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1991-08-28 第121回国会 衆議院 証券及び金融問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年八月二十八日(水曜日)    午前九時開議 出席委員   委員長 大野  明君    理事 衛藤征士郎君 理事 戸井田三郎君    理事 中村正三郎君 理事 穂積 良行君    理事 松永  光君 理事 加藤 万吉君    理事 中村 正男君 理事 草川 昭三君       浅野 勝人君    粟屋 敏信君       魚住 汎英君    遠藤 武彦君       尾身 幸次君    奥田 敬和君       金子 一義君    木村 義雄君       笹川  堯君    田中 秀征君       津島 雄二君    野田  実君       真鍋 光広君    松本 十郎君       村井  仁君    村上誠一郎君       山下 元利君    井上 一成君      宇都宮真由美君    大木 正吾君       仙谷 由人君    細谷 治通君       松浦 利尚君    水田  稔君       安田 修三君    渡辺 嘉藏君       坂井 弘一君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    正森 成二君       中井  洽君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         法 務 大 臣 左藤  恵君         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         文 部 大 臣 井上  裕君         厚 生 大 臣 下条進一郎君         通商産業大臣  中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     吹田  愰君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      越智 通雄君  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第三         部長      津野  修君         警察庁刑事局長 國松 孝次君         警察庁刑事局保         安部長     関口 祐弘君         経済企画庁調整         局長      吉冨  勝君         法務省刑事局長 井嶋 一友君         大蔵大臣官房総         務審議官    小川  是君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房総         務審議官    井上 孝美君         文部省高等教育         局私学部長   奥田與志清君         厚生省年金局長 加藤 栄一君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       麻生  渡君         通商産業大臣官         房審議官    榎元 宏明君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第四局長  白川  健君         会計検査院事務         総局第五局長  中島 孝夫君         参  考  人         (日本銀行総裁三重野 康君         参  考  人         (日本証券業協         会専務理事)  関   要君         参  考  人         (東京証券取引         所理事長)   長岡  實君         証券及び金融問         題に関する特別         委員会調査室長 兵藤 廣治君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十八日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     真鍋 光広君 同日  辞任         補欠選任   真鍋 光広君     浅野 勝人君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  証券及び金融問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  証券及び金融問題に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁三重野康君、日本証券業協会専務理事関要君及び東京証券取引所理事長長岡貴君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 大野明

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本十郎君。
  5. 松本十郎

    松本(十)委員 私は、今問題になっております銀行界並びに証券界不祥事につきまして、総理を初め関係大臣質問をいたしたいと思います。  まず、銀行関係でありますが、架空の預金証書、これを不正に偽造いたしまして、それを担保にノンバンク等から融資が行われておる、こういう事件が相次いで起こっておるわけでございます。このようなことは信用第一と言われる銀行にとってあるまじきことであり、我々の長年の感覚からいたしましても、どうしてこのようなことになったのかとまことに慨嘆にたえぬという気持ちでいっぱいでありますが、さらにまた、証券界におきましては、さきに損失補てんを主としまして、あのような不当な行為業界の中で頻々と行われておるわけでありまして、これまたゆゆしきことという感じであります。何と申しましても、一般投資家国民大衆は、大口の投資家だけが補てんを受け、さらにまた一部の暴力団関係した者が特別に有利な扱いを受けておるのではないかというふうな疑念を持っておるわけでございまして、これに対する不公平感といいましょうか不信感、不満はちまたに満ち満ちておる、こういう実情であります。  また、銀行に対しましても、かつては信用第一という、信用銀行の生命だとまで言われてまいりましたのに、このような信用を失するような、失墜するようなことが相次いで起こっておるということはゆゆしきことでございまして、これに対しましては、やはりまず経営者経営態度、そこに問題があるのではないかということが感じられるわけでございまして、これらの経営責任をどのように監督大臣として大蔵大臣感じておられますか。  さらにまた、免許業界の業者である銀行であり証券会社でありますので、大蔵大臣監督責任ということも大変だと思うのでありますが、その辺についての大蔵大臣の御見解をまず伺っておきたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今国会の冒頭、本会議における御答弁を始めます前に、まず国民に対するおわびの言葉からこの国会における答弁を開始いたしました。本日改めてこうした問題について特別委員会を院におつくりをいただくという事態になりましたこと自体、監督責任者として恥じておりますし、また申しわけないと思います。そして、その責任を免れるつもりはございません。  今、二点にわたって御指摘がございました。  まず第一点、順序を逆にして恐縮でありますが、金融界におきまして、今回巨額の偽造預金証書作成事件が連続して発生をいたしました。その中に、私自身の元秘書の軽率なかかわりということも御指摘を受け、この点は私個人としてもその責任を痛感しているところであります。また、そうしたことを離れてみましても、委員が御指摘になりましたような非常に公共性の高い金融機関というものの性格にかんがみて本当に遺憾としか言いようがありません。金融界におきましても、安易な業務の拡大、収益第一主義というものの反省に立たれ、既に全銀協などの各協会におきまして業務運営全般について総点検を行う、そして、その中で内部管理体制見直し改善役員教育などを通じて社会の公器である金融機関使命、さらにもう一度その再徹底などを図ることについての申し合わせを行っておられると承知しています。また個々の銀行におきましても、従来の業績第一主義というものに対して、むしろ業務評価見直し、また銀行社会的使命公共性に重点を置いた行員教育推進に取り組み始めたと聞いております。  また、証券業界に対する問題として、今広く投資家のみならず国民一般から非常に大きな不信を招いてしまったこの現状に対して、まずやはり証券会社自身が襟を正され、再発防止に向けての最大限の努力を払われることが何より大切と考えております。証券業界におかれても、内外からの強い批判や厳しい叱責を受けたことによりまして、深く反省をされ、証券会社営業体質改善など業界自己改革に真剣に取り組まれていると聞いておりまして、具体的には、業界自己改革推進する体制を整えるために、証券業協会内部証券業協会長本部長とする業界改革推進本部を設ける、また証券界外部有識者から忌憚のない御意見をちょうだいして自己改革の指針とすることを目的として有識者懇談会を開催すると聞いております。  いずれにいたしましても、一連のこうした不祥事というものが免許会社としての規範に著しく反し、国民からの信頼を大きく傷つけた行為であることは言うまでもなく、関係業界としての反省は無論のこととして、その行政に当たりました私どもとしても、改めてその反省を求められている状況にある、そのように認識をいたしております。
  7. 松本十郎

    松本(十)委員 厳しい反省の上に立ってこれからやっていただかなければいかないわけでございますが、まずやはり真相を究明しながら、その責任がどこにあったのか、それに対する対応措置をきちっとやって国民の皆様の理解をいただき、地に落ちた信頼をもう一度取り戻していくことが大事だと思うのでありますが、もう一つ証券業界に対しましては、ゆゆしき問題があるやに感ずるわけであります。これは暴力団関係であります。  一部の会社が、しかも指導的立場にあると思われる大きな証券会社暴力団融資あっせんというか便宜を与えてみたり、あるいは株価操作の疑いがあるのではないか、そういうことで大蔵省検査を受け、さらにまた司直の方でもいろいろ調査が進んでいるようであります。実態はそれらの調査の進展を待たなければ最終的にはわからないとは思いますが、こういう暴力団関係金融界あるいは証券界に入ってくるということは、正しい流れを保たなければならない経済の中に、言うなればビールスのようなばい菌が入るわけでありまして、それが年とともに目に見えぬ形で浸透しているのではないか、そういう感じがしてならないわけでございまして、そういった暴力団介入といいましょうか潜入といいますか、そういうことに対しまして、まず大蔵大臣はどのような対応策を考えておられるか、まず伺いたいと思います。
  8. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、一部の証券会社におきまして、暴力団との不明朗なかかわり合いというものが指摘をされております。また、これに関連しての金融機関のあり方につきましても、さまざまな御意見をちょうだいをいたしております。その中には、証券局として特別検査の中において問題の確認を急いでおるものもございますし、また捜査当局捜査にゆだねなければならない、また現に実行されておる部分もあると承知をいたしておりまして、具体的な内容について今私として申し上げることは控えなければなりません。  しかし、いずれにいたしましても、暴力団新法をおつくりをいただきました直後のことでもあります。私どもといたしましては、捜査当局捜査を注意深く推移を見守る、同時に捜査当局から積極的に我々の行政に対しての助言もいただきたい。そして暴力団関係法律を主管される各省庁と御相談をしながら、この結果を踏まえて今後の対応を決めてまいりたい。率直に捜査当局からも助言も求めながらということをつけ加えて、御答弁にさせていただきます。
  9. 松本十郎

    松本(十)委員 そこで、自治大臣国家公安委員長に御質問したいと思いますが、やはり今のような暴力団日本社会の各層に何となく深く潜入しつつある、これはゆゆしきことだと思うのであります。かっては、暴力団といえば賭博、売春、麻薬等々といった陰の部分でいろいろなことをやりながら、また表の社会には入ってこなかった。こういうことで一応日本社会は平静といいましょうか純潔といいましょうか、そういうものを保てたわけでありますが、今のような姿がさらに進むということは、日本社会にとってゆゆしいというか本当に嘆かわしいという一語に尽きる現象でございまして、何としてもこれを取り締まりされる立場にあります国家公安委員長としては、厳しい対応策をとっていただきたい。しかも、先般には暴力団に関する法律ができましたが、たまたまあのときには不当利益といいましょうか、その利益をマネーロンダリングをする場合に収奪するというふうな条項が暴力団に関する新法のときに入りかけたのに、なかなか技術的に問題がある、そういうことで外されたようであります。やはりその辺のところは、これからさらに検討を続けていただいて、一日も早く、そういう面でも暴力団が表の社会に入り込んでくることを防ぐということについて格段の対応策を講じていただきたいと考えるわけでございますが、国家公安委員長立場で御見解を伺っておきたいと思います。
  10. 吹田愰

    吹田国務大臣 お答えいたします。  ただいまの松本先生お話は、私はもっともだと思っておりますし、特に、許すべからざる暴力団というものがこうした問題に介入するということはけしからぬ行為だと思っております。また、それを許す関係にあった関係業界というもの、これまた許すべからざることであるというふうに思っているわけでありまして、けしからぬことであると思います。これは極めて日本国における大衆に対して非常な悪い影響を与えておる、こう思っております。したがいまして、これに対しましては徹底的な措置を講じなければならぬ、こう思っております。  特に、あの新法をつくる際に、私が調査しておる今メモを見ますと、平成二年の九月の上場しておる企業の千九百三十一社、これに対しまして、この暴力団介入という問題について、何らかの形で暴力団が不当な要求その他をしていないかということの調査をしたことに対しましても、証券あるいは保険業関係で七一・何%がある程度のこうした暴力団関係の声がかかっておるということを言っておりますし、あるいはそのほかの建設業飲食業でも五〇%以上のパーセンテージを示しておるということですから、もうこの時点でも極めてはっきりしておるわけであります。そういったことを前提にしまして暴力新法というものはつくったわけであります。  したがいまして、その際、今お話がありましたようなこの不正な収益というものについては、これを取り締まれるような、あるいはこれを収奪できるような、取り上げるということも考えなければならぬ。こうした暴力をもって人に威嚇をする、そういった反社会的行為を行っておるメンバーに対しては、金を持たすということが極めて悪いことですから、金さえ持たなければ、決して暴力団というものはそんなに大きな組織になるわけはないわけですから、そういう意味において、私は少なくともこの問題を立法の中に入れるべきであるということを話し合一つたのですけれども、御案内のように、麻薬条約問題等関係がありまして、そのときはまだ麻薬問題についての批准問題で国内法整理ができないということもありまして、それを今待っておるという状態をのでありまして、私は、ぜひともこのことにつきましては、きちっと整理をしなければならぬ。そういった意味で、麻薬関係の批准に伴う新法と我が方の暴力新法とは整合性を持つということにこれからは努力をしていくということで、社会からこうした批判が再び起きないような問題に持っていかなければならないと思っておりますし、警察を担当しております国家公安委員長といたしましては、まことに申しわけないことであるというふうに思っておる次第であります。
  11. 土田正顕

    土田政府委員 ただいま大蔵大臣から御説明を申し上げましたような考え方を受けまして、私ども警察当局といろいろ相談をしてまいりましたところでございますが、このような状況のもとで、本日、警察庁において、金融及び証券取引等における暴力団介入排除について、各業界団体あて要請を行いたい旨、当省に対して、具体的には警察庁刑事局長から大蔵省銀行局長及び証券局長あて文書によりまして協力依頼がございました。  私どもといたしましても、時宜にかなった措置と考えておりまして、警察庁からの要請趣旨を踏まえ、この種事案防止に向けて万全の体制準備に努めるよう、本日付で私どもの方から各業界団体あて指示をすることにしております。  なお、警察庁の方からは、別途御説明もあるかと存じますが、各業界団体要請文書が出される予定でございます。  今後、金融機関証券会社におきましては、今般の指示及び警察庁要請趣旨を踏まえて、この種事案に関する具体的な問題の防止や解決が図られていくことが期待されるところでございます。
  12. 松本十郎

    松本(十)委員 ただいまの自治省大蔵省といいますか、警察大蔵省との協議の関係というのは一歩前進だとは思いますが、ただ実際問題としまして、銀行窓口あるいは証券窓口等窓口事務に当たる女子社員とか行員が識別しながら対応できるかということになりますと、大変これは難しいんではないか。昔の暴力団といえば、やはり一般の市民と違った雰囲気といいますか姿があって割合識別しやすかったわけでありますが、今の暴力団というのはちゃんとスーツを着、ネクタイを締めて本当に識別しにくい。金を持って預金してくださいと言ったときに、あなたはだめですと言うのは難しいでありましょうし、現金を持ってこの株を買いたいという申し出があったときに、あなたはどうもちょっとと言うのも難しいと思うわけでございまして、先般の事件のような会社の幹部の関与した暴力団関係事態というのはもってのほかではありますが、窓口でそういうことがなかなかやりにくいと思いますので、何か情報、まあ企業舎弟というものが相当あるようでありますが、それについて、警察でとられたものをそういう窓口事務をやる機関に連絡してやって、できるだけどっかの段階でそういうものがチェックしやすいように、今後さらに一層の協力というか話し合いを進めて実行に移していただきたい。これは願いでありますが、警察庁、いかがでありましょうか。
  13. 吹田愰

    吹田国務大臣 お答えいたします。  お話の筋はもっともだと思っておりますし、実は先ほどから銀行局長答弁をされておりますが、私も先日来から警察庁担当局長に対しまして、後ほど答弁をいたさせますが、これらの銀行局あるいは証券局に対しても、監督官庁としてきちっとしたことをしてもらわなければなりませんから、警察庁として、そういう点については全面的な監督権というものに対しての行使について厳重にひとつ申し入れてくれ、同時に、それの裏づけとして業界に対して、少なくともこういった行為に対して情報収集あるいはまたそれに対する、防ぐ、みずから自分たち組織を守るということについての協力会暴力団を寄せつけない協力会、こういったものもみずからつくるべきではないかということについての話し合いもしておりますから、具体的に関係局長がそれに対しまして一々足を運んでおると思います。その点につきましては詳しく今から報告させますので、お聞き取りいただきたい、こう思っております。
  14. 國松孝次

    國松政府委員 お答えをいたします。  今回の国会審議過程で明らかになっておりますように、最近金融証券取引を場とした暴力団による資金源活動が明らかになる一方で、証券会社及びその系列会社暴力団に対し融資あるいはそのあっせんを行うなど暴力団活動を助長するような事態が明らかになってきたわけでございます。  私どもといたしましては、こうした事態を重く見ておりまして、今般関係業界等に対しまして、ひとつどうか、そうした暴力団に対する融資などを行いまして、その資金源活動を助長するような態様の取引はぜひ自粛をしていただきたい、それから、そうしたことを実効あらしめるためにそれぞれの業界機関の中に暴力団排除組織を結成をしていただきたい、その他警察暴力団対策へぜひとも御協力をいただきたいというような点を骨子といたしました申し入れ書を本日、これからでございますが、日本証券業協会長全国銀行協会連合会長及び参考といたしまして東京証券取引所長ほか全国証券取引所長にあててお願いをいたしまして、また、これに関します監督機関でございます大蔵省銀行局及び証券局局長に対しまして、どうかこの旨の趣旨が徹底するようにということでお願いをしたところでございます。  先ほど御質問のございました、こういった両業界に対しましていろいろ私どもの方から情報提供して、こうした暴力団業界に対する不当な介入を防ぐことをすべきではないかという御趣旨の御質問でございますけれども、全く私どもといたしましても、そのように考えておるわけでございまして、これから一層証券金融業界と相互に緊密な連携を図って情報提供をし、あるいはそちらの方からも私どもの方に受けるというようなことをやってまいりたいと思います。  なるほど、暴力団に関します私どもの持っております情報と申しますものは、捜査活動過程で得たものが多くございますので、公務員の守秘義務との関係で微妙な問題が出てくるのも事実でございますが、そういう点をクリアしながら、できる限りそうした情報提供等協力を行ってまいりたいと考えております。  ただ、そうした場合にも、やはり情報提供する場合には情報提供のルールとそれからルートというものが確立しておりませんとなかなか難しゅうございますので、そういう意味でも、先ほど申しました証券金融業界への申し入れに対しましても、どうかひとつ銀行の中に暴力団排除のための特別組織をつくっていただいて、そういうものと私どもとでいろいろな連絡をとっていくという形をとるのが一番実効が上がるのではないかと考えておるところでございますので、そういうことでこれからも努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  15. 松本十郎

    松本(十)委員 吹田国家公安委員長の決断とその統率力に強く期待しながら、警察当局、さらに歩を進めて関係団体と協議しつつ、実効が上がるようによろしく切望しておく次第であります。  さて、このたびの不祥事件、その原因あるいは経緯等を振り返ってみますと、やはりあのプラザ合意が行われまして、国際協調あるいは円高誘導為替調整をやらなければならない、そのときに円高不況日本経済大変だというようなことで追加予算が組まれたり、財政投融資追加があったり、さらにまた金融緩和に向かったわけでございますが、これがさらに金融緩和が進む中で超金融緩和、低金利と、過剰流動性が発生いたしまして、企業手元流動性もふえてきた。金利を払う金をただ寝かしておくわけにはいかないということで、一億総財テクといいましょうか、まあ猫もしゃくしもと言っては言葉の表現がまずいかもしれませんが、財テク財テクというのが一世を風靡するようにみんながやったわけであります。これが土地に向かい、株式に向かい、そうしていわゆるバブル現象が生じている。それが最近になってはじけた。このバブル現象が崩壊する過程において、その後遺症的なものがあちらこちらに噴き出したというのがこのたびの証券あるいは銀行不祥事ではないかと思うわけでございます。そういった金融政策流れなりそれに対する反省につきましては、後刻参考人として出席願っております三重野総裁にお聞きしたいとは思っておりますが、同時に、財政金融政策を担当される大蔵大臣として、そういった数年間の動きというものを振り返りながら、現在の不祥事件の続発というものを前にしてどのような御見解をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  16. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今たまたま皆が財テクに走ったというな言葉がございましたけれども、私は国民すべてが財テクに走ったとは思いません。この点だけはどうぞ御認識をお変えをいただきたいと存じます。  私は、過去を振り返ってみまして、昭和四十八年、第一次オイルショックのときに異常な高インフレというものを日本は体験をいたしました。そして、その経験を生かして昭和五十三年からの第二次オイルショックというものへの対応を考え、そのとき物価の安定というものに非常に気をつけながら、そのときどきの状況に応じた財政金融政策の発動に努めてまいりました。そうした過去の経験の中から、まさに昭和六十年九月のプラザ合意以降急速に進展をいたしました円高の中で、経済活動が停滞する、物価は安定基調で推移していく、何とかして内需中心の景気拡大を図らなければならない、そうした状況の中から政府は財政、金融両面にわたる経済政策を実施してまいりました。そして公定歩合も六十一年の一月以降五次にわたって引き下げられたと思います。そして私は、この政策選択そのものは、その後の日本経済というものを持続的な内需中心の拡大に導いた、それなりの効果を発揮してきたと考えております。  しかし、その一方で、一つの問題がありましたのは、我々は土地というものについての当時まだ武器を持っておりませんでした。そして、その金余り現象と言われます中で相当程度の資金が土地に流れた。たまたま都心部における事務所用地の非常に強い需要等もありまして、これが地価高騰を招きました。また余剰資金が証券市場に流れ込み、証券市場に活気をもたらしたということもありましょう。こうした点は確かに土地あるいは株式という資産価格の上昇という形で国民の中に一つ不公平感を生みました。そして、それに対して土地新法がつくられ、あるいは税制、金融といった大蔵省としての立場からの武器も行使しながら、現在政府は地価の鎮静に努めております。こうした状況の中で、さまざまな問題点があったことも私は否定をいたしません。  こうしたことを考えてまいりますと、その後におきまして、例えば総量規制を実施する、あるいは元年五月以降、五次にわたって公定歩合の引き上げを実行する等、適切に対応してきたと考えておりますけれども、その中にさまざまな問題を残したことも私は決して否定をいたしません。今後ともにこうした点についての留意を払いながら、財政金融政策というものを運営していかなければならないと心得ております。
  17. 松本十郎

    松本(十)委員 財テクに走ったのが皆がと言ったのは若干言い過ぎでありますので、訂正しておきます。企業を中心とした大部分の者がと言いたいと思います。  それで、ただいま大蔵大臣見解にありましたように、プラザ合意以後のあの円高不況対策なり内需振興を中心とした財政金融政策、あの当時としては正しい選択であったと思うのであります。今バブルがはじけていろいろな不祥事件が出てまいりますと、すべてが悪かったというふうな議論がやや横行している感じがするわけでございますが、日本が世界の経済大国として各方面で経済界がプレゼンスを示しておるというのも、ある意味において、あのプラザ合意に基づく円高のおかげであったと言っても過言ではないわけでございますし、あるいは内需拡大の路線に乗りまして日本社会資本が充実しつつある。土地が上がり、株式、ダウが上がることによって弊害はありましたが、資産効果で消費も伸び、さらにまた設備投資もどんどん進んでまいりまして、日本の経済を大きく長期にわたって発展させた原因にもなったと思うわけでございまして、一概にあの当時から続いている金融政策、財政政策を非難するだけでは物の一面しか見ていないという感じがするわけでございます。しかし、今の不祥事の続発を見ておりますと、何かもう少し早い時期に手を打つことができなかったのであろうかというふうな反省がなきにしもあらずでありまして、これは後ほど日銀総裁にも伺いたいと思いますが、この際、通産大臣に一、二伺っておきたいと思うことがございます。  それはノンバンクでございまして、さきに議員立法によりまして、与野党の一致のもとに、ノンバンクの大きなところからは報告を徴収できるという貸金業法におきます改正案が通過、成立いたしまして、九月から施行されることになっております。振り返ってみますと、ノンバンク、あのように数多い三万幾らというものが日本の正規の金融の手の及ばないところ、すき間を満たしながら、ある意味において中小企業その他に必要な資金を提供したり、リース、信販を通してやはり大変意義深い機能を果たしたことは事実であります。ただ、最近数年間のあの異常な融資残高の膨張を見ておりますと、その大部分が土地に走り、あるいは株式に走った嫌いもないではないわけでございまして、そういう意味から、この間改正されたばかりではありましょうが、さらに、この問題を契機といたしまして、ノンバンクにつきまして業界団体でもつくらせるなり、あるいは自主規制ルールをつくるなり、あるいは銀行ほどの厳しいのは無理ではありましょうが、自己資本比率というものを頭に置いて、ガイドライン的なもので指導するというようなことを信販業界あるいはリース業界にやるべきではないか、そういう感じがしないでもないわけでございますが、それを所管される中尾通商大臣はどういう御見解をお持ちでしょうかということでございます。
  18. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 松本委員にお答えさせていただきます。  まず、前段に述べられましたプラザ合意以来の財政金融、確かに一部問題なかったとは言えないけれども、全部が悪いというわけではない、こう御指摘、さらにまた、その後を追って、ノンバンク等を含めました今の経済動向というものに対してどのように見ておるか、こういう御質問に対しても、いささか同感の思いを持ちながらも、なおかつ、こちら側の主張として言わせていただきたいと思う次第でございます。  まず第一点、いわゆるノンバンクでございます貸し金業者のうちのリース会社、クレジット会社につきましては、かつての金融緩和期における貸し金業務が拡大してきておるということだけは事実であろうと思います。これらの会社につきましては、通産省といたしましては、おのおのの業界に対しまして、投機的な土地取引、先ほど委員も土地あるいは証券、ややバブル的な基本になったというような御指摘でございます。その問題についての融資の自粛に対する要請等、機会あるたびごとに業界に対しては、その発展を求めながらも求めてきたつもりでございます。  業界におきましても、投機的な土地関連融資につきましては、自粛措置そのものを講ずべきことではないかということ等、自主規制に対しましても行ってきたわけでございますが、さらに御指摘をも踏まえまして、不適切な貸し金業界が、あるいは貸し金業務と言ったらいいでしょうか、これがリース業あるいはクレジット業等の経営に悪影響を及ぼさないように、今後ともなお一層努力する必要があるのではなかろうか。三万八千とも言われているような、ある意味におけるリース的なあるいはノンバンク的な形態が今存在しているやに承っておりますけれども、中には立派にやっておられるところもありましょう。しかし、そうでない部分が多くあったことも、これは見受けられる事実でございますから、そういう点におきましても、ともども大蔵省とも語り合いながらも、この点には注意を払っていきたいと考えておる次第でございます。
  19. 松本十郎

    松本(十)委員 通産大臣のひとつしかるべき対応をよろしくお願いしたいと思いますが、ノンバンク、もう一言申させていただきますと、やはり必要があって出てきた一つ機関であり、そして通常の金融機関の手の及ばないところを満たしてきたニーズをつかまえて、それに対応して経済発展の力になっていただいたということはよくわかるのですが、最近の異常な融資残高の膨張、信用金庫五百近いものの総額を超えるような六十兆、七十兆といった異常な膨張があるわけでございますし、そのうちの相当部分がやはり不動産その他に走ったのではないかということであって、その辺からバブルがはじける過程において一番現象的に問題が出てくる今日の姿でありますので、これからその辺についてのしかるべきひとつ政策誘導をお願いしたいと思うわけであります。  せっかく通産大臣にお越しいただいておりますので、少し角度は違いますが、これも政治家としての御感触を伺いたいと思うことがあります。  といいますことは、このたびの損失補てん、受けたものは大口投資家であった。一般大衆はNTTの株を初め推奨を受けて買ってみたら暴落を、急落をしてしまった。それに対しては何ら補てんも受けられないのはよくわかるが、しかし一部の大企業を中心とした大口投資家だけが補てんを受けるのは不公平ではないか、そういう不満、不平はちまたに満ち満ちておるわけでございまして、この補てんの額というものは、証券会社から出ますときに損金を否認されて、自己否認したものもありますから、当然法人税、事業税合わせて五〇%近いものは国庫に、あるいは地方に入っていると思いますし、受けた方の企業も益金算入によって、これまた五割近い課税を受けておるわけでございますが、しかし受けた方は半分ちょっとのものが手元に残っていると言っても過言ではないわけでございまして、そういう一般投資家の不平、不満というものを頭に置きます場合に、自発的に何らか社会還元をした方がいいのではないか、そういうふうな声が出てもあるいはいいのではないかなという感じもいたします。通産省の所管だけではありませんが、一番補てんを受けた企業の中では通産関係が多いと思いますので、大臣の政治家としての御感触をこの際伺っておきたいと思います。
  20. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 まず第一に、政治家としての一つの所見を述へる、こういう仰せでございますから申し上げさせていただきますが、戦後四十数年、私は、それぞれのピリオドにおきまして政治家としてのセオリーというものがあったと思います。ときには、それは自由があるいはまた共産主義がというような場合もあったでしょう。あるいはまた自由が、あるいはまた私どもの、閉鎖社会を求めるのかというスローガンもあったでしょう。とぎにはまた政治家として我々自身が現在問われておるのは、そういうイデオロギーという問題よりも、ある止意味においては政治家としての資質であるべき公正か正義がという、公正さを最も求められるような時代になったかのような感じさえいたすわけでございます。そういうときにごく一部のとはいえ大口の投資家がこの補てんを受けておった、かといって個人的には一生懸命汗水垂らして、流して、そして自分の金を少しでもふやしたい、多少投機的な気持ちはあったでしょうけれども、そのような気持ちで、この遵法に沿ってやった行為が報われないで、片や裏口では大口投資家だけが補てんをされておった、この不公正さというものに対する憤りというものがあるということは、この間来大蔵大臣総理大臣等々からこの問題は指摘されているとおりで、私も全く同感の至りでございます。そういう中にありまして、企業そのものが社会的存在としての自覚に基づき、なおかつ社会貢献活動を行うということは望ましいことではございますけれども社会的貢献活動というものは、基本的にまず企業の自主的な判断にゆだねられるべきものであろうとは思っております。そういう点で、企業が受けました損失補てんの具体的な取り扱いというものにつきましても、あくまでも個別企業の自主的な判断というものに基づくことは申すまでもないわけでございます。  そこで、私どもも、企業体も、この際はじっくりとみずからを省みて、そして自分自身が公正であったか不公正であったのか、幾多多くの人たちにあらゆる意味における精神的な苦衷を与えたのか、社会的に公正の基盤に立って自分たちは正しかったのかどうか、こういうことを企業体にも求め得べき立場としては、私もその任にあろうと思っておる次第でございます。
  21. 松本十郎

    松本(十)委員 企業にとりましては補てんを受けたという認識がないというのがもう大半であるのは事実でありますし、あるいはまた株主に対して不利益を与えるとか、その理解を得ることというような問題もありましょうから、軽々に我々政治家だけで決められることでないとも思いますし、あくまでそれは企業の自主的判断にまたねばならないと思いますが、その辺のところはお互いに各企業の善処というものを期待していきたいと思うわけであります。  こうして振り返ってみますと、銀行というものがこういう不祥事を起こしているということを考えてみますと、どうも業容拡大主義といいますか、利益第一主義といいましょうか、銀行本来の信用仲介業あるいは決済手段の提供等といった機能を離れて、やや金、金、金というふうな方向に向かっているんじゃないかという批判反省があるわけでありますし、また、そのことは、国を挙げて何となく拝金主義といいましょうか、金が一番大事なものであるというふうな風潮が満ち満ち過ぎておる。ある人は日本も物で栄えて心で滅んではいけないぞという警告をかねがね発しておるわけでございますが、このような風潮を考えますときに、やはり民族の将来とか国家の前途というものを考えるときに、この辺でいろいろ反省するべき点が多いかと思うわけでございます。  そういう意味総理にお伺いしたいと思いますが、政治家も今政治改革を実現しながら政治倫理に徹して信頼の回復に努める努力をしておるわけでございます。同時に国民全体も、経済界その他万般にわたって心の持ち方というものをもう一回振り返ってみて、世相というものを、風潮というものを正しい方向に向かうようにすべきではないかと考えるわけでございますが、総理大臣の御見解はいかがでありましょうか。
  22. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 松本議員の御主張に私も同感をいたします。同時に、政治家自身のことにもお触れになりましたが、政治改革を行っていきたい、それはやはりお金と政治活動、日常生活との関係を公明に、公正にしたいという願いがあることも事実でございますし、しかし社会全体の風潮の中で金銭万能主義と申しますか、何か企業企業で自分の損得、利益かどうかということが価値判断の基準、行動するときの基準になったり、あるいは社会で必要以上にお金が幅をきかせるような風潮になってくる、そういう金銭万能の哲学というものは、ややもすると利己主義に走りがちで、利己主義に固まってしまうと一番大切な公正な社会というものの理念に反することになっていくわけでありますから、そういったことすべてを踏まえて、私は、やはりルールはきちっと守っていこう、そういったことから公正な社会というものが築かれていくように、金銭万能の考え方からもう一歩前進して、お金では買うことのできないものを、もっと価値を大切にしていきたい、こういう考え方、松本議員の御主張に全く同感でございます。
  23. 松本十郎

    松本(十)委員 このたびの一連の事件を振り返りまして、まず第一にやはりやるべきことは、真相の究明、そして責任の所在を明確にしながらしかるべき措置をとるということでありましょうが、大蔵省もまだ検査を続けておる、あるいは捜査当局もある点については捜査が進んでおるということでございますし、あすからはまた証券業界の証人喚問あるいは金融界参考人招致等がありましょうから、その辺でさらに実態の究明が進むことだとは思います。同時に、この実態の究明と並んでというか、それに先立って、先駆けて大事だと思いますことは、いかにしてこのような不祥事件再発防止を図るか、そうして資本主義の根幹をなす金融あるいは証券という仕事を軌道に乗せて活性化して、その責任なり使命を果たされるか、この方が日本の経済の前途にとりましても、あるいは日本が世界に負っている経済的な課題といいましょうか、責任を果たす意味におきましてもより重要であると私は感じるわけでございまして、そういう意味でこれからその再発防止策についていろいろ大蔵大臣の御見解を伺ってまいりたいと思うわけでございます。  その一つは、かねがね大臣はルールの明確化、ペナルティーと言っておられましたが、法律改正についていろいろ新聞その他が報じておりますが、おおむねどのような見解をお持ちなのかという点であります。
  24. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今ここで繰り返すつもりはございませんけれども、私は、原因究明、徹底的な解明が必要であるという御指摘は、そのとおりでありますと思います。と同時に、どうしてこうした事態が起きたかを我々なりに調べながらできるところから再発防止に手をつけていくことも我々の責任だと思います。そして、その中で私は、ルールが明確でなかった、ペナルティーがはっきりしていなかった、あるいは軽過ぎた、そして検査・監視の体制がどうだったか、さらに自己責任原則というものが徹底していたか、そして業界行政のあり方はいかがだったか、大きく分けるとこの五つの問題と思います。そして、その幾点かにかかわる問題として証券取引法の改正というものをまず行わなければならないと考えております。これも実は幾つかの問題があります。  そして、今日考えておりまして、今国会に何とか御提案をし御審議を願いたいと考えておりますのは、現在関係各省庁と協議中でありますが、まず第一に、証券会社による損失保証、損失補てんというものについては、これを禁止し、刑事罰を適用したいということであります。そして、この場合、その具体的な補てん行為を列挙いたしますと、逆にその列挙されていないことならいいんだということになりかねないものでありますから、できるだけ包括的に、しかも当局がそれを運用するときに誤解を生じないような条文というものはどういうものがあるか、今それを必死で模索をいたしております、検討いたしております。また証券会社の違法行為に加担したお客さん、これに対しては刑事罰の適用の問題を含めましてさまざまな角度がちの検討を行っております。また損失補てんの温床となりやすい取引、一任勘定取引というものにつきましては、これを禁止しまして、違反については行政処分の対象としたいと思っております。  そのほかに、証券取引法自体の問題といたしましては、現在、過去に出しました通達をすべて見直しておりまして、自主規制団体が強化されました場合、この中には自主規制団体に移してしまった方がいい性格のものがあると思います。逆に法律上法文化すべきものもあると思います。こういう整理も一方で行い、これは残念ながら今回は間に合いません。こうした作業が終了した段階において改めて御審議をいただく場面があろうかと思います。  さらに、市場の閉鎖性という問題がもう一つ指摘を受けておるわけでありますが、これは今後金融自由化の方向の中で、市場整備の一環として、根本的な問題として、これも時を改めて御論議をいただくことがあろうかと存じます。  今、私なりに整理いたしてまいりました五つの問題点の中から、証券取引法に関係しては、今国会で緊急に御審議をいただきたいもの、今後さらに別の角度からのものを御審議をいただく場面、そのように整理をしつつあります。
  25. 松本十郎

    松本(十)委員 再発防止策として総合的な対策、いろいろあるわけでありますが、その中の行政面あるいは立法面の問題について触れられました。当然そのとおりだと思いますが、同時に、やはりいろいろ構成要件とかその他について議論もあるようでありますので、国民の側からすれば、早くやるものをやれというあれがありましょうから、やらなければなりませんでしょうが、しかしまた、将来の長い視点から考えた場合に、余りに拙速なことをやっては取り返しかつかぬということもございましょうから、そこは賢明な御判断のもとにひとつ対処していただきたいと思いますし、法律改正につきましては、さらにまた論議する機会もあろうと思いますので、この辺にいたしまして、むしろ検査・監視体制というものについて触れてみたいと思うのです。  その前に、いろいろ議論はございましょうが、私の感触をあえて申しますと、日本社会というものを考えた場合には、やはりただ検査検査で物事が片づくというのはうまくいかないのではをいか。むしろ取引のあの膨大な姿を現実に早くつかまえられるのは業界自身であり、取引所自体ではないかというふうに考えるわけであります。したがって、証券業協会という、これは任意団体ではありませんで、規制力を持った団体でありますので、そこで自主ルールをつくってもらって、そして、その日その日の取引の実態というものを一番わかるわけでありますから、そこでウォッチング、監視をしながら、警告、ウォーニングを発し、これはいかぬというものについては、二度とそういうことができないほどの金額の高い過怠金というかペナルティーを科す、そういう自主規制というものがまず第一段階で行われてしかるべきではないか。あるいはまた、取引所には審査の要員がいたりあるいは規律委員会というものがありましていろいろやっているようでありますが、取引所自体も、公正で透明な市場が実現するように、価格形成が適正でありますように、取引所自体がまずそこで体制を整えるということが第一段階ではないかと思うわけでありますし、それを受けて監督すべき立場の者が、これはいかぬということで営業の停となり、あるいはひどい場合には免許の取り消し等まで含めた行政罰というものを考える、そしてラストリゾートといいましょうか、最後のところで刑事罰、これをもって不正なもの、不相応なものを制裁する、そういう三段階的なものを考えた方が日本社会には合うのではないかという感じがするわけでございます。  後ほどいろいろ議論をする前に話が出ると思いますが、今そういったことについても行革審に諮問中であるということでありましょうが、しかし、それはそれとして、やはり行政責任ある立場で一応の問題意識があろうかと思いますので、そういった私の、まず業界の自主規制、そして必要なペナルティーあるいは取引所の審査その他、そして行政処分、最後に刑事罰、こういうふうな形ですることについての大蔵大臣としての御感触をひとつこの際伺っておきたいと思います。
  26. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員の御見解一つの見識として拝聴いたしながら、その取引所の機能というものについてのみお答えを申し上げたいと思います。  私は、証券取引所を含めた証券業界全体として自主規制機能を強化するということについてはぜひ積極的にお取り組みをいただきたいと願っておりますし、現にそれぞれのお立場で進行中と伺っております。  私なりの感じを申しますならば、例えば今回証取法の改正の中に私自身が頭に描いております事後の損失補てんと申しますものを、各国の法令で禁止しているところはございません。しかし、自主規制団体のルールとして、損失補てんに対して厳しいペナルティーを科しておるところはあるはずであります。私は自主規制団体というものがそれだけの自浄能力を持つものに育っていただけることを心から願っておりますし、また今その方向に向かいつつあると承知をしておりまして、それが現実のものとなり、より強化されることを願っております。
  27. 松本十郎

