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1991-09-26 第121回国会 衆議院 証券及び金融問題に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年九月二十六日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大野  明君    理事 衛藤征士郎君 理事 戸井田三郎君    理事 中村正三郎君 理事 穂積 良行君    理事 松永  光君 理事 加藤 万吉君    理事 中村 正男君 理事 草川 昭三君       浅野 勝人君    粟屋 敏信君       魚住 汎英君    遠藤 武彦君       尾身 幸次君    奥田 敬和君       金子 一義君    木村 義雄君       笹川  堯君    田中 秀征君       津島 雄二君    野田  実君       松本 十郎君    村井  仁君       村上誠一郎君    山下 元利君       小野 信一君    大木 正吾君       佐藤 恒晴君    沢田  広君       仙谷 由人君    細谷 治通君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       渡辺 嘉藏君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    正森 成二君       中井  洽君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君  出席政府委員         警察庁刑事局長 國松 孝次君         総務庁長官官房         審議官     稲葉 清毅君         総務庁長官官房         審議官     田中 一昭君         法務大臣官房審         議官      永井 紀昭君         法務省刑事局長 井嶋 一友君         大蔵大臣官房長 篠沢 恭助君         大蔵省主計局次         大蔵省主計局次         長       涌井 洋治君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房総         務審議官    井上 孝美君         厚生省年金局長 加藤 栄一君  委員外出席者         参  考  人         (日本証券業協         会会長)    渡辺 省吾君         参  考  人         (臨時行政改革         推進審議会会         長)      鈴木 永二君         参  考  人         (東京証券取引         所理事長)   長岡  實君         参  考  人         (日本証券業協         会専務理事)  関   要君         証券及び金融問         題に関する特別         委員会調査室長 兵藤 廣治君     ————————————— 委員の異動 九月二十六日  辞任         補欠選任   水田  稔君     佐藤 恒晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第四号)  証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関する  決議の件      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として臨時行政改革推進審議会会長鈴木永二君、日本証券業協会会長渡辺省吾君、日本証券業協会専務理事関要君及び東京証券取引所理事長長岡實君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 大野明

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺嘉藏君。
  5. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 渡辺嘉藏です。委員長のお許しをいただいて質問いたしますが、今回の証券金融スキャンダル発生以来幾多の審議がなされまして、この緊急な証券取引法改正案審議されることになったわけですが、私は、これでは、国民には気の遠くなるような巨額の金が動き、一部に利を与え、額に汗して働く国民正直者がばかを見るようなこの現状から、この改正案では仏つくって魂入れず、まさに形だけのもので、国民の期待したものとは大きく外れていると思い、本心は賛成しがたい中身でありまするが、以下質問をしながらただしていきたいと思っております。  まず第一に、今回の一連の損失補てんでありますが、まず損失補てん、その中身について検討しないと出発点にならぬと思うわけですが、この中身を見ますると、この七月の二十九日に公表されました四大証券リストで十億以上の補てんをいたしました先三十九件を調べたわけですが、そのうちには、損失はないけれども利益上乗せをして利回り保証をしておるところが六件、金額にして百九十六億五千三百万円、損失はあったけれども補てんをしたので利回り保証と結果的にはなったところが三十一件、二百十三億三百万円、補てんを受けたけれどもまだ赤字のところ二件、こういう結果になったわけです。  この際、巷間で騒がれておりまするが、年金事業団を初め学校共済昭和シェル警察共済小松ファイナンス等々、数点を挙げましたけれども、これの損失額利益額そして補てん額はどうなっておるのか、お示しをいただきたいと思います。
  6. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘のように、十億円以上の損失補てんが行われたケースの中で、損失額以上の利益上乗せをしたものが六件ございます。その各六件につきまして、利益あるいは損失発生額補てん額について、六十三年九月期から二年三月期までのトータル数字でお答え申し上げたいと思います。  まず、年金福祉事業団でございますが、これは利益発生額が百八十八億二千三百万円、補てん額は四十九億四千百万円でございます。それから昭和シェル石油が、三期通しまして利益発生額は十三億七千万円、補てん額は四十三億八千九百万円。それから南紀観光が、利益発生額は三十五億五千九百万円、補てん額が十二億五千百万円。警察共済組合は、利益が十八億七千二百万円、補てん額が十四億四千六百万円。公立学校共済組合利益発生額が九億六百万円、補てん額が三十七億一千六百万円。それから小松ファイナンス利益発生が四十九億八千五百万円、補てん額は十四億一千万円ということになっております。     〔委員長退席衛藤(征)委員長代理者席
  7. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 今ずっとお話しになりましたこれはほんの一部分ですが、お聞きのとおりこれでは明らかに利回り保証なんですね。特に公共、共益法人がすべて上乗せをされておるということ。  こういうふうに考えますると、上乗せ保証をしながら行ったこの損失補てんは、これはまさに損失保証そのものではないか。すなわち、保証補てんとは違うということは何回もおっしゃったが、これはまさに机上の空論だと私は思う。なぜか。現場ではノルマが課せられ、それの達成のためには大変な労働過重で際どい営業をやっておる第一線、これが一定利回りをある程度暗黙で約束しながら、補てんしないわけにいかない。だからこの前の野村証券専務会でも、現場のその声によって上層部も渋々通達を無視しながら補てんをする、こういうことになるわけですから、保証補てんとはまさにこれは一体なものであって、だれも喜んで身銭を切る者はないわけなんです。  こういうふうに考えますると、補てんはまさに保証実行段階であって一体であると思うのです。そうするならば、保証禁止しておる今日の証券法で十分これは対応、取り締まりができるのではないか、これはむしろ大蔵省がやらないんじゃないか、こういう疑惑を私だけじゃない、国民も持っておるということです。この点について明快な御答弁をいただきたいと思います。
  8. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘のように、損失発生していないケース補てんといいますか利益上乗せが行われているケースがあるわけでございます。私どももこういうケースにつきましては、その題の事情について現在検査でも特に重点を置いてその事情を調べているわけでございます。  ただ、御指摘損失保証との関係でございますが、現行法では損失の全部または一部を負担することを維して勧誘するという行為禁止行為になっているわけでございます。これは勧誘段階での禁止行為でございまして、我々現在検査でも調べてはいるわけでございますが、勧誘の実態あるいはその中においてこういう約束保証が行われたかどうかという点についての確証を得ることは、実際問題として非常に難しいわけでございます。もちろん、状況を見てそういうことを推定できるといいますか、そういう疑いがあるというようなことはあるわけでございますが、やはりこれは事法律違反を認定する行為でございます。損失補てんが、あるいは利益上乗せがあったからといって直ちにそれが損失保証があったというふうに断定するということはなかなかできないわけでございまして、そういったこともございまして今回法律を改正して、事後的な損失補てんについても刑罰の対象とするという法律改正お願いをしているわけでございます。  私ども検査では全力を尽くしているわけでございますが、今申し上げましたような事情でなかなか、今禁止されております損失保証による勧誘行為というものの確証を得られないというのが実情でございます。
  9. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 いろいろとこの点については審議論議が尽くされたわけですが、しかし今申し上げたように、この上乗せそのものもしておる、こういうところから見てこの内訳は、野村証券が、これが利益上乗せをしたのが百五億八千百万、これは三社に対して行った。それからそのほか二社に対しては、補てんをしたことによって二十三億四千四百万円の利益が出ておる。大和証券については、五社に対して補てんをしたことによって四十三億七千四百万円の利益が出ておる、受けた五社について。日興については、二社に対して利益上乗せが五十一億六千二百万円ある。この中に今おっしゃった学校共済警察共済等も入ってくるわけですが、それに補てんを受けたことによって七社の人々が四十七億四千三百万円のまた利益を受けておる。山一についても、利益を受けたところが十四億一千万円、十一社は補てんを受けて、後ほどから申し上げますツムラ津村建物その他六社の分も含めますると、これについては十億以上で計算いたしますると、補てんを受けたことによってこの十一社は百億の利益を上げておる。そのほかも含めまして先ほど数字になるわけですが、こういう中身。  それから、先ほどもお聞きいたしましたが、小松ファイナンスについてもう一度聞きますが、これは東急株を日ばかり取引で大量にやっておるわけですが、先日もこの点については論議がありましたが、大蔵省調査資料によりましても、元年の十月に日ばかり売買で五日間に二千七百五十七万株の取引が行われた。一日にして平均五百五十一万株動かしているわけですが、百円もうげたところでこれは三十億に近い利益が出るわけなのですね。これは普通ではできないというのです。いろいろ専門家に私は聞いてみたのです、こういうことができるか。不可能だというのです。証券会社がやらなきゃできないことだ。とするなら、この小松ファイナンスに与えられた利益は三十一億二千五百万円ですが、これは明らかに損失補てんだということが言い得るのではないか。かように考えますると、この小松ファイナンス赤字ではない。利益が出ておる。利益が出てこのような補てんをまた受けておる。トータルいたしますると四十五億三千五百万円なのです。  こういう中身から判断いたしますると、さき公表されました自主発表、四大証券その他の自主発表についてはいろいろ問題があるんじゃないか、こう思うわけなんですね。特にこの今申し上げましたような中身から判断して、私はこれはどう考えたって保証を裏づけたものが補てんなんだ、一体なんだ、これはだれしも否定できないんじゃないのか。大蔵省は頑固にこれを否定されるけれども、これはもうやる気があったらこれでやれるはずなんだ、こう思うのですが、重ねて、どうです。
  10. 松野允彦

    松野(允)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、私ども利益上乗せケースにつきましては特に問題意識を持って調査を続けているところでございます。中には補てん先からもその間の事情を聞くというようなことも行って、現在検査の中で詳細にその間の事情調査しているわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、やはり法律違反ということを認定することになるわけでございまして、そういう状況から見て、その補てん必要性といいますかそういう観点から非常に疑問があるということは事実でございますが、法律違反行為、五十条の損失保証禁止に該当するという認定をするにはやはりそれだけの証拠がないとできないわけでございまして、全力を尽くしてその事情を調べ、あるいは顧客先から事情も聞きということで調査をしているわけでございますが、現在までのところ法律違反行為があったということを認定できるだけの材料が集まっていないというのが事実でございます。
  11. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 私は、これは大蔵省、前にもお願いしたときに、質問したときに、いや、検査したけれどもわからなかったという答弁ばかりだったのですが、私はそのときに、大蔵省検査というものは何だろう、こう思ったことがあるのです。国税庁なんかで税務調査やられるときには全部ひっくり返してきちっと調べる。証券局調査は何をやっているんだろう。こんなことだから癒着しておる、こう言われるんだと私は思うのです。何しろ約束がないのに補てんするはずないんだ、補てんしたということは必ず約束があったからなんだ。そんなことは当然なんです。私はそういう意味で、この点これ以上は論議しておってもこれは時間の空費ですから言いませんが、やるときにはやはりきちっとやっていかないと、今度の新しい行革審からいろいろな答申も出ておりますが、やはり大蔵省ではだめなんじゃないかという国民の声が出てくる。  そこで、補てんの手法を今度調べてみると、またこれは千差万別なんですね。一日にして二十一億七千三百万円利益を上げた日立、二十二億上げたツムラ、二十億七千七百万円上げた阪和興業等々、一日にして二十億ばっともうける。反面、今度は年金事業団、二十七回に分けて四十九億四千百万円、学校共済は四十回に分けて三十七億一千七百万円、トヨタに至っては百十二回に分けて二十一億八千六百万円。中には赤字でマイナスの分まで補てんの中へ入っておる。丸紅等には国債先物で七百万円の赤字五口も入れてある。こういう巧妙な補てんのやり方に基づいて自主公表リストとして発表されたわけですね。  私は、この中身はもうとてもじゃないが信じられぬじゃないか。今度のものは大蔵省がきちっと特別検査でやられたからこれはともかくとして、その以前の自主発表というのは、これはもう一遍再検査の上公表し直さないと、ぬれぎぬを着たところもあるだろうし、あるいはまた、まだ隠れておるところもあるだろうし、この際はもう一遍やり直してこの公表のし直しを、前回の分はやり直さなければいけないのではないかと思うのですが、いかがですか。
  12. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員の御指摘も踏まえまして、御指摘の二年三月期以前の自主報告確認につきまして、一昨日大手四社に係る三年三月期の損失補てんについての中間報告をいたしましたわけでありますが、引き続きその自主報告分調査確認という作業について努力をしていきたいと思います
  13. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 じゃ、ぜひひとつお願いをいたします。そして公表してやっていただきたいと思います。  次に、それと関連してきますが、今度は年金事業団でございますが、これは野村証券からこの間に補てんを受けた金額は、先ほど発表になったとおり利益も莫大だが補てんも最高である。これはもう御案内のとおりですね。もう繰り返しません。問題は、そこで、これはだれが負担していったかということですが、この点につきましては八月二十八日の議事録によりますると、この補てん認識についてかなり違った認識大蔵省厚生省の間に出た。私はこの議事録を読んでみて、どう考えてもこれは、厚生大臣は食い違っておらぬ、こうおっしゃっておるが、大蔵大臣答弁を読んでおるとこれまた食い違っておる。これはもう明らかに食い違いが出ておるわけですが、なぜかということは、年金事業団補てんを受けた認識はないと言う。ところが大蔵省の方では、いやいやこれはもう検査の結果、税務調査を含めて補てんなんだ、こういうことなんですね。  そこで、年金事業団の、ではどういうふうに補てんを受けたかという中身を全部調べてみたんです。そうすると、先ほど申し上げたように、二十数回にわたって細かく国債売買によって利益を受けておるわけですが、利益を受けたそれの伝票がこう来たわけです。こういうふうで売買の結果を報告いただきました。  この結果を見ますると、そうするとこの売買によって一日の利益が、その国債一つ動かしただけで三億、四億という利益がここへ出てくるんですよ。異常なんです、こんなことは。だからこの伝票を見ておれば、五人も専門家がいらっしゃれば、そんなものこの伝票を見ておれば、こんなもの異常だと。そして、こんなものが莫大な量があるわけですが、これはこの一つの抽出ですが、そういうものを一々一つの銘柄、これ買います、あれ売ります、これどうする、そんなことをやっておるはずはない。これは私の類推です。電話で問い合わせが来る、だから電話でお答えをする、こういうようなやりとりだというのですが、私は、そんなことは一々行われておるわけじゃない、全部が全部行われておればこれだけの膨大な量ですから。そしてその中に、こういうふうに伝票ではっきりと、一つ国債を動かしましたと。一つの例でいけば、百十回債あるいはまた百十九回債、この国債を動かした。五百億円、九百億円、それぞれ動かした。そして、これが一日に四億利益が出た、三億五千万利益出た。出ておるんですね、事実、この伝票ずっと見てみると。これは年金事業団が幾らこれを知らないと言ったってそんなこと知らないはずがない。こんなものは利益上乗せに決まっておる。  厚生省大蔵省、それぞれ御意見を承りたいと思います。
  14. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 年金福祉事業団取引の件でございます。  先生おっしゃいましたように、年金福祉事業団におきましては国債その他公社債の取引及び預貯金を主体として自家運用をやっております。それで、税務当局の御指摘及び証券当局の御指摘によりますれば、二十七回の取引がいわゆる損失補てんということで指摘されているわけでございます。  これにつきまして、私ども厚生省の御説明といたしまして何回か御説明いたしたわけでございますけれども、今回の件につきましては、税務上の立場からは、これらの取引による年金福祉事業団収益につきましては、証券会社売買損ではなくて事業団に対する利益供与に当たるというふうにして更正決定をされました。また、証券行政上は、それがいわゆる損失補てんであるという御判断をされたものでございまして、これについて厚生省といたしましては何ら否定しているわけではございません。それぞれのお立場からのそういう御判断があったということでございます。  それで、事業団のサイドから見ますと、東京証券所ルール範囲内での取引でございまして、それらを、当時も、あるいは事後的に今御指摘のありましたような資料を見ましても、いずれもそういう一定ルール範囲内に当たるものでございます。確かに非常に大きな金額取引でございますので収益金額としては大きいわけでございますが、東証ルールで決めております上下二%の範囲、しかもさらにそれの大体二分の一以内に大部分おさまっておりまして、そういう意味で、御指摘を受けたような不公正な取引であるということを認識できなかった、こういう表現で申し上げて走ります。いわゆるまあ察知できなかったのだと。また、事業団については、そういう認識ができる期待可能性もなかった、こういうことを言っておりますので、厚生省として、税務当局決定でありますとか証券行政上の判断を否定しておるものではございません。  当然でございますが、厚生省といたしましては、高齢化社会を控えまして将来の年金財政に資するために年金資金の安全かつ効率的な運用に最大限の努力をしているところでございますが、受託機関等税務上や証券行政上において不公正だとみなされるような行為をしてまで事業団に対して利益を上げる取引をしてもらうというような所存は全くございませんので、かりそめにも不公正なものと疑いを招くような取引をすることのないように受託機関等に対し周知徹底をしているところでございます。いずれにいたしましても厚生省としては、今回の証券取引法改正等取引ルールがさらに確立されますということでありますので、それを遵守して公正な取引を守ってまいりたい、かように考えております。
  15. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 学校共済さき公表分が五十九億四千九百万円ですね。今回は大蔵省特別検査ですから、前とはちょっとまた中身の違うものが出てきたわけですね。今度は大蔵省特別検査によって出てきました。これが先日橋本大蔵大臣中間報告によって証券業協会が発表されたわけですが、これによると十四億八千百万円、トータル七十四億三千万円が補てんを受けたわけです。これはちょっと問題だと私は思うのです。年金事業団は今回は出てこなかった、学校共済はまた出てきた。その他の共済もずらっと出てきた。  現在も学校共済においては特金を千七百二十二億円行っていますね。これは間違いないと思いますが、また確認いただきますが。問題は、昨年の六月の十五日に、損失補てんしないという確認書をとっているわけですね。これがその確認書の写しですが、この確認書によりますると、公立学校共済理事長加戸さんですか、加戸さんと、それから日興証券岩崎社長とが契約をしておる。この中には、明らかに、一任勘定は行いません、損失補てん利回り保証特別利益提供約束または特別利益提供実行について甲は乙に一切求めず、また乙はこれを行わない、はっきり書いておる。ところが、今度の大蔵省検査によってもこれがまた日興証券から十四億八千百万円出てきたというわけです。この補てんを受けたのが昨年の七月と九月に行われておる。こんなばかなことがどうして学校共済とあろうものができるのか、この点について学校共済としては補てんを受けたという認識があるのかどうなのか、この点、まずこの事実の確認と一緒に承りたい。
  16. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございました点でございますが、まず、公立学校共済組合につきましては、九月二十四日に日本証券業協会から発表されました追加分についての事実関係については、現在公立学校共済組合調査を指示しているところでございますが、公立学校共済組合日興証券からとりあえずの報告として聴取したところでは、損失補てんとされた取引は主に債券先物取引であり、時期は平成二年七月から同年九月の間で、総額十四億八千百万円であるというように報告を受けているということを聞いているところでございます。しかし、共済組合からは、今回の損失補てんにつきましては、ただいま先生からお話がございましたように、平成二年六月十五日に公立学校共済組合日興証券との間で「特金勘定取引に係る確認書」、いわゆる損失補てん等を行わないという確認をした後に、平成二年の七月から九月にかけてこのような損失補てんが行われたということでございますので、公立学校共済組合としてもそういう事実関係については驚いているというコメントを総務部長名で発表したところでございます。  私どもとしても、このような公立学校共済損失補てんを受けていたとされた事実を厳粛に受けとめておりまして、このようなことが再発しないよう最善の努力をすることが監督官庁としての責務であるというように考えているところでございます。文部省といたしましては、今回の事態にかんがみまして公立学校共済組合を指導いたしまして、同組合の残っておりました営業特定金銭信託につきましては八月十一日にすべて投資顧問契約つき特定金銭信託に切りかえて、このようなことが今後起こらないように措置を講じたところでございます。したがいまして、私どもとしては、このような事実が起こったことを非常に残念に思い、今後そのようなことが再び起こらないように適切な指導を行っていきたい、このように考えておるところでございます。
  17. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 ここに二年二月二十一日の先物取引伝票の明細があるわけですが、この明細によりますと、二十一日一日に二百五十九億の売買が成立しておるわけです。そして利益は一日に五億九千二百万円上げておるわけですね。こんなもの異常に決まっておるわけですよ。だから、文部省がこれに気がつかないはずがない。そして今度こういうことをやっておる。まだ中間報告については、おとといですから、今私の手元にもやっとけさ内部資料が届いたばかりですから、九時五十分ぐらいでしたかな、私の手元へ届いた。だからとてもじゃないが見ておる暇がないので精査はしてありませんが、私は、今度の補てんもどう考えたって異常なことが行われた。とすれば、これだけのことがありながら、そしてわざわざ確認書まで交わしておきながら、これがまた出てきたということ、これは私は、文部省は重大な責任があると思うのです。  そこでお尋ねしますが、補てん認識したのかどうか、漏らしたのか、認識漏れなのか。もしも、知らない金が入ってきたんだ、売買を頼んだこともないのに——いいかね、売買頼んでなければこういうことは起きない。売買も頼んでないのに入ってきたという金なら余分な金なんだ。だれかが損したから、だれかが利益を受けるんだ。これは年金事業団でも一緒なんです。公共法人、公益法人が、だれかが泣いた金を利益上乗せてもらう、これは私は国民の感情から見て合意はできない、こう思うのです。とすれば、このようなことが、やらない、もらいませんと約束しておきながら、いいですか、これは双務契約ですから、やらない、それをやった者も悪い。もらわないと言いながらもらった人も悪い。とすれば、当然こんなものは返還をして、その返還した金は、これまた適当に社会還元なりあるいはまたこれの救済なりなんなりに充てるべきなんです。  こう考えるわけですが、この点について、文部省、厚生省それから大蔵省はこのようなことに対してどう判断をされるか。御所見をいただきたい。
  18. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、今回の追加発表された分につきまして、取引の明細書等について、公立学校共済組合はそれを認識していたんではないかという御指摘についてでございますが、公立学校共済組合からは、株価指数先物取引証券取引所において上場されていて、その売買証券取引所において行われているので、売買価格がすなわち市場実勢価格であるため、また信託銀行から報告を受ける先物取引明細書では取引相手についての記載はないため、当時公立学校共済組合はそれら取引損失補てんに当たる取引とは思い至らなかったということでございまして、そういう点で、今回の件につきましても私どもとして現在、公立学校共済組合になお詳細な事実関係について調査を要求しているところでございます。  そこで、こういう損失補てん関係につきまして、私ども公立学校共済組合に対してその事実関係等について詳細な報告を求めているところでございますが、今まで損失補てんを行ったとされた日興証券等五社分につきましては、各証券会社からの説明及び取引に関する資料の突き合わせによりまして、日本証券業協会から発表された損失補てん額に相当する取引公立学校共済組合資料に存在していることは確認することができているわけでございますが、その売買の相手方につきましては関係証券会社の元帳の閲覧を行うことができないということから、まだ最終的な確認をできないところでございます。そういう確認を待って、公立学校共済組合についてはその事実関係の全貌を報告するよう求めているところでございます。  なお最後に、今回の損失補てんに関して公立学校共済組合についての対応についてお尋ねがあったわけでございますが、公立学校共済組合は御案内のとおり地方公務員等共済組合法等の適用を受ける地方公務員共済グループの一員であるため、年金資産に組み入れられた金額を支出する場合は、年金支給等を除き特別の規定が必要となるわけでございまして、同組合がその適用を受けている地方公務員等共済組合法等には、年金支給を除き、公立学校共済組合単独で行うことができる支出に関する規定が設けられていないわけでございますので、御指摘のような措置については現行法上はできないというように考えているところでございます。また、公立学校共済組合の事業は、退職した教職員に対する年金給付という極めて公共的な仕事をその任務としておりますので、かかる年金資金の場合、損失補てんを受けたとされる額を返還することが果たして適当であるかどうかということについても慎重に検討されなければならない、このように考えておるところでございます。
  19. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 国民の貴重な保険料を財源として、公的年金資金の自主運用事業を年金福祉事業団は行っておりまして、その資金運用の信頼を損ねかねないような状況が生じましたことは大変残念に思っております。しかし、年金福祉事業団としては、野村証券日興証券に対しましていわゆる損失補てんを事前にも事後にも求めたことは一切ございませんので、違法な行為ということは年金福祉事業団については言えないと考えております。  また、自主運用事業によって得られました運用益は、将来の年金財政の基盤の強化あるいは被保険者の福祉の向上のための還元融資に貴重な財源となるものでございますので、このような観点から考えますと、広く被保険者、国民のために積立金として残していくということが適当ではないかと考えている次第でございます。
  20. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘ケースにつきましては私どもは、特に今回の特別検査におきまして把握しているところでは、証券会社からの報告では、これはお客の改善要求によるものであるというような報告を受けているわけでございます。  確かに御指摘のように、非常に取引の形態が異常で、一方的に証券会社損失を受けるという形態のものでございまして、これについて損失補てんであるという認定を特別検査で私どもがしたことについて、特に証券会社がそれに異論を持っているわけではございません。証券会社としては、もちろん客の要請があった、あるいは取引関係を将来にわたって維持するためというようなことでやむを得ずということを言っておるわけでございますが、御指摘のように確認書をとった後まで補てんをしているということは、私どもにとっても非常に大きな問題だというふうに受けとめているわけでございまして、いずれにいたしましても、特別検査が終わり、損失補てんの最終的な姿が確定した段階では我々として厳正に対応したいというふうに思っているわけでございます。
  21. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 厚生年金初め年金事業団の金、公立学校共済のそれぞれの金、額に汗して拠出した皆さんの金なんです。だからといってその一部を自主運用だということで、こういうことでだれかが泣きを見た金で補てんを受ける、利益上乗せを受ける、その金をもらって、果たしてもらった受給者は喜ぶだろうか。これは国民的な立場で考えなければいけないのです。私は、自分の懐だけよければいいというものじゃない、そういう意味で、この自主運用については的確にこれからやっていただかなければいけない、こう考える次第でございます。  しかし、時間がありませんのでこれ以上やっておれませんが、次に、損失保証は簡単なんですけれども補てんをしようと思うと複雑巧緻をきわめなければならぬということは先ほど申し上げたとおりなんです。今回の改正でここが最大のポイントになってくると思うのですが、補てん禁止する、一任勘定禁止する、罰則を強化する、お客からも。これはいいのです。ところが、その基本になるのは、補てんとは何か、こういうことですね。これを今度は自主ルールということで証券業界、取引所等にその自主ルールをつくれ、こういうことでお任せになった。  九月十日付の証券業協会から出ました自主ルールについての文書もずうっと見させていただいて、これは検討課題の段階だな。しかし今どのような案をこれはつくっておられるのか。それからこの定義について不明確なままで改正案をつくりましても、先ほど申し上げたように、仏つくって魂入れずとはこのことなんです。この際、本当なら、補てんとはこういうものをいうんだということで添付書類で出てきて、そして初めて審議ができるのではないか。  と同時に、今の予定でいきますと、来年の一月の実施ということも聞いておるわけですが、そうすると、これを現場周知徹底させる、二百数十カ所の証券会社、そしてその末端の外務員何十万、これに徹底しなければならぬわけですが、そうすれば少なくとももう出ておらなければとても間に合うものじゃないのですが、私はこれは大蔵省が本来きちっとつくって、意見を聴取するなら証券業界から聞いてもいいけれども、きちっと聞いてから、その上で大蔵省が決める、法律、政省令、そしてそれの実行を自主的に業界団体で監督させる、私はこれが正しいと思うのですね。これはやることが逆なんです、下請に任じちゃったような。  私はこの点について、証券業協会の会長さん、本当にきょうは御苦労さんですが、ひとつその点についての、今どういう段階でどういう状況にあるか、時間がありませんので、申しわけないのですが要領よくひとつ御答弁をいただきたい。
  22. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず私の方からお答えを申し上げます。  今委員が御指摘になりました条文は、既に御参照のように、証券会社につきましては、損失補てんするため財産上の利益の提供の申し込み、約束ないしは提供を行うことをもって損失保証補てんの定義といたしております。これは、一つは、何回かお答えを申し上げましたけれども、例えば行為類型を列挙するという形をとりましたときには、逆にその中にちょっとでも違っている部分があれば抜け穴利用という心配が出るというようなことも論議の中にありました。そして、過去の立法例を見ましても、例えば商法の四百九十七条で総会屋への利益供与の罪を規定しております条文、あるいは刑法二百四十七条の背任罪を規定しております条文、今回私どもが採用いたしましたと同じような条文の形態をとっております。これは私は、法制上むしろ全く問題のない、許される条文であると思います。  問題は、委員は、その自主ルールというものについて直接的な関係を持たせるべきだという御指摘のように聞きますが、私は、やはり自主ルールというものは、これは、我々は自主規制団体に対してさらに整備をお願いしているわけでありますけれども証券取引の公正円滑化という観点から、証券業務として正当なものと考えられる典型的なものを、行為を例示していただく、明示していただくというものでありまして、私は、この損失補てんの定義と直接的には関係はないという割り切りを必要とすると思います。同時に、委員の御指摘のように、自主ルールそのものの作成に大蔵省自身が関与をし、大蔵省自身がその作成の内容をいわばつかさどるような形、それはまさに、私は、市場に対しあるいは証券業協会に対し、行政の過剰介入という御批判を受ける行為ではないかと思います。自主ルールというものは、あくまでやはり業界自身がおつくりになる。ただ、その中に我々が見て完全であるかどうかという視点で法を運用する場合にチェックすべき点があることは、これは御指摘のとおりでありまして、直接的にかかわりはないという位置づけであろうと思います。
  23. 渡辺省吾

    渡辺参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  私ども日本証券業協会は、御承知のとおり自主規制団体というふうに法律上規定されておりますが、ただいま皆様方に御審議をいただいております証券取引法の改正とちょうどいわば一体のような形で、自主規制機能を強化するということで符節を合わせるという役割をいただいておるものと存じておりますが、目下その自主ルールの作成に懸命に努力しておるところで、進行中でございますが、御承知のように証券会社の仕事というのは非常に多様でございまして、普通のディーリング業務とかアンダーライティング業務など多岐にわたっておりますけれども、それが、一瞬にして取引が執行されるといったような性質のものでございます。そうした正常な行動が、正常な業務が阻害されないようにするということも一つ大切なことでございまして、さもなければこの証券市場の円滑な機能を発揮できないということではないかと思います。それを踏まえまして、証券業務の知識あるいは経験を十分生かして、正常な証券取引とはどういうものかということで、それを自主ルールの形で明確にしなければならないというふうに思うわけでございます。  先ほど申し上げましたように、目下鋭意その検討あるいは準備を進めておるわけでございますけれども、できるだけ早く成案を得まして、当然ですが行政当局とも協議させていただきまして、その自主ルール証券業務として正当な行為であるという判断の際のガイドラインをつくる。これこれは正常な行為であって、それは当然のことですけれども証券業務として今後も活発にやってよろしいということで、法律との間にちょうど裏腹の形になるのではないかと思っております。どんな作業をしているのかということでございますけれども、現在の段階で非常に細かいことを申し上げられませんけれども、例えて申しますと、ディーリング業務との関連でございますと、先ほどからもお話がございましたが、例えば国借等の上場債券は上下二%といったような決まりがありまして、その値幅の制限の範囲内で行われた取引は基本的には証券業務として正当なものということになるわけでございます。しかし、所定の制限内の取引でございましても、例えば約定のお客と相対でごく短時日のうちに大量の売買を行って顧客に利益を与えるといったような……
  24. 衛藤征士郎

