○橋本国務大臣 今
委員から御指摘をいただきましたことは非常に本質的な問題を含んでおります。今たちまちの話を実は申し上げたわけでありますけれ
ども、あわせまして、今回引き続きとりました
措置と、基本的に我々が持っております問題の認識、そしてその目指すべき解決の方向というものに多少の時間をいただきたい、こう存じます。
今申し上げましたように、こうした事件が発覚をいたしましてから、当該の
金融機関からそれぞれ司法当局への届け出等が行われますと同時に、当局といたしましても、司法当局にそれぞれの事件に対しての徹底的な解明を要請をさせていただいてきました。ですから、当然司法当局による解明というものに我々は期待するところが大でありますし、我々は司法捜査権を持っておりませんのでこの点の限界はございます。
しかし、同時に、こうしたことが相次ぎましたために
金融機関の信用というものに大きく傷がついたということから、銀行
局長名をもちまして、内部管理につきましても総点検を実行させますとともに、その結果講じた
措置などについて
報告を求める旨、指示をいたしました。
また、当事行以外の都市銀行などに対しましては七月二十九日に緊急的な
措置として、早急な内部点検を行うと同時に、不正が発覚した場合には直ちに当局に
報告をするように指示をいたしました。さらに八月十三日付の文書をもちまして、一定規模以上の貸し金業者の
方々に対しましても、預金証書、特に高額の預金証書を担保とした貸し付けにつきまして早急に再点検を行われるように注意喚起を行いまして、行政当局としても現状における
努力を行っております。
と同時に、先日本
会議で私は、今回の
証券不祥事というものを振り返ってみて、その問題点というものを五つに分け、その五つに対してそれぞれどういう方針で臨みたいかということを簡潔に申し上げました。
第一に、ルールの不透明性というものがございます。そこで、この不透明性ということに対しましては、今回、先ほど申し上げましたような内容を持ちます
証券取引法の改正案を御審議をいただき、成立を図らせていただきたい。また、市場の公平、公正あるいは行政の透明性というものを確保するという観点から、
証券取引の規制でありますとか
証券会社に対する行政指導というものを見直すと同時に、通達などのうちで法令化すべきものを証取法の抜本改正に合わせて法令化する
努力をいたしたいと
考えております。
また、自主規制団体の規則にゆだねるべきものにつきましては当該規則に盛り込んでいただくように、通達などの簡素合理化を図りたい、そのように
考えております。同時に、そのルールの明確化の一環として、相場操縦的な取引、相場操縦的行為というものの禁止に係る法令につきましても、さらに見直すべき点がないか、
証券取引審議会の不公正取引特別部会において御検討を願うことにしたいと
考えております。
また、違反者の処罰についての問題がございますが、現在の証取法の改正案を準備しております過程におきまして、従来対象となっておりませんでした損失補てんを含め、保証、補てんを行いました
証券会社に刑事罰を科す方向で検討いたしておりますほかに、今後、
証券取引法違反に対する罰則の見直し、強化、行政処分のあり方についても検討をいたしたいと
考えております。
具体的には、例えば法人に対する罰金刑の引き上げ、これは現在行われております法制審の御
論議の結論というものを踏まえて、できますならば私としては次期通常
国会に、法人の罰金刑の引き上げについての法律案というものを提案させていただきたいと願っております。
また、もう
一つの問題として、検査体制、監査体制の問題がございます。これは大蔵省内のプロジェクトチームで検討を進めてまいりましたが、その後、
総理からの御要請を受け行革審が、来年度
予算に間に合うようにこの問題についての精力的な御審議を願えると聞いておりますので、
国会の今までの御
論議も踏まえまして、大蔵省といたしましては、新しい検査機構のあり方につきまして、これは大蔵省がこうしたいということを申し上げるのではなく、行革審の御審議をまちたいと
考えております。
また、自己責任原則の問題がございます。これは
証券業界に対してこの徹底を強く求めますとともに、市場に参画されるすべての
方々に対しても、
証券取引というものに伴う基本原則を改めて認識していただくための方策を講じなければなりません。
具体的には、
証券会社サイドにおいて、例えば仮の名前でありますけれ
ども倫理憲章を制定する、各種経済団体を通じて投資家サイドに広く理解を求めていくことが必要であると思います。また、このような
考え方の一環として、例えば損失保証でありますとか損失補てんを求めてこれを受けたお客側にも罰則を科すように、
証券取引法改正案の中に盛り込みたいと思います。
また、業界行政のあり方がもう
一つの問題点でありまして、これにつきましては
金融改革の推進などの中で適正な競争原理の活用を図っていくことが必要でありますし、株式委託手数料の取り扱いについて、引き続きその水準を国際的な動向を勘案しながら機動的、弾力的に見直しを行っていくと同時に、制度のあり方につきましても検討を進めていかなければなりません。
また、
証券取引所等自主規制機関につきましては、その機能の充実強化を働きかけていきたいと
考えておりまして、これを受けて現在、
証券取引所、また
証券業協会においても具体的な施策の検討を行っていただいていると承知しております。
また、投資顧問業者につきましては、今回の損失補てん問題に関連いたしまして、親会社に対する依存体質というものが指摘をされております。投資顧問業者の独立性を一層保持するなどの
措置を検討していく必要がございます。
また、
証券会社に対する再就職の問題について、これが
証券行政をゆがめてきたようなことは絶対にないと私は確信しておりますけれ
ども、一方において、厳正な行政を損なっているのではないかという御批判があることも十分認識をいたしております。当面、大蔵省の幹部職員、すなわち本省課長相当職以上、人事院
承認を要する
証券会社への再就職につきましては、本人と
証券会社両方、当事者の理解を得て自粛を求め、人事院
承認の申請を行わない、こういう
措置をとりたいと
考えております。総合的に今このようなことを
一つずつ私
どもは実行していく責任がある、そのように
考えております。