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1991-09-06 第121回国会 参議院 外交・総合安全保障に関する調査会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成
三年九月六日(金曜日) 午前十時開会 ――
―――――――――――
委員
の
異動
九月五日 辞任
補欠選任
黒柳
明君
広中和歌子
君 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。 会 長
中西
一郎
君 理 事 尾辻 秀久君
下稲葉耕吉
君
赤桐
操君 和田
教美
君 立木 洋君
粟森
喬君 猪木
寛至
君 委 員 大城
眞順
君
加藤
武徳君 沓掛 哲男君 木暮 山人君 田村 秀昭君 永野 茂門君 一井
淳治
君 翫 正敏君 角田 義一君 細谷 昭雄君 三石 久江君 山口 哲夫君 山田 健一君
広中和歌子
君 井上 計君
政府委員
環境企画調整
局長
八木橋惇夫
君
外務省大臣官房審
議官
河村 武和君
外務省国際連合
丹波
實君
事務局側
第一
特別調査室
長 下田 和夫君
説明員
環境庁企画調整
局地球環境部長
加藤
三郎君
外務大臣官房外
務参事官
畠中 篤君
外務省アジア局
南東アジア
第二 課長 林 景一君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件 ○
外交
・
総合安全保障
に関する
調査
(
地球環境
問題の
現状
と
課題
について) ――
―――――――――――
中西一郎
1
○
会長
(
中西一郎
君) ただいまから
外交
・
総合安全保障
に関する
調査会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨五日、
黒柳明
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
広中和歌子
君が選任されました。 ――
―――――――――――
中西一郎
2
○
会長
(
中西一郎
君)
外交
・
総合安全保障
に関する
調査
を議題といたします。 本
調査会
は、「九〇年代の
日本
の
役割-環境
と
安全保障
の
あり方こ
をテーマとして
調査
を進めてきておりますが、本日は、このうち
地球環境
問題の
現状
と
課題
について
政府
から
説明
を聴取した後、質疑を行うことといたしました。 それでは、まず
政府
から
説明
を聴取いたします。
外務省丹波国際連合局長
。
丹波實
3
○
政府委員
(
丹波實
君) 本
委員会
の
先生方
には、
地球環境
問題を含めまして他の多くの
分野
の諸問題につきましてふだんより特段の御指導をいただいておりまして心から感謝申し上げます。 それでは、私の方から
地球環境
問題への
対応
につきまして御
説明
申し上げさせていただきたいと思います。 まず、
我が国
の
地球環境
問題への
対応
に当たっての基本的な
方針
、基本的な
認識
について述べさせていただきたいと存じます。今日、
人口
の
増大
や
産業
の
発展
と
人間活動
の
増大
に伴いまして
地球
の
温暖化
、
オゾン層
の
破壊
、
熱帯林
の
減少
、
大気
及び水の
汚染
など、
地球
の
環境
問題は
人類
はもとより、
地球
上の
動植物
にとりましてその
生存基盤
を掘り崩す重大な脅威となりつつあります。
各国
の
経済活動
が国境を越えて展開され、
国際社会
における
相互依存
が深まっている
状況
の中で、
地球環境
問題を一国の
努力
のみによって
解決
していくことはもはや不可能である
状況
に至っております。また、
地球環境
問題の
影響
は時間とともに徐々に深刻化しておりまして、
被害
が明確に
認識
されてから
対策
をとったのでは手おくれとなりつつありまして、回復に膨大な
費用
と時間がかかるため早急に適切な
予防措置
を
検討
する必要があるわけでございます。
人類
が
地球
上で今後とも生存し繁栄するためには、これらの問題の
解決
に向けての適切な
管理
は
各国
が英知を結集して取り組むべき
課題
であると
考え
られるわけでございます。
世界
に貢献する
日本
を
外交政策
の柱とする
我が国
といたしましては、高い
経済成長
を維持しつつ
産業公害
を克服してきた
経験
の過程で蓄積しました
環境保全
に関する
知見
と
技術
を生かしまして、以下の
四つ
の
原則
に基づきまして、一九九二年六月の
国連環境開発会議
に向け、
地球環境分野
における諸問題に積極的に取り組んでいるところでございます。
一つ
は、
世界経済
の
安定的発展
を図りつつ
地球環境保全
に努めることでございます。
環境
は
開発
の
基盤
でございまして、
環境破壊
を放置することは
開発
の
持続性
を損なうとの持続可能な
開発
の
考え方
は今や
各国共通
の
認識
となっております。二つは、
地球環境保全
の基礎として
科学的知見
を重視するとともに、
問題解決
に当たっては
技術
による
制約打破
の
可能性
をでき得る限り追求することでございます。三つは、
大気
、河川、
海洋
、
森林等
はいわば国際的な
公共財
でございまして、これらを
人類共通
の
生存基盤
として適切に保存していくためにはすべての国及び
関係国際機関
の
協力
によりグローバルな
取り組み
を行うことでございます。
四つ目
は、
地球環境
問題への
対策
をグローバルに進めるには、
途上国
の事情を十分に配慮しつつ、それら
途上国
も
取り組み
に加わっていくことを確保すると同時に、
先進国
は
途上国
の持続可能な
開発
に向けての
自助努力
を
支援
し、
政府開発援助等
の
実施
に際しての
環境配慮
を強化することでございます。 お手元に配付してございます
資料
の一ページ目は、「
国連環境開発会議
」に触れられてございます。
国連環境開発会議
は、一九七二年の
ストックホルム国連人間環境会議
の二十周年に当たります来年六月にブラジルのリオデジャネイロで開催される
予定
でございます。
地球サミット
とも呼ばれておりますように、
世界各国
から多数の元首、
閣僚クラス
の
参加
が期待され、
地球環境
問題に関する空前の
国際会議
になる見込みでございます。
国連環境開発会議
では、
環境悪化
を防止するための
戦略
と手段を
発展
させることを
目的
といたしまして、
地球温暖化
を防止するための
気候変動
に関する
枠組み条約
や、
生物
の
多様性
を
保全
するための
条約
の
署名
、
森林
の
保全
に関する
合意文書
の
採択
が期待され、それから一九七二年の
人間環境宣言等
を踏まえまして、
人類共通
の
未来
を確保するため、
人間行動
、
国家活動
を律する
基本原則
を示した例えば
地球憲章
といった
宣言文
の
採択
が期待され、また、二十一
世紀
に向けて
環境
と
開発
に関する具体的かつ包括的な
行動計画
でありますアジェンダ21の作成が期待され、これらを目指して一九九〇年八月以降累次にわたり
準備会合
が開催されております。 なお、先般の
ロンドン
・
サミット
におきましては、
地球環境
問題の
重要性
を
認識
し、
サミット参加国
が一致してこの
会議
を支持、
支援
する決意が示されております。
資料
の二ページ目に参りまして、
準備会合
は昨年の八月以降、来年の六月のこの
会議
まで計四回の
準備会合
を開催する
予定
でございます。
準備会合
におきます
作業部会
の構成は以下のとおりでございます。第一の
作業部会
は、
気候変動
、
陸上資源
、
生物学的多様性
、バイオテクノロジー。第二
作業部会
は、
海洋資源
、
水資源
、
有害廃棄物
・
化学物質
とその
不法越境
の移動問題。第三の
作業部会
は機構と法律問題ということになってございます。
日本
の
対応
といたしましては、
外務省
におきましては
地球環境大使
及び
地球環境室
を設置しますとともに、
会議
の副
議長国
の
一つ
として
準備段階
から積極的に
参加
してきておりまして、
人的貢献
として
UNCED
の
事務局
に
邦人職員
二名を派遣してございます。その他、ことしの七月に
事務局支援
及び
途上国参加支援
として百五十万ドルの
拠出
を表明いたしてございます。
資料
の四ページに参りまして、「
地球温暖化
への
対応
」でございますけれども、
地球
の
温暖化
につきましては、科学的に解明されていない部分は残りますものの、手おくれにならないよう
科学的知見
の拡充を図りながら実行可能な
対応
を遅滞なく
実施
するとともに、
長期的視点
に立った
地球規模
の
総合戦略
に基づきまして、この問題の抜本的な
解決
を図るために必要な
法的枠組み
を全
世界
的な
合意
の上に形成することが重要であると
考え
られるわけでございます。
気候変動
に関します
政府間パネル
は、昨年八月の第四回
会合
におきまして、
科学的知見
の
評価
、
温暖化
の
影響
の
評価
及び
対応戦略
をまとめました第一次
報告書
を発表しました。この
報告書
によりますと、このまま何も
対策
をとらなければ来
世紀
末までに全
地球平均
で摂氏三度の気温の
上昇
が予想され、それに伴う
海面上昇
は
平均
六十五センチメートル、
最大
一メートルに達すると見込まれております。 この
報告書
を受けまして第二回
世界気候会議
が昨年十月から十一月にかけて開催されまして、
温室効果ガス
の
排出
の
抑制
、
開発途上国
に対する
支援
、
気候変動
に関する
枠組み条約交渉
の
開始等
を
内容
とする
閣僚宣言
を
採択
したわけでございます。
資料
の五ページ目に参りまして、
条約交渉
でございますが、
条約
の
交渉
につきましては、ことし二月に
ワシントン
で第一回
交渉会議
が開催されまして、
議長等
の選出、
作業部会
の
設置等
、
条約交渉
を進めるに当たりましての組織が決定されたわけでございます。六月にジュネーブの第二回
交渉会議
におきまして
条約
に盛り込むべき
内容
につき
各国
がそれぞれの
立場
を表明いたしました。それらを踏まえ
議長
が作成した
条約案文
をもとにいたしまして、来週ナイロビで開催されます第三回
交渉会議
では
条約
に関する実質的な議論が行われる
予定
でございます。その後は明年六月に
開催予定
の
UNCED
での
条約採択
を目指しまして
交渉会議
がさらに二回開催されることとなっております。
我が国
の
取り組み
でございますけれども、
条約交渉
の主な争点は、二酸化炭素を初めとする
温室効果ガス
の
排出
をいかに
規制
していくのかという問題と、もう
一つ
は
開発途上国
の
抑制策
に必要な
支援
をいかに確保するかという問題がございます。
温室効果ガス
の
排出抑制
につきましては、
我が国
は第二回
交渉会議
におきまして、
排出抑制
に関する
約束
、
コミットメント
の達成を確保するための
実施方式
としていわゆる
誓約審査方式
、
プレッジ・アンド・レビュー方式
を
提案
したところでございます。第三回
交渉会議
におきましては、
先進国
はもとより
開発途上国
を含めた全
地球
的な
参加
を得た形の
条約
を作成することが必須であるという
基本的立場
に基づきまして、
排出抑制
に関する
目標設定
の
約束
、
コミットメント
の
提案
を行う
予定
でございます。
資料
の六ページ目に参りまして、「
生物学的多様性
の
保全
」の問題でございますが、
地上
に存在する種の数は五百万から一千数百万種と言われておりまして、三千万種を超えるということを指摘される
専門家
もおられるわけでございます。
生物学上種
として記録されている数は百五十万から百七十万種であるわけでございます。多くは記録されていない未知の
生物種
でございます。
ワシントン条約等
の
野生生物保護
のための取り決めにもかかわらず、現在のままでは二〇〇〇年までに五十万から百万
程度
の種が絶滅するとの予測がなされております。このように
地上
に生息している
生物種
の
多様性
が危惧されておりまして、希少な種の
取引
を
規制
するものや、
特定
の
地域
、
特定
の
生物種
を
対象
とするものなど、
ワシントン条約等既存
の
条約
ではカバーできない
生物学的多様性
の全体を総括的に
保全
する
条約
が必要とされております。 その
条約
を
検討
する
会議
が昨年の十一月、それからことしの二月及び六月に開催されまして、来年六月の
UNCED
での
署名
を目指して
交渉
を鋭意続けておる次第でございます。現在のところ、
各国
が
保全計画
を作成すること等についてはおおむね
合意
はありますものの、
生命工学
の
技術移転
の
必要性
については意見の対立があるわけでございます。
資料
の八ページ目に参りまして、「
森林
の
保全
」の問題でございますけれども、
熱帯林
は毎年、
我が国
の面積に換算いたしまして約半分に当たりますところの千七百万ヘクタールが
減少
しております。
熱帯林
の
保全
が重要な
課題
となっている次第でございます。
熱帯林
の
減少
の
原因
は、焼き
畑移動耕作
の拡大、ちなみにこの点、
FAO
によりますと、これが
熱帯林減少
の四九%の
原因
となっておると指摘されておりますが、このほか
地域
によって過放牧あるいは
薪炭材
の
過剰採取等
が
原因
と指摘されております。
日本
の
熱帯木材輸入
が
世界
の
熱帯木材輸入
に占めるシェアは丸太で約四割、製材で約一割でございますが、
世界
の
熱帯木材生産量
のうち
輸出向け用材
は三%でございまして、さらに
日本向け
の
輸出
は一・二五%という数字になってございます。
日本
は、
国際熱帯木材機関
、
ITTO
への
最大
の
拠出国
として
支援
を強化いたしております。この
機関
の本部が
日本
に存在しておることは御承知のとおりでございます。
ITTO
は、
熱帯木材貿易
のみならず、生態学的な均衡の維持の
観点
を含みます
熱帯林
の
保全
、
開発
を
目的
といたしておりまして、
熱帯林
を現に有する
途上国
が主体的に
参加
しているので効果的な
機関
となっております。昨年六月の
ITTO理事会
では、主として二〇〇〇年までに
持続的経営
に基づき
生産
された
木材
のみを
貿易
の
対象
とするという
戦略目標
の実現に向けた方策につき
合意
いたしました。また、二
国間援助
で
林業分野
の
協力
を行うとともに、
FAO等
の行っている
熱帯林行動計画
の
活動
や
国際農業研究協議グループ
の
活動
も
支援
しております。 昨年七月の
ヒューストン
・
サミット経済宣言
を契機に、
森林
に関する
国際合意
を策定しようとの動きが活発化しております。
日本
は、昨年八月の
UNCED
第一回
準備会合
におきまして、
森林
の
保全
と
持続的利用
を
推進
するための
基本的理念
から成る
法的拘束力
のない
世界森林憲章
を
採択
すべき旨を主張いたしました。
拘束力
のある
条約
に対する
途上国側
の強い反発もあり、本年三月の第二回
準備会合
におきましては、少なくとも
法的拘束力
のない
原則表明
を含む
世界的コンセンサス
のだ めの
検討
を行うことが決定されております。八月の第三回
準備会合
におきましては、
法的拘束力
のない
原則宣言
の骨格となる
文書
が作成されまして、今後の
準備会合
におきましてはさらに
検討
を進め、明年六月の
UNCED
での
採択
を目指す
予定
でございます。
日本
といたしましては、
森林
の
保全
につきましては、
基本理念
から成る
法的拘束力
のない
世界森林憲章
を
採択
した上で、順次規律を強化していくという
ステップ
・バイ・
ステップ
・アプローチを提唱いたしておるところでございます。
資料
の十一ページ目に参りまして、
途上国支援
の問題でございますが、まず「二
国間支援
」でございますけれども、
我が国
は一九八九年のアルシュ・
サミット
におきまして、八九年度から九一年度までの三年間に、
多国間援助
を含めまして三千億円
程度
をめどとして
環境分野
の
援助
を強化することを表明し、
地球環境
問題を重視する
観点
から、特に
熱帯林
を中心とする
森林
の
保全
、造成及び
研究
と
環境
問題に対する
途上国
の
対処能力
の向上、
推進
といった二
分野
を
重点
として取り上げました。三千億円という
目標
は、八九年度約千三百億円、九〇年度約千六百五十億円と、この八九年、九〇年の二年度でほぼ
目標
が達成されております。 また、本年七月の
ロンドン
・
サミット
では、上記の
環境援助政策
を一歩進めまして、ODAを通じる
地球環境
問題への
対応
につきましては、
