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1991-04-23 第120回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十三日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月十七日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     市川 正一君  四月十八日     辞任         補欠選任      市川 正一君     山中 郁子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         一井 淳治君     理 事                 陣内 孝雄君                 永田 良雄君                 大森  昭君                 星川 保松君     委 員                 長田 裕二君                 沢田 一精君                 中曽根弘文君                 平井 卓志君                 平野  清君                 守住 有信君                 及川 一夫君                 國弘 正雄君                 三重野栄子君                 山田 健一君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 足立 良平君    国務大臣        郵 政 大 臣  関谷 勝嗣君    政府委員        郵政大臣官房長  木下 昌浩君        郵政省通信政策        局長       白井  太君        郵政省電気通信        局長       森本 哲夫君        郵政省放送行政        局長       桑野扶美雄君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        水産庁海洋漁業        部漁船課長    成澤 信輔君        運輸省海上技術        安全局安全基準        課長       山本  孝君        運輸省海上技術        安全局船員部船        舶職員課長    丸山  博君        海上保安庁装備        技術部通信課長  谷口 雅文君        海上保安庁警備        救難部救難課長  赤石 憲二君        海上保安庁水路        部水路通報課長  後藤 康男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○電波法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 一井淳治

    委員長一井淳治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、電波法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。関谷郵政大臣
  3. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約附属書の一部改正発効に備え、義務船舶局等無線設備条件及び遭難通信責任者の配置について定め、並びに船舶局等の運用に関する規定を整備する等のため所要改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず第一に、無線設備設置しなければならない船舶局には、遭難通信及び一般通信を行うための所要機器を備えることとしております。  第二に、無線設備設置しなければならない船舶局には、それが故障した場合に備え、予備設備設置等所要措置をとることとしております。  第三に、新たな海上安全システムで用いる無線設備については、郵政大臣の行う型式についての検定合格した信頼性の高いものを施設することとしております。  第四に、国際航海に従事する旅客船等については、遭難通信を確実に行うための無線従事者を配置することとしております。  第五に、最近の無線設備自動化進展等に伴い、船舶局については、人を配置して義務的に運用しなければならない時間を撤廃することとしております。  第六に、遭難通信の確実な疎通のため、船舶局等が聴守すべき周波数及び時間に関する規定を整備することとしております。  以上のほか所要規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律施行期日は、平成四年二月一日から施行することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 一井淳治

    委員長一井淳治君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 山田健一

    山田健一君 おはようございます。  それでは、電波法の一部を改正する今回の法律案につきまして御質問を申し上げたいと思います。  今提案理由の御説明がありましたが、今回の改正案につきましては、一九九二年、来年の二月いわゆるSOLAS条約発効を見る、それに伴ってGMDSS導入をされる、それに付随をしまして機械設備設置を含めて保守の義務等々いろいろ規定をされていくわけでありますが、それらについての改正ということで今回提案がなされているわけであります。今回のこのGMDSS導入、今ありましたように技術革新といいますか、無線設備自動化といいますか、そういうものを受けて進められているようでありまして、それなりに一定の意義は感じているわけであります。  ただ、そうはいいましても、何といいましても海上での無線通信、非常に重要な役割を担っている。とりわけ、船舶の安全なりあるいは人命尊重、こういうことを考えれば、海上での通信ということになりますと唯一の通信手段というふうに言ってもいいかと思います。それだけに、GMDSS機器有効性なりあるいはシステム全体としての有効性、こういうものがやっぱり十分保証される、検定の上確認をされるということでないと大変なことになるだろう。  それでなくても、前回電波法改正のときもいろいろと議論がされました。その後も、いろいろ資料をいただきましたが、実験等もこれ行われて おります。現実の問題としてうまくつながらなかったり、あるいは衛星を介してということになれば衛星安定性、そういう問題もある。あるいは、今度出てくるEPIRBの問題にしても、これまたそこら辺の有効性確認といいますか、こういうものについても現段階で言えばいろいろ不安がまだ一方であるんではないか、こんなことが言われておるわけであります。前回電波法改正前回の場合は通信士の資格の問題とか、周波数の割り当て等あったわけでありますが、そのときの衆参での附帯決議を見ましても、このGMDSS導入に当たっては実証実験を十分行って信頼性を高めるべきである、こういう附帯決議が実はつけられておりました。  こういった経過の中で今回改正案提案ということになったわけでありますが、今申し上げましたGMDSS機器有効性といいますか、安全性といいますか、そういうものの実証あるいはまたシステム全体としての実証、こういった問題について郵政省としてどう取り組んでこられたのか、まずこの点からお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ただいまのGMDSSについての基本的な考え方は、先生おっしゃるとおりでございます。従前遭難安全システムというのは、モールス中心にいたしておりましただけに、聞ける範囲というのはどうしても限界がある、あるいは突発的な事態にうまく、手動で行うものでございますから、確実にこれを届けるという点についての難点がある、あるいはこのごろ若い人がモールス信号というものの習熟がなかなか難しくなってきた等々、全体としてやはりお説のとおりの遭難安全システムというものについて、さらに新しい衛星技術だとか、ディジタル技術だとかあるいは自動化技術、こうしたものを根本的に改めて導入できないだろうかという議論が随分前からございました。  国際海事機関、IMOというところで、一九七九年のことでございますのですが、「海上遭難安全システムの開発に関する決議」というものがこの年に採択されまして、それから最近に至るまで約十年間余りにわたりましていろいろ議論を重ね、最終的に来年二月から全世界的に導入される、こういうことに相なったわけでございます。  こうした今までのシステムにかえて新しい技術導入することですから、当然それについては十分慎重な用意がなきゃならぬ。この点は世界各国共通の認識でございまして、これまで世界各国でさまざまなこの実証実験が繰り返されております。もちろん、日本参加をいたしておるわけでございますが、いずれも有効性確認されたという報告がなされて、明年の二月から導入するということでございますので、私どもとしてはこのGMDSS世界じゅう十分議論をし、実証を重ねてやってまいりましたシステムを円滑にひとつぜひ導入をし、このシステムの機能が十分発揮できるよう期待を持っておるところでございます。
  7. 山田健一

    山田健一君 前段の部分はともかくといたしまして、今局長の方からお話がありました後段部分で、世界的にいろいろ実証実験が行われてまいりまして有効性確認をされたと。  実証実験のいろいろデータ等もせんだってより拝見をさせていただいております。また、実証実験の時期を追っての取りまとめをした資料もいただいておりますけれども、これの「試験状況」というところを見ますと、「有効性確認。」ということで皆確認がなされているように書いてあるんですが、確認できたと判断できる材料といいますか、私もちょっと資料を求めておったんですが、そういうものが全く出てこない。どういう気象条件のもとでこれはやってみて、こういうデータ有効性確認をされたということのバックグラウンドデータというものが示されていない。ただこれずっとそれぞれ「有効性確認。」ということばっかりが実は載っているわけであります。  例えば一九八八年一月、フランスで行われた衛星EPIRB無線設備実証実験なんかにつきましても、これは波高メーターから十メーター風力八から十、こういうことで「荒海中での試験を行い、荒海での有効性確認。」と、こういうことになっておるんですね。  この辺は、実は私もついせんだってお話をお伺いしたんですが、まあ仮に十万トン、二十万トンクラスということでいきますと、実際には風速三十メーターぐらいのが来てもどんどん航海していく、波も十何メーターというのもある。そういう中を、外国航路で走っていくということになりますと、いわゆるここにある例えば風力八から十、波高も四メーター、いろいろデータありますが、波の高さも十メーターを超えるような中で、実際の悪天候の中でいろいろとやられて、これでオーケーということになったのであれば有効性確認ということになるのでありますが、そこら辺が全く示されていない。それじゃどうしてこれで有効性確認をされたのかというような気がしておるわけでありますが、ここら辺はどういうふうにお考えになっておられますか。
  8. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) この実験自体は、先生もお手元にお持ちのように、ITUという国際電気通信連合、あるいはインマルサットという国際機関、あるいは各国が共同してとさまざまなレベルで、我が国も当然郵政省とかあるいは海上保安庁とかが参加もいたしまして、私どもでこの機器実験についてデータを把握している分でも大体全体で十六回ぐらいは直接いろんな報告が手に入っている、こんな状態でございます。  お話のございましたいろんな機器が、御案内のとおり全体で十六種類機器をそれぞれ船舶の大きさに応じて、そして海域に応じて、つまり届く距離が問題でございますので細かく決めておるわけでございます。そういう意味で、そのさまざまな新しいGM機器について実験をいたしております。お話衛星EPIRBでは、フランス実験というのも一九八八年一月にやって今お話しのようなことがございましたが、八六年の実験ではこれはCCIR中心になりました。CCIRと申しますのはITU下部機関でございます。無線通信に関する専門委員会でございますが、約一年かけて世界各地実験を繰り返した。この実験には、米国、ソ連、西ドイツ、イギリス、ノルウェーそして日本、この六カ国が参加をいたしまして、洋上実験あるいは国内的にもそういう実験参加もいたしました。その結果、先ほどお話ございましたが、十メートルを超える波高においても正常に機能することが確認されたというデータもございます。  なお、この種の新しい機器につきましては型式検定というものを行うことになっておるわけでありまして、その際には落下試験というものもあわせて実施されるという点で耐久性を検証することができる。こういうような形で、大事な機器でありますだけに、これまでの実験結果を十分踏まえ、そしてその結果が型式検定という形で十分チェックをした上で船に備えつける、こういう態度でこれからGM導入したい、こういうことに相なっておるわけでございます。
  9. 山田健一

    山田健一君 型式検定の問題は後ほどお伺いをいたします。  今申し上げましたように、いろいろデータが出されております。ただ、技術的には確かに先進国だと言われる日本で、このGMDSS導入に当たって、いろんな気象条件のもとでやったきちっとしたデータに基づいて、その上に立って初めて有効性確認をされた、こういうことになるのであればいいのでありますけれども、現状とすればそういうことがなかなかそうなっていない。したがって、特にいろんな事態を想定しながらやられなきゃならぬのでありますが、その辺についても一抹の不安がこれありということでまたいろいろ指摘を今されている状況であります。  さらに、自前といいますか日本でやられた私の資料では、例えば一九八七年の十二月から一九八八年三月、七月、日本全国五カ所、大島近海及び富浦湾ですか、衛星EPIRB関係ですが、これの試験状況が示されております。いただいた資料をずっと見ますと、衛星EPIRB関係で海 上試験が行われておるんですが、実験の結果、海上においてはこのEPIRBが出す信号検出確率、どのぐらい受信をされたかというのを出しておるんです。例えば新島、ここら辺では八割です。これはEPIRBのA、C、Dとあるんですが、Dあたりに至っては六六・七%という低い状況です。大体七、八割程度確率確認をされておる、こういうデータなんですね。  有効性確認、それは六割でいいというのか、あるいはまた一〇〇%まではいかないにしても九五、六%の精度があるとか、そこら辺の程度、どこに判断基準を置くかでも違いますが、少なくとも七割から八割程度というようなことで「有効性確認。」とこれまた書いてあるんですが、こういうことで果たして大丈夫なのか。率直に言ってそういう疑問を禁じ得ない状況なんでありますが、これらについてはどういうふうにお考えになっていますか。
  10. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 実験は、当然のことながら相当精密な形での測定というものを伴っておるわけでございますが、例えば今回入れますDSCというディジタル選択呼び出し装置、この実験でも東京とグアム、ポーツマス、ヘルシンキ、レニングラード等々の世界じゅうの九つの送信局、そして十七の受信局の間で約千三百回の呼び出しを行ったというCCIR実験がございます。これは、非常に不安定な短波のディジタル選択装置でございましたけれども、九〇%以上の確率受信をされ、複数の周波数を用いれば一〇〇%近い確率受信されるということが確認されてもおるわけでございます。  ただいまの衛星EPIRBの問題も、衛星一個を通過する際に約七割とか八割とかというようなデータが出ますが、これを次々の衛星を通過してまいりますと、その確率がさらに高まってくるというふうな形で、いずれにしてもこの辺については世界じゅうがこのシステムに乗り移ろうというわけでございますから、私どもとしてもさまざまなデータ各国態度、そういうものを総合勘案すれば、こうした新しい機器については十分な信頼性を持てるものと考えておるわけでございます。  ただ、何せ初めてのことであることには違いないわけでございますから、これからのスタートについてはそうした問題を含めて経過措置を置くなり、さまざまな形でできるだけスムーズな移行を図ろう、こういうことに相なっているのは先生案内のとおりでございます。
  11. 山田健一

    山田健一君 今DSC関係お話がありました。そして、EPIRBのものも衛星一個という話ですが、四個ぐらいあるんですかね、六個ですか、次が来るまでまた時間かかるわけですから、その意味では一個だからそのぐらいの確率というふうに言われると、これまた実は困るのであります。そういった最後の、後段で言われましたように、実証実験データ等を見ても、まだまだ本当にこれで有効性というのが判断できるのかなという疑問も実は強く感じているわけであります。  加えて、先ほどお話がありましたけれども型式検定が行われるということであります。平成三年三月末でいわゆる合格機種が二十一ということになっておりまして、通信研究所あたりでいろんな条件に応じた検定ということが行われているようであります。これは、少なくともこの検定試験合格をした機器なりそういうものを使って実験をやって、そしてデータを出して有効性ということになるんじゃないですかね、普通は。私はシステムの問題を言っておるわけですよ。システムとしての有効性の問題を判断するときには、一定型式検定合格した、よし、これでこの機器については大丈夫ということになって、それを現実に使って、少なくとも郵政省で決められておる条件をクリアした機器で実際に実験をやっていって、こういうデータ有効性確認をされた、こういうことにならないとおかしいんじゃないか。  特に今任意検定でやっておるわけでしょう、実際には。今度来年二月一日以降は任意検定をやって、オーケーのものはそのまま義務型式検定合格という取り扱いを受けるわけでありますから、その意味からいえば、そういった今の任意でやっておられる型式検定有効性の問題も当然問われてくる、こういうことになるわけでありまして、型式検定合格機器、さらには実証試験との関係、この辺についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  12. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 現在はまだ法律改正もしていないわけでございますから、EPIRBというものを設置しようとする際には、まだ基準義務にはなっていないわけですが、気の早いところといいますか、今から新造船をつくったりいろんな設備をする際には、できるだけもう新しい対応をしようという方々もいらっしゃるわけでございます。  そういう意味で、例えばEPIRB一つとりましても、無線機器型式検定規則三条というようなところで、具体的に今この型式検定連続動作四十八時間だとか、あるいは落下は高さ二十メートルとか、あるいは水密は深さ十メートルで五分間だとか、さまざまなチェック環境条件というものを整え、そしてまた電気的な性能条件は当然のことでございますが、いずれにしてもさまざまな型式試験項目というものを既につくっておりますが、これはあくまでも確かに現在は任意でございます。しかし、これはこれから義務になりましても基準は同じものということで、既にその基準のあり方については世界各国共通性能に従ったものにいたそうということになっておりますので、来年以降の検定もこれまでにやっている検定も同じことに相なっておる、中身は同じものでございます。
  13. 山田健一

    山田健一君 この問題だけでも一時間ぐらいどうも本当ならかかりそうでありますが、まだほかにもちょっとただしたいこともありますので、大臣、こういったいろいろと今まで実証実験も行われ、データについてもいろいろまとめてまいりましたが、なおかつ十分だと、そして本当に有効性確認をされて、船舶の安全なりあるいは人命尊重にとって極めて重要な役割を果たすこの無線通信設備GMDSS、これは大丈夫ということになかなか現段階なっていない。加えて衆参前回附帯決議でこの実証実験については十分やれと、こういう一つ決議もなされているという背景の中で、今回この改正を迎えているわけであります。  これは、一九九九年まで移行期間を設けてやっていく、新規に設置をされていく機器等については、あるいはまたこのGMDSSシステム全体の一つ有効性、こういうものについてはなおかつ十分な対応というものが求められているんではないか、こういうふうに考えておりますが、大臣の基本的なこの問題に対する御見解を賜りたいと思います。
  14. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 大変この問題は技術的な問題も含めてあるわけでございますが、そういうような意味におきまして、ぎりぎりといいましょうか、完全なる信頼を得ることができる、その方向に向かって今後ともなお厳しく対処をしていくといいましょうか進めていく。御指摘のように、一九九九年までにずっと移行をしていくわけでございますから、その間なお確実性というものをあらゆる角度から、この法律が成立いたしましても見守っていくというような状態で進めていくべきであろうと、またそのようにやっていきたいと考えます。
  15. 山田健一

    山田健一君 そういうふうにぜひお願いを申し上げたいと思います。  次に参ります。  三十四条の関係でございますが、義務船舶局等無線設備条件ということで、今度の設置をする場所の問題でございます、無線設備設置について。聞くところによると、これは衆議院でもいろいろ指摘をされて、設置をする場所については当然この法案の中で明記をするべきではないか、こういう意見も現実に出されております。事実、条約なんかにおきましても船橋にという形で示されておるのであれば、当然そういう形になろうか というふうに思っておりますが、せめてその設置場所といいますか、当然ブリッジということになるんだろうと思います。この辺については、「郵政省令で定める」ということになっておりますが、具体的には一体どういうことをお考えになっておられるのか、設置場所についてはどういう具体的な規定の仕方をされていこうとするのか、その辺についてひとつお尋ねをしておきます。
  16. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) この問題、GM無線設備と申しましても、さっきも申し上げましたが、全体で十六種類にもなっておるわけでございますが、これをどこに置くかと。お話のようにSOLAS条約では、この機械ブリッジに置きなさい、あるいはこの機械ブリッジの近くに置きなさい、いろいろ機器によってその置き場所が区々になっておるわけでございます。  従来のモールス中心とした無線電信では、やはり五百キロヘルツのところの無線を他のノイズを排してきちんと聞くというためには、どうしても独立の通信室というものを設けて、これは条約は決めがあることでございますが、そこでひとつモールスを聞きなさいと、そういう意味場所の特定というのがあったわけでございます。その上で、その通信室ブリッジの間は離れていることも多いから、その間にはこういう連絡設備をとりなさいというような形で皆SOLASに決め、それを受けて旧あるいは現行電波法でもそうした規定を置いておったわけでございます。今回のGMはほとんどが自動機器でございます、御案内のとおり。したがって、従前通信機の置き方とはまるっきりごろっと様相が変わるわけでございます。  そういう意味で、今のお話のように、場所をどこでどうするのかという問題でございますが、実はこの三十三条というところでこのGMに使うべき機器、これは運輸省の方でまずどの船には義務とすると、こう決めるわけでございます。その義務にする種類の積むべき通信機器については、これは三十三条で「省令で定める機器」となっておるわけでございます。代表例がいろいろ書いておりますが、今後の技術開発もいろいろ出てまいりましょうから、法律にずばりすべての機器を羅列することもこれは適当でなかろうということで、三十三条で機器種類の詳細は省令で定めるよということに相なるわけでございます。  御指摘の三十四条については、その置く場所の基本原則として、これは従前にもあったことでございますが、さらに厳しい条件をつけて、当該無線設備の操作に際して機械的原因とか電気的原因とかその他原因によって妨害を受けることがない場所であるとか、あるいは水や温度やその他環境の影響を受けるような場所であっても困るよと、大事な機器ですからとか、そういう原則論を言っておるわけです。  したがって、具体的な場所はこの法律から、さらに細目は省令で定めざるを得ない。中には、ブリッジに置くということを書く機器もあれば、あるいはさっき申しましたように新しいSOLASでは、さっき出た議論先生お話EPIRBなんというのは船橋の近くに置く、あるいは船橋から遠隔操作ができる、こういう状況にもなっております。あるいはまた、いざというときの救命にもかかわる大事なレーダートランスポンダー、これは生存艇に迅速に持ち運べる場所に置く、あるいは生存艇、救命のボートですね、そこにつけておけと、こんな決めになってございますので、こうしたことをしんしゃくして省令で具体的な機器場所を書く、こういう段取りにいたすつもりでございます。
  17. 山田健一

    山田健一君 従来の通信室の概念がなくなってくるということに伴って、それじゃ例えばインマルの設備なんかはどうするんだということが必ず出てまいります。要するに警報が出るにしても、今度は船内のそういった組織、船舶職員との関係も出てまいりますので、そこら辺の判断なり連絡なりという問題も当然絡んで出てくるわけであります。そういった意味で、主要機器をどこに設置していくのかということについて、場所等の規定の仕方について今お伺いをしたわけでございまして、一応そういう形で省令で制定をされるというふうにお伺いをいたしておきます。  続いて、三十五条の関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  三十五条の一、予備設備関係ですが、現行三十五条でいきますと、郵政省令で定める条件に適合する補助設備を備えるということになっております。これが結局なくなってくるということに伴って設備の二重化ということになるんですが、具体的にどういうものを想定されておるのか。設置をされる設備とほぼ同様の設備になるのか。それは海域ごとによって異なっていくのか。どうもコストも、いろいろ聞いてみますと随分値段が高いようでございます。機器によってはそういうことも出てくるし、当然そのことによっては負担能力等の問題もこれ関連をしてくるわけでありますが、大体どういう設備、海域ごとに決めていくのかどうなのか、そこら辺の予備設備関係についてどういうふうにお考えになっておられるのかお尋ねをいたしたいと思います。
  18. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ここに書いてございます三十五条という趣旨は、これまでと違って今度この新しいGMDSS先ほどから先生の御指摘のとおり命綱になるわけでございますので、この無線設備がきちんと動作するというのは極めて大事な要件になるわけでございます。  それにはやっぱり保守というものがうまくいってなきゃならぬ。その方法はどうするかということで、この三十五条にございますように「予備設備を備えること。」、この予備設備というのは、端的に言えば今船に積んでいるのと同じ設備をもう一つということでございます。それから、二番目の「その船舶の入港中に定期に点検を行い、並びに停泊港に整備のために必要な計器及び予備品を備えること。」というのは、これはちょっと表現からはおわかりにくうございますが、船が港に入ったときに、そのときに保守をするという保守の仕方でございます。三つ目の「その船舶の航行中に行う整備のために必要な計器及び予備品を備え付ける」ということは、航行中にもその保守品を置いて船上で保守をする。  この三つの方法のうち、海域に応じて「一又は二の措置をとらなければならない。」。つまり、うんと遠くへ参りますときには、できるだけ安全を図るために二の方法による。具体的に海域について書いてあるわけでございますが、SOLAS条約に決めがございますわけですが、そうした選択を、どれでもいいから、しかしきちんとその海域に応じて一つまたは二つ選択しなきゃなりませんよという決めがこの三十五条でございます。  お話のように当然経費のかかることでもございますから、保守の仕方あるいはその航海の日程、どこへ寄港するかさまざまな条件がございますので、許されたこの方法のうち、その無線免許人が最も自分に適当な方法を選択してよろしい、こういう決めが三十五条でございます。
  19. 山田健一

