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1991-10-16 第121回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十月十六日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 大原 一三君    理事 金子徳之介君 理事 東   力君    理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君    理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君       浅野 勝人君    岩村卯一郎君       上草 義輝君    内海 英男君       亀井 久興君    木村 守男君       北川 正恭君    久間 章生君       久野統一郎君    畑 英次郎君       保利 耕輔君    松岡 利勝君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       簗瀬  進君    有川 清次君       佐々木秀典君    志賀 一夫君       田中 恒利君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    前島 秀行君       元信  堯君    倉田 栄喜君       西中  清君    藤田 スミ君       小平 忠正君    阿部 昭吾君 出席国務大臣        農林水産大臣  近藤 元次君 委員外出席者        国土庁防災局防 仲津 真治君        災企画課長        農林水産大臣官 馬場久萬男君        房長        農林水産大臣官 今藤 洋海君        房審議官            農林水産省経済 川合 淳二君        局長        農林水産省経済 須田  洵君        局統計情報部長        農林水産省構造 海野 研一君        改善局長        農林水産省農蚕 上野 博史君        園芸局長        農林水産省畜産 赤保谷明正君        局長        農林水産省食品 武智 敏夫君        流通局長        農林水産技術会 貝沼 圭二君        議事務局長        食糧庁長官   京谷 昭夫君        林野庁長官   小澤 普照君        水産庁長官   鶴岡 俊彦君        通商産業省生活        産業局窯業建材 長田 直俊君        課長        自治大臣官房参 北里 敏明君        事官        自治省財政局財 湊  和夫君        課長        農林水産委員会 黒木 敏郎君        調査室長     ————————————— 委員の異動 十月四日  辞任        補欠選任   石破  茂君    江崎 真澄君   今津  寛君    熊谷  弘君   堀込 征雄君    野坂 浩賢君   倉田 栄喜君    市川 雄一君 同日  辞任        補欠選任   江崎 真澄君    石破  茂君   熊谷  弘君    今津  寛君   野坂 浩賢君    堀込 征雄君   市川 雄一君    倉田 栄喜君 同月十六日  辞任        補欠選任   今津  寛君    簗瀬  進君   岩村卯一郎君    浅野 勝人君   内海 英男君    木村 守男君   西岡 武夫君    畑 英次郎君 同日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     岩村卯一郎君   木村 守男君     内海 英男君   畑 英次郎君     西岡 武夫君   簗瀬  進君     今津  寛君     ————————————— 十月四日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(台風第十七・十  八・十九号による農林水産関係被害状況及び  対策)  台風による農作物等被害対策に関する件      ————◇—————
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、台風第十七・十八・十九号による農林水産関係被害状況及び対策について政府から説明を聴取いたします。今藤官房審議官
  3. 今藤洋海

    今藤説明員 お手元に配付してあります資料に基づきまして、台風第十七号、十八号、十九号による農林漁業関係被害について御報告申し上げます。  まず被害概況でございますが、台風第十七・十八・十九号により九州地方及び東北地方中心全国的な広い範囲にわたって農林水産業関係に大きな被害が発生しました。その被害額は、現在調査中ですが十月十四日までの都道府県報告によれば、果樹等農作物森林等を含め農林漁業関係で総額六千億円を超える状況となっております。  次に、災害対策本部設置状況でございますが、十月一日本省内農林水産省災害対策本部を設置するとともに、九州中国四国東北の各農政局災害対策本部を、林野庁災害対策推進本部水産庁災害対策連絡会議をそれぞれ設置し、被害状況把握対策指導に万全を期しているところでございます。  次に、現地調査でございますが、被災後直ちに東北、関東及び九州地方主要被災地にそれぞれ審議官クラスをベッドとする調査団を派遣し被害状況の迅速的確な把握に努めたほか、このほかの全国の主な被災県についても担当者を派遣し被害状況調査しているところでございます。また、特に果樹被害につきましては、深刻な状況を示しております県に対しまして、本省及び農政局担当官並びに果樹試験場のエキスパートによる特別なチームを派遣して被害状況調査及び技術指導実施してまいることとしております。  次に、これら被害に対して現在までに講じた措置といたしましては、被災農林漁業者実情に応じた既往貸付制度資金償還条件緩和指導自作農維持資金等融資枠確保等金融対策農業共済金等早期支払い指導等共済対策果樹水稲等について各県等に対し技術指導を行っておるところでございます。  最後に、これらの被害に対します今後の対策等についての考えでございますけれども被害状況の迅速的確な把握に努めているところであり、取りまとめの結果を待って天災融資法発動等について検討するとともに、農地農業用施設森林治山施設、漁港、漁業用施設等災害復旧については、現地準備が整い次第早期査定を行い、被災箇所早期復旧に努めるなど対策に万全を期してまいる考えでございます。
  4. 大原一三

    大原委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 大原一三

    大原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村守男君。
  6. 木村守男

    木村(守)委員 質問に入るに当たりまして、一言お許しをいただきましてお礼を申し上げたいと思います。  このたびの台風十九号災害に当たりまして、全国的な甚大な被害がありましたけれども農林水産省におかれては、今藤審議官を初めとする担当官がいち早く郷里の青森県に現地調査に入っていただきました。また、我が党の自由民主党災害対策特別委員長井上幸先生を団長とする視察団も九日の日には現地調査に入っていただきました。そして、現地においてっぶさに惨状を御理解願いながら今後の対策を約束されたわけであります。また、青森県の知事は、県議会開催中でありましたけれども、合間を縫って十一日の日に、この台風被害農家救済のために諸対策農林水産省中心とする関係省庁にお願いすべく陳情に来られました。その際、近藤農林水産大臣におかれては、極めて多忙の中を直接親しくお会いいただきまして、お見舞いのお言葉をおかけいただき、今後の対応策について万全を期し、できるだけのことをいたしますという温かいお言葉を賜ったわけであります。この機会に心からお礼を申し上げます。また、当委員会においては、地元の災害が多いということで、委員長初め理事皆さん方委員皆さん方お許しをいただいてこの発言の場を与えでもらったことを、お礼を申し上げます。  この際、委員長お許しをいただきまして、既に御承知おきと思いますが、青森県のリンゴ被害は甚大でありますので、その資料として写真を持ってまいりましたので、農林水産大臣委員長委員皆さんにお見せしたいと思います。  去る九月二十八日に日本海を北上した台風十九号は、全国的な被害をもたらしました。先ほどの農林当局の御報告にありますとおり、全国でも六十名の死者を数え、負傷者が何と二千五百余名、住宅半壊戸数が一万二千前後と伺っております。道路の損壊二千三百以上でありまして、極めて大きなつめ跡を残しました。私の青森県においても、この台風十九号は気象台の観測史上かつてない瞬間風速を記録しました。五十三・九メートルを記録いたしております。これは公式のものでありますが、黒石市というところでは瞬間風速六十二メートルを記録いたしております。恐らくそれが実情ではなかったのかと思われるわけであります。本県においても死者九名、負傷者二百二十四名、住宅の全半壊戸数合わせて二千三百五十九棟であります。大変にとうとい命をなくされた全国方々に、改めてこの場をおかりして心から御冥福をお祈りしたい。また、被災者方々には心からお見舞いを申し上げたいと思います。  多くの被害の中でも、特に全国的に農林水産被害が大きく、青森県全体では一千八十九億、その中でも農林被害が大きいのであります。本県リンゴのことしの収穫予想量は四十九万トンを予想しておりました。台風による落果がなければ史上四番目ぐらいのリンゴ収穫が期待されたわけであります。しかしながら、今度の台風によってほとんど壊滅的な状態と相なりました。その被害額は約七百四十二億円であります。昨年の生産額七百五十九億円にかんがみてみると、全滅、まさに壊滅したと言っても過言ではありません。このような状態の中で、被災農家はまさに茫然と立ちすくんでしまっている、そういう状況であります。関係者皆さんのお力をいただきながら、今県知事を中心として青森県では懸命の努力をしておるところであります。願わくばこのような現状を御理解願いまして、被災農家救済のために特段の御協力をお願いいたします。  私は、いつの場合でも災害はまず二次災害がないように、あるいは農業災害であっても、民情を受けとめて民心の安定にその行政、政治が姿勢を示すべきだと思います。そして、農林災害救済のための基本法でもある天災融資法の一日も早い発動を求めたいと思います。全国調査を受けて、正確な数字を持って、手順作業を踏んでの政令に基づく激甚指定天災等発動ということに相なるわけでありますが、その作業終了を待たずしても、どうぞ農林省においては一日も早く実施をお願いしたい。  農林水産大臣お尋ねしますが、この機会に、全国被災農家救済への姿勢をあらわす意味において、天災融資法激甚指定方向づけを、しかときょうお見舞い気持ちを持って明らかにしていただきたいと思います。  農林水産大臣、お願いします。
  7. 近藤元次

    近藤国務大臣 答弁に先立ちまして、被災農家皆さん方にこの委員会を通して心からお見舞いを申し上げたいと思います。木村委員を初め各委員皆さん方、またそれぞれの地域におきまして災害対策の御指導をいただいておりますことを心から感謝を申し上げたいと思います。  ただいま天災融資法早期発動についてのお尋ねでございましたが、今般の台風は、今第十九号ということでもございましたが、十八、十七号と連続的な台風被害でもございますし、また天候も異常年と言われるような年でもございました。そういう意味では未曾有の被害が発生をいたしたわけであります。言わずもがな、現行法制度においては万全を期すと同時に、早急にまた対応していくことで今鋭意努力をさせていただいておるわけでありますが、今お尋ね天災融資法については、目下被害状況調査をする過程ではあります。あわせて、資金需要というものも、天災融資法にはやはり調査取りまとめをしていかなければなりませんけれども、そのような調査の結果に基づいて天災融資法発動する方向で今協議をしておるわけであります。それぞれ私のところに陳情においでの方もその方向でひとつ対応考えていただくようにということではお話をしておりますが、いずれにしても法的手続というものはきちっとしておかなければなりませんが、その気持ちに沿って私ども対応しておるということをお答えをさせていただくわけであります。
  8. 木村守男

    木村(守)委員 ただいまは、作業中ですが、天災融資法発動方向ということを賜りましたので、一日も早い発動をお願いしておきたいと思います。結構であります。  この際、激甚指定についても、国土庁にも同じ願いを持って伺っておきたいと思います。
  9. 仲津真治

    仲津説明員 激甚災害指定の件でございますが、指定の基準というのがございまして、災害被害状況に応じまして行うものでございます。  台風十九号による災害被害状況につきましては、先ほど来農林水産省の方で御説明ございましたけれども関係地方公共団体及び関係省庁において鋭意調査を進めていただいておるところでございます。伝えられるところによりますと、台風十九号による農作物等被害、相当大きなものが発生しておるようでございまして、私どもはこの事態を大変憂慮しているところでございます。国土庁といたしましては、被害状況についての確定的な報告を一日も早く関係省庁からいただきまして、青森県を初めとする関係地方公共団体要望にもこたえられる方向で適切に対処してまいりたいと考えております。
  10. 木村守男

    木村(守)委員 いろいろ手順がある、十分要望は踏まえているという今の国土庁担当課長お話ですが、激甚指定も、まだ作業中とはいうものの、過去の災害の規模からいくと、かつてない、既に報道されている全国的な被害状況からかんがみて、間違いなく激甚指定を得るものと私は認識をいたすわけです。ただいまの国土庁の御答弁立場柄よくわかりますが、農林水産大臣天災融資法発動方向という言葉を表明されました。国土庁災害調整窓口機関としての責任官庁でありますから、長官がこの委員会には慣例上出ておりませんが、当然協議の上で御出席をいただいているわけでありますので、一日も早い激甚指定をもいただきたい。そのために重ねて国土庁から激甚指定方向という姿勢を明らかにしてほしい。
  11. 仲津真治

    仲津説明員 お尋ねのとおり、被害状況大変大きいということを私ども伝え聞いておりますので、確定的な数字を一日も早くいただきまして、激甚指定というものを進めていくという方向で適切に対処してまいりたいと考えております。
  12. 木村守男

    木村(守)委員 結構です。  次に、具体的な質問をいたします。  落果リンゴの問題について、加工に向けていく対策が今急がれているわけであります。落果したものの中から少しでも傷の薄いもの、小さいものを一個一個農家の人は拾って選別して、そして果汁原料としての作業を今続けております。もうみちのく津軽は朝晩は大分寒くもなっております。決定的な、壊滅的な状況の中で、泥にまみれて、体が冷える状況の中で、農家方々果汁リンゴにせめてということで今畑におります。  そこで農林当局に伺いますが、この加工対策としての案出荷及び原料保管への助成をお願いしなければいけない。そして、昨年の果汁原料仕向け量にかんがみて、二十二万トン前後あったわけでありますが、一度にこれを上回る状況に今あります。それだけに、果汁調整保管事業実施がスムーズに対応できなければなりません。そのための対応助成策についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  13. 上野博史

    上野説明員 青森県を初めにいたしまして、全国的に大量のリンゴ落下果実が生じているわけでございまして、これは農家皆様方のお気持ちに沿ってできる限り生果用ないし加工用として利用していくということが極めて重要だというふうに考えておりまして、まずこの点について積極的に関係の方面が対応してくれるように、積極的に今指導を行っているところでございます。  それから、この落果リンゴを用いました果汁がどれぐらいできるかということにつきましては、現在のところまだ、ぶじ等の晩生種熟度の問題もございましてはっきりわからないという状態でございますけれども、今先生発言ございましたように、多分前年、二十二万トンぐらいの数量は上回るのではないかというふうに見ております。そのために、今の段階ではっきりつかみ切るわけにはいかないのですが、そういう意味需給動向の推移を見る必要があるというふうに思っておりますけれども、搾汁量が増加をしているということ、あるいはまたその品質がどうかということによりましては果汁調整保管を行うことが想定されるわけでございまして、これに対応し得るように現在所要の準備を進めているというところでございます。
  14. 木村守男

    木村(守)委員 どうぞそういう方向で御指導、御援助を賜りたいと思います。  さらにこの機会に、今回の台風で特にリンゴが多くやられたわけでありますが、今回の台風はまさにかつてないくらいの瞬間風速のため、ただリンゴ収穫直前落果したというだけでなくて、その風速の強さのために樹園地が壊滅に近かったと言っても過言でない。矮化栽培、これは省力化を旨としています。今までは、農地もある、リンゴ園もあるけれども人手は不足してきている、特に若い世代の後継者がなくなっている、これは農業全体の深刻な問題なわけでありますが、厳しい農家経営の中で若年労働力がなくなってきて、さらにその方向が強まっている。それを将来展望に立って、県行政農林省指導をいただいて、生産農家矮化奨励を受けながら栽培をふやしてまいりました。この矮化倒伏が大きかったことも今度のリンゴ園被害状況の中の特徴でもあります。ただリンゴ落果しただけでない。矮化の木は台木の接ぎ目のところから折れているのが多い。これは植え直しする以外にないのです。そういうことでありますので、そのために常日ごろから防風網等矮化リンゴ園だけでなく全体的にも奨励し、また生産者自助努力もしておりますが、いろいろな農林当局の補助もいただいて頑張ってきてはいるものの、今回はその防風網さえも倒れ、余りにも強い風のためにききませんでした。しかしながらどうしても、過去の例にかんがみて、防風網等施設の充実、あるいは倒れ、あるいは折れてしまった樹木の倒伏等には、新たなる改植が必要になってまいります。そのためにもどうぞ復旧緊急対策としての創設をお願いしたいわけであります。農林省のお考えをお示しください。
  15. 上野博史

    上野説明員 被害樹園地復旧の問題につきましては、これまで私どもとすれば、農林漁業金融公庫資金等制度資金の面で対応するというようなことでやってまいっているわけでございます。矮化栽培等にだんだん転換をしていくという、今回はそういうような一つの契機になるという面もあろうかというふうに思っておりますけれども、これをどういうふうに行政として対応していくかということにつきましては、現在、関係被害地専門家を送るというようなことによりまして技術的な対応策指導等もいたしているところでございまして、そういうような対応から出てまいります実態の把握等を踏まえまして、さらにそれぞれの地域におきますリンゴ等果樹経営先行き発展をしていくというようなことを踏まえて考えまして、さらに検討をしてみたいというふうに考えております。
  16. 木村守男

    木村(守)委員 そこで、農家が今度のような状況になりますと、リンゴは一年だけのものではありませんで、ある程度生産コストに合うようになるには最低七年から十五年かかる。七年目ごろからそれなりの収穫に入って、十五年かからなければ採算が合わない、こういうことでございます。今度の台風の結果、倒れてない木でも根がぐらついてしまう、あるいは枝と枝がぶつかり合う、そんなことで、幾ら津軽でもまだ枯れる状況にないけれども、山手にあるものを車から走って見ても茶褐色になってしまっています。私も生産農家の一人ですからよくわかるのですが、こうなってまいりますとどうしても樹勢が落ちてしまう。したがって、来年以降、倒れたものは改植して十五年もたたなければ採算合わないけれども、倒れなかったリンゴ園も、十五年とは言わなくても七年ぐらいは樹勢が落ち込むために減収は確実であります。  こういう農家現状、見通しに立つならば、これまで既に農業が苦しい状況の中で、厳しい環境の中で、農家方々負債農家が多い。そこで、既に借りている既往貸付制度資金償還条件緩和をお願いしたい。特に、樹園地被害を受けた農家に対する据置期間創設長期償還等条件緩和をお願いしたいわけであります。
  17. 川合淳二

    川合説明員 今般の台風被害は、今先生からお話がございましたように非常にひどいものがございます。私どもこうした状況対応いたしまして、既借り入れ資金につきまして、この償還条件緩和につきましては関係機関に対しまして既に、実情に応じて適切に対処するようにということで指示しているところでございます。さらに、この趣旨の徹底が図られるように十分指導してまいりたいと思っております。
  18. 木村守男

    木村(守)委員 自作農維持資金について、その融資枠確保が大丈夫なのか、そして貸付限度額引き上げをお願いしなければ実質的には借りられない、もう満額借りてしまっている農家が圧倒的に多いのです。この辺をしかとお答え願いたい。
  19. 海野研一

    海野説明員 自作農維持資金については当初二十四億円の枠があるとかいうようなことがございますけれども、特にこういう天災融資法発動されるような大災害の場合には別途特別枠を設定するというようなこともございますし、それから貸付限度額についても、そういう場合には限度額引き上げというようなこともやってきております。現在、天災融資法の関連の調査と並行いたしまして、自作農維持資金資金需要についても調査しているところでございまして、その調査結果に基づきまして円滑に融通できるようにしてまいりたいと思います。
  20. 木村守男

    木村(守)委員 農林水産大臣に伺います。  いろいろなこういう金融対策をお願いしていくわけでありますが、今度の甚大な被害状況にかんがみて、従来の枠を超えた対応が私は必要だと思います。天災融資法についても据置期間がない、これじゃいけないというわけで、樹体被害等々の実情にかんがみても、実情に合うように救済趣旨が生かされるためには具体的にせめて五年、十年の据置期間を配慮願いたい。あるいは自作農維持資金についても、三年のものを五年、十年ぐらい延ばしていただきたい。その検討のお約束をしてもらえませんか。
  21. 近藤元次

    近藤国務大臣 今回の被害は極めて甚大でもありますし、広範囲でもありますし、あわせて現行法制度の体系の中で対応できるか否かという問題点も実はございまして、今そのことについて整理をさせているところであります。  なお、現行制度にあるけれどもその内容で十分かどうかということも、今御指摘があった点については十分検討していかなきゃならない。特に果樹災害というのは、私が記憶にある限り、今回これだけの大きな被害はなかったのではないだろうかな、それだけに果樹の問題というのは単年度あるいは二年度というような短期ではなくて、長期的に収穫のないところにどのように融資対応していけるのかな、このことについて極めて深刻に受けとめて十分な対応をしていきたい、そう思って考えております。
  22. 木村守男

    木村(守)委員 この際、共済制度について伺います。  果樹共済現状を調べてみると、加入率全国で二〇・六%、長野県が二二・四%、私ども青森県は一四・九%の水準にとどまっております。元来、果樹共済農家自身の意識の改革が必要であります。いま一つは、どうしてこう低いのか。みんなが入れば安くできるとはいうものの、現実に農家は苦しい、その中において高いものについている、こういうことでありますので、この際、果樹共済についての見直しをお願いしたいと思います。現地の声を聞きながら見直しの検討をお願いしたい。  いま一つ、時間がありませんから続けて質問をさせてもらいますが、青森県は財政窮乏県でありまして、県あるいは各市町村、被災市町村も極めて自主財源が少ない、財政基盤が弱いわけであります。この際、普通交付税の繰り上げと特別交付税に対する特別の増額、地方債等の充当等々についても自治省の考えをあわせお聞かせ願いたいと思います。
  23. 川合淳二

    川合説明員 御指摘のように、果樹共済加入率はかなり低い、特に青森県については一五%ということでございます。いろいろな理由はあろうかと思いますが、果樹共済に限らず、共済はたくさんの人が入っていただくことが何よりもこの制度を有利に運用することでございますので、今先生も御指摘がございますように、加入の促進を図るということが必要であると思っております。  ただ、しかしながら、この果樹共済に関しましてはいろいろな御意見を伺っておりますので、今後、関係者の意見を十分聞きまして、例えば基準収穫量、あるいは価格の設定、掛金負担と補償水準のあり方などについて十分検討してまいりたいと思っております。
  24. 北里敏明

    ○北里説明員 今回の台風により被災をいたしました地方団体におきまして、災害復旧事業を初め相当の財政需要が生じております。国庫補助金等を勘案いたしましてもなおその額が多額に上るというふうに考えております。  自治省としては、実情を十分調査の上、災害復旧事業債、それから、それに対します交付税措置、また、被災世帯数あるいは農作物被害面積等を指標といたしまして、特別交付税の優先配分を行うというふうに考えております。さらに、御指・摘の普通交付税の繰り上げ交付につきましては、現在、青森県の六市町を初め全国で百七十億円程度の繰り上げ交付を、あさって十八日を目途に実施できるよう鋭意準備中でございます。  以上でございます。
  25. 木村守男

    木村(守)委員 時間もなくなりましたので最後の質問といたしますが、ことしの全国的な特徴には、台風以前に冷夏でもありました。青森県の場合も冷害による不稔障害等の米の減収が確実であります。よって、米の予約概算金の返納繰り延べと利息の減免措置あるいは規格外米等の別枠による自主流通米扱いの問題、他用途利用米出荷の特例軽減措置についてもこの際伺っておきます。  最後に、お願いとお礼を申し上げます。  委員長並びに農林当局国土庁、そして委員皆さん方にお願いをいたします。どうぞ、全国被災農家のために、あるいは被災者全体のために、そして青森県の私ども被災農家救済のためのお力添えを心からお願い申し上げて、お願いとごあいさつと質問を終わらせていただきます。
  26. 京谷昭夫

    ○京谷説明員 ただいま、平成三年産米につきまして、今回の台風に限らず、低温等による不稔障害、長雨等の影響が発生しているというお話がございました。私どももそのような影響を大変懸念しております。  その中で三点についてのお尋ねでございますが、まず、規格外米の自主流通米としての取り扱いの問題でございます。関係者からも要望を私ども承っておりまして、集荷業務に当たります指定法人とも協議をして、基本的にはその自主流通米としての流通の道を認めていくということを考えております。  それから第二の、予約概算金の利息の減免問題でございますけれども、御承知のとおり、七月に定めております平成三年産米の売買条件等に関する告示におきまして、天災融資法発動された場合の減免措置が定められております。天災融資法発動に則しまして、この告示の定めるところによって対処していきたいというふうに考えております。  また、返納期日の延長問題は、返納期日が青森県の場合は来年の五月十五日と承知をしておりまして、まだ十分余裕がございますし、個々の農家が返納不能の場合には集荷業者が代位弁済するという制度もございますので、事態の推移をひとつ見守らせていただきたいというふうに考えております。  それから最後の、他用途利用米の特例的な出荷調整措置の問題でございますが、これも私ども関係者の要望を承っております。ただ、これも集荷法人あるいは実需者との相談も必要でございますので、現在、関係者と協議しながら検討を進めておるという状況でございます。
  27. 木村守男

    木村(守)委員 ありがとうございました。
  28. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  松岡利勝君。
  29. 松岡利勝

    ○松岡委員 木村先生に引き続きまして、今回の被害に対しまして幾つかお願い、また御質問をさせていただきたいと思うわけでございますが、その前に、関係の御当局の早速のお取り組みに対しまして心から感謝とお礼をまずもって申し上げる次第でございます。時間がありませんので、できるだけ簡潔、手短にお尋ねをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず第一番目でございますが、二十七日午後、九州北部に上陸いたしました十九号台風は、観測史上最高の最大瞬間風速を記録し、猛烈な突風によって大被害をもたらしたことが特徴なわけでございます。とりわけ収穫期を迎えつつありました農林産物の被害は甚大なものがあるわけでございますが、私は、今回の農林産物被害は、我が国農林業災害の歴史の上においても恐らく過去最大または最大級のものではなかったかと思うわけでございます。  まず、今次災害に対しまして、農林御当局においてどのような御認識をお持ちかということをぜひとも大臣にお伺いいたしたいと思うわけであります。
  30. 近藤元次

    近藤国務大臣 今次、台風十九号、十八号、十七号という連続的な台風でもありますし、先生今御指摘のように、瞬間風速最大のものがあり、九州地方東北地方中心とする全国的な広がりが見えておるという極めて大きな被害が発生をいたしたわけであります。  農林水産省としても、この問題、深刻に受けとめまして、今先生お話のように、ことしはやや果樹も豊作であるかな、そして取り入れ寸前ということでもございまして、極めて深刻な農家の心情を察しておるところであります。早速審議官をベッドにして各地域調査団を派遣をいたしまして、農林水産省としては、災害対策本部を設置をし、あわせて緊急に農政局会議などを開いているところであります。今日また技術班を、今後の問題については技術が果樹等については極めて必要性を地域で感じておるものですから、技術班を四班に分けて全国に派遣をする予定にさせていただいております。そのような状況で、今日、現行法制度対応できるかどうかということを各地方の要望、そして我かの被害状況調査等で今鋭意検討させていただいておるところでありますが、精神的なものも農家に非常に大きな打撃を与えておりますので、そういう意味からも迅速に対応を発表していかないと、やはり再生産の意欲を損ねることになっては、将来にわたる我が国の農政上の問題として受けとめておるわけでありますので、被災農家救済と我が国の食糧という問題と相重ねて私ども受けとめて対応さしていただく方針であります。
  31. 松岡利勝

    ○松岡委員 ただいま大臣から大変ありがたい御認識といいますか、最大級のもの、そういった御認識を持って災害対策に取り組みたい、そのような対応をしておる、このような意味の御答弁を賜ったと私は思うわけでございます。  そこで、先ほど木村先生からもお話があったわけてございますけれども、何といっても激甚災害指定の問題があるわけでございます。私どもの熊本県におきましては、昨年の七月に大変な大水害があったわけでありまして、今回は青森県に次いで全国二番目という大被害をまたこうむったわけでございます。私も三日間にわたりまして選挙区の被害地状況実情をつぶさに見てまいりましたが、まことに惨たんたるありさまでございます。全壊した畜舎を前にして、やっと生き残った牛を入れるところもなく荘然と立ち尽くす酪農家方々、何万羽も飼っていた鶏舎が一瞬にして倒壊してしまいまして、なすすべもない養鶏農家方々、例を挙げれば切りがないほど大変な状況にあるわけでございます。このままでは、ただいま大臣もおっしゃいましたように被災した生産者は立ち直りの意欲すら失いかけているというのが偽らざる現状である、私はこのようにも思ってまいりました。  このため、被災者が一日も早く生産意欲を取り戻して立ち直ることができますよう、今回の災害をぜひとも激甚災害として早期に指定することがとりもなおさず万般の対策を講じる基本になる、このように私は思うわけであります。国土庁が主務官庁でありましょうけれども、最大の被害をこうむった農林産物の所管省庁の農林省としても、私は積極的なお取り組みを強くお願いいたしたいところでございます。そういった意味から、農林省における災害取りまとめ現状、さらにはその最終見通しといったものがどのような状況か、そして激甚災害指定に向けた大臣の温かい御高配、御決意を再度お願いを申し上げたいと思う次第であります。  そしてまた、同様な見地から、被災農家支援のため、貸付利率なりまた貸し付けの限度額、そういった点で大変有利な天災資金がぜひとも必要でございます。この天災融資法農林省の所管でございますので、どうか大臣の御英断によって一日も早い天災融資法発動がお願いできますよう、そしてまた被災農家におこたえができますよう、ここでいま一度大臣からの明確な御決意、御高配を賜りたいと思うわけであります。
  32. 近藤元次

    近藤国務大臣 災害が発生すると、災害地は、おのずからこれが激甚法になるか天災融資発動になるかということが最初に期待をされるところでもございます。そのことを十分承知をしながら、今次災害の大きさ、広さを勘案して、全国的に広がっておりますけれども、我が省挙げて調査把握に当たってまいりました。まだ十分ではありませんけれども、十月十四日現在の状況でも、農林水産の被害というのは六千億を超える状況に立ち至ってまいりました。過去の経験からいって激甚法の指定になり得る可能性を信じて、今国土庁報告をすると同時に、協議を重ねて、激甚法の指定についての期待を私どもいたしておるところであります。私ども、過去の経験からいって指定にはなり得るものだという方向での検討でありますことをお話をさせていただきます。  あわせて、天災融資法につきましては、先ほども答弁を申し上げたように、その方向で今協議をしておるということでありまして、可能な限り早い実行か伴うようにいたしたい、そういう考え方で今取り組んでおります。
  33. 松岡利勝

