○高桑栄松君
公害輸出というのも、
日本が
輸出したのではなくて結果論だったのだろうと私は思いますが、しかしまた一方、途上国のジレンマというのもいろいろあるんですね。その辺ちょっと触れてみたいと思うんです。
この前アフリカに行きましたときにやはり聞いたんですけれども、アフリカで私が訪ねた国は人口
増加率が三%、二十年たったら人口が倍になるという率でございますが、三%のような人口
増加率であるとどうなるのかというと、やはり食っていかなきゃだめだから衣食住の必要があるわけです。そうしますと、それだけの土地が要るわけです。例えば簡単に言えば焼き畑農業で森林を焼くとか土地を開くとか、衣食住全部そうなわけですね。しかも食っていけないというので人口は都会に流れてくる。そしてスラム街を形成していく。驚いたことに、ケニアのナイロビは人口百五十万で三分の二の百万人がスラムだと言うので、聞き違ったかと思って百万人は普通なのかと言ったら、いや普通なのがスラムなんだと、そう言うのでびっくりしましたが、それはもう失業者の率が非常に高いことをあらわしています。失業率が高いということは、何とかして食わしていきたいというので開発優先になっていくわけです。開発優先というのが結果として
環境破壊を招いている。
これはマルサスの人口論ではありませんが、人口が
増加していっても食糧はそのような
増加率ではない。人口は幾何級数的にふえる、食糧は算術級数的だと。そういたしますと、その差がいつかアンバランスになったときに、マンとランドのレシオですね、人口・土地比例が不均衡になったときに何か紛争が起きてくる。悪徳ですね。国と国とであれば戦争でしょう。もっと小さな社会の中では泥棒だとかいろんな悪徳が出てくる。その中の一つを今私はスラムと失業という形で挙げたわけであります。そうすると、途上国のジレンマをあなた方が悪いんだと言っていられるか。これはやっぱり先進国としてはそうはいかないというふうに私は思うわけであります。したがいまして、開発優先というときに結果として起こるであろう
環境破壊をどう食いとめるか。私はそのときに経済大国
日本が
公害輸出だと言われるのを一々弁解に回っている手はないと思うんで、積極的にこれにどう対応するのか。
私はことしの二月にソウルでありました人口と開発に関するアジア
国会議員代表者
会議というのに出たのですが、そのとき人口と開発、そして
環境が大きなテーマだったんです。だから、結果としては人口と
環境が問題になっておったわけでありますが、三角
関係であるように説明があったんですが、そうおっしゃったんだろうと思うんですね。しかし、どこが出発点かというと人口でございまして、人口がふえるから開発が要るんであって、開発をふやすから人口が要るんじゃない。人口
増加が始まって開発が進む、開発が進むから
環境が破壊されるというのでありまして、
環境問題というのは突き詰めると、豊かな文化的な生活をしている人たちがライフスタイルを変えればいいという問題じゃないんであって、人口がふえること即
環境に影響がある。炭酸ガスだって、人間がふえるだけ炭酸ガスがふえるに決まっていますからね。エネルギーもみんな炭酸ガスが出るわけであります。したがいまして
環境汚染の原点は人口
増加である。これはもう間違いのない事実だと思います。
そこで、私がその
会議の折に言いましたのは、
日本は
国内アセスメント法を持っていないので、これは
外国人には説明をいたしましたが、持っていませんので、業者はあえて利益に反するようなことはなかなか積極的にはしない。つまり、先方の注文に従ってこっちはやるということである。そうすると、結果として起きる
環境破壊というのは、そちら側に
環境アセスメント法があった方が間違いなくそれは役に立つからそうしてもらいたい。そういう私は演説をしまして、そして国に帰りましてから
環境アセスメント法案の項目というものだけを大急ぎで書きまして、そこに簡単な解説をつけて出席の
国会議員全部に出しました。
そうしたら、やっぱり反応がありまして、五カ国ぐらいからすぐ返事が参りまして、名前を挙げますとマレーシア、スリランカ、フィリピン、チャイナ、こういったようなところから来ております。それを見ますと、私のところは既にインパクトアセスメント法を持っていますとか、大変いい話であったしソウルの話も覚えている、手紙が来たのをすぐ
国会に回しましたという
国会議員もおられまして、私は大変よかったと思っているんです。そして、
我が国は技術援助もできますからと。ただし、もし開発援助を受けるときにはその中の五ないし一〇%はアセスメントに回すように
予算を立てた方がいいというような話をしてきたんです。
そこで私が再び申し上げたいのは、やっぱり今
局長がおっしゃったように実施要綱ではこれはインパクトが違う、業者に対して。業者は向こうの法律を守っていればいいという考えがどうしてもありますから、ですからそういう意味で、私は
国内アセスメント法というものを持ってほしいということを再び申し上げたいと思います。
だんだん時間が減ってきましたけれども、そこでもう一つ伺いたいのは開発援助と
環境保全という問題で、私がこのごろさっと見ておりました新聞なんかにいろいろ出ておるんです、ODAがどうだとか経団連がどうだとか。これは私の方から申し上げてみますが、ODAは
外務省関係ですが、これは
環境ガイドラインをつくるということでありました。これはことしの五月の新聞に載っておりました。乱開発
防止というのが中に載っております。経団連の
地球環境憲章、ことしの四月ですが、これは中身を読みますと、製造業への足かせになるかもしらぬというのと、したがって実効力はあるのだろうかという疑問符がついておりました。
JCI、
国際青年
会議所、これは国連本部で模擬国連を開いて何かやった青年
会議所の人たちの集まりでありますが、私がここで特に申し上げたいと思うのは、中にあったのが
国際環境基準の設定をということが一つあります。そして、それに伴ってというかそれに従ってというか、
国内規制を実施すると。これは私は非常に大切なことではないかと思いました。それからOECD、これは
環境と貿易の調和というのがパリの閣僚理事会で決まったということでありますが、これはいずれも
環境基準を統一して
ガイドラインをつくるということでありますから、
国際的には
ガイドラインというのが一つの線なのかもしれません、JCIが
国内規制、
国内規則をつくってということがありますから。
しかし、やはり私はどうしてもこの際アセス法を提出してもらいたい。
環境白書にも既に予防的
環境政策を展開したいということがずっと前から出ておりますが、予防的
環境政策の展開というもののベースになるのはどうしても
国内の
環境アセスだと私は思います。それは法的な根拠がはっきりするからでございます。
これにつきましてもう一つ申し上げれば、いろんな
国際問題で
日本というものは哲学のない国ではないかと言われているのは私残念だと思うんです。これだけの英知を集めていて、
日本人は
国際的にどういうフィロソフィーを持っているのか、そういうことを問われている事件がいろいろとございます。私は、
日本が世界に貢献する哲学の中に、やはり今言った少なくとも
環境に関しては
我が国はこういうことをやっていくんだということが欲しい。そのときに隗より始めないで、
国際的にだけ言って自分は何にもしないという手はないのでありまして、どうしても
国内環境アセス法をつくるのは、さっき申し上げた開発援助と
環境保全というのは、私が挙げたのは各界を挙げたつもりでありますが、ODAと経団連と青年
会議所それからOECD、それぞれがみんな同じことを言っているわけです。今
環境庁が
国内アセスを提唱する絶好の時期到来だと、私きょうはこのことを申し上げたかったんです。大臣の御決意というか、御
所見を承りたい。