    衛藤(征)委員長代理 渡辺参考人、簡単に、質疑者の聞いたことを。
  25. 渡辺省吾

    渡辺参考人 はい、わかりました。  そういうような点については、これは異常な取引ではあるまいか。それをどうしたら抑止することができるか、禁止することができるかといったような点もございまして、例えば短時日とはどういうことか、あるいは大量というのはどういう場合かといったようなことを今具体的に検討しているわけでございます。  それから、これを周知徹底元文ということでございますが、これは大変大切なことでございますが、その点にも十分留意して作業を進めてまいっております。
  26. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 せっかくのうんちくですから本当はゆっくり聞きたいわけですが、時間がありませんので、恐縮です。  と同時に、鈴木行革審会長さん、お忙しいところお出かけいただきましたので、以下質問させていただきますが、二十八時間にわたりましてこの審議が行われまして、私も議事録を要領、全部読ましていただきまして、御苦労さんでした。ただし率直に言って、最初の意気込みと中身とはちょっと違った印象を受けたことは事実なんです。これは世論もかなりそういう印象を受けていらっしゃると思うのです。  そこでまず第一に、免許制度の問題については、将来の新規参入のことも含めながらいろいろな御意見が出て、将来の弾力的な運用について示唆していらっしゃいますが、私はこの免許制度について、長年の歴史その他も勘案、判断し、以前の登録制度から免許制度になった、これからどうするか。これらの歴史過程から考えまして、雨後のタケノコのようにどんどんと登録でできるんだということは、むしろ今日の混乱しておるこの社会の中でかえって証券・資本市場を混乱させるのではないか。かような意味で、ある一定の免許水準によって免許を与えていく、このことはやはり秩序の上で必要じゃないか。  いま一つは手数料の問題ですが、この手数料につきましては、二つに分けまして委託手数料と引受手数料があるわけですが、委託手数料につきましては、私はアメリカその他のものと具体的に比較してみたのです。高いのか、安いのか、どうなっているのか。そうしますと、ここにもアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル、ここにはっきりと日本との格差が出てきております。あるいはまたバローンズ誌という雑誌に載っております証券会社、これは大手ですが、これの手数料の広告が、私のところはこれだけ安くやりますというのが出ておる。これも全部比較いたしますると、仮に一つの例として申し上げますると、小口の場合にはアメリカで、私の計算で一株千円で換算いたしますると、手数料が百万円について二万七千円、高くついている。日本の場合には一万一千五百円なんです、小口の場合です。大口の場合になりますると、今度これが三億でいきますると、五千四百円がアメリカで、日本の場合には二千六百十円になる。十億以上になりますると、アメリカは同じように一株で計算しますから五千四百円、日本の場合には八百六十円と差があるのですね。  この実態から見て、この手数料は、委託手数料の場合にはアメリカよりも日本は安いし、委託手数料は、小口の株売買の大衆投資家も入ってくるのですから、私はこれは今のこの固定制度でやっていくことがまず第一、小口に対しても大口に対してもいいのではないかということと、これをフリーにいたしますと、中小の証券業者はとてもじゃないが、今度大手が補てんをやったごとく、中小には手数料の値引きその他でサービスができなくなって、これはもう当然中小は行き詰まってしまう、こういうようなこと。それから、時にはこの委託手数料を、では損失補てんに隠れみのとしてまけてあげますよ、これも可能性があるのです。と同時に、今度は引受手数料につきましては、これは現在でも自由化されておるわけです。ですから、これもアメリカと比較いたしますると、アメリカが大体四円、五円に対して、日本の場合には大体三円程度から一円五十銭ぐらいになるのです。安いのです。しかし、これは現在でも自由化されておりますが、これは引き受けの場合ですから新発債の場合に当たりますので、この新発債を引き受けておりまするのは現在、この三年間調べてみましたら、六十九銘柄の新発債に対して六十七銘柄が四大証券。そのうちの二十二社が、これが野村証券。まさに四大証券が独占しておるのが実情なんです。  私はこういう実態から見ても、この際はこの手数料につきましては、ただ自由化すればいいのだということは到底考えていらっしゃらぬと思うけれども、自由化しただけではむしろ今申し上げたような危険とそして将来の不安を与える、こう考えるわけです。  いま一つは、これも時間の関係で全部まとめて質問いたしておきますが、この証券金融委員会をおつくりになったわけですが、これが先ほど冒頭に申し上げた換骨奪胎といいますか、いわゆる鈴木会長の最初の意気込み、しっかりやるぞというのが結果的には大蔵省の傘下になったじゃないか、こういう批判を免れないと私は見ておるわけですが、これはどう考えても、いろいろな諸案件についてそれぞれの起案、建議、勧告、これを大蔵大臣にやらせるというこの仕組み。この証券金融委員会をおつくりになるという構想なんですが、この証券金融委員会は言うなれば大蔵大臣の傘下であるということ。委員の任今も大蔵大臣である。それは言葉の上では、そういうふうになる、中立、独立、透明性を確保します、言葉では言えるのです。ところが、その上で決裁をする、判こを押す者が大蔵大臣なら大蔵省の傘下で、そんなもの当たり前なんです。  私は大蔵省も信頼しておるけれども、今までの経過から見て、この際は私は、これは行政法三条に基づく外局で、別な、公正取引委員会のようなああいう委員会にして、アメリカのSECをまねしようとは断じて言いません、アメリカはアメリカのものなんです。私は、日本の証券金融委員会をつくって、そして世界に範たるものをこの際つくるには、大蔵省の傘下でなしに別枠でなければいけない。ましてや今の調査能力から判断いたしましても、とてもじゃないがこれではできるのかどうか、こう心配をいたしておる次第ですから、この際、この証券金融委員会でいろいろ構想を提示されましたが、この中身について、鈴木会長は日経連その他でもばしばしとおやりになってきたわけです。その勢いできちっとこの証券金融スキャンダルを、これを大掃除できる構想をこの際お示しいただいて、今の行革審の中身についての質問をいたします。  それから追加です。この手数料の問題については大蔵省答弁してください。
  27. 鈴木永二

    鈴木参考人 鈴木でございます。  まず第一に、御質問の免許制についてでございますが、私は免許制を登録制にしろと言っているわけじゃございません。ただ、自由競争がもっと入るように、四十三年に制定されてから日本の証券会社で一社も入ってないと私は聞いております。そういうことでは、水はよどめば腐るわけです。ですから、私はここに競争原理を導入してぜひやっていただきたい。それには免許制でもいいと思います。ただ、もっと入るんです。基準を明確にして、そして入れる。事実、実績が入る、入ってきているということを示していただくということをお願いしておるわけでございます。  それから、手数料の問題でございますが、これはいささか先生と見解が違うわけでございまして、やはり今度のいろんな利益還元の問題とかいうことも、自由化されておれば、むしろアメリカ式な自由化がされておれば、最初にネゴでその手数料というものは高過ぎる、低過ぎるというような折衝ができるはずでございます。そういうことで、私は見解の相違になって申しわけございませんが、手数料の自由化というものをすれば今度のような原因の一部は省かれたんじゃないかと思いますが、これについては大蔵省の方への御質問もございますのでその程度にさしていただいて、追加御質問があればお答えしたいと思います。  それから、先ほど四大証券の話もございましたが、私ども委員会でも、四大証券、準大手十社ですか、そういったことをどのようにしてなくすかという議論は相当行われました。しかし、それは結局、参入を認めるということ以外には今妙案がないという委員会の結論でございまして、自由競争を促進するということでございます。  それから、証券金融検査委員会について最初の意気込み、おまえどうしたんだ、日経連のときには大分大きな口をたたいていたじゃないかというお話ではないか、こう思うのでございますが、私は今も同じ気持ちでおります。ただ、今度の不祥事がなぜ起きたかということは、検査、監査だけで防げる問題では絶対ないという信念を持っております。それから、証券市場、金融市場というものは透明で公正で、そして世界の業者、投資家が日本の市場は自由競争で行われておる公正な社会であると認識してもらうことが大事だ、こう思っておりますので、私はそういう立場で、公的規制だけを強くしたらばいいと、絶対にそうは思っておりません。口幅ったい言い方でございますが、今度の銀行の不祥事でも、ごらんいただきますと、あれは大体支店とかいうところを舞台にしてやっております。大蔵省が、日銀がいかに検査をしたって、何万あるか私は存じませんが、あの金融機関の膨大なる支店を実際に調査して不正が防げると私は絶対に思いません。結局、銀行業界の方には悪いですけれども、今のバブル経済が銀行の感覚を鈍らせてしまったということに尽きると思います。結局それは銀行自身が、証券会社自身がその気になって意識改革をしてやってもらわなきゃならぬ。それから、ここに自主規制団体いらっしゃいますけれども、私は、自主規制団体が法律によって規制をすることを命ぜられているわけですから、仲間意識ということじゃなくてやるべきものはぴっちりやる。私は、アメリカのSECにしましても、それからイギリスのSIBにしましても、自主規制の上に公的規制が乗っかっているわけでございますので、私は決して、最初に第三者機関と申しましたのは誤解があったかとも思いますけれども、私は最初からSIB、SECということを念頭に、ただそれを置いておったわけじゃございません。SECもありますが、SIBもありますが、また今、今度提案しましたような八条機関というものに、最後それがいいと思ったのでございます。  それは、不祥事件の総合的な原因と、それをするには新しく大蔵行政が、証券行政が業者行政、業者保護行政から完全に脱皮して市場行政というものに脱皮していただく、そうしてルールを明確にして法令化していただく、それでまた一部は自主機関のルールにしていただく、そうはっきりして、そして各会社、企業、私も企業の一員として大変申しわけないと思っておりますが、私は今のモラルの問題は、企業倫理の問題は本当に襟を正さなきゃならぬと思っておりますが、それと同時に自主規制団体が本業に立ち返っていただきたいと思います。決して仲よしクラブであっては絶対にいけないと思います。そうしましたらそれはできません。銀行業界でもそういうことはあります。私は銀行業界は任意団体だと思っておりますが、そういった自主規制は規定にはないと思いますが、ぜひ宮主規制団体になっていただきたいと私は希望いたしております。  そういうことで、大蔵省証券行政と今度中立を守ります、守っていただきます新機関とは、検査・監視は全然別の命令系統で動いていきますけれども、その大蔵省証券行政という、全体の立場をどのように確立していくか、業界も含めて、やっていくには、縁のないグループでは困ると思うのでございます。私は、そういう意味で、時間がありませんからその点につきまして十分御説明できませんけれども、また後日時間をいただきましたら、出向いて御報告に参ります。  私は、総合的な立場から証券行政を出直していかなきゃいかぬ、そういう立場で、二重行政と言われる別の三条機関ということも十分検討いたしましたし、諸先生方の御意見も十分拝読させていただいておりますけれども、最後踏み切りましたのはそういうことでございますが、ここで申し上げる必要はないと思いますけれども、とかく言論界でも、私が大蔵省の説得に倒れたというようなふうに言われますけれども、私は絶対そうじゃございません。もし、そういうことでございましたら、いつでも御説明に参ります。私は、大蔵省からは、行政の中に監査機関を置くという話を最初独自におやりになったときに聞きました。それは無理です、この世論というものを考えていただけば、それはだめです、それは外ですということを言い続けてきたことでございます。それ以外にどうしろということはありません。八月十五日に大蔵大臣から、おまえに任すと言われたんです。任すと言われた以上、いろいろ言われる義理合いはないわけであります、私もそれで報告しておりますので。言葉は悪うございましたけれども、御了承いただきたいと思います。  それから、中小企業証券会社並びに小口投資家についての配慮は私も必要だと思います。方向を間違えぬように、手数料も認可制、許認可制——ちょっとど忘れしました。それは、方向として自由化の方へ持っていっていただかなければなりませんが、過渡期としてはそういうことは十分配慮していただかなきゃならぬと思っております。  それから、最後で申しわけございませんが、先ほど大蔵大臣任命でございますけれども、国会の了解、承認をいただくということになっておりますので、先生方の御了解がなければ絶対に人事は動いていかないはずでございます。私どもとしましては、口頭でございますけれども、司法関係の最高の位におつきになった方にぜひこの委員長はなっていただきたい、委員の方も、大蔵省の方じゃなくて公認会計士協会の最も信頼のある方とか監査役協会の信頼のある方とか、そういう第三者にぜひなっていただきたい。それから、特別の任務を帯びるわけですから、こちらの機関の方は、特別の訓練、教育を徹底してやっていただくようにひとつ先生方にもこの機会を利用してお願い申し上げたいと思います。  何か足らないことがありましたら……。
  28. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 終わります。ありがとうございました。
  29. 衛藤征士郎

    衛藤(征)委員長代理 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。  次に、仙谷由人君。
  30. 仙谷由人

    仙谷委員 鈴木会長から、いわばこの特別委員会のまとめになるようなお話をお伺いしましたのですが、そして、私が少々細かい話をさせていただくことになりますので恐縮なんでありますが、先ず大蔵大臣、一昨日この委員会で発表いただきました九一年三月期の損失補てんの件でございます。  まだ余り詳しく検討してございませんのですが、そして、より詳しい資料もいただかなければならないというふうに考えているところでもあるわけですが、例えば日興証券岩崎副会長が証人としてこの委員会に出頭されて、九〇年の三月期に通達に反しておることがわかっていながら補てんをした、そして大蔵省から通達に反しておる、違反しておるということで厳しい御叱正を受けたということを証言をしておるわけでございます。ところが、中身を見てみますと、にもかかわらず日興証券、随分多額の補てんをしております。さらにかてて加えて、例えばトーメンに対する補てんというのを、これを拝見いたしますと十三億一千百万円でございますが、二月八日、つまり九〇年の二月八日に確認書を入れておる。それから、にもかかわらず、いつなのか明確ではございませんがいその後にまたまた三年連続で十三億一千百万円の補てんを受けたことになっておるわけでございます。丸紅も同様に九〇年の三月期に続いてことしの三月期、十三億八千七百万円の補てんを受けている。これは昨年の三月期に営業特金を解約して残りを顧問づき特金に、投資顧問をつけた特金に移管をしたというふうに大蔵省から言われておりますが、にもかかわらず、投資顧問がついても次の期に十三億八千七百万という、こういう補てんを受けておる。先ほど同僚議員からも質問ございましたけれども公立学校共済組合も、同様に確認書がありかつ顧問つきに移管をしておるにもかかわらず、連続して補てんが行われているというふうな事例も見られるわけでございます。  通達が出て、証人喚問の証言などを聞いておりましても、九〇年の三月期については、株価の急激な下落、あるいは営業特金を早急に解消しなければならないという事情があって、やむを得ず通達違反の行為に及んだんだ、そういう弁解をされておって、多少の情状酌量の余地があるかなというふうにも思わないでもなかったわけでございますが、確約書を入れて顧問づきに移管をしながらこれらの大会社が補てんを受ける、日興証券補てんをする、こういういわば通達を無視し、本当だとすれば大蔵省の厳しい御叱責もすべて無視し、大蔵省を歯牙にもかけないというふうなことが証券業界と事業会社の間で行われたということになるんではないかと思います。この点について、大蔵大臣、改めて御見解をいただきたいと存じます。
  31. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今回中間報告を本院にいたしますにつき説明を受けましたとき、今委員がお述べになりましたとおりの事態を知りまして、私自身、どういう言葉にしたらいいのかわかりませんけれども、形容しがたい思いがいたしました。そして、まさにいろいろな御批判はありながら今日まで日本の行政というものが、通達行政と言われるくらい、あるいは行政指導という言葉が海外にも知られるぐらいに、いわばお互いの信頼関係の上で行われてきた部分を持っておりますだけに、少なくとも証券業界についてその信頼関係は打ち砕かれた。しかも証券会社という企業の側から打ち砕かれたという事実をいや応なしに認識をさせられております。当然のことながら、そういう状況にあることを前提に、我々はこれから信頼回復へ向けての努力をしてまいるということになりましょう。この中間報告で終わるわけではありません。この特別検査の終了までにまださまざまな問題があるいは出てくるのかもしれません。今後に対し、我々としてはこうした現況というものを踏まえて対応を迫られているということであります。  なお、一点補足をいたしたいと思いますが、今回の特別検査におきまして、証券会社側から我々が聞かされた、聞いたことによりまして申し上げますならば、証券会社側からは、三年三月期の損失補てんのほとんどは顧客の要望を受けやむを得ず行ったものであるという説明を受けております。相手側をまだ確認をいたしておりませんので、証券会社側からの聴取の内容としてこの場で申し上げておきたいと思います。
  32. 仙谷由人

    仙谷委員 私は今大蔵大臣お話をお伺いいたしまして、信頼関係に基づく行政指導でうまくいっていた時期があった、こういう趣旨のお話を伺ったわけですが、これは大蔵省証券業界あるいは各証券会社という、いわばそういう人間と人間の関係に擬制するか、できるかのような、信頼関係で律することができない、そういう構造的な問題がこの問題にはあるんだというふうに思います。つまり、いわば合法的、反合法的、脱法的利益追求行為が許される、そういうものがそもそも市場経済である。極端な違法行為についてはいろいろな規制の仕方ということが必要なんでしょうが、やはり利益追求行為自体を認めるということになりますと、事業会社もしかりでございますし、それから最も浮利を追うことに走りがちな金融証券の世界では、やはり信頼関係だけでは律することができない、そういう構造がこの金融証券という営業体の中にあるんではないかというふうに思うわけでございます。せんだっての予算委員会の質疑の中でも、私が大蔵省の方にもいわばお願いをしましたといいますか要請をしました事柄の中に、やはり適宜こういう違法、私は違法行為だと思いますけれども、非違行為を発見した場合に、一般条項を使って、信頼関係に基づく指導ではなくして、処分をしてこなかったということに大きな原因があるのではないかと思います。  ちょっと話題変わりますが、先ほど顧客の要望を受けてこの補てんをせざるを得なかったという説明が証券会社からあったというふうに私はお伺いをしたわけですが、岩崎副会長は本委員会の証言で、これは私がお伺いしたわけですが、伊藤忠との補てんが二千九百万でございましたか、非常に少ない、だから伊藤忠とは厳しい交渉があって、当時の副社長が席を立って帰ってきたという話があるではないかという話をしたわけですが、そのときは一切知らないとおっしゃっておったわけでございます。ところが、今度の補てん先一覧表を見ますと、伊藤忠商事十三億一千七百万というふうに、つまり平成二年の三月期までは補てんをしなかったけれども、翌年にその交渉がまとまって、つまり顧客の伊藤忠の強い要望を受け入れて補てんをしたということが明らかになっておるわけでございます。  私は、この証券会社の首脳の証言態度あるいは今回の補てんというのを見ておりまして、もう大蔵省が信頼関係をまさに維持する必要は全くないんで、今回の事態を前提にひとつ証券取引法五十条を使って処分に臨んではいかがなものか、臨むべきである、処分をすべきであるというふうに考えますが、証券局長、いかがでございますか。
  33. 松野允彦

    松野(允)政府委員 確かに御指摘のように、今回の特別検査、私ども全力を挙げてこの実態の把握に努めているわけでございますか、その過程におきまして、御指摘のありましたように確認書をとっていながらその後に補てんが行われているというようなケースがあるわけでございます。そういうことを考えますと、確かに行政指導の限界といいますか、あるいはその信頼関係に基づく指導というものがもう十分効果を出さないというふうに考えざるを得ないところでございます。  そういったこともございまして改正法をお願いをしているわけでございますが、この特別検査で把握いたしました損失補てんにつきまして現行法を適用するという観点に立ちましたときに、私ども現行法損失保証あるいは特別利益提供というような行為がないかどうか、現在検査で調べているところでございます。その点について、必要に応じては補てん先に対しても事情聴取をして、五十条の適用ができないかどうかという点を非常に重要な問題として受けとめて検査を続行しているわけでございます。現在までのところは、五十条を適用するという判断をするに至っていないわけでございますけれども、私どもとしてはそういう問題意識を持って検査をしているということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。     〔衛藤(征)委員長代理退席、穂積委員長     代理着席〕
  34. 仙谷由人

    仙谷委員 この証券取引法五十条、健全性省令一条二号の問題でございますが、私はせんだっての予算委員会で、いわば法の解釈をねじ曲げるというふうな失礼なことも申し上げたわけですが、今大蔵大臣の御答弁にもございましたように、交渉の内容が、つまり補てんをする段階における証券会社と事業会社、補てんを受けた会社の交渉の内容がある程度明らかにされれば、証券取引法五十条、健全性省令一条二号を適用して行政処分をすることは何ら難しくない、そんなに難しいことではない。そしてその行政処分を公開審理で行うことによって、その積み重ねがまさに補てん中身をつくることであるというふうに私は考えるわりでございます。例えば、このトーメン、丸紅、伊藤忠というふうな大商社、それからこれはたまたまでございますけれども野村と日立の例というのが大蔵省からも明らかにされまして、補てんの割と典型的な例として明らかにされております。これは日にちと金額が今明らかにされておるわけでございます。その前段階、直前の段階にいわば特金口座の残高がどういうふうに減少してきておったのか、プラスになっておったのか、その補てん直近の現在高の事実とそして交渉の中身がわかってくれば、これはそんなに難しくないと思うんですね。この間私が申し上げたことは、補てんというものが金銭で行われる限り、金銭で、現金で行われる場合には、これは証券取引法の問題は出てまいりません。出てこない。しかし、補てんを有価証券取引の形をとって行う場合は、その有価証券取引をする、つまり日立と野村の例で言いますと、ワラント債の売買を、一日で売って買う、買って売るという行為を行う約束はどこかに成立をしておるわけでございます。そうしなければ、売って買うという履行行為がないわけでございます。契約が成立している以上、これは局長も学生時代に我妻さんの契約総論で習ったと思いますけれども、申し込みと申し込みの承諾というのが必ずあるわけでございます。そうしないと意思表示は合致しないわけであります。申し込みがある以上、申し込みの誘引というのもあるわけであります。申し込みの誘引がある。つまり野村の方から日立に、この穴のあいた二十一億円をワラントを使ってひとつ埋めさせてください、ワラントを買って売ってください、いかがでしょうかという誘引、つまり勧誘行為があるはずであります。日立がそうしましょうという申し込みをする、野村がその申し込みに対して承諾して初めてこの有価証券取引行為の契約が成立するわけであります。そこから、一たん信託銀行からお金を払って、払ったことにして、そうですね、信託銀行の口座にあるお金を払ったことにしてワラントが一たん信託口座に入って、もう一遍出ていく、あるいはその反対かもわかりませんけれども、そういう契約の履行行為が行われる。契約というのは、申し込みの誘引から始まってそういう順序ていくんじゃないですか。利益提供行為があるということは必ず誘引行為があるんですよ。誘引行為というのは勧誘行為じゃないんですか。そうでしょう。  だから、例えば今大蔵省がお知りの事実の中で、要求があってもなくてもいいんですよ、一番最初打診とかそれから、何といいますか、要望があってもいいと思いますね。その場合にこういう有価証券取引行為で穴を埋めましょう、あるいは利益を提供しましょうという話し合いがあっなかなかったか、それを大蔵省が見つけてくるかどうかが、まさに勧誘行為があっなかなかったかのそういう事実認定の問題じゃないですか。私はそれはそんなに難しい話じゃないと思うのです。法律論として誘引行為のない申し込みもないし、申し込みのない承諾もない。契約はそうなると成立しないわけですから。これだって契約ですからね。そうでしょう。いかがですか。そういう観点から、事実問題として今まで大蔵省が典型的事例として、昨日も公明党の日笠委員やあるいは私どもに対する回答として、損失補てん事例四社、補てん額二十億円以上の事例ということで典型的な多額の極めて外形的にわかりやすい行為、これをお示しになっていらっしゃいます。そしてまた、おととい発表された補てんの中でも典型的な事例があるはずであります。そういう典型的な事例についてどういうネゴシエーションが行われたか、交渉が行われたか、そしてそのときに要するに証券会社の方で有価証券取引という形をとって補てんをするということを持ちかけた、提案した、誘った、こういう事実があるかないか、今把握しておる事例というのはないんでしょうか。
  35. 松野允彦

    松野(允)政府委員 今詳細に法律的な問題について御指摘がございました。私どもも率直に申し上げまして、今のようなお考えも我々としても中で議論をしている過程で、あるわけでございます。ただ、私どもがこれは完全に確定的に判断をしてしまったということではございません。ただ、この証取法五十条及びそれに基づきます健全性省令などで禁止をしております損失補てんを約しての勧誘あるいは特別利益提供を約しての勧誘という行為禁止の考え方というものにつきましては、これはその投資家に対してそういうことをすることによって投資判断に影響を与える、それがひいては証券市場全体の正常な機能発揮を妨げるというようなことでこういう勧誘行為禁止しているというふうに考えられるわけでございます。  そういう観点から申し上げますと、今御指摘のありましたように、確かに個々の補てんのための有価証券取引行為というのは、それは行為が行われたわけですから契約であることには間違いがないわけでございまして、その契約の締結の過程においてその誘引といいますか、申し込みといいますか、これはあるのは当然のことでございます。ただ、それをとらえて今私が申し上げたようなこの五十条あるいは健全性省令で禁止している勧誘行為の趣旨というものを曲げることになるのかどうか、つまりそれに抵触するのかどうかというところについての議論が私どもの中でもまだ続いているわけでございまして、これは繰り返しになって恐縮でございますが、証取法が禁止しているという、こういう勧誘行為禁止しているというのは、あくまでも証券市場全体に対してそれが非常に悪い影響、悪影響を与え、市場の機能をゆがめるということにあるわけでございます。損失補てん取引自体は、これは例えばワラントを安く売って高く買い戻すという単発行為だけをとらえてみますと、そういう行為が果たしてここで禁止している勧誘行為というものに該当するのかどうかという点について私どもはいろいろと議論をしておりますが、まだ今の段階でそれが該当するという判断ができないというのが率直なところでございます。
  36. 仙谷由人

    仙谷委員 歴史的に非常に法解釈と法の運用に慎重でいらっしゃると、今のお話をお伺いしておりまして感じました。私は最高裁判所ほど権威がございませんけれども、この五十条の構成要件でそんなに何を逡巡する必要があるのか。今局長がおっしゃったように、いわゆる市場の価格形成をゆがめ、市場の公正さを害し、市場の信頼性を損なう、そういう有価証券取引行為ではないかと思います。  つまり、それじゃ今のようなスタイルを、補てんじゃなくて、ある証券マンが私のところへ来て、きょう二百億円用意してくれ、そしたらワラント債を売って買って必ず二十億円あなたの懐へ余分に入りますという話を持ちかけてきた場合にはどうなんですか、これは。証券取引法五十条、健全性省令一条二号のいわゆる利益提供を約しての勧誘行為に当たらないのですか。売って買ってする、買って売ってする、その二回の取引を繰り返すことによってそういう有価証券取引を今から行いましょう、必ず二十億円そこに利益が落ちますよということを言った場合には、これは勧誘行為にならないのですか。その点だけもう一度お聞かせください。
  37. 松野允彦

    松野(允)政府委員 今御指摘のように、ただ単純に何の、例えば損失補てんという目的もなくただ通常といいますか、一般の投資家に対して外務員がもしそういう行為が、これはなかなか外務員限りでそういう行為が可能かどうかという問題がもともとあるわけでございますけれども、もしそういうようなことをやるということになりますと、それはやはり五十条に違反する可能性が高いのではないかという感じはいたします。
  38. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、一般的な場合であると特別利益提供を約した勧誘行為ということにもなると今おっしゃいましたけれども補てん目的であればなお悪いじゃないですか、悪性が強いじゃないですか。それを構成要件の、つまり五十条に該当する可能性がないという前提で処分手続に入ることも逡巡されるということでは、これは行革審の答申どおり行政処分手続を大蔵省の権限の中にとどめるというふうなことになることが果たしていいのかどうなのかという重大な疑問が出てくるのではないんでしょうか。  私は今の時点で、これだけ、顔に泥を塗られたなんという言い方をすると下品だから余り言いたくないんだけれども、この今回の補てんだけは大蔵省さんは内心ふつふつと怒っていると思いますけれども、そういう感情は抜きにして、行政的な手続としてけじめをつけていくんだ、そのことを始めない限り、法律ができないとそんなことできませんなんということを言っているようでは、市場に対する信頼も返ってこないと思うのですね。ひとつその点、鋭意、もう一遍民法の理論から勉強していただければすぐわかること。でございますので、こんなことは、大胆にならなくても常識的な法律判断でひとつ行政処分手続を進めていただきたいと存じます。  大蔵大臣、今の点いかがですか。
  39. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先刻来御論議をいただいております問題点もじっくり拝聴させていただきました。いずれにいたしましても、今中間報告をいたした段階でその推移を見通すことには問題があろうと思います。いずれにいたしましても、その結果を受けて厳正な処分というものは当然行わなければなりません。御注意は十分にとどめておきたいと思います。
  40. 仙谷由人

    仙谷委員 今の点に、その勧誘目的の問題でございますが、証券局長、この営業特金とか特別金銭信託と言われておるものは、法律形式としては顧客と信託銀行の契約書が基本なんですね。運用指図を法律上は委託者が信託銀行に出す、信託銀行は証券会社に注文をする、こういうことで証券取引が行われるという、こういう格好になっておるのでしょう。そうですね。本来は委託者が運用指図をしなければいけないんだけれども、どうも投資顧問のついてない場合は証券会社が、実質的な関係証券会社とこの委託者の間の方が関係が深くて、そこのあうんの呼吸なのか、あるいは一任勘定取引なのか、ともかくといたしまして、証券会社が勝手にやった場合もあるし一々報告をしている場合もあるし、あるいは委託者の意向余聞いてからやる場合もある。こういういろいろなパターンあると思いますけれども、にもかかわらず証券会社が買う場合に、買ったり売ったり取引をする場合には、委託者からは必ず運用指図書というのが出るんじゃないのですか。いかがですか、
  41. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘のように、営業特金の仕組みからいいますと、注文を出すのは信託銀行の名前で出るわけでございますから、委託者は信託銀行に注文を出すように指図するということになります。
  42. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、この補てんの有価評券取引自体も運用指図書が委託者から信託銀行に出されて、信託銀行から証券会社に注文書が出される、こういうことになるんじゃないですか。
  43. 松野允彦

    松野(允)政府委員 そのとおりでございます。
  44. 仙谷由人

    仙谷委員 そうすると、実質上、事業会社といいますか委託者の方は、その取引が行われたことを知らないとか、補てんが行われたことの認識ないなんということをおっしゃるわけだけれども、       式法律上は、法形式上は、あるいは書類上はそんな言い逃れは絶対にできない、そういう建前に、つまり、信託契約書と協定書というのがあるようでございますが、協定書ですね。三者契約の場合もあるようですし二者の契約の場合もあるようですが、知らないというようなことは絶対に言えない仕組みになっている、つまり認識が必ずあるという建前になっておるのじゃないですか。
  45. 松野允彦

    松野(允)政府委員 個々の取引、これは損失補てん取引も含めまして、当然委託者には連絡が行きますから、その取引があったということを認識しないということはないと思います。ただ、その取引が非常に異常なものであって明らかに形式的に補てんのための異常な取引だというふうに認められるものもございますけれども、中には、例えば先物を使ったりいたしますと、その取引だけを見た場合に、果たして、市場で執行されておりますから、異常な取引だということが認識できるかどうかという問題、認識できないというケースもあろうかと思うわけです。取引自体があったということの認識は、それは当然できるというふうに考えます。
  46. 仙谷由人

