパーでございますが、ダンケル事務局長は、最近行われましたジュネーブの会議におきまして、年末までにウルグアイ・ラウンド交渉を妥結させるためには、十月の終わりまたは十一月の初めまでに各交渉グループが集中的な交渉を行って問題点の解決を図る必要がある、その結果を踏まえて、十月の終わりまたは十一月の初めに、すべての分野をカバーする全体のパッケージを自分としては示したいということを言っているわけでございます。そうした文書が出ました後、十一月の交渉がどういうふうになるかということはその文書を見てみないとわからないわけでございますが、現在のところ各交渉グループについての交渉の日程というものは作成されておりません。
  62. 谷本巍

    ○谷本巍君 けさの日本経済新聞を読んでみますと、こういうぐあいに述べられておるんです。「年内か遅くとも来年の一、二月までに農業交渉の大枠で合意し、関税率などの数字を含めた最終合意は九二年度末まで持ち越す。政府のガット交渉関係者の間から、こんな二段階合意構想が浮上している。」というのであります。  外務省、農林水産省、それぞれが交渉関係者であるはずでありますが、こういう記事が出ておるんですが、これは事実無根でありますか。
  63. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今外務省の方からも御答弁がありましたけれども、私どもは今月十六日から十八日まで技術会合があるということ、それから、先ほど林経済局長の方からお話がありましたダンケル事務局長が十月末ないし十一月の初めに包括提案を出したいと言っている、この二点以外につきましては、今後の見通しについては足かな情報を得ておりません。  包括提案の中身もそうでございますが、今後の進め方についてはダンケル事務局長も、今自分の中でいろいろと検討しているような段階ではないかということでございますので、今そこでお読みになられました記事については私どもは承知しており」ません。
  64. 谷本巍

    ○谷本巍君 外務省はいかがですか。
  65. 林貞行

    説明員(林貞行君) 外務省もただいま川合局長からお話のあった同じ判断で考えております。
  66. 谷本巍

    ○谷本巍君 外交当事者の皆さんが新聞記事とは別のお話でありまして、一体どもはどういうふうに信じたらいいのかちょっと戸惑いを感ずるのであります。  この際、あわせてもう一つ伺いたいと思いますのは、ダンケル試案の性格をどう見るかという問題であります。  これも同じくけさの新聞でありますが、近藤農林大臣は「「技術レベルでまとめたものを提示するので、これで終わりではない」と述べ、あくまでタタキ台であるとの認識を強調した。一方、外務省幹部は「ドンケル事務局長の意向を反映した最終的な合意案に近い」と述べこ「農相の見解に強く反発している。」、こういう記事が出ております。農水大臣、外務省、いかがですか。
  67. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 先般私が訪欧してダンケル事務局長にお会いをしたときにもお話を申し上げたんですけれども、技術レベルでの会議が明日終了いたして、その後どういう日程になっているかということは、まだ通知も案内も定かではございませんけれども、少なくとも最終合意をするようなものが事務レベルだけの会議で終わるはずがないということで私がお話を申し上げたわけであります。その間の日程で政治レベルの会合を持つか持たないかということは定かでないし、また昨年末に出されたような、いきなりそういう案を出されて我が国が戸惑いを感ずるようなことのないようにしてほしい、少なくとも主要国というのは、そういうまとめの案であれば事前に通知をいただかなければなりませんということをダンケル事務局長にも申し上げ、ダンケル事務局長は、そういうことであれば連絡をいたします、こういうことで回答をいただいてきて、案内がない今日では私はそう理解をしたしております。
  68. 谷本巍

    ○谷本巍君 今の農林水産大臣考え方と外務省も同じですか。
  69. 林貞行

    説明員(林貞行君) ダンケルの考え方につきましては、先ほど申し上げたことと若干重複するわけでございますが、ロンドン・サミットでも合意されましたウルグアイ・ラウンドの年内合意ということを前提といたしまして、それから逆算しますと十月中には各交渉グループの検討を収れんさせなきゃいけない。そこで合意テキストをつくらなきゃいけないということがダンケルの頭の中にあるわけでございます。その際、各交渉グループで合意ができない部分についてはダンケルみずからが議長の立場としてテキストを示して、よってその交渉の困難な妥結を図りたいということであります。ダンケルの考え方としましては、そういう考えに立つ文書でありますから、それなりの重みを持って受けとめざるを得ない、こういう文書であろうと考えております。
  70. 谷本巍

    ○谷本巍君 私が伺っているのは、今農林水産大臣が答えておるんです、ここで。だから、それとあなた方の見解は同じですねということの念を押しているんですが、違う点があったら違うとおっしゃってください。それだけでいいんです。
  71. 林貞行

    説明員(林貞行君) 私ども考え方は先ほど申し上げたとおりでございまして、農林大臣の言われたことと基本的な違いはないと考えております。
  72. 谷本巍

    ○谷本巍君 基本的に違いはないというのはどういうことですか。若干の違いはあるということなんですか。ですから、イエスかノーかではっきり答えてください。
  73. 林貞行

    説明員(林貞行君) 変わりはないと考えております。
  74. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に伺いたいのは、いわゆる基礎的食糧論についての問題であります。日本政府はこれまで輸入国としての立場を貫くということから、従来から基礎的食糧の関税化は受け入れられないということを主張してまいりました。  そこで、外務省に伺いたいのでありますが、今後ともその主張に変化はないのかどうか、そしてダンケル局長がどのような包括的合意案を出しても関税化に関する政府の姿勢には変化はないと確信してよいのかどうか、いかがでしょうか。
  75. 林貞行

    説明員(林貞行君) 基礎的食糧につきまして関税化ができないというのは日本政府の基本的な立場でございまして、外務省もそのとおりと考えております。ダンケル・ペーパーがどのような形で出てくるかということは必ずしもわかりませんが、ダンケル・ペーパーがどのような形で出てこようと、基礎的食糧に関する日本政府考え方は変わらないわけでございます。
  76. 谷本巍

    ○谷本巍君 それから、十一月の末にはブッシュ・アメリカ大統領の訪日が予定されております。この訪日について農業交渉の問題が議題となるのかどうか、なるのであれば政府としてどのような態度で臨むのか、この点についての見解を承りたい。
  77. 林貞行

    説明員(林貞行君) 十一月の終わりに予定されておりますブッシュ大統領の訪日は、日米関係の基盤を強化し、二十一世紀に向けての日米関係のあるべき姿というものを打ち出すというのが主な目的でございまして、ウルグアイ・ラウンド農業交渉との直接の関係はもちろんないわけでございます。ブッシュ大統領訪日の際に首脳等でどういうものが具体的に議論されるかというのは、現段階では全く決まってはおりません。
  78. 谷本巍

    ○谷本巍君 これまでの米に関する日本政府の態度は、日米間ではなくガット協議でやっていくんだということを一貫して、内閣総理大臣を初めといたしまして、そう日米間では話し合ってきているわけでありますのでありますから、ブッシュ大統領の来日に当たってもこの方針は変化はないと私どもは受けとめておるのでありますが、いかがでしょうか。
  79. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 私どもは、この問題につきましてはガットの場で協議するということになっておりまして、二国間ではやらないということになっております。その基本方針は変わりございません。
  80. 谷本巍

    ○谷本巍君 林局長、ありがとうございました。どうぞお帰りになってください。  それでは続いて、沖縄県におけるサトウキビ生産の問題について伺いたいと存じます。初めに大臣に御所見を伺いたいのであります。  沖縄県の経済状況を見てみますと第三次産業傾斜型であります。農林水産や製造業の物的生産が弱体であって、物の出入りから見てみますと超赤字というふうになっておるわけであります。したがいまして、これまで政府としましては、財政依存型の経済のあり方をどう自立的なものに改めていくかという方針を示してこられております。  そこで、農業を見てみますと、畜産あり野菜あり果樹あり花ありというようなことでありますが、第二次産業、つまり製造業と結びついた業種ということになってまいりますと、パインの方は缶詰業の方がもう自由化でまるでだめというような状況でありまして、製造業と結びついた農作物ではサトウキビが最大のものと言ってよいわけであります。しかもサトウキビ生産で見てみますと、地場の雇用だけじゃなくて、地場の運輸関係等々経済的な波及効果というのは非常に高い。これは他の農産物と比較すれば歴然であります。  そうであって見るならば、沖縄県におけるサトウキビ農業というのをどう守っていくかということが私は大事になってきておると思うのでありますが、大臣の御所見をいただきたいわけです。
  81. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 委員から今お話のございましたように、沖縄県における基幹的作物でもありますし、またそこには作物だけではなくて工場が存在をいたすわけですから、沖縄県民の労働雇用の場という条件も地域的に大きな意味合いを持つものであります。それだけに、一方では離島等もたくさんあることで、他の産業に転ずることのできないという土地の条件等もございまして、この経営を健全なものに発展させていかなきゃならぬということについては、私もかなり現状を見ながら厳しい認識のもとに対策を講じていく所存ではございます。  そういう意味でのあの地域における指定もいたしておりますし、サトウキビも労働環境が大変厳しゅうございますので、機械化を急いでいかなきゃなりませんし、そのためには基盤整備も急がなきゃならぬ、そういう気持ちでこのサトウキビ生産については対処していきたいと考えておるわけでおります。
  82. 谷本巍

    ○谷本巍君 そこで、ことしの価格決定問題についての考え方を伺いたいのであります。  サトウキビの沖縄県における収穫面積は、この五年間で見てみましても約一五%ほど減っております。原因は何かということになってまいりますと、一つには高齢化による労働力不足といったような問題が挙げられておりますが、同時にまた大事なことは、価格抑制が続いてきたということも紛れもない事実と言わなければなりません。  ちなみに、平成二年のトン当たりの最低生産者価格を見てみますと二万百九十円であります。これに対して、平成二年のトン当たりの生産費を見てみますと三万三千六十五円であります。最低生産者価格は生産費より四割ほど下回っているというような状況にあります。ことしの価格算定についてそれぞれの要素を当たってみますと、上げ要因の方が実は多いというようなことでありまして、そういう意味からは現地農家の皆さんなどは価格は上がるであろうといったような期待感もあるわけであります。  算定方式は米価の場合とは違うとはいえ、ことしの算定要素などを見ますとよもや引き下げということはなかろうと思うのでありますが、その点いかがでありましょうか。
  83. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) サトウキビの生産者価格につきましては、糖価安定法に定めておるところでございまして、農業パリティに基づいて算出された価格を基準といたしまして、物価その他の経済事情を参酌して決めるということになっておるわけでございます。その際に生産性向上の動向ですとか、内外価格の実態ですとか、あるいはそのほかの畑作物等のバランス等を総合的に勘案して決めるというようなことでやっておるわけでございます。  先生御指摘のような、いわゆる生産者価格と生産費との関連でございますけれども、非常に沖縄の場合には労働費のウエートが高こうございまして、七割を超えておるというような実態になっております。したがいまして、自家労働、若干雇用労働もございますけれども、そういう関係で、逆に地域におきましてはサトウキビが一番有利な作物であるというような実態に相なっておろうかと思います。  具体的な数字につきましては、ただいま言いましたようなことで、まだ現在検討中でございますので、ことしの生産費の予想ですとか、あるいは収穫量の予想ですとか、そういったことを今現在具体的に詰めておりまして、大蔵省と折衝いたしておる段階でございまして、まだどうするかについては決定を見ていないところでございます。
  84. 谷本巍

    ○谷本巍君 局長のお話を聞きますと、実は答弁じゃないんですよ。私が伺っておるのは、算定要素で見ても上げ要因が非常に多い、よもや据え置きということはないだろうというふうに私は思うのだが、局長はどのように今の時点でその辺をお考えになっているかということを承りたいと申し上げておるんです。もう一度お答え願えますか。
  85. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) 委員御指摘のとおり、パ、リティ指数の動向ですとか、あるいは生産費の動向ですとか、あるいは単収等につきましては、おっしゃるとおりであろうと思います。  ただ、価格について決める際にはもう少しロングランで考えるべきだと思っておりまして、実は甘蔗糖につきましては、いわゆる内外価格差が幾らかというのは、これも断定しがたいわけでございますが、例えば近年で見ますと、四倍ないし七倍ぐらいというような数字も一つございます。それから、いわゆる糖価安定法に基づきまして価格支持をいたしておるわけでございますから、その価格支持の割合が六割ぐらいを占めております。てん菜の場合には二五%というようなことでございますので、そういったようなかなり財政的負担もほかのものに比べて非常に高いというような要素もございます。  したがいまして、そういうことをもろもろ考えながら最終的には決定しなければならないんじゃないかということでございますので、今のところはまだどうするかについては決まっていないというところでございます。
  86. 谷本巍

    ○谷本巍君 これ以上申し上げても押し問答になろうかと存じますが、再度私の側から強調させていただきたいのは、算定要素で見ると上げ要因が多い、これはもう現地農家の方にいたしましてもそういったような気持ちでありますから、その辺のところは局長もきちんと念頭に入れて決定に当たっていただきたいということを要望しておきたいんですが、よろしいですね。
  87. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) 先ほど答弁したとおりでございます。
  88. 谷本巍

    ○谷本巍君 それでは、次にもう一つ、昨年支給されました臨時栽培管理費にかかわる問題について伺いたいと思います。  御承知のように、平成二年度の場合には臨時栽培管理費としてトン当たり二百円が価格に加算されました。これは、台風被害状況にかんがみて追加的な栽培管理作業が必要であることを配慮し、平成二年限りの措置として支払われたというふうに伺っております。  そこで、ことしの十アール当たりの収量見込みを見てみますと、台風や干ばつ等の被災によって五・七トンというふうに聞いております。昨年の場合は六トンでありますから、昨年よりもさらに十アール当たりの収量が下がるということになってまいるわけであります。過去五年の平均の十アール当たりの収量は七トン弱であります。それと比較をしてみましても、ことしの収量が異常に低いということは明白であります。  でありますので、去年の場合の臨時栽培管理費というのは去年限りとされてはおりますが、ことしは昨年よりも一層ひどい状況にあるわけでありますから、現地の皆さんもこれは当然継続されるだろうという強い期待感を持っております。形式的に言いますと、去年一年限りとされておったから、したがって継続は難しいんだという形式論というのもあろうかと存じますが、実質的にその辺をどうするのか、政府見解を承りたいのであります。
  89. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) 平成二年産のサトウキビの臨時栽培管理費につきましては、先生も御承知だと思いますけれども、昨年価格決定の際に、いわゆる奨励金というのが従来トン当たり二百円あったわけでございますが、これを切り下げるかわりにということで新たに臨時栽培管理費として二百円をつけたものでございます。したがいまして、そういうふうな経過からいきまして、いわゆるこの措置につきましては平成二年産限りの臨時特例措置というふうに我々は考えております。  ことしの価格全体につきましては、先ほど申し上げましたような基本的な考え方に基づきましていろんなデータを現在分析しておるところでございまして、もろもろを考えた上で最終的には適正に決定したいというふうに考えております。
  90. 谷本巍

