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1991-03-05 第120回国会 参議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月五日(火曜日)    午後四時九分開会     ─────────────    委員異動  三月五日     辞任         補欠選任      下条進一郎君     合馬  敬君      吉川 芳男君     清水嘉与子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 梶原  清君                 倉田 寛之君                 鈴木 和美君                 本岡 昭次君                 峯山 昭範君     委 員                 石川  弘君                 大島 慶久君                 合馬  敬君                 斎藤栄三郎君                 清水嘉与子君                 中村 太郎君                 野末 陳平君                 藤田 雄山君                 宮崎 秀樹君                 赤桐  操君                 稲村 稔夫君                 久保  亘君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 三治 重信君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   荒田  建君        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛庁人事局長  坪井 龍文君        経済企画庁物価        局長       田中  努君        科学技術庁原子        力安全局次長   長田 英機君        環境庁企画調整        局地球環境部長  加藤 三郎君        外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君        外務大臣官房領        事移住部長    久米 邦貞君        外務省北米局長  松浦晃一郎君        外務省中近東ア        フリカ局長    渡辺  允君        外務省経済協力        局長       川上 隆朗君        大蔵政務次官   上杉 光弘君        大蔵省主計局次        長        小村  武君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        大蔵省国際金融        局長       千野 忠男君        農林水産省畜産        局長       岩崎 充利君    事務局側        常任委員会専門        員        下村 純典君    説明員        人事院事務総局        任用局企画課長  角野 敬明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源確保に係る臨時措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、下条進一郎君及び吉川芳男君が委員を辞任され、その補欠として合馬敬君及び清水嘉与子君が選任されました。     ─────────────
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源確保に係る臨時措置に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は三月一日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 村田誠醇

    村田誠醇君 私は、先日行いました本会議質問の細部にわたって大蔵省及び関係省庁に御質問をしたいと思います。  まず第一点は、私は本会議日本中央競馬会決算について、第二国庫納付金約九百五十億円が見込めるのではないかと質問をいたしましたが、中央競馬会決算状況がどういうふうになっているのか、第二国庫納付金が幾ら計上されるのか、それをお聞きしたいと思います。  農水省にはその一点だけだと思っておりましたら、実は三月二日の新聞によりますと、政府筋発表として、競馬法を改正し現在七五%の競馬配当率を実質的に引き上げる方針を明らかにしたという報道がなされておりますが、ついてはこれについても子細に御説明をいただきたいと思います。
  5. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) まず第一点でございますが、二月二十八日に日本中央競馬会から決算書提出がありました。  これによりますと売得金は約三兆九百八十五億円、また第二国庫納付金は約九百五十四億円ということになっております。なお、これにつきましては現在ヒアリング等を行い、精査中でございます。  それから第二点でございますが、このことにつきましては、昨年競馬研究会というのを設けていろいろ制度検討をいたしております。それで、控除率の問題をどうするかということにつきましていろいろ御議論がありまして、両論ございました。一つは、控除率を下げるべし、これはファンサービスの面から控除率を下げてしかるべきだというお考え。もう一点は、公営競技の横並びというような形の中で競馬だけ下げるということはいかがかということ。この点につきましては今後さらに慎重に検討を要するだろうということでございますが、ただ、ファンサービスの観点から剰余金を活用しながら何らかそういう形のものがとれないだろうかという御指摘があったところでございまして、現在この点も含めて検討をしているという段階でございます。
  6. 村田誠醇

    村田誠醇君 大蔵省お尋ねをしたいんですが、今の農水省発表によりますと、多少の精査は別といたしまして、一応中央競馬会決算状況から見て九百五十四億円の第二国庫納付金が見込めるというふうに理解して、財源がここにあるということだけ確認してよろしいでしょうか。
  7. 小村武

    政府委員小村武君) 今回の九十億ドルの財源につきましては、日本中央競馬会からも五百二十億円の御協力をいただいておりますが、これは第一納付金でございます。第二納付金につきましては決算剰余金の二分の一を国庫に納付していただくということになっておりまして、今回の補正閣議決定段階におきましてはまだ決算作業中ということで見込まなかったわけでございます。  ただいま農水省からお話のありましたようなことで、さらにこれから農水省においてその決算について精査を行うということでございますので今回の増額補正対象にはいたしませんでしたが、その決算が確定し次第当然第二国庫納付金として納付されるものと心得ております。
  8. 村田誠醇

    村田誠醇君 わかりました。  それで、これは防衛庁に答えていただくんでしょうか、きょうの新聞によりますと、きのうの予算委員会総理大臣が、特例政令については国際機関の正式な要請もなくなりかつ避難民が完全になくなったときにこの政令は失効させると答弁をなさったということでございますが、政令を失効させるということはどういうことなのか。つまり、特例政令を制定したときと同じように、逆の政令廃止の法的な手続をとってこれを失効させるという意味なのか、それとも政治的に国際機関要請もなくなり事実として避難民もいなくなったからこの特例政令実効性を持たなくなるという意味なのか、どちらの方なのか、ひとつお答えをいただきたい。
  9. 畠山蕃

    政府委員畠山蕃君) 御指摘政令御存じのとおり当分の間の措置というふうに定められているわけでございます。  この「当分の間」と申しますのは、イラククウェートに対する侵攻及び占領に始まります湾岸危機に伴いまして生じた避難民本国への輸送必要性が存在する期間ということでございます。したがいまして、避難民輸送必要性がなくなるまではこの政令は必要なものということでございまして、現段階でも、まだどういうことになるかわかりませんが、避難民が出る可能性、そして国際機関からの要請がある可能性はなお存在しているというふうに私どもは理解いたしております。  さて、そこで御質問の点でございますけれども、もし仮にこの避難民輸送必要性が完全になくなった場合にはどうなるのかという点でございますが、この「当分の間」と書いてある場合の法律なり政令の終期の問題でございますけれども、これは通常確定期限が定められていないわけでございますから、その実体がなくなったときにはいわば自然消滅といいましょうか実効がなくなるという形で、わざわざ政令改正なりをしなくてもそのまま自然消滅するというのが一応の私ども法律的な解釈でございます。  そこで、御指摘のきのうの総理答弁でございますけれども、これは政治的な立場からそこのところを何らかの形で明らかにするというふうに答弁されたものと私どもは理解いたしております。
  10. 村田誠醇

    村田誠醇君 「当分の間」と法律用語としてあちらこちらに出てくるんですが、「当分の間」で二十年も三十年もやっているというケースがいっぱいあるんですよね。  これは、それでは言葉をかえて言いますが、国際機関からの要請があってなおかつ避難民が大量に発生した場合は、中東地区だけじゃなくてもこの条項が発動されるというふうに理解していいんですか。
  11. 畠山蕃

    政府委員畠山蕃君) この政令御存じのとおり非常に要件がきつく書いてございまして、今回の湾岸危機に伴い生じたイラククウェート及びそれら周辺の国からの避難民として、その救済のための活動を行う国際機関から我が国に対し本国への輸送要請があった者とする、つまり湾岸危機としまして、ここでは今回のいわゆるイラククウェートに対する侵攻、それから国際連合加盟国イラクに対する武力行使、それからこれに引き続く重大緊急事態、こういうふうに定義をした上で、これに伴って生じた場合に限ることが一つと、それから国際機関からの要請、こういうことになっております。  したがいまして、今回の一連の湾岸危機という事態がなくなり、かつそれに伴って生ずる避難民輸送必要性がなく国際機関からの要請がなければ実効的な意味を失うということでございます。
  12. 村田誠醇

    村田誠醇君 もう一度くどく確認をしたいんですが、それではアジアとかアフリカ等において国連要請もしくは難民が大量に発生した場合はこの条項は適用できない、逆の表現をしますと、自衛隊機を使っての難民輸送できない、特別な政令をつくるなり立法をしない限りはできないものというふうに理解してよろしいんですか。
  13. 畠山蕃

    政府委員畠山蕃君) お説のとおりでございます。
  14. 村田誠醇

    村田誠醇君 それではお聞きをしたいんですが、昭和六十二年度の補正予算におきまして、政府専用機B747—400型を二機購入する費用として三百八十七億五千八百万円が計上されております。政府専用機検討委員会で、この飛行機購入目的もしくは保有目的については、総理大臣等輸送に使う、緊急時における在外邦人救出のための輸送に使う、海外災害地域に対する救援物資緊急輸送等に使う目的のためにこの二機の政府専用機購入するという説明をされております。  お尋ねをいたしましたら、この政府専用機は本年の八月に一号機が、十月に二号機が引き渡され、アメリカにおいての慣熟飛行訓練を行った後、日本には十一月ごろ来る、こういうふうに説明を受けたんですが、これで間違いございませんでしょうか。
  15. 荒田建

    政府委員荒田建君) 私どもの方で購入事務を扱っておりますので、私からお答えをいたします。  先生今おっしゃいましたように、政府専用機は二機、ボーイング社の747—400、これは、日本航空ですとかあるいは全日空ですとか、民間航空会社が一番の最新鋭機ということでたしか去年の春ぐらいから実用といいますか営業に使っている最新機種でございますが、これにつきまして六十二年の補正予算におきまして二機の購入経費を計上いたしまして、自来その購入関係事務をずっとやってきておりましたが、おっしゃいましたようにいよいよことしの八月に一号機、十月に二号機という形で日本に引き渡しが予定されておりまして、アメリカにおきましていろんな訓練を行った上で日本に十一月に持ってこよう、こういう予定で今作業を進めております。
  16. 村田誠醇

    村田誠醇君 その当初の保有目的の中には書いてないんですが、これは今回のような難民輸送にも使う予定なんでしょうか、どうなんでしょうか。
  17. 荒田建

    政府委員荒田建君) 購入目的といたしましては、六十二年当時に政府専用機検討委員会というものを設けまして、その委員会議論して、今先生おっしゃいました総理大臣等輸送、緊急時における在外邦人救出のための輸送、それから海外災害地域に対する救援物資緊急輸送等ということで、一応三つの購入目的を決めて購入したわけでございます。  実は、今お話のございました避難民輸送という点に関しましては、これからその目的に使うかどうか、政府専用機検討委員会というところで今後検討するということになろうかと思います。現在の段階では、まだ避難民輸送にこれを使うかどうかまで議論は至っておりません。
  18. 村田誠醇