    仙谷委員 私は、この補てん問題をいろいろ見ておりまして、証券会社もなかなかのものであるけれども、要求をする方も、あるいは補てんということで利回り保証的な金額が口座に落ちておることを当たり前とするこの体質ですね、事業会社も大変、モラルというよりも、何というのですかね、利潤を得ることについての緊張感が欠けておるのじゃないか、そんな感じをいたします。  それで、この認識の問題それから要求の問題というのはまさに今度法改正の問題につながってきておるわけでございますがい先ほどから執拗に行政処分の問題を申し上げておるのは、実は私は、余りこの種の補てん行為を刑罰をもって予防することは実効性を期しがたいのではないかという論理に立っておるからなんであります。  ちょっと細かくなりますけれども、この改正案でお伺いをしていくわけですが、五十条の一項の方、ここの、「してはならない。」という禁止される行為が書かれてあるわけですが、その行為の主体は「証券会社又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。」という記載の仕方になっております。五十条の二は「証券会社は、次に掲げる行為をしてはならない。」というふうになっております。つまり、「役員若しくは使用人はこというのが抜けておるわけでございます。何か意味があるのでございましょうか。
  47. 松野允彦

    松野(允)政府委員 これは、役職員の場合は両罰規定でその適用ができるという考え方でそういう規定にしてあるわけでございます。
  48. 仙谷由人

    仙谷委員 両罰規定にするということと自然人の実行行為者を書かないということは全く別の次元の話なのでありますが、つまり、普通の両罰規定というのは、自然人の行為があって、それが会社の、法人の行為というふうにみなされる場合に、自然人を罰すると同時に法人も刑罰を科す。つまり、法人は犯罪行為能力がないんだという前提で従来の刑法理論は考えられておったわけでありまして、したがって、法人の禁止行為だけ書いて自然人のことが両罰規定という規定の仕方は、無理ではないと思いますけれども、甚だ珍しいのではないかというふうに感じますが、法務省の方、いかがでございますか。
  49. 井嶋一友

    井嶋政府委員 お答えいたします。  この改正法案の五十条の二は「証券会社はこと書いてございまして、これは犯罪の主体でございます。いわゆる身分犯でございますが、証券会社は企業としてしてはいけないという規定を置いておりまして、それを処罰する場合には、当然、従業者、その他使用人、代理人が事実行為は行うわけでございますから、それを罰する規定は百九十九条でございまして、先ほど証券局長、両罰規定だと述べられましたが、それはちょっと間違いじゃないかと私は思います。  百九十九条には、ここに書いてございますとおり、次に掲げる違反があった場合において、その行為をした証券会社の従業者は云々、こういう書き方にしてありまして、それとあわせまして、従業者が処罰できる。それから同時に、法人そのものを、証券会社そのものを処罰するにつきましては、二百七条の両罰規定で処罰をする、こういう関係になるわけであります。
  50. 仙谷由人

    仙谷委員 それで多少整理されてきたわけでございますが、そういたしますと、この証券会社行為というのはどういう要件が必要でございますか。つまり、取締役会の意思決定というふうなものが必要なのか、そうじゃないのか。もっと反対から言いますと、外務員が損失補てん行為をする、いや、あれは外務員個人が単独でやったんだ。支店長がやる、ああ、あれはあの支店だけだ、あれは支店長の行為だ、こういうものが証券会社行為というふうにみなされるわけでございましょうか。それとも、それは本五十条の二、つまり証券会社行為が前提になっておるわけですからそこではくくれないんだ、カバーできないんだということなんでしょうか。
  51. 井嶋一友

    井嶋政府委員 違反の形態といたしまして、いわゆる会社ぐるみと申しますか、会社全体として例えば常務会のようなところでお決めになったというような形で行われるケースがあるわけでありますが、そういったケース以外に、いわゆる支店長限りで支店だけで行うということもありましょうし、今委員御指揮のような外務員だけが行うということもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、罰則の適用上は、そういった行為が業務として行われる、証券会社の業務として行われるという形がとられた場合には、支店限りでありましてもそれが証券会社の業務であると認定できれば、それは証券会社行為になります。また、外務員が顧客に補てん行為をいたしましても、それが外務員の個人の行為ではなくて証券会社の業務として行われるということになれば、これまた五十条の二の証券会社行為というふうに当たるわけでございます。そういった場合にもちろん、それから常務会といった形で行われれば、それが全部共謀者になって会社の行為として行われるということになるわけでありましょうけれども、いずれにいたしましても、要するに証券会社の業務として行われるというところでとらえることができるわけでありますから、それぞれの段階において行われた実態をよく調査いたしまして、そういったことになるかどうかということが決め手になるということになるわけであります。
  52. 仙谷由人

    仙谷委員 まさにこの種の、普通の取引行為、経済行為を犯罪構成要件にする場合の難しさはそこにあると思うのですね。そうですね。  つまり、じゃ、富士銀行の中村課長という方がああいうことをやった、あれは個人の行為だ、こういうことになっていますね。今局長のおっしゃった法人の業務として行われたかどうかというのが、まさに業務上過失の業務じゃなくて、反復すればいいだけという話じゃなくて、それが野村証券なら野村証券という会社の営業行為の一環であるという実質性がないと、会社総体を罰したり、これ、行政処分にも連動すると思いますので、会社総体が犯罪の主体になるというふうなことはあり得てはならないということになると思うのですね。  したがいまして、業務であるかないか、そこのメルクマールは何なのかというのが、もし法廷へ出た場合でも、行政処分をする際にも、法律屋が出てくれば必ず問題にして、争点になり得る、大争点になり得る場所だと思うのですよ。これはやはり「証券会社はこという法人の行為が前提である、法人の行為を規制するということになっているからそうなるのではないかと思いますが、何か今局長がお手をお挙げになりましたけれども、メルクマールとして二、三でもございますでしょうか。
  53. 井嶋一友

    井嶋政府委員 もちろん会社の行為、つまり会社の業務と認定し得るためには、もちろんいろいろな要素が必要であることは申すまでもないわけでありますが、例えばその補てん行為を行った行為者の地位あるいは会社の中でどういう権限になっているか、あるいはある程度任されているのかといったような、そういった地位あるいは権限関係、それからその他そういう行為を行いました動機でございますとか、あるいはその態様、それからいわゆる原資と申しますか、その損失が会社の損失になる計算で行われているのかどうかとか、いろいろ判定する要素は実務的にはいろいろありまして、企業の中の行為がそういった会社の犯罪なのかというような形で問われる事件はたくさんあるわけでございますが、そういったところに通常あらわれてくるメルクマールが、その会社の行為がどうか、業務がどうかということを判定するための要素になるわけでありますが、通常は地位、権限、それからどこまで認められているかとか、あるいは外務員にもそこまでは認められているのかどうかとかいったようなことなどが判断の要素になると思います。
  54. 仙谷由人

    仙谷委員 証券局長、今のような法務省の刑事局長の答弁で、大蔵省の予定されておる規制対象というのは、そのとおりでよろしいんですか。
  55. 松野允彦

    松野(允)政府委員 私どもも基本的に今法務省からの御説明と同じ考え方でございます。
  56. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、今度の野村証券の場合、専務会決定した。それに基づいて本部長、部長とおりていき、そして、各支店の中で顧客相当者が交渉に行って、そして話し合いをまとめて、だろうと思うのですよ、で、こういう補てん行為に及んだ、こういうことになりますね。この場合には、そうすると、被疑対象者は、末端の事業会社に交渉をした人、担当者から部課長から全部そのラインを上がって専務会まで全部被疑者になるんですか。
  57. 井嶋一友

    井嶋政府委員 野村証券ケースというふうに限定されますと答えにくうございますから、ケーススタディーとして一般論で申し上げますが、今お話しのようなことが証拠上認められるようになれば恐らく共謀、つまり共犯規定でくくれるものは、全部共犯者という形になるんだろうと思います。
  58. 仙谷由人

    仙谷委員 証券局長、今の刑事局長のお話を聞きまして、果たして——いわば何回も通達が出されても取引先との関係でやらざるを得ないということで補てんをやった証券業界ですよね。にもかかわらず、これは経済行為を装っているわけですね。それから、商取引上の駆け引きと言えば言えないこともないかもわからない。あるいは国税庁的認定でいくと交際だと、交際費だと。こういう話になるわけでございまして、その種の経済行為について、経済行為行為、あるいは企業の非違行為について、野村証券ケーススタディーでいきますと、多分百人以上の被疑者が出ますね、これ。日興証券だってもっと出るかもわからない。そういう規制の仕方が、捜査官憲が、司法官憲が手を入れるというようなことが果たしていいんだろうか、妥当性があるんだろうか、国民の法感情に沿うんだろうかというのが私の一つの疑問なんですよ。弁護士をやっていたから余り犯罪人をつくりたくないという観点で言うんじゃないんですよ。  そもそもこの種の行為に、そもそもは古典的な刑法理論の、自然人の行為を罰するもので規制しようということがなじむのかどうなのか、こういうふうに私、感じるんですね。その点、刑事局長、どうですか。
  59. 井嶋一友

    井嶋政府委員 今回の証取法の場合のみならず、いろいろ経済罰則その他におきまして、いわゆる企業犯罪と言われる、企業を主体とする刑事罰則があるわけでございまして、そういったものはほとんど今申しましたような中身で捜査上運用されるわけでありまして、違反者は従業者でありましょうけれども、それと、どの辺、どの程度までの人が共謀なのかということは常に企業の場合には問題になるわけでございます。  今回の証取法の改正によって考えております形というのは、従来と全く違ったことを考えておるわけでございませんで、全く同じことでございます。ただ、今おっしゃった中で気になりましたけれども、今回は新たにこの改正法が通りますと補てん自体が禁止されるわけでございますから、そういったものが常務会の決議などで行われるというようなケースはまず考えられません。そういう意味におきまして、あらゆる経済罰則その他、あるいは公害罰則でもそうでございますが、企業そのものを犯罪として捜査するケースというのはたくさんあるわけでございますから、そういったものと何ら変わらない手法で、考え方で行うものであり、また、今回の改正も全く変わらない考え方でつくっておるということを申し上げておきたいと思います。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 仙谷由人

    仙谷委員 禁止行為についての共謀があり得ないだろう、それをやれば共同謀議だと、こういう話になるわけでございますが、ただ、やはり共同謀議という観念と取締役会、通常の姿を考えてみますと、それほどぴったりくるものでもない。  それから、その取締役会の決定を受けて動く従業員の、補てんに走る従業員の行為というのを考えてみましても、完全な道具でもない。しかし、相当程度意思決定、みずからの意思決定を制約されておるという部分がございますね。で、極めで悪性のある行為の指令をなぜ拒否しなかったのかということ、言えるかもわかりませんけれども、悪性の程度からして、その第一線の従業員を果たしてそういう格好で逮捕したりすることがふさわしいのか、あるいは取締役会に出席しておっただけで、物も言わずにただ反対しなかったということで共謀が成立するのかというようないろいろな問題が出てくると思うのですね。  私は全く刑罰が要らないと言っているのではありません。それは極めて悪質な、この種の中でも悪質な行為というのも散見されるでしょう。例えばこれだけ通達を重ねられてもまだやっておる、念書までとりながら、確約書までとりながらまだやっておるというようなことだってあるわけですから。したがいまして、全然必要がないというふうには言いませんけれども、ただこの種の非違行為については、特に企業の行為というものを観念する以上、別のシステムが必要なんではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  そこで、次にお伺いしたいのは、今度の、先ほど大蔵大臣は、おととい発表されました補てんについては事業会社の要望があって、それを受けて行ったんだというお話でございましたけれども、それ以前の九〇年の三月期までの損失補てんについては認識がないとかそういう話でございましたね。そういう会社が、我々は報道機関から聞く限りでございますけれども多いわけですね。そして、どういう行為が要求と言えるかということも次に問題になると思うんですね。証券局長、この要求をしたものに、「要求による場合に限る。」という五十条の二の二項の各号、この構成要件に該当するようなそういう事実を今度のこの補てん問題での調査で何か把握していらっしゃるところはございますでしょうか。
  61. 松野允彦

    松野(允)政府委員 検査の過程で、今回中間報告でお示しいたしました補てんのほとんどは、先ほど大臣から申し上げましたように顧客の要請、要望があった、その中身は要するに運用改善要望だ、こういうふうなことでございます。その中で私ども、幾つかについては補てん先についても反面的に調査をしたわけでございます。中には要望を認めている補てん先もいるわけでございまして、そういうふうなケースの場合には、これはケース・バイ・ケースで一概には申し上げられませんけれども、要望の中身にもよりますが、「要求」に該当するというようなことも可能性としてはあるんではないかというふうに私どもは考えるわけでございます。
  62. 仙谷由人

    仙谷委員 刑事局長、今、運用改善要望というふうな話がございましたですけれども運用改善要望と「要求」というのは、これはちょっと直ちに同様には考えられないと思うんですね。つまり、補てんを要求する行為じゃないと、運用改善要望あたりでは「要求」というふうな構成要件該当性があるというふうには言えないんじゃなかろうか、そういうふうに私今感じたのでございますが、その点いかがでございますか。
  63. 井嶋一友

    井嶋政府委員 この改正法案におきまして「要求」という場合には、当然その損失補てんを求めるということを中身とする要求行為、意思表示でなければなりません。したがいまして、運用を改善してくれといったことが補てんの「要求」に当たるのかどうかということが問題になるわけでありまして、個々のケースごとに考えるわけでありますけれども、他の罰則にも要求罪は幾つもございますが、もう委員も御案内のとおりまさにそのそれぞれの罰則の本質を包含した要求行為でなければならないということであろうと思います。
  64. 仙谷由人

    仙谷委員 当初大蔵原案というものがあって、それは、損失補てんの目的をもってというふうな文言が書かれておったり、それから受け手の方、顧客の方は、要求したものに限るというのはもちろんなくて、その情を知ってといいますか、損失補てん等の目的をもってされることを知りながら行う場合というふうに書かれておったわけでございます。御存じのように自民党の方でお伺いを立てる段階で、この要求したものに限るというふうになったわけでありまして、私は今度の事実関係を見ておりまして、これはやっぱり「要求」という概念といいますか構成要件を入れてきたために、まあ顧客の方を刑罰をもって制裁した方がいいのかどうなのかという問題はさておきまして、にもかかわらず刑罰が科されないと、昨日の答弁にもございましたように付加刑としての没収ができない。つまり、補てんを受けた人がただ取りになってしまうということになるわけでありまして、この点こそまさに経済事犯としてのこれをどうコントロールするかについて、何といいますか、国民の納得性のない結果に陥るのではないだろうかと思います。やはりこの問題につきましては、刑罰を科すよりもこの補てんという行為、これを禁止すると同時に、補てんを受けたその金額が必ず国庫にでも入る、つまり課徴金というシステムをつくる、あるいは補てんをした方にもそのものに加えて制裁金というふうな規定でもつくる、こういう経済罰が必要なんだろうと思います。その方が国民の法感情にも合うと思いますし、そしてそもそも経済行為を規律する仕組みとしてもふさわしい。先ほどお話を聞いておりましても会社員の、まあサラリーマンの重役なのかなんか知りませんけれども、重役さんを初め個々の従業員が百人にも及んで取り調べを受けて被疑者扱いをされて、東京拘置所にも入ってこなければいけないなんということになりますと、これは大問題だというのが私の感想なのであります。むしろ経済事犯として適正な行政処分と、それと経済的な罰則を加えることの方が望ましい、そういう新たなシステムをつくるべきであるというふうに思います。  で、今の大蔵省のこの証券取引法と、それと大蔵省組織令ですか、こういう制度のもとでも行政処分手続をもうちょっと整備すれば行政処分できる。そのうちの行政処分の一つの内容として課徴金の納付命令という規定をつくれば、課徴金を課すこともできると思います。そういう方向に歩み出すおつもりがあるかないかだけ、簡単で結構です、大蔵大臣もしくは証券局長お答えください。
  65. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は今の委員の御指摘一つの考え方であるということは率直に認めたいと思います。ただ、今回の損失補てんにつきましては、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、証券会社に対する罰則の適用によりまして相当に強力な抑制効果が期待できる、また損失補てんを要求した顧客に対しまして没収、追徴規定を設けるということから、再発防止策としての実効性は十分担保されていると判断をいたしております。  しかし、確かに今委員が御指摘になりましたような考え方というものは一つの考え方として私どもとしても拝聴すべきものと思いますし、今後において検討をしていくべき課題の一つである、そのように思います。
  66. 仙谷由人

    仙谷委員 この補てん問題だけが原因ではないと思いますが、今郵便貯金がこの一年間で十兆円ぐらい増加しておるんですね。で、投資信託はそれに見合う分ということはないでしょうけれども、大幅にその設定率が、設定額が減少しておる。つまり国民が、庶民が証券市場を見放しつつあるんではないだろうか、嫌気が差してもう投資信託も嫌だということを感じ始めているんではないか、そういうふうに私は最近認識をしておるわけでございます。しかし、個人投資家がいなくなったら、法人の会社間の株式の持ち合いだけで証券市場が成立するということは、これまたないんではなかろうかと私は思います。  そして、今私が持っておりますパンフレットでこういうことを書いてあるのですね。アメリカの大恐慌前の証券市場が何でこんなに崩壊したか。一つは、開放経済体制の不手際が証券界に集約的にあらわれた。これはアメリカ連邦準備銀行というのですか、連銀が行き当たりばったりの公定歩合の設定をして、つまり、イギリスやドイツやフランスの懇請によって低金利政策をとった。投機化しつつある証券市場に油を注いだ。企業収益と株価のギャップが非常に出てきた。さらに、発行会社は実質的価値の裏づけのない、つまり設備投資と関係のない大量の証券を発行した。発行会社の方、つまり事業会社でございますが、発行会社が株主保護憲識に欠如しておった。それから、証券界がルーズな金融膨張を起こした。つまり、お金が証券界にどんどん流れ込んできた。さらには、行き過ぎた証券の民主化と証券知識の未発達があった。これがアメリカの証券市場崩壊の外部要因だったということが書かれております。  さらに、証券界の内部に潜む原因としては、安易な引受業務、それから投資信託の急膨張と株価のつり上げが行われた。株価操縦、安定操作、はめ込み、相場操縦が横行した。さらには、証券界の経営が膨張をした。これがバブルを生んでアメリカの証券市場崩壊、一九二九年の大恐慌につながったということを書いてあるパンフレットを私は読んでおります。  それで、今私が申し上げた骨子は、いわばそのまま当てはまるとは言えないかもわかりませんが、非常に共通する部分が多い。そうですね。低金利政策あるいは株価収益率の問題、あるいはエクイティーファイナンスで設備投資とは関係のない発行、あるいは発行会社が株主保護憲識、つまり配当性向のことなどほとんど考慮しない。あるいは最近の事例では、ワラント債の問題というのがあって、これはワラント債のワラントの部分だけを買った人が紙くず同然になって持たなければならなくなるかもわからない、こんな問題があるわけでございます。そして、証券知識が未発達。ワラント問題などは、ワラントというものがどういうものであってどういうリスクがあるかということが大衆にも知識としてもわかってない。証券会社もそれをわからせようとしない。こんなことが日本にもあって、そして今の証券市場の低迷につながっておるのではないか、こんなふうに考えますが、おいでいただいておりますので、長岡理事長、ひとつお答えいただけますでしょうか。
  67. 長岡實

    ○長岡参考人 お答えを申し上げます。  私からお答えすべき問題であるかどうかはよくわかりませんけれども、しかし、そういったような傾向がやはり日本の現状に一部あったということは申し上げてよろしいのではないかというふうに考えております。
  68. 仙谷由人

    仙谷委員 実は私が今申し上げましたパンフレットというのは、事もあろうに野村証券の総合企画室が昭和四十年の七月につくったパンフレットでございます。「アメリカの証券市場はいかにして再建されたか」という本でございます。御存じの方は御存じだと思いますが、つまり四十年の証券不況において、野村証券が何とかして日本の証券市場を活性化しなければいかぬということで、こういうことはやってはならないんだよという戒めのためだったと思うのですが、つくったのがこの「アメリカの証券市場はいかにして再建されたか」というパンフレットだったわけでございます。  対策としまして、営業態度がどう変わったか、あるいは、それから御承知のようにアメリカではSECがつくられたというふうなことが書かれておるわけでございますが、大蔵大臣、ここで、先ほど行革審の鈴木会長もおっしゃいましたけれども証券業界自身が、投資勧誘態度あるいはそのための教育、それからそもそもの基本的な視点として、大衆投資家を、毛を刈り取られる小羊ではなくて金の卵を生むガチョウである、その健康を損なってはならないという前提で大衆投資家を育てるのだというふうな方向に動く、そして、そのための社員トレーニングと報酬のシステムをつくるということで約十年ぐらいかかってアメリカの証券市場を再建した、こういうことを言われておるのですね。先ほど行革審の会長も、業界自身の、あるいは会社自身の問題、あるいは証券業協会証券取引所の問題というのをおっしゃったわけでございますが、もちろん検査機関あるいはルール問題のほかに、この点についてはもう今後は大蔵省の方から指導なんかすべきじゃないと思いますけれども大蔵大臣の御意見として、証券業界あるいは自主規制機関ですね、どういう態度であるべきだとお考えになりますか。
  69. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 本来、一番願わしい姿は、取引所であれ証券業協会であれ、自主規制機能を持つ団体というものがしっかりと根づき、そしてその自主規制団体そのものが証券業界を監視監督し、あるいはその市場を監視監督する、行政は、その取引所であれ証券業協会であれ、自主規制団体がその規制機能を十分に発揮しているかどうかをチェックする、そして、それで足らない場合において個別の業者に対する指導に入る、あるいは取引所の、市場のメカニズムに手を入れる、それが私は一番願わしい姿だと思います。  ただ、先般来の御論議の中におきましても、ある委員からは、取引所あるいは証券業協会に対して積極的にそのルールづくりまで大蔵省が入れという御指示をなさる、ある委員からは、触れるべきではないという御指摘がある、双方の御質問を私は受けております。基本的に私は、業界の自主ルールというものは自主的におつくりをいただくべきものでありますし、行政の立場としてはそれで足れりとするか、あるいは不足であると見るか、その判断は我々はいたすわけでありますけれども、その作成過程に介入をするあるいは指導を行う、それは決して望ましいものではない、基本的に私はそう考えております。
  70. 仙谷由人

    仙谷委員 私も、基本的には今大蔵大臣がお答えになった御見解と同様の見解を持っておるわけですが、ただ、大蔵省が今までの行政、取引法の適用問題とか行政指導の問題というふうなことも、今度の補てん問題で真摯に反省をしていただくと同時に、やはり地価の問題と同様に、バブルにどうも、資金の流れをコントロールするという観点から、あるいは資金が株の方向に向かうという観点から、大蔵省当局も、NTTあるいは国債発行、ここでやっぱり市場設置者としての大蔵省と発行主体の大蔵省というのが矛盾をする局面があるんではないだろうかという懸念を私は持っておるわけでございます。  例えば昨日堀先生の議論の中でございました簿価分離の問題。簿価分離という法人税基本通達があって、その上に今度は一九八七年のブラックマンデーがあってどうも相場がおかしいぞというときに、八八年の冒頭に、これは大蔵省は私のところでしたんではないというふうにおっしゃっておりますけれども、新聞報道では、大蔵省が低価法の採用を延期するという方針を固めた、で、改めて公認会計士協会がその旨を特定金銭信託及び指定金外信託の会計処理ということで出す、そうするとこの特金あるいは指定金外信託の中の株が会計処理上うまくいくということで市場に流れ出してこないものだから、あるいは企業によって買い進まれるので株価がまたまた上がり始める。これが一九八八年の事例ですね。一つ一つの政策がどうも証券業界に対する保護育成というよりも、何か活性化するためにむしろ手をかすというふうなことが従来あったんではなかろうか、そんな感じすらしておるわけでございます。  したがいまして、これから新たな制度が次の国会で論議されることになろうかと思いますけれども、ここは、大蔵省証券市場という非常に公共性の強い、そして唯一の設置者であるわけでございますので、これができるのは大蔵省だけでございますので、どうかひとつ、公正な市場をつくるため、そこを基本的観点から外れないようにしていただきたいと考えるわけでございます。  そうして、最後に若干の点をつけ加えておきたいと思います。  この国会でも問題になりましたけれども仮名取引というようなもの、これはもう当然禁止されなければならないわけでございますけれども、この仮名取引というふうなものについて、証券局長、法律で規制するというお考えはございませんでしょうか。
  71. 松野允彦

    松野(允)政府委員 仮名取引につきましては、確かに累次通達を出し、本人確認義務づけをしているわけでございますが、完全に徹底がされていないという事実がありまして、私どももそれを大変重く受けとめているわけでございます。証券市場に対する信頼感ということからいいましても、仮名取引あるいは借名取引というようなものは排除しなきゃいけないというふうに思うわけでございます。現在、私どもたくさん出しております通達を見直しまして、特に証券会社に対する指導通達につきましては、これは透明性を確保するという観点から、法令化するものは法令化する、あるいは自主規制団体のルールにゆだねるものはゆだねるという仕分け作業をしている最中でございます。仮名取引の問題につきましても、今の御指摘を踏まえまして、私ども、その仕分け作業の中で十分検討して実効の上がる方法を考えていきたいというふうに思っております。
  72. 仙谷由人

    仙谷委員 ほとんど時間がないんでございますが、せっかく来ていただきました。どうも御苦労さんでございます。関専務理事と長岡理事長に一言だけお伺いしておきたいと思います。  この業協会及び取引所の方て要するに苦情処理機関というふうなものを、現時点でもあると言われればそうでございましょうが、これをもうちょっと社会化された、つまり、そこの例えば調停担当をする委員とかなんとかを第三者を入れる。つまり、業界以外の人を入れる、あるいは法律家を入れる、会計士を入れるというふうな、そういう、何というんですか、権威のある機能を持った委員会にするというお考えはございませんでしょうか。簡単で結構です。
  73. 長岡實

    ○長岡参考人 調停機関につきましては、恐らく証券業協会の方からお答えがあると思います。  東証といたしましては、最高意思決定機関である理事会に公益の理事をふやす、あるいは内部の規律委員会にも公益委員をふやしまして会員の規律を厳正に維持していくということに努力してまいりたいと考えております。
  74. 関要

    ○関参考人 現在、証券業協会の中に調停委員会等の制度は設けてございますが、今後こういう事態を踏まえまして、また、今度の法律関係いたしますところですと、証券事故に伴う顧客に対する金銭の支払いと損失補てんを明確に区別をしなければならないという新しい問題も出ておりますので、そういった制度の整備に当たっていきたいと思っております。
  75. 仙谷由人