    山田健一君 ちょっと質問を、私が言うことをよう聞いておいてください。私は、陸上なり海上での保守を今お伺いしたんじゃないんです。最初の「予備設備を備えること。」ということに関連をして今お尋ねをしたわけでありますが、この問題は後ほどいただきます。  その三十五条の二、今御説明のありました入港中に定期点検、こういうことになっておりますが、そのことについて今度お尋ねしますけれども、定期点検の間隔、これをどのぐらいと考えておられるのか。そして、陸上でいろいろ点検を、保守を行うということになるわけでありますが、その保守を行う者の条件あるいは資格、こういうものはどういうふうにお考えになっておられるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  20. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) どうも失礼しました、三つの方法のうちの一つだと思ったんですが。  陸上保守についてのお話でございますのでその問題について申しますと、陸上保守を選んだ場合には、船舶が入港中は定期に点検を行うとともは、ふぐあい箇所がきちんと整備できるように計 器とか予備品を配備することを先ほど申し上げたように三十五条で書いてあるわけでございますが、具体的には周波数測定装置等の計器あるいは送信機の出力ユニット、発信ユニット、そうしたものを省令で規定する考えでございます。今のお話のように、陸上保守をもし選択いたしましたらば、その時点でこの法律の定めるあるいはそれに従った省令に従って具体的な点検、保守を行ってもらうことを期待しておるわけでございます。
  21. 山田健一

    山田健一君 選択の問題はわかっておるわけですよ。一または二、そして海域によってはどれか二つを選択しなきゃならぬ、こういうことになっているわけであります。  この二号で示されておる「定期に点検を行い、」ということになっておりますが、陸上で保守をする場合の定期点検というのは、具体的にどういう間隔で行われるものを想定しておられるのか。そしてまた、陸上でその保守を行う、メーカーになるのか修理業者になるのかわかりませんが、そこら辺の行う者の資格なり条件、こういうものはどういうものをお考えになっておられるのかということをお尋ねしておるのであります。
  22. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) おおむね、具体的な商船というようなことを事例にとりますと、大体半年に一回ぐらいというのが実態にも即することになるし、こうした機器安定性ということを考えれば大体その見当に相なるかな、こう思っておるわけでございます。  これをやる場合は、当然のことながら専門の知識がなきゃだめでございますので、多くの場合はメーカーあるいはこうしたことを専門に行うそういう事業者等が考えられるところでございます。
  23. 山田健一

    山田健一君 だから、そういうメーカーなり修理業者が考えられるわけでありますが、これもそれなりの高度な技術というものがやっぱり求められておる。したがって、その行う者については一定条件なり資格というものが必要になってくるんではないかということを今お尋ねをしたわけであります。  さらに、もう一点お尋ねをいたしますが、例えばこの停泊港で、寄港したときにやるということになれば、当然国内だけで対応する場合もあれば、いわゆる外国の寄港先で陸上保守ということも当然あり得るわけであります。例えば、開発途上国あたりの場合ですね、その陸上での保守というものが十分やっていける、そういう保証があるのか。これも世界的に一九九二年から一九九九年までの間にそれぞれが順次取り入れてやっていくわけでありまして、例えばどこかの外国の港に寄ったときに、半年に一回ぐらいを想定しながらその定期点検をやるにしても、それに対応できるようなきちっとした対応がとれるのかということも問題に当然なってくるわけであります。こういったいわゆる開発途上国あたりを含めての陸上での保守というものにどう対応されていこうとするのか、そのこともあわせてお尋ねをいたします。
  24. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 確かに途上国あたりでは必ずしも十分でないということは十分想定されるわけでございます。そのためにも経過期間を置いてできるだけ円滑な移行を図ろうとしておるわけでございます。その国がたまたま体制が不十分であっても、日本だとかあるいはこうしたことに通暁している諸外国たくさんございますが、さっき申しましたそうしたメーカーだとか保守事業者というのが、主な国に出先だとか提携会社とかいうものがございますので、そういうサービスで対応は可能だろうと、こう思っておるわけでございます。  なお、途上国がやはり今のままでまいりますと、世界的なシステムとしてやはり欠陥といいますか、全体としてのレベルの低下ということは十分考えにゃならぬわけでございますので、我が国みたいな経済大国といいますか、あるいは海洋国としましては、特にやっぱりそうしたことは今後気を使って、こうしたレベルアップについて対処しなきゃならない。今後行く先、あるいはODAとか、そうした形というのも一つでございましょうし、それから私どもについても、この平成三年度の予算におきまして、開発途上国におけるGMDSSの整備のあり方について昨年予算が認められまして、調査研究を具体的に平成三年度に行おうと思っておりますので、こうした成果を途上国への発展につなげたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  25. 山田健一

    山田健一君 もう一つお尋ねをしますが、今の三十五条の三に関連をして、いわゆる航行中に行う整備、船上での保守の関係でございます。これは従来、当然これが大前提という形で船舶の安全という問題についてはとられてきた。その観点からいえば、この船上保守といいますか、これがやはり私は基本でなくちゃならぬのではないかなというふうに思うわけであります。これは、SOLAS条約改定時の状況を見ましても、いろんな議論がこのことをめぐって行われてきておるという経過の中でも、そのとおりだろうというふうに思うわけであります。  そこで、これは海上安全船員教育審議会の答申、平成三年二月四日に実は審議会の答申がなされております。その中で、一番最後に「付記」というのがございまして、船舶職員制度のあり方について労働側委員からのいろんな要望が出されている。「船舶職員法上の通信士の配乗が必要となる船舶については、極力船上保守を基本とした海技士(電子通信)が配乗されるよう努めること。」と、特に船舶職員制度の関係に絡んで船上保守をやっぱり中心考えていかなきゃならぬ、こういう方針がこの答申の中で示されているわけであります。  場合によっては一と二、さっき言いました設備の二重化なりあるいは陸上での保守、こういうことになれば三の船上保守というのは必要ないというケースだって実は出てくるわけであります。そういうことを考えれば、この船上保守という考え方があくまでもやっぱり基本でなくちゃならぬというふうに思うわけでございますけれども、こういった保守義務のあり方について、大臣の方で基本的な考え方といいますか、そういうものがあればお示しをいただきたい、このように考えております。
  26. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) もしその船上保守を選ぶといったときには、お話のように、そのための必要な資格者の配置、そしてまた修繕を行うための機器現実に置いてある必要があるわけでございます。で、船上保守を行う場合には、無線設備のどうしても技術操作というのが伴うわけでございますので、そういう意味では一定以上の能力がなきゃならぬということで、船上保守を行う船舶局につきましては原則として第二級海上無線通信士以上の配乗が必要であるということを私ども無線従事者の操作の範囲等を定める政令というところでも具体的に定めておるところでございます。  お話のように、船上保守についてはそれが望ましいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、二つを選んだ場合には、それ以上のことをまた要求するのも大変免許人にとって過大なことにもなるわけでございますので、この辺は最後は免許人の選択に任せてあるという構造になっていることは先生指摘のとおりでございます。
  27. 山田健一

    山田健一君 船上保守ということになれば二級以上という今一定考え方をお示しになられたわけでありますが、これと関連をして五十条で遭難通信責任者というのを今度配置することになります。これはどういう資格なり能力を持った人を想定されておられますか。
  28. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 具体的には、この遭難通信責任者遭難通信の重要通信を統括管理する責任があるわけでございますので、この点については船上保守をもし行わない場合には、第三級海上無線通信士がこれに当たるということもあり得ようかと思っておるわけであります。
  29. 山田健一

    山田健一君 そうすると、要するに無線通信士の一級、二級、三級、これはもう関係なく遭難通信責任者、場合によってはあり得る、こういうことになりますか。
  30. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 基本的には第一級から 第三級までレベルを分けてはございますが、この資格は無線設備技術操作の能力に応じて資格が分けられているわけでございますので、その通信の操作ということについては一級、二級、三級いずれも同じ能力だという全体の立て方になっておるところでございます。
  31. 山田健一

    山田健一君 そうすると、前回改正で、主任無線従事者というのがこの前のときに出てまいりました。これと遭難通信責任者との関係というのはどうなりますか。
  32. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 前回改正をお願いしまして導入しました主任無線従事者制度というのは、最近新しい機器がどんどんふえております、そしてまた信頼性も高くなっている、これは決して船だけに限らないわけでございます、各種の放送局だとかあるいは自動車電話の局だとか、さまざまな無線局を扱う、そういう技術の際にすべての人がすべてその資格を持つことを要求するのは現実に非常に困難にもなってきているし、また今申しましたような事情で必ずしもそういうことをすべてに要求することもいかがかということで、全体の無線設備の操作を、主任を置いて、その監督のもとであれば資格がない人でも扱えるという制度を導入したわけでございます。  現在のところ、陸上部門その他では主任制度がさまざまに利用されております。最近の状況では、これまででざっと六十九名ばかりに相なっておるわけでございますが、ただお話のこの船舶局には現在一名程度ということで、ほとんど主任さんは入っていないという状態でございます。今後もし主任というものが船上でも導入されるということになりましたらば、その主任がこうした職務を負う以上、通常はこの方がこの法律で言う遭難通信責任者になるものと想定をするところでございます。
  33. 山田健一

    山田健一君 そうなると、さっき言いました三級というのは、いわゆる通信の部門の運用だけですね。あれは保守はできない。そうなると運用だけ。そうして、主任でもし仮に遭難通信責任者ということになれば、これはもう全くの運用だけ。しかも、主任ということになれば、資格のない人にやらせるわけでしょう、実際に操作をさせるわけでしょう。そうなると、これはまあ理屈の上の話になりますが、保守ができないような人が主任になって、なおかつ遭難通信責任者、こんなことも現実に、例えば今言いましたA3、A4の海域で陸上と二重化、この設備を選択すれば要するに三級でオーケー。それで遭難通信責任者になり、なおかつ主任という格好になれば、結局運用だけしかできない。これで果たして、さあ緊急の事態が生じた場合に遭難通信責任者としての責任が果たせるのかなという気がしておるんですが、この辺はどうですか。
  34. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ちょっとさっきの説明が若干舌足らずだったせいかと思いますが、三級といえども全然保守はしないで運用だけだということじゃございませんで、さっき言いましたように、いわば保守能力の能力に応じた、レベルに応じてランクづけをしておるというわけでございます。この三級の場合でも外部の転換装置の技術操作なんというのは当然要求をされる資格の中に入っているわけでございます。そういう意味では、三級がやっぱり主任になれるというのは余り一般的だというふうには必ずしも言えないのかなと。具体的なケースですから、想定するのは非常に困難でございますけれども、全体が二重化ということになって陸上保守をする場合、そういうときにはオプションとしてあり得るのかなということで、御心配のように、無能力の人が主任になって、しかも遭難になってということの御心配というのは、必ずしもどうも当たらないのではないかと思っておるところでございます。
  35. 山田健一

    山田健一君 これは、例の条約関係で言えば、ファーストREC、セカンドREC、GOCそれからROC、こう分かれるわけですね、資格は。それに対応するものとして、GOCというのは三級海上無線通信士、船舶職員法上のそれに対応するのが三級海技士(電子通信)と、こういう形になるんだろうというふうに思うのであります。GOCの場合は機器の運用資格、こういうことなんですね。一級、二級に対応するものは、一級は機器の運用資格プラス船上ですべての機器の保守ができる技術資格者、そして二級の場合は船上で部品の交換程度ができる、三級は機器の運用だけ、部品の交換もできない。  陸上と二重化というものを選択すれば、これは要りませんよということになるのかもしれませんが、せめて部品交換の保守ができる程度技術者がということにならないと、こんな状況遭難通信責任者というのは大丈夫かな、私素人ですから、省みずこの辺の不安を抱いておりますから、この点についてもう一度よくわかるように御説明いただきたいと思います。
  36. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 御指摘のこの遭難通信責任者を置かなきゃならないケースというのは、今回のSOLAS条約で定めたものをそのまま法律にうたっておるわけでございますが、国際航海に従事するすべての旅客船及び三百トン以上の貨物船というものにこのお話遭難通信責任者というものを置くということでございますので、相当大きな船でございます。そうした船でございますれば、当然複数の通信士が乗り込んでいるということが想定されますので、ちょっと三級だけを取り上げて、この主任と遭難とすべてそういうケースが具体的にあるかというお尋ねについては、今別に法律で禁じてはいないということを申し上げておるわけでございまして、主任だって選ばれるかもしれないし、選ばないかもしれない。それは任意という制度になってございますので、現実の問題は、やはりおっしゃるように、相当の能力を備えた方がいわゆる遭難通信責任者になり、あるいは主任、今まではケースは少のうございますが、なる場合には相当上位の方がなるのが実態に近いのかなと考えておるところでございます。
  37. 山田健一

    山田健一君 理屈上の話を今ちょっと確かに申し上げました。現実問題としては、そういうことには恐らくならないだろうし、それなりのやっぱり能力のある方がしっかりと対応されるということに現実にはなるだろうというふうに私も期待をいたしておりますけれども、どうもここら辺の規定のあり方というものが私自身まだ十分よくわかっていないので質問しておるわけであります。  加えて今回は、確かに電波法上では通信長というのは、今度これでGMDSS導入されれば当然遭難通信責任者という形でいきますが、船舶職員法上は通信長は残るわけですよね、これから残っていく。こういうことになりますと、いろんな意味で乗り組んでおられる方々の一つの全体の組織のあり方として、私は混乱が生じないかなという気持ちがいたしておるのであります。  通信長がなくなる。現実には船舶職員法上では通信長はそのまま職責として、任務として残っていく。こういうことになるんでしょうが、恐らく今度の遭難通信責任者というのは通信長的な一つの任務といいますか、そういうものになるんだろうな、こういうふうに思っているのであります。もしそういうことであれば、どういうふうな具体的なこれから電波法上でいう規定の仕方になってくるのか、そこら辺ちょっとお尋ねしておきます。
  38. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 従前通信長が決めてありましたのは、やはりこれは国内法で決めたんではなくて、従前SOLASに根拠を置いたわけでございます。当時、モールス中心にします場合は、遭難通信ということも一つのポイントでございますが、同時にその船に乗っているお客様が世界各国と交信をするという上での国際公衆通信という部門もこのモールスに大きく依存しておった、従前SOLASでは。ということでございますので、この体系――今私失礼いたしました。SOLASと申しましたが、国際電気通信条約に決めております附属無線通信規則というRRと略称しておりますが、そこに根拠を置いて通信長を、そういう意味で公衆通信遭難通信という両方の問題があるから、こういう規定を受けて電波法でもこう規定をしてあった、こういうことで ございます。  先ほどのように、公衆通信というのは大変従前に比べて性能のいいインマルサット通信だとかあるいは自動接続による通信というのが主体になるわけでございますので、モールス無線通信時代のような経験年数を前提にしたような制度、つまり通信長の制度というのは必ずしも必要がなくなるということで、このRR、無線通信規則の上では不要だということになったわけでございます。しかし、やはり先ほどお話のように、遭難に対する責任というのはぜひきちんとしておかなきゃならないんでということで、今度はSOLASの方で遭難通信責任者というものを置けという決めになって、今回の電波法でもその配置をお願いしておるわけでございます。  ただ、これは経過措置が、先ほどもございますように、一九九五年一月三十一日までに建造された船舶は一九九九年一月三十一日までにGM導入することになっているわけでございます。そうすると、その間従来どおりのモールス系の無線を備える船では、これは従来の電波法が適用になる。これは附則にもうたってございます。したがって、その間は通信長の配置が従前どおり必要になる、こういう構造になるわけでございます。
  39. 山田健一

    山田健一君 したがって、だから任務的には通信長はその移行の後、通信長イコール遭難通信責任者という形になってくるのかなというふうに思っておるんですが、そこら辺はどうなんですか。現実にそういうものはまた任務として規定をしていくということになるのかどうなのか、そこら辺をちょっと今聞いておるわけであります。
  40. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 遭難通信責任者は、この法律にも書いてございますが、船舶局無線従事者証明を必要とする、こういうことになっております。これは従前通信長も同様な規定を置いてあったわけでございますので、そういう意味ではその間、移行期間通信長は実質的には遭難通信責任者と同じことでございます。ただ、九九年以降は通信長なる制度のものがなくなって遭難通信責任者一本になるということでございますので、お話のように、経過措置が切れました後は遭難通信責任者で対処する、こういうことに相なるかと思います。
  41. 山田健一

    山田健一君 もう時間ですからこれで一応私終わりますが、最後にこの五十条、さっきちょっと局長も言われましたが、条約船といいますか、国際航海に従事するものの義務船舶局にこういう形で遭難通信責任者を配置する、こういうことなのでありますが、例えば非条約船というか、国内を航行しておる船でもA2、A3海域というケースだって現実にはあると思うんです。  そういった場合は、結局この遭難通信責任者といいますか、無線設備を含めてそうでありますが、ここら辺の通信の責任、船舶の安全、こういうことを考えれば、今回は条約改正を受けてということなのでありますが、こういう通信の責任体制といいますか、国内航海にあっても一定のこういう国際航海に準じた一つ義務づけといいますか人の配置といいますか、そういうものもやっぱりこれから考えていかなきゃならぬのじゃないかな。海上における人命のいわゆる安全なり救助なりというものを考えた場合には、当然この条約船以外のケースもそれに準じたような形での配置というものは考えられないだろうかということを最後にお尋ねいたしたいと思います。
  42. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 確かに先生お話のように、こうした通信の責任というのは大変重要でございますので、条約船に限らずすべての船にこういうふうに設置をするということも一案ではあろうかと。また、その方がより安全だという御見解はごもっともでございますけれども、ただこれはさっきも申しましたように、だれでも簡単になっちゃうというんじゃなくて、具体的にいろんな証明が要るとか、あるいは変更になったら届けが要るとか、さまざまないわば免許人に義務を課すことになるわけでございます。実態的には、やはり国内航行を行う船舶というのは国際船みたいな形とは違って、そんなに多数の従事者が大勢乗り込んでいるというような実態には必ずしもないではないか。そういう意味で、特に遭難通信責任者法律上の位置として指名するのも非常にある意味で過重な話という結果になるのではないかということで、特に法律ではあえてそれ以外の船舶には規定はいたしていないわけでございます。  ただ、お話のように、非常に大事な点ではあるかと思いますので、今後新しい制度のもとでどういうふうに現実事態が動いていくか十分注視をしながら、この問題また先行きの展望の中でいろいろ検討してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  43. 山田健一

    山田健一君 終わります。
  44. 及川一夫

    ○及川一夫君 森本局長に大変失礼だけれども、お伺いしたいんです。  今の立場に立たれてからでもそれ以前でも、例えば船というものについてですが、見に行ったり、今ここで通信室の話があるんだけれども通信室と、こう言ってみても、船のトン数、大きさによっていろいろ構造が違いますから、それと同時にいつ建造されたかということによっても、造船技術の発達というのは日進月歩ですから、したがっていろんな設計上の違いも僕は出てくると思うんだが、実際に現場をあなたの足で見に行かれたことがありますか。
  45. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 私は奈良という海のない国に育ったものでございますが、ただちょうど戦争中でございまして、我々もモールス信号、「伊藤」「路上歩行」「ハーモニカ」だというようなことを教わったり、手旗信号ども教わっていまだに覚えているわけでございます。そういう意味で、大変海にあこがれておりまして、船は大好きでございます。機会があったらということで、これまでも、局長になりましてからでございますが、都合四回ばかり船に、いろんな船がございますが、例えば日本郵船でございましたか、クリスタルハーモニーという動くホテルみたいなところで、これはまだ旧法でございますから、ブリッジじゃなくてちゃんと通信室があって、モールスがこんなふうになっていたということも再確認をしてきた状態でございます。
  46. 及川一夫