    村田誠醇君 今国会において、国際協力をするためとか国際社会における日本の役割だとか任務分担等で大変な論議があるわけですね。避難民輸送の問題を一つとっても日本がどう協力をするかということで大変な論議になっているときに、政府保有している、しかもことしの十一月には政府の権限でもって運航できる飛行機が二機来るにもかかわらず、その使用目的避難民も運べるかどうか、それに使うかどうかもまだ現在検討している、こういうことですか。
  19. 荒田建

    政府委員荒田建君) 確かに国際協力必要性が叫ばれまして避難民輸送ということでいろいろその必要性が言われておるわけでございますが、実はこの専用機は十一月に入ってまいります。したがいまして、まだ目的とかその他いろいろ、今私どもの方でいろんな準備をやっておるわけでございますが、まだ時間的に余裕があろうかと考えておりまして、今後その問題につきましては専用機検討委員会で鋭意検討していくということでございます。
  20. 村田誠醇

    村田誠醇君 購入するときの議事録も読んでみましたけれども政府のどこの機関保有するかというのは別問題としまして、運航するに際しては専門能力を持った者がやらなければいけないだろうということになっております。このB747—400という型は、操縦士はどこから連れてきて運航させるのか。とりあえずアメリカでの練習に使っているのはどこのパイロットですか。
  21. 荒田建

    政府委員荒田建君) 購入しております飛行機はまだ製作中でありまして、躯体といいますか、機体そのものは一応ロールアウトといいまして工場から出ておりまして、内装関係の工事といいますか、整備を今やっておる関係でございます。  そのパイロット等につきましては、専門的な能力、技術的な能力が必要なものですから、政府部内でそういった基本的な能力を有するところの自衛隊パイロット、この方に今研修をお願いしてございます。
  22. 村田誠醇

    村田誠醇君 その自衛隊操縦士を出してもらう場合の身分職は、自衛隊職員のままなんでしょうか、それとも総理府職員として運航なさるのか、どちらなんでございましょうか。
  23. 荒田建

    政府委員荒田建君) 十一月以降入ってまいりまして、将来の本格的な運用という段階になりましたときの問題はまだこれからの検討課題でございますが、現在は準備段階ということで、自衛官の方々を私ども総理府技官を兼ねて、併任と申しますか、職を兼ねて任命してお願いしているところでございます。
  24. 村田誠醇

    村田誠醇君 総理府技官を兼ねるとか併任とか言われましたけれども、兼ねるとか併任とかいうのはちょっとおかしいんではないでしょうか。  先ほどやっておりました予算委員会外務大臣は、駐在武官外務省職員として採用して派遣しております、テレビですから議事録は出ていませんけれども、そういうふうに胸を張って答弁なさっておりました。技官併任でもってできるんですか。法律上、総理府技官としてできるんでしょうか。
  25. 荒田建

    政府委員荒田建君) これは任免関係でありますが、自衛隊法の方に隊員の兼職規定というのがございまして、その兼職の中に、防衛庁における職務の遂行に著しい支障がないと長官が認める場合には兼ねることができるという規定があるわけでございまして、その規定に基づきまして私ども総理府技官という形で職を兼ねてお願いしているわけでございます。
  26. 村田誠醇

    村田誠醇君 人事院の方にお聞きしたいんですが、国家公務員法第二条に基づいて自衛隊職員特別職であり、特別職身分を持ったまま一般職公務員兼任併任することはできない、そういうふうに聞いておりますが、法律上はどういうふうになっているんでしょうか。
  27. 角野敬明

    説明員角野敬明君) お答え申し上げます。  国家公務員法の一般的な任用考え方ということで御理解をいただきたいと思いますけれども国家公務員法上の併任という概念は、現に一般職官職任用されている職員をその官職保有させたまま他の一般職官職任用するということを概念いたしておりまして、一般職間の任用行為をとらえて言っているということでございます。  したがいまして、一般的な考え方といたしましては、特別職官職を占めている人を一般職官職併任するという概念は、国家公務員法任用の取り扱いといたしましてはそういうものはないということだと理解いたしております。
  28. 村田誠醇

    村田誠醇君 外務大臣が先ほどの予算委員会答弁した、防衛庁職員駐在武官として任用する場合には自衛隊の職を一たん辞して外務省一般職員としての資格でもって出ていくという答弁は、まさに今人事院が言われたとおり、そのとおり外務省がやっている、こういうことでよろしいんでしょうか。
  29. 角野敬明

    説明員角野敬明君) 今御紹介がありました件につきまして、具体的に御答弁状況を承知いたしておりませんので正確に申し上げるわけにはいかない状況でございますけれども、これまで承知している範囲では、一応外務省外務事務官としての身分を取得して処遇されているというふうに承知いたしております。
  30. 村田誠醇

    村田誠醇君 ありがとうございました。  そうすると、総理府の先ほどの説明によれば、自衛隊法兼任規定があるからできる、現にやっている、そういうふうな答弁でございましたが、これはこのとおりで理解してよろしいんですか。
  31. 坪井龍文

    政府委員坪井龍文君) お答えいたします。  先ほど総理府の方からお答えしたとおりでございます。
  32. 村田誠醇

    村田誠醇君 人事院は、自衛隊の職を辞して他の省庁一般職の職に採用されない限りできませんと言っているじゃないですか。どうなっているんですか。違うんじゃないですか。できるんですか。自衛隊身分職を持ったまま他の省庁一般職になれるんですか。そこのところを聞いているんですよ。これは重要な問題なんです。今問題になっている工作隊を出すとか出さないとかという問題にも、自衛隊身分を持ったまま行くのか行かないのかということにもつながってくるんですよ。ちゃんと答えてください。
  33. 角野敬明

    説明員角野敬明君) 先ほど御説明いたしましたのは、併任という私ども国家公務員法上の任用制度で使っておる言葉について申し上げました。  なお、現在の国家公務員法上は、一般職官職につきまして、特別職職員を含め一般職以外の人をもって充てることについては一応採用という概念になるわけでございます。そういう任用行為を通じますれば国家公務員法上も、一般論といたしましては特別職官職一般職官職をあわせ有するという状態が不可能であるわけではない、そういうふうに理解いたしております。
  34. 村田誠醇

    村田誠醇君 冗談じゃないですよ。そこのところ、はっきりしてください。  自衛官としての特別職任務を辞してそれでもって他の省庁一般職採用されて出ているんですか、それとも、やめなくても特別職公務員一般職公務員兼任できるというんですか。どっちなんですか、はっきりしてください。
  35. 角野敬明

    説明員角野敬明君) 現在の国家公務員法では、繰り返しになるわけでございますけれども一般職官職欠員が生じました場合に、その補充方法といたしまして、例えば特別職職員を含め、一般職以外の者をもって充てるという方法を特に禁止しているわけではございません。その場合には、一応任免行為上の概念といたしましては採用という方法をとって行うということでございます。  では、その前提として特別職身分を必ず辞さなければならないかということについては、国家公務員法上は特段の規定をいたしておりませんで、結果的に特別職官職一般職官職をあわせ有するという事態はあり得る、一般論として申し上げればそういうことでございます。
  36. 村田誠醇

    村田誠醇君 それが原則でいいというんですね。それが原則なんですね。重要なんですよ、そこのところは。
  37. 角野敬明

    説明員角野敬明君) 原則というよりも、現在の任用制度を考えてみました場合にそういう事態もあり得るということでございます。
  38. 村田誠醇

    村田誠醇君 国家公務員法特別職公務員併任できると書いてあるんですか。そういう事態があるというんですか。それだったら、外務大臣答弁したことは違ってくることになるんですよ。外務大臣は、駐在武官として海外に赴任している自衛官自衛隊の職をやめて外務省一般職職員として採用して派遣している、こう明言しているんですよ。あなたの言うとおりだったら、何もやめる必要はないじゃないですか。そういうことになりませんか。  それなら、質問を変えます。  自衛隊身分を持った工作隊なり医務技官が今度の事例で外務省職員として身分をかえて併任して出せる、人事院はそういうふうに理解しているんですか。そういうふうに理解してよろしいんですか。
  39. 角野敬明

    説明員角野敬明君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、現在の国家公務員法任用考え方といたしまして、一般職欠員を生じた場合の欠員補充方法として採用という行為があるわけでございますけれども、その採用対象になる者につきましては、特別職職員を含め一般職職員以外の者ということでございますから、特別職職員を含め一般職以外の者をもって充てることができるということでございます。
  40. 村田誠醇

    村田誠醇君 その場合、特別職身分は失うんですかどうするんですかと聞いているんですよ。失わないんですか。失わないで採用というのは、両方になるでしょう。そんなことができるんですか。そこのところをはっきりしてください。
  41. 角野敬明

    説明員角野敬明君) 国家公務員法上は、必ず特別職身分をなくさなければならないというふうに明記されているわけではございません。
  42. 村田誠醇

    村田誠醇君 いいですよ、これはやがて出てくる問題なんだから、工作隊を派遣するとかいろんなところで出てくるんだから、当然大論議になるんです。それははっきり言っておいてくださいね、ここで答弁したことはやがて出てきますから。  こればかりやっていられないんですが、さらにお聞きします。  この政府専用機は、現在、どこの省庁が所管しよう、あるいは将来的にどこの省庁が所管しようという方針なんですか。自衛隊がやるんですか、外務省がやるんですか、それとも運輸省でやるんですか、総理府でやるんでしょうか。運航主体責任主体の官庁はどこなんでしょうか。
  43. 荒田建

    政府委員荒田建君) 政府専用機運用主体の問題でございますが、購入事務は私ども総理府の方で行いました。これが十一月に入ってまいりますと、それからできるだけ速やかに運用体制をとらなければいけない。そのときにどこの役所がこれをやるのかということでございますけれども、現在実は関係省庁と、将来どういうふうにやっていくか、これは先ほど申し上げました運用目的との関係も出てまいりますし、また政府専用機でございますからいつでもどこへでも飛んでいけるというような随時即応態勢もとらなければいけない、いろんな問題もございますので、十一月までのしかるべき段階までに関係省庁局長クラスで構成しております政府専用機検討委員会の方で鋭意検討していくということでございまして、現在の段階ではどこの省庁運用主体になるかということは決まっておりません。
  44. 村田誠醇