我が国
の
経験
を生かしまして、
相手国
の
経済発展段階等
に応じまして各種の
援助形態
を効率的に組み合わせて
支援
する
考え
であること及び貧困問題、
人口増加問題等
と密接に結びついた
環境
問題の
解決
を引き続き重視することを明らかにいたすとともに、
重点分野
として省エネルギー、
クリーンエネルギー技術
、
公害防止
、
野生生物
の
保護等
を追加いたしまして、
環境配慮
を一層強化すること等を表明いたしました。 なお、
地球温暖化
、
オゾン層
の
破壊
、
酸性雨等
の問題につきましては、
環境調査
、
モニタリング等
で既にこれまでも
協力
を
実施
してきているところでございますが、新しい領域でもあり、
援助
として何が可能でありかつ効果的であるかという点、さらに
検討
していきたいと
考え
ております。
資料
の十二ページに参りまして、「多数
国間援助
」につきましては、
環境分野
の
国際協力
を
推進
するに当たっては
国際機関
を通じた
協力
も重要であります。
環境
問題についての
中核的国際機関
でありますところの
国連環境計画
、
UNEP
の
国連環境基金
に対しまして
世界
第二位の
拠出
、九一年度でとりますと七百十万ドルを
日本
として行っております。また、先ほどの
国際熱帯木材機関
に対しましては
加盟国
中
最大
の
拠出
、九一年度
外務省
、
農水省合計
で九百六十二万ドルを行っております。さらに、
森林保全活動等
を行っている
国連食糧農業機関
、
FAO等
の
活動
も積極的に
支援
しているところでございます。 本年三月には、ペルシャ湾の
環境汚染
に対する
国際協力
といたしまして、
UNEP
が
提案
いたしました
緊急行動計画
に対し百十一万ドルの
拠出
を行いますとともに、
国際海事機関
、IMOに対して湾岸の油の
汚染防除対策事業
として百五十万ドルの
拠出
を行いました。
資料
の十三ページに参りまして、「
UNEP国
、際
環境技術センター
」の問題でございます。 昨年七月の
ヒューストン
・
サミット
におきまして、
日本
は
環境保全技術
を
途上国
に移転することを
目的
としました
UNEP
の
センター
を
日本
に設置することを
提案
いたしまして、本年五月の
UNEP管理理事会
におきまして正式に
センター設立
の決議が
採択
されたわけでございます。この施設は
大阪
、
滋賀
に設置される
方向
で
検討
が進んでおります。
事業
の
対象分野
といたしましては、
大阪センター
は大都市の
総合的環境汚染管理技術
を取り扱い、
滋賀センター
は
淡水湖沼集水域
の
総合的環境管理
を取り扱うこととなっております。
我が国
は
センター設立
のための
調査費
八十万ドル、約一億円を
UNEP
の
信託基金
に
拠出
するため、
平成
三年度
予算
にその
予算
を計上いたしております。明年の
センターオープン
に向けて
日本政府
と
UNEP
との間で現在
協議
を続けているところでございます。
資料
の十四ページ目に参りまして、「
地球環境ファシリティー
」の問題でございます。
地球環境
の
保全
に対します
途上国
の
取り組み
を
支援
するため、八九年よりフランス、ドイツの
提案
で
世銀
のイニシアチブによりまして
検討
が行われ、本年五月に
世銀
、
国連環境計画
、
国連開発計画
の三
機関
によりまして
地球環境ファシリティー
、GEFが
設立
されました。この
ファシリティー
は、
地球温暖化
、
生物学的多様性
、
国際水資源汚染
の三
分野
を
対象
といたしまして、当面試験的に三年間で十億SDR
程度
の
資金供与
を行うこととなっております。
我が国
といたしましても、
ファシリティー
に対する
拠出
、
円借款
による
協調融資
により相当の
協力
をする
考え
でございます。
資料
の十五ページに参りまして、その他の
重要事項
といたしまして
一つ
は「
オゾン層
の
保護
」の問題がございます。
オゾン層
は、
地球
に降り注ぐ有害な紫外線を吸収する
役割
を果たしておりますが、これが
フロンガス等
により
破壊
されていることが明らかになっております。このため、
オゾン層
の
保護
のための
ウィーン条約
及び
オゾン層
を
破壊
する
物質
に関する
モントリオール議定書
を法的な
枠組み
といたします
オゾン層破壊物質
の
生産
、消費に対する
規制
が行われております。昨年六月の第二回
議定書締約国会議
におきまして、
オゾン保護
に取り組む
途上国
を
支援
するため
オゾン層保護基金
の
設立
が
合意
されましてことしの一月から発足いたしております。本年六月の第三回
議定書締約国会議
におきましては、
オゾン層
の
破壊
が予想以上に進行していることにかんがみまして
フロン等
の
規制物質
の二〇〇〇年全廃を前倒しする
方向
で
検討
を進めることが決定されております。
資料
の十六ページ目に参りまして、絶滅のおそれのある
野生動植物
の種の
国際取引
に関するいわゆる「
ワシントン条約
」の問題でございます。
タイマイ
、
ヒメウミガメ
につきましては、
輸入割り当て削減等
の
改善策
を導入してきておりますが、
タイマイ
につきましては九四年の七月までに
ワシントン条約
上の留保を撤回する
方針
を本年六月に決定いたしました。
ヒメウミガメ
につきましては本年四月より
輸入
をゼロにいたしております。 来年三月には、京都市におきまして
ワシントン条約締約国会議
を開催する
予定
でございまして、さらに一九九三年には、釧路市におきまして特に水鳥の
生息地
として国際的に重要な湿地に関する
条約
、いわゆる
ラムサール条約締約国会議
を開催する
予定
でございます。
資料
の十七ページ目に参りまして、「
有害廃棄物
の
越境移動
」の問題でございます。
有害廃棄物
は、
処分費用
の高い国から安い国へ、また
規制
の厳しい国から
規制
の緩やかな国へと移動されやすく、
移動先
の国の
環境
に大きな
被害
を及ぼすおそれがございます。このため一昨年の三月、スイスの
バーセル
におきまして、いわゆる
有害廃棄物
の
越境移動
及びその
処分
の
管理
に関する
バーゼル条約
が
採択
されたところでございます。
政府
といたしましては、
地球環境保全
の
観点
から
バーゼル条約
の
重要性
を
認識
いたしまして
早期締結
を目指しまして
条約
上の義務を履行するための
国内法制度
の問題につきまして所要の
検討
を鋭意進めているところでございます。 以上、御報告申し上げます。
中西一郎
4
○
会長
(
中西一郎
君) 次に、
環境庁八木橋企画調整局長
。
八木橋惇夫
5
○
政府委員
(
八木橋惇夫
君) この七月から
企画調整局長
を拝命しております
八木橋
でございます。
環境庁
におきましては、昨年の七月に
企画調整局内
に
地球環境部
を設置いたしまして、
地球環境
に関しその
保全
に関する基本的な
政策
の
企画立案
及び
推進
に関すること、
関係行政機関
の
地球環境
の
保全
に関する
事務
の
総合調整
などを担当してい るところでございます。深刻化する
地球環境
問題の
現状
及び
条約交渉
など対外的な取り組。みにつきましては、ただいま
外務省国際連合局長
より御
説明
がございましたので、私は主に
地球環境保全
についての国内的な
取り組み
について御
説明
いたしたいと思います。 まず、
地球環境
問題に取り組むための体制の整備の面から
説明
することといたします。
環境庁
におきましては、
地球的規模
の
環境
問題に適切に
対応
するため、
昭和
五十五年に
環境庁長官
の
私的諮問機関
として
地球的規模
の
環境
問題に関する
懇談会
を設置いたしました。一ページにある
資料
でございます。 この
懇談会
が
昭和
五十七年四月に公表いたしました二回目の
報告書
「
地球的規模
の
環境
問題への
国際的取組
について」というものを背景にいたしまして、
我が国
が
提案
するところにより
国連
に
環境
と
開発
に関する
世界委員会
が
設立
されました。これが二ページにあるものでございます。 この
世界委員会
は、
昭和
六十二年に東京で最終の
会合
を開いた後に「アワー・コモン・フューチャー(
地球
の
未来
を守るために)」と題する
報告書
を取りまとめたところでございます。ここでは持続可能な
開発
という
考え方
が
提案
され、これが今日の
地球環境
への
取り組み
の基本的な
考え方
となっているというぐあいに言えるかと存じます。この
地球的規模
の
環境
問題に関する
懇談会
は、
UNCED
に向けまして
我が国
として何を提言すべきかを
検討
するため、本年一月にはこのための
特別委員会
を設置いたしましたところでございます。この
内容
は三ページの
資料
でございます。 一方、
政府
におきましては、
地球環境
問題に
対応
するための施策を
政府一体
となって効果的かつ総合的に円滑に
推進
するため、
平成元年
の五月に十九省庁及び
自民党関係者
から成る
地球環境保全
に関する関係閣僚
会議
を設置いたしました。五ページにある
資料
でございます。
我が国
は、高度な
経済活動
を営み、
地球環境
に大きなかかわりを持つと同時に、
公害防止
等の分・野で豊かな
経験
とすぐれた
技術
力を有しているということから、今後さらに
世界
に貢献する
日本
という
立場
から、国際的地位に応じた
役割
を積極的に果たしていかなければならないという
認識
のもとに、元年の六月、
我が国
の
地球環境保全
施策を
推進
するに当たりまして、六ページから七ページにございますように、六つの基本的
方向
について申し合わせをいたしております。 すなわち、
一つ
は
地球環境保全
のための国際的な
枠組み
づくりへの積極的な
参加
。二番目が
地球環境
に関する観測、監視及び
調査
研究
の
推進
。三番目に
地球環境保全
に資する
技術
の
開発
、普及。四番目に
開発途上国
の
環境保全
に対する積極的な貢献。五番目に
政府
開発
援助
の
実施
に際しての
環境配慮
の強化。六番目に
地球環境
への負荷がより少ない方法で経済社会
活動
が営まれるような
努力
。この六つでございます。 また、
平成元年
七月十一日、
地球環境
問題に
対応
するための施策を
政府一体
となって円滑に
推進
するため、行政各部の所管する
事務
の調整を担当する
地球環境
問題担当大臣といたしまして
環境庁長官
が指名され、それ以来現在に至るまで歴代の
環境庁長官
が関係大臣の
協力
を得て
地球環境
問題担当大臣としてその職務を担当しているところでございます。 次に、
調査
研究
、観測、監視、
技術
開発
の
推進
体制ですが、これにつきましては
政府一体
となって総合的計画的に
推進
する必要がございます。
平成元年
十月三十一日の
地球環境保全
に関する関係閣僚
会議
におきまして、
調査
研究
等に関する総合
推進
計画を毎年度策定し、その
実施
状況
及び結果を同閣僚
会議
に報告することなどが決められました。これが八ページ、九ページにある
資料
でございますが、これに基づきまして本年六月の十四日、
政府一体
として長期的視野に立って
我が国
の基本的
方針
及び
協力
等の方法を明らかにするというようなことを
目的
といたしまして、
平成
三年度
地球環境保全
調査
研究
等総合
推進
計画が閣僚
会議
において決定されたところでございます。また、この計画を踏まえまして、
環境庁
が策定する
地球環境
研究
計画に基づきまして、
地球環境
研究
総合
推進
費というものが
環境庁
に計上されまして、これが国立試験
研究
機開等に対し配分されております。 この
推進
費は、さまざまな
分野
における
研究
者の総力を結集しまして、学際的、省際的、国際的な
観点
から総合的に
調査
研究
を
推進
し、もって
地球環境
の
保全
に資することを
目的
とするもので、
平成
三年度の
予算
額は十七億円でございます。
地球環境
研究
計画等に基づ。いて行う内外の
研究
者による
研究
、モニタリングの中核的拠点といたしまして、昨年の十月に国立
環境
研究
所に
地球環境
研究
センター
が設置されまして、
地球環境
研究
の総合化、
地球環境
データベースの整備等による
地球環境
研究
の
支援
、
地球環境
モニタリングの
実施
などの
活動
をいたしております。この
センター
には、ことしからスーパーコンピューターが導入されることとなっております。 次に、
地球環境保全
のため各
分野
において行われている国内の
取り組み
について御
説明
申し上げます。
地球温暖化
問題は、
人類
の
生存基盤
に深刻な
影響
を及ぼすおそれがある重大な問題でございます。先ほど
外務省
の方からも
説明
がございましたが、十三ページにございます
気候変動
に関する
政府間パネル
の報告によりますと、
現状
のままで
温室効果ガス
の
排出
が続けられるならば、過去一万年の間に例を見ない急激な温度
上昇
が生じ、その結果、海面水位の
上昇
や気候の変化、人間の居住
環境
への脅威等、自然、社会及び社会のシステムに重大な
影響
がもたらされると予測されているところでございます。
我が国
は、これまで官民挙げてのエネルギーの効率的使用に努めた成果といたしまして、十四ページにございますように、
人口
一人当たりの二酸化炭素
排出
量では
先進国
中最も低いグループに属しております。しかしながら、
我が国
は相当量の二酸化炭素を
排出
しており、また近年の内需拡大を背景といたしました
経済活動
の好況や国民生活のライフスタイルの変化等により、その
排出
量はここ数年
増大
傾向に転じつつあります。 こうした
地球温暖化
問題への
対応
として、昨年の十月に
地球環境保全
に関する閣僚
会議
におきまして、
地球温暖化
防止
行動計画
を決定し、
地球温暖化
防止に向け
政府一体
として
取り組み
を行うこととしたところでございます。
資料
の十五ページでございます。
地球温暖化
防止
行動計画
は、
温室効果ガス
の
排出抑制
目標
として、二酸化炭素
排出
量について、二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化を図る、メタンにつきましては
現状
の
排出
の
程度
を超えないこととする等を定め、講ずべき
対策
として、二酸化炭素
排出抑制
対策
、メタンその他の
温室効果ガス
の
排出抑制
対策
、二酸化炭素吸収源でございます
森林等
の緑の
保全
対策
、科学的
調査
研究
、観測、監視の
推進
、
技術
開発
及び国民への普及、啓発、
国際協力
の
推進
というものを挙げております。
我が国
は、この
地球温暖化
防止
行動計画
を、国際的
枠組み
づくりに貢献していく
観点
から、昨年十一月の第二回
世界気候会議
においてこれを披露し、国際的な
合意
形成に大きな
役割
を果たしたところでございます。また、ことし初めから開催されております
気候変動
条約交渉
会議
におきましては、この
行動計画
や
世界気候会議
閣僚宣言
を踏まえて、
先進国
共通の
目標
の達成やその
実施方式
を
提案
することとしておりますところは、先ほど
外務省
から御
説明
のあったところでございます。 また、この
地球温暖化
防止
行動計画
の
推進
のため、
環境庁
では、先般各省庁が今年度
実施
することとしている関係施策を取りまとめ、関係閣僚
会議
に報告したところでございまして、これは
資料
の十九ページ以降でございますが、十九ページから三十七ページにわたっております。毎年度
対策
の
実施
状況
を関係閣僚
会議
に報告する等、今後
政府一体
となった
取り組み
を図ることとしております。 次に、今度は国レベルということから一歩地に着いた動きといたしまして、
地域
での
取り組み
を強化する必要がありますと
考え
られますことから、
地球温暖化
防止
行動計画
の
地域
レベルでの総合的計画的な
温暖化
防止の
取り組み
の具体的な
方向
を示し、それを
推進
するために幾つかの地方公共団体においてモデル計画を策定することといたしております。これにつきましては、
資料
の三十八ページから三十九ページにわたって御
説明
を申し上げております。また、
地域
レベルのモデル
事業
や国の施策等への
温暖化
防止上有効な
技術
等の導入が今後必要かというぐあいに
考え
ております。
地球環境保全
をめぐる
温暖化
防止以外の
分野
におきましても、
オゾン層
の
保護
、
有害廃棄物
の
越境移動
対策
、
熱帯林
の
保全
、
野生生物
対策
等
環境庁
を初めとする関係省庁において
調査
研究
、
技術
開発
を含む幅広い施策が行われているところでございます。翻りまして、
