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1991-10-03 第121回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十月三日(木曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 桜井  新君    理事 金子 一義君 理事 木村 守男君    理事 北村 直人君 理事 笹川  堯君    理事 渡海紀三朗君 理事 木間  章君    理事 三野 優美君 理事 吉井 光照君       遠藤 武彦君    金子原二郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       高橋 一郎君    武村 正義君       中島  衛君    野田  実君       山口 俊一君    山本 有二君       石井  智君    上野 建一君       貴志 八郎君    小岩井 清君       鈴木喜久子君    松本  龍君       山内  弘君    和田 静夫君       伏木 和雄君    薮仲 義彦君       辻  第一君    菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君         国 務 大 臣 西田  司君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         警察庁刑事局捜 深山 健男君         査第一課長         科学技術庁研究         開発局企画課防 葉賀  史君         災科学技術推進         調整官         大蔵省主税局税 増原 義剛君         制第二課長         労働省労働基準 山中 秀樹君         局監督課長         労働省労働基準 出村 能延君         局補償課長         労働省労働基準         局安全衛生部安 大関  親君         全課長         建設大臣官房技 豊田 高司君         術審議官         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 九月十日  辞任         補欠選任   貴志 八郎君     渡部 行雄君   鈴木喜久子君     伊藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     鈴木喜久子君   渡部 行雄君     貴志 八郎君 同月十三日  辞任         補欠選任   鈴木喜久子君     小川  信君 同日  辞任         補欠選任   小川  信君     鈴木喜久子君 同月十八日  辞任         補欠選任   辻  第一君     佐藤 祐弘君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     辻  第一君 十月三日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     山口 俊一君   石井  智君     和田 静夫君   貴志 八郎君     小岩井 清君 同日  辞任         補欠選任   山口 俊一君     島村 宜伸君   小岩井 清君     貴志 八郎君   和田 静夫君     石井  智君     ――――――――――――― 九月九日  第八次治水事業五箇年計画における大幅な事業  費の確保に関する請願増子輝彦紹介)(第  九一号)  精神薄弱児・者に対する有料道路通行料金の障  害者割引適用に関する請願鳥居一雄紹介  )(第一一五号)  第八次治水事業五箇年計画推進に関する請願  (岩村卯一郎紹介)(第一一六号) 同月十八日  第八次治水事業五箇年計画策定に関する請願  (平沼赳夫紹介)(第一七六号)  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願串原義直紹介  )(第三一〇号)  第八次治水事業五箇年計画策定計画規模の  大幅な拡大に関する請願串原義直紹介)(  第三一一号) 同月十九日  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願清水勇紹介)  (第三六三号)  同(井出正一紹介)(第四三三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四三四号)  同(北沢清功紹介)(第四三五号)  同(田中秀征紹介)(第四三六号)  同(堀込征雄紹介)(第四三七号)  同(宮下創平紹介)(第四三八号)  同(小坂憲次紹介)(第四八九号)  同(羽田孜紹介)(第四九〇号)  同(村井仁紹介)(第四九一号)  同(中島衛紹介)(第五一七号)  第八次治水事業五箇年計画策定計画規模の  大幅な拡大に関する請願清水勇紹介)(第  三六四号)  同(井出正一紹介)(第四三九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四四〇号)  同(北沢清功紹介)(第四四一号)  同(田中秀征紹介)(第四四二号)  同(堀込征雄紹介)(第四四三号)  同(宮下創平紹介)(第四四四号)  同(小坂憲次紹介)(第四九二号)  同(羽田孜紹介)(第四九三号)  同(村井仁紹介)(第四九四号)  同(中島衛紹介)(第五一八号) 同月二十四日  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願木島日出夫君紹  介)(第七一九号)  第八次治水事業五箇年計画策定計画規模の  大幅な拡大に関する請願木島日出夫紹介)  (第七二〇号) 同月二十七日  公営住宅大量建設に関する請願佐藤祐弘君  紹介)(第一四〇六号)  同(辻第一君紹介)(第一四〇七号)  同(寺前巖紹介)(第一四〇八号) 同月三十日  公営住宅大量建設等に関する請願伏木和雄  君紹介)(第一八九二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十日  公園整備事業に対する補助対象率の撤廃と補助  率の引き上げに関する陳情書  (第八〇号)  社会資本整備に関する陳情書  (第八  一号)  精神薄弱児者に対する有料道路通行料金の障  害者割引適用に関する陳情書  (第八二号)  新離島振興法制定並びに離島振興対策に関す  る陳情書外二件  (第八三号)  主要幹線道路建設促進に関する陳情書  (第八四号)  国土開発幹線自動車道等整備促進に関する陳  情書  (第八五号)  国道網整備促進に関する陳情書外一件  (第八六号)  国直轄道路関連事業等整備促進に関する陳  情書  (第八七号)  近江八幡・亀岡線早期国道昇格に関する陳情  書  (第八八号)  国道二百六十七号大口人吉間トンネル早期  着工に関する陳情書  (第八九号)  本州四国連絡橋建設促進等に関する陳情書  (第九〇号)  九州高速自動車道等整備促進に関する陳情書  外二件  (第九一号)  第二国土軸構想推進及び豊予海峡トンネルの  早期実現に関する陳情書外一件  (  第九二号)  四国縦貫横断自動車道並びに高規格幹線道路  等の整備促進に関する陳情書外一件  (第  九三号)  長島・天草・島原三県架橋建設に関する陳情書  外二件  (第九四号)  北関東自動車道等の高規格幹線道路整備促進  に関する陳情書外一件  (第九五号)  下水道整備促進に関する陳情書外二件  (第九六号)  洞沼川堤防整備等に関する陳情書  (第九七号)  水資源開発に関する陳情書  (第九八号)  治水対策事業用地費に対する補助制度の新設  に関する陳情書  (第九九号)  河川改修事業促進に関する陳情書  (第一〇〇  号)  第八次治水事業五箇年計画における大幅な事業  費確保等に関する陳情書外四十件  (第一〇一号) 同月三十日  地域振興対策推進に関する陳情書  (第一四五号)  新離島振興法制定並びに離島振興対策に関す  る陳情書  (第一四六号)  下水道整備事業促進に関する陳情書外一件  (第一四七号)  下水道事業に係る管渠整備国庫補助対象範囲  の拡大に関する陳情書  (第一四八号  )  第八次治水事業五箇年計画における大幅な事業  費確保促進に関する陳情書外三十六件  (第一四九号)  第二国土軸構想推進に関する陳情書  (第一五〇号)  主要幹線道路建設促進に関する陳情書  (第一五一号)  国道網整備促進に関する陳情書  (  第一五二号)  高速道路網等整備促進に関する陳情書  (第一五三号)  東海北陸自動車道及び能越自動車道建設促進  に関する陳情書  (第一五四号)  本州四国連絡橋建設促進等に関する陳情書  (第一五五号)  四国縦貫横断自動車道並びに高規格幹線道路  等の整備促進に関する陳情書  (第一  五六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件  請 願    一 第八次治水事業五箇年計画における大      幅な事業費確保に関する請願増子      輝彦紹介)(第九一号)    二 精神薄弱児・者に対する有料道路通行      料金障害者割引適用に関する請願      (鳥居一雄紹介)(第一一五号)    三 第八次治水事業五箇年計画推進に関      する請願岩村卯一郎紹介)(第一      一六号)    四 第八次治水事業五箇年計画策定に関      する請願平沼赳夫紹介)(第一七      六号)    五 関越自動車道上越線暫定車線区間      の完成車線化早期実現に関する請願      (串原義直紹介)(第三一〇号)    六 第八次治水事業五箇年計画策定と計      画規模の大幅な拡大に関する請願(串      原義直紹介)(第三一一号)    七 関越自動車道上越線暫定車線区間      の完成車線化早期実現に関する請願      (清水勇紹介)(第三六三号)    八 同(井出正一紹介)(第四三三号)    九 同(唐沢俊二郎紹介)(第四三四号      )   一〇 同(北沢清功紹介)(第四三五号)   一一 同(田中秀征紹介)(第四三六号)   一二 同(堀込征雄紹介)(第四三七号)   一三 同(宮下創平紹介)(第四三八号)   一四 同(小坂憲次紹介)(第四八九号)   一五 同(羽田孜紹介)(第四九〇号)   一六 同(村井仁紹介)(第四九一号)   一七 同(中島衛紹介)(第五一七号)   一八 第八次治水事業五箇年計画策定と計      画規模の大幅な拡大に関する請願(清      水勇紹介)(第三六四号)   一九 同(井出正一紹介)(第四三九号)   二〇 同(唐沢俊二郎紹介)(第四四〇号      )   二一 同(北沢清功紹介)(第四四一号)   二二 同(田中秀征紹介)(第四四二号)   二三 同(堀込征雄紹介)(第四四三号)   二四 同(宮下創平紹介)(第四四四号)   二五 同(小坂憲次紹介)(第四九二号)   二六 同(羽田孜紹介)(第四九三号)   二七 同(村井仁紹介)(第四九四号)   二八 同(中島衛紹介)(第五一八号)   二九 関越自動車道上越線暫定車線区間      の完成車線化早期実現に関する請願      (木島日出夫紹介)(第七一九号)   三〇 第八次治水事業五箇年計画策定と計      画規模の大幅な拡大に関する請願(木      島日出夫紹介)(第七二〇号)   三一 公営住宅大量建設に関する請願(佐      藤祐弘紹介)(第一四〇六号)   三二 同(辻第一君紹介)(第一四〇七号)   三三 同(寺前巖紹介)(第一四〇八号)   三四 公営住宅大量建設等に関する請願     (伏木和雄紹介)(第一八九二号)      ――――◇―――――
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡海紀三朗君。
  3. 渡海紀三朗

    渡海委員 本国会最後委員会でありますし、一般質問ということでありますが、最近、大変憂慮すべき事故が起こっているということについては、両大臣ともよく御存じであろうと思います。そこで、時間も限られておりますので、きょうはそれらの件について御質問を申し上げたいというふうに思っております。  まず、質問を始める前に、このたびの災害でお亡くなりになりましたその方々の御冥福を心よりお祈りを申し上げたい、そのように存じます。  さて、我が国国土でございますけれども、我が国国土は、御承知のように、地形上もそしてまた気象条件、こういった点両面を取り上げましても、大変に災害、特に水害発生をしやすいというふうな、そのような条件下にあるというふうに考えられると思います。同時に、人口の半数以上が河川はんらん地域に居住をしておる、こういったことを考えましても、水害発生をした場合に、単に経済的損失ということだけではなくて、事が人命に及ぶということも過去においても多々あるわけでございまして、そういったことを考えれば、それらにどのような対策を講じるかということは、大変重要な国の施策の一環にもなってくるわけであります。  我が国公共事業は数々あるわけでございますけれども、その中でも特にこの治水事業、これが公共事業の中でも根幹的な事業であると言われているゆえんでございます。しかしこれは、いかに重要な事業、そして先ほど申し上げましたように災害発生等を考えますと、これは緊急を要するということでありましても、工事上の安全対策ということに万全を期して、当然いろいろな災害が起こるようなことは絶対に避けなければならない、ましてや災害人命に及ぶというふうなことは、これは絶対にあってはならないことであるというふうに考えるわけでございます。  しかるに最近、先ほども申し上げましたが、残念ながら、本来の住民、財産、そして生命を守るための工事という目的で行われておりますこういった事業に関してとうとい人命が失われる、こういったことがあったわけでございますけれども、このことは単にこの治水事業のみならず、公共事業一般についての国民の信頼性といいますか、そういったものも損ないかねない、そのようなことにもなろうかと思います。ぜひとも事態を正確に把握をして、そして速やかに今後の対応策を考えていかなければいけないというふうに考えるわけでございます。  そこで、まず最近発生した二つ事故一つ千葉松戸市の国分川分水路トンネル工事、そしてもう一つ埼玉草加市の綾瀬川棟戸橋下部工事、この二つ工事につきましての工事目的及び概要並びに事故状況なり経緯、これをどのように把握をされているか、お伺いをしたいというふうに思います。
  4. 近藤徹

    近藤政府委員 まず、河川局所管事業、いずれも私どもの所管事業でございますが、短期間に二つ人身災害を伴う事故発生したことはまことに遺憾のきわみでございまして、亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、その御冥福を祈りたいと思いますし、また、今後このような事故が起こらないように努力してまいりたいと考えております。  まず千葉松戸市の国分川分水路事故でございますが、その国分川は利根川の支川真間川のまたその支川になりますが、この真間川は、千葉県のベッドタウンである市川市、松戸市を流域とする流域面積六十五・六平方キロの都市河川でありまして、近年の急激な都市化進展により洪水が頻発し、たびたび浸水被害を受けております。市川市域の下流の河道が拡幅不可能なため、上流国分川流域松戸市域十九・四平方キロの水を集めまして、坂川を通じて江戸川に排水する国分川分水路計画したわけでございます。この分水路は、半径三・八メーター、延長三千三百六十二メーター、なおトンネル区間は二千五百五十五メーター計画でございまして、昭和四十八年度より国庫補助事業として開水路区間に着手し、昭和五十九年度からトンネル区間に着手したものでございます。  事故当時の状況でございますが、千葉県が発注しました当該トンネル工事において、のみ口部より千六百メーターを掘り進んでいた段階で、九月十九日の台風十八号により、連続雨量二百二十一ミリメートルを記録しておりますこの集中豪雨を迎えたわけでございます。このとき、国分川の増水によりまして、トンネルのみ口部に設けられました流入防止工が破壊し、松戸市二十世紀が丘地先地下約二十メーター付近トンネル掘削工事施工していた段階で、飛島建設職員三名、その下請業者である成豊建設作業員四名の計七名が、水没したトンネル坑内に取り残されてしまったものでございます。  事故前後の状況につきましては、関係者の話を総合いたしますと、台風十八号により九月十九日早朝から降り続いておりました雨によりまして、十六時三十分に分水路のみ口部上流開水路区間洪水が流入し、十七時前後に分水路のみ口部流入防止工が破壊され、トンネル内部洪水が流入いたしました。  トンネル内部には、十一名の作業員工事及び連絡のためいたわけでございますが、このうち四名は中間立て坑より脱出し、飛島建設職員三名、その下請業者である成豊建設作業員四名の計七名が逃げおくれ閉じ込められました。懸命の救出作業が行われましたが、残念ながら七名の万全員お亡くなりになり、九月二十三日の十八時四十五分までに全員の遺体を確認することとなった次第でございます。  もう一つ事故でございますが、草加綾瀬川槐戸橋工事でございますが、これは建設省関東地方建設局が発注した綾瀬川にかかる草加市道十九号の槐戸橋かけかえ工事におきまして、施工中の右岸側橋脚をつくるための土どめ工の崩壊によって発生したものでございます。  綾瀬川は、昭和六十一年八月の台風十号による出水で、浸水面積千四百ヘクタール、浸水家屋九千戸の大水害発生し、この被害を軽減するため、昭和六十一年度より激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業に採択し、再度の災害を防ぐように改修を行っていたものでございます。  この工事は、江戸川支川のそのまた支川に当たります綾瀬川で、川幅を拡幅する河川改修工事に伴いまして、槻戸橋を現在の長さ二十四メーターから六十二メーターに延長し、あわせて橋梁の幅員を七メーターから十六メーターに拡幅するため、草加市の負担金とあわせて実施していたものでございます。当該工事は、平成三年三月二十六日から平成三年十二月二十日の工期で橋台二基、橋脚二基を設置する工事として、浦和土建工業と契約していたものでございます。  事故発生状況でございますが、請負業者である浦和土建工業からのほうこくによりますと、右岸側橋脚施工するため仮設の土どめ工、幅十一メーター、長さ十九・四メーター矢板長さ、これは十七メーターと言われておりますが、まだ未確認でございます。この土どめ工施工中でございましたが、事故発生は九月七日の午後三時ごろ、土どめ工の三段目の切りはりを設置するための掘削作業中に土どめ工が崩壊し、内部作業中であった監理技術者を含む五名及び右岸側河岸上のクラムシェル内の一名、計六名が事故に巻き込まれ、そのうち二名が行方不明となったものでございます。  その捜索を行うに当たりましては、外側に一回り大きい土どめ工を設け、倒壊した土どめ矢板の一部を切り取り、切りはりを補強しつつ水をくみ出し、二次災害防止に努めつつ行方不明者捜索に努めているところでございます。この行方不明者であった二名のうち、一名が昨二日午前中に発見されたところでございまして、引き続き残り一名の方の捜索に現在懸命に努力しているところでございます。
  5. 渡海紀三朗