    ○松岡委員 ただいま大臣からまた大変前向きな御答弁をいただきまして、何とぞその方向でよろしくお願い申し上げたいと思う次第であります。  私は、あしたも災害対策特別委員会が開かれますので、またそこで質問させていただきまして、国土庁の方にはあしたの段階で激甚指定に向けた国土庁としての御努力をお願い申し上げたいと思っておりますが、何といいましても被災農家に対します第一番目の支援は、国が積極的に制度のあらゆるものを駆使してそして被災農家を助けるんだ、支援をするんだということ、一日も早いそういったことが一番の支えだと私は思うわけでございますので、重ねてお礼とともにお願いをいたして、次に進みたいと思います。  私どもの熊本県はいろいろな作物が被害を受けたわけでございますが、特にその中でも畜産農家、ミカン農家といいますものは、これはもう御案内のとおり、ことしは牛肉・オレンジ自由化元年でありまして、そういう大変な外圧が加わった。それに加えまして今回の大被害でございました。まさに奈落の底といいますか、絶望のどん底も同じような状態に置かれたというのが実態でございます。  台風直後の今月早々でございますけれども、熊本県農業協同組合連合会の倉岡会長が被害資料のいっぱい入りましたかばんを抱えて上京され、私のところにおいでになりました。そして、自分たち組合においても可能な限り最大の手だてはしっかり講じる、したがって国においても何とか特別の御配慮をぜひとも頼む、このような切なるお願いでございました。  畜産、ミカン農家はそのような意味で、もとよりでございますけれども被災関係者の一日も早い立ち直りのための対策として、先ほどもいろいろお尋ねがあってお答えもあったわけでありますけれども、やはり自作農維持資金融資枠また貸付限度額、そういった問題についてどうしても最大の御配慮をいただかなければいけない、このように思う次第であります。どうかこの辺について農林御当局の御配慮をお願いしたいと思うのであります。重ねてもう一度お伺いしますが、明確な御配慮を賜るようなお答えをひとつぜひともお願いしたいと思うのであります。
  34. 海野研一

    海野説明員 自作農維持資金につきましては、当初から融資枠二十四億円というのがあるわけでございます。大災害の場合、到底足りるものではございません。災害状況によりまして特別枠を設定することができることになっているわけでございます。また、貸付限度額につきましても、天災融資法発動されるような大災害かつ連年の災害で負債が増高しているというような場合には、被害実情に応じて限度額引き上げということをやってきておるわけでございます。現在天災融資法関連の調査と並行いたしまして自作農維持資金の需要額の調査も行っているところでございまして、この結果に基づきまして円滑な融通が図れるようにしてまいりたいと思います。
  35. 松岡利勝

    ○松岡委員 あわせて畜産局の方から、また農蚕園芸局の方から、特に自由化元年に加えて今こういった大変な被害を受けた畜産農家なりミカン農家に対しての対策といったものもひとつお伺いいたしたいと思いますが、お願い申し上げます。
  36. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 今回の被害につきましては、先生の地元の問題については、私どもも職員を派遣をしまして早速現地調査させております。また、畜産についても大変被害が多うございまして、県酪連の会長さんからもいろいろ実情をお聞きをいたしております。今全国的にその被害の集計を急いでいるところでございますけれども、今度の風による被害によりまして家畜の畜舎の施設の損壊だとか、あるいはそれに伴う家畜の圧死あるいは廃用、相当な被害が出ておりますし、さらに飼料作物の倒伏、そういった被害が生じている、そういう報告を受けております。私ども畜産局におきましても、今申し上げましたように職員を派遣して実態の調査把握に努めております。  それからその際、その被害地域及び家畜の疾病の予防のために、都道府県に対して、消毒等の徹底といった家畜衛生対策の一層の強化をするように指導をしておりますし、また越冬用の飼料の確保についても指導いたしております。  それから施設復旧のための資金の問題でございますけれども、公庫資金の中の主務大臣指定資金災害復旧資金でございますが、そういうものを御活用いただくとか、あるいは家畜等の被害については、共済の問題もありましたが、共済金の支払い、あるいは家畜導入については各種制度資金の活用等によりまして、被災畜産経営の継続と安定に努力してまいりたい。さらに天災融資法発動された場合には、災害による家畜のへい死等によって必要となります家畜、家禽の再購入資金についても融資の対象とされるところでありまして、こういうことによって対処してまいりたい。いずれにしても、今後とも被害状況を早急に的確に把握するとともに、被災畜産経営の継続と安定のために都道府県、関係団体とも密接な連携をとって対処してまいりたいと考えております。
  37. 上野博史

    上野説明員 果樹関係についてお答えを申し上げます。  今回の台風によりますミカンを中心といたしました果樹被害というのは、樹体の損傷、塩害というようなものがあるわけでございまして、まずその技術的な対応ぶりについて、農政局を通じまして倒伏、折・損、枝折れした果樹あるいは潮風害を受けた果樹というものの処置ぶりを徹底をいたしているところでございます。  それから、先ほど大臣からお話し申し上げましたとおり、技術指導チームというものをきょうから各地に派遣をいたしておりまして、九州地方、熊本県を含めまして、二十一日から二十三日にかけて訪問するという予定をいたしております。  そのほか、こういうような技術指導等の状況を踏まえまして、果樹農家がさらに意欲を持って復興に立ち向かうことができますようにできるだけのことをしたいというふうに考えておりまして、将来の、今後の果樹農業振興ということを頭に置いた観点に立って検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  38. 松岡利勝

    ○松岡委員 ひとつよろしくお願いを申し上げます。  そして、これはお答えは要りませんが、先ほど言いました畜産農家だけでなく、養鶏農家も、熊本の卵は日本一安いと昔から言われておりまして、そういう意味でいろいろなところに出荷をいたしておりまして、そのくらいまた規模も大きくやっておるわけでありますが、やはり大変な被害を受けておりますので、どうか畜産局の方でもあわせて、そのこともまた対策をお願いしたいと思う次第でございます。  次に、私の選挙区の中のある町でございますが、五十一歳の最も働き盛りの中核農家の御主人が、実はみずから命をこの台風被害の後に絶たれたわけでございます。いわゆる自殺でございます。理由は、今夏の長雨被害、それに加えて今回の一連の台風被害、こういうことの中で、いろいろありますけれども、特に約五ヘクタールぐらいの請負耕作、いわゆる小作づくりでありますが、それをされておった。ところが、こういったようなことで米がとれなくなった。小作米も約束どおりにどうも払ってやれない。払ってやれないというか渡してやれない。そういうことで大変悩んで、その結果、みずから命を絶たれた、こういう悲劇が現実にあったわけでございます。こういう被害の中でいろいろな思いの農家方々がおられる、こう思うわけでございます。したがいまして、先ほど木村先生からもお尋ねまたお願いがあったわけでございますが、相当被害を受けて、そして大変な減収になったこの米ということにかんがみますときに、規格外米の取り扱いの問題、先ほどお答えもござい住したが、ぜひともよろしくお願いを申し上げたい。そしてまた、米のこの予約概算金の返納利子の減免ということにつきましては天災融資法発動との絡みで、こういうことでございますけれども農家はいまそういったようなまさにみずから命を絶たなければならないような実態でもございますので、何とぞひとつ特段の御配慮をお願い申し上げたいと思うわけでございます。そしてまた他用途米の軽減措置、これもまた非常に重要な問題でもございます。そういった万般の問題があるわけでございますので、どうか何とぞ適切なる、そして最大の対策としての御処置をお願いしたいと思います。  そしてまた、共済金の早期支払いということも、やはり農家の意欲を取り戻しかつまた経営の安定という見地からどうしても必要でございますので、この共済金の早期支払いということについてぜひお尋ねをしてお答えをいただきたいと思うのでありますが、お願いいたします。
  39. 川合淳二

    川合説明員 共済金の早期支払いについてお答え申し上げます。  現在、見回り調査などをやっておるところでございますけれども、損害評価を迅速的確に行いまして、少しでも早く支払いができるように団体等を指導してまいりたいと思っております。
  40. 松岡利勝

    ○松岡委員 もう時間もありませんので、最後に一つだけ大臣にお願いでございます。  今回のこの災害といいますものは、先ほど一番最初に御認識をいただきましたように、恐らく最大級であろうと思うわけでございます。したがいまして、既存の制度でなかなか賄い切れないといいますか対応し切れない、そういった部分が相当、これは集計をして取りまとめてみてということでないとその辺の最終判断はなかなか難しいのかもしれませんが、そういったことが予測されるのではないかと私は思うわけでございます。そういった場合に被害実情をやはりしっかりと第一番に踏まえていただきまして、そして既存の制度で対応できないところは新たな制度で、また既存の制度の特例でということで、ぜひとも最大の対応をお願いをしたいと思うわけでございます。そして、農林業がいろいろと厳しい中で、いいことが余りない、そういう状況の中で、せめて、少なくとも何とか農家が最低限の意欲は持って頑張れるような、そういう大臣の心ある御配慮をお願いしたいと思うわけでありますが、この点についてひとつ大臣の御高配あるお言葉を賜りたいと思うわけであります。お願いいたします。
  41. 近藤元次

    近藤国務大臣 委員から今御指摘のありましたように、今次災害の中では既設の制度で対応できないものもあることは私も予測ができるわけであります。しかし、全部調査が終わる段階まで待ってというわけにもまいりませんし、可能な限りそういうものは準備をさせていただく対応を、各省の間でも協議するべきものは協議を進めさせていただいておるわけであります。準備の段階で、それが受ける側の農家の側から必要がなければ、なくてもこれもまたいい、結構なことでありますが、必要があったとき可能な限り私ども準備を急いでしておくという必要がある、こう思って、そういう問題が今各県から上がってまいりますので、分析をさせておるところでありますので、十分対応していきたい、こう思っております。
  42. 松岡利勝

    ○松岡委員 それではこれで終わらせていただきますが、実は林業関係被害も相当あったわけでありますが、その点につきましては大先輩の畑先生にお願いをいたしまして、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  43. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  畑英次郎君。
  44. 畑英次郎

    ○畑委員 質問に入ります前に、今回の農林水産関係分野における一連の台風被害に対する大臣を初めとする御関係皆様方の素早いそしてまた積極的な対応につきまして、この場をかりまして心から敬意を表し、感謝を申し上げる次第でございます。  私の地元の大分県におきましても、大体今度の台風被害の総額は七百億から一千億になるのではなかろうかということが言われておるわけでございます。既に同僚、先輩委員からもお話があったとおり、農業分野におきましても、大分県の場合におきましては総生産額千七百億円の約一割近くの被害がございました。昨年は、私の地元の日田ナシ、これは日本一ということでございまして天皇賞をいただいたわけでございますが、ことしはこの台風によって九割方壊滅状態にあるといったような状況にもあるわけでございまして、この農産物関係につきましては、先ほど来大臣を初め御答弁がございましたとおり、激甚災の指定、あるいはまた天災融資法の問題、こういうものにつきまして一日も早い農作物に対する御指定を、これまた私の立場からもお願いを申し上げておく次第でございます。  持ち時間が短いわけでございますので、その大分県の中で、ある意味におきましては九州におきまして最も被害の大きい林業分野に絞って御質問をさせていただきたいと思います。  実は、大分県政の中にございまして、いわば従来の実績から日本一の林業県、そういうものを踏まえてグリーンポリス構想といいますものを、私どもの地元の日田あるいは玖珠、下毛、そういった地域がグリーンポリス構想の指定をいただきまして、県、国の力を拝借しながら林業を中心とする地域活性化を今日まで図引せていただいておったところでございます。  今回の被害によりまして、杉、ヒノキを中心に約二万二千ヘクタール、大体林業関係で五百億を超す被害が予想をされておるわけでございます。実を申し上げますと、これはいささか当たりさわりがあるかもしれませんけれども台風被害に、青森県のリンゴに象徴されますように一千億になんなんとする農作物被害がある。林業については、最初の段階におきましては被害数字が出てこなかった。これは現地の実態が余りに激しい、いわゆる林業地帯の被害状況の中から従来の林道、作業道に入っていけない、それが使えない、山に入っていけない、さような段階で被害数字が出てこなかった。ここ数日前から、いわば本格的に林業につきましての被害数字が出つつある。さような姿でございまして、大分県の場合では今日段階で大体五百億、一説によれば林業だけで一千億を超すのではなかろうかというようなことがささやかれ、心配をされておるような現在の姿にあるわけでございます。  今回の林業関係全国被害といいますものが、私の承知をいたしております数字によりますと、大体九百億から一千億、これは全国であります、今日現在。ただいま申し上げましたように、大分県は林業の被害がその半分の五百億というような一ことでございますから、従来日本一を自負いたしておりました大分県林業が壊滅的な状態に追い込まれておる、そういうような状態にあるということをまずもって御認識を賜りたいというように考えるわけでございます。  この被害が大きくなりました原因につきましては、十七号台風樹勢が弱ったところに十九号台風が吹いたということによって大変な被害を受けました。あるいは伐採期を迎えた四十年生以上の良木林が大方折損、途中から折れて被害を受けておる。在来種が倒木、改良わせ系が、俗っぽい言葉で申し上げれば途中からぽっきり折れておるというようなことであるわけでございます。  さような意味合いで、私どもは今現地調査をいたしまして一番心配いたしておりますのは、林業経営方々が林業意欲を減退したという状態を通り越して、もう既に林業に対する取り組みの姿勢が全くうかがうことができない。逆に申し上げますと、釈迦に説法でありますが、林業の場合には三十年から四十年後に初めて収穫が上がるというような姿でございますから、今この段階で新たな投資をしていわゆる再造林をやろう、そしてまたその前段にあります伐採、搬出、後片づけということに対する取り組みの意欲といいますものは、ちょうど例えて申し上げれば、手塩にかけた子供さんが交通事故で亡くなった、その実態を見に行く元気もないというのが林業家の今日の姿ではないかなというように考えるわけでございます。  そういうことを考えますと、何としても、大分県林業、日田林業に象徴されますようなこの大分県林業がこのまま崩壊するようなことであっては、従来の私どもの置かれております立場からいいますと、大分県林業の復旧ができない。破壊する。即日本林業そのものの将来に対する期待といいますもの、そしてまた過疎の現象が極めて速いテンポで進んでおり、そこに大きな問題を生ずる、こういうことは間違いのない事柄ではないかなというように考えるわけでございます。  かてて加えて、労働力が不足である。そういう中にございまして、せんだって若い方々が、今度の災害復旧の取り組みを通して、二十一世紀に向けた新しい林業の経営の要素を、取り組みの新手法をここに国、県の力をおかりしてつくり出したい。例えば、何といっても機械化、今回、大型機械をぜひこの災害復旧に積極果敢にお取り上げを願って災害復旧のモデルケースあるいはこれからの林業経営の機械化のモデルケースというものをつくり出していただきたい。幸いこういうことの意欲を持った若い方々発言があったことを、私自身も大変心強く受けとめて帰ってまいったような次第であるわけでございます。  どうか、さような意味合いにおきまして、この林業関係につきましての天災融資法、そしてまた激甚災の指定、これにつきましてぜひとも、これはまた農作物とは違った意味合いでのお取り組みを林野庁として願わなくてはならない、さように認識をいたしておるわけでございますので、ぜひとも林業関係激甚災、そしてまた天災融資法指定についての格別な御努力を賜りたいというように考えるわけでございます。  いち早く林野庁長官を初め幹部の方々が手分けをして早速現地踏査をいただきましたことは、地元関係者に大きな勇気を与えた今日の姿でもあるわけでございます。ぜひともこの対応策につきましての速やかな、具体的なお取り組みの姿かたちを、そしてまた、これからのこの災害復旧に寄せますお取り組みの姿勢をお答えいただければありがたい、かように考えるわけでございます。よろしくお願い申し上げます。
  45. 小澤普照

    ○小澤説明員 今般の十七号から十九号に至ります一連の台風災害被害につきましては、林野関係では現在把握しているところでは全体で千五百億円余ということになっておるわけでございます。さらにまた十九号、大変強風で立木の被害が。多かったわけでございますけれども、これにつきましては、大分県を初め二十九道府県におきます民有林の立木被害額約八百三十億円という把握をしているわけでございます。大分県につきましては、私も先般日田地方を中心災害現地を見させていただいたわけでございますけれども、大変激甚被害状況になっておりまして、私どももこれの復旧等につきまして全力を挙げて取り組みたいと考えておる次第でございます。  その中で、先生が御指摘になりました林業者の意欲の問題もございます。これにつきましては、ぜひともこういう災害の中から立ち上がっていただきたいと思っておりますし、私どももこの点につきまして、とにかくできる限りの措置、御支援等申し上げたいと思うわけでございまして、その中で大型機械の使用というのは効果を発揮する分野であろうというようにも考えております。そこで、私どもの方といたしましても、この点につきましては、現在のように林業労働力の不足という問題もございますので、現行の作業システムではなかなか被害木の迅速な整理もできないのではないかということを考えまして、高性能機械等の導入促進を図りますとともに、今回、被害地復旧に当たりましては、これらの機械を活用して早急に被害木の整理が円滑に進むよう最大限の努力を傾注してまいりたいと考えているところでございます。  なお、激甚災害法等の適用の問題でございますけれども、これにつきましては、現在、関係道府県の協力も得まして鋭意取りまとめ中でございますけれども、迅速に被害状況の的確な把握をいたしまして、この結果を待ちまして所要の手続、協議等を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  46. 畑英次郎

    ○畑委員 時間が迫っておりますので、最後に私は、この災害復旧に当たりまして、林業災害復旧事業あるいは保安林指定等々の問題もございますが、緊急治山事業等々あるいは保安林機能回復のための改良事業等々積極的にお取り上げを賜りたいというように考えるわけでございます。  私どもの地元の森林組合に言わせますと、現在の労働力、現在持っておりますノーハウをもってすれば、後片づけに私どもの地元の地域だけで大体二十年はかかるであろうと言われておるわけでございます。さような意味合いにおきまして、いわゆる林業関係方々に対する元気、勇気を与える意味合いにおきまして、農林大臣のこの林業被害に対する御認識、お取り組みの決意を表明いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 近藤元次

    近藤国務大臣 先ほど委員から御発言がありましたように、林業の被害が、その状況が若干おくれたことは、林道等に、作業道に入れなかった状況もございました。しかし、今般、臨時に営林局長会議を月曜日に開催をさせていただいて、現地状況把握しながら対応も特に指示をさせていただきたいと思うわけでありますし、問題点については、先ほど委員から御指摘がございましたように、復旧に対して、まず労働力がないということが通常でも言われておるわけでありますから、そういう林業伐採に経験のある人を、今長官を通して営林局長全国的にその募集をしておるというよりも協力を要請いたしておるところでもあります。いずれにいたしましても、経験者でないとなかなか、けが人も出てくるという状況でございますので、あわせて機械は積極的に、可能なことがありさえすれば予算を問わずに積極的に取り組んでいきたい、こう思っておるわけであります。  いずれにしても、大分の林業というのは、所有者でなくても現場を見たり報告を受けた人は冒頭が熱くなるような、何十年育ててきたものが伐期直前に優良木がやられておるということでございますので、林業経営者の林家は恐らくかなりの落胆をされておるのだろう。その意欲にどうやって取り組むかということは我々の今後の施策によるところが非常に大きいだろう、私はこう思っておりますので、意欲を燃やすための施策というものにやはり今後取り組んでいきたい、こう考えております。
  48. 畑英次郎

    ○畑委員 ありがとうございました。終わります。
  49. 大原一三

  50. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 私は、農業、農産物災害について、夏の冷夏、長雨、そして今回の台風二十一号まで、それぞれ現地に入り、自分の選挙区はもとより、果樹災害等については他県も相当の被害があったということで行って調査をいたしてまいりました。その中で、果樹栽培農家が、もう後継者がいない、六十二、三歳になったとおっしゃっていましたけれども、茫然として、敷き詰めたように落果したリンゴを前にしながら、これからどうしたらいいだろう、そのほおには涙が光っておりました。そうした果樹栽培農家被災農家のお気持ち考えると胸が痛む思いでありますし、心からお見舞いを申し上げる次第でありますが、今回は先輩、同僚各委員から、その対策の骨格となる天災融資法あるいは激甚災、そのほか各種制度資金の償還の延長その他の具体的な対策等についてのお尋ねがございましたので、私は、農災法を中心にいたしまして、農業共済制度が持っている災害保険の根幹、基調というものをこれら諸問題に、災害にどういうふうに生かしていくかということで若干御質問をいたしたいと存じます。  まず初めに、風台風十九号で甚大な被害を受けました果樹関係についてお尋ねいたしたいと思います。  果樹共済については任意共済でございます。この果樹共済加入率が非常に低いということで、さきの木村委員の御質疑にお答えがあったわけでありますが、私も果樹共済関係についての加入状況を、私は現職の農業共済組合の理事をやっておりますので、福島県の伊達地方に特定化したものについてちょっと調べてみましたら、始めまして四十九年度、これはセンサス年度でずっと持っているわけでありますが、最初の加入率は二四・八、これは作目はリンゴ、ブドウ、桃であります。そして、そのピークは五十三年度の三四・一%であります。そして、その五年後の五十八年度になりましたらまた下がりまして、今度は二三%、そして六十三年度には一四・八%、推定で本年の加入率二丁九%であるという概算の報告があったわけでありまして、だんだんと果樹共済に対する信頼といいますか、なぜ下がってきているのか。じゃ上げるためには、もとに戻す、あるいはこういった未曾有の果樹災害対応して、これを満たすだけの果樹共済という制度的な充実が図れないのかということでいろいろとその内容を調べてみますと、まず第一点、先ほども政府から答弁ございましたが、基準収量との関係があって、どうも農家負担、共済掛金が果樹の場合高い、これが一番大きな原因になっているようであります。  これは要望として申し上げておきますが、無事戻し金等魅力ある形にしない限りはなかなか加入率アップにはつながってこないだろうというふうに思うわけでありますが、国庫負担の増額等がこの部分で図れないものかどうか。そしてまた、災害によりまして、品種ごとにそれぞれ収穫期が違う関係で、被害の度合いが違うわけでありますけれども、品質低下分、いわゆる減収補償とあわせて価格の補償もできるようにしてはどうかという提案をいたしたいわけでありますけれども、そういった点。そしてまた、共済金の支払いの対象になっても支払い共済金が少額であるということがまず一つあります。その辺のバランス。そしてまた、先ほども質問にお答えがありましたけれども、この共済金の支払いの時期、これが例えばリンゴの共済金は収穫翌年二月から三月支払いとなっております。負担、掛金の方は十七カ月前に、一年以上前に納入されているわけでありますが、収穫終了から共済金の支払いまでの期間が長過ぎる、これを早期支払いをしてはどうか、そうしたこと。こういった点が考えられますけれども、これらについての具体的な政府側の担当事務方の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  51. 川合淳二

    川合説明員 果樹共済中心とした御質問でございます。  先生、非常に共済事業につきましては御専門家でございますので、既に御承知の点が多かろうと思いますが、私ども、この加入が低い原因につきましては、一つ災害によりますリスクについての農家考え方と申しますか、農家が多様化しているということから、そこが非常にいろいろな意見をお持ちの方がふえてきているということがあろうかと思います。それからもう一つは、近年災害が比較的少なかったということも原因している。これはいいことなのか悪いことなのかということは別にいたしまして、そういう面があろうかと思います。  御指摘がございました基準収量との関係などにつきましては、私どもも、これまで例えば特定の災害について引き受付をするというような特定の方式、それから、今の基準収量につきましては、農家側の選択の余地を広げるというようなことで対応してきておりますが、こうした改正にもかかわらず、必ずしも加入率がふえていないというのは御指摘のとおりでございます。  無事戻しの制度についてもお触れになりました。無事戻し制度も既に取り入れられているわけでございますが、これは各組合の裁量にゆだねられている面もございまして、こうした措置をとっているところ、とり得ないところもあるわけでございますが、こうした無事戻し制度を円滑に実施するためには、何と申しましても加入率をふやしていくということが非常に大事ではないかと思っております。  そこで、地域によりまして加入率が高いところもあり、これはいろいろでございますが、概して申しますと、加入率の高いところは地域ぐるみで果樹振興に取り組んでいるところだろうと思っております。したがいまして、共済事業の中身についてもちろんいろいろと検討してみるということも重要でございますし、私どももそうしたことを続けてまいりたいと思いますが、同時に他の施策との有機的な連携を図りながら加入率を高めていくということについても十分意を尽くしていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  52. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 今御答弁がありましたが、他の事業と有機的な関連性を持たせながらという、いわば幅広い、共済事業にも新しい、例えば経営指導、その他庭先指導の情報化とかそういう展開があることは大変前向きの取り組みであり、感謝をいたしておるところであります。ぜひ、そうした信頼を取り戻す方法というものを具体的に御要望申し上げておきたいと思います。  また、現行の類単位方式、果樹リンゴは一括加入ということでありますが、これを一筆単位方式にあるいはまた品種単位で加入できるような、これは応用問題になると思いますけれども、そんな具体的な方法がとれないものか、そのように考えるわけでありますけれども、一園地が収穫皆無になっても他の園地の分と合算されるので該当にならない、それじゃ部分的に加入することができないか、そんな果樹農家の話でもありますので、この点について伺っておさたいと思います。
  53. 川合淳二

    川合説明員 一筆単位の問題でございますが、やはり被害率との関係が非常に密接にあろうかと思います。被害率の高いところが中心に設計されますと、当然のことながら掛金が高くなるというようなこともございますので、一筆単位で比較的被害の高いところを中心にこうした共済が設計されますと、それが逆にどうした形をとりましても農家の負担になるというようなことで、果樹におきまして一筆単位という方式をとることはなかなか難しいのではないかというのが従来の私どもの意見といいますか見解でございます。いろんな農家が既にあるということで、既に私どもがとっております方式の中で危険段階別の共済掛金制の設定というのは、御承知の点でございますが、やっておりますが、こうした点で対応ができるかどうかというような検討もあろうかと思いますが、今までの私どもの見解は以上のようなことでございます。
  54. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 ぜひこの点について御検討を賜りたいと存じます。引き続いてのそうした御検討、応用問題を解決していただかなけれはこの加入率アップにはなかなかつながってこないだろうというふうに思っておるわけであります。災害がなければそれにこしたことはないわけでございますけれども、農災法の精神からいって、この基調は、これでもってやれるのだという体制をしっかりと進めるように、いわゆる安心ネットワーク第一期分というものは終わりまして、第二期安心ネットワーク運動が展開されているわけでありますが、これも農林省御当局が心ある形で、農家に心に響いていくような、そうした、保護ではなくて育てていく、あるいはあくまで災害補償という観点からの御指導をちょうだいいたしたいと御要望申し上げておきたいと存じます。  次に、加入の阻害要因の中に、この制度の内容が複雑だと農家方々が大変私どもに言うわけであります。わかりにくい制度なのかなと思いながら損害評価員会議に出ておりますが、もっとわかりやすい制度にするにはどうすればいいか、短絡な考え方だけでこの法律の適用はなかなかできないわけでありますが、この点。それから、損害評価関係とか作況調査とか、そういったことで非常に事務的な手間がかかり過ぎるのではないかな、そのようにちょっと感じられるところがあります。特に、評価要綱等を簡素化する、これが必要なんじゃないか。例えば基準収量関係につきましては、この果樹関係は収量方式でもって合いわゆる所得税の対象になってきたわけでありますが、そういった点で、その資料をいろいろと利用する場合に、きちんとした、そして事務的にも簡素化した形でその結果が出てこないと大変手数がかかる。  そしてまた、関連して申し上げますが、この仕事をするために、各農業共済組合はそれぞれ大変な職員の労働力が必要なわけであります。事務能力が必要なわけであります。そのために、共済組合の合併促進という面とあわせて考えてまいりますと、この事務費がどうしてもかさんでくるというようなことがある。公務員並みの給与は出せないまでも、それに近いところで超過勤務手当やなんかも出していかなきゃならぬということになります。さきに、これは政府・与党で事務費補助の定額制ということを打ち出されて改善をしてきている現況でございますけれども、私が感じられることは、逆に言うと定額制で末端の地方自治体の共済組合に対する拠出金がふえる、そんなこともございまして、せっちん詰め方式で合併をさせるのにかえってこの方がいいかなという、そうした感想も理事の間では中には聞かれるわけであります。しかし、私はそれではちょっと共済組合の運営からいって、本当の意味でこの安心ネットワークを展開する、そのような現場にはならないのではないかなと心配をいたしておりますけれども、この点について所見がございましたら事務方からお答えをいただきたいと思います。
  55. 川合淳二

    川合説明員 普及と申しますか、この制度を十分理解していただくためのやはりいろいろな施策あるいは努力というものは必要であろうと思っております。やはり十数%、あるいは全国で見ても二二%という加入は、やはりその制度の中身もさることながら、十分な理解がないのではないかということは御指摘のとおりだと思っております。この点に一つきまして、いろいろと各農家要望にこたえますと、きめ細かく対応すればするほど複雑になるという面はどうしても否めないわけでございますが、それをわかりやすく理解してもらうような方策を考えるということは必要だと思いますので、こうした災害があったときを、不幸を逆に利用いたしまして普及を図るというようなことも十分意を用いてまいりたいと思っております。  それから、査定その他に基づきます労働力の問題、あるいは、正直申しまして非常に労働集約的な査定方式をとらざるを得ないという面がございますけれども、これにつきましても機械化を何らかの形で進めるということで、逐年、若干ではございますが進めてきております。そうした方式あるいは査定の方法についての近代化と申しますか、あるいは最近のいろいろな科学的なサンプルのとり方というようなことも駆使いたしまして、少しでも簡素化したいということに努力しているわけでございますが、なおこれは私どもも十分検討していかなければいけないと思っております。  いずれにいたしましても、やはり多くの人に入ってもらって初めて成り立つのが共済でございますので、個々の農家にすぐにはそれが還元されないということはあろうとは思いますが、制度の本当の趣旨をよく理解してもらうように今後とも努力していかなければいけないと思っております。
  56. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 わかりました。そうした観点で、これから大いに機械化等の合理化あるいは合併についても適正規模ということを考えながら、その地域実情に合わせた単位組合の組織づくりということで御配意を賜りますならば幸いと存じます。  次に、非常にこまいことになるわけですが、ことしは本当に肩張りが悪い稲作になりました。穂発芽も大分発生しております。そこの中で、作況調査の場合に使われる、前にもこの問題については審議された経過があるというふうに伺っていましたが、この作況の現場のふるい分け、いわゆる種別方法、我々段ぶるいというふうに言っているわけでありますけれども、これが国、県、市町村機関関係はすべて段ぶるいのふるいのメッシュは一・七ミリを使っているわけであります。ところが最近は、良質米をどんどん市場性を高めるために、品質をよくして供給したいというようなことから、農協関係のライスセンター等では一・八ミリから一・八五ミリのメッシュのものを使っているわけであります。消費者に安定した品質のよいものをということで、これは非常に安定した形になってきつつあります。穂発芽等がありますと、そういった面で最終的な収量調査の技術的な面で多少狂いが出てくるということもありますし、生産農家との間に少々矛盾を感じさせて、現実的な収量と作況が合わない場合がたまたま出たりしますとそういったことが指摘されるわけであります。もちろん、新しい品種の育種上の品質、形状等、これが課題でありますけれども、将来やはり統一すべきだと思います。この点についてはいかがでしょうか。
  57. 須田洵

