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1991-04-02 第120回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  四月一日     辞任         補欠選任      角田 義一君     瀬谷 英行君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         井上  孝君     理 事                 板垣  正君                 高橋 清孝君                 小川 仁一君                 吉川 春子君     委 員                 大城 眞順君                 岡田  広君                 田村 秀昭君                 永野 茂門君                 村上 正邦君                 翫  正敏君                 瀬谷 英行君                 深田  肇君                 三石 久江君                 太田 淳夫君                 磯村  修君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  村岡 兼造君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  坂本三十次君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   荒田  建君        人事院事務総局        職員局長     大城 二郎君        総務庁行政管理        局長       増島 俊之君        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        外務大臣官房審        議官       川島  裕君        運輸大臣官房長  松尾 道彦君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部長       黒野 匡彦君        運輸省国際運輸        ・観光局長    寺嶋  潔君        運輸省地域交通        局長       佐々木建成君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       松波 正壽君        運輸省航空局長  宮本 春樹君        運輸省航空局技        術部長      加藤  晋君        気象庁長官    立平 良三君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        総務庁行政管理        局企画調整課長  河野  昭君        総務庁行政管理        局管理官     西村 正紀君        総務庁行政監察        局監察官     堀江 正弘君        防衛庁教育訓練        局訓練課長    小林 誠一君        防衛庁経理局施        設課長      相澤 史郎君        外務省国際連合        局審議官     河村 武和君        建設大臣官房技        術調査室長    青山 俊樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 井上孝

    委員長井上孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。     ─────────────
  3. 井上孝

    委員長井上孝君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運輸省機構改革問題点なんですけれども、たまたま前回機構改革昭和五十九年なんですが、このとき私は委員会でやはり機構改革の問題で質問をしておりましたので、そのことをちょっと思い起こしながら質問をしたいと思うんです。  昭和五十九年の運輸省機構改革成果が一体どうだったのか、また機構改革をするともとへ戻すような感じがするんですけれども、やってみた結果、余りよくなかったのか、あるいはその結果改めてこういうふうにした方がいいという経験から割り出されたものなのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  5. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今の先生の御指摘のとおり、五十八年の臨調答申がございまして、この臨調答申に基づきまして、ちょうど五十九年の七月から現在の組織になっているわけでございます。  当時の改正におきましては、大臣官房国有鉄道部で当時最大の懸案でございました国鉄改革に積極的に取り組むとともに、総合交通あるいは国際運輸地域交通貨物流通分野での政策推進する体制といたしまして政策四局を設置させていただいたわけでございます。この体制によりまして六十二年の国鉄改革実施あるいは運輸省行動計画策定推進、あるいはテン・ミリオン計画策定推進、あるいは大都市交通対策計画的な推進、それから昨年通していただきましたいわゆる物流二法でございますが、こういったものの制定、実施でございます。こういった関係政策中心行政の積極的な展開が図られてまいったわけでございます。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 前回は、縦割り行政の弊害をなくすために横割り組織がえをするということだったけれども、今回は何かやはりまた昔に戻るというような感じなんですが、縦にするか横にするかいろいろ縦横十文字でもって悩んだ結果だろうと思うんですけれども、結論的にはその辺はどういうことになるんですか。
  7. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 五十九年の改正におきましては、今御指摘のように、大臣官房国有鉄道部で当時の最大課題でございました国鉄改革に取り組んでまいったわけでございますが、運輸行政総合化効率化推進するため、各分野での政策推進する体制といたしまして政策四局を設置させていただいたわけでございます。しかし、前回改正後から既に七年近くが経過してまいりまして、この間の運輸行政を取り巻く諸情勢がかなり変化をしてまいったわけでございまして、現行の組織体制のままでは幾つかの問題といいますか、これが出てまいったわけでございます。  一つは、鉄道行政大臣官房国鉄改革推進部地域交通局あるいは貨物流通局という三つ組織に分散されておりますために、鉄道利用者のニーズに即した鉄道行政の効率的かつ円滑な実施が困難となってまいりました。第二点目は、運輸行政に係る国際問題の高度化多様化等政策分野におきます諸情勢変化によりまして、政策四局の体制による総合的な政策推進がなかなか困難となってまいっております。  こういった運輸行政総合化効率化という当初の目的に若干そぐわないものになっておるわけでございまして、このため第一番に、本日御審議賜ります運輸審議官設置あるいは運輸政策局への政策推進企画機能集中強化などによりまして一層の総合的な政策推進体制を整備いたしたい。それから第二点目には、政策実施部門につきましては、鉄道局設置等によりまして、効率的で国民にわかりやすい体制実施いたしたいということで若干縦割り的な格好への改善を図ってまいりたい、このように考えております。
  8. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国際情勢高度化多様化対応するということなんですけれども、審議官設置するということの意味、審議官役割、それが国際情勢多様化高度化とどういうふうにかかわり合っているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  9. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 運輸審議官でございますが、従来は、事務最高責任者であります事務次官のもとで運輸省全体にまたがる国際運輸行政についての調整を行ってまいったわけでございますが、やはり専門運輸審議官設置によりまして、国際運輸行政をもっと高レベルで積極的に対応していきたいというわけでございます。  特に、最近の運輸行政におきましては、主要国との航空交渉への対応あるいは海運関係国際会議への対応、さらには観光ミッション等を通じまして国際交流促進対策推進のほか、最近ではOECDにおきます造船助成削減問題とか、あるいは空港、港湾等大型公共事業外国企業参入問題等、多々いろいろな問題が出てまいったわけでございます。このような状況に適切に対処するために、ハイレベルでの国際問題の的確な処理を図るとともに総合的な国際運輸行政を強力に推進いたしたい、こういうために今回事務次官に準じたこれらの国際関係事務を総括整理する職がぜひとも必要でございまして、運輸審議官設置をお願いいたしておるわけでございます。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、運輸審議官の身分というのは局長と同格といいますか、局長クラスということになるんですか、それとも次官ということになるんですか。どういうところなんですか。兵隊の位で言えばどんなところに該当するのか、わかりやすく教えてもらいたい。
  11. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 地位的に申し上げますと、各原局局長の上でございまして、事務次官の下という、その中間に位置するわけでございまして、各省の、外務省あるいは大蔵、通産、農水省にそういった職務がございますが、次官補的な格好になっておるわけでございます。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この前の機構改革のときに、運輸省は随分長たらしい名前になったんですね。それで、それがなかなか覚えにくくて、やっと覚えたらまた機構改革ということになったんですが、国際情勢高度化多様化というお話がありましたから、この機会にちょっとお伺いしますけれども、例えば台湾でもって新幹線計画があった。そうすると、フランス政府から来て売り込みを一生懸命やった、こういう話を聞いたんです。ところが、日本新幹線の場合は政府自身売り込みをやるというふうな体制にない。かと言って、昔のように国有鉄道という組織があったときは国有鉄道競争相手として名のりを上げるということはできたわけだけれども、今度の場合は分割・民営でもってたくさんの会社ができちゃった。一体どれが日本鉄道を代表するものかということがはっきりしなくなっちゃったわけです。  清算事業団なんていうのは対外的に言うと何だかわからない存在ですね。日本の国内だって、JRを代表するものとして清算事業団なんて言ったら、何かごみの収集かなんかやっているようなぱっとしない存在なんです。国際競争をやる場合に、国を代表するという形でもって、相手の国に対しても権威を持って対応できるという仕組みがどうも日本の場合ははっきりしなくなっちゃっているんじゃないか、こういう気がするんです。  だから、どうも台湾の話を聞くとフランスに持っていかれちまったといったようなことも聞きました。韓国でも新幹線計画があるということを聞いております。最近、日本新幹線の働きというものを見て、いろんな国で新幹線をまねようという動きが出てくると思うんです。その場合にどこへ話をしたらいいのか、どこが中心なのか、どこが代表するのかということをはっきりさせた方がいいと思うんですが、そういうことを考えた場合に、今度の機構改革は多少なりともその点役に立つようになっておりますか。その点をお伺いしたいと思います。
  13. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今の先生の御指摘のために私ども今回の組織改革をお願いしているわけでございまして、対外的なこういった技術協力国際協力問題につきましても、運輸審議官ヘッド運輸政策局の中に国際部門原課を三課ばかり設置させていただこうと思っておりまして、運政局のそういった窓口のところに技術協力中心的な課題を集約いたしますもので、ハイレベル運輸審議官によってこういった新幹線国際協力なども集中的に対応できるように考えておるわけでございます。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 外国でも、例えば地下鉄をつくるとかあるいは新幹線をつくるとか、そういう動きのあるところは日本技術に注目をするわけです。だから、その場合に一体どこがそういう日本鉄道の顔になるのか、こういう問題のときに、それは運輸省運輸政策局の中で仕事をしていて代表的な役割運輸審議官であるということに今のところはなるわけですね。
  15. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 全体的なそういった技術協力運輸審議官窓口になるわけでございますが、今御指摘のような鉄道問題につきましては、今回この法案を通していただいた暁には鉄道局を新設させていただきたいと思っておりますので、鉄道局の中の全体の枠の中で今の新幹線問題とか、あるいはさらには大都市鉄道といった鉄道一元化を図ってまいりますので、運輸審議官ヘッドにさらに原局との調整を十分果たして事務合理化を図ってまいる考えでございます。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 鉄道局を新設するという今、お話ですけれども、そうすると、それは運輸省鉄道局という格好になるんですか。つまり、運輸省の今ある各局の中に並べてもう一つ局をつくる。昔の鉄道監督局などというのとは違うのか同じなのか。その辺ちょっとわかりにくくなるんですけれども、どういう位置づけになるのか、組織的にはどんな格好になるのか、その点もお伺いしたいと思うんです。
  17. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 局の新設ということは増設ではございませんので、ちょっと事務的になって恐縮でございますが、現在鉄道問題につきましては官房の中に国鉄改革推進部、さらに原局といたしまして地域交通局貨物流通局、これが言うなれば三つの局で鉄道問題が分散して処理されておるわけでございますが、今回再編成いたしまして、鉄道問題については鉄道局で一元的に処理をさせていただきたい。  それ以外に国際運輸観光局とかあるいは貨物流通局がございますが、今回交通機関モード別に海上問題については海上交通局、さらには陸上問題については自動車交通局というふうな再編成を行いながら進めていきたいということでございます。鉄道問題については、原局としての鉄道局ということによりまして鉄道問題の一元化を図ってまいりたいと考えております。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、名称はやっぱり鉄道局ということになるんですか、どうなるんですか。
  19. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 先ほど瀬谷先生の方から、昔は鉄道監督局というのがございましたんですが、今回は、まだ案の段階でございますが、鉄道局という名称にさせていただきたいと思っております。
  20. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今回は鉄道局。そうすると、運輸省鉄道局ということになるんですか。それでは、運輸省鉄道局が今までの鉄道監督局仕事も、あるいは貨物流通局仕事も、その種の仕事は、要するにレールの上の仕事は一切この鉄道局が統括をするということになるわけですか。
  21. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  22. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、要するに運輸省鉄道局というものができて鉄道局長というのが、言ってみれば新幹線であろうとあるいはローカル線であろうと一切の鉄道関係の元締めになる、こんなふうに理解をしていいんですか。
  23. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) およそ鉄道に関する問題は、現在のJRさらには民営鉄道がございますが、一元的に鉄道局で集中的にやるということでございます。
  24. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、運輸省の場合は陸海空、こう所管があるわけですけれども、陸海空のうち航空局とか鉄道局とか海運局とか、そういう並べ方の一つ鉄道局がなるのか、それとも特別な格で鉄道局というものができるのか。その点は一体どういうふうになりますか、格付の点は。
  25. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今の御指摘の点でございますが、先生の後段で御指摘のとおり、横並びで局ができるわけでございまして、今の組織を若干敷衍させていただきますと、新しい組織では、原局でございますが、大臣官房、それに運輸政策局鉄道局自動車交通局海上交通局海上技術安全局港湾局航空局という原局になるわけでございます。その上に運輸審議官という法律職ができるわけでございます。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それじゃ次官局長の間に運輸審議官という存在があって、それが各局仕事の総括をする、こういう格好になる、こういうふうに理解をしてよろしいわけですね。
  27. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 基本的にはそのとおりでございまして、次官局長との間に運輸審議官ができまして、特に運輸審議官国際分野についての事項を総括整理していただきたい、このように考えております。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 要するに、そういう格好になるというお話ですけれども、そうすると国家的な大きな仕事はいろいろあると思うのです。例えば整備新幹線の問題です。整備新幹線ということになりますと、率直に言ってこれはいや応なしに会社では手に負えないわけです。今のJR経営的にやっていけるというのは、国鉄時代にしょい込んだ国家的な財政負担を一応整理したから、それこそ清算したから何とかやっていけるようになったわけで、あれをそのまま引きずっていればJR会社といえどもどの会社経営が成り立たないことになってしまうと思う。したがって、今後整備新幹線というものを具体的に実行していこう、実現させていこうということになるといろんな問題が出てくるわけです。  例えば過密と過疎の問題があるわけです。東京は一千万以上の人口を持っている。しかし、地方に行くと百万そこそこあるいは百万足らずの人口のところもある。そういうところでは鉄道なんかの収支が全然違ってくるわけです。どんなに逆立ちしたって過疎地帯では鉄道が赤字から黒字になるという可能性はないわけです。だけれども、新幹線として日本国じゅうを背骨のように貫こうとすれば、採算に合おうと合うまいと通さなきゃならぬということになる。  ここで、まず具体的な問題を一つお伺いしますけれども、例えば東京大阪間の東海道新幹線が今や飽和状態になってきておる。私自身体験をしてみますと、上越新幹線の場合と東海道新幹線の場合ではやはり全然込み方が違います。一時的には、例えば上越新幹線スキー客でいっぱいお客を運ぶということもあるけれども、年間を通じて東海道新幹線のようにたくさんの人を運んでいるわけじゃないわけです。そうすると、東海道新幹線なんかの場合でも第二東海道新幹線、こういう形のものをつくらないと今ではどうにもならないということになっているのですから、これから先が思いやられるわけです。その辺のことを、やはり今後の計画あるいは調査というものを行って、一体この東海道交通網をどうするかということを、運輸省としても、いわゆる鉄道局としても真剣に考えなきゃならないのじゃないかというふうに思うのですが、その辺はどういうふうにお考えになるか、この点を大臣の方からお伺いしたいと思うのです。
  29. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今、東海道新幹線が非常に込んでおる、こういうような話で、第二新幹線という話がございました。私が聞いておるところでは、今の状態を増発するとかどうとか、品川とかなんとかという話が出ておりますが、これは今懇談会でその結論を出そうと聞いております。  また一方、リニアでございますが、平成九年までひとつ実験をいたしまして、JR東海でございますが、東京から大阪までの全線にわたって調査はしている。まだ前の段階調査でありますけれども、そういうこともひとつやっていこう。  それからまた、第二の国鉄はつくらないということで、JR各社とも十分協議しながら、二十一世紀に向かっての第二新幹線というか、そういう問題に現在のこの鉄道局も、JR各社あるいは私鉄その他、あるいは大都市交通、そういうことで鉄道局対応していくものと考えておるところでございます。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 第二の国鉄をつくらないということは、結局今の旅客鉄道会社先行投資のような莫大な負担をさせないということになると思うんです。国鉄が財政的に破綻をしたということは、結局新幹線、これは東海道新幹線を皮切りにしまして東北新幹線あるいは山陽新幹線、これらの問題と、青函トンネルとか本四架橋とか、本来ならば国が投資をしなければならない問題を全部しょい込んでしまった。その利子負担だけでもどうにも動きがとれない。こういうことになったわけですから、こういう前例を考えるならば、営業の主体になっている会社にその種の負担をことごとくかぶせるということは、これは将来の経営を困難にさせるもとになるわけですから、そういう方法をとらないとすれば国がやはり負担をしなきゃならぬ、国家的な仕事として取り組まなきゃならぬ、こういうふうになると思うんです。  だから、やはり東海道新幹線なんかの場合はもう問題が差し迫っているんです。したがって、研究とか調査とかということをゆっくりやっておりますと、現実状態というものはその調査よりも早くパンク状態になってしまう、こういう心配をしなきゃならないと思うんですが、その点を大臣はどのように対処されたらよろしいとお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  31. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) ただいま大臣からお答えいたしましたことに尽きますが、東海道新幹線の輸送力問題につきましては、今JR東海と非常に密接な連絡をとりつつ、とりあえず現在の東海道新幹線利用効率を高めるという方向はないかという検討をしておりまして、東海道新幹線輸送力問題懇談会という場を設けまして、運行回数の増大だとか、その辺につきましてどのような手を打ったらいいか、現在検討しておるところでございます。  さらに、より長期的には、今先生指摘のとおり、いわゆる第二東海道新幹線的なものが必要になる時点がやってくるかと思っております。これにつきましては、これも先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、リニアとの関係もございまして、リニアの方は平成九年までに実用化のめどをつけるということで具体的な実験線を山梨につくるということが二年度から始まっております。したがいまして、この辺の実験成果を踏まえつつ、新しくできましたJR経営の足を引っ張らない方法はないかということは検討してまいりたいと思っております。
  32. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 一言で言うとテンポが遅いと思うんです。現実には利用者がどんどんふえている。いつ行ってもすぐに席がとれるという状況にないという話を東海道新幹線利用者から聞いているんです。そういう状態はゆっくりと調査研究をしているということじゃ間に合わないと思うのです。事は急を要するというふうに私は思うんですよ。今のお話を聞いていると、何だか二十一世紀にならなきゃできないような話に聞き取れるんです。だから、それじゃどうもいけないんじゃないかという気がするんです。  それから、東海道新幹線もそうですけれども、私は東北新幹線盛岡どまりにしたというのは間違いだったと思うんです。昔から東北本線というのは青森東京間にあった。それをどういうわけで中途半端で盛岡にしちゃったのか。橋だって鉄道だってちゃんと目的地までつながらないというとその機能を発揮できない。鉄道の場合は盛岡でとまったって乗りかえればいいということになるかもしれないけれども、あれだって中途半端です。本当ならば青森まで最初に通すべきだった。金がかかるとかかからないとかという話は別問題です。将来の問題としては、やはり日本列島を縦断するならば、鹿児島とか長崎までつなげないと幹線としての使命を果たし得ないという気がするんです。  だから、このやり残しのところを、やれミニ新幹線だとかやれ何とか新幹線だとかという何か間に合わせのような、継ぎはぎのような格好でもってつないでいくということはやっぱり基本的にはもう余り得じゃないという気がするんです。特に大臣は北の方にも御縁のある方ですから、東北地方鉄道網交通網というものを実際に体験をされたりしている立場からどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思うんです。
  33. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今いろいろ瀬谷先生から質問がございました。実は今の整備五線のうち三線を新幹線でようやく鉄道整備基金でやる、こういうことになりまして、おおむね十年で基本スキームに沿ってやるということが決まりました。実はこれも、財源難で十数年決まらなかったのが鉄道整備基金、これも運輸委員会で御審議を願うことになるわけでございますけれども、これで何とかやっと三線をやる、こういうことになろうかと思います。  今言ったように、盛岡まででなく青森あるいは鹿児島、私もその地域におりますし、基本的にはそのとおりにしたいわけでございますが、いずれにしても財源問題で、当時は国鉄は相当な赤字でございまして、清算事業団に今二十七兆円赤字をしょっております。これをまず株とか土地で返済する。しかもなお、分割・民営になりましたので第二の国鉄はつくらない。そのためには清算事業団JR各社と話をいたしまして、利益の範囲内でひとつ今の三線をつくる。  こういうようなことで、将来的には、実は衆議院の方で鉄道に対する五カ年計画はないのかあるいは将来の見通しはないのか、こういうような質問も出ておるわけでございます。私としては、今後の問題として今先生がおっしゃいます延長問題、あるいは基本計画路線五路線もあるわけでございます。四十八年に決まったそれはそのままでございます。これらについてどうしていくのか、地域の要望もありますので、運輸政策審議会にでも、こういう問題をどうしていこうか、こういうまた諮問もして研究もしていただきたい、こういうふうに考えております。  いずれにしても、地方へ行けば行くほど採算というものがなかなかとれない、しかも財源がない、こういうような状況で、正直に言って先生が言いますように後追いということも否めない、こう思っております。航空の方も、実は羽田にいたしましても、成田にいたしましても、各地域にいたしましても、当時はこれで十分だと思っておったのが、航空あるいは輸送関係鉄道にいたしましてもどんどんふえて対策が追いつかないというのが現状であろうと思っております。  しかし、そういう苦しい状況の中で、東海道新幹線につきましても今現在七・四体制を八・四とか九・四とかあるいは九・三・三とか、こういうような体制にすべく今懇談会をやりまして協議をしておるのでございますが、そうなりますとなかなかこれは用地問題で、品川というと港区が今度は反対とかというような話もございまして、当面の増発をする、こういうようなことも今懇談会で協議をしているわけでございますが、先生指摘のように対応がおくれておることも事実でございます。一生懸命それらの解決に向かって頑張っていきたい、こういうふうに思っております。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今、大臣が答えられた利益の範囲内という言葉、独立採算制とか利益の範囲内という言葉があると、これがおもしになると鉄道のような公共性の強い仕事推進するのがなかなか難しくなってくるんです。利益の範囲内でしか仕事ができないというようなことになったら、例えば文部行政だとか防衛予算なんかはどうだというんですね、あれは利益の範囲内じゃできません。特に九十億ドルも気前よくよその国にくれてやるというような事実があったから、私も余り利益の範囲内なんということを考えないでいいような大きな気分になっちゃったんですが、やっぱり我々は人の国のために気前よくする以上に自分の国の国民のためにもっと気前よくする必要があるだろう、こういうふうに思うんです。  そこで、単に利益ということだけ考えると、東京なんというのは一千万人以上いるんですから東京周辺の鉄道なんというのは、大臣も御承知だろうと思いますが、もう赤字の時代からここだけは黒字になっているんです。黙っていても黒字になる。だけれども、反面、地方はどうにもならぬわけです。私も東北新幹線に乗ってみて、仙台から向こうの方へ行くというと余り人が乗らなくなってしまう。それから、奥羽線に至ってはもう閑古鳥が鳴く。地方の路線に乗りますとお客がほとんどいない。こういう状態でどうなるんだろう、車内で追いはぎが出るんじゃないかというふうなそんな感じになってくるんですよ、秋田県の方まで行きますと。だから、そういうところの出身の大臣はなかなか容易じゃないだろうと思いますけれどもね。  しかし、だからといってあっちの方は鉄道は要らないというふうに片づけちゃいけないと思うんです。そんなことをするとますます過疎と過密の差がひどくなる。私もこの間予算委員会でもちょっと言いましたけれども、東京都の知事候補が一兆円減税を打ち上げた。東京都は財政的に豊かかもしれない、人口も多い、そういう点から考えると、東京だけは減税いたします、住宅を建てます、仕事も保障します、住みよくいたしますと、こう言ったら、地方の人はみんな東京へ集まっちゃうんですよ。それで地方は空になっちゃう。国家としてそれでいいのかどうかということを考えなくちゃいかぬ。やはり地方東京も同じように文化生活というものを享受できるようにするのが国政の立場からすれば必要じゃないかという気がいたします。  そういう意味からすると、地方に対して迷惑をかけない、不便をかけないということはどうしても考える必要が出てくると思うんです。そのための政治だと私は思うんです。そういう原則に立つならば、地方といえどもやはり、東京と同じように電車を走らせろとは言いませんけれども、それ相応に不便な思いをさせないというような配慮が政治の基本になきゃならないというふうに私は思うんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  35. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今の瀬谷先生のお考え方、私も同感でございます。自民党でかつて私も過疎対策特別委員長をやりました。そういう経験からいたしまして、奥羽線、私の選挙区でございまして、実は高速道路もう百キロで走れる、ところが地方の主要幹線でも七十キロか八十キロでしか走れない、こういうような状況で、地方の幹線の方はそれこそ閑古鳥鳴く、追いはぎまで出たというのは私も聞かないわけでございますが、本当に閑古鳥鳴くというような状況であります。  しかも、国土の均衡ある発展は大変必要でございますので、首都の分散とかなんかも衆参でお決めをいただきました。ただ、今まで国鉄が大変な赤字でございまして、先ほども言いましたように分割・民営ということで今度は会社になりましたし、政治の方のごり押しはだめだ、こういう御意見もありました。したがいまして、先生のおっしゃるようなことは、二、三年後にいろいろな見直し条項も入っております。公共的な輸送について、また今後運輸政策審議会にお諮りもいたしますけれども、そういう地方の問題について、自動車の方は今度は人手不足、貨物なんかお聞きいたしますと、平均運転手の年齢は四十数歳、二日も三日も運転してくるなんというのは十数年しましたら不可能だ。そういうことで、混雑もある、あるいは地球環境の保全という問題もありまして、鉄道が見直されてきているということも事実であろうと思います。  問題は財源難でございまして、私どもいろいろ頭を悩ませておるのでございますが、二、三年後に見直しのときまでいろいろ私方も考えをまとめますし、先生方からもそういう財源をどうするのかと。JRや、あるいは東京でありましても、もうかると申しましても、実は一キロ二百億、三百億かかりまして、それでもいいわけでございますけれども、用地買収その他ができなくて混雑率が二〇〇%以上超す、計画はあれども十数年かかるあるいは二十年かかる、こういうようないっぱい困難な問題を抱えております。  私どもその困難な状況の中で、また先生方の御協力も得ながら鉄道というものについてどうしていかなきゃならないか、遅まきだと言われるかもしれませんが、真剣に考えて、財源の確保という問題、第二の国鉄はつくらせないという観点のもとでいかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。先生考え方には全く同感であります。
  36. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私自身感じましたことは、例えば、実は私の親が秋田県だったものだから、去年向こうへ行って墓参をしてJRに乗りました。秋田県と山形県の県境に参りますと、二両編成の車両で客は私一人だったんです。運転手と車掌と乗務員が二人いてお客が一人。これじゃかごと同じだなと思ったんです。かごは二人で持って一人乗っているんですからね。これじゃ幾ら第二の国鉄をつくらないとかなんとか言ったって、こういう状態があったんじゃなかなかこれは大変だなと思ったんです。  逆に、きのう、おとといですか、土曜、日曜しか体があいてないものだから、土曜、日曜に県内を車で回りました。県会議員の候補者のところを回ろうと思って回ったんですけれども、都心に近づくにつれて道路の渋滞が激しくなって車が進まないんです。青信号になったってさっぱり進まないんですね。川越街道にしてもあるいは旧中仙道にしても同じなんですけれども、都心に近づくに従ってどうにもならない。もう長蛇の列をつくっているわけです、自動車が。こんなところに挟まったタクシーなんかに乗っている人はいらいらするだろうなと思っていました。どうにもならぬわけです。国道といいながら道路としての機能をもう果たせなくなっている。これはゆゆしい問題だと思います。これは四年前の県会議員の選挙あるいはその前の自分の選挙の当時と比べますと格段に道路の状態がひどくなっています。  これはやはり東京都へ向かう車なんですよ。だから、東京からはみ出た部分が東京周辺の埼玉県あるいは神奈川県、千葉県、千葉県なんかの場合でも、高速道路通って、川を渡って千葉県に入るところの手前でもっていつもいつも渋滞が続いています、大臣も御経験があるだろうと思いますけれども。だから、成田の空港に行くのに、まあ今度は列車も通るようになりましたけれども、車で行くのには時間の計算ができない。そのときの渋滞によっては途方もなく時間がかかってしまう、こういうことがある。これはまさに都市機能というものがおかしくなってきていると私は思います。  この問題は、単に道を広げるとか鉄道の方を少し増発させるとか、そんなことで片がつくものじゃないと思うんです。根本的に都市のあり方というものを考えなきゃいかぬ。一極集中ということを果たしてどう思うのか、これを打開するためにはどうしたらいいのか、これは交通政策だけじゃだめなんです。まさに国土計画の問題になってきておるんです。だから、鉄道の立場で何とかしよう、道路の方を何とかしようということだけではなくて、日本という国土をどういうふうにしたらいいのか。今のような極端な交通渋滞というもの、あるいは新幹線のもう飽和状態というような問題をあわせて考えていかないと、問題は根本的に解決できないというように思うんです。  その意味では、運輸省の立場というものは自分の縄張りだけでもって物事を考えていたら解決できないと思います。だから、そういう総合政策を一体どうやって処理をしていったらいいのかということを考えるべきときではないのか。その意味で、縦割りか横割りかという運輸省の機構の改革の問題以前に、国家的な横の連携というものを考えていかないとこれは後追い政策がいつもついて回るということになると思うんですが、その点大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  37. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、首都機能の移転の国会決議もいただきました。総理を長とする懇談会のメンバーも決まりつつあると私は思っております。  同時に、これはもう全般的なものでいかなければ一極集中あるいは地方過疎化を防ぐことはできないと思いまして、私も力ないわけでございますが、先生の御意見等を踏まえまして、閣議等でも今の御意見を踏まえまして、単に運輸省なら運輸省の物の見方だけではなくて、全般的な見方の上からどうするか。  ただ、現状大都市の鉄道のことでございますが、遠いと言われるけれども、これだけ込んでおりますと、これはせめて混雑率二〇〇%以下ぐらいにはしなきゃいけないということでやっておるわけでございますが、先生の御意見を踏まえまして、運輸政策審議会だけではなくて、全般的な閣議あるいは首都機能移転の問題等でどうしていくか、こういうことで発言もしていきたいし、また先生方の御協力も得たい、こういうふうに思っておるところでございます。
  38. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 東京都に接する都心近くに行っての交通渋帯の問題は、きょう自民党の同僚議員ともお互いに話したんです。道路がこんなに込んじゃしょうがないなという話をしみじみとしたんです。だけれども、我々が嘆いてばかりいたって追いつきませんから、これは根本的に問題を解決するという方向に持っていかなきゃいかぬと思います。  それから、新幹線の問題ですけれども、いろいろな格好でもって新幹線地方では九州なりあるいは東北なりで苦慮されておることはわかりますけれども、もし新幹線をつくったならば在来線が廃止になるといったような問題があちこちでいろいろ出てくるわけです。それというのも何とか設備投資を節約しようということから、発想はここから出てきている。しかし、在来線を廃止されると、新幹線を利用している人はいいけれども、在来線に頼っている人たちにとっては大変に不便なことになるわけです。その面を考えたならば、みだりに在来線を廃止するというようなことはやっちゃいけない。ここは貨物列車も走るし各駅停車も走るんですから、そういう点まで考えて、バスに乗ればいいじゃないかという突き放したような考え方は私はやめるべきだと思うんですが、その点いかがですか。
  39. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) ただいまの先生の御指摘、大変大事な問題だと我々も考えておりまして、現在整備新幹線の整備を進めつつあるわけでございますが、この際にJR経営ということも並行して考えざるを得ないわけでございます。整備新幹線を整備する、片方におきまして在来線を並行して残すということになりますと、いわば二重投資になるわけでございまして、両方を並立させるということは極めて困難な状態、残念ながらそういう状態にあるわけでございます。  そこで、我々といたしましては並行在来線をどうするかということにつきまして地域の方々にまず選択をしていただこう。いきなりバスに転換するということではなくて、例えば第三セクターといったような形で極力経費を節減した形で鉄道サービスを残すという道もあるわけでございまして、その点の地域の御判断もまった上で整備新幹線の整備に着工する、こういう方針で臨んでいるところでございます。
  40. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 どうもやっぱり話がけちくさいんです。話がけちくさいと答弁も声が小さくなっちゃう。だから、胸を張って答えられるような答弁を私どもは期待したいんです。新幹線を在来線と一緒に併用するという方法もあるし、しかしそれが新幹線の規格の一メートル四十三センチ半のところに狭軌の在来線の線路を中に入れるといったような方法は私は苦肉の策だと思うんです。安全上非常に心配があるわけです。在来線の貨物列車が走るところと新幹線が走るところとが同じ軌道の上であるということになると、運用上もやりにくくなるし、線路も複雑になるし、安全面でも不安が出てくる、こういうことになると思うんです。だから、思い切ってやっぱり分離をした方がいいと思う。  ただし、別線にすると土地の取得の代金が大変かかる、これは確かにそのとおりです。しかし、そういう場合には高架にすればいいと思うんです。つまり、二階は在来線であり、三階は新幹線である、こういうふうな高架方式にすれば用地の問題はある程度解決ができるんです。かつて中央線が渋滞をしたときに、あれを複々線にしたいけれども、なかなか用地の問題が大変でできないという答弁があったことを私は記憶しているんです。そのときに私は、そんなら在来線の上に高架にして、二重、三重にして走らせたらいいじゃないかという質問をしたんです。そうしたら、そんなめっそうなという答弁があったんです、当局側から。しかし、めっそうなと言ったけれども、そういうふうにある程度実現をしているんです。やればできるんですよ。だから、少し頭を働かせて、どうやったら節約できるかといったようなことばかり考えないで、そういう高架方式を利用するというふうな工夫をして、在来線も生かすし新幹線も生かす。全部が全部というわけにいかないかもしれませんが、可能な限りそういう工夫をしていくということをやれば私はできると思いますが、その点いかがですか。
  41. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 現在私どもが持っております計画は我々なりに努力をいたしまして整備費の節減を図る一方で、地域の方々の御要望あるいは国土の均衡ある発展という大きな目標を実現すべくつくりましたぎりぎりの案だと今の段階では思っております。  ただ、最終的にフルの形で新幹線をつくるかどうかということにつきましては計画としては残しておりまして、この点につきましてはこれからのJR経営状態あるいは国の財政状態も見ながらその段階で結論を出してまいりたい、かように考えております。
  42. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最後に、具体的な問題についてちょっと質問したいと思うんですれども、新幹線の特急料金というのは運賃と比較をすると非常に割高だと私は思います。だから、高い特急料金を取るよりも、特急料金を安くして大勢の利用者を運ぶという方法考えた方が私はいいと思うんです。今や新幹線は貴族の乗り物じゃないんです。庶民の乗り物です。通勤者もどんどんふえています。今までは百キロぐらいのところから通勤するということは考えられなかったけれども、今や百キロぐらいの範囲から通勤通学をするという人がうんとふえているんです。それを考えるならばやはり特急料金というものは下げて、そしてその分大勢運ぶというふうな発想の転換をすべきだというふうに思う。  もう一つ、例えば上越、東北新幹線東京乗り入れということがやっと実現をする運びになったと思うんですが、そういう場合には、将来、上越新幹線から東海道新幹線まで直通で走っていく、新潟発のあるいは盛岡発の新幹線大阪まで行く、こういうようなことがあってもいいと思うんですけれども、そういうことができるとなると、特急料金にしても別々に買わなくたっていいような方法考えてしかるべきだと思うんです。そういう点を考えて、今までだったら、上越新幹線から東海道新幹線に乗る場合には上野までの特急料金を払って、それから東京駅に行ってまた買い直しをしてということになるわけですね。だけれども、つながるようになれば、そういう便利さというものをさらに有効に生かすためには、特急料金についても便利な方法考えるということがあっていいと思うんです。そういう方法でもってむしろ利用者をふやすということを考えるべきだと思うのでありますが、その点についての考え方をお聞きしまして、私の質問を終わります。
  43. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) まことに先生の御指摘のとおりでございまして、具体的に申し上げますと、この六月に上越、東北新幹線東京駅の乗り入れをやっと実現するわけでございまして、この段階で特急料金をどうするか、今私どもJRと一緒に知恵を絞りながら検討いたしております。その段階でまた御批判なり御指摘いただきたいと思っております。  それから、全体といたしまして、私どももJRも、やはり利用者の方々に利用していただく、喜んでいただく、そういう運賃・料金をどうするかということでこれからも行政に取り組んでまいりたいと思っております。
  44. 翫正敏