    ○及川一夫君 心がこもったようなこもらないようなお話ですが、旧法でなくても今の電波法のもとに通信室はちゃんとブリッジにある船も存在するわけです。ですから、例えば一言で通信室の廃止、通信長の廃止というような問題が出てくるときには、一体それがどういう結果を及ぼすのかということは、あなた自身が行かぬでも、それは部下の方を使ってよく見られることが私は大事じゃないかなと思う。  さらには、今度の電波法改正では、通信機器というものを置くところに対していろんな注文をつけていますわね。振動がないところとか、あるいは湿度の問題とか温度というものを、こうしないと今の非常に発達した通信機器のもとでは下手をすると障害が出る、そうなってはいけないということで、隔離するという言葉まで使って通信機器というものを置かなきゃいかぬ。その置く場合に二十万トン級と十万トン級と、あるいは五万トン級だ、一万トン級だ、それが三百トンである、そういう場合の機器置き場所というのは一体構造上どうなるんだろうということなんかは直ちに出てくるし、仮に船の構造を変えるということになればお金のかかる話になりますわね。  そうしますと、大会社はともかくとして、国際航路についているところはそう心配しなくてもいいのかもしれませんけれども、近海船だって法律によっていわばこうしなければいけないということを今度取り決めるわけですから、そういう場合の問題点などについてしっかりと受けとめた上で法律上の改正というものをやっていかないと、せっかくの法律も泣かせる法律になって、人の安全のために役立たないということになったのでは私は問題があるんじゃないか、こう思うので、大変失礼だけれども見たことがありますかと聞いているわけで、好きな程度の発想で船を見たんでは心のこもった答弁にはならないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。  そこで、もう山田さん、同僚が各般にわたって行いましたから、私それを重複してやるつもりはないんですけれども、いろいろ心配事がやっぱり出てきますね。例えばインマルサットと、こう言うけれども、一体安定性があるのかと、こうお聞きする。なぜお聞きするかというと、放送衛星の方は何となくいろんな障害が起きてきているし、別に出力やそういうものは違いがあったとしても、衛星を上げて、それを通して通信をするということはそう変わりのない話です。放送衛星の方を見たら大変不安定という状況があるし、人の命にかかわるような問題は、インマルサットとは言いながら、国際機関がやるとは言いながら、それで安定性があるのかどうかということを、例えばメモで質問して、あなたのところの担当の人にお聞きをするわけですよ。  そうすると、返ってくるわけです。その返ってくる中に、いや予備機がありますから大丈夫ですというお答えしかないわけです。予備機があるなんていうことは衛星放送でもわかっていることですからね。要するに一機、二機ある、a、bがあるというだけの話でしょう。それで本当に安定が保てるのかということでいろいろやっていくと、いや実は八個飛んでいるという話が出てくるんです。八個飛んでいるわけだから、一つがだめになったときに、要するにアンテナの向きやなんかを変えていけば八個それぞれとらえることができる。こう認識すると、ああかなり安定度という問題では、一機がだめになって二機がだめになっても、それぞれが使えるんだなということを頭に入れると、余り心配ないかなと。絶対ということはないにしても、うん、よろしい、わかったと理解したような気がするということで、インマルサットに対する信用性というものが僕は出てくるんだと思うんです。そういったことが、法律法律として存在していても、あなた方の説明なり周知の仕方が必ずしも私は十分じゃないような気がする。  それと同時に、いろんな課題があるんですが、時間もたくさんないですからそれは横に置きますけれども山田委員が質問された以外で私が非常に疑問に思っておるのは、一九九九年までにSOLAS条約に基づいて各国措置する、こうなっている。八年間ということになりますね。そして、先ほどの答弁じゃないけれども経過措置がある、実際に通信長を置くという意味で。要するに、従来の手動式でやれるわけです。八年後につけるという発想になったら、船については八年間は従来どおりやるということになりますね、船の方は。そういう理屈が成り立つ。もしそれに疑問を持たれるとするなら、じゃ我が国として八年待ちじゃなしに五年後につけてしまおうじゃないかというような行政指導というか、郵政省としてのSOLAS条約に基づく実行計画を新たに立てる考えがあるのかないのか、あるかないかだけについてちょっと答えてください。
  47. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) お話のように、さまざまな船がさまざまな時点で建造されたのが今動いているわけで、それを世界共通の仕様にいたそうと、こういうことでございますから、当然条約ではいろんな船に応じていつまでの船はいつまでに入れなさいということをなるたけ無理がいかないように決めてある。その条約世界じゅうの国がほとんど全部賛成をしてこの条約が動き出したと、こういうことでございますので、私どもとしましてもこの導入条約の定めた線に従って全体が動いてもらうように期待をしておるわけで、先生お話のように、それ以上加速するということは、これは船主に対しても無理があるのか、こう思っております。
  48. 及川一夫

    ○及川一夫君 独自の目標を立てないでSOLAS条約どおりにいくという答えというふうに聞くわけですが、ただ私が心配になるのは、海岸局の問題もありますが、海上保安庁が遭難の場合には実際に出動するわけですね。海上保安庁の方がおいでになっていると思いますが、その場合に、新しい安全システムというものをそれぞれの船がつけても、それを受けてくれるところがなければどっちにしても用をなさない、つけ損になってしまうということにもなるわけです。したがって、各国の我が国でいう海上保安庁的ないわば捜索救援を担当する省というのは、SOLAS条約でいう安全システムというものは当然直ちに装備をしなければいけない、設置をしなければいけない、こういうふうに私は思うんですけれども、保安庁は一体どのようにこれを受けとめてますか。
  49. 谷口雅文

    説明員(谷口雅文君) GMDSSの陸上施設の整備につきましては、海上保安庁は、SOLAS条約の趣旨を踏まえまして、EPIRBからの信号受信いたしますコスパス・サーサットの地上施設、インマルサット地球局、短波海岸局、中波海岸局及び海上安全情報を受信いたしますナブテックス送信局につきまして、計画的に整備を進めることとしております。コスパス・サーサット地上施設、それからナブテックス送信局及びインマルサット地球局並びに一部の中波海岸局については一九九二年、平成四年二月一日から運用開始することをめどに整備を進めております。なお、短波海岸局及び残りの中波海岸局については平成四年度中に整備する予定であります。
  50. 及川一夫

    ○及川一夫君 費用はどのぐらいかかりますか。
  51. 谷口雅文

    説明員(谷口雅文君) これら陸上施設の整備にかかる費用は、約二十四億円でございます。
  52. 及川一夫

    ○及川一夫君 完全に設備がされ、運用されるというのは平成四年と言いましたか。
  53. 谷口雅文

    説明員(谷口雅文君) 平成四年度中に一応整備を終わりたいということでございます。
  54. 及川一夫

    ○及川一夫君 わかりました。  それで、農水省とか運輸省とか全部絡む話だというふうに思うんですが、我が国の船舶数というのは漁船を含めて大体七十万隻というふうに私は教えられているわけです。このSOLAS条約が適用になって必ずこういうものをつけなければいけないというのは、そのうちの六百隻ですか、要するに国際航路に就航する船というふうに理解をしているんです。それはそれとしてわかるんですけれども、じゃほかの六十九万九千ぐらいの船ですね、一体どんなものがあるかというのがよくわからないわけです。  したがって、きのう連絡はしたつもりでおりますが、トン数別に船の状況を、存在する船の数の分析というものをぜひ知らせてほしいと、こういうふうに申し上げているんで、運輸省なりあるいは農水省、農水省は漁船の関係中心になるかもしれませんけれども、ちょっと教えていただきたいというふうに思います。
  55. 山本孝

    説明員(山本孝君) 我が国の船舶のトン数別の隻数の状況について御説明申し上げます。  まず、二十トンから百トンというふうにずっと小さい方から大きい方へ参りまして、最後に二十トン未満の方を申し上げます。  二十トンから百総トンまでが三千三百二十六隻、それから百トンから三百総トンまでが四千五隻、それから三百トンから五百総トンまでが千八百五十四隻、五百総トンから千六百総トンまでが千百七隻、それから千六百総トンから五千総トンが四百三十九隻、五千総トンから一万総トンまでが百五十六隻、それから一万トンから十万トンまでが二百九十八隻、十万トン以上が五十九隻、以上が漁船を除きます船舶のトン数別の隻数でございます。  このほかに、やはり漁船を除きまして、二十総トン未満の船舶というのがたくさんございます。これは、正確なる統計といいますか、実際にはこういう船を検査しておりますところの延べ検査隻数から推計した隻数でございますが、約三十万隻ございます。  以上が隻数の実態でございます。
  56. 成澤信輔

    説明員(成澤信輔君) 漁船の隻数の状況を御説明いたします。  海水域の動力漁船の隻数でございますけれども平成元年十二月末現在では約三十九万隻でございます。  なお、平成元年度の海水域の動力漁船の隻数をトン数別に申し上げますと、百トン以上が三千四百隻でございます。それから、二十トン以上百ト ン未満が約二千七百隻でございます。それから、十五トン以上二十トン未満が五千四百隻でございます。それから、五トン以上十五トン未満が二万四千隻でございます。それから、一番小さいクラスの五トン未満のものが三十五万四千隻となっております。
  57. 及川一夫

    ○及川一夫君 今おっしゃられたもの、後でよろしいんですけれども、メモにしていただきたいというふうに申し上げておきます。  それで、これで一つ一つやったら大変な時間がかかるんですけれども、要するに遭難用の無線というものをオートメ化してやるという話で、国際航路上の問題とか大きいトン数の場合はわかるんだけれども、しかしこのトン数別に見た場合に、この法律でいう、何かこう船の構造を変えてまでそういうものを積まなきゃならぬというふうに、船の改造を必要とされるものはこの中にあるかないか。これはもう専門家じゃないとなかなかわからないんだけれども、その辺はどうですか。運輸省でいいんですが、今までの体験からそういうものがどの程度あるか。あるかないかということと、どの程度あるか、それを聞かせてください。
  58. 山本孝

    説明員(山本孝君) これまでも漁船につきましては、百総トン以上のものにつきましては、国際条約の対象外でございますが、既に無線設備義務づけをしてございます。それから、同じく国際条約対象外でございますけれども、三百総トン以上の一般の貨物船につきましても無線設備義務づけをしてございます。大きさで言いますと、こういった船については、現状の法律でございますので、既に無線室というのを設けてございますけれども、そういったものもできるような構造になっております。こういった観点から申し上げますと、GMDSS移行いたしましても、これらの船には十分その無線設備を備えるスペースがとれるものと考えております。  それから、これら以外の小型の船舶についても、例えば船舶安全法によりまして、今回別途御審議をお願いしておりますが、すべての船舶に原則として無線設備を何がしか持たせるという方向を考えてございますが、このような船舶につきましては必ずしも構造上大きなスペースをとらない、構造上負担のかからないような無線設備というものを選んで強制していくという考えでございますので、これも構造上の問題は生じないかと考えております。  以上でございます。
  59. 及川一夫

    ○及川一夫君 そうすると、大きい船でも建造年月日によっては古い型、それから建造年月日によって新しい型いろいろあるんですが、私も二十万トン級以外のものを見ていないものですから、昔の私の認識で話をすると、どうも私の時代の船というのは通信室はまま子扱いに実はなっていまして、本当は非常に大事な仕事をしているんだけれども、だからブリッジの中にあるなんというのは想像は全然していなかったんですね。  ところが、最近の船はとにかく二十万トン級でも、船の長さにして三百二十メートルぐらいあっても、十一名の船員でもって運航しているんですな。私が見たのはタンカーですけれども、大変なものです。それで通信長は一人ですよ。通信長も、通信長以外の仕事として、場合によればキャプテンの指示に基づいて、航行上の手助けも何かしているというようなこともじかに話も聞いてきているわけです。そういうところはもうブリッジの中に通信室というものがあって、しかも通信長一人で短波から中波からインマルサットを含めて、要するに全部一人で扱っている、こういう状況。これはタンカーですから、客船と違ってということになるのかもしれません。  どちらにしても、構造上の問題というのは、ああいうことには出てこないし、無線機自体も六十センチ四方ぐらいのもので、しかも大体八十五センチから九十センチぐらいのものでカバーしてある、こういう状況ですから、そう場所をとるとか、あるいはブリッジの外に新たに構造を設けなきゃいかぬというふうなことはなさそうなんだけれども、例えば一万トンとか一万五千トン、あるいは五千トンとか八千トンというような船はどうなんだろう、それがちょっと僕としては想像できないんです。そこ自体も改造までして、SOLAS条約に基づかないものであっても、要するに安全システムのための設備というものを確保しなきゃいかぬという事態が起こるか起こらないか、それを聞いておきたいと思います。
  60. 山本孝

    説明員(山本孝君) いわゆる従来から通信士を置きまして無線室を持っておりますような船につきましては、小型船といいましても、例えば百トンの漁船をとりましても長さ三十メーター程度はございますし、居住スペースも人の数で二十人から三十人ぐらいは十分とれるような居住スペースを持てる船と。ましてや、今回GMDSSの対象になります船はもう少し大きいということでございますから、そういったスペース的に問題を生じることはないと考えております。
  61. 及川一夫

    ○及川一夫君 それをひとつ信じましょう。  それで、問題は費用が一体幾らかかるのかということを伺いますと、郵政当局の方からお聞きした話では、この通信機ですか、安全システムに必要な船につける通信機については約一千六百万と。大体それを積まなきゃならぬのは国際航路関係というふうに理解をいたしますから、予備機をつけても三千二百万。それで、改造の要は必要ないんじゃないかという運輸省お話を聞けば、そういう意味ではまさかこのことをもって補助金を要求してくる、政治の場面で考えてほしいというようなことは起こらないだろう、こう私は思うんですけれども、そういう心配はありませんか。これは郵政省かな。
  62. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 確かに先生お話のようは、このGM導入しますということになりますと、全く新しい機械を購入するわけでございます。ただ、今千六百万というようなお話もございましたが、航行する海域に応じて、あるいは船の大きさに応じていろいろ積むべきものについては選択ができるようになっているわけでございます。その千六百万というのは、一番外洋を航行する条約船というか条約上直に義務を負う分で一つの試算をすれば千六百万、そんな形になっておりますし、小さい船でございましたらば、今回の法律で一番小さいので四百二十万から百三十五万あれば最低限のところもそろうと、さまざまなことに相なっているのは御案内のとおりでございます。  こうしたことについて、基本的にはこれはやっぱり船の安全にかかわることですから、必要な設備投資というのはもうまずは自前でと申しますか、船主が、船の所有者が備えなきゃならないわけでございます。私どもとしては、できるだけこれがスムーズに入るということも必要かなと考えております。現在税制の面で狭帯域直接印刷電信、海岸局からいろいろ気象警報だとかなんとかが入ったら自動的にプリントアウトされるようなそういう仕組みのものでございますが、こういうものをGMで使用いたしておりますので、こうした点を例えば今の税制の中で適用になっているということになればこれを導入しやすくなるということになるわけでございますので、既にそういう措置も講じております。今後余り長く経過期間があっても困りますので、実情を見ながら必要な税等の導入対策というのはひとつ考えていかなきゃならぬかなと思っているわけでございます。
  63. 及川一夫

    ○及川一夫君 この問題、いろいろ調べてみますと、二十トンクラスの船主といいますかね、こういう方々の資金力、財力という意味合いで調べてみますと、大体一千四百万ぐらいの資金力を持っておるとか、百トンクラスになると二千万ぐらいじゃないかな、人の懐をはかるわけだからこれは楽でない話ですけれども。あるいは、三百トンクラスでは四千五百万円ぐらいの資金力がある。中小企業的な物の見方をしてもそう大きな財力、資金力を持っているとはどうも思えないんです。  そんなところにたとえ四百数十万でも、百三十五万という話もあったけれども、十数種類あることはお伺いしているから値段も十数種類あるということになるんで、どちらにしても用が足せるも のでなければいけないということを考えると、この問題、資金の問題で新たな政治問題が起こらないようにすべきではないか。また、起こることが予想されれば、今局長が話をされたような措置というものをしないと、何といっても法律自体が強制力を持つわけですから、自分では必要ないと思ったってつけなければ免許がもらえないという話になるんで、そのことは十分ひとつ配慮をされるべきであろうというふうに申し上げておきたいと思います。  そこで、この問題の最後になりますけれども先ほど山田委員が御指摘になりましたけれども通信長の扱いなんですよね。今でも一人でこの通信にかかる問題はすべての機種を操作していると。同時に、通信長という方は一人なものですから、たまたま私が行ったところの通信長は、故障になった場合、障害が起きた場合に機械を直すほどの技量の要するに持ち主、保守ができるし、それから修理もできるという技量の持ち主であったようなんです。ところが、今の通信機器というのは、もう御案内のように、保守と言うけれどももう二十年前の保守とは全く違う。それこそ全部開封できないようになっていて、どこか障害が起きて、この辺だなと思ったらそのユニットを抜いて、ぱっと差し込めば直っちゃうということのものだという、通信機自体がそういう状況なものですから、腕を持っていても直すことができない。むしろ、そういう通信機器メーカーからは開けてくれるなというような今は状態です。  そういう前提で考えて受けとめたいとは思うんだが、しかし実際に船が航海をしながら障害が起きたという場合に、どの辺が一体障害なのか、どのユニットがというところを判断するにはやはりある一定の技量、技術というものを持っていませんと僕はできないんだろうと思うんですね。しかも、寄港先にそういう部品を要求するということになると、まるっきりわからないで、何か知らぬけれども故障になったから来てくれというだけでは、果たして今の船の運航に対応できたことになるのかどうか。  この前、日本郵船のですけれども、川崎のドックに行って見た船は、十九日の日の朝午前五時に着いて、二十二日だからきのうだね、二十二日の夕刻出港するという予定になっているんですよね。従来、船乗りというのは、少なくとも一万キロ近くも航海をすれば、最低でも二週間、ちょっといいところだったら一カ月ぐらい休ませてくれるというのが常態だなと、こう思っているんですけれども、今僕は詳しくは知りませんけれども、どうもあの船だけでいうならばわずか四日とか五日でぱっと出港しちゃうと、こういうやり方になっているだけに、それこそ通信機のどの部分が障害を起こしているんだということがある程度判定ができて、事前にそれを要求し、事前に向こうに連絡をしておかないとメーカーの人が来ても直らない、また時間がかかるということになりかねないということも考えられるんですね。  したがって、確かに自動化したんだから通信長は要りませんよ、通信システムは要りませんよと、こう言うんだが、通信といったってさまざまありますわね、通信室を見たら。ファクスから何かみんないろいろあるんです、短波から中波から。だから、そうやってみると、果たして通信長を廃止して遭難通信責任者という決め方は一体何だろうと。名前を変えただけなのか、名前を変えても通信長が今までやってきた役割、任務は持っているのか持っていないのか、それも処遇の問題まで含めて。通信長から何やら責任者と、こうなるわけですから、格下げになったのか格上げになったのかそれすらも想像がつかない。一体何だろうなということを思うんですが、局長はどう思いますか。
  64. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) こういう資格というのは、各国独自の政策では、船のことでございますし、世界じゅう行き来をする、あるいは遭難通信というのは世界じゅうだれでも聞いてもらわなきゃならない、こういうわけでございますから、この種の責任者のありようというのは勢い条約というものにのっとってやらざるを得ない。お話通信長がこれまで設けられておりましたのは、やはり遭難通信を円滑に行うということと同時に、このモールス時代あるいは無線電話の時代にそれを円滑に行って、乗客の国際公衆通信をつかさどる責任者でもあったというのが通信長だということで、これは基本的に条約で決めて、それを国内法でも受けてこれまで決めがあったと、こういうわけでございます。  先生お話のように、新しい自動機器をどんどん入れてしまうと、従前のような国際通信をこれに頼らなきゃならないというか、相当熟練した腕でなければならないということでは必ずしもなくなって、その国際公衆通信部分はインマルサットであるとか、新しいディジタル通信技術ということで十分担保ができる。そうなると、非常に大事なのは、やはり遭難したときの通信責任が、きちんと所在が明らかになって的確な処理ができるということが条約上必要だろうということで、今回SOLASの方で決められて、これを受けて私ども電波法でも遭難通信責任者なるものを設置する、こう相なったわけでございます。  ただ、先ほどから話が出ておりますように、経過措置がございますから、モールスだけをやる場合には通信長がそのまま従前どおりの形で職務を継続する。しかし、九九年になればそうした経過措置がなくなるわけでございますので、それ以降は新しい体制になってまいる。そういう意味では、ここしばらくの間は経過措置ということの中で徐々に徐々に新しいシステムに切りかわっていくと、こういうことになって、それから先は世界共通システムということで動いてまいるのかなと、こういうふうに考えているところでございます。
  65. 及川一夫

    ○及川一夫君 形だけ追えばそういう答弁になると私は思う。つまり、経過措置の話はこれは別でね、当たり前の話なんです。あなたに説明されなくたって、そうなるんです。みんな取っ払うわけにいかないんだから、それはそれでいいんですよ。  ただ問題は、じゃSOLAS条約遭難通信責任者を置かなければならないということは決めてあっても、一体遭難通信責任者というものはどういう役割、つまり遭難のための責任者だと、それはそうでしょう、しかしそれ以外に何もないのかと。従来通信長が担当していたもの、つまりモールスはなくなる、電話という形になる、だから通信長という今まであった資格者というものは必要がない。それは形の上ではそうでしょう。しかし、通信全体をつかさどるということで言うならば、SOLAS条約の中で通信長はかくかくの資格でかくかくの処遇をしなければいけないとか、あるいは遭難のための責任者というものはかくかくの処遇をしなければいけないとか、そういうものは別に決めていないわけでしょう、SOLAS条約の中では。何か決まっておるんですか、そういうものが。  僕からいえば、それはそういうものを置かなければならないという義務は果たさなければいけないけれども、そういう方々の技量というものをどう処遇するかの問題は各国の独自的な判断で決めてもいいことじゃないですか、これ。それは違うんですか。
  66. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) このSOLASの方では、「船舶には、主管庁の十分と認める遭難及び安全の無線通信を行うために適任である者を乗り組ませる。この者は、適切に、無線通信規則に定める証明書を有する者でなければならず、そのいずれかの者は、海難事故の間の無線通信について主たる責任を有するものとして指定される。」、お話のように、そういう決めを持って今申したように遭難通信の全体の取り仕切りを責任を持ってやるということでございますので、これはこのとおり法律で受けて、それからここでいう証明についても法律で具体的に書いてあるわけでございます。  お話の、何と申しますか、実際問題としての遭難通信責任者というのは遭難通信だけやればいい のかということになりますと、これはやはり当然法律上の責任にはなっていないわけでございますけれども、職務全体の重要性、公衆通信も依然としてあることは当然あるわけでございます、昔よりは簡便な形にはなるわけでございますが。ただ、そういう意味で、無線局全体を管理するという責任をやはり具体的には負うことになるのが実態であろうか、こう思っておるわけでございます。
  67. 及川一夫