    仙谷委員 それでは、終わります。
  76. 大野明

    大野委員長 これにて仙谷君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  77. 大野明

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  78. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 今度のこの金融証券不祥事は、御承知のように、今日までの我が国の経済成長を支えてきた経済構造の中枢に重大な問題を与えた事件だと私たちは受けとめております。ですから、本臨時国会において予算委員会、この特別委員会、さらには閉会中の大蔵審査等を通じて原因の解明等の努力をしてきたはずであります。しかし残念ながら、御案内のとおりに、我々のここの事件の追及というのはほとんどその成果を見ていません。今五十条を補強する改正案が提起をされておるだけでありまして、一体大蔵省はあるいは海部内閣は、こうした事実をどういう構想のもとにあるいはどういう方法で解決をしようとするのか。もう二度と再びこうした事件を起こさないための全体的な構造が全く我々に示されておらないわけであります。ただ、新聞あるいは午前中の参考人の御発言等で、次の通常国会に日本版の検査機構をつくろうとか、あるいは自主ルールを業界には求めよう、そういったことは出てくるのでありますが、しかしそれでは、ここでいろいろ議論された例えば仮名口座の問題あるいは証券市場に暴力団が介入してくる問題、こうした問題についてどうやって線引きをするのか、どうやってこういうことを防ごうとするのか、こういった問題について我々はなかなか把握することができません。  この際大蔵大臣から、時間がありませんから要領よく簡潔に、どういう方向でこの問題について決着をつけようとするのか、全体構造をお示しいただきたいと思うのです。
  79. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今松浦委員からおしかりを受けましたが、私どもとして今までできる限り努力をいたしてまいったつもりでありますし、その考え方についても申し述べてまいりました。例えば今委員から御指摘のありました仮名口座の問題を含みまして、私どもは今四百数十と言われております証券行政に係る通達全部の見直し作業に既に入っております。行革審の答申からは、その見直しを完了した後、法律に移しかえるべきものは移しかえる、自主ルールに移しかえるべきものは移しかえる、そしてその作業の終点を来る次期通常国会と指定をされておりまして、そこまでの間にこの作業を終わらなければなりません。この中に仮名口座の問題も実は含まれておるわけでありまして、通達全体の見直しの中で、我々としてこれからどこにこれを位置づければ一番効果的であるかは考えていきたいと思っております。  また、暴力団との取引につきましては、たしか八月の二十八日であったと思いますけれども、警察庁から金融及び証券取引などにおける暴力団の介入排除について各業界団体あて要請を行いたいという御要請があり、協力の御依頼がございました。大蔵省としてもこの御要請を踏まえながら暴力団の介入排除に向けての体制整備に努めますように各業界団体に指示いたしております。同時に、捜査当局による捜査を注意深く我々は見守りながら、今後の取り組みの中で効果も考えていかなければならないと思っておりますが、今後ともに暴力団対策を所管される当局からの助言をいただきながら、政府部内でどういうふうな対応ができるか、十分に検討をしたいと考えております。  また、株価操作の問題につきましては、証券取引におけるルールの明確性、明確化の一環として、相場操縦的な行為禁止に係る法令につきましてもさらに見直すべき点がないか、証券取引審議会不正取引特別部会に御検討をお願いをすることを考えております。  また、行政指導につきましては、先ほど申し上げましたように今通達すべての見直しをいたしておりますが、あわせて口頭による通達というものは廃止をする、これも既に申し上げておることでありまして、いわば同時並行ですべての問題に取り組まなければならない状況の中で我々として努力をしているということは御理解をいただきたいと思います。    〔委員長退席衛藤(征)委員長代理着席〕
  80. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 経過のことはわかるのです。こういう作業をしておる、ああします、こうします、自主ルールをつくります、指導を法律になる部分は見直して法律にいたします、そういう作業はわかるのですが、それじゃ一体どこをどう直すのか。例えば損失補てんの定義は自主ルールでどうなるのか、こういったことは我々委員は全然わからない。ただ、今出てきておる法案の修正というのは五十条を、損失補てんを処罰するという、そういう内容だけがここに出されているのですね。  それで、私たちがわからないのは、なぜこれを急ぐのかということなんです。なぜこれだけ抜き出して急がなきゃいかぬのか。全体の構造の中で、例えば次の通常国会なら通常国会で出せばいいじゃないか。これほど議論されてまだ損失補てんとか利回り補てんをするような会社は免許を取り上げればいいんだ。現に局長は、今年の四月一日以降損失補てん、そういった事実は把握されておりませんと言っている。にもかかわらずなぜこれをやる、この目的は何だ、なぜこれだけ取り出して急ぐのか、我々そのことがわからないのですね。  確かにこれを通すことによって、今証券市場が低迷しておりますが、その下支えになるでしょう。もうこれからこういうことがないんだということで信用回復の一助になることは事実ですよ。しかし、一方では紙くず同然のワラント債とかこういうのを掘らされておる人、あるいはこれから問題になるであろう信託関係、ファントラですね、こういった人たちにもしも損失補てんをしようと彼らが思っておったら、これでできなくなるわけですね。逆に言うと、証券会社は喜んでおるのですよ、補てんしなくていい根拠がこれでできるから。  現に、きのう私のところに午後の九時ごろまでワラント債を掘らされた消費者が来ておるんだね。私たちはこの法律によってどうなるんですか、いや、それはあなたもう自己の責任なんだから、それは特にあなたの責任になるんじゃないかと冷たく言い放つ以外にない、自己責任だからこれは。ですから、なぜ全体像がぴしっと固まらぬうちにこれだけ抜き出して先にしなきゃならないのか、その根拠を簡単に言ってください。
  81. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員がお述べになりましたようなお立場からしますと、私も、なぜ急がなければいけないのか、その根拠を示せと言われてもお答えに窮します。  ただ、私自身の率直な言葉を使わせていただきますならば、私は、本年の七月に行われましたロンドン・サミットの蔵相レベル会合の冒頭に、この問題の説明から始めなければなりませんでした。そして、その当時日本の、少なくとも報道にあらわれております限り、証取法の不備が言われ、その改正は急ぐ、そういう声が出ておりましだ。そうした声を踏まえて、私は各国に対しその状況を説明し、現状についての理解を求めてまいりました。  確かに、委員が仰せられますように、例えば行革審の答申の中における検査・監視機構のあり方等についてすべての答えを出す、あるいは通達見直しの作業が全部完了しその作業を待つ、さらには法制番の結論が出て、罰則についての、本来私どもが考えたいと思っておりましたような考え方をとれる時期まで待つ、その間、目に見える形での改革に向けての、再発防止へ向けての第一歩は待つべきであるという御論議に私は真っ向から反対をするつもりはありません。しかし、少なくとももう一度信頼を取り戻すべく動き始めた、努力を開始し始めたという目に見えたものの何かは、委員の御指摘にもかかわらず、私は、国民に対してもまた外に対しても必要であると考えております。  そして、今回の問題は損失補てんという行為から発した問題であります。そして、私はテレビで拝見をいたしておりましたけれども、証人の発言の中にも、通達であったから破った、法律に書かれていたならそれを守ったであろうという御発言もありました。そうしたことを考えてみますとき、なお改善すべき点を持っておることを承知の上で、現時点においてできる限りの手当てはいたしておきたい。それは、国の内外に対して日本政府としてあるいは大蔵省として信頼を取り戻すための第一歩である、私はそう考えております。
  82. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣の言われることもよくわかるのですね。しかし、先ほどから言うように、これを必ずしも急いで通さなくても、今の証券業界がこれを破ってまた同じようなことをするということはあり得ない、もうここまで来たら。しかし、なおかつそれをやらなきゃいかぬというのは、証券業界を大蔵大臣は信用しとらぬということになるんだね、逆に言うと。私は、それは当然だと思う、信用しないのは、大蔵省が幾ら言ったって従わぬのだから。  今大臣は損失補てんと言われたけれども、午前中も議論がありましたように、損失でない補てん、要するに利回り補てん、逆に言うと利回り保証というのが具体的にあるのですね。この前水田委員が質問いたしましたときに、この前発表した中に損失補てんでない、言葉は違いますが要するに利回り補てんをしたようなものが五十九件あると言われました。  これを五十九件を調べてみますと、ノンバンクが九件、農協関係が五件、建設業界が三件、生保が三件、家電が三件、石油が二件、公的、準公的機関が三件、その他二十五件となっているのですね。最高は、もうこれは先ほどここでも議論がありましたように年金福祉事業団の五十三億五千四百万、最低はある小さな会社の二百万。この内容を見ますと非常にばらつきがありますね。一定ルールがないのです、これはばらばらばらばらばらと、損失発生しない補てん先の一覧というのを見ますと。五十九社、これは名前は、企業の関係があるから、ここにありますけれども発表はいたしませんけれども。  ですから、このことが、通達をなされた後なおかつ補てんがなされておって、しかもその中で、損失発生しておらないところに利回り保証的な補てんがなされておる。これはもう明らかに五十条違反じゃないですかね。損失補てんしたときには、まあ元本割れたから埋めてやろうということで、相手が認識しない補てんがあったかもしれないけれども、元本割れではない、要するに一定利回り補てんをしてやった、これが五十九社ある。今度十二社発表されていますね。これは明らかに事前に利回り保証があったからこういうふうになったんでしょう。これをずっと調べていけば、何%上乗せしているかというのが全部わかるのですよ、五十九社全部調べれば。それで、五十条違反というのは余りないようでございます、こうでございます、こう言われるけれども、大体ニギリというのは、やりとりというのはなかなかわからないんだ、この利回り保証というのは、ニギリというのは。わからないけれども補てんをしたという事実がまず先行しなきゃいかぬ。  ですから、せっかくここに——五十九件というのはもう前に発表されたんだ。証券局長はこの五十九件について、呼び出されて、その事実があったかどうかということはもうチェックを始めておられるのですか、具体的にお聞きします。
  83. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘の、損失発生していないにもかかわらず利回りといいますか利益を供与したケースがあるわけでございまして、私ども、その各ケース、今度中間報告でお示しいたしました中にも十数件ございます。今御指摘のそれ以前の分で五十九件あるわけでございまして、これについて特に問題意識を持っておりまして、現在、実際に会社に行って検査をしながら、当時の事情を会社側からも聞き、あるいは必要に応じては補てん先からも聞いているという状況にあるわけでございまして、利回り保証あるいは事前の利益提供約束というようなものがあったのかどうかという点については、私どもも十分問題意識を持って、当時の状況あるいは補てんしたときの状況というようなものを、可能な限り検査の中で実態を解明していきたいというふうに思っているわけでございます。
  84. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、陣容の関係もあると思うのですね、陣容の関係も。しかし、こういう問題について証券会社だけではなくて、やはり、補てんを受けたリストはもう大蔵省は把握しておられるんだから、我々でも把握できるんだから、ですから、この中を抽出して、補てんを受けた先についても早く手をつけるべきなんですよ。ただ証券会社に行ってどうだ、どうだと言ってみても、証券会社自身は、相手がお客さんですから、お客さんに傷をつけたくない、継続して契約をしてもらいたい、だから恐らくそういうことのあれはできないと思いますね。ですから、五十条について、補てんを受けたところについてもちゃんと調べる義務があると私は思いますね。そのことが法律で認められているかどうかということは別、五十条に違反しているかどうかの調査でありますから。  それで、我々も反省しなきゃならぬのは、今度のこの証券スキャンダルでは主役が一人抜けておるんだ。行政指導された大蔵大臣以下、それから取引所、証券業界、肝心かなめの補てんをされたところがどこも呼ばれておらぬのです。参考人にも証人にも呼ばれておらないのです。これでは審査が進まない。どういう形であなたの方はこういう利回り補てんを受けたのですかということの調査ができない。これは私たち委員会の責任だと思いますね。大蔵省に言うのは無理でしょう。だから、私は調査というものについて、解明できない責任は我々も負わにゃいかぬ、全部が。これは証券特別委員会の私たち全部が負わなければいかぬ。残念だけれども、できぬのだから、現実に。だから大蔵省にどうですかどうですかどうですか、調査しておりますかと、その結果をここに報告してくださいと言う以外に我々ないのですよ、調査する方法が。そうでしょう。  大蔵大臣、少なくともこの特別委員会は、もう終わりますね。本臨時国会で解散。次の通常国会で特別委員会が設けられるかどうか、私はわかりません。少なくとも、次に開かれるであろう大蔵常任委員会あたりには、早急にこれの調査した結果を出していただきたい。次の臨時国会召集までには間に合わせていただきたい。そのことについて約束できますか。
  85. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は日時についてはお約束をいたしかねます。これは少なくとも、私は大蔵省の職員が全力を挙げて特別検査を行っており、そのプロセスにおきまして必要な途次、その顧客側に対しても状況をお尋ねをしておるという事実は承知をいたしております。彼らは彼らなりに全力を尽くしてくれておりますので、私はその作業が完結するだけの時間を与えてやりたいと思っております。しかし、その結果、報告委員会に行うということにつきましては、どのような形のものになるのか、今私にはわかりません、その調査の内容自体がどのようなものであるかわかりませんから。しかし、いずれの形であれ、御報告をする機会を当然与えていただきたいということを大蔵省側からお願いをする時期が来ると思います。
  86. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、少なくとも五十九件と中間報告で出された十二件、これは損失補てんじゃないんだ、利回り補てん利回り補てんがあったということは利回り保証があったということに疑いを持って臨まなければいかぬと思う。これは、この中を見ますと、ノンバンクが九件も入っているのですよ、ノンバンクが。私は、今大蔵大臣が日にちを限らなかったのは人数の関係があると思いますが、しかしいずれにしましても、こういろ人たちは元本割れではない、株価が暴落ておるにかかわらず利益を得ておるのだから、この人たちは。しかも、市場の価格をゆがめて、公正、小平、透明であるべき市場価格をゆがめた形で補てんを受けておるのだから、利回りを受けておるわけだから、これでは市場の公正は保たれませんよ。しかも、我々は透明だというものを持ちませんよ、全然わからないのですから。私は、非常に今度の事件というのは、我が国の経済に与えるショックというのは続くと思いますよ、こういう状況が続けば。不信感が続くと思います。  それで、今大変失礼ですが、お時間がないそろですから、業界の渡辺会長さんが来ておりますから、会長さん、時間がありませんから簡潔にお答えいただきたいのですが、あなたのところは八月の二十三日に倫理綱領というのを発表されましたね。ところがこの倫理綱領を見ますと、今まで市場の中心であり、市場に対しての、何といいますか、仲公的役割を果たし、一番厳正を保たなければならない証券会社が、これを見た限りでは今までは全く我々が想像しておったことができておらなかった。だからこの際、八月二十三日に改めてこういう倫理綱領を発表された、こういうふうに理解してよろしいですか。「証券市場の担い手としての社会的使命の自覚」「顧客の立場に立った誠実・公正な業務遂行」「個人投資家を大切にする営業姿勢」「証券取引ルールの遵守」「国民から信頼される職業人としての倫理意識」「証券市場の国際化に対応した意識改革の推進」「自主的な内部管理監視機能の確立」。今までは全然だめだった。我々が期待しておった証券市場ではなかった。証券業界はそういうものではありませんでしたよ、ダーティーなイメージの証券会社でしたよ、こういうふうに理解してよろしいですか。簡単にお答えいただきたいと思います。
  87. 渡辺省吾

    渡辺参考人 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘の倫理綱領は八月二十二日に出しましたものでございますが、当然のことながら、従来証券各社、証券業界はその意識でもって仕事をしてきたわけでございますけれども、今回の不祥事から見ますと、結果においてそれがそういうふうに守られていなかった、そういう倫理観の上に立って行動されていなかったと言わざるを得ないと思います。  したがいまして、改めて我々はこういう物の考え方にのっとってこの大切な仕事を遂行していくべきであるということを倫理綱領として発表いたしました。その結果、つい先日、一週間ほど前ですけれども、各社とも秋の部店長会議などをやりましたけれども、そのとき、それぞれの会社はそれぞれの会社の中の倫理綱領とか行動規範とか、名前は違います、倫理憲章とかいろいろな名前をつけておりますが、改めてそういう点を確認して、今度はこの考え方にのっとって我々の行動を、ないしは営業姿勢を進めていくということを確認しておりますので、そういう意味においてこの倫理綱領をお受け取りいただきたいと存じます。
  88. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 会長さん自身は一生懸命しておられることは理解できますが、今度の株価暴落で小口一般投資家は泣いているのですね。しかも、自己責任で泣き寝入り。結局この人たちが市場に参加をしておったのは、こういう倫理綱領のない全くでたらめな市場に駆り立てられて、泣かされた。あなた方が悪かったんだというふうに考える以外にもう救いようがないですね、どうにもならないですね。そういうところに参加した人が悪かった、あなたたちが悪かったんだ。(発言する者あり)不規則発言がありますが、だまされた私がばかだったと。  それで、ここにきょうの読売新聞に五代利矢子さんがこんなふうに言っているのです。証券取引審議会の議論にも参加した五代利矢子さんが、「しょせん素人の発現のように扱われて、消費者、生活者の感覚では切り込めない、と実感したことがある。プロのことはプロに任せておけばいい」「証券市場は、素人でも参加できる公平で透明な市場であるべきだ」と思ったが、そう思ったと五代利矢子さんはきょうの読売新聞に書いている。  要するに、証券市場というのはもうプロ集団で、素人なんかが入っていくからけがをするんだ、結局。だから、一般投資家は行かない方がいいんだ、プロに任せておけば。そういうふうな感覚で進んでいったら、そういう大衆をなめた行き方でいったら、日本の産業の資金調達なんというのはもう不可能になるんじゃないですか。私は、行政通達を無視した証券市場の倫理観というのを疑いますよ。取り返しのつかない汚点をあなたたちは市場に与えてしまったんだ。一般国民に与えてしまったのです。  もう一つ指摘をしておきますが、大蔵省は曲がりなりにも、今まで行政通達が実効を確保できなかった、それは大蔵省が証取法等の法律を根拠にした指導をせずに、まあまあ主義で行政通達で育成、指導、そういう面だけを強調してあなたたちを甘やかしてしまったものだから、ホトトギスではないが、卵、他人の子を巣の外に落として自分だけが太うなって、そして血で叫ぶというあのいい声でホトトギスが鳴くんだね。結局、証券会社だけが今笑っているのです。笑いがとまらぬ。  ですから、ここで何と言っているかというと、十二月二十六日の通達で、ぴしっとした通達を出しておられる。この最後の方には、内部管理体制について速やかに再点検を行い、「特に上記1乃至3について、自社の行う社内検査の重点項目とし、これらに違反する行為のあったことが判明したときは、関係役職員に対し厳正に対処」せい、こういう通知を出しておるのですよ。この通知というのは証券業界、会長さんじゃありませんよ、あなたのところに入っておる業界の皆さん方は紙切れとしかとっておらぬわけですよね。このときにぴしっとしておったら、こういう倫理というものは出てこない。なぜ大蔵省の通達を守ろうとしなかったんですか。なぜ守らないんですか。具体的に簡単におっしゃってください。
  89. 渡辺省吾

    渡辺参考人 先生指摘のように、十二月二十六日に局長通達を私ども受けまして、それを同日付で協会員に伝達をいたしまして、なおその上に、協会長として協会各員に対して次のような通達を、私どもの通達をいたしております。  それは、「今回の証券局長通達を外し、役職員に対する教育指導の徹底と社内管理体制の一層の強化を図り、公正な営業姿勢の保持に努め、投資者からの信頼の確保に一層努力するよう」というふうにいたしました。また、同時に、協会の規則におきましても、事後の損失補てん等を禁止いたしましたし、監査項目に特金勘定取引の管理状況を加える等の措置を講じました。  こういうことをいたしましたけれども、その結果として、今回の一連の不祥事件が発生いたしましたことにかんがみますと、根底にはやはり証券会社収益重視の営業体質があった、ないしは先生の御指摘の規則の遵守に大切な認識が不十分であったというふうに言わざるを得ないと存じます。まことに残念でございます。私ども協会がまた自分を省みますと、自主的に協会員の活動をチェックして必要な是正を行うという自主規制機関としての責任が有効に発揮されなかったということにつきましても真剣に反省を加えなけりゃならぬと思います。  当然のことながら、今後はそういった点について抜本的な改善を図り、皆様の御期待に沿えるように努力したいと思っております。
  90. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それから会長さん、これはうわさですから余り具体的なことは知りませんが、これは大蔵の担当の方にお聞きしても事実はあるようですからお尋ねをしておきますが、何かミニスター・オブ・ファイナンスという人が証券業界、野村証券等におられまして、通常こういうことをMOF担と言うんだそうですね、MOF担当のMOF担。それで、大蔵官僚の証券局の東大とか京大とか大学時代の同期生を採用して、それからその人を大蔵の証券局回りにして、大蔵省から情報を得たり、自社に便宜を図る根回し等の役割を担っておる。こういうのがあるんだそうですが、事実証券業界にこういうことがありますか。  それからもう一つは、一般投資家のことを肥やしと言うんだそうですね、肥やし。一千万円以下の投資家のことを肥やし。初め何のことかと思ったら、大きな、大口投資家を太らすために一千万円以下の人が肥やしになるという意味で、要するに肥料だ。肥やしという言葉があるんだそうです。まさしく今度は肥やしになったんだ、一般投資家が。こういうことが現に言われておるんですか。五代利矢子さんの言っておるとおりじゃありませんか、これは。どうですか。
  91. 渡辺省吾

    渡辺参考人 ただいまの御質問二つございました。  初めにMOF担とおっしゃいましたか、私もその言葉は初めて聞きましたけれども、要するに大蔵省の担当という意味だと思いますけれども、そういう意味で伺いましたが、実は私ももう大分前、数年前になりますが、証券会社関係しておりましたが、そのときもそういう言葉は聞いたこともございませんけれども、しかし、御指摘のような行政官庁とのいろいろな連絡とかあるいは情報の交換とか、そういった点についての窓口担当者は確かにおります。また、それは非常にそういう意味では必要なことであったと私の経験ではそう思います。それは別に大蔵省との癒着関係とか、そういうことでは全く私の実感としてもございませんので、御了承いただきたいと思います。     〔衛藤(征)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、二番目の肥やしとかいうようなお話でございましたけれども、これまた私初めて伺いました。決してうそではございません。小口の投資家を大切にしなきゃならないということは、もうこれは個人投資家が市場にたくさんおられるということが市場の繁栄のもとでございますから、何とかして個人投資家をふやしたい。個人投資家の大宗は小口の投資家でいらっしゃいますから。そういう意味では、証券界は本気でこの個人投資家をふやしたいという念願で、いろいろな施策を経団連なんかともタイアップして講じたり、あるいはそういう主張をしておりますので、決して小口投資家を今御指摘のような扱いをしたということはございません。
  92. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 先ほど言った大蔵省回りのMOF担なんというのはもう廃止したらどうですか。こんなことをしなくたって、大蔵省が、証券局が必要であるときは証券の会社の社長を呼びつけて注意すればいいし、ぐるぐるぐるぐる回ること自体が何か大蔵省証券業界を癒着させておるように見えるんじゃないですか。そういうことはやめさしたらどうですか。私は、やるかやらないかは業界の自由だと思います。私はやめた方がいいと思います。しかし、それは私の方が強制すべき内容じゃありませんから、ぜひひとつ意見として聞いておっていただきたいと思うんです。  それじゃ、もう時間が経過しましたけれども、幾つかの具体的な問題に入りたいと思うのであります。  実は、一つは、暴力団がこれに介在をしたという問題ですけれども、暴力団が形を変えて証券業界あるいは金融業界に入り込んでくる、しかも企業舎弟という形で、どんどんどんどん暴力団の下部組織が法人組織を取得して法人になり始めているんですね。もうたくさん暴力団の企業舎弟と言われておる法人組織ができ上がっています。これから私たちが一番警戒しなければならない、今度の私たち委員会で重要視しなきゃならぬのは、この暴力団の金融証券業界との結びつき、これをどう絶つのかだと思うんですね。警察庁の刑事局長がおいでになっていますから、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  93. 國松孝次

    國松政府委員 ただいま御指摘のございましたように、今回の証券金融問題をめぐる問題におきまして、暴力団が、非合法活動を含めて獲得した大量の資金を株の取引に投機するなど、表の経済取引に大幅に進出していることが明らかになったわけでございます。これらの活動は、結局は暴力団の持つ暴力的威力を背景にして行われるものであるため、暴力団対策を所管する私どもとしては看過することができない問題であると認識をいたしております。暴力団のこうした経済進出を断つための対策ということでございますが、何よりもまず、警察がこれまで以上に厳しい取り締まりを行うことが求められていると考えております。暴力団のこのような活動の中で刑罰法令に抵触する違法行為があれば、これを厳しく検挙をしていくというのは警察として当然の責務でございますので、この面での私ども努力を大いに高めてまいりたい、それがまず最大の対策であろうと考えております。  なお、去る五月につくっていただきました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律がございますが、これが施行されましたら、これを有効に活用いたしまして、この法律で新たに禁止される暴力的要求行為というものに該当する行為につきまして、これらを取り締まっていくことといたしたいと考えております。  さらに、関係業界におきましても確固たる暴力団排除の意識を持っていただくことが大変重要であると考えておりますので、暴力団排除のための諸施策について、具体的かつ実務的に関係業界と協議、検討をし、具体的な対策を立ててまいりたいというように考えております。
  94. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 株価操縦の問題はまた後でお尋ねをいたしますが、亡くなった稲川会の石井前会長の問題について若干お尋ねをしたいと思うのです。  これは関係者から聞いた範囲内ですから正確だと思います。最高値をつけた、三千六十円になったときですね、十一月十七日、この前後に東急電鉄の横田二郎社長と清水仁専務が野村本社に田淵義久社長を訪ねまして、東急電鉄株はだれが買い占めをしているんだ、こんなに高い値をつけると安定株主が市場に株を放出し出すのでどうかという質問をしたら、そのときに田淵前社長は、あなたのところの株は人気株になっているから大丈夫ですよ、そのために価格が上昇しているのです、こう言って帰っていますね。  それから翌年の平成二年の三月に、今度は田淵義久社長が東急電鉄に社長、専務を訪ねて、前回は会社の極秘事項だったから伝えることができなかったけれども、実は稲川会の石井会長が東急株を買っているんだ、しかしいろいろ事情があるのでまだ一株も名義変更はさせておらない、この際気をつけたらどうですかと言ってこられた。ところが、それから間もなくして東急電鉄本社に石井会長の使いという方がおいでになって、東急電鉄株を買い取ってくれ、こう言ったけれども、非常に市場価格から見て法外な値を言われたので商談は成立しなかった、実はこういうほぼ確実な情報があるのです。  警察にお尋ねをいたしますが、東急本社の関係者とこういった面で接触をなさったことがあったのかどうか、私が申し上げたような事実が確認をされるかどうか、お答えをいただきたいと思うのです。
  95. 國松孝次

    國松政府委員 石井稲川会の前会長の東急株の大量取得をめぐる問題につきましては、現在その実態を解明中でございまして、その具体的な内容については答弁は差し控えさせていただきたいと思います。私どもといたしましては、必要な捜査を行っているということで御理解をいただきたいと思います。
  96. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ぜひこの問題については本腰を入れて断ち切っていただきたい、解明していただきたい、そのことがこれから暴力団が証券市場に介入する道を閉ざす唯一の方法だ、そう思いますからぜひ刑事局長、督励してお願いいたしたいというふうに思います。お忙しいところですからどうぞお引き取りください。結構です。  それから、東京証券取引所の長岡理事長おいででございますが、実は株価操縦についてお尋ねをいたします。  その一つは、本州製紙株について、仕手グループの旧誠備グループの加藤を中心として腕力的な株価操縦があったことは事実だと思うのでありますが、この問題について東証として調査をしておられると思うのであります。八九年の十一月から九一年の五月まで、長期にわたって本州製紙株の株価の動向について調査をしておられると思うのでありますが、そういう事実がありますか。それで、これについての報告結果書類等がございますか、お尋ねいたします。
  97. 長岡實

    ○長岡参考人 お答え申し上げます。本州製紙関係につきましては、東証といたしまして平成元年、八九年十一月から本年五月まで、委託者を含めましてその売買内容について調査を行ったわけでございますが、この間、不特定多数の顧客の売買注文が集中しておりまして、いわゆる全員参加型の相場の中で株価が急騰したものであり、特定者による作為的な価格引き上げ等の株価操作があったとの確証は得られておりません。しかしながら、東証といたしましては、大蔵省の方でも再調査の御意向があるようでございますから、それにあわせまして調査の内容等の精査を改めて行いたいというふうに考えておるところでございます。
  98. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は素人ですからお尋ねをしますが、東急電鉄株に実はこういう方法があるんです。これは、大蔵省は百二十五条違反じゃない、こういうふうに言っておられるのです。それでこういうことが日常茶飯事行われておるのかどうかをお尋ねしますね。  それは、これは野村証券でありますけれども、これは書いてあるとおり読み上げますが、「市場執行状況をみると、買付勧誘された顧客の大量の成行注文を寄付時に集中させた結果こだから手当てしておった買い注文のお客さんを寄りつきにぼおんと出すわけですね。そのことで「高い寄付時シェアで前日終値よりも高い価格で」寄りづいていった。それから野村証券が、自分が持っておる株を大量指し値をして下支えをする、それを反復する。一千円から一千二十円、一千四十円と下支えをしていきますから、売る側はもっと上がる、もっと上がるというふうに思いますので、どんどんどんどん株価が上がっていく。  それから「委託注文の執行に当り、場の状況に応じて指値を成行執行しているなど計らい執行を行っている」、こういうことは、もうこれは百二十五条違反じゃないんだそうですが、あるいはあなたも言われたけれども、この十條製紙も瞬間的にばあっと上がっておるのだけれども——あ、失礼しました、本州製紙。申しわけありません。私が言った会社には申しわけありません、違いますので。本州製紙であります。これも、あなたも、市場を監督する立場にある理事長も、これも証券市場、あなたが見て株価操作じゃない、この東急電鉄も株価操作じゃない、大蔵省も株価操作ではない、こう言っておられるのですが、こういうことで私たちは人為的に市場の正常な価格を瞬間的にゆがめておると思うのですが、私たちは素人ですから、五代利矢子さんじゃありませんが、あなたはプロ、私はアマですから、だからおまえはアマだから何言ってるんだよ、そんなことはない、百二十五条違反なんかに当たらぬよ、こう言われるのだと思うのですが、こういうことは日常茶飯事行われているのですか、常に行われておる行為ですか。
  99. 長岡實

    ○長岡参考人 お答え申し上げます。  私ども東京証券取引所では、上場された株の売買につきましては、あらゆる注文が市場に集中いたしまして、そこで価格優先、時間優先ということで突き合わせが行われて、そのときそのときの市場の状況を反映した正常な取引が行われておると思っております。一般的に言って、日々の市場取引はそういったようなことで正常な価格決定取引が行われておると信じております。  ただ、松浦委員指摘のように、時として大量の買い付けの注文等の影響を受けまして、特定銘柄の株式が異常な値動きを示すような場合もございます。そういった場合でございますけれども、例えば買い占めをして高値肩がわりをするといったようなことは、これは禁じられておりまして、そういったようなことがはっきりした場合には直ちにその取引に介入ができるわけでございますけれども、単に特定銘柄の大量買い付けという注文だけではそれをストップさせるわけにはまいらないわけでございます。  ただし、今松浦委員がおっしゃいましたように、それによって価格が非常に値上がりをする、一般の投資家がそれを見まして、これは非常に将来が見込まれる有望な株ではないかということで、それにつられて取引をするといったようなことは、これはしかし非常に危険を伴うわけでございまして、私どもといたしましては、そういったようなことから常時株価の値動きには監視をいたしておりますけれども法律的には、昨年の暮れでございますか、五%ルールが設定されまして、大量に買い占めていくことに対するチェックが行われるようになりましたし、東証といたしましても売買監理銘柄制度という制度を、この五%ルールの実施に関連いたしましてそういう制度を設定いたしまして、そういった買い占めが行われているよという株式について一般の投資家がおわかりいただけるような制度にしたわけでございます。またそれ以外にも、日々の取引の中で、これは東京証券取引所のいわゆる自主規制ルールでございますけれども、値幅制限というものを設けまして、一定の値幅を超えるような値上がりが行われた場合にはその日の価格をそこでストップさせるというようなことも行っているわけでございます。  なお、今後とも市場の監視には十分に力を尽くしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  100. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 理事長さん、大変失礼ですが、今言った本州製紙とか東急電鉄株の値上がり状況というのは異常なのですか。通常の市場では見られない異常現象と受けとめておられるのですか。百二十五条は別ですよ。通常こういうことは行われておるのですか。それを聞きたいのです。
  101. 長岡實

    ○長岡参考人 東急株につきましても本州製紙株につきましても、価格の値上がり状況が異常であるという認識は当時の調査で持っております。
  102. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 証券局長、こういう本州製紙とかあるいは東急電鉄株とか、こういったものは今言ったように異常なのですね、証券市場から見て。急激に値上がりしておるのは異常なのです。ところが、それは百二十五条違反じゃないのですね、あなたが言う限りは。だから異常に上がるということは正常な価格ではないのですよ。人為的に価格がつり上げられておるからこうなるのですよ。異常に上がったものは必ず落ちますから、それはどちらも、本州製紙も東急電鉄株もすとんと落ちておるのですね、異常に値上がりしていますから。これが百二十五条の価格操縦に当たらない、こういうふうになれば、これは一般のそれこそアマ集団ですな、一般の投資家はもう寄りついたら危ないぞという警告を出す以外に方法はないですね、現状では。どうですか。百二十五条が働かぬのですから、だめだだめだと言って、それじゃもうそういう危ないものには手をつけない方がいい、消費者保護なのですから、先ほど言った業界の倫理にも消費者保護ということをうたっておられるのだから、そんな危ないところに。異常な値上がりしたものも証取法では取り締まれない、そういうことが現に行われておる、そのことによって高値で買わされて泣いておる人がたくさんおるのですね。十條製紙でも、いや本州製紙でも——息子がおるものだから、相済みません。本州製紙と東急電鉄株、これは泣かされている人がいっぱいおるのですよ。それで仕手グループは売り逃げして逃げておるのですね、もうかって。仕手グループは高いところで売ってぱあっと逃げておる。そういうときに、一般消費者は、高いところで買わされたのはすとんと落ちる前に買わされておるのですから。野村証券のごときは、また落ちる前に、もう下がることがわかっておって、ヨーロッパに行って十銘柄を奨励して、外国人にぼんぼんぼんぼん奨励して、その中に東急電鉄株を押し込んで売り逃げしておる、野村証券は。だからもうこういうことが証取法で取り締まれぬなら、一般消費者は近づくなと言われて行政指導なさった方がいいのじゃありませんか。逆説的ですが、どうでしょう。
  103. 松野允彦

    松野(允)政府委員 確かに本州製紙株と東急電鉄、この価格上昇が通常の状態でない、異常な価格上昇だということは私ども認識をしてへ取引所と一緒に調査をしたところでございます。現在も調査を続けているわけでございます。  それが百二十五条で違反にならないのかどうかというお尋ねでございます。百二十五条、何回も繰り返し申し上げておりますように、いろんな構成要件があるわけでございます。株式市場における株の値動きといいますのは、これは例えば買い占めがあれば価格は当然上昇をするわけでございます。自然の需給による価格の動きと人為的な需給をつくり出して価格が人為的に形成されているというものとを区別して、人為的に価格が形成されるようなものについて百二十五条が適用されるということになるわけでございます。  この御指摘の本州製紙あるいは東急電鉄、私ども現在の時点では百二十五条に違反するという確証はないと申し上げておりますけれども、百二十五条に違反しないという判断をしてしまったというわけでは決してございません。その人為的な価格形成が行われたのかどうか、自然の需給なのかという問題、それから証券会社につきましては、別途そういう大量推奨販売というものに対する規制もあるわけでございます。そういったようないろいろな法律の条項をにらみながら検査を進めているところでございまして、百二十五条違反はもうあきらめたというふうにお受け取りをいただくのは、大変私どもとしては、まだ別にあきらめているわけでは決してございません。ただ、非常にこういう大量の投資家が参加している相場というものは、人為的につくられたかどうかというのは判断がしにくいという点は御理解をいただきたいわけでございます。
  104. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いや、私は、株価操縦にならぬというふうに言われていることは理解したのです。だから、一般の人は近づくな、そういうふうに指導したらどうですかと申し上げているのです。くだくだ言う必要はないのですよ。あなたの言っていることを認めているのですよ、百二十五条の適用にならぬ。しかし、それは証券市場からお話があるように異常なんです。異常な値上がりはしておるけれども、百二十五条じゃない、取り締まれない。だから、それで泣かされる人は自己責任。だから、五代利矢子さんが言っておるように、素人は近づくな、プロだけやれよというふうになさったらどうですかと申し上げておるのです。それしかないじゃないですか。ほかにありますか、何か。もうそれしかない。いや、あなたじゃないんだ、もういい。  何かありますか。せっかく来ていらっしゃるのだから、どうぞ。
  105. 長岡實