    ○谷本巍君 再度お尋ねいたしますが、私先ほども申し上げましたように、現状は去年よりもひどいという状況でありますから、そういう状況を踏まえて何らかの措置を実現するために努力するというお考え方はあるんですね。
  91. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) 災害状況、ことしは干ばつが五月から七月にかけて非常にひどかった、それからその後また十七号から十九号にかけましての台風被害もひどかったということは、我々十分認識しております。そういう認識と、それから先ほど言いました内外価格差の問題ですとか、あるいは財政負担が非常に大きいですとか、そういったもろもろのことを全体として考えまして、総合的に適正に決めていきたいというふうに考えております。
  92. 谷本巍

    ○谷本巍君 そこで、大臣にちょっと伺いたいのであります。  先ほど三上委員からも災害問題では質問がありましたが、ことしの災害は例年の災害と大分意味が違うと思うんです。といいますのは、ここ一、二年の間に農業を継続しようかやめようかということで判断に迷う方が非常にふえてきているという状況があります。したがいまして、災害対策にかなりの力を入れていきませんと、被害率の高かった専業的な農家、そういうところからやめるという傾向が出てきはしないだろうか。私もせんだって青森に参りまして現地農家の皆さんの話も若干聞いてまいったのでありますが、やはりそういう声があるんですね。  それだけに沖縄の場合には、これは二年続きということになるわけでありますけれども、ことしの価格決定に当たってはそういう点も踏まえて当たっていただきたいということをお願い申し上げたいのでありますが、いかがでありましょうか。
  93. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 連年災害であったり、またとりわけことしの災害が気象異変と台風災害と二重に重なってきておる状況で、現地は大変な状況であることをよく認識いたしておるわけであります。災害対策とその問題とをストレートに直結するわけにはいきませんという筋が一つございます。昨年約束した単年度という約束事も存在をするわけです。しかし、状況を見て事務当局が今精査、検討いたしておるわけですけれども、そういう状況を勘案して、私は褒められることはないけれどもしかられないような価格の決定をいたしたい、こう思って実は苦慮いたしておるわけであります。
  94. 谷本巍

    ○谷本巍君 大臣の前向きの答弁をいただきましてはっとしたところであります。  次に、事業団の買い入れ価格について若干伺いたいと存じます。  ことしの生産見込みは百七万トン弱ということであります。昨年でも百二十二万トン、過去五年を平均してみますと約百五十万トンということでありますから、ことしの生産の落ち込みというのは三割に近い減産というようなことになるわけであります。そういう状態が生じてまいりますと、工場の処理能力に合わせて収穫がやれるかどうかという問題が出てまいります。災害の年というのは通常の年と違いまして、収穫作業も大変だという状況が生まれてくるからであります。したがいまして、収穫に合わせた操業にならざるを得ないという局面があらわれてまいります。そうなってくるとどんなことになってくるのか、例えば一日当たり二千五百トン処理する場合と千八百トンしか処理しないという場合では、コストはかなりの違いが出てまいります。  そこで伺いたいと思いますのは、事業団買い入れ価格決定に際して、実態コストを基本に決定すべきだと考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
  95. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) 委員御指摘のとおり、昨年も生産量が減ったというようなこともございます。またことしはさらに減ったというようなことがございますので、当然にこれは加工製造経費のコストアップの要因になろうと思います。したがいまして、我々としましては各企業ごとのコストを一応聞いております。聞きまして、これは法律に基づくわけでございますけれども平成五年目標生産費というのがございます。なるべくならそういう方向に近づけたいということで、現実のコストを平成五年目標生産費に近づけるというようなことで接近したいと思っておりますけれども、ただその間にいろんな燃料費ですとか人件費ですとか非常に上がっておるものもございます。そういったものにつきましては、それぞれ物価上昇等を織り込むというようなことで考えたいと思っておりますけれども、経営の問題でございますので、単年度の経営を単年度で終えるかどうかは別といたしまして、少し長い目で見て経営がやっていけるようなことでやらなければならないというふうに考えております。
  96. 谷本巍

    ○谷本巍君 局長、目標生産費に近づけようとすることの余り、実態コストが無視されるようなことはないでしょうね。
  97. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) やはり製糖業といいますか、甘蔗糖のメーカーがあって、生産もあるわけでございまして、生産とメーカーとはこれは車の両輪というような形でございますので、そこは経営が成り立つような形で持っていかなければならないというふうに基本的に考えております。
  98. 谷本巍

    ○谷本巍君 時間が参りましたが、最後に若干伺っておきたいと思いますのは、生産条件の整備についてであります。  キビの作付面積が年々減ってくるというような状況については、何といいましても生産基盤整備の立ちおくれということがあります。冒頭、農林水産大臣から、そうした生産基盤の整備について力を入れていきたいという見解を承ったのでありますが、例えば土地基盤整備について見ますと、現地の皆さんのお話ですと、てん菜の場合と比べて約三倍方沖縄の場合にはかかるのではないかといったような声もありますし、さらにはまた機械化問題で見てみますと、沖縄のキビ農業に合ったものの機械がない、この開発がおくれている、とりわけ収穫機の開発に対する現地の期待というのがかなり濃いのであります。そのほか、品種改良の問題等々もございますが、そうした点について今後どのようにしていかれるのか、その見解を承りたいのであります。
  99. 上野博史

    説明員上野博史君) 沖縄のサトウキビ産業、沖縄だけでございません、鹿児島県の南西諸島のこともございますけれども、このサトウキビ産業の問題は、農業従事者の老齢化ということの問題と、それからこの地域は最近いろいろな新しい果樹園芸作物等が入っておりまして、そういうものにどう労力を振り向けていくかというような問題との兼ね合いで、どうしても労働集約的な現在の生産状況を機械等の導入によって改善していかなければならない、これが最大の課題としてあるわけでございます。そのために機械を入れるということになりますと、委員御指摘のとおり、基盤整備をまず進めていかなければならないというのがあるわけでございまして、全国平均に比べればはるかに多くの国費を投入するというようなことで努力を続けております。  それから、収穫段階の人手、労働というのが一番大きな問題でございまして、全体の所要労働時間の半分以上をこの面で費やしております。これを省力化してまいるために最近、中小規模の栽培地域に適応した小型ハーベスターの開発を進めておりまして、現地に実際上配備していけるような段階に参っております。これにつきましては、今年度の予算でもそういう手当てをいたしておりまして、実際の普及に入るという体制になっております。  ただ、この小型ハーベスターはどこでも使えるというものではございません。この地域のサトウキビ栽培のためのものでございまして、開発コストの関係からもかなり割高なものでございまして、生産組織をつくったり、あるいは農業機械銀行というような形での共同利用という形で入れなければならないわけでございまして、そういう体制づくりが大事かと、かように思っております。  それから、品種につきましても、糖度取引への移行あるいは収穫期をより長くとって機械の効率的な利用なりあるいは製糖工場の稼働の効率化を図るというような観点から新品種の導入というのが望まれるわけでございますけれども、これにつきましても、最近新しい品種の開発というようなことが行われておりまして、従来からございました取り入れの時期の遅い品種、これのシェアがだんだん落ちております。そういう形で新種の開発、導入についても努力をいたしているところでございまして、委員の御発言の趣旨に沿って今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  100. 谷本巍

    ○谷本巍君 終わります。
  101. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時十七分開会
  102. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 高木正明

    ○高木正明君 質問に入ります前に、今次台風災害被災されたそれぞれの方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  また、午前中に、同僚の質問の中で、私も若干何点か質問の中に入れておったものが大臣あるいは政府当局から御答弁が出たようでありますので、若干省かせていただくところは省かせていただいて、ちょっと確認をさせていただきたい問題点で質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、激甚災害の指定の場合はこれは国土庁であるということは大臣の午前中の答弁でありますが、伺いますと、大体二カ月ぐらい指定に月日がかかるのではないかという話もありますし、また一定の条件が満たされれば指定をしてもいいのではないかという考えがあることも事実でありますが、この点に対してどういうお考えをお持ちでしょうか。
  104. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) お尋ねのように、激甚災害法指定をする場合には一定の基準があればできるわけでございますが、この基準というのが、その被害地域の、例えば当該地域の所得の何分の一以上の被害であるというようなことが基準になっているわけでございまして、そのための被害額の特定というようなことに作業上日数を要するということでございますので、それらの調査を鋭意急いで、指定の要件を整えるということがまず第一の作業でございます。それらを整えた上で国土庁において、これは農林関係被害だけではございませんで、各省庁の所管する事項についての被害も見定めた上で指定の結論を出す、こういうことでございますので、一定の基準に達しているかどうかということを精査するのに時間がかかる、こういうことでございます。
  105. 高木正明

    ○高木正明君 天災融資法を早期に発動するということは大臣の御答弁にありましたから、ぜひそうしてほしいと思いますが、言われていることはいろいろ基準が細かく決められてしまうので多少不安が残るという心配もありますが、今次災害の特色を考えますと、一定の決められたような形の中で発動されるということについては若干万全の対策を欠くことになるのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  106. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 例えば委員がお話しのように一定量を超えた被害額が確定はできるんですけれども、それぞれの末端の地域に行けばそれぞれの被害額がまた違ってくるものですから、そこの所得だとかいろんなところにかかわってそれの対応が違ってくるわけであります。そういう意味では、可能な限り、今次台風十七、十八、十九と三件の台風によって被害を受けた全地域が激甚法たり天災融資法発動によって対象になるようにしたいということが時間のかかる一つの要因であるかもわかりません。  ただ、今日まで約二カ月ほどが一番時間が短くて発動できたわけでありますけれども、それよりもう少し早い記録をつくろうと思って今作業を進めておるわけでありますから、可能な限り短縮をして激甚の指定もされてくるものではないか、こう思っておるわけですが、天災融資法についてはもう資金需要の掌握ができれば直ちにやりたい、こういうことでございますので御理解をいただきたいと思います。
  107. 高木正明

    ○高木正明君 次に、農家営農資金対策として自作農維持資金の融資限度額の引き上げと金利の引き下げを図らなければならないと思うのでありますが、今回の台風第十九号は全国各地において大きな人的、物的被害をもたらしたのでありますが、特に農作物など農業関係被害が非常に大きいものとなっておることは御承知のとおりであります。被害を受けた農業者は今後の経営再建や、あるいは収入の減の補てんをどうするかという資金調達が緊急の要となるので、農家営農資金対策について自作農維持資金の融資枠を確保するとともに融資限度額についてもその引き上げを図るべきではないかと思いますが、政府考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 海野研一

    説明員(海野研一君) 自作農維持資金については現在融資枠二十四億円ということでございます。天災融資法発動というような大災害の場合には必要に応じて特別枠を設定してきておりまして、今回の場合も当然この二十四億円では足りなくなることが考えられますしかるべく枠を設定する必要があるだろうと思います。  また、貸付限度額につきましても、そのような大災害、特に連年災害で負債が増高しているというような場合には限度額の引き上げということも行ってきております。現在、自作農維持資金につきましても資金需要額の調査を行っているところでございまして、この調査結果に基づいて円滑な資金の融通が図れるように、枠につきましても、限度額についても十分資金需要をベースにして考えてまいりたいと思います。
  109. 高木正明

    ○高木正明君 規格外米の政府買い入れ措置について御質問いたしたいと思いますが、水稲については規格外米の大量発生が予想されているところでありますし、被災農家関係者は規格外米の価格を下支えする観点からも政府買い入れの措置を要請していることは御承知のとおりでありますが、このような被災者の切実な要請にどのようにこたえようとしているのか、対応方針をお聞かせいただきたいと思います。
  110. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) 食糧庁がちょっとおりませんので恐縮でございます。  規格外米の扱いにつきましては、食糧庁の中の通達で、天災融資法発動を受けた地域において発生しました規格外米の扱いが決まっておるわけでございまして、これを物によりまして自主流通へ販売するというようなことができるようにしているわけでございます。したがいまして、被災地天災融資法発動というような作業を見た上で食糧庁において取り扱いを決めるということになっております。
  111. 高木正明

    ○高木正明君 午前中からずっと引き続いて質問があった中で、天災融資法中心とした融資措置などについて質問がありましたけれども、私は税制措置について、これは本来なら国税庁や自治省にお伺いすべきところであろうかと思いますけれども、あえて農林省の考え方をちょっと聞いておきたいと思います。  農家生活の糧である農産物や住宅などに多大な被害が発生しておりますことは御承知のとおりであり、これが今後の生活に大なる不安を抱いている現状被災農家に対する税制措置について、第一に税制というのは農業者を含めて国民全体に公平に所得に応じて課税することが大原則であるということは御承知のとおりであります。しかしながら、今回の災害において農産物収入がないという農家などから税を取るというわけにもいかないのではないかと思うのであります。  したがいまして、これら被災農家に対して政府は税制の面からどのような支援措置を行うのか、あるいは税制上の具体的な措置は国税庁や自治省にお願いしなければならないわけでありますが、農林水産省としてはこれらの問題にどのような対応をするつもりなのかをお伺いしておきたいと思います。
  112. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 被災農家などに対します税制措置につきましては、国税関係では所得税の予定納税額の減額承認あるいは災害により資金繰りが困難になった場合の納税の猶予などがございます。それから地方税関係では、災害によりまして資金繰りが困難となった場合の徴収の猶予、それから災害によりまして農作物につきまして被害を受けた場合の住民税の減免措置あるいは固定資産税の徴収の猶予などが講じられることになっております。  農林水産省といたしまして、今般の台風被害が非常に深刻だという事態にかんがみまして、十月十四日付をもちまして国税庁長官及び自治省の税務局長にこうした実情にかんがみまして適切な取り扱いが行われるように要請いたしているところでございます。また、御承知の所得税にかかります農業所得標準の作成に当たりましても、被害実態を反映した適正な課税が行われるようにという要請を行ったところでございます。なお関係当局とよく打ち合わせを進めていきたいと思っております。
  113. 高木正明

    ○高木正明君 次に、林野庁一つお尋ねをしておきたいと思いますが、私どもの北海道は、当初の気象予報からいきますと、かつての洞爺丸台風を上回る大きなものになるという予報でありましたけれども、幸いにして北海道は被害が少ない状態で終わったことは道民としてはほっとしているところであります。しかしながら九州の北部を初め、各地で激甚な森林災害が発生しているということを伺っておりますが、被災された森林所有者は突然の大災害に見舞われたわけでありまして、経営意欲を失ってしまうほどの大きな痛手を受けているということであります。加えて、この被災地を緑豊かな森林復旧するためには多大の資金と時間を要するわけでありまして、被災者にとってはまことに大変な負担になってくる話であります。  そこで、現在までのところどれぐらいの森林が倒れたり、あるいは折れたりそういう被害が出ているのか、また林野庁は今回の台風被害に対してどのような復旧対策を講じようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  114. 小澤普照

