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1991-09-25 第121回国会 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年九月二十五日(水曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 林  義郎君    理事 柿澤 弘治君 理事 田原  隆君    理事 谷垣 禎一君 理事 中川 昭一君    理事 船田  元君 理事 石橋 大吉君    理事 上原 康助君 理事 串原 義直君    理事 山田 英介君       逢沢 一郎君    石川 要三君       今津  寛君    上草 義輝君       小澤  潔君    大石 正光君       岡田 克也君    梶山 静六君       木村 義雄君    高村 正彦君       鴻池 祥肇君    斉藤斗志二君       園田 博之君    武部  勤君       中谷  元君    福田 康夫君       増子 輝彦君    町村 信孝君       松浦  昭君    松田 岩夫君       光武  顕君    伊東 秀子君       上田 卓三君    上田  哲君       緒方 克陽君    沖田 正人君       川崎 寛治君    五島 正規君       田口 健二君    山中 邦紀君       吉田 正雄君    東  祥三君       遠藤 乙彦君    山口那津男君       渡部 一郎君    東中 光雄君       古堅 実吉君    和田 一仁君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣         外務大臣臨時代         理       海部 俊樹君         厚 生 大 臣 下条進一郎君         運 輸 大 臣 村岡 兼造君         自 治 大 臣 吹田  愰君         国 務 大 臣         (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 池田 行彦君  出席政府委員         内閣審議官         兼内閣総理大臣         官房参事官   野村 一成君         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  金森 仁作君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練         局長      小池 清彦君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 村田 直昭君         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省国際金融         局長      江沢 雄一君         文部省高等教育         局長      前畑 安宏君         厚生大臣官房総         務審議官    大西 孝夫君         厚生省健康政策         局長      古市 圭治君         厚生省保健医療         局長      寺松  尚君         運輸大臣官房総         務審議官    土坂 泰敏君         海上保安庁次長 小和田 統君         自治大臣官房総         務審議官    紀内 隆宏君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         消防庁次長   渡辺  明君  委員外出席者         国際平和協力等         に関する特別委         員会調査室長  石田 俊昭君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十五日  辞任         補欠選任   三原 朝彦君     木村 義雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 義雄君     三原 朝彦君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律案内閣提出第五号)  国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第六号)      ――――◇―――――
  2. 林義郎

    ○林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿澤弘治君。
  3. 柿澤弘治

    柿澤委員 本日議題になりました国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党を代表して質疑を行います。  海部総理大臣冷戦終結後の新しい国際秩序を模索する動きが強まっておりますが、そうした中で我が国がこれまで以上の国際貢献を果たすためにこの両法案提案されましたことは、大変画期的なことだと私ども高く評価をいたしております。そうした観点に立って幾つか問題点等質問を申し上げたいと思いますので、ぜひ国民皆様理解できるように明快に御答弁をお願いを申し上げたいと思っております。  冷戦終結後の我が国役割を考えますときには、経済の面での国際的な支援、地球環境問題に対する支援、さらには外交問題等でのイニシアチブ、いろいろな観点があろうかと思います。しかし、そうしたもの、どの一つをとりましても、従来のようにお金を出す、資金を出すということだけで足りる時代から、人を出し、知恵を出し、汗を流して協力をしていくということが必要な時代になりつつあるのではないかと私は考えておりますが、そうした基本的な問題について、総理の御判断をお聞きしたいと思います。
  4. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 柿澤議員の言われることと、私がこれからお答えしようと思うことと、全く同じ方向を向いておると思います。  具体的に申し上げますと、私は戦後のきょうまでの歴史をずっと眺めておりまして、日本は、今までは世界片隅において小じんまりとつじつまを合わせながら、過去の歴史を反省をして、人に迷惑をかけないようにしなきゃならない、同時に、自分は額に汗をして働かなきゃならない、そして豊かになり、幸せになり、政治の大きな目標である国家の安全と国民生活の安定、向上という目標をひたすらに追い求めていかなければならないということを国民的合意として頑張ってきたと思うんです。  けれども、そういう戦後の一時期のような、片隅における幸福を追求するということでは、もうこれからの国際化時代には通用しないことになってきたし、また、国際社会の意向も日本に対してそれなり貢献それなり役割分担を強く期待をしておるように私には思えます。それにはこたえていかなきゃならぬ。日本国際社会に対する協力という面ででき得ることとでき得ないことはありますけれども、でき得る限り新しい世界秩序の構築に当たって日本も積極的に協力をしていかなければならない、こういう考え方に立っておるわけであります。  資金面協力や、物の面での協力や、あるいは人の面での協力も、きょうまで、いたすことはしてまいりましたけれども、さらに、御指摘のように、より一層人の面での協力も、国際国家のともに生きる一員としてなすべきことをしていきたいという準備のためのこの二つ法案でございます。御理解と御協力をお願いいたします。
  5. 柿澤弘治

    柿澤委員 今総理が述べられましたように、これから我が国はさまざまな分野で人を出し、そして汗を流して貢献をしていくということが必要だと思います。  湾岸戦争過程でも、戦争終末期に油田が破壊をされ、ペルシャ湾が汚染されたときに、日本環境関係技術者が行き、ボランティアが行き、そして一つ一つの水鳥を大事にして彼らの生存のために手をかしてきた、そうしたイメージが大変大事だと思うのです。また、経済援助の面でも、先般ペルーで日本のJICAの職員が二人テロに襲われて亡くなりましたけれども、だからといって人を出さないわけにはいかない。やはり人を出し、現地において現地人たちと手を携えて経済の発展や技術移転や農業の振興に進んで行く、その姿勢が大事なのだろうと思います。  その意味で、世界の平和に貢献をする、安全保障貢献をするという我が国姿勢、そうした中でも、今の経済環境分野と同じように人を出し、汗を流し、各国人たちと手を携えて平和のために努力をするということが必要だと思いますし、今回の国連平和維持活動に対する協力法案も、また国際緊急援助隊への自衛隊参加求め法案もそうした趣旨に基づいたものであって、一部の人たちが言うように、これが軍国主義の道へつながるとか、もしくは海外に自衛隊を出したいために与党や自民党がしゃにむにやっているということではないのだということは、ぜひ国民皆様にもわかっていただきたいし、その意味政府の真意を今後とも十分に御説明をいただきたい、こう思っております。  特に海部総理ロンドンサミットでは国連機能の強化が大きなテーマとして取り上げられたと聞いており、承知しております。国連機能を強化して世界の平和を守るための基軸の機関にしていく、これは私たちが長年持ってきた国連中心主義というものにも合致するわけで、これから我が国として大いに努力をしていかなければならないところだと思いますが、そういう意味でも国連平和維持活動日本が積極的に参加できるようになる、これは世界の大国としての責任ではないかと私は感じます。  さらにPKO平和維持活動への参加だけでなく、国連では大量破壊兵器の削減の問題や、また武器輸出に対する規制や届け出やさまざまな問題も議論をされております。その意味ではPKOへの参加軍縮への努力、積極的な貢献、この二つが車の両輪になって動いていって我が国国連外交が本当の意味のバランスのとれたものになると思っておりますが、その点についての総理の御見解を伺いたいと思います。
  6. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 昨年来の世界の変化の中で一番劇的でかつ激しかったものは、東西の力による対決という様相が影を潜めて、冷戦時代発想を乗り越えた秩序づくりが始まった、私はこう理解をしております。  したがいまして、御指摘になりましたロンドンサミット会議でも、東西対立のころには西側のG7としての、東側を正面に据えてのいろいろな秩序づくり安全保障発想枠組みが、それも巻き込んで世界一つにして、そしてお互いに共存しながら、でき得ればソ連も世界秩序づくりに同じ普遍的な価値のもとで話し合える国として仲間に、円卓に入れよう、そのためにはどうしたらいいかという角度からの話がありました。  当然、帰結は、サミットよりも、東西対立よりも、国連というものを今こそ中心的な役割を果たすものとしてその機能を強化して、国連がスタートしたときの大きな願いである平和の維持というものについてさらに皆が力を合わせていくようにしようということが話し合われて、そのように宣言に出たことも御指摘のとおりであります。  私は、そういう意味から、今年の五月には京都で国連軍縮会議日本が提唱して開催をいたしました。それは、平和というものは力の面のみでなくて、今具体に示されたような軍備管理軍縮の面で実効を上げていくことも非常に大切である、日本世界の中で国連中心機能を果たして主張をしていく平和のための枠組みの中には、通常兵器の無秩序な移転というものをここできちっと透明にすることも大切ではないか。これは、湾岸戦争の経験に照らして、あのような地域に突出した武器保有国を持ち、その国の指導者がそういった近隣を力で支配しようとする意思を持ったときには非常に危険な状況になることが立証されたわけでありますから、それらのことを、もっと機能を強化した国連の場で武器移転まで明らかにしておこうという制度が必要だと考えて、会議で訴えたのですが、幸いにも参加者の賛同を得たので、G7でもこのことを私は主張をいたしました。  議長国であるイギリスを初め、これには同意する人がたくさんあったので、今度国連その場においてこの問題は日本提案をし、イギリス等共同提案国になることを約束しておってくれますから、多くの国が力を合わせて通常兵器移転についてのまず国遠に対する報告制度から透明性公開性を高めていこう、必要にして十分な、節度ある限度以上のものが特定地域に集積されていないんだということもその周辺諸国世界に対する大きな安心感になるのではないでしょうか。  ちょうどきょうになると思いますが、中山外務大臣ニューヨーク派遣しております。国連総会でこの考え方は述べてまいりますし、今国連総会中にそういった決議案等提出できるように鋭意努力をしていきたいと考えます。  そういった面を実践的にあらわすためにも、日本は許される限りの協力を、お金と物だけではなくて人の面でもでき得る限りやっていきたい、これが世界とともに生きる日本一つ役割分担であり、それが日本の果たすべき務めである、私はそう理解をいたしております。
  7. 柿澤弘治

    柿澤委員 今総理からもお話がありましたように、現在ニューヨークでは国連総会が開かれております。中山外務大臣我が国の方針を演説をしたというふうに承っておりますが、まだまだ国際連合の中で日本発言権が低いというのが私たちの率直な印象でございます。アメリカに次いで財政的には第二位の貢献をしていながら、安全保障理事会常任理事国にも選ばれていない。また敵国条項というものが存在する。そうしたものを一つ一つ克服をして、これから世界の中で、国際社会の中で正メンバーとして活動していくためには、やはり国際社会求めに応じ、国連求めに応じて、日本PKO参加する道を開くということは不可欠の要素ではないかと思うわけでございます。その意味で、今回の法案を私どもはぜひとも成立をさせて、そして国際社会一員として堂々と発言ができる日本をつくっていきたい、こう考えております。  ただ、このPKO法案の検討の過程においていろいろな問題が指摘をされました。一つ現行憲法との関係でございます。  PKOへの参加はしだい、しかし、現在の憲法九条の制約の中で、果たして国連平和維持隊停戦監視団だけでなく一歩踏み込んで平和維持隊参加ができるだろうか、この点も私ども自由民主党国防部会外交部会、十数回にわたって勉強会、検討会等開いて勉強してまいりました。今回の提案では、その点、憲法との抵触をしないでPKFにも参加できるという解釈のもとに法案提出をされておりますが、一部の方々の中にはその点についてなお懸念を持つ方もいらっしゃいます。  この憲法九条とそしてPKO法案とのかかわり合いについて、内閣法制局長官の御答弁求めたいと思います。従来の憲法解釈を変更していないのか、また、PKFには武力行使を伴うものは参加できないという政府見解について修正をしたのかどうか、この点について御見解を承りたいと思います。
  8. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  現行我が国憲法におきまして、憲法前文あるいは憲法の九条におきましていわゆる平和主義をうたっているところでございます。  それで、この憲法基本理念一つでございます平和主義、こういうものと今回の今御質問ございました法案との関係という点につきましては、次のように考えております。  それは、我が国自衛隊が今回の法案に基づきまして国連がその平和維持活動として編成した平和維持隊などの組織参加する場合に、まず第一に武器使用、これは我が国要員等生命、身体の防衛のために必要な最小限のものに限られる、これが第一でございます。  それから第二に、紛争当事者間の停戦合意、これが国際平和維持活動前提でございますが、そういう紛争当事者間の停戦合意が破れるということなどで我が国平和維持隊などの組織参加して活動する、こういう前提が崩れました場合、短期間にこのような前提が回復しない、このような場合には我が国から参加した部隊派遣終了さ。せる、こういった前提を設けて参加することといたしております。  したがいまして、仮に全体としての平和維持隊などの組織武力行使に当たるようなことがあるといたしましても、我が国としてはみずからまず武力行使はしない、それから、当該平和維持隊などの組織といわゆるそこが行います武力行使と一体化するようなことはない、こういうことでございまして、その点が確保されておりますので、我が国武力行使をするというような評価を受けることはない。したがって、憲法に申します平和主義憲法前文で書かれ、あるいは憲法九条で武力行使を禁止している、そういう点につきまして憲法に反するようなことはない、かように考えております。  また、先ほどのお尋ねの中で、過去の政府見解に反するのではないか、あるいはそういう懸念が聞こえてくる、こういう御質問でございましたけれども、それにつきましても、その目的、任務武力行使を伴うような平和維持軍、当時は平和維持軍と呼んでおりましたが、そういうものにつきましてのいわゆる参加の問題、これにつきましても、従来は、今申し上げましたような二つ前提、こういうものを設けることなく一般論として申し上げてまいりましたけれども、今のような前提を設けてこれで参加する場合には憲法に違反するようなものではない、したがって当然従来の見解をその意味でも変更するものではない、整合性はとれたもの、かように考えております。
  9. 柿澤弘治

    柿澤委員 法制局長官から政府考え方が述べられました。私は、その見解自信を持って国民説明をしていただきたい、こう考えております。国際平和のために国連安全保障理事会決議に基づいて行う、いわば警察活動としての平和維持活動、これに対して日本参加することが憲法九条の制約の中で参加できないということであっては、我が国国際社会の中で一人前の国家として認知されることはないと思います。そういう意味でも、ぜひともその見解を貫いていってほしいと思いますし、私どもはその点を自信を持って国民に説得をしていきたい、こう考えております。  今の問題で一、二、細部にわたるかもしれませんが、武器使用隊員生命防護に限られるということに関連をして、我が国平和維持協力隊員だけに限るのかという問題がきのうの本会議でも議論されました。正当防衛ということから友軍生命の保護にも我が国自衛隊武器使用が認められるという見解総理からありましたけれども、この点についても、例えば一体になって活動している平和維持隊の中で我が国隊員だけの生命の危険があったときのみに武器使用が認められるということであっては、これは国際的な協力に欠けるところが出てくるかと思います。  そういう意味で、もう一度その点を確認をいたしたいと思いますが、国連平和維持隊活動の中で武器使用については生命防護のために友軍のためにも武器使用することができるという点を明確にしたいと思います。
  10. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 自己の生命防護するために武器使用することを限定する、このことは法文に明記をいたしております。逆に言うと、それ以外のことには武器使用しないということでありますが、具体的御説明のそのときに、それはそこにいる他の人の、という御質問がありました。  私は、法文上は明記してありませんけれども緊急避難正当防衛という人間原点に立って、人間性の尊厳という原点に立って、日本の刑法で許されておる正当防衛緊急避難のような状況まで排除するものではないと、きのう本会議お答えをいたしました。それはあくまでそういうような人間基本的人権を尊重するというぎりぎりの立場に立っての人道的な措置であります。
  11. 柿澤弘治

    柿澤委員 国際的な共同活動の中でPKOPKF活動が行われるわけでございますので、その点私は、国際的常識に基づいて布動できる、そして国際的に評価を受けるものになるということが大事だと考えておりますので、その点ぜひ答弁の面でもきちっとお答えをいただきたいと思います。  また、撤退撤収の問題についてもいろいろ議論がございます。  これは停戦合意が行われた中で参加をするのだから、その合意が崩れた、または崩れたとみなされるような状況では参加を取りやめる、これも理の当然であろうかと思います。しかし同時に、これも国際的な共同行動でございますので、そうした意味でぜひとも国連平和維持活動全体の効果を抑止することにならないように行動することが大事だと思います。  その点、この業務中断もしくは終了という表現で法案に盛り込まれておりますけれども停戦合意その他前提条件が崩れた場合、この場合崩れたと判断するのはだれが判断するのか、そしてその判断に基づいてどのような行動をとるのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  12. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いずれもこれは具体的な状況を想定しながらお答えをしなければならぬ問題と思いますけれども平和維持活動というのは、柿澤委員よく御承知のように停戦合意成立をしてその紛争当事者からPKF活動PKO活動に対して同意があって、そこで国連要請を受けて派遣をされておるわけでありますから、その前提が崩れたときには、これはPKOPKF活動自体中断することは当然のことであり、その中断をだれが判定するかということになりますと、それは一人一人の現地にいる隊員、同時にまたそこに国連から指図権を持って派遣されておる人々、そういったところでいろいろな協議が行われると思います。  少なくともそのような中において、停戦合意が崩れだというような具体的な事実行為というものは、やはりだれの目に見ても明らかなような状況が出てくるものと思います。そういったときには直ちにこれは終了撤退ではなくて、中断をしてそしてそれが短期間でおさまればそれでまた任務を遂行しますし、任務の遂行ができないように停戦合意が崩れたと判断したときは、これは内閣実施計画を変更して終了をいたします。そのような手続になっております。
  13. 柿澤弘治

    柿澤委員 その場合には、本部長である総理大臣また自衛隊を指揮する防衛庁長官また現地の隊長また国連事務総長、こうした指揮監督の任に当たる方々関係はどうなるのでしょうか。
  14. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 これは、国連から具体的な要請がもし参りますと、それに応じて内閣が、総理大臣本部長とする本部がこの実施計画をつくり、実施要領をつくり、そして実施要領に従って派遣をするわけです。それから派遣した先においては、国連事務総長の権限を代行すると申しますか、指図をするためにその平和維持活動全体を連絡調整機能を果たすための人もおります。そこに司令部ができる。それから各国から行っておる者は、それぞれの各国を統括する部隊長という責任者もあるわけであります。それらが絶えず、しょっちゅう連絡をしておりますけれども、国の主権を離れるわけではありませんから、合意そのものが崩れたと判断したときには、それを最終的に業務終了をし引き揚げることを決断し指示するのは実施要領を変えるということで、これは本部長の決断でいたしますし、同時に撤収という具体行為になるときには、事前に国連事務総長内閣の方から通知をいたします。そういうことになっております。
  15. 柿澤弘治

    柿澤委員 そういう意味では、我が国判断国連の全体の活動の中で調整をしながら判断をしていくということになろうかと思いますので、その意味では、この仕組みが順調に動くということを私どもは期待をいたしますし、国連考え方我が国の今度の法案の間にはそごはないと考えてよろしいわけでございますね。
  16. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この国連平和維持活動というのは、あくまで中立・非強制という立場で国連の権威と説得によって停戦確保等の任務を遂行するものでありますから、強制的手段によって平和を回復しようという従来の軍隊の概念とは全く違ったもので、書物等を読んでみましても、敵のない部隊とか敵をつくらない部隊とかいうようなことがきちっと書いてあるわけであります。  また、国連の長い間PKOの担当をしてきた事務次長ブライアン・アークハート氏の九月十日、朝日新聞のいろいろな対談記事を読んでみましても、そういった問題については、これは前提条件が崩れた場合にそこにとどまって武器使用なんかをするものではないんだということをきちっと言っておられるわけでありますし、国連平和維持活動そのものが武力行使を目的とするものでもないわけでありまして、その前提が崩れた場合には、日本の場合は五つの今回中心的な要素、条件をつくって、その厳しい枠組みの中で平和維持活動参加するということを国会の御審議を願っておるわけでありますから、その枠組み、その大枠の中で任務を遂行するということでありますから、そこのところは明確に法案に記してございます。
  17. 柿澤弘治

    柿澤委員 ここのところは大事なところでございますので、従来の例等もわかったら教えていただきたいと思います。実際に国連平和維持活動平和維持隊活動の中で業務中断した、もしくは撤退をした、撤収をしたというような例があったら教えていただきたいと思います。
  18. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 きょうまでの具体的な例では時々ございます。それは、武力によって応戦しないで、武力を使うことをやめて一時業務中断をしたという例もございますし、また撤退した例の中では、これも国遠の担当次長の話でございますけれども、新たな事態にコミットしたくないという理由や、維持軍がもはや問題の解決に貢献できないという場合もあれば、本国の財政的な事情等によって撤退した場合もある。それは、それぞれの国々が意思によって参加をし協力をするものでありますから、こういうその目的が変わったとき、前提合意が崩れて任務の遂行を終了するということも、きょうまでもあったと私は承知をいたしております。
  19. 柿澤弘治

    柿澤委員 我が国憲法の範囲の中でつくられた法案が、その法案に基づいて国連平和維持活動我が国隊員参加する場合に国際的な評価を得るものでなければならない、これが私たちの考えでございます。その意味で、武器使用に対する制約、また撤退撤収に関するさまざまな条件というものが国連平和維持活動全体の中で支障にならないように、足かせにならないようにしていくということも国際的な責務として大事な課題であろうかと思いますので、憲法との関係とあわせて国際的に評価をされるPKO活動が行えるよう、これからもいろいろと工夫をしていっていただきたい、こう考えております。  また、もう一つの問題に移りますが、シビリアンコ・ントロールということがこの問題でも大変大事だと思います。軍事大国にならない、また海外への軍事力の派遣我が国の一方的な意思で行わない、これは我が国の外交の基本的な姿勢であろうかと思います。その意味では、シビリアンコントロールを確立して、そうした点について歯どめをかける、暴走を防ぐということも大事な工夫でございます。  その意味では、今回の自衛隊派遣につきまして、国会との関係をどうするか、これも大きな議論の焦点でございました。一方では国会の承認が必要だという考え方も述べられました。しかし、私たちは五原則、ただいまお話のありました、停戦合意成立していること、関係当事国の我が国参加に対する了解があること、また武器使用制約を設けること、また申立てあること、そして条件が変更した場合には我が国参加の対応を見直すということ、さまざまな条件が法案の中に盛り込まれましたので国会への報告で足りる、そして国会で報告をいただいた後、その是非については十分議論の機会があるわけですから、それで結構だと思っておりますが、この承認を求める、承認が必要だという考え方をとらなかった政府見解をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今ここで国会に法案をお願いして、そしていろいろな厳しい枠組みや、あるいは私たちの考えておる平和維持活動に対する協力はこういった制約のもとでこの枠組みでいたしますという厳しい大枠を国会の御議論をお願いをしておるわけであります。  お許しかいただければ、この法律に詳しく定めております五原則はもちろんのこと、その他のことすべてを含んだ大きな枠組みの中で、その与えられた枠組みの中で政府判断責任において、具体国連から要請を受けた場合に、先ほどお述べになったように効果的に効率的な役に立つ派遣をしなければならない、あくまでこの枠組みの中の決定でありますから、大前提として国会に大きな枠組みの御承認をお願いしておるということと、同時に、この枠組みの中で内閣総理大臣が決めます実施計画、これは決定をするときも、また変更するときも、終了するときも、国会に遅滞なく報告をいたします。報告を受けて国会が御議論をいただく、その御議論を私たち政府は大きく尊重をいたします。その議論を踏まえて、いろいろその後の実施要領等に反映させていくわけでありますから、シビリアンコントロールの大きな原則、国会との関係は、その都度報告し、御議論を賜りながらそれを生かしていくということによってなし遂げていかれるものと考えております。
  21. 柿澤弘治

    柿澤委員 総理のおっしゃることは、国連からの要請に遅滞なくこたえるというためにもこの仕組みが必要だということではないかと思いますが、国連から平和維持活動への我が国参加要請があり、そしてそれを決定するまでのプロセス、そしてその時間的な余裕その他について過去の例等でわかるものがあればぜひ御説明をいただきたいと思います。
  22. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 過去の例はございませんので、過去の例を照らしてと言われても、ちょっと具体的に何日何カ月とは言いにくいのですが、直ちに関係各省と相談するためには、総理府につくります本部がございます。常設的な本部において、その国連具体要請を受けて、どの程度、どのようなものが必要なのかということを勘案して、関係各省庁にそれぞれの連絡をとったりいろいろして編成することになると思います。
  23. 柿澤弘治

    柿澤委員 過去の例と言ったのは我が国の例ではありません。従来のPKOへの参加の対象の中でどの程度敏速性というものが要請されるのかという点について、私たちのおおよその判断の基準になるようなものがあればという意味でございます。
  24. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  まず基本的な整理でございますけれどもPKOの設立は総会または安保理が行いまして、それを受けまして事務総長がどういう仕組みにするかという報告を例えば安保理に提出する、それを安保理が認めて安保理決議を再び行う、それによりましてPKOが設立される、それを受けて事務総長各国派遣要請し、それを受けて各国派遣する、そういう考え方でございます。  どのくらいの日数がという点が御質問と思いますけれども、例えばUNEFという平和維持隊がございますけれども、これにつきましては一九五六年に設立されたものですが、その決議があってから第一陣が現地に到着するまで九日間を要しております。それからキプロスに展開されております平和維持隊でございますけれども、一九六四年にできたものですが、これはやはり安保理決議ができましてから現地に第一陣が到着するまで九日ということでございまして、ほかの例、省略いたしますが、一週間から十日前後というのが基本的な数字ではないかというふうに考えております。
  25. 柿澤弘治

    柿澤委員 国連決議が行われてから一週間ないし九日間ということ。ですから、かなり早急に隊を編成をして出していかなければならない。そういう意味でも、国会は常時開設をされているわけでもありませんし、その意味で、報告を受け、所要の検討を国会において行う機会が与えられることであれば、私はこのさまざまな条件の中で決して、我が国国連平和維持活動国民合意を超えて、暴走するという言葉がありますけれども、そういうことにはならない、こう確信をいたしております。  また、今回の法案の中では平和維持協力隊への参加の上限、定員を設けているようでございます。二千人という数字が出ておりますけれども、この定員を設けるということの趣旨、それから二千人に決めた理由この辺を御説明をいただきたいと思います。
  26. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 二千人という上限を決めましたのは、今回のこの平和維持活動というものが、きょうまで国連で行われました今までの例を全部すっと見てみますと、これは国際的な組織、国際的な参加があることが望ましいというので、一国でやっておる例は今までございません。多くの国がそれぞれ参加をいたしますし、同時に、参加するときにこの程度の規模のものが必要だということを国連事務総長の方から出しますときの数が、それぞれきょうまで二十三回まちまちでありましたけれども、いずれもそれは二千人の上限以下のところにおさまっておりますし、また日本として参加する場合にも、お役に立つようなという先ほどお話がございましたけれども、それぞれの任務、それぞれの区域、いろいろなことから判断して、二千人を上限にしておけばそれで十分役に立つことができるだろう、こういう判断でありまして、絶えずその二千人ということでもございませんが、そういった意味で過去の例等を勘案して、同時に参加をした各国の規模等も十分参照をして決めたわけでございます、
  27. 柿澤弘治

    柿澤委員 私は、これからどのような形でのPKO活動が行われるか、世界の中で地域紛争といいますか地域的な不安定というものはまだまだいろいろなところで残念ながら発生しそうでございますので、必ずしも定員を決めることが適切かどうかというふうに考えておりましたが、定員を決めだということも一つの歯どめ策としてお考えになったのではないか。そういう意味で、自衛隊平和維持活動への参加自衛隊海外派遣に対するアリの一穴になるというような懸念の言葉に対する一つの歯どめとして設けられたものというふうに感じておりますし、そういう点では一つ役割を果たす、野党の皆さんのアリの一穴論に対する一つの反論にもなり得るというふうに考えておりますので評価をいたしますが、ただ、その二千人ということで本当に十分なのかどうかという点については、私ども心配をしております。  そういう意味で、過去の国連平和維持隊の規模というものがわかりましたら例示的に教えていただきたいと思います。
  28. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  現在活動中のPKOの規模でございますが、UNIFIL、今のレバノン暫定軍につきましては五千八百四十八名でございます。これは九一年の七月現在です。それからサイプラスの平和維持隊につきましては、九一年五月三十一日現在でございますが二千百五十一名と、以下省略いたしますけれどもおおむねそういった数でございます。
  29. 柿澤弘治

    柿澤委員 今五千八百人とか二千百人という数字が出ましたけれども、これですと我が国の二千人というのは非常に小さな数になってしまうわけですけれども、私の聞いているところでは、それぞれ各国から出す数についてはもっと限定されたもので何カ国かが集まって一つ国連維持隊をつくっているというふうに聞いておりますが、国別の数字というのはありませんか。
  30. 丹波實

    ○丹波政府委員 UNDOFというシリア・ゴラン高原に展開しております監視隊がございますけれども、若干の例を申し上げたいと思うのです。  例えばオーストリアですが、歩兵部隊を出しておりますけれども五百三十名前後、それからポーランドがロジ部隊を出しておりますが百五十名前後、それからフィンランドが歩兵部隊を出していますけれども四百名、それからカナダが二百名ちょっとということで大体おわかりいただけると思うのですが、もう一例だけ、サイプラスに展開しております平和維持隊ですが、オーストリアが歩兵部隊を出しておりまして四百名弱、デンマークが三百名ちょっと、カナダが五百名程度、それからイギリスが航空部隊を出しておりますけれども百名ぐらい、機械化部隊イギリスが出していますけれども三百二十名、大体以上で御想像いただけると思いますけれども
  31. 柿澤弘治

    柿澤委員 大体今のお話で伺いますと、一国からの派遣隊員数は二百人から五百人ぐらいということだそうでございますので、その場合には二千人という上限の中で、何カ所かに同時並行で要請された場合にもその要請に応ずることができるというふうに考えられますが、防衛庁長官、その派遣をされる防衛庁の方としてそうした態勢についての準備はできるのでしょうか。まあこの法案の中にも研修、訓練の必要というものを説いておりますけれども、その要員を訓練し研修をして養成をしていくということもこれはなかなか大事な、大変なことだと思いますが、その点についてのお考えを聞かせていだだきたいと思います。
  32. 池田行彦

    ○池田国務大臣 防衛庁といたしましても、ただいま御審議願っております法案成立いたしましたときには、適時適切に対応し得るように準備を整えてまいらなくちゃならない、このように考えているところでございます。  さて、それで対応できるのかという点でございますが、これを二つに分けてお話ししたいと思います。一つは、この法案ができた直後にこの参加そのものについて一般的な準備を進めるということになるわけでございます。それからいま一つは、ある程度定着いたしまして、そうして個別、具体的なケースについて対応するという、この二つがあると思うのでございます。  そして、最初の一般的な準備につきましては、やはり自衛隊といたしましては、今回法案に盛られております任務というものは未経験のものでございますので、それなりの準備をしなくちゃならぬと思います。例えば教育内容の確立とそれの実施であるとか、あるいは御指摘のございました研修だとか訓練であるとか、あるいは要員の選定等々ございますので、ある程度まとまった単位の規模の隊を派遣するということになりますとこれはかなりの準備が必要か、こういうふうに考えるわけでございます。  しかしながら、そういった、今後いろいろ経験を積んでまいりました場合には、個別、具体的なケースについて、先ほど外務省の方からお話がございましたけれども、かなり短期間に対応しなくちゃならぬというときにもそれに即応できるような態勢は整えなくちゃならないし、整えていくことはできるんじゃないか、このように考えている次第でございます。
  33. 柿澤弘治

    柿澤委員 参加する隊員についてはさまざまな装備、武器等も携行しなければなりません。そういう点について、昨日の本会議でも総理から御答弁がありましたけれども、携行する武器の種類等についてはどう考えておられますか。
  34. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 きょうまでの例をずっと調べてみました。同時に、日本参加するときは武力行使で行くわけではありませんから、みずからの生命、身体の安全を十二分に人権擁護の立場からもこれは考えてあげなければならない。この両面から勘案いたしまして、平和維持活動参加するときには、これはやはり通常の小型武器と申しますかけん銃、小銃、それに加えて機関銃、また、その地域を移動するときとかそれから兵員輸送のためとか、いろいろな面において装甲車、それぐらいのものは想定されますけれども、その程度持っていけば従来の例から考えて平和維持活動の職務を果たすには十分であると私は判断をしてお答えをいたしました。
  35. 柿澤弘治

    柿澤委員 きのうの総理の御答弁について、きょうの新聞等で見ますと、装甲車までか、こういう書き方をしておりますが、雲仙岳の災害の救助にも装甲車は出ているのです。そういう意味で、装甲車というもので、ある意味でおどろおどろしいイメージをつくり上げるというのは、私はこれは正しい議論の仕方ではない、そう考えておりますので、必要な装備、武器については、これはきちっと携行をさせて、そして先ほど話を申し上げましたように、国際的な評価にたえ得るもの、そして参加する各国平和維持隊と共同できるようなものにしてもらいたいと思っておりますが、この点について防衛庁長官の御意見があれば承りたいと思います。
  36. 池田行彦

    ○池田国務大臣 総理から御答弁あったとおりでございますけれども法案におきましても、この携行いたします装備というものは隊員活動の趣旨に沿ったものであるし、また国連事務総長の方からのいろいろなお話、それに従って考えていくわけでございます。そして具体的には、武器も含めて携行いたします装備は、閣議決定いたします実施計画あるいはそれに基づく実施要領等において個別、具体的にそのケースに応じて決めていくわけでございまして、それぞれの事態に対応できるようなものは携行しなくちゃいかぬと思っております。  ただ、これまでの例から見ましても、大体総理の御答弁がございましたけれども、けん銃、小銃、機関銃あるいは装甲卓といったものが通例用いられているところでございまして、そういったもので対応できるというふうなことが通例である、このように考えておる次第でございます。
  37. 柿澤弘治

    柿澤委員 国連平和維持活動参加する我が国隊員が国際的な仕組みの中で十分に評価にたえ得る、そして有効な活動のできるものであってほしいと私ども考えますので、余り手足を縛るといいますか、そういう形であってはならない、こう考えております。その意味では憲法制約、そしてこの法案の中に盛り込まれましたさまざまな参加の条件を守っていくということで国民の不安もしくは懸念を解消しつつ有効な活動をしていただきたいというのが、私どもの願いでございます。  また、参加をする隊員方々にとって、やはり安心して参加ができる、そしてやりがいのある仕事としてこの平和維持活動に従事をするということも、これは大事なことであろうかと思います。その意味で、今度の法案の中に平和協力手当を設けるということで、その処遇についても記入をされましたことは大変結構なことだと思いますが、この手当についてはできるだけ早急に決定をしていただいて方針を決めていただいて、そして明示をしていただぎたいと考えておりますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  38. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 不幸な結果が出ました場合にも、それは手厚く対処しなければならないということはかねがね私どもも考え続けてきたことでございますし、それから手当につきましては、自衛隊から参加していただく方のみならず一般から応募して参加していただく隊員の皆さんにもすべていたさなければならないと準備をいたしますし、さらに、参加していただいた隊員の皆さんに対する名誉、そういったものに対してはでき得る限り厚くこれは尊重するようにしていくたおに諸準備をいたしたいと考えます。
  39. 柿澤弘治

    柿澤委員 まず手当ですけれども、これは自衛隊からの参加者の方と、それからその他の機関もしくは一般からの参加者の方と同一になるわけでございますか。
  40. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  手当につきましては、今回の法案の仕組みでは、それぞれ個別に国際平和協力業務のための協力隊が構成される、その都度決めていくことになっておりまして、したがいまして、現実に国連等から要請がございまして、その要請具体的な業務の内容、例えば平和維持隊への参加の場合、それからそれ以外の選挙監視の場合等ございます。それぞれの業務の実態に着目いたしまして所要の手当を決めていく、そういうことになるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど総理から御答弁がございましたように、政情不安定あるいは環境等が危険な場合等もございますので、十分に手当について考えていきたい、そういうように考えております。
  41. 柿澤弘治

    柿澤委員 今の御答弁ですと、具体的な要請があって隊を編成し実施計画をつくるときに決めていく。そうすると、この法案が通って、成立をして、政令を施行して、その中で手当の基準は幾らというようなことは決められないのでしょうか。私は、その都度決めていく、その都度最終的に決めるにしても、手当の水準はどの程度というようなことを事前に明確にしていくことが必要ではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  42. 野村一成

    ○野村政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、もう既にそれぞれのへ例えば平和維持隊業務参加の場合にはどういう状況になり得るか、また選挙監視の場合にはどうかということで、具体的に関係省庁、政府部内で検討を進めているところでございます。
  43. 柿澤弘治

    柿澤委員 その辺、今までも、ともすれば他の方々自衛隊方々との間で手当また処遇等に若干のギャップがあるということが言われておりますので、そういうことのないようにぜひひとつ御配慮をいただきたいと思いますし、先ほど総理がお話しになられました、不幸にしていろいろな事故に遭われた場合、こうした場合の賞じゅつ金その他、国家としてのいろいろな評価のあり方、名誉の問題、そういう点についても十分に御検討いただきたいと思っておりますが、その点について防衛庁長官、何か要望があれば……。
  44. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいま柿澤委員指摘のとおり、今回のような大切な任務に従事いたします場合、これは自衛官ばかりではございませんが、やはりその任務の重要性を自覚し、また誇りを持って参加することが肝要かと存じます。  それと同時に、今お話がございました手当その他の処遇面あるいは万一不幸な事態が起きました場合の対応につきましてもきちんとしたものをやるということが、その任務に本当に十分な能力を発揮できる、こういうことにつながると思いますので、我々といたしましても、関係省庁とよく相談しながらやってまいりたいと思います。  なお、バランスの話がございました。これにつきましてこれまて言われておりましたのは、例えば国内におけるいろいろな災害等の出動の際等に不幸な事態が起きたときの賞じゅつ金について、地方公務員の方と国家公務員と差があるじゃないか、これは自衛隊だけじゃございませんけれども、そういう話があったわけでございますが、こういった問題についても、今回の法律によって派遣される場合にはバランスのとれたものにしていただきたい、このように考えておりますし、また、将来的な問題としては、国内におけるケースについても格差の是正を図ってまいりたい、鋭意努力しているところでございます。
  45. 柿澤弘治

