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1991-09-25 第121回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成三年八月五日)(月曜日)( 午前零時現在)における本委員は、次のとおりで ある。   委員長 大原 一三君    理事 金子徳之介君 理事 東   力君    理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君    理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君       石破  茂君    今津  寛君       岩村卯一郎君    上草 義輝君       内海 英男君    亀井 久興君       北川 正恭君    久間 章生君       久野統一郎君    田澤 吉郎君       西岡 武夫君    保利 耕輔君       星野 行男君    松岡 利勝君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       柳沢 伯夫君    有川 清次君       佐々木秀典君    志賀 一夫君       田中 恒利君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    前島 秀行君       目黒吉之助君    元信  堯君       倉田 栄喜君    西中  清君       藤田 スミ君    小平 忠正君       阿部 昭吾君 ――――――――――――――――――――― 平成三年九月二十五日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大原 一三君    理事 金子徳之介君 理事 東   力君    理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君    理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君       石破  茂君    岩村卯一郎君       上草 義輝君    内海 英男君       亀井 久興君    久間 章生君       久野統一郎君    田澤 吉郎君       西岡 武夫君    保利 耕輔君       松岡 利勝君   三ッ林弥太郎君       御法川英文君    柳沢 伯夫君       有川 清次君    佐々木秀典君       志賀 一夫君    田中 恒利君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       前島 秀行君    三野 優美君       目黒吉之助君    元信  堯君       倉田 栄喜君    西中  清君       藤田 スミ君    小平 忠正君       阿部 昭吾君  出席国務大臣       農林水産大臣  近藤 元次君  出席政府委員       農林水産大臣官 馬場久萬男君       房長       農林水産大臣官 今藤 洋海君       房審議官       農林水産省経済 川合 淳二君       局長        農林水産省構造 海野 研一君       改善局長       農林水産省農蚕 上野 博史君       園芸局長       農林水産省畜産 赤保谷明正君       局長       農林水産省食品 武智 敏夫君       流通局長       食糧庁長官   京谷 昭夫君       林野庁長官   小澤 普照君       水産庁長官   鶴岡 俊彦君  委員外出席者       警察庁刑事局保       安部生活経済課 松原  洋君       長       外務省アジア局 樽井 澄夫君       中国課長       大蔵省関税局輸 栃本 道夫君       入課長       農林水産省経済 須田  洵君       局統計情報部長       通商産業省生活 木村 文彦君       産業局通商課長       海上保安庁警備       救難部警備第一 野崎 典重君       課長       海上保安庁警備        救難部警備第二 柳田 幸三君       課長       自治省税務局固 堤 新二郎君       定資産税課長       農林水産委員会 黒木 敏郎君       調査室長     ――――――――――――― 委員の異動八月二十一日  辞任         補欠選任   今津  寛君    小此木彦三郎君   岩村卯一郎君     越智 伊平君   北川 正恭君     村田敬次郎君   久間 章生君     平田辰一郎君   久野統一郎君     浜田 幸一君 同日   辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     今津  寛君   越智 伊平君     岩村卯一郎君   浜田 幸一君     久野統一郎君   平田辰一郎君     久間 章生君   村田敬次郎君     北川 正恭君 九月十一日  辞任         補欠選任   今津  寛君     岡田 克也君 同日  辞任         補欠選任   岡田 克也君     今津  寛君 同月十八日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     小平 忠正君 同月二十五日  辞任         補欠選任   田中 恒利君     三野 優美君 同日  辞任         補欠選任   三野 優美君     田中 恒利君     ――――――――――――― 九月九日  米市場開放阻止及び米穀政策確立に関する請願  (岡崎トミ子紹介)(第六八号)  米輸入自由化反対に関する請願藤田スミ君紹  介)(第六九号)  米市場開放阻止に関する請願増子輝彦紹介  )(第八九号)  第八次治山事業五箇年計画の推進に関する請願  (岩村卯一郎紹介)(第一一三号)  農村地域活性化に関する請願岩村卯一郎君  紹介)(第一一四号) 同月十八日  米の市場開放阻止に関する請願串原義直君紹  介)(第三〇七号)  治山事業促進に関する請願串原義直紹介  )(第三〇八号)  酪農経営安定に関する請願串原義直紹介)  (第三〇九号) 同月十九日  米の市場開放阻止に関する請願清水勇紹介  )(第三六〇号)  同(井出正一紹介)(第四一四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四一五号)  同(北沢清功紹介)(第四一六号)  同(田中秀征紹介)(第四一七号)  同(堀込征雄紹介)(第四一八号)  同(宮下創平紹介)(第四一九号)  同(小坂憲次紹介)(第四八〇号)  同(羽田孜紹介)(第四八一号)  同(村井仁紹介)(第四八二号)  同(中島衛紹介)(第五一四号)  治山事業促進に関する請願清水勇紹介)  (第三六一号)  同(井出正一紹介)(第四二〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四二一号)  同(北沢清功紹介)(第四二二号)  同(田中秀征紹介)(第四二三号)  同(堀込征雄紹介)(第四二四号)  同(宮下創平紹介)(第四二五号)  同(小坂憲次紹介)(第四八三号)  同(羽田孜紹介)(第四八四号)  同(村井仁紹介)(第四八五号)  同(中島衛紹介)(第五一五号)  酪農経営安定に関する請願清水勇紹介)(  第三六二号)  同(井出正一紹介)(第四二六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四二七号)  同(北沢清功紹介)(第四二八号)  同(田中秀征紹介)(第四二九号)  同(堀込征雄紹介)(第四三〇号)  同(宮下創平紹介)(第四三一号)  同(小坂憲次紹介)(第四八六号)  同(羽田孜紹介)(第四八七号)  同(村井仁紹介)(第四八八号)  同(中島衛紹介)(第五一六号) 同月二十四日  米の市場開放阻止に関する請願木島日出夫君  紹介)(第七一五号)  治山事業促進に関する請願木島日出夫君紹  介)(第七一六号)  酪農経営安定に関する請願木島日出夫紹介  )(第七一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十日  農業振興対策充実強化に関する陳情書  (第四  四号)  中山間地域における農業農村活性化推進に  関する陳情書  (第四五号)  森林農業環境破壊に結び付く、三つの大型  ダム建設中心とした国営・県営総合土地改良  事業による乱開発の凍結に関する陳情書  (第四六号)  農山漁村地域定住条件整備促進に関する陳  情書  (第四七号)  平成三年度加工原料乳保証価格等畜産物政策価  格実現に関する陳情書  (第四八号  )  食料管理制度基本の堅持に関する陳情書外一  件  (第四九号)  米市場開放阻止に関する陳情書外二十一件  (第五〇号)  米など農畜産物市場開放阻止並びに米穀政策・  価格対策等に関する陳情書外四十三件  (第五一号)  漁業後継者育成確保に関する陳情書  (第五二号)  水産業振興対策充実強化に関する陳情書  (第五三号)  国有林野事業経営改善地域林業活性化に  関する陳情書  (第五四号)  林野公共事業拡充強化に関する陳情書  (第五五号)  森林林業林産業活性化林業労働力の確  保に関する陳情書  (第五六号)  林業振興対策拡充強化に関する陳情書  (第五  七号)  治山事業等促進に関する陳情書外二十件  (第五八号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため   農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項  農林漁業災害補償制度に関する事項について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ――――◇―――――
  4. 大原一三

    大原委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川英文君。
  5. 御法川英文

    御法川委員 最初に、ガット・ウルグアイ・ラウンド関係につきましてお尋ねしたいと思います。  近藤大臣におかれましては、先般、世界森林大会出席を初め、ガット事務局長ダンケル氏との会談など、大変精力的な活動をなさってこられたわけであります。心から敬意を表する次第でございます。  新ラウンド交渉もいよいよ大詰めを迎えた段階でありまして、これからが正念場でありますが、今のところアメリカの案とECの案がいまだに妥協に至っておらず、アメリカ関税化案では妥協が難しいのではないかとの見方が有力視されているようでありますが、こうした状況の中でダンケル事務局長は、事務レベル交渉が終わったところで合意のぺーパーが出てくるのではないか、このようにも言われておるのであります。そのような観点からいたしますと、今回の大臣ダンケル氏との会談は、我が国のこれまでの考え方、我が国主張を強く申し上げ、事前に歯どめをかける意味で大変重要な会談であったと思うのでありまして、その会談の内容、成果などにつきまして最初にお伺いしたいと思うわけでございます。  ガット関係の第二点といたしまして、農業交渉の今後の見通し我が国対応についてであります。  農業交渉は新ラウンド十五分野の中でも一番に難しい分野でありますが、それだけに見通しもなかなか明確にはならないかもしれませんが、現段階における見通しをお伺いする次第であります。  ガットの第三点といたしまして、今農家の方々を初め、農業関係者人たち心配と不安に思っておりますことは、牛肉やオレンジのときのようなことになるのではなかろうかという心配であります。私は、これまで我が国主張してまいりましたいわゆる食糧安保論は、我が国のみならず各国にとっても正しい理論であると確信をしておる者の一人であります。現在、世界人口は毎年一億人の増加をいたしております。これは主として低開発国後進国でありますが、国によっては何百万人もの餓死者が出ている状況であります。このようなことを見ましても、いかに自国食糧を確保することが大事であるかということを物語っておるのであります。もちろん、我が国がこうした国々に大いに食糧援助を行うべきであることは当然でありますが、これは別の機会といたしまして、いずれにしても食糧安保論は正しい、このように思うわけでございます。そのような観点から、我が国としてはこれまで同様の主張をあくまでも押し通してまいらなければならないと思いますが、その決意のほどをお伺いする次第でございます。
  6. 近藤元次

    近藤国務大臣 お答えさせていただきます。先生何点かの質問、すべて関連をしておりますので、一括をして答弁させていただきたいと思います。  国会お許しをいただいて、十三日から十八日の間ヨーロッパに出張させていただきました。その主たる目的は、ダンケル事務局長にお会いをさせていただくことと世界林業大会ということで出張いたしたわけでありますけれども、ダンケル事務局長にお会いをするということは、だんだんと技術レベル会合終局を迎えつつありますし、終局を迎えると議長立場取りまとめをしていかなければならないということであろう、このときにかねがね我が国主張してきておった輸入国立場というものを明確に政府の代表として議長に伝えておくことが賢明でなかろうか、こう思いましたので、出張のお許しをいただいたわけであります。  ダンケル事務局長にお会いをして、従来からの我が国主張を詳細に実はお話をさせていただきました。よって一時間の会談が一時間四十分くらいということで、昼を少しダンケル事務局長も犠牲にしながらおつき合いをしていただいたわけであります。その中で、一つは、我が国主張はもうここで繰り返して申し上げませんが、今交渉に当たっての問題点として食糧安保、なかんずくそこの基礎的食糧というものについての技術レベルのその会合での議論がない、これはぜひやってもらわなければなりません。それから、輸出補助金国境措置国内支持につきまして、三分野についても、その三分野の中で輸出補助金というものが中心議論して先行していただかないと、国境措置国内支持関連があることでありますから、そういう意味合いで輸出補助金中心議論を先行させてほしい。それから国内支持のいわば除外するかしないかという問題、通称黄色、青と言われている部分でありますけれども、青をどうするかというよりも黄色部分について何を黄色にするかということから我が国主張しておるわけですから、そういう仕分けて会議を進めてもらえないだろうか。とりわけ最後に、関税では我が国対応することはできません、そういう話を繰り返しやってまいりました。  ダンケル事務局長農業交渉議長からは、農業だけではなしに全体がガットルールとしては関税基本である、あえて農業と言わないで全体が、ガットルールそのもの関税基本であるというような話がございました。しかし、我が国食糧というようなものまた基礎的食糧というようなもの、そして生産調整をしておるようなものは我が国としては関税では対応できません、もう一度最後に繰り返して、短期的な関税であっても日本対応できません、関税問題については三回私の方から主張してまいりました。  最終的には、昨年末に突如として議長ぺーパーが出された。そういうことであってはとても対応がし切れませんので、取りまとめに当たっては我が国との事前の連絡、交渉というものをお願いを申し上げたい、こういうことで私の方から主張してまいりました。その後、引き続いて翌日から技術レベル会合がなされまして、大変厳しいやりとりであったようでありますけれども、基礎的食糧というものも議論の対象にしていただいたようでありますし、輸出補助金中心にすることは私がお話を申し上げたときにも了解をしていただいてまいりました。いずれにしても、輸入国という立場、そして我が国の従来からの国会で御答弁を申し上げていること、諸先生方の御意見等を踏まえて、我が国立場というものはしっかりと私は向こうにはお伝えをして帰ってまいりました。せっかくの機会でありましたので、スイスの農業大臣にも、林業大会におけるフランスの農業大臣にもお会いをして、我が国立場お話を申し上げてきたところであります。  今後につきましては、来月二回ほど技術レベル会議のスケジュールがあるわけでありますから、その技術レベル会議が終わった後、十月末ないし十一月初めに議長としての取りまとめのペーパーを出すようなことの情報は実は入っておるわけであります。いずれにいたしましても、我が国としては最も自由化方向努力をしてきた国でもございますし、それと同時に最大の輸入国でもありますし――もう一つ、言い忘れましたが、大事なことでありますが、国内支持について、いつの時期をとらえて国内支持にするのか。我が国は一九八六年以来自由化方向努力をしておるが、そうでない国、しかも大国がむしろ保護を強めた予算増額をしておるというような国があるので、いつをクレジットするかということは非常に大事なことでありますから、ここは我が国としては、一九八六年、これがスタートしたときからをもって国内支持をどうするかというクレジットをしていただきたいということもあわせてお話を申し上げてまいりました。  今後は、国会の決議もございますし、諸先生方意見もございますし、我が国の方針がこの最終的な取りまとめに反映のできるように努力してまいりたい、そういう決意で対処してまいります。
  7. 御法川英文

    御法川委員 大変ありがとうございます。交渉のありのままをお話しちょうだいいたしまして、ありがとうございます。  次に、農林水産関係予算につきましてお尋ねしたいと思います。  我が国国家予算は、一般会計を初め財投も年々増加の一途をたどってまいりました。国民生活の向上を初め、世界の平和に大きく寄与してまいっておりますことは既に御承知のとおりであります。しかしながら農林水産関係予算は、逆に一般会計に占める割合予算そのもの昭和五十七年をピークにいたしまして年々減少をたどってまいっております。来年度、平成四年度の予算におきましてようやく○・九%の増、金額にいたしまして二百六十五億円でございますが増加することになりました。しかし、これまでは減少を続けてまいったのでございます。ちなみに、昭和五十七年度の農林関係予算総額三兆七千十億円でございます。この一般会計に占めるシェア、割合は一一・三%でございました。そうして昭和六十二年には一般会計に占める農林予算割合が九・三%、そして平成三年度、今年度は八・五%まで低下したわけでございます。  こういう中にありまして、アメリカ及びEC農業関係予算でございますが、ただいま大臣お話にもございましたように、昭和五十五年を一〇〇といたしますと、アメリカ農業関係予算一三二でございます。そして、価格所得支持対策費が二四一でございます。ECにおきましては、五十五年度を一〇〇といたしました場合に、農業関係予算総額が二四三、そして価格あるいは所得支持対策費が二三五でございます。これに対しまして日本は、昭和五十五年を一〇〇といたしまして、農業関係予算が八一でございます。そして、価格所得支持対策費は実にわずか四〇。六〇も減っておるわけでございます。以上のような状況になっておるわけでございます。アメリカECも新ラウンド補助金削減だなんと言っておりますが、自国農業保護政策はしっかりとやっておるのでございます。日本だけが、国際価格がどうの、あるいは新ラウンドの絡みでどうのということで、予算削減をやってまいったわけでございます。  この農林水産予算減少農村の荒廃とは相関関係にあると私は思うわけでございます。後継者もいないに等しい、老人に頼る農業もそう長くはないと思います。農村をここまで追いやったその責任は一体どこにあるか、こういうことを考えますと、大変恐縮でございますが、やはり国の責任じゃないか、こんなふうに考えられるわけでございます。農業後継者問題を論じられて大変久しいわけでございますが、農業が嫌いで後継者がいないのではないのでございます。農業では生活を維持していくことができないということで他産業へ行っておるのでございます。農業所得農林水産予算と同じように年々減少してきております。これに歯どめをかけまして、攻勢に転じなければならないときであろうと思うわけでございます。今後、農業の再生のためにも農林水産予算の大幅な増額を確保してまいらなければならないと思いますが、この際大臣決意のほどをお伺いする次第でございます。
  8. 近藤元次

    近藤国務大臣 予算の面から先生から御指摘をいただいたわけでありますけれども、農林水産予算だけではなくて、ずっとシーリングを我が国としてはかけてきておることは御案内のとおりであります。農政の中から見て、農業後継者農業活力を失っている面についての責任問題は私ども全くなかったとは申し上げませんが、一つはやはり国際競争力国際化時代を迎えて経済性を追求してきたという事実は御説のとおりだと思うわけでございまして、条件不利な地域農村が戸数にしても農村人口にしても圧倒的に多いわけでありますから、それらに対する対応が若干おくれてきたということは私どもも反省をしなければならない。それがゆえに、中山間地なりあるいは今度新しい検討を今させていただいておるところであります。  予算上で農林水産省予算が減っている主たる部分は、食管の会計予算が実は減っておるわけでございまして、土地改良その他の予算については、決して十分ではございません、不十分ではありますけれども、そういう数字の面から見れば横ばいという状況で来たということも、これもまた事実なんであります。しかし今日、条件不利な地域なり中山間地というところに対応していくということになれば、予算が伴わなければ実効性が上がらない。そういう観点から、来年度予算については、少なくとも我が省が今農村に担い手なり寸あるいは農村活力を持たせるなり、農村社会をどうするかという観点からも考えて、一方では土地改良負担の軽減ということを考えてみるときに、予算がそれぞれ伴うことでありますので、来年度予算に向けては積極的に努力をしてまいりたい、そういう決意でおりますので、諸先生方からもまた御支援のほどをお願い申し上げたいと思います。
  9. 御法川英文

    御法川委員 大変心強いお話をちょうだいいたしまして、安心するような次第でございます。  次に、土地改良区の関係につきまして、若干お尋ねしたいと思います。  時間もございませんので、要点のみお伺いするわけでございますが、農村の果たす役割食糧生産のみならず、多面的な働きをなさっておりますことは皆様方既に御承知のとおりでございます。そういう中におきまして、水田の果たす役割は非常に大きいわけでございますが、この管理につきましては、個々の農家が負担しまして、そして、それを土地改良区が維持管理するという形になっておるわけでございます。土地改良区には大小さまざまございますが、職員等もございまして、やはり町村役場あるいは他の企業等のつり合いにもかんがみまして、給与等引き上げ等もしていかなければならない。当然、管理費等増加してまいるわけでございますが、先ほど申しましたように、農業所得そのもの減少の傾向にある中で、管理費等は逆に上昇の形にある、こういう現状でございまして、どこの土地改良区もこの運営が苦しい、そういう状況にあるわけでございます。農業の実際的な役割を果たしております土地改良区、やはり大変大事でございますが、こうした土地改良区に国としてやはり相応の援助措置、補助措置を講ずるべきである、かように考えるわけでございますが、この点についてのお考えをお尋ねする次第でございます。
  10. 海野研一

    ○海野政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、土地改良事業というものはそもそも地域農家の共同事業という性格でございます。これを的確、円滑に進めていく上では、土地改良区が健全に機能しなければいけないということでございます。そういう意味からしますと、小規模の土地改良区の合併でございますとか、地方連合会の土地改良区に対する指導援助、さらには土地改良区が事業費の負担金を実質積み立てをしていく場合の指導援助でございますとか、土地改良区が管理する施設の整備補修に対する助成、土地改良区が管理する施設の技術管理の助成等を進めておるところでございます。特に平成三年度からは、一定規模以上の合併を促進するための土地改良区の統合整備対策拡充、それから負担金の積み立てに関しましては、従来の国営に加えて県営、団体営等の公庫償還金を追加をしたというようなこと、さらに施設管理の技術者の確保、技術力の向上を目的とした施設管理技術者の育成事業というものを始めた等のことをやったわけでございます。  今後ともこれらの施策の活用、さらには必要な対策の拡充強化等によりまして、土地改良区の運営に万全を期してまいりたいと考えております。
  11. 御法川英文

    御法川委員 私も土地改良区の役員をやっておるわけでございますが、小さい土地改良区ほど苦しいわけでございます。私のところは四千町歩近い土地改良区でございますからまずまずでございますが、小規模の地域が苦しいわけでございまして、そういう場所の地域の救済、これをひとつ真剣に考えてもらいたいと思います。  次に、やみ米問題でございます。いわゆる不正規流通米、やみ問題、これは残念ながら、秋田県の大潟村だけだと思っておったわけでございますが、今回新潟県のコシヒカリ、これの米袋を偽造するという事件が発生したわけでございます。私は、これはやみのやみ事件、こんなふうに思うわけでございますが、新潟県の農家の方々にとりましては、大変迷惑なことであるわけでございます。  これが再発防止のために食糧庁長官名で通達を出したということを聞いたわけでございますが、証券問題も通達を出したということでございますが、やはりあのとおり事件が再発しておる。そういう中で、果たして通達一本でこれが事済むのかということでございまして、今後どのような対策を講じられようとしておるのか、さらにまた、今回のこの事件の本当の中身等につきましてお尋ねする次第でございます。簡単で結構でございます。あと五分しかございませんので。
  12. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 御指摘の事件につきましては、大変遺憾な事態であると私どもも考えております。  米の不正規流通問題については、これまでも関係業界の協力、生産者の御協力をいただきながら大変努力をしてきておるわけでございますけれども、今回の事件の発覚を機に、改めて先般の通達によって注意喚起をしたところでございます。  我々としましては、当然のことでございますが、現在捜査当局で継続をされております事実解明、まだ進展中でございますが、その結果を踏まえて、違反案件に対する厳正な措置を講じていく方針をとっております。そしてまた、解明された事実に即して、制度運営面で工夫、改善を要する点については、十分関係者とも相談をして対処をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 御法川英文

    御法川委員 ぜひ万全の措置を講じられたい、かように要望いたす次第でございます。  最後でございますが、今後の農政の展開についてでございます。  承るところによりますと、農林水産省の中に、今後の農政をどうすべきかということで、いわゆるプロジェクトチームを編成して、鋭意検討、研究されておられるというお話をお伺いしたわけでございますが、そうした中におきまして、漏れ伝えられるところによりますと、一つの柱といたしまして、農地法を改正し、農業の主体であります農家、農民以外に第三セクター等にも土地を所有させる、あるいは企業、法人等にも農地を所有させて生産を進めるという話を聞いたわけでございます。つまり、農地法を改正して、現在の企業や法人あるいは第三セクター、そういうものに新たに土地所有を認めさせて大規模経営をやろうという考えだ、こんなふうに聞いたわけでございますが、もしこれが本当だとすれば、私は大変残念でございますが、こうした考えには反対でございます。  企業はあくまでも利益が第一でございまして、利益がなくなればその場を捨てるという姿でございます。ちなみに、くどいようでございますが、鉱山が盛んなときにはその周辺は非常ににぎやかでございますが、一たん廃山ということになりますと、一切そこはもう荒れ果てた山に変わり、残るのは、カドミ等が流れてきまして、カドミ対策を今度地域住民がしなければならない、こんな格好になっておるわけでございまして、今の考えを農村に当てほめますと、ちょうど鉱山が廃鉱になった、そんな姿に変わり果てる危険性があるわけでございまして、そういう角度からも、私は、この考えには反対だということでございます。  もし同じ法人をつくるにいたしましても、その地域に住んでおる農家の方々が、田んぼについて言えば面積の違いはありましょうけれども、同じ株主という形で組織化をいたしまして、そうした法人が生産に携わっていくということの方が私は現実的であり、農村の連帯や郷土意識、こういうものも壊さないでやっていける、かような考えを強く持つわけでございまして、ぜひそういう方向に考えを進めてもらいたい、かように思うわけでございます。  なお、今農村は非常に厳しいわけでございますが、やはり大臣は一生懸命農業の発展のために御努力なさっておられるわけでございますが、こうした力をさらにひとつ将来に向かって発展させてもらいたいわけでございます。そのためには、いわゆる農業のルネッサンスといいますか、一大運動を展開する必要がある、そして農林水産省もちびちびした政策を数多くやるのじゃなくて、思い切った政策を展開するということでなければならないと思うわけでございますが、ぜひひとつ近藤大臣におかれましては、そういう方向日本農業を引っ張っていく機関車になってもらいたい、こんなことを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  14. 近藤元次

    近藤国務大臣 もう時間がないようですけれども、要点だけお答えをさせていただきます。  新しい食料・農業農村政策検討本部は、事務次官を長として五月から発足をさせていただいて、実は今鋭意検討をしておる半ばでございます。来春までには、将来の展望としてこれからの我が国の農政について方向づけをしていきたいと思うわけであります。したがって、個々の法律制度について今作業には全く入っておりません。  それが出てこなければやりませんが、今先生の質問の一番のポイントは、一般企業にいわば農地を取得させて農業をやらせるのではないかという心配をしている向きが国民に多数あることも、私もそれぞれの地域で御質問を受けるわけで、この点について御質問いただいたので明確にしておきたいと思います。そのようなことは全くする意思はございません。これだけ御答弁させていただきます。
  15. 御法川英文

    御法川委員 わかりました。  以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  16. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  松岡利勝君。
  17. 松岡利勝

    松岡委員 松岡利勝でございます。どうかよろしくお願いをいたします。  現在、農林行政をめぐる情勢はまことに厳しいものがあるわけでございますが、難局打開に向けて積極果敢に取り組んでおられます近藤大臣初め農林省御当局の御努力に心から敬意を表する次第でございます。本日は、大原委員長初め皆様方の御高配を賜りまして質問させていただきますが、まず第一にガット農業交渉の問題についてお尋ねをいたします。  これまでの農林省の御説明やまた各種報道等からいたしまして、いよいよ正念場といいますか、大詰めを迎えつつあるな、そういうような状況かと思います。何としてもこの難局を乗り切っていただいて、そして日本の米を守ってもらいたい、関係者一同このような切なる思いで、それこそまさにかたずをのんで見守っている、そのような状況にあるのではないかと思うわけでございます。  時あたかもこのようなときに、大臣におかれましては、つい先般ガットダンケル事務局長を訪問されたということでございます。まことに時宜を得た、良高責任者としてのすばらしいタイミングであったと私は思います。大臣がこの会談に臨まれた御趣旨なり、また強く主張された点、こういった点につきましては先ほどの御法川議員の御質問の中でもお答えになっておりますので、もうそれで結構でございます。  そこで、このダンケル事務局長との会談において大臣が強く主張された、そういったことに対してダンケル事務局長がどのような反応であったのか、これはよくよく理解して、なるほどそうであるならばそのことを踏まえて今後の進め方をしなければいかぬというような反応であるのか、そういった点が一番関心のあるところでございますけれども、どうであったのか。そしてまたその反応の結果、これは近藤大臣もこれからの戦略としても我が国の進め方としても、何か非常にそのことにおいて今後考えさせられるような判断なりなんなりがあったのかどうか、まずこの点簡潔で結構でございますので、お答えをお願いしたいと思います。
  18. 近藤元次

    近藤国務大臣 余り大きな問題で簡潔に答えられるかどうかわかりませんけれども、先ほど御法川委員の方にもお答えをしたものと若干重複はいたしますけれども、要点だけをお答えをさせていただきたいと思います。  ダンケル事務局長が本年に入ってから農業交渉議長ということで、事務局長議長ということですから、かなり重く農業交渉を見ておるんではないだろうか。以来今日まで私ども、我が国の閣僚レベルでまだ事務局長にきちっと明確にお話をしておりませんので、だんだんと技術レベル会合が収れんされてきたところで一度我が国立場主張したい、理解を求めていきたいということでお話をさせていただいたわけであります。  その要点は、食糧安保論基礎的食糧というものを言われながらも、その会合では一度も議論をされてないものですから、これを認めるか認めないかという議論というのを認めさせていくということが我が国にとって非常に大事なことになっていくものですから、それを一点主張させていただきました。  三つの分野技術レベル会合しておるんですけれども、輸出補助金がいささかおくれぎみではないかな、こう思っておるものですから、これが先行して初めて国内支持なり国境措置という対応がまたおのずから出てくるわけでありますから、この分野について御指摘をさせていただきました。  とりわけ関税の風潮が流れておるものですから、我が国では生産調整をしておるようなもの、基礎的食糧というようなものは関税では対応できません、こういうことを中心に実は話をしたわけですが、どうもこの五年にわたる間見ておりますと、我が国はまじめに自由化方向対応したり行政価格の引き下げなどを、農産物の価格を引き下げをしてまいりましたが、諸外国、なかんずく大国と言われておるような国が少なくとも保護を強めているという印象が強いものですから、いつの時点から国内支持削減をするかという年次は非常に大事なポイントでありますので、これはスタートしたときからやってもらわなければいけませんよ、こういう話を実はしてきたところであります。  我が国立場についてはもう繰り返し繰り返し皆さんがお話をしておるわけですし、向こうにも伝わっております。ただ関税の問題一点については、向こうはガットそのもの全体が関税だということの基本的な話がありました。もう一つは、食糧安保もいろんなやり方があるではないかという話が実はありました。それは備蓄を持っておれば食糧安保につながるではないか、多国間との貿易をやればそれもいいではないか、また一定の約束がとり行われておれば食糧安保としてはつながるではないか、こういう話が実はありましたけれども、我が国としては基礎的食糧というようなものの定義を、実は提案をウルグアイ・ラウンド交渉の場に出してあるわけですから、それの必要性を認めてほしいということでお話をしてきたところであります。  いずれにいたしましても、今までのところはそれぞれの国の主張であって、まだ交渉段階までほとんど行ってないというのが現場の実情であります。やがてダンケル事務局長が、いわば農業交渉議長がペーパーを出すという時点からは交渉分野に入っていくんではないだろうか、こう予測をしておるわけであります。そういうときに、本格的に我が国主張というものが交渉の場で反映をしていくということの努力が目前に迫りつつあるということを認識をしておかなきゃなりませんし、いずれにしても年内合意ということがサミットでも合意されておるわけでありますから、相当の速いテンポで作業は進めていく、こういうことも予想しておかなければならない。いよいよ対応を十分にしていくことが私たちとして必要である、こういうふうに認識をいたしておるわけであります。  いずれにしても、議長でありまして交渉相手じゃございませんので、そこのところはダンケルさんも、私が交渉相手でないので、議長という立場で公平、中立に輸入国、輸出国の立場もよく主張は聞いておりますので、今後連絡をとりながらやりますという回答でありました。
  19. 松岡利勝

