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1991-09-27 第121回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年九月二十七日(金曜日)     午前九時三十八分開議 出席委員   委員長 奥田 幹生君    理事 逢沢 一郎君 理事 甘利  明君    理事 高村 正彦君 理事 佐藤謙一郎君    理事 竹村 幸雄君 理事 和田 貞夫君    理事 森本 晃司君       浦野 烋興君    尾身 幸次君       加藤 卓二君    木村 義雄君       斉藤斗志二君    田中 秀征君       田辺 広雄君    中谷  元君       額賀福志郎君    鳩山 邦夫君       深谷 隆司君    山本  拓君       大畠 章宏君    加藤 繁秋君       渋谷  修君    鈴木  久君       関  晴正君    水田  稔君       安田  範君    吉田 和子君       小沢 和秋君    川端 達夫君       江田 五月君  出席国務大臣         通商産業大臣  中尾 栄一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 越智 通雄君         官)  出席政府委員         公正取引委員会 梅澤 節男君         委員長         公正取引委員会 糸田 省吾君         事務局経済部長         公正取引委員会 矢部丈太郎君         事務局取引部長         経済企画庁調整 吉冨  勝君         局長         経済企画庁調査 小林  惇君         局長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業大臣官         房商務流通審議 麻生  渡君         官         通商産業大臣官 榎元 宏明君         房審議官         通商産業省通商 岡松壯三郎君         政策局長         通商産業省通商 藤原武平太君         政策局次長         通商産業省貿易 高島  章君         局長         通商産業省生活 堤  富男君         産業局長         工業技術院長  石原 舜三君         資源エネルギー 山本 貞一君         庁長官         資源エネルギー 川田 洋輝君         庁公益事業部長         中小企業庁長官 南学 政明君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部生活経済課 松原  洋君         長         大蔵省主税局税 尾原 榮夫君         制第一課長         農林水産省農蚕 新庄 忠夫君         園芸局繭糸課長         労働省職業安定 野寺 康幸君         局雇用政策課長         建設省都市局都 林  桂一君         市計画課長         自治省行政局選         挙部政治資金課 井戸 敏三君         長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十五日  辞任         補欠選任   小沢 和秋君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   金子 満広君     小沢 和秋君 同月二十七日  辞任         補欠選任   小岩井 清君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     小岩井 清君     ――――――――――――― 九月二十日  原発反対に関する陳情書  (第五九号)  原子力発電所安全対策に関する陳情書  (第六〇号)  大店法の規制緩和に伴う措置に関する陳情書  (第六一号)  中小企業施策に関する陳情書  (第六二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 奥田幹生

    奥田委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  3. 関晴正

    関委員 短い時間ですので、簡潔にお尋ねしますし、お答えもまた簡潔にしていただきたい。大臣長官とお二人にお答えをいただきたいと思うわけであります。実は、科学技術委員会においていろいろ論議をしましたけれども、どうしても交付金の問題は通産大臣エネ庁長官のところの所管である、こういうことでその担当の職員からは御説明等をちょうだいしたのですけれども、とても納得がいきません。  それで、まず通産大臣電源立地促進対策交付金というものは、建設することが決まってその上で交付をする金だ、こう承っております。そうして、物によっては建設年度の前年度、さらに前々年度までは特例措置によって交付することができる。ところが、青森県の六ケ所村における再処理工場目下建築工事許可申請のさなかにあるものでございます、これは。恐らく今年度において建設工事が始まるように許可が成るであろう、こういうことでお金の交付を、平成元年、平成二年交付をいたしております。この再処理工場にかかわる交付金の額というものには大変に大きいものですからどこの町村でも欲しい。しかし、危険な再処理は好ましくない。金は欲しいし危険は怖い。だが、やはり背に腹はかえられぬという気持ちでございましょうか、金がみんな欲しいわけであります。しかし、現地における再処理工場建設の問題をめぐっては、非常に賛成反対が強い。立地事態が満場一致でスムーズにこのことが進められるというならば、特例措置ということも意味があるかと思います。ところが、大変な騒擾状態に立っている現地、そういう意味において円満な状態でない中に、また許可申請中で許可にもなっていないのに、なるであろうという想定のもとに金だけは交付する、これは一種の促進運動諸君たちのための買収行為みたいなものじゃないのか、言葉が悪いけれどもね。両論があって、言うなれば大変な事態にあるときに、賛成者側に味方するように金を振りまくというやり方、これは行政上私は好ましくないと思うのです。  そうして、この再処理工場許可はいつできるのか。第一次審査はやっと科技庁で先般パスさせたようです。今第二次審査において安全委員会の方にかかっております。ここにはたくさんの問題があります。きのう私は、科学技術委員会において二時間ほど質問を申し上げた中に触れてもおきましたけれども、再処理工場というものの持つ機能あるいはその及ぼす影響、そうしてそれの適地性、そういうような問題からいっても多々問題がある。ことしの計画というのは壊れました。建設計画事業者の方からの申請も来年度建設計画ということで今申請が出ております。この申請だって許可になるかどうかの見通しはまだありません。そういうような中にあって、前年度前々年度おろか前々年度まで交付するようなやり方にあなた方は平気で立っているじゃありませんか。こういうようなことは、さき証券問題に見られるように、行政当局とそれを仕事をしようとしている者とが癒着している一つの姿だという一端が、ここにも見えるような気がしてならないわけであります。言うなれば、あなた方は、前年度前々年度を壊してさらに前々年度までも交付する、そういう方針をとったのですか。これを一つ聞きたい。  それから、これまでの方針で前年度前々年度交付することができるといっても、建設年度が決まらないのに前年度前々年度もあったものじゃないじゃありませんか。それでも現地反対運動を抑えるためにはこの金があった方がいいということで出しているんじゃないだろうかとしか思われない。あなた方の方の文書通達大臣通達でもなければ長官通達でもない、一部長の通達で多額の金が出ているわけです。出されようとしているし、既に出してきているわけであります。  私が国会に昨年に参りましたときに、この金の出し方は違法ではないか、会計検査院どう思うかということでただしました。会計検査院は、前年度に当たるものであり前々年度に当たるものであれば別に違法なものではない、しかし当たらない時点に立ったらどうするか、こう尋ねたときに、その時点で考えたい、こう会計検査院は言っておったわけであります。また国会でも答弁しておりました。心配したとおりことしその年に今ぶつかっている。ぶつかっているにもかかわらず、平気で支出しますという正式文書を九月の十九日に出してきましたよね、何たることです、これは。金を出してさえおけば反対運動を抑えることができるという思想から発しているのじゃありませんか。やはり決めた規則——また、特例というものの持つ意義。特例というものは、やはりみんなが望んでおるから、そうして早くやらせなければならないということで協力をなお必要とするので特例措置として出すというならわかります。特例措置というものはこれまでわずか三件か四件しかないでしょう。それぞれ吟味して特例措置をやってきていたのでしょうけれども、この青森県の六ケ所村の再処理工場に対する特例措置というものは、異例措置じゃないか、違反措置じゃないだろうかと思うわけであります。そういう意味においてこうしたことは即刻、誤解のないように、そうして今後の行政の進め方においていいかげんなことをするのじゃないのだということを示すためにも、ことしの交付金は、これはやめる、こういう方向で取り組むのが筋じゃないだろうか、こう思いますので、長官であれ大臣であれ「お二人から基本的にお答えをいただければよろしい、こう思いますので、求めます。
  4. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 今の関先生の御質問お答えを申し上げたいと思います。  電源立地促進対策交付金制度は、御案内のとおり、昭和四十九年度設置された法律でございます。その法律に基づきまして電源立地促進対策交付金交付しておるわけです。法律上は発電用施設、これは核燃料サイクル施設も含みますが、発電用施設あるいはこれに関連する、例えば工事用の道路とか荷揚げ岸壁といったような関連施設設置関連してつくられる公共用施設等交付する、そういうふうに定められておるわけでございます。交付金交付規則においては、この法律を受けまして交付できる時期を定めておるわけですが、交付の開始時期につきましては、今申し上げました関連施設工事が行われる年度以降というふうに交付規則では定めておるわけでございます。  それで、その交付規則で定めた関連施設設置以降ということでございまして、現実には、この青森の場合は関連施設は六十二年に設置工事が開始されております。したがいまして、交付規則上は昭和六十三年度以降交付してもいいというふうになっておるわけでございます。先生先ほど御指摘の、平成年度から交付しているという点につきましては、御指摘のとおり部長通達本体工事が開始される日の前々年度というふうにしております。平成年度工事が開始されるという前提に基づきまして平成年度から交付したわけでございます。したがいまして、法律制度あるいは交付金交付規則の条文に私どもとしては従って交付しておるというふうに考えております。
  5. 関晴正

    関委員 大臣答弁ありませんか。今の答弁はなっていません。関連施設というのは何から関連するのです。再処理工場建設関連するのでしょう。その再処理工場建設計画というのは平成年度であったから、二年前の元年度から交付するということで特例でやってあげたんでしょう。その三年度建設計画というのがパアになったんでしょう。公においてこの建設計画というのは延びた。延びたのでしょう。延びた以上、前倒しの金というものも当然中止しなければならないでしょう。何も関連じゃないもの。関連というのは許可対象になる建設物関連することでしょう。建設物がことしできるということからの関連でしょう。ことしできるものが、許可になるものが許可にもならない。許可になったからといって建設年度がその年度になるかどうかは、これまたわからないのですよ。そういうあいまいなものについて、あいまいじゃない、明確ですよ。しかも、前年度前々年度というのは特例でしょう。順調に進んでいるような体制なり方向なりにあるならば、これはわかりますよ。幾ら私ども核燃料サイクル反対しているからといって、決めたものやあるものについてまではやむを得ないと思って認めておりますよ。認めておればこそ、仕方がないが、再処理工場もことしできるという計画許可になるのだろうから、この平成年度平成年度の支出もやむを得ないなと思っているのです。ところが、ことしになりましたら延びたでしょう。延びたおかげであなた方は、継続事業は認めてやるけれども新規事業は認めないとしたじゃありませんか。そうでしょう。なぜ継続事業は認めて新規は認めないというのです。同じように認めないで進むのが筋じゃないでしょうか。とにかく根本的にこれにかかわる金の出し方というのは方針が間違いだと私は思っております。  それで、この問題についてきちんと指導する責任は、長官の上にある通産大臣しかない。こういう意味で、通産大臣の非常に忙しい時間でありましたけれども、先にこの問題について篤と申し上げておいたつもりです。篤と申し上げておいたことがわかって延びておったのだろうなと私は思ったのですが、八月十九日に出たものが何ら直されることなく、九月十九日に正式に金を出してやるという文書が出てきた、こう言っております。私は、これはやはりもとへ戻すように、やめるようにすべきじゃないだろうか。そうでなければ賛成運動反対運動が二つに分かれてけんかをしている中に、しかも訴訟までここに提起されている中にあるのに、わざわざこういう金をばらまいてやって進めるということは適当ではない、私はこう思いますので、これはひとつ大臣、再検討する、その程度のことはお答えできないでしょうか。長官にはもう用がありません。これは大臣しかないと思いますから、大臣お答えいただければと思います。
  6. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 先ほど申し上げましたことにもう一つちょっと補足したいと存じますので、一言お願い申し上げたいと思います。  確かに先生指摘のように、関連施設の、特に再処理施設建設計画が最近先送りされておる。今、科学技術庁安全審査が終わりまして原子力安全委員会審査中でございます。当初の建設工事着工平成年度予定が延びておるということは事実でございます。かつ、地元でも、あるいはいろいろな方々から本件についていろいろな御意見をいただいておることも私ども十分承知しておりまして、十分耳を傾けておるわけでございます。  ただ、本件につきましては御案内のとおり、昭和六十年に事業者地元との立地協定が行われまして、基本的な受け入れを決めていただいておりまして、それに基づいて事業者計画を策定し、今安全審査中、そういう状況でございます。したがいまして、私どもとしては法律制度それから交付金交付規則に従いまして、先ほど申し上げましたように関連施設設置以降であればいいという範囲内で通達を出しております。その通達に基づいて、確かに先生おっしゃるように前々年度という運用につきましては昭和五十九年度以降一般にやっておるもので、本件についても特例的に適用したものであることは確かでございます。したがいまして、既存工事については地元要望それから現実工事が進んでいるという実態を踏まえて交付を継続するということにした次第でございまして、決して先生の御指摘のような趣旨で出すものではございませんし、かつ法律制度に基づいて私どもとしてはきちっと処理しておるということでございますので、御理解を賜りたいと存じます。     〔委員長退席高村委員長代理着席
  7. 関晴正

    関委員 今エネ庁長官答えているけれども、あなただって原子力局長時代ですよ、去年ですよ、去年の予算委員会のときに科学技術庁長官が、どちらの側にも立つようなことのない金の出し方というのがそういうふうに買収行為に見られるようなことは避けなければならない、そういうふうに思われるようなことはしたくない、こういう明確な答弁大島長官がなされた。そのときあなたは原子力局長ですよ。よく知っているでしょう。それでありながら、今のお答えは、継続事業について現地町村の方からも強い、自治体の方からも要望がある、もちろん知事も要望していますよ。そういう点からいけば、県民の意思というものが、言うなれば非常な強い疑念を持って、この核燃サイクルについては反対署名というものも八十万もいったでしょう。こういう反対運動諸君たち意思だとか意向だとかというものを見れば、出したくても、少なくとも建設年度着工年度が明確になったならば、その年度からならば仕方がない、前倒しでやるというのには問題があるということぐらいは考えていいはずです。  しかも、その建設年度が本年度だという予定でやったものが延びたでしょう、本年度でなくなった。出せるものじゃないでしょう。出したものも引き揚げなければならないという性格のものでしょう。そこまで私は申し上げようとは思いません。出したものまで持ってこいとは言いませんが、今後の出し方は十分注意をして、特例措置なんということで面倒を見るやり方はやめて厳正な行政のあり方というものをここに堅持すべきだと思うのです。  そういう意味で、大臣、これはぜひ考えるべき要素があるのじゃないでしょうか。もう決めたものはやっちゃうんだ、こういう権力的な姿勢じゃなくて、なるほどな、考えなければならぬな、こういう意味で、私は長官答弁はもうたくさんです、大臣、ここでひとついい答弁をしてくれませんか。
  8. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先生からこの御陳情を私も時間のないままに受けたこともよく記憶しております。また同時に、そのことにおいても十分に検討するようにという形も担当の方にもしたつもりではございます。     〔高村委員長代理退席委員長着席〕 十分にまた省内でも詰めたつもりでございますし、そういう中にあって再処理施設に係る立地交付金交付継続というものは、立地円滑化という交付金の本来の目的に沿ったものでございまして、そして、現行制度範囲内で講じられているということから、適当な措置と考えておるわけでございまして、再処理施設を含みます核燃料サイクル施設というものは、エネルギー資源に乏しい我が国にとりましては、エネルギーセキュリティーというものの確保と資源有効利用を図るという観点から極めて重要なものである、こういう認識をしておるわけでございまして、今後とも、国民皆様方の御理解を得ますように最大限の努力を払いながら、この建設を推進してまいりたいと考えているわけでございます。  以上が私の答弁とさせていただきたいと思う次第でございます。
  9. 奥田幹生

    奥田委員長 ちょっと時間が参っておりますが。
  10. 関晴正

    関委員 時間となりましたから終わりますが、今の答弁も、これは大臣、情けない答弁ですよ。私、いろいろ論争しようと思いませんよ。だれも、日本エネルギーについて今いろんな論ある中に、どうのこうのという時間は今持ちません。持ちませんけれども、私の言っているのは、少なくとも金の出し方です。出したいでしょうけれどもこれは我慢しなければならないなということぐらいは、行政責任ある者は考えなければならないじゃないですか。規則に反することなんですよ。規則を直せばいい。じゃ、前々年度というふうに直すなら別ですよ。しかし、これも規則に明確にないから出してもいいだろうというのが長官答弁なんですよ。しかし建前としては、通達としては、前年度前々年度というふうにちゃんと示しているじゃありませんか。それを前々年度にわたってもいいなんというのは拡大解釈でしょう。これは乱暴ですよ。とにかく意見を申し上げておきますから、この後でも大臣、考えることがあったら考えて、措置しておいてください。  終わります。
  11. 奥田幹生

  12. 吉田和子

    吉田(和)委員 おはようございます。  本日は私は、最近のゴルフ会員権をめぐるトラブル等多発について御質問をしたいわけでございますが、その前に一点、大臣にお伺いしたいことがございます。証券損失補てんの問題でございます。  さきに発表されました千七百二十八億八千六百万円、そしてさらに九一年三月期として四百三十五億五千二百万円もの特定顧客に対する損失補てんに対しまして、その具体的な問題につきましては証券金融特別委員会の場で審議中でございますので、その審議内容というか、私の方では割愛をさせていただきまして、補てんを受けた企業社会的責任についてのお尋ねでございます。  さき特別委員会先輩同僚水田委員から、損失補てんとの関係の中で、受けた企業のあるべき姿について、例えば雲仙・普賢岳の災害救済などにその分から充てるようなことはできないかというふうな御質問があったと思います。大臣は、企業自覚とかそれから自主的な判断にゆだねるというふうにお答えをされておられましたが、私といたしましては、まず国民感情からいっても、何と他人ごとのようなことをおっしゃっているのだろうというふうに聞こえてならなかったわけでございます。その姿勢は、証券金融大蔵省の管轄だと言われておられるような姿にも受け取られるわけでございますが、日本通商産業責任ある大臣といたしまして、企業社会的責任企業のモラルが問われているこれらの問題に関しまして、もう一歩踏み込んだお答えをいただきたいというふうに考えております。
  13. 中尾栄一

    中尾国務大臣 大変に委員のこの問題に対するお気持ち理解できるものでございますが、企業が、少なくとも社会的存在としての自覚に基づきまして、すなわち社会貢献活動を行うということは望ましいことではございますけれども社会貢献活動というものは基本的に言うならばやはり企業の自主的な判断にゆだねるべきものであって、私ども政府がこれを誘導し、なおかつ勧告するというべきものの筋合いではないと考えるものでございます。企業が受けました損失補てんの具体的な取り扱いにつきましても、あくまでも個別の企業自主的判断ということが問題であるものと私は考えるものでございます。
  14. 吉田和子

    吉田(和)委員 特別委員会でのいただきましたお答えと変わらない御答弁だったわけでございます。そのことを残していただきまして、私のきょうお伺いをしたい問題に入らせていただきます。  ゴルフ会員権の売買をめぐるトラブル等大変多発をしております。空前のゴルフブームと言われておりまして、八六年からの第三次ゴルフブームは年間の利用者数で九千万人を超えて、今やもう大衆的なスポーツと言えるようになったなというふうなことを私自身も実感をする昨今でございます。例えば高級な大変されいに整備をされたコースから、そして河川敷を利用した草がぼうぼうとした大衆的なコースまで、さまざまなゴルフ場で、今や大変若い方からお年寄りまで、そして職種を超えていろんな業種の人たち同士で楽しんでいる風景を私も見て実感をしているところでございます。最近とみにそういう状況の中で多発をしておりますゴルフ場会員とのトラブル、そしてまた会員同士の事故によるトラブルども多発をしているというふうに聞いておりまして、そしてその解決に大変困難を来しているというふうな現状は、私は大変不幸なことではないかなというふうに思わざるを得ない状況にあるわけでございます。一方におきまして、ゴルフ場乱開発によります自然破壊や、農業による水資源の汚染など、環境問題が大変深刻化をしておりまして、無謀な開発に対しての規制が早急に求められているわけでございますが、きょうは主に会員権の売買に伴うトラブルについての御質問をさせていただきたいというふうに考えております。  さて、先日警察庁が捜索に踏み切った茨城カントリークラブの会員権の乱売問題による被害が今広がっておりまして、報道がいろいろなされているわけでございます。公称の十七倍もの会員権を売りつけて、四万九千人もに上る被害者を出している。一千億円もの巨額な金が集められているにもかかわらず、会員を保護する法的な手段がほとんどないというふうな現状でありまして、その実態の調査が急がれるところなわけでございます。今こそトラブルの再発を防ぐべき手だてを講ずるときであるというふうに考えているわけでございます。  そこでまず最初にお伺いをいたしたいことは、今申し上げましたゴルフ場をめぐる社会的な問題が多発をしている今日的状況につきまして、大臣はどのような現状認識をされておられるか、そしてまた、これから将来的にゴルフ利用人口の推移やゴルフ場の事業などがどのように展開をしていくか、どのような見通しを持っておられるのか、まず大臣にお伺いをしたいと思います。
  15. 中尾栄一