    ○須田説明員 お答えいたします。  委員御指摘の点は、ふるい目の問題でございます。これは以前からもいろいろ論議のあることでございますけれども、御案内のように、玄米の選別に当たりましては、統計の調査におきましては一・七ミリの目幅のふるいを用いているわけでございますが、これに対しまして、今委員も申されましたように、農家等の実態におきましてはこれより大きいものを用いるというケースがふえていることは私どもも十分認識しております。ただ、委員も御承知かと思いますけれども農家等におきます実際の選別におきましては、例えば一・八ミリとかそれより上位のふるい目でもしやりましても、たっぷり時間をかければ別でございますが、通常はかなりふるい残しの問題が出るわけでございます。これは結構量的に大きなものでございまして、そのバイアスが一つあるということ。それから、ふるい下の米につきまして再選別をしまして、いわゆる自家用に供したり販売されるケースがあるというようなこと、我々も、この問題は従来から論議がございますので、それらを全体的に絶えず実態を、各地域におきましてもどんな状況かということを我々の中におきましてとらえるようにしております。そういうものから見まして、結果的に現在のものにおきまして主食用に供し得る米の収量ということで妥当なものじゃないかというふうに見ておるわけでございます。しかし、とかくいろいろ論議のあることにつきましては極力見直しの姿勢で臨めという近藤大臣の御指示もございまして、私どもとしては、この問題はそう簡単に直すとかということではない、非常に慎重な対応を要する問題でございますけれども現状のものでやりながら絶えず研究、検討を重ねるということが必要だろうということで、現在内部的な検討も始めておる次第でございます。
  58. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 ぜひこれも継続しての御検討をお願いをいたしたいと存じます。  次に、ことしの稲作作況、まことに予想外に悪いんではないか。今後の需給バランス、消費者に対する安定供給というものを今後どういうふうに予測しているのか、どのように理解しているのか。また、減反政策等の水田農業確立対策事業、これらについてどのような影響を与えてくるのか、大変心配をいたしております。この作況の予測がまず第一点。  続いて、さきの委員会でにせコシヒカリの問題が御法川委員から御指摘がございました。新潟県魚沼コシヒカリの問題でありますが、こんなことは二度とあってならない。食管制度の中で流通経路というものが複雑多岐にわたって、大体六段階ぐらいで消費者のもとに米が届く、どこにこういった問題があるのかということについてはさきの委員会でも詳しく説明がありました。しかし、この再発防止のためにどのような取り組み方をしてまいられたか。これは直接災害とは関係ないように見えますけれども、やはりこの需給バランスが災害によって崩れたときに、こういった問題で生産者のそしてまた消費者の不信を買うようではいけないんではないかという観点でお尋ねをしておきたいと思います。
  59. 京谷昭夫

    ○京谷説明員 ただいま御指摘ございましたように、にせコシヒカリ事件と呼ばれる事件が発覚をしまして、一部捜査当局の捜査を区切りをつけた部分はございますが、なお捜査は継続されておる状況でございます。  この事件、私どもいろいろな背景があると思いますが、詳しくはまた事実解明を待った上で私ども十分に検討し、対策考えていく必要があると思いますが、とりあえず私どもの認識としましては、にせものをつくるというふうな問題については商業道徳の問題として論外でございますが、やはり事実関係に即して的確な措置をとっていくという個別対応、そしてまた関係する流通業界の皆さん方指導を徹底していく、そしてまた食糧管理制度の的確な運営について十分な自覚を持っていただく、さらにまたこういった事態を誘発をする周辺の問題、例えばにせの袋の製造、取引形態というものについて関係者のしかるべきコントロールを要請するというふうな措置を現在とりつつあるわけでございます。  いずれにしましても大変遺憾な事態でございまして、その再発防止のためにただいま申し上げました措置を講ずると同時に、事実関係の解明を待った上で十分また検討して必要な措置を講じていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  60. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 この点については、食管制度上のあるいは食管法の施行規則上の自主流通米等の問題との関連があるならば、ぜひ前向きの御検討を加えていただきたい。その場合、食管制度の根幹だけはしっかりと守っていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  最後になりますが、今回の台風十九号までの被災に当たっては、農林大臣みずからそれぞれ大英断の御指示をいただいて心から感謝をいたしておるところであります。また、農林省御当局がこんなに迅速にまた熱心に取り組んでおられることに感謝をいたしたいと存じますが、何といいましてもこの果樹の、永年作物の改植樹勢回復、そのほか稲の原種圃場にまで大きな打撃を受けておるというふうに伺っておるわけであります。今後、良質米種子確保等に万全を期さなければならないだろうと思います。  その中では、やはり農家と一番信頼関係の深いのは末端の農業経営の相談役をやっている農業改良普及員です。第二次臨調以降いろいろ財政主導型で合理化をささやかれ、またその点についてのそれぞれの対応も幾らかなされてきているわけでありますけれども、私はやはりぜひ農林水産省として生産指導経営指導というものに力点を置いた普及員制度というものをしっかりと守っていただきたい。災害が起きたときに一番頼りにし、今後どうしたらいいかということを農家が飛びついていくのは末端の農業改良普及員なんです。本当に兄弟のようにみんなつき合いながら末端で生活いたしておりますので、後継者育成問題も含めまして、これについては時間がありませんから御答弁は要りません、どうかマンパワーの面で改良普及員というものを大切にしながら、日本の食糧問題、しっかりと守っていただきますように。  また、ガット・ウルグアイ・ラウンド等では本当に頭が下がる思いをいたしております。近藤大臣がこれほど熱心にガット十一条二項の規定についてしっかりとダンケル事務局長に申し上げてきたあの経過とけさの情報をしっかり私ども心に受けとめまして、どうか大いに日本の農業を、農村が崩壊したときに私は日本の政治というものも根幹がぐらつくのではないか、そう思いますので、しっかりやっていただくように、また日ごろの御尽力に心から重ねて感謝を申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。
  61. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  二田孝治君。
  62. 二田孝治

    ○二田委員 今回の台風十九号は各地に大きな被害をもたらしました。私、秋田でございますので、大抵台風というのは秋田まで参らないのでございますけれども、今回は特例で、大変勢力を保ったまま秋田沖から上陸をしてしまったというような状況でございます。その結果、家屋や施設、人命にまで及んだ大被害を及ぼしました。私の出身町におきましても、私どもの役場の人間が見回りに行っておりますうちに、何か飛んできたものに腹を刺されてとうとい人命を失った。各地にそんな状況が発生した、大きな被害をもたらした台風であったわけでございます。  その中でも、特に、ちょうど収穫期を迎えております農作物に対する農業被害というのが非常に深刻であった、このように思われます。現在まで判明した農林水産被害等に関する被害金額ももう既に七千億円余に達しておりますが、各地の被害状況が正確に把握されるにつれて、まだまだこの金額がふえていくのではないかなと思われます。最近の厳しい農業情勢に台風十九号はさらに追い打ちをかけたような感がなきにしもあらずであります。  このような状況を踏まえました場合、被害農林漁業者の不安感を一日も早く解消し、農業に対する次なる意欲を失わせないことが政治に課せられた大きな責務ではないか、こう思われるわけでございます。そのためには、農水省ではいろいろな支援措置が行われるわけでございますが、殊に天災融資法発動激甚災害法の早期の発動が急務である、そう患われます。この点につきましても特段の御配慮をお願いしたいと考えております。  そこで、今日まで農水省でおとりになりました御措置や、それから今般災害に対する今後の大臣の御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  63. 今藤洋海

    今藤説明員 今回の台風被害につきましては、果樹等農作物を含めまして全体で六千億を超える被害になっておるわけでございますが、これまで農林省といたしましては、金融対策といたしまして、いわゆる既往の貸付金の償還条件緩和でございますとか自作農維持資金融資枠確保等融資措置を、既に金融機関に対して指導しております。また、農業共済金の迅速的確な評価なり支払いの指導も行っておるところでございますが、特に果樹、野菜等につきましては、技術指導を徹底するということで各県の指導を行い、また専門家の派遣も既に行っておるところでございます。そのほか落下果実の利用体制の整備でございますとか施設園芸等の資材の的確な確保、そういったことにつきましても関係のところに要請をしておるところでございます。  今後は、今お話ございました天災融資法発動に向けまして、被害状況なり資金需要の的確な把握、さらには農地農業用施設等につきましての早期査定実施等について可能な限り迅速に対応してまいりたいと思っております。
  64. 近藤元次

    近藤国務大臣 災害が起きると、先ほども申し上げましたように、この災害被害激甚法に指定ができるか、あるいは天災融資法発動ができるかということが、災害救援に対してもあるいは被災地の皆さん方の最初に考えることだろうと思うわけでありまして、鋭意今日まで被害状況調査把握をしてまいりました。過去の災害を見ておりますと、昭和五十五年に冷害で七千億を超えだというのが一番大きな被害でありました。今日的には、今十月十四日をもって六千億を超えておりますけれども、まだまだこれから被害が、調査把握の段階では七千億は優に超えるのではないだろうかというふうに予測を実はいたしておるわけですから、いかに大きなものであるかということと、いかに広がりを見せているかということは、御案内のとおりであります。したがって、現行の法制度等の内容で対応できるかどうか、それにまた新たな問題が出ておるのではないだろうかということは十分予測をされますので、今後のまた新しい問題についての取り組み等、分類をしながら対応していく決意で実はございます。  いずれにしても、永年作物等の被害が実はございますので、農家の再生産の意欲を失わないようにして、国の食糧の生産体制をつくっていくということが私ども農林水産省の役割でありますので、十分な対応のできるようにしていきたいという決意で今対処させていただいておるところであります。
  65. 二田孝治

    ○二田委員 どうもありがとうございます。  御案内のとおり、十九号は瞬間最大風速が五十メートル、中には六十メートルも超えた地点もあったわけでございます。このような強風のために、殊に果樹にあっては各地で果実が落果して、もうちょっとたったら、秋田県では五万箱ばかり収穫しておったのでありますけれども、その収穫期を目前にしたリンゴ等が特に著しい被害に遭ったわけでございます。また、落果しただけではなく、果実の樹上損傷や樹木が倒れたり、それから裂けたり、そのほかに、雨を伴いませんでしたので塩害による被害等が発生しておるわけでございます。  御案内のとおり、果実はほかの作目とは異なり、永年性作目でございます。木を育て、実をつけて収穫する、それまで何年もかかるわけでございますけれども、本年産の果実の落果に加えて来年以降の生産の影響にも及ぶんじゃないか。葉っぱが枯れました場合、葉っぱだけでは終わらないのでございまして、来年は実をつけるかどうか、ミカン等もそうでございますけれどもリンゴ等の果実につきましてもそういう影響があるのではないかというふうにおもんぱかっております。  また、倒伏したり裂けた果樹園を復旧するには、植えかえをしていくというような新たな投資も必要となります。そして、植えかえした後、年月を非常に要する。このような被害の著しい果実農家につきましても、果実栽培農家が来年度以降もまた生産に意欲を持ってできるような対策を講ずることが大変必要なことだ、こう思うわけでございますけれども、これに対する当局のお考えはいかがでございましょうか。
  66. 上野博史

    上野説明員 果樹の樹体の被害につきましては、果樹の種類によっても違うところでございます。ミカン等によります場合には、潮風害による塩の被害というのもございます。しかし、ともかく全国、北から南まで非常に大きな被害を受けておりまして、私どもとすれば技術的な対応にまず万全を期す必要があるということで、指導の指針を各農政局を通じて徹底を図りつつあるというところでございます。  それから、先ほど来の答弁にもございましたように、果樹試験場果樹担当官から成ります技術指導チームというものを各地に派遣をして、それぞれの現地におきまして具体的な事例を前にして、災害に思った樹体の回復あるいは必要な手当てについての技術指導をしていくというようなことを今やっているところでございます。  また、植えかえ等の対応につきましては、既存の制度とすれば公庫資金等の融資制度があるわけでございますけれども、さらに被害実態の把握技術指導状況を踏まえまして、今後の果樹農業振興に資する観点に立って検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
  67. 二田孝治

    ○二田委員 次に、水稲の被害に対する救済対策でありますけれども被災農家関係者は、今回の災害に対しまして次のような点を要望したいというようなことを盛んに言ってきております。  一つは、今般の災害によりまして大量の発生が予想される未熟粒混入等の、先ほども質問にあったわけでございますけれども、規格外米について、自主流通米としての流通や政府買い入れなどの措置を講じ、円滑な流通を図っていただきたいということであります。二つ目は、災害により本年産の自主流通米の出荷実績が減少した場合に、これが来年以降の自主流通米の受託限度数量に影響を及ぼさないように政府としても特段の御配慮をいただきたいということでございます。政府におかれましては、今申しましたような被災者の切実な要請にどのようにこたえていこうとされるのか、その対応方針をお聞かせいただきたいと思います。
  68. 京谷昭夫

    ○京谷説明員 御指摘がございました災害等に伴う規格外米の発生についての対応でございますが、私ども、まず自主流通米としての流通につきましては、集荷業務を行う指定法人とも相談をして、基本的にはその流通の方途を講ずるようにしてまいりたいと考えております。それからまた、あわせまして、被害地域の実情に応じまして、政府買い入れの方途についても今後検討してまいりたいと考えております。  また、このようなことしの自主流通米の出荷状況いかんによりまして、来年の受託限度数量がどのようになっていくだろうかという御懸念があるやに聞いておりますが、これは基本的にはこの自主流通米の差配をします指定法人等が決めることになりますけれども、御指摘がございましたことしの災害の結果が不利な形で働くようなことのないように、十分関係者等、明年において調整、協議をしてまいりたいと心得ておるところでございます。
  69. 二田孝治

    ○二田委員 時間が近づいてまいりましたので、あと一点だけ質問させてもらいたいと思います。  先ほど畑先生からも詳細な質問がございました大分県ほどではございませんでしたけれども、秋田県でも森林被害というのは甚大な被害を受けたのでございます。被災された森林所有者は、突然の大災害に見舞われまして経営意欲を失ってしまうほどの大きな痛手を受けております。加えて、この被災地を緑豊かな森林復旧し、直していくためには、多大の資金と時間が必要とされることは言うまでもございません。森林は、水源涵養等の機能を初めとして、国土保全上重要な役割を果たしておることはもう御案内のとおりでございます。  そこで、今回の台風十九号等による被災森林早期復旧にどう取り組んでまいるのか、林野庁のお考えをお伺いしたいと思います。
  70. 小澤普照

    ○小澤説明員 今般の台風十九号等によります被害でございますが、大変激甚状況でございます。私ども、十月十四日現在の関係都道府県報告によりまして把握しておりますもので申し上げますと、森林被害や林地荒廃等、民有林、国有林合わせまして約千五百三十五億円ということでございます。  そこで、先生お尋ね被害地復旧の問題でございますけれども森林の機能を早期に回復したいというように考えておりますが、この復旧につきましては、その被害の程度によりまして、森林災害復旧事業あるいはまた治山造林等の一般公共事業、さらにはまた農林漁業金融公庫等の融資によります造林等がございますが、これらを効果的に実施いたしまして早期復旧に努めてまいる考えでございます。
  71. 二田孝治

    ○二田委員 時間がまだちょっとございましたので、先ほどの言葉を取り消させていただきまして、実は、水産関係につきましても大きな施設被害が発生しております。定置しておる網等が流されたりなんなりしたような被害等もあるわけでご一ざいまして、このような被害を含めまして大変甚大な被害があると聞いております。被災漁業者の救済被災施設早期復旧等を図ることは被災地域住民にとって切実な願いでございますので、ついては、現時点でどういうような対策をお立てになっていくのかお聞かせいただきたい、こう思います。よろしくお願いします。
  72. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 御案内のように、今回の一連の台風による水産関係被害も五百億を超えるというような、最近見られないような被害状況になっています。それで、私どもとしましても、被害が大きいと見られます長崎、広島、佐賀、熊本等につきましては、係官を派遣しまして被害状況把握に努めているところでございます。  また、被災漁業者等につきましては、実情に応じまして既往の貸付制度に基づきます資金償還条件緩和等の指導を行っておるとともに、漁業共済金の早期支払い指導等を行っているところでございます。  今後につきましても、漁港施設等につきましては、現地における準備が整い次第速やかに現地査定を実施いたしまして、被災施設早期復旧に努めることとしたいというように考えております。また、その他の漁業被害につきましても、被害状況を迅速的確に把握しまして、被災漁業者等に対する公庫資金や近代化資金の活用等につきまして関係機関と十分連絡をとりながら適切に対応していきたいと思っています。
  73. 二田孝治

    ○二田委員 どうもありがとうございました。  以上をもちまして質問は終わらせてもらいますけれども、農水省の災害発生時における早期の担当者の派遣、そしてまた今後のいろいろな対策にお願いを申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  74. 大原一三

    大原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  75. 大原一三

    大原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。日野市朗君。
  76. 日野市朗

    ○日野委員 今度の台風十七号、十八号、十九号というような一連の台風に見舞われまして、日本列島、ずっと大変な被害を受けたわけであります。それに対して農水省の今までの取り組み、非常によく取り組んでいただいて、これは多といたします。ただ、このような災害というのはこれから先が非常に大事なことでございまして、これからの取り組みも一層お願いをいたしたいと思うわけでございます。  一応台風十九号までの被害調査というものがずっと上がっておりまして、きょう当委員会でも報告をいただいたところでございますが、この被害報告を拝見いたしまして、非常に甚大だったことはよくわかります。それで、私ちょっと気になりますのは、こういう大きな被害になってまいりますと、これまでの被害は次官通達による被害報告要領に基づいて上げられていることであろうというふうに思いますが、ややもすると国の報告と県の報告、国の方は統計情報部等の調査によって上げてくるわけでありますが、国と県とのそういった報告の間に若干の食い違いが見られたりする例があるわけでございますけれども、これは被害を受けた自治体の報告というものを大事にしていただきたいということを私の方で要望申し上げておきたいと思います。こういう財政事情下にありますと財政当局の方からいろいろな注文がついたりなんか。することも考えられますが、私の方からそのことをまず要望として申し上げておきたいと思うわけであります。  この台風被害を見まして、これは非常に広範な場所で多くの被害を与えている、こういう状況を見ますと、私も非常に胸痛むものがございます。私も被害を受けられた青森県に行ってリンゴ被害などを見てまいりました。そしてその帰路、県庁に立ち寄りまして知事さんともいろいろ意見を交わしてまいりました。ちょうど議会が開催されておりまして、その議会に県の補正予算が議案として出されておりました。県としても非常に心配をされて補正予算の措置をとっておられたのでありますが、青森県における被害はこれからさらに拡大をするであろう、こう知事さんは申しておられましたが、あの貧しい県にとって何千万という単位での被害をこうむるということは非常に大変なことでございます。また、県の財政としてもその対策を立てるについては非常にお悩みのようでございます。こういう地方自治体の悩み、被災者はもちろんでございますが、県の悩み、自治体の悩みというものも十分酌み取った対応をお願いしておきたいというふうに思います。これは私の要望でございますから、もし大臣の方で御感想がありましたらひとつお聞かせいただきたい。  それで私、この被害を見まして実は、こういった農産物の被害ですね、こういった被災対応する我が国の法的体制というものが果たして十分なものなのであろうかというふうに非常に強く感ぜざるを得なかったところでございます。災害対策基本法を頂点とする災害対策一つのピラミッドのようなものが非常にからっとできているわけでございますね。そういう中で、ややもすればその被害対策に融通を欠くような場所がそちこちで出てくるんじゃないかというような感じがしてきております。リンゴとか山林ですね。特に杉なんかも随分被害を受けているようでありますが、こういったものは一朝一夕に旧に復するものではございません。こういうものに対して現在の融資の体制、また場合によってはこれは国からの補助金を出す必要なんかも出てくる場面というのは非常に多いのではないかというふうに思いますが、今すぐに、じゃどこをどう直せと言われてもなかなかすぐに回答が出る問題ではございませんけれども、このような法的な体系ができ上がる前に、それぞれの被害ごとに特別法などを活用しながら対応をしてきた時代というものの方がむしろ融通のきく措置がとれてきていたのではなかろうかなという感想を持ったわけでございます。この点につきまして、こういった災害に対する救済手段、現在の体系をずっと維持することはいかがなものかという感想を私は持っておりますが、大臣、もしこれについて何か感想をお持ちでしたらお聞かせいただきたいと思います。いかがでしょう。
  77. 近藤元次

    近藤国務大臣 今回の台風先生からもお話がございましたように、かつてない大きな被害でもございましたし、また風速においても、あるいは全国的に拡大をされておる連続的な台風であったというようなことと、また永年性作物が中心的にまた大きな被害があったり、また森林の折損などという伐期直前、収穫直前、こういう状況であるものですから、なお林業経営者にとっても農家にとっても被害というものが深刻になっているわけだと思います。  先生からお話がございましたように、制度に落ちこぼれがないかというような問題点等も実はございますし、そういうことがなくても、私も地方議会の経験者として、県単なり市町村単独事業というのがむしろ国の支援の前に迅速に行われたり、国の制度に相まって利子補給というようなものが地方自治体でも行われるということが現実にあるわけですし、単独事業については、特にこの問題というのは私はこの種の大きな被害になれば相当の財政負担になっていくのだろうと思うので、ちょうどそのことも、きょうは九州地域と数日後には東北地域に、自治大臣みずからが、現場を視察していただいております。大変自治大臣からの御苦労いただいていることにもまた私は敬意を表して、自治大臣自身も地方議会の経験者でありますし、そういうことで私は、十分御認識をいただいて帰っていただいたらまた御相談を申し上げたいと思っておるわけであります。  今の災害の制度でどうということの感じで、私も観念的にはわからないわけではないのですけれども、やはり一つの法律、制度というものが必要でもありますし、その基準というものもまた、なければならないし、とかくこういうものができると線引きのところの問題点というのは常に議論の対象になっていくことだろうと思いますし、また簡素、簡略にしますと、個別のことに説明がしにくいというくくり方の問題も一つは出てくるのだろう、こう思って、私も今次災害のときに担当といろいろやりとりをしながらも、若干のじくじたるものも実は持ちながら、現行法等可能な振り、こういう状況でありますので、対応していくように指示を実はいたしておるわけであります。  何はともあれ、今現行の制度の中で、私は、こういう災害が起きたときには共済と保険制度というのに国の財政も使いながら、関係者が加入率が極めて低いというここの問題点だけは何としてでも検討をしながらまず解消していかなければならないというふうに痛感を実はいたしておるわけであります。制度に問題があれば、制度の問題もまた私ども率直に検討の対象にしていかざるを得ない、こう思っておるわけでありますので、観念的なことは私も先生の言われること、理解はできますけれども、具体論までお答えをするという準備がございません。
  78. 日野市朗

    ○日野委員 やはりこういう災害に遭いますと、政治家としては、今私も申し上げたように、じゃ具体的にどうするということは今すぐに言えない、ただ、観念的には、やはりそういう感情を持つよというのは同じ政治家として共通する感情であるように思います。これはお互いに検討をしながら、ひとつこれから勉強をして何か解決がないものかということを探っていきたいと思います。  今自治省が調査、視察をしておられるというお話でございます。これはもちろん自治省のお仕事でございますが、交付税についてのいろいろな取り扱いそれから起債の認可などについて、自治省としてもいろいろ御配慮くださるものと私も思っておりますが、ぜひそこいらは自治省の方にも農林水産大臣の方からよく要望していただきたいもの、こんなふうに思っております。  今共済の話が出ましたので、先に共済の話をいたしますが、現在の災害対策、私がさっきピラミッドという言葉を使いましたが、その一番底辺のところは共済なのでございます。こういうふうにやりますよ、こういういろいろな手法は使います、しかし、最終的には共済で何とかする、これが基本的な考え方であるわけですね。しかし私、これも被災地における共済加入の状況をいろいろ報告をいただいて、本当に寒心にたえない。これでは、上の方にどんな立派な制度をつくったって、肝心かなめの共済のところがうまく機能しないのでは、上の方でどんなに努力をしてみても不満は残ります。これは共済に入ってない方が悪いと言えばその言い方も当たっているかもしれませんけれども、しかし、現実にこれだけ。正確な数字を今羅列することはやめましょう。  共済の加入率がこの程度にしかないということ、これは我々の方として、共済に入らない方が悪いと言う前に、なぜ入らなかったのだろうということを検討してみる必要があるのではないかと思います。これはその制度に問題がある、これは既に幾つか指摘を受けているところでもありますね。制度が面倒だとか、実際災害を受けても足切りがあったりなどして共済金が考えていたほどもらえないとか、掛金が高いのではないかとか、そういった話もございますし、また、実際、運用面でも問題があるようなこともいろいう言われるわけでございます。私さっきも申したように、共済がきちんと機能しなければ、そのピラミッドの上の段の方というのはどんなに、一生懸命努力してもなかなか満足してもらえないというような筋合いになるのではないかと思う。それで、共済制度をもっとみんなが加入しやすいようにこっちで検討を進めてそういう制度をつくり上げていく、また運用の実態もよく調べてみて、きちんと効果的に運用されていくような手段を考えていかなければならないのではないか、こんなふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  79. 川合淳二

    川合説明員 御指摘ございますように、農林漁業の共済制度の中で加入率が低い事業というのがございます。今御指摘のように、たまたま果樹共済あるいは漁業共済で申しますと漁獲とか養殖共済、それから森林国営保険などでも二八%程度という加入率でございます。この理由はいろいろあろうかと思いますが、制度の問題ももちろんあろうかとも思いますが、こうした制度、事業がそれぞれの農家考えているリスクあるいはそれに対する負担というものについての考え方が非常にバラエティーに富んでいて、それに的確に運営面で対応してないのではないかということも考えられるわけでございます。  こうした面で、農業共済でございますと、特定の災害を取り出してそれに対しての付保、あるいは漁業共済でございますと、漁協一括方式というようなことをそれぞれ改正してきているわけでございますが、残念ながら今御指摘のようにまだ十分な加入率になってないということでございます。制度としてはいろいろ私どもも工夫をし改善をしてきておりますので、先生の今の御指摘のような点、当然あろうかとは思いますが、もう一度この制度の普及ということにまず重点を置いて、その際には加入している人あるいは加入していない人の意見なども十分聞いてみたいというふうに考えているところでございます。
  80. 日野市朗

    ○日野委員 これは制度をつくり運営をしておられる方の方からお話しになるとそういうことになるわけですね。ところが共済に加入する側から見ると、何だこれでは入りにくいではないか、入っても余り有効に被害が埋め合わせがつかないではないかという感情がまず行く。ここのところの食い違いというものをもっと我々も謙虚に受けとめておかなければいけないと思うのですね。どうですか大臣、これはもう一度、加入率を上げる努力、これは当然しなくちゃいけない、しかし、六〇%加入している、これを八〇%にしようというなら加入の努力をしてみるということもいいのですが、長年やってきてみて十何%というような加入率ですと、これほどこかもっと別の努力をしなくちゃいかぬのじゃないかという考えに私はなるのですが、この共済制度をもう一度考え直してみる、検討を加えてみるというお考えはございませんか。
  81. 近藤元次

    近藤国務大臣 私も共済制度にそんなに詳しいわけじゃありませんけれども、現実、このような加入率で制度を存続することがどうかと周われかけてもいたし方のないような加入率だ、私はそう認識をしておるわけでありまして、当然のことながら共済制度についての検討はしてみたい、こう感じて実はこの災害対策にも当たっているわけであります。  いずれにしても、加入率が高まっていくことによってまたいろいろな加入者に対するメリットもあるわけでありますし、またその災害というのが大体決まった地域に特に起きてくるということもあるので、多発地帯と多発地帯でないところの差をつけるとか、共済制度というよりも農林水産省全体としてこの制度の支援をどうやっていけるかということも含めて、もう一度、魅力のあるものにして、そして安心していけるという、最終的には私ども災害復旧すれば、個人というよりは、やはり最終的の個人の災害救済というのは先生御指摘のように共済というものが役割を果たしておるわけでありますから、そういう意味での意味合いを含めてこれは災害対策の一環としての共済制度というものがどうあるべきかということは一度検討してみたい、そう考えております。
  82. 日野市朗

    ○日野委員 天災融資法とか激甚災害法の発動については、これはもう思いは同じでありますから、何も申し上げません。とにかくここらは十分に頑張っていただきたいと思います。  それから、一つ、このような災害の場合よく使われる自作農維持資金の問題がございます。これは非常に被害の範囲が広いということから枠が非常に窮屈になってきているわけなんで、さてこれがどのくらい使えるものかなということを感ぜざるを得ないので、この枠の拡大というのはぜひお願いをしておきたい、ぜひここの点は頑張ってその資金の裏づけをしていただきたいというふうに思うわけであります。これは激甚被害を受けたところについては、これを活用してできるだけ多くの資金が使えるようにしてあげていただきたいというふうに思います。雲仙・普賢岳の場合は三百万までというようなことをやった前例もございますし、それから三陸の冷害のときには二百五十万までというような特例を使ったときもあるわけでして、今度も非常に被害激甚地域については特例を使ってできるだけ出せるような措置をひとつ講じていただきたいというふうに思うのですが、いかがでございましょう。
  83. 海野研一

    海野説明員 自作農維持資金についてでございますが、自作農維持資金は、ただいま先生おっしゃったような全体の体系の中でほかのいろんな特定の目的を持った制度でカバーされないいろんな、何といいますか、災害によって起きた資金需要、それに対処しまして、当座の立ち上がりといいますか一時的なつなぎといいますか、そういうものに使えるようにしてある資金でございます。  それで、現在のところ自作農維持資金の枠は二十四億ということになっておりますが、これは大きな災害が来れば、大きな災害のときにそれに応じて特別枠を設定するということが従来も行われておりますので、その道がございます。さらに、さっきおっしゃいましたその一人当たりの枠でございますが、これは現在は百五十万ということになっておりますが、これは大きな災害が来る、さらに連年災で既に枠がないとかいうようないろんな要因が出てまいりますので、その場合に特別の限度の引き上げということも先生今おっしゃったようないろいろなケースで行われております。  現在、資金需要を調べているところでございまして、その資金需要に応じまして円滑な融資ができるようにしてまいりたいと思っております。
  84. 日野市朗