    ○翫正敏君 運輸省設置法の一部を改正する法律案の提案理由説明の中に、「特に最近におきましては、我が国の国際空港の整備を踏まえた主要国との国際航空路線をめぐる航空交渉への積極的な対応、」、あとちょっと中略をしますが、などなど「運輸行政として強力に取り組むべき課題が山積しております。」こう書かれておりますけれども、今度の運輸審議官を一名置くというこの運輸審議官仕事の中には国際空港を運輸行政として強力に取り組むべきであるという視点をも業務の、仕事の中に入るというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  45. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 運輸審議官の国際問題担当ということを考えておるわけでございますが、今、国際問題の中で国際の航空交渉というのが非常に大きな比重を占めておりまして、そのためには日本の国際空港の容量を積極的にふやさなければならないというふうな立場も国内的にあるわけでございまして、そういう観点からも先生の御指摘の問題については運輸審議官の担当する重要な任務と考えております。
  46. 翫正敏

    ○翫正敏君 容量をふやすというふうにおっしゃったと思うんですが、それはいわゆる東京大阪などの一極、また二極かわかりませんが、そういう大都市周辺ではなくてローカルなところにも国際空港を考えているというようなそういう意味なのでしょうか。それとも、現在の国際空港、建設中の国際空港を含めたそういうふうなところの容量を大きくしていくという意味なのでしょうか。
  47. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答え申し上げます。  ただいま官房長からお話し申し上げましたとおり、日本の国際的地位の高まりとともに、日本に航空路線を開設したい、あるいは開設しておっても増便したい、そういう要請が大変多いことは先生御高承のとおりでございます。  これにこたえる日本の国際空港の現状から申し上げますと、日本の玄関と言われています成田あるいは大阪の現在の国際空港、これはいずれもほぼ物理的に限界に近い状況でございまして、増便をしたいとかあるいは新たに乗り入れたい、そういう御要望にこたえられない状況でございます。したがいまして、私どもは地方の空港の国際化ということを積極的に推進したい、このように考えておりまして、地方の拠点空港に直接外国のあるいは日本の航空会社の国際路線を開設するという方向を積極的に推進したい、そのように考えております。
  48. 翫正敏

    ○翫正敏君 その場合に、やはりこの審議官仕事の中に、空港問題ということになりますと、どうしても騒音問題ということが地域住民の人たちに被害を与えるということがあると思いますけれども、現在の主要な国際空港の周辺におきましてもそうでしょうし、新しく地方ローカルに国際空港を開いていこうとする場合にも起こると思いますけれども、そういうことについてもこの審議官の業務内容になると考えてよろしいでしょうか。
  49. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今御指摘の騒音、環境問題でございますが、これは現在航空局の中の飛行場部の中でそういう業務をやっておりまして、これは原局である航空局の枠内で処理ができると考えております。
  50. 翫正敏

    ○翫正敏君 現在の局の中で処理するといたしましても、やはり大変重要な地域住民の生活環境にかかわる問題でありますので、この問題への対策は怠りなく進めていただきたいということを要望したいと思います。  それで、次にお聞きしたいのは、北陸国際空港ということが言われておりまして、昨年の六月十四日の本内閣委員会でも石川県の小松空港を国際化しようということについての北陸国際空港懇話会の中間報告が出されたということについて質問をさせていただいたわけでありますけれども、そのときにも読みました文章の一節を再度読ませていただきますが、  航空自衛隊との共用には将来滑走路の処理能力に限界がくるが、当面は発着枠に余裕があるため、共存のもとで活性化を図り、国際航空路線の充実などで実績を積み重ねる。中期的には臨空工業団地造成など空港を核にした地域開発推進、長期的には第二滑走路の新設、民航か基地の移転という選択では基地の移転が理想的。それには防衛庁の理解を得る必要があり、適切に対応していく。 このようにこの中間報告が書かれておることを昨年の六月十四日の本委員会でも読み上げて見解を伺ったわけでありますけれども、もう一度その点について整理をしながら確かめさせていただきたいと思うんです。  ここで述べてあることを三つに分類をいたしますと、一つは小松飛行場において第二滑走路を建設するという案、二番目には民間航空の移転という案、三番目には基地の移転という案、こういうことが書かれておりまして、結論として基地の移転が理想的であるというふうになるわけであります。  順に確かめたいんですが、この一番目に書かれております小松飛行場について第二滑走路をつくって国際空港化していこうということにつきましてですが、現在のこの飛行場の敷地の中に第二滑走路をつくることは不可能であるということは前回確かめさせていただきましたので繰り返しませんが、現在の敷地外のところに第二滑走路を建設する場合には、その調査及び検討に当たっては新しい空港を建設すると同程度の調査期間や費用などが必要かと思うわけでありますけれども、そのように考えてよろしいでしょうか。
  51. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  先生がただいま御引用になりました北陸国際空港懇話会の報告書は私どもも承知いたしております。その中では、長期的な課題として三つの選択肢を示しておりまして、第二滑走路の新設、あるいは民航の移転、あるいは基地の移転、そういうものについて長期的課題として示しているわけでございまが、その長期的課題一つである第二滑走路の新設問題についての調査検討についてのお尋ねでございますけれども、一般的に申し上げますと、空港計画を立案するに当たりましては事前に十分な調査検討が必要であるというようなことについては先生が御承知のとおりでございます。  調査の内容や程度というのは、その空港の規模でございますとかあるいは立地条件によってケース・バイ・ケースでありますが、新しい空港の建設であれ、あるいは既存の空港の滑走路の新設であれ、多方面にわたる各範の調査が必要である、それが十分に行われないとその後いろいろ支障が出てくるということにおきましてはほぼ同様である、そのように考えておるわけであります。
  52. 翫正敏

    ○翫正敏君 繰り返しますが、特に第二滑走路といいましても、現在の飛行場の敷地の中にはしを並べるようにして二本の滑走路が建設できるということであればそれはともかくといたしまして、その外のところにつくるということになれば、物理的に新しい飛行場をつくるということに等しい費用や期間がかかるというのは常識的に考えてもわかることで、小松飛行場の場合には海を埋め立ててつくるような方向をとらざるを得ないというふうに考えられるわけですから、この第二滑走路の建設ということは、前回質問しましたときには、アイデアとしてはあるのではないか、こういうお答えをいただいたわけでありますけれども、アイデアとしてはいろいろあっても、実際これを実現していこうとするならば極めて困難である、新しい飛行場をつくると同じぐらいだ、こういう理解をしておるんですが、それでよろしいですね。
  53. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  具体的な小松飛行場の拡張問題についてのお尋ねでございますが、これは防衛庁の設置・管理している飛行場でございまして、私どもはこういう長期的課題という提案がなされていることは承知しておりますが、具体的に調査検討を行ったことはございませんので、何とも申し上げられないというのが本当のところでございます。
  54. 翫正敏

    ○翫正敏君 二番目に、民間航空の移転ということが可能性として書かれておりますけれども、これもアイデアということで考えてみますと、私ども地元の方の住民の声、また自治体の声、こういうものを聞きますと、民間航空がどこかへ移ってほしい、石川県内のどこかへ移ってほしいとか、石川県以外のどこかへ移ってほしいとか、そういうような希望は全くございません。現在の地において民間空港の整備充実、拡充を図ってほしいというのが地元の一致した要望でありますので、こういうことは考えられない、考えていただきたくない、こう思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  55. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  小松飛行場は、現在石川県における民間航空の基盤として重要な機能を果たしている、そのように考えておりまして、今後も引き続きその役割が期待されているものだと存じます。この民間航空の機能につきましては、現在のところ新しい空港を建設するなどほかの場所に移すようなことは私どもも検討しておりません。それからまた、石川県当局からも民間航空移転の要請を承ったことはございません。
  56. 翫正敏

    ○翫正敏君 三番目に、基地の移転が長期的には理想的と、こう書いてあるわけですけれども、これは防衛庁にお尋ねしなきゃならないと思いますが、小松基地をどこかへ移転するというような計画、長期的なお考え、このようなものはお持ちですか。
  57. 相澤史郎

    説明員(相澤史郎君) 小松基地は、御存じのように、航空自衛隊の基地でございまして、航空自衛隊は我が国の防空という任務を負っておる、それで全国に部隊を配備し、そしてすき間のない態勢で防空の任務についているんですが、その中でこの小松基地というのは日本海側にあります唯一の戦闘機部隊を配置しているということでございまして、非常に重要な基地であるというふうに私どもは考えておりますし、そして現在、そこで基地の機能というのは十全な機能を発揮しているというところでございますので、これを移転するというようなことは全く考えておりません。
  58. 翫正敏

    ○翫正敏君 そういうふうにしますと、せっかく懇話会の報告にあります三つの場合がおのおの極めて困難または不可能に近い、こういうことになるわけでありますけれども、私は従前からこの小松基地を撤去する、なくするということによって民間空港専用の飛行場にしていく、こういうことをここ十五年以上にわたってずっと地元の人たちに訴え続けてきて、自衛隊に対しては騒音の裁判、訴訟もやってきておりまして、過日その判決もいただいて、騒音部分については私どもの訴えが認められるというそういうこともあったわけなんです。  この基地をなくしてしまうという考えはもちろん防衛庁にはないと思いますけれども、しかしこの小松基地は、先ほどから御説明もありましたように、日本海側の唯一の自衛隊の基地でございますけれども、これはソ連に対するスクランブルが一番主な役割を果たしているわけであります。今後日ソ関係というものが平和条約を締結されていくような方向に進んでいくことが大いに期待されるところでございますので、その場合には、一挙に撤去してなくしてしまうということにはたとえならなくても、この機能を縮小していくということは十分国際情勢の点から見て可能である、こういうふうに考えているんです。  防衛庁としては、中期防の中での三年後の見直しなどというようなことも前回別の機会にお答えになっておられましたが、そういうことなどから考えましても、この日ソ間の平和条約締結などの極東における大きな情勢変化というものがあるならば、この対ソ最前線基地と言われている小松基地を縮小していくというふうな、そしてその分民間空港を充実させていくというふうな、そういうお考えはございませんでしょうか。
  59. 相澤史郎

    説明員(相澤史郎君) 私ども防衛庁の考え方と申しますのは、防空について言いますと、日本の全国にすき間のない防空の態勢をつくって、そしてその責任に当たるという考え方でございますので、これが先生がおっしゃいましたように対ソとかそういうようなことではございませんので、間隙を生じない、空白を生じないということで防衛力の整備というものを考えております。したがって、そういう意味から、この小松基地というのは、先ほども申し上げましたように、空白を、間隙を生じないで日本の防空任務を達成するという意味で大変重要なところであると考えておりますので、これを縮小とか何かということは現在のところ全く考えておりません。
  60. 翫正敏

    ○翫正敏君 外交安保調査会で質問いたしましたときには、極東における世界情勢が激変してソ連の脅威というものがもうほとんどなくなってきている、そういうことはあっても極東における情勢変化がない以上は防衛の見直しはないんだというお話でありました。逆に言えば、それは極東・アジアにおける情勢変化があれば見直す、こういうことにひっきょうなるわけでありまして、今ほどのお答えというものは、そのときの防衛庁の局長の答弁とも食い違っておりますので、今後さらに研究して、また改めてお考えをただしていきたいと思うんです。  それはそれといたしまして、自衛隊が管理をする小松飛行場のような飛行場において外国の民間航空会社が乗り入れて使っているというそういう例はあるかどうかを防衛庁の方からお答え願いたいと思います。
  61. 相澤史郎

    説明員(相澤史郎君) 防衛庁が設置・管理しまして、そこを民間航空が使うということ、いわゆる公共用飛行場の指定を受けている航空基地が五つほど飛行場がありますけれども、その中で現在外国航空機の定期便が飛んでいるというものはございません。過去に臨時的に入ってきたというのは、昔、昭和四十七年に札幌オリンピックがあったときに千歳に来たとか、それからつい最近では、ソ連のアエロフロートが患者の緊急輸送ということで札幌の飛行場に来た、そういうような例がございます。
  62. 翫正敏

    ○翫正敏君 定期便が乗り入れないということは、自衛隊の基本的な方針ですか。それは防衛庁として防衛秘密というものが守られぬというような、そういう観点から定期的な外国の航空会社の乗り入れというものをお断りするといいますか、困ると、そういう立場なんでしょうか。
  63. 相澤史郎

    説明員(相澤史郎君) 今まで外国航空機が定期便で乗り入れたいというお話はたまたまございませんでしたので、そういうような検討はしてなかったということですが、基本的には、私どもの飛行場を民間航空機が使うということについては、私どもの隊務の遂行上支障がない限りはそれを使用許可していく、そういう考え方でいるわけです。
  64. 翫正敏

    ○翫正敏君 じゃ、今後そういう外国の航空会社の乗り入れの希望があればそれは認める方向である、防衛秘密云々で断るというような意味ではない、こういうふうに承ってよろしいわけですね。
  65. 相澤史郎

    説明員(相澤史郎君) それは、他の民間航空機の場合と同様でございまして、そういう具体的な御要望がございましたら、これが私どもの防衛上の隊務を遂行する上で支障があるのかないのか、そういう観点から判断させていただくということになります。
  66. 翫正敏

    ○翫正敏君 そこで、運輸大臣にちょっと御所見を伺いたいわけでございますけれども、小松飛行場を小松空港として使っているわけでありますけれども、自衛隊が設置・管理をしている飛行場ですが、この国際空港化ということについては、先ほど申しましたように地元の方では強い要望が自治体の方にも、それから地元住民の間にもあるわけでございます。これを実現するということについては、設置・管理者である防衛庁の方の了解があるという前提が必要と思いますけれども、今ほどのお答えでは、防衛秘密の観点からは別にないということでございましたので、そういうことを踏まえてこの小松飛行場を小松空港として国際空港化していくということですね。先ほど冒頭にお答えいただきましたように、この審議官設置と関連をいたしましても、国際空港は大都市周辺だけではなくてローカルな空港としても充実させていきたい、こういう御答弁がございましたので、それを踏まえて、今後小松のローカルな国際空港の推進についてどのようなお考えを持っておいでになるかお答えいただきたいと思います。
  67. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほど先生地方空港の国際化ということで御意見がございました。航空局長がお答えいたしましたように、成田あるいは関西国際空港ができましても、今後十年間には旅客、貨物とも現在の二倍ぐらいになる、こういうふうに予測をいたしておりますので、私どもといたしましては地方の拠点都市の国際空港化を積極的に推進していくべきである、こういうふうに考えております。  今防衛庁のお話もありましたが、小松飛行場については設置・管理者が防衛庁でありますため、地方空港の国際化に対するこのような考え方を踏まえつつ、防衛庁とも十分調整していかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけです。
  68. 翫正敏

    ○翫正敏君 繰り返しますが、防衛庁の方は発着枠の点の問題について防衛に支障がなければということで、秘密云々ということではないということでありましたので、この話し合いも枠の点では、前回質問しましたときにも防衛庁の方からも、運輸省の方からも、発着枠についてはまだ余裕がある、こういうお答えでした。地域住民としましては、騒音問題ということがございますので、どんどんふやしていただくと困るということもあるんですけれども、ただ枠としては別に余裕があるということですから、そういう意味からいえば、今ほどの大臣の答弁をもう一度私の方で繰り返すならば、小松の飛行場を国際空港化していくということについての方向性は極めて有力である、こういうふうに承ってよろしいわけですね。
  69. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほどもお答えいたしましたが、設置・管理者が防衛庁でありますので、いろいろな地元の要望その他踏まえて、これはやっぱり防衛庁とも十分調整をしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけです。
  70. 翫正敏

    ○翫正敏君 先ほどから御答弁の中で、再三成田国際空港の問題が出ておりますので、成田国際空港の現状について少しお伺いしたいと思いますけれども、現在第二期工事が進められているところでありますけれども、この二期工事の中には空港建設に反対するいわゆる反対派の農家の人がおられまして、この土地が反対派の農家が持っておられて買収できない土地があると思うんですけれども、それは二期工事分の工事面積のうちの何%ぐらいを占めているのかお聞きをしたいと思うわけでありますが、まずそれをちょっとお聞かせ願います。
  71. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答え申し上げます。  成田の二期工事用地内にいわゆる未買収用地がどのくらいあるかというお尋ねだと理解いたしますが、二期工事の用地の中で現在未買収用地は二一・三ヘクタールでございまして、これは成田空港全体の用地の中では二%でございますが、二期工事用地に対する比率というお尋ねでございましたが、二期工事用地の対比で申し上げますと、これは大体四%であるということでございます。
  72. 翫正敏

    ○翫正敏君 この四%の未買収地があって工事がなかなか進みにくいという状況を歴史的に振り返って考えてみますというと、やはりこの場所に成田国際空港というものをつくるについてのいわゆる当初からのボタンのかけ違えといいますか、そういうことが地元の土地を持っておられる農家の方々の反対運動というものを引き起こしたということがある、こういうふうに私は考えているわけであります。  この成田空港の二期工事を推進していくに当たって、未買収地四%、二十一ヘクタールとお答えになりましたか、その土地を買収するに当たって、いわゆる強制収用という方法をとることはないのかどうか、これをお伺いしたいわけであります。強制収用ということはすべきではないという立場でお聞きをしたいんですが、まず法律の関係でいいますとどういうふうになるんでしょうか。昨年末で事業認定から二十年を経過したわけでありますから、土地の強制収用そのものが法的に不可能になった、こういう主張もなされているようでありますけれども、法的な問題についての政府の考えは、運輸省考えはどういうふうになるんでしょうか。
  73. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答え申し上げます。  成田の空港用地についての土地収用法上の問題点についてのお尋ねであろうかと思います。土地収用法に基づく事業認定の法的効力についていろいろ議論があることは承知していますが、事業認定は、二十年経過した平成元年十二月十六日以降においても法的には有効である、そのように私どもは考えております。  まず、新東京国際空港の建設につきましては、御承知のとおり工期を一期と二期に分けておりますけれども、全体として一つの空港建設事業であります。したがいまして、全部を事業の用に供しなかった場合に認められる土地収用法第百六条の「買受権」、こういうものについては、既に一期区域内の土地が空港として現に供用されておりますことから、収用した土地の全部を事業の用に供しなかったことにはならないので、買い受け権は発生しない、そのように考えております。  それからまた、土地収用法第四十七条の二に、収用委員会は、裁決申請を却下する場合以外には収用裁決をしなければならない、そのようにされておりますことから、裁決申請が却下事由に当たらないことは明白でございますので、事業認定の告示日から二十年を経過しても収用裁決を行うことができる、このように解釈しております。この見解は、実は土地収用法というのは所管省は建設省でございますけれども、建設省とも見解の一致を見ているところでございます。  私どもといたしましては、農家の方々とは誠意を持って話し合いを尽くし、一日も早い平和的解決を図ってまいりたい、このように考えております。
  74. 翫正敏

    ○翫正敏君 土地を強制収用するということ自体が極めて強引な話でありますから、もともとすべきではないというのが大原則だと思います。いかに公共目的とはいえ私有財産を取り上げるということでありますから、これはすべきではないわけであります。  さらに、今ほど言いましたように、政府の方は法的にはできるという見解のようでありますけれども、事業認定から二十年を経過すれば強制収用そのものができない、こういう法律的な主張もあるということも踏まえていただいて、強制収用という方法で残りの二十一ヘクタール、これを収用するということはないということを御確認いただきたいと思うんです。  ちなみに、ことしの二月一日に運輸大臣が成田を視察されたときの新聞記事が載っておりますので、ここは大臣に御見解を承りたいわけでありますが、未買収の用地問題については話し合い円満解決に全力を傾注している、今後ともこの方針で臨むと話し、強制収用しないのかという記者からの質問に対しては、そうだと強制収用の可能性を否定した、こういうふうに書かれておりますが、この新聞記事は間違いないのかどうか、現在のこの点についてのお考えをお答えいただきたいと思います。
  75. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほど宮本航空局長から答弁もしたとおりでありますが、この新東京国際空港が喫緊の課題でありますために、早期完全空港化のための用地問題の解決のため誠意を持って地権者の方々と話し合いに努め、一日も早い完全空港化を図ってまいる所存でありまして、今読み上げました二月一日ですか、私も行ってまいりました。そのとおりでございます。お話し合いでどこまでもひとつやっていきたい、こういうふうに考えております。
  76. 翫正敏

    ○翫正敏君 現在も強制収用などという方法はとらずに話し合いで円満に進めていくという以外の方法考えていない、今も考えていないということでよろしいですね。
  77. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) そのとおりでございます。
  78. 翫正敏

    ○翫正敏君 成田空港反対派の農家の方々が今日に至っても土地を売らないということで反対しておられる一番大きい原因は、二十年前の一番最初の地元への説明というもの、これが不十分であったというところに、突然降ってわいたようにこの建設計画が地元の人たちの寝耳に水という形で出てきたというところに大きい原因があると私は思っているわけであります。  ちなみに、八九年十二月四日に当時の江藤運輸相が記者会見をして、「当初の成田空港の位置決定に当たり、地元に説明し理解を得るための努力が十分尽くされていなかった。その結果、一部地権者の理解を得られず、用地問題の解決を遅らせた原因の一つとなり、極めて遺憾に思う」と、こう語った。その後、「同相は「全体計画を事前に全部明かすことはできない。しかし、先祖伝来の田畑を守り伝えるという農家の純粋な気持ちへの配慮が足りなかったことから、農家が「政府はけしからん」との気持ちを持つことはわかるので、私からおわびしたい」」という、こういう新聞記事が載っております。これは当時の運輸相がこういうふうに記者会見されたことは間違いないと思いますけれども、現在の運輸大臣としてのこの問題の根本にある、横たわっている、そして今日までそれがわだかまっている問題の根っこについてどのような御所見をお持ちか、大臣からお答えいただきたいと思います。
  79. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 翫先生、新東京国際空港問題につきましては十分御承知かと思いますが、平成元年度におきまして航空機の発着回数が十一万五千回、航空旅客の数が二千十三万人、航空貨物量百三十三万トンとなっておりまして、現在空港は処理能力の限界にもう達している状況であります。また、現在乗り入れております三十八カ国五十二社の航空会社からは増便を強く求められておるほか、さらに四十三カ国から新たな乗り入れ希望があるなど、今後とも航空需要は増大すると見込まれまして、早期に完全空港化を図る必要があるため、工事可能な区域の全域で工事を実施中であります。  しかし、新東京国際空港の完全空港化を図るためには、先ほどもお話しいたしましたが、残る未買収地二十一・三ヘクタール、全体とすれば約二%、敷地内の農家八戸でございますけれども、これの取得と過激派対策が不可欠な課題であり、一昨年十二月の政府声明、閣議決定にもありますとおり、農家とは話し合いによる解決、過激派には毅然たる措置をとる、完全空港化を実現するようあらゆる努力を払ってまいりたい、こう思っております。  なお、いわゆるボタンのかけ違いについてでありますが、私としても成田空港問題の二十数年にわたる歴史に思いをいたせば、政府、公団においてもいずれにせよ謙虚に反省しなければならない点があったことを率直に認めるものと考えておるところでございます。その上に立ちまして、どうしても今の一本の状況、先ほど言いましたけれども、外国との航空交渉の摩擦の状況にもなっておりますので、御理解を得ながら徹底的にお話し合いをいたしまして何とか解決していきたい。幸いと申しますか、地元に地域を振興するというような協議会もできまして、私どもとしてはそこでシンポジウムもやっていただきまして、私もできればそこへ出席してもよろしいですし、何とか解決をしていきたい、こういうふうに考えております。
  80. 翫正敏