    柿澤委員 総理からは先ほど十分に考えたいというお話がありましたので、ひとつよろしくお願いをいたします。  今回のPKO法案については、アジアの近隣諸国から懸念の声が出ているという話がございました。きのうの国連総会に出席した中国外相、韓国外相と中山外務大臣とのお話の中にもその話があったということを新聞報道で読みました。この点について、会議の内容等もう少し詳しくわかれば教えていただきたいと思います。  また、アジア近隣諸国の懸念をできるだけ解消するために政府として努ガをしなければならないことは当然だと思いますが、しかし、その努力をしないで、懸念があるから日本としては参加すべきでないというような議論は、これは本末転倒の議論であろうかと思います。そういう点についての総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  46. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 端的に申し上げますと、アジアの近隣諸国が過去の歴史を想起して、これに対して慎重な対応を求めると言われる、そういった心情そのものには我々も率直にこれはそのとおりですと相手の立場を尊重しなきゃならぬと思います。  しかし、昨日のいろいろなお話の中でも、構想は支持をするけれども憂慮するとか、私もまたアジアの首脳といつも首脳会談のときには国連の平和協力の問題について日本もその対応のための準備をしておる、御理解を願いたい、このことを説明しますと、国連中心でおやりになることは理解を示す、またアジアの国々の中にもそのことは必要だ、問題ないが、しかし慎重に対応してくださいよ、過去の思い出もあるというように、必ずそういったことは出てくるということを十二分に踏まえながら、我々は行動するときにはしなきゃなりません。  したがって、今回の場合も、紛争当事国の同意というものを前提にしたり、国連決議があって国連要請を受けてその地域がこのことをせろという同意があって初めて行うこと、それから申立てあって非強制であること、同時にこの法案にも書いてありますように強制力を持ったりあるいは武力行使をしようとして行くものでは決してないということは、法案自体にも明記してあるわけでございます。  こういったことに対する過去の反省に立って、しかも平和を維持していこうとするこの行為に、日本は手をこまねいて見ておるだけじゃなくて、自分も役割分担しながら責任を果たそうという考え方は、私は中国でも日中青年友好センターへ行って演説の中で明確に申してきましたし、首脳会談でも説明をしてきました。シンガポールで政策演説も行ってまいりました。そしてそれらの国々の指導者にもこういった気持ちでやるんだということを率直に伝えてまいり、日本のそういった構想とか立場というものはそれなり理解を願っておると思います。  したがいまして、これから行うべきときにはそれらのアジアの国々の懸念というものに対して、それを日本も謙虚に批判は批判として知りながら、なおかつそれを越えて余りある必要な大切な国際的な平和維持というものに日本参加していく、決して相手の国の同意を無視してやるようなことはないんだという大原則をきちっと説明をして、誠意を持って説明をして理解を得ていきたいと考えております用意に反するようなことを行動でもって示すということには、この法案ではなっておりません。
  47. 柿澤弘治

    柿澤委員 アジアは、現在世界の中でも最も経済発展の目覚ましい、輝かしい地域になっております。それだけに、アジアの諸国がこれから地域の平和と安定のために安全保障のために手を携えて努力をするという姿勢が私は必要ではないかと思います。その意味で、我が国国連平和維持活動参加をし、国連の枠内で国連の安保理事会の決定に基づいて行動をすることについて、アジアの国々がその本質的な部分について御批判があるとは考えません。懸念を払拭し、そして信頼感を高めていくことは大事なことだと思いますが、その点についてはぜひとも政府として自信を持って前向きに説得をし説明をしていただきたい。  この点はお願いをいたすと同時に、まあ私見ですけれども、できることなら、このPKO等についても、北欧の四カ国がやっているように、アジアの近隣諸国で共同の訓練場を設けるとか情報の交換を密にするとか人的な交流をするというような形で、制服同士の、また防衛関係者同士の信頼感の醸成をしていくことが必要なのではないか、共同のPKO訓練活動等を考えてもいいのではないか、こう思っておりますが、この点について御意見、御見解があれば承りたいと思います。
  48. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今回法案としてお願いしておりますのは、日本日本としての自覚と責任において、日本の立場で厳しい制約を置いてPKOPKF参加させようとするその準備態勢、また緊急援助隊にどのようなものを日本は要求されたときにこたえ得るかというようなこと等について日本独自の土俵の上で考えております。  そのことについては、委員のおっしゃること私わからないわけじゃありませんけれども、私はやはり、ヨーロッパにおいて行われておる冷戦時代発想を乗り越えて共同の安全保障枠組み、共同の訓練場をつくるという今の御構想、そういったものができる土壌がこのアジアの太平洋地域を眺めて率直にあるかどうかというと、私は一つ一つまだ解決していかなきゃならない紛争やあるいは問題が残っておるのではないでしょうか。それを早くお互いの努力によって片づけなければならない。  お隣の朝鮮半島の南北の緊張緩和、平和統一のための動き、今度も国連に同時加盟という歓迎すべき方向は出てきておりますが、まだまだ越えていかなきゃならない問題がたくさんある。カンボジアでは今ようやくあのような包括和平の動きが出始めてきておる、これも定着させなきゃならぬ。同時に日本とソ連の間には御承知のように領土問題を解決して平和条約を結ばなきゃならぬという問題もある。こういった問題をすべて解決した上で、アジア共通の平和と繁栄のためにアジア共通の構想、例えばCSCEのようなものを考える土台ができるのかどうか。できたときに初めて一歩前進して次のステージとして、じゃアジアの平和そして世界の平和のためにアジアが力を合わせてのPKOPKFには共同して何ができるか、お互いに役割分担ができるかという話し合いのステージが生まれてくると思うのです。  そういった日の来ることを私も強く念頭に置きながら、きょうのところは今お願いしておる法案をまずお認めをいただきたい、これが率直な心境でございます。
  49. 柿澤弘治

    柿澤委員 時間が参りましたのでこれで終わりにいたしますが、最後に、総理がおっしゃったアジア近隣諸国と我が国が力を合わせてアジア地域の、また世界の平和に手を携えて努力をしていくということはこれからの日本外交にとって大事なことだと考えておりますので、ひとつますますのそういう意味での御努力をお願いをいたし、緊急援助隊法につきましては、この後同僚議員の質疑もありますので、譲りまして、私の質疑を終わります。
  50. 林義郎

    ○林委員長 この際、武部勤君から関連質疑の申し出がありますので、これを許します。武部勤君。
  51. 武部勤

    ○武部(勤)委員 ただいまも総理のお考えをお聞きいたしまして、我が国国連主義及び憲法平和主義に照らして新しい国際秩序形成のために世界の中でいかに日本役割を果たしていくべきかということについては我々も全く同感でありまして、さような意味からも、PKO我が国が積極的に参加して国際社会貢献し得る非常に大事な課題だ、かように考えるわけであります。  しかし、新聞報道等を見ましても、また一般の世論もそうだと思いますけれども、実際のPKOとそれから我々が頭の中に今描いているPKOとの間には非常に大きなギャップがある。今まさに伝統的な軍隊を海外に派遣するんだ、そういう先入観がなかなか抜けない。私は六月に衆議院の調査団の一員に加えていただきましてドイツ、スウェーデン、ニューヨーク国連本部あるいはカナダに参りまして、つぶさにPKOとは何ぞやということについて勉強してまいりました。行ってよくわかるわけでありますが、まさに敵のいない部隊である、戦争に行くのでは全くない。  スウェーデンに至りましては、五万人派遣しているけれども、スウェーデンは徴兵制をしいている国でありますけれども、徴兵制を終えた一般国民、文民というのでしょうか、この人たち国連訓練センターでさらに訓練をして、そして出かけていく。今日まで五万人参加しているわけでありますけれども、応募者を募ると大体六百人募集すると六千人応募する、そういう姿であります。  カナダに至りましては、カナダはこれは志願兵でありまして、国防軍そのものがその任務一つとして国連平和維持活動参加する。その業務についての訓練もしている。そして志願兵の国防軍に志願する最も大きな理由が、PKO参加して世界平和に貢献できるからだ、こういうことを言っているわけであります。カナダは今日まで八万人以上参加しておりますし、そしてカナダの場合には、御案内のようにピアソン元首相が外務大臣のときにスエズ危機のコントロールのためにこのPKOという概念をつくり出した。そのことによってノーベル平和賞を受賞した。このことも非常にカナダの国民は誇りに思っておりまして、ピアソン元首相を非常に尊敬しているわけであります。そしてさらに、一九八八年にPKOがノーベル平和賞を受賞いたしました。それは我々カナダ人の名誉なんだ、そういうことを誇らしく述べているわけであります。  しかも、国連本部におきます明石次長とかアーメド次長とかグールディンク次長とか、いろいろな方々の意見をつぶさにお聞きかせいただいたわけでありますけれども、こうした皆さん方のお考え、すなわち国連が示すPKOは今度の法案の五原則が全部含まれたと言っていい。すなわちPKOというのは、紛争当事者あるいは当事国の紛争終結の合意がなされている。それから、参加しようとしても紛争当事者、紛争当事国が来てもらっては困ると言ったら行けない。同意をして初めて出れる。それから、中立性でなければならない。さらには撤収についても、これは何も恥と考えることはない。まあ、およそこの法案に示されている五原則は本来のPKO活動そのものだ、かように思うわけであります。  しかし、新聞報道によりますと、いろいろと国民の皆さん方の心配や懸念がむしろ増幅しているという一面を私は想像するわけであります。なぜならば、この間もあるテレビを見ました。PKOの特集番組だったと思います。冒頭に戦車が何十台も走ってくる。戦闘機が何十機も飛び交う。そして軍隊の大部隊が銃を抱えて行進していく。そるからPKOの問題についていろいろな話がされるわけであります。それを見た瞬間、PKO自衛隊の派兵、これは軍隊だ、そういう先入観を持ってしまうのは私は当然のことと思うのですね。  ですから、これから総理を初め政府の皆さんに、私もいろいろな新聞の記事を集めて調べてみまして、これは少しおかしいのではないか、こういう書き方ならば国民の皆さん方はきっと誤解をするだろうな、そういう問題点を取り上げてひとつ質問をさせていただきたいと思いますので、政府側の皆さん方も国民、に向かってわかりやすく解説をお願いしたい、かように思います。  そこで、「新聞報道を通じて見たPKO法案への国民の心配と懸念」その一は、法案の目的は国連の軍事行動参加するための自衛隊の海外派遣ではないか。社名を挙げませんけれども、「停戦監視団PKF参加自衛隊員以外には要請できないと定めているところに、この法案が本質的に自衛隊の海外派遣組織法案に他ならないことが表れている」断定して書いてあります。「本法案は、自衛隊の海外派遣に対する内外世論の抵抗感をなしくずしに緩和していくもの」「日本は金で十分、なぜ自衛隊派遣に固執か」そのとおりと、こうおっしゃっている方がいますけれども、果たして国民の皆さん方は金だけで十分とお考えになっているでしょうか。「PKF参加は時期尚早、本法案は「自衛隊派遣法」の印象さえ与える」  このように、数々の新聞記事をピックアップしてみますと、そういう懸念や不安が増幅される、そういう書き方になっていますね。まず第一に、この点についてはそうではないんだということを、総理、明らかにしていただきたいと思います。
  52. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いろいろ武部議員の御意見を承りますと、私はやはりこの際国民の皆さんに広く御理解をいただかなきゃならぬことは、国連決議をして、そしてその地域停戦合意成立して、その紛争当事者すべてが国連平和維持活動を同意、要請をすることによってその地域の平和を維持していきたいという、この願いにこたえる国連活動PKOでありPKFであるということをまず御理解いただきたいと思うのです。  そうして、きょうまで日本がいろいろ国際社会努力をしてもまいりました。先ほど同僚である柿澤議員の御質問の中にも、あの湾岸の処理の問題について、流された原油の吸収作業に日本技術者参加をしたりいろいろいたしました。いろいろな努力はしてきましたけれども、しかし国連決議をしてPKFPKOと名乗るものに参加するためには、やはりある程度の規模で、ある程度組織的に要請にこたえて役に立たなければならないということであります。  きょうまでも一人だけ政務官として参加してもらったり、あるいは選挙の監視団に参加をしてもらったりして、それなり評価を受け、それなりの成果を上げてきたことは事実としてございますけれども、ノーベル平和賞まで受ける国連平和維持活動日本組織として協力をすることが求められたときには、たしか昭和三十三年前後だったと思いますが、国連から求められたときにそれに応じることもできなかった。そういったことをすることは賛成だという意見は国連日本も述べ続けてきたわけでありますから、そういったことに日本も人的な面で貢献協力をしよう。それは従来の概念の軍隊ではありませんし、憲法の禁止する武力の威嚇をしたり武力行使の目的を持って武装部隊が海外へ出ていくという概念とはこれはかけ離れたものだということも、まずよく御理解をいただきたいと思うのです。  そうして、その平和をきちっと維持するためにきょうまで行われてきた平和維持活動というものが国際社会でも高い評価を受けておるということ、同時に、先ほど来お話があったように、世界東西対立が終わりを告げて、これからはある意味では多極化時代と言われたり、あるいは地域紛争や宗教の紛争や人種の問題、いろいろな紛争その他があります。そういったものをできるだけ国連の権威と説得によって、中立の立場で強制力を用いないで解決していこうというのが平和維持活動の目指す大きな目標でありますから、これに参加をするということでございます。  いろいろおっしゃいましたが、例えば私もびっくりしたのは、まあいろいろ漫画が出ておりますけれどもPKOと横に大きな字を書いた戦車が出てきて、それを皆さんが寄ってたかってハンマーやこん棒でだめだだめだといってたたいていらっしゃる漫画、これなんか見ますとびっくりします、これは。だから、大砲を持った戦車まで戦場に行くのではありませんよという、従来の軍隊の概念とか国権による戦争の概念とか、そういうものと全く違うものなのだということも十分これは御理解願いたいし、今度この法案をつくりますときにもそういったことを十分念頭に置いて、そして隊員等の、要員等の生命防護のためにしかそれは使わないという厳しい制約もつけて派遣をするわけでありますから、そういった御懸念が一切なくなるように、これからも、実施していくに当たっても十分配慮していかなきゃならぬ重要な問題点だと思っております、
  53. 武部勤

    ○武部(勤)委員 スウェーデンに参りまして、訓練センターにありました装甲車を見ました。真っ白に塗っているのですね。どうしてかというと、これはPKOの戦車だ、どこから見てもだれから見ても一目瞭然わかるようになっている。それから停戦監視団、ここは夜間照明をつけて、監視団はここにいますよ、それをよりよく皆に知っていただけるような、そういう姿かたちになっているわけであります。  しかし、それではなぜ日本自衛隊参加なんだということについては、これは一つの疑問が残ると思いますが、私が調べてきた形でいいますと、私は自衛隊でもだめだと、こう思いました、PKOは。しかし、我が国においてPKO参加するとすれば、軍事知識を持っている自衛隊員の皆さん方の中から優秀な人を選抜して、そしてさらにPKO求める中立性とか特にフレキシビリティー、柔軟な対応、忍耐力、そういうものをしっかり再教育といいますか再訓練して、そして行っていただかな一ければ、日本だけがそこで参加するわけじゃありません、多くの国々の隊員皆様と一緒に参加するわけでありますから、日本参加するためには、ほかの国々がやっているように、オリンピックに代表選手を送るようなそういう気持ちで立派な人材を派遣しなければ、私は諸外国から笑われることになるやもしれないと、こう心配している。しかし、自衛隊の皆さん方ならば、しっかり訓練をしていただければ、教育をしていただければできる、このように確信をしておるところであります。  次の問題に進みたいと思いますけれども、「新聞報道を通じて見たPKO法案への国民の心配と懸念」その二は、シビリアンコントロールとして国会承認による歯どめは必要ではないのか。再三議論がございました。数ある記事の中で、「協力隊が武力行使に至らないよう万全を期すうえで、本当に「報告」だけで足りるのか」「歯止めがないと海外で暴走する恐れありとの不信感あり」、こんなことが書いてあるのです。  しかし、私は、この歯どめということについては、どのようにブレーキをかけるかではなくて、どうすれば派遣部隊がより派遣の実を上げてくれるかという方向からこの法案にアプローチすべきだ、こう思うのです。歯どめの考え方の底流には、この新聞報道等によれば、派遣部隊が外地で暴走するかもしれないからある程度手足を縛っておこうという不信感が前提になっているのです。これは参加する自衛隊皆様方にも大変失礼な話でありますし、PKOというのは軍隊ではないわけでありますから、このことについては私は余りにも真正面からアプローチしていない議論だ、このように思うわけであります。戦争をしに行くのではない、国連組織一員として行くわけですね。武器使用についても国権の発動としての武力行使ではあり得ないわけです。ですから、このことについてはもう少し派遣の実を上げていくためにはどうしていくかということでアプローチしてもらいたい、こう思うわけでありますけれども、しかし国民の皆さん方の間にそういう不安や懸念があることは事実だと思います。  この点について、いま一度総理の御答弁をお願いしたいと思います。
  54. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いま一度と仰せられましたので同じことをもう一回答えることになるかもしれませんが、強制力をもって物事を解決しようといって行くのではありません。中立の立場で、強制力を使わないで、国連の権威と説得でその地域の平和を維持しよう、しかも紛争をしておった当事者全部がもう停戦合意をした、停戦成立させた、そしてその紛争をしておった当事者がもう自分たちは引いていくわけでありますから、だれか権威ある人、国連中心として議決をしてだれか権威のある人がそこにおいて平和の維持を確保してほしい、監視、監督してほしいということだと思います。  その役割を果たすのですから、武部議員、暴走しようにも暴走のしようがございませんし、そんなことを目的にも全然与えておりませんし、同時。にまた、そこへ行く日本平和維持活動というのは、きょうまで二十三回行われ、国際世論の中で高く評価をされ、ノーベル平和賞をもらった平和維持活動というものを、日本もその一部を役割を担わしてもらおうということで、要請を受けて初めて参加するのでありますから、何回も繰り返すようですが、国権の発動たる戦争をしに行くわけでもありませんし、武力による威嚇、武力行使を目的として武装部隊を海外へ出すという憲法の禁止しておるようなことをする行けではございませんし、漫画などに時々出てくるように戦車が大砲を振りかざしてどんどん行くような場面が起こるとも思いません。  それは閣議の実施要領できちっと決めて、きちっと決めて歯どめをかけて行いますし、それを派遣するときも変更するときも国会へ行政府は報告をいたしますから、この授権の枠組みの中で、目的とか制約とかいろいろなことが書いてある法の枠組みの中で行うのみでありまして、枠組みを外れるときは、どうぞまた武部議員心お立ちになって、この枠組み、約束と違うではないかという国会の御議論をしていただければ、私ども政府はその御議論を十分尊重をして対処しなきゃならぬのは当然のことであるとみずから戒めておりますから、そういった意味において、この法案に示しておりますことは、力でもってやりに行くんじゃない、暴走をできるような問題も何もない、それはやはりあくまで停戦の監視と平和の維持というきようまでの国連平和維持活動の問題である。  この間、一週間か十日前にも私自身もテレビで見ましたし、本でも読みましたけれども、今まで一番いろいろな問題で約束破りといいますか停戦合意が踏みにじられた例としてよく出てまいりますのがレバノンの例でございました。そのときに、レバノンの例でイスラエル軍が検問所を突破するときに、それはそこで武力行使をしたり暴走しないで、そのときは任務中断をしたということになっておりますし、国連当局もそれは残念ながら仕方がないことであった、あくまで武力行使の目的で行ったのではない。  また、古い資料などを読んでおりますと、たしかスエズの動乱のときに出ていった国連平和維持活動に対して、エジプト側からそこへ行くからのけと言われたときに、平和維持活動は、それではもう目的は終わった、状況は崩れたといって直ちに撤収をし、その任務を果たきなくなった。  それでよかったのかという反省等も議論されておりましたのを読んでみますと、そこで武力でもって対決すべきものではないんだ、武力紛争に入っていったら紛争の当事者になってしまう、国連平和維持活動は紛争の当事者になるものではないという合意を得て、あのとき撤収した答えは正しかった、無力だと言われてもそれは仕方がない、ほかの部面でそれはやるべき問題だというようにきちっと割り切ったやりとりが出ておりますし、力によって争ったり力で暴走したりするというようなことは、この目的にもどこにも書いてありませんし、また研修、訓練の中において参加される隊員等にはその点はよく徹底をしていかなければならないであろう、私はそのように理解をいたしております。
  55. 武部勤

    ○武部(勤)委員 ここに漫画があるんですね。これはちょっと総理に似た顔をしておりますけれども、ぐるぐると「合憲」ということで縛り上げて、これはよその国ですね。委員の皆さん方にもお見せしますが、「ダイジョウブ?」、こう言っているのです。答えは「ハイ なんとか…」「いっぱいタガをはめました」、こう書いてある。  私は、個人的な見解を申し上げますと、今度の法案というのは国連が示しているいわゆるマニュアルといいますかPKOの基準そのものなんです。これは日本が単独で行くわけじゃありません。国連の指揮のもとに国連平和維持活動の一環として参加するわけでありますから、日本国連主義を唱えるならば、国連を信頼して、そして出して何も心配なことはないんじゃないか、こう思っているのです。むしろ余りたがをはめることによって派遣された隊員の皆さん方が、このときはどうしたらいい、あのときはどうしたらいい、そういう疑問を持ったり心配を重ねたりして、かえって任務遂行の支障になるといいますか、そこまで言わなくても士気に影響するのではないかという心配をするほどであります。次にまた申し上げたいと思いますけれども。  その次に、紛争に巻き込まれないでうまく撤収できるか。これは野党の皆さん方からも常々そういう疑問がありますけれども、「現実問題として、スムーズな撤収ができるのか心配されている。日本だけが撤収すれば他国の派遣部隊を危険にさらすおそれがないではない」「いざという場合、日本隊だけでも撤収が可能なのか」、こういう疑問点といいますかが新聞報道によれば国民の皆さん方が心配、懸念する問題の一つとして挙げられております。この点についてはいかがでしょうか。
  56. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 具体的なケースをいろいろ調べてみますと、従来の軍隊の概念とは全く違いますから、日本だけが撤収すると他国にという、これ御批判の中にはときどき出るお言葉でありますけれども、敵のない部隊であり敵のない活動でありますから、それによって他国の迷惑とか状況の変化ということは、従来の場面と何かダブって考えますとそういう御批判も出ますでしょうけれども、私はそうではない。  それから、停戦合意が崩れるときは、それぞれの国も停戦合意が崩れた後、平和維持活動をなおかつ遂行するかどうかという判断については、それぞれの国も大多数の国が、停戦合意が崩れた場合は、例えば先ほどちょっと申し上げたエジプトの例でもあるいはレバノンの例でも、いろいろ考えますと、停戦合意が乱れて組織的な実力行使が始まるときにはそれによって力で対抗しないというものも、またきょうまで大体確立された慣行となっておるのではないでしょうか。  そういった意味でありますから、私は今後の実施要領でもその点は厳しく決めてまいりますし、同時にまた、撤収ということについては、日本だけ撤収できるかとよく聞かれるが、それは大きな誤解である、PKO撤収は日常行われてきたことだ。これも先ほど御紹介した新聞のインタビュー記事のあれでありますが、答えている方はPKOの当初からこれに参画をしてきた国連責任者の意見でありますから、私はそれらのことを読みますと、とにかく武力行使をして、それでもなおかつとどまれというようなことはない、状況を決めて、日本はこのような五原則で行います、こういうときには業務中断をします、業務中断しても当面それが片づかないようなときは本部長判断においてこれは任務終了をいたしますという厳しいことを決めた今回のこの問題を、念のために国連本部担当官とも話し合いをいたしまして、国連の意向としては、それは結構なことであります、国連は反対しない、撤収するときには事前に適切な方法で事務総長にここでは任務終了するということを通告してくれればいいのだということになっておるわけでありますから、そのことによって、このインタービューにも出ておるように、後ろ指を指されたり、それで他に迷惑をかけるとかいうことにはならない、あくまで平和維持活動をすを前提条件が崩れたのだ、こういうことになるわけであります。
  57. 武部勤

    ○武部(勤)委員 今総理が引用されましたのは、これはある新聞社の記事の中にあったのでありますけれども、ブライアン・アークハート氏といいまして、国連本部で七四年から八六年までPKO担当事務次長をしてミスターPKOと呼ばれた人のインタビューの一部だと思います。これは非常にわかりやすく大事なことを述べておりますので、読んだ方がいいと思いますので、一部私から読ませていただきます。   「日本だけ撤収できるか」とよく聞かれるが、  大きな誤解がある。PKO撤収は日常茶飯事だ。平和維持軍は自主的な参加が本質で、義務ではない。撤収しても、だれも後ろ指をささない。 中略いたしまして、   PKO参加に細心の注意を払っているのは、日本人だけではない。どこの国も希望にそぐわなければ派遣しない。   各国とも維持参加に反対の人は、武器使用を強調する。だが、あくまでも自衛のための最後の手段。これはレバノンの検問所の兵士にとって、東京の机で考えるより、はるかに難しい。しかし、警官だって自分の命が本当に脅威にさらされているか、ここで発砲していいか、毎日決断を迫られている。検問所突破の動きに遭遇した兵士も同じ。よく状況を把握し、訓練された兵士なら、やっかいすぎる問題ではない。   維持軍は非暴力、非強制の「敵なき兵士」だからこそ、偉大な力を発揮する。戦う平和維持軍は、決して役に立たない。 こういうふうに述べているわけでありますね。したがって、危険だとか矛盾するとか、上原先生も一緒にスウェーデン、カナダヘ行ってごらんになったのでありますから、十二分に御理解をいただいているもの、かように思うわけであります。  次に、これは本会議質疑においてもございましたが、「国民の心配と懸念」その五、アジア近隣諸国の懸念が増幅しないか、この問題に対してどう考えたらいいのか、また我が国としてこれらの諸国の懸念を解消するためにどのように施策をとるべきか。このことについて先般、中国あるいは韓国の高官も懸念を表明されております。この対応について御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  58. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 アジア近隣諸国の現在の状況を踏まえてみますと、日本行為に対して、特に過去の歴史に対する厳しい、日本にとっては反省すべき行為があったわけでありますから、それに対していつまでも忘れないぞという気持ちがどうしてもあるということについては、先ほども申し上げましたように、そういう御意見、懸念があるということについては謙虚にそれは受けとめなければならないものである、私はそう考えております。  したがって、そういう前提に立って、私は日中の首脳会談でも日韓の首脳会談でも、そういった気持ちを表明しながら、また、アジア・太平洋地域の平和と安定は、率直に言ってユーラシア大陸の西の端と比べて東のアジアはおくれておるわけでありますから、それは一つ一つの個別の紛争や個別の問題を片づけていかなければならないということになるわけであります。そういう一面がございます。  もう一つ、そういった過去の歴史に起因する面ばかりを見ておらないで別の視点を見ますと、アジア近隣諸国にとっては、アジア周辺にいろいろな紛争があったり平和が維持されないということはいいことか悪いことかといえぱ、よくないことでありますのであるがゆえに、カンボジア紛争に対して、日本もこれの和平交渉のために東京会談をやったり、私がバンコクヘ行ったときに各派の代表の方とお目にかかって説得をしたり、また、カンボジア和平ができたときにはその復興会議の先導役もする、東京でカンボジア復興のための援助会議も主催したいと思っておる、いろいろ外交的なイニシアチブもやっていこうと考えておりますが、シアヌーク殿下その人もそのことについては深い理解を示されて、日本に対して復興段階のあらゆる面での協力と援助を頼むぞという御希望も出てきております。  国連を通じて、具体的にアジアにそういった問題が起こるときには、アジア全体の利益のためにもその地域の平和と安定は確保していかなければならぬということは、これは未来に向かっての、物の明るい面から見ると非常に大切なことではないでしょうか。そして、その紛争当事国が賛成をし、紛争当事国が要請し、国連決議をする、しかも、アジアの代表としては常任理事国には中国も五大国のメンバーとして参加していらっしゃる、非常任理事国の中にはアジアの代表も必ず入っておる、そこで決まる決議に従って、その枠組みの中で日本が将来に向かってアジアの平和維持のために汗を流し参加をしようということについては、これは説得をして、その事実をわかっていただいたら、その構想には賛成する、国連中心の動きには同意をするという基本的な合意も得ておるわけでありますから、そのことについては、私は誠意を持って話していくべきことである。  物に二つの面があるなれば、その一点だけを強調しないで、よく誠意を持って理解求め説明をしていくことはアジアのためになる問題である、私はそう信じますから、これをよく伝えていきたい、御理解を得ていきたいと思っております。
  59. 武部勤

    ○武部(勤)委員 ぜひ誠意を尽くしていただきたいと思います。そして、それは政府だけの問題ではないのですね。我々国会も、国民一人一人が戦後四十六年、そして、やがて二十一世紀を迎えようとしているわけであります。従来の継続ではなくして、むしろ従来の総決算のもとに新しい第一歩を踏み出すのだ、そのことをよく理解いただくべく努力をしていかなければならない我々の務めだ、かように思う次第であります。  次に、隊員の処遇の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  つまり、自衛隊員の身分保障をどこまで考えているかという問題でありますが、まず第一に国民の代表として、国際平和協力隊員として派遣される者が安心と誇りを持って任務につけるようなそういう万全な努力を果たすべきだ、かように思いますし、万一殉職した場合の公務災害補償や賞じゅつ金等について十分な措置を講ずべきと思うわけでありますが、特に地方公務員や交通事故の死亡者に対する格差、これは非常に大きいものがありますが、これらのことも踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
  60. 池田行彦

    ○池田国務大臣 武部委員指摘のとおり、今回の任務に従事いたします場合には、やはり処遇の面、手当あるいは万一の場合の補償措置も含めて万全の措置を講じておくということが、本当に安んじて任務につける大切なことだと思います。そういった観点におきまして、政府部内で鋭意検討しているところでございますが、先ほど来答弁もございましたけれども、平和協力手当につきましては、全体として検討していくということでございます。そのほか、自衛隊とそのほかの参加者との間の格差が生じる問題があるといたしますならば万一の事故が起きた場合でございまして、公務災害補償につきましては既存の法によりまして対応できますし、これはバランスがとれております。  これまでバランスを失していると言われましたのは賞じゅつ金等でございまして、これは、実は国内でも同じような危険な場所で作業に従事した、例えば消防の方そして自衛隊隊員、こういった場合に地方公務員と国家公務員という身分の違いに応じまして差が出ておる、それが必ずしも小さくない、こういうことがあったわけでございます。しかし、この問題につきましては、一般的に何とかこの格差を是正する方策はないかということで、私ども防衛庁におきましても、学識経験者に委嘱しまして今いろいろ検討いただいておりまして、何とかこの格差を解消してまいりたいと存じております。  それは一般的な格差でございますが、今回、この二法案によって海外での任務に従事する者につきましては、これは今政府部内で寄り寄り相談いたしましてそのような格差はこの件については生じないようにしてまいる、こういった所存でございます。
  61. 武部勤

    ○武部(勤)委員 ぜひ最善の措置をお願いしたいと思います。  二番目に、国際平和協力業務の中には非常に条件の悪い過酷な地で勤務に従事しなければならない人々も出てくると思うのです。「政令で定める。」としている国際平和協力手当は、こうした職務の困難性を考慮して、より充実したものとすべきと考えますが、どの程度の額を今考えておられるのか、御検討中であろうと思いますが、お示しをいただきたいと思います。
  62. 野村一成

    ○野村政府委員 お答えを申し上げます。  先ほどの御質問にもお答え申し上げたのでございますが、個々のその都度構成されます協力隊の、その際に具体的な額を決めていくということではございます。しかし、急に要請がありまして、それで派遣する段になって政令で具体的な額を決めるということになっても間に合わない場合がございますので、現在から既に具体的なそれぞれの業務について検討いたしておるわけでございますけれども、現在でもいろいろな手当はございます、そういう手当とのバランスで具体的に幾らぐらいにしたらいいかということを今進めておるところで、まだはっきり具体的な額で申し上げる状況にはございません。
  63. 武部勤

    ○武部(勤)委員 それから、国際緊急援助隊のことでお伺いしておきたいと思いますが、今まで警察とか消防とかそういった方々に御活躍をいただいたわけですね。そういった方々との役割分担といいますか、分野調整といいますか、そういったことはどうなるのか、災害の規模とか態様に応じて、どういうときに自衛隊が出ていくのか、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
  64. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  御指摘自衛隊部隊等が緊急援助隊として派遣されますのは、今回の法律の案の立て方によりますと、被災国政府等の要請の内容、災害の規模、態様、ほかの関係行政機関等の対応能力といったようなものを勘案いたしまして、外務大臣が特に必要があると認める場合という立て方になっております。そういう場合でございまして、自衛隊部隊等以外の者による従来の国際緊急援助活動の実施というものが適当かつ可能な場合には、自衛隊部隊等以外の者の効果的な派遣にこれまでどおり努めてまいるという仕分けになっております。
  65. 武部勤

    ○武部(勤)委員 次に、私は、PKOへの参加で、むしろこのことが一番重要だろうと思っている問題を申し上げたいと思います。  それは研修あるいは訓練についてであります。PKOとして自衛隊員が参加する場合の訓練について、どのような内容でどの程度のことを考え、その所要期間はどのくらいか、このことを御答弁いただきたいと思います。
  66. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、研修については私ども非常に重要であるというふうに認識しておりまして、そのためにこの法案におきましては、特に法案の第十五条におきましてその旨を規定しておるわけでございます。  具体的な研修の期間とか場所その他については必要性に応じましてその都度判断されるわけでございまして、一概には申せないわけでございますけれども、やはり一番重要視いたしておりますのは、今回各国の要員等と一緒になって活動するという面もございます。この国際連合PKOについての基本的な知識とかあるいはその任務そのものについての知識、それから派遣国の国情、社会文化等につきまして非常にしっかりした研修を受けてもらう必要があろうというように考えておりまして、そのための種々の方策につきまして政府関係機関の協力を得ながら進めていかなければならない、そういうように考えております。
  67. 武部勤

    ○武部(勤)委員 スウェーデンのアルムネス風連訓練センターの「訓練項目」を見ますと、「派遣地域歴史、人口、国連PKO任務、現在の政治・軍事情勢について勉強、医療応急措置、武器使用(自己防衛のためのみ)、化学兵器に対する予防措置、運転技術、ラジオ・通信技術について訓練」それから(ロ)、「PKO要員としての資質」として、「情緒の安定(精神的安定)、謙虚さ、忍耐力、同情心、協調性、柔軟性、語学力、外向的性格、安定した社会的背景等である。一番重要なポイントは中立的であるということである。」  私が先ほど、失礼かと思いますが、自衛隊がそのままPKO隊員として派遣されてもなかなか任務遂行は難しいと申し上げたのは、ここなんです。軍事的な知識は持っていなければならない。地雷もあるかもしれない。ゲリラに襲われるかもしれない。非常に環境の悪いところ、また我々が望遠鏡で戦車を見ても、前を走っているのか後ろを走っているのかわからなくても、軍人ならすぐわかる。自分の命を守るためにはそういう知識を持っていなければならないからこそ我が国PKO参加自衛隊しかいない、こういうことになるわけですね。しかし、自衛隊の今までの訓練だけではだめだということが、今このアルムネス訓練センターの「訓練項目」あるいは「PKO要員としての資質」の中に示されているわけなんです。これは非常に重要なんです。  だから、自衛隊ではないんだ、PKO参加というものはこういうものなんだということを示していると思うし、このことが私はある意味で一番重要だ、こう思いますので、このことについてぜひ真剣に訓練態勢を整えて、願わくばできるだけ早く、要請があればPKOとして参加できるように、カンボジア和平後の我が国参加の可能性の問題も、これは大事な課題でありますし、ぜひこのことは遅滞なくお願いしたい、かように思います。  そこでもう一つ自衛隊法の改正と自衛隊の将来構想について伺っておきたいと思うのです。  今回の法案では、国際平和協力業務の実施を自衛隊法第三条の任務に加えていないわけですね。第八章「雑則」に規定しているわけであります。私は、今回の任務の重要性にかんがみ自衛隊法を改正すべきではないか、このように思いますし、将来的には国際貢献を本来の業務に加えるべきではないかという考えもあります。これはカナダの例でわかるのですね。カナダの志願兵はなぜ国防軍に志願するか、その理由の第一にPKO参加して世界平和に貢献したい、こう言っているわけでありますから、私はこうしたことも検討すべきではないか、かように思いますが、これはまとめてお答えいただきたいと思います。
  68. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御指摘のとおり、今回の改正では自衛隊法三条を改正することはしておりません。これは私どもといたしましては、自衛隊の本来の任務というのは、三条に規定されておりますように直接侵略及び間接侵略に対し我が国防衛すること、これを主たる任務とし、さらに必要に応じて公共の秩序の維持に当たる、つまり我が国土の防衛と公共の秩序の維持、これが本来任務になっているわけでございます。そうして、そのような任務を果たすため必要ないろいろな能力を備えておるわけでございますが、そういった技能、経験、あるいは組織的な機能を図って本来任務以外のいろいろな活動をしておるわけでございますが、今回の御提案申し上げております二法によりまして自衛隊が果たそうとしております任務も、そのように本来の任務ではなくて、持てる本来任務を遂行するために必要な能力を活用するという位置づけにしておるところでございます。  それについて将来的には本来の任務にしたらどうかという御提案でございますが、このことにつきましては、やはり我が国防衛のあり方あるいは自衛隊の位置づけというものをどのようにするか、これは防衛庁あるいは政府全体はもとよりでございますけれども、やはり広く国民全体の議論を経た上でいかにするかを考えるべき問題であろうかと存ずる次第でございます。
  69. 武部勤

