運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-09-04 第121回国会 衆議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年九月四日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長代理理事 野呂 昭彦君    理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君    理事 加藤 卓二君 理事 丹羽 雄哉君    理事 網岡  雄君 理事 池端 清一君    理事 遠藤 和良君       岩屋  毅君    片岡 武司君       古賀 一成君    坂井 隆憲君       住  博司君    野呂田芳成君       平田辰一郎君    三原 朝彦君       宮路 和明君    山口 俊一君       岡崎 宏美君    沖田 正人君       川俣健二郎君    五島 正規君       外口 玉子君    土肥 隆一君       石田 祝稔君    大野由利子君       児玉 健次君    柳田  稔君       菅  直人君  出席国務大臣        厚 生 大 臣 下条進一郎君  出席政府委員        厚生大臣官房総 大西 孝夫君        務審議官        厚生大臣官房老 岡光 序治君        人保健福祉部長        厚生省健康政策 古市 圭治君        局長        厚生省保健医療 寺松  尚君        局長        厚生省社会局長 末次  彬君        厚生省保険局長 黒木 武弘君        厚生省年金局長 加藤 栄一君  委員外出席者        厚生委員会調査 高峯 一世君        室長     ————————————— 本日の会議に付した案件  老人保健法等の一部を改正する法律案内閣提  出、第百二十回国会閣法第二八号)      ————◇—————
  2. 野呂昭彦

    野呂委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため出席できませんので、その指名により、私が委員長の職務を行います。  第百二十回国会内閣提出老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土肥隆一君。
  3. 土肥隆一

    土肥委員 きょうは時間が大変短うございますし、本当ですともっと時間をかけて議論したいことがたくさんございますけれども、時間のある限り質問させていただきます。  今回の老健法、特に訪問看護制度が導入され、しかもそれに診療報酬がつくという、言ってみれば私自身非常に画期的な事業だというふうに評価しているわけでございます。と申しますのは、私は昭和五十七年から、神戸の地におきまして在宅福祉サービス民間参加型のボランティアグループをずっと育成してまいりまして、年間三万時間くらいのお年寄りお世話をしておりますけれども、もう既にその在宅福祉事業にかかわります当初から、やがてこの在宅サービスにも医療が入り、かつ診療報酬がつく時代が来るということを予感しておりました。どんなふうにということはちょっと具体的には考えられなかったのですけれども、いずれそういう時代が来るだろうというふうに思っておりましたが、いよいよここに参りまして、在宅医療サービス診療報酬がつくという画期的な時代を迎えて、私は非常に感無量のところがあるわけでございます。それとともに、国がここまで踏み込んだということについても、私は評価をしているところでございます。  きょうは、そういう意味では、在宅福祉あるいは在宅医療に関する詰めをしておかなければならないんじゃないかというふうに感じておりまして、質問させていただきます。  いわゆる福祉十カ年計画を通じて在宅三本柱、あるいは在宅福祉が入りましたら四本柱、特にこの在宅福祉医療サービスが最も大切な事業になってくるということは、私は確信してやまないところでございます。そういう意味で、きょうは現行の、今行われております在宅介護支援センター中心とするホームヘルプ事業の現状、それから今後の展開、そして次は老人訪問看護制度における訪問看護ステーション業務等について質問させていただきたいと思います。  まず、現行ホームヘルパー問題点でございますけれども、ちょうどいい時期かと思いますけれども、総務庁がこの実態調査行政監察をいたしまして、高齢者対策に関する行政監察結果報告書というのが出ております。その中で在宅福祉に関する、特にホームヘルパーに関する部分だけをきょうは質問させていただきます。  例えばホームヘルパー家庭奉仕員については、需要把握なしに週一、二回派遣している、あるいは勤務時間外、つまり早朝とか夜間とか休日は派遣はない。こういう意味では、いわゆる行政が行ってまいりましたこれまでのホームヘルプサービスのいわば限界というようなもの、そしてそれを超えなければならないのじゃないかというふうな意味も込めて、こういうふうに行政監察局が言っているわけでございますけれども、その点について、つまり奉仕員の、つまりホームヘルパー訪問回数が少ないのじゃないか、時間外もやらなければならないのじゃないかというふうに読めるわけでございますが、現行ホームヘルプ事業要綱について述べていただきたいと思います。
  4. 岡光序治

    岡光政府委員 ホームヘルプサービス事業運営要綱上の扱いでございますが、どのような世帯ホームヘルパー派遣するかということにつきましては、訪問対象者に対する家庭奉仕員派遣回数、時間数及び内容については、当該老人身体的状況世帯状況等を十分検討した上で市町村がその決定をする。なお、その際には、必要に応じ高齢者サービス調整チームを活用すること、そういうふうに要綱上はなっております。
  5. 土肥隆一

    土肥委員 と申しますと、具体的に何回であるとか、休日はどうしろとか、夜間はどうしろというふうな規定はないのでございますね。
  6. 岡光序治

    岡光政府委員 そういうふうな回数設定をしておりませんが、心身の障害等により日常生活を営むのに支障がある高齢者について、その身体的状態なり世帯状況を十分検討した上で、派遣回数なり時間数たりサービス内容決定するようにというふうに指導しているわけでございます。
  7. 土肥隆一

    土肥委員 それは、そのお年寄りの個々の状況を見て、それなりの判断をしてサービス展開をしなさいという意味ですか。
  8. 岡光序治

    岡光政府委員 そのとおりでございます。
  9. 土肥隆一

    土肥委員 しばしばホームヘルプサービス地方自治体に任せられておりますので、例えばホームヘルパーさんは下のお世話はしないというふうな考え展開している市町村もあったり、あるいは例えばトイレの掃除もしないというふうな、何か汚いところは全部さわらないというふうなホームヘルプサービス展開されていたり、一方では非常に熱心な身体介護ボディータッチも含めたさまざまなサービス展開されたりしておりまして、この辺は例えば行政監察局に一、二回程 度、そして実情把握もしてないというふうなことを言われることのないような、やはり一定のガイドラインみたいなものが必要ではないかと思うのでありますが、その点、今後在宅介護支援センター中心になってホームヘルプ事業展開していく上に当たって、今までのような地方自治体自分で独自に決めているようなサービス内容で十分かどうか。どのようにお考えでしょうか。
  10. 岡光序治

    岡光政府委員 ホームヘルパーの行うサービスは、要綱上は、食事、入浴、身体清拭洗髪等身体介護、それから調理、洗濯、掃除等家事、それからその他必要な相談、助言というふうになっておるわけでございまして、もちろん今おっしゃいましたようなお世話も当然入るわけでございます。  それで、そういったことが行われていないという事例もあるようでございまして、どうもそこのところはもう少し内容を改めなければいけない、こういうふうに考えております。これにつきましては研修なり教育という機会を通じまして、そういったことのないように、そして本来のホームヘルプサービスが行われるように、今後大いに指導していかなければいけないと思っております。
  11. 土肥隆一

    土肥委員 ぜひそうしていただきたいと思います。しかし、なおホームヘルプサービスで問題になりますのは、人間生活は一日二十四時間、三百六十五日あるわけでありまして、お年寄りもそうでございますけれども、そういう意味では、今度介護支援センターがいわば年じゅう窓口をあけているということは画期的なことだとは思います。その窓口をあけるのはいいのですけれどもサービス展開されるかどうかということになりますと非常に問題になるわけであります。どうでしょうか、在宅で一番問題になりますのはやはりナイトサービス、夜の援助ということになるのですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  12. 岡光序治

    岡光政府委員 確かに夜が問題になるわけでございまして、ホームヘルパーにつきましても早朝、夜間、休日につきましても派遣できるような体制を整えることが必要だと考えております。それから、どうしてもヘルパーさんだけの対応では不十分だ、そういう体制市町村もあろうかと思いますが、そのところはいわゆるチーム方式で既存の社会福祉施設を使って、そのところは二十四時間動いておりますので、そちらの応援をいただくとか、そういった広く関係のところが連携をし合って、必要なサービスが届くような体制配慮が必要だと考えております。
  13. 土肥隆一

    土肥委員 今の御発言は大変貴重な発言でございまして、恐らく今後在宅福祉サービスの将来を予想させる、予測させる、そういう意味で私はすばらしいサービスだと思いますので、これを実現するということについて、チーム方式等もお考えになりまして、厚生省の文書にもありますように、いつでもどこでもというふうな事態が来れば、これは本当に喜ばしい事態だと思います。  そういう基礎的な確認の上に、今進められております在宅介護支援センターの役割とか機能について若干お尋ねしたいと思います。  これまでの実施計画を見ますと、ほとんど、九四%以上が特養型の在宅介護支援センターになっております。これを十カ年計画では一万カ所というふうな目標を置いていらっしゃるのですが、結局今度の在宅介護支援センターの構想というのは、施設中心展開しようとしておられるようでありますが、特養その他いかなる施設をどの程度のパーセンテージで考えておられるのでしょうか。
  14. 岡光序治

    岡光政府委員 先生先ほどおっしゃいましたように、この在宅介護支援センターというのは二十四時間相談ができるというのが基本でございますので、二十四時間動いておるところを念頭に置いて、そこへ在宅介護支援機能を付与したいというのが発想基本でございます。したがいまして、どういったところを考えておるかということですが、特別養護老人ホームのほかに老人保健施設であるとか病院であるとか、そういった体制が整えられて、こういった事業協力をしていただくところにはぜひとも御協力をお願いしたいということで、広く考えておるところでございます。
  15. 土肥隆一

    土肥委員 今までは特養型がほとんどでありましたが、これに今度は老健施設病院等が入ってくるということでございますが、例えば施設分布状態を見ますと、特養というのは大体へんぴなところにございますし、特に大都会中心部には特養というのはほとんどございません。そういう意味では老健施設にしてもそうでありましょう。これから老健施設特養を整備していかれるわけでございますけれども、そうした場合もやはり大都市の中心部は外れてしまうわけでありまして、最も人口が集中し、そして最も高齢者の数がふえていくその部分に、施設中心型の支援センターではその支援センターが偏在してしまって、つまり都会中心部サービスが行き渡らない、行き届かないというようなことが起こるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  16. 岡光序治

