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1991-05-07 第120回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年五月七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員長の異動 五月六日委員長名尾良孝君は逝去された。     ─────────────   出席者は左のとおり。     理 事                 斎藤 文夫君                 前田 勲男君                 梶原 敬義君                 井上  計君     委 員                 岩本 政光君                 大木  浩君                 合馬  敬君                 藤井 孝男君                 向山 一人君                 山口 光一君                 穐山  篤君                 谷畑  孝君                 浜本 万三君                 吉田 達男君                 広中和歌子君                 市川 正一君                 池田  治君                 今泉 隆雄君    国務大臣        通商産業大臣   中尾 栄一君    政府委員        通商産業大臣官        房総務審議官   高島  章君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        坂本 吉弘君        通商産業省産業        政策局長     棚橋 祐治君        中小企業庁長官  高橋 達直君        中小企業庁小規        模企業部長    江崎  格君        建設大臣官房審        議官       内藤  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 博行君    説明員        厚生省社会局生        活課長      浅野 史郎君        自治大臣官房審        議官       松本 英昭君    参考人        早稲田大学商学        部教授      宇野 政雄君        日本大学商学部        教授       永山 利和君        日本チェーンス        トア協会会長   高丘 季昭君        全国商店街振興        組合連合会理事        長        山本 勝一君        日本商業労働組        合連合会会長   柴田  守君        社団法人日本消        費生活アドバイ        ザー・コンサル        タント協会副会        長        三村 光代君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○特定商業集積整備促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○中小小売商業振興法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────    〔理事前田勲男委員長席に着く〕
  2. 前田勲男

    理事前田勲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  理事の協議により、私が本日の委員会の議事を主宰いたします。  皆様既に御承知のとおり、本委員会委員長名尾良孝君は、昨六日、急逝をされました。まことに哀悼痛惜にたえません。  ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈りしたいと存じます。  御起立を願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 前田勲男

    理事前田勲男君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  4. 前田勲男

    理事前田勲男君) それでは、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案特定商業集積整備促進に関する特別措置法案民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案中小小売商業振興法の一部を改正する法律案、以上五案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 谷畑孝

    谷畑孝君 名尾委員長の御逝去に心より哀悼の意を表したいと思います。  それでは、ただいまより法案についての質問をしていきたい、このように思います。  私は地元大阪でございまして、大阪商売の町ということで、とりわけ一月十日のえべっさんが参りますと、商売繁盛の祈願ということで本当にたくさんの皆さんがお参りをする、そのような状況でございます。しかし、この大阪も最近では地盤沈下ということで、商店街におきましても歯抜けが目立ってくるようなそのような状況でございます。同時にまた、郊外におきましては大型店の進出が非常に多くなってまいりましたし、そのような厳しい状況がある。そういう認識の中で発言をしていきたいと思っています。  私は、この発言に当たりまして二月から準備を始めまして、大阪大店法にかかわっておられる学者の皆さん大阪商店街あるいは市場のリーダーの皆さんと何回か懇談を持たせていただきましたり、あるいは質問に向けてのお知恵を拝借しましたり、そういうことをやってきたわけであります。そこで、その懇談会の中での幾つかの発言を御紹介しながら、質問に入ってみたいと思います。  あるAさんという方は、今回の法案にはあめとむちがある、あめ法むち法があるのだと。とりわけ、このむちというものは、非常に太くて、回転がよくて、しかも我々商店街を含めて小売商においてもびしびし当たる。そしてあめの方は、銀行にある金庫のように、大きくあくのだけれども、さあとりにいこうとすればなかなか手が届かないという、そしてとりにいこうとすればブザーが鳴ってなかなか食べにくい。Aさんという方からそういう発言がございました。  また、あるBさんは、大型店は本当にエゴである、もうからないということがわかると直ちに引き揚げてしまう、ところが、我々そこで商売を営んでおる商売屋さんにとってみたら、そこでやはりずっと暮らさなきゃならない、その人たちが町を守っておるのだと、そういうような発言もございました。  私は、そういう発言を聞いておりながら、まさしくこの発言が結構大阪商人らしい本質を突いておると思いますし、割とワサビのきいたことだろう、こんなことを実は思っています。  そこで、私が今回質問するに当たっての視点でございますけれども、私はこのように思うんです。いずれにしても、すべて商店街を守れとか、あるいは中小小売業を守れという、そういう単純なことは私自身も言いたくないわけであります。問題は、やっぱりしっかりと努力をして、商売が終わってからも市場商人皆さんが何回も何回も集まったり、どうして売り上げをよくするかのために努力しておられる、あるいはまた、商店街のアーケードとかカラフルな舗装を含めて、そういうことで何回も何回も会合を持ちながら一生懸命に努力しておられる、そういうところについてはもっと光を当てていく、そういう視点がやっぱり大事じゃないか。そういう視点の中で発言をしていきたい、このように思っているわけであります。  そこで、質問に入っていきたいと思うわけですが、まず産業構造審議会中小企業政策審議会との合同会議の答申の中で、この大店法改正における基本的視点ということで、「消費者利益への十分な配慮」ということがうたわれておるわけであります。それがまた大店法改正の理由の一つにもなっていると思うわけでありますが、その消費者利益への十分な配慮というところにおける消費者利益というものについて、率直な意見交換をしたいと私は思っています。  特に最近、消費者利益という場合は、ブランド志向であってみたり、高級品志向、あるいは車を使ったワンストップショッピングといいましょうか、確かに家族大型店へ車に乗って行く、すべての商品がそろっておる、ただ単に物を買うというだけじゃなくて、一つ家族のレジャーといいましょうか、そんなものもあわせたような便利さといいましょうか、それも一つ消費者利益、確かに便利でありますし、消費者利益だと思うんですね。  ところが、昭和六十三年の中小企業庁の「消費行動実態調査」というものが出ておるわけであります。それをずっと見ておりますと、いわゆる「商店街と大規模小売店長所」というところにおいてグラフが出ておるのです。それを見ておりましたら、こういうことを実は言っています。  商店街の魅力について、消費者は、「自宅から徒歩で行ける」、これは商店街などが一番高い比率で七六・三%、大型店が一五・九%ということで、もう群を抜いて商店街の方がいいと、そういうようなことを言っているわけです。または、「親しみを感じやすい」、「小口の買物ができる」、「接客態度が良い」と、そういう点で商店街を高く評価しているわけであります。しかし、その反対には、大規模小売店長所ということで、「品ぞろえが豊富である」とかそういう点につきましたら、今度は逆になって、七七・四%ということで大規模小売店長所ということに実はなってまいります。商店街になりますと五・九%ということで落ちてきます。  しかし、私が申し上げたいのは、そういう消費者利益といいましょうか、便利だという利益もあるけれども、今申しましたように、親しみを感じやすいとか自宅から歩いて行けるという、そういう消費者の利点というものもあるという点の認識、これはもう当然のことだと思いますけれども認識をしていただきたいと思います。  そこで、これから高齢化社会というものになってまいりますし、なかなかこれからの社会の行き方も、もう車で狭い日本を走りまくっていいのかということも出てきますし、やはりできる限り歩けるところは歩いて、健康のためにも歩いてという、そういう買い物の便利さというものもまた見直されてくると私は思っておるわけであります。  そういう意味で、ぜひひとつ大臣冒頭お伺いしたいのですが、消費者利益というもの、今申しましたように高齢者にやさしい、町に立脚した身近なそういう商店街等を含めて、消費者利益について支援をしていこうとされているのかどうかという、そういう点について大臣質問してみたいと思います。
  6. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 谷畑委員にお答えいたします。  今回の大店法改正というものは、消費者利益の十分な配慮改正視点一つとして行うものであることは、ただいま委員が御指摘なさったとおりでございます。  この消費者利益につきましては、まず第一に大店法規制緩和というものによりまして、小売業における競争条件整備をされ、さまざまな業態展開と申しますか、あるいは地域的展開が図られることを通じまして、消費者の選択の幅の拡大に寄与するという側面が挙げられると思うのでございます。第二点といたしましては、出店調整の過程におきまして、消費者意見あるいは利益をさらになお一層反映し得る手続を確保するという側面が挙げられると思うのでございます。  このため、今回の法改正におきましては、大店審が必ず地元消費者等意見を聴取することといたしまして、それを調査審議に的確に反映させることとしておるわけでございます。したがいまして、このような大店法に基づく適切な調整によりまして、高齢者を含む消費者意見あるいは利益をも十分に反映させながら、高齢者を初め消費者の多種多様なニーズにもこたえ得る小売業の十分な業態展開及びまた地域的展開というものが図られるように期待されるものでございます。  以上でございます。
  7. 谷畑孝