    ○日野委員 では、今度は個別の地域災害について若干伺わせていただきます。  果樹が非常に被害が多かったというのが今度の災害の特色でありますし、特に青森リンゴが注目されたところであります。この青森リンゴ落果したもの、これは本当に地を覆って死屍累々というような感じで落果しておりますね。また、木についているものも、風でもまれて非常に傷んでいる。これは本来高級品をつくってきたが、高級品としては役には立たないのではないかというような感じがするわけでありますが、このリンゴ落果それからきずもの、このようなものをどのように活用していくかということについての農水省の指導の方針についてお聞かせいただきたいと思います。
  85. 上野博史

    上野説明員 落果リンゴ落下果実につきましては、農家所得を確保するという観点からできるだけ生食用なり加工原料用、生食用に使えないということならば加工原料用に有効に使うということは当然のことながら肝要だと考えておりまして、私どもといたしましては、農業団体や加工業者等に彼災農家要望に沿って積極的に対応するように協力を依頼している、既にそういうような通達などを発出した次第でございます。また、団体の関係におきましても、特に生食用に利用がされるように大いに意欲的に対応するという姿勢を示しておるわけでございますけれども、そういう団体などからも荷受け業者等に対して大いに生食用で販売をしてほしいというような協力を積極的にやっていただくように、これについても我々からまたお願いをしている次第でございます。
  86. 日野市朗

    ○日野委員 加工用ということになりますと、青森だとジュースというようなことがございますが、どうも処理能力をかなり超えた落果がございますし、それにジュースそのものが、これは外国からもどんどん入ってきているわけでありまして、その消費との兼ね合いからも、さあどういうものかというような感じもいたします。これはどんどんジュースに加工した場合、それの調整保管ということまでお考えになれますか。
  87. 上野博史

    上野説明員 調整保管の問題につきましては、落果リンゴがどれぐらい果汁用に回るのか、特にふじの晩生種でございますけれども、まだもう少し熟度が上がるのに時間がかかる、その段階で落ちたというようなものについては、これを果汁用にどこまで利用できるのかということが今の段階では必ずしもはっきりいたしておりません。そういうことで、全体としてのリンゴ果汁の供給量がどうなっていくのか、それがその需要との関係でどういうようなバランスの問題になってくるのかということが今の段階でははっきりわからないわけでございます。  それからもう一つは、果汁の品質の問題がございまして、きのう私、たまたま現場で現地から送られてきたものを試飲したのですけれども、なかなかいいように思ったのでございますが、全体としてどういうような品質のものが出てくるのかということも、今後の需給関係を見る際に重要な要素じゃないか、かように考えるわけでございます。  そういうことをあれこれ見きわめました上で、果汁調整保管が要るかどうかということの判断が出てくるのだろう、こう思っております。ただ、いずれにいたしましても、大変多くの量が出ている、落果リンゴの量自身は非常に大きいということから、果汁調整保管が要る可能性がかなりあるということで、これに対応するための必要な準備を進めているという状況でございます。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  88. 日野市朗

    ○日野委員 最後に一言だけ。調整保管準備ありということですね。——はい、今うなずかれたようでありますから。では終わります。
  89. 穂積良行

    ○穂積委員長代理 田中恒利君。
  90. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 ことしは台風が大変来た年でありまして、私ども九州、中国、四国というのは台風の常襲地ですからそれほど驚かないわけでありますが、今回の十九号台風については本当に目を覆うような惨状があるわけでありまして、大変心配をいたしております。  そこで、先ほど来、各委員先生方が、災害になると必ず出てくる天災法、激甚指定、この二つは今日本の被災関係団体、県、市町村挙げて国会に対して注目しておる点だと思うのです。私は、天災法にしても激甚法にしても、これはやるだろうと思っておりますから余りばたばたしない面もありますけれども被災者の諸君や市町村は、これはやはり国がどうしてくれるかということのあらわれとして見詰めておることは事実なんですよ。だから、できるだけ早くこれをやってもらいたいと思うのです。  そこで、従来の経緯からいくと、これに二カ月かかるわけでありまして、まだあと四十日ほどかかるということでありますし、災害の実相の把握というのが、それはなかなか大変だと思うのです。ぴしっとしておったら、なかなかそう簡単に整うものじゃありません。特に、今度の災害は、後でまた申し上げたいと思いますが、特殊な性格を持っておりますから、一カ月や二カ月で全体の概要がそんなに把握できるというような状況ではないと私は思うのです。そういう意味でこれはできるだけ早くやらなければいけないので、そのためには天災法の発動、それから激甚指定というものはやはりある段階でやって、あと若干取り残されて追加されるものが出てきてもしょうがないじゃないか、こんな気もいたしておるわけでありまして、その辺の点について大臣がどういうふうにお考えになっていらっしゃるのだろうか、私はそのことをちょっとお尋ねしたいのですよ。  それで、農林の昨報の統計資料というのが農林省の場合やはり基準になるんだと思うのですが、今まで出ておる資料を見ると、大体市町村、県から来ているものを集めているのですね。それは十日か一週間ごとに一千万か二千万ぐらいはね上がりよるわけです、今。だから、確かに数字把握するというのはなかなか大変なようですが、大体災害はいつでも同じでありますが、団体関係のものはぼんとたくさん出るのですね。それから県が少し落ちる。農林省昨報がそれから落ちる。こういう仕組みになっておるのでありまして、そういうことではなかなか実態の把握も難しい面が非常にあると思うのです。いずれにせよ、やはり早くやるために一定の期間を置いて、従来二カ月でやっておったのを四十日にするなら四十日くらいにめどを置いて、そういうところで一遍区切ってみる、こういう考えがあるかないか、ちょっとお尋ねします。
  91. 近藤元次

    近藤国務大臣 午前からずっとお答えをしてきておるところでありますが、災害の発生する被災地においては、復旧のためには激甚法の指定になるか、あるいは天災融資法発動するかということが一番関心事であろうかと思います。  今委員から御指摘のように、今まで過去の発動の経過を見ますと、一番早いときで五十日ないし六十日というのが大体過去の発動の経過でありましたけれども、今般の災害は大変大きな災害でもありますし、深刻な災害でも実はございます。十月十四日の農林水産省調査把握している分についても六千億を超えておる状況でもございますし、昭和五十五年の近年最大の被害も七千億ということですから、これをはるかに超えるものであろう。そういう現状の段階において、天災融資法は、資金需要というのがまた一つ問題になるものですから、可能な限りその資金需要を早急に把握をして、私自身天災融資法発動するという方向で今対応いたしておるわけであります。  激甚指定につきましては、これまた被害総額からいっても過去の経験からいっても激甚指定になり得るだろう、こう思って、これは国土庁の所管でございますけれども、我々はつぶさに現状把握の段階を国土庁協議をいたして、できるだけ早く激甚指定になるようにということで協議を続けておるところでございます。
  92. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 大臣、それでこれは確かに六千億、七千億超えますよ、どう見たって。私はやはりひょっとすると一兆円に近く迫っていくのではないかというような気もするのですね。大体天災法というのは一割、三割、五割以上、こういうふうに分けて金利をやっておりますね。もうそれを完全に超えておる町村がたくさん出ておるわけですよ。これは国土庁だが、この間国土庁長官にも申し上げたが、そういうところは早くやったらいいじゃないかと申し上げているわけですよ。天災法というのは完全に、この災害地帯と称するところは県を指定するわけですから、県がそれに基づいてやっていくわけでありますから、大体おぼろげながらわかっておると思うのですね。それが数字はぴしゃっとおさめないといけないというのは官僚的なしゃくし定規だと思うのですよ。そこを早くやる。ということが、今この農村では大変な状態にあることはもう言うまでもないことでありますし、そういう事態の中で考えてやるというぬくもりがないと農政が生きてこないと思うのですよ。そういう意味で、私はできるだけ早く、場合によれば最終決着、数字は従来の経緯でいって出なくても考えてみるという方法で努力をしていただくことを特に強く要望しておきたいと思います。  今度の災害は、もう御承知でありますけれども日本列島全部を走った。雨がない、風が非常に強かった。私ども地域では三ミリから大体六ミリ、九ミリくらいしか雨が降っておりませんね。風は灯台の風速計が大体五十二メートルくらいで切れるわけですが、ほとんど振り切れております。私のところの伊方に原子力発電所がありますが、ここの風速計が五十二・六メートル刻んでそれから切れております。あれを見ると、七十メートルと言う人もあるが六十メートルに近い風が吹いておるのですよ、岬半島の、九州と接近するところでありますが。そういう風が、つまり高潮を生み高波を生み、大変な速度で海水を運んで、私の愛媛県はミカンの地帯でありますが、海岸線一帯全部ミカンであります。このミカンの園に、風に潮が乗ってしまったわけです。だから、私たちの町では干し物の竹ざお、あそこに塩がざあっと出てきよったわけですよ。そういう状況台風でありまして、つまり塩害とよく言われておりますが、塩の害であります。しかも、それはミカンの木を実は傷めておるわけであります。この木がどうなるかということが実はわからない。専門家に聞いてもいろいろな意見があってはっきりわからない。何か芽がぼつぼつ出ておりますが、この芽が十一月、十二月、一月、二月というだんだん寒くなってくる時期に乗り越えられるかどうかということについて、専門技術者が、どうもはっきり自信は出さないのですね。  そういう意味では、言えば、この災害は西日本では果樹、特にミカンが大きな対象になっておるわけでありますが、これの決定は来年の三月か四月じゃないと確定は出てこぬということも事実だと思うのです。農林省農林省樹体被害の何か計算法を持っておるようだが、県は県で持っておるのでばらばらでしょう、これ。だから、出てくるのは皆違うわけです。私のところの青果連は、ミカンの減収なり品質低下のものが今の段階で百七十億、それから樹体が百五十億、三百二十億、こう言っております、果樹だけで。ところが、県の調査を見ると、県は樹体は三十億だと言って、大分違うのです、五倍くらい。やはりこれは計算の根拠がさまざまで、平均してないのです。そういう点をいろいろ言ってもいけませんが、そういう樹体をどういうふうに維持していくかという問題が、これから春先にかけて当該地域では非常に大きな問題になると思うのです。その点について、農林水産省の担当部署では、これについてはどういう考えで臨まれるお考えか、ちょっとお聞かせいただぎたいと思います。
  93. 上野博史

    上野説明員 今回の台風は、ミカンの関係でいいますと、各地で潮風害、塩の害を受けておりまして、これの樹体損傷をどういうふうに回復をしていくのか、当面どういうような手当てをするのがいいのかということについて、私どもとしての考え方を地方農政局を通じて末端に示してはおります。  ただ、先生お話ございましたように、必ずしもこの塩の被害について十分な知識があるというわけでもない状態でございまして、今般四チームの専門家現地に派遣をいたしまして、現場において実態に即した対応の仕方を研究しながら、現場に直接関与していく普及員等にその対応ぶりについて指導していくということでもまいるわけでございますけれども、そういう専門的な技術者の目から見ても、なおこれから先の問題として解決をしていかなければならないところがあるというふうに我々も聞いております。しかしながら、例えば今先生お触れになられましたように、秋芽を大事にしていかなきゃならないというような基本のところはしっかりあるわけでございまして、そういうところを、まず基礎的なところからでも農家の方にしっかり対応していただくように指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  94. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それで、現地一つ非常に心配しておるのは、苗木、改植をしなければいけないところは、現にだれが見てもはっきりわかっておる。それは苗木の植えかえをやる、その苗木が確保されるかどうかということを一つ非常に心配しております。     〔穂積委員長代理退席、金子(徳)委員長     代理着席〕 これについて農林水産省としては早急に対応していただきたいと思うわけでありますが、どういうお考えか。  それから、今言われたように、生きるか死ぬかわからないということがどうも一般的な結論のようなんだが、芽を守っていくための技術的な方策、これは昔からいえば、昔我々のところでもこもなんか、わらを木に囲んで、丁寧なことだけれども、そういうことをやったが、近ごろは寒さを防ぐネット、ああいうふうなものもありますが、あんなものがだんだん求められてくると思うのですよ。そういうものの需要関係に対しても対応しなければいけませんが、いずれにせよこれは特別な対策を強化しなければいけないわけですが、そういうことについてはあなたのところでもいろいろ検討されておると思うのだが、ひとつ早目にそういうふうな方策を示していただきたい。  それから大臣、これは特別な災害なんで、できれば何か別途な特別の援助対策といったようなものはこういうことについては考えられませんか。これは団体それから県、市町村それぞれやりますよ。私のところの県なんかもうおっ始めておりますから。どれだけやったらいいかということがわからないから、愛媛県は大ざっぱな予算を四十二億ほどこの間補正で組みましたが、組んでくるわけですが、国もそういうものの水を大きく出させるというような意味で何か特別な補助事業をこういう問題についてやる考えはありませんか、あるいはこれを検討していただくわけにいきませんか。
  95. 上野博史

    上野説明員 まず最初の苗木の問題でございますけれども、これにつきましては、果樹の種類によって大体間に合うのじゃないかと思われるものもあれば、どうも県間調整みたいなことをやらないと十分な手当てができないのではないかと思われるものもございまして、ミカンは後者に該当するわけでございますけれども、私ども既に各都道府県に連絡をいたしまして、そこら辺の需要の状況把握し、必要な苗の県間融通を図るように手配をいたしたところでございます。  それから、各種の資材の関係につきましては、今これから派遣しようといたしております専門家チーム等の現地での対応等の結果を見たりしながら、あるいはまた今後各都道府県から上がってくるいろいろな要請等に対応いたしまして、できるだけ対応してまいりたい、かように考えます。  それから、最後の、樹園地の回復といいますか、樹体の回復、そういう関係につきましては、今私申し上げましたような現在講じております現場段階でのいろいろな指導、そういうものの状況を踏まえまして、今後の果樹農業振興に資するような観点から検討してまいりたいというふうに考えております。
  96. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いろいろなことをやっていただきたいのですが、それでも結局だめな樹園地が、今度の場合は、リンゴも含めてでしょうが、果樹の場合は特にたくさん出てくるような気がいたします。そういう園地をどうしていくかということについて、大臣は先ほど与党の先生方の質問に対して、今の災害の枠の中ではやれぬな、問題がありはせぬかといったようなこととか、長期的な展望という言葉をよく使われているわけですが、特に果樹についてはということがまくら言葉にもなっているわけですが、こういう災害を契機にして、一口で言うたら百姓はやめるというのがほとんどなんですよ、今は。それをどこまでとめていくかというところが精いっぱいではないかと思うのです。そして果樹園自体が、今言ったようにいろいろやったけれどもだめだという園が相当出てくると思うのですよ。そういうところに対して、何か新しい農政として、二十一世紀に対する農業政策の方向づけということを検討されておるわけだが、新しい農政の路線として、そういうところに、我々のところからいえば近代的なミカン園というものはこういう形のものであってしかるべきだというようなものを出すべきじゃないかと思うのです。  それから、できれはこの災害で皆さんが少しでも所得が欲しい、恐らく東北中心に出稼ぎが相当ふえると思いますよ。私も出稼ぎの組合の世話も若干しておりますが、傾向としてはもう大分年をとってきておるから、主人は年寄りでもう使い物にならぬということでお嫁さんが行く、こういうケースもだんだんふえよるわけですよ。私ども地域は最近仕事があるので出稼ぎがちょっとやまっておったのですが、できるところは出ていくという可能性が非常に強いわけでありまして、したがって、そういう意味ではやはり金だな。事業を通じて所得をその地域に落としていくという考えを、この際考えたものと組み合わせれば一番理想的だと思いますが、そんなにうまくはいかないと思います。かつて救農土木事業というものをお互いにやっていただいてやりましたね。ああいう状態にはいかぬと思うが、やはり基盤整備だと思うのです。基盤整備ですよ。果樹園地の基盤整備をこの際思い切ってやっていく。そうすると省力化の、機械化の問題を初め、こういう災害に対して強い、防風林なんかの問題、それから水利の関係、そういったようなものをやれるし、あるいは、これは全く私の個人的な考えですが、第三セクターのようなものをつくって農協などがオペレーターを持って、機械を持ってそして指導していく、それに中核の農民が加わって事業を始めるというような形で、事業費などもできるだけ労賃のような形で落としていく。こんなことを組み合わせたような新しい、やはり二十一世紀に対応できる果樹経営方向づけを示すような施策が、こういう園に対しては積極的に組まれてしかるべきではないか。もちろん国は金が要りますけれども、そんなことを実は考えておるわけでありまして、こういう問題もこの際本省の方では本格的に何かプロジェクトチームか何かでもつくって検討していただきたい、こんなことも考えておるわけでありますが、何か御意見があったらお聞かせいただきたいと思うのです。
  97. 近藤元次

    近藤国務大臣 委員が今御指摘のように、災害復旧は原則は原状復旧というのが原則でありますけれども、今回のような特別広範囲にわたっての被災でありますので、私はそうでなくてもかねがね、被災をする原因があったんだから原状復旧よりは改良復旧ということを念頭に置いて対応していくことが正しい対応ではないかな、それが災害援助で全部見られるかどうかという問題点は残りますけれども、改良復旧という視点に立ってやってほしい。  それから、緊急に農政局会議を開いたときにも私の方から特に指示をしておきましたのは、現行制度対応できないからということで現地でその対応を拒否することのないように、自分で理解と納得のいくことは本省まで対応についてすべてを上げてくるように、そしてその制度改正なり、あるいは対応ができ得るかどうかという判断をやはり本省において行わなければ、現状の法制度というものしか対応できなくなってくるものですから、そのことも特に指示をしておきました。  あわせて、今のような先生のおっしゃるようなことができ得ればいいんですが、今本省の陣容の中で、これだけ広範囲に起きておるそれぞれの地域において将来の二十一世紀型というものができ上がるかどうかということになると、かなりの時間を要することになるわけであります。私も今委員お話のようなことは実は望むところでございますので、そういう面ではなお農政局、県を通してこの機会に、災いは起きたけれども、しかしそれが将来にわたって福となるような復旧対策というようなものができ得るかどうかということを考えられることであれば考えてほしいというようなことは、通達なり連絡を申し上げて、それぞれの地域でひとつお考えをいただくということであれば可能かな、こう思うわけであります。  あわせて、今私が申し上げた一つの点は、今まで改植事業というのは果樹について災害対策の中では融資という形で一部取り上げられておるわけですけれども、今回のような樹体そのものが折損をするとか倒伏をするとかあるいは打撲を受けるとか接触をするとか、そういう樹体そのものの問題について今後の果樹復旧について我々が検討していく新たな一つの課題だ、こう認識をして今詰めておるところではありますけれども、いずれにしてもその種のものはやはり専門家が判断をしなければ、農家自体が判断をしにくいようなものが実はございますので、従来になかったことではありますけれども、技術者団を各班に分けて、四班に分けて、それぞれの地域技術指導がまずできる、技術判断ができる、こういうようなことで実は今派遣を準備をしたところでございますので、そういうものの報告等を全体掌握した中で対応していきたい、そう考えております。     〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いずれにせよ来年の春まではやはり木を守っていくという立場で技術指導その他早急に実施すべきことをしていただくということに力を注いでいただかねばならないと思いますが、それに関連して、もう時間がありませんから概括して申し上げておきます。  一つは金融の問題であります。いろんな金融処置が求められておりますが、先ほど来お話があった自作農の維持資金なんというのは非常に便利だからいい。借る方から言いましたらいろんなものに使えますし、据え置きもあるし、償還もあれば二十年か二十五年ですね、非常に有利だということで求められておりますので欲しいし、今度の場合は果樹の植栽資金に対する期待も恐らく大きくなると思うのです。  ただ、これ、ちょっと私前から思っておるんだけれども、金利ですね、金利。最近の傾向としては少しずつ市中金利も高くなっていく、それに伴って災害資金の金利も少しずつ高くなっていく、こういう形になっておりますね。私は災害資金の金利が市中の金利動向によって左右されるということはどうかなという気もするわけでありますが、公庫資金なんかも利子補給の関係などだと思いますから、若干この金利を下げていく。果樹植栽資金なんかは五%ですから、そんなに安いとは言えないんですよ、あれ。六分からの金利といったら、二十年も借ったら借ったのの倍以上払わなきゃなりませんよ。だから、やっぱり金利をできるだけ抑える、今の金利動向に必ずしも沿わなくとも少し骨を折ってみる必要があるんじゃないかということが一つ。  それから、今もいろいろ出ておりましたが、ジュースですね。特にミカンの場合は(私どもの県は落果をした果実は全部農協のジュース工場へ運んで毎日やっておりますからもうフルに回転しておりますが、ジュースの需給の問題もあるでしょう。ありましょうが、日本の果樹の将来を考えた場合に、ジュースの体制をしっかりしてくれなきゃだめですよ。私はこの委員会でも何十回かそのことを言ってきたと思うのですけれども、どうも農林省は、ジュースはあきらめた、生で勝負という形が強いようですけれども、しかしいつの時代でも三分の一くらいは底値としてジュースとして存在するのですよ。だから私は、今のジュースの価格支持制度も含めて根本的に考えてみなければいけないという面がたくさんあると思うのですが、それはそれとして調整保管の問題はやるという方向でということでありましたが、ぜひこれはやってもらわなければいけないと思うのです。  金の問題はいろいろあると思うので、これは中央果実安定基金、あそことの関連はやっぱり考えるべきですよ。あれは国が半分、そして県と農家というか団体が半分ずつ持っておると思うのですけれども、ああいうところが本格的に果汁の農政を築くために、こういうときにはやはり使わさないかぬ。機能を結びつけなければいけませんよ。そんなこともお考えになっておるんだと思いますが、ぜひそれ在含ませて果汁調整保管をやっていただきたいと思います。  それから、災害果樹の等級ですね。これは流通局が今農産物の流通の規格、等級問題を検討しておるというふうに聞いておるのですが、それとは別にしても、何かもう少し簡素化をしていいんじゃないですか。特にことしの災害状況からすると、そんなに従来のようにMとかLとかたくさん細かく分けて、そして農家がとってきたのを一々——今はミカン山へ行くのは嫌だと言って行かぬのですからね、みんなは。区分けをしてやれなんて言ったって、もうやる気がない上にそんなうるさいこと言ったってだめだと思うのですよ。だから、何か災害については、災害に面した一つの型、類型ができていいんじゃないかと思うのです。私どもは、この間愛媛県の青果連と東京を中心とした荷受け会社の諸君と話し合いをしましたよ、生産者が。千人ぐらい生産者が集まって、荷受け会社も二百社ぐらい来ておった。そういう中でもやはりそういう意見は出てきておるわけであります。だからことしの場合は、腐ってきずもの以外は、生で出るものは売ってもらえばいいわけでありますし、ジュースにしてもそれなりの一つ対応の仕方があると思いますので、ひとつそういう規格なり等級の問題についてもできるだけ簡素にやれるような方向考えてもらないということを申し上げておきたいと思います。
  99. 川合淳二

    川合説明員 自創資金果樹植栽資金の貸付利率の話がございました。先生御承知の点でございますけれども災害資金ということで通常よりはかなり低い水準で設定されておりまして、これ自体の金利を動かすということはなかなか困難なことであるというふうに考えておりますけれども、今回の災害で、先ほどもお話がございましたように、果樹の植栽などを行う場合には、例えば優良品種の改植とか営農改善とかいうような観点からやりますとすれば、公庫資金あるいは近代化資金など幾つかの資金がございまして、こういう資金の利用を含めて実情に応じて適切な利用を図るということも考えられると思いますので、そうした指導を私どもはしたいというふうに考えております。
  100. 上野博史

    上野説明員 ミカンの果汁向けの場合の調整保管の問題でございますけれども、これについては落果のミカンをできるだけ有効利用する方法として加工用というのがあるわけでございますが、ただ、ややリンゴの場合と違いまして、私聞いている限りのことでございますけれども、ミカンについては落ちてから余り長く保管をしておくというわけにはいかない。したがって、加工能力との関係やなんかがあって果汁向けにどこまで回せるかという辺の問題があるというようなことが一つあるというふうに聞いておりますし、それから、ミカンの生果用の生産量というものがさほど多くないというような事態になってまいりますと、ジュース向けの量というのは減ってくるという関係になろうかと思うわけでございます。したがいまして、果実仕向け量がどれぐらいになるのかということについてはこれから様子を見てまいりたいというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても果汁の今後の動向いかんで調整保管の問題は考えてまいりたい、かように考えております。  それからもう一つ、規格の問題でございますが、規格につきましては、これは生産、流通関係者の合意のもとに統一的な標準規格というものが国の指導によって決められておるわけでございまして、それをもとに県が具体的には決めているということでございます。この規格は市場流通の一定の安定的な基準として定着をしているわけでございまして、こういう被災状況があるということではございましても、ミカンの流通の安定的な確保を図っていくという意味では定着をしたものをそれに従ってやっていくということの方がよろしいのではないかというようなふうに今我々としては考えているところでございます。
  101. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 終わります。
  102. 大原一三

    大原委員長 鉢呂吉雄君。
  103. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私の持ち時間は二十分でございますので、質問を羅列する場合もあると思いますけれども、簡潔に御答弁をまたお願いしたいと思います。  まず大臣にお伺いをいたします。  ガット農業交渉は重大な局面にあることは御案内のとおりでありますけれども、国境措置を関税に置きかえる、いわゆる関税化を原則とする大枠合意の公算が強まっているというふうに言われておりまして、先般も大臣はダンケル事務局長とお会いをしたと思いますけれども、ダンケル局長の素案に原則関税化が盛り込まれる、その可能性が強いというふうに言われております。現段階では大臣はこれをどのようにつかまえておられるのか。  また、各国がこの国境措置について原則関税化ということに傾き、この素案も原則関税化となった場合に、日本としてどのような対応をするのか。選択肢が幾つか残っておるというふうに思いますけれども、この関税化を拒否をしていくのか、あるいはまた新たな対応をとるのか、あるいはまた原則合意の中で例外事項ということで食糧安全保障論を組み込んでいくのか、この点についてお伺いをしたい。あるいはまた、このダンケル素案というものが最終的なものなのか、たたき台のものであるのか、その点についてもお伺いをいたしたい。  十一月の上旬にも出るというような状況でありますけれども、我が国は御案内のとおり総裁選挙でありまして、私は、この重大な局面でありますから、近藤大臣はむしろ再任、留任をされてこの難局に臨むべきである。きょうは自民党席はほとんどいませんから我が野党が拍手するぐらいでありますけれども、ぜひそういう形で臨んでいただきたい。留任を前提として近藤大臣に答えていただきたいと思います。
  104. 近藤元次

    近藤国務大臣 私が留任しなくても、継続性のものですから次の大臣も恐らく国会決議あるいは政府の方針に従ってやっていただく、こう思っているわけでありますが、まあそのことは別といたしまして、来月初旬にダンケル・ぺーパーが出てくるということは本人自身も発言をしておるようですから、そのペーパーがいかなるものかということを今予測はいたしかねるわけでありますが、私がダンケル事務局長にお会いをしたときにも、日本としては少なくとも生産調整をしておるものは関税で対応するということは困難で、不可能であります、このことを三度にわたって私の方からそれぞれ申し上げてまいりました。  しかし、ダンケル事務局長は、農業ということではないが、ガットというところは原則関税である、こういう話が実はございました。前段、農業だけではないということと、原則関税という表現でありました。私は、短期的な関税であっても最終的にはだめでありますということを申し上げて、むしろ基礎的食糧というようなものが、安全保障ということが今まで中間合意にも盛られてきたところでもありますし、基礎的食糧を日本が提案しているのですから、基礎的食糧という日本の提案というもの、定義というものをもっと議論してもらわなければ困りますよ、全く議論していないじゃありませんかと。これと輸出補助金について、三つの分野で輸出補助金というのが一番国内支持にも国境措置にも影響してくることでありますから、この輸出補助金の部分はひとつ先行して議論していただきたいということを実は申し入れをしてきたところであります。  若干の基礎的食糧の議論と輸出補助金についてはかなり精力的にやっているようでありますけれども、きょうから始まって明後日で大体技術レベルの会議が終了いたすわけであります。私どもは日本の主張というものが反映されたダンケル・ペーパーが出されるものと期待をいたしておるわけでありますけれども、仮にすべてが、原則という文字も取られ、そしてすべてが完全な関税だということになれば、私ども受け入れるわけにはいきません。そういう私の心境で実はございます。  ただ、どのように対応するかということは、出てこないペーパーについて今ここで私が予見として話をするということはいささか差し控えをさせていただきたいと思うわけでありますけれども、関税化ということになれば日本は受け入れられませんという対応はしていくつもりであります。
  105. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 関税化が出てきたときには拒否をするという御答弁だというふうに受けとめます。  また、ガット農業交渉において十一条二項(c)の問題が、その強化ということで今日まで協議をされてきたと思いますけれども、昨年はその方向について、カナダですとかECの賛成も得る方向にあったというふうに私ども局長答弁も聞いておりますけれども、現段階におけるこの十一条二項(c)の交渉の状況についてお伺いをいたしたいと思います。
  106. 川合淳二