    説明員(小澤普照君) 今回の台風によります森林に対する被害とその対応策についてのお尋ねでございますが、台風十九号によります被害につきましては、被害のございました関係の道府県に被害状況を早期に把握するよう指示をいたしているところでございます。そして、その中で十月十四日現在の報告等によりますと、大分県を初めといたしまして二十九の道府県におけるまず民有林の立木の被害額、これは折損木を含む風倒木の被害額ということでございますが約八百三十億円に上っております。また、国有林につきましては、秋田営林局を初め八つの営林局及び支局における被害額でございますが約百八十四億円でございまして、合計では約一千十四億円となっている状況でございます。  これらの復旧等の対応策でございますけれども被害の程度によりまして、激甚災害法に基づく森林災害復旧事業というのがございますので、激災の認定をされましたならば、私どもこの森林災害復旧事業というものを適用したいと思います。そのほか、治山あるいは造林等におきます一般公共事業を投入してまいるという対応の仕方がございます。それからまた、農林漁業金融公庫等の融資によります造林等がございますが、これらを効果的に早期に実施いたしまして、早期の復旧に努め、林業者の方々が意欲を失わないように私どもも全力を挙げて対応してまいりたい、このように考えているところでございます。
  115. 高木正明

    ○高木正明君 何点かあと通告していた問題点がありましたけれども、午前中の同僚の質問である程度答えが出ておりますので、私も時間がありませんからそれは省いておきたいと思います。何はともあれ災害対策はあすにも困っている被災者の気持ちに立って、政府当局はくれぐれも万全の対策をとっていただきたいことを要望しておきたいと思います。  次に、先ほど菅野委員からちょっと価格政策について触れておりましたので、私は別な観点から価格政策についてある程度質問をさせていただきたいと思います。  私どもは毎年農業政策について、政府の支持価格の問題のたびごとにいろいろ議論をしてまいりましたけれども、乏しい私の経験で、この十二年間ほとんど政府の支持価格は下げ幅でありまして、辛うじて据え置いていただいたことがあるぐらいで、年々これが引き下げられておることは御承知のとおりであります。したがって、私どもは価格政策と同じように構造政策を伴っていただかなければ、先行き農民は将来に希望が持てないということを申し上げて、かなり構造政策の中でいろんな手当てを講じていただいたことは十分承知をしております。  しかし、そういう構造政策をとっていただいたにもかかわらず、北海道は専業農家が非常に多いわけでありまして、価格が下がれば生産資材やその他農業パリティやなんかも上がっているのにもかかわらず農業者の所得はだんだん下がっていくばかりであります。一般の勤労者は所得が上がっていくのにかかわらず、生産農家の所得はだんだん下がっていってしまう、これが率直に言って農民が非常に単純に不満を持つ原因の一つであります。  先ほどのお話の中にも、生産者価格は下げられても流通の中から消費者のところへ行くときには相当な価格になっているわけでありますから、この問題について農民は率直に生産者だけが一方的に犠牲を強いられているというような感じを持つことは私は当然のことではないかと思うのであります。  従来、国際的な農業環境の中で、内外価格差の問題を頭に置かれて農民に対して生産性の向上だとかいろんな努力を強いてきましたけれども、今や農民は、もう生産性の向上をしたり、あるいは品質や安全面での懸命な努力を続けていても一農業分野では基本的に解決できない価格差はどうしてもこれは抜きがたい原因だという感じがあってならないのであります。したがって、農民にとってみれば限りない努力をいつまでも求められるのかということに対する不満は率直に言って菅野委員の言ったとおりでありまして、単純に考えれば、生産価格は下げられる、資材その他の面では上がっていく、しかし所得は下がっていくと。これではどんなに努力をして生産性向上を図ってコスト低減を図っても、やっぱり農民には限界というものがあるということを考えますと、もうそろそろ価格政策と、あるいは所得政策との整合性を考えながら、どうやれば農民の一人一人の所得が下がらないで済むのかということを検討しなければならない時期に来ているのではないかというふうに考えるわけであります。  私どもの党におきましても十分この議論はいたしまして、もうそろそろ価格政策だけの農政では農業がつぶれてしまう。ガットにおきましては、食糧安保論という高邁な理論を繰り広げており、あるいはまたその他の面ではいろんなことを言っていても、高邁な理論を続けているうちに農家一人一人が倒れてしまって農地が荒れてしまうと、国土保全という観点からも非常にマイナスな面が出てくるのではないかというふうに考えられるわけであります。北海道の農家は離農する農家が多いと言いながら、しかし離農もできない農家の方が数多くあるということは御承知のとおりであります。本州の農家は農地が高く売れるから転用するときには非常にその面では北海道に比べて有利でありますが、北海道の農地は売りたくても売れない。農協に借金している農家が多ければその農協自体もつぶれてしまう、やめるにやめられない、どうしたらいいのかということが率直な農民の気持ちであります。  したがいまして、もうそろそろ政府の方においても、この価格政策と所得政策をどう整合性を持って取り組んでいくのかということを真剣に考えていただく時期にあるいは来たのではないかと思いますが、この面について政府考え方があればお聞かせいただきたいと思います。
  116. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) おっしゃるように価格政策だけでは農業の近代化とか合理化というのは進まないということで、私どもとしましても従来から価格政策とあわせていわゆる構造政策の推進あるいは技術の開発というようなことをやってきているわけでございますが、遺憾ながらなかなか規模拡大等については目覚ましい進展がないという現状にございます。  一方、先生の御指摘の物の価格という問題とほかに農家の所得の問題があるではないかという御指摘もこれまたもっともなことでございますが、さりとて個別経営に対する所得政策というのはなかなか政策として難しいところがございます。例えばよくEC等で行っていますデカップリングというような政策を考えたらどうかというような御議論もあります。これについてもいろいろ問題点もあるわけでございまして、我々としてもその点検討はしているところでございますが、いずれにしても農業全体のこれからのあり方と深くかかわってくる問題でございますので、現在省内で新しい政策のための検討本部を設置して鋭意検討しているところでございますが、いろいろな御意見等を伺って、これらの問題も含めて検討していきたいというふうに思っています。
  117. 高木正明

    ○高木正明君 もう一つお伺いしておきたいと思いますが、かつて北海道は、三全総以来、日本の食糧基地だと言われて非常に意欲を持って農業に取り組んできたわけでありますが、その日本の食糧基地と言われでいろいろ努力をしてきた北海道農業もだんだん窮地に追い込まれてしまう。このままの状態で長年続けていけば将来の見通しも立たない。後継者の育成ということは文字ではいろいろ言われますけれども、今苦しくても将来に向けて明るい見通しがあるのなら若者は定着してくれると思いますが、今苦しくて将来の見通しがなけれはこれは農地は荒れほうだいに荒れてしまう。そうしたときに一体その責任はだれがとるのかということになると、一なかなかこれは大変なことになると思うのであります。したがって、今私が申し上げましたように、価格政策は新たな所得政策を構築していかなければならない時期に来たと思いますので、今官房長の御答弁にありましたけれども、なお農林省当局におかれましては十分この面を詰めていっていただきたい。そうしてまた、年が明ければ乳価から価格政策からずっと一連に始まってくるわけであります。事前によくこの問題を詰めていただかないと、一定の限界に達したことが、農民にはもうこれ以上はできないという気持ちがありますし、あるいは先ほどの畑作対策におきましても、一年間かかってこの畑作対策をつくってもらったけれども、それがまた十分実らないうちに価格が下げられてしまうということは、夢も希望も将来持てなくなるという気持ちになるわけでありますから、後継者対策考えるなら、今苦しくても今我慢すれば、将来に向かって農業の展望が開けるんだということが少しでも出れば、後継者対策はそんなに難しい問題ではないと思います。その辺を十分当局においては考えていただきたいということを特に指摘しておきたいと思います。  次に、水産の問題に入らせていただきます。  先ほど菅野委員から日韓の漁業問題について話がありました。北海道の漁民にとってはこれは二十数年以上にわたる古くて新しい問題であります。北海道も水産基地と言われながら、北海道の漁業も、かつては北洋を開拓しながら相当な力を持っていた北洋漁業がだめになってまいりましたし、また沿岸と底びきの関係もあって底びきの衰退もあらわれてきておる。沿岸の漁業にしても同じであります。そんな状態の中で、唯一の栽培漁業を一生懸命やろうとしているさなかに、この何年、何十年来韓国船の問題があります。さらにまた、知床の羅臼の方へ行きますと、これは日ソ・ソ日ラインは越えてきませんけれども、ソ連の船が二千トン、三千トンの船でスケソウをとっていってしまう。そこでとられてしまえばラインの中に入ってくる魚がなくなってしまうわけでありまして、いずれにしても外国船対策は漁民にとって大きな問題であることだけは間違いないわけであります。  先ほど大臣答弁の中にもありましたけれども、ある程度事務レベルの交渉では限界があるのかもしれません。したがって、政治的な解決もそれに加えられなければならないという話でありましたけれども大臣は行政の長であると同時に政治家でもあります。私どもの党も何回か韓国に参りまして、この問題について党としても詰めてまいりました。つい先般も水産部会長の北先生も韓国に参りまして民間政府方々といろいろ詰めてまいりましたが、李承晩ライン以来のいろんな感情が入りましてなかなか一挙に解決できない難しい問題ではありますが、何十年どこのままの状態が続けば北海道の沿岸漁民は資源が枯渇してしまう、こういう問題がいつまでも続くわけであります。  そこで、大臣にもう一度お尋ねしておきたいのでありますが、いろんな状況を踏まえながら年末までに解決しなければならない日韓漁業協定でありますが、これに対する対応をお聞かせいただきたいと思います。
  118. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 時間に制約がありますので過去のことは省略をさせていただきますけれども、第五回の事務レベル会議がきのう、きょうと二日間にわたってソウルで行われておるわけであります。年内に妥結をするとすればもう大体この辺で事務レベルでの折衝というのは一応終局をして、同じ事務レベルでも高級事務レベルという長官が行くのもございますし、政治レベルになれば私が行くということになるわけでありますけれども、その辺の対応考えていかなければならないというふうに判断をいたしておるわけであります。  日韓議員連盟からも御支援をいただき、党からもまたお話のありましたように御支援、御協力をいただいておるところでありますけれども、年末以降のことについて今私が考えておることは、今年末に向けて交渉をしておるところでありますので、可能な限りのものを妥結をしていきたい、こういう形で今物を進めさせていただいておるわけでありますし、現時点の認識は基本的に合意ができておるわけであります。  いずれにしても、取り締まり権の問題についてはもう長年にわたって、先生、今お話のございましたようなことで、不法もそれこそただ尋常一様の不法ではないかなりの不法行為をいたしておるわけであります。ただ領海を越えたか否かということではなくて、我が国の漁民の禁止区域に入ってきておるということはゆゆしき問題でありますし、我々は水産庁の行政を預かる一人としても、禁止をしておるものが守れないという状況に至っては行政当事者として責任を負わなければならぬ、そういう立場でありますので、もうまとまる、まとまらないは別にいたしましても、とにかく最大限の努力をして、まとまる部分だけでもまとめ上げてその次の問題に移っていかなければならぬだろう、こう思っているわけでありますので、不退転の決意で対処をしていくことだけ申し上げておきたい、こう思っております。
  119. 高木正明

    ○高木正明君 今の大臣の御答弁で、この問題は今北海道の漁民はかたずをのんで政府やあるいは党の出方、対処の仕方を見守っているわけでありますので、長年にわたる漁民の苦しみを考えていただいて、本来ならこれはやっぱり二百海里を引かなければ根本的な解決にならないということはわかっていながら、午前の質問の中でも二百海里の規制は難しいということでありますから、そうだとすれば、せめて自分たちが規制をして漁獲している資源を根こそぎとられるということについて指をくわえていなければならないという屈辱的なことはもう耐えられない状態まで来ておりますので、ぜひとも大臣の今後の対応に期待をしておきたいと思います。  さらにまた、余り時間がありませんが、簡単に申し上げますと、問題になっております公海の流し網漁業であります。これは多く私は申し上げる必要もない、もう十分長官も大臣も御存じのとおりでありますが、公海流し網漁業の存続のためにどのような対応をしようとしているのか。さらにまた、北洋のサケ・マス漁業についても同じでありますが、今後のサケ・マス漁業を行う方々の漁場を確保していくことが私はぜひとも必要だと思いますが、この二点についてどのようにお考えになっているか、長官、御所見を伺いたいと思います。
  120. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 公海流し網漁業につきましては、御案内のとおり一昨年の末に、効果的な保存管理措置がとられない限り、明年六月三十日までにモラトリアムとするというような国連総会の決議がございまして、その趣旨に沿って日本側はアメリカ、カナダの科学者に日本の漁船に乗船してもらいまして、共通の資料の収集あるいはその分析ということで六月にカナダのシドニーで科学者会議を行ったわけでございます。そこでのはっきりした統一された結論は出なかったということから、御案内のように、アメリカ側は来年六月までに大規模流し網漁業を終了すべきであるというふうな決議案を国連に提出いたしたわけでございます。私の方もそれを受けまして、一昨年の決議を再確認する決議案を提出したわけでございます。それと並行しまして、次長あるいは私も先週訪米いたしまして、大統領府あるいは農務省の方々と話し合いをしたわけでございますけれども、この科学者会議の結論の見方、それから一昨年の国連決議への対応の仕方等から理解を得るに至らないで終わったわけでございます。  いずれにいたしましても、国連の場での論議が始まるわけでございまして、国連で多数派工作を図るとともに、米国とも十分話し合いをしていきたいというふうに思っています。関係各国の理解を得るために高次長を訪欧させまして各国と話し合いをしていますし、また甕農林水産省の顧問がEC諸国を訪問した際に関係諸国と話し合いをいたし、理解を得るように努力をいたしているわけでございます。また一昨日は、大臣が来日中の米国のバール大統領補佐官と話し合いをしたりしておるわけでございます。いずれにしましても、そういう話し合いを通じてこの問題の解決に最大限の努力を傾注したいというふうに考えております。  それから、サケ・マスについては、御案内のように母川国が第一義的利益と責任を有するということで、事実上母川国が管轄権を有することが世界的に定着いたしておりまして、残念ながら連年漁獲量の減少というふうな厳しい対応を迫られておるわけでございます。それから、最近はソ連が一九九二年までにサケ・マスの沖取りを全面的に禁止する旨を主張し続けているわけでございます。また、北太平洋における湖河性資源の保存に関する条約、四カ国条約で公海のサケ・マス漁業が禁止されることが確定したということによりまして、北太平洋のサケ・マス漁業の再編成が避けられないというような情勢となっておることも事実でございます。  政府といたしましては、そういうことからサケ・マス漁業の再編成を一方で進めていくということで、平成元年十二月の閣議了解によります国際漁業再編対策によりまして、減船を行うこととした者に対する救済措置というのを実施しているところでございます。また、本年六月中旬の日ソ間の大臣間の協議の結果、ソ連二百海里内及び日本二百海里内の日本漁船によるソ連系サケ・マスの漁獲に係る協力の発展を図ることについて合意が得られたところでありまして、引き続き日ソ双方の二百海里内における操業の安定的な継続につきまして最善の努力をしていきたいというように考えております。
  121. 高木正明