    ○長岡参考人 一言お答え申し上げたいと存じます。  やはり健全な証券市場というのは、個人投資家の多数参加が必要不可欠でございます。私どももそういうつもりで仕事に取り組んでまいりたいと思っておりますけれども、ただいまおっしゃいましたように、何か特定の株の値上がりのために個人投資家に不測の迷惑を及ぼすということはやはりでき得る限り避けたいという気持ちでおりまして、今回の不祥事にかんがみまして、東京証券取引所といたしましては、公益理事の増加とか過怠金の引き上げとかやりましたけれども、一番大事な措置であり、これが実効を上げることが一番大切であると私が思っておりますのは、日々の市場監視の強化をいたしまして、そして異常な値上がり等があった場合に、これを委託者である証券会社に連絡をする、証券会社の方は副社長もしくは専務クラスの責任者を決めてもらいまして、それに連絡をして、直ちに証券会社の方が実態を調べてこちらにその返事をよこすというようなことによってチェック機能を営んでまいりたいというふうに考えております。
  106. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は逆説的に申し上げましたけれども、やはり本当の意味で市場が透明で公正で公平であれば、一般投資家というのは帰ってくるのですよ。そのためには、証券局長が言っておるようなあいまいな、百二十五条に当たりませんという発表をしておるかと思うと、いや、目下調査しておるのです、これでは信用ができないのです。ですから、本当に一般の投資家を市場にさらにこれからも参加をしてもらうように考えておられるなら、百二十五条に当てはまるということを前提にして調べなければだめなんですよ、これは。抜け道があったら、それを通達とか法律で厳しくする、そういう対応がなければ一般投資家は戻ってこないと思うのです。そのことを私は言っておるのですよ。思い切って百二十五条の調査をしてください。二つのものについて毅然たる態度で臨んでいただけますか。念押しのようになりますが、もう一遍聞きます。
  107. 松野允彦

    松野(允)政府委員 私どもは百二十五条に抵触するかどうかという問題意識を持って検査を続けています。そのつもりでございます。
  108. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もうあと二分しかありません。  最後に、NTT株の皆さん方の問題について、ちょっとうわさについてお尋ねをいたします。  それは、八六年のNTT株第一次放出価格が百十九万七千円でしたけれども、NTT主幹事の野村のデータで、そのときには妥当な価格は八十万円から九十万円だった、こういうふうに試算された、しかし大蔵省がこれに反対をして、入札等の手続は経ておりますけれども赤字国債の償還資金としてなるたけ高く売りたかった、ですから百十九万、それで野村を初めとした証券会社が株の人気をあおって、販売合戦でNTT株を一般の顧客に売りつけた、こういううわさが流れておるのです。これについて、もちろん否定なさると思うのですが、大臣でも局長でも結構です、お答えいただいて終わります。
  109. 寺村信行

    ○寺村政府委員 NTT株の第一次売却に当たりましては、上場前の売却でございますので、公正な価格及び方法によることが必要だと国有財産中央審議会の御議論もございまして、このために百九十五万株のうち二十万株につきまして一般競争入札を行いました。具体的には、六十一年の九月に一般競争入札の公告を行いまして、十月一日、関東財務局と近畿財務局に郵送によりまして入札をしていただいたわけでございます。入札件数は二千六百八十八件でございまして、法人と個人の内訳を申し上げますと、法人が千七百五十二社、個人が九百三十六人でございまして、この中には証券会社は参加をいたしておりません。入札の総株数は二十万株に対しまして百十七万六千三百株でございまして、倍率は五・八倍でございました。入札価格の最低は千円、最高は二百四十万円でございまして、落札結果は、最高落札価格は二百四十万でございましたが、最低落札価格は百一万七千円でございます。その加重平均価格が百十九万七千円でございましたので、それをもちまして百六十五万株につきまして売り出しを行いました。一人または一社につき百株を限度といたしまして売り出しを行いましたが、応募が、百六十五万株に対しまして一千四百九十九万三千株でございます。約九・一倍でございました。これを抽せんによりまして一人あるいは一社一株で割り当てを行った、こういう手続をとったところでございまして、本年八月七日の毎日新聞に委員指摘のような報道がなされましたけれども、このような手続からそのような要素が介在する余地はなかったということでございます。
  110. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 終わります。
  111. 大野明

    大野委員長 これにて松浦君の質疑は終了いたしました。  次に、日笠勝之君。
  112. 日笠勝之

    ○日笠委員 九月二十四日、一昨日、証券局特別検査の四大証券における中間報告公表になったわけでございます。延べ七十八法人、四百三十五億五千二百万の補てんがわかったわけでございます。  そこでお尋ねをいたしますけれども、これは中間報告でございますが、四大証券における最終報告はいつまでをめどとして公表される予定がお聞きしたいと思います。
  113. 松野允彦

    松野(允)政府委員 一昨日は平成二年四月以降の損失補てん額について中間報告をさせていただいたわけでございますが、そこにも、中間報告にも書いてございますように、まだその期はもちろんそれ以前の期につきましても、損失保証とか利回り保証というようなものがなかったかどうか、あるいは二年三月期以前の自主報告が適正なものかどうかという確認をしておりますし、野村証券については東急電鉄株の状況検査を続けているわけでございます。いろいろまだ検査項目はございます。検査官を四社に割り振っております関係で、検査官の数が非常に手薄になっておりまして、現在の段階でこれらのすべて残っております検査項目について、いつまでに終了するかという点を明確に申し上げることはちょっとできない状態にある。なるべく急いで全力を挙げてやるということでやっておりますけれども、いつまでにということはちょっと申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  114. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは、証券金融問題の特別委員会が開かれたのは、徹底解明ということが大きな使命でございました。私どもがこの特別委員会でいろいろ質問を重ねできますと、今特別検査中である、こう言われる。いよいよきょうでこの特別委員会は終わりかもしれません、衆議院は。そうすると、中間報告ですといつも何かはぐらかされて一体全体——今臨時国会の最大の大きなテーマでありました証券金融不祥事、これを解明する国会であったわけであります。それが、特別検査中です、中間報告です、一体いつまでをめどに最終報告を出すのか。これは十月四日の臨時国会の最終日までは何らかの形で出さなければ、この委員会は何のためにあったのか。どうでしょうか、いつまでをめどに、例えば十月いっぱいまでには何とかやりますとか、十一月中旬までにはやりますとか、何らのめどもなくずるずる私たちも、特別検査中です、中間報告です、はぐらかされはぐらかされて、いよいよきょうの土壇場に来たわけですね。あと三時間ほどでもう採決しようか、それではとても納得できません。めどを明確に示していただきたい。
  115. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは委員からの御指摘でありますけれども、私はいつまでという日限は切れないということは繰り返し申し上げました。なぜなら、この特別検査の中で果たさなければならないその役割は非常に大きなものがあります。そして、私は職員が全力を挙げてその検査に当たっておることを信じておりますが、その内容を考えますときに、私は無責任にいつまでということは申し上げるわけにはいきません。ただ、先ほどの御質問にもありましたように、その検査の結果というものは、いずれの時点であれ、何らかの形で御報告をされるべきもの、そのように私は理解をいたしております。それは必ず大蔵省として報告がなされると思いますけれども、いつまでという日取りを切ってのお約束は私にはできません。
  116. 日笠勝之

    ○日笠委員 それでは、損失補てんだけでもこの十月四日の臨時国会閉幕までには出せますか。あとの株価操縦やどうだとかいうのはいいですよ。補てんの問題だけでもこの国会で決着をつける、これはどうでしょうか。
  117. 松野允彦

    松野(允)政府委員 二年四月以降の一昨日報告をいたしました数字は、ほぼまあすべてを把握したものだというふうに御理解をいただきたいと思います。ただ、まだ精査をしている部分はございます。ただ、その損失補てん関係と申しますと、二年三月期以前の自主報告分についでこれが適正かどうかという点の検査があるわけでございまして、この点については、率直に申し上げまして二年四月以降に重点を置いて精査をしているわけでございまして、二年三月期以前の自主報告が適正かどうかという点についてのチェックはなかなか相当時日を要するというふうに考えられるわけでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。
  118. 日笠勝之

    ○日笠委員 理解は得られないんですね。損失補てんだけでもめどをつけて私は報告をいただきたい。  じゃ、本省監理分の二十二社のうち、四大証券四社が中間報告として公表になりましたけれども、あとの準大手、すなわち本省監理分の残り十八社分、この特別検査の今後のスケジュールですね、これはどういうようになっていますか。
  119. 松野允彦

    松野(允)政府委員 大手四社、すべての検査官を今動員いたしておりますので、大手四社の特別検査が終了しないと検査官が事実上使えないわけでございますので、大手四社以外の本省監督の証券会社二十二社のうちの十八社でございますが、これにつきましては特別検査というふうな、まあ大手四社が終わった段階で特別検査ということも考えているわけでございますが、あわせて私どもの行政の立場といたしましては、一つは、非常にこういう状況証券会社収益状況が悪化しております。証券会社の健全性といいますか、そういった点についての検査、これは定例検査で行っておるわけですけれども、それを全く放置してこの問題をやるかどうかという点は非常に難しい問題がございます。やはり決算が非常に悪くなってきておりまして、証券会社のほかの側面といいますか、財産状態あるいは財務の健全性というようなものについてもある程度の検査を行う必要があるわけでございます。その辺は特別検査、四社に対する検査が終了した段階でどういうふうに考えるのかという点を検討したいというふうに思っているわけでございます。
  120. 日笠勝之

    ○日笠委員 この証取法改正法案が可決しますと、まあ恐らく来年ぐらいから施行されるのだと思うのですね。しかし、今のお話を聞くと、施行されてもまだ特別検査なり検査がずっと行われておるというようなことも考えられるわけですね、来年以降もまだ検査続行中と。どこまで行くぬかるみぞじゃないですけれども、何かいつまでたったってはっきりしない、こういうふうに思いますので、私は全力を挙げて、御足労だとは思いますけれども、早目に補てんなら補てんだけでも四社の分を最終報告補てんはこうです、次は準大手、いわゆる十八社分、本省監理分はこうです、こういって、ある程度スケジュール化してやっていただきたいことを要望しておきます。  ところで、この特別検査中間報告の中にいわゆる仮名口座、これはあったのでしょうか。
  121. 松野允彦

    松野(允)政府委員 仮名口座につきましては、現在特別検査をまだ続行して、社会管理体制の一環として調査中でございます。現在のところ、仮名口座として把握されたものはないというふうに報告を受けております。
  122. 日笠勝之

    ○日笠委員 いや、野村証券は仮名口座があったんじゃないんですか、暴力団関係取引で。全くなかったというのはおかしいじゃないですか。野村証券の分はありましたと、こう言わないと。
  123. 松野允彦

    松野(允)政府委員 今申し上げましたのは損失補てん関係で申し上げたわけでございまして、それ以外のいろいろな東急株の問題等々の中には御指摘のようにそういうものがあるわけでございまして、ただ、現在までの検査損失補てんにほとんど注力をしておりまして、仮名口座というものをその過程で見つけたというものがないというふうにお答えを申し上げたわけでございます。
  124. 日笠勝之

    ○日笠委員 何か、損失補てん全力を挙げていて、株価操作はやってないんですか、検査は。やっているんでしょう、株価操作も。今損失補てん全力を挙げて検査をしたとおっしゃると、じゃ株価操作、東急電鉄の、これはやってないというふうに聞こえるのですけれども
  125. 松野允彦

    松野(允)政府委員 その四社というグループでもって共通してやっておりましたのは損失補てんの問題でございます。株価操作は、これは東急電鉄の関係でございますので主として野村証券、したがいまして、野村証券検査につきましては、検査官がいわば二つに分かれて検査をした、あるいはさらに続行しているということでございます。
  126. 日笠勝之

    ○日笠委員 じゃ次に、約四百三十五億円のこの補てんが発表されたわけですが、これを補てんの方法と金額についてお教えいただきたいと思います。四社トータルでも結構ですし、証券会社別でも結構です。
  127. 松野允彦

    松野(允)政府委員 四社合計のベースで申し上げたいと思いますが、手口でございますが、一番大きいのが自己売買によります利益を付与するという、株価指数先物、債券先物を利用したものでございますが、これが二百二十八億九千百万円でございます。それから二番目が、売買価格差を利用したもの、債券、ワラントなどでございますが、これが百七十二億四千七百万円。それから、あとは小さいのですけれども、三番目として出てまいりますのは、約定取り消しというのがございます。これはトラブルというようなことになって約定を取り消すというような処理をしております。これが二十三億八千三百万円。それから四番目が、新発のワラントの割り当て、これが五億五千八百万円。それから五番目が現金の支払いでございまして、四億七千三百万円。合計で四百三十五億五千二百万円でございます。
  128. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうしますと、前回の補てん、一千七百二十億円余りの補てんのときに比べると、ワラント債、こういうものが非常に少なくなっている、こういうふうな少し様相が違うのかなという感じは持ちます。しかしまた一面、現金もこれまた四億七千三百万円ですか、あるということでございますし、大体前回同様の、まあ若干のぶれはありますけれども、様相であろうなというふうな感じを持つわけでございます。  そこで、先ほど五類型ほどの手口、方法についての金額を発表していただきましたけれども、それ以外にはなかったのですか。新しい手口というか、新しい方法というのは今回の中間報告の中には見当たりませんでしたか。
  129. 松野允彦

    松野(允)政府委員 今申し上げましたような手口でございまして、特に新しい手法というものはございません。二年三月期までの手法に入っているものがほとんどでございます。ただ、御指摘のようにワラントにつきましては、二年のたしか九月からだったと思いますが、ワラント市場を整備いたしましたものですから、ワラントを利用して価格差でやるということができなくなったということでワラントが減っているということでございます。
  130. 日笠勝之

    ○日笠委員 そこで、これだけの中間報告でも巨額な損失補てんが四大証券だけでも発覚したわけでございます。性懲りもなくずるずるずるずるやっている、こういうふうなマスコミの報道もございますけれども、そこで私は、七月の二十五日、衆議院の大蔵委員会のいわゆる俗に言う集中審議で大臣にもそれから理財局長にも質問しましたね。いわゆる四大証券に対してはペナルティーを加えるべきである、特に国債入札、引き受けなんかは何カ月間か御遠慮願う、こういうふうにやるべきである、そう私申し上げました。そのときの会議録を持ってまいりましたけれども、そのとき大臣は、ためらいがある、こうおっしゃいましたし、寺村理財局長は、納税者の負担を最小限にとどめるため排除することは難しい、こうおっしゃいました。あれから約二カ月たったわけでございますが、今度中間報告で四百三十五億円という補てんが発覚したということで、国債入札、引き受けを一カ月間ですか、四大証券については排除する、こういうふうにおっしゃっておるわけですが、この二カ月間、何がどう変わってそういうふうになったのでしょうか。
  131. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、恐らく事務方には依然として納税者の立場というものを考えたときに、ためらいはあったかと思います。しかし、この中間報告特別検査について行うにつきまして私がその事前の報告を聞きましたときに、依然としてという思いを持ちました。そしてやはり何らかの対応を前回の御指摘をも思い起こしながらする必要があると考えました。ただ、これは検査のその途中でありますから判断としては多少中途半端なものになっておるかもしれませんけれども、少なくとも一カ月御遠慮を願う、それぐらいのことは国民もお許しかいただけるだろう、御理解もいただけるだろう、そのように判断をいたしました。
  132. 日笠勝之

    ○日笠委員 ところが新聞報道によりますと、世界銀行は野村、日興を幹事団から排除した。ユーロ円建て債の発行を、募集活動に入ったわけですけれども、排除した。これは二回目なんだそうですね。それからまた国際金融公社ですか、ここも排除したい。こういうふうに国際的にも、特にこれは補てんというよりは暴力団関係への便宜供与、すなわち融資のあっせんであるとか預かり証の購入のあっせんであるとか、こういう暴力団とのかかわり合いについて、もう世銀も国際金融公社も排除していこう、こういうふうな大変厳しいペナルティーを外国は外国の一つの見識としてお持ちである。  私は、なぜ四大証券が一律同じように一カ月の引き受けの排除なんでしょうか。野村、日興については暴力団関係との問題があったわけです。私もちまたで、大臣と同じ岡山ですけれども、選挙区へ帰っていきますと、まあ大口顧客の優遇はまだわかるというのですわ。例えば冬柴先生もきのう質問していましたね。一億円も百億円も買ってくれる人と十円、二十円のものを買いに来る人どしゃ全然違うというのですよ、サービスが。当たり前だ、それは。しかし、絶対許せないのがこの暴力団だというのです、暴力団だけは絶対に許せないと。その暴力団関係者へのこれだけの便宜供与をしている野村、日興となぜ大和、山一と同じ扱いなんでしょうか。どうして同じなんですか。私は、この世銀や国際金融公社のように別途重科のペナルティーを科すべきである。三カ月にするとか、政府保証債、公募地方債その他いろいろな資金運用がございますね、大蔵省管轄の中にもたくさんあります、そういうものから外すとか、こういう差がないとおかしいんじゃないですか、これは。どうでしょうか。
  133. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変お言葉を返して恐縮でありますが、私は、本院におきまして全く逆さのお立場からのおしかりを受けたことを今思い起こしております。これは日笠委員からではございません。ただ私は、当初この問題が起きましたとき、損失補てんという問題以上に暴力団とのかかわりを重視いたしました。記者会見等にもそのとおりのことを申しました。また各党からお申し入れがありましたときにも、私は本質的にこの暴力団の方が問題だと思うということを申しました。その後において私は、この本院において、こんな損失補てんがあるのにおまえはまだそういう考え方かというおしかりもいただきました。そのとき私は、院の御意見としてそれを拝聴しておりました。  ただ同時に、私は、今回の四社に対して国債の業務から御遠慮を願いましたものは、行政処分でもありませんし、まさに御遠慮を願ったという措置であります。今後この特別検査の進行状況の中におきまして、あるいは捜査当局の御捜査の進展の中におきまして、暴力団とのかかわりというものはより明確なものになると思います。その時点における処分は、今回の国債業務の取り扱いを一カ月御遠慮願うこととは全く異質のものと御理解をいただきたいと存じます。
  134. 日笠勝之

    ○日笠委員 やはり毅然とした、暴力団との決別をさすためにも、私は今大臣おっしゃったように別途これは考えるべきであろう、このように申し上げておきたいと思います。  そこで、今回のいろいろな議論を通じていろいろな方々がいろいろな立場でおっしゃいました。その中で一番庶民、国民が思っていることは、結局大蔵省金融証券業界との癒着があるのではないか。国民に目に見える形でこの際けじめをつけるようにしていくべきだと私は思います。  それで、六つ七つございます。  天下りの問題はある程度けじめをつけられた。これは御評価申し上げます。  次に四社社長会。これは大蔵省から資料をいただきますと、大体月に一遍ぐらいやっておられるようでございますね。岩崎日興証券前社長の重言によりますと、ヒューマンリレーション、雑談をやっている。証券局長に聞くと、いや、そうじゃありません、証券行政についてお話を申し上げている。こういうふうなものであればやめてもいいんじゃないでしょうか。  そこで銀行局長、金融証券特別委員会ですからね。今回は細身の松野局長が一手に矢面に立って、何か銀行局は関係ないような顔をされていますけれども、そうじゃありませんですよ。銀行局の方は都銀の頭取と定期的に会合がありますか、それとも全銀協の会長であるとかそういう立場の人との会合はありますか。
  135. 土田正顕

    ○土田政府委員 私ども金融界の幹部と定期的に会合を持つことはございます。その中で、具体的なお尋ねでございますが、都銀の頭取なぜと定期的な会合を持つことはございません。都市銀行関係でやっておりますのは、全銀協の会長銀行、これとの懇談会、それから都銀懇話会ないし都市銀行懇話会という事業者団体がございます、これとの会合、これは二カ月に一回でございますが、大体このような会合を定期的に持っておりまして、そのときどきの行政についての説明、それから諸問題についての意見交換を行っております。
  136. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうすると、銀行局の方はいわゆる団体の幹部の方と定期的にやっておられる。これは当たり前で、私は別に何ら異論を挟むものじゃありません。  なぜこの証券局だけが四社社長会という、四社の社長に限って懇談をされるのでしょうか。そこに癒着があるというふうに国民は見ているわけです。今後証券会社の方々と証券行政についてお話ししたい場合は、後ろにいらっしゃいます日本証券業協会の会長、専務理事、こういう方とお話しして、それを全証券会社に徹底すればいいじゃありませんか。今後社長会やめる、このように局長言えますか。
  137. 松野允彦

    松野(允)政府委員 私どももその証券業協会との間の意見交換会も従来から持っているわけでございます。確かに、御指摘のように四社だけをやるのはどうか、あるいはその次のグループもやっているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、意見交換の必要があればそれはやるということも考えられるわけでございますが、定例的な会合をやる必要はないという御指摘は私ども十分受けとめておりまして、もちろん数社と一緒に会うというのと個々の証券会社を呼んで意見を交換するという場も、当然そういう手法もあるわけでございますので、定例的な会合をやるということについては今後やめていきたいというふうに思っております。
  138. 日笠勝之

    ○日笠委員 一歩前進ととらえます。  それから、今度は官房長いらっしゃいますか。金融証券業界から大蔵省調査員として受け入れている人数が毎年大体六名ずついらっしゃいますね。先ほど松浦先生、MOF担とおっしゃっていましたけれども、それとは別の今度は金融会社、証券業界はないと言うんだから金融業界だけでありましょう。いずれにしても、そういう人も大蔵省の中をうろちょろうろちょろしてもらわずに、毅然と呼ぶときには呼ぶ、こういう態度で今後こういう調査員の受け入れはやらない、こういうふうに言明できますか。
  139. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えいたします。  調査員の問題につきましてただいま御質問がございましたが、経済等の情勢がいろいろ変化する中で、この複雑多様化する行政課題に的確に対応するということで、公務部門の中でも民間企業の経験者等の知識経験を反映していくことに意味を認めて、このような調査員のシステムがあるわけでございます。  実際どのような形で使っておるかということでございますが、財政金融に関する調査統計の作成あるいは資料の収集といったようなことで、専門的な知識を有する者を受け入れておるのでございます。受け入れ先は、全員大臣官房の調査企画課に配置をしておりまして、調査統計の作成とかあるいは資料の収集等の事務に当たらせているわけでございまして、官民癒着といったような疑惑を招くことのないよう注意をしておるところでございます。政策の立案、許認可事務、監督業務等に関係する部署には配置をしておりません。  この仕組みにつきまして、かつて昭和四十年代にいろいろ御議論がございました結果といたしまして、私どももこの調査員の問題につきましては、私どもの役所だけではございませんでしたけれども、私どもの役所におきましても、所要の是正を行った上で、今日適正に運営を行ってきておるというふうに考えております。特別の出身機関と利害関係を有する事務に配置しないというような配慮をしておりますので、この点御理解を得られれば幸いと考えております。
  140. 日笠勝之

    ○日笠委員 大蔵省は財政当局ですから、六人分ぐらいのちゃんと財政手当てをやって、そういう方々の受け入れをやめて、私が先ほど言いましたように、わかりやすい形で国民にけじめを示さなきゃだめなんですよ。私は御理解しても国民は御理解しませんよ、それは。これはぜひひとつ再検討をお願いしておきます。  きょうはたくさんやることがございますので、次に参ります。  東証、日証協の方にお伺いしたいのですが、いわゆる過怠金ですね。六月に五百万円になりました。今後一億円にするとおっしゃっておるようでございますが、どういうスケジュールで過怠金一億円というふうにされる予定なのか。また、一億円ともし大蔵省から了解が、認可というのでしょうか、得られた場合は、今度の四大証券のこの四百三十五億円については一億円ぐらいの過怠金を課すようなこともあり得るのかどうか、両方、申しわけございませんが御答弁ください。
  141. 長岡實

    ○長岡参考人 お答え申し上げます。  東京証券取引所の過怠金は、定款上この六月に五百万円に引き上げたところでございまして、これでは余りにも社会常識に照らして低過ぎるということで、今回の不祥事の発生にかんがみまして、内部で何回も委員会を開いて議論を重ねました結果、私どもが参考にいたしましたのは、ニューヨーク証券取引所が今から三年前に過怠金を、それまで法人が十万ドルでございますから約一千四百万円ぐらい、個人が二万五千ドルでございますから約四百万円ぐらい、それを青天井にしたわけでございます。青天井にした後、約一年半の過怠金を徴した実例を調べてみましたところ、一億円を超える例というのは四十一件のうち三件でございました。一億円を少し上回っております。大体六割は五百万円以下というところでございました。そういったようなことで、私は、大体一億円というのが私どもの上限としては妥当ではないかということで、理事会の決定をいただきまして、明日の総会で承認を得られれば定款改正が行われるということになります。  これの今後の適用の仕方でございますけれども、やはり一億円まで幅が広がりますと、相当程度慎重に、その事案に照らしてどの程度の過怠金を徴するかということを考えなければいけないと思います。そういう意味で、規律委員会の公益委員に弁護士を入れたりいたしまして、そこで十分に検討してもらうということがまず大事ではないか。また、非常に金額の多い過怠金を徴する場合には、当然のことながら、過怠金を徴せられる相手方、いわゆる証券会社に対して、その弁明の余地を与えると申しますか、その意見を聞く場を設けるということで、公正に運営してまいりたいというふうに考えております。
  142. 関要

    ○関参考人 日本証券業協会の方も、基本的に東証と歩調を合わせて手続を進めておりまして、協会の過怠金の上限を一億円に引き上げることにつきましては、今週中に手続が完了する予定でございます。  今後、引き上げた過怠金をどういうふうに適用していくかにつきましては、この定款改正が実現したときにおきまして、具体的な事例につきまして、特に過去の事例に適用することについてはどういう問題があるかというようなことも含めまして、今度改組をいたしました協会の規律委員会等の場で慎重に検討していきたいというふうに者えております。
  143. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ遡及して新しい過怠金で措置孝お願いを私は申し上げておきたいと思います。  次に、本州製紙の株式について私の方からも——十條製紙ではございません、本州製紙でございます。九月七日の参議院の証券特で、この本州株は株価操作の疑いあり、こういう質問がございました。これは社会党の久保委員からでございます。そのとき局長は、東証よりの報告によると若干疑問があるが云々と、こう答弁されていますね。会議録もありますが、読んでもいいのですが、間違いなく、若干の疑問があるが、こうおっしゃっています。  そこで、東証の理事長にお伺いしたいのですが、東証の方からの報告によると若干の疑問がある、こういうふうに報告されたということですが、具体的にどういう疑問があったのか、お答えいただきたいと思います。
  144. 長岡實

    ○長岡参考人 お答え申し上げます。  九月七日現在の証券局長のお答えのもとになっております東京証券取引所の調査は、平成二年十月三日から五日にかけての株価が異常な値上がりを示したわけでございます。三日間のうち二日間が、先ほど私申し上げました東証の自主規制ルールである値幅制限いっぱいにまで上がったという異常な値上がりでございました。で、この間複数の特定委託者グループから大量の買い注文が集中いたしまして、それが当該期間の株価急騰の大きな要因になっていたのではないかということで、その異常な値上がりの状態を調査結果として大蔵省に連絡したのが当時の連絡でございます。
  145. 日笠勝之

    ○日笠委員 今回の特別検査におきましては、この本州製紙株については検査対象になったのでしょうか。
  146. 松野允彦

    松野(允)政府委員 先日の国会におきます御指摘も踏まえまして、この十月の急騰局面についても調査をしているところでございます。
  147. 日笠勝之

    ○日笠委員 そしてそのときに、東証と一緒に再調査約束されておられますね。その後まだ二十日間ほどしかたっていませんが、その後何か新しい事実、現時点での調査結果を、ございますれば、東証なり大蔵省の方からお願いします。
  148. 松野允彦

    松野(允)政府委員 ただいま東京証券取引所の理事長からも御説明申し上げましたように、この十月の三日、四日、五日の株価急騰局面におきまして、複数の特定のグループによる大幅な買い付けが行われているわけでございますので、そのグループの買い集めの意図というのがわからないわけでございますけれども、大量の買い注文が出ているということは事実でございます。  で、そういう特定の買い、特定者、特定グループ間での共謀というようなことがないかどうか、つまり共同して買い付けをしているのかどうかというような点についても、事実関係を把握したいと思っているわけでございますが、なかなかそういうふうな関係がまだ把握できない状態にあるわけでございます。あと、大量の買いが入っておりますけれども、私ども問題意識は、そういう複数の特定グループの大量の買い注文の意図、あるいはその間の関係というようなものについて、問題意識を持ってさらに調査をしているところでございます。
  149. 日笠勝之

    ○日笠委員 九月二十四日の読売新聞の夕刊に「本州製紙株オプション 「裏契約」13億円払う」、こういうふうな記事が出ておりましたけれども、これについては証券局は何らかの調査を始めたとか、これを端緒に始めるとか、こういうことはございますか。
  150. 松野允彦

    松野(允)政府委員 このオプション取引につきましても、御指摘をいただきまして、このオプションを購入したときに、いわゆる大量保有の報告書が大蔵省に出てまいっております。その報告書が提出されましたときに、私どもはその届け出書の代理人から事情を聞き、あるいは契約書を、一部ではございますが契約書を確認したわけでございますけれども、その後国会からも御指摘を受けておりますし新聞報道もあるわけでございまして、なおこのオプション契約の事実関係についてさらに調査をしているところでございます。
  151. 日笠勝之

    ○日笠委員 平成二年十一月三十日に売買予約契約がなされております。この十一月三十日の前の十一月二十八日に千九百五十円まで下落しておった本州製紙株が、十二月三日までに一気に二千五百四十円まで急騰、上がっていくわけですね。問題は、この売買予約契約、オプション契約が新聞なんかで公表されて、それを契機にこの株価が一挙に上がっていくという、まさにこのオプション契約を境にしての株価の動きに意図的な背景がある、まさにこれが株価操作であろう、このように言われておるわけでございますが、捜査当局、この点についての御関心はいかがなものでしょうか。
  152. 井嶋一友

    井嶋政府委員 委員今御指摘のように、本州製紙の株の問題につきましてマスコミが種々取り上げており、また国会においても御論議があることは、検察当局も十分承知をしておるだろうというふうに思います。ただ、これを端緒として捜査をするのかしないのか、あるいはしているかしていないかといったことにつきましては、大変恐縮でございますが、捜査の秘密の問題もございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  153. 日笠勝之

    ○日笠委員 ただ、これだけ国会で問題になり、これだけいろいろな情報が流れておって、関心が全然ないというわけじゃないんでしょう。どうでしょうか。
  154. 井嶋一友

    井嶋政府委員 十分承知をしておるというふうに認識をしておるわけでございます。
  155. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは局長、仮定の話です。仮定、イフ、もしの話で、仮定の話ですが、これがもし裏契約で十三億円払っちゃった、反対に。こういうことがもし本当なら、これは証券取引法第何条、どれに該当するでしょうか。例えば五十八条の禁止されている不正取引行為になるのか、百二十五条のいわゆる株価操縦になるのか、百九十七条の風説の流布云々とか、いろいろなものが該当すると思うのですが、もしこれが本当なら、どういうものに該当するとお考えですか。
  156. 松野允彦