    松本(十)委員 取引所の関係でもう一つ申してみますと、審査体制を強化するという話も聞いておりますし、また規律委員会をさらに強力に運営するということも聞いております。  もう一つは、いわゆる理事会の中に公益委員をたくさん理事として入れて、第三者的な観点から取引所の運営についての指導なりアドバイスなりを受けるというようなことがあるようでありますが、さらに私の感じを申してみますと、やはり金融市場と並んで今や資本市場というものの経済に占めるウエートというものは、もう格段に大きくなったわけでありまして、その両輪がうまく進むことによって資金調達も進み、経済全体が円滑に運営され、発展するわけでありますので、金融界の総本山と言われる日本銀行にはポリシーボードとしての日銀政策委員会がありますが、何か取引所の対応につきましても、そういったボードでもつくって、独立性というか権威を高める。言論界あるいは経済界あるいは学者、学界、その他必要に応じてはニューヨークとかロンドン、いわゆる外国でその道の権威と言われる人の名前もかりて、何かボード的なものをつくって、そういう方々のアドバイスを受けながら、日本証券市場、資本市場はひところは不公正ではないか、不透明だと言われたが、そういう方々の指導を受けつつ、公正になったんですよ、なるんですよ、そういうことを天下、世界に宣明して、早く日本の資本市場というものの姿を再構築する必要があるんではないかと思いますが、これはいかがでありましょうか。
  28. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今証券取引自身が基本的な対応として考えておられることは、一つは、取引所運営への公益をいかに反映するか、また会員規律をいかに強化するか、そして価格監視、売買審査機能をいかに強化するかといった視点からであると聞いております。そして現在まさに公益を十分反映した公正中立な運営が行われるような体制の整備にいそしんでおられると聞いております。そしてまた公益委員の増員、あるいはこれは理事会、規律委員会ともに公益委員の増員等を盛り込んでおられるわけでありまして、今後真剣な検討がなされるであろうと思います。  ただ、これは本当は日銀総裁のお答えになることかもしれないのですが、日銀政策委員会と申しますものは、これはもう委員よく御存知のように、日本銀行の最高意思決定機関でありまして、これは会員相互で組織をいたします自治的な規制機関である取引所に同じようなものを備えるということは、私はちょっと性格の違いがあるような感じがいたします。しかし恐らく委員の御指摘は、幅広く有識者意見を集める、しかもそれを権威を持ったものとするという意味からの御指摘であると思いますので、これは一つの示唆に富んだ御意見として受けとめさせていただきたいと思います。
  29. 松本十郎

    松本(十)委員 マスコミを初め各界で証券業界大蔵省の癒着ということがよく言われるわけでありますし、私も大蔵省のOBでありますから、それは事実に反するとは思いますが、しかし、そういう疑いが持たれているということは事実であります。取引所の理事長というものを考えてみると、歴代大蔵省の出身者が当たってきた。これがいいのか悪いのか、やはりもっと内外の方々が見られて、本当に堂々たる取引所であるなどいう感じを持たせることがまず大事じゃないかと思いますので、その辺いろいろ問題はございましょうが、ひとつよろしく御配慮をお願いしたいなと思うわけであります。  次に、証券業協会でありますが、これはやはり何としましても普通の銀行協会とかあるいは地方銀行協会といった任意団体ではありませんで、証券取引法に基づく強制力を持った団体であります。協会自体が自浄作用をやるという意味において、まずやはり立ち上がってもらわなければならない。さきに倫理憲章を決定されまして、その徹底を図られたようでありますから、大変いいことだと思います。しかし同時に、これまでもいろいろなルールはあったようでありますが、それらを集大成しつつ現状をもう一回見直し、将来を展望して、まず自浄作用としてのルールづくりというものを協会としてもやって、その中にペナルティーを持つようなそういう協会としての動きをすべきではないかと思うわけでございます。それに対して大蔵大臣はいかがでございますか。
  30. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今証券取引所に限定してお答えを申し上げたところでありますが、もう当然のことながら証券業協会をも含めて自主規制の能力というものは強化されなければなりません。そして各国それぞれの対応の中で、いわば日本証券業協会に当たる団体が相当強力な規制機能を持っておられる国も現に存するわけであります。そうした意味で、自主規制機関がその役割を発揮するということは本当に必要であると思いますし、今御指摘がありましたような自主規制ルールの強化、明確化、過怠金の引き上げなどペナルティーの強化を行うといった点、さらに今回のような事態証券業協会自身が自主的に対応できるような体制を整備する必要があるというのは御指摘のとおりであります。八月二十三日に証券業協会は倫理規定を定められたと承知をしております。また監査機能の充実など当面の対応を決定されたと承知をしておりまして、こうした自己改革努力というものが規制機関としての能力を強化することにつながってくれることを私も念願いたしております。
  31. 松本十郎

    松本(十)委員 最後に、監視機関に入るわけでございますが、その前に二、三、今度の事件とやや関連があるという意味において大蔵大臣に伺いたいと思います。  一つは、投資顧問業の独立性ということであります。さきに投資顧問業法が制定されまして、これが施行され、現に動きつつあるわけでございますが、どうも実態は親会社に寄りかかっておる。人的にも資金的にも寄りかかっておる。今度の損失補てんを見ましても、営業特金の適正化を図るために投資顧問に移せ、あるいは移しにくいものは確約書をとれというようなことで、平成元年の十二月に問題意識を持って通達を出した。しかしながら、その翌日からというか年明けて三万九千円に近かったダウが二万六千円に急落した。さあ、適正化しようとしても、急に落ちたことに対する損失をどうしてくれるんだと言われれば、証券会社としても、ただ規定どおり、はい、きょうからというふうにいかなかったことがあったんじゃないかと思うわけでございまして、平成二年三月期に集中しているということは、そういった通達を出した時期と、その翌日からの証券市場の大変動というものが通達の実現を阻んだのではないかと私は見るわけでございます。そのときに投資顧問業というものがもう少し先進国並みにしっかりしておれば、スムーズにいく点もあったかと思うのですが、どうも今振り返ってみますと独立性が十分でない。そういう中で、これからやはり問題意識を持って対処をしてもらわぬといかぬと思うのでございますが、その点はいかがでありましょうか。
  32. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今回の一連の事件の中から、まさに今委員が御指摘になりましたような問題も指摘をされております。  今日までも投資顧問業というものの独立性を高める努力はいたしたつもりでありましたが、結果として不十分という判定を受けるに至りました。投資顧問業者の独立性を一層確保するために、分散発注を図るなど、人的、資本的な面における親会社からの影響力を薄めなければならないという問題意識を持ってはおりますが、今私自身として具体的に細かい内容を存じませんので、必要がありますならば事務方から補足をいたさせたいど思います。
  33. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘のように、今回の事件に投資顧問づきの口座に対する補てんがございました。私どもも非常にこの問題、重要視をして重大に受けとめておるわけでございまして、投資顧問業者の親証券会社からの独立性を一層高めるということでいろいろな施策を考えてまいりたい。例えば有価証券の発注に際しまして、親証券会社以外の証券会社に発注するというような割合をふやしていく。あるいは人的構成におきましても、投資顧問業が非常に若い産業ということもございまして、親証券会社を退職した人間がほとんどを占めております。こういった点についても改善をしていきたい。あるいは資本関係につきましても、できるだけ親証券会社あるいはそのグループからの出資比率を下げるというようなことを考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
  34. 松本十郎

    松本(十)委員 次に、手数料問題についてお伺いしたいと思いますが、手数料、売買手数料は段階的な固定制になっているようでありますし、できるだけ小口の投資家を大事にしようという意味もあるのでしょう。しかしながら、この固定手数料というものが、あるいは引受手数料も含めまして割合大口に有利であったということで、損失補てんがしやすかったのではないかという意見もないではないわけでございまして、たまたま私たちアメリカの金融改革の実情を調べるために渡米しておりましたが、その途中において突如向こうのテレビがフィナンシャルスキャンダルと大きく報じて、これは何事かと思って後の報道を聞いておりますと、野村、日興、こう来たわけでありますが、その際にアメリカの投資銀行の社長、会長あるいは責任者といろいろと全体の議論をした中で、彼らが異口同音に言いましたことは、日本のことは我々がコメントする立場にはありません、しかし、寡占状態というものは一つの問題ではあるんではないでしょうかと言いながら、もう一つ、手数料が固定化しているというところに次の問題があると思います、我々は手数料が自由化されておりますから利益のあるような仕事に走ります、固定手数料というものがあれば、シェアさえとれば自動的に収入がふえるわけでありますから、シェア競争に走り、そこに四大証券の寡占というものが温存というか、あれされるゆえんがあるんではないかというふうな言い方をしておりましたが、寡占問題は後で次にお聞きするとしまして、手数料についても、この際やはり自由化に踏み切るべきときが来ているんではないかな。あるいは引受手数料、委託手数料等について、それはアンダーライティングの危険負担その他考えれば必要ではありましょうが、諸外国の例に比べて、日本責任の程度から見てやや高さに失しておるんではないかなという批判もあるわけでございますので、小口の投資家に対しては上限でも設けて何か別途手を打つとしまして、全体としては自由化の方向に向かって決断すべきときに来ていると思うのですが、大蔵大臣はいかがにお考えでしょうか。
  35. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員の御質問の中にもありますように、単純な手数料の自由化というものがむしろ小口のお客さんを疎外する傾向があること、そして、それが現実に欧米の市場で出ておるということはよく御承知の上の御質問と思います。  日本の株式委託手数料、昭和六十年以降四回の引き下げを終わりまして、私は国際水準等を勘案し、それなりの水準になっておるとは思います。しかし同時に、これから先も引き続いてその手数料の水準については機動的、弾力的な見直しが必要なものと考えておりますし、御指摘のような点も踏まえて、手数料制度のあり方そのものも私どもは検討しなければならない課題、そのように心得ております。
  36. 松本十郎

    松本(十)委員 次は、寡占対策でありますが、昭和四十年のあの何といいますか、恐慌といいましょうか証券が大変なことになったときに、登録制から免許制に移そうということで、両三年かかったのでしょうか、いろいろしてなったわけでございますが、あのときも登録自体六百ぐらいあったのが二百何十社になったかと思うのです。その上に、しかもマーケットの六割以上を四社が占めておるのではないかというふうな数字も部分的にあるわけでありまして、こういう寡占状態というものが本当に市場の公正さ、あるいは価格形成の何といいますか、厳正さという点から考えていかがなものかなという議論があることは事実であります。  そういう意味で、新規参入について、この際思い切って何か考えてはどうだろうかということが一つ言われるわけであります。当然金融制度全般の制度改革の流れの中で、相互乗り入れと申しましょうか、銀行にも証券業をやらせようかという案が今策定されつつあるようではありますが、それだけにとどまらないで、産業界からもあるいは新しく新規参入しようとしたときに、これまでのように余りにも厳しく入口でとめないで、もう少し門を開くということが必要ではないかという感じがしてならぬわけであります。  実は大臣、御承知のとおりでありましょうが、アメリカのいわゆる商業銀行、年々仕事の量が細って、まさに合併でしのぐしか仕方ない。かつては世界に雄飛したアメリカの大銀行も、今や日本銀行に席巻されて、その後についているというふうな実情があるわけでありまして、やはり財務省は、この際金融改革の一環として、産業資本を金融界に導入することによって弱まっていく商業銀行金融機関というものを強めたいな、こういう意向があるのでしょうが、そういう意味金融持ち株会社制度をつくろうとしております。それによって産業界の資金を入れようということでありましょうが、日本の場合は独禁法がありまして持ち株会社ができませんから、そういうことは無理ではありましょうが、何か新規参入の道を開いて、証券業、金融銀行のみならず、そのほかのところからも証券業に参入することを認めて、寡占状態というものを解消させる努力をした方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今証券市場というものが信頼を取り戻すために必要な対応策というものは、本当に幾つかの角度から先ほどから御論議のあるような問題を含め考えていかなければなりません。その中で金融・資本市場というものにおける自由な競争を促進する、そして、その結果として市場の効率化、活性化が図られることによって内外の利用者の利便性が向上し、これがひいては国際的にも再び十分な評価を受け得る金融制度及び資本市場の構築を目指すという視点において、私は今の御指摘は極めて適切なものの一つと思います。  本年六月の証券取引審議会の報告におきましても、銀行による参入だけではなく、一般的な新規参入についての提言がなされております。もとより免許制のもとにおいても全く新しい参入が認められないという状況ではないことは委員よく御承知のとおりでありますが、具体的には、こうした点についても別法人の形で、資本市場における有効で適正な競争を促進するために、当面、発行市場を中心に新規参入を図ることが適切だという提言もございます。  私どもとしても、こうした提言を踏まえ、新規参入について具体的な検討を図ってまいりたいと考えておるところであります。
  38. 松本十郎

    松本(十)委員 いま一つ意見が出ておりますのは、やはりアンダーライティング業務とディーリング・ブローカー業務というものが一社の中に一緒にあるものだから、チャイナ・ウオール等で若干その辺が仕切られているようでありますが、問題を起こすもとになるんではないかというようなことで、機能的に分割した方がいいのではない分という議論があるようでありますが、その辺は一つの議論であろうと思います。  ただ、世界の趨勢を見ますときに、やはりヨーロッパのユニバーサルバンキング、ヨーロッパには資本市場、証券市場、発展しておりませんが、一応形の上では銀行証券一つ機関がやれるという体制になっておりまして、アメリカの今度の金融改革の大きな柱は、あの一九二九年の大恐慌の後に起きたいわゆる大暴落に対処するために、銀行証券を分離して、グラス・スティーガル法で厳然と分けて今日に至っておるわけでありますが、これがどうも今の時代には合わないということで、三年ほど前から改革案が出され、また今度の金融改革でもその大きな柱として出ておるようでありますが、そういう流れを考えてみますときに、ただ分割した方がいい、いいというだけで単純に割り切れるものなのかどうか。やはり証券業界といいましょうか投資銀行業界も国際的な競争の中で活躍しなければならぬわけでありますので、何か相矛盾した要請があるわけでありますが、その辺のところはどういうふうにお考えでありましょうか。局長、どうですか。
  39. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 確かに御指摘のように、現在、特に大手証券会社のアンダーライター業務とブローカー・ディーラー業務の間の関係につきましては、私どもも非常にいろいろと検討をしているところでございます。例えばインサイダー規制を導入いたしましたときに、その間の情報管理を図ってまいったわけでございますし、今回もそれ以外の情報についても遮断をするということで、両業務を併営していることに伴う弊害をできるだけ防ぐということが必要であるというふうに考えているわけでございます。  ただ、御指摘のように、世界の流れは分離、切り離しという方向では必ずしもございません。そういった点もございまして、一方で独立性をさらに確保するという施策をとりながら、他方、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、当面発行市場にまず参入をして、発行市場における寡占状態を是正する、そういったことを通じて、アンダーライターとブローカー・ディーラーの併営の弊害というようなものもある程度解決していけるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  40. 松本十郎

    松本(十)委員 そこで、今度は検査・監視体制あるいは機関に移りたいと思いますが、大方の議論は、行政と監視とは厳然と分断した方がいい、遮断すべきである、こういう議論が多いわけでございまして、私たちもそのように感じるわけでございますが、そこから急にアメリカのSECのような日本版SECをつくるべきだという議論が出てくるわけであります。これは総理から行革審に対しまして、どのような検査・監視機関体制をしけばいいのか、ひとつということで諮問をされておるようでありますので、御答弁いただくのもなかなか微妙なものがあろうかと思いますが、しかし、また同時に国民なり大衆一般投資家は、どういうふうなことに進んでいくのか、そして本当に透明なあるいは公正な市場になって我々の不信感を払拭してくれるのか、その保証をしてくれるような安心できる検査・監視体制ができるのかなという関心も深いわけでありますので、そのことも踏まえてひとつ御答弁をいただければというふうに感ずるわけであります。  そこで、まず日本版SECと申しましても、具体的にどういうものが日本版のSECなのかはまだ十分聞いておりませんので、巷間伝えられるような意見についてどうこう言えませんが、アメリカのSECというものを頭に置いて問題点を挙げてみますと、向こうは登録業者の数が一万二千と多いとはいいながら、SECの職員は二千六百人もいるわけです。しかも、その中には五百人を超す弁護士あるいは百人を超す公認会計士がいるわけでございまして、しかも、そういう弁護士とかあるいは公認会計士というのは三年、五年、七年とSECで働けば民間に五倍、十倍の待遇で移れる、また移りつつある、こういう実情でございまして、そういうようなことを考えます場合に、日本で、アメリカのように弁護士の数もそう多くありません、あるいは公認会計士もそう多くありませんと、果たしてそういう人を擁するべき新しいSEC的なものをつくろうとして要員が確保できるのか。あるいはこういう方々に対しては、裁判官あるいは検察官のように一般公務員より高い給与体系で当然行わなければならぬとは思いますが、民間の報酬はまたそれを上回ってはるかに高いわけであります。しかも日本の場合は、アメリカのようにしばらくSECで働けば、後は次のいい仕事が待っているというふうなことがなくて、終身雇用制に近い。まだ今の日本の労働事情ということを考えれば、そう簡単に、そういった給与体系を高くしても生涯その機関で続けて勤務する気持ちを持ってくれるのかどうか、そういう点でもやや問題が出るような気もいたしますし、あるいはそういうことを考えていきますと、今の検査官に比べて膨大なコストが要るわけであります。それほどのコストをかけて果たしてコストに見合うような効果が期待できるのか、そういう点でもやや問題があろうかと思いますが、それに対して大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  41. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今大変具体的なお尋ねをいただいたわけでありますが、実は私どもは、こうした事件が起こりました直後、大蔵省として検査・監視体制というものが果たしてこれでよかったのだろうかという反省の上に立ってプロジェクトチームを発足させ、概算要求をまとめるまでの間にその結論を出さなければならないということで必死で勉強を開始いたしました。しかし、その後、総理からの御要請を受けて、行革審が来年度予算に間に合うようにということで精力的な御審議をいただけると決まりましたので、八月十九日、これまでの作業の内容のすべてを行革審に御報告をいたしますと同時に、新しい検査機構のあり方については行革審の御検討を待ちたいと考えております。  そうした中でありますので、私どもが個別、具体的な見解を申し上げることは本来控えなければなりません。ただ、たまたま今米国のSECというものをそのまま移して委員からの御指摘がございました。しかも人の問題について具体的な例示を挙げてお尋ねになったわけであります。  私から申し上げられることは幾つかの点がございますが、一つは、当然のことながら、どういう組織が形成されるにいたしましても、国家公務員として御勤務をいただくことになろうかと思います。当然のことながら、その場合には国家公務員法の規定が適用されるわけであります。ということは、当然のことながら、在職中知り得た機密、これに対する守秘義務とともに、過去五年間に接触した関係の領域には退職後二年間は再就職ができないというルールも適用されます。その場合の給与表がどうなるかということは、全く今、これは私にはわかりませんし、そういう具体的な事例に即応し、人事院が新たな給与表を策定されることになるのか、あるいは他の給与表を準用されることになるのか、これはわかりませんが、一般的に申し上げるなら、今例示に挙げられましたような職種、すなわち弁護士あるいは公認会計士といった職群におられる方々、これが民間でお仕事をしておられる場合と、公務員としての給与に縛られました場合においての収入の乖離は、当然のことながら生ずると存じます。そうしたことを考えますと、検討をすべき問題点の一つに、そうしたものはあろうかと存じます。  私どもは、いろいろなことを考えました中で、処遇、人事、採用、こうした問題も論議をいたしてまいりましたが、今委員の御指摘、SECを例に引かれてお尋ねになりました部分につきまして、少なくとも国家公務員法との関係、給与表、さらには人事院規則における再就職に対しての規制、社会的な所得と公務員の給与との較差といった問題点はあろうかと存じます。
  42. 松本十郎

    松本(十)委員 アメリカのSECを引き合いに出してみれば、次の問題は、登録業者に対するのみならず投資家に対しても調査権限が及ぶということで、いろいろな強制力を持った調査なりあるいは捜索なり、必要に応じては告発までやるというようなことで、何となく訴訟社会になってしまって、もう弁護士の仕事になってしまう。巷間伝えられるところによりますと、SECと法廷闘争するときには、SECに関連のある弁護士に頼まなければどうにもならない、一般の弁護士ではとても対抗できない。そういうものが日本にもしできたら大変なことになるのではないかなという感じもいたしますし、またアメリカでもそういう弊害が言われております。投資家企業その他個人にも及ぶ関係で、何となくSECというのは一番こわいところだ、そこから調査を受けたら、もう本当にマル査どころじゃありませんで、たまったものでない、そういう感じが経済界一般にあるわけでございます。日本の経済社会を考えた場合に、そのような形の、強制力を持つことはいいことかもしれませんが、業者のみならず一般投資家にまで権限が及ぶということは、ある意味においては経済界全体を萎縮させて、文字どおり角を矯めて牛を殺す、そういったことになりかねないと思うのですが、この辺のところについても御感触があれば伺っておきたいと思います。
  43. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私は、それぞれの国がその風土の中においてはぐくんできました制度というものであり、他国の制度について云々することはいかがかと存じます。  ただ、まさに日本証券局の主管しております証券行政、アメリカのSECの所管しております証券行政、基本的な事項については同様のものでありますが、今委員が述べられましたような部分には極めて大きな差異がございます。今挙げられました以外にも、例えば証人喚問権さらにその偽証罪による告発あるいは電話の記録の徴収の権限、こうしたものを与える、そしてそれを容認する風土がアメリカにはあるということであり、従来我が国においては、こうした行動は司法警察権に含まれる分野として、証券行政等には与えられない権限でございました。また、例えばアメリカの証券法の中にはインサイダー取引に対する情報提供者に対して報奨金を与えるといった規定がございます。大変言葉は卑近でありますけれども、密告とか投書というものを奨励する規定が現存するわけであります。我が国の法制にはこうした仕組みはございません。  こうしたことも、当然のことながら今後行革審が御論議を深めていかれる中において、私は検討の視野に入れ、その上で制度の適否についての御判断をいただける、日本にふさわしい仕組みをお考えいただけるものと考えております。
  44. 松本十郎

    松本(十)委員 そこで、法制局長官に伺いたいと思うのですが、これから行革審で答申が出たらいろいろやるのでしょうが、仮に行政委員会的なものになるとした場合に、これは位置づけはどういうふうなことになるのでありましょうか。ただいまの大蔵大臣の御答弁にありましたように、準司法的な権限、あるいは規則をつくったりしてやる準立法的な権限まで与えることになるかとも思うのですが、もし日本版をアメリカから移してくれば。  そういった場合に、国民の代表である国会に対してだれが責任を負うのか。行政委員会というものは、やや日本では珍しい存在で、公正取引委員会あるいは国家公安委員会もそれになりましょうか、あるのでしょうが、なかなかその辺が日本の憲法、議院内閣制、立法、司法、行政という三権分立、そういうものにマッチするのかどうか、そういう感じがするわけであります。仮にそういうふうになった場合に、委員長初め委員が月光仮面、正義の味方ということで厳正な正しい機能を果たしてくれたらいいのですが、仮に暴走までいかないとしても、ゆがんだ場合、だれがそれをチェックできるのですか。国会国民の代表としてどういうふうにコントロールができるのでありましょうか。  アメリカの場合は直接選挙の大統領制があり、その大統領の任命によってSECの委員がおり、片や議会はいろいろまたその任免についての承認を与えたりチェックもできましょうが、議院内閣制の日本とは違う中でのああいう行政委員会でありますので、まあ公取も四十年かかって定着したようなしないような、いろいろ言われているのも事実であります。新しくそういうふうに似たものをつくることによって本当に日本の経済なり社会の実態に適応するような形で機能するのか、甚だその点について疑念を持たざるを得ないのでありますが、法律的な側面から法制局長官の御見解を伺っておきたいと思います。
  45. 工藤敦夫

    ○工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの日本版SECということにつきましては、現段階におきましてまだ組織なり所掌事務、権限、こういったものの詳細、私も承知しておりませんので、申し上げることは差し控えさせていただきますが、ただ、今お尋ねの一般的に行政委員会はと、こういうことでございますれば、行政委員会というのは、通例言われておりますところは、行政権限を内閣から独立して行使する合議制の機関、こういうふうに言われているわけでございます。  この行政委員会、特に今お尋ねのその独立性の問題につきましては、憲法上の六十五条、いわゆる「行政権は、内閣に属する。」という点、あるいは六十六条の三項の「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」という点、あるいは七十二条の「内閣総理大臣はこ云々でちょっと飛ばしますが、「行政各部を指揮監督する。」こういった点から見ていろいろの議論の存することは御指摘のとおりでございます。  ただ、現段階におきましてといいますか、私どもは、次の二つの条件を満たすときには合憲である、かように解しております。その条件と申しますのは、まず第一に所掌事務でございまして、その所掌事務が政治的な中立性を確保する、あるいは専門的、技術的な知識、あるいは対立する利害の調整、こういったものが必要とされる、その結果、公正かつ中立に行われることが特に要請される、こういう行政事務であること、これが第一点でございます。それから第二点は、内閣がその行政委員会に対しまして人事あるいは財務を通じまして一定の監督権を持つこと、こういうことで、その条件が満たされる場合には合憲である、かように解されるわけであります。  御指摘の独占禁止法、公正取引委員会の場合の例を申し上げれば、委員につきましては身分保障の規定はございます。これは独占禁止法の三十一条でございますが、そういうことで一定の場合を除いては、その意に反して罷免されることはない、こういうふうな形にはなっております。
  46. 松本十郎

    松本(十)委員 いま一つは、またアメリカのお話になって恐縮ですが、ブラックマンデーがありました。あのときに日本証券市場は急落をしましたが、割合早く回復をしたのです。そのときの大蔵大臣あるいは日銀総裁さらには証券業界協力というものは立派だったというかよかったと思うのでありますが、アメリカの場合は、ブラックマンデーが起きてから回復までに相当の時間が要り、あのブラックマンデーの混乱の原因の一因になったと言われるのは、片やSECあり、片やシカゴに先物市場をあれするC何とかいう機関がありまして、なかなかその両者の調整がうまくいかない。証券市場が発展したニューヨークの先物市場も見るSECと、あるいは穀物の取引所から発展してきた先物のシカゴとは、もう肌合いが違うというか考えも違います。そしてFRB、金融部門をつかさどるFRBなり財務省なりが何とかうまくやったのですが、もうばらばらのまま終わってしまったというような事実がありまして、その後ブレイディという元上院議員ですか、どこかの都市銀行の会長にどうしたらいいのかというのを諮問してみたら、やはり総合調整する機関をつくらぬといかぬな、連絡をよくしなければ大変だな、こういうふうなことが言われたわけであります。そういった信用システムというか資本市場における危機が生じた場合の危機管理のあり方ということを考えれば、独立したものはいいかもしれませんが、つくってしまって、そしてうまくいくのかなという若干心配もありますので、その辺についても大蔵大臣の御見解を伺っておきたいわけでございます。
  47. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 たまたま今委員がお名前を挙げられましたブラックマンデー以後の対策、対応策を協議する委員会のようなものが生まれ、その責任者となられた方が、今財務長官として私のカウンターパートを務めておられるブレイディさんです。たまたまブラックマンデーについてのいろいろな思い出を聞きましたとき、委員から御指摘のありましたようなことを、御自分が責任者として原因を洗い出したときに痛感したということは本当に述べておられました。私は、これから先どういう検査・監視機構というものを考えていくかに当たりましても、信用システムの危機的な状況が発生をしました場合、迅速かつ的確に反応し得るという体制を確保しておくことについては、十分問題点として踏まえて御論議を願いたいと思っております。  その際、銀行証券あるいは証券市場、為替市場というふうに言いかえても結構でありますが、銀行証券それぞれの監督機関の協調を図る、金融行政の一体性をどう確保するかという観点は極めて重要なポイントであろう、そのように思います。
  48. 松本十郎

    松本(十)委員 やや補足した質問でありますが、今大臣の答弁にありましたように、新しくできる機関が事証券だけに仮に局限されるとすれば、銀行検査はどのようになるのでしょうかとか、あるいは為替の検査はどうなるのでしょうかという問題もありますので、これからの流れは相互乗り入れというかだんだんと関連が深まるわけであり、そこで流れている金というのは同じ一つのものでありますので、全体を見ぬといかぬということもありますので、その辺のところも頭に置いて、ひとつこれからの新しい検査機構の策定についてやっていただかぬといかぬということを思うのであります。いずれ行革審から答申が出れば、それを受けて政府はいろいろ検討されるのでありましょうが、私の指摘しました問題点を十分頭に置いて対処していただきたい、こういうふうに考えております。  最後に総理に聞こうと思ったのですが、後にいたしまして、日銀総裁、お忙しいところありがとうございました。ちょっとまた前に戻りますが、このたびの数々の銀行証券不祥事を振り返ってみますと、やはりプラザ合意以後の金融財政政策に問題があったのではないかな。もちろんその功績といいましょうか、国民経済に与えたプラスの面は高く評価される内容もたくさんあります。ありますが、このようにバブルがはじけて問題が出てまいってみますと、やはり金融政策転換のタイミングが少し遅かったのではないかな、こういう批判があることは事実であります。かつての列島改造あるいは石油ショック、あのときにも、また過剰流動性がついに地価高騰その他インフレの原因になりまして、後になってから批判されたということがあるわけでございます。殷鑑遠からずという言葉のとおり、また、今は逆の動きになっておりますが、いっ何とき日本経済はそういう方向に行くとも限りませんので、今度こそは三度目の正直で、やはり遅かったなというようなことのないような、迅速というか適時適切な金融政策というものをとっていただくようにお願いしたいと思うのですが、日銀総裁の御見解を伺いたいと思います。
  49. 三重野康

    三重野参考人 今委員が御指摘になりましたように、今回のバブルの背後に金融緩和が長かったということは否定できない事実だと思います。  そこで、ごく簡単にでございますが、当時の政策環境を振り返ってみますと、一九八五年のプラザ合意以降、日本経済というのは物価の安定を維持しながら内需主導の経済構造に変えて、そして対外不均衡を是正するという大きな流れの中で運営されたわけでございまして、日本銀行も昭和六十一年から六十二年の間五回にわたり金利を引き下げたわけであります。これはもちろんその当時の非常な円高不況を克服するために不可欠な条件であったと思います。それ以降、一昨年の春から日本銀行、公定歩合を上げたわけでありますが、その間の政策環境というのを振り返ってみますと、ようやく景気は上昇軌道に乗ってきておりまして、物価は円高もございまして、消費者物価、国内卸売物価ともにゼロインフレのような状態が続いておりました。ただ、いわゆる不均衡、対外不均衡の是正というのはいま一つ進まなかった。それに加えてブラックマンデー等もありましたので、その緩和を維持したわけでありますが、それが現在のイザナギ景気を超える好景気を生み出したことも事実でございます。それと同時に、冒頭に申し上げましたように、その緩和がバブルを生み出したことも否定できないと思います。金融だけが原因であったとは思いませんけれども、この点は私どもにとってやはり反省材料としなければならない。特に、これから先金融緩和を行うときに、そういった副作用が出ないように努力する、これがやはり非常に大事でございまして、二度とかようなことがないようなことに配慮して金融緩和を行う場合も政策を進めてまいりたい、かように考えております。
  50. 松本十郎

    松本(十)委員 ちょっともとに戻りますが、総理にちょっとお伺いいたします。  検査・監視機構の問題につきまして、先ほどから大蔵大臣との間でいろいろ質疑を重ね、御答弁いただきましたが、そういう経過を踏まえられまして総理はどういうふうにお感じなのか。当然、行革審に諮問中ですから、自分はこうするんだということはとても言えるお立場ではないと思いますが、しかし行政の最高責任者として、やはり国民なり一般投資家もどうなるのかという関心も深いようでありますから、その辺についての御見解というか問題意識というか、その点について政治家としてお触れいただければと思います。
  51. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 今回の問題を政府が厳しく受けとめておりますことは、再三申し上げてきたとおりでございますが、大蔵省に対しては、大臣を通じて厳正に対処する、その中には検査機構とかあるいはチェック機構とか通達を、これは言いにくいことですが、通達を出して問題点はわかっておっても、にもかかわらずこういう結果が生じたということなどをあわせて考えますと、もっと強化をし、もっと自身責任での体制強化も大蔵省には当然図ってもらわなければなりません。そのことは厳しく申しております。けれども、それだけで事足れりとしないではないかといういろいろな角度の御批判や御意見のあることも重々承知しておりますので、それらの問題については、いろいろな分野の代表者の御意見を反映する新行革審において、これは速やかに、どのような検査機能、どのようなあり方がふさわしいのかを早急に御議論願いたいということを要請をしておるわけでございます。
  52. 松本十郎

    松本(十)委員 答申を待って、本当に実効の上がる現実的な監査機構というか機関ができて、透明な公正な市場が期待できるようにともども願いたいと思います。  さて、経企庁長官、長らくお待たせしましたが、きのうたしか発表されましたあれで、「我が国経済は、国内需要が堅調に推移し、企業収益は高い水準にあり、雇用者数が堅調に増加するなど、拡大局面にある。 政府は、内需を中心とした経済の持続的拡大を図るため、内外の経済動向を注視し、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めることとする。」、こう報告されておって、大変イザナギ景気を超えようとすることに対してともに慶賀にたえぬところではありますが、現在の国民経済、統計というのは元来タイムラグがありまして、一月、二月、三月とおくれますから、瞬間風速をどうとらえるか、きょうの断面を打ち切って、トレンドがどうなっているかということをやはり経企庁長官としても、マクロ政策の最高の責任者ですから、常に御留意願いたいと思うのですが、どうもこれからの見通しについてやや楽観的に過ぎるのではないかなという感じがせぬでもないわけです。その辺についてはいかがですか。
  53. 越智通雄

    ○越智国務大臣 松本委員にお答えさせていただきます。  昨日発表いたしまして、イザナギ景気と並んだかどうかという質問もございましたけれども、私どもの方は、八月の確定数字が出ます十月まではそうした宣言はまだいたしておりません。ただ、各種の確定数字が出る前でございますが、実感としてはまだ拡大局面が続いている、瞬間風速としてもそのように判断いたしております。  これに対しまして、実は民間機関から、調査機関からかなりいろいろ批判が出ておりますが、七月一日、日銀の公定歩合の引き下がりましたあの前後、六月十九日から七月十八日の間に三十六調査機関から、年初にやりましたそれぞれの機関調査結果の補正を求めまして、三十六機関全部とってみました。その平均では、やはり経済成長率、本年は三・七という平均が出ておりまして、政府の三・八とは余り変わっておりません。ただ、中身として国内の方がもうちょっと冷え込むかな、要するに減速がきついかな、そして海外との取引で結構それを補うかな。結果としては、ですから、経常収支の残が私ども三百億ドルと見ていたのが五百数十億ドルぐらいの黒になるのではないかと報告が出ております。  なお、きのうあたりの私どもの月例経済報告に対する批判のポイントとしては、七点が心配材料として挙げられておりまして、自動車の売れ行きがここのところ前年に比べはかばかしくない。それから住宅の着工がかなり落ちている。それから設備投資がちょっと心配だ。この中には特に中小企業の設備投資が、これは自己資金が余りございません、資本市場にも出られません、ですから、金融でかなり圧迫を受けているんじゃないか。その他製品在庫率とか鉱工業生産とか七つほどのポイントで出ております。それぞれのポイントにつきまして私ども慎重に検討いたしておりますが、御批判はございましょうけれども、私ども見解に致命的な欠点ということにはならないであろう、こう思って、瞬間風速、かなり減速しておりますけれども、まだ軟着陸へ向けて動いているのじゃないか、こう思っているところでございます。
  54. 松本十郎

    松本(十)委員 軟着陸することを期待しますが、今指摘された点で一番私が感じますのは設備投資であります。我々が選挙区でいろいろ会合をしましても、ちょっと銀行に行っても金が出ないんですよという声は相当あります。  そこで、日銀総裁にお伺いしたいと思いますが、あのBIS規制、自己資本比率八%、これは九三年以降さらに日本銀行が海外活動するにはどうしてもこの約束を守らなければなりませんし、そのうちの増資をしようとしても、今の起債市場の実情では思うようにいかない。そしてまた株式の含み益を、四割五分ですか、自己資本に算入することになっているのに、こう下がってくれば含み益はむしろ減る方に向かう。そのために金融緩和という政策方向が出ながらも、現実的に金が、金融が緩んだ感じを、特に中堅企業、中小企業には受け取れない。どうしてもその辺についてきめ細かな指導をしていただきまして、設備投資、大企業手元流動性はまだ残っておりますから、恐らく経企庁長官の言われるとおり七・何%という程度の昨年対比増のをやると思うのでありますが、中小企業、中堅企業の資金繰りが苦しいということを頭に置いていただいて、きめ細かな金融政策というか銀行の貸し出し態度をひとつ御指導願いたいと思うのであります。  時間もありませんので、もう一言だけ伺いますが、きのうの新聞によると、預金証書で、他行の、ある銀行の発行した預金証書を担保にしてノンバンクから借りるようなことはやめろ。大体金が要るならその預金をおろせばいいわけでありますし、同じ銀行で借りればスムーズにいくのに、何をわざわざほかへ持っていくかという、そういうことで、ああいう問題が、例外、レアケースだと思いますが、現に不祥事件として発生したことを考えれば、そういう自粛の方針を出されているようであり、ある銀行によってはもう禁止するとまで決めたようであります。やはりこのような不祥事にかんがみましても、何かそういう点をさらに徹底していただいた方がいいと思いますが、あわせてお答えをいただければと思います。
  55. 三重野康