    村田誠醇君 大蔵大臣にお聞きしたいんですが、今回、先ほども言ったように国際協力だとか国際義務だとか、国際社会における日本の責務とか役割について大変論議になっている。大蔵省補正予算までしてつけたこの政府専用機を活用する方法について、ここには大蔵大臣しかいらっしゃらないんですが、政府は何も論議をされていないんでしょうか。
  45. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに公式に閣僚レベルで論議する機会をまだ私も与えられておりません。むしろ事務方の諸君に対しまして私は急げ急げということをしばしば申してまいりましたが、今答弁がございましたような状況であります。
  46. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは、六十二年の六月二十二日に「政府専用航空機の購入について」という中間報告が事務方から出ていますが、この後何も報告書が出ていない。六十二年から現在に至るまで、今の大蔵大臣の話によると事務方に任せてあるということだけれども事務方はどういう作業をしておったんでしょうか。現在どうなっているんでしょうか。  しかも、予算委員会では、テレビを見ておりましたら、西川議員の質問に対して、政府専用機があったら外交交渉のためにも平和のためにも飛び回って国際協力、平和のために役立ちたいと外務省は言っているんです。外務省の所管に移す、そして平和利用に使う、これならどこの政党もだれも文句を言わないと思うんですけれども、こういう方向で決まらないんですか。あるいは事務検討ができないんでしょうか。
  47. 荒田建

    政府委員荒田建君) お答えいたします。  確かに六十二年の購入契約は十二月ということで、四年弱ぐらいたちましてようやくこの十一月に入ってくる、こういうような状況下にあります。その間一体何をしておったのか、今日のような情勢にありながら一体何をしておるんだというようなおしかりはごもっともだと思いますが、私どもといたしましては、購入契約をいたしましてしかる後に毎年毎年支払いをやっておりまして、その契約事務の円滑な執行あるいは運用基盤の整備ということで、実は二年度の補正で格納庫の建設というようなこともようやく着手に至るというようなこともございます。  それから、大きな飛行機でございますし、国としても初めて運用するということでございますので、ノーハウの蓄積、諸機材の購入、あるいはマンパワーの養成、こういった点についていろいろ検討しなければならない点が出てくる。そういったことで慎重な検討をやってきておった段階でございまして、いよいよこの十一月に入るということで、いわば準備もこれから本格的な準備段階といいますか、最終段階に立ち至っているというようなことでございまして、これから鋭意先生の御指摘の点も踏まえまして検討をしていくというような段階でございます。
  48. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは、検討する項目の中に自衛隊法第百条の五との関連も当然出てくると思うんです。「航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」の輸送、これがまさに政府専用機購入保有目的とぴったり一致しているわけでしょう。百条の五に基づいて運用するんですか、それともこの法律とは別の基準でもって運航するんでしょうか。そこら辺はどういう検討をなさっているんですか。
  49. 畠山蕃

    政府委員畠山蕃君) 自衛隊法に関する御質問でございますので、私の方からお答え申し上げます。  百条の五というのは、防衛庁長官が国の他の機関から依頼があった場合に航空機によって国賓等を輸送することができる、こういうことでございます。  ただいまの御質問は、今総理府の方からお答えがございましたように、現段階ではまだどこでこれを運用管理するかということが決まっていない段階でございますので、この百条の五が適用されるという前提としては、防衛庁の方で運用管理するという前提に立ったことになるわけでございますので、ただいまの状況からいたしまして、仮定の御質問ということで、お答えを明確に申し上げることができないということでございます。
  50. 村田誠醇

    村田誠醇君 防衛庁じゃないですよ。総理府に聞いているんです。  この飛行機外務省なり総理府なり運輸省で所管するのなら、自衛隊法百条の五との関連が出てくるでしょうと言うんです。つまり、総理大臣が動くときにこの政府専用機に乗っかって行くのか、自衛隊保有している飛行機、それは輸送機であろうが何だろうがいいです、大蔵大臣が二回ほど乗っかったフランス製のピューマというあのヘリコプターだってあるんだから、どっちを使って行くんですかということが問題なんです。  避難民だって同じなんですよ。二つの飛行機があって二つの方法があるなら、どっちをとるのか。片方はなくすのか、それとも自衛隊に全部この飛行機を渡してしまって自衛隊でやってくださいというのか、これによっては全然議論も違うし、法律改正も場合によったら出てくる可能性があるんです。  そこで、総理府がこの百条の五との関連でどういう検討をしているんですかと聞いているんです。
  51. 荒田建

    政府委員荒田建君) お答えいたします。  先ほど来申し上げていることの繰り返しになって恐縮でございますが、政府専用機をどこの省庁が管理運用するのが適当であるかということは、専門的、技術的な点、あるいは導入の目的、そういったこととも関係してまいります。  今後とも政府専用機検討委員会において検討するということでございますので、その管理運用体制がある程度固まった段階で法的にどういった規定をつくるかあるいは調整をするかというような議論になってこようかと思います。今日段階ではまだそういったところまで議論が煮詰まっていないということを申し上げさせていただきます。
  52. 村田誠醇

    村田誠醇君 ヘリコプターの場合は、六十一年の九月三十日の閣議了解でとりあえず最初は総務庁だったものを防衛庁に移管したんでしょう。その結果として百条の五の二項というのが新たにできたわけですよ。このときは既に早々とやっているじゃないですか。だったら、今度の飛行機防衛庁に移管するのか。国際協力その他を言うのであれば、外務省の所管にしたっておかしくないと思うんです。  どこの省庁にするかということは大変重要なことですよ。あと半年後に迫られた問題ですよ。それについてはどうなんですか。どこの省庁にするかどうかもまるっきり検討していないんですか。
  53. 荒田建

    政府委員荒田建君) お答えいたします。  確かに本年十一月ということで、おっしゃるとおり真近に迫ってまいったわけであります。  専用機の主要用務といたしまして、総理大臣輸送ですとか、在外邦人の救出ですとか、あるいは災害援助物資の輸送といった用途に当てるために購入しておるわけでございまして、実はそれぞれ所管の省庁があります。内閣総理大臣輸送、いわゆる総理がサミットを初め海外にいろいろお出かけになる、そういう任務総理府なり内閣なりにあるわけでございますが、その他の任務外務省なりあるいはその他の省庁にあるというようなことでございます。  そういったいわば複数の目的任務を持つ飛行機運用でございますので、これから関係省庁といろんな議論をしていかなければならない。確かに今まで何をやっていたというおしかりはごもっともでございますが、先ほど来申し上げておりますように、これから本格的にその議論を開始する段階であるということで御了解いただきたいと思います。
  54. 村田誠醇

    村田誠醇君 大蔵大臣、先ほどから聞いておわかりのとおり、私も、国際協力とか国際分担をすることについてやぶさかじゃない、しかも政府専用機というこの二機をもって協力することについてやぶさかじゃない。  しかし、今の事務方のお話を聞いていると、外務省に移管して運用するのか、防衛庁に移管して運用するのか、運輸省でやるのか、それすらも出ていない。一生懸命検討している、こう言いますけれども、どこに移管させてやらせるかということは大変大きな問題だと思うんです。大蔵大臣や総理大臣の見解、外務大臣の見解を聞いていれば、この飛行機は明らかに外務省に管理を任せて運航自体の責任は航空自衛隊が持つしかないわけですけれども、しかし判断として、運航方針を決めたりなんかする主務官庁は外務省にしてまずいんですか。むしろほとんどの人は賛成すると思うんですけれども、これは難しい問題があるんですか。
  55. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しにくいのは、この政府専用機の問題が起きました当時、私は運輸大臣として当初海上保安庁が運航に当たれるかという問いかけを受け、海上保安庁の航空関係の諸君と内部で議論をしておりますうちにお呼びがかからなくなったという経緯がありまして、大変物の申しにくい立場にございます。  ただ、それだけに、次第に入ってくる日が近づくにつれ私自身が気になりまして、しばしばいろいろな方に対して早く検討しなければならないのではないかということを個人的に申し上げておりましたが、これ以上私の立場として今個人的な意見を申しにくい心境であります。  同時に、今委員が御指摘になっておられます問題点、たまたま外務省というような例示を挙げられましたが、私は、内閣官房でありましても、総理府でありましても、あるいは運輸省でありましても、要はその政府専用機というものがいかに国家、国民のためによりよく活用されるかということから検討していただけば、今内閣参事官の方から述べられましたような複雑な悩みをなさらなくてもよいのではないか、個人的にそのような感じを持ち、なお議論を深めていただけることを期待しております。
  56. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは、この政府専用機の運航の方針とか管理に対する基準、責任、責任官庁、これはいつまでにだれが決めるんでしょうか。大体のめどを言っていただけますか。
  57. 荒田建

    政府委員荒田建君) この政府専用機につきましては、私ども総理府の方で購入をいたしまして、今までのところ三年度中は私どもの方で管理をしていくということで考えておりますが、今後の要するに本格的な運用になった後の管理運用基準、こういったものは、先ほど来申し上げておりますように内閣の中に政府専用機検討委員会というのが実は設置されておりまして、こちらの委員会検討事項の中に、政府専用機使用目的及び使用基準、それから政府専用機の管理運用体制、その他政府専用機保有に必要な事項ということで、この委員会の場で検討をして結論を出すというような手続きに今なっておりまして、この検討委員会でいずれにしても十一月に来ることを踏まえまして鋭意精力的に検討していく、こういうことになっております。
  58. 村田誠醇

    村田誠醇君 実際に飛行機が来るようになってからでなければ検討しない。事前に来ることがわかっているのに、十一月になって現実に来た、あるいは来ることになったから、そしてまたこういう問題が発生してきて論議されているから、保有目的とか運航を今から一生懸命やると。しかし、六十二年のこの政府専用機検討委員会の中間報告以来、何も会議をやっていないんでしょう、事務方の打ち合わせだけで。そういう怠慢なことをやっておって、国際協力とが国際社会における任務の分担だとか役割だとかと言うこと自体がおかしな話じゃないですか。  それは事務方を責めるんじゃなくて、あくまでも一番上に立っている政府、大臣がもっと督促して、きちんとやりなさいということを指示し、どれを検討しろ、こういう方向で検討しろということが出ない限り——防衛庁に移す場合はこれです、外務省の所管したらこうなります、総務庁の所管したらこうなります、海上保安庁にやったらこうなります、幾つかのメニューはそれは事務方は書けると思うんです。  しかし、そんな作業をするよりも、もっと方針を出してこの飛行機はこのように使いますということを明確に言えば、事務方の作業はそのうちの一つだけをとって善悪を検討する、作業は三分の一、四分の一で済むし、少なくとも早く出てくる。そう思うわけですけれども、その点はどうでしょうか、大蔵大臣。
  59. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 極めて的確な御指摘をいただいたと思います。その御指摘を官房長官なりあるいは総理なりに私からそのとおりお伝えをし、検討を急ぐように私からも督促をいたしたい。そのように思います。
  60. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは、これもやがて私の他の質問のときに時間がございますからやれると思いますので、最後にお聞きしたいんですが、この政府保有機、一番最初はヘリコプターから始まった。大蔵大臣が二度ほど御利用になったフランス製のピューマというヘリコプター、これは最初は総理府で運航し、やがて防衛庁に移した。このヘリコプターも政府保有機の運航管理責任が決まったら防衛庁からそこに移るんでしょうか、そのことも含めての検討事項が項目の中に入っているんでしょうか、総理府にちょっとお聞きしたい。
  61. 荒田建

