運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-10-01 第121回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十月一日(火曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 森田  一君    理事 井奥 貞雄君 理事 亀井 静香君    理事 小坂 憲次君 理事 福永 信彦君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       赤城 徳彦君    石橋 一弥君       岩屋  毅君    遠藤 武彦君       久野統一郎君    小林 興起君       斉藤斗志二君    中谷  元君       中山 利生君    古屋 圭司君       簗瀬  進君    遠藤  登君       小川  信君    北沢 清功君       須永  徹君    安田 修三君       山口那津男君    吉井 英勝君       高木 義明君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会 吹田  愰君         委員長  出席政府委員         警察庁長官官房 井上 幸彦君         長         警察庁警務局長 安藤 忠夫君         警察庁刑事局長 國松 孝次君         警察庁交通局長 関根 謙一君         国税庁次長   冨沢  宏君         国税庁課税部長 坂本 導聰君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治大臣官房総 紀内 隆宏君         務審議官         自治省行政局長 浅野大三郎君         自治省行政局公 滝   実君         務員部長         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長         自治省財政局長 小林  実君         自治省税務局長 湯浅 利夫君         消防庁長官   木村  仁君  委員外出席者         内閣官房内閣外         政審議室内閣審 菅野 利徳君         議官         内閣官房内閣外         政審議室内閣審 森元 誠二君         議官         警察庁長官官房 原田 正毅君         審議官         外務省経済協力 横田  淳君         局技術協力課長         文化庁長官官房 田原 昭之君         総務課長         厚生省生活衛生         局水道環境部環 浜田 康敬君         境整備課長         林野庁指導部計 田中 正則君         画課長         地方行政委員会 渡辺  功君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 十月一日  辞任         補欠選任   齋藤 邦吉君     岩屋  毅君   古屋 圭司君     赤城 徳彦君   星野 行男君     久野統一郎君   松田 岩夫君     斉藤斗志二君   神田  厚君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     古屋 圭司君   岩屋  毅君     齋藤 邦吉君   久野統一郎君     星野 行男君   斉藤斗志二君     松田 岩夫君   高木 義明君     神田  厚君     ――――――――――――― 九月十八日  重度身体障害者が所有し居住する家屋などの固  定資産税減免に関する請願時崎雄司紹介  )(第一六四号) 同月三十日  重度身体障害者が所有し居住する家屋などの固  定資産税減免に関する請願船田元紹介)  (第一九二一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十日  地方財政対策確立強化に関する陳情書外三件  (第二三号)  和歌山県町村振興発展に関する陳情書  (第二四号)  財政窮乏県の振興に関する陳情書  (  第二五号) 同月三十日  町村財政基盤充実強化に関する陳情書  (第一一三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 森田一

    森田委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井静香君。
  3. 亀井静香

    亀井(静)委員 それでは、質問をさせていただきます。  きょうは国税庁警察庁からおいでいただき、また自治大臣にも、国家公安委員長にもおいでをいただいておるわけでありますが、税務行政についてまずお伺いをいたしたいと思います。  最近は警察余り怖くない、警察よりもむしろ税務署の方が怖いというような声もちまたに聞くわけであります。最近はどうも国会でも、国会議員もなかなか税務行政についての質疑もなかなかしないみたいな雰囲気もちょっとあるわけでありますが、国会議員が別に国税庁を恐れているわけではないと思うわけでありますが、私も恐る恐るちょっときょうは質問をさせていただきたいと思うわけであります。  国家にとって税務行政が適正に行われるかどうかということは、まさに国家の存立にかかわる問題であろうと私は思います。過去の世界の歴史を見ましても、一揆だとかあるいは革命等が起きる場合の発端というのは、いわば反税闘争的なものが起爆薬になっておるということは御承知のとおりであろうと思います。そういう意味において、税務行政というのは極めて基本的な重要な行政だと私は思います。そういう面から見まして、やはり国民の目から見て税法がどうであるということもさりながら、その執行が適正に行われておるかどうかということが極めて大事ではないかと思います。憎まれ役を担いながら、そうしたお仕事をしておられる一線税務職員の御苦労というのは、大変なものがあろうかと私は思います。  まず、そうした職員のモラルというものが非常に大事だと思うわけでありますが、まず第一にお聞きしたいのでありますが、そうした憎まれ役といいますか、極めて困難な仕事をしておる税務職員待遇改善について、今までも取り組んでおられると思いますが、来年度予算等についてもどのように取り組んでおられるか、まずお聞きしたいと思います。
  4. 冨沢宏

    冨沢政府委員 委員から税務行政について大変御理解のあるお言葉をいただきまして、職員一同にかわりまして御礼をまず申し上げたいと思います。  今お話しの職員の処遇の問題でございますが、これは公務員一般につきまして、人事院の方で最終的には勧告をされるという形で改善が行われるわけでございますけれども、私ども職員の声を代表する立場で、人事院の方にはしかるべきタイミングでいろいろとお願いを申し上げておるところでございます。
  5. 亀井静香

    亀井(静)委員 ぜひ次長、他の公務員待遇改善ももちろん大事でありますが、警察官とか税務職員については特別な配慮が私は必要だと思いますので、来年度予算につきましても、ぜひ積極的なお取り組みをいただきたいと思います。  なお、我が国状況を見ますと、税体系も、例えば特別控除だとか特別償却だとか、いろいろな形でのものが入り組んでおりますから、納税者にとっても極めてわかりにくいという面もあろうかと思いますし、また徴収する方にとっても、その都度法律が変わるというようなことで非常に難しい面があろうかと思うのですね。そういう中で税務行政をちゃんとやっていくには税理士協力というのがやはり前提だ、私はこのように思います。やはり自主的にきっちりと納税義務を果たさせるためには、コンサルタント的な役割も果たしておる税理士がきちっと指導をしていくということが大事だと思うのですが、そういう意味では最近、個々の事例は申し上げませんが、税理士方々税務署に在職しておったときの経験も踏まえながら適正な税務処理をしておるにもかかわらず、これが国税当局から完全に真っ向から否定をされるというような実態があるというように、私、税理士方々からもいろいろ聞いておるわけでありますが、もちろん何も税理士の言うとおりにされる必要はありませんけれども、やはり基本的には税理士制度がある以上は、それの良識的なそういうかかわり合いというものを尊重するという姿勢は、私、必要だと思うのですが、どうですか。
  6. 坂本導聰

    坂本(導)政府委員 委員指摘のように、我が国の税制は申告納税制度でございますから、その申告納税制度が円滑にいくためにも、納税者みずからの税の知識の向上もさることながら、御指摘のように税理士の諸先生の御協力が私どもにとってぜひとも必要でございます。  したがいまして、私ども、例えば調査を行う場合にも税理士方々り御意見等は十分踏まえて対応していくつもりでございます。ただ、場合によっては見解の相違ということがございますので、その場合にはやはり法手続にのっとって、異議の申し立てとか不服審査とかいう形で処理をせざるを得ないというケースもたまにはございます。
  7. 亀井静香

    亀井(静)委員 ぜひそのようにひとつお願いいたしたいと思います。  さらにお聞きしたいのは、お聞きしたいというよりも感じを私は国民の前にちょっと明らかにしておいていただきたいと思うのですが、やはり先ほども言いましたように、税法上のいろいろな解釈、いろいろなことがあると思うのですけれども、結局は税というのは、四角な升に入っているあれを丸いしゃもじでとることと言えば適当だということが昔からよく言われるわけですが、そうした常識といいますか、国税庁最高幹部がどういう感覚を持っておるかということは、一線職員執行する面におきましても、私は非常に大事だと思うので、ちょっと一、二、極めて常識的なことをお伺いをしたいと思うのです。次長常識判断を私がテストするわけじゃありませんけれども。  あなたは免許証を持っていますか。
  8. 冨沢宏

    冨沢政府委員 自動車の運転免許証を持っております。
  9. 亀井静香

    亀井(静)委員 ちょっと例で申し上げますと、四十キロ制限スピード制限をしておる道路がどうも実態に合わぬということで、今五十キロ制限に手直しをした、そうした道路上で、例えば次長がたまたま三年前に四十五キロでスピード違反をした、たまたまちょっと出し過ぎちゃった、これがたまたまのことで発覚をして、五キロスピードオーバーだということで道路交通法違反で検挙されるとすれば、あなたは納得できますか。
  10. 冨沢宏

    冨沢政府委員 なかなか難しいお尋ねでございますけれども、いろいろなシチュエーションにもよることかと思いますけれども。少なくとも法律の規定でそういうことに立ち至るという場合もあろうかと思いますので、それはそれで甘受せざるを得ない、そういうふうに考えます。
  11. 亀井静香

    亀井(静)委員 わかりました。今申しましたように、現在はもう実態からいって四十キロ制限が五十キロに変わっている、そこをたまたま故意じゃなくて過失で五キロぐらいオーバーしたのを警察がさかのぼって検挙をしても、これはもうやむを得ない、そういう感覚で我々は法律執行されても仕方がない、このようにお考えだということですね。わかりました。それで結構です。  例えで言うわけじゃございませんが、例えば最近税務行政でよく我々耳にいたしますことは、株の売買制限ですね。これはいろいろとそのときによって変わっていっておりますね。それで、たまたま何年か前には、私よく知りませんが、何か回数制限なんかあるんですね。何回か、一定期間を超えたらそれは課税対象になるというような。名義を分散するとか悪意な形でやっている場合はもちろん論外でありますけれども、しょっちゅう法律が変わるわけですから、また売買というのはしょっちゅうやっているわけですから、そういう中でたまたま三、四回ちょっとオーバーしたというような事案の場合に、それを過去三年とか四年にさかのぼって課税をするというようなことは、今の次長の御感覚ではやはりこれは仕方がないのですかね。
  12. 冨沢宏

    冨沢政府委員 ただいまの株の回数制限の問題でございますけれども通常、仮装、隠ぺいというのは、悪質な事実がなければ三年というのが一応更正の期限でございますが、その期間でございましたら、やはりその時点の法律に従って私どもとしては適切に処理するということだろうと存じます。
  13. 亀井静香

    亀井(静)委員 今次長からのお話を聞いておりますと、庶民感覚といいますか、そういう面からすると若干私は問題があるんじゃないかなというように聞いておるわけですが、こうした場での四角四面な答弁ということになると立場上そういう形になるのかもしれませんが、しかし税というのは、納める方も気持ちよく納めるということがやはり大事なことであって、昔のお代官さんが無理やり年貢を取り立てるみたいな、そういう国家権力国民との関係というのは私はうまくいかないと思うわけでありまして、次長先ほどからの答弁、私は額面どおりとりますと、これはちょっと大変なことだと私は思いますが、よく御検討賜りたい。  そういう観点とさらに絡むことでもう一つ伺いいたしますが、派遣社員制度でございます。  次長、例えば三越とか高島屋あたり、売り子がおりますね、あれの何割ぐらいが派遣店員だと思われますか。
  14. 冨沢宏

    冨沢政府委員 かなり大きな割合だと想像いたしますけれども、正確な数字は存じておりません。
  15. 亀井静香

    亀井(静)委員 私も細かい各社の資料を持っておるわけではございません。大体平均したら三割ぐらいが派遣社員でやっておるというのが実態のようです。これは何もそうしたデパートというようなところだけではなくて、例えば大企業社団法人とか協会等派遣社員を送ってそこの業務を助けているというようなことは、もう一般的に行われている、このように考えていただいていいと思うのです、調査しておられればおわかりと思いますけれども。恐らくそういう企業の数というのは、大企業を含めまして何万を数える、それ以上もっと数えるのではないか、私はそのように思います。これは、それぞれメリットがあるから派遣しておるわけであって、ただ奉仕の意味で、ボランティア派遣をしておるわけではないと思うのですね。それぞれメリットがある。だから、それを税務当局としてどう認定するかという問題が確かにあろうかと私は思うのですね。  そういう点で、我が田に水を引くわけじゃございませんが、例えば国会議員ですね。今衆参七百六十四名おります。国会議員は国からは秘書は二人しかつけておらぬわけですね。皆さん方代議士の部屋に行かれるとおわかりと思いますが、二人じゃないのですね。三、四人おりますね。また地元にはそれぞれ事務所がございますのでは、それの給与はどうなっているかということになりますと、我々が国からもらいますのは、国からの歳費千三百万ぐらいですね。それの中からさらに私設秘書の給料を出していくということは事実上不可能だということになってきますね。  そういうことで、七百六十四名の衆参議員のほとんど相当数が、会社なり労働組合なり、いろいろなところからの派遣秘書でやっておるというのが実態だと私は思うのです。それがいいか悪いか、これは政治改革一つの課題でありますけれども、そういう実態を見た場合、これも、派遣をしておるということはメリットがあるから派遣をしているのです。それが政治倫理上いいか悪いかは別として、税法上の観点から見た場合は、派遣しているところとしては、政治経済の情報が得られるとか、それで信用が増すとか、そういう有形無形メリットがあるから秘書派遣しておるわけですね。そういう実態から見ると、これは民間で行われている派遣社員とそんなに違う実態ではないと私は思うのですね、いわゆるあなた方の立場から見た場合ですよ。私はそういう一つ実態があろうと思う。  そういう中で先日、極めて残念なことでありますが、自治大臣国家公安委員長 目の前におられるところで私ちょっとあれなんですけれども、申し上げると、現在政治改革に正面から取り組んでおられる。まさに私個人的にも親しいので、いろいろ政治家としての御姿勢等もよく承知しておりますが、本当に清廉な政治家だというように私日ごろから尊敬しておるわけでありますが、そうした吹田自治大臣秘書に関して、またその前、大塚建設大臣派遣秘書の問題について、これが新聞報道されたわけでありますけれども、これについての国税の方での課税処置をされたことの中身については私は知る立場にございませんが、ただ一般論として私が申し上げるのは、我が国一般国民の中において一般になされておる、しかも政治家の中においてほとんどがそういう形でなされておる、濃淡がありますよ、完全にボランティアみたいな形でなされている場合は、これは課税せにゃいかぬと思いますけれども濃淡はあるにしても、七百六十四名の国会議員秘書団が何らかの形でなされておる中で、特定の代議士についてこういう形で鉄槌が下されていくということについて、国会議員の中でもやっぱりみんな疑問を持っていると私は思うのです。ですから私は率直に質問をしておるのです。  そういうことについても、私は先ほど交通達反の例をとって言いましたけれども、やはり国家にとって徴税というのは基本的な行為でありますから、憎まれながらも御苦心してやっていただきたい。しかしながら、やはりそれには公平だということ、それと温かみがあるということ、これを抜きにして、法律に反しておるからとか、解釈上これは課税できるからというようなことで今後徴税をおやりになるとすれば、私は、国家に対するそういう面での信頼というのは揺らいでくるのではないかということを非常に心配をするわけであります。その点について、私のような者の意見もぜひひとつ頭の隅に入れていただきたい、このように思います。  さらに、時間がございませんので次に参りますが、今申し上げました派遣秘書の問題に絡みまして、そのことはそのこととして一応置きましても、私は、極めて残念なことがこれに関して起きているというように思うわけであります。極めておどろおどろしい形で立派な政治家があたかも政治倫理上問題があるがごとき報道がされておる。マスコミが公益の立場からこうした問題について自由な取材をし、自由な報道をすることは私は当然なことだと思いますし、そういう機能がなくなれば、私は自由主義社会というのは守れないと思います。マスコミの言論の自由、報道の自由というのはまさに、何物にも増して大事なことだと思います。しかし、そのことと公務員が守るべき守秘義務が守られないということは別な問題ではないかと私は思うわけでありますが、この二つの件以外にも、これは一々申したら切りがございませんが、そうした、代議士を含めて民間の人についてもでありますが、税務調査中身が極めて詳細に、当該職員あるいはその担当部課でなければ知り得ないようなことが詳細に報道されておるという実態がございます。  私は、このことは皆様方、これはなれといいますか、それで余り問題意識を持ってきておらないかと思いますが、これはゆゆしき問題だと思うのですね。白昼堂々か、あるいは夜陰に乗じてか知りませんけれども公務員国家権力背景にしてそうしたことを堂々とやっても、何の捜査機関からの捜査も受けなければ、自分の上から懲戒処分も受けないという、こういう状態を放置いたしますと、国家権力あるいは国家に対する国民信頼が揺らいでくるということを私は非常に危惧をするわけでありまして、そういう点で、この最近の二件でありますけれども、極めて重大な事態だ、私はこのように認識をしておるわけであります。  警察庁、きょうお見えであろうと思いますが、警察庁にお伺いをいたしたいと思います。  こうした事案がへみたいな犯罪だ、どうでもいいわというような犯罪というふうに御認識ですか。それとも、やはりこういう犯罪というのは放置できないゆゆしきあれだというふうに御判断ですか。
  16. 原田正毅

    原田説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘の新局報道があったということは我々も承知しておるわけでございますが、ただ、それがどのような具体的な経緯あるいは背景報道されたかということは承知していないわけでございます。  しかし、今先生指摘のとおり、税務調査に従事する職員につきましては、国家公務員法、あるいは各種税法、これは国家公務員法よりも刑がさらに重うございますが、そういう形で守秘義務がかけられておるということでございます。したがいまして、もしそういった国税関係職員守秘義務違反があったとすれば、これは仮定の話でございますが、御指摘のとおりゆゆしき事態と申しますか、重大なことであるというぐあいに考える次第でございます。
  17. 亀井静香

    亀井(静)委員 ゆゆしき事態だという御答弁をされたわけでありますが、審議官、私は非常に、今のお話聞いておりまして、気持ちはわかるんですが、こういう新聞報道がされてもう既に一カ月近くたっておるわけですね。私はもと警察におったから一言うわけじゃありませんが、ちゃんと端緒はあるのです。どこが報道したか、この内容を知っておるのはどこの部署かわかるわけです。担当しておった職員がだれかわかるわけです。その程度の捜査端緒がありながら、いいですか、犯人が検挙できないということであれば、私は警察捜査能力に対して疑わざるを得ない。  私はぜひひとつお願いしたいのですけれども、それは犯罪というのは捜査すれば必ず犯人が検挙できるものではない。しかし、少なくともこうした具体的な端緒がある以上は、これは刑事訴訟法でも定めておることでありますから、当然これについて全力を挙げて、しかもあなた方のボスである国家公安委員長の名誉に関することでもある、そういうことに対して、ボスがそんな状態におるにもかかわらず、今みたいな、若干、ふろの中に入ってへをひっていると言うたら言葉が悪くなりますが、そういう答弁を一カ月後においてされるということでは、我々は警察捜査能力に対して危惧を持たざるを得ない。ぜひこの問題については放置をしないできっちりと私はやっていただきたい。答弁は結構です。それで、ぜひその状況を、それこそ秘密のことを私に言う必要はございませんが、経過についてはぜひフォローをさしていただきたい、私はこのように思っております。  次に、国税庁にお伺いいたします。  今捜査当局からも、これはゆゆしきことだという、簡単な、へみたいな事案ではないというような答弁があったわけでありますが、恐らく私は、国税庁としても、内部規律の問題からも、また、職員犯罪行為を犯しておる可能性があるということから、当然調査もしておられると思います。そのための職員国税庁の中にはおるわけでありますから、これについて国税庁としては現在どういう対応をしておみのか。
  18. 冨沢宏

    冨沢政府委員 先ほど委員お話で、私ども、なれでいろいろそういう問題についてルーズになっておるかというようなニュアンスのお話でございましたけれども、私ども守秘義務というのは非常に重要なものであるというふうに認識をいたしております。  私ども税法上いろいろな権限を与えられておりますけれども、これは、税務の適正な執行というのは、先生最初におっしゃいましたように非常に重要なことである、そういうことから、その適切な執行のためには納税者の方に本当のことを教えていただく必要がある、それを担保するためには、やはりそこに守秘義務というのは厳然と守られなければならぬということで、法律の上でも守秘義務に対する刑罰が通常公務員の二倍の懲役刑ということになっておるわけでございまして、私ども、この守秘義務の遵守につきましては、立法趣旨を踏まえまして、常日ごろから万全の注意を払っておるところでございます。したがいまして、個別の税務調査に関する事柄につきまして、国税当局がその内容報道機関に漏らすというようなことはあり得ないものというふうに確信をいたしておるわけでございます。  先ほど来御指摘のような報道もあるところ、私ども守秘義務の遵守につきましてより一層注意を払っておるところでございますけれども、御指摘のような守秘義務違反の事実につきましては把握をいたしておりません。なお今後とも守秘義務の遵守につきましては万全の注意を払ってまいりたいと思っております。
  19. 亀井静香

    亀井(静)委員 今次長から、日ごろから万全な措置をとっておるとおっしゃるのですが、先ほど私申し上げましたように、残念ながら今までそうした国会議員税務調査についても枚挙にいとまがない。これは税務当局でなければ知り得ないことが詳細に出ておるということは事実なんですね、次長。それを、いや、我々は知らぬことだと言っても、これは私は世間には通用しないことだと思うのです。  それで、それはだれが漏らしたかわからぬということはあるかもしれません。しかし、私は次長にお聞きしたい。どう考えても客観的には、例えばこれだったら東京国税局ですね、東京国税局の中で行われた犯罪だということは、もうこれは否定しがたいですね、だれがやったかと犯人まで特定はできないけれども。そうした場合、犯人が特定できなければ、これは服務規律違反とかそういう問題での措置ができないのか、管理責任、監督責任ということを全然見過ごしておいていいのかという問題がある。  ある組織が客観的にどう考えても大変な間違いを犯した、あるいは犯罪行為を犯したという場合、少なくとも長がおるでしょう、それが管理責任、監督責任を問われるというのは当然の話でしょう。それが訓戒処分なのか懲戒処分になるのか減俸処分になるのかは別として、そういうものは一切あいまいにしておいてそれで万全を期しておるとかそんなことを言ったって、これは通用をしないことだと私は思うのです。私は、何も厳罰に処せということを言っておるんじゃない。少なくともあなたの組織の中には監督官室長だとか首席監察官もおるはずですね。そういうところが、じゃ日ごろからそういう問題について全力を挙げて調査をし、組織管理上の欠陥があるんならどこに欠陥があるんだろうかという、そういうことについてやはり真摯な努力をし、またそういう問題について、場合によっては懲戒処分等を含めての処分をやっていくということが私は当然じゃないかと思うんですよ。どうですか。
  20. 冨沢宏

    冨沢政府委員 私ども従来から、守秘義務違反につきまして内部的な懲戒を行った事例は多数ございます。今回、先ほどもお答え申し上げましたように、御指摘のような報道もございますところから、一層の注意を払ってその点につきまして関心を持って見ておるわけでございますけれども守秘義務違反の事実というのは把握しておりません。今報道関係の取材源という話が出ましたけれども報道関係の取材源にはもろもろあるわけでございまして、例えば新聞紙上その他で報道された事実につきましては、私どももその税務調査の上では当然注意を払っておるところでございますし、報道機関もやはりそういう事実につきましてはいろいろと御関心を持っておられるということもあろうかと存じます。当該報道につきましてどういう取材源だということについては、私どもは云々できる立場にはないわけでございますけれども、繰り返しになりますが、私ども一層の注意を払ってフォローした結果、御指摘のような事実は把握しておらないということでございます。
  21. 亀井静香

