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片山虎之助君 よろしくお願いいたします。
そこで、掃海艇の派遣問題でございますけれども、これも当
委員会で何度も議論になり、総理初め関係大臣から、慎重に検討中である、こういう御
答弁でございまして、それを了といたしたいと思いますが、
ドイツは三月六日に米独の外相会談に基づいてペルシャ湾に掃海艇を派遣する、五隻の掃海艇と二隻の補給艦を出す、こう発表いたしたわけであります。
ドイツ政府のスポークスマンが正式な声明というのか発表している。それが私はなかなか説得力があるのではなかろうかと思ったわけでございます。いろんなことを言っておりますが、幾つか申し上げますとこういうことを言っているんですね。
「
湾岸での戦闘の終結に伴い、イラク軍が敷設した約千二百個の機雷の除去が緊急の課題となった。それは
湾岸周辺諸国との間の商船の航行を再開するための
前提条件である。国際的な民間船舶の航行を援助することは、独商船の保護及びペルシャ湾でオイルペストの除去に従事している独特殊船の保護にも役立つ。」、先ほども運輸大臣から
日本のタンカーが十八隻本日も航行中であるというお話がございましたが、こういうことを一つ言っている。
それから、「独
政府はこのような形での人道的な援助をもって、
湾岸での平和の回復のために貢献する。
湾岸での安全な海上航路は、この地域の経済的な健全性の回復プロセスの開始に不可欠の
前提条件である。それは同時に欧州への原油供給にも貢献するものである。」。
それから次に、「クウェート海域における機雷除去の任務を引き受けることにより、独
政府は国連の安全保障理事会の要請にも応えることとなる。即ち、九〇年十一月二十八日の安保理決議第六百七十八号には、クウェートに
協力している国連加盟国に対し、安保理決議第六百六十号の遂行のために必要な手段を講ずる権限を与えた。安保理決議第六百六十号は九〇年八月一日
時点の状態の回復を要請しており、」、これは八月二日に侵攻したわけでありますから、「もってその間に敷設された機雷の除去をも要求している。」。
最後に、「国連安全保障理事会はすべての国に、この目的の為に適切な方法で措置を講ずることを要請した。」、こういうことを
ドイツ政府は言っているわけであります。
独
政府の言うように、私は、ペルシャ湾の機雷除去は中東地域の復興の
前提ではないか。とにかく復興資材をまず送らなきゃいかぬのですから、その輸送路を確保するということは、これはまさに人道的援助そのものではないか。また先ほどの、十八隻の
日本の原油タンカーが出入りしている、その安全を確保することは、主権のある
日本としてこれは当然じゃなかろうか。これをよその国に、どうぞ皆さんやってくださいと。今、
アメリカ、
イギリス、サウジアラビアにベルギー、オランダ、
ドイツが加わりカナダも加わるんですか、おくれてフランスと、こういう
状況のようでございますけれども、皆さんどうぞ、うちのタンカーはお任せしますと、こういうことでいいのかどうか。
それから、今、独
政府の言うように安全保障理事会の要請に沿うんだと。六百七十八号は六百六十号を持ってきて、六百六十号は八月一日でもって返せとこう言っている。こういうことが一つあるわけであります。
そこで、問題は
憲法上、法律上の議論になる。まず
憲法ですが、
湾岸戦争は終わったわけであります。イラク・イラン戦争の場合のように戦争中じゃない。したがって、軍事行動ではないし、また戦闘に巻き込まれたり応戦をするような事態ということは考えられないと思います。ということは、
憲法上の議論は直ちには出てこない。また、国際法上、公海上の機雷除去はこれは問題じゃないということになっている。
問題は自衛隊法九十九条でございますけれども、なるほど、その規定はこのような事態を想定したか、遠いペルシャ湾で機雷を除去することを想定したか。想定しておりません。恐らくこれは近海の海上警備活動としての規定であると私も思います。それじゃ、経緯や想定はそうであるけれども、九十九条で法律を読めるか読めないか。そこで、歴代の
内閣が今まで解釈をいろいろ言ってこられている。そのときどきの国際
情勢、
我が国の置かれた
立場等をいろいろ考えて言われておりますけれども、一番新しい
政府の見解というのは、
昭和六十二年九月二十九日の黒柳議員提出
質問主意書に対する