    岡光政府委員 先ほども先生指摘のように、一万カ所の整備を考えておりまして、念頭には中学校区に一カ所程度というふうに考えておるわけでございます。そういう意味では地域偏在はあってはならない。身近なところで相談ができるところということをこの在宅介護支援センターの趣旨の一つにしておりますので、そのような格好でその地域における協力をしていただけるような関係機関、これに大いに協力をお願いして、地域偏在を防ぐように持っていきたいと考えております。
  17. 土肥隆一

    土肥委員 関係機関とおっしゃいますけれども、何を考えていらっしゃるのでしょうか。
  18. 岡光序治

    岡光政府委員 先ほど申し上げましたように、病院とか老人保健施設とかでございますので、そういう意味では、地域医師会であるとかそれから社会福祉関係団体であるとか、そういうことを念頭に置いておるわけでございます。
  19. 土肥隆一

    土肥委員 わかりました。  さて、今後は、例えば今おっしゃいましたように福祉施設、要するにホームヘルパーを抱えることの可能性のある施設なり病院介護センターを設置し、かつヘルパーもそこから派遣しよう、そういうふうに行政考えておられるのじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、実は介護支援センターがどんどん力をつけてまいりますと、ヘルパーをその地域、これは地域割りをどのようにするのか存じませんけれども、いずれにしてもヘルパー派遣するときに、ヘルパーを持っておりますのは行政地方自治体ですね。そしてあとそれに準ずる社協等でございますけれども、この介護支援センター担当者自分権限マンパワーのあるところには自由にホームヘルパー派遣要請をしていいのでありましょうか。その辺についてお答えください。
  20. 岡光序治

    岡光政府委員 考え方整理としましては、ホームヘルパーをどのくらいの回数で、そしてどのような仕事を行うか、そういった決定権限というのは市町村にあるというふうに整理をしております。したがって、お年寄りのその世帯状況も含めて、状況把握した上でそういう派遣内容決定するわけでございますが、その決定行為と、それから具体的にホームヘルパーをどのようなところからどういうふうに派遣をするかというのは、これは今おっしゃいましたように行政みずからやるケース社会福祉協議会にお願いをするケース、あるいは特別養護老人ホーム等に委託をするようなケース、それはいろいろ実態に応じて、その地域の様子で動かし方というのは変わってくるのだと思います。そういう意味では、決定権限と実際のサービス展開されるその具体的なやり方とは、これは違っているのではないだろうかというふうに整理をしているわけでございます。
  21. 土肥隆一

    土肥委員 そうしますと、申請があって、そして、まずは行政措置決定してから各ホームヘルパーを抱えているところに派遣要請をするということになりますと、一度行政側決定権をゆだねているわけですから、そこで措置決定をしなければならないということが前提になるわけですね。
  22. 岡光序治

    岡光政府委員 原則的な姿は、おっしゃるとおり、私のところはこんなぐあいだから、ヘルパーさんを派遣していただけませんかという申請があって動き出すわけでございますが、市町村の方は、もう一方では、地域のお年寄りのそれぞれの状態把握して、どういうことをしなきゃいけないのかという事前把握をした上で、その人を支えなきゃいけないという義務もあるわけでございまして、そういう意味では、事前に十分な協議をする体制も一方ではしかなければいけないと思っております。
  23. 土肥隆一

    土肥委員 この在宅福祉というのは、しばしば突然、緊急的に入ってくるわけでございます。それは何も救急車病院に運ぶというようなことではなくて、緊急に助けてほしいというような状況があるわけでございますけれども、そういう場合に、一々申請して、福祉事務所決定をした後にホームヘルパー派遣するということでは間に合わないことがあるのですが、在宅介護支援センターとしては、そういう措置権を飛び越してサービスに入るということは可能なんでしょうか。
  24. 岡光序治

    岡光政府委員 おっしゃるように、そういう緊急時の対応というのは別の考え方設定しなきゃいけないと思っております。ただいま申し上げましたように、そういうケースについては、事前にそういう状況把握されていると思います。常に在宅介護支援センターの方にそういう相談もあると思いますので、そういったことを踏まえて、緊急時への対応は包括的な委任という格好も可能だと思っております。先生指摘のようなケースについては、まずお年寄り支援が先でございますので、そのような考え方で物事を考えていくべきだと思っております。
  25. 土肥隆一

    土肥委員 大変結構だと思いますしばしば窓口書類が滞りまして、そして自分のニーズに応じたホームヘルパーさんが来てくれるかと思っておれば、一週間も二週間も、ひどいときには一カ月も来てくれなくて、その間に亡くなってしまったなんということがあるわけでございまして、そういう意味では非常に応用性あるいは柔軟性を持たせたホームヘルプサービスというものを行政も、そしてまた支援センターもあるいはその他の団体も、まずはお年寄りを助け、その後書類や手続の整理をするような、そういう柔軟性のある業務展開をしていただきたい、このように思います。  さて、特養が今のところこの支援センター中心になっているようでありますが、二人の職員を置くようにというのが要綱に出ております。二人分の人件費を見ようというわけです。この在宅支援センターの二人分の人件費幾らになるのでしょうか。
  26. 岡光序治

    岡光政府委員 平成三年度で申し上げますと、人件費は七百四十一万五千円でございます。
  27. 土肥隆一

    土肥委員 二人で七百四十一万五千円。そうすると、例えば特養ケースですけれども、これは二人ともその特養雇用された職員でございましょうか。
  28. 岡光序治

    岡光政府委員 形態としましては、常勤で配置をするようにというふうにしております。
  29. 土肥隆一

    土肥委員 常勤でということは雇用ということですね。そうしますと、老健施設特養にも職員がおりまして、そして二人で二十四時間、三百六十五日というのは到底できないわけでありますから、特養の人材を使うということになるわけです。そうしますと、支援センター職員とは認定されましても、その人は一日七時間半たいしは八時間しか働かないわけでありますから、あとはいわば全体職員在宅介護支援センターを見てください、こういうことになるわけですね。そうしますと、七百四十一万五千円というのは、要するに介護支援センターを持ってくれた施設にいわば人件費の足しにしてください、二人ふやさなければいけないから足しにしてください、そしてあとは全体で回してくださいというような意味補助金であるのでしょうか。
  30. 岡光序治

    岡光政府委員 ケースによってだと思いますが、先生指摘のように、施設職員であると同時にセンター職員というふうに、併任というスタイルをとるところもあろうかと思います。そういったところでは今御指摘のような人件費補助という結果になるケースもあると思います。
  31. 土肥隆一

    土肥委員 私は、職員二人を限ってこのための人件費ですよとか、この人はこういう仕事しかできないんですよといえば、もう在宅支援センター二十四時間体制というのは成り立たないということはよくわかるのでありますけれども一つ特養の中の他の職員との人間関係、あるいは労働条件等が違ったりいたしますと、どうも私の聞くところによりますと、外回りの寮母さん、つまりホームヘルパーですね、それから内で仕事をする寮母さんというふうに分けているところがあったり、あるいはローテーションで回したり、施設長あたりがかなりその職員管理に苦労しているということを聞いているわけであります。その辺の労働条件等配慮はできるのでしょうか。
  32. 岡光序治

    岡光政府委員 まず基本には、その施設運営に邪魔にならないように、施設そのもの運営がきちんといくようにという配慮が要ると思いますのと、それから、どのような職員をそちらの部署に、つまり在宅介護支援センターの方の仕事に充てるかというのは、やはりそれぞれの能力を考えて、それぞれのところで御判断なさっていることだと思っております。
  33. 土肥隆一

    土肥委員 七百四十一万五千円ではちょっと足りないと思いますね。というのは、特養職員平均賃金幾らかということは存じませんけれども、それとの関連でいいますと、特養支援センターのみならずホームヘルパーを抱えるというケースを想定してでありましょうが、例えば平成四年から一挙にヘルパー手当引き上げられました。百二十三万円から二百八万円の年収の引き上げでございます。平成四年、ヘルパー手当引き上げられたということは大変結構なことでございます。しかし、最高二百八万円からの引き上げというのは何か特別な意図があるのだろうと思いますが、そのお考えをお聞かせください。
  34. 岡光序治

    岡光政府委員 ホームヘルパー勤務形態常勤形態非常勤形態とあるわけでございまして、今先生から御指摘をいただいた部分は、常勤人たちについての対応考えたいと思っているわけでございます。今まではホームヘルパー手当額が一本だったわけで、そういった常勤非常勤かという点については配慮をしていなかったわけでございます。いわゆる介護型であるか家事援助型であるかという区分だけでございました。その点を勤務形態に応じた手当格好にしたい。勤務形態常勤タイプであれば、これはもうちゃんとした手当を上げ、かつ期末・勤勉手当であるとか社会保険料も算入をしなければいけないということで、他の社会福祉施設寮母さんとのバランスを考えた上でこういった手当額の要求をしているわけでございます。
  35. 土肥隆一

    土肥委員 平成四年度でいきますと、五千五百人プラスの四万六千四百五人分、それ掛ける三百七十六万一千七百九十七円の人件費、こういうことになるのですが、これは大蔵省は認めるのでしょうか。
  36. 岡光序治

    岡光政府委員 ぜひともそういった勤務形態に応じる手当設定というのを私どもは確保したいと考えて、大蔵省とも折衝いたしたいと思います。
  37. 土肥隆一

    土肥委員 どんな予算でも、大体福祉関係だと、措置費なんかでも五円か十円単位で上げるとか上げないとかという話がしょっちゅうあるわけでありますけれどもホームヘルパー最高額二百八万円などというのは私は目が飛び出る思いで、本当かなというふうに思ったわけでありますが、大変結構であります。ただし、これで常勤ヘルパーをふやしていく。そして、例えば特養ホームヘルパーを抱えるときに、自分のところの寮母さんとして働いている人プラスホームヘルパー、あるいは寮母として雇用をふやしていくわけでありましょう。そのときに、今いる寮母さんとヘルパーさんとの人件費の格差をなくそうという意図だろうと私は解釈しているわけです。これでないと施設ヘルパーを受け入れない。つまり、介護 支援センターを開いてもホームヘルプ事業には乗り出さないだろうというふうに私は考えるわけでありまして、これは言ってみれば施設型ホームヘルパーの拡充ということになろうかと思うのですが、そういうふうに考えてようございますか。
  38. 岡光序治