    渡海委員 繰り返して申し上げますけれども、いかに重要な事業であるといっても、人命を損なうようなことというのは、もう絶対に起こらないように対策を講じなければいけないわけであります。そこで、これは徹底的に事故原因というものを調査究明をしていただいて、再発防止するための有効かつ適切な施策を講じていくということが不可欠であるというふうに考えます。  つきましては、まず、この両事故に関して原因究明のための調査が現在どのように進展をしているのか、また今後の見通しについてどのようになっているのかということをお伺いしたいと思います。
  6. 近藤徹

    近藤政府委員 まず、松戸国分川分水路工事事故につきましては、千葉県が事故発生とともに、本件事故原因究明のため、学識経験者による国分川分水路事故技術調査委員会を設置いたしました。本件事故の詳細については、この技術調査委員会及びまた別途千葉県警において現在調査中でございますので、その結果を待って判断したいと存じます。  なお、本技術調査委員会でございますが、九月二十二日に設置され、同日、第一回委員会として国分川分水路現地視察を行っております。第二回委員会は、十月五日に行われる予定と聞いております。  今後の見通してございますが、現段階では即断できませんが、本件事故の速やかな原因究明がなされることを期待しておるものでございます。  また、草加市の綾瀬川槐戸橋でございますが、これもその事故経緯及び原因解明及び復旧工法等につきまして技術的な調査検討を行うため、関東地方建設局が九月九日、山村和也日本大学教授委員長とする学識経験者並び建設省土木研究所専門家から成る技術調査委員会を設けまして、徹底的に原因究明を行いまして再発防止に万全を期する考えでございます。委員会事故直後の九月九日に組織いたしまして、直ちに第一回会合を現地調査を兼ねて実施したところでございます。  先ほど申し上げましたとおり、この現場は直ちに掘り起こすということが不可能でございましたので、その周りに大きな土どめ工施工し、現在掘り起こしている段階でございまして、行方不明者捜索を最優先に実施しておりましたので、倒壊した土どめ工矢板の根入れ長さや切りはり設置状況等土め工の詳細な状況については、現時点では十分に解明されていない現状でございます。行方不明者捜索が終わり次第、事故原因調査を具体的に行っていく予定でございますし、また、埼玉県警捜査等進捗状況等も見ながら、我々としてもこの事故原因技術的解明を行ってまいりたいと考えております。  次回委員会は、十月十日を予定しております。
  7. 渡海紀三朗

    渡海委員 この調査というのはできるだけ早急に行っていただきたい。現実にこれは日本全国でいろいろな工事が現在も進行しておるわけでございますから、やはりそういった工事でさらなる事故を未然に防止をするためにも、早急に原因解明を行っていただきたいというふうに要望をさせていただきます。  今回、事故が起こってしまったわけでありますけれども、従来からこういったことが起こらないようにということについては、指導官庁である建設省としても十分な検討もされ、またいろいろな措置を講じてこられたものというふうに考えておりますが、これまでこのようなことに対してどういう取り組みをされてきたのか。そして当然、これは私はこういった工事専門とは申しませんが、少し建築の仕事をいたしておりましたので、建築の工法一つとりましても、これは日進月歩といいますか大変変わりつつあります。特に、こういった地下といいますか地中に関するいろいろな問題というのは、なかなかわかりにくい部分が非常に多いわけでありますけれども、それでも次から次と新しい工法が開発をされたり、そういった状況の中で、建設省はこういったことに関してどういう方針でこれまで取り組んでこられたのか、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  8. 豊田高司

    ○豊田説明員 お答えいたします。  来るべき二十一世紀に良質な社会資本を残すということは大変重要なわけでありますが、私はそれ以上に、そこに働いている方々の安全を確保するというのはさらに重要なことと考えております。  建設省ではこのような観点から、従来から建設工事施工に伴います事故防止のための土木工事安全施工技術指針というものを定めておりまして、その趣旨の徹底に常に努めてきたところでございます。  今回の事故の直接原因は、国分川分水路事故技術調査委員会あるいは槐戸橋下部工事技術調査委員会調査結果を待たなければなりませんが、このような事故再発防止のためには、まず、おっしゃいましたように、現在の市街地、地下工事、それから浸水常襲地帯等の非常に厳しい条件下で工事がふえておるわけでございます。それから、熟練工の不足、労働者の高齢化といった現在の建設事業を取り巻く環境の変化への対応が重要と認識しているところでございます。  そこで、建設省ではこのように今後増大いたします公共事業を円滑かつ適切に進める観点から、現在、一つとして安全施工の基本的な考え方はいかにあるべきかという点、二つ目に技術者、技能労働者の育成方針をどうしたらいいか、それから三つ目に施工管理体制及び関連諸条件整備のあり方、こういった三点につきまして総合的に検討することといたしまして、それの成果を先ほどの土木工事安全施工技術指針改定に向けて生かしていきたい。そのために、現在、建設技術開発会議の中に安全施工専門部会というものを設けておりまして、種々関係の専門の学者、先生方の意見を集めて検討を行っているところでございます。  我が国洪水あるいは土砂災害等の災害発生しやすい国土条件にあるということを厳粛に認識いたしまして、特に、都市内におきます厳しい条件下におきます施工のより一層の安全性を確保するよう、指針の充実等に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  9. 渡海紀三朗

    渡海委員 今回、事故発生をいたしましてから現在までの間に、建設省として具体的に何らかの指示等を出されておりますか。
  10. 近藤徹

    近藤政府委員 河川局といたしましては、短期間に連続して発生したこれらの事故状況、特にこの事故が仮設の仮締め切り工にかかわることにかんがみまして、事故再発防止するため、全国の地方建設局、都道府県等に対し、施工業者を指導するなどして、施工中または準備中の仮設締め切り工を点検の上、現場作業員並びに公衆の一層の安全確保が図られるよう、緊急に仮設締め切り工を点検するよう指示したところでございます。また、今後技術調査委員会調査によってその原因が明らかになり次第、その結果を教訓といたしまして、今後の安全対策に生かしてまいりたいと考えております。  なお、道路局及び都市局においても同様の趣旨の指示をしたことを申し添えさせていただきます。
  11. 渡海紀三朗

    渡海委員 これは何度も繰り返して申し上げますが、特にこの公共事業、日米構造協議の対象でもございますし、今年度スタートして四百三十兆円、かなり多額の投資を行っていくということでありますから、どうしてもこれを消化していく側といいますか、これは適正な言葉じゃないかもしれませんが、その側にも大変いろいろ難しい状況があるわけでございますし、先ほどお話がありましたような趣旨をより一層徹底させていただいて、今後こういう事故発生しないように御努力をいただきたいというふうに思います。  そこで、きょうは大臣が御出席でございますから、改めてこれらの対策に関して大臣がどのような決意を持っておられるか、その点をお伺いさせていただきたいというふうに思います。
  12. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 まず、このような重大な事故発生をいたしましたことはまことに遺憾なことでございまして、犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げる次第でございます。  先生御指摘のように、まず最大の課題は、二度とこのような事故を起こさないということでございます。日本列島、条件は自然災害が生じやすいということではございますけれども、災害列島と言われるような汚名は一日も早く返上しなければいけない、安全列島にしたい、こういうことで、実は来年からスタートする第八次の治水五カ年計画につきましても、所要の予算を確保いたしまして、ともかく二度と災害を起こさないような決意で取り組んでまいることでございます。  特に、例えば箱根の山なども時間五十ミリの雨が降ると通行をとめる、あるいは累積二百ミリを超えた場合にもとめるというような措置をそれぞれいたしておりますが、この二つはいずれも工事の途中でございまして、安全を旨として工事をいたしておるにもかかわらず、このような事故発生したということは本当に遺憾でございまして、今技術調査委員会調査をいたしております。いずれ原因等も明らかになってくることと思いますけれども、それらを踏まえまして、建設省を挙げて二度とこのようなことが起きないように厳重な指導をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  13. 渡海紀三朗

    渡海委員 災害状況をいろいろ考えてみますと、やはり今大臣の御答弁にもございましたように、我が国国土というのは、大変そういった意味では災害に対して弱いと言わざるを得ないと思います。  これも御答弁にございましたが、来年からは第八次五計がスタートするということになっておるわけでございますけれども、第七次の累積の達成率等もいささか十分に達成できていないような状況であるというふうなこともお伺いをいたしておるわけでございます。これはデータを実はもらったのですけれども、水害による年間の被害額というのは、我が国国土の二十五倍の広さを持つアメリカの被害額よりも多い。また、水害等となりますといつも話題になりますバングラデシュ、こういった国よりも多いということも聞いておるわけでございまして、まさに我が国は世界一の水害被害国であると言わざるを得ないという現状であろうと思います。  そこで、ごういつた事故を未然に防ぐためにも、またこれは、毎年梅雨のシーズンそして台風のシーズンになりますと、被害はどうかということを、我々も地元のみならず心配をしなければいけないということでありますから、新しい計画をきっちりと遂行していくということがこれからの最も重要な施策であろうというふうに考えておるわけでありますが、今後この取り組みに対して、建設省としてどういう方針で、そしてどういう決意で臨まれるのかということを最後にお伺いをさせていただきたいと思います。
  14. 近藤徹

    近藤政府委員 我が国は極めて治水上劣悪な条件下にあると存じますしばしば例を申し上げさせていただいて恐縮でございますが、河川のはんらん区域に我が国は五〇%の方がお住まいになり、また資産の七五%が集積しているという状況でございます。例えばアメリカでは、はんらん区域には九%の人しか住んでいないという状況でございますので、いかに治水上悪条件がということはおわかりいただけると存じます。  そこで、現在の整備状況でございますが、当面の目標でございます時間雨量五十ミリ相当の降雨、これは大体五年から十年に一回程度でございますが、これに対するはんらん防御率は、平成二年度末においていまだ四三%と極めて低い状況にございます。このため、全国各地で水害や土砂災害発生しておりまして、過去十年間で水害、土砂災害に見舞われました市区町村数は二千四百六十三にも上り、全市区町村の約八割に達しておるわけでございます。  このため、治水事業につきましては、従来から五カ年計画を国家の投資計画として策定して進めてきたところでございまして、しかしながら、第七次治水事業五カ年計画ではその達成率は八八・五%と、決して高いとは言えない水準であったわけでございますので、今後、第八次治水事業五カ年計画策定に向けては努力をいたしまして、一日も早く安全な国土とするよう努力してまいりたいと考えております。
  15. 渡海紀三朗

    渡海委員 よく今、社会が非常に大きく変化をしていると言われるわけであります。これは、世界情勢の変化のみならず、我が国におきましても、例えば政策一つとりましても、これまでの経済そして産業中心の施策から、より生活に重点を置いたような、さらに豊かな生活を実現するような、豊かな国土を形成するふうな政策を中心に進めていかなくてはいけないということは、これはだれもが今考えておることでありまして、そういった意味において、二十一世紀までの十年間、これは大変重要な時期であるというふうに考えます。  いろいろと御決意もお聞かせをいただいたわけでありますけれども、先ほど大臣の御答弁にもございました安全な国土であると言われるような国土形成のために、今後ともさらに一層重点的にこの施策を進めていただきたいということを要請をさしていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  16. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまでした。  次に、山内弘君。
  17. 山内弘

    ○山内委員 台風十九号の問題について、絞って御質問を申し上げたいと思うわけであります。  特に、こういう災害の役所関係の資料を見ると、いやこれが本当の資料かというふうなものがしばしば出てくるわけでございます。もう既に私がきょう災害特別委員会に出席をしてその資料をもらってきましたけれども、その中で、これは直接建設省の関係ではございませんが、これは厚生省の関係でございますけれども、「災害救助法の適用について 現在、厚生省において下記の市町について適用。」させる。特に青森県は弘前市、黒石市、南郡の大鰐町、平賀町、尾上町、浪岡町、こう出ておるわけですよ。ところが、これは一番の激甚災害を受けておるのは中津軽郡、これが抜けております。これはとんでもない資料であります。参考のために、これはひとつ発表しておきたいと思うわけでございます。  特に十九号の問題については、電気もない、テレビもない、三日間そういう生活をしたわけであります。私もここにおいでの木村守男先生と一緒に、すぐリンゴ災害地を視察をし、さらにまたそういう災害地を駆けめぐったわけでありますが、電気がないからふろにも入れないというふうな、三日間同じ苦しみを味わったわけであります。この十九号の台風というのは、大体新潟を四時五十分、このときは観測史上第一位でありますけれども四十五メーター、酒田市が四時二十分、これが、四十五・九メーター、だんだん速度を増すわけであります。秋田が五時五十九分、これが今度五十メーターを超える。そして、我が青森県の津軽に入ったときは六十メーターを超しておるわけであります。まさにこのとき、あと二週間で実りの秋を迎えるリンゴが壊滅的な状態になったわけであります。これは恐らく一千億の収穫でございますので、わずか三十分の間に恐らく八百億から九百億の被害をもたらしたと言っても過言ではない、こういうふうな状況にあるわけでございます。  ちなみに、人的被害の問題になりますと、大体青森県において死者が八名、負傷者が百二十四名。それからいろいろ細かい問題たくさんございますが、被害調査も出ておるわけでございますが、リンゴは津軽全体で六十万トンの収穫がございますが、大体四十五万トン落果したというふうな経過になっておるわけでございます。  特に、今問題の建設関係の問題でございますが、これはいろいろ今調査中でございます。私が特にそのことで先ほど申し上げたことは、調査の結果というものが非常にあいまい、もしくは誤った結果というのが出やすいわけであります。これは十分でございますので、余りしゃべるわけにもまいりません。  そういうことで、大臣並びに関係局長、この災害というのは皆さんの方でもひとつ十二分に調査をされまして、何としても初めての、いわゆる開闘以来の津軽の十九号台風でございますので、相当な被害をこうむっておると私は思っております。どうかシビアな調査のもとに、極めて迅速かつ適切な対策をとっていただくことをお願いを申し上げたい、こう思うわけであります。御答弁いただきます。
  18. 近藤徹

    近藤政府委員 九月二十七日から二十八日に我が国を襲いました台風十九号による災害は、今おっしゃいましたように、特に強風による災害が特徴的でございまして、青森県においては死者八名、負傷者百二十四名、おっしゃったとおりの人身災害があったことを初めといたしまして、リンゴなどの農作物に対して甚大な被害となったということで、極めて特筆すべきことだったと考えております。  それぞれ所管の方で資料は把握しておるわけでございまして、私どもで把握しておりますのは、河川、道路、砂防、都市施設等の建設省所管の公共土木施設に関するものでございまして、これについては現在取力まとめ中でございますが、十月二日現在で、河川につきましては一カ所五千万円、海岸につきましては十七カ所七億一千三百万円、道路につきましては二十六カ所十億五千八百万円、合計四十四カ所十八億二千百万円の報告を受けております。  建設省といたしましては現地の準備が整い次第、早急に災害査定を実施いたしまして、早期に復旧に努める所存でございます。
  19. 立石真

    ○立石政府委員 青森県におきましては、この台風第十九号によりまして住宅についても大きな被害が出ております。現在まで集計したところでは、全壊が二百二十九戸、半壊が千三百二十二戸、一部破損が八千七百八戸というような、大きな被害を受けていると承知しているところでございます。  この復旧につきましては、被災住宅の復興に当たりまして、まず住宅金融公庫の災害復興住宅資金貸し付けを行うこととしておりまして、明日から受け付けを開始する予定でございます。また、被災者に対しまして公営住宅の空き家への入居をあっせんするよう青森県に指導しておりますが、新たな建設についても、地方公共団体から要請があれば迅速に対応していきたいと考えております。
  20. 山内弘

    ○山内委員 国土庁長官、本来こういう災害は、国土庁長官の所管のもとに適切にやるというふうなことが非常に私はいいのではないかと思っておるのですが、残念ながら予算の関係になりますと建設省、そういうことになるわけでございますけれども、何としてもこれは新しい視点に立った国土庁の気構えといいますか、災害復旧はおれの方だ、こういうふうなことでやれるような体制をひとつつくっていただきたいと思うわけでございます。これが一つ。  それから建設大臣には、今局長が答弁されましたけれども、なお一層、大臣の指揮のもとに迅速果敢に展開されるよう要請しておきますので、一言答弁願いたいと思います。
  21. 西田司