    ○翫正敏君 現在、二十一ヘクタールの土地を持っている農家の方は八戸であるということでありました。その人たちが強硬に反対をしているということは、これは今ほど言われたように一番最初のボタンのかけ違いに原因があって、それが二十年たっても解決できないということだと思うんです。おっしゃっておられる過激派に対して云々と、こういう答弁ございましたけれども、農家の方々は自分の父祖伝来の土地を手放したくないというその一心で反対をしておられるだけであって、だけと言ってはなんですが、そういう気持ちだけであって、そのほかのことは私はないというふうに思うんです。やはり農家の人たちとの問題に絞って、過激派対策どうのこうのということをおっしゃったけれども、それは横へ置いておいて、農家の人たちに対することを私は聞いているわけですから、その点についてもう一度、どういうふうにしていくのか。  先ほどの協議会云々という話も、この八戸の農家の人たちはどういうふうにそれに対してこたえておられるのか、それもお答えいただきたいと思います。
  81. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答え申し上げます。  新東京国際空港の完全空港化ということについては、ただいま大臣からも申し上げましたとおり喫緊の課題になっている、そういうことで、それを解決するためには残る用地の買収問題ということが解決されなければならないわけでありまして、我々は全力を傾けているところでございます。  今お話のございました地域振興連絡協議会でございますけれども、昨年の十一月に関係自治体それから地元の有志の方々によって結成された協議会でございまして、成田空港問題解決のために広く話し合う場が必要ではないか、今までそういうことが欠けていたのでこの問題の解決の進展が図られなかったのではないか、それから成田空港問題というのは単に空港問題だけではなくて地域の問題として、自分たちが生まれ育った、北総台地と言っていますけれども、その地域の振興を図っていく上でも成田空港問題の解決なくしてはその振興はないのではないか、そういう考え方に立ってそういう協議会というものをつくり、広く関係者から意見を聞く、そういう場をつくっていこう、そういうことの提唱がなされておりまして、千葉県知事あるいは運輸大臣、公団といたしましても望ましい方向としてこれには全面的に協力するという立場でございます。ただいま運輸大臣からお話がありましたとおり、大臣も可能ならばその場へ出席して意見を述べたい、このような希望を持っておられるところでございます。それは先方にも伝えてございます。  また、具体的に農民の方々がどういう動きかということでございますが、農民の方々幾つかのグループに分かれておりますけれども、その中で一番人数の多いようなグループ、それについては大体においてそういう方向でいろいろ調整が進んでいると承っておりますが、いずれにいたしましてもこれは国なり公団が行っていることではなくて、地元の方々の有志が地域振興連絡協議会というものを結成して、それが提唱しておることでございますので、私どもはそれに協力していく、そういう立場であると思います。
  82. 翫正敏

    ○翫正敏君 八戸の人たちが幾つかのグループに分かれているというようなことですが、それは分かれておってもとにかく八戸の農家の人が全部賛成をして、よろしい、どうぞと土地を売ってくださらない限り、最後はたとえ一軒残っても強制収用ということになるということになると、さっきお答えになった強制収用はやらないという方針と反するわけですね。ですから、八戸の農家の方がグループに分かれていようが分かれていまいが、皆さん入っていただく、そういうことでないとこの話は最後は強制収用にいく、そういうための地ならしというように見られてもやむを得ないのではないですか。その八戸の方々は全部何とか協議会という、私は今初めて聞きましたけれども、それに入っておられるんですか。
  83. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  先生お話のとおり、全部の方がこれに参加して、話し合いの場が持たれて円満に話し合い解決ができることが私どもとして一番望ましいことでございまして、そのような方向で取り進めたいと考えておりますけれども、現在の動きから申し上げますと、これは三つのグループに分かれておるわけでございますけれども、提唱された方々がその一つのグループに属している方々が中心でございますので、そこの方々が中心になって動きが進んでおりますけれども、私どもといたしまして、あるいはこの協議会に結集している方々といたしましては、全員がこれに参加して、それが一つ動きになっていくということが望ましいと考えて行動していることは間違いありません。  ただいま先生お話しになりましたような、最後に一軒でも残れば結局は強制収用になるんであって、そういう道を開くのではないかという主張は、そういう主張をしている方々が地元におることも承知しています。そういう方々は特に革共同中核派を中心とする過激派の人たちが機関紙等でそういう主張を盛んにしておりまして、これは強制収用に道を開くための策謀であるということを言っていますが、私どもは決してそのようなことではない、このように申し上げておきます。
  84. 翫正敏

    ○翫正敏君 だから、革共同何とかという話を今聞いておるんではなくて、農家の人たちがそういうふうになった原因は革共同何とか派という話じゃなくて、政府の方の最初のボタンのかけ違いにあってまことに申しわけないと大臣は今おっしゃったわけでしょう。それで、横に座っておられて、それは革共同何とか派が悪いんやみたいな話をされてもこれは解決にならないんじゃないかと私は思うんです。ですから、そういうのはやっぱり基本的にはそういう考えを取り消していただいて、農家の人たちが反対をしている根本原因は最初のボタンのかけ違いにある、申しわけないことであるというその前提に立っていくならば、すべての人たち、農家の方々に円満にやっていただくということでない限りこの工事は進まない。こういう前提を大臣から確認していただかないとうまくないんじゃないかと思うんです。一番最初に言われたことと合わないと思うんです。
  85. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほども、今までの二十数年の歴史において謙虚に反省しなければならない点があった、率直に認めたい、その上に立ちまして、そういうシンポジウム等で、私も出席をして今の八戸の農家の方々に極力理解を求めて土地の買収に一生懸命頑張りたい、こういうことでございますので、具体的な話もいたしましたが、本質について私の話のとおりでございます。
  86. 翫正敏

    ○翫正敏君 あとの時間に外務省の方に少しだけお伺いしたいことがあるので、ちょっと外務省の方に別のことで伺わさせていただきますので答弁お願いします。  湾岸戦争に関する国連決議についてお伺いしたいんですが、質問主意書を何回か出していますので、それについて内容のちょっと不明な点を確かめるということでお伺いしたいんですが、国連決議六六五は海上部隊の展開を要請しているのであって、サウジアラビアへのいわゆる多国籍軍の陸上部隊の派遣は要請していないのではないか、決議文を読んで私はこう理解するんですけれども、いかがですか。
  87. 河村武和

    説明員(河村武和君) 先生の十二月十日付の質問主意書に対する内閣からの答弁といたしまして、「六について」ということで「国際連合安全保障理事会決議六六五自体は、湾岸地域への陸上兵力の展開につき特に規定していない。」、このように御答弁いたしておりますけれども、これは全く変わっておりません。
  88. 翫正敏

    ○翫正敏君 そうしますと、湾岸地域への、サウジアラビアへの陸上部隊の派遣というものは、平成二年十月十九日に衆議院の予算委員会において中山外務大臣が政府統一見解として発表された「決議六百六十の実効性確保のための役割」と、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  89. 河村武和

    説明員(河村武和君) 簡単に申しますと、今先生が申されました決議六百六十及び六百六十一号双方についての実効性を確保するということで多国籍軍が展開された、このように理解していただいて結構だと思います。
  90. 翫正敏

    ○翫正敏君 ところが、私が持っております資料によりますと、この政府統一見解が発表されました昨年十月十九日の二日前の十月十七日にアメリカの上院外交委員会でベーカー国務長官が証言をしておられまして、その証言の議事録を見ますと、「湾岸地域に多国籍軍の陸上部隊」、米軍ですね、アメリカの議会ですから米軍のことを言っているんですが、「米軍が展開しているその理由は湾岸諸国からの要請である」、こういうふうに証言しているんではありませんか。
  91. 河村武和

    説明員(河村武和君) 先生今突然のお尋ねでございますので、非常に申しわけございませんけれども、十月の十七日にベーカー国務長官が上院においてどのような証言を行ったかということについて私たち確認する手段を今持っておりませんので、恐縮でございますけれども、その点についての御答弁を今差し上げることはできない、こういうことでございます。
  92. 翫正敏

    ○翫正敏君 非常に重要な証言をアメリカの国務長官が上院外交委員会という、国会ですね、そこで行っている。これが外務省の方にないんですか。そんなことはないんでしょう。
  93. 河村武和

    説明員(河村武和君) 今私が申しました意味は、私たちが、外務省がこの議事録を有しているかどうかということではございませんで、先生が今申されたことにつきまして、私が個人的に、申しわけございませんけれども、御質問になかったものでございますから現在有していない、こういうことでございます。
  94. 翫正敏

    ○翫正敏君 非常に残念ですので、後刻調べて、そしてお答えいただけますね。政府統一見解というものはこれは非常に重要な内閣の責任で出されているものですから、その内容について疑義が感じられるわけですから、やっぱりちゃんとしていただかなきゃならないと思います。現在持ち合わせがないということはわかりましたから、ひとつ調べていただきたいと思うんです。もちろんお持ちであることには、外務省にあるに違いありませんから、それを見ていただいて、そして私の方に答えていただきたいと思いますが、よろしいですか。それでもなおかつわからなければ、また別の機会に委員会のときにそれをもとに質問したいと思いますが、よろしいですか。
  95. 河村武和

    説明員(河村武和君) 適切な方法によって先生と御連絡させていただきたいと思います。
  96. 翫正敏

    ○翫正敏君 もう一点、私が質問主意書の中で質問しました中でちょっとわからないんですけれども、平成三年二月十四日に提出しました決議六七八に関する質問主意書でありますけれども、この決議が武力行使を容認する決議なのかどうかという私の質問に対して政府は回答をされたわけでありますけれども、この二十九日付の回答を見ましても、  千九百九十年十一月二十九日の安保理において、冒頭、議長である米国のベーカー国務長官は同決議案について発言し、その最後の部分で、「本日の我々の目的は、サダム・フセインに対し、安保理及び国際社会の公正かつ人道的な要求は無視し得ないことを納得させることにある。もしイラクがその方向を平和的に転換しなければ、武力の行使を含む他の必要な手段を採る権限が与えられるべきである。我々はこの選択をサダム・フセインに明確な形で迫らなければならない」 と、こう議長国であるアメリカが言ったということですね。  これを、この決議案が必要な手段には武力の行使を含む旨の見解を述べた、それに引き続いてすべての安保理構成国代表が発言したが、ベーカー国務長官が示したこの見解に反対する発言はなかったと、こういうことになるのだと理解しましたけれども、このベーカー国務長官が示した見解に反対する見解はなかったとおっしゃいますが、イエメン、キューバが反対して、中国が棄権をして、賛成は十二カ国だったのではありませんか。
  97. 河村武和

    説明員(河村武和君) 決議の採択の状況につきましては、今先生が申されたとおりでございます。その決議の採択状況がそういうことであったということと、いわゆるアメリカが述べましたような武力の行使を含むという趣旨の発言をいたしました後に、このベーカー長官の見解に反対する発言はなかったということとは直接矛盾するわけではございませんので、私たちが理解している限りにおきまして、中国の代表もこの決議六七八自体は武力の行使というものを認めているという発言をしたと、このように承知しております。
  98. 翫正敏

    ○翫正敏君 要するに、私の質問に対する「ベーカー国務長官が示したこの見解に反対する発言はなかった。」という意味は、これは決議に反対した人はいたけれども、この決議の内容が武力行使を含むものであるという、そういう決議案であるという決議の内容ですね、これに、そうではない、これはそういう意味ではないんだという意見はなかった、こういうことをここで答えておられるわけですね、この答弁書の中で。それでいいですか。
  99. 河村武和

    説明員(河村武和君) 今、先生が述べられたとおりでございます。
  100. 翫正敏

    ○翫正敏君 ここにそのときの議事録があるんですけれども、この議事録を見ますと、英語のところを訳してみますと、「マレーシアは、決議六七八への支持が留保なしではないことを明らかにしたい。」、こう述べ、「武力の使用のいかなる提案も、国連憲章第七章の明文の規定に従って、事前の承認を求めるために安保理に提出されなければならない。この点がこの決議六七八に明確に反映されていないのは遺憾である。」、このように述べ、さらに「イラクの実質的破壊につながるような、この決議の下で取られると称されるあらゆる行動に対して反対である」と、こういうふうに述べて、この決議内容がイラクの破壊に通ずるような武力行使であるということそのものに反対をして、決議案には賛成をして、この趣旨そのものに反対をしている国が、マレーシア一国ですけれども、ある、こういうことなのではありませんか。
  101. 河村武和

    説明員(河村武和君) 私も今多分先生がお持ちと同じ十一月二十九日付の安全保障理事会における各国の発言を記録した議事録を持っております。今、先生が述べられた箇所はその議事録の七十六ページに書いてあるわけでございますけれども、実は先生がお読みになったこと以外にいろいろなことをマレーシアは言っております。  まず、最初の点でございますけれども、非常に簡単に言っておりますことを御説明させていただきますと、今先生が言われました武力行使との関係では、安保理の事前の承認云々という点に関係してでございますけれども、ここでその後マレーシアが言っておりますことは、ちょっとつたない訳文で申しわけございませんが、その後に言っておりますが、安保理事会が武力行使を認めるということを行う際には、これらの諸国がきちんとその武力行使についての報告についての制度というものを理事会を通じてつくるべきである、この点がこの決議の中でははっきりしていないということをマレーシアは言っております。ですから、ここではいわゆる武力行使を行った後にどういう活動をとったかということについてきちんと安全保障理事会で後で報告するというようなシステムを決議自体の中に規定すべきであるということをマレーシアは言ったのではないか。そういう意味で内容として必ずしも十分ではないのではないかという疑念を呈したということが一つあろうかと思います。  第二点でございますけれども、その後すぐでございますが、マレーシアの代表は次のように述べております。すなわち、次の点が強調されなければならない。この決議は過剰な、かつ無差別な武力行使のための真っ白な小切手というものを与えたと解してはならない。こういうことを言っておりまして、さらに引き続きまして、理事会は決議六百六十、六百六十二及び六百六十四のコンテクストから外れるような行動というものは許可をしていない。その後に、先生がちょっと引用されました、マレーシアはこの決議に基づいてとられると称して行われる活動がイラクのほぼ完全な破壊というものに導かれるということについては警告を発したい、こういうことを言っております。  ですから、今私がちょっと申しましたとおり、我々は次のことを強調したいと言っております中に、この決議が過剰な及び無差別な武力の行使というもののための全く真っ白な小切手を与えたわけじゃないということを言っておりますことは、すなわち武力行使というものをマレーシアとしては認めたということを意味しているのではないか、このように考えます。
  102. 翫正敏

    ○翫正敏君 マレーシアが武力行使を認めたか認めないか、国連決議が武力行使を認めたか認めないか、そういうことを私は聞いておるんではないんです。基本的にこの平成三年三月一日の内閣総理大臣海部俊樹の答弁書に書いてあるのがおかしいんじゃないかということを言っているだけなんです。「ベーカー国務長官が示したこの見解」、「この見解」ということは「「必要な手段」には武力の行使を含む」という見解を冒頭述べた。その結果、反対した国もあった、棄権した国もあった。そのことについてこれに「反対する発言はなかった。」というふうに書いてあるこのことについては、この「反対する発言」は、この決議はそういう趣旨ではないというふうに言う発言があったということではないか。だから、この政府の答弁書の内容がおかしいんではないかということを言っているだけです。違っていたら答弁書は直さなければならないんじゃないか、そういうことを言っているだけなんです。もう終わりますから、どうぞお答えください。
  103. 河村武和

    説明員(河村武和君) この政府の答弁書で御説明しておりますのは、「このような点も含めた安保理決議六七八採択の経緯から、同決議が国際連合憲章に基づきイラクに対する武力行使を容認しているとの解釈は、同決議を採択した安保理構成国の共通の理解であると認識している。」、このように述べているわけでございまして、この答弁書の内容が間違っているというふうには私は考えません。
  104. 翫正敏

    ○翫正敏君 いや、その部分ではなくて、私が言っているのは、もう時間があれで終わりますけれども、その部分じゃない。その前のところに、さっき確認したでしょう、反対、賛成のことを言っているんじゃないですねと言ったら、それは違うと、反対国はある、棄権国はある。こういうことがあるが、そのことをここは言っているんじゃないとお答えになりましたね。ですから、「ベーカー国務長官が示したこの見解に反対する」の「反対」の意味は、この決議の内容についてそういう内容ではないと、この決議は。いわゆるイラクを破壊するような内容ではないとか、また、国連憲章第七章に基づいて決議をやって、それからやらにゃいかぬのだと、そういうことをちゃんと言うた国がマレーシアという国としてあるじゃないか、だから、この「ベーカー国務長官が示したこの見解に反対する発言はなかった。」というところは、一カ国はあったと、そうじゃないということを言った国はあったというふうに書き直さないと間違いじゃないですかということを言っているだけですよ。
  105. 河村武和

    説明員(河村武和君) 政府の答弁書は、「ベーカー国務長官が同決議案について発言し、その中で、同決議案の「必要な手段」には武力の行使を含む旨の見解を述べ、」、飛ばしますけれども、「この見解に反対する発言はなかった。」。すなわち必要な手段には武力の行使を含むという見解に反対する発言はなかったということでございまして、まさに決議の解釈として「必要な手段」ということに武力の行使が含まれる、そういうことに、いやその「必要な手段」という場合には武力の行使は入らないんだと、そういうことを言った国はなかった、こういうことでございますので、安保理の議事録に照らしましても何ら政府の見解がおかしいものである、このようには考えません。
  106. 翫正敏

    ○翫正敏君 これで終わります。二分までという紙がありますからあと一分間だけ。  今の答弁ですけれども、やっぱり私はおかしいと思うので、マレーシアという一国が国連憲章第七章に基づいて決議をやってから、それからでないとできないんだという、そこに一つのクッションといいますか、一つのそういうものを置いてからでないとできないんだ、こういうふうに言っているということは、時間ないから読みませんが、私の質問に対する答弁をしていただくときに極めて重要なポイントだと思うんです。そういうことを私は聞いているわけですから、そのことについて、この見解に反対する発言はなかった、みんなその内容については賛成だったんだと答えているわけですから、全くこれは私は政府の答弁書はおかしいと思うので、強くこの内容の訂正を求めて終わります。
  107. 井上孝

    委員長井上孝君) 午後一時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  108. 井上孝

    委員長井上孝君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 小川仁一

    ○小川仁一君 初めに、ちょっと法案と外れますけれども、防衛庁長官のミッドウェー出迎えの件について伺います。防衛庁長官がアメリカの空母ミッドウェーを出迎えるということが報じられておりますので、そのことについてお聞きします。  在日アメリカ海軍司令部の発表によりますと、アメリカ第七艦隊の空母ミッドウェーは、昨年の十月二日横須賀を出港して十一月中旬に多国籍軍に合流するためペルシャ湾に入ったということです。その後の新聞の報道などでは、ペルシャ湾や紅海にあったミッドウェーなど六隻のアメリカ軍空母はイラクやクウェートの爆撃やイラクの軍艦艇の攻撃を行っていたと言われています。日吉官房長はきのうの記者会見で、在日米軍が湾岸地域で長期にわたって働いてこられたと言われたそうですが、それはミッドウェーが日本からイラクの戦争に派遣されて、今私が申し上げましたような戦闘行為を行ってきたということを指すものですか、どうでしょうか。
  110. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 日吉官房長がきのうの記者会見で言われた趣旨についてのお尋ねでございますけれども、長期間にわたってミッドウェー等が湾岸地域で行ってきたことに対する歓迎の意という意味で申し述べたわけでございますけれども、よく言われておりますとおり、イラクの無謀な行為に対して多国籍軍の一環としてこれらのものが平和回復活動の一環として行動をしたということを指すものと理解いたします。
  111. 小川仁一

    ○小川仁一君 戦闘行為をしてきたかどうかと聞いているんです。
  112. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 平和回復活動の行動をしてきたということでございます。
  113. 小川仁一

    ○小川仁一君 私が聞いているのに、してこなかったらしてこない、してきたらしたと返事したらいいじゃないですか。戦闘行為を行ったかどうかを聞いているんです。
  114. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 私の立場から、アメリカのそれらの軍艦等がどういう行動をしてきたか、これは主として外務省等にお尋ねいただければという点でございますけれども、常識的に申しまして、武力行動を行ってきたということではあろうかと思います。
  115. 小川仁一

    ○小川仁一君 余り聞かないことを答弁しないでください。聞いたことに答弁してください。  ミッドウェーが今月中旬に横須賀に入港するときに防衛庁長官がわざわざお出迎えされるということですが、防衛庁長官は今までミッドウェーが入港するたびに毎回出迎えられておりますか。また、今回出迎えるのは歓迎の意を表するためで日米関係のためいいことということですが、なぜ戦闘行為から帰ってくる軍艦を日本国務大臣がわざわざ港まで出迎えることが日米関係のためにいいことか、国民がそれで納得できるかどうか御説明を願いたい。
  116. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 第一点目の今までそういうことをやったかという点については、そういう事実はございません。  それから、第二点目の、なぜ歓迎の行動を示すのかという点でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、イラクの非常な無謀な行動に対して多国籍軍の一環としてあの地域におきます平和回復活動を行ってきたという、これは平和を回復する行動でございますので、我々としては評価すべき行動である。それが長い間の任務を終えて帰ってくるわけでございますから、それの歓迎の意を表することはすなわち日米関係の良好な維持発展に資するであろう、そういうことでございます。
  117. 小川仁一

    ○小川仁一君 日本国務大臣が出ていくということですから、かなり今まで例のないことをおやりになるわけですが、これは質問通告しておりませんが、今のことで内閣官房長官が何か御意見があったら伺いますし、なければそれで結構ですが、いかがでしょうか。
  118. 坂本三十次

    国務大臣(坂本三十次君) 突然の御質問でございますけれども、今防衛庁の局長が言ったような感じをしております。
  119. 小川仁一

    ○小川仁一君 どうもありがとうございました。  九十億ドルの戦費支援のときもそうでしたが、またアメリカから凱旋軍を出迎えるようにと言われたのですか。これは、政府は何でもアメリカの言いなりだという感情を国民がますます強くするのではありませんか。防衛庁長官、このようなことは日本国務大臣ともあろう者が行うべきでないと強く申し上げておいて終わります。  続いて、本題に入ります。  運輸審議官設置は国際問題の的確な処理国際運輸行政推進ということですが、これまでの運輸省における主要な国際交渉について御説明ください。また、将来どのような課題があるか御説明願いたいと思います。
  120. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) 運輸省におきましては、所管の行政につきまして極めて多数の国際交渉あるいは国際協議、国際会議への出席を行っておりますが、ごく最近におきます重要な国際会議あるいは交渉を例示として申し上げます。  御案内の日米構造問題協議、これはトラック事業の規制緩和とか公共事業の参入問題が問題になりましたので、航空局長あるいは貨物流通局長等が出席をしております。それから、昨年の四月に開かれました先進国海運閣僚会議、これには事務次官が出席して、国際海運秩序の問題について各国と意見を交わしております。また、昨年の十一月に開かれました世界気象機関の主催によります世界気候会議、これは地球環境問題を討議したものでございますが、これには運輸政策局長が出席しております。また、ことしの一月及び二月に開かれました日米航空交渉、これは成田の発着枠をめぐる問題でございますが、これは私、国際運輸観光局長が出席をしております。  今後につきましても、諸外国から日本への新規の航空の乗り入れあるいは増便等が多数寄せられておりますので、引き続きこれらについて交渉に当たる必要がございます。また、海運関係につきましては、非常に多数の国際会議が開かれておりまして、その中で特に高いレベルのものにつきましては運輸審議官において対処する必要があると思っております。  なお、米国、EC等主要国との総合的な協議につきましても、運輸省として適切な対応をとる必要があると思っております。
  121. 小川仁一

    ○小川仁一君 きのうも言いましたけれども、質問をレクチャーすると、聞かないうちに次の分まで答弁しちゃうから、こちらがタイミングが狂っちゃうんですが、これからは聞いたことにだけ答弁してください。  大臣が国会の審議に時間をとられて国際的課題対応できないという省庁もあるようですが、これまでの国際交渉において局長クラスで片づかず、事務次官大臣が出ていって懸案が解決したという事案はありますか。
  122. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) これまでの交渉におきまして次官級あるいは大臣によって懸案が解決されました事例といたしましては、昭和五十七年九月サンフランシスコで行われました日米航空交渉におきまして、日米間の航空権益の相互的な均衡を図るための相互の暫定的な措置としての新規路線の決定に関する合意がございます。ただいまのは事務次官が出席しております。それから日豪閣僚会議平成元年一月におきまして日豪間、オーストラリアとの間の観光交流の増大に対応するための航空輸送力の増大及び観光開発協力の積極的実施に関する合意が行われております。これは当然のことながら大臣でございます。また昨年、日米観光協議におきまして、日米双方向の一層の観光の交流促進に関する合意がなされております。これは政務次官が出席しております。それから、同じく昨年の十一月、日韓閣僚会議において日韓間の航空の複数社体制の一層の推進及び陸上輸送部門に係ります協力に関する合意がなされております。これは閣僚会議でございますから大臣が出席しております。
  123. 小川仁一

    ○小川仁一君 幾つか並べられましたが、おたくから出された資料によりますと、大臣が参加した国際会議はこの五年間、昭和六十一年から平成二年までとってみましても、六十一年に二回だけで、あとは年一回だけです。平成元年度ではゼロではありませんか。次官クラスもそうたびたびあるわけではありません。こういう実態があるのに国際担当の運輸審議官が必要であるという理由はどういうことですか。
  124. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) ただいま国観局長の方からいろいろな交渉事について説明いたしたわけでございますが、我が国の経済社会の国際化の促進に当たりましては、やはり国際運輸行政を強力に推進していかなければならない、このように考えております。特に最近の運輸行政におきましては、さっき申し上げましたが、主要国との航空交渉への対応あるいは海運関係国際会議への対応、国際交流促進施策の展開のほかに、多国間でOECDにおける造船助成削減問題、あるいは空港、港湾などの大型公共事業への外国企業参入問題、さらには運輸関係国際協力の充実といったような多様な国際問題に強力に対応していく必要がございます。  このような状況に適切に対処いたしましてハイレベルでの国際問題の的確な処理を図るとともに、総合的な国際運輸行政を強力に推進する体制を整備いたしたいということでございまして、今回事務次官に準じてこれらの国際関係事務を総括整理する職がぜひとも必要でございます。そのために運輸審議官設置を御審議賜っておるということでございます。
  125. 小川仁一

    ○小川仁一君 先ほど申し上げましたが、平成二年で大臣は海外へ二国間会議では一回、多国間会議ではゼロ回、次官もそれぞれ二回。こんなふうな状況が実態なので、ことしから必要になったので、去年までは大したことはなかったわけなんですね。  それで、こういう状況の中で、総務庁は各官庁の行政機構の新設や改廃についてどのような立場にあり、どう処理してこられたか、御説明願いたいと思います。
  126. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 総務庁は、各省庁の機構を新設するあるいは改正する、あるいはまた廃止する、その場合に審査をするという仕事を受け持っておるわけでございます。機構の審査に当たりましては、内閣の厳しい御方針のもとでその新設を厳に抑制するとともに、社会経済情勢変化に即応した再編合理化に当たっても、その機構の膨張を来さないような、そういう措置をとるということを基本として審査に当たっております。
  127. 小川仁一

    ○小川仁一君 だから、今みたいに大臣が海外にも出張しない、次官も出ていく回数が少ないという実態をどう見て今回必要だと判断したかと聞いております。
  128. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) ただいまの運輸審議官の問題につきましては、運輸省の御当局が御説明しましたことをそのとおりであるというふうに考えております。  私どもも、審査に当たりましてその必要性を吟味しますときに、まさに先生が御指摘のような吟味を行うわけでございます。ただ、その場合には、本当に必要としているか、いわばポストといいますものがない状況の中でいろいろ御説明があり、そしてまさにそういう組織を必要としているということで、その周辺のあるいは背景の説明があるわけでございます。先ほど御説明がありましたように、日米航空協定等のそういう対応その他、あるいは大型公共事業等への外国企業の参入等々の問題、そういう問題に対応するために、運輸省内でこの国際関係業務を総括整理しまして、そして運輸省を代表してその事務に当たる、そういうポストの必要性といいますものは、今のそういう国際情勢の中であるいはそういう激動の中で必要なことではないか、そういう判断でございます。
  129. 小川仁一

    ○小川仁一君 ちょっと納得できませんが、次に移ります。  運輸審議官設置に伴って廃止されるポストは、大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官大臣官房国有鉄道改革推進部及び大臣官房日本鉄道建設公団・本州四国連絡橋公団監理官の三つであります。これらの組織については役割が終わったと考えてよろしゅうございますか。
  130. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今の先生の御指摘の点でございますが、非常にハイレベルでの運輸審議官をつくるために、機構の増大を招かないようにスクラップ・アンド・ビルド方式で行う必要があるわけでございまして、そのために機構の抑制を行うわけでございます。  今の三つ組織ですが、いずれも重要なものばかりでございますけれども、今回運輸審議官設置に伴いまして政令改正をさせていだきまして、局内の再編の結果、それに相当する業務についてはそれぞれの局で強力に推進いたしたいというふうに考えておるわけでございます。特に、例えば国鉄改革推進部長でございますが、今回鉄道局というのを再編整備するわけでございまして、その鉄道局におきまして鉄道行政一元化を図ってまいりたい、そのように考えております。
  131. 小川仁一

    ○小川仁一君 総務庁にお聞きしますが、総務庁設置法によって各省の機構、定員等の新設、改廃について審査を行うことになっていますが、運輸審議官設置とそれに見合うポストの廃止についてどのような審査をなさいましたか。昭和六十三年四月の農林水産省の農林水産審議官設置のときに廃止されたポストと比較してどういう状況でございましたか。
  132. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 機構の設置につきましては、冒頭で御説明申し上げましたように内閣の強い御方針があるわけでございます。機構の新設に当たりましてはその合理的再編成によるほか認めない、そういう強い御方針がございまして、その方針のもとで審査を行っているわけでございます。通称私どもはこれをスクラップ・アンド・ビルドというような言葉も使っているわけでございます。  今回の運輸審議官設置に当たりまして、いわばこの再編成の部分といいますか、スクラップ・アンド・ビルドのスクラップに当たります部分をどう考えるかといいますものは一つの審査のポイントでもございますけれども、先ほどの先生の御質問の中にございました昭和六十三年に農林水産審議官設置を認めております。農林水産審議官につきしては、国際関係対応するということでほぼ同趣旨のそういう背景があるわけでございますが、そのときにもスクラップ・アンド・ビルドを貫いているわけでございますが、結論的に由しますと、大体同じようなそういう対応を今回も講じているというふうに考えております。
  133. 小川仁一

    ○小川仁一君 いろいろ伺ってみても新しく国際担当の審議官を設ける必要は余り強く感じられません。  農林水産省は昭和六十三年に国際担当の次官級の審議官設置していますが、国際化時代ということで国際担当の審議官を設けていく、このことが今後各省庁を含めて横行しますと行政改革ということと矛盾するものではないかという感じを持ちます。今後予想される事態は余り多くはないと思いますが、本来総務庁長官にお聞きするところでありますけれども、御都合があるそうでございますので、官房長官、これに対する内閣の御見解を承っておきたいと思います。
  134. 坂本三十次