地球環境保全
のためには私たち自身のライフスタイルと社会のあり方を
地球
に優しいものへと変えていくことが極めて重要でございます。こういう
観点
から、国民一人一人が
地球環境
問題を深く
認識
し、責任ある行動がとれるよう
環境
教育に力を入れていくこととしております。 また、具体的制度の
一つ
として去る四月にいわゆるリサイクル法の制定をしていただいたところでございますが、現在私どもその施行に向けての準備を進めているところでございます。こういう
考え方
の基本になるものとして、参考
資料
の
一つ
に「
環境
と文化に関する
懇談会
報告書
しというものを五十一ページに参考
資料
として掲げさせていただきました。こうした
対策
を進める一方で、
途上国
への具体的な
協力
を行うことが重要な施策でございます。この点、
外務省
の
説明
に若干付言させていただきたいと思います。
環境庁
におきましては、アジア・太平洋
地域
におけるそれぞれの国の経済力、
技術
力に応じた
環境
協力
を
推進
していくために、長期的総合的な視点に立ったアジア太平洋
環境
協力
計画、エコアジア21ブランというものを
推進
していくこととしております。
資料
の四十ページにございますが、この計画のもとで
各国
の
地球温暖化
対策
への
支援
、
UNEP国
際
環境技術センター
を通じた
協力
事業
、日・ASEAN
環境
協力
等を
推進
してまいりますとともに、
政府
レベル、民間レベルを通じた
環境保全技術
の効果的な移転促進を図るほか、環
日本
海
環境
協力
として韓国、中国等隣接する国々との間におきまして定期
環境
政策
対話を今後
推進
してまいりたいと存じております。 以上のほか、
地球環境保全
関係一般経費、衛星等
研究
開発
経費、エネルギー
対策
経費等によりまして多様な施策が
政府
の関係各省を通じて行われておりまして、
地球環境保全
のために
平成
三年度におきまして計上されている
地球環境保全
関係
予算
の総額は四千八百八億円、四十二ページから四十四ページにかけての
資料
にございますが、対前年度比六・三%増ということになっております。 次に、
地球環境保全
に向けましては
政府
のみならず経済界、労働界、消費者等国民各界挙げた
取り組み
が必要と
考え
られます。本年五月の二十一日、
地球環境
日本
委員会
というものが発足いたしました。これは、来年の
UNCED
に向けての
提案
、
地球温暖化
防止
行動計画
の
推進
等
地球
に優しい社会経済づくりの具体化、持続可能な
開発
を達成すみための
開発途上国
への
協力
、
地球環境保全
のためのキャンペーンの
実施
等、具体的行動を展開していくものでございまして、
UNCED
特別顧問の竹下元首相を初め、経済団体の
会長
ら十名の方を顧問に、
会長
に平岩経団連
会長
、
委員
といたしましては
産業
界、労働界、報道界、消費者団体等からそれぞれの団体の
会長
クラス全体で百五十名
程度
が
委員
となっておりまして、各界横断的な組織としては
世界
初めてのものではないかと思われます。 各界の
取り組み
として、既に経団連が
地球環境
憲章を定めるなど、民間部門における
地球環境保全
に対する
取り組み
も開始されております。参考
資料
にこの経団連の
地球環境
憲章につきましては五十七ページに掲載させてもらっております。また、本年七月一日、
開発
途土
地域
の
地球環境保全
への民間として
国際協力
を
推進
するための基金を広く募るために、公益信託
地球環境
日本
基金というものが設定されまして、今後
開発
途土
地域
における
地球環境
の
保全
のための民間団体による
調査
、
研究
、それから情報、知識の普及に関する
事業
、植林等の
事業
に対する助成がなされることとなっているところでございます。 こうした官民挙げての
取り組み
の輪をさらに広げまして、
UNCED
に向けてアジア・太平洋
地域
における今後の具体的な
環境保全
戦略
を確立するため、アジア・太平洋
地域
各国
代表二十一カ国、アジア
地域
の大都市代表として七都市、
国際機関
代表として十二
機関
、その他学識
経験
者、
環境
保護
団体、経済界、国
会議
員等が集まりまして、本年の七月四日、五日、アジア太平洋
地域
環境
会議
が東京において開催されたところでございます。 この
会合
の最後の全体
会合
でこの
会議
の宣言を
採択
いたしましたところでございますが、それが四十五ページにございます
資料
のとおりでございます。
一つ
は持続可能な
開発
に向けた
先進国
、
開発途上国
の
協力
の
必要性
。二番目に
先進国
におけるライフスタイルの転換の
必要性
とあわせ、
環境
倫理を踏まえた意思決定プロセスの
必要性
。三番目に
UNEP国
際
環境技術センター
等を中心とする
技術移転
ネットワークの確立及び
途上国
の人材育成のための留学制度、
環境
産業
の育成等
技術
の受け入れ体制の整備。四番目に二国間、多国間及びアジア・太平洋
地域
の新たな資金メカニズムの
必要性
、
開発途上国
の国内の資金メカニズムの
必要性
。五番目にアジア・太平洋
地域
として
気候変動
問題への
取り組み
の
必要性
、
地域
内の
研究
とモニタリングのネットワークの形成、
推進
の
必要性
。六番目に大量
生産
、大量消費、大量廃棄といった経済社会の変革等エコ
産業
革命の
推進
、企業の海外進出に当たっての国際的基準の適用といったものを確認したところでございます。詳しい
内容
は四十六、四十七、四十八ページ、それ以降に
資料
としてお届けさせていただいているところでございます。 以上、
環境庁
では
地球環境
問題担当大臣であります愛知大臣のもと、
地球環境保全
のための官民挙げての
取り組み
を積極的に
支援
していくとともに、
政府一体
となって
地球環境
問題への
取り組み
を強力に
推進
していく所存でございます。特に、来年度の
UNCED
の成功に向け庁内に
地球サミット
総合
推進
本部を設置いたしまして、一丸となってこれに取り組んでいくこととしております。
外交
・安保
調査会
の先生の皆さん方の一層の御理解と御
協力
、御
支援
を賜りますようお願い申し上げまして、以上
環境庁
からの
説明
とさせていただきます。 どうもありがとうございました。
中西一郎
6
○
会長
(
中西一郎
君) 以上で
説明
の聴取は終わりました。 質疑のある方は順次卸警言を願います。
尾辻秀久
7
○尾辻秀久君 いろいろお尋ねしたいことがあるのでありますが、時間が三十分しかありませんのでいささか紋切り、早口になると思います。お答えもよろしくお願いいたします。 ただいまお話がありました来年六月にブラジルで開催される
国連環境開発会議
に向けて
地球環境
問題への関心が大きな高まりを見せております。私は、この
会議
が
地球環境保全
に対する
取り組み
を飛躍的に
発展
させるためのよい機会となることを期待しております。 振り返ってみれば、
地球環境
問題への
取り組み
は既に二十年も前に開始されておりました。すなわち一九七二年にストックホルムで開催された
国連
人間
環境
会議
では「宇宙船
地球
号」と「かかけがえのない
地球
」という
考え
が示されたのであります。しかし、そのときには
先進国
と
開発途上国
との対立が厳しく、
地球
は
一つ
であるが
世界
は
一つ
とは感じられませんでした。さらにその後勃発した石油危機は
世界経済
を混乱させ、
地球環境
へ の関心は急速に低下してしまったのであります。それからの二十年は
地球環境
にとっての失われた二十年とも言われているのであります。 このようなことは今後も発生しないとは言えません。しかし、既に
各国
の首脳の間には国家間の
相互依存
関係の深まりの中で
地球
が
一つ
であることが実感されており、
地球環境
の
保全
が第一義的プライオリティーを有する
課題
であるとの
合意
ができており、逆行はないと私は
考え
ておりますが、
政府
は国際政治の
枠組み
の中で、そしてまた
日本
の
外交政策
の
取り組み
の中で
地球環境
問題をどのように位置づけておられるか、
外務省
にお尋ねいたします。
丹波實
8
○
政府委員
(
丹波實
君) 来年の
UNCED
の
重要性
に対しますところの先生の御
認識
に私たち一〇〇%同感いたします。 国際政治の
枠組み
及び
日本
の
外交政策
の中における
地球環境
問題の位置づけの問題でございますけれども、
地球環境
問題というものをほっておけば
人類
全体、
動植物
も含めましてその
生存基盤
が掘り崩される重大な脅威になると私たち大変真剣に受けとめておりまして、特に東西緊張の緩和を背景にした国際協調の主要なテーマであるという
認識
を持っております。 この
相互依存
関係が深まっておるこの
地球
におきまして、この問題を今後真剣に扱うために非常に重要なことが二つあるという
認識
でございます。
一つ
は何といっても
先進国
間の
協力
が重要であるということ。二つ目は対
途上国
の
支援
が非常に重要であるということでございます。
人類
が
地球
上で今後とも生存し繁栄するためには、この
地球環境
問題に真剣に取り組んでいく必要があるというふうに
考え
ております。私たち
外務省
といたしましては、
環境庁
及びその他関係省庁と密接な連絡
協議
をとりつつ、今後ともこの問題に取り組んでまいりたいというふうに
考え
ております。
尾辻秀久
9
○尾辻秀久君 おっしゃるとおりであろうかと思いますので、よろしくお願いして、さらにお尋ねいたします。
我が国
の
国際社会
に対する貢献はあくまで平和を基調とするものでなければならないことは言うまでもありません。その際には
我が国
のよって立つ国家としての理念を明らかにしなければなりません。というのも、
我が国
は経済力を背景に種々の貢献を行ってきたにもかかわらず、ともすれば金だけとの批判を招きがちであったからであります。したがって、
世界
平和を受け身の
立場
ではなく、みずからが
最大
限の
努力
を払って築き上げていくとの
立場
から、現時点で
我が国
の貢献が最も期待されている
分野
であると思われる
地球環境
の
保全
、平和の維持増進、
開発途上国
の貧苦の解消といった
分野
で積極的なリーダーシップを発揮すべきだと思うのであります。来年の
国連環境開発会議
はこうした面での
我が国
の貢献を行う格好の機会であると思いますが、
政府
はどのように
対応
されるおつもりか、
方針
をお尋ねいたします。
丹波實
10
○
政府委員
(
丹波實
君) 先生のおっしゃいますとおり、
世界
に対する
日本
の貢献というものはお金だけ出して済むということではございませんで、
日本
としてのいろんな
分野
における理念を打ち出していくということが非常に重要であるというふうに
考え
ております。この
環境分野
はまさに
日本
の生き方に非常に適したそういう
分野
ではないかというふうに
考え
ております。 そういう文脈の中で私たちは、来年の
UNCED
はそれ自体が非常に重要でございますし、またそれに貢献する
日本
の
役割
というものが非常に重要であるというような
観点
から、先ほど御報告の中に申し上げましたけれども、
日本
としては、
準備会合
における副
議長
という
役割
をやっておりますし、その他財政的な
援助
もしておりますけれども、今後ともその
条約交渉
におきましても重要な
役割
を果たしてまいりたいというふうに
考え
ております。
尾辻秀久
11
○尾辻秀久君 そこで、もう少し具体的にお尋ねいたします。
国連環境開発会議
においては、
気候変動
に関する
枠組み条約
、
生物種
の
多様性
の
保全
に関する
条約
、
森林
の
保全
に関する
合意
が形成されることが期待されております。 例えば、
気候変動
条約
に関しては、ただいま御
説明
ございましたように、第三回
交渉
が来週ナイロビで開催されます。前回までは
交渉
のための組織といった面について話し合われ、実質的な討議はこれからと聞いておるところであります。
政府
としては、これら三
分野
の
条約
あるいは
合意
にどういった
内容
が盛り込まれるべきであると
考え
ておられるか、またどのような
提案
をしておられるのか、
交渉
の経過の概要とともに
外務省
にお伺いいたします。 なお、お聞きいたしますと、このナイロビの
会議
に御出席
予定
の
環境庁
の部長さんがこの
調査会
のためにわざわざ出発をおくらせておられるとお聞きしておりますので、あわせて一言お答えください。
丹波實
12
○
政府委員
(
丹波實
君) まず、私の方から先生が御指摘になられた三つの
条約
の問題について簡単に御
説明
申し上げたいと思います。
気候変動
枠組み条約交渉
につきましては、本年二月の第一回
交渉会議
におきまして
議長
選出等の組織づくりが行われまして、六月の第二回
交渉
では
条約
に盛り込むべき
内容
につきまして
各国
からの意見表明が行われたわけでございます。
日本
といたしましては、二酸化炭素を初めとします
温室効果ガス
の
排出
を
抑制
するため、この
条約
が全
地球
的な
参加
を得てかつ実効的な
内容
となるべく
交渉
を進めておるところでございます。このガスの
抑制
につきましては、
日本
は
排出抑制
に関します
約束
、
コミットメント
の達成を確保するための
実施方式
といたしまして
プレッジ・アンド・レビュー方式
を第二回
交渉
で
提案
してございます。さらに、
先進国
につきましては
排出抑制
に関する共通の
目標
の設定が可能になるよう
努力
を続けることが肝要と
考え
ておりまして、来週からの
交渉
におきましてはこの
目標
の設定につきまして
日本
側の
提案
を行いたいというふうに
考え
てございます。
生物
学的な
多様性
の
条約
の問題につきましては、昨年の十一月から
交渉会議
が進められておりまして、本年二月に
議長国
を選出、六月から
条約
草案の案文の
検討
を開始いたしております。
日本
としては、まず
保全
すべき
対象
、
保全
のための
技術
等の定義など、基本的な
枠組み
を明らかにした上で、
保全
のための具体的な措置とこれに伴います
開発途上国
支援
というものを
検討
することが重要であるという
考え方
で
交渉
に参画いたしております。
森林
に関する国際的な取り決めにつきましては、
ヒューストン
・
サミット
の経済宣言をきっかけとして議論が
国際社会
で活発化してまいっております。
日本
といたしましては、政治的な意思を表明する
世界森林憲章
を
採択
した上で、
枠組み条約
の策定に向けまして順次規律を強化していくという
ステップ
・バイ・
ステップ
・アプローチというものを提唱いたしております。
UNCED
第二回
準備会合
におきまして、少なくとも
法的拘束力
のない
原則表明
を含む
世界
的なコンセンサスを作成するための
検討
を行うということとなりまして、これを踏まえて、
日本
といたしましてもこの
交渉
が成功するよう、引き続き参画してまいりた、いというふうに
考え
ております。
加藤三郎
13
○
説明員
(
加藤
三郎君)
日本政府
の
対応
につきまして、ただいま
国連
局長
の方から御答弁のあったとおりでございますので、私の方からは
環境
担当の
立場
から一言、二言、先ほどの私どもの
局長
の
説明
にやや補足する形で御
説明
をさせていただきたいと思います。 まず、
気候変動
の問題でございますが、これは先ほど私どもの
局長
が、IPCCといいます
気候変動
に関する
政府間パネル
のことに触れまして、特に私どもから差し上げております
資料
でいきますと十三ページに触れてあるわけでございます。 その
気候変動
の今一番心配されておりますのは、いわば
温暖化
に伴いまして気候がいろいろと変動していく。単に気候が暖かくなるということだけでなくて、それに伴いまして、例えば雨の降 り方とか、それに伴いますいろいろな生態系の激変とかということが今心配されているわけでございます。 それで、例えばどの
程度
かと。これももう
先生方
も十分御案内かと思いますが、今
世界
の科学者が予測している温度
上昇
のスピードといいますのは、百年間で大体二度から五度ぐらい温度が
上昇
するのではないかと。一般的にその真ん中辺といいますか、百年間で約三度ぐらいの温度
上昇
がある。それに伴いまして、生態系にさまざまな
影響
が出てきます。具体的に言えば、例えば農作物に対する
影響
でありますとか、あるいはいろんな
環境
にすんでおります
生物種
に対する非常に大きな
影響
、そういったものに伴って、例えば社会的には難民の発生とか、そういったようなことも心配されているわけでございます。 そういうぐあいに、これから来