    松岡委員 今後そういうことでいよいよ本格化をする交渉に臨むに当たりまして私、若干の考えを述べさせていただいて、御見解なり具体的対応をお伺いいたしたいと思います。  私は、かねて自民党の農林部会等の場でも主張してまいったわけでありますけれども、このガット交渉は、戦いと言えば語弊がありますが、まさに国益をかけたある意味の戦いてあることは間違いがないと思うわけであります。そう考えますと、戦いに臨んで最も必要なことは、これは味方の一糸乱れぬ団結であります。国と国との交渉でありますから、何よりも国論の統一が必要だと思うわけでございます。この点について考えますときに、私は、残念ながら今の状況では、国論は二分していると言わざるを得ないような状況にあるのではないかな、こう思うわけであります。そして、その原因は何かと考えますときに、生産者と消費者、そしてまた売り手と買い手、農業とそれ以外との損得といいますか、利害関係といいますか、こういった経済的な一面でしかとらえられていないところにこの国論が分かれておるという問題の本質があるのではないかな、こう思うわけであります。釈迦に説法で大変恐縮でございますが、私はこの問題は、米という観点、それに基づく食糧安保論、これはこれで一億二千万の国民のまさかのときの生命を守るために絶対的に必要であることはもちろんでございますが、私はこの場合は、どちらかといえばむしろ水田の働きといいますか役割と、国民生活の安心や安全との関係、そういう観点からの整理の方が国論の統一ということでは大事なのではないかなと思うわけであります。  私自身選挙活動の中で、例えば都市部の団地の奥様方、こういった方々と話を重ねるうちに、どうも今まで副次的といいますか第二義的だなと思っておったことが実は主体的、第一義的なものではないか。言葉をかえて言えば、裏通りと思っていたのが実は表通りなのではないかと痛感した点もあるわけであります。上流と下流、農業とそれ以外、農村と都会を結ぶ共通の利益は何か。それは、やはり地形急峻、かつ雨の多い国土条件のもとで、平地の広い田んぼから山間地の段々畑ならぬ段々田んぼ、そういうことで全国に広がっております水田、その水田が雨水を受けとめまして、蓄え、そして順々にその水を下に流していく。それによって生活産業のための各種用水の供給源として、また、水害などの各種災害を防ぐ働きをいたしておるわけでありますけれども、こういう水田の働き、役割こそが、私は、国民の生活全体を支える国民共通の利益なのではないかと思うわけであります。水田が水をためる量は年間実に五百六十億トンと言われております。その洪水時の洪水調節能力は三十六億トンと聞いております。これは現在建設をされております既存のダム、それによる洪水調節の能力といいますか総貯水量が三十一億トンであるということに加えますと、これはその働きの大きさというものがいかに大変なものか御理解いただけると思うわけであります。この水田のいろいろな働き、これは稲作、すなわち米をつくることによってその能力が保たれているわけでありまして、米をつくらなくなればその働きはあっという間になくなってしまうわけであります。ここで非常に重要なことは、全水田のうち傾斜が急な地形の地域に存する水田、いわゆる中山間地に存する水田は約四割に上っております。もし米の自由化になれば、地形の制約で生産効率の悪いこの中山間地の水田が真っ先に放棄される、そうなることは火を見るよりも明らかだと思うわけであります。そうなれば、草ぼうぼう、荒れほうだい、そうなった中山間地の水田では、もはや貯水の働きや災害を防ぐ力はなくなってしまいます。そうなれば、下流への水の供給、下流地域住民の生命、財産が危機に瀕することは容易に想像ができるわけであります。  このように、米自由化の問題は、実は農業者だけの問題ではなくて、国民生活全般の土台、根底を揺るがす大問題であると思うわけであります。この論理をきちんと整理して、そして国論を統一することがいよいよ最終場面に差しかかって私は大事だと思うわけであります。また、交渉に臨んでの論理構成といたしましても、この日本の特殊な国土条件下での水田の働き、こういったことがまさに非貿易的関心事項このことにかかってそのことの整理はどうつくのか、こういうときに、それこそ米は輸入できるけれども水田の働きは輸入できない、こういったことはやはり重要な一つの大きな視点ではないか、私はこのように思うわけであります。  以上の観点に立って見たときに、今日まで交渉の中でどのようにこの点を主張され、また取り組んでこられたのかという点について、これまでの経過があればお聞かせを願いたいと思いますし、さらに今後に当たっても、この点からの取り組みというのも食糧安保論と同時に大変重要な観点、視点ではないか、私はこう思うわけでございますので、考えの一端を述べさせていただいて、ひとつ御所見を賜りたいと思うわけであります。
  20. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生今御指摘の問題については、実は極めて重要な観点でございます。基本的には、アメリカ中心とするケアンズ・グループと私たちとの農政の違いの問題点というのは、世界食糧を見たときに、我が国主張というのは、それぞれの国が自給率を高め、自給の方向に向かって努力をし得ることに支援をしていくという立場を私たちは主張いたしておるわけであります。アメリカ中心とするケアンズ・グループは、どちらかといえば貿易の自由化をもって世界食糧安定を図るという、この二つの道が基本的に違うということであります。  もう一つは、また今先生お話のようなことにつきましては、やはり我が国の農政というものが、基本的に、条件不利な地域もあるいは平場の地域も、きちっと農政というものをどうするべきかということについて、哲学と申し上げるか、そういう基本的なものを持っていなければならない。おくればせながら農業基本法の見直しをさせていただいて今検討をさせていただいておるわけでありますが、そう時間もかけておられませんので、中山間地なり条件不利地域というものは既に政策上で予算化の要求を実はいたしておるわけであります。その地域が、私は、耕作放棄面積が非常に拡大しつつあるということを心配をして実は農業基本法の見直しのきっかけにさせていただいたわけであります。その地域こそ、先生が今お話しのようなことの役割を十分果たしておる。そういう地域については予算上の支援なくしてその実現ができないものですから、これがやはり環境問題、社会政策上国民が必要とするものを、役割を果たしておるということで、補助率を高めて負担を極めで軽減をさせながら、そこで営農していただくということが今度の検討本部の基本的な仕事の一つでなかろうか、こう思っておるわけであります。そういう面でのPRが不足だといえば、先生御案内のように、役所というところは政策や自分の考えている仕事をPRするというのには極めて不十分だと私は思っておるのです。もっと理解を得るには、やはりもっと広報という活動を、十分に国民に知らしめるということが重要な一つの課題だと思って、この点について私は省内で検討させていかなければならないということで考えておるわけであります。  もう一つだけ、これは国内問題ではありますが、もう一方では、国際的にも米の生産というのはわずかに三%しか市場に出てない。そして、過去十年間の価格については、最低で百九十ドル、最高で五百十五ドルということで、乱高下が極めて激しい農産物が米であるということを考えると、このことは一にかかって消費者問題であります。生産者よりも、むしろこの量にも不安があるし、価格も不安定だということは、これからの米が自由化されたときのことを考えたときには、これは消費者問題になっていくわけでありますから、せっかくの機会でありますので、そういうこともそれぞれ先生方、直接国民に接する機会の多いときにまたお話をしていただいて、生産者よりも消費者問題である、だから米は自給していかなければならぬということのPRの御協力をいただくと大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  21. 松岡利勝

    松岡委員 大変御同意をいただきまして私も心強く思いますと同時に、この点についてどこか数字的な面等でまだなおなおいろいろ整理に困難な点もあるかと思いますけれども、農林省御当局の御努力をぜひともお願いをする次第でございます。そして、このような観点も含めまして、米自給に関する国会決議、こういったこともあるわけでありますので、ひとつそういった方針に沿っての大臣のまた一層のお取り組みをお願いしてこの問題を終わりたいと思います。  次に、林業関係について二、三お尋ねをさせていただきます。  実は私は、十九年間林野庁に勤務させていただいておったわけでございまして、そのうち六年間は農林大臣官房でありますとか国土庁におりましたけれども、まさに林野プロパーでございます。小澤長官には直接の上司として大変お世話にもなりましたし、林野庁はまさに我が実家、ふるさと、そういったようなことで大変限りなき御恩を実は感じておるところでございまして、今後ともよろしくお願い申し上げます。  まずお尋ねしたい第一の点は、平成三年度からの懸案でもあったわけでございますが、来年度予算に要求されております森林整備事業計画についてでございます。  私は、森林林業基本的性格というのは、例えて言えば教育と似たような性格を持っておるのではないか、こう思うわけでございます。といいますのは、きょうこの子供に教えて、あしたその子がすぐ役に立つということはないと思いますが、しかし教育は、その子の人生はもちろんでありますけれども、国家、民族の将来を支える大変大事な、一番の基盤であると思うわけであります。そしてまた、工業とは異なりまして、きょう設備をつくったからあしたから生産が可能、そういうわけでもございません。きょう植えてすぐその木があした役に立つわけではございませんけれども、しかし一たびその努力を怠ったら、これはやはり何十年先、また相当の長い将来にわたって大変な禍根を残す、こういうような問題であろうと思うわけであります。そういう面で、まさに世代を超えた、本当に長期にわたるそういうものが森林林業だろう、こう思います。  そういった点から見ますときに、本当は長期的な視点に立った計画なり見通しに基づいての取り組みというのが一番必要だと思っておったわけでありますが、そういうような意味では遅過ぎたかもしれないけれども、しかし今般まさに画期的とも言えるような形でこの森林整備事業計画というものをおつくりになる。非常に心から歓迎し、また期待もし、そういう気持ちでいっぱいでございますが、この計画の基本的考え方について、ポイントで結構でございますので、長官からどうかひとつお答えを願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  22. 小澤普照

    ○小澤政府委員 お答えを申し上げます。  もとより森林は、木材生産のみならず国土の保全でございますとか水資源の涵養でございますとか、また生活環境の保全、形成等多様な機能を有しておるものでございまして、まさに国民生活の基盤をなす重要な社会資本であると考えているところでございます。しかしながら、近年の森林林業をめぐります厳しい情勢のもとで、森林の整備は必ずしも十分な進展を見ていないという状況にございます。このような状況対応いたしますために、流域一体となりました林業活性化を図りつつ森林整備を計画的に推進して、健全で豊かな森林を次の世代に継承するために、その基幹となります造林・林道事業につきましての五カ年計画の投資計画を策定することといたしているところでございます。  本計画につきましては、平成四年度を初年度といたしまして策定すべく検討を進めているところでございますけれども、森林の有します諸機能の高度発揮に向けまして、保育、間伐の確実な実施、複層林等の多様な施業の積極的な推進、あるいはまた国産材時代の基礎となります林道等生産基盤の整備、さらにはまた森林整備の担い手の定住条件の改善にも資するように、地域の実情も十分に踏まえながら的確な策定を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  23. 松岡利勝

    松岡委員 ひとつぜひよろしくお願い申し上げます。  続きまして、国有林の問題について若干お尋ねをさせていただきますが、国有林の役割の重要性というのはもう論をまたないわけでございます。本当に我が国のある意味では林業の中核、先駆者としても、そしてまた、森林地帯の中では一番骨格になります脊梁地帯に賦存をしておりまして、水問題、災害を防ぐ役割、いろいろな意味で国民の生活の土台としての大変な働きをしてきておるわけでございます。今後もますますこの役割に対する要請は高まってまいりますし、非常に重要な働きをしていかなければいけないと思うわけでございます。  しかし問題は、今国有林が大変な厳しい経営の状況に置かれておるわけでありまして、一言で言いますと、大変言い方は失礼ですが、前の借金に追われて、そのお金を返すことで精いっぱいで、今求められ、また、これから要請をされるその役割を果たすのがなかなか十分にいかない、こういった点が私は一番問題だと思うわけでございます。そのような中で血のにじむような努力をされてきたこともまた事実だと思うわけであります。端的に言って、昭和五十三年、私もその当時営林署長をさせていただいておりましたけれども、そのころ六万五千人もおった職員が今は三万一千人、半分以下に減った。減量で言うならば、まさに百キロを五十キロ以下に減らした、こういうようなことでありまして、それはもう大変な御努力であったと思うわけでございますが、しかしまだなおなお経営の健全化ということに向かっては道遠し、こういう状況にあるのも実態だと思うわけであります。  そこで、先般法の改正もあって、そして積極的になお一層の経営改善を進めていかれる、こういうことでございますけれども、私は、その場合一番大事な点は、地元市町村の理解と協力なり、また地域林業、国有林関係者との本当に相携えた進め方、こういったものがぜひ必要と思うわけでございますが、この点についてひとつどういうお考えがお尋ねをしたいと思います。
  24. 小澤普照

    ○小澤政府委員 国有林野事業の経営につきましては、各般の改善努力にもかかわらず大変に厳しい状況でございまして、平成二年度末の累積債務も二兆円を超すというところでございます。このために、林政審議会の答申や、また国有林野事業経営改善大綱を踏まえまして、第百二十国会におきまして改正されたところでございます国有林野事業改善特別措置法に基づきまして、新たな国有林野事業の改善に関する計画を本年の七月に策定いたしまして、今後はこの新たな改善計画に基づいて国有林野事業の健全な経営を確立いたしまして、その重要な使命を十分に果たしてまいりたいということで、我々全力を挙げましてこの経営改善に取り組んでいく考えでございます。  ただいま先生申されました地域との協調の問題でございますけれども、国民の多様な要請が森林に対してございます。この中で、上流、下流を通じまして、また民有林、国有林を通じました森林の流域管理システムのもとで事業運営を行いたいというような観点から、森林の機能類型に応じました管理経営を基本方針として、効率的な運営を進めていく考えでございます。この際に、累積債務と経常事業部門というものを区分させていただいておりますけれども、平成十二年度までに財政の健全性も達成しなければいけないということでございまして、請負化等による事業の民間実行の徹底でございますとか要員規模の適正化あるいは営林署の三分の一程度統合改組するなどというような組織機構の簡素化、合理化も行いますとともに、林産物の機動的な販売や森林空間の総合利用の展開等によります新たな自己収入の確保の問題もございますし、それからまた、森林の公益的機能発揮等の観点から一般会計の繰り入れ等の財政措置等も講じてまいる考えでございますけれども、この際に、地域振興、発展、活性化にも国有林がその役割を果たしますように、十分に地域とも連携をとらせていただいてやってまいりたい、このように考えております。
  25. 松岡利勝

    松岡委員 ぜひとも十分な御配慮をよろしくお願い申し上げたいと思います。  時間も余りなくなりましたので、最後大臣にちょっとお尋ねをさせていただきたいと思うのでございますが、承りますと、大臣世界林業大会に御出席をされたということでございます。第十回の大会ということでございますけれども、今日までの中で我が国農林水産大臣としては初めて御出席をされた、このように承りまして、私は本当にこれは大臣の御英断であった、そのように思う次第でございます。といいますのは、今地球環境が大変関心を呼んでおります。そういう中にあって、我が国が二十一世紀に向かって、この人類全体に対して地球環境という面においてどういう役割を果たしていくか、大変大きな期待を実は求められていると思うのでありますが、そのような点から見ましたときに、直接最高責任者の大臣が、その会合出席をされて、そして日本の姿勢を示された、また決意を示されたということは、私はこれは本当に我が国としてすばらしいことであった、このように思うわけでございます。  そのような意味で、大臣出席され、どのような御感想、そしてまた今後に向けてのそういうお考え、決意をお持ちになったかということをお尋ねしますと同時に、最後に、お願いで恐縮でありますが、今大変台風被害等でも、農作物も大変な被害を受けております。そういった意味での万全な、また農林省としての施策の対応もお願いいたしまして、大臣にお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  26. 近藤元次

    近藤国務大臣 世界林業大会というのは、六年に一回開かれるようなスケジュールに過去はなっていたようであります。私は、環境問題等が出てまいりまして、何となく日本がその森林林業の加害国みたいな印象を世界に与えておることを実は非常に心配をしておりました。それだけに、この夏にまた横浜でシニアフォレスター会議という技術レベル会合も開催をさせていただきましたし、これでも改めて、日本が持続的開発ということで、一方では禁止、一方では既に先進国は開発が終わっておるという分野で対立があったものが、持続的開発という我が国主張というものが双方に理解を得られて成功した会議でなかったかな、実はこう思っておりました。たまたま、十七日に世界林業大会があるということで、私も出席をして我が国立場というものを、さらに世界の広がりの中に理解を求めたいという気持ちを持っておりましたので、出席をさせていただいたわけでありますけれども、大変林業に関心があると同時に、来年度UNCEDの会議がブラジルで行われるという前年の大会でもありますので、閣僚が出席二十五カ国、国で参加した国百カ国を超え、合計、総数にして二千五百人という大変な大きな大会でございました。  その機会に、我が国立場、さきの会議での主張したものをまたさらに拡大をして政治レベルでも御理解をいただく努力をしてまいりましたし、昼休み、二時間ほどありましたので、そのところを利用して、日本と友好関係であったり、主要国であったり、あるいは農業林業とを兼ねておる大臣も実はございますので、ウルグアイ・ラウンドの話も含めて、林業の理解もあわせてその場で、日本が、私が招待を申し上げて、昼約二時間近く皆さんと懇談をして、お集まりをいただいた皆さん方は、総じて日本技術レベルの協力なり支援なりあるいは今後のリーダーシップをとってほしいというようなお話を承ることができて、私は大変よかったな、こう感じて帰らせていただいたわけであります。木材の大消費国、最大の輸入国でありますから、その点のさらなる理解は、環境分野においても御理解をいただく努力をしていかなきゃならない、こういうことで、この大会の集約されたものが来年度UNCEDに向かっても、我が国としても林業関係も含め、環境関係でも大勢の政治レベルの皆さん方からも御出席を願えれば大変ありがたいなという感想を持って帰らせていただきました。  最後の問題につきましては、積極的に対応して、災害が現実に起きたことは、防止が大事でありますけれども、起きたものについてはそれ以上に十分な対応をしていきたい、そう思っております。
  27. 松岡利勝

    松岡委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。どうも大変ありがとうございました。
  28. 大原一三

  29. 石橋大吉

    石橋(大)委員 きょうは国際平和協力特別委員会農林水産委員会のかけ持ちになってしまいまして、あるいは今までの質問や御答弁と重なるところがあるかもしれませんが、お許しをいただきたい、こう思います。  まず最初に、農林水産大臣の今回の訪欧の目的と成果について率直にお伺いをしたいと思います。  今も話がありましたように、世界林業大会出席する機会を利用してダンケル事務局長に会って、ガットの山場を迎えた交渉に臨んでの日本政府の意向を伝える、こういうことでガットの事務局長ともお会いになったようでありますが、新聞によりますと、この九月十三日にもジュネーブでダンケル事務局長大臣お会いになって、そこでは基礎的食糧の自給を柱とした食糧安全保障の実現を訴える近藤農林水産大臣と、輸入の多角化や備蓄の積み増しで食糧安保は確保できるというダンケル事務局長の見解がかみ合わずに平行線のまま終わった。十三日段階の話ですよ。そういう経過を踏まえながら、旬日を経ずして、再度ダンケル事務局長にお会いになった農林水産大臣の考え方、意図、また会われた結果、そういうことについてお伺いをしたいと思います。
  30. 近藤元次

    近藤国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、ダンケル事務局長農業交渉議長になって、そして技術レベル会議が進んでくるにつれてだんだんと会議が収れんをされ、取りまとめの前に我が国立場を改めてきちっと申し上げておく必要がある、こういう考え方で、従来私が御答弁申し上げたり、国会決議の模様なり、国会での審議で承らしていただいた御意見等を整理をいたしまして、きちんと申し上げてまいりました。  具体的な問題につきましては、今お話のございましたように食糧安保、なかんずく基礎的食糧というものについて我が国が定義をしておりますけれども、それの議論が過去なされてこなかったという問題についてはきちんと議論をしてください。そして三分野における問題につきましては、輸出補助金が先行して議論をされるべきだということも、過去ずっと見ておりますと、輸出補助金がどうも後についてくるような感じでありますので、これはアメリカECの対立点でありますから、ここを先行させておかないと、国内支持国境措置というものが私ども対応ができないんではないだろうか、こういう考えに基づいてお話をしてまいりました。  あわせて、一九八六年からスタートしてもう五年という時を数えてまいりました。この間における各国の姿勢を見ておりますと、我が国の方は自由化方向に大変な努力をしておるにもかかわらず、大国と言われる国がむしろ保護を強めておるという印象が強いものですから、一体何年度を基準にするか、この問題についても、私たちは一九八六年、これがスタートしたときを基準にして国内支持について対応していくべきだという問題を主張いたしました。輸出補助金どこの問題についてはよく理解をしておりましたが、クレジットの問題は必ずしもそのようにいくかどうかわかりませんが、基礎的食糧とあるいは輸出補助金については議論をされて、今回の技術レベル会議議論をしていただいたということは、その点について御理解をしていただいた、こう評価をいたしておるわけであります。食糧安保論については、向こうからは、食糧安保というのは、輸入禁止という言葉は使いませんでしたけれども、いろいろなやり方があって、食糧安全保障の目的が達成されるのではないか。いわば備蓄を、それに備えておくということ、多国間で貿易をすることは不安を解消することになるのではないか、あるいは予約をきちっとしておきさえすれば、食糧にその安全が保てるのではないかというような意味合いのことが幾つかあるではないかということで、そうしなさいという話ではございませんで、冒頭からダンケル事務局長は、私は交渉相手ではなくて中立、公正に調停をする役割ですという、前段ダンケルさんからのお話もございました。しかし我が国は、基礎的食糧というものが、こういうものを基礎的食糧にしたらいいではないかということをもう既に提案をしておるわけですし、それを議論することが必要でもありますし、そのことによっていおのずから私は関税対応できないということを主張していくということで、関税対応をできないということは三回にわたって主張してまいりました。以上であります。
  31. 石橋大吉

    石橋(大)委員 これからの質問の中でも若干関係ありますので、大臣のお答えを承りました。ありがとうございました。  次に、これからのガット農業交渉をめぐる情勢についてお伺いをしますが、御承知のとおり、ことしの三月からガットのウルグアイ・ラウンド農業交渉は技術的な討議を中心に進められてきたわけであります。七月末においてもこの種の討議が終了せず、九月十六日の週において再開された会合においても技術的な問題に関する議論が続けられたと聞いているわけであります。一方、ロンドン・サミットや四極通商会議などにおいてウルグアイ・ラウンドの年内決着に向けた努力が確認されていますが、今後の見通しについてはさまざまな情報が流されており、全国の農業者を初め多くの関係者が不安感を募らせているのであります。このため、まず今後の見通しについて次の点をお尋ねをしたいと思います。  まず第一点は、技術的な討議は九月で終了するのか、あるいは終了したのか、これが一つ。第二点は、十月以降の交渉日程はどうなっているか、どういうふうに明らかになっているのか。第三点は、ダンケルガット事務局長農業交渉グループの議長が最終的な合意に向けてたたき台のようなものを出す、こういうふうに報道されているわけですが、それはいつの時点で、どういう形で出されるのか。第四点は、ダンケル事務局長の新たなペーパーの内容については推測の域を出ないと思われますが、このペーパーの位置づけ、すなわち重要な政治判断を求められるようなものになるのか、あるいは来年に延ばして交渉を続行するような意味合いのものになるのかということ並びにその後の交渉について現時点でどういうふうに予測をされているのか、これが四つ目。第五番目に、決着の時期についても正確に予測することは困難と思われますが、ウルグアイ・ラウンド全体が年内に最終的な合意に達すると見ておられるのか、あるいは来年以降にずれ込む可能性があると見ておられるのか。以上、今後の農業交渉見通し中心に五点ばかりお尋ねをしたいと思います。
  32. 川合淳二

    ○川合政府委員 お答え申し上げます。  ウルグアイ・ラウンド交渉につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、二月末の再開以降技術的会合中心として行われてきております。夏休みを経まして九月十六日から二十日まで行われたわけでございますが、今後の日程といたしましては、この技術的会合でございますが、十月一日の週それから十月十六日の週、これが今のところ決まっております。  それから二番目のお話がございましたダンケルのたたき台と申しますか、ダンケル取りまとめを行っていく過程といたしましてある種のペーパーを出すのではないかということにつきましては、十月末ないし十一月初旬というような言い方がなされております。この内容につきましては、私ども率直に申しましてよくわかりません。恐らくダンケルといたしますれば、今まで七月に出しましたオプションペーパーと申します選択肢を列記したものに対しまして何らかの方向性を持たせるための努力を今後していくと思われますので、そうした形になることも予想されますが、これは今後の交渉の成り行きに大きく依存するものでございますので、今のところこれについての予測はまことに難しいと思っております。  それから決着の時期につきましては、これはまさに今後の交渉によるものでございまして、これも非常に先行き不透明と言わざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  33. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今の御答弁ですと、技術的な議論はまだ終わっていない、十月一日からの週と十六日からの週にさらに引き続き技術的な問題の議論が続く、こういうふうに承ったのですが、そういうふうに確認していいかということが一つ。  それから、ダンケルが出すたたき台の中身はちょっと現段階で予測しがたいということですから、果たして重要な政治判断を求められるようなものになるかどうかということについてもにわかには断じがたい、こういうことではあろうと思いますが、しかしマスコミ等ではしきりに、重要な政治判断を求められることになるのではないか、こういう報道が専らですが、そういうことについて、マスコミの報道も含めてどういうふうに農林水産省はお考えか、重ねて念のために承りたいと思います。
  34. 川合淳二

    ○川合政府委員 先ほど申しましたように、技術的会合は十月にもう二回予定されております。恐らくこれで終わるのではないかという観測は持っております。  マスコミにいろいろ出ておりますお話につきましては、御承知のようにサミットの段階で年内合意ということがうたわれております。それからダンケル事務局長もそうしたものを受けて、さらなるぺーパーを十月下旬ないし十一月に出すということを予測させるような重言もしておるわけでございますので、そういう意味では今後かなり精力的な本格的交渉が行われるということは予想されるわけでございます。内容につきましては、先ほど申しましたように非常に不透明な点が多いわけでございますが、そうした状況を見ての報道ではないかというふうに私どもは受けとめております。
  35. 石橋大吉

    石橋(大)委員 時間がありませんから交渉見通し等に関してはこれでおきまして、次に日本政府対応基本的な姿勢、そういうことを中心に幾つか伺いたいと思います。  先ほど、大臣ダンケル事務局長との話し合いの結果についてお話がありましたが、その中でも触れられておりますように、輸出補助金を先行させるべきである、こういう日本政府主張は非常に重要だ、私はこう思っておるわけであります。先ほどのお話の中にもちょっと触れられましたように、最近のソ連に対する補助金つき穀物輸出など、穀物貿易の現実はガット農業交渉の目指す方向に逆行しているのではないか、こういうふうに考えておるわけでして、そういう観点でお尋ねをしますが、新聞報道なども見てみますと、農業交渉では輸入制限措置の関税化が最大の焦点になってきた、こういうふうに専ら言われているわけであります。しかし、農業交渉が開始をされた最大の背景はアメリカECなど農産物輸出国による輸出補助金、輸出補助競争であったはずであります。世界の農産物貿易の流れを歪曲しているのがこの輸出補助競争の激化であるという状況には今でも変化がない、こういうふうに考えているわけであります。しかも実際には、EC、米国等による補助競争はソ連、中国、中近東諸国などの穀物市場でのシェア拡大競争で弱まるどころかますます激しさを増しているというふうに認識をされるわけであります。  最近では小麦の輸出補助額がトン当たり百二十ドル前後のうち四十ないし五十ドルにも達しており、補助率は四割を超えている場合もあると聞いているわけであります。  さらに、米国とECはソ連の巨大な穀物市場、本年度は大体四千万トンから五千万トンに及ぶと予想されているようでありますが、そこへの輸出増大をねらいまして、大幅な安売りだけでなくて信用供与による金融支援まで力を入れているわけであります。農業交渉の場では、このような信用供与も新たな補助金として問題になっているようでありますが、穀物貿易の現実は、農業交渉の目指している方向にそういう意味で全く逆行している、こういうふうに言わざるを得ないと思うわけであります。農業交渉での議論は、そういう意味では実態から余りにも遊離し過ぎていると言わざるを得ないとも言えるわけであります。  日本政府としては、このような状況を一体どう見ておられるのか、さらには最近の輸出補助強化の実態が農業交渉へどのような影響を与えていると見ておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  36. 川合淳二

    ○川合政府委員 ただいまお話がございましたように、ウルグアイ・ラウンドが開始されて以来、また大臣から先ほどお話もいたしましたところでございますけれども、米国、ECともに輸出補助金にかかわる予算増額しているわけでございます。この背景には、国際価格が下落しているということがございましたけれども、このような輸出補助金増額あるいは横行というものは、発展途上国あるいはオーストラリアなどの伝統的な穀物輸出国に大きな影響を与えているわけでございます。したがいまして、この交渉のそもそもの発端がこうした競争に基づくものでございますので、この輸出補助金についての問題を解決することが何よりも重要であり、まず先決であるという立場日本立場でございます。  したがいまして、大臣ダンケル事務局長にこの点を強く御主張いただいたわけでございますけれども、この点についてはやはりECアメリカの対立というものほかなり今もって強いものがあると私どもは見ております。  しかしながら、この点についての議論が進まない限り、ほかのものについての議論は私どもはすべきでないという立場を常に交渉の場で言っております。ただ、ECアメリカの間の問題がかなり難しいだけに、ともすればほかの問題を先にやりがちだということも先ほどお話ししたとおりでございます。  しかしながら、私どもは今回のウルグアイ・ラウンドがそうした経緯で始まったということ、それから世界の貿易を正常な姿に戻すという意味からも、輸出補助金の問題は一番最大な問題であるというふうな認識のもとに取り組んでいるところでございます。
  37. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今、私の質問と同じように、輸出補助金こそ最大の問題である、こういうことで、この問題が解決しない限りはほかの話はできない、そういう基本的な姿勢だ、こういうことでしたが、ぜひひとつこの基本的な姿勢を貫いて、今後の交渉に対処していただきますようにお願いをしておきたいと思います。  次に、関税化の問題に関連して申し上げたいと思いますが、輸入制限措置の関税化に交渉の焦点が当てられる危険性があるように思われるわけですが、この関税化によって今度のガット農業交渉が成果があった、こういう結果になっては、私は、とんでもない話だ、こういうふうに思っているわけであります。全く不公正な議論で、国内的にも非常に説明のつかないことになるのではないか、こういうふうに思っているわけでありますが、そういう意味で、日本政府食糧輸入国立場を貫くために基礎的食糧論を中心とする主張を従来から展開されてきましたが、ソ連・東欧における政治的経済的困難や民族問題の拡大、また、途上国における人口増大や世界的な異常気象の問題の深刻化など、長期的な視点で考慮するならば、最低限の食糧自給を確保することはまずます重大な国民的な課題になっておると考えているわけであります。我が国政府は、そういう意味でみずからの主張の正当性を改めて確認をしながら、その実現に向けて一層の努力をされるべきであると考えますし、ガット農業交渉の結果が輸入国だけの犠牲によって決着するようなことは断じてあってはならない、こういうふうに考えておりますが、重ねて農水省の見解をこの点についてお伺いしたいと思います。
  38. 近藤元次

    近藤国務大臣 今度のダンケル事務局長との話の中でも、私が特に関税化の問題については、三回にわたって、最終的には短期的な関税であっても我が国としては対応できない、このことは明確に実は伝えておるところであります。先ほどの輸出補助金については、若干その輸入国立場でも、表現がいいかどうかわかりませんが、国力の違いによって、これをやめたら安い農産物が入らなくなるという開発途上国等の懸念も実は正直ございますし、我が国のように輸出補助金輸入国であっても廃止するべきだという主張と若干のニュアンスの違いはございます。この辺の取りまとめというのは、技術レベルでは非常にアメリカECとの対立が、どのようにまとめていくとかいうのは見通しが非常に難しい問題でなかろうか、こう思っております。関税化については十分我々対応していきたい、こう思っております。
  39. 石橋大吉

    石橋(大)委員 関税化の問題に関しましてもう一つきちんと念を押しておきたいと思います。  まず一つは、輸入制限措置の画一的な関税化を受け入れることはすべての農産物市場の完全自由化につながることは必至だ、こういうふうに見られるわけですが、同時に、そういう意味で日本政府基礎的食糧の提案が結果的に完全な敗北につながる危険性もあるというふうに考えられるわけであります。そういう意味で、今次ラウンドで何も得られず失うものばかり、こういうことになってしまうわけであります。そういう意味で、基礎的食糧については、今大臣も言われましたが、関税化は絶対に受けられない、こういう主張最後まで堅持をしていかなきゃいけない、こういうふうに考えますが、今一応お答えがありましたが、念のためにもう一遍伺いたいと思います。
  40. 近藤元次

    近藤国務大臣 基礎的食糧について関税化は私自身が対応できない、そう思っておりますので、主張してまいりたい、こう思っています。
  41. 石橋大吉

    石橋(大)委員 ぜひひとつそういう方向で頑張っていただきたい、こう思います。  次に、私は、ガットというのは大変不平等な条約だ、こういうふうに思っているわけであります。特に日米関係においてはそういう感じを強く持っているわけですが、そういう意味で、アメリカのウエーバー条項やECの可変課徴金の問題と我が国の米を同列でとらえて、アメリカのウエーバー条項が削減あるいは輸入枠が拡大されるなら我が国の米市場も開放すべきだ、こういったような議論が一部でされているわけでありますが、これは全く公正を欠いた議論である、こういうふうに言わざるを得ないと思っているわけであります。輸出国における輸入制限措置と穀物ベースの自給率が三〇%にまで落ち込んでいる我が国の輸入制限措置を同じレベルで議論すること自体に非常に無理があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  例えばアメリカは、ウエーバー条項の一部の品目の輸入を拡大したとしても、その品目の生産者は他の輸出用作物の生産を増大させて被害を軽減することができるが、我が国の場合、輸入されればその分だけまたまた大幅な減反を強いられる、減反をふやさなければならない、こういう現実をきちっと踏まえた議論をしなきゃならぬと考えておりますが、この点とういうふうにお考えになっていますか。
  42. 近藤元次