    谷畑孝君 私は、そういう意味では、商店街社会的役割をもっと評価していただきたい、そういうふうに思っています。そして、大型店の無秩序な出店商店街をつぶすことがあってはならない、そういうことを冒頭に私の意見を述べさせていただきたいと思います。  次に、四月十六日の日経新聞によりますと、九〇年六月から九一年一月までに出店表明があった百四十六市のうち七十五の市で三〇%以上、うち四十一市で一〇〇%以上売り場面積が拡大するという、都市によっては大型店出店が集中するという傾向が顕著にあらわれておるということが報ぜられておるわけです。  競争も度を超すと、中小小売業者だけではなくて大型店の共倒れも招き、大きな混乱を生んでいくというように思います。過去にもその実例があるわけであります。これまで通産省は大型店一平方メートル当たりの支持人口一定基準によってこれに歯どめをかけてきたと思うんですが、今回特定市町村を廃止するということでありますけれども、今後店舗の過剰、集中出店という事態にどういうような基準でそれに対応していくのか、その点をお伺いしたいと思います。  最近は特に、大店法自身まだ改正にもなっていないにもかかわらず、大型店がもう本当に大きく肩で風を切って町を歩いているという現状を聞くにつけて、私はぜひひとつ、どんどんそういうケースが出てきているということについてどのような基準を設けてされるのかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  8. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) ただいま谷畑委員指摘の点は、私どもも同様、もし集中的あるいは特定地域への過剰な出店集中があるとすれば懸念を有しているところでございます。ただし、この一年の出店表明及び出店調整処理手続様子を見ておりまして、幾つかのケースで私どもも内心懸念を有していたケースもあるわけでございます。  例えば、かねてより集中出店指摘されておりました新潟市のケースでございますけれども、増設も含めて十一店舗というのが出店表明されたわけでございます。これに関しまして地元商工会議所及び商調協におかれては将来の都市発展あるいは交通網整備、そういった将来時点への要素というものも勘案されて、また当然のことながら地元中小商店街への影響ということも配慮されて、先般大変円滑に調整を終了していただきましたケースがございます。またほかにも、事前には集中出店でどんなふうになるのかという点で地元にやや不安を持たせたケースもございましたが、今日までのところ、大体将来の商圏人口ということも含めて考慮されて円滑に処理されてきているというところがございます。  ただいま委員指摘の点につきましては、単に大型店同士競争のみならず、それが地元中小小売業者に被害と申しますか、甚大な影響を与えるということもございます。したがいまして、我々としてはかねてより大型店に対しまして、その出店につきましては一定予測可能性を持ち、また地元様子というものをよく確かめた上で、かつまた過当な競争的な出店がないようにということを呼びかけてまいったところでございますけれども、今後ともそういう態度で臨んでもらいたいということを例えばチェーンストア協会などに申し入れ、またチェーンストア協会においても、我々の趣旨というものを体して今後節度ある行動に出るということを表明いたしているところでございます。  その点に関しまして、先ほど特定市町村の問題について御指摘がございましたところでありますが、本件につきましては、改めて申し上げるまでもございませんが、やはり国際的に見ても対内的に見ても、やや不透明な行政指導というようなことで対処しているのではなかなか関係者に明快な手続を示すわけにいかないということで、今回できるだけ法律手続に忠実な処理をしていこう、こう考えてこれの廃止に踏み切ったわけでございます。  それにかわるものとして、かねて各方面よりいわば調整基準といったような客観性のある指標について、これを提示すべきであるという御指摘をいただいておりまして、私ども昭和五十九年から一種の審査要領の中で、そういった考慮すべき定量的な指標というものもピックアップいたしておるわけでございます。今回新たに大店審商業調整の中心になるという事態を迎えるに当たりまして、またその後のいろいろな商業をめぐる環境の変化というものを織り込みましてこの調整要領というものを見直したいということで、現在大規模小売店舗審議会に諮問をいたしておるところでございます。  ただ、申すまでもないこととは存じますけれども、やはり一定の数量的な指標というものは計算上は出てくるわけでございますけれども、例えば将来のその地域における交通網整備でございますとか、都市発展形態でございますとか、さらに最近カーショッピングというようなことで大変商圏が広がっているというようなこともございまして、やはり最終的には数量的指標のみでは判断し切れないという要素もございます。  いずれにせよ、できるだけ客観性を持った調整を行いたい、また過当な大型店同士競争によってそのあおりが周辺の中小小売店に及ぶことのないよう、やはり町づくりというようなことも十分考慮してもらって、町全体のあり方というものを頭に入れて行動してほしいということを私ども今後ともチェーンストア協会などを通じまして大型店要請いたしたい、かように考えているところでございます。
  9. 谷畑孝

    谷畑孝君 今答弁を聞いたわけですけれども、そういうぐらいではなかなか歯どめはかからぬと思います。やはり大店法改正という形の中で一年間で審議を皆終えていこうということでありますから、日経新聞における数字を今示しましたように、申請の件数がどんどん多くなってきている、こういうことがありますから、単なる大店審というだけではなかなか歯どめがかからない、そういうふうにも思うわけです。  そこで、私は、この間商店街役員さんとのヒアリングを含めてずっと歩いて回ってきたわけでありますけれども、その中で幾つかの発言というものをテープ起こしをしながらここで御紹介をして、そういう点について触れてみたいと思うんです。二つのことについて、少し引用が長くなってしまいますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。  現在、量販店自身大店法改正が決まったような気でいる。今も時間の延長、面積の拡張、新規開店と、今までみたいな丁重な言い方やなしに、極端に言えば、もう何でもできますやん、という態度がみえみえです。大店法改正されたら、よけいそんな態度がひどくなるんじゃないかな。まして一年などで調整できるはずがないし、申請出してゴチャゴチャしている間に「経ってしまうわ」という考え方なんちがうかな。今でもそういう考え方多いよ。時期がすぎたら簡単に。これまでやったら、話し合いがつかなかったら、これはいいことじゃないよ、だけど六カ月や一年でそんなに簡単に話ができるわけがないわな。一回だけじゃなく、二回、三回と皆さん意見も聞かなくてはならぬでしょうね。 こういうふうに商店街の現役の役員さん、これは非常に相当なリーダーシップを持っておられる役員さんですけれども、こういう発言なわけです。この人だけじゃなくて、もうどの商店街の人に会っても、市場役員さんに会ってもそういう発言なんです。非常に不安を感じておるということなんです。  それで、次の質問にも絡んでくるのですが、またこういうことも言っているのです。  だから、商問協なんか私らに言わせたら何にもならへんわな。商問協意見を一体誰が聞くの?大店審全国に十六カ所しかないのに。誰が取り次ぐ?会議所がやったって、大店審にもっていって一年や半年で解決するはずがないやんか。意見が通じるはずがない。私らにしてみたって、大阪府下でも池田のこと言われてもわからへんし、岸和田のこともわからへん。 だから、そういうわからぬ人ばかりが集まって一体何をするんやと。しかも、全国で十六カ所しかないじゃないか、こういうような一つの不満なんです。そういう二つのことについて御紹介をしておきたいと思います。  そこで、私はこういうふうに思うんです。大店法法律そのものは、いわゆる地元商店街中小小売業者皆さん共存共栄していくために時間をかけて調整して、その中で大型店もちょっと遠慮するところは遠慮したり、あるいは商店街皆さんも時には共存共栄の中で上手にやるところもあったし、また大きくけんかをしたままで別れたところもあるだろう、そういうことが大店法法律そのもの自身の性格であると思うんです。だからこそ、大店法法律そのもの自身が非常に歴史的に変遷をしてきた。いわゆるそういう利害が対立して難しいがゆえに、さまざまな形態の中でまた生きてきたと思うんです。そういう意味で、事前説明だとか商調協というものがそういう中で生まれてきたと思うんです。  だから、私はこういうふうに思うんです。今回の法改正の中で、事前説明とかあるいは商調協というものは、不透明であるとかあるいは不明確であるとか、そういうことの声も事実確かにあるわけなんです。しかし、その長い歴史の中で生きてきた法律長所長所で生かして、欠点欠点でやはりそれを是正していくという、そういう中で積み上げていく法律でなけりゃならぬと思うんです。それをもう一切積み重ねをやめて、大店法改正だというところに私は大きな問題があると思うんです。そういう意味で次の質問をしたいわけです。  いわゆるそのような改善をせずに廃止するというのは、私自身が今申しましたように、非常に安易な道だと思うわけでありますが、それで地元意見を反映する上で重大な支障が出る、さらに混乱を招いてくると思うんですけれども、その点についてどのようにお考えなのか、ひとつ意見をお伺いしたいと思います。
  10. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) ただいま委員指摘のように、大店法歴史の中で、現実に生起してまいりますいろいろな時代時代要請に即応すべく私どもも対応してまいったわけでございます。ただ、やはり一部にはそういったシステム趣旨を逸脱して行き過ぎたケースもございました。また、国際的に見まして、私ども市場ができるだけ参入しやすいように、できるだけ意思決定システムがだれにもわかりやすいようにという要請もまた新しく起こってまいったわけでございます。  そういう意味で、ただいま御指摘のように、従来のものをすべてやめてしまって何でも改正をするという態度では必ずしもないと思っておるのでございます。例えば、御指摘事前説明につきましても、私ども新しいシステムの中で四カ月の対地元への説明という期間をとりたいということにいたしております。また、商調協につきましても、地元意見を吸い上げるという今日まで果たしてこられた機能というものに着目いたしまして、商調協あるいはその他の名前ではございませんけれども、今後とも商工会議所及び商工会による地元の実情の把握と、そして大店審への報告という点は重視してまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、少なくとも、調整と申しますか一種の裁定でございますけれども、それは利害関係者ではなく、中立公正な機関において行うべきであると、そういう意味で、地元実態を十分把握してそれを調整に反映させるという特徴と、そして裁定は中立公正な機関で行うべきであるということ、その二つ要請を組み合わせたいということで現在のシステムを御提案申し上げておるわけでございます。  私どもといたしましては、今日までいわば行政指導あるいは通達、そういったことで果たしてまいりましたシステムの積極的な側面というのは、今後とも新しいシステムにおいて生かしていけるのではないか、こんなふうに考えているところでございます。
  11. 谷畑孝