世紀
にかけまして大変重要な問題が
気候変動
だというふうに私ども
認識
いたしておりまして、
気候変動
に関する
枠組み条約
と言われておりますが、それはぜひとも成功させねばならない。来年の
UNCED
でぜひ実りある、将来に向けて
国際社会
全体として行動できる基礎となる
枠組み
ができることが重要ということで、ただいま
外務省
の
局長
さんの方から御
説明
ありましたように、
政府一体
となってこの問題に取り組んでいる次第でございます。それに伴う国内的な施策につきましても、先ほど私どもの
局長
が御
説明
したとおりでございます。 それから、それに関連いたしまして、緑の問題が、先ほどお尋ねのありました
森林
の
保全
あるいは
生物学的多様性
に一部関係する問題かと思います。この緑の問題、
熱帯林
だけではございません。温帯林、寒帯林も、例えば酸性雨による
被害
などによりましてアマゾンその他の
熱帯林
の
減少
が心配されておりますが、寒帯林も酸性雨などによって非常に
影響
を受けております。 したがって、単に
熱帯林
だけでなくて寒帯林、温帯林も含めて
森林
の
保全
をすることが大事だと。ただし、これは
開発途上国
の主権との絡みもございまして、必ずしもすぐに、一気に
条約
というところになかなか行きがたいということで、できるだけ意味のある
合意
にまずたどり着き、その後
枠組み条約
といったものを目指していきたいという
方針
で、これまた
外務省
を中心に関係省庁と一緒になりましてやっておるところでございます。 特に、私ども
環境庁
といたしましては、
生物学的多様性
、つまり
生物
の種が激変しているということは、単に珍しい動物がいなくなるということだけではなくて、私ども人間の生命の
基盤
を損なう重大問題というふうに
認識
いたしておりまして、そういう意味で
生物学的多様性
の
条約
ができますよう、一生懸命
努力
してまいりたいと思っております。
尾辻秀久
14
○尾辻秀久君
地球環境
問題が国際政治の
枠組み
の中にはっきりと位置づけされたのは一九八八年であると言うことができると思うのであります。とりわけこの年に行われたシェワルナゼソ連外相、ゴルバチョフ書記長の
国連
演説が大きな注目を引いたわけであります。特にシェワルナゼ外相は、それまで
環境
には余り
重点
を置いてこなかったソ連の
方針
を百八十度転換しました。すなわち
環境
の脅威が核と宇宙における脅威と同じような緊急性を高めていること、軍事手段を用いた
安全保障
という伝統的な
考え方
が既に過去のものとなってきていること、
環境
のカタストロフィーの前には、東西の対立の図式は意味を持たないことを指摘したのであります。
地球環境
問題は、その
破壊
から一国だけが逃れることはできないという意味において核戦争とその性格を一にしているといってよいのでありまして、そのため国家を超えた
協力
の
枠組み
の形成が必要とされるのであります。 こうした
取り組み
の
一つ
が国際
条約
の締結であり、もう
一つ
が
国連
組織の強化であります。シェワルナゼ外相は、既存の
国連環境計画
を
安全保障
理事会並みに格上げすることを
提案
しているところであり、
国連環境開発会議
でも、既存の組織の強化についても
検討
する
方向
のようでありますが、
国連環境計画
の格上げについて
政府
はどのようにお
考え
ですか。
丹波實
15
○
政府委員
(
丹波實
君) ただいまのシェワルナゼ外務大臣の
国連
におきますこの
環境
問題についての
考え方
は、私どもといたしましてもソ連の最近のいわゆる新思考
外交
のこの
分野
における
一つ
のあらわれということで大変注目しておるわけでございます。 先生の御質問の
UNEP
、
国連環境計画
の格上げあるいは強化ということについての
考え方
でございますけれども、私どもといたしましては、この
地球環境
問題の
解決
には、まさに全
地球
的な
取り組み
が重要である。そのために一番重要な適した場所というのはやはり
国連
ではないか。そういう意味で
国連
を通じた
国際協力
が最も重要であるというふうに
考え
てございます。
日本
といたしましては、この
地球環境
問題解決
のための現在中心的な
国際機関
でございますところの
国連環境計画
、
UNEP
というものは非常に重要であるというふうに
考え
てございまして、したがいまして、
世界
第二位の資金
拠出
を行っておりますほかに、その
UNEP
センター
の
日本
への誘致ということを決定しておるわけでございます。そのような道を通じまして、
UNEP
の
活動
に
日本
なりに積極的な
支援
を行っておるわけでございます。今後ともこの
UNEP
の強化ということのために、
日本政府
としてはできるだけの
努力
をしてまいりたいというふうに
考え
ております。
尾辻秀久
16
○尾辻秀久君 時間も余りありませんので具体的には申し上げませんけれども、科学的な
研究
の蓄積こそが、
被害
が発生する以前に予防的な
対策
をとることが
地球環境
問題にとっては不可欠であります。現在
日本
の無償
援助
で中国とタイに建設され、そしてインドネシアでも計画されている
環境
センター
の建設は、こうした点で重要であると思うのであります。これをソ連などといった他の
地域
にも設置し、環太平洋
地域
の
環境
データの集積を図ることが有益ではないかと
考え
ますが、
環境庁
いかがでしょうか。
加藤三郎
17
○
説明員
(
加藤
三郎君) 先生今おっしゃられましたように、
地球環境
問題につきましては予防的な
対策
が極めて重要というふうに
考え
ております。そのために科学的な
知見
を集積するということもこれまた不可欠であるというふうに私どもも
考え
ております。
環境庁
といたしましては、
外務省
及び
国際協力
事業
団等に
協力
させていただきまして、先生もお触れになりましたタイなどに
環境
センター
、これはタイでは
環境
研究
研修
センター
などと申しておりますが、タイのみならず中国あるいはさらに、少しちょっと先の話といたしましてはインドネシアなどでそういう
センター
づくりが今進んでおりまして、そこで
環境
問題への科学的な
調査
、
研究
あるいはそういったことを遂行できる人材の養成といったことを行い、これらの
センター
がそういったものの中核になるというふうに期待をいたしているところでございます。私どもといたしましては、今後も
外務省
などと連携をいたしまして、
センター
プロジェクトの
推進
などの
環境
協力
を積極的に進めまして、
環境
データの蓄積に努めていきたいというふうに思っております。それとともに、
UNEP
などの
関係国際機関
などとも
協力
いたしまして、ネットワーク化といったことにも
努力
をしてまいりたいというふうに思っております。 なお、ソ連につきましては、本年四月にゴルバチョフ大統領が
日本
にいらしたときに日ソ間で
環境
保護
協力
協定というものを締結いたしております。この協定の
枠組み
の中で、ソ連も含めた科学的な
調査
、
研究
、モニタリングなども今後の
課題
として
推進
してまいりたいというふうに
考え
ております。
尾辻秀久
18
○尾辻秀久君
政府
は、
地球温暖化
防止
行動計画
を策定し、その実現のための施策を
検討
しておられることはただいま御
説明
のあったとおりであります。いずれにいたしましても、私は今後
環境保全
に対しては大変な資金を必要としてくると思う のであります。 そこで、一九九一年一月に開催されたOECD
環境
委員会
閣僚
会議
でも触れられたように、何らかの経済的措置を
検討
せざるを得ないのではないかと思いますが、これについて
環境庁
はどうお
考え
ですか。
八木橋惇夫
19
○
政府委員
(
八木橋惇夫
君) 先生御指摘のように、OECDや
UNCED
の
事務局
等におきまして、
環境保全
の
観点
から、説とか賦課金とか、また
排出
権の
取引
その他の経済的な手段を活用する方法について目下真剣な
検討
が行われているところでございます。
環境保全
を効果的かつ円滑に
推進
していくためには、やはり
規制
措置とか助成措置を含めた幅広い
対策
を総合的に講じていくことが必要でございまして、お触れになられたOECDにおきましても、経済的手段は
技術
革新と構造の変化に対して強い誘因を与えると言うことができ、
環境
上の
目標
を
費用
にして効果的に達成することができ、よい展望を与えることができるというメリットを指摘しているところでもございます。
環境庁
におきましても、こういったOECD、
UNCED
準備会合
等における
検討
につきましても
我が国
から要員を派遣いたしましてこの
検討
に積極的に取り組んでまいりますとともに、その進捗
状況
を踏まえながら真に
環境保全
に資するような経済手段というものについて十分
検討
してまいりたいというぐあいに
考え
ております。
尾辻秀久
20
○尾辻秀久君
世界
銀行は、去る七月十八日の理事会で
熱帯林
の商業伐採、搬出への融資を今後停止する、
森林
に悪
影響
を及ぼす
可能性
のあるダムや鉱山
開発
、道路建設への融資について審査を強化するとの指針を
採択
したと伝えられます。先ほどお話がありましたように、
我が国
が
熱帯林
の
保全
に対して大きな責任を有していることは事実でありますが、今回の
世銀
の
方針
を
政府
はどう
評価
し、
対応
していかれるか、お答えください。
畠中篤
21
○
説明員
(畠中篤君) 先般、
世銀
が発表いたしました
森林
政策
ペーパーの
内容
につきましては、これまで種々の国際的な場あるいは
援助
関係
機関
で議論されてきました
内容
のものでございます。
我が国
が
援助
を
実施
してまいりますときにもほぼ同様な
考え方
に基づいて
実施
しております。 先ほど来御
説明
申し上げましたように、
我が国
政府
が
援助
を
実施
してまいりますときに
環境
面は非常に重要な
分野
の
一つ
として重視しておりまして、
我が国
の
援助
の
実施
機関
におきましても、
援助
実施
に際しての
環境
のガイドラインというものを逐次つくって、さらにその審査あるいは
調査
、
環境配慮
をしてまいります体制の整備に努めております。 若干具体的に申し上げますと、
国際協力
事業
団、
技術
協力
を
実施
しております
実施
機関
でございますが、従来より水力発電あるいは道路などの案件は
環境
への
影響
が多うございますので、
事業
実施
の各段階でそれなりの配慮をしてまいりましたが、九〇年度よりは各
分野
におきましてそれぞれのガイドラインをつくる作業を開始しております。九〇年度に作成されましたダム建設計画についてのガイドラインの中では、原生林あるいはそれに類する
森林
への注意がチェックリストの評定要素として取り上げられております。また、
円借款
の
実施
機関
でございます海外経済
協力
基金、ここでも
環境配慮
のためのガイドラインを作成しておりまして、道路建設における緑地
破壊
、ダム等の建設による植生
破壊
、造林等に伴う
森林
への
影響
といったようなものについて細かなチェックリストを作成しております。 私どもは、今後ともこのようなチェックリストあるいはガイドラインの作成に努めますとともに体制整備を図りたい、そう
考え
ております。
尾辻秀久
22
○尾辻秀久君 時間もどんどんなくなっておりますので、端的にお尋ねいたします。
地球環境
問題を契機に南北対立の激化、
環境
を人質にとり
先進国
から資金の流入を求めるといった事態も
考え
られるわけであります。
政府
はこうした
途上国
の要求にどのように
対応
していくおつもりか。また、特に
政府
は
開発途上国
の
自助努力
を強調しておられますが、これに対する
途上国側
の反応はどうでしょうか。お尋ねいたします。
畠中篤
23
○
説明員
(畠中篤君)
環境分野
におきます
援助
につきましても、ほかの
援助
実施
と同様に、基本的には
相手国
政府
による
自助努力
を
支援
してまいるという基本的な姿勢でございます。しかしながら、その際には先ほど先生がちょっとお触れになりましたように、
途上国側
はどちらかと申しますと比較的短期的な
開発
ということが優先されまして、
環境
に対する配慮がそれとの比較におきましてはどうしても欠落しからだという、そういう一般的な
途上国側
の姿勢はございます。 これに対しまして、私どもが
支援
してまいりますときには、
自助努力
を待つということだけではなくて、種々の機会に、例えば
環境
についてのみ
協議
をするミッションを
途上国
に派遣いたしまして、
世界
の懸念と申しますか、現在の重要
課題
である
環境保全
についての両方の
認識
を高め、できるだけ
途上国側
の
自助努力
がそちらに向くように、そして私どもの
支援
がそちらに向くように
協議
を重ねてきております。
尾辻秀久
24
○尾辻秀久君 最後にお尋ねいたします。 東南アジアの公害問題が深刻化していると聞いております。これらの諸国は極めて高い
経済成長
を遂げており、こうした急激な成長が
環境
に大きな負担となっていることは
我が国
の
経験
からも明らかであると思います。
我が国
が公害で苦しんだのと同じ道を
途上国
がたどることを避けるためにも、
途上国
への省エネルギー、クリーンエネルギー等の
公害防止
技術
を移転することが期待されていると言えましょう。
我が国
からの
技術移転
により、
世界
の
環境
研究
研修
センター
として期待されている東南アジアの国々が
環境
的に健全な経済社会を建設することも可能となるのではないかと期待しておりますが、
政府
はこれらの
途上国
の要望をどのように把握しており、これにどう
対応
していこうとお
考え
なのか。
環境庁
にお尋ねいたします。
加藤三郎
25
○
説明員
(
加藤
三郎君) まさに先生おっしゃられたとおり、最近東南アジア諸国では急速な経済
発展
に伴いまして
大気
汚染
、水質汚濁あるいは地盤沈下などの公害問題が極めて深刻化いたしております。このような公害がそれぞれの国でやはり社会的な負担というふうになりつつありまして、経済
発展
そのものにも
影響
を及ぼすという懸念も出ているわけでございます。 翻ってみますと、私どもも高度成長期に
大気
汚染
、水質汚濁等の非常に厳しい公害を
経験
してまいっております。したがいまして、そういう
分野
で公害あるいは自然
保護
などの
環境分野
で豊富な
経験
と
技術
を有しておりますので、これまでの私どもの公害克服の
努力
なり、それが
経済成長
を損なうことなくやってきたという実績、そういったものを
途上国
に率直にお伝えしていくというのは、先ほど来申し上げておりますように
政府
としての非常に重要な仕事だと思っております。私どもといたしましては、
外務省
の
外交
チャネルを通じまして、まず諸外国の要望を聞いてそれに的確に
対応
すべく
努力
をいたしておるわけでございます。 具体的に申し上げますと、
専門家
を派遣いたし、あるいは
途上国
からの研修員を受け入れる、あるいは先ほども触れさせていただきましたような
環境
研究
研修
センター
といったようなものの、
センター
づくりに
技術
面で私ども
協力
させていただく。それから、そういったことを通じまして先ほど来申し上げました私どもの
経験
、ノーハウといったものを漏れなくお伝えしたいというふうに思っております。 先ほど私どもの
局長
が申しましたが、
環境庁
の
資料
でいきますと四十ページにあります「アジア太平洋
環境
協力
計画」、私どものニックネームでエコアジア21プランと称しておりますが、これまで
環境庁
設立
以来二十年間いろんなことをしてきましたものを体系立てまして、特に来年度
予算
に向けましてこれまでやってきた、あるいは既存のいろんな施策を新規の施策とあわせまして体系化づけまして、アジア・太平洋
地域
の
環境
対策
に積 極的に
協力
申し上げていきたいというふうに体系化させていただいておるところでございます。 今後とも、この計画に従いまして総合的に、かつ効率よく
途上国
のニーズにおこたえもしていきたいというふうに思っております。
尾辻秀久
26
○尾辻秀久君 終わります。
細谷昭雄
27
○細谷昭雄君 ただいま
外務省
、
環境庁
からかなり膨大な、しかも全
地球
的なグローバルな
立場
で御
説明
がございましたが、私は主として
外務省
と
環境庁
に対して二
国間援助
ないしは多数
国間援助
、これは
外務省
の
資料
の十一、十二ページにあるようでございますが、これの具体的な方法について若干の質問をしたいと思います。十五分という短い時間でございますので、ひとつ短い答弁で結構ですから、よろしくお願いします。 まず最初に、
日本