    中尾国務大臣 吉田委員お答えいたします。  私も実は、若かりしときということになりましょうか、今から二十年前でございましたが、二年生議員のころだったと思いますけれども、ゴルフ亡国論というようなパンフレットをつくって、選挙区やその他、まいたことがあるのでございます。考えてみますと若かったから、そのようなことで、ゴルフ愛好者にとっては迷惑なことだったかもしれませんが、それがゆえに私は今もってゴルフができないような状況でございまして、やったこともございません。  そこで、わかりませんが、今全国にゴルフ場が千七百ある。なかんずく一億人くらいの、今御指摘もございました、九千万と言っておりましたが、何か約一億人近いゴルフ愛好者がいるということを聞きますると、これはもう相当に国民に定着し得たスポーツの一環かな、こう思うこともあるわけでございますが、この御指摘の茨城カントリークラブをめぐる問題につきましては、通産省としても消費者保護等の観点から事態を極めて重要視しておるわけでございます。  このために、茨城カントリークラブの関係者から事情をことごとく聴取するなどの事実関係の把握に努めるとともに、これは相当に広範囲にわたって調べるということを私はもう十分に通産省内には徹底をさせておるつもりでございます。それで、同時に、同クラブの関係者に対しまして、会員権購入者からの苦情あるいはまた相談等については誠意を持って対応するように強く要請しておるところであることを申し上げておきたいと思う次第でございます。
  16. 吉田和子

    吉田(和)委員 御存じのように、茨城カントリーのほかに大変数多くの問題が出されております。それらに関しましてもこの後で御質問をさせていただきたいというふうに考えております。  次に、ゴルフ場の事業実態状況についてまずお伺いをしておきたいと思います。  現在のゴルフ場が、先ほどのお話にもありました既設が千七百六カ所、造成中が三百二十五カ所を入れますと、九二年には二千カ所を超える数ができるというふうに聞いております。個々の計画とか、それから計画の段階的なもの、申請中のものの件数が入ってないわけでございますので、予備軍という、それらの数を入れますと、将来的にゴルフ場件数は莫大なといいますか大変な数になるというふうな把握をしております。  そこで、一ゴルフ場の規模が大体今どのぐらいになっているかとか、それから建設費用が概算でどのぐらい、例えば一ホールでどのぐらいかかって、クラブハウスがどのぐらいかかってという建設費用の概算とか、それから会員の募集方法、それから事業者の資金調達方法など事業実態について聞かせていただきたいというふうに思います。
  17. 麻生渡

    ○麻生政府委員 ゴルフ場建設の費用、一ホール当たり幾らになるか、これはその立地地点によりまして非常に異なっておりまして、一概に幾らであるというふうに申し上げられないような状況でございます。例えば、関東近県でありますと、これは非常に高くなっておりまして、また建物の費用も、だんだん豪華になるというようなことで相当多額の費用を要するというような状況になっておりますけれども、一般的に一ホール幾らであるとか建物が幾らであるというようなことにつきましてはなかなか言いにくいという状況でございます。  また、会員数につきましては、これもいろいろなゴルフ場がございまして、非常に少数精鋭の会員数にしてあるところと相当多数募集しておるところとあるわけでございます。これも消費者側めニーズが、少々高くてもすぐできるところという場合もありますし、少々利用がなかなか思うようにいかなくてもとりあえずは安いものが欲しいというようなことがございますものですから、そのような需要に応じた形で会員数も募集の数が決められ、あるいは値段も決まっておるというような状況になっておると承知しております。
  18. 吉田和子

    吉田(和)委員 それでは、事業実態についてといいますと、どういうことがわかっておられるのでしょうか。
  19. 麻生渡

    ○麻生政府委員 通産省の方ではどこにどのようなゴルフ場がある、あるいは県の開発許可を受けて開発途上にあるというゴルフ場がどのような分布になっておるというようなところは把握いたしておりますけれども、具体的に各ゴルフ場建設費用が幾らになっておるとか、そのようなところまでの実態の把握はいたしておりません。
  20. 吉田和子

    吉田(和)委員 それらの問題について基本的な事業実態というのぽなかなか通産省ではとらえられていないのだなというふうな感想を持たせていただいたところでございます。  続きまして、現在のゴルフ場の開発の法的な規制というのは、大体で結構でございますので、どういうふうなものがあるかを伺わせていただきたいと思います。各自治体任せになっていると言われているのが現状であると思いますけれども、どのような規制が、自治体においては細かくはわからないだろうというふうに思いますけれども、法的な規制をお願いします。
  21. 麻生渡

    ○麻生政府委員 ゴルフ場の開発をします場合には、ゴルフ事業そのものの規制というよりも、現在は専ら都道府県、自治体の方が国土利用開発という観点からいろいろな規制をしておるというのが実態でございます。主として国土利用計画法等に基づきまして、各県の方におきまして開発要綱というのがつくられておりまして、それに基づきましていろいろな開発許可あるいはいろいろな指導が行われておるということでございます。  さらに、実際の開発を行います場合に、多くは現在は預託金制度がとられておるわけでございますが、この会員権の販売につきましては、訪問販売形式をとるという場合が相当あるわけでございますが、その場合には訪問販売法に基づく規制を受けておるというのが現状でございます。
  22. 吉田和子

    吉田(和)委員 預託金制のゴルフの会員権の被害が実は日本全国各地に点在をしている。開発をすれば終わりというふうな自治体任せの、国土法の利用で縛っているだけでは、広域的な被害が出ている、そういうものに対して一体どこが責任をとるのかということが大変疑問に持たれるところなわけでございます。  続きまして、その預託金制度の件で伺いたいと思います。  預託金制ゴルフクラブの大量の会員募集が従来からしばしば問題とされてきております。超安値と言われます会員権の乱売で問題が起きているのは茨城カントリークラブだけではなくて、昭和四十七年でしょうか、静岡県の小山町の東名小山カントリークラブでは、会員が多過ぎてプレーができないとしまして会員権代金の返還を求めるためのクラブの土地の仮差し押さえを東京地裁に申請をし、認められているわけでございます。東名小山カントリーは、会員数が二万とも三万とも言われている状態であるわけでございます。会員証券という紙切れを大量に発行して大量の消費者被害を発生させたペーパー商法であると言っても過言ではないというふうに考えているわけでございます。会員一人当たり二百万としましても、二万人であれば四百億のお金が集められている、三万人であれば六百億のお金が集められている。昭和四十七年に建設をする際にそれだけのお金が建設費用にかかったとはとても思えない金額、その金額が一体どこに行ってしまったのかというふうな疑問が残るわけでございます。  実は、昭和四十七年といいますと、もうほぼ二十年近く前から問題が出ていたわけでございます。なぜこれだけの問題が出ていながら法的な規制がきちっとできてこなかったかということを考えますと、昭和四十八年にゴルフ場事業の規制に関する法律案が国会上程をされましたが、廃案となった。そのことに対して、大変悔やまれるわけでございますが、その後、昭和五十九年に通産省が役務取引等適正化研究会というのを設置をされているわけでございます。まず、ここの中でどのような実態調査がなされていて、現実状況を把握されていたのか、お伺いをしたいと思います。
  23. 麻生渡

    ○麻生政府委員 現在のゴルフ場の開発は、今御指摘がございましたように、預託金制度を中心にお金が調達されて、それによって開発が進められておるという実態がございます。この預託金制度は、ゴルフ場建設し、大きなお金を集めてやっていく場合の一つやり方であるわけでございますが、御指摘のように、いろいろな問題が現実に出ておったという事態がございました。特に、第一次オイルショック後はそのような問題がございました。したがいまして、通産省といたしましては、これにどう対応するかということで、役務の取引についての研究会を設けましていろいろな検討をいたしたわけでございますが、そのときには、大きく二つの方策を講じております。  一つは、預託金制度の場合に特にそうなんでございますけれども会員とクラブ、あるいは開発会社との関係における利用約款、これがいろいろ非常に不明な点もあるというようなこともございまして、望ましいモデル約款はどういうものであるかということを種々の角度から検討いたしまして、それを公表し、業界に自主的に、このモデル約款に沿った形で約款ができていくように促しておるわけでございます。  それと同時に、今お話がございましたように、非常に多量の募集をして事実上プレーが非常に難しくなっておるというようなケースもあったわけでございまして、それについては、業界の倫理綱領というものの作成を指導し、そのような考え方に基づいて、健全なゴルフ事業の発達を図るようにみずから大いに努力するようにということで指導をしてまいったというのが現在までの状況でございます。
  24. 吉田和子

    吉田(和)委員 そうしますと、六十一年の報告書が出たというふうに書いてございますけれども、報告書の内容もそれら二点に関してのものでございましょうか。
  25. 麻生渡

    ○麻生政府委員 当時の報告書は、今申し上げました二つの点に加えまして、広告表示につきましても適正化を図るように、あるいはセールスマンについても資質の向上対策を図るというようなことにつきまして、業界の自主的な努力を促しておるということでございます。また、業界団体の強化・結成も促しておるわけでございます。
  26. 吉田和子

    吉田(和)委員 業界の自主的努力というふうなことがうたわれているというふうにお答えをいただいたわけでございます。それからどのように改善をされたかということは、このきのう、きょうのトラブル多発の問題に関しましても、どうも効果がなかったのではないかということが言われても仕方がないのではないかと思います。こういう状況になって、再発防止で今対策として何をやろうというふうにお考えになっておられるのでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
  27. 麻生渡

    ○麻生政府委員 御指摘のように大変残念かつ遺憾なことでございますけれども、茨城カントリーのような事態も生じております。これにつきましては、私どもも早急にもう少し踏み込んだ対策を考えなければいけないというふうに認識をいたしておりまして、来月早々には学識経験者あるいは消費者を中心といたしまして研究会も設けまして、トラブルの実態の分析をしますとともに、この会員制度のあり方、特にこれを円滑に健全にやっていきますために必要な条件、あるいは消費者啓発、あるいは地方公共団体と連絡をとって、どのようなことまで指導強化ができるか、あるいは預託金制度の諸問題、あるいは保全の問題等について早急に検討いたしたいと考えておるわけでございます。
  28. 吉田和子

    吉田(和)委員 申し上げたいことは、これまでのような調査研究会ではとてもとても手ぬるいのではないだろうか、緊急を要する改善の課題なのではないかということを申し上げたいわけでございます。何らかの法規制の段階に来ているというふうに考えているわけでございますが、その研究会の中で法規制に向けての意向は検討されますでしょうか、どうでしょうか。
  29. 麻生渡

    ○麻生政府委員 今申し上げましたように、この問題につきましては、第一義的にはやはり消費者啓発、あるいは消費者に対して適切な情報が提供されるということ、その意味でのいろいろな企業状況についてのディスクロージャー、さらに業界の自主努力というようなことがまず必要であろうというふうに考えております。したがいまして、このような点を中心に検討いたし、さらに預託金制度そのものについてもいろいろな角度からその健全なあり方について検討いたすということでございます。  御指摘の、法律を制定するかどうかということにつきましては、現在のところ直ちに法律を前提に検討しておるという状況ではございません。もっと幅広い観点から検討いたしたいと考えておるわけでございます。     〔委員長退席高村委員長代理着席
  30. 吉田和子

    吉田(和)委員 消費者は利口になって、自分で自分の身を守れというふうに聞こえるわけでもございます。法規制の前段階で、何とか会員数のチェックなどはどこかですべきではないかというふうに考えるわけでございますが、これからまだまだ新規募集がどんどん出てくるわけでございますが、そのときに都道府県等にチェック制を促すような指導が通産省としてはできないでしょうか。
  31. 麻生渡

    ○麻生政府委員 先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、都道府県はそれぞれの観点から独自に開発規制を行っておるわけでございます。その際、新規会員の募集計画はどのようになっておるかというようなことについても届け出をさせておるというような事例もございます。  いずれにしましても、ゴルフ場の問題を考えます場合におきまして、都道府県のいろいろな指導なりあるいは開発規制ということと、私どもの今後のいろいろな対策とは非常に深い関連あるいは協力が必要であるというふうに考えておりますものですから、この点につきましては、今後都道府県側とよく連絡をとって、どのような協力関係ができるかということについて方向を見出していきたいと考えております。
  32. 吉田和子

    吉田(和)委員 これからの調査を進めながら、実態を知った上でいろいろな改正、やり方を改めていかなければならない点が大変多くあろうというふうに考えます。これからも、この問題につきましては消費者の立場として、大衆ゴルファーの立場として問題を追及していきたいというふうに考えております。大量の会員ゴルフクラブの被害者は高額所得者などではなくて、一般消費者であることが多いということが東名小山事件では知らされているわけでございます。初めて会員権を購入したという被害者が大変多くて、あこがれのメンバーとなるために月賦で購入したというふうなケースがたくさんあったというふうに聞いております。消費者保護の観点からも、ゴルフ場事業に対する行政上の規制を設けた立法措置がぜひとも早急に必要であるということを強調をいたさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  33. 高村正彦

    高村委員長代理 大畠章宏君。
  34. 大畠章宏

    ○大畠委員 日本社会党の大畠でございます。  私は、中小企業政策を中心として、当面する課題について幾つかお伺いしたいと思います。その中小企業政策と、そして今吉田委員から御質問ございましたけれども、私も茨城出身でございますので、茨城カントリークラブのゴルフの会員権の問題を発端としたゴルフ場問題についてもあわせてお伺いしたいと思います。  まず最初に、中小企業政策でありますけれども、現在の日本経済そして産業界を支えているのは、日本の大手の企業ももちろん一生懸命やっているわけでありますが、本当に優秀な中小企業のグループが力強い活力を持って日本経済を支えているということは、まさに世界の国々が認めている日本の事実の一つであります。そういう非常に一生懸命頑張っている中小企業の方々でありますが、最近の金融不祥事を契機として日本経済の雲行きが非常に怪しくなってきた、そういう状況を踏まえてこれからどうなるんだろうか、非常に不安な感じを持っておられます。  そういうことから、まず最初に、現在の中小企業を取り巻く経営環境といいますか、経済環境といいますか、そういうものを通産省としてどういうふうに見ておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  35. 南学政明

    南学政府委員 中小企業の景況についてでありますが、これまでのところ我が国経済の息の長い経済成長を背景といたしまして、総じて言えば底がたく推移してまいりました。しかしながら、最近やや雲行きが変わってきたような感じで受けとめております。すなわち、生産出荷の頭打ち傾向、売り上げの伸びの鈍化、利益の減少傾向、倒産件数の増加傾向、そして資金繰りのタイト化などいろいろな新しい事態が起こってきておりまして、現在の景況について慎重な見方をする中小企業がふえてきておるわけでありまして、先行きに対する不透明感が今強まってきているというのが現状ではないかと思っております。このため、現在私どもは中小企業の景況につきまして細心の注意を払ってその動向把握に努めているところであります。
  36. 大畠章宏

    ○大畠委員 そういう状況でありますけれども、特に私がいろいろお話を伺っている中で、問題なのは何といっても人手不足だということを伺っています。どの企業でもそうでしょうけれども、新卒の学卒者あるいは若手の技術者、そういう方を一生懸命採用しょうといろいろ努力しているわけでありますが、いかんせん大企業の方でも非常に困っているという状況でありますから、中小企業の方ではなかなか新しい戦力といいますか、若手のそういう方々を獲得できない。そういうことから、結局高齢者の方々を雇ったり、あるいは弱電関係ではパートタイマーの方々にお願いして仕事をこなしているというのが実態でありますけれども、本当にそういう状況でありますけれども、その方々でさえなかなか定着てすとかいろいろな関係で確固たる戦力として確保するのが難しいという状況を伺っております。  このような深刻な人手不足の状況を通産省としてはどのように把握をしてこの問題の対策をしようとしているのか、基本的な方向についてお伺いしたいと思います。
  37. 南学政明

    南学政府委員 現在、労働力不足問題は我が国経済社会の大きな問題であろうと認識をいたしております。有効求人倍率は、今回の景気拡大が始まった昭和六十一年、平均で〇・六二でございましたが、本年七月には実に一・四三に上がっております。また完全失業率は、昭和六十一年平均二・八%に対しまして本年七月には二・二%になっております。人手不足倒産の件数につきましても、昭和六十三年は五十七件、これが平成元年に二百四十二件、本年一月から八月までの累計では実に三百三十三件、対前年同期比六二%増と相なっております。とりわけ中小企業にとりましては人手不足の現状というのは極めて厳しいものがございまして、中小企業者に対するアンケート調査によりましても、現在、経営上の最大の課題と認識をいたしている経営者が多いわけであります。  こうした事態に対処しまして、通産省では、これまでにも中小企業における省力化、合理化投資の推進を側面から支援していることはもとよりでありますが、省力化、自動化のための技術開発あるいは職場環境改善のための技術開発を推進するとともに、親企業の発注方法の改善を通じまして下請企業の労働時間の短縮を促進するために下請中小企業振興法の振興基準を改正し、また、下請代金支払遅延等防止法の運用基準を改正するなど、もろもろの対策を講じてきているところであります。  さらに、さき国会におきまして中小企業労働方確保法を制定していただいたわけでありますが、この法律を柱といたしまして、労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生施設の充実等の雇用管理の改善を通じて、労働力確保に取り組む中小企業を側面から支援をしていく考えであります。現在、通産局や都道府県等を通じましてこの法律制度の周知徹底に努めているところでありますが、通産局を通じまして中小企業組合の要望を聴取したところ、本年度だけでも約百三十組合が同法に基づく計画認定を期待しているところでございます。通産省としては、こうした組合から例えば補助金等について申請がなされた場合に速やかにこれに対応できるよう既に体制を整えているところであります。私どもとしては、今後とも中小企業労働力確保法を中心とした施策を積極的に展開することによりまして、中小企業における労働力確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  38. 大畠章宏

    ○大畠委員 今御答弁ありましたけれども方向としては非常に間違っていない方向だと思うのですが、今お話があったことが実際に各企業の方に効果的な形で流れるためのことを考えて、これからもきめ細かな対応をとっていただきたいなと思うのです。  今お話がありましたとおり、私もこの中小企業の方々のいろいろな話を伺うと、やはり最近では、福利厚生面あるいは賃金を含めた労働条件、こういうものが大企業に比べてなかなか見劣りがする、あるいは大企業でさえ、今機械系といいますか工業系といいますか、製造部門ではなかなか人を雇うことができないというような状況でありますので、そういう企業から比べても中小企業は非常に人を雇うという面ではハンディキャップを負って頑張っているわけですね。そういうことでありますので、今お話がありました問題についても、この労働条件等については労働省との関係が出てくると思うのですが、ぜひ労働省の方とも密接な連絡をとって、表看板だけではなくて、実際の末端の中小企業の方で実効あるようにお願いしたいと思うのです。特に福利厚生施設の問題でありますが、これを共同でやる場合には、やはり企業がいろいろ集団を持たなければこれはできないわけでありますので、さあどこでもどうぞ、私たちはこういう方針でやろうとしていますから受け付けてくださいというだけじゃなくて、そういう企業の集団の方の指導も私はやっていかなければならないんじゃないかと思うのです。個々の企業としては一生懸命そういうことを考えていても、なかなか集団としての動きにならないという場合もありますので、そこら辺は通産省として具体的に、そういう企業集団といいますか、組合をどういうふうな形で具体的に、この方針を実効あるものにするために働きかけをしようとしていただいているのか、そこら辺、ちょっと細かい質問ですが、現状、答弁をお願いしたい。
  39. 南学政明