    三重野参考人 前段の中小企業等に対する配慮は仰せのとおりだと思いまして、その点をよく配慮して今後の金融政策を進めたいと思います。  後段の御質問でございますが、今回のような預金を担保とした不正貸し出し、あれはもってのほかでございまして、大変遺憾とは存じております。しかしながら預金担保貸し出しをするかしないかということは各金融機関の自主性に任せるものでございまして、私どもからここに改めてそれはいかぬとか禁止するとかいうことは出しておりません。しかし、この世の中のこういった風潮を見て、当然金融機関は自粛するというふうに考えております。
  56. 松本十郎

    松本(十)委員 時間もありませんので、最後に申したいと思いますが、このたびの不祥事、先ほどから総理を初め大蔵大臣、大変遺憾なことであるとの反省の上に立って、ひとつ片や真相の究明をしながら責任の所在もはっきりさせ、対応もし、あわせて二度とこういうことが起きないように再発防止策についてもやっていくというお話でございますので、一日も早く国民信頼あるいは内外からの信用を回復して、証券市場、資本市場が活性化する、そして経済が軟着陸し、これから持続的な発展を遂げますためにも、やはり現状においては資本市場の活況化ということが、活性化というのが大事でありまして、その再構築に向かって、さらに関係の大臣初め皆様の御尽力をこの機会に要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  57. 大野明

    大野委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷治通君。
  58. 細谷治通

    ○細谷委員 日本社会党・護憲共同の細谷でございます。  まず、総理に総括的にお尋ねをいたしたいと思います。  初めに、国会審議を通じまして今回の証券金融不祥事の全容解明も行われたわけでありますけれども、いまだ大変極めて不十分と申さなければならぬと思います。したがいまして、本委員会においてさらに徹底究明に努力する必要があるというふうに思います。しかしながら、これまでの審議を通じまして、真相に近い一部分というものが鮮町に浮かんできたということも事実じゃないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この全容解明、全容把握なしには市場の信頼回復ということも再発防止策というものも到底おぼつかないわけであります。ぜひ本委員会において全容解明、再発防止について総理も万全の御努力を賜りたいというふうに思っております。  総括的に私の今回の不祥事に対する印象を申し述べてみますと、まずこのバブル経済の崩壊過程で露呈してまいりました今回の損失補てん問題、まさに大衆投資家を無視し大口顧客との取引を優先する証券会社のいわば営業第一、収益最優先の営業姿勢に原因があると言わざるを得ないと思います。そして同時に、大口顧客たる事業法人サイドにおいても、自己責任原則を放棄したモラル欠如の不公正取引の重大な責任は問われなければならぬというふうに思います。そして、そこには行政証券会社さらには大口顧客、この三位一体でつくったもたれ合いのなれ合いの関係といいましょうか、日本独持の企業風土というものをかいま見るのであります。そして、このことが日本の資本市場というものを大変不公正、不透明なものとして国際的な非難を浴びる原因になっていると思われます。今回の証券金融不祥事は、ひとり証券会社金融会社責任として片づけるわけにはいかない、まさに戦後半世紀をかけて築き上げてきました日本のこの企業風土、経済システムの欠陥に起因する問題だと私は考えるのであります。徹底した全容解明を通じて二度と再びこのような不祥事が起こらないような抜本的な改革、体質改善を行うことが必要だと思います。そして世界第一位の市場として国際的に通用するルールに貫かれた開かれた市場というものをつくっていくことが私は大切じゃないかというふうに思っているわけであります。  こういう観点につきまして、今回の証券金融不祥事に対する総理の基本的な問題認識、そして今後の真相究明と抜本的な改善策の確立について決意をぜひお伺いをいたしたいと思います。
  59. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 今回の一連の不祥事件を全体としてとらえますと、私はやはり今御指摘があったように、公正な社会の理念という面からいってこれは厳しい反省を迫らなければなりませんし、同時に、一連の御議論の中で、そのことが、あるものは今捜査当局の対象にもなっておるし、また当然法律違反に該当するものではないというような部門もあって、非常に幅広く、損失補てんというのは一体何であったのか、どういったことが構成要件でどういったことの理解と認識が伴った実行行為が許されないのかというようなことなどがまさにここで今御議論されておるわけでありますけれども、私は二度と再びこのようなことを起こしてはならない。公正な社会を守るという理念からいけば、今ここで手口とがあり方とか、実態は政府側でもわかりました限りは御報告をして世に問うておるわけでありますし、それによって直ちに法に当たらないというならば、法を改正して二度と再びそれができないように法の改正もしなければなりません。そういったことをすべてを含んで、これは二度と再び発生しないようにするにはどうしたらいいか。守るべきものは内外の一般投資家信頼であり、同時に企業にも社会的な責任というものを自覚しながら行動をしてほしい、それは御指摘のとおりだと思っております。
  60. 細谷治通

    ○細谷委員 次に、大蔵省行政責任ということについて少しお尋ねをいたしたいと思います。  八月二十二日の衆議院の予算委員会におきまして、我が党の筒井議員の質問、それによりますと、一九八九年十一月の大和証券における損失補てん事件の発覚のその前に、既に他の大手証券会社も含めて損失補てんの事実があるということは、大蔵省検査過程で承知していたということをお認めになったわけであります。  そこで、第一点お聞きしたいのは、大臣として、大蔵省の最高責任者として、当時この事実を証券局から、証券局長から報告を受けておられたのかどうか、大和証券事件の前に、この報告を受けておられたのかどうかということをお尋ねを申し上げたいと思います。
  61. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私が海部内閣の発足後、大蔵大臣を拝命いたしましてから、御承知のように、各野党共同提案に係る消費税廃止の法律案が参議院に付託をされ、国会にくぎづけの毎日でありました。そして、そういう中におきまして、私が損失補てんという行為を知りましたのは、この特定証券会社の事実が判明をいたしました時点、すなわち十一月の末ごろであったと思います。
  62. 細谷治通

    ○細谷委員 大和証券事件が発覚するまでは、大臣としては、行政の最高責任者としては事務方から話を聞いてなかったということをまず確認したいと思います。  そして次は、一九八九年十二月の証券局長通達に基づいて、翌年の三月末までに自主報告をしなさいということになりました。この自主報告がまとまった段階で、その全容について、大蔵大臣、事務当局からお聞きになりましたか。
  63. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 同様の御質問を受けました際、大蔵省の記録を当たり直してみましたが、私が損失補てんというものにつきまして報告を受けました第一回は、今委員指摘の十一月の時点であります。また通達を発出する前に、その通達についての相談を受け、指示をいたしました。その後報告を受けましたのは、たしか平成二年の七月であったと思いますが、山一等の損失補てんに係る税務更正決定が明らかになりました際、その事実とともに自主報告及び各社に対して行わせしめた社内処分の概要等の報告を受けたということであります。
  64. 細谷治通

    ○細谷委員 去年の七月の段階で、いわゆる八七年十月、ブラックマンデー時の株価暴落に伴う損失補てん事件というのが発覚した、この事件とあわせて自主報告の全容について聞いた、こういうことでよろしゅうございますですね。  そうしますと、私がお尋ねいたしたいのは、去年の七月に自主報告に基づく全容がわかったときに、政治家として、大蔵大臣として、このときにしっかりと、もう既に再発防止策の検討、真相究明と再発防止策の検討という問題意識を当然持ってよかった、そして、それを行動に移してよかったのじゃないかというふうに私は思いますけれども、いかがでございましょうか。
  65. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘を受ける状態になりまして過去を振り返れば、確かにそうした御批判を私は素直に受けとめるべきであると存じます。ただ、率直にその当時受けた感じで私が申し上げますならば、その結果として社内処分を求めたという報告でありましたことから、これほど広範なものに波及をするという意識がなかったことは事実であります。
  66. 細谷治通

    ○細谷委員 この時点で、この証券不祥事の持つ問題の根深さ、深刻さというものに行政責任者として気づき、そして、このときに何らかの防止策といいましょうか、法的規制措置等を含めて検討に入る必要があったのじゃないかということについて、私は率直に指摘をいたしたいと思います。  さらにもう一点、さらに振り返って、大和証券事件がわかる前に既に事務当局はわかっていたわけでありますから、どうしてこのときに大蔵大臣に、大蔵省の最高責任者である大臣にそれを報告しなかったのか、どうして報告しなかったのか、それをお伺いしたいと思います。
  67. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 定例検査におきまして過去に損失補てんと見られる行為がございまして、それを指摘して改善指導を求めてきたわけでございます。ただ、元年十一月に明らかになりましたような大量かつこういう財テク絡みの損失補てんというものは、過去の、それ以前の定期報告では残念ながら私ども把握をしておりませんで、ごく単発的かつ大口顧客に対する利益供与ではございますけれども、そういったようなものが見られたということで、検査の都度それを指摘し、改善指導を進めるということで対応をしてきたということでございまして、行政対応として、その過去の定期検査の場合には、今申し上げましたような大量かつ、あるいは今ここで問題になっておりますような会社としての損失補てんというような形のものよりは、むしろ大口顧客に対する利益供与というような取引という把握で、検査でそういう把握をし、検査でその都度改善指導していたということでございます。
  68. 細谷治通

    ○細谷委員 大口の顧客に対する損失補てんないしは特別利益の供与ということを大蔵省証券局の通常の検査の中で把握した、初めて認識したというのは、この間来の参議院の予算委員会等で指摘されておりますけれども、また先ほど言いました衆議院の予算委員会でのあれがございますけれども、八七年検査、したがって八八年の時点で認識したのだ、こういう理解でよろしゅうございますか。ちょっと確認をしたいと思います。
  69. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 過去のそういう単発的な大口顧客に対する利益供与、これは、過去は債券取引あるいは新発債の配分というような形で行われることが多いわけでございますが、これは昭和五十八年度の検査実績の結果の中にそういうものが既に問題点として私ども指摘をしておりまして、したがいまして、昭和五十八年度に行われました検査の中でそういう取引が見られ、それに対して指導をし、かつそういう問題があるということを証券局年報にも記載をして、検査で見つかった問題点ということで指摘をしたわけでございます。
  70. 細谷治通

    ○細谷委員 この問題、私は、証券局の事務方としてはもっと以前からこの大口顧客に対する特例の利益の供与、損失補てんの問題、そういう問題認識があったということは、後ほどもっと事実に即して指摘をしたいと思いますけれども、当面この時点では、大和証券事件の前にわかっていながら、大口の顧客に対する損失補てんの事実をわかっていながら大蔵大臣に報告をしなかった。したがって、適切な対策を打つのがおくれたということに対する事務方の責任をどう問われるのか、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  71. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 そういうことになりますと、もっと細かく各局からの説明を聞かなかった私自身責任もあると思います。そして、そういった立場からも弁解をいたす意思は私にはございません。
  72. 細谷治通

    ○細谷委員 その聞かなかったということより、要するに、当然報告する義務があると私は思います、こんな重大なことでありますから。それは、大臣が聞かなかったからということじゃなくて、事務方の責任は私は大きいと思います。当然こういうことは行政の最高責任者に報告するしかるべき問題だというふうに思うのです。何らかの措置がなされるべきだというふうに私は思います。  さて、今度は少し視点を変えまして、こういう一連の問題が起こっております根本的な問題というもりについて少し考えてみたいというふうに思います。  エクイティーファイナンス、エクイティーファイナンスと言われます。一九八五年以降株価の上昇局面で、日本の国内企業はエクイティーファイナンス、すなわち新株発行を伴う資金調達で六十兆円の資金を調達したというふうに言われております。データがありませんから、私の持っている調べた範囲で申し上げますと、東証一部上場企業で見ますと、八七年から九〇年の三年間で、上場企業千二十八社のうち実に七百十五社、七〇%の企業がエクイティーファイナンスをし、三十二・二兆という資金調達をしております。そして、うち設備投資として使われたのが二十四・六兆、すなわち約八兆円というもの、全部とは言いませんけれども、私は大半だと思いますが、これが財テク資金として特金、ファントラという形で証券市場へ流れていったということだと思うのです。事実、今回損失補てんを受けた上場事業会社百七十六社のうち、実に八十四社がエクイティーファイナンスによる資金調達をした。それが設備投資の額を上回っているんです。半分ぐらいの企業財テク資金を調達したということが言われております。  一例を挙げてみますと、西華産業という商社がありますけれども、これは三億の設備投資をしております。実にエクイティーファイナンスで調達したのは百四十五億、百四十二億がまさに財テク資金になっている。イトマン、これはエクイティーで千五百五十一億、設備投資に八十億であります。そして千四百七十一億というのが財テク資金。阪和興業、三千九十八億に対して百七十三億、二千九百二十五億です。丸紅、三千四百七十一億のエクイティーに対して設備投資はたった三百億、三千百七十一億というのが財テク資金になっているんです。一%に満たない安い資金コストで、九〇年度の市場の平均利回りは〇・五%と言われています。こういう安い資金コストで資金を株式市場から調達し、それを再び株式市場で運用する。まさに、これでつくられた相場というのはバブル相場であり、バブル経済だと言わざるを得ないと思います。財テクそのものです。実体経済と離れた虚業の経済だと私は言わざるを得ないと思います。ですから、こういう財テクに熱心な企業でありますがゆえに、貴重なお金でありますから、安いコストで調達したからどうでもいいということはないと思います。ニギリがあって、しかも損失補てんは当然ある、私はこういう仕組みに、意識になっているということを指摘せざるを得ないと思います。  こうした実体経済から離れた投機的株式市場のあり方、経済のあり方というものは、大変私は問題だと思います。投機的株式市場の抑制、全体の金融政策との調整ということからいっても、このエクイティーファイナンスのあり方については、もうそろそろ大蔵省として何らかの規制措置というものを、制限を加えていく、コントロールしていくということが私は必要だと思いますけれども大蔵大臣、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
  73. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 株式市場というものが、一つ国民の資産運用の場でありますとともに企業による資金の調達の場であるという性格から、必ずしもエクイティーファイナンスそのもの全部が私は悪かったものだと言うつもりはございません。ただ、今委員が御指摘になりましたような実態が存在をしたという事実も、これを私は否定するつもりはありませんし、それがバブル現象といわれるものを加速した面があることも、これはそのとおりでありましょう。そうした認識のもとにおいて一体どういう対応をすべきかについては、今後十分考えてまいりたいと思います。  ただ私は、エクイティーファイナンスそのものが全部悪いということはないということは、委員と同意見だということだけ確認させていただきたいと思います。
  74. 細谷治通

    ○細谷委員 有価証券の発行に当たりましては、証取法第四条によって大蔵大臣へすべて届け出ることが義務づけられております。この届け出の中で、資金の使途についてもちゃんとチェックするように書類はなっているのです。提出資料の中に書かれております。そして、これが書かれていなければ大蔵省としては受理しない、こういう仕組みになっているわけです。ですから、私はこの届け出の際の大蔵省のチェック機能というものが十分果たされているのかどうかということがあると思います。あくまでエクイティーファイナンスはいいんだ、自由主義経済だ、マーケットメカニズムにみんな任せればいいんだ、私はもうそれもそろそろ今指摘しましたように限界に来ているのじゃないかということで、公的規制なのか、大蔵サイドからの規制なのか、それとも協会自身取引所の規制なのか、いずれにしても、私は何らかの規制が必要な時期に来ているというふうに考えます。  大蔵大臣、そして自主規制のことについて協会の方からお見えになっているようでございますので、お考えがあればお尋ね申し上げたいと思います。
  75. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員、エクイティーファイナンスそのものが悪いと言うのではないという点については御同意をいただけたと存じます。そして私は、こうした問題、まさに純粋な経済行為に類する部分について行政権限が余り介入をするのはいかがなものかという感じは基本的に持っております。これは、今回の損失補てん等をめぐるさまざまな問題提起の中でも、むしろ今までの通達の中で見直した中の相当部分が自主規制団体に移るべきだということを申し上げてきた私自身の気持ちにもつながる部分であります。  こうした点については、私は本来なら自主規制団体にお任せをしたいという気持ちが非常に強くございますけれども、その自主規制と行政の監督部分につきましては、なお私なりに勉強させていただきたい。必要があるならば、それは法的な考え方をも打ち出さなければなりますまい。しかし、やはり本来的には自主規制ルールというものがこうしたもとに働くことが望ましいと私は考えております。
  76. 関要

    ○関参考人 企業が資金調達を行うことをお手伝いをいたしますのは、証券会社として非常に重要な職務になっております。エクイティーファイナンスをどんな形でどういう時期にやらせるかどいうことは、これは通常幹事証券と言っております引受証券会社が発行会社といろいろ協議をして決めていく、こういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、これはあくまで個別の引受証券会社と発行会社が御相談をして、そのタイミングとかその手法とか、こういうものを選択をしていくという性格のものでございます。それで、そういった仕事をすることにつきまして、証券会社の間にはやはり引き受けという仕事をすることにつきましてのガイドラインというのを設けてございまして、そのガイドラインにおきましては、発行会社の資金使途とか資金繰りとかいったものを十分確認して、その緊急性、重要性を十分勘案した上で処理をするようにということになっております。また同時に、証券会社というのは市場の仲介者でございます。資金の調達側だけでなくて資金の出し手の方にも十分気を配らなければならないわけでございますから、市場のキャパシティーとか投資者サイドの状況を十分把握して対応するということが望まれるわけでございます。  今後、私ども証券業界といたしまして、そういった引き受けに関するいろいろな業務について、今申し上げましたようなガイドラインをさらに整備をする必要、こういったものが出てくるのではないか、こういう問題意識は持っておるわけでございます。今後、大蔵省のいろいろな自主規制強化の御方針なども踏まえて、十分対応していきたいというふうに考えております。ただ、そういった場合におきましても、個別のファイナンスが、これがいいか悪いかというようなことを、仮に自主規制機能を持っておるといいましても、私ども協会が個別に判断をしていくということはなかなか難しいのじゃないかな、こういう感じは持っております。
  77. 細谷治通

    ○細谷委員 要するに、発行企業投資家の間に入るのが証券会社だ。その証券会社の裁量でこのエクイティーファイナンスが行われている限りにおいては、私はこれはエクイティーファイナンスの流れをとめることはできないと思う。なぜなら、莫大な引受手数料が入るわけですから、そんなもの証券会社が、いや、もうそれはやめておきなさい、過剰だからやめておきなさいということを本質的に言うわけはないと思うのです。だから今日のこの過剰なエクイティーファイナンスというものが発生している、まさにこれがその証拠じゃないかというふうに私は思います。私は、何らかの公的規制ないしは証券会社に任じてはだめ、むしろ自主規制であるならば証券取引所なり協会なりがきちっとしたガイドラインといいましょうか規制といいましょうか、そういうものをつくっていかない限り、基準をつくらない限り、私はこの過剰ファイナンスというものを食いとめることができないのじゃないかというふうに考えているわけであります。ぜひそういう意味において、今後御検討をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  日銀総裁がお見えになっておりますので、このエクイティーファイナンスと金融政策の関連ということでお尋ねをしたいと思います。  金融・資本市場総体としてとらえた場合に、エクイティーファイナンスによって株式市場へ放出される資金、これが一体、調和のとれた総合的な金融政策のかじ取りをするということで、これほど過剰なファイナンスということになりますと、少なからぬ障害が出てきているんじゃないかというふうに私は判断をいたしております。もちろん金融政策としては、公定歩合の問題、窓口規制の問題、総量貸し出しの規制の問題等いろいろあります。マネーサプライを調整する手段はありますけれども、この株式市場における膨大な資金の流れというものが、総体としての金融政策の外にあって、金融政策整合性そして効果という点で、私は非常に無視できないものがあるんじゃないかというふうに思うのです。いわば私製といいましょうか、私製の日本銀行券が別のところへ流れている。そういう意味において、総合的な金融政策の一環として、私はコントロール下に置くということをそろそろ考えていかなきゃいかぬときに来ているんじゃないかというふうに思うわけであります。その辺について総裁の御所見を伺いたいと思います。
  78. 三重野康

    三重野参考人 お答えいたします。  エクイティーファイナンスを通ずる資金と金融政策との関連でございますけれども、私ども金融政策は、委員も御高承のとおり金利政策を中心に据えてやっておりまして、その金利が市場関係者の金利の先行き観その他に影響を及ぼすわけでございますので、エクイティーファイナンスも基本的にはそういう金利を通じてコントロールのもとにあると言っていいかと思います。  それから、マネーサプライとの関係でございますが、おっしゃるとおりマネーサプライの直接の増加にはなりませんけれども、エクイティーファイナンスを銀行が保有した場合、あるいは株を担保にして銀行が貸し出した場合、これはマネーサプライに入るということになります。  しかし、これは基本的な関係を申し述べたわけでありまして、結局、今委員指摘のようなエクイティーファイナンスが非常に撹乱要因になるかどうかということは、やはりエクイティーファイナンスに行き過ぎがあったかどうかということだと思いまして、これは当時、やはり株が右上がりで絶対にもうかるんだ、そういう期待のもとに行われたわけでありますし、またそういう甘い期待が資本市場にびまんしたことは事実でありまして、そういうびまんしたことに対して、私ども金融政策金利政策がやはり関係なしとは言えないというふうに思いまして、これから先にはそういう点は十分反省して、エクイティーファイナンスが少なくとも金融政策によって加速されるようなことはないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  79. 細谷治通

    ○細谷委員 このエクイティーファイナンスについては、また別の問題が出ているわけであります。  すなわち、現在の株価の低迷の市況からして、未転換、未行使のCB、WB、ワラント債、転換社債、この大量償還、いわゆるリファイナンス問題が発生しております。この償還手当てに企業は迫られるということになっているわけであります。推定によりますと、この償還額というものは、今後三年間で十九兆とも二十兆とも言われております。そして、これは未転換、未行使。なぜなら、このCBやWB、これの発行したときの状況より今の株価が一万円以上低いからなんです。転換、行使できない、こういう状況があります。こうしたエクイティートファイナンス、特に償還のためのリファイナンスの急増というものは、当然有価証券の発行条件の悪化になることはもとよりでありますし、金利の上昇要因ともなります。ひいては経済のファンダメンタルズに悪影響を与えることになるというふうに思うわけであります。  今後、こうした企業の資金需要の増大に対して、金融政策としてどう機能させていくのか、この辺について総裁の御所見をお伺いしたいと思います。
  80. 三重野康

    三重野参考人 明年度以降大量の償還資金の必要なことは委員指摘のとおりでございます。ただ、私ども企業金融全体として考えた場合、この大量の償還資金は恐らく銀行の貸し出し、あるいはいろいろ直接間接に資本市場から調達されるわけでありまして、全体としてはもう一遍企業に戻ってくる金である。現在は、これまでの長い間の好景気のもとにおいて、一部の特定業種を除きましては、企業の流動性もまだなお高いところにございますし、かつ財務体質が改善して収益もまあまあ崩れていないという点から見て、現在のところは直ちにこういう金融上の問題が景気の安定的な発展を妨げるとは思っておりませんが、しかし、これは明年度以降のことでございまして、これがそのときの景気情勢にどういうふうになるのかはやはり大きな問題の一つだと思っておりまして、その点はよく注意して、そのときそのときに適切な処置をしてまいりたい、かように考えております。
  81. 細谷治通

    ○細谷委員 特金、ファントラの残高はまだ三十兆円近くあると言われております。最近の株価の下落でほとんどの特金、ファントラに含み損が出て、解消しようにも解約しようにもできない状況にある、こう言われているのです。そして今回の一連の証券不祥事の発覚、そして世論の指弾、これが皮肉にも証券会社に対する真夏のプレゼントだ、証券会社救済策だとも言われている。全く情けない話であります。特金、ファントラの今後の運用の見通しはどうなるというふうにお考えになっているのか、所管大臣として、大蔵大臣の御所見を賜りたいというふうに思います。
  82. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは事実問題を含みますので、事務方からの答弁をお許しいただきたいと思います。
  83. 土田正顕

    土田政府委員 ファントラにつきまして御説明を申し上げますが、確かに証券市場の価格変動を反映して含み損なりなんなりが発生するということはあり得るわけであります。ただし、このファントラの運用の内容はいろいろでございまして、利回り変動の少ない商品にも投資できるようになっております。したがいまして、この含み損が株価の推移と運動するというふうには必ずしも考えておりません。またさらに、この信託契約終了時には、換金することなく、財産の姿のまま、現物のまま委託者に返還するのが原則になっております。したがいまして、今後このファントラの処理については、委託者それから受託者相互間のいろいろな相談はあるかと思いますが、一概にどうなるだろうというような予測は立てられないと考えております。
  84. 細谷治通

    ○細谷委員 いずれにいたしましても、この特金、ファントラの含み損問題というのは大変重要な問題であるという認識をぜひ持っていただいて、今後の万全の対策をお願いをしたいというふうに思います。  ちょっと順番違いますけれども、日銀総裁お見えになっておりますので、日銀の証券会社に対する考査の問題についてお尋ねをしたいと思います。  日銀は当然証券会社金融機関に対する考査、検査でなく考査と言うそうでありますけれども、考査に入られるということであります。まず、証券大手四社で結構でございますので、いつお入りになったのか、その辺をお聞きしたいと思います。そして、もしそこで、考査のプロセスで不適切事項というものが発見されたときは一体どういう措置をなさるのか。  そういう観点で申し上げますと、国債の売買に絡んで、例えば国債の同日売買などの事実というものがもしあったとすれば、そういうことはこの日銀の考査のプロセスで発見できるものなのかどうなのか。もし発見しているとするならば、できるとするならば、当然おかしいと思って、損失補てんと気づくはずであります。気づいてないとするならば、一体どんな考査が行われていたのかなということを疑問に思わざるを得ないわけであります。  その辺について、日銀考査のあり方、そして、その中で今回の不祥事を一体どういうふうに発見され、対応されたのかについてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
  85. 三重野康

    三重野参考人 まず、四社に対する考査の日時を申し上げたいと思います。  野村証券平成二年の十一月。大和証券平成元年の十二月。日興証券は同じく平成元年の十月。山一は平成三年の四月に実施をいたしております。  そして、今委員お尋ねの今回の損失補てんに絡む売買については、遺憾ながら十分把握できませんでした。(細谷委員「把握できていない」と呼ぶ)はい、できておりません。  それで日銀の証券考査についてのお尋ねでございますので、ごく簡単に申し上げますと、日銀は金融機関の考査は長い間実施しておりますが、証券会社に対する考査は昭和五十四年から実施を始めております。これは法令上の根拠があるわけではなくて、証券会社あるいは金融機関日本銀行との当座預金取引を結ぶときに、約定書、契約書を結びます。その約定書にそういうことをできるというものをうたってありまして、それに基づく考査でございます。  それで、日本銀行の考査の目的は、これは中央銀行使命というのは、もうもちろん先生御高承のとおりでございまして、通貨価値の安定と信用性の保持育成でありますが、その二つの意味から見てマーケットのビッグプレーヤーである証券会社が健全経営をしているかどうかということを主として考査するわけでありまして、資産内容、収益状況等、経営の全般にわたるそれが果たして健全であるかどうかということを主眼に考査をしておりまして、いわゆる法令違反の摘発とは若干違っております。しかし、いずれにしろ、そういう不正に気がつかなかったのは事実でございまして、大変遺憾に思います。
  86. 細谷治通

    ○細谷委員 もちろん約定でありますけれども、日銀法第一条には、日本銀行は「信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス」と書いてあります。しかも、その約定があって、約定の中に考査に入れるということを必ず書き込んでいるわけであります。そういう意味において、私はこの日銀考査というものの持つ機能というものは大変大きなものがあると思います。その証券会社の経営が不健全であるかどうか。不健全じゃないですか、この損失補てんというのは。資産の移動というのは、そういうのはまさに不健全です。資産の移動にも大変大きな影響があったはずであります。それが日銀としてこれが把握できなかったということは、私は納得できない。しかし、把握してないわけでありますから仕方ない。遺憾であります。今後はぜひそういう目で日銀の考査というものも行っていただきたいというふうに思います。  最近日銀では、今度の一連の証券金融不祥事にかんがみてでございましょうか、考査体制の強化をうたっておられます。ぜひこの証券会社に対する考査というものもこの中に含めてやっていただくことを総裁にお願いをいたしておきます。それでよろしゅうございますか。――ありがとうございました。  続いて、先ほどちょっと途中になりましたけれども大蔵省事務方がこの損失補てんの問題をどういう形で、いつの時点でどういうふうに認識したかということをもうちょっと掘り下げてみたいというふうに思います。  八九年の十一月に大和証券事件というのが発覚をいたしました。これは、実は事件はもう多くをくどくど言いませんけれども、一九七五年、昭和五十年から一九八〇年、昭和五十五年にわたって、法人取引先に対して、株式取引であけた穴、これを約百十三億円の巨額の金を損失補てんしたという事件であります。  これは大蔵検査でわかったのでも何でもありません。まさに八九年でありますから、事件が発生してから何年になりましょうか、十年近くたって、しかもダミー会社の脱税事件から国税によって摘発されたという代物なんです。事実、この株式取引でありますけれども損失補てんというものが既に大和証券においては昭和五十年から行われておるということなんです。そして、その後、五十年以降、大蔵省証券局検査というのは何回か入っているはずであります、大和証券に対して。このときに発見できなかったのはどうか。私は発見できていたんじゃないかと思うのです。その辺についてどういう認識を持っておられますか。お尋ねいたしたいと思います。
  87. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 この大和証券、元年十一月に明らかになった損失補てんでございますが、これは元年十二月の二十七日に大和証券から訂正有価証券報告書が提出されております。その説明の中に、御指摘のように、昭和五十年代前半において顧客との証券取引により生じた損失の一部を他の事業会社へ肩がわりさせていたものだという説明があるわけでございます。  この損失は、株式取引によって生じたものでございますが、私ども確かに定例的に検査をしていたわけでございますが、大変申しわけないわけでございますけれども、こういう他の事業会社に肩がわり、いわば会社の外に持っていっていたというようなことでございまして、私どもがその元年十一月の直前に入りました検査は、六十三年の四月でございますけれども、その検査まではどうもこの事実を把握、確認できなかったということでございまして、十一月に別の会社から明らかになって初めて大和証券から具体的な報告を受けたということでございます。
  88. 細谷治通

    ○細谷委員 ここに大蔵省証券局年報というのがあります。これは平成二年版です。これは後からこれに関してもまた申し上げますけれども、この年報の五十一年版、これを見てみました。この中に「証券検査の実施状況」というのが書いてありまして、「昭和五十年度の検査方針」の中に「顧客に対する特別利益供与等の不適正な行為の発見に努めるものとした。」これが検査方針ですね。しかし、これは、方針はありますけれども検査結果は何にも触れられておりません。あったのかなかったのか、触れられておりません。五十二年版にも同じことが書いてあります。ですから、証券局というのは十分問題意識を持っていたということがわかります。  次、同じようなことが毎年書いてありますけれども、五十六年版、一九八一年、十年前ですね。ここでは今度は少し重点化いたしまして、「一部の顧客に対する特別利益供与など証券取引法第五十条及び証券会社の健全性の準則等に関する省令第一条第二号に抵触するおそれのある取引がないかを検討することとした。」これがまさに今問題になっている損失保証の問題ですね。この問題です。具体的に五十条ということ、それから省令第一条第二号ということが出てまいります。これが十年前です。  次、五十九年版、一九八四年、重点事項といたしまして、今度は重点事項に格上げになっております。「一部の顧客に対する特別利益供与など」云々。先ほどの同じ表現でありますけれども、これを重点項目に取り上げております。そして検査結果、「一部に債券取引を利用した特定顧客に対する利益供与とみられる取引事例が見受けられた。」こう書いてあります。初めて出てくる。  これを見てわかりますように、大小の差はあれ、特別利益の供与、特定顧客に対する特別利益の供与ということは、証券局としては終始問題意識を持っていたということが、この事実で、証券局みずから証券局証券局白書と言われるこの年報でわかるじゃないですか。これはどういうふうにお考えになりますか。
  89. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 確かに御指摘のように、証券局年報の検査の問題点あるいは検査の重点事項というところに利益供与あるいは損失保証、利益保証というような問題に対する問題意識を常に掲げているということは事実でございます。これは私ども営業面での法令遵守を当然チェックするわけでございまして、その中で損失保証あるいは利益保証というものは、これは健全性省令あるいは法律で禁止をされている行為でございまして、そういったものを重点的に見る、営業姿勢として見るというのは検査一つのポイントとしては当然のことでございます。  先ほど申し上げましたように、ただそういう問題意識を持って常に営業姿勢を見ていて、その結果、一部にそういう大口顧客に対する利益供与、これは損失保証あるいは利回り保証というような確証がなかったわけでございますけれども、そういう事後的な損失補てんというように見られる取引があったということを確認をし始めたのが昭和五十八年度の検査の結果でそういうものが見られたわけでございまして、それ以前も絶えず問題意識を持っていたということは御指摘のとおりでございます。
  90. 細谷治通

    ○細谷委員 私が指摘しましたように、もうこういう特別の顧客に対する特別利益の供与というものが証券界にあって、それを、事の大小はあっても、証券局としては認識を持っていた、持っていたからこそ検査の重点項目ということで取り上げてきた、こういうことだと思うのです。だとすれば、そして大和証券事件というものが発生したわけでありますけれども。これだけの問題意識を持っていたら、もっと早く行政は手を打てたんじゃないか、こんなに事件が大きくならなくても。私はそういうことを考えますと大変残念で仕方ないのです。行政がまさに後手後手に回ってきた、私はこの典型ではないかということを指摘せざるを得ないと思います。大蔵大臣、どうですか。
  91. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに証券局のその年報の中に問題意識を持ち検査をしていたという事実があり、五十九年でありましたか、それに抵触する事例が発見されたという事実がありましたのは私も見ました。そして、そういう認識のもとに私は証券局としては指導を行ってきたと思っております。そして元年の十一月に大きな損失補てんというものが、にもかかわらず出てきたことから、私は改めて、しかも、そのとき他の会社についても検査が進行中だったはずでありまして、そこでも同じような問題が発生をしているということから私は通達を発出したと理解をいたしております。  通達の権威というものを全く無視されるという認識がなかったと言われれば、これはそのとおりでありますが、私は率直に申して、その時点で、業界が通達というものの権威を全く踏みにじるような行為を結果的に生ずる事態になるとは本当に想定しておりませんでした。  そして二年の七月に再び報告を別のケースとして受けましたとき、あわせてその通達発出後の数社にわたる通達違反が発見をされた、それに対してこういう社内処分を行わせしめたという報告を受けましたときにも、なお私は、通達というものに対しての総合的な効力というものには、率直に申して信頼をおいておりました。ですから、その信頼をおいていたことがいけないと言われれば、私はそれを甘受いたさなければなりません。  そして今、そうした思いの中で、証取法の改正という問題、さらには過去の通達というものの全面的な見直し、その中において法令化の必要のあるもの、自主規制団体に移すべきもの、その仕分けの作業に入っておりますし、何よりも今後口頭による通達というものはやめたい、とっさの場合に必要があって口頭で通達をする場合でも、それを必ず後で文書化しておく、そうしたことが必要だということを今痛感いたしております。
  92. 細谷治通

    ○細谷委員 大臣、私が言いましただけでも、もう昭和五十年からそういう問題意識があったということなんですね。そして通達が発せられたのが五十九年、いや元年、こういうことなんですね。  私は、もう一つ指摘したいのは、大和証券はこの事件が発生したときに損失補てんという認識はないんですね、大和証券は、残念ながら。だからこそそのときに、国税からの徴税の追徴更正処分、これに対する異議申し立てをしているんです。このときに六十二億円の追徴処分を受けたわけであります。異議申し立てをして、損失補てんではないんですとこれは言っている。だから、証券会社側には損失補てんの意識はありませんから、異議申し立てをして、そして国税と争う、こういうことなんです。だから私は、この損失補てんの認識をこの時点でもやはりまだ証券会社自身が持っていなかったということが大変重要なことだというふうに思うんですね。これもやはり行政の指導、従来からの指導というものが甘かったというふうに指摘せざるを得ないと思うんです。  そこで、一つお尋ねしたいのですけれども、このときには、これは新聞報道でありますけれども、大和証券事件については行政処分は行われておりません。そして社内処分というものが行われているというふうに聞いているわけでありますけれども、この社内処分というのは一体どういう理由で行われた処分なんでしょうか。もし証券局長おわかりでしたら、当時のことを振り返っていただいてお答えいただきたいと思います。
  93. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御質問にお答えいたします前に一つお答えを申し上げたいのは、大和証券損失補てんを認めてないという御指摘でございます。これにつきまして、私どもは大和証券から聞いておりますところでは、この国税の更正決定が行われ、それに対して確かに異議申し立てがなされております。この異議申し立ての内容は、大和証券からの私どもへの報告では、損失補てんというものについてこれを認めないという意味ではなくて、これは実は国税の通常の更正処分の期限であります三年は既に経過をしている案件でございまして、それに対していわゆる仮装隠ぺいということで七年の適用を受けている。つまり七年間さかのぼっていいということで更正処分を受けたという点について、仮装隠ぺいという問題について異議申し立てをしているというふうに聞いているわけでございまして、損失補てん行為そのものについては、大和証券もこれは認めているというふうに報告を受けております。  それから、この件に関しましての処分でございますが、これは平成元年の十一月にこの大量の損失補てん行為が明らかになりまして、私ども行政として、これは非常に不適切な行為だということで、大和証券に対し、適当な社内処分を、けじめをつけるようにという指導をしたわけでございます。その結果、平成元年の十二月二十六日付で、当時の会長、社長初め十六名の役員が減給あるいは公職辞退あるいは更迭というような形で社内処分を行っているわけでございます。あわせてその際、私どもとしては、これは法人の取引に絡んだということもございまして、大和証券の法人部門について自主的な営業の停止というのを指導し、二日間営業を停止し、全社一斉に社内の管理状況をチェックするというような指示をしたところでございます。
  94. 細谷治通