    松野(允)政府委員 この報道にございます、裏契約で十三億支払うというのがございますが、その金銭を支払うということについてどう評価するのかというのは非常に難しい問題がございます。これは、オプションといいますのはあくまでも買い取り、あるいは一方的な予約権でございますので、その対価をどう考えるかというのは、株価の状河によって非常に違うわけでございまして、その十三億円の対価が支払われたからどうかということはなかなか払お答えしにくいわけでございますけれども、仮にこのオプション契約が架空であった場合ということでお答えをさせていただきたいと思いますが、仮にもしこのオプション契約が架空のものであるといたしますと、証取法でいいますと、やはりまず百九十七条一号、これは「有価証券等の相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、偽計を用いこということでございますが、こういったものに当たる可能性がありますし、また、五十八条の一号の不正の手段、計画、技巧というようなことも考えられるわけでございます。もちろん直接的には大量保有の報告書の虚偽記載というのがこれは当然あるわけでございますが、仮定の話でございますし、いろいろな事情がございますから一概には申せませんが、可能性としてはそういう条文が該当することがあり得るというふうに考えます。
  157. 日笠勝之

    ○日笠委員 この本州製紙株と同じような手口、やり方で、日本カーボンが同じく株価操縦の疑いがある、こういううわさも入ってくるわけなんです。そこで、この日本カーボンについて関東財務局が何らかの調査をされている、検査をされているという話も聞いておるのですが、これは事実でしょうか。
  158. 松野允彦

    松野(允)政府委員 日本カーボンにつきましては、関東財務局ではございませんで、私ども本省の流通市場課、取引審査室の方で調査をしております。これは、この株価が非常に急騰をいたしまして、信用取引も非常にふえ、東証が注意銘柄に指定したりしたという経緯がございまして、八月の中旬以降、私ども調査を開始しております。
  159. 日笠勝之

    ○日笠委員 東証は、この日本カーボンについてどういう認識を今お持ちでございますか。
  160. 長岡實

    ○長岡参考人 お答えを申し上げます。  日本カーボンにつきましては、東証は注意銘柄にも指定したわけでございますけれども、やはり八月下旬から株価の急騰及び売買高の急増が見られたことから、売買状況全般にわたって調査を開始しているところでございます。
  161. 日笠勝之

    ○日笠委員 この対応もきっちりと、私は、証券業界の一つの信頼を回復するためにも、きっちりとした結論、有罪であるとか無罪だとかいうのではなくて、きちっとした結果を出していただきたいことを要請をしておきたいと思います。  長々とお話をしましたけれども、これからいよいよ法案に対する質疑をちょっと行いたいと思います。  まず私は、先ほど大臣に申し上げましたように、今回の証券不祥事というものについては大方の国民は、大口顧客優遇、補てんはけしからぬという声もありますが、やはり何といっても圧倒的に暴力団との取引、便宜供与、こういうものの方が大臣もおっしゃったように非常に私は鮮明に鮮烈に国民の目にも映っていると思うのです。ところが、今回の法案(この改正案を見ますと、暴力団関係者を排除するというようなものは何にもないわけなんですね。せめて、先ほどちょっと申し上げました野村証券に仮名口座があったということはこれは既に報告いただいておりますけれども、せめて仮名、借名口座の禁止、これぐらいは盛り込めなかったのかな、緊急是正としてこの法案に盛り込めなかったのかな、先ほどもそういう御質問もございましたけれども、私もこれは率直に素朴に思うわけでございますが、簡単で結構でございますから、この点についてお答えをいただきます。
  162. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 過去、通達においてこれに対応していた経過は委員御承知のとおりであります。そして我々は、今その通達の全面的な見直しを行っておるところであります。その結果として、法律に移すべきもの、あるいは自主規制に移すべきもの、整理をいたします。その段階においておこたえをすべきもの、私どもとしてはその一連の通達全部を実は問題としてとらえておりまして、仮名口座、借名口座の問題もその中の一環、そのような位置づけで、今急いでという対応は今回の法律の内容で限定をいたしました。
  163. 日笠勝之

    ○日笠委員 この大蔵省証券局年報別冊の現行通達集を見ますと、日本証券業協会は各証券会社の店頭にポスターを張るように指示をされていますね。これはちょっと古いポスターかもしれませんが、その中に、ちょっと読んでみます、簡単ですから。こうあります。「投資者のみなさまへ 有価証券売買をなさるときは、ご本人の正しいお名前とご住所をご使用下さい。 架空のお名前やご住所をご使用になりますと、めんどうな問題がおこる場合があります。 大蔵省からの指示もありましたので、よろしくご協力下さい。」こういうポスターを張るようにというのがこの通達集に出ているわけですが、「めんどうな問題」というのは具体的にどういうことを想定されてこういう店頭ポスターとして張り出されたんでしょうか。
  164. 関要

    ○関参考人 先生も御存じだと思いますが、有価証券取引をいたしましたときに、顧客に対しまして売買報告書というものを送るということに、これは証券取引法でそういう制度になっております。もし仮名等を使ってやりますと、御本人のところにそういった報告書が届かないというようなことになりまして、いろいろトラブルの原因になる、例えばそういったことが例になるんじゃないかというふうに思います。
  165. 日笠勝之

    ○日笠委員 その取引報告書が届かないからというのではないのではないかと思うのですがね。脱税の温床だとか、いろんな仕手筋の口座になったり、そういう面倒な問題だとは思うのですけれども。  そこで、私ども、仮名、借名口座については一応大臣の今後のスケジュールを聞きましたので、一応きょうのところは納得しますが、次の改正にはこれは恐らく大きな一つのテーマになってくると思うのですが、そのときに、銀行局の方は、あわせて横並びで仮名、借名口座禁止か何かの改正案を、法律か政省令かわかりませんけれども、考えておられますか。
  166. 土田正顕

    ○土田政府委員 従来から、金融機関における仮名預金の取り扱いの厳正化につきまして再三にわたり注意を喚起し、それから指導の強化に努めてまいっておるところでございます。今後ともなお指導に努めたいと考えておりますが、そのほかに、最近の事項といたしましては、新たにいわゆるマネーロンダリングの防止の必要がございまして、そのための一連の措置を組み立て、それから、主なところは今回の麻薬二法案の中に関係の条文が入っているところでございます。ところで、このマネーロンダリングの防止対策の中に本人確認という手続がございます。これにつきましては、昨年の十月からこの本人確認を実施いたしたいということで、既にその措置を講じております。具体的には、口座を開設する場合や大口の現金取引などを行うに当たって、信頼できる証明書類に基づき本人確認を行う。さらに、顧客の本人確認に関する記録や取引記録を少なくとも五年間保存する。そのほか、麻薬等薬物の不正取引の取り締まりに当たって、裁判所及び捜査・取り締まり機関に対して法的に可能な限り協力する、そのような措置を講じているところでございます。  今後とも、このマネーロンダリングの問題をあわせ、仮名預金の防止措置について厳正に指導してまいりたいと思っております。
  167. 日笠勝之

    ○日笠委員 いやいや、現状をお聞きしているのではなくて、次の証券取引法なんかの改正のときに、あわせて銀行法、法令ですね、政省令も含めて改正するお考えはあるんですかとお聞きしておるわけです。  と申しますのも、銀行局長、なぜ銀行局としては補てん禁止しないんですか。損失補てん禁止する法案をなぜこの委員会に出さなかったのですか。私がいろいろと、新聞情報でございますが見ますと、昨年七月ですね、山一証券と旧三井銀行がツムラ以下六法人に九十九億二千四百万円の損失補てんを折半でしていますね。銀行もやっているんです、損失補てんは。銀行のお金を借りさして、それを証券会社運用する。失敗して、損失が、穴があくと両方が補てんをする。銀行だってやっているわけですから、この特別委員会に、銀行も補てん禁止します、こういうものを出してしかるべきではありませんか。そもそもの発端は、これは旧三井銀行と山一証券のことが発端ですよ。これを契機に通達が出て、今日のこの大不祥事、問題になっておるわけですよ。だったら銀行局も、例えば銀行法のどこか、第一条「目的」のところに、「銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」ですから、これの省令でもよろしい、政令でもよろしい、銀行においても金融機関においても一切補てん禁止する、こうなって、相まって初めて金融証券損失補てんがなくなるわけです。なぜ出さなかったんですか、今回。
  168. 土田正顕

    ○土田政府委員 銀行が行っております。務につきまして、その中で、例えば証券業務につきましては、これはいろいろと証取法の規定の通用を受けたり、それから金融先物業者である場合には金融先物取引法の規定の適用を受けるなど、その業務の性格に応じまして、所要の規制措置が講じられているところでございます。  ところで、銀行の本来業務は、簡単に申せば預金、貸し金さらに為替取引などの業務でございますが、これは、業務の性格は証券市場を中心とする市場取引とは甚だ異なる面がございまして、これは原則として、顧客との間で相対で、あらかじめ金利、期間、それから手数料その他の条件を設定をいたしまして、その条件に従って取引が行われるわけでございます。そのような観点から申しまして、市場の、マーケットの事後的な変動によって左右される、いわゆるリスク商品を取り扱う証券会社の業務とは甚だ性格を異にするものがあるように存じます。したがいまして、この金融機関の本来業務の性格上、損失補てんのような問題が生じることは一般的には想定しがたいわけでございます。  ただいま御指摘がございましたような一部都市銀行の事例は、これは甚だ遺憾でございましたが、銀行、証券会社及び顧客の三者間で生じました極めて特異なケースでございまして、大変大きな社会的批判を招いたことはまことに遺憾であり、業務の公共性に照らしまして、このような社会的批判を受けることがないよう、この問題はこの問題として日々の行政検査を通じ厳正な指導に努めてまいりたいと存じます。
  169. 日笠勝之

    ○日笠委員 今回の金融不祥事もいわゆる架空預金、これが大きな問題になりましたですね。これは報道によりますと、日銀も協力預金の自粛を求める、指導をしていく、こういうような報道も出ておりますね。そうすると、今回の当委員会、銀行法改正で第十条、すなわち「業務の範囲」、その一に「預金又は定期積金の受入れ」とありますが、そこに括弧書きで、協力預金は除く、こうあってしかるべきじゃありませんか。所得税法を見ると、「寄付金控除」の中で、括弧して入学金はだめ、こうあるように、ここの第十条一項を括弧して、「預金又は定期積金の受入金(協力預金は除く)」、こういうように改正しなければ、この協力預金に対してはどうするのですか。日銀ですら自粛を求めていこうということでありますし、この協力預金がいわゆる悪の根源であったわけですから、それを除く、そういう預金はだめよ、こういうことを明確に銀行法に入れて、当特別委員会に出すべきではなかったんでしょうか。どうされるんですか。協力預金は。
  170. 土田正顕

    ○土田政府委員 昨今いろいろ社会的批判を受けております態様の協力預金と申しますものは、これはやや立ち入って申しますと、顧客がノンバンクとか他の金融機関などから融資を受けてまで行わざるを得ないような協力預金を金融機関、具体的には銀行が求める行為は、健全な商慣習に照らして、顧客に過当な負担を与えるおそれもあるので厳にこれを自粛するというような観点からとらえられているわけでございまして、ただいま申し上げましたような趣旨に基づきまして、これは具体的には全銀協でございますが、九月十七日にこの旨の申し合わせを行ったところでございます。したがいまして、これはこの不適切な行為の温床になりやすい営業上の行為や営業姿勢に係る問題でございます。  ところで、従来この協力預金という言葉そのものにつきまして必ずしも明確な定義もございませんでしたので、その定義そのものについてさらに議論する必要はございますが、一般的に金融機関と顧客の間、ないしは金融機関相互の間におきますさまざまな取引の中の一形態として、顧客側ないしは他の金融機関の側から自発的に預金を行うことはございます。そういうものも幅広く考えれば協力預金を行うという範疇の一つに入るわけでございますが、もちろんそのようなものを協力預金を受ける方の金融機関が強要することがあってはならないことは申すまでもございませんけれども、この協力預金一般を幅広くとらえまして、これを銀行業務との関連に結びつけまして法律ないしは法令上の位置づけを明らかにするということにつきましては、なお取引の実態その他から見ましてかなりの研究を要すると思うわけでございます。さしあたり、現時点でこの社会的批判にこたえ、今後の方向を目指して反省いたしましたものは、ノンバンクや他の金融機関などから融資を受けてまで行わざるを得ないような協力預金、そのようなものは今後厳に自粛する、このように態度を明らかにしているところでございます。
  171. 日笠勝之

    ○日笠委員 協力預金の定義、確かに難しいのです。仮名、借名口座も禁止を法令化という話が先ほど大臣から出ましたけれども、仮名口座、借名口座の定義すら難しいのですね。そういう難しいことがございますので、しっかり研究をしていただいて、二度とこういう不祥事が起こらないように対応をお願いしたいと思います。そこで、先日の富士銀行の橋本頭取の参考人招致におきます答弁の中で、簡単に申し上げますと、富士銀行は暴力団関係者の取引については従来から十分留意するように徹底をしております、ありません、こういう趣旨のことを発言されております。  ところが、私の岡山県の岡山市で富士銀行岡山支店が暴力団関係者の妻に六千万円融資しているわけですね。地元では大問題になっていますよ。こういうことを銀行局は承知で、どのように対応しようとされておられるのか、お伺いしたいと思います。
  172. 土田正顕

    ○土田政府委員 御指摘の案件につきましては、これは九月の初めの新聞にも報道されたところでございますが、とりあえず、これまで御指摘の銀行から事情を聴取いたしましたところでは、詳細は多少省略をいたしますけれども、昨年の四月、既取引先の不動産業者からの紹介によりある取引者、これは婦人でございますが、ある取引者に賃貸マンション建設用地購入資金として融資を実行いたした由であります。これが昨年の四月でございますが、その後、本年の八月になりまして警察署の刑事が来店をいたしまして、この建設用地の建築確認通知書を調べたところ、一階が駐車場、二階が事務所となっており、住民が反対しているというような旨のお話がありまして、そのようなお話により融資先がいわば好ましからぬ団体の関係者の妻であるという疑いが強まったというようなことでございまして、いわば相手がそのような者であるとは知らずに融資をしたものであって、その後事後的に、そのような疑いが強まったため、現在回収に努力しているというような報告をとりあえず受けております。
  173. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ積極的に対応するようにお願いを申し上げたいと思います。  時間もあと五分少々になりましたので、私が思います、この法案の中でどうしてもしっくりいかないのは、いわゆる補てんした方とされた方がセットで刑罰なり行政処分なり受けられないということであります。認識がない、また要求していなければ補てんを受けた側はおとがめなし、セーフ、した方はしたという事実がわかれば、これはアウトですね。そういうようなことで、本来ならば私はした方もされた方も何らかのおとがめがあるのが普通の国民の常識だと思うのです。ところがこの法案にはありません。しかし、あと二時間ほどで賛成しなければいけませんので、御要望、御要請申し上げておきたいと思うのです。  それは主税局長、実は補てんを受けた側が要求をしなくてセーフになった場合、補てんをした方はいわゆる告訴されるなり、刑罰を受けるなり、行政処分を受ける。補てんを受けた方は要求しなかったということで何のおとがめもない。これでは幾ら何でも国民の理解が得られないと私は思いますね。そこで、いろいろな議論がありましたね。社会還元をさせたらどうか、こういう議論もありました。一番いいのは税金で何とかいただく方法じゃないかと思うのですね。つたない頭でいろいろ考えてみますと、会社臨時特別税法というようなことがオイルショックのときにありました。不当に利益を得た人からいわゆる不当利得税というような感じのものも過去徴収といいましょうか賦課をしたこともあるようでございますし、それから今土地問題が大変騒がしくなっておりまして、土地については超短期、二年以下の譲渡については土地譲渡益課税は非常に重課になっておりますね。こういうようなことで、ここは主税局の方で何らか知恵を出して、もらい得というものをなくさす、もらったものは社会還元さすということを租税特別措置法か何かで考えられないものか。我が国山、郷土の大先輩の濱本局長にぜひひとつここでお知恵を拝借したいと思いますが、いかがですか。
  174. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答え申し上げます。  申し上げるまでもないことかと存じますけれども損失補てんを受けた企業におきまして取得しました利益というものは所得金額に反映されておりまして、適切に課税されるということがまず指摘できるかと存じますけれども先生の御指摘はそういうことではなくて、税を制裁措置として活用することが考えられないかという御指摘だと思います。  例えばある行為禁止するということを図ります場合に、その目的の達成にとりまして税の活用というものが適当かどうかということを考えていただきます場合に、そのことが適当か、どうかということと同時に、実際課税できるかどうかという問題もあろうかと存じます。例えば今問題になっておりますような損失補てん金というものに類似した受贈益というものが世の中にいろいろあると思いますし、それからまた逆に、一般の受贈益と逆の方向でございますけれども、違法行為による所得とか、違法行為とまでは言わないでも社会的に批判を受けて当然だと思われるような所得もあると思いますが、そのどこで線を引くのかというような問題が、税の技術的な問題としてまず、一体そういうことができるのかなという気持ちに我々をさせるわけでございます。  御指摘ございましたような土地の短期譲渡とか石油危機への対応、臨時特別税、ああいう例があるじゃないかということかと存じますけれども、考えていただきたいのですが、土地の短期譲渡の場合にいたしましても、あれはいわば不特定に、相当広範囲に起こった現象でございました。それから、石油危機の場合もほとんどあらゆる原材料とか最終消費財が値上がりいたしまして、社会全体の異常な値上がりというものが経済現象として問題になったということだと思います。  そういう場合に、刑事罰の対象とすることにはなじまないけれども、そういう一般的な経済事象に対して税という手段でもって、その税のコストをもって経済活動を誘引する、誘導するというようなことがあの場合には対応可能、対応し得るものというふうに判断されたと思いますけれども、今回の事象を御指摘のような事象と同列に並べて、即課税、もらい得はけしからぬからすぐ課税というわけにはなかなかまいらないと思います。
  175. 日笠勝之

    ○日笠委員 英邁な主税局長にひとつぜひ知恵を出していただいて、どうですか、もらい得をなくす、社会還元さすということの租税特別措置ならばできると思いますね。損益通算させないとか、その分は法人税プラス三〇%かけるとか、そういう意味のことを申し上げておるわけですので、ひとつよく御検討いただきたい。  最後に、申しわけありません、刑事局長、日本カーボンのことでお聞きするのを忘れておりましたけれども先ほど申し上げました日本カーボンについては、検察はこれについては関心をお持ちなのかどうかをお聞きして、終わりたいと思います。
  176. 井嶋一友

    井嶋政府委員 これも先ほどお答えいたしました本州製紙の場合と同様、やはりそういった論調なり御論議認識しながら対応するということだろうと思いますので、それ以上はちょっと差し控えたいと思います。
  177. 日笠勝之

    ○日笠委員 終わります。どうもありがとうございました。
  178. 大野明

    大野委員長 これにて日笠君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  179. 正森成二

    ○正森委員 今回、当委員会からの資料提出の求めに対しまして、新たに九一年三月期に四百三十億円を超える補てんが行われたということが明らかになりました。  そこで、まず最初に、大蔵省の概括的な報告にもございましたが、補てんの手口について、大和、日興、野村、山一について、それぞれ最も額の多いもの等数例についてその具体的な手口の説明を願いたいと思います。
  180. 松野允彦

    松野(允)政府委員 各四社で比較的補てん額の多いものについての手口を御説明したいと思います。  まず、山一証券の協進トレーディングでございますが、これは、長期国債などを使いました売買価格差を利用した売買補てんが行われております。具体的には、安値で売却して当日あるいは翌日に高値で買い戻すという従来あったような手口でございます。それから、協進トレーディングの場合にはもう一つ、自己売買による利益を付与しております。これは、株価指数先物取引、日経二二五あるいはTOPIXの先物証券会社が自己で両建てをいたしまして、それを決済し、利益の出た方を客につけかえるというやり方でございます。  それから、野村証券の場合に大きい、石橋産業というのがございますが、これは新発ワラントの割り当てによる補てんでございます。値上がりの蓋然性の高い新発ワラントを集中的に配分して、短期間のうちにそれを売却し、利益発生させているという形でございます。  それから日興証券ケースでは、公立学校共済組合がございますが、これは先ほど申し上げた自己売買による、特に株式先物の自己売買による利益を付与するという同じ手口でございます。それから日興証券の場合にはもう一つ、比較的大きいのでエヌ・エス・ケーというのがございますが、これもやはり自己売買による利益の付与でございます。  それから大和証券の場合は、青森ガスというのがございますが、これはいわゆる約定取り消してございまして、客との関係でトラブルが生じて、その客の要請に応じて当初買い付けたものの約定を取り消すということで、証券会社が自己勘定で引き取っているという形の手口でございます。
  181. 正森成二

    ○正森委員 今回のケースは、報道によりましても、相手側から要求されたものが比較的多いということを大蔵省自身が言ったということが報道されておりますが、いずれにせよ、大蔵大臣にも伺いたいと思いますが、一九九〇年三月の補てんの場合は、前年の非常に近い八九年の十二月二十六日に証券局長通達があり、その中で、営業特金をなくすという要請と、そのためにはやはり補てんということも考えないと顧客関係の維持ができないという板挟みに遭って、どちらかといえば営業特金をなくすという方を優先さして行ったんだという弁解をいたしました。それが実際にどうもそうでもないんではないかというのが、その後営業特金金額がそう減っていないというところで各党から指摘されたところでありますが、今回はそれからさらに一年たっておるというようなことになると、これも報道によりますと、大蔵省との力関係よりも証券会社と大口顧客との間の力関係の方が強かった、こういう感想を大蔵官僚が漏らしたということも報道をされております。そういう点があるとすれば、今後大蔵省が行政的に指導してこういうことをなくしていけるのかどうかという重大な問題が起こりますし、実はそうではなくて、九〇年三月もそうでありましたと思いますが、大蔵省が、実は私どもの金子委員と私が当初質問しましたように、証券局の説明自体の中で私法上の契約としては有効であるということで、事実上容認するような姿勢があったというのがあらわれているんではないかというようにも思われますが、これらの点について簡単に御見解を承りたいと思います。
  182. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今回中間報告をいたしました内容についての御指摘は、私どもとしてこれを甘受せざるを得ない部分を多々含んでおります。ただ、我々として、この特別検査の中間における数字を聞きましたとき、本当に何とも言えない思いをいたしました。まさに、どういう事情がは私にはわかりませんけれども大蔵省としての行政通達というものが完全に無視をされた実態というものは否定できません。  今たまたま委員から御指摘がございましたやりとりは私も記憶をいたしておりますけれども、私は、これは具体的な事例について裁判所が判断をされるべき種類の問題だと基本的には思います。しかし、一般論として言いますと、例えばある契約の締結というものが刑事罰の対象となる場合でありましても、そのことのみをもって直ちにその契約が私法上無効なものとはされない、そして、私法上有効かどうかというのは禁止規定の立法趣旨によるとされる、そういうふうに私は聞いてます。そうすると、実は公序良俗違反というものを頭に描きましたとき、公序良俗違反というものは当然のことながら問題があるわけです。私は、その損失補てんの契約というものが公序良俗違反になると法律的に申し上げるほどの自信はございません。しかし、恐らく私は、そういうことを考えましたときには、損失補てんの契約というものは、私法上先行していたとしても、公序良俗に反するものとして——良俗ではございませんね、公序に反するものとして無効になるのではないかと考えております。
  183. 正森成二

    ○正森委員 約一カ月前の答弁を若干ニュアンスを変えられまして、今回の法律が成立すれば私法上の契約としても公序に反するという考慮の余地があるというように承りました。私は、その点については、自主ルール関係と絡んで法務省とも後ほど論戦したいと思っておりますので、そのときにもう一度取り上げさしていただきたいと思います。  今回は、文部省来ておられますね、例えば公立学校共済組合というのが今度またまた十四億八千百万円補てんを受けております。ここは前回も相当多額の損失補てんを受けまして、合わせて七十四億三千万円の補てんを受けたことになっております。前回はわざわざ、利回りが七%に達しないので、これに達しない場合は契約の解除等もありますので念のため申し添えますというような文書を出しまして、組合本部の藤原博之総務部長が、脅しともとられかねないような不適切なところがあったと反省しているということをわざわざ言明したぐらいであります。  今回はどうかといいますと、これまた報道によりますと、同じ藤原博之総務部長は記者会見で、大蔵省通達に基づき昨年六月十五日に、補てん利益供与をしない、求めないという確認書日興証券との間で交わしたことを明らかにして、それで驚いておる、こう言っているというんですね。それでは、前回の場合は、みずから脅しともとられるような文書を出したと言って反省していたのですが、今回は大蔵省の指導に基づいて損失補てんを求めない、しないという確認書があったにもかかわらずこういうような補てんが行われ九というのはどういうわけですか。
  184. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、公立学校共済組合が、先般七月の日本証券業協会からの損失補てんに関する発表に引き続き、去る九月二十四日に追加公表された損失補てんについても受けていた、公立学校共済組合損失補てんを受けていたとされたことについては、文部省としては厳粛に受けとめておりまして、このようなことが再発しないよう最善の努力をすることが監督官庁としての責務であるというように考えているところでございます。  文部省といたしましては、今回のような事態にかんがみまして、公立学校共済組合に対して既に指導をして、公立学校共済組合の残っておりました営業特金を本年八月三十一日にすべて投資顧問契約つきの特定金銭信託に切りかえたところでございます。  なお、今回の九月二十四日の追加公表については、ただいまお話がございましたように、平成二年六月に公立学校共済組合証券会社との間で損失補てんをしない旨の確認書を交わした以降に行われたと聞き、公立学校共済組合の説明では、先ほど先生がおっしゃいましたように、損失補てんについて要求をしたことはない、またそういう具体的な事実についての認識がなかったとしているわけでございますが、このような事態、事実関係については私どもは残念に思っている次第でございます。したがいまして、文部省としては、現在進められております証券不祥事再発防止への取り組みなども踏まえて今後適切に対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  185. 正森成二

    ○正森委員 大蔵省に伺いますが、つまり、幾ら損失補てんを求めない、しないというような確認書を交わしても、それは全く形式的なもので、そういうのにかかわりなく証券会社補てんあるいは利益保証していたというように思わざるを得ないということになっているのではないですか。それはやはりこういう公的機関の資金というのが非常に莫大で、しかも国の方針に基づいて年々拡大していく、だからこれを失いたくないということで、しかも利回り一定に達しない場合、あるいは年金福祉事業団でも同じでありますが、その資金は国から借りるわけですから、それに一ないし一・五%を上乗せしたもので回ってもらわなければ困る、その運用成績で四大証券に対する配分を決めるというようなことになっているから、求められようが求められまいがそういう成績を上げなければならないということに必然的になるのではないんですか。  そこで、大蔵大臣に伺いたいのですが、私の手元に持っております資料によりますと、六月二十八日に大蔵大臣は講演をされまして、公的機関がリスクの大きい証券市場で資金運用をすることは問題であるという講演をされていると各紙に報道されております。  私がもう一つ注目しておりますのは、たしか参議院でだったと思いますが、国家公務員共済だけは損失補てんを受けてないのですね、それに対しておたくの主計局長が説明を求められまして、国家公務員共済というのは債券購入しておるが、これは期日まで持っておって、それで期日が来たら元本とそれから額面に書いてある金利をいただくことになっておるという説明をした後で、これが最も安全で、確実で、かつ有利な運用方法であると考えてやっております、こう言っておるのですね。大蔵省の主計局長が、最も確実で、安全で、しかもおまけに有利な運用だということになっているのなら、これは年金福祉事業団にしろあるいは公立学校共済にしろ地方共済にしろ、その運用の中で、年金福祉事業団は株式はございませんが、それ以外は百分の二十とかいうようなのがありますし、それから債券の場合でも、持っておって、期日まで持っているのじゃなしに、売買によって売買差益を得るということが許されておるという今のやり方は、これは考え直さなければならないんじゃないのですか。
  186. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今引用されました趣旨の話は、私は実は複数の場所で行った記憶を持っております。そして特に、当時いわゆる取引一任勘定的な取引というもの、すなわち全く何らの制約を加えない営業特金というものが問題になっており、一部の公的機関の資金運用の中にそうしたケースがありましたために、私の問題意識としてまさにそういうものがございました。そして同時に、その時点で私の脳裏にありましたものは、きちんと投資顧問会社との契約を結ばれてこれが運営されればそうした問題は消えるであろうという期待を持っておりました。また、それがどうしても嫌だとおっしゃるならば、きちんと確認書を取り交わされればそれが実行されるものと考えておりました。そうした中において、今委員から御指摘を受けるような問題が続いて発生をしております。事実としてこれを認めざるを得ません。  一方、主計局長から御答弁をいたしましたとき私はその場に同席をしておりましたから、当然のことながらよく記憶いたしております。そして私は、やはり公的な性格の強い部分における資金運用というものは、安全、効率的ということだけではなくて、その方法についても国民から厳格な公正さというものが求められるものと心得ております。その意味におきまして国家公務員共済は、今委員が御引用をいただきましたような形態で運用をいたしております。しかし、各法人につきまして、私は、各省各庁の長として、主務大臣として監督指導を行われるわけでありますから、それぞれ基本的な考え方は同一に、安全、効率的かつ厳正なという視点を踏まえられた上で、それぞれの法人の性格あるいは実態に応じて適切な指導監督が行われるものと考えております。また、そうあるべきであると信じております。
  187. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁では、つかさつかさにやはり任せるというのが基本であるという考えを述べられたようですが、私は、必ずしもそれで十分であろうかというのが今回の新たに出てきた損失補てんなどを見た感想であります。  時間の関係でまた詳しくは聞かせていただくとして、次に移りたいと思います。  きのう各党の要望に対する資料が出てまいりました。我が党の要求だけでなしに他の党の御要求のものも拝見させていただきましたが、他の党の要望された中で「大蔵省に対し自主申告を行った際の証券会社別の補填の定義、基準」というのがあります。これを見ますと、「各証券会社は、自主報告を行った際、補填の定義、基準については、補填についての一般的定義に従い、こうした内容に該当すると考えられる行為報告してきているところである。」こうお書きになって、「証券会社が顧客に対し、有価証券売買によって生じた顧客の損失等の全部又は一部を補填する目的をもって、財産上の利益を供与する行為。」というように書いておられます。これは今度の法律の内容と非常によく似ているのですが、同時に、同じく要求資料の中で、「野村証券の九〇年三月の損失補填の自主報告について、新規発行株割当てを除いている理由及び大蔵省がこれをそのまま受け入れた理由」という資料要求があります。それに対する大蔵省の回答は、「野村証券からは、通常の取引と考えられる範囲を超えて新規発行株を特定の顧客に配分したとの報告は受けていない。」つまり、報告がないから報告しなかったんだという全くあなた任せの内容になっているわけであります。  そこで、さかのぼって聞きたいと思うのですが、これは野村だけではないんですね。七月に千二百八十三億円に上る四大証券補てん内容が発表されましたが、その中で大和と日興はいわゆるプレミアム債ですね、それを含めて損失補てんを発表しているのですが、野村、山一両証券補てん額に含めなかったということになっているのですね。だから、その新発CBだとかその他のプレミアム商品の割り当ても入れれば当然額は膨らんだはずであります。今度の九一年三月の補てん額を見ましても、野村が数億円というように際立って低いのは、こういう新発債というものを全く入れなかったからではないのですか。それでは、今後補てんが刑法上の犯罪になるという場合には、すこぶる自主的に判断してこれが補てんになる、補てんにならないというだけでは困るわけであって、今回の証券特別委員会でそれらを含めて当然調査結果を発表すべきではありませんか。
  188. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘のように、二年の三月以前の自主報告におきましては、新発債の配分によるという手口での補てんというのは大和証券日興証券に認められるだけでございまして、山一証券野村証券にはございません。実は今回の中間報告を申し上げました特別検査におきましては、当然新発証券の集中配分についても検査の対象としたところでございまして、この中間報告の中で新発の、これはワラントでございますが、新発のワラントを配分し損失補てんというふうに認定をしておりますのが、野村証券で三件、三億一千万円、それから日興証券で四件、二億四千八百万円ございます。これは私ども検査官が二年四月以降についてそういうものを検査したわけでございまして、現在、二年三月以前の分につきましても新発債の集中配分による補てんというものは、特に野村証券あるいは山一証券になかったかどうかという点についても調査を進めているところでございます。
  189. 正森成二