    南学政府委員 先生指摘のとおり、福利厚生施設等につきまして、中小企業と大企業の格差が残念ながら次第に広がってきているというのが実態でございます。労働力を確保するためには、そうした福利厚生施設の面でも中小企業が頑張らなくてはならないと認識をいたしておりまして、事業協同組合等が共同福利厚生施設の整備をできるだけ図っていくように、機会があれば我々としても指導をしていきたいと思いますし、また、こうした組合が従業員の宿舎、食堂、託児所等の共同施設設置する場合には、中小企業事業団からの高度化融資をこれまでも行ってきているところであります。  加えまして、ことしの八月から、先ほど申しました中小企業労働力確保法が施行されたわけでありますが、この法律に基づいて認定を受けた改善計画に従ってそうした共同福利施設設置する場合には、高度化融資の金利を、従来二・七%であったものを無利子にする、あるいは融資比率を、通常六五%であったものを八〇%にするとか、大変優遇措置を講じてきておるわけでありまして、こうした手段を活用しながら我々としては中小企業における共同福利厚生施設の整備に努めてまいりたいと思っております。
  40. 大畠章宏

    ○大畠委員 私は、今のお話で結構でございますけれども、私が中小企業企業主ということを考えた場合に、どういうことをやるかというと、そういうことをやっていきたい、そのときにどこに相談に行ったらいいのかなというのが一つ疑問というか考えるし、そしてもう一つ、そういうことをやれば本当にすばらしいものになるんだ、そして従業員の方もいろいろ集めることができたという、例えば成功例なんかをPRの中に、こういうふうな手順でやればうまくいくんですよ、この地域では今まで非常に人手の確保が難しかったけれども、こういう非常に施設をよくしたらうまくいくんですよ、そういうような成功例なんかをベースとして、PRというのはおかしいんですが、全国の頑張っている中小企業企業主に知らせるということが私は親切といいますか、血の通う指導になるんじゃないかと思うのですが、そういうことについてはどういう形で、今お話があったものを企業主の方に連絡が行くようになっていますか。
  41. 南学政明

    南学政府委員 こうした共同福利厚生施設の整備等によって労働力確保がうまくいっているような成功事例、これは今我々調査をしておりまして、調査の結果、成功事例が集まった場合には、中小企業団体の中央会であるとか都道府県を通じて広くPRに努めていきたいと思っております。  また、来年度の予算といたしまして、中小企業というのはとかく三Kのイメージがあるということで、これが労働力確保難の一因になっているわけでありますので、中小企業の中でとりわけ魅力のある職場環境を整備しているような企業というのを、例えばビデオを通じまして地元の高校生などにもいろいろ見せていくとか、そういうPR、イメージアップ作戦も来年度はぜひ展開したいということで、今財政当局の理解を求めつつ努力をしているところであります。
  42. 大畠章宏

    ○大畠委員 これは何も行政と地方との関係ということじゃなくて、一般的に、机の上で考えたものと実際の効果というものがなかなか合わないことが世の中によくあります。そういうことで、ぜひ今考えられたすばらしい計画を実効あるものにするために、常にそういう形で対応すればいいんだというのじゃなくて、それがどういう形で地域の方にしみ渡っているか、それでしみ渡り方が少なければ、何かに、これは手の方に問題があるわけですから、そのときはフィードバックしてまたその対応策を変えていくとか、そういう意味で、成功する地域ができて、それを全国にPRすることができるところまではぜひしっかりと見せてやっていただきたいと思います。  それから、今は雇用の面でありますけれども、今度は、なかなか人手が集まらないという対策のためには省力化というものを非常に企業の方でも考えてくるわけでありますが、省力化のための自動化ですとか設備近代化、こういうものに対する、あるいは、おたくではこういうふうにしてやったらどうですか、これも成功例かもしらぬけれども、この企業ではこういう自動化をやったらこうやって効率が上がりましたよ、そういう技術支援を含む対策というのが必要だと思うのです。先ほどいろいろ述べられましたけれども、この省力化の部分についての対応策、そして、先ほどからいろいろ資金といいますか、金融の融資の問題がございました。無利子でお貸しするとかなんかという話もございましたけれども、どうもお役所のそういう書類というのは煩雑過ぎる。キャッシュカードじゃありません、カード一枚で貸してくれというわけにはいかないかもしれないけれども、この書類に書け、これは判こでどうのこうの、どうもずっと書いてやっている。いかにもおれは金を貸してやるんだというような感じじゃないかもしらぬけれども、とにかく手続が面倒過ぎる。何とかそれがもうちょっと簡素化されないかという声を多く聞くわけでありますけれども、先ほどの省力化に対する機械化等の政策と、それから、その資金等の融資のときの手続の簡素化について、現在考えていることがありましたら御答弁いただきたいと思います。
  43. 南学政明

    南学政府委員 まず、省力化のための施策でありますが、私どもは、労働力不足問題に対応する非常に重要な手だてが省力化の推進であると認識をいたしておりまして、通産省としてはこれまでも、政府系中小企業金融機関による貸し付け、中小企業事業団による高度化融資、あるいは税制上の優遇措置、技術開発に対する予算措置等を通じまして、中小企業の省力化努力を側面から支援をしてきているところであります。また、中小企業労働力確保法に基づく認定計画に従いまして、労働時間の短縮、職場環境改善のための設備の導入に対しましては、さらに条件を有利にした姿で融資をしたいという税制上の優遇措置を講じてきておるわけでございます。また、平成年度から、国が主体になりまして、国立試験研究機関、大学等の協力を得ながら、中小企業における省力化等のための技術開発を推進しているところであります。中小企業の省力化、これからも技術面も含めて大いに推進してまいりたいと考えております。  第二の先生の御質問でありますが、政策金融の融資手続、もう少し簡素化できないかという点でございます。  政府系金融機関の融資に当たって、貸し付けられた資金の有効適切な活用を確保するということの観点から見ますと、やはり所要のチェックというのは、特に、低利の特別貸し付け等にありましてはどうしても必要なわけでありますが、同時に、利用する中小企業の利便というものを配慮していくことが必要だと思いまして、極力必要最小限のものにするようこれまでも努めてきているところであります。これまでも適宜見直しを行ってきておりまして、融資の際の提出書類の簡素化、それからまた、融資の受け付けから決定までの期間の短縮、例えば中小公庫の場合、昭和五十五年度、受け付けから決定まで二十日間かかっておったわけでありますが、平成二年、平均では六日間にこれを短縮するなど、改善を図っているところでございます。  今後とも、手続の一層の簡素化、迅速化に努めていきたいと考えております。
  44. 大畠章宏

    ○大畠委員 それは確かに、担保する意味もあって、国民の皆さんから預かった税金を間接的にお貸しするわけですから、きちっとした内容を確か。めるということが重要だと思うのですね。今はコンピューターの時代ですから、何も全部手書きしたり、名前が、代表者がどうのこうのというんじゃなくて、例えば中小企業であれば、基本的な情報は全部コンピューターにインプットしておく、すると、金融のときに、例えばこの会社ナンバーが幾つだったら、ベースはもうわかっておりますから、こういう部分だけ記載してくださいとか、もうちょっと工夫できるところがあるんじゃないかなと私は思うのですね。今お話がありましたとおり、適時見直しておるというのですが、今のこの情報化の時代、再度、そういうものを駆使してもうちょっと、基本的な項目については全部データは入っている、本当に現在日々変わっている情報のみ記載されるとか、そういうことをそろそろ検討すべき時代じゃないかな。やはり、私は県会議員のころから言っているのですが、行政は監督機関じゃない、サービス機関だ、もう頭を切りかえてください、国民の皆さんの税金をベースとしていろいろな国民の皆さんの要求にこたえるサービス機関なんです、そういうふうに頭を切りかえてくださいということをよく申し上げてきたんですが、ぜひ国の方も、私が指導監督してやるんだ、私がお金を貸してやるんだ、借りたい人は私の法則に従ってやりなさいという形じゃなくて、困っているならば親身になってその企業のために、国民の皆さんから預かった税金をベースとして支援しますよという、マイルドな行政サービスといいますか、そういう姿勢をぜひお願いしたいと思います。  それから次に、外国人の労働者の問題にちょっと移ります。  中小企業におきましても、いろいろお話を伺っていますと、私の企業でもなかなか優秀な学卒者あるいは若手の技術者が入ってこない、そして、先ほど言いましたように、高齢者の方、あるいはパートの労働者の方にお願いするしかないというのだけれども、そういうのもなかなか難しい状況だ、したがって、できれば外国人の労働者の方が、いろいろアジア地域でも失業者の方あるいは職がなくて困っている、こっちは仕事をする人が確保できなくて困っているという意味では、外国人の方をぜひ採用したいという気持ちがすごくあるというのですね。ところが、法的な整備が不十分なために、後からいろいろ監督官庁から怒られたり、あるいはいろいろトラブルに巻き込まれると嫌だから、我慢して現状で何とかやっているという話をよく聞くのですけれども、この外国人の労働者の受け入れ体制について一体、一番これは法務省の方の関係だと思うのですけれども、通産省として、法務省に対しては現状どういう形でこの外国人の労働者問題についてはアプローチをされているのか、その現状についてお伺いしたいと思うのです。
  45. 南学政明

    南学政府委員 労働力不足対策のために外国人の労働者を積極的に受け入れることにつきましては、労働条件あるいは帰国の担保等、検討を要する問題がいろいろあるわけでありまして、昨年六月から施行されました改正入管法におきましても単純労働者の受け入れは行わないという政府の方針がとられておりまして、今後とも外国人労働者の受け入れにつきましては慎重に検討していくべき筋合いのものだと認識をいたしております。  通産省といたしましては、労働力不足問題については、外国人単純労働者を受け入れるということよりも、むしろ省力化、合理化のための設備投資、技術開発の積極的な推進、あるいは意欲ある女性あるいは高齢者にとっての働きやすい職場づくり等、個々の中小企業の魅力ある職場づくりを進めていくということが基本であるべきであろうかと思っております。そうした認識に立ちまして、さき国会で制定していただいた中小企業労働力確保法を活用しながら、魅力ある職場づくりを通じて中小企業の労働力確保に努めているところであります。
  46. 大畠章宏

    ○大畠委員 それは余りにも表面だけの答弁なんですよ。それで物事が進むのだったら、これは一番無難な答弁ですね。  しかし、実際はもうそういう状況でもないのですよ。将来を考えて、お年寄りの方、高齢者の方、あるいはそういうパートの方の労働市場を確保するためというような趣旨のこともありましたけれども、そういう実態じゃないのですよ。だから、この問題、どこが音頭をとって公的な整備をしていくかといったら、やはり法務省は先頭切ってやらないでしょう。それから、あとはどこですかね。とにかく、一番困っているところが、必要があるところが声を出せばいいのです。そういう意味では、通産省がやはりそういう町場の方々の声をベースとして、法務省なり関係筋に、こういうことをもうちょっと考えようじゃないかということをぜひやるべきだと私は思うのです。  いろいろマスコミでも報道されていますが、日本だけがリッチで治安のいい国であり続ければいいということはないのじゃないかと私は思うのです。例えばいろいろな、なるべくこれは治安がいいのはもちろんでありますけれども日本が非常に戦後復興のときに困っているときに、随分日本の農家の方がアメリカの方に行きまして、いろいろ労働力として働きながら、お金を入れては日本に帰ってきて、それをベースにまたやったという事例もございますし、そういう意味では、単に日本の国のことのみを考えて行政をしていることは、すなわち、日本海と太平洋に挟まれていますから余りほかの国から干渉がないと言うかもしらぬけれども、もうちょっと大陸的な観点から日本行政をしなかったら間違えるんじゃないかな。そういう点で、日本の国内の労働市場を守るため、まあ、ドイツの方も少し閉鎖が始まっていますが、これまでいろいろとドイツなんかもほかの国の方の労働者を受け入れていましたね、そういう意味からも、日本はもうちょっと、通産省として、現場の方が困っているんですから、そういうものを勘案しながらももうちょっと踏み込んだ姿勢をすべきじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  47. 南学政明

    南学政府委員 外国人労働者の問題につきましては、先ほど申しましたようにいろいろ検討すべき課題がありまして、慎重な対応が我々としては必要だと認識をいたしておりまして、中小企業のいろいろな声なども十分ヒアリングしながら今後勉強をしてまいりたいと思っております。
  48. 大畠章宏

    ○大畠委員 慎重な姿勢というのは、非常にこれは、間違ってはいないのです。間違ってないのですけれども、臨機応変という言葉もあるのです。時に応じてはだっと攻め、時に応じてはじっと我慢するといいますが、いつもじっと我慢しているだけではなかなかこれは物事が改善しませんし、そういう意味では、ぜひもうちょっと各地の中小企業の方々の御意見も聞いて、動かないことが確かに一番安全かもしれないけれども、やはり、あ、そうも言っておられぬな、この問題についてはもうちょっと踏み込まなければいかぬなという、その実感するポイントは通産省ですから、通産省がぜひもうちょっと全国行脚をしていろいろなお話を伺って、この問題についてもうちょっと踏み込んだ、外国人労働者の方も安心して仕事ができる、いわゆる不法就労が随分ふえていますが、この実態についても目をつぶることはできないと思うのですよ。これはアジアの地域とその問題で不仲になるかもしれませんね、ひょっとしたら。そういう意味でもぜひ実態をよく見て、我々よく直視するということを言いますが、直視していただいて、ぜひその問題に対する、安全的な対策ではなくて、現に合った対策をぜひお願いしたいと思います。  それから、あと、労働省の方もお見えになっていますが、労働省の方にもお伺いしたいと思ったのですが、時間がなくなってしまいましたので、ぜひ通産省の方と連携をとって、特に、通産省だけの意見じゃなくて地域の実態についてよく話を聞いて対応していただきたいなと思います。  労働省、お見えになっていますから、やはりお伺いしないとまずいかもしれませんね。労働省の方、どうですか、現状をどういうふうにとらえて、この外国人労働者の問題、どういうふうにやろうとしているのか、現状についてお伺いしたいと思います。
  49. 野寺康幸

    ○野寺説明員 労働省は、外国人労働者が労働面に及ぼす影響ということで、山口浩一郎上智大教授を座長といたします研究会をずっとやってまいりましたが、本年の一月にその報告書を出したわけでございます。  その中で、先進国の過去におきます例その他を十分分析いたしまして、主として以下の三点につきまして指摘したわけでございます。  労働環境の改善等を通じまして、人材確保でございますとか労働集約的生産拠点の海外への移動を図ることが必要であるということ。第二に、外国人労働者の受け入れに伴います社会的コストがどのくらいかかるか、どういったコストがかかるかということにつきまして、国民全体が納得する形でコンセンサスを形成する必要があるということ。第三に、それ以外に開発途上国におきます雇用の創出あるいは人材の育成等につきまして積極的に貢献すべきだというようなことを指摘しております。  いずれにしましても、労働省といたしましても現状を十分認識いたしまして、今後とも関係者の意見を尊重しながらこの問題につきまして慎重に対応してまいりたいというふうに思っております。
  50. 大畠章宏

    ○大畠委員 お互いに慎重にやっていると何にも物事は進まないので、今お話がありましたけれども、お互いに現場を見て、現場の実態を踏まえて労働省と通産省の方で力を合わせて、日本の中小企業というものの実態が崩れちゃったら日本の産業も経済界もかなりおかしくなりますから、そういう危機感を持ってぜひこの問題については対応していただきたいと思います。  それから、いろいろ工業、中小企業の問題についてお伺いしてきたわけでありますけれども、今非常に懸念されているのは、学校なんかに、例えば就職問題で担当先生に聞きますと、工業高校ですら機械の企業には行かないよというような声がかなり聞こえてきている。考えてみると、サービス産業の方に随分流れていますけれども、この資源がない国日本がなぜここまで来たかというと、いろいろと諸外国から材料をいただいてはそれを加工して輸出してきた、そういう形態があるのですね。それがいろいろ功罪が問われておりますが、いずれにしても物を加工すること、物をつくることというのは非常に重要なものだと思います。  そういうことで、これは今の学校の、文部省の方針が云々ということは申し上げませんけれども、そういう現象をとらえて通産省として、文部省に対して物をつくる大切さをもうちょっと学校の中で教えてくれないか。あるいは大学の研究室の施設なんかも非常に老朽化して、かつ先生の出張費なんかも平成年度では一人頭十四万円なんという非常に微々たるものでありますけれども、これは教授クラスですね、そういう問題でありますが、とにかくもうちょっと工業系の教育環境をよくしてくれ、そういうことを私は文部省の方に、これも困っているところが声を上げなかったら物事は進展しませんので、そういう意味では私は、もうちょっと通産省はこの実態について文部省に物を申していくべきじゃないか、こう思うので寺が、この件どうでしょうか。
  51. 石原舜三

    ○石原(舜)政府委員 御指摘の点、大学における研究費あるいは研究設備の不足によりまして大学の機能が低下しているではないかという懸念につきましては、通産省としても非常に深く認識しております。そういう観点から、大学の人材教育の機能あるいは基礎研究機能を充実すること、さらに、そこで教育を受けた学生たちに我が通産省管轄の産業の発展にぜひ活躍していただきたい、そういう点についての深い認識を持っておりまして、当通産省といたしましては、そういう技術系の学生が製造業に魅力を感じ定着しやすい環境づくりについて非常に重要な認識を持っておりまして、積極的に働きかけていきたい、そういうふうに考えております。
  52. 大畠章宏

    ○大畠委員 もうちょっとこの問題でお話を伺いたいと思いましたけれども、時間が迫ってきていますので、二番目のゴルフ場問題についてお伺いしたいと思います。  先ほど言いましたように私も茨城県出身でありますが、茨城カントリークラブというので茨城がついているので非常に有名になってしまいました。県民の間からも非常に強い関心が寄せられておりまして、ゴルフ場の管轄はどこかというと通産省なんですね。先ほど吉田委員からも御指摘がいろいろございました。  その話を伺っていまして私が一つ申し上げたいのは、企業自主的判断による、そういう答弁がございましたね。例えばゴルフ場会員権の発行総数を規制できないのかとか、あるいはそういうゴルフ場にまつわるトラブルがたくさん出ています。例えば会員権の保証金預かり証をベースとして暴力団が大手の証券関連会社などから三百八十億円も引き出しているという、こういう現象が起こっているものを見て、通産省がいやこれは企業自主的判断に任せるんですということであっては、何のための通産省が、何のための管轄かという感じがするんです。私はテレビで好きなのは時代劇が好きなんですが、水戸黄門が大好きなんですね。決して私は茨城だから水戸黄門じゃないのですが、いつも葵の御紋で不正を正してきました。今どき葵の御紋じゃないのですが、正義、社会正義というものをベースとして、通産省がそう言うことはおかしいですよ、これを言うのが官庁じゃないでしょうか。それが、いや今は自由社会でありますので企業のそういう自由な活動を抑圧するあるいは規制するような行動は私としてはなるべくとりたくありませんというのはわかりますが、これだけゴルフ場問題で、だれが見たっておかしいじゃないか、そう思う現象が出てきても、なおかつ企業自主的判断をベースとして我々対応したいと思いますという答弁は、私は納得できませんよ。これは私はおかしいんじゃないかと思うのです。じゃ通産省の基本はどこにあるのか、そういう感じがするんですね。この問題については通産省はどういうふうに対応されようとしているのか、お伺いしたいと思うのです。
  53. 麻生渡

    ○麻生政府委員 最近起こっております事態は、御指摘のように企業の自主的な判断だけに住した場合に出てくる弊害であると考えております。したがいまして、私どもは何もかにもその企業自主的判断に任せるということではありませんで、やはり行政サイドからいろいろな働きかけあるいは指導をしていくということが必要になってきておるというふうに認識をいたしております。その場合に、どのような形でどのような中身で行政側として指導していくのか、あるいは考え方、原理を示していくのかということにつきましては、これはいろんな観点からの御意見がございますものですから、これにつきましては早急に学識経験者あるいは消費者の皆さん方からの意見も聞きながらそのルールづくりを目指していきたいということでございまして、先ほども答弁申し上げたところでございますが、早々に研究会を発足させ、結論を得ていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  54. 大畠章宏