    川合説明員 十一条二項(c)の明確化につきまして我が国が提案しているわけでございますけれども、ガットの農業交渉におきましては、この点について議論は行われているわけでございますが、必ずしも明確な筋道というものが出ているわけではございません。  今御指摘のように、カナダあるいはオーストリア、あるいはフィンランドというような北欧の国などは、この十一条二項(c)に関しましては我が国と立場をほぼ同じくするわけでございます。ECは御承知のように輸入国というよりも輸出国の性格も持っておりますので、この十一条二項(c)につきまして、例えばカナダなどと比べますと若干違う態度を持っているところがございます。  しかしながら、生産調整と絡めた上でのこの十一条二項(c)の必要性というのはECも認めているところでございまして、ともすれば関税化というものが主要議題になりがちでございますので、十一条二項同について十分な方向性というものが必ずしもまだ議論されておりませんけれども、現在の各国の状況は以上のようなところだというふうに把握しております。
  107. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、私は時間が短いのですけれども、今年度の生乳生産等の酪農状況、大変逼迫しておりますので、その点に絞って質問をさせていただきます。  平成三年度は乳価の引き下げ等もございまして生乳生産が落ち込み、今年度に入りまして既に三度にわたる史上最高の、乳製品または脱粉が乳製品換算で四十三万トンの輸入が実施をされております。また、四月からの牛肉の自由化が酪農副産物であります個体販売価格を直撃し、酪農家の所得は大幅に減収し、負債が増加傾向に転じておる。また、このまま推移をすれば、これは三月の農水委員会でも指摘をしたのですけれども、酪農家の離脱、あるいは酪農地帯の地すべり的な崩壊がもう既に始まっておるのではないかというような状況でありまして、今こそ農水省として緊急にして抜本的な酪農生産基盤の確立対策が求められておるというふうに考えております。  幾つか御質問いたします。一つは、生乳の需給についてであります。  三月十九日の農水委員会でも畜産局長は、生乳生産については、昨年は天候条件による一時的な鈍化であったということで、ことしの乳価はかなり伸びていくというような見通しを答弁され、また生乳需給計画についても、情勢を分析しながらしっかりした検討を加えて見きわめていきたいと答弁されております。  そこで、生乳需給表によれば、国内の生乳生産は八百五十万トン、対前年比三・四五%の伸び率の設定をされたわけでありますけれども、四月から八月までの生乳の生産実績は対前年比〇・三%のマイナス、落ち込みになっております。また乳製品生産量についても、バター、脱粉等がそれぞれ五・九%、三・三%の減少と大幅な落ち込みになっておりまして、これは昨年の猛暑による乳牛生体の分娩時期の遅延といった一時的な現象ではないのではないか。乳価引き下げ等の酪農意欲の減退、あわせてさまざまな酪農政策の構造的なものが要因になっておるのではないか。そのようにも考えておるわけでありまして、農水省にこの生乳落ち込みの原因あるいはまた今後の需給見通しについてお伺いをいたしたいと思います。  また次に、農水省は生乳の需給関係調整ということで、今年度の需給計画表の策定直後の四月十日に十万二千トン、七月三日に五万五千トン、さらには九月にも二十六万五千トン、これはあくまでも生乳換算でありますけれども、乳製品の輸入を決定したところであります。合わせて四十三万トンということでありまして、既に史上最高の乳製品輸入になっておるわけでありまして、国内生産が過剰になったときには生産者の廃棄による調整、しかし、生産が伸び悩んだときには輸入によってこれを手当てするといった安易な酪農行政が行われておるのではないかというふうに考えざるを得ません。  そこで、農水省のこの乳製品輸入の考え方、あるいはまた、これ以上の輸入は行わないということが約束できるのか、また、大幅な計画外輸入という実情の中で、今年度の生乳需給計画を見直すべきでないか、そのことについての御所見をお伺いいたしたい。  さらには、過去四年間にわたって、例えば六十三年度で四十二万トン、元年度で十五万一千トン、二年度で十二万五千トン、さらにことし四十三万トンということで乳製品輸入が急増して恒常化しておるわけでありまして、そういった意味では、国内で自給率を向上させていくというあのさまざまな農水省あるいは国の施策にも反しておるといった意味で、酪農生産についての中長期にわたる生乳需給計画を早急に行うべきであるという観点で、どのようなお考えをしているのかについてもお伺いをいたしたいと思います。  さらにはその際、特に国内産が不足した場合には国内の乳製品で手当てできるような、畜産事業団による国産乳製品の買い入れの実施等、需給調整機能の弾力的運用についてその機能を確立すべきであるというふうに思いますけれども、そのお考えをお聞きしたいと考えます。  また同時に、昨年の畜審において酪近の長期計画を諮問されました。しかし、いまだこれが答申をされておりません。私は、この三月の農水委員会でもこの点について局長にお伺いいたしましたけれども、早急に策定をする、早く決めていきたいという答弁をされておりますが、このような重大な情勢を踏まえて早急に策定すべきと思いますけれども、この策定時期をお伺いいたしたいと考えます。  次に、国内の生乳生産が、先ほど言いましたように伸び悩みの状況を呈しておるわけでありますけれども、そういった意味では、現状は構造的な問題も有しておるというふうに思います。しかし、生乳増産の緊急対策を講ずる必要もあるわけでありまして、年度途中でありますけれども保証乳価の引き上げ改定、あるいはまた今年度実施をしております高品質生乳生産緊急確保事業の交付金の上積み対策等を講ずるべきである。またあわせて、特に府県における生乳生産が伸び悩みという状況でありますから、乳牛の更新を促進するための初妊牛の導入奨励措置等を検討すべきではないかと思いますけれども、お考えをお聞きいたしたいというふうに考えます。  またあわせて、個体販売の問題であります。  昨年の六月を境にいたしまして、特に雄子牛は急落、暴落をしております。当時一頭当たり約十五万円前後していましたものが、ことしの乳価決定時の三月は七万五千円、今現在八月の数字が出ておりますけれども四万五千円というぐあいで、牛肉自由化の大きな影響を受けておると言わざるを得ません。ぬれ子を含めまして経産牛、廃用牛の価格の暴落に対して、農水省としてどのような見解をお持ちか、お伺いをいたしたい。  さらには、先ほど言いましたような暴落でありますから、その激変緩和措置として一定の差額を補てんする事業を導入する考えはないかどうか、お伺いをいたしたいというふうに考えます。  あわせて、今年四月から行われておりますぬれ子に対する奨励金、いわゆる乳肉複合経営体質強化事業、この事業についてはその交付要件をおおむね一カ月程度哺育をするということになっておりますけれども、現在の流通実態に合わせて、初乳の完全給与を条件に期間を短縮しておおむね〇・五カ月程度として、奨励金の単価引き上げとあわせて交付要件の改定をお願いいたしたいというふうに考えます。  まだ御質問ありますけれども、時間の関係もありますから、ここで御答弁をお願いいたしたいというふうに考えます。
  108. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 お答えを申し上げます。  多岐にわたる御質問でございますが、まず最初に、ことしの生乳需給の逼迫している状況あるいはこれからの見通しということでございますが、今年度につきましては年度当初におきまして、平成三年度の需給計画では生乳生産八百四十八万トン、それから飲用牛乳向けで五百十八万四千トンと見込みまして、畜産振興事業団による輸入は五万ないし十五万八千トンと見込んだところでございます。  しかし、その後三年度に入りまして、生乳生産は北海道は順調に推移はしておりますけれども、都府県は種つけのおくれ等昨年の猛暑の後遺症と、あるいは一部地域九州中心でございますが、そういうところで天候不順による粗飼料生産が不良であったということによりまして依然回復がおくれている、そういうことによりまして、全国的には前年を若干下回って推移をしておったわけですが、一方、飲用等向け生乳供給量はおおむね堅調に推移をいたしたために、乳製品向けの生乳供給量は前年を下回って、バターあるいは脱脂粉乳の生産量は減少したわけでございます。このため、バター、脱脂粉乳の大口需要者向けの価格は安定指標価格を大幅に上回って推移していたところでございます。  なお、今後の生乳の需給についてでございますが、安定化に向かうものと考えられるわけですけれども、天候要因等の予測しがたい要因もございますので、需給状況を慎重に見守ってまいりたいと考えております。  それから、二つ目のバター、脱粉の輸入の問題についてお尋ねでございましたが、年度当初、その時点での最新のデータをベースに需給の見通しにつき最善を尽くしたわけでございますけれども、今年度に入りまして、正確に予期しがたい要因が積み重なったこともありまして、需給が堅調に推移することとなったわけでございます。このためバター、脱脂粉乳の大口需要者向け価格は安定指標価格を大幅に上回って上昇していたところでございます。先ほど申し上げたとおりです。  こういうような需給状況に対処するために、北海道、都府県の生乳の生産動向だとか国内の乳製品の生産動向あるいは飲用牛乳の消費動向、乳製品のユーザー等の需要の動向さらには乳製品の価格動向、そういった種々の要素を総合的に勘案いたしまして、乳製品需給の安定に必要な輸入量を決定したどころでございます。  このような状況をそのまま放置しておきますと、国内実需者等から、現在の価格安定制度、さらにはそれを支えている一元輸入制度の根幹についての批判に発展しかねない、そういう事態も考えられましたし、また実需者の乳製品離れを助長するというようなことも考えられる、いわゆる擬装乳製品の輸入を増加させる、それで国産乳製品の将来的な需要の確保に問題が生ずる、そういうような事態も考えられますので、乳製品の需給の逼迫に対応して必要最小限の数量につき、緊急やむを得ず輸入を少ししたということでございます。  それから需給計画の見直しの御質問がございますが、生乳の需給表ですけれども、年度当初のいろいろなデータから予測される生乳の需給の当初見通しでありまして、年度を通じた加工原料乳の生産の指標としての意味を有するいわゆる限度数量を審議する際に、その参考に資するものとして畜産振興審議会に提出しているものでございます。  現実の生乳需給につきましては、飲用需要を中心に変動が大きいものがございまして、往々にして当初に見通した生乳需給表から乖離することがあるわけですが、このような場合には、乳製品の需給、価格の安定を弾力的に行うために、生乳需給表で見込んだ当初見通しの輸入量を上回る輸入、あるいは逆にこれを下回る輸入を行ってきたところでございます。  今回の輸入に当たりましても、乳製品価格の高騰という事態に対処するために、乳製品需給の早期安定を図る、そういう見地から対処してきたところでございます。  それから、生乳需給が安定するような長期的な計画、計画生産をすべきではないかというのがその次の御質問ですが、生乳生産は、その性格上急激に増産をしたり減産をしたりということには一定の限界がございます。あわせて、そのような急激な変化をするということは酪農経営上も好ましくないと考えられるわけでございます。したがいまして、生産者団体すなわち中央酪農会議は生乳生産及び酪農経営の安定を図る、そういう見地から、従来単年度ごとに実施をしておりました計画生産を、平成元年度から三年間という中期的なものに変更して実施をしているところでございます。  この中央酪農会議の中期的な需給調整計画ですが、年度途中の予期できなかった生乳需給変動、そういうことに対しましては、目標数量の追加配分、いわゆる特別調整乳というような形での追加配分をするとか、逆に全乳哺育等によりまして出荷の調整をする、そういうような内容になっておるわけでございます。  今年度におきましては、北海道の生乳生産は順調に回復する一方で、都府県の生産には回復のおくれが見られるわけでございます。これは生産目標数量設定の際には予期することが困難であったものでありまして、これに対しましては、今後特別調整乳の追加配分あるいは各指定団体の生産目標数量達成へ向けた取り組みがなされるものと考えております。今後とも生乳需給の動向等に対応した計画生産が行われるよう、私どもとしましても所要の指導助言を行ってまいりたい、かように考えておるところでございます。  それから、事業団の機能の問題についての御質問でございますが、御承知のとおり事業団は、いわゆる不足払い法の定めるところによりまして、指定乳製品の価格が安定指標価格の上下一定割合を基準に変動をしたときには、指定乳製品の買い入れまたは売り渡しを行うことができることになっているわけでございます。指定乳製品等の売買操作を実施するか否かは、そのときどきの国内の価格動向により判断すべきものであると考えるわけですけれども、そういうことで、従来国内の価格安定を図る観点に立ちまして対処してきたところでございます。今後とも国内の価格安定を図る、そういう制度の趣旨に則しまして、適切に対処をしてまいりたいと考えております。  国内産の乳製品をストックする、在庫に抱えて需給調整したらどうかというようなお話もございましたが、これにつきましては、一つには在庫の存在、これは市況を圧迫しまして正常な需給関係以上に価格を引き下げるというおそれがある、それからまた、事業団の在庫管理上から見ましても、品質劣化等の面から、長期に在庫を抱えるということは適当でないというような問題がございまして、慎重に対処する必要があると考えております。  その次に、酪農肉用牛近代化計画を早期に改定する、いつごろ改定するのかという御質問ですが、このいわゆる酪肉基本方針につきましては、酪肉振興法上昨年一月に策定された「農産物の需要と生産の長期見通し」に則して新たな基本方針を作成する必要があるということ、それから平成三年度から牛肉の輸入が自由化された、そういった状況を踏まえまして新たな振興指針を示す必要がある、そういう状況でございまして、昨年三月、畜産振興審議会に対しまして基本方針の作成に関して諮問を行い、審議を願っているところでございます。  現在、基本方針の改定作業は、いわゆる酪肉振興法の定めるところに従って、いろいろな事項につきまして作業をしているわけですが、なおこれからいろいろと分析、検討することが必要であると思います。例えば、生産コストの目標については、将来その普及が見込まれております受精卵移植技術等の新技術の普及、定着の問題だとか、交雑種雌牛の繁殖利用、肥育雌牛の一産取り肥育等の新しい方式の普及、定着の可能性の問題、あるいは自由化後の輸入牛肉と国産牛肉との競合性、そういった問題、種々いろいろな点を見きわめるためには、さらなる分析、検討が必要であるというふうに考えておるわけでございます。また、今回から飼料作物生産のための指標、これについても新たに盛り込もうということにいたしておりまして、なおそういうことに時間がかかっておるということでございます。  いずれにしましても、事務的な案の作成に鋭意努力をしまして、畜産振興審議会に具体的に諮った上で取りまどめていきたいと考えております。いつごろかというお話でございますが、できるだけ早くしたいというふうに考えております。  それから、保証乳価の引き上げの問題がございました。平成三年度の加工原料乳の保証価格等につきましては、いわゆる不足払い法に基づきまして、生産費調査の結果等を踏まえて、その他の経済事情を勘案して、畜産振興審議会の意見をお聞きをして、三月末に適正に決定をしたところでございます。  保証価格等につきましては、物価その他の経済事情に著しい変動が生じる等の場合には改定することができるということになっているわけですけれども先生おっしゃいました子牛価格の低落という事態がある一方で、金利の低下ということもありますし、飼養規模の拡大といったこともある。そういったコスト低下要因もございますので、いろいろ勘案すれば保証価格の改定の議論にまでは至らないのではないかと考えられるところでございます。  それからその次に、いろいろ個体の価格が下がっている、それはどういう理由、原因で、どんな状況なのかというお話がございました。いろいろ理由がございますけれども、枝肉の価格に連動をして個体の価格が下がっている、当然といえば当然でございますが、細かく申し上げてもよろしゅうございますけれども時間もあれですから、また御要望があればお答えを申し上げます。  それから、乳肉複合経営強化事業における交付要件なり奨励金の単価の引き上げお話でございます。  昨年の夏以降、先ほど来申し上げておりますが、ぬれ子の価格が低下しているわけですけれども、酪農経営における所得の安定確保を図るためには、乳肉複合経営を推進して、ぬれ子の付加価値向上のための哺育育成への取り組みを進めることが重要である、そういうことでございますが、現実に見てみますと、酪農家の多くはぬれ子を哺育しないまま出荷をしているのが現状であります。そこで、国としては昔から——昔からというか、昭和五十八年から乳用種のぬれ子の哺育育成を行う場合に奨励金の交付事業を推進してきたところでございますが、さらにことし、平成三年度におきましては、ぬれ子価格の低落という事情を考慮いたしまして、事業内容の拡充を行ったところでございます。  それで、御指摘のぬれ子の一カ月程度の哺育に対する奨励金、ことしからそうしたわけでございますけれども、この事業が事故率の高い離乳前の時期を酪農家がみずから哺育を行う、そういうことによりまして健全な肥育素牛の供給とぬれ子の付加価値を高めようとすることに対する奨励を目的としたものである、そういう趣旨のものである、それから、その積算におきましてもいわゆるかかり増し経費を基礎としている、そういうようなことでございますので、奨励金の交付要件となっている期間を短縮するとか、あるいは奨励金の単価の引き上げを行うということは困難ではないかというふうに考えております。
  109. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 終わります。
  110. 大原一三

    大原委員長 有川清次君。
  111. 有川清次

    ○有川委員 時間をかなり食い込んでおるようでありますから、端的に質問をさせていただきます。  平成三年度のサトウキビの生産者価格の決定を目前にいたしまして、糖業関係者全体の長期的、安定的発展を期する立場で質問をしたいと思います。  サトウキビは、鹿児島県の南西諸島及び沖縄県の基幹作物として生産活動が続けられ、キビ作農家を初めといたしまして砂糖業労働者の生活の場を形成し、この地域の経済を支える重要な産業となっております。しかし、常襲的な台風や干ばつ、病害虫の周年多発によりまして多大な被害を受けるなど、生産環境は極めて厳しいところでございます。昨年、ことしと相次ぐ台風と干ばつで減収が相次ぎまして、ことしも最も大事な五、六、七月期に沖縄や奄美大島群島方面が干ばつで被害を受け、昨年同様、連続的な台風にも見舞われまして、大幅な減収を余儀なくされておるところであります。また、厳しい自然条件の中、土地基盤の整備や収穫作業の機械化や品種改良など、生産環境の整備は遅々として進んでおりません。こうした中で、平成六年度から品質取引への移行をすることになっておる今日、これら幾多の整備条件の解決は必須のものと思っております。  また、近年、内外価格差の縮小や財政負担の軽減などから、生産農家は政府試算の生産費すら償えない生産者価格で生産意欲が減退をし、後継者不足と高齢化が急速に進んでおるところであります。糖業者や糖業労働者もまたコスト低減、合理化を強いられているところです。農林水産関係予算の削減や内外価格差の是正を理由に、農産物価格は抑制の一途をたどっておりますが、サトウキビも同基調で進められるならば、この地域農業振興地域経済は壊滅的な打撃を受けることと心配されております。  よって、本年度の最低生産者価格は、再生産を十分確保し、所得が補償されることを基本として、産地の生産実態を考慮し、生産意欲の向上に資する観点から、現行価格を下回らないように決定されるべきと思いますが、価格の決定に当たっての基本的な考え方についてお伺いをいたします。  また、干ばつ等で鹿児島県では前年比八万二千トンの減収、二十億円程度が十月一日現在で見込まれ、沖縄県においても平均値と比較いたしまして、昨年で三十五万六千トンマイナス、本年度はさらに被害が大きく四十八万五千トン、九十九億四千万円の換算損失金額となっております。パリティ指数に基づいて物価、経済事情を参酌して決めるということになっておりますが、災害は別途考慮すべきものとの見解もありますけれども実情からいたしまして臨時栽培管理費を引き上げるべきと思いますが、あわせて御回答をお願い申し上げたいと思います。
  112. 武智敏夫

    ○武智説明員 サトウキビ関係の御質問にお答えいたしたいと思います。  サトウキビの生産者価格につきましては、糖安法に基づきまして、農業パリティ指数に基づいて算出されます価格を基準にいたしまして、物価その他の経済事情を参酌して決定するというようなことに相なっておるわけでございます。その際考慮に入れる事項といたしまして、生産性向上の動向ですとか内外価格差の実態ですとか、あるいはまたほかの畑作物間のバランスですとか、そういったことを総合的に勘案いたしまして適正に決定してまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、本年産の価格につきましては、今申しましたような価格決定に関する基本的な考え方に立ちまして、生産費ですとかあるいは農業総収量、先生おっしゃいましたとおり、干ばつですとか台風ですとかによりましてかなり減収が予想されております。そういった主要データも踏まえながら、具体的な内容につきまして時期までに検討いたしまして結論を出したいというふうに考えておりますが、かなり災害が出ておるということは我々も十分認識いたしております。
  113. 有川清次

    ○有川委員 生産性の向上の実態など、あるいはバランスを考えてということでありましたけれども、なかなか、生産性が上がるどころか生産費に所得が追いつかないという厳しい状況でありますので、台風や干ばつの事情もよくわかっておるというお答えでございましたので、ぜひそうしたこ一とを十分勘案して判断をお願い申し上げたいと思います。  次に、甘蔗糖の事業団買い入れ価格は、甘蔗糖業の健全な発展を図るために、ことしは特に原料減で稼働率が低下をいたしましてコスト高になる現状もあり、実態コストに基づきまして適正に決定されるべきと思いますが、どうでしょうか。
  114. 武智敏夫

    ○武智説明員 平成三年度の甘蔗糖の事業団買い入れ価格についてのお尋ねでございますけれども、これも糖安法に基づきまして、甘味資源作物の最低生産者価格にいわゆる標準的な集荷、製造経費を加えた額を基準にして決定することになっておるわけでございます。具体的には、国内産糖の製造事業者の最近におきます製造経費、この実績をベースにして算定いたしました平成五年の目標生産費というのがございます。それに年々近づけることを念頭に置きながら、国内の製造事情、これは昨年も生産量は減っておりますしことしも減っておりますが、そういった事情ですとか、あるいは人件費ですとか製造経費にかかります最近の物価動向ですとか、そういったことを加味しながら決定していきたいというふうに思っております。  先生御指摘のような昨年かなり赤字が出ておるというようなことも実態でございますが、これは過去にもあったことでございますけれども、単年度で云々というよりは、ある程度長い操業ということでございますので、少しロングランで考えていく必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  115. 有川清次

    ○有川委員 生産量が昨年、ことしと減っておるということでございますので、十分な御検討をお願い申し上げておきたいと思います。  次に、生産活動の省力化、コスト低減を図るために生産基盤の整備、土地改良農業用水施設、特に農業用水施設が大事だと思いますが、その早期建設、防風、防潮林等の対策など、生産基盤の整備が極めて重要であります。また、高性能収穫機械の開発など最善を尽くすべきと思いますが、取り組みの状況と今後の対策はどうなっておるのか。  特に、機械化の促進につきましては従来から強く要望しておりましたけれども、小型ハーベスターの実用化について、国の補助事業でそのめどがつき、平成三年度から導入すると聞いておりますが、導入機械の配分や時期と見通しはどう進んでおるのか。また価格については、本体が千九百五十万円で、伴走車込みで二千六百万円程度と承っておりますが、共同利用等でないと農家の個別購入は困難であります。助成措置及び機械センター設置や農協管理、集団共同購入措置など、どのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
  116. 海野研一

    海野説明員 まず初めに基盤整備についてお答え申し上げます。  沖縄と奄美の畑につきましては、何と申しましても干ばつが問題でございます。しかもそこにかけるべき水源がないというような状況でございますので、基盤整備に当たりましてまず何よりも用水源の確保、次いでこれを利用してかんがい排水施設の整備、さらに今御指摘になりましたような機械が入るための農道や圃場の整備というようなものについて重点的に実施しているわけでございまして、特に整備がおくれているということもございますので、採択基準や補助率、さらには予算額などにつきましても、他の地域に比べて相当有利な形にしてございます。  さらに、平成三年度には特に緊急畑地帯整備事業の対象にもサトウキビを加えるというようなことで、生産基盤の総合的な整備を進めているところでございまして、これからも沖縄、奄美の農業振興を図る上ではやはり基盤の整備が大切でございますので、早期完了、効果の早期発現に配慮しながら、土地改良事業その他の円滑な推進に努めてまいりたいと思っております。
  117. 上野博史

    上野説明員 サトウキビの機械化の関係についてお答えを申し上げたいと思います。  サトウキビ作の生産性の向上を図ってまいりますためには、収穫作業、現在もこれはほとんど手作業で行われておりまして、全体の作業労働時間の半分ぐらいがこの収穫作業で占められているわけでございますので、これの早急な機械化を図ることが大事だということは、委員今御発言のとおりでございます。  また、今委員から御紹介がございましたように、小型ハーベスターの開発が大体めどが立ってまいっておりまして、普及に入れるような状態になってまいっております。ただ、今お話がございましたように、伴走機械まで入れますと二千六百万円ぐらいの機械でございまして、地元で県や市町村の御努力も得ながら、農業機械銀行方式あるいは共同利用組織というようなものを組み立てることがまず肝要かというふうに思っておりまして、そういう受け入れの素地のてきたところに平成三年度予算を使って所要の事業をやって導入をやってまいりたい、全体として七億八千万ぐらいの予算規模を持っておりますけれども、そういう資金を使って導入をしてまいりたいというふうに考えております。平成四年度についても、同様の趣旨の予算要求をいたしておるところでございます。
  118. 有川清次

    ○有川委員 用水源の確保、非常に大事だということで御回答がございました。サンゴ礁の土壌の関係等ございまして、毎年干ばつに泣くところでございますので、そうした確保に格段の努力をされるように要請しておきたいと思います。  また機械化につきましても、非常に収穫期における手作業が多いわけでありまして、長年要望され、ようやくそうした道が開けるような状況になっておりますので、導入の時期その他については受け入れ態勢ができてからということでありますが、早急な指導、態勢をお願い申し上げまして、そうした農家問題点を解決していただくように、コストダウンにつながるように努力されることを期待申し上げておきたいと思います。  次に、現行の農業共済制度でありますが、基準収穫量に対しまして三割以上減少した場合、二割が対象となっており、共済適用は極めて少ないのが現状でございます。品質を加味したものに改善をすべきだと思うところです。  このため、沖縄県では平均四五・九%、鹿児島県で五九%と、低い加入率になっており、地域別では二〇・四%とか二七・二%とか、極端に低いところもございます。これは、共済制度の重要性は皆さん痛感をされておるわけですが、現行法では単なる掛け捨てたという生産農家の判断があって共済制度が生かされていないというのが実態なのではないか。鹿児島県の場合、昨年は連続三回の台風来襲によりまして、大きな被害をこうむったわけでありますが、共済対象の被害率はわずかに二・三%にとどまっておることでございまして、現行の問題点はこれでも明らかだと思います。  共済金の支払いの算出基礎にかかわる支払い開始損害割合の引き下げの検討も含めて、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  119. 川合淳二

    川合説明員 サトウキビの畑作物共済につきましては、取引慣行に合わせまして、出荷できる品位に該当するものを収穫量とするという収量方式をとっていることは御承知のとおりでございます。平成六年から糖分取引に移行するというような方向が出ておりますので、それに対応して私どもの方でも平成二年度から、保険設計上の技術的な問題などの、糖分取引に対応した制度とするための調査検討を行っているところでございます。  それから、ただいまもう一つ御指摘がございました足切りの問題でございますが、保険制度は、軽微な被害につきましては農家経営の中で対応して、それができないものについて保険に依存するというような考え方をとっていることは御承知のとおりでございます。今のお話のような形で足切りをさらに引き下げるということは、これは当然のことでございますが被害率が大きくなるということでございますので、掛金率が上昇して農家負担が大幅に増加するということが一面で出てくるわけでございます。そうしたことも十分勘案して、この問題は考えるべきであろうと思っております。なお慎重に検討さしていただきたいと思います。
  120. 有川清次

    ○有川委員 現地では、この共済制度問題点というのが非常に強く常に要請されておるところでございますので、平成二年度から検討されておるということでございますが、ぜひ品質を加味したものを早急に確立をしていただきたいと思います。  次に、平成六年度から品質取引を行うわけですが、それを控えて品種の改良が非常に強く要望されております。  鹿児島県向けの新品種といたしましてNiF8がことし六月に登録されまして、高精、早熟タイプとして非常に期待されておるところでありますが、試験結果では現在のNCo810に比べて、種子島で一度、徳之島で二度の糖度増であるようであります。緊急増殖中とのことでありますが、少なくとも三年はかかるという普及状況もございますので、今後の普及進度の見込みについてお伺いをいたします。  特にキビ作の北限と言われる種子島の場合、今後とも品種の改良は極めて重要でありまして、実験圃場の整備充実及び各種試験研究、開発等については国の責任で財政措置を行うべきと思いますが、今後の計画を含めて考え方をお伺いいたしたいと思います。  最後に、もう時間もありませんから、ひとつ大臣にまとめとしてお伺いをしたいわけでありますが、こうした状況の中で、キビ作はこの地域の基幹産業でもありますし、品質取引を目前にして、相次ぐ災害や諸整備事業がおくれておる現状からいたしまして、特に農業用水施設は皆無という状況でもあり、キビ作の今後の振興対策について、離島の地域農業振興、農村活性化の観点から、大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  121. 上野博史

    上野説明員 サトウキビの優良品種の普及の関係でございますけれども、今委員からお話がございましたように、従来のNCo810にかわる新しい品種が三つほど出てまいっておりまして、これを種苗管理センターあるいは種苗安定確保事業というようなことを拡充いたしまして、原種圃の面積を拡充するというようなことで増殖を図ってまいろうとしておるところでございます。  いつごろ現実に生産配布できるのかということでございますけれども、できるだけ早く生産段階にまで配布をしたいということで予備増殖にも取り組んでおりまして、平成二年度から本格的な原原種の生産配布を行いまして、それをもとに現地で原種及び採種のための増殖を行っておるところでございます。来年度から農家段階に普及できる、第一年目でございますので余り大きな面積に行き渡るようなことにはならないかと思うのでございますが、ともかく来年度からは農家段階にこれらのものが普及できるような段階になってくるのではないか、かように考えているところでございます。
  122. 貝沼圭二

    貝沼説明員 試験研究の方向についてお答えいたしますが、サトウキビの優良品種の開発につきましては、育種の目標の中で高精性それから早熟性、さらに黒穂病に対する耐病性、また機械を導入したときの機械化適性、多収性、こういう品目については研究の目標にしております。  それで、場所は先生御存じのように国立の九州農業試験場の種子島と、それから沖縄の農業試験場と、この二カ所が中心になって研究を進めております。  今まで国の方で育成しました品種はちょうど九品種ございまして、先ほどお話のございましたNiFの8あるいはNiの9、そういうようなものが鹿児島、沖縄の方に向けて、その早熟性、さらに糖度が高く多収性というような特徴で、今後の普及を私どもは大変期待しております。  それで、この研究につきまして、優良品種の開発は時間がかかりますが、私どもとしても組織的にあるいは計画的にさらに進めていきたいというふうに考えております。以上でございます。
  123. 近藤元次

    近藤国務大臣 サトウキビにつきましては沖縄県及び鹿児島県南西諸島における基幹作物でもございますし、特に離島においてはこれにかわるべき作物がないというぐらいの歴史的な経過も実はあって、大変御努力をされておるところであります。  しかし、今後の取り組み方については、今御答弁をさせていただいたように、品種開発、技術面、そうしてまた基盤整備等々、機械化の促進というのが極めて緊急を要する、こう考えておるわけであります。さらに積極的に対処してまいりたいと思っておるところであります。
  124. 有川清次

    ○有川委員 試験研究機関の問題については、特に定員の充足など十分に配慮して対応を要請しておきたいと思います。  最後に、いろいろ丁寧に御回答いただきましたが、ぜひ二、三日後に迫りました価格決定、少なくとも現行を維持できるように最善の努力を大臣に要請いたしまして、終わります。
  125. 大原一三