    亀井(静)委員 次長答弁を聞いておりましても、私はっきり言って、さっぱりわからない。国民が聞いてもわからない。きょうはもう時間がありませんのでこの程度にいたしますが、私たち地行の場においても、あるいは今後場合によっては大蔵委員会に席を移してでも、そうした問題について毅然としてきちっとやっていただくということが、何回も申し上げますように国民のいわゆる税務当局に対する信頼というのをきっちり確保する、最低のこれは基準だ、私はこのように思っておりますので、ぜひ今後、次長のお気持ちは私なりに、言葉からわかりませんが顔を見ているとまあまじめにやろうかというお気持ちもあるように伝わりますので、ぜひひとつ取り組んでいただきたいと思います。それじゃ、もう結構です。  次は、ちょっと警察庁にお尋ねいたします。  まあ税務行政とあわせて警察行政というのは、まさにうまくいって当たり前、まずくいけば大変な批判をされるという大変きつい仕事だと思うのでありますが、そういう中で我が国独自の制度と言えば言えると思うのですが、駐在所という制度がありますが、駐在所というのは、いわば警察署の分署のような非常に重要な役割を、特に田舎等の地域社会においては果たしておるのが私は実態ではないかと思います。  駐在所の場合、複数勤務の場合もありますが単数勤務の場合が多いわけで、そうなりますと奥さんがいわば副署長のような立場で、私はまさに奥様と軍の両輪のような形で二十四時間、それこそもうこれは六時以降だから戸を閉めますというわけにはいかぬわけでありまして、そうした過酷な勤務についておるわけでありますが、そういう駐在の警察官はあんまり大きな事件に巻き込まれることもなく楽だろうと言う方もいらっしゃいますかもしれませんが、御承知のように、最近は駐在所の警察官が大変もう痛ましい凶悪犯罪の犠牲になられるという場合も多いわけでありまして、先日も警視庁の警察官が爆弾事件の犠牲者にもなっております。奥様は本当に涙をこらえて私にも対応しておられましたけれども、そうした気持ちはまさに警察官そのもののような気持ち、精神でおられるんじゃないかなということも私は感じたわけであります。  ぜひ私はここで警察庁にお伺いしたいんですが、住んでいるといいますか住居と職場は同じなんですが、住んでいるところは、ウサギ小屋と日本の住宅は言われますが、ウサギ小屋どころじゃなくて、いわばネズミ小屋みたいな駐在所も非常に多いわけで、うんと昔の日本のレベルでいうとまあまあかもしれませんが、今の時代でいうと、とてもじゃないけれども子供と一緒に住めるような、そんな間取りでもなければ建物でもない。そうした施設の問題が一つあると思います。  それともう一つは待遇の問題ですね。これも特に奥様が全く警察官と同じような仕事をしておられることについて、なかなかこれが制度的な面、いろんな面できちっと報いることができない状態で来たわけでありますが、警察庁の幹部としても長年非常に心を砕いて、どうにかせにゃいかぬというお気持ちで努力をされてきたわけでありますが、ぜひひとつ抜本的な取り組みをしていただきたいと私は思うのです。この点について来年度予算要求等を含めてどうお考えか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  22. 安藤忠夫

    ○安藤政府委員 全国で駐在所が約八千八百カ所あるわけでありますが、大変最近不人気でありまして、おっしゃるように職住同一の場所で四六時中気の休まることがない、そして、だんなさんがパトロールその他の所外業務に出ている間は奥さんが張りつけの状態で、事故、事件の届け出、またそういうのをボランティア的に補助していかざるを得ない。最近パート勤務をする婦人が多いわけでありますが、事実上そうした機会も奪われる、あるいは暴走族あるいは酔っぱらい等に絡まれて身体的にも危害に遭うケースも多々起こっておるというのが実情でございまして、なかなか志望者がいない。八千八百カ所を確保するのが大変であるというのが実態でございます。  現在その対応策として地方財政計画で毎月、公衆接遇費として月七千円、また駐在所報償費の家族協力分、いわゆる奥さん手当でありますが、月二万一千円というのが支払われておりますが、正確に業務の実態を把握いたしますと、奥さんのその苦労度に対して果たして正しい評価がなされているかという点につきましては根本的な疑問がございまして、従来から指摘されているわけであります。そのために来年度、できますれば関係機関等とも協議いたしまして、そうした奥さんが業務を補助している実態を正当に評価していただきまして、それにふさわしい報償費等現在の駐在所報償費にかわるような制度、また夫人が危害を負った場合、これは一民間人の行為でありますからいわゆる公務災害的な補償がないわけでありますが、そうした身分的な措置についても何らか考えていきたい。  あわせて、施設が非常に老朽化、狭隘化していることも事実でございます。そうした改善も引き続き図ってまいりたいと考えております。
  23. 亀井静香

    亀井(静)委員 警務局長から極めて意欲的なそうしたお答えをいただいて私も非常に頼もしく思っておるわけでありますが、私は国家公安委員長に最後にお願いをいたしたいし、また御見解も承りたいと思うわけでありますが、吹田委員長は御就任以来、警察行政についても大変な御尽力をされ、特に警察官の待遇改善の問題につきましては、長年取り組んでもなかなか実現できなかった抜本的な待遇改善をもう陣頭指揮をとってやっていただいておるということで、全国の警察官の士気も極めて今上がっておるわけで、吹田委員長の銅像を建てようじゃないかくらいな話さえ、本当にこれは冗談じゃなくて、そういう声さえ上がるぐらい非常に士気が上がっておるわけでありますが、私は大臣にぜひお願いしたいのは、この駐在所の問題は非常に長い閲歴代委員長、長官、局長等が御苦労をして取り組んでこられたわけでありますが、この際、そうした抜本的な革命的な待遇改善をおやりになった委員長の手で、思い切った駐在所または駐在所の奥様についての改善策というのをぜひひとつやっていただきたい。何かひょっとしたら解散があるんじゃないか、改造があるんじゃないかと言われておりますから、大臣もいつまでおられるわけじゃないかもしれませんけれども、しかし大臣のお力と今の情熱をもってされれば私は必ずこれは実現できる、このように思いますので、ぜひひとつ御見解のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま亀井先生の御意見を含めての御質問でありますが、警務局長から御答弁いたしましたように、第一線警察官というものがいわゆる本当に地域住民に直接関係を持っておるわけであります。そして、地域の、身体、生命あるいは財産というものに対する秩序の問題について、保持を体を張って一線警察官がやってくださっているわけでありますが、こういった点について改善の余地が大幅にあるのではないかということにつきましては、私も、もっとも、そうだと思っております。  私も田舎に住んでおりました関係もありましてよく状況を知っておりますし、この駐在所というものの存在というのは、私が昭和二十年代に村長を務める時代というのは、もうどの田舎に行きましても駐在所のお巡りさんというのは非常に高い評価を得ておられた。確かに、村長のうちへ私が招きますと村議会議長以下みんな参りますが、まず私の右側に駐在所のお巡りさんが座って、左側に校長先生というような形から町議会、村議会の皆さんが座るというような席順さえ固定化、これは大体全国一律だったと思いますね。  そういう意味からいたしますと、確かに今日の評価も非常に、また警察官も遠慮される面もあります。そういった面からも、これは本当に我々の地域社会を守ってくれておる警察官、特に奥様の目に見えない頑張りというのは、常に御主人はずっと地域へ回っていますものですから、その留守宅にお伺いしたときには、一奥さんがまさに副警察官のような形で頑張ってくれているんですね。ですから、これはぜひ私も御期待に沿うようにしなきゃならぬというふうに思っておりますが、一面また、先ほどは厳しい御指摘を受けましたが、施設の改善ということもやっていかなきゃなりません。  そういった意味における財源の問題等もありますが、いずれにしましても、一面は私は自治大臣という地方自治体に対する財源を付与する立場にあります。したがいまして、両方の立場からの考え方からいたしますと、警察の現実の姿というのを承知しておるだけに、また自治大臣としまして、できるだけ財政当局に対してこういった点の理解と協力がいただけるような、そういった点で内部で協議をいたしまして、今後の四年以降の、これから新年度以降における改善について抜本的な対策ができるように努力をいたしたいと思います。
  25. 亀井静香

    亀井(静)委員 終わります。
  26. 森田一

    森田委員長 中沢健次君。
  27. 中沢健次

    ○中沢委員 まず最初にお礼を申し上げたいと思いますが、七月に本委員会の国内調査、私の出身の夕張を含めて北海道に、大勢の関係委員の皆さんやあるいは自治省、警察庁からも審議官も御同行いただきまして、特に産炭地財政も含めて十分現地的にも調査をしていただきまして、地元の出身でもございますので、まず委員長初め関係委員あるいは派遣をしていただきました自治大臣に心からお礼を申し上げたいと思います。  さて冒頭、自治大臣に三点ほどまとめてお尋ねをしたいと思います。  一つは、今亀井委員の方からも指摘があったことにも関連をするのでありますが、角度はちょっと違うのでありますけれども、大臣の税務処理上の問題につきまして、かねてから本会議あるいは政治改革委員会等の中で再三にわたって議論が尽くされておりますけれども、本委員会として私が質問するのは初めてでありますから、会期末でありますけれども、大臣御自身の問題として今日の状況認識あるいはこれに対する見解、改めてお尋ねをしたいと思います。  それからいま一つは、九月十七日の政治改革委員会で、新聞紙上にも大きく報道されておりましたけれども、水野元総務庁長官がゴルフ場関連でオーナーから六千万円の政治献金をもらっていたへそういう事実の指摘に対しまして、国家公安委員長立場で事実を調査をする、こういう答弁をされているのであります。その後、大分時間も経過をしておりますけれども調査の結果はどういうことになっているのか、簡単で結構でございますから明らかにしていただきたい。  それからいま一つは、昨日海部総理が、政治改革三法案の委員長見解、つまり廃案やむなし、こういう見解を受けまして、重大な決意をする、こういう発言がございました。新聞、テレビでも大きく報道をされております。私は、総理が重大な決意と言う中身は、責任をとって内閣が総辞職をするのか、あるいは国会解散に打って出るのか、道はこの二つしかないと思うのです。この関連三法案の法案担当は自治大臣でありますから、総理ではありませんけれども自治大臣としての御見解。  以上この三つ、簡単で結構でありますからお答えをいただきたいと思います。
  28. 吹田愰

    吹田国務大臣 先生のお尋ねになりました、私のいわゆる後援会と私がかつてつくりました会社、今直接は私は関係しておりませんが、そういった会社とのかかわりの問題についてでありますが、このことにつきましては、先ほど亀井先生ちょっとお触れになりましたけれども、私も非常に残念に思っておるわけであります。  と申しますのは、私もずっと、県議会時代に私がつくった会社でありますが、それは小さな会社なんですけれども、その会社の職員の方から六名、私のいわゆる事務所に対して、地元事務所に対しまして職員を手伝ってあげよう、実質的に手伝ってあげようということで、その私の会社の職員でありました方が会社の仕事の時間、時間を割いて、いわばまあ三割あるいは四割ぐらいの時間的余裕を持っておるということから、定年退職組なんですけれども、そういった年配の方々が私の事務所を手伝ってくれていたということでありましたが、それがたまたまことしの四月に税務署から指摘を受けまして、せんだってからの委員会指摘を受けているようなことに相なっておるわけでありますが、これについて私も非常に申しわけなく思っております。  特に、政治改革の担当大臣であります私のところの秘書にそういった問題があったということは非常に残念に思っておりますが、ただ、私としましては、過去においてこういった問題は一度の指摘も受けていない、三年ごとの調査があるようですけれども指摘を受けていなかったものですから、それはそれとして認めていたんだというふうに思っておりましたが、ことしはそれは認めがたいということになったということを会社から聞きましたものですから、それでは私の方に全部秘書は引き取りましょうということになりまして、いわゆる会社の方からのこうした協力が若干あったということについては、これは立てかえ金としての処置をするし、税務当局から言われておる修正申告にはちゃんとして、これをさかのぼって三年間を納税するということで、四月二十六日にすべて解決がついたわけであります。  したがいまして、今日はそういった点につきましては全く関係なく、私の方の関係で処置しておるわけでありますが、ただ、立てかえ金という処置をいたしましたものですから、私はことしから年々これをできるだけ早い機会に、広栄物産という会社でありますが、これに対しまして立てかえ金をお支払いしていかなければならないということになってまいりますものですから、明年からの申告に対して、政治資金規正法に基づいて私の後援会から立てかえ金としてこれを乗せていくということになってまいります。できるだけ早く会社にお返しじよう、こういうつもりでおります。  寄附としての取り扱いでは一切なかったものですから、私も非常に残念に思っておりますが、しかしいずれにしましても、そういうふうな誤解を受けるようなことがあったということは、今当面の政治改革の責任者としての立場におります私にとって不明の至りでありまして、これは深くおわびを申し上げる次第であります。  それから、水野先生の問題についてのお話が今ございました。これにつきましてもかって特別委員会で御質問がありまして、これについての事実関係の問題についてでありますが、政治資金規正法との関係一般論として申し上げれば、政治資金規正法の収入あるいは寄附に該当するか否かは、政治団体等が金銭等の財産上の利益を受けていると認められるかどうかによるものでありまして、個々の具体的な事実に即して判断する以外にないんだということであります。特にこの問題については警察を通してよく調査をする以外にない、自治大臣としての調査権はありませんものですからということを申し上げたわけでありますので、警察当局からこの点につきましてはその後の状況は説明してくれると思っております。  また、最後にありました政治改革に関する三法の審議未了、廃案という問題が昨日特別委員会においての理事会で決定したということを聞きまして、実は非常に残念でもあるし、驚いているわけであります。私は、少なくともまだ期日も四日間あるということで、その間に御審議をしていただけるのではないか、あるいは社会党から提案された、これは中選挙区制なんですけれども対案として出された、この説明があったわけですから、それに対する質疑というものも当然あるものだというふうに考えておりますし、それには私も総理もその出席の必要というものを余り認めないというような意見もありましたから、これは開いていただけるんだなというふうに思っておったのですけれども、審議未了である、そして廃案だということが決定されたということは非常に残念であります。  しかしそれにいたしましても、政治改革という問題は私はその灯を消すわけにいかない、それは国民に対して申しわけないことであるというふうな気持ちでおりまして、私も今日、総理が重大な決意をしておるというこの解釈につきましては、私もそのように深刻に受けとめておるわけであります。そういった意味で、今後も何とか灯を消さないでこの問題が進めるように配慮いたしたいものだな、最後までの努力をいたしたい、こう思っております。
  29. 中沢健次

    ○中沢委員 この問題についてはきょうの委員会ではこれ以上深追いは避けたいと思いますが、しかしいずれにしても、特別委員会が解散になりますと、勢いこの委員会でもいろいろな問題、関連をして残された課題、例えば水野さんの問題なんかそうだと思いますから、残された課題もある、このことだけを指摘いたしまして、質問については次に移りたいと思います。  さて、八月に人事院勧告が出されました。大臣や関係者は御承知のように、今度は一月通常国会召集、こういう裁きになりまして、それをひとつ背景にして二つ、関係するわけでありますのでお尋ねをしたいと思います。  人勧の完全実施ということは、私の立場で言えばもう当然である。問題は、地方公務員の給与引き上げに必要な財源が七千二百億円である。この公務員給与引き上げに必要な地方財源の具体的な措置がどうなっているか。既に織り込み済みの金額もあるように聞いておりますけれども、具体的にひとつお答えをいただきたい。  それからいま一つは、総裁の方から完全週休二日制への移行ということについても具体的に報告の中で示されております。実態としてはまだまだ週休二日制、自治体によっては試行というようなところもなしとはしない。しかしいずれにしても、完全週休二日制への移行ということに具体的に取り組んでいくその必要性は大いにある。その場合に、賃金引き上げと違いまして、当然これは地方公務員法に関係する法の改正が必要ではないか。そうすると、今のところ通常国会が来年の一月でありますが、いろいろ聞いておりますけれども、年内に給与法の審議等々で臨時国会が予定をされている、こういう話も聞き及んでおりますけれども、財源措置の問題も含め、あるいは完全週休二日制への移行も含めて、立法措置が必要な内容については、やはり次期の臨時国会一つの射程距離に置きまして法案作成の準備を自治省としてはやるべきではないか、私はこのように考えております。  以上、二件につきましてお答えをいただきたいと思います。
  30. 小林実

    小林(実)政府委員 本年度の人勧を完全実施した場合における地方財政の所要額、財源措置についてのお尋ねでございます。  地方団体におきます給与改定の取り扱いは、基本的には国家公務員の給与改定の取り扱いを待って決定されることとなるわけでありますが、今回の人事院勧告が仮に完全実施となった場合の地方財政における一般財源所要額は、現段階の試算では、御質問の中にもございましたように七千二百億円程度というふうに見込まれておるわけでございます。これに対する財源措置といたしましては、平成三年度の地方財政計画におきまして当初から追加財政需要額を計上いたしておりまして、昨年よりも二千億ふやしまして、災害分を含めまして七千五百億を組んでいるわけであります。ただし災害分が六百億でございますので、給与等の方に回るということになりますと六千九百億、こういうことになるわけでございまして、この額につきましては既に当初の交付税措置の中で措置をいたしておるわけでございます。  実際の所要額、これは給与改定の取り扱いが決定された段階で精査を行いまして、国の予算の補正措置の状況を見ながら対処する、こういうことになるわけでありますが、七千二百億に対して既に六千九百億措置をいたしておりまして、財源不足額は少額でございまして、過去の例からいたしますと、この給与改定を行う場合には既定経費の節約というものを加味いたしておりますので、こういうことで当初の措置で対応できるもの、こういうふうに思われるわけでございます。  したがいまして、現実に国の方の取り扱いが決まってきました段階で既定経費の節約の内容等も決まっておりまして、そういうことになりますと、給与改定だけのための地方交付税法案の一部改正ということは、それは必要はない、こういうことになろうかと思うわけでございます。
  31. 滝実

    ○滝政府委員 週休二日制についてのお尋ねがございましたので、これについて申し上げたいと存じます。  おっしゃるように、完全週休二日制の勧告があったわけでございますけれども、この取り扱いにつきましては現在政府部内で検討されている最中でございまして、現時点では結論を得てないわけでございますけれども、これにつきまして、仮に完全週休二日制を導入する、こういうようなことになってまいりますと、関係法の、例えば地方自治法の改正等が必要になってこようか、こういうことが予想されるわけでございまして、現在私どもではこのような観点から検討をしている、こういう段階でございます。
  32. 中沢健次

    ○中沢委員 それでもう一つ公務員の育児休業の関係につきまして具体的にお尋ねをしたいと思いますが、既に御承知のように、民間の場合はさきの国会制度が導入、法制化になりました。しかし国の公務員も地方の公務員の場合も、残念ながらまだそこまでいっていないわけであります。しかしいずれにしても官民足並みをそろえる、来年の四月一日実施という意味では、この大原則はしっかり守ってもらわなければ困ると思うのですね。  今、週休二日制の関係につきましてもお答えがありました。法制化について準備中だ。育児休業についてもやはり地方は、来年三月議会を控えるわけでありますから、一月の通常国会ではちょっと時期が遅いのじゃないか。したがって、給与法と同じようなとらえ方で公務員の育児休業についてもやはり次の臨時国会に向けて法案の作業は早急にひとつやっていただきたい。とりわけこの内容でいうと、今指摘しましたように、四月一日実施ということ、それから、既に人確法関連で三つの職種については既得権を持っておりますから、部分的な有給の育児休業というもの、あるいはそれを全体に広げるという、この三つの具体的な内容も含めて、ぜひひとつ次期臨時国会に間に合うように法案作業を急いでやるべきだと思いますが、この辺はひとつ大臣どうでしょう。
  33. 吹田愰

    吹田国務大臣 先ほどから答弁しております給与の問題等は、できるだけこれは急いで配慮する必要もありますし、また完全週休二日制の問題もそれなりに急いでいかなければならぬと思っておりますし、今お話がありました育児法の問題等もこれまた非常に大事な問題であります。さきに民間関係はああして決定し、四月一日からの施行ということで、この法律の問題がございますが、もちろん国家公務員もこういった面に進めていくわけでありますが、それに向けて地方公務員の場合も並行していけるように配慮しなければならぬ。  ただ、それ以前にどうだというお話につきましては、これはなかなか困難な問題があると思いますが、この育児休業法の施行日というものに合わせて施行ということが考えられるというふうなことで、私はこれに対して全力を挙げて早く法案を国会に提出できるようにいたしたいものだ、こういうふうに思っておるわけであります。
  34. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方からお答えがありました。特に改めて言うまでもないと思いますが、地方では三月議会という一つクリアしなければいけない場がありますので、国会の場ではそのことを念頭に置きまして、ひとつ行政府の方で準備は早急にやっていただきますように改めて指摘をしておきたいと思います。  さて、次に地方財政の問題につきまして二つほどお尋ねをしておきたいと思いますが、既に自治省側としては、計数も含めて概算要求を大蔵に八月の末に提出をしております。問題は、交付税の枠そのものは数字も含めて明確になっておりますが、いずれにしても、平成四年度の地方財政計画というのはこれからの作業にもちろんなるわけでありますけれども、平成四年度の地方財政計画の見通し、今日段階でどういう見通しを持っておられるか、これをまず具体的にお示しをいただきたいと思います。
  35. 小林実

    小林(実)政府委員 平成四年度の地方財政の見通しにつきまして、現段階におきまして具体的にお示しできる状況にはないわけでございますが、地方財政はなお多額の借金を抱えておりますし、その一方で、公共投資基本計画を踏まえました社会資本整備の充実、あるいは高齢化社会の進展への対応などやらなければならない事業が山積をいたしておりまして、多額の財政需要が見込まれるわけでございます。  一方、歳入面でございますけれども、経済白書におきましては、今回の景気を「平成景気」というふうに記述をいたしておりますが、戦後最長のイザナギ景気を超えるというようなことも報告されてきておりますけれども、最近の状況は予断を許さない状況、特に税収の動向が予断を許さない状況になってきているわけでございます。自治省といたしましては今後とも、地方財政の健全化を図るとともに、地方団体が当面いたします新たな政策課題にも対応できるように、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保に努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  36. 中沢健次

    ○中沢委員 今局長の方からお答えをいただきました。今日段階ではやや抽象的なことしかお答えができないということについては理解をするわけでありますが、ただ、大蔵省がもういち早く概算要求の段階で、例えば八月の上旬からずっと下旬にかけまして、国の財政から比較をすると地方の財政は余裕がある、したがって、自治省から出されております十八兆三千億の地方交付税、これを引き下げていいんだ、三二%の地方交付税の税率の引き下げも含めて非常に大胆な大蔵省の見解が、非公式でありますけれども既に示されている、こういう状態一つあります。  しかし、今局長からありましたように、一言で言えば、地方財政というのは依然として厳しい、内容的にもさまざまな問題を含んでいる。そうすると、私はかねてからこの委員会でも何回も指摘をしておりますが、いずれにしても、国の財政と単純に比較をした地方財政云々ということについては全くくみしない。したがって、地方財政をしっかり守っていくという観点で言えば、平成四年度の地方財政計画も、やはり地方の行政実態に見合った財政計画にぜひ組み上げていただきたいし、同時に大臣に、ひとつここのところは腹を据えて、見解も改めて聞いておきたいと思いますが、地方交付税の税率の引き下げなんというのは言語道断だと思うのですよ。したがって、まだ十二月の末の大蔵省との最終的な綱引きはあるのでしょうけれども、今の段階でそういう大蔵省の、非公式といえども地方交付税の引き下げということを言っているわけでありますから、地方財政を守るという自治大臣立場からいっても、これはやはり承服すべきではないと私は思いますが、そこのところの基本的な認識と見解だけ改めて聞いておきたいと思います。
  37. 吹田愰

    吹田国務大臣 先刻財政局長から御答弁いたしましたように、現在の地方自治体の財政は、全般的に申しますと決して豊かではありません。多くの借入金をまだ抱えておりますし、また地域によっては、これから相当な思い切った単独事業その他によって地方における環境整備をしなきゃならぬ。おくれがある。そうした面がいわゆる地方と中央との大きな格差の問題になっているわけであり、社会資本の充実がおくれればおくれるほど過疎化というものは進んでいく、こういうふうな理解に立っております。したがいまして、これからやるべきことは地方自治体に非常にたくさんの問題を、それぞれの自治体の長なり議会は抱えているわけであります。私は毎日のようにそういった関係者の陳情を承っております。したがいまして、県や市町村のそういった考え方というものを一日も早くかなえていけるように、そして日本国のすべての地域が公平化された、そして住みよい、明るい地域社会をつくるという目的に向かって進んでいくということの実現を図りたいものだなと思っております。  そういった面からいたしますと、今先生の御指摘にありましたような大蔵省にもしもそういった御意見があるとすれば、それはまことに地方自治体の状況を知らざる意見であるというふうに私は思います。私はそういうことは今日大蔵省から全く承っておりません。ですから私は私なりに、今申しましたように地方財政を確立していかなきゃならぬということについて精いっぱいの努力をします。大蔵省からの何らの話もございませんものですから今これ以上のことを私が申し上げるわけにまいりませんが、私は全力を挙げて地方財政確立と、そうして健全な地域社会の構築というものに向かって努力することをここでお約束をさせていただきます。
  38. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方から極めて積極的な姿勢を含めてお答えがありました。かねがねこの委員会で、例えば平成三年度の地財計画あるいは交付税の議論の際に、しばしば大臣から同様趣旨の見解が述べられました。そのことについては私としては高く評価をしてまいりましたし、これからもひとつ自治大臣として、確かに大蔵省からまだ正式な話はないということは事実だと思いますけれども、もう新聞やテレビで大蔵省の非公式見解もどんどん発表されておりまして、やはり地方六団体にとっては大変恐怖感が現実問題として広がっていることも事実だと思うのですね。したがって、今も大臣からお答えがありましたようなことで、これからひとつ地方財政をしっかり守る、そういう立場をさらにわきまえていただきまして、頑張っていただきたいと思います。  さて、余り時町が残っておりませんので、あと自治省側にもう一つだけお尋ねをしたいと思いますが、実は短期人口急減補正の問題について簡単に触れてみたいと思います。  かねてから単年度措置でこの補正が制度として毎年毎年実施をされてまいりまして、全国的に非常に急速に人口の減った自治体に対する財政措置としては、極めて局地的でありますけれども有効であるという、そうしてこれは平成三年度も引き続き補正をぜひ実施してもらいたい、私も当委員会で取り上げてまいりました、既に平成三年度は実施済みの内容でありますけれども、私の聞き及んでいるところでは、従来よりもその必要性を十分重視して制度を充実した、こういう内容であります。とりわけ産炭地でありますとか造船だとか、あるいは山村の超過疎地帯、極めて財政的な効果が上がっていると思いますので、具体的にその制度を充実をしたという中身について改めて明らかにしていただきたいと思います。
  39. 小林実