    政府委員荒田建君) 先生の今のお話は、三機あるスーパーピューマ、現在使っているヘリコプターの移管をどうするかというようなお尋ねかと思いますが、これは専門的な輸送能力のある防衛庁に移管いたしまして、それは自衛隊法の百条の五の方でたしか運用しているわけでございますが、この検討委員会で大きなジャンボ機をどこにやるかということの中でそのスーパーピューマをどうするかこうするかというような議論をするかどうか、それは私は、そこの検討委員会の場はあくまでジャンボ機をどうするかというような検討でありますし、そのスーパーピューマというヘリコプターの所管移管については議論する必要がないと考えております。
  62. 村田誠醇

    村田誠醇君 この質問をやめてほかにいこうと思ったんですけれども、そういうふうに言われると問題が出てくるんですよ。  百条の五で「国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。」と自衛隊法に書いてあるんですよ。そして、この747の飛行機も同じ任務目的を持った意味保有するんです。二つあるんです。ヘリコプターか飛行機か、その違いはあるかもしれないけれども法律的には全く同じことをするための飛行機がヘリコプターと飛行機と二つあるんです。これは必ず調整しなきゃおかしいでしょう。どっちでも使えるんですか。航続距離が短いからヘリコプターで、長い外国へ出ていくのが飛行機で、これは主務官庁がそれぞれ違いますなんて、そんなばかな話、あんた言えるんですか。
  63. 荒田建

    政府委員荒田建君) 失礼いたしました。ちょっと質問の趣旨を取り違えておりました。  いずれにしましても、この運用の問題、管理の問題は、先ほど大蔵大臣からもお話がございましたが、政府部内のこの検討委員会で、航空機の保有の問題でございますから、これからまとめて検討をするということになろうかと思います。
  64. 村田誠醇

    村田誠醇君 先ほども言いましたように、まだまだほかの機会に、現実に飛行機が来たとき等々にも質問できると思いますから、そのときまで楽しみにとっておきます。  最後に、外為特会について若干お聞きをしたいと思います。  私は一年生議員でございまして、こんな特会があったのか、どうなっていたのか、実は勉強させていただくまで全くわからなかったんです。本会議でも質問をさせていただきましたが、本補正予算で一千百二十五億円の財源をここから見込んでおる。なぜ一千百二十五億円見込んだのか。裏を返していえば、二千億、三千億見込んでもおかしくはないはずなのに、なぜ一千百二十五億円なんですか。大蔵大臣の本会議での答弁によれば、赤字会計にしてはまずいからというのがどうもその理由でございますが、ちょっとその点について御説明をいただきたいと思います。
  65. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) ただいまお話がございましたように、なぜ千百二十五億円かというのは、予備費を一カ月分残しまして残りを一般会計に繰り入れたということでございます。  後半の御質問でございますが、これはやはり外為特会の特殊性というところをちょっと申し上げなきゃいけないと思うわけでございます。  外為持会は、為替相場の変動で保有しております外貨の円建ての価値が著しく変化するというのが特色でございます。そういうことで、この外為特会におきましては、為替相場の変動で生じた外貨の評価損というものを繰り越し経理する一方で、特会収支の健全性を確保するために積立金は積み立てていく、そして評価損と積立金が見合いの関係にある、こういうことでございます。したがいまして、これが見合わないということになることは外為特会の健全性を非常に阻害するということになるわけでございます。
  66. 村田誠醇

    村田誠醇君 評価損と積立額のバランスがとれていないとまずい、こういう御説明でございました。  それでは、大蔵省にお聞きしたいんですが、過去何年もの外為の決算状況をずっと見てみれば、評価損に見合うだけの積立額を積んでいるのは、この二、三年でしょう。しかもそれまでの間、六十年、六十一年、六十二年に至っても、剰余金の中から二千六百五十億、二千六百億及び一千四百億を一般会計に入れているじゃないですか。しかも、そのときには積立金の額と評価損とはバランスがとれていないんですよ。バランスのとれていないのに大蔵省はこれだけの金を一般会計に外為から取っているんですよ。あなたの説明でいけば、一番最悪の施策をとった、こういうことになると思うんですけれども、その点はどうですか。
  67. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) この外為特会の経理の内容というものは、そのときの例えば為替レート、金利の状況、特にこの金利も国内の為券調達金利、それから海外における運用金利等非常に変動要因が多いわけでございます。したがいまして、今お話がございましたように結果的にはそういったことはございますけれども、我々は、この会計の運用考え方としましては、あくまでも健全性確保の観点から方針としては評価損と積立金が見合いにあるべきだという精神で運用しているわけでございます。結果はまたいろいろあると思います。
  68. 村田誠醇

    村田誠醇君 この外為持会は円貨の安定、ドル、対外通貨等の安定のためにあるわけでしょう。しかも、かつて円貨の水準を維持するため、高いのか低いのかは別として、一方的に一定の水準に保つために買い出動あるいは売り出動に出て、政策的な判断でもって一定の水準でもって買い支えをしたということが行われた会計ですよね。国の政策の方針として一ドル幾らとか、あるいは一円同ドルという設定をして、これが日本経済を守るために必要だということで日銀が買い出動した、そして膨大な評価損を受けたということもあるわけです。  政策的な判断でこの外為特会が赤字になるということは、過去何回か行われてきたわけでしょう。政治が判断すれば済むことなんです。そのために必要だと見れば、ここの外為特会は必ずしも黒字経営、剰余金を発生させる必要性の全くない会計じゃないですか。だったら、今回のような緊急事態のときに、ここの中からわざわざ平成三年度に一千九百億持っていって、なおかつ余ったうちから平成二年度の補正予算に一千百二十五億円を持っていくなんというそんなこそくなことしなくたって、この会計から思い切って八千億とか九千億特っていったっておかしくはないんじゃないですか。政策判断で赤字が出たってこの会計はいい性質の会計なんだから不思議ではないと思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  69. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) そういう御指摘ではございますが、私どもとしましてはこういうふうに考えております。  要するに、積立金と従来の評価損の繰越額というものが見合わない場合どういうふうにこれを考えるべきかということでございますが、保有外貨に評価損が生じている場合というのは、結局、そのファイナンスのために発行された為券を保有外貨のみでは償還できないという状況にあるわけでございまして、したがいまして積立金というものは為券の償還財源としての意味を持っているわけでございます。したがいまして、今御指摘のようなことで実質赤字の状態になりますと、いわば積立金を加えましてもなお為券の償還財源に不足をするということになるわけでございまして、これは甚だ外為特会の健全性の見地から好ましくないというふうに考えるわけでございます。  そういうことで、私どもは、事情の許す限り、今申し上げましたような健全な特会の内容ということを頭に置きまして運用しておるということでございます。
  70. 村田誠醇

    村田誠醇君 評価損と見合いの積立金が必要だというんであれば、現在積立金の額の方が八千億ぐらい上回っていますね。今の説明だったら、この分は取り崩したって健全性を阻害しないというふうに理解しますし、またこの評価損は手持ちの外貨なり外国証券を期末に幾らのレートで、基準があるんでしょうけれども、算定したときに簿価上出てきている現在の損失額でしょう。これはその基準が円高にいくのか円安にいくのかによって評価損が大きくなったり評価益が出たりするわけでしょう。そうしたら、益が出たらどんどん使っていい、こういうことになるんですよ。あなたの説明を聞いていると、積立額は要らなくなっちゃう。バランスをとる必要性がなくなっちゃう。こういうふうになるんですけれども、その点はいかがですか。
  71. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) 三年度の年度末の繰越評価損が約六兆一千億ほどございます。そして、二年度末の見込みの積立金が六兆九千八百億ほどございます。ということで、御指摘のように、これを比較しますと積立金の方が若干多いということでございますが、実はこの積立金は一ドル百四十二円という評価になっているわけでございまして、現在の例えば百三十円前後といったようなあたりで評価をいたしますと、これはもう約七兆円の繰越評価損ということになってしまいまして、結局、積立金と繰越評価損はちょうど見合ってしまうということになるわけでございます。したがいまして、そこには余裕はございません。現状はそういう状況でございます。  それから、利益があればその分だけ余裕があって使えるじゃないかというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、為替のレートが常時大幅に変動をし、そしてまた海外の金利も国内の金利も変動する状況にございますので、やはりここはある程度外為特会の仕事を円滑に行い得るように余裕を持って運用することが必要であると考えております。したがいまして、生じました利益、剰余金というものは積立金に繰り入れるということが法律原則になっているわけでございます。
  72. 村田誠醇

    村田誠醇君 今、一ドル百四十二円で換算した数字の評価損である、そして現在の日本円のレートが百三十四円か五円か知りませんが、だから評価損が発生している、こういうことでしょう。それだったら、円安になって評価益が出てきたら、あなたの言うそんな積立金は関係ないじゃないですか。つまり、これは締めた時点の、三月末なのかそれは私ちょっと事務方のことについては知りませんけれども、結果として生じた簿価上の問題であって、マイナスのこれだけのお金が現実に出ていったわけじゃないし、あるいは積み立てて保有している外貨を取引するなり売買して現実に利益なり損金が発生したときには計上されてくるものなんでしょう。それまでは数字上出ている問題ですよ。  あしたこの外為特会をクローズするのならこれだけの金を積立金の中から返さなきゃいけないかもしれないけれども、現時点ではこれは必ずしも補てんをしなきゃいけない性質のものじゃないんじゃないですか。帳面上出ている数字であって、これは常に日々動いているんだし、益が出ていてもマイナスが出ていたとしても、それは結果として出ているだけであって運営には何の支障も来さないんじゃないでしょうか。その点は違うんですか。
  73. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) 法律によりまして特会の健全性維持のために利益は積立金に繰り入れるということになっているわけでございまして、これは赤字が生じたときだけこれの補てんに充て得るということになっているわけでございます。  そういうことでございますので、今回の場合は積立金には手を触れませんで、そうして外為特会から一般会計への繰り入れ措置といたしましては、予備費の一カ月分を残した分を剰余金の増加分として見込みまして、これを一般会計に繰り入れるということにしているわけでございます。
  74. 村田誠醇