    ○細谷委員 それは、大和証券は、異議申し立てをするときの言ってみれば訴訟技術の一環としてやった。だから、この事件が、大和証券事件が発覚したときの新聞記事を読んでいただきたいと思うんですけれども、このときにはもう全く損失補てんの認識はないと言っている。その証拠に、また去年の七月の、例のブラックマンデー絡みのときにも各証券会社は、いや、損失補てんではないんだ、損失補てんではないんだと言ったんです。ですから、これは国税と争うための手段としてこれを損失補てんと認めたのかもわからないけれども、世間的には一切認めていない。ですから意識としては、証券会社の中にはその当時にも損失補てんという意識はなかったということを指摘せざるを得ないわけです。だとするならば、この処分は大和証券にとっては何の処分か意味がわからない。自分たち損失補てんをした認識がないのに、大蔵省から言われたから嫌々ながらやった処分だったというふうに思わざるを得ないわけでありまして、そういうことが結局、証券会社自身に自覚がない、認識がないということもあわせてこの本問題の根深さが私はあるということを指摘したいと思います。  時間が参りましたので、午後に移りますけれども、午前中これで終わらせていただきたいと思います。
  95. 大野明

    大野委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  96. 大野明

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治通君。
  97. 細谷治通

    ○細谷委員 午前中の質疑の最後の締めくくりとして一つ申し上げ、大蔵大臣、そしてできれば総理の御所見を賜りたいと思っております。  先ほどもちょっと御紹介しましたけれども大蔵省証券局年報、平成二年版でございます。これを見ますと、まさにこれは、この検査というのは平成元年度の検査でありますから、もう申すまでもなく、大和証券事件があった、それを受けて証券局長通達が出た、この年ですね。十二月二十六日ですか、出た、この年です。この年のこの検査結果、検査の実施状況を読んでみますと、「一 平成元年度の検査重点項目」の中には、なるほど先ほど申しましたように、「一部の顧客に対する特別利益供与など」云々というのが書いてあります。重点項目になっております。しかし、この検査結果を見てみますと一言も書いてありません。一言も、何の一言も触れてないのです、この問題について。この一事をもってして、いかに行政がこれに怠慢であったか、隠そうとしたとさえ見られても仕方ない。この問題の認識の薄さというものが如実にこの検査結果の実施状況報告に私は出ていると指摘せざるを得ないと思うのです。こんな状況では、こういう未曾有の事件が発生するのは当たり前ではありませんか。大蔵大臣、いかがでございますか。
  98. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 年報の掲載の有無を問わず、今日までの証券行政に、今省みまして問題がなかったなどと私は申し上げる意思は毛頭ありません。先ほど委員にも御指摘を受けましたように、私自身もこの問題についての認識が不足していたことを午前中認めました。そして行政として今厳しいおしかりを受けることは当然と思います。しかし、今大蔵省自身が必死でその信頼を取り戻すべく努力をいたしておることも事実でありまして、おしかりは当然甘受いたしますが、どうぞ今後証券行政というもの、さらに証券市場というものがもう一度国民信頼を取り戻すに足るだけの努力をいたす力をお与えいただきたい、そのための御協力は賜りたい、心からお願いを申し上げます。
  99. 細谷治通

    ○細谷委員 総理、いかがでございますか。
  100. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 大蔵大臣申し上げたとおりに、やはり気がついてわかったことがあった場合に、は、でき得る限りそれが再び起こらないように、それぞれの立場において適切な処置をとるということは大切なことだと伺います。
  101. 細谷治通

    ○細谷委員 この証券局年報、十一月に出るそうでありますけれども平成三年度版、これはまさに自主報告を求め、そしてそれをトレースしてきた年に当たるわけでありますから、この中では、ぜひ三年度版ではきっちりとそこのところを、検査結果を含め、調査結果を含めて記載していただきたい、国民の皆さん方の前に明らかにしてもらいたいということをお願いをしておきたいと思います。  さて、次でございますけれども、通達発出後の対応についてお尋ねをいたします。  もう時間がございませんから、かいつまんでお尋ねいたしたいと思いますけれども、元年十月、証券局長通達が出されました。そして同時に、あわせて「徹底について」ということで事務連絡が出されております。そして、この中には、御承知のように、営業特金はもう平成二年度の十二月までには全部解消ないしは投資顧問の方に移しかえなさいということを、期限を切って、去年の十二月という期限を切って、そして事務運絡を出しておるわけですね。そして、これについては、特金勘定取引についての調査は、当分の間各年三月末、九月末について指導をすることとするとはっきり書いてあります。そうしますと、それから九〇年三月末、九〇年九月末、九一年三月末というのが当然調査がされているわけですね。報告を求められている。この調査の結果はどうだったのですか。特に、この中で営業特金なるものの解消状況、解約状況というものがどうなっていたのか、これをこの調査ごとに、節目節目でお示しをいただきたいと思います。
  102. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 平成元年十二月に通達を出し、あわせてその際、御指摘の事務連絡を出しまして、その通達の徹底を図るとともに、営業特金の適正化、これは通達では原則として投資顧問っきにするように、しかし事務連絡では、それがどうしてもできない場合は確認書をとれというような扱いをしたわけでございます。それで、その適正化状況をチェックするための報告を求めているわけでございまして、この事務連絡に基づいて報告が出てまいっております。  本省が直接監督しております二十二社について計数を申し上げたいと思いますが、これは口座数でございますが、そのいわゆる営業特金、私どもは投資顧問がついてない特金と、こう言っておりますが、この営業特金の口座数が九〇年三月末に二万二千五百四十六口座ございます。九〇年九月末に一万九千二百八十五、九一年三月末には一万八千百二十二ということでして、営業特金そのものは存在をしております。これは、今申し上げましたように、確認書をとるということで適正化を進めてきたわけでございます。
  103. 細谷治通

    ○細谷委員 いずれにいたしましても、九一年三月になってまだ一万八千百二十二残っているということであります。  もう一つお伺いしたいのですけれども、この中には公的機関と言われるものが入っているかどうか、これを確認求めたいと思います。
  104. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 今ちょっと手元で資料がございません。よくわかりません。至急調べまして御返事申し上げたいと思います。
  105. 細谷治通

    ○細谷委員 私の調べによりますと、実は現在に至るもまだ営業特金という形で運用されている公的機関があるのです、公的機関が。これは確認するとおっしゃっていますから確認していただきますけれども、要するに、この通達、事務連絡がいかにいいかげんなものであるか、守られてないかということの証左だと私は思うのです。十二月までに営業特金を解消しなければならないという通達を出しながら、依然としてこんな膨大な数が残っている。しかも、その中には公的機関も残っているということであります。この辺については、今後明確に資料をもって出していただきたい、説明をしていただきたいというふうに思っております。  それからもう一つ、これは資料要求をさせていただきたいと思いますけれども、この事務連絡の三項の中に、同様に、十二月末現在の特金取引の業態別口座の残高と、それから、これは「別紙様式3により調査を行い、実情を把握する」という、十二月通達時の営業特金の残高についても、ぜひ後から、これは資料で結構でございますけれども、お示しをいただきたいというふうに考えております。  さて、次に移りますけれども、いずれにいたしましても、この損失補てんについてはまだまだ解明し切れないところがあるわけでありますけれども、特に九一年の三月期のこの損失補てんについては、現在特別検査中ということで、まだはっきりしないわけであります。実は、一説によりますと、今回判明したのは六百十七社、総額千七百二十億というこどでございますけれども、これでも過少ではないか、この数倍あるんじゃないかと言う人もおります。そして九一年三月に至ってはこの十倍はあるんじゃないかという説もあるわけであります。ですから、この特別検査というのは本当にしっかりと徹底してやらなければならない代物だというふうに思うわけであります。  そこで、私はお尋ねしたいのは、この特別検査というのは何か二、三カ月かかるということでありますけれども、一体いつになるのか。この事実がわからない限り、私は証券取引法の一部改正法案が出ても、これはとてもじゃないけれども審議にたえないというふうに考えております。だから一日も早く、二、三カ月と言わずに中間報告をすべきである、国会に中間報告をすべきであるというふうに思いますけれども大蔵省はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  106. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 特別検査、七月の十八日から四社に入っております。ただ、四社に同時に入った関係もございまして、検査官の数という制約もございまして、非常に検査が大変になっているわけでございます。もちろん損失補てん一つの大きな項目として、重点項目として検査をしているわけでございますが、あわせまして損失保証というようなものがなかったかどうか、あるいは御指摘にもあります東急株の問題も検査をしているわけでございまして、現在鋭意全力を挙げて検査をしておりますが、まだ私もその中間的な報告を受けていない段階でございまして、各検査官が各営業店に臨席をして、実際に帳簿を調べ、あるいはその営業マンから事情を聞き、必要に応じて取引先からも事情を聞くというようなことで検査を進めております。なるべく早く私ども検査を終わらせたいということで努力をしたいと思います。
  107. 細谷治通

    ○細谷委員 大蔵大臣、どうでしょうか、この証取法の改正案の審議をスムーズに一日も早く進めるためにも、私はぜひこの中間段階で、一社でも二社でもわかった段階ででも、その検査結果というものを国民の前に明らかにしていくという御覚悟があるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  108. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は今の委員の御指摘の中には二つの問題があると思います。  一つは、今回行っております特別検査の公表という問題であります。これは従来から個々の証券会社等に対する検査結果の公表は控えさせていただいているところではありますけれども、こうした今の証券業界というものの受けている世間からの不信というものを考えますとき、私は可能な限り各社そのものが事実関係を公表するように指導しなければならないと思います。  それからもう一点、委員が御指摘になりました、この検査が全部終了しなければ次のステップに進めないと仰せられましたけれども、私はそれはどうぞお考えを変えていただきたいと思います。それは、証取法の改正が必要だということ、そして損失補てんという行為法律上禁止しなければならない状況にあること、また、その温床になりがちな一任勘定取引というものを規制すべきであるということ、こうした点については、私は既に判明しておる事実の中からも当然急がなければならないことと思っております。私は、こういう点についての対応策はぜひ急がせていただきたいと考えておりまして、この特別検査が全部終了しない限り次のステップに進めないということではなく、行政としての努力は払わせていただきたい、そう願っております。
  109. 細谷治通

    ○細谷委員 これだけ重大なことになりながら、まだ証券会社の自主的など、政府が今度はこの事態にかんがみてみずからの決意で、決断で特別検査を実施しておきながら、これはまだ政府の責任じゃなくて、これをまだ証券会社にやらせ、自主的なんだということはいかがなものでありましょうか。  それから、もう一つ言えば、新たな手口が出てこぬとも限らぬわけでしょう、損失補てんの。それがわからないのに法律だけ先に審議しろと言われてみても、それは私どもとしてはなかなかそういうわけにはいかないんじゃないかというふうに考えておる。これはもうやっていてもしようがありませんから、ただ、私は要望として申し上げておきますけれども、ぜひ中間報告を一日も早く出していただきたい。そして、それは政府のみずからの責任において検査結果を、自分でなさるんですから、その結果については自分の責任において出していただきたいということを要望して、次に移りたいと思います。  次は、ちょっと具体的になりますけれども損失補てんの態様と手口ということでありまして、これは先般の予算委員会においても、我が党の仙谷委員からも資料要求がございまして、一日も早く、なるべく具体的なものを早急に出しますという話がございました。まだ出てないようでありますけれども、ぜひ作業を急いでいただいて一日も早く出していただきたい。これはもうまさに決定的でありまして、これが出てこないと法案審議なんという話にはならないということはもう重々おわかりだと思いますので、それをお願いをしておきたいと思います。  ちょっと細かい話でありますけれども、お聞きしたいと思います。損失補てんとその意味、性格ということであります。  これはどういうふうに認識したらいいのか。例えば、私が考えるだけでも、営業特金を解約するための解決金といいましょうかキャンセル料というのでしょうか、こういう性格のものなのか。ないしは契約不履行に伴う損害賠償なのか。それとも、例えば大蔵省が指導しました、投資顧問づきに移しなさいということを指導されました。その結果、当然投資顧問料を支払わなければならぬ。これは通常〇・三%、〇・五%と言われているわけでありますけれども、これは払わなければいかぬ。これは一体だれが払うんだという費用弁償の問題が出てくる。大体私なりに考えてみるとこんなものがあるのですけれども、大体こんなものでありましょうか。そのほか、態様としてはほかにあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  110. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 損失補てんと申しますのは、ごく一般的に申し上げますと、これは特定のお客に対しまして有価証券の売買などで生じたお客の損失の全部または一部を補てんする目的をもって利益供与をするという取引でございます。いろいろ御指摘のケースもあると思います。我々つかんでおりますのでは、ごく普通の状態は、やはり営業特金というようなものが設定され、それに損失が発生する、株価が下落するなどで損失が発生した場合に、その損失を補てんするというような、一般的なごく通常の形はそういうものでございますし、あるいは損失が発生しない場合でも、運用改善のために利益供与をするというようなケースもあると聞いております。もちろん営業特金を解約するときに、そういったものを利益供与するというようなケースもございますが、必ずしも解約の場合だけではなくて、営業特金は通常一年一回決算をするわけでございますので、毎期決算期ごとにそういうような問題が起こるというようなこともあるわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもは有価証券報告書の訂正を指導したわけでございまして、その中には、今申し上げました通常の場合には、取引関係を維持するための経費、売買損もそうですし、あるいはそれ以外のものでもそういうものがございます。それから取引関係整理するための経費という言葉も使っております。これは御指摘のように、営業特金をやめる場合に発生したものだというふうに認識をしているわけでございます。
  111. 細谷治通

    ○細谷委員 続いて損失補てんのレベルみたいなことについてお伺いをしたいと思います。  大体これはだれが考えても三つぐらいのケースしかないと思うのですね。元本というのがあって、その元本に届くところ、元本を保証するという態様と、それから元本割れだけれども、元本までは達しないけれども、その一部を補てんする、ないしはもっと今度は一定の利回りのレベルがあって、それを保証する、ないしはその中間もあります。元本との中間もあるかもしれませんけれども。こういう大体三つぐらいが態様として考えられるのじゃないかと思うのですけれども、今回のこの損失補てんの、少なくとも公表された限りにおいて、これは一体どんな感じになっているのか、その辺についておわかりであればお答えいただきたいと思います。
  112. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 私どもが今まで調査をいたしましたところでは、今回損失補てんとして公表されました中で本省が直接監督しております証券会社十七社のベースでございますが、全体で六百十その取引先がございます。そのうち、元本補てんでないもの、つまり元本は割れていない、しかし利益供与をしたという取引先が五十九ございます。したがいまして、逆に言いますと、それ以外は大なり小なり元本割れの状態で、元本を全部保証したかどうかということはちょっとわかりませんが、いずれにしても、元本割れのものを補てんしたということでございます。
  113. 細谷治通

    ○細谷委員 よくわかりました。  それでは、次に、税務調査というか税務という観点から見たこの損失補てんの概念と、それから何といいましょうか、今回自主報告で証券会社に出した、当然これは大蔵省証券局の指導があったと思いますけれども、これでは、どうも概念にずれがある、違いがあるというような感じがするわけであります。もちろん税務当局からいえば、これは損失補てんかどうかわからない。そんなことは税務当局は関係ありません。ただ単にこれは経費と見るのか、それともそれは利益と見るのか、その違いだと思うのですけれども、それは別にいたしまして、税務サイドから見た損失補てんないし交際費として認定したもの、これは一体どんなものがあったのか、類型的に、できればわかりやすく国民の皆さんの前に示していただければと思いますけれども、いかがでございますか。
  114. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 今委員おっしゃいましたように、私ども補てんに当たるか否かということについては関心がないわけでございまして、証券会社等が有価証券取引を通じて特定の顧客に特別利益を供与した、その反面、証券会社に損失が生じているかどうか、この点が問題であるわけでありまして、もう少しかみ砕いて言いますと、損失が相手方にあったのかどうか、証券会社側に補てんする意図があったのかどうか、あるいは補てんをされた側にその認識があったのかどうかということは、私どもは全く関心事項でないわけであります。例えば、そのほかに今度の補てんの手口として新発証券の割り当てというようなものもあるということでございましたが、そういう場合には証券会社サイドには損失が生じておりませんので、そういうものは私どもとしては課税の対象にはならない、そういったような違いもあるわけであります。  それで、認定でございますけれども、ケース・バイ・ケースに判断するかしないわけでございますが、私どもがメルクマールにしておりますのは、一連の取引の中で、通常の取引から見て不自然な価格、数量あるいは形態による取引であったかどうか、その点が一番重要なポイントであるということで考えております。  例をということでございまして、一例を挙げさせていただきますと、例えば国債の取引でございまして、特定の顧客に対して、その日の最安値で売却して最高値で買い戻す、そういうような相対取引、つまり証券会社と顧客の間でございますが、これを同時刻に仕組んでおる、そういうようなケースであれば、これは極めて不自然な取引であるというふうに考えておりますし、例えばワラントのケースでございますと、たくさんの銘柄の異なるワラントを売買をするケースでございまして、それを同日中に銘柄に関係なく売った値段に一定の率を乗じたもので同日の中に買い戻しておる、そこでお客がもうかっているというようなケース、これも極めて不自然なケースというふうに認定吃いたしております。
  115. 細谷治通

    ○細谷委員 本当は国税の判断と自主報告の判断の違ったやつでどういう類型、典型的なものがあったかということを示していただきたいと思ったのですけれども、これは後刻にいたしまして、先へ進めたいというふうに思います。  きょうは文部大臣もお見えになっておりますので、一言、一問だけ御質問申し上げたいと思います。  公立学校共済本部というのがありまして、これも御多分に漏れず今回、損失補てん、大臣は御否定になるかもわかりませんけれども損失補てんの問題が生じておるわけであります。今回のリスト公表分では、日興証券や準大手五社から二年半にわたって五十九億円の補てんを受けたということになっております。この五社以外に損失補てんを受けたことはないのか、事実はないのかどうか、まず、それをお尋ねを申し上げたいと思います。     〔委員長退席、松永委員長代理着席〕
  116. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  先般、日本証券業協会から公表されましたものは、昭和六十二年十月から平成二年三月までの取引の分についての税務調査が行われたものと聞いているわけでございますが、この五社以外にはないと思うと公立学校共済組合から聞いているところでございます。
  117. 細谷治通

    ○細谷委員 本当は当事者から聞いた方がいいんでしょうけれども監督官庁は文部省ということでございますのでお伺いをしますけれども、営業特金の契約時には目標ないし予定の利回りを示すのじゃないでしょうか。または、この証券会社が当然努力目標みたいなのを示すのじゃないでしょうか。そうでなければ、どの証券業者を選ぶのかという選択基準が出てこないじゃないですか。やはり資金運用の目標がどうなるのか、利回りがどうなるのかというこどが私はこの証券会社選択の当然基準になってしかるべきだというふうに思います。  もう一つ申し上げますと、ここに資料がございまして、平成元年九月十八日に証券会社の担当部長あてに公立学校共済組合本部の総務部長名で特金運用についてということで、「本年八月末までの貴社の営業特金の運用状況は、目標の通算総合利回り七%を下回っております。」そう書いてありまして、ぜひ御努力をいただきたい、「おって、通算総合利回りが七%を下回る場合には、契約の解除等もありますので、念のため申し添えます。」こう書いてありますね。大臣、これはあれじゃないでしょうか、これはまさにニギリの暗黙の了解じゃないんでしょうか。  まして、この組合本部の八九年の事業計画の中には資金計画がありまして、七%程度の利回り確保は十分可能だということで資金計画を立てましたということになっている。これは新聞報道に、当時の、これは日経新聞でありますけれども、この中に書いてあります。ということになると、この八九年度の事業計画、七%の目標利回りというのは、当然証券会社へ契約するときに示したと考えるのがこれはごく当然、自然じゃないでしょうか。そして、その当然承知しているはずの予定利回りがこの通達を出した夏の時点では確保されてないということで慌てた、そこでわざわざ七%という数字を表に出して、明示して、約束の履行を迫った、こういうことでしょう。そうでしょう。約束守らなきゃ解約すると言っているんですから半ば強制じゃありませんか。契約期間の途中とはいっても七%の目標利回りをわざわざ文書で明示して、もし達成できなければ運用委託の取り消しもあり得べしと言って、結果として、目標を達成したのかどうかわかりませんけれども、当初の目標が達成されたということならば、形としては立派な、外形から見れば立派な利回り保証だ、これが世の中の常識じゃないでしょうか。当時は損失補てんの存在すら知らなかったというこの責任者の言葉は、私たちは納得できないし、国民も絶対これは納得してくれないというふうに思います。  まず、これについて、今までの質問に対して御答弁をいただきたいと思います。
  118. 井上一成

    井上国務大臣 お答えいたします。  一般にこの損失補てんの問題が新聞報道されていた段階の平成三年七月十二日に、福利課長名で、証券会社との取引に関しいやしくも国民の疑惑を招くことのないよう留意してほしい旨、公立学校共済組合に通知をいたしたところであります。文部省といたしましても、平成三年七月三十一日の大蔵省証券局長通達や、あるいはまた証券不祥事再発防止への取り組みなども踏まえまして、今後適切に対応してまいりたい。十分注意をいたします。
  119. 松永光

    ○松永委員長代理 細谷君、もう一回質問して。
  120. 細谷治通

    ○細谷委員 このいわば資金運用について、最終的にはこれは文部大臣が検査、監督するという立場にあるわけです。今私が言いましたことについて、当然文部省として監督、指導、検査、私はそういう責任があると思うのです。もしこれがニギリでないということになるならば、とらの子のこの年金財源を何の確たる見通しもなく、ハイリスクでこれを運用を任せるということは、そのこと自体は大変問題だと思いますね。それから、もしニギリがあったということなら、それもまた大変だ、私はそういう二律背反の立場にあると思うのです。その文部省の責任ということを含めて、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  121. 井上一成

    井上国務大臣 日本証券業協会の発表を受けて、今回の公立学校共済組合に係るこの損失補てん問題は、正直初めて知ったわけであります。  文部省では、公立学校共済組合が地方公務員等共済組合法の適用を受けていることに基づきまして、これら法令の範囲内での資金運用を同組合に対して指導してまいりました。すなわち、地方公務員共済組合法第二十五条に定められているように、安全かつ効率的な方法による運用を基本として指導してきており、現実に公立学校共済組合の資金の大半は預貯金やあるいは国債等の債券など安全なもので運用されてまいりました。また効率性は高いが比較的リスクのあるものの運用につきましては、文部大臣の承認によるものとしているところであります。  また、今後の指導の面でありますが、いずれにしても、今回の事態を考慮して、公立学校共済組合の資金運用につきましては、長期的視点に立った資金のより効果的な運用という観点を考慮しつつ、その方法につきまして慎重を期するという必要があろうと思います。文部省といたしまして、平成三年七月三十一日のこの問題につきましては、今後適切に対応してまいりたい。  事実関係につきましては、審議官から御答弁させていただきます。
  122. 細谷治通

    ○細谷委員 今のお話にもありましたように、文部大臣としては、監督責任者としてハイリスクなものについては一々届け出をさせながら認可している。要するに、リスクはないと判断するから認可するのでしょう。リスクがあると判断すれば、こんなもの認可するわけないじゃないですか、行政、大臣が。私はそう思いますね、この辺でやめておきますけれども。  ところで、現在、営業特金というものが残っているのか残っていないのかということだけお尋ねしておきたい。
  123. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。  公立学校共済組合につきましては、現在営業特金が九百四十四億残っているところでございますが、これらにつきましては、公立学校共済組合といたしましては、顧問特金等への切りかえにつきまして、市場実勢価格等を考慮いたしまして切りかえる方向で現在検討している、このように聞いているところでございます。
  124. 細谷治通

    ○細谷委員 しかし、今の答弁は大変な答弁ですね。今現在検討しているという答弁なんですけれども、それで本当にいいんですか。大蔵大臣、どうですか。
  125. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもといたしましては、先刻来御論議になっておりますように、営業特金をできるだけやめるように、顧問つき契約に変えるように、同時に、どうしても変わらないものについては、御承知のような確認書の取り交わしを要請してまいりました。今実は私は文部省の御答弁を聞き愕然といたしております。
  126. 松永光

    ○松永委員長代理 井上務審議官、もう一回きっちり答弁してください。
  127. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げましたが、大蔵省証券局長通達に基づきまして、営業特金が当時ございましたものにつきましては、証券会社損失補てん等について一切しないという確認書は取り交わしているところでございます。したがいまして、なお市場実勢価格等との関係から、ただいま切りかえることについて種々問題が生ずるということもございましたが、こういう事態にかんがみまして、早急に顧問特金への切りかえを公立共済では取り組んでいる、このように聞いているところでございます。
  128. 細谷治通

    ○細谷委員 要するにあれですね。保証はしない、利回り保証はしないという契約がある、さっき確認があると。しかし、それでは不十分であるから顧問つき契約に切りかえることを検討している、こういうことですか。確認させてもらいます。
  129. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  営業特金につきましては、種々御指摘のような問題点がございますので、先ほど申し上げましたように、顧問特金へこれを切りかえるということでございます。
  130. 細谷治通

    ○細谷委員 それでは答えになっていないのです。要するに、今顧問特金に切りかえることを検討中と言われていれば、しかも営業特金、営業特金という言葉をお使いになっているのだから、まだ営業特金なんでしょう。それが現にまだ残っているということをみずからお認めになっていることが公的機関として問題ではないかということを私は言っているのです。総理、いかがですか。これは公的機関です。あなたの監督下にあるのです。
  131. 井上孝美

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  先ほども答弁いたしましたが、大蔵省証券局長通達に基づきまして、各関係取引証券会社とは、公立学校共済組合は損失補てん等一切しないという確認書を明確に平成二年の六月前後に取り交わしているところでございます。そして、その上で、なお営業特金については、御指導もございますので、それについては顧問特金に切りかえるという取り組みを現在しているところでございます。
  132. 細谷治通

    ○細谷委員 いずれにいたしましても、手続はできているのだということでありますけれども、あれじゃないですか、営業特金なんというお言葉は余りお使いにならないように気をつけられた方がいいのじゃないでしょうか。  それからもう一つあえて言えば、大変問題があるのですよ。一千億ぐらいのものを、まだ九百何十億、現にもう含み損を抱えたままでおるのでしょう、公的資金でありながら。そのこと自体大変重大な問題なんですけれども、先へ進めたいと思います。  証券会社の営業姿勢の問題について少しお尋ねをいたしたいと思います。  実は、この証券不祥事が発生いたしまして、八月十九、二十日と我が党の大分県本部が証券一一〇番というのを始めました。ところが、実は反響を大変心配しておったんですけれども、驚くなかれ二日間で百十件という苦情、相談がありました。この百十件というのは一日五十五件、五十件以上といったら大変な数なんです。下手すると一件事情を聞くのに一時間ぐらいかかるわけです。そういう意味においては、これはもう大変な数だというふうに理解をしなければならないというふうに思います。  この中で見てみますと、大変な問題が出ております。まず、損失金額は一億円を超しております。被害者は高齢者や女性が圧倒的に多い、こういうことですね。ほとんどの人が、株ではない、元本は保証するというふうにだまされて購入しているというケースもあります。それから、明らかになっただましの手口としては、国債を買いたいという客には、国債ですと言いながら国債型のファンドを勧める。これはもちろん国債と株が一緒になっている、組み合わせになっている。これは大幅に元本割れになっている、こういうことなんですね。株はだめという客には、貯金と同じです、貯蓄型の投資信託を勧める。これもやはり元本割れになっている。まあ以下いろいろありますけれども、いずれにしても大変な苦情というものが寄せられております。そして証券会社がセールスをするときには、元本割れではないということを受益証券証書、何でしたか、そういうもので示すことに義務づけられておるようでありますけれども、実際はそれを渡さずに、ここにありますけれども、名刺もちゃんと張ってあります。そして手書きの計算書です。五年運用いたしますと、ここに書いてありますが、七百五十万が千三十万になります、こう書いてあるんですね。ここには元本割れはありませんということは何も書いてない。こういうセールスが現実に行われているということなんです。  これは、この間新聞にも出ておりましたけれども、日証協に対しても大変な苦情が寄せられている。膨大な苦情が寄せられているということもこの間新聞報道で報じられておりましたけれども、これを機会にというわけじゃありませんが、大変な苦情が噴き出てきているという状況であります。もちろんこれは証取法五十条、五十八条等にもひっかかる問題でありますし、それからこれまで幾度となく大蔵省証券局は通達を出してみえた。営業姿勢適正化のための通達を出してみえましたけれども、しかしながら一向に改善されてないということだと思うのです。こういう証券会社の営業姿勢、そして噴き出るようなこの一般投資家の苦情、不満、こういうものを一体どうしていくのか。この辺について行政当局としての御見解をまず最初にお尋ねいたしたいと思います。
  133. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 確かに投資信託につきまして私どもも非常な苦情を聞くわけでございます。投資信託は株式投資、株式中心あるいは公社債中心といろいろ商品がございます。しかし、いずれにいたしましても、元本保証がない商品であるということは明らかでございまして、有価証券投資をするわけでございますから、そういった観点から元本保証はないということを特によく説明するようにということで、従来から受益証券説明書の交付あるいは投資信託の宣伝、広告あるいは投資勧誘に当たって十分注意するようにというのを私ども繰り返し指導してまいっているわけでございます。  御指摘のように、あたかもこの元本が保証されているかのような勧誘をしているというような例があり、それをめぐってトラブルがあるという、私どもにもトラブルが参っているわけでございまして、実際の勧誘のやり方によって、御指摘のように、もしそういう元本保証的なことを言っている、あるいは利回りが一定の利回りが確保できるというようなことを言って勧誘をしているということになりますと、これは証券取引法に明らかに違反する行為でございます。そういった点もトラブルの中で私ども事実を確認し、適正に処理する、つまり外務員の処分というようなことで対応してまいっているわけでございますが、引き続き、特に投資信託につきましては、現在株式市況はこういう状況でございますので、元本割れのものが大変たくさんございますし、そういった状況を踏まえまして、投資信託の販売姿勢についてさらに指導を強めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  134. 細谷治通

    ○細谷委員 事実関係について少しお尋ねをしてみたいと思いますけれども、先般来の予算委員会等の審議において、投信については全体で四五・二%が元本割れだという話で、大変な問題であります。  さらに、突っ込んでお尋ねをいたしたいと思いますけれども、単位型投資信託の各商品、いろいろな商品がありますけれども、その中で元本割れが一番ひどいもの、大きいものは何なのか、そして、そのファンド数はどのぐらいあって、金額はどのぐらいになるのか、わかれば教えていただきたいと思います。
  135. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 単位型投資信託の中で、やはり元本割れが大きいものは株式投資信託でございます。その中で幾つか、幾つかといいますか、一番この元本割れの程度の大きいファンドを申し上げますと、これは平成元年の十一月に設定をされたものでございまして、ちょうど株が一番高かった時期でございますが、一万円で設定されまして、現在は五千七百四十六円という基準価格になっております。
  136. 細谷治通

    ○細谷委員 一万円が五千七百四十六円、大変な被害と言わなければならぬと思います。まさに大衆投資家の被害は甚大なものがあるというふうに思います。  こういう話が専門家の中にあります。投資信託を中心に、株式投信を中心にして含み損が極めて大きい原因、要因の一つとして、証券会社が引き受けた、先ほども話をしましたけれども大量のエクイティーファイナンス、これを割りつけ、消化をする際に、自分のところで割りつけが非常に困難なもの、割りつけができないようなものに、この投資信託のファンドを優先的に、そこで吸収する、無理やり吸収させる、こういう話を聞くのです。例えば、例で言いますと、ダウ平均が二〇%上がっても、実は投資信託の基準価格というものは一五%しか上がらない。逆にダウ平均が二〇%下がると、投資信託の価値、基準価格というものは二五%、大幅に下がっちゃう。ダウの動きよりもさらに値上がりのときは小さいし、下がるときは大きい。それはまさに割りつけをするからじゃないか。こういうことが専門家の間で言われておるのでありますけれども、こういうことについてどういうふうにお考えになっておりますか。御存じでありますか。
  137. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 投資信託の運用は投資信託委託会社というものが行っているわけでございまして、これは当然のことではございますが、その投資信託をお買いになった受益者のために最善の努力をして忠実に運用するということが義務づけられているわけでございます。証券会社との関係というようなこともいろいろと指摘をされているわけでございまして、そういった点を考えまして、これは投資信託協会の自主ルールでございますが、特に親証券会社が引き受けた株式、これについては、その引受額の一割までしか入れてはいけないというようなルールをつくっております。また転換社債などについても三割を限度とするというようなことで、親証券会社が引き受けたものについて安易に投資信託に割りつける、割り当てるというようなことは、これは運用の忠実義務あるいは最善を尽くすという観点からも問題もあるし、あるいは親の証券会社との開係からもいろいろと問題があるということで、こういうルールをつくっているわけでございます。  それから、ついでで恐縮ですが、先ほどの御質問の公的機関があるかどうかという点でございます。これは先ほど公立学校共済の話がございましたが、すべてをまだ調べたわけではございませんが、確認書をとって適正化は済んでおりますが、まだ投資顧問づき、つまり投資顧問づきになりますと、これは営業特金ではございません。そういう投資顧問づきに移行していないものが公立学校共済を含めて数件見られるということでございます。
  138. 細谷治通

    ○細谷委員 この投資信託をめぐる投資家証券会社の間の問題等もっと突っ込んでやりたいわけでありますけれども、大変な問題になっているということなんです。私が先ほど言いました証券一一〇番でも本当に切実な声が浮かび上がってきたということなんですね。この辺については、証券行政証券市場、そういうものの信頼性を確保する観点からも、より一層厳正なきめの細かい対策というものをやっていかなければならないんじゃないかということを指摘をしておきたいと思います。  時間も大分なくなってまいりましたけれども、きょうは厚生大臣もお呼びしておりますので、一言だけお尋ねいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、この年金福祉事業団の損失補てん問題については、これは大蔵大臣損失補てんじゃないかと。これは国税もそう言っているんだし、証券会社も報告しているんだからと。しかしながら厚生大臣は頑としてこれを認めない。まあ対立をしていたわけでありますけれども、きのう統一見解らしきものが出て、大蔵省大蔵省、厚生省は厚生省、だから大蔵省損失補てんとおっしゃるのはわかるけれども、私たちは認識しておりません、こういうことなんですけれども、この辺については依然としてやぶの中でありますけれども、この辺についてはどうでございますか。もしよければ、厚生大臣が御答弁いただいた上、総理の御見解も伺いたいと思います。
  139. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 お答えいたします。  決してやぶの中ではなくして、明々白々たる事実でございます。それは、御承知のように、年金福祉事業団は厚生省の所管でございますが、ここでは国民が営々として働いたその掛金をもととした年金をお預かりいたしまして長期安定的な資金を確保する、こういう目的で動いているわけでございます。しかも、その問題になっております部分は自主運用部分でございまして、自主運用につきましては、これは委員御承知のように、株式の運用もございません、ワラントもございません、先物もございません、極めて安定的な国債を中心とした運用あるいは預金でございます。この預金その他のものは安定でございますが、国債の運用について今のお尋ねの問題がございますけれども、我が方は東証の基準の範囲内で毎日の売り買いをやっておる、こういうことでございますから、まず規定上からはいろいろと非難されるべきものはございません。東証は御承知のように、市場価格の上二%、下二%の範囲内でございますが、私の方で調べましたところ、平均〇・五%の範囲内に入っております。  それから、この運用の問題につきまして、それでは過去に損失があったかどうか、こういうことがあるわけでございますけれども、これはわずかに損失があったこともございますが、ネグリジブルアマウント、こういうことでございますので、我が方としては損失を埋める必要はない。したがって、我が方の年金福祉事業団の中の会計におきまして損失が立ち、その損失を埋めるがために特別の売買をやったということがないので、私の方は損失の補てんはなかった、こういうことを申しているわけでございます。  このことにつきまして、物は両面あるということを別な場所でも申し上げましたけれども、この問題について、それではどういうことが今問題になっているかといいますと、証券行政の方で、そういう我々の方に投資顧問会社がいろいろと指図をしたことによって処理したその中で、その出した玉ですね。それが、例えばある日に売り買いがあった、その売り買いの中で、向こうが出してきた玉が実際自分の方の帳簿で買った価格よりは安く出してきた、そして我が方がそれを買い、後また売ってもうけたという場合があるわけでございます。これは私の方ではわかりません、相手の帳簿を調べるわけはできませんから。したがって、私たちの方は公正な基準に従って、ルールに従ってやっているわけでございますから、年金福祉事業団の方においては、先ほど申しましたように、損失補てんはないし、不正はない、こういうことでございます。  一方、今のような問題で、証券の方でお調べになった結果、今のような損失補てんではなくて向こうさんの方で利益供与をされたという、いわゆる自分の買ったときの値段より安いもので売ってまた高く買ったという場合があれば、これは利益供与になるわけでございますが、これは我が方ではわかりません。しかし、そういうことがあるとしたならば、これはいいことかどうか、こう聞かれれば、これは好ましいことではないし、またそういうことの起こらないように、全体が、いわゆるこれからのルールをさらに決めていただければ、私はもっとすっきりするのではないかということでございまして、極めて明らかなことであり、また大蔵省と私の方の意見も食い違うわけではございません。
  140. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先日来同じ議論のやりとりがあるわけでありますけれども、私どもは、この損失補てんというものを通達で禁止いたしましたとき、各証券会社に自主的に損失補てんという認識を持つものを報告をさせました。そして、それと同時に、税務調査の中で損失補てんという認識を持って決定されましたものを、あわせて各社が証券業協会損失補てんとして自主報告をしておられる。そうしたことを考えますと、私ども損失補てんというものがあったという認識を持っているということを実は申し上げてまいりました。  プロセスの中で、年金福祉事業団のお立場からわからないことがあるかもしれないということは私も認めております。ただ、あったかなかったかという事実の問題になりますならば、私どもは税務調査を加えた各社の自主報告というものをそのままに認めております。
  141. 細谷治通