    ○武部(勤)委員 よく理解いたしました。ぜひ新しい発想で御検討をいただきたいと思います。  最後に、将来の我が国国際貢献の問題について総理の御見解を承っておきたいと思うのです。  いろいろ憲法論議がありますが、憲法の九条は、「武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」私は、これは、侵略戦争は放棄、このように理解しております。また前文は、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」また「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」「全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」さらには第九十八条二項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する」、すなわち国連憲章とかあるいはサンフランシスコ平和条約等もこれに当たる、こう思うわけであります。  我が国国連中心主義我が国外交の柱とし、憲法平和主義を貫いて、これから国際社会で国際協調のもとに共同の努力世界の平和と安定、人類の発展、繁栄に寄与していこうと考えるならば、もっと進んだ国際努力参加していく必要に迫られてくるのではないか。例えば将来、国連軍が現実化したときに、これに対して我が国としてはどう対応するのか、これは避けて通れない問題の一つだと私は思います。  こうした問題について総理の御見解を賜りたいと思います。
  70. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 日本の国が戦後、世界の平和と自由な秩序の中で今日まで成長してきて、亡れだけの質の高い生活を維持しながら、その中で平和を確実に享受してくることができたという過去を振り返りますと、国際的な秩序の中で、国際的な自由な枠組みの中でどれだけ恩恵を受けてきたかということは、これはもう皆さんもよく御理解願っておるところと思います。  したがいまして、きょうまではそれでよかったけれども、これからはもっと積極的に参加をし、進んででき得る役割分担をしていくという、世界とともに生きる、世界の中の日本というならば、それにふさわしい行動も伴わなければならないという考え方に立って、きょうまでもいろいろ国連協力も、資金面ではもう日本はアメリカに次いで資金協力もしてきておる。また人的な面でもいろいろなこともしてまいりましたが、しかしここで国内体制を整備して、本当に国際的な平和維持活動にお役に立つように協力をしよう、国際社会の新しい秩序づくり参加をしていこう。これは何もPKOPKFの問題だけでなくて、麻薬の問題であるとか環境の問題であるとかあるいは軍備管理軍縮の問題であるとかその他いろいろな多方面にわたっていかなければなりませんし、特にODAなんかも日本は実質的に絶対量としては世界の一、二を争うところまで上がってきたわけでありますので、こういった問題に対してもできるだけさらに努力を積み重ねていかなければならない、こういうことでございます。  ただ、御指摘のありましたように、例えばこの間うちの湾岸危機のときにアメリカを先頭とする二十八の国が共同の武力行使を行って世界の平和を回復するために多国籍軍を形成をした、実力の行使が行われた。これに対して日本は、先ほどから何回も言っておりますように、過去の歴史の反省に立った日本の平和国家の理念というものがあります。憲法の定める、国際法上は、日本にも集団的自衛権というものは当然国際法上は国家の主権として認められておるのでありますが、憲法の九条において厳しい制約を置き、厳しい反省に立った平和国家の理念というものを日本は持っております。こういった立場を理解をしてもらうためにも、それぞれの国が厳しい財政事情や、それぞれの国の青年男女の犠牲をも顧みず国際社会の大義のために行ったあの多国籍軍に日本参加できなかったというこの立場を世界に率直に革し述べるとともに、平和を達成していくためにはお金だけじゃなくて、物だけじゃなくて、許される限りぎりぎりのところまでやっていくのが当然ではないかという考え方に立って、停戦合意あるいは当事者の同意、そういったことを踏まえて今回の法律提案をして、お願いをいたしておるところでございます。  将来の問題につきましては、いろいろな角度から、国際情勢の変化とかあるいはそれぞれの状態の変化もあろうと思いますが、きょうまで申し述べてきた平和国家の理念をより具現化するためにはどうしなければならぬかという点に焦点を置いて今後とも考えてまいりたいと思っております。
  71. 武部勤

    ○武部(勤)委員 終わります。
  72. 林義郎

    ○林委員長 次に、上原康助君。
  73. 上原康助

    ○上原委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、昨日本会議質問が行われ、この特別委員会で審議に入りましたいわゆるPKO法案、また国際緊急援助隊法の一部改正について、総理初め関係大臣にお尋ねをしたいと思います。  少し私の質問時間が細切れになって、流れがいささか中断したりしますので、なかなか、どの角度からお尋ねをしていいのかちょっと考えあぐねているのですが、まず冒頭、先ほど来与党委員の御質問がいろいろありましたが、国民の皆さんにもこの法案の重要性、今政府がおやりになろうとするいわゆる日本国際貢献、あるいは国連中心外交ということも大事ではあるけれども、その本体が、昨年の平和協力法案が廃案になった反省の上に立ったものではなくして、やはり自衛隊組織的海外派遣というか海外出動に主眼を置いているというところに私たち社会党との根本的な違いがあるという点をまず指摘をしておきたい。  社会党も、できるだけ与野党の、安全保障の問題であるとか外交課題であるとか防衛問題について共通の土俵を狭めていきたいという気持ちを持っております。だが、国際貢献というあり方を考えた場合に、やはり憲法理念をどう具現化をしていくかということが主体でなければいかない、一番基本でなければいかない。そういう立場からすると、非軍事、文民、民生協力ということを着実に遂行しながら、次のステップをまたどう展開をしていくかという国民合意を得つつ、世界的な軍縮、アジアにおける情勢変化等々を考えて新しい日本の平和外交戦略というものを樹立をしていく、そういう中からこの国連協力法案であるとかあるいは緊急援助隊法であるというものがもっと真剣に議論をされた上での法案ならば、いま少し国民合意形成ができおったのじゃないか、こういう気持ちを持っているということを冒頭指摘をしておきたいと思います。  そこで、大分、理事会においてもいろいろ問題がございました。私たちも、積極的に審議をしていくということには賛成であります。だが、資料提出にしましても、あるいはこの法案というものの中身をよく検討をする時間もないのですが、昨年の平和協力法案以上に複雑、そして大変わかりにくい内容になっている。そういう面も含めて、これは委員長に特に要望しておきたいのですが、昨日も理事会でも申し合わせをしましたように、法案の重要性から慎重審議をしていく、決して無理な委員会運営をしないということは、委員長初め与党の理事方々、各党もそういうお気持ちでいきたいということでありましたので、そのことを改めて、本委員会において委員長の所見をまず聞かせておいていただきたい。
  74. 林義郎

    ○林委員長 上原君の御質問に対しまして私から申し上げますが、この問題は大変重要な法案でありますし、委員各位の御協力を得まして十分な私は審議をやらなければならない、こういうことを中心にして委員会の運営について申し上げました。決して無理な私は運営をするつもりはございませんし、またこれは理事会におきましても大体側了解をいただいているところだと思っておりますので、ぜひ濃密な審議のほどを委員各位にお願いを申したい、こういうふうにお願いを申し上げる次第でございます。
  75. 上原康助

    ○上原委員 今のことは国民の皆さんも聞いていらっしゃると思うので、我々もその腹づもりで審議に参画をしていきたい、こう思います。  そこで、本来ですと我が党の構想とか、あるいは今前段で申し上げた国際貢献に対する基本的な考え方を冒頭少し議論をしてみたかったのですが、午前中は一時間しかありませんので、すぐ本論に入らざるを得ません。  先ほど与党委員のお尋ねにもありましたが、私は、この法案の一番問題点はやはり憲法との関係だと思うのですね、憲法との関係。二点目は武器使用の問題。三点目は国会承認、いわゆるシビリアンコントロールのあり方、国会の関与の面、そしてアジア近隣諸国のよく指摘をされております反応等々、あるいは特にPKF参加をする平和維持軍の訓練のあり方、こういうことについて時間の範囲でお尋ねできればなと思っております。  そこで、憲法法案関係についてまずお尋ねをいたしますが、今回この国際連合平和維持活動に対する協力に関する法律案、いわゆるPKO法案と昨年十一月に廃案となった国連協力法案との重要な相違点は何なのか、要点だけお答えいただきたいと思います。
  76. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 昨年の法案との重要な相違点を申し上げますと、昨年の法案において示されておったものは、多国籍軍の後方支援にかかわるような、例えば国連決議の実効性を高めるためのいろいろな行動が示されておりました。今回の法案は、国連決議に基づいて行うPKFまでの行動と、それから国際機関の要請による人道的な行動と、ここに焦点が移ってまいりました。これが、率直に申し上げまして、一番端的な相違であろうと思います。国連平和維持活動参加するための法案である、一言で言うとそういうことでございます。
  77. 上原康助

    ○上原委員 そこで、PKFについては具体的にお尋ねしますが、この人道的行動に対する協力活動というのはどういう意味ですか。
  78. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  「人道的な国際救援活動」、法案におきましては第三条の二で定義いたしておりまして、国際連合総会安全保障理事会もしくは経済社会理事会が行う決議、または別表で掲げてございますが、主として国際連合関係の機関でございます、そういう国際機関が行う要請に基づきまして、被災民の救援のため、または紛争によって生じた被害の復旧のために人道的精神に基づいて行われる活動ということでございます。具体的な細目につきましては、同じく第三項「国際平和協力業務」におきまして、医療とかあるいは被災民の捜索等細かく規定しておる次第でございます。
  79. 上原康助

    ○上原委員 これは後ほど同僚委員の方からいろいろお尋ねあると思うのですが、そうしますと難民の救済、例えば昨年の湾岸戦争においていろいろの難民問題が出た。イラク、クウエートあるいはその他の周辺地域におけるそういう事態にも対処し得るということになるのですか、その点だけ最初に確認をしておきたいと思う。
  80. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  難民の問題についても対応し得るようになっておりますが、先ほど申し上げましたように、基本的には国際連合総会あるいは安全保障理事会もしくは経済社会理事会が行う決議あるいは別表に掲げております国際機関、要するにマルチの場におけるそういう要請が行われた、そういう大前提がございまして、それに我が方としまして参加協力すべきであると。いう判断を行う場合には、人道的な国際救援活動をこの法律枠組みの中で実施する、そういうことに相なります。
  81. 上原康助

    ○上原委員 そこもちょっとひっかかるところで問題だという点を一応押さえて質問を続けていきたいと思います。  そこでもう一点、憲法とのかかわりで議論を進めていく上で確認というかお尋ねをしておきたいことは、これは総理もぜひ聞いていただきたいのですが、私たちが外務省とか政府に資料要求すると、出さないのですね、出さない。出すのは出しても余り使い物にならない資料を出しています。  私は、こういう機会ですから国民の皆さんにぜひおわかりいただきたいと思うのですが、私たちは審議入りする前に、もっとよく精査をしたい、勉強をしたいということで資料要求をいたしました。そうしますと、ここは日本の国会ですよね、総理、出したのはこういう英文の膨大なものなんですね、みんな。いつもそう。見てください、これを。こういう膨大な英文。あと、大体新聞記事等に、解説記事とかいろいろ断片的に出ているものだけは日本文で出す。こんな不親切な政府ってありますか、本当に。ですから、与野党の審議がかみ合わない、すれ違いになるというあれが多い。その点は厳しく指摘をしておきたいと思うのです。きょう法案審議をするからといってこんな膨大な英文を持ってこられても、これで審議できるはずないですよ。本来なら本当にこの時間が欲しいですね、これは。もうそういう実態であるということを国民もぜひ御理解を賜りたいと思います。  そこで、この法案とのかかわりにおいて国連総会あるいは国連PKOに関する関連文書というものはどのくらいあるのか。それは恐らくいろいろなガイダンスであるとかマニュアルであるとか等々があるわけですが、そのことは当然この法案も適用を受けるであろうし、関係するであろうし、仮にそういう平和維持軍派遣されるというような事態が生じた場合はその拘束を受けると思う、国連でいろいろ取り決めになったものは。その点をまずどうお考えか確認をしていただきたい。
  82. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  基本的な、一番重要な国連関係の書類をPKO関連で申しますと、PKOを設立いたしますところの国連総会決議あるいは安保理の決議、これがベースになりますので、これが一番重要だと思います。それに基づきまして事務局が調査をし、このような内容の組織を設立するという報告書も公表されます。それを受けて、それで結構だという安保理なり総会決議というものが出る、そういうものが基本的な書類だと思います。  それに加えまして、先生御承知のとおり、国連の中にPKO特別委員会というグループが三十数カ国でありまして、これが随時事務総長の命あるいは総会要請を受けて研究しております。その研究の書類はたくさんございます。  先ほど先生資料のことをおっしゃいましたけれども、私たちはできるだけ誠意を持って対応してまいりましたつもりでございますし、今後とも本当に誠意を持って対応したいというふうに考えております。
  83. 上原康助

    ○上原委員 わかりましたというか、要するに総会とか安保理とかで決議をされたものあるいは報告書、さらにPKO特別委員会での、いろいろ作業グループでやったものの適用は受ける、それには拘束される、こういうことですね。それは確認をしておきましょう。  そこで本論の憲法論議に入ってみたいわけですが、私のような知性の低い者がこういう高尚な、高度の憲法論議というのはなかなか難しいのですが、できるだけ庶民感覚でお尋ねをしてみたいと思うのです。  端的に申し上げて、憲法九条との関係で、総理、今度の法案提出に当たって従来の憲法解釈を変えたんじゃないですか。
  84. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今回の国連平和維持活動等に対する協力に関する法案をつくりますときには、憲法と今回のこの法案の中におけるいろいろ予測される行動とどのようなところが問題になるのかということについては、これは十分慎重に検討もいたしました。従来の判断等も十分踏まえてまいりました。憲法が九条で禁止しておりますのは、武力による威嚇または武力行使の目的を持って武装部隊が海外へ出ていくといういわゆる海外派兵としてきょうまで議論をされ続けてきた問題でございます。今回のこの法律においては、そういった目的で行くものでは決してなくて、国連決議によって、停戦合意成立をして、そして紛争当事国全部の同意があって、中立的立場で、非強制で行くというわけでありまして、従来の概念の軍隊でもありませんし、全くそれは様相の違う新しい国際協力の一環でありますかも、このことを行うことによって憲法違反に当たるものではないということを政府としては判断をしてこの法案提案しておるところでございます。
  85. 上原康助

    ○上原委員 もう一度お尋ねしますが、憲法違反に当たらない、従来の憲法解釈との整合性はとれているど先ほどもありましたね、それをもう一遍説明してみてください。
  86. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたところでございますけれども、従来我が国憲法におきましていわゆる前文あるいは九条におきましての平和主義ということが言われているわけでございます。それで、そこの関係につきましては、まず第一に、今回の平和維持隊への参加に当たりましての条件といたしまして、第一に、武力行使、これを行わないということで、武力行使に当たるような行為は行わない、あるいは武力行使と一体となるようなことは行わないということと、それからもう一つは、いわゆる前提となりました場合、これにつきましてその前提が崩れるような場合な、どにはこれから派遣終了する、こういうことでございまして、そういう意味で、二つの要件を満たした上で平和維持隊への参加、こういうことでございます。そういう意味で、私どもは、いわゆる憲法九条に反するものではない、かように考えております。
  87. 上原康助

    ○上原委員 それは非常に変わっているのですよね。平和維持協力法案を審議をした段階では今の前提条件云々という言葉はなかったんですよね、なかった。要するに、停戦監視団あるいは選挙監視団のようなものは、その任務・目的に武力行使を伴うようなものがない、だが、平和維持軍の方は、どちらかというといわば紛争が再発した場合の抑止というようなことまで考えたものがございますので、軽武装をしたりするからそういう平和維持軍的なものに対しては参加することが困難な場合が多いということをあなたは言っているのですよ。あなたは本当に法律の番人として、みずからつい数カ月前、一年にもならない前に、平和維持軍への参加というものは軽武装をして武力行使を伴う場合があるから参加することは困難であるというのがあなたの本委員会における答弁なんですよ。その平和維持軍に、あなたは堂々と、今度は自衛隊組織として、しかも軽装備というより、言葉は。いろいろあるでしょうが、ある面では装甲車を持っていくという、これは重謹備ですね。とも言えますよ、それは相手によっては。今の指摘についてどうなんですか、総理法制局長官
  88. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 前回のいろいろな問題については法制局長官がここで再三お答えしたわけでありますし、私ども法案提出政府としての検討経過の中で、憲法の禁止する武力行使を伴う海外派兵とこれとは明確に違うんだということと、それから今回はそのために極めて厳しい制約を設けた、その中心的要素をなすものはこの派遣に当たっての五原則である。これは国連決議国連要請の枠の中でPKOPKF要請を受けた国で編成されると同じように、この国会でこの法律枠組みを決めてもらって、その枠組みの中で、逆に言うと授権された枠組みの範囲内で政府派遣するものを決めるというのでありますから、この五つの原則に従っていけば決してそれはおっしゃるようなものではありませんし、また、今装甲車を例に引いてこれは重装備だとおっしゃいましたが、現に雲仙の普賢岳の災害の視察にも私行ってきましたが、装甲車がいろいろああいった災害地でも活動しておってくれますし、また紛争地とか災害地とかいうところへ行くと、あれは人員輸送のためには、ああいったものも決して攻撃用武器ではございません。重装備とも国連では言っておりません。ああいったものは必要な範囲内であると私どもは考えて、これぐらい持っていけば十分であろうな、こういう判断で決めたわけでありまして、この法案の中に書かれていることが憲法違反であるとはどうしても考えられません。これはおわかりいただきたいと思います。
  89. 上原康助

    ○上原委員 私が聞いているのは、総理憲法解釈を今回の法案提出によってあるいは――先ほどから総理もみんなPKOPKOとおっしゃっているが、PKOというのは、失礼なんですが、選挙監視団、停戦監視団平和維持軍三つを総称してPKO活動と言っているんですよ。今問題になっているのはPKFなんです、特にPKF。そこで、我々は、憲法解釈を変えたなら変えた、変えでなければ変えてない、変えでなければ今のような説弁は出ませんよ、総理。それに……(海部内閣総理大臣「詭弁でない」と呼ぶ)詭弁でないと言っても、そう受け取る方もいらっしゃるんですよ。  そこでもう一点。五原則を入れたから憲法違反でないとおっしゃるんですが、こんなのは五原則も何にもないです。とっくにこれは国連で決まっていることなんですよ。国連平和維持軍平和維持活動をするには紛争当事者間で停戦合意していること、これは前提条件です。何も日本だけの条件でない。先ほどから言っておるじゃないですか、みんな。二番目の、紛争当事者が、維持軍の活動維持軍への我が国参加に同意していること、これも当たり前のことじゃないですか。維持軍が特定の紛争当事者に偏ることなく、法案には中立的立場という中立の厳守というのは何もないですね、中立的立場を厳守することは当たり前のことじゃないですか。そうなんです、全部当たり前なんです。ですから、日本には平和憲法九条というのがあるから、ほかの国々とは違う性格の平和維持活動とかそういうものを求められているわけでしょう、そういうものでなければいかないということでしょう。したがって、この五原則をつけたから、従来のものは前提条件であって、今回のものはこの前提条件をつけたから憲法違反ではないということは、これは説弁であり、絶対にこれでは我々は納得できない。解釈の変更なのかどうかはぜひ明らかにしていただきたい。
  90. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 我が国憲法九条、今御指摘の部分でございますが、憲法九条で禁じられておりますのは武力行使でございます。まあ武力による威嚇等もございますが、今議論中心となっておりますのは武力行使だろうと思います。したがいまして、我が国として憲法を守っていくと。いう意味武力行使をしてはならない、こういうことが基本命題だろうと思います。  それで、従来の考え方を若干申し上げますと、例えば昭和五十五年の政府答弁書、ここにおきまして、政府は、国連がその平和維持活動として編成した平和維持隊などの組織について、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、その目的・任務武力行使を伴うものであれば我が国がこれに参加することは憲法上許されないと解してきた、こういうことでございます。この政府見解の趣旨としますところは、ただいま申し上げました憲法の九条との関係におきまして、通常この平和維持隊の、これに参加したのが我が国自身が武力行使をする、こういうことが予定される、あるいは、我が国自身が武力行使をしないまでも、仮にそのほかの国が参加しております平和維持隊武力行使をすれば、我が国としてもその平和維持軍への参加を通じてその武力行使と一体化することになるのではないか、そういうことで我が国武力行使をするとの評価を受けることを、そのおそれがあるのではないか、こういうことの趣旨を申し上げたわけで、基本的にはあくまでも憲法九条の武力行使との関係を申し上げているわけでございます。  その意味におきまして、今回の法案におきましては、その目的・任務というのが武力行使を伴う平和維持倣につきまして一つのといいますか、大きく二つ前提を設けました。それは、先ほどからの繰り返しになりますが、武器使用我が国要員の生命、身体の防衛のために必要な最小限度のものに限られる。それから二番目として、もし紛争当事者間の停戦合意が破れる、こういうことなどがございまして、我が国平和維持隊参加して活動する、こういう前提が崩れまして、しかも短期間にこのような前提が回復しない場合には我が国から参加した部隊派遣終了させる、こういう前提を設けたわけでございます。  そういう前提のもとで考えました場合には、仮に他国が参加している平和維持隊武力行使をするようなことがあるとしても、我が国としてみずから武力行使はしない、あるいは他国の参加しております平和維持隊の行う武力行使、こういうものと一体化しない、こういうことが確保されるわけでございます。そういう意味におきまして、我が国武力行使をするとの評価を受けないわけでございますから、そういう意味憲法九条に反するものではございませんし、そういう意味憲法九条に関して、あるいは平和維持隊に関しまして従来から政府が申し上げてきた解釈を変えるものではございませんし、いわゆる一般的な問題を、条件をつけて申し上げているわけでございますから、変更では何らございません。
  91. 上原康助

    ○上原委員 それこそ一体化とか、武力行使を伴わない、またそういう武力行使の再発が予想される場合は撤収をするから武力行使にはならない、これは議論上はそうかもしらないですね。しかし、実態はそうでないんです。これは明らかに、だれが考えても、さっき私が指摘したように、平和協力法案の審議のときには、平和維持軍への参加武力行使の危険性を伴う、だから参加できないということをあなたおっしゃったんです。  この五原則というのも、これは原則にならないんですね。私は、こういう五原則で、自衛隊とは別の組織をつくると自公民で合意をしておきながら、いつの間にかこういう形になったのは大変遺憾に思うのですね。これは、そもそもの国連全体の、何といいますか本来の合意事項であって、平和憲法を持つ我が国にこれをストレートに適用するということは極めて難しいと思う。  そこで、なぜ法制局長官がそういう方にこの見解を変えてこられたかということなんですが、これはいろんな経緯があるんですね。例えば、順を追ってちょっとこの法制局に対する与党筋、与党首脳のいろんな圧力を振り返ってみますと、湾岸危機のころですが、お名前を出して失礼なんですが、加藤政調会長は、「法制局長官が最後まで」平和維持軍への派遣憲法上問題であると言うなら「罷免してしまえ。」こういう圧力を加えているんですね。これは昨年の十二月段階ですね。さっき皆さんも新聞報道を引用しておったんじゃないですか。  さらに、「法制局は足引っぱるな」、これもことしの一月十九日ですね。自民党首脳は十八日夜、湾岸戦争での避難民救済のために政府自衛隊輸送機派遣を検討していることに関連して、「内閣法制局幹部が自衛隊派遣に首をかしげているらしいが、首をかしげるぐらいならば、首を切ってしまえばいい。法制局は内閣が決めた政策に理屈をつけるのが仕事でありこ理屈をつけるのが仕事であるなら、総理大臣法制局長官も聞いていただきたい、「内閣の足を引っ張るようなことはすべきではない。不満なら辞めるのが筋だ」、こう述べているのですね。これはことしの一月段階。  そして、PKO法案がいわゆる自公民で合意を得ていよいよ作成段階に入ると、長官の更迭論というのが出てくる。これはことしの七月ですね、七月。「最終的に憲法に抵触しているかどうかは最高裁が決することだ。法制局がオールマイティーだとどういうことになるのか。法制局があって政治がないとの批判が起きてこないとも限らない」「自民党幹部の中には「自衛隊参加問題は国策なのだから、法制局長官があれこれ言うのはおかしい。交代を考えなければいけない」」こういう圧力を加えているんですよ、総理。そこにあなたのリーダーシップの問題もたくさん書いてあるんですよ。幾らでもこういうあれが出ている。  そうして、七月段階で、もう法案がいよいよ完成しようという段階では、これは西岡総務会長の内閣法制局批判、「内閣法制局憲法九条が禁じる「武力行使」にあたる恐れがあるとして難色を示していることを念頭に置いて」の発言として、「「法制局が内閣一つの機関であるのは事実だ」と述べ、一機関である法制局が内閣の政策決定に影響を与えるべきではない」、こういうふうに、いわゆるファッショ政治とまでは言えないかもしれませんが、与党の首脳の、昨年の十二月の国連平和協力法案が廃案になった以降の法制局に対する強固な政治的圧力によって、残念ながら今、私がさっき指摘をしたように、ガラス細工と言った方もおりましたが、本当にガラス細工のようにこの憲法解釈を変えてしまった。  こういうことで、本当に戦後の重大な国策変更であるという自衛隊の海外派遣ということを、憲法解釈を政治的圧力によってねじ曲げた形でやるということは、私、納得できない。
  92. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いろいろな御意見や新聞報道、お読み上げになりましたが、そういった意見があったり、そういう報道がなされたことはそのとおりでございましょうけれども法制局長官法制局長官として責任を持って作業を進め、任務を尽くし続けてきておることもまた事実であります。  同時にまた、憲法違反かどうかということを法制局長官に有権的に決める権利を明記するのではなくて、その問題は憲法八十一条の違憲立法審査権にかかわる問題であって、そこまで内閣は、法制局長官の立場というものを混同して考えたこともありません。ただ、政策を立案する上に、法案を国会へ出す前の段階において、この問題が憲法に整合しておるのかどうか、憲法違反に当たるものであるのかないかという点は慎重に審議をいつもし、判断求めてきておるわけでありまして、今回のことも何ら変更はございません。そのことをお答えさしていただきます。
  93. 上原康助

    ○上原委員 これは、政府がそういうお立場をとるにしても、あるいは内閣法制局長官がさっき苦し紛れ――あなたは大変まじめな方でしょうね、正直言って。同情します、ある面では。罷免するとまで言っているんですから、偉い人々が。  そこで、我々は、明らかにこれは憲法解釈の変更である、そういう前提自衛隊派遣するということは、ますます国民のコンセンサスを二分化をしていって、さっき冒頭に申し上げたように、与野党の安保論議とかいろんな面の共通舞台をつくることにかえって壁をつくる、そういう重大な欠陥がある、欠点があるということを指摘をしておきたいと思うのですね。  今のように、皆さんがおっしゃるように、前提条件をつければ何でもできるということになりますと、そうしますと、多国籍軍への参加憲法上は抵触しないということになるの。
  94. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 最後の御指摘だけお答えしますけれども武力行使をして物事を片づけようという多国籍軍には、先ほどここでお答えしたように、日本憲法の理念からいって、この法案でも、そして前回の法案でも、それに直ちに参加することはできないという態度は明らかにしております。
  95. 上原康助

    ○上原委員 それともう一つ前提条件がある、国連における合意がある、だから武力行使はないんだ、その危険性があったら撤収するんだ、簡単に言えば、こうだから憲法違反でないという、こういう言い分でしょう。そうしますと、平和維持軍行動、いわゆる停戦地域であっても相当のまだ紛争再発の危険性、緊張状態はあるわけですよね、絶対に武力行使は伴わないという保証はできるのですか。
  96. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 武力行使をしてはいけないということは、きちっと我々の政府がこの法案を決める段階で考えておりますし、また、武力行使をしに行くものではございません。ですから、厳しく五原則の中でも、要員等の生命防護をするために必要やむを得ないとき以外は武器使用をしてはいけないという使用の制限もきちっとしておるわけでありますから、そのような御心配、懸念は当たらないと思うし、また、きょうまでの問題でも、他国の派遣されたPKFも、みずから武力行使をしないで、そのときは業務中断をしておるということは再三ここで申し上げておるとおりでございますし、そのような武器使用しなければならない状況は、停戦合意が崩れて、PKFとかPKOがもう存在する前提条件が崩れてなくなってしまったということであります。
  97. 上原康助

    ○上原委員 それはここで議論しては、あなた、そういう答弁できるでしょう。理論上はそういうのもわかりますよ、それは、ああなるほどかなと思うかもしらぬ。  法制局長官、本当に武力を伴う交戦とか応戦というのはないとあなたも思うのですか、それを答えてみてください。
  98. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 委員のお尋ねでございますけれども、私は、憲法との関係法律的にきちんと整合性を保つ、こういうことでその職務を果たしているつもりでございます。  それで、ただいまお尋ねの件でございますが、法律的な仕組みとしてそのようになっている、かように考えております。
  99. 上原康助

    ○上原委員 それは、法制局長官としては法律的仕組みの枠内でしか言えないでしょうね、そうなっている。しかし、実態は違うんですよね、実態は。そこに問題があるのです。  これは、先ほど私が冒頭で確認をしましたように「ハマーショルド事務総長の指導的役割」という中での「事務総長報告」という、いわゆる「研究摘要」というのが国連から出ている、一九七七年でしたか。この中に百七十九項の「自衛権の定義」というのがあるんですね。ここでいろいろ書いてあります。  UNEF、いわゆる平和維持軍でしょうね、平和維持軍の緊急部隊ですね、これは。「自衛権についての定義づけは、合理的であったように思われる。」とこの報告書で一応言っている。「すなわち、国連活動に従事する隊員は、決して武力行使のイニシャティブをとってはならないがこ率先してこっちから武力行使をすることは、やはりさっきから言うように、それは敵のいない軍隊とか戦わない軍隊とか言われているわけだが、「イニシャティブをとってはならないが、武力による攻撃に対しては実力で応戦することができる。」こう書いてあるのですよ、あなた、国連関係文書には。自己防衛であろうがなかろうが、「自衛権の定義」という中で「決して武力行使のイニシャティブをとってはならないが、武力による攻撃に対しては実力で応戦することができる。」これは武器使用であり武力行使以外の何物でもないじゃありませんか。こういう危険性があるから、皆さんは自衛隊の能力とか装備は必要といって派遣をするというわけでしょう。だから、全く武力行使をしないということじゃないんですよ。最悪事態においては応戦することができるというのが国連の方針なんですよ、政策なんですよ。  総理、あなたがおっしゃっているほど安易なものでないのですよ、これは。だから憲法九条とのかかわり、武力行使をしていいということになりますと――十分な根拠がある、我々がそういう懸念を持ち指摘をしている。だから、そういう資料に対しては、皆さんは出さないじゃありませんか、全く。
  100. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 どうも議論が私とうまくかみ合わないようですけれども、私は、別の角度から私の考えを述べさせていただくと、緊急避難とか正当防衛とかいう刑法の規定というものは、あれは憲法違反ではないともちろん思っておりますし、そういう角度からいって、日本PKF現地へ行ってはそういう厳しい、自己の生命等を防衛するやむを得ないときに限るという厳しい前提をつけての武器使用をする、それに限るということを国連にわざわざ通告して、日本の場合はそうします。  国連の精神も、武力行使PKF求めるものではないけれども国連文書に書いてあるとかないとかよりも、日本法案はそれよりももっと厳しく、隊員等の生命の安全を守るためしか使わない、こう書いてあるのですから、憲法違反にはならないと私は思うし、これはやっぱり日本の国内の刑法に当たるところ、あるいは警察官の武器使用に当たる問題、要人擁護のための人々がピストルをどうやって使うかというようなこと等も、そういった基準が厳しく決められておるわけですから、そういったものについて、それがイコール憲法違反だとは私には理解できません。
  101. 上原康助

    ○上原委員 五原則をつけてあるからそうだと言って、これは幾らでも、さっきもあったと言ったわけでしょう、レバノンとかコンゴとか、そういう事態が。憲法武力行使はもちろんできないということはわかりますよ、それは。やっちゃいかないのだ。だが、国連のそういったマニュアルの中には、ガイダンスの中には、ちゃんと、こっちから率先して武力行使はやらないんだが必要に応じては応戦することはできるということは、武力行使の危険性が伴うというのは、皆さんの言う憲法解釈と我々が指摘する問題とは違っているんじゃないかということを私は浮き彫りにしているのですよ、それは。総理はもう少しまともに物事をお考えになったらどうですか、憲法解釈を変えたなら変えたで。  皆さんは、国連要請があり、国連決議とかあるいはそういった中立性を保障されているからと言うんだが、実際に国連のいろんな文書を調べてみますと、そういった危険性が伴うからやっぱり軍隊組織でなければいかないということになっているわけでしょう、逆に言うと。それを我が国に、平和憲法が持つ九条で厳しく規制されているものを組織ごとに行かすということには非常に難しさがあるということは十分言えることじゃないですか。  そこで次に、今の問題等については、ぜひもっと調べていただきたいわけですが、調べていただきたいということで、いかなる場合もPKF武力行使はやらないというんだが、そのことはいわゆる紛争再発の場合に、短期間撤収できない場合云々も言っていましたが、その短期間というのは一体何日間を意味しているのか。この応戦することもできるということについては日本政府はどう対処するのか、これははっきり答えてください。
  102. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今コンゴとかレバノンの例を引いて、応戦することができたではないかとおっしゃいますが、コンゴの場合は百六十九号の決議によって当初から武力行使を含む決議をして、武力行使を権限として決議の中に与えておる異例なものでございました。その結果、御指摘のような交戦が行われたことに対して国連自身が心を痛めて、その後これの厳しい反省に立っていろいろ対応を変えてきて、その後の文書においてはそういったものは絶対出さないとなっております。――今百六十九号と言ったそうですが、百六十一号の間違いだという訂正でございますから、百六十一号の決議と言い直させていただきますが、その決議自体に書いてあったことを反省して、PKFはそのようなことをしてはいかぬということに国連自体の考え方も文書もその後変わってきたわけであります。  またレバノンのときでも、それはテレビ等が詳しくこの間も説明しましたが、そういった行動があったときは応戦しないで部署から離れて中断をするということを各国ともとったのです。その事実についてのコメントや現場の隊長の意見等もテレビで放映されたのを私も見ておりましたが、それはやはりPKFとしての任務を遂行することができない状況になったときは直ちに任務遂行をしないということを行っておるんだというように私は理解しております。
  103. 上原康助

    ○上原委員 その撤収の場合の指揮命令系統も大変問題ですね。  もう午前中の時間残り少なくなりましたので、さっきから装甲車の話が出たら、いろいろ、当たり前じゃないかというようなお答えですが、我々そうは思えませんね。一体なぜ装甲車まで持っていくんですか。なぜ装甲卓を持っていかなければいかないのですか。
  104. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 装甲車を持っていくケースといいますのは、要するに主として、装甲車と申しましても人員輸送車というふうにお考えいただきたいと思います。人員の輸送の便宜のために持っていくということでございます。  それからもう一点申し上げますと、これは地雷が怖いということはございます。実際の運用で地雷の爆発から助かったということもございます。  そういう現地におきます非常に困難な状況での輸送というものを安全に確保するため、要員の安全を確保するためには、そしてまた迅速性を確保するためには、装甲車が踏外の軌道にも遺しておりますし、そういうことが必要であるということが従来からの慣例で実際に見てとれる事実でございます。
  105. 上原康助

    ○上原委員 その輸送手段をどうするのかという問題ですね。装甲車、七三式装甲車あるいは七九式装甲戦闘車等々のこれだけ装備をされたものを、しかも海外に自衛隊組織的に出動していく。一体そういうことに対して国民の、この自衛隊に対するというかかっての戦争体験、あるいは先ほど来問題になっております近隣諸国に受ける印象とか、まさに自衛隊の武装集団としての海外出動そのものじゃありませんか、こういうようなやり方というのは。それが前提条件をつけてあるから憲法違反ではないというようなこの論理というのは我々としてはどうしても納得しがたい。  ですから、ぜひ、憲法解釈を変えたのか、あるいはどういう装備をやっていくのか、装甲車は何台ぐらい持っていくのか、そういったものについて具体的に提示をしていただきたいということを申し上げて、午前中は終わりたいと思います。お答え願いたい。
  106. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 装甲車を何台持っていくのかというお話でございますけれども、これは先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、そもそも装備につきましては実施計画の形で閣議で決定するということでございまして、個々の事案の要請に応じて必要な限りにおいて対応するということでございます。
  107. 上原康助

    ○上原委員 これだけは指摘しておきましょう。先ほど来、雲仙のこととかいろいろ国内における災害に対しての自衛隊の出動について、私は何もそこまで否定して言っているわけじゃないのです。雲仙に出ている装甲車というのはたしか機関銃とか機関砲とかそういうものは設置していないはずなんです。今度の場合はどうなるんですか、それは。今回の場合はそのまま持っていくんでしょう、恐らく。そこは明らかにしておいてください。
  108. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 まず雲仙の話でございますけれども、装甲車につきましては、武装といいますか機関銃を外しておりました。それから、お話ございませんでしたけれども、戦車も暗視装置として使いましたが、これは砲を外しておりません。これはそのまま武器として持っていっておるわけでございます。  さらに今回に、それでは装甲車をPKFについてどうするかという問題でございますが、これはあえて装甲車から武器を必ずしも外す、当然に外ということは考えておりませんで、現地におきます実情を踏まえて、そこで必要がなければ外して運用することもありましょうし、必要があれば、乗っております要員の防護のために必要であればそのまま使用するということもあり得ましょう。いずれにしても、実情に応じて対応するということでございます。
  109. 上原康助

    ○上原委員 やはりその意図がよくわかりますね。  また続きは午後にいたします。
  110. 林義郎

    ○林委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一、時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  111. 林義郎

    ○林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑包続行いたします。上原康助君。
  112. 上原康助

    ○上原委員 午前中の質問とも関連づけながら、武器使用問題と武力行使等についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、法案との関係でちょっと確認を含めてお尋ねをしますが、外国人防護のために武器使用することができるとありますが、その法的根拠は何ですか。  それと、今回のこのPKO法案のどこにその根拠が規定されているのか、お答えいただきたいと思います。
  113. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今回の法案そのものの中に、任務として規定されているとかいうようなことはございません。あくまで法案には要員が自己の生命等の防護のために使用することに限る、このようになっております。  ただ、具体的な状況にもよりますけれども、いろいろ判断しますのに、日本人であると外国人であるとを問わず、自己または他人の生命を守るための正当防衛及び緊急避難に当たる考え方を否定してしまうものではない、それは具体的な現場の状況に応じて、人道的な立場から、そして特に自衛のための武器使用というときに、その現場の判断で今言ったようなことを排除するものではない、こういうことを私は判断しております。  ただ、法文の中に任務として明記はされておりません。
  114. 上原康助