    ○大畠委員 私は、通産省の通達、昨年の十一月二十八日に出されたものを見ています。この中に、会員数をきちっと明示しなさい、十八ホール当たり換算概数はどのくらい、一室当たりの会員はどのくらい、そういうことでこれを明示しなさいという通達を出していますが、こういう通産省の通達なんかは全く無視されているんですね、実態としては。この間の大蔵省もそうでしょう。大蔵省通達も無視されている。まさに官庁が、先ほどの話じゃありませんけれども企業自主的判断企業の倫理をベースとしますという、そういう何となくふわっとしたものだから、言ってみればばかにされちゃうんですよ、こういう通達が。だから私は、そういうものじゃなくて、先ほどの話じゃありませんけれども正義に照らして、我々は厳罰といいますか厳粛に指導します、そういう指導姿勢を出さなかったら、この答弁でもそういう答弁がないから結局は、ああいいや、通産省はそういう調査会か何かやってそれでくくるからというのではあっと流れるんですよ。だからもうちょっと私は、何といいますかきりっとした、まあ福岡の方でしゃきっとと言っていますが、しゃきっとした姿勢を示さなかったら、どんなに調査会を開いても何でも、先ほど法規制の問題がありましたけれども法規制についても踏み込んだ答弁をしていませんが、その調査会を待ちます、そうじゃなくて、もうちょっと社会正義に照らしておかしなものについてはきちっと対応します、そういうのが私は行政の本来とるべき態度だと思うのですが、再度答弁をお願いしたいと思うのです。
  55. 麻生渡

    ○麻生政府委員 御指摘のように、私どもも現状が決して放置できるというふうには考えておりませんで、何らかの対応を早急にとる必要があるということで研究を今やっておる最中でございます。したがいまして、だらだらということではございませんでしゃきっと、これは私の国の言葉でございますが、やりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  56. 大畠章宏

    ○大畠委員 要するに、通達がだめだったらもう法規制しかないんじゃないですか。それはどうですかね。
  57. 麻生渡

    ○麻生政府委員 法律という考え方もあるわけでございます。今御指摘がございましたように、確かに私どもの昨年の通達が実行されていないということはございます。その結果として訪問販売法に違反をしている疑いが出てきておるということはございますし、また今回の場合も、茨城カントリーの場合には明確にパンフレットで会員数を明示しておるわけでございますが、これが誇大広告に当たるというような可能性もあるわけでございます。したがいまして、法律は今のこの事態で適用できない。誇大な会員数であったということで適用される可能性のある法律というのはいろいろあるわけでございますが、今回の事態は単に通達あるいは法律を超えてどんどんやってしまっておるという、あるいは刑法上の問題にもなりかねないというようなところにあるわけでございます。したがって、法律があれば何でも守られてさっといくというわけでもないという面があるわけでございます。  そういうことはございますが、いろいろな幅広い観点から鋭意検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  58. 大畠章宏

    ○大畠委員 いろいろお話を伺いましたけれども、いずれにしても今回の事件は大変悪質な事件であり、詐欺的な要素もありまして、被害者の方はもちろん、国民からも、一体この日本、社会正義があるのか、そういうふうに感じたからこのゴルフ場問題が取り上げられたと思うのですよ。したがって、行政がどういうふうに対応するかというのは非常に注目していますので、そういう意味で、後ほど鈴木委員からもあると思うのですけれども、ぜひしゃきっとした対応をお願いしたいと思います。  いろいろ伺いますと、お金を返してほしい、いやゴルフ場を何とか完成させてほしいというような話がありますし、また再発防止をぜひやってほしいという、いろいろな御意見が出されております。とにかく徹底的な事実解明と法整備を含む再発防止策の確立と、ゴルフ場をやはり早く完成させて、いろいろありますが、そういういろいろな万々の声を伺って、適切な対応を切に要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  59. 高村正彦

    高村委員長代理 鈴木久君。
  60. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 私は、大店法の問題とそれから今お話がありましたゴルフ場の問題と、時間があれば対ソ支援問題の経済外交問題についてお伺いをしたいと思っております。  第一点目の大型店の出店の問題に絡んで、私なりに日ごろから疑問を持っている点がありますので、これを解明する意味でただしてまいりたいと思っています。  それは、この間規制緩和をやりました。そして先般は大型店法の抜本改正という形で法律の改正もやりました。その内容というのは、通産省サイドからいえば、大型店の出店の調整期間を短縮する、そして早く出店ができるような状況をつくりたいという意図があったと思います。そういう意味からいたしまして、これからお尋ねすることは、どうもそれにそぐわないことが地方では起きている。というのは、いわゆる大型店の出店の申請申請した場所が、都市計画法上到底大型店の出店にはなじまない、いわゆる住居地域あるいは第一種、第二種の住居地域など、もともと都市計画法上は到底そういう立地は不可能、こういうところに出店計画がどんどん出されているという現実がございます。  それで、まず建設省にお尋ねいたしますけれども、もともとこの都市計画法というのは、御案内のようにいわゆる「定義」の中でも、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために土地の利用、都市施設整備及び市街地開発事業に関する計画をしっかりするというところにあるわけです。かなり強制力を持った法律であります。というのは、ここは道路にしますよ、ここは住居地域にしますよ、ここは何にしますよという地域指定をいたします。これはもちろん指定された後は国民に公表することになると思います。こういういわゆる指定をする意味、それがどういう意味を持つのかということを含めて、都市計画法の基本的精神みたいなものをまず確認をする意味でお尋ねしたいと思います。
  61. 林桂一

    ○林説明員 お答えいたします。  先生指摘のように都市計画は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために都市の全体のマスタープランを定めまして、これに基づきまして、適正な土地利用規制あるいは道路、公園、下水道等の都市施設の整備あるいは区画整理事業等の市街地再開発事業等につきまして一体的、総合的に定めていくものでございます。したがいまして、そのような都市計画によりまして土地利用計画が定められまして、法律に従ってその内容に従った土地利用規制が行われるということでございます。
  62. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そういう都市計画法律の精神といいましょうか、そういうことを考えてまいりまして、その地域指定を、住居地域、第一種、第二種、当然してあります。そういうところに、例えば第二種の例をとりますと、第二種住居専用地域であっても建物の面積は三階建て千五百平米が精いっぱいです。ここに何万平米という大型店の出店申請が全くこれがないと同然のように出される、そしてこれが審議が行われて結審をする、こういう事態が幾つか進行いたしております。これはどういうふうにお考えでしょうか。これは通産省と建設省両方にお伺いいたします。
  63. 麻生渡

    ○麻生政府委員 大店法と都市計画法との関係、これは一般にいろいろな法律がございますが、おのおのの法律の関係をどういうふうに扱うかという問題でございます。  大店法は、その法目的あるいは法益は大規模店舗と地元の中小小売店の利害を調整するということにあるわけでございますが、一方で都市計画性は、まさに都市の健全な発達あるいは都市の計面的な発展というところに法目的があるということでございます。したがいまして、大規模店舗法不調整をして出店を認めるか認めないかという観点と、そもそも当該特定の地域に建物を建てることを都市計画の観点から認めるか認めないかということは、おのおの違った法律のもとで調整をされるということにならざるを得ないわけでございます。逆に言いますと、大規模店舗法上出店はいいということになりましてもその地域が都市計画法上だめだということも当然あるわけでございまして、法律がそのようなものでありますものですから、どうしても一方ではいいといっても一方では悪いということになる場合が当然起こり得るというふうに考えております。
  64. 林桂一

    ○林説明員 お答えいたします。  都市計画は、先ほど申し述べましたように、町づくりに関しまして必要な事項を一体的、総合的に定めるものでございます。商業用施設立地につきましては、地域の特性に応じつつ都市計画上必要な措置を講ずることによりまして適正に規制、誘導を行っているところでございます。  大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律と都市計画法では、その手続は法律上それぞれ別個のものとして構成されておりますので、先生の御指摘の点につきましても法的には何ら問題がないというふうに思いますけれども、ただ、先ほど述べましたような都市計画の趣旨にかんがみれば、やはり大店舗の立地審議するに当たりましては、都市計画との整合性にも十分配慮されることが望ましいというふうに考えております。
  65. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 配慮されることが望ましいということなんですけれども、全く配慮されないで実は現在は商調協や大店審が進行しているんです。これは現実なんです。それで、結審をしますね。そうすると、これから建物を建てようという申請をまた新たに許可を受けてするということになるでしょう。このときに、もちろん建てられないですね、これは。建てられないですね。住居地域であれば建てられない。あるいは、一種、二種、片ちらも建てられない。そうすると、この地域指令を変更するという手続をとらなきゃならないでしょう。そうですね。そうするとどうでしょう。いわゆる商調協やそういう審議会で決定をしたことに基づいて都市計画を変更するということに、結果としてなるでしょう。そういうものは都市計画変更、見直しの条件になじむのですか、なじまないのですか。都市計画の変更というのはそういう一企業一つの問題だけで見直しをするとかしないとかということになるのでしょうか、ならないのでしょうか。建設省ちょっと、これは確認する意味でお聞かせください。
  66. 林桂一

    ○林説明員 都市計画におきます用途地域の問題だと思います。  用途地域につきましては、良好な住居の環境の保護とかあるいは商業、工業の利便の増進等を図るために指定するものでございますが、その際、公共施設の整備状況とか土地利用の現況及び動向あるいは住宅その他の土地利用の需要の長期見通しなどを総合的に勘案して指定をするものでございまして、また都市計画の変更もこのような状況の変化に的確に対応するために行われるものでございます。したがいまして、商調協の結審ということをもって直ちに用途地域の変更の理由とするということはできないというふうに考えております。
  67. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そうしますと、商調協の審議や大店審の審議というのは一体何だろうかということになりませんか。商調協にしろ大店番にしろかなりの時間を要してこういう問題について審議をするわけでしょう。  私がなぜこんなことを言うかというと、ここが住居地域であるとかあるいは工業地域であるとかいうことはもう国民みんな知っているわけです。あらかじめ知る、この地域であればもうだれでも知っていること、出店しようとする人は、もちろんここがとても出店できる地域でないということを知っているわけです。今の法律上ですよ。その地域指定を変えない限り出店はできないということをあらかじめ知り得る条件にありますね。知っていますね。これは、だれだって知っていることなんです。それを知っていながら、全くそれを見直すことを大前提にした出店申請が堂々と行われて、審議が行われて結審をしてしまう。都市計画法などその審議の過程の中では全く無視をされているということでしょう。私どもは、先般の法改正のときにもいろいろな議論をいたしました。こういう審議は、だから町づくり法という立場から大店法の改正の段階でも少し考えるべきじゃないだろうか。やはりその町の土地利用の問題も当然考慮に入れるべきじゃないだろうか。だから、いわゆる商調協や、今度商調協はなくなるのですけれども、大店審の審議なんというのは地方に任せたらいい、こういうふうにも言いました。しかし、現在これが法改正されてもそういうことになりませんね。おっしゃったように全く別な法体系のもとで無視をされて進行していく、これはそういうことが堂々とまたマスコミや何かで流れますから、そこに住む、住居地域に住む人は、何だおれのところ今までいろいろな規制があったけれども、大型店だけは構わないのか、住居地域で町並みがいろいろと整備されている、そういうところにいきなりぼんと、それだけはいいのか、こういう疑問を持つことは当然です。都市計画法に対する不信感もこれは出ますね。都市計画というのは、大体道路をここにつくりますと言うたら、建物を建てられない。例えば、ここは三階建て以上のものはだめだとか永久建築物はだめだ、土地利用まで完全に制限をする法律ですね、一部は。にもかかわらず、これだけは別ですというのは、私はちょっと問題があるな、法のもとの平等という観点からいっても、この種の問題はむしろ申請する事前に一定の調整がむしろ図られるということなんじゃないだろうか。ということでなければ、むやみやたらにそんなものを無視して審議が進んでもいいんだ、これはちょっとおかしいんじゃないか、私はそういうふうに思っています。  そういう意味で、法のもとの平等あるいは公共法の優先ということであれば私はわかるんですよ。都市再開発事業とか何かということで市が全体的にやる、そういう中の計画であればわかるんですけれども、大店だけがぽんと出店することに対して、そういう特別なやり方をするというのはどうもこれは法のもとの平等ではない、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  68. 麻生渡

    ○麻生政府委員 現在の大店法の調整のもとにおきまして、今御指摘がありましたような都市計画法との調整という問題あるいは大店法上の調整が現在一年半という範囲内でやろうとしておりますが、そのような時間的な制約の枠組みの中でやっております関係で都市計画法との関係というのは必ずしも十分調整されないということであるという場合もあるということは承知をいたしております。  ただ、これを非常に形式的に申しますと、先ほど申しましたように二つの法律のおのおのの手続を出店者はとらなげればいかぬということでございますから、非常におのおの独立した手続ということになるわけでございますが、しかし、実態は言われるような問題を含んでおるということでございます。大店法の調整におきましても、そのような点があるということ。そのようなことの問題というのはやはり市町村、これが都市計画担当にもなっておるわけでございますが、そのようなとこうの意見も十分踏まえながら審議をしていくということが今後必要じゃないかと考えておるわけでございます。
  69. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 余り時間がないのでこれ以上とは思いますけれども、実際は皆さん大型店、特に大きな大型店の出店の場合はそこの駐車場の問題、そこに入ってくる道路の問題、いろいろな意味でただ出店をするというだけじゃないですよ。町づくりにも徹底的に大きな影響を及ぼすわけでしょう。今まで住居地域で安心しておったところへいきなり出店計画がぼんと出る。おれのところ一体どうなるんだ。というのは、今までの都市計画、地域指定の中で守られてきたものが一気にこれで崩れるかもしれない。こんなのはどう見たっておかしいですよ。ですから、私どもは今あなたが一年半にした、できるだけ一年半の調整期間にした、こういうことであればあるほど事前にそういうものは調整すべきなんだろうと思うのです。同時に、一年半にして結審したって建てられないでしょう。例えば、見直しをするのに市町村のいわゆる審議会にかける、県の審議会にかける、そして訴訟が起きたら何年これが建てられるかわからない。実際は五年も十年もかかるかもしらぬ。そうでしょう。都市計画の見直しというのは難しいんですよ。そんな簡単なものじゃない、地域指定の見直しというのはそんな簡単なものじゃない。ですから、審議期間を幾ら短くしたって意味がないじゃないですか。調整期間を短くした意味がちっともないじゃないですか。むしろその後の方が時間がずらっと長くかかって出店計画がまるっきり意味をなさないものになる可能性があるというふうに思うのですよ。これは全くの矛盾でしょう。皆さんが短くしたという意味と、結果として実際はずらっと長くなってしまうのですよ、見直しをするということになったら。反対があって訴訟が起きたら大変な時間がかかります。そういう例は幾つもあります。  ですから、どうですか。これは大臣、ずっと聞いておられて、私ども大型店の法律の改正のときにいろいろな議論をいたしました。やはり町づくり法というものに近いようなことにしてほしいと私どもは強く主張したのですけれども、今そういう現象が、規制緩和、これは改正法がいずれ、来年早々これは施行になるでしょう。そういう状況の過程の中でこういうことが進行しておるわけでございまして、十分にその都市計画法等の問題についてはリンクして尊重されて、そういうものが審議をされるということでなければならないんしゃないでしょうか。これは今すぐ結論めいた話をばちっと皆さん方が出なくても、そういう考え方、私どもが言っていることについてどうですか。大臣、ちょっと考え方があったらお述べいただきたいと思うのですが。
  70. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これも、私も今委員指摘のとおり、じっと聞いておりまして、これは両省ともにさらに詰めていろいろ話をきちっとまとめないといかぬ問題もあるのかなという感じは受けておりますから、また御案内のとおりに、大店法をやった当時の、煮詰めておった長い間の官吏諸君と今の官吏諸君とかわったわけでございますから、そういう点の詰めの甘さもあるのかなという感じもそれぞれいたしますし、これは建設省の問題、通産省の問題といいましても、受け皿は一つでございますからね。だから、そういう点では、私もこれは聞いておりましてもそういうことの感じ方もいたしますから、これはひとつ率直に二省ともどもさらに詰めの細かさというものも必要がなという感じがいたします。  大店法の調整そのものに当たりましては、出店計画の実施に関しまして、地域の実情を十分に踏まえて調査審議がなされるべきであることはこれは申すまでもありません。しかし、もとからそうでございますが、都市計画法と大店法というのはそれぞれ法目的あるいは運用を異にするものでございますから、どちらかの手続がまず常に先行して行わなければならないという性格のものではないものだとは考えておるわけでございまして、そういう点ではさらにそういうものを踏まえながらも、先生の御指摘ども考慮に入れながら、これは私自身もひとつ報告をさせてみたいものだ、こう思っておる次第でございます。
  71. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 次に、もうずっと前の、同僚議員からもお話がありましたけれどもゴルフ場問題について幾つか事実確認を含めてただしてまいりたいと思います。  まず、会員権乱売の実態の問題ですね。知る限りで茨城カントリークラブあるいは小山カントリークラブ、これらがその代表格のようでございます。この実態というのは、通産省、把握しておりますか。  ついでにもう一つ、この二つだけじゃなくて、そのほかの千七百、これからどんどんふえて三千超すようになるでしょう、開発計画をずっと見る限り。これからの問題も含めて、会員権の実態というのを通産省は今把握していますか。今把握してないとすれば、これから把握しますか。そのことを含めてお尋ねをしたいと思います。     〔高村委員長代理退席委員長着席
  72. 麻生渡

    ○麻生政府委員 第一点の、通産省は各ゴルフ場ごとの会員数を把握しておるかどうかという点でございますが、現状では各ゴルフ場が何名の会員を持っておるかということについては把握をいたしておりません。それから、今後ゴルフ場がいろいろふえていくということでございます。これはそのとおりでございまして、現在千七百強のゴルフ場があるわけでございますけれども、そのほかに開発が進められておるものが三百強ぐらい、あるというような現状でございます。  この問題について今後どうするかということにつきましては、いろいろな角度からその検討が必要でございますものですから、省内に学識経験者を入れました研究会をつくり、早急に実態の把握及びこれに対応した対策について検討し、結論を出してまいりたいと思っております。
  73. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 実態把握をする根拠法も何もありませんからね、今は。把握する方も大変難しいんだろうと思うのですよ、それは。ですから、ここのところは後から議論いたします。現在は、ですから通産省はゴルフ場会員状態というのは全く把握してないということでしょう。これが今の答弁で確認をされたわけでございますけれども、ではもう一つ、これも特段何の基準もないんだろうと思うのですけれども、例えば十八ホールというふうに仮定をして、会員の数の適正規模というのは何か目安としているものがございますか。
  74. 麻生渡