    谷畑孝君 今、商店街役員さんの生の声を私が代理で届けさせてもらったわけですけれども、やっぱりさまざまな商店街にしたって中小小売業者にしてもあるいは大型店にしても、しょせんそれぞれそこで立地をして暮らしている人たち影響を与えるわけでありますから、そういう関係者の声が反映されないようなものに対しては、幾ら学者だといったってあるいは中立だと言うてみたって、やっぱり自分の生活が首をくくられていくわけですから僕は抗議があるのは当然だと思うんです。だから、今少し長い引用をさせてもらいましたように、それは大阪府であって、どこそこの市のことは、だれだれの市のことは、だれもわからないじゃないかというこの不信の声は払拭できないと思うんです。幾らそういう改正だけしても、私はできぬと思うんです。  そこで、いずれにしても大店審審議を一元化していこうという、改正でそういうことをうたっているわけでありますが、そこで再度、特に地元意見はどのように反映されていくのかという形の中で、意見聴取の場合、消費者、学識経験者、小売業者というのは、一体それはだれを指しておるのか。あるいはまた、商工会議所意見集約を行うといいますけれども地元関係者とはだれを指して、どのような方法でやっていくのか。十六の大店審に一元化ということでありますけれども、先ほど言いましたように、昔のような商調協なりそれでいいとは私も言いませんけれども、長い間地元で生きてきたそういう反映の仕方というものは、本当にそれが出てくるのかどうかということを、もう一度しつこいようですけれども、答えていただきたいと思います。
  12. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) 初めに、大店審の組織のあり方につきましては、これを抜本的に拡充してもらいたいというふうに考えております。委員指摘のように、十六の現在ある地方部会で全国のすべての案件を処理するというのは実際上不可能なことでございますので、ただいま大規模小売店舗審議会にその組織のあり方を諮問いたしているところでございますが、おおむねその骨格といたしましては、大店審の何と申しますか、地方部会ないしそれをさらに細かく審査会といったものを全国的に拡充をいたしたい。  例えば、原則的には一県に一つは少なくともそういう審査のできる審議会機能を持ってもらいたいというふうに思っておりますが、出店件数の多い地域では一県に一つでは足りませんで、二つないし三つ必要とするような県もあろうかと思います。一方、大変少ない県もございますので、その場合には広域的に処理をして差し支えないのではないか、こういったことがおおむね今大規模小売店舗審議会で議論がなされているところでございまして、私ども、そういった方向に沿いまして大規模小売店舗審議会の体制というものを抜本的に拡充いたしたいと思っております。  いずれにせよ、俗な表現で恐縮でございますが、例えば顔の見える審議会であってほしい、あるいは地元の実情がよくわかる審議会であってほしいということは、昨年このシステムをいろいろ議論するに当たりまして、全国中小小売業者皆さんあるいは都道府県や市町村の方から十分伺ったところでございまして、そういったことを踏まえて大店審のあり方をまず考えてまいりたいと思っております。  第二に、大規模小売店舗審議会地元意見を吸収するシステムといたしましては、今回改めて法の改正を御提案申し上げておりまして、審議会が地元消費者小売商業者または学識経験者から直接意見を聞く道を開きたいと思っておるところでございます。その選び方につきましては、通産省令で定めるところによりまして、これは例文でございますけれども、大規模小売店舗審議会が決めるということになるわけでございますが、その人選に当たりましては、地元の実情を十分反映できるように関係者意見も聞いていきたいと思っておるところでございます。  また、地元の実情の把握という点につきましては御指摘のとおりでございまして、この法律が存する限り周辺の小売業者の事業機会の適正な確保というものが法の大きな目的でございます。したがいまして、その法の趣旨に沿ってこの調整は行われるべきものでございますし、それを反映できるメカニズムといたしましては、地元商工会議所、商工会というのがございます。ここのところに地元意見というものをできるだけぶつけていただく、生の声を何らかの場に集約をしていただくということで、私どもこれを商工会議所から大店審に報告をしてもらおうと思っておるわけでございます。法律には、大規模小売店舗審議会は、その調整に当たって地元商工会議所または商工会の意見を聞くという規定がございます。これに基づきまして、私どもといたしましては、十分な実態把握が行われて、生の声が審議会に反映できるというふうに考えておるわけでございます。  御指摘のように、地元意見というものが無視されて単に机上の議論だけで調整が行われるといったような事態は、我々は避けなきゃいけないと思っておりますし、また避け得るものというふうに考えているところでございます。
  13. 谷畑孝

    谷畑孝君 今の回答を聞いておりましても、大店法の沿革というのか、その歴史を見てきても、商調協なりあるいは事前審査といいましょうか、そういうことの中で調和が図られてきたし、それなりで生きてきたし、そこで知恵も生まれてきた。だから、それのよいものを生かして悪いものはさらにそれを改善していくという形で積み重ねていかない限り、僕自身としては、やっぱり法律自身が生きていかない、こういうふうにより一層に、今のお話を聞いておっても、そういうことを実は感じるわけでございます。  そこで、この法案自身がまた二年後に見直すということ、僕はこれ自身がやっぱり問題だと思うんです。法案というのはいいものを積み上げてこれが一番いい法案なんだということの中でやらなきゃならぬのに、また二年後に見直すというところに、この法案自身が、出しておきながら不安を示しておる一つのあらわれじゃないかなというように思えて仕方ないのです。  そこで、私この間取材をしてきていろんなことで感じている一つの感じ方なんですけれども、結局、大店法そのもの自身ももっと自治体に権限を移譲して、そしてその自治体が公正な立場に立ちながら、というのは、自治体というのはそれぞれの人たちがいつも出かけますし、親しみを感じていますし、そういうことの中でやはり自分たちの味方という意識もありますし、そういう中で調整をしていくのが、私は一番生きた、本当の反映されたものだ、こう思うんです。そんなことを実は思うんですけれども、その点について、もう少し自治体のもとに審議会を新たに設置して、自治体に調整権限を移譲していくという、そういう考え方についてはどう考えておられますか、ひとつお聞きしたいと思います。
  14. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) 地元の実情につきまして自治体がよく把握しておられるという点につきましては、御指摘のとおりだと存じます。  ただ、大規模小売店舗出店調整システムと申しますものは、いわば一種の営業の自由に対する制約でございます。そういういわば権利の制限に対しては、これが全国的に見てバランスのとれた整合的なものでなければならないという要請もまた法の性格上当然あるわけでございます。したがいまして、非常に影響の大きな、またしたがって権利制限に対して制約があるものにつきまして、余りに各地各地でてんでんばらばらな規制や調整が行われるというようなことになりますと、それは法の趣旨に反するものではないかというふうにも考えておるわけでございます。  かような意味におきまして、次第に店舗が大型化していく現実に即応しながら、なおかつ全国的にバランスのとれた整合性のある法の運用というものが行われるという視点というものを維持するということで、今回いわゆる種別境界面積を引き上げるべく御提案申し上げておるわけでございますけれども、すべてを自治体に任せるというのは、先ほど申しました法の運用の趣旨から見て適切ではないのではないかというふうに考えてるところでございます。  なお、別途の法律におきまして、地方の自治体がその地域商業集積あるいは町づくりのあり方というものをいかように示していくか、単に、町づくりと申しましてもてんでんばらばらであってはいけないわけでございまして、やっぱり地域のコンセンサスを得た客観的な構想であってしかるべきである、そういったものに各地域地域が従っていくということが今後大切なことであると考えておりまして、特定商業集積整備に関する特別措置法案におきまして、市町村を中心にし、また都道府県に十分関係を持った基本構想というものをつくってもらいたいということで、地元のパースペクティブというものが反映される仕組みを考えているところでございます。
  15. 谷畑孝

    谷畑孝君 大店法の今回の改正法案につきまして、一番私どもが疑問視しておるのは、いわゆる地元意見を反映させていくという、自治体のもとに審議会をつくるなりしてもっと現実的なものの対応をしていくことが必要だという、この一点に私どもは集約できると思うんです。  それと二つ目は、私自身がずっと感じていることなんですけれども、先ほど言いましたように、商店街でもあるいは中小小売業者でも一生懸命に努力して、カラフルな舗装をしたりアーケードをつくったり、物を売って、そして仕事が終わってから、疲れておるにもかかわらず何回も何回も会議をされて、そしてそれぞれ不安を抱えながら前に向かっているということについて、やはり政治の光を当てたり、そこに対してもっと愛情を持っていくという、そこに僕は我々の役割があると思うんです。  その中で一つのポイントは、やっぱりそのときに行政を含めて、大型店についての助言なり勧告といいましょうか、そういう一生懸命にやられておるところに大型店が進出するぞと言ってきたら一定程度はそれを勧告していくという、ここに大店法一つの大きな本質が僕はあると思うんです。もうだんだんこの大店法については終わっていきたいと思いますので、その点についてもう一度ひとつお聞きしたいと思うんですが、私ども考え方に対して。
  16. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) 委員指摘の点は、全国的にも大変地元関係者を悩ませることにもなり、また今後ともそういった問題というものは恐らく出てくるであろうと我々も考えておるところでございます。  したがいまして、今回新たなスキームを考えてまいります場合にも、やはり地元意見というものが正しくかつ迅速に反映される、単に地元中小小売業者のエゴによる出店反対といったようなことではなくて、本当に消費者やその地域発展も含めたそういった地域全体の観点から判断されていくべきであるというふうに思っておるわけでございます。先ほども申し上げましたが、この法律趣旨は、まさに地元中小小売業者の事業機会が適切に確保されるかどうかという点に即して調整を行うわけでございます。  御指摘の点は、懸念はみんなが共有しているところでございますので、そういった御指摘あるいは環境、雰囲気、そういったものを重々踏まえて調整が行われるべく我々も努力をしてまいりたいし、また新たな大店審調整がそういった負託にこたえるものであると私ども考えておるところでございます。
  17. 谷畑孝