  126. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 簡単に御質問をし、簡単にお答えをいただきたいと思います。  幸い、私の地元の北海道の方はこの間の台風がそれましたものですから、その点では助かっております。被害地の皆さんには本当にお気の毒だと思いますし、きょう御議論のありましたような救助策は、至急にしかも大胆にとっていただきたいということを御要請をしたいと思います。  ところで、本年度の畑作の価格が決定されました。これは私どももかねてから、北海道は主要な作目が大変多いものですから、農民の皆さんと一緒に大臣初め各方面に御要請をして、何とか価格を引き下げないように、できることならば価格をそれぞれについて引き上げてもらいたいという御要請をいたしました。しかし、残念ながら九日に決定されました政府管掌作物いずれも、てん菜、バレイショ、大豆とも下げられております。その前には小麦が下げられておるわけであります。下げ率は昨年はいずれも四%台でしたから、ことしは一%ちょっと、一・二あるいは一・三ということで、少なかったとはいうものの下がったことは事実であります。  私もこれが決定されました後に、地元の畑作農家のところを回って皆さんともお話し合いをさせていただきましたけれども、みんな一様にやはりがっくりきておるわけであります。幸い北海道では、てん菜についてもバレイショについても大豆についてもまあそこそこのできということ、これは生産者努力も大変にあったわけですけれども、しかし、そういう努力にもかかわらず引き下がっている。殊に、価格政策としてということでありますけれども、昭和五十七年以降は大体据え置きになっておりましたが、六十年以降というのはずっと引き下げ。ただ、平成元年はこの引き下げがなかった、据え置きのものもあったわけでありますけれども、以降はずっと今年まで引き下がっておりまして、結局これらについては総じて一二%から一八%という引き下げになっておるわけであります。  これによって、必然的にこれらの畑作農家の収入というのは減じられておるわけですけれども、これは事前にちょっとお調べができたらということでお願いしておいたのですが、北海道の場合にこの価格の引き下げが、畑作物四品と言ってもいいと思いますけれども、米を入れてお考えいただき、あるいは先ほど鉢呂議員からもお話のありました酪農関係もそうですけれども、これらを含めたものの価格の引き下げが始まってから、総じて今日までの間の減収分というのは一体総額でどのぐらいになるのか。私の周辺の方が試算をしたところでは、北海道の場合に約一千億になるのではないだろうかと言われておるのですが、これについてデータをお持ちでしょうか。ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  127. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 農産物の行政価格につきましては、それぞれの需給動向あるいは生産性の向上、内外価格差等を勘案して、おっしゃるように近年抑制的に運営してきておるところでございます。  今御質問の、米、加工原料乳、畑作四品それぞれについてどのくらい北海道の農家が減収したかということでございますが、実はこれは事務的には非常に難しい御質問でございまして、御案内のように米の中でも政府に売ります政府米と自主流通米、牛乳でも加工原料乳、飲用向け、バレイショも生食用、でん粉用、それぞれ価格、数量とも毎年変動しておりまして、にわかに比較することは難しいわけでございますが、大ざっぱに私どもの方で公表しております農業生産額で、今の米、畑作四品及び生乳について六十一年と、この統計は実は元年までしか出ておりませんので、元年とを比較させていただきたいと思います。  ちなみに北海道におきます農業生産額全体ですと、六十一年が一兆一千九十四億円、元年で一兆一千八十六億円、八億円減っておるということでございます。その中で今の米と畑作四品と生乳を合わせたものが、六十一年が七千二百十一億円、元年が六千四百三十一億円ということで、約七百八十億円の減という、これはあくまでも先ほど言いましたそれぞれのものの生産の数量の変動、価格の変動を含めたものでございます。じゃ、なぜ農業生産額全体は減らないのかというと、その間に野菜の生産等、別の作物がふえているということもありまして、農家の全体の粗生産額は減っておりません。  以上でございます。
  128. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 これについてはいろいろなとり方があると思いますけれども、いずれまたもう少し綿密にお聞かせをいただく機会もあろうかと思いますので、御用意いただければありがたいと思っております。  何にいたしましても、今のお話のように下がっていることは確かなんですね。ずっとこういう価格政策をおとりになってきたこのことについて、例えば自民党の総合農政調査会長代理の大河原議員も、もうこれは見直したらどうなのかということを言われているやに伺っております。例えば十月十日の日本農業新聞で大河原さんの談話ということですけれども、農産物の価格政策は一つの限界に達している、従来の引き下げ一辺倒のやり方を見直さなければならないのではないかということで、価格対策は新たな所得政策を構築しなければならないのじゃないかという御発言があったやに承ります。その裏づけは、結局は今のような価格政策をとり続ける限り、農村はもう疲れ果てて崩壊してしまうという危機感がある。これは先ほど申し上げましたように、私が直接に生産者方々と会ったときもみんな一様にそれを言っているわけですね。  そこで、このままでいいのだろうか。確かにECなどでも、この生産調整あるいは価格政策というのはとっていることはいる。しかし、それを所得の面で補てんするような政策だとかあるいはまた環境保全だとか地域の維持というようなことに非常に焦点を当てて、それにかわるものとしての考え方というものを出している。デカップリングなんかはそれだと思うのですが、そういうような代替措置というか補てん措置というか、それを考えなければまさに生産農家の意欲はだんだん減ってしまいますし、後継者も育たない、担い手もなくなる、そしてまた地域が崩壊してしまうという非常に大きな危機があるのではなかろうかと思うわけです。  そこでお伺いしたいのは、そういう補てんの措置あるいは代替措置というものについてどうお考えになるか、また、これについて価格政策を転換するような御意向があるかどうか、これを当局と大臣とにお伺いをしたい士思いますが、いかがですか。
  129. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 御指摘のように、農家の所得を確保していくための政策というのはいろいろあるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり厳しい諸事情の中で農家の所得を確保していくためには、きめ細かな配慮を払いながら生産性の向上、コストの低減ということを図っていく、それから一方では多様な就業機会確保を図っていくということが必要だろうと思っております。  その意味で、従来からでございますが農地の利用集積によります経営規模の拡大、あるいは機械、施設の共同利用等によるコストダウン、あるいは立地条件や消費者ニーズに対応した農作物の導入によります付加価値の高い農業生産、さらに農村地域への工業等の導入や農産物の加工施設等を導入しまして就業の機会確保するという施策を行ってきたわけでございます。  そのほかに、例えばECなどで行われているような所得補てんの方法もあるではないかという御指摘もあろうかと思いますが、これはEC等で見てみましても特定の地域、おっしゃるように、例えば一定の人口を維持するために必要な地域、あるいは景観を保持するための地域という、ある程度ハンディをしょったような地域農家に直接所得補償をする、あるいは支持をするという施策があるわけでございますが、我が国の場合、今まで農業関係については、やはりあくまでも集団組織あるいは共同ということを重点にいろいろな助成策をやってきたということがございまして、個々の農家を選別して所得補償をするという政策は行ってきておらぬわけでございまして、これが我が国においてうまくなじむかどうかという問題があろうかと思います。またこれらは、農業振興施策という面よりは社会政策的な面があるというようなこともありまして、直ちに我が国において採用するということについてはいろいろ御議論があるところでございます。なお今後とも研究させていただきたいというふうに考えております。
  130. 近藤元次

    近藤国務大臣 構造政策も価格政策も、そのこと自体は農家の所得を考え実施をしておるわけでありますけれども、内外価格差というようなことにその焦点が合わさってくるものですから、他のものが下がらないのに行政価格の農産物だけが引き下げをずっと行われるということは、私は生産農家としてはなかなか受け入れがたい感情であるということも、実はよく理解をしておるわけであります。  その上に、今回農業をめぐる事情が、この方、基本法制定以来三十年経過しておるものですから、新しい政策検討本部を設置をさしていただいて来春その答案をまとめるということになっておるわけで、以後どういう形でその将来の展望を支えていくかという法律なり制度というものを準備をしていかなければならないと思うわけで、新しい視点に立って今後その方向を支えていくということにはなろうかと思うわけであります。  私は、大臣就任以来、価格についてはとにかく生産者努力というものをも還元をした価格でなければいけませんよ、このことはきちっとしなさい。しかし一面には、やはり農家のいささか不審に思っている点は生産費調査にもあるわけでありますので、この生産費調査も直す必要があるなしにかかわらず一度検討するようにということで指示をいたしまして、検討作業を実は鋭意進めているわけでございます。この生産費そのものの調査を、信頼を持たなければあとの政策が進んでいかないということになるものですから、その新しい政策検討本部が出た以後にどういうことをしていくかということについては、私は今後対応していくという点では、新しい視点でまた見直しをする、こういうことになろうかと思います。
  131. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 ほかにも今度の価格決定に伴って、大豆の緊急流通対策などが決められております。それから、今の生産費の問題は、もう大臣からお答えいただいてありがとうございました、予定をしておりましたが。  それから、実はガット絡みで、でん粉の輸入制限措置に関する交渉状況がこれからどうなるかなどを予定しておりましたが、同僚議員の質問、大分超過しておりまして食い込んできましたので、私、一応ここで次の予定もありますので終わらせていただきたい、こんなふうに思います。  ただ、今も大臣おっしゃったように、いずれにしても農業基本法が政策目標として掲げていたところ、例えば農家所得の向上なんかということがだんだん、実はこの農業基本法の第一条に所定するところと離れてきていると私は思うのですね。そういうところから生産農家方々の不満が非常に強くなっているわけでありまして、どうしてもここは今までの価格政策を転換していただかないと、これはもう農村の崩壊あるいは農業の担い手がいなくなるということにどうしてもつながっていくのじゃないか、私はそのことを大変深刻に感じます。  今の大臣のお話のように、来年の夏までに総合的な農業、農村づくりというものについて今策定作業中だということに私ども期待をしておりますけれども、また私どもとしても考えて対案を出していきたいと思っておりますけれども、どうか今後も畑作を含め、米も含めてですけれども、ガットもさることながら、やはり国内の生産体制をしっかり固めていくにはどうしたらいいかという大きな観点からの議論をお互いにやっていこう、こういうことを特に申し上げて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  132. 大原一三

  133. 倉田栄喜

    倉田委員 公明党・国民会議倉田でございます。私は、一連の台風被害に関連をして質問をさせていただきたいと思います。  我が党も、この台風被災に対しましては、それぞれ手分けをいたしまして現地調査をいたしたところでございますが、特に第十九号の風の猛威による被害のすさまじさと申しますか、予想以上のすごさに本当にびっくりいたしております。被災に遣われました方々に本当に心よりお見舞いを申し上げますとともに、ともかく早く何とか立ち直ってほしい、そういう思いでいっぱいでございます。  また、農水省におかれましては、早急に現地の方に赴かれまして調査されておられる由で感謝いたしたいと思いますが、政府としてもこの被害に遭われた方々が早急に立ち直られるように対策を講じていただきたい、こう思うわけでございます。  そこできょうは、その被災に関連しまして、閉会中まことに恐縮であったわけでございますが、自治省、通産省の方にもお見えいただいておりますので、先にそちらの方から質問をさせていただきたいと思います。  先に自治省の方でございますが、今回のいわゆる台風十九号の被害については山間地域、いわゆる印とか村とか、そういうところが大きな被害をこうむっておる。町の年間予算をはるかに超える被害をこうむっている町や村があるわけでございます。そこで自治省でございますが、災害に係る特別交付税の配分、その財政負担の緩和、これをぜひともお願いをしたい。さらにはもう一点でありますけれども、いわゆる山間地域、川上、川下という分け方をいたしますと、川上の山や町が被害を受けている、この場合において、例えば二次災害なんか起こると川下が被害を受けてしまうわけでございますから、この川下の地方自治体も被害を受けている川上の地方自治体に対して何とか支援体制を組んでいただけるような、そういう措置がとれないものかどうか。この二点について、自治省にまずお伺いをしたいと思います。
  134. 湊和夫

    ○湊説明員 お答えを申し上げます。  今回、全国的に被害が出ておりまして、災害の場合は、災害復旧事業に伴います国庫補助等の制度もあるわけでございますが、そういった点を勘案いたしましても、なおその負担額は多額に上るものと私どもも思っております。したがいまして、今お話がございましたように、一つには特別交付税の配分を通じまして、各団体の財政状況あるいは被害状況を勘案して、財政運営に著しい支障が生じませんように、私どもとしても精いっぱい努力をしてまいりたいというふうに考えております。  また、特別交付税以外につきましても、災害復旧のための災害復旧事業債の配分でございますとか、それから十八日付で予定をいたしておりますけれども、当面普通交付税の十一月分の交付分の一部繰り上げ交付等についても今鋭意作業を進めておるところでございまして、こういった措置を十分私どもとしてとりながら、各団体の財政運営に著しい支障が生じませんように今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。  なお、今二番目にお話がございました川上、川下の市町村間の支援の問題につきましては、ちょっと突然のお尋ねでございまして、私ども制度的な意味合いで今地方財政の面でそういう仕組みがとれるのかとれないのか、にわかにお答えもいたしかねるわけでございますけれども、治水問題全般等の問題とか治山問題に関連して上下流の負担をどうするかという問題、かねてからいろいろ論議はあるわけでございます。この問題は、私どもも引き続き勉強の課題として、きょう受けさせていただきたいというふうに思います。
  135. 倉田栄喜

    倉田委員 大変ありがとうございました。  また、自治省におかれましては、もう一つ災害復旧事業に係る起債枠の確保についてもお願い申し上げておきますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから、通産省、大変申しわけございません。忙しいところおいでをいただきました。実は、今回の十九号、非常に物すごい風による被害で、これが通過したところは屋根がわらが大変飛んでおります。私の熊本のところも相当に屋根が破損をいたしまして、現実には復旧をしたいけれどもかわらがない、人手も足りない、それから応急処置としてビニールシートをかけているけれどもこれもなかなか手に入らない、こういうふうな声も聞いているところでございます。  そこで、いわゆる家屋の復旧資材の安定供給と申しますか、価格の安定、こういうことにつきまして、通産省にお尋ねをしたいわけでございます。現実には古いところの屋根がわらが飛んでいる、新しい規格に合わない、そういういろいろな問題が起きている。調査お話では、そんなに値上がりをしていませんよ、全国的には品不足はありませんよ、こういうふうなお答えをいただいておるわけですけれども、個々にお話を聞くと、ながなか手に入らない、現実に値上がったりしている、こういう話も聞くわけでございますので、その面の対策もあわせて通産省の方にお伺いしたいと思います。
  136. 長田直俊

    ○長田説明員 お答えいたします。  私ども通産省では、九月三十日、中国通産局に災害関係情報提供相談窓口というのを設置いたしました。また、十月三日には、九州通産局に台風十九号災害復旧関連物資需給等相談室という室を臨時に設置しております。これらを通じまして、かわらなど屋根材の生産者団体に対しまして、特に九州地区、中国地区への重点的な出荷、それから便乗値上げの防止といったようなことを既に申し入れております。  需給状況でございますけれども、粘土がわら、スレートにつきましては全国的に在庫がございます。これを九州地区を中心としました被災地区に重点出荷することによりまして、またメーカーに増産の要請を行っておりますので、この増産努力によりまして、品不足は次第に改善するという方向にあると認識しております。ただ、セメントがわらという分野につきましては、九州地区の規格が他地区と若干異なっておりますために、今これもメーカーがフル稼働で生産しておりますけれども、品不足の状態が一部で生じているというふうに考えております。  価格の状況でございますが、いずれにつきましても一部長距離輸送、例えば現在九州に四国から持っていっているような例がございますので、その場合の輸送コストは含まれておりますけれども、工場出荷段階では価格は平常どおりの様相である、私ども調査によればそういうふうになっております。  いずれにいたしましても、今後ともこうした需給の動向、それから価格の動向も含めまして、私ども正確かつ迅速な監視体制を合しいておりますので、一つ一つ対応してまいりたいというふうに考えております。
  137. 倉田栄喜

    倉田委員 大変ありがとうございました。被災に遭われた方々復旧ということで大変困窮をしておられますので、通産省、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、農水省の方でございますけれども、いわゆる激甚災害指定それから天災融資法発動については、それぞれ大臣から、指定方向で、あるいは発動するという方向検討対応をしていきたい、こういう午前中の答弁がございました。今回の十九号の一連の風の被害については、例えば果樹の問題を見てみても、いわゆる樹体自体が被害を受けておる。そうすると回復をするのに二年も三年もかかるかもしれない。そういう損害が果たして今回の損害の中に見込まれて算定をされるのかどうか、こういう問題もございましょうし、また、大変な被害を受けておる林業についてはなかなか正確な被害調査ができていない、また、復旧にどれくらいの予算がかかるのかということも実際には大変困難な問題だろうと思うのです。  そこで、いわゆる激甚災害にしても天災融資法発動にしても、損害をどう評価するか、こういう問題が出てくるのだろうと思うのです。損害評価については迅速適正にやっていただいているのだろうと思うのですが、そういう問題も含めて、ひとつ大臣に、恐縮でございますが、もうコメントいただいておりますけれども、簡潔に、激甚災害天災融資法、それから損害の評価の方法について御答弁をいただげればと思います。
  138. 近藤元次

    近藤国務大臣 災害額の算定につきましては、それぞれ算定の方式が実はございまして、それは市町村に至るまで皆担当のベテランの人たちが被害を掌握するわけであります。ただ、今次、量的にも広さにおいても、双方とも大変大きなものであるということで時間がかかるという問題はまたあります。特に、今御指摘のありました森林につきましては、林道、作業道等が閉鎖をしてしまって奥地に入れないという問題が実はございます。  しかし、被害額につきましては、激甚法なりあるいは天災融資法の対象になる額というものは、過去の被害額から見たら、現状、中間の取りまとめにおいても極めて大きなものが出ておるわけでございまして、激甚法の指定というのは国土庁でありますけれども、私ども被害額報告をし、そして協議をして、早いことがこれまた大変大切なことで実はございますので、可能な限り早くその対応をしていきたい。  天災融資法については、もう一つ資金需要額というものが必要になってくるものですから、天災融資法発動する方向で、今作業を進めて実はいるわけであります。それぞれ今の被害額を見ていれば、手続上その確定はおくれていますけれども、県なり市町村段階で調査の掌握に当たっている人たちはほぼ認識をしておるというふうに思っておるわけであります。
  139. 倉田栄喜

    倉田委員 ありがとうございました。前向きな御答弁をいただいて、被災者方々も本当に一日も早い、早急な発動を望んでいることであろう、こういうふうに思います。  あわせまして、これまた午前中質問がございましたけれども、いわゆる自作農維持資金融資枠確保の問題、それから貸付限度額引き上げの問題、さらには、これは要望でございますけれども、林業、水産業関係資金融資枠、こういうものも弾力的に確保していただきたい、これをお願いしておきたいと思います。  続きまして、いわゆる共済制度、この問題についてお尋ねしたいと思うのです。  私どもの熊本も、今回ナシ、ミカン、それからメロンが相当な被害を受けましたけれども、午前中たびたび御指摘ありましたけれども加入率が非常に低い。どうしてこんなに加入率が低いのかということも議論がありましたけれども、二〇%あるいは三〇%の被害がないと適用にならないという問題があったり、あるいは掛金の割に支払い率が低い、こういう問題があったり、あるいは地域ごとに恩恵——恩恵という言い方はおかしいですけれども、掛けていてもなかなか適用を受けない状態のままで過ごしているものですから、結局入らないふうになってしまうということがあったりするもの、そういう話を聞くわけでございます。この問題について、いわゆる加入率の問題、掛金の問題、切り捨て率の問題、それからさらには品目ごとに考えられる単価の問題、こういうことをひとつもっと見直してみてはどうなんだろうか、こういうことを思うわけですね。  例えば、今回の被害については、青森なんかにおいても、リンゴの木そのもの自体、樹体が相当損傷をしておる。熊本の場合も、やはり木そのものが損害を受けておる。例えば、ナシなんか落ちてしまって、暖かい日が続くと花が咲いてしまって来年も再来年もだめだ、こういうふうな状況になってしまうことがある。ところが、熊本の場合を例にとると、樹体共済に入っておられる方は皆無である、こういう状況もある。  そこで、共済制度、私ちょっと勉強不足で、まだいろんな問題があるのかもしれませんけれども、今申し上げました点も含めて、この共済制度趣旨、そういうものを見直しする必要があるんではないのかな、こう思うわけですが、この点、共済制度現状はどうなっているのか、このことも踏まえて、さらに共済制度については、いわゆる漁災制度というのもございます。今回の風被害で養殖施設も大分痛められて損傷を受けているようでございます。農業共済あるいは漁災制度、この現状、制度の運用自体含めて、ひとつ共済制度の根本的な見直しが必要ないのかどうか、御質問したいと思います。
  140. 川合淳二

    川合説明員 今お話ございました農業共済につきまして、加入率を見てみますと、当然加入制をとっております水稲、麦等は、水稲が九〇%、麦が八〇%弱というような水準でございますし、蚕繭共済、お蚕さん関係でございますが八五%、それから任意加入制をとっておりますものでも、家畜共済につきましては、乳用牛が九四%、肉用牛が六五%というような水準でございます。そうした中で、果樹共済、それから畑作共済はもうちょっと高いわけでございますが、それから園芸施設共済というようなところが四〇%台、果樹が二〇%台、こんな状況であるわけでございます。  私ども、こうした加入状況につきましては、過去におきましても、例えば果樹共済につきましては、特定危険方式と申しておりますけれども、特定の事故につきまして選択できるというような方式を導入しました。これは当然その事故だけでございますので、掛金が低いというようなことで、あるいはそれに伴いまして最高限度を七割から八割に引き上げる、あるいは、先ほど先生ちょっと御指摘がありました農家ごとの被害状況に応じまして危険段階別の共済掛金率の設定というようなことを導入したり、その都度制度上の改善をそれぞれ行ってきたわけでございます。こうした制度は、農家の多様化というようなものに対応してやってきたわけでございまして、そういう意味では専業的な農家が加入しやすいということを目標にやってきているわけでございます。  御指摘のように、こうした加入率状況にあるわけでございますが、やはり何よりも、共済といっても保険でございますので、農家がリスクとそれからそれに対応します負担というものをどういうふうに考えているかというところに非常に難しい問題があるのではないかと思っております。制度の加入につきましては、この制度の十分な理解ということは当然でございますが、どうも、やや長期的にこうした制度の必要性というものを受け入れていただけるような、そうした普及というものにも十分私ども意を用いていかなければならないのではないかと思っております。  今回のこういう災害を契機にいたしまして、私どもも、加入者あるいは非加入者も含めましてもう少し関係者の意見なども十分聞いて、この制度についていろいろの角度から勉強してみたいと思っております。
  141. 倉田栄喜

    倉田委員 次に、今回の十九号、山が随分やられております。私の生まれた小さな町も相当な被害が出ておりまして、本当に大丈夫かなと心配をしております。  また、林野庁長官におかれましては、大分県日田市の方へ御視察に伺われてその被害状況というのはつぶさにごらんになっておられると思うのですが、実はなかなか人が入らないところであるがゆえに被害実情調査がおくれているのではなかろうか。調査をするのに、林道、作業道が通じてないものだからなかなか入れない、そこで、ヘリコプター等生から調査をする必要があるだろうと思うのだろうけれども、なかなかその予算面の手当てがつかない、こういう問題も現実に起こっているのだろうと思うのです。  そこで、ともかく現地調査、正確な実情把握を急いでいただきたい、こう思うわけですが、この点については、現況、どんなふうになっているわけでございましょうか。
  142. 小澤普照

    ○小澤説明員 先生今御質問調査でございますけれども、十七号から十九号に至ります林野関係被害、大変広範囲にもわたっておりまして、そのような中で現在まで把握しているものは、これは十月十四日現在でございますけれども、立木の倒伏、折損等による森林被害等で約千八十億円、それから林地荒廃等約三百六十億円、さらに、林道施設被害約百億円ということでございまして、民有林、国有林、合わせますと被害総額が約千五百四十億円でございます。さらに、この十九号はやはり立木の被害が大変多く発生しておりまして、その被害調査につきましても鋭意進めているところでございます。  林野庁といたしましても、私も一部見せていただいておりますけれども、幹部、また担当官、特に被害の著しい十県でございますね、各県でも特に被害の著しいところにつきまして現地調査を直接行うとともに、また、都道府県、それから営林局等ございますので、このようなところに被害状況の迅速、的確な把握を行うように指導もしておりますし、航空機を使いまして写真等による調査等も併用いたしたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、被害の実態につきまして十分な把握に努めてまいりたいと考えております。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  143. 倉田栄喜

    倉田委員 現地の方のお話をお伺いしますと、ともかく林道、作業道というのを早急に復旧をしてほしい、そういう要望が非常に強いわけですね。ただ、復旧をするためには復旧するための機械が要る、機械を買うにもなかなかお金がない、そこで、機械を買うための予算についての国からの補助を何とかお願いできないだろうか、こういう問題があったり、あるいは山が復旧するについてはそもそも労働力が不足をしている、いろいろな変な倒れ方をしているわけですから、山になれない方が入って作業をしてもかえって事故でけがをしてしまう、こういう意味ではやはり山になれた、いわゆる山の技術者に来てもらわないと、また二次災害が、二次的な事故が起こってしまう、そういうお話もございました。  そこで、林道、作業復旧のための機械の購入、それから労働力の確保、例えば倒伏の。もし山間のそういう労働力があれば九州の方まで応援に来ていただくとか、そういう方途がとれないものかどうか、まずこの二点についてお伺いをしたいと思います。
  144. 小澤普照

    ○小澤説明員 二つの面でございましたけれども、林道、作業道の復旧でございますが、この復旧に当たりましては機械力というものが威力を発揮するわけでございます。この機械力を使うために、私どもとしては、この復旧作業の際にまず森林土木業者が建設機械を使用するということになるわけでございますが、この際に復旧経費の請負経費という形での積算をするわけでございますが、機械損料を組み込んで行う、あるいはまた森林組合等が建設機械を借り入れまして請負施工をするというような場合もございますが、リース料として見込むという形で措置ができると考えておりますので、この点についての周知徹底を図りたいというように思っております。  それから、なお立木の被害、大変多いわけでございまして、これの搬出その他整理が必要でございますけれども、この点につきましては労働力確保の面でも大変困難な状況もございますために、この点でも機械力というものが期待されるわけでございます。それで、この問題につきましては、最近高性能の林業の機械が開発されてきておりますけれども、まだまだ普及は十分じゃないわけでございますし、特に九州地域等におきましては、ほとんどこういう高性能機械はまだ稼働してないのでございますけれども、今回の災害一つの契機といたしまして、私どもこの高性能機械の活用ということを早急に検討もし、被害木の整理が円滑に進むように最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  145. 倉田栄喜

    倉田委員 今回、私被害を受けた山の方に入らせていただいて現地の方の声もお聞きして一番痛切に感じたことは、今回の被害で、今まで山を守ってこられた方々がもう山はだめだ、切り出して外に出すだけの体力も気力もうせてしまう、そうすると山を放置したままになってしまうのではないか、現実にはそのことから二次災害のおそれも非常に大きく出てくる、こういうことを痛切に感じたわけでございます。  一例、例えば山を今まで守ってこられた方々というのは、今回の被害で、シイタケ栽培をしておられる方々も非常に多い。今回の被害が特に南面、南側の方の山が多くやられているわけですけれども、その南側の方というのはシイタケのほだ場も随分栽培されて、これが本当に根こそぎやられてしまっておる。この方々が山を守りながらいわゆるシイタケ栽培で生活の糧を得られておられて、今度全滅してしまって果たして再生ができるだろうか、こういうことになってしまうと山の守り手自体もいなくなってしまう、こういうおそれを実は抱いたわけでございます。  そこで、これは大臣にぜひともお願いでございますけれども、山が果たしている治水治山、それから涵養資源としての公益的な機能というのは非常に大きなものがある。これは皆さんが議論をしておるところでございます。こういう山の機能を守っておられる方々が今回の被災で実は大変な打撃を受けてしまっておる。現実にはシイタケを栽培しておられる方々であったりもする。ぜひこういう方々に山を捨てないように、山を守っていただくように強烈な支援をしていただくようお願いしたいと思います。  それからもう一点、先ほど私は自治省の方に、いわゆる今回災害を受けた川上の市町村、これに対して川下の市町村が応援をするような、山の機能というのを守るような体制が組めないのかどうか、こういう御質問をさせていただいたわけでございますけれども、これは国としても早急に考えなければいけない問題ではないか、このように考えるわけでございます。  そこで、最後に大臣に二点、現実に山を守っておられた方々、この方々が今回の被害で山を守る意欲を失われてしまっては大変だ、これを何とか守っていただきたい。それから、川下の地方自治体も何とか立ち上がりに協力をしてもらいたい、この二点について大臣の御所見をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  146. 近藤元次

    近藤国務大臣 実は、今回の被害で私が一番深刻に受けとめておるのは、山を放棄し、農地を放棄して離農、離山するのではないか、こういうことでございまして、経済的な被害によって精神的に大変落ち込んでおるというふうに私も実は認識をいたしておるわけであります。それだけに、復旧に対しての対策はやはり急いで農家なり林家に知らせるということも一つの大事な仕事である。その意味合いからも、激甚法なり天災融資法というのは、最初に復旧しようとする人たちの意欲を少なくとも起こさせるのではないだろうかということも考えながら、私はこの対策を急いでおるわけでございます。  しかし、現実に意欲があっても実行か伴うかどうかということについては、今度は内容をよくしていかなければならないということにもなるわけでありまして、御指摘のとおり、山は経済面以外に社会政策上大変大きな役割を果たしていただいておるわけですから、今日的には国民の関心事項でもありますし、国民的な理解は得やすい、こういうふうに判断をいたしておるわけでありますので、ぜひ私どもは積極的に進めていきたい、こう考えて、十分な対応をしていく決意でいるわけであります。  もう一つ、川上、川下の問題というのはどういう面があるかと言えば、川下から川上に財政的な支援という一点と、人的支援という二点でなかろうかと思うわけであります。まあ人的支援については、これは御協力を求めていくことは可能であるけれども、財政的支援ということになると、これが市町村を超えての市町村同士の支援ということに対して従来どういうようなことがあったのかというようなことを、私どもどういう関係でどうやって結んでいくかということを私は十分承知をしていないわけでありますが、自治大臣が現地を今視察をしておられるので、帰り次第、また、きょうの委員会での先生発言等について協議をしてみたい、こう思っておるところであります。
  147. 倉田栄喜