    岡光政府委員 繰り返しになりますが、私どものねらいは、勤務形態に応じた手当設定をしたいということでございます。それから、ホームヘルパーの確保ということでは、市町村型も社会福祉協議会型も、それから特別養護老人ホーム等施設にお願いするタイプもいろいろあろうかと思いまして、それはそういったタイプ対応した手当という発想ではございません。
  39. 土肥隆一

    土肥委員 まあ結構でございます。ただし、私は在宅ホームヘルプサービス仕事をしてまいりましたが、一つ私の感想を申し上げれば、これでホームヘルプ事業のインフレーションを来すというふうに感じるわけでございます。  例えば、私が事務局長をやっておりましたホームヘルプ事業は、一時間六百円でございます。そのうちヘルパーの手取りは三百六十円、六割しかないわけでございまして、三百六十円で一生懸命働いていただいておる。ところが、片やもう三百七十万を超えるヘルパーさんの人件費がつくという時代になりますと、これは非常勤型、常勤型、この非常勤型の単価もずっと上がったわけでありまして、介護中心であれば時間給は千二百四十円、家事ですと八百三十円になったわけですが、ある意味で有償福祉というものがインフレを来すというふうな感じもしないわけではございません。これは私の勝手な感想でございます。  さて、続けさせていただきますが、在宅福祉サービスが豊かに展開されるということは大変結構なことでございますけれども、従来、民間のボランティアグループとか個人や、あるいは相互扶助、援助をしております生協とか婦人会だとか、さまざまな在宅福祉援助グループがございます。そういうグループにも今度の大幅の引き上げというのは影響を与えるだろうと思うとともに、どうもそのあたりの人材が、いわば厚生省のこのホームヘルパー十万人獲得の方へ流れていくというふうな感じもしないではないのであります。地域の住民が善意に基づいて、そして自発的に行ってまいりましたボランティア活動というようなものが、今度のホームヘルプ事業の強力な展開によってどう変わるだろうかということは、もう少し時間をかけて見なければいけませんけれども厚生省としてはこの地域住民の主体的な、自発的なボランタリーな活動を阻害してはならないということを考えますときに、そういう地道な地域活動についてどういうまなざしを持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  40. 末次彬

    ○末次政府委員 本格的な高齢社会の到来を目前にいたしまして、公的なサービスの普及充実を図るというために専門的なマンパワーの確保を推進するというのは、これはもちろん必要なことだと考えております。同時に、若年層を含めまして、できるだけ多くの国民の方が自発的に社会福祉活動に参加していただくということは、大変重要なことであるというふうに考えておりまして、このことが福祉の担い手を育て、国民の福祉への理解を高めることになるのではないかというふうに考えておりまして、そういう観点から、いろいろなボランティア活動に対する基盤づくりといったような視点で、いろいろな事業展開を進めているところでございます。そういう観点から、国民が広く社会福祉活動に参加していただけるような環境づくり、これを積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  41. 土肥隆一

    土肥委員 行政のやるホームヘルプ事業と民間の自発的なボランティア活動がどう調和するかというのは、もう少し見てみないといけないと思います。  もう一つ、いわゆる武蔵野福祉公社なんかで見られますところの第三セクター方式による地域福祉在宅福祉展開というものを一時期厚生省も非常に重視したわけでありますが、今後この第三セクター方式というのは、この介護支援センターとのかかわり合いなどから見ましてどういうふうになるのでしょうか。この第三セクター方式の、いわば公社方式の中に在宅介護支援センターというようなものを入れることはできないのでしょうか。
  42. 岡光序治

    岡光政府委員 今行われておる福祉公社、特に第三セクター方式の福祉公社の姿を見てまいりますと、いわば地域人たちの善意とそれから熱意とが、地元の市町村関係者が集まってそういった福祉公社をつくり上げているというような格好でございますので、どうも今の形でありますと、在宅介護支援センター、例えば二十四時間の常時の相談体制がとれるかというふうなことを考えますと、今の福祉公社ではその辺の壁があるのじゃないだろうか。もちろんそういった条件を満たしてもらうような体制を整えていただければ、まさに地域に密着しておる福祉公社でございますから、お願いできると思いますが、そこいらは今後の福祉公社の展開内容次第によって考えていくべきではないだろうかと思っております。     〔野呂委員長代理退席、石破委員長代理     着席〕
  43. 土肥隆一

    土肥委員 私は民間福祉施設とのかかわりを持っておりますが、施設というのはどうしても施設エゴというのがあるのですね。そして、その施設考え方、実力あるいは利益に関することについては熱心でありますけれども、広く地域福祉を担うというようなことになりますと、若干そういう施設エゴの領域を越えられたい部分が時々出てくるということでございまして、そういう意味では、もう一つ広く開放されております公的に近い第三セクター方式というものがある必要がある。そして、第三セクターですと民間のいろいろなボランタリーなグループとも自由な結びつきができますし、あるいはシルバービジネス等との関係もつくれるのじゃないかと思って、そういう質問をした次第でございまして、私としてはぜひともこの第三セクター方式を充実させていただきたい、このようにここでは申し上げておきます。  以上でこの在宅介護支援センターについての質問を終わります。  もう時間がございませんので、老人訪問看護制度について、後ほど同僚議員の質問もございますので、私なりの質問を一つ二つさせていただいて、同僚議員に譲りたいと思います。  今度は在宅医療サービス診療報酬の請求ができるという画期的な事業でございますので、ぜひともこれも成功させていただきまして、医療福祉が合体して在宅サービス展開されるとなれば、これはもうまさに願ってもない、そして在宅のお年寄りたちの健康、生活が支えられるということになるわけです。  そこで私がお聞きしたいのは、医療福祉の二つのホームヘルプサービスがここで展開される。医療医療あるいは福祉福祉、つまり、ホームヘルパーと訪問看護婦、これは実は一体でなければいけないわけであります。訪問看護婦がおいでになって、そして医療行為だけ終わってさっと引き揚げる。そうすると、その後には生活があるわけでありますから、そこへヘルパーがうまく訪問して、そのフォローアップをするようたそういうシステムを考えなければいけないのであります。この訪問看護制度在宅ホームヘルパー仕事とが一緒に一体化されなければならない、このように思うのであります。今のところこの二つのルートでサービスが入るということになりますが、これを一つにするという考えはございませんでしょうか。
  44. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のように、福祉医療が一体化をして、そしてサービス展開は継続して行われなければならないというふうに考えております。そういう意味では、一つは、市町村に置かれておるサービス調整チームにおきまして、個々の世帯においてどういうサービスがどのように展開されなければいけないのかという全体の設定が必要だと思います。そして、それぞれのサービスを担うところにちゃんとその指示が行きまして、そして連携をとりながら継続して展開されるとい うことが必要なのではないかなというふうに考えておる次第でございます。
  45. 土肥隆一

    土肥委員 サービス調整チームではやはり無理だと思いますね。むしろ医療福祉一つにした介護サービスセンター医療福祉サービスセンターというような、統一した人的な支援もできるような、そういう医療福祉が一本になったような、しかも現場に直接対応できるような、現状に直接対応できるような、そういうセンターを将来はつくらなければならないのじゃないか、このように私は感想を持っておりますが、それは意見として申し上げておきまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  46. 石破茂

    ○石破委員長代理 五島正規君。
  47. 五島正規

    ○五島委員 本法の審査の一番最初に質問させていただいたわけでございますが、続きまして再度質問させていただきたいと思います。  去る八月の二十八日、高知市内のある病院におきまして、八十三歳の痴呆症のお年寄りが同室の七十五歳の寝たきりのお年寄りを殴り殺したという事件が発生いたしました。この加害者である痴呆老人は、もう既に特別養護老人ホームに長く入院しており、そして本年の八月十一日、この病院に転院した患者でございます。地元のマスコミはこうした事件を取り上げまして、痴呆老人に対する在宅ケアには限界があるというふうにキャンペーンしており、また、高知県精神病院協会の会長は「今回のようなケースは全国的に問題となっている。在宅介護にはどうしても限界がある」云々と述べており、地元でのショックは大変大きいものでございます。  老人病院は一般病院に比較して医師の配属数も少なく、痴呆症の専門医を配置するところも多くはございません。老人病院やあるいは老人施設あるいは在宅介護を受けておられる痴呆老人の中には、譫妄状態で長く放置されたまま症状悪化している、非常に苦しみを持ったまま何ら医学的な処置がとられていないというケースが多いことも、よく知られている事実でございます。痴呆老人を単に世話がかかる、処遇が困難なお年寄りというふうにして見るのではなく、医療の必要な患者としての処遇をすることに現在欠けているのではないかというふうに考えるわけでございます。  厚生省は、今後十年間で痴呆症の患者の治療専門病棟を一万床、療養病棟を九万床整備する計画というふうに聞いておりますが、今後痴呆老人の増加というものは非常に予測されるわけでございます。厚生省の出されました資料を見せていただきましても、平成三年三月に出されました資料の中では、痴呆老人の将来推計として、平成十二年には百十二万一千名というふうに、恐らくこの数字は平成元年前後の推計数字だと思いますが、しておられたのが、今回お示しいただいた推計数字によりますと、同じく平成十二年には痴呆老人の総数が百五十万、そして平成二十二年には、前回の推計では百五十九万三千とあったものが二百十三万二千と修正しておられるわけでございます。  こうした痴呆老人の問題というものが非常な勢いでふえていく、そういうふうな実態にかんがみまして、この計画を随時見直すとともに、拡大していく必要があるのではないかというふうに考えますが、この点について大臣、どのようにお考えになっているか、まずお伺いしたいと思います。
  48. 寺松尚