    ○麻生政府委員 例えば十八ホールのコースの適正な会員数が何名であるかということ、これは非常に重要な問題なんでありますけれども、実際にはそのコースの地形とかあるいは会員の利用頻度、さらにその前提となっております会員の居住分布というようなことがございまして、その利用可能性との関係において何人が適正かということを一概に決めることは非常に難しい問題でございます。一方で、最近は会員権の購入者というのは、その地域の近いところもありますけれども非常に遠いところ、関東のものを関西の方が買うとかいうようなこともございまして、会員が必ずしも常に利用しようということでもないというような要素もございまして、その点も難しくしている点でございます。したがいまして、その基準があるかといいますと、現在のところは行政的に基準を示していくのは難しいということで、示しておりません。ただ、この点につきましては、そういういぢいろな条件はございますけれども、やはり今後私どもの非常に重要な検討課題というふうに認識をいたしております。
  75. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 これもないわけですね。ですから、どのくらい募集すればこれはちょっと問題があるということの目安も、今のところまだ定まっていないということでしょう。  それで、茨城カントリークラブの具体的なことでお尋ねをしますけれども、これは御案内のとおり、リゾートブームがあり、ゴルフ場の開発というのはもう急激な勢いで、バブル経済と一緒に全国すごい勢いで開発というのが行われております。それは自然破壊の問題も含め、いろいろ問題が出ていることは事実であります。私の市なんかも、全部造成すると三十幾つかになるそうですから、べらぼうな話でございまして、中には、水源地を汚して、これは大きな問題になって、住民運動が起きて併発ができなくなったというところもございます。そのくらい大変なブームでございまして、それに乗ってかなり進んだわけです。  もちろん、その開発に関連して随分汚職事件も起きていますね。これは山梨県の大月のゴルフ場なんかは、事前に会員権と称していろいろ予約をして売って、七億くらい懐に入れて、そいつを開発するためのわいろ資金にしたり、あるいはまた千葉県なんかの場合も、アンバーヒルズカントリークラブ、これは熊谷組が施工ですけれども、これも一億円くらいのわいろがあって問題になっ ている。あるいはまた兵庫県なんかでも市長へのわいろがあって問題になっているというふうな、まさに汚職も絡まってきている。  同時に、いわゆる先般の政治献金問題では、特に茨城カントリークラブの実質的オーナーと言われた水野何がしという方から二人の代議士が献金を受けている、あるいは陣中見舞いと称して献金を受けているということも明らかになりました。そして、今度の茨城や小山カントリークラブの場合は、何万人も、公表されている会員数の十倍、二十倍、三十倍という会員権を売り飛ばして資金を集めた、こういうことでございまして、まさにひどい状況でございます。ここまで、言ってみればひどい状況になってしまった。  通産省はそれに対してどういう対応をしたかというと、先ほどからいろいろ議論がありますけれども、幾つかの行政指導をしておりますね。しかし、ほとんど通達も何も守られてこない。この二つのゴルフ場に限って言えば全く無視をされている。今のを法的にいうと、訪問販売法でこれらをチェックするという以外に道筋はありませんね。これは本当に私は無視されたと思っています。  ですから、これからの救済方法も含めて大変だなという認識をいたしておるわけでありますけれども、こういう、まさに開発をめぐって汚れたことを含めてどんな認識を持っておられるか、まずお尋ねをしたいということと、同時に、これは警察庁にお尋ねいたしますけれども、現在茨城カントリークラブの捜査状況というのはどこまで進んでいるか。まあ訪問販売法違反というのはほとんど罰則規定がないですから、これから金の流れをどういうふうにつかんで、例えば詐欺どかそういう別ないわゆる横領とか、資金が外国に流れているというようなお話もありまして、外為法違反とかそういうものまで突きとめない限り、今回の事件というのは本当に罰則なしで終わっちゃうんです、今の法体系のままだと。警察庁の捜査の状況も含めて、これはちょっと御回答いただきたいと思います。
  76. 松原洋

    ○松原説明員 お答えいたします。  警視庁におきましては、茨城カントリークラブの会員権売買をめぐります訪問販売法違反の疑いによりまして、本年九月十日、株式会社三輝など三十一カ所の捜索を実施いたしまして、現在、押収資料の分析など所要の捜査を進めているところでございます。  捜索の容疑事実でございますけれども、株式会社三輝などのゴルフ会員権販売会社が、その営業員をして会員権を販売するに当たり、購入者から契約の申し込みを受けた際に、法定の記載事項である申し込みの撤回に関する事項、いわゆるクーリングオフに関する事項でございますが、これが記載されていない書面を交付した、こういう容疑でございます。  それから、今後どのような方向で捜査を進めるのかというお尋ねでございますけれども先生指摘のように、いろいろと報道がなされているということについては警察としても承知をしているところでございますが、現在警視庁におきまして、販売代金の流れを含めまして、押収資料の分析等所要の捜査を進めているところでございます。  したがいまして、具体的な内容についての答弁は差し控えさせていただきたいと存じますが、警察といたしましては、消費者保護の立場に立ちまして、あらゆる法令を適用して厳正な取り締まりを進めてまいる所存でございます。
  77. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 この際ですから、いろいろな被害者の救済も求めておるということもありまして、この問題に触れる時間がありませんからやめますけれども、石原代議士に渡った三千万の政治献金の問題については、いわゆる当事者に返さないで被害者に返してくれという要求などもあって、現状そういう状態になっていると思います。  自治省、お見えでしょうけれども、政治資金規正法上の届け出がどういうふうになされたかということと、現在、もしそれを返すということになれば、恐らく政治資金規正法上の修正手続がなされるものと思うのですけれども、現状、どんなふうになってございますか。
  78. 井戸敏三

    ○井戸説明員 現在の政治資金規正法上の取り扱いのお尋ねでございますけれども、石原代議士の関係政治団体についてでございますけれども、御案内かと存じますけれども、関係政治団体で公表をされておりますのがいわゆる指定団体でございまして、この指定団体につきま。して、私ども、代議士との関係がはっきりいたしておりますので、調べることができますので、石原代議士の指定団体でございます石原慎太郎の会とそれから慎政会、この二つにつきまして調べさせていただいたわけでありますが、このいずれの収支報告書も、個人につきましての寄附者の内訳の寄附者の氏名欄に、御指摘の茨城カントリークラブですとかあるいはその代表者の氏名等の記載はございませんでした。  それから、その現状がどうかということでございますが、現実に修正等の手続の申し入れ等がなされているわけではございません。  ただ、一般論として申し上げますと、既に寄附として受け取っているということでございますれば、その時点で収入になっているわけでございますので、それを返却をするというようなケースを考えましたときに、その場合は新たな支出に政治団体としては当たりますので、その新たな支出をした時点でいわば支出行為が行われたということになりますから、例えば現時点でその支出行為を行ったといたしますと、平成三年分のいわば政治資金の収支報告の中でそのことが報告されるということになりますので、平成三年の収支報告は、御案内のように、来年の三月が提出期限でございますので、そのような措置になるのではなかろうか。一般論としてはそういうことになろうかと存じます。
  79. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 ずっとお尋ねしてまいりましたけれども、結局のところ通産の今の行政サイドで把握しているものは、会員権の把握もない、それからまた何の基準も持っていない、そしてこのような乱売事件が起きた。これに対する取り締まり方法としても、今警察庁のお話のとおり、訪問販売法の適用が精いっぱい。やり得でしょう。  そしてなおかつ、会員権問題というのは、御承知のように、先ほどから議論されていますように、ほとんど会社が倒産をしたりクラブが解散をしたりすると紙切れ同然になってしまうという問題がある。いわゆる預託したお金が本当に保全されるんだろうかという問題についても、大変大きな心配が出てまいりました。こういうことを考えてまいりますと、今の訪販法適用ということだけで、いわゆる会員権を販売することに対する法的規制だけで、これはとても十分とは言えないのです。ほとんどこの訪問販売法の法的規制では、このような事件をとても防ぐことはできない。これはもうはっきりいたしております。それは、もう皆さん方が行政指導したものが全く直らなかったということ一つをとってみてもはっきりしておるのです。それは売り方の問題だけですから、訪問販売法というのは。いわゆるそのほかのものはほとんど何の規制も法的措置もない、こういう現状が皆さん方自身の答弁の中からもはっきりいたしてまいりました。昭和四十八年に議員立法でゴルフ場事業規制法というのが提案をされて、残念ながら廃案になってしまいました。もしあれが今あれば、また別なきちっとした対応ができたと私は思っております。皆さん方が今これからいわゆる研究会をつくってやろう、こういうことになっておりまして、先ほどからも質問がありましたけれども、どうも法律改正には極めて消極的な姿勢であるというふうに受けとめざるを得ません。どうなんですか、それでは全然何もできないでしょう。だから皆さん方の答弁そのものが、今度のこの種問題についてはほとんど実態調査もできない、何の権限もない。確かに、開発行為の許認可権は都道府県にありますから、都道府県では、もう既にゴルフ場会員権を募集する時期まで要綱で定めて、全部造成して終わった後でないとだめだ。一部要綱によっては、県によっては、危ないからだめだというところまで来ていますよ。実は、地方ではそのぐらいシビアになっているんです。これに一切手をつけないでいいんだろうか。こういうことを考えますと、私はあの四十八年に提案をされた議員立法のいわゆるゴルフ場事業規制法というのが、すべてあれでいいかどうかというのは別にしても、せめてあれに近い法律というものを準備することが、早急にこれは制定することが大事なんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがですか。
  80. 麻生渡

    ○麻生政府委員 ゴルフ場の問題につきましては、先ほども御説明いたしましたような、通産省はその行政指導あるいは業界の自主的な規律の強化あるいは訪問販売法に基づく販売態度の規制ということをやってまいってきておりますけれども、非常に遺憾でございますが、御指摘のような茨城カントリーのようなことが起こってしまっておるということでございます。これについて、先ほどからのように、研究会をもって早急に検討いたします。その場合に、新たに法律をどうするのかということにつきましては、これは確かにそのような考え方もあるわけでございますが、現段階におきまして法律を当然の前提とするということではございませんで、もう少し幅広い観点からいろいろな方策あるいは現行法のもっと効果的な活用ということまで含めて検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  81. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 ここで、さっきからその論議をして押し問答のような格好になっていますが、大臣答弁は要りません。ただ、今のいわゆる法律ではほとんどこの種問題は対応できないということをみずから答弁されておるわけですから、私は早急に法律の改正というのをすべきであるということを強く主張しておきたいと思います。  最後に、時間になりましたから、対ソ支援問題で大臣にちょっと一言だけお尋ねをしたいと思うのです。  ソビエトのあの政変、クーデターがあって随分変わりました。それでいわゆる先般、四極通商会議にも出席をされてまいっております。ソ連邦、ガットへ加入なんという問題まで新たな事態になってきておりました。さらに、対ソ調査団というのを派遣するようでございますけれども、これがどういうものなのか、そして対ソ支援の姿勢の問題、基本姿勢の問題について、これは確認をする意味でお尋ねをしたいのですけれども、現状のソビエトの政治の状況の中で、いわゆるココム規制というのはこれからどういうふうに考えられていくのか。それと、政経不可分の問題が頭にあって進まなかった、大型プロジェクトを含めた対ソ支援と。いう問題について、現時点でどのように考えておられるか、これは時間がありませんから大臣から御答弁いただきたいと思います。特に、年内訪ソという問題も七月段階でちょっと報道されておったのですけれども、そのことを含めて大臣からお答えいただきたいと思います。
  82. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず、先ほどの問題点などを聞いておりまして、二つだけちょっとポイントだけ申し上げておきたいと思います。  一つは、まず先ほどの問題で鈴木議員の御指摘、これは私の心情としては全く一致しておるのです。私はゴルフをしないから、ゴルフに対してわからないままに申し上げるわけではありませんけれども、またやっかみで言うわけでもありませんが、いずれにしてもこんな不愉快な話はない、その点においての認識は一致です。したがいまして、これはさらに御検討を賜って、しかし法律ということの源泉にはなかなかいろいろの問題がございますから、広く見て、そして終結していくという段階のときにはけじめをつける形は私の責任においてもとります。  それからまた、今後のソ連の問題、ココムの問題の緩和の問題はどうかということでございますが、これはまだ全世界の流れを見ながら、ココム規制の緩和の問題は世界的な眺めで見て納得できる問題であるかどうか、この問題は一つ今考慮の中に入れておる最中でございます。  それからまた、同時に、ソ連のクーデター後のソ連の支援の問題でございますけれども、これは金融支援は今のところアメリカも日本の国もたたらを踏んでおる段階でありますけれども、ECにおいても同感であります。まだ、ソ連の市場経済の流れあるいは流通問題、それが確定的なファンダメンタルがなっていない。そういう点からして、いたずらに底の抜けたバケツに金を与えるようなことだけでは何の意味がございませんから、そういう意味においては、ある意味においては十分に効果ある援助というものにおいてはこれはちゅうちょなく差し上げたいところでございますけれども、なかなか難しい問題がある。日本の国は、国そのものは必ずしも大金持ちではございません。企業そのものは一つ一つ企業をとらえてみれば金持ちの企業もありましょう。しかし、そういう点においてはむだな金を使ってまで云々という気持ちはございませんので、そういう点においては十分にソ連の調査が必要である。その調査に基づいては、我々は幾つかのミッション、もう既に七つ、八つ考えておりますが、既に行ったものもある、今から行かせるものもある。  また、私の訪ソについても御言及いただきましたが、これはG7プラス1の会合においても、私に訪ソをしろ、言うならば中小企業担当大臣が行ってもらえまいかという要請は世界からも来ております。そういう意味においては、私自身もそういう点で腹を構えなければならぬときがあるのかもしれませんが、今のスケジュールの上にはのっておりません。そういう状況の中に、大まかではございますけれども、その間における技術支援、人材育成その他の面においてのこの冬場における人道的な立場におけるソ連の国民の悩み、医薬品の問題、食糧の問題、これにおいての応援隊というものは、私ども、準備よく今整えつつあるという段階であるということも申し上げておきたいと思います。
  83. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 ありがとうございました。
  84. 奥田幹生

    奥田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  85. 奥田幹生

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森本晃司君。
  86. 森本晃司

    ○森本委員 まず最初に、通産大臣、諸外国へのいろいろな活動、大変御苦労さまでございました。大事なかじ取りをいろいろとやっていただいておりまして、国際化の中における日本の立場、大変重要でございます。これからも御健闘、お祈り申し上げます。  そこできょうは、通産大臣と経企庁長官、お見えいただきまして大変ありがとうございます。最近における景気動向、九月の月例報告も発表されましたが、両大臣、どのように今判断されているかという点についてお伺いしたいと思います。
  87. 越智通雄

    ○越智国務大臣 森本委員お答えさせていただきます。  先生御高承のとおり、今四年を超える好景気が続いております、昭和六十一年の暮れからでございますが。景気の長くよかった後はどうしても谷が来る、余り早いスピードで走っていると谷のカーブが非常にきつくなりまして、山高ければ谷深しになってしまいますので、このスピードをある程度落とさなければいけないのじゃないかというのはもう平成年度からそういう感じで来ました。実際には、昭和六十二年、六十三年、平成元年と五%絡みの実質経済成長でございましたものですから、昨年はそれを四%絡みに持っていこうとしましたけれども、結果としまして、平成年度は五%の成長になってしまいました。いろいろ国際情勢の関係もございまして、さらにことし、平成三年はそれを何とか三・八%、四%を切るあたりまで持っていこう、なだらかな格好で軟着陸を図らないと、深い谷へ落ちたら大変だ、こういう思いでやってまいりましたが、昨年は大体一—三が、四半期の実質成長率一・六、四—六が一・四、七—九が一・一ぐらいですね。四半期大体一%絡みの成長でございますと、四倍すれば年四%ぐらいになりますものですから、いいところへきているなと思いましたが、昨年の十月—十二月、ここは湾岸の実力行使を控えまして、経営者の方に一種の恐怖感と申しますか、〇・六くらいまで下がってしまいまして、これの反動が実はことしの一—三に来まして、ぼんと二・七まで上がってしまいました。大変波の荒い運営になっておりまして、まことにその点は申しわけなく思っておりますが、そうしたらぞれのまた反動が来まして、四—六が〇・五ぐらい、要するに年率に直すと二%台の成長にきておりますが、七—九はまたいささか戻すであろう。  これは国内事情の方だけ見ますと、割と、いわゆるGDPの方だけ見ますと大体一%ぐらいで四半期ごとに動いているのですが、海外から来るのがマイナスが立ってみたりプラスが立ってみたりするものですから激しく揺れておりますが、七—九がもうちょっと戻して、全体としては本年度三・八%という実質経済成長を私どもは持っていけると思っておりますが、やはり五%で四年も続いてきた実質成長を三%台に落とすというと、ブレーキがかかってきたという減速感はかなり今シビアに出てきているのかもしれない。そこら辺については個々の局面に慎重に対処していきたい。しかし全体としては、まだ実質経済成長はプラス、それも三%以上のプラスで走っている、このように認識いたしております。
  88. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま経済企画庁長官が言われた大体マクロ的な見方というのは、ああいう指数であらわせばああいう形でとらえているというのは同じ思いでございます。ただ、多少ミクロ的に多くの産業構造を抱えております私どもの立場からいたしますると、我が国経済そのものについては住宅投資が引き続き減少傾向にあるということ、あるいはまた設備投資が鈍化しつつあるということ、拡大しつつも緩やかに減速をしてきている、こういうとらえ方なのでございます。  こうした中で、足元の景気というものの現状を見ますると、まず第一に、生産、出荷とも弱含みで進んでおりまして、また意図せざる在庫増というものを含めました在庫が高い水準にあるということも、これまた指摘しておかなければならぬ点かと思います。それから、需要の減退並びに資金繰りの困難化を理由といたしました設備投資というものの下方修正が見られているという点も顕著なことかと思います。また乗用車販売の減少、これももう既に委員案内のとおりでございますけれども、販売統計の伸びの鈍化と消費の伸びの鈍化が見られることも事実でございまして、このようなところが懸念材料がな、こういうような認識でとらえておるということを申し上げたいと思います。
  89. 森本晃司

    ○森本委員 経企庁長官にお伺いしたいのですが、今通産大臣から足元の現状を見たいろいろミクロの状況のお話がございました。確かに経済指標、いろんな指標から見ますと、生産、出荷あるいは在庫増の問題等々、非常に景気として厳しいのではないだろうかという点も考えますと、先般の九月の月例報告のなだらかに減速しながら引き続き拡大しているという点は、一つは楽観過ぎるのではないだろうかという考えに立つわけでございます。  同時にもう一つ、これはちょうどニュースのときに私テレビを聞いておりましたけれども、なだらかに減速しながら引き続き拡大している、私だけに限らずいろいろな人たちが、これは一体どういうことなのだろうか、景気は上向いているのだろうか、下向いているのだろうか、その辺が非常にわかりにくいなという声がたくさんございます。  あわせてもう一点お伺いしたいわけでございますが、今年度の実質経済成長率三・八%の達成については、今可能かどうか、どのような見解を持っているかをお伺いしたいと思います。
  90. 越智通雄

    ○越智国務大臣 ちょっとこの経済は、本当は図表を示したり数表を示して御説明した方が御納得いただけるかと思っておりますが、日本国民総生産というのは毎年どんな場合でもふえております。アメリカの場合に非常に明瞭に言えることは、あの国は不景気になりますとGNPが下がるのでございます。そして四半期ごとのGNPが二度続けて下がったときに、彼らは不況宣言、リセッションという言葉を使っております。日本の場合には、時として、GNPが四半期ごとに見れば伸び縮みすることがございますが、年間を通じてのGNPを仮に棒グラフで書いてみますと、前の年よりも下がったことというのが戦後において昭和四十九年に一遍あっただけでございまして、これは第一次石油ショックに対するきつい総需要抑制策をとった、インフレを退治するために非常手段をとったときだけに起こった現象でございまして、日本の場合には、好景気といっても不景気といっても必ず実質GNPは伸びている、その段階の中で伸びの著しいときが好況で、伸びの緩いときが不況と申しますか、日本流に言っておりまして、過去に景気の悪いときと指定された時期で一番高いのは、実は実質経済が三・九%伸びているのに日本流には不況と申しました。海外の経済的な発表というもの、認識でいえば、これはスローダウンでありまして、リセッションとは呼べない状況でございます。  今回もそのスローダウンが来る、それがどの程度かということでございますが、私どもの方はせいぜい三%前後のスローダウンであろう、そこにどういうふうに軟着陸さしていくか。五%からいきなり三%に落ち込むと今申し上げたようにいろいろ経済トラブルになりますので、五を四に下げ、三に下げ、うまくいって、かつその三%の時期が短い方がよろしいわけでございますので、うまくそれを短くすれば、今まで不況の一番短いのは九カ月でございますが、私ども六カ月未満は不景気と呼んでおりません。したがいまして、引き続き二・四半期以内、四、五カ月でさっとそれを通り抜けるような格好にしていきたい。なだらかにというのは、経済成長率がプラスのままだんだんなだらかに減ってくるという意味でありましで、拡大というのは実質GNPがまだふえ続けているということを申し上げているつもりでございます。  なお、質問の後半にございました平成年度の政府経済見通し実質三・八%は、これは確実に達成できるんですが、正直な話、ことしの一—三月が実は年率一一%という、これはもう湾岸の関係のいろいろなあおりを食ったものですから、昨年の十—十二月がシュリンクした、縮んじゃったために一—三月が非常に伸びた。年度末がそうなっておりますので、統計上はことしの経済成長率はかなり高目に出てくる可能性があるものですから、私どもは、三・八%年度成長は必ずできますけれども、それ以上に海外要因を除いたGDP、国内の経済の伸びをなだらかにうまく四半期ごとに一%程度の運営をやっていきたい、そちらをいわばかなり強く頭に置いて運営させていただいている、こういう状況でございます。
  91. 森本晃司