    村田誠醇君 赤字にしたら健全性が損なわれるから非常に困るんだという説明ですが、平成二年度の外為特会の剰余金見込み額から平成三年度の予算に一千九百億円の繰り入れを行っているんでしょう。予算を組んであるんでしょう。歳入に入れてあるんですよね。利益の先取りをしているんですよ。そして、平成二年度の補正予算で一千百二十五億円をさらに取ったんですよ。そうしたら、外為特会はどうなりますか。ぎりぎり赤になるか少し黒になるかどうかの数字しか出てこないじゃないですか。つまり、大蔵省がみずから自分たちの政策判断でもってこの外為特会がぎりぎりか下手をしたら赤字に転落するかもしれない政策を平気で行っているじゃないですか。これ、もっと多く取ったっていいんじゃないですか。それとも、赤字に転落する危険性がないというふうに判断しているんですか。
  75. 千野忠男

    政府委員(千野忠男君) 二年度の特会の剰余金を三年度の一般会計へ千九百億円繰り入れますほかに、これとは別に二年度予算へ繰り入れるということがいかがなものかということかと存じますが、まずこれについて若干申し上げさせていただきたいと存じます。  外為特会法の十三条によりますと、「毎会計年度の歳入歳出の決算上、」「残余があるときは、予算の定めるところにより一般会計の歳入に繰り入れる金額を除く外、これをこの会計の積立金として積み立てるものとする。」ということになっております。この規定に基づきます特会剰余金の一般会計繰り入れ措置の要否は、各年度の予算編成過程の中で一般会計の財政事情でございますとかあるいは特会の収益状況を考えて総合的に判断して入れるかどうかを決めるということでございます。  確かに、過去には一般会計の財政事情が非常に厳しかったときに、そのような厳しい一般会計の財政事情を勘案いたしまして、例えば昭和五十七年度から六十三年度でございますが、税外収入対策の一環としまして、当面の外為特会の運営に支障を生ずるおそれのない範囲で剰余金の一部を一般会計に繰り入れたことはございます。二年度の決算剰余金から三年度の一般会計に繰り入れる千九百億円、これはまさに今申し上げましたような考え方によりまして、三年度一般会計の非常に厳しい財政状況を勘案してこのような措置を講ずるということにしたわけでございます。  もう一方の二年度一般会計への繰り入れ措置でございますが、これは追加支援財源確保の緊急性、重要性ということにかんがみまして、まさに臨時異例の税外収入対策の一環としまして、特別の法律措置を講じて特会の年度内の運営に支障を生じない範囲内で最大限の財源を一般会計に繰り入れるということでございまして、三年度への一般会計繰り入れとは性格を異にするものでございます。  そういうことで、三年度への繰り入れ、二年度の繰り入れ、こうあるわけでございますが、確かにおっしゃるように非常に余裕があるという状況にはございません。確かに今後の経済の動き、例えば為替レートの動き、金利の動き等によりましてはおっしゃいますようにもうぎりぎりの措置をとっているわけでございますから余裕は全くございませんですけれども、そこは今の現状において考えられるぎりぎりの措置をとったということで御理解をいただきたいと思います。
  76. 村田誠醇

    村田誠醇君 今の御説明を聞いておりますと、非常な措置をとったんだと。それはそれでいいですよ。しかし、あなたが読まれた基準、会計原則からいけば、決算をして生じた剰余金については原則として積み立てます、あるいは歳入予算として繰り入れる、これが原則なんです。  平成二年度のこの外為特会はまだ決算終わってないんですよ。だから、決算が終わってから、つまり剰余金が確定してから行うのなら、私は何も言わないです。しかし、一歩譲って、平成二年度の部分の見込める部分を三年度である程度見通しましたよといったらこれはまだいいですよ。平成二年度の予算で組んであるものを二年度の補正財源とするために法律上の特例措置をしたんでしょう。今まさにその言われたとおりの臨時例外的なやり方をしたのなら、何で臨時例外的な措置が一千百二十五億円で済むんですかということです。もっとやったってできるんじゃないんでしょうかというのが私の質問なんです。つまり、一千百二十五億円でなければいけなかった理由は何ですかということです。
  77. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は委員がお述べになった理論構成を全く否定しようとは思いません。同時に、国金局長から御説明を申し上げましたようなこの外為特会というものの持つ性格、そしてストックの面におきましてもフローの面におきましても、為券との絡みで一定のリンクさせた内容を持ちたいという性格、こうしたものは委員にも御理解がいただけると思うのであります。  問題は、今回、特例を講じ法律上の手当てを行ったこの湾岸対策というものの追加財政需要に対し、財源として外為特会から捻出をした財源が適切であるかどうかという視点であろうと存じます。そして、委員が述べられましたように、一時的に外為特会に大きな影響を与えてももっと巨額の財源をここで捻出することによって直接国民に御負担を願う部分を削減すべきではないかという視点は、私は一つの御意見としてそれを否定するものではありません。  と同時に、通貨当局の立場、外為特会を所管する国金局の立場からすれば、やはりぎりぎりのバランスというものを見なければならないという使命感も、これは御理解をいただきたいと存じます。  まさに臨時異例の措置ということでありますが、もともと異常な情勢に対応するための支出として、当初、私はこれを否定いたしませんが、全額を国民に御負担を願うべきであるという判断に立ちました私自身が、その後の本院を含めました国会の御論議等の中で、やはり政府自身がぎりぎりの努力をしなければならないという判断に立ち、税外収入を確保するための努力の一環として外為特会からこれだけのものを捻出する努力を命じた、そう御理解をいただきたいと存じます。  私は、委員の理論として積み上げられたお考え、さらには一時的な影響を外為特会に与えても国民に臨時的に御負担を願う部分を減らす、あるいはなしにしろというお考えと先ほどから伺っておりました。そうした考え方も成り立たないとは決して申しませんが、政策選択の問題として私はこういう判断をいたしたということであります。
  78. 村田誠醇

    村田誠醇君 最後に一つお聞きしたいんですが、特別会計というのはこの外為だけじゃなくたくさんあるわけですね。分類でいけば、事業を主とする事業会計の分類に入るもの、保険会計に属するもの、融資会計及び整理会計とかいろいろな特別会計があるにもかかわらず、この外為特会だけが何で平成三年度の財源予算にも繰り入れられ、平成二年度の補正予算財源として取り上げられたのか。表現を変えて言えば、大蔵省が所管しているからほかの省庁と話をするよりは自分のところの懐からぱっと金を持ってきた方が早かったのかもしれないんですが、この会計だけを平成二年度と三年度の財源としていじった何か特別な理由はあるんでしょうか。そのことをお伺いをして、最後の締めにしたいと思います。
  79. 小村武