    谷畑孝君 時間の関係がありますから、商店街市場皆さんの声をもう一つだけ失礼ですけれども反映させてもらって、この大店法についての質問は終わっていきたいと思っています。  このように言っています。   大阪府とか市は我々の味方、条例とか作るのをなくせということはやめてもらいたい。   国として大店法の廃止、緩和をしなければならぬというなら、各都道府県の状況に応じた条例、要綱など枠決めできるようにしてほしいと思います。それが一番大きな問題ですね。今のままではあくまでも量販店の要求が通っているだけ。我々小売業者のことは何もない。   一番言いたいのは、大店審はどうでもいいんです。ようするに各都道府県で話し合いができるような条例を作ってほしい、各都道府県にある程度権限を移譲してもらってほしい。 こういう発言なんです。  これも、先ほど何回も言っていますように、もうほとんどの人がこういうことだと思います。やはり小売業あるいは商店街皆さんから見たら、やっぱり何らかの形で、土俵の中で話し合いができる、そういうルールをつくっていただきたいと。話し合いがあってこそ、大型店も、できたらそこの小売の場は地元商店街皆さんにも入っていただきましょうとか、そういうことによって上手に調和ができるわけでして、それがもう全く学識経験者という名の中で、大店審でともかく一年でやってしまうということですから、もうまさしくああああ言っている間に終わってしまって、自分たちがそこで、大型店の中にも自分たちの地元もそこへ入りたいと言ってみたって入れないということですね。そういうことになってしまう危惧といいましょうか、そういうことでこういう発言を私はなさっていると思うんです。  ぜひそのあたりは、二年後に改正というのですから、聞くところによると大店法をなくすんちゃうかということもありますけれども、そうじゃなくて、むしろこの声を反映する、二年後にいい、今まで積み上げてきたものをさらに発展させるいい方向の私は改正をすべきだ、こういうことを申し上げまして、もう大店法について時間の配分がありますから終わっていきたいと思いますので、ひとつお願いしたい、こういうふうに思っています。  次に、輸入品の特例法についてお伺いします。  これは非常に原則的なことでありますけれども、輸入品のまず定義についてひとつ。輸入品というのは最近複雑で、エビにしても食料品にしたってもうほとんど輸入品だと言っておりますし、日本の場合でも、本当に輸入品はもうたくさんあふれているわけなんです。一体その輸入品だけに売り場をつくっていくという、そのことについては大店法から除外していくということでありますから、まずその定義をどう考えておられるのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  18. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) 輸入品売場特例法案におきます輸入品でございますが、御承知のとおり「外国を原産地とする物品として政令で定めるもの」ということを定めております。政令では、関係法令を参考にいたしながら、私どもといたしましては、外国において生産された物品であって我が国において実質的な変更を加えるような加工がされていないものという趣旨意味を政令として書いてまいりたい。ただ、現実には通達その他で、輸入品とはいかなるものかという点についての解釈通達その他を出しながら対応していくというのは、関税関係法令あるいは景表法その他で見られるところでございます。定義については、とりあえず以上のように考えております。
  19. 谷畑孝

    谷畑孝君 この輸入品の売り場を大店法から除外するということになってきますと、いわゆる行政から見ても、これはやっぱり違法でないかどうかということを監視しなきゃならないんですよね、言ったら。輸入品売り場をつくったけれども、なかなかこれ売れへんし、つくったものはこれはどうしようもないんで、ちょっとその間荷物を置かしてもらいたいとか、ちょっと隣の売り場を広げるとか、そんなことは人情としてこれは当然出てくるわけであります。  だから、そういうふうな非生産的なことをするのじゃなくて、むしろ本当に輸入品を促進していこうとすれば、商店街の組合の皆さんだとかさまざまな人たちがもっと輸入ができやすいような、やっぱり輸入というのはなかなか個人では知識も情報も相当なければできぬわけですから、だからそういう意味では、そういう点をさらに支援していくということの方が私は効果があると思うんです。そういう商店街だとかあるいは中小企業団体だとか、さまざまなところにやはりもっと輸入ができるような情報とかあるいは輸入代行とか、そんなものをもっと行政的に支援して、そういう中でこそ私はできると思うんですが、その点についてはどうですか。売り場面積を除外するということよりも、むしろそれの方が僕は実利があると思うんですが、どうですか。
  20. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 中小小売商業者の輸入の拡大を支援するとかということにつきましては、我が国の輸入拡大への国際的な要請にこたえるというだけではなくて、中小小売商業者の商品調達力を強化するということを通じまして、高度化しております消費者要請にこたえていくということで、大変重要だというふうに私どもは考えております。  それで、先生御指摘の支援策でございますけれども、私どもといたしましては、中小小売商業者に向けまして特に次の三つの施策を中心に輸入の拡大を図っていこうということで、支援策を講じているわけでございます。  第一に、中小小売商業者の輸入調達力、輸入品の調達力を強化することを支援しようというものでございまして、これは、輸入品の卸売業者ですとかあるいは外国の企業等が入居いたしまして、そこで国内の小売商業者と輸入品の取引を行うセンターといいますか、そういう場を設定する。ここでは、単に卸売機能だけではなくて、商品の展示ですとかあるいは商品に関する加工とか情報提供をするといったような、総合的な機能を有する国際総合流通センターというふうに位置づけまして、これを整備促進していこうというものが第一でございます。  これは、平成二年度には既に全国地域におきましてフィージビリティー調査をやっているわけでございますけれども、さらに今年度平成三年度におきまして、平成二年度の九地域を含めまして全部で十一カ所につきまして、より詳細な実行計画の策定を支援していくことを考えております。  それから二番目に、商店街ですとかあるいはボランタリーチェーンが輸入品の取り扱いあるいはその販売を拡大しようというためのいわゆる輸入品のフェアという催しがございますが、これに対する助成を行っていこうということで、その助成の件数を平成三年度拡大しております。  それから、第三番目でございますけれども、これはジェトロの経済国際化センターというものがございますが、ここを活用いたしまして、海外での売れ筋調査ですとか、あるいは海外の輸出業者とか、あるいは外国の各国の輸出手続でございますとか、こういったものに対する情報提供を中小の流通業者にしようということで、これは中小企業輸入促進データベース情報提供事業、長い名前ですが、こうした事業を今年度に創設しておりまして、これを推進していくというふうに考えております。  これらの施策を通じまして、中小小売商業者の輸入の拡大を支援していこうというふうに考えております。
  21. 谷畑孝

    谷畑孝君 輸入品というのは、とりわけ消費者のニーズとかそういうものが非常に多様化してきておりますから、特に大型店などは、百貨店もそうなんですけれども、それぞれの外国に駐在員を置いて、それなりでずっと消費者ニーズをはかり、動向を探ったり、そうしながら、日本へ入れてもこういうものがはやるだろう、こういうことで相当な資本をかけてやっていくわけなんですけれども、今申しましたように、なかなか中小とか商店街だとか、そういうところにおいては、そういう資金力の問題もあって、なかなかいい情報も不足がちであります。  そういう点は、やはり支援をしてもっと生きたものに仕上げていく、そういうことによって私は輸入は可能であると。単に、大店法から除外してまで手を尽くしてあげる、そうする必要は私はないのじゃないか。もっと日常生活に密着していく中に、輸入品がいい物があるというような形で置いてこそ、将来も発展をしていく大きな一つのプロセスだと私は思っているわけであります。  そういう点の私の意見を申し上げて、わざわざそのものをつくることはないということを再度申し上げて、次の質問に入っていきいと思います。  次に、特定商業集積法のことについて質問させてもらいます。特定商業集積の定義についてお伺いをしていきたいと思います。  法案には、「相当数の小売業の業務を行う者の事業の用に供される施設と顧客その他の地域住民の利便の増進を図るための多様な施設とが一体的に設置される施設であって、相当規模のものであること」となっているわけでありますけれども、この場合の「相当数」ということと「相当規模」ということは一体どういうことを意味するのか、少し詳しく解説をしていただきたいと思います。  また、高度商業集積、商店街独自、それぞれについて基本指針を定めるということに今なっておるわけでありますけれども、それについても基本指針にどのようなことを定めていくのか、その点についてお伺いをします。
  22. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) まず、谷畑先生御質問の第一の、特定商業集積の定義の中での重要な要件であります相当数の小売業、この相当数がどれくらいかということでございますが、特定商業集積は、消費者の多様な高度化されたニーズにこたえるそういう町づくりを兼ねた、町づくりの中での商業地域をつくろうというわけでございますので、やはり豊富な品ぞろえ、多様な店舗形態を有する、そういう小売業の方々が集まっておられる一つの集団であるというのを想定しております。  それからもう一つの、そういう小売業の方々とそれから顧客の皆様方に利便を供給するいろいろのコミュニティー施設等のいわゆる商業施設を支援する商業基盤施設とが一体的になっておる施設でありますが、その施設が相当な規模でなければいけないというか、そういう要素が重要でございます。これにつきましては、やはりただいま申し上げました顧客のニーズ、豊富な品ぞろえ、多様な店舗形態に加えて、駐車場、コミュニティーホール、イベント広場などのいろんな関連施設が相当の規模で整備されておる、こういうことでございます。  具体的には、今の段階ではどのくらいの面積であるかということは、実はこれはこの法案が御承認いただいて成立後、できるだけ速やかに建設省、自治省、私どもと三省で案をつくりまして、何といいましても予算的な措置に係るものですから、財政当局大蔵省との調整が必要でございますので、今具体的につまびらかにいたしませんが、先生御質問の、具体的にとおっしゃる点にややお答えする形で申し上げますと、今先生御指摘のように、特定商業集積については二つのタイプがあります。  一つは、高度商業集積と申しております大型店と中小小売商業の共存共栄型につきましては、まず、物の売り買いの場所である商業施設そのものについても、やはり一定以上のかなりの規模の面積を有すること。それから、支援する商業基盤施設の全部またはその一部が民活法第二条第一項第十三号に掲げる特定施設であって、特定商業集積に占める商業基盤施設の割合が一定以上であること。つまり、駐車場とかアーケードとかカラー舗装、イベント広場あるいはまたコミュニティーホール、そのほか共同物流センター等、そういう施設が一定の比率以上のものである。これによって、地域住民の利便の増進が図られる規模のものであるということを想定いたしております。  それからもう一つ共存共栄型でありますから、商業施設につきましても、百貨店が入ったりあるいは大型スーパー等の量販店が入ったり、場合によると専門店等の多様な業態により構成される、そういう形を想定しております。しかし、特に重要な要素としましては、当然中小小売商業の振興に十分配慮されたものでなければいけない、これが共存共栄型の高度商業集積の内容でございます。  もう一つ商店街タイプのものにつきましては、これは大型店が入らない、しかし抜本的な再活性化を考えたパターンでございますが、やはり商業施設につきましては、一定以上の面積を有すること等相当規模のものであること。それから、商業基盤施設につきましても、駐車場その他について相当の規模でこれが整備をされて、顧客等の地域住民の利便の増進に寄与する規模のものであること。それから、小売商業に属する一定数以上の業種の店舗を含むということで、現在我々は、一般論でございますが、大体顧客のニーズに全体的にこたえるには、三十から三十五業種ぐらいあるようでございますが、これは食料品から文房具とか身の回り品とか衣料品とか薬屋さんとかいろいろありますが、そういう業種がありますので、もちろんこの全部を網羅していなければいけないわけではありませんけれども、それを前提にしまして相当数の業種、業態の方の集まりである、こういうことを想定しておるわけでございます。  それからもう一つの、基本指針においてどういうことを定めるのかということでございますが、法律の第四条第二項におきまして、通商産業大臣、建設大臣、自治大臣が基本的な指針として共通するものを定めるわけでございます。特定商業集積整備に関する基本的な事項、それから商業基盤施設とか商業施設に関するただいま申し上げましたような事項の中で基本的なもの、それから非常に重要なことは公共施設との一体的な整備、これについてどういう考え方でそれが定められるべきであるかというようなこと、例えば都市計画法の関係その他についていろいろこれを定めていく、そのほかに環境保全との関係など、商業集積の整備に関する重要事項もその全国共通の基本指針の内容になるものと考えておるわけでございます。
  23. 谷畑孝