    ○細谷委員 これは再発防止策をどうやってやっていくか、損失補てんの定義をどうしていくかということと大変絡んでくる問題で、重要な問題だと私は思うのです。だから、片一方は損失補てんがあったと言うし、片一方は認識がない。要するに、そういうことになると、明らかに外形的には損失補てんの構成要件というものを満たしているのだけれども、そこには意識がないから有責性はないんだということになっちゃう。認識の問題になっちゃうわけですね。だから今度損失補てんをきちっと定義づけしていくときには、やはり外形的に、こういう場合は、意識があろうとなかろうと、やはりこれは損失補てんなんだという定義をきちっとしていくということがこの議論を通じて私は必要じゃないかなということを認識をする次第であります。  時間もなくなってまいりましたので、最後にもう一点だけお尋ねをしておきたいと思います。  SECからの資料要求というのがありました。これは証券大手四社に対して、現地法人を通じまして、全容解明を迫る資料の提供を求められております。期限は八月十二日ということであったということですね。四社は、表向き各社の自主判断としつつも、事実上は証券局助言を受けながら一部の資料を提供した、こういうことであります。回答の大半は、時間に間に合わないという形で留保した、保留したということになっております。一部提出の資料というのは一体どんな資料だったのか。損失補てん、特に株価操作についてSECは大変な、重要な関心を持っていると言われるわけなので、その辺はどうだったのか、どんな資料だったのか。そして今後の残された資料の提供についてはどういうふうに証券会社を指導するつもりでおられるのか。もしこれを拒否するということになるならば、SECの捜査権に基づく本格的な調査というのが行われるというふうに思うんです。  そこで、今後の資料提出の見通しと、そして出された一部の資料とはいえ、これは当然国会にお出しいただけるものだろうなと私は確信いたしますけれども、約束をしていただけるかどうか、その二点をお尋ねしたいと思います。
  142. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 SECから証券四社のアメリカの現地法人に対しまして直接資料要求があったわけでございます。これは、SECが大蔵省を経由したわけではございませんで、向こうの現地法人に対して直接資料要求をしたわけでございます。したがいまして、これはSECがアメリカの日本証券の現地法人の活動をチェックするということで、現地の調査でございますので、私どもの方からこれについてSECに何か物を言うというような立場にないわけでございます。基本的には各社の現地法人の判断になるわけでございますが、少なくともSECの問題意識は、現地法人が損失補てんに関与していないかどうかという点を中心に資料要求をしているという報告を受けているわけでございます。  それで、現在確かに一部の資料の提出をしておりますが、それは現地法人の例えば社内規程とかあるいは現地法人の役員の名簿とかいうような程度のものでございまして、これは私どもは、現地法人というのは、これはアメリカで登録されております証券会社でございますから、SECが監督している証券会社に対する調査というふうに受けとめているわけでございまして、その資料については、私どもは全く把握をしておりませんし、現地の対応に任せるべきではないかというふうに考えております。
  143. 細谷治通

    ○細谷委員 時間が参りましたからこれでやめますけれども、いずれにいたしましても、まだ解明されないたくさんの問題があります。私自身の手持ちの中の質問事項についてもまだまだたくさん残されておりますけれども、今後の当委員会の審議の中で一つ一つ明らかにしていきたいというふうに考えております。どうもありがとうございました。
  144. 松永光

    ○松永委員長代理 この際、井上一成君から関連質疑の申し出があります。細谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井上一成君。
  145. 井上一成

    井上(一)委員 まず、今回の一連の証券不祥事、このことはただ国内の問題ということだけではなく、国際的にも大変な波紋を広げたわけです。  そこで、私は海部総理に、アメリカは今回のこの問題をどのように受けとめているか、総理の認識を最初に聞いておきたいと思います。
  146. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 国際化時代の中で、しかも日本証券市場というものはアメリカの証券市場と規模において匹敵する、むしろそれ以上の実績を上げつつあるという、お互いに影響力の非常にある中で、特に、アメリカの人々が今度の日本事態に対して、これは不公正ではないかというそういった角度の批判といいますか、疑念といいますか、そういった考え方を持ったということは、一連の当時のマスコミの報道とかあるいは関係者の対談の記事等を読むにつけ、私は厳しく受けとめてまいりました。
  147. 井上一成

    井上(一)委員 我が国の国民の皆さんはこの問題についてどのように受けとめ、そしてどう思っていらっしゃるか、このことについても尋ねておきたいと思います。
  148. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 公正な社会というものを国民の皆さんは求めていらっしゃると私は思いますから、そういった角度からいうと、一部特定の人だけが補てんを受けるというようなことは不公正ではないか、このような受けとめ方がありますし、同時にまた、それは是正されていかなければならない問題であると政府も受けとめて、これに対しては大蔵省に厳正な対処を厳しく求めますとともに、このようなことが二度と起こらないために、あるいは法的な措置も必要ならば立法措置も含めて厳しく対処するように指示をし、再発防止に心がけなければならぬ、こう思いますし、皆さんもそれを望んでいらっしゃるだろうと私は受けとめております。
  149. 井上一成

    井上(一)委員 経済大国日本であるというそのうぬぼれは、今回の事件で、非常に日本の経済はアンフェアである、国際的に非常に信頼を失墜した、これが一つ。さらには、国民の皆さんは、正直者がばかを見る、むしろモラルの問題を乗り越えて社会秩序の崩壊であるという、それほど私は強く、そしてその国民の怒りを重く受けとめなければ今回の問題の解決の糸口は見つけることはできない、こう思うんです。  そういう意味では、この問題を徹底的に解明をしていくというか、真相を究明していく。そのことのプロセスの中で防止策も必要かもわかりません。ただ、日本の経済を減速させたり活力をなくしていくということには、これは心がけなければいけないけれども、正す決意を私は総理から改めてここで確認という意味でぜひお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  150. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 御指摘のとおりこういった現象が事実として起こったわけでありますから、政府はこれを重く受けとめて、どのような手口で、どのような点に至らないところがあったか等についても率直に御報告すべきは御報告しておりますし、今調査もしておりますし、また、これが再発防止のためには立法措置も踏まえて対処しなければならない。同時に、きょうまでこのような事実が起こったということに対する反省も、大蔵当局にも私は厳正に求めて、検査体制やあるいは内部においてどのような指導、どのような問題をどうしていったらいいのか、きょうまでのこの経験を踏まえて、反省に立った対応の強化に対する決意も強く求めておるところであります。
  151. 井上一成

    井上(一)委員 政府が知る限りのすべてのことについては、この委員会で、国会で明らかにするという、そういうふうに受けとめてよろしいですね。
  152. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 知る限りのことは、事実を明らかにするためにここで既に御報告もいたしておりますけれども、今後ともそのような方向で努力を続けてまいります。
  153. 井上一成

    井上(一)委員 アメリカの証券取引委員会、略してSECとこれから申し上げますが、非常に証券取引委員会は今回の我が国の一連の不祥事に対して強い関心を持っている。既にもう情報交換を踏まえて何回かの接触はされたと思いますけれども、どの部署で、どれくらいの情報を交換し、何が問題点であるか、あるいは合意をされた点があるとするならばその合意点は何なのか、さらに、SECがどういう問題を指摘しているのか、そういう指摘をしている問題についてどう受けとめているか、こういうことについても、それじゃここでひとつ、概要で結構です、御報告をいただきたい。
  154. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 本件が明らかになりまして、ちょうどそのしばらく後でございますが、国際会議がパリとロンドンで行われました。パリで行われましたのは証券監督者国際会議、いわゆるIOSCOと呼んでおりますが、これの専門委員会、ここには日本もアメリカもメンバーになっております。それから、その後引き続きましてロンドンで三極証券監督者会議というのが、これは日本とアメリカとイギリスでございますが、この二つの会議におきまして、私どもの方から今回の事件について詳細な説明をしたわけでございます。それに対しまして、SEC及びイギリスのSIBはよくその事実関係説明してもらったことについて感謝するとともに、自分たちの国における影響というものに非常に関心を持ったわけでございまして、特にSECの場合には、先ほど申し上げましたようにアメリカに日本の大手証券の現地法人がございます。それがこういう問題に関与していなかったかどうかという点について非常に関心を持って資料要求などをしているというふうに報告を受けているわけでございます。  なお、この件につきましては、SECの委員長、ブリーデン委員長ですが、初めのうちいろいろとコメントをしておりまして、特に手数料問題について、日本の固定手数料がこの温床になったのではないかというような発言があったということも承知をしているわけでございます。  いずれにいたしましても、そういう会議の機会がたまたまございましたものですから、かなり詳細な説明をする機会がございました。少なくとも現在までのところ二国間で、SECと日本大蔵省が直接この件について、SECの方から何かの要求があり、こちらからそれに対して説明するというバイの関係での情報交換なり、あるいは質疑というようなものはございません。
  155. 井上一成

    井上(一)委員 二国間で話し合いをする用意はありますか。
  156. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 私どもはSECとの間に情報交換協定、覚書を結んでおります。ケース・バイ・ケースというベースではございますけれども、もし向こうからこの件について必要な情報要求があれば、この覚書の枠内で対応したいというふうに思っているわけでございます。
  157. 井上一成

    井上(一)委員 総理、私は十三日にブリーデン委員長とこの問題で話し合いをしました。非常に強い関心を持っていらっしゃいます。日本からの情報も可能な限りもらいたい、こういう話もあるわけなんです。今の話では、ある国際会議の中でのお話だ。これだけの大きな問題を私は、二国間の協定もあることですから、ぜひ当局はSECとの直接の話し合いを持つべきだ、こういう意見を持っているんですが、いかがですか。そういう話し合いをするというお考えは持っていませんか。
  158. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 私の承知しておる範囲では、現地法人に対してSECから直接いろいろな資料要求の話もあったと聞いておりますし、同時にまた、今証券局長の答弁にもありますように、SECとの間で要求があったり必要があればその話し合いに応ずるということを言っておるわけでございますから、この問題については話し合いを拒否するとか逃げるとかいう姿勢ではいけないと思いますから、わかる限りのことはお話し合いには応ずべきである、私はこう考えております。
  159. 井上一成

    井上(一)委員 大蔵大臣、SECはただ現地法人の行為それ自体を対象にしているというのは、これは受けとめ方としては間違いだと思うのです。もっと広い分野で、正確に言えば、支配をしている親会社の行動そのものについてまで言及しているわけなんです。だから、今SECの見ている、とらえている分野というのはどんな点を、ただ子会社行為だということでSECはとらえていませんよ。私から言えば、そんなばかな認識で大蔵省はいいんですか。どうなんですか。それだけの認識で――SECのとらえ方はアメリカにおける子会社のビジネス、いわゆる営業活動だけをとらえているんだ、そんな認識で大蔵省はいるんですか。
  160. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私自身がロンドンにおけるサミットの蔵相レベル会合の際、また前もって行われました他の二国間会談におきまして、日本政府としてこの問題についてその時点でわかる限りの報告を私の方からいたしました。そして、蔵相レベル会合におきまして私の説明はそれはそれとして了とされましたが、それは事態を了承したのではなく、その時点における日本政府の認識ど事後に対する対応策を見守るという意思表示であったと私は理解をいたしております。  そして、SECにいたしましても、イギリスのSIBにいたしましても、私は決して、例えば現地法人のかかわり、あるいは親会社と現地法人とのかかわりといったことだけを注意しておると思ってはおりません。たまたま先ほど御論議がありましたものは、SECから現地法人に対する調査といいますか、報告を求めた中身の中でお答えをいたしましたから、あるいはそのような誤解を生じたかもしれませんが、私どもは決してそのような受けとめはいたしておりません。当然のことながら、世界三大市場の一つとしての日本証券市場というものが透明性をより高める、あるいは公平性を担保する、市場として健全に育っていくためにどのようなことがこれからなされなければならないか、過去においてどのようなことがあり、それが現実にどのような影響を与えているか、あらゆる面から関心を持っておると私は認識をいたしております。
  161. 井上一成

    井上(一)委員 今大蔵大臣が言われたように、もう一国経済では済まないのだ。そういうことについて、やはり日本の経済行為についてもアメリカに対する波及、あるいはアメリカの国内における経済行為がいわゆる支配する親会社指示にあるのかどうか、あるいはフリーデンさんは、もしいわゆる日本の親会社がアメリカにある子会社を適切に指導できないようであれば、親会社が持つ子会社の株を売却させる、それだけの強い意思を話しているわけなんです。そういうことについて大蔵省はどう思うか。さらには、さっき話がありました四大証券のいわゆる資料提出についても、今の提出の段階では決して賢くないという、四大証券のとった行為が、提出した書類が決して賢くない、こういう表現でフリーデンさんは私に話しているわけなんです。  私はそういう意味で、大蔵省行政指導する立場にあるのだから、これからどういうふうに証券会社行政指導をしていこうとしているのか。そのことがSECとのいわゆる協議の、話し合いの、情報交換の対象にしていく必要がある、そのことで正しい行政指導が私は打ち出せると思うんですよ。アメリカの制度と日本の制度の違いもよく理解しているつもりです、私は。それでいて、アメリカが、SECが、アメリカの証券市場の公正な取引を確保したい、同時に、それに影響を及ぼす日本の経済行為に対しても一定の歯どめをかけていかなきゃいけないし、そのことにはお互いに協調、協力を必要とするということを言っているわけなんです。  このことについて大蔵省は、それじゃ――さっき総理は、お話し合いがあれば協議に乗ります、むしろ積極的に我が方からSECとのいわゆる話し合い、協議は持つべきではないかと。大蔵大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  162. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今たまたま委員はSECを言われましたが、私どもといたしましては、SECと同時に、ロンドンのSIBにつきましても同様な説明を今日までいたしてまいりました。その経緯はお聞きのとおりであります。今後におきましても、必要に応じそうした機会は出てくるでありましょう。また、日米金融協議等々の場は、今日までもございましたし、今後もございます。当然そうした中で論議を交わすべきものはあろうかと思います。ただ、委員は百も承知でお尋ねでありますから、あえて私は細かいことに触れませんが、SECの持っております権限、そしてそのアメリカ国内におけるSECの権限を前提としての日本側、例えば大蔵省証券局に対しての情報提供依頼の中には、証券局としては対応不能の部分があることも委員はよく御承知のとおりであります。となりますと、今お話しになりましたような角度での話し合いというものが今の時点において的確に対応でき得るかといえば、私は多少問題があろうかと思います。  なお、例えばアメリカ側が関心を持っておるであろうと思われる、私が少なくともロンドン・サミットで説明をいたしましたとき、非常に強い関心を示しました暴力団との不明朗なかかわりといった点につきましては、これは捜査当局のこれからの御努力にまたなければ我々としては知り得ない部分を持っております。  こうしたことを総合いたしますと、委員が御指摘になりましたような必要性は認めつつも、今がそのタイミングであるかとお尋ねでありますなら、私は、今の時期は必ずしも適切な時期ではない、いずれそうした時期はあるであろう、そのように感じております。
  163. 井上一成

    井上(一)委員 大蔵大臣大蔵省の一省だけの問題ではなかなか難しいということは私も理解します。それで、今が適切であるかどうかという判断、これは私は、今こそやるべきだと思っているのです。後で続いて質問をいたしますが、今だからやらなきゃいけないという、すべての政府の所管を挙げて、私は、今SECと十分な連絡をとりながら問題の解明に深く入っていかなきゃいけない、総理、私はそういう意見を持っているのです。きょう、あすという、そういうことではないけれども、この問題を解明しない限り、私は、防止法案、いっときの緊急避難の間に合わせてはあったとしても、根本的な解決にはなりませんよ。アメリカと信頼の上に日米の友好関係が築かれているとするならば、今こそ日米のいわゆる合同の問題解決に向けての取り組みが必要である。SECの制度を日本に今つくってどうのこうのという問題ではない。問題の本質を解決するためには、今SECと話し合いをせずしてあなた方は問題が解決できると思っているのですかということを聞いている。どうなんですか。
  164. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 我々は、我が国の法律制度のもとにおいて与えられた権限の中で仕事をいたさなければなりません。もう先ほども申しましたように、委員はSECの持つ機能というものをよく御承知で仰せられているわけですから、例えば準司法権のあるなし、捜査権限のあるなしといったことを私はここで申し上げようとは思いません。しかし、そうした部分について、殊に私は本当にそのロンドン・サミットの際に、蔵相レベルで議論をいたしまして説明をいたしましたときに、各国が非常に関心を示しましたその暴力団との不明朗な取引関係といったものにつきまして、これはやはり捜査当局に御努力をいただいておる部分を現に持っておりますから、委員が仰せられるように、今こそという御指摘には、私は、この時点ではむしろそういう時期ではないと私は考えておりますということを率直に申し上げます。
  165. 井上一成

    井上(一)委員 私は私の見解を申し上げておきましたし、これからの質疑で必要性がなぜあるかということをおわかりをいただきたいと思います。  今回の証券業界の大きな一つのスキャンダルが表面化したというのは、私は一つの大きなきっかけがあったと思う。その大きなきっかけになった事犯をここで御説明願いたい。何がきっかけで野村証券の、いわゆる今回の大きな事件になりつつあるこの問題が表に出たか、まずそれを、原点ともいうべき事犯について概要を説明していただきたいと思います。
  166. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 日時の関係につきましては正確を欠く部分があるということをまずお断りを申し上げて、私なりの認識を申し上げたいと存じます。  ちょうど六月の二十三日でありましたか、私はロンドンでのG7のために、たしか二十一日ぐらいに日本を離れました。離れる前に、たしか二部証券会社損失補てんの記事が出ておりました。それから、たしか出発する日の朝の新聞に暴力団とのかかわりの話がちらっと出ておったと思いますが、そこは正確ではございません。G7の会合を終わりまして成田に向かう飛行機の途中、資料を、日本から送られたものを見まして、暴力団とのかかわりが非常に大きく報ぜられているのを見ました。成田に着きました時点で証券会社の二社の社長さんが辞任をされたという知らせを受けました。そうした一連の流れから考えてみますと、損失補てんという問題と暴力団との不明朗なかかわり、この二つがその時期、ちょうど不在のときでありましたので私は正確にどちらがどちらという知識を持ちませんけれども、私の記憶から申し上げると、そのような順であったと思います。
  167. 井上一成

    井上(一)委員 今回の大きなきっかけは、暴力団関係企業の外為法違反が一つの大きなきっかけである、これが一番最初のベースであるわけなんです。今、そのことから起こった問題について大蔵大臣説明をされているわけです。私の方から申し上げるというのはどうかと思ったのだけれども、外為法違反という一つの大きな事犯があったわけなんですね。そのことが引き金になったわけです。暴力団関係企業のその外為違反、容疑と私はきょうは申し上げておきましょう。その概要について説明を願いたい。
  168. 関口祐弘

    ○関口政府委員 お答えを申し上げます。  現在、兵庫県警察におきまして捜査中の外為法違反事件でございますが、二つございまして、一つは、貿易商を営むウエスト通商という会社がございますが、その役員らが韓国内の土地取得のため、平成元年五月から二回にわたりまして円貨表示自己あて小切生計百通、額面にいたしまして一億七千万円を不正に持ち出したというもの。もう一つは、貿易会社役員らが平成元年の六月三十日ごろ「大蔵大臣に対する事前の届け出等をせず、米国所在の株式会社発行に係る株式百万株を三百八十万米ドル、約五億四千万円でございますが、で購入したという二つの事実につきまして、鋭意捜査を進めているところでございます。
  169. 井上一成

    井上(一)委員 その暴力団関係企業が、早く言えば対韓、対米に対する海外進出というか、まあ企業一つの成長過程だという受けとめ方もありますが、そこにおいて違法性があったということですね。
  170. 関口祐弘

    ○関口政府委員 お答え申し上げます。ただいま私、答弁いたしましたような二つの事実、これが外為法に違反するということで現在捜査を進めているということでございます。
  171. 井上一成

    井上(一)委員 アメリカに対する進出についてもう少し詳しく説明をいただけないでしょうか。
  172. 関口祐弘

    ○関口政府委員 現在、兵庫県警察におきましては、この外為法違反事件ということで、関係者の事情聴取なりあるいは関係場所の捜索、あるいはまた押収した資料の検討等を進めているところでございますけれども、ただいま先生御指摘の海外云々ということでございま文けれども、個々具体的な事実関係につきましては、現在捜査中でございますので、答弁を差し控えさせていただくことをお許し願いたいと思います。
  173. 井上一成

    井上(一)委員 それでは確認をもう一度しますが、外為法違反であるという認識はお持ちなんですね。
  174. 関口祐弘

    ○関口政府委員 御指摘のとおり、外為法違反の認識を持って私ども捜査をいたしているところでございます。
  175. 井上一成

    井上(一)委員 アメリカ進出に当たって重要なかぎを持っている人はどなたか御存じですか。
  176. 関口祐弘

    ○関口政府委員 現在捜査をしている段階で、いろいろ事実関係を詰めている段階でございますので、だれがどうという段階の御答弁というのは差し控えさせていただきたいと思います。
  177. 井上一成

    井上(一)委員 重ねて聞きますが、それでは、アメリカに進出をしたその企業買収なり不動産投資についての具体的な報告はいただけませんか。
  178. 関口祐弘

    ○関口政府委員 お答え申し上げます。  たびたびで恐縮でございますけれども、現在、何分にも捜査中でございますので、個々具体的な内容につきましては答弁を差し控えさせていただきます。
  179. 井上一成

    井上(一)委員 個々の人格は別でありますし、私は、そういうことは百も承知いたしているつもりなんです。ただ、やはり余りにも政治的な問題として大きく影響するという判断に私は立っているわけなんです、今。そういう意味で、総理が、知っている範囲ではこの国会で明らかにしていきたい、そして事件解明に努力したいという最初の確認をいただいているわけなんです。  そういう意味で、私は、やはりこの際はっきりされた方がいいのではないか。捜査中といったって、もう既にこれはアメリカのどこに投資をし、どの会社の株を買ったか、そこまで明白に一部報道されているわけなんです。そういう点で、いかがですか、それでもなお差し控えるとおっしゃるのですか。
  180. 関口祐弘

    ○関口政府委員 まことに恐縮なところでございますけれども、同じような答弁になるわけでございまして、捜査、いわば最終的な段階と申しますか、そうしたところへ来ているということだけを申し上げさせていただきます。
  181. 井上一成

    井上(一)委員 そういうことであれば、私の方からやはり資料を提示して御判断をいただきたい。  私は、SECの資料の中に、アメリカのブッシュ大統領のお兄さん、プレスコット・ブッシュさんが暴力団関係企業の社長あてに出した私信、さらにはSECが既に握っている書類、その中にいろいろな、まあ問題になることが書かれているわけです。そして外為法違反という一つの経緯もプレスコット・ブッシュさんを介した中で起こった問題でもある。そういうことであれば、我が国は日米の友好関係を保持し、むしろブッシュ大統領の名誉のためにもこれは明らかにする必要があると思うのです。  それで、海部総理、この文書、書面はSECの関係資料なんです。SECは持っているわけなんです、これを。だからこそSECと今協議をして、話し合いをして核心の部分を明確にすべきである。どうなんですか。そういう御用意がおありなのですか。それでもなおかつ捜査中だと逃げ切るのですか。いかがですか。お見せしましょう。
  182. 関口祐弘

    ○関口政府委員 私ども捜査の段階では、SECの方からは特段の資料の提供というものも受けていないということでございまして、何分にも捜査中の事案でございますので、恐縮でございますけれどもお許しを願いたいと思います。
  183. 井上一成

    井上(一)委員 こういうことでは審議にならぬわけですよ。私の方は、それじゃこれをお見せしましょう、こう言っているんですよ。そしてこのことについてどうあるべきか、そして政府はこのことについてどう考えるか、そういうことを論議しないと、これは委員長、審議になりませんね。
  184. 松永光

    ○松永委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  185. 松永光

    ○松永委員長代理 速記を再開してください。  じゃ、井上君、文書を出していただいて結構でございます。そして、あなたが出すと言っているから出していただいて、それに対する答弁はすぐできるかどうかは別だから。(井上(一)委員「よし、口頭で言おう」と呼ぶ)井上一成君。
  186. 井上一成

    井上(一)委員 要点から、私はSECにこういう関連の文書がありますから、書面がありますから、だから大蔵大臣、やはりできるだけ早く協議をしなさいと言ったんですよ。今中身を私は言おうとしているのですが、早く協議に入りますか、その意思を確認しましょう、まず。それでもまだゆっくり、いや、まだ時間を欲しいとおっしゃるのでしょうか。     〔松永委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今捜査当局から御答弁がありました。それを拝聴しておりますと、現在警察として捜査中の事案に絡む問題として、捜査当局として御答弁を控えさせていただくということであります。我々は捜査当局状況を今伺っておりまして、証券局とSECの協議を今するということは、先ほど申し上げましたように適切ではない、そのように思います。
  188. 井上一成

    井上(一)委員 総理、私は、大蔵大臣は所管の証券局とSECということ、全体的に、いわゆる我が国政府というか日本は外為法違反という一つのここに事犯があるわけなんです。それにプレスコット・ブッシュ氏は大きなかかわりがあるのではないか、そういう意味から、SECに行けばそれらの資料も十分入手することができる。捜査当局が行くのか、大蔵が行くのか、だれが行くのかは別にして、事件解明に必要であるから、そういう点で私はSECとのコンタクトを早急にとるべきだという意見なんです。いかがですか。もちろん捜査段階だから、捜査中だからという一つの縛りはあるとしても、SECとも、アメリカとも、もっと極端なことを言えばプレスコット・ブッシュ氏と接触をいたしますかというのです。そういうことを指示しますかというのです。どうですか。
  189. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 今当局がここでお答えしておりますように、この問題については捜査中である、そしてしかも、それは今は捜査のだんだん段階を経ておるということを言っておりまして、ただ内容については、捜査中の内容を具体、個々の問題について御報告することは差し控えさしてくださいと言っておるわけでありますから、捜査当局を御信頼願って、問題の把握の仕方その他の具体のことについては捜査当局がきちっと適切な対応をしていくものと私は信頼をしておりますので、どうぞお見守りをいただきたいと思います。
  190. 井上一成

    井上(一)委員 少し中身について触れておきましょう。全文ではないけれども、ポイントだけを。  プレスコット・ブッシュ氏の紹介でアメリカのカンタムアクセス社、これは株式を百万株、日本暴力団関係企業の社長が買っているわけなんですね、プレスコット・ブッシュ氏の紹介で。そして三百八十万ドルを支払う。その三百八十万ドルに、プレスコット氏に対する謝礼、コミッションとして二十万ドル。そして三百万ドルについてはほかの買収を予定していた資金を、預けていた資金を、ブッシュさんに預けていた金を充てて、あとの百万ドルについては虚偽の申告でこれは送金をしているわけなんですよ。あるいはアセットマネジメントという国際金融会社、この株も五百万株、これは五百万ドルで買っているわけです。さらには、ニューヨーク郊外のゴルフ場の用地買収等、これは向こうでもトラブっているわけなんですよ。トラブっている問題がありますけれども、ここに、プレスコット・ブッシュさんがその仲介の労をとるというか、コミッションまで取って、さらに、その暴力団関係企業の社長あてに、ブッシュさんが、投資をした五百万ドルについては二百五十万ドルを保証しましょう、そういう私信があるわけなんです。もし会社が解散した場合にはその差額を補てんしましょう、そういう約束をし、この契約についてはだれも介在することはできないけれども、ブッシュさんの会社は年間二十五万ドルのいわゆるコミッションで、顧問料で契約をする、そういうことがちゃんと示されているわけなんです。  これをやはりきっちりしないと、さっき言う外為法の違反がどうして起こったか。大変残念なことだけれども、アメリカの大統領の実兄である、だからといって許せる問題と許せない問題がある。そしてプレスコット・ブッシュさんが日本へ来たときにだれと会ったか、そして会った人がどういう人たちであるか。こういうことも含めてきっちりとしなきゃいけないから、所管は大蔵であるとか警察であるとかいうことは私は申し上げません。事実関係をはっきりするためには、捜査中であればなおさらそのことについてしっかりと連絡、連携、協議をする必要があるんではないか。もう一度、総理、いかがですか。
  191. 吹田愰

    吹田国務大臣 私の方が国家公安委員長でございますから、所管のことでありますので御答弁いたしますが、先ほどから保安部長も御答弁いたしておりますように、きっちりと今捜査を進めておる段階でありまして、決して先生御心配になっております問題をおろそかにしておるという問題でもありませんし、またそれに対しまして消極的な姿勢をとっているわけでもありません。私も、この問題につきましては厳しく真相に対して進めるように指示をしておるわけでもありますから、どうぞそういった点で、今捜査中であるという答弁では極めて不満足ではございましょうが、この際御理解を願いたい、こう思います。
  192. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、国家公安委員長としての自治大臣に重ねて尋ねますが、これは非常に、私は事件解明のためにもプレスコット・ブッシュさんから事情を、背景も含めて聞く必要があろうと思うのです。そういうお考えをお持ちなのかどうか。そして、彼は既にニューヨークの事務所を閉めているわけなんです。そのことも御承知なのかどうか。それまで言えないと言うわけにはいかぬでしょう、捜査中であっても。プレスコット・ブッシュさんから一定の説明を受けるというか、聞かしていただくということは、これは当然必要になるわけですから。いかがですか、その点について。
  193. 吹田愰

    吹田国務大臣 私も実は内容的には承知いたしておりません。余り詳しいことは伺っておりません。私が政治家であるだけに、こうした捜査内容というようなものにつきましては、余り詳しく内容を聞き取るということはむしろかえって問題が出る場合がありますものですから、政治家としましてその点はある一定の限度内で、あと捜査当局にすべてを任しておるわけでありますから、今井上先生おっしゃったことにつきまして私は承知しておりませんが、先ほどから当局から申しておりますようなことでございますから、その点はひとつ御理解をしてやってもらいたい、こう思うわけであります。
  194. 井上一成

    井上(一)委員 自治大臣国家公安委員長、今までは承知してなかったかもわからぬ。しかし、私が今こういうふうに事実関係を申し上げたわけです。捜査中だということで答えられない言うから、私の方から一部の事実関係を申し上げたわけです。それも、SECという権威ある機関からの私はちゃんとした資料ですよということも申し上げているわけです。それで、プレスコットさんにやはり事情を聞くことは必要です、こういうふうに言っているわけです。いかがですか。それでもまだ考えさせてくれと言うのですか。これはごく簡単なものですよ。――いや、国家公安委員長
  195. 関口祐弘

    ○関口政府委員 警察といたしましては、一つ事件捜査に当たりましてはあらゆる手段なりなんなりを講じましてその全貌を解明するという責務を持っていると思います。したがいまして、今回の事案につきましてはそうした方針のもとに私ども県警の方の捜査を指導いたしているところでございますが、ただいま先生御質問の具体的な人物につきまして事情を聞く云々ということでございますけれども、そうした捜査の内容、方法というものにつきましては、ここでどうこうするということはお答えをいたしかねるところでございます。いずれ事案の解明ができた段階でまた御報告を申し上げる機会もあろうかと思います。
  196. 井上一成

    井上(一)委員 私は事件の解明というか、そういう意味でもぜひ、これは相互協定がありますから、決して私は、犯罪容疑等の感覚での話ではありませんので、そういう点では日米間の友好を保持していくためにも、話を聞く必要がある、それは聞くべきである。やはりそういう姿勢が我が方にないということは非常に私は残念だと思いますし、今のお答えで今後の問題だということにつないではいますけれども、ぜひ私は、プレスコット・ブッシュさんから話を聞く必要がある、こういうふうに思うわけです。  余り時間がありませんので、少し野村証券とその他の証券業界との問題にも触れておきたいと思うのですが、暴力団関係者と証券会社、特に野村証券を初めとした証券業界とのかかわり、いわゆる取引はいつごろから始まったと当局は把握しているんですか。
  197. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 私どもが野村証券あるいは日興証券から報告を受けましたところでは、昭和六十一年ごろから株式の取引が開始されたというふうに聞いております。
  198. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、今回表面に出てきた暴力団関係者以外の暴力団関係者と思われる、そういう人たちとの取引の実態はつかんでいますか。
  199. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 現在のところ私どもが把握しておりますのは、現在表に出ているものだけでございます。
  200. 井上一成

    井上(一)委員 これは総理にひとつ、今回の問題は、暴力団関係企業あるいはそこにかかわる人たちが証券業界あるいは金融業界も踏まえて資金的な大きな支えをそこに置いて、海外への進出を含め、財テクに走った。結果的には野村証券を初めとする証券金融業界が大変な手をかしたことになったと思うのです。こういうことについて総理はどういうふうに認識をされるのか。私は、結果として大手証券業界が、暴力団関係者、企業を含めて大きな手をかした、こう思うのです。手順とかあるいは手法の問題は別として、そこまで議論はできませんので、そういうふうにお認めになりますか、あるいはそうじゃないとおっしゃるのでしょうか。
  201. 吹田愰

    吹田国務大臣 暴力団関係がこのたびのこういったことに大きくかかわりを持っておる、非常に私は遺憾に思いますし、暴力団にいたしましても株を買ってはならぬということにはなっておりませんが、しかし、それにいたしましても、そういう組織がこういうところに入ったということは非常に残念でもありますが、特に、それを許す素地がそういう金融界証券界の中にあったという事実を、この際、私は極めて遺憾に思っておりますし、残念なことであると思っております。  実は、昨年来からことしの国会で、通常国会におきまして暴力団問題についての新法つくりました際に、私が当時調査した内容をちょっと申し上げますと、その当時、既に暴力団の年収が、随分暴力団がおりますけれども、一兆三千億という年収を出しておるのですね。その中から見まして、ちょうどこの証券関係というのが七一%程度です。これについて我々は、暴力団関係からいろいろな面を受けておる、関係を受けておるということを言っておるわけでありますから、そういった面からいたしますと、こんな問題にかかわっておるとは思わなかったのですけれども、こういうことは当時からもう既にあったんだなということを感じておりますが、この際、この問題につきましては徹底的な解明もし、これからは二度とこうした暴力団がこれに介入しないような方法で、今警察当局を通しまして関係方面に指示し、また、それに対する情報収集関係組織強化をやろうという段取りで事を進めておるわけでありまして、お答えになったかどうかわかりませんが、私の方からすればそういった感じを持って、今日のこの問題については非常に遺憾に思っておるということにつきましては、お答えを申し上げておきます。
  202. 井上一成

    井上(一)委員 私は、やはりここで総理に総まとめとして、自治大臣、一生懸命解明すると言っていらっしゃるのですから、これは今後を見ればわかることですから期待をしたいと思いますが、今私が質問をしているのは、常識の範疇というより許容のその範囲を逸脱しているのですから、結果として証券業界暴力団関係者に手をかしたことになったのではないか、そのことが海外にまで、いわゆる国際的な問題として大きく日本信用を失墜させた、こういうことを私はしきりと言っているわけです。その信用を挽回するためにはどうすべきかということをさっきから言って、SECとの、何も防止法案をつくるためにSECと話をしなさいと言っているのではなくて、そういう意味では、結果論として総括的に、これは大蔵大臣のお考えも、さらには総理のお考えも、私はぜひここで聞いておきたい。
  203. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 この問題が出まして以来、私は冒頭に全体の取り組む姿勢としても所信表明で明らかにいたしましたように、今調査中であるとはいいながら、こういった事実が起こってきておることも事実でありますし、またそれに対して、今結果として手をかしたことになるのではないか、いろいろなことが国会でも議論されております。私どもは、こういった不祥事社会の公正を害したということも厳しく受けとめ、政府もその監督責任等については謙虚に反省もしておるわけです。そして、それをなくするためにどうしたらいいかということもまさに議論を重ねておるところであります。  問題の解明については、私は先ほども申し上げましたように、当局が厳正な捜査をしてきちっとここで解明、御報告ができるように今まさに努力しているさなかであると思いますから、個々内容の具体的なことについての言葉を差し挟むことは、これは遠慮させていただきましたけれども、どうかお見守りくださいということでお願いをいたしました。結果としてそのようなことになったことは遺憾でありますから、これを繰り返さないようにしていくための努力を今挙げて取り組まなきゃならぬと決意をしておるところであります。
  204. 井上一成

    井上(一)委員 最後に、私は一つの想定という形で申し上げておきたい。  東急株の問題にどういう状況で動き、どういうふうになっているかということは、もう時間がありませんし、申し上げません。しかし、今日、東急株が第三者の手によって支えられている、あるいは債権債務が第三者に譲り渡されているというようなことにでもなれば、そしてそこに証券金融業界がまたぞろかかわりを持っていたとするならば大変なことになろうと思うのです。そういう想定もあながち空論ではない、そういう想定も私は持っている。非常に危険な要素を多分に含みながらこの問題は動いているわけなんで、こういう点についても私は十分当局は注意をされるべきだ、そういうことに特に申し上げて、時間が来ましたから、まだまだ申し上げたいことはありますけれども質問を終えておきたいと思います。
  205. 大野明