    倉田委員 実際、山が荒れて二次災害、大洪水が起こりますと、これは川上のみにとどまらず川下の問題でもございますので、ひとつぜひとも前向きに御検討をお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  148. 穂積良行

    ○穂積委員長代理 次に、藤原房雄君。
  149. 藤原房雄

    ○藤原委員 このたびの台風被害につきましては、特に十九号は風台風ということで非常に被害が大きかったわけであります。被災者方々に心からお見舞い申し上げるとともに、きょうも午前中から同僚委員から各種の問題の提起がございましたが、行政当局といたしましてもひとつ早急な対策を講じまして万全の措置を講じていただき、今後の諸対策によりまして、また新たなる決意で営農計画、また今後の林業計画それぞれに資することのできるように心からお願いをしておきたいと思うわけであります。  きょうは限られた時間でございますが、次の委員会というのもなかなか非常に予定が難しい、こういうことでございまして、何点かについてお伺いをしたいと思いますが、一つは今問題になっております流し網漁をめぐります諸問題について、米国が国連総会に規制に関する決議案を提出いたしました。これに対しまして、日本も別途決議案を提出したわけでありますが、八九年の決議当時のいろいろな議論もあり、九〇年、このたびのこの決議案ということでございますが、時間もございませんから一つ一つ丁寧に申し上げませんけれども、科学的調査をもとにという我が国の主張は主張として、それは私どもよく理解できるところでありますが、しかしながら明年の六月三十日ですか、こういうことの上に立ってのアメリカの攻勢といいますか、こういうことになりますと、相当積極的な対応をいたしておきませんと日本の国だけでできることではございませんし、また諸外国の理解を初めとします相当な積極的な対応策というものは必要だろうと思います。また、当然そういうことについては行政当局としてもお考えのことだと思います。  最初に、この流し網漁業に対します影響が、北海道を初め漁業に負うところの影響が非常に大きいだけに非常に大きな関心事でありますし、そしてまた関連する漁業者も非常に多いわけでありますが、この見通しや関係諸国に対しての今後の交渉、それから世界各国に対する理解を深めるための今後の対策、それから混獲を避けるということであるならばまた別な方法もあろうかと思うのでありますけれども、科学的な実態を把握する、こういうことで今日までやってきているわけでありますが、これらのことを通しまして、何年先ということではございませんので、そういう中にありまして今後の取り組み、そしてまた今後の交渉に当たります行政当局の農水省のお考え、ひとつ積極的な取り組みをぜひしていただきたい、こういう気持ちも込めてお尋ねをしておきたいと思います。
  150. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 流し網問題につきましては、一昨年の国連決議を経まして、その後いろいろな対応をしてきたわけであります。それに基づきまして、日本の船に米国、カナダの科学者も日本の科学者と一緒になって乗船してもらい調査をし、その結果に基づきまして、六月にカナダのシドニーに科学者の間の会合を行ったわけでございます。その結論自身が統一したものでなかったというようなこともありまして、米国なりに解釈して、一昨年の国連の決議よりもう少しはっきりした、来年の六月三十日以降はモラトリアムではなくて中止である、禁止であるというような決議を出したわけであります。それに対して、日本側も遅滞なく一昨年の決議を再確認する決議をし、御案内のとおり、国連の場での論議が進むというような状況になっています。  ただ、国連にそういう決議を提案していますけれども、アメリカ側自身としましても、話し合いを否定するわけではない、ただ、そのためには条件といいますか、すぐ自分たちの立場は変わらないけれども、日本側と話をする用意はあるというよ一つなことになっているわけでございます。  先週、私も訪米して、いろいろな話、国務省あるいは大統領府、商務省等の方々と話し合いをしたわけでございますけれども、なかなか理解をしてもらえなかったわけでございます。私どもとしましては、御指摘のように、国連での対応をするために各国の理解を得るというようなことが大事であると考えまして、甕前次官が最近訪欧した際にも、EC諸国等に日本側の趣旨説明して理解を求めることに努めていただいたわけでございます。なかなか結果は厳しいものがあったわけでございますけれども、そういう努力を今後我々としてもやっていきたいと思います。  それからもう一つ、一番最大の国であります。アメリカとの間の話も引き続き続けていきたいと思っておりますし、昨日も、訪日しておりましたアメリカ大統領府のパール補佐官と大臣、お会いしていただきまして、日本側の立場について説明をしてもらい、アメリカ側の再考を促したわけでございます。  今後、率直に言いましてなかなか厳しい局面に直面しているわけでございますけれども、流し網漁業の重要性ということにかんがみまして、国連での対応あるいは直接アメリカとの話し合いというものに全力を挙げてやっていきたいというふうに考えております。一     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 藤原房雄

    ○藤原委員 大臣、これは鯨のときも手をこまねいて調査捕鯨、最小限度の形になったのでは決してありません。やはり相当な外交努力をしてきたことは私どももよく知るところでありますが、鯨もああいう形になり、そしてまたこの流し網、そして今マグロのこともいろいろ問題になっておるわけでありますが、水産王国日本というこの看板をかえなければならないような、こういうことではならぬだろう。今水産庁長官からお話がございましたけれども、ひとつ最大の努力を払いまして、できる限りの諸外国に対する働きかけや、また科学的な根拠等早急な対応策についてぜひ強力に進めていただきたい、こう思うのですが、大臣の決意のほどをひとつお伺いしておきます。
  152. 近藤元次

    近藤国務大臣 今水産庁長官から御答弁させていただいたような状況ではありますが、きのうパール補佐官ともお会いをして、六月三十日で禁止をする以外に話し合いの余地がなければ日本としても対応はない。日米関係というのは、困難な問題も両国が話し合いで解決をしてきたことでもあるから、国連に決議案の提案は提案としても、話し合いを続行しよう。そして、日本としてもこれだけの対応をして、長官から対応策を持っていっていただいたわけでありまして、混獲を皆無という状況というのは、これはもう今回の流し網の漁法の上からいっても皆無ということは不可能なことであります。いかにして少なくしていくか、そういう問題についての幾つかの提案をいたしておるわけであります。  私とお会いしたパール補佐官も、本国に帰って上に報告をする、こういうことでございますし、再度協議の場というものが設定されることを期待をしておりますし、また、外交を通しでそのような努力は続けていかなければならない。  いずれにしても、水産の関係というのは環境問題から特にその規制が厳しくなってきておるわけであります。環境という問題から出てくると、ややともすれば感情的になりがちでありまして、水産は再生産も可能なものでありますから、その再。生産を可能な中に資源保護をどうしていくかという、その調査をどうするかということを日本としては今後国際的な立場で提案をしてイニシアチブをとるという形のもので、今後国際漁業を進めていかなければならない。この問題を水産国と話をしていくということが、中長期的に見て、これから日本の水産を守るという立場で今後また別途外交的にも進めていかなければならない、そう判断をいたしておるわけであります。
  153. 藤原房雄

    ○藤原委員 さて、災害のことでありますが、同僚委員からもるるお話がございましたが、災害対策基本法に基づきまして激甚災害指定とか、激甚災害指定によりまして負担法とか暫定法とか天災融資法とかいろいろな制度があるわけでございますが、農水省といたしましても今精力的にこの被害の実態を把握しておるということでありますが、この激甚災害指定するのは国土庁でありますけれども、閣僚の一員としまして、きょう各同僚委員からもるるお話のありましたように、ひとつ一日も早いこの指定によりまして、明年度の営農計画、そしてまた、果樹等につきましては長期にわたるでありましょうその計画に対しまして、遅滞のないような対処をできるようにぜひひとつ御配慮をいただきたい、閣議等でもぜひひとつ声を大にしてお話し合いをしていただきたいものと思います。  この激甚災の指定によりますいろいろな諸対策それから制度金融、農業災害補償制度、災害がございますとそれぞれいろいろな制度があるわけでありますが、これらの制度はフルに生かしていただかなければなりません。これは先ほども我が党の倉田委員からもお話がございましたが、枠の拡大とか先に借りているものにつきましては繰り延べるとか、いろいろな制度についてもぜひひとつ御配慮いただきたいと思います。明年の営農ということを考えますと、そしてまた農業にとりましては今非常に大きな転機を迎えておる、こういうことを考えますと、せっかくここまで積み上げてきたものがこのたびの災害で非常な被害を受けて営農意欲をなくするということがあってはならぬ、これは私ども一番危惧するところでありますが、畑作物やなんかですと明年の種子をどうするかということだろうと思いますが、果樹等におきましては、樹体が傷みますと来年すぐ植えて収穫があるというわけにいきません。こういうこと等からいいまして、少し長期に、そしてまた低利の、営農意欲をそがないような対策が最も大事なことだろうと思います。  こういうことから、果樹につきましては何といいましても果樹の種苗の安定供給ということや、水稲とか畑作物、これらにつきましてはそれらの種子の確保とか、こういうこと等についても地元からも要望もあり、また農水省としましても万全の対策を講じていることだと思いますけれども、この点についてぜひひとつしっかりやっていただきたいということと、それから矮化栽培、これは今回のように五十メートルを超すような風速であったということもさることながら、やはり風に弱いという一面があるのではないか。こういうこと等に対する反省というものも当然、省内でもいろいろ御検討なさっていることだと思うのでありますが、これらをサポートするいろいろなことが地元でも検討されているようでありますが、これにもまたお金がかかることでありますし、長期的に見ればそれはまた大事なことでもあるわけですが、これらの施設等あわせまして、ひとつ万全の対策を講じていただきたいと思います。  今申し上げた二、三点さらにまた果樹それから果樹の樹体、これともう一つ台風被害はこれだけではございませんで稲作等につきましてやはり被害がございました。こういうことから、規格外米の自主流通する道を開いてもらいたいとか予約概算金の問題とか返納期間の延納とか他用途利用米の出荷とか、こういうことも午前中もずっと言われておりましたが、ぜひこれらのこと等もあわせてひとつ農民の再生産の意欲のわく諸施策をきめ細かに配慮していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  154. 上野博史

    上野説明員 果樹関係についてお答えをさせていただきたいと思いますが、幅広い御質問でございますので、かいつまんでお答えを申し上げたいと思うのですけれども、まず樹体の被害関係につきましては、既に技術的な対応の問題について農政局を通じて指導に着手いたしております。  それからまた、先ほど来答弁の中にもございますように、専門家によりますチームを各地に派遣いたしまして、現地において必要な指導をするという手当てを行っているところであります。  それからまた資金的な問題につきましては、融資の制度等もございますので、その運用を遺憾なきを期してまいりたいというふうに思っているところでございますが、さらに技術的な、現在やっております技術チームの実地におきます指導等状況を踏まえまして、今後の果樹農業の発展の方向ということを頭に置きながら必要な措置について検討してまいりたいというふうに思っております。  それから苗の問題でございますけれども果樹の苗につきましては、物によって現在すぐに調達できるかどうかという状況に若干の差があるわけでございますが、県間の調整等を行うことによりまして所要のものを確保できるように手当てを合いたしておるところでございます。  それから矮化栽培の問題でございますけれども矮化栽培作業の軽減を図るあるいは食味のいい果実を供給するという労力事情なりあるいは消費者のニーズの高まりに対応するための最近の技術でございまして、我々とすれはこの技術を今後とも普及発展させていかなければならない、そうすべきものだろうというふうに考えております。  ただ、委員御指摘のとおり風に弱いという問題はあるわけでございまして、それへの十分な手当ては今後とも特段の努力をして考えていかなければならないというふうに思っております。今回の台風による被害におきましても、関係県からの報告によりますと、十分な風に対する対応がなされていなかったために矮化栽培被害を大きくしているというような報告もあるわけでございまして、今後、先ほど申し上げました技術的なチームの現地状況把握等をもとに、必要な風への対応を特段にまた図ってまいるように指導してまいりたい、かように考えているところでございます。
  155. 藤原房雄

    ○藤原委員 大臣、今あります制度は最大限に生かしていただく、その努力をひとつぜひ、今日もやっておると思いますけれども、さらにまた督励をしていただきたいと思います。  以前、いろいろな災害がございますと、救農土木事業とか幅広くいろいろなことを検討しましたね、今までの枠にとらわれないでということで。テレビ等を見ますと、もう農業の後始末をしてもしょうがない、出稼ぎ以外ないというようなことで出られるということになりますと、農業からどんどん手を抜く、そういうことが明年の営農にどういう影響があるのか、こんなことを考えますと、できるだけ地元で働きの場、損失した、減った収入を補うものが地元で働ければ一番いいわけでありますが、これは言ってやすいことですけれども簡単にできることじゃありませんが、山のことや土地改良やいろいろなことで今日までもやった経緯があります。今こういう時代になりまして何ができるかということになると、私どももすぐ思い浮かばないのですけれども、できるだけ地元で農家方々が仕事があって収入が得られて、明年またその先々の営農に意欲を持ってやれるようなそういうこともぜひひとつお考えいただきたいと思いますが、どうでしょう、大臣。
  156. 近藤元次

    近藤国務大臣 大変大切なことで、現地災害復旧工事も発注されますし、あわせて果樹災害を受けたところは数年収穫皆無というような状況鳩一ございますので、農林水産省の救農土木という表現でいいかどうかわかりませんが、関係町村の農家を優先して就労させていくということは関係省庁の大臣にも私が閣議等で要請していきたい、こう思っておるわけであります。
  157. 藤原房雄

    ○藤原委員 今日農業に携わっている方々は、それなりの意欲のある方々だろうと思います。後継者のない中で一生懸命頑張っているという方もいらっしゃる。いろいろな多様な中にありますけれども、この窮状の中でできるだけ、こういう大きな災害の中でありますから御配慮いただきたい。そして、日本農業一つの試練とも言うべきこのたびの災害、ぜひひとつ農家方々に大きな不安を抱かせることのないような諸施策をお願いしたいと思います。  災害は、台風による被害もさることながら、ことしは東北が冷夏でございまして、そういう点で昨今の作況指数もちょっと落ちているわけであります。日照不足、低温、こういう中にありまして、これらのこともぜひひとつ、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな対策をひとつ講じていただきたいと思います。日照不足や低温になりますと、葉いもちやなんかが出まして、その防除ということで空中散布等やっております現場を私ども見てまいりました。農業はできるだけ少なくということでありますが、最低限こういう状況になりますとやむを得ない、こういうことで空中散布をしておるわけでありますが、この空中散布をやっております現場を見ますと、いろいろな問題がある。  その一つは、明年どこにどういう空中散布をするかということは、ことしの秋にいろいろ協議会を開いて十分に安全対策とかいろいろなことで協議をするわけでありますのでれば事前協議における同意ということの上に立って物事が進められるわけでありますが、私どもが参りましたところでは、学校のプールがあったりそれから浄水場があったりそういうところではもう少し配慮をしなければならない問題があったんではないか。この冷夏の中でありますから、葉いもちの防除のために一生懸命やるのはいいのですけれども、混住化しております今日ではやはりこの防除の仕方というものも考えなければならぬ、こんなこと等で大臣にも申し入れもいたしたところでございます。最近は無人ヘリを利用する、こういうこと等もいろいろ考えられておるようでありますが、できるだけ人体の影響というものも十分に勘案した運用というものがなければなりませんし、また事前協議の中で、地方自治体のいろいろな意見等についてもお話し合いをして、少なくとも都市住民や近隣の方々に健康上の不安を抱かせることのないような配慮の上に立っての計画でなければならぬと思うわけでありますが、この点についてぜひひとつ大臣の御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  158. 近藤元次

    近藤国務大臣 農業の空中散布の問題については、かねがね先生から御指導いただいておるところでありますが、空中散布は農作業省力化生産コストの低減を図ることができる技術として普及してきておるところでありますが、空中散布の実施に当たっては、広域に薬剤を散布をするという事業の性格上、農家の意見と地元関係者の意見との調整について十分に協議することは極めて重要なことであると認識をいたしておるわけであります。  これまでも、農林水産航空事業実施指導要領というものをつくり、実施区域の市町村、保健所等関係機関との協議や、学校、病院等の公共施設、地元住民に事業の内容を通知するなどして理解と協力を得るように都道府県等関係機関指導してきたところでもあります。  さらに今般、空中散布の安全かつ円滑な実施を図るために、事業の計画段階において地元関係者と十分な協議を行い、その理解と協力を得るように地方農政局会議においても指示をいたしてきておるわけであります。  なおさらに、この種のことがマンネリ化しないように、今後とも引き続き十分な指導の徹底を図るように指示をしてまいる所存であります。
  159. 藤原房雄

    ○藤原委員 人命にかかわることでもあり、人の健康にかかわることでもございますから、ぜひまた御配慮いただきたい。また、細部にわたりまして御検討いただきたいと思います。  以上で終わります。
  160. 大原一三

    大原委員長 藤田スミ君。
  161. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、質問の初めに、連続した台風による被害農家の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。  この台風の後、まるでその被災農家に重ねて、頭をたたくような報道がありました。それが十日付の海部総理の米関税化の検討を指示したというあの記事です。もっとも事務次官は翌日談話を発表されて、総理から報道にあるような指示を受けたという事実は全くないとその事実を否定されておられるわけですが、その談話を読んでおりましても、輸出補助金に関する適切な対応がなければ輸入国としては国境措置、国内支持の削減には応じられない、引っくり返して読んだら、輸出補助金に関する適切な対応があった場合には、国境措置すなわち関税化問題にも応ずる、こういうふうな読み取り方もできるのじゃないかというふうに思うんです。  ドンケル・ペーパーが十一月の初めに出され、それが当初予想された論議のたたき台ではなく、決着を前提にした最終的な合意案に近いものになる可能性がある中で、関税化の流れは一層強まっているわけでありまして、そういう情勢の中で、条件が整えば関税化も受け入れるかのような表現もまた厳に慎まなければならないのじゃないか、私はそういうふうに思います。  前回の委員会でも私は大臣の所見をお伺いいたしましたけれども、今災害で苦しんでいる農民の皆さんの前ではっきりとおっしゃってください。輸出補助金に関する適切な対応があろうとなかろうと米の関税化は一切受け入れない、部分自由化も含めて自由化は受け入れられない、その点を明確にお答えいただきたいと思います。
  162. 近藤元次

    近藤国務大臣 新聞報道の点については、私と外務大臣と総理との話のことが報道されたとしたら全くの誤解でありますので、そのことをまず訂正をさせていただきたいと思います。  そのことは、外務大臣から全般における技術レベルの農業交渉の報告が実はございました。そして、我が国としては生産調整をしているものが関税化では対応できない、こういうことで話も一致をしたわけでありますが、総理自身も従来からブッシュ大統領にそのことをお話をしている、そして私たちの話についてもう一度そのことを確認しろ、こういうことなのだなということでありましたから、それ以上のことが話し合われだということでは全くございません。その時点の話が報道されたとしたら、私がそこにいたわけですから、それは全くの誤解であるということを明らかにしておきたいと思います。  それから、今輸出補助金について話がまとまれば日本は米について対応するということのような御発言でありましたけれども、そんなことで政府間なり我が省で話をしたことは全くございません。これは米の分野ではございませんで三分野にわたっている問題で、国内支持についても国境措置についても輸出補助金の三分野について、少なくとも米じゃなくて全体の農業交渉の中で輸出補助金というもののまとまり方によって国内支持の問題も変わってくるし、国境措置にも対応が変わるではないか、それがむしろ国内支持の方が先行して補助金を削減というその会議の進め方はおかしいということを実は私がダンケル事務局長にも指摘をしたわけであります。  その前段について、関税化について我が国は対応することができませんということは三回にわたって、短期であってもだめですということをさらに確認をして、米の問題というよりも生産調整をしておるものはという表現で、私はそのことが今回のダンケル事務局長のペーパーに反映ができることを実は期待をいたしておるわけであります。また、一律関税化ということですべてが関税化ということになれば、実は受け入れることは困難だということでございます。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 先ほどもお話ありましたが、ことしの米生産は、東北地方中心にして不稔障害、いもち病が広がって、それに台風災害が加わって大変な状況になっています。台風災害のない九月十五日現在の作況指数でも、青森の九〇を初め東北全体では九五の状況であり、この台風災害で九〇を割る可能性があるわけであります。また、政府の統計は、網目を全く実態に合っていない一・七ミリを使っているために、現地の実態を本当にあらわしていません。  私は、作況七〇と言われている青森県南部の地方を調査してまいりました。実際あの台風十九号の前日に行ったわけですが、台風の済んだ後も稲は全く倒れることなく突っ立っているのです。恐らく作況指数は五〇を割るのではないかというふうに思います。  既に私は各地から冷害対策要望が出されていると思いますし、それから大臣に対しても、その要望をお示しして対策を求めてきたわけでありますので、きょうはこの場で四点だけお聞かせください。  一つは、この冷害に対する天災融資法発動。それから二つ目は、規格外米の全量政府買い上げ、これは地元からの強い要求です。それから、共済金早期支払い、十二月二十日までにやってほしい。もう一つは、他用途利用米の作況調整の実施、以上四点をお聞かせください。  あわせてお伺いをいたしますが、このような中で心配されるのが、米の安定供給が確保できるのかどうかということです。政府は食管予算の削減を続け、政府買い入れ数量を一貫して減らしてきています。そのために、九一年十月末の政府米の持ち越し量はわずか九十五万トンという状態に落ち込んでおりまして、作況指数が九〇を割り込めば、来年の端境期には主食用の米を輸入にせざるを得ないというような可能性も出てくるのではないかと心配をしているわけであります。この点では、我が党が主張してきたゆとりのある米需給を怠ってきた政府の責任は、極めて重大であると思います。  私は、この点は大臣にお答えをいただきたいわけですが、生産者はこのような深刻な被害の中で、来年は減反面積を緩和してほしいと切実に願っています。また、このような、在庫も切れるという状態の中で、減反を緩和して米生産をふやすことは、消費者にとっても、安定的な米流通という点からも強く求められていることであります。この減反の緩和をぜひ進めるべきではないかと考えますが、大臣の御所見をお伺いしておきたいわけです。
  164. 川合淳二

    川合説明員 青森県の南部地域におきます米の冷害についてのお話でございます。  天災融資法につきましては、先生御承知のとおりでございますけれども、その適用につきまして被害の規模とか深度等を調査しなければなりません。米につきましては、先ほど来お話があります災害と違いまして、まだこれから調査をしなければいけない面がございますので、その実態把握に努めているところでございますけれども、その結果を踏まえまして対処してまいりたいと思っております。  それから、共済金につきましては、見回り調査その他既に実態を調査しているところでございますので、できるだけ早期に支払いができるように指導してまいりたいと思っております。
  165. 京谷昭夫

    ○京谷説明員 平成三年産米の作況につきましては、私どもも累次の作況報告を聞いて懸念を持っておるところでございますが、その中で御指摘のありました数点について御説明を申し上げます。  規格外米の政府買い入れ問題でございますが、ただいまのところ我々といたしましては、集荷法人等から自主流通米による流通対応についての要請を受けておりまして、これについては基本的にこれを認める方向対応したいと思います。また、政府買い入れの問題につきましては、被害地状況等を踏まえて今後さらに検討してまいりたいというふうに考えております。  それから二点目の、他用途利用米についての特例的な軽減問題でございますが、これにつきましても各地域要望は私どもも承知をしております。他用途利用米の流通に当たる集荷法人あるいはまた実需者との協議も重ねながら、今後またその実施について検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、全般的な米の作況状況から、次米穀年度についての需給安定の問題、御懸念が示されたわけでございますが、現在までのところ、自主流通米及び政府米を含めた全体的な今後一年間の需給については、一定のめどを私どもとしてはつけていけるというふうに考えておるところでございます。
  166. 近藤元次

    近藤国務大臣 来年度、米の国内産自給ができるかどうかという御心配の御質問で実はございました。このような状況で、災害状況収穫の正確なものをまだすべて掌握はいたしておりませんけれども、生産調整の後期対策というのは来年度を最終年度として三カ年、後期対策以前は毎年面積が変動してまいりましたが、農家の側、生産者側からも、毎年変動するのは困るという強い訴えが実はございまして、三カ年を固定することで、実は今日八十三万ヘクタールということで推移をしてきたところであります。  今日、私ども今までの予測では国内産自給ができるということで考えてはきておるわけでありますけれども、最終掌握ができたときに、少なくとも国内産で自給のできないような、米を国民に安定した供給ができないという状況があるとすれば、これは生産者側と相談をして国内産ですべてが自給できるという対応をしていくことは当然のことだと思うので、御趣旨の点については今後検討いたすところでありますけれども、国内産で安定した供給をするということだけをここでお答えをさせていただきます。
  167. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 規格外米の全量政府買い上げ措置というのは、私がいただいております上十三地方農政対策協議会が出している要望でありますので、そのことは申し上げておきたいと思います。  大臣からせっかくの御答弁がございましたので、私は減反の問題については言いませんが、大臣、現地に参りましたら、この県南の冷害は声が出せないということを言うのです。冷害、冷害と言うと、産地間競争が激しい中で青森の米のイメージダウンにつながるから、こういうことが言われているわけです。私は本当に驚きました。よもや泣く子の口を押さえるような政策を政府はとっていないと思います。私は、その点大臣に一言だけ、そんなことはない、産地間競争があろうとなかろうと、冷害で苦しんでいるところの声は真っすぐ受けとめる、その一言だけをおっしゃってください。
  168. 近藤元次

    近藤国務大臣 今おっしゃれというとおりの趣旨で、できるだけ私は米として活用できるものはすべて活用していくように指導しておるところであります。
  169. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次に、サトウキビの価格の問題についてお伺いいたします。  サトウキビの生産は、その主産地である沖縄では生育期の記録的な干ばつと台風被害で十アール当たりの収量が計画の七・五トンから大幅に落ち込み、五・七トンしか見込めないという復帰後最低の単収になっています。加えて、先日の畑作価格の引き下げても明らかなように、農産物価格の引き下げ政策の中で、サトウキビ生産者は諸物価や労賃、農業生産資材が上昇する中で、現行のキビ価格では採算がとれない、キビ作では食べていけないと絶望感すら持っているわけであります。  先日、我が党の畑作価格の申し入れに対して、大臣は、台風災害で農民は精神的に落ち込んでおり、その点を配慮して価格を決めたい、大変うれしいお話をしてくださいました。私は、その後畑作価格の引き下げを聞いて少し落胆をいたしましたけれども、もう一度、このサトウキビの生産者価格を決めるに当たってはぜひ価格の引き下げを行わないよう、厳しく要求をするものであります。そしてまた、昨年台風被害に配慮して措置された臨時栽培管理費についても、昨年を上回る台風被害が出ているわけですから、昨年の被害被害、ことしは違うのだというような無情なことを言わないで、引き続いて措置されることを心から要望いたします。
  170. 武智敏夫

    ○武智説明員 簡単にお答えさせていただきたいと思います。  サトウキビの生産者価格につきましては現在検討中でございます。法律に基づきまして、農業パリティからはじき出されました数字をベースにしまして、生産性の向上ですとかあるいは内外価格差の実態ですとか畑作物間のバランス等、総合的に勘案して決めたいというふうに思っております。  それから、お尋ねの平成二年産のサトウキビの臨時栽培管理費でございますけれども、昨年の価格決定の経緯がございまして、平成二年度限りの特例措置というふうに措置されたということを御理解願いたいと思います。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 昨年のその点は十分理解しているのです。そして、よかったと思っています。昨年より上回っているから要求をしているところです。大臣、ぜひこの点は力をかしてください。沖縄というのは台風の通過道なのです。だから沖縄は比較的台風に耐えられるキビ作というものを手放せない、基幹作物として大事にしていかなければならないのです。キビが沖縄の農業中心なのです。農業が成り立たなかったら沖縄の経済は成り立たないのです。つまり、サトウキビがもうつくれないということになったら沖縄の経済を大きく圧迫するのです。だから、私はもう一度、サトウキビの生産者価格は引き下げないでほしい、そのことを心から要求しておきたいと思います。  次は台風十九号を中心とする問題、でありますが、十月五日の速報段階でも、また本日のお示しいただいた資料を見ましても、農林漁業関係に総額四千九百六十七億、戦後最大の被害をもたらしました。その中でも、風速五十三・九メートルと言われておりますが、そういう暴風雨による果樹被害が千四百四十三億円と被害額の四分の一以上を占めておって、過去に例がありません。  実は私は、さっきも言いましたように、ちょうどその台風の前日、青森におりました。そしておりにもひどい状態、戦後四番目の豊作だと喜んでいた青森リンゴに対しておりにもひどい台風被害というものに驚き、それから改めて先日また青森に行ってまいりました。被害額は七百五十億、こういうふうにも言われています。とにかく私が二度目に参りましたときにはもう既にリンゴ畑に山のように落ちたリンゴが積まれておりましたけれども、何とも表現のしようのない残酷な姿でありまして、無残に倒れた木、折れた枝、引き裂かれたリンゴの木を見て言葉を失いました。  同時に、愛媛県などを中心としてミカンの塩害状況も既に三十六億の被害を出し、その後も塩害の進行とともに被害額は拡大をしています。ミカン農家はオレンジの自由化対策でミカンの木を切り、今さらに台風災害でミカンの木を切らざるを得ない状況に追い込まれているわけです。  このように今回の台風災害全国各地に深刻な被害をもたらしましたが、政府としても激甚災、天災融資法の早期発動、各種制度資金の返済猶予措置などはもちろん、各地から出されている要望に対して万全の対策をとるべきでありますが、まず大臣の御決意をお伺いをしておきたいと思います。
  172. 近藤元次