    寺松政府委員 お答え申し上げます。  もう委員御承知のとおりでございますが、精神症状や問題行動、不穏行動とかあるいは徘回とかというふうな異状がございます老人性痴呆疾患の患者につきましては、その症状に応じた適切な精神科医療の提供とともに、患者に対する行動制限が必要となるわけでございまして、精神病院に設置する専門病棟で処遇することが適当である、こういうふうに言われております。  このために、厚生省といたしましては、昭和六十三年度から、精神症状や問題行動の特に著しい者に対しまして短期集中的に治療を行うという施設といたしまして、老人性痴呆疾患治療病棟というものの整備を進めているところでございます。今大体二十七施設くらいになってまいりました。さらに本年度、平成三年度から、精神症状や問題行動がありまして慢性期に至ったようなそういう老人性痴呆疾患患者に対しましては、長期的な治療を行うという施設といたしまして、老人性痴呆疾患療養病棟を整備することといたしまして、今その指導をいたしておるところでございます。これらの専門病棟につきまして、今委員がいろいろと御指摘になりました老人性痴呆患者の今後の増加の傾向、そういうふうなものが急増するというふうに見込まれておるわけでございますが、そのようなニーズに応じまして必要な整備を進めてまいりたいと考えております。  今委員から御指摘いただきました、平成十二年に約百五十万というふうなことが言われておる。これは研究班の報告でございますが、私ども最近その数字も得ましたので、その辺も十分精査しながら、どのように対応したらいいか十分検討して対応してまいりたい、このように思っております。
  49. 五島正規

    ○五島委員 あわせまして、今痴呆老人の問題にとって必要なのは、在宅及び施設あるいは一般の老人病院に入院している痴呆老人に対して、治療、療養に対する医学的な支援体制が非常に不足しているのではないか。在宅で痴呆老人を抱えておられる方々がその譫妄状態をどうすればいいか、そういうふうなことについての相談、あるいは先ほども申しましたように、老人病院の中において、こうした痴呆のお年寄りに対する専門的な治療経験をお持ちの医師がいない場合が非常に多い。そういうふうな医療機関に対して医学的な支援体制を整備すべきではないか。  具体的には、医療機関あるいは療養に対して、痴呆老人に対する治療あるいは診断のマニュアルといったものを作成し、その周知徹底を図るというふうなこと、あるいは在宅痴呆老人に対する相談、診断サービスといったようなことが整備されなければならないのではないかというふうに考えるわけでございますが、そのようなことを整備するお考えはないかどうか、続いてお伺いしたいと思います。  あわせまして、今申されましたように、痴呆老人に対して必要なのは、そうした短期の専門的治療技術だけではなく、介護におきましても非常に専門的な技術が必要でございます。今おっしゃいました痴呆症の療養病棟というのは、その意味において極めて介護的側面の比重の大きいものであるというふうに考えるわけでございますが、この痴呆症の療養病棟につきましては、本法の建前である介護に着目した公費負担の拡充という部分に照らし合わせて、当然公費負担を五〇%にすべきであると考えるわけでございますが、どのようにお考えか、その点をあわせてお伺いしたいと思います。
  50. 寺松尚

    寺松政府委員 委員の御質問の前半の方でございますが、在宅でございますとか一般の病院等におきます。そういう患者に対する医学的支援というようなものについての御質問がございました。それについてお答えをしたいと存じます。  在宅施設、一般病院に入院、入所しております老人性痴呆疾患患者に対しましては、一般の医師による適切な医学的支援がなされますように何とかしなければならぬ、こういうことでございまして、平成二年度に老人性痴呆疾患についての診断、治療、処遇や社会資源の活用に関しまして、私ども「老人性痴呆疾患診断・治療マニュアル」というものを作成いたしまして、そしてそれの普及をいたしておるところでございます。さらに、本年度から、このマニュアルを利用いたしまして、診療所や病院勤務されております一般内科の先生方を対象としまして、各都道府県にお願いをいたしまして研修をやっていただくことにいたしております。  それからまた、委員が御指摘になりました、そういう痴呆性老人の方や家族が在宅しておりまして、どこか相談へ行くところが用意してあるかどうかという御質問でございますが、私ども、御承知のように、保健所におきまして老人精神保健相談をやっておるわけでございます。そのほか、専門的な医療相談や鑑別相談、治療方針の決定等を行います、御承知の老人性痴呆疾患センターというものを設置いたしましてやっておるわけでございますが、現在六十一カ所ばかりにふえてまいりました。これは二次医療圏に一カ所を目標といたしまして、整備を進めていくつもりでございます。  このように多角的な事業を通じまして、老人性痴呆疾患の患者さんに対します的確な医学的支援が行われますように準備を進めてまいりたい、このように思っております。
  51. 岡光序治

    岡光政府委員 御質問の後段の、こういった療養病棟について公費負担割合の引き上げ対象にすべきではないかということでございますが、私ども、今もお話がありましたように、こういった療養病棟は、精神症状や問題行動があって、精神科の医療を必要とする患者に対して長期的な治療を行う施設だというふうに理解をしておりまして、そういう意味では治療的な色彩が非常に強いという認識をしております。今回私どもお願いをしておりますのは、いわゆる介護的な要素に着目した公費負担割合の引き上げでございまして、そういう意味では治療的色彩が療養病棟については強いということから、この公費負担割合の拡大の対象とはしなかったということでございます。
  52. 五島正規

    ○五島委員 岡光部長のお話ですと、何のために専門治療病棟と療養病棟と二つの種類の痴呆老人対策をとろうとしているのか、意味が不明であるというふうに考えます。  時間がございませんので話を先に進めますが、今、岡光さんもおっしゃいましたように、今回介護に着目して公費負担を拡充するというふうにおっしゃっているわけですが、厚生省介護というのを一体どのように定義しておられるのか。労働省では、介護の中に看護あるいはPTやOTによるリハビリ訓練も含めるというふうに言っているわけでございますが、この点厚生省としてはどのように定義しておられるのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
  53. 岡光序治

    岡光政府委員 個々の患者の日常生活、例えば食事であるとか排せつであるとか、こういったいわゆる日常生活お世話というものを介護考えておるところでございます。
  54. 五島正規

    ○五島委員 それは定義でも何でもないことで、そういうふうなあいまいなことでは、こういう公費負担の割合をどうしていくかという議論にはならないのじゃないか。介護という用語を法律の中でも使っていく、あるいはそういう一つのメジャーとして使っていくということであるならば、もう少しそれの定義をきちっとしていただきたいと思います。そこのところがあいまいなままに、痴呆老人に対する専門療養病棟についても継続的治療がある——いわゆる重介護の老人病院だって継続的治療があるわけですよ。まさにそれはその定義もないままに使っている結果、非常な矛盾が出ているのだというふうに考えます。  具体的に少しお伺いしたいのですが、では、今回本法の訪問看護ステーションによる看護サービスというのがございますが、この訪問看護サービスの中にはいわゆる家事型の介護業務が含まれるのかどうか、また、既に老健法で実施している医療機関による看護サービスとその業務はどのように異なるのか、明確にお答え願いたいと思います。
  55. 岡光序治

    岡光政府委員 介護の定義をしておらないということでございますが、私ども一つのよりどころとしましては、社会福祉士及び介護福祉士法の規定によりまして、第二条の二項で介護のことについて若干触れております。それは「身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行いこというふうに定義をしておりますので、そういったことを念頭に置きながら一応整理、区分をしているつもりでございます。  それから、訪問看護ステーションによる訪問看護サービスの中に家事型の介護業務が含まれるのかということでございますが、私どもはこの家事援助型のサービスは含まれないというふうに考えております。この看護婦さんが在宅のお年寄りを訪問してお世話をする中身は、病状の観察、清拭、入浴介助、体位交換、その他の機能訓練とか、こういったようないわゆる看護サービスというものを考えておるわけでございます。  それから、現在行われておる訪問看護とこの訪問看護ステーションによる訪問看護サービスとの違いということでございますが、医療機関が行っておる訪問看護というのは、医療機関が外来診療の一環として位置づけておるものでございまして、退院後の患者等に対しまして診療の補助行為を行うということでございまして、いわゆる在宅の酸素療法であるとか中心静脈栄養であるとか、そういった具体的な療法の指示なり援助なり、それから具体的な処置を考えておるわけでございます。そういう意味では、訪問看護ステーションから行う訪問看護の中身とは相当違っているのではないかというふうに認識をしております。
  56. 五島正規

    ○五島委員 現在医療機関が行う訪問看護サービスにつきましては、月に一回医師の指示というのが必要になるわけですが、この訪問看護ステーションによる訪問看護の中身は、医師による指示というものは必須なのか必須でないのか。また、今のお話の中において、病院における診療の続きと言われましたけれども、これは往診ではないわけで、あくまで看護が重点のはずです。そうしますと、やられる業務内容として差があるのかどうか、そこのところをお伺いしているわけです。
  57. 岡光序治

    岡光政府委員 訪問看護ステーションによる訪問看護サービスも、医師の指示に基づくというふうに考えております。今の医師法と保助看法との関係というのは、この訪問看護サービスの場合でも適用されるという考え方でございます。  それで、業務内容についての違いがあるのかどうかということでございますが、看護婦さんが行う業務でございますので、その看護婦さんの行う業務はきちっと限定をされておりますから、それはもうその看護婦さんの行える業務範囲ということでは当然でございますが、機能としまして、私どもは現在行っておる保険医療機関による訪問看護というものは、あくまでもそういった退院後の患者等に対する診療の補助行為だと位置づけておるわけでございまして、そういう意味では、訪問看護ステーションによる訪問看護サービスとは違っておるのではないかという考え方でございます。
  58. 五島正規

    ○五島委員 業務内容が一緒であるならば、この問題についての措置は当然同じようにすべきであるというふうに考えます。  次に、特別養護老人ホームあるいは老健施設あるいは医療機関におきまして、現在老人デイケアサービスが老人保健法によって実施されているわけでございます。このデイケアサービスというのは当然介護中心とするものである、これは言うまでもないと思うわけでございます。この介護に着目して今回とられた公費負担の拡充の対象に、医療機関が行っている老人デイケアサービスが含まれていない理由はどういうことなのですか。なぜであるか。これも当然公費負担五〇%の対象にすべきであると考えるわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  59. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘の老人デイケアは、精神障害なり運動障害を有する老人の心身機能の回復なり維持を図るために保険医療機関が行うというものでございまして、そういう意味では、そのサービスは治療的な要素が非常に強いのじゃないか。それから、やはりそういった心身の機能の回復たり維持ということでございますので、いわゆる生活全般にわたるケアではないのではないか、こういう考え方整理をいたしまして、公費負担拡大の対象としなかったものでございます。
  60. 五島正規