    国務大臣(坂本三十次君) 内閣の考えとおっしゃいますが、小川議員も私も戦前、戦中、戦後を歩んできた経歴があるとお見受けをいたします。私よりは先輩でしょう。その間において大変な時代の変化が起こっておると思うております。全く地球は小さくなって、世界は全く一つだと。そして、いずれの国家にしてもその国の存在、存立というものは国際的な協調の中でしか発展できない。これは特に最近大きな世界の潮流になっておる、こう思うておるわけであります。私どものこの経験だけを見ましても、本当に戦後の日本の国際化というものの流れというものは大変なものでありまして、そこでうまく適応してきたらばこそとにかく今日の日本があった、そういうふうに思っております。  日本の国の近い歴史を見ましても、国際化に適応し得たからこそ今日の日本がある、それが失敗したときにはこの前の第二次大戦みたいなような大失敗を起こすわけであります。それに反して、幕末のあの黒船がやってきたときに対応ができて、そして司馬遼太郎じゃありませんが、坂の上の雲を臨んで近代化に駆け上がってきて、そして国づくりをやった。しかし戦争で大失敗した。しかし、それじゃいかぬ、国際化、民主化の中で立ち直って今日ここまでやってきたということでございまして、世界各国の政治家にいたしましても、しょっちゅう外国と電話をしたり、ぱっと飛び込んでいって会談をするというような事態になっております。でありますから、やはり行政改革は行政改革なりにスクラップ・アンド・ビルドをやらにゃならぬと思います。  しかし、時代の要請に行政組織がこたえていかなかったらこのマイナスは大きい、そういうふうに私も考えておるわけでございまして、やはり昔のような縦割り行政ですべてが片づくという時代ではございませんので、政府全体どの省庁も協力して国際化に対応していかなきゃならぬという、縦割りだけではとてもいけませんので、横割りといいましょうか、国際化に対応できるだけの体制はつくらにゃいかぬ。今の総理、大臣初め私は、もっともっと国際化にみずから対応すべきである、こう思うておるようなわけであります。  今、運輸審議官の話が出ましたが、これも国際化に対応しなければならないというその時代の要請を受けたものであろうと思うております。世界とおつき合いするときには、向こうへ行きましても、国際会議に出ましても、クラスが高いほど、ハイクラスであればあるほど重要な案件が審議されるというのがどうも外交儀礼のようでありして、名前は審議官というのは私個人はどうかと思いますが、とにかく向こうで紹介されるときはバイスミニスター、こう呼ばれるわけでありますから、そのバイスミニスターが日本の高い責任を負って活躍するということは私は結構なことであろう、行政改革に反しない、そういうふうに考えております。
  135. 小川仁一

    ○小川仁一君 外務省もあります。今、何元外交だの何だの、党の方で外交をしておられる。さまざま道筋が違うことが、逆に国際化という名前のもとに省庁の縄張りが外まで広がるなんということを心配申し上げて先ほどの意見を申し上げたのですが、ひとつその辺は御理解をいただきまして、官房長官、ありがとうございました。  では、続いて質問に入ります。  先ほどの質問で、今回の運輸省設置法改正に伴って国鉄改革関係する二つのポストが廃止されるという説明がありました。昭和五十九年の組織改正のときにお出しになった「運輸省の新しい組織」というパンフレットでは、「国鉄再建を全省的に取り組むため、「国有鉄道再建総括審議官」を新たに設ける」、こう書かれています。その後、このポストは国有鉄道改革推進総括審議官となっておりますが、このポストが廃止されるどいうことは国鉄再建、国鉄改革の事業が終わったという御認識ですか。
  136. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 現在国鉄改革推進部で行っております国鉄改革推進のための業務につきましては、JR各社経営がおおむね順調に推移はしております。しかし、これから国鉄改革の総仕上げの時代でもございますし、巨額な国鉄長期債務の円滑な処理は依然として極めて重要であると運輸省は認識いたしております。今回の組織再編成に当たりましては、このように極めて国家的に重要な国鉄改革の積極的な推進の問題といたしまして、総括審議官あるいは国鉄部は廃止するわけでございますが、鉄道局を新設いたしまして、鉄道局におきまして引き続き強力に取り組む覚悟でございます。国鉄改革推進に対する運輸省の取り組み姿勢というものは、引き続き従来にも増して大事になるというふうに考えておりまして、何ら変更されるものではない、このように認識いたしております。
  137. 小川仁一

    ○小川仁一君 地方の私たちにとっては、国鉄再建は少しも終わったという感じがいたしません。特定地方交通線の廃止に伴って鉄道が廃止され、過疎がますます進んでいます。第三セクターで線路は残ったというところでも、経営状況はその多くが赤字であります。関係自治体は多額の負担を強いられている。財政赤字や国鉄再建を理由に見送られてきた整備新幹線は、平成三年度予算から予算がつけられますが、沿線住民は並行在来線の廃止という問題に直面させられています。こういう地方に住む国民にとって死活的な問題がまだあります。今後も出てくることが確実視されております。  国鉄再建が終わったら、それに関係あるポストは廃止して新しく国際担当の審議官をつくる、これでは本末転倒のような感じ地方の国民にとってはするのでありますが、大臣いかがでございましょうか。
  138. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 地方の並行在来線の問題で、それをほうっておいて国鉄審議官が廃止され、そして今の新しいポストをつくるのは矛盾しているじゃないか、こういう質問でございます。私としては、運輸審議官は今の時代に国際化に対応するためにどうしても必要でありますし、この総括審議官が廃止されましても、地方の並行在来線の問題、いろんな問題も鉄道局で取り扱う、こう思っておりまして、矛盾はしていないと考えております。
  139. 小川仁一

    ○小川仁一君 五十九年の百一国会の際に、私は当時の細田大臣質問をいたしました。運輸行政が持つ重大な使命の交通の公共性の維持について、こういう形での質問に対して大臣はこう答えられております。「私ども運輸大臣は、限界はございましょうけれども、公共性を守るという見地で考えていかなければならないと思っております。」と、公共性を強く言っておられます。したがって、今回の場合でも、運輸省の使命、運輸行政の使命は国民一人一人に公平平等な運輸サービスを提供することと思いますが、大臣の御見解をお聞かせ願いたい。
  140. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 運輸行政は、我が国の国際及び国内の輸送体系の適正な維持及び整備のほか、これらの輸送の安全の確保や利用者利便の向上等国民生活の向上と我が国の経済の発展にとって重大な使命を担っていると認識をいたしております。運輸省といたしましては、このような運輸行政の公共的な使命を果たすべく、新組織のもとで陸海空にわたる運輸行政の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
  141. 小川仁一

    ○小川仁一君 今、日本は一極集中と言われるように大都市への人口、産業、サービスが集中し、農山村地域では過疎が進んで集落が崩壊している状況でございます。政府もみずから多極分散型国土の形成と言っておりますが、同じ東北でお隣の秋田県選出の大臣だったら地方の私たちの気持ちがおわかりいただけると思います。また、新幹線が通っていない地方の人たちは一刻も早く新幹線を通してほしいというのも、これも当然の声であります。こういった二つの声に対して大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  142. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 小川先生の隣の秋田県でございまして、先ほども瀬谷先生のときにお答えいたしましたが、私も大臣になる前は自民党の過疎対策特別委員長でございまして、新規の法案を昨年認めていただいたわけでございます。したがいまして、先生おっしゃいますように国土の均衡ある発展ということは同じでございますし、一極集中是正ということもそういうところでございます。一極集中是正につきましては衆参で首都機能移転の決議も認めていただいたところでございまして、それが緒についた、こう思っております。  私ども秋田県から岩手県を見ておりますと、盛岡まででもすばらしい新幹線ができたな、また盛岡から青森まで、この鉄道三法でお認めいただければ、鉄道整備基金で新幹線、フル、ミニでございますけれども、これもすばらしいことだな、我々の方の羽越線、奥羽線もそういうことになれば大変いいな、しかし現状の財政では直ちにというのはなかなかできないな、まずひとつ盛岡から青森までやっていただいて、そうやってから我々の奥羽線なり、羽越線なりやっていただこうというのが率直な私の考えであります。地方の振興ということについても十分に考えていかなければならぬ、こう考えております。
  143. 小川仁一

    ○小川仁一君 平成二年十二月二十四日の整備新幹線の着工等についての政府と与党の申し合わせ、その第一項は「東北新幹線盛岡青森間及び九州新幹線八代・西鹿児島間については、平成三年度において、所要の認可等の手続を経て、その建設に着工する。」と、こう書いてありますが、整備新幹線の着工の認可はだれが行うのですか。
  144. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 着工の認可は運輸大臣が行います。
  145. 小川仁一

    ○小川仁一君 平成三年度予算が成立すれば東北新幹線盛岡青森間及び九州新幹線八代―西鹿児島間については直ちに認可の手続を行い着工すると理解してよろしいのですか。
  146. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 若干そこに至るまでの手順をお話し申し上げますと、この国会で御審議をお願いしております全国新幹線鉄道整備法の一部を政正する法律案、これを御承認いただきますと、いわゆるミニ新幹線あるいはスーパー特急の位置づけ及び着工に至る手順が法定的に整備されます。それをまちまして、その次のステップといたしまして運輸大臣が整備計画、これは暫定的なものでございますが、暫定整備計画を決定いたします。その次のステップといたしまして、先ほど先生から御質問いただきました工事実施計画、これを整備主体でございます日本鉄道建設公団、ここが運輸大臣あてに申請を出します。その申請をまちまして運輸大臣がこれを認可する、それで着工する、こういう段取りになります。
  147. 小川仁一

    ○小川仁一君 それでは、認可の時期と着工の時期についての見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  148. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) この整備新幹線は大変長い間、地域の方々の期待に背きまして時間がかかったプロジェクトでございます。したがいまして、私どもは一刻も早く着工に持っていきたいと思っておりまして、法律ができ次第準備を急ぎたいと思っておりますが、現在のところ具体的に何月ということを明言するまでには至っておりません。いずれにしても、一日も早く急ぎたい、かように思っております。
  149. 小川仁一

    ○小川仁一君 整備新幹線の着工等についての「政府・与党申し合せ」八項にある「開業時にJR経営から分離することを認可前に確認すること。」という文言についてお尋ねいたしますが、この確認はだれがだれに対して行うのですか、どういう形式で行うのですか。
  150. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) これはまず、認可主体は運輸大臣でございます。したがいまして、運輸大臣が地域の方々の意見を聞くということで、原則といたしまして都道府県知事に県の意見をお求めいただきまして確認をする、かような手順で進めたいと思っております。
  151. 小川仁一

    ○小川仁一君 どういう形式で行うかとお聞きしているんです。
  152. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 例えば県知事から正式に文書をいただくとかいろいろあるかと思いますが、その点につきましてはまだはっきりした形式は決めておりません。
  153. 小川仁一

    ○小川仁一君 大塚国有鉄道改革推進総括審議官は、三月十二日の衆議院予算委員会の第七分科会で関議員の質問に答えて、「地元公共団体との調整」と言っておられますが、地元公共団体というのはどこを指しますか。
  154. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども、やはり地域の意見を最終的に取りまとめていただきますのは県知事と思っておりまして、通過県の県知事さんから御意見を賜りたいと思っております。
  155. 小川仁一

    ○小川仁一君 最も利害が大きい国民あるいは不利益をこうむる市町村や住民が「政府・与党申し合せ」第八項に当たる「開業時にJR経営から分離することを認可前に確認する」という対象者になるのではないでしょうか。仮に少し譲ったとしても、確認する重要な当事者の一つであるという理解でいいでしょうか。
  156. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 県知事のお立場で私どもに対して御意見をいただくときに、当然県知事の方々は沿線の市町村とも十分話し合って、それを背景にして御意見をいただけるものと思っておりますし、従来からさような考え方で県関係者とも調整をしているところでございます。
  157. 小川仁一

    ○小川仁一君 運輸省は、これまで最も利害が大きい国民や不利益をこうむる町村やその住民と直接的な対話をしたことがございますか。
  158. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども、県ばかりではございませんで、機会あるごとに地域の市町村あるいは住民団体の方々にお見えいただいております。それらの方々の意見はその都度お聞きしておりますし、あるいは私どもの考え方を御説明申し上げておりますし、さらには報道機関を通じまして各沿線ごとの事情は我々なりに承知しているつもりでございます。
  159. 小川仁一

    ○小川仁一君 この前、岩手県から来た一戸町の人、部屋には通したけれども、だれも出てこなかった。そんなことをやっておいて、対話していますなんというふうな話をぬけぬけとここで言っちゃいけませんよ。私は、やっぱり一番大事なのはその地域に住んでいる人たち、そしてその地域の町や村、こういう当局があなた方の対話の対象になると考えるんですが、対象になりませんか。これは大臣からお願いします。
  160. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 実は衆議院の方でも、小川先生質問が出まして、あれは、よく私が聞きましたら、行き違いのこともあった。それで私、直接町村の人からお聞きしましょうということで、日を改めまして一戸町の町長さん初め議長さん十数名の方々といろいろ意見を交換いたしました。この並行線の問題につきましては、基本的には県を中心として十分話し合っていただきたいと考えておりますが、実はこれを見る場合に、県の方から十分これで対処する、こういうふうな返事が来たのでそう思っておりましたが、その後、在来線の市町村としては岩手県だけではなくていろいろなところから反対の意見もある、こういうようなことを伺いまして、私はそういう意見も十分お聞きもいたしますし、事務当局も行き違いのないように町村から出てきた場合には対応するように指示をしております。  したがいまして、今後地元の市町村等の御意見も十分にお聞きをいたしますし、また県ともそういう問題について調整を図ってまいりたい。同時に、私自身としては、市町村が県とも十分まとまらない場合は見切り発車はしない、こういうふうなことも衆議院で答弁をいたしておる次第でございます。
  161. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は地元公共団体というものの中に市や村が入っていいと思うのです。非常に苦労しておられるんですね、町長さんにしても議長さんにしても。そこをやっぱり運輸省が入っていってお話し合いをする。こっちから乗り込んでいって話をしなければなりませんよ。来るのを待っているという考え方じゃまずいと思うんだが、どうでしょうか。おいでになって話をする気はありますか。
  162. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 実は鉄道の宿命でございまして、鉄道といいますのは駅ができる周辺は大変直接的なメリットを受けます。それに対しまして、駅のないところは確かにいろいろなデメリットもございますし、場合によっては用地買収という形で大変御迷惑をおかげするということで、各地域ごとに受け入れていただく態勢というのは非常に異なっていると思います。したがいまして、私どもそれぞれについて意見をお聞きして進めたいと思いますが、やはり最終的には県御当局に県全体として最もいい選択というものをしていただくということがどうしても避けられないのではないか、かように思っているところでございます。
  163. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は県の意見を聞くななんて言っていないですよ。地元市町村に行って、お会いになって説明する気がありますかと聞いているんです。
  164. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、地元の市町村とは連絡なりあるいはお話を伺うつもりはございますが、それを具体的にどのような方法でするかというのは各地域ごとのまた事情もございましょうし、ケース・バイ・ケースで対応させていただきたいと思っております。
  165. 小川仁一

    ○小川仁一君 岩手県の一戸町でいうと、百年にも及ぶ間鉄道を利用して生活を営んできたんです。そうしたその地域の市町村住民から、政府の申し合わせだけで鉄道という生活交通機関を一方的に取り上げられる。これは生存権を脅かすことになりますよ。人間の生きる権利を脅かすような行為というのは許される道理はないと思う。私は、新幹線の必要性も認めますから、大臣とかJRの人たち、こういう人たちがなぜ地元の町村へ行って、こうこうだからこうという話をできないんですか。県、県と言いますけれども、県の方は知事は四年ごとにかわります、役場も四年ごとにかわりますけれども、住民は一生そこへ住みついているんです。話し合いができないという理由があったら聞かせてください。
  166. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) この前、一戸の方々が参りまして、先生がおっしゃったように私も率直にお聞きしました。今の運輸省の基本スキームについて反対なのかどうですか、率直にお聞かせくださいと。新幹線をつくることは賛成でございます、ただ在来線を廃止することには反対だと。しかし、そこを少しまたうんと我々のことも考えていただいて、よく相談しましょう、こういうことも私申し上げました。当然、県も入ってもらわなきゃいけませんし、また一戸町初め、そこばかりではありませんで、そういうところとも協議をして、今全くどうということは、まだ鉄道のこの三法案も審議中でございますので、そういうことについても今後地元とも十分連絡をとり合ってやってまいるつもりでございます。
  167. 小川仁一

    ○小川仁一君 ぜひ地元と話をしていただきたいと思います。これはぜひお願いしておきます。逆に、例えばJRの皆さんがそこにいる人たちの生存権を脅かされたら、やっぱり反撃するだろうと思うんです。しかし、そこは話し合いでやれるということだってあり得るんですから、ぜひ話し合いの対象にしていただきたい。今後運輸省が一戸町に行って、いろんな計画を含めてお話し合いすることを期待いたしております。  話を変えますが、新幹線の認可と着工は、岩手で言えば一戸町など不利益をこうむる町村の同意が必要という前提でございましょうか。
  168. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先ほど申し上げました「政府・与党申し合せ」の第四項の認可前の確認ということにつながるわけでございまして、一応県の意見を代表していただきます県知事の方から確認をさせていただきたい、かように思っております。
  169. 小川仁一

    ○小川仁一君 地元の住民や町村がどうあれ、県がいいと言えば認可になり着工される、こういうことなんですね。
  170. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほども申し上げましたが、運輸省としてはいろいろ地元と話し、また私どもと話して調整つけるようにいくのが一番いいわけでございます。どうしても県と地元がいろいろ調整つかない場合、先ほども申し上げましたように見切り発車はいたしません、こういうことになりましたので、解決できるように地元と話も私、四、五十分いたしました。決して地元の方も調整つかぬというような状況でもない、これはまだ私の感じでございますから決定的なものではありませんけれども、地元の人方の意見もよく聞いてくれ、これも事務当局に伝えるし、今後またありましたらいつでも協議、相談に応じます、こういう言葉は申しているところでございます。
  171. 小川仁一

    ○小川仁一君 非常に苦労しておられると思いますけれども、大臣のこれからの政治的な善処を要望して、この分の質問は終わります。  次に、三月二十七日に人事院が昨年分の営利企業への就職についての報告書を提出いたしました。それによりますと、退職前のポストと関係深い企業に就職した課長相当職以上の高級官僚は二百二十八名ということですが、これについて運輸省にかかわる部分を御説明ください。
  172. 大城二郎

    政府委員大城二郎君) 営利企業への就職の数でございますけれども、今先生お話のありましたものが全省庁でございますが、そのうち運輸省関係平成二年の就職件数は十四件でございます。
  173. 小川仁一

    ○小川仁一君 官僚の天下りは民間の営利企業だけではありません。各省庁の所管する政府関係特殊法人に対する天下りもまた甚だしいものがあります。政府関係特殊法人の労働組合の連合体である政労協が毎年四月に発表している天下り白書によると、大変嘆かわしい実態があります。  運輸省は共管のようなものを含めて十六もの所管特殊法人を持っていますが、百六十五人の役員中五十七人が国家公務員の出身です。閣議決定に違反する渡り鳥と呼ばれるような人たちも七人おります。このような現状について運輸省、御説明を願いたいと思います。
  174. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 御指摘の特殊法人、認可法人関係でございますが、本年一月一日現在での特殊法人の役員への運輸省退職者の就任状況でございますが、そのうち十三法人二十九名となっております。また、認可法人でございますが、認可法人の役員への運輸省退職者の就任状況ですが、四法人九名というふうな状態でございます。
  175. 小川仁一

    ○小川仁一君 各省庁の所管する法律に基づいて設立されている認可法人というものがあります。運輸省は空港周辺整備機構など六つの認可法人を所管していますが、これらに対する天下りもまた注目に値します。例えば、昭和四十八年に設立された自動車事故対策センター、ここは理事長と四人の理事がいるんですが、三人が運輸省のOBです。こういう状況は閣議の決定とかなり違っていると思いますが、いかがですか。
  176. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 閣議の方は先ほど申し上げました公団関係と政府の特殊法人でございますが、認可法人は直接はその規制対象ではございませんけれども、小川先生の御指摘のとおり、自動車事故対策センターは運輸省から理事が三名今出ておるわけでございます。この自動車事故対策センターは自動車関係専門的知識、識見等が非常に必要でございまして、運輸省との関連が深いわけでございますが、そういった知識、識見を十分活用するというふうな立場から所定の手続を経て再就職しておる、こういう現状でございます。
  177. 小川仁一

    ○小川仁一君 高級官僚の天下りはいろんな問題を含んでいるわけです。運輸省所管の公益法人は私の調査によると八百十一ありますが、これに対する天下りの現状はどうなっていますか。  また、百二国会のとき私が指摘した財団法人港湾近代化促進協議会、財団法人港湾運送近化代基金、港運構造改善促進財団、これが今もあると思いますが、御承知と思いますけれども、この三つの団体にまことに手際よく前事務次官が毎年二年ずつおいでになる。前の事務次官が営利会社へ行かれるというと次の事務次官がそこに来られる。この方が営利会社に行かれると次の事務次官が来られる。連綿として何代続いているかわからないのですが、これは運輸省事務次官の何といいますか、優雅なる遊び場なんですか。これはどうなっているのですか、その実情を御紹介願いたい、お話し願いたいと思います。
  178. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) まず前段の方でございますが、運輸省の所管する公益法人の常勤役員は全体で約六百五十名ばかりおりますが、そのうち運輸省退職者は約五十名弱、七%程度の率になっております。  それから、今御指摘の点でございますが、港湾近代化促進協議会等への歴代次官の出向でございますが、これは事実でございます。特に近代化促進協議会の方は港湾運送の近代化を促進する立場から三者構成になっておりまして、港湾運送事業者、港湾管理者、さらには荷主、船社といったような立場で港湾労働力の問題あるいは港湾事業の集約問題とか、あるいは製品輸入拡大のための施設整備等の重要な職務をやっておるわけでございまして、この協議会の会長に次官経験者が就任していることは先生指摘のとおりでございます。特に高い識見の立場から港湾、物流関係に詳しい次官経験者が要望に基づいて出向しているわけでございますが、現時点におきましても、いずれも無給でかつ非常勤という状態でございまして、こういう立場での活躍をしておるという現状でございます。
  179. 小川仁一

    ○小川仁一君 終わります。
  180. 大城眞順

    大城眞順君 私の持ち時間は極めて制限されておりますので、ひとつ御答弁は簡潔、要を得ていただきますようにお願いいたします。  まず初めに運輸大臣にお伺いいたします。  先日の運輸省設置法改正案の趣旨説明をお聞きいたしまして、今回の改正の背景を一言で申し上げますならば、運輸行政の国際化への対応の充実ではなかろうかと考えております。そこで、世界に向けられた運輸行政の現状につきまして、その概要と運輸省の認識及び国際協調のための運輸行政をどのように転換していかなくてはならないのか、その辺をトータルに一口でその理念をお伺いいたします。
  181. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 二十一世紀に向けての我が国の最大課題は、我が国経済社会の国際化をさらに促進し、真に世界に開かれた経済社会を実現するとともに、相互依存関係を深める国際社会の中にあって我が国が積極的な貢献を果たしていくことにあると認識しております。  また、このような基本的な課題に対処していくためには、一つには旅客交通及び貨物流通にわたる国際輸送ネットワークの着実な整備と国際交流の一層の促進であります。二つ目には、国際社会と調和した運輸行政の展開と運輸関係国際協力の拡充が特に重要であると考えております。  このような見地に立ちまして、運輸省としては、今回設置をお願いしている運輸審議官のもとでハイレベルな国際問題の的確な処理を図るとともに、総合的な国際運輸行政を強力に推進するごとにより、国際運輸行政の一層の充実を図ってまいる所存であります。
  182. 大城眞順

    大城眞順君 今、大臣から御説明をちょうだいいたしましたけれども、この改正案の提案そのものはまことに時宜を得ておりますし、むしろ遅きに失したと個人的に私は考えているところであります。したがいまして、これから具体的にちょっと入ります。  我が国の国際化に対応する運輸行政につきましては、提案理由の中にもいろいろと述べられておりますが、特に私が注目したいのは、国際空港の整備を踏まえまして、そこで諸外国との国際航空路線をめぐる航空交渉への積極的な対応ということであります。  現在、諸外国からその位置や規模あるいはその機能について余り評判がよくない成田空港を中心にいたしまして国際路線が設定されておりますが、これは今回運輸審議官設置することによって、今後の国際社会の中における日本の位置づけからいたしましても、高度の立場から総合的国際航空行政を強力に推進する必要があろうかと思います。  その一つといたしまして、東京一極集中から多極分散へという国内的な総合施策、地域活性化、普遍的な全国的な国際化、あるいは国土総合開発計画等々、いわゆる全国バランスのとれた経済社会発展の原動力となるため、日本国じゅうがどの地域からも国際線が離発着できるようになって初めて国際化された航空ネットワークと言うことができるのではないかと私は考えます。そのためには、成田以外に北は北海道、南は沖縄、西は、東は、真ん中はどこというぐあいに国際空港を建設していって旅行者の利便を最大限に図り、将来は安全面だけを政府がコントロールし、それ以外はデレギュレートされた形での航空システムをつくっていく必要があろうかと思いますが、運輸省の御見解を賜りたいと思います。  特に、国策との整合性からいたしまして、南の玄関口として位置づけられている沖縄において国際化時代の使命を果たしていくためにはやはり国際空港がなければならないと思いますが、この法案の趣旨からどうお考えですが、法案との関連で、ひとつあわせてお願いをいたしたいと思います。
  183. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答え申し上げます。  先生の御質問、三点あろうかと思うわけであります。第一点は国際ネットワークの御議論、それから二点は国際航空路線の設定に係る事業規制の問題、三点は沖縄の国際空港の整備について、そのように思いますが、順を追ってお答え申し上げます。  まず最初に、いわゆる全国バランスのとれた経済社会発展の原動力となるために、地方からも国際路線が離発着できるように国際化された航空ネットワークを広めるべきであるという先生の御意見には、全くそのとおりだと思っているわけであります。  我が国の国際航空需要は現在そのほとんどが東京大阪地区の国際空港に集中しております。この需要に対処するために新東京国際空港及び関西国際空港の緊急の整備を行っておりますけれども、他方、地方拠点空港を初めとする地方空港の国際化につきましては、各ブロックの発生・集中需要を中心とした近中距離の国際航空需要への対応を基本にいたしまして、地域の利便性の向上のために各ブロックの特性に応じたネットワーク形成を図ることが国土の均衡ある発展の観点からも非常に重要である、そのように考えております。御承知のとおり、私どもは第六次空港整備五カ年計画策定作業中でありまして、この作業の中でこのような観点も含めて検討してまいりたい、そのように思うわけでございます。  それから、第二点目の国際航空路線の設定に係る事業規制、デレギュレートすべきではないか、緩和すべきではないかという御意見につきましては、運輸省におきましては昭和六十一年六月に運輸政策審議会の答申がございまして、これを踏まえまして国際線の複数社化、あるいは国内線のダブル化、トリプル化等の競争促進施策を講じていることは先生御承知のとおりでございます。  現在、国際路線の設定につきましては諸外国との航空交渉で合意された範囲で行うことになっているわけでございますけれども、成田空港及び大阪空港の路線につきましては、両空港とも発着枠に厳しい制約がある、そういう状況でもございまして、航空会社利用者の要望にこたえることが困難になっております。これに対しまして、東京及び大阪以外の路線につきましては、それに対応する需要があり、空港制約や騒音問題等の問題がなければ航空会社からの申請に応じて弾力的に認めてまいりたい、そのように考えております。運輸省としては、今後とも極力弾力的な行政運営によって競争を促進し、利用者利便の向上を図ってまいりたい、そのように考えております。  それから、第三点目の沖縄において国際化の進展に合わせて国際空港をできるだけ早く整備する必要があるのじゃないか、そういう問題点につきましては、沖縄におきましても国土の均衡ある発展及び地方の国際化の進展を図る見地から国際航空の充実を図っていく必要があるものと認識しております。従来から、その中心となっております那覇空港について、大型機が発着可能な三千メートル滑走路の整備でございますとか、あるいはCIQの整備でございますとか、そういうことを積極的に図ってきたところでございまして、御承知のとおり、現在那覇空港には香港を初めとして四つの国際航空路線が設けられ、平成元年の実績ですと国際旅客は約三十四万人に達している、そういう状況でございます。  今後も国際化の一層の進展に対応するために、国際航空需要の増大に応じてその基盤となる空港整備を図ってまいりたい、そのように考えております。
  184. 大城眞順

    大城眞順君 この改正案は、申し上げましたとおり、国際化時代ということの関連において提案されているわけでございますけれども、その趣旨とは矛盾というんですか、裏腹というかちぐはぐというか、ということが起きております。日本国内において米軍が民間航空の管制業務を行っていることについての政府の考え方をただしてまいりたいと思います。このことにつきましては平成元年十二月十三日に私は沖縄特別委員会で取り上げましたが、政府の対応についていまだに合点がいきませんので、もう少し詳しく踏み込んでお聞きしたいと思います。  まず、過去において米軍が管制業務を行っていた空港で現在運輸省がその業務を引き継いでいる空港と、現在なお米軍が管制業務を行っている空港についての経過と現状の説明を簡単にお願いいたします。
  185. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  我が国の航空管制につきましては、米空軍航空通信隊によって開始されましたが、昭和二十七年の平和条約発効の際は、まだ我が国の要員とか施設が十分でなく自主管制を実施できなかったため、要員、施設体制などの整備に伴って順次米軍から移管されてきているところでございます。これまでに、昭和三十二年に伊丹、昭和三十三年に東京国際及び名古屋、昭和四十六年に福岡、昭和四十七年に那覇の各空港の管制業務を引き継いでいるところでございます。  現在、地位協定に基づきまして日本国内で管制業務を行っているのは、嘉手納、岩国及び横田の各飛行場にかかわる飛行場管制業務及び進入管制業務のほか、嘉手納空港において那覇空港の、また岩国飛行場においては松山空港の進入管制業務を米側が実施しているのが残っているわけでございます。
  186. 大城眞順

