○山田
委員 国連が行います
平和維持活動に我が国が
協力できるようにしよう、こういうふうに考えが至ったときに、私ども公明党は、最も重要と考えられる四点を政府の行う立法作業の過程で反映するように強く要求をしてきたわけでございます。
具体的に申し上げますと、
PKF参加五条件の法制化、そして、
国会への
事前事後
報告の義務づけ、法制化、定員数の法制化、そして、憲法と
PKFへの
自衛隊参加についでこれが整合性があるのかどうかという意味で、確認するために政府の統一見解を求める、これが私どもが要求を強くしてまいりました点でございます。この五条件の法制化と
国会への
事前事後
報告の義務づけ、定員数の法制化、これは子細に検討を合いたしているわけでございますが、基本的に法案に盛り込まれているようでございます。しかし、何点がはこの後確認をさせていただかなければなりません、しなければならないところがあります。
四番目の、憲法と
PKFへの
自衛隊参加についての従来の政府見解との整合性、そのための統一見解を示してもらいたい。この点につきましては、この法案が
国会上程時に出されました
官房長官談話というのがあるわけでございますが、これが我が党が要求いたしましたこの統一見解に当たるのかどうかということも含めまして、憲法第九条と
自衛隊派遣に関します政府見解と整合性が保たれているのか、これを
国会審議を通じまして検証をしなければなりません。と同時に、本
法律案の中身、具体的な条項につきましても、憲法違反に当たるような部分がないのか、あるいは政府の拡大解釈とか恣意的な
判断を許してしまうようなあいまいな部分がこの条文の中に含まれていないかどうかということもこれからの
国会審議の中で厳しくやはり検証をしていかなければならない、こういうスタンスで、こういう
立場で、私は、以下
質問をさせていただくわけでございます。
まず、私が最も大事だと思いますのは、このPKOに我が国が
自衛隊を含めた形で
参加をすることとシビリアンコントロールとの関係につきまして私の考えを述べ、
総理の御所見を伺いたい、このように思うわけでございます。
まず、それじゃPKOというのは一体何なんだ、こういうことになるわけでございます。
武力で侵略国を屈服させることが
任務ではない、そういうことでございます。その
活動は幾つか特徴づけられるわけでありますが、紛争が解決した後にその旧紛争地域に出ていきまして、そして存在することにより、
国連の権威と説得によって、そして回復されたその平和というものを維持する、固めていく、こういうものがPKOである。したがって、戦闘とか
武力行使を目的とするのでは決してないということです。
それから、必ず
国連の決議、総会とかあるいは安全保障
理事会とかそういう決議に基づき、
国連の事務総長などの
要請があって
参加をする。
要請がないのに出ていくわけにはいかない。
要請がある。
国連が主宰するんだ。
参加したら
国連の
指揮下に入る。こういう特徴を持っております。
また、紛争をやっていた旧
紛争当事国あるいは当事者の受け入れの同意を
原則としている。その受け入れの同意を無視して、同意を得ずして出ていくということは基本的に全くあり得ない。
それからもう一つ挙げれば、
紛争当事者のいずれの一方にも偏らない
中立公平な
立場でPKOを行う、こういう
中立性の
原則と言われるものが大きな特徴としてあるわけでございます。
御案内のとおりでありますが、具体的にはこれは監視団タイプと
平和維持軍、平和維持隊と申し上げてもいいと思うのですけれども、そういう
二つの体系に類別ができる。選挙監視団、公正な選挙の確保をやる。また、
停戦監視団、
停戦や休戦、撤退の監視あるいはパトロール、
原則非武装。それから平和維持隊、紛争の再発の防止。そして
停戦合意ですから、例えば国境線から五キロまで両方の兵力が引き下がろう、
停戦ラインができます。その
停戦ラインの外側にまた兵力の緩衝地帯というものができる。その外側にいる、引き下がっている。このラインをお互いに
停戦協定に違反して越えないようにそれをしっかりとパトロールしていく。引き離された兵力というものを、再び偶発的にせよ散発的にせよ衝突が起こらないように、
国連の権威と説得、プレゼンスによってそれを確保する、こういうところにあるわけでございます。それで、ノーベル平和賞も受賞しておるそういう
平和維持活動、この基本的な認識がまず極めて大事である、このように思うわけでございます。
そこで、公明党が主張した、
PKF参加のための五
原則の法制化、それから
国会への
事前事後の
報告の政府に対する義務づけ、また定数の明文化、これが要するに我々が求めました四条件ということになるわけでありますが、この五
原則の中身というのは、改めて確認をさせていただきますけれども、一、
紛争当事者間に
停戦の
合意があること、
二つ目が
紛争当事者間に
PKFの受け入れの同意があること、そして、この
紛争当事者のいずれの一方にも偏らない
中立性を保っていること、これが三
原則。極めて重要な
原則である。そして、この三