    小林(実)政府委員 人口急減に対する交付税措置の中では一般的に人口急減補正というのがございまして、昨年行われました国勢調査によりまして人口が減った団体につきましてこの人口急減補正を適用いたしております。そのほかに、御質問がございました短期急減補正という点につきましては、かねがね中沢先生から御質問があります事項でございまして、毎年度措置をいたしておるわけでございます。昭和六十二年度に単年度限りの措置ということで始めたわけでございますが、その後その措置を引き続き行ってきておりまして、平成三年度におきましては、基本的にはこれまでの算入方法を適用いたしますとともに、減少人口一人当たりの算入単価を四万円から五万円に引き上げるということを行っておりまして、これによりまして措置の充実を図ったところでございます。平成三年度の対象団体は二十三団体、総額九億四千万円になっておるわけでございます。
  40. 中沢健次

    ○中沢委員 今のお答えをいただきましたとおりだと思いますが、いずれにしても、全体的な交付税の枠の増大という共通の課題もそうでありますけれども、やはり局地的に非常に特徴的な財政問題を抱えている自治体もこれからも出てくるわけでありますから、そういうところに対するやや特殊的な財政対策、今後も必要だと思いますのでよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、残された時間、警察庁に対する質問に移りたいと思います。  実は、通常国会の会期末に暴力団対策立法、いろいろありましたが成立をさせて、今具体的に政令作業の最中であります。この委員会の中に小委員会もつくられまして、既に第一回の小委員会が終わって十月十五日に第二回の小委員会も予定をされている、こういう状況になっております。  まず一番目にお尋ねをしたいのは、新聞その他でもういろいろ報道がされておりますけれども、暴力団絡みの証券・金融業界のいわゆるスキャンダル、たくさんあると思います。ただ、現在捜査中だとかいろいろな理由がありまして全体像を公表できないという事情についてはわからないわけではありませんが、簡単に、警察庁が所管をしている暴力団絡みのこの種のスキャンダルについてまず明らかにしていただきたい。  私自身は小委員会でも何回か申し上げておりますが、実はきのうも東海銀行の元支店長代理、海外逃亡中のようでありますが捜査の手が及んでいる、あるいはその以前には富士銀行の中村元課長の問題、あるいは古くは住銀とイトマンの背任行為をめぐる問題、あるいは大阪府民信組の理事長逮捕の問題等、直接暴力団とは関係がないようでありますが、実際はその裏に暴力団と紙一重と言っては語弊があるかもしらぬですけれども、仕手集団だとかあるいは金融ブローカーの詐欺集団だとか、あるいは企業舎弟と言われております暴力団に関係するような企業、会社も関与している。こういう事実がもう毎日の新聞に出ているわけでありまして、そういう点で言うと、私個人じゃなくて、恐らく政治家としては共通の認識だと思いますが、これほどまでに日本における暴力団の組織犯罪が深く、広く、しかも暗く広がっているという事実については、やはり非常に驚いているというか、このまま放置するわけにいかない、こういう思いだと思うんですね。  ですから、まず第一にお尋ねをしたいのは、そういった暴力団絡みの証券あるいは金融業界のスキャンダルについて具体的な内容、公表できる部分で結構でありますからお示しをまずいただきたいと思います。
  41. 國松孝次

    國松政府委員 私どもが今捜査しております事件につきましては三つの大きな流れがあるわけでございますが、その中で暴力団絡みというのが一番はっきりしておりますのは、暴力団稲川会の前会長による東急株の大量購入をめぐる一連の事案がございます。この件につきましては、兵庫県警におきまして捜査をいたしまして、外国為替管理法違反の事実があるということで、関係法人及び関係被疑者につきまして間もなく送致をすべく最後の詰めに入っておるというのがございます。  そのほか、具体的な形で暴力団が関与しているという事実を私どもつかんでいるわけではないわけでありますがございますのが、やはりイトマン関連の事件がございます。これにつきましては、瑞浪ウイングゴルフクラブ、あるいはさつま観光、あるいはアルカディア・コーポレーションというものに対する融資をめぐります商法上の特別背任事件がございますが、これにつきましても既に起訴が行われておるわけでありますが、今後とも別の余罪を追及する過程で暴力団関係者についての捜査ができないかどうか、そういう点も視野に入れながら捜査を進めているところでございます。  また、一連の都市銀行をめぐる不正融資事件につきましても、現在富士銀行及び東海銀行の関連について調べておるところでございます。目下のところ、暴力団関係者がこのとおりこういう具体的な形で出ているというものにつきまして把握しているわけではございませんが、いろいろとそういう可能性もあるということを私ども認識をいたしておりますので、そういった点も視野に入れながら今後も捜査をしてまいりたいというように思います。
  42. 中沢健次

    ○中沢委員 実は、今ちょっと指摘がありました許永中がオーナーの鹿児島県内のゴルフ場の開発、実際土地を持っておりました森林組合ですとかあるいは関係自治体が非常に困惑しておる、こういう報道も既にけさのNHKでもありました。いずれにしてもこの問題は相当根が深い、具体的に暴露された内容はまだまだ氷山の一角だというふうに私は理解をしておるわけです。ですから、今後の問題として、十分にそういう事実関係も含めて警察庁としては厳正な態度でひとつ臨んでいただきたいということ。  同時に、最後の質問になりますが、実は先ほど言いました小委員会でもこれから本格的に議論をしなければいけないと思いますけれども、いずれにしても、アメリカでもやはり、今の日本のような暴力団の組織犯罪が非常にたくさん発生をして法の規制が必要だということで、時間がありませんから内容は言いませんが、一九七〇年代に値RICO法という法を制定した。それから、それでも不十分であるということで一九九〇年にはマネーロンダリング法という新しい法も制定をした。そういう暴力団の組織犯罪に対する法規制で言うと、ついこの間の暴対法で果たして十分なのかどうか。もっと言えば、今国会で恐らく成立すると思いますが、例の麻薬二法、麻薬に関連をして不法収益をした、そういう収益については法的に没収をするという新しい立法措置が国内でも出てくるわけでありまして、そういう関係からいいますと、自治大臣国家公安委員長立場関係委員会でいろいろ御答弁されているようでありますが、私はやはりこの際、暴対法そのものは政令作業ということで結構だと思いますが、今言った国内における暴力団絡みの組織犯罪が多発をしている、それに対する法律的な規制があの暴対法では私はちょっと不十分ではないか。ちょっとというか、相当不十分じゃないか。  ですから、今日的な状況に照らしまして新しい立法措置を、アメリカの一つの先進例だと思いますが、あれも十分参考にしながらやる必要があるのではないかということをかねがね思っているのであります。あるいはそれに関連をいたしまして、先ほど亀井先生からも警察の全体的な体制強化について指摘がありましたけれども、暴力団対策でいうと、暴対法絡みで必要な警察のスタッフの配置ですとか、あるいは財政的な裏打ちですとか、そういう関係でいうとこれから非常に重要な課題が残っていると思うのです。その辺のことをまとめまして、自治大臣立場で、あるいは国家公安委員長立場で最後にひとつ見解をお尋ねをしておきたいと思います。
  43. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいまの御指摘は私も非常に大事な問題であり、今日緊急課題であるというふうに思っております。特に、せんだってから大きな問題を起こしました証券絡みの問題、あるいは銀行、金融関係絡みの問題、これに暴力団がすべてかかわっているということにつきましては、実は唖然とすべき問題であると思います。  そういった意味で、警察といたしましてはこれに対しまして、今後の問題としてどういうふうにしてやればいいかということは今非常に真剣に取り組んでおるところでありますが、とにもかくにもあの事件が発生直後から、大蔵省に対し、あるいはまた業界に対し、それぞれ暴力団という問題についての組織介入が受け入れられるような環境というのはまことに憂慮にたえない、これをぜひ排除してもらいたい、これは勇気ある行動をとってもらいたい、そのためにはその組織を挙げて排除できるような組織もつくってくれということも要請いたしまして、今順次そういった暴力団排除の組織体制に各団体が入りつつあるようであります。  しかし、いず札にしましてもそれだけでは不十分でありまして、今先生の御指摘になりましたように、せっかくせんだっての国会で、非常に緊急であるということで御協力をいただいて満場一致で暴力団に対する新法をつくっていただきましたが、確かに不十分な点が随所に見受けられます。当初から、暴力団が得た利益と申しましょうか、そういったものについての剥奪の問題等も協議していたのですけれども、麻薬関係法律の問題との関連で暫時留保になったわけでありますが、ぜひ来るべき時期に、国会におきましてこの暴力団の問題についての新法の改正に積極的に取り組んでまいりまして、こういったことがないようにしていかなければならぬということで、この規制法の問題について今内容の検討を進めておるところであります。  それだけに、積極的な姿勢を持っておるということを御理解をいただきたいと思いますし、さらに私は、先ほど亀井先生から非常に温かいお言葉をいただきましたが、第一線警察官に対する配慮の問題というのも、警察庁長官を長として二十六万、二十七万になる警察官が一人一人警察庁長官の気持ちになって頑張っていけるようにするのには、それなりの温かい配慮をすると同時に、それに対して奮い立ってもらわなければならぬ。そうして、国会が常に求めておる警察官の任務というものに忠実に活動をしてもらいたいということのために若干の配慮をさせていただいておるのでありますが、今後も自治省がこれに対する財政的な援助をしていかなければなりません。そういった意味で、自治大臣としましても、これに協力をいたしましてしっかりした体制づくりに努力していこう、こう思っておるわけでありますし、委員の御指摘になりました取り締まり体制の問題の強化については今後も最大限の努力を払う、また警察をしてそれを督励せしめていくということを申し上げて、答弁とさせていただくわけであります。
  44. 中沢健次

    ○中沢委員 時間が過ぎましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  45. 森田一

    森田委員長 北沢清功君。
  46. 北沢清功

    ○北沢委員 若干中沢委員の御質問とダブる点がございますが、まず初めに、証券・金融問題については、今国会で大きな問題としてそれぞれ審議が進められてまいりました。改めて所管委員会としての立場から警察庁に、また、捜査が入り組んでおります関係から検察庁からも特に御出席をいただいております。以下四点についてお尋ねをいたします。  一として、岩間カントリーゴルフクラブ会員権、平成元年四月発行でありますが、資格保証金の預かり証の件について。第二点として、富士銀行赤坂支店中村稔元課長の架空預金証書事件に絡み、さらに暴力団幹部に多額の融資をした疑いについて、特に金の流れについて。三点として、野村証券が東急株の株価操作をした疑いが持たれることに関連し、稲川会前会長故石井進氏が二千九百万株を保有しているのはなぜかということを解明されていると思いますが、これはどのようになっておるか。四として、本州製紙株をめぐる仕手戦の解明について、どのような疑いが持たれておりますか。以上の点について捜査の現況並びに今後の取り組みについてお尋ねをいたしたいと思います。  さらに、その後幾つかの新事実が次々とマスコミ報道されておりますが、損失がなくとも補てんをした五十九件、約百億であることが判明をしたとか、特に、同じ九月二十六日には本州製紙株価つり上げでオプション疑惑が中央紙に報道されておりますが、これらについても捜査当局は関心を持っておるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  47. 國松孝次

    國松政府委員 順次お答えを申し上げます。  まず岩間カントリークラブの件でございますけれども、この件につきましては、岩間カントリークラブが、その会員資格保証金預かり証なるものを発行することによりまして、十三社の企業から総額にして三百八十四億円の資金を得ていることを承知いたしております。この三百八十四億円の流れでございますが、現在捜査中でございますのでややあいまいなと申しますか、不正確な数字であるという点をあらかじめお断りをしてお聞き取りをいただきたいと思いますが、約百億円がゴルフ場の工事代金に充てられておるほか、約百六十億円が東急株の購入、それから約百二十億円が前稲川会会長の関連企業に流れているということを把握いたしております。私どもといたしましては、こうした金の流れをさらに細かく詰めまして、その過程で刑罰法令に触れる行為があれば、それにつきまして厳正に対処してまいりたいと思います。  第二は富士銀行の点でございます。富士銀行をめぐる不正融資事件につきましては、警視庁におきまして、同行の赤坂支店の元課長ら四名を有印私文書偽造、同行使並びに被害額約百七十億円に上る詐欺容疑で逮捕いたしました。現在その容疑を含めて捜査を続行中でございます。この過程で暴力団への資金の流れがあるかどうかということにつきましては、もちろんそういう点につきましても関心を払いながら今後の捜査を進めてまいりたいというように考えております。  それから、東急電鉄株の株価操縦問題についてでございます。石井前会長は、岩間カントリークラブの会員資格保証金預かり証の売買によって得た金の一部である約百六十億円、それからさらには、野村ファイナンス及び日興クレジットから融資青受けた三百六十億円などを資金といたしまして、東急電鉄株を大量に買い占めました。現在約二千九百万株の同社株を保有するに至っておる、そして、これらの株を現在、さきに述べたファイナンス会社などに担保として差し入れているという事実を確認しているところでございます。今までのところ、この取引の過程で何らかの刑罰法令に触れるという事実を確たるものは把握しておりませんが、警察といたしましては暴力団対策を推進するという立場から、引き続きその詳細について実態解明に当たってまいりたいと存じております。  なお、本州製紙の問題につきましてもいろいろとお尋ねがございましたが、私どもといたしましても、この石井前会長が本州製紙株の買い付けをしたという事実は把握をいたしておるところでございますので、そういった観点で、暴力団の首領による大量の株の買い付けの資金がどこから来たのか、その前後の状況というようなものにつきましても、今後とも暴力団対策を進めるという観点から実態解明に当たってまいりたいというように考えております。
  48. 北沢清功

    ○北沢委員 これらの問題が捜査が立証が非常に難しいというふうな点についても理解ができるわけでありますが、いわゆる社会的な犯罪行為としての、法あれど取り締まれずという経済事犯の一般通念の中で、私ども国会でもしばしば政府側に答弁を求めるわけでありますが、すべて捜査中であるということで今国会を閉めなければならないという情勢にあるわけでありますので、証人喚問についても残念ながら核心に迫るほどの十分な時間がなかったということ、そして国民のこの解明に寄せる、この問題についての一層の捜査当局の厳正な取り締まり強化を要請いたしたいと思うわけであります。  次に、警察庁にお尋ねをいたしますが、去る八月二十一日の経団連、日本商工会議所に要望された「企業活動からの暴力団排除の要望について」、警察庁刑事局の要望は、暴力団問題に総力を挙げ真正面から取り組んでおられる立場から、見るに見かね、やむにやまれぬ要望として、今回の証券問題の一つ端緒になったわけでありますが、高く評価をいたしたいと思うわけであります。さらに八月二十七日、同じ刑事局長名をもって、日本証券業協会、全国銀行協会連合会、証券取引所、それぞれ長あて、業界に暴力団の介入排除についてそれぞれ具体的な要請をされました。このことは、今も言われましたような暴力団新法等における対応もありますが、やはりこれらの要請の中で業界がどのような具体的な対応策を立てているかということにもかかわる問題でありますので、この問題についての業界との連携を強化し、指導を強化するとか、または業界の対応については現時点でどういうふうに評価をされておるか、答弁をいただきたいと思います。
  49. 國松孝次

    國松政府委員 私どもといたしましては、今回の一連の証券・金融問題を踏まえまして、経団連、日商あるいは日本証券業協会、全銀連といったところに対しまして、企業活動から暴力団を排除するようにお願いをいたしたところでございますが、これに対しましてのこれら関係団体の反応でございますが、大変真剣な対応をいたしていただいておるというように理解をいたしております。  例えば経団連にありましては、九月二十日に、社会の秩序や安全に悪影響を与える団体の活動にかかわるなど社会的常識に反する行為を断固として行わないという原則を盛り込んだ企業行動憲章を公表されたところでございます。また証券・金融業界にありましても、暴力団排除組織のための具体的なプログラムにつきまして鋭意検討中でございまして、警察といたしましては、企業関係者の方に確固たる暴力団排除の意識を持っていただくことが大変重要であると考えておりますので、今後ともさらに機会をとらえまして企業活動からの暴力団排除の徹底について関係向きに働きかけていくとともに、暴力団排除の諸施策につきまして具体的かつ実務的な協議、検討を行ってまいりたいというように考えております。
  50. 北沢清功

    ○北沢委員 それでは次に、地域交通問題、なかんずく自治体と第三セクター鉄道についてのお尋ねを順次いたしたいと思います。  第一に、地方自治体の鉄道軌道を中心とした公共交通手段としての第三セクターの諸問題についてであります。  今、全国にこの件について旧国鉄等より引き継いだ路線は三十五路線あります。その経営状況は総じて非常に悪く、経常収支の赤字というものが大多数を占めておりますが、このことの消長というものは自治体の問題として非常に重視をしなければいかぬのじゃないかというふうに思うわけです。  ことしの五月十四日、突如として発生をいたしました滋賀県の信楽高原鉄道の悲惨な大事故、死者が四十二名、負傷者四百二十八名というその内容は、いわゆる地域の特産市の開会の当初であり、地域の深刻な不安となって衝撃を与えております。特に、大変なことですが、その社長が町長であるということ。第三セクターは地方ばかりではなくて公益的な公共交通の役割を果たしておるわけでありまして、これらの安全は全国自治体の第三セクターの将来的な問題として非常に大切だろうというふうに考えるわけです。  そこで、事故後における町の措置はどのように進められているのか、また、自治省の対応も含めてお伺いをいたしたいと思います。もちろん運輸省も絡んでのことであることは承知しておりますし、さらに、今後JR西日本との関連もありますが、当該町等において、将来裁判等において賠償責任が生じるような要素があるのかないのか、また、それらに対する対応についてお尋ねをいたしたい。  最後に、地域の交通の速やかな確立のために、運転再開のめどが具体的に立てられておるのかどうか、また、その対応について、時期等についてお尋ねをいたしたいと思います。
  51. 小林実

    小林(実)政府委員 信楽高原鉄道に関するお尋ねでございます。  五月十四日に事故が起きたわけでございほすが、地元におきましては、滋賀県におきまして副知事を本部長とする対策本部を設けまして、信楽町とともに関係機関との連絡調整、被災者への対応に追われてまいったわけでございます。県と信楽町で同鉄道に対しまして職員派遣いたしまして、被災者との補償交渉、鉄道の再開等のためにいろいろ対策を練ってきておるわけでございます。  最近に至りまして、運行再開、遺族等への補償問題等のために、県が中心となりまして信楽町など地元地方団体とともに、信楽高原鉄道の再建支援の具体的な方策がまとめられてまいりました。地元におきましては、事業を再開するかどうか、被災者の補償をどうするかということが大問題であったわけでありますが、再開をしたいという前提の上での案でございます。その資産の状況あるいは経営状況から考えまして、特に被災者に対する補償責任を全うするためには何らかの支援が必要となるというふうに見られておるわけでございます。  地元から上がってまいりました案の一つは、被災者に対する補償に要する資金につきましては、信楽高原鉄道に対しまして県とともに信楽町が無利子の貸し付けを行うというのが一つであります。  それから運行再開の面についてでございますが、運行再開さらにはその経営安定のための資金につきましては、全国から寄せられました見舞い金、県、関係町による出資、さらには経営安定のための無利子貸し付け等を行うという支援策を講じたいというお話を伺っておるわけでございます。自治省に対しましては特に経営安定のための資金につきまして無利子の貸し付けをしたいというお話でございまして、県からの要望を踏まえまして関係団体に対して転貸債による地方債措置を講じてまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。  さらに、関係団体の財政運営全体の問題といたしまして、特別交付税につきましても配慮を願いたいというお話がございまして、財政事情等を十分伺った上で著しい支障が生ずることのないように配慮してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから今後の運行の予定についての御質問でございますけれども、何日に再開するかということにつきましては確たるお話は聞いておらないわけでございますが、先般知事が、この地域の道路が冬季にたびたび凍結することがあるためにその時期までに再開が望まれるということでございます。そのための必要な支援を関係団体としても行いたい、こういうことでございまして、私ども、県、地元団体の御意見お話を聞きまして、県の意向に沿うように最大限の努力をさせていただきたいと考えております。
  52. 北沢清功

    ○北沢委員 今それぞれ御答弁がありまして、非常に大変なことだろうというふうに私は思うわけであります。特に、無利子の資金を貸し付けるとか無利子のいろいろの資金を使うといっても、ただでさえ経営が安定せず赤字でおる路線でありますし、加えてこれからもいろいろな近代化を図っていかなければいけないわけでありますから、これらについては特交も含めてひとつ積極的な対応をしていただきたい。  特に、私どもの耳に入っているのは十二月一日から運行したいというふうに聞いておりますが、冬季になるわけでありますから、ぜひ公共輸送手段としての――特に、国鉄からの切り捨ての中からこの問題は出ていると思うのです。この二つの連絡の不徹底というようなことも、無線が通じないとか飛んでいったとかというようなことも言われているわけでありますが、一貫した体系なり一貫したそういう手順が整っておれば、このような貴重な人命を失う、また負傷するということはないわけでありますから、これらについてもあわせて運輸省等とも協議をされて、その対策等にも援助施策を積極的に図られるよう特に要請をしてまいりたいと思います。  次に、北陸新幹線の高崎―軽井沢間は既に事業免許になりまして建設が進められております。つい先ごろ高崎―長野区間の事業着工が決まりまして、従前より陸の孤島と言われた長野県にとって、また一九九八年の冬季オリンピックの開催に伴いまして、何としても九七年度秋までに開業しなければならないという至上命令があるわけであります。  今までの従来の新幹線とは異なって新たに今路線から地元負担が求められておりまして、これらは約七百数十億円、さらにこの用地買収等にいろいろの課題がありますのでこれをクリアをしなければいけないわけでありますが、これらの県や市町村負担にかかわるものが予定をされておるわけであります。今回、これからの全国の三路線の進捗バランス等によってはさらに負担が増加する可能性もあるんじゃないかということも言われておりますし、また、九月十八日に着工式に運輸大臣が長野へ参りました。新幹線の開業に伴い分離される在来線に対する国庫補助については財政支援的な見解をしたことが報道されているわけであります。したがって、自治省は重要なこれらの地方の問題について実情をどのように把握をされておられるか、また、これらの建設費についてもどのように対処されようとされているのか、財政支援を含めて考え方を明らかにしていただきたいと思います。  また、在来線については従来信越線ということでほとんどの信越線の区間、特に高崎―長野間というものが第三セクターになるとするならば、単年度赤字も二億円に達するのではないかというふうに言われておりまして、今非常に、第三セクターの形態であるとか、区間の設定等についても詰めが進められておるわけでございます。特に、市町村なり県としてもオリンピックの地元負担が、これも千四百億円以上にも予想されますので、これらの負担は非常に問題にされるわけでありまして、この点についてもどのように地方公共団体、特に日常の利用される通勤通学の問題がありますから、基本的な面では全国の地域的な公共交通問題の基本姿勢、そしてこの問題は、病院だとか学校だとか国民の医療、教育に匹敵するような基礎的な必要な地方のサービスになるわけでありますので、いろいろこの第三セクターについても、総じて将来にわたって人、技術、財政の問題を抱えておるが、地方にとってのこれらの赤字はストレートに市町村負担になるわけでありますから、国より切られたことから出発しているこの問題でありますので、国民の足を確保するという中で在来線のセクター化に伴う問題が出そうであります。  これらについても、実態とあわせて、最終的に大臣の決意のほどについても特にお考えを明らかにしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  53. 小林実