    ○及川一夫君 ですから局長、これはこれから労使関係でも恐らく問題になるんだろうと思うんです。だから、あなたが今SOLAS条約で言われたこういう資格の人を責任配置しなければいかぬ。それはだれもやるなと言っていないわけです。それは通信長をやった人がそうなるのか、あるいは全く別の人がなるのか、どちらにしてもそういう資格がなきゃだめだということを前提にして配置するわけですよ。だから、それはそこまでやればSOLAS条約を守ったことになるわけでしょう。だから、あとは我が国は我が国の中で通信長が遭難通信責任者になるのか、あるいはそういうふうにしたのは名称を変えただけであって今までと違いがないという評価をするのか。そして、そういう人たちに対する処遇というものが従来と変わるのか変わらないのかというようなことが、やっぱり現実の問題としては問題になるんじゃないでしょうかね。  そんな細かいところまでSOLAS条約が決めておるとは思えないし、処遇問題なんというのは特に労使関係で決めるというのが国際的にも一般的なんですからね。僕はもうそういう意味で、通信長がなくなったから遭難通信責任者ということで何か別の人が配置されるような、あるいは格下げになったような、そういう印象でとらえるべきではないじゃないかというふうに私は思っているんですよ。だから、これはもう条約上そこまで規定していないという私は前提で受けとめておきますし、省令上そういうものが明示されるのかどうか、私もまだわかりませんけれども、どちらにしても省令等で細かく規定する際にはぜひ関係の組合と十分ひとつ話し合って、それでこのSOLAS条約を実行する法律が一部改正になった、そのことが新たな労使関係の紛争につながらないようにぜひこれは配慮してもらいたいということだけは私は申し上げておきたいと思うんです。  私の指摘の仕方も十分不十分あるかと思いますけれども、今最後に申し上げた点は郵政大臣、いかがですか。気持ちを含めて御回答いただきたいと思います。
  68. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 御指摘の問題につきましては、鋭意十分に話し合いを行った上で、また省令も進めていきたいと思います。
  69. 及川一夫

    ○及川一夫君 そこで、時間が迫ってきておるんですが、同じ電波の問題で、別に郵政省の方から具体的には提案があるわけじゃないんですが、この前もちょっと質問をいたしました電波の有料化の実は問題なんです。  僕は報告書をいただきまして読んだんですけれども、別に報告書自体では有料化ということは言っていないわけですね。需要がふえました、それで行政費などの費用もふえます、産業、経済、生活には密接不可分の関係で電波の利用がこれまた増大する一方だ、外国も有料で行っているところがあります、検討をすべきではないか、こういうことで検討に価値ありというような、そういう大体ロジックで報告書ができ上がっていると僕は読んだんです。  これは、今検討に入ったんだろうと思うんですけれども郵政省としては有料化ということでいくのかいかないのか。ここの段階で一体どうなんでしょうか、明確にしてもらいたいと思います。
  70. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ただいまお話しのように、そしてまたせんだっても御答弁も申し上げましたように、今後やはり光ケーブルに代表される固定網と同時に、こうした移動系を中心とする電波の利用というのは今後急速に進むであろう、やはりこのためには情報化の進展にはぜひ欠かせない一つの大きなメディアだということ。  幾つか先生お話になりましたが、私どもとしてこの報告書のポイントは、一つには急増する電波需要、それに対応するための電波資源の開発が問題である。それから、周波数が全体にうまくバランスとれるような移行の計画というものもきちんと促進をする必要があるというのが一つ。それから、これだけ電波が利用できるようだけれども、意外に電波の利用がうまくない部分もある、その辺の環境整備をやる必要がある。例えば、地下街であるとかあるいはローカル地域における自動車電話が、ポケットベルが全然入らない、そうした利用環境の整備。それから三つ目には、電波の利用技術の研究開発の増進が大事だ。それから、免許事務が非常に増大するから、迅速な免許処理が可能になるようなシステム導入が必要だ。もう一つ、不法無線の対策がぜひ必要だ。  同時に、これらの諸問題に的確に対処するためには、従前国民の租税による負担をやってまいったけれども、先進諸外国の例を参考に、費用負担の公平適正化の観点から、電波を利用する免許人にも新たに負担を求めることが十分検討に値する、こうなっておるわけでございます。  幾つかの諸問題については、今後の検討の上で非常に大事だなということで、私どもとしてはこうした提言を受けて早急に具体的なこれからの電波の円滑な利用というものがどういうふうに進むべきか、政策を至急に検討しなきゃならぬということで現在検討に入っている、こういう状況でございます。
  71. 及川一夫

    ○及川一夫君 いろいろおっしゃるが、世の中にはいろんなものが出ていますわな。日経のコミュニケーションレポートなるものを見ましても、この報告書にないようなことが書かれているんです。私は、この報告書は十分でない、今局長が言うようなことでさらっと受けて、さらっと検討すりゃいいというものじゃないなというふうに思うんです。非常に不親切な僕は報告書だなというふうに思うんです。  例えば僕は、時間がないから項目だけ羅列しておきますけれども、六百二十五万局数、こう書いてあります、今現在局があると。それが二〇〇一年には五千万局数になる、こういうことが書いてある。一体五千万局数って何だと、これは。そんなに電波を発するところが出てくるんだろうかということを考えてみると、どうやらコードレスとか移動体通信の電話機数まで入っている。一体そんなことでいいのかどうかというような疑問。  アマチュア無線という問題もある。あるいは、これはレジャーのヨットやなんかでも、どうもあなたの方の方向では安全のために無線機を積ませるような話もちょっと聞いたりなんかするんだけれども、仮にそういうものがあればそれも対象になる。NHKはどうなる、移動体通信は、NTTはどうなる、ありとあらゆるものが、電波を使っているというのは非常に多いですからね。これは非常に大きなあれなんだけれども、それにしても五千万局数というような発想の仕方、需要が多くなるという意味で言いたいところなんでしょうけれども、こういうような問題のとらえ方。  行政費用がかかっていると、こうおっしゃるんだが、別に説明を聞いたわけじゃないけれども、あなたのところの電波関係ですか、年間百三十億ほど予算がある、しかし人件費が百二十億で十億だけが行政費だと。こういうそれにつながるような説明を受けたりなんかするんだけれども、じゃ免許を、今何か許可を与えているでしょう。そのために印紙代というようなものでもってやってますわな。これはどうも年間八十億ぐらいあるんですよ。それが大蔵省に入っているというようなことを聞いたときに、一体どうなんだろう、今現在で仮に八十億というものが納められている、しかしそれが十倍になる、六百二十五万局が五千万局になるんだから大体十倍になるといったら八百億です。これはもう計算上の問題で、足し算引き算でやるような話とは違うけれども。  また、数千億かかると、こう言うんだけれども、数千億とは幾らか。こういったものによると、五千億とか六千五百億とか七千億なんていう数字も出てくるわけですよ。何でそんなにべらぼ うにかかるんだろうというような問題とか、それから有料化した場合に、持ち運びの電話機、今権利がありますわね、あれと同じようなことになっていくのか。電波を使うということを許可されたところは、その移動なんかについて今でも何か国が払うようになっているでしょう、マイナス面が出た場合には国がそれを負担するみたいな格好で。  そういうものであるとか、あるいは不法電波と、こうおっしゃるが、このために監視体制を強化するというんだけれども、監視体制を強化されたら、不法電波を取り締まるのはいいけれども、じゃほかに流れている電波というのは全然入ってこないのか。入ってくるとするならば、プライバシーの問題が出てくるじゃないかというようなこと。  あるいは、研究体制の強化はいいんだけれども、何か郵政省が別に研究所をつくるような発想にとればとれないこともないなということになると、今民間にある電気通信の研究所、これなんかはもう世界で一、二、一位と言われるぐらいの技術力を持ってやっているわけでしょう。そういったところを度外視して何か新たに研究体制をつくるような、そういうような発想法とか、どうも私ども見てますと、今の状態の中でも解決できるものが、そちらの方にウエートをかけないで、何か有料化の方にウエートがかけられるようなそういう発想法でいいんだろうか。  例えば、香港というところがあるけれども、外国で外国でとおっしゃるが、香港では、東京を前提にして考えると、四つの区域に区分けをして、そしてA、B、C、Dというものがあるとすれば、Aでは混雑している、Cはどうもあいているということになると、直ちに自動車に送信機と受信機を積んで、この移動体通信なんかの混雑状態をその自動車をもって、中継所をつくって混雑を解消するというようなことが現実の問題として香港で行われているという実態もあるわけです。だから、今例えば東京じゃ移動体通信の波が少なくて大変だということなんだが、そういう技術というものを入れれば電波の移動という問題なんかについても、かなり技術的に解消できることもあるんではないかというようなことなんかも僕は検討すべきだと思うんだが、そういう報告というのは実際問題としてこの中では見当たらないんですよ、そういう研究をしようとかというような話は。  そこで僕は、時間がありませんから、きょうの問題の締めくくり的に聞くんですが、報告書というのはこれだけですか。あと報告書はないですか。これは電波政策懇談会報告「二十一世紀の活力ある電波利用社会を目指して」、これだけでほかに報告書はありませんか。これだけちょっと聞いておきます。
  72. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) いろいろお話ございましたが、最後の質問でございますと、報告書はその報告書でございます。
  73. 及川一夫

    ○及川一夫君 郵政省で取扱注意という印鑑がついたら、どういう扱いになるんですか。
  74. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 一般的に役所の中でまだいろいろ外に出ていくには未定稿にあるものだとか、いろんな状況のもの等をやはりそういう格好にいたすケースはあろうかと思います。
  75. 及川一夫

    ○及川一夫君 最後になりますが、郵政大臣、いろいろ報告書のまとめ方はあると思うんですよ。だけども、肝心なところを抜いちゃって、公開用かなんか知らぬけれども、こういう報告書を出して、そして我々に理解しろと言われたってそうはいかないですよね。  例えば、この政策懇談会の中には利用動向部会であるとか政策部会というのがあるわけでしょう。これらだって報告を出しているはずですよね。それらは全然見せてもらえないんですよ。そして、この報告書にはないけれども先ほど言った日経コミュニケーションの中には有料化のための料金の計算方法まで書いてある、表には。これは配られたものですよ。ところが、この報告書には全然ないの、それが。本当にないのかと思ったら、やっぱりあるんですよね、別の報告書が。僕は、やっぱり電波の問題というのは、国民の共有財産というふうに言うてきたんですから、それを有料化するんですから、電波法自体を根本から見直す議論にせざるを得ないでしょう。それなのにあなた方、検討していることを何で隠すんですか。私は隠す必要がないじゃないかと、こういうふうに思いますよ。  そして、こういうものにはどんどん発表して、ここには何かNTT六十億負担だとか、郵政省から相談があったと書いてありますよ、この中に。だから、それは記者が勝手に書いたと言えばそれまでかも知れぬけれども現実に方程式に当てはめると、いやこの方程式自体がわからぬところもあるんです。非常に疑問がある点もある。にもかかわらず、我々にはそういうものを知らせてくれない。こういうことであっては、事が電波の問題であるだけに私は非常に困ると思っているんです。  そこで、郵政大臣、この種問題は、それはタイミングと時期といろんなことあります。無料が有料になるんですから、ただ単に混乱させちゃいかぬわけでね。しかし、やっぱり言うべきものははっきりと我々に示してもらいたいと、こういうふうに思っておりますので、郵政大臣にその辺のことについてお聞きして、終わりたいと思います。
  76. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 今局長に聞きましても、それ以上のものは実際にないようでございまして、もしあるとすれば私にも報告がないということになりますから、それこそ許される話ではないと私も思いますので、それはそれだけだろうと思います。
  77. 及川一夫

    ○及川一夫君 いや、あるんだよ、ここに取扱注意というのが。これがいただいたものです。それと、こっちは取扱注意になって、これはタイトルも違う。これは電波政策懇談会政策部会ということで出ているものです。この中に非常に詳しくいろんなことが書いてある、これ。こっちの方を見たいの、私。
  78. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) じゃ、まず局長に答弁させて、それから私も答弁します。
  79. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 先だっても申し上げましたように、戦後四十一年電波法が制定されてから経過いたしております。今までの電波法の体系で二十一世紀が展望できるかという視点から我々は本来政策をやらなきゃならないわけでございますが、この点についてはできるだけいろんな人の意見をまず聞いてみる、そうした人の意見を伺って、これをスタート台にいろいろ考える、そういう意味でこの懇談会にいろいろ御検討をお願いしたわけでございます。  おっしゃるとおり、この懇談会の中にはさらにまた小さい分科会みたいな部会をこしらえて、大勢の忙しい方がなかなか集まるのが大変でございますから、少数のところでいろいろ具体的な検討をして、そして親委員会に報告をして、親委員会としてのレポートが先生のお手元にあるわけでございます。その過程でのいろんな検討は、それがどんなものか私もわかりませんが、検討する以上は何回も書き直したり、いろんな段階のものが恐らくあったりいたしたでありましょうけれども、最終的に委員会として何を採択するかといえば、何回かの審議を経た後最終的にお手元のようなものになっておる。これが報告でございます。  私どもとしては、その報告を受けてこれから具体的にどう取り組むか、それには関係者の話、御意見をいろいろ伺った上で、私どもとしての考え方を整理する必要があるかと。いよいよそのスタートがこの懇談会報告を受けてこれから始まる、こういう段階だと考えておるところでございます。
  80. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) るる今日までの流れそして先生の御意見を伺ったわけでございますが、確かに、いろいろな方々の意見を十分に積極的に伺っていく、そしてこれを有料化の方に進めるのか、今の現状のままでという結論に達するのか、いろいろ今調べている、また意見を伺っているときだろうと思います。  ただ、国の最高の決定機関でございます国会そしてその委員会におきまして、御質問の先生資料要求に対しましては、それは出すことをきちっとやっていかなければ、この委員会でその内容を決定するわけでございますから、もしこういうようなことで、先ほど局長が言いましたように、まだ意見を聞いている段階で、ましてや有料化するとかあるいはしないとかそれもはっきりしない問題で、お渡しをしていなかったようでございますが、今後はそういうようなことはきちっと提出をするように私は指導していきたいと思っております。
  81. 及川一夫

    ○及川一夫君 終わります。
  82. 一井淳治

    委員長一井淳治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  83. 一井淳治

    委員長一井淳治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電波法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  84. 星川保松

    ○星川保松君 今回の電波法改正の中で、電波法の五十条というところでは、通信長のいわゆる配置というのがなくなりまして、遭難通信責任者を配置するということになっておるわけであります。これに関連しまして、現在の船舶局の運用管理の責任者はだれになっておるか、まずお尋ねしたいと思います。
  85. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) これは、ただいまお話しの通信長が行います。
  86. 星川保松

    ○星川保松君 遭難通信の責任者は、今度の改正によりますと、遭難通信それから緊急通信、安全通信に限っての総括的な責任者になるということであります。この船舶局の運用管理の責任者は存在しないことになるように思われますが、これはどういうことになるんでしょうか。
  87. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 新しい五十条については、先生お示しのとおり遭難通信責任者を配置するということで、この仕事はあくまでも遭難通信に限られるわけでございますので、従前のような船舶通信全体を統括する、そういう意味の責任者というのは法律上はないことになるということは御指摘のとおりでございます。  実は、従前通信長というものを置きましたのは、電波法、国内法でございますが、これは国際的な定めを受けてのものでございます。この国際の定めは、ITU無線通信規則RRに決めておるわけです。それが決まりましたゆえんは、これは先ほども御議論があったところでございますが、遭難通信と同時に、飛行機等がまだ発達する以前からの制度でございますので、従前は船に乗る旅客のいわば国際公衆通信というものを扱わなければならない、そういう責務もありましたので、全体の通信の責任というものをこうした通信長の配置で行うことにしようと。しかも、その当時の情勢でございましたら、たくさんの通信士が乗っておったということもまた考えられるわけでございます。  ところが、新しい技術導入されて、従前の国際公衆通信もインマルサットを利用したような形で、大変平易な手続で通信設定が可能になる。そういうことで、通信全体を従前のような形で統括する必要がなくなったと。しかし、事安全通信遭難通信に関しては、大変多くの人命がかかっておるものでございますから、このSOLAS条約では、遭難通信等の重要通信を統括管理する責任者として、こういう配置をしたということでございます。  先ほど冒頭にも申しましたとおり、遭難通信責任者については、限定的になりますから、それ以外のことについての法律上の責任は、いわば負う人はいないという形になることは御指摘のとおりでございますが、ただ実際上は遭難通信責任者通信長と実質的には従前と同じことを、同じ職務を行うということは十分想定できるところでございます。
  88. 星川保松

    ○星川保松君 船舶には通信用の無線設備のほかにいろんな設備があるようですね。例えば、航海計器としてのレーダー、それからNNSS等の設備がある。それにまた無線従事者の方も、船舶通信士のほかに特殊な無線技師、例えばレーダーの担当とか、あるいは国際無線電話とか、こういうふうな無線設備がいろいろあって、無線従事者もそこにおるということになりますと、やはりそれらの無線設備の運用管理を統括する人がおって初めて順調に、円滑に運用されるのではないかと、こう思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  89. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 電波法上の話を申し上げておるわけでございますが、そういう意味では、まずさっきも議論が出ましたように、平成七年一月三十一日以前に建造された船舶無線局で、モールス無線電信を備えているものについては、平成十一年の一月三十一日までは従前どおり通信長が置かれるということに相なるわけでございます。したがって、この経過措置のある間は、今申されたような各種の通信の扱いの統括あるいは遭難通信、新しいインマルを使った公衆通信等等の総括の責任者は、これはやはり多くの場合、従前どおりの通信長が行うケース。それから、新たに建造された船で遭難通信責任者がおって、遭難通信を統括すると同時に、さっきも申し上げましたように、実質的にそれだけの責任を負う方でございますから、他の通信の統括をすることは十分想定される、こういうふうに考えているところでございます。
  90. 星川保松

    ○星川保松君 そうしますと、いわゆる電波監理上からいっても、無線局の責任者は実質は従前どおりの形を期待しておるといいますか、想定しておるということですか。
  91. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 法律の仕組みが基本的に変わりまして、これが完全実施になるのが平成十一年でございます。その間の実態としては、今申したような形で実質的にはほぼ変わりのない形になっていくのかな、こういうふうに思っておるところでございます。
  92. 星川保松

    ○星川保松君 それから、船舶局の免許人は陸上におって、船舶の方は世界じゅうを航行して回るということになるわけでありますが、外国では船舶局の臨時検査等が行われることがある。そういう場合、だれがそれに責任を持って対応するのかということでございますけれども、いかがでしょうか。
  93. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 船舶局の検査というのがございますが、その際船舶局の免許人が当然検査を受ける対象でございます。免許人と申しますのは、通常は船会社の代表ということになろうかと思うのでありますが、その方か、もしくはその代理人を立ち会わせて、通常郵政省の行う検査というのはやっておるわけでございます。お話のように、外国で検査を受けるというようなケースのときには、通常考えられますのは免許人、つまり船会社の代表というのは日本におって、その船には当該の船の責任者というのが乗っておると思われますので、お話のようなケースのときには当然免許人の代理人という形でその船の責任者がこの検査に対応するということになろうかと思います。
  94. 星川保松

    ○星川保松君 それから、無線業務の日誌抄録の提出とかあるいは遭難通信に関与した場合の報告、それから無線設備の故障、予備品などの発注もいわゆる無線局の運用管理上必要なわけでありますが、これはだれが行うことになりますか。
  95. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 電波法の施行規則で今お話しのような問題が具体的に規定をされております。基本的には、無線局の運用状況とか遭難通信の取り扱い状況とかあるいは機器の故障、そうした内容については、無線従事者無線業務日誌に記載することとすると省令で定めておるわけでございます。そういう意味では、日誌の抄録の提出とか遭難通信に関与した場合、こうした点はまた同じく電波法、これは自体でございますが、郵 政省令の定めるところにより郵政大臣報告しなきゃならないということに相なっておるわけでございますが、こうした仕事は無線従事者報告とか、さっき申しましたように無線従事者が記録した業務日誌の内容をもとに、その免許人、つまり船会社そのものがこうした報告をする責任者ということになるわけでございます。
  96. 星川保松

    ○星川保松君 それから、この遭難通信責任者というのは、いわゆる国際条約に基づいたということでありますが、RRの資格者の要件配置については、これに留保をつけて適用から逃れておるということであります。このRR自体は、資格者の要件配置を前提にして今回のGMDSSを構成しているというふうに考えられるわけでございます。その点から見て、このGMDSSの方が崩れてしまうということになりはしないか、こう思うんですが、この点についてはどうでしょうか。
  97. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 一九八七年と申しますともう四年前のことになりますが、ITUの世界無線通信主管庁会議というのがございました。そこでいわゆるRRという無線通信規則の五十六条というものが改正になりまして、海域を御案内のとおり陸地に近い方からAI海域、A2海域というふうに分かっておるんですが、この一番遠い方に属するA4とA3海域を航行するそういう船については無線設備の保守能力を有する無線通信士を置くようにという、そういう規則ができたわけでございます。これについては、私ども今のお話のように、日本として、世界全体で二十七カ国でございますが、この規則について留保をいたしました。これは無線設備の保守についての問題でございますので、無線設備の二重化あるいは港に入っているときに行う陸上保守、こういうオプションをとりました船舶が、無線従事者の配置についてより柔軟な方法をとることができるようにというスタンスで、そういう態度にいたしたわけでございます。  一方、それから後一年たちました八八年の、今回いろいろお願いをしておりますGMDSSのためのSOLAS改正では、船舶には無線通信規則に定める証明書を有するものであって、遭難に関する無線通信についての責任を有する者を乗り組ませなきゃならない、こういうことに相なっていますので、SOLAS規定に従って船舶には資格者の配置というものを要求することになるのでございますので、GMDSSの前提というのはお話のように崩れてはいない、こういうふうに考えているところでございます。
  98. 星川保松

    ○星川保松君 それから、第百十四国会に前回電波法改正案提案されたわけでありますけれども、その際に衆議院逓信委員会で、電気通信局長が主任の選任に関連いたしまして、主任はいわゆる最高の資格者、経験の深い者、すなわち通信長が選任されるのが常識だという答弁をなさっておるわけであります。今度、この通信長という存在がなくなるわけでありますから、この主任の選任についての基準がわからなくなってしまうということではないかと思うんですが、この主任選任の基準についてはどういうことになるんでしょうか。
  99. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 前回お願いしました電波法改正で主任制度というものをつくりました。この理由については、先生よく御案内のとおり、新しい通信機が比較的たやすい操作で、故障も非常に少なくなった、こういう実態を踏まえて、できるだけ規制を緩和と申しますか、そうした視点で、すべての者に全部その資格を要求するというのではなくて、こういう主任無線従事者制度を入れて、この主任無線従事者の監督を受ければ、その監督下にある限りは無資格者の者でも無線設備の操作を行うということができることになったわけです。  主任を置くか置かぬかは、これは免許人の自由意思であることはもちろんでございますが、当然のことながら主任無線従事者というのは、そうした意味合いでは、今お話しのように、選任される無線局の無線設備の機能や構造に応じてその操作を監督するわけですから、それにふさわしい資質を備えた者が選ばれるのは当然のことだろうと思っています。従前船舶局において選ばれる主任というのは、入れましてからこれまで船舶局には極めてわずかでございますが、当然経験豊富で最上級の資格を有する通信長というのが選ばれるのが適当でありましょうし、これはGM移行する場合にも同じ考え方になるんだ、こう思っております。  ただ、GMでは、さっきも申しましたような経過措置を除いて、最終的な形になりますれば電波法での通信長というのはなくなりますが、もし主任を選ぶということになりますれば、先ほど来あるいは先生が御指摘のとおり、最も経験豊富で、すべての操作の可能な最上級の資格を有する従事者が選任されることになるものと、これは変わりはないというふうに考えておるわけでございます。
  100. 星川保松