    谷畑孝君 つかぬことを聞くわけですけれども、今回の大店法改正関連五法案という形の中で、あめとむちと世間では言われているわけですけれども、この商業集積というものについては、これはあめになるのでしょうか、むちになるのでしょうか、それだけちょっとお聞きしたいと思います。
  24. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 既に、いわゆる九〇年代流通ビジョンの中で、確かに消費者ニーズが非常に高度化し多様化しているとの指摘がなされております。大店法の規制があるにもかかわらず、いろいろな形で流通革命になっておりまして、小売商業の方々がある意味では大変苦戦をされておる、しかしこれは一つの大きな流れでございます。  それから、確かに構造協議におきまして、我が国の流通構造の不透明性あるいは非開放性、これについては相当アメリカの誤解もあるかと思いますけれども、我々としてもそういう指摘について、なるほどこういう点については、例えば大店法の運用を、先ほど来いろいろ委員指摘の問題がございますけれども、やはり結果的には規制を相当緩和する。それは、やはり消費者ニーズにこたえていく一つの大きな方向であると。内外の情勢で、好むと好まざるとにかかわらず、この小売商業をめぐる環境が大幅に変革をしておる中で、我々はたまたま大店法の規制を緩和する形の中で、しかし積極的に消費者ニーズにこたえて意欲のある商店街をつくって、これからも立派にやっていこうという方々を三大臣共同して助成していこうということでございます。  そういう意味で、我々は、意欲のある商店街をこれから、全国に一万六千ありますけれども、できるだけ活性化をしてかつ消費者ニーズにこたえたい、またいろいろの形で望ましい町づくりの中でそれを実現していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  25. 谷畑孝

    谷畑孝君 なぜそんなことを質問したかというと、私も、最初は単純に商業集積は、これをずっと読ませてもらって、あめかむちかどっちかと言われると、あめなんだな、こういうふうに理解しておったのです。しかし、読めば読むほど、ちょっと待てよ、なかなかこれもあめという割には食べにくいものであるなと。というのは、とりわけ高度な商業集積になってきますと、やっぱり相当な情報といいましょうかあるいはノーハウがなければ、なかなかこれはできないという点があるし、また高度集積を最大限生かしていこうと思ったら、よっぽどしっかりした商店街であったりまたそういうところでなかったらなかなかできないな、そんなことを実は感じながらこの法案を読ませてもらったわけであります。下手をすれば、大型店と変わらぬものがまたでき上がるということになると思うんです。  しかし、一つ救われておるなというのは、やはり国や自治体が参加をする、自治体が第三セクターをつくったりしてそういう形で大いに参加をしていくという、ここに僕は商業集積においては救われているという面がある。先ほどの大店法の中で私は自治体の話をずっとやってきましたように、非常に身近に感じますし、自治体を通じて、そういう商店街皆さんもそこへ一緒に苦労しながら議論しながらしてつくっていこうという、町づくりのそういうものがあると思うんです。  そこで、例えば高度集積で一棟つくる、人がようやく集まるようになってきた。人が集まってくると、またぜひひとつ私もということで、大型店が次々やってくる場合がある。そういうときに、いや、それはせっかく皆さんが努力をしてここまで来ているのですから、すっぱりこうなんですよという、こういう勧告と誘導というものが私は大事だということを、大店法のときにも申し上げましたように、そういう観点に立っておるということなので、そういう私の意見を述べさせてもらいます。  そこで次に、こういうことを思うんです。実は、私は二年ほど前に、いわゆる大阪で言うところの環状線、東京で言うたら山手線ですか、そういうところに、障害者が車いすで常に出歩いたりできるように、駅ごとにエレベーターをつけるべきだということで、そういうことを提唱させてもらいましてずっと取り組んできたわけなんです。そこで、健常者と障害者が一緒に、健常者の皆さんも車いすに乗って、そして環状線を一回一周しようということでやりました。私も初めて障害者の車いすに乗ったわけなんですけれども、自分が今まで歩いて見ておった町の景色が車いすに乗りますと一変するんですね。全く変わってしまうんです。僕らが何でもなかった階段だとかあるいは切符を買う場合でも、自分が障害者の車いすに乗って町をずっとウオッチングすると、今まで何でもなかったものが怖くなってきたり、そういうものを実は感じたのです。  今回の統一地方選挙のいろんなポスターなりスローガンを見ておりますと、一番よくはやったのが優しさ一番この町でという、あるいは環境保全もそうなんですけれども、優しい町というものが、もう与野党は別にして、そういうスローガンが物すごく多かったのです。それはどういうことかと言うたら、優しい町というのは、お年寄りや障害者も町づくりの中でやっぱり常にあるということが私は大事だと思うんです。  この間の連休で、こういう質問もあったものですから、なかなかあちこち行けなかったわけですけれども、過日、七十少し過ぎたおばあちゃんと一緒に大阪駅へ電車に乗っていきました。そうしたら、私が町ウオッチングしたときから見ると、やっぱり僕も発言して運動してきたから大きな成果が上がったのだなと思うんだけれども、もう本当にエレベーターがあったりスロープがあったりして相当駅自身が変わっておりました。そして、ずっと歩いてきて疲れた中で、そのエレベーターに乗ると物すごく心地よく、優しさを実は僕は感じたのです。  そこで、この商業集積、とりわけ高度商業集積でも私一つお願いしたいのは、これからやはり高齢化社会を迎えていくわけですから、高齢者や障害者が使いやすいレイアウト、スロープ、エレベーター、休憩する場所、そういうものを基本指針の中へぜひひとつ織り込んでいただきたい、私はこのように思うんですが、それについて、通産大臣、あるいは自治省、建設省、それぞれひとつ意見なりお答えをしていただきたいと思います。
  26. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 谷畑委員にお答えいたします。  御自分の体験で、しかもなおかつ思いやりある心でそのようなことを体験されての大変貴重な御意見でございまして、私も全く敬意を表する次第でございます。  特定商業集積は、商業の振興及び良好な都市環境の形成に資する望ましい商業集積でございまして、その整備に当たりましては、顧客その他の地域住民に対しまして、ゆとりと豊かさと申しましょうか、それを提供するばかりではなく、触れ合いや安らぎというものを感じさせる場としてコミュニティー機能を高めることが極めて重要であるという認識に立つものでございます。そういう意味におきまして、その一環として、御指摘のように、特定商業集積高齢者やあるいはまた障害者というものにとっても利用しやすいものになりますように、これは基本指針に盛り込むことを含めまして適切な対応を前向きに検討してまいりたい、このように考える次第でございます。  以上でございます。
  27. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) お答え申し上げます。  今委員指摘のように、商業集積につきまして、高齢化社会の進展等に対応して、高齢者や障害者の方々にとって使いやすい施設整備を行っていくことが重要であると考えている次第でございます。  そこで、自治省といたしましては、今年度から高齢者保健福祉推進特別事業という事業を起こしまして、そして高齢者、障害者等に優しい町づくり事業というものをその中の一環として位置づけまして、そして地方交付税と地方債による措置を行っていくことにいたしておる次第でございます。
  28. 内藤勲

    政府委員(内藤勲君) 建設省におきましても、高齢化社会の進展等を踏まえまして、町づくり商店街整備に当たりましては、高齢者や障害者が暮らしやすい町づくりを進める観点から公共施設等の整備を進めることが重要だと考えております。  建設省におきましては、従来より、例えば道路整備に当たりましては歩道の段差の切り下げや幅員のゆったりとした歩道の設置を行うとか、高齢者のスポーツ利用、健康増進のための触れ合い公園とか健康運動公園などの整備をしてまいりましたし、駐車場の整備に当たりましては車いす利用者のための専用の駐車スペースを確保する、そういったことを行ってまいりました。商店街整備に当たりましては、これらの施策を活用するとともに、今後とも高齢者、身障者等の意向を十分踏まえた町づくりにさらに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  29. 谷畑孝

