○武部(勤)
委員 ただいまも
総理のお考えをお聞きいたしまして、
我が国が
国連主義及び
憲法の
平和主義に照らして新しい
国際秩序形成のために
世界の中でいかに
日本の
役割を果たしていくべきかということについては我々も全く同感でありまして、さような
意味からも、
PKOは
我が国が積極的に
参加して
国際社会で
貢献し得る非常に大事な課題だ、かように考えるわけであります。
しかし、新聞報道等を見ましても、また一般の世論もそうだと思いますけれ
ども、実際の
PKOとそれから我々が頭の中に今描いている
PKOとの間には非常に大きなギャップがある。今まさに伝統的な軍隊を海外に
派遣するんだ、そういう先入観がなかなか抜けない。私は六月に衆議院の調査団の
一員に加えていただきましてドイツ、スウェーデン、
ニューヨークの
国連本部あるいはカナダに参りまして、つぶさに
PKOとは何ぞやということについて勉強してまいりました。行ってよくわかるわけでありますが、まさに敵のいない
部隊である、
戦争に行くのでは全くない。
スウェーデンに至りましては、五万人
派遣しているけれ
ども、スウェーデンは徴兵制をしいている国でありますけれ
ども、徴兵制を終えた一般
国民、文民というのでしょうか、この
人たちが
国連訓練センターでさらに訓練をして、そして出かけていく。今日まで五万人
参加しているわけでありますけれ
ども、応募者を募ると大体六百人募集すると六千人応募する、そういう姿であります。
カナダに至りましては、カナダはこれは志願兵でありまして、国防軍そのものがその
任務の
一つとして
国連平和維持活動に
参加する。その
業務についての訓練もしている。そして志願兵の国防軍に志願する最も大きな理由が、
PKOに
参加して
世界平和に
貢献できるからだ、こういうことを言っているわけであります。カナダは今日まで八万人以上
参加しておりますし、そしてカナダの場合には、御案内のようにピアソン元首相が外務大臣のときにスエズ危機のコントロールのためにこの
PKOという概念をつくり出した。そのことによってノーベル平和賞を受賞した。このことも非常にカナダの
国民は誇りに思っておりまして、ピアソン元首相を非常に尊敬しているわけであります。そしてさらに、一九八八年に
PKOがノーベル平和賞を受賞いたしました。それは我々カナダ人の名誉なんだ、そういうことを誇らしく述べているわけであります。
しかも、
国連本部におきます明石次長とかアーメド次長とかグールディンク次長とか、いろいろな
方々の意見をつぶさにお聞きかせいただいたわけでありますけれ
ども、こうした皆さん方のお考え、すなわち
国連が示す
PKOは今度の
法案の五原則が全部含まれたと言っていい。すなわち
PKOというのは、
紛争当事者あるいは当事国の紛争終結の
合意がなされている。それから、
参加しようとしても
紛争当事者、紛争当事国が来てもらっては困ると言ったら行けない。同意をして初めて出れる。それから、中立性でなければならない。さらには
撤収についても、これは何も恥と考えることはない。まあ、およそこの
法案に示されている五原則は本来の
PKO活動そのものだ、かように思うわけであります。
しかし、新聞報道によりますと、いろいろと
国民の皆さん方の心配や
懸念がむしろ増幅しているという一面を私は想像するわけであります。なぜならば、この間もあるテレビを見ました。
PKOの特集番組だったと思います。冒頭に戦車が何十台も走ってくる。戦闘機が何十機も飛び交う。そして軍隊の大
部隊が銃を抱えて行進していく。そるから
PKOの問題についていろいろな話がされるわけであります。それを見た瞬間、
PKO、
自衛隊の派兵、これは軍隊だ、そういう先入観を持ってしまうのは私は当然のことと思うのですね。
ですから、これから
総理を初め
政府の皆さんに、私もいろいろな新聞の記事を集めて調べてみまして、これは少しおかしいのではないか、こういう書き方ならば
国民の皆さん方はきっと誤解をするだろうな、そういう問題点を取り上げてひとつ
質問をさせていただきたいと思いますので、
政府側の皆さん方も
国民、に向かってわかりやすく解説をお願いしたい、かように思います。
そこで、「新聞報道を通じて見た
PKO法案への
国民の心配と
懸念」その一は、
法案の目的は
国連の軍事
行動に
参加するための
自衛隊の海外
派遣ではないか。社名を挙げませんけれ
ども、「
停戦監視団、
PKFの
参加は
自衛隊員以外には
要請できないと定めているところに、この
法案が本質的に
自衛隊の海外
派遣の
組織法案に他ならないことが表れている」断定して書いてあります。「本
法案は、
自衛隊の海外
派遣に対する内外世論の抵抗感をなしくずしに緩和していくもの」「
日本は金で十分、なぜ
自衛隊派遣に固執か」そのとおりと、こうおっしゃっている方がいますけれ
ども、果たして
国民の皆さん方は金だけで十分とお考えになっているでしょうか。「
PKF参加は時期尚早、本
法案は「
自衛隊派遣法」の印象さえ与える」
このように、数々の新聞記事をピックアップしてみますと、そういう
懸念や不安が増幅される、そういう書き方になっていますね。まず第一に、この点についてはそうではないんだということを、
総理、明らかにしていただきたいと思います。