    ○星川保松君 主任はいわゆるこの操作範囲と同一範囲の無資格者の操作の監督ができるということなわけでありますけれども、この主任というのは複数でも選任は可能なわけですね。そういうことになりますと、無線に関して統一性がとれなくなって混乱が生じてくるというようなことは考えられませんか。
  101. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 想定される通常の状態でしたら、この主任制度がそういう意味だとするならば、普通は一人の配置で十分であるし、それ以外ぜひにたくさんというようなことはちょっと考えられないと思うんです。ただ、この主任制度を入れましたときに、一人でなきゃならぬというふうには別に決めもございませんし、あるいはいろんなケースで、その主任が交互に、あるいは乗務の関係とかで複数置いておいて、あるとき一人になるというようなことも想定するのかもしれませんし、その辺は禁じてはいないわけでございます。もし複数選任された場合には、やはりお話のような統括をするとなれば、その主任の中のいわば上位の方がこの統括に当たるということになるのではないかと、こう思っておるわけでございます。
  102. 星川保松

    ○星川保松君 陸上の無線局の場合は、これは主任が選ばれるということの場合、指揮系統の乱れというものは考えられないかと思いますけれども船舶局の場合は船舶職員の兼務が可能なわけでありますから、無線の資格上の上位、下位の資格と船舶運航のいわゆる指揮系統上の上位、下位が逆転するような場合が生じるかと思いますが、そのようなことは想定しておりませんか。
  103. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) その船に備わっている機器だとか、あるいは乗組員がどうだとか、あるいは通信を行う人が何人いるのか、資格を持った方が何人いるのか、いろんなことでどういうふうに全体がなるというふうなことは一概にはなかなか言いがたいわけでございます。  ただ、船内にいろんな無線機がございますれば、そのすべてを扱うことができる最上級の資格を持っている、そして経験が豊富な方というのが、これは複数おられればやはりその方が無線通信の業務に実際上の責任を負うということにはなるんだろうなと、こう思うわけでございます。先生のおっしゃるように、こうした事態になるから上下だとか指揮命令等があって混乱をするというふうには、現実の問題には、職場のことでございますから、やはり先輩格という者が全体の統括をしていくというようなことになるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  104. 星川保松

    ○星川保松君 このことについて、運輸省の側はどんなお考えをお持ちでしょうか。
  105. 丸山博

    説明員(丸山博君) お答えいたします。  GMDSSの体制におきましては、通信が大幅に機械化、自動化されるということでございますので、その意味通信長の職務は大幅に軽減されるということで、通信長が他職務を兼務することが可能となるものと考えられます。一方、遭難時等におきましては、電波法上、無線従事者の資格を有する者がみずから通信を行わなければならないということにされておりまして、遭難時におきましては遭難通信責任者通信を行うということ になると考えられます。  船舶におきましても、遭難時の船員の配置につきましては、非常配置表というものをつくることになっております。電波法上、遭難時にただいま申し上げましたような規制がございますので、それを尊重いたしまして、非常時の配置を定めるに当たりましても、遭難時の運航体制や通信体制に支障を生ずるような非常配置を定めるということは通常考えられません。したがいまして、兼務者であります通信長を配置いたします場合におきましても、遭難通信に関して支障が生ずるような配置にはならないというふうに考えております。
  106. 星川保松

    ○星川保松君 今度改正される船舶職員法では、この通信士の他職兼務ということが認められるわけであります。船舶には無線従事者一名であとは要らないということになった場合に、この無線従事者が例えば主任として無資格者の教育も訓練もしなければならない、無資格者の無線設備の操作の監督も確保しなければならない、兼務していれば航海士とか機関士とかという仕事もしなければならない、そして遭難通信、緊急通信、安全通信の総括的な責任者としての仕事を果たさなければならないということになって、いわゆる船内の指揮命令系統との複雑な絡み合いの中で職務を果たさなければならないということになろうかと思うわけであります。  こういうことで果たして船舶局の運用管理が円滑にできるかどうかということが心配されるわけでありますが、この点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  107. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ただいま運輸省からもお話がございましたように、この無線設備の操作というのは原則は無線従事者でなきゃならぬということが基本的にあるわけでございますし、それから特に重要無線通信遭難通信等の重要通信はこれまた主任が置いてあるようなときでも資格を持った従事者でなければならないということにもなっておるわけでございます。今お話しのようにSOLAS条約がございまして、遭難通信は大変大事でございますので、その遭難通信等の重要通信を統括管理するというのは、統括責任者として、他の職務と兼務しておっても、緊急時にはこれは当然責任を持った対処をしなきゃならないわけでございます。そういう意味で、指揮命令系統に混乱が起きるというようなことはちょっと想定しがたいのではないか。  遭難通信責任者自体につきましても、私どもとしては、これからまた具体的な細かい決めをすることになろうかと思うのでありますが、その船舶局のすべての無線設備の操作が可能な無線従事者の資格を持っていること、あるいは選任されている無線従事者のうち一番最上級の者だと、こういう方を選ぶというふうに想定しているわけでございます。お話のようなことについては、そうした形で十分担保されるのではないか、重ね重ねでございますが、そんなふうに考えておるわけでございます。
  108. 星川保松

    ○星川保松君 そういういろんな心配が出てくるのではないかと、こう思われるわけであります。むしろ、船舶局の運用管理に対する責任者として、例えば船舶局管理者というようなものを規定して置いた方がすっきりするのではないかと、こう思われますが、どうでしょうか。
  109. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 御心配のような点は、私どもも制度が変わるということで、この御心配がわからないではないわけでございますが、一応条約の定めに従って、国際的な形ででき上がっておった通信長というものを要らないということにしました。その通信長は、現在の法律でも、御案内のとおり、通信長となる前十五年以内に第一級総合無線通信士として四年以上業務に従事するとか、かつ現に第一級総合無線通信士の免許を受けている者であるとか、船によって種類が違いますが、全体として大変経験豊富なということを要求しているわけでございます。そうしたことが必要がなくなったということでございますので、しかも遭難通信については先ほど来のお話のとおりで、いざというときの緊急の体制は十分とれる、あるいはこうした中で混乱もちょっと考えにくいということでございますので、あえてまたこの免許人に過重な負担を根拠もなく課するというのはいかがであろうかということで、現行法の形でこの条約に従って法律改正をお願いしているということでございます。
  110. 星川保松

    ○星川保松君 この船舶局の適用管理には混乱が生じないように、いろいろな角度からひとつ検討して備えていただきたい、こういうふうに要望を申し上げておきます。  それから、運輸省の方にお尋ねをいたしますが、これは先ほど山田さんの質問の際に出ましたが、船舶職員としての通信長というのは残るということで理解してよろしいのでございますね。
  111. 丸山博

    説明員(丸山博君) GMDSS移行いたしましても、船舶の航行の安全にかかわる通信を確実かつ迅速に行いますためには、単に無線設備の操作に係る知識でございますとか技能を有しているだけでなく、一定の海事知識を有する者を乗り組ませる必要がございます。したがいまして、SOLAS条約に定められております条約船、これは国際航海に従事いたしますすべての旅客船と三百トン以上の貨物船と、それから条約船ではございませんけれども一定船舶につきましては、船舶職員法上の通信長を乗り組ませるということにいたしております。
  112. 星川保松

    ○星川保松君 それから、今度はいわゆる通信室というものがなくなって、無線設備ブリッジ設置されるということでありますけれどもブリッジはいわゆる見張りの当直が内部を暗くして外を見張っておるということだそうでありますが、この無線設備の方はこれは照明がなければ仕事にならないと思うんですね。ということで、照明を必要とするのと暗くなければならないというのと矛盾した形のところに併置されるようなことになろうかと思うんです。それからもう一つは、いわゆる見張りの方も国際VHF等を聞きながらその仕事をしていくわけでありますけれども無線関係の音がブリッジの当直にとっては雑音となって邪魔になるおそれがあろうかと思いますが、こうしたことについてはどのような配慮をなされておりますか。
  113. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) SOLAS条約では今のお話について具体的な定めがございまして、無線設備の照明については、常に制御器を識別する、そして指示器の読み取りを容易にするように設備または船舶内に十分な照明をしなきゃならぬということになっております。お話のように、ブリッジの中に置くといったときには、そうしたこととの絡み合わせで、具体的にこの点は今度の電波法に従いまして、三十八条でございますが、その三十八条に基づく省令で定めることになります。例えば、テレックスなんかが来たら文書が読めるようにというような点については当然必要でございますので、照明のことについても具体的に書いてまいりたいな、そういうことにしなきゃならぬ、こう思っております。  ただ、船舶の操船上、なるべくブリッジ自体は暗くするという先生お話で、無線設備の音が操船の邪魔にならないようにということでございますが、ここも条約船舶の航行を妨害するおそれのある場合にはその出力を低下させる手段を設けることというようなことにも相なっていますので、通信の操作のための必要最小限の明るさに全体を抑制するというようなことをいたしますれば操船には支障がないと思っております。現在、受信機の音としては、ブリッジ設置しておりますVHFの無線電話あるいはインマルサットの端末、もう既に置いているものと大体同程度なものではないかということで、操船には妨害にならないということは十分可能かなというふうに考えておるわけでございます。  いずれにしても、SOLASの定めるところによりまして、先ほどと同じようにこうしたさまざまな問題については電波法三十八条で具体的詳細を定めたい、こう思っておるところでございます。
  114. 星川保松

    ○星川保松君 時間がなくなりましたので、あと 急いで質問をいたしますが、このEPIRBですね、これは遭難の事実、それから国籍、船舶の識別を送信するだけだということで、いわゆる通信の手段はこれ持っておらないわけなんですね。これからいわゆる信号、遭難警報が出ても、陸上ではわかっても、付近の船舶には陸上から通報されなければわからないということなんです。現行の通信制度の船舶にはどのような方法で知らせるのか、それをひとつお答え願いたいと思います。
  115. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 案内のとおり、GMDSS自体は十数年にわたるIMOの検討の結果、現在で最も有効な方法だということで、今回EPIRB義務づけられた一つになっておるわけでございます。  このEPIRB一つの大きなポイントは、人の手を介さなくて緊急時にそれこそ自動的に現在位置あるいは船名というようなものが船舶から、あるいは船舶の付近から衛星経由で遭難通信ができるということでございます。しかも、GMでは必ずしもEPIRBだけだということではございませんで、そのほかにディジタル選択装置というような自動化されたボタン一つで同じような通信が行えるような装備もございますし、あるいはインマルというようなこともございますので、いろんなものを総合して組み合わせて全体の安全の確率を高めようという配慮になっております。そういう点については、陸上からの通信というのはインマルサットの経由ということにもできるわけでございますので、御懸念のようなことにはならないというふうに考えておるところでございます。
  116. 星川保松

    ○星川保松君 時間がなくなりましたので最後に、いわゆるこのEPIRBの遭難警報が陸上測定局、LUTに届くのに最大二時間程度かかると。いわゆる衛星のこれに届く場所まで回ってくるまで時間を要しますから、二時間かかるというのは緊急のいわゆる遭難の事態については大変な時間だと思うわけです。それで、これを速報体制ができるようにしなければならないと思いますけれども、速報体制ができるようにするのにどのような考えを持っているか、いつごろどういうふうな形にそれができるか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  117. 谷口雅文

    説明員(谷口雅文君) お答えいたします。  EPIRBから発射されました遭難警報は、EPIRBがコスパス・サーサットシステムの周回衛星の見通し範囲にある間衛星により受信されまして、陸上測定局に伝送されるようになっております。したがいまして、EPIRBから遭難警報が発射されたときに、そのEPIRBと陸上測定局がともに衛星の見通し範囲内にある場合は、遭難警報は直ちに陸上測定局に伝送されます。しかし、EPIRB衛星の見通し範囲内にない場合は待ち時間を生じることとなりますが、この待ち時間は、コスパス・サーサットの実験データによりますと、おおむね九十分以内であるとされております。
  118. 星川保松

    ○星川保松君 終わります。
  119. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 法案の質疑の前に、緊急な問題でもあるし、大事な問題なんで、先日失敗した放送衛星に関連して二点ばかりお伺いをしたいと思います。  四月十九日、ケープカナベラル空軍基地から放送衛星BS3Hが打ち上げられたわけでございますが、それが失敗して、その結果、現在の衛星放送継続に支障を来す可能性が強くなってきたことについては、私はまことに残念であります。補完衛星のBS2X、アリアンロケット、これは昨年二月二十三日失敗しております。その後、今言いましたBS3H、ことしの四月十九日、アトラス・セントール、連続しての打ち上げの失敗でございますけれども、その上BS3aのトラブル、これは三月の下旬から四月、こういうふうに短期間に相次いで起こっておるわけです。  このようなことは確率的に非常に少ないと、こういうふうに思いますけれども、ということになるとこれは不運としか言いようがないのかもしれませんが、不信感を私は持たざるを得ないわけです。しかし、こうした事実が現実にあるわけですから、失敗しているわけですから、これを目の当たりに見て、放送衛星はまだまだ不確実なまた不安定な部分があり、宇宙開発の難しさというものを感じるわけでございます。  そこでお聞きしたいのは、この放送衛星の打ち上げスケジュールにおいて、BS3aが一機だけになる期間があることは前からわかっておったことでありますから、BS3bが打ち上げられて、確実に衛星の運用ができることを見きわめてから、四月一日から始まったJSBの本放送を始めてもよかったんではないかなと、こういうふうに思うわけです。本格的な衛星放送時代を目指すならば、確実な補完体制、補完体制で補完するのがだめならこれしようがありませんけれども、いわゆるバックアップ体制をとっておくべきではないか。一機体制では、こういう事態が起きた場合には受信者の方も困るし、また放送する方も心配、両方心配なわけでございますから、結果論にはなりますけれども、これらの対策が十分でないまま衛星放送の推進を急ぎ過ぎた感がするわけでございます。この点について、郵政省としてはどんなふうに考えておられるのか、最初にお伺いいたします。
  120. 桑野扶美雄

    政府委員桑野扶美雄君) 先生方及び国民の皆様に対しましては、BS3Hの打ち上げの失敗によりまして、今後の衛星放送の運用につき御心配をおかけいたします事態になりましたこと、心から申しわけなくおわび申し上げる次第でございます。  先生指摘の早過ぎたのではないかという点でございます。NHKの衛星放送につきましては、昭和六十一年の十二月から二チャンネルによる試験放送、料金を取らない放送を実施していたわけでございますけれども、六十三年九月末には既に普及が百万世帯を超えるに至ったわけでございます。そのための費用というのはどこから出ているかといいますと、地上放送の受信料で経費を賄うということでございます。そうしますと、地上放送の受信者との負担の公平という点もございまして、衛星放送の有料化というのが必要だという判断から、平成元年度のNHKの予算におきまして、衛星受信料の徴収について国会の御承認をいただき、同年八月から有料化を実施いたしたものでございます。  そのときに、有料化に際しまして、先生のおっしゃいました補完衛星BS2Xの打ち上げによる予備体制についてもあわせて御承認をいただきまして、これとあわせて二機体制というものを考えたわけでございますけれども、不幸にしてこれが失敗に終わったわけでございます。結果といたしまして、今日の事態に至りましたことに対しましては、大変私ども不明をわびるわけでございますけれども郵政省といたしましては、NHKの衛星放送の有料化というものは、こういった一連の中で踏み切ったということについてはやむを得ないものがあったというふうに考えております。  繰り返しますけれども、今日の事態に至りまして見ますと、その後の予備体制が計画どおり実施できなかったということは重大に受けとめておりまして、このような事態が生ずることのないよう、今後の衛星放送のあり方につきましては、関係方面ともよく検討いたしてまいりたいというふうに思っておりますので、どうかひとつ御理解賜りたいと思います。
  121. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一点だけ。衛星放送のあり方、今回のBS3Hはなぜ失敗したのか、それも含めてまた次の機会にお伺いすることとして、あと一点だけ。  今回のNHKのBS3Hの補完衛星の打ち上げ、この失敗についてはこれからいろいろ問題が出てくると思うんですけれども、今後の対策について関係者間でいろいろ協議をしなければならない、こういうふうに思います。監督官庁として行政指導もしなきゃいけないだろうし、具体的に言えば直接関係のあるのはJSBと通信・放送衛星機構それからNHKと、こういうふうになりますけれども、その間において調整もしなければならない、行政指導もしなければならないという立場 にある監督官庁としてどのような考え方を持っておられるのか。また、どんな方針でこれに対応していくのか、その点はどういうふうに考えておられますか。
  122. 桑野扶美雄

    政府委員桑野扶美雄君) BS3Hの打ち上げが失敗したことによりまして、実はこれも先生御承知のとおり、BS3aの中継器の電力が低下しておりまして、夏至の期間といいますか、五月の中旬から八月の中旬まではBS3aの中継器、今三本使っておりますが、これが二本賄える電力しか出ないということでございます。したがいまして、この二本とBS2b、これは現在では前の機械でございますから予備ということになっておりますけれども、この中継器も使いましてNHKとJSBの合わせて三チャンネルの放送を確保する必要があるわけでございます。  その具体的な利用の方法につきましては、まずこれらの中継器の利用につきましてすべての権利を持っておりますNHKそれからJSBを中心関係者の協議、調整を行うよう私ども指示いたしておりまして、現在鋭意検討、協議が行われておるところでございます。郵政省といたしましては、関係者の協議、調整の結果を踏まえまして、その結果はさまざまであろうと思いますけれども、行政としての所要措置をとってまいりたいというふうに思っております。
  123. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大臣にお聞きしますけれども、こういう問題は非常に緊急な問題であるし、大切な問題であります。今言ったように、JSBとNHKが協議をしてその調整をとるというんですか、そういう話でございますけれども、困るのは国民なんですよね。そういうことで、監督官庁としてどういう姿勢でこの点について、まあ起きたことだからしょうがない、とりあえずの問題でこういうふうにしなきゃいけない、こういうことではなくて、衛星放送のこれからの問題も含めて確固たる決意を教えていただきたいと思います。
  124. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 今後のスケジュールといいますか対策でございますが、五月の十日ぐらいまでにはこの両者間の話をまとめなければならないと思っておるわけでございます。  先生指摘のように、何といいましても行政としての対策、留意をしなければならない点というのは受信者の方々への影響、このことがまず第一でございます。そしてまた、今回初めての民放の衛星、JSBがスタートしたところでもございますから、そういうようなことも考えつつ、いずれにいたしましてもそれではまた八月の打ち上げがどこまで、これは日本衛星でございますが、それだけ私も自信は抱いておるわけでございますが、そういうようなことも含めて、いわゆる失敗した場合のもう一つ後の対策というのも政策的に考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。  今完全な解決策、長期の考えはちょっとまだ出ていないのでございますが、とりあえず今回の失敗の後のNHKとJSBの話し合いを強力に指導して、受信者の皆様方に影響が出ないように最大の対策を講じていきたいと思っておりますのがもう現在のぎりぎりの状態でございます。そういうようなことで、今回の事態を大変重く真剣に認識いたしております。
  125. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、また詳しいことは次の機会にお伺いいたします。  法案に入りますが、最初に、日本で遭難船舶とは年間どのぐらいあるのか、またこれに伴う遭難者、死亡者、行方不明、状況はどうなっているか、海難の発生状況についてお伺いいたします。
  126. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) この件に関しましては、海上保安白書というものが出ておりますので、これによりますと、平成元年についての話でございますが、我が国の周辺海域で救助出動が必要なようなそういう海難事故というのは、これは年によって大分、台風だとか気象条件、異常気象というような、そういうのは除きますと、大体これここ数年平均しているようでございますが、年間に千九百十二隻というのが平成元年の数字でございました。そのうちモーターボートとかヨットとかというプレジャーボートというのが五百三十五隻というようなことが判明いたしております。  それで、もう一つお尋ねの遭難者数というのは、この年総計で八千七百三十七人ということに相なっています。しかし、現実に死亡とかあるいは行方不明になった方は二百八十三人、それでさっきのようなプレジャーボートによる死亡、行方不明者というのは二十七人ということに相なっております。
  127. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこでお伺いしますが、インマルサット衛星についてでございます。  現在でもインマルサット衛星については、容量といいますか回線数、四機あるということでございますけれども、一機の回線数は約五十回線、こういうことになっておるそうですけれども、これでは容量の不足がはっきりしているわけです。この新システムの、今問題になっているこの法案に出てきているGMDSSにもインマルサットを使うということでございますけれども、このインマルサット衛星だけで大丈夫なのかどうなのか、これが心配なんでお聞きしたいんですが、将来陸上移動業務や航空移動業務、これもインマルサットを使うと、こういうふうに予想されているわけです。その上、今言ったように、回線数がそういった一機五十回線で四機と、こういうことなんで、当然容量の不足ということが考えられるわけですけれども、この点については大丈夫なんですか。
  128. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 今お話しのございましたインマルサットは、世界のどこにおってもその海域から仰ぎ見るというか通信ができるようにということで、四機というよりは四つの場所に配置してあるということかと思うのでございますが、一つは大西洋の東側、それから大西洋の西側、それからインド洋の真ん中、それから太平洋にと、その四カ所において今上がっております衛星は、これはごく最近も打ち上げたものでございますのですが、全体で十機上がっておるわけでございます。これは現用にするものとそれから万が一のときの予備というものを重ね合わせまして、その四カ所にそれぞれ四個があったりただ一個であったりいろんなケースがございますが、いずれにしてもそういう状態で配置をいたしております。  お話のように、インマルサット海事衛星が大変頻繁に従前よりは使われるようになりまして、一部の海域でつながりにくいという事実は確かにあるようでございますので、このGM導入があるということで、インマルサットでは、九二年といいますから来年でございますが、この三月にはさらに今の衛星全体の容量を三倍から四倍にふやす、そういう衛星を各地、今の四地域にまた一つずつ上げようということになっております。そうしますと、回線量がいわば三、四倍に一挙に膨れ上がるということで、当面しばらくは十分なのかなと。  ただ、こういうGMを入れる、あるいはそれ以外の国際通信状態がますます盛んになるということで、このインマルサット、これは国際機関でございますので、いろいろ相談し合っておるようでございます。今のところ、さらに将来こうした通信需要がふえるであろうということで、一九九四年といいますから今から三年後、来年に第二世代のものを打ち上げて、それから三年後にはさらに第三世代衛星を打ち上げる、それぞれのさっき申しました四海域に。そうしますと、第二世代の八倍程度の容量になるということで、今からしますと相当量の容量がふえる形が先行き展望できるかなと。もう既に第三世代の予定も全部打ち上げを九四年、九五年等々に具体的な段取りができておりますので、お話のような状態については将来は十分展望ができるんじゃないかと考えておるところでございます。
  129. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それに関連して、今のはインマルサットですけれども、インテルサットというものもこれあるわけです。衛星を使う国際通信の組織でございますけれどもインテルサット、これはアメリカ中心ですが、それからインマルサット、ヨーロッパという組織があります。これは私の意見ですけれども、インマルサットが陸上移動にも業務 範囲を拡大し、さらにこの法案のように重要通信も扱うようになってくるわけです。このインマルサットの高まる重要性とインテルサットの現状を考えますと、私はあえてこの二つの国際組織が別別に存在する必要性が薄れてきたんではないかなと、こういうふうに思われるわけです。  もちろん、インマルサットとインテルサット、今までの機能というんですか、職務分担といいますか、それは違うということはよく承知をしておりますけれども、これから例えばインテルサットにしても陸上、航空に出ていくし、それからインマルサットは海上中心、これからは陸上、航空にも出ていく、こういうことですから、言うなれば機能は同じになってくる、こういうふうに理解するわけです。それだったら一つにまとめてもいいんではないか、こういうふうに私は思うんです。この点については、もちろん国際通信の組織ですから、はいそうですか、一つにしますとここで言うわけにもこれいかないでしょうけれども郵政省はどういうふうに将来の問題として考えておられますか。
  130. 白井太

