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1991-09-18 第121回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成三年八月五日)(月曜日)( 午前零時現在)における本委員は、次のとおりで ある。   委員長 亀井 善之君    理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 敬夫君    理事 武部  勤君 理事 二階 俊博君    理事 柳沢 伯夫君 理事 左近 正男君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       魚住 汎英君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    坂本 剛二君       平泉  渉君    藤井 裕久君       古屋 圭司君    増子 輝彦君       宮崎 茂一君    村田 吉隆君       山村治郎君    赤松 広隆君       緒方 克陽君    小林 恒人君       関山 信之君    常松 裕志君       細川 律夫君    浅井 美幸君       草川 昭三君    佐藤 祐弘君       高木 義明君 ————————————————————— 平成三年九月十八日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 亀井 善之君    理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 敬夫君    理事 武部  勤君 理事 二階 俊博君    理事 柳沢 伯夫君 理事 左近 正男君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       魚住 汎英君    坂本 剛二君       平泉  渉君    藤井 裕久君       増子 輝彦君    宮崎 茂一君       村田 吉隆君    山下 元利君       山村治郎君    赤松 広隆君       緒方 克陽君    小林 恒人君       佐藤 泰介君    常松 裕志君       細川 律夫君    山元  勉君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村岡 兼造君  出席政府委員         運輸大臣官房総         務審議官    土坂 泰敏君         兼貨物流通本部         長         運輸省運輸政策 大塚 秀夫君         局長         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         運輸省自動車交         通局技術安全部 堀込 徳年君         長         運輸省海上技術 戸田 邦司君         安全局長         運輸省海上技術 金子 史生君         安全局船員部長         運輸省港湾局長 上村 正明君         運輸省航空局長 松尾 道彦君         海上保安庁次長 小和田 統君  委員外出席者         警察庁交通局交 人見 信男君         通指導課長        、環境庁大気保全         局企画課交通公 斉藤 照夫君         害対策室長         労働省労働基準         局賃金時間部企 君嶋 護男君         画室長         建設省道路局道 山口  均君         路交通管理課長         運輸委員会調査 長岡日出雄君         室長     ————————————— 委員の異動 九月十三日  辞任         補欠選任   魚住 汎英君     中谷  元君   坂本 剛二君     簗瀬  進君   藤井 裕久君     坂井 隆憲君   古屋 圭司君     宮路 和明君   高木 義明君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   坂井 隆憲君     藤井 裕久君   中谷  元君     魚住 汎英君   宮路 和明君     古屋 圭司君   簗瀬  進君     坂本 剛二君   川端 達夫君     高木 義明君 同月十八日  辞任         補欠選任   藤井 裕久君     山下 元利君   赤松 広隆君     佐藤 泰介君   関山 信之君     山元  勉君   佐藤 祐弘君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   山下 元利君     藤井 裕久君   佐藤 泰介君     赤松 広隆君   山元  勉君     関山 信之君   辻  第一君     佐藤 祐弘君     ————————————— 八月五日  海上保安庁留置施設に関する法律案内閣提  出、第百二十回国会閣法第八九号) 九月九日  身体障害者に対する旅客運賃割引距離制限の  撤廃に関する請願(岩垂寿喜男君紹介)(第九  〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件      ————◇—————
  2. 亀井善之

    亀井委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀井善之

    亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  4. 亀井善之

    亀井委員長 陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下元利君。
  5. 山下元利

    山下(元)委員 本日この運輸委員会におきまして、去る五月十四日の、我が地元でありますけれども信楽高原鉄道事故につきまして御質問申し上げる機会をいただきまして、ありがとうございました。  まずもってその事故によってお亡くなりになりました方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、御遺族皆様に衷心よりお悔やみを申し上げるものでございます。先般の運輸委員会におきましても、委員長から皆様に黙祷をしていただきましたのですが、本当に我々心から感銘したものでございます。また、おけがをされた方々につきましても、一日も早い御回復をお祈り申し上げる次第でございます。  そして、今回の事故は予想もしなかった、そしてまた近来まれに見る大事故となったわけでございますが、その事故発生後、地元皆さん方におかれましては事故に対するさまざまの応急措置等に迅速に対応していただきまして、改めて心から感謝申し上げるものでございます。  きょう私は運輸大臣を初め皆さんに御質問申し上げたいと思いますけれども、まずもちまして村岡運輸大臣、それから運輸委員長、各委員におかれましては、当時事故発生後直ちに現地においでいただきまして、大臣などは夜半、早朝に至りますまで御苦労願って、そして指揮をおとりいただいた、現地でも大変感激いたしておりましたわけですが、そうした中で適切な措置を講じていただきましたことに改めて深くお礼申し上げるものでございます。  ところで、本日私はこの問題につきまして、事故原因調査、それから補償交渉運行再開等の残された重要な課題についてまずお願いいたしたいことは、最大限の御努力と御協力をお願い申し上げたいのでありますが、特に事故発生以来今まで皆さんの足であったこの信楽線が今のような状態になっているわけですが、いよいよ冬も近くなってまいりました。事故発生後四カ月を経まして、その間高校生や、また中学、小学校の学童、生徒たち代替輸送で、バス等で非常に不自由な日を送っておられるわけでございますけれども信楽土地柄といたしまして、冬が参りますと凍結等がございましてその交通事情が非常に心配されるわけでございます。  そうした中で、どうしてもこの運行再開していただきたいという地元の熱烈な要望がございます。信楽というところは滋賀県の最南端の山間に位置しておりますために、そこから町外へ出る場合、通勤通学の足としては欠かすことのできないものでありまして、特に冬の寒冷期においてはどうしても欠くことのできない輸送機関であるわけでございます。そうした関係で、一日も早い再開をお願いいたしたいのでありますけれども、それ以上に大事なことは、やはり亡くなられた方々あるいはおけがをされた方々に対する補償の問題、またそれに先立つ事故原因究明ということをどうしてもいたさねばなりません。そうした中で、私どもは一日も早く再開していただくことをお願いいたしたいのでございます。そこで、順序といたしまして、まず事故原因調査についてお伺いし、その後補償交渉についてお伺いし、最後に運行再開等の問題についてお伺いいたしたいと思う次第でございます。  まず第一に、事故原因調査でありますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、この大事故発生いたしましてから早くも四カ月を経過したのでございますが、事故原因調査ということ、これは非常に大事なことでありますけれども、その進捗状況は現在どのようになっておるか、また今後の原因究明見通し等についてまずお尋ねいたしたいと思います。
  6. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます前に、一言だけ申し上げたいことがございます。  事故発生からちょうど四カ月がたちまして、私ども、当時の悲惨な事故の現場に行きまして、そのときも心を新たにしたのでございますが、ただいまも、その後この種の事故発生が二度とない。ように心を引き締めまして努力しているところでございますので、またよろしく御指導をいただきたいと思います。  そこで、今先生から事故原因調査進捗状況等についてお尋ねがございましたけれども、私ども事故発生直後の五月十七日、十八日に信楽JR西日本両方に対します保安監査を実施いたしまして、その後も時期に応じまして数回原因究明のための調査をやり、あるいは関係者から意見を聞いております。その調査結果によりますと、非常に粗い言い方でございますが、やはり異常時におきまして運転取り扱いの点でどうも不適切な点があったのではないかというふうに推測しております。それからもう一つ、今回の事故ではどうも信号機が正常に動いていなかったのではないかという疑いもございますので、私どもの部内に学識経験者等から成ります信号保安システムに関する調査検討会というようなものを設けまして、信号保安システム作動状況等調査検討を進めておるところでございます。  今後、この委員会中心といたしまして、異常時の運転取り扱いの問題を含め、信号システムが果たして性能どおりに動いていたかどうか等を含めました詳細な調査を行うべく今計画を立てておりまして、そのようなことを含めまして事実関係確認を行っていきたいと思っているところでございます。
  7. 山下元利

    山下(元)委員 今お話を伺いましたが、私どもは、このような事故はもう二度とあってはならない、再びあってはならないと考えるわけでございます。今御答弁いただいたけれども運輸省では事故再発防止対策につきましていろいろとお考え願ったというふうに聞いておりますけれども、具体的な措置についてお話を伺いたいと思います。
  8. 井山嗣夫

    井山政府委員 事故再発防止対策につきましては、この事故の直後に運輸省内に信楽高原鉄道事故対策本部というものを設けまして、これは大臣を長といたします本部でございますが、ここで事故直後に決定をしております。その一つに、全国に単線区間を有する百三十三の鉄道会社がございますが、これに緊急自主点検を指示いたしました。それから、特に第三セクター中心としまして一部の事業者につきましては、運輸局が直接立ち入りまして総点検の結果の確認と必要な指導を行っております。これらにつきましては七月の末までにほぼ完了しておりまして、その結果を取りまとめましたところ、その百三十三の会社で特に大きな問題はなかったというふうに把握しております。  ただ、そういう調査の結果でございますので、さらに一層安全の確保を図らなければならないということでございますので、この監査結果から、特に異常時の運転取り扱いに関しまして。具体的な作業手順、マニュアルと言っておりますが、これをもう少しわかりやすいものに整備するということ、それなら計画的に職員教育をしてもらわなきゃいかぬということ、それから乗り入れ事業者合同訓練、こういう異常時のときの合同訓練などについても徹底を図るよう、これは八月二十日でございますが通達で指示をしておりまして、事故再発防止に努めようということでやっておるところでございます。
  9. 山下元利

    山下(元)委員 事故再発防止のために原因究明にさらに御努力願いたいと思います。  ところで、私は補償問題についてこれからお伺いいたしたいと思いますけれども、今回の事故は四十二名のとうとい犠牲者、お亡くなりになった方四十二名、それからまた重軽傷等負傷された方は六百人を超える、本当にもう大きな事故でございました。したがいまして、今後被災者補償ということはできるだけ早くいたさねばなりませんし、また極めて大きな問題でございます。この解決については、運輸省の御指導により、もう県、信楽高原鉄道JR西日本、それぞれはこれに当たっていただいているようでございますけれども、非常に重大な問題でございますので、その補償についての運輸省の御指導なりそしてまた補償の現状、なかなか数多い方々が対象でございますために交渉も難しい面があると思います。そうしたことをお伺いしたいと思いますが、補償という大事な仕事でございますので、これについての運輸省の御指導なりまたその進捗状況についてお伺いしたいと思います。
  10. 井山嗣夫

    井山政府委員 御被災者補償につきましては非常に大事な問題でございまして、私どもも五月十五日に省内の先ほど申しました信楽高原鉄道事故対策本部におきましてある点を決めております。それは「亡くなられた方及び怪我をされた方に対する補償については、誠意をもって当たるよう関係者十分指導をする。」こういう決定をいたしました。そこで直ちに、五月十七日でございますが、滋賀県に対しまして被災者救済に全力を挙げて取り組むようお願いを申し上げました。これに対しまして滋賀県知事を初め皆さんも、本件については誠意を持って、県が責任を持って対応いたしますということをおっしゃっていただいておりまして、早速具体的な動きが始まったわけでございます。それから、JR西日本に対しましても、やはり関係者の一人でございますので可能な範囲でとにかく協力するようということを要請いたしました。JR西日本もわかっておりますということで協力を約束していただいております。  その後、被災者救済等に的確に対応するという趣旨で、五月二十九日に信楽高原鉄道、それから滋賀県、信楽町、それからJR西日本の四者によりまして信楽高原鉄道事故対策者協議会というものをつくりまして、補償に関しましてはこの四者協責任を持って当たるということに決定しているわけでございます。具体的には、今までに三回ほど協議会が開催されているところでございます。  それで、この協議会決定等に基づきまして補償問題が今どういうような進捗を見ているかということでございますが、一応窓口といたしまして信楽高原鉄道JR西日本が六月十七日に合同信楽高原鉄道事故被災者相談室という組織を設けております。これは責任分担の問題いろいろございますので両方が平等に窓口となるという趣旨でやっておるところでございますが、これを事務所を大津大阪の二カ所に設けまして、七月の初め、ちょうど四十九日の過ぎたころからでございますが、本格的に交渉を始めているところでございまして、現在、誠心誠意交渉を重ねていると聞いておるところでございます。  そのご被災者相談室体制でございますけれども信楽高原鉄道側といたしましては、これは主として滋賀県からの御出向の方が中心となっておりますが、二十名の方が出ておられます。それからJR西日本の方からは社員が五十八名出ておりまして、合わせまして七十八名の体制で、この七十八名が大津大阪の二カ所に分かれまして、そこを根拠といたしまして御被災者の方を訪問いたしまして交渉を始めているところでございます。  これまでの状況といたしましては、お亡くなりになった方が四十二名いらっしゃいますが、そのうち四十名の御遺族にお会いいたしましてお話を始めさせていただいているところでございます。それから負傷者が六百十四名、その後御本人の申し出もありまして負傷者が若干ふえておりますが、六百十四名のうち今日まで百九十名の方と一応示談が成立しているところでございます。  それからもう一つ、これはついででございますので申し上げますが、その当時、いわゆる責任保険と申しましたか、事故があったときに保険をどうするかという問題がございました。御承知のとおり、中小民鉄といいますのは非常に経営基盤が弱いし、それから運送量から見てもそれほど大きな額の保険は要らないのじゃないかというようなことを判断いたしまして、各社とも二億、三億あるいは十億程度の保険にしか実は個別に入っておりませんでした。信楽高原鉄道も実は、たしか三億円と記憶しておりますが、それを限度とする保険に入っておりました。ところが、こういう大きな事故を起こしますとそれではとても足りないということで、私どもの方で、運輸省で若干音頭をとりまして、新たな保険制度をつくろうではないかということでいろいろ検討をいたしました。その結果、これは損保会社協力も得まして、七月一日からでございますが、鉄道事故賠償責任団体保険という保険制度をつくりまして、これに皆さん加入してくださいということで推奨をいたしました。  この保険によりますと、一つ事故発生しました場合の損害賠償てん補限度額が五十億円でございます。それから一人当たりの損害賠償てん補限度額は、普通は五千万とか三千万とか限度があるのでございますが、この保険に関しましては無制限ということでセットいたしまして、この団体保険中小それから第三セクター鉄道に推奨いたしました。その結果、第三セクターの三十五社が全社、それから中小民鉄の五十六社も全社、これが加入しておりまして、こういう意味では、信楽高原鉄道事故には実は間に合わなかったのでございますが、今後何か不幸にしてありましたときにはこれをもって対応できると思っております。  以上でございます。
  11. 山下元利

    山下(元)委員 ちょっと今聞き漏らしましてお尋ねしますが、負傷者六百名のうち何人の方と示談が成立したのですか。
  12. 井山嗣夫

    井山政府委員 六百十四名の負傷者の方がいらっしゃいましたが、そのうち百九十名でございます。
  13. 山下元利

    山下(元)委員 大分その示談が進んでいるようにうかがわれます。また、保険システム導入等についても、これは今度の場合には間に合わないのですけれども、今後の問題としてでも大変結構なことだと思います。  ところで、今お話しいただきましたように、原因究明中であり、また補償交渉を今進めておられる最中でありますが、これはぜひとも進めていただきたい。そういう御遺族方々心情を思いますときに、我々はもう四カ月たったと言いますけれども、御遺族方々の中にはまだ四カ月しかたっていないという心境の方もおいでになると思います。その心境、御心情を思いますときに、信楽方々も非常につらい思いをされていると思いますけれども、私どももそう思いますが、ただ、冒頭申しましたように、いよいよ冬場が近づいてまいります。そしてまた、通勤通学の足を確保する、特に信楽は、その地形からいいましてもどうしても鉄道が必要なところでございますから、したがって信楽高原鉄道信楽歴史そのものと言ってもいいぐらいの性格が持っておるわけでございます。特にまた、この前も新聞の写真を見ましたら、地元小学校生徒さんがバスに乗って通学しておられるのですね。そういうのを見ますと、お子さん方はもちろん、その親御さんたちも一日も早くこの鉄道運行してほしいというお気持ちも、これは私は切なるものがあると存じます。  したがいまして、ぜひともきょうは、後ほど大臣にもお伺いしたいと思いますが、その再開につきましてはやはり各関係方面からのいろいろな支援が必要であると思いますが、そうした点について具体的にどうなっているのかお伺いいたしたいと思います。
  14. 井山嗣夫

    井山政府委員 ただいま御質問の運行再開の問題でございますが、これにつきましては、信楽高原鉄道滋賀県の方から私ども運輸省に対しまして、やはり再開をぜひいたしたい、それから、ついては再開のためにはやはり技術的な問題もございますのでJR西日本から全面的な協力を得たいというお申し出がございました。私どももそれはそうだろうということで、直ちにJR西日本に対しまして信楽高原鉄道運行再開のために必要な支援を行うよう指導しました。  JR西日本といたしましても、これらの要請あるいは指導を受けまして、運行再開に向けて信楽高原鉄道体制強化を図るということで、既に、九月二日でございますが、運行保安面技術専門家二名を派遣いたしました。その二名のうち一名は、いわゆる総括責任者ということで、技術面の、運行面責任者ということでございます。この二名を中心といたしまして、信楽高原鉄道側といたしましてはその本社内に運行再開準備室というものを設けまして、今具体的にどういう手順でやっていくか、それから、再開するためにはどういう問題点があるかという洗い出しをやっております。それから、運輸省指導に基づきまして、JR西日本におきましても側面から同信楽鉄道に対しまして運行再開に当たりまして必要な技術的援助等をやるということで、まあ一種のコンサルティングでございますが、これをやっておるところでございます。
  15. 山下元利

    山下(元)委員 今の御答弁も伺いましたが、やはり運行再開に当たってはこのような本当に悲惨な事故を二度と繰り返さないということが大事でございまして、そのためには何よりも安全運行体制を確立していただいて、それで運行していただくということでなければならぬと思います。そのためにはいろいろな改良工事とか、あるいは教育訓練徹底する必要がありまして、我々としても安全運行という体制をきちんとしていただきたいと思いますが、具体的なスケジュールについてお伺いしたいと思います。
  16. 井山嗣夫

    井山政府委員 信楽高原側の具体的なスケジュール等は今まだ検討中と聞いておりますけれども、私ども考えますところ、運行再開に当たりましては、先生今御指摘のように、まず安全の確保ということを第一に考えなさやいかぬと思います。  そのために、具体的には列車の運転運行に当たりまして指揮命令系統をきちんとしておかなきゃいかぬ、今回の事故はこの辺が若干問題があったのではないかと推察しております。それから運転士さんが亡くなっておられる方が何人かいらっしゃいますので、この方の補充、それから職員皆さん教育訓練徹底ということを、再教育といいましょうか、これをやっていただかなきゃいかぬのじゃないかと思っております。それから、車両が大分壊れておりますのでこれを直すことと、JR西日本人たち点検いたしましたところ、線路がかなり補修が要るのではないかということがございます。それから、信号関係設備につきましても、従来のような運行ではやはりいろいろ問題があるかということで、この信号関係設備の変更の工事というものも必要じゃないかというふうに考えております。これらにつきましては、一部は運輸局へのいろいろな許認可の手続、届け出の手続も必要でございます。  信楽高原鉄道側では、これらの具体的な事柄につきましてはJR西日本協力を得まして今後準備を進めていくわけでございますけれども、これらの工事を。いろいろやっていく過程で一つ問題点がございます。それは、滋賀県警が今差し押さえをしていらっしゃいます。間もなく解除になるのではないかと期待しておりますが、この差し押さえの解除がありませんと軌道とか信号設備等の地上設備をいじることができないわけでございまして、そこら辺が一つ問題点でございます。それからもう一つは、それらが解除されまして工事が終わりました後には、今度は新しく任命される運転士さんに対しまして、いわゆる実車訓練といいますが、ハンドルを持って具体的に線路を走ってもらうという訓練を相当期間行わなきゃいけない、こういうスケジュールになるわけでございます。  したがいまして、運輸省といたしましても、安全運行確保することが大前提でございますが、可能な限り地元皆さんの御要望にこたえられますように指導もいたしますし、それから諸手続を迅速にやるというようなことで、あるいはJRに十分に協力をしろという指導をするというようなことで、積極的に協力してまいりたいと考えておりますので、また御指導等よろしくお願いいたします。
  17. 山下元利

    山下(元)委員 ただいま局長から伺いまして、私ども大変心強く思っておる次第でございます。今までお伺いしたところによりますと、運輸省滋賀県、そしてまたJR西日本、いずれも運行再開に積極的に取り組んでいただいておりまして、心強い限りでございます。  繰り返すようでございますけれども信楽高原鉄道を一日も早く再開していただきたいというこの思いは、私ども先ほど申し上げたとおりでありますけれども、今いろいろ局長からの御答弁を聞きましてまことに心強く思った次第でございますので、今のお答えの点につきましてさらに積極的に進めていただきますとともに、大きな課題でございますので、最後に運輸大臣から、先ほど来お願いしておりますところの運行再開につきまして、今まで既に大臣から十分な御指導をいただいていることだと思いますけれども、どうぞひとつ御決意のほどをお聞かせ願いまして、私は質問を終わらせていただきたいと思います。
  18. 村岡兼造

    村岡国務大臣 信楽鉄道事故に際しましては、あのような考えてもみなかった悲惨な事故発生いたしました。私も事故発生当時、あるいは合同慰霊祭に参りまして、いろいろ実情も把握してまいりました。二度とこのような事故が起きないように、全国の単線あるいは第三セクター指導しているところでございます。  滋賀県の知事さんや県議会あるいは国会の先生方、この信楽鉄道再開について何遍も参りまして、今度冬季に入りますし、通学の学生等の実情も十分承知をいたしております。局長から再開に向けてのいろいろなお話が先ほどございましたが、運行に当たりまして、二度とあのような事故を起こさないようなことに十分に気をつけなければいけない、こう思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、地元の御要望も十分承知をいたしておりまして、一日も早く運行再開が実現するように関係者指導して積極的に協力してまいりたい、こう思っております。  以上であります。
  19. 山下元利

    山下(元)委員 ありがとうございました。大変力強い御決意のほどを伺いまして、これで終わりますけれども、もう冬はすぐそばでございます。どうぞひとつ先ほど来申し上げたところを十分御了察願いまして、一日も早い再開のほどを重ねてお願いいたします。  私の質問を終わります。ありがとうございました。
  20. 亀井善之

    亀井委員長 坂本剛二君。
  21. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 当委員会初めての質問でございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。  空港と港湾について若干質問をしていきたいと思います。時間が余りありませんので、ひとつ簡潔明瞭な御答弁をよろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、空港関係についてお伺いいたします。  第六次空港整備五カ年計画の事業規模として三兆一千九百億円が決まっているわけでございますが、その策定状況、また地方空港の整備に係る運輸省の基本方針等についてお伺いをいたします。
  22. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生から御指摘のとおり、第六次の五カ年計画の投資規模、本年の三月に閣議了解いただいたわけでございますが、私どもは昨年八月に航空審議会から中間取りまとめをいただいたところでございますので、この線に沿いまして具体的な内容を現在検討中でございます。本年秋ごろには再度航空審議会の御審議をいただきまして、また関係省庁と十分調整を図った上で五カ年計画の閣議決定を行う手はずになっております。  また、御指摘の地方空港の問題でございますが、地域振興の立場もございまして、また交通基盤整備というふうな立場から、当五カ年計画におきましても、この航空審議会の答申の線に従って、今後航空需要の増大に対応した機材の大型化あるいはジェット化のための整備、また地方拠点空港のより一層の活用を図るためのターミナル地域の整備、さらには空港の新設、地方空港への国際定期便の就航に対応した施設整備等を進めまして、国内・国際航空ネットワークの一層の充実整備を図ってまいりたい、このように考えております。
  23. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 今後の国土政策といいますか、いわゆる四全総に基づきます一極集中の排除とかあるいは多極分散型国土の形成、こういうものを実現していくために、これから運輸省責任、使命はまことに重大じゃないかな、こう考えておるわけでございます。  その中で、陸海空の交通分野において、特に今後航空による輸送ということが非常に大事だ、こう実は思っておるわけでございます、  こういう状況のときに、ただいま現在福島空港が平成五年春の開港を目指しまして建設が順調に進んでいると聞いております。大変喜ばしいことと思っております。ただいまの局長の答弁では、計画の策定に当たっては需要動向を基本としてという考えもお聞きしたわけでございますが、福島空港の今後のことを考えますと、笑六次空港整備計画では二千メートルを二千五百メートルの滑走路にという地元の要望が実は大変強いわけでございます。これについて運輸省の見解、見通し等についてお伺いをいたします。
  24. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 福島空港でございますが、今先生御指摘のとおり、二千メートルの滑走路の新設につきまして地元の御協力をいただいて着々準備を進めておりまして、財政当局の御協力をいただきながら平成四年度予算で大体完了する予定になっております。  また、引き続きまして今二千五百への延長の問題でございますが、これは各地方からたくさんの新設空港につきまして、あるいは滑走路延長につきまして御要望いただいているわけでございますが、先ほどの航空審議会の中間取りまとめに基づく地方空港の整備の基本的な方策がございますので、個別空港の扱いについては今後鋭意検討してまいりたいと思っております。  当福島空港の延長問題でございますが、特に地元に強い御要望があることは私ども十分認識をしているわけでございまして、その実現に向けましての地元の熱意も強く感じておりますので、これらの計画策定の最終局面におきましていろいろな問題を踏まえて十分検討してまいりたい、このように考えております。
  25. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ぜひ二千五百メートルの実現を重ねて御要望申し上げておきます。  次に、福島空港の役割についてお伺いいたします。  予測されるところでは、この福島空港の場合、北関東近県のニーズが非常に高まってくるんじゃないかな、期待感が出てくるんじゃないかと思っております。さらに、将来の地域間交流の進展に伴うところの国内旅客あるいは貨物需要の増大が大変期待されておるわけでございます。首都圏の国際航空貨物需要あるいは北関東の国際旅客需要等々への対応の面で、実はこの福島空港は成田空港の補完的機能を果たすことが期待されるところでありますが、運輸省といたしましてはどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
  26. 村岡兼造

    村岡国務大臣 福島空港につきましては、ことしのたしか春、四月ごろでございましたが、建設工事中の現場を視察いたしました。地元では反対等もなく順調に工事が進んでいるようでございますが、今お尋ねの福島空港の役割につきましては、まず第三種空港として福島県を中心とする地域と全国各地との間の航空旅客及び貨物需要に対応することが期待され、これは、航空審議会の中間取りまとめにおいて、従来の東京、大阪中心とする二極構造のネットワークに加えまして、地方空港と新千歳、福岡等の地方拠点空港を結ぶ路線の充実等によりましてネットワークの多様化を図るとされているものに対応するものであります。  また、首都圏の国際航空貨物需要への対応につきましては、同じく中間取りまとめにおきまして、対応策の一つとして成田空港の補完的役割を果たし得るような周辺空港の活用について検討することとされております。貨物は、コスト、所要時間等によって経済原則で動くものでありまして、簡単にはここで論じられないのでございますが、一方、福島空港は首都圏に比較的近接いたしておりまして、高速道路で結ばれるなど、その立地条件を見るならば、将来成田空港の補完的役割を果たすことも考えられまして、開港後の需要動向を踏まえて検討していく必要があると考えております。さらに、国際旅客につきましても、地域の国際化の進展に応じ国際線の就航等が期待されるものと考えております。  以上であります。
  27. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 続いて、港湾関係について質問をいたします、  二十一世紀に向けて国際化、情報化、都市化の進展など成熟化社会への道を歩んでおりますけれども、我が国にありましては、港湾も経済社会情勢の変化に柔軟に対応していく必要があるんじゃないかと考えております。  こうした中で、現在策定中と聞いております第八次港湾整備五カ年計画について、その目標と現在の策定状況についてお伺いをいたしますひ
  28. 上村正明