    近藤国務大臣 おのずから輸出、輸入国意見の対立があることは当然のことだ、私はそう思っていますから、はばかることなく我が国としての主張はしていくわけですが、スタート時点からもう立場が違っておるわけであります。とりもなおさず我が国は、ある作物は輸入し、ある作物は輸出しているという立場ではなくて、すべて輸入国であると言って過言ではない状態で実はございますから、本来から言えば、私たちがまだテーブルに着く以前に、まず輸入国立場を反映するのであれば、輸出禁止の法律もやはり廃止をしてからテーブルに着くのが当然だと思っているぐらいに私は感じておるわけであります。今お話のございましたように、まず人に主張するときには、自分もウエーバーなど外してから交渉に出るというのが当然ぐらいに思っておるわけでありますから、そういう立場はきちっと踏まえて対応していきたい、こう思っております。
  43. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今大臣からお答えになったことと関連をした質問を、これも念押しみたいになって恐縮ですが、準備をしていますのであえてさせていただきます。  アメリカには、本当にみずからの有利な立場を放棄をして、ガットの不平等性を是正をして、公正な自由貿易体制を実現する用意があるかどうか、私はいろいろな点で非常に疑問を持っているわけであります。ガット農業交渉もいよいよ終盤を迎えまして、今や関税化の問題や輸出補助金食糧安全保障などに問題の焦点が絞られてきている段階でありますが、さっき大臣も話がありましたように、本来交渉に入るに先立って解決をしておくべき問題だと私は思っています。そういう意味で、こういう段階でそういうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、やはり日本政府立場日本国民の立場からは、私は去年の五月二十四日のこの委員会でも申し上げましたが、あえてこの段階でも申し上げて確認をしておきたいことが幾つかあるわけであります。  まず一つは、アメリカの上院でガットが批准をされていない。今も批准をされていない。したがって、アメリカの国内ではガットという、国際条約というかどうか、国際条約と一応しまして、それよりも連邦法の方が上位にある。上にある。いわばアメリカでは、批准をされてないために法律的な効果はガットには全くない、こういうような関係があると言われておるわけですね。私たち日本の場合は、憲法九十八条の関係もありまして、国内法と同じかあるいはそれ以上に条約はやはり尊重する、こういう立場に立っているわけですね。私は、そういう意味で言うと、アメリカの上院がガットを批准をしていない、こういうことはやはり農業交渉の前にきちんとアメリカ自身で解決をしておくべき問題ではないか、こういうふうに考えているわけですが、こういう今までの経過に照らして、果たしてアメリカガットを上院で批准する、そういう保証はあるのかどうか、そういうことをちょっとまず一つ聞きたいわけですね。御承知のとおり、アメリカの上下両院とも民主党多数派ということで、ブッシュ大統領とは政治的な立場が違うというようなこともありますので、あえてそのことをまず一つ申し上げたいと思います。それが一つ。  二つ目は、今ちょっと大臣も話がありましたが、アメリカの特権になっておるウエーバー条項を完全に廃止する保証があるのかどうか、こういうことです。  御承知のように、ガット第二十五条五項の自由化の義務免除、いわゆるウエーバー条項は、アメリカだけに許されている特権だ、こういうふうに言われているわけですが、これは非常に問題なのは、そういうアメリカだけの特権としてウェーバー条項があるということと、これは期間に限定なし、事実上無限の延長が可能だ。しかも、アメリカ農業調整法の対象品目にすることによって全部ウエーバーの対象品目にすることができるという点でいえば、これは無限に対象を拡大することも可能だ、こういうような面を持っているわけですから、非常に不平等だと言わざるを得ないわけですが、これは最終的に米の輸入自由化などをのまされたときに、こういう問題は一体どうなるのか、ウエーバーは完全に廃止する保証があるのかどうか、これが二つ目。  それから三番目の問題は、いわゆる輸出自主規制という名の輸入数量制限、管理貿易の拡大を一挙に撤廃する保証があるかどうかということであります。御承知のようにアメリカは、みずから非常な優位に立っておる農産物交渉では非常に強く自由化を迫っておることは御承知のとおりです。しかも、再々にわたって半ば恫喝的に米の輸入自由化を迫る、こういう態度をとりながら、アメリカが比較的に優位にない、いわば劣位の立場に立っておる工業製品については、御承知のように、一九六〇年代の日米繊維協定に始まって、カラーテレビの対米輸出規制だとかあるいは自動車の協定による対米輸出自主規制だとか、鉄鋼や半導体の対米自主規制、こういうふうに工業製品については数々のいわば日米協定を結んで、自主規制という名の数量制限をやっているわけですね。これは事実上ガット違反だ、こう言わざるを得ないと思うのですが、そういう点では、農産物の自由化に対する態度と、工業製品については数々の自主規制を求めるアメリカの態度というのは大変一貫性がないし手前勝手な議論だ、私はこういうふうに思っているわけでして、一体、自由というならば、公正というならば、そういう問題はどうなのか。この点、三つ目の問題。  それから、四巻画は、食糧輸入大国日本にとっては非常に重要な問題ですが、いわゆるガット十一条二項(a)の数量制限禁止の一般的例外、すなわち輸出国の食糧危機における食糧輸出禁止条項の撤廃と輸入国に対する完全な保障措置、こういうものをきちっと確立する用意があるのかどうか。こういう点、いろいろたくさん問題がありますが、非常に基本的な問題として、だれが考えても、交渉の前提条件として本来これらの問題は解決をされておかなければならぬ問題だと思っていますから、交渉の終盤に当たって言うべきことかどうかという点では少し問題があるかもしれませんが、あえてお尋ねをしておきたい、こういうふうに思います。
  44. 川合淳二

    ○川合政府委員 幾つかの御質問でございますけれども、まずアメリカ議会と政府との関係でございますが、御承知のように、今回のウルグアイ・ラウンドに臨むに際しましては、いわゆるファストトラック、一括承認制度の通商法を通過させております。御承知のように、この延長も本年春に行われたわけでございます。したがいまして、アメリカはこの一括法によりまして、パッケージとして、十分自由貿易に向かったものであれば議会において拒否されることはないという物の言い方をしております。  それから、二番目のウエーバー条項関係でございますが、これにつきましては、アメリカ主張は、ほかの国が同等の措置を講ずることを前提といたしまして、御指摘のウエーバーあるいは食肉輸入法などで行われております輸出自主規制の要請、こうしたものの保護的な措置を含めまして、すべての非関税措置を関税化するという主張をいたしております。  それから、十一条二項(a)の関係でございますが、これについても、その条項について削除するという立場も明らかにしているわけでございます。  ただ、これらの問題はすべて今までのところ総論的な物の言い方でございまして、具体的な交渉過程で具体的な問題としてその成否について発言しているものではございません。まさに、これから本格化する段階において、この辺が問題になるべき問題だろうと思っております。アメリカの現在までの態度は、以上のようなところでございます。
  45. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今局長さんのお答えによりますと、ファストトラックで交渉政府に委任をした以上はそれを拒否することはないだろう、いわば、その後ガットアメリカの議会で批准されるであろう、こういうことですけれども、これは今も総論的な説明としてそういう説明がされているということですが、簡単にできればもう今までに、とっくの昔に批准しておるでしょうから、私は、そうはいっても恐らく相当アメリカの議会では難しいだろう、こう思っているわけですよ。それだけに、安易に対応して日本だけが、最後終わってみたら素っ裸にされておった、こういうことになったんじゃ大変ですからね。大臣、よく御承知だと思いますが、そういう意味でやはり、単なる総論でもって了解、こういうことにはならぬ、こういうふうに私は思っています。  ウエーバーの問題についてだって、ほかの国が同様の措置をとればなんて言っているということですが、さっきから言っていますように、こんなのはアメリカが真っ先に自分でちゃんと解決しておいて、そして他の国に対して、同じ土俵にそのときに初めて立つわけですから。今は同じ土俵じゃなくて、アメリカははるかに有利なところにおって交渉しておるわけですから。そういう意味では、これも今のようなお答えでは私は納得するわけにはいかぬ、こういうふうに思っています。  また、輸出禁止条項の問題についてだって、単にそれを撤廃する、こういうことだけではなくて、いざというときに、食糧輸出国が天候異変等に遭って食糧の輸出ができない、こういうようなときにちゃんと輸入国が困らないような、まあ備蓄問題等あるかもしれませんが、そういう措置もきちっと確立することがどうしても必要だ、こういうふうに思っていますから、いずれにいたしましても、今申し上げた点は食糧輸入大国日本にとって非常に重要な問題でありますから、ぜひひとつ厳しい対応をしていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  次に、私は、国際的な農業調整の問題を考えたときには、どうも日本ではガットの輸入自由化の問題だけが大きくクローズアップされて、それだけが国際的な農業問題だ、こういうふうにとらえられておる向きが非常に強い。大変残念なことだと思っていますが、そうではなくて、私はやはり、ガット自由化交渉ともう一つ大きな流れとして農業保護の路線といいますか、そういう流れがあるということもしっかり踏まえながら、国際交渉もさることながら、我が日本農業の将来も同時に、そういうこともにらみながら考えていかなければいかぬ、こういうふうに思っているわけであります。  そういう観点で、次にちょっと質問したいと思いますが、今も申し上げましたように、我が国では国際農業調整といえば専らガット農業交渉イコール農業自由化路線だけが大きく取り上げられて、それだけが農業をめぐる国際的大問題のように見られてきた傾向があります。これは大変重要な誤りではないか。日本のような食糧輸入大国は、そういう自由化路線に対するもう一つの大きな潮流としての農業保護路線の重要性をもっと重視をしておかねばならないと考えるわけであります。それは御承知のように、国連の食糧農業機構、FAOの第十八回総会、一九七五年、及び第二十二回総会、一九八三年において採択、改正をされた国際農業調整ガイドラインの示す方向であります。  このガイドラインは、簡単に申し上げまして、発展途上国の基礎的食糧の先進国依存を克服し、その自立性を高めるための食糧農業の発展を期すること、そのために先進国に対しては国内市場へのアクセスの改善や輸出ダンピングの抑制による途上国の農産物貿易の安定的発展への寄与、穀物備蓄などへの参加による世界食糧安全保障での積極的な役割を期待することなど、各国の国内農業を育てるためのガイドラインを示したものであります。アメリカEC輸出補助金が非常に犯罪的ともいうべき性格を帯びているのは、これによるダンピングが発展途上国の国内農業を破壊し、自立を妨げているからだと私は考えているわけであります。そういう意味で、FAOのガイドラインの示す農業保護路線を我が国でももっともっとやはり重視をすべきだ、こういうふうに考えているわけであります。  そういうふうな観点を踏まえながら、今日現実の世界に目を転ずるときに、ソ連の食糧事情はこの各相当厳しくなる、こういうふうに憂慮をされているわけであります。このため、アメリカEC等の輸出国は、世界最大の穀物輸入市場であるソ連への輸出増大に向けて、ガット議論などそっちのけで輸出補助競争を激化させていることは御承知のとおりです。一方、アフリカなどでは、マスコミの注目を浴びてはおりませんが、地域的な飢餓状態の危険は弱まっていないのが実態だと考えております。長期的に見れば、途上国の食糧危機こそ先進国にとって挑戦しなければならない重大な課題になっていくというふうに認識をしているわけであります。先進国として、緊急の食糧援助の必要性はますます高まっていくだろうと思われます。  ウルグアイ・ラウンドが開始された時点と比べれば、ソ連・東欧問題を含め、重大な状況変化と見るべきであります。このような状況変化を踏まえ、日本政府として、従来のガット提案の延長線上に立ち、輸入国農業も維持発展させるという観点から、国際的な緊急食糧援助システムの確立など新たなガット提案をすべきだと考えますが、どうですか。  また、ソ連から多数の食糧難民が流出するような事態になれば、我が国の経済社会にさまざまな影響を及ぼすことになります。国民は食糧自給の重要性を感覚的に認識し始めているわけであります。今こそ国内に基礎的な食糧生産する装置を確保しておくことの長期的な意味、国際的な位置づけなどについて国民にわかりやすく訴えていくべき時期ではないか、こういうふうに考えておりますが、政府の考え方を承りたいと思います。
  46. 川合淳二

    ○川合政府委員 国際的な食糧問題につきましては、今お話がございましたように、主としてFAOあるいはWFCというような場で検討が進められておりまして、この中で、途上国の食糧自給率の問題それから国際的な食糧の援助システムの確立というようなものが中心課題となっているわけでございます。こうした国際的な援助システムにつきましては、WFP、いわゆる世界食糧計画、あるいは食糧援助規約などに基づく食糧援助が既に行われているわけでございますが、御承知のように、これにつきましては我が国も積極的に支援しているという段階にございます。  ガット・ウルグアイ・ラウンドガットの場は、やはり何と申しましても貿易の側面から農業が論ぜられるということでございます。したがいまして、食糧援助の問題は、先ほど大臣がお触れになりましたけれども、輸出補助金削減との関連で援助問題が出ているということであろうかと思います。  しかしながら、やはり農業問題は今御指摘のような側面といいますか、基本的な性格があるわけでございますので、私どもは、いわゆる非貿易的関心事項という中間合意、それから、ダンケルのオプションペーパーなどにも認められております考え方に基づきましていろいろな主張をしているわけでございまして、そうした主張あるいは中間合意を足がかりにいたしましてガットの場でも主張をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  47. 石橋大吉

    石橋(大)委員 これは最初交渉経過と少し関係しますが、少し時間があるようですからここでちょっとつけ加えますけれども、この間、新聞によりますと、農政ジャーナリストの代表の皆さんとマクシャリー・EC農業担当との会談の記事が新聞に載っておりましたが、そこでは、ミニマムアクセスの問題はやはり残る、米のミニマムアクセスというか、部分的な自由化は譲れない、こういうようなことを言明しているという新聞記事が出ておりました。この辺について農林水産省はどういうふうにお考えになっているかということが一つ。  もう一つは、今ここで、こういう段階でそういうことを言うのが適当かどうかという問題が一つありますが、これは私がかねがね思っていることですけれども、米を原則として輸入をしていない、一粒も輸入しないのはけしからぬ、国際的にもそうですが、国内的にもかなりそういう有力な意見があって、かなり厳しい状況に立たされていることは御承知のとおりです。そういうことで言われるなら、私は、もうそういうことで、最後、ミニマムアクセスまで迫られたときには、それが三十万トンになるか五十万トンになるかわかりませんが、仮に五十万トンぐらいのミニマムアクセスということになれば、八十三万ヘクタールの減反の上にまたさらに十万ヘクタールぐらい減反せざるを得ない、こういうことになるわけですね。総計約百万ヘクタールぐらいの減反をすることになる。ミニマムアクセスをしてないということで米がいじめられるなら、やはり最大限の輸入をしている小麦やその他の穀物を百万ヘクタール分、五百万トンぐらいはそのときには減らすよというぐらいなことを事と次第によっては言ってもいいんじゃないか、私はこういう感じもしているんですが、このミニマムアクセスの問題についてどういうふうに受けとめておられるか、ちょっと伺いたい。
  48. 川合淳二

    ○川合政府委員 今お話がございました新聞記事を私ども読んでおりますけれども、必ずしもこれだけでは、私ども、中身を承知しておりませんので、具体的にお話し申すことは困難なわけでございます。どういう質問がなされ、それについてどういうふうな答えがなされたかということでございます。いずれにいたしましても、EC立場は、まあ関税化は、基本的にはEC流の関税化についてこれは乗れるという言い方をしているわけでございますが、御承知のようにアメリカの言っている関税化との間にはかなり隔たりがあるわけでございます。  また、ミニマムアクセスにつきましても、これにつきまして本格的な議論あるいは具体的な議論が十分行われておりませんので、どういう場面のミニマムアクセスについて言及したのかということもよくわかっておりません。いずれにいたしましても、交渉の場でそうしたものがもし出れば、ただしていかなければいけない問題でありますけれども、今までの私どもの交渉の過程ではそうしたことが具体的にまだ明らかにされていないという段階でございます。
  49. 石橋大吉

    石橋(大)委員 時間も大分来ましたので、ガット農業交渉をめぐる問題については以上で終わりまして、最後に二つばかり地元の島根県の問題に関連してお尋ねをしたいと思います。  まず第一は、日韓漁業協定改定の交渉の進展状況についてであります。  水産庁もよく御承知のとおり、また本委員会で私の方からも再三申し上げておりますが、島根県沖の日本海漁業に関連をいたしまして、かねてから韓国漁船の不法操業の問題、特に資源保護観点から六、七、八月我が国の漁船が休業、操業中止をしているときに、大挙韓国漁船が漁場に入ってきて漁場を荒らし回る、こういうようなこともありまして、再々にわたって取り締まりの強化、あるいは一番いいのはやはり二百海里を一日も早く設定してもらう、こういうようなこともありまして、二百海里の設定の問題など再々にわたって陳情やらお願いを申し上げておるわけです。  そういうこととの関連で、ことし十二月末までに日韓漁業協定の見直しが行われる、そういう交渉が行われておるはずでありますが、この交渉の進展状況、懸案事項についての解決いかん、そういうことを中心にしてちょっと交渉の進展状況や今後の見通しについて伺いたいと思います。
  50. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御指摘のように、今年末日韓の操業自主規制措置が期限が切れるわけでございまして、ことし年初の日韓水産庁長官頂上会談以降既に両国の実務者協議を四回ほど実施してきたわけでございます。それからまた、八月十二日にはソウルで日韓議員連盟総会が開催されたわけですけれども、その中でも過半の論議をこの漁業関係の正常化問題に費やしていただいたわけでございます。さらに、八月下旬には全漁連会長らが訪韓しまして、韓国側関係者に対しまして率直な要請をして、問題解決への環境づくりをいろいろやっていただいているところでございます。  韓国側でも、この問題を放置できないというような認識はあるわけでございますけれども、ただ、今までのところ、日韓両国のこの問題解決へのアプローチの仕方、これは、日本側は自主協定の操業についての枠組みの改正ということを前提にしますし、韓国側は枠組みを現行のままということを前提にして解決したいということで、この問題解決へのアプローチには大幅な相違がございますし、率直に申し上げまして、今後の協議において相当困難であもというような、残念ながらそういうことを申し上げざるを得ないような実情でございます。  今後、十月上旬には第五回の実務者協議を行うということにいたしておるわけでございますけれども、その協議を通じましてお互いに折り合える一致点を見出すべく最大限の努力を行いまして、操業自主規制措置の期限の到来する今年末に向けまして問題解決のために取り組んでいきたいというふうに考えております。
  51. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今水産庁長官のお答えによりますと、日本側は既存の協定の枠組みをある程度変えるようなことも含めて交渉したい、こう思っているけれども、韓国の方は基本的に現在の協定の枠組みを堅持をする、こういう立場で、まあ簡単に言えば、なかなか交渉がかみ合わぬというか、難しい、こういうような感じの話でしたが、私が漏れ承るところでは、その原因は、話がまとまらなかったときには現行協定が自動的に継続する、だから余り熱心でない、こういうような話も仄聞をするわけですね。それはどういうことかなと思ったりするのですが、今の協定を見ますと、第十条の第二項に「この協定は、五年間効力を存続し、その後は、いずれか一万の締結国が他方の締結国にこの協定を終了させる意思を通告する日から一年間効力を存続する。」こういう規定以外に期間の自動延長に関する規定は存在しないように私は思いますが、もしこうだったら、効力を少し変えようじゃないかということも含めて、一年ぐらい先に延びても、本格的な抜本的な見直しの交渉をしてもらいたいな、こういうふうに思っていますが、そういうときには、そのことに関連をしてまたより一層難しい問題が出てくるというようなことを考えて、なかなかそうはいかぬのだよ、こういうことじゃなかろうかと思うんですが、この辺どういうふうに考えられますか。できたら、やはりそこまで踏み込んで交渉してもらいたい、こう思います。
  52. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御指摘のように、協定につきましては、改善措置がない場合には現行の協定を延長するということになっておるわけでございますけれども、これは韓国側につきましても、先ほど申し上げましたように日韓の漁業関係を何とかしなければいけないというような気持ちほあるわけでございます。その接近の仕方につきまして相違がございますけれども、そういう認識はあるわけでございますし、残された時間は短いわけでございますけれども、その間全力を挙げまして交渉をやっていきたいというふうに考えております。
  53. 石橋大吉

    石橋(大)委員 農林省きっての実力者であります鶴岡水産庁長官が、初仕事でぜひひとつこの問題で大きな成果を上げていただきますように、県民を代表してお願いを申し上げます。よろしくひとつお願いをしたいと思います。  最後に、蚕の、蚕糸の糸価対策について、これも地元の方からちょっと陳情も出ておりますので伺いたいと思います。大蔵省の関係、通産省の関係もあるようですが、まとめて質問しますので、それぞれお答えをいただきたい、こういうふうに思います。  島根県経済農協連の陳情によりますと、ここ三年来国産繭の不足傾向もありまして、国内産繭の生産を幾分ふやす方向で推移をしてきた、こういうふうに私も考えておりますが、どうもことしに入りまして繭価に連動する生糸価格が春蚕の掃き立て前の一万三千五百九十円を最高に、現在では一万二千円を割る水準にまで暴落をしている。生産農家が手にする繭代はキロ千八百円程度になり、養蚕農家の経営が危機的状況になっている、こういうふうに言われているわけであります。  今回の糸価暴落の要因は、乾繭、自生地などの偽装輸入並びにくず繭などの本来の目的を逸脱した流通が原因ではないかというふうに見られているわけであります。  そこで、以下四点について、善処方の要望がされているわけであります。  一つは、くず繭と称して優良繭が輸入されていると言われているが、もしそうならこれを断固取り締まるよう行政指導をしてほしい。  二つ目、乾繭取引における受け渡し供用品の品質条件の引き上げと等級間格差の拡大を図ってほしい。  三つ目、実割り、これは専門用語ですから私も正確かどうかちょっとわかりませんが、実割りとしての在庫生糸の放出について、価格低落時は留保する等、幅を持った運用を図ってほしい。  四つ目、偽装絹織物の輸入は断固取り締まってほしい。  以上、四つの陳情が出ておるわけでありますが、この辺、さっきも申したように、大蔵省関係、通産省関係、いろいろあると思いますが、ぜひひとつ善処していただきたい、こういうふうに考えますのでお答えをいただきたいと思います。
  54. 栃本道夫

    ○栃本説明員 お答え申し上げます。  税関におきましては、くず繭に関しまして、従来から申告内容とか資料、情報等に照らしまして、問題があると認められるものに重点を置きまして精いっぱい検査を行っているところでございまして、今後とも厳正に対処してまいりたいと存じます。  また、その他の物品につきましても、法令の適合性というものを十分にチェックいたしまして、精いっぱい厳正に対処してまいる所存でございます。
  55. 木村文彦

    ○木村説明員 通産省生活産業局通商課長の木村でございます。  先生御質問の点につきましては、絹織物あるいは絹糸につきまして、いわば数量制限を通産省として実施しておるということでございまして、こうした趣旨が損なわれることのないような、したがって脱法的あるいは偽装的に行われるこれらの織物あるいは絹糸の輸入につきましては、必要かつあるいは合理的な範囲内で厳正なる取り締まりを行っていきたいというふうに考えております。
  56. 上野博史

    ○上野政府委員 蚕糸砂糖類価格安定事業団によります生糸の実需者売り渡しにつきましては、一元輸入制度のもとで絹業の健全な発展を図るという見地から、年間二万四千俵を毎月、定時・定量の原則で売り渡すということをいたしておるところでございます。  九月分につきましても、当初、いわゆる瞬間タッチ方式によりまして二千俵程度の売り渡しを予定いたしておりましたが、中国からの輸入が大幅におくれて三百俵程度の輸入にとどまるというような状況にございました。実需者売り渡しは絹業の経営の安定上不可欠、大事なものでございまして、本来ならば九月分の売り渡しにつきましても、定時・定量の原則でやっていかなければならないというふうに考えられたところでございましたが、その一方で生糸価格が、今先生お話しございましたように、八月以降低落いたしまして低水準で推移をいたしておりました。こういう事態にかんがみまして、今回特別の措置として、在庫生糸売り渡しにつきましては半減をいたしまして、千俵の売り渡しにとどめたということにいたしたところでございます。  生糸価格の安定というのは、蚕糸業の経営の安定にとりまして非常に重要な課題でございますので、関係機関とも連携をとりまして、今後とも慎重に対処してまいりたいというふうに考えております。
  57. 武智敏夫

    ○武智政府委員 乾繭取引の問題につきましてお答えいたしたいと思います。  最近、受け渡し供用品として定められております等級間格差が、実際の市中での取引よりも格差が違ってきておるというような実態も出てきておりますので、現在乾繭を取り扱っております前橋とそれから豊橋の二つの取引所におきまして、この問題について検討いたしております。したがいまして、その結論が出次第、我々としても前向きに検討したいというふうに思っております。
  58. 石橋大吉

    石橋(大)委員 時間が参りましたので、私の質問は以上で終わりたいと思います。  ぜひひとつ、ガット農業交渉に向けて、全力を挙げて日本農業を守るために頑張っていただきたいということを心からお願い申し上げまして、終わります。
  59. 大原一三

    大原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩     午後一時開議      ――――◇―――――
  60. 大原一三

    大原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。元信堯君
  61. 元信堯

    元信委員 本日は、マグロの問題について幾つか御質問をしたいと思います。  水産行政をめぐっては、問題が山積しているわけですけれども、わけて、その中で当面急がなければならぬ問題としてクロマグロ問題があるのだろうと思います。まず、どうしてこういう問題が起きてきたかという背景を整理しておきたいわけでありますが、私どもの認識では、アメリカの自然保護団体の一つであります全米オーデュボン協会というのがありますが、ことしの五月にアメリカ政府に対して、アメリカの東岸に分布するクロマグロについて、漁獲数が激減をしており種の絶滅の危険があるので、来年三月京都市で開催が予定されておりますワシントン条約の締約国会議において、この条約の附属書のIに掲載する手続をアメリカ政府がとるように要請をした。そしてこれを受けてアメリカ政府は、同条約の附属書のⅠではなくてⅡの方に掲載を求めるということにしたいという旨官報に掲載をして内外の意見を求めた。我が国の水産庁はアメリカ政府に対して、ワシントン条約附属書への掲載に反対をする、こういう趣旨の意見書を送付された。そんなようなことを今日までの経過として承知をしているつもりでありますが、そういう理解でよろしいものかどうか。また、この今回の動きの背後関係など政府承知されていることがあったら御報告をいただきたいと思います。
  62. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 クロマグロの問題につきましては今先生御指摘のとおりでございまして、アメリカの環境保護団体の請願を受けまして米国政府当局が、クロマグロをワシントン条約締約国会議に提案する保護種の候補として官報で告示し、意見を国内外から聞いているということでございます。  水産庁としましても、御指摘のような趣旨の意見書を提出し、CITESへの指定について反対をいたしておるとともに、せんだって水産庁次長を訪米させまして、政府及び議会関係者に対しまして、CITESへの提案を差し控えるように要請しております。また、カナダ、フランス等地のICCAT加盟国に対しましても日本側の意見書を配付いたしまして、アメリカに対する働きかけにつきまして共同歩調をとるような申し入れを行って、この問題についての対応について遺憾なきを期していきたいというふうに考えております。
  63. 元信堯

    元信委員 CITESの手続によりますと、三月十一日から始まる締約国会議の百五十日前といいますから来月の四日ということになりましょうか、それまでにアメリカ政府は、ワシントン条約、CITESの事務局にこの申請の手続をとらねばならない、こういうことになっているかと思います。仮にアメリカ政府がこういう手続をとった場合に、今後事態はどういうふうに進展していくと政府はお考えになっているのか、そしてそれにどのような政策で対処されようとしているのか、それを伺いたいと思います。
  64. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生から今お話のございましたように、十月の四日という日付でCITESに話が進んでいくわけでありますけれども、でき得ることであれば我が国はCITESに提案しないでICCATの中で議論していくということで対応していくようにということで、この問題、私自身が大変重要視をして次長に渡米させたわけでございます。決して、今そのような了解を求めるに立ち至りてはおり、ませんけれども、今お話がございましたように、CITESに対して提案がなされたとすれば、ICCATの意見を聞くことに実はなっておるわけでありますので、私どもは保存管理措置を講じていくことが適当という我が国の考え方をICCATの関係国との理解が得られるように努力をしていきたい、こう思っておるわけであります。また、明年三月に開催されるCITESにおいても、我が国の考え方が十分理解と反映をするように最大限の努力をしていきたい、そう考えて今、努力を今後継続していきたいと思います。
  65. 元信堯

    元信委員 ICCATのことは後に少し詳しく議論をしたいと思いますが、その前に、事我が国の意図とは反してCITESに採択をされる、附属書Ⅱに採択されるということは、これは漁業に対して具体的にどのような影響を与えるのか、あるいはまた、恐らく自然保護団体はⅡに記載されれば次はⅠだ、こう言ってくるようになろうかと思いますが、この附属書ⅡまたはⅠに記載されるということが現実の漁業に対してどのような影響をもたもすとお考えになっているのか、伺っておきたいと思います。
  66. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 私どもとしましては、クロマグロ自身がワシントン条約の附属書に掲げられておりますように現在絶滅の危機に瀕する種とは考えていないということで、極力この附属書への掲載につきまして掲載しないような努力を進めていきたいと思っていますけれども、仮にワシントン条約の附属書のⅡに掲げられますと、その野生動植物は現在絶滅の危機にはないがその取引を監視しなければ絶滅の危機が生ずる種というふうにされておりまして、これに指定されますと、輸入する際に輸出国の輸出許可書が必要となるということにされています。そういことでございますので、この措置だけでは商取引が実質的に規制されることはなく、漁業への影響は少ないというふうに考えられるわけでございますけれども、仮に大西洋クロマグロがワシントン条約の対象とされますと、同クロマグロが絶滅の危機にあるとの誤解が生じかねない。そういう誤解を河とに漁業についての非難の声が上がるということが危倶されるのではないか。そういうことで、かかる事態を回避するような努力を極力重ねていきたいというふうに考えております。
  67. 元信堯

    元信委員 クロマグロの資源の状態は、今長官から御答弁がありましたように、あるいは数が減っている。そういうことはあろうかというふうに思います。どんな漁業資源でも、処女資源から漁獲を始めれば下がっていってあるところで安定をするわけでありますから、最初から比べればそれは減っているし、魚体の小型化ということもあろうかと思いますけれども、資源として絶滅の危機はない、こういう認識で日本はいると思うわけでありますけれども、ただ問題は、かつて鯨がそうでありましたように、問題がずれてくるといいますか、感情的な問題になりかねぬ、ここのところを我々は一番恐れるわけであります。  新しいところで、九月十七日付のニューヨーク・タイムズから出ております、これはサイエンスタイムズという新聞でありますが、こんな大きな記事を掲げまして、マグロの問題の特集をいたしました。恐らくごらんになったかと思いますが、これの一番大見出しは、すしを食べたいという欲望が、食欲がクロマグロを脅かす、こういうふうに見出しに掲げているわけでありまして、その中の文章を、随分長い文章ですが、延々読んでまいりますと、この優雅で力強い海の巨人が、日本人がすしを食べる、そのためにべらぼうな値段をつけるためにいなくなってしまうんだ、こういう論調になっているわけであります。ここで我々は、かつての鯨のことを思い出さざるを得ないわけでありますが、鯨をとらえることは野蛮であるとかい鯨が知能が高いからとか、そういう主観的な価値判断でもって無理やりIWCの場で鯨のモラトリアムに持ってい、かれた、こういう非常に苦い経験を我々がしているわけでありまして、そのためにマグロに鯨の二の舞を踏ませる、そういうことのないようにするためには、我々は万全の角度から対策をしていくべきではないか、こういうふうに思うわけであります。もちろん外交的な努力も必要でありますし、資源管理も必要である、さらにまた再生産に対する人為的な努力も必要であろうかと思います。  以下、各点について具体的に御質問をしていきたいというふうに思いますが、まず、今長官からもお話がありましたICCATの場ですね、ICCATへ持っていけば、ICCATは漁業団体でありますから、IWCみたいな構成にはなっていませんから、一応漁業の必要性という点では協調の認識が得られるのではないか、こういうふうにお話があったかというふうに思うのですけれども、事クロマグロに関してだけ言いますと、必ずしもそういうふうに明るい見通しがあるとは言えないんじゃないかという気もいたします。といいますのは、既に大西洋西部のクロマグロにつきましては、資源状態が悪化しているので、原則禁漁になっておる。それを、資源状態を監視するためにモニター枠というのを認めてありまして、このモニター枠を日本アメリカとカナダの三国が協定してとっておる、こういう状態になっているわけであります。したがって、ほかの大部分の国はそのモニターの枠の中に入っておりませんから、このクロマグロについて資源が危ないというようなことになりますと、必ずしも日本立場に同調しないんじゃないか、こういう危険性もあるかというふうに思われますけれども、ICCATの議論がどういうふうに進展していくか、あるいは各国に働きかけをされておるというお話でしたけれども、どのような感触を得られておるか、現在のところで御承知のところを伺いたいと思います。
  68. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 大西洋クロマグロの漁獲枠につきましては、本年十一月に開催されますICCATの会合において決定されるわけでございます。同会合におきましてアメリカがどのような提案を行ってくるかは今のところ予見しがたいわけでございますけれども、私どもとしましては、科学的知見に基づいた資源の適切な保存を図りつつ、その合理的な利用が行われるよう最大の努力をしていきたいと思っております。  過般来、各国に働きかけておりますし、先日次長が参りました会合でも、日米加の間で、クロマグロの問題につきましてはICCATで議論をすべきだ、直すべきところがあればICCATの中でそれを論議して、その中で改善を図っていくことが適切なのではないかというようなことを、日米加の間で日本側から話しました。カナダ側もそういうようなことにつきまして、日本とよく似た考えを持っていたというふうに承知しておるわけでございます。アメリカにつきましては、CITESの扱い自身は別にしまして、ICCATでの論議については積極的に参加するようでございますので、その中で、あくまで科学的知見に基づいた資源の適切な管理ということを前提に話し合いを進めていきたいと思いますし、その間、関係の国に対しても働きかけていきまして、大西洋のクロマグロにつきましての漁業につきまして、その適切な維持を図っていきたいというふうに考えております。
  69. 元信堯

    元信委員 ICCATにおける協議の中で、日本がもう少し積極的立場といいますか、例えば大西洋クロマグロの資源の調査をもう少し強化しようじゃないか、あるいは現在行われているモニター枠そのものも、海域を拡大するとかあるいは枠を縮減をするとか、あるいは地中海クロマグロの漁業に対する規制をもう少し強化するとか、何らかの提案を行って、押されて決定をするのではなくて、積極的に、ここの線で何とか話をまとめよう、こういうことについてアピールした方がいいんじゃないか、こういうふうに思いますが、日本交渉の中でどういう態度をとるおつもりですか。
  70. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 日本側といたしましても、ICCATにおいて資源を二元的に保存管理するということが適当であるという立場をとっておるわけでございまして、今先生御指摘のありましたように、ICCATにおけるクロマグロに関する科学的調査研究をさらに充実するとか、あるいはその結果、要しますれば、保存管理措置の強化改善を図るというようなことにつきまして積極的な提案を行っていきたいというふうに考えております。
  71. 元信堯

    元信委員 オーデュボン協会がアメリカ政府に求めておりますのは大西洋クロマグロの保護でありますけれども、太平洋と大西洋のクロマグロは種としても同じ種であって、外見上も区別ができない。もし仮にアメリカ沖の大西洋クロマグロが絶滅の危機にある、こういうふうに判断されると、大西洋はもちろん太平洋のクロマグロの国際取引も制限をされるというふうに理解すれば、我が国のクロマグロ漁業も、先ほどお話がありましたような制約がありまして、大きな被害が出てこようかと思いますが、太平洋、大西洋のマグロの関係について御見解を承っておきたいと思います。
  72. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 ワシントン条約におきましては、附属書Ⅱに仮に指定する場合に、その直接の種のほかに、先生御指摘のように、その取引を効果的に取り締まるために規制しなければならない他の種についても附属書Ⅱに指定することとされているということでございます。  御指摘のように、大西洋クロマグロと太平洋クロマグロは分類上同一の種でございまして、しかも両者は外見によって区別することは難しいわけでございます。そういう点から、アメリカ国内におきまして大西洋クロマグロを附属書Ⅱに指定する場合に、あわせて太平洋クロマグロも管理下に置く必要があるのではないかというような論議があることも事実でございまして、アメリカがどういう対応で出てくるのか、今即座に予断を許さないわけでございますけれども、私どもとしては、クロマグロにつきましては絶滅に属する種とは考えられないわけでございまして、この附属書Ⅱに掲げることなくICCATの枠組みの中でこの問題を解決するように積極的に働きかけていきたいというふうに考えております。
  73. 元信堯