政府の
答弁書であります。
これは御承知かと思いますけれども、念のために申し上げますと、「公海上に遺棄されたと認められる機雷について、それが
我が国船舶の航行の安全にとって障害となっている場合に、その航行の安全を確保するために、これを除去する行為は武力の行使に当たるものではなく、自衛隊法上可能である」、「なお、一般に機雷の除去が武力の行使に当たるか否かは、それがいかなる具体的な
状況の下で、またいかなる態様で行われるか等により判断されるものであり、一概に言うことは困難」と、こういうことを言われている。これは
防衛庁長官からもせんだっての
委員会で御
答弁がありました。
私は今まで述べましたような
状況のもとで、国際協調の中で人道的な支援である、国連の要請にも沿う、
我が国みずからの船舶の保護にもなる。また、多くの国々と連携、協調して、他国並みの編成で一定の水域を
我が国が分担するんだと、こういうことならば――しかし、それじゃこれが一般的なルールかというと、今回特別だということにしても私はいいと思う。今回は特例で、今後はケース・バイ・ケースで判断する、あるいは一つの基準をつくる、こういうことをしてもいいと思いますけれども、そういうことを言うならば、いかなる具体的
状況のもとで、いかなる対応でというところを私はクリアできるんじゃなかろうか。明文で明らかな禁止の規定がない以上、これは許容されると私は考えるわけであります。
さらに、
我が国の海上自衛隊の掃海技術は世界一だというんです。それは世界一でしょう。太平洋戦争が終わってから、海上自衛隊の仕事の大部分は私は機雷の除去じゃなかったろうか。唯一のそれは実践分野でございまして、三十年間で一万個の機雷を除去したという話も事実かどうか知りませんが聞いておりまして、それはよその国も十分承知しているというんです、
日本の海上自衛隊の機雷除去技術、掃海技術は大変高いということを。
そこで、自衛隊を出すのは組織的派遣だ、こういう議論があるんですけれども、掃海技術で役に立つためには組織的に派遣せにゃいかぬのです。
ドイツも五隻の掃海艇、二隻の補給艦を出すんです。一隻の母艦の下に四隻の補給艦がいて、一隻は交代する。それで基地から補給するわけですね、母艦に。その母艦からまたそれぞれの掃海艇がいろんな資材その他の支給を受ける。母艦がいろんな情報や管理をやる。こういうことになっているわけでありまして、出す以上はそのぐらいの編隊で組織的派遣をしないと役に立たない。役に立たないものは来てくれるなということになる、よその国は。そういう
状況からいいますと、私は、国際協調主義に立って今後の国際新秩序づくりに積極的に取り組んでいく、役割分担をする、責任を持つという
我が国の
立場からいったら、この際掃海艇の派遣ということも、
国民の理解を得ながら各党の話し合いの上で出すべきではなかろうかと思うわけであります。
いろいろ申し上げましたが、総理は慎重に検討と言われております。慎重な上にも慎重に検討していただいて、しかるべきときにしかるべき決断を果敢にやっていただくように強く要望いたしまして、この件は終わりにいたします。御所見は結構でございます。
それから次は、土地問題と土地対策に入ります。
最近の地下の動向について、実は地価公示の
状況がきょうの夕方に発表される、こういうことを聞いておりまして、あすの朝の新聞を見ればいいんでしょうけれども、地価の動向についてお聞かせいただきたい。どうも東京圏は頭打ちで下落になってきた。大阪圏もぐわっと上がったんですけれども、やはりこれも幾らか下がり始めた。名古屋圏も同じだ。地方圏は、下がっているところもありますけれども上がっているところもある。こういう地価動向のようでありまして、去年一年を見ますと、前半がずっと上がってきて、ちょうど七月ごろから新土地保有税の議論が公になったわけであります、
政府の税調、党税調その他。そういう意味で、アナウンス効果があったかどうか知りませんけれども、地価が下がり始めまして、それがずっと今続いている。まずこの
状況を国土庁からお聞かせいただきたい。
そこで、何が原因でそうなったか。すぐ考えられますのは、金融引き締まりで土地関係融資が非常に窮屈になっている。あるいは今言いました新土地税制のアナウンス効果なんでしょうか、そういうことが心理的に影響を与える。いろんなことがあるわけでありますけれども、その点ひとつ専門家の国土庁の方から御所見を賜りたい、こう思います。