の海外への直接投資額というのが年間四百億ドルに達したというふうに言われております。その中でも利潤追求に走り、そして海外の
環境
や人権というものを無視しているというふうに批判されておるということを数多く私たちも聞くわけでございます。 マレーシアの三菱化成との現地合弁会社エイシアン・レアー・アース社、これAREとも言っておるようでありますが、この放射性
物質
トリウムの不法投棄によってチャンという少年がちょうど水俣病と同じような症状を呈し、これがもとになりまして現在裁判ざたになっておるというふうに聞いておるわけでありますが、
外務省
はこの事実を知っておられるかどうか。そして、このような事例がまだたくさんあると思うんですが、どのくらいの数を把握されて。おるのか。これについてお伺いしたいと思います。
林景一
28
○
説明員
(林景一君)
外務省
のマレーシア担当課長でございます。 ただいまの御質問のうちのマレーシアの部分についてお答え申し上げます。 私ども
外務省
といたしまして把握しておりますところは次のとおりでございます。御指摘のエイシアン・レアー・アース社はすずの精製後の廃棄物、いわゆるモナザイトから希土類を抽出することを
目的
として、
日本
企業、三菱化成でございますが、三五%の出資、それから残り六五%につきましては現地資本の出資を得まして、マレーシアの国内において、マレーシアの国内法に基づきまして
設立
された法人、合弁企業でございます。この企業の操業
目的
である希土類の抽出の過程におきまして、低レベルの放射性廃棄物でございますトリウムが廃棄物として発生するということで、これに不安を持たれた周辺の住民の方が現地の高等裁判所に工場の操業停止を求める訴訟を提起されました。これが八五年のことでございます。 これに対しまして高等裁判所の方からたん次の
内容
の仮
処分
判決というものが出ております。操業に当たって、放射性
物質
または放射線を外部に……
細谷昭雄
29
○細谷昭雄君 あのね、経過はわかっているんです。問題は、こういうケースがどのくらいあるかということを聞いておるんです。
林景一
30
○
説明員
(林景一君) マレーシアの件につきましては、これ以外には承知しておりません。本件につきましては裁判がいまだ係属中であるということでございます。
細谷昭雄
31
○細谷昭雄君 こういうケースというのがもうたくさんあるというふうに我々見ておるんです。そのことを聞いておるんですけれども、詳しく調べておらなければ結構です。 今年六月に、北京で
開発途上国
の
サミット
が開かれました。愛知
環境庁長官
が特に出席を求められて行っておるというふうに聞いておりますけれども、北京宣言が
採択
されました。 この北京宣言の
内容
は、
先進国
は
環境
資源を浪費することにより今日の
発展
を得てきたのであるから、これを
途上国
に還元すべきであるというふうな趣旨の
内容
だと聞いております。
外務省
はこれをどう受けとめておりますか。
丹波實
32
○
政府委員
(
丹波實
君) 先般の中国
政府
主宰の
途上国
環境
会議
、先生おっしゃるとおり愛知
環境庁長官
がオブザーバーとして出席されましたけれども、この
会議
は、
途上国
自身によります自然資源の
管理
等の
原則
あるいは
地球環境
問題についての
先進国
の責任、
地球環境保全
のためのいわゆるグリーンファンドの創出等を
内容
といたします北京宣言というものを取りまとめたわけでございます。 この宣言は、来年の
UNCED
の
会議
に向けましていわば
途上国
としての意見を集約したものであります。 私たちの見ますところ、もともと
考え
られていた案文よりは幾分対立色というものが薄められているんではないかと思いますけれども、しかしながら、
途上国
の
環境
問題についての南北対立的な
考え方
がやはり非常に強く出ているなという感じを持っております。 今後、こういう
途上国
というものの
考え方
をいかに取り入れながら、しかし全体としての
地球環境
問題にどう
対応
するかというのは、例えば先ほど御
説明
申し上げましたGEF基金を通じる
援助
とか、あるいは
日本
の
UNEP
センター
を通じる
技術移転
ということを通じて
途上国
の理解を得ながら全体の問題に
対応
していく必要があるなという感じを抱いております。
細谷昭雄
33
○細谷昭雄君 先ほど御
説明
がありましたアルシュ・
サミット
でも、八九年から三年間で
外務省
は
環境破壊
防止
援助
に三千億円を支出することを公約し、しかも二年間でほぼ実現したというふうに報告がありました。これは私たち
評価
すべき点だというふうに思っておるんですが、問題は、このODAなりいろんな点で
政府
開発
援助
にハード面とソフト面があるわけでございます。
基盤
整備等はハード面、これがもう今までずっと行われておると思うんですが、ソフト面にODAの
重点
を移すべきだと。さっきの報告にもあるようでありますけれども、これをもっとうんとふやしていきたい、こういうふうに思うんですけれどもへどっちかといいますと今までの現地、つまり
開発途上国
の要望では、
基盤
整備に、ハードの面にうんと多いと思うんですね。この矛盾、つまり現地の希望とこちらの方のいわばやりたいと思っている点での矛盾、これをどのように調整し、どのように
国際機関
で広げていくのか、この点についてのお
考え
を聞かせていただきたいと思います。
畠中篤
34
○
説明員
(畠中篤君) 先ほどちょっと御
説明
申し上げましたが、
途上国
から出てまいります要望は必ずしも
環境
に対して十分配慮された形になっておらないのが
現状
でございます。しかしながら、私どもが
支援
してまいりますときに、
途上国
に
支援
できるその
援助
の額と申しますか、
協力
できる量も限りがございます。その
協力
できる一定の資金をどこにどれだけ割り振るか、つまり先生おっしゃいましたハードの面、橋をつくったり、あるいは病院を建てたりといった面にどの
程度
回すか、それから
環境保全
の方にどの
程度
回すかということは非常に重要な問題でございますが、
途上国
と私ども
援助
します側が十分に話し合って、両方でその
一つ
の一致点と申しますか、
合意
に基づいて
実施
する必要があると思います。
援助
はこちら側から押しつけということはなかなか難しゅうございますので、ただ、その過程を調整するために、先ほど申し上げましたが、私どもは
環境
面をもっと重視するようにと、
環境
を重視しない場合には将来こういうことになる、おたくの国で言えばこういうケースがあるがどうかといったようなことも含めて、いろいろ
環境
の面で
援助
をどうしていくかという
協議
のためのミッジョンをそれだけのためにアジア、アフリカ、南米も含めまして少しずつ出しております。それ以外に、毎年、
援助
の
内容
を
協議
する場がございます。そこにおきましても、近年は特にこの
環境
についての配慮を先方から引き出すようにできるだけこちらの
考え
も伝えて意識を高める
努力
をしております。
細谷昭雄
35
○細谷昭雄君
環境庁
にお伺いしたいと思うんですが、先ほどのマレーシアにおける例のようにいろんな問題があると思うんですよ。海外
援助
や海外の投資、これを現地の希望やないしは利潤の追求というようなことにゆだねる時代というのはも う終わったというふうに言わざるを得ないわけです。 そこで、
開発
をする場合、
開発途上国
の人間と自然に優しいといいますか、
環境
に優しい持続できる
開発
、この持続できる
開発
援助
というものに徹すべきであるというふうに私は思うんですが、
環境庁
にお尋ねしたいことは、その場合に、例えばODAや海外投資、このいずれかを問わず、海外の
開発
にも国内の
環境
基準、いろんな基準がございます。先ほどの皆さんの
説明
の
資料
の六十三ページ以降に、「海外進出に際しての
環境配慮
事項」、こういうのがございますが、私は思い切って、思い切ってといいますか、
環境
基準がもし向こうにない場合には国内の基準でやるということが必要だと思うんですけれども、
環境庁
としてはどういうふうに
考え
るか、もしできないとすればどこに
原因
があるのか、そのこともあわせてお尋ねしたいと思います。
加藤三郎
36
○
説明員
(
加藤
三郎君)
各国
がどのような基準を設けるか、どのような法
規制
を行うかというのはすぐれてその国のいわば主権に属することでございます。したがいまして、マレーシアであれ、インドネシアであれ、あるいは
日本
であれ、その国がどういう法
規制
を持ちたいかというのはその国が決めることにならざるを得ないわけでございます。 ただ、先生が御心配になっておられますのは、仮にその国に基準がないような場合、あるいは私どものスタンダードから見た場合に緩い、これでは安全なり住民の健康が守れるかどうかという疑念が生ずるような場合はどういうことになるだろうかというお尋ねかと存じます。 まず、
政府
全体といたしましては、先ほど
企画調整局長
の方から御
説明
いたしました
資料
でいきますと七ページに、これは
政府
全体としてどういう
方針
で臨むかというのが七ページの⑤でございますけれども、「
政府
開発
援助
の
実施
に際しての
環境配慮
を強化する。」、そしてその「
環境配慮
の手続きの制定、ガイドラインの整備等を進めるとともに、
環境配慮
の円滑・効果的な
実施
のための体制整備、人材養成等を
推進
する。」ということをまずODAの
実施
について
政府
としていわば申し合わせをいたしてございます。これが二年前の
平成元年
六月三十日の申し合わせでございます。 それに加えまして、「その他
政府
資金による
協力
及び民間企業の海外
活動
についても適切な
環境配慮
が行われるよう努める。」というふうになってござい良して、じゃ民間企業が海外へ出ていっていろんなことをやる場合に、「適切な
環境配慮
が行われるよう努める。」というのは具体的にはどういうことかということでございますが、それにお答えする
一つ
がまさに先生お触れになりました経団連の
地球環境
憲章の中の特に「
環境配慮
事項」かと存じます。私どもの
環境庁
の
資料
でいきますと六十四ページにそれが出ておりまして、経団連の「
環境配慮
事項」の二番目に「進出先国の
環境
基準等の遵守とさらなる
環境保全
努力
」というのがございます。ここに書いてある上おりでございますけれども、「
大気
、水質、廃棄物等の
環境
対策
においては、最低限進出先国の
環境
基準・
目標
等を遵守することは当然」だと、これは先ほど来申し上げておりますようにいわば
各国
政府
の主権そのものでございますので、それに従うのはもう当たり前だと。 問題は、「進出先国の基準がわが国よりゆるやかな場合、あるいは基準がない場合には進出先国の自然社会
環境
を勘案し、わが国の法令や
対策
実態をも考慮しこ、そして、「進出先国関係者とも
協議
の上で進出先国の
地域
の
状況
に応じて、適切な
環境保全
に努めること。」とすると。なおその次がございまして、これは重要だと思いますが、「なお、有害
物質
」、先生もちょっと御懸念を表明されたものもこれのカテゴリーに当たろうかと思いますが、「有害
物質
の
管理
については
日本
国内並の基準を適用すべきである。」というのがいわば
産業
団体の
一つ
の現時点でのいわば申し合わせというふうに私ども理解しておりまして、私どもといたしましても、先ほど触れさせていただきました
政府
の
方針
がこのような形で生きてきて、これがまさに絵にかいた、単に言葉だけの問題じゃなくて実行されるように今後ともいろいろと働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。
細谷昭雄
37
○細谷昭雄君 時間がありませんので、
外務省
に要望だけしておきたいと思います。 ただいまのように、
環境庁
が話されましたいろんな
環境
基準、その基準についていろんな問題があるように思いますので、
外務省
としましては十二分に
国連
の場とかそういうことで、むしろ公害
先進国
でございますので、イニシアチブをとって、そういう点でどんどんリードしていただきたい、このことを要望いたしまして、終わりたいと思います。
三石久江
38
○三石久江君 ただいまは、大変有意義な莫大な
資料
の御
説明
を賜りよくわかりました。私も
環境庁
に質問させていただきたいと思います。 昨日いただいた同じ
資料
を夜、朝までかけてじっくり読ませていただきました。現実に
地球環境
は最近急速に悪化の道をたどっていると思うわけです。
外交
・安保
調査会
がなぜ
地球環境
の問題を取り上げたかは今までの御
説明
でよく理解できました。国境を越えて迫ってくる
環境汚染
の脅威を排除することは、広い意味での
安全保障
であり、そのためには
地球規模
での
環境保全
に
対応
しなければならないと思うわけです。 さて、
我が国
における
地球規模
の
環境
に対する
対応
は古いものではなく、先ほどの
環境庁
の御
説明
では、
昭和
五十五年、一九八〇年に
地球的規模
の
環境
問題に関する
懇談会
が設置されたのが始まりのようですね。
昭和
三十年代後半からの高度
経済成長
期に四日市公害、水俣公害など全国的な公害を
経験
し、
昭和
四十六年には
環境庁
が設置され、その後
公害防止
には高度の
技術
水準を獲得していったわけですが、
地球規模
の
環境
問題までには至っていなかったと思います。ところが、既にヨーロッパでは一九六八年酸性雨が問題となり、一九七二年
国連
人間
環境
会議
が開催されておりました。またアメリカでは一九三〇年から四〇年代には光化学スモッグの
研究
が始まっており、この
分野
すなわち広域
環境
における公害
研究
はヨーロッパ、アメリカに比べてかなり遅かったようです。これは
我が国
が海に囲まれ、近隣諸国から隔離されていたという恵まれた
環境
であったためでもあり、恥じることではないと思いますが、
地球環境
問題への
取り組み
が遅かったのは事実であり、それだけに
研究
体制の整備も不十分ではなかったかと思います。「
平成
三年度
地球環境
研究
計画」あるいは「
地球温暖化
防止
行動計画
関係施策」には、一応当面する
地球環境
問題に対する
課題
が網羅されておりますが、この膨大な
資料
、今、二十一ページから三十六ページまでの
研究
計画を実際に遂行する
研究
体制はどうなっているのか、承りたいと思います。
一つ
には、各省庁はそれぞれどのような
研究
体制、すなわち
研究
施設、
研究
者数の規模で行っているのか、
環境庁
で把握されている範囲でお示し願いたいと思います。二つ目、各
研究
課題
について
研究
結果はどう処理されているのか、例えば
平成
二年度の
研究
成果の取りまとめは
環境庁
としてどの
程度
行ったか、また
地球環境
問題の施策にどの
程度
反映されたか。また三つ目、
研究
課題
は主として実用的
研究
で、基礎的狂
研究
が含まれていません。大学の
研究
者のかかわり方がわかりませんが、どうなっているのか。そして最後に、大学は
研究
と同時に
研究
者の養成を行うところであり、
地球環境
をテーマにして
研究
し、学生を教育しでいるところはあるのか、文部省の所管かもしれませんけれども、
環境庁
でわかっている範囲でお示しいただきたいと思います。
加藤三郎
39
○
説明員
(
加藤
三郎君) 先生お触れになられましたように、先生のお言葉の中にございましたように
日本
は島国でございます。国境を陸で接しておりません。そういうこともありまして、国をまた、がる広域的な
研究
というのは確かに国を隣接、国境が陸でつながっておりますヨーロッパなどの国々と少し違ったアプローチであったというのは先生のおっしゃるとおりかと思います。 ただ、私ども、例えば
大気
汚染
対策
とか水質汚濁
対策
、それは国内のための
対策
をいわば鍛えてきたわけでございますが、これらが結果的に例えば広域的な酸性雨
対策
につながっていくとか、あるいは
海洋
汚染
対策
につながっていくということで、私どもの国内でやってきたことが今日で言う
地球規模
の
環境
問題にもかなり寄与するという面が多々あろうかというふうにも
考え
ております。 そこで、まず先生の御質問でございますけれども、一体、
研究
体制はこの
地球環境
問題についてどんなぐあいになっているのかということでございます。これも先ほど私どもの
局長
の方から
資料
で生って御
説明
させていただきました。先生、莫大な
資料
とおっしゃいましたが、八ページから出ておりまして、ここにありますように特に
平成
三年度の
推進
計画につきましては九ページにございますように、「
調査
研究
、観測・監視、
技術
開発
」、いろんな
分野
にわたりましてプライオリティーを定めて
研究