    大城眞順君 今御答弁がございましたように、今なお嘉手納基地が那覇空港の民間航空の進入管制をしておりますし、岩国基地が松山空港の進入管制業務をやっておる。いまだにこれが実施されている理由というものは一体何なのか。業務が返還された他の空港の事情と関連して、先ほどもちょっぴりありましたけれども、いろいろスタッフの問題とか技術の問題、それはもうずっと私は過去の話ではないかと思いますが、なおかつ、今、岩国、嘉手納の基地が民間航空を管制しているというのはどういうことですか、簡単にお答え願います。
  187. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  地位協定の第六条の規定に基づく航空交通管制に関する合意というものに基づきまして、米軍が嘉手納、岩国、横田の各飛行場にかかわる飛行場管制業務及び進入管制業務を行うことが認められておるわけでございますけれども、これはこれらの飛行場に近接して位置する那覇空港及び松山空 港についても、航空交通の安全を確保するために嘉手納及び岩国の各飛行場においてあわせて進入管制業務を行った方が適当ではないか、そういうことで米軍側が管制を行っている、そういうことでございます。
  188. 大城眞順

    大城眞順君 先般の私の沖特委における質問に対する答弁は、運輸省はこう申しております。「私ども管制を担当する者といたしましては、すべて日本の空域は日本人の手でという理念に燃えております。」、今後外務省と協議しつつ、アメリカ側との接触を含めて、適切に対応していきたい、こういうことであります。一方、外務省は、現実問題として当面業務移管を図ることは困難であると考えると、極めて消極的な答弁になっております。この両者間の問題のいわゆる姿勢の差というものがはっきりしておるわけでございますけれども、その後の両省の取り組み方の経過についてお聞かせを願いたいと思います。
  189. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  嘉手納、岩国及び横田の各飛行場における管制業務は、日米合同委員会の合意に基づき米軍が実施しているわけでございますけれども、これらの飛行場にかかわる進入管制業務につきましては、我が国の要員、施設等の体制が既に整っていることから、昭和六十三年に日米合同委員会のもとに置かれております民間航空分科委員会におきまして運輸省に移管を要請したところでございます。これに対しまして米側は、米軍の運用上の所要にかんがみ、本件移管は極めて困難であるという見解を示しているところでございますが、運輸省といたしましてもその後も引き続き移管要請をしていきたい、そのように思っております。
  190. 川島裕

    政府委員(川島裕君) 補足としてお答え申し上げますが、私ども、まさに今運輸省の方から御答弁ありました六十三年五月の民間航空分科委員会におけるやりとりを承知しておりまして、そこで米軍の運用の所要上、本件移管は極めて困難という米側の感触があったというふうに承っております。それで、その後も米側の見解というものはどうも変わっていないようでございますので、当面この移管を図ることはなかなか難しいんではないか、こういうふうに受けとめている次第でございます。
  191. 大城眞順

    大城眞順君 ということは、皆さん、昭和六十三年五月に行われた日米合同委員会の下部機関である民間航空分科委員会の開催以来、何らのアクションも起こしていないということでございますか。それ以後は会議を持っておりませんか、そういう意味ですか、この民間航空分科委員会
  192. 川島裕

    政府委員(川島裕君) それ以後、民間航空分科委員会においてこういうやりとりがあったというふうには承知しておりません。
  193. 大城眞順

    大城眞順君 やっていない。そこに外務省運輸省のいわゆるこの航空管制業務に対する自信のほどの差はありますけれども、熱意のほどは両省とも同じだと思うんです。あれだけ指摘されて、アメリカにこれからも外交交渉をやってまいりますと言いながら、六十三年五月以来、いわゆる主権国家である日本の国が米軍にみずからの民間航空機の進入管制業務を任すということはこれは大変なことだと私は思います。  一体、その分科委員会というものは、日本側からだれがそのメンバーであり、どういった六十三年の五月におけるその会議の内容だったですか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  194. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  民間航空分科委員会は日米合同委員会の補助機関として設置されておりまして、日本側代表は航空局の首席安全監察官でございます。それから、米側代表は在日米軍司令部の第三部長であります。そのほか専門家おのおの数名ずつより構成されておりまして、機能といたしましては通信の方式、管制の方式及び空域の利用問題等について実務的な協議を諮っているものでございまして、必要に応じて協議の結果につき日米合同委員会の承認を得る、そういうことになっているものでございます。  なお、会議の具体的内容につきましては、米側との関係もあり、説明は差し控えさせていただきたいと思います。
  195. 大城眞順

    大城眞順君 今の差し控えさせてもらいたいという会議の内容につきましては、後日どうしてもたださないと、みずからの主権国家としての私は立場がないと思うんです。何がこれは秘密ですか。民間航空を米軍が管制しておるんですよ。しかも、運輸省は十分な技術、十分なスタッフがある、いつでも来いというような準備ができておるのに、いつまでたってもこれが返還されない。今の橋本大蔵大臣が運輸大臣のとき、すべてオーケーです、こういうようなお答えを国会で言った、いつでも引き受けますと。だのに今まで、対米交渉のやり方がまずいのか何か知りませんけれども、この管制業務の返還がなされていない。  昭和四十七年五月十五日、いわゆる復帰の時点でございますけれども、合同委員会における合意文書の中で、先ほどもありましたけれども、四項は、「日本国政府は、施政権返還後、二年以内に所要の航空管制及び保安施設の整備運用を行なうことにより、沖縄飛行情報区における航空交通管制業務の運用を行なう。それまでの間は暫定的に米国政府が」、いわゆる軍であります、「ICAO基準に準拠した方式により、航空交通管制業務を実施する。」とうたわれているということは皆さん御案内のとおりであります。あれから二十年近くの歳月が流れております。そのとき「暫定的に」と言っております。そして、これは二カ年の十倍であります。「二年以内に所要の航空管制」業務が整ったら日本に返すと言いながら、二十カ年というと二カ年の十倍ですよ。「暫定的」という文言の常識をはるかに通り越していると考えられますけれども、この「暫定的」というものは永久的と言っても構いませんか。
  196. 川島裕

    政府委員(川島裕君) 合意の四項でございますけれども、そこでまさに「二年以内に」云々ということがあるわけでございます。  私どもの承知しているのは、沖縄飛行情報区における航空交通管制業務でございますか、これは四十九年五月十五日、二年後に米軍より移管を受けて那覇航空交通管制部において実施されておる、こういうふうに承知しております。恐らく先生の御指摘なのは、沖縄飛行情報区の中の嘉手納及び那覇の二つの空港への進入管制の部分のことだと思います。したがいまして、四項につきましては、二年後ということでございます。
  197. 大城眞順

    大城眞順君 私があえて四項を持ち出したのは、五項との関係で、五項にもまさしく「暫定的」という言葉があるわけです、「進入管制業務」もね。それで、嘉手納と那覇は近いので、「単一の施設によって進入管制を行なう必要があるので日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務を実施するものとする。」。とっくの昔に運輸省はできますとはっきりオーケーサインを出しているわけです。それで、今まで「暫定的」と言いながら、これからいつまでを皆さん「暫定的」というふうに解釈していかれるわけですか。そして、この合意文書の今は五項を申し上げましたけれども、米国が一方的に、もういいやと、皆さん方、おまえらでやれと言うまでは暫定期間ですか。こちらから進んで主権国家としてこの管制業務を、本来民間航空機は我々がやるべきものだから我々がやるという姿勢は持たないんですか。その辺をお聞かせ願います。
  198. 川島裕

    政府委員(川島裕君) これは、先生の御関心のほどよくよく承知しているつもりでございますけれども、御承知のとおり、那覇空港の航空管制業務は日本側が行う、それから米軍の施設、区域、すなわち嘉手納の航空管制業務は米軍が行う、二つが近接しているので、これらの進入管制についてはそれぞれが行うという原則がダブってしまうわけでございます。  それで、「暫定的に」という意味は、そこで、レーダー進入管制を日本政府ができるようになるまでの間というふうに解しておられると思いますけれども、それでは、そういう日本側が能力をそろえた時点で自動的に進入管制業務が日本側に移管されるというふうには私どもは考えておりませんで、まさにそこで米側と調整をする必要が生じているということだろうと思います。しかるところ、先ほども答弁ございましたけれども、米側としては非常に嘉手納飛行場の重要性にかんがみて現時点でこれを移すことは困難であるというふうな立場でございますので、これはやはり日米安保体制の有効な運用という観点から、あくまで日米間の合意に基づいて動かさざるを得ないたぐいの案件であろうと思います。したがいまして、目下のところ進入管制は引き続き米軍が行っておる、こういうことでございます。
  199. 大城眞順

    大城眞順君 まさに合意文書のなし崩しを皆さんやっておるんです。ちっとも主権国家としての姿勢が私はないんじゃないかと思うんです。何でできるものをやらないんですか。結局、嘉手納が重要な基地だから、那覇空港と近いから嘉手納がやるという理屈はもう通らぬと思うんです。ということは、やはり基地が優先どいうことに相なっておるわけでございますが、いわゆる軍事優先ということだ解釈してよろしゅうございますか。
  200. 川島裕

    政府委員(川島裕君) 一方におきまして日米安保体制の有効な運用というものはございますけれども、他方、私どもといたしましても、非軍用と軍用の航空交通管制の体系の調和、整合というものは……
  201. 大城眞順

    大城眞順君 イエスかノーで言ってください。
  202. 川島裕

    政府委員(川島裕君) 図らなければならぬと考えております。ただ、今の時点では、あくまでもそういう中で米側と接触をしつつ適切に対処するということでございます。
  203. 大城眞順

    大城眞順君 的確に答えてください。これはもう明らかに、事実関係からして軍事優先でしょう。軍事優先でなければそんなことはあり得るはずがないんです。嘉手納基地を生かすために、軍の飛行機を飛ばすために、民間機はこういうふうに飛びなさいというのは、これは軍事優先でしょう。事実関係から、何も政策的なことは考えないでもいいですよ、事実の上からこれは軍事優先でしょう。イエスかノーかでお答え願いたい、こういうことなんですよ。イエスかノーか。
  204. 川島裕

    政府委員(川島裕君) まことに恐縮でございます。繰り返しになりますけれども、そこはやはり米側との調整がまさに必要になった状況において、それにどう対応するかということでございます。
  205. 大城眞順

    大城眞順君 じゃ、よく聞いておいてくださいよ、次に軍事優先であるということのはっきりした証拠を突きつけましょう。  米軍専用基地の七五%が沖縄に集中しているとうことでありますけれども、これは地上だけのことであって、空の東西南北、四方八方、広大な訓練空域、ウオーニングエリアが十五カ所もあり、沖縄の空のすべてを覆い尽くしております。また、一時的に民間機等をブロックアウトしてやるところのいわゆるアルティチュードレゾネーションという幻の空域も入れますと、これはもう四方八方民間機が通れるようなスペースは置いてない。全部大通りは米軍の訓練空域にしてしまいまして、小さい路地を恥ずかしそうに民間航空機が飛んでおる。そんな主権国家は私は情けないなと思うんです。  空とか陸だけでなく、海もやっぱり、沖縄は四面海ですけれども、すべてがこれはもう訓練海域になっておりまして、陸空海、もう全部米軍が優先して使っておる。だからこそ、昨年の一月十日、十一日と二日ぶっ続けで、米軍優先の空の交通整理のために、ニアミスが起こった。まさに沖縄はニアミス銀座とも言われているんです。それはそうでしょう。那覇空港が進入管制業務ができるのはただ六キロ以内。米軍がやるのは五十マイル、約九十キロです。その間の約四、五十キロを三百メーター以下で飛びなさいと。これは乱気流が起こった場合には大惨事につながる可能性もある。  普通、飛行機というものは離陸したら一速ですね。巡航高度というのですか、そこまで飛び上がるまでは全力を出す。三百メーターをだらだらと五、六十キロも飛ぶような飛行機は非常に危なくてしょうがない。だから、嘉手納の米軍基地に進入管制業務を任せたためにこういったのがどんどん沖縄の空で起こっているんです。当たり前の話です。これを軍事優先と言わぬで何を軍事優先と言うんですか。  米軍の進入管理業務ミスで事故が起こった場合に、どのような形で皆さんは責任をとるのか。あるいは、アメリカのいわゆる管制業務をやっている皆さんはどういった刑事上の責任が出てくるのか。あるいは、経費の負担もやっておるのか、どうなっておるのか。だって、民間航空機のための進入管制業務をやらせているわけでしょう。そこに経費の負担もあるのかどうか。この三点について簡単にお答え願いたいと思います。
  206. 川島裕

    政府委員(川島裕君) まず、沖縄における施設、区域の円滑かつ安定的な使用の確保というものは、日米安保条約の目的達成のために非常に重要だと思っておりますが、他方、先生指摘のとおり、沖縄県におきましては米軍の施設、区域の密度が非常に高いということで、県民の皆様においていろいろ問題もあるということは、私ども日米安保体制の円滑な運用を主管するものとして肝に命じている次第でございます。  それで、事故がということでございますけれども、これはそもそもあってはならぬことと思いますが、仮定の問題で仮にそういうものが起こった場合、これは先生御承知のとおり地位協定、請求権の話は十八条五項、それから刑事上の責任の方は十七条ということでございます。ただ、具体的にどうなるかというのはまさに仮定の問題でございます。  あと、管制業務の委託について経費を払っておるかという点につきましては、そのような事実はないと承知しております。
  207. 大城眞順

    大城眞順君 この問題についてはきょうでは終わらさないつもりであります。また次の機会に細かくやりたい、これは大変な人命にかかわるものですからね。それで、今まで申し上げましたとおり、主権国家でありながら、しかもできる技術スタッフ、機能、すべてそろっておるけれども、これを何で積極的にやろうとしないのか、その辺がきょうもまたうやむやになっていくかということになりますと、非常に情けない感じがします。  ここで結論的に申し上げていきたいわけですけれども、日米関係の基軸である日米安保条約、これを履行するためにバードンシェアリング、これは必要かもしれません。大変重要なことだと私も思います。しかし一方、国家の権利を保持するためには主張すべきは堂々と主張じて、時には筋道を立ててパワーシェアリングあるいはリーダーシップシェアリングも考えていいのではないか。私が申し上げたいのは、米国の国益や権力の補完的な役割を果たすだけがいわゆる日米基軸の関係じゃないと思うんです。日本も主権国家としてみずからの権力、指導力を発揮することが大事であって、この管制業務みたいに十二分の技術や運用能力を持ちながらいつまでも米軍にゆだねることはいかがなものでしょうか。このことについて、大臣、簡単でよろしゅうございますから、将来についてひとつどういうお考えを持っておられるかお答え願いたいと思います。  それから最後に、自衛隊の管制業務は一体今の話の関連でどうなっておるのか、自分自体でやっておるのか、これも米軍に那覇の場合任しておるのか、その辺お答えを願いまして、終わります。
  208. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) お答えいたします。  那覇空港におきます航空管制業務につきましては、自衛隊は航空管制業務を行っておりませんで、すなわち民間航空機と同様の形で、今いろいろとお話しございましたように、飛行場管制業務につきましては運輸省の那覇空港事務所が実施しておりますし、進入管制業務につきましては米軍の嘉手納基地航空管制部隊が実施しておるところでございます。以上でございます。
  209. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今、大城先生質疑について、航空局長あるいは外務省の方からいろいろお聞きをいたしておりました。我が方では要員セットの体制も整っておる、こういう状況でございますが、沖縄が占領されてから返還、いろいろな問題があったと思いますけれども、空の安全あるいは使用すべきときに使用できないのではなかろうか、こういうような状況もありまして、今お聞きをいたしますと六十三年から今まで行っていない、こういうようなことでございますので、私も外務省と協議をして、こういう問題の解決のために米側とも接触を深め、そういうような問題に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  210. 大城眞順

    大城眞順君 終わります。
  211. 吉川春子

    ○吉川春子君 運輸省は、今度の改正案で運輸審議官設置することとあわせて、政令によって運輸省の機構をかなり大幅に再編成する計画です。そのことを伺いますが、八三年三月十四日の臨調最終答申を受けて、運輸省は八四年一月の「行政改革に関する当面の実施方針について」に基づき大幅な機構改革を行いました。そのときの組織改革は、交通機関別の縦割りの組織から政策中心の運輸機能別の横割り組織への考えのもとに行ったわけですが、今計画されている改革は基本的には運輸機能別の横割り組織をまたもとの運送手段別の縦割り組織に戻すというわけですけれども、これはどういうことですか。
  212. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今、先生指摘の五十九年の改正におきましては、大臣官房国鉄部で当時の最大課題でございました国鉄改革に積極的に取り組むとともに、運輸行政総合化効率化推進するために各分野での政策推進する体制として政策四局を設置させていただいたところでございます。しかしながら、前回改正後既に七年近くを経過してまいりまして、この間の運輸行政を取り巻く環境がかなり変化をしてまいりました。今回はその反省の上に立ちまして改正を進めていきたいということでございます。  現行の組織体制のままでは、第一に、鉄道行政三つ組織に分散されておりまして、鉄道利用者のニーズに即した鉄道行政の効率的かつ円滑な実施がなかなか困難となってまいっております。また第二点目には、運輸行政に係る国際問題の高度化多様化等政策分野における諸情勢変化によりまして、いわゆる政策四局体制による総合的な政策推進が困難となっておる。このような情勢を見まして、運輸行政総合化効率化という当初の目的に必ずしもそぐわなくなってまいったわけでございます。  今回、このために国際的な運輸審議官設置あるいは運輸政策局への政策推進機能の集中、強化等によりまして、総合的な政策推進体制を整備いたすとともに、今先生指摘のありましたとおり、いわば交通機関モード別に、政策実施部門におきましては鉄道局等の設置によりまして、効率的で国民にわかりやすい体制を整備してまいりたい、このようなことで今回御審議を願っておるということでございます。
  213. 吉川春子

    ○吉川春子君 前回の改革は六年で破綻したということなんでしょうか。  今回、ハイレベルな国際問題の的確な処理、総合的かつ強力な国際運輸行政の展開を図るためとして運輸審議官設置するわけですが、八四年の運輸省機構改革国際運輸観光局を新設し、国際運輸政策、国際交渉、国際経済摩擦の対処など国際問題を担当させてきたのではありませんか。今度の機構改革で、この国際運輸観光局を廃止してこの業務を運輸政策局に集中した、こうした問題に当たる運輸審議官設置するということですけれども、六年前に新設した局を廃止して運輸審議官設置する。これまでの体制ではどういう問題があるかということは余りわからないんですけれども、的確に短くていいですから。
  214. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 前回国際運輸観光局をつくっていただいたわけでございますが、この設置後、我が国の国際化の進展によりまして、運輸行政におきましてもこの国観局の所掌する分野にとどまらず、例えば大型公共事業の参入問題あるいは造船助成削減問題、さらには日米構造問題協議といったような国際運輸観光局以外の各局に直結する国際行政分野での深刻な国際問題が発生してまいりまして、同局のみでは国際問題の処理が必ずしも適切に処理できなくなっておるというふうな認識をいたしております。  このような認識のもとに、運輸審議官設置いたしまして、ハイレベル国際関係事務の総括整理を行わせる、あわせて現行の国際運輸観光局の所掌事務の範囲を超えまして総合的な国際運輸行政を展開いたしたい。かような見地から国際運輸政策推進機能を他の政策推進機能とともに運輸政策局に集中いたしまして、運輸審議官設置とともに国際体制の強化を図ってまいる、このような格好での改正でございます。
  215. 吉川春子

    ○吉川春子君 八四年の機構改革中心が、例えば大臣官房の直属に国鉄改革推進部設置するなど国鉄民営化を強力に推進するための組織編成を行ってきました。我が党は、国鉄民営化が国民生活の足を確保するという点、あるいは安全上からもゆゆしい問題があるということで反対いたしましたが、このときの運輸省組織再編、その後の行政は国鉄民営化、ローカル線にとどまらず幹線を含めた路線を廃止するなど国民生活の足を切り捨てて国鉄職員の合理化を行ってきたわけです。  今回の組織改革は、一方で国鉄の分割・民営化のJR事業をさらに効率的に進める、採算ベースに乗らない鉄道を整理していく、あるいは事業主体を第三セクターに移していく、そのための鉄道行政組織一元化を図るとして鉄道局を設けるわけですが、一方、国際問題に対処するとして運輸審議官設置するといいますけれども、結局今言われたように日米構造協議、日米建設協議に見られるように、アメリカの不当な要求を受け入れる、まさに運輸審議官はそのような役割を担うということになるんじゃないですか。
  216. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今、先生指摘国鉄の問題につきましては、JRの改革も現時点におきましてかなり定着しつつありますけれども、まだ長期的な債務処理等膨大な問題が残っておりまして、総括審議官あるいは国鉄改革推進部は廃止いたしますけれども、新設される鉄道局におきましてさらに効率的な運営を図っていくという格好でございます。  また、運輸審議官につきましては、日米問題は外交上の大きな問題でございますが、運輸関係海陸空にわたる国際問題を一元化してハイレベルでの運輸審議官におきまして積極的に対応を図っていくということで、単に日米問題だけのことではございませんので、運輸行政全体の国際化問題に積極的に対応してまいりたい、このような考えでございます。
  217. 吉川春子

    ○吉川春子君 日米関係だけではないとおっしゃるけれども、日米関係が大部分じゃないんですか。  今回の運輸省組織改正の一環として、鉄道局設置鉄道の整備等行政に対するニーズに効率的に対応するために行われる、こういうふうに説明されています。そこで伺うわけですが、人口密集地帯に住む国民は通勤ラッシュの解消を強く求めています。行政ニーズです。運輸大臣にお伺いいたしますが、朝晩の通勤ラッシュはサラリーマンのエネルギーの大部分を消耗させてしまいます。新聞の投書に、若い女性の髪が長いので込んだ電車では迷惑だとか、そういう投書が時々載っていますし、髪がドアに挟まれたまま発車してしまったという訴えもあるんです。私も首都圏の通勤者の一人ですけれども、およそ人間扱いされずに物として運ばれるような、そういう体験を毎日して国会へ来ているんです。大臣はこの首都圏の通勤ラッシュを体験されたことがありますか。
  218. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) この東京並びに大都市圏の通勤通学の混雑、私も東京に学生時代住んでおりまして、今は通勤の方は余り行っておりませんので、大臣になりましてからこの前渋谷駅に、JR並びに私鉄各線が入っておりますので、視察に参りました。大変な混雑の状況でございまして、増発その他これは考えなきゃいけない。もちろん、複線とか新線を考えなきゃいけないと思いますけれども、実はあの駅の状況を見ますと、幅が非常に狭いあるいはまた長さが足りない、増車するにもなかなか資金もかかるというのが実態でございます。  常磐新線等も、ようやく会社を発足いたしましてこれからでやっていく。しかし、先ほども話しましたけれども、一キロ当たり二百億、三百億かかる。しかも、こういうふうになりまして買収その他なかなかうまくいかない。こういうようなことで、鉄道事業者の意欲を起こすために鉄道三法の鉄道整備基金をもちまして、それらを通じてこの交通混雑緩和、解消するために頑張っていきたい、こう思っております。正直に申し上げまして、これだけ交通がふえて後追い行政と言われても仕方がないと思いますけども、現実にはこうなりましたので、大都市の交通混雑の緩和については、遅まきと言われましょうが、そういう資金を通じてやっぱり通勤通学の混雑緩和に全力を挙げていきたい、こう思っております。
  219. 吉川春子

    ○吉川春子君 定員というものについての考え方を伺います。運輸省からいただきました資料によりますと、現在は通勤電車は定員の二倍から三倍近く乗せているというわけですから驚きです。定員一〇〇%という状態はどういう状態を言うんでしょうか。
  220. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えをいたします。  今、先生指摘の一〇〇%、まず一般的な定員の算出方法についてお答えを申し上げたいと思いますが、鉄道車両の旅客定員の求め方につきましては運輸省令等に基づきまして定められております。すなわち、座席定員と立席定員との和をもって旅客定員、こういうことで示しておりまして、具体的に申し上げますと、座席定員につきましては、座席の幅及び奥行きが旅客一人当たりそれぞれ四十センチメートル以上であることをもとに算出をいたします。また、立席定員につきましては、座席の用に供する床面以外から座席にお座りになる方の前縁部分を除外いたしまして、その床面につきまして立席人員一人当たりの占める面積といたしまして〇・三平方メートルで算出をいたしております。  以上が一〇〇%の状態かと考えております。
  221. 吉川春子

    ○吉川春子君 四十センチに私もおさまるかどうかなという感じがいたしますが、ともかく座ってつり革をみんな持って、しかも座っている方の靴から二十センチまでは座っている人のスペースだ、そういう計算で一〇〇%、こういうふうにおっしゃるわけですね。  そうしますと、その一〇〇%を超えますとつり革につかまれなくなるわけです。私の毎朝のラッシュの体験ではどんなに努力してもつり革につかまれないというときがかなりあるんです。怖い思いで通勤する日もあります。定員を超えて、しかも二、三倍も乗せている状況では、特に立っている乗客の安全を確保していないと思うんです。急ブレーキをかけたときとかこういうつり革につかまれない乗客の安全というのはどういうふうに担保されるんですか。
  222. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 今、先生指摘がございましたのは非常に込んだときにおける立席、いわゆる立っておられる方の安全確保についてかと思いますけれども、今先生もお触れになりましたが、客室内におきますところの手すりだとかあるいはつり革とか、こういうことを設けながら、それに対しておつかまりになっていただいて立席における乗客の安全確保に努めているわけでありますけれども、大変込んでまいりますとそういうのが容易に使いにくい状態もあろうかと思います。いずれにしましても全体の運行の中で、いろいろ座席の中にお立ちになっていただきまして、かつまた一方、運転する側におきましても急加速、急減速等に十分配意しながら安全運行ができるように努めているところでございます。
  223. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう抽象的な話はわかりませんよ。朝はつり革につかまれないんです、ともかく日常的に。そういう場合、急ブレーキをかけたときに立っている人の安全というのはどういうふうに担保されますか。その点だけ具体的に答えてください。
  224. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 大変先生指摘でございますが、私も毎日、朝、通勤電車に乗っておりますが、そういう状態を経験して安全輸送の中で役所へ通勤しているわけでございますから、それは空間を探しながらお互いに知恵を使って安全な輸送の中に立つべきだと考えております。
  225. 吉川春子

    ○吉川春子君 定員の三倍ぐらい乗っているんですよ。空間なんてないんですよ、もう荷物持ったら動けないし手を上げたら下げられない。じゃ、どうやってあなたは空間を探されていますか、教えてください。
  226. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 私もきょう国会へ出るときに大きなかばんを持ってきておりますが、何とか棚を探しながら、そして少しでもつり革のそばへ行くとかしながら見つけて毎日通っております。
  227. 吉川春子

    ○吉川春子君 担当者がそういうことで困るでしょう。ましてやか弱い女性やお年寄りはどうするんですか。だから、一〇〇%をはるかに超えて今の定員の二倍も三倍も乗せているということは乗客の安全のためにはゆゆしいことだということをお認めになりますか。
  228. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) やはり通勤時の今のような状態は決していい状態ではないと私は考えております。したがいまして、大臣からもお話がございましたように、混雑解消に向けて努力することが我々行政に課された課題だと考えております。
  229. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ、ラッシュの緩和ということについてどういう具体策を持っているんですか。さっき大臣がおっしゃられたようなことは結構ですけれども、大体一〇〇%に近づけるという方向で努力すべきじゃないですか。
  230. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今、吉川先生おっしゃられたとおりだと思います。したがいまして、交通混雑緩和のために時差出勤なども今までやっておりました。今後五年間で百九十万人程度、これはもちろん会社とか事業所、そういう方々に御協力も願わなければならないわけでございますが、それらを行えば、一〇〇%にはなりませんけれども、二〇〇以下ぐらいにはなる、こういう話を聞いておりまして、そうすれば少しのすき間は出てくる、こういうようなことをやっていかなきゃならぬ。  ただしかし、それでは解消になりませんので、先ほども申し上げましたが、実は事業者から聞きますと、なるほど朝は二百数十%込みます、ところが日中はがらがらです、新線になりますと三〇%だ、こういうようなお話も聞きました。この辺のところは非常に難しいところでございまして、現在の状況では民間企業に国のお金を出すのはどうかと、いや公共事業だからもっと出せと、こういう両方の意見がございましてなかなか難しいのでございますが、鉄道整備基金で私鉄あたりには無利子貸付金という制度をつくりまして、少しでも大都市の通勤通学の混雑、これの解消に当たっていくより手がない、こういうふうに考えているところでございます。
  231. 吉川春子