    ○西田国務大臣 お答えをいたします。  今次十九号台風災害におきまして、多くの死傷者、行方不明者、また被災者を出しました。まことに残念なことでございまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  このような災害発生をいたしますと、まず私どもでやらなければいけないことは、一つは的確な災害状況把握をしていくということ、それに基づいて救助をしていく、さらにこれらの救済を進めていくということ、そうして復旧に手をつけていくということ、こういう手順であろうかと考えておるわけでございます。  御指摘の趣旨は、国土庁がやはり全体的なものを掌握をしながら機敏に的確に対処せよという御趣旨であると思うのでございますが、私どもといたしましても、今回これらに対処するために各省庁の対策連絡会議を開催いたしまして取り組んでおるところでございます。今後、御趣旨を体して的確に処理してまいりたい、このように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  22. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 災害の主務管庁である国土庁の御要請に基づきまして、建設省は全力を挙げてこれらの対策に取り組んでまいりたいと思っております。  今回の台風は、洞爺丸の事故があったときと同じような流れを走ってまいりまして、実はテレビの報道等を見ながら大変心配をしておりましたが、風の方が主でございました。たしか台風十七号も同じような傾向で、この間佐賀県へ参りましたら、ほとんどの家屋がかわらが飛んでしまって、これを復旧するのに人手もなければ工事をやってくれる人もいないという姿を見てまいりました。青森県のリンゴも実際にそのようなことで、公共土木施設や住宅の問題等ですと我々の省でいろいろ手だてもございますが、それらのものは所管も違いますけれども、しかし大変にお気の毒でございますから、国土庁長官と力を合わせまして、できる限りのいろいろな手だてを関係省庁とも相談をしてやってまいりたい、このように考えております。
  23. 山内弘

    ○山内委員 どうもありがとうございました。終わります。
  24. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまでした。  次に、和田静夫君。
  25. 和田静夫

    和田(静)委員 九月七日に発生しました草加市の綾瀬川の橋梁かけかえ工事に伴う土砂崩れ、人身事故についてのみ、若干の質問をいたしたいと思います。  既に、概要につきましては先ほどの自由民主党委員質問にお答えがありましたから省略をいたしますが、埼玉県警及び埼玉の労働基準局などを中心として、災害調査及び原因究明が続けられているわけでありますが、現況についてまず報告を求めます。
  26. 深山健男

    ○深山説明員 お答えいたします。  埼玉県警察におきましては、事故発生以来行方不明者の救生活動に当たるとともに、事故概要の把握など所要の初動活動を実施し、現在業務上過失致死傷容疑事件として、工事関係者等からの事故概要等についての事情聴取などを行っておりますが、御承知のとおりいまだ一名の作業員が行方不明となっておるわけでありまして、その捜索活動に全力を尽くしているところであります。  これまでの工事関係者等からの事情聴取の結果、河岸の土砂が崩れることについての予見可能性があったかどうか、また、その回避措置が適切であったかどうか、さらに仮締め切りの強度が土圧や水圧に十分耐えるよう設計施工がなされていたかどうかなどを中心にして、今後現場検証、専門家に対する鑑定の嘱託など所要の捜査を綿密に推進し、事故原因の究明と事故責任の有無及び所在を明らかにしていく所存でございます。
  27. 大関親

    ○大関説明員 所轄の春日部労働基準監督署において、発生直後の九月八日に現場調査を実施するなど、埼玉労働基準局及び春日部労働基準監督署において引き続き災害調査を実施してきているところでございます。また九月十日には、労働省産業安全研究所の研究官三名を現地に派遣し、調査に当たらせたところでございます。  これまで現地におきましては、行方不明者捜索が第一であることから、関係者の事情聴取を中心に災害調査を進めてまいりましたが、行方不明者捜索が終了し次第、本格的な現地調査を実施し、原因の究明に努めてまいりたいと存じます。
  28. 和田静夫

    和田(静)委員 労働省からも書類でもって実は調査状況というのをもらっているのですが、例えば「掘削作業を行っていた五名が巻き込まれ、元請一名、下請四名」というような文章になっていますが、これは先ほど来の報告のとおり全体六名のはずですから、その辺、労働省、一遍調査、確認をしておいてもらいたい。と思います。  さて、今回の事故というのは、私は社会党の地方の調査団の団長として、現地視察を建設委員の皆さんと一緒に行いました。率直に言いまして、一体自然災害なのだろうか。人災であるという今警察からの若干の報告もありましたが、そういう感じが非常に強く持たれる状態でありました。例えば事故後において今、矢板がずっと打ち込まれているわけであります。そういう結果、若干の中の水取りが行われて昨日一遺体上がったわけですが、それは大変敬意を表しますし、同時に哀悼の意も強くささげるところですけれども、この復旧のために使われている矢板をずっと見てみました。そうすると、非常に長い矢板を今打ち込んでいるわけです。これは素人目でありますが、どうも関東地方建設局が発注の際に工事標準を示された、その一定の工事標準の矢板の長さは御存じのとおり十四メーター。ところが現地の、亡くなられた方は青森からの出稼ぎ労働者ですが、ある意味では熟練をされています、出稼ぎとはいいながら。したがって、それらの判断や業者の判断は、これは十四メーターで危ない、よって十七を使おうという形でもってどうも十七メーター矢板が使われたのではないか、そういう感じを私たちは素人目でしたのです。  ちなみに、今ずっとやられているところの矢板の打ち込み、これはもう大変長いものが使われています。そうすると、建設省が示されたところの工事標準というのは、どうも渇水期におけるところの標準じゃないだろうかというのを私は感じ取った。ああいう形でもって増水をする状態の中における工事標準として正しかったのかどうかという点を非常に疑問に思わざるを得ませんでしたし、実は現地の調査の中で、その視点については建設当局の方々も大体肯定をするという状態であったように私は思うのですが、計画段階で仮締め切りが土砂や作業の機械を支えることができる状態のものであったのだろうかどうかという点、この点は山村教授以下の調査委員会に任してあるんだという形では私は済まぬだろうと思う。建設省当局のもとのところに一体誤謬がなかっただろうかということを、非常に強く感じたのが今度の調査結果です。私は記者会見でもそれと同じようなことを述べましたけれども、いかがでしょうか。
  29. 近藤徹

    近藤政府委員 私ども工事発注に当たりましては、例えば今回の事例でいいますと、橋脚をある深さで、ある寸法で目的のものができるようにということで発注するわけでございますが、その前提として、どのような仮設工によってその工事をなし遂げていくかという仮設工については、本来目的物ではございませんので、それぞれの責任において設計することになるわけでございます。ただ、私ども、予定価格の見積もりにおいては、一つの現場条件を想定いたしまして、それに必要と思われる仮設工を設計するわけでございます。  本土どめ工もその仮設工に相当するわけでございまして、この仮設工の設計に当たりましては、一般的な従来の現場の荷重条件等を前提にこの矢板工を標準図として設計し、業者にもそれを参考図としてお示ししたものでございます。なお、施工者である浦和土建工業は、私どもの標準図とは異なった矢板工で施工したものでございまして、その矢板工はリースしていたと聞いておりますから、その矢板がどのような事情でそのような長さになったかについては、今後技術調査委員会等で明らかになるものと存じます。その際に、現場の施工条件あるいは重作業機械等をどのような組み合わせでやるか等も、私どもの方の見積もりと、あるいは業者側の見積もりとは組み合わせで違っていたのかもしれません。この辺はまた、技術調査委員会の場で明らかにしていただきたいと期待しておるものでございます。  なお、この事故発生後に早急な行方不明者捜索が必要であること、また現に土どめ工が倒壊してしまったという状況を前提といたしまして、早期行方不明者捜索するとともに、現場の工事を回復できるように実施するということも前提といたしまして、その直前まで使用していた矢板工をより長い矢板を使用したのは、やはりこの事故を前提としたこと、また、その土どめの範囲が大きくなったこと等からであると考えております。
  30. 和田静夫

    和田(静)委員 河川局長も当然現地をごらんになったのでしょうけれども、現地の建設局当局の皆さん方の認識とあなたの答弁というのはかなり違いますな。現地で私たちに立ち会ってくれたところの諸君というのは、やはり真剣に事態というものに対処しようと思っておりますからね、ある意味ではまじめに答えていましたよ。だれが見たって、今打ち込んでいるところのあの長い矢板でもって作業が行われていれば事故は防げただろうという感じは、これはもう否定するわけにはまいりません。私の指摘に対して、しっかりした調査の結果を出してもらいたいと思います。  さらに、人災的な様相が非常に深いなと述べた二つ目の理由は、事故発生前に矢板をとめているボルトがねじ切れていたのですね。ねじ切れていたという状態はわかっているわけですよ。建設当局もそう述べられていますね。そうすると、ボルトの強度に問題があったのではないかということ、これも素人目ですが、私はそう思うのです。十四メートルの矢板の場合に使用されるボルトと、十七メートルで使用されるボルトというようなことをずっと考えてみますと、矢板の長さとボルトの強度というような問題についてしっかりした見解がなければならぬだろうと思うのですが、いかがでしょう。
  31. 近藤徹

    近藤政府委員 私どもは、ある現場の作業条件あるいはどういう作業機械がその周辺で作業するかという一つの仮定のもとに、十四メーター矢板によって、あるボルトで設計したのだと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、これはあくまで一つの参考として、私どもの予定価格の見積もりの中で使いました図面をお示ししているわけでございます。なお、業者の方では手持ちの機械あるいは手持ちの、あるいはリースの矢板等の長さ等を所定のもので組み合わせて実施したものと存じます。そのボルトが異常であったのか、あるいはもっと全然別な理由であったのか、これらについては事故調査委員会の結果によって判明すると思いますので、私どもその結果を今後の教訓として同種事故再発防止に努めてまいりたいと考えております。  なお、先生先ほど申しましたように、長い矢板であればよかったではないかというのは、私どももそう存じますが、これらはやはり災害が起こってみたときの結果論でございまして、従来全国で使用している一応の標準の設計であればその矢板でよかったわけでございますが、今起こってみたことを前提として、これから事故調査委員会で我々が前提としていたものあるいは業者が前提としていたもの、その土質や作業条件やいろいろなものをこれから解明した上で、私どももぜひ今後の我々のいろいろな技術基準の上の参考にさせていただきたいと考えております。
  32. 和田静夫

    和田(静)委員 二名の方々がずっと川底に眠り続けてきたわけです。九月七日からですからね。私は、人命の尊厳という視点に立った安全性の確保という面からの思考というのが、非常に欠けているのだろうということを感ぜざるを得ません。  もう一つ、どうしてそういうことを申し上げるかというと、事故が起きた日の朝に警備員が現場の地面に亀裂が走っているのを見つけているわけですね。これは現地でもちゃんと確認をされています。そして、一たん用足しに行って帰ってきたら、その亀裂はさらに長くなっていたわけであります。そうすると、作業員なり人命の安全というようなことを先に考えてしっかり対処をすれば、その危険な状態というものの点検から始めるはずだったはずですね。いわゆる納期がそこに来ています、作業を急がなければなりません、濁流は来ています、しかしそんなことは後回しです、こういう論理でもって作業が急がれるということ、これはもう将来の問題ばかりではない、厳に慎まなきゃならぬことでしょう。  私はそういう意味で人災的な様相が非常に強いと思っているのですが、同時に土砂の崩落も見られたわけですね。そうすると、崩落と亀裂との関係というようなものを一体どういうふうに判断をされて安全管理という観点におけるところの作業が行われたのだろうか、非常な疑義を感ぜざるを得ないわけであります。いや、我々はもう契約が終わったんだ、手は離れているんだ、後は現場の問題ですというようなことでもしお考えだとするならば、発注元であるところの国が安全のための監督の体制というようなものをどうしていくのか。これは何も草加の問題ばかりじゃありません。彼ほど問題になる千葉の問題だって同様でしょう。いかがでしょう。
  33. 近藤徹

    近藤政府委員 事故の前後の詳しい状況につきましては鋭意調査中でございますし、浦和土建工業からの事故後の報告によりますと、当日の午前中に工事現場に地割れ、段差の発生、また土どめ支保工のボルト等に異常があったと聞いております。また、先生おっしゃるように、それらの兆候がこのような人身事故につながるという判断をするべき状況にあったかどうかにつきまして、私どもは、今事故調査委員会あるいは関係者につきましていろいろ事情聴取しているところと聞いておりますので、それらの結果を待って判断したいと存じます。  なお、いずれにしても、監督責任というのはある意味ではございますが、やはり私どもは、指定されました品質ができるように監督するというのがまず第一の監督者の責務でもございますし、その工事を安全に施工していくという上では、まず施工者であるその請負業者がその認識を持ってやっていただくということも極めて大事でございますので、その責任そのものにつきましては、今後の判断の状況を踏まえた上で、私どもも、今後同種事故の起こらないように努めてまいりたいと考えております。
  34. 和田静夫

    和田(静)委員 ともあれ青森県から来ているところの労務者が死亡しているという、その厳粛な事実関係の上に立ってしっかりした対応というものを求めておきたいと思います。  警察のこの初動活動状況の説明によりますと、川の流量が多かったことが行方不明者の救生活動が不可能であったというような原因になっているわけですね。そうすると、当時の流量というのは、これは通常よりも多くなっていたのですか、それとも恒常的に流量が多いということでしょうか。
  35. 近藤徹

    近藤政府委員 手元に具体的な資料はございませんが、ここは東京湾の潮位の影響を極めて受けやすい地域でございますし、その当該事故が起こったときに不幸にして所定の計画以上の水位であったかどうか。いずれにしても、倒壊した後は、東京湾の潮位の影響を受けるところでございますので、水が流れ込んでしまって、非常に捜索を困難にしたという事情はございます。
  36. 和田静夫

    和田(静)委員 私は、もし通常よりも水量が警察報告にあるように多かったんだということであったとするならば、実はそこのところが工事を行う際に対策を講じなければならない一つの視点だろうというふうに思ったのです。ちょうど現地調査をしたときに十八号が来ましたね、前日。そして、草加市内の大体六四%が浸水をした状態で、あの水量は綾瀬川の橋梁ぎりぎりのところへ来た。もう一雨降れば大変危ないという状態のところだったのですよね。ああいう状態を考えてみますと、あんなに水量がふえていると、現場において作業を進めるに当たって安全対策上もっと考慮をしなければならない、そういう状態ではなかったんだろうかというふうに、十七号のときのことはよくわかりませんけれども、十八号の状態を見ながら思ったので、だから指摘をいたしたのです。  さて、行方不明者について十分な補償が行われなければならないわけでありますが、この補償の対応というのはどういうふうになりますか。
  37. 近藤徹

    近藤政府委員 いずれにしましても、今回の事故がどのような原因であったか、その原因者がどういう形であるのか、これらが解明された時点で判断すべきものと考えております。
  38. 和田静夫

    和田(静)委員 労働省、これも調査結果によるのですが、こういう場合のいわゆる補償というのはどういうふうになりますか。
  39. 出村能延

    ○出村説明員 今回の災害によりまして不幸にして死亡されました労働者の御遺族の方々及び負傷をされました労働者の方々に対する労災補償につきましては、現在のところ保険給付の請求書が提出をされておりませんけれども、これから逐次請求書の提出がなされるというふうに考えられるわけでございます。私ども労働省といたしましては、請求書の提出があり次第、早急に必要な調査を行った上で、迅速に補償を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  40. 和田静夫

    和田(静)委員 これこそ十分な対応を求めておきます。  そこで、建設業界に限ったことではありませんが、この好景気が続く中で人手不足が非常に深刻です。特に、今回のように決して大手とは言えない元請や下請の業者では、人手の確保が非常に困難な状況にあることは周知のところです。よい労働力を集めて安全な作業環境をつくろうとしますと、そうすると一番の問題となるのは私は予算だろうと思うのですね。  ちょうど今十月、折しも十月は労賃改定の時期に当たっているわけですが、この人手不足の問題と安全対策を考慮をして、余裕ある労賃に改定をすることが望まれるのではないだろうか。事故を見ながらそういうふうにも考えますが、建設省としては、この十月に当たっての労賃改定で、今私が申し上げたような視点で何かお考えはありますか。
  41. 伴襄

    ○伴政府委員 御質問は労賃の話でございましたので、私の方から答弁させていただきます。  今まで年に一回でございましたけれども、御案内のとおり非常に賃金の変動も激しいということで、平成二年度から調査を年二回、毎年十月と六月と二回やっております。現在もその十月の調査をやっておるところでございます。この実勢の単価を反映させて決めるというのが我々の方針でございますので、賃金台帳を見まして、その賃金台帳から公共事業労務費を調査をしまして、それでもって具体の設計単価、それを見ながら反映させるということでやっていきたいと思っております。
  42. 和田静夫

    和田(静)委員 私もきのう建設省からちょっと説明を受けましたが、例えば建設、農林、運輸ですか、三省で合同でもって労賃の改定のために六月、十月と。ちょっとそのときも質問をしましたけれども、例えば地域最低賃金だとか、あるいは地域におけるところの標準賃金だとか平均賃金だとかというようなことを考える場合に、労働省が一省加わって労賃改定問題の審議などというのが行われるのが私は至当ではないだろうかと思ったのですけれども、その辺のことはどういうふうになっているわけですか、また、されようとしますか。
  43. 伴襄