    ○上村政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、先ほど先生が御指摘になりましたような観点から、二十一世紀を目指した豊かなウオーターフロントづくりを目標に第八次港湾整備五カ年計画を策定することとしております。  既に本年三月には、この五カ年計画が平成三年度からスタートすることとその投資規模を閣議了解されております。投資総額は五兆七千億円でございまして、このうち港湾整備事業には三兆五千九百億円を充てることとされております。現在、全国の港湾管理者の要望を踏まえながら施設整備の目標と規模につきまして具体的な詰めを行っているところでございます。  今後、遅くともこの十一月には五カ年計画を閣議決定していただくことを目標に所要の手続を進めていくこととしております。どうぞよろしくお願いいたします。
  29. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 さきにも述べましたが、現在、福島空港が平成五年に開港が予定されております。さらに、いわき—新潟間の磐越自動車道路が平成七年に福島県を横断するような形で全線開通、供用開始が予定されております。  そこでお伺いいたしますけれども、こういう道路と飛行場の連係を考えながら、空港、道路と一体とした小名浜港の整備が今後必要である、こう考えるわけでございますが、同港の将来計画については一体どのようになっておるのか、また、今後の整備の進め方をどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
  30. 上村正明

    ○上村政府委員 お答えします。  先生が御指摘になりましたように、小名浜港背後の高速交通体系が整備されることによりまして、福島県の産業集積地でございます郡山地区や県都福島の発展が見込まれるところでございますし、それとあわせまして、これらの地域と小名浜港が直結されるということにもなるわけでございます。したがいまして、小名浜港は、従来の工業港としての性格、この性格を持った港として発展することはもとよりでございますが、今後は、広域的な流通港湾としてもその発展が期待されているところでございます。  運輸省といたしましては、このような小名浜港の性格の変化に対しまして、沖合人工島方式で東港を建設することで対応しようとしております。今次五カ年計画の期間中におきましてできれば建設に着手したい、このように考えているところでございます。
  31. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ただいまの局長の答弁、大変前向きにお聞きいたしました。ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。  実は、小名浜港は現在までは非常に工業的な色彩で港の整備が行われてきたわけでございます。その結果、市民と港が疎遠になってしまったという、そういう現象もまた一面であらわれておるわけでございます。  今、我が国社会は、間もなく来年度から公務員の週休二日制が実現しようとしております。そう遠くない近い将来に学校の五日制というものもまた実現されてまいります。そうすると、我が国の場合はいわゆる余暇をいかに人間らしく充実した過ごし方をするかというのが実は大きなテーマになってくるものと考えられるわけでありますが、そんな中で、豊かなウオーターフロントの整備といいますか、そういう面でこの小名浜港もこれからとらえていただきたいな、いわゆる国民が水に親しむことのできる港のあり方、市民と港とのかかわりのある、またロマンのある港の整備がぜひとも必要になってくるのではないかなと思いますけれども、その辺の考え方といいますか、見通しについてお伺いいたします。
  32. 上村正明

    ○上村政府委員 先生御指摘の豊かなウオーターフロントづくりといたしましては、既に小名浜港では、その一環としまして、大剣地区におきまして海洋性レクリエーション基地としてのマリーナの整備を進めております。このマリーナは平成七年に開催が決まっております国体のヨットレースの会場としても利用されることになっておりますので、それまでに間に合うように整備を進めてまいりたいと考えております。  また、このほかに、小名浜港の中で市民が港や旅客船、ヨットを見ながら交歓できる施設、あるいは海辺までおりていきまして海水に手足を浸すことができるような親水型の護岸を持った緑地等の整備も必要ではないかと考えているところでございます。このために、小名浜港の一番奥にあり既に老朽化、陳腐化しております一号埠頭、二号埠頭地区を対象に、今年度と来年度にわたりましてポートルネッサンス調査を行いまして、その再開発の方向を具体化することとしております。  私どもといたしましては、その調査の結果を踏まえて、小名浜港の地理的、歴史的特性を生かし、市民に親しまれる個性豊かな、先生の宣言葉をかりますと、ロマンに満ちた港にしようという計画ができることを期待しております。また、その計画ができ上がり次第、順次具体化するように努めてまいりたいと思っております。
  33. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 どうも大変すばらしい御答弁、ありがとうございました。ぜひよろしくお願い申し上げます。
  34. 亀井善之

  35. 村田吉隆

    村田(吉)委員 自由民主党の村田吉隆でございます。本日は、坂本先生に続きまして、私も初めての運輸委員会での質問でございます。  まず初めに、大臣に厚く御礼を申し上げたいと思うわけでありますけれども、九月の十二日に精薄者に対する運賃割引制度の適用について発表をしていただきまして、本年の十二月の一日からこうした制度が精薄者の皆さん方に適用される運びとなりました。この問題については十数年来の懸案でございまして、精薄者をお持ちになられております親御さんを初めとして、大変な強い熱望でございましたけれども大臣のお骨折りのおかげでもって実施の運びとなったわけでございまして、私もこの問題に対して一生懸命努力をしてきた人間の一人として、ありがたく、深く感謝を申し上げたいと思っているわけでございます。  大臣にまず御礼を申し上げるとともに、この問題についての大臣の改めての御見解をお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  36. 村岡兼造

    村岡国務大臣 本問題につきましては、かねてから国会審議等を通じ、その導入を強く要請されてきたところであります。私といたしましても、早期実施を実現するため、交通事業者並びに厚生省等関係方面との調整を進めさせてまいりました。その結果、去る九月の十一日に、JR、大手民鉄、航空各社から申請が出されまして、この九月二十日に認可する予定でありまして、十二月一日から実施できる見通しとなりました。なお、これ以外に、バス、旅客船等の他の事業者についても、十一月末までに申請、認可を済ませまして、同時に実施できる見通してあります。  今までの先生方の御協力、私からも御礼を申し上げたい、こう思っております。  以上であります。
  37. 村田吉隆

    村田(吉)委員 大変ありがとうございました。精薄者の方々の社会参加という意味でこの制度の適用がいかほど朗報となったかということは、関係者の喜びの電話が入ってくる状況を見てもわかるわけでございまして、大臣のお骨折りに対しまして厚く御礼を申し上げたいと思います。  本日の本題に入らせていただきます。  「国際化時代における外航海運のあり方について」という運輸政策審議会の答申ですか、出されましたけれども、外航船舶の乗組員というのは、労働市場の国際化という面におきましてその最前線に立っているわけでございますが、昨今の状況を見ますと、日本人の船員が非常に少なくなっているという状況が見受けられるわけでございます。  まず第一に、そういう外航船舶における船員の状況が今どのようになっているか、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  38. 金子史生

    ○金子(史)政府委員 我が国の日本人外航船員数は近年著しく減少してきておりまして、その数は、十年前と比較いたしますと、昭和五十六年でございますが、三万七千名おったわけでございますが、それが平成二年には一万人余りということで激減いたしております。  これはいろいろ、船員費が高いとか、そういった国際競争力の面から減少が急激に起きているというふうに理解いたしております。
  39. 村田吉隆

    村田(吉)委員 ところで、先ごろの中東戦争のときも、たしか中東戦争のさなかにおきまして、多国籍軍の建築資材とかあるいは生活関連の物資を送るために日本船舶に非常に危ない中を御協力をいただいたという経緯があろわけでありまして、そういった、これから国際協力という観点からも国会でも審議がなされるわけでありますけれども、かつて名をはせた日本の外航船舶といいますか、海運からそういった日本人乗組員がだんだん減少していくという状況においては、どんな状況が出てくるのか。端的に言いまして、日本人の乗組員が乗っている日本船舶でなければ先ほど言ったような協力も依頼できにくかろうという点があるわけでございますけれども、外航船舶における日本人乗組員の減少といった状況においてはどういう問題点が生じてくるのか、ちょっとお答え願いたいと思うわけであります。
  40. 金子史生

    ○金子(史)政府委員 ただいま村田先生から御指摘ございましたように、昨年の湾岸戦争のときに運輸省から船主協会と全日海、全日本海員組合の方に輸送協力の依頼をいたしましたところ、お引き受けいただきまして、日本人船員の乗り組む日本船舶でもって輸送協力が行われたわけでございます。そこで、そういったような状況下において、危機的な状況において、やはり日本人船員による日本船舶というのが。非常に大きな役割を果たしたことは事実でございます。  それからまた、御承知のように、日本の貿易額の八割以上を占める海外からの重要物資の安定輸送というのに外航船舶は大きく貢献しておるわけでございます。そういった外航海運におきまして、船舶の管理とか運航技術の維持とか、それから近年、外国人船員との混乗というのが進んできておりますが、そういった外国人船員の指導監督、こういった面から日本人船員の果たす役割というのは大変大きいというふうに私ども考えておりまして、一定数の日本人船員というのは確保する必要があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  41. 村田吉隆

    村田(吉)委員 そういうわけで、日本人の船員が非常に激減していく、十年足らずの間に四分の一ぐらいに減っていってしまうという状況を前にして、何とかしてこれからの日本の海運業の発展のために必要な日本人船員を確保していかなければいけな。いと思うわけであります。先ごろの国会におきましても、船員め雇用の促進に関する特別措置法の改正案が通りまして、衆参両院でそういった日本人船員の確保のための附帯決議もなされておるわけであります。  そういうことで、政府もその点においては一生懸命取り組んでいただいていると思うわけでありますけれども、同じく海運先進国、外国でも同様の問題で悩んでいると思うのですね。だから、外国においてどういった措置が自国の船員確保のためになされておるのか、ちょっと御答弁をいただきたいど思います。
  42. 金子史生

    ○金子(史)政府委員 ただいま先生御指摘のように、欧米先進国でも、国際競争力の観点から船員費が高いということで、どうしても自国籍の船舶が海外流出していって船員費の安い発展途上国の船員を配乗させる、乗せる、こういったようなことがどんどん起こってきて、私どもと同じ悩みを抱えておるわけでございます。  そこで、ここ数年、海外の海運先進国におきましては、自国船の海外流出を防止するため種々の方策を講じてきているわけでございますが、特に所得税の減免といったような措置を最近自国の船員を確保するために講じてきているという国が目立ってきております。  例えば、日本船主協会の調べによりますと、イギリスにおきましては、年間四分の三以上海外にいる船員は所得税が免除される、こういった方策を講じております。また、ノルウェーにおきましては、船員の課税所得の二三%が控除される、こういったような方策が講じられております。そのほかにも、スウェーデンとかデンマークとかオランダ、こういった海運先進国におきましても同様の船員の優遇税制措置が講じられているわけでございます。
  43. 村田吉隆

    村田(吉)委員 随分諸外国では手厚い措置がなされているという感じがするわけでありますけれども、冒頭に私も申し上げましたように、海外競争力という観点から、あるいは船主、雇い主側からいえばできるだけ賃金の安い外国人船員を雇いたい、場合によっては外国船籍にしてチャーターバックして、それで運航するというようなことが近年かなり頻繁に行われているわけでありますけれども、そういう意味では、船員というのはかなり陸上の勤務に比較して危険も多いし、それから長い間家族と別れたりなんかしなければいかぬということもございますし、いろいろな意味で必要以上の出費がかかるのではないかというふうに想像するわけであります。  我が国でも最近単身赴任の場合にはいろいろな措置がなされたりしておりますけれども、それとはまた別の観点から、日本の海運政策上、日本人船員の確保という観点がつけ加わるわけでありますから、政府としても、この前の特別措置法の改正における附帯決議にもございますように、こういった日本人船員を確保していかなければいけないということで、今後そのための施策を少なくとも外国の先進海運国並みに何か検討していただきたいというふうに考えるわけであります。何かその点についてお考えがありましたら、よろしくお願いいたします。
  44. 金子史生

    ○金子(史)政府委員 お答え申し上げます。  我が国におきましても、今先生御指摘のように日本人船員がどんどん減ってきておりまして、特に若年船員というのが不足してきております。そこで、良好な海運サービスの維持のためには、船舶の管理とか運航技術の維持とかあるいは外国人船員の指導監督等に日本人船員がぜひとも必要だというふうに私ども考えておるわけでございまして、税制面からどのような措置が講ぜられるべきかというようなことについて現在勉強、検討いたしております。税体系等の問題もございますのでいろいろ難しい問題もあろうかと思いますけれども検討してまいりたいというふうに考えております。
  45. 村田吉隆

    村田(吉)委員 最近は本当に日本国全体が労働力不足でございまして、特に外航船舶におきます日本人船員の問題、あるいは看護婦の問題とか、特定の職種において全般的な労働力不足はありますけれども、特に国の施策として、労働力といいますか、そういう技術者といいますか専門職、そういうものを確保しなければいけない分野というものが国の政策としてあるはずでございまして、そういう意味で、技術水準が下がってしまう、あともう補充がきかないというようなことに至ったときに、日本の国というのは本当にその分野を捨てなければいけないという事態に陥るわけでございますから、ぜひ長期的な観点に立ちまして、特にこの外航船舶に乗ります日本人船員の確保については、今お答えがございましたような必要がございますわけですから、どうかひとつ今後とも強力な施策を実施して導入してもらいたいというふうにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  46. 亀井善之

  47. 細川律夫

    細川委員 それでは、私の方からまず運輸大臣に御質問をいたしたいと思います。  大臣の諮問機関であります運輸政策審議会では、去る五月八日に百二十国会が終了しましたその後、五月から六月にかけまして、地域交通部会あるいは国際部会、総合部会、相次いで九〇年代の交通政策のあり方について答申が出されたところでございます。これによって、昨年既に出されております物流部会の答申とあわせまして、今後二十一世紀までの十年間の。輸交通政策のあり方について基本的な指針が出そろったわけでございます。  今般のこの答申に至る経緯、そして答申されました内容、これらを今後の運輸行政の中でどのように具体化していこうとされるのか、まず運輸大臣の方にお尋ねしたいと思います。
  48. 村岡兼造

    村岡国務大臣 一九九〇年代を迎えまして、我が国は国民生活や国民意識が高度化あるいは多様化し、また、地域構造の変化、高齢化の進展あるいは国際化の進展などが見られ、経済社会が大きな変革の過程にありますが、交通運輸の分野におきましても、このような状況の中で解決を迫られている数多くの課題が山積をいたしております。  これらの課題につきまして、二十一世紀を展望した九〇年代の交通政策の基本的方向を確立するために、平成元年の十一月でございますが、運輸政策審議会に対しまして「二十一世紀に向けての九〇年代の交通政策の基本的課題への対応について」の諮問を行ったところであります。同審議会におきましては、総合部会、地域交通部会、物流部会及び国際部会の四つの部会を開催し、政策課題ごとに審議が進められまして、平成二年十二月から本年六月にかけて各部会から全部で十の答申をいただきました。  今般の各答申では種々の政策提言がなされておりますが、運輸省といたしましては、これらの提言を九〇年代に着実に実現していくことができますように、各答申のそれぞれの政策課題ごと、担当部局におきまして検討を進めているところでございます。
  49. 細川律夫

    細川委員 高齢者あるいは身体障害者、これらの交通弱者に対する施策、これらの一層の推進の必要性も答申の中にはうたわれているわけでありますけれども、これからの二十一世紀を展望する上において、交通弱者対策というものは運輸交通政策の中の大きな柱になるものだというふうに私は考えます。  この交通弱者対策に対して運輸省としては今後具体的にどのように推進をされていくおつもりなのか、まず大臣にお答えを願いたいと思います。
  50. 村岡兼造

    村岡国務大臣 運輸政策審議会の答申にもありますように、高齢者あるいは身体障害者等の交通弱者が円滑に交通機関を利用して移動ができるよう、それに適した交通施設を整備していくことが必要であると考えておりまして、今後とも交通弱者対策の一層の推進を図ってまいりたい、こう思っておりますが、正直に申し上げまして、いろいろな、例えば鉄道の場合でも何千という駅、新設の場合はそういうことをやりますけれども、なかなかできていない。今後とも、大変な費用その他がかりますけれども事業者指導してこの政策審議会答申に盛り込まれた趣旨を実現したい、こういうように考えているところでございます。
  51. 細川律夫

    細川委員 今大臣から御答弁がありましたように、交通弱者の対策、これについてはより強く推進をしていただくように強く要望するものでございます。  それで、具体的なことをお聞きをいたしますけれども、去る八月の十七日から十八日にかけましてJR東日本の熊谷駅で起こったことでありますけれども身体障害者の方が十四時間以上もエレベーターの中に閉じ込められるというような事件が発生をいたしました。運輸省の方としてはこの事故についてどのように把握をされておりますか、御報告を願いたいと思います。
  52. 井山嗣夫

    井山政府委員 御説明申し上げます。  今回の事故は、車いすを御使用になっている女性の方、お体がお悪い方のようでございますが、八月十七日の十八時ごろ、熊谷駅の構内にエレベーターがございまして、これに乗せていただいた。ところが、これはお巡りさんとタクシーの運転手さんが関係しているわけでございますが、乗せてもらっ沈んでございますが、扉が閉じて後、そのエレベーターの中で自分で操作盤を操作できなかった。若干御本人が手が御不自由だということで、行き先ボタンあるいは扉の開閉ボタンに手が届かなかった。操作ができないまま翌日の八時二十分にJRの社員に発見されるまでいわゆる閉じ込められたという大変申しわけない事故でございます。  どうしてこういうことが起こったんだろうということを調べてみましたところ、この駅のエレベーターは原則として駅員が操作するということになっておるようでございます。ただ、駅の事務室が二階にございます。それから、駅の建物のそのエレベーターの割と近くに駅前のお巡りさんの派出所があるようでございまして、そこにもかぎをお預けしておきまして、場合によってはそのかぎをあけていただくということをお願いしていたようでございます。  御本人はタクシーで駅に来まして、お巡りさんのところに行きましてかぎをあけてくださいとお願いし、おりて、車いすをタクシーの運転手さんが押してくださってエレベーターのところまで連れてきたということでございます。そのとき、お巡りさんはどうもそのタクシーの運転手さんが付き添いの方だと思ってしまったというふうに聞いておりますが、それから、タクシーの運転手さんもお巡りさんがやってくれるだろうということで、お互いに確認がないまま駅の方に連絡が何もなかったようでございます。  エレベーターの前には案内板がございまして、お使いになるときには駅員に御連絡くださいということで表示がございます。それから、電話機が入ったボックスがございまして、そこの電話をとりまして駅員に連絡をしたら、駅員がおりてきてその操作をするというのが通常のパターンのようでございました。案内板は、車いすでエレベーター御利用のお客様は、ボックス内の電話で駅係員に御連絡ください、ボックスはボタンを押して扉をあけてくださいということで、電話機が入っております。通常はそれでよかったと思いますが、当日はお二人ともお互いにやってくれるだろうという誤解があったのかと思いますが、結局お一人を車いすのままエレベーターに入れたまま両方ともお帰りになっちゃったという大変御不幸なことでございます。  一方、エレベーターの方も、若干その位置が高かったために、御本人の手が御不自由だということもありまして、扉の開閉ボタンあるいは非常ボタンというところまで手が届かなかったという大変申しわけない御不幸な事故でございました。
  53. 細川律夫

    細川委員 今概要をお聞きしたわけなんですけれども、一体こういう事故が何で起こるのか、新聞などの報道を見まして皆さんびっくりしたんではなかろうかというふうに思います。タクシーの運転手さんもあるいは警察の方も、二人までエレベーターのところまで行きながらこういう事故の結果になった。そもそもこのエレベーター自体に欠陥がある、構造そのものに欠陥があるというふうにしか考えられないわけなんですけれども、そういう意味では非常に重要なといいますか、我々真剣に対処していかなければいけない事故だろうと私は思います。この構造そのものに欠陥があるんではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  54. 井山嗣夫

    井山政府委員 今回のこのエレベーターでございますが、いわゆる古いタイプのエレベーターでございまして、先生今御指摘のように、例えば操作盤が低いところにあるというのがまだ改善前のエレベーターでございました。それで、お一人ではちょっと利用できない方もいらっしゃるということで、先ほど申し上げましたように必ず駅員に御連絡くださいと、そうしますと駅員が飛んでいって、駅員が一緒に乗って操作をさせていただく、こういう構造になっていたわけでございます。通常、介添え人の方が一緒にいらっしゃれば、その介添え人の方も一緒に乗っていただいて上がりおりするわけでございます。  そういう意味で、このエレベーター自体はふだんはかぎがかかっております。いたずら等がございますので、かぎがかかっておりまして、かぎは駅と駅前の派出所で両方で保管をしている。それで、使用する場合は、エレベーターに隣接してあります電話機で駅と連絡をとって使っていただく、こういうことにしていたわけでございます。ですから、そういう意味では若干操作盤の位置が高かったという意味で少し古いタイプだったということはございますが、いわゆる構造上の欠陥というところまでは言えないのではないかと思っております。
  55. 細川律夫

    細川委員 交通機関におけるあるべき施設、またこのエレベーターというものがどういう構造のものでなければいけないかというようなことについては後で申し上げたいと思いますけれども、熊谷駅で実際にこういう事故が起こったことは事実でありますから、JR東日本でこの熊谷駅と同じような構造の駅のエレベーターがほかにもあるのかどうか、あればその数などについて御報告をお願いしたいと思います。
  56. 井山嗣夫

    井山政府委員 JR東日本の管内で調べましたところ、身障者の方に御利用していただいているエレベーターが八十一台あるようでございますが、そのうち身体障害者の方が自分でみずから直接操作できるというような仕様になっておりますものが十五台でございます。残りの六十六台につきましては直接操作できるという仕掛けではございませんので、今回の事故にかんがみまして何らかの改善をやるということで今考えているところでございます。
  57. 細川律夫

    細川委員 今何らかの改善を考えているという御答弁でありましたけれども、しかし事は大変重要だと思いますし、今後こういうことが起こらないような対策を早急に立てなければいけないのではないかと思います。  既に事故が起こってから約一カ月たったわけなんでありますけれども、JR東日本の方としては、とりあえず対策を講じたのかどうか、あるいはそれにかかる費用などについて、わかっておる範囲で御報告を願いたいと思います。
  58. 井山嗣夫

    井山政府委員 今回の事故にかんがみまして、JR東日本におきましては、再発を防止するという意味で、遅くとも今年度中に障害者の方が御利用していただくエレベーターにつきましては改善措置を講じたいと思います。  具体的には、操作盤の位置を下げるといいましょうか、低いところにつける、あるいはそのエレベーターへのインターホンをつけまして、例えば事故があったときにすぐ駅員と連絡がとれるというようなものをつける、こういうような改造を行う予定であると聞いております。  要する費用でございますが、極めて概算でございますが、約一億円ぐらいかかるであろうというように聞いております。
  59. 細川律夫

    細川委員 まだ全然着手はされてないわけなんですか。
  60. 井山嗣夫

    井山政府委員 詳細はあれでございますが、少なくとも今回の熊谷の駅のエレベーターにつきましては、たしか八月末に早速インターホンをつける等の改善措置は講じております。エレベーターの中と外と両方に使えるようなインターホンをっけたと聞いております。これは当面の措置でございますが……。
  61. 細川律夫

    細川委員 今一億円というお話がありましたけれども、それは先ほど答弁のありました古い型が六十六台、今回と同じようなのが六十六台あるわけですね。これを全部直すのに一億円ということですか。それとも一つについてとかいろいろあると思いますけれども、どれくらい、どういうことでの……。
  62. 井山嗣夫

    井山政府委員 説明が不十分で申しわけございません。その六十何台のものを全部改善するのに全額で一億ということでございます。
  63. 細川律夫

    細川委員 今、熊谷駅については既に改善をした、あとについて費用は六十六台で一億円かかる、こういうことですけれども、これをいつごろまでにどういうふうに改善をするとかいう具体的なことはわかりますか。
  64. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  具体的な個々のエレベーターの月別ということはつかんでおりませんけれども、遅くとも今年度中には全部完了するということで、具体的な計画を今練って着々やっているということでございます。
  65. 細川律夫

    細川委員 今年度中にすべてやっていただけるというお答えがありましたので、大変うれしく思います。ぜひ早急にやっていただきたいと思います。  今回の事件については、これはJR東日本で起こったわけなんですけれども、こういうエレベーターについては、他のJRあるいは他の民間鉄道の駅のエレベーターなどもあるのではないかというふうに思いますけれども、こういう点について運輸省の方では実態調査をされているのかどうか、されているとするならばどういう調査結果なのか、御報告をお願いしたいと思います。
  66. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  今回こういう非常に申しわけない事故を起こしましたので、全国の鉄道事業者に対しまして調査を今いたしておるところでございます。  具体的には、各駅におきますエレベーターの設置がされているかどうか、それから、体の不自由な方の施設に関しますがイドラインというのを運輸省で決めておりますが、これに適合しているかどうか、これは幅でございますとか操作盤の高さとかいろいろ望ましい姿というのが示されておりますが、そういうガイドラインに適合しているかどうか、それから、もし適合してないものがあればどういうふうに改善するのか、こういうことを含めまして、全国約百五十社でございますか、これに対しまして今調査をしておるところでございまして、結果はまだちょっとまとまっておりません。
  67. 細川律夫

    細川委員 この調査というのは、今回の事故が起こってから調査を始めたわけですか、それとも前からやっておるわけですか。
  68. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  今回の事故を起こしましたので、これはたしか八月十七日かと思いましたが、八月二十日付で担当課長の方から全国のJR各社、それから民営鉄道協会を通じまして全国の民営鉄道関係会社、ここに調査を命じたわけでございます。
  69. 細川律夫

    細川委員 そうしますと、今後の調査結果に基づいていろいろな施策をまた検討して指導するということになろうかと思います。  それで、私は今後の交通機関において、いわゆる交通弱者といいますか、そういう人たちが利用するにはどういう交通機関あるいは設備にしたらいいのかという点についていろいろ考えてみますと、やはりこれからの高齢化社会、あるいは国際化社会、あるいはまた高福祉社会、そういう社会を迎えるに当たっては、そういういわゆる交通弱者と普通の人とを区別するというのではなくて、大人も子供もともに利用できる、あるいは高齢者も若い人も一緒に利用する、あるいはまた体の悪い人、身体障害者の方もあるいはそうでない人たちも一緒に利用ができる、外国人の場合も同じでありますけれども、そういうふうに一緒に利用できる、そのことが当たり前であるということ、あるいはこれが普通であるというようなそういう交通機関の利用にしていかなければいけないのじゃないかというふうに思います。そういう観点から交通機関あるいは交通施設の設計なりあるいは建一設をしていくということをぜひ進めていただきたい、こういうことをしていれば今回のような熊谷の事故も起こらなかったであろうというふうに私は考えます。  そこでお聞きをいたしたいと思いますけれども運輸省の方では、「人にやさしい」交通機関、交通施設の整備構想ということで調査委員会を設置をする、そして概算要求もされたというふうに聞いておりますけれども、これは今私が申し上げたような考えと同じような構想なのか。それから、私はぜひこれは実現していただきたいと思います。けれども、その構想の中にありますいわゆる調査委員会、この中にはぜひ、先ほど私がお話し申し上げました交通弱者と言われておる代表の方を入れていただきたい。例えば高齢者の方の代表とかあるいは身体障害者の代表あるいはまた外国人の方も入れていただくとか、そういうような調査委員会にぜひしていただきたいというふうに私は考えておりますけれども、その点、運輸省のお考えをお聞かせください。
  70. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 先生御指摘のとおりの認識に運輸省でも立ちまして、来年度、交通弱者対策に関する検討委員会を設置すべく現在予算を要求しておりますが、この予算を確保委員会が設置されましたならば、ただいま先生御指摘いただきましたように幅広く交通弱者の方にも委員として参加していただいて、その方々の意見を政策に反映していきたいと考えております。
  71. 細川律夫