    ○吉川春子君 西暦二〇〇〇年までに一八〇%程度に持っていきたい、こういう計画運輸省の指導方針としてあるんでしょうか。
  232. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 首都圏のような大都市圏におきます鉄道の通勤通学混雑緩和対策につきましては、運輸政策審議会という審議会の答申に基づきまして諸般の対策を実施しているわけでございます。東京につきましては、六十年七月に運輸政策審議会の答申が出まして、この中で複々線化や新線の建設に努めるというようなことがうたわれておりまして、それを実施する手段としましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、いろいろな助成制度、特に今般は鉄道整備基金の設置によりまして助成を厚くするということで進めておるわけでございます。  この運輸政策審議会の答申の目標年度が東京の場合には西暦二〇〇〇年ということになっております。それで、二〇〇〇年にここまで混雑を緩和するという目標を直接掲げているわけではございませんけれども、この運政審の答申に記載されております複々線化やあるいは新線の建設を実施しました場合には、この答申が出ましたときに前提となりました昭和五十五年の混雑率は二二〇%ということだったわけですが、これが西暦二〇〇〇年には約一八〇%以内になるというふうに見込んでいるということでございます。
  233. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、混雑率の出し方でちょっとお伺いしますけれども、そちらからいただきました資料では、混雑率の最も高いところ、例えば西武池袋線でいいますと椎名町―池袋間、東武伊勢崎線だと小菅―北千住間、こうなっているんです。しかし、この区間は各駅停車の一区間で、乗っている時間は二、三分で、比較的にすいている区間なんです。同じ線で言うならば、むしろ準急や急行が通っている石神井―池袋間あるいは西新井―北千住間の方がもっと込んでいるし、乗っている時間も十分とか長いんです。だから、比較的すいているところで最高値を出すというのはおかしいんじゃないですか。
  234. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 最混雑率を出します場合に、最混雑区間の最混雑一時間当たりの供給力と輸送量との関係を表示するわけでございますが、統計的な連続性というようなこともありまして、今先生指摘のように、伊勢崎線につきましては小菅―北千住、それから西武池袋線につきましては椎名町―池袋というようなところを取り上げてやっているわけでございます。各停の場合、それから急行の場合、準急の場合、いろんなパターンがあるのは十分お話としてはわかるわけでございますが、混雑率の指標としては沿革的にそういうつかまえ方をしているということでございます。
  235. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、各停の場合は除いて準急とか急行の場合でこの間をとりますと、今の混雑率の最高値よりはもうちょっと高くなるでしょう。
  236. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 伊勢崎線の小菅―北千住間につきまして、この一駅区間の輸送力あるいは輸送量を出します場合に、各停のものもありますし、それから準急、急行で小菅を通過して北千住に行くというようなものも、供給力それから輸送量ともカウントして計算をしているということでございます。
  237. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから、すいているのをならしちゃって出しているのが今の混雑率ですね。だから、それだけでなくて、一番込んでいるのをとるともっと高くなるでしょうということなんです。どうですか、簡単でいいです。
  238. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 最混雑一時間の間に通過する列車がたくさんあるわけでございますけれども、その全体の平均的な混雑率ということで、ある特定の列車をつかまえれば他の列車よりはもっと込んでいるというケースはあるかと思いますが、混雑率の出し方としては全体でとらえているということでございます。
  239. 吉川春子

    ○吉川春子君 だから、もうちょっと込んでいるわけです、通勤者が日常的に乗っているのは。各駅に乗っていたら間に合いませんから、だからもっと込んでいる電車に乗っているので、そういう本当の意味で一番混雑しているピークはどうかという数字を私はとるべきだと思います。どうですか、とってくれますか、くれませんか。
  240. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 今この場で御提案になりました件でございますので、ちょっと検討させていただきたいと思います。
  241. 吉川春子

    ○吉川春子君 それから、混雑のピークについて伺いますけれども、例えば東武伊勢崎線の北千住における混雑のピークは何時ですか。それから、そのときの列車の本数は何本ですか、編成と。
  242. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 東武伊勢崎線の小菅―北千住間で、七時半から八時半までの一時間帯が最混雑時間帯でございます。  それから本数は、十両編成が九本、八両編成が二十五本、六両編成が六本の合計四十本でございます。
  243. 吉川春子

    ○吉川春子君 さっき大臣が時差出勤というお話をされましたけれども、今ピークの時間が、例えば北千住という東京の端の方のターミナルですけれども、そこへ入ってくる時間で七時半から八時半がピークだ、ここに合わせて、今のお話ですと計四十本の列車編成で入ってくるわけなんですね。ところが、その前、六時半から七時半あるいは八時半から九時半、このピークを挟んだおのおの一時間は、確かに乗客の数という点では少し下がるんですけれども、混雑率は変わらないんです。例えば北千住の駅に七時半に着こうが九時半に着こうが混雑率は余り変わらないんです。その理由は、列車の本数を減らしちゃうんです。四十本ピークのときに走らせているのに、ピーク前の一時間の時間帯は二十六本、ピーク後の一時間は二十八本というふうにしますので、一両に乗っている乗客の混雑率というのは変わらないんです。私も乗っていますから、何時に出てきても込んでいるんです。  それで、時差出勤という場合、そんなに四、五時間もずらせませんでしょう。三十分、一時間をずらしてくるのが時差出勤ですから、そういうピークだけ過ぎたらすぐに本数を減らしちゃうなどというようなことはせずに、例えば前後一時間は十両編成を九本走らせるとか、そういう指導を会社にすべきだと思うんですけれども、どうですか。
  244. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 先生今御指摘のピークの一時間の前後の時間帯の本数を削減しているではないかというお話でございますが、まず東武伊勢崎線の輸送力供給についての一般的な考え方でございますが、安定的な供給を可能とする観点から、鉄道事業者におきまして基本的には一時間当たり片道十五本の供給を原則としておりまして、需要の多い時間帯には輸送供給量を増加させて対応しているということが基本的にございます。  特に、朝の最混雑時間帯につきましては全力を挙げて輸送力の供給を行っているわけでございまして、先ほど来御答弁申し上げましたように、ピークの一時間では四十本を投入しているということでございますが、最近の、平成二年度の推定を含んだ混雑率が一九六%ぐらいというふうになっておりまして、そこまでしか下がっていないということでございます。  それで、今御指摘の当該最混雑時間帯の前後の一時間についてどうかということでございますが、これも最混雑時間帯に次ぐ混雑率の高い時間帯でございますので、昼間のときと比較しまして約二倍近い輸送力の増強を行ってきているわけでございます。しかし、やはり混雑の緩和という観点から、平成二年の九月にさらに輸送力の増強を行う観点から、最混雑時間帯の後の一時間につきましては列車を三本増発いたしますとともに、二本については車両の長編成化、これは六両編成を八両編成にするというふうに変えまして、また最混雑時間帯の前の一時間につきましては列車を一本増発いたしますとともに、さらに一本につきまして車両の長編成化、これも六両を八両にするというふうな改善を行ったところでございます。それで、その場合の混雑率ですけれども、後の方の一時間につきましては一四一%、それから前の方の一時間につきましては一二七%というふうになっているわけでございます。これが低いというふうには申し上げませんけれども、そういうふうになっているわけでございます。  いずれにしましても、運輸省としましては通勤通学時の混雑緩和に全力を挙げているところでございますので、今後とも輸送需要に応じた適切な輸送力を供給し得るように事業者を一生懸命指導してまいりたいと思います。
  245. 吉川春子

    ○吉川春子君 一生懸命指導していくということなので、それを強く要望しておきます。たまたま東武伊勢崎線を例に申しましたけれども、近郊の電車全線を例にやる時間ありませんので言っただけで、伊勢崎線のほかはいいということではありません。ピーク時の前後に車両二両を落としちゃうんです。東武はもうけ主義だなと私は思うのですけれども、そうじゃなくてやっぱり時差出勤の実が上がるような指導をきちっとやっていただきたい、そのことを要望しておきます。  それからエレベーター、エスカレーターの設置の問題なんですけれども、御承知のようにことしは国際障害者年の最終年に当たります。交通弱者の垂直移動、これは八〇年代に解決を求められた課題なんですね。運輸政策審議会の答申であるとか、あるいはこれは昭和五十七年の身体障害者福祉審議会においての総合的方策で「移動の問題は極めて重要」というふうにしているわけです。駅の階段の上りおりは健康な人でも大変ですけれども、まして高齢者、体の不自由な人にとってはなおさら大変なんです。大臣、エスカレーターの設置、これは今後ますます必要になると思うのですけれども、その点について積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  246. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 近年、鉄道の安全対策及び道路交通の円滑化のために橋上の駅や高架駅が増加しております。利用者の方々の負担が増大しているところでありますが、一方、今後高齢化社会が急速に進展するとともに、身体障害者の方々など交通弱者への対応も強く要望されております。このような状況を踏まえ、これまでも駅の新設、大改良の際にはエスカレーターの設置を配慮するよう指導しているところでありますが、エスカレーターの一層の設置の促進の必要性については痛感しているところでありまして、鉄道駅におけるエスカレーターの計画的整備の推進を図るため、その整備指針の早期作成について事務当局に今指示をしているところであります。今後エスカレーターの設置指針を早急に作成し、エスカレーターの計画的な整備の一層の推進を図ってまいりたい、こう思っております。  お説のとおりに実は進めてまいっておりますが、昭和五十年度末には三十六、エスカレーターの設置がございました。現在百五十八になっておりますけれども、従来の既存の場合には駅の構造上なかなかエスカレーターを設置するような状況ができないところもございますし、また多額の金もかかるわけでございますけれども、先生指摘のとおりエスカレーターをつくることについては今後積極的に指針をつくりまして指導をしてまいりたい、こう思っております。
  247. 吉川春子

    ○吉川春子君 そのエスカレーター設置の指針というのは来月あたりにできるのですか。いつごろになるんでしょうか。
  248. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 今御質問のございました件にお答えを申し上げます。  本件につきましては、過去の経緯でございますが、国会におきましても整備の必要性が指摘されまして、また平成元年九月の鉄道事業に関します総務庁の行政監察におきましても、鉄道駅におきますところのエスカレーターの整備指針の作成につきまして勧告をされたところでございまして、運輸省としましてはエスカレーターの設置指針の策定を行う旨回答をいたしております。  このため現在、駅の高低差とかあるいは利用状況、乗りかえ駅におきますところの旅客流動の連続性等に着目しながら、身体負担の少ない方法で移動できるよう利用者の利便を考慮してエスカレーターの設置の指針につきまして現在鋭意検討をいたしている最中でございまして、我々といたしましては事の重大性にかんがみ可能な限りできるように努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  249. 吉川春子

    ○吉川春子君 五月ぐらいにでもできそうなんですか。いつごろでしょうか。
  250. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 今申し上げましたように一生懸命鋭意検討中でございますが、我々の目途といたしましては何とか年央ぐらいを目途にできないかなと考えております。
  251. 吉川春子

    ○吉川春子君 何月なんですか。
  252. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 例えば六月ごろというような、年の中央でございます。その辺を目途に努力してみたいと考えております。
  253. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、今大臣からもお話がありましたが、既設駅は設置がなかなか難しいという問題が仮にありましても、新しい駅についてはエスカレーターの設置は指導していくという答弁を総理からも関係大臣からも何遍もいただいているわけなんです、もうここ数年来。ところが、例えば今、東武伊勢崎線は線路の高架事業を行っているんですけれども、ここ二年前後に完成した駅、例えば草加、谷塚、松原団地、新田、こういうような駅にエスカレーターが全然ついていないんですけれども、どうしてこういう新しくつくった駅にエスカレーターがついていないんでしょうか。おかしいじゃないですか。
  254. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えいたします。  今、先生指摘ございましたように、一つ考えとしまして、新しい駅につきましてのエスカレーターの整備につきましては、既設の駅に比べましてエスカレーターの設置にかかわります駅設備の構造上の問題とか、あるいは新たに用地を取得して設置するための必要な空間を確保する、こういう問題が比較的少のうございますので解決がより容易であることから、我々といたしましては新駅のエスカレーターの設置につきましては、利用者サービスの向上の観点からその整備について指導に努めているところでございます。  今具体的に東武伊勢崎線の例が御指摘ございましたけれども、御指摘のとおり、現在高架が完了している部分についてはそういう施設がついていない現状でございますけれども、我々といたしましては、今まだ工事が継続中でございますので、この現在継続中でございます例えば松原団地―北越谷間の六駅等につきましてはエスカレーターを設置する計画があると聞いておりますので、先生の趣旨に沿って我々も努力してまいりたいと考えております。
  255. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういたしますと、これから幾つか新しい駅をつくっていきますね。その新しい駅には少なくとも全部エスカレーターがちゃんと設置できるように、高架なんですから、運輸省は責任を持って指導してくれますね、北越谷までですよ。
  256. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) エスカレーターの設置基準につきましては、総務庁の勧告等がありまして、新設の場合、それから既設の駅の場合等を含めまして現在基準を策定中でございます。それで、どういった駅を対象にエスカレーターを設置するのかということにつきまして、駅の高低差とか利用状況、それから旅客の流動等を勘案して今作業をしているわけでございますので、その設置基準ができました暁にはその基準に沿って事業者を指導してまいりたいと思っております。
  257. 吉川春子

    ○吉川春子君 私はその答弁は納得できません。そんな指針がなくても、もう五年も六年も前から総理やら関係大臣がエスカレーター設置の指導をすると国会で何遍もおっしゃっているんです。ところが、その後にできた駅でも設置されていない。そして、これからまたできようとする駅にも――そういう抽象的、一般的な答弁では絶対納得できません。  まず、分けて伺いますが、とにかく今これからつくる駅全部に設置するようにきちっと指導しますか。
  258. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 先ほど陸上技術安全部長から御答弁申し上げたような駅につきましては、私どもがいろいろ指導しましたこともありまして設置をする計画になっているわけでございますが、今後の駅についてどういった基準に該当するものを整備の対象にするかという議論がまだございますものですから、それを今鋭意詰めているところでございます。高低差による利用者の方々の負担が極力少なくなるような方向で議論をいたすわけでございますけれども、どういう駅が対象になるかということについてはもうしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  259. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は抽象的に聞いていませんで、今工事しているところは全部高架なんです。高架事業なんです。だから、線路が二階も三階ももっと高いところを走る、そういうところに駅ができるんです。そういう駅についてエスカレーターの設置をするというのは、今までの方針からいっても、そういう駅にさせる指導をするというのは当然じゃないんですか。どうしてそういう指導ができないんですか。指導できない理由を言ってください。
  260. 佐々木建成

    政府委員佐々木建成君) 今基準を議論しておるわけでございまして、どれぐらいの高低差の駅を対象にするかということを検討させていただいているわけでございますので、方向としては負担が軽くなるようにということで努力をさせていただきたいと思っております。
  261. 吉川春子

    ○吉川春子君 それならばもっと伺いますけれども、例えば谷塚駅なんてどうして設置しなかったんですか。おかしいじゃないですか。あんな高いところにできた駅にエスカレーターをつけないのはどうしてですか。その理由を言ってください。
  262. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 今具体的に東武の高架駅の谷塚駅のことを御指摘されたと思いますが、先生指摘のとおり、今私たちが調べた範囲内、現在の状況ではエスカレーターが設置されていない、こういう状況でございますが、多分、これは既に複線化の工事が前から行われておりまして、六十三年八月に完成をいたしたわけでございますけれども、時間的なずれがあった、その結果、こういう状況にあるかと思います。今後は、我々先ほど来申し上げておりますように、設置指針を決めましてそれに沿って適切に対応してまいりたいと考えております。
  263. 吉川春子

    ○吉川春子君 設置指針ができれば、そういう高い駅にはエスカレーターが最初からできる、最初からつくらないとなかなか難しいと言っているんですから、最初からできる、こういうふうに受け取ってよろしいんですね。
  264. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 我々今鋭意つくっておりますエスカレーターの設置指針に基づきましてこれからの大きな高低差の駅、これから決めてまいりますが、該当するものにつきましては関係事業者を適正に指導してまいりまして、エスカレーターの設置の普及について努力をしてまいりたいと考えております。
  265. 吉川春子

    ○吉川春子君 既にある駅にもエスカレーターが本当は全部の駅につくのが望ましいと大臣もおっしゃっておられるわけなんですね、国会のたびたびの委員会の答弁でも。今既にもうできている駅はたくさんあるんですけれども、エスカレーターのない駅が、さっきの大臣の示された数字でも多いわけなんです。そういう今の駅の設置について基準をそれぞれつくらせてほしいんです。JRもその他の私鉄の会社にもそういう指針を持たせるような指導をしていただきたいと思います。どうですか。
  266. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) 現在のエスカレーターの設置状況につきましては、先ほど大臣から御答弁ございましたように、JRの例が設置状況についてお答えがありましたけれども、現状決して高い数字でございませんので、先ほど来御議論がございますように、この整備の推進に当たりましては鉄道駅のエスカレーターの整備指針を現在鋭意策定中でございますので、当該指針に基づきまして計画的な整備を図っていくように努力をしてまいりたいと考えております。  今、先生指摘の各駅における具体的な整備計画につきましては、まず基本的には事業者が当該指針に基づきまして策定いたすことになりますけれども、運輸省といたしましては鉄道事業者をこれによりまして適切に指導してまいりたいと考えております。
  267. 吉川春子

    ○吉川春子君 エスカレーターの設置というのは、最初に大臣もおっしゃられましたように、非常に重要な問題ですので、ぜひ全力を挙げて、混雑の緩和はなかなかできそうもありませんので、せめてエスカレーターぐらい全部の駅につけてもいいんじゃないかと私は思うんです。だから、そういう点で混雑の緩和もぜひやってほしいんですけれども、やっていただくように強く要求しますが、あわせてエスカレーターの設置の方が簡単じゃないかと思うんですね、お金のかかりぐあいからいって。そういう点で強力な指導を要求して次の質問に移ります。  次は、私は航空安全の問題についてお伺いいたしますが、ボーイング747―400、この機種は航空機関士のいない二人の乗務でも機器の信頼が高いので十分運航できるとして強引に導入されました。現在既に運航されていますけれども、この問題で伺います。  ダッシュ400について労使間で乗員編成会議を発足させ検討した結果、二人編成と三人編成という両論併記の答申が出されましたね。その後、日航当局は労使での安全問題について十分な論議を経ないまま二人編成を決定、運輸省もそれを追認した形になっています。その後、日航の労使は協議の結果、去年九月、労使間で外国他社の調査、実機による検証を行うことにして、今行われています。外国他社調査では、フランスでは労使間の長い協議によって、ダッシュ400については機長、副操縦士、航空機関士の三名編成で飛ぶライセンスを発行しています。この事実について、フランスでは労使ともその有効性を認めていると聞いています。  同時に、この実機検証でさまざまな問題が明らかになっていると言われているんですが、まずダッシュ400の導入に際して日航当局は、利用者や乗員についてこういう説明をしていました。「747―400では、飛行中に異常があれば、必要なデータを瞬時に自動的に記録する機能があります。また、パイロットがボタンを押せば、記録したいと思った時点のデータを記録することも可能となっております。故障状況は、コンピュータで記録しており、その情報量は多く、精度は高いものとなっております。」。同様な主張は、日航乗員編成会議の両論併記の答申でも日航当局が主張した二人編成でダッシュ400を導入する有力な根拠とされてきたものです。この点については運輸省は認識されておりますね。
  268. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) お答えいたします。  今、先生お話の中で、日本航空では乗員の組合との協議に基づきまして、航空機関士のオブザーバーによる747―400の実運航検証飛行と申しますか、こういったことを実施しておりますけれども、今先生のおっしゃった、747―400を導入する際のそういった飛行中のふぐあいについてコンピューターが記録するということをおっしゃっておられましたけれども、これは各フライトログと由しますか、一つのフライトが終わりますと、そのフライトの区間に起きましたふぐあいについてプリントアウトするような仕組みになっております。
  269. 吉川春子

    ○吉川春子君 私が伺ったのはそういうことではなくて、日航が二人編成の航空機ダッシュ400を導入するに当たり、こういう事情だから安全なんだということを国民にもパイロットにも説明して導入した、そういうことを御存じですねということを聞いているんです。
  270. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 社内の問題につきましては、私どもどのような説明というか、詳しくは聞いておりませんけれども、少なくとも私ども運輸省といたしましては、747―400の耐空証明、それに当たりましては当該機の製造国政府の安全審査の内容の確認とか、その当時既に当該機を二名乗務で運航しておりました世界の航空会社の運航実績の把握とか、それから実機の地上検査及び飛行検査の結果に基づきまして、二名乗務というのは安全性の基準に適合していることを申しております。
  271. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと、質問に答えてください。関係ないでしょう、まだそこまで質問していませんよ。しているかどうかということだけでいいんです。
  272. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) はい、説明していると思います。
  273. 吉川春子

    ○吉川春子君 導入するときにそういうふうに説明して国民を安心させ、パイロットを安心させてきた、そういう事実をあなたは知らないとおっしゃいましたね。そんないいかげんなことがありますか。運輸省、本当に知らなかったんですか、はっきり言ってください。
  274. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 新しい機体を導入いたしますときは、会社はその機種についまして十分説明をいたした上で、さらにまた当該の航空機に乗りますパイロットについては機種を移行するための訓練も行いますし、いろんな面においてそういった機体についての説明をいたしております。
  275. 吉川春子

    ○吉川春子君 委員長、ちゃんと答えるように言ってください。私の質問に全然答えていないんですよ、はぐらかして。  要するに、日航当局は、ダッシュ400は飛行中に異常があれば、必要なデータを瞬時に自動的に記録する機能がある、パイロットがボタンを押せば、記録したいと思った時点のデータを記録することが可能になっている、故障状況はコンピュータで記録しており、その情報は多く、精度の高いものになってきている、こういう説明をしていたでしょう、私たちにだってしたんだから。それを知らないなんていうことを言い張りますか。ここは簡単に済ませたい質問なんですから、ごまかさないでちゃんと事実を認めてください。
  276. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 今、先生のおっしゃった飛行中のふぐあい等の状況につきましては、一定のふぐあいにつきましてはコンピューターで記録するというふうに日本航空も当然乗員には説明しておると思います。
  277. 吉川春子

    ○吉川春子君 一定のなんて、また最後までそういうことをつけるところが本当にずるいですね。そうじゃないんです、細かくことごとく記録するから安全だ、こういうふうに言ってきたじゃないですか。まあ認められましたから、その次に進めます。  しかし、実際には実運航検証の中でそういうことは事実じゃないということが明らかになってきたんですね。私は乗員組合の速報を持っていますけれども、三月二十七日の日航の乗員組合と日航当局の団体交渉の中でこの問題が取り上げられ、日航当局は、「残念ながら機能していない。まだ開発中なので……。」、その開発に後一年かかると答えているんです。もっと詳しく読みますけれども、「B747―400では、飛行中に異常があれば、必要なデータを瞬時に自動的に記録する機能があります。また、パイロットがボタンを押せば、記録したいと思った時点のデータを記録することも可能となっております。」、こういうふうに説明してきたんですね、今あなたもお認めになったけれども。そして、「機能していますか」という質問に対して、会社側は、「残念ながら機能していない。まだ開発中なので……。」と答えているんです。組合が、「いつまで不作動ですか。」と聞いたら、会社は、「あと一年は……。多少前後すると思いますが……。」、こういう答えをしているんですよ。  それから、「故障状況は、コンピュータで記録しており、その情報量は多く、精度は高いものとなっております。」、こういう説明に対して、「ACMSは機能していますか」という質問に対して、「必ずしも乗員に知らされなくてもよい……。」こういうふうに言ったんですね。組合側は、「こうした重要な機能が働いていないことを承知で就航させたのですか」と聞いたら、「働かないのは知って導入した。」、こういうふうに会社が答えているというニュースがここに載っているんです。  私はそれを引用したんですけれども、全くこういう日航当局の発言は利用者や乗員を欺くものであり、極めて重要な発言ではないかと思うのですけれども、その点はどうですか。
  278. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 今、先生指摘になりました件につきましては、多分CMCと申しておりますけれども、セントラル・メンテナンス・コンピューター、それからもう一つは多分エアクラフト・コンディション・モニタリング・システムと言っておりますけれども、そういったものの作動がうまくいってないというふうに会社は言っていると思います。これはいわゆるメンテナンスといいますか、航空機の整備のためにデータをいろいろとるシステムでございます。それから、今申し上げましたACMSというのは、いろいろなエンジンとかそういったもののバロメーターのほかに……
  279. 吉川春子

    ○吉川春子君 いいですよ、説明は。私は知っていますから。
  280. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) いろいろついておるんですけれども、ですから、これは安全と申しますか、飛行の安全に直接絡むような重要な故障、そういったものについては別途あるのでありまして、メンテナンスのためのデータ、これについてはやはりプログラムにやや問題がございまして、そのメンテナンスのデータは必ずしも全部出てきていない、そういうふうに会社は説明をしていると理解しております。
  281. 吉川春子

    ○吉川春子君 それは会社から直接聞かれたんですね。
  282. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) そのように聞いております。
  283. 吉川春子

    ○吉川春子君 会社は、さっきもう何遍も言いましたけれども、そういう説明をして導入しておいて、そしてそれとくるっと百八十度違う答えを今ごろになって言っている。このメンテナンスに必要かどうかということはさておきまして、こういう会社側が全く前に言っていたことと違ったことを言っているということに対してあなたは重大な発言だ、そういう認識はないんですか。構わないんですか、こんなことでも。
  284. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) これは会社の方から聞いたことでございますけれども、従来の説明として、会社としては従来の三名乗務の機体から二名の乗務に移るということで、具体的には航空機関士、FEが乗務しなくなったわけでありますけれども、そのFEの業務がCMCと申しますか、そういったメンテナンスのためのプログラムを持ったコンピューターに肩がわりができるような説明をややしておった、私はそういう気がいたします。したがって、その辺で誤解があるんじゃないか。ですから、メンテナンスのためのコンピューターが航空機関士の代役をするというような理解があってそこに問題が集中しておる、そういうふうに私は考えております。
  285. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと、だれが誤解していたんですか。だれに誤解があったんですか。
  286. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 会社と社内の問題と申しますか、社内の説明についてそういった誤解があるのじゃないかと思います。
  287. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ、会社は誤解に基づいてこういう機能があるから安全だ安全だと説明してきたわけですか。  この発言は、耐空性の担保として在来機の場合は航空機関士が常時エンジンの回転、その温度、油圧、空調、そういうことのさまざまな変化を監視して、少しでも異常があればチェックして、そして応急対策やそのデータを記録して地上に伝えて、整備に伝えることによって耐空性を担保してきたわけですね。ところが、このチェックが、記録するはずのコンピューターがこれを記録していないということであれば、あなたはまたメンテナンスのと言うんでしょうが、耐空性そのものが担保できなくなるんじゃないか。その点はどうですか。
  288. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 実は、先ほど私申し上げかけたのでありますけれども、この二人乗務の747―400の安全性と申しますか、操縦士のワークロードと申しますか、業務の審査をいたしますときに、今先生指摘のCMCとかそういったものは一応その審査の中に入っておりません。実際は、そういったものがなくて、二人で運航するということに対して評価がされておるわけでございます。ですから、CMC自体は余り何と申しますか、実際の運航に絶対必要である、そういうものではございません。
  289. 吉川春子

    ○吉川春子君 本当にそういう答弁でごまかして、会社をかばったりしていますけれども、その陰で犠牲になるのは国民なんですね。在来機は三人編成だから常時必要なデータを航空機関士がチェックする。しかし、ダッシュ400はそのかわり全部コンピューターが代行すると言っていないんだけれども、実際はこういうことを代行していないということなんだから、こういう事実についてはどういうふうにお考えなんですか。
  290. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 今、航空機関士の仕事がすべてコンピューターで代行されるといいますか、そういったものにつきまして、例えばデータのモニターといいますか、それからそういったものを記録するという、ですから先ほど来申し上げておりますけれども、一番重要なものはコンピューターに記録されるようになっております。  さらにまた、前面にCRTのブラウン管ですけれども、ここにいろんな表示が出るようになっております。ですから、そういったメッセージが出てまいりますから、そのメッセージをパイロットが見て判断をいたしますし、またそのときにそのデータをとろうと思えばボタンを押せばとれるわけでございます。そういうふうになっておるわけでございます。
  291. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、航空機関士が今までやっていた仕事を全部コンピューターがカバーできるということじゃないんですね、この機種は。
  292. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 航空機関士のやっていた仕事を全部コンピューターという意味ではなくて、従来の航空機関士がやっておった仕事をコンピューターとそれからもちろん正副の操縦士がこれをカバーするということになっております。
  293. 吉川春子

    ○吉川春子君 だから、航空機関士がいなくなった分、操縦士の方に負担がかかる、こういうことにもなるわけですね。  それで、ちょっと時間の関係がありますので、今実機検証でこういう重要なことがいろいろ明らかになっているんですけれども、実機検証をさらに続けていろんな問題が明らかになる。そういうものについてきちっと運輸省としては把握して、そして適切に対処するべきじゃないかと思います。その点はいかがですか。
  294. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) お言葉を返すようでありますけれども、今おっしゃっていた実機検証におきましては特に安全に直接絡むような大きなふぐあいというのは私ども聞いておりませんけれども、ただ、私ども定期航空会社の運航に関しましてはその使用ふぐあいの発生状況について情報を入手いたしまして、航空会社に対して適切な再発防止策をとるというようなことを指導してきておりますので、ボーイング747―400の実運航検証結果については、先ほど申し上げましたように直接安全に絡むような大きなふぐあいが発生していることは聞いておりませんけれども、今後とも先生の御趣旨も体しまして適切な情報入手を図りまして、航空機の安全性の確保には努めてまいりたいと思います。
  295. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと時間がなくなりましたので、最後にもう一問伺います。  実機検証の中で、現在のEICAS画面表示可能なブラウン管を在来機のようにサイドフェーシングパネルの位置に設置することについて、日航当局自身技術的に可能だというふうな態度をとっているなど、労使ともにその有効性を認めているわけです。もし日航当局がその位置にEICAS画面表示可能なブラウン管の設置を申請してきた場合には、政府は積極的に対応すべきじゃないですか。その点だけちょっと質問して終わります。
  296. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) お答えいたします。  今、先生の御指摘のサイドフェーシングパネルですか、CRTをまた別個にもう一人の乗員を乗せるためにつけるというお話だと思いますけれども、これにつきましては、そういったものをつけた場合に在来の機器との間にいろんな配線をつないだり、それからつなぐに当たってはいろんな意味でほかの機器に対して悪影響を及ぼさないかとか、それから電力の負荷とかいろんな意味で検討をしなくちゃなりません。  これにつきましては、この飛行機をつくっておりますのはボーイングという会社でございますけれども、そういったいろんな設計上のノーハウとかそういったものは彼らが持っているわけであります。そういたしますと、そういったものについては、これを評価いたしますのはまず一義的には製造国の政府でありますFAA、連邦航空局がこれに当たるわけであります。そういったお話があった場合にはそこでいろんな審査をしていただくことになりますけれども、私の一存で今ここで申し上げますと、ややこれはかなり難しいんじゃないか、いろんな意味で技術的にもかなり難しいんじゃないかという気がいたします。
  297. 吉川春子