    小林(実)政府委員 北陸新幹線、特に高崎―長野間建設に関連する御質問でございます。  御質問、二つございまして、一つは整備新幹線の建設費に係ります国及び地域の負担につきましての財政措置のお尋ねであります。この問題につきましては、国レベルにおきましてこの整備新幹線の建設を進めることを決める際に、一つは、線路その他の主体等の鉄道施設に係る工事、第一種工事といっておりますが、これにつきましては国四〇%、地域一〇%。二つ目には、駅その他の地域の便益に密接に関連する鉄道施設に係る工事、第二種工事といっておりますが、これにつきましては国二五%、地域二五%というふうに負担区分が決まっておるわけでございます。自治省といたしましては、これに伴います地方公共団体の負担につきましては、地方債の発行、充当率九〇%を許可することによりまして各団体の財政運営に支障が生ずることのないように対処をしてまいる所存であります。  第二点の整備新幹線の整備に伴いまして在来線がどうなるかということでございます。お尋ねの区間におきましては、地元におきまして十分検討されまして、経営の効率化等により健全な経営の確保ができるかどうか、地域の足の確保のために鉄軌道が不可欠なものかといったようなことにつきまして、十分御検討の上、第三セクターによって維持されるというふうな方向である、こういうふうに伺っております。そういった地元団体が御判断をされたわけでございまして、みずからの政策判断によりまして第三セクター方式を選択されたわけでございます。経営責任は第一義的には当該第三セクターが負う。そして、出資する地方団体がどのような財政支援を行うかというのは当該地方団体の判断と責任によって行われるものでございます。もとより、安全、技術、人等、財政の面もあるかと思いますが、特に所管省は運輸省でございますので、そことよく調整をされておるというふうに思っておるわけでございます。  自治省といたしましては、第三セクターの円滑な運営が図られ、地方行財政運営を圧迫することが起こらないように関係省庁にも申し入れをしておりますし、自治省自身といたしましても、必要な配慮をしてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。第三セクターの中で一定の要件を満たすもの、公営企業に準ずるような事業を行うもので一定の要件を満たすものにつきまして、出資につきましては地方債を認めるというようなことも考えてきておるところでございまして、この点につきましては、地元から御相談があれば具体的に検討をしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  54. 北沢清功

    ○北沢委員 時間がないので、これらについても、新幹線整備の問題、第三セクターの問題も含めて、ぜひひとつ積極的な自治省における対応を要請いたしたいと思います。  次に、先ごろの、本年の百二十国会でいわゆる林野二法が改正になりました。これは我が国の森林・林野の活性化、地域振興という観点から歓迎すべきものと思われるわけでありますが、しかし、法律が十分効力を発揮するためには従来の制度や組織では対応はし切れないではないかという危惧の声が大きいのも事実であります。  そこで林野庁にお尋ねをいたしたいのでありますが、今回の法改正における中で市町村の役割がかなり強化をされている一面があると思われますが、この点についてのお考え、また、それに対する実際の市町村の体制はどうなっているのか。法改正に伴う支援の強化なども考えていることと思いますが、これらについてもあわせて具体的に簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  55. 田中正則

    ○田中説明員 先生指摘のように、今回の森林法の改正におきましては、市町村の役割といったようなものが大変強化されてございます。  主な点を三つ申し上げますと、従来から間伐、保育等の計画をつくっておったわけですが、これに加えまして、民有林全体の計画をできるようにしたという計画事項の追加がございます。それから、森林施業がうまく実施できるように実施協定といったような制度も導入したわけですが、これが市町村長による認可を行うというような権限も付与したところであります。さらに、林地開発許可に当たって知事が関係町村長に意見を聞くというようなことも加えたところでございます。  これに対する執行体制でございますが、こういった地域森林計画の対象市町村といったようなものが平成元年現在で三千七十二市町村ございます。この中で専ら森林・林業行政を担当する課あるいは係など設置している市町村は七百八十九でございます。またそのほかに、他の職務とあわせた係で専任の職員を配置している市町村といったようなものが六百九十五ございます。合わせて千四百八十四となってございます。  今回市町村の役割の充実といったようなことが図られたわけですが、従来から市町村は森林整備計画の策定などを行ってきてございます。また、林業構造改善事業などの各種の事業実施等を通じまして、市町村そのものの行政経験といったようなものが蓄積されてきているというふうに承知いたしております。  それから、市町村への支援措置でありますが、平成三年度から新たに市町村森林整備計画の策定費に対しまして国から補助を行うということをしてございますし、また、市町村長の求めに応じて営林局長などが計画達成に必要な技術援助といったようなことを行うような仕組みにしてございます。また特に、都道府県あるいは林業改良指導員による助言指導といったようなものが行われるような指導もいたしてあります。  また、予算的に見ますと、こういった市町村森林整備計画の達成に必要な各種の補助事業につきましては、計画を策定した市町村で優先的に実施するというようなこととしておりますので、これらの総合的な対策を通じながら、市町村が森林整備の推進に当たって役割を適切に発揮していただけるように努めてまいりたいと考えております。
  56. 北沢清功

    ○北沢委員 今お伺いしまして、半分も満たない町村職員が対応しておるということでありますので、強化というものの実態はなかなか伴っていないのが現状ではないかというふうに思うわけであります。  林野庁の講じたとされております支援策についても当然自治省サイドにおいても積極的に取り組んでいかれると思いますので、その見通しについてもお願いをいたしたいと思うわけです。
  57. 小林実

    小林(実)政府委員 今回の森林法の改正によりまして市町村に関連するものといたしまして、三点ございます。一つは、市町村の森林整備計画に森林施業の共同化の促進、林業従事者の養成確保等に関する事項が追加された、それに伴いまして計画を改定する必要が出てきておるということが一つ。二つ目は、施業実施協定の認可等の事務が増加すること。三点目に、市町村等による間伐、保育の代行制度が創設されることになっておる、こういうことでございます。  第一点の森林整備計画の事項の追加に関連いたします経費につきましては、国庫補助金といたしまして計画策定事業費補助金が増額されております。それから、二番目の施業実施協定の認可に係る経費につきましては、整備計画推進事業費補助金、これは平成四年度でございますが、増額要求が出されておるというふうに聞いておるわけでございます。  これに伴う地方負担の増加分につきましては、第一点につきましては既に地方交付税の基準財政需要額に算入いたしておりますし、第二点につきましては、農水省の方の予算状況を見まして、それが予算化されるということであれば地方負担につきましては交付税措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。最後の市町村等による間伐、保育の代行についてでございますが、所定の手続を経まして、森林所有者と市町村等が分収育林契約を締結した上で実施される仕組みとなっております。この契約に従いまして市町村は当該代行に係る経費相当分の立木の所有権を取得するということになるわけでございまして、これによりまして、第三点の経費につきましてはその回収が可能となるという仕組みになっておるわけでございます。  今回の法改正に伴う市町村の財政運営につきましては支障が生ずることのないものというふうに考えておるわけでございます。
  58. 北沢清功

    ○北沢委員 それぞれ答弁がございまして、計画策定とか代行事業も今までそういうような事例が一件もないということでありますが、林野二法云々にかかわりまして、特にこれらの地域は深刻な過疎地でありますし、また、重視をされなければならない森林の果たす役割の中で、緑が大切だと言われるような中で、財政的には非常に厳しい実態があるわけであります。したがって、村等の自治体に対する交付税の算定基準に森林・林業の保護を含めるなどの改正をされまして、山村の活性化につなげるべき山村の財政の支援について有効な諸施策を講ずべきものと思われるわけでありますので、これらの点についても御所見をお伺いいたしたいと思います。
  59. 小林実

    小林(実)政府委員 過疎町村におきましては森林等が多いわけでございます。森林面積の大きな市町村に対しましての普通交付税の算定に当たりましては、森林面積に対しまして種別補正というものを行っておりまして、その充実を図っておるところでございます。御質問がございました点につきましては、過疎団体全体といたしまして、私ども、毎年基準財政需要額の拡大といいますか拡充に努力をしておるところでございますが、農水省等の御意見も聞きながら、また検討といいますか研究をしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  60. 北沢清功

    ○北沢委員 私はいろいろ地元の実態を見て、これからの林野、森林二法の中でそれに対する裏づけ、特にそれにかかわる人材の確保、または市町村行政に基本的に対処する人材不足といいますか、そういうものが非常に大きく欠落しておるわけでありますので、ぜひ過疎問題そして緑の確保という面から、自治省においてもいろいろと工夫を凝らしながらこれらに十分に対処していくことを要請して、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 森田一

    森田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  62. 森田一

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川信君。
  63. 小川信

    ○小川(信)委員 質問させていただきますが、地方行政の問題で、またこれは国全体の重要な課題というふうに考えられております、一極集中の是正を図って、いわゆる多極分散の均衡のある国土の形成をするというのが今の極めて重要な政策というふうに位置づけられ、取り組みがされてきておるはずというふうに考えます。しかし、現実にはその逆の方向が強まっておるのではないかというふうな感じがするわけです。  それは具体的に言いますと人口の動きです。いわゆる人口減少の市町村が現実は増加をしておる、こういうことが数字が出てくる。これは国勢調査なり自治省が行われる全国人口、世帯数の動態調査等々からその数字が出てくるわけです。  昭和五十五年には、人口が減少する市町村が千六百八十九市町村、全体の五二%程度であったものが、六十年、若干おさまるような傾向になりまして千六百五十二市町村、全体の五〇・九%と鎮静化したように見えましたものが、平成二年には、二千七十九市町村、全体の六四%が人口減少の市町村に転じておる。こういうふうなことですし、特に人口の自然減の市町村が、これを見てみますと、昭和五十五年が四百七十七市町村、一四・七%、六十年が五百五十六市町村で一七・一%、これが平成二年になりますと千三百十二市町村の四〇・四%に急増しておる、こういう実態があるわけです。これは、まさに大都市への一極集中が是正されてない、さらにこれが加速しておるということを如実に示しておるものではなかろうか、このように言わざるを得ないと思います。  そして、これを県別に見てみますと、人口減少県というのが、言うなれば特定の地方に集中して出ておるということでございます。平成二年に行われました国勢調査による人口減少上位県を見てみますと、一位が青森、二位が秋田、三位が長崎、四位が高知、山口、そして六位が鳥取、七位が岩手、和歌山、鹿児島、十位が大分、愛媛、こういうふうになっております。言うなれば東北と中四国、九州に多くの人口減少上位県が集中をしておるということですし、また、ことしの三月行われました住民基本台帳による人口減少率の上位県、これを見ましても、一位青森、二位高知、三位島根、四位山口それから長崎、六位が鹿児島、七位が秋田、こういうふうな数字が出ておるというふうに言わざるを得ないわけですけれども、こういうふうな人口の減少、特に自然減というものが急速にここ近年ふえてきておる、そしてそれが特定の地方に集中をして出てきておるということを考えると、まさにこの一極集中というものが加速され、多極分散というものは現実には均衡ある国土の形成というものがなされてない、極端なアンバランスがさらに促進をされてきておるのではないかというようなことが言われると思うわけです。  それで、悪い言葉で話の中で出てきたのが、こういうふうに見ますと、高知、山口、鹿児島というのは明治維新のときに徳川幕府を倒した中心になった県だ、百数十年後に今真綿で首絞められるように復讐されておるのではないかというようなことを言う人もおりますけれども、そんなことはないと思いますが、ちょうど国土の端、本州の北の端、南の端、九州の端、四国の一番南の高知、こういうふうなところが集中的に出ておるということは、やはり何らかの方法を、具体的な、そして積極的な施策を講じなければならないというふうに思いますけれども、自治省としてこのことについてどのようにお考えになっておられるのか、大臣としてどのようにこれを御理解され、認識をされておられるのか、まずお尋ねしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  64. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、人口につきましては最近、地域によって片や増加、片や減少という現象が見られております。  実は、都道府県単位で見ますと、昭和五十年代の前半ぐらいには減少県が一県程度にとどまるという状況があらわれまして、私どもも国土の均衡ある発展という方向に向けていい兆しか見られたものと思っておりましたけれども、ここ数年は御指摘のように、確かに大都市圏とそれ以外のところでは様相を異にするような現象があらわれております。住民基本台帳に基づきます一番近い人口動態調査、これはことしの三月三十一日現在のものでございますけれども、それを見ますと、東京圏につきましては、東京自体は減少しておりますものの、神奈川、千葉、埼玉という周辺県が増加しているために全国での人口シェアを大きくしております。一方、地方圏、三大都市圏を除く地域につきましては、その人口シェアが減じているという状況でございます。  また、この社会増減を見てみますと、東京圏では増加をいたしております。同じ大都市圏でありましても、名古屋圏の場合には微増という状況でございますし、大阪圏について見ればこれは減少しているということでございます。なお地方圏については依然として減少しているということでございまして、こういう指標から見れば、まさにおっしゃるように、東京圏への一極集中の是正と人口を地方に定着させるための施策を推進することが必要な事態であるというふうに認識しております。  自然減にお触れになりましたけれども、自然減につきましては、人口の社会異動の結果、若者が大都市の方に寄っていく、残った者が高齢化する、そうするとどうしても生まれてくる子供の数が減ってくるというふうなことがございましてこのような現象を来しているわけでありまして、そのためには若年層の地方圏への定着ということがやはり図られなければならないということで、例えば新しい過疎法におきましても、このような現象に着目いたしまして、従来の単なる人口の増減という率だけではなくて、増減及び財政力、それだけではなくて、若年層の比率であるとか高齢者の比率であるとかということに着目して指定を行いまして、かつ、施策につきましても、若年層の雇用機会を創出するような施策についても、例えば過疎債を一部充当するというふうな考え方をとっておりますし、またその若年層の定着のためには、従来の雇用機会とかそういう経済的な要因のみならず、生活環境に対する配慮も必要であるということで、私ども、先年来地域づくりについての各種の施策を講じているところでございます。
  65. 小川信

    ○小川(信)委員 今県レベルでの人口の動態というのを申し上げたわけですけれども、今ちょっと局長からお話がありましたけれども、自然減の一つの極めて大きな要素というのは、子供を生む人間が少ない、その年齢層が少ないということです。言うなれば、高齢化率が非常に高いということだろうと思いますけれども、現在いわゆる高齢化率の全国平均が一一・六だ、そう言っておられますけれども、今申し上げたような県、島根県が、一七・四%でトップですが、高知が一六・五%、鹿児島が一五・九%、山形一五・五%、長野一五・五%、鳥取が一五・五%、山口が一五・四%と、こういうふうな人口の減少県は、重ね合わすと高齢化率の非常に高い県でもあるということでもなってくるわけです。そういうふうなことを考えてみましても、現在一一・六%の高齢化率が二〇〇〇年には一六・三%になるだろうというふうに人口問題研究所が推定をしておられますけれども、まさに、今申し上げたような県は、既にその先取りをしておるというような状況で高齢化しておって、そして言うなれば、逆に言えば、若い人たちが少ないために子供が生むのが少ないから、それでなくても出生率というのが少なくなっているのに、さらに若者層がいないということで自然減がさらに加速するのではないかというふうなことが私はあるのではないかと思います。  そういうふうなことで結局、よく言われます過疎化現象、過疎市町村というものが出てくるということですけれども、全市町村に対する過疎市町村の人口の割合、これを見ますと、全国平均が六制、こう言われますけれども、鹿児島県に至っては全市町村の人口の中での過疎市町村の人口というのは三六・四%というふうに、三分の一以上が過疎地域に人が住んでおるということです。この中で全国的に見ますと、上位県の二十位のところまでとってみますと、九州は八つの県の中で六県、中国は五県のうちで四県、四国は四県のうちで三県、こういうふうに九州、四国、中国というところが極端に過疎化してきておるというのが現実の数字で出てきておると思います。  それで、この過疎地域というのは、端的に言えば農山村地域というふうに言われますので、農家人口に占める六十五歳以上の人口の割合を見てみますと、一位の広島が二四・七%、四分の一、山口が二四・三、高知が二三・三、鹿児島二三・一、愛媛が二三・〇、島根二二・五、岡山二二・四、さらに中国全域がこういうふうなものに入ってきておるということです。  今こういうふうな極めて深刻な過疎化現象、人口減少が日本の特定の地域に集中的に出てきておるということ、そして自治体がこれに対して本当に悩んでおられるという現実に対して、私も中国地域におる者として本当に危惧の念を持つ。将来どうなるんだろうか、こういうふうに思うわけです。自治大臣も私と同じ中国地方におられる。また、委員長もそうでございますけれども、今こそ、こういうふうな高齢化率が非常に高くなって、そして過疎化現象が進み、人口の社会減も自然減も両方重なって人口が減少する地域に対して、具体的な施策をしていかなければならないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。この辺で大臣のお考えを聞かせていただければと思いますが。
  66. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま小川先生が数字を挙げてそれぞれの地域の過疎現象の状況が局部的に偏っておるということの御指摘がありまして、私もそのどおりだと思っております。このことにつきましては、総体的にはさっき審議官から御説明を申し上げましたが、いずれにしましても、私も過疎県に生活しておる者としまして非常に残念に思いますが、やはりそこには若者が生活する環境というものを整えていかなければならぬことは、まず何といっても大きな要素になってくるであろう。住みよい地域社会というものを考えますと、そこには雇用の問題も大きな要素になってまいりますし、交通体系の問題もさらに加わってまいりますし、生活全般の環境というものを整えていくということも必要になってまいりましょう。総合的な面からいきまして、やはりそうした意味においての、先ほども私はお答えを申し上げたのですけれども、社会資本の充実や、そういった特別な雇用問題や、その他の政策的な面での配慮というものをしていかなければならな。いのではないか、こういうふうに思っております。  今小川先生おっしゃるように、山口県の例えば申しましても瀬戸内側は、工場のまずベルト地帯としてかなりの人口がそのまま維持されておりますけれども、山口県も小川先生の方の地域であります日本海沿線あるいは玄界灘に面する線、こういったところは非常な減少、あるいは中国山脈の屋根とも言われるべき地域は非常な減少状況にあるということは、確かに私は一つの大きな問題であると思っております。  そういう意味におきまして、自治省としてこれからなすべきことは、確かに多極分散ということにおいて、あるいはまた地方分権という姿において、地域の魅力、強みというものができ得るような方法をとっていくような、そういう政策を掲げていかなければならないということで、今日以上に、自主財源の確保の問題、分権制度の確立の問題、そういったこと等を通して配慮をしていきたいものだ、こう思うわけであります。  すぐ右左にどうすれば人口がふえるかといってもなかなか難しい問題でありますが、今申しましたようなことをうまずたゆまず、ひとつ社会資本の充実や、あるいは生活環境の問題や、あるいはまたその地域における雇用の増大の問題や、そういった総合的な配慮というものを加えていかなければならぬ、こう思っておるわけでありますし、また一面、過密化しておるところはドーナツ現象もあるわけでありますから、こういった面も行政の面では十分配慮していかなければならぬところでもありますので、総合的に多極分散を進める、一極集中というものを排していくということは今後も政府の最も大きな仕事であり、また自治省の掲げておる仕事としましては、全国の地方公共団体を抱えておりますだけに、均衡ある発展のために配慮をしていきたいものだ、こう思っておるわけであります。
  67. 小川信

    ○小川(信)委員 そういうところで現実、今も大臣からもありましたように、雇用の場をどう確保するのか、交通通信網をどのように整備強化していくのか、さらには生活環境の整備のおくれをどのように充実していくのか、若者が定住できるような総合的な条件整備というものが必要だということで自治体も非常に努力をしておられます。そして、とにかく人口の減少に何とか歯どめをかけていきたい、こういうふうな気持ちでそれぞれが取り組んでおられるというふうな事例をたくさん聞くわけです。  しかし、現実に過疎化された農山村地域、いわゆる人口が急激に流出する地域というのは、まだまだ整備というものがおくれている。農業センサスで見ての農業集落の廃棄物の処理方法を見ましても、雑排水の処理の方法等を見ましても、非常にまだまだ全国平均から見てもおくれておる。さらには、町の中心地まで行くのに時間がかかるというようなところの集落もまだまだたくさんあるというのが現実です。そういうふうなことでそれぞれの市町村がいろいろな努力をされております。  これは前の委員会でも御質問しましたし、大臣からの御答弁もございましたけれども、農業集落排水事業というのは非常に希望が多くて、各地でこれが進められております。これは私は非常にいいことだと思います。そして、合併浄化槽の方がいいというようなところもいろいろあるでしょうけれども、とにかくこういうふうなものを進めていくということですけれども一つの例をとって申し上げますと、農業集落排水事業等を行っていきますけれども、御存じのように農村地域というのはいわゆる散居的に住居があるわけです。都会のように集中してないわけで、そうすると、末端の二戸の農家に管を引くというような場合には、実を言って二戸しかないところに対しては、そこの間は補助の対象にならぬです。これは補助事業の一つの基本として、一個人に対する事業部分には対象にならぬのは仕方がないと思いますけれども、そういうふうに対象にならぬからおまえの家はのけますよというわけにはいかない。そうすると地域全体でそれを抱えなければならぬということになると、その補助のつかない部分の負担は結果的には市町村が負担をせざるを得ない。いわゆる市町村の追加負担というものがこういうところにも出てくるというようなこともあるわけなんです。  それから、せっかく住民の熱意によって、国の補助を受け、そして市町村も追加的な負担をして集落の排水事業を始めたけれども、今から先この維持管理、それから更新期のときの財源をどうするのか、こういうふうな問題等、これは全都市町村が今から抱え込んでやっていかなければならない大事なものになってくるわけです。これは逆に言いますと、市町村の財政担当者は、先が心配でやらぬ、先のことを例えば積み立てでもしておきたいというような気持ちもあるわけですけれども、そういうふうな一つの事例があります。  それから、若者を村に定住させようということで、これは御存じかと思いますけれども、岡山県の備中町なんかでは、十六歳から四十四歳の男女どちらかがその年齢の中で結婚した場合には、結婚助成として百万円を出しますよ、そしてまた、五年以上町に住んでくれれば、独身のUターンの人でも、新規学卒者の人でも、家族が町から帰ってきても、新しく村に入ってきてくれたら五十万円を出す、三十万円を出す、とにかく村に住んでください、こういうようなのがあります。結婚の仲人をして、村の中の若い人たちを結婚させて村に住ませたら、仲人には五十万円出すよ、こういうふうなことを現実やっているわけです。こういう経費は全都市町村が独自でこれを御負担されてやっておちれるというような現実があります。こういうふうな市町村が、山口県でもあります。村に村が宅地を造成をして、そこに十年住んでくださったらその土地はただで上げますよというのもあります。  そういうふうな、定住をしてもらうために、人口減を何とか歯どめをかけたいと市町村が独自でいろいろなお金を持ち出して、負担をしてそれに取り組んでおられるというのがございますが、こういうふうなものに対して、自治省として何か具体的な支援措置というものが考えられないのか。過疎地域にとっては、規模の小さな過疎地域、先ほど言いました岡山県の備中町は人口が三千六百ぐらいの町です。そういうふうなところでそんな努力をしておられる。これにほかのところと同じような並びでいいのかどうなのか、その辺をまずちょっと聞かせていただければと思いますが。
  68. 小林実