を進めているところでございます。 先生のまず最初のお尋ねといたしまして、施設がどういうところで、何人ぐらいの人が従事しているかということでございますけれども、およそ
地球環境
に関係いたします私どもの総合
推進
計画におきまして、
環境庁
の所管の
調査
研究
機関
はもとよりでございますが、大学、それからいろいろな例えば工業
技術
院傘下の
研究
機関
、あるいは文部省傘下の
研究
機関
、あるいは農林水産省所管の
研究
機関
等々いろいろな
研究
機関
に全部御
参加
いただきまして
研究
計画をつくり、私どものところでそういったものの取りまとめをさせていただいております。施設の数とその人数、ただいま現在たくさんありますが、何施設、何人というふうにちょっと今手元に数字がございません。後ほど概数をお届け申し上げたいと思います。 それから、この成果をどういうふうに取りまとめるか、
平成
二年度はどういうふうになっているかということでございますが、
平成
三年度に入ってまだ半ばにも達しておりません現段階では、
平成
二年度の各省の
研究
成果をまだ取りまとめておりません。実は現在取りまとめの作業に入りつつあるところでございます。これにつきましては取りまとめができますればまた公表させていただけるというふうに思っております。 それから、先生のお尋ねの中で、
我が国
はやや基礎的な部門が少ないのではないかというお尋ねも受けました。私ども、お言葉を返すようで恐縮でございますが、必ずしもそうではないというふうに実は思っております。もちろん、例えばNOx
対策
、SOx
対策
、それから排水処理をする
技術
というのは応用
技術
に類することでございますが、それだけでなくて、例えばフロンが宇宙でどういう挙動を示しているか、あるいは酸性雨の発生のいろんなメカニズム、それから
地球
の
温暖化
に関。しましてもかなり基礎的な面にわたっていたしております。そういう意味で、私どもといたしましては基礎も含めて
地球環境
研究
に現在取り組んでおるというふうに思っております。 そういうことができるために、
環境庁
では昨年の十月に国立
環境
研究
所内に
地球環境
研究
センター
というものを置きまして、ここで、従来各
研究
機関
なり大学等において個別に
実施
されておりました
地球環境
研究
を国際的、学際的な視点から組織化、体系化するということで、この中に基礎
研究
も当然含めてやっておりまして、大学を含めまして関係者を結集し交流を深める場として活用いたしております。何せ昨年の十月にできたばかりでございますので、これが非常に大きな立派なものということはまだ現時点では言いがたいかと思いますが、私どもといたしましてはこれの体制の拡充を一生懸命図っておりまして、例えばスーパーコンピューターを導入していくというのもその体制整備の一環でございます。 それから、大学では養成はどういうふうになっているか。これは
地球環境
という
一つ
の講座、いわば単一の講座はございません。
地球環境
問題と言われるものの中身を見れば、
気候変動
であったり、あるいは酸性雨問題であったり、
熱帯林
の問題であったり、あるいは
野生生物
の種の問題等、それぞれ学問の体系も異なりますし、それから専門とするいろんな学科も異なっております。したがいまして、あるところだけで
地球環境
全部を養成するというのはなかなか難しいかと思いますが、大学のそれぞれの部門で、例えば気象学あるいは工学あるいは
生物
学あるいは場合によっては医学、いろんな
分野
で人材の養成を図っているものというふうに理解をいたしております。
三石久江
40
○三石久江君 大変ありがとうございました。
地球環境保全
に関する
研究
というのは範囲が極めて広域であり、学際的
研究
で、従来の学問
分野
の領域を越えて
研究
しなければならないところに難しさがあると思うんです。それだけに、ただいま示されました
研究
体制でここに挙げられた
研究
課題
をこなすにはまだまだ不十分であり、その成果を危惧するものです。 また、
研究
成果は
報告書
、試験成績書、論文、口頭発表などいろいろありますけれども、その取りまとめが十分行われるか否かによって価値が違っできます。基礎的
研究
から実用
研究
まで幅広くなし遂げ、それをまとめ上げてこそ
世界
に貢献し、リーダーシップをとれるものと思います。なお一層の
努力
を望んでおりますのでよろしくお願いいたします。 終わります。
広中和歌子
41
○
広中和歌子
君
地球環境
破壊
が
人類共通
の敵であるという
認識
に立って、この
外交
・安保
調査会
で取り上げられましたことを高く
評価
させていただきます。 ただいま、
外務省
並びに
環境庁
から
地球環境
問題について総括的かつ多岐にわたってのお
取り組み
の御
説明
をいただきまして大変ありがとうございました。短い時間で急いで質問させていただきます。
平成
三年度
政府
予算
案四千八百八億円が見込まれておりまして、それは対前年度比六・三%の増であると。これは大変結構なようでございますが、その内訳についてちょっと見ておりますと、
地球環境保全
関係一般経費が七百六十一億円、つまり一五・八%で、残り八〇%近くがエネルギー
対策
関係費でございますね。このエネルギー
対策
関係費、大変重要だと思いますけれども、この内訳、さらなる内訳ですけれども、そのほとんどが原子力発電関係なのではございませんでしょうか。そのこと自体原子力発電が
一つ
のクリーンエネルギーとして大切なことは十分存じておりますけれども、他のクリーンエネルギーに対する
対策
費が非常に少ないんじゃないかということをちょっと指摘する意味で内訳を知らせていただきたいと思います。
加藤三郎
42
○
説明員
(
加藤
三郎君) このエネルギー
対策
関係費、確かに
平成
三年度におきましては三千七百億円余ございます。 先生のお尋ねばこの大部分が原子力ではないかということでございますが、端的に申し上げまして原子力関係が約三千億ちょっとでございます。したがいまして、残り数百億円は原子力以外のものと。じゃ原子力以外のものは例えばどんなものかと申し上げますと、余熱を積極的に利用していこうというもの、あるいは太陽エネルギー関係の活用をさらに図ろうとか、そういうことでございまして、典型的なクリーンエネルギーもこの中にかなり入っておる。ただし、こういったものは
技術
面の
開発
といいますか、それがまた大規模にエネルギー源になっておるわけじゃございませんので、いわば試行的な
研究
とかそういったことが多うございますので、金額はそう多くはないというふうに私どもは理解いたしております。 しかし、エネルギーの中で原子力だけでなくて、他の
分野
についても十分に配慮はしているというふうに私どもは
考え
ております。
広中和歌子
43
○
広中和歌子
君 今の段階では大型
研究
にはなり得てないということでございますけれども、徐々にこちらの
分野
への
予算
のシフトあるいは増加を期待いたします。 プレッジ・アンド・レビューについてでございますけれども、
UNCED
において二〇〇〇年以降
我が国
は一九九〇年レベルにCO2を持ってい くという
目標設定
をなさっておりますが、それは一人頭にすると二・五トンということでございます。しかしながら、本年の石油エネルギー消費を見ますと、去年に比べて三%増、これは新聞で二、三日前にぱらっと読んだものですから正しい数字がどうかわかりませんけれども、確実にふえているわけですね。この
目的
達成というのは、実際に九〇年を終わり、西暦二〇〇〇年までにその達成はどういう形でなされるのか、お伺いいたします。
加藤三郎
44
○
説明員
(
加藤
三郎君) この
温暖化
は重要な問題でございますので、先ほど来
局長
などと御
説明
をさせていただいておりますように、昨年の十月に
地球温暖化
防止
行動計画
というのをつくらしていただきました。この
行動計画
は九一年を初年といたしまして、二〇一〇年までのいわば二十年計画ということになってございます。そして二〇〇〇年をいわば中間
目標
年ということで、つまり簡単に申し上げますれば今後十年で中間
目標
に達し、そしてさらに十年かけていわば最終
目標
に達するということでございます。しかし、この
温暖化
防止
行動計画
自体に書き込んでございますように、国際的な動きとかそういったものにあわせてフレキシブルに、当然必要に応じて見直しもしていくということで、昨年の十月につくったからこれでもってずっといくんだということではもちろんないわけでございます。 現に、先ほど来繰り返し出ておりますように、来年の
UNCED
に向けまして、いわば
温暖化
に極めて密接に関係いたします
気候変動
枠組み条約
づくりというものが進みます。そういったものがどういう
合意
に達するかに応じまじてまた私どもにも、当然国内的にもはね返ってまいります。そういったものに対してフレキシブルに
対応
していくということでございます。 今、先生のお尋ねは、最近のエネルギーが非常に需要が旺盛で、したがって炭酸ガスなども出る要因が非常に強くて、九〇年レベルで二〇〇〇年以降の安定包図るということが一体可能なのか、こういうことでございますけれども、私どもといたしましては、出発した初年度の今日、私どもとして確かにそういう要因はあるけれども、ここに盛り込んだ各般の施策、つまり交通体系あるいは都市住宅構造の改善、さらに私どものライフスタイルまでおよそ
地球
の
温暖化
あるいは炭酸ガスの
排出
に関係のある私どものいろんな行動に逐次メスを入れていく、また行動を出ないようにしていく。それからまた、そういったことが可能になるような
技術
開発
あるいは法制度面、財政面、そういったソフトウエアの面も逐次変えていくということによって
目標
を達成するべく
努力
していきたい。また、毎年毎年そういったことが実際に達成できるような
方向
で進んでいるかどうかということを毎年いわば検証しながら進んでいきたいというふうに思っているわけでございます。
広中和歌子
45
○
広中和歌子
君
UNCED
のプレプコンなんかに私も出席いたしまして、フィーリングなんですけれども、アメリカなどはこの
温暖化
に対する
取り組み
がどちらかというと後ろ向きで、強いリーダーシップをとっているように見えない。ですから、結果としては
日本
の
目標
以下の
目標
が設定される
可能性
がありますけれども、ぜひ
日本
は独自の
立場
でリーダーシップを発揮していただいて、
世界
に先駆けて高い
目標
を独自にやっていただく、そういう
取り組み
をぜひお願いしたいと思います。 次に、酸性雨について、
大気
汚染
ですけれどもお伺いいたします。 硫黄酸化物、窒素酸化物、我々は公害で悩み、そしてその
解決
のために多大な
努力
をしたわけで、今は非常な
技術
を持っているわけですけれども、特にNOxは横ばいですが、SOxに関しては五分の一に減らしたという実績を持っておりますね。この
技術
の発達はすばらしいと思うんですけれども、これからさらにこの削減に
努力
する
努力
とか
研究
、その効果というんでしょうか、それはどちらかというと、経済用語で言えば効用逓減の法則に当たるんじゃないか。しかしながら、今までの我々が既に持っている
技術
を、例えばお隣の中国であるとか、それから東欧であるとかソ連であるとか、非常に工業化に熱心な国に
技術移転
するならば非常に大きな効果があるというふうに思われますけれども、その点についてのお
考え
を、時間がございませんから非常に短くて結構ですから、お伺いしたいと同時に、またそういう
取り組み
がなされるのかどうかということについてもお伺いいたします。
加藤三郎
46
○
説明員
(
加藤
三郎君) 端的に申し上げますれば、まさに先生のおっしゃるとおりだと思います。
我が国
は、
昭和
四十三年に
大気
汚染
防止法というものをつくりまして、それ以前の
昭和
三十七年にはい煙
規制
法、それから四十三年に
大気
汚染
防止法、一生懸命やってきた結果、SOx
対策
、NOx
対策
、
世界
で最も誇れるような
状況
になっていると思います。しかし、それをさらに低減するというのはなかなか大変でございます。もちろん、一方で私どもその
努力
はやらなくちゃいかぬわけですが、同時に、今先生おっしゃったように、私どもの持っている
技術
、そういったものをこれから
発展
しようとしている
途上国
あるいは酸性雨などで悩んでいらっしゃる東ヨーロッパ、ソ連、そういったところにも
技術
がいろんな意味で、
政府
レベルあるいは民間レベルで移転されることは極めて重要であり、いいことだというふうに思っておりまして、
外務省
などと一緒になってそういった
努力
を今後とも続けてまいりたいと思っております。
広中和歌子
47
○
広中和歌子
君
外務省
のODA
予算
の中にはその部分が加えられておりますでしょうか。それとも、今後加えていくお
考え
がございますでしょうか。
畠中篤
48
○
説明員
(畠中篤君) 私どものODAの
予算
の立て方が、若干各省庁の立て方と違っておりまして、今の含まれておるかという御質問に対しては含まれておりますとお答えできます。しかしながら、各省庁、例えば
環境庁
でございますとこういうものに幾らという
予算
が立ちますが、私どもODAはODAとして幾らという立て方でございまして、その中で今御指摘のような
分野
にどういうふうにいくかというのは、そのODAを先方からの要請に従って使っていった結果を集計しますと、例えば昨年はこの
程度
ある
分野
にいったというそういう結果になりますので、あらかじめどれだけかというようなことはお示しできないようなそういう立て方になっております。
広中和歌子
49
○
広中和歌子
君 先ほどの同僚議員の御質問で多少触れられたわけですけれども、ODAというのはどうしても要請ベースということで、中国、そうしたこれからの
発展
しようとしている国々にとっては工業化こそ大命題であって、
環境
問題は二の次であるといったような国も少なからずあると思うのでございますけれども、この点に関して、こちらから多少の内政干渉を覚悟してでも積極的な
取り組み
をなさるというおつもりはございますでしょうか。
畠中篤
50
○
説明員
(畠中篤君) 私どもは
開発
とそれから
環境
、これが
開発
のために
環境
が犠牲になるというのも大変困るわけでございますが、
環境
をそのままにしておいて
開発
を全然しないというのも
途上国
にとっては受け入れられない選択でございまして、これをいかにバランスさせて
対応
していくかということは非常に難しゅうございます。どこに基準を引くかというのはそれぞれ
考え方
も違いますが、先ほどから御
説明
しておりますように、どちらかというと
開発
の方が我々の目から見ても先にいってしまいがちな
途上国
に対して、もう少し
環境
の配慮をすべきだということは、内政干渉にならない範囲で、これまでもしてまいりましたけれども、これからもしてまいる
方針
でございます。
広中和歌子
51
○
広中和歌子
君 次に、
人口
問題について伺います。 現在、
地球
上には五十四億人の
人口
、それが非常な勢いでふえておりまして、西暦二〇〇一年には六十四億、現在の調子でふえますと来
世紀
終わ りには百四十億から百五十億、つまり現在の
人口
の三倍になって、特に
人口
が
発展
途上国
よりも最貧国といっていいような国でふえておりますものですから、
環境
への負荷が非常に高いということが心配されます。 この問題に関しましても、
人口
を
抑制
すべきであるというようなことは内政干渉になりますし、いわゆる家族計画というのは、個人のレベルで言えば本当に個人の家族の意思決定でございますし、国としても
人口
計画というのは主権事項であるということはわかりますけれども、しかしながら、同時に
国連
人口
基金などの報告によりますと、家族計画用のさまざまな器具というんですか、それの需要の方が供給に追いつかない、そういう
状況
がございます。それに関して、
日本
はぜひその
分野
に投資をし、
援助
をしていただきたいというふうに思うわけですが、
現状
について、ODAのどれくらいの部分が家族計画に割かれているかをお伺いいたします。
畠中篤
52
○
説明員
(畠中篤君) 先生御指摘のとおり、
途上国
の
人口
増というのは大変大きな問題でございまして、せっかく彼らがある
程度
経済成長
をしても、あるいは
援助
を使って
経済成長
をする実際には能力があっても、
人口
増の分でほとんど、例えばアフリカで申しますと、八〇年代十年をとりましても毎年一人当たりのGNPは減っていってしまうという非常にゆゆしい
状況
であるという
認識
はございます。できるだけ私どもも内政干渉にならない範囲で、
人口
増というのはそういう意味があるということで話し合いをしております。 しかしながら、これまでの
我が国
の
援助
は、この
人口
問題に対する
対応
ぶりは、宗教、風俗、習慣、いろんな難しい問題と絡んでおりますので、どちらかと申しますと、