    元信委員 大西洋クロマグロにつきましては、一応ICCATというものがございまして、その中で国際的な協議なりあるいは取り決めができるということになっているわけですね。ところが大西洋と太平洋のクロマグロは種が同一であって、そしてCITESに指定をされるとなると、たとえ太平洋産の資源が健全であってもそれが大西洋産の資源の状態に拘束される、あるいはまたその逆も考えられるわけですね。そうしますと、今度アメリカの方が攻撃の手口を変えてきて、それじゃ太平洋はどうなのか、こういうことになりますと、太平洋クロマグロは御存じのとおり我が国の周辺で産卵、ふ化をいたしましてアメリカ沖に回遊をいたします。アメリカ沖では繁殖はしませんで、ただ少年期をアメリカ沖で過ごしてまた日本の近海へ戻ってきて繁殖をするわけでありますけれども、この太平洋クロマグロに対する資源管理というのが当然問題にされてくるだろうと思うのですね。アメリカの沖でとれなくなったのは日本の資源管理が悪いせいだ、こういうことでまたしてもこちら側、太平洋側でCITES問題が出てこないとは限らない。  この太平洋クロマグロの資源状態を統計等で見ますと、もちろん絶滅云々などというようなことはほど遠い状態ではありますけれども、資源の変動が毎年非常に大きい。卓越年級群が出た年は非常に豊漁であるけれども、その他の年は比較的低い水準にある、こう理解してもよろしいかというふうに思います。  その太平洋クロマグロを管理すべき国際的な協定はどうかというふうになってみますと、太平洋では、インド・太平洋水域での熱帯マグロそれからアメリカ、メキシコ沖の太平洋岸の東部太平洋における熱帯マグロについてはそれぞれ国際的な、まあ実効性はともかくといたしまして、保護の枠組みがあるわけでありますけれども、北太平洋における管理機構というものはほとんどないと言ってよろしいのではないかというふうに思います。主にマグロをとっている国の間での協議ということは、日本が音頭をとってやっているようでありますけれども、ただ問題は、何度か国会でも問題になっております便宜置籍船ですね。中南米の幾つかの国の国籍でマグロの漁場に参入をしてくる。そういう国際的な枠組み、北太平洋ではないわけですが、話し合いにも入らないという全くのアウトサイダーが存在して、これらが野放しになっている。こういうものが野放しになっている状態では、資源管理のみならず流通面でも随分問題が起きてくるのではないかというふうに思います。  そこで、この北太平洋における資源管理のあり方、漁業の協定のあり方について、政府基本的にどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  74. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御指摘のように、北太平洋におきますクロマグロを対象とする国際的な管理の枠組みというのは現在ないわけでございます。しかし、クロマグロを含みます北太平洋のマグロ類の資源につきましては、その回遊域が今お話がありましたように広範にわたっておりまして、複数の国がこの同一資源を利用しているというようなことから、私どもとしましても、科学的知見に基づいた資源の適切な保存を図りつつ、その合理的、永続的な利用を行うのが必要であるというふうに考えています。そういう観点から、何らかの国際的な枠組みを設立することが一つの検討すべき課題であるというふうに考えている次第でございます。
  75. 元信堯

    元信委員 この北太平洋の国際的な協定について、今課題であるというような御認識でございましたけれども、どうでしょうか、大臣。  このマグロというのはおもしろい魚でして、特にクロマグロについて言えば、消費はほとんど日本だけだということなんですね。マグロ類の主な消費の形態は二つあるかと思うのです。一つはいわゆるツナ缶詰、シーチキンと称して缶詰にするというもの。キハダマグロとか比較的値段の安いマグロ類はこれに使います。キハダ、ピンチョウ、メバチ。それから値段の高いクロマグロとかミナミマグロ、これはほとんど日本が生食、生で食べる。すしとか刺身にするために輸入をする、そして消費をするというのが二つの市場になっておりまして、クロマグロについてはほとんど日本で消費をしているということになろうかと思うのです。  そうしますと、日本の側で、この国際的な枠組みを守ってもらいたい、入ってもらいたい、そういうものに協力をできない国からは輸入はできませんよという形にすれば、ほかに売れるところはありませんから、かなりの拘束力があろうかと思います。もちろんガットとの整合性も考えなければなりませんが、資源保護についてはガットでも例外的なものを考えているようでありますから、これはできないことではないというふうに思います。  したがって、そういう日本の国内的な措置と国際的な枠組みとを組み合わせることによってマグロの資源に対する有効な保存、利用ができるのではないか、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  76. 近藤元次

    近藤国務大臣 マグロの問題につきまして今お話がございましたが、マグロの問題を含めて日本が最大の消費国であったり輸入国であるということは、もう御承知のとおり国際的にも承知をされておることであります。  この問題は、環境問題で鯨の問題が発生をしてきた経過から見て、今回のマグロも先生の御指摘のように、やはりこのままその環境会議に行げば、水産国は数が少ない。環境問題というのは海に関係なくても皆関係するわけでありますので、その水産国という間で理解を求められるという状況があっても、全体の会議に行くと危険になるということは考えておかなければならないと思うわけであります。林業が一応そういう関係日本が加害国のようでありましたし、水産もまた同じような立場にどうやったら立たないだろうかということで、私は、水産もまたそういう調査日本が呼びかけて、国際機関で調査をして資源管理をしていくという方向でイニシアチブをとれないかと考えて事務当局に検討していただいておるわけであります。  森林のように目に見えるものあるいは計画性があるものと違って、若干一般的に目に見えてこないものであったり、あるいは水産国というものと消費国というものと必ずしも一体的にはなってないような状況もこれありして、そして魚種によって、また漁法によって、その海域によって違うという問題が実はございまして、困難性はあるけれども、私は、何らかの方法で日本がそういうことできちっと国際的にも理解を得るような形をとるべくして今検討を指示いたしておるわけでありますが、当面は、マグロの問題が出てまいりましたし、今先生からお話しのように日本とマグロの関係の特殊性という問題も実はございますし、そういう面では今問題になっておる地域以外のところも、マグロ全体の地域においても資源調査をして、科学的な調査に基づいて管理をいかようにするかということについては、日本として急いで前向きに検討していかなければならない、先生の御指摘のとおりであろう、こう理解をいたしております。
  77. 元信堯

    元信委員 大臣も同じような理解に立って検討を命じておいでになる、こういうふうに承りました。どこに問題があるのでしょうかね。  先ほど申しましたように、どうしてもこのクロマグロについては日本中心にならざるを得ないだろう。漁獲の点で見てもそう、消費の点で見てもそう。あるいはまた、マグロの生活史の大部分、重要な部分日本の極めて近い水域で過ごされるということを考えてみても、日本がやらなければ、ほかの国がやるということはちょっと考えられない。それが今日までそうなっておらぬのにはそれなりの理由があるだろう、どこかにボトルネックがあって事が進まないんだと思いますが、水産庁長官、それはどこらに問題があって進まぬのでしょうかね。
  78. 近藤元次

    近藤国務大臣 長官に御質問でしたけれども、長官より私の方が先に魚にかかわって大臣に就任しておりますので、私からお答えさせていただきます。  どこに問題があるということよりも、そういう視点で物事を考えたということ自体が、私は、日本の国の立場ではないのかな、最近そういう感じが実はしておりましたので事務当局に指示をいたしたわけでありまして、先ほど先生からお話のございましたように、できるだけの漁業国から仲間になっていただいて、調査は別として管理は一緒に参加をしてもらわないと、その管理をする、そして一定の規制のもとに漁獲をしていくという国もあれば、その管理の体制の仲間に入らないで、片方で管理する、片方で勝手にとられるということになると、ここが一つは難しい問題点になろうかと思います。そういう意味合いで、私は可能な限り、この問題はまだ国際的に呼びかけていない問題でありますので、本格的にどの国がどのように問題点があるというその認識はいたしておりませんが、できるだけ早くひとつそういう呼びかけをまずして、日本調査のイニシアチブをとっていきたい。その上に立って今日的な世界的な課題として、調査と科学的な資源管理でなければ国際的な理解が得られないときに、そのルールに、仲間に入らない国との扱い方というのは、当然のことながら我が国として個別に今度は対応していかなければならない、こう思っておるわけですが、まだ呼びかけてもいないうちに、そこからの輸入を規制するというところまで私がこの段階でお答えするというのはいささか言い過ぎではないかと思いますので、その後における対応については当然一定の規制があってしかるべきだと、私はそう思っておるわけでありまして、そのようなことでこれから進めていきたい、こう思っております。
  79. 元信堯

    元信委員 大臣の先見性に敬意を表しておきたいと思います。ぜひ、片一方でCITES問題が進んでいくわけでありますから、事務方を督励をしていただいて、日本が積極的な姿勢をとっているということをアピールすることが重要だと思うのですね。今までいろいろな外交課題でもそうですけれども、どうも日本はいろいろ追い詰められてどん詰まりまでいかなければ事を起こさないというように受け取られがちであったわけでありますが、事マグロ問題については先手、先手で日本が資源の問題について積極的な役割を果たしていく、この姿を見せるようにぜひお願いをいたしておきたいというふうに思います。  それでは次に、我が国が今大臣お話にありましたように世界に呼びかけて、クロマグロ資源を守ろうじゃないかという呼びかけをする、こういうふうな事態を考えてみますと幾つか問題があるだろうと思うのですね。当然他の国としては、世界の各国に日本が呼びかけて資源の保護を言うからには、日本もしっかり資源管理をやっておるんだろうな、こういうふうに言うのは当然であろうというふうに思うのですね。かつて日本もオーストラリアのミナミマグロに対して、幼魚をとるんじゃない、もっと大きく太ってから利用してはどうかということを言ったことがあるというふうに聞いていますが、恐らくまた今度は、その逆のことが懸念されるというふうに思うわけであります。したがって、これから少しメジの問題について議論をしておきたいと思いますが、農林水産統計にメジという項目がございますが、メジマグロ、これの中身はどういうものなのでしょうか。
  80. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御案内のとおりでございまして、十キログラム以下のクロマグロ、キハダ、メバチの合計ということをメジというようなことで総称しております。
  81. 元信堯

    元信委員 そのメジの内訳、個体数でありますとか重量でありますとか、そういうようなものについての統計はございますか。
  82. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 ちょっと、一本の数量で計算しまして、個別具体的なそれぞれの数量につきましては統計上は上がってきておりません。
  83. 元信堯

    元信委員 私も、水産庁でマグロ問題を専門に研究しております東海区水研に、このメジの内訳について研究レベルで何かデータがあるかということを問い合わせてみたわけですが、結局調べてみたけれどもさっぱりわからない、そういうものはないという御返事がございました。これからマグロの資源の保存についていろいろ発言をしていく、研究をしていく上では、日本の統計の肝心の幼魚のところがメジというのでは、これは諸外国に物が言いにくいのではないかと思うのですよ。このメジの内訳を明らかにするような、そういう調査をされるようなおつもりはありますか。
  84. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 具体的な統計としてできるのかどうか、それからまたそれ以外に小型魚の漁獲の実態をもう少し業務的に把握するとか、何らかの方法でそういう数字がつかめるというような方法につきまして研究してみたいと思っております。
  85. 元信堯

    元信委員 ぜひ研究をしていただきたいと思うのです。  ところで、このメジが、中身はわかりませんよ、おっしゃった三種の十キロ以下の統計ですね、これを農林水産統計からそれぞれ拾ってもらって分析をしてみたんですが、大体日本の黒潮が接する九州の南端、四国、紀伊半島、それから三陸地方あたり、それから対馬暖流の入り口の長崎にもありますかね、そこらで主な漁獲があると思いますが、仮に諸外国から、かつて日本がミナミマグロについてオーストラリアに言ってきたようなことが言われた場合に、どういう対策があり得るのか、ないのか、どうお考えでしょうか。
  86. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 現在、御案内のように、メジマグロは捕獲されていますのは、従来我が国が伝統的に行ってきたような定置網とか沿岸のひき縄等で漁獲されているのではないかというふうに思うわけでございます。現在のところ、これらの漁業によるメジマグロの混獲は、資源状態に与える影響は今のところ必ずしも明確ではございませんけれども、先ほど申し上げましたような方法で少し研究をいたしまして、適切な対応の仕方があるのかどうか、検討いたしたいと思います。
  87. 元信堯

    元信委員 これはもうおしりに火がついているわけですから、今から研究、これはもちろんやってもらわなければ困りますからぜひお願いしたいと思いますが、これは大急ぎでやってもらわなければいかぬですな。来年の予算要求の中に入っているのかどうか知りませんが、日本の近海のマグロがどういうふうにとられているか、あるいはそれが何であるかということもわからぬという現状に甚だ危倶を感じるところであります。  ちょっとついでに承っておきますが、かってミナミマグロについて日本はオーストラリアに対して、幼魚の捕獲に関して意見を言ったことがありますか。
  88. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 ちょっと申しわけないのですけれども、私今それに具体的に答える知識がございませんので、また後刻調べまして御報告いたしたいと思います。
  89. 元信堯

    元信委員 だれかいないですか。たしかそう言っておるはずなんですよ。
  90. 近藤元次

    近藤国務大臣 日本から言うたかどうかというのも、私は定かではございませんけれども、私が日豪閣僚会議に春、行きまして、向こうのケリン大臣との話の中で、オーストラリアとしても大型マグロについて漁業技術なりあるいは船なり、船はやはり大型でなければ沖合に行けませんので、そういうミナミマグロについての日本からの協力要請というものが実はございまして、私の方から、積極的にその点について日本も協力をするし、また協力する中で、一定の漁獲というものを長期的に共存共栄という形で技術協力なりをしたい、こういうことで話をして、大体枠もそのケリン大臣との話の上で了解をしていただいたという経過が実はございますから、日本からそういう話があったのでなかろうかと推定をいたしております。現在ではそういう状況になっております。
  91. 元信堯

    元信委員 今大臣おっしゃったとおりなんですね。日本が、ミナミマグロの資源が激減をしてきた、オーストラリアの近海で、領海内で幼魚を多獲しておるところに問題があるというふうな申し入れをしまして、オーストラリア側もかなり強い行政指導をしまして、まき鋼その他を規制して、そして幼魚の捕獲を転換をした。そして日本からもいろいろ協力をして、漁獲の方法であるとかあるいは小さいのを一部蓄養して、養殖ですね、日本へ持ってくるとか、そんなこともされているようでございまして、これでミナミマグロの資源は何とか持ち直しつつあるという認識でよろしいかと思いますが、私は日本でも同じだろうと思うのですね。例えば先ほど申しました日本のメジの統計、一匹を小さいものから十キロぐらいまで皆メジと言うものですから、何も調査はしていないものだから、一匹が何キロかということから平均尾数を割り戻すのは甚だ難しいですが、恐らく百万匹はいっているんじゃないかなというふうに思われます。その上、クロマグロがどれぐらいかということについても、これまた何もわからぬということでありますが、半分ぐらいかもしらぬ。一方、クロマグロそのものがどれぐらいとられているかというと、やはり十万匹内外というオーダーで見ておけばいいと思いますから、恐らく幼魚と成魚をとっている数というのは一けたぐらい違うだろうと思うんですね。そうなりますと、そこのところをほったらかしにしておいて、諸外国が公海でとる部分を、ここについていろいろ意見を言うということも、これまたなかなか難しいということになるわけであります。したがいまして、かつて日本がオーストラリアにアドバイスをしてオーストラリアもそれを受け入れて資源を戻したわけでありますから、日本の資源についても同様なことは、まあ言った手前ということもありますし、それがまた必ず日本の資源にいい結果をもたらすであろう、こういうことを確信をしておるわけでありますから、一にも二にもまず研究ですね。研究をしっかりやってもらって資源状態を明らかにして、その上で適切な措置をとっていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  その研究の問題ですが、このメジ問題に限らずクロマグロを含むマグロ類の研究というのは、マグロ類が全漁獲の中に占める経済的な重要性、これは相当なものですね。日本の一割ぐらいあるんでしょうか。それから見ても、その重要経済魚種であるマグロ類の研究というのはまだまだわからぬところが多過ぎるんじゃないかというふうに思われて仕方がありません。例えば南西諸島の東方に主要な産卵場があるとされていますけれども、その産卵生態も大西洋のマグロの産卵生態の研究に比べて日本の研究はかなりおくれているんじゃないか、量的にも少ないんじゃないかというふうに思われますし、またそこで生まれたマグロが黒潮に乗ってはるばる四国沖、九州沖に達して、今言うヨコワですとかメジですとかという形で漁獲されるようになるんですが、その間で一体どういう生活をしているのか。あるいはマグロの産卵量は一匹当たり一千万粒と言われているのですけれども、数的にどれくらいそこで減ってくるのか。ある統計で言うと、マグロが一千個の卵を産んで親になるのは一匹内外というような数字もあるのですが、ここらのところがほとんど資料がないというふうに承知をいたしております。このマグロに対する研究体制というものをぜひ強化をしていただきたいと思うのです。例えば、外洋の魚ですから船がなければ調査ができない。今は水産庁の照洋丸を利用してということになっているらしいですが、照洋丸もほかに用がたくさんある、マグロばかりやっているわけにいかないというような事情もあるのですが、マグロ専門の調査船をつくるぐらいのことは考えていただいてもいいじゃないかと思うのです。どうでしょうか。
  92. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御指摘のように、マグロ類は広域に回遊するというようなことから、より多くの生物調査、漁獲状況に関する情報が必要であるというようなこともございます。また、今申しましたように広域に回遊するということで、調査研究自身がほかの魚種に比べて容易でないということも事実ではございますけれども、私どもといたしましては、御指摘のような水産庁の遠洋水産研究所を中心にしまして従来からマグロ類についての研究を行ってきておるわけでございます。特に、昭和五十四年から六十三年にかけまして十カ年間にわたって進められてきました海洋牧場計画、大型プロジェクト研究の一環としましてクロマグロの資源増大に関する研究ということをテーマにやってきたわけでございまして、大西洋のクロマグロ資源のかさ上げについての技術的な知見というのは得られているというようなこともございます。今後とも、船を、独立の船をつくるかどうかは別にいたしまして、マグロ類の我が国国民生活あるいは漁業におきます重要性にかんがみまして、試験研究につきまして充実を図っていきたいというように考えております。
  93. 元信堯

    元信委員 具体的な問題は別にいたしまして、と言っても別にしたんじゃ単なる言葉になってしまうので、少し具体的に考えていただきたいなというふうに思うのですよ。  それで、今お話が出ましたマリーンランチングの中で、マグロも随分研究しましたね。この研究した成果をどういうふうに生かすかということについて、具体的にはその研究を発展させるものとしてどういうことを今考えでいられるか、ちょっと伺いたいと思うのです。
  94. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 この大型研究におきます成果といたしまして、資源量を人為的にがさ上げするためには毎年百万尾単位の幼魚を放流することが必要であるという話もございまして、そういう点でマグロ類につきまして養殖でありますとかあるいは栽培等につきましてどういう進め方があるのか、それにつきましての予算化によりまして着実にそういう資源量を増加するための方策というのを追求していきたいというふうに考えております。
  95. 元信堯

    元信委員 資源量の増大と養殖とは課題が違うと思うのですね。  それぞれについてちょっと御質問しますが、まず資源の培養、涵養ですね、この研究の実態について御報告ください。
  96. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 正確なお答えができるかどうか申しわけありませんけれども、先ほど申しましたように、マグロ類の養殖あるいは採卵といいますか、そういう部面でどれだけの技術革新ができるのか。あるいは段階ですが、まだ現在、大体成魚になりますのは五歳から八歳というようなことを聞いておりまして、今蓄養しておりますのは四歳ぐらいまでで、さらにその成魚化を進めていくというのが今の段階だというふうに承知いたしております。
  97. 元信堯

    元信委員 マグロの人工ふ化というのはもうできているんですね。近畿大学で、亡くなられました原田先生が何回か成功されておる。したがって、もう技術的にできるということはわかっているわけですから、それを安定的に事業として軌道に乗せるということが必要だろうと思うんです。  そこで、水産庁では日本栽培漁業協会に委託をして、沖縄県の石垣島でマグロの親魚の育成を目指して試験をされていますね。今、四年とか五年とかおっしゃったのはそのことだろうと思います。これは重要な研究だろうと考えまして、私は八月に石垣島へ出向きまして、この事業場を実地に視察をしてまいりました。  この視察をした印象を言いますと、これでうまくいくのかなという心配を非常にしたわけであります。やっている人は一生懸命なんですよ。一生懸命だし、優秀な人もやっている。だけれども、規模が余りに小さいということなんです。来年ぐらいは五歳になって産卵しそうだと期待しているクロマグロの親が、大体体長が一・二メートル、体重百二十キロぐらいありましたか、三十五メートルという生けずに泳いでおりました。私もちょっと勧められて、向こうの職員と一緒に生けずに潜って、マグロがどんなあんばいにしておるかというのを見てきましたけれども、やはりマグロというのは時速百キロで泳ぐと言われている魚ですから、三十五メートルではいかにも狭い。しかもフナやウナギなんかと違って、水の中でじっとしているということができないんですね。あれは常に動き回っていることによって酸素を得ているわけですから、狭いところをぐるぐる動かなければならぬ。これではなかなか産卵というわけにはいかぬだろうと思いました。あるいはまた、数も十二でありますから、本来研究といいますと、たくさん魚を飼っておいて、時々その魚を引き揚げて腹を割って、どれぐらい卵が成熟しているか、卵巣の状態など観察しながらするわけですが、もう十二匹になると、あと残りわずかであります。おまけに、マグロは外から見て雄、雌がわからない。余り数が減ってしまうと、雄ばかり飼っているなんということにもなりかねぬわけでありますから、もう十二匹となると、とにかくこれらに長生きしてもらって、来年は卵を産んでもらえ、こういうふうに職員の皆さんは祈るような気持ちでやっているのだそうでありますが、これはなかなか科学とは言いがたい状況にあるわけです。もう一けたぐらい研究の規模を広げないと、今みたいなことをやっておってもうまくいくという保証はないんじゃないか。これは、うまくいくこともありますよ。一生懸命やってうまくいくこともありますけれども、これは安定した成果というのは得られないだろうというふうに思えたわけであります。  そこで、大臣、今日本がクロマグロの人工採卵それから種苗育成をして、先ほど長官からお話がありましたように百万単位で放流をする、これをやればマグロの資源問題というのは一応解消するんじゃないか。先ほど言いましたメジとかヨコワの問題も解消するんじゃないかというふうに見込まれているわけでありますから、ここはもう少し研究費をふやすなりして規模を拡大した方がいいんじゃないでしょうか。聞いてみれば、年間の研究費は五千万円足らずだと言う。これでは日本がクロマグロの資源を守りますよというふうに決意をしているというふうになかなか世界に示しがたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  98. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 ちょっと大臣の答弁の前に、現状につきまして御説明させていただきたいと思います。もう先生御案内のとおりで、釈迦に説法みたいな感じになって申しわけありませんけれども。  現在、採卵を目的にしまして親魚を養成している、それが平成三年度でようやく四歳になったというような現状でございます。それで、五歳で産卵が行われた例もございますけれども、大体のところは八歳以上が成熟した親魚というふうに理解しています。当面、今四歳になっておる親魚を引き続き飼養しつつ、その成熟を図りながら技術開発を行っていきたいと思います。  一方、御指摘のありました生けすといいますか蓄養施設でございますけれども、これにつきましても、来年度予算で耐波性の大型生けず等を開発するための技術開発予算をマリノフォーラム21の方につけるべく予算要求をいたしておりますので、御支援を願いたいと思います。
  99. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生から御指摘がございましたけれども、マグロを今まで長年にわたって研究してこられた方々がおられるわけでありますけれども、やはり産卵をする場所を確定すること、産卵から採卵をすることについてかなり苦労をしてこられたようでありますが、今回私がモロッコヘ行かせていただいて、モロッコにおいてマグロの養殖について成果を大変上げておるわけであります。そして、その養殖の結果、日本に空輸しても十分採算がとれるところまで成功をいたしたわけでありますが、今日またその回遊の状況、海流の状況で、ことしは四分の一ぐらいしか漁獲がなかったということで、いよいよこれから栽培をしたい、こういうような話が実は向こうの技術屋さんからございました。大体地中海に入ってきて産卵をしてそして出ていくというのが大体確定ができる、こう専門家で話が実はございまして、ぜひこの技術開発に協力をしてほしいというお話がございまして、私もこれはやらせてみなければならぬなという感じで帰ってまいりまして、水産庁にも話をしておるところであります。  近海がそういうことで、今先生大分御調査や御研究されておられるようでありまして、採卵をして種苗をつくって種苗生産の上で放流ができるというようなことは、当然これから管理規制をしていけば、国内の漁業者に対しても厳しい規制をしていくにはやはり代替の措置も一つは必要になってくるので、概算要求を出した後で私がそのことを聞いて帰ってきたのでありますので、もう一度再検討して、マグロの研究開発の予算上で対応ができることであれば、それは十分進めていけるような形に予算上では要求をしていきたい、こう考えております。
  100. 元信堯

    元信委員 大臣の積極的な御姿勢、本当にありがたく承りました。ぜひその線でお願いをしたいと思うわけでありますが、ただ、ちょっと一言だけ申し上げておきますと、養殖の問題です。これを資源の問題と混同する向きが一部になきにしもあらず。すなわち、日本が養殖技術があるばかりに海洋漁業をあきらめて養殖で行け、こういう議論が外国にもあるわけですね。日本人はマグロを食べたければ養殖をすればいいじゃないか、これはとても本筋とは言えぬわけでありまして、あくまで海洋資源を培養をする、そのための技術開発として生けすその他も考えられる、こういう道筋はきちっと押さえておいていただきたいというふうに思うわけであります。  いずれにいたしましても、きょうは一時間マグロの話ばかりいたしましたが、これは単にマグロが重要だというだけでなくて、我が国の漁業全体の分岐点になると思うのです。すなわち、鯨で押し込まれてしまった。あれは哺乳類で人間に近いから気の毒だ、こう言うわけでありますが、マグロは大きいけれども哺乳類じゃない、魚でありますから、あれこれの理由をつけて、野生の魚を食べることが環境問題の観点からしてどうも好ましくないとか、あるいは人倫にもとるとか、そういうようなことになりますと、我が国の漁業はこれから一方的に押しまくられてしまう、その突破口とされかねないわけでありますから、我が国も全力を挙げて言うべきことは言う、あるいはなすべきことはする。我々がやらなければならぬ規制はやる、それからまた技術的にも頑張って資源の維持涵養にも努める。あらゆる努力をしてマグロを守り、そして我が国の漁業の発展のために一層御貢献あらんことをお願いを申し上げまして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  101. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  志賀一夫君。
  102. 志賀一夫

    志賀(一)委員 私は去る二月の議会でも、農業問題、ウルグアイ・ラウンドの問題と関連をいたしましていろいろ御質疑をさせていただきました。その中で私は、今世界的に食糧問題が人口問題との関連の中で重要な課題になっている、とりわけ二十一世紀の課題は、環境問題を通じまして、年々土地が荒廃し優良農地が減っていく、その一方で世界人口は爆発的な増大をする、二十一世紀の最大の課題はまさに食糧問題ではないか、こういうお話を実は申し上げたわけであります。  実はついせんだっても、八月ですか、国際会議が行われました。その中で大変重要な議論がされました。やはり飢餓と貧困の問題を中心食糧問題がグローバルに、特に生産と分配の問題、そういう問題について真剣な議論がされたというふうに聞いております。したがって、そういう状況の中で私は、日本の今日までの食糧政策あるいはまた農業政策というものを大きく変えるべきこの節目の時期に、変革の時期に来ているのではないか、そんなふうに考えておるわけでありますが、そういうときに当たってこの第二十一回の農業経済学会に世界の皆さんが六百数十名お集まりになられて議論されたということの意義は極めて深いのではないか。  こういう事実を見ながら、農林大臣といたしましては、これから一体日本農業をどうする、食糧をどうするという問題を、単に一国の経済の動向ばかりではなくて、みずからの、我が国の課題としてどう取り組んでいくのかという視点での重大な変革をすべきときに来ているのではないか、そんなふうに思いまして、大臣の所信をまずお聞かせいただきたい、そんなふうに思うわけであります。
  103. 近藤元次

    近藤国務大臣 先般、第二十一回国際農業経済学会議が、六十二カ国の参加と千五百人以上に上る内外の学者がお集まりになって我が国において初めて開催をされたわけであります。残念ながら私は予算の総括委員会が実はございまして、この会議に開会式にも出席できませんでしたけれども、私の考え方について事務次官から述べていただくということにさせていただきました。  我が国世界最大の農産物輸入国であるという立場も踏まえ、この開会式におけるあいさつは、農業は、国民の生活にとって基礎的な物資である食糧を安定的に供給をするという観点、国民経済の重要な一翼を担っており、農業の発展が不可欠であるということ、また世界農業は、先進国においては生産過剰のもとで輸出競争の激化を招いている一方では、開発途上国では食糧不足が深刻化しているなどのさまざまな問題を抱えており、その解決には全地球規模での取り組みが求められていること、また我が国では二千年の歴史を有する稲作を初めとして多様性に富んだ農業が展開されており、農業農村は国土を保全するとともに美しい環境や伝統、文化をはぐくむなどの重要な役割を担っていることを強調させていただいたところであります。  ただ、私が世界食糧理事会の際に、我が国世界食糧問題に対する考え方というものを、先般のヨーロッパの出張の際にデンマークで発言をさせていただいた点につきましては、基本的に、それぞれの国が可能な限り自給していくという方針に対して、各国がそれに協力と支援をしていくということによって世界の将来にわたる安定がもたらされるのではないだろうかという立場で演説をさせていただきました。しかし、先ほどもお話し申し上げましたように、アメリカの農務長官の発言におきましては、世界自由化することをもって世界食糧が安定をするという立場での演説でありました。ここの点が二つの国の大きな考え方の違いでなかろうか、こう理解をしておるわけですが、私はアメリカの農務長官の演説を聞いても、我が国立場というのが正しい、そう理解を実はいたしておるわけであります。
  104. 志賀一夫

    志賀(一)委員 ただいまの大臣の外国でのお話、その方針について私は全幅の賛意を表したいと思います。  それだけに、今日本食糧の自給率が御承知のようにカロリーで四九%、そして穀類で三〇%という、大変、先進諸国では恥ずべきような自給率の低さ、そういう状態にあるわけであります。自給力の向上については既に五十五年、国会でも決議をされているわけであります。いただいた資料等を見ますと、米に次いで我が国食糧の自給率が高いのは、もちろん一〇〇%近いものであったものが野菜とかあるいは魚介類とか、それに次いで芋類あるいはまた牛乳・乳製品等であったわけであります。しかし、これらの主要な自給し得る作物というのが、漸次食糧自給率が低下しつつある。いわんやその他の作物の自給率は連年ずっと下がっているというような実態であります。そういう状況からすれば、この時点で自給率向上に対して政府としてはどう歯どめをかけるのか、これから前向きで自給率を高めるための具体的な手法を政策として考えておられるのかどうか、その辺を私は改めてお聞きをしたい、そんなふうに考えます。
  105. 馬場久萬男

    ○馬場政府委員 食糧の自給率につきましては、先生御指摘のように、供給熱量ベースで見て平成元年度で四八%となっておるわけでございます。この低下の内容は、国民の生活が豊かになる中で食糧消費が多様化いたしまして、自給品目である米の消費が減少する、一方で、畜産物の消費の増加によります飼料穀物の輸入の増大や、あるいは油脂の消費の増加によります油糧原料、大豆、菜種等の輸入増大等によるものであると考えておるわけでございます。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕  我が国のように、狭い国土に一億二千万人を超える人口を擁するという国におきまして、今後とも国民の食生活の豊かさを背景とする食糧消費の多様化というものを継続していくということを前提に食糧自給率の維持向上を図るというのは、大変な努力を必要とするというふうに考えている次第でございます。  そうした中で、昨年一月に閣議決定されました西暦二〇〇〇年を目標年次とします「農産物の需要と生産の長期見通し」では、国内農業の持てる力を十分発揮することによりまして、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけて、総供給熱量で五割を自給率にするというふうに見込んでいるわけでございます。  そのためには、具体的には、主食である米につきまして、国内での自給を基本としまして良質米や加工用米の供給など需要に即した生産推進する。それから、小麦、大豆等につきましては、品質、コスト面での改善を図っていくということが重要でございまして、それによって生産の拡大を図っていきたいと考えるわけでございます。また、野菜、果実その他の農作物につきましても、消費者ニーズの動向に対応しまして、多彩な国土条件を生かしながら国内生産の維持拡大を図ってまいるということが必要かと思います。  そのためには、農業の担い手の育成、生産基盤の整備あるいはバイオテクノロジー等の生産技術の開発普及等々各般の施策を強力に推進していきたいと考えております。
  106. 志賀一夫