    ○正森委員 二年三月期以降は全体で数件認められたと受け取れる答弁だったと思います。  実は私どもはここに野村証券があなた方の特別検査に備えて準備をした資料の一部を持っております。それを見ますと、野村は明白にこのことを意識してみずから調査しているのですね。こう言っております。「プレミアム商品の大口販売顧客とは、次のいずれかに該当する顧客とする。」こういうぐあいに言いまして、新発CBについては「一銘柄一回五千万円以上、または一事業年度累計五億円以上販売した口座」、新規公開株については「一事業年度累計一万株以上販売した口座」、売り出し外貨建てワラントについては「一銘柄一回二百枚以上、または一事業年度累計二千枚以上販売した口座」というようにみずから規定して特別に調べているのですね。しかもそれは九〇年三月以降だけじゃありませんよ。それ以前のものについても調査するということで、内部的に各店舗にばあっと流しているのですよ。だからそれが我々の手に入ったのです。  だから当然そういうことをやっているはずであって、九〇年四月以降は見つかったが九〇年三月以前はないなんということはないはずであります。それがいまだに報告されないというのは、自主的に報告したときに入ってなかったからそれに対して遠慮しているんじゃないのですか。それに対してもし遠慮しているといったら、正直に報告をした大和だとか日興に対して著しくアンバランスになるし、今後の刑法上の犯罪とされることとの対比からいっても非常に一方的な結果になりかねないということで、これは過去の件についても、当の調査される会社がそういうことで該当するものはないか調べて報告しろ、大蔵省報告しなければならないからと、こう書いてあるのですから、それについても、同僚議員から発言がありましたが、本日を終わりにせずに、これからも判明すれば当委員会があるいは大蔵委員会が、しかるべきところに報告されたいと思います。その結論だけ答えてください。
  190. 松野允彦

    松野(允)政府委員 特別検査中間報告は申し上げましたが、当然特別検査が終了した段階では何らかの形で御報告を申し上げたいと思います。
  191. 正森成二

    ○正森委員 それでは次に、野村証券の田渕会長の答弁に非常に疑問がありまして、私どもは本当は再喚問あるいは少なくとも関係する四人の証人の喚問を要求いたしました。本当はそれらの人々が出てくればこの資料も出してお聞きしようと思っていたのですが、残念ながら与党理事の強力な反対がありまして実現しませんでしたので、相手にとっては若干不足でありますが大蔵省当局あるいは関係当局に伺いたいと思います。  それは二点あります。一つは、総会屋が稲川会の石井さんに会ってくれ、こういって言ってきたときに、秘書担当重役が応対したということで我々は知らないということになっております。それからまた、東急株の大量売買について、これは私自身八月の末の委員会で聞いたのですが、もう一度簡単に言いますと、例えば十月中に一日の東急株の店内シェアが五割を超えた営業店が延べ百カ店を超えるとか、あるいは十九日には本店営業部で九割を超えたほか、支店によっては八九%に上ったところがあるとか、あるいは十月十九日、二十四日、三十一日が非常に顕著なんですが、その三日間で、チェックした延べ三百二十店のうち売買シェアが三割を超えた店は半分強の百六十四店、五割強は百店に達したとか、そういう点を私が指摘したところ、それはおおむね正確であると証券局長がお答えになったはずであります。しかも十月十八日には、大阪の梅田店においては三十名ほどの大口顧客を集めて、あしたから上がる、今買うておけということを言いまして、それには本店の株式部担当の取締役が行って講演をしているのですね。これについても田渕証人は、やはりそれは株式部の担当取締役の責任でやったんだということで、自分は知らないし野村の組織的な指揮命令関係はなかったかのごとく答えているわけであります。  もしそうなると、野村という世界でも一位の証券会社というのはヘッドクオーターは存在しないのか、司令部は存在しないのか、各それぞれのつかさつかさが勝手にてんでばらばら、やりたいことをやる。しかも、やりたいことをやったのに数百店の店舗の大部分が同じように動く、世にもきてれつな組織体であるということになって、これは何人も納得させるものではないのです。  そこで、私は野村の組織規程が一体どうなっているのかというのを調べてみましたら、ありがたいことに天網恢々疎にして漏らさずで、我々の手に入りました。それを見ると、「組織規程」というので第一章からずっとあるのですが、そのほかにまた業務分担の規定というようなものもあるようですが、それを見ると、例えば暴力団との交渉について言いますと、秘書室担当取締役がやったということになっているのですが、秘書室はどういうことをやるかというと、これは秘書課と渉外課に分かれております。秘書課というのは役員の庶務に関する事項を管轄し、渉外課は渉外連絡に関する事項を管轄いたします。だから、秘書担当取締役がいろいろなこともやったのでしょう。ところが、この取締役というのは、それでは独立野村会社みたいにやりたいほうだいをやっていいのかというと、そうはなっていないのですね。この「組織規程」を見ると、第七条に「取締役」という項目がありまして、取締役会長、取締役社長、それぞれ仕事内容が決まっているのです。取締役はどうかというと、「取締役は、定められた担当業務を執行するとともに、取締役会を通じて取締役社長を補佐する。」というようになっているのです。自分が勝手にやったらいいというのじゃなしに、取締役会を通じて自分は取締役社長を補佐するのだということになっております。そして「総則」の「業務の執行」ではどうなっているかというと、第三条で「業務の執行にあたっては、役職員は、指揮命令系統の統一を保ち、定められた業務について、責任をもって処理するとともに、つねにその結果を当該職位の直属の上司に報告しなければならない。」となっております。だから、取締役は、自分勝手にいろいろなことをやるのじゃなしに、取締役会を通じて社長を補佐せないかぬし、自分がやったことは報告しなきゃならぬとはっきり書いてある。当たり前の話であって、これでなければ統一体は保てないのですね。それを田渕氏はてんでばらばらに破っておるというように証言するなどというのは、偽証の疑いが非常に強いと言わなければなりません。また、そういう答弁をうのみにして、これが百二十五条の株価操縦でないとか、あるいは暴力団の関係では野村の上層部は全く知らないというようなことを言うとすれば、これは野村の「組織規程」自体を査定することにほかなりません。  そこで法務省、私らのようにあなた方と違って強制捜査権はないし、逮捕の権限もないという者でもこれくらいのことは調べるのです。あなた方はいざとなれば何でもできるのでしょうが。何でもできるといってもまさか拷問はできないだろうけれども。だから、こういうような点について十分配慮して、百二十五条違反についても捜査されておるのかどうか、あるいはまだされていないなら、捜査するのかどうか、明確に答えていただきたい。
  192. 井嶋一友

    井嶋政府委員 東急株の株価操縦問題につきましては、もう既に何度もお答えしておりますとおり、東京地検は告発を受けておりますので捜査をいたしております。もちろん、告発を受けた以上、告発事実の成否につきましてはきちっとした結論を出すというのが検察の義務でございますので、その目的に向かって捜査をしておるということでございます。
  193. 正森成二

    ○正森委員 抽象的な答弁でしたけれども、私の言ったこともお耳にとめられて参考にしていただけるというように善意に解釈して、質問を次に移したいと思います。  大蔵大臣にも伺いたいのですが、今度の法律の中心点は、もちろん当面応急の改正ですが、損失補てんについて刑事罰を明白に科するという点であります。損失補てんについては条文に書かれてあるとおりですが、非常に大事なのは、株の取引というのは専門的なことで細こうございますので、業界で、あるいは業界でと言うと語弊がありますが、証券業協会東京証券取引所で自主ルールをつくりまして、それに該当するものは刑法三十五条に言うところの正当業務ということで処罰されないという建前になっていることであります。  我が党は本会議でも質問をいたしましたが、この補てんについての自主ルールというのは、正当業務行為という場合だけなら刑事局長には釈迦に説法ですが、刑法上言うところの違法性阻却事由というのに当たるということになるのですが、しかしよくよく考えてみると、まさに自主ルールが、これを除くものは補てんに当たるという実質上の内容を持っておるという意味からは、構成要件の一部に非常に重要な影響があるという内容になるわけであります。したがって構成要件と違法性阻却事由の両方に関係するのです。そして、時間がございませんのであれですが、私は資料も持ってまいりましたけれども、それを法律で詳しく決めないでどこかに任せるというのは広い意味で言うと白地刑法と言われるもので、普通は法律が政令や省令やその他行政機関が定める法規である命令に対して委任する形式をとるというのが大部分であります。ここにどういう場合があるかという具体例が書いてありますが時間の関係で省略をしたいと思います。  ところが、これはある意味では自主規制機関にそれを任せるわけなんですね。世の中に、表現は悪いですが泥縄式という言葉があります。これはしかし、捕まえた者が急いで縄をなうというので泥縄と言うのです。今回の場合は、失礼ながら証券業協会にしても、今回違反を起こした証券会社が構成員になっているのですね。そうすると、捕まえた方が縄をなうのでなしに、捕まえられる可能性のある者が縄をなう。そうすればその縄は、容易に切れるようなあるいは縛られてもす寸解けるような縄にする可能性も非常にあるのですね。だからこれは異例の立法であるという言い方もできるのです。だから、そういう可能性を防いでしっかりしたものにするためには、自主規制ルールということでこの法律が成るとすれば、それはよほどしっかりしたものをつくっていただくと同時に、公開してもらって、そして明確に国民やら国会に判断してもらうようにしなきゃならないし、本当ならこの法案が通るまでにそれができなきゃいけないのですよね。その点についてどうお考えか、法務省とそれからおいでいただいている証券業協会、東証の理事長さんなどにお答え願いたいと思います。
  194. 長岡實

    ○長岡参考人 お答え申し上げます。  自主親御のルールの趣旨は、取引所あるいは証券業協会自身が自主ルールを定めましてこれを遵守していこうという性格のものでございます。それによって不公正な取引とか不透明な取引を排除しようとするのが目的でございます。このような自主的な規制を行うことが一般の信頼を得るために一番大事ではないかというふうに私は考えておる次第でございます。  今回の法律改正案によりまして損失補てん等は禁止されるこ亡になるわけでございますけれども、一般に証券取引の円滑化の観点から証券業務として正当な業務と考えられる典型的な例を私どもの自主ルールで明示しようというわけでございます。そういったことから考えましても、私どもはその自主ルールの設定は大変重要な仕事であるというふうに受けとめておる次第でございます。
  195. 松野允彦

    松野(允)政府委員 自主ルールにつきましては、今取引所の理事長から御説明したように、私どもも、証券取引の円滑化という観点から、正当な証券取引行為である、正常な、普通の証券取引行為であるというものの典型例をガイドライン的につくるということでございます。  確かに、自主ルールを自主規制機関につくらせるのはどうかという御指摘でございますが、自主L規制機関につくっていただいて自主規制機能を高めるということを私どもは期待をしているわけでございますし、そうはいいましても、私どもが今くタッチしないというつもりはございません。これはやはり正常な行為でなければガイドラインにならないわけでございますから、仮に正当な業務と認められないような自主ルールをつくりましてもこれは何の意味もないことになるわけでございまして、そういう観点から、私ども、必要に応じては法務省とも相談しながら、ガイドラインとして有効に機能するような自主ルールをつくっていただくように指導してまいりたいというふうに思っております。
  196. 井嶋一友

    井嶋政府委員 自主ルールの性格あるいは自主ルールに対する監督官庁としての大蔵省の対応、これは今御説明があったとおりでございまして、法務省といたしましても、もしその点につきまして法律的な意味での見解、意見を求められた場合には、それに適切に対応するというふうに思っておるわけでございます。  ただ、性格として、今委員がおっしゃいましたとおり自主ルールというのはあくまで自主規制団体がつくるものでございます。したがいまして、委員が引用になりましたように罰則の中身を一部委任する政省令などとは全く性格が違いまして、全くの自主ルールでございます。  我々、犯罪を捜査する場合に、構成要件の該当性あるいは違法性について判断をしなければなりませんが、その場合に用いる手法というのは、委員に申し上げるまでもないと思いますけれども、法令があれば法令、通達があれば通達、業界団体の準則があればその準則、自主規制団体があれば自主ルール、会社のマニュアルがあれば会社のマニュアル、そういうものがなければ慣習、慣行、条理、こういったものを手がかりとして構成要件該当あるいは違法性の判断をするわけでございます。今回の自主ルールはそういったものの一つになるわけでございますので、委員指摘のとおり、構成要件該当性の有無あるいは違法性の有無に関しまして、今回つくられる自主ルールというのは法的性格から申し上げればガイドラインになるということでございます。したがって、これに拘束されるというものではなくて、これに当たったからすべて解放されるというものでもないというものでございます。
  197. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁は非常に重要な答弁で、それでなくて、ガイドラインにとどまらずこれに全く拘束されて司法機関の判断の入り込む余地がないということになれば、事実上刑罰法規の内容の一部を民間団体、しかもある場合では取り締まられる方に委任してしまうということにもなりかねないので、そういう重大な問題を持っているんだということを指摘しておきます。それから、法務省はそういう点を十分考慮して、そうはさせないとは言われませんでしたが、まあそれに近い、独自の判断で構成要件該当性あるいは違法性阻却事由該当性、これを判断なさるということでございますので、それが記録にとどまったということて次に進ましていただきたいと思います。  では、その次に、行革審の会長お見えになっておられますか。御苦労さんでございます。行革審の会長さん、お忙しいのにおいでいただいて、ありがとうございます。  それでは、私から一、二点伺いたいと思いますが、週刊東洋経済の九月二十八日号に、「そこが聞きたい」という題名で、鈴木永二行革審会長の談話といいますかインタビューですね、載っております。それを一々聞いておりますと非常に長くなりますので、そのうちのごく一部について御見解を承りたいと思います。  それで、あなたのこのインタビューを見ておりますと、「自主規制こそベース」であるということをお述べになりまして、「制度的に行うのが自主規制だ。」と、ずっと前を受けてですね、「規制社会ではないのだから、証券界の自主的な規律が必要なのだ。すでに証券業協会という自主規制団体が証取法に基づいて設立されている。この団体はいわば業界の仲良しクラブ的な面と自主規制の両面を持っている。現状は仲良しクラブの面に重点がかかっているが、自主規制の面に重点を移すべきだ。」こういうことを述べておられるのですね。これは非常に重要な指摘だと思うのです。証券業協会の会長も後ろにおられますけれども、特に今回のような自主規制ルールとか、あるいは羊れにとどまらずみずからの姿勢を正すというよう。な点が大事であるという会長の御見解によりますと、その「仲良しクラブ的な面」、それがあって悪いとは言いませんが、自主規制ルールをぴしっとすることが大事だ。あなたのこのインタビューを見ますと、それがどうしてもできないならその二つの面を分離する必要があるということまで言っておられますね。これらの点について御見解を承りたいと思います。
  198. 鈴木永二

    鈴木参考人 ただいま御指摘いただいたことは、今お聞きする限り、私がインタビューに答えた事柄だと思っております。  私は、銀行の不祥事に例をとりましても、これは大蔵省と日銀のいかなる検査をしても、支店単位にいろいろ行われていることが多うございますし、とても時間的にも人員的にもそれだけで不祥事がもうこれから発生しないものだとは言い切れない、私はそう思っています。  それで、やはり基本は、ちょっと修身めいたことを言って恐縮でございますが、やはりバブル経済以降見られました私ども——私も経済界におります一員でございますので深く反省しておるわけでございますが、昔はこういうこと、じゃなかった、バブル経済の結果非常にこういった問題が大きくなった、こう思っております。それはやはり何といいましても企業倫理というのに基づいて、そして信用をつかさどる企業であればあるほど信用を大事にしなければならぬ、こう思いますが、それがバブルの結果と申しますか、量的拡大、業容の拡大ということに走った。そのために、従来は審査部門が非常に力の大きかった銀行ですら審査が影が薄くなったと言われているところでございます。これは証券会社でも同じようなことだと思っております。そういう意味で私は、公的規制も必要でございますが、まずは大蔵省が従来の通達行政をやめて、はっきりだれにもわかる明文化した法律で、そして、自主ルールに任すものは任すということはありましょうが、まずルールをはっきりさせる、その上で各企業もそのルールに違反しないようにする、そしてまた業界もその業界のメンバーが自主ルールに反するようなことをしないように見守るということがあって、その上で大蔵省金融行政、そのほか横におります、今度新設していただこうと提案しました検査・監視機関がある、そのように私は理解しておりますので、やはり経営者の企業マインド、倫理マインドというものが基本であって、そして業界の自主規制、その上に公的な規制ということがあって健全な、透明な、そして自由な金融市場というものが打ち立てられる、そう思っておりますので、口幅ったい言い方でございますが、規制社会に逆戻りするようなことがあってはいけない。  そういうことで、行革の全体を締めくくる私の考えとしましては、透明で健全な、そして外国の資本も自由に入ってくるような自由社会、自由な金融社会をつくることが目的であって、下手をして規制社会になるようなことは避けるべきである、こういう考え方でやっておりますので、今おっしゃったことは私の真意でございます。
  199. 正森成二

    ○正森委員 鈴木会長から承ったのですが、しかし一方、八月四日の日経新聞というのがあります。それを見ましたら、なかなかおもしろいことが載っております。これは、その当時は国家行政組織法の八条に基づくものじゃなしに三条による自主性の非常に強いものをつくろうというような世論がありましたときですが、そのことを書いた上でこう書いているんですね「大蔵省も手をこまぬいてはいない。松野証券局長ら幹部は金融族には個別撃破で」、金融族というのはどうやら自民党の中の金融族らしいですね、これの前後を見ますと。「「大蔵省内で検査・監督を分離すれば対応できます」と説き、火消しに躍起になっている。確かに金融族と言っても党内での力をそう認知されているわけではなく、実現可能性からも結局、大蔵省の主張に軍配が上がる公算も大きいとみられてきた。 ところが一日夜の各派事務総長会議」八月一日のことらしいですね。今おられませんが、本院の委員の名前が出てきて恐縮ですが、「竹下派・奥田氏「泥棒と十手持ちを一人がやってどうする」 小渕氏「そうだ」」と、こういうことの会話があった、こう出ているのですね。これはけだし言い得て名言でありまして、どこが泥棒でどこが十手持ちかということはあえて申しません。申しませんが、これは私が言っているんじゃなしに、自民党の奥田氏が「泥棒と十手持ちを一人がやってどうする」、現幹事長の小渕氏は「そうだ」、こう言われたというのが載っているのですね。  その後、今度の新しい案ができた後の九月の十二日の新聞になりますと、「大蔵省は「ギリギリのところで組織防衛ができた」(同省幹部)と胸をなでおろしている。」こう書いてあるのです。そして、「同省にとって次の関心事は委員の中に大蔵省に理解を示す人を送り込むことと、新しく出来る行政委員会の検査により得た資料大蔵省証券局、銀行局が行う行政に利用できる規則をつくるよう働きかけることだ。」これは九月十二日の毎日新聞であります。あるいはまた、別の新聞では「独立性薄れ、業界安ど」、証券業協会が安堵したということが書いてあります。  時間だという通知が来ましたので、本当はもうちょっと言うとおもしろいのですが、これでやめさせてもらいますけれども、そういうようなことを言われ、またそれが事実になるようだと、これは何のために新しい組織をつくるのかわからないようになります。そういうことがないように切に望みたいと思います。何かおっしゃることがあればお答えいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  200. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 鈴木会長がおられる前で改めて申し上げておきたいと思います。  我々は行革審の御答申というものをちょうだいをいたしました。その中に盛られておる内容は我々にとって極めて厳しい内容を含んでおりますが、ちょうだいをいたしました以上、全力を尽く。してこれに向けて努力をしてまいります。
  201. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  202. 大野明

    大野委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。
  203. 中井洽

    ○中井委員 行革審の鈴木会長、きょうはありがとうございます。お忙しい御日程のようでございますので、先に会長としてのお考えを数点承らせていただきたいと思います。  まず最初に、大変御無礼な情けない言い方になるかもしれませんが、今般御努力をいただきまして不正取引の基本的是正策に関する答申をおまとめをいただきました。これはこれで大変御苦労をおかけした立派な答申であろうか、このように思います。しかし、申し上げましたように、大変御不快に思われるかもしれませんが、メンバーを見させていただきますと、やはり補てん先と言われたところに御関係のお方がおられる。同時に、御当人が目の前におられて恐縮ですが、長岡さんもお入りになっていらっしゃる。私は、今回のこのような不祥事に関する問題の、しかも国民注視の中での答申というときにどうだったのかな、そういったことについて委員の皆さん方での御議論があったのか、あるいはまた、何人かの方は私はこの際御辞退した方がいいんじゃないか、こういう思いやお申し出があってこの審議会が進められたのか、そこらのところ、大変率直に聞きますが、お答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  204. 鈴木永二

    鈴木参考人 今の件につきまして御報告申し上げます。  行革審はもともと証券問題で出発したわけではございません。途中からそういった問題が発生したわけでございますが、今おっしゃいましたメンバーの点におきまして長岡委員大蔵省出身でございます。この問題が発生しましたときに、長岡氏から私に対しまして辞意を表明されました。それで、私はそのときにはっきり申し上げました。確かにそういった関係はお持ちだけれども、しかし、それで退かれるというよりも堂々と所信を発表していただいて議論を重ねていただぎたいということを申し上げまして、それで、今大蔵省だけじゃなくてどこの省も、天下りという言葉は、私は好きじゃございませんが、それは使われます。それは、私に言わせますと行革の一部であるとも思いますので、日ごろ考えておりますのは、国家公務員法を全面的に見直して直すべきところは直すということと並行していかなければ、御本人にも大変お気の毒でございますし、また、この証券業についても今こういったことがあったから一度に引かれるということは、とても証券業は健全には推移していかないと思いますので、長岡さんには強いて私からお願いしてとどまっていただいた次第でございます。
  205. 中井洽

    ○中井委員 それから、国民の関心はやはりこの新たな検査・監視機関の設置をどのように御答申なさるかということであったと思います。私どもを含めて大半の国会の論議は、大蔵省外につくるべきだ、こういう論議が多かった。また、マスコミ等の論議も圧倒的にそういうことであったと考えております。行革審はどういう御判断のもとに大蔵省の中に八条に基づく機関を設置すべき、こういう形で御答申をなすったんでしょうか。お聞かせをいただきます。
  206. 鈴木永二

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  私は、今度の不祥事は検査部門が弱かったから、行政と一緒だったからというだけのことではないと思っています。もちろん、そういったことは関係がないとは言えないと思います。私は、なぜこういった不祥事が起きたかということを見まして、今言いますと七つ、八つの大きな問題があると思いますが、ここでは直接の御質問じゃございませんのでお答えいたしませんが、私は、この不祥事が起きてきた原因を全部パッケージでとらえて、それに対する対応をするのが本当であろうと思いまして、答申をごらんいただけばおわかりいただけると思いますが、もう今までの大蔵行政のあり方から通達行政の不明朗さとか競争原理の問題だとか大体問題点は全部網羅して、それに対してどう考えるかという問題を提起している、このように思っております。  そういう意味で、結論的に申し上げますと、アメリカのSECというような問題は、一見極めてはっきりして効果的のように思われるかもしれませんが、私はそれは違うと思っておりまして、むしろこれから不祥事が起きないようにするのには、従来の証券行政と、そして監査行政、まあ一般行政とは別の監査機関でございますが、それと民間の自主規制、それが、三本が一緒に働いて初めて健全な金融市場が建設される、そのように感じておりますので、その大蔵省の行政と監視機構と、また業界の問題がうまく円滑にそういう行政面において話し合いができるというためには二重行政は避けるべきである、こう私は考えておるわけでございます。  ただ、監査の独立性につきましては、もうくどくど申し上げませんが、私ども報告書にも詳細書いてございますが、一言申し上げますと、委員は職権を独立して行う、任命は大蔵大臣のもとにはございますけれども、職権は独立して行うということを明記しておりますし、監査はこちらの新機関で全体を統括するとも言っておりますし、それから委員の、委員長の任命については特にはっきり、大蔵大臣の任命であるけれども国会の同意を要すると、そういう担保もとっておるわけでございますので、総体的に見ますと、こういうことで今後不祥事が発生しないようにやっていただくには、どこの圧力ということも一切なしに私はこれが最上と思って、今もそう思って御説明申し上げている次第でございます。
  207. 中井洽

    ○中井委員 そういうお考えに立ったときに、逆の意味でお尋ねを、これは行革審の会長ということじゃなしに、また個人でも結構ですが、お考えを御披露をいただければありがたい、こう思うのであります。  今回の事件、あるいは大蔵省だけじゃなしに日本の役所全体、戦後から日本の産業を育てるんだ、守っていくんだ、大きくしていくんだ、業界とともども頑張ってこられた、このことは事実であろうかと思います。しかし今日、もう金融機関も証券会社も世界一だ、そういうときに、なおかつまだ業界と十分な連絡をとって守らなきゃならないのか、保護しなきゃならないのか。私は、役所というのはそうなったときにはどんどん監視機関、これを強くすべきだと思います。特にお金もうけですから、幾ら精神論を言ったって、悪いことをする、何をやってもお金もうけした方がいいんだ、こう思うのがこの金もうけの方に頑張っていらっしゃる方の根本にあると私は思うのです。それをやはりきちっと監視していく、こっちの方を強めるのが大事だと思います。  それで、会長のおっしゃったように大蔵省の中で監視機関を置くべきだ、こういうことであるならば、将来的に大蔵省がその許認可、そういったものをどんどん手放して、先ほどお話ありましたように自由に活動してもらう、そのかわりきちっと監視をする、こういった方向へ行政機構全体が移っていくべきじゃないかと私は思いますが、いかがお考えでしょうか。
  208. 鈴木永二

    鈴木参考人 今おっしゃいました御趣旨には私も賛成でございます。やはり世の中が変化してこれだけ世界一、二の証券会社というものが出てきておる時代において、いわゆる業界保護の行政というものの跡を引きずっていたということがこの不祥事の一つの原因でもあろう、こう思っております。しかし、それはどうしても人間には意識のずれというものがございますので、これは大蔵省だけを責めるというわけにもいかず、我々にもそういったことに陥っている面が多々あるだろうと思いますが、しかし、それで大蔵省が免責だということを申し上げているわけじゃございません。そういうことで、意識のずれというものを早く断ち切って行政をやっていただきたいということが私の希望でございますし、今申しましたように二重行政というものをなくさないと、今自主規制を構築していくとかいろいろな問題がたくさんございますので、市場行政ですから、今おっしゃいましたように業界行政じゃなくて市場行政をこれから強くやっていくわけですから、そういう意味においてやはり連絡は十分持てる。ような八条機関ということを私は考えておる次第でございます。
  209. 中井洽

    ○中井委員 この答申の中には、補てん先のことあるいは顧客の自己責任ということについて何点がお述べになっていらっしゃいます。「相応のペナルティが課せられていないのではないかと受け取られていることに起因する面が大きい。」あるいは「損失補填を受けた顧客側に刑事罰を課すという今回の証券取引法改正案についても投資家の自己責任原則の徹底に資することを期待する。」こういう文言がございます。  私ども、今回の法案に各党賛成ということで、それは大変結構なことだと私個人は考えております。しかし、法案の中身については、この補てん先の罰則、とらまえ方、野党各党また自民党さんの中にもいろいろと議論があったとおりでございます。この答申の中で補てん先あるいは投資家についてお述べになっている部分、もう少し補足して今回の法律に関して御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
  210. 鈴木永二

    鈴木参考人 補てんの具体的内容とかそういうものにつきましては、私どもは直接はタッチいたしておりませんので、ここでお答えするだけのあれを持っておりません。  ただ、今おっしゃいましたように、これから新しい事態に対する証券業、業界の強化というものにつきまして——市場でございますね。言葉があいまいでございましたので訂正いたしますが、証券市場の強化、自由化、そういったものにつきましては一段とお力をいただきたいと思いますし、先ほど御心配の大蔵省の中にあるじゃないか、私どもはもう独立して権限を執行するという担保をたくさん述べておりますので、私は独立した機関、このように思っておるわけでございますので、その実効が上がるように適当なる人物の方を御推薦いただきますように、余分なことでございますけれども、私は立案者の一人としてお願いする次第でございます。
  211. 中井洽

    ○中井委員 鈴木会長にもう一問だけお答えをいただきます。  この答申の中に「この改革を通じ、全体として組織が膨張することのないよう配意するものとする。」こういうふうにございます。そのほかにも、大蔵省にも本省に検査の部門を必要最低限残すのだ、こういうことがございます。そうしますと、今の大蔵省の三局の中にあります検査部門をまとめて新しいところへ移らす、そして本省にも残される。そうすると、大変な対象機関があります。これらを、先ほど報告を聞いていただいたと思いますが、四大証券特別検査するだけでももう二カ月かかってもまだ結論も出ない。組織を膨らまさずに本省へ幾らか残しておいて、残りの人たちの人数で膨大な対象機関を十分監視ができる、あるいは監視を強化する、こういう機能が働くとお考えでございましょうか。
  212. 鈴木永二

    鈴木参考人 結論の方を先に申し上げますが、できるということで提案しております。  と申しますのは、例えば銀行にしましても証券にしましても、先ほど言いましたように、大蔵省、日銀が直接支店なり本店へ行って検査してそれで摘発するということはとてもできない。これは、私先ほど申し上げました。私が言っていますのは、今緩んでまいりました審査部門とかあるいは内部牽制制度。今、会計でこれは十分研究されてどこの会社でもやっておるわけでございます。そこら辺がたがが緩んでいる。そこをぴしっと制度をつくり直す。そして、それを幹部が、トップがどれだけその実行を監視しているかということを監視する。そういう間接監査と申しますか統制の方法を、機構をうまくやれば十分私はできる。そういう意味において、大蔵省証券行政それから自主機関も、そして今度つくることをお願いしています監視機関も、やはりそこに業務上の十分のタイアップをしながらそういったことができるようにやっていただかなければならぬと思いまして、制度として、また実際問題として私はできると、このように申し上げます。
  213. 中井洽

    ○中井委員 お忙しいところ、ありがとうございました。どうぞ……。  証券協会の会長、参考人にお尋ねをいたします。  この審議会の答申の中に「同協会の定款を見直し、業界団体としての性格を払拭し、自主規制機関に純化すべきである。」こういう答申がございます。これをどのようにお考えになって、どのように実行なさるおつもりでありましょうか。
  214. 関要