    ○伴政府委員 この労務単価は具体の公共工事の設計に反映させるということでございまして、大口の公共工事官庁の三省庁がやっているわけでございます。もちろん、その設計単価を組むときには、今どの程度払われているかということを具体の賃金台帳で調査しまして、その後のいろいろな時点修正等も加えてやるということでございまして、かなり、どういうことでしょうか、実勢を反映させながらやるという作業でございますので、その一番大口の公共工事官庁がやれば十分ではないかなというふうに考えておりまして、今までそういうふうにやってきておるところでございます。
  44. 和田静夫

    和田(静)委員 私が今注意申し上げたようなことは、必ずしも的は外れていないと思いますから、十分に検討していただきたいと思います。  さて、時間でありますから最後ですが、大臣、ちょうどこの草加ですが、これは大臣の東京と同じで下町のゼロメートル地域と一緒なんですね。そうすると、最近のこの急速な都市化の広がりによりまして、それほど大きくない川に、上流からあるいは周囲からたくさん流れ込む。こういうことで水が入ってきているわけであります。綾瀬川などでも川幅を広げるための工事を今行っておるわけでありますが、新たに放水路を二本つくるという状態にあるわけであります。こういうような河川というのは、決して私は綾瀬川だけではないのだろうと思いますね。特に、河川の下流の地域ではどこも同じような問題を抱えているだろう。松戸で起きたところの事故も放水路の工事中のものでありましたが、古来、治水というのは為政者にとって最も大切な仕事の一つでありますから、そういう視点に立って、世界の先進国と言われる我が国においていまだに集中豪雨のたびに洪水が起こる、あるいは一方では、夏には渇水があるというようなことは、ある意味では偏った開発の結果ということも言えないわけではないわけでありまして、大きく関係をしているだろうと思うのです。  したがって、建設大臣とされましては、今後の治水、利水について、やはりしっかりした展望をお持ちになる必要があるでしょう。いかがでしょうか。
  45. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 先ほど来の御論議を伺っておりまして、ともかく失われた生命は二度と帰ってくるものではございません。これらを踏まえて、今御指摘のように災害に見舞われやすい自然条件の日本の治水につきましては、二度と起きないような対策を強力にやらなければならない。したがいまして、社会資本整備に相当な投資をこれからいたしまして、未然に防ぎたいということでやっておるわけであります。特に、来年の概算要求におきましても、いわゆる生活関連重点化枠のほかに、公共投資充実臨時特別措置ということで二千億上積みがあるわけでありますが、その確保ができれば、ぜひ災害に弱い国土基盤の整備を充実するために活用してまいりたい、このように要求もいたしております。  そして、今お話しのように、治水計画あるいは利水、草加松戸の周辺というのは本当に災害が起きやすい、洪水が起きやすいというところでございますから、そういう地域につきましてはいろいろな因果関係もあろうと思いますので、広域的な都市計画国土計画の上に立ってやっていこう。たまたま放水路の計画もその一環でございますけれども、その工事をしているところで皮肉にもこのような事故が起きたことは本当に遺憾でございまして、現に私も責任者の一人として、今後厳重な監視をしながら関係地方公共団体にも御協力をいただいて、未然に防ぐように努力を積み重ねてまいりたい、このように思っております。
  46. 和田静夫

    和田(静)委員 ありがとうございました。
  47. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまでした。  次に、小岩井清君。
  48. 小岩井清

    小岩井委員 私は、松戸市の国分川分水路トンネル浸水死亡事故について質問いたしたいと思います。  質問に入る前に、九月十九日、松戸市二十世紀が丘地先トンネル部分で作業中、作業員が浸水によって閉じ込められ、とうとい命を落とし犠牲となった七名の方に、謹んで哀悼の誠をささげたいと思います。あわせて、御冥福をお祈り申し上げる次第であります。さらに、遺族の皆様には心からのお悔やみを申し上げる次第であります。  質問の第一点として、トンネルの入り口部分、仮設締め切り工のH鋼の強度について伺いたいというふうに思います。このH鋼の強度の計算の基礎的な根拠をまず最初に伺いたいと思います。     〔委員長退席、木村(守)委員長代理着席〕
  49. 近藤徹

    近藤政府委員 国分川分水路の九月十九日の人身事故に至りました当時、この河川トンネルのみ口部には流入防止工があったわけでございます。この流入防止工は、設計水位を標高YP、これは江戸川の基準水位ということになっておりますが、これを基準水位としまして八・〇メーターとして、トンネルの敷高、下の底盤の高さでございますが、これがYP一・二四一メーターになりますが、そういう形でトンネル坑口にH鋼材を支柱とし、横矢板をはめ込み、その前方にはジャンボ土のうを設置し、水の浸入を防ぐ構造としていたと聞いております。  その設計及び施工の詳細につきましては、現在千葉県警及び事故後に千葉県が設置いたしました国分川分水路事故技術調査委員会において調査中でありますので、その結果を待って判断申し上げたいと存じます。
  50. 小岩井清

    小岩井委員 判断ではなくて、事実を聞きますからお答えいただきたいと思うのです。  今流入防止工YP八メーターというふうにおっしゃいましたね。これは、YP八メーターで計算をすることが正しいかどうかという問題なんですが、過去にこの周辺で今回のような雨量に基づく浸水の事実があったと思うのですね。この基準について、この過去のデータに照らしてこの基準を決めたのかどうか、伺いたいと思うのです。
  51. 近藤徹

    近藤政府委員 いずれにいたしましても、これらの資料につきましては千葉県警及び事故調査委員会調査中と聞いておりますので、私が手元に持って御説明できる段階ではございませんので、あらかじめその点は御承知おきいただきたいと思います。  そこで、一般論として申し上げさせていただきますが、この八メーターが妥当であったかどうかということで、直ちにそのことについては御説明申し上げられませんが、流入防止工というのは、河川トンネル坑の施工中におきまして河川トンネルの中に洪水が流入しないということを第一の目的にしておりますが、そのトンネルの中に一切水を入れないという前提にするのか、あるいはある程度の頻度で入っても仕方がない、そのかわり中の作業員の方には安全に避難していただく、いろいろな組み合わせがございますし、その設計者がどのような設計思想を持っていたかということも含めまして、これから事故調査委員会の場で明らかになると思います。  これは私は今一般論で申し上げておりますので、いずれにしましても、この流入防止工というのは最終的な施工物ではございませんで、河川トンネルができ上がればいいわけでございますが、その際に、どのような仮設工によって経済的にあるいは工期的に手戻りを防止しつつ、あるいは手戻りは若干やむを得ないとしても、そのかわり避難という形によって経済的に、あるいは一般の付近住民の方に迷惑をかけないようにやっていくとか、その他さまざまな組み合わせの上において設定されるべきものでございますので、それらがどういう事情であったかということは、今後の調査委員会調査の結果を待ちたいと考えております。
  52. 小岩井清

    小岩井委員 長々しゃべった割には何言っているかさっぱりわからない。ということは、聞いているのは、要するにこのH鋼の強度の計算上の基礎根拠を聞いているのですよ。基礎根拠は聞きましたけれども、その根拠が妥当かどうかということは、建設省も当然計算できるでしょう。事故調査委員会ではないのですよ、建設省自身どう考えているのか。これは妥当であったかどうかですよ。今経済性とおっしゃったでしょう。これは大変なことですよ。経済性を重視すれば、この締め切り工が軟弱なものでもいいということになっちゃうじゃないですか。その辺のところを答えてください、長々答えは要らないですから。この計算根拠で、仮設の流入防止工が要するに流入防止ができたのかどうかということ、今度はできなかったわけだから。これは妥当かどうかということ、建設省の判断基準はできるでしょう。
  53. 近藤徹

    近藤政府委員 先ほども申し上げさせていただきましたが、それらの根拠資料については私の手元にございません。現在、県警察本部及び事故調査委員会調査中でありますので、その段階で明らかになると存じます。  それで、今申し上げましたのは、軟弱であってもいいじゃないかということではなくて、その作業をされている方及び付近の住民の皆様の安全をまず確保することを前提にしながら、一切水を入れないのがいいのか、ある程度水が入っても、手戻りをしても短時日で復旧に戻れるのか、それらを総合的に判断して、一般論としては、仮設工は設計されておりますということを申し上げましたので、この当該についてどういう設計がなされておったか、あるいは設計の結果どおりに現地が施工されておったのか、それらを総合的に調査すべきだと思っておりますので、何度も申し上げますが、事故調査委員会の結果を待ちたいと申し上げた次第でございます。
  54. 小岩井清

    小岩井委員 建設省はこの国分川分水路について、建設行政全般について監督責任というか、責任はないのですか。というのは、全くもう人ごとなので、第三者に預けちゃったようなあれですけれども、責任はないのですか。     〔木村(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 近藤徹

    近藤政府委員 私どもはまず、所管事業として、松戸市周辺の水害に苦しまれておる方の治水上の危険をいち早くできるだけ早期に取り除きたいということを念願しつつ、この事業国庫補助事業として取り上げました。また一方で、こういうことを施行されている県の皆様に、技術基準をそれぞれの事例に応じてお示しして、一定の安全を確保するようにやっていただくことを、責任という意味はどういうふうに御判断なさるかは別として、我々の行政上の努力として進めておるところでございます。  ただ、当該事故におきまして、施工されました計算なり設計なり、施工の詳細については存じておりませんが、この関係における専門家の皆様が調査しておりますし、早くそれらの事情を把握した上で、少なくとも今回事故が起こったということを念頭に置いて、なお一層工事の安全に努めたいと考えております。
  56. 小岩井清

    小岩井委員 国庫補助事業であることは間違いないですね。あわせて、技術基準を示して設計したとありますね。技術基準を示した中に、この仮設締め切り工の強度についての技術基準は示してないのですか。  その点を答えてもらいたいのと、じゃしからば、建設省が関係ないような話をしていますから、この基礎的な数字の根拠はどこでつくったんですか、どこで判断したのですか。その基礎的な数字をつくって強度計算をしたわけだから、じゃだれが決めて、その決めた責任はだれが持っているのかということを、これは一般論じゃなくてちゃんと出るでしょう。別に事故調査委員会じゃなくても出るはずだ。答えてください。
  57. 近藤徹

    近藤政府委員 これらの技術基準の背景となりますのは、土木工学でありコンクリート工学であり、あるいは力学に基づく構造力学その他の基準がございますし、それらの材料がどのような強度であるかということは、それぞれ土木学会等で設定した標準仕様書もございます。  それを今直ちに私がここで御説明するほど手元に資料はございませんが、一般論としては、それぞれの材料の標準というものがございます。恐らくこれらにかかわりました方は、これを設計された方もおりますし、また構想を立てられた方もおりますし、またこの計画に基づいて設計された方、またそれに基づいて施工された方、それぞれがあります。それぞれの前提となったものが、最後まで安全を確保する上でどのように維持されていたか、結果的には亡くなられたという厳粛な事実を前提に調査をしていただいて、その上で、あるいは技術基準で再度我々は見直して安全度を上げるべきなのか、あるいは現場における判断ミスがあったのか、これらは、今後調査委員会調査の結果を待って判断申し上げたいと存じます。
  58. 小岩井清

    小岩井委員 どうも同じ答えが繰り返されますが、標準仕様書、今そういう答弁がありましたね。標準仕様書に基づいて判断する、そういう答弁でしたね。ということは、国庫補助事業ですから、国庫補助をするに当たって、設計を含めて全部詳細に建設省検討して、それで国庫補助事業としてその事業が対象になるという判断をする場合に、全部検討するわけでしょう、標準仕様書を含めて設計を。それをやっているのですか。それをやっているかやっていないか、大変重要な問題だから答えてください。
  59. 近藤徹

    近藤政府委員 先生も御存じだと思いますが、私ども、この事業を担当しておるのは建設省都市河川室でございます。担当補佐は一名でございます。これらの事業は、全国で約二千数百億円あると思います。また、膨大な技術基準を短時日に、一々現場の河川トンネルの技術水準が適していたかどうかは、判断するほどの時間的な余裕はないと思いますが、しかしながら、従来から私どもは、全国で多数のいろいろな事情を把握しつつ、あるいは土木学会等で定めた標準仕様書その他を踏まえつつ、特に特筆すべきものについては、例えば河川砂防技術基準等を作成する等によって県等を指導し、またそれに基づいて県は進めていくわけでございます。  ただ、この河川トンネル工事というのは大変技術的にも難しいものでございますし、大変大規模な事業でございます。承るところによりますと、千葉県でこのトンネル工事にかかわったのは担当者が六名と聞いておりますし、六名の方は、国分川トンネルだけでなく全体の工事も担当し、用地交渉から始めましてさまざまのことを担当し、あるいは当日は水防活動にも従事しながら進めておったものと存じます。したがって、これは一当局云々ではなくて、土木学界全体としてこの原因は究明し、二度と事故が起こらないようにするのが私どもの責任と考えております。
  60. 小岩井清

    小岩井委員 今胸を張って、担当補佐一名しかいないから判断できないと言いましたね。自慢にならないのですよ、こういう事故を起こしておいて。土木学界全体の問題ということはわかりました。この点については、担当補佐一名だから標準仕様書についてきちっと精査できなかった、こういうことですね。極めて怠慢だったということを指摘をいたしておきます。  それから、この強度計算についての設計責任はどこにあるのか、設計発注者、設計事務所。あわせて、事故が起こったわけだから、この強度計算の根拠に誤りがあった、こう断ぜざるを得ない。この点についてお答えください。
  61. 近藤徹

    近藤政府委員 この流入防止工施工業者は清水建設、及び設計については建設技術研究所が関与したと聞いております。ただ、これが設計の誤りであったのか、施工の誤りであったのか、あるいはそれぞれを前提とした避難体制がまだ適切でなかったのか、これは全体を引っくるめまして事故調査委員会調査を待ちたいと考えております。
  62. 小岩井清

    小岩井委員 きのう実は現地調査に行きましたし、その水没事故でまだ遺体が上がる前、二十一日にも私は社会党の千葉県の県議団と一緒に現地調査をしました。きのうの調査と今の答弁はちょっと違いますね。設計発注者は千葉県でしょう。今設計発注者はどこかと聞いたら清水建設、違いますか。とすれば、強度計算根拠の誤りの責任は千葉県にあるということになるのじゃないですか。この点はどうですか。
  63. 近藤徹

    近藤政府委員 このトンネル工事計画、構想、設計につきましては千葉県でございます。なお、その設計のお手伝いをしたのは建設技術研究所と聞いております。また、施工業者は清水建設と聞いております。
  64. 小岩井清

    小岩井委員 ということで、強度の計算の基礎根拠の誤りがあったとすれば、これは施行者である千葉県の責任ということですね。それとあわせて、担当補佐一名、標準仕様書を精査してなかった建設省だって責任ありますね。どうですか。
  65. 近藤徹

    近藤政府委員 私どもの方には、現場の詳細な工事の発注に至るまでの図面はちょうだいしておりません。私どもは、その工事松戸市の市民の治水の安全上必要なものであるのかどうかということを念頭に審査させていただいておるわけでございます。  それから、この強度計算が誤りであったかという前提は、私どもまだ調査委員会の結果を待たなければいけませんので、その問題については明らかになった段階で判断させていただきたいと考えております。
  66. 小岩井清

    小岩井委員 要するに事故が起こっているんですよ。誤りだったことは間違いないのです。それはその点を指摘いたして、次に行きます。  労働安全衛生法第二十五条「事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。」とあります。これを念頭に置きながら質問いたしたいと思いますが、十九日の午後四時三十分、清水建設から千葉県の真間川改修事務所に、水位が上がって危険だと連絡がされたというふうに聞いております。この点について、連絡をされて以降の真間川改修事務所の対応、並びに真間川改修事務所から飛島建設に対する対応、そして現場に対する対応について、最初に御説明をいただいた上で質問したいと思います。
  67. 近藤徹

    近藤政府委員 当日の状況でございますが、千葉県からの報告によりますと、二時三十分ごろ、千葉県水防本部より水防警戒体制が発令されました。二時四十分ごろ、巡回中の千葉県真間川改修事務所の職員が清水建設に、台風に注意するよう指示いたしました。四時三十分ごろ、清水建設より千葉県真間川改修事務所に堤防の漏水が確認された  これはこの流入防止工のさらに上流側にある堤防でございますが、そこに漏水が確認されたと報告されております。四時三十二分ごろ、事務所は飛島建設に対し、上流に漏水があったので清水建設と連絡をとるようにと指示いたしました。四時三十五分ごろ、事務所は再度飛島建設に、切り羽の吹きつけ後に作業を中止したらどうかと連絡し、作業を中止する旨の回答を得たわけであります。残念ながら、五時前後に流入防止工が破壊して、河川トンネル内に洪水が流入いたした次第であります。
  68. 小岩井清