国際機関
に対してできるだけ資金を出して、バイの関係でやることは非常に、やってはおりますけれども、規模としては小さいのが
現状
でございます。 また、いろいろ器具を配るというような
協力
をアメリカなどは相当しております。しかし、そういうものは、私どもの
考え方
によりますといつもいつも要るものでございますから、ことしなくなったち来年またということで、長続きしないといいますか、効果はあるんですが、やめられない
援助
になってしまうわけで、私どもは、
人口
問題にアプローチいたしますときに、もう少し長期的に物の
考え方
を変えてもらうといいますか、そういったものとか、あるいは幼児死亡率を減らしていくとか、あるいは農村を電化していくとか、若干迂遠ではございますけれどもそういう方法で今までは
協力
しております。 そういうことで、家族計画あるいは母子保健、それから教育の面で、間接的ではございますけれども、二
国間援助
はそういう
分野
でのアプローチが多うございます。
中西一郎
53
○
会長
(
中西一郎
君) 広中さん、時間が来ましたが、よろしゅうございますか。
広中和歌子
54
○
広中和歌子
君 結構でございます。 ありがとうございました。
立木洋
55
○立木洋君 来年の六月にブラジルで開かれる
国連環境開発会議
、これも成功させるために
努力
をしていかなければならない重要な
会議
だと思うんですが、先ほど
丹波
さんも言われましたように、
地球環境
の
保全
という問題については
対応
に非常に時間がかかる、だから早くその問題点をとらえて、きちっとした
対応
が必要だという趣旨のことを述べられましたけれども、まさに来年の
会議
はそういう意味では非常に大切だと思うんです。 そこで、
日本
の国としてどういう
役割
を果たすべきかという問題もあり、
外務省
と
環境庁
が中心になってまとめられ、八月に出されました国別
報告書
「
環境
と
開発
」、これを見せていただきましたが、お尋ねする前に、
会議
まであとまだ九カ月ありますから、これについて私の若干の意見を述べるので、それはあと
研究
していただければ幸いだと思うんです。これについては回答は要りません。 今、やはりこの
地球環境
の
保全
という問題はもっと重視する必要があるだろう。これは
人類
と
生物
にとっての生存の基本的な条件ですから、そういう意味でこの
環境保全
の問題をもっと重視してとらえる必要がある。この中の表現を見ますと、
開発
のための
環境保全
というような表現があり、今まで
開発
を積極的に進めてきた
日本
の国としてはどうしても
開発
優先になりがちだという問題もありますので、そういうこともよく
考え
て、この
地球環境
が今どういう意味で歴史的に問われている問題かということも重視された
内容
を求められたいと思います。 それからさらに、今の
地球
の
温暖化
の問題や、あるいは
熱帯林
の
減少
による生態系の
破壊
の問題や
オゾン層
の
破壊
等々の問題、これはやはり
産業
、企業のもたらす
影響
というのが主な
内容
になっているわけで、そういう点での
原因
の究明ということが必要だと思いますし、特に来年の
会議
に向けて
産業
界の意見を聞くということはもちろん必要でしょうが、
産業
界に偏らず、本当に
環境保全
のためにさまざまなことを
研究
し、
考え
、運動されている市民の方々の声も聞きながら
日本
の
考え方
としてまとめていくことが非常に大切ではないだろうかと思いますので、その点もあわせて要望しておきたいと思います。 それから、この「
環境
と
開発
」の中で見られますのは、
日本
は海外に資源を依存する度合いは非常に強いわけですが、
日本
の企業の海外進出、外国における資本の投下の状態というのが、企業の
活動
等々がどういう
影響
を
地球環境
にもたらしているのか。その点は、これはもう一歩やっぱり踏み込んだ
状況
の把握と分析が必要ではないかというふうな問題点を私は感じております。 これはあと九カ月間ございますので、そういう点はできるだけ
検討
を深めていただいて、来年度の
国連環境開発会議
の成功に
日本
が貢献することができるように
努力
していただきたいということを最初に御要望しておきたいと思います。 次にお尋ねですが、
温暖化
防止の
目標
、ただいまも同僚議員から質問がありましたが、一人当たりの
排出
量について、二〇〇〇年以降一九九〇年レベルでの安定化を図るという
目標
の設定はいかがなものだろうかというふうにちょっと感じます。これは、厚生省が発表した
人口
増の状態を見てみましても、二〇〇〇年までには五・六%
人口
増というものが見積もられている。そうしますと、既に、一人当たりのいわゆる
排出
量ということになれば、それだけでも五・六%ふえるということになるのではないだろうか。 外国の
状況
を見てみますと、例えばドイツの場合には、二〇〇〇年までに一九八七年の三〇%削減ということが提起されておりますし、またオーストリアの場合でも二〇〇〇年までに一九八八年の二〇%削減という
目標
が出されているわけです。そういうことから見てみますと、
先進国
の中でこの
温暖化
を防止するためのCO2
排出
量の削減問題ということは非常に重要な問題なので、来年の
国際会議
で、こういう提起の仕方で、今度は
日本
が
国際会議
の足を引っ張るようにならないかという懸念もあるんですが、さらに一歩前進させるということができないのかどうなのか、そこらあたりの見通しや
考え方
について、まず最初にお尋ねします。
加藤三郎
56
○
説明員
(
加藤
三郎君) 炭酸ガスの
排出抑制
に関しまして、いろいろな国がいろんな
目標
を出してございます。また、その
目標
とともに、その国々が一体どういう
状況
にあるか、
現状
のエネルギーの使用の状態、そういったものによってどの
程度
にあるかというのも、また国によって異なってございます。例えば、先ほど
局長
から申し上げましたように、
日本
は
先進国
グループの中では一人当たりの炭酸ガスの
排出
量が最も少ない国になっておりますし、アメリカとか、多くのヨーロッパの国々は
日本
よりもかなり多い、一人当たりでもかなり多く出している、そういった実態がございます。そういういわば出発点がいろいろと異なっておる。それからその国が例えば寒いところに位置しているかとか、あるいは国土の
状況
がどうなっているかとか、そういった自然
環境
的な
状況
も異なっておりますので、一概に、全く一律に
目標
を ぴたっと合わせるということが果たして適当かどうかという議論もございます。 私どもといたしましては、先生もお触れになられましたように、かつまた私ども何度も御
説明
させていただいておりますように、昨年の十月に
行動計画
を定めて
目標
を定めた。その中で
一つ
には、先生今触れられましたように、一人当たりの二酸化炭素
排出
量について、二〇〇〇年以降おおむね九〇年レベルでの安定化を図るというのが
一つ
と、もう
一つ
は、太陽光とかそういった新しい革新的
技術
が現在予想される以上に早期に大幅に進展することによって二酸化炭素の
排出
総量を二〇〇〇年以降おおむね九〇年レベルで安定化するよう努めるという、この二つをいわば私どもの炭酸ガスの
目標
に定めて
努力
しているわけでございます。これは先ほども触れましたように、こういう
行動計画
を設定した直後の、昨年十一月にジュネーブで開かれました第二回
世界気候会議
で
日本
のポジションを当然ながら明らかにし、それなりに高い
評価
を得たというふうに私どもは感じておるわけでございます。 基本的には、こういうものを背景にいたしまして今後の
条約交渉
に臨むわけですが、先生はもう少し
排出
削減まで踏み込めないかというのがお尋ねの趣旨がと存じます。先ほどの御質問にもございましたように、国内的にはなかなか
経済活動
が旺盛でございまして、したがいましてエネルギーに対する需要も旺盛であるということで、炭酸ガスを安定化させるということを当面の第一の
目標
にいたしておるわけでございますけれども、国内的に申し上げれば、この削減については将来の
課題
だというふうに感じております。私どもとしては、当面、おおむね九〇年レベルで二〇〇〇年安定という線で、そういうラインで臨んでまいりたいというふうに
考え
ております。
立木洋
57
○立木洋君 済みません、十五分しかないんで簡潔にお願いしたいんです。
丹波
さん、このCO2の
排出
量、アメリカが二四%で
世界
の四分の一近くを占めている。全
地球
的な
参加
が必要だということで
努力
されていくとすると、アメリカがどういう態度をとるかというのが非常に大きな
影響
を持つだろうと思うんですが、アメリカに対しての働きかけ、説得への
努力
、そういう問題がどういうふうになるのか、そういう点での見通し、展望についてもちょっと御
説明
いただきたいんです。
丹波實
58
○
政府委員
(
丹波實
君) この問題につきましては、まず、何と申しましても
先進国
が可能な限り
開発途上国
に模範を示して、具体的な
抑制
という
目標
を示すということが非常に重要だというふうに
考え
ております。特に、
先進国
の中でアメリカの
排出
量が約四分の一であるということでございますので、アメリカの
対応
というのが非常に重要であることは先生のおっしゃるとおりで、この問題につきましては
外務省
も
環境庁
もいろんなレベルでアメリカに働きかけてきております。 最近も、
環境庁長官
が訪米されて、
ワシントン
で大変たくさんの要人と会談をされておりますし、
外務省
としてもアメリカに対していわば友情ある説得をしてきているわけでございますが、現在のところアメリカ側の態度に著しい変化があるということにはなっておりません。今後とむ私たち
努力
をしてまいりたいというふうに
考え
ております。
立木洋
59
○立木洋君
環境庁
にお尋ねしますが、先ほどの問題は、
産業
が
排出
しているCO2は七三%を占めるということですから、その点も念頭に置いて、今後削減が可能な
方向
に
努力
していただきたいと思います。 それから、そのことと関連して、今問題になっているのはやはり原発ですね。原発は
温暖化
に通じない、つまりCO2を
排出
しないから
温暖化
にならないんでクリーンだというふうな言われ方をして、これを盛んに増強させるという
方向
があります。 原子力の
開発
の
日本
での数値を見てみますと、二〇一〇年までに七千二百五十万キロ、だから現在の約二倍にするという問題があると思うんですね。ところが、これは
温暖化
の防止に役立つなんて簡単に言えるものではなくて、まだ今は完全な
研究
がなされていませんけれども、原発が
排出
するいわゆる大量の温排水、これが河川に流れ出てそして熱
汚染
の
影響
を
環境
に与えて海水を温めて、それによって海水に吸収されている二酸化炭素を放出するというふうな問題も指摘されておりますし、また最近のさまざまな原発における事故、福島第二原発、美浜原発や浜岡原発、泊原発等々、これはチェルノブイリの問題を引くまでもなく、
環境
に対しては事故が起こるならば重大な意味を持つということになるわけです。こういう点についても
環境庁
としては当然目を配った
対応
というのが必要ではないかと思いますが、
環境庁
としてどういうお
考え
なのか、これをお尋ねして、時間が来ますので質問を終わりにしたいと思います。
加藤三郎
60
○
説明員
(
加藤
三郎君) CO2の
排出抑制
のためには、省エネなどのエネルギーの効率的な利用を図る、それからエネルギーの使用量をいろんな方法を使いながら
抑制
していくということがまず基本でございますが、それとともにCO2の
排出
の少ない、または
排出
のないエネルギー源の導入、原子力もそれに当たろうかと思いますが、エネルギー源の導入、普及を図ることもこれまた重要というふうに私どもは
考え
ております。 原子力につきましては、炭酸ガスを
排出
しない代替エネルギーの
一つ
というふうに位置づけておりまして、これは
地球温暖化
防止
行動計画
でもそのような
認識
で取りまとめられております。
環境庁
といたしましては、原子力の
推進
はあくまで十分な安全性の確保が前提になる、そういう前提のもとでなされるものというふうに
考え
ておる次第でございます。
猪木寛至
61
○猪木
寛至
君 大変すばらしい
資料
を見せていただきまして、私もこれからまた勉強させていただこうと思います。
一つ
は、今国民はどのくらい
環境
問題に熱心というか、国民がどのくらいの意識で
考え
ているかということをちょっとお聞きしたいと思うんです。我々は、日ごろこういうことに取り組んでおりますから相当いろんな知識を得ておるわけですけれども、これは
環境庁
にお願いいたします。
加藤三郎
62
○
説明員
(
加藤
三郎君) 総理府が少し前に行った世論
調査
によりますと、
地球環境
問題に国民が非常に深い関心を示しているという結果が出ております。酸性雨の問題といいあるいは
温暖化
といい、
オゾン層
の
破壊
といい、今、
日本
国内におきましては身近にある問題ではないわけでございますが、国民が非常に関心を示してくださっているということに大変力づけられ、またありがたく思っておる次第でございます。 それ以外に、民間などにおきましても各種グループ、特に民間におきましては先ほど来繰り返し述べておりますように、例えば経団連が
地球環境
憲章を設ける、あるいは
地球環境
日本
委員会
に
産業
界のリーダーがたくさん入っていただける、それから最近の広告などを見ましても
地球環境
に関してかなり深い理解を示しておるということで、民間もそれぞれの
立場
はおありでしょうけれども、それぞれの
立場
からこの問題に深い関心を寄せてくださっております。 それから、来年の
UNCED
に向けましていろんな市民グループと、いいますか、NGOといいましょうか、そういうグループも非常に活発な
活動
をいたしておりまして、私ども
外務省
と一緒に来年の
UNCED
に提出します国別
報告書
作成に当たってもごく普通の民間団体からいろいろと有益な意見も寄せられていると、こういうことで、私どもといたしましては国民各界各層の方々がこの問題にますます深い理解を示してくださっているというふうに理解いたしております。
猪木寛至
63
○猪木
寛至
君 確かにそういう興味というか、理解が深まりつつあると思いますが、実質私はそうは思わないんです。例えば、
大阪
で花と緑という博覧会がありましたが、その席で私が講演をやりましたら千人ほど集まりまして、きょう行われている私の
環境
問題の知識などを話しましたら、ほ とんどの人がわかっていなかった。ですから、確かに
環境
問題というのは大変だということはわかっていると思うんですが、その実態、事実、
オゾン層
の問題であったり熱帯雨林、それは言葉ではわかりますが、じゃ現実にどうなっているかということはほとんど理解していないというのが今の
現状
ではないかなというのが私の
考え方
なんです。 そこで、来年
環境
会議
が行われます。私、ちょうど七月にブラジルの方へ行ってまいりましたが、リオのブリゾーラという知事とも会いましたし、それからまた大統領とも会った中で、今回の
環境
会議
を大成功させてもらうために、準備はいかがですかねということを言いましたところ、準備万端進んでおりますよという答えが返ってきたのです。しかし、関係者の話を聞くと、とんでもないと、全然まだ準備ができていませんよというのが
現状
なんですね。それで私も、かつて、今から三十年ばかり前にリオを訪れたときには大変なすばらしい海だったんですが、もう真っ黒けで海水浴ができないような
状況
で、その
環境
会議
をやる場所がそんなような
状況
でいいんですかという話をしてきました。 そこで、
政府
として、
外務省
としてはこの
環境
会議
に
支援
する
考え方
はあるんでしょうか。
丹波實
64
○
政府委員
(
丹波實
君) 先ほどの私の御報告の中でも強調いたしましたし、
環境庁
の
局長
の方からも強調されましたけれども、私たちは、来年の
国連
環境
会議
といいますのは、今後二十一
世紀
に向けて
人類
が
世界
の
環境
問題に取り組むに当たって決定的な
役割
を果たすんではないかということで、極めて重要視いたしております。 そういう意味で、これまでの数回にわたる準備
会議
につきまして大変人的にも貢献してまいりましたつもりでございますし、
環境
会議
そのものにつきましても百五十万ドルという財政
援助
をプレッジしております。例えば
環境
会議
で
署名
されることになっております
条約
の問題につきましても、そういう
分野
を含めてあらゆる
分野
で今後とも全力を挙げてこの
環境
会議
の成功に向けて
努力
してまいりたいというふうに
考え
ております。
猪木寛至
65
○猪木
寛至
君 もう
一つ