    細川委員 今、大塚局長の方からお答えがありましたけれども、それは調査委員会ではなくて検討委員会というものの設置ということでございますか。そこの中にいろいろな代表も入れていただける、こういうことでございますか。
  72. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 今後の交通施設の整備に当たって、交通弱者から見てどういうところに問題があるか、どういうガイドラインをつくればいいかというようなことを検討する委員会を考えております。
  73. 細川律夫

    細川委員 ぜひ強力に推進をしていただきたいというふうに思います。  そこで、運輸省の方でもそのようなお考えでこれから取り組んでいただけるということでありますけれども、しかし、交通機関のそういう考え方の設備あるいは施設を考えますと、費用の方もなかなかお金がかかるのではなかろうかというふうに思いますけれども、これについてはJRとか普通の民間の鉄道なりそういうところがこの費用は負担をするようになるのでしょうか、それとも国の方で相当の援助があるのかどうか、そこのあたりはどうでしょうか。
  74. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 高齢者や身体障害者などの交通弱者のための交通施設設備につきましては、基本的には利用者全体の負担によって整備しておりますが、同時に、国としましても、利用者全体に過重な負担をかけずにこれらの必要な整備が推進されま中ように、開銀融資の中に高齢者、身障者等の旅客に対する安全確保を目的として整備する工事を含めておりますほか、一般的な交通事業者に対する助成の一環としまして、交通弱者のための施設整備に配慮をしているところでございます。
  75. 細川律夫

    細川委員 国の方としてはぜひその点、財政的な援助を強力に推し進めていただきたいと強く要望いたします。特に、ことしから公共投資基本計画ということで四百三十兆円、この生活関連投資をぜひこういうところに振り向けていただいて、大いに活用をしていただき、先ほど来申し上げてまいりました交通弱者対策の交通機関あるいは設備、そういうところへの財政援助の方もぜひふろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  76. 亀井善之

    亀井委員長 山元勉君。
  77. 山元勉

    山元委員 滋賀県選出の山元でございます。  質問をさせていただく前に一言お礼を申し上げたいというふうに思います。  信楽高原鉄道の列車衝突事故に際しまして、今日まで運輸大臣を初めとして関係各位から本当に温かい御指導や御援助を賜ってまいりました。心からお礼を申し上げたいと思います。  さて、過日、社会党といたしまして事故後の状況等を調査するために、運輸委員さんを中心にして衆参一三名の議員で、びわこ空港及び信楽高原鉄道視察団というものを結成いたしまして現地視察をいたしました。その上に立って御質問を申し上げたいわけですが、先ほど同じ地元山下元利先生から、これは図らずもですけれども地元の県民の大きな関心だということで御理解をいただきたいということで御質問がございました。したがいまして、私はできるだけ重複を避けまして具体的な問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  問題は大きく三つございまして、一つは、先ほどもありましたように原因究明の問題、一つ被災者補償の問題、もう一つは、運転再開の問題でございます。  一番目の事故原因究明の問題については、警察の当局あるいは運輸省委員会の結論を待つしかないというふうには思います。けれども被災者の立場さらには再発防止ということで考えますと、ぜひ今後とも関係当局の皆さんの御努力、急いで結論を出す御努力をお願い申し上げておきたいというふうに思います。  そこで、補償問題ですけれども、先ほどもありました。六百四十九名のうち、軽傷者を中心とした形ですけれども、きのう現在で百九十名の示談が成立しました。六月に被害者の会というのができましたし、七月には遺族の会というのができました。今後、個別の交渉とあわせてこれらの団体との交渉が、弁護団を介してになりますけれども進められる、こういう状況になっています。  補償交渉誠意を持って十分な形で進められるということは大変大事なことだというふうに理解をしているわけです。運転再開に向けても必須の条件だというふうに思います。しかし、率直に申し上げまして、JRの方に対して、被災者中心にして責任の所在を絡めて少しいろいろな問題意識を持っています。今後ともJR西日本とそして高原鉄道が一体になってこの補償交渉を進めていく必要があろうというふうに思います。  運輸省にお尋ねをしたいわけですけれども交渉状況を見て、運輸省として現在の進捗状況なりあるいは特に問題点ありやについて御見解がございましたら、お伺いをしたいと思います。
  78. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答えを申し上げます。  先ほども山下先生にも御説明申し上げたところでございますが、先生御指摘のように、本件事故遺族皆さんに対する補償交渉につきましては、両者とも誠心誠意を持ってやってくださいというお願いをしておりますし、両者とも基本的にはその方向でやっていただいていると考えております。具体的には、滋賀県に対しまして、先ほど申し上げましたように全力を挙げていただきたい、それからJRに対しても協力をするようにということを要請いたしまして、両者でやっていただいておるわけでございます。  具体的には、先ほど言いましたように信楽高原鉄道事故被災者相談室というものを設けまして、大津大阪の二カ所でやっておるわけでございます。七月初めから本格的にお会いをしてお話を始めておるところでございます。体制につきましては、御承知のとおり、滋賀県からの出向者を中心といたします信楽高原鉄道側が二十名、それからJR西日本の方からは五十八名の計七十八名体制でやっております。  ただ、先生ただいま御指摘のとおり、遺族皆さんの御心情というのが、まだ四カ月ということで、何といいましょうか、すんなりといわゆる具体的な補償交渉に入れるという気持ちになっていないということをおっしゃる方もいらっしゃるようでございます。そういう意味で、まだ入り口と申しましょうか、そこで若干足踏みをしているところもあるし、これはもう少し時間がかかるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、私ども両者に対しまして誠心誠意やるのが補償交渉だということで指導をしていきたいと思っております。
  79. 山元勉

    山元委員 補償問題で、特に姿勢の問題と、もう一つは財源の問題がございます。先ほどもありましたように三億円の保険しか入っていない。五十億円という新しい制度が導入されて信楽鉄道も加入したわけですけれども信楽鉄道事故には適用されるわけではないわけです。今まで自治省などへも地方自治体の財政確立の問題でお願いをしておりますけれども、ぜひ今後の問題、運輸省もこういう状況をしっかりと御理解をいただきまして自治省へもまたお力添えをいただきたい、これは御要請を申し上げておきたいと思います。  次に、再開問題でございます。  先ほども出ていましたように、車両が四両のうち二両が損壊をいたしました。運転士を初めとして多くの社員の死亡もございました。そういう状況再開地元を挙げて望んでいるわけです。御承知のように、あの事故地元で亡くなった方は、一名の二歳の子供を除いて全部六十歳以上の高齢者です。そういう電車の性質からいっても、地元皆さんが子供たちやあるいは年寄りの生活を守るために再開を強く望んでいらっしゃる、あるいは陶芸の里と言っていますけれども地元産業、地場産業のこれからの存続のためにも再開を一日も早くということが望まれるわけです。  そこで、この再開に係る経費の問題について若干お尋ねをしたいわけです。  運輸省の助成制度としまして、特定地方交通線の転換鉄道等運営費補助金ですか、そういう制度が確かにございます。転換から五年間の適用でございますけれども、この信楽鉄道でいいますと、今年度で切れるわけです。今回の事故のような対象年度内に大きな事故が起こった、確かにこの補助金は鉄道の移行期の経営安定のための補助金だということは承知をしています。けれども、そういう期間内に経営を著しく悪化させる不測の事態が生じた場合に、一つは、この補助金の五年というのを延長をしていただけないのか。今まで信楽鉄道は一回も補助金を受けていないわけです。それを受けていないままに終わろうとしているところで事故が起こった、最悪のケースですけれども、延長ができないものかどうか。  もう一つは、経常赤字に対する補助金という性質を存じておりますけれども、こういう特別損失に対しても適用を拡大をできないかどうか、ぜひしてほしいという気持ちでお尋ねをするわけですから、お伺いをしたいというふうに思います。
  80. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、先生御質問のいわゆる特定地方交通線の転換鉄道の運営費補助の延長の問題でございますが、これは私どももいろいろ検討さしていただきました。  先生も十分御承知かと存じますが、いわゆる転換鉄道からできました第三セクター鉄道というのは、前身がいわゆる国鉄時代の特定地方交通線でございまして、そのときにもう鉄道としての輸送特性が発揮できないのじゃないかということで、バス輸送に転換してはどうかという性格づけをされた路線でございます。それと、いわゆる昔のAB線で、開業後は地元が運営主体という地方鉄道新線でございます。  特にこの特定地方交通線につきましては、当時、開業時にはキロ当たり三千万の転換交付金を差し上げます、これによって将来の欠損補てん等のための基金もできますよ、二つ目が、開業後は五年間に限り経常損失の二分の一を助成します、こういう大前提で御議論をいただいたわけでございます。多くの鉄道の沿線の方々は、それじゃとても持てないということでバスに転換をされたわけですけれども地元の方で特に御熱心な方は、採算性等もいろいろ考えまして、基金を地元も足して積むとか、あるいは開業後の欠損は地元が何とか責任を持ってやりますよという約束といいましょうか、確約をいただきまして、その上で我々も免許したとい一つ経緯がございます。  そこで、今現実に各鉄道がどういう状況になっているかということでございますが、経常損失というのが三十三社で年間に約十五億円出ております。これは平成二年度のあれでございます。それで、経営安定基金というのがやはり二百数十億積まれておるわけでございまして、通常の場合ですと、これは全体ででございますが、それの運用利子で赤字は埋まるわけでございます。そういうことで、五年延長ということも我々いろいろ考えましたけれども、一部の例外を除いては、いわゆる基金を積んでいないところがまだあるのでございますが、そういうところを除きましては通常の経営は維持していただけるんじゃないかということで、なかなかその延長の理屈ができないということでございます。  そういう意味で、かわりの対策といったらなんでございますが、現在、中小民鉄に対する近代化補助という補助制度がございます。これは、鉄道のいわゆるサービス改善とか輸送力増強等の、あるいは効率化の投資に対しまして、国が十分の二、地元が十分の二という補助率の補助制度でございますが、この中で、特に経営が困難な中小民鉄の方につきましては、特に安全対策の投資につきまして、来年度の予算要求におきまして大幅に補助率を、今の十分の二を大幅に上げたいということで予算を要求しております。これは、地元の公共団体も一緒につき合っていただく制度でございます。  それから、安全対策のもう一つは、技術レベルの向上を図らなければいかぬということで、専門家を各会社に派遣いたしまして、現地で講習会を開いたりあるいは具体的にその鉄道に応じた技術指導をやっていただく、これに対する補助制度というのも考えて、この二つを来年度の要求する柱として要求したわけでございます。  それから第二点のお尋ねの、特別損失的なものについていわゆる運営費補助の対象にできないかというお話でございますが、これは、検討しておりますけれども、一般的に補助制度は、通常の運営をやったときにどうするかというのが補助制度の一般の例でございまして、特別損失と申しますのはいろいろな種類のものがございまして、これを一般的に制度として取り込むというのは、助成制度の一般論としてはなかなか難しいのではないかと思っております。なお検討させていただきますけれども、現時点の検討では難しゅうございます。  ただ、信楽高原鉄道につきましては、今年度は特にいろいろな意味で、代行輸送等で経費がかさんでおります。その部分につきましては経常的な運営費の範囲に入ると思いますので、これについては助成をいたしたいということで、来年度予算要求に一応含めて考えておるところでございます。
  81. 山元勉

    山元委員 制度の本質というのは承知をしてお尋ねをしているわけですけれども、そういう近代化設備整備費補助金、これは来年度からですね、ですから信楽には適用されない、こうなるわけです。ですから、ぜひ今おっしゃっていただきましたなお検討するという拡大について、実効のある結論を出していただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  時間がございませんから重ねてということになりませんので、次へ参りたいと思います。この再開の問題ですが、先ほど山下先生からも御質問がありましたから重ならないように申し上げますけれども再開をするのに大変な財政的負担を伴うわけです。とりわけ人件費でございます。昨年、二年度の信楽高原鉄道の運賃収入は一億五百万円でした。しかし、四年度に再開をするとすれば、人件費だけでもおよそ概算見積もりで九千七百万円かかる、運賃売り上げの収入のほとんどが人件費に消えてしまうような状況再開ということになるわけです。そこで、滋賀県もあるいは信楽町もOB職員を派遣をして、人件費は無利子での貸し付けという形をとって今援助をしているわけです。  先ほど話がありましたけれども、JR西田本から確かに二名の派遣がございました。私は当初、派遣というんだから、いわゆる言うところの弁当持ちだというふうに思っておりましたけれども、人件費については一切関係ない、こういうことでございます。滋賀県や町だけではなしに、出資者であります近江鉄道も人件費の一部を負担して派遣をしています。そういう状況からいいますと、言いにくいことですが、JR西日本についても、この二名の皆さんを初めとしてこれからの人件費、第三セクターのこの事故、いわゆる国鉄合理化後の第三セクターの苦しい経営をしている鉄道の再建ということでは、あらゆる人たちが人件費援助をすべきだという立場で、何とかJRからも人件費支援がなぎれないものかどうか、運輸省から御指導を願いたいと思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
  82. 井山嗣夫

    井山政府委員 一般論で申し上げますと、人件費の負担のあり方というのは、基本的には両当事者間で御相談いただいて決めるべきだろうと思います。  ただ、私ども仄聞するところによりますと、今回先生御指摘のお二人の方が専門家として行っておるわけですが、この方の人件費の負担について、信楽高原鉄道JR西日本の方で具体的にどういう割合で負担するかというお話し合いをやっていると聞いておりまして、すべてが会社負担ということでもないように聞いておりますので、その辺はよく事情を聞きながら指導いたしたいと思います。
  83. 山元勉

    山元委員 この点、よろしくお願いをしたいと思います。  最後にですけれども再開を願うということで町民が今大きく盛り上がりを見せているわけですが、現在、一日十八往復のバス運行をしています。先ほども申し上げましたように、小学生も中学生も高校生も、あるいはお年寄りも、国道三〇七が通っているわけですけれども、本当に危険な状態、今までそういうものがなかったところにやはりバス停をつくらなければならぬわけですね、そういう意味で、交通安全上も大変問題があります。とりわけ、信楽というところは滋賀県でも有数の寒冷地です。十二月になったら凍結が始まります。大津や平地では考えられぬ時期に早くから凍結が始まりますし、遅くまで凍結がある、そういう危険な状況のところで、鉄道が要るわけです。  そういう鉄道再開について、地元では、何とか十二月一日に再開できないだろうか、こういう願いを持っているわけです。この十二月一日というのは確定したものではありませんけれども、何とかそこら辺で、凍結が始まるまでに再開できないだろうかという願いがあるわけです。こういう再開の時期、見通しについて、急ぐようにお願いをしたいわけですが、この点について、先ほどもありましたけれども、最後にもう一言運輸大臣のこの信楽鉄道再開に向けての御見解なり援助の決意についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  84. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほども山下先生の質問でお答え申し上げましたが、滋賀県でこの冬を前にしてぜひとも再開をいたしたい、こういうような希望が何回も私のところに参っておりまして、十分承知をいたしております。また、先ほど鉄道局長再開に至るまでに行わなければならないこと、信号方式をどうするか、あるいは今県警等で押さえられているようなもの、そういう解除のもの、いろいろなことがございます。  要は、二度とあのような事故を起こさないで。運転していくことが肝要であろうと思いますが、十分に私どもも承知をいたしておりまして、一日も早く運行再開が実現できるように関係者指導しておりますし、今何日とも言えないわけでございますが、地元の希望に対しまして積極的に、そういう準備ができれば対応できるようにしていきたい、こう思っております。
  85. 山元勉

    山元委員 信楽鉄道だけでなく、全国の地域の住民を守るための第三セクター鉄道、苦しい思いをしているそういうところへ勇気を与えるためにも、ぜひ今おっしゃっていただきました決意を実現するように御努力をお願いをして、次に移りたいと思います。  時間がありませんから少しはしょってですけれども、次に、びわこ空港についてお尋ねをいたします。第六次空整の計画について、特に地方空港整備を中心にしてお尋ねをしたいわけでございます。  現在、二十一世紀の日本の航空ネットワークの骨格を決めるとも言われている六次空整の策定作業が最終段階を迎えているというふうに承知をしています。昨年八月に航空審議会が中間取りまとめを発表されました。これによりますと、三大プロジェクトを中心にして、地方拠点空港の強化を図る、さらに空港周辺地域における地域づくりや町づくりに重点を置く、こういうふうになっているというふうに承知をいたします。  しかし今、日本の航空ネットワークは、よく言われますように、東京と大阪中心にした二眼レフ構造、二極集中型の極めて偏りのあるそういう航空体系を形成しているのではないかというふうに思います。二十一世紀の国土づくりの基本でありますいわゆる四全総では、多極分散型国土の形成に向けて、交流ネットワーク構想が提案され、全国一日交通圏の確立が目指されているというふうにこれも承知をしております。  そこでお尋ねですけれども、とりわけ東京一極集中の解消は国家的な課題だというふうに言われておりますけれども、この大空整の言う三大プロジェクトを最優先にするという立場と、そして四全総などが言うように多極分散型国土づくりという二つの立場、この二つの立場の整合、いわゆるバランスというのは大変重要な課題だというふうに思います。運輸省といたしましてこの二つの問題についてどのような視点、見解を持っていらっしゃるのか、基本的な立場についてまずお伺いをしたいと思います。
  86. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 まず、国内航空路線につきましては、地方から東京、大阪二大都市圏への要望が非常に強うございますが、残念ながら空港制約がございまして、なかなか地元の要望を受けられないというふうな残念な状況になっております。したがいまして、これらの二大都市圏の空港容量の拡充を図ることが私ども先決であろうという立場から、六次空整におきましても、まず三大空港プロジェクトの完成を最優先課題にしてこの六次空整を進めさせていただくわけでございます。  しかしながら、今先生御指摘のとおり、四全総におけるいわゆる多極分散型国土形成、非常に重要な命題でございますので、このような観点からも、運輸省といたしまして、ネットワークの充実、多様化により利便性の高い航空ネットワークづくりを頑張っていきたい、このように考えております。具体的には、二極ネットワークに加えまして、地方フロックの拠点となる空港を活用いたしまして地域間の直行路線を充実させる等、二極構造から多極構造への全国ネットワークづくりを行っていきたい、このような両方の命題について積極的に対応させていただこうと思っております。
  87. 山元勉

    山元委員 よく言われますように、二十一世紀に向けて個性と創造性のある地域づくりをする、国土づくりを進める、この時代は人、物、情報あるいは文化が広域化する、高速化する、そして急増していく、こういうものに対応するようないわゆる強い交通体系、とりわけ航空体系の整備充実というのはこの二十一世紀に大変重要だというふうに思います。  しかも、国内航空需要の見通していいますと、先ほども申し上げました中間取りまとめによりましても、元年度は六千万人だ、二二%前年からふえている、この大空整が終わる平成七年では八千八百万人になる、そして二十一世紀、二〇〇〇年では一億人を超す一億三百万人という見通しを立てていらっしゃるわけです。そういうまさに急増していく航空需要というのは一極、二極のところで起こるのではないだろうというふうに思いますし、そうしてはならぬ、国土の均衡ある発展からいってそうしてはならぬというふうに思うわけです。  幸いにして、皆さんの努力で大空整の投資規模というのは前年度から比べて六六%もふえて、三兆一千九百億円という莫大な、大規模なものが。閣議決定をされました。  そこで、今申し上げましたような立場、今局長からもこの二つの立場をということがございましたけれども、均衡ある配分といいますか、執行というのは大事だというふうに思いますが、もう一回、地方空港の整備に焦点を向けて一体どのように運輸省は考えていらっしゃるのか、聞くところによりますと、大変たくさんの地域から手が挙がっているように聞きますけれども、そういうものについてどのように受けとめていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  88. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 六次空整の事業規模が三兆一千九百億という、前回の五カ年計画に比べまして六六%増に規模が膨らんだわけでございまして、これを前提に今具体的な配分問題については勉強中でございまして、この秋の閣議決定を経て方針を明確にさせていただきたいと思います。  今の多極分散型国土形成のための地方空港の整備というものは、私ども一方の柱で非常に重点的に認識しておるわけでございまして、今後の具体的な計画の策定に当たりまして、今の先生の御指摘の観点も十分配慮いたしまして、地方空港の整備も重点的にぜひ進めさせていただこう、このように考えておるところであります。
  89. 山元勉

    山元委員 時間がありませんから以下は要望になりますけれども、ただいま申し上げました時代の潮流の中で、私の地元滋賀県では、近畿、中部、そして北陸の三経済圏を中心にいたしまして、そのほぼ中央に、今、二〇〇〇年の開港を目指して二千五百メーター、暫定的には二千メーターの第三種空港を整備しようということで取り組んでいるところであります。  滋賀県は御案内のように小さな県であります。けれども、人口増加率でいいますと全国第二位でございます。一人当たりの県民所得で見ましても第五位、今極めて力強い成長を続けている地域だというふうに思っていますし、国際的な歴史文化都市京都さんと連携を深めながら、大きな発展をしているところでございます。大型プロジェクトも幾つか計画をされているところでございます。  また、このびわこ空港の圏域の人口は、一時間の利用圏域を想定しますと約五百三十万人、大きな地域を抱えることができる、そしてそれらの地域がそれぞれ合成長を続けておる、将来に対しての大きなポテンシャルを有しているというふうに私どもは考えております。そういう地域で、これからの航空需要が増大する中で地域の活性化に向けてぜひとも空港を整備したい、していただきたいというふうに考えているわけです。したがって、こういう地域ですから、滋賀県のみならず京都や奈良、三重あるいは岐阜の行政の皆さんや経済界の皆さんには、大きな御支援を今盛り上げていただいているところでございます。こういう状況の中で、先ほども述べましたけれども、私ども社会党では、運輸委員中心に、近畿六府県選出の衆参両院議員十三名による視察団をつくって、先日、琵琶湖の湖東の蒲生、日野地区が地元になるわけですけれども、そこを視察して、地元の県やあるいは町の責任者あるいは経済界代表から事情聴取をいたしました。また、近日中に自民党さんにおいても、関係六府県の全国会議員で、びわこ空港建設議員連盟を結成されるということを聞いております。このように、社会党の大規模な視察団といい自民党の議連の結成といい、このような動きはかっておりなかったように聞いているわけです。これは、立場がそれぞれ自民党、社会党違いますけれども、党派を超えて、地域住民の大きな期待のあらわれだというふうに受けとめていただきたいと思います。  こうした中で私どもは、この空港が、日本の航空ネットワーク、今申し上げましたように大きく羽ばたいていく日本の空の役割を担いながら、特に、この圏域と北海道や九州の地方拠点とを直結しながら、国際的にも大きな役割を果たしていける、こういうふうに思っているわけです。  そこで最後、時間が来ましたからはしょりますけれども運輸大臣に一言お願いをしておきたいわけですし、御見解をお聞かせいただきたいと思います。  二十一世紀を展望して、本当に活性化した地域圏、そういうものをつくろうというそれぞれの地域の熱意にこたえて、まさに全国的なあるいは国際的な航空ネットワーク時代をつくっていく、積極的に創造するいわゆる先見性のある航空行政を推進されるように要望したいわけですけれども運輸大臣の御見解なり御決意というものをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  90. 村岡兼造

    村岡国務大臣 びわこ空港につきましては、滋賀県初め国会議員の先生方あるいは市議会の方々、何回となく要望に見えられまして、組み入れに強い御熱意のほどをよく承知をいたしております。  現在、第五次から比べまして航空関係の需要、物すごく大きくて私もびっくりしているのでございますが、新設の空港要望が十一ございます。現在やっておるのだけれども狭くなって別のところへ移すというのが五港ございます。あるいはまた、千五百を二千へ、二千を二千五百、二千五百を三千へと滑走路の延長というような空港が十七ございます。  六六%増しの五カ年計画もつくっていただきましたが、財政的な問題もございますけれども運輸省といたしましては、航空審議会の中間取りまとめに示されました空港新設に当たっての基本的考え方に基づきまして、航空需要の見通し、航空企業の路線就航等の見通し、地域開発との関連づけ、さらには地元のコンセンサス等について県で十分調査検討をいただきまして、その結果等を勘案いたし、その取り扱いにつきまして今勉強中であります。要望は十分承知をいたしております。
  91. 山元勉

    山元委員 ありがとうございました。地元に環境等についての心配も一部ございます。そういうものを解決をしながら、立派な全国ネットワークをつくる一助ともなりますように御努力を今後ともお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  92. 亀井善之

    亀井委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  93. 亀井善之

    亀井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。緒方克陽君。
  94. 緒方克陽

    緒方委員 まず大臣にお尋ねをしたいと思います。  国会でいろいろな法律を審議して通す場合に、審議の結果をまとめて委員会の立場から、議院の立場から附帯決議というものをつけるわけであります。これは政府に対してその実施を強く要請する内容になっておるわけでありますが、この附帯決議に対して一体どういう認識をされているのか、まずお尋ねをいたします。
  95. 村岡兼造

    村岡国務大臣 貨物自動車運送事業法案の国会審議におきましては、衆議院運輸委員会では十五項目、参議院の運輸委員会では十九の項目の附帯決議がなされたところでありますが、附帯決議は国会の意思表示であるので、政府といたしましては当然にこれを尊重すべきものと理解をいたしております。  運輸省といたしましては、同法の公布後、これらの決議を踏まえまして、所要の通達及び公示を発する等、本省、地方運輸局が一体となって決議事項の実施を図っているところであります。  今後とも、関係省庁の協力を仰きつつ、これらの決議内昏の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
  96. 緒方克陽

    緒方委員 そういうふうに私も理解をしておるわけでおりまして、私がこれから質問いたします貨物自動車運送事業法に対する附帯決議とか国会のいろいろな審議の経過については、政省令などの中にそれぞれ生かされたり、あるいは附帯決議もそういう意味でかなりの部分については実施をされているというふうに承知をしておりますけれども、ただいまから申し上げる点については、非常に不十分ではないか、あるいは問題もあるのではないかというふうに思いますので、その点についてお尋ねをいたします。  まず、貨物自動車運送事業法案の衆議院の決議の第四項の問題でありますけれども、第四項では、「積載重量及び運転時間を正確に把握しうる車両機器の研究開発に努め、装着義務化に向けて環境整備を図るとともに、乗務記録等輸送活動の状況を示す記録の作成義務の遵守徹底を図ること。」ということになっているわけでありますが、このことについてはどういうふうに実施をされてきたのか、お尋ねをいたします。
  97. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の決議の第四項、前段と後段に分かれるわけでございますが、前段の「積載重量及び運転時間を正確に把握しうる車両機器の研究開発に努め、装着義務化に向けて環境整備を図る」こと、この点につきましては、決議を受けましてから直ちに関係機関、機器メーカーに対しまして研究開発状況について調査等を行ってきております。現状につきましては、トラックの積載重量計につきましては精度、使いやすさなど技術的な問題があります。また、運転時間を正確に把握しますところのいわゆるディジタル式運行記録計につきましては、記録データの解析の容易性であるとかコスト高などの課題が残されておりまして、今後、機器の信頼性、コストなど実用化に向けてさらに検討していくこととしております。  次に、後段の「乗務記録等輸送活動の状況を示す記録」につきましては、過労運転及び過積載運送の防止を図るために、貨物自動車運送事業輸送安全規則、省令でございますが、こちらにおきまして乗務記録の作成と保存の義務づけを行いました。特に大型トラックにつきましては、新たに積載重量等貨物の積載状況を記録させることとしたところでございます。現在、その遵守徹底を図るために、国が行う監査の機会などをとらえまして、あるいは貨物自動車の運送適正化事業実施機関、こちらを活用することなどによりまして、事業者に対しまして指導を行っているところでございます。
  98. 緒方克陽