    小岩井委員 四時三十分から流入防止工破壊までの時間がかなりありますね。あります。しかも、労働安全衛生法を今読み上げましたけれども、「労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。」とありますね。ここで、真間川改修事務所が切り羽の吹きつけをして固めてから避難するように指示したということは、これは「労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止しこということになりませんね。どうですか。
  69. 近藤徹

    近藤政府委員 この地域の地質は下総台地の砂層でございますので、水を含みますと陥没事故等が起こるおそれがあるということから、この工事着手に当たっては関係者間で、そのトンネルの上部の二十世紀が丘の住民の皆さんに迷惑がかからないようにということで、大変長期間にわたってその対策が練られたと聞いております。したがいまして、この流入防止工の上流に洪水が入りました段階で、切り羽の吹きつけ後に作業を中止したらどうかという指示をしたというのはそれなりの根拠があると思いますが、結果的にこのような事故を見ますと、私どもも、その指示がどうであったかということは、今の結果論としてはいろいろ一議論がされると思いますが、私どももまた事故調査委員会調査を待ちつつ、なおかつどのような流入状況であったか。それらに含めて、今後このような事故を二度と起こさないためにも、いわばこのときの担当者としては、現場も安全にしつつ、作業員も安全にしつつということを当然念頭に置いたと思いますが、いわばどちらかを切り捨てるという急迫した事情というものの判断の仕方については、この事故調査委員会の結果を待ちつつ私どもも判断し、今後同種事故の起こらないように努めてまいりたいと考えております。
  70. 小岩井清

    小岩井委員 労働省、来てますね。  この第二十五条に照らしてみて、これは直ちに中止していないわけですから、一つ作業を命じたわけだから。これは作業ですよ、切り羽の吹きつけをしてこいということは。新たな作業を命じたということ、これは二十五条に照らして、どうですか。
  71. 大関親

    ○大関説明員 現在、所轄の柏労働基準監督署、千葉労働基準局において、原因究明のため鋭意調査を進めているところでございますが、労働安全衛生規則第三百八十九条の七に規定されている急迫した危険がある場合における作業中止、安全な場所への退避が適切に行われたかどうかという点も含めまして、調査を進めているところでございます。
  72. 小岩井清

    小岩井委員 これだけの事実が挙がっていてまだきちっとした答弁が出ないというのは、非常に納得いきませんね。  時間が迫っていますから伺いますが、トンネル内、立て坑真下と四百メーターと七百メーターの三カ所に緊急用の電話があった。これはインターホン程度の小さな音しか出ないというふうに言われていますね。赤色灯が点滅するようになっているということなんですけれども、これは作業員にはわからない、こういうふうに聞いています。この点について、危険を知らせる警報装置が全くなかったというふうに聞いていますが、これも事実とすれば、労働安全衛生法に抵触するのではないか。ですから、労働安全法抵触の事実は、今の第二十五条の、直ちに工事を中止しないで新たな作業を命じた。切り羽の吹きつけというのは新たな作業ですから、命じたということとあわせて、この警報装置がなかったということ、この点についてどうですか。
  73. 大関親

    ○大関説明員 現在、所轄の局並びに署におきまして調査を進めているところは御説明申し上げたとおりでございますが、先生御指摘のように労働安全衛生規則第三百八十九条の九に、警報設備、通話装置の設置が義務づけられておりますが、それが適切であっ一たかどうか。さらには、第三百八十九条の十一に規定されている避難訓練が適正に行われていたかどうか。あるいは労働安全衛生法に基づく当該現場での元請、下請を含めた安全衛生管理体制が適切であったか等々を含めまして調査を進めているところでございます。
  74. 小岩井清

    小岩井委員 問題があるという認識だというふうに受けとめていいですね。答弁してください。
  75. 大関親

    ○大関説明員 その辺に問題があるという認識のもとに調査を進めているということでございます。
  76. 小岩井清

    小岩井委員 時間が迫っておりますからまとめたいと思いますが、いずれにしても、仮設流入防止工ですか、これの強度計算に一つ問題があったということですね。ということは、事故が起こったから問題があった、これは今検討しているということでありますけれども、問題があったということを指摘をいたしておきます。それが事故の直接的な原因。ですから、責任は明確にしてもらわなければならない。あわせて、労働安全衛生法あるいは労働安全衛生規則、今問題ありというふうに答弁があった。それも問題があったということで、極めて大きな問題として、天災か人災かということになれば、人災だというふうに言わざるを得ないようなこの事故だったというふうに思います。  最後に、事故再発防止についての決意について、建設大臣から御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  77. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 ただいま委員御指摘の数々の御論議を聞いておりまして、いろいろな御指摘に、お答えが調査中であるということに終始をしておることにつきましては、ぜひ御理解を賜りたい。ともかく的確に原因を調べ、手落ちがなかったか、あるいは今のお話のように天災であるか人災であるかという判断をしていただくために調査をし、捜査が行われておるわけでありますから、私どもの立場としては、今ここで予断や憶測で物を申すことは大変に慎まなければならないことだということで御理解を賜りたいと思うのでございます。  しかし、このような事故は本当に二度と起こしてはいけない。そういう結果を待つまでもなく、今すぐできることは何であるかということも踏まえて、関係機関にも通達を出し対処をいたしておるところでございまして、広い意味で全国に工事をいたしていることを考えれば、我々の責任は大変に重大であるというふうに受けとめて今後も対処をしてまいりたいと思っております。
  78. 小岩井清

    小岩井委員 終わります。
  79. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さんでした。  次に、上野建一君。
  80. 上野建一

    ○上野委員 綾瀬川橋脚かけかえに伴う事故、そして松戸国分川放水路の問題、この二つについてきょうは、今後事故を起こさせないためにはどうするか、その観点から質問をいたしますが、ぜひ積極的な答弁をいただきたいというように思います。  そこで、個人的なことで申しわけありませんが、この工事は、私どもが県会議員のときに計画が練られ、そして具体的に今日まで進められてきた工事でありまして、この工事自体が人命、財産を守るという立場から行われておるわけでありまして、その工事人命を失うというまことに残念なことでありまして、しかも完成を目前にして大事故になっております。それだけに、安全対策について万全を期さなければならぬはずでありまして、その点からまず考えますと、この二つとも共通した問題点は何かというと、まず、発注者である、松戸の場合には県が直接の発注者でありますけれども、その監督すべき者が現地にいなかった、このことが共通した問題であります。そして、現地にいないだけではなくて通報関係、先ほども話がありましたような法律に基づく避難その他のことができないような状態に置かれておった、このことがまず問題であろうと思います。特に、亡くなられた方が七名でありますけれども、現地の調査をしてみますと、普通なら十六名ぐらいおって仕事をしているということであります。ただ、なぜ七名だけになったかといえば、それぞれ工事をやっている人たちが自分の住宅、宿舎が水害に遭っているので、その対策に自分のうちに行った、こういうことで人数が減っております。そういうことを考えますと、これは大変な事故になっているわけでありますので、これをどうしたら起こさないで済むのか、このことがまずあります。  それで、調査中、いろいろ言っておりますけれども、私は、まずこの調査ということ自体問題だと思うのは、調査委員というのは全部建設省と言ってもいいぐらいですね。国土開発技術センター理事、しかしこの人も建設省の出身。あと土木研究所の人たちが三名。委員長には確かに千葉工大の先生がなっておりますけれども、全部建設省関係と言っていい、こういう状態です。ですから、調査しているのが建設省だというと、もう何か信頼感が今度の場合は完全にない。その点を含めて、この調査委員方々がいいかげんなことにならぬように、ひとつ建設省はお願いしたい。あの証券スキャンダルのときの大蔵省みたいな立場にならぬように、まずひとつ前もって注文をつけておきたいというふうに思います。  そこで質問の中身は、簡単に言えば幾つか原因があります。まず一つは水量。水害の場合、台風の場合に水がどれだけ出るかという設計の基礎になる問題について誤りがある。三年間の過去にぎかのぼってやったということでありますけれども、大きな水害はもっと前に何度もあります。もう松戸から市川にかけて完全に水浸しになった状態のときもある。過去においてこういう幾つかの大きな水害台風ごとにあります。そういう意味で、ここに水が押し寄せるなんということは当然考えられてしかるべきなのに、過去三年間の水だけで設計をやった。こういうことから、実はこの流入防止工のところの施設が、今結果的にも言えると思いますけれども、極めて吹けば飛ぶような施設だ、こういう状態であります。ここにポンチ絵というか図解がありますけれども、矢板をコンクリートの中に打ち込むのではなくて、矢板をコンクリートとびょうでとめてあるのです。それから上の方もびょうでとめただけ。そのことは何を意味するかといえば、水がぐっと押し寄せてくるその水圧といいますか、そのことは計算に入っていない。設計水深が六・七メーターだというのでしょう。入力口全部が七メーターですから、六・七メーター、そこまで静かに水がたまった場合に耐えられる設計になっているのです。片方、空洞ですから、空洞に押し寄せる水の流れ、これが計算に入ってないわけですから、これは壊れるのは当たり前でしょう。だからもともと、安全対策とかという意味では、この防止工というのはもう完全に施設は設計上の誤り、これは明確であります。その点がまず第一。  それから工事上の問題としても、その前に、このトンネルの中に防止の設備があったのですね。何か難しい言葉で書いてありましたが、バルクベッドというのが取りつけられてある。これが崩れたり水が入ったりするので撤去したと言っています。しかし、簡単に言うと、これもそれを撤去しないで強化しておけばいいのです。ところが、撤去した理由は何かと言えば、水門工事のためにずっと下流の方から下に入ってこっちへ来るとなると工事がやりづらいから、今のうち入り口のところで工事をしてしまえというので取ったというのです。そういう安上がりの工事のために安全性がいいかげんにされたということが言えます。  そういうことで、結果論もありますけれども、しかし大筋、この安全対策に関する限り、まず極めて不完全、不十分なものであった生言わざるを得ません。そして、人間よりも工事の進捗なりあるいはなるべく安く上げようとするのが先に立って今度の事故を招いたと言っても私は言い過ぎでない、こう思います。したがって、この点については調査が終わってからどうこうと言っているのじゃなくて、もう私どもでもきのう現地を見て、あるいはその前後にいろいろな事情を聞き、あるいは現地の人たちの話を聞くだけで明確にわかるのです、今度の問題の原因が。したがって、県の責任が私は一番だと思いますけれども、これは建設省、こういう工事の指導をやっていることについて責任を感じませんか。
  81. 近藤徹

    近藤政府委員 所管事業の中で人身事故を伴う事故発生したということは、大変私ども遺憾と存じております。  なお、この設計の状況については、とにかくその流入防止工が破壊したという現実を踏まえますと、これから、どのような構想でどのような計画でこの全体が行われていたのか、またこの流入防止工だけで一切水を排除する構想であったのか、これらはまず調査委員会の中で明らかにされていくと存じます。  私どもは、所管事業の中でこのような事故が二度と起こらないようにということで、事故の起こった翌日、全国の工事現場に直ちに通達を発して注意を喚起いたした次第でございますし、またこの調査委員会の中で明らかになった事実を今後への私どもの教訓といたしまして、必要とあらばいろいろな技術基準なりを見直すなり、絶対に今後起こらないように努めてまいりたいと考えております。
  82. 上野建一

    ○上野委員 今言った点で、基準は当然見直さなければだめです。これほどうにもならぬ状態にあります。  それから、その基準と同時に、今度の事故を招いた労働安全衛生法上の立場で言うと、もう完全に労働安全衛生法に違反していますよ。後でその点申し上げます。  そこで、先ほど県の監督がいなかったということなんですけれども、あれだけの大雨が降っておる最中に千葉県内で工事をやっているのはここだけなんです。そこに、もういわゆる安全対策についての危機感もなければ意識もないのですよ。ここだけやっておる、もう当然ほかのところは全部やめているのですから。ここだけやっているということをまず考えていただきたい。  まず通報があったのは清水建設から、仮堤防を水が越えた。仮堤防があれば完全に防げるという立場でつくられたものです。それを越えた。慌てて土のうを並べ始めているのですけれども、その通報があってから、県は現場に来るわけじゃない、電話で飛島建設に、吹きつけをやってから引き揚げろ、こう言っているのです。時間を推定しますと大体四十分ぐらいしかないのです、事故が起こるまでびそして、しかもその吹きつけというのは、現地の人たちに聞くと、一時間以上かかるというのです。ところが県のメンバーは、十分ぐらいで終わるはずだ、こう言っているのです。こんなに簡単に終わるわけがないでしょう。機械で穴を掘っている、隆道を掘っているときに、吹きつけをそばに置くわけじゃない、やはりある程度片づけなければならぬわけですから、そういう認識の問題があります。したがって、今後問題を起こさないようにするということになると、この労働安全衛生法に基づく徹底した行政指導もやらなければいかぬと思うのです。  その点で問題なのは、この工事については幾つかの事業者、建設業が参加している。これもきょうは時間がありませんから申し上げませんが、まことに細かく割っているのですよ。しかも全部大きなところでやっているのです。地元の事情をよくわかっている業者はやっていない。そういうこともあります。これは後ほどまたゆっくりやりたいと思います。そういう状態の中で、横の連絡が全然とれないわけです。片方は、この事故の犠牲者を出した飛島、成豊建設は、まさか後ろから水が来るとは考えない、絶対安全だと信じ切っていますから。それから流入口の工事をやった清水建設は、設計どおりやったのだから絶対大丈夫だと思っている。この錯覚が両方ともあって、しかもその清水建設と飛島との連絡調整はどう考えても県がやらなければいかぬでしょう。ところがそれをやっていない。そういうまことに初歩的な関係がかなり積み重なっております。  そこで、労働省にこの際、時間がありませんから端的にお伺いいたします。  まず、設備についてはある程度あったというけれども、電話は二百メーターも離れたところにある、工事を実際にやっているところから。しかも工事というのは音が出ますから、そんな電話なんか聞こえない、それから一々後ろを見ているわけじゃないからわからない、こういう状態にあったわけです。そこで、安全衛生法の労働安全衛生規則の方の第三百八十九条の十一、ここには、訓練をやらなければならぬことになっている。ところが訓練はやっていないと聞いておるけれども、その点はどうか。そして、訓練をしたらちゃんと届けなければならぬことになっていますけれども、そのことを確認しているのかどうか。  それから労働省の労働基準監督署、この場合は柏であります。柏の労働基準監督署でございますけれども、この監督署は監督官が六名しかいない。しかし事業場については二万一千百六十カ所あります。そうすると、一人当たり三千五百二十六事業所を見なければならぬ。こんなことできますか。一人で三千五百二十六の事業所を監督できますか。できないと思うのですよ。だから、現場も見てないで書類だけで行っている監督が大部分だと考えざるを得ない。そこでこの問題、事実を確認いたしますが、監督体制は一体どうなっていたのか。  それから、この点に関して建設大臣にお伺いいたしますが、これから四百二十兆円のお金で公共事業をやると言っている。しかし人手不足はますます厳しくなっている。それで、そういう状態、これからのいろいろな経済情勢もありますけれども、いずれにせよ公共事業を大きくやればやるほど危険が伴う。そうだとすれば、まず、建設省ですから労働省に関係ないということになるかもしれませんが、そういうことでは困る。やはり事業所の数もふえるだろうし、工事現場もふえる。そうなったら、労働基準監督署が労働安全衛生法を守って実行させるような、少なくとも最低の条件だけはつくらなきゃならぬはずです。したがって、労働省に対して建設大臣は、今度の事故も含めて労働基準監督署の体制の不十分な点について進言をし、この改善を迫る用意があるかどうか、ぜひそうしてもらいたいという立場から建設大臣にはお伺いをいたします。
  83. 山中秀樹