    政府委員(白井太君) 確かに鶴岡先生のおっしゃいましたような考え方もあろうかと思うわけですが、現実の問題はなかなか難しいのではないかというのが率直なところでございます。と申しますのは、インテルサットという組織ができましたのは昭和三十九年でありますが、他方インマルサットというのは昭和五十四年にできました。その間十五年の開きがございまして、加盟国もインテルサットの方は百二十カ国であります反面、インマルサットの方は六十三カ国ということで、大体半分ということでございます。特に一番問題になりますのは、インテルサットには入っているがインマルサットには入っていないという国が非常にたくさんあるわけでありまして、そういう加盟国がそのように大変違うということを考えますと、なかなか一つの組織にまとまるというのは難しいのではないかと見ております。  ただ、これからは衛星を使った通信の方の分野というのはいろいろ動いてまいりますし、だんだんと同じような目的で通信をするというような方向に向かっていくということになりますと、この二つの組織があるいは一つにまとまるということもないわけではないと思いますので、その辺についてはよく動きを私どもとしては注視してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  131. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それから、船体の構造によってアンテナが煙突やマストなどによって衛星通信ができなくなるいわゆるブロック現象、これをどういうふうにするのかということでございます。発信の場合はまだ船の針路を変更することでいわゆる通信は可能でありますけれども受信については相手がいつ来るのかわからない、こういうことで対応ができない、こういうふうに聞いております。通常の通信では余り問題とならないと思いますけれども遭難通信など重要な通信の場合、針路変更ができないときもこれあり、衛星通信は現状では問題があると思うんですが、ブロック現象についてはどういうふうに、船をつくりかえればいいといえばこれはもうそれまでですけれども、そうもいかないと思いますので、この点についてはどういうふうに対応されますか。
  132. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) お話のように、ブロッキングというのはインマルという衛星を使う点について特有な現象といいますか、つまり非常に位置が赤道に近ければ問題はないわけですが、さっき申しました四つの海域の極に近い方になりますと、衛星がだんだん船から見ますと地上に低い方に位置する、そうしたときに先生お話のように、そうした煙突だとか船のほかのアンテナ等が邪魔をしてブロッキングという現象が起きる、これは確かに問題ではございます。  ただ、今お話しのように、針路を変更するというのも一つでございますし、それから取りつけの際に、あらかじめ航路というのは大体決まっておるわけでございますので、そうしたことを十分想定して遮へいが起こりにくいようなそういう場所にアンテナを取りつける、あるいはどうしても船体の構造上やむを得ないといったときにはまた補助アンテナを取りつけるというようなことも想定されるわけでございます。さっきからの議論がございますように、インマルサットの船舶地球局というのは大変GMの中でも重要な位置を占めるわけでございます。その位置については具体的に省令で定めるということになっておりますので、そういったことを十分指導してまいる体制にしたいなと。  ただ、やはりお話のように、遭難というような大事な通信のときにこうした問題が起きるというのは大変困りものでございますので、今のGMではこの点を勘案しまして、インマルと同時に中波帯の無線設備もあわせつけなさい、MFと言っておりますがMF無線電話、それもディジタル・セレクティブ・コールというか、機械でぽんと押すと自動的にメッセージが飛び出す、そういう装置もあわせつけると、こういうことになっております。そうとしますと、こうした事態のときには中波帯の無線設備もあわせて利用するということの措置も、このシステムの方であらかじめ予定をして対処しようということにもなっておるわけでございます。
  133. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それはわかりますけれども、要するにA1海域、A2海域、A4まであるわけですから、今言ったようにA1とかA2という海域は何とかなるということですけれども、やっぱりA3、A4海域に行った場合に、それをカバーするために、いわゆる全世界をカバーするためにGMというものの法律ができるわけです。それでもなおかつブロック現象というものがあるわけですから、その辺はよく注意をしてやっていかなければいけないんじゃないかなと、こういうふうに思うから申し上げたわけでございます。  それから、遭難安全通信GMについてお伺いしますけれども、A1海域と言われている岸から二十五から三十海里、いわゆる五十キロから六十キロについては、このGMシステムは迅速なレスキュー活動ができる、近いせいもございますけれども、私はこういうふうに思います。しかし、A2海域からA3海域、A4海域にはほとんど航行する船がない、こういうふうに聞いておりますけれども、このA2海域であってもA3海域であっても、電波をインマルサットに飛ばして、それから海岸地球局に連絡して、またそこからいわゆる捜索救助機関、日本で言えば海上保安庁ですかに連絡するようになっております。聞くところによると、外国の場合は、特に発展途上国というのは、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、陸上の回線が非常に通じにくい、整備されていない、こういうふうに言われておりますけれども、迅速な活動ができるのかどうか、この点は郵政省としてはどういうふうに考えておられますか。
  134. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ただいまのところ、インマルサットから入る通信を取り扱う陸上の保安庁みたいなそうした海岸地球局というのは、今調べますと全世界で十六カ国二十四局が稼働していると聞いております。これらの海岸地球局というのは、当然のことながらSOLASに定めるところによりまして常時聴守義務、常時聞いているという義務が課せられておるわけでございますので、これらの二十四局、常時動いているところに入ったその遭難警報というのは、通常陸上の通信回線で、捜索救助機関というのがございます、そこへ直ちに連絡がされるというような構造になっているわけでございます。そういう意味で、海岸地球局が現在設置されている国にはこうした陸上網というのは十分整備はされておるわけでございますが、お話のように発展途上国というのはなかなか通信全体の設備も不十分でございますし、今後私どもとしましては、ぜひひとつまたODAというようなことでもこうしたものを考える必要があるかと思うわけでございます。  特に遭難警報を受信した海岸地球局あるいは捜索機関が何か適当でないというようなケースがやはり時には起きるわけでございますが、そうした場合は当該捜索救助機関から最適な地域の捜索救 助機関あてのメッセージの伝送ということも行われるような仕組みになってございますので、いずれにしてもいろんな方法でせっかくのこのインマルサットの緊急通信が十全な働きをするように今後ともいろいろ努力をしてまいらなきゃならないと考えております。
  135. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 今言われましたように、せっかくのインマルサットの稼働のためにこれつくるわけでございます。それにしても、先ほど数字をお聞きしましたように、日本だけでも一千九百十二隻の救助船舶が一年間に出ているわけです。これは世界をカバーするわけでございますから相当多くなると思いますし、そういった点で今お話の出たODA、ODAもいろいろな考え方があると思いますけれども、救助船の活動に使うということで、これはいいことですから、働きかけてODAも発動するようにしていただいたらいいんじゃないかな、こういうふうに思います。  それで、このGMシステムの適用される船舶は三百トン以上、こういうことでございますけれども、私が思うのにはプレジャーボートの海難が今後増加するんではないかなと。そちらからもらった数字でも、先ほど平成元年ですけれども平成二年の数字でいくと海難発生数が二千七十三。百トン以下というのは、これ千五百ぐらいありますか。特にプレジャーボートというのは今言ったGMシステム義務づけはしないことになっているようでございますけれども、本来ならば私はプレジャーボートの方が必要ではないかな、こういうふうにも一面考えるわけです。このプレジャーボートにはいわゆるGMシステム義務づけはしないのかどうなのか。  その点と、今後、私は海難事故がプレジャーボートは余計増加する傾向があるんじゃないかなと思いますけれども、この点については何か将来の問題として考えておられるかどうか、この二点をお伺いします。
  136. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 今回のGMで世界的にどうしても条約義務になっているというのは、先ほどからお話ございますように、国際航行するような大型の旅客船だとかあるいは三百トン以上のような貨物船とか本当に大きなものは条約上の義務になっておるわけでございます。それ以下の部分については条約義務はないんですが、今回の船舶安全法の改正で、一定船舶については人命安全の見地から無線設備義務づけるということになっております。  これは、さっきもお話ございました運輸省の所管の法律で、これが通りますれば具体的には政令で書くということに伺っております。伺いますと、大体二十トン以上の漁船あたりは対象にしたいというような意向のように聞いております。そうしますと、その船に積む無線機につきましては、これも海域に応じて、先生お話のように、船のそれもいろいろ種類がございましょうから、それぞれの特性に応じた無線設備は私どもの方の電波法の体系で具体的なことを決めたい、こう思っておるわけでございます。  今のお尋ねはそれからも外れておる、これは国内法の義務でございますが、その義務のないのがいわばそれより小さいプレジャーボートのたぐいでございます。お話のように、レジャー時代を反映してこの種の船舶も大変ふえておりますし、この中には遊漁船というようなものも含まれるわけでございますので、やはり私どもとしてはこういう義務だとするほかの船舶の安全もぜひ大事なことだと。できるだけ小型の船舶に簡単に取りつけられるような無線機の開発ということも行政としてひとつやらなきゃならない、こう思っておるわけです。  いろんなことを努力いたしておりますが、私ども平成二年度、去年でございますが、この点に着目いたしまして、マリンレジャー通信システム普及促進協議会というようなものをつくりまして、いろんなレジャー関係者というか、メーカーの関係者、通信機関係者、ボートのメーカー、いろんなレジャー団体等々で、一体こうした点についてどういうふうな方策が具体的に可能なりや、具体的な研究がどういうふうに行われるべきかというふうなことをいろいろ検討しておるわけでございます。お話のように、こうした小型船舶にも安くて使いやすい機器が普及できるように今後努力をしてまいりたいと考えております。
  137. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 時間が来ましたので、最後にいわゆる電波の有料化、けさほどから出ておりますけれども、先月提出された電波政策懇談会の報告書、これについて郵政省はどのように受けとめているのか、この点について大臣にお伺いして質問を終わりたいと思います。
  138. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) この問題は、現在鋭意あらゆる角度から検討をしているところでございます。有料化の方向に向かっての検討とかそういうようなまだ段階でもないわけでございまして、この答申といいましょうか報告書の内容を頭に置きつつ、急激に電波の利用者がふえてきておる、あるいはまた不法無線局に対してどのようにやっていくか、あるいはまた免許事務が増大している、そのあたりの費用などもどのように分担を、いわゆる税の公平の感覚からどのようにすればいいか、それはまた利用者の方々に負担をしていただくのも一つ考え方でもあるわけでございますが、そういうようなことも含めて、今後ますます進んでまいります情報化に対し、そしてまた電波利用を円滑に進めていくためにはどうすべきであろうかというようなことも頭に置きながら、今正直のところ局で検討をしておるというのが現状でございます。
  139. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いつ導入するか、だれから料金をもらうのか、また料金はどういうふうに決めるのか、これはもう初めてやることでございますから、外国には例があるようでございますけれども、いずれにしても難しい問題だと私は思います。そういうことで、けさほどもお話ありましたけれども、あらゆる方々からこの点についてはよく意見を聞くなり、それから取り扱いについては慎重にするなり、新聞で読むと、大体骨格が決まった、次の通常国会には出す、こういう話もちょっとございますけれども、それは聞かないことにして、いずれにしても初めてやることですから慎重に取り扱っていただきたいと、こういうふうに注文をつけて質問を終わりたいと思います。
  140. 山中郁子

    山中郁子君 今の電波の有料化の問題ですけれども、ちょっと一つだけ伺いたいんですが、事態がどんどん実際には客観的には進んでいるように伝えられもするし、そういうふうに認識せざるを得ないような状況もある。だけれども委員会で正式にどうなのかというふうに伺うと、いやそれはまだああいう報告が出ただけであって、今の大臣の答弁の言葉をかりるならば、有料化するともしないとも別にそういう方向を持って検討しているわけではない、しかし電波の今の現状を考えれば何かの手を打たなきゃならないという趣旨のこともおっしゃっていらっしゃるんですね。  そうすると、ちょっと一つだけ伺っておきたいのは、有料化という問題とは別に、つまり金を取るということとは別に、電波の今の現状を何らか、ますます利用者はふえていく、そういう幾つか挙げられた問題点を解決するなり改善するなりすることの、有料化の問題とあわせてでも有料化とは別でもいいんですけれども、何かお考えがあるのでしょうか。ということをちょっと聞かせてください。問題意識というか。
  141. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 局長局長の立場でまた答弁をしてもらいたいと思いますが、先生指摘のように、今有料化をするとかどうとかということではなくして、ちょうど郵便貯金でいいますと、金利が自由化になって、そのように環境が大きく変わってきたから、それで預入限度額を上げたりいろいろ対処しているわけでございます。電波の問題にしても、そういうふうに環境がいろいろ大きく今変わってきておると思うんです。そのときに、そういうような環境が変わってきておるから、そういうようなことであらゆるものを含めてどう対処したらいいかという一つ報告書をもらったというのが正直のところで私はあると思うんです。ですから、そういう中の一つが有料化と いう、これやるもやらぬもまだわかりませんが、一つの環境の変化の要素になっておる。ですから、もうそういうふうに、ちょうど新たに電波の問題を考える時期に来ておるというふうに私は今の時点では御理解をいただきたいと思います。  それから、先ほど委員の御質問にもございましたが、実際のところこの問題につきまして私は何の報告ももらっておりません。逆に言いますと、いかにも私は浮いてしまったような格好になるかもしれませんが、私の政治姿勢は、正直に何事も御報告しますし、自分の考えていることは述べさせていただくというのが私の信念ですから、決して隠したりどうとか、そういうふうなことはいたしておりません。ですから、私は全然そういうことは聞いておりませんので、もしも局長が何かあると言われますと、ますます私もちょっと、私が引くか彼がやめるかどちらかにならぬといかぬようになる、そのように思うんですが、本当のところ、そういう今の状態です。
  142. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 確かに、大臣からもお話ございましたように、今まで我が国でもあるいは人類全体でも考えられないような電波の利用というのがここ急速に発展する。しかも、例えば自動車電話は年率、端的には倍々ゲームで伸びるような状態になる。特に自動車だけじゃなくて、これからはトラックとか、あるいはいろんな産業というのが電波抜きでもう成り立たない。それから、オフィスの中でもこれまでLANというのがございました。これは線を引っ張っておったんですが、もちろんオフィスのいろんな発展過程に応じて自由自在に机のレイアウトを変えたりしますと、今までの線を引っ張ったようなLANがとても構築不可能になってまいる。オフィスの中にも無線のLANというのができる、ちょうど家庭の中でコードレス電話が発展するように。  そういうようなことで、ありとあらゆる分野に電波が必要になってくるし、それでそうしたときに、周波数が足りないからあなたは遠慮してねと、あなたはどうも公益目的があるから優先しますというようなことの選別というのは、それは不可能だろうと。そうとしますと、やはり今のシステム全体に、急激に増加するそういう電波需要にどう対応できるかというのは、やはりぜひ考えなきゃならぬ時期に来ている。その意味で、さっき大臣からも申し上げましたように、さまざまな問題点の一つとして有料問題というのが提起されておるわけで、これも考えて見ろということでございます。  それから、それだけじゃございませんで、ありとあらゆる電波が一たん免許を受けてそのまま死蔵されている、退蔵されているという問題もある。あるいは、国際条約が変わったら、今までやっておりますのは国のお金で損失補償しているというようなこともございます。私どもの予算が十分じゃないものですから、機械がある意味経過期間が来るまでじっと待っておるようなこともございます。そうした中で電波をできるだけ国民が公平に、有効に使えるような手だてというのは、中身は別としてぜひ考えなきゃならぬということになっておるわけでございます。  先ほどからお尋ねございますし、大臣の発言もございましたのですが、帰ってよく調べましたら、及川先生の持っておられるものは、ちょっと現物は確認できませんのですが、さっき申し上げましたように、政策懇談会の中に利用動向部会とそれから政策部会と二つの部会をそれぞれ設けまして、そしてそれを親懇談会に報告したわけでございまして、その報告書が先ほど説明したような中身でございます。これは、その二つの部会の報告書をもとにただいま先生がお持ちのような政策懇談会としてのレポートに相なっているというわけでございます。途中の経過として、恐らく取扱注意という格好になったのはまだ審議過程だったからだというふうに私ども見ておるわけでございまして、終わった以上はもうそういうあえて秘匿するというか、途中経過でないわけですから、そういう心配は要らない、そういう報告書の下敷きの部分というふうにお考えいただきたいと思っておるわけであります。
  143. 及川一夫

    ○及川一夫君 いかようにも説明できますよ、それは。だから私は見せたんです、あなたのところの人に。それで帰っていったんです。そうしたら、今そういう説明をする。もうメンバーから何から全部きれいになっているでしょう、利用動向部会にしても政策部会にしても。利用動向部会は三十二人いるけれども、政策部会は十一人か二人ですよ。  政策部会の方が実は非常に重要なことが書いてある。あれを無視して有料化の問題は議論できないんですよ。ところが、報告書の方はそのエキスの部分を除いて、大変だ大変だ、もう電波の利用がふえるふえる、だから金がかかる金がかかるというだけの報告になっているんです。あれじゃ議論できないんだよ、私から言わせたら。だから、目的意識が働いて政策部会のもの、利用動向部会のもの、下敷きにはなるでしょう、それは。しかし、大事なことは全然載っていないじゃないですか。載っていないから作為的だと、こう思うし、また取扱注意と、こうなっているから、なおのこと隠しているんだなと。こんなことを隠されて論議されたらたまらないと、こういうふうに僕は思うんで、そういう前提でひとつ受けとめていただいて、もう全部発表してるんなら全部発表しなさいよ、それを。
  144. 一井淳治

    委員長一井淳治君) 答弁はもういいですか。
  145. 及川一夫

    ○及川一夫君 結構でございます。
  146. 山中郁子

    山中郁子君 先ほど午前中の及川先生の質問に触れて御答弁なさいましたので、ちょっと関連で質問をしていただきました。  私は、直接その及川委員がお示しになった材料が云々ということではなくて、それは先ほど伺って、そういうものもあるんだなというのがわかったんですけれども、要するに一口に官僚政治とかそういうふうに言われて、いみじくも今大臣は何にもそういうことは私は知りませんと、天地神明に誓ってとまではおっしゃらなかったけれども、そういう趣旨の御答弁をなすったわけです。私は何も大臣が何かを隠しているだろうと今ここで申し上げているつもりはないんですけれども、そういうこと自体がやはりかなり問題の本質を露呈するものだろうというふうに思わざるを得ません。まあそれは反論もおありでございましょうけれども、時間の限られている委員会でございますので、これは今後またさらに大きな問題になってくるわけでございますので、引き続きその点については解明していくことにいたしまして、法案の中身に入ります。  インマルサット衛星通信システムの問題では、現在でもビジーになることが多いし、危険があるということは多くの方から指摘されて、第二世代の星が上がっていて、それでかなり緩和されているはずだという御答弁もいただいているんです。それが上がった以降も、通信士の皆さん方の組合のニュースなど見せていただいたりしても、インド洋衛星ではかなりやはり新衛星にかわってからも、かわったということはつまり容量が大幅にふえているわけですが、ふえても、込み合っているのでかけ直してくださいというメッセージが繰り返されるということが指摘もされています。  これは湾岸戦争絡みで、臨時にというかかなり特別なケースとして、そういうふうに第二世代の衛星が上がっているにもかかわらず、そのような状況が起きたということなのでしょうか。それとも、やはり今そういうビジーの状態、忙しい状態があって、先ほども御答弁がありましたけれども、第三世代というふうによく言われますが、今度第三世代の衛星を上げることによって将来解決できるだろうということをおっしゃっているのか、そこのところをはっきりしていただきたい。
  147. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 最近一部の海域でつながりにくいというのは、やはり湾岸戦争というのが十分考えられるわけで、ある意味では一時的な現象というふうにも考えられるかと思います。  ただ総体に、国際通信全体、インマルサット系への通信というのは伸びていることは事実でございますので、そうした点で現在の体制では不十分 だということで、このGM導入される一九九二年には具体的に今の衛星にさらに増加をさせようと。端的に、さっき言いましたように、今の三倍から四倍の容量を持つ第二世代衛星が一九九二年の三月あたりには大体打ち上げが行われる。それで終わりかといいますと、さっき先生お話のように、次の第三世代というものを九四年から五年にかけて打ち上げて、五年から六年に運用を開始する。そうすれば、そのときは第二世代衛星の八倍程度になるということで、将来の衛星容量は十分確保されるのではないか、こういう状況になっているわけでございます。
  148. 山中郁子