    ○森本委員 経企庁長官、ありがとうございました。  それでは、なお引き続いて通産大臣にお伺い申し上げます。  経企庁長官は、なだらかに減速しながら、引き続き拡大している。一方、通産大臣は、どちらかというとミクロ的に見た場合の厳しさを先ほど私に御答弁いただいたわけでございます。先般、二十日、記者会見で、公定歩合の引き下げの必要性の発言を通産大臣はされましたが、その真意についてお伺いしたいと思います。  これは、先ほどの答弁から考えると、恐らく中小企業の資金繰りの逼迫、あるいは貿易黒字の再拡大、貿易摩擦が起こってくるのではないだろうか、そういう懸念もあっての通産大臣の御発言ではないかと思うわけでございますが、その公定歩合引き下げの発言の真意。同時に、もう一つは、バブル経済は崩壊したとは言うものの、地価水準は依然として高値安定で推移している、ここで公定歩合が引き下げになったときに、地価引き下げ等が、今日までの問題が無に帰するおそれはないだろうか。そういった点も踏まえて、通産大臣の公定歩合引き下げの発言に対して御答弁をお願いしたいと思います。
  92. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は、産業の全体的な、製造業を中心にした産業構造のメンバーにいろんな形でこれは調査をさせていただいた、その結果の判断を選択肢の一つとして考えたらどうか、こういう言葉で述べたつもりでございますが、大体現状としてはそれを希望している人もあるいはまた企業も非常に多いなということは切に感ずるわけでございます。  御指摘のとおり、この問題は、先ほどちょうど、経済の見方が多少経企庁と違うようなあれに受け取られたら、これは困るのでございますが、まありセッションというのとスローダウンしていくというのとちょうど意味が違いますように、そういう言葉遣いで多少ちょっとニュアンスの違いがそうとられるかもしれませんが、その点を御容赦を願いながら、前段にそれを申し上げて、申し上げてみたいと思うのです。  近年の地価高騰というのは産業活動であるとか国民生活全般に悪影響をもたらすものであることは、これは必定でございまして、それで土地問題というものは的確な対応を要する目下の緊急課題である、これは認めなければならないと思うのでございます。  そこで、このような状況のもとに政府といたしましては、まず土地の有効高度利用を促進するために土地税制の総合的な見直し等の土地対策を講じているところであることは御案内のとおりでございます。しかし、全般的に言うならば、各企業が全部バブルをやっておったわけではございませんから、真っ当にしてやっておる企業の方々が、そのあおりを受けたがゆえに金利政策で締められて、自分たちの正常な、ノーマリティーといいましょうか、それを失っていくような形で倒産に導かれるようなことがあってはこれまたならない。これは、私ども責任上考える次第でございます。  そこで、最近の地価の現況というものを全般的に見ますると、これまた御指摘がございましたが、総量規制等の効果もございまして、昨年末からあらわれ始めた地価上昇の鈍化傾向といいますか、これはことしに入ってからは強まったと思います。そして、下落または鈍化しているという地域が拡大しているんじゃないだろうか、全般的に非常に行き渡ってきたなという感じは受けるのでございます。  一方、最近の経済動向そのものは、マネーサプライの伸びの低下あるいは景気の減速等が見られまして、物価全体が安定化の方向には行っているのではないだろうか、これは、この間の総理府の統計でもあらわれておったとおりだと思います。そうして、こういう状況のもとに、よりさらに息の長い内需拡大を持続させるよう機動的な政策運営を図るということが何はともあれ必要なことでございますから、これによって再び地価の高騰がもたらされるというようなことはまかり間違えてもあってはならないことだというように考えておるということも、ここで念を押しても申し上げておかなければならぬと思っておるわけでございます。  そこで、通産省としましては、従来から土地対策の一環として産業の地方分散というものを推進してきたところでございますが、今後も関係省庁と協力をしながら土地問題にも積極的に取り組んでまいろう、このように思っておる所存を申し述べたい。  そういう意味において、公定歩合の問題を申し上げたのも、全般的な企業体がどういう選択肢を希望しているかということは、それぞれによってこれはニュアンスも違いますけれども、そういう中において、その選択肢の一つとしてお考え賜るべき要素の一つではありますよということを、産業構造、生産的におやりになっている企業群を抱えて、しかもなおかつ私どもがいろいろと日常お会いさせていただいているこういう方々の御意見も反映することも、私どもの省庁としての責任がなという感じでございまして、それを率直にそのまま述べさせていただいたというのがこの間の発言の骨子であった、このようにおとり願って結構だと思います。  以上でございます。
  93. 森本晃司

    ○森本委員 公定歩合の引き下げ等々、これは財界の中でも賛否両論に大きく分かれているところでございますが、この点については今後慎重に、また経済発展のためにもなるように、いろいろ考えていっていただかなければならないと思います。  そこで、日銀の短観を見てみますと、業況判断あるいはまた企業収益、こういった点等々から見ますと、今後の中小企業の先行きが懸念される状況にはあるのではないだろうか。景気も減速を始めました。そういう状況になりますと、ともすればそのあおりをずっと受けてくるのが中小企業でございます。そういった懸念を私は合しているわけですけれども、この日銀短観等々から見て、中小企業の今後の状況について今どのように判断されているかをお伺いしたいと思います。
  94. 南学政明

    南学政府委員 中小企業の景況でありますが、これまで息の長い成長、日本経済全体の成長の過程の中で、総じて見れば底がたい動きを示してきたわけであります。  しかし、最近では様相が少し変わってきているように思うわけであります、第一に、生産指数が一進一退を続けておりますし、在庫率も上昇傾向にあります。第二に、売り上げの伸びの鈍化が見られます。第三に、利益が減少傾向にあります。第四に、倒産件数が、八月に八百八十八件と、水準としてはなお低いのでありますが、増加傾向をたどっております。第五に、資金繰りがタイト化傾向を示しております。そして、こうしたことから現在の景況について慎重な見方をする中小企業が大分ふえてきたということが挙げられるわけであります。御指摘の日銀短観を見ましても、中小企業の業況判断は、よいとする企業と悪いとする企業の割合の差が縮小してまいりまして、先行きに対する見方も厳しいものとなってきておhます。  こうしたことから、中小企業の景況の先行きに対する不透明感が強くなってきていると私ども判断をいたしております。このため私どもは、中小企業の景況につきまして現在細心の注意を払いながらその動向把握に努めているところであります。
  95. 森本晃司

    ○森本委員 確かに今長官の方からも厳しい見方を、判断をしていただいたわけでございますが、短観の中で、さらに資金繰りの点で、先ほど長官の第五番目の理由のところにも挙げられておられましたが、これは資金繰りのDI、楽であるから苦しい分を引いだというのは、だんだん厳しい状況になっている、同時に金融機関の貸し出し態度のDIですが、緩いから厳しいのを引いた状況が、今度は逆にだんだん厳しいという数字が今出ているところであります。金融引き締めとバブル崩壊に伴って、大企業証券市場からの資金調達にかわって銀行融資への依存度が高まって、同時に加えて、BISの自己資本比率規制による銀行の中小企業に対する融資選別及び貸し渋りが見られるのではないだろうか。こういったことについてどう対応されていくのか。またさらに、これからちょうど年末を迎えるときであります。そのときに、中小企業に対する政府系の金融機関の融資枠の確保について同時に御答弁願いたいと思います。
  96. 南学政明

    南学政府委員 近時の株式市場の低迷によりまして新たなエクイティーファイナンスが困難になっている一方、既発の転換社債等の償還のため今後多額の資金需要が生ずるわけでございます。このような事態を背景に、先生指摘のとおり、大企業金融機関借り入れ依存を高めていくということになりますと、金融自由化の進展、BIS規制への対応等もありまして、民間金融機関が中小企業に対し、特に選別融資の姿勢を強めていくことも懸念されるわけであります。  一方、最近の調査によりますと、確かに中小企業の資金繰りのタイト化傾向が見られるわけでありますが、これまでのところ中小公庫あるいは国民公庫への資金需要は、堅調ながらも落ちついた動きを示しております。  こうした状況の中にありまして、私どもは、政府系中小企業金融機関の資金については、所要の資金規模を確保していると考えておりますが、いずれにしても、通産省としては御指摘の点を踏まえ、今後の経済金融情勢を注視しながら、中小企業に対する政府系中小企業金融機関からの良質かつ安定的な資金供給に遺漏のなきよう、万全の努力を払ってまいりたいと考えております。
  97. 森本晃司

    ○森本委員 バブル経済でもうけるときは大企業がもうけて、そして苦しい状況に入ってくると今度は中小企業がそのあおりを受ける、そういうことのないようにしていかなければなりませんし、殊に従来までは土地が大変な担保等々になっておりましたので、その点についてまだ担保能力が中小企業に多少あったというのは、今回のいろいろな流れの中で救われた点でありますけれども、それがだんだん厳しくなってまいります。どうぞ中小企業庁として特に中小企業金融問題、いろいろと財投の弾力的運用等々に力を入れていただきたい、そのように思うところでございます。  それでは次に、公取においでいただいておりますが、いろいろと損失補てん問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、損失補てんという利益供与が不公正な取引に当たる、これはもう当然のように思うわけでございますが、まずこの損失補てんの問題に関して独禁法適用についての公取の考え方をお伺いしたいと思います。  また、当然不公正な取引方法、不当な利益による顧客誘引の禁止違反が濃厚でございます。事前の約束、それはもう濃厚と思われますが、同時に、そういったことはもちろんのこと、事後補てんについても適用の余地があるのではないだろうか、このように思われます。証券会社が事後補てんをしたのは、やはり何といっても引き続いて客になってもらいたい、競争者の顧客を自己と取引するよう誘引した、そういう状況にはなっているものと私は認識しておりますが、公取の考え方をお伺いしたいと思います。
  98. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいま二つほど御質問、御指摘があったわけでございますが、まず第一点につきまして、今回の証券会社による損失保証ないし損失補てんについての独占禁止法の適用ないし公正取引委員会としての対応に対する基本的な考え方という点についてでございます。  今国会におきましてもたびたび公正取引委員会として考え方を立法府で御説明申し上げておるわけでございますけれども証券会社による損失補てんというのは、投資家の保護という観点からいえば、証券取引法の領域においてそれ自体が許されない行為である、端的に規制されなければならない行為であるということでございます。  翻って、この問題が独占禁止法上なぜ問題になるかということでございますが、これはただいま委員が御指摘になりましたように、証券会社が損失補てんという不当な利益供与の手段で顧客を誘引する、そのことによりまして証券業者相互間の公正な競争秩序が乱される、なかんずく今回の事件のようにそれが有力な証券会社によって行われる場合には、その弊害の度合いが強いわけでございます。その意味で、今回の損失補てんにつきましては、独占禁止法上の不公正な取引方法に該当するということが十分考えられるということでございますが、ただ、冒頭に申し上げましたように、証券のこの種の不公正な取引というのは、やはり証券取引規制を行う主管庁が第一義的に規制すべきである、それが行政機能の重複を避ける観点からも有効であるというふうに考えておるわけでございます。ただ、先般この問題につまして大蔵省から中間検査の結果が国会で報告されまして、同日その状況大蔵省から公正取引委員会も連絡を受けております。今後は、大蔵省の今後の検査の状況一つの手がかりといたしまして、公正取引委員会といたしましても事態の究明を急がなければならないと考えております。  ただ、大蔵省が最終的に行います、あるいは行うことを表明いたしております処分の結果を見定めまして、今回のような損失補てん行為が仮に独占禁止法違反に該当する行為であるということになりますれば、大蔵省の処分の状況等を見定めまして、排除措置としてさらに独占禁止法上の措置をとるかどうかということを最終的に判断をいたしたいと考えております。  それから第二の点でございますが、損失保証ないし損失補てんという形での利益供与でございますから、今委員が御指摘になりましたいわゆる事後補てんと言われているもの、これも態様によりましては当然のことながら不当な利益の誘引手段に該当するというふうに考えております。
  99. 森本晃司

    ○森本委員 今公取からの答弁をいただいたわけですが、確かにおっしゃるとおりに大蔵省を第一義としてその調査状況を見守っていくんだ、こういうことでありますけれども大蔵省の中間報告もこれございましたが、公取自身は独自の調査は行っているのですか、その点はどうですか。大蔵省調査に任せているところですか。その点をお願いします。
  100. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいまも申し上げましたように、一昨日でございましたか、大蔵省の検査の中間結果が国会に報告されまして、その状況の連絡を同日私どもは受けております。これを契機といたしましてそれからなお最終調査に向けて大蔵省自身も調査をしているようでございますけれども、そういった調査を足がかりといたしまして、公正取引委員会として事態の究明を急ぐということを申し上げているわけでございます。
  101. 森本晃司

    ○森本委員 証取法というのは独禁法の適用を排除しないと明記されているのですから、公取の方も大蔵省に遠慮、気兼ねなく独自の調査を行ってやっていくべきではないかと私は思います。  それからもう一度確認でございますが、先ほど、事態を見てさらにどうするかということを判断したいということでありましたが、では証取法違反が明確になった場合に独禁法の適用は見送るかどうかという点について答弁願います。
  102. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 これは、委員指摘になりましたように、証取法でわざわざ明文の規定でもって証取法の規制と独占禁止法というものは相互に排除しないんだという規定がございます。これは、この規定がなくても、各種の法令におきまして独占禁止法の適用除外規定が明記されていない法律については、当然のことながらあらゆる法律について独占禁止法の適用は排除されないわけでございます。  そこで、今回の件につきまして、大蔵省がとるであろう処分の結果を見て私どもが最終判断をしたいと申し上げておりますのは、仮に本件の行為が、今後我々も事態の究明を急ぎますけれども、独占禁止法違反に該当するということになりました場合に、独占禁止法二十条の規定によりまして排除措置を講じるわけでございます。その排除措置の我々が講じる命令と大蔵省がとるであろう処分、それが重複するかしないかということでございまして、これが重複をするという場合につきまして重複的な命令を出すかどうかということは、これは行政効率の問題等もございます。したがいまして、そういうものは見きわめて十分判断をしたいということでございまして、今回の行為が仮に独占禁止法違反行為であると認定した場合に、この排除措置をとる点で公正取引委員会が下すべき判断なり措置というものに手抜かりがないように行いたいということでございます。
  103. 森本晃司

    ○森本委員 どこかでだれかが言っている言葉は果たして適切かどうかわかりませんが、今回のこの問題、大蔵省がきちんとやるべきだ、大蔵省の庭先まで掃除したくないとかそういったことが言われないように公取自身もどうぞこういった問題についても積極的に独自で行動すべきではないだろうかということを言っておきます。  次に、野村証券の行為と株式保有制限規定との関係及び、これは公取が調査をされていると伺っておりますが、その進捗状況についてお伺いしたいと思います。  株式譲渡の際に転売制限や買い戻し約束を内容とする覚書を野村証券が交わした行為、これは明らかに株式保有制限規定の趣旨に違反していると言えるわけですが、公取の謝査の進捗状況、それから独禁法の適用についての考え方をお伺いいたします。
  104. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいま御指摘になりました点でございますが、御指摘証券会社のほかに複数以上の証券会社につきまして、現在関連会社の株式を処分するに当たりまして譲渡制限を付したりあるいは買い戻し条件が付されているという問題につきまして、独占禁止法十七条、これは独占禁止法十一条で金融会社の株式保有は五%と制限されておりますけれども、これの脱法行為の疑いがあるということで今事務局で事態の究明を急いでおります。  現在までの状況からいたしまして、これらの問題につきましては、何らかの形で是正措置を講ずる処分を行わなければならないのではないかと考えておりますけれども、現在まだ作業を急いでおる途中でございまして、本日の段階で具体的な状況国会で御報告申し上げる段階にはまだ至っていない。ただ、作業は極力急ぐということでただいま取り組んでおります。
  105. 森本晃司

    ○森本委員 時間がもうなくなりましたので、あと公取の方に申し上げておきたいわけでざいますけれども平成年度の商工委員会で私も銀行の手数料問題について取り上げたことがございます。しかし今、まだまだ多くの問題がございます。例えば社債の引き受け手数料の問題等々、いろいろと自由化と言いながら受益者に利益が還元されているとは言えない問題が金融機関に相当あるわけであります。また、今回の問題でも証取法改正による監視機構設置とは別に、金融分野に対する監視体制の強化が非常に要求されているところであります。いろいろと金融証券にまつわる不祥事件が数多く明るみに出てきたところでございまして、国民の関心も非常に高いところでございます。銀行に対するいろいろ今日までの公取の事例違反というのはないのがいいかもわかりませんが、考えてみますと、昭和三十六年以来三十年来銀行に関する事例違反というのはないわけでございます。私は、実態は消費者にとって必ず有利でもない、カルテルを結んでいると思われる部分あるいは談合している部分等々たくさんあると思います。どうぞ、こういった金融分野に対しても公取の監視体制をさらに強化していくことが、今起きている問題に対して国民にこたえることになるのではないか、そのことも申し上げておきます。  最後に大臣に一言お伺いしたいわけでございますが、私も質問通告でゴルフ場の問題を細かく通告しておきました。時間がございませんので大臣にまとめてお答えいただきたいわけでありますが、先ほど来大臣ゴルフ場亡国論の問題等々もいろいろお伺いいたしましたが、ゴルフをやるとかやらないにかかわらず、今回は訪問販売法の角度から見ても断じて許せる行為ではないというふうに私も思っております。通産省にいろいろお伺いいたしますと、ゴルフ場会員数の状況等々もいまだに十分できていないような答弁も先ほどからございました。さらに会員制の問題については、ゴルフ場にかかわらずリゾートあるいはスポーツ施設等々、これから行われる研究会も、ゴルフ場だけではなしに会員制のそういったもの、いろいろな角度からやはり消費者が不利益をこうむらないようにしていかなければならないのではないか。  また、今回のゴルフ場の問題の主役は、過去にも会員権乱売で事件を起こした人が茨城カントリーの場合はなっているわけです。それで、そういったことが今度行われていることに対して通産省から何の消費者への情報通達もない。私は、機能がさびついているのではないかと思うところでございます。あわせて大臣の所感をお願いして質問を終わりたいと思います。
  106. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は、通産大臣になりましたときに、ゴルフ場まで通産省の管轄であるとは知りませんで本当に驚いたくらいでございました。  そこで、私も実はゴルフはやりませんけれども、ちなみにいろいろ聞いてみると、大体ゴルフ人口が一億前後の一年間にローテーションがあると、千七百もあると、どういう許可をとっているかというと、県に申請をし、県に出してそれを町、県が認めていく、こういう話だそうでございます。  私は、今回の茨城のこの事件でございますか、この問題を含めまして、とにもかくにももうけるためには何をやってもいい、とにもかくにもわずかな、何といいましょうか会員が例えば二千五百で目いっぱいこのゴルフ場を使えるんだというのに一万数千もこれを売りつける。この行為も行為ではございますが、これはもう詐欺行為以上に私は商業道徳上許すべからざる行為である。私はこれはもう徹底してやっつけるべきであると思っているくらいであります。ですから、そういう点においては私も通産省をそのように監督いたしますし指導もいたしますが、そういう点で、今からのゴルフ場の点検も徹底的にそのような方向でやるつもりでございますから、どうかひとつ、委員と同じ志を持つ一員としてそれを確信を持ってやらせていただきたいと思いますし、同時にまた、大いに叱咤激励も賜りたいと思っておる次第でございます。  以上です。
  107. 森本晃司

    ○森本委員 ありがとうございました。
  108. 奥田幹生

  109. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、まず、製造物責任法の制定を促進する立場から幾つかの質問をいたしたいと思います。  私は、これまでのように、欠陥商品の被害者が加害者の責任を立証しなければ賠償を受けられない法体系のもとでは、その立証の難しさのために被害者の大部分が泣き寝入りしてきたのが実態ではないかと思いますが、通産当局は現状をどう認識しておられるでしょうか。
  110. 麻生渡