    ○上原委員 そこが問題なんですよね。正当防衛緊急避難、人道的立場ということであれば、派遣される維持軍だけじゃなくして外国人も防護の対象になる。しかも法案にはそういう根拠は置いていないというところは大変問題があるし、その点、今明らかになりました。  そこで、この法案二十四条一項で、今も若干お触れになりましたが、「隊員は、自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員生命又は身体を防衛するため」「小型武器使用することができる」となっております。ここで言う「現場に所在する他の隊員」とはだれを指すんですか。どういうことを想定をして、こういう法案内容になっているのですか。条文内容になっているんですか。
  115. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  「共に現場に所在する」という意味でございますが、監視所あるいは検問所等にともに勤務する者、あるいはパトロールに例をとりますと一緒になってパトロールをやっている人、そういった範囲で考えております。
  116. 上原康助

    ○上原委員 明らかにこれは共同行動ということになりますね、混成で。そうしますと、我が国協力隊員、さらには外国の軍人、隊員意味しているということになりますね。
  117. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  法案二十四条第一項をごらんになっていただければ明らかなんでございますが、「自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員」ということでございます。この場合の「隊員」、この協力隊員でございますので、外国の要員は含んでおりません。
  118. 上原康助

    ○上原委員 外国の要員は含んでいないんですか。さっきは総理は、外国人防護のために、法案にはないが、それは対象になると言う……。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
  119. 野村一成

    ○野村政府委員 先ほど総理が御答弁申し上げましたのは、刑法総則三十六条、三十七条に言います正当防衛ないし緊急避難に当方るときの考え方でございまして、これは日本人であろうと外国人であろうと問わないで、自己または他人の生命を守るための正当防衛緊急避難考え方を否定したものではないということを申し上げたわけでございます。  で、この法案でございますけれども法案で二十四条で書いてございます武器使用につきましては、これは法令行為、刑法三十五条でございます、法令行為ないし業務上の正当行為としての武器使用について規定しておるのでございまして、その場合に外国人の生命等は含まれていないという趣旨を申し上げたわけでございます。
  120. 上原康助

    ○上原委員 そこで、二十四条三項に「自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員若しくは隊員生命又は身体を」防護するために「実施計画に定める装備である武器使用することができる」となっております。  今のお答えとも若干関連はいたしますが、ここで言う「若しくは隊員」というのは我が国協力隊員、さらには外国の隊員も指しているのじゃないのか。先ほど、現場に所在する他の隊員ということは、監視所、パトロール等を一緒にやっている者を指しているということですから、この「実施計画に定める装備である武器使用の対象となる者は外国の軍人、隊員も指すのかどうか、当然含むということになるんですか、これ。
  121. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  二十四条第一項、それから第三項の考え方はいずれも同じでございまして、二十四条第三項につきましては、他の自衛隊員もしくは隊員生命、ここで言っております隊員と申しますのは、この前に定義されておりますけれども協力隊員、我が方の要員のことでございます。
  122. 上原康助

    ○上原委員 外国の軍人もしくは隊員は一切含まない、こういうことですか。確約できますか。
  123. 野村一成

    ○野村政府委員 外国の要員は一切含まれておりません。
  124. 上原康助

    ○上原委員 今、総理は盛んに法令上はそうなっていると。実態上はどうなるんですか。含むんじゃないの。冒頭にだから私は聞いたの、それは。  皆さんは、問題を具体的に指摘をすると、いや、それは正当防衛だ、緊急避難だ、人道的立場で武器使用というか、他の隊員でも防護するために使えるんだというふうに逃げる。ここははっきりさしてくださいよ。条文上はそうなっていないが、実態はどうなるの、現場では。仮に派遣されたチームなり隊が、いわゆる平和維持軍が、そういった紛争に巻き込まれる可能性が出てきた、あるいは日本から派遣されるチームはそういう状態にないけれども、そこに所在する他の国の、他の国というか他のチームなり軍隊、軍がそういう危険にさらされているという場合に、我が隊も共同対処するというのがここで言う意味じゃないですか。また、実態はそうなるんじゃないの。指揮系統はどうなるんですか、じゃ指揮命令系統は。
  125. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 ちょっと想定しにくい場合があります。他部隊がやられたときに我が方もそれに共同対処するかとおっしゃいますが、部隊というような概念で物を考えて、それが攻撃を受けるというようなときは、それはもう停戦合意が崩れてPKF活動ができない状況になっておる状況でありますから、そういうときには業務中断をいたします。
  126. 上原康助

    ○上原委員 あなたの論議は……(海部内閣総理大臣「あなたの方が広くなり過ぎるんだよ」と呼ぶ)いや、広くなり過ぎるって、あなた、それは当然そういうことも想定をして物事は判断をしないと……(海部内閣総理大臣「そのときは業務中断ですよ」と呼ぶ)業務中断といってみたって我が方だけが、そういう判断はだれがなすんですか、じゃ。現場監督ですか、国連ですか、総理官邸ですか。どこを想定して、じゃ、こういう問題提起、派遣をしようとするのですか。
  127. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど来総理あるいは事務当局から御答弁申し上げておりますけれども、要員の生命防護のための武器使用と申しますのは、この法律で認められておりますのは我が国協力隊員あるいは我が国自衛隊員、それの生命、身体の防護のためでございます。そうして、総理から御答弁ございました外国からこの平和維持活動に従事している要具が危険にさらされた場合云々の点でございますが、これはこの法律に基づく権限として行われるものではなくて、その他の行為、つまり一般の刑法法規における正当防衛なり緊急避難に該当する、そういったケースのことは考えておるわけでございます。これが法令上の話でございます。  一方、実態上どうかというお話がございましたけれども、実態上では、そもそもこのPKFも含めましてPKO活動というのは、余り武力行使はもとよりのこと、武器使用するケースも通常は想定されないわけでございますが、しかしどんなことがあるか、こう考えてみますと、一般的に言いますと、PKFも、その地域地域をそれぞれの各国分担して、A国のPKFは甲の地域、そしてB国のPKFは乙の地域というふうに分担しておるケースがございます。そういった意味では、そういった場合には、例えばA国の方に危険があったとしてもB国分担地域ではそういったことはないということもあるわけでございます。  もしそれが一緒になっているときに、たまたま同じような地域を一緒に共同に分担しているとかそういったケースの場合にどうだということでございますけれども、これは実態上から申しますと、恐らくA国のPKF隊員に身の危険が迫っているときには同じ地域におるB国の隊員にも身の危険が迫っておる、そういうことじゃないかと思うのでございます。したがいまして、みずからのあるいは自国の隊員生命あるいは身体を防護するためにとる行動というものが反射的にその地域におる他国の隊員の身を守る、そういうこともあると思います、実際上、実態上の問題としてはですね。それが実態上の問題。法令上の問題は最初に申し上げました。  それから、最後に御質問のところで、中断判断は一体どうするんだ、こういうお話がございましたが、これは法律上、本部長の定めます実施要領に従いまして、実施要領の中にはいろいろ具体的な判断基準等も決めるわけでございますが、その判断基準に従いまして現地における隊長が判断していくということになろうかと思います。しかしながら、そういった中断をしなくちゃいけないというような状況が発生するおそれがあるというような段階におきましていろいろな情報の収集なり状況の把握に隊員は努めまして、そういった情報をもとにして現地での国連の司令官といろいろ協議もしてまいりますし「また本国にございます本部長でございます内閣総理大臣に対しましてもいろいろそういった状況を報告してまいります。そういったことを踏まえてあらかじめ本部長の方から総合的に判断して、これは中断をすべきである、そういうふうに指示をするというケースもあろうかと考える次第でございます。
  128. 上原康助

    ○上原委員 けさもそういう御答弁はありましたが、私はいみじくも今政府委員お答えなさろうとすると総理は、法案上は他の外国の軍人とか隊員は別だと。実態上は共同行動対処というのは私はあり得ると思うんですよね。いや、皆さん理屈ではそう言う。なぜ首をかしげるかというと、もしここで言う外国人軍隊、軍人を含むとするなればこれは明らかに集団自衛権の行使なんですよね。憲法に抵触するから、表向きはそう言えないから、そこまで踏み込めないから、そういう言い逃れといいますかあるいは正当防衛だ、緊急避難だ、人道的立場なんだ。そうじゃないの、総理
  129. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  決して共同行為であるとか集団的自衛権とか、そういったことじゃございません。  それから、先ほど私一つ答弁漏れいたしましたけれども武器使用を一体だれの判断でやるのか、こういう話でございましたけれども、この法律上与えられております武器使用の権限はあくまで個々の隊員に対して与えられておるわけでございまして、個々の隊員の権限において、そしてまた個々の隊員判断において行う。このことは午前中の質疑の中で総理からも御答弁があったところだと思います。  ただ、実態、実際にそういった武器使用を行う場合を想定しますと、あくまで個々の隊員任務そうして権限、判断ではございますけれども自衛隊員の上官のもとでいわば個々の隊員の持つ権限を束ねる形で武器使用するということはあり得ると思います。しかし、その場合でもやはり個別の隊員に権限があり、その判断が基本になっているということには変わりません。そうしてまた、他国との、他国のPKF参加部隊との共同行為ということはこれは想定されていない、考えていないということでございます。
  130. 上原康助

    ○上原委員 それは集団自衛権問題が憲法行使できないからそれはそうお答えにならざるを得ないが、実態上はそういう発展、そういう可能性は強いということと、またこれも前提条件をつくればできる、次の段階はそこに踏み込んでいくんじゃないですか。  そこで、きのうも本会議質問総理は、武器使用権限は個々の自衛官が、自衛隊というか個々の隊員判断するというお答えしましたね。今は防衛庁長官は、個々の判断でやるけれども、しかし個々のものを束ねる形でやっていく、それはどういう意味なの。個々ばらばら、いや、きのうの総理見解、本会議答弁と関連ありますからもう一遍聞きましょう。個々の自衛官の判断正当防衛とかあるいはどうしても武器使用しなければいかない場合を判断してやるんですか、使用するんですか。
  131. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今回の法律で定めてありますのは、自己の要員、同時に現場にいる他の要員の生命の危険を防護するということに厳しく限定しておるわけでありますから、その隊員がその現場において一番的確な判断をできるわけであります。個々の隊員判断すべきものであります。
  132. 上原康助

    ○上原委員 そうすると、個々の判断でやるけれどもそれをまた束ねる形でもやっていくと今言いましたね。ちょっと待ってください。ここは大変重要な問題なんですね。  一つには、軍事論でいうと、個々の隊員がばらばらで判断して、おれは今危険にさらされているから撃つよ、これは統制とれませんやな。全くこういう組織というのはあり得ないと思う、僕は。軍隊でないと言っても実質は軍隊なんですよ、Fは。だから自衛隊を出そうというわけでしょう。そういう意味からしますと、これはもう全く統制のとれない、その個々の判断でやるということになる。しかも防衛庁長官、個々の判断でやるけれども束ねる形でもあり得る。そうしますと、今度は武力行使と一体にならない、あるいは自衛隊武器使用ということは組織的な使用もあるのかないのかということははっきりさせてもらわなければいかない。正当防衛であろうが、人道的立場であろうが、あるいは皆さんが言う緊急避難的なものであろうが、みんな個々でやるんであって、組織としてはやらないのか。こんなことが本当に実態問題としてあり得るんですか、PKF活動に。
  133. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど私の答弁の中でも申し上げましたけれども、あくまでその武器使用の権限、そしてその判断の主体は個々の隊員でございます。しかしながら、武器使用する場合において、いわばその武器使用をより慎重に行うために、慎重に行うという観点から、現場における上官の判断で個々の隊員が持つその権限というものをいわば束ねる形で使用するということがより適切な場合もある、そういうことで束ねると申したわけでございまして、その場合においても、あくまでその武器使用の主体は、あるいはその判断の主体は個々の隊員でございます。
  134. 上原康助

    ○上原委員 ますますそれはおかしいんじゃないですか。ちっともすかっとしないね、これは。じゃ、指揮権はどうなるんですか。指揮権はないんですか、そういう場合も。やはりチーム、チームがあって、一応その組織として行動する場合に、いかに停戦監視地域であるといったって、個々のばらばらで判断して、おれは危険だ、あっちは危険だというふうに武器使用するとなると、これこそ問題じゃないですか、むしろ。その判断を下すのは、そのチーム全体の指揮官はどうなるんですか、じゃ指揮権は。指揮権と個々の判断武器使用をする関係はどうなるんですか。これなら防衛庁長官、少し軍事論を考える人なら、現場の自衛官が聞いたらおかしくなりますよ、これは。
  135. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 先ほど来防衛庁長官答弁していることに尽きるわけでございますけれども、今の指揮という御質問でございます。これはあくまでも自衛官が個人としての判断がここで行われるわけでございますが、場合により、より慎重に武器使用を行うという観点から、それを組織としてでなくて、組織的にいわば束ねるような形で……(上原委員「冗談じゃない。どう違うんだ、組織組織的と。何でそういう、いつまでそんなごまかし答弁をやるんだ。委員長、だめだよ。取り消せ、それは」と呼ぶ)束ねる形で、いや、組織としてではございませんで、組織としてではございません。あくまでも個人としての武器使用でございますから、組織としての武器使用ではないということを申し上げているわけでございます。それで、それを単数の、個々の、個々にあります自衛官の個別の判断を、それを束ねる形でということを先ほど来防衛庁長官から申し上げている次第でございます。  それで、その場合の指揮というお話でございましたが、司令官は指揮をすることは、したがってできませんで、撃ってもよいよという判断を示すことはできますが、それは法律的な意味における指揮ではございません。あくまでも個人としての判断でございます。それで、そのことが非常に奇異な感じを与えるかもしれませんが、実はこれが本法における初めてのケースではございませんで、自衛隊法九十五条あるいは治安出動の場合におきましても、これは「自衛官は、」という主語になっておりまして、自衛官の個々の判断で行うという形になっているところを、さらにそれを内訓におきましてこれをいわば部隊の、束ねる形での内訓が定められているわけでございまして、実際上の運用としてはさらに慎重な運用を期するという観点から束ねるということを申し上げている次第でございます。
  136. 上原康助

    ○上原委員 委員長総理防衛庁長官もよく聞いていただきたい。  組織的に判断をする、あるいは組織的に武器使用はある、組織としてではない。的をつければ何でも格好がつくと思うのですか。束ねるというのはまさに組織じゃないですか。すべてが正当防衛とか緊急避難的だけじゃないんですよ、ここで私が指摘しているのは。大いにそういうこともあり得るんだ。それは紛争再発の瞬間的なこともあるし、じゃゲリラ対処はどうするの、ゲリラに対しては。武力行使でないということを言い逃れるために、組織的に、組織として行うものも組織的だと言ってみたり。組織として行動するから束ねてやるわけでしょう。個々ばらばらで本当にやるのですか、武器使用を。そんな統制のとれない隊ってありますか。答弁はっきりしろ、それは。
  137. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この法案二十四条の解釈をめぐってでございますけれども、ここで書いてございます武器使用の形態、すなわち「自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める」、これはもう本当に基本的に自己保存のための自然権的な権利ともいうべきものについて書いておるわけでございまして、これについてはやはり個々の自衛官が、先ほど自衛隊法の御説明がございましたけれども、当然自衛官の判断で行い得るわけでございます。  先ほど申しました束ねて云々につきましては、やはり部内的な、その部隊としての個々の業務に応じての武器使用の態様ということから発していることだと思いますけれども、基本的にはこの点はまさに自然権的な自己保存のものでございますので、自衛官個人の判断でなされるべきもの、そういうふうに考えております。
  138. 上原康助

    ○上原委員 それは束ねるというのはまさに組織ということであって、そうしますと確認をしておきたいわけですが、自衛隊の、派遣されるとしていわゆる平和維持軍のその武器使用については、個人のほか、個々でしか判断してやるということでしたね、束ねてやるというへんちくりんな答弁もございますが。個人のほか部隊としていわゆる組織的な、組織としての使用は認めないということでいいですか。組織としての武器使用はないということでいいですか。
  139. 池田行彦

    ○池田国務大臣 組織としての使用はございません。先ほども申しましたようにあくまでその判断あるいはその使用の主体は個々の自衛官でございます。そして先ほど申しましたように、慎重を期するために場合によっていわば束ねる形で武器使用することはあると申しましたが、その場合においてもあくまでその主体は、主体と申しますのは判断並びに使用の主体は個々の自衛官でございます。部隊としての使用ではございません。
  140. 上原康助

    ○上原委員 そこは非常に無理な答弁のように受けとめられますね。もちろん、これは組織としてといっても弾を撃つのは個々人の自衛官でしょう、それは。当たり前だよ。組織としては武器使用はない。私はしかしこれは非常に疑問を持ちますが、まあそれはそれとしていいでしょう。  そうしますと、PKFの指揮権の問題をもう少しお尋ねをしておきたいのですが、いわゆる撤収条件とも関連するんですが、これは国連の司令官による指揮権と、いわゆるこの派遣されるのは国連事務総長要請あるいは決議によってなされる。国連の指揮下に置かれるわけですね、PKO活動というのは、Fであろうが停戦監視であろうが。そうしますと、その国連の司令官による指揮権と日本の指揮権とはどっちが優先するんですか。
  141. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘国連の指揮権でございますけれども各国からPKO活動参加している要員、部隊を有機的に結びつけまして一体として機能させるためにその配置や移動のオペレーションを行う権限、いわば調整的なものであるというふうにとらえられております。私どももそういうふうな認識に立ちますれば、日本の国内の例えば行政組織法上、上級官庁が下級官庁に、または上司がその下僚たる職員に対しまして所掌事務を遂行する上で有している指揮監督権というものとは性格を異にするものであるというふうに理解いたしておるわけでございます。  したがいまして、この法案におきましては、そういう混乱と申しますか、それを避けるために、法案の第八条二項をごらんになっていただきますればわかるんでございますが、ここで国連の、今先生指揮権、指揮と言われた内容を「指図」というふうに呼んでおります。我が国から派遣された協力隊員、要員でございますが、本部長が作成する実施要領に従いまして国際平和協力業務を行うことになるわけでございますが、この実施要領、これは、法案の八条二項によりまして、事務総長が行う指図に適合するように作成されるということになっておりますので、国連指図本部長たる内閣総理大臣の作成する実施要領との間で特に問題を生ずるということはないというふうに調整してございます。
  142. 上原康助

    ○上原委員 説明を聞いているんじゃないんですよ、それは。因果関係を聞いているんだ、関連性をね。  私がお尋ねしているのは、国連の司令官というか国連の指揮権と日本の指揮権はどっちを優先をするかということを聞いているんです。なぜなら、皆さんは五条件づけてあるから日本はそういう場合は撤収できるんだ、あるいは武器使用は必要最小限度、自己防衛のためにしか使えない、こうおっしゃっているわけでしょう。それは常識なんですよ。だが、じゃ、国連の指揮下にあって日本側はここはもう紛争の再発が予想されるので撤収したい、国連が、いやもう少し頑張りなさい、ほかの国もやっているんだから、日本判断だけでと言わない場合はどうするか。そういう矛盾があるから、矛盾というか、起こり得ることなんです、これは。だから、国連の指揮権と日本の指揮権はどっちが優先するのかはっきりさせてください、これ。あなたは説明だけしている。はっきり答えてはっきり。
  143. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘指揮監督という意味におきましては、この部隊の運用等は日本側のものでございます。国連指図とまさに適合するようにこの法案をつくっている次第でございます。
  144. 上原康助

    ○上原委員 それは文章上とか考え方は遺合するように作成されているかもしれませんが、一つのチーム、部隊というか隊を動かすという、しかも紛争地域において動かすという場合の問題とは、紙に書いてあるとおりにはならないんだよ、あなた。その指揮権はどっちが優先するかはっきりしないんですか。日本側が本当に優先するのか、国連が優先するのか、それは明確にしてください。
  145. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 角度を変えて私から申し上げますと、国連要請国連事務総長任務を受けて現地に来ている指揮というのは大きな目的、大きな枠組みで参りますけれども、それに呼応して参加するいろいろな国があって、日本から行く部隊に対しては本部長実施要領に従って行動するように決めてあるんです。  そこで、先ほどぎりぎり御説明になりました状況、よその国もやっておるから日本だけが撤去をしないでやれということを国連が指揮をしたらどうするのかということを具体にお述べになったと思うんですが、そういうときはもう既に状況が崩れたと判断して日本の場合は業務中断いたしますし、他の国々も恐らく平和維持活動を続けようとはしないと思います。それは先ほども申し上げたように、例えばいろいろときょうまで行われた中で、そういった状況が崩れたときは国連維持軍というのは全部撤退をするということに事実行為としても行われてきておりますし、もしそこで食い違ったときは、私は日本実施要領を変えて日本平和維持隊はそれは業務中断させます。そして、直ちに回復しないときは、これは任務の遂行を取りやめて撤収をすることに相なります。そのときに考えが食い違ったら、日本部隊には日本実施要領を優先させることになっております。そのように取り決めます。
  146. 上原康助

    ○上原委員 実施要領は、それは変更がある場合、またつくり変えることは法案にありますよね。だが、私が聞いているのは、ずばり指揮権というのは大変重たいものなんです。まあ軍隊じゃないと言うけれども維持軍をいわゆる運用する、運営をしていくには、これは軍ですよ、あくまで。これを何か勝手に隊に変えるなんというのも、これは越権行為ですよね。国際的に通用しません。平和維持軍と言うんだ、みんな。フォーシーズだよ、フォース。勝手な解釈ですよ、それは。PKOの指揮権というのは国連にあるんですよ。国連決議に基づいているわけでしょう。  そうしますと、今の総理お答えで、ちょっと回りくどい説明でしたが。いやいや、指揮権は日本側が優先すると理解していいですね、解釈していいですね。
  147. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 日本参加します以上、この法律に基づいていろいろ定める実施要領に従って行動するわけでありますから、その前提が崩れ、日本としてPKF参加できないと判断したときは、実施要領を変更して業務中断し、それでも回復しないときは引き揚げてまいります。そのことについて国連の指揮権と云々という問題は起こりません。
  148. 上原康助

    ○上原委員 すぐ計画要領とかそういうところに話を持っていきますが、指揮権というのは瞬間的なものなんですよわ。瞬時のことなんですよ、危険という場合。とっさに判断しなければ、いかないときもあるんですよ。そこいらに、集団自衛権に発展する可能性が極めて大きいという点を指摘をしておきたいと思います。  そこで、武器使用との関係でもう一点確認というか明確にしていただきたいわけですが、武器使用武力行使の定義を。明確にしていただきたい。
  149. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  武力行使と申しますのは、憲法の九条にも規定しているところでございますが、これにつきましては、一般に我が国の人的、物的な組織体、これによる武力紛争の一環としての戦闘行為、こういうふうに定義されているのが一般的であろうと思います。そういう意味で、憲法九条一項に申します「武力行使」、これは武器をもちろん使うという意味の実力行使に係る概念でございます。  ただ、今度は逆に、武器使用はそれではすべて武力行使になるのかということは、決してそういうことではございません。憲法九条一項で武力行使を禁止しております。それに対しまして、例えば自衛隊法におきましても、同じ自衛隊法の中で武力行使武器使用という条項を分けて使っておりますが、例えば先ほどから議論出ておりますような正当防衛あるいは緊急避難に当たるような場合、その侵害に対しまして身体あるいは生命防衛すること、こういう必要最小限度の武器使用、これは憲法九条一項で禁止された武力行使には当たらない、こういう関係にあろうかと存じます。
  150. 上原康助

    ○上原委員 国または国に準ずるものに対する武器使用武力行使であって、簡単に言うと戦闘行為、いわゆる交戦に至らないのが武器使用だ、こういうお答えかと思うんですがね、極めてこれはあいまいなんですね、今までの政府答弁にしても。  そこで、特にこの平和維持軍派遣法案問題が出て、武器使用武力行使の判別というか、その政府見解というものがわかりにくい、国民にもまたよく理解されていない向きもある。国または国に準ずるものに対する武器使用武力行使、今もおっしゃったが、いわゆる戦闘行為に発展するというか伴うもの。しからば、ゲリラやテロに対する武器使用というのは武力行使に当たるんですか、当たらないんですか。これは単なる武器使用ですか。
  151. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 ゲリラ、テロと言う場合は、その具体的な想定といいますのは私の方でちょっといたしかねますけれども、そういう意味で国ないし国に準ずる組織、こういうふうなものに対しましてのものは武力行使、国または国に準ずる組織、いわゆる対外的な外敵に対する対抗、こういうふうな意味で、国または国に準ずる組織と当た札ばそういうことになううかと思います。
  152. 上原康助

    ○上原委員 ですから、当たる場合もあるわけでしょう。国または国に準ずる組織である場合は、ゲリラであろうがテロであろうが、あり得るんですよね、そういう海外に出ていって、いろいろの休戦状態だからといったって。むしろ紛争停戦地域というものはゲリラの反撃というか襲撃というものが想定されるわけでしょう。  そこで、今そういうものも対象、武力行使でないと全く否定できないという御答弁だったと私は理解をするわけですが、このことで余り深追いはしたくないわけですが、国または国に準ずるものに対する武器使用武力行使である。そのほかは武器使用なんだ。だが、それならゲリラやテロはどうかということになると、それも武力行使に入るものもあるかもしれない、こういうことですから、武器使用武力行使の相違点。法制局長官、よく聞いておってください、武器使用武力行使の相違点ですね、特にあなたがおっしゃる憲法違反の、違憲と言われている武力行使の定義というか政府の統一見解をぜひ改めてお出しになっていただきたい、この際。今はテロ行為とかあるいはゲリラの襲撃に対してはどうかというと、それも国または国に準ずる組織的なことであるならば武力行使と言えないこともないとおっしゃるんですからね。そうであるなら、これの明確な見解についてはもう一度明らかにしてもらわにゃいかない。いかがですか。
  153. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 ただいま申し上げましたように、我が国の物的、人的、組織体による武力紛争の一環としての戦闘行為、こういうものと、その当該紛争の相手方といいますか、相手方の関係といいますのが非常に紛らわしい場合、当たるおそれがないと墜言えない、こういうことではあろうと思いますが、あくまでもそれは我が国の方の物的、人的、組織体によるもの、こういう形態であろうと存じます。
  154. 上原康助

    ○上原委員 統一見解を出していただくかどうかを聞いているんですよ。我が国の物的、人的、組織としてのこの武力行使、あるいは逆もあるわけでしょう。我が国の人的、物的の二千名も出すというわけだ。そうしますと、それがゲリラやテロに襲撃された、あるいはそういう紛争にまず巻き込まれたという場合には一体、武器使用が可能なんでしょう、皆さんのこの法律からすると。そういうことに対しては極めて不明確な、武力行使ということについてはある程度統一見解的なものが出されているけれども武器使用というこの区別については非常に灰色のところが大きいんですよね、総理。その灰色の面を含めて、ロッキードじゃな。いですよ、リクルートじゃない、この極めてオーバーラップするかもしれない、そのグレーゾーンの問題を含めて明確な統一見解をこの際出していただきたいというのが私のお尋ねなんです。よろしいですね、それは。
  155. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、武力行使という概念につきまして申し上げました。  それから、武力行使というのは、もちろん武器を使うことを含む概念ではございますが、警察的な行動等、現在我が風でも警察法でございますとか、あるいはその他、私の承知しております範囲では、関税法あるいは麻薬関係といったような幾つかの法律武器使用という言葉もございます。そういう意味で、武器使用というのは今のような観念で整理されております。  以上、申し上げたことが全体の関係になろうかと思います。
  156. 上原康助

    ○上原委員 ますますわからなくなった。ですから、法制局長官、あなたがここでそういうお答えをしても、そんなに頭のよくない私にはよくわからない。だから、これは極めて重要な問題なんで、改めて武器使用武力行使という、この定義というか、政府の統一見解をこの際明確にしていただきたい、よろしいですね。
  157. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  見解が決して乱れているわけではないと私は承知しておりますが、今申し上げましたことを文書に書くという意味で何らかのものを用意するということはできることと存じます。
  158. 上原康助

    ○上原委員 何らかのものを用意していただいた後にまた議論いたしましょう、ぜひ。  乱れていないとおっしゃるんですが、それは受ける側からはかなり無理がありますよ、あなたの答弁も、さっきの憲法解釈にしても。あなた、首を振り振りするけれども、いじめられて混乱しているんじゃないですか、むしろ。しっかりしてもらわにゃいかないんですよ、憲法の番人に値する存在であるならば。  そこで、今の点も不明確な点も多いんですが、次に進めていきたい。今のはお出しになりますね、長官。  次に、国会の関与の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。これは、この法案の審議に当たって、国民も大変注目をしておられる、関心を持っておられる点なんですね。  けさほどからありますように、その五条件を付したから国会への報告だけでいいとか、あるいは国会承認は必要ないという御意見もあるようですが、我が党はそう思いませんね。五条件というのは、もともとそれは国連の本来のやるべきことであって、日本側にそれを特定にサービスしたものでもなければ日本側が新たに考え出したということでもないんですよ。それは憲法解釈を変えるために使った便法にすぎないと思っている。我々の理解はそうだ。これは、幾ら皆さんかどういう御答弁をなさっても、国民もその点大変疑問に思っていらっしゃると思う。その上に、国会の承認も派遣をもしする場合にやらないということになるならば、これはシビリアンコントロールの両からも非常に重大な問題であることは言うまでもありません。  そこで、なぜその国会承認ということについて、総理、そんなにこだわっていらっしゃるんですか。しかも、平和協力法案審議の過程においては、自衛隊組織ごとに出すというのは国民はノーと言ったんですよね。その後いろいろな経緯はあっても、自公民で最初のお考えになったことも、自衛隊とは別の組織ということを明確に国民に公約したはずなんですよ。これは私は重大だと思うのですよ。それがいつの間にか、けさ引用したようないろいろなこと、政治的なからくりなり法制局に対する圧力等があって、自衛隊組織ごとハウマッチじゃないけれども、丸ごとに派遣をするというから、これは日本の戦後の防衛政策、安全保障政策、外交政策の重大な転換なんですよ、総理、ある意味じゃ。それをやろうとしておられるのに、この法案がどういう結果になるかわかりませんが、仮に派遣をされるという段階において、五つの条件をつけたから、原則をつけたから、国会承認は必要ないというこの考え方というのは、シビリアンコントロールあるいは国会の最高機関という面からも私たちは納得できない。まずその理由からもう一度明確にしていただきたいと思います。
  159. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この法案をつくりますときに決めました五原則というのは、これは国連文書に書いてあったり、国連の大きな目標枠組みであることももちろんですが、日本にとって特に慎重に厳しくみずからを規制するためにつくった原則であります。そして、そのことを含めて、さらにほかのいろいろな問題等についても日本独自の考え方も入っておるわけでありまして、これを行うことによって、先ほど法制局長官と御議論のあった、憲法に禁止しておる武力行使を伴う海外派兵ではないんだという点についても、十分な歯どめと十分の対応、枠組みをつくって、それを法案化して国会にお願いしたのですから、国会なんかどうでもいいなんて、そんなことは一度も考えたこともありませんし、国会でこの枠組みを決めていただかなければ法案が通らぬわけでありますから、この法律によって認められる枠組みの中で、授権された権限の範囲内で、それぞれの要請に応じて効果的な対応をしようということでありますから、これはシビリアンコントロールの大きな大きな制約のもとでこの法案自体がつくられるということです。  そして、この法案に書いてありますことの枠組みの中で今度はそれぞれの行為を行うわけでありますから、そして常設的な本部をつくって、総理府においてできる常設的な本部本部長が実施細目を決めます。そうしますと、実施計画は閣議で決定し、実施要領本部長が決定をして、それに基づいてのみ協力隊員というものは動くわけであります。  したがいまして、それらの問題について、国会についてそれで終わりというんじゃなくて、それを決めたとき、閣議決定したら遅滞なく報告をします。途中の段階でも報告をします。その報告を受けて、国会でいろいろ御議論があろうということも十分想定されるところであります。その御議論を十分踏まえながら実施していこうというわけでありますから、その意味において二重、三重にシビリアンコントロールのもとでこれは行わせる行動である、このように御理解をいただきたいと思います。
  160. 上原康助

    ○上原委員 それは御理解いただけませんね、失礼ですが。  総理、確かに枠組みは、この法律を国会で審議をして通ればそれはできるでしょう。おっしゃるとおり、それはそのとおりなんだ。だが、上限、自衛隊を二千名、後でその分類を聞かせていただきたいのですが、自衛隊が幾ら、文民が幾ら、そのほかの民間セクターあるいは公共セクターの方、自衛隊以外の、これだけのものをどのような形で出して、どういう条件で派遣するのか、その態様というものについてはこの法案にはないのです。枠組みしかない、総理がおっしゃるとおり。そうであるならば、当然それはその内容を国会に、報告だけでなくして吟味をして承認をして初めて出すというのがシビリアンコントロールであり、国会の関与を充実させる、権限を持たす、国民の意思を集約するという手順じゃないですか。これはどう見ても国会承認裏らないとおっしゃる方に無理がありますよ、国民がお聞きになれば。大いにそれは議論しましょう。幾らおっしゃっても、それはますます理解できないですね。  なぜ私がそのことを申し上げるかといいますと、皆さんは盛んに、非常に緊急を要する場合がある。まあ外務省というのはいつもそうなんだが、もう少し体質改善していただきたいのですが、五日から十日間の期間ですぐ、緊急に派遣しなければいかないから、国会承認なんか手間取って大変だと言わんばかりのことをけさ与党委員質問におっしゃっておったけれども、我々は、国民はそう見ないと思いますよ。  なぜなら、自衛隊法第七十六条の防衛出動あるいは治安出動、七十八条、国会の承認を求めているじゃありませんか。国の存亡にかかわる防衛出動でさえ国会の承認を必要としているのですよ。緊急事態かもしらない、ある意味においては。なぜこの問題について国会の承認を求めずに、立派な歯どめができると。言っているのですが、内閣だって変わりますよ。業務計画だって時の状況や相手側の受け入れ条件あるいは国連決議の内容とか、そういう面によって変化があるわけでしょう。法律はそのままかもしらないが、この法律に基づいて派遣される平和維持軍の態様というのはその都度都度、変化があるのですよ。だから業務計画を策定なさるわけでしょう。だから要領を策定しなければいかなくなるわけでしょう。  もう一度、必要性をお認めになりませんか。
  161. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 国連平和維持活動参加をするという、その参加のあり方の大きな枠組みや理念やその規制について、これは法案に全部織り込んで御審議を願っておるわけでありまして、決して国民の皆さんを無視しているわけでも国会の審議を無視するわけでもございません。同時にまた、そこでできる枠組みの中で具体的にどのような要請がどこで起こるかということは、これは今から想定することができない面も確かにあるわけですから、そして、その紛争当事国がそれに合意をしてそして停戦成立させて、平和維持をこういう形でここでしてほしいという要請が今度は国連理事会の決議を受けて決まって要請具体に来るわけですから、来た場合には日本はどの程度のことがそれでできるのであろうか、それから日本はどのようなことができるのであろうかということを考えて、閣議で実施計画をつくるわけであります。つくったら遅滞なく国会にその計画をお示しをするわけです。  国会でそれについてのいろいろな御議論をいただくことは、それは当然であろうと思うし、また我々はそれに基づいて派遣をし国際協力活動を行っていくわけであります。国会のその都度の御議論は十分尊重することは申し上げるまでもないことでございます。尊重してまいりますから、それらの手続を経て国民の皆さんにも今度行くのはこの程度のものか、こういう理由で行くのか、こういうことかということは必ず明確にわかるようにいたします。
  162. 上原康助

    ○上原委員 それは報告をする、議論もさせる、これは聞きっ放し、言いっ放しになるのじゃないですか。どうして承認がそんなに、承認は足かせになると思うからでしょう。  だから、けさほどから議論をしておるように、憲法解釈の問題であるとか、あるいは武器使用の問題であるとか、あるいは装備についても、それはその都度ケース・バイ・ケースはもちろん場合によってはあるでしょう、仮に派遣されるとすれば。だが、その中身を議論するだけでなくして果たしてそれは妥当かどうかという国会の議を経るということは、大事なシビリアンコントロールなんです。最も大事な点なんですよ。なぜそれを回避しようとそんなに熱心かということになると、何か裏があるのじゃないかと疑いたくなりますね、まさに。  それは国民もみんなそう思っていらっしゃいますよ。防衛出動や治安出動だってそういう手順を踏まなければいかないということになっている。しかも我が国が戦後初めてというか、大きなそういった外交政策が、自衛隊防衛政策というものを転換をする形でこのようなものを出そうという時期に、これは出される方もやはり国会でうんと議論をして中身もみんなで討論もし合って、やって、国会の承認を得て必要があれが出ていくという方がむしろいいとおっしゃるかもしれま、せんよ。どうして、与党内にも国会承認は必要じゃないかという意見もあるんじゃないですか。それをかたくなに閣議で計画をつくるんだ、国会に報告するからというようなことで、到底これは納得できないし、国民理解を得るには私は至らないと思う。ぜひ承認案件にしていただきたい。  そこで、条文で言うこの国会に対する報告のマニュアルというのはあるんですか。いつ、だれが国会のどこに報告するの。
  163. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この法案をよく我々が検討するときに、国会からは枠組みの授権を受けるようなことになるわけですから、したがいまして上限についてもきちっと上限を示しているし、また持っていくものについては、武器はこういった場合に自己の身体、生命防護するためのものであって、この程度でいいだろうという上限とかその枠組みを全部お示ししてありますので、私は、防衛出動のときのように、これは個別的自衛権に基づいてまさに防衛出動というのは武力行使をするということを想定して出動する場合でありますから、そうではなくて、今回の場合には、上限もいろいろなものも決めて要請を受けての枠組みで、しかも出ていく先の国からは停戦合意があり、PKF活動を受け入れたいという要請もあり、それに基づいて国連決議があり、それに従って行く、その行くときの枠組みは既に国会の了解を得ている、最大限そして横幅、いろいろなものの枠組みの中で実施計画を当てはまるようにつくります、こういうことを決めておるわけであります。そして、決まった以上、今度は閣議決定したら、遅滞なく御報告をします。どうやるかと言われれば、それはそのときどきの事情でありますが、国会開会中であれば当然衆議院議長のところへ直ちに報告をすることになると思いますし、また国会閉会中であっても衆議院議長のところへ直ちに報告することになる、私はこう考えます。
  164. 上原康助