    志賀(一)委員 つい最近の新聞報道でも御存じのように、本年は世界的に各地で気象災害がたくさん出ています。豪州では、我が国が大変頼りにしている小麦あるいは大麦が、災害、干ばつで非常に減収だというふうに聞いています。あるいはまたアメリカでも、これまた干ぼっ、フランスでも、あるいは中国等では大変な洪水で食糧不足に直面している。またソ連ではもう大変なことになっているというように、世界の気象条件や今言われている環境等の問題からして、この自給率の重要さというのは将来に向けて極めて大事な問題だ。といたしますと、今御答弁をいただきましたけれども、そのとおりで、一〇〇%一生懸命やっているように聞き取れるわけでありますが、具体的に何をどうするのかという点では成果としてさっぱり出ていないのではないかというふうに受けとめざるを得ないわけです。  例えば、後からいろいろ細かくお聞きをいたしますが、酪農等につきましても年々自給率は低下をしている。なぜに、こう問わざるを得ない現状だと思いますが、どのようなお考えか、いま少しく御解明いただきたい。
  107. 馬場久萬男

    ○馬場政府委員 国内の自給率、特に、先ほど申し上げましたように、大きく下がってきているのは米、それから畜産物の原料になります穀物の輸入、米の消費の減少と飼料用穀物の輸入増大という二面だと思います。  米につきましては、先ほど申しましたように、国内の需要は一〇〇%国内で供給するという前提に立ちまして、良質米あるいは加工用米の生産等を奨励していくということでこれに対応したいというふうに思っております。  ただ、飼料穀物につきましてはほとんど輸入に依存しております。国内でこれを生産するということになりますと、国土条件の制約等非常に大きな問題がございます。むしろ、安い飼料穀物を輸入することによって国内の畜産の振興を図り、国民に安価な畜産物を供給していくということが必要であろうかというふうに考えます。そういうことで、自給率の下がってきている中の要因を見ながら、それぞれに必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。
  108. 志賀一夫

    志賀(一)委員 この議論は果てしないと思いますが、具体的なことでさらにお聞きをしたいというふうに思います。  その前段として、先ほどもいろいろウルグアイ・ラウンドお話等がありましたが、米の自由化阻止の問題は当然にして我が国の主権にかかわる問題でありますから、大臣、これは何が何でもやはり阻止していただきたいことを強くお願いをいたしたいと思います。  同時にまた、乳製品等につきましても、この自由化関税化ということは、私どものいわば大事な食糧でありますので、これについても同じく自由化関税化を阻んでいただかない限り日本の酪農はつぶれてしまいますので、ひとつこの辺に対してどんなお考えか、さらにはまた見通しもあわせてお伺いいたしたいと思います。
  109. 近藤元次

    近藤国務大臣 乳製品につきましては、もう御案内のようにガットの場で一応のクロという裁決が出たわけでありますけれども、我が国は、生産調整をしているものについて規制することが当然である、十一条二項の(c)というガット条文についての明確化をガットに今提訴をいたしておるわけであります。これが確定をし、そして先般のダンケル事務局長にも、生産調整をしておるものについては我が国としては関税対応は困難であるということをしっかりとお話をしてきておるその姿勢で今後対応していきたい、こう思っております。
  110. 志賀一夫

    志賀(一)委員 酪農問題についてでありますが、保証乳価の引き下げなどによりまして酪農環境は年々悪化して、酪農家は極めて厳しい条件下にあり、意欲の低下を招き、後継者不足、牛肉の貿易自由化によるぬれ子、廃牛価格の下落等々によってまさに容易ならざる状態になっています。そういう一方では、飲用牛乳は消費者等の意識の変化等もあり、健康志向の高まりなどによって年々需要が高まってきている。そういう一方で乳価は下がる一方だ。こういうことでは、農家生産意欲がわくはずはないのであります。そして、なおかつ需要が増大した分だけその不足分を外国から乳製品として購入する、そういう繰り返しをやっているようでは、やはりこれは酪農に対する酪農家の意欲を引き出すよりはむしろ水をかけるようなものだ、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。  最近の保証乳価も、六年間で十一円八十二銭値下げされました。また同様に生乳価格も約十円ほど下落をしている。その他配合飼料等の一連の資材費も徐々に上がっている。こういう状態の中で、一体これからの酪農をどうやっていこうとしているのか、その対策をまずお伺いしたいというふうに思います。
  111. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 酪農の振興対策についてのお尋ねでございますが、酪農につきましては、重要な食糧であります牛乳・乳製品の供給源としてのみならず、土地利用型農業の基軸として我が国農業の発展に重要な役割を担うものでありますので、その振興を今までも図ってまいったところでございます。今後とも酪農の安定的な発展を図るためには、国際化の進展等近年の酪農を取り巻く情勢を踏まえまして、生産性の向上を図り、国民の納得の得られる価格で牛乳・乳製品の供給に努めることが重要であると考えております。  そのために、じゃどういうことをするのが必要なのかということですが、一つには草地、飼料畑、えさ畑の造成・整備等による飼料自給率の向上、それから粗飼料生産・利用の合理化を図るということ、それから半群の改良による乳量と乳質の向上を図るということ、それから経営の安定を図るための乳肉複合経営の推進を図るということ、さらには担い手確保を目的とした酪農ヘルパー制度、こういうものも酪農家の実態から見ると非常に重要な、力を入れていくべきものであると考えております。こういうことによりまして、経営の合理化なり体質の強化に努めているところでございます。  こういうような中で、近年の酪農経営につきましては、乳牛一頭当たりの乳量の増加だとか規模の拡大、それからぬれ子の価格が高水準で推移をしてきた、そういうことから収益性も好調に推移してきたところでございますが、昨年夏以降ぬれ予価格の低下等から収益性に対する影響も懸念される状況になっております。このため、酪農家が持っている資源、ぬれ子とか乳廃牛ですが、そういう資源に付加価値をつけまして、その収益性の向上を図るための乳肉複合経営を推進する、そういう対策をことしの四月から拡充強化をして実施をしているところであります。  今後とも酪農につきましては、我が国の土地利用型農業の基軸として位置づけまして、長期的な観点からその振興合理化を図ってまいりたい、さように考えておるところでございます。
  112. 志賀一夫

    志賀(一)委員 今お話しをいただきました中では、酪農家の所得が年々増加をしている、そういうふうにとらえておられるようでありますけれども、そういう所得の状態であれば、酪農家がどんどん減っている、酪農を離れでいっている、後継者もない、こういうことにはならないだろうというふうに思うわけでありますが、その算定の仕方にも問題があるのではないか、もう一度その算定の仕方について検討すべきではないのか、私はそんなふうに思うのであります。  その中の一つとして、一頭当たりの飼育時間は確かに短縮されてきた、これは事実であります。しかし、その一方でかなりな機械を購入しているわけですから、やはり投下資本というものがかなりウエートが上がってきているということであります。いわゆる減価償却費が増加している、そういうことがやはり指摘されると思いますし、また先ほどもお話がありましたこの所得の中での子牛販売代金の割合が、牛乳は七六・四%、子牛その他で二二・六%というような構成になっていますけれども、これが肉の貿易自由化のためにがくんと下がってきて大きな収入の減になっている、こういう実態をよく把握をしていただきたいというふうに思うわけであります。  後からまたいろいろお話が出ますので先に進めたいと思いますが、今御承知のように、北海道は原料乳地帯であり、その他の府県はいわば生乳の生産地帯、飲用乳の生産地帯と言ってよろしいと思います。北海道は牛乳の伸びが順調、順調と言えるかどうかわかりませんが、一応伸びている。しかしその反面、その他の府県ではむしろ停滞よりは下がっているという実態にあります。そういうところから、全国的にやはり飲用牛乳が不足をして、その結果として多量の乳製品を買わざるを得ないという実態になっていることは実情だと思うのであります。  そういたしますと、北海道からたくさんの牛乳を運搬して全国に配るということは将来とも難しいことでありますし、消費者の意向、好みからすれば、加工乳あるいは飲用牛乳の状況を見ましても、やはり新鮮な安心して飲める牛乳を飲みたい、こういうのがやはり消費者の嗜好でありますから、そういうためにはやはり北海道を除く飲用乳地帯における生産をどう高めていくのかということがこれからの課題でなければならない、そんなふうに思うのですが、いかなる考えか、お聞きしたい。
  113. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 先ほど、これまで酪農の収益性は割とよかったと申し上げましたが、今先生がおっしゃいますとおり、乳廃牛の枝肉の価格が下がったり子牛の価格が下がっている、そういうことで収益性に影響が出るということを懸念しているわけでございます。  今、大別しまして、北海道原料乳生産地域、それから内地の市乳生産地域、内地の生産対策を振興すべきではないか、こういうお話でございます。私どもとしましては、今申し上げましたようなぬれ子の価格の問題あるいは枝肉の問題、こういう問題に対するてこ入れといいますか対策、それを拡充をいたしまして、ひとつ酪農家の皆さん方にも頑張っていただきたいということで、経産牛対策あるいはそのぬれ子対策について今月を入れて、農家の皆さんに御努力をいただきたいということでございます。
  114. 志賀一夫

    志賀(一)委員 畜産局長局長としての最初の答弁だそうでありまして、今お話しいただいたことは必ずしも私の納得するものではありませんが、時間の関係もありますから前に進ませていただきたいと思います。  乳価についてお聞きしたいと思うのですが、御承知のように、昭和六十二年度から牛乳成分の改正がなされました。その結果、従来乳脂率三・二%が三・五%に上がったわけでありますが、これらの乳脂あるいは無脂固形分とか体細胞とかというふうに、かなりな程度まで乳質の改善要求があって改善されてきた。その結果、消費者の皆さんも大変牛乳に対して理解をして、消費量、需要の増大になった、こういうふうにを言いますけれども、しかし、一方で乳価にはさっぱりその乳質改善の成果があらわれていないのではないか、反映していないのではないか、こういうふうに保証牛乳等の値段の状況を見ましても言えると思うのですが、どうなのでしょう。
  115. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 加工原料乳の保証価格等についてでございますが、いわゆる不足払い法に基づきまして、生産調査の結果等を踏まえて、その他の経済事情を勘案して、畜産振興審議会の御意見も聞いた上で決めておるわけでございます。加工原料乳の保証価格、これは一定の乳質、今乳脂率のお話が出ましたが、一定の乳質を基準とした生産コストをベースとして算定をいたしているところでございますが、乳質改善のためにいろいろコストがかさむ。乳用牛の更新をしたり、飼料代あるいはその環境整備といった経費が増高した場合には、生乳生産費の結果に反映されまして、したがって、乳価に反映される、こういうことになるわけでございます。さらに、乳業者と生産者団体との間の生乳取引におきましては、一定の乳脂率を基準といたしまして、これを超える乳脂率の生乳については、○・一%乳脂率が上がるごとに幾らという形で加算が行われているところでございまして、良質の生乳生産農家はそれだけ手取りが多くなっているということでございます。  また、農林省としましても、近年における牛乳・乳製品に対する消費者のニーズが多様化をしている、高度化をしている、そういう中で、高品質な生乳生産推進するということは重要な課題であると考えておりまして、乳質検査だとか、指導体制の整備等、所要の助成措置を講じているところでございます。
  116. 志賀一夫

    志賀(一)委員 乳脂率を○・一%上げますと、従来は八十銭、北海道では一円というふうにプラスしておったわけでありますけれども、これをいたしますと、現在の生乳価と加工原料価格で見ますと、まさに十五円七十二銭、約一七・五%の乳価の引き下げ、こういうふうになっていると思うのであります。なお、六十一年対比の六十二年度の保証乳価を見ましても、四円八十二銭の乳価の引き下げになっているわけでありますから、そういった点を見ましても、○・三%、乳脂率が三・二から三・五になったことによって、大変な生産費がかかって、酪農家の負担、経費になっている、その事実に対応した乳価ではない、私はこう言わざるを得ないと思います。  これについて、また議論をしたいと思いますけれども、それはさておきまして、もう一つ乳価の問題について言いたいと思います。  それは酪農家の経営努力、こういうものについて、やはり保証乳価に反映してないのではないかというふうに私は思います。  その一つは、先ほども言いましたが、飼育労働時間が短縮された、二、三%短縮された。けれども、一方において機械の設備投資でたくさんの経費がかかっている。あるいはまた、もう一つは搾乳牛一頭の生産量が六千六百六十九キロ、このわずか六年間で一頭当たりの乳量が酪農の先輩国であるデンマークよりも五、六百キロ多いわけだ。もう世界で最高水準まで乳量を上げている。そういうことや、あるいは一戸当たりの飼育頭数もEC諸国よりももうずっと高い。そういう経営の合理化努力というものをたくさん、いろいろな面で、このほかにもありますが、やっている。それにもかかわらず、乳価は下がる一方だというのでは、酪農に対する意欲もわきようがないじゃありませんか。  実は私はこの間も、二十代、三十代の酪農を一生懸命やっている皆さんと話し合いましたが、今皆さんが何を求めているのか、こう聞きましたら、安定した乳価だ、そうすればおれたちもやる勇気が出てくる、こう言っているわけであります。それはこれからの後継者対策ももちろん大事ですが、今二十代、三十代でやっている酪農家のためにもやはり乳価を妥当な乳価に上げていくというのは当然のことではないでしょうか。いかがですか。
  117. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 ただいま先生、酪農の経営努力を乳価に反映させるべきではないか、そういうことで労働時間の問題だとか償却費の問題、あるいは一戸当たりの規模が拡大している、いろいろお話がございましたが、そのような要素、これは先ほど申し上げましたけれども、生乳の生産費にすべて反映をされておりまして、そういうものをもとにして牛乳の再生産を確保する、そういう趣旨で乳価を決めておるわけでございます。それは先ほども申し上げましたけれども、そういう統計調査の結果を踏まえまして、また、その他の経済事情等を勘案をしまして、審議会の御意見もお聞きをして決めているというのがこれまでの経緯でございます。
  118. 志賀一夫

    志賀(一)委員 酪農団体がもう七月から今日まで、個別に指定団体として各乳業メーカーに乳価交渉をやっています。しかし、今なお乳価交渉の妥結は見ていない。そして、生産者団体はキロ五円の値上げを要求しておりますが、それに対して乳業側としては、三カ月間、夏場のいわば奨励金みたいなものを出そうということでおるようでありますが、もちろんいまだに解決はしていないわけであります。  今日、乳製品は御承知のように大変に逼迫した情勢下にあるということは言えます。それで、乳量換算で四十三万トンの牛乳のその分だけ輸入を合しつつあるわけであります。指定乳製品ばかりではなくてその他の乳製品等を合わせますと、乳量換算で約三百万トン、これは全国の生産牛乳の約三六%に相当する牛乳をいわば外国から輸入するという状態になっているわけだ。  こういう状態になっていること、あるいはまた、その原因として、畜産事業団がバター、脱脂粉乳を輸入しているわけですが、その安定指標価格は一一六%から一四九%、平均一二三%、脱脂粉乳で一一四%から一二九%、平均で一一九%というふうに、このいわゆる指定乳価の安定指標価格から四%をはるかに上回っている、こういう状況下にあるわけでありますから、こういったいろいろな状況を考える。それからまた、御承知のように農家の副産物であるぬれ子とか初妊牛あるいはまた廃牛、そういったものの価格が暴落をしてきている。時間がありませんから申し上げませんけれども、そういうことで今困っている。  そういう状況等々を考えれば、これはやはり保証乳価の改定を当然すべきではないのか。やはりこれは酪振法あるいはまた加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、そういった法律に基づいて、やはり畜産審議会等に諮って、そしてやる。こういうふうにたくさんの牛乳を、乳製品を輸入せざるを得ないということは、政府の需給見通し生産計画というものを、この法律にありますように、根本的に見直しをしなければならない状況下にあるということを私は指摘せざるを得ないわけでありますから、このことを考えますと、やはり保証乳価の再検討をすべきである。  それと、先ほど申し上げた乳価交渉が三カ月に及んで今なお妥結をしない、こういうことの現状を見れば、当然にして酪振法に基づいて知事のあっせんなり、あるいは大臣の調停なりということを法律に基づいてきちっとやっていただくことがやはり酪農の振興に寄与する、こういうことになろうと思うのでありますが、時間がなくなってしまいまして十分意を尽くせませんが、そういう方向で、この酪農が今どんどん落ち込んでいる状況にストップをかけるような施策を前向きにひとつ検討していただきたい、すべきだ、そういうふうに申し上げたいと思います。
  119. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 今先生お話の中の乳価の改定の問題とかあっせん、調停の話とかいろいろございましたけれども、御趣旨におきましては、やはり国内で生産できるものはできるだけ生産をする、いろいろな制約はございますが、相当また酪農家の方も一生懸命生産にいそしめるようなそういう環境づくりをせよ、御質問を通して考えてみますと、そういうことだと思いますが、そういう御趣旨を体してこれからも頑張っていきたいと思っております。
  120. 志賀一夫

    志賀(一)委員 どうも中途半端になりまして、失礼しました。
  121. 宮里松正

    宮里委員長代理 堀込征雄君。
  122. 堀込征雄

    堀込委員 私は、きょうは今度のにせコシヒカリ事件を中心にお尋ねをしてまいりたいと思います。  そこで、まず警察庁の方へ捜査状況についてお尋ねをさせていただきます。  九月十九日に新潟県警の捜査本部が、米袋を偽造した長野県上田市の飯塚米穀の飯塚社長ら四人を逮捕し、二十一日に新潟地検に身柄送検をした、こういう事実がございます。この直接の容疑でございますが、七月九日ごろ、三百六十袋のにせコシヒカリを大阪のアサヒ通商という会社を通じて山種商事へ売り渡した疑い、有印公文書偽造、同行使、こういう疑いだ、こういうふうに言われていますが、これは間違いございませんか。
  123. 松原洋

    ○松原説明員 お答えいたします。  新潟県警察が九月十九日に、有印公文書の偽造それから同行使という容疑で逮捕いたしました飯塚米穀の社長等四人に対する容疑事実でございますけれども、先生御指摘のとおり、四名の者が共謀いたしまして、産地の異なる米を新潟産コシヒカリと偽って販売をするに際しまして、にせの検査証明つきの米袋を作成し、三十キログラム入りの米袋三百六十袋をつくりまして、アサヒ通商を介した上で山種商事の指定する倉庫に搬入し、もって偽造に係る米袋を流通させた、こういう容疑でございます。
  124. 堀込征雄

    堀込委員 その飯塚米穀のにせ米の流通でございますが、これは報道によりますと、第一段階は、五、六年前から既に新潟県内で農家や農協などから使用済みの空き袋を利用して、収集をして、違う米を入れて販売をしていた、そういう時期があった。第二段階では、六十キログラムの麻袋のにせ票せん、米穀検査証明書ですが、これをつくって、にせ米を流していた時期があった。そして第三段階といいますか最終的に、上田市農協などから購入した無地の紙袋で、印刷機を購入して大量偽造した時期、こういうふうに報道されているわけであります。  この数量が、三十キロ紙袋で実は十四万枚、四千二百トンに上る。六十キロの麻袋でもこのほか相当の量に上る。このうち大阪アサヒ通商を通じて出荷した分だけで、紙袋で五万三千袋、麻袋六十キロで五千六百袋、こういうふうに言われているわけであります。  そうだとしますと、こうした状況を勘案して、捜査当局としては、アサヒ通商はもちろん、それ以外のルートについても捜査を進めている、こういうふうに確認をさせていただいてよろしいでしょうか。
  125. 松原洋

    ○松原説明員 本件の逮捕事実は、お尋ねのようにアサヒ通商を介してということでございますけれども、その他につきましては、現在、新潟県警察におきまして捜査を進めている段階でございますので、具体的な内容についての答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  126. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、捜査が進行しているということでありますから、当然拡大をしているというふうに解釈をするわけでありますが、山種商事の関連でございますが、アサヒ通商を通じて飯塚米穀からにせ米を購入し、そして山種産業を通じて東京、埼玉の小売店に売却をされた、こうなっているわけであります。山種産業は、この後都内の小売店に対して山種産業名の納品書を差しかえて、単なる山種という名前にして、そういう差しかえで事件の隠ぺい工作もしているという事実も報道されています。  それから別の報道によりますと、飯塚米穀から東京の関連倉庫へ、辰巳倉庫というのですか、七月だけで三回、例えば十トントラックで運び込まれているという運送業者の談話も載っているわけであります。  この山種産業、山種商事へは、九月六圧に新潟県警が家宅捜査に入っているわけであります。この容疑は何でございましょうか。
  127. 松原洋

    ○松原説明員 新潟県警察が九月六日に実施をした捜索の容疑事実でございますけれども、被疑者、当時は不詳でございますが、被疑者が米を売却するに際しましてにせの検査証明つき米袋を四十袋つくりまして、平成三年の七月ごろ米穀卸業者を介して小売店に売却し、もってにせの検査証明つき米袋を流通させ、行使をした、こういう容疑でございます。  この容疑で、同県警察では、偽造された公文書の流通ルート等を解明するために、同日以降、必要な関係先として十数カ所捜索をしておりますけれども、山種産業、山種商事につきましても、米袋の流れを明らかにする、そういう必要から捜索を実施したという報告を受けております。
  128. 堀込征雄

    堀込委員 もう一点だけ警察庁にお尋ねをいたします。  そこで、これからのポイントでありますけれども、新潟県塩沢町農協が紙袋の出荷を行ってなくてフレコン袋だけで行っていた、こういうことは業界の常識になっておりまして、アサヒ通商、山種ルートの偽造米袋が流れているわけでありますが、これのルートは果たしてにせ米の事実を知っていたのかどうかという点が一つのポイントになろうと思いますし、第二は、アサヒ通商が紙袋で五万三千袋、六十キロ麻袋で五千六百袋扱ったのがもし事実だとすれば、これはどこへ流れたのか。報道では九州、四国、中国の二十数社の卸を通じて小売へ流された、こういうふうにされています。この点の解明が必要ではないか、こういうふうに思います。  第三点に、飯塚米穀は、報道されている数量からいたしますと、アサヒ通商以外にもにせ米のルートを持っていた、こういうふうに推定をされるわけでありますが、そういう認識で今捜査を進めておられるのかどうか。つまり直接、先日新潟地検に身柄送検をした事実以外に、あらゆる角度からそういう事実を究明しな林ら今捜査を進めておられるのかどうか、この点についてお伺いをいたします。
  129. 松原洋

    ○松原説明員 新潟県警察におきましては、本件事件解明のために、全貌を解明するという観点から、御指摘の米袋の流通ルートを含めまして幅広く捜査中でございますけれども、詳細につきましての答弁は、捜査中ということで御容赦をい木だきたいというふうに思います。
  130. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、これは消費者からもぜひ明らかにしてほしいという世論があるわけでありまして、全容解明に御努力をいただきたいというふうに思います。  そこで、食糧庁の方へお尋ねを申し上げます。一つは、にせ米に関連をしているという問題がございます。第二点目は、この不正規流通米をどうするのかという問題点が、いわば今度の事件に関連して二つの問題があるというふうに思うわけであります。  まず、事実解明の方法でありますが、当面は警察の捜査を待つということでございましょうけれども、今度の事件は食糧行政についても消費者の大変な不信を買った。国民がすべてこの事実関係、事件のルートの解明を望んでいるというふうに考えるわけであります。  そこで、警察の捜査はもちろんでありますが、食糧庁としても当然これは捜査をいたしまして、そして今度の事件にかかわりました卸、小売あるいは特定米穀業者あるいは無許可の業者の流れ、こういったものをやはり明らかにして全体を公表すべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。特に、アサヒ通商を通じて山種商事、山種産業を通じて東京の小売店へ行ったルートは、ある程度合捜査が進んでいるわけでありますが、九州、四国、中国のルートはどういう流れをしたのか、まだ不明確でございます。警察の捜査と並行しながら調査を進め、全容を解明するべきだ、こういうふうに思います。しかも、それは国民の前にそうした調査結果は明らかにされるべきだ、こういうふうに思いますけれども、食糧庁としてはどう考えますでしょうか。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたこの事件につきましては、警察の方で刑事事件として捜査が続行されておりますが、もう一つの性格としていわゆる米の不正規流通という問題をはらんだことであるということを我々も十分認識をしております。  私どもも、刑事案件として九月三日に私どもの出先から告発をするまでの間、調査をしておりましたが、告発に伴って警察当局の捜査が開始されるに伴いまして、私どもとしての調査を実は中断をしております。当面、捜査の進展を見守りながら必要に応じて捜査当局からの情報提供を受けまして、適切な時期に私どもとしても所要の追加調査関係する都道府県と協力をしながら始める必要があるであろう、その上で我々なりの処分方針についての判断を行い、御指摘のございますように、関与した業者名を公表するという事態はあり得ることであるというふうに考えておる次第でございます。
  132. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、新潟食糧事務所が刑法上の有印公文書偽造、同行使で告発をしたわけであります。あるいは塩沢町農協そのほかのところでも私文書偽造、行使あるいは不正競争防止法違反で告訴がされているわけであります。  私が不審に思いますのは、にもかかわらず食糧庁がなぜ食管法違反で告訴に踏み切らなかったのかという点であります。そこのところが明確になりませんと、国民の食糧庁に対する目が、不正規とかやみ米を黙認、容認するもの、こういうふうに映るケースも、局面も出るわけでございまして、ここはやはりはっきりさせた方がいいんではないか、こういうふうに考えるわけであります。  そういう意味で、例えば九月九日、食糧庁長官名で各関係団体に「米穀の不正規流通防止の徹底について」という文書も出されているようであります。ここで食糧庁としてはかなり強い調子で、指定集荷業者や許可販売業者に対する、不正規流通に対する食管法上の重大な違反に対する警告を行っているというふうに私は理解をするわけであります。ぜひこれは、文書を出した限り、法に違反した者については断固たる措置をとられるべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、なぜ食管法を適用して、食管法違反の告訴に踏み切らないのか、あるいは今後食管法に照らして幾つかの処分を行うというような考え方がおありかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  133. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 今回の捜査が進んでおります事件については、私ども大変遺憾な事態であるという認識を強く持っております。  ただ、先生から御指摘のありました食糧管理法違反による告発をしなかったという経過でございますが、実は私ども、食糧管理法違反事件として告発するためには法的に二つの条件が必要であろうという認識を持っております。第一点は、行為者の特定、そしてまたその違反行為の概要が掌握されているという事実掌握の問題が第一点であります。第二点が、掌握されました事実関係の概要に照らして、捜査なり司法手続を経て法律に定める罰則を適用していることが適切であるかどうかの判断、これが第二点であるわけでありますが、実は九月三日に刑事問題として告発をした時点におきましては、この二つの条件を満たすための調査結果は、私どもとしては率直に申し上げまして得られておらなかったわけでございます。  一方におきまして有印公文書偽造、行使という刑事問題という側面がございまして、これを長期間放置するということは大変問題がある、そしてまた証拠隠滅の問題もあるのではないかということで、その時点までに我々が掌握した事実をもとに、刑事案件として警察当局の方に告発をした、こういう経過があるわけでございます。  もちろん私どもとして、ただいまの捜査当局における捜査が、私どもの刑事案件としての告発をもとにして捜査が進められておると承知をしておりますけれども、他方におきまして、食糧管理法違反というふうないわゆる不正規流通の問題があることを我々十分に理解をしております。  ただ、捜査当局の活動との競合を避けるために、私どもの不正規流通問題についての調査を現在、事実上中断して刑事捜査の進展を見守っておるという状況でございますので、この進展の状況に応じまして、先ほど申し上げましたように、十分連絡をとりながら、私どもの必要な調査というものを今後関係する都道府県とも相談をしながらやっていく必要がある。その結果を受けまして、我々のいろいろな対応の仕方があると思います。実質的な関与しているものの事実関係を十分確かめた上で、行政指導あるいは行政上の処分、具体的にはいろいろな命令を発する、あるいは営業停止処分を行う、さらには営業許可の取り消しを行うというふうな行政処分、さらに進んでは、司法手続を経て罰則の適用を行うかどうか、捜査当局の状況も十分お伺いをしながら、そういった判断を最終的にはしていかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  134. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひそういうことで、実態の解明を進めてほしいと思います。  実は私も今度の事件、いろいろな調査をしたのですが、米の流通というのはこんなに複雑になっているのか、大変不正規流通が横行しているのかということで実はびっくりいたしました。例えば不正規の流通で、新潟県の十日町農協倉庫から出て飯塚米穀へ入るまでに非常に複雑なルートをたどっていることもわかりました。これと、オーダーなり代金決済の流れなども必ずしも一致をしてないとか、大変複雑な状況があります。  私はこれらの複雑な流れの中で、これらの業者が今度の新聞談話などで共通していることは、食管法違反はしているけれども偽造には絡んでいないというような談話を平気で、テレビなんかでもしゃべっているわけでありますけれども、つまりそういう風潮、食管法違反なんか今やこの社会で当然だという風潮が業者の間にあったことに、実は大変びっくりしている。これはやはり厳しい処分がなされなければいけないのではないか。  例えばアサヒ通商、これは特定米穀業者だそうでございますが、報道各社の談話を見ますと、どこでもやっておるし、不正はやっていないんだ、だから罪悪感はない、あるいは始末書一枚ぐらいで済む、こういうような談話が平気で載っておる。あるいは山種産業、例えば九月六日に記者クラブに配付した声明文がございます。これは、今回の事件に山種産業自身はかかわりはない、こういうふうに言っておりますが、文章の中身を見ますと、食管法違反は平気でやっているという事実関係を出していますね。  そういう風潮が、業界の大手から始まってずっとあるという実態はどうしても正さなければいけないのではないか、こういう風潮を正すために、食糧庁としてこれからどういう対策等努力をされますか。
  135. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 私どもといたしましては、営業許可を受けて営まれております指定集荷業あるいは各種の米の販売業というのは、国民の主要食糧であります米の安定供給を担う大変重大な責務を有した活動であろう、それは適正に行われなければいけないという認識を持っております。  かつまた、大部分関係者はそのことを十分御認識いただいて、営業しておられると思いますが、御指摘のように一部の不心得な行為によって全体の業界あるいは制度そのものについての不信を招くような事態を生じておるということは大変残念であるというふうに理解をしております。  まずは、今回発覚をしております事件そのものについては、先ほど申し上げましたように刑事案件としての捜査の進展を見ながら、私どもとしても厳正な対処をしていくということがまず基本であろうかと思います。  さらに一般的な問題として、従来からも行っておりますけれども、都道府県と協力をしながら、関係業者の営業活動を巡回指導するとか、あるいは日常の業務監査を計画的にしていくとか、そういう努力を当然継続する必要がある。そうしてまた、関係団体を通じまして、個々の業者についてその責務の重要性についての認識を十分に深めていただくと同時に、それにふさわしい営業活動をしてもらうように御努力をいただく。そのための努力関係団体を通じて、私どもとしても繰り返し行っていきたいと考えております。  また、取り締まり面においても、率直に申し上げまして、大変難しい問題もあるわけでございますが、警察当局等の御協力もいただきながら、出荷期等におきまして検問等を実行する等のきめ細かい取り締まり活動というものも継続をしてまいりたいと思う次第でございます。
  136. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、もう一点問題は、米穀の管理計画の問題があるというふうに私は思うのです。  この基本計画、「米穀の管理に関する基本計画」ですね、平成三年産米は、政府管理計画としては六百六十三万トン、政府米が二百十万トンで、自主流通米が四百五十三万トン、生産数量九百八十五万トン、こうなっているわけであります。これは差し引きますと三百二十三万トンですが、これが農家消費、縁故米等々ということで実は処置をされているわけであります。  この数値は、どうもこのとおりではないということは食糧庁自身御存じのはずでございます。食糧庁自身の別な調査によりますと、農家消費量はせいぜい百六十万トンぐらい、こういう数字は別なところで公表されているわけであります。したがって、この基本計画がまさに不正規流通米の一定の量を容認したような、そもそもそういう計画になっているのではないかというふうに私は読めるわけでございます。  この辺は、改めてこの管理計画を見直すとか、今度の事件をきっかけに不正規流通を正していくことがやはり必要ですから、自主流通米の価格形成機構を強化したりいろいろな対策が必要だと思いますが、この管理計画などもそういう意味で正しながら不正規の流れをなくしていく、こういうことは考えておりませんでしょうか。
  137. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま先生から御指摘のございました毎年度定める「米穀の管理に関する基本計画」の数値につきまして、毎年の生産量とそれから自主流通米、政府米を通じたいわゆる政府管理米の集荷量との間に相当のギャップがある。そしてまたその計画に記載されたギャップの数値が、実行上さらにそれを上回るものになるという状況にありますことを私どももよく認識しておるわけでございます。  ただ、私どもとして、この基本計画の考え方というものは、御承知のとおり米の過剰を発生させない、需要に見合った生産を誘導するという水田農業確立対策との整合性をとりつつ、適正な生産の誘導なり集荷の誘導をするためのガイドラインとしてつくっておるわけでございますが、実態的に御指摘のような状況にあり、そのことがやみ米を容認したことになっているのではないかということではございますけれども、現実にあるギャップというものを私どもいろいろな面での整合性をとりながら整理をしておるものでざいまして、そのこと自体でやみ米を是認をしておるという性質のものではないというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。  現実問題として、この不正規流通問題が存在するということを私どもも大変重大視をしておりまして、先ほど申し上げましたように、いろいろな努力をしておるわけでございますが、この基本計画の上での数値をいかにすべきかということにつきましては、一方においては、やはり可能な集荷の現実的な目標をどこに置くか、そしてまた、いわゆる生産調整との整合性というものをいかに保っていくかというふうな問題とも大変絡む問題でございまして、何といいますか、単に計画に書く数値を操作するというだけでは済まない問題があるものですから、確かに御指摘の問題はあるわけでございますけれども、これからの水田農業再編対策の進め方等とも関連をして、関係者とも十分協議して、将来の課題として十分検討をしていく課題ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  138. 堀込征雄