    谷畑孝君 大阪の環状線の場合でも、例えばエレベーターがなかったりスロープがなかったり、一たんでき上がってしまった中で我々がエレベーターをつけると言うたって、もうでき上がってしまっておるということでなかなかできないのです。だから、そういう高齢者なり障害者なりの人々が歩いても行ける、あるいは安らぎが感じられる、ぜひそういうことを、まずつくる前にきちっとしておった方が合理的だしやりやすいと思うので、お願いしておきます。  また、大臣のいい回答をいただきまして非常に私も心強く感謝をしておきたいと思いますが、ぜひひとつそういう視点でお願いをしたいなと、こういうふうに思います。  次に、たくさんの質問をやりたいと思うんですけれども、どうも時間がありませんので適当に省いたりはしょったりしますから、ひとつそのあたり御勘弁をしていただきたいと、こう思います。  次に、商店街の集積整備を行う場合、ハード面の整備だけでは非常に不十分だと思うんです。人を集めるために何を売るのか、また何をやるかが非常に重要だと私は思います。また、それがしっかりしていなければ、せっかく集積を整備しても成功せず、借金だけを抱えてしまったりになりかねないと思うんですけれども、その点について、行政側としてどのように指導をきちっとしていかれるのか。やっぱりやった限りはお客さんが多く来て物がよう売れるということにならなきゃならぬと思います。そのあたりの指導というのが非常に大事な点だと思いますので、ひとつお願いしたいと思います。
  30. 高橋達直

    政府委員(高橋達直君) お話にございましたように、商店街を活性化し整備していく場合に、単にその基盤を整備するだけではなくて、いわゆるノーハウというようなソフト面での力をつけることが大事であるというふうに私どもも考えておるわけでございます。  そのためには、まず商店街整備する場合に、その商店街をどういうコンセプトで性格づけをしていくかということも大事でございますし、また将来どういうイベントをそこで行って客を集めていくかというような企画をすることも大事で、いわゆる商店街の運営に関する問題について事前に十分調べておく必要があるかと思います。また、お客がどのようなものを求めているか、そしてその求めておるものをどのように仕入れていくかというような購買動向の把握であるとかあるいは仕入れのノーハウ、こういう問題も大事でございまして、ただいま谷畑委員からお話のございましたハードだけでなくて、いわゆるソフト面での整備というのが大事になってくるわけでございます。  当省といたしましても、こうしたソフト面の充実に積極的に支援、指導していく考えでございまして、商店街が行います各種の調査研究、計画づくりあるいは実験的なイベントに要する経費につきまして、既に平成元年度の補正予算におきまして活性化基金をつくっていただいておるわけでございます。これを平成二年度の補正におきましてもさらに積み増しをしていただきまして、合計で千百二十億現在規模がございます。これを各都道府県の公社に配付いたしまして、その運用益でこれらのソフト事業に充当できるというような補助金制度を創設、拡充したところでございます。  それから、その際にやはりいろいろアドバイスをする方々も必要であるということで、今年度から商業アドバイザー制度というものをつくりまして、商店街の活性化に必要な高度で専門的な知識、経験を持っている方々を全国から二百四十人程度中小企業事業団に登録をしていただきまして、商店街の依頼に応じましてこれを派遣し、ソフト面での助言、指導など力をかりようと、こういう制度を発足させたところでございます。  また、こうした面の指導につきましては、商工会議所、商工会、こういったところの機能に期待するところも大きいわけでございますので、私どもといたしましても、これらの組織とも十分連携をいたしまして、お話のような商店街のソフト面での対応について指導に誤りなきを期していきたいと考えております。
  31. 谷畑孝

    谷畑孝君 ぜひひとつそのあたり力を入れて、アドバイザー含めての整備をしながらいわゆるスタートを切っていただきたいと、こう思います。  せっかく建設省から来ていただいておりますので、重ねて二つ同時に質問したいと思いますけれども、やっぱり駐車場の問題だとか、それと商業集積ということですから下水の問題だとか、さまざまな都市づくりだとか、そういうようなもとにどうしてもこれは避けることができないと。そういうときにどうですか、建設省としてそういう専門家の助力を得ようとした場合に、何らかのそういう考え方があるのか。もちろん、アドバイザーということもありますけれども町づくりの中で建設省として果たす役割というのはどんなことを考えておられるのか、その点についてお伺いいたします。
  32. 内藤勲

    政府委員(内藤勲君) 商店街の活性化という場合に、結局町づくりの観点から活性化を図るということになりますと、再開発事業とか区画整理事業あるいはその他各種の手法を講ずることが多いと思うんですが、そのためには、計画設計の問題、あるいは具体にその事業を進めるに当たりまして、法制、税務、管理運営、そういった関係での幅広い分野にわたり知識、経験を有する専門家の指導、助言というものが不可欠だと考えております。  既存の商店街の活性化といった場合に、その既存の商店街の土地の利用状況が非常に稠密であり空き地がないとか、それから関係権利者が非常に多いということがありますので、そういったコンセンサスをどうして得ていくかということも重要なことだと思います。建設省では、再開発コーディネーターとか土地区画整理士、都市計画コンサルタント等、町づくりの専門家の参画がどうしてもその場合に必要だと思うんですが、既に再開発コーディネーター協会という協会がございますが、そういった協会等を通じ専門家の育成といいますか研修などを始めているところでございます。今後とも、専門家の資質の向上、育成、あるいは技術、知識の普及といいますか、そういったことを進めてまいりたいと思っております。
  33. 谷畑孝

    谷畑孝君 せっかく自治省の方も来ておられますので、同じようなその件について、自治体がどのような起債における制限などの弾力的な対応を含めて考えておられるのか、お聞きします。
  34. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 自治省といたしましては、地方公共団体が行います事業あるいは支援する事業も一部含めまして、交付税と地方債による措置ということを考えていくわけでございますが、先ほど委員指摘のようなソフトの事業につきましては交付税で、そしてハードの事業につきましては地方債プラス一部交付税でと、こういう形で支援をしてまいることになっております。  その際に、その地方債の制限の議論でございますが、財政事情等によりまして一定の場合に地方団体の地方債を制限する、そのことはやはり地方公共団体の財政の健全性を確保するという意味におきましては重要なことかと思いますが、ただ本起債で制限されますような例というのは非常に限られてくるだろうという見方をいたしております。また、財政事情によって地方債を制限いたしますことは、一般的な話でございますが、そういう団体でありましても、公債費負担適正化計画というものをつくって計画的にその解消に取り組むような場合には、これは弾力的に対応していく、こういうことにいたしておる次第でございます。
  35. 谷畑孝

    谷畑孝君 わかりました。  この商業集積の整備の目的の一つは、やはり地域社会発展にどう貢献していくかということが非常に大きなものであると思うんです。としますと、高度商業集積の場合、地域産業、地場産業の発展のためにどのような配慮を行っていくのか、こういう視点も大事だと思います。  また、中小小売商の参加の割合、地元商業者の参加の割合についてどのように配意をしておるのか。せっかくつくったけれども、結局資本のある遠い県外から、そういうノーハウを持ってくるのはそこしかないということで来るとか、そんなことでは地元の商店の振興ということにならぬので、地元の業者がそのテナントとかなんとかをどれくらい占めておるのか、そういうものをきちっと指針を持っておかないといかぬのじゃないかと思います。  それと同時にまた、せっかく今まで細々ながら自分のものでやっておったけれども、そこに入ると途端に家賃ということでテナント料が高くなったり、そういうものがあるのです。しかし、どんどん入ればそれはそれでもいいのですけれども、そのテナント料という問題については、またそれなりに心配事が出てくると思うんです。そういう点も含めて一体どのような配慮をされておるのか、お伺いします。
  36. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 谷畑先生御指摘のように、特定商業集積のうちで共存共栄型の高度商業集積の場合には、大型店中小小売業者が同居をするというか一緒になってやっていくわけでございます。その場合に私どもは、確かに御指摘のように、中小小売商が数においても売り場面積等においても相当のウエートを占めておること、それから特に地元商業者がやはりその中でも相当のポジションを占めておる、これが非常に重要なことだと考えておるわけでございます。  具体的にはどうするかということでございますが、まず第一には公募等によりまして、一つ地域を市町村が想定した場合に、そこに公募によって中小小売店皆様方に呼びかけまして、どのくらいの方が参加をされるか、参加機会をぜひ確保する。それから、その地域に結果的に相当規模の中小店が入居していなければいけない、こういう形が基本でございます。  それから、地元商業者等も相当程度のウエートであること、実はこの点につきましては、先ほども谷畑先生からいろいろの規模、相当数とか相当の規模ということについて御指摘がありました。これから関係省ともいろいろ調整をしていかなければいけませんが、今の段階で三省で考えております一応の案は、原則でございますが、全商業者に占める中小商業者の数がおおむね三分の二以上であること、中でも御指摘のように、地場の中小小売業者がその中で相当程度のウエートを占めておるということが重要ではないかと考えております。  それから、面積で申し上げますと、全商業施設面積に占める中小商業者の店の面積商業施設の面積がやはりおおむね四分の一以上あること、こういうことを一応原則でございますが想定して、これから法案成立後作業を進めていきたいと考えております。  それから第二の御質問の、中小店に対するテナント料等について、これが非常に高いことであれば、結果的に中小小売業者、特に地場の人たちが参加できなくなるのじゃないか、不利になるのじゃないかという御指摘は、これもおっしゃるとおりでございます。  従来、一般的な共存共栄型の場合には建設供与金、これは保証金と敷金と二つあります。一定期間の間で分割返済をする小売商業者が、例えば大型店が建てた店舗に入る場合には、その応分の分担を求められる。それからテナント料について、これはいわゆる家賃でございますが、ケース・バイ・ケースでございますが、当然相当の家賃を払わされるわけで、一遍入っても家賃が高いということでだんだん小売店が出ていってしまうケースも今まであったわけでございますので、我々は十分その点については配慮をしなければいけない。今回の格段のいろいろな支援措置、商業施設そのものあるいは商業基盤施設についての国、地方自治体あるいは中小企業事業団、民活のいろいろの補助金、あるいは開銀の低利融資、こういった非常に手厚い助成によってこの共存共栄型の商業施設なり支援施設が整備されるわけですから、当然そこにお入りになる中小小売業者にはそういう国等の支援措置の恩典が還元をされなければいけない。  これは、多分組合とか第三セクター、特にこういう共存共栄型の場合には、運営主体が第三セクターの形になると思いますので、そこで十分市町村が基本構想をつくる段階で、それらについてどういう条件であるかということをいろいろ御検討いただいて、そこでできるだけ中小小売業者に有利な、優遇措置が手厚くなるようなテナント料等についての配慮をしていただく、こういうことを原則として考えておるわけでございます。  都道府県知事がその基本構想を承認する場合にも、市町村から出てきた基本構想が中小小売業者について十分配意をされているかどうかが重要な判断要素になっているわけでございます。
  37. 谷畑孝