    ○吉川春子君 委員長、ちょっと最後に。  もちろん技術的に可能であるという前提です、日航が申請してきたときというのは。技術的に可能であるという前提に立ってです。その上、耐空証明を出すのは日本の政府なんですから、アメリカの航空機の会社にお伺い立てなくてもいいでしょう。さっきの問題じゃないけれども、主権の問題だから、そういう立場で対応してほしいということです。どうですか。
  298. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) この問題は、従前から日本航空の中でも話し合われたことについては私ども聞いておりますけれども、私ども知っている範囲では、まずボーイング社がこれについては用意が今のところないというふうには言っております。
  299. 吉川春子

    ○吉川春子君 ボーイング社は関係ないでしょう。
  300. 加藤晋

    政府委員(加藤晋君) 今、先生がおっしゃいましたように、耐空証明を発行するのは私どもでありますが、やはりこの航空機をつくっておる、その細部にわたる設計のノーハウと申しますか、こういったものはメーカーでなければわかりませんし、そういったものに対して、まずやるかやらないかという用意がなければこれはなかなか難しいということで、私どもだけでそのノーハウを得ることは難しいわけでございます。
  301. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間なので終わります。
  302. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最初に運輸大臣にお伺いいたしますが、今回のこの法案を提出されました理由の中で、先ほどからお聞きしておりますと、国際情勢高度化、多角化に対応するという観点がございますが、私は、国際情勢前回改正以来相当激しく変化いたしておりますし、これからもいろんな場面場面で相当流動化というのは速いスピードで進んでいくんじゃないかと思いますので、やはりそれに対して政府側もあるいは役所の官庁等の機構も対応していかなきゃならない場面があることは十分理解できるところでございますが、今回のこの国際化の問題と運輸行政の関連について大臣から最初にお聞きしておきたいと思います。
  303. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今回の運輸省組織再編成は、運輸行政を取り巻く諸情勢変化に即応して今後の運輸行政の総合的かつ効率的な推進体制の整備を目指すものであり、その際、国際化への対応はその大きな目的一つであります。すなわち、我が国経済社会の国際化をさらに推進するとともに、国際社会の中で我が国が積極的な貢献を果たしていくことは今後の重大な課題であり、そのためには旅客交通及び貨物流通にわたる国際輸送ネットワークの着実な整備と国際交流の一層の推進、国際社会と調和した運輸行政の展開と運輸関係国際協力の拡充が特に重要であると考えております。このような見地に立ちまして、運輸省としては、今回設置をお願いしている運輸審議官のもとで国際運輸行政を強力に推進してまいりたい、こう思っております。  実は、先ほども質問に出ましたが、私が大臣になりましてからソビエトのボリメール海運大臣でございますか、インドネシア、オランダというような方々が参りまして、いろいろ航路の開設とかあるいは成田乗り入れの問題とか、あるいはまたソビエトにおきまして貨物列車の流通の問題で貨物流通局長も行きましたけれども、そういうふうないろんな広範な問題が出てまいりまして、先ほども申し上げましたが、航空需要もこれから十年後には二倍になる、海運状況におきましても、港湾におきましても、あるいはまた旅行客の誘致の問題につきましてもいろんな問題が起きてくるわけでございます。私も行かなければならない問題もあるかとは思いますが、やっぱり国会の審議も重要であります。したがいまして、行けるときは土曜日か日曜日かあるいは連休か、あるいは国会の閉会中か、こういうことになりますが、それにも増していろんな問題もありますので、運輸審議官というもとにバランスも見ながら対応していく必要があろうか、こう思っております。  なおまた、この前の編成からわずか六、七年しかたっていないのではないか、この前は横の方にしたけれども、前の縦に戻すのではなかろうか、こういう御議論もございます。運輸審議官の方は国際化に対応するために、こういうことで、前のものは国鉄民営・分割、こういうようないろいろなそれぞれの役割も果たしました。実は局長さん方にけさほどお聞きをしました。七、八年前は皆さんは何の地位でございましたか、課長でございましたと、ああそれではその当時、前の改正のときはこういうふうにするという権限はないなと。その後、課長さんから局長さんにみんななっておるわけでございますが、この六、七年の間目まぐるしく世界あるいは我が国の内部の状況も変革をしておりますので、それに対応していかなけりゃならぬ。  六、七年で変えるとは何だ、こういうような御指摘もあるわけでございますが、昔は十年一昔、こう言いましたけれども、今は五年で一昔とも言われておりまして、また民間の会社などを見ましても三、四年で機構改革対応がなされているところが相当ございます。やっぱり現状に即応して、多少今までの状況ではなかなかやっていけないというような点も出てまいりましたので、ぜひともこの運輸審議官設置、この設置法につきまして御理解をいただきたい、こういうふうに思っているところでございます。
  304. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この内閣委員会は、かねてから行政改革についてここでいろいろと論議をしてきた委員会でございますので、その観点からちょっとお聞きしたいのでございますが、総務庁は毎年許認可の状況を把握して発表しておりますけれども、運輸省の許認可件数について、これの調査を始めたのは昭和六十年十二月というふうに聞いておるのでございますが、その後どういうような状況でしょうか。
  305. 堀江正弘

    説明員(堀江正弘君) 今、委員がおっしゃいましたように、総務庁では各省庁の協力を得まして許認可等の総数の把握などの作業を行っております。ここで許認可等といいますのは、許可とか認可といいましたいわば典型的なもののほかに、届け出とか報告とかそういうようなものも一件一件勘定しております。このような範囲で把握されます許認可等の数は、一方では整理合理化等が行われておりますけれども、他方ではまたいろいろな新たなニーズに対応して新たなものが導入されるといったようなことがございますために、今おっしゃいましたように毎年把握しておるわけでございます。  そこで、ただいま運輸省の数はいかがということでございますが、各省庁との複数省庁の共管のものもございます。そういうものも合わせて教えますと、運輸省は、第五回目、昨年の三月三十一日現在、平成元年度末というのが一番新しい数字でございますが、千九百八十八件というぐあいになってございます。
  306. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 おたくさんの調査によっても運輸省は一番多くの許認可等事項数を持っているわけでございますね。この各省庁の許認可権の整理合理化につきましては、これは第一臨調以来、第二臨調あるいは行革審、第一次、第二次ございましたが、あるいは前川レポートでもいろいろと示されておりますように、やはり国際協調を図っていくための政策転換、それが求められる中で、公的な規制の緩和ということは国際協調への政策転換を図るための最大政策であったはずじゃないかと思うんです。  運輸省もいろいろと努力はしているようでございますけれども、いまだナンバーワンでございまして、努力して減らしていると言うけれども、一%強ぐらいの減少程度しかないわけで、これから見ますと、公的規制緩和の方向に果たして運輸省として努力しているのであろうかどうか、そういう緩和の方向に逆行しているのじゃないか、そういう感じがするわけでございますが、運輸省としてはこの許認可件数が減少しない理由はどのように考えておりますか。
  307. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 許認可の件数の改善につきまして積極的に努力はいたしておるわけでございますが、五十九年の機構改正後におきましては、六十年七月の第一次行革審答申を受けまして百十四件の改善を図っています。また、六十三年十二月の第二次行革審答申を受けて、これはかなり免許制の認可制など貨物自動車運送事業に関する質的な規制緩和も行ってまいりました。許認可の運用面も含めまして独自にきめ細かく見直しを行ってまいり、大幅な改善を実施してまいっております。  しかしながら、運輸省関係の許認可の中身でございますが、自動車交通面を含めました安全確保あるいは環境保全といったような社会的な安全規制の問題が相当ございまして、これらにつきましては大幅な整理がなかなか難しゅうございます。例えば、物流二法の制定は質的な規制を行ったわけでございますけれども、認可が届け出に改正されても件数そのものは変わらないわけでございます。また、従来道路運送法で旅客運送と一括して処理されていました貨物運送に関する規制を独立させたために件数としてはかえって増加してしまうなど、許認可の質的な緩和が必ずしも許可件数に反映されておりません。しかし、全体の許認可件数としては徐々に減少しておりまして、今後も努力はしてまいりたいと考えております。
  308. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 やはり運輸省としてもある程度の規制緩和が実現されてきたことは私たちも認めているわけでございますけれども、その実態を見ますと、運輸省は規制を緩和したというのとは異なりまして、運輸省の権限はその後も残してきたんじゃないかと思うんです。例えば、一九八六年に国際国内路線の乗り入れを自由化したものの、路線の増減便あるいは離陸時間、空港内の駐機ポートの決定、新規事業など、どれ一つとっても規制緩和前と同じように運輸省の認可を必要とするわけでございます。  そこで、今回こういった内部部局の再編成を実施しようとされているわけでございますが、この内部部局の再編成によって現在の許認可権というのはどの程度減少することになるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  309. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今回の組織再編成は、現在四つの局に分散しております政策企画機能運輸政策局に集中、強化いたしまして総合的な政策推進体制を整備することによりまして、政策中心行政の一層の拡充を図ろうという趣旨でございます。  許認可の整理あるいは規制緩和等の行政運営の見直しにつきましては、逐次必要な措置を実施してきたところでございますが、今回の組織再編成自体によって直ちに行政事務の内容が変化するわけではございませんけれども、新組織のもとにおきましても、国民への行政サービスの低下を来さないよう十分配慮しつつ、政策中心行政の一層の拡充を図る見地から、許認可や規制のあり方につきまして引き続き不断の見直しの努力を進めてまいりたい、このように考えております。
  310. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これからも努力を続けていただきたいと思います。  先ほど大臣から航空の問題についてお話があって、十年後には航空の需要というのは二倍になるだろうというお話がございましたが、秋には第六次空港整備五カ年計画等の策定がされるそうでございますが、そのスケジュール及び基本的な考え方についてお伺いしたいと思うんです。
  311. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  第六次空港整備五カ年計画策定につきましては、去る三月一日に対前五カ年計画比六六%増の三兆一千九百億円の投資規模の閣議了解を得たところでございまして、この投資規模を前提にいたしまして、昨年八月の航空審議会の中間取りまとめに沿いまして、具体的内容について現在検討を進めているところでございます。ただいま先生からお話がありましたとおり、本年秋ごろには航空審議会の答申を得て五カ年計画の閣議決定を行う予定でございます。  この計画策定に当たりましては中長期的な航空需要の増大に対応しつつ、国内、国際ネットワークの充実、多様化が図られるように、また新東京国際空港の完全空港化や東京国際空港の沖合展開及び関西国際空港の開港、これを三大空港プロジェクトと言っておりますが、そういうものの完成を最優先課題としつつ、一般空港の整備等、所要の空港整備を推進する、そういう考え方で臨みたいと思います。
  312. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 航空需要はますます増大してくると思いますけれども、東京大阪以外の地域でも際空港の整備に力を入れるべきであるということはかねてから申し上げております。この五カ年計画において中部の新国際空港の取り扱いについてはどのように考えておられるでしょうか。
  313. 宮本春樹

    政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。  我が国の国際航空需要は、現在そのほとんどが東京及び大阪地区の国際空港に集中していることは先生御案内のとおりでございます。今後においても基本的にはその構造が続くと予想されるところでございまして、目下新東京国際空港の完全空港化とか関西国際空港の建設を急いでいるところでございます。  しかし、今後の国土の均衡ある発展あるいは地方の国際化の進展、そういうことを図るためにはあわせて地方拠点空港を初めとする地方空港の国際化も非常に重要である、このように考えているわけでございます。お話のございました中部地域における国際空港の整備につきましては、平成二年八月に出されました第六次空港整備五カ年計画についての航空審議会の中間取りまとめにおきまして、航空需要、整備の内容、採算性と費用負担、アクセス、空域等の諸問題について関係者が連携して総合的な調査を進めることとする、そういうふうにされておりまして、平成三年度政府予算案において調査費が認められたところでございます。予算が成立した段階で地元とよく御相談した上で調査実施したい、そのように考えております。  五カ年計画におきましては、今後さらに航空審議会の御審議をいただき、それを受けてことしの秋ごろに先ほど申し上げましたように閣議決定を行う予定でございますが、運輸省といたしましては、中間取りまとめに沿った形で計画策定できるよう、政府部内の調整等に努めてまいりたい、そのように考えております。
  314. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この中部新国際空港につきましては、中部地域にとって重要でありますし、また我が国全体の国際航空需要に対応ということでも成田空港あるいは関西国際空港とともに重要な対応拠点ではないかと思っているわけでございます。地元としましても、中部空港調査会というのがございますが、そこでは全体計画と事業主体に関する地元案を六月をめどにまとめて交渉する方針ということを発表されております。また、中尾通産大臣も、名古屋で記者会見の中で、中部新国際空港について積極的な通産省としての支援をすることを述べてみえるわけでございます。運輸大臣も閣僚とされていろいろな御所見を述べておみえになると思いますけれども、この空港の意義についてはどういうふうに御理解されているのか、あるいは実現に向けて何が一番重要と考えていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  315. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 実は、運輸大臣になりましてから関西国際空港あるいは要望のございます中部国際空港、常滑沖と聞いておりますが、地元からも現地を視察していただきたい、こういう要望もございましたが、国会の審議の方が終わりますれば、ぜひ行きたい、こう考えてもおります。  中部地域は、その人口の集積の高さ、産業活動の活発さ及び将来に向けての発展性等から見て、今後、人、物、情報のいずれの面でも国際交流が促進されると見込まれ、当地域における本格的な国際空港の整備は、まずこれを支える交通基盤として大きな意義を有すると考えております。さらに、この国際空港ができれば、成田空港、関西国際空港、中部新国際空港及びその他の地方拠点空港等が連携して、より利便性の高い、充実した国際航空ネットワークの形成が期待されるので、我が国全体の国際化にも大きく寄与することになると考えております。  また、この空港の実現に向けて何が重要かということについては、これから二十一世紀に向けての空港は、地域との結びつきがますます強くなり、地域が主体的につくり上げるものになっていくと予想されるので、国は国としての役割を果たすべく努力させていただくとして、地域としてもこの空港をどのように育て、また生かしていくのか、さらには採算性等の観点から事業をどのように進めるのがいいかといった点について積極的な創意工夫で道筋をつけるなど、さまざまな面で推進役を果たされることが最も重要であると考えております。
  316. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、現地を視察されて、またいろいろと運輸省としての御意見もまとめていただきたいと思います。  次は、東海道新幹線利用者が大幅に増加しておるわけでございますが、その輸送力の増強のために、品川新駅の設置が必要ということで、私もそういうふうに考えてはおりますけれども、その点について運輸省はどのように考えておみえになりますか。
  317. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 東海道新幹線の輸送力問題につきましては、長期的にはともかく、ここしばらくは現在の施設をより有効に活用して輸送力を確保するという以外にないと考えております。そこで私ども、学識経験者の方々に集まっていただきまして、東海道新幹線輸送力問題懇談会という場を設けまして、そこで輸送力増強策につきまして技術的な面から検討を急いでおるところでございます。その中にJR東海から提案がございました品川に新駅をつくるという案も一つの有力な案といたしまして検討しております。結論を急ぎたいと考えております。
  318. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その問題につきましていろいろと報道がされているわけでございますけれども、JR各社の間で兄弟げんかしているのじゃないかなどというようなことも報道されているわけでございますが、もともとはこれは国民の皆さんの財産を預かっておるわけです。JR各社民営化してスタートしているわけでございますから、国民、すなわち利用者の利便的優先をまず考えるべきじゃないかと思うんです。そこで、そういった兄弟げんかをしているのじゃないかなどということが報道されるようでは、これはまことに国民に対して失礼な話じゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか、運輸省としては調整する考えはありますか。
  319. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 兄弟げんかというのはいかがかと思うんですが、六十二年四月に一応会社が別になりましたものですから、それぞれの経営の任に当たる方々がやはり自分の会社のことについて真剣に考えるというのは、これまた自然な意識だと思っております。その上に立って、鉄道全体の立場から利用者にとって何がベストであるかということは、それぞれ識見、経験のある方々ですから最終的には御理解いただけるのではないかと思っておりますし、私どももその方向で努力をしたいと思っております。
  320. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 やはり利用者に対するサービスということをよく考えてやっていただきたいと思うんです。  やはり報道された中に、これは事実であるかどうかわかりません、まあ私ちょっと記事をきょう見たばかりでございますが、例えばJR西日本の博多―東京間のグランドひかりのグリーン席のビデオもJR東海の範囲に近づくと、新大阪の近くに来ると車掌さんがかぎをかけてしまうというようなこともあるんですか。これは事実としてあるんですか、どうなんですか。
  321. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) かぎをかけるかどうか、私は現認したわけじゃございませんので断言できませんが、JR西日本がグランドひかりでサービスとして提供しております座席の前のテレビ、これにつきましては一応博多―新大阪間でサービスを打ち切るということになっております。これはJR西及びJR東海経営者の方々の旅客サービスに対する考え方のやはり若干の違いがございまして、JR東海の方は、その方が東海道新幹線のお客にとっては便利である、こういう判断からそういう結果を話し合いの結果、結論を得た、こういうふうに聞いております。
  322. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 かぎをかけてしまっちゃうんでしょう。しまっちゃうのは事実ですか。それはJR東海が認めたということですか。
  323. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) では、補足いたしますが、JR東海の言い分をそのまま申し上げますと、新大阪東京間というのは比較的込む区間でございまして、その間はビジネス客の方が非常に多い、したがってテレビの音、あるいは座席からの出入りということから考えると必ずしも、テレビが座席に若干突き出てございます、それが旅客サービスとしてベストとは思わない、こういうお考えのようでございます。  それに対しましてJR西の方は、博多と新大阪の間かなり長うございますから、その間やはりゆったりと旅行していただくためにはテレビがあった方がいい、特にその間トンネルも非常に多うございますし、窓の景色も見るわけにいかないということもございまして、さような判断をされたと聞いております。
  324. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 お客さんの立場に立って考えたなら、これはそのお客さんが自由に、利用される人が自由に判断すべきじゃないですか。確かに私も名古屋から乗ってくると込んでいますが、ほとんどグリーン席も満杯のときが続くようでございますけれども、別にあったからといってそうつっかえたりなんかするようなこともないんじゃないかと思いますけれどもね。両方の経営者の方の考え方が違うとおっしゃれば、それは西日本がつけたんだから東海の方には利用させませんよという狭い考え方じゃないと思いますけれども、その点はうまくもう少し話し合ってもらいたいと思います。  以上で終わります。
  325. 磯村修

    ○磯村修君 先ほど来、運輸行政をめぐる国際的な認識の問題が多々お話しございましたけれども、そこでお伺いしたいのは、我が国の運輸行政の多国間あるいは二国間の現在の争点、どういうものがあるか具体的にお伺いしたいんです。そしてまた、未解決の問題ではどういうことが、どういう問題を解決すればよいのか、課題を解決すればよいのか、その辺のことをちょっとお伺いしたいのです。
  326. 寺嶋潔

    政府委員(寺嶋潔君) 運輸省関係しております国際問題、一番国際関係で多いものはやはり業務の性質上航空関係海運関係でございます。  国際航空につきましては、従来から航空交渉を通じまして路線の展開とか増便をやっておりますが、最近では御承知のように大阪空港はもとより成田空港も能力のいっぱいまで使われておりまして、非常に厳しい空港制約のもとで運用をしております。一方、旅客、貨物の需要は極めて旺盛でございまして、諸外国からの新規の乗り入れとか増便の要求にこたえることが非常に難しくなっておりまして、そのような状況のもとで非常に困難な交渉を重ねておるわけでございます。今後は、やがて成田空港の完全空港化あるいは関西国際空港の開港というようなものがいずれ到来するわけでございますが、こういう事態に備えまして、また諸外国との航空交渉も一段と活発化しなければならないというふうに思っております。  それから、外航海運でございますが、これはいろいろ国によって海運政策が異なっておりますのでいろんな摩擦が生ずるわけでございまして、国際的な海運秩序を確立するためのもろもろの国際会議がございます。とりわけ、先進国の間では閣僚レベルの会議も持っております。また、そういう多国間の会議のほかに二国間の協議もやっておりますが、特に最近では中国とか韓国とかソ連、そういう近隣諸国との間で二国間の定期航路の開設が相次いでおりまして、この辺では貨物のみならず旅客の航路も開かれておるわけでございまして、これらの諸国とより積極的な交渉を行っていく必要があろうかと思っております。  また、国際観光につきましても、御承知のように昭和六十二年に我が省で策定いたしましたテン・ミリオン計画、海外旅行倍増計画でございますが、昨年、目標である一千万人の日本人海外旅行者数を達成いたしたわけでございますが、諸外国から非常に要望も強いことから、引き続き日本人の海外旅行促進について努力をしていきたいと思っております。また、日本をよく理解していただくために、引き続き外国の方々を日本へ誘致するという努力も新たな計画をもって策定実施していきたいと思っております。  またこのほかに、いわゆるガットのウルグアイ・ラウンドでは、従来貿易のみを取り扱っておりましたが、最近では運輸、観光を含みますサービス貿易、サービス取引の自由化のための交渉が始まっております。また、空港とか港湾などの大型の公共事業に関します外国企業の参入をめぐっての折衝、あるいはOECDの場での海運助成、造船助成の削減問題などについて折衝が山積しております。  このような種々の問題につきまして、国内あるいは対外的に非常に高いレベルでの調整を要するものが多うございますので、新しく設けさせていただきます国際関係事務の総括整理職としての運輸審議官のもとで、ただいま申し上げましたような主要な問題について積極的に解決に努力をしてまいりたいと思っております。
  327. 磯村修

    ○磯村修君 今回の運輸審議官法律職でありますね。それで、この運輸審議官設置に伴いまして廃止される三つの職というのは政令職というふうなことのようでございますけれども、スクラップ・アンド・ビルドという意味からいってこのバランスがこれでとれるのかどうか。本来法律職設置するなら法律職を廃止すればいいんじゃないかというふうな感覚にもなるんですけれども、その辺の考えをお伺いしたいと思います。
  328. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 昭和五十八年の国家行政組織法の改正によりまして、従来法律職とされていた局長部長などが実は政令職とされた結果、現在法律職とされる組織はごく限定されたものになっております。このため、運輸審議官という一つ法律職設置に当たりまてしは、国家行政組織法の改正前に法律職とされておりました部長一人に大臣官房審議官一名、課長相当職一名、合計三名の組織を廃止することによりまして、スクラップ・アンド・ビルドの原則にのっとって機構がこの際膨れないようにバランスをとりながら整備を進めてまいりたいと考えております。
  329. 磯村修

    ○磯村修君 先ほど官房長官のお話の中に、国際協調の時代であるとか国際化への対応ということが言われておりました。今回こういう審議官設置するということになりますと、他の省庁でもこうした国際化への対応というふうなことで設置する動きも出てくると思うんですけれども、その場合、今回のような例、あるいは前回昭和六十三年だったですか、農林水産審議官の例、こういうものを基準としてこれからもこういう審議官設置されていくのかどうか、まずその辺、スクラップ・アンド・ビルドとよく言われますけれども、その基準はどういうものなのか示してほしいと思います。
  330. 河野昭

    説明員(河野昭君) 私ども機構の審査に当たります一つの基準がございます。この基準といいますのは、各省庁の部局等については既存機構の合理的再編成によるもののほかは新設は行わない、これは閣議決定しております。具体的にこの基準に、方針にのっとりましてスクラップを検討するわけですが、具体的にスクラップを何をするかということにつきましては、その各省庁の規模でありますとかあるいは合理化の余地、そういうものを勘案して検討するわけでございます。  したがって、先般農水審議官のときも今回も政令職三ということでございますが、これは必ずしも基準ということではございませんで、要求があればそのときの要求の理由あるいは各省庁の事情に応じて検討するということでございます。
  331. 磯村修

    ○磯村修君 今回この運輸審議官設置に伴いまして、省内の組織というものも改まっていくということなんですね。  そこで、前回の場合は臨調の答申ですね、これがもとになって行われたということのようなんでございますけれども、今度の改革の中身を見ますといわば交通機関別の組織に組みかえるというふうな、そういうことになりますと、今までは縦割りが横になったというふうなことをよく言われておりましたけれども、今回また改まっていくと昔のもとのところに戻っていくのではないかというふうな指摘もあるようなんですけれども、何か今回の組織改正について臨調答申のようなああいう強い要求、要請というものが前提にあったのかどうか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  332. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 行政組織につきましては、昨年四月に第二次の臨時行政改革推進審議会の最終答申の中に若干指摘されておるわけでございますが、「行政ニーズ等の変化対応し、内部部局の弾力的な再編成を積極的に進めるとともに、内部部局の政策形成機能及び省庁内の調整機能の充実を図る。」ということが重要である、このような御指摘がございました。  運輸省の行政組織でございますが、今先生指摘のとおり、五十九年に大幅改正をして既に七年近くを経過してまいりました。この間に、国鉄改革後におきますJR鉄道事業の展開、あるいは大都市問題に対応するための鉄道整備に関するニーズの高まり、さらには我が国の国際化の進展を反映した国際問題の高度化多様化など運輸行政を取り巻く状況が大きく変化をいたしております。今回の改正は、まさにこのような状況変化に即応いたしまして適切な組織の再編成を行おうとするものでありまして、これによりまして昭和五十八年の臨時行政調査会答申及びこれを受けました五十九年の組織改正目的であります運輸行政総合化効率化をさらに一段進めようとするものでございます。
  333. 磯村修

    ○磯村修君 今回の組織改正というものを見ますと、ちょっと不思議に思うんですけれども、今の機構の中に国有鉄道改革推進部というものがございますですね。もちろんこれは国鉄に関した業務をこれまで行ってきたんでしょうけれども、国鉄民営化されてJRとなってから既に四年がたつわけです。そうしますと、既に四年たっているんですけれども、依然としてこの国有鉄道改革推進部というのはこれまで存続していた、そしてその中で九十人ほどの職員の皆さんが働いていた。こういういわば国鉄が既にJRになって四年たっているにもかかわらず、その関連の組織が九十人の職員を抱えて現在に至っているというところにちょっと私どもの感覚からいくとぴんとこない面があるんです。一般の企業でしたら、いわば改革されて他のものに部門が移っていけばもうそこで廃止されるなり何なりしますね、一般の企業でありましたら。しかし、運輸省のこの場合においては延々と四年間存続されてきたという一つの疑問があるんですけれども、何のためにそれがあったのかという一般の目から見ると疑問があるということです。  それから、今回の改革でこの部門がなくなる。そうした場合に思い切ってその分の合理化、整理というものも考えるべきではなかったのか、こういうふうな感じもするんですけれども、お考えをお伺いいたします。
  334. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) ただいま御指摘大臣官房国有鉄道改革推進部でございますが、この組織国鉄清算事業団の債務の処理など国鉄改革に直結する問題、のみならず国鉄改革実施によって新たに開始されましたJR鉄道事業に対する鉄道整備問題、輸送サービス問題、安全確保問題などJRに関する鉄道行政全般に取り組んでいる組織でございまして、今回の改正によってこれらの業務量や要員が直ちに変動するものではございません。むしろ、今後の鉄道行政におきましては、多極分散型国土形成や大都市問題の解消に向けた幹線鉄道、都市鉄道等の整備などの多くの課題に強力に取り組んでいくことが必要とされておりまして、このため現在三つ組織に分散しております鉄道行政一元化いたしまして鉄道局設置することといたしております。これによりまして、御指摘のような定員の抑制の要請を踏まえつつ、今後の鉄道行政に対する国民のニーズに効率的に対応していくことができるものと私ども考えております。
  335. 磯村修

    ○磯村修君 今度廃止される、なくなっていく部門の中に清算業務指導課というのがございます。それがこの三月二十九日の官報によりますと、清算業務指導課の設置期間を四年間延長して平成七年の三月三十一日までとするということが書かれているんですけれども、もうなくなっていく部門の中にある一部のセクションだけが四年間とにかく設置されていくという、これはどういう理由なんですか。
  336. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) ただいま御指摘の清算業務指導課でございますが、これは国鉄清算事業団の債務の処理、そのための土地等の処分の促進などを担当する課でございます。その設置期限が実は本年三月三十一日までとされておったわけでございます。しかしながら、国鉄清算事業団の債務処理は今後非常に重要なものでございまして、引き続き国鉄改革に残された課題一つでございます。同課の設置期限を当初四年ということでございますが、今後もさらに四年引き延ばしましてこれらの業務に積極的に強力に取り組んでいくということでございまして、新しい鉄道局の中に残る課ということで、今回、本件とは別に四年の延長が行われたわけでございます。
  337. 磯村修

    ○磯村修君 そうしますと、さらに四年間設置して置いておくというふうなことでございますけれども、四年間というのは、国鉄のこの債務、二十六兆二千億円に上るというんですけれども、この長期債務が平成七年の三月三十一日までには何とか解決できるという意味なんですか。
  338. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今の先生の御指摘でございますが、国鉄の債務処理というものは膨大なものでございまして、私どもこの処理のために強力な行政を進めていきたいと思っておりますが、当面、設置期限が当初四年でございまして、その四年間を延長したわけでございますが、この四年間で努力はいたすものの、あるいは十分にできない場合があろうかとは思います。努力をしてまいりたいと考えております。
  339. 磯村修

    ○磯村修君 この官報にもう一つ書いてあるんですけれども、滋賀県の陸運支局の位置の変更ということで大津から守山市ですか、これに移転というか、住所が変更になるんですから、移転するんですか。その意味はどういう意味なんですか。
  340. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 今の滋賀陸運支局、実は近畿運輸局の中の支分部局でございますが、滋賀県におきます自動車の登録あるいは検査関係の業務を行っている機関でございます。この検査機関におきまして、検査対象自動車の増加に伴いまして、現在大津市にありますこの検査登録事務所では大変手狭になっておりまして利用者に御不便をおかけしております。このために、滋賀県における自動車の検査等に関する利用者の利便を向上する観点から、平成元年度及び二年度にわたりまして、近隣の守山市でこれらの業務に必要な用地を確保するとともに関係施設の整備を進めてきたところでございますが、これらが完成をいたしたために、本年五月に滋賀陸運支局を大津市から守山市に移転することとしたものでございます。
  341. 磯村修