    ○上原委員 衆議院議長に報告すれば国会に報告した、まあ一応の手続的な面はそうかもしれませんね。国会に報告するというのは紙切れを出せばいいということじゃないでしょう。中身を国会で議論をするのが目的なんでしょう。なぜ、議論をさして、それが妥当かどうか国会の議を得るというのが何でそんなに悪いの。
  165. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 どうするかという手続論の御質問でしたから、政府から議長のところへ国会開会中であろうと閉会中であろうと直ちにそれは報告するというのがそういうものだと言いましたが、先ほどの答弁で、報告すれば当然御議論があることは重々承知しておりますし、その御議論は重々判断をさせていただきますし、これを重く受けとめて実施をしなければならないことは当然でございます。
  166. 上原康助

    ○上原委員 納得できませんね、それは。当然衆議院議長に報告をすれば議論されるだろうということですが、それも個人差があるかもしれませんし、いろいろ国会の審議を速やかに行うということにはなり得ない面もあろうど思うのですね。我々は国会承認というのは絶対必要だ、これは譲れませんよ、絶対に。必要ですよ、だれが考えたってね。  なぜそういう懸念を持つかといいますと、今国際緊急援助隊法の改正案も出ているわけですが、これは同僚議員の方がいろいろお尋ねになると思いますからきょうもうそこまで議論する時間は私はありませんが、その附帯決議が実は全会一致で採択されたのですよね。この緊急援助隊法が制定をされる場合に、国際緊急援助隊に関して講じた措置については、随時、当委員会、いわゆる外務委員会に報告をするということになっておるのです。これまでたしか十九回援助隊は派遣されたと思うのですね、我が国から。だが、残念ながら一度たりとも外務委員会に報告されていないのですよ、その結果や状況について。確かに緊急援助隊法にはそのことは明記はされていないけれども、附帯決議という中で、六十二年ですから一九八七年になりますか、八七年にこの法案成立をして、それ以降十九回派遣をしている。だが一度も、どういうふうな内容で派遣をしますよ、結果はどうなりましたよということは報告がないのですよ、外務委員会にも。  実態はこんなことです。だから、あなたがおっしゃるように、これは報告をしますよ、議長に出しますよと言ってみたって、その都度の内閣判断とかあるいは国会の状況等によって、国会の承認案件にしなければこれは決してシビリアンコントロールの実を上げ得ない危険性が多分にある。そういう面から見ても、これはシビリアンコントロールの実を上げるということと、国民もまたそういう面についてはぜひ国会の厳しい関与というかコントロールというのは必要だ、こうお感じになっていらっしゃると思うので、今、これは法律と附帯決議は違うかもしれませんが、尊重しない悪い例として残っているのですね。だから、いかに報告事項というものが官僚の自由裁量によってほごにされているかということなのですからね。重さやその面は違うかもしれませんけれども、そういう実態があるということからしても、これは国会に報告するだけでなくして、やはりその内容についてきちっと国会の承認を受ける、そうでなければいかないと思います。
  167. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 お言葉ですが、私は国際緊急援助隊が海外に出ていって汗を流しているということを誇りに思っておりましたので、私自身は本会議の中でも御答弁の中でもいろいろ例を挙げて報告さしていただきましたし、また政府としましては、御指摘の衆参両方の外務委員会の附帯決議の趣旨を踏まえて、従来より、国際緊急援助隊派遣されました場合には、速やかに同委員会の全理事に対し、文書で国際緊急援助活動に関して講じられた措置について報告しているところでございます。
  168. 上原康助

    ○上原委員 報告されてないですよ、それは。どこに、いつ報告された。私は理事をしている。その都度理事会に報告すれば国会に報告したことになるのですか。冗談じゃないよ。そういう実態なのですよ。これは一例なのです。総理、私は何も緊急援助隊の行動をどうとか、それを評価しないという立場で言っているのじゃないですよ。附帯決議で義務づけられておっても、それは口頭で言ったかもしらない。私の調査においては報告されていないの、それは。  委員長、じゃどういう報告をしたか、これまで十九回の文書全部出してください。いつ、どこで、どうやったか。
  169. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 委員会の理事の皆さんに文書で報告をしておるということでございますし、また私はそれをもって御理解をいただかないと、委員会に対する報告は行われておる、一度も行われておらないと言って委員はおしかりになりましたけれども、全理事の皆さんに文書で報告をしておるというのでありますから、それは御理解をいただかなければいけないことだと思います。
  170. 上原康助

    ○上原委員 それは大事な点だ。じゃ、それ出せますか、全部。いつ、どこに、何時。
  171. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 例えばここに一つ来ておりますのは、イラク避難民援助のための国際緊急援助隊派遣、イラン、トルコからの報告、括弧書きどして技術協力課、平成三年五月二十一日にイラン、トルコに対して援助隊の派遣と連日どうしたか、いつ入ったか、何をしたかということが略図とともに加えたこういった文書をお配りしておるということであります。
  172. 上原康助

    ○上原委員 それは、配ったとかあるいは理事に報告をしたとか個人個人にはやったかもしらぬ。しかし、私はその記憶はないですね。それはちゃんと国会、委員会でやらにゃいかぬですよ、委員会に。  委員長、ですからそういうようなこともあるので、やはりこれは国会に、国会の報告事項でなくして、国会承認ということでやらなければいかない。その点は後ほど確かめます、もう一遍。しかしこれは、国会報告ということで五つの条件をつけたとかあるいは今のようにそういうことがなされていると。それは理事にやったからといって報告になりませんよ、それは。全部委員会に、きちっと委員会でどういうふうになっているかということをね。そういう前例もあるんだからね。これは、ましてやこの法案の重要性からしますと国会の承認というものは絶対必要だと思うんです。ですから私たちは、この点についてはぜひそういう方向で政府見解を改めてもらいたい、考え方を。改めて総理の御決意を聞いておきたいと思います。
  173. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 国会の承認をいただいて、このような枠組みでこの程度のものをこういった目標に従って出してよろしいという授権の枠組みをこの法律で与えていただけるものと私どもは思っておりますから、その与えられた枠組みの中で実施計画をつくった場合には、これは枠組みの中に入っています、御承認いただいた枠組みの中ですということを閣議で決定したら、遅滞なく国会に報告をいたします。国会で御議論いただければ、その御議論は十分に尊重させていただきます。
  174. 上原康助

    ○上原委員 あくまで国会承認は拒否するという、拒否というか、まあ必要ないというようなお考えですが、その考え方は我々は納得できませんし、国民もやっぱりこれだけ重要な案件については国会で平たく議論をして、そして承認を受けた上で、仮に派遣するならばそういう手順を踏むべきだということを強く求めておると思いますので、恐らくこの点は同僚委員の方からもほかの党の方々からも強い御指摘があると思いますから、次に進みたいと思います。  次は、アジア近隣諸国の反応についてお尋ねをしますが、これはけさも与党委員の方、先生方からもお尋ねがありましたので簡単に触れておきます。  確かに中山外務大臣国連で、まあ日本の過去の戦争行為についての謝罪というか、その趣旨の演説をなさったということは報道されております。その点はまた当然だとは思うし、アジア近隣諸国の方々理解をより深めていく、しかもことしはパールハーバー五十周年ですからね、そういう面からも必要があると思うのです。  しかし、総理が例えばASEAN御訪問をなさった、あるいはサミットでいろいろそういうことに対する理解を深める努力をしてきたとたびたび強調されるのですが、その努力は多としながらも、なかなかすきっとというか、アジア、中国にしても韓国にしても朝鮮民主主義人民共和国にしても、あるいはまあシンガポールは理解をしたとかタイはどうのと、これはお土産、援助を持っていけば、相手も外交辞令がありますからね、なかなか正面向かって、正面から反対というようなことは言わないでしょう、それは外交的に。私はやはり、中韓の両外相が懸念を表明をした、あるいはASEANだって大変注目をしているということを考えると、今なぜ自衛隊組織ごとに海外にPKF派遣をしなければいかないかということについては、相当無理があるような感じがしますよ。この点は、これだけ国会のこの審議も注目しているでしょうし、いろいろこれからの展開があると思うのですが、やはり我々も国際貢献そのものを反対しているわけじゃないのですよ、ですから、軍縮ということを考えながら現在の自衛隊の全体像をどうするかということも含めて、皆様方がおっしゃったように、自衛隊とは別の組織を、本当に日本の中長期の国際貢献策というものを考えながらみんなで知恵を出そう、そういうことならばもっと私は共通の場ができると思うんですよね。なぜそれをおやりにならないのですか。これがアジア諸国、近隣諸国の今日本に向けている懸念なんですよね。  だから、選挙監視団があるし、いろいろその手順を分け、できる面から文民を中心に本当に、拙速にやるのではなくして、もっと慎重に構えて、日本の本当の平和戦略、二十一世紀に向けた国際貢献憲法理念を生かす、なぜそういう具体的な立派な政策というものを今国民合意のもとで形成をしていこうとしないのか。やることは、国会の承認も受けないでだだっと出そうとする。これではアジアの皆さんも、より懸念やあるいは日本に対する過去の不幸な思いというものを抱くかもしらぬ。そのことに対してどうこれからやっていかれようとするのか、今私が申し上げたようなことについて。そういう範囲なら我が党も十分柔軟に対処してみたいという研究を今やっているんですよ。総理お答え願いたい。
  175. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 アジア諸国の問題につきましては、歴史の反省に立って謙虚に顧みるなれば、私は、日中の首脳会談でも日韓の首脳会談でも、その他アジア諸国との首脳会談で、いつもそのことについては謙虚な反省を持っておる、同時に、日本は二度と軍事大国にはなりませんという平和の理念もきちっと申し述べ、御理解を得たいと言ってまいりました。そして、国連平和維持活動にも参加をするべくその体制の準備を進めておりますということも率直に申し上げました。それで、アジア諸国が、その構想は支持するけれども慎重にしてほしい、懸念を表明されるのはそれはやはり戦争中のいろいろな思い出等があって、そのような懸念を表明されることについては我が方も謙虚にそれを受けとめなければならないということは、これは私はいつもそう思っておるところであります。  しかし、今度は前向きに見て、このアジアの国々が、今ヨーロッパで起こっておるような冷戦構造の発想を乗り越えていく、CSCEというような相互安保体制ができていくような状況になってきておる、アジアはまだアジアの地域にいろいろ困難がある、紛争もある、対立もある、未解決の問題もあるということになってきますと、これらの問題を片づけていくためには、アジアの地域に少なくとも紛争がなくなって平和が維持されるということはこれはアジア全体の共通の願いであり、アジアの平和と繁栄のためにそういったことに過去の反省に立って汗を流し協力をしていくんだという日本の構想や日本の決意というものは御理解がいただけるものと思っております。  同時に、この法案では、先ほどから申し上げるように、五原則をつくって、当事者の合意がなければ行かないんです。また、武力行使に行くんでもありません。また、国連決議をして、それに従っての国際社会の平和維持協力の問題でありますから、我々の願っておるところと、ノーベルの平和賞までもらった国際社会で高い評価を受けておるPKF日本もできる範囲で厳しい制約のもとで参加をする、こう言っておることについてはどうぞ御理解をいただきたいということを、私は誠意を持って首脳会談でもまたシンガポールや中国の演説のときでもそういった気持ちを訴えてきた次第でございますが、今後とも、これらの問題については誠意を持って説明をし続けていくつもりでおります。
  176. 上原康助

    ○上原委員 その熱意は結構でしょう、これは持続的におやりにならなければいけないでしょう。だが一向に、そうおっしゃっても中国や韓個あるいはアジア近隣諸国の外相なり首脳が自衛隊派遣ということについての懸念を表明なさっているというこの事実は一体何なのか。そこをよくお考えにならないと、日本経済力、あるいは何でも海外まで持っていけばいいんじゃないかという雰囲気ということにますます違和感をお持ちになるんじゃないかということを改めて指摘しておきたいと思うのですね。  かつてシュミット前西ドイツ首相はこう話ったことがあるのですね。「真の友人がいないという状況から日本が抜け出すには、どうすればよいか。」という質問に対して、まず第一点は「一九三〇年代から四〇年代にかけて、日本軍による占領を受けた国々のすべてが、日本は過去を反省している、またはしかるべき謝罪を行っていると本当に感じているだろうか。私の体験からいうと、韓国や中国、あるいはフィリピンの人々は、日本が過去を正面から見つめているとは感じていない。ドイツは大戦中における自分たちの大きな過ちと罪を認め、その歴史的事実を深く悔いている。日本にそのような認識があるとは、彼らは思っていないのだ。」こう述べておられるのですね。これはやはり、私は沖縄戦も経験をし、捨て石にされた陸上戦場になった経験もありますので、よりこのシュミットさんの言っておられることはわかるわけですが、ですからそういう本当に歴史的な反省、国民全体があの太平洋戦争、第二次世界大戦の侵略戦争であったということに対する十分な反省の上に立っての外交とか防衛とか安全保障ということを考えないと、私はやはり理解協力というものは得にくいと思うのですね。  その点について、これは何も私がつくったわけじゃなくして、「ニューズウイーク」八八年の四月二十一日号にあります。ほかにもありますが、この程度にとどめましょう。総理の御感想をお聞かせください。
  177. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私自身も方々の政策演説において、また首脳会談において、日本の過去の歴史に対する反省については率直に表明もいたしましたし、同時に、歴史のそういった暗い部分、日本が反省しなきゃならぬ部分というものは二度と繰り返してはならないということも強く誓い、そういったことを今後教育の場でもこれはよく理解をしてもらわなければならないという点についても、私も率直な反省をして表明してきております。  しかし、現段階に立って未来を見詰めるときに、アジア・太平洋地域の平和と安定、世界の平和のために何をなすべきかということについても、でき得る限りのことはしなければならぬというのが私どもの今め国際社会における日本の立場を考えるものでありますし、また、今シュミットさんの例をお引きになりましたので、私も失礼ですが一つだけ引かせていただきたいのは、これは上原先生も参加をされて、上原先生も御一緒に視察をされた今年六月の政経事情調査議員団の報告書の中にあることで、ドイツのシュミットさんの総裁をやっておられたSPDの方とのやりとりの中にも、「以前はSPDとして、PKOは重要であるがドイツは参加しないとの立場をとってきた。現在のような国際情勢の変化の中で、SPDとしては教条的になることなく、その考え方を変えてきている。」などなど、シュミットさんがつくられた政党がこのようにして新しく国際情勢の変化の中で国連平和維持活動にも参加していくんだというやりとり、恐らく先生も御同席なさったと思いますが、詳しく私は報告書もいただいて読ませていただいておるところであります。そういった意味でそれぞれの問題には対処したい、こう考えております。
  178. 上原康助

    ○上原委員 時間が来ましたので、私がその報告書を引用しようとしたから、それを見て今引用したかもしらぬ。実は、そのことに対する答えは私の質問に対してSPDが答えておったのですよ。よくわかる、それは。よくわかります、変化があるということは。  そこで、あと五分しかありませんので、教育訓練、研修問題についてもう少し、十五条ですね、お尋ねしたかったのですが、またほかの方々からも御質問あると思いますので、なぜ我々が自衛隊組織ごと――自衛隊というのは、自衛隊法三条にあるように、やはりある意味じゃ国防軍ですよね、外国流に言いますと。軍隊ですよ、これは何といっても任務は国土防衛。だが、PKOというのは違うのですよね。  さっきも武部先生、少しだけ触れておりましたが、我々がスウェーデンやカナダでいろいろ視察をして感じたことは、PKO要員としての資質が、情緒の安定、いわゆる精神的な安定ですね、私なんか失格でしょうね。あの団員で適格者は田原団長ぐらいだと言っていましたよ、向こうでは。情緒の安定、精神的安定ですね、それと謙虚さ、忍耐力、同情心、協調性、柔軟性、それから語学力ですね。外向的性格、いわゆる内向的な人間ではだめだ。そして、安定した社会的背景などがこのPKO要員としての資質、資格なんだと言っているのですね。一番重要なポイントは中立的であるということ。  そういう面からしますと、撃たれる前に撃てとかあるいは先手必勝という軍隊訓練をたたき込まれている軍隊組織が丸ごと出ていっても、こういう資質や素質や資格というものからは非常にほど遠い。その面では、やはり北欧三国にしても、PKOを出しているいわゆる中級軽武装国家というのは長い歴史の上に積み重なってこういう国際貢献PKF活動までやっているという事実を考えた場合に、やはり日本においてもそういった中長期の国際貢献というか平和戦略というものを考えて、自衛隊組織ごとに使うというようなカナダ方式をとるのではなくして、今申し上げたようなことを、訓練施設を含めて、独自の訓練施設もつくって国際貢献に役立てていくということが私は国民合意が得られると思うのですね。  その点についての総理の御見解と、PKO、特にPKFの訓練というものをどのようにお考えになっておられるか、最後に聞いて、時間でありますので終わりたいと思います。
  179. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 国連平和維持活動というのは、これは停戦合意成立した後でありますけれども、完全に平和な町の盛り場とは違うわけでありますから、いろいろ組織的に訓練されたりあるいはそれまでの経験や技能を持っておるそういった人が効率的に効果ある活動をすることができるものだということは言えることだと思いますが、しかしそれにしても、今までの経験と全く違う分野の問題でもありますから、研修をしたり事前にいろいろと、今並べられたいろんな項目について、あるいは現地のそれぞれの事情について、これはやはり身につけておかなければならないことはたくさんあると思います。  同時にまた、日本参加をしますときに、これは日本日本語というものを常用語としておる国でありますから、PKFなりPKOなりにも、まさか通訳の同行をさせるわけにはいきませんから、参加する人自身に基礎的な語学力も研修して身につけてもらわなきゃならぬとか、そういった方を選考するとか、いろいろ日本日本なりのいろいろな要件も出てこようと思います。そういった意味で、研修とかその場における対応は慎重にやるようにいたしたいと思います。
  180. 上原康助

    ○上原委員 終わります。     〔船田委員長代理退席、柿澤委員長代理者     席〕
  181. 柿澤弘治

    柿澤委員長代理 この際、川崎寛治君から関連質疑の申し出がありますので、これを許します。川崎寛治君。
  182. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私は、林委員長がこの委員会の運営について大変民主的にやるということを、理事会で決意を述べられたことを理事から報告を受けました。だから私は、きょうの質問の冒頭に、委員長にはこの委員会の運営についてきちっとしたことを約束をしてもらおう、こう思っておりました。しかし、柿澤さんが委員長席に着いているんですから、その席に着いている間はあなたが責任を持たなければいかぬと思うのです。  それは、国会は国権の最高の決議機関だ。ですから、唯一の決議機関なんですから、そして、国民の信託にこたえて我々は行動するわけですから、そのことからしますならば、私はきょうは、特に私から要求する以外は政府委員答弁は受けない、あなた自身あるいは他の大臣と質疑をいたしたい、こういうふうに思っておりますので、そういう運営をお願いしたいと思います。委員長
  183. 柿澤弘治

    柿澤委員長代理 川崎委員の御趣旨に沿って努力をいたします。
  184. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 先ほど、外務省の方から上原委員に対して、国際緊急援助隊の報告を五月の二十一日出した、こういうことでございますが、五月の二十一日は理事会も何もないんです。配られてないんですよ。実際には配られてないんです。だから、上原委員が十九回もあったうち全然一つも記憶がないというならこれは怠慢でしょうが、ないんですよ。これは、私はこんなことで論争したくないですから、このことは事実を……(発言する者あり)出せよ。それなら出しなさいよ、はっきりと。
  185. 川上隆朗

    ○川上政府委員 先ほど総理から御答弁がございましたのは、一例としましてこのようなものということで申し上げたわけでございまして、お出ししたそのものではございません。したがいまして、今手元にございませんので、役所の方で用意いたしておりますから、後ほど必要とあらば提出させていただきたいと思います。十九件について、できれば提出させていただきたいと思います。
  186. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そこで、総理、米ソの冷戦が終結しました。そして、あなたはCSCEのことも言われましたね。  そこで、お尋ねをしたいのは、まず第一に、つまり米ソの冷戦、東西の冷戦が終結をしたということは、米ソが再び武力で対決し合うことはないと私は確信をします。いかがですか。
  187. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私も、米ソの対立、米ソの力による対決の可能性は次第に遠のいていきつつあり、また、冷戦時代発想を乗り越えていきつつあるという見方については同じでございます。
  188. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そこで、米ソの冷戦、東西対立というのは、ヨーロッパについて言えばドイツの分裂なんです。そのドイツの分裂が、一昨年統一をしたわけです。そこで今、敵のいない安全保障というヨーロッパは議論に入ったわけです。そうですね。そこで、あなたは先ほどからCSCE、CSCEということを言われる。アジアとヨーロッパは違うということを言われる。じゃ、大変失礼な質問だけれども、CSCEはいつ議論が始まって、いつヘルシンキ宣言が行われたんですか。
  189. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 突然の御質問ですから、いつと言われてもあれですが、第二次世界大戦が終わったときに、第二次世界大戦の終結時の国境線を今後方でもっては変えないようにしようというまず基本から始まったのがヘルシンキ合意の精神であり、そういったものの話し合いであったと思います。  それから、東西対立が終わるとき、例えば第二次世界大戦が終わった直後に、アメリカが例のマーシャル・プランをつくってヨーロッパの復興のためにも手を差し伸べようとしたときに、このとき米ソの話し合いがきちっといっておればよかった。それがいろいろな思惑から、それがのいて有名な鉄のカーテンという言葉ができたり東欧諸国の組み込みができたり、NATOとワルシャワ条約機構の対立が出てきたのがヨーロッパの対決の根源であったと私は思っておるのです。そして、それが最近の米ソの、何というのでしょうか、新しい体制に向けての合意、ソ連の側からいえばペレストロイカとか新思考外交の発展によって、ユーラシア大陸の西のヨーロッパでは統一の機運が進んできた。それが象徴的にあらわれたのがベルリンの壁の崩壊であり、ドイツ統一であったということは、私もそのとおりだと思っております。
  190. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 全欧安保協力会議が始まりましたのは一九七二年なんですね。そしてヘルシンキで宣言がなされたのは一九七五年。いいですか、七五年にヘルシンキ宣言がなされて、それがCSCEの昨年のパリ宣言に至るまでには十五年かかっているんです。十五年。いいですか、十五年。そして、そのヨーロッパにおける対立の一番の基本はドイツの分裂なんです。そのためにドイツを割ったわけですから。ヤルタ体制なんです。それはアジアにもありますよ。アジアにもありますが、今ヨーロッパで議論をしておりますから、見ますならば十五年かかってCSCEはパリ宣言にきたわけです。じゃ、ヘルシンキ宣言をしたときには米ソの対立はどうでしたか。  私が言うのは、米ソが、一九七五年、ヘルシンキ宣言をしたときは、今日のような敵のいない安全保障議論される状況ではなかったわけです。東西のドイツは対立しているわけです。分裂をしたまんまなんです。     〔柿澤委員長代理退席、委員長着席〕 だから、今のアジアの情勢について言えば、あなたは、今アジアではCSCEを話し合うような状況はない、こう言うけれども、七五年のヘルシンキ宣言のときのヨーロッパの情勢はどうですか。対立しているんでしょう。対立している中で、米ソ両陣営三十五カ国、そのときにはアルバニアが入っていなかったが三十五カ国。パリ宣言のときにはアルバニアが入りましたが、ドイツが一つになった、こうなりますからね。  そうなりますと、私が今申し上げたいのは、あなたは、アジアとは違うと言うけれども、そうじゃないんですよ。わからぬですか。わからない。――要するに、十五年かかってパリ宣言にきたということを私は申し上げたいわけなんです。(海部内閣総理大臣「それはわかっているのですよ」と呼ぶ)わかっているでしょう。わかっているなら、今アジアで全アジアの会議をつくっていく努力を今しなきゃならぬわけでしょう。特に、朝鮮半島が変わってきた。今、このPKOでも議論になるカンボジアも変わりつつあるわけなんです。大きく変わりつつあるわけなんです。だから、全アジアの安全保障を、おくれておるけれどもアジアで進めなきゃいかぬ。そのことがわかりませんか。
  191. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 ヘルシンキ宣言が七五年に行われた、そして十五年かかってCSCEになった。おっしゃること、そのとおりでありますし、私もよく知っておりますし、また、そのヘルシンキ宣言のできる一年前に、ちょうどニクソン大統領がソ連を訪問する、フォード大統領もソ連を訪問する、そして共同声明を出す。当時、何というんでしょうか、米ソの雪解けというかデタントムードが醸し出され始めたころで、核戦争防止協定にブレジネフ書記長がアメリカヘ行って署名をしたということもその前年に行われておるわけでありまして、米ソがそろそろ力による対立をやめて、そしてデタントに入っていこうとしておる背景があったときにCSCEのヘルシンキ宣言というものが生まれたんだ。その当時と今と、今のヨーロッパとは、そして今のアジアとは、これはやはり基本的に私は違う、こう思うのです。  というのは、ヨーロッパの方ではもう既にベルリンの壁も崩れ、東西統一も成り立っておるけれども、今のアジアにはいろいろまだ問題が目の先残っておるわけでありますから、お触れになった朝鮮半島でも南北の両政府が同時に国連に加盟することができた、ようやくできたという言葉を使ってもいいかもしれませんが、そういういい結果が生まれてきておる。さらにこれは緊張緩和で平和統一を促進していくようにしていこうと皆が願うわけですし、ベトナム、そしてカンボジア、いろいろあった問題も包括和平の方に向かって動きつつあるときでありますから、一定の地域で相互安全保障をやろうと思うと、それらの個別の問題が背きちっと片づくような努力をまずしなければならないという点において私は違っておる、今アジアにそういうCSCEのようなものを今直ちに呼びかける雰囲気ではないから、一つ一つ片づけて、そういう状況をつくる努力を二国間や多国間でしているんです、こういうことです。
  192. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 NATOとワルシャワ体制というふうなヨーロッパにおけ集団安全保障体制が東西にありまして、だからそれは話しやすいという条件もあったと思いますよ、ヨーロッパでは。しかし、アジアでも今大きく動いているわけです。だから、CSCAはだめだということではなくて、どうしたらCSCAに持っていけるかということが今の日本役割なんです。  私は、ドイツと日本をこれから比較しますよ。今、上原議員からもドイツの問題言いましたけれども、ドイツと日本というのは、同じ敗戦国でありますけれども、戦後たどってきた道筋というのは非常に違うんですよ。非常に違う。だから、その道筋を日本がどう進めるべきかということが今回のこのPKFにもかかわる問題なんです。  そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、あなたが今引用された、これは私も田原団長のもとに参りましたけれども、ドイツの連邦議会で、ドイツのキリスト教民主党、与党です、外交委員長出しております。それから、今御指摘になった社民党のホイクト君も出ました。私は旧知の間柄でございますけれども、そのドイツは今、この報告にありますように、「PKOのみへの参加について基本法の改正が必要か否か憲法学者に聞けば様々の議論がありうる。しかし、政府としては、政治的に重要な問題については基本法を改正すべきであるとの立場であり、野党も基本法の改正が必要であるとの立場である。」つまり、非常に重要だ、だから基本法に問う。ドイツは現在、停戦監視団を含め、これまで軍事分野への参加を行っていない。つまり、民主主義というものを非常に大事にしているんですよ。議会というものを大事にしているわけです。だから、政府解釈で勝手に憲法解釈をして、つい去年の暮れ、出せないと言った、PKOは出せない、PKFには出せない、こう言っておったやつが、今度は解釈で変えてきたわけでしょう。こういうことをドイツはしないんですよ。なぜドイツはしないか。  総理、今私が読み上げた、この基本法に対するドイツの、PKOをめぐってのこのドイツの政府並びにドイツの議会――六ページです、六ページ。(海部内閣総理大臣「持っているのが違うんだ、これは。六ページではほかのものが出てきちゃう」と呼ぶ)ちゃんと新しい方をやらなきゃだめだ、これは正式なやつだから。  シリング部長というのがおるだろう、ドイツのシリング部長。このシリングさんが何遍も答える。これは、シリング部長というのはドイツ外務省国連部長です。いいですか、その国連部長が、「ドイツ政府としては、基本法の改正について何ら決定を行っていないが、コール首相、ゲンシャー外相は、連邦軍のNAT域外への派遣は基本法改正が必要との立場をとっている。」ゲンシャーさんも、それからコールさんもとっている、そういう態度を。そしてさらに同じような答弁で、今読み上げましたような、「PKOのみへの参加について基本法の改正が必要か否か憲法学者に聞けば様々の議論がありうる。」工藤さん、よく聞いておいてくださいよ。これは、あなた今、後であなた自身の法制局長官としての、問われるんですよ、歴史に。「しかし、政府としては、政治的に重要な問題については基本法を改正すべきであるとの立場であり、野党も基本法の改正が必要であるとの立場である。」そして停戦監視団にもつまり現在出してない、連邦軍は出してない。きちっとしているんです。それが、ドイツがヨーロッパで信頼されるゆえんなんです。  ドイツは、先ほど上原議員からも言っておりましたが、戦後一つ一つ積み重ねてきたんです。ドイツの中での、周囲に対する一つ一つを積み重ねてきたわけです。触れます、後ほど。まず、このドイツの政府並びにドイツの議会、そういうものに対する態度、つまり、基本法との関係におけるドイツの態度――去年の暮れだめだと言ったものを、ぱっと、いいんだ、こう言って猫の目のように変わってくる。だから、中山外務大臣ニューヨークで李・韓国の外相や銭其シン・中国の外相とお会いしたときにも、不幸な歴史がある、自衛隊派遣については慎重にしてほしいと。慎重にしてほしいというのは、あからさまに反対とは言わないんですけれども、反対なんですよ。まずドイツのこの姿勢、同じく敗戦国から立ち上がった、そして同じく経済大国として西側陣営で非常に大きな責任を背負っておるし、今度の湾岸戦争でも同じ運命でたたかれた、たたかれたけれども、ドイツはばたばたとやらぬわけです。国際貢献だなんて言ってやらぬわけだ。このことについてのあなたの見解を伺いたい。
  193. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 詳しく御議論をし、御説明をやり合ってこられた御報告書ですから、私も読ませていただきました。  先ほど、率直に言えば、上原議員にも申し上げたように、それまでPKO国連平和維持活動に反対であった今の野党も、現在のような国際情勢の変化の中で教条的になることをやめてその考え方を変えてきたんだ、そして与党が、NATOの域外にも派遣をしたい、しよう、そのために学者の間で基本法の問題が出てくる生言えば、野党も賛成しようと言っておっていただけることは、率直に言って、何というんでしょう、ああ、ドイツは与野党一致していろいろ基本問題についてはお話し合いができるからいいな、率直にそう思います。  同時にまた、去年の立場についてお触れになりましたが、去年もことしも、私ども憲法九条で禁止しておる武力による威嚇または武力行使をしてもいいということを一度も考えても思ってもおらぬことでありますし、五十年前の歴史に対する反省は厳しく持っておるわけでありますから、その範囲において、国権の最高機関だとおっしゃいましたがまさにそのとおりで、だから院において法律をきちっと決めていただき、そこで授権の範囲、枠組みを決めていただいたら、その壊権の範囲、枠組みの中で行政府としての責任において国連協力もさせていただく、そのかわりそれを報告して御議論もいただく、議論を尊重し、それを踏まえながらそういった協力を進めていきたい、こういう気持ちで臨んでおるところでございます。
  194. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ドイツ社民党と私たち日本社会党の間で、防衛政策についてのいささかの見解の違いはあるんです。それは私たちも彼らと議論し合っております。しかし、彼らはNATOの中でづまり積み上げてきている。そして、今度の基本法の改正についても、いいなあと言って済まぬわけです。CDUは、キリスト教民主党は、PKOだけではなくて、その連邦軍をどこにも、多国籍軍にも出せるようにしたい、だからそれだけの改正はやらぬのですよ。そうしますと今できないのですよ。だから、今出せるんだという理屈で出せば違憲訴訟になるんです。そこでCDUの諸君は、キリスト教民主党の諸君は、一九九四年の総選挙まで待たなきゃならぬかな、こう言っているわけだ。長いんですよ、息が。間に合わぬというさっき何か説もありましたけれども、そういうことじゃないんだ。憲法、基本法そして民主主義、そういうものに対しては極めて厳格な対処をしているわけです。厳格な対処をしておりますから、つまりPKOについては与野党で一致をした面も確かにあります。ドイツではあります。しかし日本では、残念ながらアジアの関係が違う。だから私たちは、アジアにおけるそのヨーロッパとアジアの違いというのを、あなたが言うように我々もアジアの違いというものについては議論し合っているわけですよ。残念ながら違うんだ、アジアにおいては。  ですから、この基本法についてそれだけの手続をしようとしておる、つまり民主主義、議会制民主主義というものを大事にしている、そのことについてどう思いますか。
  195. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私が先ほど率直に、御意見を聞きながら、ドイツの与野党が対外的な問題については意見の一致をする、合意ができるというところはいいなあ、こう率直に申し上げました。そして、日本においても、どうか与野党の中でそういった対外的な問題については基本的に合意ができるようになると、これは日本のためにも国際協力のためにもすばらしいことになるなあという私の率直な考えを述べたわけでございます。また、ドイツの国会がそのように国会の中で議論をして、それじゃ基本法改正も考えて与野党で合意してやっていこうという話し合いが進んでおることは、それはうらやましいことだと思います。同時に、私は、率直に申し上げるならば、そういった議論をするときにはやはり自衛隊についても、これはこういうものだという与野党共通の認識に立ってからの議論が行われるようになってほしいものだなあという私の強い願いも込めて、先ほど来御答弁申し上げておるところでございます。
  196. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 基本的なところで違っているんですよ。ドイツでは違っているから、与野党で違っているから、この基本法の改正が簡単にできないわけなんです。  そこで、ドイツは、今回の国連の問題と関連しましても、ドイツは大国にならない、ミドルパワーという方向をきちっと進めているんです。だから敵国条項――日本は、中山外務大臣国連演説というのは経済大国から政治大国への宣言だ、こうまで各新聞にも書かれました。そのことは、アジアもそこに不安を持っているわけなんです。そこで、ドイツが敵国条項の廃止は求めない、むしろECの議席を安保の常任理事会に持ってもらいたい、出したい、それはドイツでなくていいんだ、イギリスやフランスでいいんだ。それだけヨーロッパを一つにするということについて非常な努力をしているわけです。  で、ワイツゼッカー大統額あるいはコール首相は、この統一に当たりましても、言葉そのままではありませんけれども、ヒトラーの罪を背負っていく、そういう厳しい、統一に当たって大国になるんではないかというヨーロッパの周辺国のそういう不安に対しては、我々はヒトラーの罪を背負っていくと言って厳しく自己規制をしているわけです。そして、そういう信頼をヨーロッパで周辺国の間につくりますためには、七〇年代から歴史の教科書の見直しを行ってきたんです。あなたは文教の専門家としてよく御存じだと思います。  そこで、先般、東南アジアを回られましたときにシンガポールで演説もされた。従来の首相、総理の演説よりは確かに少し格が、格調が高くなりました。歴史の教育をと言ったけれども歴史の教育はどこが変わったか。一つ一つ検証すれば何も変わってない。そこでこの歴史の教科書、私はやっぱりアジアにおいてはなぜ今中国で九・一八が繰り返し繰り返し報道されるか。あるいは、私は衛星放送をよく見ておるんですが、きのうは衛星放送で大変日本の悲しい恥部を、恥部というか、見せられました。それは太平洋戦争における韓国の売春婦の問題です。二十万の人権が奪われたわけです。韓国についていえば、土地、生命そして人権、これが植民地時代には奪われてきたわけです。土地です、生命です、人権です。だから韓国では、あれだけ経済的には深い関係にありながら、日本が大国になってくると、厳しいものがあるわけです。  私は数年前に、あの瀋陽の郊外の柳条溝に行って満州事変勃発のところに立ちましたよ。満州事変を起こしたときに、ばかな軍人どもが満州建国した記念碑ですよ。その三つに炸裂した石柱を建てた。戦後そいつを倒したんですね。当然です。そしてそれには何と書かれているか。「九・一八を忘れず 血涙をもって恨みを刻す」と書き込んであるのです、そこには。二千万の人々が犠牲を受けているわけですから。だから、一片の演説や、何遍大国にならないと言ってもだめなんです。  私は、だから総理に率直にここで誓ってもらいたい。それは、ドイツが七〇年代から歴史の教科書を見直しますためには、ユネスコを通して、ポーランドとドイツのユネスコを通してこれは始まったんです。これまで三十回、歴史の教科書の見直しをやっているわけです。つらいことですよ、確かに。だから私は、中国や韓国に、あるいは朝鮮民主主義人民共和国に対しましても、南北朝鮮ともに歴史の教科書を見直すということを政府が勇気を持って取り組む、そのことがアジアにおける信頼醸成の私は第一歩だ、大変厳しい道ですけれども、それをやらないかぬと思うのです。あなたの決意を聞かしてください。
  197. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 歴史の中におけるいわゆる暗い影の面、繰り返しては絶対にいけない面、日本が過去の行為によって耐えがたい苦痛を与えてきたことに対する深い反省の気持ち、こういったものは私は至るところで表明もいたしましたし、また韓国へ行ったときには、パゴダ公園というんでしょうか、日本に対するそういった記念公園のようなところがありました。そこにも行って過去のことは謙虚に反省をし、同時にそのことに対して、自分たちは今後二度と繰り返さないようにするためには、教育の面において次の世代にも間違ったことは繰り返さないように教えていくということが大切だということを申し上げてきました。シンガポールでも、政策演説のときにそのことを明確に申し上げ、帰ってきてから文部大臣に指示をし、そのような努力をしてまいりました。今後も続けてやってまいります。  教育というものはすぐれて国が責任を持ってなさなければならないことであります。歴史のすべてを受けて、そして、それを後世に、いいことは繰り返す、よくないことは繰り返さない、事実をきちっと教えていくということに当たってほしいということは指示をし、そのとおり今動かしております。そのようにしてまいります。
  198. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そのきのうの衛星放送で、韓国のテレビの女子のアナウンサーが日本の女子高校生に聞くんですよ。私たちさっぱり知りません、そういう不幸な歴史のことは知らないと言うんですよ。今あなたは一生懸命演説して歩いたと、こう言う。しかし、それは演説して歩いただけなんですよ。だから、ドイツが一つ一つ周辺国との間で戦争責任について歴史の教科書の見直しを、ポーランドと、あとはほかのベルギーやそれぞれもやっているんですよ、ハンガリーなどともそれぞれやっているわけですが、特にポーランドとの間で見ますならば、三十回、歴史の教科書の見直しをこれまで続けてきている。だから私は、九二八、六十年ですよ。満州事変勃発から六十年ですよ。これが十五年戦争の始まりなんですからね。そういたしましたなら、私は、あなたのそれだけ演説をしてきた責任において、歴史の教科書を見直す、具体的に入る、関係国と入るということを言えないんですか。
  199. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 具体的に中国との間でいわゆる教科書問題というのが起こりましたときに、あのとき書き直した教科書があるかとかないかとか、いろいろ報道合戦もございました。率直に申し上げると、あのときに改めてそれを書きかえた教科書はなかったはずでありますけれども、しかし、問題がこういうことでありますから、近隣諸国との友好関係を配慮した、事実に基づいた記述にしなければならぬということで、内閣判断をし、学習指導要領にもそのことをきちっと明記をして始めた。同時に、その前後には、主としてこれは自民党の皆さんだったと思いますが、議員連盟等を通じて、それぞれこういったことをしておる、こういった考えをしておるという協議をしていただきました。また、私自身も訪問をして、それらの教科書の交換をしたり、いろいろいたしました。そういったことを踏まえて、またシンガポールの演説等の後では、文部大臣に過去の経緯等も踏まえて繰り返し指示もいたしております。  そのことは、責任を持って検討もし、教科書の上にもあらわしていくように今後とも努めてまいります。
  200. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これはここで議論を続けておってもなかなか片づきませんけれども一つ一つやはりこれから誠実にやらないかぬと思いますよ、問題があれば。そして、問題をきちっと解決していくということをやらないかぬ。  坂本官房長官は提案理由を説明したのですから、やはりあなたにも質問をしなければ失礼に当たると思いますね。  あなたは統一見解を出しますときに、いろいろの意見がある、アジアにいろいろの意見がある、つまりアジアが非常に厳しく日本を批判しているということを言われた。それをあなたはどういうふうに自覚しているのか。それを提案者として説明してください。
  201. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 官房長官の談話を出したり、あるいは提案理由の説明を読んだのは官房長官ですが、政府として責任を持ってその談話その他は出しておるわけでございますし、また、アジア周辺諸国にいろいろな意見があるといいますのは、私が何度も申し上げておるように、過去の歴史の反省に立って、日本行為によって耐えがたい苦痛を与えた、このことに対して深く反省をしているということでございます。
  202. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、きょうの中山外務大臣の演説のテキストをもらいましたから、これを読んでお尋ねをしますけれども地域紛争の事前防止、これは、第二回京都の国連軍縮会議の後もいろいろと議論が始まっております。今回、中山外務大臣地域紛争の事前防止ということについて大変強く言われているわけですね。事務総長が安保理等の支援を得て早い段階で紛争の事前防止のための活動を積極的に行うようにと。私もこれは早くから主張しておりますし、今回の田原団で各国を回りましたときも、このことはニューヨーク国連本部でも議論しました。それから、ドイツやカナダやスウェーデンや、そういうところでもいろいろとこれを話し合ってもまいりました。  そこで、今海部内閣が考えております地域紛争の事前防止ということを具体的にどういうふうに国連の中でやろうとしておるのか、どういう組織にしようとしておるのか、具体的に御説明いただきます。
  203. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 これは、国連事務総長の予防外交に関する権限の強化を中心に、まず国連に予防システムの確立をしなければならないということで、この必要性を呼びかけたものであります。  具体的には、既存の国連事務局の関係部局を改組、強化するとともに、これをもとに、国際の平和と安全を脅かす可能性のある事態を常に監視をして、調査研究を実施して、事態悪化の原因及び現状について事実調査団を派遣するほか、調査団の結果を踏まえて必要に応じて早期の警報を出す、国際社会の注意を喚起する。要すれば、当事者間の協定やあるいは仲介等によって紛争の未然の防止を図ること、こんなようなことを想定して外務大臣が言ったわけであります。
  204. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 今国連の中に調査何とか局というのがあって、それが情報収集はやっております。しかし、今言われたその情報をどのように収集するのか、情報をだれが判断をするのか、そしてだれが早期警報を出すのか、だれの判断に基づいて出すのか。どういう組織ですか。
  205. 丹波實