    緒方委員 それでは前段の問題ですけれども技術メーカーに対して開発の要請をしたとか、あるいは運輸省からレクチャーを受けたときの話では、軽油引取税の一部ですか、この部分で返ってくるお金で全ト協の中にそういった問題での研究とか対策をするようなことをされているというようなことを聞いたわけでありますが、私がお尋ねしましたのは、そういうメーカーに対してお願いしたとかあるいは全ト協にそういうことを要請したとかいうことじゃなしに、「政府はこということに附帯決議はなっているわけでありますので、政府としてどういう研究開発をしてきたのか、あるいはそういうトラック協会にそういうことを要求するのじゃなくて、大蔵省に対してこの問題について研究開発をしたいということで要求して独自でやるということがこの決議の趣旨であるし、そうしなければ他人任せのような対応になっているというふうに言わざるを得ないと思うのですけれども運輸省として研究開発をするために予算要求したりあるいは具体的なことをやられてきたのかどうか、その辺についてはどうですか。
  99. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  自重計そのものにつきましては、昭和四十六年から各方面、関係団体と研究会を設けてやっておりますけれども、ただいま御指摘にあずかりました運輸省が予算要求しているかどうかにつきましては、現在のところしておりません。ただ、ユーザー団体であります全日本トラック協会と、こちらの調査費を活用いたしまして、現在、平成三年度におきまして、ストレーンゲージタイプというものがあるわけですけれども、そちらの性能向上と、それから簡易重量計についての小型化の可能性を詰めておるところでございまして、そういうものがうまくいけば、将来普及段階においてまた税制措置とかいろいろなことを考えていかなければならないかなという段階でございます。
  100. 緒方克陽

    緒方委員 ですから、そういうふうにユーザー団体、トラック協会などに任せるのではなくて、決議で「政府はこというふうになっているわけだから、当然要求をして、大蔵省がだめだというふうに言ったのであれば別ですよ、別だけれども、決議の趣旨というのはそういうふうに受けとめて運輸省が前向きに対応していかないと、結局業者団体任せということになってしまいますから、これは今後の問題として積極的にそういう予算要求についてはやっていくようにしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  101. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  おっしゃるとおりだと思います。ただいま開発中でございますので、開発を待ってまた税制面とかいろいろな普及のための努力をしてまいりたいと思います。
  102. 緒方克陽

    緒方委員 こういう質問をいたしましたのは、運送業界、トラック業界では、過積載それから過密労働、事故という問題が非常にたくさんあって、何とかしなければならぬということでいろいろな方策を今日まで検討をしてきだわけですけれども、なかなか事故が減らない、あるいは交通達反が減らないということになっているわけであります。特に、タコメーターとかそういうものの装着義務者については、やはり一定の認識があるからでしょうけれども事故発生率なんかも少ないようでありますけれども、その他のトラック、一トン、二トンというようなものについて非常に問題があるように思われますので、私はそういうところに向けても装着義務化をすべきじゃないかという観点で質問をしたいと思っのですが、時間がありませんので、警察庁の方からいただきました資料で、そういう数字に間違いないかどうかということで確認をしますので、そうであるということであればそういうことで答弁をお願いしたいと思います。  まず第一に、「運行記録計(タコメーター)の装着義務車両の交通事故発生状況の推移」という表をもらっておりますが、これによりますと、昭和六十一年では、交通事故件数は抜きまして、装着義務車両の事故件数が七千九百七十八で、全体の交通事故発生件数の一・三八%ですね。ところで、その他の普通貨物とか軽貨物など営業用の自家用車を含めてでは一万三千九百一で、全体の二・四〇%ということで、一%高い。同じように、ずっと言いますと時間がかかりますから、最後の平成二年を申し上げますと、平成二年では装着義務車両が八千六百六十九で、構成率は一・三五、その他の車両でいきますと一万七千四百二十九で、構成率は二・七一ということで、これでは約一・三%ぐらいその他の車両の方が高いという数字になっております。  それから、「営業用大型貨物自動車の道路交通法違反取締り件数」につきましても、昭和六十一年では大型貨物自動車の構成率は〇・八五であるのに対して、営業用普通貨物自動車では一・三八。それから平成二年度では、同じような構成比が、大型では〇・九四に対して営業用普通貨物自動車では一・三九、そういう数字になっておりますが、警察庁としてはその数字は間違いないでしょうか。
  103. 人見信男

    ○人見説明員 お答えいたします。  ただいま先生からお話のあったとおりでございますが、若干数字を直させていただきます。  平成二年の営業用のその他車両、一万七千四百二十八件でございます。それから、「営業用大型貨物自動車の道路交通法違反取締り件数」でございますが、昭和六十一年の営業用普通貨物自動車の構成率が一・三三でございますので、よろしくお願いいたします。
  104. 緒方克陽

    緒方委員 今のは、一・三八とかいうのは、一・三三ということですね。  そこで、運輸省にお尋ねするわけですけれども、今見てきましたように、やはり大型ではそういうタコメーターをつけたりいろいろなことをしたりしているという現状の中で、事故発生もあるいは交通達反の取り締まり件数も、率としてそういうところはかなり慎重にされているけれども、その他の営業用のトラックなどでは、事故発生それから交通達反取り締まりも含めて大変高いという数字になっておりまして、業界はいろいろ反対するでしょうけれども、交通事故をなくするという観点からは、これを全車に向けて装着義務化されるように努力をすべきだと思いますが、その点どうでしょうか。
  105. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 御指摘のその他の車両についても義務づけるべきであるということでございます。  私ども、保有車両台数当たりで、いわゆる装着義務車両の事故と保有台数、それとその他車両の事故件数と保有台数、これを見ましても、その他の車両がちょっと、数字的にはただいまお示ししました数字よりも少ないわけですけれども、その他車両が事故が多いことは事実でございます。  ただ、タコメーターの場合ですが、「道路運送車両の保安基準」というところで義務づけておるわけでございますが、自分で管理するということでなしに、運送事業者の場合は運行管理者というようなものがありまして、そちらが管理責任を持って管理しているというところがあるわけでざいまして、そういう管理をする者がいないその他の車両につきまして今後どうするかというものもまた考えていかなければならないという感じでございますし、それから、その他の車両、いわゆる営業車のその他小さい車でございますが、この点については、比較的近場回りが中心であるというようなことから現在対象にしておりませんけれども、ひとつまた今後研究してみたいと思っております。
  106. 緒方克陽

    緒方委員 今は軽トラックなんかも大変出てきたという現状ですから、その点はなかなか難しいかと思いますが、少なくとも、いろいろな営業車両でも、比較的大きいものについてはやはり導入するという方向でこれからもぜひ研究を、勉強をしていただきたいというふうに要望を申し上げておきたいと思います。  それから、衆議院における同じ法律の附帯決議の第二項の中で、許可の取り消し処分について厳正かつ機動的に行うということでされまして、その後運輸省としては免許を取り消す場合の点数制などもつくられて、そのことが既に運用が始まっているということを聞いておりますけれども、その点数制度の要点的なものと、それから、実はこれは公表しないということになっているようですけれども、そういう業者については、事故を起こしたりあるいはいろいろな違反事故を起こさないようにするという意味で公表をすべきだというふうに思うのですけれども、その点についてどうでしょうか。
  107. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 貨物自動卓行政につきまして緒方委員から各般の御指導を賜っておるわけでございますが、今後ともひとつよろしくお願いしたいと思います。  事業の停止の命令あるいは許可の取り消しの厳正かつ機動的な運用を図るということのために、御指摘のとおり、新法の施行とあわせまして貨物自動車運送事業者の法令違反に対します点数制度を導入したところでございます。本年八月未現在、この点数制度により違反点数が付与された事業者の数でございますが、千五十二事業者に上っているわけでございます。さらに、違反点数の累計が四十点を超える事業者は一事業者という状況でございます。  なお、違反点数が五十点を超えた場合、あるいは違反点数がそれ以下であったとしても違反に伴いまして重大な事故を引き起こしたというような場合につきましては、先生御指摘のように、業界への警鐘ともなるよう積極的に処分内容の公表ということをやるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  108. 緒方克陽

    緒方委員 そういうことでありますが、お聞きしましたら、この四十点も何か、百点ですか、二年間たったら切れるということになっているようでありますけれども、罰をすることだけが目的ではありませんけれども、こういう制度もあって、きちんとしないと許可の取り消しもありますよという意味では、ぜひ公表していただいて、そしていろいろな問題が起きないようにぜひ指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、私は三月の内閣委員会で、運輸省の組織構成が変わったということでいろいろ御質問をさせていただきまして、ジャスト・イン・タイム・サービスの問題点で質問をさせていただきました。  今や非常に多岐にわたる運送が、多頻度少量輸送ということで非常にふくそうした輸送体系になっているということで、何とかしなければいけないということで議論がされてきているわけであります。そのことで、「トラック運送事業に係る弾力的な運賃・料金の在り方について」ということで本年六月に料金検討委員会から答申が出ているわけでありますけれども、その中でも、「導入を検討すべき事項の具体的一例」ということで、幾つかありますけれども、私は、やるならばもう早くやらなければいけないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、早くやるためにはいつごろからどういう手順で実施をされようとしているのか、その点についてお尋ねをいたします。
  109. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 トラックの運賃・料金につきましては一昨年の十二月の貨物自動車運送事業法の施行によりまして認可制から届け出制になったわけでございまして、事業者はその創意工夫によりまして自由な運賃・料金の届け出が可能となったところでございます。  一方、労働力不足その他の制約要因が顕在化してきたという状況を踏まえまして、本年六月に、トラック輸送に係る弾力的運賃・料金検討委員会から、先生御指摘のとおり今後の望ましい運賃・料金のあり方について報告があったところでございます。  運輸省といたしましては、この報告の提言の内容を業界団体あるいは荷主団体等に対しまして周知を図るということをやっておるわけでございますが、あわせて、業界団体が荷主あるいは利用者の理解を求めるための啓蒙活動を行うよう、これも指導をさしていただいているところでございます。  できるだけ早くこの内容を実現するようにすべきだ、先生御指摘のとおりでございます。そこで、今後、これはもちろん最終的には業界で検討して結論を出していただく問題でございますが、業界団体におきましては、次回の運賃改定時における導入ということを目途に、物流の効率化に資する弾力的な運賃・料金のあり方について検討していただいているということでございます。次回の運賃改定時には弾力的な対応ができるような制度にしたいというようなことでやっていただいているということでございます。  なお、運輸省といたしましても、このような事業者が新たな運賃・料金を届け出しようとする際の判断基準というふうなことでござますが、変更命令をどういう場合に出すかということの基準でございますが、この一層の明確化を図るよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  110. 緒方克陽

    緒方委員 運賃改定の時期は次回ということになりますが、これは大体二年ごとぐらいにやっているんですか、どういう感じになるんでしょうか。
  111. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 従来二年ぐらいの感じで上げられたこともあるわけでございますが、法律の趣旨からして事業者の任意に任せるということでございますので、行政の立場からどうなりそうだというのはなかなか言いにくい話でございますので、具体的な話は差し控えさしていただきたいと思います。
  112. 緒方克陽

    緒方委員 そう言いますと、再質問になりますが、運賃改定を業者が認可申請するということですが、一体でなくてこれだけやるということにはならないということの意味ですか、だから、すぐにでも業界が申請をすればされるということになりますか、その辺はどういうことになりますか。
  113. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもとして、次回の運賃改定と一緒にやれとか切り離してやれとかという指導をしているわけじゃございませんで、業界として今勉強している段階でございますので、なかなか今すぐ切り離してやれるような状況に業界がなっておらないことでございまして、業界として運賃改定とあわせた形でこの弾力化もやってみたいということで現在勉強しておられるというふうに聞いております。
  114. 緒方克陽

    緒方委員 労働力不足という現状の中でいろんな厳しい条件で輸送を強いられている業者の問題などを考えると、この問題については、まあ、そうはいっても運輸省は行政指導その他いろいろされているわけでありますから、この問題の早急な解決というものについてはやってしかるべき問題だというふうに私は思いますので、そういうことを申し上げておきたいと思います。  これに関連して、具体的な検討にまた話は戻るわけでありますが、そうする場合には、ジャスト・イン・タイム・サービスを見直す場合には共同輸造というものが必要だということで、既に三大都市で協議会を設けるということを三月の私の内閣委員会の質問のときにお答えをいただいて、そこで議論を進めてもらって作業を進めたいという答弁をいただいていたわけですが、その三大都市における協議会の議論の状況の結論はいつごろ出るのだろうかということと、それから、もちろんこれは運輸省だけじゃなくて、特に通産省とか農林省、業界団体の協力がなければできないわけでありまして、そこの理解を得る、協力を得るということをしなければなりませんけれども、そこらとの連携は十分にとられているのだろうかというふうに思いまして、その点についてはどうなっているか、お尋ねいたします。
  115. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 多頻度少量輸送といいますのは、基本的に、在庫コストを削減したいという生産なり流通側の要請から出てきておるものでございます。そのこと自体は当然の御要請であると認識しておるわけでございますが、そのやり方いかんによりましては、積載効率が著しく下がる、あるいは待ち時間がふえるということで非常に非効率な輸送をもたらす、やはり労働力不足その他の状況から考えると、もう少し幅広い見地から総合的に見直すことが必要だというふうな認識でございまして、運輸政策審議会の物流部会からもそういう御答申をいただいておるわけでございます。  今先生が仰せられました協議会は、そういう答申の考え方を受けまして、私どもで具体的に、多頻度少量輸送の現状はどうか、問題点ほどうか、改善方策はどうか、効果はどうか、こういったようなことを勉強していこうということでつくったものでございます。六月に第一回を開きまして、目途といたしましては、今年度中には結論を得るようにしたいというつもりで努力をしておるところでございます。  この問題そのものが物流というものとの関係で生産なり販売なりをどう持っていくかというところから出ておりますから、仰せのように、物流事業者が勉強しているだけではどうにもならないわけでございまして、荷主である産業界、問屋であるとかメーカーであるとか小売であるとか、こういう方に御参画をいただいております。それから、それとの関係で、所管の官庁であります通産省、農水省、こういうところの担当の部局の方にもお入りいただいておりまして、やはりそういう実務家が見て実効性のあるものでないといかぬ、こう思っておりますから、いろんな方の御意見を十分に踏まえまして実りのある提言ができるようにと思って努力をしておるところでございます。
  116. 緒方克陽

    緒方委員 目途は年度内、本年度中ということのようでありますが、私に言わせれば、その議論とPRということが当然されていくと思うのですけれども運輸省としてはもっと積極的にいかないと、私はもう時間的に非常に切迫をしているというふうな気がするわけで、具体的な手だてをもっと立てるべきじゃないかと思うのですが、その辺はどうですか。
  117. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 多頻度少量輸送が今深刻な制約要因の中でいろいろな問題を起こしているということは、物流事業者それから運輸省だけでなくて、産業界そのものもそういう御認識をお持ちであるというふうに私どもは理解をしております。  したがいまして私どもは、その協議会の結論が出るのを待たずに物流関係の団体の諸活動を通じて産業界にいろいろ働きかける、そういう努力をしてこの問題に積極的に少しでも進むような努力をしてまいりたい、こういうつもりでやっております。
  118. 緒方克陽

    緒方委員 そういうことでなかなか十分な回答ではありませんけれども、とにかくきようのところはそういうことでお受けをして、しっかりやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、ことしの九月十日に運輸省の貨物流通政策推進計画ということで、いわゆるアクションプログラムというものが公表をされたわけでありまして、いろんな政策の中身が明らかにされておりますけれども、私といたしましては、さきの貨物運送事業法の議論とそれから附帯決議の関係から、これはちょっとなかなか問題だなということを感じている点がありますので、その点ちょっとお尋ねしたいと思います。  それで、この貨物流通政策推進計画要綱の第二項目の「物流効率化の推進」ということで、「幹線物流の効率化」ということが挙げらておりまして、そこの大きな見出しで、「鉄道海運へのモーダルシフト、車両の大型化」ということで表現がされております。そして、具体的にどうするかということで見ますと、「平成三年度中に車両の大型化について、関係省庁との意見調整を進め、基本的方針を決定」という文章として九月十日に公表がされたわけですね。  そこで、私そのときのいろんな議論に参加し、附帯決議の内容を見せてもらって検討さしてもらったときの経過から見ておかしいと思いますのは、この附帯決議では、車両の諸元に関する制限の緩和については、輸送の安全や環境への影響を配慮しつつ、道路の整備の現状等に応じてということになっているわけですね。ところが、ここの車両の諸元の改善、緩和といいますか、そんなのがぼんと「車両の大型化」ということになっているわけです。  そこで、関係省庁ということで建設省にもこれは尋ねてみたんですけれども、建設省へは後ほどお尋ねいたしますけれども、いろいろ橋梁の強度の問題とかあるいは道路の傷みの問題とかそういうことであるという現状で、いかにしたらいいか模索中というような話を聞いている段階で、運輸省けがぼんと車両の大型化ということについて出しているということについては、これは非常に問題ではないか、表現的にもおかしいんじゃないかというふうに思いますけれども、この辺についてはそういうふうに思うんですが、どうですか。
  119. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 「車両の大型化」と申しております内容は、今先生が読み上げられました附帯決議の中にありますように、車両の総重量等に関する諸元の見直しのことでございます。これは労働力不足その他の状況から物流の効率化を進めていくために大切なことだと思って、私ども関係省庁の御協力を得ながら取り組んでいかなければならないと思っておるわけでございます。  それを大型化というふうに書きましたのは、これは私ども今御指摘を受けまして反省をしているところでございまして、車両そのものが大きくなるわけではございません。今の車両で軸数なりホイールベースに応じて重量制限の緩和を考えるというのが真意でございます。そういう意味で、誤解を生む表現でございました。深く反省をしておりまして、これから御注意を体しましてそういうことがないように注意をしてやってまいりたいと思います。
  120. 緒方克陽

    緒方委員 それでは今からのいろんな表現は車両の大型化ということについては使わないということですね。——はい、わかりました。  そこで、この問題についてさらに建設省にお尋ねしたいんですけれども、内容は今も申し上げましたように関係省庁との調整をしながら最終的には実施に向けていろんな検討がされているということでありますが、一番問題はやっぱり橋梁の強度とそれから道路の傷みというようなものがあると思うんですが、一般県道以上の強度というのが幾つか基準があるそうで、十四トン以上は通れないとか二十トン以上は通れないというようなことになっているようでありますけれども、その重さに耐えられないような道路というのは全国的にどういう数字になっているのか、その点についてお尋ねをいたします。
  121. 山口均

    ○山口説明員 お答えいたします。  橋あるいは高架の道路、その他これらに類する構造の道路を設計いたします場合には設計自動車荷重というものを用いて荷重の設計をいたすわけでございますが、一等橋につきましては二十トン、二等橋につきましては十四トンというのが基準でございます。それぞれTL二十、TL十四という呼び方の設計荷重を用いております。現在ございます。供用されております道路、都道府県道以上、一般国道、都道府県道で見ますと、TL二十で設計されました橋梁が約二万九千五百橋、TL十四以下で設計されました橋梁が約一万三千二百橋ということになっております。
  122. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、二十五トンの車両が通るということになるということになれはこの橋梁の強化というものが当然されなければならないというふうに思うんですけれども、その点についてはどういうことで検討をされておりますか、お尋ねをいたします。
  123. 山口均

    ○山口説明員 道路の構造はある一定の規格の車両が安全かつ円滑に通行できますように設計をしておるわけでございまして、この設計の考え方に合わせまして実際に道路を通行する車両の幅あるいは重量、高さ、長さ、最小回転半径といったものにつきましての一定の限度が設けられておるわけでございます。道路の構造の保全及び交通の危険の防止という観点からは道路を設計した際の考え方を超える車両の通行は許可できないということで、現在の道路整備状況からいたしますと全面的な規制の緩和といいますのを直ちに実施することは困難であろうと考えておる次第でございます。  一方、物流が増加する中で労働力不足の深刻化に対処するためトラック輸送の効率化を図るという見地から、あるいはまた諸外国との比較において我が国の規制をもう少し緩和できないだろうかという御意見、御要望も私どもの方にも出されております。  橋梁につきまして、大型車の交通実態あるいは車両総重量の増加が橋梁の耐衛力あるいは耐久性、こういったものに問題があるのかないのかといった点なども現在研究中でございますが、こういった点を含めまして、問題点につきまして関係省庁と連絡をとりながら検討を進めておるというのが現在の段階でございます。
  124. 緒方克陽

    緒方委員 それで、研究中ということのようですが、橋梁も年数がたてば当然弱っていくというふうに思うのですけれども、その点についてはど。うですか。
  125. 山口均

    ○山口説明員 一般論で申し上げますれば、やはり耐久性といいますのは年数とともに低下をするということを言えるかと思います。
  126. 緒方克陽

    緒方委員 それで、今言われました二万九千五百とか一万三千というような橋梁がそういう状況にあるわけでありまして、年数を経ればその強度も弱るという中で一体どうするかということで検討されているようですけれども、四月二十五日の交通安全対策特別委員会の中では、いろいろなことで一体どうしたらいいか模索をしているという表現で建設省としては答弁をされているわけでありまして、今の回答でも、何があるのかということについてはなかなか方向が出ていないのに、運輸省としてはもう年度内に、まあ大型化という表現は訂正されましたけれども、やるんだということで、あと半年しかないという中で基本的方向が出るほど、建設省の議論はそんなに進んでいるんですかね。
  127. 山口均

    ○山口説明員 私どもも、従来の経過だけを尊重して物を考えていく時代ではないという認識は持っておるわけでございまして、先ほど来申し上げましたように、道路の構造の保全それから交通の危険の防止という観点を踏まえまして、今後のあり方につきまして関、係省庁と連携を密にしながら検討を進めておるところでございます。
  128. 緒方克陽

    緒方委員 従来の考え方にはこだわらないでということで、新たな観点を持ち出さなければ確かにそれはできないと思いますけれども、そういうものは一体どんなことが考えられますか。
  129. 山口均

    ○山口説明員 先ほど申し上げましたのは、四月二十五日に交通安全対策特別委員会で道路局長がその旨の答弁を申し上げたということを踏まえましてお答えを申し上げたわけでございます。  検討の内容につきましては、現在私どもの方でもいろいろ研究、検討を重ねておる段階でございまして、本日ここで申し上げるほどの内容ではございませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  130. 緒方克陽

    緒方委員 その点についてはいろいろな知恵を絞るということで当然されていると思いますけれども、やはりトラックを運転している人だけじゃなくて、もしも橋梁が壊れたとかそういうことが原因で多数の事故が起きたというようなことにでもなれば大変ですから、新たな状況というのは十分わかりますけれども、その辺は慎重に議論をしながらいかないと、運輸省ではもう三月末には基本的な方針は決めるんだ、建設省の方ではまだ検討しているんだというようなことでは、政府としての一体的な検討状況にはないということになろうと思いまして、十分慎重に考えた、真剣に考えた、技術的にも交通安全上も問題のないというようなことで検討をしっかりしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。建設省の方はもう結構です。  次に、同じくこのアクションプログラムの中で、第二章第二項、「都市内物流におけるトラック輸送の効率化」ということが出ているわけでありますけれども、内容を見てみますと、何項目がありますけれども、これでいいのかなという感じでございますが、一体これで十分というふうに思われているのかどうか、あるいはどういう施策になっているのか、ちょっとお答えを願いたいと思います。
  131. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 都市内の物流というのはトラックに頼らざるを得ないわけでございまして、ほかの輸送手段はないわけでございます。したがって、いろいろ制約要因がある中でございますから、トラックというものをいかに効率的に使っていくかということが一番大事なポイントであろうというふうに思うわけでございます。  その場合に、まず自家用トラックと営業用トラックを比べますと、営業用トラックの方が非常に効率がいい、これはもう二十倍近く効率がいいわけでございますので、まず基本的な考え方として、営業用トラックをなるべく御利用いただけるようにしていかなければいけない、こう思うわけでございます。それからさらに、営業用トラックを使うときに、異なるいろいろな荷主の荷物をなるべく一つのトラックに積み合わせる、それによってトラックの積載効率を上げる、これも大事な手段であると思います。  こういったことは、基本的には物流企業、つまりトラックが努力をしてやっていくことでございますけれども、やはり荷主である産業界がそれに対応した動きをしていただかないと実際の効果は上がらないわけでございますので、基本的には、物流関係の団体を通じて物流企業自身が努力するようにしていく、それからさらにその団体を通じて産業界に働きかける、さらに将来は物流業界と産業界でこういった問題について協議をする場をつくる、そしてそこで話をするというようないろいろな手段を通じて、営業用トラックの利用促進、積み合わせの促進、こういったことをやっていかなければいけないと思っております。  これに対して。行政的にはどういうことを考えているかといいますと、行政的には、既にやったことでございますが、まず第一番目に、これは一番大きいと思いますけれども、先国会で、先国会というのでしょうか、一昨年の十二月に物流二法を通していただいたわけでございますが、あの中で、従来区域トラックと言っておりましたものについて積み合わせ輸送を認めていただきました。これは非常に大きいことであると思います。従来の路線トラックしか認められていなかった積み合わせ輸送が認められた、この仕組みというものはやはり大いに活用しなければいけないと思います。  それからもう一つ行政でやろうとしておりますことは、やはり基本的には物流業界なり荷主業界の御努力、それから、経済原則で動いていく世界でございますけれども、そういうものがうまく動くような支援をさせていただこうと思っておりまして、具体的には、共同輸送を進めるときの拠点になります配送センターというものがあるわけでございます。これは、物を集めてきて、保管して、仕分けをして、そしてまた配送する、そういうストックポイントないし配送ポイントでございますが、こういったものの整備を物流業者なりがやるときに財政投融資でそれをお手伝いするということを考えまして、そのための要求をしております。  それから、物流業は中小企業が非常に多いし、荷主さんである問屋とか小売にも中小企業が多いわけでございますので、こういった中小企業が物流のための配送センターをつくったりする場合にも、資金の手当てなり税制の面での優遇措置なりを通産省と協調してやっていかなければならないと思っておりまして、そういったこともやっております。  それから、先ほど仰せのありましたジャスト・イン・タイムの見直しなどというのも大事な施策であると思います。  そういったようなことで、いろいろな施策を総合的に組み合わせながらこの問題に取り組んでいかなければならないと思ってやっているところでございます。
  132. 緒方克陽