    大野委員長 これにて細谷君、井上君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  206. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 まず総理の御認識から伺っておきたいと思います。  今回、一連の証券金融不祥事、一体この根源は何か。端的に申し上げまして、企業の株式の持ち合いあるいは系列取引、こういったまことに正本的なと申しましょうか、企業社会そのものではないか、私はそう思います。このような我が国の特殊なといいましょうか、こういう経済行動、これをよりよく効率的になお運営したいということでもって、政府と民間がよくも悪くももたれ合ってきた。行き着くところは、まあ日本株式会社総ぐるみと申しましょうか、こういう不祥事を生んでしまったのではないのか。  振り返りますと、あの戦後復興、それから高度成長の過程、この段階において行政指導というもの、これはそれなりの効果を、役割も果たしてきたと私は思います。ただ、今この段階に至りますと、いわゆる通達行政といいましょうか、もっと悪く言えばあうんの呼吸行政めいたこういうやり方というものはもはや国際的には通用しない。これから脱却して、ボーダーレスな時代でございますから、特に金融証券はそうだと思いますね。でありますから、国際的なルール、こういうことに対して積極的に我が国の経済システムそのものを改善し、前を向いて抜本的なある意味での改革を試みなければ、これはもう国際的には通用しないぞというぐらいの認識、強い決意を持って私は今回の事件反省、教訓としなければならぬ、こう考えておりますけれども、まず総理の御認識をお伺いしたいと思います。
  207. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 御指摘のように、戦後の日本の復興時にいろいろと資本市場を育成していかなければならないという大きな命題もございました。けれども、その間で日本独特のものが生まれてしまったのではないかという御指摘も謙虚に耳を傾けなければならない面があるかもしれません。そういった意味で今度の事態に対して、ここまで成長した日本証券金融市場でもあり、また日本の国際社会における影響力というものも大きくなっておるわけでありますから、自由と民主主義と市場経済の普遍的な価値というものが今だんだん世界的な価値として高まっておるときでありますから、共通の認識、共通のルール、同じところを目指しておる国なんだという受けとめ方というか感覚というものがやはり国際社会においては求められるようになってきておることは、私も十分理解をいたしております。そういったものに適応するような基本的な抜本的な改革といいますか、体制の整備というものをこれを機会にしていく必要がある、これは私も同じように受けとめております。
  208. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 金余り、これは低金利、それでもって企業財テク意欲が非常に強まった。どこに求めたかといいますとやはり株式市場。ということになりますと、その受け皿になったのがいわゆる特金それからファントラ。これを数字で見ますと、昭和六十一年には特金、ファントラ合計の運用残高が実に十二兆円ですね。それが平成元年末になりますともう四十三兆円、大変なバブルですね。しかし、その前に昭和六十二年十月、いわゆるブラックマンデー、私は、やはりあのときにはこういう特金は整理しておくべき必要があったんではなかろうか。ところがそのときに政府が対応したのは、例えば日銀は公定歩合を二回にわたって引き下げた。二・五%、史上最低。それから政府、大蔵省の特金、ファントラ対策、これは六十三年の一月でしょうか、このときには、従来特金、ファントラについては決算処理については簿価、これを時価で処理してもよろしい、お認めになった。このことは何かというと、含み損をがんと抑え込んだ。ある意味で、私は口悪く申し上げるわけじゃないけれども、ある種のこれは政府の株価操作じゃないのかなというぐらいに、今にして思えばそんな感じを持つわけでありますのでありますから、株価は下がるどころかなお右肩上がりですね。そうしたあげくの果てにははじけ飛んでしまった。  さて、そんな状況の中であらわれたのが山一、大和証券、大きな損失補てんの発覚がございました。山一は平成元年十月の検査において、ここでもう把握されておったということを大蔵省は、証券局はお認めになっていらっしゃる。大和証券平成元年十一月二十七日。これはいずれも百億を超える。これじゃならぬというわけで八九年の十二月、つまり平成元年十二月、そこで損失補てんはまかりなりませんよという通達を大蔵省は発せられた。しかるに、それが結果としてどうかといいますと、実に今一次、二次、三次、自主公表という名のもとに公表された分だけでも二十一社、千七百二十八億でしょうか、それも通達後が実に八百二十八億、半数を超えた。こんな実にひどい状態が出てきたということでございます。  私は、政府の監督責任といいますか、そのこともさることながら、政策的な判断の、ある意味で誤りもあったんじゃないのかなということも思うわけでございますけれども、つまり、今回不祥事の遠因をたどってまいりますと、八〇年代に入りまして半ば、これは国際協調という大義名分があったんでしょう、何とか景気を維持し拡大しなきゃならぬ。したがって、その側面を私は否定はいたしません。いたしませんけれども、それが景気拡大には役立ったけれども、反面、持てる者と持たざる者の資産格差というのは著しいものを生んだ。まあ土地無策とも言われる。あるいは日銀が金融引き締めのタイミングを誤ったといいますかね、遅きに失したのじゃないのかな。その結果、バブルがさらに大きく膨らんで、はじけてしまう。この罪は私は大きいと思う。やはり責任なしとしないと思う。そういうことである種の金銭万能哲学が、主義なのか拝金教なのか、そういうものが日本国じゅうに広まってしまった。率直に申し上げます。したがって、これらの帰するところをやはり政府なり、もちろん私ども国会におきましても当然のことながらその責めは負わなきゃならぬ、そういうことを私は率直に反省もいたしております。  そこで、重ねて総理にお伺いしたい。一体こうなった真因というのは、本当のといいますかね、端的に言って総理は何だったんだとお考えでしょうか。
  209. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 一言で言うと、自己の利益中心に物を考えるという金銭万能主義と申しますか、利益中心であって、それは一面において否定できないことでありますけれども、ただ、企業というものが社会的な存在であることを思えばルールもやはり守らなければならない、社会的な責任という面もやはり厳しくルールを守るという面においては問われなければならないと思いますし、さらにその遠因といいますか、今るるここで御指摘になりましたことをお聞きしながら私が思いますことは、やはり日本には、当時国際社会の中で貿易の収支をめぐっていろいろな国際的な批判とか構造改革の要求等もありました。構造改革をしていかなければならない、内需中心の経済政策をやっていかなければならない、そういったところで結果としては雇用をふやしてきたり、あるいは内需中心の経済が進んだり国際収支のバランスが改善されつつあるということ、そういった肯定的な面に我々は成果を求めながら努力をしてくる反面、光の面に対して影の面があるというか、このバブルの問題がずっと浸透してきたということに対して、これは率直に今後の反省材料として受けとめていかなければならない、このように判断しております。
  210. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 利回りということが投資の原点だ、こう聞いてまいりました。しかし、利回りというんじゃなくて、とにかくもう株価を上げる。これは証券会社も私は罪が大きいと思うのだけれども、利回りが低いということになりますと、それは裏返しに言えば配当金、これは少なくて済むということでしょう。同時にまた、時価発行増資あるいはワラント債だとか転換社債、これでもってどんどんどんどんと資金を集めることができますね。非常にコストの低い資金を随分集めた。四十兆とも五十兆ともいろいろ言われますが、こういう構図の背景にあるのが何なのかといいますと、前段申しました企業の株の持ち合いだ。法人企業は実に七〇%、それ以外のものは三〇%だ。ですから市場に出回るのはわずかに三〇%ということでありますと、金融が緩みますと当然市場メカニズムが働きますから株は上がる、これはもう自明のことですね。  さて、そこで大蔵省にお伺いをしたい。この企業の株式の持ち合い、これを段階的にがっと抑えていく、減らしていく、こういうお考えございませんか。
  211. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘のように、法人の持ち株比率が非常に上昇を示しているわけでございます。この企業間の株式の持ち合いについてはいろいろな動機が考えられるわけでございまして、企業間の関係強化あるいは取引先との連携とかあるいは安定株主づくりとか、いろいろな理由があるわけで、企業がそういう政策的な意図を持って株式の持ち合いを進めてきたわけでございます。私ども証券、株式市場を管理いたします立場からいたしますと、やはり株式市場の価格の円滑な形成という点から申しますと、個人株主がたくさんふえて、かつ個人の注文によって価格形成がされるという市場になっていくのが望ましいわけでございまして、株式の持ち合いが余り進み過ぎますと市場の価格形成も非常にゆがみますし、あるいは乱高下をするというような格好になるわけでございます。  私ども、株の持ち合いを直接制限するというようなことは行政当局としてなかなかやりがたいわけでございますけれども、御指摘のような、株を持っていても利回りが非常に低いという点について、やはり発行会社の自覚を促して配当性向をなるべく上げていく、配当利回りを上げるというようなことで対応していただきたい、そういうことによって、個人株主が株を持っていても十分それだけの魅力があるような利回り水準に上げていくというようなこと。あるいは時価発行増資というのは、確かにプライスメカニズムが働くという意味では非常に合理的な資金調達手段ではございますけれども、それがあたかもコストの安い資金調達手段だというような認識を企業が持つことは改めていただいて、やはり株主に対する利益還元を重視していただく、そういうことによって資金調達の場であります株式市場を、個人も参加し、かつ価格形成も円滑に行われるというような市場に持っていっていただきたいという要請をしているわけでございます。
  212. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 配当利回りを上げる、大変結構だと思うのですね。同時にその一方で、今申しました株式の持ち合いの比率、これはいかにも多過ぎる。やはりこれまた行政指導とかということを超えて、もう少し強く段階的に抑えて、せめて半分ぐらいまで。安定株主だとかいろいろなことがありますよ、それはわかります。わかりますけれども、市場に出回らないということですからね、それだけ。どうしても株が、法人が持ち込んで。やはりここはぜひ大蔵大臣、御検討をいただきたいということが一つ。  それから、いま一つはやはり四社の寡占体制でしょうね。これはいかにも大きくなり過ぎた。後でも御指摘したいと思うけれども、この弊害は大きいですね。したがって、特に四社の寡占体制を排除する、つまり引受部門とそれから売買部門、これを分離したらどうか、こういう意見もあるわけでございますけれども、そうなりますと、あわせて銀行証券会社の相互参入問題、これはまた金利の自由化ということが一方これあり、いずれにしろ相互参入ということも今既に俎上に上ってきておる。寡占状態と相互参入、ここらをどうお考えになっていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  213. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一に、その引受部門と売買部門の分離の問題につきましては、これは技術的に、大変申しわけありませんが私十分説明の能力がありませんので、事務方の説明をお許しいただきたいと思います。  そこで、一つは今御指摘になりました持ち合いに関連する問題でありますけれども、私は余り行政介入がこういうものにあることがいいとは率直に思いません。ただ、証券取引所の上場基準を調べてみますと、投資者保護などの観点から定められているものでありましょうけれども、現在の東証の少数特定者持ち株比率に関する基準七〇%以下というものは、国際的に見ても厳しいものになっておるようです。そうすると、これを強化した場合にどんな問題が起こるか、いろいろ勉強しなければならない問題点があると思います。しかし、委員の御指摘でありますので、我々も勉強はしてみたいと思います。ただ、これについて問題点は、私は逆に、仮にこれを強化したといったような場合に、企業が市場に参入する機会を阻害するのではないかという心配はちょっと今伺っておりながらいたしました。そういう懸念は持ちながら検討はさせていただきたいと思います。  それから、二点目の寡占状態を解消するための問題には二つの御指摘をいただきました。一つは事務方からの答弁をお許しいただきます。  私は、銀行証券の垣根問題というのがちょうど議論されている時期に大蔵大臣を拝命したわけでありますけれども、おかげさまでどうやらその方向というものが見えてまいりました。恐らく今後におきまして、そう遠くない将来、相互の乗り入れといったことも実現してくるでありましょう。また、現行の免許制のもとにおいても、新たな市場参入の機会というものは当然つくらなければならないと思います。いずれにしても、そうした新規参入のあることが市場の透明性、公正性というものを保障すると同時に、それをそのとおりに国民から受けとめていただければ、証券市場の信頼回復の大きな柱にもなるわけでありまして、こうした方向についてはできるだけ努力をしてまいりたいと思います。
  214. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘の引受業務とブローカー・ディーラー業務との間の関係でございます。特に四大証券、この両方を併営しておりまして、非常に強大な力を持っているわけでございます。従来からインサイダー等の場合には、情報管理をしてその両部門の間の遮断をするようにという指導をしてまいっておりますし、今回もその指導を強めたところでございますが、やはりブローカー・ディーラー業務を利用した幹事獲得競争というようなものが行われているということも現実問題としては認められるわけでございます。私ども、この両部門の遮断というものをどこまで強めていけるか、これは行政の指導の限界というものもあるわけでございますが、業界に対しましては、分離も含めて検討をしたらどうだというようなことをそろそろ言い出しているわけでございます。  ただ、残念ながら、世界じゅうの流れからいたしまして、こういう分離の方向というわけにも今はかの国ではないわけでございます。やはりもう一つの解決策として、今大臣からも御説明いたしました新たな引受業者を参入させるというようなことによって、引受業務における寡占状態を解消する一つの手段としてそういうものを使えないかどうか、特に銀行による引受業務への参入というようなものがそういうふうな寡占打破の一つの方策として使えないかというようなことを考えているわけでございます。
  215. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 さて、具体論に入ります。損失補てん問題。  八九年の十二月に損失補てん禁止の通達をお出しになるわけですけれども、過去からずっとさかのぼって今日まで、損失補てん、その一番最初これが発覚といいますかね、あるいは検査において把握されたのはいつなんでしょうか、一番最初。以来、年度ごとに何件、金額、これをお示しいただければと思います。
  216. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 過去の検査におきまして初めにいつ見つかったかということでございます。昭和五十八年度の検査結果という中に、特定の顧客に対する利益供与と疑わしい取引というものが認められるというようなことが指摘されて、検査結果についてのこれは取りまとめをいたしまして、結局それを通じて証券会社に注意を喚起するというようなことをねらったわけでございますが、私どもが現在承知している限りではそれが最初の検査における指摘ということになっております。古いことでございますので、各年度ごとの件数、金額というのはちょっと私どもまだ把握をしていないわけでございますが、そういうことで五十八年度検査以降、損失補てんという、広い意味での損失補てんでございまして、特定顧客に対する租益供与というような形の取引が、散発的ではありますが、指摘をされ、それに対して注意を喚起してきたということでございます。
  217. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 私は、問題は、これは損失補てんというのは結果としての事実でありますから、事前のいわゆる損失保証、これがあったかなかったかということについて具体的にお尋ねをしてまいりたいと思います。その前に確認をしておきたい。  過去におきまして損失保証、こういう事例はあったかなかったか、あったとすれば、それはいつ、何件、金額、処分の内容、それをお示しいただきたい。
  218. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 現在までのところ、過去におきましていわゆる証取法第五十条一項三号に規定します損失保証というものが見つかった事例はございません。
  219. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 一件もないというお答えですがね。じゃ申し上げましょう。これは平成元年十一月二十九日、衆議院法務委員会におけるやりとりでございます。質問者は坂上富男委員答弁者は水谷証券局業務課長。  質問は、「損失保証ということでございますが、大蔵省、今まで証券業界で損失保証があった、このことについてはどの程度の認識をしておられますか。」これまで事実の経過がいろいろ克明にございます。そういうやりとりを経た上でございます。  答弁、「過去に証券会社またはその役員、その職員が、証券取引法で禁止されております損失を負担することを約して勧誘する行為、いわゆる損失保証と言われております条項に違反して処分の対象となったという事例は幾つかあると認識しております。」議事録でございます、あったと。
  220. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 その損失保証と申しますのは、私が申し上げましたのは、会社が行ったという意味でございまして、今の説明は、これはいわゆる外務員が行いました証券事故ということで外務員が処分を受けたケースを説明したというふうに理解しております。
  221. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 では、この件につきましては、会社ではなくて外務員個人の立場における損失保証であったんだ、こういうことですか、確認いたします。
  222. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 そうでございまして、外務員が法令違反等の行為を行ってトラブルが起こり証券事故という形になりますと、その外務員の不適切な行為ということで外務員の登録抹消等の処分が行われるわけでございます。
  223. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 答弁は、損失保証が幾つかあった、こう言っているわけであります。損失保証が幾つがあった、この答弁をそれじゃ否定されますか。
  224. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 今申し上げましたように、外務員がお客との間で損失保証のような違法行為をしたという事例、あるいはそれに基づいて外務員登録を取り消したという事例はあるということでございまして、それは証券事故として処理をされ、外務員が処分をされるというケースでございます。
  225. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 真っすぐにお答えいただきたい。  損失保証があった、こう言っていることに対して、あなたの御認識は、それならば、それは損失保証と言っているけれどもそうじゃないんだ、外務員のトラブルによる問題だ、損失保証じゃありません、こう否定されるんですか、こう言っている。これは損失保証と見ないんですかと。
  226. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 それは外務員が行った行為としては損失保証ということで、違法な行為を外務員が行ったということでございます。私が先ほど申し上げましたのは、会社として損失保証を行ったというふうに、で、会社行政処分を受けるという形ではなくて、外務員の行為としてそういうものが、損失保証が行われたということは事実でございます。
  227. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 いかにもまあぬけぬけとした感じでございまして、だれも納得できないと思いますよ。  外務員が個人の資格、立場において損失保証、これは事例としては確かに幾つかあったでしょう、確かにあったでしょう。しかし、この事例については、それは会社ではなくて外務員である、そう断定されるには、いかにもと思いますよ。  個別に発覚した事案に対しては厳正に対処してまいった、こう言いながら、質問者が、損失保証あるいは結果的に損を肩がわりした、こういう行為は今まで少しあったという御答弁のようですが、一体具体的に何件ぐらいあったのか、こう迫りますと、これは大蔵省答弁   損失保証に限っての数字というものはないわけでございますが、証券会社の役職員に係る事故というものの数字を御紹介いたしますと、六十二年九月期が八十七件、六十三年九月期が七十三件、元年三月期が三十六件でございます。   特定の例えば証券会社の職員が証取法の違反をするということになりますと、その外務員の登録取り消し処分というようなことが、通例というのはちょっとあれでございますが、見られる行政処分でございます。 ですから、今御答弁になりましたようなこれは、あるいは外務員の個人の損失保証というような形にどうも封じ込んだ嫌いがある。これは私は素直にちょうだいするわけにはいかぬわけでございます。  次の事例を挙げます。  これは法人税法違反に係ります初公判における冒頭陳述、これも端的に結論から申し上げますと、損失保証がなされたということが立証されている、こういう事例でございます。この件につきまして申し上げますが、冒頭陳述、これは大和証券に係る問題でございますが、「大和証券株式会社では、かつて、長年にわたり、同会社事業法人部が法人顧客(事業会社)の株式売買による損失を引き受けていたが、この損失を同会社の公表経理に計上できないため、当初は、その損失を一時的に別の法人顧客に対し、損失の補填分を加算した価格による株式相対取引によって損失額を移し替えるという方法を繰り返していた。」云々と続きます。これは、預け損失というそうですね。  この事件を概略申し上げますと、これは平成元年の事件でございます。このときの担当常務がいみじくも、これは損失保証があったから、こういう形でもって預け損失で、大和証券の経理上これを、この補てんを計上したならば、これは明らかに保証ありということになるものだから、預け損失で、ダミーの会社をつくってそこへ損害を、損失を預けた。ところが、経理操作がある、ダミーの会社がある、どうもいかがわしい、税務調査が行われました。一体なぜこれだけの大きな脱税があったのかということを調べる過程の中であらわれてきたのが、実は毎年毎年補てんを繰り返しておった、積もり積もって百億、これは保証がありますから補てんしなければいけない、だけれども保証ということが、経理上この損失を明らかにしますと保証が出てくるものだから、これを隠ぺいしなければいけない、これは致命的だというわけでダミーの会社に全部預け損失で預けてしまった。極めて悪質ですね、これは。  今冒頭陳述を読み上げました。長年にわたって損失を引き受けてきた、しかも今申しましたような手口といいましょうか手段、方法においてこの保証を隠してきた、そういう事案であったということをお認めになりますか、なりませんか。
  228. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 今御指摘の案件は、恐らく平成元年十一月に明らかになりました大和証券損失補てんのケースだろうと思います。この件につきましては、十一月に明るみになり、私どもも報告を聴取したわけでございまして、御指摘のように、他社に損失を移すというようなことで簿外で処理されていたというふうな報告を受けているわけでございます。損失補てんということでそれが他社の方にしわ寄せになって、その他社が税務調査を受けて見つかったということでございまして、それについては、私ども平成元年十一月に大和証券から報告を受けたわけでございます。
  229. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 ではこの件も、外務員等個人の損失保証犯罪でしょうか。
  230. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 この件につきましては、法人の株式取引の中で生じた損失ということで、これは事業法人部全体としてそういう処理をしたわけでございまして、これは先ほど申し上げたような一営業マンの証券事故という性格のものではなくて、会社として事業法人部の中でそういう処理をしたということで。私ども、これは法律違反というわけにはいきませんので行政処分という形はとっておりませんが、会社の役職員に対して社内処分を行わせたわけでございます。
  231. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 これは明らかに会社としての損失保証行為があったんじゃないですか。損失保証でありながらあえて損失保証としなかったのですか。
  232. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 当時の報告では、私どもは明るみになって出て大和証券から事情を聴取したわけでございますが、損失保証、事前に保証したという確証は得られなかったわけでございまして、損失が発生してそれをどういうふうに補てんするかということで簿外に持っていったりしたと。いうような操作は行われておりますが、法律に触れる事前の損失保証があったということは確認できなかったわけでございます。
  233. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 今さらこの手口を御紹介するまでもありませんけれども、大和証券、一株八百一円で被告会社と、こうしてあります、ここは。八百一円で譲渡したことにして、次いで同年十二月、被告会社がこれを大和証券取引企業等十一社に一株三万一千三百円、八百一円が一株三万一千三百円、これまた譲渡したことにして損失を一挙に解消させた、こういうことなんです。  ただ、なぜここまでやったかといいますと、先ほど冒頭申しましたように、このときの事情聴取でありますとか、あるいは大和証券の担当役員、関係者一様に口をそろえて言っていることは、損失保証、これを恐れた、命取りである。したがって、こういうようなことをしてまでもダミーの会社に預け損失にして損失保証を隠したかった。これ、ありあり言っているわけですよ。  ですから、あの時点でそれはそうであったとそこまで見抜けなかったとすれば、今これだけ補てん問題、その根っこに保証があるんじゃないか、損失保証になれば証券取引法五十条違反である。ただし、行政罰。しかし、そのことは私は、少なくとも同じ証券取引法の中で五十八条規定、これは刑事罰、これとの因果関係においては必ずしも相対するものじゃないと思う。これは、法律の学者におきましても、同じ法律の中でそういう五十条、五十八条、これを併記したということは、これは相排他的な関係にあると読むべきではない、むしろ五十条違反は五十八条違反だ、そういう認識を持って法律を読むのが通例じゃありませんかと、多くの法律学者というのでしょうか、専門家と言っていいのでしょうか、そういう読み方をしておりますね。  ですから、どうかそういう意識をいま一度しっかりお持ちいただいて、この事案に対して改めて、このときは損失保証が行われておったであろうというどうぞ御認識を持っていただいて、もう一度検査というのでしょうかお調べというのでしょうか、確認をしていただきたいと思うのです。公判記録等も随分詳細にございます。当時の事情聴取を受けた方々もおります。ぜひ御確認をいただきたい。
  234. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 たまたま今大手四証券に対しての特別検査を実施いたしております。証券局長に今委員の目の前で私が耳打ちをしておりました。この点十分注意をし検査を行うようにと申しました。
  235. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 ぜひひとつ特別検査の中で、今申しましたような問題提起をしたわけでございますので、そういうひとつ御認識といいますか意識を持ってお調べをいただきたい。  それで、その場合に一つだけお伺いしておきたい。これは確認になりましょうか。つまり、この損失保証ということ、これは何も必ずしも文書でもってしっかりしたものがなくたって、口頭でもって、あなたには損はさせません、御迷惑はおかけしません、これ約束事、これがあれば私法上これは有効だ。公法上は明らかに証券取引法五十条違反、こういうことになると私は解しておりますけれども、念のために伺っておきたいと思います。
  236. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 証取法の五十条では、有価証券の売買について生じた損失の全部または一部を負担することを約して勧誘する行為、こういうものを禁止行為にしているわけでございます。直接的には勧誘行為を禁止行為にしているわけでございますが、その勧誘に当たってどういうふうな、文書でなくても口頭でももちろんいいわけでございますが、どういう対応でその損失の全部または一部を負担するというようなことを相手に認識させたかどうかということが問題になるわけでございまして、具体的な対応につきましてはやはりケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないのではないか。私ども検査に入っております、検査の中におきましても、具体的なこの勧誘の実態というものを把握して、それが今申し上げたこの五十条に禁止しております勧誘行為に該当するかどうかという点を認定、判断をしていくということにしているわけでございます。
  237. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 なお、法律の読み方、解釈につきましても確認をしておきたいと思います。  先ほど申しましたが、証取法五十条と五十八条は排他的関係に立つものではない、特にこういう不公正な行為に対して包括的に禁止するという一般規定として五十八条が置かれているものだ、こういう認識でよろしいでしょうか。
  238. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 証取法五十八条は、不正の手段、計画、技巧というような表現を使っております。従来からこれは判例が一つあるわけでございますけれども、私どもはこれはいわば詐欺的な行為というふうに解釈をしてまいっているわけでございまして、そういう観点からいきますと、損失補てんが直ちに五十八条に該当するというふうには解釈するのが難しいわけでございますが、五十八条につきましては過去に判例が一件あっただけでございまして、それ以外に適用例がないというようなこともございます。  この条文を一体どういうふうに考えたらいいのかという点については、今後とも関係当局とも相談し、あるいは証取審などでも審議をしてもらうというようなことで、五十八条が事実上今死文化しているような状況にあるわけでございますので、その点については私どもも十分問題意識を持っている、これから検討してまいりたいというふうに思うわけでございます。
  239. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 ぜひその辺の解釈をしっかりしていただきたい。私は、最終的には裁判所でしょうから、それは法廷の話。ただ、この法律を運用するのは大蔵省でございますから、そういう意味におきましても、この解釈の置きどころ、そこのところをしっかりしておきませんと、今回これだけ大きな補てん行為補てんの事実が自主公表という名のもとにどんどんどんどん公表される。本来的には大蔵省責任を持って公表をすべきだと私は思うが、きょうはその議論はいたしません。しかし、いずれにしろ次から次から、恐らくこれから四次、五次、これもあるのかもしれません。そういう形でもって補てんがあそこにもあった、ここにもあった。ただ、この定義がやはりどうもしっかりしてないですね。この間の大蔵省から聞いた定義というのもこれまたあいまいですよ、これは。それが一つある。  同時に、今私が指摘して申し上げておりますこの補てんがあった、なかった、これは結果でございまして、元来、保証のない補てんなんて一体あるのだろうか。純然たる補てん、純粋な補てんというものが仮にあり得たとしたらば、それは私は、直ちに証券法五十八条違反だと思う。五十条、違反する。それはやはり五十八条にも、これは疑わしいぞ、こう見るのが私は自然な法律の読み方であろう、こう思っております。  いずれにいたしましても、そうした行為の中には損失保証があっなかなかったか、ここのところの押さえどころが非常に重要だと思います。この問題の事実の解明、全容解明、本質に迫るということになりますと、結果の補てんだけではなくて、やはり事前における保証、ここのところがどうだったのかということをしっかり押さえませんと、これからの証取法の改正なり、あるいはまた冒頭申し上げました我が国の金融、経済、システムそのものの抜本的な改革ということには私は結んでいかないと思いますがゆえにあえて申し上げているわけでございますので、どうぞひとつそういう御認識、御意識を持たれて、保証のところをしっかりそういう目でもう一度見ていただきたい。  そこで、同じような角度から問題提起をさしていただきたいと思う。つまり年金福祉事業団、五十三億の損失補てんあり、これは大蔵省のお立場。厚生省は補てんはなし、基本的にはそうだと思う。これは両省全くその立場を異にするということですね。これもよって来るものは何なのかといえば、補てんの定義がどうもはっきりしない、ここにその因があるのだろう、私は私なりに実はそう見ているわけであります。とりわけ、恐らくや厚生省から言わせれば、これは何も株で運用したものじゃない、国債その他預金、確実なものです、大体元本割れもしていない。元本割ってない、元本も割ってないのに何で補てんなのだ、そんな認識なんかないよというのも胸の中にはちょっとあるのじゃないでしょうか。それも若干聞かしていただきたいなと思いますと同時に、どうぞ総理、これはこんな言い方がよくないかもしれませんが、ある意味ではこれほどはっきりした内閣不統一はない。損失補てんがあったのかなかったのか、片やあり、片やなし、これは一体どう解釈したらいいのだろうか、皆さんは一様に迷っていらっしゃるだろうと思う。さて一体どちらに軍配を上げるのか。総理は大蔵、厚生、両者のどちらにお立ちになりますか、お伺いしておきたいと思います。
  240. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 この問題は両大臣がここでもるる何回も御説明しておりますが、厚生大臣は厚生省の立場に立ってわかり得る限りの、できる限りの説明をしております。しかし、今回の問題について、全体として大蔵省はそれに対して大蔵省なりの判断もし、自主公表されたものをそれを受けとめてここで御説明をしたのだと思います。ですから、私は、それぞれの立場において物を申し上げておりますが、全体として自主公表された中にそれが入っておるとするなれば、今後はそういったことを疑惑を招かないように明確にきっちりした態度をとっていかなきゃならぬという点において、これは私は一致いたしますけれども、両者の言い分はそれぞれの背景を持ってそれぞれ申し上げてきた、このように受けとめております。
  241. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 まあこんなわかりいいというのかそのわかりよさがあるだけにはっきりと、どっちも違うわけだから。立場が違う。ありというのとなしと。だから国民の皆さんごらんになりまして、一体これはどうなっているのかなと。それぞれのお立場でというのはいいんですよ。だけれども、それぞれの立場でもってそれぞれが都合のいい解釈をして国民を迷わすようなことはよろしくない。ここのところの判定だけはしっかりしなさいと。同時に、大蔵大臣、もうこのこと押し問答はやめましょう。ただ、こういうことになりますと、やはり定義というのをしっかりしてもらいたいですね。統一見解ぐらいお出しになったらどうですか。  同時に、証券法改正作業の中でここのところをどう見るか。特に私は先ほど申しました、これは何も元を割っているわけじゃないのですよね、元は。だから不本意じゃないのかなという、いささか厚生省の身びいきをするわけじゃないけれども、ただ何も元本を割るというようなそんな危なっかしい運用はしていないんだ、まあ恐らくやこれぐらいの利回りはあろうかなと思ったものが予定に反して少なかった、それはいささか反省もある、しかし、何でこんな元本も割れでないものを補てんと言われるんだ、こういう気持ちもおありかなと、若干厚生省の立場に立って私はそう思う。これは身びいきかどうか知りません。そんなこと離れて、そこはなぜ聞くかといいますと、証券法改正作業の中でこれも重要な問題でしょう。同時に、その前提になるのは何かというと、損失補てんの定義というのをしっかりしないと作業はできませんよ。だから私は、これからも当委員会においてこの事実関係事態の徹底解明をやらなきゃいかぬ、そのことのためにも、どうぞ損失補てんの定義について統一見解としてぜひ当委員会にお出しをいただきたい。
  242. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 それ以前に一点、私は、先ほどの証券局長の答弁の中で、非常にちょっと私から聞いて耳ざわりな言葉がありましたので、その言葉だけ言いかえさせていただきたいと思います。  特定条文についての委員の御質問に対し、死文化しているという言葉がございました。これは非常に適切を欠く言葉でありまして、今まで活用されたことのなかったということを言いたかったのだろうと思いますけれども、現にある法律条文を死文化という言葉は私は適切でないと思います。これだけはどうぞ言いかえさせていただきたいと思います。  そこで、たまたま厚生大臣の御意見と私が述べてまいりました年金福祉事業団の資金運用につきましての考え方の違いというものを御指摘になりながら、証取法改正案の中における損失補てんの定義についての御意見をいただきました。これは、統一見解と申しますよりも、証取法改正法案を提出いたしましたときの条文そのものがそのお答えになると存じます。そして、私ども自身が今非常に苦慮しておりますこと、そして関係各省庁に御相談をし、お知恵を拝借しておりますポイントの一つはまさにこの点でありまして、私どもの気持ちからするならば、できるだけ大きく書いておきたい、そして個別の行為を列挙することは逆にそこに書いてないことはやってもいいんだということになりかねませんので、できるだけ包括的に書きたい。しかし、犯罪となる行為行為類型自体またはその主要部分というものを包括的に政令に委任することは、罪刑法定主義の観点から認められておらないことでありますから、この表現をどういうふうにするか、確かに私ども今苦慮いたしております。その結論をもって条文をまとめ、法案として国会に提出をいたしますものを統一見解としてお認めをいただきたいと存じます。
  243. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 わかりました。  ただ、証取法改正作業の中で、私はやはりもう一つこの機会に申し上げておきたいのは、何といったって固定手数料制ですね。あれはどうも、売買を激しく回転させればさせるほど手数料収入というのはがっぽり入るわけです。大変なものですな、これは。根はちょっとあそこにあると思います。まあ私は、これはカルテル的超過利潤だ、もうけ過ぎている。カルテル的ですよ、固定手数料。それでカルテル的な超過利潤を得た。そうしたら、今度は顧客の方はそれを返せと言う。これは反対給付、ある意味では。それで返した。そうしたら、補てんはよくない。よくないですよ。よくないんだけれども、よくないと。よくないから補てんを受けた側も罰則をつけましょう。これは考えてみたら妙な話だな、もうけ過ぎを返させたことに対して罰金だ、どう考えたらいいんだろうかなとかねがね私も素朴なそういう疑問を持ちました。  やはり根っこは固定手数料制にある。したがって、これはやはり原則的には自由化の方向に行く。その場合には、小口投資家に対しては、これは守らなきゃいけないですね。したがって、頭、限度を設けるとかいろいろな方法はあります、あると思います、半自由化といいましょうか。基本的な考え方だけひとつ大蔵大臣、ぜひお聞かせいただきたい。今私が申しましたような固定手数料制から自由手数料というか自由化、こういう方向に御検討されますか。
  244. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 欧米諸国が既に株式委託手数料を自由化している、その結果どういう問題が生じておるかということは委員は十分御承知の上でのお尋ねであると思います。証券市場というものがゆがんできているという批判がこれにも出ております。しかし、そうした点を当然のことながら御理解の上のお尋ねでありますので、率直にお答えを申し上げますと、ここ数年の間に何回かの手数料の引き下げをしてきた結果として、水準としては私は遜色のない水準にあると思います。  しかし、確かに今委員がお述べになりましたように、株式というものが投資というより投機という感じで運用されているケースがふえてきた中で、確かに取扱手数料の収入というものがふえておるということもこれは否定できません。ですから、この水準について引き続き機動的な弾力的な見直しというものが必要であるということが第一。同時に、手数料制度そのもののあり方についても検討を進めていく必要がある、そのように認識をいたしております。
  245. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 この機会でございます。私は、証取法改正の中でも規制もしっかり強化せにゃいかぬということもわかるのですね。それから同時にルールづくり、その場合には、証券市場、市場の成立前提条件といいますか、そういうものもやはりきちんと整備しませんと、グラウンドに例えますと、石ころが転がっている、でこぼこがある、草が生えている、そこで競争しろといったって公正な競争なんかできっこないですよ。率直に言いまして、私は、日本証券市場というのはそういう前提条件、市場の成立条件が備わっていないんじゃないのかな、こういう気が率直にいたします。例えば、インサイダー取引の場合、株価操縦の問題あるいはディスクロージャー等々、そんなものをやはりしっかりしなきゃいかぬ。その上に立って、損失補てん、損失保証、これをどうするか。ただ規制だ規制だということになりますと、これは統制ですわ。統制だということになりますと、どうしても公的権力がここに介入しますね。これは余り好ましくないと思います。市場の活力をそぎますよ。やはり自由な競争の中にこそ、オープンな、生々発展するんだろう、基本的に私はそういう考えを持つわけでありまして、したがって、そういう点についてもひとつ十分御配慮、御検討をいただきたいと思います。  ちょっと横道にそれてしまいました。さっきの問題なんです。つまり大蔵、厚生両省が、まあ総理にお答えを求めても、なかなかここのところは。さて、それならば一体、ある機関、何かの国の関係する機関においてここのところをしっかり見届けるところはないのかな、こう思いまして、それは会計検査院だろう、検査院にお越しいただきました。ぜひお聞かせをいただきたいと思いますが、会計検査院は年金福祉事業団に対し検査を行われておりますか。それから、その場合、この事業団に対する損失補てんについて、検査院はこの事態をしっかり把握されておられますか、おられませんか。お答えいただきたい。
  246. 白川健

    ○白川会計検査説明員 年金福祉事業団は私ども検査対象でございますけれども、ほかの団体と同じように事業団から毎月または定期に計算書等の書類を提出させまして在庁して検査するとともに、毎年定例的に事業団に赴きまして帳簿等の資料をチェックしたり、それから担当者から説明を受けるなどして実地検査を実施しております。  私ども検査の見方というものは、事業団法以下の法令に照らして適正に経理が実施されているか、それから事業の運営が効率的、経済的に実施されているかという点に留意して検査を実施しているわけでございますけれども、何せ年金福祉事業団は年金積立金の還元融資事業とか大規模年金保養基地の設置、運営等の事業など行っておりまして、それらを含めまして我々は検査を実施しているわけでございますけれども、資金運用関係につきましては、例えば資金の自家運用というものにつきまして概略聞きましたところ、先ほど委員もお示しのように、年金福祉事業団法あるいは業務方法書におきまして、その運用方法は、国債、地方債その他確実と認められる有価証券の取得、あるいは預金、貯金、それから金銭信託等に限定されておりまして、この制約に対して忠実に実行されているということ、それから収益率が比較的順調に推移しているということから、私どもは個々の取引については細かくチェックするということはこれまで行っていなかったわけでございます。そのようなわけで、先ほどから言われております損失補てんの問題等については、この実情は把握していないということでございます。  ただ、先般来新聞報道や国会での御議論などがございますので、この趣旨を踏まえまして、事業団において不適切な経理があるかどうかという点について目下調査中でございまして、詳細申し上げますと、今週、指導監督に当たっております厚生省の実地検査を実施しておりまして、来週、年金福祉事業団の実地検査を予定しております。  以上でございます。
  247. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 要約いたしますと、補てんという意識を持ってしっかりやったんじゃなかった、しかしこういう事態があらわれた、国会においてもこういうやりとりが行われてきた、改めて検査院としてはしっかり損失補てんの認識を持って、その上でさらに重ねて年金福祉事業団の調査も行う。これは乗り込むのでしょう。実地調査をやられる、来週おやりになる、こういうことですか。
  248. 白川健

    ○白川会計検査説明員 さようでございます。
  249. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 じゃ、会計検査院にさらにお尋ねいたしますが、それならばこの間損失補てんありと公表されました中に商工組合中央金庫、それから九州旅客鉄道株式会社、これも検査院の検査対象だろうと私は思いますが、これらに対します損失補てんにつきまして、検査院はこの事態を把握し、検査されておりますか。どうぞ端的に、手短にお答えください。
  250. 中島孝夫