    ○高木正明君 長官、いそ焼けの現象ということを御存じですか。
  122. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 前々から日本海側であるということで、そういう話は聞いておりまして、今回質問されるということで少し勉強いたしました。
  123. 高木正明

    ○高木正明君 北海道の日本海の沿岸を歩きますと、このいそ焼け現象によって資源がないのであります。水産庁も栽培漁業でかなり力を入れてもらっていることは大変感謝いたしますが、このいそ焼け現象が起きているために、ウニだとかあるいはツブだとかアワビだとか昆布が育たないのであります。私は、これは日本海沿岸だけの特色がと思いましたが、最近知床、羅臼あるいは太平洋沿岸の一部を歩きますと、この中にもやっぱりいそ焼け現象が見えてまいりまして、ことしは本当にその現象における被害が非常に多いわけであります。  北海道におきましても、道立水産試験場で、どうしてこのいそ焼け現象が起きるのかということを究明しておりますが、なかなか予算がなくてこの問題はまだ論文を書いてもらうところまではいかないのでありますが、この問題について国としても何らかの対策を講じていただけるかどうかちょっと御質問させていただきます。
  124. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 御指摘のように、この問題の重要性は認識しておりまして、各種の試験研究機関でその発生の原因とかメカニズムについて調査研究を行っているわけでございます。ウニ、アワビ等による有用海藻類の食害でありますとか、石灰藻の繁茂による有用海藻類の生育阻害とか貧栄養化等々のいろいろな原因が考えられておるわけでございますけれども、いまだ必ずしも十分な知見が得られているという実情にはないようでございます。  そこで、水産庁といたしましても、今まで得られている知見を踏まえまして、特に有用海藻に対するウニの食害ということに着目しまして、沿岸漁場整備開発事業、いわゆる沿整事業の中で国の直轄調査事業ということで、平成二年度から北海道の寿都湾をモデル海域としましていそ焼けの地域における漁場造成手法の開発に取り組んでおるところでございまして、今後ともそういう調査を通じその原因の解明とその対応に努めていきたいというふうに考えております。
  125. 高木正明

    ○高木正明君 時間があと一分しかありませんから、最後に指摘をしておきたいと思いますのは酪農の問題であります。  ことしの四月から牛肉の輸入自由化が成りまして、これが原因で非常に今酪農家は苦しんでおります。そうして、従来の酪農家は生乳の所得が七〇%であれば個体の収入が三〇%ぐらいだと、生乳である程度価格を引き下げられてもその不足分は個体の収入で上げてきたのでありますが、その個体がこの自由化によって暴落してしまいました。借金を返せるような状況にまで至らない。農業の中で酪農が一番優等生だと、私どもも国の政策の中で取り上げていただきましたことに感謝をしておったのでありますが、この問題は非常に深刻であります。そうして、来年まず乳価から始まるわけでありますが、この問題は今から十分認識をしていただかないと来年の乳価のときにはまた議論がなされるかもしれません。したがって、この問題で畜産振興審議会を開いてその状況把握あるいは理解に努める気持ちはないかどうか、このことだけを聞いて質問を終わりたいと思います。
  126. 赤保谷明正

    説明員赤保谷明正君) ぬれ子だとか経産牛の価格が下がっている、それが酪農経営に影響を及ぼしている、そういうような実態については私どもよく承知をいたしているつもりでございます。そのために乳肉複合経営、これに一層取り組んでいただく、そういうようないろんな施策をしておるわけでございますが、ことしも三月の価格のときに関連対策を拡充強化して実施をしております。  審議会を開くかどうかというお話がございましたが、三月のときに拡充強化をしたその施策その他ございますので、そういう施策をひとつ御利用いただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  127. 高木正明

    ○高木正明君 終わります。
  128. 針生雄吉

    針生雄吉君 今回の台風十九号が農作物及び農業施設に与えた被害はまことに甚大でありまして、農作物のみの被害だけでも全国で三千五百五十六億円を上回っておるわけであります。農作物被害に限っても、水稲やかんきつ類の被害も巨額に上っておりますけれども、特に収穫を目前にしたリンゴ、ブドウ等の落果、樹体損傷など、果樹被害は甚大でありまして、果樹栽培農家にとってはまことに壊滅的な今回の台風被害でありました。  特に、風速五十メートルから六十メートル以上の強風に直撃されたリンゴ王国、リンゴ産業県青森県にありましては、全国リンゴ生産量の約五割を占めておると言われておりますけれども落果が予想収穫量の六五%以上の三十六万五千トン、樹上損傷が四万三千トン、これからの営農維持に最も大切な樹体において、樹体被害も全体の一割以上の五十六万七千本でありました。リンゴだけでも被害総額七百四十一億円以上という空前の大被害であります。その他、青森県以外の県でも、果樹被害総額は概算で東日本関係では秋田が七十億円、岩手三十六億円、山形三十億円、福島十億円、新潟三十億円、長野六十六億円という膨大な額になっているわけであります。青森県では、収穫予想量四十九万トンに対して、台風前に収穫して被害を免れたわせリンゴは約五万トンのみでありまして、青森県のリンゴ栽培農家の収入は平年の二割程度にまで落ち込むだろうとも言われておるわけであります。  これらの台風被害が各地の地域経済、市民生活に及ぼす影響もじわじわと深刻化してきておる現状であります。既に大臣が示されましたとおり、政府としては激甚災指定については国土庁協議して可能な限り早く対応したい、あるいはまた天災融資法発動する方向で作業を進めておられるということであります。この点も強力に進めていただきたいと思いますし、また普通交付税の繰り上げ交付を決定されたとも聞いております。さらに、的確、積極的な救済に乗り出すように強く御要望をしておきたいと思います。  雲仙・普賢岳の対応を見ますと、長崎県の対応としては拡大解釈と思われるような対応をしている面もあることであります。こういった弾力対応も望まれるところであると思います。被害農家果樹共済未加入者が大部分であるわけでありますけれども被害を受けた農家があすからの生活を続けられるように営農資金の面で自作農維持資金などの融資枠の拡大、確保、既往の各種制度資金の償還期限の延長等、施策の推進を進めていただきたいと思いますし、また個々の農家の救済のための援農事業、雇用の場の確保等々、生活中心、生命の尊厳の立場からきめ細かな政策展開を強く望むものであります。再び第二、第三の自殺者を出すようなことにならないように、そういうことを念じるものであります。  さて、果樹共済加入者にはある程度の共済の道が開かれているわけでありますけれども、この果樹共済をめぐって二、三の質問をさせていただきたいと思います。私は東北出身でございますけれどもリンゴ園は持っておりません。猫の額程度の庭があるだけでありますので、念のため申し添えておきます。  リンゴ中心とした果樹共済をめぐってのことでございますけれども、その共済金をことしじゅうに加入農家に支払うことができないかということ、つまり共済金を早く支払うためには、当然損害評価の認定作業を急ぐ必要があるわけでありますけれども、この点に関する第一線の共済組合に対する農水省の指導の現況を含めてお答えいただきたいと思います。
  129. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今御質問がございました果樹共済につきましては、現在各組合におきまして損害の把握に入っております。御承知のように、リンゴにつきましては、収穫期が十一月末まで及びますので、組合あるいは連合会におきまして損害高を取りまとめまして、共済金の額を年内に確定するということ自体は恐らく無理ではないだろうかというふうに考えております。
  130. 針生雄吉

    針生雄吉君 共済金を年内に支払うことが事実上不可能であるとするならば、共済金の仮払いあるいは内渡し、仮渡し、そういうことを行って農家を救済すべきではないかと思います。このためにも評価員の査定作業を早めることが必要だと思いますけれども、この点、仮渡しという点についてお答えを願いたいと思います。
  131. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今申しましたように、共済金を年内に確定することはできないわけでございますが、先生今御指摘のように非常に甚大な被害を受けているわけでございますので、何とか次善の策を考えなければいけない、そういうことで共済金の仮渡しという道が開かれておりますので、これを何とか早期に行うことをいたしたいと思っております。現在、見回り調査など被害実態把握しております。損害評価も迅速かつ的確に行わなければいけないわけでございますが、この共済金の仮渡しということが早期にできるように既に指導しておりますが、先生方からのいろいろな御指導をいただきまして、私どももさらに督励してまいりたいと思っております。
  132. 針生雄吉

    針生雄吉君 仮渡しを推進するためにぜひ評価員の査定作業を早めるというそういう指導方向を強めていただきたいと思います。  次に、個人のレベルでの共済金にかかわる問題ではございませんけれども、農業共済団体が農業共済基金から融資を受ける場合に、その借入利息を軽減してもらいたいという声がありますけれども、この金利を軽減できないものかどうかお伺いをいたします。
  133. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今先生からお話がございました借入金は、農業共済団体などが保険金等の支払い財源が不足したときに必要な資金を円滑に供給するということで農業共済基金から借り入れるというものでございます。この貸付金利につきましては、会員の負担を配慮いたしまして固定金利を建前にしてきておりますが、かなり市中金利などに比べますと低いわけでございますし、市中の金利が変動するような場合におきましても慎重にその動向を勘案して決めてきているということでございます。一直接的に農家とかかわりがある貸付金ではないわけでございますので、現在のところ今回すぐにこの金利を変更するということは考えておりません。
  134. 針生雄吉

    針生雄吉君 これもぜひ考えていただきたい。青森県の試算によりますと、今回の被害による果樹共済の支払い額の予想値は、掛金七億二千五百万円に対して支払い予想額が三百四十五億円とのことでありまして、掛金の五十倍近く、今回の被害額の五割に迫る支払い額となる、そういう予想だということでありますが、ほかの県においても同じような状況があるわけでございますので、ぜひ農水省としても強力に推進をしていただきたいと思います。  果樹共済への加入率は全国平均で二一・八%、二二%にすぎません。今回の台風十九号によって壊滅的被害を受けた青森県ではわずか一三%、栽培面積にして一四・九%にとどまっておるわけでありますが、この果樹共済の加入促進を図るために制度上いかなる点を見直すべきであるとお考えがお示しをいただきたいと思いますが、今回の台風被害が百年に一回の大被害と言われておりますけれども、この際、果樹共済についても中長期的視野に立って根本的な改革、根本的な見直しが必要であると思いますが、その点を含めてお考えをお示しいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕
  135. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 御指摘のように、果樹共済は全国的に見ましても二二%程度の加入で、確かに加入率が低いわけでございます。私どもこれまでも、例えば災害指定いたしまして、その災害被害を受けた場合に共済金を受けるというような特定危険方式というようなものを導入いたしまして、同時に補償水準の限度額を七割から八割へ引き上げるというようなこと、あるいは最近の農家生産状況あるいは取り巻く状況の変化から農家の性格なども多様化しているというようなことにかかわりまして、危険段階別の共済掛金率の設定というようなことを導入してまいっております。こうした方式をとりながら、少しでも加入率を引き上げたいということでやってきたわけでございます。  一つこの問題につきまして私どもが一番苦慮しておりますのは、やはりリスクとそれからそれを負担する掛金との関係でございます。僅少な被害につきましても共済金を支払うということになりますと、当然のことながら掛金はかなり高額なものとなるわけでございます。そうした形ではやはり農家は引き受けられないということで、先ほど言いましたようなきめ細かい対応というようなことをとってきたわけでございますが、一方で制度が複雑でなかなか理解しにくいという御要望もあるわけでございます。私ども制度方向につきまして常に加入者あるいは加入できない方あるいは加入なさらない方につきましての御意見なども伺っているわけでございますが、今回のこうした状況にかんがみまして、もう少しそうした皆様方の御意見などの把握に努めまして、どうした方向に持っていくのが一番よろしいかということについて考えてみたいと思っております。
  136. 針生雄吉

    針生雄吉君 リスクと掛金とのバランスの問題だということでありましょうけれども、要するに加入しやすい条件、掛金に見合う保険金という問題になろうと思いますが、もうリンゴの専業農家の中にも掛金が高過ぎて掛け損になるので加入しないでいたとか、また加入の手引についてもさっぱりよく説明してくれないというような不満もあるわけでありますが、もっともっと農家方々実情に即した制度への変革ということとともに、信頼関係を基本にした相互扶助の精神の浸透を図るという地道な積み重ねをしていただきたいと思います。根本的には現在五〇%である国庫負担の割合を上げて掛金を低くするということが最大対策であろうと思いますけれども、そういう方向についても研究をしていただきたいと思います。  次に、本来共済事業というものは信頼関係を基礎にして運営されなければならないわけでありますが、一部ではありますけれども信頼関係が十分ではない、不信感が見られるのは、残念でありますが事実であります。特に果樹共済について損害評価が不公平だ、えこひいきがあるのではないかという声がありますけれども被害の査定の基準というものは定められておるのかどうか、お伺いをいたします。また、被害額の評価に携わる損害評価員の委嘱の基準というものもあるのかどうか、あわせてお尋ねをいたします。
  137. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) この共済制度は、先生ただいまお話がございましたように、相互扶助と申しますか組合というものを組織して、その組合員がみずから連帯して災害に当たるという精神でつくられているものでございます。したがいまして、その組合が評価するということでございますので、先生が今御指摘のような不公平ということがもしありますということでありますと、やはりこうした組合を通じて共済を行っているという精神に反するわけでございますから、これは非常に遺憾なことでございます。  私どもはそういうことがないと信じておりますけれども、今お話の査定に当たりましては、損害評価員というものを指定しているわけでございますけれども、これは組合員の中から集落を単位といたしまして、人格、識見とともに、栽培技術等の知識にもすぐれ、かつ公平性を確保できる者を組合長が理事会の承認を経て任命するという手続をとっております。こうして任命されました評価員につきましては、組合などが研修などもやりましてその資質の向上などにも努めているところでございます。また、損害評価に当たりましては、損害の認定の準則等をつくっておりまして、これに基づきまして統一的な評価方法が図られるように指導し、実施しているところでございます。
  138. 針生雄吉