    ○麻生政府委員 製品の事故につきましては、私どもは、事故の未然の防止あるいは再発防止、さらに被害の迅速な救済というような非常に総合的、幅広い観点から消費者の保護を図っていく必要があるというふうに考えております。  事故の防止のサイドにおきましては、いろいろな安全規制が行われておりますし、また自主安全基準も設定されております。また、万が一不幸なことに事故が起きました場合におきましても、事故の情報収集あるいはその再発防止の指導も行っておりますが、さらに救済につきましては、SGマーク制度その他の迅速な救済が行われるようないろいろな制度もございますし、また国民生活センターその他の窓口において苦情処理を行っておるというような状況でございます。  他方、企業のサイドにおきましても、近年このような意識が非常に高まってきておりまして、いろいろな窓口を設けて対応するという努力も行われておるというふうに認識をいたします。  したがいまして、泣き寝入りということでありますからなかなか表からわかりにくいことかと思いますけれども、私どもとしましては、今申し上げましたような制度を通じまして泣き寝入りというようなことが起こらないようないろいろな対策を講じておるという状況でございます。
  111. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私どもの党は、既に十数年前に、森永砒素ミルク、スモン、カネミなどの裁判が相次ぐ中で、製造物責任制度の確立をいち早く掲げました。残念ながら我が国ではこれがまだ実現をいたしておりません。  そこで次にお尋ねしたいのですが、既に世界的に見ると大部分の先進国ではこの製造物責任法が実施されているというふうに伺っておりますが、現状、いかがでしょうか。
  112. 麻生渡

    ○麻生政府委員 製造物責任制度という概念そのものは相当広い考え方でございますが、中核になります責任上の過失責任から欠陥責任への転換ということであるというふうに理解いたします場合には、これはアメリカあるいはヨーロッパの一部で導入をされておるという考え方でございます。  ただ、アメリカの場合におきましては、確かにこのような考え方の転換が判例の積み上げによってなされてきておるわけでございますけれども、一方で、製造物責任危機と言われるような事態が起こっておりまして、この訴訟の非常に過多、あるいは賠償金額の高騰によるいろいろな保険危機あるいは新製品の開発がなかなか進まないというような問題もございます。  一方ヨーロッパでございますが、これは現在、ECの国々の中で八カ国がこのような法制を持っておりますが、そのほかの国々でも検討ないし審議もされておる国もございます。  以上でございます。
  113. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今ECまでありましたが、EFTA加盟の諸国も今大部分は制定したりしておるわけですよね。だから、そういう意味で、もうこの製造物責任法の制定が世界の大勢になっていることは明らかだと思うのです。  我が国の中でもこの制定を求める声がますます大きくなっていることを示すアンケートの結果が幾つもあります。その一つは、経済企画庁が全国の消費生活相談員に対して行ったもので、五三・六%が早急な導入を求め、これに将来は必要と答えた者を合わせると実に九四・二%に達しております。注目すべきは、日本経済新聞が本年二月、各企業のトップに対して行ったもので、これも、内容次第で立法化を認めるというものが八四・八%になっております。さらに、この製造物責任法の制定でむしろ困難な立場に立つと予想される中小企業でさえ、AIUが、これはたしかアメリカの保険会社だと思いますが、調査した結果では八五%が立法化を認めております。我が国でも、このような数字を幾つか見てみるならば、もうここまで国民的な合意が進んでいるのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  114. 麻生渡

    ○麻生政府委員 今お挙げになりましたような調査があるということは私どもも承知をいたしております。  ただ、一方で、私ども産業を担当いたしておりますから、産業界のいろいろな方々とのいろいろな意見の交換をする場もあるわけでございますが、その場におきましては、やはりアメリカでのいろいろな経験等々にかんがみまして、これはよほど日本の実態に合ったものでなければ、アメリカの二の舞を踏んではいかぬというような意見も非常に強いわけでございますし、また、中小企業の関係者では、この及ぶ範囲というのが非常に広範なものになるということが当然予想されますものですから、中小企業者の地位がどういうことになるかということも含めまして、いろいろな心配を持っておられるという向きも多いわけでございます。
  115. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今申し上げたような世論の動きの中で、政府が本年六月に製品安全対策研究会の報告を受けて、法の制定を当面見送るというふうに報じられるような態度をとったということは、多くの国民に深い失望感を与えたのではないでしょうか。私も早速その報告を読んでみたのでありますが、いわゆる製造物責任制度も検討すべき重要な一つの方法であるとは書かれているのですが、すぐその後に積極論と消極論がいわば両論併記の形で書かれておりまして、結局この報告がどっちを向いているかはっきりしないわけであります。  今のお話を伺っておりますと、産業界のトップの中に日本の実情に合ったものでなければという御意見が強いのでというようなお話もあったのですけれども、そうすると、そういう実情に合ったものならばまあいいがというふうにも聞こえるわけですけれども、その辺も含めてこの際姿勢をはっきり聞かせていただきたいのです。
  116. 麻生渡

    ○麻生政府委員 今冒頭引用がございました製品安全対策研究会の報告書でございますが、これは、通産省の関連団体でございはす日本産業協会の中に置かれました研究会の報告でございます。内容は、今御指摘のありましたように、いろいろな角度からこの問題を検討いたしておるわけでございますが、問題点あるいはそれに伴うどういう措置が検討されるべきかというようなことがいろいろ分析をされております。  最後の、日本に合ったといいますのは、これは非常に漠然とした言い方でございましたが、日本の場合には未然防止対策としての安全規制あるいは被害者救済としてのいろいろな、薬の場合の薬害基金とか、あるいは私どもがやっておりますようなSGマーク制度等々のいろいろな制度が行われておるというようなことも十分考えなければいかぬというような意味も含まれておるわけでございます。
  117. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いや、今のお話でははっきりしないのですけれども、要するに、一もう当面はこの製造物責任制度というのは考えないで、今言ったような今まであるような制度を充実するとかそういうようなことを考えていごうということに踏み切ったのか。それとも、問題点がいろいろあるから煮詰めていって、世界的にはそういう方向なんだから日本としてもそういう方向へ行こうと考えているのか、その辺はまだわかりません。はっきりさせてください。
  118. 麻生渡

    ○麻生政府委員 この製造物責任制度そのものにつきましては、これは一つの考え方でありますから、私ども通産省内部でもいろいろな角度から研究をいたしております。ただ、製品に係る安全対策あるいは被害者保護という点から見ました場合には、この製造物責任制度そのものはいわば裁判規範、一番最後の紛争解決、一番最後の部分でございまして、これは一つの分野でございますけれども、全体の未然防止あるいは迅速な救済あるいは情報提供というような総合的な対策の一環ということで今後いろいろ考えていきたいと思っておる次第でございます。
  119. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今のお話ではまだ私は理解できませんね。  そこで、大臣にこの際お尋ねをしたいわけであります。  私は、これ以上製造物責任法の制定を引き延ばせば、国内で欠陥商品の被害者たちの救済がそれだけ放置されるだけでなく、先進国の中で日本だけがこういう制度を持たないということが、国際競争の条件にとっても不公平をもたらすものとしてまた新たな国際的な非難を浴びることにもなりかねないのではないかと思うのです。そういう意味でも、大臣に、一刻も早く、問題を煮詰めて、やはりこういう制度日本でもつくっていくべきである、この際明確にひとつ方向づけをいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  120. 中尾栄一

    中尾国務大臣 消費者の保護の推進につきましては、通産省としましても国民生活のゆとりと豊かさというものを実現する上で重要な政策課題と考えておりまして、何はともあれこれまでも種々の事故防止対策あるいはまた災害対策等を講じてきたことは先生案内のとおりでございます。  製造物責任制度というものにつきましては、消費者保護の充実に資するものであるとの認識を持っておるわけでございますけれども、他方影響する範囲の大きさというものから考えますると、検討に当たりましては米国における制度の行き過ぎへの反省等いろいろと諸外国の動向やあるいはまた中小企業や下請企業、流通業者等々に与える影響等を含む社会経済活動への影響なども十分勘案しなければならぬことではないかな、こう思っているわけでございます。  そこで、当省としましては、まず製品事故と被害救済の実態と。いうものを十分把握するということが先決ではないか、それから製造物の責任制度に係る課題を総合的な観点から十分検討していくことが必要だ、その上に立って国民的コンセンサスが盛り上がっていくということが、まず先行すべきことではないのかな、こう思うわけでございます。  絶えず立法という言葉を使われますけれども、立法の問題といいましても、例えば先ほどのゴルフ場の問題ではございませんけれども、二千五百件くらいが一番妥当だったものを、三千件はいろいろの義理があり、どうしても会員権を欲しいからといって渡してやった。これは私は理屈としてはかわいげがまだあると思うのです。ところが、二千五百件でいっぱいだというのを一万数千件もとるなんということは、これはぼろもうけだけしようという根性以外何物でもないのですから、こんなものは許すことはできないよと私は申し上げているのです。  そこで、立派に一生懸命やっておられる方々もおるのですから、そういう方々に対してはなるべく、立法という形で枠をはめていく前に幾つかやるべきことはあるという意味においての国民コンセンサスというものをもう少し醸成させていくということを見きわめることもこれまた必要だ。万が一の場合のケースに立法ということは当然のことではございますけれども、そういう方向づけで考えていくべきものではないか。物の考え方のとらえ方としては、私は先生の考え方が間違えているなとは思っておりません。それだけのことでございます。
  121. 小沢和秋

    小沢(和)委員 もっとお尋ねしたいのですけれども、時間がありませんから次の問題に移りたいと思います。  次に、改正された大店法の施行準備と、これに関連して商店街対策についてお尋ねをいたします。  先日大店審の新しい審査体制、その審査プロセス等の基本的方向について説明を伺いました。これによると、大店審の担当審査会は、出店表明が行われた予定地で、まず消費者、小売業者及び学識経験者のそれぞれについて三ないし五名程度を選んで意見を聴取する。その上で、さらに一層の地元関係者の意見聴取及びその集約を不可欠と判断する場合にはこれを地元の商工会議所などに依頼することになっております。  お尋ねしたいのは、どういう場合に不可欠と判断をするのか。また、その結果をできる限り尊重しつつ審議するとあるが、これはどういうことなのか。私の考えでは、地元反対などの運動が起こったりしておれば必ず不可欠ということで対処をすべきだし、地元から集約されてきた意見については原則としてこれを認めるということでなければ実情に合った調整ができないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  122. 麻生渡

    ○麻生政府委員 新しい大店法のもとにおきます審議やり方については今いろいろな形で議論を詰めておるところでございますが、具体的なやり方につきましては、今先生からお話ありましたように、審査会を原則としまして各県ごとに設けまして、この審査会の委員の方々が実際の出店表明がありました地元に行きまして、消費者あるいは関係の小売業者あるいは学識経験者から意見を聴取をするというやり方を考えております。その場合に、一度やるわけでございますが、その結果やはりもっと地元意見の成熟を求めたいという場合には、意見の集約を地元の商工会議所あるいは商工会にお願いをするというふうに考えております。  その場合に、どのようなケースの場合にお願いをするかということでありますが、これはなかなか一般的な基準というのはつくりにくいわけでございまして、いろいろの案件によっておのおのの事情があるということでございますが、要は地元意見、これが相当ばらばら隔たりがあって、もう少し地元の中で十分議論をしていただいて、その議論を成熟させ、あるいは方向を見出すという努力をしていただいた方がいいというふうにこの審査会の方で判断いたします場合には、これは地元での意見集約をお願いするというふうに運用をしてまいりたいと思うわけでございます。  それから、その場合に、集約された意見、これは地元における非常に重要な意見でございますから、その意見はその後の審査会においてできるだけ尊重するという方向審議を進めていくというふうに考えております。
  123. 小沢和秋

    小沢(和)委員 残念ながら、私はどういう場合が不可欠か、どんなふうに尊重するというのかと言っているのに、尊重するというのは尊重することですという程度のお話で、お答えとしてははっきりしないと思います。  しかし、時間がないから次にお尋ねをしたいのですが、審査の過程において、町づくり等に関し市町村当局等からの意見聴取がなされるよう配慮するとあります。これは国会での議論を反映したものとして歓迎いたしますけれども、このことは、どのように結論に反映をさせるということなのかお尋ねをしたいのです。例えば、周辺の道路事情等を考慮して店舗面積を決めるとかいうような形でこれが結びつかなければ、私はおかしいのではないかと思うのです。  それから、もう一つお尋ねをしますけれども、さっき同僚議員から、都市計画法では建てられないはずの地域に大型店の申請がなされて、その審議が商調協で進んでいるという例が問題にされました。こういうことが新しい審査体制になって起こった場合に、市町村から都市計画法で、そういうところに大型店をつくってくれては困るという意見がここで開陳されたような場合、私は、それを無視して店舗面積これぐらい出したらよかろうなどというようなことは言えなくなるのではないかと思うのですが、その点とういうふうにお考えでしょうか。
  124. 麻生渡

    ○麻生政府委員 大店法そのものは、商業関係の利害を調整する商業調整ということが法の目的でございます。しかし、一方におきまして、実際に店を開く、あるいはそこでいろいろな中小、大店舗の協調がなされるという場合に、町全体がどうなっていくのかということ、これも非常に重要な要素でございます。さらに、町特定の部分というよりも、都市全体はどうなるのかということも一つの要素であろうと思います。したがいまして、今後の大店審の審議におきまして、町づくりという要素は相当配慮しなければならぬというふうに認識をいたしております。このため、審査会の審議のプロセスにおきまして、市町村当局から、これは町全体あるいは都市計画その他の広い観点からの責任者でございますから、そこからの意見を聴取するという形のプロセスを設けて配慮してまいりたいと思います。  最後に質問がございました都市計画法と大店法との開係でございますが、これは先ほどもございましたように、法律としては別の法益を持ったものでございますから、おのおの別の手続であり、おのおの別々にそれぞれのクリアを得なければいかぬということになるわけでございますが、今出されたようなケースの場合、例えば明確に都市計画上ここはそういうものは建てられないということを市町村が言っておる場合、これはそういうことを言っておるということを十分念頭に置きながら審査がなされるものというふうに考えております。
  125. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今の最後の点だけもう一遍伺いますけれども、今までは少なくとも店舗面積とかあるいは開店の時期とか、例の四項目を調整するわけですね。そうすると、建ててくれちゃ困るという意見を市町村が開陳した場合、この四項目だけをそこでやりなさいということになっておったら、建ててくれては困ると言っているのがどこにどういう形で反映するのか、今のお話ではっきりしません。
  126. 麻生渡

    ○麻生政府委員 大店法上の調整事項は、今御指摘のありました四項目でありまして、したがって大店法での調整はそれをやるわけでございますが、都市計画法上全くそこにできる余地がないということになってきた場合には、これは当然出店者側におきましても、将来の建築許可等がとれないわけでございますから、そこにはおのずといわば常識が働いていろいろなプロセスに反映されるのではないかと考えます。
  127. 奥田幹生

    奥田委員長 時間ですから、簡単に。
  128. 小沢和秋

    小沢(和)委員 じゃ、これで終わりにしたいと思いますが、大店法の改正が本委員会審議されたとき一番問題になったのは、周辺商店街への大型店進出による打撃でした。この点で、私、大臣にお尋ねしたいと思うのですが、その当時、当局は、中小商店街に思い切ったてこ入れをするというふうに繰り返して言っておられたわけであります。最近、中小企業庁が五年に一度の商店街実態調査結果というのを発表しましたが、驚いたことに、停滞及び衰退しているという答えが九一・五%に達しているのですね。だから、本当にこれはてこ入れを真剣にやっていただかなければいけないと思うのですが、ことし思い切って商店街活性化の予算を組んだというので、私、地元状態を調べてみたら、いわゆる駐車場とかそういうような関係を整備するための予算というのは、福岡県内に五カ所しかぎてないのですね。福岡県内だけで六百ぐらい商店街はあるのですよ。思い切ってやったというのがこの程度というようなことでは、私は本当にまだまだ二階から目薬だなという感じがするのです。もう時間がないから、一切それ以上のことは言いませんけれども、まだまだ大臣としては、来年度へ向けて、こういう深刻な状況だということで、思い切った予算の増額などの措置を考えていただかなければいけないのじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  129. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員指摘のとおりでございますが、何せ国家財政御案内のとおりの状況でございますから、今までとは違って、中小商業の予算も、私も当時まだ通産大臣じゃありませんでしたが、相当力も入れましたけれども、千六百億強という、今まではないくらいな予算は計上したことは事実でございますが、日本全体、北海道から九州に至るまで全部網をかぶせたように、全体がうまくいくというほど予算そのものが満ち足りているものとはとても思えません。したがいまして、今からも御趣旨に沿いまして、存分にまたお力もかりまして、そして中小企業の育成のための振興資金というものは大いにひとつ取り計らいたい、また私なりにも全力で投球してみたいと思っている次第であることを申し上げたいと思います。
  130. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  131. 奥田幹生

    奥田委員長 川端達夫君。
  132. 川端達夫

    ○川端委員 大臣、よろしくお願いいたします。  まず初めに、いわゆる構造的な問題を抱えた業種、いわゆる構造不況業種の対策についてお尋ねを申し上げたいと思うのですが、前百二十国会でいろいろ議題となりました中に租税特別措置法の改正というのがございました。その中で、いわゆる俗を言葉で言うバブル経済、そして土地転がし等々不当な利益を得るということは戒めなければいけない、そういう中に、企業が使いもしない土地を買って、それをまた売るというときの税制を見直そうという中に、いわゆる買いかえ資産の圧縮記帳というものをやめようということがございました。税制全体あるいは土地税制という考え方での分は我々もよしといたしましたけれども、そういう中で、いわゆる結果として構造不況に悩む業種が業種転換あるいは設備の更新等々を図るときに、貴重な土地資産を売却して起死回生の設備投資をしようというふうなことにこの税制が非常に役に立ってきていたことは事実である。だから、これがなくなるのであればそういう構造不況業種に対するてこ入れ対策として、通産省としては新たな違う制度等々を含めて、こういう実質的に非常に役割を果たしてきたものにかわるものを考えていただかないといけないのではないか、そういうことを申し上げてきたところでございますし、私も前の委員会でそういうことを御要望を申し上げましたけれども、そういう構造不況業種がいわゆる長期所有土地から減価償却資産への買いかえ特例の廃止を受けてなくなったということで、いろいろな手だてを講じなければいけないという御認識はお持ちいただいていると思うのですが、まずその点を御確認させていただきたいと思います。
  133. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 ただいま川端先生からお話がございましたように、いわゆる十五号買いかえ特例、すなわち十年を超える期間保有された土地等から減価償却資産に買いかえた場合の課税の特例制度でございますけれども、これにつきましては、御指摘ございましたように、土地の資産としての有利性が助長されるといった指摘の中で、前国会、租税特別措置法の改正によりまして、平成四年一月一日から廃止されるということになったわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、御指摘ございましたように、その国会におきまして御指摘のような御議論がございました。私どもそのような御議論を十分踏まえて、省内で検討をしているところでございます。
  134. 川端達夫

    ○川端委員 この問題は、いわゆる構造不況業種にとっては非常に大きな、まさに死命を制する、産業自体にとっても大変なことだと思います。長年やってきた事業を、資産を売却して設備投資をして近代的な工場にするという道を閉ざされることになる、結果的にはマンションを建てる、そして働いている従業員は失業をするということになつかねない。産業構造全体にも大きな影響を与えるということでございますし、大臣も先百二十国会予算委員会の分科会でも、うちの書記長が御質問申し上げたときにも、検討をしていきたいという御答弁をいただいたのですが、時期も大分たってまいります。今の御答弁の中で具体的にどういうふうな方向でこれから進められるのか、もう少し具体的にお述べいただきたい、教えていただきたいのですが、いかがでしょう。
  135. 中尾栄一

    中尾国務大臣 通産省として検討してまいりました結果をまず申し上げますと、産業政策の観点あるいはまた中小企業対策の観点からは、新たな買いかえ特例というものを創設するように要望するに至ったところでございます。  具体的には、まず繊維産業あるいはまた石炭産業及び一部の中小企業につきましては買いかえ特例を創設するようにということで財政当局に対して強く要望を行っておるところでございまして、今後政府内部で調整を行っていくこととしていくことを御報告申し上げておきたいと思います。
  136. 川端達夫