、やはり全国民というか、
地球
上に住む一人一人が
環境
に対する知識というものをもっと深めてもらいたいという意味で、例えばベレンにある学校はアマゾンという中にありますので、子供の教育の中に
環境
科というものを入れてやっているそうなんです、ほかにもあるかもしれませんが。そういうことで、
日本
としてはどうなんでしょう、文部省も絡んでくると思うんですが、これからそういう
環境
科というか、そういう科目を教育の場に入れていくということについて。
八木橋惇夫
66
○
政府委員
(
八木橋惇夫
君) おっしゃるように、
地球環境
問題の
解決
のためには現在の生活のスタイルを変えていくというようなことが基本的に重要になってきているわけでございます。そういうことから、
環境庁
といたしましては、学校、家庭、
地域
といったそれぞれの場所における
環境
教育を通じまして、
環境
問題を理解し、責任ある行動ができるというような人づくりをするということが重要なことだと
考え
まして、ただいま先生お挙げになりました学校教育の面におきましては、小学校、中学校、高等学校、それぞれの進展段階においてどのような取り上げ方をしたらよろしいのかということで、カリキュラムの設定の仕方につきましても
協議
をいたし、また
資料
提供をいたしまして、
環境
教育が十分行われるというようなことを進めているところでございます。 また、
地域
における
環境
教育、家庭における
環境
教育というものにつきましても、身近な生活のあり方をそういった
環境
問題とどう結びつけていったらいいかということに関する教材の提供なり、またその設定の仕方ということについてもう少し工夫をしていこうというようなことから、そういったデータなり
資料
を提供することにおきましてももう少し組織的にやっていこうかということを現在進めているところでございます。
猪木寛至
67
○猪木
寛至
君 ぜひお願いし洗いと思うんです。 私は、水とそれから土の問題について大変興味があるというか、おる
程度
専門的な知識も得ているんですが、水の問題に関しては、もう
世界
じゅうの湖、河川それから港ですね、これは本当にこの二十年ぐらいの間に
汚染
が進んだということです。例えばニカラグアにマナグアという湖があります。それからこの間パラグアイに行きましたときに、イパカライというやはりこれもすばらしい湖、これがもうほとんど魚がすめないというような
状況
で、何とか
日本
に応援してほしいという話がありました。 そういう中で、特に中国とか今度はソ連の場合の公害問題というのは、どのくらいの
資料
を
政府
としては得ているのか。私のあれでは、中国
政府
はそういう
資料
すらほとんど出てないのが
現状
じゃないかなと思うんですね。お答えは結構です。 それで、もう
一つ
土の問題化関する部分で、焼き畑農業とかここにも全部載っておりますが、その
対応
策としてやはりリサイクル、今
環境
リサイクルというか農業もリサイクル、そういう意味で、私はサトウキビの
事業
をちょっとやっておりましたが、やはりサトウキビをアルコールにするあるいは砂糖にする、そういうときの廃棄物というか今までごみになっていたものをバイオで牛のえさとか堆肥につくり変える、そして土に戻す。そういうことで二十年近くかかったんですが、やっとすばらしいデータが出てきました。 ブラジルにおきますサトウキビの
生産
というのは、ブラジルにとって大変大事な
産業
なんですが、七十から八十トンというのが今の
生産
の基準であって、キューバにおきましては六十五から七十トンぐらいが
平均
的で、あるいはほかの国はもっとそれ以下だと思うんですが、この堆肥を入れることによって
生産
率が百三十トンまで上がっているという実績が出ております。これはサトウキビに限らず大豆にしても何にしてもそうなんです。かつてブラジルはまさに農業国で、
輸出
国であるはずのブラジルが大豆やなんかは今度は
輸入
国に転落するというのが
現状
です。そういう土の荒廃ということが非常に進んでいますので、その辺について
日本
が持っている大変すばらしい
技術
、あるいは民間でありますがそういうようなことの
援助
、それが今回のペルーの問題につながるんです。 ペルーは今、最悪の状態から日系人として初めて大統領が生まれたわけなんですね。大統領と一緒に一日カハマルカというところへ行ってまいりましたが、ここはインカの皇帝が殺されたところなんです。大変な山岳地帯なんですが、
日本
の
援助
を、まさに
技術
援助
を望んでいるところなんです。不幸にして今回テロ事件が起きましてJICAの人たちが撤退という形になっておりますが、先ほども話に出ましたが、
日本
がまさにだれからも反対されないテーマというのは
環境
問題、農業
支援
、そういうことじゃないかなと思います。 そういうことで、最後にその辺の見解を聞かせてもらって終わりにしたいと思います。
畠中篤
68
○
説明員
(畠中篤君) ただいま先生御指摘のとおり、
途上国
の農業あるいは土壌改造と申しますか、私どもは持てる
技術
と資金力でできるだけ
協力
してまいりたいと思っております。
援助
の
重点分野
の
一つ
でございます。 中南米の実績を見ますと、私ども
重点分野
として重要視はしておりますが、ありていに申しまして実績はまだそれほど上がっておりません。今後とも強化してまいりたいと思っております。
猪木寛至
69
○猪木
寛至
君 終わります。
粟森喬
70
○
粟森
喬君 来年の
国連環境開発会議
に向けて
日本
の姿勢、特に
森林
の問題についての
外務省
の見解をちょっとお尋ねしたいと思います。 皆さんにいただいた
資料
の八ページのところを見ますと、
熱帯林
の
減少
は焼き畑耕作が
最大
の
原因
で、これが半分。
日本
はそのうち一・二五%を
輸入
しているにすぎないと書いてあります。私はこれは数字の上では確かにこうだと思いますが、
熱帯林
の問題で申し上げるならば、これは丸太になるまでの間に相当むだなものも切る、そして山 ごと買いつける、そういうことが現実に起きているという
我が国
の責任というのを「すぎない」という言葉の中で少し矮小化しているのではないか。もちろん、後の部分では全体的に
熱帯林
の
保護
のためにいろいろやるというふうに書いてありますが、この辺の見解。そして、現実にもう植林をやっていることも私たちは承知しています。しかし、それが成長して、再び
木材
としていわゆる我々が使えるようにするためには一
世紀
近い年月、一
世紀
を超えるものもございます。その間の
保全
ということについて
日本
の基本姿勢としてもうちょっと明確にしておかなければならないのではないか、こういう
立場
でお尋ねをしたいと思います。
丹波實
71
○
政府委員
(
丹波實
君) この表現につきましては、私たちの意図といたしましては、一般に
日本
の
輸入
というものが
世界
の熱帯
木材
、
熱帯林
に与えている
影響
ということが強い印象になっているものですから、数字的にはこういう数字になっておりますということを申し上げたかったので、個々の表現につきましては先生の御指摘もありますので今後気をつけたいと思います。同時に、
世界
の
森林
問題につきまして
日本
は国際的にこの
木材
機関
の本部を
日本
に設置し、
最大
の
拠出国
として、
日本
としてできるだけのことはしてきておるつもりでございますけれども、先生の御指摘もございますので、そういうことを念頭に置いて今後とも対処してまいりたいというふうに
考え
ております。
粟森喬
72
○
粟森
喬君
国連
環境
会議
に向けて、たしかきのうの新聞に、ジュネーブで第三回の
準備会合
が終わったということが書いてありました。難題は先送りをした。いわゆる
先進国
と
開発途上国
の間でかなり対立がある。この中身は、いわゆる今の
森林
問題を
一つ
の象徴的に申し上げてなんでございますが、やはり
先進国
がもっと積極的に金を出し、もうちょっといろんな意味で経済的に貧困に当たっている国の
環境
問題なら
環境
問題にもうちょっと
日本
の姿勢を出すべきだということでの恐らく対立てはないか。この文面だけですから、私は詳しいことはわかりません。やはりこの辺のところに対して
日本政府
としてどんな
立場
で臨むのか、積極的にやるという
役割
はどうなのかということについていま一度ここの部分の経過について、時間が限られていますので簡単で結構でございますから
説明
していただきたいと思います。
丹波實
73
○
政府委員
(
丹波實
君) 九月四日に終了いたしました
UNCED
の第三回
準備会合
でございますけれども、広中先生にも出席していただきましたが、私たちは代表団から、
森林
の問題を含めて大きな実質的な討議というものが非常に精力的に行われて、それなりの成果があったというのが
参加
国の
評価
である、そういう報告を受けてございます。例えば、
行動計画
につきましては
森林
憲章の骨格となります
原則
につきまして活発に意見の交換が行われたほか、砂漠化あるいは
海洋
を初め各
分野
ごとに盛り込むべき項目及びその具体的な
内容
について、ドラフトといいますか、案文作成の作業を行ったということでございまして、私たちはそれなりの成果があったということをほかの国も
考え
ているということで、大変
評価
しておるというのが今回の
準備会合
の結果でございます。
粟森喬
74
○
粟森
喬君 今の答弁を聞いていても、
日本政府
がどういう
立場
で、この準備
会議
というのは何を具体的に、そこでどんな
会議
の運びをするかというときに、
日本
の果たすべき
役割
みたいなものがまだ見えできていない。やっぱり私は積極的な意志で、
日本
は公害大国と言われ、最近は比較的
環境
問題に
重点
を置いてよくなった経過を含めて、
日本
の持つ今の経済力などでいま一度ここでみずからが全
世界
に貢献するという姿勢を明確にしていかないと、この
会議
が開催されるときに
日本政府
からどなたが出席するのかまだ未確定だろうと思いますが、やっぱり
日本
の
政府
が問われると思います。 その上で、多少別の問題でお尋ねもしたいわけでございますが、最近、鯨の問題とか流し網の問題がいろいろ問題になっています。 それで、例えばイカをとる流し網をやっているわけでございますが、これはほかの動物がひっかかるからやめてくれという国際的な声あるいはアメリカからの
日本
に対する何らかの格好の申し入れがあったんだろうと思いますが、
環境
という概念やこの種のいわゆる人間が生きていくというためには自然を
破壊
したり自然の生態系に何らかの格好でかかわりを持つというか、あるわけですが、その辺のところについてこの
環境
会議
の中では明確にすべき
一つ
の
課題
ではないかと。そうしませんと、イルカ問題、鯨問題、流し網問題、もうすべからく
日本
にとっては非常に重要な問題について単なる受け身に回っているというだけでは問題の
解決
にならないだろう、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
河村武和
75
○
政府委員
(河村武和君) 今、先生御指摘になられましたとおり、漁業問題は
UNCED
の場においても真剣な討議の
対象
になっておりますところ、
日本政府
といたしましても漁業問題といいますのは、基本的には
海洋
生物
資源の保存の問題という
認識
の上に立ちまして
会議
に対処しております。 さらに、その
海洋
生物
資源の保存ということをもう少し敷衍させていただきますと、
海洋
生物
資源といいますのは御存じのとおり再
生産
が可能な天然資源でございますから、いろいろな漁業に対して適切な
管理
措置を講ずることによってこれらの資源の保存を確保しつつ効果的、持続的な利用を達成することができる、こういう
基本的立場
から現在
会合
においていろいろの討議を進めている、こういうことでございます。
粟森喬
76
○
粟森
喬君 最後の質問になりますが、これは
環境庁
にお尋ねします。 今度、
国連
環境
会議
が開かれるわけでございますが、私は
日本
における
環境
アセスメントのあり方の問題について少しお尋ねしたいと思います。 公害
対策
基本法がつくられましてから、
昭和
五十九年のときに
環境
アセスメント法をつくろうという話がありましたが、結果として国会の場でもいろいろ論議がかみ合わずに閣議決定に落としまして、そしてそれを政令として各省庁にやりました。私は全く問題が別だから一緒にしちゃいけないと思いますが、いわゆる法律行為ではないということはやはり非常にグレーゾーンを残すし、いわゆる罰則規定もございませんから、アセスメントについて十分な
対応
がされていない。それで今
産業
廃棄物の問題もいろいろ問題になっています。 そこで、閣議決定にした幾つかの項目についても行政通達であるがゆえの弱さというものはあると思う。
日本
が少なくとも
環境
に対して
世界
に冠たるものとして言うときには、閣議決定に落とした分を再びアセスメント法としていかないと、これは大蔵で通達行政がいろいろ問題になっていますが、私は、グレーなゾーンを残さずに明確にしていくことがこれからの
日本
のあり方、
世界
に示す
日本
の
環境
に対する姿勢だと思いますが、このことについて見解をお尋ねしたいと思います。
八木橋惇夫
77
○
政府委員
(
八木橋惇夫
君)
環境
アセスメントについてでございますが、先生ただいま御指摘がございましたように、いろいろ経緯がございまして、現在では
昭和
五十九年八月に閣議決定されました
環境
影響
評価
実施
要綱や公有水面埋立立法を初めとする各種の個別立法等に基づきまして、またさらには地方公共団体における条例、要綱等に基づいてその
推進
が図られているという
状況
になっているところでございます。 そこで、
環境庁
におきましては、
環境保全
の立、場からしますと
環境
アセスメントの定着化を図っていくということが重要であるというぐあいに
考え
ておりまして、今後とも、閣議決定による
環境
影響
評価
の適切かつ円滑な
実施
を図っていくということを進めながら、一方、地方公共団体における
環境
アセスメントについても、その適切な
実施
が図られるよう指導を行うというようなことをしているわけでございます。おかげさまで本年におきましてもことしは都道府県レベルで五団体ほど要綱を設定するところがふえておりまして、現在 三十四団体がアセスを
実施
するというような
状況
になってきているところでございます。 そこで、先生御指摘の
環境
アセスを法令に基づいてやるべきであると、こういう御議論でございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、まずアセスをやっていく、それの定着を図るということを一義的に
考え
てやってきたわけでございますが、なお、こういった閣議決定におけるアセスの
実施
状況
、その他の
状況
、またさらには
環境
法制のあり方といったようなものを踏まえながら、これについては今後とも
検討
してまいるし、また
検討
してまいりたいというぐあいに
考え
ております。
粟森喬
78
○
粟森
喬君 答弁は要りませんが、ぜひともそういう検証をして法令化の道をとってほしいと思います。 それから、全く別の問題でございますが、いわゆる二酸化炭素の問題がいろいろ出て、原発の問題もいろいろ出ているようでございます。 私は、原発問題も、原子力安全
委員会
などがあるんですが、本来的には私は
環境庁
が何らかの格好でかかわるべきだと。ところが、今までの経過からいうともう全部原子力安全
委員会
でございます。これの賛否は別にして、少なくとも
環境庁
という省庁がその種のことについてかかわるような姿勢を持っていかないと、これからの
地球温暖化
対策
の中で、
日本
のように狭いところでは、原発をますますやろうという意見が客観的に出てくるわけでございますが、進める省庁とそれを監視する省庁が全く同一というのはどうもいただけない。ここは重要問題として、今後その種のことを含めて、これからの
環境
行政のあり方について、少なくとも来年六月には、何回も繰り返して申しますが、
日本
が、
環境
に対して国内における施策を立派にやっているということをまず実績として報告できる、そんな体制をつくるためにぜひとも
検討
していただくことをお願い申し上げまして、私の発言を終わります。答弁は要りません。
中西一郎
79
○
会長
(
中西一郎
君) 本日の
調査
はこの
程度
にとどめます。 次回につきましては、理事会で
協議
の結果、来る二十日、午前十時から
調査会
を開会し、ワールド・ウォッチ
研究
所所長レスター・R・ブラウン君外三名の参考人から意見を聴取し、質疑を行うことといたしております。
委員
各位の御
協力
をお願いいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会