    堀込委員 時間が来ましたので、最後大臣、一言でございますが、今、大臣の新潟と私の長野を主舞台にしながら、にせ米事件はやはり徹底追及するということを、それから第二に、不正規流通は食管法に即して正していくことが必要だと思いますが、今後の米の流通、食管法の問題について大臣決意をお伺いしたいと思います。
  139. 近藤元次

    近藤国務大臣 この問題は私も大変重要視をしておりまして、今回の不正規流通米の処理の仕方によって、不正規流通米をさらに助長していくかあるいは食管法を遵守させるかという非常に大きな観点でこれの対処に当たらなければならない、こう思っておるわけでありますので、調査が終了次第、厳正に対処はしていきたい、ぜひ食管法を守るような方向で対処していきたい、こう思っております。
  140. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  141. 大原一三

  142. 三野優美

    三野委員 農林大臣及び畜産局長に、地元のことでお尋ねいたします。  農林大臣は二回目だと思うのでありますが、私の選挙区にあります高松の場外馬券所のことについて質問するわけでありますけれども、御承知のように、中央競馬会が八月二十八日に農林水産省に対して、高松の田村町に場外馬券所の設置申請を出された、こういうことなんであります。  御承知のように、この用地は田村町に存在しておりますけれども、阪急産業がこの用地を確保したわけであります。その際に、すぐ隣の、同じ田村町の町内でありますが、横田北部自治会長である高木さんがそのあっせんに加わっております。その際に、阪急産業はここに外食産業をつくりたい、これは外食産業が主な仕事でありますから、すし屋さんとか中華料理とかフランス料理などを経営して、その横には児童を対象の遊戯施設をつくりたい、こういうことで購入し、地元の業者はあっせんをしたわけであります。  ところが、その後、御承知のとおり昭和六十年十月になって場外馬券発売所にするんだという発表があって、地元が唖然として立ち上がったわけであります。  そういう経過の中で、翌昭和六十一年、地元の反対陳情が続く過程の中で、この田村町出身の、これは自民党でありますが、植田県会議員、同じくこの鶴尾校区出身の岡市会議員などが中央競馬会に経過の説明を求め、地元の意向について、反対であるという陳情をした経過があります。  これらの経過については、畜産局はすべて御存じだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  143. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 ただいま先生お話がありました経過、途中別な用途で用地を取得した、その後変わった、いろいろあったようですけれども、おおむね、おおむねというか、了解、了承しております。
  144. 三野優美

    三野委員 しかも、この用地に今建っている建造物は、高松市役所に建築申請をした際に、美容室にしたい、地元の反対が強いものですから美容室にしたいという申請手続をいたしました。もう既に申請書が出ているわけですから。あそこに美容室があったでしょうか、お調べになって御存じだろうと思いますが、お答えをいただきます。
  145. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 ただいま先生お話しのありましたようなこと、陳情の方々からはお聞きをいたしておりますが、確認をしているということではございません。
  146. 三野優美

    三野委員 申請が出たらば、その経過をお調べになったらどうですか。美容室だと申請したのだけれども、今喫茶店ですわね。いわばすべてが万事、用地買収から今日の過程の中ですべて、申請しあるいは地元に話したことと実情とは全然違いますね。  大臣、ひとつ聞いておいてください。この予定地というのは、田村町というのは高松――これが高松の全地図です。高松のちょうど真ん中にあるわけです。高松は、御承知のように四国の中心都市ですね。人口がふえ続けておりますし、住宅不足が非常に続いているのですが、残念ながらこの田村町だけは人口が減りつつあるわけです。ずっと一貫して減っているわけです。  しかもこの場所は、競馬監督課は御存じだろうと思いますが、国道十一号線、松山から徳島へ行きます。新しいバイパスですね、これから東につきましては今度高規格道路がつくられるわけです。国道三十二号線、高知へ行きます。四国のこれはいわば集中するところなんですね。このところに、ちょうどこの交差点にこの予定地があるわけであります。残念なことには、この高松南警察署の中で一番交通事犯が多い、交通事故が多い。残念ながら犯罪も多いわけであります。  したがって、ここには鶴尾小学校、鶴尾中学校という二つの学校があります。普通、一般的には小学校が二校、三校に対して中学校が一校ですね。ここだけは小学校も中学校も一校ずつなんであります。高松市教育委員会及び県教育委員会は、さまざまな事件が多いものですから、ここを教育困難校として指定をいたしました。そしてすべてのクラスに先生は二人ずつつけているわけです。何とかしてここを再生をしたい、普通の教育環境をつくりたい、こういうことでやったわけであります。  残念ながら人口はやはり減り続けます。小学校に二百名入っても卒業する人は百二十名であります。毎年毎年、実は生徒が事件が起こるたびにぱらぱらぱらぱらと減っていくわけであります。これは、この学校の入学者と途中で消えた分であります。この黒い部分が途中で消えていくわけであります。こういう極めて困難なところに、この場外馬券所をつくることになりました。  さて、ここで私がお聞きしたいのは、御承知のように、あなたの方は今日まで何回となく、場外馬券所を設置する場合に周辺自治会の同意を得なければならぬ、こう言ったわけですね。周辺自治会の同意を得るということを条件にいたしました。  そこで、私がここで指摘しておきたいのは、実は昭和六十一年六月十一日午後一時、日本中央競馬会において、先ほど言った植田県会議員と岡市会議員が地元を代表して行った際に、周辺自治会とは中川原北、南であるし、桜ケ丘自治会であるし、田村北であり松並である、こう言ったわけです。いわばこの地図でいいますと、中川原自治会というのは北、南はここである、ちょうど馬券設置予定地の所属する自治会であります。それで松並自治会がここに存在します。田村北がここにあります。それと桜ケ丘自治会。この五つの自治会が周辺自治会であり、この同意を必要とするということを言ったわけです。地元自治会にもそういうことを言っております。  さて、そういたしますと、この松並自治会の中には先ほど言った鶴尾小学校、中学校が存在いたします。ところが、その後になって中央競馬会は、田村解放自治会の同意をとったわけです。今、私どもが聞いておりますと、六つの自治会の同意を得た、こう言う。田村解放自治会もいわば周辺自治会と判断をしたようであります。この田村解放自治会のすぐ、それよりもっと予定地に近いところに、県が目玉としてつくった身障センターがあります。ここには県の香川県養護学校、高松養護学校、光整肢学園、障害者ですね、そして大人になって知恵おくれで社会へ出られない、たまも園、医療施設その他さまざまな施設があるわけです。いわば農水省の指導によって周辺自治会というものを指定し、そこの同意を得る。その範囲の中にこういう文教施設及び福祉施設、障害者のための施設があるんですが、従来から一貫して競馬会及び監督課は自治会の同意と言ったんですが、その範囲の中に文教施設及び病院及び福祉施設があった場合にこれを無視していいのかどうか、その同意はとる必要があるんじゃないかと言ったけれども、いや、とった経験がない、こういうことを言い張ってきたんですが、農林水産省は、自治会さえ同意を得ればその自治会の範囲の中にどんな文教施設、福祉施設があってみても無視してもいい、こういう見解をおとりになりますか。
  147. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 私どもは、中央競馬会が場外馬券売り場を設置をするときに地元の住民の方々に受け入れていただけるかどうか、そういう観点から地元の住民で構成される自治会の同意をとるようにという指導はいたしておりますが、今先生おっしゃいましたいろんな施設の問題、学校その他、その問題につきましては、同意を要するということではなくて、その施設の立地条件だとかあるいは規模だとか内容だとか、そういうことから判断をしていく、無視するわけではございませんが、そういうことを審査の対象にしているわけでございます。
  148. 三野優美

    三野委員 大臣、よく聞いておいてください。いわば農林水産省の指導でもって周辺自治会を指定し、これはあなたが指定したわけじゃないわけ、競馬会が指定した。その中に文教施設あるいは福祉施設が存在する、この前も言ったんですね。そういうものがあった場合には適当でない、対象にならないという見解をとるべきだと私は前に言ったんです。そのときに農林水産省及び大臣も、基準をつくる必要があるだろうと言われました。私は、基準をつくってそういうものは認めない、香川県の条例の中には一定の範囲の中に、例えばパチンコ屋をつくる、そこに病院及び福祉施設や学校、文教施設があった場合には受理しないのですよ。そういう基準をつくるべきであったと言ったけれども、いまだにつくってない。それで自治会の同意、同意と繰り返しているわけです。これについては大臣に後でお聞きをいたします。  さて、そういう状況の中で競馬会は、さっき言ったように、この記録の中にありますように、中川原の北、南、桜ヶ丘自治会、田村北自治会、松並自治会、この五つを指定したわけであります。先ほど地図で示したとおりであります。この五つの自治会を指定したのでありますけれども、その中で、既に農林水産省に届いておりますが、五つの自治会の中で中川原北、中川原南、これは予定地が存在している自治会ですね。ここは反対決議がなされまして、すべての参加者が署名捺印の上で既に反対決議をしたことをあなたの方へ送っております。桜ケ丘自治会は、指定されたけれどもうちはそういうのには応じられぬと、もちろんこれは反対決議をしております。それもそちらへ送っています。いわば五つの自治会の中で三つの自治会までがすべて反対決議をしてしまったわけ。いわば、この五つの自治会の過半数の同意が得られればというこの記録、この記録の中です。自治会が、五つの中で三つまで反対決議をしてしまった。  いま一つ調べてみますと、この五つの自治会の、今言ったのは自治全数であります。自治会には、いわば市役所の住民課に登録をしている自治会戸数は五百七十五戸であります。これは調べました。競馬会が握っているのとは数字が少し違っておりました。調べました。その中で反対者は、既にもう農林水産省にも競馬会にも出ているのは四百六十二戸であります。これはお受け取りになったでしょう。その比率は八〇・三%。これがノーと言っているわけです。  いわば自治全数から考えてみても、そこに住んでいる世帯数から考えてみても、今出てきている申請書、これで認可する理由はどこにも見当たらぬと思うんですが、この事実についておたくはもう調査はしていると思いますが、どうですか。
  149. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 先ほど申し上げましたように、場外施設を設置する場合には地元の町内会の同意を得るという指導をいたしておりまして、その場合の町内会はどの範囲かというようなことにつきましては、私どもの方から競馬会の方には指示をいたしておりません。影響の及ぶ範囲をとってくれということで、先ほど先生お話もありましたように、大自治会は同意をとってまいっております。
  150. 三野優美

    三野委員 じゃ局長、聞きますが、ここに六十一年六月十一日一時からのこの両者の会談の記録があります。五つの自治会をいわば競馬会が指定したんですよ。あなたのところが指定したんじゃない。周辺自治会とあなた方が指導する、その指導に基づいてここでこう言っている。農林水産省の指導に基づいて、この五つの自治会を影響がある周辺自治会と指定をいたしました。この五つの自治会の過半数の同意が得られれば私どもは申請をします、こう言っているわけですね。別に地元が決めたわけでも何でもない、競馬会が決めてしまった。その中で、三つの自治会が反対決議をしてしまった。その中で全戸数の五百七十五戸のうち四百六十二戸、八〇・三%が反対決議してしまって、それであなたのところへ既に出ているわけですから、そのことについてこれをどう理解するのかということを聞いているわけ。  そして、この際申し上げておきますが、今度監督課長さんは田原さんにかわりましたけれども、前監督課長は樋口さんですね。私にも言ったし、地元に対しても、たとえ五年、六年前に自治会長の名前で申請書に同意書が出てきておってみても、その後自治会の反対決議が来れば後の反対決議が有効であります、相続、例えば遺言書もそのとおりですから、そのとおりですと例も挙げて、地元にも約束しました。私にも約束しました。前にとっているのは、実はその中で中川原南はとれていませんね、また、桜ケ丘自治会もとれていないんだ。遠く離れた賛成者のところだけとっているわけですわな。どこを押して、これではっきりした答えができないのですか。全くおかしいと言わざるを得ないわけです。ここまで明らかになってみても、なおかつそれでもし、あなたのところがこれは許可するなんということはないだろうと思いますが、そんなことをやったらば、今問題になっている大蔵省と証券業界よりもっと癒着していることになっちゃうわけ。それこそ競馬会に行っている天下り、一体どうするかということになっちゃうわけですから、この点はしかとひとつ知ってもらいたい。六つとったという自治会の、競馬会が言う資料も私の手元にあります。さっきの六十一年六月十一日の記録、これも私の手元にあるわけ。競馬会の確たる資料のもとで、私は質問をしているわけであります。どうですか。ひとつお答えをいただきます。
  151. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、競馬会に対してどこの町内会の同意をとるかということは指示をいたしておりませんで、つい八月の下旬に正式に申請が出てきた段階で、同意をとった町内会の町名を正式に知ったということでございます。
  152. 三野優美

    三野委員 局長、私の言ったことに間違いありますか。では、あなたに聞きますが、そんな抽象的なことを言ったってだめ。申請書が出ている。私からの、地元の反対決議案も陳情書も出ている。私の言ったことに間違いありますか。言ってみなさい。
  153. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 農林省としましては、従来から地元の同意ということで、関係町内会の同意ということで関係者を指導してきているところでありまして、今回の場合におきましても、福祉施設の管理者の同意が必要であるといったような指導はいたしておりません。  なお、今お話がありましたところだろうと思いますが、解放自治会から競馬会に対して設置に対する要望があることは承知をいたしておりますが、競馬会から我が方に対してなされました……
  154. 三野優美

    三野委員 私の言ったこと、間違いあるかないかを聞いているんだよ。ほかのこと言うな。委員長、答えさせてくださいよ。私の言ったことについて、あなたのところに全部書類が行っているわけだから、競馬会からの申請書が出ているんだから。私の言ったことに間違いがあるかどうかを聞いているんだよ。答えなさいよ。
  155. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 正式に提出されました申請書に添付されております同意書につきましては、先ほど申し上げましたように現在慎重に公正に……
  156. 三野優美

    三野委員 私の言っていることを言っているんだよ。あなた、何言ってるんだ。私が今ここで明らかにしたことについて間違いがあるかどうかということを聞いているわけ。あなたのところとも何回も接触し、この書類は私の目の前であなたのところに渡っているわけ。競馬会の書類も私は持っているわけ。私の言ったことが間違いがあるかどうかを聞いているんだよ。質問に答えなさいよ。
  157. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 私どもとしましては、正式に出されました申請書について審査をしているということでございます。
  158. 三野優美

    三野委員 ちょっと委員長、これ注意してくださいよ。私の質問に答えなさいと言っているわけ。それは答えられぬの。答えられないんでしょう。  さて、余り時間とってもいけませんので、大臣、今言ったような経過であります。もう既に御承知のとおり、そういう教育困難校を抱えた地元は、小学校PTA、中学校PTA、そして教育関係団体、この町を何とかちゃんとした教育の町にしようとしている人たちが必死になって、とにかくここだけほこらえてくれ、こういうことで競馬会へも農林水産省へも陳情をいたしました。こういう状況の中で、地元の反対決議は次々出ちゃうものですから、競馬会は書類不備のまま提出してしまったわけであります。提出してしまったわけ。教育四団体との話し合いもするという一札が入っています。経過はいろいろとありましたが、その約束もほごにして、教育四団体と話し合いができないという理由だけつくっちゃって、しないのであります。ますます不信感が強まってきました。  もちろん連合自治会も、地元自治会も含めて、これから大変なことになるということで立ち上がって、せんだっても教育四団体と一緒に自治会連合会長及び役員が農林水産省に参りました。きょうまで高松市議会が開かれております。市議会の質問の中で、市長、競馬会はこの事態の中で農林水産省に出してしまった、どう思うかと言った。これだけ混乱した状況が続いているにもかかわらず、自治体の長である私に一言もなしに競馬会が農水省に出したことはまことに遺憾である、恐らく農林水産省は何らかの形で私のところに意見を求めてくるであろう、こういう答弁をいたしました。これは新聞に出ていますから、議会の答弁ですから、市長はそういうことをいたしました。  さらにその後、お母さん方を初め、自治会を初め、さまざまな形で、今とにかく市長に農水省へちゃんと物を言ってもらいたい、毎日こういう陳情があっているようであります。きのうもついに連合が立ち上がりまして、この福祉施設をこのまま、もし持ってこられると大変なことになる。それで連合が市長に会ったようであります。市長は、間もなく、できれば農林省に私の意見を述べたい、こういうことも聞き及んでいるわけであります。議会が終わり次第、こう言っている。  さて、大臣、あなたに二回目の私の質問であります。先ほど畜産局長からの答弁、私の質問に対して何ら一つ答えられない。否定もしない。否定できないでしょう、事実を私は持って言っておるわけですから。こういう事態の中で、私の方もこれから十分これらについて対応して検討していきたいと思いますが、大臣はどういう感想をお持ちになったのか、そしてこれまで混乱があって、きのうの発言では、もしこのまま認可をするようなことがあったならば大変な重大な事態が地元で起こるであろう、したがって、それを防ぐためには何としても私も意見を言うべき時期が来たと思う、こういう発言をしておりますが、高松の脇市長をお呼びになって、自治体の代表者として市長の意見を聞く用意があるかどうか、それを重要な参考にする気持ちがあるかどうか、ちょっと大臣から私は答えてもらいたい。
  159. 近藤元次

    近藤国務大臣 るる先生からきょうも経過を述べられましたし、前回も質問がございました。  私は、今回申請が出されたというので、事務当局には前回の質問のやりとりの中に先生の御発言に、どうも町内会というものの同意のとり方に大きな問題があるというようなことが中心になって御発言があったようでありますので、同意をとった町内についてどのような同意のとり方をしたということもよく慎重に調査をしながらこの問題を取り扱わなければいけませんよ、こういうことは事務当局に指示をしておるわけでありますが、目的以外に使われたとか美容院とか喫茶店とかいうようなことはきょう初めて私はお聞きをいたしたわけでありますので、そのことについては私も定かではございませんから、ここで御答弁をする用意はございません。  ただ、市長の問題につきましては、まあ農林水産省からやがて意見を求めに来るだろうということも一つのやり方かもしれませんけれども、それだけ地元があるいは議会で問題になっているとしたら、市長としても自分の意見というものを私に述べていただくのも方法ではないのかな、そういう感じをして私は今受け取らせていただきました。市長の意見が私のところへ来れば、参考として当然考えなければならないことであるということは私も承知をいたしておるわけであります。
  160. 三野優美

    三野委員 ありがとうございました。大臣、市長はきょう議会が終わりますので、恐らく最も近い時期に農林水産省大臣にお目にかかりに来るだろうと思います。どうぞひとつ地元の実情をよく市長から聞いていただき、そして今私が申し上げました経過というものも精査していただいて、住民が納得のいくような、あるいは私も含めて納得のいくようなひとつ結論を出していただくように特にお願いをして、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  161. 大原一三

  162. 倉田栄喜

    倉田委員 公明党の倉田でございます。  まず私は、ガット農業交渉について、大臣ダンケル事務局長と会見をなさいましたけれども、その点、三点にわたってお伺いをしたいと思います。  まず第一点ですけれども、八月十三日付の朝日新聞の報道によりますと、ダンケル事務局長の朝日新聞のアンケートに対しての回答がありまして、その中で、「問題は日本関税化を受け入れるかどうかではなく、関税化をどの範囲まで適用するかだ」このような回答があったと報道がなされております。その回答の真意について大臣はお確かめになったのかどうか、これが一点でございます。  それから、いわゆる関税化ということになりますと、これは食管法の根幹を揺さぶるようなことになってしまう、何としても阻止をしなければいけないと私は思うわけでございますけれども、大臣、この食管法と関税化ということをどのようにお考えなのか、これが二点でございます。  三点目に、いわゆる今後の農業交渉見通してございますけれども、大臣は、九月十九日付の日本農業新聞の中で、「政治判断で、一気に転がる恐れがある」、このような御発言をなさったとの報道もございます。この政治判断で一気に転がるおそれがあるということは、その真意というのはどのようなことを意味しておるのか。まずガット農業交渉について、この三点、大臣にお伺いをしたいと思います。
  163. 川合淳二

    ○川合政府委員 朝日新聞の話がございましたので、ちょっと私からまずお話しさせていただきたいと思います。  朝日新聞の八月十三日に、見出しか「関税化大筋で決定」ということで記事が出ているのでございますが、もちろんこれは朝日新聞がダンケル事務局長に書面で回答を求めたものでございますので、回答そのものを私どもは見ているわけではございませんが、見出してはなくて、書面の回答要旨というのがございまして、それを読んだ限りでは、ダンケル事務局長はかなり慎重なお話といいますか要旨になっておりまして、要するに関税化についてその適用の範囲をどうするかというようなことが問題になっているというふうに書いてございますので、必ずしもこの見出しのような形になっているというふうに私どもは受けとめておりません。  大臣ダンケル事務局長会談につきましては、先ほど来大臣からもお話がありますように、事務局長は公平な調停者という表現を使っております。また、ガット上の一般論として、これも大臣からお話が先ほど来ありますが、関税が有効な手段だというような発言をしておりますけれども、今のところこの見出しのような形で進行しているというふうには私どもは思っておりません。
  164. 近藤元次

    近藤国務大臣 朝日新聞の記事に直接触れてダンケル事務局長には聞きませんけれども、過去、書面をもってダンケル事務局長が出されておることも、前回のペーパーについても極めて公正な立場で出されておりますので、私どもは評価をいたしております、今後もそのような対処の仕方をしていただきたい。当然のことながら、ダンケル事務局長は、関税によってどこまでカバーできるかというような意味合いのことが新聞に報道されておったわけでありますから、どこまで関税対応できるかということは、全部でないということを意味しておるのではないかという気持ちも私の中にあったわけでありまして、そういう意味では私はそう表現をしておいたわけでありますけれども、農業問題ということではないがということで特に触れて、ウルグアイ・ラウンド全体としてすべての分野で、ガットというそのものが関税基本であるというようなことの表現が、事務局長から私に対するお話が実はございました。  それからもう一つは、関税化の問題になれば、国会で御決議をいただかなければなりませんので、我が国としては関税化での対応は困難である、同時に国会としても関税化でその法律は通らないだろう、こういうこともあわせてお話をしておきました。  政治的に転がるであろうということは、前の国会でも私が御答弁をさせていただいたわけでありますけれども、もう四年余にわたってそれぞれの国の主張を述べ合ってきておるわけでありますので、各国の問題点、またグループごとの問題点、それぞれはもうきちっと整理をされておるわけでありますから、その問題の整理の処理の仕方によって政治レベルで話し合いがつくと前進をしていく、そういう意味合いでお話を申し上げたわけでありますし、年末合意というのはOECDの会議でも話が出ましたし、あるいはサミットでもそういう合意が各国によってなされておるわけでありますので、そういう意味合いで私がお話を申し上げたところであります。
  165. 倉田栄喜

    倉田委員 農業交渉につきましては大変な時期に来ている、そのように思いますので、この関税化が新聞紙上を大変ににぎわすわけでございます。関税化ということだけは、これは何としても阻止していただかなければならない、大臣、大いに頑張っていただきたい、こういうふうに思います。  次に、雲仙・普賢岳被災の件について若干お尋ねしたいと思います。  現在もこの雲仙・普賢岳の被災状況は続いておるわけでございますけれども、被災者の方々の御心労、本当にいかばかりか、このように思います。  農水省としても、雲仙・普賢岳被災に関しては十分な対策を講じておられるだろうと思いますけれども、例えば、相当な火砕流が流れ込んでおりまして、あの辺はたばこ産地だというふうに伺っておるわけでありますけれども、そういう農地復旧、あるいは農地に関してもう復旧の見込みがないようなところもあるのだろうと思いますが、この点につきまして、農水省としてはどのような救済手段を考えておられるのか。営農的指導はどうなさっておられるのか。例えば復旧困難な農地自体の買い上げを考える等、その補償等の救済対策はないものかどうか、この点についてお伺いいたします。
  166. 海野研一

    ○海野政府委員 お答え申し上げます。  雲仙の災害につきましては、火砕流や土石流、降灰等で被災した農地、これは火山活動が鎮静化して安全が確認された後に中へ入って現実に調査をしてみないと、どういう方法だったら復旧できるかということは厳密にはわからないわけでございますが、私ども既にいろいろな角度から、最終的な判断ではございませんけれども、航空写真を見るとか近くへ派遣をした職員の見方とかいろいろなものを総合しながら検討は開始しておりまして、現在まで、航空写真を中心にして見る限りは、基本的には復旧はできるというふうに私ども見ております。  ただ、もし火砕流が厚く堆積して従前どおり復旧することが著しく不適当だというような場合には、一定の要件の範囲内で代替開墾という災害復旧のやり方がございまして、その農地にかわる別の未墾地を開墾することを災害復旧事業として補助するというようなこともございますが、現在のところは、私ども基本的には原形に復旧できるのではないかというふうに見ております。
  167. 倉田栄喜

    倉田委員 それからもう一点。雲仙の火山灰降灰によりまして、いわゆる酸性度が上昇する被害も、報告をお受けになっているかどうかちょっとわかりませんけれども、直接お聞きすることがあります。  そこで、この酸性度の上昇による被害についての対策というのはお考えになっておられますか。
  168. 海野研一

    ○海野政府委員 御指摘のように、雲仙の噴火の降灰は理化学的に酸性でございまして、これによって土壌が酸性化するということは十分予想されているわけでございます。  酸性化した土壌につきましての対策としては、表土と下とをひっくり返すいわゆる天地返しの工法、それから大した分量でないと、ある程度深いところまでかきまぜてしまうという混層工法、さらにはある程度たまった灰をどけてしまう排土工法、それから酸を中和するための土壌改良剤の投入というような幾つかの方法がありまして、これらを組み合わせて対応するということになろうかと思います。これは、灰の厚さが一定の要件を満たした場合には、そのような工法は災害復旧事業として国庫補助の対象となるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、具体的な酸性の話につきましては、いわゆる灰の除去というよりももっと現実に現地を見てみなければいけないわけですから、安全確認後に早急に被害状況調査しまして、その調査結果に基づいて適切な工法がとられるように指導いたしたいと思っております。
  169. 倉田栄喜

    倉田委員 きょうは自治省の方にもお見えいただいておりますが、いわゆる農地が復旧困難な場合、もう農地が農地として使えなくなるような状況が出てきた場合、例えば自治省としては固定資産税の評価を見直される御用意はありますでしょうか。
  170. 堤新二郎

    ○堤説明員 お答え申し上げます。  固定資産税におきます土地の評価につきましては、評価事務の簡素化等のために三年に一度の評価がえを行っているところでございまして、評価がえの年度以外の据え置き年度におきましては、原則として評価がえの年度、これを基準年度と言っておりますけれども、基準年度の評価額がそのまま据え置かれておるわけでございます。  しかしながら、当該土地につきまして、浸水ですとか土砂の流入ですとか地すべり等によりましてその土地の区画形質に著しい変化があった場合など特別の事情があります場合には、その基準年度の価格によらないで、据え置き年度ではございますけれども、改めて当該土地に類似した付近の土地に比準をした価格で評価がえを行うことができることになっております。
  171. 倉田栄喜

    倉田委員 非常に特別な場合であると思いますので柔軟に対応していただきたい、このように思います。  続きまして、先ほども質問ありましたけれども、いわゆるにせコシヒカリ事件について若干お尋ねしたいと思います。  警察庁の方においでいただいておると思うのですが、現在の捜査の状況を簡単に御説明いただければと思います。
  172. 松原洋

    ○松原説明員 お答えいたします。  本件は九月三日、新潟県食糧事務所長から新潟県警察に対しまして、有印公文書偽造、同行使事件としての告発がございまして、これを端緒として捜査に着手したということでございます。  容疑事実の概要でございますけれども、長野県上田市所在の飯塚米穀の社長等四名が共謀いたしまして、産地の異なる米を新潟産コシヒカリと偽って販売するに際し、にせの検査証明つき米袋三百六十袋をつくりまして、平成三年七月ごろ、アサヒ通商株式会社を介した上で山種商事株式会社の指定する倉庫に搬入をし、もってにせの検査証明つきの米袋を流通させ、行使したというものでございます。  新潟県警察におきましては、九月六日に関係箇所に対する捜索を実施いたしますとともに、同月十九日には有印公文書偽造、同行使の疑いによりまして、先ほど申し上げました上田市所在の米穀会社の社長等四名を逮捕し、現在被疑者の取り調べなど所要の捜査を進めているという報告を受けております。
  173. 倉田栄喜

    倉田委員 いわゆる逮捕されましたところの飯塚米穀でございますけれども、報道によりますと、特定米穀集荷業者であって、いわゆるくず米しか扱えないところである。それからアサヒ通商、山種商事、こういうところも同じだと思うのですけれども、警察としては、いわゆる食管法違反、こういう形では捜査されていないのでしょうか。
  174. 松原洋

    ○松原説明員 お尋ねの点につきましては、新潟県警察からは、食管法違反として捜査をしているという報告は受けておりません。
  175. 倉田栄喜

    倉田委員 今後食管法違反として捜査をされるような見込みがあるのかどうか、その実態というものはどうなっているのか、その辺について御報告いただける範囲があればお答えいただきたいと思います。  それから、先ほど質問に出ていましたけれども、いわゆる本件ルート以外に相当な量のほかのルートがあるわけですけれども、そのルートの捜査も進んでおるのかどうか、いかがでしょうか。
  176. 松原洋

    ○松原説明員 新潟県警察におきましては、先ほど申し上げましたように、現在有印公文書偽造、同行使の容疑で鋭意事実関係の解明を進めているところでござます。他に法令違反があるかどうか等につきまして、具体的に申し上げ得る段階にございませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  警察といたしましては、他の法令に違反するような行為が明らかになった場合には、その内容に応じまして関係機関とも連絡をとりながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  177. 倉田栄喜

    倉田委員 いわゆる今回使われました米袋ですけれども、報道によれば、上田市農協から七万袋くらいの無地の米袋を購入しているのではないのかという報道がございます。この米袋の製造実態というのは、これも報道ですけれども、正式な注文がない限り紙製米袋というのは製造されることはない、いわゆる農協の発注がなければ製造されないのではないか、こういうことでその米袋については農協関係者の関与もあるというふうな報道もございましたけれども、捜査の状況というのは、その米袋の製造それから購入の実態、そのあたりまでも進んでいるわけですか。
  178. 松原洋

    ○松原説明員 いろいろと報道がなされていることは承知をいたしておりますけれども、現在新潟県警察におきまして、事案解明のため必要な関係者の取り調べあるいは被疑者の取り調べ等捜査を進めているところでございます。具体的な捜査の内容につきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  179. 倉田栄喜

    倉田委員 今回の事件の中で、いわゆる自由米市場というものがあるのではないか、あるというふうな報道があるわけですけれども、食糧庁として、この自由米市場の実態というものは把握をされておられるわけでしょうか。
  180. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 御指摘のございましたいわゆる自由米市場というものがいかなるものであるかというのは、必ずしも足かな概念規定があるわけではございませんけれども、通常言われておりますいわゆる自由米市場というところでの営業というのは、私どもの承知をしているところでは、主要な産地におきます生産状況でありますとか、あるいはいろいろな相対取引における価格状況等の情報を集めてこれを会員に配付をするというようなことが主たる業務内容になっているというふうに承知をしております。  このこと自体、食糧管理法上直接違反を問うことは大変困難なわけでございますけれども、そういった情報をもとにして現実に行われる不正規の流通に関する営業行為は食管法に違反するものであるというふうに認識をしておりますけれども、その事実関係を完全に掌握するということは大変難しい問題であることも事実でございます。
  181. 倉田栄喜

    倉田委員 今回の事件をどうとらえるかということですけれども、一つは、やはり食管法の形骸化を象徴しているような事件ではないのか、こういうふうな見方も多分あり得るのだろうと思うのです。  この飯塚米穀、山種商事それからアサヒ通商、ここがいわゆる特定米穀集荷業者であって、食管法上はくず米しか扱えないところである。ここがいわゆるコシヒカリ、こういうものを扱っている、販売をしている。これは食管法違反である、このように考えてよろしゅうございますか。
  182. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま先生から御指摘のありました事実関係でございますが、御指摘のございました各業者が特定米穀集荷業者であるということは、少し事実と違うように私ども認識をしております。  御指摘の飯塚米穀については、別会社名義で確かに特定米穀集荷業者の指定を受けておりますけれども、飯塚米穀自体は長野県知事の許可を受けた米穀の小売業者と理解をしております。それからアサヒ通商につきましては、特定米穀の販売業者としての指定を受けて営業を行っておるものというふうに承知をしております。それから山種商事については、アサヒ通商と同様に特定米穀販売業者としての指定を受けて営業を行っておるものというふうに私ども理解をしております。  いずれにしましても、それぞれの指定または許可を受けた営業種目以外の行為を行うことは食糧管理法に違反する可能性が非常に高い、むしろ違反する行為であるというふうに言えようかと思います。
  183. 倉田栄喜

    倉田委員 飯塚米穀の点で、今小売の許可も得ているという話もございましたので、もう一点確認をさせていただきたいと思いますが、小売が卸をするということも、これは食糧管理法違反でございますね。
  184. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 御指摘のとおりでございます。
  185. 倉田栄喜

    倉田委員 この事件の背景にも及ぶわけですけれども、いわゆる新潟コシヒカリあるいは魚沼コシヒカリというブランド米の生産量それから販売量、この実態というのは食糧庁として把握をされておられるわけでしょうか。
  186. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 末端の小売段階におきますブランド米の状況あるいはまたその種類別の状況というものは、私ども掌握をしておりません。
  187. 倉田栄喜