    緒方委員 今このプログラムに出ている内容を御説明されたのですけれども、しかし、大都市ではもう大変な交通渋滞あるいは環境問題が起きていも中で、基本的には産業界がやるんだというようなことで言われて、PR等、それから幾らかの金利の安いお金を貸すんだというような話ですけれども、それだけでは問題は解決しないというほど大都市における物流の問題あるいは交通渋滞の問題というのは大きな問題になっているというふうに思うわけであります。  そういうことを考えれば、今言われている施策よりももっと一歩先に突っ込んで、積み合わせの輸送システムあるいは配送センターというようなものについてモデル事業でもやるというぐらいのことで、具体的により一歩やはり政府自体がそこに入っていかないと、都市における貨物問題というのは、物流問題というのは解決しないのではないかというふうに思いまして、そういう点についても積極的に検討して取り組んでいくべぎだというふうに思いますが、その辺どうでしょうか。
  133. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 初めにちょっと一言あれですが、産業界も、今の物流というものが都市内で非常に行き詰まってきておる、これ自身が本来の生産活動なり販売活動に非常に大きな影響を及ぼしてきているという認識を強くお持ちでございまして、ある意味では危機意識をお持ちであるというふうに思っております。物流業ももちろんそうでございます。今先生が仰せられましたように、私ども先生の御趣旨を体して一生懸命やりますけれども、みんなもそういう気持ちを持っておりますので、そういう前提でこれから一生懸命取り組みたいと思います。  それから、共同輸送につきましては、実はもう四十年代からこういうことをやるべきだということを私ども言っておるわけでございますが、なかなかこれは進みませんでした。それは基本的には、やはり共同輸送をするということになりますと、荷主さんの方から見ると一つのトラックをみんなで使うということになりますから、自分の商品差別というのでしょうか、販売戦略で自分の個性を出すということができない。それから、トラックの方から見ますと、共同輸送というのは複数の荷主を一つのトラックに積んでしまいますから、結果的に今まで運んでいた荷主さんを失う人が出てくるというようなことがございまして、これがネックになって今まで進まなかったわけでございます。  しかし、その中でも、やはり先進的な例というのがいろいろございまして、既に大都市でかなりの数進んでおるものがございます。それが、先ほど申し上げましたような危機意識に支えられてもうちょっと広がっていかなければいかぬなというところまで今きておるわけでございますので、私どもとしては、先進的な事例というものを中心に、こういうものをやるときに関係者がどういう努力をしてこれができたのか、それをやっていくときにどんな問題に悩んだのか、それをどうやって克服したのか、やったらどういう効果があったのか、そういうことを調べまして、そしてそれを一種のモデルとして皆様方によく御理解をいただく、そしてその危機意識のもとにそういうものに皆さんが取り組んでいただくというようなことをこれから進めていかなければならないと思っておりまして、そういう意味でモデル的な仕事も進めていこうというふうに考えております。
  134. 緒方克陽

    緒方委員 モデル事業に対する認識の差がちょっとあるようですけれども、あと時間が迫ってきましたので、私が言いましたのは、モデル事業をぜひ運輸省が主体的に進めでやってもらいたい、そうしなければとてもじゃないがもう追っつかない、そういう意味ですから、そこらはぜひしっかり考えていただきたいと思います。  そこで、人がなかなか集まらないということで運送事業でもいろいろ問題があるわけですが、それは、仕事がきつい、長時間労働だ、危険だ、三Kというふうにいろいろ言われておりまして、特に道路運送事業の労働条件は厳しいということで人手不足だということが言われておりますが、その中の大きな問題点一つに長時間労働というのがあるわけですね。それで、例えば平成二年の道路貨物運送事業の総労働時間というのは二千五百三十八時間ですけれども、全企業では二千五十二時間ということで、五百時間も差があるということでありまして、何とかしなければならぬということで、労働省が特定業種労働時間短縮推進事業というのを委託事業としてやっているわけでありますけれども、これは平成二年と三年で終わるということになっております。  労働省にお尋ねしますけれでも、この進行状況はどういうふうになっているでしょうか。
  135. 君嶋護男

    ○君嶋説明員 ただいま先生御指摘のありましたように、私ども、特に労働時間が相当程度長い事業を対象に特定業種労働時間の短縮事業をやっておるわけでございまして、道路貨物運送事業もその中の一つとして、今平成二年度、三年度の事業として取り組んでおるところでございます。  事業の内容につきましては、労働時間の短縮の目標ですとか、業界それから個別企業でどういうふうに取り組んでいくか、そういった取り組み方あるいは取り組むべき課題、そういったことを内容とする指針を策定いたしまして、その指針を具体的に進めていく、具体的なやり方を決めるマニュアルの作成、それから個別企業において総労働時間の短縮を中心に担っていただく推進員の選任、そういったことを内容とした事業でございます。  現在の進捗状況でございますが、指針は既に策定されまして、それからマニュアルについても間もなくできるということでございますし、それから推進員については、現在、これは委託事業でございまして、全日本トラック協会に委託いたしまして各企業に選任勧奨をしていただいておるところでございまして、既に選任にかかっておるところもございますし、間もなく個別企業において選任がなされるというふうに考えておるところでございます。
  136. 緒方克陽

    緒方委員 それで、これは平成二年と三年の委託事業ですね。お聞きをいたしましたら、この二年間で三千六百万円ほどの委託費を出してトラック関係の労働時間短縮に取り組んでいらっしゃるということですが、もう九月ですからあと半年しかないという状況の中で、間もなくマニュアルは配付ですか、それから推進員もまだ全部決まっていないという現状ですが、委託費を出している以上は、今日時点で何人ぐらいもう既にその推進員は決まっておりますということがわかるべきじゃないですか。今はどういうふうになっているのですか。
  137. 君嶋護男

    ○君嶋説明員 事業の内容はただいま申し上げましたとおりでございますが、この事業というのは、事業としては二年度、三年度の二年間の事業でございますけれども、この目的というのは、そういった事業を通じて業界それから個別企業における労働時間短縮推進のための自主的な取り組みの体制整備ということがその主たる目的でございますので、こういったマニュアルあるいは推進員の選任ということがなされることによって、今後その事業としては、終わった後においてそういう自主的な体制がつくられ、それによって労働時間短縮が進んでいくというふうに私どもは考えておりますし、私どもとしてはそういった自主的な取り組みがさらに効果的に進むよう必要な指導援助にも努めてまいりたいというふうに考えております。
  138. 緒方克陽

    緒方委員 課長、私が質問しましたのは、三千六百方の委託事業で、あと半年しかないという中で、推進員をお願いしているということで政府が金を出しているわけですよ。そうすると、今日時点で何千名の人が選ばれておりますということがはっきりしないのはおかしいじゃないですかということを言っているわけです。
  139. 君嶋護男

    ○君嶋説明員 繰り返しになりますけれども、現在推進員の選任を進めておるところで、これはトラック協会において選任の作業をしていただいておるわけでございますので、選任が済み次第この秋以降推進員の研修に取り組んでいくということで、人数についてはまだ私ども報告は受けていないところでございます。
  140. 緒方克陽

    緒方委員 それはおかしいと思うのですよね。委託事業をする場合でも、内容は、さっき言いました指針とかマニュアル、それから推進員の任命というのは大体いつごろまでに終わるということははっきりしていたのじゃないですか。
  141. 君嶋護男

    ○君嶋説明員 おっしゃるとおりでございまして、これは二年度を通じての事業でございまして、推進員の選任は二年度目の事業でございますので、これは大体この秋あたりに選任をするというのは当初からの予定でございまして、今申し上げましたように選任が済み次第研修をし、この事業というのは、あくまでも事業としては先ほど申しましたように二年間の事業でございますけれども、この後ずっとその推進員というものが中心になって労働時間の短縮の推進をやっていただくという前提でございますので、当初の予定として大体今ごろ、秋に選任をするということで考えておったわけでございます。
  142. 緒方克陽

    緒方委員 国際的には労働時間の短縮をやらなければならぬということで労働省は大見えを切りながら、実際には金をやって、あとはもうとにかく業者でしなさい、業界にお願いします、そういう姿勢に私は非常に問題があると思います。ですからこれは、時間がありませんからもう終わりますけれども、推進員が選定をされて、そして来年度以降も、金は出されたわけですから、どうなっているかということについては、きちっと業界を通じて指導をしてもらい、また状況についても把握してもらいますように、またこれからも委員会に来ていただいて、ぜひ、口先で言っていることと実際やられていることがどうなのかということをチェックしていきたいと思いますから、そのときははっきり答えていただきたいと思います。  それからもう一つ、環境庁、お願いしておりましたけれども、時間が参りましたので、申しわけありませんけれども、ほかの人の時間に食い込みますので、以上で私の質問を終わります。
  143. 亀井善之

  144. 常松裕志

    常松委員 きょうは運輸大臣に対して四つの質問を予定いたしております。一つは、障害者の方々の移動の自由の問題、二つは、六弗化ウランの輸送の事故防止の問題、そしてトラック及びタクシー業界における深刻な労働力不足の問題について予定をしているところでございます。  まず最初に、障害者の方々の問題についてお尋ねをいたします。  初めに大臣にお礼を申し上げます。さきの運輸委員会で精神薄弱者の方々のJR及び航空機の運賃割引制度の実施の要望をいたしました。このたび十二月一日から実施をする旨の発表がございましたが、大臣初め運輸省及びJR各社等関係各方面の御努力に心から敬意を表するとともに、お礼を申し上げます。大臣、どうもありがとうございました。  ところで委員長、きょうこの委員会を傍聴したいということであちらに障害者の方々がおいでくださいました。皆さん、どうもありがとうございます。  ところが、この委員会室で傍聴していただこうと思ったのですが、御存じのとおり、傍聴席の隅のあの部分にしか車いすの方々は入れません。また、本会議場あるいは第一委員会室などにつきましても車いすの方々が自由に傍聴することができないような構造になっているわけでございます。まず国会議事堂の整備改善を図りますように委員長からぜひひとつ議長にお伝えいただきますようにお願いいたします。  そこでまず最初の質問ですが、車いすの方が仮に一人で私の地元の立川のバスの停留所から京都駅のタクシー乗り場までお出かけになるとして、どんなふうに移動していくことになるのかをお話をしていただぎたいと思います。バス、中央線、モノレール、それから羽田—大阪間は航空機、新幹線を利用するということを想定してお答えいただきます。
  145. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 車いす利用者の方がただいま先生御指摘いただきましたような経路及び交通手段で旅行をされる場合、各ターミナル等においてどのような施設の整備状況であり、問題点があるかについて事業者から調査した結果をお答えさせていただきます。  まず、立川駅行きのバス停におきましては、バスに乗車する場合は車いすのままで介護者などにより乗車していただくことになります。立川駅に乗り入れている路線バス事業者の車両はすべて車いすを折り畳まずに乗車できる車両となっており、車の中ではベルトで固定されて車いすが利用されるということでございます。  それから、立川駅ではバスから車いすごと降車していただいた後、バス停からJR立川駅までの間は路上に段差等はございませんので、そのまま参ります。立川駅の中ではエレベーターが設置されておりませんので、入り口から改札、さらにホームまで階段を上っていただく必要がありますので、御連絡のある場合、駅員が抱えて上がる体制になっております。  なお、隣接の立川の駅ビルにエレベーターが設置されておりますので、入り口から改札までの移動にはこれを利用される方も多いと聞いております。  東京駅では、中央線ホームから山手線ホームまでエレベーターを利用して段差なく移動していただくことが可能となっております。  また、山手線の浜松町駅では、JRのホームから改札、それから東京モノレールの改札までの間に相当階段がございますが、ここにはエレベーターがございませんので、先ほどの立川駅と同様、駅員が抱えて移動する体制となっております。  東京モノレールの改札からホームまでは、駅員に御連絡いただければエレベーターを利用することができます。  モノレールの羽田空港駅では、ホームから改札さらに空港内受付カウンターまでの間は階段があり、ここもエレベーターがございませんので、駅員が抱えて上ることになっております。  羽田空港では、受付カウンターから飛行機内まで航空会社の社員が案内いたします。その際、チェックインカウンターで御自分の車いすをお預けいただいて、備えつけの車いすに乗りかえていただきます。空港ビルから直接飛行機に乗り込む場合には、空港ビル内での一階から二階までの移動はエレベーターを利用することができ、そのまま車いすによつ搭乗することができます。また、地上を移動していただく場合にも、リフトバスを利用することにより車いすのまま飛行機に搭乗することが可能となっております。  機内では客室乗務員が対応いたしております。  大阪空港に参りまして、大阪空港では飛行機からターミナルビルまで大抵の場合は直接に連絡施設を用いて移動し、二階から一階まではエレベーターを利用していただきます。案内はすべて航空会社の社員がいたしております。  また、大阪空港からバス停までは段差がなく、バスに乗り込む際、これは立川のバスと違って車いすからおり、介護者等に抱えていただきます。乗車中も、そちらの場合は車いすからおり、シートに着席していただくことになります。特別の施設がございません。  それから、新幹線の新大阪駅ではバス停から入り口までは段差はなく、改札からホームまで駅員の案内によりエレベーターで移動していただきます。新幹線では車いす専用口から乗車し、車内でも車いすのままで利用していただける車両がございます。  京都駅に参りまして、ホームから改札さらに地上出口まで、駅員の案内によりエレベーターやスロープを利用して移動していただくことができます。  京都駅からタクシー乗り場までは段差はなく、タクシーへの乗車は車いすからおりて介護者によって行っていただきます。なお、京都の場合、前日までに予約をすればリフトつきタクシーが利用できるとのことでございます  ただいま御指摘いただきました経路については、ただいま答弁させていただいたような形で、まだ施設が十分整備されてないところもございますが、このような状況であることを御報告させていただきます。
  146. 常松裕志

    常松委員 大臣、お聞きのとおりであります。東京の立川から京都まで行く場合に、車いすの方は一人では、特にバスのときには一人では乗車することができないわけでありまして、また途中でも、介護者がつかなければ駅員その他に介護していただかなければ移動することができないというのが現状であります。  この駅施設等の交通機関の改善については、一九七五年の国連における障害者の権利宣言を受け、一九八三年から九二年までの十年間、「国連障害者の十年」として障害者に関する世界行動計画が推し進められています。我が国でも、内閣総理大臣本部長として、運輸事務次官も本部員となった障害者対策推進本部がつくられています。推進本部は、八二年に長期計画を策定、八七年にはその後期重点施策を決定、また、本年八月二日にはその後期重点施策の推進を決定をされているところであります。その中で、特に公共交通機関の整備の促進が掲げられていることは周知のとおりであります。  お尋ねいたしますが、この推進本部決定を受けて、運輸省は新たに、新たにですよ、どのような特別の措置をとろうとしているのか、具体的に御答弁をお願いいたします。
  147. 村岡兼造

    村岡国務大臣 障害者の対策は、障害者の「完全参加と平等」の理念の実現を目標としておりまして、運輸省におきましても、各交通事業者に対して、障害者等が公共交通機関を利用して移動する際、安全かつ身体的負担の少ない方法で移動できるよう、鉄道駅等の施設の整備や利用しやすい鉄道バス車両の導入等について配慮するよう指導いたしております。  また、来年度の予算要求におきましても、「人にやさしい」交通機関・施設実現のための施策の展開に要する経費を要求いたしておりますし、先ほど先生が言われました精神薄弱者の方々の運賃割引につきましても、本年の十二月一日から実現の目途が立ったところでございます。  今後とも、引き続き障害者の利用に十分配慮した交通対策を推進してまいるつもりであります。
  148. 常松裕志

    常松委員 大臣の決意を承りまして大変頼もしく思うわけでありますが、しかし、私の地元のJRの中央線、西武線、どの駅でも、またバス、タクシー等でも、この十年間に障害者の方々が自由に移動できるような改善は行われていません。例えば、障害者用のトイレなどの設備さえ整っていないというのが実情であります。  八九年の九月には、総務庁の行政監察報告でも、運輸省に対してでありますが、鉄道事業者を一層指導するよう求められているところであります。  私は先般、院の派遣で合衆国を訪問する機会を与えていただきましたが、正直言って大臣、本当に驚きました。車いすの方が非常に多いのですね。なぜ多いのかなと思っていろいろ聞いてみましたら、アメリカでは障害者法という法律が制定されまして、これに基づいた交通手段や施設の整備が進められているそうであります。したがって、自由に町に出ることができ、空港に公園に出てくることができるので車いすの方が非常に多いというお話を聞いて、大変参考になったところであります。その意味で、このアメリカの障害者法についてどんなふうにお考えであるのか、どんなふうに評価されているのかということ。  もう一つのお尋ねしたいことは、今障害者の方々は電動車いすの時代を迎えて、きょうも電動車いすの方々が見えていますが、非常に自由に動くことができるようになったんだそうです。しかし、この電動車いすというのは非常に重いものですから、段差のあるところあるいは階段なんかを駅員の方々に持って上がってもらうというのは、非常に障害者の方々は気の毒に思うそうでありまして、そういう点では施設の改善以外にはないだろうと思うのです。  私、調べましたら、この十年間に障害者対策の予算というのは、一兆二千億から二兆円に、六五%全体ではふえています。ところが、運輸省関係は、昭和五十六年が五千九百万、それが平成二年では九百万というふうに、わずか一五%にまで減ってしまっているということが、私調べてわかりました。これでは障害者対策に不熱心じゃないかというふうに言われてもやむを得ないんじゃないかと思って、運輸委員の一人として本当に反省をしたところであります。  したがって、今大臣から決意がございましたけれども、ぜひひとつ強力に運輸省としてこの障害者対策の予算を獲得していただいて抜本的に進めていただくという点をお尋ねしたいと思うわけですが、後段については大臣から丁重な御答弁がありましたので、障害者法についてのみ、一言ひとつ御感想をお願いいたします。
  149. 村岡兼造

    村岡国務大臣 米国の障害者法は、雇用、公共施設の利用等、あらゆる分野における障害に基づく差別を禁止するためのものであり、交通関係におきましても、障害者が社会参加をする上で不利にならないような措置をとることを定めたものと聞いております。  我が国におきましても、心身障害者対策基本法を中心として関係省庁が各種の障害者対策を推進しているところであり、交通関係につきましても、交通施設の構造、設備の整備等について適切な配慮がなされるよう必要な措置を講じるという同法の考え方に沿って、障害者の社会参加と平等の実現に努力をしているところであります。  正直に申し上げまして、この障害者の方々の問題は、従来、まあ十年、二十年前というのは、構造その他、駅その他例をとりましても、先ほど出ましたエレベーターの問題にいたしましても、そういう意識がなかった。障害者の方々が交通に不便にならないようにやるというのは近年でございまして、何しろ駅の数その他も膨大でございますし、私どもも努めてまいりますけれども、予算の獲得その他につきましても、また先生方の御協力を得ましてやってまいりたい、こう思っているところでございます。今後とも、まだまだ十分でないということは私ども承知しておりますが、一生懸命やっていきたい、こういうことを考えております。
  150. 常松裕志

    常松委員 ありがとうございました。  次に、六弗化ウランの輸送中の事故対策についてお尋ねをいたします。  青森県の六ケ所村でウラン濃縮工場が動き出そうとしています。ウラン濃縮工場は、既に世界各地で何度も事故を引き起こしております。例えば米国オクラホマ州のセコイヤ核燃料工場では、一九八六年の一月に六弗化ウランの十四トン入っているタンクが破裂して、六弗化ウランがガス状態になって工場内に漏れ、工場周辺に霧状になって広がるという事故が起こりました。幸い、事故直後に職員たちは一斉に避難、工場は閉鎖されるとともに、最も近い民家でも一キロメートルぐらい離れているなどの条件が幸いいたしまして、大惨事になることは免れましたが、一人が死亡、百八名の方々が負傷されるというような事故が起こりました。  さて、その六ケ所のウラン濃縮工場にかかる危険な六弗化ウランが大量に輸送されようとしておりますが、その陸上輸送中の危険性については、既に科学技術委員会でこの四月二十三日に我が党の先輩の関晴正議員がただしていらっしゃいます。  私はこの際、海上輸送時及び大井埠頭荷上げ作業中の事故を想定して、その事故対策について質問をしたいと思いますが、まず第一に、この六弗化ウランの生物的急性毒性についての運輸省の御認識をお尋ねをいたします。
  151. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 天然六弗化ウランでありますが、これは常温では白色、結晶状の固体でありまして、天然のウランの化合物でありますので、放射線による被爆はほとんど問題にならない低レベルであります。  ただ、この天然六弗化ウランは、水と反応しますと弗化水素のガスと弗化ウラニルの微粒子を発生いたします。このうち、弗化水素でありますが、これは可溶性で刺激臭を伴う発煙物質でありまして、人体への影響としましては、皮膚に接触しますと皮膚炎症を起こし、吸入しますと、のど、気管支、肺が侵されることになります。
  152. 常松裕志

    常松委員 侵されることになって、どういう事態になるのでしょうか。
  153. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 重症の場合には、肺水腫を起こしまして、呼吸麻痺、死に至る場合がございます。
  154. 常松裕志

    常松委員 弗化ウラニルを吸引した場合にも窒息死いたしますね。
  155. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 弗化水素の毒性がそういうことになっております。
  156. 常松裕志

    常松委員 運輸省は、この化学的毒性としては非常に危険だ、非常に危険な毒性を持っているというふうに認識をしているんでしょうか。
  157. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 ただいまのように、水と反応した場合には非常に強い毒性があるということで、危険物として取り扱っております。
  158. 常松裕志

    常松委員 昭和五十九年の八月二十五日に、ベルギー沖のドーバー海峡で西ドイツのフェリーとフランス船籍の貨物船モンルイ号の衝突事故が起こりました。あの中には、御存じのとおり、六弗化ウランが積載されていたわけですが、そういう事故、あるいはあの富士丸と「なだしお」との衝突事故のような事態、こういう衝突事故が仮に東京港内で起こった、核燃料物質積載船が船舶事故を起こしたとして、そして天然六弗化ウランを充てんをした四十八Yシリンダーが大火災に巻き込まれて破壊をされたというふうに仮定をしてください。この仮定というのは私の勝手な仮定ではありませんで、国際原子力機関IAEAの一九八八年の勧告の中に仮定されているものでありますが、こういう事故が起こった場合に、私はこの東京港内での船舶火災には全く打つ手がないというふうに思います。  例えば船長さんにはとても手に負えません。この核燃料物質輸送船には、六弗化ウランだけではなくて、さまざまな劇物、毒物あるいはガス、液化ガスなどの危険物が多量に積載されていることが市民の皆さん調査でわかっているところです。したがって、そういうところで船長さんがただ水をかけるというような消火方法は多分とれないだろうと思います。したがって、この乗員は全部外へ出る、避難をするという以外はないと思うのです。そうなりますと、船舶そのものについては、曳航して東京湾外に出して自然鎮火を待つか、あるいは船舶を沈めるか、いずれにしてもそう有効な方法は私はないと思うのです。かつ、放水した場合とかあるいは沈没させた場合にはウランが臨界に達することもあるわけでありまして、まことに始末が悪い。  この災害がおさまった後も始末が悪いわけでありまして、例えば海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の五十二条で、こうした「放射性物質による海洋の汚染及びその防止については、適用しない。」ということで、恐らく東電だろうと思うのですが、事業者にその処理の責任が負わされておりますが、これも一体どういうふうになるのかということがはっきりしない  そこでお尋ねしますが、こういった事故が仮に起こったと仮定した場合の運輸省及び海上保安庁のとる措置についてお答えください。
  159. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 ただいま先生から御指摘がありました事故の想定でありますが、極めて重度の事故というべきかと思います。通常のこの天然六弗化ウランを輸送しておりますコンテナ船でありますが、危険物を搭載している場合には、特に消防関係については厳しい基準を課しておりまして、火災探知装置、消防装置その他十分な備えをしておりまして、火災の発生のないように万全を期しているわけでありますが、ただいまのような事故を想定してということになりますと、まず第一には、先生御指摘のように、事業者責任を持ってこのような災害の防止のための措置をとらなければならない。これは原子炉等規制法の第六十四条第一項によりましてそういう責任が課されておりまして、さらに緊急の措置が必要であると判断した場合には、運輸大臣が同法第六十四条の三項に基づきまして関係事業者に対し積み荷の処理等災害防止に必要な措置を講ずる旨を命ずることができるということになっております。
  160. 常松裕志

    常松委員 海上保安庁の方から。
  161. 小和田統

    ○小和田政府委員 ただいまの御質問のケースにつきまして、海上保安庁の対応について申し上げます。  この天然六弗化ウランを積んだ船が爆発炎上したという想定でございますので、いわゆる炉規制法に基づきまして、事故を発見した者、通常は船長であろうと思いますが、この者が直ちに海上保安官に通報しなければならないことになっております。  保安庁の方は、通報を受けますと、この天然六弗化ウランから有毒な弗化水素が発生するおそれがございますので、それに対応できるような装備、例えば密閉式の防護服あるいは加圧式のマスクといったような装備を整えまして、そのために特別の訓練を受けた特殊救難隊という要員がございますけれども、そういう隊員、それからまた、消防舶、消防艇などを直ちに出動させます、それから、付近に航行している船舶に対しましては注意喚起を行う等、巡視船艇あるいは航空機によりまして付近の海域の警戒をいたします。  それから、現場におきましては、ただいま申し上げました特殊救難隊の隊員が乗組員の救出、あるいは消防船艇が消火活動を実施するわけでございますけれども、消火に当たりましては、六弗化ウランが水分と反応して弗化水素を発生する危険がございますので、六弗化ウランに対して直接放水をするということは避けまして、水を霧状にカーテンのように噴霧するという対応をすることになります。それによりまして弗化水素の拡散を抑制するとともに、仮に空中に弗化水素が出ました場合でも、すぐに水に溶けて被害を及ぼさないような措置をとることを予定しております。  それからなお、船舶が岸壁に着いております際にこのような事故が起きました場合には、消火活動につきましては、海上保安庁のほか消防庁等の機関と協力して当たるということになっておりまして、消防庁と海上保安庁との間でそのために業務協定というものができております。したがいまして、事故発生の情報を海上保安庁が入手した場合には、直ちに警察あるいは消防庁等の関係機関にも連絡をするという手はずになっております。
  162. 常松裕志

    常松委員 先ほど戸田さんからお答えがありましたように、非常に危険な弗化水素ガスが出る、それでそのIAEAの勧告書によれば、風下に民家あるいは人口の密集などがある場合には、そうしたガス発生の場合には避難を勧告したりすることがIAEAの文書の中で勧告をされているわけですね。  そういう大井埠頭付近の港内あるいは岸壁で事故が起こったとして、大井埠頭というのは御存じでしょうか、あれは大震法でいいますと付近の住民の方々が避難をしてくる場所になっているのですね、大井埠頭というのは逆に。そこにそういう事故が起こる可能性がある六弗化ウランを積んでくるわけですけれども、それはともかくとして、仮にそこで事故が起こった場合に、周辺の住民の皆さんに対する避難の勧告、一体運輸省あるいは海上保安庁はそういう勧告をやるのですか。
  163. 小和田統

    ○小和田政府委員 先ほども申し上げましたように、陸上の警察あるいは消防等との連絡体制ができておりますので、ただいま先生がお尋ねのようなケース、陸域あるいは人家等に影響があるようなケースでございますと、直ちに陸上の関係機関、すなわちこの場合であれば警察、消防等に連絡をし、必要な退避等の措置がとられることになるわけでございます。
  164. 常松裕志

    常松委員 とられるだろうと思いますということなのですが、それは他の省庁にかかわることでありますからそちらの関係委員会で質問をしたいと思っておりますが、ぜひ大臣に要望したいのは、ことしの四月の参議院の予算委員会で我が党の森暢子議員が同じ趣旨の質問をいたしておりまして、その際に海部総理は、防災対策について、「各省庁の縦割りの中に縮こまることなくよく連絡し合ってここの防災対策について万全を期していこう、こういうふうな御答弁をされています。  ぜひ、その六弗化ウランの大量輸送が始まるこの時期でありますから、運輸省がひとつ科学技術庁あるいはその他関係各省庁あるいは東京都などと連絡をとっていただいて、国民の皆さんがその事故による不安というようなものをお持ちになることのないように万全を期していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  165. 村岡兼造