    ○川端委員 大臣から非常に前向きに通産省としてお取り組みいただいていることを御答弁いただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。  大蔵省もお見えをいただいていると思いますが、今大臣から通産省としての方向をお示しいただきました。前国会の分科会でもそういう省庁間の協議ということがあれば受けとめていきたいというふうなことも言っていただきましたが、現時点で、今通産省としての方向は決まっていったということで、これからの協議の問題だと思いますけれども大蔵省としてもぜひとも真っ正面から受けとかていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
  137. 尾原榮夫

    ○尾原説明員 来年度の税制改正の要望につきましては、ただいまの通産省を初めといたしまして各省庁から現在寄せられております。それで、今ちょうど順次ヒアリングを行っている最中でございまして、今後年末にかけて検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  この長期所有土地等から減価償却資産への買いかえ、これは一月一日から廃止ということになっておりますけれども、それは議員御承知のように、この特例が区域の指定なく認められてきたということで、かえって望ましくないところへ出ていくとか、あるいは望ましいところなのに、そこからまた離れていくとか、そういう弊害が見られたところでございますし、また、将来の設備投資の資金に充てるため余分の用地を手当てしておこう、それで値上がりを期待するという企業行動を招くといった弊害が生じていたわけでございます。そういうことから廃止ということになったわけでございます。  それで、この長期所有土地からの減価償却資産への買いかえ特例の廃止というのは、まさに土地税制の全般的な見直しにおける重要な柱の一つとして平成四年の一月一日がち施行されるものでございまして、これを施行される前に改めるということは、実施もせずに改めてしまうこととなり、いかがなものかというふうに考えているわけでございます。  なお、百二十回国会におきまして中井議員から買いかえの特例の廃止により中小企業の設備投資の意欲がそがれるのではないかという懸念が表明されまして、それに対しまして大蔵大臣の方から、来年度以降の税制改正におきまして中小企業対策として具体的な御要望が出てまいりましたら検討させていただきたいとお答えしているところでございまして、私どももそのようにしたいと考えております。
  138. 川端達夫

    ○川端委員 まさに総論としてというか、全体的に土地で不当な利益を上げるという企業行動を戒めなければいけない、これは全くそのとおりだと思います。構造不況業種あるいは中小零細企業日本経済をかなりの部分で支えている。その中で、何かインチキした人——インチキと言ったら表現が悪いんですかね、そういう金もうけをするということとは切り離した形で、本当にいわゆる産業政策としての適切な税制を新たに考え直すという立場で取り組んでいただきたいというお願いでございます。ぜひともその分だけは趣旨を御理解して検討していただきたいというふうに思っています。  それでは次に、これも非常に現在厳しい経済環境に置かれている、全体的に景気がいいという中で厳しい環境に置かれている生糸、絹関係の実態についてお尋ねを申し上げたいと思うのです。  農水省の繭糸課長さんもおいでいただいていると思いますが、昨年末に農水省が絹需要増進に関する今後の行動計画というのをおまとめになりました。絹需要を増進させていく、いわゆる川下の方で需要喚起をしていくということで全体的にそういう絹業界の活性化を図っていこうというふうな観点でございまして、これは非常に結構だと思っておりますが、その根元のいわゆる川上、川中の状態というものを現状としてどう認識されているかというのをまずお伺いしたいのですが、農水省としていわゆる生糸の生産という業界自体が現状どういう実態だというふうに御認識をされているか、お伺いをいたします。
  139. 新庄忠夫

    ○新庄説明員 お答えを申し上げます。  生糸の生産の現状でございますが、先生案内のように国内の絹製品の需要が非常に減少しておりまして、これに伴いまして国内の繭の減少がかなりスピードで進んでおります。五年前の昭和六十一年度に比べますと、平成年度には約三割の減少というふうになっております。  このような厳しい状況にございまして、私ども、こうした事態の打開を図るために養蚕におきます生産性の向上、コストの低減を推進するということが必要であろうというふうに考えております。また製糸業におきましても、その川下に当たります絹織物のニーズにこたえられるような、そういった高品質あるいは多品種の生糸の生産が必要であるというふうに考えております。  また一方におきまして、先ほど先生の方からお話ございました絹製品の需要の増進、これも図ることが肝要であるというふうに考えております。このために、絹製品の需要増進対策といたしまして、製品の開発それから普及宣伝、販売促進等、こうした需要増進対策を進めておるわけでございます。  また一方で、生産対策といたしまして、養蚕の先進国でございます我が国で可能な生産性の高い、いわゆる先進国型の養蚕業の確立、これに向けまして各種の施策を進めておるところでございます。  今後とも、養蚕業の生産性の向上それから絹製品の需要の増進を図りまして、蚕糸それから繭業一体となった発展を図るということで努力していくつもりでございます。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席
  140. 川端達夫

    ○川端委員 その生糸を使って織るいわゆる絹織物というのは、これは通産省になるのですけれども、絹織物業界の現状というのをどのように認識されているのでしょうか。
  141. 堤富男

    ○堤政府委員 お答えを申し上げます。  我が国の絹織物の生産は残念ながら長期的減少傾向を続けておりまして、数字を申し上げますと、十年前から比較いたしますと約五五%、一元化輸入が始まった四十九年と比べますとほぼ半分という状況にありまして、その背景といいますのは、やはり絹需要の八割を占める和装用が、最近の生活様式の変更等によりまして構造的に減少していること、それからやはり絹製品の価格がどうしても、他の繊維製品との価格競争力で必ずしも十分な競争力を持ち得ないということで減少が続いている状況でございます。  ことしに入りましても、一—六月で見ましても前年比四%の減少ということでございまして、構造的な問題を抱えているというふうに考えております。
  142. 川端達夫

    ○川端委員 いずれにしても、製糸も織物も非常に苦しいところにいる。今局長は、需要が減ってきている、それとほかのものに比べて高いというお話でございましたが、輸入攻勢ですね、海外から非常にたくさん入ってきている。今操業としては、ここ十年あるいは十数年、一元化輸入以降は半分ぐらいに生産量が落ちたということですが、海外からのいわゆる織物輸入というものだけで見ましても、五十二年からという数字を私はたまたま手元に持っているのですが、中国が十八倍、韓国が約三倍、台湾から五倍、その他の国から八・八倍、全世界からでいえばその当時に比べて五倍入ってきているということで、国内生産の需要は半分になり、海外から入ってくるものが五倍になってきている。  こういう大変厳しい状況なわけですが、その背景といいますか、このような輸入増ということを通産省としてはどのような分析をしておられるか。どんどん輸入物が入ってくるということ自体、需要はあるということではないかな、国内のものの競争力が落ちているということではないのかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  143. 堤富男

    ○堤政府委員 まず輸入動向について見ますと、四十九年の生糸一元化輸入が導入された直後に、五十年でございますけれども、絹織物の急激な増加がございました。これを受けまして、この急激なラッシュというのは秩序ある貿易という観点から問題ではなかろうかということで中国、韓国政府と話し合いをさせていただきまして、二国間協議の結果、秩序ある輸入を行うということでこの十数年続いてきているわけでございますが、ピーク時の五十年と比較いたしますと、現在の輸入量も先ほど申し上げたように約半分という格好になっておりまして、そういう意味では基本的には輸入もかなり減少をしてきておる状況にあるという状況でございます。
  144. 川端達夫

    ○川端委員 一元化輸入したときの物すごくピークと比較されるとそうなのですけれども、その後一度落ちたときからはやはり漸増をしてきているということだと思います。それは間違いないでしょうね、私はそういうデータを持っているのですが。今のお話だと、最近ここ数年で見たときにだんだん減ってきているということですか。
  145. 堤富男

    ○堤政府委員 五十年が確かに四千万平米、五十一年が三千五百万平米、五十五年が二千八百万平米、その後漸減をしてきておる状況にあります。これは絹織物の輸入ということでございます。
  146. 川端達夫

    ○川端委員 失礼しました。無地織物の数字を私は申し上げました。絹織物全体としてそうで、需要があるというのは、需要対策をやっていただいたのは事実なんですけれども、いわゆる一番もとになる無地織物という分ではやはり随分ふえてきているということ。ちょっとベースが違いまして、失礼しました。ふえてきているという実態にあるのも事実だというふうに思います。  そういう中で、無地織物でちょっと、去年いろいろな糸の乱高下がありましたので調べてみたのですが、大体委員長がおられる京都とか滋賀とかのいわゆるちりめん無地織物というのが一番高級なものですけれども、こういうものの製造価格が、今日本産が二万数千円しております。そして輸入品が平均しますと大体六千数百円なんですね。そして、その中に占めている生糸の価格というのが日本産の場合に一万四千五百円ぐらいしている。原料の生糸が一万四千五百円で、いろいろ加工し、合理化に努めて二万数千円になる。ところが、全部でき上がったものが外国からは六千数百円で入ってくるという中で一生懸命頑張れと言うことができるのだろうかというところに非常に深刻な問題を抱えていると思います。  同時に、先ほどお伺いしましたように、生糸の産地を含めた、いわゆる繭等々を含めたことでいうとまた大変だということになってきている。そして、それはやはり産業という意味では、これは伝統工芸品、芸術なんですというふうなものとは、本来そういう要素もありますけれども、違う。やはりそこで働いて頑張っている人がいるわけですから、そういうときのこれからの産業政策というものをよほどしっかり立てていかないと、もうこれはなくなる、どちらもなくなるしかないということになるのではないかな。  そういう意味で、時間がもうありませんので、農水省、せっかくお見えでございますので、いわゆるそういうときに何とか頑張りたいという中の御要望の中に、一元輸入というのはもう少し実態に合わせたことに変えられないんだろうか。同時に、実需者割り当てということに、日本の生糸、繭もそういうことで非常に厳しいという中で、外国から繭を買いたいということもいろいろ制限をされるということで、輸入の糸を買うあるいは繭を買うという輸入枠あるいはそういう実需者割り当てなどの拡大というものに関して農水省はどういうお考えをお持ちなのか。日本の生糸、繭生産者ということだけに置かれると、その後の方は成り立たないという現状の中での、そういう織物業界等々が御要望しておられることに関してどういう御見解をお持ちか、お尋ねをしたいと思います。
  147. 新庄忠夫

    ○新庄説明員 お答え申し上げます。  まず生糸の一元輸入制度でございますが、先生案内のとおりこれは昭和四十六年に国会の御発議によりまして議員立法という形で法制化されたものでございます。当時国内の生糸需要が非常に不均衡になっておりまして、海外からの無秩序な輸入を防止する、それから生糸の価格の安定措置を補完する目的で発足したものでございます。当時に比べますと、現在国産生糸の市場規模はかなり小さくなっておりますが、その状況につきましては基本的には現在におきましても変わっていないというふうに認識をしております。したがいまして、私どもといたしましては蚕糸それから絹織物の双方の業界の意向を十分踏まえながらできるだけ公平にこの制度の運用に努めてきたつもりでございますし、それから今後とも適切に運用していきたいというふうに思っております。  それから、蚕糸砂糖類価格安定事業団によります輸入生糸の実需者売り渡しの数量でございますが、これは蚕糸それから絹業の話し合いに基づきまして、年間二万四千俵、これを原則といたしまして定時定量という原則で実施することとしております。その実施方法につきましては、絹業サイドの強い要望を踏まえまして、従来二万四千俵のうちいわゆる瞬間タッチ方式、これの割り当て量が一万二千俵だったわけでございますけれども、ことしからそれを拡大をいたしまして一万八千俵に増大をさせていただいております。  それから、繭、生糸の輸入の問題でございますけれども、私ども基本的には国内の需給を踏まえまして国内生産では貯えない分を輸入するという姿勢をとっておりまして、そういった基本的な考え方のもとに蚕糸、絹業の双方の意向を踏まえながら弾力的に運用をさせていただいているということでございます。  いずれにいたしましても、今後とも関係の業界の声に耳を傾けながら繭、生糸それから絹織物の需給の安定に努めていきたいというふうに思っております。
  148. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまいましたけれども、最後に、今の農水省の部分はその立場で非常に努力をしていただいているということで、引き続きそういうことをお願いをしたいのですが、やはり抜本的にこういう生糸関連の産業というものをどうしていくのかということについては、通産省、農水省という垣根を越えて全体的な視野の中でいろいろビジョンを立てていただき、取り組んでいただく必要があるんじゃないかな。そうでないと産業全体、これは繭の方も織物も含めて、私は日本の非常に長年の歴史がある産業はなくなってしまうという危機的な状況を今迎えているというふうに思います。  そういう部分で、通産大臣に最後にお願いをして、御見解を賜りたいのですが、そういう状況の中で、ひとつ農水省の方とも連携をとる中で、一体となったそういうビジョンづくり等々ぜひともに御検討をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  149. 中尾栄一

    中尾国務大臣 何と申しますか、これは繭にいたしましても、養蚕でございますね、あるいはまた生糸、絹織物、これはそれぞれが共存共栄、両輪のごとくうまくいっておらなきゃ困るわけですね。伝統産業でございますだけに、私も大変にこれは愛着心を持って見ているのでございますが、ただ、養蚕一つを見ましても、まあ一番大きな養蚕県であります、私の県なんかもその一つでございますけれども、私がちょうど国会に出たときには六万四千軒農家でございました。今は三千軒農家でございますからね。先ほどの京都の問題でも、織物関係でもまあ約四倍でございますね。輸入が六千円だとしますと、二万四千円でございますからね、二万五千円でございますから。これも全く考えてみれば大変なことだろうなと思います。  そこで、垣根をとれということでございましたが、これは全く私も同じ思いでございまして、絹業の発展というためには、新規需要分野の開拓あるいは絹織物の競争力強化ということがぜひとも必要である、こういう認識の上から、農水省と共通の認識の上に立ってこの問題は協力を行わなければならぬものだと考えでおるわけでございます。絹業が一刻も早く今日の厳しい環境を克服できますように、何とか農水省と十分に協力と連携を図りながらやっていくということを、私もほぞを固めて頑張ってみたい、こう思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  150. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございました。終わります。
  151. 奥田幹生

    奥田委員長 江田五月君。
  152. 江田五月

    ○江田委員 質疑の持ち時間につきまして温かい御配慮を賜りまして、委員長、心からお礼を申し上げます。しかし、それにしても十分ということですので、今同僚委員から非常にきめの細かな御質問がございましたが、私はちょっと通産行政の大筋について伺ってみたいと思います。  ODA、政府開発援助について、通産大臣のお考えをお伺いいたします。  我が国のODAというのは、一九九〇年実績、およそれ十億ドル、GNP比率で〇・三一%であった。累積で一九八八年から九〇年までの三年間で二百七十三億ドル。しかし一九八八年の六月、トロント・サミットで当時の竹下首相は、八八年から九二年の五カ年間の総額で実績五百億ドル以上にするという表明をされておりまして、さあ九二年といいますと、もうあと残りの方が少なくなっているわけで、この国際公約達成のためには相当頑張らなきゃならぬというところに来ているわけでございますが、通産大臣もODA所管の大臣の一人として、いろいろお考えもあると思うし、頑張っていただく覚悟もお持ちだと思います。  ところで、きょうは量の問題でなく質の問題、これを聞いてみたい。量の問題でなくて質の問題、中身の問題にも、これは大いに議論のあるところでございます。  そこで、ことしの四月、参議院の予算委員会で海部総理は、我が国の政府開発援助のあり方について政府の四原則というものを示されました。これはもちろん通産大臣も御存じのことだと思います。四原則を申し上げますと、申し上げるまでもありませんが被援助国の軍事支出の動向、兵器の開発、製造等の動向、武器輸出入の動向、そして四番目に被援助国の民主化の促進及び市場指向型経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況、こういう原則を挙げましてこれに十分注意を払いつつやっていくんだ、こういう考えを表明をされたわけでございます。私は、これは相当大きな前進であると評価をしたいと思っておりますのできれば民主化、市場経済、基本的人権、自由それに環境という原則もこれから恐らく重要になってくるだろうと思っております。そうなればもっとよかったと思いますが、それはさておき、この政府四原則について、特に基本的人権と自由の保障状況という点について、海部総理がおっしゃっていることでありますが、通産大臣のお考えを伺いたいと思います。
  153. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員も御質問と同時にお答えを賜ったような感じでございまして、本当に同じ考え方に立つわけでございますけれども、ODAというのは、一つ日本の国というよりは先進国に与えられた今からの課題であり、義務であり、またこれは二十一世紀に向かってさらに増幅されていかなければならぬ問題である、こういう認識でございます。それだけに、政府は本年四月のODAの実施に当たりまして、被援助国におけるすなわちODA四原則というものを打ち出したわけでございますが、なかんずくその中において環境問題も付加しろというこの問題、これも当然その方向の位置づけになってくるであろうと思います。同時にまた人権問題、これは特にODAそのものに対応するというものではございませんが、中国の言うような改革・開放路線というようなものが真実にそういう形で行われていくならばいろいろな形でまた応援をするというような角度もそういう中に確認されているわけでございまして、なかんずくASEANやその他の各国におきましても、いわゆる発展途上国の国々に対しては、ODAはしかるべき形でその人権というものを十分に尊重し、なおかつむだのない形で応援をすることが原則でなければならぬと思うのですへそのむだのない形をとるためには、何といいましても十分なる草の根の調査というものが必要でございましょう。そうでなければある意味においてはむだな支援になってしまう可能性もあるわけでございまして、そういう点においては十分なる資料と十分なる情報というものによって初めて的確なる判断というものが下されるわけでございますから、その判断に基づいてODAは施行されるべきものである、かりそめにもイラクのような国に少なくともああいう形で応援が行われたとするならば、これはやはり反省の一つの域を出ない、このように思います。
  154. 江田五月

    ○江田委員 大臣から大変積極的な答弁をいただきまして、感謝をいたします。  今、十分なる草の根調査が必要だ、特に十分なる資料とか情報とかを得て行うということですが、これは大臣、文脈からは当然だと思いますが、ODAの四つの原則、軍事支出の動向あるいは武器の関係それから武器輸出の関係と加えて、民主化の促進、市場型経済の導入の努力、基本的人権、自由の保障といった点についても十分な草の根調査とか資料、情報を収集した上でということでよろしいですね。確認したいと思います。
  155. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私が申し上げましたのは、いかなる国においても、応援する国に対しては十分なる資料並びに情報、そういうものを草の根運動的に十分調査して、そしてむだのない。形で応援をしていく、これに尽きると思います。
  156. 江田五月

    ○江田委員 私が基本的人権と自由の保障状況に特に触れたのは、この面でどうも我が国が無関心であると国際社会から見られがちなんですね。大変残念なことでありますが、それがどうも事実です。  実は昨日、私も参加をいたしまして、政権与党自民党から羽田孜さんや戸塚進也さんなど、三十三人でしたかね参加をいただいて、国連人権活動協力議員連盟というのが発足をいたしましたが、まだまだ我が国の人権問題に対する取り組みがおくれていると言わざるを得ないので、決していろいろいちゃもんをつけろとかあるいは援助を少なくしろとかいうのではなくて、むしろ援助をやる中で人権の拡充あるいは自由の拡充を奨励していくという意味から、例えば中国天安門事件後やはりいろいろ問題がある。あるいはビルマ、ミャンマーと今言うのですが、これは本当にひどい状態と言わざるを得ない。それから、インドネシアでは東チモールの問題があります用意地悪質問するつもりはありませんので、その中身についての認識はきょうは尋ねませんが、アムネスティー・インターナショナルがこういう一冊の本を出しているような状況ですので、こうしたことがほかに、アジア諸国にそれぞれあるわけですから、そうした状況について、大臣おっしゃられましたように草の根調査、資料、情報、どれが当たってどれが当たってないかといろいろあると思いますが、そうしたこともこれから大臣のところにもぜひお届けをしたいと思いますので、そうしたことをしっかり勘案の上、ODAの質の向上ということにもひとつ努力をしていただきたいと思います。  質問を終わります。
  157. 奥田幹生

    奥田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十七分散会