    近藤国務大臣 午前からずっと御答弁申し上げているように、今次災害は極めて深刻に受けとめておるわけでありますし、災害対策用に法律制度を整備されたものはフル回転をして、これに万全な対策をとりたい、こう思っておるわけでありますが、いかんせん今次の災害というのはまた幾つか特徴的なことがございますので、それにまた新しく対応できるかどうかということも検討を進めていかなければならない、そう認識をいたしております。
  173. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そこで私は、あしたも災害問題の特別委員会がありますので、そこでも細かく質問をいたしますが、落果リンゴ対策について数点お伺いをしておきたいと思うのです。  私は、落ちたリンゴの畑を見まして、もう何か夢中で拾っては口に入れ拾っては口に入れして、まだ食べられる、こんなふうにされているけれども、まだこのリンゴは食べられる、そのことを物すごく思いました。そして、こういうのを大阪に送ってくれば大阪の人たちもきっと買うだろう、少々傷があろうとへたがとれていようと、これは食べられるということを思ったわけです。政府の方も市場流通関係者に指導しているというふうに聞きますが、しかし三十四万トンの中で生果は三万トンしか出ないというふうに聞いています。私はもう一度市場流通を指導していただいて、町の小売店でも落果リンゴが買えるように政府が手を打っていただきたい、この点が一つです。  それから加工用については、メーカーとして、落果リンゴが通常のリンゴに比べてそれからとれる果汁が輸入果汁と競合するために価格面で買いただく、あるいはそれを受け入れをすることを渋るというような動きもあると聞いております。これまで農家によって支えられてきたメーカーが災害で苦しんでいる農家に対してそのような態度に出るとしたら、私は許すことができないと思うわけです。農水省として積極的に落果リンゴを受け入れるように、また価格面での買いただきなどはしないように厳重に指導をするべきであります。  あわせて、これはミカンにおいてもそうですが、来年はオレンジジュースの自由化の年です。ただでさえ輸入圧力が強くなっておりますが、落果リンゴ落果ミカンなどの品質を理由に一気に輸入をふやそうという動きが大手商社などを中心として広がっているということが新聞報道などでも伝えられています。今回の災害リンゴやミカン生産に大きな痛手を与え、通常の生産に戻るまでに七年とも十年ともあるいは十五年とも言われている中で、この際一気に輸入品に置きかえるようなことを放置したら、国内の果樹生産は立ち直れなくなることは明らかです。政府としては、メーカーだけではなく、このような商社に対して国内農家の保護の観点から指導を行っていただきたい。そのことを、三点、お伺いいたします。
  174. 上野博史

    上野説明員 青森県を初め全国的に大量のリンゴ落下果実が生じているわけでございまして、これらを可能な限り、特に生果用、それができなければ加工用として利用していくということは、委員の御主張のとおりでございます。そういうことで、被災農家要望に積極的に対応していただくように、出荷団体、加工業界等に強力に指導を行っているところでございます。  それから、落果リンゴの仕向け先の大部分は加工用になるということになるわけでございますけれども、これにつきましては、できるだけ落果リンゴを有効に利用するという観点で、まだ糖度が十分に上がっていないものについては熟成期間を置くというようなことをいたしまして、熟度をそろえて効率的な加工を行う。しかも、加工業者につきましても、稼働能力をフルに発揮していただくように、近県の業者等も合わせて効率的な処理体制を組むように指導をしているところでございます。  それから、国産果汁の消費の問題につきましては、消費宣伝等も含めまして関係の業界等に十分な協力依頼をして、消費の維持拡大に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  175. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、私は、今ここに「りんごニュース」という、これは青森県りんご協会の新聞を持っています。このニュースの中で「平成超台風に全面援助を」という「主張」が出されているわけです。これを読んでいましたら、要望の一番最初に挙げたのが「国には、輸入果汁の量を制限して欲しいこういうことが書かれているのです。そのほかいっぱい書かれておりますが、それが一番の頭にあります。りんご協会もここを一番心配しているんです。だから、私は、商社にぜひその輸入を抑えるように、今、日本のリンゴあるいはミカン、そういうものが本当にこれから続けられるかどうかという大事なときですから、ひとつその点は商社に強く指導していただきたい、そういうふうに考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。大臣にお伺いしたいわけです。
  176. 近藤元次

    近藤国務大臣 落果リンゴで、まずは生果として食べられるものがあるということで、その報道の中にもありましたし、報告の中にも、産地から落果リンゴとしてレッテルを張るという、そういうことで私は報告を受けて、その堅実な生産者に対してどうこたえるかという、一つは胸を打たれたという心境に至ったわけでありますし、それだけに、そういう健全な、落果したリンゴでも落果でないように売りたいという気持ちがあるのにも落果リンゴとしてレッテルを張って市場に出すという気持ちは、私は、かえがたい健全な気持ちでないか、こう思って頭を下げる思いでありましたが、今のそのことによって将来の、来年からの原料用の果汁が、輸入増大によって原料用というものがまた狭められるかという心配をするのは当然だろうと思うので、そういう関係者に協力を要請をしていきたい、こう思っております。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ぜひ輸入果汁の量を制限する、そういう立場で取り組んでいただきたいというふうに思います。  私が参りましたのはあの災害が起こってからちょうど二週間目に当たる日でありましたけれども、既にもう離農の準備がどんどん始まっておりました。そうして、五十一万本の木が倒れたり折れたりしているわけですが、そういうものへの手だてもすることなく出ていくということは、これは来年のリンゴにも影響するでしょうし、たちまち他にもいろいろな病害虫を発生させていくそういうもとになるという点で、私は今が非常に大事だというふうに思ったのです。その点ではいろいろ対策があるでしょう。しかし私は、今回の災害ばかりはいろいろなこれまでの対策を最大限にやってもまだ覆い切れないものがあると思いますので、そういうものを乗り越えて、そうしてこれまでの対策をはるかに上回る予算と新たな措置で抜本的に取り組んでいただかなければ、これはもう日本の食糧、農業の将来にかかわってくる問題だというふうに考えます。もう一度最後にその点について大臣の御所見をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 近藤元次

    近藤国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、現行制度をフル回転して対応していくと同時に、現行制度対応でき得ないだろうと私自身が予想しているものも幾つかあるわけでありますので、それを対応するように今検討しておるところであります。
  179. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 終わります。ありがとうございました。
  180. 大原一三

    大原委員長 小平忠正君。
  181. 小平忠正

    ○小平委員 私からも質問させていただきますが、まず、ことし九月を中心に、それ以前にもありましたが九月を中心にありましたこの台風、これの被害はまさしく甚大で、現時点でも総額六千億円を超える膨大な被害の額となっております。特に農業分野におきましても、農作物等に同じく甚大な被害がありまして、この被害を受けられた農家皆様方に対して、まずもって心からお見舞いを申し上げたい、かように表する次第でございます。  この被害農家救済については、迅速な対応に取り組まれるとともに、農業経営再建へ向けての万全の措置を講じていただくよう、政府に対して私からも強く要望するものであります。  そこで、被害状況は既に御説明もあり、それはよろしゅうございますが、復旧作業を初め被災農家に対する救済措置として、金融面さらには共済対策としての実りある対応を強く要望するものでありますけれども、このいわゆる進捗ぐあい等についていかがでしょうか、お答えを願います。
  182. 今藤洋海

    今藤説明員 農林水産業関係全般に大変な大きな被害をもたらしました今回の台風災害につきましては、農林水産省といたしまして的確にこれを対応するということから、事務次官を本部長といたしました農林水産省災害対策本部を早速に設置をいたしまして、現地調査を行い、金融対策共済対策技術指導等を既にスタートをさせておるところでございます。  今後、被害状況の早期把握にさらに努めまして、被害実情に応じまして、農業、林業、水産業各般にわたりまして救済復旧措置を可能な限り迅速に講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  183. 小平忠正

    ○小平委員 これについては、今お話がありましたし、また文章においても説明がなされておりますが、大臣、こういう中で、天災については特に我が国は火山の噴火とか地震さらには台風、これを中心にしたいわゆる災害常襲国であります。そういう中において今回このように甚大な被害が出されましたが、こういう今のお話にのっとって、今後このようないわゆる被害を受けた国民に対しては国が全面的に責任を持って対処していく、そういうことで臨んでもらいたいと願うわけでありますけれども、大臣のそれについての決意のほどを、簡潔で結構ですからお願いしたいと思います。
  184. 近藤元次

    近藤国務大臣 全面的に、被害に国が責任を持って対応するというところまで私は自信がございませんが、従来からあらゆる災害を経験をしてきて、災害の法律制度をおつくりをいただいてきておるわけであります。それをフル回転して対応することは当然のことではありますが、しかし今次災害においては、台風後に雨が降らなかったとか落果であるとかあるいは果樹中心にしてのまた特異な災害も起きておって、従来の現行制度対応できない部分も予想されるので、新たな対応というものも十分検討していかなきゃならぬということで対処を合しておるわけであります。
  185. 小平忠正

    ○小平委員 自信がないとは、そういうふうにおっしゃらずにぜひ先頭に立って頑張ってもらいたい、このように強く要望いたしておきます。  次に、先般九日に畑作の価格決定がございましたが、私はこれについていわゆる畑作三品についての質問をしたいと思います。今ここで、既に決まったことでありますので、改めて質問するのは今さらながらの感がいたしますが、今後の畑作農業の問題について重要である、こう思われる点について幾つかの質問をいたします。  まず、今回の価格決定が、従来行われてきた畑作物間のバランスという観点から、六月の麦価の価格が一・二三%引き下げられたことに伴い、大方の予想どおりの結果となりました。もちろん畑作物間のバランスだけが算定要素ではないとは承知いたしております。そこで、なぜ今回のこの価格決定が平均で一・二%台の引き下げになったのか、その引き下げの根拠及び算定基準について明らかにしていただきたいと思います。
  186. 武智敏夫

    ○武智説明員 お尋ねにお答えいたしたいと思います。  ビート等の甘味関連作物の生産者価格についてでございますけれども、糖価安定法なり農産物価格安定法の定めるどころによりまして農業パリティを基準にして出された価格を基準にいたしまして、物価その他の経済事情を参酌して決めることになっておるところでございます。また大豆の基準価格につきましては、大豆なたね交付金暫定措置法に基づきまして、販売を主たる目的とする農家の生産費なり、需給動向なりあるいは物価その他の経済事情等を参酌して決定することになっておることは御承知のとおりでございます。  そこで、平成三年産の畑作物価格の算定についてでございますけれども、ほかの農産物価格の決定する場合も同じでございますけれども、各作目ごとに、これまでの生産性向上の動向がどうであったか、あるいは最近の需給事情がどうであるか、あるいは内外価格差縮小の要請等がどういうふうにあるかというようなことを考慮いたしますと同時に、先生御指摘のような畑作物間バランス等も総合的に勘案いたしまして、適正に決定したというふうに考えておるところでございます。
  187. 小平忠正

    ○小平委員 私は、この算定基準あるいは根拠というものを今お話説明ありましたけれども、どうも最初に数値があって、それに合わせて根拠なり算定基準をつくる、そんなふうに思えるんです。  次に質問を進めますが、今、価格は昭和六十年の価格と本年産畑作物価格を比較してみますと、その引き下げ率はてん菜で一六・七%、バレイショで一七・五%、大豆で一七・四%、すなわちこの五、六年で平均一六から一七%の引き下げが行われております。  我が国の農業は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉での農業保護削減の議論の高まりや、近年の農産物輸入の急増と市場開放圧力の強まり等、内外ともに厳しい立場に置かれております。そういう中で、生産性の向上による生産コストの低減、農作物の内外価格差の縮小等によって国際競争力を強めなければならないという命題のもとに、農産物価格は急激なテンポで引き下げられているわけであります。しかしながら、我が国の畑作物生産農家は、従来から国の指導のもとで、生産性の向上や品質、安全面でも懸命に取り組んできておるわけであります。今日、個々の農家経営努力のみでこれ以上の生産性の向上は限界に来ているというのが実態であろうかと思います。  そこで、我が国の畑作農業の将来展望を踏まえて、畑作物価格についての実現可能な内外価格差の縮小幅をどの程度と考えているのかお聞きしたいと思います。
  188. 武智敏夫

    ○武智説明員 内外価格差の是正についてのお尋ねでございますが、まずビート糖についてでございますけれども、輸入糖との比較で現在二倍ないし三倍程度というふうに理解しておりますし、それからバレイショでん粉等につきましては、オランダでん粉との比較で約二倍程度の内外価格差があるというようなデータを我々持っておるわけでございます。  ただ、一般的にこれは農産物価格共通でございますけれども、為替レートの変動ですとかあるいは国際需給事情の影響等を受けやすいというようなこともありますし、それからまた農産物の場合には品質格差ですとかあるいは取引条件が違うというようなことで、客観的に国際比較を行うことには非常に難しい面がございます。したがいまして、内外価格差の目標の範囲をどこまでにするかということにつきまして、これは一概にどこまでと言うことは非常に難しい面があると考えております。  我が国におきましては、国土条件が非常に狭いというような制約等もございますので、土地利用型農業中心にしまして、国際価格に比べましてどうしても割高にならざるを得ないというような面があることは事実でございますけれども、いずれにいたしましても、できるだけ国民の理解が得られるような価格で安定的な供給を図ることが必要であるというふうに考えておるところでございます。
  189. 小平忠正

    ○小平委員 畑作物はほかへの転換が非常に難しくあり、地域の特産物として地域産業、さらにはその経済の大きな柱でもあると言えると思います。特に北海道においては、米の大幅な生産調整を実施する中で、畑作物の作付指標が明確化されて、その中で農業経営が成り立っており、また合理的な輪作体系を維持する上でも重要な位置づけとなってきております。  このような状況において、今日の農政の展開の中で産業として自立てきる農業の確立、足腰の強い農業の確立が叫ばれる中、生産性の向上努力を上回るような価格の引き下げを目の当たりにしますと、畑作農家は収益性の低下によって生産を維持することが困難になってくるばかりか、ひいては生産意欲そのものの低下を招くおそれがある、そのおそれ大であると言えると思います。このような状況に置かれていると産農家は将来に大変な不安を抱いているわけでありますが、コスト低減は競争力強化のために必要不可欠であることはよくわかると思います。しかし、農産物のみの価格を無制限に引き下げることだけで問題が解決されるわけではなく、生産資材、機械、施設等、農業分野では基本的に解決できないものが存在しておるわけです。このコスト差を明確にして、生産者の生産意欲を損なわない納得のいく価格政策の展開が肝要であります。  また、畑作経営の体質強化を図るための土地基盤整備等の総合的な畑作生産振興対策を強化していくことが、今後の畑作農業を安定させるためにも生産農家に対して明確な方向性なりあるいはビジョンを示すことが最重要課題ではないかと思われるのでありますけれども、この点について政府の見解をお伺いいたします。
  190. 上野博史

    上野説明員 北海道のてん菜、芋類、豆類、麦類という作目は、北海道の畑作地帯にとりましては基幹的な輪作作物でございますし、それから水田地帯におきましても、水田農業確立のための転作作物として非常に重要な位置づけを持っているというのは委員御指摘のとおりでございます。このところのこれらの産品をめぐります国際的な環境、あるいは担い手の不足というような状況の中で、これらの農作物農業経営が需要の動向に即しまして安定的に生産をしていくというためには、どうしてもやはり生産単位を大きくいたしましてスケールメリットを生かした効率的な経営というものを目指し、その中から余ってまいります労力を生かして余裕のある新規作物の導入というような、そちらの方に労力を投下いたしまして収益を図っていくというようなことを考えていかなければならないだろうというふうに考えているわけでございます。  こういう観点から、私どもの省といたしましては、先般、生産性向上等のガイドラインとなる指針を作成するということを決めまして、これに沿って各都道府県がより具体的な指針を定め、それをもとに市町村が畑作営農の計画というものをつくっていくというような体制を考えたわけでございます。  また、来年度の予算要求におきましても、そういう畑作振興計画の中身を構成します各般の面にわたりまして所要の予算的な要求をいたしておるところでございまして、生産基盤の整備を初め、高性能の大型機械の導入による作物横断的な生産組織の育成であるとか、あるいは育苗、乾燥調製、加工処理等の各種共同利用施設の整備、あるいは優良品種の開発というような研究開発関係の項目につきましても所要の予算の要求をいたしておるというところでございます。
  191. 小平忠正

    ○小平委員 次に、個々の問題について二、三点質問いたしますが、時間が迫っていますので簡潔に答弁をいただきたいと思います。  まず、てん菜についてでありますが、本年産についても原料糖対策費が手当てされたことについては私ども評価をいたします。本年産以降についても引き続き御配慮を賜りたい、このように要望する次第でございます。  しかしながら、この基本となるのは、国内産糖の円滑な自給を図り、国内産糖の自給率の向上を図る上でも、国内産糖及び砂糖類全体の需要拡大並びに新規用途開発の対策を強力に推進していただくことが必要だ、こう強く要望するわけでありますけれども、この点について政府のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  192. 武智敏夫

    ○武智説明員 国内産糖の計画的な生産につきましては、先生御指摘のように、六十年産以降作付指標面積を設定して運用しておるところでございますし、それから、平成元年砂糖年度以降におきましては、ビートの原料糖制度を発足させまして、その後二年間の運用で円滑に運営がなされておるところでございます。  お尋ねの砂糖の需要拡大についてでございますけれども、まず一義的には内外価格差を縮小いたしまして、消費者ですとかあるいは食品産業等のユーザーに理解の得られるような価格で供給することが重要であるというふうに考えております。  このような事情に加えまして、一般の方々は砂糖に対するやや誤った認識を持っておるというような感じもございますので、そういったような認識を改善してもらう、そのほかさらに多様な効用についての認識を深めてもらう必要があろうかというような観点から、去年の十二月に砂糖の生産なり流通に携わる業界八団体が拠出いたしまして、その啓発、普及のための組織をつくっております。「お砂糖真時代」推進協議会というのでございますが、これらがことしの十月、ついせんだってでございますが、テレビだとかあるいは新聞だとか雑誌等のメディアを通じまして大キャンペーンを現在展開中でございまして、我々農林省といたしましても、適切な指導に努めているところでございます。  また、新規用途開発の問題でございますが、農林省としては直接はやっておりませんけれども、道内の一部地域におきましては、農協等がてん菜を原料といたしましたスナック菓子の製造、試作ですとか、あるいは酒造メーカーがビートを原料としましたビート酒の製造、試作等をやっておるというように聞いておりますし、またビートの製造業者みずからもビート糖みっから分離精製いたしましたオリゴ糖を利用したような食品ですとか、あるいは魚のえさ化ですとか、あるいは化粧品等の製品化等もやっておるというような事例もございますので、今後の動向を見守ってまいりたいと思っておるところでございます。
  193. 小平忠正

    ○小平委員 次に、でん粉についてお伺いいたしますが、昭和六十三年のガットのパネル裁定の経過の中で、我が国は現行の国境調整措置を継続しているところであります。  この問題に関しては、日米二国間交渉の期限切れを迎えて、原料用カンショ及びバレイショ生産農家は非常に不安を持っておる。この先どういうことになっていくのか、それが関係者の一番の関心事ではないかと思います。この日米二国間協議の結果いかんによっては、我が国のバレイショ及びカンショの生産を初めでん粉製造業に重大な影響を及ぼすと言えると思うわけでありますが、我が国のでん粉をめぐる情勢は当時と何ら変わっているものではない、したがって輸入自由化は断固として阻止しなくてはなりませんが、これについて政府はどのような決意か、この点についてお伺いしたいと思います。
  194. 武智敏夫

    ○武智説明員 でん粉の貿易問題でございますが、先生御承知のようなことで六十三年に日米合意が成立したわけでございますけれども、その期限がことしの三月になっておったわけでございます。したがいまして、三月にアメリカとの間で協議を行ったわけでございますけれども、結果としては平行線に終わったわけでございます。  その後、アメリカのほかにオーストラリアですとかあるいはニュージーランド等の各国から一緒にやろうというような要請もございましたので、四月十九日と五月二十四日の二回にわたりまして複数の国との間で協議を行ったところでございます。この複数の国との協議の場におきまして、我が国は輸入制限の撤廃は困難である、また、この問題は現在我が国が提案、主張しておりますウルグアイ・ラウンドのガット十一条二項(c)のいわゆる要件の見直し、明確化という問題と密接に関連しておりますので、その結果を踏まえて措置を講ずるということを我が方が主張し、理解を求めた、ところでございます。  続きまして、七月三日にまたアメリカとの間で非公式協議を行ったわけでございますけれども、双方とも従来の主張を繰り返しまして、協議が結果的には物別れに終わっております。  今後ともウルグアイ・ラウンドの動向を注視しながら、現行制度の存続に向かいましてガット十一条二項(c)の要件の見直し、あるいは明確化の実現に最大限の努力を払ってまいりたいというのが現在の立場でございます。
  195. 小平忠正

    ○小平委員 経緯は結構ですから、今後自由化阻止のために断固として進んでもらいたいというその決意のほどをお聞きしたいのですが、時間がありませんから、最後の質問として大豆についてお伺いします。  国産大豆は、そのすぐれた品質が需要者からも高く評価をされてきております。特に、消費者の高品質志向にもマッチしてきており需要も着実に伸びてきている、こういう中で、農家経営の一環として、転作物としてもあるいは畑作の輪作作物としても大きな位置を占めておるのが今日であります。平成二年一月に閣議決定された「農産物の需要と生産の長期見通し」の中にも述べられているように、今後とも大豆の安定的な生産を確保して国内生産力の拡大に努めることは、政府に課せられた大きな使命であろうかと思います。  しかしながら、今年度の大豆の作付面積は十四万八百ヘクタールと、昨年に比べて五千ヘクタール余り減少しております。昭和六十二年度をピークに四年連続の減少となっておりますが、特にことしは天候不順や台風の影響などもあって、ことしの大豆の生産量は平年に比べて減少することが予想されております。こういう状況がこの大豆の作付減少にさらに一層拍車をかけていくのではないかと懸念するところでありますが、大豆の作付が減少してきている背景にはさまざまな要因があるとは思います。  いずれにしても、このままでは国産大豆生産の衰退を招来して、将来の我が国の食糧供給にも影響を与えるおそれがあり、また輪作体系の乱れによる他の畑作物への影響も決して軽視できないものがあるわけであります。したがって、早急にその対策を充実して、国内生産を高めるために一層の努力を傾注すべきだと私は言いたいのでありますが、この点について、大豆の生産の減少という状況をどのように受けとめて、今後この大豆生産振興にどう対処してどのような措置を講じていくのかということに関しての政府の見解をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  196. 上野博史

    上野説明員 今委員からお話ございましたように、このところ若干生産面積の減少の状態があるわけでございますけれども、これにつきましては、例の水田転換の関係でより労力のかからないような形態のものに転作の形態が大豆から移っていったというようなことが中心になっているのではないかというふうに思っております。  この現象とも非常に関係があるわけでございますけれども、我が国の大豆生産は非常に零細な単位の生産とそれからかなりまとまって集団的に行われているものとが、両端の幅が非常にあって、それによる単収の差というものが非常に大きいというのが実態でございます。先ほど御指摘ございましたように、国産の大豆に対する需要というのはこのところ大分上がってまいっているわけでございますけれども、そういう需要者側のニーズに沿った、商品流通に向いたような大豆の生産を今後振興していくということが大豆生産の振興対策の眼目なのではないかというふうに思っているわけでございます。そうなりますと、どうしても集団的にまとまった規模の大きい大豆の生産というものを実現していかなければならないわけでございまして、生産組織の育成というようなことが非常に大事な点になるのではなかろうかというふうに思っております。  したがいまして、私どもといたしましては、そういう集団的な生産組織の育成というようなものにつながります施策に重点を置くということで、コンバインの導入、これは刈り取りの機械化を図るわけでございますけれども、大きなコンバインを入れまして大面積の大豆生産が可能になるような手だてをやっていくとか、あるいは生産調整の形態として水田にも大豆が入っていけるように、麦の後作などにも大豆が植えつけられるように、不耕起播種の技術を導入していくというようなことを考えてまいりたいと思っております。それから、単収の増大を図るための良品質な大豆品種の開発というようなことにも努力をしていかなければならぬと思っております。  それからまた交付金制度の運用の面におきましては、概算払いの比率を引き上げるとかあるいは精算払いの早期化に努力をするというようなことを、ことしの大豆の価格決定にあわせて表明をしたわけでございまして、それにあわせて集荷促進等のための流通改善緊急対策をも実施することにした次第でございます。
  197. 小平忠正

    ○小平委員 終わります。
  198. 大原一三

    大原委員長 阿部昭吾君。
  199. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今度の被害は、相当広い範囲、そしてまたいろいろな分野に及んでおります。この農業被害に対して農業共済会計、財政は一体どういう対応をすることができるのかということをまずお聞きしたいのであります。  私がなぜこのことをお聞きするかというと、私も長い間農業問題に取り組んでまいりまして、冷害による被害が二年連続したときがあります。統計上は前の年の被害よりもその次の年の被害の方がはるかに大きかった。野帳を立てまして被害の申告をした。ところが、第一年目の被害に対する共済金の支払われた額に対して、翌年度の被害調査の結果非常に大きいということだったのに、支払われた共済金は実は三分の一にしかならなかったのである。だんだん調べてみると、どうも農業共済会計、共済財政に問題があるというように、私は共済のことにもかかわってきましてよく承知しております。しかし今度の場合は物すごい広い被害であります。農業共済がどういう対応をやるか、共済の財政、会計がどういう対応の仕方ができるようになっておるのか。これを間違うと、これから農業共済制度というのは非常に重要である、しかし一人一人の農民からは信用されないという問題が起こってくるのであります。かつて農業共済の解散運動なんというものも起こりまして、私ども大変苦しみ抜いた経験を持っているのであります。  そういう立場から、そろそろみんな野帳で調査をやって被害の申告が集約されつつあるわけでありますけれども、一体この農業共済が今度の被害に対してどういう対応をやることができることになっておりますのか、その枠組みをひとつ聞かせてもらいたい。
  200. 川合淳二

    川合説明員 先生御承知のように、まず第一義的には末端の組合がその被害に対して共済金を支払うということになるわけでございますけれども、当然のことながら再保険という制度がありまして、最終的には国がその支払いに応ずるという具体的な先生の御質問は、ある意味では資金繰りのような問題でございますけれども、今のところ大部分の組合等につきましては支払いの財政についてすぐ問題があるというようなことはないと思っております。一部こうした組合が出た場合でも、これは長年の経験から農業共済基金というものができておりまして、そこから一時融資をするという道も開いておりますので、そういう意味の御心配はないと思っております。  いずれにいたしましても、こうした甚大な被害を受けているところでございますので、なるべく迅速な調査を行い、かつ的確な支払いをしていくということを進めてまいりたいと思います。その場合に、今のような財政の問題がありますれば国を挙げて対応していく、そういうシステムもできているというふうに私ども考えております。
  201. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 わかりました。よくわかりましたが、ぜひそのように正確なやり方をやってもらいたい。  連続して被害があった場合、前の年よりも次の年が被害がはるかに大きかったのに、支払われた共済金は三分の一になってしまうというようなことで、現実にそう遠い昔じゃなくて実は起こっておるのであります。したがって、そういう事態が起こりますと、やはり共済制度それ自体に不信を招くということでありますので、十二分な指導をひとつ、対応の仕方をやってもらいたい。  次に、大臣、いよいよこのウルグアイ・ラウンド大詰めの段階、このようなときに間もなく政権がかわるわけであります。大臣もかわることになるのかどうか。こういう重要なときで、私ども大変そのことを実は心配しておる。したがって、今度の場合に私ども、実はさっきもお話に出ましたけれども、関税という問題で何か政府部内に不明朗な動きがあるのじゃないかということを、さっきの説明でわかりましたけれども、第一線現場の方は実は非常な危惧の念を持っております。さっき近藤大臣が説明されたように、やはり一貫してここは頑張り抜かないと、私は農政に対する現場第一線の信頼は全く地に落ちる。このことを心してひとつ、今度の政変でどのようにかわるのかかわらぬのかわからぬけれども、十二分にやはり一貫した態勢で立ち向かってもらわなければいけないということを希望しておきたいと思います。
  202. 近藤元次

    近藤国務大臣 米の事情につきましては、生産者だけの問題ではなくて、米の国際事情を少し御勉強いただければどういう状況であるかということは皆さんもう御理解のところでありますし、私も答弁を繰り返してきたところでもございます。  なかんずく我が国は、国会決議もございますし、たびたび国会答弁もしてきておるところでありますし、そして関税では、日本として対応できませんということも明確にダンケル事務局長にもあるいはそれぞれの主要国にも伝えましたし、また重ねて、大詰めに参りましたものですから、主要国とは常に会議の場で日本の立場を主張したり議論をすることはできますけれども、ガット・ウルグアイ・ラウンドのガット加盟国というのもまだかなりたくさんございますので、今回、農林省顧問として前の事務次官にも、前の審議官にも今海外へ行って、日本の立場の理解と協力を求めに、また煩わせて出張していただいてきておるところであります。  そういう趣旨からいって、政府は一体として、政権が交代しようとも対処していっていただけると私は確信をいたしております。
  203. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 これで終わりますが、委員長にひとつ要望しておきます。  私も長い議会生活であります、十分心しておりますけれども委員会における私の発言時間その他、今まで一遍も私は委員長から物を言う機会がありませんでした。十分心得ておりますので、どの時期かには私もこの問題で多く言いたいというときには、やはり私の意見も取り入れるように御配慮を願いたい。この機会に希望して、私の質問を終わります。
  204. 大原一三

    大原委員長 はい、了解いたしました。      ————◇—————
  205. 大原一三

    大原委員長 この際、お諮りいたします。  台風による農作物等被害対策に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、各党の理事間におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。  便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨説明にかえたいと存じます。     台風による農作物等被害対策に関する件(案)   今年九月に連続的に襲来した台風第十七号、第十八号及び第十九号は、全国各地に甚大な被害をもたらし、被災農林漁業者に大きな不安を与えており、事態は極めて深刻である。   よって政府は、今次の台風による災害に対処し、天災融資法及び激甚災害法の早期発動自作農維持資金等の円滑な融資確保、つなぎ融資についての適切な指導、既貸付金の償還条件緩和農業共済金、森林国営保険金等及び漁業共済金等の早期支払い被害果樹の管理等に関する技術指導被害による規格外米等の円滑な流通の確保、米穀予約概算金の利子の減免、農作物種子及び果樹苗木の確保被災森林・荒廃林地の復旧、各種事業の実施に当たっての被災農林漁家への配慮、災害復旧事業の実施等について、早急に万全の対策を講ずべきである。   なお、今次の災害実情にかんがみ、今後とも農林漁業関係共済制度等への加入促進に努める必要がある。   右決議する。 以上でございます。  ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  206. 大原一三

    大原委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。(拍手)  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤農林水産大臣
  207. 近藤元次

    近藤国務大臣 ただいまの決議につきましては、被害の実態を踏まえつつ、十分検討し、その対策に全力を傾注して万全を期してまいる所存であります。(拍手)
  208. 大原一三

    大原委員長 なお、ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十七分散会