    倉田委員 いわゆる小売の状況、どの段階かちょっとあれですけれども、消費者のブランド志向というのがあって、いわゆる小売段階の中で米を各ブレンドされているケースが多いと思うのですけれども、このブレンドということは食管法上どういうふうに位置づけられるのか、お聞きをしたいと思います。
  188. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 御承知のとおり各地域でいろいろな銘柄の米が生産をされておるわけでございますが、末端の小売におきまして、消費者の嗜好等に応じて複数の産地あるいは銘柄品目をブレンドするというケースは一般的にございます。  ただ、その表示の仕方についてやはり一定の指導基準を持っておくことが必要であるということで、私どもが一定の基準を示しながら各都道府県が各地域の実情に即してこのブレンドに伴う表示のあり方についての指導をしておるところでございまして、それに沿ってブレンドについての表示、販売が行われておるというふうに承知をしております。
  189. 倉田栄喜

    倉田委員 今回の事件につきまして食糧庁からいろいろ通達が、不正規流通米のいわば取り締まりについて出されております。この通達を出されて、現場としてはその通達を受けでどのような対応をされておられるのか、その効果というのはどういうふうになっておるのか、今おわかりでしょうか。
  190. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 通達というのは、九月九日に出したものを指してのお話でございましょうか。
  191. 倉田栄喜

    倉田委員 九月一日から九月十三日ですかね、三回ぐらい出されていると思うのですけれども、二回ですか。
  192. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 実は今回の事件の発覚に伴いまして、私ども従来からこの不正規流通の防止のための努力をしておるわけでございますが、特に注意喚起を改めて行うという意味で、私の名前で関係団体それから各都道府県に通達をしましたのは一回でございます。これ自体は関係者に注意喚起を要請するものでございまして、本件の発生にかんがみまして改めて不正規流通の防止についての注意喚起をしたものでございまして、そのことによって具体的にどういう効果があらわれるかということを当面期待するものではないわけでございます。  本件の処理については、先ほど来申し上げておりますように、現在刑事案件としての捜査当局の捜査が進んでおりますので、その進捗状況を見守りながら、必要に応じて連絡をとりながら、不正規流通問題としてどう対応していくかについては、私どもとしても捜査の結果、あるいはまたそれに加えて私どもの追加調査を踏まえて判断をして対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  193. 倉田栄喜

    倉田委員 今回の事件を通じて今後の取り組み、いわゆる不正規流通米に対してどんなふうに取り組んでいかれるかということでございますけれども、一つは、消費者の中に高品質志向あるいは多様な消費者ニーズというのがある、こういうニーズがあっていわゆるブレンドがあったりブランド志向というのがある、実態はそのように動いていっているんだろうと思うのです。  食糧庁としては、例えばコシヒカリとして新潟コシヒカリとしか掌握をしていない、こんなふうにお聞きをしたわけですけれども、今後例えば産地銘柄別に商品価値を出せるような体制というものも考えていくべきではないのか、こういうふうにも思うわけですけれども、今後の体制、取り組みいかんという、どのように取り組まれるかということと同時に、この産地銘柄別に商品価値を出せるような体制づくりというのはできないのかどうか、お聞きしたいと思います。
  194. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 お話のございましたように、米に対する需要というのが大変多様化をしてきておりまして、特定のブランド志向が高まるとか、あるいはブレンド志向も出てくるという状況がございます。  私どもとしては、現在生産なり流通の状況を踏まえながら、農産物検査法に基づいて行います米の検査規格の中で、検査の裏打ちをする産地銘柄を決めております。その銘柄どおりで流通することはもちろん、その表示の適正化を指導すると同時に、一定のルールに従ってブレンドしたものを適切に表示する仕方を基準をつくって業界指導に当たっておるわけでございまして、私どもとして、その場合の産地の表示の仕方については、現在の農産物検査における規格においては、地域の単位として都道府県を原則的な単位にとることにしております。  これをさらに都道府県を分けて細かい地域に細分化をするかどうかという問題が多少議論としてあるわけでございますけれども、これは基本的には生産者側と需要者側がそういう銘柄区分をつくることについて合意ができ上がるということがまず大前提であろうかと思います。もしそのような細分化された産地銘柄が必要であるという合意ができ上がりますれば、それに対応した私どもの農産物検査法上の検査のあり方についても工夫を凝らしていくことが必要ではなかろうかというふうに認識をしておるところでございます。
  195. 倉田栄喜

    倉田委員 次に、これは水産庁、外務省、海上保安庁の方にお聞きをしたいと思うのですけれども、いわゆる西日本海域における韓国漁船の領海侵犯や違反操業、これらがあって、この水域で漁業をされている方々が大変にお困りになっております。また、中国漁船の網漁業禁止水域における大型底びき網漁船の操業の事実もあるというふうに報道されておりますが、水産庁、それから海上保安庁、この事実はそのとおりでございましょうか。
  196. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 韓国漁船の操業でございますけれども、九州北西海域、山陰沖合海域等西日本海域を中心にしまして、相変わらず違反操業が多発しているというのは事実でございます。その違反の漁船でございますけれども、ほとんどが船名、登録番号を隠ぺいするとともに、我が国沿岸漁船の操業を妨害するなど極めて悪質な違反操業の状況になっております。  それから、中国漁船につきましても違反操業が見受けられるわけでございますけれども、これも水産庁としまして、違反船を現認した場合あるいは紛争が発生した場合等には、外交ルートを通じます善処方を申し入れておるわけでございますけれども、残念ながら違反船の操業は後を絶たないというような状況でございます。
  197. 野崎典重

    ○野崎説明員 お答えいたします。  西日本海域における韓国漁船及び中国漁船の領海内操業等についてでございますが、対馬周辺及び九州北西岸から島根県沖合に至る西日本海域は地理的に韓国に非常に近うございまして、また沿岸部が非常に好漁場となっているということから、これらの海域におきましては従来から韓国漁船による不法操業が絶えないという現状にございます。  このような状況にかんがみまして、海上保安庁においては巡視船艇及び航空機による積極的な監視取り締まりをこの海域において実施しているところでございまして、平成二年中には、これらの海域におきまして韓国漁船三十三隻を外国人漁業の規制に関する法律等の違反により検挙しております。また、本年に入りましてでございますが、八月末までには既に三十五隻を検挙しております。  それから、中国漁船に関します違反操業の実態でございますけれども、これら西日本海域における中国漁船の操業は、主として対馬周辺海域において二そうびきトロール漁船団による操業等が多数見られております。さらに、最近ではイワシ等の採捕を目的とするまき網漁船団等の操業も見受けられるところでありますが、これら中国漁船の操業は、その操業海域が領海至近の公海上であるということから、領海侵犯等の操業を行うケースも見られます。  このため、海上保安庁においては巡視船艇、航空機により不法操業防止のための厳重な監視取り締まりを実施しておりますが、平成二年には五隻を外国人漁業の規制に関する法律等違反で検挙しております。  以上でございます。
  198. 倉田栄喜

    倉田委員 今御説明いただいた事実があるわけですけれども、外務省としてはこの事実をどんなふうにとらえておられて、また交渉されておられるわけでございましょうか。
  199. 樽井澄夫

    ○樽井説明員 御答弁申し上げます。  外務省といたしましても、地元の関係者の皆様、それから水産庁、海上保安庁等より逐次御連絡を受けておりますので、先生御指摘の事実については承知いたしております。  この面につきましては、特に韓国漁船の操業問題につきましては、韓国政府に対しまして日韓の首脳会談、それから外相レベルの協議ということで機会あるごとに強い申し入れを行ってきております。そのことがございまして、韓国政府に対しまして指導取り締まり強化を強く働きかけているという状況でございます。  また、一九八八年一月より実施しております現行の自主規制措置が本年末に一応終わりますものですから、今度新たに日韓間で漁業実務者協議を開催いたしましてまた話し合っていくという状況にございますけれども、本年末に向けて満足のいく結果を得ようということで双方とも努力しておるところでございます。  それから、中国漁船の操業問題でございますが、これにつきまして日中漁業共同委員会という場を我が方は設定しておりまして、その場におきまして問題意識を伝えでございます。これに対しまして、中国側より我が国周辺水域における漁業秩序を遵守する、中国漁船に対する指導監督を強化することに努めるということを表明しておりまして、中国政府もこれに対して熱意を持ってやっておるという状況でございます。  いずれにしましても、この種問題の解決のためには引き続き韓国政府、それから中国政府に対して強く働きかけを行ってまいりたいというふうに思っております。
  200. 倉田栄喜

    倉田委員 それから、いわゆる東シナ海漁場について、この海域の公海で国籍不明船による襲撃及び強奪事件が起きている、このような報道がございますけれども、これは海上保安庁、このような事実がありますでしょうか。それから、事実あった場合、同海域の巡視活動というのはどういうふうになっておりますか。
  201. 柳田幸三

    ○柳田説明員 お答えいたします。  まず事件の発生状況でございますけれども、本年の三月十八日から七月十七日までの間に、東シナ海の公海上におきまして我が国漁船が国籍不明船から臨検あるいは襲撃を受けるという事件が十一件発生しております。これらの事件のうち、襲撃を受け、金品を強奪されたもの二件、臨検を受け、または臨検を受けそうになったもの九件でございます。  海上保安庁といたしましては、四月六日に事件を認知した後に直ちに現場海域に大型巡視船一隻を配備いたしまして、我が国漁船の保護に努めておりましたが、四月二十一日に至りましてさらに臨検されるという事件が発生しましたことから、四月二十三日から大型巡視船をさらに一隻増強配備いたしまして、二隻体制によりまして、水産庁の監視船と連携をとりながらパトロールを実施しているところでございます。  また、水産庁を通じ、あるいは現場におけるパトロール中に、出漁漁船に対する注意喚起、また、事件発生時における当庁への速報方について指導しているところでございます。
  202. 倉田栄喜

    倉田委員 漁民の方々の不安というのは大変なものでございますので、ぜひともしっかりとした巡視活動の強化をお願いしたいと思います。  時間が参りましたので、最後でございますけれども、いわゆる長雨、日照不足による被害、そういうものが相当出ておりまして、私のところの熊本も相当日照不足による農作物の被害というのを聞いております。この長雨、日照不足による被害状況、この対策についてどのようにお考えなのか。  それから、時間が詰まってしまって大変恐縮でございますが、大臣最後に、いわゆる農業基本法の見直しを大臣お考えで、お進めになっておられる、こういうことでございますので、どのような基本的な方向で進めておられるのか、お伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  203. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 今お話のございました、四月から七月の上旬にかけまして長雨がございました。九州地方を中心といたしまして農業に大変被害が出ておりますが、九月二十四日までの県の報告によりますれば、麦等を中心に農作物で約百七十六億円の被害となっておるところでございます。  農林省といたしましては、この長雨対策といたしまして、九州農政局におきまして日照不足に係る技術指導の徹底について各県に通知し、技術指導の徹底を図ったところでございますが、その後、麦の品質低下等の影響がございますので、農業共済につきまして損害評価に関します特例措置を講ずる、また、規格外麦につきましては、生産者への交付金を行う国内産麦流通円滑化特別対策事業の適切な運用でございますとか、自作農維持資金の融資枠の確保等によります融資の措置、こういった対策を講じているところでございます。  なお、今後とも引き続き被害の実情に応じまして、被災農家対策に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  204. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生御案内のように、五月に発足をさせていただきまして、事務次官を本部長として鋭意検討させていただいておるところであります。  視点としては、担い手の問題、そして土地利用型の農業の問題、地域政策、そして環境問題、そして食品流通、消費者対策というようなことを視点にして、この辺がまとまってくれば、当然それの組織であるところの団体関係の見直しがら、機関そして行政組織ということに運ばせていただくのですが、六番目の部分については一緒に出せるかどうか、いずれにしても四月までという目標を持って作業を今進めておるところであります。  大体総括的なところが、これを取りまとめるに当たりましては農林水産省政府責任で出すということにさせていただいておるのですけれども、我が省だけでやるということはいささか小さなものになるかな、専門家になり過ぎてはいけませんので、いろいろな分野、各般の有識者に懇談会にお集まりをいただいて、現在のところでは有識者からの御意見をいただくのも総括的な分野が終了したところであります。  今月からの検討会には、実は今度は今のそれぞれの分野にわたって検討を進めておるところでございますので、またいろいろ御意見がありましたら承らせていただきたいと思います。
  205. 倉田栄喜

    倉田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  206. 大原一三

  207. 藤原房雄

    藤原委員 同僚の委員からも、午前中各般にわたりまして問題の提起がございました。私もこの機会でございますからいろいろな角度から申し上げたいと思いますが、限られた時間でございますので何点かに絞ってお話し申し上げたい。  一つは漁業問題でございますが、これも現在いろいろな問題を抱えているわけでございます。過日、九月二日ですか、北海道で韓国漁船の問題を中心としまして、管理型漁業ということを言われ、そしてまた資源確保ということでいろいろな努力をしておる、その中にありまして非常に障害になっております韓国漁船の問題で、この対応のための漁民の緊急集会が開かれました。それらのことを踏まえまして、当局の考え方、また今後の対応についてお伺いをしておきたいと思うのであります。  もう既に御存じのとおり、北海道周辺には昭和四十年ごろから韓国漁船が来るようになりまして、昭和五十二年米ソの二百海里水域の設定以降、操業が頻繁になりました。それに伴って沿岸漁業者の漁具の被害というものが急増いたしまして、被害が今日までおよそ二千四百件余りと言われ、また十数億円の被害額だと言われておるわけであります。特に、優良な漁場と言われております武蔵堆とか襟裳堆を韓国漁船が底びきで引きますので、産卵場が破壊されておる、こういうことでございます。  このような事態に対処しまして、日韓両国は昭和五十五年以来自主規制措置を実施いたしまして、今回三度目ということになるわけでありますが、これが本年の十二月にいよいよ期限が切れるということで、本年の四月からこの交渉が続けられておるわけであります。  これらの事情については同僚委員からもお話ございましたし、今日交渉に当たっております農林水産省としまして、基本的なこれらの問題解決のために対応する政府の姿勢をまずお伺いしておきたいと思います。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
  208. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 日韓の間の漁業関係のあり方につきましてはもう御案内のとおりでございまして、本年末に操業の自主規制措置が期限切れになるということで、本年一月の日韓水産庁長官頂上会談以来既に四回の実務者協議を実施したところでございます。また、八月になりましてソウルで開催されました日韓議員連盟総会でも、この問題を焦点としまして御論議をいただきましたし、また、八月の末には全漁連会長等が訪韓して韓国側関係者に直接要請するというようなことで、問題解決に向けての環境づくりをいろいろやっていただいておるわけでございます。  韓国側もこの問題は放置できないものというふうな認識はしているわけでございますけれども、率直に申しまして今までのところ、日本側と韓国側には問題解決へのアプローチに大きな相違がある。日本側としては新たな枠組みをつくり、そのもとで漁業をすべきである、また韓国側は現行の枠内のもとで対応していきたいというようなことでございまして、そのアプローチには大きな相違があり、今後の協議においても相当な困難が予想されるわけでございます。  今後につきましては、十月上旬に第五回目の実務者協議を行うことといたしております。時間的に余裕もないわけでございますけれども、この協議を通じましてお互いに折り合える一致点を見出すべく最善の努力をいたし、自主規制措置が期限が到来する本年末に向けて、問題解決に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  209. 藤原房雄

    藤原委員 日韓両国には昭和四十年に締結しました日韓漁業条約がありまして、本年末で期限切れになりますこの自主規制措置、四年前に合意しております。日韓漁業条約を補足するような位置づけにあると思うのでありますけれども、今日の日韓両国の漁業関係や国際的な漁業環境を見ますと、自主規制措置の単純延長、こういうことでは限界があるのではないか。今日までも何度か、この自主規制措置も三回ですか、いろいろ変えられてきましたけれども、しかし、それも限界であろうと思います。そういうことから、日韓漁業条約を根本的に見直して新しい日韓漁業関係を構築する、こういうことでなければならないという漁業者の強い要求であることは御存じのとおりだと思います。  非常に困難なことだというお話水産庁長官、本当は外務省それぞれの担当からお聞きしなければならないことなのかもしれませんけれども、一義的には水産庁として今日までの経緯の中にありまして、この困難な問題をどう進めていくかということが一番大事なことだろうと思いますのでお聞きしておるわけでございますけれども、この新しい日韓漁業関係を構築する、こういうことでひとつ強力に提唱を続けていただきたい、何としても本年末に単純延長などということではなくて進めていただきたいというのが地元の強い要求なわけでありますけれども、このことについては長官、どうでしょう。
  210. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 日韓漁業関係のあり方を考える上で問題になっておりますのは、一つは違反操業問題、もう一つは資源の管理問題であろうかと思います。そのいずれにつきましても、やはり現行枠組みの中で対応するには限界があるということで、今御指摘のような線で何とか新しい枠組みについて、設定について見きわめていきたいというようなことを念頭に置いて、今後折衝に当たってまいりたいと考えております。
  211. 藤原房雄

    藤原委員 具体的なことについてちょっとお伺いしておきますが、世界が二百海里時代に入りましてもう十数年経過をいたしました。自国の二百海里内は自国管理するという国際慣習が既に定着しているわけでありますが、今日では公海漁場といえども新たな条約によって資源を管理しよう、こういう時代に入っておると思います。このようなときに、我が国の漁民の中に二百海里水域というものを完全に適用しまして自国の資源を守るということができないようではなりませんし、また、これが漁民の強い主張であろうかと思います。  そういう世界の流れの中にありまして、日韓、日中だけが昔のままの漁業関係を続けなければならないということに対しまして、そしてまたその新しい枠組みの兆しがなかなか見出せないというところに漁民のまたいら立たしさといいますか、資源管理を言いながら改革の成らないことに対する不満があろうかと思うのであります。この問題につきましては、水産庁としては異論のないところだと思いますけれども、こういう観点からもひとつ真剣な取り組みをしていただきたい、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
  212. 近藤元次

    近藤国務大臣 日韓関係は大変長いこと懸案になっておりますし、また極めて隣接でもありますし、漁業問題のこの種の問題というのは国民が国民同士で接触をするというような水産関係でございますので、この問題は他の問題と大変違った意味合いで、秩序を保っていくということをきちっとしておかなければいけない問題だ、実はこう判断をいたしておるわけであります。  問題は、違反操業が起きて、私も大臣になる前数回韓国と話し合いをしてまいりました。長い歴史もありますし、それぞれの漁業の力関係も過去においてございましたし、取り締まりをどこでやるかというようなことについての問題というのは過去の歴史の中からは主張が違ってきたりしておる、そういう困難な問題でありますけれども、この時点、もう世界的な水産の問題が資源というものを調査管理をするという大きな流れの中に、双方にとって中期的に見ても漁業資源というものに対して、その漁業操業しておる人たちにも決してプラスになることじゃございませんし、そういう関係で、今回の場合、水産庁長官からお答えをしたように、実務者会議でももう既に四回、ありとあらゆる段階においてこの問題について年末までにまとまるような努力をしてまいりました。  先般も、日韓議員連盟の総会においても経済委員会においてもこの問題を取り上げていただいて御協力をいただいておるところでもありますので、この問題、真剣に対処していきたい、そう考えて、長官以下今努力をしておるところであります。
  213. 藤原房雄

    藤原委員 我が国の漁業政策、これは二百海里時代に入りましてから一貫して資源管理型漁業の推進に力を入れてきたわけでありますから、そのことのために漁業者も栽培漁業とか資源量に合わせた操業、減船、こういう協力をしてきたわけであります。米の減反にも匹敵する以上に、今日まで資源管理型漁業という大義名分といいますか、このことのためにいろいろな施策をしてきた、また、それに対して漁業者も協力してきたという事実ははっきりあるわけでありますが、我が国の漁民が資源を守り、稚魚を放流し、資源をふやそう、こういうことの一方で、韓国漁船が公海であるということで日本の国内法を無視して操業するという、折衝を一生懸命やっておることはよくわかりますし、今日までの努力に対して私どももそれは多とするものでありますけれども、しかし、数次にわたります今日までの推移を見ますと、漁民として最も大事にしております資源が国内法とは無関係に操業される、こういうことでは国内で資源管理型漁業ということをどんなに主張いたしましても、これは漁民にとって本当にこの制度を守ることが危なくなる、こういう結果になるのではないか。みんなで協力しておるそういう中にありまして、無法操業を放置しておくということでは漁業者の遵法精神が損なわれる、こういう一面も、本当にやるせない気持ちがだんだん高じていったら一体将来どうなるのか、そういうことからいいますと、今までは二百海里時代、またいろいろな制約がある。そういう中で減船からいろいろなことを協力しながらやってまいりましたけれども、今日ここに至りますと、もう本当にぎりぎりのところではないか。  こういうことからいいまして、本年のこの期限切れに当たりまして、やはり日本立場といいますか、漁業者の心理、また現実、こういうものの上に立って、水産庁としましては強力な交渉をしていただかなければならない、こう思うのです。今日までの交渉につきましても十分わかりますけれども、その点ひとつ十分に踏まえていただきたい。  こういう問題が起きますと、日韓、日中だけにこういう不自然な関係があるわけでありますけれども、これも完全に二百海里というものが引ければ一番いいのですが、ここで問題になりますのは竹島問題、日韓漁業条約、それから日中漁業条約等におきましてはこういう問題があろうかと思いますけれども、これも漁業分野に限定しての解決の方法がないのかどうか。これは両漁業条約の、韓国漁船に限らず中国漁船等についてもやはりこれは新しい時代に即した秩序のときが来ているという、そういうことの上に立って解決の方途というものは見出せないものなのかどうか。これは今までのように、なし崩し的にいろいろな話し合いで来ましたけれども、今ここに参りますとぎりぎり何らかの対応策を講じなければならない、そういうときだと、私ども本当に痛感するのです。  大臣も一生懸命やっておるというお話は話として受け取りますが、こういういろいろな障害がありますけれども、それらのことを乗り越えて、ひとつこの交渉を成功させていただきたい、これらのことについて大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  214. 近藤元次

    近藤国務大臣 何といっても大きな問題は、取り締まり権をどうするかという問題がきちんと明確になることが、今度の自主規制改定に当たって一番大事な一つのポイントになっておるわけであります。竹島という領土問題が一つ存在をした。するものですから、二百海里の線引きが、これはなかなか引くことが困難でありますけれども、一つ頭の中に描いておるのは、管理権の問題等が片づく段階で、あるいはその後でもいいのですけれども、管理ラインみたいなものを設置をすることができるかどうかということも、一つ私の頭の中に描いていることでありますけれども、いずれにしても今度の自主規制問題が、今交渉が実は難航をいたしておるものですから、新たな問題を出すというところまでには立ち至っていないわけであります。  最終的には事務レベルだけで交渉がどう展開をしていくかということを見きわめて、また私が出かけていくなり長官が出かけていくなりという対応をしていかなければならないということを考えながら、十月初旬に日程を、専門家レベルで交渉することになっておるわけであります。それを見きわめながら今後対応していきたい、そう考えております。
  215. 藤原房雄

    藤原委員 確かに取り締まり権、権限がないということも一つあります。長期的な打開策ができれはこれにこしたことはございませんが、その前に取り締まり権限、それからまた禁漁期間、日本で操業を規制しておる期間にそれを無視するという、これもまた漁民にとって非常に逆なですることであります。こういう取り締まり権限や禁漁期間を守らせる、こういうこと等が相まっていかなければ、漁業者として今管理型漁業ということでやっております漁業というものは守り得ないということになるのだろうと思います。  いろいろな経緯等については、時間もございませんから一つ一つ申し上げることもできませんけれども、いずれにしましても禁止区域とか期間とか、こういうこと等につきましても、今日までの漁具被害ということもさることながら、禁止区域、禁止期間、こういうものが日本の国内法で守られておると同じような形でやはりきちっと定められることでなければ、あるいは漁業というものの今まで国内で施策を進めてきたものが生きてこない、こう思うのですね。相互の相手国の漁業規制、こういうものにつきましてはやはり平等にやるような、少なくともその線が守られなければならない、こう思うのですが、その点と、それから船名隠ぺい問題ですね、これも違反操業としまして見過ごすことのできない問題であろうと思います。  過日、北海道の知事が韓国へ行って、関係者のところへいろいろ陳情し、またお話をしてきたようでありますけれども、やはり現状については大分認識をしていらっしゃるのだろうと思います。しかしながら、交渉に当たるのは何といっても水産庁であり外務省であるわけでありますから、実力大臣、ひとつこの大事なときに一肌も二肌も脱いでいただいて、これらの問題の解決のために、少なくとも日本の国が国内法として国内的にいろいろ規制しておる、それに準ずる形のものをぜひやっていただきたい。日本と韓国では、韓国の船が日本の国に参りましてとる方が倍以上の状況だということも言われておりますが、こんなこと等を考えますと、見過ごすことめできないこのたびのこの問題については、ぜひひとつ、残されましたわずかの期間ではございますが、年末までの交渉段階で、この厳しい現実というものをしっかり見据えた上で、力強い、しかも韓国もいよいよ国連に加盟するという名誉ある地位についたわけでありますし、またあらゆる角度からひとつお話し合いをしまして説得していただきたい、こう思うのです。大臣、ひとつ決意のほどを何度もお聞きしておきます。
  216. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 ちょっと大臣がお答えする前に、私の方から答えさせていただきたいと思います。  資源問題につきましては、現在日本漁船あるいは韓国漁船が操業しています北海道周辺を初め、日本海、東シナ海におきまして底魚類を中心に、御案内のとおり押しなべて悪化しておりまして、そういう点で資源保護措置を講ずる必要があることは、お互いに手法は別にしましても共通の認識になっております。  我が国としましては、先ほど来御指摘ありましたような各種いろいろな措置を講じて資源の増強、資源を維持しながら操業をしていくというような体制をとっております。また積極的に資源をふやすというようなことも進めているわけでございまして、そういうことを念頭に置いて交渉に当たりたいと思っています。  また、周辺水域における韓国漁船の違反操業、特に最近は船名のみならず略号とか登録番号まで隠ぺいして操業している、それからまた我が国漁船の操業を妨害するというような極めて悪質な操業も多々見られるわけでございます。これにつきましては、毎回におきます実務者協議、あるいは日韓議連の会議、あるいは全漁連の直接要請におきましても強く韓国側に要請をしておりますし、これまた旗国主義その他手法の違いはありましても、韓国側につきましても違反漁船の操業問題につきましては認識は強まっているわけでございまして、そういうことも念頭に置きまして、今後、期限切れを迎えまして、交渉に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  217. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生から御指摘のございましたように、資源管理をするという立場日本漁船に禁漁区域を設定いたしておるにもかかわらず、他国船が入ってきてそれで操業していくというようなことであったのでは、これは我が国の漁業政策も漁民もとても我慢をし切れないという状態に立ち至っておりますし、とりわけ悪質になってまいりまして、船名等隠ぺいがもう九十数%という違反操業者で実はあるというようなことは、まさに悪質な状態になっておるわけであります。  その種の問題が、やはり取り締まりが沿岸国の取り締まりという状態というものをつくり上げていくということが少なくともそういう資源管理型を守り得るものだ、こう思っておるわけでありまして、この問題はこの機会をとらえなければいけないということで、真剣にその交渉を進めておるわけであります。期間は年末でありますけれども、私の期間の方が短いかもわかりませんけれども、全力を挙げて私がこの問題を取り組んでいきたい、こう思っております。
  218. 藤原房雄

    藤原委員 いい大臣は長くやっていただいた方がいいので、結末、いずれにしましても非常に日本漁業にとって海外の漁場がどんどん狭められる中にあって、大事なことですから申し上げているわけでございますけれども、ぜひひとつ取り組みのほどをお願いします。  いよいよ十月になりますと畑作物の政府価格の決定の期間になります。もう時間もございませんので最後にまとめて申し上げたいと思うのでありますが、てん菜の最低生産価格、それから大豆の基準価格、それから芋でん粉の基準価格、カンショの原料基準価格の取引指導価格、こういう価格の決定が、畑作三品と大まかに言われておりますが、時期が到来いたしました。これはいろいろな角度から申し上げなきゃならぬことなんですけれども、大規模化で、日本の国ではある程度主導的な立場にあります北海道の畑作または水田農業にいたしましても、過日、農林省の北海道統計情報事務所のまとめによりますと、農家経済収支でこの九一年度上期、一月から六月の道内農業所得、前年同期に比べて八・八%減少、こういう状況で、詳しいことは時間がございませんから申し上げる時間もございませんけれども、一方、農外所得というのは七・九%ふえておる。これはいろいろな要因がありまして詳しく申し上げなければならないことだとも思うのですが、いずれにしましても、ここのところは米を初めとしまして農産物価格が、また乳価等下がっておりまして、合理化努力もさることながら、生産資材がどんどん上がっておるわけでありますから、その中で合理化努力といいましても限界がある、こういう中でこの畑作価格の決定をしようというわけであります。いずれにいたしましても、この再生産確保、こういうことからいたしましても、この価格設定に当たりましては十分な配慮がなければならないと思います。  最近農村に参りましても農業をやる後継者がいないということはもう御存じのとおりです。農外収入によってようやく支えられておる。専業農家の方々は、行き先がもうこれ以上努力のしょうがない、そういう方々がどんどん離農を決意しておる。外圧のために日本農業が云々ということよりも国内的な施策、また経済の動向、こういうことがまた離農者をふやす大きなもとになるのではないか、そういう経済の非常に大きな変動の中にありますので、再生産確保という観点の上から、十分にこれらの価格決定につきましては御配慮いただきたい。地方の増進や土地基盤整備拡充、こういうことは当然といたしまして、畑作物におきましては輪作体系、こういうこと等もございますので、これらのものをひとつ十分に勘案した価格決定をぜひいただきたい。大豆の基準価格につきましては、銘柄間格差等につきましており大幅な拡大はしないようにしてもらいたいということや、でん粉等に関する現行の国境調整措置、こういうものを堅持していただきたい。  私どもは各地を回りましていろいろなお話を聞く中で、数多くございますが、以上の数点を申し上げて、畑作価格に対しましても十分な御配慮を賜りたいことを要望しておきたいと思います。これらのことについて局長の御答弁をいただきたいと思います。
  219. 武智敏夫

    ○武智政府委員 ビートあるいはカンショ等の甘味関連作物の生産価格についてでございますけれども、これは糖価安定法なりあるいは農産物価格安定法等に基づいて決定するわけでございます。これらにつきましては、農業パリティ指数に基づきまして算出された価格をベースにいたしまして、物価その他の経済事情を参酌しまして再生産を確保することを旨として決めるということになっておるわけでございます。  また、大豆につきましては、大豆なたね交付金暫定措置法に基づきまして、販売を主たる目的とする農家生産費なりあるいは需給動向なり物価その他の経済事情を参酌して決めるというようなことになっておることも御承知のとおりでございます。  これまで畑作物の価格決定に当たりましては、ほかの農産物価格の決定と同じでございますけれども、生産性の向上の動向ですとかあるいは需給事情ですとかあるいはまた内外価格差を縮小する要請といったようなことを考えて決めるわけでございますが、そのほかに、さらには御指摘ございましたような輪作体系というようなこともございますので、畑作物間のバランス等も勘案しながら決定してまいっておるところでございます。  平成三年産のわせ作物の価格につきましては、これらの点を十分総合的に勘案いたしまして、慎重かっ適正に決定していきたいと考えておるところでございます。
  220. 藤原房雄

    藤原委員 それでは大臣、時間ございませんので、漁業のことと畑作価格決定、このことについて申し上げましたが、どうかひとつ十分な御検討を賜りますよう。  以上で終わります。
  221. 宮里松正

    宮里委員長代理 藤田スミ君。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  222. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は最初に、平和の象徴ともいえますハトの問題についてお伺いをいたします。  ハトといいましてもハトレースの問題ですが、今、全国でハトレースを愛好する人たちは二万四千人、そんなふうに言われています。そして、社団法人日本鳩レース協会、これは農水省の許可のもとで一九五〇年に設立されたわけでありますけれども、この組織を中心にしてハトレースが実施されているわけです。この日本鳩レース協会の目的を見ますと、「レース鳩の形質の改良を図り、鳩を通じて国際親善に寄与をし、もって日本鳩界の発展向上に資するとともに、あわせて愛鳩家の親睦を図ることを目的とする。」こういうふうに書かれています。  ところが、この愛鳩家の親睦を図る日本鳩レース協会の運営が極めて強権的、非民主的なものになっているのではないかというふうな指摘がなされるようになってきました。現執行部の意に反する元役員の方が所属する連合会を、またその上部組織である地区連盟の協会が、その意に沿わない人を除名処分せよと指示したのにもかかわらず従わなかった、こういうことで地区連盟を取り消し、さらには連合会を除名しよう、こういうふうにしているわけであります。  もともと日本鳩レース協会は団体加盟になっておりまして、定款上でも個人をどうこうすることができない仕組みになっております。それを、ただ協会執行部の実態について農林水産省に上申をした元役員の方がおられる、そういうことでその方が所属する連合会に対して除名処分をしようというようなことは、全く異常な事態としか言いようがありませんけれども、お伺いいたしますが、農水省として、こういうことが協会の定款上認められるというふうに考えているのかどうか、明らかにしてください。  もう一つの問題は、この元役員の方が既にことしの二月に上申書を出されているわけでありますけれども、まだ正式に回答がなされていないというふうに聞いておりますが、それに対してどのような対応をされるのか、明らかにしていただきたいわけです。  三点お聞きしますが、もう一つは暴力団とのかかわりの問題であります。きょうの夕刊の朝日新聞の中にもこの問題が取り上げられておりまして、そしてこの夕刊では、「暴力団と親交のある協会評議員や暴力団組長の会員が総会などで幅を利かしている」というようなことを話をしながら「暴力団の関与を指摘する声も出ている。」というようなことが書かれておるわけでありますが、農水省としてこういうことを承知していらっしゃるか。それから、暴力団を排除するように指導されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  223. 赤保谷明正