    ○丹波政府委員 国連におきます機能強化の流れですが、一九八八年に紛争予防宣言というのが総会で採択されておりまして、この総会関係各国が共同提案いたしまして、事実調査の宣言というものを恐らく採択されることになろうかと思います。それを具体化するために外務大臣が触れましたのが、紛争予防システムという考え方でございます。  先生の現在の具体的な御質問でございますけれども、現在、国連事務局の中に情報調査・分析部というものがあって、四十名ぐらいのスタッフが働いておりますけれども、私たちは、この紛争予防システム事務局とでもいうものにかえて、もっとこの情報の収集あるいは分析というものを国連機能強化としてやってはどうかということをこの提案の中に含めているつもりでございます。
  206. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 人工衛星を十三個ぐらい上げますと、世界大体全部見れるわけですよ。ウォッチングできるわけですね。人工衛星に対しては割に各国抵抗が少ない。そういうものから見ているということに対しては。そうしますと問題は、どうその情報を収集をしていくか。今四十数名という話でしたが、私はこれじゃだめだと思う。だから、中央に地域紛争防止のための中央の機関、だからそのためには各国が、年間一兆ドルですから、世界の軍事費がですね、そうしますとその軍縮をやって、湾岸戦争でも使われた金は莫大なんですから、それを考えますとその軍縮をやって、つまり、中央の地域紛争防止の機構に人も金も物も集める。私は、日本は外務大臣が提唱したのですから大いにやるべきだと思います。  と同時に、これは地域組織をつくらなければだめだ、地域センターを。だから、問題の多い中東であるとか東ヨーロッパであるとかアフリカであるとかアジアであるとか中南米であるとか、そういう世界に二十数カ所、熱い、可能性のある、地域紛争の考えられるところがあるわけですから、そうしますとやはり地域センターをつくらなければいかぬ。だから、地域センターまで持っていくという考え方というか、提案する考えがあるのかどうか、いかがですか。
  207. 丹波實

    ○丹波政府委員 まず一つは、宇宙衛星を使って情報収集するという点につきましては、この国連機能強化の過程議論の中で確かにそういう議論も出ておりますが、加盟国の現在の意見は、やはりステップ・バイ・ステップでいこうということで、宇宙衛星の問題は将来の問題として議論していこうという考え方であると理解しております。  それから紛争予防のための地域センターというお考えですが、これはまさにCSCEの中で、現在ウィーンにヨーロッパで設けられておりますので、一つの確かに参考になる機能でございまして、国連全体としてこの問題は午後の課題として取り組んでいくべき問題ではないかというふうに考えております。
  208. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そうしますと、国連の中の調査は何と言いましたかな、調査情報部か局が、これはやはりもっと飛躍的に大きくしなければいけない、こう思います。国連の中自体でも余り認識が私は十分じゃないという感じがいたしました。それから各国も、この考え方はまだ十分に各国には、大事だという原則はみんな思っておりますけれども、なかなかない。  この場合に非常に危険なのは、憲章七章の制裁軍のようなものをという、介入の仕方をしようとする、つまりPKFの逆というか、その前のものですね、私はこれは非常に危険だ、こう思います。どうですか。地域紛争予防のための制裁、つまり国連軍に行く前の制裁軍をやろう、さっと入ろうという考え方があるのですね。私はこれは危険だと思っているのです。どうですか。
  209. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 お許しをいただいて中座しておりましたので、議論のやりとりがわかりませんから、関係局長から答弁をいたさせます。
  210. 丹波實

    ○丹波政府委員 今先生の御質問、それから政府側の答弁は、まさに紛争をいかに予防するかという側面からの問題でございまして、七章の問題は紛争が発生してからの処理の問題でございますので、全然別な世界の話であるというふうに考えております。
  211. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それは当然ですよ。当然ですが、そこに行く議論も出ておる。だから、それを私は今危険だということを申し上げたわけです。これはひとつ積極的に日本政府としては、私もまた提起していきたいと思いますが、進めてもらいたい、こう思います。  そこで、武器輸出の管理の透明性、こういうことでまあ中山外務大臣が一生懸命言っているのですね。ところがこれは、外務委員会では自信のあることを言ってみたり自信のないことを言ってみたり、前に行ったり後ろに行ったりしてきているのですよ。そこで、今度の通常兵器の届け出、つまり国際移転透明性を高めるために国連報告制度をつくりたい、決議をしよう、こう言うのですが、これは実現性はどうですか。
  212. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この問題につきましては、五月に京都で行った国連軍縮会議のときに、参加各国の代表からは、私の基調演説について原則としてはそれは賛成、支持だという合意がございました。サミットのときに七カ国にそのこともいたしましたが、特に議長国イギリス・メージャー首相は、イギリスの構想ともそれは全く合致する、したがって、共同提案国になってもいいというところまで七月の時点で約束をしてくれました。その後ECは、ECの内部において、そういったことが可能ならばそれは検討したらどうかという前向きの議論が進んできた、このように承知もいたしております。これを提出をして、決議案を提出をして、ぜひともこれは。成立するように向けて努力をしていきたい、このように考えております。
  213. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 湾岸戦争で、世界はテレビで見ておったのですね。むしろ今世界というか、第三世界は特にですが、新しい兵器に対する需要が非常に出てきているわけですよ。アメリカ、ソビエト、中国、フランス、それからイギリス、米ソ英仏中ですね、これが一番武器を出しているのですよ。これもみんな登録ですね。日本は一番武器を買っているのですよ。透明性ははっきりするのですね。
  214. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 湾岸のあの事態を率直に反省すると、必要を超える無秩序な武器移転は、これはその地域紛争のために好ましくない存在になる、このことはみんなが共通の認識をしておると思います。同時にまた、どこの国がそれをしておったかということは、これは率直に言って御指摘のように世界の、特に安保理に所属するような五つの常任理事国がそれに重く関与しておったことも、これも事実であります。日本が輸入国であることも、これは事実でありました。  そういった輸出と輸入と両方明らかにされていくことによって、これは必要にして十分なる節度ある方なのか、あるいはその地域の安定と平和を乱すような必要以上のものの集積があるのかどうか、おのずからそういったことが明らかになってくると私は思います。むしろ、中国との首脳会談でも私はこのことを率直に申し上げました。中国は、その考え方そのものは高く評価する、けれども、輸入国の方や大国はどうするんだという、具体的に詰めなければならぬというようなやりとりもありました。私は、輸入国日本の方もそれはきちっと透明性を尊重して、公開、届け出もします、そうすることによって、持っておるこの武器防衛のために必要なものなのか、あるいは他国を攻撃するために必要な機種なのかということも専門家がごらんになればわかることでありましょうから、それを明らかにすることによって周辺諸国安心感というものはさらに高まるようになるであろう、こう考えております。
  215. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そしてその上で、冒頭、国際情勢の認識をお互いに話し合いました。敵のいない安全保障という方向にヨーロッパは入った。それからアジアも、ヨーロッパとは違うがずっと変わってきておる。つまり、そういう意味でいけば、ヘルシンキ宣言のそのときはブレジネフの政権です、それを背景にしたのが五十一年の防衛計画大綱だったわけですから、そうしますと、その条件は崩れた。私は、日本はその武器の輸出入の管理の透明性というものを、平和憲法を持っている国として世界に誇りを持っていこうと思うならば思い切って軍縮をすべきだ、つまり軍備を縮小すべきだ、そして軍備を縮小して、先ほど言いましたような事前防止の国連には協力をする、そういう機構には協力をする、あるいは私たちが提起をいたしております自衛隊と別組織技術集団をつくる、国連平和協力機構、こう言っておりますが、PKFと違う、つまり自衛隊でない、昨年の国連平和協力法案が廃案になりましたときには、自公民三党さんで別組織という議論もあったわけです。この別組織を私たち日本としてはつくって、そしてその別組織技術集団として、アジアのいろいろな問題に対しては後ほど触れますけれども、強力なお手伝いのできるものにしていく、それが必要だと思うのです。軍備を縮小、全面軍縮、ヨーロッパばそういう方向に動いておりますし、変わってきております。だから、その軍備を縮小するということについて明確な方針をお示しください。
  216. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御指摘のとおり、現在世界が大きく変わっておりまして、いわば冷戦の時代を超えた新しい時代に向かっていることはそのとおりでございます。しかしながら、まだ現在、究極的な平和の維持のためにはやはり実力を備えるといった仕組みがとられているということは御理解いただけると思います。  そしてまた、現在の我が国防衛力のあり方でございますが、御承知のとおり、もとより憲法あるいは専守防衛の大方針のもとで進めておるわけでございますし、我が国の現在の防衛力のあり方というのは、いわゆる基盤的防衛力と申しておりますけれども、これはあらゆる事態に対して我が国独自で対応するというんじゃない、我が国としてはみずから節度のある適正規模の自衛隊というその防衛力を備えると同時に、日米安保体制というもので対応していこうという、こういう仕組みになっているわけでございます。そして、我が国自衛隊の備えております防衛力と申しますのは、いわば平時において十分な警戒態勢ができる、あるいは有事においては小規模かつ限定的な外からの侵略に対して有効に対応し得る、それだけのことを考えて整備しておるものでございます。  それからまた、現在の防衛力の整備の年々の予算、さらには中期防と申します五カ年の計画、さらにそのもとには昭和五十一年策定いたしました防衛計画の大綱というのが根っこにあるわけでございますが、この大綱を策定いたしました昭和五十一年というのは、先ほど御議論のございましたヘルシンキ宣言の採択されました翌年に当たります。当時、文字どおりデタント花盛りという時代でございました。そういった世界が全体として安定に向かうという状況を踏まえながら、さらにそういった方向が深まること、進んでいくことを期待しながらつくったわけでございまして、そういった状況下にあったということ、それから、先ほどの基盤的防衛力という考え方から申しますと、我々が現在備えております防衛力というものは極めて節度のある控え目なものであるというふうに御理解いただきたいと存ずるわけでございます。もとより私どもといたしましても、将来に向って国際情勢の推移その他を十分見ながら適切な防衛政策を展開してまいりたいと存じます。もとより防衛力の水準を上げようなどと考えておりません。現在持っております防衛力の水準というものを、基本的に、更新あるいは近代化ということを含めながら維持していこうという姿勢でございます。
  217. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 今防衛庁長官が五十一年の背景を言われましたね。ヘルジキン宣言をしたときと今とは根本的に変わった、総理、それをお認めですね。
  218. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど答弁の冒頭で申し上げました。そういう国際情勢は大きく変わったと申しました。ヘルジキン宣言の時代、つまりは大綱を策定しました時代と比べましても当時の情勢よりさらにさらに大きな変化があった、そうして、いわゆる大規模な戦争なんて起こる可能性は極めて低くなったというのはそのとおりだと存じます。しかしながら、依然としてまだ地域的な紛争の可能性というものはあるわけでございますし、それからまた、国連中心とした平和維持機構あるいは地域的ないろいろな平和維持の仕組みをつくろうという努力はなされておりますけれども、今の段階で、そういうものは完全にそういうものだけで動くような状態にはなっていない、やはりそれぞれの国が、あるいは幾つかの国が手を組みまして、それぞれに実力を備えて安全保障をしていこうという仕組みはやはりあるんだということを申し上げたわけでございますし、それからいま一つは、基盤的防衛力という観点からいって非常に防衛力の方は小さいものである、控え目なものであるということを申し上げたわけでございます。
  219. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 何で韓国が不安を表明するかといえば、韓国の総予算と日本防衛予算とちょうど一緒なんですよ。四兆七、八千億でちょうど一緒なんだ。しかも、ASEANから中国、南北朝鮮、きょうはミリタリー・バランス持ってきておりませんから正確な数字はありませんけれども、その全体よりも、中国も含めた南北朝鮮、ASEAN、オーストラリア、ニュージLランド全部をひっくるめた防衛予算よりも、日本一国の防衛予算の方が大きいんですよ。ちょうど一緒くらいか。韓国は一緒なんです、同じなんです、韓国の予算と日本防衛予算。だから、日本がとてつもない軍事大国になるのではないかという不安がある。しかも経済大国から政治大国へ、キッシンジャーも、経済大国で政治大国、軍事大国にならなかった国はない、こう言ったのだけれども日本はそれになってはいかぬわけですよ。ドイツはだからそのことを一つ一つ、我々はミドルパワーとして貫くということでドイツは貫いている。だから、ヨーロッパの中で信頼されておるのですよ。日本は信頼されてい。ないのですよ。そこの大きな違いというものを考えましたら、私は、じゃ防衛計画大綱の基礎になりました国際情勢というのはがらっと変わっているのですから、当然変えなければいかぬ。そうでしょう。総理、いかがですか、司令官として、総司令官としてはっきりしなさい。
  220. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  我が国防衛費が一体どのくらいのレベルになるかという点は、それは為替の関係もあって一概に、為替あるいは防衛費の定義によって一概に言えないところでございますけれども、ただこういうことは申せると思います。我が国の場合は、防衛費の中に占める人件糧食費が非常に大きい、そうしてまたさらに、隊舎宿舎等の整備等のいわゆる後方というものが非常に多いわけでございまして、正面装備に回しておりますのは二〇%少々だというふうに理解しております。そういうことが一つであります。それからまた、御承知のとおり、徴兵制の国なんかでは極めていわゆる人件費が安くなるわけでございますね。そういったもろもろの要因がございますので、仮に防衛費の額がかなりであるということを認めるといたしましても、それによって整備される装備あるいは防衛力、力ですね、あるいはそれの蓄積された、積み重ねられた現在保有している防衛力というものは決して大きなものではない、軍事大国なんて言われるものではない、極めて控え目なものであると思います。  余り数を言うのはなにかと思いますけれども、例えば、我が国の地上兵力は現在大体十五万ちょっとの水準でございますが、これは先ほどあえて名前を出されましたから申し上げますけれども、韓国の場合はたしか陸軍の兵力だけで六十数万だったのじゃないかと思います。それから中国の場合は二百万を超えておると思いましたし、それからまた極東ソ連軍も、最近削減した削減したと言ってはおりますけれども、なお極東ソ連軍だけでも地上兵力は三十万を超えておる。先ほどさらにお名前を挙げられましたドイツの場合も、地上兵力は三十万を超えた水準になるというふうに理解しておる。決して我が国は軍事大国にはなりませんし、これは憲法その他の仕組みからいってもなれないわけでございますし、さらに、現在持っている力というものも極めて控え目なものであるということを御理解いただきたいと思います。
  221. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これはもう平行線ですから、理解はできませんが、カンボジアの問題に入ります。総理、いいですか。  カンボジアの問題は、これまでの平和維持軍PKFたぐさんありましたが、これはコンゴとキプロスの内戦型なんです。コンゴとキプロスという内戦型の問題については、平和維持軍は非常に難しいのです。それは「ブルーヘルメット」もそのことはずっと触れております。  そこで、今の十二年間内戦を続けてきた、本当に同じ民族が殺し合ってき次、分かれてきた、権力争いというかこの内戦を考えますとき、今ようやく最終段階に国連中心にしてやってきた。なかなか難しい段階でしょうけれども、しかしようやく来たなという感じもいたします。感慨深いものもあるわけでありますけれども、この十二年の内戦で、今のカンボジアにとって何が大事か。国土はもう破壊し尽くされているのです。道路も橋も港も鉄道も通信も学校も病院も工場も、そして田畑も荒れているのですよ。最悪の今状況にありますね。このカンボジアの建設にとって何が大事か。日本は何を協力すべきか。PKFを出すということが国際貢献なのか。  ここは旧戦地なんですよ。カンボジアは旧戦地なんですよ。総理、そのことを御存じですか、旧戦地だということについては。仏領インドシナ戦争のときにインドシナ半島には大変被害を与えているのです。だから私は、来てくれと言われても今は行くべきでない、こう思っているのです。カンボジアはそういう意味ではもう今本当に援助が欲しい、だから日本が援助やる。PKF受け入れ、こういうのが行けばわからぬですよ、それは。わからぬけれども、私は今カンボジアにとって何が一番日本として協力すべきことかといえば、破壊され尽くしておる、荒廃し尽くしておる国土に対して日本が建設に全力を尽くす。だから、私たちが別組織にせいと言っているそれは、そうした建設や医療や通信やそういう技術集団をつくれと。そしてこれは志願による。  これは各国の例を見ますと、国際常識、国際常識ということを諸君は言うけれども、決して国際常識じゃなくて世界はいろいろあるわけです。だからPKFを出すということではなくて、その経済建設についての一つまり韓国やなかんずく中国が慎重にしてくれ。そうしますと、これからこのインドシナ半島は、ESCAPなどがそれぞれいろんな計画もしてきておりますよ、このメコンデルタの開発についてはいろいろやってきているわけです。これをいよいよ具体的に、戦後これだけたってようやくそこに行こうとしているのですから、そのときに日本が果たすべき道は、二百名か三百名か知らぬが、そのPKFを出すことが国際貢献になるのか。本当にカンボジアの荒廃を尽くした国土建設のために全力を挙げる、アジアの周辺国に不安を与えない、そのことが私は今日本がとるべき道だ。総理、いかがですか。
  222. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 カンボジアが長期にわたってあのような状況にあったことに常に心を痛めてまいりましたし、また、東京でカンボジア和平に関する国際会議をしたり、あるいは私がバンコクヘ行ったときに各派の代表の方ともお目にかかっていろいろお話もいたしました。結局、包括和平を達成するために、パリ会議でも日本はある程度の協力をしなければならぬということを表明もしてまいりましたし、また東京で包括和平が達成されたならば、その後のカンボジアの復興会議については東京会議も計画をして、どのような形で協力をすることがカンボジアのためになるのかというその角度から協力をしていきたい、こう考えておるところであります。  具体の問題については、P5の話し合いの中でカンボジアの包括的な和平の方向も明るみが出てきております。どのようなことになるのか、その結果に従って国連からはどのような要請がそれぞれの国に来るのか。また、一番大切なことは、関係当事国がそういったことを受け入れるか受け入れないか、同意するかしないかという点ももちろんございます。同時に、東京では復興援助会議も持って、援助をしようという意思のある国々の意向を取りまとめるときにもカンボジア自身の意向を尊重して対応していくことは、これは当然のことと心得ております。
  223. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私はコンゴとキプロスのことを申し上げましたけれども国連平和維持活動がその一国の内戦に向かうという場合は、コンゴは片づいたけれどもキプロスはまだ続いているわけですね、それでこの内戦という問題は、内戦当事者への中立性とか公平性とかいう、その中立性、公平性の原則というものについては非常に困難な問題にぶつかるのですよ。そして、先ほど来指揮の問題がいろいろございました。しかし、平和維持軍という国連軍は、これはこれまでの幾つかの平和維持車の報告を事務総長が安保理事会にしておる。これは定期報告を出しておりますから。その定期報告を見ますと、国連軍というのは総合的かつ能率的な軍隊として機能しなければならない、そして国遠軍部隊はひとしく軍司令官の指揮のもとに服務するものである、国別部隊間の差別があってはならない、こういう見解事務総長は安保理に対して繰り返し報告しているのです。  総理法律で決めたからと、こう言っておりますけれども、つまり事務総長のもとに出します国連平和維持軍というものは、今言いましたように軍司令官の指揮のもとにおける国別部隊の、日本だ何だという国別部隊間に差別があってはならないというのですよ。先ほど来、日本は特別の撤退をしたり弾を撃たなかったりとか、いろいろなことを言っておりますが、しかしこれまでの平和維持軍では、応戦の権利、そういうことも与えられている。それでいろいろな問題が内戦の場合にはあるのですよ。いいですか。そうすると、国連軍のこの、私が申し上げましたような、つまり事務総長が安保理に定期的な報告をしております、ひとしく司令官の指揮のもとに服務するものだ、国別部隊間の差別があってはならぬ、こういうふうに繰り返し報告をしておりますが、日本部隊は違うというふうに言えるのですか。
  224. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 この法律をつくります前に、日本には、日本の厳しい守るべき枠組みも、それからたびたび御議論になりました過去に対する近隣諸国との問題とかいろいろな問題があることは正直に率直に受けとめて、そして国連当局ともこの問題については、五原則を説明をし、このような状況協力をする、問題は起こらないかということを、問題ないということを確認をしてきておりますし、また、日本業務中断するということについて、それは国連の文書の中にも、業務中断して撤収するときは適切な方法で事前に通告をすることという一項目はありますけれども、そのことはきちっとさらに我が方も踏まえて、外交チャネルを通じて本部国連事務総長とは交渉いたしますし、通告いたしますし、また現場では、現場の国連事務総長指図を持ってきておる司令官のところには連絡員がいつも行って、そのほかの国々とともにいろいろ連絡調整をすることはこれは当然でありますから、そのチャネルを通じて我が方の判断を伝える。そして武器使用しなきゃならぬということになったときは、これは前提が崩れたときでありますから、何度も申し上げますけれども業務中断に入るわけでありますから、それらのことについては国連にはさんざん説明もしてありますし、また今も例に引かれましたコンゴの問題もこれはコンゴのときは確かに武力行使がありました。それは決議にそれが伴っておったし、そのような行動になって中立性を害するようになったという苦い経験もあり、それ以後武力行使を考えないという原則が国連の中で確立されたものと承知しておりますので、コンゴのような平和維持活動は今後行われないであろうと私どもは考えております。
  225. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 今あなたは、国連と話し合ってきた、確認しておると。どういう協定があるのですか。その話し合ってきた協定を、つまり国連軍を編成するときは、今カンボジアの場合はまだできていませんからありませんね。しかし、この事務総長のところと話を詰めますときにはそういう問題についてお互いきちっとするわけですよ。だからそれは、各国PKFを出してくれというときにはそれぞれ条件もつけてくるわけです。だから、今言われたことは、国連との間でどういう文書になっておるのか、確約になっておるのか。つまり、日本はそれを法律にしているわけですから、法律にしているのですから当然それは協定なり確認なり、国連との間で今言われたようなことがきちっとなされていなければ、日本国民はそのことに対して、ただ国連と言えばいいということじゃないんですから、その点はどうですか。
  226. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 どういう協定、文書になっておるかとおっしゃいましたが、まだこの法律成立させていただいておりませんし、具体要請国連からは来ておりませんので、協定を結ぶとか文書を交換するとかいうようなことにはまだ立ち至っておりませんけれども国連の担当の事務次長のところに行って、今度日本の考える中心的な五項目の要素はこれですということを、これは相談というんでしょうか、事前に、こういうことで日本はやるが、いいんでしょうねということでそこの確認をしてきておりますので、そのことについては事前の了承を得ておる。国連としてはそういった考え方で異議はない、これは担当次長の言ったことでありますし、また、つい前回までミスターPKOと言われた国連のアークハート氏のいろいろな一問一答も、何回も引用させていただいておりますが、日本だけ撤収するのかとよく聞かれるが、大きな誤解がある、PKO撤収はあることだ、そして撤収の理由は、新たな事態にコミットできなくなったということも、あるいは維持軍がもはや問題の解決に貢献できないという場合もあったし、また本国の財政負担に耐えられないという事情もあったということを例示を挙げてきちっと言われますし、また、このアークハート氏の発言によれば、各国とも維持参加に反対の人は武器使用を強調する、だが、あくまでも自衛のための最後の手段だ、維持軍は非暴力、非強制の敵なき兵士だからこそ偉大な力を発揮する、武器を戦闘状態で使えば紛争に巻き込まれ、当事者の一人になってしまう、戦う平和維持軍は役に立つものではない、これは国連の担当の次長が言っておられることでありますし、そのような了解をきちっと国連にも取りつけてあるということでございますから、協定が具体的になりますときには、日本考え方日本の通していただいたこの法案等も国連にはそのように説明をする考えでおります。
  227. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 昨年の四月、国連平和維持軍に関する特別委員会、それに対する日本政府から出したのは、文民の活動を積極的にやろう、そういう準備をしているんだということを報告しているわけですね、去年の四月。ことしの六月、「平和維持活動のすべての局面における問題の包括的検討」、六月十八日、平和維持活動特別委員会という報告があるわけです。いろいろなことについてずらずらっと報告をしておりますね。これは、そのワーキンググループに対して日本考え方を出すことになっている。  そうしますと、去年の国連平和協力法案のとき、そして廃案になった、そのときには、PKFに出すというあれではなかった。しかし今度、今この法律を出してきた。六月のこのワーキンググループにはどういうものを、つまり特別委員会の方にどういう報告をしておるのか。決議の二十八条、二十九条、三十一条で五月三十日までに報告せいということになっているわけですけれども、つまり、今の文民の活動分野でやると去年の四月国連に言っていたやつを、今度はPKFまでやりますというふうなことで平和維持活動特別委員会に対して報告をしたのかどうか。具体的にその特別委員会に対してどう出してきたのか、それを明らかにしてほしいと思います。
  228. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生おっしゃいますとおり、日本考え方も出すということで、日本政府、四月の十一日付で日本考え方を出しております。  項目は二つございまして、一つは「PKOにおける文民の役割」、もう一つは「PKO活動の新しい分野」ということでございまして、前者につきましては、「日本政府としては、今後ともこの文民の役割を強化していくことに関心を持っている。」ということを述べております。それから後者のその「新しい分野」の問題につきましては、「今後新しいPKOができていくに当たってはその概念というものを確立していくべきではないか」というような議論をしております。
  229. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 法制局長官、あなたは随分無理をして憲法解釈をやりよるわけだから、あなたには同情しますけれども武力行使の問題については、平和維持軍について先ほどコンゴの例も言われましたが、国連軍は武力行使のイニシアチブをとってはならない、イニシアチブを国連側、平和維持軍側がとってはならない、しかし、武力攻撃を受けた場合は武力でこたえる権利がある、そのような武力攻撃の場合はどうというふうに国連の方でもいろいろな例で言ってきているわけだ、今までの平和維持軍。そうしますと、応戦の権利があるということで、つまり各国の兵は行っているわけです。国別部隊でやっちゃいかぬ、緊密な連携をとり、司令官のもとで動け、こう言っている。ところが日本は違う。しかもこれは軍隊だ、こう言っているのですね。今までも、停戦監視団PKF平和維持軍は軍隊でなきゃならない、軍人でなきゃならない、こう言ってきたわけだ、あなた方は。応戦の権利が、攻撃を受けた場合は武力でこたえる権利がある、こういうふうに平和維持軍についてはこれまでの何遍かの事務総長の安保理への報告もあるわけです。  そうしましたら、この自衛隊は、先ほどもいろいろ議論ございましたけれども、当然他国の軍隊と一緒に応戦ということになれば、それは集団自衛権の行使。当然じゃないですか、工藤法制局長官
  230. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 お答えいたします。  今回の法案におきましては、武器使用につきまして二十四条においてるる書いてございます。そういう意味で今委員、応戦というふうなお言葉もお使いになりましたし、あるいは現地の司令官というふうなお話もございましたが、二十四条で書いてございますのは、あくまでも隊員が、あるいは自衛官が個々に、まあ個々にとまでは書いてございませんが、それが自己あるいは他の隊員生命、身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由があるとき、このときに武器使用することができると書いてあるわけでございます。この法案におきまして我が国平和維持活動を支えていくというときには、そのような対応の仕方になろう、かように考えます。
  231. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それは日本法律なんですよね。日本法律だけれども、先ほど申し上げましたように、平和維持軍は司令官のもとできちっとやりなさい、国別の、別々じゃだめです、こう言っているのですよ、国連は。この平和維持軍は、そういうふうに、国連のそういう中で活動することを求められているのです。「統合的かつ能率的な軍隊として機能しなければならない」「国連部隊は等しく軍司令官の指揮の下に服務するものである」「国別部隊間に差別があってはならない」。法制局長官、どうですか、こう言っているのですよ。これは私が勝手に言っているのではないのだ。事務総長が安保理への定期的な報告の中で繰り返し言っていることなんです。法制局長官、どうですか。
  232. 工藤敦夫