    針生雄吉君 聞くところによりますと、損害評価の基準としての調整係数と言われるものにも大分問題があるやに聞いておりますけれども、ひとつ衆知を集めてそういったものの精度というものを高めていただきたいと思います。また、いわゆる目だらしと称せられている講習会、そういった講習の強化というものも推進していただきたいと思いますのできる限り公平、公正な眼で評価、査定ができる体制をつくるようにますます御努力をお願いしたいと思います。  次に、組合等の損害評価の結果について農家の側に不満があった場合にはどう対応しているのか。つまり各共済組合等が下した評価の結果に対して、加入農家個人として不満があって再評価を求めたりクレームをつけたいという場合にはどう対応する仕組みになっているのかお伺いをいたします。
  139. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 先ほど来申し上げておりますように、組合という組織を通じまして共済事業を運営しているわけでございます。したがいまして、組合の中でそうしたことを解決していくという形をとっておりまして、やはり組合員がそうした不満がある場合には、組合に対しまして説明を求め、組合の方はそれに対して的確にこたえていかなければいけないということでございます。私どもも、もしそういうことが十分に行われず不満が残るようなことがあみようでございましたら指導の徹底を図っていかなければならないと思っております。
  140. 針生雄吉

    針生雄吉君 時間もありませんので、次に共済制度の評価基準と関連した問題といたしまして、農水省が発表する作況指数というのがありますが、その作況指数と農家あるいは農業団体の実感との間に乖離が大きいと言われております。この点、農水省としてはどう考えるか。農水省の統計情報部が創設以来用いているふるい目、いわゆるメッシュの網目が細か過ぎるのではないかという、一・七ミリと設定している現在の目幅を流通社会の現状に合わせて大きくすべきであるという声がありますけれども、この点を含めて見解をお伺いしたいと思います。根本的には日本の食糧あるいは日本人の食生活の中で米をどう位置づけるかというフィロンフィーの問題であろうと思いますけれども、その対応についてお伺いをいたします。
  141. 須田洵

    説明員(須田洵君) 作況指数についてのお尋ねでございます。我々が公表いたしております水稲の作況指数につきましては、御承知かと思いますけれども、標本理論に基づいて設置した圃場の実測調査をやりまして、さらに幾重にもわたりましての巡回調査、これも行っております。また情報収集、それから気象のいろんな分析とか、単に圃場の調査だけではなくて、非常に多面的な調査等も行いまして、その結果を取りまとめておる次第でございます。  その実感の問題、いろいろ時にあるわけでございますけれども、まあ我々の作況指数というのは、全国、県あるいは地域別の平均値ということでございますので、どうしても個別の農家との実感の差というものも多少生ずるわけでございますし、そのほかに、これもいつもあることでございますけれども調査時点と公表までの間にどうしても若干の期間がございまして、その間に災害等が発生したりするというそういう差もございます。  なお、御指摘のふるい目の問題でございます。これにつきましても当委員会でも以前に御論議があったわけでございますが、我々の方の調査におきましては一・七ミリの目幅のふるいを用いて調査を行っているわけでございますけれども農家等におきましてはこれより大きなものを実際用いてやっておるというケースがふえていることにつきましては十分認識しております。ただ、これも委員も御承知かと思いますけれども、確かに一・七ミリのふるいでやっておりますけれども農家等におきまして一・八ミリとかもっと大きなふるい目でふるいましても、たっぷり時間をかければ別でございますけれども、どうしてもふるい残しの問題というのが出てくるわけでございます。これは現に私どもで、実際に農家で選別したものを標本にとって我々の方へ持ち帰っていろいろな調査をしておるわけです。そうした結果からも言えるわけでございます。  それからもう一つは、こちらの方は数字的には少し少ないかと思いますけれども、ふるい下のものにつきまして再選別をしたものを自家用なり販売用に供するといったようなギャップもございまして、そういう点を考えますと、現在までやっております結果につきましては主食用に供し得る米の収量として妥当なものではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ、この問題につきましてはいろいろかねてより論議もございますので、問題の性格といたしましては、何しろ米の数量といいますかそれを的確に把握するという基本的なことにもかかわることでございますので、非常に慎重な対応を要するということがやっぱり基本だろうと思いますけれども、論議がある問題については絶えず見直しの姿勢で臨むというのが望ましいというふうに考えられますので、現行の方式を継続していく中におきましても実態を絶えずフォローして、研究検討を重ねていくという姿勢で臨んでいきたい、また現在そういうような考え方で内部的な検討も始めておるところでございます。  以上でございます。
  142. 針生雄吉

    針生雄吉君 どうもありがとうございました。
  143. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 午前中から台風被害の問題について集中的に皆さんの討議を聞かせていただいておりまして、予想以上の深刻な状況にあることを感じております。私ども公明党といたしましても、九州、四国、山口県、広島県、東北六県、長野及び関東周辺にそれぞれの調査団を出しまして調査をいたしまして、その結果を関係部局にいろいろ救済策でお願いをしているところでございます。内閣官房にも申し入れをしたところでございます。  さて、私はその中で関東の野菜生産地の調査に入りました。実は首都圏、東京に比較的影響が出やすい関東の蔬菜類の生産地に入りまして、余り話題にはなっていないようですけれども、その被害の大きいことに驚いております。八月の第十二号台風から始まりまして十九号台風までの間で、今回の台風の一連の特徴は、先ほど来から風速五十六メートルとか瞬間六十何メーターというお話がございましたけれども、あわせて雨台風であったということがことしの台風の特色だったろうと思います。したがいまして、関東はそれに伴う湿害、つまり水浸してございますけれども、湿害が非常に多く、それによって出た野菜の被害額は実は大変大きいものがございまして、各県で様子を聞きましたが、きょうは時間がございませんので、私が直接長靴を履いて入ったところのことを申し上げます。  深谷市のネギの状況を見てまいりましたが、ただ単にネギが育たなくて腐っているという状況だけではなくて、一番日照が欲しい八月の半ばからもう十二号台風が始まりまして、雨でびちゃびちゃしているわけです。それで、苗で植えたネギが分岐をしないといいますか、株がふえていかないわけです。したがいまして、一本で植えた苗がそのまま大きくなっているというだけの状況です。夏ネギから秋にかけてのネギをとる時期には、私も深谷の状況をよく知っておりますけれども、もうびっしりと畝に詰まって生育しているんです。けれども、この秋は、歯が抜けたようにネギが一本ずつ立っているという状況でございます。したがいまして、深谷でもこの被害を大変深刻に受けとめ、埼玉県ではこうした野菜類は共済の対象になっておりませんものですから、特別災害指定を県条例で指定いたしまして、県が早速にこの問題について調査をし、救済策を既に出しているようでございます。  こうした影響が都会にも既に出ておりまして、毎日野菜が高くて大変だというお訴えをたくさん聞いております。私の毎日買う八百屋さんは、ホウレンソウが一把百八十円が三百六十円、レタスが二百円が四百円、ネギが二本で百二十円が三百円、白菜二分の一 百二十円が二百円、これは安い方だと思います。キャベツ二分の一 百二十円が二百二十円というふうに目の前で上がってきているわけです。今はまだこれでいいんですが、実は関東の状況をずっと見て歩いていると、首都圏がこうした状況影響を受けるのはこれから先の話だろうと思います。実は年内作の葉物をとるには、特にホウレンソウなんかは十月十日をめどに種つけをしないともうとれないというような状況があるようでございますが、既に私ずっとお天気を見ておりますけれどもこれは無理だったと思います。  したがいまして、暮れにかけてのこうした棄物類のさらなる深刻な状況。それから埼玉妻沼ではヤマトイモを見てまいりました。これは種芋のままで、太らない。こういう状況もありまして、今まだ芋は昨年の保冷庫に入ったものが流通しておりますけれども、これから先はえらい話だろうというふうに思うくらい、私はこの野菜類に関する被害について大変深刻に受けとめておりまして、これが消費地においてもまた大きな影響を受けるだろうというふうに思います。  こうした対策についてぜひ大臣の温かい、野菜生産農家と、それから消費地への安定的供給についてどんなふうにお考えか、御答弁をいただきたいと思います。
  144. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 野菜につきましては全く頭の痛いところで、先生今価格の紹介がございましたけれども、毎日の朝のテレビで野菜の価格が報道されておるわけであります。今お話のございましたように、台風も連続して参りましたけれども異常気象のような年で、実は長雨というようなことで野菜に与える影響というものが非常に大きかったわけでありまして、そのことが主たる原因で高値が続いておるということでもございますし、今後さらに年末年始の需要期に野菜の供給と需要との関係で高値がまた高値になるかという正直心配をいたしておるところでありますけれども、可能な限りの私たちの対策とすれば、栽培の管理をして、そして今後におけるそういう雨や水の被害によることがないように緊急に排水対策等の土地基盤整備等の実施を強く指導しておるところであります。  いずれにいたしましても、ことしのような状況被害を受けた年でございますので、被害を受けた者に対するものは制度資金とかいろいろなことの手当ではまた可能でありますけれども、不足をして価格が上がるという対策については実際問題の打ちようがなかなか困難である。少なくとも流通のバランスをとっていくということで、偏った形で荷が動かないようにするというような指導をしていくというふうなことでなければいけないので、そのこともいろいろ御指摘や御批判をいただいておるわけでありますから、今後十分に我々の可能な限りの努力をして、少なくともある物が偏った価値の異常な形にならない、そしてさらにその供給体制が十分に近づいていくような形の努力をしていくということで、頭を痛めながら努力をいたしておるというのが現状であります。
  145. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 頭の痛いのは本当にあっちこっちみんなそうでございまして、昨日は学校給食の現場を見てまいりましたけれども学校給食の現場ではメニューは既に早々と出してございますものですから、そのままの形のメニューを出さなきゃいけない中で、その材料に使う白菜、キャベツが非常に高いということでもやしに変えてみたり、あるいはまた切り干し大根を使ったりして、メニューのネーミングは変えないで中身の材料でいささかニュアンスを出しているような工夫を学校給食現場でもしているような、大変長雨の被害あるいは台風による被害影響が国民生活すべてに細かく及んでいるということを私は感じておる者の一人でございますし、また昨日、地元の野菜小売組合の人たちから陳情を受けましたけれども、既にここで二店の八百屋さんが店を閉めるそうでございます。それは通常でも市場外流通が七割を占めようとしているような今日、八百屋さんが競って買ってくるのは三割ぐらいしかもう野菜が今ないわけでございますが、その三割のそのものの量が少なくなっていて、しかも高いということで、やめようかどうしようかという迷いを持っていた小売商が、いよいよここで台風を契機にひとつ決断をしようということで、閉店をする八百屋が二店出たという陳情を受けたような、そんな影響も出てきているのでございます。  台風被害及び長雨による被害のことでいろいろお訴えしたいことはございますが、きょうは時間がありませんので、私が今残っている時間でお伺いしておきたいのは、先ほどガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉がいよいよ山場に差しかかっているということのお話がございました。  そこで、実は去年のちょうど十一月に同じ質問を私は当委員会でいたしておるわけでございますけれども、このウルグアイ・ラウンド交渉の五部門の中の検疫・衛生分野の作業に取りかかっている、この分野の交渉状況がどんなになっているのかということは、昨年、川合局長から大変細々と丁寧な答弁をいただいて、そのことがよくわかっておりますので、それの続きの話を伺いたいんです。  私は加藤信夫さんの論文を読ませていただきました。難しくてわからないと言う方もおりますけれども、私は大変勉強させていただきまして、一連のこの分野の交渉がこんなにつぶさに読めたのは初めてでございました。流れが大変よくわかりました。ただし、ここで発見したことは、この分野の交渉は昨年の十一月で停止しているんではないかということの問題でございます。しかし、ラウンド交渉というのは山場を迎えている。一体この分野はどうなっていくのだろうかということが大変に心配になりますので、まずその分野の状況についてお尋ねします。
  146. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) ウルグアイ・ラウンド農業交渉全体の進捗状況につきましては、午前中にも大臣から御答弁がありましたように、技術会合という形でずっと進められてきているわけでございます。今先生の御指摘の検疫・衛生分野につきましては、技術的な分野と申しますか、その分野の議論。したがいまして、問題点は比較的早く干されているわけでございます。したがいまして、この分野での今後の問題は、やはりそうした技術的分野の一つ上の段階、政治的と申しますか政策的と申しますか、そういう段階に入ることになるわけでございますが、他の分野の議論がまだそこまでいっていないものですから、この分野はそのまま足踏み状態にあるというような状況にあると思っております。
  147. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、これも昨年お尋ねをしているわけでございますけれども、ことし八月に世界消費者大会が香港で開かれています。IOCUの大会でも実はこの分野の問題が一番中心的課題になりました。  そのIOCUの大会で問題になりましたことは、いわゆるハーモナイゼーションの問題、これは昨年私がお尋ねをした中身でございますが、つまり何に調和をしていくのかという問題でございます。エコノミスト等幾つかの論文があるわけですが、ここではコーデックス委員会の基準的な物の考え方を国際基準と置くであろうということが言われているわけですが、このコーデックス・アリメンタリウス委員会、これそのものを問題にしてIOCUが実は調整しているわけでございますので、この国際基準の考え方について日本政府はどう思っているのかということが一点でございます。  それからもう一つは、アメリカから出ておりますところの同等性の原理という問題がございまして、御存じのとおり、この検疫・衛生分野というのは世界の食品の安全性の基準をどのように定めるかという委員会でございますから非常に大切な分野の話であるわけですが、アメリカから出ておりますところのこの同等性の原理というのは、輸出国と輸入国の採用基準、措置、その措置についてある立場で同等性を持たせようという考え方だろうと思うんですが、これでは輸出国と輸入国の利害がかなり絡むだろうと思うんです。そこのところの調整をどうするのかという問題で、我が国ではこの同等性の原則というものをどのような立場で考えておられるのかというのが一点。  それからもう一つはリスクアセスメントの問題でございますが、これも昨年私は指摘を申し上げております。この問題につきましてもかなりの理論がありまして、この加藤論文によりますと我が国はゼロリスクを主張しておるということになっておりますが、そういうふうなことで通用するのかしないのか、こうしたことも含めまして、ぜひ今後のこの部会における我が国の対応を改めてこの三つの具体的な例でお話しくださればというふうに思います。
  148. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) まず第一点のハーモナイゼーションの基準と申しますか対象と申しますか、それについてでございますが、その中にコーデックスが入っていることはそのとおりでございます。ただ、この点につきましては、前回もお答えいたしましたように、さらに科学的な根拠のある厳しい基準につきましてそれがとり得る余地を残すといいますか、それを是認させるということが我が国の一番大きな主張になっておりまして、この点については最近の動きといたしましては、比較的先進国中心でございますが賛同者がふえてきているという状況にあると考えております。  それから、同等性の問題でございますけれども、これはアメリカがこの話を提案したわけでございますが、先生お読みいただいた論文にも触れておりますけれども、現在のガットの条文には「必要な措置」という表現になっておりまして、この範囲が必ずしも具体的でない、どちらかというとあいまいで、それを理由にある種の規制を課すというようなことは非関税的な措置になるのではないかというような主張があって出された提案であろうと思うんですけれども、これにつきましては、結局同等性というのをどういうふうに判断するか、あるいはどちらが決めていくか、輸入国か輸出国がということでございますが、という問題であろうと思います。  したがいまして、我が国は、この問題につきましては、輸入国が評価するために必要な科学的情報をまず輸出国側から提供いたしまして、必要に応じて二国間で協議するというそういう道筋を通ってこの同等性というものについての対応をしたらどうかということを提案しているわけでございます。同等性の原則そのものについて反対する必要はないと思いますが、それの根拠をやはり科学的なところに置かなきゃいけない、それについて客観的に証明でき得るものでないといけないというのが我が国の主張であります。  それからリスクアセスメントにつきましては、これは大きくいいましてやはりかなりこの種の検疫あるいは衛生につきまして厳しい基準を持っている国、どちらかといいますと日本とかオーストラリアのような島国、あるいは北欧、アメリカなどもそれに入ると思いますが、そうした国とそうでない大陸系の国と申しますか、アメリカを除きます大陸系、あるいは発展途上国というような、大別するとそういうことになろうかと思いますが、やはりリスクについてその程度が小さければよいではないかという考え方と、先ほど先生がお触れになりましたゼロリスクというような考え方の対立だろうと思っております。当然のことながら私どもは、これにつきましてはゼロリスクというような考え方、非常に厳しい基準というものをやはり確保すべきではないかという主張を行っているわけでございまして、今言いましたような国々が我が国と近い立場にあるというふうに考えております。
  149. 林紀子