    山中郁子君 ちょっと事実関係が、それじゃ私の理解が違っているのかもしれないんですけれども、今インド洋に百二十五チャンネルを持つ第二世代衛星が既に上がっているんじゃないんですか。それで、今度第三世代を上げるというように私は伺っています。今の局長の御答弁だと、第二世代はこれから上げるというお話なんだけれども、その辺はどうなるんでしょうか。どういうふうに理解したらいいんでしょうか。
  149. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) インド洋を例えば例にとりますと、現時点ではインソマルサット第二世代、百二十五チャンネルが現用衛星になっております。
  150. 山中郁子

    山中郁子君 上がっているんでしょう。
  151. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) はい。そして、予備衛星としてインテルサットV号のAというのが三十チャンネルございますし、それからマリサットF2、八チャンネルというのがございます。それを、九二年の三月でございますから、来年の三月にはマレックスB2というものを持ってくるというようなことで、全体の容量をさらにふやそうというような構造になっておるわけでございます。――失礼しました。インド洋でございました。インド洋は九二年にもそのままの状態になるわけでございます。
  152. 山中郁子

    山中郁子君 だからあなた、さっきこれから第二世代を上げるとおっしゃったから、第二世代はもうインド洋は上がっているのよね。それで、百二十五チャンネルにふえたのにもかかわらず、ビジーンが多いという関係者の方の認識もあるし、訴えもあるので、そこはどう認識されているのかということなんです。インド洋で、つまり湾岸戦争の関係で、特別な事態のもとでそういう状況になったというふうに理解されているのか、それともやはりそういうビジーが多い状況は第三世代の打ち上げによってかなり改善されるという見通しをお持ちになっていらっしゃるのかどうか、そこをはっきりしてほしいの。  それで、私が局長に講釈言う筋合いじゃないんですけれども、ほかのいろんなのをおっしゃるけれども、そうじゃなくて、要するにいわゆるインマルサット衛星通信システム、そのシステムの問題で答えていただければいいんです。ほかに何か補強になることをやって援軍が来ていても、それはそれでいいんですけれども、要するにインマルサット衛星通信システムとして、今第二世代が上がっていると理解していますから、それが正しいなら、それでもビジーの状況が多いというふうに訴えられているんだけれども、第三世代が上がるということによってそのことは解決できるというふうに郵政省の方は解釈していらっしゃるというか、考えていらっしゃるのかどうかということです。
  153. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ちょっと具体的に申しますと、インド洋に上げたのは去年の十一月三日でございまして、そして十二月八日から運用しております。ごく最近上がったということで、今の湾岸の関係でいえば、これは時期的にそういうことになるわけで、それぞれ三月九日には大西洋に上がった、それからことしの十一月には太平洋に上げるというようなことをまだこれからずっとやってまいります。システム全体としてはちょうど過渡期にはあるわけで、ひとまず今こういう形で上がっておる分で当面のところは一応十分であろうと。しかし、それじゃこのままでずっと置いておけるかというと、そうはいかないから九四年から五年にかけてまた次の第三世代を上げて充足をする、こういう状況だということでございます。
  154. 山中郁子

    山中郁子君 ちょっとその点は、私の方は、今おっしゃったように、第二世代を去年上げて百二十五チャンネルがふえたにもかかわらず、ビジーが多いという状況は湾岸戦争絡みの特別な状況なのか、なおかつ第二世代を上げてもそういうふうにビジーの状況になっているのかということの認識を伺ったわけなのです。もう一つはっきりしないんですけれども、今の局長の御答弁は、ビジーがあったということは、それは湾岸戦争の関係があるのでそうなったんだというふうにおっしゃっているふうに伺っておきます。  だけど、実際には必ずしもそうでなくて、忙しいという実際に航海をしていらっしゃる方の訴えがあるということだけは今ちょっと指摘をしておいて、認識をしていただきたいと思います。  それから、要するに遭難通信システムですから、緊急通信というんでしょうか、一般通話中も船舶からの遭難通信が割り込めるという優先接続ができるはずだと思うんですけれども、その点。それから、逆に陸上から船舶への緊急通信は同じように優先接続ができるのかどうか、そのことはどうなるんでしょうか。
  155. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 船から陸へは優先扱いに遭難の場合なるわけですが、陸からの場合のシステムについては、EGCという、エマージェンシー・グループ・コール、言えば高機能の緊急グループ呼び出しということで、ある海域に向けて専用チャンネルを用いて一定範囲の船舶に一斉に救助に関係する情報を通報するというシステムがございます。あるいはまた、ここはよく出てきますが、ディジタル選択呼び出し装置というのもございまして、これは一定の遭難警報を周囲の船舶に一斉に送るというのもあるわけでございます。特に機能として優先ということがなくても、救助にかかわる情報の伝達というのは十分行われるということの上でこのGMが組織をされておるということでございます。
  156. 山中郁子

    山中郁子君 つまり、遭難した船舶から緊急に遭難通信をして優先接続がされるということと、今度はその通信を受けた、その通知を受けた陸上から、あそこで遭難船が出ているからそこへ救援に行ってくたというのとの接続というのは、通信というのは、救難救急システムというんですか、遭難緊急システムですか、そういうものとしては、私は中身としてはエマージェンシーでもあるし、同じ重さを持つものだと思うのですが、そこに何らかの違いがあってもいいというお考えなのか、ないしはそれは絶対違わないで、それでもって完全に優先接続と同じ役目をそこで果たすことができるという、そういう御見解なのか。
  157. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 大変失礼しました。エマージェンシーというのはちょっと思い違いでして、これはエンハンストということで、高機能、レベルアップしたハイ機能という意味合いでございます。  要するに、船からのものは優先権がある形で陸に届くわけですが、陸からはたくさんの船に一斉同報するわけでございます。しかも、それは高機能という形で、特定の海域から発信されたということを中心に、あるエリアに向けてその海域内にいる船にはだれかれなしに呼びかけをすると、こういうことでございますので、優先の機能というのは構造上の問題の議論であって、実際の機能には差はない。そのほかに今申し上げましたDSCディジタル選択呼び出し装置というのもまた別途使っておるわけでございますので、そうした面でのインマルでの遭難の扱いには現実には心配は要らない。そうしたことがあれば百数カ国も賛成するというわけにはいかなかったはずでございますので、その点の御懸念は要らないのかと考えております。
  158. 山中郁子

    山中郁子君 エマージェンシーとおっしゃっていたから、エマージェンシーという意味で言うならばどっちも緊急という中身であろうということも思ったんですけれども、いずれにしても緊急であることは事実なので、それが担保できる、保証 できるという御回答だというふうに伺いました。  それと、先ほどからもいわゆるブロック現象の問題が出ているんですけれども、具体的にパラボラアンテナの設置場所だとかそういうものを改善することによってブロック現象を起こさせないようにするとか、そういう具体的な指導というようなことは考えられますのでしょうか。  つまり、マストがあったりなんかするでしょう。それでブロックされて死角になって届かなくなったり、そうすると例えばパラボラアンテナを二個つけるとか、補助アンテナをつけるというふうになるのか。こういうカタログを見ますと、いろいろそういうような性能を持つようなものも紹介されていたりするので、その辺のことが行政指導というんですか、ものとして行われるのかどうか、どういうことが考えられているのか。
  159. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) インマルが位置によって、先ほどお話のように極端なケースのときには起きる問題でございます。ただ、あらかじめそういうことも十分想定されるものですから、実はこの新しいインマルサットの船舶地球局についての具体的な定めは省令で定めたいと思っております。  今おっしゃるように、できるだけ遮へいの起きない場所設置するように義務づける。さらにまた実際問題、多分海域によってということになるかと思うのでありますが、必要によれば、船体の構造上どうしてもつける場所がなくてブロッキングが起きやすいというようなときには、別途に補助アンテナというものをつけるというようなことも、行政指導になろうかと思うのでありますが、人命にかかわることでございますので、できるだけ万全を期すように具体的な配慮をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  160. 山中郁子

    山中郁子君 補助アンテナをつけるという程度のことは、一応こういうものを見るとそういうことは考えられるなと、私なんかもわかる面があるんです。そのほかにも幾つかそういう何か方策ですか、そういうものをお考えのことがありましたら教えてください、有効な。
  161. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 基本的にこのGMDSSでつけるべき機器については、御案内のように船の構造、大きさ、それからどの海域にいるか、陸からどれだけ離れているかによって具体的な決めをしているわけでございます。つまりは、そのときの状況で一番最適の通信設備を選択しろと。選択する範囲の中から、その範囲で選んだ限りは必ずどこか通じるパイプがあるよと、こういう構造で義務づけをしているわけでございます。  それで、特にインマルが使えないところというのは、A4海域といって一番陸から遠い地域でございます。そういう地域については、もっと近いところではインマルが義務になっているんですが、そのところではむしろ義務ではなくて、中波あるいはHFのそういう無線電話の設備義務づけということにいたしております。そういう意味では、このインマルが効かない部分のところでは無線電話がそれと同じ機能を果たす、それをまた義務づけるというような形で、いろいろ海域に応じて絶対どこかは必ず通じるとか、あるいは一方がだめでも一方がいくよとか、そんなシステムを全体として構築しておるわけでございます。
  162. 山中郁子

    山中郁子君 その点に関して関係者の方々が心配なすっていることの一つは、今も局長の御答弁にありました極地ですね、極地の航行の際、やっぱりかなり気象条件も悪いわけね、季節にももちろんよりますけれども。その場合に、HFなりMFなりでもって義務づけられているけれども、それでできるのかということについて、できない場合があるじゃないかという御心配があるようなんです。つまり、MFでも雑音が起きて電波が届かない地帯もあるという、そういう御心配もあるようです。  その辺は、かなり郵政省としては確信を持って、そういうことはないということがおっしゃれるわけですか。現状でもやっぱり無線が届かないところとか、雑音が起きて十分話ができない場合があることは事実なんでございましょう。
  163. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 御案内のとおり、GMDSSで使う設備というのは十六種類もあるわけでございまして、インマルだとかいろんな各種の無線電話、あるいはディジタル・セレクティブ・コールとかいろんな形で決めておるわけでございます。その中の船舶相互間とか船舶と陸上間の通信というのは、これはやはり基本的な役割を果たさなきゃならないんですが、その中でも中波というのは、十分中波の持っている伝搬特性というものを考えて設定をされておるわけでございます。しかも、中波の電話の海岸局のカバレッジというものを考慮してその海域というものも決めてあるわけでございますので、中波の電話が届かないということで機能しないということは、ちょっと考えにくいことではないかと思っております。  なお、ちょっと私言葉がさっき足りなかったようでございますが、お話のように、インマルサット通信衛星が極の方に近くなれば非常に困難になるということで申し上げました。そこのA4での極に近い地域では、さっき言いましたように、インマルの設備義務とはしていないということになっておりますので、若干言葉が足らなかったことを追加させていただきます。
  164. 山中郁子

    山中郁子君 中波でもやはりなかなか通話しにくい状況関係者の御心配としてあるということだけをちょっと申し上げておきます。  それから、海岸地球局や海岸局の問題なんですが、いただいている資料を見ますと、何かぽつんぽつんと書いてあってよくわからないんですよね、これだけだと。それで、ちょっと郵政省の方にお調べいただいたんですが、現在海岸地球局の設置は、こういうものを見せていただいた限りでは、何か非常に少ない場所が多くて、少ない場所が多いというか、何て言ったらいいんでしょうか、インド洋沿岸諸国だとかあるいは南大西洋沿岸諸国あたり、アフリカとか南アメリカの間とか、そういうところだと幾らも海岸地球局がないんですね。こういう状況GMDSSの機能が、受ける方、受け皿としてはこれで十分なのかどうかということを知りたいということが一つ。  それから、現在世界じゅうでこの海岸地球局は何局、どういう国に何局あるのかということをちょっとお示しいただきたい。現在の数です。日本が茨城と山口にあるのは知っています。
  165. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 基本的に言えば、インマルサット衛星がそれぞれ世界じゅうの空を四つに等分してカバーしておるわけでございますので、インマルサット衛星のカバーする海域内に海岸地球局が一つあれば、その衛星とそのエリア内は結べるという理屈にはなるわけでございます。一つあれば、衛星で照らしている領域内は全部コンタクトがとれるわけでございます。
  166. 山中郁子

    山中郁子君 四つのエリアに一つずつで。
  167. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 四つのエリアに一つずつで。しかし、やはり迅速な救助活動というのでは万が一のことがございますから、そういう意味では多々ますます弁ずといいますか、できるだけたくさんある方が望ましいには違いないわけでございます。  現在、お話のように日本では茨城、山口にございます。茨城の方は太平洋をにらみ、山口の方はインド洋をにらんでいるわけでございますが、そうした数を含めますと、現在の時点では十六カ国に二十四局がこういう海岸地球局を設けておるわけでございます。これ以外に一局あったんですが、今運用を中止しておりますのはクウェートの一局でございます。
  168. 山中郁子

    山中郁子君 クウェート。
  169. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) クウェートでございます。  今私どもの調べによりますと、今後開局を予定しているものが、計画をしているものが、今申しました十六カ国二十四局のほかに十二カ国十五局あるというふうに承知をいたしております。  このシステムは、そういうことで船舶から万が一の遭難警報が出ましたら、船舶が指定します海岸地球局あるいは自動的に選択される海岸地球局 経由でその国の救難機関のところに連絡が行くという構造になっておるわけでございます。万が一警報を受信した海岸地球局あるいは捜索救助機関が、どうもこの連絡は適切でないなといったときには、その捜索機関から最適の捜索機関にまたスイッチングするというような仕組みも入っておるわけでございます。  いずれにしても、そういうネットワークと同時に、今後ますます増設されるということで、インマルの地球局というのは十分GMの予定したとおりに今後展開していくものと期待をいたしているところでございます。
  170. 山中郁子

    山中郁子君 十二カ国十五局の開局予定がまだこれからあるわけですね。だから、局長はさっき四つのエリアのところに一つだけあればそれでいいんだと、こうおっしゃるんだけれども、いいなら何でこうつくるのって私思うんですよね。だから、普通私たちはある程度、この地図で見るとぽつんぽつんとこういうふうに少なくしかないから、やっぱりそういうGMシステムをより効果あらしめるためにもっと必要になるんじゃないのかと、こう思いますでしょう。思ってそういうふうにお伺いすると、四つの海に一つずつあればそれでいいんだと、こういうふうにおっしゃるんだけれども、それでもふえていくわけだし、現実には十六カ国二十四局あるし、その上にさらに十二カ国十五局の計画があるわけでしょう。  そういうのは、その体制を、システムをより目的にかなう形で、より理想的に運用されていくためには、そういうふうにたくさんあった方がいいわけでしょう。たくさんというのも余りに素人っぽい言い方過ぎますけれども、何も一つの海に一つだけあればいいということをおっしゃらなくてもいいんじゃないかと私は思うんです。混乱させられるのよね。それで済むなら済むで、何でこんなにいっぱいつくるのかなとも思いますしね。だから、そこら辺をちょっとちゃんとわかるように答えてくださいますか。  つまり、一つの海に一つあればそれでいいんだよということじゃないわけでしょう。だって、それは届くかもしれないけれども、どこかとにかく全世界に通知しなきゃいけないわけで、そうすれば地上のネットワークも使って遭難の連絡もしなきゃいけないかもしれないし、そういういろんなところを回らなきゃいけないんだから、より近いところでそれを受けるところがあれば、より一層そのシステムが活用できるということになるわけでしょう。その辺は率直にというか、素直な形で答えていただきたい。わかりやすく答えていただきたい。
  171. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) このインマルサットの今申し上げました茨城だとか山口だとかというのは、御案内のとおりKDDの地球局でございます。一般的には国際通信を運用する地球局でございます。こういう点は、さっき理屈からいえばというのは、しかし理屈どおりにいかないのは、国際通信のためにはどんどんこうしてまだまだ発展計画はございますし、何よりもやはりこうしたふうにたくさんできますと、自国の船舶が危殆に瀕したときに自国の海岸地球局との連絡がとりやすくなるわけでございますから、本当の緊急、一刻を争うというようなときに大変便利になるというか、船にとっては大変有利になるということがあるわけでございますので、できるだけ国際通信が普及した分に応じてこうしたものができていくのは大変結構なことだと、こういうふうに考えるわけでございます。
  172. 山中郁子

    山中郁子君 そういうことだと私は思うのです。そうでなければふえていくということがわからないし、わからないというか、自分の国のそこにつくられていくということが自然な成り行きだし、またシステムのより有効な効果あらしめるための方策だというように思います。  それで、海難救助機関への連絡ですけれども、これはさっきもちょっと申し上げたんですけれども、陸上の通信ネットワークを使うことになるわけですけれども、地域によっては電話もないところだってないわけじゃないですし、そういうような問題での世界的な整備状況国際機関においてどのように認識されたり、どのように問題にされたりしているのかということが、郵政省で把握されているところがあったらお知らせいただきたい。
  173. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 確かに日本は高度情報社会だというようなことを言っておりますが、世界的に見ればまだまだこの通信体制が全体に整っていないところはたくさんあるわけでございます。特にやはり世界的なシステムとなれば、そういう点がどの国においても均一なレベルでこうしたGM対応ができるというのは大変大事なことでございます。SOLASのところでこのGMを入れようじゃないかというときの条約を締結するその会議でやはりこの問題が取り上げられまして、途上国に対して技術とかあるいは資金援助を決議しておるわけでございます。これは当然のことでございますので、私どもとしてもまずは具体的な技術の研究をする必要がある。つまり、GMを途上国あたりにどういう形で技術移転をしていくことが適当かということで、ささやかではございますけれども平成三年度からこのための調査研究というものを開始いたそうということにいたしております。  今後こうした研究と、先ほども申し上げましたが、ODAあるいはITU初めいろんな国際電気通信の協議機関もございますので、あらゆる場を通じてなるたけ早期に途上国がこのGMのネットワークというものを構築できるように、日本としても役割に応じた分担をぜひしていかなきゃならぬと考えております。
  174. 山中郁子

    山中郁子君 私は、単にやはり日本が発展途上国に援助をするというだけじゃなくて、その海域、海に例えば日本の漁船にしろたくさん行っているわけですよね、インド洋にしても。そういうときに、実際にそこで遭難するという場合には、昔で言えば、昔というか、モールスで言えばSOSが幾らすぐに届いたって、実際に救助に来てもらうところは限られるわけです。そういう意味で、別に日本が発展途上国に対して援助をするというだけの問題じゃなくて、このシステムの中で日本船の遭難ということについても十分考えていかなきゃならない問題だと思うのです。  私は、今ODAのお話が出まして、先ほども出ましたけれども、私ども日本の今のODAのあり方について大変大きな意見を持っております。それはしかるべきところでそれぞれ意見を申し上げ、問題にしてきているところでありますけれども、ODAは全部だめだと言っているわけじゃなくて、そのあり方について問題にしているわけなんですけれども、その辺は具体的にどのように考えていらっしゃるのか。  先ほどささやかだけれども、何か調査費をあれしたとおっしゃっていたんだけれども、どのくらいささやかなのかちょっと教えてほしいと思うんです。  将来ODAの問題はどの程度考えになっていらっしゃるか。いずれ外務省なり何なりとのお話し合いとかそういうことがあるんだと思うんですが、どういうところに来ているのか。  時間が限られてきているので、最後にもう一つだけあわせて質問をさせていただきますので、一緒に御答弁をいただきたいと思います。  船舶安全法で、これはまだ成立していないわけですけれども、関連する安全法で、参議院先議で参議院は可決しているんですが、二十トン以上の小型船舶義務づけられるということになるんです。かなり小さい船主さんたちがそこにやはり設備を積むことを義務づけられるわけだから、やっぱり小型無線設備の開発というんですか、そういうものが必要だと思うんですね。  要するに、このことによって過大な経済的負担を強いられるということであってはならないし、そういう点では大体の目安でいいんですけれども、最低が大体二十トン以上というから二十トンと考えて、そのぐらいの船が、船によってもいろいろ積むものは違うのかもしれません、その辺のところは大ざっぱで結構ですけれども、大体幾ら ぐらいの経費がかかるのか。  そういうことはよりやはり安くできるように、経済的負担がかからなくて済むようにできればそれにこしたことはないわけなので、その小型無線設備の開発などを郵政省としてはどのように考えていらっしゃるか、あるいは取り組んでいらっしゃるか、あわせて御答弁をいただきたい。
  175. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) GM自体がまだ世界各国がこれから準備に入って来年二月から発効しようということでございますので、行く先の問題としてODAをぜひ考えなきゃならぬということで、具体的にはこれからになるんです。そのためにも、まず途上国における、日本とは状況が違う中で、こうした国際的なGMをどういうふうに整備するのがその国にとってあるいは途上国にとって一番いいかその研究をまず始めようという、これは予算は本当にささやかでございますが、それでも私どもの政策経費では大変大きな金額で百七十六万一千円ついております。こうしたものを手始めにぜひひとつ開発に向けて努力をしたいと思っております。  もう一点、今お尋ねの十二メートル以上の小型船舶というようなことにいたしますと、これは国際VHF無線電話を一台つける、それから衛星EPIRB、置いておいて万が一船がひっくり返ったときに自動的に信号を発するEPIRBという装置、それからレーダートランスポンダー、この三つを設備いたしますと、ざっと百五十万の見当になるわけです。
  176. 山中郁子