    ○赤保谷政府委員 お答えを申し上げます。  三点御質問があったと思いますが、一つは組織の中での取り消し、資格取り消しの問題に関連したことでございます。  既に行われました地区連盟の資格の取り消し処分につきましては、この地区連盟がその協会の会員ではなくて、定款に基づいて定められている組織規程上の下部組織であるために、この取り消し行為自体が必ずしも定款、組織規程に違反しているとは断定し得ないというふうに思いますが、下部組織の取り消しか特定の会員の活動を制限することになりますれば、公益法人である協会の目的が十分に達せられないということになるとも思われますので、今後さらに事実関係調査確認をして、今申し上げましたような線、つまり協会の目的が十分達せられる、事業目的が十分達せられる、そういう方向で指導をしてまいりたいと考えております。  それから上申書の件でございます。今まで二度上申書が出されておりますが、概要は大きく分けて二つございます。一つは、公権停止中の者が役員に就任している、民法施行法第二十七条に抵触するのではないかというのが一点。それから二点目は、評議員会及び総会等において個人を協会から追放するような基本的人権を無視した決議について、農水省の調査及び指導を要請する、こういう趣旨でございます。  まず最初の問題ですけれども、私どもとしましては、公益法人については民法施行法第二十七条は当然遵守すべきものでありまして、今後の問題として、同協会に対しましてその旨の指導を徹底してまいりたいと考えております。  それから二番目ですが、個人に弁明の機会を与えずに、手順を踏まないで個人を協会から追放するといった決議が行われたということであれば必ずしも適切でないと考えられるわけですが、この点につきましてもさらに事実関係を十分調査確認した上で、適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから、きょうの夕刊のお話ございましたが、暴力団との関係、私まだ見ておりませんで承知をいたしておりませんが、いずれにしても公益法人と暴力団との関係状況等、それにつきましては十分調査の上、関係方面とも協議をしながら適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  224. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 きょうの夕刊では、日本鳩レース協会は、「農水省とは見解の相違がある。」とか「暴力団が協会の役員にいないことは確認しているが、それ以上の調査は難しい」と、否定はしていないわけです。  今言葉を大変選ばれて、三点の御答弁をいただきました。私はその意を酌んでもうこれ以上取り上げませんけれども、しかしこの問題は非常に重大な問題であって、そしてこのまま放置をすると、今度は農水省の責任がいよいよ問われてくる、こういう点では厳格な対応を求めておきたい、こういうふうに考えます。ひとつよろしくお願いをいたします。  それでは続きまして、にせコシヒカリの事件の問題についてお伺いをいたします。  けさほど来取り上げられておりました、そして事件の概要についてはもう御説明もございましたので、私はもう重ねてお伺いをしませんし、何を聞いても今は捜査中ということで、それもそうかいなというような気もしますので、基本的な問題についてお伺いをしていきたいと思いますが、いずれにしても消費者の一人として、ほぞかむ思いというのはこういうことかというふうに思いました。高いお米をわざわざ魚沼というブランドに引かれて買って、それがにせだった。しかも、それを知らせてくれたのはコクゾウムシで消費者じゃなかったというのは、何とも消費者の一人としても、ほぞかむ思いというのはこういうことだ、そういう気持ちを込めてお伺いをしていきたいと思います。  この事件は本当に悪質な事件です。偽造の米袋を使って長野県産米を入れて、魚沼コシヒカリと称して、特定米穀業者を使ってやみルートに流す。しかも、日本の最大手の卸業者の山種産業がこのやみルートのにせコシヒカリを大量に扱っていたという点で極めて重大な事件であり、この事件の徹底解明と厳正な対応が求められているわけであります。  また、この事件は数多くの教訓を含んでいると思うのです。このような事件を招いた温床は、山種産業会長の山崎誠三氏が大いに主張されて農林水産省が実行してつくられた正米市場にあることを指摘せざるを得ないわけであります。  そこで私は、まず最初大臣にお伺いいたしますけれども、全国の不正規流通業者は今回の事件の推移をかたずをのんで見守っているわけであります。明確な食管法違反に対してどのように厳正に対処されるか。まさに一罰百戒という言葉がありますが、それが今求められていると思います。  重ねて言いません、言ってもあれですが、飯塚米穀というのは小売免許しか持っていないのに、にせ魚沼コシヒカリの卸を行っていた。だから詐欺罪とともに食管法違反。そして山種産業においても、業界の代表的な卸売業者であるにもかかわらず、やみルートのにせコシヒカリを大量に扱っていたわけでありますから、これもまた食管法違反であります。食管法第八条二及び第八条三においては、食管法に違反したときは免許の指定の取り消しをすることができるとしているわけでありますが、このような不正規流通を二度と起こさない厳しい決意を、一罰百戒の姿勢を今回のこの事件で明らかにするためにも、今述べた食管法に基づく最も厳しい処分を行うべきであると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  225. 近藤元次

    近藤国務大臣 今回の事件は、刑事事件以外に不正規流通の問題を提起をいたしておるわけであります。  食管法がとかくいろいろな角度からいろいろ言われておるときでもありますし、不正規流通の問題についてもとかくうわさがあるところで今日まで来ておるわけであります。この問題は悪質な問題だという認識の中で、私ども捜査を依頼をし、そしてまた私ども、刑事事件の捜査とともに食管法違反についても、その刑事事件の捜査の進展とあわせて、私どもの食管法違反も調査をしていきたいと思うわけであります。調査の全容が明らかになったら厳正にひとつ対処をしていきたい、そう考えておるわけであります。  今度の対処の仕方によって、私は、今日とかく言われてきた問題の解消にもなることであろうし、今後また法を遵守していただけるという、そういう極めて大事な問題の扱いだというふうに認識をして対処していく所存でございます。
  226. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 一罰百戒というその思いは、今の大臣の御答弁で私は理解をしておきたいというふうに思いますが、今回の事件は、関係者に聞くともう本当に氷山の一角だと、今大臣も言われましたけれども、とにかく卸売業者は、みずからさばけない米をダミー会社を使ってやみ市場である神田市場なんというようなところに流すというようなことはもう常識の世界だというふうに言われているわけです。だから、日経新聞なんかにも自由米市場などの相場が掲載されている、こういうことになっています。そして、このやみルートが米流通を複雑化させて、消費者は米に対する不信感を持たざるを得ない、こんなことは前にはなかったと思うような思いを、米を見ながら、今持たざるを得ないというのが実情であります。  私は大阪ですので、アサヒ通商というところの問題ですね。これ、なべかまを扱っている業者の子会社でして、そして米消費拡大に圧力がまやなんかずっと販売広げて貢献したということで、業界とか農協からもたくさん表彰されて、そういうふうなことで、結局県域を越えて農協などの取引関係を非常に持っているし、また情報も持っている。そういうところからやみ米の仲介業者に転じて、しかもやみ米の仲介業者ということの地歩を確保するために特定米穀の資格を取って、日本青年会議所の米穀部会に入るというようなことで社会的地位もちゃんと得て、そういうものを看板にして取引を広げていった業者であります。本当に許せぬというふうに思うわけですが、こういうような業者は本当にいっぱいありまして、私たちは何度もこの委員会でもこの問題を取り上げてきました。  大阪の小売商のまじめにやっている人たちは、我々がいつまでやってもちっとも生活楽にならないし、米の小売業というのはとても難しくなってきた、それでいてやみ業者は大手を振って、そのうちにもう免許も取って堂々と手広くやってまた我々をいじめるということで、正直者がばかを見る世界だというふうに小売業者も訴え続けてきたわけです。私は、ここでもう一度やみルートを根絶する決意と対策を明らかにしていただきたいと思います。  また、やみルートということになると、高い米が集中しているのではないか。魚沼コシヒカリが七、八万トンしかないにもかかわらず、それをはるかに上回る魚沼コシヒカリが米屋さん、スーパー、百貨店、もういっぱい並べられて、こんなにあるはずないというふうに思っておりました。もっとも、この間行きましたら、百貨店ではその魚沼コシヒカリの袋が突如姿を消して、新潟コシヒカリと、随分大臣のところも侮辱されているわけですが、私のところも消費者として侮辱されているというふうに思いますが、こういうふうな魚沼コシヒカリ、あるいはネームを変えて新潟コシヒカリというふうなものが出回っている、その実態調査と流通ルートの解明をこの機会に徹底して行うべきであります。いかがでしょうか。
  227. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 今回の発覚した事件につきましては、ただいま大臣から御答弁申し上げたように、捜査の進展を見きわめて厳正な措置をとって、まさに一罰百戒の効果を得べく、具体的な措置を検討してまいりたいと考えております。  また、一般的な米の不正規流通問題について、ただいま先生からいろいろなお話をお伺いしたわけでございますが、私どもも、米をめぐる市場の条件がいろいろ変化している中で、小売段階における販売競争が大変激化をしておる、その中でいろいろな現象が出てきているのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  かねがね不正規流通の防止対策として、関係団体を通じまして末端の営業者に対する御指導をいただくと同時に、私どもも、許可権限を持っております都道府県の関係者と協力をして、巡回指導でありますとか業務監査といった日常活動を通じて指導を行い、また集荷期等におきましては警察との連携を持ちながら取り締まりを行うという努力をしてきておるわけでございます。  いずれにしましても、御指摘にございましたように、アサヒ通商という会社、私どもの指定を受けた特定米穀の販売業者でございます。営業を許可されている範囲を超えた活動を行っているというふうなことで今回のような事件も起こったわけでございますので、現在警察の捜査が進んでおりますので、その結果を見ながら、私どもとしての具体的な対処を考えていきたいというふうに思っておるところでございます。  また、いろいろな銘柄の流通状況について、私ども具体的に現在の段階でその調査をどうするかということを申し上げかねるわけでございますが、今回の捜査の結果、あるいは私どもの追加的な調査の結果で事実関係がある程度究明されることになりますれば、それを受けて関係都道府県とも相談をして、調査の必要性なりあるいはその方法についてよく相談をして対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  228. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 御答弁を聞いていて、今回の問題で本当に痛みを感じておられるのかな、正直そんな気持ちがしますよ。今まで何にもやっておられなかったわけじゃないでしょう。日常の巡回活動なんてずっとやっておられたのです。それでいてこんな問題起こったのはなぜなのかということを本当にもっと考えてもらわなければいけない、私はそのことを申し上げたいと思うのです。  私は、きょうは時間がありませんから、いろいろ本当に言えなくて残念ですが、どうしてこんなにやみ米が広がってきたのかな、少し考えたらわかるじゃありませんか。政府米がどんどん下がっていく。生産者にしてみたら横へ流す方が、ずっとその方がいいような、流れざるを得ないような条件、標準価格米の質が落ちて、米穀店のリベートは八%と非常に低い。米を売る意欲がそがれている、こういう問題もあるでしょう。そして、私はやはり、先ほども市場が変化している中でといみじくもおっしゃったけれども、その中で不正規流通が激化している、その市場が変化している、この自主流通米の市場の問題について言わざるを得ないわけです。  今回、やみ流通を手広くやった山種産業の会長山崎誠三氏は、御承知だと思いますが、経団連の米問題部会長をやられてきた、そして価格形成機構の運営委員もなされたわけです。この方はいつでも米の自由化論者であり、米の部分管理論者として新聞でもたびたび登場しております。そして、自主流通米市場の開設には一貫してこの人は、私は八八年一月に出したエコノミストを読みましたけれども、「私どもが一番望んでいるのは、自主流通米の適正価格を作る場が欲しいということです。」こういうふうに言って、あけすけに自主流通米の市場の開設要求を述べているわけです。彼の念願がかなってできた価格形成機構の運営委員になった、このこともそういうことからうなずけるわけです。  しかし、その自主流通米の市場によってますます銘柄間の価格差が生じ、そして今回の事件の背景にある銘柄の価格差によるもうけの余地を大きく広げ、みずから要望した自主流通米市場の開設でみずからもうける、そういう道を開いていったとしたら、これは国民を余りにもばかにしたことではないか、そういうふうに思わざるを得ません。  この自主流通米の市場というのは、産地では産地間競争が一層激化され、高齢化し、後継者もいない生産者を疲弊させ、他方、このようなやみ流通を一層激化させる役割を果たしてきた、そのことが明らかになったのではないでしょうか。  私どもは以前からこの自主流通米市場の廃止を主張しておりますけれども、大臣、この事件で自主流通米の市場というものをもう一度見直す考えはありませんか。いわんや県ごとの産米から今回の魚沼のような、今度は地域ごとの産米にするなどの動きが強まっておりますけれども、こんなことはあってはならない、認められないと考えますが、いかがでしょう。
  229. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま、昨年私どもが売り手、買い手の皆さん方の御意見を集約をして発足をいたしました自主流通米機構についてのお話がございました。  いろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、私どもとしては平成元年六月に農政審から報告をされました米穀の流適合理化についての報告に沿って、今日定着をしております自主流通米の取引の場として育成していくべく、これを発足させたつもりでございます。  今回の事件とこの自主流通米取引機構の発足とは必ずしも関係のあるものではなく、我々としては昨年発足してほぼ一年の結果を見、また本年に入っても円滑な運営に努力をしているところでございますので、御理解を得ながら、この円滑な新しい機構の機能発揮に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  230. 近藤元次

    近藤国務大臣 自主流通米の価格形成の場が今度の事件と直接絡んできたとか、あるいは山種産業の社長、私は面識がないので、どういう人でどういう提案をしているかということは余り定かではありませんけれども、その人が言ったからこの価格形成の場ができたなどとはちっとも私は思っておりません。  私もこの場をつくる提案者の一人でありますので、そういう面では、私はこの価格形成の場というのは、改正、見直しというのはこれから続けていくけれども、もう少し、県別よりは、地域別よりは、むしろ実力的な問題ということをもっと評価をしてやれるような、消費者も評価をできるし、あるいは生産者も自分の生産をするものの実力というのがみずから判断のできるような場ということは、私は正しいやり方だと思うのです。  それを悪用するとか運用する方法について、この種のことの事件が起きないようにするということについては、私も委員が言われた内容の部分についても、さらに流通の数量なり生産される数量なり、そういう悪質的な利用をされない面についての見直し等につきましては、私は、これを契機にやらなければならない、こう判断はいたしておるわけでありますけれども、この場ができたおかげで、私は、各県とも自分のつくっているものをよりよくするための品種改良なり、あるいはまた消費者ニーズに対応しての米生産なりというものが、全国にこの一年間の間にかなりの動きを見せたことは、生産者に対する一定の評価もできたのではないだろうかな。しかし、まだ生まれたばかりでありますので、必ずしも一気にいろんなことの改革というのができないのが農業の、あるいは食糧の、農産物の対応の仕方ではないかと思いますから、完璧だとは思っておりませんが、今後さらに見直していく、育成をしていくという方向で、正しい運営ができるように十分注意を払っていきたい、そう考えております。
  231. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 今の大臣の御答弁をまるで、少し言葉が厳しいかもしれませんが、あざ笑うように、やみ米情報に詳しい米穀データバンクの専務なんかも、この米の入札価格が、この市場が逆にやみ取引を活発化したというふうに言っているということだけ申し上げておきたいし、私は、農民が、生産者が喜ぶとおっしゃるけれども、決してそうじゃない、その実情というものを生産者の方でもしっかり見てもらいたいし、私は、消費者の立場でもそのことを申し上げておきたいと思います。  最後になりますが、先ほどから出ておりましたが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの問題についてです。  細かく言いませんが、私は、ぎりぎりのところで日本政府はどういう選択をするのか、このことを最後にお尋ねをしておきたいわけです。関税化を認めてガット・ウルグアイ・ラウンドをまとめるのか、ウルグアイ・ラウンドの成功よりも米の輸入自由化阻止の立場を貫くのか、端的にお伺いをしておきます。  そしてまた時期としても、十、十一月という非常に大事なウルグアイ・ラウンドのその時期に、自民党の方は総裁選、そして新たな組閣ということで、どなたが次の農林大臣になられるのかよくわかりませんけれども、ただでさえ交渉基盤が弱い状況になってしまうわけです。そういうふうな状態の中で、牛肉やオレンジのようなことに絶対にならないように、明確に、国会決議に基づいて米自由化はどんな形であろうと将来にわたって決して認めないということを明言することが非常に大事だと思います。大臣のお言葉をお伺いしたいと思います。
  232. 近藤元次

    近藤国務大臣 まだ事務レベルで各国の主張をし合うところでありまして、技術レベル分野でもまだ交渉に立ち至ってないと、私は今の現状の判断をいたしておるわけであります。  しかし、サミットでも年内合意ということが言われておるわけでありますから、政治レベルの会合も年内には行われるだろうと思うけれども、従来から申し上げておるように、米は国内産自給の方針で対処をしていくというのが我が国立場でありますし、国会決議もありますし、政府の方針には変わらないで、大臣がどなたになっても対応。していくものと私は確信をいたしております。
  233. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間が参りましたので終わります。
  234. 大原一三

  235. 小平忠正

    小平委員 大臣、過般は国会開会中にもかかわらず、はるばるヨーロッパまで出向かれまして、ダンケルガット事務局長中心に精力的に活動されてこられたこと、まことに御苦労さまでございました。  そういう中で、私どもの耳に入っております話といたしまして、ダンケル氏の発言の中に特に留意すべき点は、輸入障壁の関税化の考え方が浸透している印象を受ける、今後の農業交渉では関税化で大枠合意にこぎつけ、個々の国の問題はその後に取り上げる、さらに、日本主張する食糧安保論は例外措置としての根拠が薄弱である、日本としては在庫の積み増し、市場の多角化、輸入協定で対応できるのではないか、このような発言があったように聞いております。  ということは、このダンケル氏の発言は、依然としてアメリカ中心とします食糧輸出国の立場をまさしく代弁しているものである、こう言わざるを得ない。特に、日本のような輸入国立場を全然考慮に入れてない、こんなふうに私どもは危機感を持つのでありますけれども、大臣、その現場におられまして、どのようにそれについて反論され、またどのように対処されてきたのか、そこのところのあれを私からも重ねてお伺いしたいと思います。
  236. 近藤元次

    近藤国務大臣 国会開会中にお許しをいただいて、ダンケル事務局長にお会いをしてまいりました。  私がぜひ行かせてほしいという一つの大きな理由には、ダンケル事務局長が事務局長として、また農業交渉議長になられてから、閣僚レベルで我が国立場というものを正確にまだ伝えておりませんので、事務レベル会議もだんだんと進んでまいりまして、取りまとめに入る前にきちっとお話を申し上げておくことが必要であろう、こういう立場で、我が国立場を従来から申し上げているとおりに主張してまいりました。  とりわけ食糧安保について、基礎的食糧部分について、何が基礎的食糧であるかということは我が国で定義の提案を実はいたしておるわけであります。従来の技術レベル交渉の中で、基礎的食糧食糧安保について議論を行っていないものですから、これは議論をしてもらわなければ困りますよということを秋の方から議長に申し入れをいたしたわけであります。  そのことについては向こうからは、食糧安保については備蓄はあること、多国間の貿易をすること、予約貿易をしても食糧安保というのは確保できるんじゃないですか、こういう話でありまして、冒頭私がお話を申し上げたときにも、私は交渉する立場じゃなくて公正に中立的立場で調停をする立場だということが、前段に議長の方からお断りが実はございましたこともまたつけ加えておきたいと思うのです。  そのほかに私が主張いたしましたことは、少なくとも基礎的食糧あるいは生産調整をとり行っているものは関税では対応できませんということをやりとりの中で三回繰り返して、三回目には短期の関税であっても対応できませんということをまたさらに念を押して言わせていただいたわけであります。  もう一つは、三分野にわたって技術レベル交渉しておるわけでありますけれども、国内支持の方が、どうも聞いておると優先しているように聞こえてくるものですから、少なくとも輸出補助金が先行して議論が進んでいかないと、国境措置国内支持対応がそれぞれできないではないですかと、輸出補助金中心にして議論を先行させてほしいという点も申し上げました。  もう一つは、何といっても一九八六年からこの交渉がスタートして、五年近くなってまいりました。我が国は厳しい中にも自由化方向に向かって努力をしてきたことは御案内のとおりでありますが、しかし、これを提案をし、あるいはまたこの問題の中心国であるような大国が国内保護を強めておるという現実から見て、国内支持をどのように削減していくかというときには、どの年次からスタートしていくかということを考えなければなりませんので、私は、スタートした一九八六年からスタートするべきだという問題点について、私の方からダンケル事務局長お話を申し上げました。  最後の点については、お話はよくわかりました、こういう話でありましたし、基礎的食糧については、翌日十六日から行われる、翌週から行われる技術レベル会合議論をしていただきました。また、その技術レベルの中でも、議長みずからが輸出補助金をもう少し先行して議論するべきではないかということを、私の主張の数点については技術レベル会合の場で、日本主張とは言わないけれども議長の方からそれぞれあっせんをして、その方向に向かって技術レベル会議が進められたということを国際部長から報告を受けておるところであります。  最終的には、取りまとめをするとしたら昨年の末のようにいきなりそのペーパーを出すようなことをしないで、事前に連絡をとり合ってひとつその取りまとめを行っていただきたいということも最後お話を申し上げて、連絡をとり合って取りまとめをするという回答もいただいてまいりました。  以上です。
  237. 小平忠正

    小平委員 大臣我が国の事情を訴えながらそういう中でのやりとり、本当に御苦労さまでございます。しかし、国内保護国境措置さらには輸出補助金等々、それぞれ各国の主張が交差する中で、状況としては非常にふくそうしているということは言えると思います。  その中で、私は思うのでありますけれども、いわゆるアメリカ中心とする輸出国の主張は、中長期的に見て食糧輸入国、特にわが国のようなそういう食糧輸入国を十分に納得させる根拠というのは、これからこの後お話ししますけれども、だんだんと希薄になってきている。一つは、人口がさらに二十一世紀に向かって飛躍的に増加してくるという状況、そこに地球の温暖化等々によります土地条件の変化も生じてくる。そういう中で、いわゆる干ばつあるいはいろいろな気象条件の変化等々も含めて非常に難しい環境がますますふえていく、そういうふうに言えると私は思うのです。  そこで、時間が少ないので続けて質問させていただきますけれども、御承知のように、ことしは小麦の生産が余り芳しくない。一説には、二十万トンぐらいショートするんではないか、そんなような報道もあります。  御承知のように、小麦の国内の生産量は約九十五万トン。国内九十五万トンに対して北海道はそのうちの約半分、大体五十万トンの小麦の生産をいたしておりますが、その北海道においてことしは、春までは大体順調に推移してきたのですけれども、七月以降天候的な被害を受けまして、特に収穫期に長雨といいますか、雨の被害を受けて穂発芽が出まして、良質な麦の生産がことしは非常に減少を来している。そういうところで、過般、関係団体が政府に対して損害評価上の特例措置をお願いしたいという行動も起こしました。これは早速お聞きいただきまして、先週その回答をいただいたということで、これは非常に私どもも評価いたしております。  そういうところなんですが、国内でのショートにあわせて豪州でことしはあのように干ばつによる影響大で大幅な生産ダウンだ。特に豪州はASWを中心といたします良質な麦の生産をいたしております。我が国の製粉業者等々、これを利用している状況にあるわけでありますけれども、そういうところで、ここ数年の平均値からしましても豪州においては五百万トン近いダウン、大体三〇%ぐらいのダウンじゃないか。そうなってきますと、今まで我が国と豪州との間でいわゆる穀物の輸入協定というのを結んできました。これはいわゆる取り決めです。そして安定供給がある。そういう一つの保障といいますか、安心のもとに我が国食糧事情が平穏を保ってきたのでありますけれども、しかしことしは輸入が期待できるものではないだろう、このように言えると思います。そこで、我が国としてはほかの国から、いわゆる輸入する対象のところを探さなきゃならぬ、こんなことになってきます。  このことは、先ほど私が申しました、また大臣も言われたダンケル氏との交渉の中で、ダンケル氏は、先ほどは、いわゆる備蓄ですかそれから予約とかいうことでしのげるんじゃないか、またダンケル氏はあわせて会談の中でも、輸入協定で対応できるのではないか、そんなふうに主張されましたですね。ところが、このような、例えば一つの例をとってみましてもこんな大きな問題が生じている、そういう状況になる。  そこにもってきてもう一点言及したいことは、ソ連において八月あのようなクーデター、これは未遂に終わりましたけれども、ああいう政変がありました。この後ソ連における最大の問題点は、連邦と共和国との関係あるいは共和国の独立問題でないか、こう言われておりますけれども、しかし実際のところ一番の今緊急の最大の関心事は、ロシア共和国を中心にことしの冬を越せるかという、そこにあるんではないかと思うのであります。このソ連の危機的な食糧不足の中で各国は、特にECアメリカ等は自国の余剰農産物を信用供与という形をとりながらもそれをさはこう、これを機会に一気に余剰農産物を解決しちゃおう、そんなふうな動きも見られるのが今日の実態であります。  そういうところで、私は、ガットの場におけるいわゆるラウンド農業交渉というのは環境が大きく変わってきているんではないか、すなわち我が国が今まで、今大臣が言われたように主張してきました食糧安全保障論、いわゆる食糧安保論がまさしく正論であって、これを機会にそれをもっともっと強く打ち出して、各国の理解を得るための絶好のチャンスじゃないかと思うんです。私はこんなふうに思うのでありますけれども、以上の諸点についていかがでしょうか。お考えを聞かしてもらいたいと思います。
  238. 近藤元次

    近藤国務大臣 各国とも食糧安保について否定をする国はそうございません。ただ、食糧安保についてのやり方についていろいろ意見があることは、日本のような立場に賛成をするというのは数が少ないと言ってもいい状況ではないのかな。  ただ、私たちは基礎的食糧というようなものがどういうものであるかということについて提案を実はいたしておるわけでありますから、その議論が、基礎的食糧というものを認める、そしてまた、その基礎的食糧というものはどういうものかということの定義が決まってくれば、私どもは、日本としては米について基礎的食糧ということに、当然世界のどの国よりも私どもの米の立場というものは我が国主張どおりに反映をしてくるものではないかな、と。ですから、この議論がもう少し進んでいただかないと、その対応というものが私たちはとれないということになろうかと思います。  今先生お話しのございましたように、ソ連に対する食糧支援のやり方等に見ても、少なくとも輸出補助金増額をしてでもやろうかというようなアメリカのニュースも伝わってまいりますし、これがまた、今ウルグアイ・ラウンド交渉している輸出補助金削減という方向とは逆行するような議論が主要国でとり行われておるということ。また、今お話のございましたような、オーストラリアにおける干ばつによる不作によって日本との小麦の協定どおり日本に輸入ができるかどうかということにつきましては、我が国も当然懸念をしておかなきゃならないことでありますけれども、実は目下のところでは、オーストラリアは日本に対しては最優先をしてその輸出をするというようなことのお話はしておるわけでございますが、このような心配をするということは、食糧安保論というようなことについて発言がしやすくなったし、また、そういうものの理解も得られるような状況になったことだけは間違いがない、こう思っておるわけであります。食糧安保の手法について、また真剣に討議をしていかなければならない、こう理解をしているわけであります。
  239. 小平忠正

    小平委員 確かに、状況は刻々変わっていくでしょうし、ソ連の国情もまだ安定いたしておりません。したがって、そこのところは、先般一億ドルの援助ということも政府として決定されたのでありますけれども、当然これは北方領土の返還にも絡んでくる問題がありますし、また、それはあわせて漁業資源にも関係が出てきます。そんなことで、これからの推移を十分に監視を、チェックをしながら、この外交の場での適切な対処を強く要請する次第であります。  そこで、次の質問に移りたいのでありますが、農業基本法の見直し、これについて何点かお伺いいたします。  今お話ありましたように、非常に厳しい現下の正本の農業情勢であります。例えて言うならば、農業の新規就農者も昨年は二千百人と言っておりましたところが、ことしに至っては千八百人と一挙に三百人もダウン、そのうちには一けた減ってくるのではないか、こんな心配も危倶されるわけでありますけれども、農業離れが非常に進んでおりますし、農業に対しての未来を若者を初めとして見出していない、そういう中で、大臣は就任後の場で農業基本法の見直しについて言及されました。私は今でも記憶に残っておりますけれども、ことし二月十四日の当委員会の質疑において、大臣のこの農業基本法の見直しに関する発言を高く評価し、勇気ある発言だ、したがって、その真意はどこにあるのか、それをただした経緯がございます。  そういうところで、制定後三十年を経過した基本法が今日の時代に合うようにということで、新しい観点に立った新農業基本法を樹立されたい、こんなふうに主張してまいったわけでありますけれども、それを受けたかどうか、大臣は五月に農水省に、新しい食料・農業農村政策の検討本部の設置を指示されましたね。それはまさしくこの要請にこたえるものであると私は理解して、大いに期待をしてまいりました。また、私同様、多くの農業関係者もこれについて大きな期待を持ってきているんだ、こう思います。しかし、その後、それがどんなふうに推移しているのか、そんなことで私は担当の方にお聞きをしましたところ、この対策本部における検討は直接に農業基本法の抜本的改正をねらったものではなくて、当面解決を要する各種事業を来年三月をめどに検討して、その結果必要があれば農業基本法の改正についても検討に着手する、こんなふうなお話をお伺いいたしました。  正直申し上げて、農民を初めとする農業関係者はもっと先を期待していたと思うのです。したがって、少し悠長過ぎないか。手ぬるいといいますか、もっと進めてもらいたい。特に、先ほどもお話がありましたけれども、大臣、自民党の総裁改選で十一月には内閣改造もあり得るのではないか。こんな時期に、非常に混沌としているときに、大臣がこのことをもっとはっきりと強く指示をされて、これについての方向、方針を出してもらいたい、こんなふうに強く思うのでありますけれども、その点いかがでしょうか。
  240. 近藤元次

    近藤国務大臣 役所のどなたから先生にレクチャーがあったかわかりませんけれども、この三月の予算とか当面の問題をとかいう考え方に立って、この新しい食料・農業農村政策検討本部を設置したわけではございませんし、もちろん、農業基本法を私が個人的に見直しをしてみたいということを慎重に発言をして、世論はどう受けとめてくれるかと思って様子を見ておりました。ほとんどの人たちが、やるべきだという激励を実はいただいたわけでありますし、省内においても、また農林省出身者に、卒業生に、OBの方々にもいろいろ意見を聞いて私が踏み切った問題でありまして、この問題にも中長期的展望に立って、日本農業ということに目的を明確に実はいたしておるわけであります。  したがって、担い手の問題、土地利用型の問題、そして地域の政策、そしてまた環境と農業との関係、いわばこれも条件不利の地域中心にして、このところで対策を考えていくことになろうかと思います。そして、食品産業なりあるいは流通なり消費者という問題の視点、最終的にはやはり団体ももう一度見直す、関係機関も見直す、私ども行政当局としても見直すべきものがあるかもう一度検討してみる、どういう六つの視点を挙げて、今検討作業に入っておるわけであります。  省内だけで検討したものではやはり小さなものになってもいけませんし、農業専門家と言われておっても、少なくとも私どもの仕事は国民の食糧を安定的に供給して、その作業に当たっていただく人たち、そこから出てきた食糧を消費していただく国民全体に及ぼすことでありますので、そういう国民全体がどう受けとめてくれるかということで、あらゆる角度の人たちの有識者にお集まりをいただいて、それぞれの立場でそれぞれの分野で御意見をいただくという形で実は作業を進めて、今日まで来ておるわけであります。  これから将来に向かって、日本農業というのはこうあるべきだ、日本食糧というのはこうあるべきだ、日本のその生産を受け持つ農村というものはこうしていくべきだというものを明確に出していくということが、これからの農業の国際交渉に当たっても重要なことであろうと私は思うのであります。我が国食糧農業をどうするかということがあって初めて、立場の違う輸出国なりとの交渉が、輸入国との農業の行き方について明確にしておくことが必要だと思ってこれを検討させておるわけでございますので、そういう意味で、余り長くなってはいけませんので期限も来春ということで切らせていただいて、その後、出た問題によって、これからの将来の農業について、農村について、食糧について、外食産業について、どのような法律なり制度をつくるかということはあわせて検討していかなければならないことになるわけでありますから、来春までに法律も一緒にはなかなかできにくいということもひとつ理解をしていただきたいと思うわけであります。
  241. 小平忠正

    小平委員 時間が来ましたので、最後に一点。  今のことで趣旨は理解できますが、しかしその途中経緯が全然見えてこない。したがって、そういうところをもう少しオープンに進めてもらって、これは関係者大いに期待いたしておりますので鋭意取り組んでいってもらいたいと思うわけであります。  そこで、この問題は今大臣からるるお話がありましたけれども、私はここで一番の関心事は、検討本部でいろいろとされておりますが、このことがいわゆる米の市場開放につなげることに行くのではないか、その心配を持っていることは事実であります。最後大臣の口から、そんなことは絶対ないのだという明確な御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  242. 近藤元次

    近藤国務大臣 何を念頭に置いてこの作業を始めているというよりも、これから将来に向かって、日本農業なり食糧なり農村なりという、農林水産省が所管をしておる部分についての展望をきちんと明確にしていくということがねらいでありまして、米の自由化対応してこの検討本部を設置したということは全くございません。そのことは、私の方から明確にお答えをさせていただきたいと思います。
  243. 小平忠正

    小平委員 終わります。
  244. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十八分散会