    ○林紀子君 私は、今回の一連の台風被災された農家皆様方、また林業、漁業にかかわる皆様方にまず心からお見舞いを申し上げます。  午前中からの論議の中で、先ほど青森ではついに自殺者も出たというお話を聞きまして大変心が痛みますが、南の方では、果樹の中では特にミカンに大きな被害が出ました。その影響九州、四国、中国へと広い範囲に及んでおります。私の住んでおります広島では、豊田郡豊町、ここは昔から大長ミカンというおいしいミカンの島として有名なところですが、ここも大変な被害を受けまして、十月の三日にここを訪れたときにはもう島全体が茶褐色に見える。ミカンの島が、そのミカンの木がすべて塩害で火にあぶられたような形で茶褐色になってしまって、遠目にも茶褐色の島になってしまった。そして近づいてみると、ついているミカンの実は皮が乾いてかたくたっているし、横割れしていて本当にもう食べられないような状況になっている、こういうような大変深刻な被害です。  そこで、ミカンのことについてお伺いしたいと思うわけですけれども、まず短期の対策として、落下したもの、傷ついたもの、こういうものでも何とかして生果として出荷できるものは最大限生かす。そのために最低限の選別管理の徹底や商品の表示を行うなど販路や落果活用、こういうことに可能な限り援助を行っていただきたいと思うわけですが、リンゴのことにつきましては先ほどいろいろお話がありましたが、ミカンに関してはどういう施策を今まで考えていらっしゃるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  150. 上野博史

    説明員上野博史君) 落下の果実につきましては、当然農家の側からは、これを生食用なり加工原料用にできるだけ使ってほしいということの希望が強いわけでございまして、農業団体や加工業者等の関係者に対しまして、そういう被災農家要望に沿えるように積極的に対応していただくよう協力を依頼しているというところでございます。  ミカンにつきましては、ただ先ほどリンゴの場合と違いまして、どうも落下した果実の糖度が低いとか、それから、今お話がございましたように、塩害を受けたものはかたくなってなかなか生果はもとより加工用にも使いがたいというようなこと、それからまた、そういう状態のものは傷みが速いというようなことがございまして、加工向けの利用というのに相当制約があるんじゃないかということを我々としては懸念をしているところでございます。ただ、できるだけそういう形で利用を図るということが大事なわけでございますので、それぞれできるだけ適切に仕分けをしまして、有効利用を図るように指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  151. 林紀子

    ○林紀子君 それから、大分木そのものがやられてしまったということで、植えかえの必要があるということで苗木の確保、特に大苗というのは大分育った苗で、三年たてば実がつくというお話も聞いたわけですが、そうした苗の確保というのはどうしているかというのも聞かせていただきたいと思います。
  152. 上野博史

    説明員上野博史君) 今度の台風被害によります倒伏あるいは樹体の損傷、潮風害、こういう被害への対応でございますけれども、まず何よりも、現在使える木はできるだけ使うという考え方で、樹体の損傷をいかに回復していくのかということを急いでやらなければならないということでございまして、専門技術者によりますチームを派遣して現場における指導体制に万全を期するということをやっているわけでございます。  ただ、そういう手当てをしてもどうにもならないような場合には、今お話のとおり、改植や補植という形での園地の回復を図っていく必要があるわけでございますけれども、塩害の問題につきましては、かつており経験のないようなひどい災害だということもございまして、どの程度の、ミカンの樹木が回復をするのか、逆に言えば、どれだけのミカンの樹木が改植なり補植の対象になってくるのかということを現在の段階では明確にとらえ切れない。もう少し待ちまして、枯死したものとそうでないものがはっきり見分けがつく段階までいかないと、その辺の見分けがつかないというところが一つあるわけでございます。  それからもう一つ、苗木の側でございますけれども、通常の改植あるいは老廃木の植えかえというようなことのために通常の苗というのはあるわけでございまして、こういうものを振りかえてこういう災害対策に用いるということでございますので、供給の面でもまだはっきりとつかみ切れていない。需要の側、供給の側それぞれに不明確なところがあるわけでございまして、これを早急に把握をするというところから始めなければならない。そして過不足が地域によって起こってくることは多分あるだろうと思いますので、地域間における融通というものをできるだけ図るように指導してまいりたい、かように考えております。
  153. 林紀子

    ○林紀子君 なるべく早くしていただきたいということをお願いすると同時に、私は八月の末に、オレンジの輸入自由化ということになった愛媛県で、果樹農家の皆さんかどういう状況なのかということを見させていただきました。そしてそのとき、この自由化に対抗するためにということで何とか糖度を上げる、高品質のものをつくるということで、農家の皆さんが本当に真剣に努力をなさっているということも目の当たりに見てきたわけですが、その糖度を上げるということで、高畝栽培とかマルチ栽培とかそういうことをしていた先進的な農家、そういうところが被害が非常に大きかった、そういう木が根を張っていないということで真っ先に倒れてしまったという話もまた聞いたわけです。  午前中来いろいろお話がありましたけれども、やはり専業農家、やる気のある農家が一番大きな被害を受けているというのは、このミカン農家でも同じような実態なのだということをつくづく感じているわけです。そういうことでは、これを機会に離農をしようか、やめてしまおうかと、そういうようなことにならないように、本当に希望を与えるというところが非常に大きい役目ではないかと思うわけですが、先ほど自作農維持資金については枠も十分確保するというお話もありましたが、果樹植栽資金、この融資枠、それから金利もぜひ引き下げということで対応していただけないのかということもお願いしたいと思います。  それから救農土木につきましては、先ほど大臣の方からお話もありましたけれども、地元で何とか収入の道を得て、そしてまたミカン農家再起ということでやっていける、そういうことも十分考えていただきたいということをお願いしたいと思います。
  154. 上野博史

    説明員上野博史君) ただいまの委員の御発言の趣旨は、果樹改植農家経営維持安定資金のことだろうと思うわけでございます。これにつきましては、今回の災害でやむを得ず改植等を行わなければならない場合に、旧品種のものについては優良品種に転換するということが基本になるというような条件がございますけれども、この資金の活用をできるだけ図ってまいりたいというふうに考えております。ただこの資金の関係につきましては、平成三年度の新規貸し付け枠についても十分な余裕がございますので、要望に応じることについては問題がないのではないか、かように思っております。  また、この資金は非常に低利な資金でございまして、三%資金でございますものですから、これ以上の利下げということについては、なかなか困難が多いというふうに考えております。
  155. 林紀子

    ○林紀子君 次に、養殖カキの被害についてお伺いしたいのですが、広島の名産養殖カキですが、これも大変大きな被害を受けました。私も実際船に乗せていただいて見てまいりましたが、ふだん五十台ぐらい並んでいるそのいかだが、もとの姿で残っているのはたった一台ぐらいしかないという大変な状況だったわけです。  そこで、カキの養殖業者の方たちが大変心配をしておりましたのは、このいかだ、海に浮かんでいるものであるとか島や浜辺に打ち寄せられたものは自分たちで片づけることが何とかできるけれども、海底に沈んでしまったものは、カキも含めまして、自分たちが持っている小さなクレーン船では到底どうにもならない。ですからどうしても公の力をかりて大型のクレーン船でその始末をしてもらわないと今後の航行の安全、それからこれから季節となるナマコやクルマエビの漁労というのですか、その漁獲、そういうものに大きな障害があるし、今後海が汚れるとカキそのものの養殖にも大変不安だということをこもごも話していらしたわけですが、大型のクレーン船で海底の清掃をしていただきたいという、これについてはそういう制度、補助というのがあるかどうかというのをお伺いしたいと思うのです。
  156. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 今回の台風によりまして、広島湾におきましてカキいかだが海底に散乱し、沿岸漁業への影響が出るおそれがあるということは広島県から聞いておるところでございます。ただ、海底に散乱したカキいかだの残骸等が沿岸漁業にどのような影響を及ぼすおそれがあるか等については今のところ明らかになっていない状況でございます。今後私どもとしましても、広島県から詳しく状況を聞いた上でどのような対応が可能かということを検討したいと思います。
  157. 林紀子

    ○林紀子君 そういう清掃をするような制度そのものというのはあるんでしょうか。そこをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  158. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 漁場堆積物の除去に関する制度といたしまして、沿岸漁場保全事業というのがございます。広島県当局とよく協議してそういうことで対応する必要がまずあるのかどうか、その場合どういうことが一番いいのか、それを十分検討していきたいと思います。
  159. 林紀子

    ○林紀子君 それでは地元から、またカキ業者の方たちからそういう要望があったらそれに対応していただけるというふうに聞かせていただきたいと思います。  それから時間の関係がありますので、ここでもやはりお金の問題ですね。カキが今後回復するには最低三年はかかるだろうと。それまでの生活資金、つなぎ資金がどうしても欲しい。公のお金、公的なものは繰り延べとかいろいろ手だてもとってもらえるけれども、市中銀行から借りているようなものというのはこういう状況になるとすぐ回収にかかるというわけですね。そういう意味でもそこに振りかえるような資金がどうしても要るというお話も聞いてきたわけですが、ここも沿岸漁業経営安定資金というのが使えるのでしょうか。これも先ほどお答えいただいたのと同じように三%でよろしいのでしょうか。
  160. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) この資金は農業にあります自作農維持資金、いわゆる災害資金と同じような性格を持っていまして、そういう需要に応じる資金でございます。今回の台風によって被害を受け、その業務経営に著しい支障を受けている沿岸漁業者等につきましては、この資金の活用により適切な対応を行えるようにやっていきたいと思っております。  ただ、金利につきましてはこの資金も自作農維持資金と同じように四・六%でございまして、これをちょっと引き下げるというわけにはいかないのじゃないかと思います。
  161. 林紀子

    ○林紀子君 先ほど果樹の方とそれから自作農維持資金三%というお話だったわけですから、ここも何とかそれに合わせていただくということはできないものかということをお願いしたいと思います。
  162. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 自作農維持資金は四・六%でございまして、それと同じような扱いでやっていきたいと思っております。
  163. 林紀子

    ○林紀子君 それでは次に、私は流し網の禁止の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、これはアメリカが九日に、公海での大規模流し網漁を九二年の七月以降全面禁止するよう求める決議案を国連に提出したということですけれども水産庁長官も今月初め訪米してアメリカの関係者とお話をしてきたということですが、この流し網の操業が禁止された場合、我が国の漁業、また加工水産業などの関連産業にとってどういう影響があるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
  164. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 現在公海流し網漁業には約六百隻が操業いたしておりまして、乗組員は約一万人程度と思います。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 年間約十五万トンのアカイカを水揚げしておりまして、五百億円ということになっています。関連産業につきましては定量的把握というのはしておりませんけれども、市場とか冷蔵庫、なかんずくこのイカ流し網漁業によって漁獲されますアカイカは主として珍味等の加工原料として使用されるということから、加工業への影響は避けられないのではないかというふうに思っています。
  165. 林紀子

    ○林紀子君 先ほど高木委員質問にもございましたけれども、これに対してどのような施策を講じて、いくのかということもぜひお聞かせください。
  166. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 一昨年の国連の総会での決議、それに基づきますことし六月におきます科学者会議のその結論が統一されなかったというようなことから、残念ながら日本側とは異なるような物差しで米国側はこの科学者会議の結論を引用し、国連の場に明年の七月一日以降禁止の決議案を出したわけでございます。これに対応しまして、日本側といたしましても、十一日に一昨年の決議を再確認する提案を出しまして、現在国連の場で多数派工作というのをやっているわけでございます。それとあわせまして、私どもとしましては、関係諸国の理解を得るということで、高次長を欧米に派遣するとともに、甕前次官がEC諸国を訪問した際、流し網問題についての理解を得る努力をいたしておるわけでございます。  率直に言いましてなかなか容易な環境ではございません。しかし、そういう国連の場での話し合いと合わせまして、米国を中心とします国との間の話し合いも継続していきたいと思っています。高次長あるいは私も先週参って、日本側の流し網漁業の今申しました実態でありますとか、科学者会議の決議というのは七月一日以降そう直ちにモラトリアムを実施するような事情にはないんではないかと、いろいろ議論をしたわけでございます。また、一昨日、大臣にも、訪日中の米国のバール大統領補佐官とも話し合いをしていただきまして、また、私ども直接あるいは外交ルート等を通じましてこれからも粘り強く働きかけをいたしまして、この問題の解決に当たっていきたいというふうに考えております。
  167. 林紀子