    村岡国務大臣 各省庁とも連絡をとって万全を期してまいりたい、こう思っております。
  166. 常松裕志

    常松委員 どうもありがとうございます。  それでは次に移りまして、物流二法とトラック業界の労働力不足の問題に移らせていただきます。  まず初めに大臣に、物流業界における非常に深刻な労働力不足問題の解決に向けての決意をお尋ねをしたいと思いますが、私のところに実は一通の手紙が寄せられました。時間がありませんが、要旨だけ御紹介いたしますと、   私は、杉並区にある運送会社に勤める運転者です。私が働く運送会社が、安全に安心して働ける職場になるための方法をお聞きしたくお便り致しました。(中略)   私が働く会社では、朝七時に出社し帰る時間はよる七時。十二時間も働いています。これは普段の月で、繁忙期には、帰りが九時や十時となるのが当たり前になってしまいます。(中略)  詳しく計算したことはありませんが、私の現状で考えれば、年間三千時間の労働時間になります。   最近よく新聞で見る、日本人の労働時間を千八百時間にするなどというのは、誰の話なのかと思ってしまいます。(中略)   これだけ働いているのに、給料のことを考えると、また不思議です。一カ月二十五日働いて手取りで二十五万から三十万です。ボーナスも年二回で八十万円ぐらいです。   私の知る長距離運転手の会社では、うちの会社よりひどくて、保証なしの会社です。昔の日給月給のままです。(中略)   話を聞いてビックリするのは、名古屋大阪に仕事に行って、帰った日に、また出かける日もあると聞いたときは驚きました。名古屋を、月に十九回も仕事をしたこともあるそうです。  高速道路で事故るのは、こんな運送屋の車なんだろうなと思います。   私たちの条件が悪いのは、運賃がよくないからだろうと思います。会社が荷主の言いなりになっていることが原因だと思います。 こういう職場をぜひ一生働くことができるような、安心して働ける職場に変えてもらえないか、こういう趣旨の手紙をいただきました。  それで、この物流業界の人手不足の問題あるいはそのほかの非常に大きな矛盾については、既に運輸政策審議会の物流部会が「物流業における労働力問題への対応方策について」ということで大臣への答申も行われているわけでありますが、こうした深刻な労働力不足を中心とした物流業界の労働問題、あるいは賃金、あるいはその他の問題についての解決に向かっての大臣の決意をひとつお願いいたします。
  167. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今先生から、トラックの運転手さんの手紙の内容もお聞きをいたしました。運輸業界、極めて零細な形態も多いわけでございますが、したがいまして、貨物業界の深刻な労働力不足も起きておるわけでございます。一方、荷動きが非常に堅調な中にありまして、今言われた労働力不足が深刻化いたしております。  このような状況の中で円滑な物流を確保していくためには、労働力不足対策を強力に進めていか。なければならないと考えておりますが、運輸政策審議会の答申にもあるように、先ほどは三千時間、こういうような話もありましたが、労働時間の短縮を初めとする労働条件の改善や福利厚生施設の整備等労働環境の整備、また賃金等、物流業を魅力ある職場としていくことが必要であり、このような方向で今後とも関係業界を強力に指導するとともに、運輸省といたしましても、物流システム自体の効率化対策についても積極的に取り組んでまいる所存でございます。  いずれにいたしましても、貨物業界は零細中小が多いわけでございまして、先生のおっしゃる事例もあろうかと思います。こういうことは今後ないように指導していかなければならぬと考えております。
  168. 常松裕志

    常松委員 私は、先日こういうお手紙をいただきまして、東京の何社かの業者の方にもお会いしていろいろお話を伺いましたが、運賃も少しずつ上がっているという運輸省の話もありますが、実際には、五十九年の運賃とか、あるいは、ひどい場合は五十七年の運賃で今ようやく収受している、この間の届け出た運賃はとてもとれていないという話も聞きました。  また、後でこれは大臣ぜひ見てもらいたいのですが、東京都のトラックの運転手さんたちがつくった他産業との比較の表でございますので、ぜひごらんになっていただきたいが、とにかく物流業界の賃金、労働時間、非常に悪くて、東京では、時間当たりの賃金でいえばトラック業界の方々が最低、一時金もボーナスも他の業界の中では最も低い、こういう状況であります。大臣がおっしゃるように、こうした問題の解決なしには労働力不足の解決は私はできないと思います。  さてそこで、物流二法の可決に当たりまして、本委員会並びに参議院の運輸委員会で附帯決議が行われました。これらの決議は本法の施行に当たりどのように措置をされているのか。先ほど別の委員からの御質問にもございましたが、特に参議院の運輸委員会における貨物自動車運送事業法案に対する附帯決議の第十一項、「貨物自動車運送事業に従事する労働者の労働時間短縮を促進するとともに、累進歩合制の廃止等賃金制度の改善指導、産業別最低賃金制度の確立に努めること。」というこの決議については、トラック業界の特殊な事情から決議をされ、運輸大臣に対してもこれもの点についての万全の措置をとるように求められているわけでありますが、具体的にどのような措置がとられたのかという点についてお答えをいただきたいと存じますし、特にお聞きしたいのは、この決議については労働大臣にもきちっと伝えられておりますですね。
  169. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 貨物自動車運送事業法案の国会審議におきましては、衆議院の運輸委員会では十五項目、参議院の運輸委員会で十九項目の附帯決議がなされているところでございます。運輸省といたしましては、この法律の公布の後、この決議を踏まえまして決議事項の実施を図っているところでございます。今後とも、このすべての項目について、決議内容の実現に向けて努力してまいりたいと思うわけでございます。  御指摘の参議院運輸委員会の附帯決議の第十一項の産業別最低賃金の問題でございますが、最低賃金法によりますと、まず労使間で話し合った上、労使から都道府県労働基準局長に対する申し出がなされてつくられるというふうになっているわけでございます。  附帯決議の内容につきましては、最低賃金法の所管官庁であります労働省にまず対応をお願いすべき問題であるというふうに考えておりまして、私どもの方からも労働省と話をして労働省との意思の疎通を今までもやっているわけでございますが、今後とも労働省との意思の疎通を十分図ってまいりたいというふうに考えております。
  170. 常松裕志

    常松委員 局長にお尋ねしますが、最低賃金制の確立というのは、先ほど申し上げましたような運賃のダンピングとかそういうことが実際に行われているこの業界の秩序の確立、公正競争の確保のために私は非常に有効に機能するというふうに理解しておりますが、その点いかがでしょうか。
  171. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 輸送秩序の確立とか公正な競争の確保ということでどういうことをやったらいいかということでございますが、まず第一にやるべきことは……
  172. 常松裕志

    常松委員 いやいや、つまり最賃制の確立が有効かどうかということです。認識していませんか、あの決議からして。
  173. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもは、どちらかというと過積載の禁止とか過労運転の防止とか、運行管理者に対する国家試験制度とか、それから適正化事業の実施の問題、あるいは荷主勧告の規定ができたわけでございますが、これをまず的確に運用していくことが有効だと考えているわけでございます。  さらに、先生御指摘のような最低賃金制の確立につきましては、先ほど大臣からお話をいたしましたとおり、トラック業界の労働条件が他の産業に比べますと格差があり、かつ労働力不足というのが深刻化いたしておるわけでございますので、私どもとしては労働条件の改善という観点からの業界の指導というものは今後ともやっていく、魅力ある職場にしていくということは必要だと思っておりますし、そういう方向で具体的な対応をしてまいりたいと思うわけでございます。  最低賃金制をどうするかということについては、基本的にはまず労使間で話し合うべき問題でございますので、私どもがその内容について具体的に介入するということは行政上まずいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  174. 常松裕志

    常松委員 介入してくれと言っているんじゃないのです。最賃制の確立はその業界の秩序確立にとって有効と考えているかどうかということなんです。これは運輸省の問題でしょう。これは運輸委員会の問題ですよ。  とにかく、人件費が単価の中の五〇%近くを占める業界なんですよ。その中で最低賃金制が機能することがダンピングその他の防止、公正競争の確立に寄与するのは当然だと思うのですけれども、どうなんですか。
  175. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 貨物自動車運送事業法によりますと、例えば適正化実施事業の内容として、おっしゃるように輸送秩序の確立というふうなことも言っておるわけでございますが、ただ、ここで規定しておりますのは、具体的に秩序を阻害するような行為というものが発生する、これを防止する必要があるというふうなことを念頭に置いているものと思うわけでございまして、こういう労使間で合意して制度を設けていくようなものについてまでその秩序を阻害するとかいうふうな観点から対応すべき問題がどうかということについては、私どもとしては非常に難しい問題ではないかという理解をいたしております。
  176. 常松裕志

    常松委員 対応してくれと言っているのじゃなくて、有効かどうか、その認識を聞かしてくれということなんですが、お答えしにくいでしょうから、それはもうその辺にいたします。  実は、トラック業界の最賃制というのは、局長、全然進んでないのです。全然進んでないです、産業別最賃は。東京、長野、大阪などで議論されていますけれども、東京ではもう五年前からこの議論がございまして、東京都トラック運転者最賃対策会議の代表幹事の島崎邦雄さんという方からこの最賃制についての申し出があって、本年の八月六日まで九回にわたって検討委員会が労使公の代表委員によって行われているのです。ところが、この検討委員会にことしの七月に社団法人の東京都トラック協会から、現在の時点では時期尚早だ、こういう趣旨の見解が提出されたというふうに伺っているところです。  御承知のとおり、社団法人東京都トラック協会はいわゆる適正化事業の実施機関として指定されているところでありまして、私は、その実施機関でもあるトラック協会に対して、運輸大臣並びに運輸省から、この物流二法の趣旨にかんがみて公正競争あるいは業界の秩序確立に関してこの最低賃金制というものが持つ意義について正しく理解を求めるような指導——圧力をかけると言っているわけじゃないですよ、適切な認識を持つような指導をしていただきたいと思うのです。それならできるでしょう。お願いいたします。
  177. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 最低賃金制については労使でまず話し合っていただく問題でございますが、先生おっしゃるようにトラック協会側が最低賃金制度というものを正しく理解してないようでございますので、その点につきましては労働省と相談して正しく理解されるようしてまいりたいというふうに考えております。
  178. 常松裕志

    常松委員 どうもありがとうございます。よろしくひとつお願いいたします。  次に、ハイ・タク労働者の問題に移りますが、ここもまた非常に深刻な労働力不足であります。相変わらずタクシーが非常に不足していることは御存じのとおりですが、昨年五月にタクシー運賃の改定かございまして、この改定時には、物価安定政策会議特別部会の中で求められた、運賃改定による増収分は労働時冊の短縮を含む労働条件の改善に充てるようにと、この趣旨によって運輸省により非常に強力な指導が行われました。  それで業界の皆さん、例えば東京では、東京乗用旅客自動車協会が昨年七月にその趣旨を加盟各社に徹底させるなどの措置がとられたわけでありますが、私の見るところ、非常に立派にその趣旨が生かされたというふうに理解しておりますが、全体としての労働時間及び賃金においてどのような改善がされたか、かいつまんで手短にお答えいただきたいと存じます。
  179. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 昨年五月の東京・横浜地区の運賃改定以降、全国各地で労働条件の改善を主要な目的としてタクシー運賃の改定を実施してきたところでございます。運輸省におきましては、この申請の趣旨に照らしまして、運賃認可に際して各運輸局長から業界に対しまして通達を発し、労働条件の改善等を強く求めるとともに、実施状況等について報告を求めておるわけでございます。  それで、東京・横浜地区につきましては改善状況の集計結果がまとまったわけでございますが、これによりますと、東京特別区・武蔵野・三鷹ブロック、これはまとめて一つのブロックとしておるわけでございますが、この場合、増収分の約八〇%がタクシー運転者の賃金として還元されているわけでございます。年収ベースで三十六万円の賃金アップというふうになっております。私どもも、この地域の実情に照らしまして、おおむね運賃改定の増収効果に対応する労働条件の改善が進んでいるものと認識しているわけでございます。  その他の地域につきましても、今後、事業者からの報告を集計した上で改善状況のチェックを行っていきたいというふうに考えております。
  180. 常松裕志

    常松委員 実は私もいろいろな事業所を回ってドライバーの方々の話も聞きました。また同時に、一〇%の障害者の方々の運賃割引なども行われましたから、障害者の方々お話なんかも承りましたが、全体といたしまして、今回の運輸省の御指導は私は非常に遣切であったというふうに、ドライバーの方々もあるいは障害者の方々も非常に高く評価しているというふうに思っています。また、東京の場合でございますが、東京労働基準局長が八月十九日に東旅協各社あてに要請を行っておりますが、その中でも同じように基準局としてもこの評価をしているところであります。  しかしなぜ労働力不足が解消されないのかということなのですが、やはり非常に他の産業に比べて労働条件の格差がある。例えば、労働省がつくりました賃金構造基本統計調査によりますと、東京では年収が全産業では六百八万、ハイ・タク労働者は五百三十万ということで、約七十八万円の格差があります。労働時間において、同じく全産業では月百八十八時間、ハイ・タクは二百十三時間、月にして二十五時間も多く働いています。加えて、八六%の事業所で労働基準法、労働安全衛生法の違反がある、八二%の事業所で自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の違反の事例が見られる、こういった非常に、何といいますか、他産業に比べて劣っている労働条件が人手不足の原因にもなっていると私は考えます。  それで、タクシーの不足でありますが、とにかくこの五年間東京では実働率が下がり続けてきておりまして、平成二年では八八・三%ぐらいになってしまっていますね。こういう人手不足を解消するためには、やはり引き続き労働条件の改善に努めていく以外にないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  181. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 タクシー労働者の賃金の状況あるいは労働時間の状況につきまして先生から今御指摘をいただきましたが、私どももそれと類似したような形の資料を持っております。おっしゃるように、他産業の労働者に比べますと、全体の年収が少ない、労働時間が多くなっておるということは全くおっしゃるとおりでございます。この格差につきまして、実は去年と比べますと若干縮小ぎみでございます。まあ若干でございます。依然としておっしゃるように大きな格差があるのは事実でございます。  私どもといたしましても、タクシー運転者につきましては依然として労働力不足の傾向も続いておるわけでございますので、労働力不足を解消して適切な輸送力を確保するということのためにも、労働条件の一層の改善が必要であると考えております。今後とも引き続き、いろいろな機会をとらえまして事業者に労働条件の改善を指導してまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。
  182. 常松裕志

    常松委員 提案があるのですが、その前に、日本経済新聞で、都内大手の四社は近く東京地区での運賃値上げを申請するというような記事を先日見ましたが、同紙の報ずるところによりますと、昨年の運賃の値上げにもかかわらずタクシー部門は完全な赤字というふうに言っている大手の関係者の言葉も掲載されていました。私の入手している資料でも、都内タクシー大手の某社は、平成三年におきまして年収が百九十億、他方、運送原価が二百十二億、これは利潤を除いて運送原価で二百十二億、したがって既に二十二億円の赤字というのが去年の実情であります。  ところで、大手の労働者の場合の労働条件ですが、平成二年で年収五百七十万でした。平成三年では、春闘の結果、年収が平均で約六百万円ぐらいにはなったと思うのです。しかし、東京都労働経済局が発行しております「東京の中小企業労働者の賃金」という資料によりますと、東京の中小企業労働者の賃金が今春闘が終わって六百六十万。ですから、中小企業の方々の賃金と比べて大手の方々の賃金は、なお今でも年において六十万円低い、これが実情であります。しかしながら、この程度の改善であっても大手の企業としては既に赤字になっている。  他方、完全歩合制などをとっている、あるいはB型賃金制の中小の事業所などでは、運賃の値上げがない限り大幅な労働条件の改善が行われないわけでありまして、この結果、春闘後、ますますタクシー労働者間の格差も広がっているというふうに言えますし、この問題はタクシー業界の全体的な問題だろうと思うのです。  私、タクシーというのは公共輸送機関として今後ますます重要性を持ってくる、特に御高齢の方々や、あるいはきょうお見えの身体障害者方々の足としてフィンランドなど北欧諸国では非常に活躍しているわけでありますが、日本でも必ずそうなるというふうに思っています。  したがって、そういうことを展望すればするほど、一層この労働条件の改善を図って、若い生き生きした青年の方々に喜んで入ってきていただけるような業界にしていく、そういう魅力のある職場にしていくことがどうしても必要だ、そのために労働条件の改善が必要だ。実は、政府もそうですが、この束旅協など業者の方々もその方向で一生懸命努力をしていることはうかがい知ることができます。  そこで提案なんですが、運輸省は、ひとつこの賃金のモデルみたいなものを公開をして、この業界全体を近代化していくというようなつもりはないか。特に、公共輸送機関として確立するために、利用者、そして政府及び労使の協議の場を設ける、そこで公共輸送機関としてのあり方あるいは適正な運賃、適正な利潤、適正な賃金、こういったことについて社会的に合意のいくような話し合いの場のようなものをつくっていく気がないかどうかということをお尋ねをし、また、提案でもありますけれども、提案いたしまして、お答えを求めて、私の質問を終わります。
  183. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 賃金モデルの公開の話と利用者を含む政労使の協議の場の設置の話でございます。  まず賃金モデルの公開の話でございますが、運輸省といたしましては、タクシー運転者の労働条件の改善のためにいろんな機会をとらえて事業者に対する指導を行っているということでございまして、今後ともこの方針でいきたいというふうに思っているわけでございますが、具体的な賃金水準とか賃金体系について運輸省としてモデルという形で示すということについては、この問題は基本的には労使間の問題でございますので適当ではないのじゃなかろうかというふうに思っております。なお、例えば過労運転を誘発するような運賃体系などに対しましては、個別に厳正な対処をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、もう一つ、利用者を含む政労使の協議の場の問題でございますが、まず私どもは、従来から公共的な交通機関としてのタクシーのあり方につきまして、利用者代表を含む運輸政策審議会の場で御審議いただいているわけでございます。この辺については、先ほど答申を得たという形になっているわけでございます。それから、運賃改定に際しましては、必要に応じまして物価安定政策会議の場で利用者の御意見を聞いたりしているわけでございます。そういうふうに政府の中でもいろいろなことをやらせていただいております。  それからもう一つは、今先生の御指摘があったわけでございますが、タクシー事業について利用者の理解を得るためには、やはり経営者とかタクシー運転者の対応も非常に重要なものではないかというふうに思います。御指摘のように、今後のタクシー事業の公共交通機関としての発展のためには利用者の理解が必要であると認識しております。運輸省といたしましては、事業者、タクシー運転者等と協力して、いろいろな機会をとらえて利用者の理解を得るべく努力してまいりたいと考えております。先生のせっかくの御指摘でございますので、今後利用者の理解を求めるための方策の一つとして念頭に置きつつ、さらに検討してまいりたいと考えております。
  184. 常松裕志

    常松委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  185. 亀井善之

  186. 春田重昭

    春田委員 本日は数多くの質問をしたいと思っておりますので、ひとつ答弁は簡潔にお願いしたい、こう思っております。野村の○○会長さんみたいに私の質問を復唱する必要はございません。ゆっくり答弁しないようによろしくお願いしたい、こう思っております。  まず、関西国際空港の問題です。  まず、開港時期ですが、当初は平成四年度末が目標であったわけでございますが、空港島の沈下、漁業補償等の難航等によりまして、平成六年の夏ごろということが昨年の十二月十四日に発表されました。現時点ではこの開港の時期について運輸省としてはどう見ているのか、お答えいただきたいと思います。
  187. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今先生御指摘のとおり、関西空港の開港時期につきましては、昨年の暮れに会社から、当初予測を上回る地盤沈下等の対応も踏まえまして建設工程の見直しが行われたわけでございますが、平成四年度末の開港が不可能だということでございまして、新たな開港目標時期を平成六年夏ごろにしたい、こういう報告を得たところでございます。現在、私どもあるいは関西国際空港会社におきまして空港島あるいは連絡橋その他空港諸施設の建設を鋭意一生懸命やっていただいておるわけでございますので、この新しい開港目標時期に向かいまして一刻も早く開港できますよう、関西国際空港会社はもちろんでございますが、私どもも一生懸命対応してまいりたい、このように考えております。
  188. 春田重昭

    春田委員 ところで、平成六年の夏ごろとなっておりますけれども、夏ごろといっても非常に幅がございますね。空港側からの説明では工期として十五カ月間の追加が必要である、こういう説明です。したがって、当初の平成四年度末、すなわち平成五年の三月末ということが開港であれば、これに十五カ月を追加すれば平成六年の六月となるわけでありますが、夏ごろという表現は、九月の初旬までもまだ夏ともとれるわけですね。この点については運輸省はどう考えておりますか。
  189. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今具体的に先生の方から御指摘をいただいたわけでございますが、今の工程も大変厳しい工程であると私どもも重々認識しておりまして、この目標におくれないようにとにかく頑張ってまいりたい。今の夏ごろというのは若干微妙な表現ではございますが、そういった弾力的な範囲内の中でもこれは大変厳しゅうございますが、いずれも夏という段階でさらに具体的な工程を詰める必要があろうかと思いますので、その辺で御容赦をお願いをして、一生懸命努力をいたしたい、こんな格好でございます。
  190. 春田重昭

    春田委員 じゃ会社側の説明、いわゆる工期も十五カ月間という説明がございましたね、これはさらに延長すると見ているのですか。
  191. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 答弁が若干不十分でございましたが、延長するつもりはございません。会社の方針の枠内で一生懸命その開港時期に向かって努力をいたしたい、こう考えております。
  192. 春田重昭

    春田委員 そうしたら、十五カ月間であれば平成六年の六月開港、間違いないですね。
  193. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 いずれにしても、地盤の問題等、これからの工程計画がいろいろあるわけでございまして、私どもの掲げた目標時期ということでございますので、その目標時期に向かって努力をやっていきたい、このように考えております。
  194. 春田重昭

    春田委員 その目標時期というのは六月なのか九月なのか、どっちなんですか。真ん中なのか、どっちなんですか。
  195. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 これはこれからの申し上げ方としては非常に難しゅうございますが、あくまでも十五カ月という目標がございますので、それに向かって努力はいたしますが、公式な日程として夏ごろという表明をさせていただいておりますので、おくれないように努力をいたしたいと思います。
  196. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、私はなぜこれにこだわるかといえば、空港関連会社につきましては、一月、二月、三月おくれるということは大変な金利負担なんですよ。これは空港関連会社だけでもない、地元の地方自治体さらに地元住民、いろいろな関係者の方が大変な損失をこうむるわけです。そういった意味で、六月の開港と九月初旬の開港というのは、地元にとっては、関係者にとっては大変大きな痛手になるわけです。そういった面で私はこだわっているわけです。  工期の延長期間が十五カ月間と言われているわけですから、運輸省としては平成六年六月、これに全力を挙げて取り組むのが筋じゃないかと私は思うのですよ。大臣、どうですか。
  197. 村岡兼造

    村岡国務大臣 ただいま航空局長からお答えもございましたが、三大プロジェクトの一つである関西国際空港、私どもも重要であると考えまして、私も現地視察をいたしました。空港の会社並びに現地技術者の方からお聞きをいたしまして、十五カ月延びたということで、これ以上のあれはないように頑張る、こういうようなところも聞いてきております。  ただ、これは、先生の言うとおり、十五カ月というと六月だ、夏ごろというと、七月が夏なのか六月が夏なのか、まああれでございましょうが、今先生の心配しているとおり、利息その他、そういうものについて大変な状況でもあろうと思いますので、夏ごろというような微妙な言い回してございますけれども、それ以上おくれるということはないと確信をいたしておりまして、一生懸命早期完成に近づけて頑張らさせていきたい、こう思っておるところでございます。
  198. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、運輸省の決意としては平成六年六月開港に万全なそういった体制を整えていただきたい、このように要望しておきます。  さらに、全体の事業費が当初は約一兆円でございました。それが延長することによって約一兆四千三百億円ということで試算がされております。この追加事業の四千三百億円の財源調達につきましては、国と地方と地元財界との間において調整を行う、こうなっておりますけれども運輸省の基本的な考え方をお示しいただきたい。
  199. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、一兆四千三百億円という格好で実は今年度の予算編成過程におきまして財政当局と方針をすり合わせたところでございまして、これで第一期計画の工事費の全体規模とする、こう整理されたわけでございます。  私どもは、この財源調達につきまして、従来国が二割、地元それから財界を含めて一割、全体で三割の無償資金、残り七割を借入金、こういうことでございまして、今回予算要求もさせていただいているわけでございまして、この方針で地元公共団体、財界にもお話をして御理解を賜りたいと思っております。
  200. 春田重昭

    春田委員 従来の仕組みといいますか負担割合は、今局長がおっしゃったとおりです。となれば、会社負担、借入金、これは七割なんです。四千三百億円の七割というのは金額にして約三千億円です。これは会社として大変な金額です。これは負担の限界を超えていると思いませんか、どうですか。
  201. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 御指摘のとおり大変多額の金額でございまして、関西空港全体の収支計画に狂いのないような範囲内で一生懸命収入の増加も今後検討しながも頑張っていきたいと考えております。
  202. 春田重昭

    春田委員 会社側の負担というのは最終的には利用者に返ってくるわけですから、そういった意味で、追加事業の財源配分につきましては会社に過重負担にならないように十分国としても考える必要があるんじゃないかと、私は一応要望しておきます。  さらに、全体構想でございますが、第六次空港整備五カ年計画の本答申がこの秋出る予定になっております。この全体構想のいわかる事業費の調査費、事業費としての調査費として運輸省平成四年度概算要求の中で六億円を要求されております。今後年末にかけまして大蔵当局との折衝になろうかと思いますが、この六億円、昨年は八千万ですよね。かなりの大幅アップでございますが、この六億円、いわゆる事業着手としては当然これは必要なお金でございますし、そういった面で大臣の御決意をお伺いしたいと思うのです。
  203. 村岡兼造

    村岡国務大臣 予算の確保、今先生調査費の確保について全力を挙げて頑張ってまいりたい、こう思っております。
  204. 春田重昭

    春田委員 今回の関西国際空港というのは二十四時間空港、我が国で初めてです。国際化、情報化といいますか、多様化する社会生活にこれから必要な空港とも言われておりますので、一日も早い開港ができるよう運輸省として一層の努力をしていただきたい、こう思っております。  次に、自動車の放置問題で若干お尋ねしたいと思いますが、今自動車の放置問題というのが非常に社会的な問題となりつつあります。そこで、まず御報告いただきたいのですが、現在の自動車の保有台数と廃車された台数、そして全く放置されたままになっている台数、こういったことを把握されていれば御報告をいただきたいと思います。
  205. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  まず保有台数でございますが、平成二年度末、ことしの三月末でございますが、六千七十四万六千八百五十二台になっています。放置された車両につきましてはちょっと実態をつかんでおりませんけれども平成二年度に抹消登録された、いわゆる登録を解消された車でございますが、四百九十六万台を数えております。
  206. 春田重昭

