○
政府委員(
國松孝次君) 若干具体的な例として御
説明をいたしたいと思うわけでございますが、
一定の
営業からの
排除ということを考え、その過程で
指定営業制度というのを設けたわけでございます。それじゃ
一体どういう
営業あるいはそのもととなる業務を考えておったかということになりますと、私
ども一番典型的に考えておりましたのは、
一つは地上げでございます。最近そういうものに非常に
暴力団が絡んできておる。地上げを業務とするような
営業、そういうものからは
暴力団を
排除せぬといかぬではないか、そのためにそういう
営業からの
排除規定があった方がいいのではないかということが考えられました。
また、もう
一つ典型的にありますのは、貸金業のまたその下の方にある業でありますが、いわゆる債権取り立てというやつでございます。こういうものにつきましても、最近
暴力団の介入が非常に多いということがありますので、端的にそういう例えば貸金業なり地上げ業――地上げ業というのがあるかどうかわかりませんが、そういう業をやっているような
営業があった場合には、そこからあらかじめといいますか、事前に
排除しておくというのがいいのではないかということでやったわけでございます。
かたがたこれは結局九条に列挙いたします
暴力的要求行為の中身がどうなってくるかということとの相関
関係にあるわけでありますけれ
ども、例えば今申しました地上げにつきましては、九条の九号におきまして、「正当な権原に基づいて建物又はその敷地を居住の用又は事業の用に供している者に対し、その意思に反して、これらの明渡しを
要求すること。」と、
暴力団が実際に地上げをやっているのはまさにこういう実態で行っているわけでございます。指定
暴力団員が
威力を示してやれば、これが
一つの
禁止行為となるという
規定がここにできた。それから、あと債務者に対する債権取り立てにつきましては六号に書いてあるということで、そういう業をやる前に
一つ一つの単発
行為と申しますか、こういうものを
禁止することができる。
それに対しまして十一条の一項、二項で
中止命令もかけることができますし、あるいは一年を超えない
範囲内で期間を定めて、そうした地上げ的なことが行われるということあるいは債権取り立てが行われるということについて、それを防止するために必要な事項を命ずることができる。
こういうことでありますので、
一つ一つの
行為をきちっと押さえていけば、そういう
営業には当然、
営業であろうと
営業でなかろうと、そういう
行為があれば、これは我々の
措置命令の対象になってくるわけでありますから、そういう意味では十分にここでできるのではないか。あえて
営業と言わなくてもある程度は相応の効果が出てくる。
もう一方、
営業から
排除するあるいは
営業そのものを場合によっては停止を命ずるというようなことになりますと、これはやはり相当の権利侵害を伴う
行為でありますので、新法を立案するというような過程においてはやはり謙抑的であるべきであろうということになりまして、そうしたいろんな考量の結果、指定
営業の
制度は設けなくても、単発
行為を着実的確にやっていくことによって
一定の
営業からの
排除をしようとしていた私
どもの法の制定
目的と申しますか、
規定の制定
目的は達せられることになる、それを行えばそういった効果は十分に出るのではないかという判断でそういう結果になったということでございます。したがいまして、当面この単発
行為の
中止命令なりあるいは再発防止
命令なりを的確にかけることによって法の
目的は十分に達せられる、十分といいますか、当面できるというように考えております。
ただ、
暴力団と申しますものはやはり法を免れていろんな形で
資金源活動をやっていくというのが常態の組織でございますから、将来にわたりましてまたいろんな
資金源活動の形態も変わってくると思います。そうした場合に、やはりそういった推移を見た上で
一定の業から
排除をするというような
規定を置いた方がいいというような判断になりますれば、その
段階でまた
検討することもあろうと思いますが、当面はこの
規定でやっていけるし、それで十分であろうというように考えておるところでございます。