    ○五島委員 もう少しきちっと答えてほしいですよね。老人のデイケアサービス介護ではない——例えば老人がおいでになって、そして理学療法を含むさまざまな外来治療というのは、これは当然あるわけです。それとは別に、デイケアサービスという形で設置されて、しかもその中には、昼食の提供といった食事の提供までデイケアサービスの中に含まれているという内容でございます。これが医療であって介護ではない、そのような理屈というのは、それはどう考えたって成り立たないわけです。それがデイケアという名前がついており、そういうふうな形で現在運用されているという実態から見れば、これは明らかに介護である。そして、それを当然今回の五〇%の対象にすべきであるというふうに考えるわけでございます。  時間がございませんので、次の問題をあわせて御質問しますが、介護力強化病院は、老人患者の特性から、急性期を過ぎた患者に対し、治療、療養、介護の改善を目指してつくられた制度であるというふうに理解しています。今の岡光さんのお話によりますと、そういう形でいいますと、重介護というのは治療が要らぬ患者が入っているのかという話になってしまうわけです。しかし、現実問題としてはそうではなくて、つくられたときの経過からいえば、より介護を強化するという側面でつくられた介護力強化病院制度であったといったふうに考えています。しかし、現実には、特例許可老人病院以外に、一般病院やあるいは基準看護の承認を受けている病院にも、長期療養ともいうべき比較的病状が安定している、そして介護あるいは療養生活の指導、監視が必要であるという患者の入院が多いことも事実でございます。  現在、基準看護の承認を受けていない一般病院では、病棟単位で特例許可老人病院の指定を受けて、介護力強化病棟の指定を受けるということはできるわけですが、このことが十分に医療関係者にも認識されてはおりません。私自身、このことについてつい先日まで十分理解できていなかったというふうな問題もございました。この点についてやはり各医療機関に対して十分指導すべきではないか、またこの場合、当然介護力強化病棟における医療費は公費負担五〇%の対象になるということだと思いますが、その点は確認しておきたいと思います。  また、基準看護の承認を受けている病院では、現在病院全体の基準看護を外さないと、この制度にのせることができないということになっているわけでございますが、介護力強化病棟の指定を受けるということを前提に、その病棟群単位で、あるいは病棟単位で基準看護を外して、そしてこの重介護という形を採用させるというお考えはないかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  61. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、老人デイケアの問題で、介護というのがおまえ全然整理がついておらないではないかということですが、実際病院の中で行われている看護婦さんの業務の中にも、確かに私が先ほど申し上げましたような介護的な部分介護的な仕事というのはあるのだと思いますが、その点は私ども一応観念として、看護の業務介護業務というのを分けたつもりでございまして、そのような整理をさせていただいているところでございます。  それから、介護力強化病院の問題でございますが、いわゆる基準看護承認を受けていない一般病院の場合につきましては、一部の病棟について、特例許可をとった上で介護力強化病棟として承認を受けるということが可能でございます。そして、これは今回の改正案におきます公費負担拡大五割対象にする、その対象の中に入るというふうに考えております。
  62. 五島正規

    ○五島委員 基準看護の方は……。
  63. 黒木武弘

    ○黒木政府委員 基準看護の制度の運営にかかわることでございますので、私からお答えをさせていただきます。  委員御存じのように、私どもは看護体制のあり方ということから見まして、基本的には病院全体の看護体制がどうなっているかということが非常に重要だと考えております。例えば、看護の管理上におきましても、看護職員が患者の状態に応じて臨機応変、病院全体としてケアなり看護に当たるという、病棟を超えた柔軟な対応というのがやはり病院に求められるのではないか。あるいは病院における職員の方の労務管理上からいっても、特定の部門だけが過重な労働が強いられるということがないように、労働条件を一定にした形での運営が望ましいのではないか。  それから、私どもの実務的なお話でございますけれども、基準看護病院制度というのは診療報酬に絡んでいるわけでございまして、そこの看護体制と費用の支払いというのがリンクしているわけでございまして、果たして病棟単位になった場合にうまく実務的にチェックができるか、いろいろな問題があるわけでございまして、私どもは、基本的には医療機関全体において一定の看護水準を確保することが重要だ。したがいまして、基準看護の制度も全病棟主義をとることが正しいのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  しかしながら、老人の問題、老人のケアの問題等を含めまして、いろいろな形で看護のあり方の多様性が問われている時代だと承知をいたしておるわけでありまして、それに合わせまして、基準看護の運営のあり方につきましても、それぞれの対象者にふさわしい看護・介護サービスをどうやったら効率的に供給できるかという観点も踏まえまして、基準看護の制度の運用につきましては今後検討課題にさせていただきたい、かように思っている次第でございます。
  64. 五島正規

    ○五島委員 既に特三類基準看護については、病棟単位でも運営されていることでございます。そういう意味では、患者さんのより快適な療養環境という側面が非常に重要でございます。そういう意味からも、この点については改めてぜひ御検討をお願いしておきたいと思います。  時間がございませんので、あと一問質問させていただきたいと思いますが、今お年寄りが入院した場合、保険外負担による個人負担というのは非常に大きく異なっている。医療機関によって大変大きく異なっております。しかも問題は、この個人負担の負担額が、多くの場合入院の前にはわからない。ほとんどの場合が、入院して、そして請求書が出て初めて負担額がわかるというふうな場合が非常に多うございます。  さらにもっと問題なのは、このお年寄りの保険外負担額と、お年寄りが受けるサービス内容が必ずしも一致していないというふうに指摘されているわけでございます。これは大変問題が大きいというふうに考えます。老人医療の中における自己負担というのは、常に老人保健の自己負担分の問題というふうに論議されているわけですが、実はそうではない。老人医療の自己負担というのは、保険の自己負担分と、それから保険外負担の総計がお年寄り医療に要する自己負担の総額でございます。この総額について、お年寄りの負担が果たして適切であるかどうかということが考慮されなければならないと考えるわけでございます。  この自己負担分について全く放置したまま、保険の自己負担分のみを取り上げて、それを例えば老健施設であるとかあるいは養護老人ホームといったようなところと比較して云々するというのは、非常に誤った比較の仕方である。むしろ今日においては、付添料あるいは差額ベッド料等々の自己負担を考えますと、他の老健施設における負担に比べて、老人病院へ入院しておられるお年寄りの自己負担というのは非常に均衡を欠いた高額になっている。それが実態であるだろうというふうに考えます。その中には、例えば食費というものが医療費で給付されているという内容考えたければなりません。あるいは施設の基準として、老健施設に比べて、現在老人病院に入っているお年寄りが、居住スペース半分で療養生活をしなければいけないということも考えなければなりません。そういうことを考えた場合に、極めて均衡を欠いた結果になっています。  そういう意味においては、お年寄りの負担について、保険負担及び保険外負担を合わせてその総額をどのように決めていくのか、それを数字においても、お年寄りに見えるような形で老健審において検討し直すべきである。そこのところに全く触れないまま、お年寄りの保険自己負担分についてその増額をお年寄りにお願いしたり、あるいはそれをスライド制という形でもって検討していく、決めていくということは極めて問題があるというように考えるわけでございますが、どのようにお考えであるか、御返答をいただきたいと思います。
  65. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 委員、専門のお立場から先ほど来いろいろ御質問ございましたし、また、今最後に保険外負担の問題についての御指摘もございました。確かに、お年寄り医療を受けられる場合に、保険でカバーする部分と、保険でカバーしたいいわゆる保険に伴う一部負担のほかに、その他いろいろの入院等に係る費用があることは事実でございます。このような問題を我々は確かに重要な問題として受けとめておりまして、医療費の中で保険でカバーする部分、それからまたそうでない部分の問題について、全般的に絶えず検討を進めておるわけでございます。  また、従来そういう点につきまして、今御指摘ありました差額ベッドの問題、これは相部屋の指導の面にも関連してまいりますが、私の方では三人を超える場合の差額ベッドは徴収してはいけないとか、いろいろな細かい指導をいたしております。そういうことで不合理な保険外負担が起こらないように絶えず指導はいたしておりますけれども、いまだいろいろと御指摘のような問題がございますので、これからも十分に実態を踏まえた上で適切な処理をしてまいりたい、このように考えております。
  66. 五島正規

    ○五島委員 現実に老健施設におきましては、一定の金額を示す中での行政指導によって、それなりにお年寄りの自己負担というのは一定額で抑えられているというように考えます。そういう意味におきまして、医療の中においてそうした方法がとれないわけがないというふうに考えます。  また、今日一番大きな問題は付添料の問題でございます。医療機関がマンパワー不足、あるいは医療機関自身が人件費をふやすことができない等々のさまざまな理由があるでしょう。しかし、その介護力をふやすという方法を医療機関の都合でとらない、その結果お年寄りに付添料で膨大な負担をお願いしている、こうしたことはまさにやはり政治の責任である。そこのところにメスを入れないで、そしてお年寄りに負担をお願いしていくということは、到底納得できないものであるというように考えます。その点につきまして、早急に老健審において負担総額についての検討を改めてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  67. 石破茂