    谷畑孝君 そのあたりぜひ地場産業育成という立場の中で配慮していただきたい、こういうふうに思います。  次に、高度商業集積の場合、やっぱり「相当規模」ということになっていますし、駐車場ということになってきますし、大体僕らも考えたら、どうしても郊外というか、例えばJRの跡地だとかあるいは大きな工場の跡地だとか、そういうのが普通考えられるわけで、なかなか既存の商店街とかそういうところは、地権者もたくさんおるし、それで高度化をやろうといったって、三年かかり、五年かかり、その間に予算も流れてしまってできぬという、そんなことにもなりかねないと思うんです。  そうなってきますと、どうしても郊外へ行きますと、先ほどの大型店も郊外へと地価の関係でそういう傾向が強い。そうなってくると、だんだん都市部が空洞化されてしまって、地盤沈下にさらに拍車をかけていく、そういうようなことにつながっていくと思うんです。そこらの点の配慮というか、なかなか難しいと思いますけれども、高度商業集積の場合、そのあたりの配慮というものは多少考えておられるのかどうか、お聞きいたします。
  38. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 確かに谷畑委員指摘のように、地方においても駅前の商店街等は、地価の高騰によって、そこで地権者が全部合意をして新しい商店街、特に共存共栄型の商店街をつくるというのは、なかなか困難な場合があることは御指摘のとおりかと思います。  しかしながら、この形態については、いろいろの形態がありまして、整備を進める場合に、民間事業者の方が賃貸等の形態により土地を利用するということも可能だと思います。それから、土地の取得につきましては、国とか地方自治体からの助成の対象には土地取得費は入っておりませんけれども日本開発銀行の低利融資あるいは中小企業事業団の高度化融資、これらにつきましては八〇%融資などが無利子で行われるわけでございますが、これらについては土地等の購入費も一応対象になっておるわけでございます。それから、こういう高度商業集積をやっていこうという第三セクターに対して土地を譲り渡した方に対しては、今回千五百万円の所得控除が認められることになりまして、そういう意味で地権者が非常に第三セクターに協力しやすくなってきておるという点は、私たち効果があるのではないかと思っております。  それから、建設省、自治省と一緒に公共施設を整備していくわけでございまして、こうしたインフラの整備が行われますと、当然都市部においても高度商業集積の整備が進むことも大いに期待されるわけでございます。  いずれにいたしましても、いろいろのパターンがあるかと思いますが、私どもは市町村が基本構想をつくる段階において、やはり消費者の利便を考えながら地元小売商業者の振興も考えていく。それから、それを全体の町づくりの中で考えていくということでございますので、郊外地はもちろんこれからそういう対象になるわけでございますが、都市部においてもそういうプロジェクトが市町村の果たす役割によって進んでいくことを我々は期待をいたしておるわけでございます。  あと建設省、自治省のお考えがあれば、補足をしていただきたいと思います。
  39. 内藤勲

    政府委員(内藤勲君) 先生おっしゃいましたような既存の商店街対策はかなり大変だと思います。先ほどもお話いたしましたように、区画整理、再開発とかその他いろいろな手法を講ずる必要があるかと思いますけれども、お金もかなりかかるかもしれませんし、時間もかかるかもしれない、そういったことがあろうかと思います。しかしながら、この法律ども活用しながらその地域を総合的、計画的に活性化を図ろう、そういうことで今回の法律も提案させていただいているわけで、この法案ども活用しながら既存の商店街の活性化もぜひ図っていきたいと考えております。
  40. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 自治省といたしましては、既存の商店街につきましても、地方が単独で整備を行われます際の必要経費につきまして、やはり地方債で措置をし、その一部の財源を地方交付税で見る、こういうことといたしてございます。それからいま一つは、そういう既存の商店街等でつくります駐車場は、今の御指摘のように地価の問題というのがございますので、立体式または地下式の都市計画駐車場ということが多いわけでございますが、これらにつきましても、その費用の一部を地方債や交付税で措置ができるように、今年度から検討をいたしているところでございます。
  41. 谷畑孝

    谷畑孝君 時間が来ましたので、もう私の一方的な意見だけ申し上げまして、終わらせていただきます。  やはり大店法改正につきましては、先ほど言いましたように、長い歴史の中で現在よいもの悪いもの、それをさらに発展させた中でもっと生きたものにする必要があるのじゃないか。その中でも、やっぱり自治体を中心としてもっと権限を委任しながらやっていく必要があるのではないか。そして二つ目は、商業集積においては、優しい町一番、これは統一地方選挙のもう与野党超えてのスローガンだったと、優しい町づくりをする、障害者や老人を含めて憩いのできる商業集積の町、ぜひひとつそういうものにしていただきたいということであります。  さて、最後に小振法について少し準備しておったのですけれども、私ここで小振法のことで一つ言いたかったのは、やっぱり市場の人と話をしても言っておりました。一生懸命頑張っていい市場をつくった人もたくさんおります。そのときに言っておりましたのは、やっぱり意欲のある者でなかったらだめだ、そういう意欲がない商売人さんはやめてもらいたいと。何人かは、やっぱり十人おったら二割はそういう人もおられる。だから、商売人さん自身ももっと意欲を持たないかぬ、反対だけじゃなくて、そういうこともおっしゃっておりました。  だから、ぜひひとつ小振法におきましては、化粧代とか葬儀代とかそういうことじゃなくて、むしろ足腰を鍛える状況、だから商店街を組合化していくこと、そこには有能な人たちがもっと活性化していくような、先住者に対していけるようなものをつくり上げること、そういうところにもっともっと力をかしてあげること、そうした足腰を鍛えていけるみたいな、ただ単にあめ玉をばらまくだけでは、これはやっぱり成功しない、そういうことをひとつお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  42. 井上計

    ○井上計君 具体的な質問をする前に若干意見を申し上げて要望をしておきたい、こう思います。  戦前ありました百貨店法が戦後廃止をされました。それで、昭和三十一年に百貨店法が復活をいたしました。百貨店法の復活制定については、当時私どももそのような関係する立場におりましたので、随分と百貨店法制定の運動をした経験があります。その百貨店法がさらにその後いろいろと進んできたわけでありますが、当時の考え方というのは、大企業といいますか百貨店等々を規制して、そして言いかえますと中小小売商の完全な保護法としてスタートした。これは我々の当時の要望であります。そういう記憶があります。それが昭和四十八年に百貨店法を廃止して大店法ができたわけでありますけれども、当初は大店法もやはりどちらかというと中小小売商の保護法的な色彩が非常に強かったと、このように実は私は理解をしておるわけであります。  その後、市場構造が急速に変化をしまして、消費者ニーズも大幅に実は毎年変わりまして、対外情勢もまた変化をしました。その他いろんな変化等がありまして、従来の大店法では適当でないという声が数年前から強くなってきておったわけであります。今回の大店法改正案というのは、そういう意味では従来よりさらに進んで、大企業と中小小売商との共存共栄を考えていくという、そういう内容に強くなったと、このように私は認識をしております。  しかし、中小小売商の中には、依然として、今度の大店法改正によって急速にまた大型店がふえていく、そういう中での不平や不満が特に地域によっては非常に強いところが今なおあるわけでありますから、そういう人たちに対しては、今回の小売三法の制定あるいは改正がそういう人たちにいかに有利に中小小売商のことを考えているかというふうな、そういう点を十二分にPRをしてもらって、そういう人たちの不安やあるいは不満を解消するように格段の御指導あるいはPRを当局においてしていただきたい、こういう要望であります。  それから同時に、今後運用していく中で、やはり具体的なそのような不安をなくし、あるいは中小小売商の振興を図っていくためには、いろいろと問題というか考えていかなくちゃいかぬことがたくさんあると思います。できるだけ予算も毎年増額をしていただかなくちゃなりませんし、あるいは都市計画法についてもなかなか現在の商店街の振興に支障を来すような面もありますし、あるいは建築基準法、特に建ぺい率等との問題でいろんな細かい制約が残っていくわけでありますから、そういう面についても十分通産省としては他省庁に働きかけをしていただきたい、そういう面のひとつ御努力もぜひお願いをいたしたい。この機会にこれを一つ要望しておきますので、大臣、また御答弁は後で結構でありますけれども、そのことを前提として、具体的に五法案を一括して質問を行いたいと、こう思います。  全国に約一万六千余りの商店街があります。しかし、そのうち協同組合法あるいは振興組合法によって組織化されておるものは約四千程度、すなわち四分の一しかないわけであります。その理由はいろいろありますけれども、その一つに、振興組合法第十一条の商工会の地区では商店街振興組合を新たに設立できないという法文があると、このように承知しております。  振興組合法が制定されたのは昭和三十七年でありますから、当時とは地域事情も大幅に変わってきております。しかし依然として、商工会の中には、このような法律を盾にとって商工会所属の商店街、特にこれは新興商店街が多いですけれども、振興組合の設立を認めない、このような地域があるというふうに聞いているのです。これについては、当然見直しをして、振興組合あるいは協同組合を設立さすようなそういう指導をぜひ強力にすべきであると、こう考えておりますけれども、どのようにお考えであるか、これを承りたいと思います。  特に、各地方に行きますと、人口二、三万程度の町村等の商工会の幹部は、建設業あるいは製造業等々が多くて、小売商業のことについてはほとんど知らないような人たちが商工会の幹部になっておるわけです。だから、なかなか商店街を振興組合等に組織化することについては、どちらかというと余り関心がないあるいは薄いというふうな人が多いのではなかろうか。これが商店街の組織化のかなり問題点になっておるのではなかろうかという私は認識をしておるのですが、どのようにお考えでありますか、お答えをお願いします。
  43. 高橋達直