    小林(実)政府委員 御指摘の問題につきましては国の各省挙げて取り組むべきお話かと思うわけでございますが、自治省といたしましては、従来から交付税におきまして傾斜配分のために努力をしてまいっております。  御承知かと思いますけれども、代表的なものを若干申し上げさせていただきますと、人口の急減する団体について急減補正をいたしております。これは現実に平成二年の国勢調査で人口が減っているのが、今御指摘がありましたように六四%の団体が減っているわけでありますが、この基準財政需要額、交付税額につきましては補正をかけまして、減らないように激変緩和の措置をいたしておるわけでございます。  それから、毎年いろいろ努力をいたしておりますが、農業地域あるいは林業地域につきまして、その就業者の比率に応じて割り増しをするとか、あるいは老人人口、出稼ぎの方の数を指標として補正を適用するというきめ細かなこともいたしております。  大きなものといたしましてはそのほかに、御承知のように過疎債、辺地債につきまして毎年増額をいたしております。昨年は、過疎の対象事業を産業振興その他の方にも使えるようにいたしましたし、辺地債につきましてもことしその対象を拡大いたしました。  また、産業の振興、雇用の増に結びつく民間企業を支援するために、いわゆるふるさと財団の融資をいたしておりまして、過疎地域につきましては、通常の団体は無利子の貸し付けの割合が全体の二〇%でありますが、これを二五%まで上げまして支援をする。こういうことで、地道ではございますが、過疎地域の雇用拡大、産業の振興にわずかながらも寄与している、こういうふうに思うわけであります。  それから、例のふるさと創生関連で、地域づくり事業の三千三百億の配分でありますが、六十三年から平成元年にかけましては一律一億円ということでございましたが、その後の平成二年、それからことし、来年の三カ年におきましては、六千万から一億数千万の範囲で多少傾斜がついておるわけでございますが、今までの交付税措置の中では、人口の少ない団体に極めて高い補正で財政措置をいたしておるわけでありまして、市町村に対しましては三年間で地域づくりで三千三百億、ソフト関係の経費で交付税措置する金額はもう既にわかっておりますので、三カ年のタームで仕事を考えていただきたい、こういうことをお願いしておるわけであります。いろいろ御指摘がございました仕事も、恐らく今言ったような交付税措置の中で工夫をしていただいている面もあるように思うわけであります。  それから、農業集落排水につきましてのお尋ねがございまして、末端のところが二戸以上は補助対象になるけれども二戸の場合は対象にならないというお話でありました。これは補助事業と表裏一体で実施されますので、昨年から、そういう一戸のところにつきましても下水道の事業債を認めまして、元利償還の五〇%は交付税措置をする、こういうことにいたしております。また、当該団体が過疎団体である場合には一部過疎債も充当してよろしい、こういうことをいたしておるわけでございます。  そういうことで、自治省といたしましては自治省なりに努力をいたしておるわけでございますが、いろいろ今御指摘がございました点につきましては、交付税制度になじむかどうかよく研究をさせていただきまして、私ども姿勢といたしましては、いずれにいたしましても税源のない団体に交付税措置を、財源措置をいたしまして、一極集中の是正といいますか、地方の振興を図りたいというのが基本でございますので、そういう面で努力をさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  69. 小川信

    ○小川(信)委員 いろいろ御努力をいただいて改善の方向にあるということは十分理解をいたしますが、過疎化が激しい市町村、地域自治体では血の出るような取り組みを現実にやっておられるという、今の二つは例として申し上げたので、そのときに自主的な財源をそっちの方へ持っていかざるを得ないというようなことなので、今も財政局長からお話がございましたが、やはり交付税の中、身をもう一遍洗い直して、見直す必要があるのではないか。  例えば、いろいろな補正をやっておられますけれども、いろいろなたくさんの形での補正を行っておられるけれども、いわゆる高齢化比率とか、これは過疎の度合いがどうなのかとか、林野面積でもその中での人工林の面積がどうなのかとか、そういうような形での補正をやるとか、それからこれは計算が数値的には出せないかもわからぬが、国土保全寄与度というものをどういうふうに見るかとかいうようなこと、それから、これは前の委員会でもちょっと申し上げたことでありますが、新規学卒者が流出したものに対する補てんをするという意味での対応の仕方なんかいろいろと方法があるだろうと思うのです。  それで、測定なんかを見ましても、いろいろときめ細かくやっておられますけれども、例えば面積測定のところで、種別の補正というので宅地を一にして、田畑が〇・二四、森林が〇・〇一、こういうふうな数値を挙げておりますけれども、この辺の数値を変更することによって、いわゆる過疎化、森林地域の多いようなところにきめ細かな配慮をしながら、交付税というものを交付するようなことが考えられるのではないか。  たまたま、既に御存じのように、ことし交付税、大蔵省に概算要求しておられますけれども、大蔵省は約五兆円ぐらい財源が足らぬから交付税を削ろうかといって目をつけておられるわけですけれども、これだけのものが要るんだから削ることはまかりならぬということで、市町村の財政需要というものはこれだけ必要なのだという形でこれを防がなければならぬと思います。そういう意味からも、新たな計算、積算の方法を考えて、現在の基準の見直し、交付税算定方式の見直しをして、過疎化に悩む市町村、さらには人口減の県、市町村、こういうようなところに対して人口流出の歯どめをかけられるような財政面からの措置を交付税で自治省として取り組んでいただくことが必要ではなかろうか、このように思いますけれども、この交付税の今度は来年度の予算の交付の中でこの問題を考慮することが必要だと私は思いますが、いかがでございましょう。
  70. 小林実

    小林(実)政府委員 地方財政をめぐる大蔵省との折衝におきましては、私ども地方財政計画の歳出におきまして、なるべく歳出要因を伸ばすように努力をしてきておるわけでございます。全般的には地方財政につきましても、行革審とかそういったところからは、行革の精神から抑制的にという意見もあるわけでありますけれども、そういう中でも特に一般行政経費あるいは投資的経費につきましては単独事業を伸ばす、こういうことに最大限の努力をいたしておるわけであります。  補助に対しましての単独事業の伸び率、この数年、数字は一々申し上げませんが、いずれも高い率にいたしております。自治省の考え方といたしましては、そういうことで包括的に単独事業を伸ばしまして、個々具体の施策の内容につきましては地方団体で工夫をしていただく、その地域の実情に応じた形で展開をしていただく、こういうお願いをいたしております。  そういう中で、今御指摘ございました、ここ数年一極集中が著しいものですから、傾斜配分をしなさいという御指摘が強うございまして、それに従いまして努力をいたしております。数多くの今御指摘をいただきました。交付税そのものが、公信力のある数値とかそういうものを基盤といたしまして算定をするという制約もあるわけでございまして、今後とも研究をいたしまして、御指摘のございましたような方向で努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  71. 小川信

    ○小川(信)委員 もう時間になりましたけれども地方自治体の自主財源の一つである交付税というのは地方の自主的な行政運営に欠きを役割を持っておるものでございますので、きめ細かな、そして現状よりさらに拡大をした交付税が交付ができ、地方自治体が本当の意味で自主的な運営ができ、人口定住、そして活性化が図られるよう、さらに御努力をいただきたいということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。
  72. 森田一

    森田委員長 須永徹君。
  73. 須永徹

    ○須永委員 今、各地方団体からの要望を見てみますと、地方財源確保の項目が必ず出てまいります。  先ほど質問で中沢先生からも触れられておりましたが、大蔵省の試算によりますと、平成四年度予算は概算要求どおりの歳出を認めて編成しますと四兆九千四百億円の財源不足が生じる、そのことが明らかになったようであります。大蔵省は徹底した歳出削減の方向と、そして地方交付税率の見直しも検討するというような報道もこの間あったわけであります。平成三年度のときもいろいろ議論がありましたが、特例減額五千億円ということが平成三年度に限って行われたわけでありますが、地方自治体にとってもこの点が大変心配をされているわけであります。  地方交付税の問題については今まで何回も確認をされているわけではございますけれども、地方団体共有の財源である、そして、国が徴収をする地方団体の税であるということが確認をされてきたわけでありまして、今度、平成四年度の地方財源を確保する、こういう点から考えますと、特例減額等の問題もまた心配されるわけでございますが、地方の財源である交付税を国の都合によって削減するということはあってはならないことでありまして、自治大臣として、再度この点につきまして見解と確認を求めておきたいと思います。
  74. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま須永先生お話でありますが、先ほども他の先生の御質問にもお答えしましたし、今小川先生からもこういった面の御質問もありましたが、少なくとも私どもは、この地方交付税率の見直しなどという話については大蔵省から何も承っておるわけでもありませんし、それから、どういう話が流れておるか私も存じませんが、いやしくもきちっと決められた地方税の税率等を中心としておる地方財源、これにつきましては私は確固たる信念で、これから全国の市町村のためにやらなければならないことがまだまだたくさんあります。これは先ほどから各先生方から御指摘のとおりであります。  こういったことを考えてまいりますと、この財源というものは非常に大切なことであり、さらに、まだ相当大幅な赤字を抱えておる財政状況でありますから、こういった関係からいたしましても、三千三百の地方公共団体に対しましては、この責任を果たしていく責任が自治省にはあります。私はそういった意味で、大蔵省がどのようなことを言っておるかは承知しておりませんけれども、これは守っていかなければならぬ、こう思っておりますし、これからも必要な最大限の努力をしていきたい、こう思うわけでありますし、この点につきましては私も、先ほどお答えしたことと全く同一でありまして、地方財政の健全化という面に向けてこれからも全力を挙げて頑張るということを申し上げておきます。
  75. 須永徹

    ○須永委員 この間の動きを見てみますと、どうも地方財政側が守りになっているような感じがしてならないわけであります。今大臣からも答弁いただいたわけでありますが、もっともっと積極的に攻めの姿勢で、これからこの地方財政確保に向けて、健全化させていくという方向を目指して、積極的な姿勢を私は求めたいと思っています。  すなわち、地方財政にあたかも余裕があるんだ、こういう話が出るときがあります。しかし、地方団体の現場を見てみますと、そのような実態は全くないわけでありまして、今も大臣からお話があったように赤字のところもある、そういう状況もあるわけでありまして、特に私、地元の群馬の市町村の現場の話を聞く機会もございますが、地方団体、余裕どころかまだまだ本当に財源を求めている、こういうのが実態であります。特に、今もお話がございましたが過疎地域においては、過疎をこれからどうしていくのか、特に活性化という問題で一番過疎地域は悩んでおりますが、それらに対するソフトの事業を何をしていくのかということもありましょうし、また逆に人口急増地域もありますが、その人口急増地域はどうしても行政が後追いになってしまう。下水道にしても道路にしても公園にしても緑化にしても、いろいろなところで行政が後追いになってしまう。  こういうのが実態でありまして、それは、さまざまな住民のニーズに地方自治体は具体的にこたえていかなければならないという現実が私はあるからだというふうに思っています。今、地方公共団体において、高齢化社会の対応や国際化あるいは高度技術、情報化への取り組み、スポーツ、文化、レクリエーション、余暇時間の増大への対応、地球環境の保全、人づくりの推進、新たな財政需要が生じているわけであります。これらの社会経済情勢の変化に対応した財源をふやすことが私は必要だろうというふうに思うわけであります。  平成四年度の地方行財政の重点施策、その概要を見てみますと、豊かさが実感できる国民生活、住民生活の質的向上を目に見える形で推進をしていくというような方向が示されておりまして、そういうためにも来年度の地方財政対策では交付税率を、間違っても引き下げるということはないと思いますが、これら地方団体が必要とする経費、あるいはまた積極的に地方財政計画と基準財政需要額に算入をして、そして交付税制度の本来の機能を強化拡大をしていく、私はこのように思うわけであります。その決意を自治大臣として再度お尋ねしたい、このように思います。
  76. 吹田愰

    吹田国務大臣 極めて地方を思われる御信念に対しまして敬意を表するわけでありますが、私もよく地方へ出かけまして関係の県あるいはまた市町村方々理事者や議員の皆さんともお話をする機会が多いわけでありますが、全国的に見まして、えてして地方の理事者の方々は、単独事業というものは従来おおむね起債でやることになりますものですから、単独財源がまたは起債を受けなければならぬということになるものですから、これに対しまして若干消極的な面があります。内容がまだ十分理解されていない面もあるのかもわかりません。  そういった面で、私も全国を回りますのによくいろいろな地域で宣伝するのですが、地域開発、地域づくりの問題における地域のそういった単独事業は、これはやがて特別な財源措置を後年度にとって、これに対しては市町村の財政に支障を来さないようにするんですよということを、ちゃんと裏打ちしていますからということを申し上げるのですが、また、地方の小さな町村になってまいりますと、議会の方が、余り起債を受けるな、借金じゃないかということで、積極的な活動に対してむしろ理事者に対する抑制の形をとろうという、非常な手がたい活動として発言がされておるということも聞くものですから、そういう場合には、関係の町会議員さんや村会議員の皆さん方にも、そういうことではありませんよということを申し上げ、少なくともその地方で住民の皆さんから選ばれた理事者や議会の皆さんというものが決めたことに対しては、それがたとえ単独事業であろうと、そこに意義があるんだから、選挙で当選した人の意義があるんだから、ぜひ自治省の方にもどんどんと県を通して出してください、それがその町に必要なことであれば私の方は大いにこれに協力しますよということを申し上げておるのでありますが、地方に参りますとそういった点が若干まだ十分徹底をしていないという向きもあると私は思っております。そういう面ではこれからも努力をしていかなければならぬ、こう思っております。  また、今お話がありましたように、人口が急増するところについても非常な先行投資というものが必要になってくる。まだ財政収入が入る前から先に学校もつくらなければならぬ、水道もやらなければならぬ、電気も引かなければならぬ、いろいろな環境整備をするための先行投資が要る、こういったことでの財源問題があるんだということがありましたが、お説のとおりだと思っております。  私もそういった点につきましては、今後自治省を通し、関係の全国の都道府県に対しまして、第一線であります市町村と連絡を密にしまして、そういったことが徹底するようにして、これらの関係の地域に支障のないように、財政的な面で支障のないようにしていかなければならぬというふうに思っておりますし、それだけに、今大蔵省が云々というお話がありますが、そういう話は私も耳にしておりませんけれども、今そういったことを受け入れる用意は私にはとてもありません。地方の発展のために全力を尽くさなければならぬという気持ちでいっぱいであります。
  77. 須永徹

    ○須永委員 今決意を伺ったわけでございますが、私は、より積極的にこの財政を拡大をして地方自治体のニーズにこたえていくという観点でお伺いをしたいと思います。  そこで、まず地域環境問題について伺いたいと思います。中でも廃棄物問題は、先日衆議院でも廃棄物処理法の改正案が附帯決議をつけて上がりました。ごみの増加の問題、そしてまたその処理、それは今や社会的な問題になっているわけであります。その中で地方団体は、ごみの量を減らすためにいろんな施策を講じていると思います。実は私の地元でも、分別収集や資源ごみの回収、あるいはリサイクルといったいろんな単独事業を行っています。特に資源ごみの回収等については要綱をつくり、そしてPTAの皆さんや子供会あるいは市民ボランティアグループ、いろんな団体に参加をしていただいて、一キロ八円という助成金を団体に交付をしながら資源ごみの回収の推進を図ったりしております。あるいはまた、いろいろな工夫を実はそれぞれの自治体で凝らしているわけでございますが、これらについても、交付税できちっと見られているという状況になっていない。  そういう点を考えますと、厚生省にお伺いしたいと思いますが、分別収集や資源ごみの回収あるいはリサイクル、これらが自治体で行われている代表的な事業じゃないかなというふうに私は思いますけれども、それらを行っている地方団体の数、群馬県では、聞きますと、十二、三団体あるようでございますが、その全国的な数についてわかりましたら、それぞれの数をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答えいたします。  先生お話しのごみ収集の中で、特に市町村が実施しております資源ごみの分別収集を実施している市町村の数、これは年々ふえてきておりますが、私どもが調べました結果によりますと、昭和六十三年度時点におきまして全国で六百八十三の市町村等、等と申しますのは、組合も入っておりますので、六百八十二でございます。また、直接市町村が分別収集という形ではございませんけれども、住民団体等が実施していただいている集団回収に対しまして市町村が補助金などの助成を行っている市町村の数というのは、六十三年度の数字で二百二十五の市町村等の数に上っておるところでございます。
  79. 須永徹

    ○須永委員 これらの方法というのは、ごみの減量化に向けて大変効果もあらわれているんじゃないかというふうに思いますが、この間、分別収集や資源ごみの回収あるいはリサイクルといった事業、その効果というものに対して厚生省に伺います。
  80. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答えいたします。  分別収集等によりますごみの減量化の効果というお尋ねでございます。やはり六十三年度のデータによりますと、市町村で、先ほど申し上げました資源ごみとして回収した量というのは全国で五十二万二千トンに上りまして、これは、市町村処理しておりますごみの総量に対しまして約一・一%ということでございます。  また、こうした資源ごみとしての資源の回収のほかに、いわゆる不燃ごみというふうな形で集められているものから金属などを回収している星もございまして、それらを先ほど申し上げました資源ごみとしての回収量と合わせますと、いわゆる資源として利用されたごみの量は、同じく六十三年度の数字でございますけれども、百四十万トンということになりまして、全体の一般廃棄物の総量の三%に相当するわけでございます。  なおこのほかに、先ほども触れましたように、住民団体等によりまして回収しておられますもので市町村が何がしか関与したものの量というのは五十五万二千トンということになりまして、これも入れますと、全国で約四%ほどが資源として回収され、その分ごみの量が減っているという数字になっております。
  81. 須永徹

    ○須永委員 今、量的な部分については三%そして四%という話がございましたが、しかし、この効果というものはただ単に量だけではないというふうに思います。子供会の子供たちや、あるいはまた民間ボランティアグループ、老人会、いろいろな団体の人が参加しているわけですし、住民の意識の高揚、あるいはこれから資源循環型社会というものをつくっていこうということを考えますと、私は重要な役割を持っているというふうに思います。  確かにそういうことを踏まえて、厚生省としてもこれらをさらに推進をしていくという立場にあるというふうに思いますので、これらを推進するためには当然コストもかかるわけです。人件費から始まって、容器から、あるいはまた宣伝、市民に、住民に徹底をしていくための宣伝資材等もがかりますし、そういうソフトの部分に対してどのような財政支援を行っているのか、また、それらに対して積極的な財政支援をさらに強めてもらいたいというふうに思うわけでございまして、その点につきまして厚生省にお伺いしたいと思います。
  82. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、ごみの資源化あるいはその再生利用ということは、厚生省といたしましても大変重要な今後のごみ対策の基本ではないかということでございまして、先ほどお触れになりましたように、この国会で御審議を願っております廃棄物処理法の改正におきましても、それを一つの柱としているところでございます。  具体的に、そういう市町村の取り組みに対する助成でございますけれども、平成三年度の予算におきましても、ごみ減量化推進対策補助金というものを創設をいたしまして、この内容は、市町村が地域住民等の協力を得ながらごみの減量化を推進する体制を確立していただく、それを御支援申し上げるというための補助事業でございまして、先ほど御説明しました資源ごみの回収のルートを確保する、あるいは、集めました資源をうまく再資源化していただくための流通経路を確保すみ、あるいは、ごみの減量化に対しまして住民に対する啓発事業を行っていただくなどなどの事業、メニュー的に行っていただくものに対しましての補助制度として創設されたものでございます。  さらに、平成四年度予算、概算要求をしたところでございますけれども、今申し上げましたごみ減量化推進対策補助金を大幅に拡充をしたいということでございまして、リサイクルのための一層広範なシステムづくり、さらには、リサイクルセンターなどといったいわゆるハードな部分、減量化や再資源化のためのハードな施設整備に対しましても補助をしていきたいということでございまして、廃棄物処理総合対策事業費等補助金という形で要求をしているところでございまして、私どもとしても、この予算の確保に努力をしてまいりたいというふうに思っでおるところでございます。
  83. 須永徹

    ○須永委員 自治省に伺いますが、今厚生省からも増額を図っておるということでございますけれども、分別収集や資源ごみの回収やリサイクル等についての厚生省としてのそういう働きかけはある。しかし、そのほかにもごみの関係、廃棄物、そのほか環境問題といいますと数多くの施策を自治体では行っているわけです。特に、てんぷら油、食用油の再利用ですとか、あるいはまたその再利用を、具体的には石けん、づくりをやったり、あるいはごみ問題の啓発、PRにおいても、エコマーク商品などの環境に優しい商品のPRをするとか、あるいは、消費生活の見直しまで踏み込んで環境教育をやっている自治体もあるわけであります。  特に特徴的なものでも、牛乳パックの回収ですとか、あるいはまた福祉とリサイクルといいますか、そういうものを一緒に考えていこう、身障者が資源ごみの回収をしてきたもの序分けたり、そういうことを自治体ではいろいろな工夫を今研究して実施をしているところもあるわけであります。そういういわばハード、焼却場で、ハードでやるんじゃなくて、資源ごみを回収したり再利用していくいわゆるソフトの部分というのは、やはり自治省としても相当力を入れていかなくちゃならないということを考えますと、市民の皆さんにも参加してもらうということでありまして、いろんな団体、民間ボランティアの団体にも当然参加してもらうわけでございますが、ただ、そういう点はなかなか交付税できちっと算入するということもいかないんじゃないか。  そこで考えられるのは、私、これは私の個人的な考えでありますが、地域環境基金というものを考えたらどうかというふうに思うわけです。まあ平成三年度、地域福祉基金というのが創設されまして二千百億円、これも従来の仕事にプラスしてこの地域福祉基金というのができたわけですが、これも民間ボランティア団体の助成とかそういうものを運用益から行うということが目的だというふうに思います。したがってこの環境問題においても私は、地域環境基金、県段階においては、国としても四億円ですか、各県に最高百億、地域環境保全基金というのが創設されておりますけれども、しかし地方団体、実際に仕事やっているのは市町村でありますから、その市町村にそういう基金を創設をして、環境保全のためにその運用益を使っていくということが考えられるんではないかというふうに思うわけであります。特に、美観ですとか景観条例なんかをつくっている自治体もありますし、あるいはいろんな事業、河川の美化ですとかいろんな事業を行っているところもあるわけでありますから、そういう点を含めた地域環境基金というものを私は考えていくべきではないかというふうに思うわけであります。  そこで、自治省にそういう点につきましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  84. 小林実

    小林(実)政府委員 御質問にもございましたように、広範にわたる環境問題に対する実効ある取り組みを行うためには、地域住民等の自覚と行動が重要なかぎでございまして、ごみ問題につきましても、先ほどからお話がございますリサイクル、あるいは資源ごみの回収、ごみの分別収集等につきましては、住民の理解と協力のもとに着実に推進していく必要があると思っております用地方団体、特に市町村におきましては、このような観点からいろいろな施策を行っておるわけでございます。自治省といたしましては、実態を十分把握いたしまして、関係省庁とも相談しながら的確な財源措置を講じていく必要があるというふうに考えております。  大臣からは、来年度の重点施策の目玉は快適な地域環境づくりである、こういうふうに御指摘をいただいておりまして、いろいろな施策があると思いますが、これもその中に入ってくるのかもしれません。具体的な財源措置の仕組みにつきましては、どのような措置が最もふさわしいか十分検討をしていく必要があるわけであります。  基金という御提言があったわけでございまして、まあそのことの是非も念頭に置きながら検討を進めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  85. 吹田愰

    吹田国務大臣 今財政局長から申し上げましたようなことで、基金につきましても検討はしてみなきゃならぬと思っておりますが、基本的にはこのごみ処理問題というのは厚生省の責任でやるということで、その所管が厚生省になっているわけですから、厚生省もしっかりしなきゃだめなんですよ。厚生省の仕事ですから。だから厚生省がしっかりして、大蔵省にその理由をきちっと述べて、それで自分でやっていくという覚悟でなきゃだめですね。しかし、それでもどうにもできないものについてはやはり自治省が、市町村が困ったんじゃ困りますから、年次計画も立てておりますから、その年次計画が狂ったら大変なことになりますから、そういう点については最終的には自治省もそういった関係町村に対しては協力するという姿勢だけは一貫しております。これは将来も一貫してやります。しかし、基本的には主管庁である厚生省がしっかりしなきゃだめだと私は思いますね。これは役人で言えないことですから私が申し上げるのであります。
  86. 須永徹