    ○関参考人 私ども日本証券業協会証券取引法に基づく自主規制機関としての性格を持つと同時に業界団体としての性格もあわせ持っているということは、先生指摘、また行革審がお取り上げになったとおりでございます。それで、行革審の御答申の中で私どもの自主規制機能を強化充実するようにという御指摘がございまして、こういったものについて、こういった御提言について速やかに検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。  今、組織の問題といたしまして、定款を直して性格の純化を図ってはどうかという部分が入ってございます。これにつきましては、もちろんそういった御提言について十分私ども検討させていただきたいと思いますけれども、目下の急務は、何よりもその自己規制の機能をもう少し充実強化する、それに全力を挙げたいと思っております。そういうことをやりまして、さらにそれが徹底しない、そしてその原因が、業界団体という性格を持っているがゆえに、そこに問題があるということになりましたら、そういうことになれば、これは何としてでも御指摘のような性格の純化ということをやらなければならないというふうに考えております。  なお、この組織の純化の問題につきましては、私ども、この業界改革を進めるに当たりまして外部の有識者の皆様の御意見を伺うという趣旨で、有識者懇談会というのを設けてございます。そこの一つの検討テーマとしてお願いをしておるところでございます。
  215. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、今回のこの証券金融の不祥事に関して、大蔵省また大蔵大臣が今回の法案提出を契機に一つ一つ順序立てて対応策をやられておる、このことに賛成をいたしてまいりました。一つ一つ着実に抜かりなくやっていただきたい、この思いでいっぱいであります。  この間、いろんな思いをいたしましたが、今日私ども国民に対して、この法律案を成立さすことによって市場の信用回復、第一歩は始まったと胸を張って言えるためには、幾つか問題が残っておる。そういうことで、そういう観点から私は質問していきたいと思います。  その一つは、先ほどから盛んにお話ありました、法律、特に今回の野村証券のような、明らかにだれが見ても外形上株価操作だ、こう言えるものは、残念ながら法律を、論議を幾らしてもなかなか適用はできない、ごういうことであろうか。何でだ、国民の素直な疑問が残る、同時にその限り不信感は残ると私は思っております。  過般、証人喚問の席で、野村証券の田渕前会長は、二つのことをこれについて言われました。一つは、法律禁止してあったら補てんはやらなかった、もう一つは、買い占めの東急電鉄株の問題のときに、一月で売買の三〇%を超えないように気をつけさしておった、こういうことを言いました。要するに、幾ら法律をつくっても、幾ら行政指導したり口頭指導しても、片一方はお金もうけですから、そのすれすれのところをくぐり抜け、くぐり抜けてやっていく。今回の損失補てんなんかでも、本来証券業界が成り立たないようなこと、だれが考えてもわかることを法律禁止してないからやったんだ、こういう形で来る。そして、株価操作だといっても、一月にわたって三〇%を超えてない、だからいいんだ、こういうエクスキューズをつくってやっておる。  だから、これからも法律を後追いでつくっていく、私どもはこのことには賛成でありますけれどせ、要はその適用で、外形的に明らかにルール違反をした、こういうのを罰していくべきだ。しかし法的にいろいろとジャンプするのは難しい、こういったときに、私はどこかでやはり思い切って処分をしていく、これが大事だ。そのためには自主ルールの罰というもの、ここがジャンプできる。ところが、心配していますのは、今までの論議の流れていくと、自主ルールも細かく補てんの定義から何からかんからつくってやっていく。そしていざ、今度は問題起こったら、いや、その自主ルールのところはクリアしているからいいんだという形で逃げ込んでしまう、このことが一番やってはならないことだと思うのでありますのでは、法律でジャンプできないと言いますが、実は先ほど法務省の方が少しお答えになったときに、公害法の問題が出てまいりました。公害のいろいろな規制の法律、あの法律をつくるときに私ども随分議論をいたしました。あれは随分割り切ってジャンプしてつくった法律であります。しかし、その法律をつくるときには随分論議があったけれども、割り切ってつくったために、世界一公害大国だと言われた日本が今公害対策においては世界一だ、こういうところまで来た。どこかで、この証券や銀行の不祥事に関しても、そういうふうに割り切って罰を与えるんだ、ペナルティーを科すんだ、こういうところがなければならないと思います。それは私は、自主ルール、それを運用される東証やあるいは証券協会の責任であろうか、こんなふうに思います。そういった私ども意見に対して、大蔵大臣どのようにお考えになるか、それぞれの御参考人どのようにお思いになるか、お答えをいただきます。
  216. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先刻来何回か同じ問題が論議の俎上に上ってまいりました。私どもが今回の法改正の中で、この損失補てんにつきまして具体的な補てん行為を列挙いたさなかった理由は既に申し上げたとおりでありまして、こうした、今御審議をいただいておりますような構成要件は、これ自体として明確なものでありますし、他の立法例もあることであります。  問題は、今委員が述べられた自主ルールの位置づけということでありましょう。私は、仮に正当な業務と認められないような自主ルールをおつくりになった場合、そういった自主ルールによって違法性を阻却することにはならないと思います。これは恐らく法務省にお尋ねをいただきましても同様の御回答がいただけると考えておりますが、自主ルールは、先刻来述べられておりますように、明確な、正常な商取引として許されるものを書いていかれるわけでありまして、その接点部分は、いずれにしても残ります。その解釈を甘くしないように、厳しい目を持ってこれを見るようにという御注意は我々としても大切にしたいと思います。
  217. 長岡實

    ○長岡参考人 今回のような不祥事の再発を絶対に防止するために一番大事な問題は、証券会社みずからが営業姿勢を改めることであり、そして私ども自主規制機関が自主規制機能を十分に発揮することであろうかと思います。  そういった観点から、今回私どもがつくります自主規制のルールにつきましては、証券業界の自主規制機能を高めることによりまして不公正な取引とか不明朗な取引を防止することを目的としているわけでございます。したがいまして、そのような考え方から、この運用に当たりましても厳正にやってまいりたい。その気持ちのあらわれの一つといたしまして、今回定款改正により、あしたの総会で承認が得られれば、過怠金を徴するといったようなところまでいかない場合には戒告処分というものを新たに処分の中に入れまして、そしていわば軽微な違反のようなものがあった場合には戒告処分をして、しかもそれを公表するというところまで私どもは考えておる次第でございます。
  218. 関要

    ○関参考人 ただいま協会で作業しております自主規制ルールの取りまとめに当たりましては、ただいまの先生の御趣旨を十分踏まえて対処していきたいと思っております。  また、一般の協会の規則違反に対するいろいろな処理につきましても既に発表いたしておりますけれども、監査の結果に対して厳正に対処するとか、そういう方針を既に打ち出しております。それにつきましても遺漏ないように処置してまいりたい、こういうふうに思っております。
  219. 中井洽

    ○中井委員 今、長岡参考人からお話のありました公開ということは非常に大事なことだと考えております。どうぞ証券協会さんにおかれましても、自主ルール制定後、これの適用あるいは不適用、こういったことについて公開を常にしていく。今回の問題でも、去年自主報告をしたときに大蔵省が公開して発表しておれば何でももっと早く済んでおった、こういうことは私どもは常に感じて質疑をしてきたところであります。その点を重ねて要望させていただいて、お二人の参考人、もう結構でございます。ありがとうございました。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕  これに絡んでもう少しお尋ねをしていきたい、このように思います。  過般この国会へ、委員会へ中間報告が出されました。その場で大蔵大臣から四大証券に対する処分的なことの発表がなされました。検査が終わったらいずれ新たな処分が出ると私どもは考えておりますが、間違いないかどうか、このことが一つであります。  それからもう一つは、こういったときの役所の業界に対する処分、私は、役所だけではなしに業界、会社もお考えいただかなければならないけれども、処分そのものが甘いのじゃないかという感じを抱いております。例えば、過日証人喚問でお越しいただいたある人は社長をおやめになりました。責任をとったということでありましょうが、御当人は副会長になられておる。一般の人から見たら、月給上がっておるじゃないか、こんなのは処分じゃない。今回のような情けない問題が起こるのは、やはり会社のために金もうけをしたんだからいいじゃないか、怒られても、当人が罰則を受けても後は会社が面倒見るよ、こういう形で今日まで日本経済の運営が大半なされてきた。そこに幾らたっても会社の中身論議と社会一般常識が合わない面が出てきた。日本国内だけで処理をする、日本国内のことだけで済んでおるうちは、私はある程度それもやむを得なかったかと思います。しかし、もう世界の本当に経済大国、トップの国になろうとしている日本が、ありとあらゆる経済活動の面でやはり世界に通用するようなルール、規律というものを確立していくべき時期じゃないか、このように思います。おやりになった個人個人に恨みはありませんけれども一つ一つの処分がやはり個人にきちっといって、そして幾ら会社のためにやっても反社会的な行動をすれば個人に罰がかかる、そして会社が面倒見てくれない、こういったことをきちっとやっていかないと日本のサラリーマン的犯罪あるいは反社会的行為というのはなくならないと私は思います。そういった点で大蔵省のお考えを承ります。
  220. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先日中間報告をいたしました際、私はその中間の報告をこのような言葉で締めくくっております。「上記諸問題の各検査結果が確定次第、各社に対し厳正に対処する所存であります。」私はそのように申し上げました。そして今まさに特別検査が進行をしているさなかでありますが、その結果を待ち、世間から御納得のいただけるような対処をしなければならないと考えております。
  221. 中井洽

    ○中井委員 通達を自主ルールにするという形で先ほどから私も論議をさせていただきました。証券に関して四百数十件通達があり、それを法律にするもの、自主ルールに分けるものと大変な作業がなされておると聞いておりますが、銀行や生保、これに関してもそれぞれの局長から通達あるいは口頭指導、こういったものが出て、その中で行政が行われているのは事実であります。今回、どうやら銀行局あるいは証券局、これらの監査機構が統一されて独立した方向で強化される、こういう方向が出てまいります。そのときに証券業界の通達だけは法律化と自主ルール化される、口頭指導はなくなる、しかし銀行と生保の方はそのままある、これではもう全く行政として片手落ちと思わざるを得ないし、また銀行や生保で今回の証券と同じような通達無視の大不祥事が起こる可能性も出てくると私は思います。そういった意味大蔵省は、銀行、生保等の通達、口頭指導もすべて法律化あるいは自主ルール化、こういった方向への作業を始められるおつもりはあるのか、お尋ねをいたします。
  222. 土田正顕

    ○土田政府委員 その通達の問題でございますが、金融界の場合は証券界に比べまして相手の業態が幾つもに分かれておりますので、証券界におけるほど簡単にはいかないかと思いますが、一々の相手ごとに例えば報告なり届け出なりを求めるべき事項は違いますし、それから大体において非常にその数が多いのは経理基準その他に関係するようおものでございまして、行為規範としての通達はさほど多くはないように思っているわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても私どもの方も金融行政の透明性を高めるべく簡素合理化を目的とした通達の見直し、整理を、殊に銀行行政につきまして研究してみたいということで、この関係のメンバーも内々選考いたしまして、これから段取りその他作業を考えてみたいと思っておるわけでございます。
  223. 中井洽

    ○中井委員 せっかくの御答弁ですが、私はちょっとおかしいと思うのであります。そういつ形で銀行局に通達やら口頭指導のやつが残っておる。そして片一方では来年度新しい検査体制ができてくる。そしてその中で証券に関してだけは法律と自主ルールでやっていく。その中で監査・監視機構が監視をしていく。銀行はそうすると、この銀行の監査やら監視をする人たちは銀行局の方を向いて、通達と比べ合わせながら監視、監査をやるわけであります。そういった形に思わざるを得ない。やはりそろえて、大蔵省全体としてこういう通達あるいは口頭指導、こういったものをなくしていく、そして検査・監視は一つにまとめていく、そういう方向へ動いて初めて今回の不祥事の後始末、対策が確立てきるんじゃないかと私は思います。大蔵大臣、いかがですか。
  224. 土田正顕

    ○土田政府委員 基本的な方向としましては、委員指摘の方向をよく意に体して心がけてまいりたいと思っております。  ただ、若干申し添えますと、金融行政につきましては数年来基本的に自由化を推進しておるわけでございます。自由化というのは、これは一言で申しますと金利とか業務の制限とか、いわば行為規範についてのルールを減らしていくことでございます。自主ルールでありましても、これは証券界におけるような法律に根拠を持つ、法律によって位置づけを与えられた業界団体が金融界の場合にはほとんどないという違いもございますけれども、自主ルールでありましても、例えばカルテル行為になるようなおそれのあるルールは許されないし、そのようなルールはやめるようにしていくべきである。そういう長期間にわたる行政の展開の中で、そのときどきの位置づけを考えていかなければいけないと思うわけでございます。殊に、この金融関係では銀行法に明文もございまして、公共性にかんがみる監督規定のほかに、やはり経営者の自主性の尊重という考え方もございますので、これも頭に置いて行政を展開してまいらなければいけないと思うわけでございます。したがいまして、この根本は、その内容が、どこにどのような次元の規範に書いてあるかということももちろん重要でございますけれども、長い間にだんだんにではございますがルールを減らしていく、規制緩和を進め、そして必要な規制は残していく、その振り分けをどうするかを考えるのがまず基本ではないかと考えておるわけでございます。
  225. 中井洽

    ○中井委員 銀行局長、大蔵省の中で銀行局が世界ルールに合わそうということでいち早く銀行の金利自由化等に取り組まれた。そして、証券業界はインサイダー取引だとかあるいは五%の規制だとか、そういう世界ルールにマッチするような方向をとり始いた途端にこういう事件が続発をした。逆に言えば、大蔵省銀行局も証券局もそれぞれ世界的ルールに合わすべく御努力はいただいたけれども、やはり遅かった。逆に言えば、それをやったために、銀行なんかはさあ大変だということでめちゃくちゃな過当競争に走ったということもございます。今回のこの金融証券不祥事は、やはり同じような大蔵省と業界との関係、銀行局、証券局の通達行政とそれぞれの業界との関係、そして監視体制、こういったものを含んだ問題ではないでしょうか。それが、証券だけはこういう形できちっとやっていく、銀行は別だ、大蔵省の中に一本筋が通ってないじゃないですか。余りにも違った対応になるんじゃないでしょうか。それじゃ、監視体制一つにしたって一緒だと私は思います。そういう意味で、大蔵大臣、お考えを承ります。
  226. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 お言葉を返すわけではありませんけれども、私は今御論議をいただいております証券の問題と金融の問題には明らかに大きな差異があると存じます。  と申しますのは、金融で今非常に大きな問題になっております偽造預金証書というもの、これはまさに犯罪そのものでありまして、むしろ現在捜査当局の手によって解明が進められ、我々としてはその事態の推移を見守りながら今後の対応を考えなければならない。証券において発生いたしました問題はまさに、あえて私は法の不備という言葉を使います。むしろ法律にあったら、書いてあったらやらなかったとおっしゃった方があるわけでありますから、法の不備という言葉を使わせていただきますが、これは我々自身が解決をしなければならない問題である。質的な差異があると思います。  一方、世界的な金融自由化の流れの中で、それに対応しながら行政努力を進めていく必要があるという点においては、両方とも同じような努力を進めてまいりました。今後もまた銀行局も証券立場でも同じような問題を抱えてまいります。そのプロセスにおいて過去の通達を見直し、そしてより簡素なものにし、透明性を確保していくという努力は、いずれにいたしましても我々が手を抜いてはならない課題の一つでございます。当然のことながら、銀行局におきましても、肩ひじを張っていつまでに見直すとかどうこうという以前の問題として、行政そのものの流れの中で過去の通達を見直しながら、より簡素にして透明性ある行政を目指すという点においては、私は局長も異論がないものと思います。
  227. 中井洽

    ○中井委員 それでは、新しい監視機構が提言されてまいりました段階でまた今の議論はさせていただいて、他の問題に移ります。  先ほど申し上げましたように、おととい中間報告をちょうだいをいたしました。これを見ながら幾つか、どうもわからないところがあるものですから、お尋ねをいたします。  まず、この中間報告で出されました補てんの中で、昨年の九月までに補てんをされたそれぞれの件数と金額、十月以降補てんを実施された金額と件数、お答えをいただきます。
  228. 松野允彦

    松野(允)政府委員 中間報告報告させていただきました損失補てん額、四百三十五億五千二百万円でございますが、このうち平成二年四月から九月までの分が二百三十億四千五百万円、全体の五二・九%でございます。十月以降ことしの三月までの分が二百五億七百万円、四七・一%というふうに分けることができます。
  229. 中井洽

    ○中井委員 私は、こんなことをお尋ねしましたのは、もとの通達も法律化したり自主ルールに移すということですからいいわけでありますが、例えば、どうしてもこの問題の根本でわからないところがあります。平成元年十二月に禁止されて、そして三月までに出してきなさい、そして三月に検査し、また九月にも検査しますよ、こういうことを言われておるわけであります。三月に自主報告を求めた。九月に検査しなかったのか。また、九月にはどうしてその自主報告を求めなかったのか。そこのところがこの全体像の中で私の疑問として残るんであります。お答えをいただきます。
  230. 松野允彦

    松野(允)政府委員 平成元年の十二月に通達を出しましたときに、本省が監督しております二十二社に対して自主報告を三月末までに出すように求めたわけでございます。その元年十二月に出しました通達及びそれに関連いたします事務連絡におきまして、営業特金の適正化の状況についての報告を求めるということをその事務連絡で決めているわけでございまして、営業特金の適正化が順調に進んでいくかどうか、特に通達を出したときに既に存在しております営業特金については平成二年末までに適正化する、つまり顧問づきにするか、あるいは確認書をとるかというような措置をとれというような指導を始めたわけでございます。  したがいまして、それについての適正化状況についての定期的な報告はとっていたわけでございますが、通達で厳に慎むということで禁止をしておりました損失補てんというものがその後継続的に行われているというようなことを前提にして通達を出したわけではございませんものですから、その損失補てん状況について継続的にトレースするというようなことは通達発出時には考えていなかった。つまり、そういうことはもう起こらないというふうなことで、通達はあくまでも営業特金をいかにどういうテンポで適正化をしていって二年末まで適正化が進むかどうか、うまく適正化が完了するようにという観点で通達、事務連絡が考えられていたわけでございまして、そういうことから申し上げますと、御指摘のように、どうして損失補てんについてもっと厳しくチェックしなかったのかという御批判は我々として大変責任を痛感するわけでございますが、通達を出したときの判断は、あくまでも損失補てんというのがこんなに継続して起こるということは考えていなかったということは事実でございます。
  231. 中井洽

    ○中井委員 私ども大蔵省の人というのは随分頭いい人だと思うものですから、信じられない思いで今の御答弁を聞かしていただきました。要するに基礎には、自分らの面倒を見ている、自分らの保護しておる業界はいい子だ、自分らが言えばもう悪いことは二度としない、こうお思いになっているとしか思えない。あるいは悪いことをしない、一遍しかったらもう二度と悪いことをしない、いい子いい子にしておるんだ、こういう形で行政指導をされておる、こういうことに理解する以外に考えられないようなことではないか、このように思います。それで、先ほども申しましたように、私は、そろそろそういう発想をもう変えなきゃだめだ。お金もうけですから、甘いことをしたらどんなことでもやってお金もうけをされる。しかも、その会社や業界が小さいうちは悪影響も知れたことであります。しかし、もうみんな世界一の大きさになってきておる。そのときに、まだ甘い感覚で行政をおやりになる、育成しようとされる、保護されようとされる、この発想が間違いだと私は思います。  そういった意味で、大蔵省のこれからの方向というのは、私は、ほっておいたら何をするかわからない、徹底的に監視をする、こういったことを主眼とする、そしてその他の細かい許認可等は、先ほど行革審の会長に申し上げたように、どんどん自主ルールやらあるいは自由化という方向を考えていく、これが大蔵省のこれからとるべき方向じゃないか、こんなことを痛切に思います。そういう意味で、大蔵大臣のお考えを承ります。
  232. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もし理想を申しますならば、私は、国が何らかの監視・検査といった機能を持ちませんでも、業界が見事に行動してくれるのがベストだと思います。そして、先ほど行革審会長が述べられました自主規制機関が大事なんだというお言葉の中には、恐らくそのような思いが込められていたと私は拝聴をいたしておりました。そして、行政の立場からいいましても、自主規制機関がそれぞれの自主ルールに従って市場を監督し、あるいは企業を監督し、その自主規制機関が適正に働いているかどうかを行政はチェックする、それが一番望ましい姿であります。  しかし、それだけでは足りません。必要に応じてその市場の状況あるいは企業の行動に対して行政が直接検査、監督を行う必要性というものは当然あり得るわけであります。私は、行革審の御客甲というものの中で、将来に対する方向というものをそのように読みました。  そして、我々には、その中で新たな八条委員会のもとにおける、従来大蔵省の持っておらなかった機能を付与された、省内にあるとはいいながら独立の地位を持つ委員会というものを設置する、その部分についての大臣権限を委任する、そしてその部分には我々が介入できないという、大蔵省にとって非常に厳しい案というものを提示されたものと、私はそう受けとめております。同時に、証券業協会に対しましても、取引所に対しましても、自主規制のルールとというものを明確化し強化することを求めておられるのだと思います。そのような方向で私どもとしては努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  233. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  234. 大野明

    大野委員長 これにて中井君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 橋本大蔵大臣は個人的には友人ですし、大変長い間つらかったろうと同情いたしております。私も古い人間ですが、今、日曜日NHKで「太平記」をやっております。尊氏が出てまいりますけれども、楠木正成が尊氏に送った書簡の一部に、「大事なもののために死するは犬死にとは申さぬものと心得居候」。今、橋本大臣にとって大事なこととは何か。それはこの今度のような証券不祥事がまたと起こらないような防止策を講ずること、それを講じられれば、たとえあなたが責任とっておやめになっても、犬死ににはならない、こういう期待を持って見ておりましたが、残念ながら出てまいった防止策は不十分であると私は思います。  かつて、どなたかが指摘されたかもしれません        けれども、第二代目の大蔵省証券局長加治木さ        んがこのように指摘しておりますね。「証券局長になって気がついたのは、まず第一に証券市場か投資家のためでなく証券会社のための市場だということだった。」「投資信託も同じで、本来お客から預かってそれを運用するものであるのに、これを証券会社の指示一つでどうにでもなるものであった。」「お客さんからの信用を受けて行う業務を自己の証券業務に利用していたのです。」これが大蔵省第二代加治木証券局長の指摘です。大いにこの指摘が当てはまる部分が多いのじゃないで出すか。こういう点を直さなくちゃだめだと私は思うのです。  それで、日本証券業協会の会長さん、参考人でお見えになっておりましょうか。——お伺いしますが、おたくに堀越健男という方が協会の審査室長に就任されておりますね。間違いありませんか。もう一つ、竹越省三という方が同じく証券業協会業務部長に就任されておりますが、間違いありませんか。
  236. 関要

    ○関参考人 お答えいたします。  両名がそういうポストについているのは間違いございません。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 堀越という方は大蔵省証券局上席検査官を定年前にやめられて行かれた。竹越という方は同じく大蔵省証券局業務課の課長補佐を途中で退官されて、そして行かれた。こういうあれは天下りというのですか。普通天下りというものは、定年になってやめて行くのが天下りじゃないんですか。現役が行く、ここに意味があるのです。だから、ほかの党の方も指摘をされたとおり、この二人がおる限りは証券業界のことは全部大蔵省報告が行っておるはずだ。そういう任務を本来負っていらっしゃると私は思うのですよ。  それで、そういう形の中で、私は失礼ながら店頭登録をちょっと問題にしたい。かつてリクルートがそうでしたが。店頭登録株の実質の許可権は、証券業協会じゃなしに大蔵省証券局の流通市場課が一〇〇%権限を持っているんじゃないですか、実質はいかがでしょうか。
  238. 関要

    ○関参考人 証券業協会の機能といたしまして店頭市場の登録制度というのを運営いたしております。それは協会の規則でその運営について定めておりまして、そういった店頭登録を希望する企業がありました場合、いわゆる幹事証券が十分審査をした上で協会にそれを提出をいたしまして、協会でさらに審査の上、協会が理事会においてその当否を決定いたしております。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと、せんだっての証人、参考人喚問のときに証人と参考人が虚偽の答弁をされておる点について明らかにしておきたい。  まず野村証券の田渕さん、この方は稲川会の石井前会長との出会いについて、日にちを虚偽を言われておりますね。これは証人です。それから住友銀行、住銀、この巽参考人に対して私は杉山商事の問題を聞きました。杉山商事には評価損が、あえて赤字とは言いませんと私は断っているのです、赤字とは言いませんが、評価損は五百億円以上出ておったはずです、それをおたくは知っておったはずなのに、どうして六十三年の秋にこの杉山商事をイトマンに売りつけられたのですか、こういう質問をしたのに対し、巽さんは「六十三年イトマンが引き取る際に五百億円の含み損があったということは絶対にございません。」と答弁をされました。これは事実に反します。  以下、資料をお配りしたいと思いますが、委員長、よろしゅうございますか。——今から出します資料は、これは杉山商事の含み損をあらわす一部の資料なんです、たくさんあるから。私がなぜこの一部——これにチュリス赤坂というのが入っている。これはかってリクルートのときに、江副さんもそこの部屋を持っている。私は赤坂宿舎で、赤坂宿舎の庭のところに立っておるから、いつも私どもは見おろされておった、江副さんから。ところが、杉山商事がここに部屋を持っている。だからこれが入っている一部を、まあ、そういう意味があったから一部を出しております。評価損がこの一部でも六十二億出ております。だから、この巽さんの答弁はうそであります。次に、問題の伊藤寿永光をイトマンの河村前社長に引き合わせたのは住銀の元名古屋支店長の大上信之常務というふうに巽さんは答えられたが、それは違うんじゃないですか、それは形式上で、実際はその大御所の磯田さんじゃないですか、私はその証拠を持っておりますと言ったら、そういうことは絶対ありませんとおっしゃいました。  時間がないから一つだけ言っておきます。磯田さんの娘さんと伊藤寿永光さんは非常に懇意な仲であります。これだけ申し上げておきます。時間を与えていただければ十分言います。  それで、私は店頭登録に入りたいのですが、平成二年、昨年、店頭登録公開の企業数は大体どのくらい、何社ぐらいですか。(発言する者あり)何ぼでも問題を起こしてください。待ってますから。
  240. 関要

    ○関参考人 平成二年の登録数は約七十ないし八十だと思います。
  241. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 七十九社じゃありませんか。  それで、この店頭登録するときに、リクルートもそうでしたけれども、一遍店頭登録をすると無利息で資金が調達できる。大体一企業四百億円、五百億円、一社平均総額二兆から四兆円。この総額のうちの五%程度がいろいろなところに流れておる。証券会社大蔵省あるいは政治家。  一例を挙げます。THKという会社があります。大蔵省の方に、大臣のところにも訴えが行っておると思いますけれども、請願書が行っておりますね、THKに対して。時間がないから先に申し上げておきましょう。この会社は脱税事件を起こして、五十八年三月三日、脱税事件を起こして懲役二年、執行猶予四年、罰金七千万円の判決が下っておる。店頭登録をしたときにこれが書いてない。そういう点について訴えがあっているはずだ。これは、THKというのはベアリングをつくる会社です。そして日本一の株価つり上げをやったところです。そのTHKから、店頭登録してがぽっと資金が入った。今度、このごろ発表されました自治省の政治献金の中に、この社長は寺町博という有名な方です、これは仕手戦の名人でもあるし。この方が昨年、平成二年一月十八日、百五十万円を渡辺美智雄さんの後援会に出されておりますね。これは自治省発表です。そういう問題のある会社、訴えが出ておる会社からそういう金をもらうということは政治倫理上問題であるのではないかというのを私は言いたい。問題なところから献金が出されておる。時間さえあれば言いますよ。だから、そういう姿勢をまず私は直さなくちゃいかぬ。  だから私が言いたいのは、この店頭登録をするときにチェックを厳しくしていただきたい、これも再発防止の中に入れていただきたい、これが私の願いである。  それから、やはり興銀と関係のあることで問題になりました、私がやって、末野興産知っているかと言ったら、共産党がさんざんやったよとやじが飛びました。そのとき時間が来たからやめました。共産党の方がやられたのはさんざんじゃないのです。一つだけです。たくさんあるのです。それも時間がないからやめますけれども、ここからも、これに関連してリバー産業というところからやはり大蔵省関係に、大臣、次官それから証券業協会にも訴えが行っているはずです、要請書が。  どうしてそういうことになるか。つまり、SECのようなものがないからそうなるのです。訴えが行くのです。証券業協会に行ったら、大蔵省から出てきたさっきの方は何とおっしゃるか。そんなものは地検に行ってくれ、こうなるのです、今の状態は。だから、その監視委員会がそういうことをし得るような委員会にしてもらわないとこういうことが絶え間なく起こる。これを私は要望して、時間が来ましたからやめます。ありがとうございました。
  242. 大野明

    大野委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  243. 大野明

    大野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  244. 大野明

    大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  246. 大野明

    大野委員長 証券及び金融問題に関する件について調査を進めます。  この際、穂積良行君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合五派共同提案による証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関する決議を行うべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。穂積良行君。
  247. 穂積良行

    ○穂積委員 ただいま議題となりました決議案は、この特別委員会における先ほどまでの審議を踏まえ、与野党協議の上取りまとめられたものであります。  本案につき、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明にかえさせていただきます。     証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関する決議(案)   今般の証券及び金融に関連する一連の事件は、証券金融史上かって例を見ない重大な不祥事であり国民の信頼を裏切る由々しきものであったと言わざるを得ず、誠に遺憾である。   本委員会は、今般の事態を深刻に受け止め、これまでの審議を通じて、なぜこのような不祥事を招くに至ったのか、事態の解明に努め、その原因と責任について厳しく追及するとともに、不祥事再発防止の方策について真剣に検討を行い、このたび緊急に措置すべき事項について証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部改正を必要と認めたところである。   証券及び金融が我が国経済において果たすべき重要な役割にかんがみれば、証券市場が一刻も早く国際的に通用する公正で透明な市場として再生し、また金融機関が国民の貴重な財産を預かる者としてその信頼を回復することが急務であると考える。   ゆえに、政府をはじめ関係者は、次の諸点につき、所要の検討を行い、適切な措置を講ずべきである。  一 法制審議会における審議状況等を踏まえ、損失補てんに係る罰則につき、法人重課制度を導入すること。  二 証券会社の顧客が損失補てん認識をもって財産上の利益を受ける行為に対する罰則の適用については、引き続き検討を行うこと。  三 証券業協会及び証券取引所により決定される自主ルールは全て公開し、本制度の運用に関し、その内容が具体的かつ明確となるよう配慮すること。  四 証券市場に対する信頼の回復、市場の健全な発展のためには、証券業界の自浄努力が不可欠であることにかんがみ、証券業協会及び証券取引所は、自主規制機関としての機能の充実強化を図るとともに、苦情処理体制の整備を行うこと。  五 証券及び金融の不祥事の再発防止のため、行政部門からの独立性、中立性を踏まえた新たな検査、監視機関を設置する等実効的な体制の確立に努めること。  六 顧客の行ういわゆる仮名取引の受託等の禁止並びに誇大な証券記事及び広告等不適当な営業行為の規制については、その徹底のためさらに指導を強化し厳正を期すること。  七 証券界における有効かつ適正な競争の促進の観点から、証券市場への新規参入を図るため金融制度改革の推進、免許制のあり方等の見直しを図ること。  八 小口規模の投資家へ配慮しつつ、売買の委託手数料制度については自由化等も含め検討を進め、引受手数料等についても適正な水準とするための努力を続けること。  九 証券取引法、銀行法その他の法律に照らし、金融証券市場の公正を損なうような事態が認められた場合には、すみやかに国会に報告するとともに、監督官庁である大蔵省は、機動的な法運営を行い、行政処分等適切な措置を講ずること。  十 証券金融業界における暴力団の介入を排除するため、業界における顧客管理を一層厳格化し、司法当局における暴力団活動の取締りなどの施策と整合性をもって対応すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  248. 大野明

    大野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  249. 大野明

    大野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり決議することに決しました。  ただいまの決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。橋本大蔵大臣
  250. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。(拍手)
  251. 大野明

    大野委員長 お諮りいたします。  本決議に関する議長に対する報告及び関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会