    ○石破委員長代理 遠藤和良君。
  68. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今回の老健法の改正案につきましては大変問題がある。まず、老人の自己負担の大幅な増加というものは到底認めることはできない、まさにこれは老人いじめである。したがって、入院、外来ともに大幅に圧縮せよ。また、医療費にスライド制を導入するのは認められない、このように先日、野党の共同修正要求にも明示したところでございます。  ただ一つ評価できるところがあるとすれば、訪問看護制度を導入したことは評価ができます。しかし、この制度が本当にうまく機能するのかどうかというところについては、大変心配なところがたくさんあります。私たち公明党の厚生部会では、まず現地の声を聞いてみましょうということで、ことしの夏でございますが、この訪問看護制度を既に先行的に試行しておりまして、かなり成功をおさめております長野県の佐久総合病院を視察してまいりました。そして、そこでいろいろと現地の声を聞きまして、この訪問看護制度を成功させるかぎはどこにあるのか、そういうことを伺ってまいりましたものですから、それをもとにしてまず質問をしたいと思います。  まず、現地の看護婦さんあるいはお医者さんの声を聞きますと、この訪問看護制度を成功させるまず第一のかぎは、医者が看護婦を連れて直接往診をする、そして自分自身の患者さんであるという認識を持つこと、この制度をつくらなければならないということです。ただ医師の指示に従って看護婦さんだけが行くということでは、看護婦さんの方も不安だ。まず医者が往診をする、あるいは自分病院の中で面倒を見てきた方が退院をされた、その後を医者が引き続いて診る、こういうふうな制度をつくらなければ看護婦さんも自信を持って訪問看護はできない、こういうふうな現地の声がありましたが、こういった体制をおつくりになりますか。ここから質問をしたいと思います。
  69. 岡光序治

    岡光政府委員 お医者さんが積極的に関与をしてもらう体制づくりがぜひとも必要だと考えております。  そもそも訪問看護は、かかりつけの医師が訪問診察とかその医療機関で診察をする、そういったことを通じて訪問看護が必要かどうかという判断を行って、そして、必要があるということであれば指示をするわけでございます。その指示がなければ訪問看護サービスは動かないわけでございますので、そういう意味では、医師が積極的に寝たきり老人等の在宅療養に関与してもらうということが前提だというふうに考えております。そういう意味では、これをより進めるということを考えなければなりませんので、この老人訪問看護制度が認められるならば、そういったことがより進むようなお医者さんの側の行為についての経済的な評価が必要なんじゃないか、こう考えておりまして、そこのところは関係審議会にこの制度ができればお諮りをして、どのような経済的な応援をすればいいのかということを御審議いただきたいと考えております。
  70. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 確かに医者が動かなければだめなんですね。お医者さんが病院の中におって、来る人だけ診ている。今忙しいですからね。やはりそういうゆとりのある医療というのでしょうか、医者が現地に駆けつける、こういうふうな制度をぜひつくらなければ機能しない、このように考えるわけでございます。  それから、これは公費負担のことでございますけれども介護というところが非常に訪問看護制度は強いわけでございまして、介護に着目するのであれば当然公費は五割にすべきだ、これは現地の声でもあります。これについてはどうですか。
  71. 岡光序治

    岡光政府委員 今回の公費負担を五割にしたいというふうに考えております対象は、主として老人を対象とする施設であるということ、それから、介護なり看護職員が十分配置をされて介護体制が整った施設であるということ、そして、そのサービスのうちで生活全般にわたるケアを行う、こういうふうな条件を満たしているようなものを私どもその引き上げの対象に考えたらどうかというふうに御提案をしているわけでございます。  そういう観点から老人訪問看護につきまして考えた場合には、やはり医師の指示に従って、非常にそういう意味では医療の延長線にあるわけでございまして、かつ生活全般にわたるケアということにはどうも該当しないのではないかという考え方整理をいたしまして、五割の対象にしたかったということでございます。
  72. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そういうかたい頭で判断するとだめなんですよね。石頭というんです、そういうのは。現地に行くと、訪問看護というのはまさに介護と一体なんですよ。これは断固五割にするべきだ。これは要望だけ言っておきます。  それから、実際この制度をつくっても看護婦さんはいるんだろうか、この不安があるんですね。マンパワー対策です。今、初年度大体十億円ぐらいで考えているようですけれども、例えば全国の寝たきりのお年寄りのどの程度の御家庭に、月一回なのか二回なのか、あるいは毎週行けるのか、その辺のサービスの目安といいますか、大体この訪問看護制度というのは、受ける側から見ると、全国的にこのくらいのサービスの目安の制度でございますよ、こういうふうな年度別の計画目標とでも申しましょうか、そういうものを明らかにしてもらいたいと思います。     〔石破委員長代理退席、粟屋委員長代理     着席〕
  73. 岡光序治

    岡光政府委員 いわゆる訪問看護の頻度でございますが、週一、二回程度ではないのかなというふうに予想しております。平成元年度の在宅の要介護老人、これが六十三万人というふうに把握をしておりますが、平成十二年、いわゆる十カ年戦略が達成される、そういったことを考えた時点では、この在宅介護老人数が九十万人程度になるだろう。そういったことを考えまして、かつ週一、二回程度の訪問看護が必要だということを考えた場合には、平成十二年度には五千カ所程度訪問看護ステーションが必要なのではないだろうか。これで設置ができますと、在宅の要介護老人の約三割程度が訪問看護を受けられるようになるのではないか、こんなふうに私ども想定をしております。
  74. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで利用料のことでございますけれども、今の法律の中での考え方というのは、法律には明記していないわけですけれども、一回一回利用料を払うという仕組みに考えているようでございますが、例えばお医者さんが往診をしたというときは、これは外来と同じ扱いですから現行では一カ月八百円、一回きりですよね。一回払えば、何回でも往診してもこれは同じ、老健法ですから。これはお医者さんが行ったら月一回きりなのに、看護婦さんが行ったら毎回払わなければいけないというのは整合性がないです。利用料の設定というのは往診にすべきだ、往診の水準にすべきだ、このように考えておりますけれども、これはきちっとしてもらいたいと思います。どうですか。
  75. 岡光序治

    岡光政府委員 おっしゃいますように、老人訪問看護の利用料の水準につきましては、本来的には外来一部負担との均衡を図らなければいけないというふうに考えておりますが、今のような外来一部負担金は、御指摘がありましたように、一月で定額を払っておるわけでございます。この一月当たりで払うのか、それとも利用するたびごとに払うのかということがあるわけでございますが、私ども今の考え方では、この訪問看護サービスの場合にはサービスを受けたごとにその利用料を負担してもらう、レベルとしましては外来の一部負担金と同じ程度の水準で、こんな整理をしているところでございます。
  76. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そうすると、私は、これは往診と全く変わらないのだから、お医者さんが行っても、お医者さんの指示によって看護婦さんが行っても、同じ往診だと思うのです。だから外来扱いにすべきだという考え方を持っていますけれども、その水準を同じにするということでいくと、例えば現行だと一カ万八百円ですよね。そうすると、毎週行くということは、四回行くとすると一回二百円、こういうふうに理解していいのですか。
  77. 岡光序治

    岡光政府委員 そんなような発想で利用料金の設定考えなければいけないと思いますが、これはもちろん関係の審議会に諮った上で設定をすることになります。  私ども、なぜ毎回払いを考えた方がいいのじゃないかというふうに考えておるかということでございますが、受益に応じた負担ということを考えますと、受けた訪問看護サービス回数に応じて負担をしてもらうというのが適切なんじゃないか。人によっては回数も少ないこともあるわけでございますので、そういったことを考えたわけでございます。それからもう一つは、訪問看護サービスというのは、一般の医療とは違って内容は定型的でありますので、そういう意味でも、一回当たり幾らというふうに負担をしてもらうのがふさわしいのじゃないかという発想をしたわけでございます。
  78. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、先ほど申し上げました現地の声として一番大きかったのは、在宅医療在宅介護・看護、こういうことを考えていくと、どうしても必要なのは、介護手当制度あるいは介護年金制度というものを政府は考えるべきだという意見が強いのですよ。今度のこの改正案の中で、いわゆる入院とか外来の人の自己負担を上げるという説明の中に、病院とか老健施設だとかあるいは特別養護老人ホーム間の格差是正をするためだというようなことを言っているのだけれども本当に格差是正しなければいけないのは在宅との格差是正なんですよ。在宅の方は何のサービスも受けていないのですよ。税金上の控除も受けていないのですよ。そして、みんな御家庭の方の負担に任されているわけですね。これは、何とか在宅と各施設との間の格差是正ということはぜひ図らなければいけないことだ。  そこで、私は一つ提言をしたいわけでございますが、現在、例えば寝たきりになったという方でございますが、六十五歳以前に障害者になった方は、これは障害年金が一生涯いただけますね。これは間違いありませんね。ところが、六十五歳以上で障害者になった方は障害年金は一銭もありませんね。これもまた事実ですね。これは私はおかしいと思うのですよ。どうしてそういう法律の体系になっているのか、まずその説明からお願いします。
  79. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 御説明いたします。  先生おっしゃいますように、老齢基礎年金につきましては、六十五歳以前に障害が生じた場合には障害基礎年金が出まして、六十五歳までに障害が生じませんで老齢基礎年金を受けられますと、その後障害が生じましても老齢基礎年金が継続される、こういう仕組みになっております。老齢基礎年金は、老齢に達せられました方々につきまして、老後の基礎的な生活費を賄うものといたしまして、公平に一律に支給されるものでございます。その後の個々の要因、障害も含まれますけれども、その他いろいろございますでしょう。そういうものを加味いたしまして年金額を増減するということになりますと、あらかじめ定められました保険事故が発生したときの稼得能力の補償ということで制度が立っておりますので、そういう制度の趣旨になじむかどうかという点につきましては、大変なじみにくいという問題があります。そういうことで現在の制度になっているわけでございます。
  80. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは大臣にも聞いてもらいたいんですけれども、実際今の制度、説明ございました。六十五歳以上で障害者、いわゆる寝たきりになったといたします。そうすると、その方は、寝たきりになった人も元気な人も老齢年金は同じですよ、これは障害年金はないんですから。ところが、六十五歳以前に障害者になって寝たきりになりましたという方は、一生涯障害年金。これは基礎年金よりかなり高額になりますね。これをいただけますね。それも一生涯いただけるわけです。  そうすると、これは制度上やはり少し是正をしなきゃいけないんじゃないかと私は思うんです。これをごく平凡な国民の感情からいいますと、例えば六十五歳以上で寝たきりになったというのは、これは障害じゃなくて、もう老齢化現象ですよということになっちゃうんですね。そうじゃないんじゃないかと僕は思うんですよ。そういう意味からいえば、六十五歳以上の高齢者で寝たきり等になった障害者については、高齢者障害加算制度、これを現在の老齢基礎年金の制度の中につくる、導入する、これはぜひやるべきだと思うんですよ。これは障害年金との整合性、こういう段差があるわけですよね。ですから、こういう制度をつくっておくということが、今後の在宅医療あるいは在宅介護、こういう在宅ケアというものを考えた場合にぜひ必要な制度ではないか、私はこのように思いますが、高齢者障害加算制度を導入するお気持ちは厚生省にありませんか。大臣の答弁をお願いしたい。
  81. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 障害加算の問題でございますけれども、これは委員のお考え、今拝聴いたしておりましたが、現在の制度につきましては、ただいま局長から御説明いたしましたように、六十五歳のところまでの間にどういう資格の人がいたか、その資格に基づいて六十五歳から年金が発生する、こういう形になっておりますので、そこで線引きになっておるのが現状でございます。したがって、それをどのように概念規定を整理していくかという一つの問題とあわせまして、将来年金の受給資格が発生した後の、六十五歳以上において出たそういう障害を新たに年金の中に取り組む ことが今の年金制度になじむかどうか、年金財政といたしましても決して楽ではございませんので、そういう問題等々を考えながら、これは将来の課題として検討はさしていただきたい、こう思います。
  82. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 来年度から実施するというのは、それはなかなか難しいと思うんです、新しい制度になりますから。将来の課題とおっしゃいましたが、そんなに十年も二十年も先の課題にしていただいたのでは困るのでありまして、私は少なくとも、年金制度の財政再計算を行う時期がございますね、これは平成六年になるかと思いますけれども、このときにはぜひそういうことも視野に入れまして、前向きに検討してもらいたいと強く要請をしたいと思いますが、どうでしょう。
  83. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 御意見として承っておきます。
  84. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、全国の自治体では既に介護手当制度、私がさっき話したのは、介護年金というのは本人に支給するものでございます。介護手当というのは介護する家族に支給するものでございますが、この制度を自治体では自分たちの財源で行っている地域がたくさんあります。この地域に対して、一定の条件が満たされた介護手当については国庫負担を行う、こういう制度を厚生省考えるべきである、このように思うのでございますが、いかがでしょう。
  85. 岡光序治