    ○磯村修君 これに関連しまして、この官報の、先ほど私がお話しいたしました清算業務指導課の問題に関連しまして、大臣に一言お伺いしたいんですけれども、運輸省は今回の組織改正を七月に実施したいというお考えのようです。それをここで審議しているわけですね。そうした中で政令によって一部門を変えていく、延長したり改廃したりしていくというふうなことに対して、何か一つ私は懸念するんですけれども、いわば省庁の組織というのは政令一つによって延長もでき、変えもできる。こういうことになりますと、行政に対する国民の不信感というものが増すんじゃないか、こういう感じもするわけです。私今ここで審議している中でもって官報を見ると、もう既に一つの部門、廃止されるべき部門の中にある一つのところが、その部分だけが延長されていくというふうな、何かこうぴんとこない、すっきりしないような気持ちもするんです。  こういう形でいくと、国民の目の触れないところで行政組織というものは政令という名のもとに変えたり延長したりしていくのかなというふうな不信を持つんですけれども、今後もそういうこともあり得るのかどうなのか、大臣のお考えをお聞かせください。
  342. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今、国鉄清算事業団の債務の処理を引き続き強力に推進するための清算業務指導課の設置基準の期間の延長や、滋賀県における自動車の検査等に関する利用者利便の向上のための滋賀陸運支局の移転は、まず第一に、いずれも今回の組織再編成の有無にかかわらずその実施が必要とされておるものであります。第二番目は、いずれも本年七月一日の組織再編成以前に実施することが必要とされているものでありますから、組織再編成とは別個に実施することが適当であると考えたのでございます。
  343. 磯村修

    ○磯村修君 政令によって簡単に告示だけで一つ組織の部門が変えられるという、あるいは設置期間が延長されるとかという、そういうことが国民の目の触れないところで行われていくところに、行政に対する不信感とかあるいは行政が非常に不透明になってくるというふうなそういう問題を残すわけですから、そういう政令でいろんなことをやっていくときには慎重を期してほしいということだけ私は要望しておきます。  それから、三月十四日に広島で新交通システムの事故がありました。大変これは大きな事故でございました。  そこで、時間もありませんのではしょってお伺いしたいと思うんですけれども、まずこの新交通システムに関与している、運輸省が担当している部門、これはどういうことをやっているのか、そしてまたそういうような事業が全国で大体どのくらい行われているのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  344. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答え申し上げます。  二つ御質問があったかと思いますが、一つは、部門はどこか。現在やっているところはどこか。  まず最初に、前段の部門についてお答えを申し上げたいと思いますが、その前に一般論をちょっと御説明申し上げますが、広島の新交通システムにつきましては、一般の交通の用に供される道路上に敷設する区間には、軌道法によりまして、主務大臣でございます運輸大臣及び建設大臣がそれぞれ事業の特許及び工事の施行の認可を行い、地下等に敷設します区間につきましては、鉄道事業法によりまして、運輸大臣が事業の免許及び工事の施工の認可等を行っているのでございます。  このシステムにおきます今回の事故が発生した場所につきましては、軌道事業者でございます広島高速交通株式会社が軌道法に基づきまして手続をとりましてその建設が今進められているところでございますが、その新交通システムの支柱とかあるいはけた、いわゆるインフラ部分の構造物につきましては、その整備主体でございますところの広島市が道路事業として整備をしているものでございまして、この事業は直接的には建設省が所管でございますけれども、一方、軌道法を所管いたします我々運輸省といたしましては、その施設について、工事後、いわゆる工事完成後に、車両が安全に走行できることを確認することを目的といたしまして、主に支柱とかけたとか、こういうものの形状、寸法及びその強度等の面から審査を行っているのであります。  あわせまして、現在行っておりますところの他の部分について申し上げますと、二カ所ございまして、その一カ所は東京臨海新交通株式会社の竹芝埠頭から国際展示場間十・五キロメートルでございます。もう一つは、株式会社大阪港トランスポートシステムの大阪港駅から中埠頭駅間三・六キロメートルが現在行われているところでございます。
  345. 磯村修

    ○磯村修君 こうした新交通システムに見られるような事故の安全対策、こういうことについて運輸省、建設省の方も来ていらっしゃいますね、両省にお伺いしたいと思うんです。
  346. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えいたします。  今般の鉄道・軌道におきますこういうような新線建設とか高架化等、施設の改良等を行うに当たりましては、我々、何に増しましても一般の方々に対しまして危害を及ぼすことのないようにすることはもちろんでございますけれども、その作業に従事しておられます方々の安全を確保することが最重要課題であると考えております。  したがいまして、運輸省といたしましても、鉄道・軌道事業者を対象としまして、工事の状況等を勘案して、その工事が安全に施工されますよう、これまでも機会あるごとに指導をしてきたところでございますが、今回こういう事故が発生いたしましたので、これを契機といたしまして通達を出したわけでございます。広島新交通システムの事故の重大性にかんがみまして、事故原因の究明等に、まだ着手されたばかりの段階ではございますが、今回のような事故を再び発生させないようにするために、当面の措置で緊急に、大臣からの命を受けまして、事故の翌日でございますところの三月十五日に「鉄道・軌道の建設、改良等の工事に伴う事故の防止について」といたしまして、地方運輸局を通じまして鉄道・軌道事業者に対し、その行う工事について工事方法あるいは交通規制の状況等を見直し、工事の安全確保に万全を期するよう指導をいたしたところでございます。
  347. 青山俊樹

    説明員(青山俊樹君) 建設省でもかねてより、建設工事の施工に伴う事故の防止のために「市街地土木工事公衆災害防止対策要綱」並びに「土木工事安全施工技術指針」等を定めましてその徹底を図ってきたところでございます。  今回の広島市における橋げた落下による重大事故を初め最近事故が多発していることはまことに遺憾だ、こう思っております。建設省といたしましてはこれらの事故を極めて重く受けとめまして、橋げたの落下事故につきましては直ちに担当官を派遣し現場の状況を把握するとともに、関係機関に対して類似の工事の緊急点検を実施しているところであります。また、安全施工についての通達も関係機関に対して出しておるところであります。今後とも建設工事の安全確保につきまして万全を期してまいる所存でございます。
  348. 磯村修

    ○磯村修君 社団法人日本交通計画協会というのがあるんですけれども、この協会の任務というのはどういう任務か御存じですか。運輸省ですか、建設省ですか。
  349. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答え申し上げます。  私の印象では今の御指摘のございました団体につきましては直接的には建設省の御所管ではないかと思っておりますが、やはりこれからの新交通システム等新しい時代に備えた鉄道が安全に走行できるように、例えば設計指針等いろんな構造物に関する構造上の方向をお示しになるなど、これからの新しいシステムに適切に対応できるようなお仕事をされている団体だと思っております。
  350. 磯村修

    ○磯村修君 この日本交通計画協会というところでもって新交通システム土木構造物設計指針というものをつくっているんです。この指針は建設省、運輸省両方からお集まりになってこういうものをつくっているわけなんです。ですから、それぞればらばらで何かいろいろ言っているようですけれども、やっぱりこれはせっかくこういう協会があって、建設、運輸両省から担当の方が集まってこういうものを、この場合は設計というものに着目を置いていろんな指針がつくられているようなんです。こういう新交通システムというものはこれからいろいろふえてくると思うんです。そういう意味合いにおいて、この指針あるいは安全対策についての指針とかそういうものを新しくつくるとか、そしてその指導徹底をしていくというふうなお考えはないんですか。
  351. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えを申し上げます。  今、先生指摘ございましたこの指針につきましては、目的といたしましては新交通システムの土木構造物、主として例えば上部構造物など完成状態の安全確保のための設計手法だとか、あるいは荷重の考え方あるいは構造物の強度等の精査方法についてまとめられた内容になっているわけでありますけれども、今御指摘ございましたように工事中の安全確保等につきましては、先ほどもちょっと建設省の方から御指摘がございましたが、第一義的には建設業法を所管します建設省から市街地で施工する土木工事によりますところの公衆災害の防止対策として指導等がなされているのでございます。  しかしながら、今回の事故の重大さあるいはこのような事故の再発防止の観点から、運輸省といたしましても鉄道・軌道事業を監督する立場から、建設省とも連絡をとりつつ、工事の安全確保を図る上から適切な指導をしてまいりたいと考えております。
  352. 磯村修

    ○磯村修君 時間がありませんので、もう一言よろしいですね。  気象庁の方いらっしゃいますか。各地方気象台の出先の観測所がございますですね。これが新しく何カ所か、五カ所だったでしょうか、夜間観測というものが廃止されるということで大変地元の住民の方々が不安を持っているわけなんです。これは何年か前からこういうことをやってきていると思うんですけれども、これまでも支障がなかったかどうかということです。  もう一つは、それぞれの地域にそれぞれの特性があるわけです。そして、貴重な気象データというものをこれまでもつくってきたわけです、測候所自体でもって。もう一つは、山梨県の場合を申し上げますと、河口湖測候所が該当になるというので、あそこは東海地震を想定した大地震対策強化地域にも含まれているわけです。そして、過去、河口湖の異常増水によって町が水に埋まったというふうな災害もありました。そして、四十年代には山津波でもって多数の方が犠牲になっているというふうな事故も隣の西湖というところでありましたね。例えばの話ですけれども、そういうふうに非常に突然の異常気象によってそういう事故が起きているという歴史もあるわけなんです。しかも、それぞれの地域の特性もあるでしょうけれども、大地震の対策強化地域ということも考えた場合、夜間の観測が廃止されるということは大変住民にとっては不安を感ずるし、また地元の市町村からも何とか続けてくれというふうな要望が強いようなんです。  かつて測候所の夜間の観測を廃止してその影響があったかどうか、そして今回そういうふうな夜間観測が廃止された場合、一〇〇%大丈夫ですよということが太鼓判を押せるのかどうか、その辺のお考えを伺いたいと思います。
  353. 立平良三

    政府委員立平良三君) 最初に夜間の無人化が実施されましたのは昭和五十六年四月一日でございまして、全国の十四の測候所について実施いたしました。それに伴いまして特段の支障は生じておりません。  今回、四月一日から五カ所の測候所について夜間の無人化を実施いたしますが、これは測候所の主要な仕事でございます気象の観測、これが自動化されたわけでございます。それに伴いまして夜間に人手で観測するということが不要になりまして、夜間の無人化を行政効率化の一環として行ったわけでございます。  災害が起こり得るような場合、あるいは災害が予想される場合に発表します情報は注意報、警報というふうに呼ばれておりますが、注意報、警報の発表は原則として府県単位に行っております。ですから、山梨県につきましては甲府地方気象台が担当しておるわけでございます。河口湖測候所が観測します防災上重要な気象要素というものは、先ほど申し上げましたように自動的に甲府の地方気象台の方に送られまして、甲府の地方気象台でそれを判断して注意報、警報を発表いたしておりますので、防災対策上問題は起こらないというふうに考えております。また、特に重大な災害の起こります、例えば非常に強い台風が来た、こういうふうな場合には臨時に夜間にも職員を配置する計画でございます。  それから、地震の問題でございますが、東海地域の地震防災対策強化地域、これにつきましては百三十三項目の観測データを得るように観測網が設置されておりまして、このデータがすべて気象庁の本庁にテレメーターされていく。それで気象庁本庁におきましてこのデータを迅速かつ総合的に処理しまして東海地震の短期直前予知のための監視をやっておる、常時監視体制を強化してきておるというところでございまして、今回の措置をとりましても河口湖周辺地域の地震観測には支障ございません。
  354. 磯村修

    ○磯村修君 終わります。
  355. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回の法律は運輸省運輸審議官設置するとともに内部部局の改正実施するものであります。この運輸審議官設置につきましては、国際情勢変化あるいは国際運輸行政を強力に推進するためということでありまして、結構なことではないかと思います。ただ、内部部局の改正につきましては若干わかりにくい面があると思うんです。  といいますのは、昭和五十八年の第二臨調の答申を受けて五十九年七月から内部部局の改革が実施されました。この臨調の答申には非常に具体的にうたってありまして、「国内面については、幹線交通、地域旅客交通及び貨物流通の主要な行政ニーズに対応して、総合的かつ効率的な交通ネットワークや流通システム形成の観点から、関係機能を一体化すべきである。」、これに基づいていわゆる縦割りの組織横割りに改めたということでありますけれども、今またこれを縦割りにするというのは、何となくもとに戻るような感じを受けるわけであります。  もっとも、変えてから六年しかたっていないから云々ということもありますけれども、しかし情勢変化対応するなら、五年であろうが六年であろうが私は構わないと思うんです。しかし、何となくもとに戻すということにひっかかるわけでありまして、前の鉄道監督局鉄道局、自動車局が自動車交通局海運局海上交通局、少しずつ名前を変えておるけれども、やることはもとに戻るんじゃないかというように理解されやすいわけでありますけれども、現行組織からじゃなくて、変える前の組織と今度新しくできる組織と基本的にどう違うのかということを御説明いただきたいと思います。
  356. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 前回組織改正と今回の組織改正でございますが、基本的には運輸政策局が若干中途半端と言うと申しわけないんですけれども、政策企画機能というものが必ずしも十全でなかったわけでございまして、今回運輸政策局を強化いたしまして、政策機能を一元的に省内調整機能をそこに集約化していく、それが第一点でございます。  それから第二点目は、やはり政策推進という点では交通機関モード別実施した方が効率的で、かつわかりやすいという立場から交通機関別に若干返ってきますけれども、もとに戻す趣旨ということではなくて、五十九年の改正を十分反省しつつ改善を図ってまいりたい。  それからもう一点は、国際化への対応でございますが、特に、本日御審議賜っております運輸審議官というハイレベル審議官設置いたしまして、国際化への対応をすべく国際運輸行政を強力に推進する。  この主たる三点の中身でございます。
  357. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、前回、五十九年に臨調の答申の線に沿ってこのように改革してみたけれども、余り現実的ではなかった、どうもしっくりこない、だからまた改正したというふうに理解していいわけですか。
  358. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 行政組織臨調答申におきましても変化への対応が重要とされているとおり、経済社会や国民のニーズの変化に応じて必要な見直しを行い、再編成を弾力的に行っていくことが重要であると考えております。臨調答申を受けました五十九年の改正では、大臣官房国有鉄道部で当時の最大の問題でありました国鉄改革に取り組むとともに、各分野での政策推進する体制として政策四局を設置したところであり、これまでの間、国鉄改革推進政策中心行政の展開など、改正の趣旨に沿った成果を上げてきているものと思っております。  しかしながら、一方でこの七年近くの間に、国鉄改革法におけるJR鉄道事業の展開や大都市問題等に対応するための鉄道整備に関するニーズの高まり、さらには我が国の国際化の進展を反映し、国際問題の高度化多様化など運輸行政を取り巻く状況は大きく変化をしております。今回の改正は、このような状況変化を踏まえたものであり、これにより、臨調答申及びこれを受けた前回改正目的である運輸行政総合化効率化をさらに進めようとするものであると考えております。
  359. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、総務庁にお伺いしますが、昭和五十八年の第百国会におきまして国家行政組織法が改正され、そして五十九年の七月一日から施行されました。この組織法の附則におきまして、政府は同法により新たに政令化された組織並びに官房及び局の総数の最高限度について、法律の施行の日から五年を経過した後、速やかに、総合的検討を行い、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとされました。そして、それに従って平成元年の十二月に、「国家行政組織法の一部を改正する法律附則第二項に基づく検討結果について」という報告を出されました。  この報告の中で、運輸省関係につきましては、これは臨調答申指摘に沿ったものであり、再編成は輸送需要の構造的変化等に対応した総合的な運輸政策の展開を目指して行ったものであるという非常に肯定的な評価をされているわけですね。五年後の見直しにおいて、これは非常に必要なものであったんだという評価をされております。もしこれが総務庁の言うとおりの結果であるならば、今回の再編というものはちょっとちぐはぐの感じがしますけれども、この点はどう考えますか。
  360. 西村正紀

    説明員(西村正紀君) 国家行政組織法の附則第二項の趣旨でございますけれども、これは五十九年の組織法の改正組織規制を弾力化しようというものでございまして、それに伴いまして政令化いたしました組織、またその際に官房、局の総数の最高限度を決めたわけでございます。これにつきまして、五年後に組織規制の弾力化がどのように図られているかということを見直すという趣旨で附則ができておるわけでございます。  先ほど先生指摘のように、元年の十二月にその検討結果が出ておりますが、これはまさに組織規制の弾力化という趣旨に沿いまして、十一省庁二十四局に及ぶ組織再編成が局をふやすことなく行われたわけでございまして、検討結果の中でも、行政需要の変化に即応した機動的、弾力的な組織編成が着実に実施されているというぐあいに結論を得ているわけでございます。その際に、運輸省の五十九年の再編成につきましても、まさにその当時、輸送需要の構造的変化対応した総合的な運輸政策という課題対応したものとして評価したわけでございますが、先ほど来議論になっておりますように、今回の組織編成は、五十九年の機構改革後の変化対応しようというものでございまして、検討結果と矛盾するものではないと考えております。
  361. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、この内部組織の変更というのが単なる形式的に切りかえるだけではなくて、その背後にある一つの思想というものがあると思うんです。それから、臨調の指摘した基本的な考え方というのは、できるだけ規制を緩和すべきである。国鉄民営化もやっぱりその一つの基本的な考え方に沿って行われておると思うんです。  運輸省というのは非常に今許認可行政、許認可官庁と言われるぐらい許認可事項が多い。したがって、そういうことではなくて、規制を緩和して許認可件数というものをどんどん減らしていって、むしろ政策官庁としての運輸省というあり方に変えるべきだ、そういう思想が背後にあると思うんです。ところが、その方向で国鉄民営化され、それからいろんな面で規制緩和も進められてきたわけですけれども、しかし最近の実態を見てみると、実際的には、規制緩和というのは形式的には進んでおるけれども、運輸省は依然として非常に強い介入をしてきておるというような指摘もされておるわけであります。むしろ、そういう許認可官庁から政策官庁への脱皮というようなことが何となくまた逆の方向に戻りつつあるのではないかという気もするんですけれども、この点についてどうお考えですか。
  362. 松尾道彦

    政府委員松尾道彦君) 運輸省は国民のニーズに対応して積極的な行政を進めていきたいという立場から、現行組織においてももちろんでございますが、今回の組織再編成によりましても、引き続き規制緩和を積極的に行っていきたいと考えております。特に、物流二法を一昨年御審議いただきまして昨年の十二月一日から施行いたしておりますが、免許制から認可制、あるいは料金の認可制から届け出制というふうな制度の質的な変更を行ってまいっておりまして、今後とも引き続き運用の改善面を含めまして規制緩和に努力をしてまいりたい、このように考えております。
  363. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、このことに若干関連もあると思うんですが、整備新幹線の問題についてお伺いしたいと思います。具体的な法案は担当の委員会で審議されると思いますけれども、私は基本的な考え方についてお伺いをしておきたいと思うんです。  整備新幹線につきましては、昭和六十三年八月の着工優先順位についての「政府・与党申合せ」があります。そして、平成元年一月の建設費の負担割合についてのまた「政府・与党申合せ」によりまして、平成元年八月から高崎―軽井沢間で建設が始まりました。そして、平成三年度からは、平成二年十二月の「政府・与党申合せ」によりまして盛岡青森間、八代―西鹿児島間、軽井沢―長野間の建設が行われようとしております。この「政府・与党申合せ」の決定に至る経緯で、JRがどの程度こういう問題についてJR自身のイニシアチブというものがあったのかどうか。JRの方からこういう整備新幹線を着工したいというような意向があったのか。むしろそうではなくて、運輸省側から働きかけたのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  364. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生指摘三つ段階でございますが、そのすべての段階におきまして私どもJRと非常に密接な連絡はとりました。どちらがイニシアチブをとったかということにつきましては、実はこの整備新幹線昭和四十八年に既に計画が決まっておりましたから、いわばその計画を前提として、これを実現する場合にJRとしてはどういう意見かというアプローチの仕方をお互いにした結果でございまして、この辺は十分な意見調整をした上でございます。  その際、JRはもとより私どもが一番注意いたしましたのは、新しくできましたJRにまた新たな負担を課すことによって、かつてのような国鉄が赤字をますますふやすという苦い経験を繰り返してはいけないということを基本的な考え方にいたしまして調整をしたわけでございます。その結果、この整備新幹線をつくる結果、それぞれの経営主体であるJRが利益を受ける範囲において建設費を負担しましょう、それ以上の負担はできませんという主張がJRからあり、それを政府といたしましても受け入れて、先ほど先生が御指摘三つの申し合わせができたわけでございます。  さらにつけ加えさせていただきますと、現在国会で御審議いただいております全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案、この中で実際に着工に至るまでに大きなステップが二つあるわけでございます。一つは暫定整備計画の決定、これは運輸大臣が行います。二つ目は、工事実施計画を建設主体でございます鉄道建設公団が運輸大臣あてに申請を出し運輸大臣の認可を受けるという二つのステップがあるわけでございますが、前者の段階におきましてはJRの同意が法律上明記されております。後者の段階におきましては、鉄道建設公団が営業主体であるJRと協議した上で申請を出しなさいということが法律上も担保されております。したがいまして、このような法律上の制度も裏打ちとなりまして、今回の整備新幹線につきましてはJRの意見も十分反映されていると我々は理解しております。
  365. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今年度から急に整備新幹線建設が本格化した背景には、この国会に法律として提案されている鉄道整備基金、こういう財源の捻出の仕方が新たに考え出されたことがあります。  これは既存の新幹線設備をJR三社に売却するに当たって、従来の貸付料に一兆円上乗せした金額で、九・一兆円で売却することにして、その上乗せ分の一兆円を財源として整備新幹線の建設を行うとするとされております。新幹線の買い取り費用に一兆円がプラスされることというのは、JR各社にとっては非常に大きな影響を受けると思うんです。これについて、新聞の報道等でも、例えばこれから株を上場する時期に来ておるけれども、この上積み分は経営負担になって上場しても株価が下がるのは確実というふうにJR日本の住田さんが言っておられます。それから、買い取りによる負担増を吸収する方法として料金値上げも必要になるかもしれない、それから設備投資も見直す必要がある、こういう意見も言われておるわけでありますけれども、これについてJR各社は、こういうものを事前に相談を受けておったのかどうか、私は疑問に思います。  一部のマスコミ報道では、事前の相談を受けていなかったJR三社はこの構想を示されて跳び上がるほどびっくりした、JR日本の幹部は、採算の見通しがあるなら国鉄時代に既に建設しておるよ、赤字になることがわかっておるのにつくれと命令するやり方は国鉄時代と全く同じだ、新幹線をつくるより旧国鉄債務を返すことの方が先決のはずだ、こういうことを言われておるということが報ぜられております。私はまことにもっともな意見だと思うんです。しかし、当初はJR三社は猛烈に反発したけれども、結局は説得されて抑え込まれて約束させられた、こういうようなマスコミの報道があるんですけれども、こういうことを考えた場合に、私はやっぱり過去の国鉄時代がまたこれでよみがえってくるのではないかという気がするわけであります。この点についてはいかがですか。
  366. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) まことに恐縮でございますが、先生の御理解が若干間違っておりますので、この機会をかりまして御説明させていただきたいと思います。  まずこの既設新幹線の買い取り問題でございますが、これを我々が提案いたしましたのは整備新幹線をつくるためではございませんで、むしろ上場をいかにして円滑にするかというためでございます。私どもの行政目的の大きなねらいは、今のJR各社をなるべく純粋の民間会社に早くする、これが目標でございまして、そのためには平成三年度にも株の売却・上場しようかという準備はしておりますが、その前提といたしまして、このJR本州の三社の重要な資産、営業のための基盤となります新幹線がリース制という不安定な制度の上に立脚していたのでは株主対策という意味において大変問題があるという専門家からの大変強い御意見がございまして、ぜひこれは譲渡をした上で資産と債務の関係を明確にするべきである、こういう御指摘がございました。  例えて申しますと、私どもがマンションを買いますときに、今の新幹線制度は賃貸マンションに入っているのと同じでございまして、毎年賃貸料を払うけれども、資産は自分のものにはならない、こういう制度になるわけでございます。それに対しまして、きちんと譲渡した上でローンで払う、そのかわりマンションは自分のものになる、こういう制度にした方が経営としては安定するであろう、こういう御指摘がございまして、その辺の理由をつけてJR三社さんと文字どおり毎日顔を合わせまして調整をいたしました結果、当初と違いましてその辺の真意を御理解いただきまして、最終的には御了解いただいたというものでございます。  なお、この結果、当面損益上では確かにマイナスが出ます。マイナスといいますか、マイナスの効果が発生いたします。これは資産が自分のものになりますから減価償却費が計上されますし、あるいは金利負担も出ますからマイナスにはなりますが、幸いにも昨今のJR経営状態を見ますと、このマイナスを十分カバーしてなおかつある程度の利益を計上できますし、それによって株の上場には何ら支障はないという見込みを我々は持っておりますし、JR三社さんも持っているところでございます。さらに長期的には、減価償却費を積み立てることによりまして内部留保ができまして経営基盤の強化には役立つ。したがって、今回の措置は長期的には経営基盤の安定に大きな貢献をするものと考えておりますし、この点につきましてもJR各社とは意見の相違は全くございません。
  367. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、重ねてお伺いしますが、昨年十二月の「政府・与党申合せ」では、軽井沢―長野間がミニ新幹線という予定であったのをフル規格ということになりました。そして工事費も三千億円ふえることになった。この変更はJR日本考えに基づいて行われたものかどうか。  私はそうじゃないと思うんです。これもJR日本側は、当初はその建設費の五〇%をJR側が負担するという合意があったけれども、この合意をしたのは従来の枠組みの話のことだ、つまりミニ新幹線のときの話だ、三千億円も膨らむものをその五〇%はとても持てない、これはそのフル規格を決めたところが責任を持ってもらいたい、こういう発言をJR日本の幹部がやっております。こういうことを見ても、これはJR側が決めたものじゃなくて、「政府・与党申合せ」で決められてそれが押しつけられているということをあらわしておるのじゃありませんか。
  368. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先ほど先生お触れになりました昭和六十三年八月の申し合わせ、この中で軽井沢―長野間につきましてはミニ新幹線にするかあるいはフル新幹線にするかにつきまして三年以内に結論を出しましょう、こういういわばペンディングになっておりまして、そのタイムリミットがことしの八月でございます。したがいまして、平成三年度の予算の中でフルにするかミニにするかを決めなければいけないという状態になっていたわけでございます。そこで、地方公共団体の御要望、あるいは我々の内部でいろいろ検討いたしました結果、現在北陸新幹線は高崎から軽井沢まで既にフルで着工いたしております。したがいまして、それをそのまま延ばすことが地域の御期待にもこたえられるし、輸送需要に対応するにもベストではないかということで、地元との調整がつけば、あるいはJRとの調整がつけばフルにしましょう、こういう決定をしているわけでございます。  そこで、JRとの調整でございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、新幹線をつくることによって受けるメリットの範囲内で建設費を負担する、このルールさえ守ってくれるならば軽井沢―長野間のフルは受け入れてもいい、受け入れる、こういうJR東の方の御意見も伺っておりまして、ミニ新幹線からフル新幹線にすることによってさらにある程度の需要は伸びるわけでございますから、これによるメリットの分だけは負担していただきますが、今先生お話しになりました三千億に対応するそのすべてについて新たにJR東に負担を課すという考えはございません。したがいまして、JR東と私どもとはこの点につきましても意見は一致しております。
  369. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、国鉄改革、いわゆる民営化をした理念は、やっぱり国鉄がああいう破産の状態まで追い込まれた大きな要因として採算性を無視した政治の介入があったからだと思っております。したがって、今回の整備新幹線もそういう面を十分に配慮しないと第二の国鉄になることは間違いないと思うんです。  大体昔から、鉄道建設の歴史は利権の歴史であるなんて言われておりますが、そこまで言わないにしても、少なくとも鉄道建設が選挙の票集めの道具になったことは間違いありません。それも日本の幹線をつくる段階日本のニーズに合致したものだから、それはそれでもよかったと思うんです。ところが、幹線があらまし引かれたら、今度はもうつくるところがなくなってAB線をどんどんつくり出したわけです、地方の枝葉の線を。これは鉄道建設のコストと需要とのアンバランスを生んでいくとわかっておりながら、選挙のためにはつくらざるを得ないということでほとんどつくってきた。  今度の整備新幹線も私はそういう要素がかなり強いと思うんです。政治のサイドからの非常に強い要請があります。政治の力が強くなって、それぞれJR各社の自主性というものを阻害するようなことがあっては、私は国鉄の二の舞を踏むだろうと思うんです。やがて全国の鉄道新幹線時代を迎えることは当然の方向だと私は思いますけれども、しかし、それはやっぱり民営化された会社の創意とか経済合理性を生かした中で進めていかなければならないものであって、政治がごり押しをすべきではないと思うんです。私は、臨調が言った運輸行政の改革もそういう基本的な思想というものが背景にはっきりあって行われたものだと思うんです。したがって、運輸省としても政治とJRとの板挟みになってつらい立場だと私は思いますけれども、この本質を曲げないようにぜひお願いしたいと思うのであります。  私は、「政府・与党申合せ」なんかによってどんどん進められるんじゃなくて、政治サイドを抜きにしてJRと有識者による審議会というようなものをつくって、そこで長期的な計画とかそういうものをもっと論議をし、また国民にもそれを明らかにして進めていった方がいいのではないかと思いますが、この点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  370. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 田渕先生の趣旨は、新幹線について政治の過剰介入を排除すべきでないか、全くそのとおりであろうと思います。  私も、大臣になりましてからまだ日が浅いのでございますが、いろいろ今までの経過を見ますと、この新幹線は各地域、正直に申し上げまして、これは政治というよりその地域の人方がたすきがけ、ねじり鉢巻きでつくれというような状況も見ております。それにつきまして、政治家の与野党を問わずつくれ、こういうのが十数年続きまして、ようやっと財源問題で鉄道整備基金をつくりまして、今部長お話ししましたようにJRとも十分とお話をし、また今後の問題につきましては審議会の御意見も十分聞きまして、第二の国鉄は絶対につくらないということを大前提にいたしまして、投資効果を考慮した基本スキームに沿って着実に整備を進めていきたい、こう考えておりまして、今後とも先生指摘のようにならないようにやっていくつもりでありますので、どうぞよろしくお願いをいたしたい、こう思っております。
  371. 井上孝

    委員長井上孝君) 以上をもちまして本案に対する質疑は終局いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会