    政府委員小村武君) 御指摘のように特別会計にはいろんな種類がございます。  御指摘の保険特別会計におきましては、保険料と見合いの歳出を立てまして、それが一種の精算行為を行わなければ確定的な国の収入にはならないというような問題がございます。  外為特会につきましては、講学上資金特別会計というものに分類されておりまして、特定の目的のために設けられた資金の運用に伴う収支を経理するものということで、一般会計から区分して経理しているところでございます。外為特会自体そうした資金の運用を図って収支を明確にする、こういう一つ目的を持って運用されているわけでございまして、収益を上げ、それをもって一般会計に納付をするというような性格のものではございません。  ただ、今回の場合に、先ほど国際金融局長から御説明もありましたように、平成二年度の外為特別会計の予備費の減額、いわば歳出の減額を行うことによりまして生まれた資金につきまして特別に納付をしていただくということで、まさにぎりぎりの御努力を願って財源を捻出したというふうに御理解を願いたいと思います。
  80. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、実はここずっと衆議院での予算、そして本法律案論議、それからまた本院での予算委員会論議等々いろいろと伺ってまいりました。  今、村田委員質問にいみじくも大蔵大臣が御答弁になりましたように、まさにこれは政策的判断、そういう性格を持った非常に重要な法案ということになるわけであります。  本来でありますと、それこそ総理あるいは外務大臣に聞かなければならない性格のものが随分多いわけでありますけれども、本委員会に付託をされた法案の審議という形になりますので、大変失礼な言い方で恐縮でありますが、大蔵大臣にどこまでお伺いができるのかなというようなことなどもございますので、大変恐縮ですけれども、初めに少し確かめさせていただきたいと思います。  今度の九十億ドルの追加負担について、大蔵大臣はこの政府の決定に至るまでの経過の中でどの程度関与されたのかということを伺いたいと思います。
  81. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) どの程度の関与と言われます意味がもう一つはっきりしませんが、決定した責任者であるかということであるならば、これは最終的に総理が決定をされ、決断をされた金額であるということであります。  それから、事前における話し合いに参画しておったかということでありますならば、G7から帰りました直後に私は総理官邸に総理をお訪ねし、G7並びにその直前に行われましたプレイディ財務長官との会談内容等を御報告し、総理に判断材料をお渡しした一人であります。これは私だけではなく、一月の十三、四日ごろだったかと思いますが、外務大臣が訪米をされましたときの感触等も外務大臣からも当然お伝えになっておられると思います。また、その後において行われました政府・与党首脳会議にも私は出席をいたしておりましたし、最終的にもちろん閣議の席にはおったわけでございますから、関与と申しますなら、この問題の当初から関与をいたしておったということになろうかと存じます。
  82. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと抽象的な伺い方で恐縮でありましたが、大体アウトラインは自分なりに理解ができたような気がいたします。  そこで、アメリカの財務長官との会談からが大蔵大臣が直接的にかかわったということになると思いますが、アメリカの財務長官との会談の中では具体的に九十億ドルという金額が示されたのでしょうか。
  83. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、実は今までもしばしばお尋ねをいただきまして、証拠立てる方法がありませんのでお答えを申しますたびに大変苦労いたしておりますが、具体的にそういう金額を明示した話し合いはございませんでした。  湾岸危機におけるその支援について日本協力の重要性ということは確かにお話がありました。そして私からも、日本としても我が国の国際社会における地位にふさわしい協力をする用意があるというお答えをいたしたことも事実であります。  ただ、その時期におきましては、アメリカ自身においてもこの湾岸危機というものが戦闘状態に突入した中でどれぐらいの費用がかかるものかという数字がございませんでした。そして、今ちょっと私、手元を捜していたんですが、その紙がどこへ行っちゃったかわからないんですけれども、たしか一番多くかかるケースとして八百六十億ドルぐらい、それから少ないケースとして二百八十億ドルぐらいの数字があったように思います。しかも、それはアメリカの議会予算局の数字であったと記憶をいたしますが、行政府としては確たる数字を全くまだつくり出しておられませんでした。そういう中でありますから、実は数字として確定したものがこの席に出てきたという状況には全くなかったわけであります。
  84. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 というお話を伺っておりますと、今まで総理お答えになっておられるように、この九十億ドルという額は自主的判断で決めました、こういうことになるかと思うんですが、今までの議論の中で私がわからなくなってくるのは、ではなぜ九十億ドルになったのか、ここのところへ戻ってこざるを得ない。大蔵当局は、これはもう事務レベルの場合でも予算のときには大変厳しい査定をいろいろとされるわけでありますけれども、ここで九十億ドルの負担が妥当だと考えた理由というのはどんなところにあるんでしょうか。
  85. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) これは総理の方が非常に御説明がお上手でありまして、今までも御自分が判断をされるときに脳裏に浮かんだ数字というものをいろいろ述べておられましたけれども、結論的に申しますなら、やはり国連安全保障理事会決議というものに従って湾岸の平和と安定を回復するために行動している関係諸国、これらの国々がさらに大きな負担を余儀なくされている湾岸の情勢のその時点における現状、また国連加盟国として日本国際社会においてその地位にふさわしい支援を行う必要がある、こうしたことを総合的に勘案した中から九十億ドルの追加支援策というものを行うのが適当だと判断をされたということになろうかと思います。  特に日本の場合に一番私ども自身が感じますことは、平和回復活動に対する人的な面での支援というものが、アメリカ、イギリスのほかにパキスタン、バングラデシュといった途上国を含む二十を超える国々が兵力を派遣し、また韓国あるいはフィリピン、ポーランド、こうした国々は医療団を派遣しているといった状況にございました。  こうした状況の中で、我が国は国連加盟国として安保理決議六七八に基づいてこれら関係諸国の活動に対して適切な支援を与える責務を有している、こうした判断からまず九十億ドルという金額を考えた。また同時に、安定した国際秩序のもとにおける極めて大きな経済的繁栄を享受している日本、しかも中東において原油の七割以上を依存している国、こうしたことを考えるときに、国際社会において地位にふさわしい支援を行う必要がある、こうしたことすべてを総合的に勘案した中から、できる限りの措置として九十億ドルの追加支援を行うことが適当と、そう判断されたわけであります。
  86. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大変失礼な言葉ばかり出て申しわけないんですが、大蔵大臣のお答え総理よりももっとお上手だというふうに思います。大事なところを全部避けておられるように私には聞こえるんであります。  なぜかといいますと、具体的に政策的に包括的にかなりの援助をしましょうとかなんとかいうそういう範囲のときだったら、今のお話はそれぞれわかるんですよ。ところが、九十億ドルという具体的な金額が出てくるわけですね。具体的な金額が伴っていく場合というのは、財政当局というのは極めてそれが妥当であるかと常に厳しくチェックをしていくのが当然のまた役割だと思うんですね。つかみ金で出すというわけにはいかないんだというふうに思うんですよ。  ということになりますと、この九十億ドルという金額がなぜ妥当なのかというのは、それなりに根拠がなければならないんじゃないかと思うんです。私は、そういう意味で、大蔵当局がこれならば妥当だと判断したそういう具体的な判断を伺いたい。もしたくさんいろいろなものがあるのであれば、それは資料としていただきたい。これは当然の要求で、知りたいことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  87. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) これは困りましたね。  今申し上げましたような過程で、政府・与党首脳会議論議の上最終的に総理が決断をされたという以上に、数字的に御説明を申し上げる資料を私自身有しておりません。
  88. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、これはやっぱりつかみ金になるんですか。
  89. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) つかみ金と言われますと非常に困るんです。  まさに総合的な判断の中で、私どもはこれだけの金額を負担する、そういう決断をいたしたということであります。
  90. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 つかみ金と言われても困ると言われるけれども、具体的な判断の資料というのは今説明できる資料を持っていません、こうおっしゃいましたね。具体的な判断の資料がなくて、それで全体的にこれだけが適当だと判断したということになると、これはやっぱりつかみ金ということにしかならないんじゃないですか。理屈の上でそうなりませんか。
  91. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもの頭の中に、例えばこれはG7の席上での話でありますが、たまたま周辺国支援の問題に移りました瞬間に、一番先に発言を求めましたドイツが、昨年九月の時点とは異なり今度はトルコ領域内までNATO軍のエリアの中ということで我が国は戦闘部隊を既に出している、それだけ周辺国支援における我が国の負担は減って当然のことであろうというような意見を述べたといった雰囲気が私の脳裏にあり、そうしたものを総理に報告したことも一つであります。  また、その時点において確定をいたしておったわけではございませんが、大体どこの国がどれぐらいの拠出をということは、コーヒーブレイクその他の間に会話を交わしております中でそれなりに各国の感覚というものも出てまいります。そうした中の感じというものも私は確かにそのまま持ち帰り、総理に御報告をいたす判断の材料等にいたしました。ただ、これは他の国々の話でありますから、ここでその時点においてどこの国がどういう負担に応じそうであったとかいうことは、お許しをいただきたいと思います。
  92. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、物差しのせいぜいなところは、国際的な負担の割合というか、バランスというか、そういうところがあるようだというふうに私の方は受け取らざるを得ないんであります。  予算委員会での議論の中でもなぜ具体的にこの九十億ドルでなければならないのかということのあれが結局乾かないから、また同じようなことを私もこの席で伺わざるを得ません。ただ、予算委員会と違いましてここは私の持ち時間もどんどんとたっていきますので、そのことばかりにあれできませんが、伺えば伺うほど私の方は、なぜ九十億ドルなのかという疑問が大きくなるばかりであります。これはこれからの後の方の質問にみんな関連をしてまいりますから、先へ進ませていただこうと思います。  そこで、戦争が終わったということは、これは私も本当によかったと思っております。そのかわり、亡くなられた方、犠牲になられた皆さんのことは、本当に胸を痛くしているわけであります。そして、そういう中で予算委員会でも戦後復興の問題にかなり議論が出てまいりました。  そこで、戦後復興と中東地域の平和維持の問題というのは、私はこれはこれからの大変な問題になるんじゃないかというふうに思いますが、そこでまず、戦後復興にはいろいろと協力しなきゃなりませんということを総理も言っておられますし、外務大臣も言っておられるようでありますが、今後どのような負担が想定をされるということになりましょうか。  そして、ここでそのこととあわせて伺っておきたいのは、今度の九十億ドルを政府でお決めになって、国際的にもう負担する、こういうふうに決まっているんだから国会の方は何とかして事後承認——事後承認ですよね、形としては。ということなんですが、今度も、復興のために一生懸命やりました、外国と約束をしてきましたから、国会ではまた事後承認をお願いいたします、こういう形になる可能性を持っているのかどうか。この辺のところも、外務省がおられましたらまず伺っておきたいと思います。
  93. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  戦後復興についての御質問でございますが、クウェートが解放されまして、我が国としては引き続き湾岸地域の平和と安定の回復のために積極的に努力していくことが重要であるわけでございますが、このためにどのような方策が適切であるかということにつきましては、現在鋭意検討中でございます。  いずれにしましても、これは関係国の具体的なニーズというものを踏まえながら対処する必要がある。それから、域内諸国のイニシアチブというものも尊重する必要があるというふうに考えております。こういうことをやりながら、関係諸国、国際機関とも十分協議した上で、我が国として適切に対処してまいりたいというふうに一般的に考えておる次第でございます。
  94. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 経費の方はもう少し後の方に回しましょう。  そうすると、戦後復興の援助をする範囲というのは大体どの程度のことを考えていますか、具体的な国だとかその地域は。
  95. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) 援助の範囲という御質問でございますが、戦後復興ということに限りますれば、恐らく直接戦火の被害があった国、つまりクウェートイラクといったような国が中心になろうかと思います。ただし、湾岸戦争によって影響を受けたというようなことを考えますれば、もちろん周辺諸国、エジプト、ジョルダン、トルコといった我々が既に支援をしております国も含めまして、その他のアジアの諸国、東欧の諸国といったような国に必要な経済的な支援の範囲も及ぼうかと存じます。
  96. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、直接的な戦災の復興の援助、そしてその影響をいろいろ受けたアジアあるいは東欧までが考えられるということになると、これは相当膨大な援助の金額を必要とするというふうに、今具体的なことを聞いているんじゃないですが、具体的に金額を積み上げろなんと言っても今できる状況じゃないでしょうけれども、かなり膨大なものが考えられるというふうに想定されます。その辺はどうなんですか。
  97. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、復興支援費の額につきましては、ここで今の段階で予断を与えることは適当じゃないと思いますし、現在さまざまな試算が行われているという状況であろうかと存じます。  先ほど申しました直接戦火を浴びましたクウェートイラクといった国につきましては、クウェートにつきましては元来極めて富裕な国であるという点がございますので、その点を踏まえて対処するということが必要でありましょうし、またイラクにつきましても本来産油国であるというようなことも勘案しながら、イラク自身の国際社会への復帰の対応を十分見守りながら、域内諸国、域外の西側諸国あるいは国際機関等と十分歩調を合わせながら対応していく必要があるんではないかというふうに考えておるわけでございます。  このような考え方を前提にして見てみますと、経済協力が直ちに非常に大きなものになるということは今の時点では考えにくいというふうにも思われます。
  98. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 直ちに大きなものになるということは考えられないと。そうすると、戦災をこうむったところをしばらく眺めているということですか。
  99. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 経済協力局長答弁に補足しながら今の委員の御質問お答えをしたいと存じます。  実はもともとこの湾岸の情勢というものを全く抜きにいたしましてG7でも非常に論議になっておりましたのは、東欧の新たな計画経済から市場経済への変更に伴う資金需要、これにはもちろん東西両ドイツが統一ドイツになってそこから出てくる経費もございます。そして、その延長線上においてペレストロイカの進むソ連における今後の資金需要というものはどうなるか、これがもう一つの大きな問題としてございました。それとは全く別に累積債務国の問題があり、日本の立場としてはアジアというものを意識せざるを得ないという問題がございました。  そうした中で世界的にどうして貯蓄率を高めるかといった議論が交わされていたわけでありますが、そうした状況の上にこの湾岸危機というものが発生をし、結果的にクウェート並びにイラクという二つの国が戦火の中で国土が荒廃するという状態になったわけであります。当然ここには相当な資金需要というものが予測されます。そうして、それに対して日本も当然のことながら協力を惜しまない、それだけの努力を払わなければならなくなることは間違いありません。  ただ、問題は、その経費としてどのくらいのものが必要になるかということが今全く想定できないということであります。例えば燃えている油田の消火といった日本の技術能力において対応し切れない問題もありますから、全く想定のできないものがあります。そして、たちまち必要になる食料とか医療とかあるいは仮の住宅建設とか、日本がお手伝いをする直近の問題というのは当然あると思います。  しかし、両方の国これ自体がまだそこまで作業がいっていない段階、そして当事国としてどういう援助を他国に求めるかということ自体がまだ意見として出てきていない状態でありますから、我々はそうした声に対してこたえる努力を当然のことながら払うつもりでおりますけれども、今その額が想定できる状況にございません。  それと同時に、経済協力局長答弁に補足をしたいと思いましたのは、国連決議六七四の中で、イラクは少なくともクウェートに対してはみずから行った破壊に対する補償の責任を原則的に有しております。実体的にイラクにその支払い能力があるかどうかということは、これはまた別でありますが、この辺の絡みがクウェートの再建計画の中にどう位置づけられるのかという問題もございます。そうしたことについて関係国間で当事国を含めて今後急ピッチで話し合いというものが持たれ相談が行われ、その中においておのずから日本が果たすべき役割というものも出てくると私は思っておりますし、その責務には当然日本は応じていく体制を整える必要があると考えておりますが、具体的な数字のめどがつけられる状況にないという点は御理解をいただきたいと思うものであります。
  100. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 具体的な数字のめどが今立てられるはずもないわけですから、それはもうよくわかっているのです。  問題は、今すぐにはというふうに言われたんですが、そうは言ったって、それは確かにきょうとかあしたとかいうことはないかもしれませんが、しかし新しい年度の予算が動いている中で、一年間の中ではもう既にいろいろなものが出てくるはずなんですよ。というふうに考えていけば、すぐのことでしょう。それで私は、結構大きな経費が要るのじゃないですか、こういうふうに伺ったわけです。  それで、そういう援助をしていくということは特定のところに集中的に金が要るということになってきます。そうすると、これまでの援助をやってきた体制に影響は出てこないでしょうか。
  101. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) ただいま大蔵大臣からも御答弁がございましたように、今後これらの国に対する復興の援助、さらには周辺国その他の今次湾岸戦争によって影響を受け経済的な困難、損失をこうむった諸国に対する援助の問題というものはこれからどのような数字となってあらわれてくるか、それから国際協調体制のもとで日本のこの援助体制に関与する度合いというのは一体どのくらいのものになるのかといったようなことを注意深く見ながら検討していくということになろうかと存じます。  その中におきまして、ODA予算の中でそれらの国に対する援助というものを、できる限り当面する経済的な困難を除去するという観点から、質量ともに見ながら検討していくということではないだろうかと存じております。
  102. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 うまくいろいろと言っておられるつもりなのかもしれないけれども、この新聞報道、違うんだったら違うでちゃんと言っていただきたいんですが、二月二十六日の新聞報道に「あやうい「アジア独自外交」」という囲みみたいになったものがあるんです。これで、ついこの間私はその関係の国の方にお会いしただけに、愕然としてこの記事を読んだ。それはモンゴルですが、ついこの間、モンゴルの国会議員の皆さんが参議院も表敬訪問されて、私どももお会いをしていろいろと歓談をしたわけであります。そこで、モンゴルへ食糧援助、「数千万円規模の緊急食糧援助に悪戦苦闘している。」という記事なんです。それで、結果としては、いろいろと努力したけれどもなかなか費用が捻出できないで、農林族の議員の皆さんの協力をもらって、農水省協力をしてもらって、それでモンゴルに小麦粉だとか精米だとか、精製糖であるとか脱脂粉乳各五トンの寄附を集めて送ることになった。ところが、それをモンゴルに輸送する航空運賃約五百万円すら経済援助の予算から出せないということになって、結局、運賃百五十万円のコンテナ船と鉄道による輸送に落ち着いた、モンゴルまで四十日間かかる、こういう記事見て私は愕然としているわけです。  一方で集中的に経費が必要なことは、これはもうよくわかります。だけれども、そのために今度はこれとは直接関係のない、我が国としても人道的に対応しなきゃならない、そういうことが起こってきたときに、この新聞の記事のようなことだったらこれはもう何ともたまらぬ。これは事実だったんですか。
  103. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) モンゴルの件につきましては、私は詳細をちょっと今つまびらかにいたしておりませんが、私の理解するところ、モンゴルにつきましては実は無償資金協力の範囲内で小規模無償というシステムがございまして、その小規模無償という予算の費目の中から今回の輸送費を、先ほど先生おっしゃいました援助物資は民間の拠出だというふうに承知いたしておりますが、その輸送部分を小規模無償の予算で見るということで現在手続を進めているところと承知いたしております。詳細については、突然の御質問でございますのでつまびらかにいたしておりません。
  104. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、実はできたことについてこういう事実がよかったか悪かったかという議論を今しているわけではない。要は、集中的に金がこれから要りますといったときにほかの方の自由がきかなくなる、こういうことであっては困るんじゃないですか、その辺のところは十分に考えているんでしょうかということが一番大事なポイントなんです。その辺はどうですか。
  105. 川上隆朗