    岡光政府委員 現金を差し上げるということがどのような趣旨なのか、そしてそれがどのような効果をもたらすのかというのは、よくよく検討する必要があると思っております。そういう意味から私どもは、まず在宅でお年寄りお世話をなさっておる家庭を御支援しなければいけないということから、いわゆる在宅対策をやっておるわけでございますし、それを大いに拡充したいと考えているわけであります。それからまた、そういった介護サービスが提供できるような体制の整備を進めておるところでございまして、施策の優先順位としましては、そちらの方を優先すべきではないかという判断をしているところでございます。
  86. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 さっきも私申し上げましたけれども、やはり在宅医療ということは今後大きな医療の中核になってくるのではないかと思うんですね。佐久の総合病院でも「病院はきれえだ」という映画を上映していました。岩波映画がつくった映画です。かなり長い、二時間十五分でしたか、病院の中で看護婦さんの研修の教材に映画を上映しているのですね。病院の中で「病院はきれえだ」という映画を上映しているのですから、かなり勇気のある話なんですけれども、それはどういうことかというと、実際の高齢者本当の声だというんですね。  やはり自分の家で老後を暮らしたい、そして自分の家で病気の治療に当たりたい、こういう気持ちが強い。そして、現在の医療制度というものも、そういう患者さんの気持ちにこたえていくものでなければならない、こういうことだと思うんですけれども、何でもかんでも病気になったり調子が悪くなると病院に閉じ込めてしまうというような医療じゃなくて、ケア、サービス医療サービスができる、こういうふうなものをつくっていく。そのためにも、その経済的な負担にたえられるような介護手当あるいは介護年金制度、こういうものをぜひやっていくということが、これは各施設間の格差是正よりもっと前に大事な、格差是正を言うのであれば大事な話ではないか、そしてそれは国民の期待にこたえる厚生省としての仕事になるのではないか、このように強く思うわけでございまして、在宅医療の充実、これはサービスもお金も両面含まれますけれども、そういったものにもっと力を入れるべきだ、こういうふうに考えますが、どうですか。
  87. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 お年寄り医療を受けられるあるいは介護を受けられるのは、やはり自宅でという御希望が大変強いことは御承知のとおりでございます。しかし、実際には、おうちにいらっしゃる方々がなかなかそこまで手が届かないので、自然に病院なりあるいは老健施設なりその他に入られる場合が多いわけでございまして、本来の姿として、家庭の温かさの中で医療を受けられるあるいは介護を受けられることが望ましいことは、委員の御指摘のとおりでございます。この面についてのいろいろな実施、その問題を整備していくという問題につきましては検討すべき問題が多々ございますので、これからそういう方向を重視しながら、さらに検討を進めてまいりたいと思っております。
  88. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 時間が来ましたので、最後に一問だけお願いをします。  マンパワーの確保と人材確保法の制定の問題でございます。厚生省は次の通常国会、来年でございますけれども、ここに人材確保法を提案をしたいということを固めていらっしゃるようでございますが、この人材確保法の中身が大変問題だと私は思います。すなわち、看護婦さん等の方々に対しましてどのような待遇の改善につながる実質的な中身を持ったものになるかどうか、こういうことでございますが、既に公明党といたしましては、この人材確保法の骨子をつくりまして、政府にもお示しをしてあるわけでございます。その中には、待遇改善をするために人事院は特別勧告をするべきだとか、あるいは診療報酬の改善を行うべきだとか、あるいは措置費の国庫負担をさらにふやすべきだとか、こういう項目を書いてあるのでございますが、今政府部内での検討の状況を聞きたいのですが、この人材確保法をまさに実のあるものにするには中身が大切で、そこにこの待遇改善につながるものをきちっと書き込んでいく、こういう決意があるかどうか、これを確認したいと思います。
  89. 大西孝夫

    ○大西政府委員 お答え申し上げます。  保健医療福祉マンパワーの確保を図る上で、職員の処遇改善ということは、先生指摘のとおり極めて重要な要素であると私どもも認識しておりますが、それぞれの職種によりまして、法制度の体系でありますとかあるいは措置費診療報酬といった財源の違いもございまして、どのような法案の内容にするかという点につきましては、公明党の御提案も十分視野に入れながら、今後関係方面とも十分調整を図りつつ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  90. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 わかりました。  これは委員長に申し上げたいのですけれども、この人材確保法を制定すべしという決議を当委員会で行うべきだと私は考えております。御検討をいただきたいと思います。これを最後に、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  91. 粟屋敏信

    ○粟屋委員長代理 理事会で相談をさせていただきます。  児玉健次君。
  92. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。きょうの私の持ち時間は九分、この後も審議を徹底的に尽くすということを前提にして手短に聞きますから、簡潔にお答えいただきたい、こう思います。  厚生省は、入院一日当たりの診療費を年平均伸び率で二・五%程度と見込んでいらっしゃる。外来の一件当たりは三%としております。入院一日当たり診療費の対前年度比の伸び率、一九八五年度、昭和六十年の場合何%になっていますか。そして外来の場合、一九八七年度、昭和六十二年は何%になっていますか。数字を答えてください。
  93. 岡光序治

    岡光政府委員 昭和六十年度の入院の場合には五・八%、それから六十二年度の外来の場合は六・六%の伸びでございます。
  94. 児玉健次

    ○児玉委員 なぜそのように突出した伸び率になったのですか。
  95. 岡光序治

    岡光政府委員 医療費の要因分析としましては、受診率と一件当たりの日数、それから一日当たりの医療費、この三要素に分解をしまして分析をしておるわけでございます。  受診率というのは、どの程度医療を受ける機会があったかということでございます。それから一件当たりの日数というのは、外来でありますと月当たり同じ医療機関に何回通ったかというふうなことでございますし、一日当たりの医療費は、医療のいわば単価でございますが、六十年度の入院につきまして伸び率が高いというのは、一日当た りの入院医療費の伸び率でございまして、これは今申し上げましたように単価の部分でございますが、これは六十年の三月に診療報酬改定が行われて、その影響を受けたのではないかというふうに私どもは分析をしております。  それから、六十二年度の一件当たりの外来医療費の伸びでございますが、これは六十二年の一月に老人保健法の改正があって一部負担を変更しましたが、それの影響が効いているのではないか。私どもは、一件当たりの日数が増加をして、そのことによって一件当たりの医療費がこれだけ伸びたのではないかというふうに見ております。
  96. 児玉健次

    ○児玉委員 一部負担の伸び率が低率であったら上げてもいい、そういう立場に私は全く立ちません。  そこで、一つの制度論として議論をしたい、こう思うのですが、一部負担の額を自動的にスライドさせる、これでは医療費が大幅に変動した場合、今の一九八五年の五・八%や八七年の六・六%、一〇%を超すことだってあるかもしれません。それから、高齢者生活状況が社会的に変化したとき、そういう場合に政策的な判断を加えることが不可能です。まさに国会の審議権をないがしろにするものだと言わなければなりません。私たちは老人医療における一部負担の廃止を求めておりますが、現行制度の矛盾がますます激化することを放置できません。そういった立場で私はスライド制の撤廃を求めたいと思いますが、どうですか。
  97. 岡光序治

    岡光政府委員 もうこれは先生、何度も御答弁を申し上げておりますが、一部負担のシステムとしては定額制と定率制とあるわけでございます。それで老人医療の場合には、お年寄り生活実情なりその考え方を尊重をして、定額制をとるべきではないか。ところが一方、受ける医療費の方は毎年相当の割合で伸びているわけでございまして、その定額の一部負担額を変更しないでいるとそれだけ不足するわけでございますが、その不足分は、いわゆる現役世代が拠出金ということで拠出をするその拠出金が負担増になるわけでございます。そういったことを考えた上で、拠出金とその一部負担とのバランスをとってもらいたい、そして若い人が一部負担しているのを念頭に置きながら、大体その半分程度の割合を負担をしていただけませんかというのが今回改正の提案の趣旨でございます。  そして、受ける利益の程度がふえていけば、そのふえる程度に応じて一部負担額も自動的にスライドさせていただきたい。そういうことによって負担のバランスということが将来とも維持できるのではないか、こういうふうなことを考えたわけでございます。
  98. 児玉健次