    ○林紀子君 大臣にお願いをしていなかったので大変申しわけないんですが、この問題、パール補佐官ともお話し合いをなさったということですので大臣にもぜひお聞きしたいと思うわけですが、環境保護の名のもとに我が国の漁業は、鯨を初め縮小を余儀なくされてまいりました。そして、先ほど来お話もありましたけれども、公海でのサケ・マス沖取り禁止、この問題につきましても、四月のこの委員会で私が質問をいたしましたとき、大臣は、これは方向転換をするものではなくて、あくまで交渉を続けていくというお話がありましたが、その後六月の末には、やはり多勢に無勢といいますか、四カ国も含めまして日本の味方はせずということで、やむを得ないということで、このサケ・マスの公海での沖取り禁止ということを認めざるを得ないということになったわけです。  これは交渉事ですから、日本が一方的を言い分というのをそのまま押し通すということができない部分もあるだろうということはもちろんよくわかるわけですけれども、このように今長官のお話を聞きましても、アメリカがかなり一方的に、一昨年の決議、それからシドニー会議でのそういうやりとりということも含めまして、まだこちらは大丈夫だと思っているのに、もう一方的に国連に決議案を上げるというような大変理不尽なやり方じゃないかと思うわけです。  そういうことも含めまして、この流し網禁止問題について、大臣は今後どういう御決意で当たっていくのかということを最後にお聞きしたいと思います。
  168. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 時間がないようですからかいつまんでお話をさせていただきたいと思いますけれども、パール補佐官が私のところへおいでになりまして、流し網の問題を提起されました。私の方からは、少なくとも水産庁長官対応策として提案したことをアメリカ側が了解をしないで、一方的に国連にその決議案を出した、それで日本が提案をしたことにアメリカが了解をしないで問答無用であるということになれば日本対応はありません、しかし、今日まで日米間でいろんな困難な問題をお互いが話をして解決をしてきたではないか、決議案の提案は提案として、話し合いはきちっと続行するべきではないかということを厳しく主張させていただきました。パール補佐官もそのことは本国へ帰って上に伝えますということで、協議を続けられることを期待しながら今待っておるということでございます。  いずれにしても、日本はそのまま続行ということじゃなくて、対応策というものをきちっと長官がアメリカに提示をしてきておることです。それが一つのたたき台になって、アメリカ側はアメリカ側なりの主張があってしかるべきだと私はそう思っているわけでありますけれども、水産全体が今日大変日本にとって厳しい状況に立たされておるというのが現状であります。それはもう過去の歴史からいって、水産王国でもありますし、世界の海を先人たちが開拓をしてきたことでもありますし、二百海里規制というものが出てまいりましたし、さまざまな変化が出てきたわけであります。  いずれにしても、私がバール補佐官にもお話し申し上げたのは、とにかく再生産可能なこの魚族資源というものをただ環境ということだけですべてを規制するということはいささか感情というものが強まってきておるんではないだろうか、少なくとも日本の水産国として、アメリカの水産国として、今後の水産の問題に資するにはやはり科学的な調査をして資源管理をするという方針で再生産の可能な資源を持続をしていくというのが正しいやり方ではないか、そういう意味で日本も提案をして世界の水産の秩序をつくりたい、こう考えておるので協力をしてほしいと。このことについては賛意を示してはおりましたけれども、まだ日本の立場としても準備が整っておりません。準備が整い次第、日本としてはそういう点のリーダーシップをとって新しい水産全体、国際漁業についての秩序をつくる役割を果たしていきたい、こう考えておるわけでありますけれども、今の流し網については長官からるる説明があったと同様に、私とパール補佐官と最終的に話をしたのがこういう点であるということを御理解いただきたいと思います。
  169. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私はきょう果樹共済のことについてお尋ねをしようと思って準備をしてまいりましたところ、同僚の委員の方が次々に果樹共済についてお尋ねをされました。と申しますのは、昨年は三重県に台風が三号連続上陸ということで大きな被害を受けたわけでございますが、そういうことを思うと、今回の台風被災をされた方々は大変お困りであるということを身をもって感じ、お見舞いも心から申し上げたいと思うわけでございます。  それで、既に私が通告をしてある質問事項から若干ずれるかもしれませんが、果樹共済についてのシステムについて根本的に考え直す余地があるかどうかについて、いささか思いつくままでございますが議論をさせていただけたらと。冒頭、大臣お尋ねをする予定でしたが、大臣には一番最後にお尋ねをしたいと思いますので、あらかじめ御了承ください。  問題は、この農業災害補償制度の進展の中で、これまでに四十二年、四十七年あるいは五十五年、六十年と果樹共済の内容について随分御苦労をされて改正をされてみえました。そのことについては私もいろいろ御教授をいただきまして、まあいわば感心をしたわけでございますが、問題は、今回の青森県のリンゴ被災を受けた方々果樹共済の引受率が何と一二・七%であるという厳然たる事実から始めなければならないと思います。一般のほかの共済では、例えば水稲では九〇%の引受率を誇るわけであります。これは義務化が進んでいるから九〇になるんだと。じゃ一般の果樹共済以外のものはどうかといいますと、もろもろの共済が四〇%の引受率以上になっている。にもかかわらず果樹共済だけは二一%台、そして肝心かなめの青森リンゴ農家は何と一二・七%だと。こういうことは一体どこに引受率の低い原因があるのだろうか。  これは大変今までの御苦労をされてみえた方から言わしめれば、万策尽きてどうしようもできないことだという御返事も出てくるかと思うんですが、私にとっては、この果樹共済についての引受率が悪いのは、一つは、下手に入っても幾ら補償を被害に遭ったときに受けられるかさっぱりわからないということがあるのではないか。それからもう一つは、災害を受けたといっており共済金をもらってはかりいると、栽培技術が未熟ではないかと思われてしまうのではないか。つまり、やり方が下手なんだ、うまくやっている、被害を克服しているのはたくさんあるじゃないか、こういうふうに思われると困るんではないか。さらに、この青森の場合には、まさかこのような大きな台風が来るとは予想もしていなかったというような、そういう損害を受けることの予想がなかった。ところが、実際には洞爺丸台風では、三十年以上前に同じような台風が来ている。  そういうふうなことを考えますと、今果樹共済についてあれもこれもやるといってもなかなかできないとは思いますが、どこから手をつければいいのかについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  170. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今お話がございましたように、ほかの共済に比べまして果樹共済の加入率が低いわけでございます。ただ、その果樹の中にも地域によりまして、あるいは県によりましてかなり加入率の差がございます。これについてどういうふうに考えたらいいかというのは、先生今いろいろな形で御指摘がございましたが、私どももどうしてこれだけの差が出るんだろうかということをまずよく見てみなければいけないのではないかと思っております。  それから、私ども、今先生が御指摘いただきましたように何度か改正をしてきておりますので、原点の話でまことにもどかしい話ではありますが、この制度につきましてもう一度理解を求めるというところから始めるべきではないかというふうに今考えているところでございます。
  171. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、今の御答弁で同感だと思うのは、原点からもう一回全部洗い直さなきゃならないという点でございます。と申しますのは、共済とか保険というのは明らかに分母が大きくなれば負担は広がり、てん補の補償も豊かになる。これは当たり前のことでありまして、そうするとどうしても引受率を高めなければその制度のうまみも出てこない。まして掛金のうち五〇%を国が負担をしているという、いわば非常に変わった共済制度でありまして、この制度はほかの共済保険制度に比べ・ますとその点で本当に大きな違いがある。国の負担をどんどんふやせば解決つくとは私は思っていない。  そうすると、引受率の向上を図るためには、例えばある範囲で限定的にもう入ることを強制するということを考えたらどうか。あるいは、もう一つは、今、御承知のように、保険、共済というのは掛金が低ければ入るかというと、そうじゃない。高くても内容のあるてん補があれば入る。あるいは、無事故割り戻しといいますか、積立貯金と一緒で、掛金が高くても、災害を例えば技術で乗り越えた、あるいは幸運に災害に遣わなかったという場合に無事戻しかあれば経営のコストの面で十分考えられる。したがって掛金を低くするという方式じゃなくて中身を考えるべきではないか。さらにもう一つは、保険というのはやたらに入ることを勧誘してはならない、ばくちとは違う、射幸心をあおってはならないということが原則なんでございますが、やはりこれだけ低い場合には何らかの形でプレミアムをつける。この果樹共済に入っていただいたらこういうことがサービスとしてできますよというようなプレミアムを考えてもいいんじゃないか。こういうふうなことを考えていまして、私の一方的な、ちょっと質問通告から外れておりますので、いささか生意気なことばかり言って申しわけないんですが、お考えをさらにお尋ねをしたいと思います。
  172. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今先生御指摘がございましたように、一つは、先ほどお答えしたんですが、農家の方が多様化しているということがございます。そういうこともありまして、私ども、過去の改正におきまして、例えば危険の段階別と申しますか、そういうことによりまして当然これは掛金にはね返ってくるわけでございますが、そうした制度とか、あるいは特定の災害だけに焦点を絞った加入の方式とか、かなり、今先生がお触れになりました、高くて内容が充実、それから無事戻しにつきましても制度的にはあるわけでございまして、そういうものがいろいろな経過を経まして、まあ災害の都度ということもありますが、段階的に改善してきているわけでございます。  それで、私先ほど申しましたように、こうした制度が必ずしも十分まだ理解されていないのではないか。発足以来かなり年月はたっているわけでございますが、どうもそこが十分理解されていないのではないか。現行制度をまず知ってもらうことにもう少し力を注ぐことが必要ではないかということを考えているわけでございます。同時にそれは、現行制度を知っていただくということは、それについてのいろいろな御意見も出てくることだろうと思いますので、まずそういう意味で、今さらというお話もあろうかと思いますが、そういうことから始めるべきではないかというふうに考えているわけでございます。
  173. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 もう一つ私が申し上げたいのは、この果樹共済の引受率が低いことについて、まあラグビーでいうと中央突破のトライのようなことですが、思い切って何かないかという場合に、災害を受けて補てんをされるてん補の内容についてある程度もう定型化してしまう。こういう災害でこういう被害を受けたらこれだけは確実にてん補が受けられる。こういう災害の定型化といいますか、被害の定型化とてん補額の定型化ができないだろうか。それによって、例えば今局長さん、まだ農家の方に本当にこの制度のよさが理解されていないんじゃないかと。それは私も思います。  今回青森県の平均で、平均の掛金が三万四千七百十六円、平均の庭先てん補額が百八十三万八千円ぐらいという数値をお聞きしました。今世間で、三万五千円ぐらいの掛金で災害を受けて百八十万円ぐらいてん補を受けられるということになりますと、保険、共済の制度の中ではかなりいい、それだけをとらえますとかなりいいてん補だ生言えなくはないわけで、そういう意味では――ちょっと三上委員の方が、それは単純には計算できないんだとおっしゃっていまして、私もそれはわかります。ただ一般論としては、したがって、理解が行き届いていないという側面はあるとは言えるとは思うんですが、もっと思い切って今新しい手法を取り入れたらどうか。  そのためには、きょうちょっと気象庁の方においでをいただいておるんですが、農業予報のシステムをもっと細かくできないんだろうか。それによってこの制度を絡ませれば、共済制度の中身がぐっとよくなる。そのことによって共済保険制度農家の中に浸透していけば、後継者で悩む農家の後継者づくりの突破口になる、つまり経営主体になるんだという意識の改革の道につながるんではないか。  そこで、気象庁の方に今農業予報についていろいろお話を聞きましたら、ほとんど気象庁が持っている情報を農業関係の県庁のそういうところに流す、それによって県の方は農作物の局地的な分布図を頭に描いて、そして霜警報とかいろんな警報を出すというお話を聞いたんですが、結局目が粗い場合にはその点ではやはり警報も目が粗くなる。最近では、気象事業の整備・拡充を求めるという全国の気象関係の労働組合の請願が出ておりまして、その中に、ちらっと見ますと余りにも過疎地というか、中央気象台あるいは気象の本部から枝葉になれば、ブランチに行けば行くほど入減らしがある。あるいは機械の導入も中央データの管理で推測データがつくられるというようなことで、それについてももう一度考え直してほしいという趣旨の請願がたくさん出ておりますが、農業予報について今もっと充実をしようと思ったらどういうところに力点を置かなければならないかについてお教えを願いたいと思います。
  174. 山本孝二

    説明員(山本孝二君) ただいまお尋ねの件でございますが、気象庁は台風、集中豪雨の監視等については気象衛星、レーダー・アメダス等を活用してまいってきているわけでございます。農水省と気象庁の間に農業気象協議会というのを設置してございまして、特にアメダステータの有効利用の方策について定期的な打ち合わせを行ってきているところでございます。私どもこのアメダステータをさらにメッシュ化いたしまして、基本的には五キロ単位のものでございますが、そういう統計データを充実することによって、さらに日々の天気予報、霜予報、そういうものを加えて農業技術の改善に努められるんではないかということで共同で今検討を進めているところでございます。
  175. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 これは気象庁の方だけ頑張っていただいてもなかなか難しいし、農水省の方といかにうまく共同目的というか共同の意識のもとに努力を重ねられない限りなかなか効果は出ないと思うんですが、アメダスの点についても、アメダスの受信装置や気象衛星ひまわりの受画装置というんですか、そういうのもメッシュの目が粗いといいますか、各地方の測候所にまで行き届いていないというような嘆きというかお話を伺ったんですが、その点はいかがでしょうか。
  176. 山本孝二