    工藤(敦)政府委員 国際連合が、あるいは事務総長があるいはそのようにおっしゃられているのかもしれません。私はそれを知る立場にございませんけれども、正確に申し上げるわけにはしたがってまいりませんけれども我が国として対応していく場合にはこういうやり方で対応していく、これがこの法案考え方でございます。
  233. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 法案考え方ならば、その法案考え方をどのように国連に、了解というか確約というか協定というか、国連とどういうふうにするんですか。
  234. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  先ほどこの問題につきまして総理が御説明されたことに私としてつけ加えることは余りないのでございますけれども日本政府としてこの法案を作成するに当たりまして、五原則という考え方を持ってこの作成に当たるというその前提といたしまして、私たち国連に人を送りまして、日本としてはこういう考え方で立法をしようと考えているけれどもいかがなものかと言ったのに対して、国連の事務次長は、全く問題はないという、そういう答えを得ておりまして、まさにそれを反映させたのがこの法案でございます。したがいまして、私たち、この法案国連との間で問題を持っていないというふうに考えております。
  235. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 国連との間でといって、それは平和維持軍について、これまでずうっと平和維持軍の問題を報告してきているわけですよ、その報告と私は今合わせてお尋ねしているんですから。この問題は、あともう時間がありませんから、後ほど他の委員に譲ってまたやってもらいますけれども、ひとつこの点は、法制局長官のただ法解釈ということでは済まない問題だということを言っておきたいと思うのです。  そこで総理イギリスですが、イギリス平和維持軍に対する態度、御存じですか。
  236. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 突然の御質問でございますから、イギリス平和維持軍が現在どこでどうなっておるかということは知りませんが、きょうまで二十三回のそれぞれの地域のときに、イギリスはたしかキプロスのときかなんかから参加をするとかしないとか、そういうようなことがあったということを物の本で読んで承知しておるということでございます。
  237. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 イギリスは、かつて大英帝国として植民地が多かったわけです、世界に。それだけに関係が非常に深いのですよ、各国。それだけに非常に慎重なんです。イギリスは、ほかの平和維持待機軍をつくっておるところと違いまして、「国連平和維持活動の中核をなす歩兵部隊の提供ではなく、専ら兵たん医療面の協力に限り、そのための準備、訓練を行っておる。国連安全保障理事会常任理事国一つとして英国はこれからが大事なんです。「大国が平和維持活動に兵力を提供することの適格性を欠く。」大国は平和維持活動に兵力を出すべきでないというのが英国の考え方です。ただキプロスだけは、先ほどあなたも触れたけれども、これは非常に関係が深くて出でいったのですね、英軍が行動を起こしているわけですけれども。そこで英国は、将来の平和維持活動への協力は専ら兵たん、補給の面に限るという前提に立っている、そしてその準備を行っているのです。兵たん面での協力といっても、それは単なる機材や装備といった物資面だけの提供ではなくて、必要な人員の提供も含む、これらの人員は後方での勤務に限られるという趣旨、こういう方向でイギリス平和維持活動に対処しております。  予算のいろいろな分析からしますと、これは最も国連平和維持活動を三十年にわたって研究してこられた京都大学の香西先生の本ですが、私はこれを読んでみまして、なるほどいろいろ各国でやっているなということを感じたわけです。千六百名の特別陸軍予備士官部隊、志願制、常時招集可能な態勢に置き、年間二週間の訓練を受ける、海外勤務は六カ月を限定とし、隊員は年間百五十ポンドの報酬を受ける、こういうふうに、英国は大国として、国際政治に大きな影響を持っておる国としてこういう姿勢をとっておる。  私は、日本もアジアでは、特に先ほど申しましたような、社会党の我々が言っているような態度をとるべきだ。私は、イギリスに学ぶべきところ大変多い、こう思います。イギリス姿勢、どう思いますか。
  238. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 事前に御通告いただければ、もっと勉強してきて的確な御答弁もできたかと思いますが、しかし私も、今委員がお示しになった本は読ませていただきましたけれども、そこに流れておる思想というのは、イギリスが大国としてそれに入らなかったというのは、五大国、安保理事国がそれに入り込んでいくということは、国連の行う平和維持活動は申立てあって、非強制であって、要するに力の背景でやるのではないということが背景にあるとともに、お触れになったように、旧植民地をたくさん持っておった国からすると、それぞれの国とのいろいろな関係等もあって、なるべく中立を確保するために、それ以外の国が手を挙げてやってくれるときはそちらへ要請をした方がいいというので、北欧等の待機軍とかあるいはアイルランドとかあるいはオーストリアとか、そういったところからの自発的な参加によってPKF活動というものの歴史は積み重ねられてきたものであったと、私はそのように受けとめさせていただいております。そうして、イギリスイギリスなりに、国連の大国としての責任を感じて、多国籍軍にも率先して参加をして、平和を回復するための努力等には進んで行動をしてきた国でもあります。  私は、そういったことを考えますと、日本はやはり日本としての立場を持ち、諸外国の出来事等を十分参照させてもらいながら日本独自のPKFをしていくべきである、このように判断いたします。
  239. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 日本は、このアジアについて言いますと、カンボジアの問題は冒頭、先ほども申しましたけれども、特に旧戦地だということを申し上げた。そして、アジアの各国は、日本軍がかつて軍靴を踏み鳴らしたのですよ。だから、その地域であるだけに、日本はこの自衛隊を出すということに対しては、中国や韓国が厳しく言っておられるように慎重であるべきだ。それはイギリスが、今あなたも同意をしていただきましたけれどもイギリスもその世界に対する、つまり旧植民地とかそういうものもありますから、非常に慎重な態度をとっておるという点ですから。日本は安保の常任理事国ではありません。しかし私は、特にアジアについて言いますならば、その自衛隊を出すということではなくて、私たちも、PKOへの協力はやろう、医療とか技術とかそういうことでは大いにやるべきだ、だからそのための技術集団はつくって、そしてきちっと訓練をし、出すべきときには出す、しかし自衛隊は出さないというのが私たち考え方ですから、私は、イギリスと一致するところがあると思うのですよ。  さらに、オーストリアの点について言いますと、今オーストリアにも触れられました。オーストリアは、これは永世申立てす。憲法でそれをうたっていますね。だからそのことを、つまりオーストリアは平和維持軍を出すことについては非常に厳しい条件というものをつけているわけです。そこで、オーストリアのこの永世中立国としての特殊な地位というものを保ちながらやっていこう。だから、コンゴ紛争に対しても国連からの要請に対しては医療班を出したわけですね。医療班を出した。キプロスの平和維持軍に対しても医療班と警察隊を参加さした。このオーストリアの連邦憲法の中で、連邦軍の任務というものを定めておる。それは、領域外での連邦軍の行動については決めてないわけです。ドイツの場合にはもっと厳しく、出られないことになっていますけれども、これは決めていない。  そこで、いろいろと検討し、憲法論も起こっているわけでございますけれども、個人の資格でオーストリアは参加しているわけです。軍隊としてではないわけです。しかも、このオーストリアの場合は、それが決定するためには議会の最高委員会と協議をする、その承認をとるということをオーストリアは手続としてやっているわけです。つまり、日本世界の中で誇るべき憲法だ。日本憲法という、非常に世界の中では、何といいますか、戦争放棄の平和憲法ですから、そうしますと、そういう戦争放棄の平和憲法というものに踏まえて日本が対処していくという場合には、私は、オーストリアが永世中立という立場に立ちながら慎重に対処をしておる、この対処の仕方というのは大変参考になる。ですから、手続としては連邦議会の最高委員会との協議を経なければならない、それから、派遣の決定をなすに当たっては、一九五五年の憲法法規で定められたオーストリアの永世中立の地位に合致することが条件だ、こういうふうにオーストリアは自分の立場というものを非常に強調しているわけです。その立場を貫いているわけです。  だから、日本がこれまで自衛隊を出さないということでやってきたその方針というものを、憲法に基づいてやっていくという場合に、私は、オーストリアがそれだけ永世中立のそういう憲法というものを踏まえながら対処してきた、つまり、中立国家としてのオーストリアの姿勢というものは学ぶべきだと思うのです。いかがですか。
  240. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 どこの国の経験も、それはすべてその国の国民が英知を集めてされたことでありますから、私は、いいところは学ぶべきだと、率直にそう感じますし、また、オーストリアは平和維持軍の歩兵部隊をエジプトにも、シリアのときも、イラク・クウエートのときにも出しておりますし、軍事監視員もエジプトにも、アフガニスタン、パキスタンにも、イラン・イラクにも出しておりますし、文民警察がサイプラス、ナミビアに、そして医療要員がサイプラスに行ったということになっております。そして、これらの行動、これらの中で、特にエジプト等の場合には、エジプト側から平和維持軍はのいてほしい、軍が出てくるというときには、応戦しないで全部撤去した、そのときの例も出ておるわけでございます。
  241. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 このエジプトのときはオーストリアだけではないのですから、みんな、これは全部ですから。  そこで、この派遣の決定については、PKOの問題で田原団長と回りました各国を見ましても、各国政府だけで決定はしていないのですよ。やはりそれなりの手続はとっているわけです。  例えば、今オーストリアはその最高委員会とのこれをとらなければならないということを申し上げましたが、スウェーデンは、外交問題委員会との協議を経て国連事務局に対してこの態度の正式決定をやるわけです。いいですか。そしてスウェーデンは、参加に決定した場合も中立国としての立場から特別の条件をつけることがある。そのことを、スウェーデンは、いいですね。
  242. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 各国のいろいろな手続の例についてはわかり次第また申し上げますけれども、オーストリアでは、例外的なケースとして下院の委員会の事前の承認が必要とされておりますが、国連からの派遣要請が直前になってなされ、委員会の承認が国連が希望する日時までに間に合わないかなりの可能性があり、そもそも国連のニーズいかんにどうこたえるかが重要であるとの観点から手続の簡素化、合理化のための見直しも今検討されておるという報告もございます。
  243. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 スウェーデン。
  244. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 スウェーデンは、国会の承認は不要ということになっております。
  245. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 しかし、これは議会の外交政策委員会との協議を行う、経なければならない、それから中立の条件をつける、こうなっているのです。ただ政府だけで勝手に決めるということではないのです。いいですか。  フィンランド。フィンランドも、国連事務総長からの派遣要請があれば、政府は議会の外交委員会と協議の上で要請に応じるかどうかを決定する。いいですか。政府だけで決定するというのでない。全部協議をしているわけです。アイルランドは、これは承認をとらなければならない、こうなっているわけです。  そうしますと、そういうPKOの先輩国、ほとんどもう毎回出しておるようなところでも、一つ一つそういう議会の外交委員会との協議、あるいは中立国としての条件、そういうものを承認に当たってはつけているわけなんです。だからその点は、いかがですか。そういう北欧の待機軍も手続をきちっとしている。だから、シビリアンコントロールという問題が大変今国民の関心も得ておりますけれども、私は、議会の承認なしにPKFを出す、そういう態度はとるべきでない、こう思うのです。いかがですか。
  246. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いろいろ御意見は私は承りますけれども、しかし、今お述べになりましたところによると、ノルウェーも国会の承認は不要となっておりますし、デンマークも国会の承認は不要となっておりますし、オーストリアは今申し上げたとおりでありますが、そうなりますと、カナダの場合もいつも出しておる国の一つですが、議会の承認は法律上要求されておらない。イタリアは議会の承認は不要ということになりますが。  しかし、お述べになったような厳しい中立の条件とか、それから自己の生命を守るとき以外は武器使用はいけないとかいうようなことについては、これは、日本はこの法律で全体にあらかじめ枠組みを定めておこう、厳しい制約を決めておこうということでありますから、議会の御審議をいただくこの法律によって、上限からいろいろな問題について、五原則も含めて、全部含めておるわけでありますから、ほかの国も国会承認が不要だから日本も不要だというのでは決してありませんが、ほかの国が不要としておると同じように、日本もそれと似たような中立の条件とか、武器の、こちらから使ってはいけないとか、いろいろなことについてはこの法案の中に枠組みとして全体入っておるわけですので、ここで授権をされた枠組みと範囲内で行政府責任で計画を決定をする、要請にこたえたらこういう計画をする、その計画決定したら遅滞なく議会に報告をする、議会の御議論をいただいてそれを尊重してまた計画を進めていくということになっていきますので、全体の枠組みはきちっと、それらの国と同じようにこの法律でなってくるものと私は理解いたします。
  247. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 どういう性格のPKOを出すかということについては、その都度違うんですよ。その都度違うんですから、それにどう対処していくかということについては、北欧各国なりがやっておる、あるいはそういう外交委員会との協議をやる、あるいは最高委員会等の決定が必要だ、そういう手続をとっているわけですから。日本の場合には特に憲法、オーストリアの永世中立の憲法以上に厳しい憲法を持っているわけですから。そういう意味では、これまでのキプロスやコンゴにしましてもそうですけれども、特に先ほど触れましたように、カンボジアは内戦ですから、内戦の後始末というのは中東諸国の平和維持軍と比較をしても大変複雑だということを言っているわけなんですからね。それだけに私は、議会と話し合う、議会の承認をとるということは手続として当然必要である、こう思います。  そこで、もう少しひとつ詰めておきたいと思いますが、先ほど上原議員が時間がなくて十分詰められなかった訓練の問題を申し上げておきたい。  上限を二千名、こういうことですね。そうしましたら、その二千名の上限の中身はどうなるのか。
  248. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今この上限の数の内訳ということで御質問ございましたが、これは、個々に国連等の要請がありまして協力隊が編成されるというそのときに応じましてこの全体の数、協力隊の数も違ってまいりますので、したがいまして、その具体的な要請に基づく業務が何であるかということによっておのずと変わってくるということで、その内訳につきましてはっきりとした数字を申し上げられないという状況でございます。
  249. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 二千名、これ英語がしゃべれて、カンボジアの歴史を知っておって、そして他国の人たちと交渉ができる、そういう二千名が訓練されておるんですか。
  250. 野村一成

    ○野村政府委員 これは常に二千名を確保しなければならない、あるいは確保されている、そういうことではございませんでございます。これはあくまで、いつの時点をとりましてもこの二千名を超える協力隊員が存在してはならない、そういう意味での上限でございます。  したがいまして、今御指摘の訓練との関連でございますけれども、やはり個別に業務要請がございまして、その要請を受けてこの業務に従事していただく、そういう方々につきましては、今御指摘の十分訓練をされて行かない、そういうことになると思います。
  251. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 だから、二千名は上限だという、すると上限の二千名を出せるんですかというんです。
  252. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  特定の業務につきまして二千名云々ということにならないのだと思います。例えば、今私スウェーデンの例をとりますと、七百三十名出ておりますが、これは、例えばUNIFILに六百四十四名、あるいはサイプラスに、これは文民警察等二十五名等、幾つかの業務に従事しておるわけでございます。したがいまして、そういう意味で特定の数に、二千名という場合に、今のような実情が個別の業務によって違ってくるということになります。
  253. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 二千名の中で自衛隊はどれくらいを予定しているんですか。
  254. 野村一成

    ○野村政府委員 具体的な要請がございましたときに、それが自衛隊部隊によって業務を果たすのが必要であるというときには自衛隊参加していただくわけでございます。例えば、平和維持隊参加していただきたいという国連等からの要請がありましたときに、その場合に国連事務総長等といろいろと協議するわけでございますが、そのときに、日本についてはどういう平和維持隊業務について従事していただきたいか、その規模その他についても国連等と話し合ってその都度決めていくということになりますので、あらかじめ何名というふうな決まった数字があるわけではございません。
  255. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 新聞の報道によりますと、統合幕僚会議議長はこう言っているんですよね。自衛隊員の教育とPKOの教育とは全く逆だ。自衛隊は相手を殺す。相手をやっつける。攻撃をする。PKOは違うわけでしょう。先ほど言いましたように、これはスウェーデンで、先ほど上原議員も言いましたけれども、情緒の安定、謙虚さ、忍耐力、同情心、協調性、柔軟性、語学力、外向的性格、安定した社会的背景、一番重要なポイントは中立的であること、一番大事な点は中立的であるということ、つまり、殺さないという、あくまでも殺さないという、あなたも言っているように、という教育なんです。これは、自衛隊の教育と違う、統合幕僚会議議長が言っているんですよ。これどこでやるんですか、教育を。
  256. 池田行彦

    ○池田国務大臣 PKF参加いたします場合に、軍事的な経験なりあるいは訓練を積んでおること、そして知識を持っているということが有効であるということは一方でございます。しかしながら、通常の軍隊、あるいは軍隊じゃございませんけれども我が国自衛隊、そういうところでやって……(川崎(寛)委員「言い直してもだめだよ」と呼ぶ)言い直しておりません、各国の通常の軍隊を言っておるわけですから。そういうものが受けております軍事訓練による知識なり技能というものがそのままこのPKFに通用するわけではない。やはりそれは、PKFの目的なり趣旨なりに沿ってその行動の仕方なり様式というものは考えなくちゃいけないわけでございます。  そういった意味で、もとより今御指摘のございました中立性という観点から、例えば武器使用を余儀なくされる場合であっても、これはあくまで生命あるいは身体の防護のためでございますから、そういう目的などに従ってやるんだという、そういう訓練はもとより必要なわけでございます。
  257. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 だからどこで、どこの機関で――今私がこういった、これはスウェーデンで、非常に先進的な、スウェーデン型と言われる、北欧型と言われる、その訓練で、アルムネスという国連訓練センターでいろいろ聞いたわけですけれども、言っているわけですよ。  だから、日本自衛隊はどこでこういう中立的な、絶対に武器を使わない、語学力の強い、そういうPKO隊員を訓練するんですか。どこでやるんですか。どういう機関があるんですか。出す、出す、出すということばかり言っておるけれども、どこでこういう本当に国際貢献できるようなものをつくろうというんですか。だから、私たちが言う、自衛隊の別組織として技術集団をつくりましょう、それは軍縮をやる、輸送船も持つ、ヘリコプターも持つ、そういう式の技術集団をつくって国際緊急援助の災害に対しても対応する、そういうのをつくりましょう、それが平和憲法を持っておる日本としてはふさわしい。アジアの国々も中国も韓国も自衛隊以外を考えてくれ、こう言われるんでしょう。だから、どこでやるのか。もう長々と要らぬですよ、説明は。
  258. 池田行彦

    ○池田国務大臣 自衛隊員がPKFを含めましてPKO参加いたします場合に必要な教育訓練あるいは研修でございますが、それはどこでやるかという御質問ですが、二つの場合があると思います。  一つは、今回の法案第十五条にございます研修という項がございます。これは本部長の定めるところにより研修を受けなければならないというのがございまして、これは自衛隊以外から参加する方と同様に、自衛隊についてもこれはあるんだと思います。  それからいま一つは、この法案の第九条あるいは自衛隊法の改正された第百条の七によりまして自衛隊員がPKF任務に従事することになりますと、そのために必要な訓練というものを、これは防衛庁設置法第六条、ちょっと何項か忘れましたけれども、第六条に教育訓練の規定がございます、それに従ってやるということでございます。両方ございます。
  259. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは総理、研修なんか何も検討されてないじゃないですか。これは、不十分だと自民党の方も言いおる。だから、どこでやるんだと、どういう計画がと。この法律議論するときに、アジアの国々が心配しないような、つまり、あなたは自衛隊の訓練とこれと一緒にしているわけですから。殺す訓練をしているのをそのまま持っていったんじゃだめなんですよ。だからもう一度こでということを具体的に言ってください。どこで、どういう機関で、どういう方法で、どれくらい、何カ月かけてこういう人を訓練するのか。各国はそれはもうどういう訓練というのははっきりしているのです。具体的に言いなさいよ。
  260. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この法案の仕組みによりますと、特に関係行政機関に本部長から要員の派遣要請する場合には、十二条第一項に基づきして必要な技術とか能力等、これは個々に業務の内容にもよりますけれども、それを有する者を派遣する、そういうふうになっておりますので、基本的な訓練としましては、そういうのを、技能については、既にある程度初歩的なものにつ一いては習得している人が関係大臣から要請されるということを想定しております。  それから研修でございますけれども、場所につきましては、まだこの法案ができる段階におきましては、やはり関係省庁のそれぞれの研修機関がございますので、それにのっとって研修をやる。また、先ほどの先生御指摘国連についての知識あるいは任務についての知識等につきましては、本部ができますので、本部で集中的にそういう研修を行っていくということを考えたいと思います。  また、今後具体的な運用によりましては、やはり先生御指摘の趣旨に沿って、研修の一種のセンター的なものを考えていくということも考えなければならない段階があり得るかと存じます。
  261. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 防衛庁長官、このPKFに出す庄衛隊員は、外務省が訓練するのですか。
  262. 池田行彦

    ○池田国務大臣 二つございます。  一つは、先ほど私も答弁いたしました、今審議官からもございましたけれども本部で行う研修でございます。これは本部の主宰のもとで行います。  それから、出す前に自衛隊において教育訓練を行う場合もございます。それは先ほど私が申しました。これにつきましては自衛隊の中の施設で行うことになると思います。
  263. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 十二条は、これは関係行政機関の職員ですよね。これは関係行政機関の職員のことを言ったわけだ。だから私は自衛隊の、先ほどスウェーデンでも言っておりますような、こういう銃を使わない、戦争をやらない、そういうのを本当にどこで訓練するんですか、どういう計画ですかということを言っているんですから。くどくど言わぬではっきりしてください。
  264. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、本部で統一してやるにふさわしい内容のものについては本部で行います。そして、自衛隊参加するものにだけ、その限定されるような教育訓練内容があろうと思います。そういったケースにつきましては自衛隊でやることになろうかと思います。
  265. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 その訓練というのは何カ月で済むのですか。
  266. 池田行彦

    ○池田国務大臣 それは先ほど政府委員の方から御答弁申し上げましたけれども、基本的には技能なり能力を持っている者が入るわけでございます。そして、それにPKOPKFも含めまして、それに入る場合に必要な教育訓練をやるわけでございますので、それは事柄の性格によりますけれども、まだ法案審議中でございますので、これから鋭意検討を進めてまいりたい、こう思っております。私どもも他国の例なども今調査しておるところでございます。
  267. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは総理日本の政策の非常に大きな転換点なんですよ。つまり、自衛隊を出さないとこれまで言ってきた、自衛隊PKFという平和維持軍に出そう、そして先ほど来、国連の中におけるこれまでの平和維持軍についての議論もございました。これは集団自衛権にかかわる問題であることも、先ほどの法制局長官の何遍かの答弁では、これは非常にあいまいなところがあるんですよ。つまり自衛隊法第三条を超えるわけですから。応戦の権利ということで武力行使するということになれば、それは明らかに自衛隊法三条を超えるわけです。反するわけです。そういう意味では、まさにこれは日本の戦後の外交政策を含めた、そして安全保障にもかかわる大きな問題なんです。関係国の了解をとると言われましたが、関係国の了解はとれていないのです、今は。  そこで、この法案は、つまりいわば戦後の民主主義に対する、行政府の議会制民主主義に対する挑戦だ、私はこう言わざるを得ないと思います。だから私は、これは信を問うべき問題だ、国民の信を問うべき問題だ。今は定数是正をやらなければ解散できないということですから定数是正をして、そして信を明らかに、国民の信を問うべきなんですよ、このテーマは。憲法にかかわる問題なんですから。だから信を問うてください、これは。信を問う、そういう決意で私はこの問題は処理しなければならない。だから、信を問わないかぬ。私はその決意を伺います。
  268. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 長時間のいろいろの御質疑の中で、私はやはり与野党がこういった問題についてきちっとした合意が得られるようにお互いに努力をし、政策的な歩み寄りもしなければならぬことも必要なことだということを痛切に考えてまいりましたが、同時にまた、この問題を議論しますときには、何回も申し上げておりますように、応戦の権利があるから行って応戦することを想定して、というところで御議論しようとは私は思いません。それは応戦をしなければならぬという状況は、前提が崩れて、そもそもこの法案によってできる平和維持活動というものの前提が崩れるということは何回も申し上げたわけで、そういったようなことを想定しておる活動でもありませんし、また当事国がすべて停戦合意をし、そして平和維持活動が行われることに合意をし、それに日本参加をすることを合意をし、それが国連事務総長から要請があって初めて我が方は考えるわけでありますから、そういうところへ初めから行くな、やるなとおっしゃっても、それはそれらの国々が独自の御判断国連との間でお決めになることでありましょうし、国連が必要と判断した場合には、これだけの枠組みを国会にお願いをして、上限からなし得る行為から武器使用はこれなんだという厳しい限界まで置いて決めていただく、決まった枠組みの中で行政府はその授権の範囲内でやろうと、こういうことにしておりますから、国民の皆さんにも十分この点は御理解をいただきたいと思います。
  269. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これで終わりますが、信を問うべきだということを申し上げたのです。アジアの諸国が批判をしておる。私はドイツとの違いを言いました。そして、ドイツの議会における民主主義を守るその姿勢というものを考えた場合に、日本も議会制民主主義というものをきちんと踏まえなければいけない。そして信を問うて、国民に、方向づけについては、つまり大きな大転換の時期ですから、それは信を問うべきだということをあくまでも要求して、終わります。
  270. 林義郎

    ○林委員長 この際、五島正規君から関連質疑め申し出がありますので、これを許します。五島正規君。
  271. 五島正規

    ○五島委員 先輩議員に引き続きまして質問さしていただきます。  今のポスト冷戦というこの時代、人類にとって極めて重要な転換期であるというふうに考えます。冷戦時代国連の安全維持活動は、核戦争の回避を中心とする米ソ二大軍事大国の世界戦略の調停に重点を置かれてきたというふうに考えます、したがいまして、数々の地域紛争も、この視点からその予防と終結に安全保障理事会中心として国連努力してきたという経過があったというふうに考えております。したがいまして、紛争の一定の終結後の軍事的監視ということにつきましては、中立国あるいはいわゆる軍事小国を中心としてそうした任務に当たってきたという経過があったかというふうに理解しているわけでございます。  しかし、今日ポスト冷戦の時代を迎えて、今後の地域紛争の性格もまた、かつての冷戦を背景としたものから、南北対立、あるいは民族対立、宗教対立、あるいは過去の植民地宗主国により画定された国境線の変更というものを目的とする対立など、こうした地域紛争の内容というものが変わってきつつあるというふうに私認識する次第でございます。こうした新しい状況において国連の行う安全維持活動が、これまでのような軍事大国を中心とした、安全保障理事国を中心とする調停あるいは軍事行動というものに任せたままでいいというふうに私はとても思えないわけでございます。     〔委員長退席、柿澤委員長代理着席〕  そこでお伺いしたいと思うわけでございますが、ポスト冷戦、こういう時代の中において、よくもあしくも、軍事行動というものはいわゆる各国にとりまして劇場効果というものが伴う以上、大国が自国の国力を世界に誇示する目的でこうした地域紛争に国連の名により介入し、あるいはPKFへの派遣の名目で参加して、結果的に紛争が複雑化してくる、そういうふうな危険があるのかないのか、総理はどのようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。  また、今回UNIKOM、いわゆる国連イラク・クウエートの監視団、PKO派遣されております。このPKOの性格を見てみますと、これまで国連前提としてまいりました中立、合意の原則というものが失われたPKOが生まれているのでございます。私は、こう言ったからといって、このUNIKOMの活動が、したがって国連PKOの原則に反しているからそれはだめなのだというふうに主張するつもりはありません。むしろポスト冷戦の中において、こうした形のPKO活動も今後ふえてくるだろう。そうした状況に対して政府PKOに対し、どのように認識していくのか、それとの日本政府のかかわり合い、どのようにお考えなのか、その点についてお伺いしたいと思います。  また、こうした冷戦構造が急激に崩壊している今こそ、私は、国連安全保障理事会世界軍縮の進展とその管理を主任務として、PKFなどの活動については国連そのものの中において明確に法的位置づけを行い、常設部隊が設置されるまでの間、派遣された時点においてその任務終了するまでは、派遣国の主権から独立した国連の職員としての身分において行動させる、そういった内容に、おいて国連自身が決議していくように政府国連提案すべきであるというふうに考えますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。  我が国の立場にいたしましても、そのような国連改革を達成し、憲法上の疑義が生じないような状況において積極的に協力していくべきであるというふうに考えるわけでございますが、その点について総理はどのようにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  272. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 前半にお述べになりました御見識は、私もそれは妥当なものであると思います。五つの強大国だけが力でもってそれをどうこうしようとすることは、これはかえって紛争解決上好ましくない影響が起こるのではないかという懸念はあるわけであります。したがいまして、国連では、安保理事会がそれを議決で決定しなければPKFは行われないわけでありますから、安保理事会ということになりますと、やはり五つの常任理事国が、いろいろな面で影響力を持つこと、この五つの理事会が、逆に言いますと、どれか一つでも反対をしますと、またこういったような問題については不協和音が出てくるわけであります。したがいまして、この国連の今の制度、仕組みの中で、やはり安保理の議決というものを中心とします以上、常任理事国の占める比重というものは非常に大きいと思います。  ただ、きょうまで現実の問題として行われてきた平和維持活動は、御承知のように従来、北欧諸国、カナダ、ホーストリア、アイルランドなど、さらにはフィジーやネパールなどの発展途上国からも、さまざまな国が参加をして行ってまいりました。これは国連決議に従う、国連の権威に基づいて、中立性を維持しながら目的を果たそうという態度であったと私も受けとめております。それはそれなり評価もいたします。  ただ今後の問題については、構造が変わったわけでありますから、例えばイラクとそしてクウエートの間のいろいろな国連平和維持活動等については、今後の展開も見なければならぬ、こう思いますが、いずれにしても、そのようなきょうまでの歩みの中で、範とすべきものは範としていくべきだと思います。  また、後段お触れになりました国連職員としてしまって、そして主権がも離れてしまって行動をしたらどうかということでございます。これについてもまた、議員の一つの御提案として私はそれは拝聴させていただきましたが、きょう現在まで第六章半の組織と言われるように、国連憲章の中に明文があらわされていないというところにも、一つ平和維持活動の生まれ出る悩みとか苦しみや経験からずっと今日が定着してきたといういろいろな経緯があって、しかしそれには国際的評価が高くなって、ノーベル平和賞まで受けて定着をしてきた制度であるということも言えるわけでございますので、御質問は御質問として受けとめさしていただきますが、私は今の国連平和維持活動制度をさらに進めていくべきである、こう考えております。
  273. 五島正規

    ○五島委員 前提問題につきましてこれ以上時間がございませんので繰り返しませんが、今回出されました法案国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律におきまして、政府は、自衛隊法の百条に新たに「国際平和協力業務の実施等」の一項を追加してPKOPKFあるいは国際救援活動に従事させようとしておられます。しかし、自衛隊法の第三条、すなわち「自衛隊任務」及び防衛庁設置法第四条、すなわち「防衛庁の任務」、さらには防衛庁設置法第六条の「防衛庁の権限」といった部分については全く手がつけられずに、いわば札幌の雪祭りや南極観測支援といった、そうした形での自衛隊法第百条への追加措置としてこれらの活動を位置づけておられるわけです。いわば自衛隊の本務ではない取り扱いと言っていいかというような取り扱いとして今回この法案提出されているわけでございます。  今後の国際社会におけるPKOPKFあるいは国際救援活動というような活動の重みというものを考えた場合に、果たして札幌の雪祭りに対する協力といったようなものと同じような取り扱いというふうなことについてどのようにお考えなのか、お伺いしたいというふうに思います。
  274. 池田行彦

    ○池田国務大臣 今回の法案におきましては、御指摘のとおり自衛隊法第三条あるいは防衛庁設置法の改正等は考えておりません。これは私どもは、今回のPKO法案と申しますのは、何も自衛隊の主たる任務を変えるということ、あるいは自衛隊参加のみを考えておるものではない。これは、日本としてPKO活動という国連の行います活動にどのように参加していくかということを決めておる法案でございまして、その中で自衛隊参加することがある、こういうことになっておるわけでございます。そうして一方、自衛隊法あるいは防衛庁設置法の方の決め方なり受け取り方でございますが、私どもはやはり自衛隊というのは、現行の三条にございますように、直接侵略及び間接侵略に対して我が国防衛していくということを主たる任務とし、そうしてまた、必要に応じ公共の秩序を維持しということ、これを本来の任務として自衛隊は存立すべきものである、こう考えておるわけでございます。  ただ、そういった任務を遂行するために持っております、そうして長年にわたって蓄積してまいりました技能、経験、そうして組織的な機能の活用を図っていく、その活用というものを通じて、画本全体としてやってまいりますPKO活動自衛隊もお役に立っていこうという、こういう位置づけにしておりますので、三条は改正しない、こういうことにしたわけでございます。     〔柿澤委員長代理退席、委員長着席〕
  275. 五島正規

    ○五島委員 自衛隊の本務ではないというふうに防衛庁長官はおっしゃるわけでございます。事実、今の自衛隊法第三条等々の規定からいうならば、本務ではないということは明らかでございます。しかしながら、今後の世界の平和の上にとりまして、PKO活動、あるいはPKF、あるいは国際救援救助活動といった世界各国努力している、この活動の意義というものは極めて重要である。自衛隊がそれに参加するとしても、いわゆる余技としてしかそれらの活動参加できないのであるならば、そうした活動を専門的に取り扱えられる、そうした明確な別の組織をきちっとつくって国際貢献をやっていくべきではないかというふうに考えるわけでございますが、どのようにお考えでしょうか。
  276. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御指摘のとおり、PKOなり、あるいは人道的な救助活動、あるいは災害援助活動というものは、これから世界我が国が生きていく上では大変大切な活動であると思います。しかし、それは自衛隊のためにだけ大切なものではございません。日本全体としてどのように対応していくかということで考えておるわけでございます。そうして今回のPKO協力法案におきましても、自衛隊以外にも各種の国の行政機関、あるいは地方公共団体、あるいは民間の協力も考えられておるわけでございます。そうして、自衛隊以外の他の国の行政機関がこのPKO活動参加いたします場合におきましても、これはそれぞれ本来の、あるいは主たる任務をお持ちの国の機関がやはりそこで、そういった事業、任務を遂行していく上でお持ちになっている力というものをPKO活動に生かしていかれるという、こういう構成になっておるのだと思います。
  277. 五島正規

    ○五島委員 午前中を通じまして、PKOPKFの論議について進めてまいりました。社会党とかなり大きくすれ違った論議のまま経過してきたと考えるわけでございますが、私は、国際救援救助活動について主として焦点を当てて質問を続けていきたいと考えています。  政府が今回提案されました二つ法案は、いず札も国際救援活動ということについて触れておられます。そして今回、そのいずれにも自衛隊参加できるということになっているわけでございます。  ところでお伺いするわけでございますが、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、この三条の第二号におきまして、どのような状況のもとにおいて人道的な国際救援活動を行うかということについてるる書かれておりますが、この四ページの最後の二行目、「武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意がある場合に、国際連合その他の国際機関又は国際連合加盟国その他の国(「国際連合等」という。)によって実施されるものをいう。」こう規定されているわけでございます。「国際連合その他の国際機関」ということはよくわかります。「国際連合加盟国その他の国によって実施されるもの」、そうしたような行動に対して人道的な国際救援活動として参加するという内容について、どういうことを想定しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  278. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今先生がお読みになられました「人道的な国際救援活動」の定義に引き続きまして、それでは我が国具体的にやる場合にはどういう行為になるかということにつきまして、続いて「国際平和協力業務」として掲げておりまして、その中で法案のヌからタまででございますけれども、「医療(防疫上の措置を含む。)」「被災民の捜索若しくは救出又は帰還の援助」「被災民に対する食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布」それから「被災民を収容するための施設又は設備の設置」「紛争によって被害を受けた施設又は設備であって被災民の生活上必要なものの復旧又は整備のための措置」「紛争によって汚染その他の被害を受けた自然環境の復旧のための措置」等でございまして、こういった具体的にその内容を定めておるわけでございます。
  279. 五島正規

    ○五島委員 余り具体的でないわけですが、「国際連合その他の国際機関」、そのほかに「加盟国その他の国によって実施されるもの」、そういうものを国際的な救援活動ということに含めてしまって、それに対して自衛隊が人道的国際救援活動という名のもとにおいて参加していくということは、結果的には米軍の後方支援、例えば湾岸戦争の際の、政府の方が提案されましたように、米重の後方支援であってみたり、あるいは米軍の輸洪であってみたり、そういうふうな部分が含まれるのではないかという疑義がぬぐい切れないというふうに考えるわけでございますが、そうしたことは含まれるのか含まれないのか、お伺いします。
  280. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の点につきましては、「人道的な国際救援活動」の定義そのものに返っていただきたいと思うのでございますが、まず「国際連合総会安全保障理事会若しくは経済社会理事会が行う決議又は別表に掲げる国際機関が行う要請」に基づいたものであるということ、それからその次でございます。「紛争によって被害を受け若しくは受けるおそれがある住民その他の者の救援」、要するにこれは「被災民」というふうにこの法案では定義しておりますけれども、被災民の救援のために、これが一つ。それから「又は紛争によって生じた被害の復旧のために人道的精神に基づいて行われる活動」であるというふうになっております。  それでまた、その後、この人道的な国際救援活動につきましては、その受入国と申しますか、その活動が行われる国の同意、それから、行われる地域の属する国が紛争当事者である場合には武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意がある場合、そういう枠組みも掲げておりまして、したがいまして、今御指摘の多国籍軍の云々というふうな、あるいは米軍というような話がございましたですけれども、そういう余地は全くない仕組みになっております。
  281. 五島正規

    ○五島委員 少なくてもあの湾岸戦争の際を考えますと、あの湾岸戦争国連安保理事会の承認があり、そして多国籍軍が派遣されたという経過を持っております。そして、そのことにおいて、米軍の行動のもとで、例えばサウジなりそうした地域において、仮に人道的救援活動要請された場合、この人道的な国際救援活動という名のもとでこれでは参加できるんではないですか、その状況においてどういうふうになるのか。そういうふうな場合に参加できるのか参加できないのか、簡単にもう一度お答えください。
  282. 野村一成

    ○野村政府委員 個々のその内容にもよるわけでございます。まず、先ほど申しました被災民云々の個々の具体的な国際平和協力業務の内容、それから何よりも、私申しましたのは、被災民の救援のために、また被害の復旧のために人道的精神に基づいて行われる活動ということでございます。その枠組みで御理解いただきたいと思います。
  283. 五島正規

    ○五島委員 時間がございませんので次に進めさしていただきますが、極めて重要な問題であるというふうに指摘しておきたいと思います。  今回のこの法案の中におきまして、国際連合平和維持活動等に関する協力案のうち、いわゆる人道的な国際救援活動として規定されるこうした救援活動、この活動は主として自衛隊において行われるというふうになっております。また一方、今回出されておりますいわゆるJICAが行うところの救援活動、国際救援活動について、それについて自衛隊協力できるというふうに、輸送船隊について協力を行うことができるというふうになっているわけでございますが、この両者の救援活動、その関係はどういう関係にあるのか。  この法文で読む限りにおいては、いわゆる人道的な国際救援活動というものは、紛争により直接生じた災害に限定されているようでございます。しかし、もし紛争に原因して発生した飢饉や、あるいは紛争に原因して第三国における難民というものの発生に対する救援、例えば具体的に申し上げるならば、今パキスタンの国境地域においてアフガンの難民が非常に多くの問題を抱えて存在しているわけでございますが、例えばそういうふうな存在、そういうふうな存在に対する救援活動というのは一体どちらでやっていくのか。そういうふうなものはこの人道的な国際救援活動においては実施しないのか。  あるいはまた、大規模な自然災害、あるいは、チェルノブイリの原発の事故のように大規模な事故というものが発生した場合、その救援は、JICAの救援に任せて、この人道的な国際救援活動というこれによって行われる救援活動の対象になるのかならないのか、それが国連関係機関によって要請された場合はどうなるのか、その点はどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  284. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  この国際連合平和維持活動等への協力に関する法案におきましては、人道的な国際救援活動は、先ほど定義で申しましたけれども、紛争に起因する災害についての活動でございます。他方、国際緊急援助隊法による国際緊急援助活動は、自然災害とか人為災害を対象とするということで、その点につきまして二つの、何と申しますか、仕分けをきちんとやっておるというふうに理解しております。
  285. 五島正規

    ○五島委員 紛争に直接原因したそういう災害に限定して人道的な国際救援活動を行うのだというお話でございますが、自衛隊という一つ組織部隊をもって救援活動を行う場合、これまでJICAが行ってまいりましたさまざまな救援活動、それに参加されました皆さん方の御苦労、私も医師として非常によくわかるつもりです。しかし、その中において実施される機能あるいは規模、これについても差が出てくることは当然であるだろう。緊急性に対する対応においても、その場合当然差が出てくるだろう。我が国は、紛争に原因して、戦場に近いところへはすぐに救援活動に駆けつける、しかし、大規模な自然災害あるいはチェルノブイリの原発の事故のようなああいうふうな事故が発生したときは、そうした活動はできない。せいぜい自衛隊に応援を頼み、そして自衛隊の応諾の範囲の中において考えましょう、そういうことであって果たして国際的な批判が起こってこないものでしょうか。  私は、この両者において実施される救援活動の中身、内容、それに差が出るような活動であってはならない。紛争による救援であろうと自然災害、あるいは飢饉あるいは事故、そういうふうなものによって起こった災害であろうと、そこにおいて必要とされる救援活動について同レベルの救援活動が実施できる、そういうふうな機構が必要であるだろうと考えるわけでございますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  286. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のまさに紛争によらない従来からの自然災害及び人為災害等を、今度改正をお願いいたしております緊急援助隊法が面倒を見るという仕組みになるわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおりでございますが、まさに従来から四年間の経験があるわけでございますが、四年の経験にかんがみまして、大規模な災害、それから、まさに自衛隊のごとく自己完結的な、例えばテントを張りまして、水を自分で持っていってといったような活動を行う必要があるような大規模な災害があり得る、まさに先般のバングラがその一例だと思いますが、そういうような大規模な災害に対処するために、今回自衛隊の能力を緊急援助隊に導入してこれに対処してまいりたい、もって緊急援助体制を充実させて国際貢献をより以上にできるようにしたいというのが、この緊急援助隊法の改正をお願いいたしております趣旨でございます。したがいまして先生御指摘のとおりでございまして、その点を目的とした今回改正というふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
  287. 五島正規

    ○五島委員 JICAが行う救援活動に対して、自衛隊が輸送その他一定の協力をするというふうになっているわけでございますが、JICAの行う救援活動は基本的にいわゆる民間を含めたボランティアあるいは文民によって行われる活動でございます。そして、そうした活動の中に、仮に自衛隊協力があったとしても、自衛隊組織として行う救援活動と同レベルのそういう活動の内容を具体的に保証する、そうしたことが現実的に可能なのかどうか、その点をお伺いしているわけでございます。  また、仮にそういうふうなことが実施されるとした場合、例えば医療の問題をとってみましょう。これまでJICAか派遣された救援活動の中では、多くの場合日赤の職員に依存してきたということも事実でございます。果たして今回、自衛隊が部分的に参加するという状況の中で、日赤という性格上、その組織の中に軍とともに行動していくということが可能なのかどうか。場合によってはそれは極めて困難になってくるのではないか。それはそうでしょう。日赤は国際的な機関として政府と完全に独立した存在として機能するわけですからね。今JICAというのはそうじゃないわけでしょう。だから、そうした問題。  あるいは、医師の問題についても、文部省あるいは厚生省の医師の応援というものによってこれまで運営されてきたというふうに考えます。しかし、部隊としての自衛隊とそうした民間のそういう医師との間の中において、現場におけるそういう対応というものがスムーズに進んでいくのかどうか。軍という機構とそれから民間との間において、その間の医療というものを通じての一定の関係というものをどのようにつないでいくのか、非常に問題が出てくるんではないか。  そういう意味において、このJICAの行う国際救援活動の中で自衛隊はどの程度の援助を行っていくのか、協力を行っていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  288. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず、ただいまの御質問お答えする前に、先ほどの御質問で外務省の方からお答えございましたけれども、緊急援助隊法との関連で自衛隊の活用が必要だという観点答弁でございました。しかし先生の御質問の中には、緊急援助隊法における活動と、それからPKO法案の中に含まれておる人道的な救援活動との優劣といいましょうか、自衛隊の方で、どちらかというと自然災害等を劣後させて、紛争に起因する人道的救援活動を優先するのじゃないかという御趣旨の御質問があったかと思います。  その点につきましては、私どもは決してそういうふうには考えておりませんで、どちらの活動につきましても、自衛隊だけでなくて、そのほかのいろいろな要因による救援活動もあるわけでござます。そうしてまた、自衛隊といたしましても、具体的な要請がありましたときにそれにどういうふうにこたえていくか、政府部内で相談の上出ていくわけでございまして、どちらを優先、どちらを劣後ということではないということを御理解いただきたいと思います。  さて、ただいまの御質問、何かいろいろございましたですけれども、緊急援助隊法に基づいて自衛隊がどのような活動をするか、それが従来から行われております自衛隊以外の民間の方あるいは政府機関の方々によるJICAを通じての活動との関係がどうなるかということでございますが、まず一つは輸送のお話がございました。これにつきましては、自衛隊以外の方々が行われる活動について、自衛隊がその国までの、被害地までの輸送任務を担当することによって、これは人員あるいは物資もございましょうが、その方々活動がより有効に、さらに効率的に行われるようになる、これは連係ブレーができるんだ、このように考えております。  さて、今一つ医療を例にとられまして、自衛隊外の医療関係者の方と自衛隊人間が一緒になって活動をする、それがうまくいくのかという御趣旨の御質問がございましたけれども、この点につきましては、私ども今のところ想定しておりますのは、やはり自衛隊が、例えば医療活動参加しますときも、それは一応自衛隊の中におる人員だけで、それは医官のほかに、それをサポートいたします看護婦であるとか、あるいは輸送だとか、その他後方のといいましょうか、そういったいろいろな補助事務をする人間も含めて、自衛隊の中の人間でチームをつくるということを今想定しておるわけでございます。将来的にあるいは先生おっしゃるようなことが考えられるかもしれませんけれども、それはなお将来の検討課題にさしていただきたいと思います。
  289. 五島正規