    政府委員(川上隆朗君) 先生御指摘のとおりでございまして、いろいろな今回の湾岸危機というものに伴いますこれからの経済協力というものをもちろん拠出的にも考えていかなきゃいかぬわけですが、それと同時に、それぞれの国に対する援助というものをできる限りただいま御指摘のような点も含めましてきめの細かいものにしていく、そういう努力がますます重要であるというふうに我々は認識いたしております。  予算的に申しますと、先ほどちょっと申しました小規模無償の予算、それからNGOに対する支援の予算といったようなものを最近拡充いたしておりまして、こういうような予算を通じまして、できる限り我々の各国に対する経済協力というものをきめ細かくしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  106. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いずれにしても、湾岸の復興だとかそういうために経費が必要だからということを理由にして、ほかのいろいろな援助の体制が手抜きにならないようにということをしっかりと私は踏まえていただきたい、こう思うんです。  ちょっと質問の角度が変わりますが、次に多国籍軍のイラクの核施設破壊の報道、これは米軍から発表をされているわけであります。またブッシュ大統領の演説の中でも核施設の攻撃を明確に言っておられます。イラクはIAEAの加盟国のはずであります。ということになりますと、IAEAのもとに核施設は査察に置かれるけれども、同時に保障される、こういうことになっているはずでありますが、この多国籍軍の核施設破壊というのが具体的な事実としてどの程度のことをつかんでおられるのか、まず第一に外務省に伺いたいと思います。
  107. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。  最初に、まず先生御指摘になりましたとおり、アメリカ側は、多国籍軍がイラクの核関連施設を攻撃の目標といたしまして、空爆によって核兵器生産能力をほぼ一〇〇%破壊したということを公にいたしております。ただ、具体的にどういう施設を破壊したのか、また具体的にいつそれが行われたかというふうな詳細な説明は一切行われておらないわけでございます。  もう一点、イラクは、これも先生御指摘のとおり、IAEAのメンバーでございまして、IAEAによる査察がイラクの核施設については行われております。
  108. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 さらに、イラクは核拡散防止条約の方も批准をしているというふうに私は承知しているわけでありますが、IAEAでは何回かこの核施設に対する軍事攻撃をしないようにということを総会決議として行っておりますね。これは一回ではありません。特にイスラエルがいきなりイラクのフランスから購入した原子炉を稼働直前に空爆をして壊したというときを契機にして、かなり強く打ち出されるようになりましたね。  それで、決議としては私の知っているだけでも三回程度はあるわけでありますが、国際機関としてのIAEAがこうした軍事攻撃の禁止を決議していて、国連総会でも各国ともそういう条約を結ぶべきだという提起などもしているわけですね。国連でもそういう問題を重視して取り上げて、国連総会でも決議になっている。こういう経過などがあるわけでありますが、にもかかわらず米軍があえてこれを攻撃し破壊したという、そのことについてはどういうふうに理解をしておられますか。
  109. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 国際原子力機関、IAEAの総会あるいは国連総会におきまして、IAEAの保障措置対象となっております平和目的の原子力施設への攻撃は安保理が国連憲章に従って直ちに行動すべき事態を惹起するであろう、こういう趣旨の決議がこれまで何回か採択されておりますことは先生御指摘のとおりでございます。  他方、今回のいわゆる米軍を中心といたします多国籍軍の武力行使につきましては、これは昨年のハ月に起こりましたイラククウェート侵略という国際法違反の事態を受けまして国連の安保理が累次の決議を採択をして、イラクに対してクウェートからの撤退、それからクウェート正統政府の復帰、すなわち本来独立国でありましたクウェートの状態をもとへ戻すようにという要請をしてきたわけでございますが、これをイラクが受け入れるところとならなかった。  その結果、決議六七八というものが安保理で採択をされました。この決議六七八は安保理決議の六六〇及び累次の関連諸決議、これが先ほど申し上げたイラククウェートからの撤退その他を規定した決議でございますが、これらの諸決議を堅持かつ実施し、湾岸地域における国際の平和及び安全を回復するために国連加盟国にあらゆる必要な手段をとる権限を与えたわけでございます。  そのような権限に基づきまして多国籍軍による武力の行使がこの安保理決議六七八の目的を実施するために行われたわけでございまして、そのような武力行使の一環として核関連施設、あるいは化学兵器・生物兵器関連施設等についても武力の行使が行われたというふうに理解をいたしております。
  110. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 だけれども、IAEAの総会決議、これで一番大事だと思いますのは、イスラエルが攻撃をした後で行われた決議になるわけですが、「すべての国が、国連憲章にもとづく義務を完全に尊重し、いかなる国の領土保全や政治的独立に対しても、とくにその核施設に対するいかなる軍事攻撃も含めて、力の脅迫や行使を差し控えることを求める。」、こんな内容の決議になっているわけですね。  それで、イラクに対するIAEAの査察が八月以降に行われていますね。その査察では、このイラクの原子炉が核兵器に転用をされる危険性を持ったものだという指摘でもしているんでしょうか。
  111. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) イラクの核関連施設につきましては、昨年の十一月にIAEAによる通常査察が行われております。その昨年十一月の査察の段階では、これらの施設の中の核物質は軍事転用されていないという結論が出ております。
  112. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そして、アメリカ側でもこれに対しては、例えば今イラクが核兵器を使おうと思ったって、アメリカ側の表現で言えば、爆撃機に積めないような重たい大きいものだったらつくれるかもしれないというようなことも言っていたなどという、爆撃機に積めないような爆弾なんというのはそれこそ意味がないことなんですけれども、なぜIAEAが核施設を攻撃してはならぬということを国際的にきちっとしようと呼びかけているか、ここのところが一番大事なわけでしょう。  核兵器に転用しているという事実がない、あるいは核兵器に今すぐに転用されるというような可能性を持たない、しかも大きい方で五千キロワットぐらいの実験炉的な程度、そしてそれは稼働中なんです。稼働中の原子炉を破壊するということは、これはやっぱり重大問題じゃないですか。  正義ということがよく言われますけれども、その正義ということの中で、この核施設を攻撃したということを私は正義とは言えないと思うんですけど、その点はいかがですか。
  113. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 正義というお話がございましたけれども、これは非常に難しい概念であろうかと思います。  私どもが先ほど御説明申し上げましたように、イラククウェート侵攻といういわば国際秩序の根本にかかわります問題に関しまして、安保理決議六七八によって与えられました権限に基づきました行動であるというふうにこれを理解をいたしております。それで、この国連総会の決議、あるいはIAEAの総会決議というものは勧告的な性格を持っておるものでございまして、現在国際法上、一般的に原子力施設への攻撃が禁止されたという状態までには至っておらないわけでございます。
  114. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 問題は、これを禁止しようという提起がされているときに、例えばイスラエルが攻撃した後の一九八一年十一月決議のときに反対をしたのはイスラエル一票であります。そしてアメリカが棄権をして、あとはみんな賛成したんでしょう。我が国だってこれに賛成しているわけでしょう。核施設の攻撃というものを非常に大きな犯罪行為と認めたからこういうふうになっていると私は思うんです。  きょう本当は時間があれば技術的にも科学的にも少し科学技術庁の皆さんの方から説明を受けたいというふうに思いましたけれども、せっかく来ていただいたのに、時間がもうなくなってきましたので、そこのところに触れられません。おわびをいたします。  問題は、核施設を攻撃すれば必ず放射能が外へ漏れる、こういうことになるわけでありまして、放射能が漏れたときには場合によってはそこの国民だけでは済まない、そういう問題も含んでいるわけです。チェルノブイリのような大事故であれば、それこそ全世界を巻き込んでしまうということになるわけであります。それだけに、核施設に対する攻撃というものについての強い禁止への動きというものは私は当然だと思うんです。これに対してアメリカが棄権をしているというところにも、アメリカ自身の問題点があると私は思います。  国連の決議が何物にも増して最優先するというのであれば、その国連に提起をされているこうした核施設攻撃を禁止するというそのことをきちんと守ることも非常に大事なことではないか、そんなふうに思うので、その点をひとつ指摘をしておきたいと思うんです。  そして、どの程度のことが起こっているのかというのは、いろいろとイラクの方も混乱しているかもしれませんから今後あるいは出てくるかもしれません。そうすると、戦後処理にそれなりに我が国もまた対応しなければならない、援助もしなければならないというようなことが起こってくるかもしれない、こういうことになろうかと思います。  時間もなくなってきましたから、次に環境庁にちょっと伺います。  原油の流出とか油井の破壊にかかわる対策ということで調査団を派遣されるということが新聞報道をされておりますが、これから我が国はどうしようという目的を持っているんでしょうか、そしてまた、この調査団によってどういう対応ができるというふうにお考えになっているんでしょうか。
  115. 加藤三郎