    ○山中説明員 先ほど先生の方からいろいろ御指摘がありました点、今、柏労働監督署、千葉労働基準局におきまして、現地調査をするなりあもいは事故発生現場の施工業者等から事情聴取を行って、原因究明のため鋭意調査を進めております。先ほど御指摘のありました警報設備、通報装置の設置が本当に適切であったかどうか、あるいは避難訓練が適正に行われていたかどうかという点も含めて、今鋭意調査中でございます。  それから第二点目の、先生御指摘の監督署の体制でございます。柏労働基準監督署は、今現在三課制をとっております。第一課が監督掛導業務関係、第二課が安全衛生関係、第三課では労災保険関係の業務を行っております。先生御指摘の労働基準監督官六名、それと一名の産業安全専門官で具体的な事業所の監督を行っております。  御指摘のとおり、毎年すべての事業所を監督実施することは非常に困難な状況でありますが、私ども、労働災害発生させてはいけませんので、そういう多くの問題のある事業所を重点に監督指導を行っているところであります。御指摘のとおり、私ども労働災害防止あるいは労働条件の維持向上ということで、労働基準監督官の増員に毎年努めさせていただいております。平成三年度では四十名の増員を行っております。今後とも、厳しい行財政の状況下でありますが、関係機関とも協議しつつ、この増員に努めたいというふうに思っております。
  84. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 去る十九日の事故の翌日の二十日には、建設省の建設業課長名で、それぞれの建設業の皆様にも安全確保について通達をしたところでございます。  今先生御指摘のように、これから四百三十兆円の公共投資を進めていく以上は、ともかく施工の安全を期することはもちろん第一義的に大事でありますけれども、また一方で、その要請にこたえる事業の進捗も大事でございます。実際には、今いろいろ御指摘がありましたような点に留意をいたし、とりわけ今労働省からもお答えがありましたように、労働安全衛生法の諸規定に基づいて緊密な連絡をとりまして対処をする。今日までもそれぞれの現場では労働省と連絡をきちっといたしまして、監督署との連携のもとで安全施工をしてきたわけでございますが、この事故の結果にかんがみまして、事故調査の結果が出ましたら、その結果に基づきましてさらに安全を期すべく努力をしてまいりたい、このように思います。
  85. 桜井新

    桜井委員長 上野君、時間になりましたので簡潔に言ってください。
  86. 上野建一

    ○上野委員 時間が来ましたので簡潔に申し上げますが、まず、残念ながら今度の事故を見ましても、例えば広島のあの新交通システムでの大事故いあれにも学んでないですね。あの場合も当然十八歳未満の者を使ってはいかぬはずなんですけれども、それを使っている。それも三日前に来たのが重要な仕事をしているというような状態にありますし、何よりも人間の命を大切にするという立場をぜひ労働基準監督署は貫いていただきたい。この飛島の場合なんかは二十代が三人ですよ。それから、成豊建設にしても四十代が三人含まれています。もうまさにこれからという人たちが死んでいますから、その死をむだにしてはならぬと思います。そういう意味で、建設大臣はもうちょっと実態を把握をしていただきたい。そして労働省に対しても強く、安全を守るための役所としての機能を果たせるように建設省も協力してやるべきではなかろうか、こう思います。建設省自体は、いずれにせよこの基準を含めて明らかに設計の誤り、そしてその地域、状態の調査不十分、こういうことの責任は免れない、こう考えますので、今後とも人間を大事にするという立場から工事をやっていただきたい。  それから、最後になりますが、予算関係でも、片っ方で四百三十兆円使うと言っていますけれども、前の、この工事を始めた最初の補助率まで返ってないのですよ。これは三分の二、建設省が持つということで始まった仕事なんです。それが今半分ちょっと。そういうことでは工事自体も安全対策に金を使えない、こういうことでもありますので、ぜひその補助率についても考えていただきたい。  以上を申し上げて、私の質問を終わります。
  87. 桜井新

    桜井委員長 次に、吉井光照君。
  88. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 私は最初に、大変な大きな被害をもたらしました今回の台風十九号、並びに今朝来よりいろいろと議論の集中いたしました草加市また松戸市でお亡くなりになりました方々の御冥福を心からお祈りを申し上げますとともに、入院加療中の方々に対しましても、一日も早い御回復、そして家屋の倒壊などに遭われた数多くの被災者の方に対しましても、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  先ほどから、松戸それから草加、こういった事故に議論が集中していたわけでございますが、私はちょっと角度を変えまして、地震対策についてまず最初にお尋ねをしておきたいと思います。  近い将来、東海地震の発生する可能性が非常に大きい、このように言われております。また、ある人に言わせれば、もういっ起きてもおかしくない、このようにも言われておるわけでございますが、現に宮崎県沖の地震でおるとか、また日本海中部地震、これはもう我々の記憶にも新しいところでございます。こういうことから、地震に対する国民の意識というものも相当高くなっている中で、去る九月二十六日に東京都の防災会議地震部会、これがいわゆる関東大震災クラスの大規模地震を予測いたしましてまとめた「東京における地震被害の想定に関する調査研究」と題した調査結果を発表されました。それによりますというと、人的被害は死傷者十五万六千人、そして今回初めて行われましたところの社会生活面の被害調査におきましても二百十万人余が避難所生活となる、そして八七%の世帯でガスの供給がストップをする、三三%が停電をする、こうしたいわゆる深刻な影響が出るということが報告をされておるわけです。東京都では、今回の調査報告をもとにいたしまして、早急にその地域防災計画の改定作業を進めることにしているようでございますが、国土庁並びに建設省はこの調査結果についてどのように評価をしていらっしゃるのか、またどのような対策をとろうとしていらっしゃるのか、まずお聞きをしておきたいと思います。
  89. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 東京都におきましては、昭和五十三年、二十三区内におきまして、そしてまた昭和六十年、三多摩の地域におきまして、それぞれ関東大震災クラスの地震が来たときにどういう被害発生するかという想定を行った過去の経緯がございます。今般、これを九月に見直しをいたしまして公表されたわけでございます。  地震発生時に生じます被害の予測と申しますのは、適切な事前の防災対策、そしてまた災害応急対策、そしてまた復旧対策というようなことを推進する上におきまして、私どもも極めて重要な指針になるというふうに考えております。  東京都が今般発表いたしました被害想定によりますと、先生仰せのとおり、多大の被害発生がやはり予想されるわけでございますけれども、その策定の手法につきましては、地震による被害発生要因別に、そしてまた地域別に把握をしようというように試みたものでございます。そういたしますので、各要因別に生じました効果的な防災対策を講ずる上で大変大きな役割を果たすことが期待されるわけでございます。南関東の直下の地震の対策もいろいろ取りざたされる中でございます。私どもといたしましても、こういう被害の想定に基づきまして、さらにさらに事前の対応が進みますように希望するところでございます。
  90. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 我が国は、御承知のように台風と地震、これはもう我が国が背負った一つの大きい宿命でございます。したがって、やはりこうしたいわゆる災害に対しては、前もっての予知能力、この向上ということが今からは非常に大事になってくると思うのです。台風というものは、これはもう進路または風速、そういったものもすべてキャッチが可能なわけでございますが、地震におきましては、これは非常に難しい問題でございます。今回の都の防災会議の報告には、地下街や新興造成住宅地、超高層ビル、こうした被害が含まれておりません。実際にはもっと大きな被害が予想されるわけであります。したがって、一刻も早く地震の予知体制、また防災町づくり、また避難体制、大地震後の生活確保策などをやはり充実させる必要があるのではないかと思います。  特に、予知能力の向上は大切でございまして、深層観測井戸、または人工衛星を利用したところの地殻変動観測システム、また海底観測ステーション、こうした方法が考えられるわけでございますが、こうしたいわゆる予知能力向上のためにどのような研究が行われておるのか、これも科学技術庁。それからまた、こうした研究の成果等も踏まえまして、国の予知能力向上のための取り組みはどのようになっておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  91. 葉賀史

    葉賀説明員 御説明申し上げます。  大規模地震は、一たび発生しますと、人命はもちろん国民生活に大きな影響を与えるものでありまして、地震多発国である我が国にとって、その予知は重要な意味を持つものであります。しかしながら、地震は発生場所が地下の深部であるということなどの特性からしまして、地震の予知は現在の科学技術の水準をもってしても難しい課題でございます。  このため政府としましては、この課題を克服するために、文部省の測地学審議会が策定しました地震予知計画の建議を踏まえまして、科学技術庁長官が本部長であります地震予知推進本部を通じまして、各省、例えば科学技術庁の防災科学技術研究所におきましては微小地震の観測研究、気象庁におきましては大中小の地震観測、国土地理院におきましては測地測量調査、国立大学においては基礎研究等の研究をやっておりまして、これら関係機関が緊密な連携協力のもとに地震の観測、予知研究を実施中であります。これらの観測研究の成果は、建設省国土地理院が事務局を務めております地震予知連絡会におきまして逐一評価されておりまして、そういうことで、国の防災対策に適宜反映されていると承知しているところでございます。  特に科学技術庁としましては、先生の御指摘の中にありましたが、平成三年度から、特に予知が困難な首都圏の直下型地震の予知研究ということで、観測研究の強化を図ろうということで、三千メートル級の深層観測施設、三千メートルまで掘りまして微小な地震を観測するという施設でございますが、そういうものから成ります広域深部観測施設の整備に着手することにしております。  今後とも、地震予知能力の向上のための研究により一層の努力をいたしたいと考えております。
  92. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 政府の震災対策というのは先生御案内でございますとおり、昭和四十六年五月に中央防災会議で「大都市震災対策推進要綱」というのを決めてございます。そしてまた、五十八年五月に「当面の防災対策推進について」というのを決めてございます。こういった基本的な方針にのっとりまして、三つの柱を基本として諸施策を講じでございます。一つは、仰せられましたとおり都市防災化を進めるということ。二つ目、防災体制を強化して防災の意識を高揚すること。三つ目、地震予知を推進すること、以上であります。こういった施策の中で、特に、御指摘のとおり地震予知の推進というのは大変重要なテーマになっておるわけでございます。  そういった中で、政府部内、関係諸機関におきまして、地震予知推進本部におきまして緊密な連絡を図りながら、測地学審議会の建議に基づきまして、地震予知の実用化のための観測研究というものを一層推進することが必要でございます。そしてまた、東海地震の予知につきましては、観測の施設を拡充をする、常時監視体制の一層の整備を図るというようなことにいたしてございまして、現在、六十三年七月、測地学審議会により建議されました第六次地震予知計画平成元年から五年度にわたりますが、これに基づきまして進めておるところでございます。  国土庁といたしましても、地震予知の重要性にかんがみまして、関係省庁と緊密お連絡をとりながら、一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  93. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 それでは次に、広島の交通システム事故についてお尋ねをしておきたいのです。  これは去る三月十四日に発生いたしまして、大変痛ましい事故になったわけでございますが、我が党では直ちに建設大臣に緊急申し入れを行いまして、一刻も早い原因究明と万全の安全対策を講ずるよう強く要請をしたところでございます。通行規制さえしていれば、少なくとも大惨事にはならなかった、なぜ通行規制をしなかったのか、また、橋げたの設計構造に問題があったのではないか、こういった問題が特に問われたわけでございますが、一刻も早くこの事故原因を究明をいたしまして、二度とこのような事故が起こることのないよう、万全の安全対策を講ずることが急務の行政課題であったはずであります。  この点につきまして、四月二十五日に行われました衆議院の交通安全対策特別委員会におきまして、建設大臣が次のような答弁をされているわけでございます。「建設省といたしましては、二度とあのような事故発生しないように、全省を挙げて取り組んでまいりますことを私からもお答えをしておきます。」また、「一日も早くこの原因を究明することが何より大事でありまして、早速三名を派遣して、その後も鋭意努力をして、広島市を中心とした検討技術委員会を中心にやっていただいておるわけでございます。」したがいまして、「これから工事をいたします場合には、本当に予測しないようなことが起きるのだということを前提に、それぞれの役割分担に応じて安全対策を講ずるべきでございまして、今後そのようなことがないように全力で取り組む、この大きな犠牲を一つの契機として改めてすべてを点検して対策をとるということに今徹しておるわけでございます。」このように答弁されていらっしゃいます。さらに、建設省の政府委員の方からは、「今回の事故の重大性はわれわれも本当に身にしみて反省をしているところでございますが、今後とも関係方面と十分協議もいたしますし、さらにこの事故原因の究明を通じまして再発防止に全力を挙げてまいりたいこそして、「今回、このような事故がございまして、私ども現在道路協会に専門家を集めていただきまして、さらにこういうような検討、今までの成果が十分生かされていたかどうかも含め、かつ今回の原因がいずれ出てまいると思いますので、そういうものも含めて新たな目で、こういういろいろな問題を専門家の立場で御議論いただいて、大臣が申しましたように今後再び起きないための、技術は日々進歩いたしてまいりますので、そういうことから不断の努力をするために、現在既に特別委員会の設置をお願いしてやっている最中でございます。」このように、非常に結構かつ力強い御答弁をいただいたわけでございます。  ところが、九月二十五日の広島市議会の建設委員会、この橋げた落下事故につきまして、橋げたのたわみが事故の直接原因である、こうした労働省の調査結果をもとに広島市にその原因をある委員が問い直したところ、発注者であり道路管理者でもある広島市は、設計や製作に問題はないと、いわゆる設計ミスを否定いたしております。市に事故責任がないことを改めて主張いたしまして、業者の施工ミスを強調した、このように新聞に報じられていたわけでございますが、一体、警察庁、自治省、労働省、広島市など関係各機関でどのように協議がなされて原因究明がされたのか、また、その調査結果に基づいてどのような抜本的な安全対策が講ぜられたのか、あわせてお聞かせを願いたいと思います。
  94. 市川一朗

    市川政府委員 平成三年、本年の三月十四日に発生しました広島新交通システムの事故につきまして、事業主体であります広島市におきまして、事故原因の究明のための委員会を設置してございます。学識経験者等が中心でございまして、広島新交通システム事故対策技術委員会という形で設置されておりまして、建設省からも委員として参加してございます。平成三年の四月二十四日に第一回委員会を開きまして、現在まで四回の委員会が開かれておりまして、五回目は十月五日でございますので、あさってに開かれる予定でございます。  この事故対策技術委員会におきましては、事故当時の事実の正確な確認、それから技術的な観点からの解析、分析、それから各種の実験、サドル、ジャッキ等支持に関する耐荷力等につきましての実験等を実施しておりまして、多角的に事故原因の究明に努めておるところでございます。あさってが第五回でございますが、私どもの理解では、その次の第六回目に事故原因につきまして取りまとめができるのではないかというふうに思っておるところでございます。  また、事故原因解明につきましては、警察庁や労働省におきましても独自に検討がなされておると聞いておりまして、これらの省庁間における協議等は特に今は行っておらず、それぞれの立場から綿密な検討が行われているところでございます。  ただいま御指摘ございました件に関しましては、したがいまして若干、事故原因の正確な把握につきまして、来月、十一月の段階で出てくるのではないかという認識を持っておりまして、その調査結果が出ました場合には、さらに今後、今まで講じておりました対策に加えまして、二度と事故発生しないような万全の措置を講じていく、そういった基本的な考え方でただいま対応しておるところでございます。
  95. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 三月に事故が起きまして、来月にようやく原因結果が出るだろう、こういうことで、事故が起きて八カ月になるわけです。やはり、事故原因をもう少し精力的に究明がされないのか。先ほど私は、建設大臣委員会での答弁を読みましたけれども、こうした事故というものは、全く普通では考えられない事態で起きてくる。もしこの広島におけるところの新交通システムの事故原因の究明が早くされておって、そして早くそれに対するところの対策が講じられておるならば、やはり当然起きるであろうところの事故も防げたかもわからない、私はそのように考えるわけでございます。したがって、こういった原因究明というものは、それは慎重な究明がなされなければならないことは当然ではありますけれども、やはりもっともっと、こういった七カ月も八カ月もかかるようなことではなくて、ひとつ精力的に究明はやっていただきたい、これらを強く要望をしておきたいと思います。  そこで、先ほどからいろいろ問題になりました草加松戸事故でございますが、そもそもこの広島の橋げた落下事故の根本的な過ち、これはいわゆる工事をする側に、常識では考えられないとか、また絶対に起こり得るはずがあり得ない、こういった発想、観念から安全対策を考えているところにあるわけでございまして、この点が最も反省すべき点でありまして、また、どう反省したかが大事な点ではないかと思うのです。こうした視点で、九月七日の草加橋脚工事生き埋め事故及び十九日の松戸トンネル水没事故、こうしたものを見ますと、いわゆるなぜ工事を中止しなかったのか、これが強く問われていることを考えますと、この広島の橋げた事故と同じ問題がやはり含まれておる。これが底辺ではいわゆる同じではないかという気がするのです。なぜ交通規制をしなかったのかという、広島ではそういう問題がある。  したがって、あの悲惨な広島事故の教訓というものがこの草加松戸事故にどのように生かされたのか。交通規制をしなかったのか、または警報が発せられている中でなぜ工事をしたのか、こういったいわゆる初歩的な、これはもうだれが考えてもわかるような問題が起きているということは、やはり広島の事故の教訓が生かされていなかったのではないか、このように思うわけでございますが、御意見がありましたらひとつおっしゃってください。
  96. 豊田高司