    山中郁子君 そんなにかかるんですか。
  177. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) はい。それが小型の長さ十二メートル以上と、今お話しのように予定しているところで一番小さい。百トン以上の貨物船だとか漁船になりますと千六百万以上というようなのが一応の試算に相なるわけでございます。  できるだけ経費が安いことにはこしたことがないわけで、今この種の分野の技術開発は日進月歩でございます。ただ、国際でお互い交信できなきゃなりませんので、規格はちゃんと決まっておりますが、その規格のものを技術的にできるだけ安くするということは、メーカーにおいても努力をするでございましょうし、私どもとしてももちろん大いに関心を持っております。  さっきちょっと申し上げたんですが、義務船でないプレジャーボートという遊漁船だとか小型のボート等も、義務じゃないんですが、ぜひひとつもう少し容易につけてもらおうということで、こちらも別途研究会等を組織して低廉な機器の装置を考えてまいりたいと、こう考えているわけでございます。
  178. 山中郁子

    山中郁子君 終わります。
  179. 足立良平

    ○足立良平君 今まで質問、質疑をずっと聞いておりまして、これあらかじめ申し上げていませんけれども、ちょっと考え方をお聞かせ願っておきたいと思うんです。  この法案が成立をいたしまして以降、従来のモールス信号を搭載しておる船とそれからGMDSSを搭載している船という二つの種類が並行して進んでいくと思うんです。そうしますと、例えばGMDSSからいろんな緊急信号がありましたときに、モールスだけ積んでいる船というのは受信することができないのではないかという感じもするんですけれども、そういう問題点はございませんですか。
  180. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 過渡期には確かにいろいろの船がございますので、その過渡期のところの連係動作ができるようにということで、今船には中波の無線電話、二千百八十二キロヘルツのとそれから百五十六・八メガヘルツの無線電話と、こういうものを積んで最小限の交信ができるように用意をいたしておるわけでございます。
  181. 足立良平

    ○足立良平君 それでは次に、これ無線通信士の処遇の関係についてちょっとお聞きをいたしておきたいと思います。  これも既に今までいろんな議論がなされてきているわけでありますけれども、従来の電波法上からいたしますと、これは通信長という制度が必要であったし、それがこの法案によりまして必要がなくなる、こういう状態になるわけです。あるいはまた、船舶局におきまして人を配置して義務的に時間を運用していかなきゃならない時間の設定ということも廃止をされてくる、こういう大きな変化が出てくるわけであります。そういう面からいたしますと、将来的に通信長あるいはまた通信士の身分あるいは処遇、そういうものが不安定になってくるんではないか、こういうふうに思われるわけであります。  そういう面で、船舶勤務をしております中高年の通信士の方々のいわゆる能力発揮の機会をどのように今後確保していくのか。今まで大変長年にわたってそういう能力というものを積み重ねてきているわけでございまして、この新たな技術革新に伴ってそういう人たちの能力というものが、ある面においては不要になってくると言ったらちょっと言葉は悪いかもしれませんけれども、そういう状態になってくるわけでありますが、そういう面で郵政省として一体どういう方策を今後お考えになっているのか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  182. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 新しいこういう体制になりますと、これまで持っておられる能力というものをどうやっぱり維持していくかというのは、先生お話のように大変大事なことだと思うのであります。特にそれに関連しては保守の問題があるかと思っておるわけで、先ほどから議論が出ておりますように、保守は三つの種類のうちから選択をするということで、できるだけこのGM機器がいつでも発動できるような体制をとろうと、これを義務にいたしておるわけでございます。  そのうち、その船に乗りつつ保守をするというようなシステムをとりますときには、やはり船上において無線設備の修理をするという技術が、能力が必要でございまして、これは原則として第二級の海上無線通信士以上の配乗が必要であると、こういうことになっております。この点が一つ考えられるということと、陸上の場合というのは寄港地でいろいろやるわけでございますが、本来この無線従事者の資格というのはオペレーションでございますから、保守を結びつけるというわけにはちょっといかぬのかなと思うわけでございます。  ただ、せっかく無線通信士の資格を持っておられて、レベルの高い経験者でございますから、こうした方々の経験を生かすという点で、いろんな方策がないものかなと思っておるのでございます。現在、船舶局無線設備の取りつけ工事につきましては、社団法人で全国船舶無線工事協会というのがございます。ここのいわば任意の資格にはなるんですが、船舶無線整備士というそういう資格があるわけで、社会的にこうしたものが一種の認知を受けるというようなことになりますと、今申されたような話がこういう形で生かされるのかなと、私どもとしてもそんな点を着目しながら、何かいい工夫がないか考えてみたいなと思っておるところでございます。
  183. 足立良平

    ○足立良平君 これは私、本当に大変情緒的な問題でございますけれども、重要なことではないかというふうに実は思っておりますのは、やはりこの技術革新というのは、これますます進んでまいるわけでありますし、そこに働いている人たちが長年にわたって経験、あるいはその技能、能力というものの積み上げをしていく。そして、技術革新によって一遍にそれが否定をされるといいますか、それはもう必要でなくなってくるということになってまいりますと、今度は逆に働いている人たちからすると、技術革新をむしろやはりストップしたいという気持ちが働いてくるのは私は当然だろうと思います。  したがって、この種の大きな技術革新の変化に伴って職場の態様というものが大きく変化をしてくる、あるいはまた能力というもののミスマッチが生じてくるというふうな場合には、これはもちろん労使関係中心になって考慮されなきゃならないと思いますけれども、とりわけ行政サイドにおきましても、そういう特別の配慮というものを並行して考えていくことが、これからの我が国の この種の技術革新なり、そういう面からすると極めて必要なことだろうというふうに私は思っております。郵政省側におきましても、そういう観点でさらにいろんな面で検討を煩わしておきたい、このように思うわけでございます。  それで、この機器信頼性の問題につきましても、これは既に今までいろんな議論がされてきているわけでございますが、ちょっと私は違った切り口で二、三質問させていただきたいと思うわけであります。  これは、今回のこういうふうなGMDSSシステムというものを導入するに当たりまして、逆に従来のモールス通信システムと比較をする。今確かにいろんな故障が発生するとか、特異な条件下での機器安定性という問題が既に議論されてきたわけでありますけれども、その特異な環境というのは、既に今までからずっとあったわけであります。そういう面で、従来のモールス通信システムと今回の新しいGMDSSシステムとの比較というものを考えてみましたときに、船員の生命の安全確保という観点から、GMDSSというこの新しいシステムは具体的にどういうプラス面があるんだ、今までのモールス通信システムと比較をしてどうなんだと、こういう点についてひとつまず明らかにしていただきたいと、このように思います。
  184. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 具体的に比較ということになりますと、従前の持っておったシステムの特色はそれなりにあるものの、今日の時点で従前システムはやはり通達距離に限界があるという点が一つあろうかと思うのであります。せいぜい二百八十キロぐらいが限界だということになっております。したがって、その周囲の中に船舶とか海岸局がない限りは、幾ら打っても通じないという問題がございます。さらにまたモールスというのは、大変今高度な知識、技能の集積だということになっておりまして、なかなか新しく習得が難しい状況にもなっておるわけでございます。それからまた、当然のことながら、人的な操作によるものでございますから、いざ緊急のときに十分な的確な情報連絡が設定できるか否かという、それもケースによりけりだという問題があるわけでございます。  ところが、こうした欠点があるものですから、何とか新しい通信技術導入できないかということで、こうした難点について新しい技術で、このGMはいろんなことをやっておりますが、一つはやはり非常に操作が簡単な技術だ、非常に高度な技術は要らないで、例えばボタン一つ押したら、それで自動的に船舶の位置だとか、あるいは今どういう状況だというようなこととか、あるいは船舶の名前だとかが通報できる。それからもう一つは、やっぱり自動化ということが大きいのかなと思うのでございますが、例えばいろんな他の船から遭難の信号が入ったりしたときには、スイッチさえ入れておけば大きなアラームが鳴ったり、大きな光が点滅したりしてその所在を知らせる。同時にその内容が自動的にプリントアウトされる。  さらにはまた、衛星というようなことになりますれば、これはほかの通信よりはさらに全体として確実な通信が確保される、あるいはディジタル技術というようなことで、いずれにしてもこうしたものを使って、世界のどこにおっても何らかの方法、いろんな技術を組み合わせて、その遭難の事実を緊急を要するところへ、救助を要する機関に向けての発信が可能になるという点が、しかもそれが自動化されるという点が非常に大きいのではないか。それがゆえに世界各国が賛同してこういう運びになって、法律改正をお願いすることになったかと思っておるわけでございます。
  185. 足立良平

    ○足立良平君 インマルサットの衛星通信機械、機器等が既にこれ五十一年ごろから普及が開始をされてきているというふうに承知をいたしているわけでありますが、今日までの使用実績から見て、機器の品質というのは一体どのように改善をされてきたんだろうか。例えば、故障率の減少状況等も具体的に説明をひとつお願いいたしたい、このように思います。
  186. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) お話のように、これは七七年にインマルサットのサービスが開始されておるわけでございますので、その間と今日までの間というのは、一種の生産技術といいますか、あるいはIC技術といいますか、そういう面でこの故障状況はやはり相当格段の改善が見られているというふうに考えるわけでございます。  具体的な話としまして、電話とかテレックスの通信が不能となる故障が一年間に発生した件数と、それから船舶地球局の局数を基準にして一種の確率というか、船舶地球局の一設備が故障する確率というふうなことで出しますと、KDDがインマルサットサービスをやりました、さっき申しました七七年当時の設備ですと、一年に一回の割合でございました。これが一九八五年の製造の設備で見ますと、六年に一回ほどになっております。さらにまた年を越して八七年、だから四年前以降に製造された設備では、これ計算でございますからあれですが、十七年に一回という計算になっておるわけでございますので、こうした点を見れば、相当この期間の性能の進捗は著しいものがあるというふうに見られると思います。
  187. 足立良平

    ○足立良平君 今までずっと議論を聞いておりまして、また既にこの中にもはっきりとその考え方が出ているわけでありますが、いわゆる放任をされておった機器型式設置場所、そういうものについては検定設置条件というのが規定をされているようであります。そういう面では、いわゆる機器に対する信頼性を確保していくという点はそれなりに考えられているように判断をいたすわけでありますけれども、このGMDSSシステム対応機器信頼性をさらに確保していくために、郵政省として一体いかなる措置をとろうとされているのか、具体的にこれも説明をお願いいたしたいと思います。
  188. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) この法律の三十五条には、非常に高信頼といいますか、だんだん信頼できる精度が上がっていることにはなっておりますが、しかしそれはやはりきちんとした保守というのが前提になるわけでございますので、保守の仕方については、これは船の都合とか航海のあり方等々をいろいろ勘案して一種の選択をいたしております。一つは、設備をダブルにしちゃう、二重化と言っておりますが、それから港に入ったときに保守をやるやり方、それから航海する船の上でやる保守、この三つのうちの一つまたは二つ、と申しますのは海域に応じて決められるわけでございますが、これをまず選択しろということで、何がしかの保守をひとつぜひ定期的にきちんとやってもらって性能の発揮に努めるというのが一つでございます。  それから、同じく三十七条では、義務船舶局に備えなきゃならない無線機器の問題につきましては、型式検定というものを義務づけてございます。相当厳しい条件のもとでの型式認定をお願いいたしまして、高いところから落っことすとか、振動させるとか、いろんな条件を通しましてGM無線設備信頼性を、十分安全が確認できるものにした上で初めて設備をして差し支えないというふうにして、全体の信頼性の向上に努めたい。  大ざっぱに言いますと、こうした二つの方法で担保したいなと考えておるところでございます。
  189. 足立良平

    ○足立良平君 国際的な安全航行あるいはまた救助体制の問題についてでございますが、これも既に議論をされているところでございます。安全航行のためには通報システムを充実させていくということと同時に、各海域における海上の安全情報、これをきちんとしていくということが私は重要なのではないか、このように思っているわけであります。あるいはまた、救助体制の整備ということも、これまた各国において必要だろうというふうに思っているところでございます。  海上保安庁においでいただいておりますけれども海上の安全情報の提供あるいは救助体制の充実について、国際的に一体どのような制度あるいはまた仕組みになっているのか、ちょっとその状況というものをまず第一点目御説明をお願いいたしたいと思います。  それから同時に、これは既に鶴岡委員の方からも提起がされているわけでございますけれども、いわゆる関係国の対応の仕方という問題が、これは実は大変重要な問題であろうというふうに思っているところでございます。それをめぐりまして、山中委員からもODAをめぐっての考え方というような質問がございました。郵政省としては、ODAでその問題について考えていくという答弁がございましたけれども、ODAというのは原則的には途上国側の方で一体どう考えるかということがまずポイントになる。そして、それを受けて、その援助というものをどうしていくかということのシステムであろうと思うんです。日本の側からこういうものを云々ということで、こちらからものを持っていくということは、今さっき話を聞いておりましたときには、ちょっと逆なのではないか、こういう感じも実は受けるわけでございます。  今お話を聞いておりまして、ちょっとそういう疑問を私は持ったわけであります。もしそういう点で、郵政省として考え方があればお聞かせを願いたいと思います。  当然この種の設備というものを、仮に日本のODAというふうな問題を通じてこれを実施いたしたといたしましても、現実的にはランニングコスト等いろんな費用というものはそれぞれ発展途上国側は必要とするというふうに考えられるわけでございまして、そういう点も含めて、いきなりの質問でありますけれども、ちょっと考え方があればお聞かせを願いたいと思います。
  190. 後藤康男

    説明員(後藤康男君) 国際的な海上安全情報提供について御説明申し上げます。  仕組みとしては、沖合を航行する船舶の安全確保を図るため、国際海事機関と国際水路機関の決議により設定されました世界航行警報システムがあります。これは北極及び南極の海域を除く世界全海域を十六の区域に分けまして、各区域に設置された区域調整機関国により実施される長距離無線航行警報で、このうち長期間有効なものについてはウイークリーサマリーに掲載し、毎週一回印刷物として発行するものであります。このウイークリーサマリーは、区域ごとの各国それから区域調整機関の国等に送付されております。  それから、日本では第XI区域、北太平洋西部及びそれから東アジア海域の区域の調整機関として、昭和五十五年からナバリアXI航行警報を実施しております。
  191. 赤石憲二

    説明員(赤石憲二君) お答えいたします。  国際的な捜索救助体制の仕組みでございますけれども、海難が発生した場合に、だれが捜索救助を行うべきかというようなことに関しましては、付近を航行する船舶の船長であるとか沿岸国ということになっております。これは公海に関する条約また海上における人命の安全のための国際条約ということで定められております。長年にわたり有効に機能しておるというふうに考えております。  さらに、昭和六十年には海上における捜索及び救助に関する国際条約、いわゆるSAR条約が国際海事機構のもとで発効いたしております。この条約は、国際協力のもとで全世界的な捜索救助体制を確立することを目的としたものでございます。我が国も昭和六十年の六月十日に同条約に加入しておりまして、我が国の周辺海域において捜索救助の責任を果たしているところでございます。  海上保安庁といたしましては、今後ともSAR条約締約国の捜索救助機関等との連携を深めてまいりますことはもちろんでございますが、現在SAR条約の締約国数は三十八カ国でございますので、残りの未締約国に対しましてもSAR条約の締結促進の働きかけを行うとか、IMOの活動を支援するといった国際的な協力を積極的に推進してまいりたいと、このように考えております。
  192. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 確かにODA一般論については、先生のおっしゃるように、決して押し売りしたり強制したりするものじゃない、これはもうおっしゃるとおりだと思うんです。ただ、GMというものが世界共通システムでございますので、これは途上国のみならず、それから我が国にとっても利益になるし、あるいは世界じゅうの利益になるということで、一つ特別な性格というものを持っているんだろうと思うのであります。実は、先ほどお尋ねがございましたのですが、このGMの締結のときに、SOLAS条約ができたときに、その技術協力の促進という決議が行われておりまして、職員の途上国における研修、それからGM導入にとって必要な設備及び施設の準備について各国ひとつよく協力しよう、こういうことも決議をされておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、また我が国にとって、まず内部的に途上国が何を求められるのであろうかということをよく勉強しながら、今後相手国の実情、我が国あるいは世界全体にとって一番いい方法の模索を続けてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  193. 足立良平

    ○足立良平君 次に、無線機器設置の普及促進の関係について質問いたしたいと思います。質問も最後になりましたら各委員の皆さん方とダブってしまいますので、ちょっと切り口を変えながら質問をいたしたいと思うわけであります。  今回のこの法改正によりまして、約七十万隻ある日本船舶のうちで二万隻くらいに一応設置義務というのは拡大をしてくる。実質的には、あといろんなそれぞれの取り扱いはございますけれども、この無線機器設置というのはほとんどされていない。鶴岡委員も御指摘がございましたけれども、プレジャーボートなりいわゆる小船舶等、これの無線機の設置というのが大変これから重要になってくるのではないかというふうに私も実は考えているわけであります。プレジャーボートで使われております通信システム及びその普及状況は、一体現在どうなっているのかという現状の説明をまずひとつお願いいたしたいと思います。  それから、その機器というのは実際的に緊急用通信システムとしてどの程度機能しているのか、この実態面、わかればこの点につきましても御説明をひとつ願いたいと思います。
  194. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 小型のいわゆる普及義務のかからない小さい船でございますが、私どもの調べではざっと四十万隻ほどありまして、そこに無線設備がついている局というのはざっと四千局ということですから、まず一%見当だろうと思っております。やはり全然ついていないのと何がしかの設備があるということは、海上の場合、気象条件が変わったり大変有効であろうということで、私どもできるだけつけやすい設備にしたいということでいろいろやっておるわけでございます。  一つは、国際VHF無線電話というのがございます、あるいは二十七メガヘルツ帯の無線電話というのがございますが、これは従前非常に長い講習を要したんですが、機器の進歩もあるし、できるだけ普及するには余り面倒くさいことを言ったらなかなか普及しないんじゃないかというんで、今では二日間の講習で取得できる第三級海上特殊無線技士というそういう資格をつくりました。比較的易しい資格ですが、それでこういう機器を使っていただこう。それから船舶電話、これはNTTの行うものです。それからマリネット電話、これは地域の事業者で新しいNCCの一つでございますが、ある海岸域だけを対象とする電話。それから、もう少し簡易なマリンホーンというようなものについても、こういうものがありますよということをいろいろやっておるわけでございますが、この辺は資格は不要でございます。  いずれにしましても、こういう形で、できるだけ簡易な免許手続で迅速に得られるように、無線局の開設についてもできるだけ便宜を図ろうというようなことで、いろんな手だてを講じておるわけでございます。設備の実効性という意味では、やはりゼロのと一%しかつかないという状態とでは相当これはいざというときには違ってまいる。できるだけいろんな形で努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
  195. 足立良平

    ○足立良平君 これは昨年の十月でございました が、総務庁の行政監察局から「海上交通安全に関する行政監察」の結果報告書というのが出されているわけでございます。これをずっと見ておりますと、こういう表現があるわけであります。「無線による救助要請が的確に行われていれば迅速な救助が行われ、死亡に至らずにすんだ可能性があると考えられる事例が多数みられ、」というふうな文言もございまして、いわゆる無線機の搭載というのは人命の救助に極めて重要な点だということが指摘をされているわけでございます。  ただ、実際的にはこの無線機の設置率が低い理由というのは、いわゆる夏季あるいはまた週末といいますか、比較的使用されるのが短いというふうなこと、あるいはまたコストが高くつくというふうな点、いろんな理由があるようでございますけれども、小型で持ち運び可能な船舶用の無線機を備えつけて貸し出しをするということも一つの手ではないかというふうに思ったりいたすわけであります。ただ、現行の電波法では可搬型の無線機であっても複数の船舶で共用することは認められない、貸し出しは不可能だと、このようにも聞いているわけでございます。  そこで、「共用が可能となるような制度を検討すること。」と、この中にも勧告が出されているわけでございますが、郵政省として、この種の勧告について一体どのようにお考えになっているのか、これを最後に質問いたしたいと思います。
  196. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 先ほども申し上げましたように、小型船舶についてはやっぱり資格ができるだけ簡単に取れるようにする、それから無線局の開設もできるだけ簡単にするということも一つ大事なことかと思っていろいろな手だてを講じておりますが、お話のように、レンタル制度の導入については総務庁からのお話もございました。現在制度面でいろいろ検討いたしておるところでございます。  ただ、一つの問題は、レンタル制度が制度的にできても、この機器自体が非常に高い現状にございます。今、いろんな機器にもよりますが、やはり十五万から高いものになると八十万ぐらいする。これはレンタルにしても、そうした価格面というのが普及の限界をもたらす可能性もございます。しかし、基本的にはこの価格というのは、行政のレベルではなかなかストレートにははまらない、やっぱり競争という問題が前提でございますが、できるだけいろんな手だてを講じながら、広く普及することによって価格を下げるという努力もひとつぜひしなきゃならぬと。  先生のおっしゃるように、小型船舶にできるだけ人命尊重の立場から普及することをまたさらに努力を続けたいと考えております。
  197. 足立良平

    ○足立良平君 終わります。
  198. 一井淳治

    委員長一井淳治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 一井淳治

    委員長一井淳治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。  電波法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  200. 一井淳治

    委員長一井淳治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大森昭君から発言を求められておりますので、これを許します。大森昭君。
  201. 大森昭

    ○大森昭君 私は、ただいま可決されました電波法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、連合参議院、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 GMDSS導入に当たっては、その機能を確認しつつ、一層の信頼性の確保に努めるとともに、現行制度との併存のもとで円滑な運用が図れるよう万全を期すこと。  一 船舶局通信体制については、新システムの機能が十分発揮できるよう設置場所の環境確保、保守制度の整備・充実及び遭難通信責任者の任務等について配慮すること。  一 GMDSSの円滑な導入・運用を図るため、本法改正に伴う省令等の策定に当たっては、関係者の意見に十分配慮すること。  一 海難等を防止するためプレジャーボート・遊漁船等の小型船舶に対する無線設備の普及促進に努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  202. 一井淳治

    委員長一井淳治君) ただいま大森昭君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  203. 一井淳治

    委員長一井淳治君) 全会一致と認めます。よって、大森昭君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、関谷郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。関谷郵政大臣
  204. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) ただいま電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて賜りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  205. 一井淳治

    委員長一井淳治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 一井淳治

    委員長一井淳治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会