    政府委員(加藤三郎君) ただいま先生お尋ねの調査団でございますが、湾岸地域での環境の調査団を、これは環境庁というよりは政府全体として派遣するという方針検討されておるわけでございます。  この地域は、先生御指摘のように、油による大量の海洋汚染問題がございます。さらに、その海洋汚染に伴いまして野生生物、非常に貴重な生物もおるわけでございますが、野生生物もいろんな危機に瀕しておる。加えまして、水産資源も非常に大きな被害が出ております。また最近になりまして、あの地域での油井が大変大量に炎上している。これに伴いまして酸性雨でありますとかあるいは地域的には黒煙が非常に発生いたしまして、それによります地域の気候といいますか、そういったものも非常に問題が生じておる、こういうことでございます。  こういう状況につきまして、私ども環境庁のみならず外務省その他関係する省庁ともども非常に重大な関心を持ってこの問題を見てまいったわけでございますが、状況も許すようなことになりましたので、現地に出かけまして、まず現地政府なりそういったところがどういう要請を持っているのか、また国際機関とどういうふうな連携ができるのか、また私ども日本政府として何ができるのか、そういったことを調査してこよう、こういうことでございます。
  116. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 これも具体的なことは調査に行かれてということになるんでしょうが、この対策というのは経費的には物すごく大きいものがかかるんじゃないでしょうか。ある学者によると何兆台のドルがというようなこともありますけれども
  117. 加藤三郎

    政府委員(加藤三郎君) 先ほどもちょっと触れさしていただきましたが、この地域の環境破壊というのはだんだん明らかになるにつれまして相当深刻、膨大であるという認識は深めております。ただ、いかんせん正確なデータが十分つかめておりません。例えば油の流出量につきましても、いろんな報道がございますが、必ずしも正確な量を把握しておりません。それから油井の炎上、これも非常に日々報道されておりまして、そのたびに数字もいろいろと変わっております。  そんなような状況下でございますので、被害たるや相当膨大という予測はつきますものの、具体的にどのくらいの数字になるのかまだ把握しかねております。
  118. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 さてそこで、外務省にもっと伺いたいこともいろいろあったんですが、時間の関係がありますので、これも申しわけないが、通告をしておいたけれども省略をさせていただきます。  問題は、今私が伺いましたことそれぞれに対応を考えていくならそれなりにもうかなりの膨大な費用がこれから、先ほどから何回も言っていますが、考えられます。この膨大な費用というものは、我が国が負担をする分だけでもかなり膨大なものが考えられるわけですが、これはどうやって調達をするんでしょうか。  これは大蔵大臣に伺いたいのでありますが、九十億ドルの中からこういうものの一部に回されるんですか。あるいは九十億ドルというのはこれは全然別の枠のものであって、こうした経費というのは全く九十億ドルとは別に新たに考えなきゃならないものなのでしょうか。
  119. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) これはもう委員がよく御承知のように、今回国会で御了承が得られましたならば、その九十億ドルというものは湾岸平和基金に日本は拠出をいたすわけであります。その中における具体的な話し合いというものがどうなりますか、これはむしろ外務省の方にお尋ねをいただいた方がよいかと思いますけれども、私はこの湾岸の平和と安定の回復に使用される経費というものがどのぐらいになるのか、率直に申し上げて今見当がつきません。  と申しますよりも、この九十億ドルの中から今委員が御指摘になりましたような幾つかのケースに振り向けるだけの財源になるのかどうか、そこ自体が私にははっきりいたしませんが、いずれにいたしましても、それぞれの問題が極めて大きな問題ばかりでありますから、また別途国際的な枠組みの中で議論をしていく必要がこれらの問題については生ずるのではないか、そのように私は感じております。
  120. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そういたしますと、今度の経費にしても、九十億ドルを捻出をするために大蔵当局は最初は全部税収で賄おう、臨時の税収で賄おうというふうにされましたけれども、国会で言われると、仕方ない、まあ幾らか予算の方を削って、そんな形になったんじゃないか、だれが見てもそんな感じになるんですよ。  そこで、さっきも臨時特別公債というつなぎ公債だ、何も赤字じゃありませんというふうにいろいろと言われて、今度対応されようとしているのでありますが、どうも私の極めて素人の俗な感覚でいきますと、うんと短い間で借り入れようが長い間で返すということで借り入れようが、自分の持っているあれをオーバーした借金をすれば、どこの家庭でもそれは赤字として理解をされるわけであります。今度のこの臨時特別公債というのは、いろいろと言われるけれども、結局、短期であるけれども赤字公債だというふうに私は理解をしているんですけれども、どうですか。
  121. 橋本龍太郎

    ○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回発行を予定しております臨時特別公債と申しますものが、建設公債に限り発行を認めております財政法第四条の特例としてお認めをいただこうとしているわけでありますが、法形式の上から特例公債として整理されることはそのとおりであります。  ただ、今回の臨時特別公債は、歳出予算などの節減による財源及び臨時特別税の収入が入るまでのつなぎとして臨時的に発行されるものでありまして、これらの財源により償還されることが明らかであるという点で、特定の償還財源を定めておりません従来の特例公債とは異なっておるということもまた事実でございます。そうしたことから、いわゆる赤字公債ではないということを申し上げてまいっておるということであります。
  122. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私がこんなことを申し上げたのは、九十億ドルでさえこういう対応をしなきゃならなくなる、これからさらに新たないろいろな負担が出てくれば、費用を捻出していくためにまたこの辺のところがむしろ逆に恒常化していくという危険性だって起こり得るというふうにも思うわけでありまして、今後絶対にこういう特別つなぎ公債みたいなことをやらないということをお約束をしていただけるかどうかということであります。  それからもう一つ、基本的には、この九十億ドルの支出でさえこんな状態、ですからこの九十億ドルには私どもはとても賛成できない幾つもの問題があります。先ほどのように、具体的にどうしてその九十億ドルでなきゃならぬのかということもちっとも明確にならないわけでありますから、賛成するわけにはいかぬわけでありますけれども、さらにこの上に今後ともこんなことがずっとかぶさってくるということになりますと、ますます賛成することができない。こういうことを申し上げまして、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  123. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十九分散会