    説明員(山本孝二君) 基本的には防災上重要な注意報、警報、これは先ほど申しました気象衛星、レーダー・アメダス、つまり面的に両方とらえるということで埋めてきております。基本的には気象業務の近代化ということで私ども地方気象台の技術の向上を図ってきているわけでございます。そういう意味から申しますと、一部の測候所の業務体制を変更しても問題は少ないんではないか。要するに面的な予報体制の強化ということで、地方気象台を充実することで対応してまいりたいと思っているわけでございます。
  177. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 最後に大臣お尋ねをしたいと思いますが、具体的に通告をしていないことにまたなっちゃって、大変恐縮であります。  今回、大変不幸なことにリンゴミカン等の果樹農家が大きな被害を受けられた。しかもまだ、二重被害といいますか、不幸なことに果樹共済制度にも残念ながら入っていない農家の方が大変多い。そういう意味では、この立て直しのために農家政府も大変なしんどいことになると思いますけれども、これを契機に例えば、三上委員の横で申し上げにくいんですが、青森果樹共済の引受率が一二・七%であったということを象徴的にとらえて、果樹共済のシステム、仕組みについてやはり一度検討を本腰を入れてやっていただくわけにはいかないだろうか。やはりこういうシステムを、専業農家であればあるほど共済システムをどんどん使っていく。それによって経営の安定ができて、後継者の確保もある意味では道ができるというふうに思うわけでございますが、その点も含めまして、突然のお尋ねで申しわけありませんが、大臣の感想でも結構でございますし、御意見を承れば幸いでございます。
  178. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 今回災害を受けて、果樹共済加入率が正直言ってこんなに低いということを初めて承知をさせていただいたわけで、深刻に受けとめておるわけであります。  私が就任当時このことに気がついておれば、もっと早く対応してしかるべきものだと、今反省をしておるわけであります。果樹共済加入率が低ければ低いほど、やっぱりそれからのメリットというものは低くならざるを得ないのがこの種の性質だと思うので、共済一〇〇%加入になったときどういう掛金でどういうサービスができるという設計ぐらいは当然立てながら理解をいただくという、八〇%加入ならどの程度、六〇%ならどの程度という、そういうものを内部できちんと、加入者が多ければ多いほど安くてサービスを受けられるというのは常識でありますから、そういう形で一度内部でそれを中心にしながら検討して、理解をいただくことが大事だろうなと思って、私はまだ共済の中身を十分に精査をしていないので、どこをどう直すかということは申し上げにくいのでありますけれども、そういう意味での検討はぜひさせなければならない。  今のような状況なら、この存在意味がいかがなものかな、五〇%以上も共済に国民の税金を使って、そして利益を受ける人たちが一〇%、二〇%ということで、その存在意味そのものが問われてもいたし方ないというぐらいに受けとめておるわけでありまして、そういう意味では果樹共済のみならず、共済全体がそういうものでないのかなというふうに理解をいたしておるものですから、平たく言えば、入って得をする一面をつくると同時に、入らなければ損をするという一面をつくって、そしてそういう形でどう加入するかということは農林水産省行政全体の中でもチェックをしていかなきゃならぬと思うんです。  それ以上のことを言うとまた差し支えがありますから、そういう表現に。入らなければ損をするという面は共済以外の面でも、農林水産省、すべての行政で対応していけば、もっと加入率は上がっていくんじゃないかなという感じで受けとめて検討したい、こう思っております。
  179. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 時間ですのであれですが、大変前向きの御答弁をいただきまして、心からお礼を申し上げたいと思います。  過日私は災害対策委員会でも、雲仙噴火共済制度をつくれないことはないんじゃないかというような粗っぽい提言といいますか御質問をしたわけでありますが、やはり災害に対するこういう共済システムというのは、これからもっともっと知恵を絞って絞れないことはない、そういうことを思っておりますので、またこれからも御指導を賜りたいと思います。ありがとうございました。
  180. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、朝から皆さんの御討議をお聞きしまして、大変申しわけないなと、こういった同情の気持ちでいっぱいでございます。台風九号、十七号、十九号の被害がこんなにも日本列島を総なめして被害が大変であるということを今さらのように再確認いたしたわけでございます。申し訳ない、御同情にたえないというこの気持ちは、台風と言えば沖縄は台風銀座だと言われております。何か沖縄を原点にして本土に台風を追いやったような気持ちもいたしまして申し訳ないと申し上げたいような気持ちでございます。  ところで、戦前、戦中、戦後の台風の進路が変わってきておるわけでありますが、南方で発生した台風眼が北上しまして沖縄本島を直撃して、そして中国大陸にそれていったのが戦前の台風のコースでございました。戦後は、今度は、発生源は同じ南方でありますが、それが沖縄を直撃して、そしてそのまま北上して本土に行った。  ところで、そういう数々の台風の進路の中でも、小笠原、そして南北大東島で荒れてだんだん北上しますと、北東の方向に進んだ進路は間違いなく沖縄をそれ、日本列島をずっとそれまして北東の方に進路が行く。そして途中で台風眼が雲散霧消した、こういうコースもたびたびございます。  そこで私は思うんですが、原爆の核廃絶の声が今地球的に広がりつつあるわけでありますので、その頭脳と技術と金で人類の悪魔と言いたいこの台風方向を何とか変えて、被害の及ばない場所でそれが解消していくというこういう科学が必要であると私は思いまして、被害のお話をお聞きしながら体験を顧みてつくづくそのように思う次第であります。  ただ一つ台風に鍛えられた沖縄は、自然環境も住宅の構造も、そして質もそれに耐えてきた何百年、何千年の歴史があるわけでありますが、台風被害による人畜の被害というのがほとんどないと言ってもいいことなんです。ところがこのたびの台風被害が本土を総なめしてあのような人命の被害が特に多かったということを思うにつけて、私は試練に耐えるということの歴史の中から教わった沖縄の自然環境、人心の持ち方、このことをつくづく思いながらけさ来皆さんのお話をお聞きしたわけでございますが、そういった私の感想を含めて大臣いかがでしょうか。
  181. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 先生ほど人生経験も少ないし、台風経験も少ないし、また原子力をつくるほどの科学があれば台風の進路を変更できるというふうな科学的な知識も持ち合わせがないんですけれども、そうなってくれればいいなという気持ちは私も同感であります。  ただ、備えあれば憂いなし、災害は忘れたころ来るというような状況というものは、私はいろんな建築構造物にも、災害対処の仕方にも、いろんな基盤整備にも、作物の時期的な収穫というようなものも、かつては二百十日なり二百二十日という季節的に台風の来る暦が決まっておったというようなことも子供心に覚えているわけですから、そういうような状況に備えがあるということは私ども今次災害復旧に当たっては念頭に置きながら、災害の原則は原状回復でありますけれども、改良復旧の可能なところは改良復旧をするということは私は今次災害において学ぶべき点の一つでなかろうか、こう思って、先般災害を担当する職員にも、可能な限り、今の状況災害でやられた一のだから、これが災害にやられないようにするには、改良すべきところは改良を念頭に置いて地方自治体を指導するようにということだけはお話をさせていただいておるところであります。先生みたいに経験豊かな、台風経験豊かと言うとぐあいが悪いんですけれども、豊かなところで御指導いただければありがたい、こう思います。
  182. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、備えあれば憂いなし、あるいは最大の備えは勝利の哲理であるという言葉もございますが、ところがこの災害に対して未然に備えるということは実際問題として困難な問題で、物によっては可能の点もあるわけですが、基本的にこの天災がいつどこから来るかということは予知できない。それに対して莫大な金をかけて備えるということも実際問題として難しいことであるわけでございます。  そこできょうの結論としては、この起こった事実に対する災害対策を急いでもらいたいという要望が強かったと私は理解いたしております。そこでその災害対策、一部ならばともかく、もう日本列島総なめ尽くしでありますから、沖縄も含めて。特に沖縄の場合にはかてて加えて干ばつの被害が前哨戦にあったわけであります。そして今度台風が追っかけてきた。二重のパンチを受けておるのがこのたびの沖縄の被害でございます。そのことについても十分把握していらっしゃると思いますが、調査の結果をお聞かせ願いたい。  そこで、大臣に申し上げたいことは、日本列島総なめ尽くしてある。その対策に対しては、先ほども基本姿勢を述べておられましたが、公平、公正、納得のいく対策を、分捕り合いにならぬように、このことを私は特に要望しておきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  183. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 災害復旧のみならず公平、公正のことは当然のことで、意を用いながら行政を担当させていただいておるわけでありますが、今次災害においては、午前以来各委員からお話のございましたように、過去に経験したことのない台風であっただけに過去の法律や制度対応でき得る以外のものに対応しなきゃならないという予想が立つ災害でございまして、これに対してどのように対応していくかということを今災害調査の掌握をしながら準備をさせていただいておるところでありますし、当然のことながら現行ある制度はフル回転をして対応に急いで、完璧を期していきたい、こう考えております。
  184. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) 沖縄県におきます本年の農作物等に対する干ばつ及び台風被害について私どもの方で調べた数字を御報告申し上げますと、沖縄県におきましては本年五月から七月まで干ばつがございました。その後台風第九号、それから第十七号、第十九号。午前中からの十七、十八、十九と来るのではございませんで、第九号というのが七月にありました。それから十七号、十九号と三つの台風が主としてあったわけでございます。  十月十四日までの県報告によりますと、総額農作物関係七十二億九千六百万ということになっておりまして、その被害の中の主要なものといたしまして、サトウキビが五十四億二千八百万、それから野菜、トウガラシとかニガウリ等でございますが、どれが十四億三千二百万というのが主な災害状況でございます。  このような被害状況に対しまして、まず最初に干ばつ対策としましては、かん水用のタンクの整備というようなことを島によってしておったわけでございます。また、台風常襲地帯という言葉がありましたが、台風被害の防止のための栽培管理上の技術指導というのもかねがねやっておったわけでございます。  しかし、いずれにしても今申し上げたような被害が出ましたものですから、被害農家に対しましては既往の貸付制度資金の償還猶予等の貸付条件の緩和の指導、あるいは農業共済金の早期支払い指導等対策を現在講じておるところであります。また、被災農業者に対する制度資金といたしまして、沖縄振興開発金融公庫におきまして自作農維持資金等融資枠を十分確保するということにしておりまして、被害実情なり資金需要の動向を見きわめながら、関係機関とも協議の上適切に対処していきたい、こういうことでございます。
  185. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、詳しいやりとりもいたしたいが時間がございませんので、基本的な問題をお尋ねいたしますが、この蔬菜の被害、特に今ちょうど収穫時期を控えておるサトウキビの被害が大変な状況でございまして、二、三日前から、きょうも実は早朝から労働団体、農民団体、そして県議会の代表が次々と尋ねてきまして、陳情要請をいたしております。そして、知事一行もまた尋ねてくる。そういうわけでこの委員会を出入りいたしておる次第でございます。  そこで、サトウキビの価格決定についてぜひはっきりお答えできる範囲内においてお聞きいたしたいのでありますが、結論を申し上げますと、サトウキビの値段につきましては毎年シーズンに、今ごろになりますと、据え置きにしてくれとか上げてくれとか前年よりも低くしないでくれとか、いろんな要望でお百度参りをいたしておるわけであります。こういうことも、結局糖価が安定しない、再生産の保証がないということで毎年のように不安な要請運動を続けておる。しかも、遠い沖縄から時間と金をかけてお百度参りをしておるというこの状況を思うときに、何としても前年どおり据え置きにしてもらいたいというのが県民の、また生産農民のあるいは労働団体の切なる要望の結論でございますが、この点についていかが検討しておられるでしょうか、お聞きしたい。
  186. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) サトウキビの生産者価格につきましては現在検討しておるところでございます。これにつきましては、砂糖の価格安定等に関する法律に基づきまして、農業パリティ指数に基づきまして算定された価格を基準にする、それに物価その他の経済事情を参酌して決めるということになっております。したがいましてその際には、生産性向上の動向ですとか、あるいは内外価格差の実態ですとか、あるいはまたそのほかの畑作物間のバランス等、総合的に勘案して適正に決めるということでございます。  いずれにしましても、本年産の価格につきましては、今言いましたようなことで生産費ですとか、あるいは予想収穫量、これはかなりことしは先生御指摘のように減っておりますけれども、そういったような主要なデータを踏まえながら、具体的に時期までに検討の上結論を出したいということでございまして、今幾らにするということはまだ決まっておるわけじゃございません。
  187. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 目下検討中ということなんですか。それじゃ幸いだ。どうぞ今の二、三日来要望に駆けつけております生産農家代表、知事初め県それから議会の代表、甘味共闘の労働団体、このグループがもう波状的に陳情要請に私のところにも参っております。皆さんも対応しておられると思いますが、その意思に沿ってぜひぜひ、ずばり申し上げますと据え置き、大体諸情勢の判断から上げるということがまた運動の趣旨でなければいけないと思うんですが、下げないでくれと、現状でいいから、こういう謙虚な願いに対して、それを踏みにじるような政府であっては、既にそこには政治はない、行政もない、こう私は断じたいんですが、大臣いかがでしょう。
  188. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 重なる連続災害あるいは干ばつ等で大変被害を受けながらも今日遠いところから御要請においでをいただいておることで、事情については十分承知をしておるわけでありまして、そういうものにぜひ期待にこたえるべく今事務当局で検討いたしておりますし、私はまた政治家としての気持ちをその価格に反映できるように努力していきたい、こう思っております。
  189. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、日本農業の見直しとか、あるいはいろんな表現で今日の日本の農業のあり方を検討していかなければいけな。いという声は充満しておる。そういった一つ方向にあって、沖縄のサトウキビをこれから改良、改善していくために政府としてはどういう政策を打ち出そうとしておられるのかお聞きしたい。
  190. 上野博史

    説明員上野博史君) 沖縄のサトウキビ生産は、このところ労働力、就業者の老齢化ということ、それからほかに有利な作物が出始めているというようなこともございまして、栽培面積が縮小傾向にあるということでございます。そういう労力不足に対応し、あるいはより有利な作物への転換を可能にするためにもサトウキビ栽培の生産効率化を図っていくということが一番大事なことではなかろうかと我々は思っておるわけでございまして、そのために必要な収穫面の労働力を節約するためのハーベスターの導入であるとか、あるいは収量の高い、あるいは糖度の高い新しい品種の導入であるとか、そういうことを今後進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  191. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  192. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 三上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。三上君。
  193. 三上隆雄

    三上隆雄君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、連合参議院、参院クラブの各派共同提案による台風による農作物等被害対策に関する決議案を提出いたします。     台風による農作物等被害対策に関する     決議(案)   今秋多発した台風は、全国各地に甚大な被害  をもたらし、被災農林漁業者に大きな不安を与  えるとともに、国民生活にも深刻な影響を及ぼ  している。   よって政府は、今次の台風による災害に対処  し、天災融資法及び激甚災害法早期発動、自  作農維持資金等の円滑な融通の確保、つなぎ融  資についての適切な指導、既貸付金の償還条件  の緩和、農業共済金、森林国営保険金、漁業共  済金等の早期支払い落下果実及びその製品の  調整保管に対する対策等その効率的利用体制の  整備、被害果樹の管理等に関する技術指導、被  害による規格外米等の円滑な流通の確保、米穀  予約概算金の利子の減免、農作物種子及び果樹  苗木の確保、被災森林・荒廃林地の復旧、各種  事業の実施に当たっての被災農林漁家への配  慮、災害復旧事業の実施等について、早急に万  全の対策を講ずべきである。   なお、今次の災害実情にかんがみ、より一  層の普及啓発活動等を通じて今後とも農林漁業  関係共済制度等への加入促進に努める必要があ  る。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をいただきたいと思います。
  194. 永田良雄

    委員長永田良雄君) ただいまの三上君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  195. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、近藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤農林水産大臣
  196. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) ただいまの決議につきましては、被害実態を踏まえつつ十分検討し、その対策に全力を傾注して万全を期してまいりたい所存であります。
  197. 永田良雄

    委員長永田良雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会