    ○須永委員 今大臣からも答弁をいただいたわけでございますが、確かにそれは厚生省が主管官庁でありますから当然でありますけれども、実際に仕事をやっているのは地方自治体であって、今も大臣もおっしゃいましたけれども、市町村なんです。市町村が事業をやっているわけでして、そこが困っているとするならば、やはり自治省としても今言った幅広いものを求められている、幅広くソフトを求められているわけですから、住民のニーズにこたえていかなくちゃならないということから考えれば、私も自治省としてもその点についてはやはり積極的に検討していただきたいというふうに思うわけです。ぜひよろしくお願いいたします。  そういう点では環境問題、あるいは文化の問題も私は同じように類似しているんじゃないかというふうに思うんです。文化においても、御案内のとおり、今東京一極集中に対抗してそれぞれの地方がいろんな企画をしています。茨城県の水戸市では市の予算の一%を文化に充てるということまでしているわけです。そういう文化というのは非常に今言葉でも言われているわけでございますが、特に、地方の選挙へ行ってみますと文化という言葉を言わない候補者はいないくらいに文化というのは重要になっている。それだけ住民のニーズもあるんでしょう。そういうことから考えますとやはり文化面という部分においても、建物はいっぱいできた、確かに。文化ホールや芸術ホールや。いろんなハードの部分もできてきているというふうに思います。しかし、その中身は本当にどうなんだろうということをやはり伺いたいというふうに思うわけです。  そこで、文部省の方見えていると思いますが、文化ホールや芸術ホール、そういったホールが全国的にどのくらいあるのか、そして、その中で具体的には芸術文化振興基金というのもつくられて実際に事業も推進されておりますけれども、その概要なり実績というものもお聞かせいただきたいと思います。
  87. 田原昭之

    ○田原説明員 お答えいたします。  先生指摘の公立の文化ホールあるいは芸術ホール等の数でございますが、多少データが古くて恐縮でございますけれども、まあ全国の公立の文化施設というものは年々増加をしてきておりまして、文部省が昭和六十二年で行った社会教育調査という調査によりますと、全国の公立文化会館の数は七百八十二館、ただこれは、いわゆる席数が三百席以上の施設ということでございます。  それから、続いて基金のお話をさしていただきます。芸術文化振興基金、先生指摘のとおりでございまして、国民がみずからの手で新しい文化を創造していくために、政府の出資金五百億円、それから民間の拠出金百億円を目途に平成二年の三月末に設立をされたものでございます。  この基金は運用益によって各種の芸術文化活動を助成をしてまいっておるわけでございますが、主として四つの分野に力点を置いた活動を行ってきております。一つが、国民に親しみやすい現代舞台芸術公演、オペラですとかバレエとかコンサート等の公演活動、あるいは映画の制作活動について助成をするということ。それから、新しい分野の先駆的な実験的な芸術創造活動を助成するということ。それから、各地域の文化施設、先ほど指摘のありました文化ホール等の文化施設が主催するもの、あるいは地域住民が主体的に企画、実施をする、そういう公演なり展示活動についての助成をするということ。それからさらには、地域の文化財の保存、活用の事業についても助成をするということでございまして、昨年度、平成二年度の実績を申し上げますと、助成金総額二十一億三千万円でございます。
  88. 須永徹

    ○須永委員 時間が来てしまいました。  群馬でも群馬交響楽団というのがありまして、そこは八七年のときは給料が一回で払えないで、資金繰りがつかないということで二回に分けて払うとか、いろんな苦労をしていますよ。そういう点につきましても、ぜひ基金をふやしてもらいたいというふうに実は思うわけでございます。  あわせて、自治省でも地域ステージづくりという新たな事業も考えられているようでございます。その事業においても、お聞きしますと約一億円というような、今度四年度は相当大幅に増額されるという話も伺っておりますが、ぜひその予算をふやして、環境基金の方を主として申し上げましたけれども、そういうふうに積極的にふやすことによって、今大蔵省から出ているいろんな話に対抗できるものを私はつくれるんではないかというふうに思うわけでございまして、ぜひその点につきまして積極的な姿勢を示していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  89. 森田一

    森田委員長 小谷輝二君。
  90. 小谷輝二

    ○小谷委員 最初に、けさの各新聞社一斉に、政治改革三法案廃案へという大きな見出しで、委員長が見解、各党了承ということで、政治改革関連三法案は廃案になるような状況でございます。そこで、今回の臨時国会は、この政治改革関連法案は重要な法案の一つとして当初から審議が続いてきたわけでございます。所管大臣としては非常に御苦労さんであったと思います。けさの新聞のコメントの中に、海部総理があすにでも重大な決意を云々というコメントがあり、その総理の重大な決意、これは何を意味するものか、いろいろ報道されておりますけれども、まずこの総理の言うところの重大な決意、これは何を意味するものであるか、まず大臣の所見を伺いたい。この点が一点。  さらに、この法案の所管大臣として、この法案が廃案になる、こういう現在の見通しの中での大臣の所感をこの際伺っておきたいと思います。
  91. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいまの御質問と申しましょうか御意見はまさにそのとおりでありまして、昨日来、けさの新聞に一面、二面を飾っておりますいわゆる総理の重大な決意という問題でありますが、政治改革というのは、もう我が党におきましてもこの問題につきまして既に三年にわたる審議を進めてきたわけでありますし、政府といたしましても、この国会はまさに政治改革国会ともいうべき重要な法案として、最重要法案として提出さしていただいておるわけであります。先般来、本会議におきましても三日間にわたっての質疑を取り交わすというような異例な審議もさしていただき、またその後の特別委員会でも審議をさしていただいておるわけでございますが、最終的に昨日特別委員会におきましての委員長発表として、審議未了、そうしてこれが廃案ということが発表された。私は非常に残念に思っておるわけであります。  特に、四日間あと残しておりますし、そういった面からいきますと、私の考え方から先に申しますと、社会党も対案をせっかくお出しになった。もちろん我々とは全く違う。社会党の御意見としては、六十一年五月二十一日に決議された衆議院決議、いわゆる定数是正という問題についての現状の中選挙区における抜本改正ということをその趣旨としては述べられました。そうした趣旨説明があった後でありますだけに、これを審議していく、少なくともこれに対する質疑は交わされるものだ、こう考えておりましたが、それが打ち切りになったということは非常に残念なことであり、しかも廃案ということは、何といたしましても私どもはこれは耐えられない気持ちでおります。少なくとも政治改革の公約からいたしましてもこの灯を消すわけにはまいらないということで、最善の努力をこれからも払わなきゃならぬというのが私の気持ちであります。  総理の言っております重大な決意というのは何を意味するのかということにつきましては、これは総理でなければわかりませんが、重かつ大であるということでありますから、これは極めて、これ以上大きな決意はないんだろうと思う。そして総理が持っておる機能のすべてをかけてこの際この問題についてはともしびを消さないようにする、こういう決意のあらわれであろう。いわゆる大事であるという発言であろう、こう受けとめておりますが、それ以上のことは私もうかがい知ることはできませんが、いずれにしましても非常に大事な法案が早々と廃案になった、なるということが発表されたということは、主管大臣としましてまことに残念でありまして、今から残す一両日の間を全力を尽くして、このともしびだけは消したくないものですから、頑張りたい、かように考えております。
  92. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、午前中にも質疑がございましたが、滋賀県で信楽高原鉄道列車衝突事故が五月十四日に発生をいたしました。四十二名というとうとい生命が失われ、六百十四名に及ぶ方々が負傷されるという極めて深刻な悲しむべき事故でございました。亡くなられた方々の御冥福と負傷された方々の一日も早い回復を心から願うものであります。この事故によるところの補償問題、滋賀県並びに関係の印とで非常に協議をし論議を重ね、とりあえず無利子で資金の貸し付けをしようということに決めたようでございます。また、経営安定基金として県と関係の町の方で無利子で貸し付けをする等々の対応を決めたようでございます。  そこで、県の方は自治省に対して、これらの貸付金について有利な地方債措置、また特別交付税の配分に当たっては格別の配慮を強く要望したい、このように自治省の方にも陳情が参っておると思います。この件につきましての状況その他については御説明は求めません。この地元の支援に対して自治大臣の御配慮ある御答弁をお願いしたいと思います。
  93. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま信楽鉄道のあの事故のことを伺いましたが、確かに大変な事故でありまして、私もあの当初びっくりしたのでありますが、その後、関係の滋賀県の知事さんやあるいはまた町長さんや市長さんや、そういう関係者もたびたびお見えになりました。事情もよく伺っておりますのですが、我々としましては、やはりこの関係の市町村及び県、こういったところで第三セクターとしておつくりになられた鉄道でありますから、その鉄道そのものに対しまして我々がこれに対する財政的な配慮云々ということは、これはできません。これはもう御存じのとおりでありますが、少なくとも県がこれに対して配慮する諸問題につきましては、今後十分相談の上でできるだけのことをいたしていかなければならぬのではないかな、こういうふうに思っておりますが、詳細にわたりましては財政当局からお答えさせます。
  94. 小谷輝二

    ○小谷委員 先ほど事情につきましては説明を伺いましたから結構です。  次に、自治省は、九月二十四日に各地方自治体に対して、今後自治体が発行する市場公募地方債十月発行分について大手証券四社を入札、引き受けに参加させないように配慮するように、このような通達が出されておるようでございます。この問題につきましては、最も不公平、不公正、許しがたい証券大手四社の行動に対しては、国民はまさに許しがたいものである、こういう判断をしておるときでございますから、当然のこととして地方自治体は何らかのこれに対する制裁措置をとるべきである、こう考えております。  そこで、十月度に発行を予定されている地方自治体はどこで、どのくらいの規模の地方債に上るのか、この点に対する御説明をいただきたいと思います。
  95. 小林実

    小林(実)政府委員 私どもの方から通知をいたしました趣旨につきましては既に質問の中にございました。自治省といたしましては、地方団体が発行する市場公募地方債の十月発行分に関しまして、国の方の事情もあるわけでありますが、適切に対処するよう通知したところでございます。十月に市場公募地方債を発行する予定のある団体は七団体、都と道、それから指定都市五団体で、発行額は約一千五十億円というふうに見込まれております。
  96. 小谷輝二

    ○小谷委員 この証券問題、また金融機関の不祥事、あわせてかなり問題があったわけでございますけれども、金融機関に対するところの、不祥事件についての銀行等に対するこれらの措置は、自治省はどう考えておりますか。
  97. 小林実

    小林(実)政府委員 証券の方につきましては、実は通達が出てから後に損失補てんをしたということでございまして、国の検査によってわかってきたわけでございまして、そういうことで国債の入札、引き受けに関しまして自粛要請がされたわけでございまして、それを受けてこの市場公募地方債につきましても適切に対処されるよう要請したものであります。  金融機関たる銀行につきましては、特段そのような措置は行われておりませんので、この市場公募地方債の引き受けに関しまして、私どもといたしましては特に対応は考えていないわけでございます。
  98. 小谷輝二

    ○小谷委員 これらの入札の引き受けに大手証券四社を参加させないということになれば自治体にどのような影響があるのか。例えば東京都の場合は、証券大手四社の引受枠は大体三〇%近く、こう見込まれておったようでございますが、かなりの影響が起こるのではないかと予想されますが、この点はいかがですか。
  99. 小林実

    小林(実)政府委員 この市場公募地方債の発行に当たりましては、金融機関、証券会社が当該発行団体との契約に基づきましてシ団を構成いたしまして募集、引き受けを行っております。この中で四大証券会社は現在合わせでおおむね三割程度のシェアを有しておる、こういうことでございます。今回この四大証券会社が募集、引き受けを自粛いたしました場合の具体的な取り扱いにつきましては、発行団体とシ団双方において協議の上適切に調整が行われるものというふうに考えております。市場公募地方債の円滑な発行、消化が行われるようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  100. 小谷輝二

    ○小谷委員 その問題はこのくらいにしておきまして、今、国際連合平和維持活動等に対する協力一に関する法律案が精力的に特別委員会で審議をされているところでございますが、私は、戦後日本の国は平和憲法を守り続けて今日がある、また今後も平和憲法を堅持しながら、世界平和のために日本は何をなすべきか、また日本の果たすべき役割、使命はどうあるべきなのか、ただ一国平和主義だけで許されるものではない、このような考え方を持っておるものでございます。  そこで、この法案の中の地方公務員にかかわる問題について、何点か絞り込んで質問をいたしたいと思います。  PKO法案の第三条には「国際平和協力業務」が規定されております。その中には、自衛隊のみの業務、また自衛隊以外の業務に分けられておるわけでございますが、自衛隊以外の地方公務員等が行う業務、これは代表的なものとして、議会の議員の選挙の公正な執行の監視、また「警察行政事務に関する助言若しくは指導又は警察行政事務の監視」等々であるとされておりますが、これらの業務に対してどのような組織形態で参加することになるのか、ここらの説明がちょっとなされていないように思います。これは自治省から、地方自治体の職員を参加させる、このような立場から、まず自治省の考え方をお聞きしておきたいと思います。
  101. 滝実

    ○滝政府委員 あるいは少し違うかもしれませんけれども、まず、参加の仕方の問題でございますが、これは法案の十一条による場合と十二条による場合と二通りの方法が地方公務員についてはあるだろう、こういうふうに思います。十一条の場合には、地方公務員が地方公務員を離れまして直接この隊員として本部に採用される場合でございます。十二条の場合には、一たん自治省あるいは自治省消防庁の職員に採用された上で、そこから本部の方に出向するという格好で隊員に採用される場合と、こういう二通りの場合があるわけでございまして、私どもは、そういうことはこの業務の内容によっておのずから十一条による場合と十二条による場合とがあるのだろう、こういうふうに考えているわけでございます。  十一条による場合は、要するに地方公務員がこの本部に直接隊員として採用される場合というのは、一般的に業務を行う場合、強いて申しますと、先生がお述べになりました中では、例えばいわゆる選挙監視業務、こういった点は十一条の条文によるものと考えるわけでございます。それから災害関係あるいは消防関係、こういうような業務につきましては、一つのチームとして行動する必要がございますものですから、その場合には十二条で採用される、こういうようなことを考えているわけでございます。
  102. 小谷輝二

    ○小谷委員 国際平和協力隊に参加する地方公務員一般行政職、また警察消防、自治体の病院のお医者さんとか看護婦、いろいろその身分を持ちながら参加するということのようでございますが、例えば自治省の職員に一たんは出向という形で国家公務員に切りかえて国際平和協力隊に参加するということなのか。その場合、例えばそうすれば警察官の場合は警察庁職員、また消防職員の場合は消防庁の職員ということになるのか。これは自治省、警察消防、いかがでしょうか。
  103. 井上幸彦

    ○井上(幸)政府委員 本法案に基づきます警察協力の仕方について申し上げたいと思いますが、まず、これは国際協力本部長の要請に基づきまして警察庁として要員を協力隊に派遣することになります。したがいまして、基本的には警察庁職員協力隊に派遣する、こういうことになるわけであります。しかしながら、業務の具体的な中身によりましては、都道府県警察警察官が日常の業務を通じて培った知識、技能、これらを協力業務の具体的な中身に生かした方がいいであろう、こういう場合があろうかと思いますが、そのようなケースにつきましては、各都道府県警察から警察庁警察官の身分を移す、すなわち出向をさせて警察庁職員として協力隊に要員を派遣する、こういうことになるわけであります。
  104. 木村仁

    ○木村政府委員 消防の場合も基本的には警察官と同様でございまして、市町村消防職員を一たん自治省消防庁の職員に出向させまして、自治省消防庁の職員として一隊を編成し、これを国際平和協力隊に出向させる、こういうことになります。したがいまして、その職員は自治省消防庁の官職と協力隊の官職をあわせ持つ、その間は地方公務員ではない、こういう形になります。
  105. 小谷輝二

    ○小谷委員 このPKO法案の第十二条第三項に「前項の規定により派遣された職員のうち自衛隊員以外の者は、従前の官職を保有したまま、同項の期間を任期として隊員に任用されるものとする。」こういうふうに規定されておりますね。従来の官職を保有したままということはどういう取り扱いになるのか。自衛隊の場合は、これは明確に「隊員の身分及び自衛隊員の身分を併せ有する」こういうふうに明確になっておるわけですけれども地方自治体の職員の場合はどうなるのか。すなわち地方公務員の従前の官職を保有したままということですが、協力隊の隊員としてどんな身分が保障されるのか、この点はいかがですか。
  106. 井上幸彦

    ○井上(幸)政府委員 ただいまも申し上げましたように、地方警察官の場合には警察庁に身分を移しますので、身分的には、例えば階級で申しますと、警察庁警部補なり警察庁警部という身分を保有したまま協力隊に参る、こういうことになるわけであります。
  107. 木村仁

    ○木村政府委員 第十二条の官職と申しますのは、消防職員の場合には自治省消防庁の職員としての官職でございまして、これと平和協力隊の官職とをあわせ持つということで、地方公務員としての身分をあわせ持つということではございません。
  108. 小谷輝二

    ○小谷委員 余分なことかもわかりませんが、地方公務員が国際平和協力隊に参加する場合に、国家公務員へ身分を切りかえて参加するという説明でございますが、そうした場合、各省庁の職員の定数との兼ね合いの問題、これはどうなるのか。例えば、地方自治体の消防隊員が平和協力隊に参加するとして、消防庁の職員に一たん出向することになる。これは一時的には定員との関係はどうなるのか。警察官の場合はまたどうなるのか。例えば、警察官の場合は警察法施行令で定めた定員との関係がありますね、各府県ごとに決められている。これはどうなるのか。この点はいかがですか。
  109. 井上幸彦

    ○井上(幸)政府委員 おっしゃるとおり、地方警察官が警察庁に身分を移します場合に、そしてこの協力隊に要員を派遣いたしますと、この給料というのは警察庁の給料を払うわけでございますので、当然、今の手いっぱいのところに上乗せになる部分につきましては、しかるべき定員措置がとられなければ受け入れようがない、こういうことになろうかと思います。そこでまた、出向元の地方警察の場合にいたしますと、要員の欠員という問題が出てこようかというふうに思います。直ちにその欠員補充をするかどうかという問題につきましては、先ほども申し上げましたように、この地方警察官の能力を使うという場合には、ある程度限定的に我々は考えざるを得ないと思います。  それから同時にまた、地方警察の治安水準の維持という立場から、常にその辺から要員を本当に派遣できるのかどうかというのをつぶさに検討して出さざるを得ないというふうに思います。そしてまた、派遣する場合には、その派遣期間の問題、それから要員が本当にたくさん出ていくかというような状況にもよりまして、一概に欠員補充をすぐすべきだという議論にはならないというふうに思いますけれども、そのような問題があるということを認識しながら、同時にまた任務が終了した場合における、確実に復職できるという措置をとるとか、そのほかもろもろの全般的な士気の維持という立場から、関係機関と十分この問題については協議して適切に対応していかなければならないというふうに考えております。
  110. 木村仁

    ○木村政府委員 自治省消防庁の定数は、消防職員を採用して一隊を編成するほどのゆとりはございませんので、そういう場合には国際平和協力本部等と十分協議をいたしまして、必要な定数を確保した上で派遣を行うことどいたしております。なお、その間地方団体において欠員部分を補充するかどうかということは各地方公共団体の判断の問題でございますが、任務が終わりました後は直ちにまたもとの地方団体に帰ることを予定しておりますので、恐らく欠員補充はしないで対応するものと考えます。
  111. 小谷輝二

    ○小谷委員 地方公務員、また民間企業に勤務している方々が平和協力隊に参加された場合、好むことではございませんが、不幸にして災害またいろいろな被害等に遭遇した場合の補償、これは国家公務員の身分となって参加するわけでございますから国家公務員災害補償法、この適用を受けることになるのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  112. 井上幸彦

    ○井上(幸)政府委員 おっしゃるとおり、身分を国家公務員へ移しておりますので、国家公務員災害補償法の適用になるわけであります。しかしながら、いわゆる特例措置が適用になるかという問題につきましては、これは当然には今のシステムではなっておりませんので、国際平和協力業務に従事する協力隊員としての業務を行った場合これに該当するというふうに改めていかなければならないという問題で、現在もこれは関係省庁で協議をいたしているところでございます。
  113. 小谷輝二

    ○小谷委員 消防も同じですね。  そこで、平成元年六月にこの地方行政委員会で、当時東京の警視庁の警察官が刃物を持った犯人に刺されて殉職するという事件があったわけでございますが、そのときに地方公務員災害補償法の特殊公務災害の認定についてかなり議論をしたわけでございます。そこで、地方公務員が国際平和協力隊に参加して公務上の災害に遭遇した場合、国家公務員災害補償法第二十条の二に規定される警察官や海上保安官その他職務内容の特殊な職員の補償の特例、地方公務員災害補償法での特殊公務職員の特例に相当するものであろうと思いますが、今回のPKO活動の隊員にも、これはまさに地方公務員災害補償法の特殊公務職員特例に相当するもの、これを適用すべきではないか、このように思うわけでございますが、特に自治体の職員等を所管する自治大臣として、補償の問題、大臣、いかがでしょうか。
  114. 滝実

    ○滝政府委員 おっしゃいますように、国家公務員災害補償法の二十条の二という条文によってこの場合には適用されるわけでございます。一方、地方公務員であったならば、地方公務員公務災害補償法の第四十六条という同じような条文がございますので、地方公務員の場合だったらこちらの方が適用されるわけでございます。しかし、いずれも制度としては同じような規定をいたすことになろうかと思います。その際に、要するにどのような業務についてこのいわゆる特殊公務災害という格好で適用されるのかというのは、現在もう既に検討しているわけでございますけれども、さらに今後詰めまして、総理府に置かれます本部あるいは人事院等々の関係機関でこの問題については検討してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  115. 小谷輝二

    ○小谷委員 災害を受けた場合、補償法の二十条の二に定められたその補償については傷病補償年金、障害補償、遺族補償それぞれ五〇%加算ということになっているわけでございますが、平和協力隊員が派遣される地域というのは依然として高度な危険が予想される状況である、そのために平和協力隊には小型の武器をも保有することが認められている、こういうふうに思うわけでございますが、そのような危険がかなり想定される場所、この地域に派遣する公務員すなわち平和協力隊員、この場合の補償は、今申し上げたように警察官の場合と一般行政職の場合と消防隊員の場合とおのずから適用が違っているはずだ。これはどういうことになりますか。
  116. 森元誠二

    ○森元説明員 先ほども御答弁がございましたが、派遣されます国際平和協力隊員は全員が国家公務員でございますので、国家公務員災害補償法が適用されます。その際、先ほど先生指摘のとおり協力隊員の中には高度の危険が予測される業務に従事する者もおりますので、そのような者につきましてはいわゆる補償の五割増しの特例を設けるように、目下関係行政機関と検討を進めているところでございます。
  117. 小谷輝二

    ○小谷委員 PKO法案の平和協力業務の中に、選挙また住民投票等の公正な執行の監視、またはこれら監視の協力業務、こういう業務が規定されておるわけでございますけれども、選挙監視員の派遣につきましては、地方公務員一般職の方々が適任として編成されて行くのではなかろうかと思うわけでございます。しかし、この監視団につきましては、平成元年十月二十六日から十一月二十日、約一カ月間にわたってナミビアの独立確保のための選挙監視員として地方公務員が二十一名、外務省の職員という身分で派遣された実績があるわけでございますが、この国連による独立支援グループの一環としての選挙監視員等の派遣と今回のPKO法案に盛り込まれておるところの選挙監視団と内容的にどこがどう違うのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  118. 菅野利徳

    ○菅野説明員 ただいま先生から御指摘いただきました平成元年のナミビア独立支援グループの関連で日本が派遣いたしました選挙監視グループでございますが、メンバーといたしましては外務省の職員三名、自治省の職員三名、あと地方公共団体の職員二十一名、合計二十七名に御協力をいただいたわけでございます。当時のナミビアにおける選挙監視の業務といたしましては、投票所、開票所において公正な選挙が行われるかどうかということで、その投票の監視、集計作業の立ち会い等々の業務を行ったわけでございますが、今回PKO法案で考えております選挙監視業務というものの性質上、ほぼ同様の業務であると思っております。  今回の法案にこういった業務を国連平和協力業務として取り上げました理由は、今後こういった国連平和維持活動等に適切かつ迅速に協力することができますよう、その実施体制の整備をこの法案の中で位置づけて図っていこうという趣旨で中に盛り込んだものでございます。
  119. 小谷輝二