    ○中島会計検査説明員 損失補てんをしたとしまして公表されたリストの中で、会計検査院の検査の対象となっているものといたしましては、御指摘のとおり年金福祉事業団のほかに、商工組合中央金庫、九州旅客鉄道株式会社がございます。これらの団体につきましても、先ほど年金福祉事業団につきまして説明がありましたと同様に、私どもの方では個別の取引まで詳細にわたっては調査してこなかったのが実情でございました。したがいまして、いわゆる損失補てん事態は把握しておらなかったわけでございますけれども、新聞報道あるいは国会での審議などの趣旨を踏まえまして、やはりこれらの団体について不適切な経理がなかったか否かについて、九月の中旬に両者について検査を実施することを予定してございます。
  251. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 よくわかりました。  この検査の結果については、検査報告に掲記されるかどうかについてはまさに結果を待たなければならぬ、わからないということだろうと思います。しかし、いずれにせよ、検査結果については風会にはぜひ御報告をちょうだいしたいなと、これは要望として申し上げておきたいと思います。  時間が迫ってまいりました。東急電鉄株、このことについて伺います。先般我が党の二見委員、政審会長が問題の提起をいたしてございます。それを受けました。  東急電鉄株は、八九年十月下旬に出来高、すなわち株の取引の売買は急速に伸びた、したがって株価も急上昇。この時点で強力な株価操縦が行われた疑いは極めて濃い。ちなみに東急株は、前月の九月中旬以降における出来高は毎週ほぼ三千ないし四千万株。それが十月の十九日からの週になりますと二億六千二百四十九万株、十月二十五日からの週に入りますと二億九千五百六十四万株。急増、急カーブですね。それから株価。十月十二日には千八百八十円、これが十一月二日になりますと三千二十円。これまた急カーブ、急上昇。  そこで、去る八月の二十日に二見委員がこの問題を提起いたしました。出来高が極めて多かったのは十月十九、二十日、二十四、二十五、二十七。株売買の手口を具体的に取り上げて実はあのときに質問したわけであります。その際大蔵省は、とりあえず十月十九日における各証券会社の自己売買の株数、これは渋々と申し上げていいのか、答弁ございました。それによりますと、東証での同株の取引五千九百万株のうち大手四社の売りが六百十万株、買いが六百三十万株。その中で野村証券は売りが四百六十万株、買いが五百二十七万株。これはもう野村証券の自己売買が圧倒的に多いわけであります。株価が急上昇する中で野村証券が異常なほどに自己売買をやった、この実情をどうお考えになっていますか、どう見ていらっしゃいますか、大蔵省証券局
  252. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 この前申し上げましたように、十月十九日の四社の自己売買の中で野村証券の占めるシェアは非常に大きいわけでございます。しかし、言いかえますと、この四社全体としての自己売買のシェアというものはそれほど高くなく、また野村証券の自己売買のシェア、市場におけるシェアでございますが、これは今の十月十九日でも、自己売りの方が市場全体の出来高の七・八%、それから自己買いの方は八・九%という数字でございます。もちろんその自己売買の量、シェア、市場シェアだけが問題ではございません。私ども、その自己売買の具体的なやり方について、市場での執行の仕方をチェックしているわけでございますが、現在までのところ、野村証券の自己による売買によって東急電鉄株の株価が人為的に操作されたというような姿は、市場の執行面では把握されていないわけでございます。
  253. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 それでは十月の二十日、それから二十四日、二十五日、二十七日、この四日間、各証券会社四社ごとの自己売買数、これをぜひお示しいただきたい。
  254. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 申し上げますと、平成元年十月二十日でございますが、これは四社合計で自己売りが三百三十二万三千株、それから自己買いが二百十九万株でございます。そのうち野村証券の自己売りが二百十八万株、自己買いが七十九万三千株でございます。それから十月二十四日は、四社合計で自己売りが四百十六万七千株、自己の買いが百八十七万四千株、そのうち野村証券の自己売りが三百四十六万五千株、自己買いが百十七万二千株。それから十月二十五日でございますが、四社合計で自己売りが百四十八万五千株、自己買いが百六十二万三千株、そのうち野村証券は自己売りが五十七万九千株、自己買いが五十四万六千株。それから十月二十七日でございますが、四社合計で自己売りが二百三十二万六千株、自己買いが二百二十三万五千株、うち野村証券は自己売りが三十八万株、自己買いが七十六万六千株ということになっております。
  255. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 お伺いしますと、この自己売買業務というのはブローカー業務の補完的なものだ、補完的なものにすぎない、そう考えているわけでございますけれども、株価が急上昇する、これが非常に明確になるのが十月下旬ですね。そこで、大手四社証券会社が自己売買という形で介入するのは、私はやはり極めて不自然、おかしい、こう実は思っております。ですから、一体この自己売買の規範と申しましょうか、自己売買の規範、これは大蔵省証券局、どうお考えですか。補完的というのは具体的にどういうことですか。
  256. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 証券会社の自己売買につきましては、「免許の条件」ということで私どもが条件をつけております。その条件は、自己売買につきましては、「公正な市場を維持し、かつ、有価証券の流通を円滑にするために必要な範囲をこえないようにするものとする。」というふうな条件がついているわけでございます。これをいわばブローカーの補完、こういうふうに普通言っておりますが、正確な表現はそういう表現で「免許の条件」についているわけでございます。
  257. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 どこまでがいいのかとこの線を引くのが非常にこれまた、補完と、こう言うのですから、どこまでが補完なのか。ただ、今申しましたような自己売買が物すごい量ですね。これだって補完だと、果たしてこれが補完なのかなと、素朴にそう思います。ですから、この規範と申しましょうか、これも一回大蔵省の方でしっかり御検討をちょうだいしたいと思います。  それから、ぜひ資料としてお願いできないかと思いますが、東急電鉄株につきまして、八九年七月から十一月末まで、各大手四社の毎日毎日の自己売買数、これは資料としてちょうだいできませんか。
  258. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 少し長い期間でございますが、資料をつくって提出させていただきたいと思います。
  259. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 それはぜひお願いいたします。  それで、この問題に関連いたしまして、随分今大阪で、これは伝聞のたぐいじゃございませんでして、実は東急電鉄株を大量に買って大損したということでかなり息巻いておりまして、これはもう感情論じゃないぐらいですね。具体的な事実関係もしっかりしておるようでございまして、伺ってまいりました。  野村証券の東急電鉄株、この買い占めと言ったらいいのでしょうか、警察庁に聞きたいのです。現在何らかの形で捜査を進めているとは思いますが、野村証券の元大阪の梅田支店長さん、この方が平成元年十月十八日に全日空ホテルに顧客を集められて、そこで東急電鉄株を推奨した、講演会と称して、そういう事実があります。その結果、東急電鉄株を買ったお客が株価の暴落で多額の損をした。このまた額が極めて大きい。詳細に資料としてちょうだいしておりますけれども、きょうは時間がございません。ただ、この事実。こういう顧客がおるわけですけれども警察庁に伺いますが、恐らくこのことは既にお耳に入っていると思う。同時に視野の中にも入っていると思う。でありますから、こういう顧客も捜査の対象にされますか、あるいはもうされていますか。いないとすれば、これからされますか。
  260. 國松孝次

    國松政府委員 私どもはこの東急電鉄株をめぐる問題につきましては、広域暴力団の首領がその株を大量に買い付けておったということにつきまして、暴力団対策上重大な関心を持って、現在いろいろと実態解明をしているところでございます。その過程におきましてお尋ねのような大阪における会合と申しますか集会があったということは承知をいたしております。  なお、そのお客、顧客と申しますか、その顧客も捜査の対象になるかどうかということについてでございますが、まだ関係警察の方からそういう者につきまして捜査の対象とするというような報告は受けておらないわけでございますけれども、今後実態解明の上で必要があるということになれば、事情聴取などをさせていただくことになるのではないかと考えております。
  261. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 ぜひこれは事実関係を正確にするという意味において、つまり一方通行ではどうもこれは把握できませんね。やはり相手があることでございますから、両者といいますか、まあ一方、顧客の方はある意味では被害者でしょう。したがって、この方に対する人権配慮というようなこと、これはもう当然のことだと思います。ただ、ここのところもやはりしっかり調査捜査、事情聴取をやりませんと全体像が見えてこないと思いますので、ぜひ警察の方は事情聴取等適切な対応をしていただきたいと思います。  それから日本興業銀行。まあこれは尾上縫さんでしょうか、東洋信金。全くこれは総理、ひどい話ですね。本当にもう常識でも、常識、非常識のことはもう通用しませんね、ここまで来ますと。一体これは何なのだろうかなと。あさっては興銀からも参考人でお越しいただくことになっておりますので、またそこで克明にお伺いしたいとは思います。思いますが、預金証書はにせものだったのでしょう。しかも額面が二百億とか三百億というのでしょう。そんなにせものの東洋信用金庫の預金証書、これはこの間もちょっと聞いてまいりましたけれども、手書きの部分はあるわ、金額なんてチェックライターで打ったものですね、今どきチェックライターなんというのはどこでもかしこでもありますよね。本当はコンピューターで打ち込むのですね、あの印字というのは。そんなものじゃないですね。日付はゴム印が入っているとか。よくぞこんな、しかも他行のにせの預金預かり書、それで何百億という金を融資した。  これ、大蔵省に確認しておきたいのですが、本当にだまされたのですか、融資した方は。見抜けなかったのですか。これはにせだとわかりながら融資に応ずるなんてはかなことはあり得ないとは思いますけれども、しかし私の常識をもってしては、そういうこともあり得るのかなとすら疑いたくなる。お答えいただきたい。
  262. 土田正顕

    土田政府委員 現段階では、興銀から事情を聴取いたしましたところの内容をそのまま申し上げます。  興業銀行がその預金証書を担保として受け入れたのは、これは割引債の担保との差しかえという事情があったそうでございますが、その預金証書の金額がこの預金者の資産規模、それから従来から動かしている金額に照らして特に不自然とは考えなかったこと、及び東洋信用金庫は堅実な信用金庫であるとの定評があると信じていたことによるものであります。  もう一点。預金証書につきましては、金額欄はチェックライターで記載されており、預金者名、利率、期間、口座番号は手書きであったものの、署名鑑、印章及び証書は真正でありますため、定期預金証書としての要件は満たしており、かつ支店長印のある質権設定承諾書も添付されておりましたために、当該証書について何らの疑問も持たなかったということでございます。したがいまして、特に東洋信用金庫への問い合わせも行っておらなかったとのことであります。  以上が興業銀行から聴取した内容でございます。  事件に関する事実関係、まだ十分に解明されておりませんので、当局としての立ち入ったコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
  263. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 まあ、もう嘆かわしいというのは通り越しますね、大蔵大臣。子供たちがこんな話を聞いてどう思うでしょうか。何百億ですよ。紙くずじゃなくて、にせなんだね。紙くず以下ですよ、にせの預金証書、何百億というのは。それが今のような御答弁です。私は本当に納得できないですね。常識的に納得できない。我々だって、ささやかな金がといいましょうか、やはり貸し借りといったらしっかり確かめますよ。しかも、他行のそういう証書をもらって、それで唯々諾々として二百億、三百億の融資に応じるなんという神経。  興銀に限って一点だけお伺いしておきたい。  本店は知らないのですか。この証書は本店の稟議に回っておりませんか。それだけ。
  264. 土田正顕

    土田政府委員 この定期預金証書を担保として処理する事務は、大阪支店で行っております。  それで、これにつきまして、私ども特にその詳細まだ聞いてはおりませんが、一部の新聞を見ますと、この七月に入りまして、このような打診を受けたときに興銀本店とのやりとりがあったという報道はございます。詳細はまだ私ども、直接聞いてはおりません。
  265. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 いずれにしろ、あさってには興銀の代表、頭取もお見えになるのですから、そこでしっかり確認をさしていただきたい。  日銀の方も、こういう他行の預金担保融資といいますか、こういうのは非常に危なっかしいぞというようなことで、今度相当意識を持っておられるようですね。ただ、ノンバンクあたりが大変困るだろうというようなことも片やある。だから、この辺も難しいですね、この対応も。そんな気が実は率直にいたしております。  これは単に日銀どまりの話でもない。やはり大蔵省としてここらも、こういう他行の担保融資ですね、これはどう考えたらいいのか。普通、大手の都銀あたりで聞きますと、そんなに簡単に、他行の担保融資にはそんなにやすやすとやはり応じられない。自行ならわかっていますよ、あるいは系列のバンクならば。だけれども、それが数百億という金を、どう考えても理解できないですね、本当に。もう少し、ここはやはりしっかりしてもらいたいと思うのです。もう金膨れというのですか、拝金主義もいいところだ。こんなことでは秩序も何もあったものではない。ここのところをしっかりと踏まえませんと、政治改革だとか何だかんだ言ったっておよそ空理空論ですよ。笑ってますよ。白けですよ。こういう風潮を生んだら大変だと私は思う。  だから、きょうも歯にきぬ着せずとまではいきませんが、率直に実は申し上げているつもりでございまして、通り一遍のような答弁はちょうだいしたくない、そんな気持ちで私は正直いっぱいでございます。ただ、あすは証人喚問、あさっては参考人ということでございますから、その場所において克明にまたお尋ねをいたしましょう。  ただ、今やりとりをお聞きになられまして、総理また大蔵大臣、これまた率直にひとつどうぞお聞かせください。本当にこんなばかなことがまかり通っていいんだろうか。しかし、それが現実にあるこの事実、この事態、これをどう見るか、ぜひお答えをいただきたい。
  266. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 少なくとも私は、今委員の御質問に対して通り一遍といったようなつもりで御答弁はしてまいりませんでした。それは御理解をいただきたいと思います。  そして、それぞれ御指摘を受けましたことに対して必ずしも委員の意に沿わなかった点もあります。しかし、私なりに考えるところを真剣に申し上げたつもりであります。そして、私自身も、最後にお触れになりました事件の話を聞きましたとき、当該金庫の正規のものと両方ちょっと見せてくれという質問をしたぐらいの感じでありました。  信じがたいと仰せられる気持ちも同感であります。しかし、委員は信じがたいと言われてそれで済みますが、私の立場は済みません。そして、一連の偽造預金証書というものがさまざまな波紋を投げかけております中で、一体それぞれの銀行内部管理体制というものに対する、またそのチェックに対する大蔵省自身検査、監査のあり方が、あるいはその手法が十分であったのかどうかについても深刻に今考えさせられるものを持っております。また、これは決して私が申し上げるだけではなく、検査・監視体制というものについてのプロジェクトチームを大蔵省が発足させましたときから、真剣に皆がこれを見直しております。  機構の話については行革審に御審議をゆだねることになりましたけれども、手法そのもの、そのあり方、あるいは要員の質といったことについては我々自身が答えを出さなければなりません。現在も真剣に取り組んでおります。どうぞその作業につきましては、おしかりはおしかりとして甘受しなければなりませんが、改革への努力につきましては、お手助けをいただきたい。心からお願いを申し上げます。
  267. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 大蔵大臣、胸のうちは私は非常によくわかるつもりであります。ただ、どこか何かが狂っていますね。非常に大きな穴があいてしまった。だから、これは確かに法律の整備も大事でしょう、ある種の規制も大事でしょう。今までのことをおさらいしてしっかり、冒頭申しましたような、やはり国際的な基本ルール、こういう中に日本も身を置いているんだよ。特に金融証券、お金というのはもうボーダーレスでありまして、言うなれば世界経済の血液ですね。ジャパン・マネーはクリーンでなければいけませんよね。しかし、我がジャパンにおいてそれが汚れておる。しかも、今のような興銀、こういう事態というのは一体、本当にもどかしい気持ちと、私自身も自分の胸に手を置く気持ちと、いっぱい交錯を実はしております。大蔵大臣おっしゃった、確かに損失補てん法律で禁止しなきゃならぬ、こんなことをやっている国はどこにもない、情けない、お気持ちはわかります。本当にそうだと思う。だけれども、現にあるんだ。この現実に対して我々は一体どう処したらいいんだろうか。ここのところは本当に真剣勝負でなきゃいかぬ、こんな気持ちを私は持つわけでございます。  最後に総理に一言だけ。そういう私は私なりの認識、気持ちでございますが、今大蔵大臣お述べになりました。総理もぜひ総理の胸のうちを率直にお聞かせいただきたいと思います。
  268. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 この問題に対処するに当たりましては、やはり公正な社会というものをきちっとっくっていかなければならない。今多くの人々がこの問題に対して大きな不信と不満と、そういった疑惑の目も向けて、どこまで解明されるのか、どのように再発防止が行われるのか見ていらっしゃることはひしひしと私もわかっております。したがって、大蔵大臣にも当初から厳正な対処を要請しましたし、また法律の問題や行革審の問題等についても積極的に我々は意見を聞きながら、こういった問題が再発しないようにしなければならぬということに全力を挙げて努力をしていかなきゃならぬという決意で臨んでおる次第であります。
  269. 坂井弘一

    ○坂井(弘)委員 ありがとうございました。
  270. 大野明

    大野委員長 これにて坂井君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  271. 正森成二

    ○正森委員 私は、きょうはまず第一に、暴力団稲川会による東急電鉄株の買い占めと、それについての野村証券等の関与の問題について伺わしていただきたいと思います。  言うまでもなく、これは、一九八九年の四月からほぼ九月ごろにかけて、稲川会石井進元会長が二千数百万株買った、最終的には二千九百万株ほどであります。この買い占めが終わった十月、十一月に株が急騰いたしまして、ほぼ千六百円等々で推移しておりましたのが二千円を超え、三千六十円まで至ったという異常な値上がりが行われた事件であります。  そこで、まず伺いたいんですが、今まで各議員が質問された中で明らかになりましたが、八九年十月の東急株売買に占める野村のシェアは、証券局長の答弁ではたしかほぼ二七%でしたね。間違いありませんか。
  272. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 野村証券の十月のシェアは正確には二六・五%でございます。
  273. 正森成二

    ○正森委員 そこで、大蔵省行政指導で、一社が取引高の三〇%を超えるのは株価形成上好ましくないという指導をしているはずであります。その内容と理由を簡単に説明してください。
  274. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 お尋ねのいわゆる三〇%ルールと言われているものでございますが、これは各銘柄の、一銘柄の月間の売買高に占めます一証券会社のシェア、割合が三〇%程度となりました場合には、株価形成上問題となることがないかどうか、その証券会社の社内にあります売買監視を特に徹底するようにということを指導してまいったわけでございまして、三〇%というのは一応の目安ということでそういう指導をしているわけでございます。
  275. 正森成二

    ○正森委員 ですから、二六・五%というのは非常に三〇%に近づいておったということであります。もちろん、三〇%を超えればすべて通達違反の推奨販売になるとか、あるいは三〇%以内であればならないとかいうものでなしに、総合的な判断をしなければならないことは当然だと存じます。  そこで、きょうは東証の長岡理事長においでいただいておりますので伺いたいと思いますが、その前に大蔵省に、野村では相模会というのがありまして、関係系列会社等が月曜日に野村に集まっていろいろお話し合いをしているそうでありますが、そういうものはございますか。
  276. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 私どもが野村証券から聞いたところによりますと、相模会というのが確かに存在をいたしておりまして、毎週月曜日に系列の関連証券会社との間で会合を持っているというふうに報告を受けております。
  277. 正森成二

    ○正森委員 ここに、一時有名になりました「ザ・ハウス・オブ・ノムラ」というのがございます。これは三年にわたって外国人が勉強して書いたものですが、それなりによく勉強しております。これを見ると、この相模会というのは月曜日に会合をいたしまして、それには野村の系列会社及び友好会社が参加いたしまして営業の戦略を決める、今週はどういう銘柄を売り進むかあるいは買い進むかというようなことを決めてきたと書いてあります。  それで、私は東証にお願いして調べていただきましたが、その系列会社というのは案外多いわけです。しかし、その中で最も系列性の強い国際証券、これは野村及び系列会社が約五一%株を持っておると言われており、その成立の経過から見ても親近性は明らかですが、それと三洋証券、これは大阪屋証券といいまして、野村徳七氏がそもそも始めたものがその後手を離れたということで、今でも非常にかたい結束を持っておるわけであります。その二つを入れてみるとこのシェアがどうなるかということを東証にお聞きいたしたいと思います。  そこで、十月の野村、国際、三洋の売買高はそれぞれ幾らであったかお示し願いたいと思います。また、よろしければ十一月についてもお答えください。
  278. 長岡實

    ○長岡参考人 お答え申し上げます。  十月の月間の買い株数を申し上げますと、野村が一億四千八百六十三万七千株、国際、二千百十六万三千株、三洋、一千二百八万九千株でございます。十一月は、野村が七千九百十九万二千株、三洋が一千五百三十七万三千株、国際が一千三百八十七万八千株でございます。     〔委員長退席、衛藤(征)委員長代理着席〕
  279. 正森成二

    ○正森委員 今お答え願いましたが、十月の月商売買高が五億六千八十一万六千株ですから、これで割りますと約三二・五%に達します。十一月について言いますと、売買高が三億三千二百三十九万株ですから、これで割りますと三二・六%になります。したがって、野村に三洋に国際というのを合わせますと、口頭の指導はもちろん一社でということになっておりますが、月曜日にそういう戦略的な会合を開いて買いあるいは売りを決めておるということになれば、これらが歩調を合わせて買い進むということになれば、その影響は非常に大きいと言わなければならないと思います。  さらに、期間を限りまして、株価が急上昇いたしました十月の第三週というのだけを見てみようと思いますが、野村と国際と三洋は、全体の売り買いですね、その中で一体何株、あるいは全体の中で何%を占めておりますか。東証、答えてください。
  280. 長岡實

    ○長岡参考人 十月の第三週は、一日が日曜日でございますが、十月十六日から二十日の週だと存じますけれども、その週の野村の買い付け株数は五千三百八万九千株、国際が七百四十七万二千株、三洋が二百三十万五千株、この三社を合わせますと、その週の売買高が一億四千八百九十六万三千株でございますので約四二%になります。
  281. 正森成二

    ○正森委員 つまり野村が、他の議員も質問いたしました、私も後で質問しますが、十月十七日に東京で、十月十八日に大阪で大口顧客を集めて、十月十八日の大阪での説明会では、あすから必ず上がる、こう言っているのです。その週間を見ますと、野村の息のかかった、ほかにもたくさんあるのですが、この三つだけ挙げれば四二%である、野村だけでも私の計算では三五・六%である、こういうことであります。  そこで、さらに日ごとのものについて伺います。十月十九日というのは、あすから上がると言った日であります。今度は野村だけでも結構ですが、この日の野村の買い付けは幾らだったか、それが四大証券会社の中で何%を占めていたか、お答えください。
  282. 長岡實

    ○長岡参考人 十月二十日でございますか。
  283. 正森成二

    ○正森委員 十九日でございます。
  284. 長岡實

    ○長岡参考人 十月十九日、野村の買い付け株数は二千三百七万二千株でございます。四大証券合計が三千三百四十三万株でございまして、私の手元にございます資料は、その日の売買高に対する四大証券の比率は五七%ということでございます。ちょっとお時間をちょうだいすれば四大証券の中に占める野村の率もすぐ出ると思いますが。
  285. 正森成二

    ○正森委員 私が計算機で計算いたしました。そうすると、この十月十九日について見ますと野村の全体に占めるシェアは三九%ですが、これは三〇%をはるかに超えておりますが、四大証券の中で占めるシェアは実に七〇%に達しております。つまり圧倒的に野村が株価形成のために努力したということがこれでわかるわけであります。  そこで、私は次に進みたいと思いますが、ここに持っておりますのは八月二十三日の日本経済新聞一面に載ったものでありますが、ここでは「東急株、強引に押し上げ」ということで、「売買手口判明」ということで記事が出ております。それを見ますと、その「十月中に一日の東急株の店内シェアが五割を超えた営業店が延べ百カ店を超えたほか、短期間に売買を繰り返す反復売買を百二十強の顧客口座で実施した」ということを言っており、さらに十九日を見ると、本店営業部では扱った株の九割が東急であった。二十四日には東京の荻窪、池袋の両支店で、三十一日には秋田支店で八九%に上っておる。同じ八九年十月十九、二十四、三十一と顕著であったときを見ますと、三百二十店のうち売買シェアが三割を超えた店は半分強の百六十四店、五割強は百店に達したということを言っております。またこの三日間では、寄りつさ時には買い勧誘した顧客の注文を集中して前日終わり値より高値で取引を開始させている、こういうように言っております。  この記事は非常に詳細な数字を述べており、どこから入手されたのか日本経済新聞に聞いてみなければわかりませんが、大蔵省証券局はこれらの数字が大筋で正しいということは認めますか。
  286. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘の日経新聞の八月二十三日の報道、私どもが今まで検査の中でつかんでおります事実関係とほぼ誤りはございません。     〔衛藤(征)委員長代理退席、委員長着席〕
  287. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、お聞きになりましたか。ですから、今までの答弁の中で、一日の株の売買数だけでなくて各支店でどういうような販売姿勢であったかということも見なければならないと言っておりますが、これを見れば、これは強引に野村が株を買い進んだ、あるいは進めたということは一目瞭然であります。  そこで、参議院で、たしか社会党の議員であったと思いますが、本日も公明党の議員がお聞きになりました。大阪で三千六百万株も東急株を買わされて、結果として百八十億円損をしたという顧客に関することであります。顧客の名前は申しません。その顧客から直接事情を聞いた方にその内容に誤りがないかということをチェックした上で申し上げますが、私が注目しているのは、株の売買数が多いということよりも、十月十八日に大阪のホテルで三十人ぐらいが集まって、あすから野村が上がると言われたその内容について注目しております。  こういうように言っているのですね。「東急株は、五島(昇)会長の死去で大型のM&A銘柄となった。」買収合併ですね、M&Aというのは。「すでに小谷(光浩)グループが約一億二千万株場外クロスで買い集めた。あのニュージャパンの横井(英樹)さんもまた約二千五百万株手にしている。このことで小谷さんは、日本土地(木本一馬代表)が買い占めた豊田自動織機製作所株をトヨタ自動車にはめ込んだとき(仲介役として)動いた梅田のYさんと一緒に東急の三浦(守)副社長と会っている。」グリーンメールのことを言っているのですね。「その際、小谷さんは東急側に小谷グループからの三人の役員派遣を申し入れた。」「このM&Aの話はかなり進んでおり、いずれうまくいく。当然株価は上がり、十二月には必ず五〇〇〇円になる。野村も東急へ社を挙げて全力投球しているので、今買った方が得。安心して任せてほしい」、こう言われたと言っているわけであります。  いいですか。その東急の株が証取法の百二十五条あるいは場合によったら五十八条の不正または技巧の手段を弄したかどうかということを知るためには、こういうことを言っている顧客、これは言うた者は一人ですよ。梅田の支店長と本店から取締役も行っております。しかし、聞いた人は三十人おるんですから、これらの人を全部聞けば言うたことが本当かどうかということはわかるはずであります。そして、十九日から今指摘したような猛烈な買い行動に出ている。これが証取法違反でなくて何でしょうか。しかも、一日だけのことじゃないんですよ。十月、十一月、十二月とずっと続けているということを見れば、これは当初大蔵省が株価操縦ではないとか言っていたようなことは当たらないのではないかというように思います。  そこで、警察に聞きたいのですが、この点は警察が主に捜査しておられるようですが、まず国家公安委員長としての自治大臣に、資本主義の根幹にかかわる問題でありますから、こういう問題について厳正な態度で公平にお調べになる決意があるかどうか、それをまずお伺いしたいと思います。その後で事務当局、答えてください。
  288. 吹田愰

    吹田国務大臣 正森先生にお答えいたしますが、私、国家公安委員長といたしまして、今お話がありましたようなことをずっと伺っておりまして、まことに残念なことであり、けしからぬことである、こう思っております。  したがいまして、このことにつきましては厳正に捜査当局に命じまして、今日もやっておりましょうが、これからもずっとその趣旨に沿って頑張っていく、こういうことをこの際申し上げておきます。
  289. 國松孝次

    國松政府委員 先ほども答弁を申し上げましたとおり、この東急株問題につきましては、広域暴力団の首領が大量の株を買い付けをしたということでございますので、その実態の解明に努力をしておるところでございます。そうしたいろんな過程で、刑罰法令に触れる事実があれば、我々としては厳正に対処するということを申し上げておるところでございます。  そうした過程の中で、先ほど御指摘になりました大阪における集会があったというような事実は私ども承知をいたしておりますが、その中身につきましては、私どもとしては答弁は、現在時点において答弁いたしかねるところでございます。
  290. 正森成二

    ○正森委員 東急株の問題を考える場合には、こういう株の集中的な売買を考えるだけでなしに、資金がどこから出たか、特に稲川会の石井会長の資金がどこから出たかということが、これらを総体的に、全体像を見て立証する上で大事だと思うのですが、御承知のように、岩間カントリークラブなるもののゴルフ会員保証金預かり証、これは、時間の関係であえて申しませんが、小谷光浩の蛇の目恐喝の冒頭陳述で検察がほとんど無価値のもの、こういうふうに言ったことはこれまで国会でたびたび出たところであります。そういうものを一口四千万円で九百六十口、三百八十四億円、無から有を生じて莫大なお金をつくって、それで初期の株の買い占めに使っておる、あるいはその他の費用にも使っておるということになり、それに対して野村系の平成ファイナンスやあるいは日興系の企業が、グリーン何とかというところですが、費用を出すということになったということになれば、これは重大な問題であります。  しかも、これまでの関係委員会での証券局長の答弁によれば、これは問題だけれども、また現在はパブリックになっておるので会員権としての値打ちというのは認められなくなるけれども、そのときに三年たてば要求により買い戻すことができるという買い戻し特約書というものをとっておる企業がある、まだ三年たっていないのでそのときになってみなければわからないという答弁でありました。  そこで、そこから聞くのですが、パブリックになってしまったら会員権としては値打ちがないということになれば、岩間カントリークラブはどこから金を都合して三百八十四億を返すんですか。全く返すに返しようがないじゃないですか。だから、買い戻し確約書をとっているといっても、それは紙切れ同然であります。それとも、その場合に担保でもとっているのですか、担保を出せと言って。とってないでしょうが。答えてください。
  291. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 私どもが野村、日興両証券を通じて事情を聞いたところによりますと、両証券の報告では、ゴルフ場は開業後三年間はパブリックコースとして運用するが、その後は会員制として運用する予定である、で、三年後に買い戻すという条件の確認書が入っておるということでございます。
  292. 正森成二

    ○正森委員 しかし、あのコースのある県は、パブリックだ、そんな会員制にしない、こう言っているんですよ。そんな三年たったら会員になるということは全く口約束で、実際上の実行のあれがないんじゃないですか。しかも、今度は、それによって買い占めた株を担保にして野村系の野村ファイナンスが百六十億、日興クレジットが二百二億融資している。その融資の仕方もいろいろ問題がありますが。  そこで、その利息は九%余りだそうですが、年利三十数億であります。今売り抜けていないので一年間に三十数億ずつ、今までに四十何億、もう利息を返しているというのです。暴力団がもうかりもしないのに利息を前払い、これだけ返す、一体どこからその金を出すんですか。そういうことを警察は調べていますか。そのこと自体、非常に奇妙なことじゃないですか。なぜ野村はこういうことまでやって暴力団に便宜を図ったんでしょうか。そして、結果的には表面上はうまくいっていないというようになるんでしょうか。それが一番の問題であります。  そこで伺いたいと思いますが、この件での一番大きななぞは、最終的に二千九百万株を売り抜けないで稲川会石井元会長がまだ持っていると伝えられることであります。あの岩間カントリークラブを、ゴルフ会員権というので高い金を出しました例えば誠備グループの加藤氏あるいは安達グループと言われるような人々は、これはいつの時点か知りませんが、売り抜けてそんなに損はしていないと伝えられます。ところが、引き受けた小谷光浩と石井氏は売り抜けていない。なぜそういうことをしているのか、それには目的がなければなりません。また、本件のこういう大がかりなグリーンメールには動機がなければなりません、株の買い占めには。それを解明することが、本件でなぜ野村がああいうことをやったのか。こんな大規模な、私は時間の関係で言いませんが、野村の関係者は、野村始まって以来の大きな買いの集中だった、今までに事実上こんな一社に集中するということはなかった、こう言っているのですよ。そんなことをなぜやったのかわかるはずであります。その動機等について、極めて大事なものとして捜査をしておりますか。
  293. 國松孝次

    國松政府委員 石井進のいろいろな株の買い付けその他いろいろな資金運用につきましては、私どもといたしましても重大な関心を持って実態の解明をしているところでございます。なぜそのような株を、まあ現在私どもといたしましても、その買い付けた東急株もかなり多数まだ技っておるというような事実を承知をしておるわけでございますが、その理由等につきましても現在調査をしておるというところでございます。
  294. 正森成二

    ○正森委員 これは二、三の報道によりますと、そういう報道をしたところに私は念のため電話をして間違いがないかというようなことも聞いた上で申し上げるのですが、二つの可能性があると言われております。  その一つは、実名入りでこういう記事が出ております。八九年十一月株価上昇の最中、当時の三井信託中島社長が東急横田社長に面会、小谷光浩及びそのグループと話し合うことを求めたと報道されている。こういうように言っているわけであります。小谷氏はみずから東急株を買っているだけでなく、同じく蛇の目事件の冒頭陳述、これは検察が証拠によって証明する事実と言っているのですが、それを見ますと、みずからの身の安全や株の買い占めでいろいろ世話になるのを暴力団の住吉会から稲川会に切りかえ、手切れ金として住吉会に三十億円、そして稲川会に七十億円払うことになった、そこであの会員権を買ったんだ。それが動機で、その金をつくるために三百億円の恐喝を蛇の目ミシンに対して行い、三百億円入ったら直ちに三十億を住吉会を代表する者に渡し、そして一方、七十億円は稲川会の関係会社を通じて渡したということが、ここに持っておりますが、冒頭陳述にちゃんと書いてあるんですね。そういう小谷氏を、事もあろうに三井信託銀行の社長が、会うてそのグループと話し合いをしたらどうか、こういうように言ったと実名入りで報道されているわけであります。そうすれば、それは事実上暴力団の意を受けて上場の、一流の企業の社長がその代理人として株の買い取りを求めたととられても仕方がありません。事実、稲川会の石井氏は買い値の四倍で引き取ってもらうつもりだったと、こう言っている報道もあります。  もう一つの報道は、東急は東急だけでなしに、コングロマリットで上場企業だけで十五、関係会社が三百を超えると言われておりますが、それが地上げたとか建設だとかで暴力団系にいろいろ利益を与える、その利益、利権は年に換算すると数十億にも達すると言われております。そこで、株を買い占めて、役員を送り込み、それらの利権をひとり占めする予定だったというように報道しているところもあります。いずれにせよ、なぜ株を売らずに持っていたかということの理由になるわけであります。  そこで伺いますが、検察あるいは警察、どちらでもよろしいが、こういう点を視野に入れて当然捜査すべきである、そうすれば動機が明らかになると思いますが、いかがですか。
  295. 國松孝次

    國松政府委員 今いろいろと事実をお述べになりましたが、私、初耳のものもございますし、報道等で存じていることもございます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、いろいろな観点を頭の中に入れまして、暴力団の資金源解明ということで何ができるかということで捜査調査活動をやっておるというところでございます。
  296. 正森成二

    ○正森委員 しかも、報道では、本件の出発点となった岩間カントリークラブ会員権の売買に当たりダミー的役割を果たして深く関与した東京佐川急便、ここ自身も八十億という最大の資格証明書を買うております。また、広く債務保証をして、四千億円の債務保証をしておった、乱脈経理で非常に問題になり、佐川清氏が渡辺広康社長ほかを告訴したということを言われているわけであります。  ところが、報道によりますと、この東京佐川急便最高級役員と財界人が会談して会員権買い戻し保証を約束した、こういうふうに言われているのです。それなら話がわかるのですね。岩間カントリークラブはそういう資力はないけれども、東京佐川急便やあるいは財界人が保証したといったら、これはなるほど大丈夫だと思う。そしてしかも、それを引き合わせるのに仲介したのは有力な政治家である、こういうように書かれているわけであります。検察、警察、こういう点も調べるべきではありませんか。  そして、時間の関係で申しますが、九一年八月十日の毎日新聞は一面で、自民党の金丸信元副総理が三和銀行の渡辺滉頭取に、東京佐川急便を助けてやってほしいと九一年六月二十六日電話をしたと報道されております。九一年六月といえば、しかも末ならば、証券スキャンダルが公になり、東京佐川急便の渡辺広康社長の深い関与も報道され始めているころであります。こういう時分になぜ金丸氏が一企業についてこんな電話までしたのですか。これは本件に重大な関係があると見られてもしょうがないじゃないですか。検察、警察、こういう点について視野に入れておりますか。
  297. 井嶋一友

    井嶋政府委員 佐川急便に関する告訴事件は、東京地検におきまして受理をいたしておりますが、今委員指摘のような事実関係ではございませんで、前社長の渡辺氏及び前常務の早乙女氏に関しまして、早乙女氏の関係する会社に対する債務保証を無断で行ったという商法上の特別背任罪ということで東京佐川急便から告訴が出ておるわけでございます。  その点に関しましては、この犯罪の成否につきまして検察がただいま捜査をしておるわけでございますけれども、今委員るるこの佐川急便を取り巻く関係として仰せになったいろいろなことは、報道されておるということもあるようでございますけれども、当面、その告訴事実の有無といったものを捜査の対象にしてやっておるということでございます。
  298. 正森成二

    ○正森委員 私が質問の前に言いましたら、東急の株価の問題については警察が、そして佐川急便の特別背任の問題については検察がということで質問を分けていただきたいということで言っているのですが、この二つは密接に関係があるのですよ。そのことを見ないで別々にやっていたら全体像を見ることができないわけであります。  そこで、法務大臣に伺いたいと思いますが、本件は、健全な資本主義を考える者にとっても絶対に許すことのできない、暴力団が公然と出てきたという事件であります。こういう事件について、法務省としてはあるいは検察としては厳正な態度で対処していただきたいと思いますが、決意とお考えのほどをお述べいただきたいと思います。
  299. 左藤恵

    左藤国務大臣 今回の一連の証券金融スキャンダルにつきまして、法秩序の維持を所管いたします法務大臣という立場でまことに遺憾なことである、このように考えております。  マスコミの報道、それから国会における御論議、こうしたものは検察におきましても十分承知をいたしておるものと考えますが、検察におきまして現に告訴、告発を受けて捜査中でありますので、私としてはこれは見守っていきたい、このように考えております。申すまでもございませんが、検察は刑罰法令に触れるそういう事実があれば適切に対処するものと、このように考えております。
  300. 正森成二