    ○豊田説明員 建設省では、この広島の新交通システム事故の後すぐ、建設工事におきます安全確保ということにつきまして、各地方建設局それから関係機関に点検をすみことを指示、通知いたしまして、このような事故再発防止に努めてきたところでございます。  またさらに、この新交通システムの事故を契機といたしまして、建設技術開発会議の中に安全施工専門部会というものを設けまして、今後拡大していきます公共事業を円滑かつ適切に進める観点から、三つの点について総合的に検討することといたしております。一つは、安全施工の基本的な考え方はいかにあるべきか。二つ目は、技術者・技能労働者の教育方針はどうしたらいいか。三つ目に、施工管理体制及び関連諸条件等の整備のあり方、この三つにつきまして総合的に検討いたしまして、これの成果を土木工事安全施工技術指針、これは労働安全衛生法等とも整合をとりつつ定めておるわけでありますが、これのなお一層の充実に向けて検討を鋭意行っているところでございます。
  97. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そうした問題も含めまして、私はこうしたたびたびの事故を考えてみますに、やはり建設業界の下請構造というものに大きな原因があるのではないかというふうに思います。現在の建設業界は、御承知のように元請の下に下請、その下に孫請、さらにひ孫請、このように非常に重層的ないわゆる下請構造になっておりまして、その事業規模が大きくなればなるほどこの下請構造というものが複雑化していく、そういう仕組みになっているわけでございます。広島事故の大きな問題の一つに、この下請構造の問題がやはりございました。すなわち資本力も経験も技術力もない、おまけに請負ごとにだんだん単価が低くなる、こうした状況では人も集まりません。また、重労働になるというのがこの下請企業の実態でございます。そして、そこで働くいわゆる出稼ぎの作業者がいつも犠牲になる、こういう点でございます。そういう意味では、この草加の生き埋め事故松戸トンネル水没事故の犠牲者もやはり下請企業で働く出稼ぎの労働者でございます。  こうした元請・下請問題について、建設大臣はやはり交通安全特で、この事故、いわゆる広島の事故でございますが、「この事故に限らず、建設省といたしましては数多くの公共事業を所管いたしておりますし、全建設業の監督の立場にもあるわけでございまして、御指摘のような元請、下請の問題等につきましては大変重要な問題と考えております。特に建設産業というのは総合的な管理監督機能と直接施工機能が組み合わされておる総合組み立て産業でありましてこと前置きをされた上で、建設産業の生産のあり方について「建設産業における生産システム合理化指針というものを策定いたしまして、適正な施工体制の確立を目標に進めてまいりたいこのように答弁をされているわけでございます。既にこの指針もでき上がっているようでございますけれども、私は、なぜこうした指針というものがもっともっと早くできなかったのか、このような気もいたしますし、この指針が、適正ないわゆる施工体制の確立のためにどのような努力がなされておるのか、お尋ねをいたします。
  98. 伴襄

    ○伴政府委員 お尋ねの件でございますが、建設事業における適正な施工体制を確保するためにいろいろな工夫をこれまでもしてきたところでございます。特に、必要な技術者の配置というようなことで、建設業法を改正いたしまして施工体制の強化充実を図ったところでございますが、加えて、先生御指摘のように元請・下請関係は非常に重要でございますので、従来から元請下請指導要綱というのがございまして、それで安全管理が優秀な専門事業者を選ぶこととか、あるいは安全衛生教育を徹底することとかというようなことをやっておったわけでございます。  加えて、先般の広島の事故等もございましたから、そういうことも契機といたしまして従来の元請下請指導要綱を、新たに安全性の確保に寄与す一るという視点を加えまして、先生のお話のような建設産業における生産システム合理化指針というものにしたわけでございます。今それの普及指導に努めておるところでございますけれども、これが絵にかいたもちに終わらないように、合理化推進協議会というのを設けまして、元請である総合工事業者、下請である専門事業者のそれぞれの代表の方と学識経験者と行政側と入りまして、具体的な役割と責任について広く討議を行って普及に努めているところでございます。
  99. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 時間が参りましたからこの辺で終わりますが、一点だけ。  せっかく道路局長もお見えでございますので、有料道路の問題につきましては後日また道路局長といろいろと議論をいたしたいと思いますが、一点だけ。有料道路制度について総務庁が勧告を行っておりますが、この勧告を建設省としてはどのように受けとめていらっしゃるのかお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  100. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように有料道路、平成三年四月現在で七千六百キロに及んでおります。この内容は、いわゆる高速自動車国道から都市高速道路あるいは一般有料道路等を足した数字でございますが、しかも例えば平成三年度の道路事業費、地方単独を除きますいわゆる公共事業費という中では四割がこの有料道路事業でございます。したがって、私どもその事業の執行に当たりましては、いろいろな問題をそれぞれ考えながらやってきております。  今回の勧告の内容は、これら有料道路全部についてのそのあり方、事業の執行、運営の合理化あるいはサービスの提供等々について、広範囲にわたって勧告をいただいております。その内容個々につきましては従来から私どもも検討しておりましたけれども、今回の勧告を踏まえまして、必要な点については改善に一層努めるよう、関係公団に対しましても適切な指導を行ってまいる予定でございます。なお私ども、道路審議会というのがございますが、この中に有料道路部会というのを設けてございます。この中で、この今回の勧告の内容につきましても含めて、現在御審議をいただくようにお願いしております。  いずれにいたしましても、有料道路が大きな、昭和三十年代から現在の間でいろいろな意味の曲がり角に来ているような感じもいたしております。そういう中で、私どもよりよい有料道路制度の今後の展開を考えてまいりたいと思っております。
  101. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 終わります。
  102. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまでした。  次に、辻第一君。
  103. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、松戸市の国分川分水路工事での事故に関して質問をいたします。  まず最初に、この事故で亡くなられた七人の犠牲者の皆さんの御冥福をお祈りをして、質問をいたします。  最近、この松戸市の国分川分水路工事事故と、そして草加市ですか、綾瀬川事故がありました。また、先ほどお話がありましたように、広島の事故がその前にありましたね。そして昨年の一月には御徒町での陥没事故、こういう建設工事にかかわる事故が頻発しているというふうに私は考えます。  そこで、労働省にお尋ねいたしますが、建設工事による死者、この五年間の推移を伺いたい。それから、私は全産業の死者の中で建設工事にかかわる死者は約四割というふうに聞いているのですが、その点もお尋ねいたします。
  104. 大関親

    ○大関説明員 建設業における過去五年間の労働災害による死亡者は、昭和六十一年九百二十七名、昭和六十二年九百八十三名、昭和六十三年一千百六名、平成元年一千十七名、平成二年一千七十五名となっております。この間の各年の建設業における死亡者の全産業に占める割合は、四〇・〇%から四三・四%となっております。
  105. 辻第一

    ○辻(第)委員 ずっと以前に比べますと減少しているようでありますが、最近は徐々に増加しているということでございます。しかも、平均千名の方が建設工事の中での事故で亡くなっているということでございます。しかも、全産業の中で四〇%を超えるという状況でございます。私は、工事の安全、人命というものを本当に大切にしなくてはならない、その思いを一層強めているわけであります。  今度の国分川分水路の問題でも、私は九月三十日に現地で見せていただきました。多くの方々からいろいろお話も聞かしていただいたのですが、短い時間ですので端的に申しますと、一つは、なぜ建設省で言う流入防止工ですか、あれが破壊したのかという点がまず第一点。それからもう一つ連絡通報、これがなぜもっと十分にやれなかったのかな、私はそのことを一番強く考えているわけです。その他言いますと切りがないのですが、なぜあんなときに工事をしておったのかとか、あるいは工期の問題とか、言い出しますといろいろあるのです。  そこでまず、流入防止工が破壊したということであります。H鋼七本と大きな土のうによってこれがつくられておるようでありますけれども、H鋼は地中に打ち込まれていないというようなお話も聞きました。ボルトどめであったということを聞きました。そういう問題点を初めいろいろあるのですが、この流入防止工千葉県の発注だと思うのですね。その発注のとき水圧予測など発注仕様はどうであったのか、お尋ねをいたします。  それから、先ほどもいろいろ言っているのですが、今回の工事についてなぜ上流から下流へ向けて工事が進められたのか、こういう当然の声も聞きました。いずれにいたしましても、水の締め切りの点で問題があったということでございます。もともと国分川分水路工事は、洪水を防ぐという工事の性格から見て、取水口は水の出やすい場所にあるのは当然でございます。私も見てまいりましたが、これはもう本当に水のたまりやすい、出やすいところだなということを見てまいりました。そういうことで、そういう場所でございますので、取水口部分を最後に貫通をさせる、こういう考え方がなかったのか、こういうことも考えるわけでございます。  それから、あの流入防止工を、これはいわゆる静水圧、静止した水の圧力じゃなしに動いている洪水状況でありますが、動いている水圧を考慮に入れておられたのかどうか。あるいはまた、トンネル内部から支えるという考え方がなかったのか、こんなことなどもいろいろ私も感じているわけでございます。これから都市部のトンネルがどんどん行われるわけでありますから、今回の教訓を十二分に生かして、二度と再びこういうことがないように御対応いただきたい、こう考えるわけでございます。建設省にお尋ねをいたします。
  106. 近藤徹

    近藤政府委員 人命、財産を守るという、国民の安全のために基本的な社会資本整備をしている事業の中でこのような人命災害が起こったこと、まことに私どもとしても遺憾のきわみでございます。  お尋ねの国分川分水路でございますが、真間川の支川でございまして、真間川の下流というのは市川市のベッドタウンでございまして、近年浸水が大変頻発している地域でございます。これに流入する国分川松戸市域にあるわけでございますが、またここもベッドタウン化しておりまして、浸水が大変頻発している。したがって、下流の河川を拡幅することができないので、上流で分水路を建設して江戸川へ排水するという計画に基づきまして、昭和四十八年からこの事業に着手してきたわけでございます。  都市河川の中でも、近年の都市水害をいわば短期間で除去する手段としましては、用地問題等もございますので、有効な手法であろうということで、私どもこの事業促進に力を入れておったやさきにこの事故を迎えたわけでございます。したがいまして、いろいろな点で未経験な分野もあったかと存じますが、今このような事故が起こった段階で、私ども、この事故原因については、先ほどからも御説明しましたように、事故委員会を設置してその原因究明を図り、今後都市水害水害防除としては、このような計画は全国で練られると思いますので、再発防止を兼ねて治水の安全度を早期確保する手段として、この教訓をなお一層生かしていきたいと考えておるところでございます。  そこで、お尋ねの中で、この事故現場における洪水防止としては、まず上流に堤防があったわけでございますが、その堤防を越えてきた水は流入防止工で防ぐという構造でございました。この流入防止工は、おっしゃるとおりH形鋼材七本を支柱とし、その設計水位は江戸川河口の標準水位、YP八メーターとし、この水位を基準として横矢板をはめ込み、トンネルの本体にボルトでおっしゃるとおり固定して、その前方にジャンボ土のうを設置し、水の浸入を防ぐ構造としていたものでございます。なぜに打ち込まなかったかということにつきましても、このボルトで固定した設計方法が強度的に安全であれば確かにいいわけでございますが、それらがどういう設計であったのか、また、施工がどうであったのかは、これから事故委員会の究明を待ちたいと存じます。  それから、基本的には、下流から上流に向かっていけば確かに上流から水が入ってこないわけでございますから、それが一番妥当な施工方法ではなかったんではないかという御指摘で、大変ごもっともではございますが、これだけの浸水被害が頻発している地域で、早期にこのトンネル完成したいという立場、観点から、上流、中流、下流の三工区に分割して同時に施工を図ることとしてきたものでございます。この施工方法自体は、他の工事現場でも大いに採用していることでございまして、特段これだけが特別おかしいということには当たらないわけでございます。いずれにしても、松戸市の浸水被害早期に解除するために、三工区に分割したという次第でございます。  それから、取水口は水の出やすい場所にあるのだから、この部分は最後に行うべきではなかったかということで、これも先ほど御説明申し上げましたとおり、上流、中流、下流及び水門部を早期完成させたいという現場の工事の構想を練った担当者の判断だと思いますし、それに対して相応の安全策が施されているならばそれなりに妥当なものだと考えております。それから……
  107. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう時間がないので結構です。お尋ねしたいことがいっぱいあるのですが、もうあと時間が本当に限られてきているのです。本当に工期の問題もお尋ねしたいこともあるのですが、決められたら早くという格好になるのですね。なぜもっと早くしないのか、なぜもっと安全ということを考えてやらないのか、そういう点でもいろいろ問題があると思います。  それから、流入防止工の問題については、先ほど一般論ということでいろいろお話がありました。あの点につきましても、私はまだまだ疑念をたします。  最近、この松戸市の国分川分水路工事事故と、そして草加市ですか、綾瀬川事故がありました。また、先ほどお話がありましたように、広島の事故がその前にありましたね。そして昨年の一月には御徒町での陥没事故、こういう建設工事にかかわる事故が頻発しているというふうに私は考えます。  そこで、労働省にお尋ねいたしますが、建設工事による死者、この五年間の推移を伺いたい。それから、私は全産業の死者の中で建設工事にかかわる死者は約四割というふうに聞いているのですが、その点もお尋ねいたします。
  108. 大関親

    ○大関説明員 建設業における過去五年間の労働災害による死亡者は、昭和六十一年九百二十七名、昭和六十二年九百八十三名、昭和六十三年一千百六名、平成元年一千十七名、平成二年一千七十五名となっております。この間の各年の建設業における死亡者の全産業に占める割合は、四〇・〇%から四三・四%となっております。
  109. 辻第一

    ○辻(第)委員 ずっと以前に比べますと減少しているようでありますが、最近は徐々に増加しているということでございます。しかも、平均千名の方が建設工事の中での事故で亡くなっているということでございます。しかも、全産業の中で四〇%を超えるという状況でございます。私は、工事の安全、人命というものを本当に大切にしなくてはならない、その思いを一層強めているわけであります。  今度の国分川分水路の問題でも、私は九月三十日に現地で見せていただきました。多くの方々からいろいろお話も聞かしていただいたのですが、短い時間ですので端的に申しますと、一つは、なぜ建設省で言う流入防止工ですか、あれが破壊したのかという点がまず第一点。それからもう一つ連絡通報、これがなぜもっと十分にやれなかったのかな、私はそのことを一番強く考えているわけです。その他言いますと切りがないのですが、なぜあんなときに工事をしておったのかとか、あるいは工期の問題とか、言い出しますといろいろあるのです。  そこでまず、流入防止工が破壊したということであります。H鋼七本と大きな土のうによってこれがつくられておるようでありますけれども、H鋼は地中に打ち込まれていないというようなお話も聞きました。ボルトどめであったということを聞きました。そういう問題点を初めいろいろあるのですが、この流入防止工千葉県の発注だと思うのですね。その発注のとき水圧予測など発注仕様はどうであったのか、お尋ねをいたします。  それから、先ほどもいろいろ言っているのですが、今回の工事についてなぜ上流から下流へ向けて工事が進められたのか、こういう当然の声も聞きました。いずれにいたしましても、水の締め切りの点で問題があったということでございます。もともと国分川分水路工事は、洪水を防ぐという工事の性格から見て、取水口は水の出やすい場所にあるのは当然でございます。私も見てまいりましたが、これはもう本当に水のたまりやすい、出やすいところだなということを見てまいりました。そういうことで、そういう場所でございますので、取水口部分を最後に貫通をさせる、こういう考え方がなかったのか、こういうことも考えるわけでございます。  それから、あの流入防止工を、これはいわゆる静水圧、静止した水の圧力じゃなしに動いている洪水状況でありますが、動いている水圧を考慮に入れておられたのかどうか。あるいはまた、トンネル内部から支えるという考え方がなかったのか、こんなことなどもいろいろ私も感じているわけでございます。これから都市部のトンネルがどんどん行われるわけでありますから、今回の教訓を十二分に生かして、二度と再びこういうことがないように御対応いただきたい、こう考えるわけでございます。建設省にお尋ねをいたします。
  110. 近藤徹