    春田委員 放置自動車は把握されてないということでございますが、巷間伝えられるところによると大体二、三万台じゃないか、この台数も年々ふえていっているという状況だそうでございます。  ところで、本年七月一日から、この放置自動車対策として二つの方法がとられました。まず一つは、ユーザーが車の販売店に相談すればその販売店がいわゆる抹消手続から廃棄の処理まで代行する、今までユーザーがやっていかなければいけなかったのを車の販売店が代行する、二番目として、所有者不明の放置自動車については、地方自治体で処理してその費用はメーカー等が自治体に支払う、そういった制度ができ上がったわけです。今後これらの制度がどう徹底されるか、その運用いかんによってこの放置自動車も減ってくると私は思うのですが、この放置自動車をさらに減らすために、徹底させるためには、運輸省も御努力せねばならない点があるのではないかと思うのです。  そこで、運輸省にお伺いいたしますけれども、現在廃車の手続は道路運送車両法による抹消手続がございます。その手続も、十五条では永久抹消登録、十六条では一時抹消登録、この二つの手続があるわけですが、この手続は地方の陸運事務所で行っております。  永久抹消には、一つはナンバープレートを持っていく、それから車検証、印鑑登録及び印鑑、さらに解体証明書ということが言われております。この解体証明書でございますが、私が地元陸運事務所に問い合わせたところ、いわゆる解体証明書は義務づけてない、解体証明書がなくとも永久抹消登録がされているわけでございますが、この実態を運輸省としては御存じですか。
  207. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。解体証明書を実際見ておらないという御指摘でございました。実態的なものは正確に把握してございませんが、法令面におきましては登録令、政令でございますが、登録令の十四条におきましてそういう登録の原因を証する書面を添付しろということで私ども現場に徹底しておりまして、先生御指摘のように印鑑登録あるいは印鑑あるいは車検証、ナンバープレートとあわせまして、そういう解体証明書を十五条の場合にはとるということを実態においてやっておるつもりでございます。
  208. 春田重昭

    春田委員 運用の問題だと思うのですが、必ずしもそれが徹底されていないのですよ。したがって、この解体証明書を持ってないから結局それが放置自動車になっている面が多いのですよ。そういった面で私は、今後各地方の陸運事務所には、解体証明書がなかった場合には永久抹消登録できませんよということを必ず徹底していただきたいと思うのです。  さらに一時抹消、これは一時抹消ですから本人が使わないでまた次に使うんですよ。したがって、この一時抹消の登録の車がかなりやはり放置されている面が多いのではないか、こう言われておるわけです。ところが一時抹消は解体証明は要りませんね。そういった面で放置自動車になりがちでございますから、解体証明書のかわりに下取り証明書といいますか、いわゆる追跡調査ができるような何らかの手続等がこの一時抹消でも必要じゃないかと私は思うのですが、その点どうですか。
  209. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 御指摘のように、十六条抹消につきましては、まだ使用が可能な自動車であるということでその使用を一時的に中止する場合という措置でございますので、例えばディーラーに新車の下取りに出した場合におきましてはあるいはそういう下取り証明書というのがとれると思いますが、個人が例えば長期不在ということで十六条抹消した場合について果たしてそういう書面がとれるのかなという、ちょっと検討してみなければいけないかなという感じでございます。
  210. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、この放置自動車というのはかなり社会的な大きな問題となっております用地方自治体の横浜市でも、昨年一年間だけで五百七十台余、ことしの八月段階でも五百台を超えているんですね。これらの放置自動卓が地域に与える影響、大変大きな迷惑になっているわけですよ。そういった点で、横浜市なんかは条例等をつくろうという動きがあります。国としても、こういった地方自治体の動きをバックアップするためにも積極的な防止策を考えるべきである、私はこう思っております。  したがって、運輸省だけではできない今回の放置問題ですから、自治省や警察庁または厚生省ともよく連携をとりながら、総合的な、抜本的な対策をとっていただきたいことを要望いたしますけれども、最後に運輸省の御決意をいただいて、この問題については終わりたいと思います。
  211. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 ただいま御指摘がございましたように、放置された車両が増加してまいりまして、道路交通あるいは市民生活に大きな影響を与える大きな社会問題となっていることについては十分承知しておりまして、私ども関係する省庁と努力いたしまして問題解決に当たりたいと思っております。
  212. 春田重昭

    春田委員 六項目ありますから急いで質問いたします。  第三点は、私鉄運賃値上げの問題についてお尋ねいたします。  関東、関西大手私鉄の運賃値上げが去る七月五日に申請されました。平均一七%の大幅値上げの申請でありますが、認可権限を有する運輸省としていかなるお考えをお持ちなのか、まず大臣の方からお伺いしたいと思います。
  213. 井山嗣夫

    井山政府委員 若干事務的な話でございますので、私から御答弁申し上げます。  先生今御指摘のように七月五日に申請がございまして、そのときの理由は、輸送力増強をやりたい、安全の確保を図る、サービス向上をする、そういうような資本費の負担がかなり大きくなりました、それから一般的な人件費等の諸費用の増加がございまして、それで一七%という申請があった。わけでございます。  これを受けまして、私どもとしましては、七月九日に、運輸審議会というのが、運輸省の、運輸大臣の諮問機関として常設の審議会がございますが、ここに具体的に諮問いたしまして、現在審議会で相当厳しい御審査をいただいているところでございます。東京、大阪で公聴会を開きまして、一般の方々の賛成、反対の御意見も承りまして、さらに学識経験者の方からの御意見聴取もやっていただいておりまして、今鋭意審査中でございます。そういう段取りで、事業者はできるだけ早くと言っておりますけれども、私どもは慎重に、かつ一般の方々の不公平にならないようにということで厳しく今見ているところでございます。
  214. 春田重昭

    春田委員 運輸審議会の答申が出るのは大体いつごろなんですか。
  215. 井山嗣夫

    井山政府委員 これは私どもが直接やっているわけじゃございませんが、従来の例から申しますと、申請からおおむね四カ月くらいかけて処分をしている例が多うございます。
  216. 春田重昭

    春田委員 前回の値上げを調査してみますと、関西系が六十二年の一月、プラス京成がありましたね。関東系は一年おくれて六十三年の一月に申請をいたしております。今回は、関西、関東大手十三社一斉値上げの申請なんですね。みんなで渡れば怖くないでは困るのです。  各社とも、収入に対する支出の割合である収支率というのがございますが、この収支率もかなり違うのです。調べてみますと、収支率のいい東武とか京成それから京王、関西では阪神、こういったところはもう九七、八%なんですね。何も申請時期を一緒に合わせなくてもいいのではないかと私は思うわけですよ。前回は分けたじゃないですか。今回は一斉に十三社やっている。収支率も違う。この辺は運輸省はどうお考えになっているのですか。
  217. 井山嗣夫

    井山政府委員 たまたま今回は東西両地区が一緒になったわけでございます。別に私どもとして一緒にまとめてやれとかなんとかということでは決してございませんけれども、その辺の事情を若干考えますと、特に関東系の会社は今輸送力増強工事でかなり大きなものを抱えておるところが多うございます。そういう意味で、先生今御指摘のように、平成二年度の収支率は、若干の差はございますが、皆まだ九〇%台を何とか維持しておるわけでございます。高いところでは九九%というのがございます。しかし、私ども考えておりますのは、平成四年度をいわゆる平年度といたしまして、ですからそこまでの資本費あるいは経費の伸びを考えまして、そこで収支率がどうなるかということで、彼らも、これは従来のそういうルールがございまして、それでやっておりますけれども、その結果やはり八十数%になるということで、いずれの会社も九〇%以下ぐらいになってしまう、こういうこともございまして、打ち合わせをしたかどうかあれでございますが、同時に御審査をいただきたいということで審査を求めてきた、こういう事情でございます。
  218. 春田重昭

    春田委員 収支率が一〇〇%近い、九七とか九八のそういった私鉄につきましては、内部努力をして、経営努力をしてもうちょっと辛抱しなさいといった指導もするべきではないかと私は思うのですよ。  十三社とも収支率は今お答えのあったとおり九〇%台であります。全部が全部九〇%台になっているのですね。八〇%台は全然ございません。何か帳面上数字を合わせたと疑いたくなるような、そういった数字になっているのですが、大臣、この平均一七%の値上げ、今審議会で一生懸命やっておられますからどうかと思うのですが、大臣個人として、これはちょっと非常に高いのじゃないかというお考えをお持ちなのか、それとも、いや、やはり今言った理由等においてそれぐらい必要じゃないかとお思いなのか、大臣の率直な御意見をいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  219. 村岡兼造

    村岡国務大臣 運賃の改定の申請で今運輸審議会に諮問しておりまして、現在御審議をいただいておるところでございます。その運賃改定申請の理由につきましては鉄道局長からいろいろお話がございました。先生から高いのか安いのか率直に感想を述へる、こういう話でございますが、この点に関しまして私は素人でございますので、率直な感想というのはこの場は控えさせていただきまして、審議会の審議を見守るということにさせていただきたい、こう思っております。
  220. 春田重昭

    春田委員 大臣の答弁というのは予見を与えるということで慎重なのかもしれませんけれども、しかし値上げの理由その中にラッシュ時の緩和対策というのも挙げられておるのです。実は前回の値上げのときも関東系では平均一〇・一%値上げされました。その一〇・一%の内訳は、収支の補てんが五・六%、ラッシュの緩和対策が四・五%ということでございました。今回も同じ理由なんですね。いわゆるラッシュの緩和対策に頑張りますからということで値上げされたんです。しかし、この三年間で混雑率が解消されたかといったら、全く解消されてない。いわゆる混雑解消するからというので値上げしたんですよ。一〇・一%のうち約半分が入っているんです。それが今回もそういった理由になっている。  値上げというのはやはり何年かサイクルでされていくんですよ。こんなことで毎回毎回値上げされておったら、これは利用者は納得できますか。どう思います。
  221. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生ただいま御指摘のように、確かに前回も輸送力あるいは安全確保の投資を名目に上げさせていただいております。私、今ちょっと手元に細かい数字がございませんけれども、昭和四十年と比較いたしまして長期に見てみますと、輸送力というのは首都圏なんかでは既に二倍、当時と比べまして輸送力は実は二倍になっております。お客様の方は一・八倍、大阪の地区はもうちょっと低いようでございますが、その結果、混雑度はまさに少しずつ下がってきております。ただ、今先生御指摘のように、目に見えて、例えば来年から下がった、再来年から下がったというのが最近はできておりません。  というのはどういうことかと申しますと、従来の輸送力増強は、車両を六両を例えば八両にする、八両を十両にするということで比較的対応がしやすかった投資が多うございました。ところがそういう小規模な改良で済むのがもう種がなくなりまして、現在は、先生御承知のとおり複々線化、高架と一緒に複々線化をする、これはもう大阪地区でも東京地区でもかなりやっておりますが、こういう基礎施設に対する投資が多くなってまいりまして、これは時間とお金がかなりかかるわけでございます。そういう意味で、去年と比べてどうだあるいはおととしと比べてどうだと言われますと、若干混雑度の解消の仕方が目に見えてないというところはあると思いますけれども、現に事業者にも私ども、ちょっと言い方は悪いが、しりをひっぱたきまして相当やらしておりますので、そういう意味で、これができましたらかなり思い切った混雑緩和ができるだろうということで今鋭意やらしておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
  222. 春田重昭

    春田委員 運政審の答申の中でも、車内で読書ができるというのは混雑率が一八〇%ですか、それが現在はもう一九〇、二〇〇%ということで、全然解消されてないんですよ。それで値上げと言っても、これは利用者は納得できないと思うのですよ。こういった運賃値上げの悪循環を私は断ち切っていただきたいと思うのです。  私鉄は、鉄道部門以外での不動産部門等で大きな利益を上げている面もあるんです。また、鉄道の開発等で周辺地域が整備改善されることによって、受益面において相当この開発利益を受けるところもあります。こういったところからの還元も考えでいいのではないか、こう私は思っておりますが、運輸省としてはこの点についてどうお考えになっておりますか。
  223. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申します。  先生今御指摘のような御意見は、かっても大分私どもに御指摘がございましたし、私どももどういうことかということで勉強もさせていただいたことがございます。  前提としまして、鉄道事業というのは、はっきり言いますと、他の事業の動向といいましょうか景気等に左右されないで着実に、例えばほかの事業が非常に景気が悪いために鉄道投資が鈍るとかそういうことではなくて、着実に投資をし、着実にサービス改善をやっていっていただかなければいけないわけでございます。先ほど先生がおっしゃいましたように、不動産部門とか、あるいは観光というのが割と兼業で多うございます。この業界というのは特に最近は大変浮き沈みが、かなり上がったり下がったりがございまして、それをまともに鉄道事業の方に反映されますと事業の安定的な改善というのがなかなか進まない。もっと極端なことを申しますと、これは理論のための議論立言われるかもしれませんが、兼業部門の黒字を鉄道に回す、そうすると逆に兼業部門が悪くなったときに鉄道業は助けるのかというような議論も理論的にはあり得るわけでございまして、そこら辺を私どもは大変心配するわけでございます。  そこで、従来どうやってきたかと申し上げますと、鉄道部門は鉄道部門ではっきりと他部門と切り離しまして、これだけはもう本業としてしっかりやれ、ほかの事業は仮に大幅にもうかってもあるいはダウンしても、いずれにしても鉄道業だけはきちんとやれということで、区分経理と言っておりますが、これを厳密にいたします。運賃査定のときにいつも議論になるのはそこの点でありまして、この費用をどちらの部門に割り振るか、これはもう一定のルールができておりますので、それできちんと区別してやっております。そういうことで御議論、おっしゃるとおりの面があるかと思いますけれども、私どもの今の運賃改定のやり方としては、そこは直接入れないで独立してやらせる、こういうことでやっております。
  224. 春田重昭

    春田委員 利益の還元は鉄道会社だけではなくしていろんなところにあるわけですから、運政審の答申でも、そういった利益を受けたところについてはこういったところにも還元しなさいという答申も出ているわけですから、その点については考えていただきたいと思うのですが、どうですか。
  225. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生ただいま運政審の答申、御指摘いただきました。あそこでも開発利益というのは何を意味するかというのは大分議論があったところでございまして、学者先生の意見が一人一人実は違う面もございます。  ただ、あそこでございましたように、例えば土地開発、宅地開発なんかの利益というのは、例えば常磐新線の例を取り上げてみますと、結局そこを開発した結果、固定資産税収入等であるいは事業税収入で地元の公共団体が一番潤うのではないか、これがある意味でっかまえやすいといいましょうか、それでそういうところからいただけばいいということでございまして、あのときも、あそこの常磐新線の場合は一都三県が事業主体、メーンで出資していただいておりますが、出資のほかに、仮に経営がうまくいかなかったときの補助とか助成とか、こういうものも全部公共団体の負担で責任を持ってやりますということで始まっているわけであります。  それから、住宅公団とか土地開発公社とかいうところが宅地開発をいたしまして鉄道を敷くというところには、従来からルールがございまして、施工基面と申しますか、盛り主なり高架橋から下の部分の土地代とかあるいは施設費の二分の一は開発者の人に持っていただく、こういうようなルールもできております。そのほか、県によっては一定の税収の一部を開発基金みたいに設けまして、それを地下鉄に導入するとか、そういう制度もいろいろと行われております。  今後とも、御指摘の線に沿いまして私どもいわゆるソフトウェアの面で勉強をさせていただきたいと思っております。
  226. 春田重昭

    春田委員 最後に大臣からお答えいただきたいと思うんですが、いずれにいたしましても、この私鉄の運賃値上げ、公共料金の値上げというのは物価に与える影響も大変大きいわけです。そういった点で、従来にない高い値上げの申請がされているわけですから、そういった面では利用者に負担がかからないように最大限の御努力を運輸省としてはやっていただきたい、私はこう思っております。大臣の御決意を伺いたいと思います。
  227. 村岡兼造

    村岡国務大臣 いろいろ春田先生局長とのやりとりを聞いて。おりました。いずれにいたしましても、利用者の大きな負担にならないように配慮すべきだ、こういうような御意見でございます。私どももその趣旨に沿ってひとつやってまいりたい、こう思っております。  ここで、なんでございますが、大手民鉄の十三社から輸送力の増強というような問題での値上げ申請が出たわけでございます。二五〇%の混雑率の解消その他ということで。経営者等からいろいろお聞きをいたしますと、実は朝の一時間程度物すごく込み、昼ごろになりますと三〇%やなんかしか込まない。時差出勤で、実は調べてみますと、総務庁が所管をして百七十万人東京で御協力をいただいているというけれども、実は三十分なわけでございます。三十分ではそんな効果が出てきませんし、私は一時間なり一時間半なりあるいは二時間程度、勤務時間の短縮等も考えて二時間程度こういうような時差出勤を採用してもらえば、一八〇%程度にはなり得る。新線も地下鉄もやらなきゃいけませんけれども、一キロ当たり二百ないしは三百億ぐらいかかる、早いもので十年、遅けりゃ二十年、これももちろんやっていかなきゃいけませんけれども、こういうような混雑率の解消のためにひとつ時差出勤を、まあ、今三十分しかやっておりませんが、時間を一時間半なり二時間にしてそういうことにしていただければ、こういうことで、今鉄道局の方にも、あるいは運政局の方にもこれらの混雑の問題を検討をさせていただいているところでございます。  なお、今回の値上げの申請につきましては、できるだけ利用者の負担にならないように考えていくつもりであります。  以上であります。
  228. 春田重昭

    春田委員 今大臣からいみじくもラッシュ対策お話がございました。私もこの大都市圏のラッシュ対策についてはまだ機会を見てゆっくり御質問したいと思うのですが、検討しておるということでございますから、ひとつ早急に結論が出るように運輸省としても努力をやっていただきたいと思っております。  次に、清算事業団の債務の償還計画、この問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  清算事業団の債務の償還財源の柱でございます。JRの株式売却、それと土地の売却、この二点についてお伺いしたいと思うのですが、平成三年の償還計画では、平成三年度の期首で清算事業団として債務が二十六兆二千億円であります。この年の収入は、JRの株式の売却と土地の売却と、それから国の補助金その他収入等で約一兆九千億円を見込んでおります。一方、支出の方でございますが、利払いで一兆五千億円となっております。したがって、差し引き約四千億円の黒字となり、三年度末の債務の額は二十五兆八千億円となっております。  しかし、今日のこの株式の売却は、市場の低迷、また土地の売却等も価格が相当下がっております。この計画どおり進むと見ているのかどうか、運輸省としての御見解をいただきたいと思います。
  229. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  まず、土地の問題でございますが、先生ただいま御指摘のように、ことし、三年度の予算では一兆五千億ぐらいを売りたいということで予算を組んでおったわけでございます。  確かに現在の金融情勢とか、あるいは不動産の市況というものがかなり冷えているということは御指摘のとおりでございます。そういう意味で土地売却をめぐります環境は非常に厳しいということは言えると思いますが、私どもとしましても何とか目標値に近づけるべく今努力をしておるところでございます。例えば、運輸省全体である種の会議をつくりまして、運輸省関係の業界にぜひ清算事業団の用地を有効利用していただくとか、あるいはその他、各省ある、いは各事業体に、事業体というより特殊法人等でございますが、いろいろとお願いをしているところでございまして、鋭意努力をしております。  さらに、昨日でございますが、資産処分審議会というのが清算事業団に設けられておりますが、そこで委員方々からいろいろな御議論が出まして、一種の、緊急提言と称しておりますが、これが出されました。これは、現在の情勢を踏まえまして、土地の今の処分のやり方の制度といいましょうか、方法をもう少し改善したらどうだということで、関係省庁の協力も得ながら一層の促進を図りなさいという趣旨の御答申といいますか、御意見でございます。こういうものを受けまして私どももどんどんと処分を進めていきたいと思っておるところでございます。  それから株式の問題でございますが、株式につきましては、清算事業団のことしの予算てたしか千五百億程度を予算に組んでおるところでございますが、JR株式基本問題検討懇談会というのがございまして、これが五月に御意見をいただいております。そこでは、現下の株式市場が非常に不安定な状況にあるので今後の市場の動向を十分見きわめて弾力的に対応していく必要があるという御意見でございますので、現在の株式市況、もう先生御承知のとおりでございますので、私どももいましばらくの間、市況がどうなるかということを見きわめた上でどうするか判断をいたしたいと思っております。  いずれにしましても、清算事業団の債務を減らさなければいけないというのは大命題でございますので、何とか有効な方法を考えまして土地処分等を進めまして、できるだけ債務の減少に充てていきたい、こういうふうに思っております。
  230. 春田重昭

    春田委員 ただいま局長から答弁があったとおり、まず株の問題でございますが、市場は非常に低迷していますね。そういった中でJRの二百万株という大量の株が市場に流れますと、株式市場そのものが混乱する面もありますね。また、決して当初描いていた何十倍のそういった売却もできる環境にはございませんので、そういった点で今年度は非常に無理じゃないかと私は思っておりますが、慎重にやっていただきたい、こう思っております。  平成四年の概算要求が出されましたけれども、この平成四年の概算要求でも、運輸省としては株の売却を二百万株と見込んでおりますね。これは、もし三年度に株の売却ができなかった場合は、三年度のものは繰り越して合わせて四百万株という形になるのですか、まあこれは市場が回復したときでございますが、そう見ているのですか。
  231. 井山嗣夫

    井山政府委員 私ども、先ほども申し上げましたように、平成三年度は一応株式売却をしたいという前提で予算を組んでおります。先生御承知のとおり、予算というのは、三年度の予算と四年度の予算というのは直接的には関係といいましょうか、ないわけでございまして、一応私どもも三年度の情勢をいろいろと考えまして、四年度も、余り大きなことを言ってもまた恥をかくといいましょうか、そういうことになっちゃいけませんということで、三年度と同額を計上させたわけでございます。したがいまして、三年度で売れなかった、それがぽんと四年度に乗っかるかどうかは、ここは別にそうするということを決めたわけではございません。直接の関係はないというふうにお考えいただきたいと思います。
  232. 春田重昭

    春田委員 さらに、土地の売却ですね。今年度一兆五千億となっておりますけれども、これはきょうの時点でどうなんですか、一兆五千億円のそういった見込みが妥当なのかどうか、その辺、局長どうお考えになっていますか。
  233. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、正直に申し上げまして一兆五千億を楽に処分できるという情勢にないということは十分認識しております。したがいまして、私どもとしましてもいろいろな手だてを講じまして相当以上の努力をしなければいけないなと思っております。しかし、予算で一兆五千億ということで、それを前提に物事が進んでおるものですから、それに向けまして最大限の努力をしたいと思います。  先ほどの清算事業団の資産処分審議会の緊急提言というのも、例えば、競争入札は今原則として極めて制限的でございますが、地価に影響を与えない方法をもう少し工夫したらどうかとか、あるいは今随意契約で公共団体と分公法人に売っておりますが、その売るときの制約は今かなり厳しゅうございます。それを皆さんが御納得、御理解いただける範囲で少し緩めてはどうか、こういうような趣旨の御提言でございますのでこの辺も踏まえまして、いわば処分が比較的スムーズにいくように、関係省庁とも十分相談しながら制度の改善なら改善を至急決めまして、努力したいと思っておるところでございます。
  234. 春田重昭

    春田委員 けさの新聞を見ますと、この資産処分審議会のきのうの緊急提言が載っておりますけれども、かなり一般競争入札、また売却先や利用の目的が緩和されたような形で提言されております。しかし、土地の問題というのは、ただ単にこれだけを緩和したからといって売れるものじゃありません。また、一般的に金利高と総量規制という形で今土地の価格が相当抑えられていますね。今日、さらに金利は下がるだろうと言われておりますし、総量規制についてはまだかたいんですけれども、これもいずれは解かれるんじゃないかという面がございます。こういう段階にあってこの緊急提言、さらに、いわゆる緩和をした場合また土地の高騰にもつながっていくことも考えられないことはない、私はそう思います。  そういった面で、この問題については十分国土庁とも連携をとりながら、運輸省だけで判断すべきじゃないと私は思っておりますけれども、どうでしょうか。
  235. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、この緊急提言でも書いてございますけれども、「地価動向を踏まえつつ、地価対策との調和を図りながらこれを適切に行いうるよう努めるとともに、地価に悪影響を与えない仕組みの導入に向けて早急に所要の対応を執ること」ということでくぎが一本刺されておりまして、当然、閣議了解等で競争入札を野方図にやってはならないという制限がございますので、そこのところは国土庁と至急相談をいたしまして、具体的に悪影響の出ない方法を勉強させていただきたいと思っております。
  236. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、この平成三年度の償還計画はある時点でやはり見直す必要があるんじゃないかと思います。  さらに、平成四年度償還計画ですか、これはどうお考えになっておりますか。
  237. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  平成四年度につきましては、一応三年度の予算を前提に役所の場合は大体組むわけでございますが、四年度におきましては、土地の売却を少しかた目に見まして私どもは一兆円程度というふうに考えておるのでございますが、その結果債務の残高は、先ほど先生御指摘のような二十五兆八千億でございますか、これがほぼ変わらないという前提で予算は一応要求しております。今後の情勢にによりまして査定段階でどういうふうに変わるかわかりませんが、今のところはそういうことで要求しております。
  238. 春田重昭

    春田委員 債務が変わらないということは、要するに収入と利払いが一緒である、こういうことですね。こんな償還計画なんてナンセンスじゃないですか、元本が減らない計画なんというのは私はナンセンスじゃないかと思います。この平成三年度の計画にあるとおり、ある程度元本が減っていかなかったなら何にもならないんじゃないですか、どうですか。
  239. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘どおりでございまして、私どもも本当に真剣に元本がどんどん減っていってほしいと思っておるのでございます。先ほど一兆円と申し上げましたけれども、これは御指摘の一兆五千億に別に懲りたわけではないのですけれども、余り大きなことを言って結果として実現できないとかいうのも運輸省としても非常にかっこ悪いというようなことも考えました。当然のことながら、これがもし予想以上に売れる、あるいはJR株式が市況が回復して売れるということになりましたら当然減っていくわけでございます。  現時点では来年の見通しがちょっとはっきりしないものですから、とりあえずこういう要求をさせていただいております。それと、土地などの処分の市況というものも波がございますので、たまたまことしあるいは来年の前半ごろまでは非常に厳しい時期かなと思いまして、割とかた目の要求にさせていただいております。
  240. 春田重昭

    春田委員 時間がございませんので次に進みますが、いずれにしましても、だれもが見て納得できるような償還計画を立てていただきたい、こう思います。  続いて、品川駅の新駅構想。  東海道新幹線の輸送力増強の施策として品川駅の新駅構想が出されましたね。運輸省としてはこれをどう受けとめていますか。
  241. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  東海道新幹線の輸送力、先生よく御存じのとおりでございまして、非常にお客様の御利用が多くて大変混雑しておるということでございます。  そこで、品川新駅という具体的な構想は、実はJR東海から品川に駅をつくりたいという構想が出まして、私どももやはり輸送力増強は何らかの形で必要だな、そのときに考えましたことは、確かに新駅も必要でございますし、あるいはそこに駅をつくる以上かなりの土地が必要でございます。それをどう調達していくかということ、それから駅をつくらなくともソフトウエアの面で改善を図って輸送力増強ができないか、こういう課題もあるわけでございます。  そこで、昨年十月から、学識経験者を含めました東海道新幹線輸送力問題懇談会というのをつくりまして、そこで専門的な立場から、輸送力増強の必要性、どれぐらい必要か、それから具体的な方策はどういうようなことが考えられるかという意味で技術的な検討をやっているわけでございます。  例えばでございますが、輸送力増強の案としましては、ダイヤがすでには難しいとすれば、例えば二階建て車両をもっと導入するとか、編成両数を延ばすとか、あるいは東京駅の信号システムを改良いたしまして、それによって本数を詰めるとか、あるいは新駅設置によりまして列車本数を増加するというようないろいろなアイデアがあるわけでございまして、現在別にこれだというのを決めておりませんけれども一つの案として品川駅新駅構想があるというふうにお考えいただきたいと思います。
  242. 春田重昭