    ○正森委員 それでは、別の問題に移りますが、三井銀行と山一証券が九〇年七月、計百十億円の補てんを折半で行っておりました。三井が融資し、これを山一が運用したものですが、我々の調査では、山一に一般口座を開設したということになっております。一般の口座ならもちろん本人の指示で売買すべきなのに、例えばその一つの嘉悦学園では、報道もされておりますし、私ら自身も電話で問い合わせましたが、任せっきりであった。しかも本人は三井銀行の方に任せっきりだと思っておったというようなことまで言っております。そして事前に三井から借りた金利に二%の上乗せ利益を保証するというように言われたので任せたというように言っているわけであります。そして私は三井関係も呼びまして事情を聴取いたしましたが、こう言っております。金余り現象で過当競争があり、財テク資金などの客の要請にこたえないと他の銀行にやられてしまうという中で起こった。その中で支店が暴走したといいますか、そういう説明であります。そうすると、これはただ三井だけのことではなしにほかでも起こっていたんじゃないですか。そして、これは山一と三井があうんの呼吸で二%の利益上乗せというまさに証取法五十条で禁止されていることをやり、そして損失が出たから双方が折半で負担するということになったんじゃないですか。  その一つの嘉悦学園というのは十億円運用したのですが、十億円は全部三井から借りているのですよ。そして先般来の報道によれば三億二千万円山一が補てんした、同額を三井が補てんした、合わせて六億四千万円も補てんを受けて、そして四千万円利益が出たんで、自分の懐を痛めない金だったから四千万円もうかればまあまあだと思った。これは新聞にも週刊誌にも全部出ているのですよ。とんでもないことじゃないですか。銀行局長証券局長、どう思いますか。まあ証券局長は今度の全体の中の一つだと言いますから、こういうことは断じて許されないことじゃないですか、銀行局長。簡単に。
  301. 土田正顕

    土田政府委員 この問題について要点を御説明申し上げます。  昨年の七月、御指摘のような都市銀行損失補てん問題が発生しまして大きな社会批判を受けたところであります。この問題につきまして、その銀行からは、取引先の証券取引に対しその資金の、これはケース・バイ・ケースでございますが、トータルとしては大半を融資の上、投資先の証券会社を紹介するとともに、取引先と証券会社の連絡役を務めるというような行き過ぎたサービスを行っておった。また、その運用の結果ですが、取引先の証券投資に多額の損失が発生しまして、この銀行としては、この取引先の信用不安発生の防止及び銀行信用維持の観点からその道義的な責任をとったものであるというふうに申しております。事前に利益保証の約束があったというふうには聞いておりません。  ただ、いずれにいたしましても、私ども利益保証を行っているような銀行はないとは考えておりますが、やはり銀行公共性のある業務をやっているものでございますので、社会批判を受けるようなことがあってはならない、その点は厳正に指導してまいりたいと思います。  それからなお、もう一言でございますが、金利上乗せのお話がございましたけれども証券市場が活況を呈している時期であったこともあり、取引先の資産運用ニーズに対し、証券会社による予想利回りは伝えたが、一定の利回りの確保を約束したことはないというような報告を受けております。
  302. 正森成二

    ○正森委員 予想利回りは伝えたが一定の利益は約束したことはないと言いますけれども、自分の金じゃなしに銀行が金を貸しているのですよ。自分は一文も金使ってないのですよ。それなのに十億円のうち六億四千万円も補てんして、四千万円、その銀行に利息を払ってもまだ利益が出たといったら、こんな結構なことはないですよ。しかもその嘉悦学園の理事を海部さん、あなた六十年から六十四年までやっていたんじゃないですか。だからあなた、責任がないというようなことは言えないんじゃないでしょうか。どうお考えでございますか。この証券スキャンダル全体についてこれをたださなきゃならない立場なんですよ。
  303. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 嘉悦学園の具体的な事実については、私は何も承知しておりません。  それから、理事になったことについて、今ここで厳しい御指摘がありましたが、そのことは率直に、謙虚にお受けとめいたします。それは今後の私の政治生活や、あるいは私自身の生活の中で慎重に対処していかなければならぬ問題である、こう受けとめております。
  304. 正森成二

    ○正森委員 あとわずかでございますので、一点だけ証券局長に伺います。  きのうでございましたか、我が党の立木議員が、年金福祉事業団について、国債の売買で利益を得たということを言いましたが、その六十三年十月十三日に行われた百五回債及び平成二年三月八日に行われた百十九回債について、約定日、数量、単価及び損益について簡単に報告してください。
  305. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 六十三年十月十三日の取引でございますが、これは利付国債を六百億円、単価百一・三六九円で売却をいたしまして、同日六百億円を単価百二・〇一八円で買い戻しております。それによって、三億七千百万円の利益供与を行っております。  それからもう一つの二年三月八日でございますが、これは五百億円の数量で、単価が、売りつけ単価が八十六・五九八円、それで同日同額を買い戻しておりますが、買い戻し価格が八十七・四四七円でございまして、この取引によって四億一千百万円の利益供与を行っております。
  306. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたけれども、これでやめますが、厚生大臣、あなた、損失補てんを受けてない、なぜなら損失がないからだと言うけれども、これはそんなのじゃなしに利益保証なんですよ、積極的な。財投金利に一ないし一・五%上乗せするという。そして、野村の取得した価格がわからなければ損かどうかわからぬと言うけれども、そんなことはないのですよ。一日のうちで安く売って高く買うているのですから、明白に野村は損をしているのですよ。あなた方は得をしているのですよ。それをわからないといって不正はないなんて、これからもやるつもりですか。そんなことでなければ年金の運用ができないとなれば国民は納得できないと思いますが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  307. 大野明

    大野委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。
  308. 中井洽

    ○中井委員 今回の証券不祥事に関して、過般の大蔵委員会の閉会中審査で私は大蔵大臣に、補てん先のリストを出せ、そして大臣は出すよう努力する、そしてそれは一切制限なしかというお尋ねをいたしましたところ、制限なしというお答えでありました。現実にそのとおり、大蔵省から出なかったことは残念でありますが、協会を通じて出されたということは私は率直に評価をしたい、このように思います。しかし、出されたリストそのものが幾つか問題があるんじゃないかと考えております。  そういう意味で、冒頭このリストの問題あるいは補てん先の問題等で質問をいたします。  このリストあるいは証券会社補てんの自主報告あるいは国税で更正決定をされました金額、こういうのを見ていますと、どうしてもわからない部分がある。それは、野村証券は自主報告を百六十一億円、しかし自己否認は百六十六億円なすった。山一は四百二億円自主報告をなすった、しかし国税に自己否認したのは八億である、こういう数字であります。先ほど、国税庁の次長は、自分たち損失補てんそのものには関心がないんだ、証券会社に損をかけた分について税金の対象として調査をした、こういうことを言われました。  私ども率直にその言葉からリストを見ますと、例えば大和証券は二百十八億円の自主報告で、国税への自己否認が百二十七億、日興は二百六十四億のうち百七十九億の自己否認、山一は先ほど申し上げたとおり。しかし野村証券だけは百六十一億の自主報告で、自己否認が五億円多い。また同時に、この自主報告に含まれていない二十数億円を別口で野村証券は国税庁で自己否認をいたしております。  先ほどの国税庁の答弁から考えますと、野村証券だけは国税庁との間で課税対象、交際費課税をされる、この分野だけ出せばいいと考えてこのリストを出した。ほかの証券会社は新規株式割り当て等についても含めて損失補てんと考えている分野を出した。しかし、野村証券は新規株式の割り当て等については、損失補てんであっても自主報告のリストの中に入れていない。同時に、国税庁はそういった分野を関心ないということで調査をしておりませんから、野村証券のこの補てん先の損失補てんの金額、このものが私は隠された分野がある、このように考えておりますが、大蔵省はいかがお考えか。  もう一つは、国税がかなり厳しく、また、初めての問題でありますからかなり法的な範囲を考えて更正決定をなすったというふうに漏れ聞いております。そうしますと、お調べになった中で、灰色だけれども、どうもいま一歩認定し切れない、こういった分野がかなり金額的にあったんじゃないか、このように思います。それはどのぐらいあったのか。その二つをお答えをいただきます。
  309. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 私の方から、自主報告と自己否認あるいは未報告との関係でございます。  御指摘のように、確かにこの数字だけを見ますと自主申告と自己否認との間に、未報告がございますから必ずしもオーバーをしているわけではございませんが、私どもも、現在の検査の中でこの件についてもさらにチェックを、洗い直しをしているわけでございます。
  310. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 まず、報告と私どもの更正、食い違いが生ずる要因は、先ほど委員お話しになりましたのを一つの例といたしまして幾つかあるわけでございますが、この食い違いがある分につきましては、必要があれば今後の税務調査の中、で、どういう原因で食い違いが生じているかというようなことについては調べることが可能であるわけでございます。  それから、グレーの部分とのぐらいあるかというお尋ねでございます。  私どもが更正処分を行うに当たりましては、当然のことでございますが、異議申し立てにもたえられるような根拠のあるものについて行うということでございますので、交際費等の認定に至らなかったというものも確かにございますけれども、これらの金額がどれだけかというようなことは私ども把握をいたしておらないわけでございます。
  311. 中井洽

    ○中井委員 大蔵省調査等でそういった隠された部分が徹底的に出てくることを強く要望をいたしておきます。  もう一つは、発表されました六百数十社の会社、団体、いわゆる補てん先生言われる方々が口をそろえて認識がない、こういうことを繰り返されていること、私は大変残念に思います。過日、当委員会でも申し上げましたけれども、財務のプロがそういったことで本当にやれるのか、黙っておっても会社がもうけさせてもらえた、そんなことは国民だれも信用いたしません。また、証券会社の側からいえば、なぜ補てんをしたか。元本を割らないでくれと言って泣きっかれて補てんをした、あるいはもともとニギリだとか口約束でやった利回りをどうしてもやれと強制されて補てんをした、あるいはこれから株式の新規発行等あるいは増資等で主幹事会社を外すぞ、こう言われて取引を続けるために補てんをした。したがって、証券会社からしたら、補てんをしたら相手に、補てんをしていただいてありがとう、確かにわかったよと言ってもろうて初めて補てんをした価値があるのであります。黙って金もうけさすなんというばかな話は国民だれ一人信用いたしません。私はそういう意味では、大蔵大臣が自主報告と国税の更正決定をされた部分損失補てんだ、こう言われたことは正しいと思います。  この損失補てんを各企業や団体が認識をしていない、これを否定されておる、こういう風潮を総理大臣はどのようにお考えですか。
  312. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 これは具体的にいろいろな背景、ケース、受けとめ方、個人のお考えの原点、いろいろあろうと思いますけれども、全体としてやはり調査をし、このようなことになっておるんだという結果が出ております以上は、それらの問題についてやはり自覚と責任感じて、二度と再びこういうことをしないという自己責任の原則をかみしめていただきたいというのが私の、今御質問も突然でありましたけれども、聞いて率直に感じた印象でございます。
  313. 中井洽

    ○中井委員 国税にお尋ねをいたしますが、この損失補てん、更正決定をなさった中で、いずれかの証券会社から異議申し立てが出ておりますか。
  314. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 現在までのところ、交際費等に当たると認定したことを不服申し立ての理由とするケースに限定して申し上げますと、そういう異議申し立てないし審査請求というものはなされていないものと承知いたしております。
  315. 中井洽

    ○中井委員 総理大臣の御答弁にもありましたし、また国税の方から、証券会社の側が一つ異議を申し立ててない、あるいはまた発表した証券会社を名誉棄損でお訴えになった補てん先の企業、団体もない、私はこのように聞かしていただいております。にもかかわらず、認識していないという形でお逃げになる。私はここに、この問題が日本的な大きな要因を含んでおると考えるわけであります。  今回の問題で、とにかく補てん先は会社や団体が損をしないように頑張ったんだから、まあいいじゃないか、みんながやっているんだからまあいいじゃないか、こういう形で内部的にはかばい合う、これが日本的であろうか。しかし、それがもう許されないところへ日本の経済は来ておる。大きくなっておる。やっぱり国際的なルールにきちっと対応できるべきである。したがって、補てん先の方々も、きちっと認識をしておった、そして自己責任を貫かなかったところが間違いだった、私は率直に言われるべきだと考えております。  そういう意味大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、大蔵省の管轄をしております金融機関が三十二社、三十六件にわたって損失補てんを受けておるとリストに出ております。私は調査をいたしましたところ、このうち結果として損失補てんと認識をしたというのはたった一行でありまして、残り全行は認識をしていない、こういうお答えを大蔵省にお寄せになっていると聞いております。まず、大蔵省の管轄の銀行損失補てんをお受けになったところから、金融のプロなんですから、金融のプロがこういう国民だれが見てもわかることで認識していない、そんなことで逃れる、言い逃札をする、その姿勢自体が私は間違っておる、このように思います。そういった意味で、大蔵省としてきちっと対応なさるつもりはありませんか。
  316. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 預金者からお預かりをいたしましたそのお金というものを、それぞれの金融機関がどのように安全に、そしてより有利に投資をし、結果として預金者にお返しをするときに安全にお返しをするかということを考えますときに、今委員が御指摘になりましたような点というのは私としては残念な気持ちがいたします。それぞれの金融機関がその規模の大小に応じて、あるいは全国的に、あるいは地域経済の中で、育成していくべき投資先を考え、地域経済の発展に資するという役割を十分思い起こしていただきたい、率直にそのような感想を持っております。
  317. 中井洽

    ○中井委員 総理はさっき突然にと言われましたが、大体質問みたいなものはみんな突然でございまして、今度もまた突然でお尋ねをいたします。  私も逓信委員をしておりまして、郵政省来ていただきまして、郵政省管轄の二つの免許を与えられた会社損失補てんを受けておる、どうだ、こう言ったら、認識をしていないという答えでありました。そんなばかな監督官庁があるかと申し上げました。先ほどから厚生省、文部省あるいは自治省、自分の省の管轄でそれぞれ団体、会社、聞いたら、すべて認識していない、このこと自体が私はおかしい。総理大臣のもとで各省庁きちっとこの問題の深さを御認識をいただいて、認識をしておる、そして自己責任でやらなかったところは、間違いであった、今後二度とこういうことを起こさない、こういう発表ができる体制をおとりいただきたいと思いますが、いかがですか。
  318. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 それぞれの立場できょうまでしてきたことを述べて、その時点、自分としては社会的に許容される範囲だと思ってしたのでしょうけれども、結果として、御議論の進んでおりますように、今そのことが大きな問題になっておるわけであります。私は、公正な社会というそういう大きな理念からいって、特に今後担当者が将来の問題について厳しく戒めて運用に当たってほしい、このことは強く指示しておきます。
  319. 中井洽

    ○中井委員 もう一つ大蔵大臣にお尋ねをいたします。  今回の損失補てんの中で、私どもは幾つかの企業にお尋ねをいたしますと、銀行とのおつき合いで無理やり金を借りてくれと言われた。今もう銀行に金を借りなくても十分やっていけるけれども、万一の時期のことを考えて銀行とおつき合いをする。利子はどうするんだ、こう言ったら、銀行がやはりこういう形で特金に回して銀行の利子以上に配当を出してやりますから、こういうことでやったところがあると私どもは聞いておりますし、一、二、調べもいたしております。銀行局にこういったものを全部調べる、そして銀行のこういう姿勢を正せとお願いをいたしましたところ、到底個々の取引に関しては調べられない、こういう残念なお答えであります。  私は、今回の事件大蔵省の姿勢ということについて随分国民から非難を買っておる、証券局だけでない、銀行もだ、そして銀行証券とばらばらの不祥事じゃない、証券不祥事に関して銀行局も大きく絡まっておった、このことで毅然たる態度をとらなければ大蔵省の権威というもの、あるいは信頼というものは回復しないと考えております。そういう意味で大臣のお答えをいただきます。
  320. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 本日、当委員会における御論議の中にも、今委員指摘をされたケースに類似したケースが例示として挙がっておりました。金融緩和の時期と申しますより超緩和と言った方がよかったのかもしれません。それはそれなりにその時期における日本の経済状態というものを考え、内需中心の自律的な拡大に向かうための手法でありましたが、それがさまざまな我々の予期しない副産物を生んだということにつきましては、私どもとしても非常に深く反省させられる部分を持っております。  今委員が御指摘になりましたような問題点も私どもの今後の金融経済全体の行政の中で十分脳裏に刻みつけておくべき教訓、今そのように拝聴をいたしました。
  321. 中井洽

    ○中井委員 この補てんの実態でありますが、主として補てんそのものは今回債券市場を通じて行われたと私どもは考えております。この債券市場での今回の行いは、証券局長は過般参議院の委員会におきまして、正常な取引とは言いがたい、このように御答弁をなさいました。また、本日国税庁は不自然な取引を調べた、こういう答弁をなさいました。証取法の第一条には、公正円滑な流通ということが出ております。また五十条には、取引の公平を害し、または証券業の信用を失墜したものを罰する、このようになっております。  私は、今回の問題が法律違反じゃない、行政処分だ、こういう形で行われたことはわかりますけれども、しかし適用していけば法律違反として見られるものは幾つもあるんじゃないか、国民や世界は、日本法律やらあるいは司法というものが今回のようなことで法律をきちっと運用していくか、こういったことも見ていらっしゃる、このようにも思います。そういった意味で、この債券市場を使った不自然な取引を証取法違反として調査をなさるおつもりはありませんか。
  322. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘のように、証取法第五十条の一項五号には「投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は証券業の信用を失墜させるものとして大蔵省令で定める行為」というふうに書いてございまして、それを受けて健全性省令というのがございまして、その中でいろいろな禁止行為が書いてあるわけでございますが、現行のこの健全性省令の中には損失補てんというものは明示的に書いていないわけでございます。この「証券業の信用を失墜させるものとして大蔵省令で定める」というところで省令ができているわけでございまして、現行法のもとでは五十条の一項五号に基づきます省令を適用するということがどうしてもできないという限界があるわけでございます。そういうこともございまして今回は法律改正を考えているわけでございまして、損失補てん行為について証取法のほかの条文が適用できないかという点につきましては、私どもも鋭意検討を進めてまいりましたし、引き続き検討をしているわけでございますが、現在までのところどうも現行法でどれかを適用するというのが極めて難しいというのが私どもの考え方でございます。
  323. 中井洽

    ○中井委員 私は損失補てんを適用しろ、こう言っておるんじゃありません。この債券市場であなたがおっしゃった正常な取引とは言えない取引あるいは国税庁のおっしゃった不自然な取引、これらだけでも五十条あるいは一条を適用したらどうだ、このように申し上げておるんですが、どうですか。
  324. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 確かに正常でない取引、正常な取引とは言いがたいという感じが私もするわけでございます。それは先ほどの例にもございましたように、価格は上下二%のルールの中に入っておりますから価格の設定としておかしいということは言えないわけでございますが、大量のボリュームの数量のものを一日のうちに売って買い戻すという、そういう取引形態が正常ではないんではないかというふうなことでそういうふうに申し上げているわけでございまして、まあそういう債券取引について現行法のどれかを適用できないかということは、先ほど申し上げましたように私ども検討しているわけでございますが、証取法は、個々の取引についての規制法でございまして、その債券市場の中でそういう、まあ一応自主ルールに従った価格設定の中で、しかし大量に同日のうちに売って買い戻すというような取引形態がとられているというようなものでございますので、なかなか現行法で適用するずばりの条文というのが見つからないというのが正直なところでございます。
  325. 中井洽

    ○中井委員 野村証券の東急株の異様な売買、もう既に各同僚議員から指摘をされたところであります。証券局株価操作の疑いありということで調べる、そしてさらには、従来以上に踏み込んで取引先の帳簿等も調べて調査をしておる、このように聞かしていただいております。これはこれで結構であります。  しかし問題は、大蔵省証券局が、この野村証券の今回の、だれが見ても、あるいは世界じゅうだれが考えても株価操作だ、こう言われる事項を株価操作として認定をして、検察当局へ告発ができるかどうかというところが私は信頼回復のポイントだ、あるいはこれからどういう機能をつくっていくかのポイントだと考えております。現在踏み込んで調査をされていることを評価をいたしますが、法制上あるいは能力上やっぱり限界があるのか、こんなことを心配をいたします。その点について率直なお答えをいただきたい。  同時に、クロ、シロ、灰色、こういう判定が出たときに、国会を通じてでも、あるいは国民の場にでもこの経過をすっかり公表すべきだ。私は、今回の事件でいろいろと大蔵省が非難をされておる一つには、これまた同僚議員からお話がありましたように、損失補てんが初めて問題に出て、通達を出して、そして届け出を出したときに、やはり報告そのものを公開すべきだった。あるいは行政全体でもお考えをいただきたいのは、役所と業界の中だけで処理をしてしまう、もうそういう時代じゃない。行政が何らかの対応、処分をしたらどんどん公表していく、そういったことに対する対応がおくれた、このことが不信を招いておると考えております。そういう意味で、この野村証券株価操作証券局調査をして、シロであれクロであれ灰色であれ、どういう結果が出るのか知りません。私どもはもう当然クロであろうと考えておりますが、出た経過をすっかり報告をする、このことをお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。
  326. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 東急電鉄株、現在、特別検査で特に集中的に重点事項として検査をしております。御指摘の百二十五条が適用できるかどうかという問題でございます。百二十五条は、当然のことでございますが、これは罰則が伴う刑罰法規でございまして、その認定に当たりましては十分な事実を収集し、それを当てはめるということが必要なわけでございまして、現在、検査を通じて既に数名の取引先からも事情を聴取しております。そういったことを通じて、できるだけの事実を集めた上で百二十五条の適用の可否について私ども検討をしたいというふうに思っているわけでございます。  なお、結果の公表の問題でございますが、これはいろいろな行政としての制約がございますけれども、可能な範囲において御報告を申し上げたいというふうに思います。
  327. 中井洽

    ○中井委員 次に、今後の対応策について幾つかお尋ねを申し上げたい、このように思います。  今回の事件、いろいろな見方はあろうかと思いますが、銀行にしろ証券業界にしろ、大蔵省がおむつを当てていい子いい子で、おんぶにだっこでお育てになった。それがいつの間にか世界一の巨人に育った。しかし、大蔵省は相変わらずいい子いい子で保護をしていこう。証券業界銀行業界も、大変失礼だけれども大蔵省の前へ来たらいい子いい子になるけれども裏では舌を出して自分たちのしたいほうだいルール違反をやっておった、こういうことが言えるんじゃないか、このように思います。  今後、これらの業界に対してどういう対応をとるか。やはりここまで大きくなったんですから、もう自分たちで自主規制というものをきっちりやっていただく、そして役所は監視の機能というものをうんと強める、そして少しでもアンフェアなことをやれば罰していく、こういう厳しい方向が私は必要だと考えております。  そういう意味東京証券取引所の理事長さん、自主規制の強化、こんなことで何かお考えになっていらっしゃることがありましたらお答えをいただきます。
  328. 長岡實

    ○長岡参考人 お答え申し上げます。  今回の証券不祥事等にかんがみまして、私は、やはり今後二度とこういうことを繰り返さないようにするためには、一番大事なことは、まず証券業界と申しますか業者みずからが本当にその気持ちにならなければいけないということ、それから次に、一種の自主規制機関と申すべき私ども東京証券取引所あるいは証券業協会、そういったところがどれだけ自主規制能力を強化するかという問題であろうかと受けとめております。  私どもといたしましては、理事会を開きましてこの不祥事に対処する基本方針を既に決定いたしておりますけれども、その中で、東証の最高の意思決定機関とも申すべき理事会に公益の委員の数をふやしまして公益性の反映を高めるとか、あるいは規律委員会に公益委員をふやしてここにも公益の意見を反映させるといったようなことも考えておりますが、私どもとして一番大事なのは、やはり日々の株式市場における市場監視の能力を高める、そしてそれに機動性を持たせる、そして少しでもおかしい動きがあった場合にそれを早く発見して、会員に注意をして未然防止を図る、それがまた市場の信頼をつなぎとめるゆえんではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  329. 中井洽

    ○中井委員 これも幾つか議論は出ましたが、同じ長岡さんにお尋ねをいたします。  手数料の自由化も当然今回の事件にかんがみてやらなければならない。しかし小口の投資家は、情報量という量において、あるいは対証券会社に関して全く弱いところがあります。そういった意味で、小口の投資家の保護そして機関投資家の自己責任体制、こういったものをきちっとつくっていけばいい。そういう意味で委託手数料を自由化をする。ただし、先ほどの公明党さんと同じになりますが、小口の最高限度額を今決められているような額でこれは決めていく、そういう方法はどうだろう。あるいはもう一つは、引受手数料であります。現行引受手数料は自由でありますが、協会内部でお話し合いになられてお決めになる。それは量でお決めになる。どんな優良な企業の株の、あるいは増資の発行であろうと引き受けであろうと、あるいは初めての会社の、信頼がどうだというような会社の引き受けであろうと、みんなリスクは一緒だ、量で決める、こういったやり方が今回の補てんを生む温床になったのはもう言うまでもありません。  この二つの問題についてどういう御認識を持たれておるか、お答えをいただきます。
  330. 長岡實

    ○長岡参考人 中井委員に申し上げますが、引受手数料は東証の管轄ではございませんので、証券局から答えていただくことにさせていただきます。  株式の売買委託手数料につきまして、日本が固定制を維持しており、これに対して自由化すべきではないかという声が起きていることはよく承知いたしております。また、今中井委員がおっしゃいましたように、私どもが固定制を維持してきておる最大の理由の一つの中に、やはり自由化すれば手間のかかる小口の方にしわが寄りまして、これはアメリカ、イギリス、フランス等の例を見てもそれがはっきりいたしておりますが、個人投資家をふやそうということを考えて取り組んでおります私どもにとりましては、そのしわ寄せが個人投資家に寄せられるということは大変矛盾していることでございまして、これは何としても防がなければならないということで固定制、固定制と言ってまいっておったわけでございますけれども、今御提案のございました、上限を押さえておいて大口のところだけ自由化してみてはどうだという、これは確かに一つのお考えだと思いますけれども、私ども危惧いたしておりますのは、そうなりますと非常に競争力の強い証券会社がやはりシェアを高めることにならないか、証券業界全体としての寡占化が進まないかというようなことも危惧しておるところでございます。私どもは、固定制のもとにおきましても、ニューヨークの取引所の手数料等々、段階別に比較をいたしまして遜色のないような水準を保つように、過去五年間に四回にわたって引き下げを行ってきたところでございます。  以上申し上げたようなことを私ども勘案いたしまして、固定制か自由制がという問題につきましては、両制度の持つ長所、短所を十分に議論をして見きわめてまいりたいというふうに考えております。
  331. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 引受手数料でございますが、これは現在、ともかく発行ごとに自由に決められるという建前になっているわけでございます。しかし、事実上御指摘のような形で横並び的に決まってしまっている、しかも、かなり合理的でないというような御指摘もあります。我々もそういう感じを持っているわけでございまして、これは話し合いで決めるということになりますと価格カルテルになってしまいますから、個々の証券会社に対して、特に大手四社が引き受けの主幹事をしておりますから、そういうところに対して合理化をするように、あるいは引き下げるようにというような指導をしているわけでございますし、また、あわせて競争を促進する、つまり新規参入を入れるということによってそういう問題もある程度改善ができないかというようなことも考えているわけでございます。
  332. 中井洽

    ○中井委員 対応策としましては、今お話ありましたような証券業界の新規参入を促進する、あるいはアンダーライター業務とブローカー・ディーラー業務の分離をきちっとしていく等、私どもも言いたいことはたくさんあるのですが、時間がありませんので銀行問題に移らせていただきます。  今回の銀行不祥事も目を覆うばかりの問題であります。私は昭和十七年生まれですが、今から二十四、五年前に東京の府中市で三億円強奪事件というのがありました。もうどれだけ三億円という金額で国民全体が騒いだかわかりません。しかし、たった二十五年で、一人の個人が四千億円倒産をする、銀行の一課長が二千数百億円のにせ証書をつくってまかり通る、すべてこれ一流銀行を通じて行われた。もう何とも言いようのない事件であります。今回のこの事件に対する対応を見ておりますと、銀行各行は、当事者を首を切って、当事者をお訴えになって、そして詳しいことを言えと言うたら、調べ中ですから言うなと言われております、こういう形になっております。しかし私は、こういう大問題、国民の大銀行に対する不信を招いたトップの責任というものはあると思います。大蔵省はいかがお考えですか。
  333. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私自身、この問題については思い悩むところがございます。それは、この偽造預金証書にかかわりのあった人間の一人と私の元秘書でありました者とが軽率なかかわりを持ったと、いう部分でありまして、これは私自身責任として受けとめておるところであります。しかし、それを離れて申し上げますとき、私は二つの問題点を感じます。  一つは、これほど巨額の偽造預金証書というものが発行されている事態がなぜそれぞれの行内の内部管理体制の中で発見できなかったのか、長期間発見できなかったのかということであります。  もう一つの問題点は、そうした事態が、相当の年数続いていたものがなぜ行政としての検査の中で発見できなかったのだろうかということであります。これは、私ども検査・監視機構というものを今行革審に作業をお任せをいたしましたが、行革審に総理が御依頼になる前、我々が作業をスタートしましたときの問題意識の大きな点でありました。そして今、検査手法あるいは要員の数、質、さまざまな点から我々なりの反省を込め深刻にこの事態の検討をいたしております。
  334. 中井洽

    ○中井委員 私がお尋ねをしましたのは、各銀行のトップの責任をどう大蔵省はとらすつもりか、このことが一つであります。  それから、もう一つお尋ねをいたしますが、これらの不祥事を起こした銀行に対して特別検査をお入れになる御予定がおありですか。
  335. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一点について。  後の検査の問題は局長から答えてもらいます。  私は、現在それぞれの銀行自身が既に告訴に踏み切っている状態、しかも事故者のほか多数のノンバンクや取引先に連なっている状況の中で、当該金融機関そのものの調査能力の限界もあり、司法当局に告訴したものと承知をしております。むしろ、司法当局に対し大蔵省といたしましてもこれらの事件の徹底解明をお願いを申し上げ、現在、当事行による調査とあわせまして司法当局による解明にゆだねておる部分が多々ございます。まあ経営責任につきましては、その全容解明が済みまして処理がついた段階で、私は、金融機関自身として御判断になるべきこと、そのように思います。
  336. 土田正顕

    土田政府委員 検査の実施時期についての御指摘でございますが、これはやや一般論として申し上げますならば、やはりその実施時期につきましては、前回検査からの経過期間とか情報収集の度合いなどから見て検査の緊急性を判断し、また、何分にも今フル稼働でございますので、当局の検査体制も総合勘案して決めてまいることにしております。  この御指摘銀行でございますが、これは私どもの方からの文書による指示を受けまして内部の総点検を実施し、それから今後の対応策につきましても、中間的にではございますが、次々と我が方に報告を出してきて括ります。そのような対応策をまず銀行の中で実施したい、それをこの数カ月以内に体制を整えたいというようなことでございますので、当面はまずその金融機関自身がどのような新しい体制を組むかというものを見てまいる必要もあろうかと思います。  なお、私ども検査の主眼点は、それぞれの金融機関内部事務管理体制のシステムが適切であるか、そのシステムがその処方せんどおり実行されておるか、それをチェックする、そのようなことに主眼を置いておりまして、この事務量その他からいきましても、網羅的に個々の事務処理体制を調べ上げるということは現実的に不可能でございます。その点、私どもとしましては、金融機関内部における検査体制とか相互牽制の状況の点検も含めまして、検査で、限られた人員、限られた能力の範囲内でいかに有効にこの問題に対処するような改善策を検査の手法として見出し得るか、それを我々も真剣に考えてまいりたいと思っております。
  337. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  338. 大野明

    大野委員長 これにて中井君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  339. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体NHKの放映が済むころ指名をいただくわけですが、ここに「ポートフォリオウィークリー」、これは野村証券の社内限りの情報誌であります。もう一つ、これは日興証券情報部が出しておる、やはり社内誌でありますが、「インベストメントストラテジー」、これはマンスリー。私はあそこにおのおの二カ月分、あの席に置いてます。  委員長、資料を配付させていただきたいと思います。  この野村証券の「ポートフォリオウィークリー」、この二カ月分を私分析してみましたが、証券局長は両方お読みになったことありますか。もし読まれたとしたら、いつごろからこれを読んで分析されましたか。
  340. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 野村証券のそのパンフレットにつきましては、特に問題となっております十月の分については、私、目を通しております。
  341. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いつ読まれたかおっしゃらないわけですが、時間がないからいいでしょう。  ここに私が分析しております。ごらんになったらわかるとおり、十月二日号以降、いわゆる東急電鉄及び東急グループをその紹介銘柄に入れて、あるいは注目銘柄に入れている。ここで注目しなければならないのは、実はこの十月二日の四、五日前、八九年の九月二十七日に野村証券の橋本昌三副社長が渋谷の東急電鉄本社に清水仁専務をお訪ねになって、そこで話し合いが行われた。そして、四、五日たった十月二日から、だっとこの推奨が始まった、東急電鉄のですね。とすれば、この九月二十七日の橋本昌三野村副社長と東急電鉄本社の清水仁専務の間にどういう話し合いが行われたかということは、もうわかり切っておるでしょう。さあ今から、十月になって始めましょう、株のつり上げをやりましょう、東急電鉄の。そういうことでしょう。  そして特に十月三十日号、これはもう特集ですね、東急の。ちょっと一部読んでみましょうか。「同号は表紙で「アメニティコングロマリット」として東急電鉄を含む東急グループを紹介。「二十一世紀に向けて大きな飛躍期を迎えようとしている。土地、有価証券、ネットワークなど総合資産価値に注目したい」と全面的に持ち上げ、資料の中で同グループの「渋谷再開発」「総合リゾート構想」などプロジェクトの将来性を紹介している。さらに「今週の注目銘柄」「紹介銘柄」の一つとして東急電鉄を「ネットワーク、ブランド力などのソフト資産を加えると資産評価は膨大」と分析している。」これは十月三十日の分ですが、ほかのもほとんどこれに似たことが書いてある。日興証券の「インベストメントストラテジー」、これも同じように十月二十三日のやつで、やはり東急及び東急不動産を推奨されておる。大体もう株価操作を行っておる事実は明らかじゃありませんか。  そして、さっきちょっと話が出ました、野村の取締役さんが行ったのは東京と大阪だけじゃないんです。今から申し上げます。これは武樋政司常務、今の。その当時は取締役でございました。今から申し上げます。八九年の話です。十月五日神戸支店、十月十一日戸塚支店、十月十六日札幌支店、十月十八日梅田支店、これはさっき出ました。十月二十四日渋谷支店、十月二十七日郡山支店、十月三十日、私のふるさとの福岡支店、十一月一日浜松支店、十一月七日営業部、十一月八日横浜西口支店。全部、当時の武樋常務さんが行って、これを材料にして、大口投資家を集めてこの東急電鉄の宣伝をやられた。どんな話がその中にあったかというのは、先ほど共産党の正森委員が言われたような話を私も証言として聞いておる。大体十二月前後には五千円になる、そういう証言を得ております。  そこで、私はお伺いしておきますけれども、もうこれは既に二件、神奈川県の方と、それからさっき正森さんが紹介したあの本を書いたイギリスの方でしょう、告発していますね、この東急電鉄のいわゆる株価操作について。私が今申し上げたこともその一つの傍証になるんじゃないでしょうか。  それで、証券局長にお尋ねしますけれども、東急株の八九年五月から十月にかけての野村証券、これは三億四千万株、山一、二億八千万株、日興、二億株、こんなふうに分散をしている。こういう売買の手口に対して、大蔵省はどういう指導をされましたか。
  342. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 当時、御指摘のように、東急電鉄株に対して大手の証券会社の大量の売買が見られたわけでございます。その当時は私ども、市場におけるそういう証券会社の注文というものを把握し、それの市場における執行状況というものをチェックしたわけでございます。しかしその段階では、その注文が多数の投資家からのものだ、証券会社の自己ではないということが判明いたしまして、その多数の投資家にそれだけの注文が出てくるということになりますど、先ほど御指摘のありましたいろいろな、「ポートフォリオウィークリー」とかそういったものに基づいてどういう投資勧誘が行われたかという点を十分把握しないと実際の事実関係がわからないということになっているわけでございまして、現在、御指摘のありました支店のうちの幾つかについて私ども実際に臨席をし、支店における投資勧誘状況について必要な場合には投資家からも事情を聞くというようなことで、勧誘の実態を調査しているところでございます。
  343. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。具体的に言って、昔の通達に反しているから警告を発したんじゃないんですか。七四年の通達があるんじゃないですか。どういう通達の内容ですか。「自社の営業方針に基づく特定少数の銘柄の一律集中的な推奨の如く投資情報を主観的又は恣意的に提供することは厳に慎むこと。」この七四年通達に違反すると言ったんじゃないですか。いつ言ったんですか、それは。
  344. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘の通達、営業の方針に基づき一律かつ集中的に、しかも恣意的という言葉があるわけでございまして、その通達に違反するかどうかを含めても、今その投資勧誘の実態を調べているところでございまして、通達違反というのを直ちに市場の手口だけからでは決めつけることはできないという、営業の実態、勧誘の実態を見ないと通達違反かどうかを確認できないということで、現在その勧誘の実態を調査しているところでございます。
  345. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もうこれを最後にします。  この七四年通達、これでもっていわゆる株価操作に匹敵する、違反する疑いありと指摘されたのはことしでしょう。ことしの一月から三月の定期検査のときにやっとそれを言ったんじゃないですか。どうして去年言わなかったんですか。そうしたらもっと防げると思っているんですよ、大体大蔵省は怠慢ですよ。私は、それは証券も悪いかもしれないが、大蔵省はもっと悪いと思う、指導が。そういう間違いを起こさせるのは大蔵省に根があるんだ。それを指摘して、終わります。
  346. 大野明

    大野委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十九日木曜日正午理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時六分散会