    近藤政府委員 人命、財産を守るという、国民の安全のために基本的な社会資本整備をしている事業の中でこのような人命災害が起こったこと、まことに私どもとしても遺憾のきわみでございます。  お尋ねの国分川分水路でございますが、真間川の支川でございまして、真間川の下流というのは市川市のベッドタウンでございまして、近年浸水が大変頻発している地域でございます。これに流入する国分川松戸市域にあるわけでございますが、またここもベッドタウン化しておりまして、浸水が大変頻発している。したがって、下流の河川を拡幅することができないので、上流で分水路を建設して江戸川へ排水するという計画に基づきまして、昭和四十八年からこの事業に着手してきたわけでございます。  都市河川の中でも、近年の都市水害をいわば短期間で除去する手段としましては、用地問題等もございますので、有効な手法であろうということで、私どもこの事業促進に力を入れておったやさきにこの事故を迎えたわけでございます。したがいまして、いろいろな点で未経験な分野もあったかと存じますが、今このような事故が起こった段階で、私ども、この事故原因については、先ほどからも御説明しましたように、事故委員会を設置してその原因究明を図り、今後都市水害水害防除としては、このような計画は全国で練られると思いますので、再発防止を兼ねて治水の安全度を早期確保する手段として、この教訓をなお一層生かしていきたいと考えておるところでございます。  そこで、お尋ねの中で、この事故現場における洪水防止としては、まず上流に堤防があったわけでございますが、その堤防を越えてきた水は流入防止工で防ぐという構造でございました。この流入防止工は、おっしゃるとおりH形鋼材七本を支柱とし、その設計水位は江戸川河口の標準水位、YP八メーターとし、この水位を基準として横矢板をはめ込み、トンネルの本体にボルトでおっしゃるとおり固定して、その前方にジャンボ土のうを設置し、水の浸入を防ぐ構造としていたものでございます。なぜに打ち込まなかったかということにつきましても、このボルトで固定した設計方法が強度的に安全であれば確かにいいわけでございますが、それらがどういう設計であったのか、また、施工がどうであったのかは、これから事故委員会の究明を待ちたいと存じます。  それから、基本的には、下流から上流に向かっていけば確かに上流から水が入ってこないわけでございますから、それが一番妥当な施工方法ではなかったんではないかという御指摘で、大変ごもっともではございますが、これだけの浸水被害が頻発している地域で、早期にこのトンネル完成したいという立場、観点から、上流、中流、下流の三工区に分割して同時に施工を図ることとしてきたものでございます。この施工方法自体は、他の工事現場でも大いに採用していることでございまして、特段これだけが特別おかしいということには当たらないわけでございます。いずれにしても、松戸市の浸水被害早期に解除するために、三工区に分割したという次第でございます。  それから、取水口は水の出やすい場所にあるのだから、この部分は最後に行うべきではなかったかということで、これも先ほど御説明申し上げましたとおり、上流、中流、下流及び水門部を早期完成させたいという現場の工事の構想を練った担当者の判断だと思いますし、それに対して相応の安全策が施されているならばそれなりに妥当なものだと考えております。それから……
  111. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう時間がないので結構です。お尋ねしたいことがいっぱいあるのですが、もうあと時間が本当に限られてきているのです。本当に工期の問題もお尋ねしたいこともあるのですが、決められたら早くという格好になるのですね。なぜもっと早くしないのか、なぜもっと安全ということを考えてやらないのか、そういう点でもいろいろ問題があると思います。  それから、流入防止工の問題については、先ほど一般論ということでいろいろお話がありました。あの点につきましても、私はまだまだ疑念を持ったり私の考えを持っておるわけでありますが、またこれは後日別の機会でお話をしたいと思います。  最後に、連絡、通報のことでございますが、これは労働省にお尋ねをしたいと思います。労働安全衛生法があって、安全対策がいろいろとられていると思うのですが、今回の事故の場合は坑内電話はあったようであります。切り羽のところから百メートルのところまで電話がついておったようでありますが、これが有効に使われなかったということでございます。そのために、連絡のために坑内に入った方が犠牲になられたということでもございます。  それで、なぜ有効に機能しなかったのかということと、それから、先日も災害対策特別委員会で藤田議員が質問をいたしておるのですが、電話などの装置は法令に合致する形で設置されていたのかどうかということですね。また、設置されていても役立たなかったとすれば、設置の仕方に問題があったのではないか、こういうことを考えるわけです。いずれにしても、今後十二分の改善の余地がある、このように私は考えるのですが、いかがですか。
  112. 大関親

    ○大関説明員 労働安全衛生規則におきましては、落盤、出水、ガス爆発、火災、その他非常の場合に関係労働者にこれを速やかに知らせるため、隧道の出入り口から切り羽までの距離が百メーターに達したときにサイレン等の警報設備を、また、切り羽までの距離が五百メーターに達したときに警報設備及び通話装置を設置することを義務づけております。今回の事故につきましても、これらの設備が適切であったかどうかを含め、現在調査を進めているところでごいざいます。
  113. 辻第一

    ○辻(第)委員 安全対策、本当に人命にかかわることでもございます。かけがえない人命でございますので、十二分の対応をしていただきたい、このことをお願いをして終わります。
  114. 桜井新

    桜井委員長 次に、菅原喜重郎君。
  115. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 連発している建設工事現場人身事故に対しまして、再三るる質疑、審議されてまいりましたので、私からは事故再発防止に向けて再総合点検の上、早急に万全の対策を立てるよう強く大臣に要望して、質問に移りたいと思います。  国土庁は、七月一日時点の基準地価の結果を発表しました。全体として鎮静化傾向にあるとし、この原因として不動産関連の総量規制、地価税などの税制改正のアナウンス効果等々挙げられていますが、国土庁はなお注視が必要としています。今後、地価がどのような状況になったとき正常な地価もしくは適正価格と判断するのか。また、私は地価は収益還元地価が好ましいと思っているものではありますが、平成三年一月二十五日閣議決定した総合土地政策推進要綱によれば、「土地の収益力を示す収益価格についてもこ「公表のあり方について検討」するとしています。国土庁はこの収益価格をいつから公表するのか、あわせてお伺いします。
  116. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 平成三年の都道府県地価調査の結果につきましては、去る九月二十日に公表いたしましたので、詳しい内容は省略いたしたいと思いますけれども、私どもはその調査結果を踏まえまして、どういう状況認識をしているかということを御説明いたしますと、何回か申し上げておるとおり、大都市圏を中心にいたしまして地価は鎮静化あるいは、一部地域では低落化傾向にございますけれども、地価水準自身は依然として非常に高水準にあるという問題に加えまして、地方圏ではまだかなりの上昇を示す地域が見られるということから、なお私どもとしては、地価の状況については予断を許さない状況にあるというように認識をいたしております。このために、地価動向につきまして引き続き注視をし、土地対策推進する必要があるというように考えているところでございます。  それから、ただいま委員が御指摘になりました収益価格についてでございますけれども、引用になりました本年の一月二十五日に策定いたしました総合土地政策推進要綱、ここで土地対策の目標の一つといたしまして、地価の引き下げということで、「土地の利用価値に相応した適正な水準」、特に住宅につきましては「中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現を図る。」ということにしているところでございまして、そういう観点から、私ども地価公示あるいは都道府県地価調査とあわせまして、非常に地価が高騰するような状況のもとでは、市場におきまして土地の利用価値を超えた値づけがなされている場合が多いわけでございますので、そういう場合に、市場に対する警鐘を鳴らすという意味で、平均的な収益価格等を示すことが望ましいのではないかというように考えているところでございまして、とりあえずは本年の春に公表いたしました平成三年の土地白書でございますが、ここにおきまして一つの試みといたしまして、限られた地域ではございますけれども、収益価格の試算に関する検討状況というのをお示しいたしているところでございます。  私ども、この試算の過程におきまして幾つかの問題が出てきておるという認識をいたしておりまして、例えばいろいろ技術的に解決しなければならない課題、あるいは収益価格の試算を行うにふさわしい地域というものをどうとらえるのか、公表する地域の範囲等をどう考えるべきかという、まだ引き続き検討を要する課題というのが残っておりますので、これからも検討を深めつつ、逐次どういう形で市場に対する警鐘としての役割が果たせるかどうかというのを工夫をしていきたい、かように考えているところでございます。
  117. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにしても、公表をするという意思には変わりございませんか。
  118. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 ただいまお答えいたしましたように、まず試みとして、平成三年の土地白書で考え方等を示しております。したがいまして、これを順次私どもとしては精度を高めると申しますか、一般の方が了知できるような方法等を工夫しながら精度を高めていきたい、かように考えております。
  119. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、消費税について今回十月一日からようやく教育、入学金、水道等とともに家賃についても非課税とすることとなりました。しかし、アパート、マンション等の経営者の声の中に、十月になっても消費税は上乗せするということも聞かれます。公営住宅、公団住宅はおおむね三%引き下げとなるが、民間住宅については全く対応を民間にゆだねているわけでございます。このような状況のもとでは、家賃が非課税となったことによる恩典は民間住宅を借りていることが原因で受けることができないことになりますのでもしかし、建設省は民間賃貸住宅の何%が引き下げとなると見込んでいるのか。また、民間の賃貸住宅が消費税相当分引き下がるよう建設省も強く指導すべきであると思うが、どのような対応を建設省は考えているのか、お伺いします。
  120. 立石真

    ○立石政府委員 消費税が家賃について非課税になるのに伴いまして、その税負担の減少分については家賃に適正に反映されるようにすることが必要であろうというように考えております。その場合に、維持修繕費等につきましては消費税込みで購入し、あるいは提供を受けるわけでございますので、今回の非課税措置に伴う家賃の引き下げ方法といたしましては、事業者の実情に応じまして、まず第一には、仕入れに含まれている消費税分を加味して家賃引き下げを行う場合、第二番目の方法としましては、当面家賃を三%引き下げた上で、仕入れに含まれる消費税相当額については別途対応する場合、二つの方法があろうかと考えられるわけでございます。  このうち第一の方法の、仕入れに含まれている消費税分を加味して家賃の引き下げを行う場合でございますが、消費税込みで購入し、または——提供を受ける維持修繕費等の割合といいますのは、建物の構造であるとか設備、あるいはいつ建物を建てたのか、さらに、どれだけの修繕を実施するのか、非常に千差万別でございます。一律の値下げ率を示すということは困難であろうかと考えております。  また、民間に対する周知徹底の方法でございますが、まず、平成三年六月に関係業界と都道府県知事に対しまして建設省から通達を出しております。さらに、賃貸住宅経営者を対象に全国で七回説明会を開催してきております。また、建設省内に相談窓口を設置いたしまして、賃貸借当事者からの相談に応ずるようにしておりまして、住宅家賃の適正な取り扱いについての周知徹底を図っているところでございます。今後とも、地方公共団体等から相談状況等を調査することによりまして、実情に応じてこの措置が適正に社会にしみ渡っていくように努めてまいりたいと思っております。
  121. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、大蔵省にお伺いします。  アパート等の経営者で課税業者である者は、今まで家賃収入に対する消費税を税務署に納めていましたが、今後納税義務が免除されることになります。したがって、家賃が従来のままである場合、今までの納税すべき消費税に相当する金額が業者の収益となります。これでは新たな益税的なものを容認することになるので、税の公正、公平という観点からも問題があると思います。  大蔵省は、家賃の非課税による減税額をどの程度と予想しているか。また、この減収額のうち何%がいわゆる益税となると見込まれるか。また、消費税相当分の引き下げの実施について大蔵省としてはどのような指導を行っているのか、お伺いします。
  122. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の、住宅家賃の非課税によって幾ら減収になるかということでございますけれども、平年度ベースで申し上げますと、約一千二百億円の減収になるということでございます。  それから、この減収額のうち何%がいわゆる益税になるかという御質問でございますが、先生御質問の御趣旨は恐らく、仮に従来課税対象であって税金を払っていたものがそのままになりまして、それを引き下げをしない、税負担当額の調整をしないという場合にはどの程度のものになるか、こういう御趣旨だと思いますけれども、これにつきましては、先ほど建設省の方からお話もありましたようにいろいろなケースがございます。したがいまして、それを逐一私どもで調べるということはなかなかできませんし、不可能に近いことでございますので、今ここで幾らぐらいになるかということにつきまして御答弁申し上げることができないことを御理解いただきたいと思います。  それからさらに、大蔵省はそういった面についてどのような指導を行ってきておるかということでございますけれども、私ども大蔵省、国税庁、国税局、さらには全国五百十八の税務署を通しましていろいろな説明会、改正消費税法の説明会を催してきております。さらには、先ほど建設省からもお話がございましたいろいろな各省庁の説明会の方にも、私ども専門家を派遣いたしまして消費税の改正内容の周知徹底を図っておりまして、そういったものが一体となって、今回とられました住宅家賃の非課税措置がきちんと負担調整がなされて、消費者、いわゆる住宅を借りている方々に還元されますよう、その行方をきちっと見守っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  123. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 税の公正、公平の立場から万全の指導をお願いいたしまして、次に移ります。  先般提出された総務庁の「土地対策に関する調査結果に基づく勧告」によれば、八種類の用途地域について、「競争力の弱い住宅系の用途が駆逐されるという問題が生ずる原因となっている。」と現行の土地利用規制について指摘しているわけでございます。また、今国会で借地・借家法が改正され、借家人の間に不安も広がっております。私は、借地借家法ばかりでなく、土地利用にかかわる規制のあり方によって、住人を追い出すことにもなると考えるわけでございます。  私は、昨年の地価税を柱とする土地税制の改正のときも、税制と土地利用は有機的に結びつけて考えるべきだと主張してきました。したがって私は、借地・借家法の改正に合わせ、やはり土地利用のあり方について再検討すべきだと考えます。建設省は、建築基準法あるいは都市計画法をこのような観点に立って改正する意思はないのかどうか。また、さきの総務庁の勧告を実施するとすれば、用途地域を変更するため都市計画法、建築基準法を改正せざるを得ないのではないかと思うわけでございますが、この点についてお伺いいたします。
  124. 市川一朗

    市川政府委員 平成三年一月二十五日に総合土地政策推進要綱という形で閣議決定なされております土地政策の政府としての総合的な政策体系の中で、ただいま御指摘がございました借地・借家法の改正は、合理的な借地・借家関係の確立を図るという観点から載せられておりまして、また都市計画及び建築規制制度につきましても、土地利用計画整備充実を図るために所要の見直しを行うことが求められております。私どもの見解といたしましては、こうした借地・借家法の改正あるいは都市計画建築規制制度の見直しの指摘は、いずれも税制、金融等とあわせまして総合的な土地対策を行う一環として土地の適正かつ合理的な利用を図り、住宅宅地の供給促進に寄与するものがあるという観点からの指摘と理解しておるわけでございます。したがいまして、建設省といたしましても、現在都市計画中央審議会及び建築審議会に対しまして、都市計画あるいは建築規制制度につきまして総合的な見直しについての検討をお願いしているところでございます。  八月八日に都市計画中央審議会の部会から中間報告がなされておりますが、建築審議会におきましても逐次中間報告の形で内容がまとめて出されておるところでございます。具体的な点は多岐にわたりますので省略いたしますが、提言の中で、例えば代表的な例といたしまして、住居系の用途地域におきまして、例えば一定階以上を住居専用といたしまして、商業・業務施設の無秩序な進出を防止することによりまして、都市の中の、特に都心に近い場所での住宅の確保や供給に資する方向できめ細かな用途規制が行えるように用途地域制度を見直したらどうか。また、容積率規制を活用して土地の高度利用を促進し、その際、住宅の供給に資するものについては思い切った容積率のボーナスを提供する等の制度も創設したらどうかといったようなことも、中間報告の中で援言されておるわけでございます。  また、御指摘がございました総務庁の「土地対策に関する調査結果に基づく勧告」という中で、特に用途地域制度につきましては、用途規制が緩やかであり、一部地域において競争力の弱い住居系の用途が駆逐されるという問題が生じていることから、土地利用規制の詳細化を図るため用途地域制度の改善を図るべきであるとの指摘がなされておるところでございます。  建設省といたしましては、こういった問題に対処いたしますために、審議会の今後の審議結果を見まして、さらに検討を踏まえまして、ぜひ必要な制度の見直しを行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  125. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、土地所有の概念にまでこれは発展していかないと解決がつかないところではないかと思いますが、時間が来たので終わります。
  126. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまでした。  以上で予定された質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  127. 桜井新

    桜井委員長 次に、請願の審査に入ります。  今国会、本委員会に付託になりました請願は三十四件であります。  請願日程第一から第三十四までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の趣旨につきましては、請願文書表によりまして既に御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明聴取は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  採決いたします。  本日の請願日程中  第八次治水事業五箇年計画における大幅な事業   費の確保に関する請願一件  第八次治水事業五箇年計画推進に関する請願   一件  第八次治水事業五箇年計画策定に関する請願   一件及び  第八次治水事業五箇年計画策定計画規模の   大幅な拡大に関する請願十三件 以上の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  131. 桜井新

    桜井委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり、公園整備事業に対する補助対象率の撤廃と補助率の引き上げに関する陳情書外三十三件であります。念のため御報告いたします。      ————◇—————
  132. 桜井新

    桜井委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  第百二十回国会、吉井光照君外二名提出、住宅   基本法案  第百二十回国会、木間章君外十名提出、総合保   養地域整備法の一部を改正する法律案  建設行政基本施策に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件  建築に関する件  国土行政基本施策に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査におきまして、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  長い間、本国会開会以来、大変皆さんから熱心に御審議、御協力いただきましてありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会