    春田委員 この品川新駅の問題ですが、これはJR東海が打ち出した。この品川駅新駅につきましては、関係企業とか地方自治体が関係するわけですが、清算事業団やJR東日本の土地がございます。また、地方自治体では東京都それから港区、品川区も関係するわけでございます。これら関係団体の御意向を聞きたいわけですが、ちょっと時間がございませんので、一点だけお聞きします。  実は、せんだってJR東日本の上層部の方にお会いしたのです。そうしたら、JR東海が相談なしで打ち出したということでかなり感情的なしこりですか、これがいまだに残っているような感じを私は持ちました。この東海道新幹線の輸送力増強は今極めて早急に必要な時期だううと私は思うのです。そういった面で、JR東日本とJR東海のわだかまりといいますか、しこりといいますか、これが残っていれば前に進みませんので、運輸省としてこのしこりを取るような御努力をしていただきたい、調整をしていただきたい、このように私は思うのですが、いかがでしょうか。
  243. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生今御指摘のように、JR東海が東日本に了解を得ずに、勝手にと言ったらあれですけれども、構想をぶち上げたということでございますけれども、東日本としてもあそこに自分たちの、あそこの品川駅というのは幅が非常にありまして、自由通路をつくる、その先に駅施設をつくる、あるいは場合によっては駅ビルを建てる、ある意味の構想を持っていたわけです。それがもう全部御破算になるようなあれでございましたので、どうもそういう反発があったということでございます。  しかし、いずれにしましても、もとはといえば兄弟みたいなものでございますから、両社がおもしろおかしく新聞に載るようなことは避けたいと思います。それで、もし両社の感情的なしこりがあるとしましたら、これは私どもの責務でございますので、両社の首脳部とよく話をしまして何とか解決の方向へ持っていくように努力したいと思います。
  244. 春田重昭

    春田委員 この点につきましては大臣もひとつよろしくお願いしたい、こう思います。  最後になりますけれども港湾問題についてお伺いいたします。  平成元年の八月、港湾局は、地球温暖化によりまして海面の水位が上昇する、最大限上昇したときの高さが一・一メーターですか、これを前提とすれば、全国の港湾地帯におけるはんらん地域の面積はおよそ千九百平方キロメートルに達する、影響を与える人口は九百万人になる、したがって、その対策としてはおよそ三兆八千億円になる、こういった試算をされたのが報道されております。  具体的なこの対策でございますが、私は大阪でございますから大阪湾の問題について聞きたいのですが、かつて大阪湾は高潮等の被害もあったわけでございますから、こういった大阪湾の対策についてどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思うのです。
  245. 上村正明

    ○上村政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の地球温暖化に伴います海面水位の上昇につきましては、平成元年四月に気象庁から予測が出されまして、それに基づいて御指摘のようなマクロな推計をやったわけでございます。しかし、その後、昨年の五月にイギリスのウィンザーで、地球規模の気候変動問題に関する政府間パネル、IPCCというものが開かれまして、当時の、平成元年の予測よりは若干低めの予測になってきたりしております。  したがいまして、私どもは、先生が御紹介していただきましたマクロ推計を一応念頭に置きながら、新しく出てまいりましたIPCCの予測などに基づきまして詳細な調査を昨年度からやっておるところでございまして、本年度末に基本的な方向を取りまとめたいと考えております。  仰せの大阪におきます具体的な方策につきましては、それらを待ってからにしたいと思っておりますけれども、現在、大阪湾地域では高潮に対する対策が既に進んでおります。これにつきましては、かつて第二室戸台風、昭和三十六年でございますが、により大きな高潮が起こりまして災害が起こったわけでございますが、それらをも考えまして、さらに今の対策では、伊勢湾台風級の台風が大阪湾地域に最大の被害をもたらしました最初の室戸台風のコースに乗って来襲したときの高潮を想定いたしまして、それに耐えるような施設整備を既にやっているところでございます。  したがいまして、私どもとしましては、こういった現在やっております高潮対策と、それから地球温暖化に伴う水面上昇に伴う対策などを比較考量しまして具体的な対策を立てていきたい、かように考えている次第でございます。
  246. 春田重昭

    春田委員 災害というのは的確な情報と事前の対策と予防が大事でございますから、二十一世紀初頭といっても、これだけの膨大な計画は今からでも決して遅くないわけですから、早急な対策を立てていただきたい、こう思っております。  時間が参りました。第三セクターの補助問題についても質問する予定でございましたけれども、次の機会に譲らしていただきます。非常に限られた時間で、本当に、七項目の質問でございまして総花的になりましたけれども、どうか運輸各部局におきましては、私の質問の意を外されまして、ひとつ一層の御努力、また対策をとっていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  247. 亀井善之

    亀井委員長 辻第一君。
  248. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず私鉄運賃値上げの問題でお尋ねをいたします。  今回、私鉄大手十三社の平均の運賃値上げ率は何%ですか。
  249. 井山嗣夫

    井山政府委員 去る七月五日に出されました運賃申請は、十三社を平均いたしまして一七%でございます。
  250. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回のは平均が一七%、大手十三社で一二・九%から二二・六%、平均一七%ということであります。新聞社が、朝日は「黒字なのになぜ大幅に」、読売は「え、また運賃値上げ」、東京は「私鉄の値上げは厳しい吟味」などと記事を載せているわけです。また、今回、関西消費者団体連絡懇談会は、利用者のアンケート活動としてダイヤル一一〇番を設置しまして利用者の意見を聞き、ましたが、アンケートに応じた人の半数以上の方が、値上げが大き過ぎると答えております。  八七年以降、私鉄十三社は、今回の運賃値上げを含めて、この間の運賃値上げ率は何と三四%にもなります。この間、一方、八七年から九〇年度までの物価の上昇は六%です。総務庁の家計調査での勤労者世帯の実収入の伸びは一三%ですが、これを大幅に超える一七%になっております。  このように、物価や勤労者の実収入の比較、利用者の実感からして、今回の値上げの申請は大幅なものと思うのですが、運輸省はどう考えられておりますか。
  251. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生の今の三十数%というのは、私ちょっと数字を持っておりませんので、あるいは的確にお答えはできないのでございますけれども、確かに、名目として平均一七%というのは高いという御批判もあるかと思います。  ただ、その申請に至りました中身をいろいろ聞いてみますと、かつての運賃値上げと申しますのは、いわゆる基礎施設の投資というのは余りなくて、比較的人件費とか物件費とかの値上がりに対応した割で上がってきたようでございます。最近、先ほどもちょっと御説明申し上げたように、最近の輸送力増強とか安全対策をやるためには基礎施設に手をかけなきゃいけないということで、非常に資本費の割合が大きくなってきております。一応私どもの分析でございますけれども、従来のような人件費とか物件費とかの値上がりによる要素というのは、やはり消費者物価指数に対応するぐらいのものでございます。  そういう意味で、先ほども申し上げましたように、今後大幅な輸送力増強を図って混雑緩和をしていくためには、やはりかなりの設備投資が要る。それをやりますと、今度は資本費という形で、金利あるいはでき上がった後は償却費でございますが、こういうものにはね上がってくるという意味で、あの一七%は一見高いと思いますけれども、中身を調べてみますとやむを得ないのかなと、申請としてはですね。そういう意味でもございますけれども、私どもとしましては、当然利用者の方々に御理解いただくような形で査定を厳しくやらしていただきまして、そこで御理解を得たいと思っております。
  252. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど御答弁の中にもありましたが、今度の値上げの理由ですね。その中で、いわゆる輸送力増強、混雑の緩和などが大きなウエートですね、設備投資の増加ということが理由に挙がっているのですが、それじゃ、今回の値上げでどの程度の混雑緩和、輸送力増強ができるのか、お尋ねをいたします。
  253. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答えを申し上げます。  具体的に各社別の非常に細かいあれは、今申し上げるのにちょっと手持ちに細かい資料を持っておりませんけれども、今具体的に各社がやりたいと言っておりますのは、一つは列車の増発、それから長編成化をまずやりたいと。これは、長編成化は比較的投資額が少なくて済むわけでございます。これの輸送力増強。それから、列車の増発になりますと、ほとんどの会社が今線路容量いっぱいでございまして、これ以上詰めますと安全上問題があるという、そういう意味で、基礎施設の投資をやりたい、こう言っております。  それから、最近は、いわゆる快適性というのを求めるということで、冷房化を初めとしまして、新型車両を入れるあるいは省エネの車両を入れるということが一つございます。それから、設備投資面では、自動改札をやりましてある意味で省力化いたしまして運賃の値上げを少なくする。それから、先ほどから身体構害者の方々の議論がございましたように、エレベーターとかエスカレーターとかこういうものを整備を進めたいというようなことで、一応彼らの計画自体は持っております。  御参考までに、従来私鉄が大体五カ年計画でやってきておりますけれども……(辻(第)委員「いや、もう結構です。僕の言っていることとちょっと……」と呼ぶ)あ、よろしゅうございますか。
  254. 辻第一

    ○辻(第)委員 私の言っていることに答えてくださいね。私は、今度の値上げでどの程度混雑緩和、輸送力増強に役立つのかということをお尋ねしたのであります。それで、その点もう一度、どの程度混雑緩和ができるのかという点にちょっと絞って、簡単でいいですからおっしゃってください。
  255. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生のおっしゃっている御趣旨が、混雑度が今何%かということではなくて……
  256. 辻第一

    ○辻(第)委員 いや、もういい。それでは、もう著明に、今度の値上げでしばらくの間に相当改善されるのか。——いや、結構です。どうも恐縮です。ちょっと、かえって聞いている方がわかりません。  それで、結局この前の値上げ、今度の値上げ、こうなりますと三四%と非常に高い値上げになるのですが、それは、この混雑緩和、輸送力増強その他いろいろありましたけれども、それが私は一つ中心だと思うのですね。ところが、利用者の実感としては、上がるけれどもなかなか混雑緩和が解決されないというのが実感なんですね。実感はそのとおりなんです。それで、今回の運賃の値上げの申請のために明らかにしている混雑緩和率を見ても、現状維持なんですね。今後とも輸送量が増加をして、一層混雑をする区間も出てくる、こういうこともあるんですね。  それで、運政審は二十一世紀に向けて首都圏の交通網整備計画を明らかにされているんですが、いわゆる一九八五年の七号答申では、二〇〇〇年までに混雑緩和率目標として一八〇とされております。また、この交通網整備もなかなか順調に行われていないのですが、仮に順調に実施されても、かえって輸送力が増強されるという状況の中で、去年の三月、東京都の東京集中問題調査報告書には、二〇〇〇年における混雑率は二〇九%、路線によっては現状よりも混雑率が悪化する路線もある、こういうふうに述べられております。一方、先ほど申しましたダイヤル一一〇番では、利用者の圧倒的な意見として、混雑緩和を含めてサービス問題が改善されていない、こういうお考えがあるわけでございます。これももっともなことだと思うのです。  私の秘書の一人が多摩センターから国会へ通勤をするのでありますが、七時二十分に多摩センターから京王線に乗るのですね、最初は快速ですか、それに乗っておったのですが、二〇〇%を超えるような状態で、もう辛抱できないということで今度は各停にかえたそうでありますが、これもだんだん混雑して、恐らく二〇〇%に近いのではないか。現代に生きている人はいろいろ悩みがあるのですけれども、彼の今の一番の悩みは、朝、多摩から新宿で京王線をおりて、それで丸ノ内線で国会へ来るのでありますが、とにかくそういう状況なんですね。  この前も運賃が上がったけれども、それは混雑緩和、輸送力増強ということがうたわれていたと思うのですね。今回もうたわれているのですが、現実になかなか解決をしない、それどころか、きつくなっていると、いうのが実感なんです。これは深刻なんですね。そんなに一時間半もあのすごいラッシュで来るというのは、これは大変だ。これは、僕は東京の通勤されている人というのは本当に深刻な悩みだと思うのです。関西もそうでありますけれども、そういう状況にあるのですね。  私は、混雑の緩和というのは今すぐ、将来は、しかし、将来といっても、先ほど申しましたような二〇〇〇年に二〇九%なんというようななにがあるわけでありますから、大変なことですね。  それはひとつそういうことにして、それではサービス改善はどのように進めていただけるのか。先ほどちょっとお話がありましたけれども、もう一度簡単にお願いいたします。サービス改善です。
  257. 井山嗣夫

    井山政府委員 それでは簡単に項目だけを申し上げますと、いわゆるサービス改善では、一つは新型車両の導入ということで、これは冷房をするとかあるいは車内のアコモデーションがきれいになるとかというようなことでございます。それから施設面では、エスカレーターやエレベーターの着実な整備を図っていきたい。そのほか高齢者対策とか身体障害者対策、いろいろ施策がございました。細かいのもございますけれども、これは必ずやります。それから、自動改札を導入いたしまして経費の増高を防ぐ、こういうようなことをやりたい。さらに、これは先ほどちょっと申し上げませんでしたが、東京の場合は深夜の都市活動がだんだん進んでおりますので、接続の改善をいたしまして、深夜にお働きになる方のサービスの改善にも努める、こんなことも入っております。
  258. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひぜひそういうサービス改善は十二分にやっていただきたい、そのような御指導対策をとっていただきたい、要望をいたしておきます。  もともと私鉄は極めて公共性の高い事業であります。それで、税制、財政、会計処理などで一般の営利事業と違った特別の優遇策が講じられているということでございます。例えば料金改定の査定では、電力事業では事業報酬対象資産に建設仮勘定の二分の一しか認めていないが、鉄道の運賃査定では全額を認めている、航空運賃査定では事業報酬対象資産は運転資金は除外しているが、鉄道は除外していない、こういうことがありますね。また、大都市鉄道事業者に対しては、輸送力増強のための大規模工事や改修のため、その工事費の四分の一までを利用者から先取り運賃として取れる特別都市鉄道準備金制度があります。既に一九八八年の五月に運賃値上げという形で実施をされているのですね。  そういうことで、私どもがちょっと計算したのですが、一九八八年からちょうど十年間をそういう形で計算してみますと、利用者から、東武が二百十億円、西武が六百二十五億円、京王が百三十五億円、小田急が六百四十一億円、東急が五百二十七億円、これをいわゆる輸送力増強の設備投資費というのですか、これを運賃として受け取ることができるようになっている、私どもはこのように認識しているのです。  このような措置がなされているにもかかわらず、十三社平均一七%という運賃値上げは利用者にとって納得いかないのは当然だ、このようにも私は思います。  こういう中で、先ほど申しました、殊に混雑緩和ですね、輸送力の増強、これは利用者の切実な要求でありますが、これを実現していくためには、これを本当に改善するためには運賃でやらなくてはならない、基本的にはそういう仕組みになるのですね。利用者からの負担ということになるのですね。そうなりますと、地価が高騰しましたね、それから、いろいろ難事業ですね、この輸送力を増強する、地下鉄にしろ、高架にしろ、複々線にしろ、それから、いわゆる建設費が物すごく高騰しておると僕は思うのですね。こういう状況になりますと、利用者の運賃で基本的に賄うていくということになりますと、これは何度も大幅な値上げが繰り返されるのではないか、私はこう考えざるを得ぬのです。  そういうことを考えるの。ですが、一方、日本民営鉄道協会のことしの五月の第四十八回定期総会で七つか八つ決議されておる一つに、「適時適切な運賃改定の実施」というのがあるのですね。このことは、「適時適切」と書いてあるのですが、各社が今後短期間に次々と運賃値上げを申請していかないと経営がやっていけない、先ほど申しました混雑緩和や輸送力増強やサービス改善ができない、こういうことではないかというように思うのですね。  こういうふうに見てまいりますと、何度も運賃、値上げを繰り返す、大幅ということになりますと、しかも利用者の要求がなかなか実現できないということは、現行の民営の企業、私鉄にはこういう公共性の高い事業を任せておくことはもはやできないような状況になっているのではないか、このようにも考えます。  そこで、今後最低五、六年間、運賃値上げなしでもやっていけるのかどうか、その辺のところをお尋ねいたします。
  259. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生今最後におっしゃった、今後五、六年がどうなんだということでございます。  確かに今まで数年に一回ずつ上げさせていただいております。ただ、これは今の物価がどうなるかということとも絡みますのでございますけれども、民鉄業者が言う適時適切というのと私どもがにらんでおります適時適切は大分意味が違うと思いますので、野放図にそういうことを許しているつもりは全くございませんけれども、私どもとしましては、許可を一たんいたしました運賃水準というものはできるだけ長く維持していきたいというふうに思っております。  ですから、考え方といたしまして、かなり大幅なものを認めて長くその運賃でいくか、小幅なもので回数を多くいくのがいいのか、これは議論のあるところでございますけれども、従来私ども、十数%の台で三年とか四年とか五年もたせるといいますか、もたせるという言葉は悪いかもしれませんが、そういう方向で大体やっているのが例でございます。今回もそういうことを総合的に判断いたしまして、厳しく厳正に審査をしてやってまいりたいと思います。
  260. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほどから何回も言いますが、混雑緩和、これはもう深刻な問題であります。これを解決しようと思えば利用者の運賃での負担ということになりますと、これは先ほども申しましたように、繰り返し大幅な運賃の引き上げでないとできないというのは、それはどう考えてもそうなると思うのですね。運輸省さんの希望的な考えだけでは済まぬこれは現実だと思うのです。そういうことであります。そういうことになりますと、やはり運賃値上げをお認めになっていくのではないかということを思うのですね。  ところで、運政審の七号、十号の答申に基づきまして大都市の鉄道整備をするためには、首都圏と大阪圏でそれぞれどの程度の設備投資を必要としているのか。それから、その鉄道整備の一部であります大手民鉄の九二年度からの第八次五カ年設備投資計画はどの程度になると考えておられるのか、また第九次計画はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
  261. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  まず、先生最初におっしゃいました東京と大阪の例の答申の路線をつくればどれぐらいになるかというお尋ねでございますけれども、これは大変難しゅうございまして、というのは、これはいつごろ着手するのか、何年かけるのかというので非常に大きく左右されます。私ども実際試算したことはございませんけれども、多分今地下鉄ですとキロ当たり三百億ぐらい、それから近郊路線でキロ当たり百億とか、郊外へ行っても五十億とかいうようなことを考えますと、やはり数兆円といいましょうか、本当にかなり上の段の兆円のお金が要るのではないかというふうに想像しております。  それから、第二の御指摘の、いわゆる民鉄の八次の投資計画でございますが、大手私鉄十五社ございますが、今度相模鉄道が入りますと十五でございますが、今私どもが聞いておりますのは、おおむね二兆円ぐらいの規模になるだろうということでございます。  それから、第九次の話はまだちょっとこれは先でございますので、今ちょっと資料を持ち合わせておりません。
  262. 辻第一

    ○辻(第)委員 とにかく莫大な投資ですね。その背景は、やはり一極集中の問題が当然ありますし、それから、鉄道整備は政府の公共事業の中での位置づけが低いのではないかな、また、いわゆる民鉄という営利企業を前提に利用者負担に鉄道整備を任せてきた、このようなところに問題点があるというふうに私は考えております。  政府全体の公共投資に占める交通機関別の構成比の推移は、一九六五年から一九八八年まで、道路は六五年度が二三・三%でした。八八年度では二六・三%、三%ふえているのですね。一方鉄道は、一二・九%から〇・八%に減っているのですね。こういうことです。  また、ことし五月に出された運政審の「大都市の鉄道整備の基本的方向と具体的方策について」の中では、同答申で大都市鉄道の整備の必要性を述べながらも、土地取得の困難、難工事に伴う工事費の増大、輸送力工事を実施しても新たな輸送需要が見込まれないなどとして、鉄道事業者の投資意欲が低下しておる、このように指摘をされております。 こういうような中で、鉄道整備を歴史的に公共事業の中で明確な十分な位置づけがされてこなかったこと、そして、営利企業であります民鉄を前提として利用者負担に任せてということでは、大都市の鉄道整備はもう困難だというこ上を示しているのではないか、このように思います。  そこで、時間が余りないので、もう少しいろいろ申し上げたいのでありますが、こういう状況の中で鉄道というものの持っている公共性ですね。先ほど申しましたいろいろな難しい問題、そういう中で、国民が納得できる、公共性という立場も含めて国が本当に責任を持った対応をされるべきである、私はこういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  263. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問は、多分、道路とかあるいは空港などと比較して鉄道というのが、いわゆる狭い意味の公共事業に位置づけられていないというところに問題があるのではないかという御指摘かと存じます。  確かに公共事業費の、今七兆円でございますか、この配分の中に占める鉄道のウエートというのは極めて小そうございます。これは歴史的なあれがございまして、もともと鉄道の大部分は国有鉄道がやってきたということで、そういうグループの中に入らないで独立して動いてきていたということかと思います。それから、いわゆる私鉄でございますが、歴史的には、もともと私鉄で始まったのが、国有鉄道が買収して、ただ、ローカルなものだけは民営鉄道でもいいよということで民営鉄道というのができ上がってきているわけでございます。その役割はだんだんと大きくなってきているというのは確かに御指摘のとおりだと思います。  そこで、現時点で、公共事業というものになじむかどうかという議論はまた別途いろいろあるわけでございます。例えば道路とか港湾とか空港というのは、比較的公共団体がいわゆる収支とか採算とかと関係なく国民にシビルミニマムを与えるためにつくるものだという説明からいきますと、鉄道というのは、いわゆる私企業あるいは営利としてやっているんだからその範疇には入りにくいじゃないかという議論もあるわけでございます。そういう議論はいろいろございますけれども、少なくとも今年度の予算から、私どもとしましては鉄道につきましてかなり大幅な予算の増をしたつもりでございます。  第一点は、地下鉄でございますが、四百億の建設費補助を。六百億にしたということがございます。それから、民営鉄道には従来は補助がなかったのですが、鉄道建設公団方式というのがかなり前にできまして、鉄道建設公団が直接工事、あるいは金融措置でもいいのですが、やりましてつくりましたものは、あとは譲渡を民鉄にいたしまして、そのときに五%を超える利子の分は国が補給してやろうということで、これはJRも含めてでございますが、来年度予算でいきましても百数十億になっておるわけでございます。  こういうようなことで、確かにごらんいただきますとまだ小さいではないかという御批判がございますけれども、私どもなりにかなり工夫をしていろいろやっているつもりでございます。今後とも努力をいたしたいと思っております。
  264. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間で十分申し上げることができなかったのですが、大体その辺のところでも十分御理解をいただきたい、このように思います。  あと五分なんですが、もう一つお尋ねをいたします。  それはタクシー労働者の労働条件の改善の問題でございます。私はこの問題はもう十年来繰り返し繰り返し当委員会や交通安全対策特別委員会で要望をしてきたんですが、タクシー労働者の労働条件というのは、先ほどトラックのお話もありました、タクシー労働者のもありましたけれども、タクシーでいいますと、大体一般の常国産業労働者に比べて年収が百二十六万少ないという統計もあるのですね。それから時間でいいますと五百時間長い時間働いておられる。長い時間働いてしかも非常に収入が少ない、大変な厳しい職場でございます。そういう状況の中でタクシー労働者がだんだん減ってこられて、その労働者不足のために車が十分稼働しない。最近、私は奈良の状況を労働組合の方に聞きますと、もう八〇%を切って七五%、実効率というんですか、という状況にもなっておる。これは深刻な事態だと私は思うのですね。  そこで、そういう状況、背景の中で、去年、奈良でいいますと六月十四日に運賃の改定が認可をされましたね。その主要な目的は労働条件の改善、労働条件の改善ということは、安全で快適な輸送の確保ということになるのですね。魅力ある産業づくりということ、若年な労働力の吸収をも図る、こういう運輸省指導もあったと思うのです。そういう状況の中で、全国的に見ていろいろ非常に改善をされたところと極めて不十分というところがあると私は思うのです。私は奈良のことをきょう申し上げるのですが、それ以外にあちらこちらから、もう運賃は値上げされた、労働条件の改善ということで値上げされたけれども、実際は極めて不十分だというお話を聞いてしいるのです。  奈良の例で申し上げますと、ひどい企業は、企業が赤字だから値上げされたんだとか、あるいは運転者の労働条件改善などは指示されていないんだとか、こういうところがあるのですね。それから、もう極端な刺激的累進オール歩合制の導入、水揚げ九十万円以上は五〇%、百万円以上はさらに率をふやす、こういうことで連動、公休日オール出勤を進める、こういうことで労働力不足をカバーするなど、この運賃改定の目的に反し、しかも道路運送法だとか運輸規則二十一条ですか、これに反する違法行為を公然と行っているところがあるのですね。また、一般的にはノースライドで十分だ、こういう傾向が業界を支配をしている。そういうことで、運賃改定後の改善がほとんど見られないという状況もあるのです。  これに対し、当局は御努力をいただいているんです。私もこれで近畿運輸局へ事前も含めて二回か三回行っているんです。しかし、実態は先ほど申し上げたようなことであります。苦労していただいているのですが、やはりやり方に問題があった。もう時間がありませんので、私は詳しいことは申し上げませんけれども、そういうことです。  悪いことばかり言いましたけれども、いい例もあるのですよ。中川タクシーさんというところは、歩合が五%上がって手当の増額が一月から実施されて、ノースライドの効果とあわせて月額約五万円程度上がったというところもあるのです。いいことも言っておかなければいけませんので、ちょっと言っておきますが……。  ところが、奈良県の中心の大手があるのですが、ここは完全スライドという格好なんですね。これは余り労働条件の改善にならないですね。そういうことがあるので、それ以外のところではノースライドにすればもうこれで十分なんだと、大手が完全スライドをやっておるわけですから、ノースライドでもう十分かんだということであとまともに進まないという傾向があるのが実態だ、私はこのように聞いておるのです。  そういうことで、この労働条件の改善、先ほど申しました実効率が非常に低下をしておるタクシー業界が、国民、市民のニーズにこたえていくためには、本当に労働条件の改善をきっちりやっていただきたい、こう考えるのですね。局長の御答弁と、最後に大臣の御決意のほどを伺って質問を終わります。
  265. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  奈良県下のタクシー運賃につきましては、昨年六月に御指摘のように労働条件の改善を主要な目的として平均九・八%の改定が実施されたところでございます。その後の労働条件の改善状況につきまして、実は近畿運輸局において事業者から報告を求めて、現在集計作業を行っておるところでございまして、全体としての結果というものは、この集計作業を見た上で適否を判断させていただきたいというふうに考えております。  そこで、具体的な対応の問題でございますが、先生御指摘のとおり、奈良県に限らず全国的に実働率が低下してきております。私どもは、労働者不足によるものとこれは理解しているわけでございます。この労働者不足の対策として、労働条件の改善を図ることによりまして魅力ある職場づくりを図ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  そこで、奈良県の場合、全国的に同様でございますが、昨年五月以降すっと運賃改定が実施されるときに、その認可に当たりまして各運輸局長から事業者に対しまして労働条件の改善を強く指導したところでございます。その実施状況について、今申し上げましたとおり報告をとっておるわけでございます。さらに、今後その報告を見た上で、その改善が不十分な事業者に対しましては個別に指導していくというふうなことも考えております。そういうことをやりながら適切な対応を図ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  266. 村岡兼造

    村岡国務大臣 タクシー運転者の不足を解消し、タクシーの輸送力の確保等サービス向上を図っていくためには、タクシー運転者の労働条件の改善が極めて重要であると考えております。  今後とも、運賃改定とかさまざまな機会をとらえまして、事業者に労働条件の改善を強力に指導してまいりたい。また、特にいろいろ目立つような場合は時宜を得て指導してまいりたい、こう思っております。
  267. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうもありがとうございました。
  268. 亀井善之

    亀井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会