原則のいずれか一つでも欠けたときはこれは
撤収をする。そして、武器の使用は、自己の
生命防護のために必要やむを得ない場合の最小限の使用というものに限定をする」これがいわゆる
PKF参加五
原則と言われるものでございます。これが今回の
法律案にしっかりと組み込まれた、埋め込まれた、ビルトインされた、こういうことになっているわけでございます。この五
原則を
法律の中に埋め込む、内蔵させる、このことによりまして、この五
原則を超える
PKFの
参加を政府がもしやろうとすればそれは
法律違反になる。この
法律に違反をする。また違反をする以外に出せない。違反をすることになる。こういう縛り、歯どめというものがかかることになるわけでございます。
要するに、国内的に何を多くの方々が、
国民の皆様が御心配をなされておられるかということに思いをいたしますときに、それは幾つもあるのだろうというふうに私は思うわけでございます。
例えば
PKF、平和維持隊、この平和維持隊の
活動、
原則軽武装で出ていく、しかしそれは
中立・非
強制、ヒューマニズム、こういう
武力行使や
戦闘行為を目的
任務としないPKOに出ていくんだけれども、
自衛隊が初めてセルフディフェンスのための要するに武器を携行して
PKFに出ていく。そうなると、このことがさらに、
PKFが
PKFにとどまらない、もっとそれ以上のものに、例えば多国籍軍的なものにまでいってしまうのじゃないか、こういう不安が率直に言ってあるだろうと思うのです。それは実は、五
原則の中の、
紛争当事者間に
停戦の
合意があること、
停戦の
合意がなければ出ていけませんよ、あるいは受け入れの同意があることということがこの大きな歯どめになってくるわけでございます。あるいは、申立ていることが危うくなったらどうなるんだ、こういう御心配も出てくる。それは、一方に偏らない、そういう
中立性というものを確保しなければ
参加できないんだとはっきりと
法律でもって歯どめがかけられる、こういうことになります。
また、
日本の隊を
派遣した後に
停戦の
合意が何らかの事情によりまして崩れてしまった。崩れてしまって、我が国
部隊が、平和
協力隊がその紛争に巻き込まれはしないか、率直にこういう
国民の皆さんの御不安というのがあるわけでございます。これについては、要するに
停戦の
合意が崩れたら、これは
日本のその
部隊は、
日本の平和
協力隊は本国に、
日本に
撤収をする、帰還をしなければならないということを
法律にきちっと明記をする、この御心配に対するしっかりとしたこれは歯どめ、
お答えになってくる、私はそういうふうに思うわけでございます。
まだありますよ。この受け入れ国の同意が崩れる、場合によっては、かつてエジプトの方でありましたけれども、その国の政府から撤退してくれというふうに、同意をしておきながら後で撤退してくれと言われる場合もあるわけです。そのときに、その撤退をしてくれという希望を、あるいはそういうことを無視して、何らかの口実をつけて、いや、おれたちはまだここにいるんだというふうに居座り続ける、そんなことがまさかないんでしょうねという不安がまたあるわけですね。それは、要するに同意が崩れれば撤退をしなければならない。要するに
戦闘行為とか
武力行使が万々が一起こるようなそういう
事態になるというときは、これは
停戦の
合意とか、あるいは受け入れの同意というものが崩れた場合にしか考えられないわけですから、そういう場合にはきちっとそういう、例えば撤退をしてくれというふうに相手国政府から言われた場合にはこれは同意の
原則というものからして
撤収をするんだということでこの法案の中に組み込まれておる、それは明確な歯どめになっているわけでございます。
もう一点だけ、一体どのくらいの人数が
派遣されるのか。特に
自衛隊が
部隊としてPKOあるいは人道的な救援
活動に出ていくようにこの法案ではなっておる。しかし、じゃ、五千人行くんですか、一万人行くんですか、それは制限がなくなっちゃうんじゃないですか、その辺の御心配というのは、これは切実です。したがって、我々公明党は、この定員についてはしっかりと法制化をすべきだ、政令とかそういうレベルで決めるのではなくて、この
法律の中できちっと上限の人数を定めるべきであるということを強く要求した。そしてそれはこの法案の中にしっかりと、定員は「二千名を超えないものとする。」という形で上限が
法律に組み込まれて
国民の皆様に示された。これをもし五千人にしよう、将来一万人にしようなんということになれば、この
法律を変える以外にこの人数をふやすことはできない。
自衛隊の
部隊をそれ以上出すことはできない。出せば
法律違反ということになるわけでございますから、基本的な、
国民の皆様の重要なベーシックな部分での不安というものは、私どもが要求したこのPKO
参加五
原則を法案の中にしっかりと組み込んだということの意味の大きさ、シビリアンコントロールとしての最大の歯どめとしての機能をこれは御理解をいただけるのではないか、このように私は思うわけでありますが、一言
総理の御所見を伺いたいと思います。