    ○児玉委員 幾つかの健康保険組合からの拠出金がふえるという議論は、国の負担をこのままにしておくという議論が前提になってしか出てこない問題ですね。そして、大きな変動があった場合に、国権の最高の機関である国会の審議が必要だという立場から私は述べているのですが、その点についてのお答えは全くない。このスライド制については、非常な害悪を将来に及ぼすと強く指摘をしておきます。  これに関連をして、一九八三年に老人医療費が有料になったとき、その翌年には健康保険本人の一割負担が強行されたことを私は到底忘れることができません。今回も高齢者の一部負担が五%になったのだから、現在一〇%の健康保険の本人負担も二〇%にしよう、そういうことの引き金になるのではないかと私は危惧します。健康保険を二〇%負担にすることはないと約束できますか。
  99. 岡光序治

    岡光政府委員 これは健康保険法の本則に二割負担ということが書いてありまして、五十九年の改正のときにそれは規定をしていただいたわけでございますが、ただし附則の方で、当分の間は本人は一割、それから家族は入院の場合には二割、外来の場合には三割ということで、当分の間の措置が決めてあるわけでございます。それを動かすときにはやはり国会でいろいろとお諮りをし、御審議をいただくというのが前提でございます。私どもは、そもそもはそういったことを行う場合には、医療保険全体を通ずる負担の公平ということを議論しなきゃいけないというふうに考えておりまして、そういった議論を通じながら、一部負担のレベルをどうするかという議論がなされるというふうに考えております。
  100. 児玉健次

    ○児玉委員 今の部長のお答えは、あのときの健康保険法の附則、本則のことについて述べられただけであって、私は、高齢者の一部負担を五%にする、これを引き金にして、あなたが今おっしゃった附則、当分の間を撤廃するその引き金にしようとしているんじゃないかと聞いているのです。そうしたいと約束するかしないか、お答えいただきたい。
  101. 岡光序治

    岡光政府委員 その引き金とかなんとかという議論では私はないと思っております。  老人保健法の今回の改正は、若い人とのバランスなりお年寄りの間の中でのバランスということをまずお考えをいただく、そしてそれをどの程度にするかという問題だと思っておりまして、それがまず一つの議論でございます。それから、もう一方の議論で従来からあるのが、老人保健も含めた医療保険制度全体の負担の公平論ということであるというふうに申し上げたつもりでございまして、その引き金論ということは、私はちょっとよく理解ができません。
  102. 児玉健次

    ○児玉委員 最後に、今のこととも関連するのですが、前回の質問で私は大臣に対して、老人保健法が始まった一九八三年度、いろいろと強い反対がありました。そして厚生省は、その十年前にお年寄り医療費を無料にしたとき、厚生省の皆さんがみずからそのことを福祉元年と言って誇らかに評価されました。それを撤回して一部負担を導入されたとき、当時の患者負担は一・五八%、それが今回五%で一挙に三・二倍になってしまう。ところが、国庫負担の方はどうかというと、制度発足のとき四四・九%、それが今三四・六%に十ポイントも下がっている、ここが問題だ。若い世代の拠出金とかたんとかとおっしゃるけれども、そのことでなく、国が制度発足のときの負担の割合ぐらいはせめて支えるべきではないかということを申しました。  そこで、一挙に十ポイント戻せというのは、ことし、来年の問題としては財政の仕組みからいって少々困難があるかもしれない。私が言いたいのは、当面は国の負担率をせめて二%戻すことによって、今回の皆さんが出されている一部負担の引き上げたとかスライド制の導入、これはやらないで済む。この点について大臣の検討の結果をお聞きしたい、こう思います。
  103. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 この前もお尋ねがございました公費の問題でございます。今回の老人保健制度の改正におきましては、介護に着目して公費負担割合を引き上げるということにいたしますと同時に、平成二年度に創設された老人保健基盤安定のための国庫助成措置というものもあるわけでございますので、これを拡充していろいろな対策を講じたわけでございますので、これらの措置を通じまして、国や地方も、老人自身も、また、先ほど来お話が出ております現役世代の負担も適切にするということで、それぞれ分かち合っていくということによって制度を長く安定的に維持してまいりたいということで、今回の改正を計画いたしたわけでございます。  老人医療費に占めます国庫負担につきましては、老人医療に対する二割の公費負担のほかに、国民健康保険、政府管掌健康保険に対する国庫補助が含まれております。御承知のとおりでございます。これらを合わせた国庫負担の老人医療費全体に占める割合は、制度創設のときの四五%から、御指摘のように平成二年度には約三五%となっております。これは、各医療保険制度を通じた負担の公平を図るため、拠出金に対するいわゆる加入者按分率を順次引き上げたことによりまして、国民健康保険の拠出金負担が減少いたしました。また、これにより国庫負担が減ったことによるものであり、老人医療に対する公費の割合はむ しろ今回の改正で引き上げられるもの、このように計算しております。
  104. 児玉健次

    ○児玉委員 じゃ、時間ですから、この次また引き続き今の問題は議論いたします。
  105. 粟屋敏信

    ○粟屋委員長代理 柳田稔君。
  106. 柳田稔

    ○柳田委員 今回の老健法の改正、大きな柱として一部負担増がございます。その引き上げの理由ということで、説明でありますけれども病院の一部負担が老人保健施設等に比べると低い、同じような近いレベルまで持っていきたいという御説明がございました。ところが、患者さんが実際に負担するお金、総額というものを念頭に置いて、この一部負担の増額も考えていかなければたらたいのではないかというふうに思うわけであります。  ただ、今回一部負担の値上げがあるわけでありますけれども、実際患者さんの支払いの中で大きなウエートを占めております保険外負担については何ら是正措置が盛られていない。この問題についても大きなメスを入れるべきではないかというふうに私は考えております。  昨年の十一月に厚生省が調査されました。おむつ代等ほかにいろいろあるわけでありますが、月額二万二千五百円というものが出ておりましたけれども、患者が、またはその家族が実際にお支払いするお金というのは、この調査で出た月額二万二千五百円、これ以外に付添看護、さらには差額ヘッドといった負担も加わっておる。ですから、この調査した額よりも相当大きな額を患者さん本人なり家族なりが支払っているというふうに私は思うわけでありますけれども、このような保険外負担に厚生省として今までどのように取り組んでこられたのか、簡潔に説明をしてください。
  107. 岡光序治

    岡光政府委員 一つは、いわゆるお世話料等の問題でございます。これはいわゆる実費徴収をしているわけでございますが、社会常識的に見て妥当、適切な額にするようにというふうな指導を行うとともに、お世話料などというようなあいまいな名目での徴収を行わないようにという指導を行ってまいっております。  それから、もう一つの室料差額の問題でございますが、これを三人室以上のものは取ってはいけないというようなことで指導をしておりまして、そういった一定のルールをつくっておりますが、ルールに反しないように指導をしているわけでございます。  それから、いわゆる付添看護の問題でございますが、こういった付添看護を必要としない入院医療管理科病院であるとかあるいは基準看護病院であるとかあるいは老人保健施設であるとか、こういったもののいわゆる受け皿の整備を大いに促進をしていくということで、これまで対応してまいった次第でございます。
  108. 柳田稔

    ○柳田委員 実際に寝たきり老人を抱えますと、子供が中心的になってその財政負担の面倒を見るといいますか、兄弟何人かいるわけですが、兄弟そろって面倒を見よう、最初はそういう気持ちで病院に行っていただいて、いろいろなバックアップを子供がやるわけなんですけれども、この保険外負担に耐えきれずに、兄弟げんかまでしてしまって、家庭が崩壊をするというお話もよく聞きます。月額二万二千五百円、それ以外にもあると言いましたけれども、これは平均値でありますので、中には大変なお金を払っておる家庭もある。この一つで家庭が、さらには兄弟全員の家庭が崩壊もしかねない。兄弟の信頼関係までなくなるというのも現実にあるわけなんで、この保険外負担の問題についてはさらに大きなメスを入れるべきではないかというふうに思うのであります。特に付添看護の問題については、老人に対する本来のケアのあり方も踏まえ、その解消方法について前向きにというよりは、実施する方向にという強いくらいの気持ちで御検討していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。今後の取り組みについて教えてください。
  109. 岡光序治

    岡光政府委員 ただいま申し上げましたように、受け皿の整備ということと同時に、どうしてもそのような体制をとれない病院に対してどうするかという問題が残っておるわけでございます。基本的には病院の責任で看護・介護というサービスが提供されるわけでございますが、その中にこの付き添いさんも一体的に取り組むような格好で、病院の責任のもとでそういった全体サービスが行えないだろうかということを検討課題にしておるわけでございまして、そういった方向で具体的な措置をいろいろと検討し、これもまた診療報酬の問題に絡む面もあろうかと思いますが、中央社会保険医療協議会にもお諮りをしながら、そういった方向をいろいろ探っていきたいと考えております。
  110. 柳田稔

    ○柳田委員 検討課題とする、探っていく。やるというふうに聞いてよろしいのでしょうか。
  111. 岡光序治

    岡光政府委員 この老人保健法改正の御審議で、この問題は各先生からいろいろ御指摘を受けたわけでございます。私どもそういった審議、御指摘内容を十分前向きに考えなければいけないのではないだろうかというふうに考えております。
  112. 柳田稔

    ○柳田委員 先日は公費負担のお願いをさしていただきましたし、きょうは保険外負担のお願いをさしていただいたわけでありますけれども、制度自体も非常に厳しいというのは理解をしているわけでありますけれども、実際にお支払いをする患者さんなりその御家族のことも十分考慮に入れて、我々の共同要求に対しておこたえを願いたいと思います。  以上で終わります。
  113. 粟屋敏信

    ○粟屋委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二分散会