    ○小谷委員 PKO法案、国際平和維持活動協力法案と全く合わせた形で国際緊急援助隊法の一部を改正する法律案があわせて今政府から提案されておるわけでございますが、PKO法案との関連でちょっと伺っておきたいと思います。  湾岸戦争以来、我が国の国際貢献はかなり不足ではないかという批判、また国内にも、もっと強力に協力をすべきではないか、こういう世論の高まり、PKO活動に自衛隊が参加するとともに国際緊急援助隊にもより強化を図るべきではないかということで、法改正を行って、自衛隊の参加を含めた国際貢献度を高めるという趣旨であわせて提案されたものである、このように認識をしているわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  120. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  今回緊急援助隊法の改正を提案させていただいておりますのは、先生まさに御指摘のとおり、我が国の国際緊急援財体制の一層の拡充を図りたいという趣旨からでございます。
  121. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回の国際緊急援助隊の派遣法、これを改正して自衛隊の参加をさせる、まず求める大きなメリット、どんなことを期待され、どんなことを考えておられるのか、御説明ください。
  122. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  これまでのところ、国際緊急援助隊は、被災国におきます支援の面で、現地の大使館とかJICAの事務所あるいは現地の法人等により助けられてきているという面がございます。私どもとしては、自衛隊が参加することにより、一定の自給自足能力を持つ、しかも規模のより大きな活動が可能になるのではないかと思っております。それから、輸送手段につきましても従来より改善が図られるものと期待しております。
  123. 小谷輝二

    ○小谷委員 詳しくは防衛庁に聞かぬとわからぬのかもわかりませんが、この国際緊急援助隊の活動につきましては、何といってもこれは緊急性、迅速性が要求されるわけでございます。この活動について、まず第一に、派遣すべきかどうかの判断基準、これは何が判断基準になるのか。何を基準にして派遣するかどうか決めるのか、この点はいかがですか。
  124. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  派遣までの手続を申し上げますと、まず法律上には、被災国からの、あるいは関係の国際機関からの要請ということが書いてございましていしたがって要請がなければだめなわけでございますが、要請を受け取りました場合に、外務大臣がいろいろな、例えば被災国との関係等を考慮いたしまして、派遣をすることが適当であると判断いたしました場合に、関係行政機関などと協議をいたしまして、そして派遣内容とか規模とかを決めるわけでございます。  ただいま御提案させていただいております改正によりまして、自衛隊を派遣いたします場合には、その手続は二段階になりまして、まず通常の、例えば従来型の緊急援助隊の派遣では対応できないような規模の災害であるというようなことになりました場合に、改めて次の段階といたしまして、自衛隊の部隊の派遣あるいは自衛隊による輸送活動の実施などを外務大臣が防衛庁長官と協議することになります。
  125. 小谷輝二

    ○小谷委員 今までに要請を行った国際機関、また派遣要員の補償等、簡単に説明してください。
  126. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  法律上には国際機関と書いてありますが、現在までに国際機関から要請を受けた例はございません。いずれも相手国政府からの派遣の要請でございます。  それから、補償問題でございますが、私どもの国際緊急援助隊の場合には、それぞれ所属先の補償制度をそのまま、何というか、背負ってというか、という形で派遣させていただいております。そのほかに、JICAより海外旅行の傷害保険というものを付保させていただいております。
  127. 小谷輝二

    ○小谷委員 災害に対する援助は、先ほど申し上げましたように緊急性また迅速性、この対応が最大の課題であるわけでございますが、例えばバングラの場合、これは災害が発生してから二週間以上経過して派遣することを決定した。また、実質活動を開始したのは、災害が発生してから二十日ぐらい後になってから行動が行われた、こういう報道がありますが、これはいかがですか。
  128. 横田淳

    ○横田説明員 先生指摘のとおり、バングラデシュにおきまして、特にバングラデシュの中でもチッタゴンという実際にサイクロンの被害を受けた場所におきまして活動を開始できましたのは、たしか記憶によれば五月の二十日だったと思います。しかしこれに関しましては、若干遅かったという面はあるかもしれませんが、私どもとしては未経験のヘリコプターを二機分解して運ぶとか、そういう非常に大規模な作業をやった結果、現地におけるヘリコプターの組み立て作業とか、ダッカからチッタゴンまで運ぶ作業とかいろいろございまして若干おくれた面があったということが言えると思います。
  129. 小谷輝二

    ○小谷委員 ただいま報告をいただいたわけでございますけれども、国際緊急援助隊の輝かしい活動、これも関係者の各位の努力による実績として評価されているところでございますが、今回新たにこの国際緊急援助隊に自衛隊が参加する、今までできなかったもののかなり大きな補いができるのではないか、期待されておるわけですけれども、大体装備としてはどんな装備というものを考えておられますか、自衛隊の装備。
  130. 横田淳

    ○横田説明員 自衛隊に関して期待しております装備は、例えば現地で水を供給する活動でございますと給水車でございますとか、あるいは医療活動でございますと野営病院施設みたいなものでございます。それから、例えば輸送の面に関して申し上げれば、現在自衛隊が保有しておりますC130という四発の輸送機がございますけれども、それとか、あるいは補給艦、輸送艦といったようなものでございます。
  131. 小谷輝二

    ○小谷委員 国際緊急援助隊の活動をさらにスムーズに、しかも実効性のある、世界に貢献できる体制と迅速性が要求されていくわけでございますけれども先ほど説明のありました過去のバングラでのヘリコプターの強力な活動、東京消防庁、大阪市消防局等が各一機ずつ出動をいたしまして、全く考えられぬほどの出動時間で大きな活躍をしたと報道されておりますけれども、その反面、ヘリコプターを現地に持っていくのにばらばらに解体して、そうして現地に持っていって組み立てるのにかなりの時間がかかって、実際に活動するのが災害が起きてからかなり日にちがたった後というふうな状況もこれあり、今後大きく改めなければならぬのではないかと言われているわけであります。  そこで、今回の自衛隊の参加によって緊急事態での即応性、機動性、これを高めるのに、特にヘリコプター等の輸送についてどのように対応を考えておるのか、この点はいかがですか。
  132. 横田淳

    ○横田説明員 私どもが承知しておりますところでは、現在の自衛隊のC130にはヘリコプターを積める能力はございません。したがって、自衛隊がヘリコプターを運ぶとすれば、それは船による輸送になるのではないかと考えております。
  133. 小谷輝二

    ○小谷委員 最後に、交通事故総合分析センター、このセンターの建設、設置につきましては警察庁の方も意欲的に取り組んでいただいておるように思います。我が党はこの促進についてかなり推進を図ってきたところでございますが、まず進捗状況、設立の時期の目途、さらにどんな法人として設立を考えておるのか。また、それに対する基本財産、人数、設置場所、どう考えておられるのか。また、かなり費用がかかる、基金としては百億ぐらいは準備しなければならないのではないかとも思われるわけでございますが、この費用の分担はどういう団体から拠出してもらう考え方なのか。考えられることは、損保業界とか自動車業界とか道路管理者、道路公団、また地方道路管理者である地方自治体等々が考えられるわけでございますけれども、ここらの点について総合的に今の進捗状況、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  134. 関根謙一

    ○関根政府委員 事故分析センターの設置準備の進捗状況についてでございますが、現在、本年中にこの機関を設立することを目途といたしまして作業を進めているところでございます。今月中にそのための準備室を設けることとしたい。現在、関係の建設省、運輸省ともども作業を進めております。  それから、この研究機関の目的でございますが、これは先生御案内のように、調査なくして行政なしという考えから、交通事故を防止し、交通安全対策を図るために、まず交通事故の原因を総合的な観点から分析をし、もってその分析成果を交通事故の防止、交通安全対策に資することとしたいという考えから設けようとする研究機関でございます。  それから、法人の性質でございますが、そもそもこの交通事故総合分析センターの設置の構想につきましては、昨年改正していただきました道路交通法と自動車の保管場所の確保等に関する法律の一国会での議決の際の附帯決議といたしまして、官民一体となった総合的な事故分析体制の確立を図るようにとの御決議をいただきました。その官民一体となった分析体制づくりという事柄の性質上、財団法人が最もふさわしいということで財団法人形式を考えているところでございます。  したがいまして、その基金は交通安全及び交通事故防止に理解を示しておられる関係の各団体に仰ぐこととしたいと考えておりまして、ただいま先生指摘をいただきました幾つかの団体も含めまして、幅広い団体に御協力を仰いでいるところでございます。  それから、設置の場所、機関の規模等でございますが、ただいま申し上げましたように、この交通事故総合分析センターは総合的な事故分析を行い、その事故分析の成果を交通安全対策等に役立てることを目的とするものでございまして、その分析の方法としては、マクロ分析の方法とミクロ分析の方法と二通りの方法を考えております。マクロ分析は、車ですとか道路でありますとか運転者でありますとか、そういった交通事故発生の要因となります各種の要因に関するデータをクロス分析することによりまして、交通事故発生の一般的な傾向を分析するというものでございます。ミクロ分析と申しますのは、具体的な交通事故事例を調査することによりまして、具体的な交通事故発生のメカニズムでありますとか交通事故発生から負傷に至るまでのメカニズムを分析するという手法でございます。  そのため、調査体制、分析体制、研究体制それに資料管理体制といったものの整備が必要でございます。現在、その規模等につきましては準備室で検討していただくことを考えておりますが、当面は、でき上がった姿としては五、六十人程度の研究員を擁する規模なのかなというようなところを考えております。しかしながら、これはあくまでも資金の規模でありますとか各段階を経てそこに達するものでございますので、最終的には準備室で決めていただくことになろうかと存じます。
  135. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間ですので終わります。
  136. 森田一

    森田委員長 吉井英勝君。
  137. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今国会の中心問題の一つは証券・金融スキャンダルの究明でありましたし、その中で、政官財、暴力団、結びついた日本の政治経済社会の病根にメスを加えなければならないということが浮き彫りになってきたと思うわけです。過日の証人喚問でも、野村証券の田渕節也前会長は、秘書室担当役員が出入りの総会屋から稲川会石井と会ってほしいと紹介された、また、本店営業部長に自分の知り合いの大事な人だから取引してくれと紹介したんだと証言をいたしまして、大企業の重役と総会屋、暴力団との癒着は明らかになったわけであります。  そこで私は伺いたいのですが、一九八一年五月十三日の法務委員会会議録を持ってまいりましたけれども、ここで商法改正が審議されて、商法改正案の通過とともに附帯決議が全会一致で決議されました。その中で十番目の項目に、あらゆる角度から総会屋の絶滅を図る、これが国会の決議となっているわけであります。  そこで警察庁伺いたいのですが、総会屋対策の姿勢はこの決議の立場に立っておられますねという、この点をまず第一点伺いたいと思います。
  138. 國松孝次

    國松政府委員 御指摘のとおりでございます。私どもも、総会屋というものが企業等を対象に不正な利益を求めて暴力的違法行為等を行うおそれがあり、結局においては市民生活に暴力団に準ずる脅威を与えるものまたはその集団ということで位置づけておりますので、これにつきましては徹底した取り締まりを行いまして、こういうものの根絶と申しますか、消していくということでございます。  現実にかなりの数の取り締まりをやっております。総会屋の数と申しますものも、年次別に見ますと、五十六年、この商法改正のありました前には六千三百人ほどおったということでございますが、今は千三百人ほどに減っておるわけでございます。いろいろな形で取り締まりをやっておる効果はそれなりにあらわれているというように考えております。
  139. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 社団法人警視庁管内特殊暴力防止対策連合会、企暴協を組織して頑張っておられるということも伺っているわけでありますが、野村証券、日興証券ともこの企暴協の会員なんですね。それでいて総会屋とも稲川会とも癒着しておったということが今回明らかになったわけですね。私は伺いたいのですが、これは企業警察の申し入れを無視してきておったのか、それとも、警察の暴力団対策についての企業への働きかけが弱かったのか、一体いずれなんでしょうか。
  140. 國松孝次

    國松政府委員 確かに警視庁管内にございます特殊暴力防止対策連合会というのがございますが、それには野村証券も日興証券も加入をしておられるわけでありまして、その年次総会なりあるいはそこで行います講演会などにおきまして、総会屋とのいろいろな因縁というのは企業の努力として絶っていくようにということをるるお願いをしておったわけでありますが、それが今回のような事態の発生を見たということにつきましては、私ども暴力団対策を推進する者として、やはりもう少し努力をする必要があるということを感じておるところでございます。
  141. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 警察庁長官はことしの暴力団新法の審議のときにも、総会屋の絶滅とともに、あのときには、暴力団の絶滅、資金源を断つんだ、非常に厳しいそういう基本的なスタンスで臨むんだということを、国会でも決意を披瀝しておられました。ことしの八月二十一日には、企業活動から暴力団を排除するよう経団連会長、日商会頭に申し入れもされたわけですね。ところが、これは九月二十六日付の毎日新聞を持ってまいりましたが、経団連などへ申し入れをした十日ほど後でしょう、全日空首脳、若狭名誉会長と杉浦会長、これが総会屋と一流ホテルで会食をしておった。  私はここで公安委員長にずばりとお聞きしたいのですが、商法の改正というのも総会屋対策でやったわけですね。それから暴力団新法についても、さきの国会、本当に土壇場になってどうしてもこれを通してほしいということで、これは公安委員長の方からも、国会でもぜひ無理を承知でこんなに時間がない中で頼むと、そういうお話であったわけです。そして経団連や日商への申し入れもされたわけですね。こういうふうな取り組みをしている中で、ところが一方、この全日空の首脳のような大企業のトップと総会屋とが親しく会食をやっておる。これは何にもならないんじゃありませんか。  そこで、確かに国家公安委員長として個々の企業に厳しく指示をされたり申し入れるということは通常余りないでしょう。しかし私は、今こういう事態にあることについては、少なくとも大企業のトップの皆さんに警鐘を乱打する意味からしても、やはり国家公安委員長としてこういう全日空などには厳しい反省を求めるとともに、会長らの総会屋とか暴力団との癒着はなくせ、私は、もう特別の申し入れをするか、公安委員長の強い意思というものをやはり示していかれる必要があると思うのですね。この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  142. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま吉井先生おっしゃるとおりでありまして、この新法を実現するときには随分と関係先生方に御無理を申しまして、極めて短期間に新法を通していただいたわけであります。その趣旨に基づきまして、今鋭意これが執行できるような体制、づくりに全力投球で警察当局頑張っておりますが、そういった間における、この今申されました全日空の首脳が総会屋と親しく会食をしたなどということは、私は事実を承知しておりませんが現にそういったことがあるとすれば、これはまことに残念なことでありまして、私どもとしては、こういったことについてはただ単に見逃すというわけにいきません。  したがいまして、今お話ありましたように、私ども警察を通しまして厳重にそういった点については注意を喚起し、今社会でみんながそういう方向に向いておるときにひとりそういうような姿勢をとるということは、とても社会で受け入れられることではありませんということについての趣旨を十分述べて注意をし、二度とこういうことのないようにいたしたい、かように考えます。
  143. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今度は、六月二十二日付の朝日も持ってまいりました。これによりますと、ことし四月十日に大物総会屋が料亭千代田で宴会を開いて、そこへ、主催者は古手の有力総会屋瞠三剛という人で、経団連会長、日経連会長をそれぞれ出している東京電力、三菱マテリアル、経済同友会の前代表幹事を出した日産自動車など、財界リーダーを擁する企業が含まれていた。約六十社の企業から副部長クラス約七十人が出席した。これは、それから後に経団連等へ申し入れをしておられるわけでありますが、何をか言わんやという感じなんですね。  これは国家公安委員長、今あなたは全日空に対しての厳しい姿勢を明らかにされたわけですが、こういう事態をどのように考えられますか。
  144. 吹田愰

    吹田国務大臣 許せませんね、こういう姿勢は。ですから私ももう正直に申しますが、こういうことでは非常に困るわけですから、先ほどから申し上げますように、警察当局がこの点についてさらに一段と奮起して、こういった関係のところに対しまして厳しく御協力願うように配慮していかなければならぬ、こう思っております。私自身もまたそういう姿勢で、これから自分の与えられております職員の任期いっぱい全力を挙げて御期待に沿うようにいたしたい、こう思います。
  145. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 さらにこの記事を読んでいると、警視庁捜査四課の方では、リゾート開発の会員権販売が宴会の趣旨であったと内容もかなりつかんでいらっしゃるようであります。  そこで、この宴会を催した大物総会屋と言われておりますこの瞠三剛、小関純一という人物でありますが、彼が北海道の国定公園にリゾートクラブ、ノアの箱舟というのをつくるといって会員権を販売しているようでありますが、そのクラブの経営主体という株式会社ナム、これは商業登記も私見せていただいて調べてもおりますが、本店は千代田区麹町四丁目一番地セリエビルに置いているというふうに登記されております。しかしこのビルの中では株式会社ナムというのは、ビルの入り口の郵便ポストのラベル一枚だけなんですね。上から下まで何回上がっておりて探してみても事務所は全くないのですね。通常のぺーパーカンパニーというのはせめて事務所ぐらいはあるのですが、事務所はない、郵便箱一つ、これで登記されているわけであります。ビルの管理室に聞いたところ、連絡先ほどこですか、いや連絡先はわかりませんと言うのですね。本当にひどいものでありますが、これは、まずこれが直ちに商法違反ということに触れるかどうかということは議論はちょっとおいておいて、いろんな見解もあるでしょう、しかし少なくともこのぺーパーカンパニーというのは、商法六十四条の立法趣旨である第三者保護の観点からしても重大な問題を持っているのですね。  そのぺーパーカンパニーである株式会社ナムというのがやろうとしている北海道のリゾート開発なるものでありますが、我が党の調べによりますと、まだこの株式会社ナムからは一切の自然公園法等に基づく開発許可の申請手続が行われておりません。  そこで、このナムの案内要項、パンフレット「ノアの箱舟メンバーズのあらまし」、これもこんなもので何十億もの銭を集めようというのは恐るべき話だなと思いますが、これによると、まずこの所在地は函館の大沼湖畔ということになっておりますが、どんなものをつくるのか。大体五万平米に及ぶ自然林のところを活用していくということなんですが、宿泊施設、それから附帯施設として屋内プール、サウナつき温泉大浴場、フィットネスコーナー、AV・アンド・リスニングルーム、ドゥー・イット・ユアセルフ・クラフト・コーナー、ドゥー・イット・ユアセルフ・グルメ・コーナー、テニスコート、乗馬コース、ウオーキングスキーコース、サイクリングコース、ボート・水上スクーター係留スポット、ホーム菜園などなど、随分いろいろなことがあるわけでありますが、これは、国定公園の中でこんなものが簡単にできるわけはなくて、やはりまず、自然公園法に基づいて開発許可が果たしておりるものかどうか、こういうところからしてきちっとした手続から出発しなきゃならないことは明白であります。ところが一切それはなくて、そしてまた、これに施工、管理等の業者も載っておりますが、建物の施工、管理は竹中工務店がジョイントベンチャーで行うということになっているようでありますが、竹中工務店はそういう話は全く聞いていないということなんですね。  そして、募集要項のところを読みますと、第一次縁故会員募集、これは四千万円で限定四十五口、第二次会員の募集は五千万円で四十五口、だから合計四十億五千万円ですか、これを集めるんだ、こういう資金集めをやるんだということになっているわけであります。  そこで、先ほどのこの朝日を読んでおりましても、警視庁の捜査四課の方では、「会員権販売は企業から資金を得るための名目だった可能性もある」というふうに、そういう見方もしておられるようでありますが、今回のこの株式会社ナムがやろうとしていること、ノアの箱舟の計画なるもの、この資金集めの問題などについて、一体これらについて警察庁はどのような御見解に立っておられるのか、これを伺いたいと思います。
  146. 國松孝次

    國松政府委員 御指摘のような新聞報道がなされたことは私どもも存じておりますし、警視庁においても承知をしておるところでございます。  こうしたことの具体的な中身に私から立ち入ることは差し控えた方がよろしいと思いますけれども、いずれにいたしましても、総会屋と言われている者の大変大がかりな資金集めの活動と見られる節があるわけでございますので、警視庁において関係情報の収集に努めているとの報告を受けているところでございます。
  147. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 警察庁としても総会屋の資金集めという見方をしておられるということでありますし、情報収集ということなのですから、いろいろ詳しく調べておられることと思います。  そこでさらに伺っておきたいのですが、伺っておりますところでは、海部総理の名前を使ってこの会員権販売を行っているとも言われておるのですね。警察庁の方ではそういう事実について調べておられますか。
  148. 國松孝次

    國松政府委員 私どもとして、そういう事実は現在までのところ把握いたしておりません。
  149. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、先ほど、総会屋と全日空トップとの癒着について公安委員長は、厳しく申し入れをするのだ、そういう趣旨の答弁をしていただきました。私は、それは企業のトップだけじゃなくて、政治家についてもやはり総会屋とはいささかも疑念を持たれるようなことがあっちゃならぬ、これは極めて我々政治の世界に携わる者として大事な問題だと思うわけです。  そこで、私もいろいろな話を聞きまして、我が党としても調べているわけでありますが、実は、その瞠三剛、小関純一という総会屋と海部総理が今から五年前、文部大臣の時代、一九八六年の二月二十七日にこの総会屋瞠三剛、小関純一という人物と親しく撮った写真がこれです。――文部大臣の時代で、これは文部大臣室のようですね。  それから、実は、このとき初めてかと思ったら、そうではなくて、茨城県の千代田村に自然神社というのがありますが、これは瞠三剛という人物がつくっている神社でありますが、その神社というのは、全景といいますか――大体こういう感じですね。こういう神社なんですが、ここに石碑が建っておりまして、「記念 参道 石段増設」、この石碑の裏側の方に「奉納」ということで、つまり海部総理が文部大臣になられる二年前の一九八四年の十月十二日、「昭和五十九年十月十二日」の日付でもって、この総会屋の小関純一という人と「海部俊樹」ということで一緒に名前を刻んでおられるわけです。  つまり、文部大臣になられる前からのこの総会屋の小関という人物とかかわりがあって、それでこういうことがあり、それで文部大臣になられて文部大臣のお部屋で写真も一緒に撮られてというなかなか御親密な御関係のようでありますが、さっき私申し上げましたように、商法改正というのは八一年ですね、商法改正で国会としては総会屋の絶滅と締め出しを決めたのですね。その後に、海部氏が閣僚として、文部大臣としてその総会屋と交際をしておられたということは、これは私は、本当にこういうことは、あいまいにされたり、あっちゃならないことだと思うわけなんです。  そこで、先ほど国家公安委員長として、企業のトップについては総会屋との関係断ち切れ、こういうことで厳しい申し入れをするというお話なんですが、閣僚が大物総会屋と親密では、これは企業のトップに厳しく申し入れなどというようなことをできないことになってしまいますから、やはり総理についても総会屋との関係をきっちり断ち切れるようにと、これは国家公安委員長としてやはりあなたからぜひ言っていただく必要があると思うのですが、いかがですか。
  150. 國松孝次

    國松政府委員 具体的な点についての答弁というのは、現在、いろいろな新聞に出ましたことにつきましての活動につきまして私どもとして調査をしているところでございますが、今、何にいたしましても突然のお尋ねの件につきまして私どもとしては事実の確認ができないというところが一番あるわけでございまして、私どもとしてちょっと答弁のできるものではないというふうに思うわけでございます。
  151. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私、事前に今回のこの瞠三剛の問題についてはちゃんとお伝えしてありましたので、私、これの事実関係その他については、瞠三剛のこの一連の北海道のリゾートクラブの会員権販売ということで資金集めという、さっきおっしゃった件についての調査は、おっしゃるとおりこれからもさらにやっていただきたいと思います。  ただ私は、問題は、少なくとも閣僚たるものが大物総会屋と親密であるようなことでは、これはせっかく公安委員長先ほど全日空のトップ総会屋との関係は断ち切れと厳しく申し入れしなきゃならぬということをおっしゃったわけですから、これはやはり総理についても公安委員長の方から、こういう総会屋との関係で疑念を受けるようなことはあっちゃなりませんよということで、これは公安委員長立場からはやはりそのことぐらいは申し入れをしていただかないと、上の方がぐじゃぐじゃになってしまうと、企業のトップもぐじゃぐじゃ、下の方ですと総会屋対策できるわけないのですから。私はこの点についてはひとつ国家公安委員長のお考えを伺いたいと思うのです。
  152. 吹田愰