    ○五島委員 長官おっしゃるように、現実問題として、自衛隊の医療部隊が隊として出動している中に民間の医療関係者が入ってともに救援活動をしていくというのは極めて困難であるだろう。とするならば、このJICAが行う救援活動自衛隊が隊として行う救援活動と同レベルの規模を常備していくということは極めて困難ではないか。最初の質問、意見に戻るわけでございますが、そのことについてどのように見通しを立てておられるのか、その点をお伺いしているわけでございます。その点が第一点でございます。  次に、国際救援活動を必要とする状況が生じた場合に備えて、それに要する、人員はもとよりでございますが、資材というものは常備するのか。自衛隊の場合は一定の機材をその場において持ち込むということは可能だと思います。しかしJICAの場合、それと同規模の、そういう救援のためにそうした資材、人員を常備しているわけではございません。それを今後常備していくというふうに考えておられるのか。その点についてどういうふうにお考えなのか。  もしそういう場合、自衛隊の資材を双方に利用さしていくんだということであるとするならば、結局自衛隊が人員、資材とも国際救援活動の、JICAの分も含めて、すべての中心を担うということになってしまうというふうに考えるわけでございますが、そうなりますと、JICAの行う国際緊急救援活動というものがいわゆる自衛隊活動の中に吸収されてしまうのではないかというふうにも恐れるわけでございますが、その点についてどうでございましょうか。
  290. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問は従来の緊急援助活動と新たに自衛隊が入った場合の活動との主として関連、特に資材、人員面の関連というふうに理解きしていただきたいと思いますが、まず、JICAが派遣するということでは必ずしもございません。JICAは業務を行いますが、政府が緊急援助活動をやるという仕組みでございますけれども、そのもとで我々といたしましては従来とも、例えば救助活動に限ってみましても、警察、消防、海上保安庁といったような関係官庁の御協力を得て緊急援助活動を進めてまいっておるということでございまして、この従来からの仕組みというものは、これは改正後も当然生きるわけでございますし、この四年間の経験を踏まえまして、資材面、人材面、それから訓練面等につきまして改善を加えてまいりたい。  例えば、先ほど御指摘の資材面、常備しているのかといった御質問がございましたが、JICAは世界各地で五カ所ほど備蓄を行っておりまして、これは通常いただいている予算の中から出しているわけでございますが、世界各地のその五カ所の備蓄基地から最寄りの災害被災地に物を送るといったようなこともやっているわけでございますが、そういう従来型の緊急援助活動というのは、これは当然のことながら今後とも拡充さしてまいりたいというのが我々の考えでございます。  先ほどちょっと申しましたように、自衛隊につきましては、従来型の緊急援助活動では必ずしも十分ではなかった大規模な人員の派遣が必要になる場合、それから、先ほども説明ございましたが、輸送面が弱いといったような御指摘も随分いただきました。この点についての改善を加え、さらに、先ほども申しましたが、自己完結的な援助活動ということがやはり何と申しましても緊急援助活動にとっては非常に重要であるという認識を踏まえまして、主として今申しましたような三つの理由から自衛隊の能力を最大限活用さしていただいて、さらに我が国の緊急援助活動を充実さしてまいりたいという我々の目的でこの法律案を出さしていただいた次第でございます。
  291. 五島正規

    ○五島委員 人道的な国際救援活動自衛隊中心になって行われる救援活動についてでございますが、この救援活動に要する、派遣される、あるいはそのために必要とする人員は、いわゆるこの国連平和協力業務全体の二千名の枠の中で派遣あるいは実施されるのだというように考えますが、そうでございましょうか。
  292. 野村一成

    ○野村政府委員 御指摘のとおりでございます。
  293. 五島正規

    ○五島委員 救援隊が派遣されている段階においては、当然この派遣された救援隊だけでなくてそれの後方支援に人員がかなり要る。大体、一たん支援活動に出すとすれば、後方活動としてその倍ぐらいの人員が要るというのは常識でございますが、こうした救援活動について、最大限救援活動に対して自衛隊は何名ぐらいまで出せるというふうにお考えでしょうか。
  294. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  何分、恐縮でございますけれども、個々の案件に応じまして、この法案の仕組みでは実施計画に基づいて決定していくものでございますので、ただいまの具体的な要請の、ニーズの規模と申しますか、例えばこの救援活動にしましても規模に応じては非常に多くの人数が必要になる場合もございますので、一概にその御質問の数についてお答え申し上げかねる次第でございます。
  295. 五島正規

    ○五島委員 これは紛争によろうとあるいは自然災害によろうと緊急活動という活動の中には、通常、レスキュー活動、あるいは給水、浄水の供給活動、食糧援助、あるいはテントや仮設住宅の建設、輸送、そして医療衛生活動、通信活動、復旧活動等々が含まれる。そして、その多くの部分がセットでございます。例えば医療衛生活動。水のないところでは医療衛生活動はできません。食糧の供給できないところで医療衛生活動は成り立ちません、したがいまして、救援活動前提としては、レスキュー活動、給水活動、あるいは食糧の供給、テントの建設、そういうものがあって初めて医療活動というものも成り立つ、あるいはそれに必要な輸送活動というものが必要になってくるというふうに考えるわけでございますが、こうした装備というものを含めて、自衛隊はどの程度の量を国際救急のために提供することができるのか、その点についてお伺いします。
  296. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 基本的に、災害あるいは緊急国際援助の要請がございました。ときに、その規模、実態に応じまして具体的に検討することになりますので、現段階ではっきりしたことを申し上げることは困難でございますけれども自衛隊一つの能力という意味から、バングラデシュのケースを想定いたしまして一定の前提条件を置いた例で申し上げさしていただきますと、医療活動の場合で、医官約二十名を含む部隊規模で約百八十名といったような感じで対応できるのではなかろうかというふうに思っているところでございます。
  297. 五島正規

    ○五島委員 医官二十名、百八十名の人員ということになりますと、後方の救急治療病棟、治療用テントを含めて一診療所、一療養病棟という程度の救援活動ができるかというふうに考えるわけでございますが、そういうふうな規模の救援活動としても、そうしたことに必要なもろもろの関連装備というものが必要になってまいります。例えば給水装置をとりましても、東南アジアヘ持っていく場合あるいは砂漠の地域に持っていく場合、当然イオン交換型の給水器というものが必要になってまいります。  そうしたものを今自衛隊がお持ちなのかどうか、ないとすればそういうものを新たに購入されるのかどうか、また、そういうふうなものを一体どの程度、必要となれば緊急に整備して提供できるのか、その点についてはどうでしょうか。
  298. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 給水装置の問題でございますが、自衛隊の保有します浄水装置でございますけれども、これは車に搭載しております車載型と地上展開型の二種類を保有しておりまして、いずれも物理的なろ過方式という形でございます。河川等に原水に含まれております來雑物を凝集ろ過いたしまして、これを塩素殺菌した後に再び精密なろ過を行って飲料水にするという形のものでございまして、イオン交換方式というのは現在自衛隊では装備をなされておりませんので、詳細は承知いたしておりません。今後そういったものについて必要があれば検討さしていただきたいと思いますが、基本的には私どもは、先ほど防衛庁長官からも申し上げましたとおり、三条の任務の支障のない限りにおいて既存の装備体系の中で対応するというのが基本的物の考え方でございます。なお、こういった一部のものについて、必要があれば検討さしていただきたいと思います。
  299. 五島正規

    ○五島委員 東南アジア等の極めてA型肝炎が多いところ、そういうところにおいては今の給水器では危なくて僕はそんな水は飲む気しませんね。また、砂漠地方のように非常に塩分の多いところにおいて、そういう給水器では塩分のろ過はできませんね。そういうふうなものではとても使い物にならないわけです。  また、ここに週刊現代ですか、週刊現代に、北部方面、北海道ですね、において、緊急医療支援の演習が行われたという記事がございます。これは、北海道に大規模な災害が発生して約千五百名の直接人員を投入した演習だということが書かれております。その中で実施されている内容というのは、これは国内での災害を想定しているわけですから、車両が千両、ヘリコプターが四十機という非常に大規模な部隊の演習になっています。  しかし今日、災害を、救援を考えた場合に、例えばヘリコプターであるとか、あるいは医療用の車両であるとか、あるいは医療用のテントであるとか、そういうふうなものが必要であることは、これは言うまでもございません。それらの輸送を自衛隊が行うというふうに書いてあるわけでございますが、自衛隊、お伺いしますが、コミューター輸送機としてC130をお使いになるのでしょうが、これで例えば、先ほどPKOの話でも出ておりましたけれども、装甲車両あるいはそういう輸送用の車両、一機に何台積めますか。
  300. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 C130の場合に装甲車両が何台積めるかということでございますが、搭載可能台数としては一両でございます。
  301. 五島正規

    ○五島委員 当然なんですね。輸送は自衛隊分担すると言っておられるわけですが、自衛隊は少なくとも私の承知する限りにおいては、政府も、いわゆるディフェンスを中心としたものであって、渡洋作戦能力はお持ちになっていない、これは原則だったはずです。しかし、国際緊急活動であれ、そうした緊急に、一定の車両あるいはヘリコプターあるいはそういう復旧用の重機類、そうしたものを緊急に海外に持っていくということになった場合に、現在自衛隊の装備ではそれを持っていけないはずなんです。それをどのようにされるわけですか。自衛隊にそうしたものを輸送するような、いわば戦略輸送部隊のようなものを新たにおつくりになるわけですか。もしそんなものをつくっていくとなれば、まさに憲法上大変な問題になってくるというふうに考えますよ。それを一体どういうふうにお考えなんですか。
  302. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私どもはあくまで国の防衛を主たる任務としている集団でございます。そして、そういうものとして持っている能力を活用していこうということでございます。そして、確かに専守防衛でございます。我が国土が侵略を受けたときに備えて持っておる装備でございますので、海外へどんどん人員あるいは物資を輸送するという面では能力に限界があるのは御指摘のとおりでございます。しかし、その限界のある能力の中で、例えばただいま申しましたC130という輸送機、あるいは輸送艦というのもございますが、そういったものを使って輸送はやっていこうということでございます。  したがいまして、例えば救助活動と申しましても、先ほど北海遣で八月末に行われましたビッグレスキューを例に挙げられましたが、あれはあくまで国内で大規模災害が起きたときの対応でございますので、それと同様なものを海外でやることは到底できもしないし、また想定もしてないところでございます。限定された力ではあるけれども、しかし、我が国が救援活動をする場合に、他の機関あるいは他の組織がなさるのに比べれば、相対的に自衛隊は輸送力も含めて能力があるんではないか、こういうことでございます。
  303. 五島正規

    ○五島委員 ビッグレスキューはもちろんおっしゃるように国内での演習であり、それと同じ程度の支援が海外でできないということは当然だと思います。しかし、ビッグレスキューというものの中で経験されたその一定の、例えばそれが半分、三分の一、四分の一という形であったとしても、その機能というものが今救援活動に必要なんだ、これは事実なんですね。救援活動というのはそういうものだというふうに考えます。  そうしますと、そうしたものを自衛隊が輸送する、輸送すると言うけれども、現在自衛隊にその輸送能力はない。どうするんですか。民間にそれは委託されるわけですか。自衛隊の機器も含めて、そうしたものの輸送については民間にすべて委託されるわけですか。それとも米軍にでもお願いするわけですか。どういうようにお考えなんですか。
  304. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど来申しますように、海外で活動します場合には、海外、その目的地までの輸送能力等から見ましても、限界があるというのはそのとおりでございます。したがいまして、自衛隊が相対的に他の組織に比べて有効な活動ができるにいたしましても、それも限られたものだということでございます。  それからなお、輸送手段について、場合によっては民間に委託するというような話がございましたけれども、それはやはりこれから、法案ができまして、また法律成立いたしまして、具体的な要請があって、そのときに政府全体として相談し、どういう活動をするか、その中で自衛隊が一体どういう活動をするか、どういう規模をやるか、それを決めました段階におきまして、場合によって自衛隊の持てる輸送力以外のものも活用して輸送しようというケースが、これはあり得るんだと思います。これは具体のケースにおいて検討いたします。
  305. 五島正規

    ○五島委員 一機のC130で一台の車両しか運べない。しかもその足は極めて短い。そういうふうな輸送機を持って、そしてそれでもって支援できる程度の救援活動しかできないんだ。  これは海部総理日本が大変今後世界の中で貢献していく、貢献していくと、えらい大層なことをおっしゃっているわけですが、その程度の規模で、災害というふうなものに対する救援がそれでいいんでしょうかね。これ、自衛隊にやらすというところにそういう限界ができてくるわけでしょう。日本の救援活動がそれだけでいいかどうか。世界からの要請されている内容はそれでいいかどうか。これはもう明らかに、自衛隊とは別組織としてそういうふうな機能を整備していかない限りは、本当に日本が期待されているそういう貢献はできないんではないですか。この法案の中で盛んに人道的な国際的救援活動という言葉も繰り返し書かれています。その内容がそんなものですか。答えてくださいよ。
  306. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもは、自衛隊が持っている装備の中で、可能な範囲でこの救援活動等をやっていくということでございますけれども、しかし、それでもかなりの力があるわけでございます。  先ほど車両がC130で一両しか乗らないというお話ございましたけれども、C130の搭載能力と申しますのは、物資でございますと約二十トンでございます。人員だけでございますと九十人でございます。また、航空機は一機というわけじゃございません。それからまた、まず航空機で物資、人員を運び、それからまた、追っかけて艦艇で運ぶということも可能かと思います。その場合には自衛隊の持っている輸送艦、これは二千トン型あるいは千五百トン型あるいは五百トン規模のものと、いろいろございますけれども、そういったものも活用していくというわけでございます。  それは、国内で災害活動に当たるときに比べれば規模は小さくならざるを得ませんけれども、しかしそれなりのお役には立つんだと思いますし、また、海外における災害というのは、何も日本自衛隊だけがすべて責任を持ってそれに対応するというものではなく、当該国においても当然その災害救助活動はなさるでございましょうし、また、国際機関なり他の国の救援活動というものも大規模な際にはあわせて行われるんだ、こう考えるわけでございます。
  307. 五島正規

    ○五島委員 今世界日本に期待しているその内容にどのようにこたえるかという視点ではなくて、いかに自衛隊を使っていくか、自衛隊というその組織を軍として国際的にいかに脚光を浴びさすか、そういうふうなことばかり考えるから、現実問題ほとんど役に立たないような、自衛隊のそういう輸送機能に頼った形で考えざるを得ないということになってしまう。今日本世界から期待されている、その内容にまじめにこたえていくためにどうすればいいか、その原点に戻って考え直すべきでないかというふうに考えます。  話題を変えますが、救援活動の期間。この救援活動というのは、極めて短期に終わる場合と一定長期に続く場合とございます。そうした場合、派遣者の一連の派遣期間というものをどの程度お考えなのか。例えば、救援に要する期間が数カ月の単位あるいは一年を超すというふうな事態に立ち至った場合、それらについて、救援活動派遣する期間というものについて制限するのか。その辺についてはどのよづにお考えか、お伺いしたいと思います。
  308. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  具体的な派遣期間についての御質問でございますが、やはり個々のケースによって異なってくるんだろうと思いますけれども、緊急援助隊におきます医療活動等のこれまでの例に照らしますと、長引いても一カ月程度ではないかというふうに考えております。  なお、具体的には業務内容によるわけでございますけれども、先生御指摘のように長期にわたらざるを得ないという事態になりますと、やはり必要に応じて隊員への配慮等から交代ということも考える必要がある、そういうふうに認識しております。
  309. 五島正規

    ○五島委員 私もさすがに、一機の飛行機で車両一台しか運べないんだというお話を聞いて、若干びっくりしてしまって質問忘れたわけですが、今回の国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の第二十条、この二十条の中に「輸送の委託」という部分がございます。この中で「船舶若しくは航空機による被災民の輸送又は同号ヌからヨまでに規定する国際平和協力業務の実施のための船舶若しくは航空機による物品の輸送を委託することができる」、これはよくわかります、文章として。この括弧内です。「派遣先国の国内の地域間及び一の派遣先国と隣接する他の派遣先国との間で行われる被災民の輸送又は物品の輸送を除く」、そういうふうなことは含まれない、こうなっておるれけですが、それは一体どういう意味でございましょうか。
  310. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の二十条でございますけれども、これは委託でございますので、国際平和協力業務の外で行う任務というふうに位置づけられます。その場合に、括弧の中で「派遣先国」という先生が読まれた字があるわけでございますが、この「派遣先国」と申しますのはまさに国際平和協力業務が行われている国でございますので、したがいまして、その「派遣先国」の中とか、あるいは「派遣先国」間、複数にわたる場合には、同士の輸送につきましては、これは本来、国際平和協力業務そのものとして位置づけるべきものである、そういう考え方からこの委託から外したわけでございます。
  311. 五島正規

    ○五島委員 これは国際平和協力業務でございますから、この国際平和協力業務の中には当然、いわゆる人道的な国際救援活動も入るのだというふうに考えます。そうしますと、派遣先の国内における救援活動、移送ですね、あるいは場合によっては食糧等々の輸送というものも、人員含めてあるかもございません。あるいは、難民なんかの場合においては他国にまたがってそういうふうな行動が必要になってくる場合もあると考えるわけですが、そういうふうなものが常時、派遣された部隊として実施することが可能な装備を持っていくということが前提ですね、これは。その地域の中で、難民の移送であったり、あるいは食糧の補給であったり、そういうふうなものが常時できるだけの輸送機器をそこに持っていくということがこれは前提ですね。
  312. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  派遣先国での業務という位置づけで行うものにつきましては、まさにこの第三条で定義しております医療にいたしましても、その他設備の設置にいたしましても、その業務の遂行に必要な限りにおいてはその輸送等につきましても手当てをする、これはあくまで国際平和協力業務の枠の中で対応するべきものである、そういうふうに考えております。
  313. 五島正規

    ○五島委員 そうしますと、そういうふうなものを派遣、持っていけれる装備というものが現実に存在し、それを輸送する手段があり、そしてなおかつ、その派遣先国の中においてそれが行動できるという条件が整わなければ行けないということになるわけでございまして、そういう意味では先ほどの私の疑義に戻るわけでございますが、どう考えても、現在の自衛隊の能力を超えた行動になってしまうのではないか。あるいは、これまでJICAが行ってきた活動のレベル、そのレベルを紛争時、紛争が発生したときにおいてもその程度のレベルでやっていこう。昨年、湾岸戦争が勃発したときに、たしかアルカバールにアパートを借りて、そして医者を一名ずつ交代で派遣したということが、外務省やられたと思います、そのことが現実問題どれだけの意味を持ったのか、何をしてきたのかという問題はあるわけですが、今日本が、そういうまさに救援を必要としている状況が発生したときに、その程度のレベルのことをなぜ自衛隊というものを使ってやらないといけないのか。これは私は大変な疑問であり、それは単に自衛隊を使いたいためにこうした救援活動という名前を使っているだけではないかというふうに考えられてなりません。  また、もう一つお伺いしたいわけですが、先ほど、PKO参加する自衛隊員のトレーニングの問題が質問されていました。救援活動についても、極めてこれは重要な問題でございます、例えば医療衛生活動自衛隊の衛生部隊使用するとして、これは昨年の国連平和協力法案の段階でも質問したわけでございますが、救急医療のトレーニング、積んでいるのですか。また、救急医療のトレーニングを一体今後済ますとしたらどこでやらすのですか。自衛隊病院は自衛隊中央病院を除いですべて隊内病院であり、衛生隊の医官は言いかえれば産業医として勤務しているんじゃないですか。応急的な救急処置はできるとしても、救急医療のトレーニングは積んでいないはずです。どういうふうにそれをお考えなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  314. 金森仁作

    ○金森政府委員 お答え申し上げます。  自衛隊の医官は、先生御案内のとおり、防衛医科大学校在学中に救急医療についての教育を受けておりますし、また、卒後実務研修二年間、また、その後の臨床の場で各種の医療技術を習得しておりまして、救急医療に十分対応し得るものと考えておるところでございます。  ちなみに、自衛隊中央病院では、自衛隊の病院では救急患者の受け入れにつきましても従来から実施しておりまして、年間一万五千件の患者を診療時間外に受け入れておるという実情でございます。
  315. 五島正規

    ○五島委員 金森さん、あなたも医者ならちゃんとした話をしてくださいよ。大学の教育の中で救急医療についての講義があるなんというのは当たり前ですよ、医師免許を持っておれば。そのことと、救急医療の実地訓練がされているかどうかというのは、これは別の問題。しかも、研修期間といっても、今は自衛隊の病院の中において救急医療を専門的にトレーニングしているところ、あるわけですか。ないじゃないですか。また、年間がないの救急患者をやっているというふうにおっしゃいましたが、それは本当に救急なんですか。今自衛隊病院の中でどことどこの病院が救急指定なんですか。それは時間外の診療をしたということにすぎないじゃないですか。時間外の診療がなぜ救急医療なんですか。答えてください。どうなんですか。
  316. 金森仁作

    ○金森政府委員 救急医療についてのとらえ方、いろいろとございますけれども、御案内のように、防衛医科大学校は、一般の病院でございまして、相当数の救急医療を受け持って地域の医療に貢献しておるところでございますし……(五島委員「救急指定あるの」と呼ぶ)救急指定といいますか、今埼玉県からも、三次救急の中央病院でございませんで、防衛医科大学校、主として私ども、卒後の医師の研修の中心防衛医科大学校の附属病院でやっておりますので、今申し上げましたように、救急医療につきましても相当、ほかの研修医と比べますと力を入れて私ども対応しておるところでございます。
  317. 五島正規

    ○五島委員 防衛医大において学生に対する講義として戦傷医療というものの講義があることも承知しています。また、防衛医大において、トータル九年間の自衛隊勤務の中において約四年近い研修をやっておられる。そういう意味において私は、勘違いしてもらったら困りますが、医師として自衛隊防衛医官のレベルが低いなんて言ってない。むしろ非常に研修期間も長いということを言っている。そのことは承知しています。ただ、残念ながら自衛隊の医官に救急医療のトレーニングはきちっとされていない。卒後直ちに行われる大学研修の中で、その大学の中で救急医療の講義もやっている、そんなこと言うならば、日本じゅうの医者全部その程度の救急医療の研修はやっている。それとは違うはずです。そういうふうなものをきちっとやる体制がなしに、本当にそういう緊急時に出していってやっていけれるのか。今日の医療というものは、防衛医大においてもそうですね、自衛隊中央病院においても、装備を中心とした医療というものが中心になっている。そういう中において現場に行って、それが十分に機能を果たせるような、そういうトレーニングの体制、どう考えておられるのかということをお伺いしているわけですよ。
  318. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど政府委員から御答弁申し上げましたけれども防衛医科大学におきまして研修をしているだけではなくて、防衛医科大学附属病院というのは救急指定病院になっておりまして、私も行ってまいりました。それで所沢の市長さんにも話をお伺いしましたけれども、救急の面で非常に防衛医大附属病院にお世話になっているという、そういうお話もございました。そういった中から選抜して行きますならば、こういった国際的な医療業務についてもお役に立てる人間はあると思っております。
  319. 五島正規

    ○五島委員 もう一つお伺いしたいのですが、自衛隊の医官の充足率、並びに、防衛医大を卒業した医官が九年後どの。程度自衛隊に残っておられるのか、お伺いしたいと思います。お答えください。
  320. 金森仁作

    ○金森政府委員 お答え申し上げます。充足率は約七割でございます。
  321. 五島正規

    ○五島委員 研修医を入れて。
  322. 金森仁作

    ○金森政府委員 研修医を入れてでございます。
  323. 五島正規

    ○五島委員 研修中の者を除いたら。
  324. 金森仁作

    ○金森政府委員 研修医がそのうちの約二百名近くございますので、研修医を除きますと約五割。病院と部隊と変わりますが、病院の方は比較的充足率を高くしておりますけれども、以上のようなことでございます。
  325. 五島正規

    ○五島委員 九年たってからのは。
  326. 金森仁作

    ○金森政府委員 九年たちますと、一期生の卒業生で大体現在五割残っております。
  327. 五島正規

    ○五島委員 自衛隊の医官の充足率も、現実に現場配置されている人は五割ぐらい。しかも、防衛医大卒業生の義務年限が終了した段階において自衛隊に残る人たちが半分程度しかいない。こういう現状の中において、果たして自衛隊は医官をどの程度こうした活動のために派遣できるのか。むしろ、防衛医大を卒業し義務年限が終了されたそうした医官の方々に、別組織としてこういう国際救援、救急活動参加してもらう、そういう方法をとるということがより現実的なのではないか。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  328. 池田行彦

    ○池田国務大臣 医療チームを派遣します場合にどの程度の規模にするか、あるいはその中で医官をどの程度の人数を確保するか、これは具体的な要請があって決めることでございますけれども、先ほど政府委員から答弁いたしましたけれども、一定の前提を置いて考えるならば、例えば二十名ぐらいの医官を中心として百数十名の医療チームをつくる、こういうことでございます。そのくらいの医官でございますならば、先ほど申しましたような中から対応できるものと考えている次第でございます。
  329. 五島正規

    ○五島委員 またトレーニングの問題は、医療の問題だけでなくて、例えばそれぞれの派遣される海外での風土病の問題、熱帯医学等々の問題、そういうふうな研修も必要でございます。またさらには、そうした中で長らく活動しておられるいわゆるNGOの方々との協力関係、そういうふうなものがどうしても不可欠になってくると考えるわけでございますが、そうした分野における研修問題、先ほど語学の問題について出ておりましたが、あわせてそういうふうな研修の問題、あるいはそうした民間のNGOの方々との連携、特に現地に非常に溶け込んでおられるそういう在留邦人の方々協力、そういうふうなものが不可欠と思うわけですが、そうしたもののシステム、その点についてはどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  330. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘の研修の重要性、まさに御指摘のとおりでございます。特に今回、この人道的な国際救援活動につきましては、先生は自衛隊のことを非常に強調されましたけれども、やはり参加される方の中には民間とかあるいは地方自治体の方々等、あるいはほかの関係政府機関の中から派遣していただける方々もおられるわけでございまして、そういう方々に、すべての隊員に、隊員としての任務そのものあるいは派遣地の社会制度、文化等についてきちんとした研修を受けさせる必要があろうと思っております。まさにこの法案十五条に基づきまして、本部におきましてそういう研修体制をきちんと固めていく必要があるというふうに思っております。
  331. 五島正規

    ○五島委員 そうしたトレーニングもやらないといけないというお話でございますが、本法によりますと、JICAの部分は別といたしまして、いわゆる人道的な国際貢献という形での国際救援活動、そういうふうなものに従事する人々に対する研修を含めて、その総数が二千名という数で制限されています。この二千名の数というのは海外に持っていく数なのか、それとも、そういうふうな海外での活動に対する後方支援者、後方支援に従事する人の数、あるいはそういうトレーニングに従事する人、あるいはトレーニング中の人々、そういうふうなもの総数を入れた数なのか、その点はどうなんでございましょうか。
  332. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  協力隊員として発令と申しますか任命されている人の総数でございます。したがいまして、協力隊員としての研修を受けている人も含みます。
  333. 五島正規

    ○五島委員 そうしますと、PKOの方だけを考えるならばそれでいいんだろうと思いますが、後方支援あるいはトレーニングといったような人、あるいはトレーニング中の人々を含めて救援活動に従事できる人、極めて限られた数にその面においてもなってこざるを得ないのではないか。そういうことでは、これで盛んに人道的な救援ということを強調し、あるいはJICAの活動に対して自衛隊を使うんだというふうに主張しておられるけれども、実際としてはそういうふうな活動というもの、すなわち救援救急といった今後非常に各国からの要請が高いと思われるその部分に対しては、現実問題としてはほとんど協力できないという結果になってしまうのではないかというふうに考えるものでございますが、その点についてどういうふうな見通しを持っておられるのか、その点についてどうお考えなのか、再度お伺いしたいと思います。
  334. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  まさに実効的な人道的国際救援活動の実施のために、関係省庁、行政機関の協力を得まして万全を期していかないといけないと思っております。特に、この法案の仕組みの中では、個々の要請がございまして、それで実施計画に基づいて個別に協力隊を編成するという考え方をとっておりますので、要請があったから急に、ではいざ協力隊編成といいましてもなかなか時間がかかるわけでございます。あらかじめ関係行政機関におきまして、いざそういう要請がありましたときにどういう要員が派遣できるか、人数、規模等も含めまして御協力をいただく、そういうことがなければうまいぐあいに運用しないような仕組みになっております。同じことが、できますればやはり民間、地方自治体等についても言えるのではないかと思っております。  この本部業務の中に、私どもPRと申しますか広報というのも一項目入れておりますが、やはりこの法案の仕組みにのっとりました活動我が国として効果的にやるためには国民全体の理解を得る必要があると思っておりますので、その辺もそういう趣旨でございます。
  335. 五島正規

    ○五島委員 繰り返すようになりますが、質問に対するお答えを聞いてまいりますと、人員の面においても装備の面においても輸送の面においても、自衛隊という形においては非常に制約がある。そして、実際そのことによって国際緊急救援ということについて日本貢献できるそうした枠というものが、自衛隊というものに依存するがゆえに極めて小さな限られた、国際的に期待されるものからほど遠いものにならざるを得ないというふうな結果が明らかになったというふうに考えます。  私は、社会党が現在主張しておりますように国際平和協力庁といった庁をひとつ新設して、その組織に必要時の緊急輸送能力を持たせる、あるいは必要な人員と資材を確保して、恒常的なトレーニング活動や、あるいはそういう災害時の情報の収集活動といったような、そういう派遣時の後方支援活動を含めた活動を行っていく、そういうふうなことが今世界から期待されているのではないかというふうに思います。あえて自衛隊を使うということにこだわることなく、世界から期待されているそういうふうな形でもって貢献していくということについて、どうでしょうか、お考えになりませんか。
  336. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  本日の御審議の中で繰り返し指摘されておりますように、PKOにいたしましても国際的な人道的な国際救援活動につきましても、自衛隊の経験それから技術組織的な能力を活用するということがやはり我が国として効果的に貢献するために必要である、そういう考え方に立ってこの法案をっくっておるわけでございます。
  337. 五島正規

    ○五島委員 そうしたものにはならないということが明らかになったのじゃないですか。自衛隊の持っている組織的な機能、そういうふうなものが使いたい、その気持ちはよくわかります。しかしながら、自衛隊という組織の中でやる限りにおいてはそうしたものが極めて限られた形でしか使えない。輸送も制限される。そういう状況の中においては、自衛隊とは完全に別の組織としてそういう機能を持って貢献していくことの方がより効果的だということなんじゃないですか。輸送の問題一つとってみても、まさに先ほど防衛庁長官自身が明確に否定されましたように、必要な機材を持っていくとすればとてもじゃないが自衛隊に持たすことはできない。だから、輸送機一台に車両一台というC130か、あるいは船でたらたら持っていかないと持っていけないんだという話でしょう。それで緊急活動に対する貢献ということが言えるんでしょうか。  そういう意味においては、何としてもこれは今の国際的な状況、そして世界日本に期待している、さんざん総理がそのことをを繰り返し言ってこられた、そうした国際的な要望にこたえる貢献の手段として、日本はそれにこたえるために、あえて自衛隊という組織にこだわらずに世界に向かって国際平和協力庁といったものをつくり、そのもとにおいて緊急救援活動を行っていくということがなぜできないのか。総理、ぜひお答えください。
  338. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど来申し上げましたけれども、能力があるかどうかとかは相対的なもめでございまして、自衛隊の持てる能力を活用するならば、現在行われている緊急援助活動なり災害援助活動よりは効率的な、またお役に立てるものができるんだと思うのでございます。  その例として一つ申しますと、例えば現在JICAの手で行われております医療チームの場合には、基本的には一チーム十二名で構成されている。構成メンバーは、医師が三名、看護婦六名、調整員三名、こういうことになっているようでございます。それに対しまして自衛隊がやった場合には、これはケーススタディーでございますけれども、先ほど申しましたように医師二十名にいろいろなものを含めまして百八十人ということになる。こうなりますと、それでしかも自分の輸送手段で現地へ行ける、そうしてまた自分で住まうこともできる、自分で食事をすることもできる、そしてまた医療活動に必要な機材なり医薬品なりを持っていけるというわけでございますので、現在行われているものに比べればそれは格段の活動ができるということは御理解いただけるんだと思います。  それから、C130で車両一両というお話が先ほどから出ておりますが、あれは御質問が人員輸送用の装甲車両という話でございましたからそうなんでございまして、例えば災害とかそういう場合でございましたら、ジープとかそういったものでございますならばそれは多数乗るわけでございます。先ほど申しましたように、搭載可能数量は二十トンなんでございます。
  339. 五島正規

    ○五島委員 時間がございませんので最後の質問にさしていただきますが、おっしゃいましたように、これまでのJICAの国際救援活動、やはり日本に対する世界の期待からいうと、残念ながらほど遠いものであったということの認識は私もそのとおりだと思います。しかし逆に言えば、医師が数名、スタッフを入れて十名、二十名という救援活動であったから、そういう医療スタッフだけの派遣ということでも、そのこと自身は非難されずにきた。しかし、もし医療チーム、医師二十名、医療スタッフ百八十名という規模の救援活動を実施するとするならば、当然それに必要な給水活動であるとか、あるいは緊急輸送のそういう機能であるとかそういうふうなもの、あるいは患者に対しても第一線での救急活動だけでなくて病院テントの設置等々が必要になってくる、これは言うまでもございません。しかも、そういうふうなものが現実問題としてどこまで運べれるのか。  例えば今おっしゃいましたように、兵員輸送車両であるから一台なんだとおっしゃいますけれども、今救援活動の中で必要なのはやはり何といってもヘリコプターでしょう。例えば中型、大型のヘリコプター、とてもじゃないけれどもC130には乗らないはずです。そうしますと、そういう災害時にヘリコプターも持っていけないという問題がある。そうであれば、そうしたものが必要となった場合に民間に委託して運んでもらうのか、あるいはそれをどうするのか、それとも、頭からヘリコプターなんて持っていくようなそういう救援活動は考えないんだということなのか。  その辺が、結局自衛隊というものにこだわる限りにおいてはその問題は出てくるじゃないか、その点をどうお考えになるか、その点は別組織でやれば自衛隊機能を含めて有効に利用できるのではないかということを言っているわけでございます。最後、総理に御答弁をお願いします。
  340. 野村一成

    ○野村政府委員 お答え申し上げます。  特にこの法案の仕組みにつきましては、冒頭に「定義」でも申し上げましたけれども、紛争に起因する災害についての援助活動であるという点に御留意いただきたいと思いますし、やはり長年蓄積してまいりました自衛隊の技能、経験、組織的な機能を活用するということが、この人道的な国際救援活動におきましても我が国協力を実効性たらしめるためには必要である、そういうふうな判断でございます。それ以外に、自衛隊の。こと以外にも、やはり今回の法案では国際平和協力本部という常設の組織総理府の中に設けまして、それが国連からの要請がある都度協力隊を編成するということになっております。その協力隊に、必要に応じて身分をあわせ有する自衛隊員によって構成されます部隊等の参加を得るという仕組みをとっております。  いずれにいたしましても、自衛隊部隊参加のほかに、そういった協力隊のほかのいろんな要員の方々参加を得まして、全体として人道的な国際救援活動を実効性あるものにするというのがこの法案の仕組みでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  341. 五島正規

    ○五島委員 この点について、総理からも御答弁をぜひお願いしたいというふうに思います。
  342. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 きょうまで四年間にわたっていろいろ行ってきましたこの活動に対しては、いろいろな方面から御視察もいただき、御批判もいただき、御激励もいただきました。国会議員の皆さんにも、例えばバングラの問題等は直接の視察をいただき、私のところへも貴重な体験に基づいて御報告をいただいたことを、ありがたく感謝の気持ちで思い出しております。そういった活動をより一層活発なものに、より一層大規模なものにしていくためにはどうしなければならないかという角度に立って判断をいたしまして、この際、自衛隊のきょうまで持っている能力、技術、そして自己完結的な応援体制ができるということ、そういったこと等もあわせて行うことができるようにし、自衛隊の能力を活用してこういった課題についてさらに貢献をしていくようにしたい、こう考えましたのが今回の法律提案しておりますゆえんでございます。
  343. 五島正規

    ○五島委員 終わります。
  344. 林義郎

    ○林委員長 次回は、明二十六日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会