    吹田国務大臣 先生からそういう話が出たということをお伝えします。
  153. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 お伝えだけじゃなくて、これは伝えていただいて済む話じゃかくて、やはり公安委員長先ほどあれほど本当に企業のトップが、これだけ国会が商法改正もやり、暴力団新法もつくり、警察庁長官が経団連その他に申し入れもして、国会警察も全体挙げて総会屋、暴力団については絶滅を図るということでやっているときに、いささかも疑念を受けるようなこととか癒着と見られて仕方がないようなことがあってはとんでもない話でしょう。しかもそれが、日本の内閣を構成する長たる方にそういうふうなものがあったんじゃ、私はこれはもうとんでもない話だと思うのですよ。だからこれは、お伝えしますというようなことではなくて、もちろんちゃんと言っていただかなきゃいけませんが、しかし、いささかも疑念を受けるようなことはあっちゃなりませんよと、特にこれは総理だけじゃなくて、閣僚たる者は率先して、総会屋とのそういう癒着なり疑念を受けるようなことはあっちゃならないんだ、みずから身を正そうじゃないか、私は、これくらいの決意表明というものを閣議を開かれたときに国家公安委員長からやはり言っていただきたいと思うのですよ。もう一遍、どうですか。
  154. 吹田愰

    吹田国務大臣 一般論といたしましてはお話のとおりでありまして、いささかも政治倫理を掲げておる我々としましてはそれにもとることがあってはならないということで、十分注意をしていかなきゃならぬと思いますし、そういった点については私も一般論として胸に体して、これから趣旨の方向に向かって配慮していきたい、こう思っております。  ただ、総理の問題につきましては、私、事実関係を知りませんし、また総理がそういうことがあるとは信じられませんが、一応のお話がありましたということについては十分お伝えをします。
  155. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 さらに、この瞠三剛という人物の今回の報道等でなされている問題については、海部総理の政治資金づくりなのでぜひ協力してほしい、こういうふうなことまで言って会員権購入を強要しているという話もあるわけです。本当に総理の資金づくりなら、これはもう大問題ですし、そうでないのに総会屋が勝手に名前を使っているとすれば、これは内閣の名誉にもかかわる問題でありますから、大臣も、あなたも閣僚の一人として、こういう総会屋の活動に対して必要な対処を、今日のあなたも含めた内閣の名誉にかかわることになっているわけですから、必要な対処というものをやはりきちっとされる必要がこの件に関しても、もちろんまず調べることから始まるのですが、きちっとされる必要があると思うのですが、この点、どうでしょうか。
  156. 國松孝次

    國松政府委員 先ほど来御答弁申し上げましたように、六月二十二日の朝日新聞夕刊に出ております件につきましては、私どもも存じておりますし、それにつきまして警視庁におきまして、総会屋の資金集めの活動ではないかということで、関係情報の収集に努めておるという報告を受けておるということを申し上げたわけでございますけれども、そうした過程の報告の中で、総理の資金づくりであるとか、あるいは名前を使ってやっているというような点につきまして、私ども把握をいたしておりませんので、ちょっとここで今御答弁をするわけにはまいらないということでございます。
  157. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 これはまずよく調査をされて、改めてまた御報告もいただきたいというふうに思います。  調査調査として、同時に私は、今言いましたのは、仮にこんなことをやっておったら、内閣の名誉にかかわる問題でしょう。それについては、あなたもその内閣の一員なんだから、そういう総会屋がそんなことをやっていることが事実であれば、必要な対処をきちっとやっていかれるということが必要だと思います。  そして、これは既に報道等で出ておりますが、この写真の件については、実は海部事務所の方では、この瞠三剛なる人物、小関純一なる人物とは十年来のおつき合いであることとか、八六年二月二十七日ですか、当日確かに訪ねてきたということを答えているということが報道等で紹介されているわけなんですね。ですから私は、もし大物総会屋と知っていて十年来のつき合いだったら重大な問題だし、そうじゃなくて軽い気持ちで総会屋と十年つき合っていたというならば、これは何と申しましょうか、救いがたい事態のように思われるわけです。  いずれにしても、やはり今日本の政治が、今回の証券・金融スキャンダルの中でも、政官財というかつてのロッキードの時代だけじゃなくて、今度は暴力団まで癒着して、暴力団までかかわってきている。これは大変な問題なんだ、この日本の病根に鋭い深いメスを入れなきゃいけないというのが本当に今国民の最大の関心事になっているわけでありますし、そのときに、大企業はどう国民のそういう目にこたえていくかはもちろんあります。我々政治家、政治の世界にいる者は、我々自身がどうそれに対応するか、私は今そのことが問われているときだと思うのです。そういうことを考えてみたときに長いつき合いというのは、本当に大変なんですよ。やはりこれは、もし知っておってつき合っておったら本当に重大な問題なんです。そのことをよく知ってもらわなければいかぬし、仮に軽い気持で総会屋とおつき合いしておったということにしても、本当に、それではあの十年前の商法改正は何だったんだということになるわけですから、これは救いがたい事態のように私は思います。  総会屋、暴力団の絶滅を政府の方針と言うならば、まずみずから関係を断ち切っていくことを初めとして、やはりみずから律するという厳しい姿勢でもって臨んでもらわなきゃならぬと思うわけでありますが、時間が参りましたので、最後に大臣の御所見のほどだけ伺って、質問を終わりたいと思います。
  158. 吹田愰

    吹田国務大臣 吉井先生の御注意の点は私も十分わかります。特に今回、私も政治倫理問題を中心とする政治改革に乗り出しておる閣僚としまして、その範疇に入る問題として御指摘になっているわけでありますから、一般論としましてこの問題については総理にもお伝えし、海部内閣としてこういう点については姿勢を正していくことについて、お話を進めてまいりたい、かように存じます。
  159. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 終わります。
  160. 森田一

  161. 高木義明

    高木委員 先ほどから、地方分権なり、あるいはまた東京一極集中是正なり、それぞれ地方に活性化を求める立場からの議論があっておりますが、私も今回、地方分権に合わせたテーマからお尋ねをしてまいりたいと思います。  現在、地方財政は、私が言うまでもなく大変厳しい状況にあります。また、財源配分がどうしても国に偏り過ぎておりますために、地方自治体の自立は大変弱体化する一方であります。さらに政府は地方に対して、行政事務配分を増大させながら、地方自主財源の拡充というのは大枠ではしないというふうな考え方をとっておるわけでございます。こういう状況の中で、私は何としても地方が自由に自律的に使えるための自主財源の確保というのは今大切な一つのテーマであろうということを思いますので、こういう立場から私は、宝くじ収益金が地方自主財源の一翼を担っておるという現状にかんがみまして、以下質問を行うものであります。  まず第一のお尋ねは、現在、宝くじは平成二年度でも約二十六億七千九百万枚の売り上げをいたしておりまして、赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たり一年間で約二十二枚買った計算になると言われておりますように、大変ファンに親しまれておる実情がございます。庶民の夢としても大変わかるものがございまして、私はそういう意味での宝くじの健全な発展の立場からお尋ねをするものでございます。  そこで、宝くじの収益金、平成二年には二千五百億円を超えると言われておりまして、これは年々増加をいたしておりますけれども、この収益金については一体どのようなものに使われておるのか、まずその点からお尋ねをしておきたいと思います。
  162. 小林実

    小林(実)政府委員 宝くじは、都道府県及び政令指定都市が地方財政法及び当せん金付証票法の規定に基づいて公共事業その他公益事業の財源として発売しているものでございます。平成二年度の収益金は二千五百九十三億円でございまして、都道府県、政令指定都市に売り上げ実績にスライドして配分されるわけでございます。  その使い道でありますが、教育施設整備費、道路橋梁整備費、社会福祉施設整備費等の公共事業費に充てられるほか、地域における国際交流対策、高齢化対策、芸術文化の振興などの施策の推進に役立てられておるわけであります。  また、市町村から希望が強くてできました市町村振興宝くじにつきましても、市町村の建設事業や災害時における緊急融資事業等の財源として活用されておるわけでございます。
  163. 高木義明

    高木委員 宝くじの中で時効当せん金の額は今一体どのくらいになっておるのか、そしてまた、これらのものについてはどういうものに使われているのか、この点についてお尋ねをいたします。
  164. 小林実

    小林(実)政府委員 平成二年度における宝くじの時効金、これは平成元年度の発売分でありますが、約二百三十八億円となっております。時効金は、当せん金付証票法の規定に基づき、収益金と同様に、発売元であります全国都道府県と十一の政令指定都市に納付され、収益金とともに公共事業等の財源に充てられるわけでございます。
  165. 高木義明

    高木委員 平成三年三月八日付の自治省財政局長通達でありますいわゆる宝くじ運営方針によりますと、運用利益金、すなわち宝くじの元本が生み出す果実、利子、これについては、「宝くじの健全な発展に資する事業の財源に充てるとともに、その他の部分については、公共事業の財源に充てることが望ましい」、このようにあります。これは要するに、何に使ってもいい、こういう意味なんでしょうか。この場合の公共事業というのは一体どういうものを指しておるのか、この点についてお示しいただきたいと思います。
  166. 小林実

    小林(実)政府委員 宝くじによる収益金は、公共事業その他自治省令で定める事業の財源に充てる、こういうことでありますが、この場合の公共事業というのは、一般的には、地方公共団体及び公共的団体が実施する公共公用施設の建設事業が対象とされるわけでございます。  それから、市町村振興宝くじの収益金は、市町村が行う公共公用施設の建設事業のほか、市町村全体の共同利用施設の建設事業、そういうものの財源とする場合も想定をいたしておるわけであります。  公共事業以外におきましても、省令におきまして、国際交流推進事業、あるいは高齢化対策、芸術文化の振興施策等にも充てることができる、こういうふうにされておるわけでございます。
  167. 高木義明

    高木委員 ただいまのお答えでは、特に公共の建設事業ということでお受けをいたしましたけれども、そういう考え方でいいのですか、御確認をいたします。
  168. 小林実

    小林(実)政府委員 ハード事業として公共事業がございますが、そのほかにソフト事業といたしまして国際交流推進事業、高齢化対策、芸術文化の振興等の公益事業にも充てることができるわけでございます。
  169. 高木義明

    高木委員 では、公益という名がつけば何に使っても、それはそれぞれの自由な判断でやることで、そう受け取っていいでしょうか。
  170. 小林実

    小林(実)政府委員 公益事業につきましては省令で範囲を定めているといいますか、事業を列挙。いたしておるわけでございます。
  171. 高木義明

    高木委員 サマージャンボ室くしというのは、昭和五十四年四月に設立をされました市町村振興協会、各地方協会でその収益金が運用されておるわけですが、その収益金の利子についてはどのような運用がされておるのか、改めてお伺いをしておきたいと思います。
  172. 小林実

    小林(実)政府委員 サマージャンボにつきましては、宝くじが発売できるのは都道府県、政令指定都市でございますことから、一般の市町村から、市町村にも回してほしいというお話がございまして、都道府県が発行いたしまして、市町村が行う公共事業等の財源として用いるために発行するシステムとしてできたものでございます。  その収益金につきましては、各都道府県に設立されております財団法人の市町村振興協会に交付されるわけであります。そのうち二割は、全国の市町村振興協会というのがございまして、全国的な視野に立っての公益的な事業に金を回しているわけでございます。  この地方協会あるいは全国協会の基金でございますが、これは基金として積み立てをいたしまして、災害時における市町村への緊急融資事業や市町村の公共施設の整備のための地方債の原資などとして低利で運用される、これが基本であります。しかし、協会の基金につきましては一定の運用益を生ずることとなるわけでございまして、この運用益につきましては、基金の管理費などの経常的な経費に充てますほか、市町村の要望といいますか地方協会の要望等もございまして、地方協会あるいは全国協会の寄附行為に定めた、市町村振興のための調査研究事業とかあるいは研修事業等に活用できることといたしておるわけでございます。
  173. 高木義明

    高木委員 そうしますと、その利子につきましては、具体的には、市町村アカデミーの運営費あるいはまた海外研修の費用等に充てられておるということも聞いておりますが、そういうことでしょうか。
  174. 小林実

    小林(実)政府委員 先ほども申し上げましたが、運用利益金につきましては、宝くじ収益金とは別個のもの、こういうふうに考えておりまして、特に地方協会あるいは全国の協会から要望の強い事業にも運用できるようにいたしておりますが、基本は公共事業、それから先ほどの省令で定めております公益事業でございますので、それに使っていただく、こういうのが基本でございます。
  175. 高木義明

    高木委員 なぜその宝くじの収益金と別個のものという考え方に立つのですか。宝くじから出てきた収益金の運用益でしょう。あくまでも宝くじが基本でしょう。その点とうなんでしょうか。
  176. 小林実

    小林(実)政府委員 地方協会、全国協会が行っております大きな共同事業というのは、共同の会館とかそれから研修施設、それからアカデミーもそうでございますが、そういう事業に基金を取り崩しで充てたわけでありますが、その施設をつくりましての運用につきまして、せっかくでございますので、収益金そのものではないわけでありますが、収益金から生ずる果実につきまして、それに使わせてほしいという要請が非常に強うございまして、これは収益金そのものとは別個と考えていいのではないかということで、先ほど答弁を差し上げたようなことで一部運用をしておる、こういうことでございます。
  177. 高木義明

    高木委員 結局これは宝くじから発生する運用益でございますので、先ほどから私がお尋ねをしておるように、公共事業に充てられることというふうに運営方針が出ておりますけれども、要するに何に使ってもいい、こういうことになるんじゃないですか。どうですか。
  178. 小林実

    小林(実)政府委員 もともとは収益金につきましては法の規定がございまして、果実につきましての使途につきましても、あくまでも真に必要な経費、あるいはその運用に適切な配慮がなされるべきでございまして、いかような経費に使ってもいいということではないと思います。一応私どもといたしましては、共同でつくりました施設の運営とか、あるいは職員等の研修、海外研修もあるわけでありますが、そういうものに用いられている、こういうふうに承知しておるわけでございます。
  179. 高木義明

    高木委員 私は、その運営方針については、もう少し細部まで踏み込んで明確にしておった方が宝くじの健全な発展のためにはいいことではないか、これは指摘をしておきたいと思います。  そこで、先ほど出ましたように、こういう難しい時代でありますし、地方の仕事も非常に高度になっております。したがって、職員の研修なり、または海外研修、海外視察、これも時代とともに私は必要なことだろうと思っております。こういうものが今地方自治にとって大切であるならば、こういう宝くじの運用益でこういうことをしなくて、なぜ自治省本来の予算でそれが措置できるような、中央の予算の中で措置できるような、そういう財政の枠組みができないのでしょうか。その点についてどうお考えですか。
  180. 小林実

    小林(実)政府委員 私どもといたしましては、地方財政対策を講ずるに当たりましては、地方税あるいは譲与税、交付税等、使い道につきまして使途制限のない財源の確保に努力をいたしておりまして、この十年間を見ましても、国庫支出金につきましてはほぼ横ばいであるのに対して、地方税は倍増し、交付税もそれに近い割合で伸びておるわけであります。  その使い道につきましてはまさしく地方団体でお決めいただく、こういうことでございまして、今御質問ございます宝くじの関係の経費につきましては、市町村から特に要望が強くて、都道府県、政令市の収益になっておるものを一部還元してほしいという話がございましてできたシステムでありますが、その使い道につきましては、あくまでも地方協会あるいは全国協会の中でお決めいただくということで運用をお任せしておるわけでございます。しかし、御指摘もございましたように、その運用につきましては適正に使うということを主眼とすべきである、それを基本とすべきであるということは御指摘のとおりかと思うわけでございます。
  181. 高木義明

    高木委員 宝くじに関連する団体もたくさんあるわけでございますが、非常にわかりにくい。したがって、今この関連団体と言われるものが幾つ存在するのか、今後もそういう団体が設立される予定はあるのか、その点いかがでしょうか。
  182. 小林実

    小林(実)政府委員 宝くじに関連する団体といたしましては、宝くじ協会、それから自治総合センター、全国市町村振興協会、この三つがあるわけでございます。このうち、全国市町村振興協会、それからこれに関連いたしまして地方の各都道府県に設置されている市町村振興協会、これがあるわけでありますが、これは先ほど答弁いたしましたとおり、宝くじによる収益の一部を一般の市町村に還元する、帰属させるという目的でできたものでございまして、ちょっと性格が異なるかと思います。  それから日本宝くじ協会、自治総合センターでございますが、宝くじの健全な発展を図るとともに、宝くじの持つ大衆性にかんがみまして、その普及宣伝のための事業を効果的に行うために設けられたものでございます。宝くじ協会の方は、三十九年の四月につくられておるものでございますが、自治宝くじを発売している都道府県それから政令指定都市を会員としておるものでございます。先ほど申し上げましたように市町村への還元という問題も出てまいりまして、五十二年の四月に、全国知事会のほか一般の市とか町村あるいはそのほかの議長会もございますが、地方六団体の関係者によって自治総合センターというのができまして、このセンターは地方自治振興と住民福祉の増進に寄与するということを目的としてできたものでございます。この自治総合センターにおきましても、その事業の一環として特にコミュニティーレベルの事業につき行っておる、こういうことでございます。日本宝くじ協会それから自治総合センター、それぞれ分担をいたしまして宣伝普及活動をいたしておるものでございます。  このほかに関係団体をつくるということは、今のところ予定をいたしておらぬわけでございます。
  183. 高木義明

    高木委員 これらの関係団体なんですけれども、いわゆるOBを含めた自治省関係方々がどのくらいこういった団体に関与されておるのか、お示しをいただきたいと思います。
  184. 小林実

    小林(実)政府委員 宝くじ協会におきましては、OBの方がほかの団体と兼務で一人おられるようでございます。自治総合センターにおきましては、OBは四人というふうに聞いております。
  185. 高木義明

    高木委員 宝くじの払い戻し率につきましては、いわゆる当せん金付証票法によりまして上限五〇%とされております。しかし現在の払い戻し率は四五から四六%であると言われておりますけれども、この差は何を意味しているのか。そして、いわゆる適正な払い戻し率については一体どのようなことで考えておるのか。私は、なるべく経費につきましては節減をしながら、一つには地方自治の発展、そしてまたあと一つには宝くじそのものの健全な発展、こういう二つの目標を貫くということが大切だと思いますけれども、そういうことを踏まえて、この払い戻し率についての適正なものとは一体何か、現在の差は一体どこにあるのか、何なのか、あわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  186. 小林実

    小林(実)政府委員 宝くじの払い戻し率につきましての御質問でございます。自治宝くじの当せん金品の総額につきましては、一つは、地方団体が公共事業等の財源に充てるために相当額の収益金を確保するという目的がございます。一方、宝くじの発売に要する諸経費等を勘案しながら宝くじが商品として魅力あるものとして必要な水準を維持する観点から、法律では五割以内というふうに限度が定められておるわけでございます。  宝くじの発売につきましては長い歴史がございまして、一般のものにつきましては四五%以下、それから、最近証票金額が二百円または三百円というふうに大型宝くじが発売されてきておりまして、これにつきましては四七%以下というのを一応の目途にいたしておるわけでございます。長い経過の中におきましては、収益金の方を上げる、それから還元する方につきましても、当せん金の率につきましても、わずかずつではございますが上げてきておるわけでございまして、例えば昭和五十年、地方団体の収益金の方は三八・四でございましたが、これが四一%まで上がってきております。当せん金比率につきましては、昭和五十年四三・一%でございましたが四六%まで全体として上がってきておる。こういうことでございましで、これにつきましては今後とも私ども努力を重ねていかなければいけないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  187. 高木義明

    高木委員 昨年の五月、参議院予算委員会におきまして前自治大臣は、いわゆるこういう時勢でございますし、一つの庶民の夢でもございます、あるいはファンに親しまれたという実態の中で、この一等賞金を一億円にしてはどうか、こういうことについて前自治大臣は、前向きに取り組む、こういうふうな趣旨の御答弁をされておりますけれども、その後の話は一体どうなっておるのか、ひとつぜひお願いします。
  188. 吹田愰

    吹田国務大臣 高木先生の今のお話でありますが、宝くじは国民の健康な娯楽と親しまれるものとともに、収益金が地方公共団体の公共事業の貴重な財源として活用がされている、これは先ほどからしばしば財政局長から申し上げたとおりでありますが、そういった中で、社会経済情勢の推移やファンニーズの動向に応じて証票金額の引き上げ、賞全体系の改善等が行われている。特に、当せん金付証票法によれば一等賞金は証票金額の二十万倍を限度としているため、一等賞金を一億円にするためには証票金額を五百円に引き上げることが必要になってくる、こういうことだそうでありますが、証票金額を現在の三百円から五百円に引き上げることについては、国会において奥田前自治大臣が積極的に答弁していることは私も承知いたしておりますが、お客様あっての宝くじでありますし、ファンの動向や発売団体の意見も聞きながら前向きに検討してまいりたい、こういうことで御勘弁いただきたいと思います。
  189. 高木義明

    高木委員 善処をしていただきたいと思うわけであります。  時間もございませんので、実は私今回宝くじを取り上げたことは、やっぱりこれらの収益金については地方の自主財源の一翼を担っております。いや、一翼を担わざるを得ない。やはりあれをしたい、これをしたい。何につけても一つの補助金なり国の枠組みがあって、本当にその場その場のその地域に合った政策に対応することができないというのも一つ私はあると思います。また、政府が地方分権とか権限移譲を唱えておりますけれども、なかなか地方の自主財源の比率はふえていない、ここに私は大きな問題があろうかと思っております。  そこで、今後新しい地方の時代にふさわしい国と地方の財源配分のあり方、権限移譲のあり方、これについて私は真剣に取り組むべき行動のときだと思っておりますけれども、大臣、どうでしょうか、その辺の決意を。
  190. 吹田愰

    吹田国務大臣 私もこのことは委員会におきましても何回かお答えを申し上げておるのでありますけれども、この地方分権というものにつきましては、地方の時代を実現するという意味からいきましても極めて大切なことであり、ぜひそういった面についての推進を図っていきたい、こう思っております。ただ、これまでの権限移譲等につきましては、一括整理法等によりましての権限移譲の推進と、それから国の関与の整理合理化によるというような問題等もありまして、十分理解もしておりますが、努力をいたしますが、今後の努力にひとつ御期待をいただきたい。我々も一生懸命に全庁挙げて努力いたします。
  191. 高木義明

    高木委員 私たちはそういう気持ちを持ちながら、ひとつ的確に対応していただきたいと思いますし、同時に、やはり地方自主財源の確立のためにはいわゆる第二交付税制度を私たちは訴えております。これは普通建設事業費の補助負担金分を国庫補助金の体系から外して、これを第二交付税として地方に一括して交付をする、その使途につきましてはもうその地方自治体が自由な裁量で使える、こういう制度でございますけれども、そういう制度の創設について最後に御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  192. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいまお話がありました第二交付税創設問題、いわば補助金行政というものをやめて、そのかわりにそういった形で創設したらどうだという御意見のようでありますが、確かに私も、地方分権の立場なり地方の時代をつくるということからいたしますと、そういったことは傾聴に値することであるというふうに思います。ただ、こういった問題につきましては、公共事業に係る国と地方の役割分担というような問題等、現行の国庫補助負担制度の意義等にかかわる問題でありますから、この席で直ちにどうするこうするという答弁はできませんが、慎重にこういったことにつきましては検討しながら御趣旨の方向に向かって、今後、行政の簡素化やあるいは地方分権の制度の問題やそういったことで、陳情行政というようなことが言われておるそういう問題が少しずつ軽減されて、地方に自主性、主体性が持てるような、そういう方向に動くことにこれは配慮していかなきゃならぬと思いますし、行革関係におきましてもそういった点は一応の意見としては出ておるところでありますから、十分配慮していきたいと思っております。
  193. 高木義明

    高木委員 終わります。
  194. 森田一

    森田委員長 以上で質疑は終わりました。      ――――◇―――――
  195. 森田一

    森田委員長 この際、御報告申し上げます。  今会期中、本委員会に付託になりました請願は三件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。  なお、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、地方財政対策確立強化に関する陳情書外三件であります。念のため御報告申し上げます。      ――――◇―――――
  196. 森田一

    森田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  第百二十回国会、内閣提出、留置施設法案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  197. 森田一

    森田委員長 起立多数。よって、本案につきまして、閉会中審査の申し出をすることに決しました。  次に、  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件 及び  消防に関する件 以上各件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の各件についてお諮りいたします。  まず、本会期中設置いたしております暴力団員不当行為防止法運用調査委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することとし、小委員及び小委員長辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中、委員派遣を行う必要が生じた場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員派遣地、派遣期間その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査におきまして、委員会及び暴力団員不当行為防止法運用調査委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会