    政府委員(高橋達直君) 商工会地域における商業対策の問題でございますが、町村の地域における問題でございます。  町村は、御案内のとおり、地域的にそう広い地域ではないわけでございますので、商工会の機能と、それから御指摘のございました商店街振興組合の機能の調整という観点から、先ほど井上委員のお話がございました昭和三十七年の商店街振興組合法の規定によりまして、商工会地域には商店街振興組合が原則としてできないということになっているわけでございます。  私どもといたしましては、この商工会地域における商業対策につきましては、やはり商工会という商工業の総合的な改善発達を図るという任務を持った団体があるわけでございますので、この団体を中心にいたしまして今後の対策を進めていただきたい、また私どもとしてそれを支援していきたいというふうに考えておりますが、御指摘のございましたように、それでは事業ができないのではないか、こういうお話でございます。  この際、その場合におきましては、商店街振興組合ではなくて、商店街商店街協同組合というものができるわけでございまして、ほとんど同様の権限を持った団体が事業を行うことができるわけでございまして、その協同組合による成果としてその商工会地域の共同事業を推進していただくということで十分可能ではないかと思っておるわけでございます。  また、国の対策、中小企業事業団の高度化融資なども商店街振興組合と同様にその対象になるということでございますので、商工会地域におきましては、共同事業をする場合には協同組合をつくっていただくという方向で私どももその地域商店街の方々を指導してまいりますし、また商工会もそういう格好で進めるよう指導していきたいというふうに考えております。
  44. 井上計

    ○井上計君 長官、お言葉を返すわけじゃないのですが、十分御指導を願いたいと思うんですが、ただ具体的な実例を申し上げますと、振興組合は各県で振興組合の連合会があってかなり活発な指導をするのですね。ところが、商店街の協同組合については商店街協同組合の連合会がほとんどないのです、各県単位で。したがって、そういうふうな協同組合を設立して云々という指導がやはり十分でないと思うんです。  だから、そういう面で格段に御指導いただきませんと、特に大型店が最近郊外店舗がふえていますから、商工会に加盟しておる新興商店街の受ける影響度合いが大きいのです。余計にそういうふうなところの商店街については組織化をして、今回改正されるそれぞれの小売三法等についてのメリットというか助成が受けられるようなそういう指導をしてやる必要がある、こう考えますので、従来以上にひとつそういうような面についての指導を十分お願いいたしたい、こう思います。  次に、地方自治体の上乗せ規制あるいは横出し規制というのが従来相当ありました。各地方自治体全部に近いほど大体ありまして、かなりこれがいろんな矛盾があり問題が起きておったわけです。  ある県に行くとこういう横出し規制があり上乗せ規制があるからこれはだめ、しかしこの県はないからいいとかということで、全国的に見ますとかなりなばらつきがあったわけです。今後近いうちにこれはほとんど解消されるということになりますけれども、しかし地方議会はそれぞれそのいろんな地域の商店だとかなんかの支持を受けて当選している地方議員が非常に多いのですね。そういう人たちは、地方の商店の人たち要請等がありますと、どうしてもその地方でそういうふうな決議等、大型店の進出反対とかいろんな決議に心ならずも参加せざるを得ないというケースが非常に多いのです。  したがって、これらのことをやはりぜひ留意して、今後地方議会で横出し、上乗せ規制をする場合、そのような要望があった場合、あるいは地方議会で決議があった場合に、それらの調整を通産省、中小企業庁としては十分お考えいただく必要がある、こう考えております。お考えいただいておりますけれども、格段にまたそういう面の配慮を新しい観点からお願いいたしたい、こう思います。いかがでしょうか。
  45. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) ただいま井上委員指摘の点につきましては、今後の大店法の運用を通じまして大変重要なポイントでございまして、私どもといたしましても、出店調整に当たってその処理方針が全国的に見てばらつきのない、整合性のあるシステムで運用されるべきであると考えておるわけでございます。そのような観点から、このたび新たに大店法改正案におきまして第十五条の五を設けて、地方公共団体がこの法令の趣旨に沿って措置を行う場合には考えてもらうようにという条項を設けたわけでございます。  従来から、御指摘のようないわゆる上乗せ、横出しというようなことがございまして、行き過ぎた独自規制というものがあったわけでございます。昨年以来、その是正につきまして協力を呼びかけ、約一割程度は是正をしていただいたところでありますけれども、さらにこれからも行き過ぎた独自規制というものがないように、本条を活用いたして地方公共団体に呼びかけてまいるつもりでございます。例えば、新たな規制というようなことがもし仮に導入されようというような場合には、場合によっては地方自治法の規定なども活用いたしましてその是正を強く求めていく、こういったことを考えているわけでございます。
  46. 井上計

    ○井上計君 厚生省、お見えですか。――厚生省にお伺いというか、ある意味ではこれは要求ということになろうかと思いますが、厚生省所管の生活協同組合のストアが、もう十数年前からになりますか、大店法問題と一緒に随分と大きな問題にずっと各地でなってきたわけです。特に、札幌あるいは東京でもそうですし、横浜、関西地区では神戸、灘生協。要するに、大型店と全く同じような規模で同じような経営方針で、地域の中小小売商との間の摩擦が相当強いところが各地にあるわけです。  これらについては、員外利用の規制だとか何だかんだされていますけれども、事実上はもうほとんど有名無実の状態でずっと続いてきておるわけです。だから、地域商店街に言わすと、我々の地域大型店とは共存共栄できるのだ、しかし生協とはどうにもならないのだというふうな声もあるのです。大型店人たちに言わせますと、我々だけをいろんな規制の枠の中に入れて生協をなぜ規制しないのだという不満もあるわけです。ところが、残念ながら所管が違う、法律が違う、したがって同じ土俵にどうしても上がってもらえないので、生協ストアについてはどうにもならぬというのが今までの実態であった、こう思うんです。  今度の大店法改正、さらには小売三法の改正、制定等によって、中小小売商大型店とは共存共栄の方向にもっと強く行くわけですから、したがって生協も、地域商店街あるいは他の大型店と同じように、消費者のために共存共栄をしていくというふうなことを新しくやはり私は強く考えるべきだと、こう思うんです。厚生省は、生協問題については今後の指導をどうお考えか、お聞かせをいただきたい、こう思うんです。
  47. 浅野史郎

    説明員(浅野史郎君) 今先生御指摘のように、生協もかなり大型の店舗を持っておりまして、その際に中小の小売業者の方と共存共栄を図っていくということの必要性は、御指摘のとおりかというふうに私どもも考えております。  生協の店舗は、御案内のとおり、農協とともにこれは営利を目的としない相互扶助の組織であるということから、基本的に大店法の適用外ということで運営がされております。実態の中で、大型店舗と中小小売業者との間でいろいろな摩擦があるという事実も私ども認識をしております。  そのような事実を念頭に置きまして、私どもは、大店法の適用外ではございますけれども中小小売業者と何とか協調しつつ共存共栄を図ってもらいたいという趣旨で、以前からもありましたが、昭和五十七年に行政通知を発しまして、大型の店舗を開く場合には、地元中小小売業者と十分に話をして御理解を得た上で、話を進めてほしいということで指導をさせてもらっています。今回大店法改正等関連法の改正がございますけれども、私ども基本的に今申し上げましたような方針で、今後とも生協の店舗というものが地元中小小売業者と協調しつつ発展していくように、十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  48. 井上計

    ○井上計君 型どおりの御答弁ですから、別にそれで納得したわけじゃありません。また、あなたの答弁は、何年前ですかね、もう七、八年前にがやはり生協問題で当委員会質問したときのお答えと全く同じなんですよ。だから、立場上あなたの答弁は今この程度で仕方がなかろうとは思いますけれども、やはり依然として生協との間に摩擦があることも確かなんです。だから、同じ土俵に上がることが一番理想なんですけれども、所管が違う、法律も違いますから、当面は同じ土俵には上がれませんが、しかし同じ土俵に上がるようなつもりで十分生協の指導をしていただきたい、重ねてひとつ要望しておきます。お答えは結構です。  次に、大型店出店計画を発表し、地域では小売商と話を進めながら、ある程度まで具体的に理解をされ調整が終わっていた、ところがそれを突然中止するというケースが各地にぼつぼつ発生しつつあるのです。それからいま一つ、もっとひどいのは、結審をして具体的な計画がもうできておるにかかわらず、既に開店の期日が迫っておるのに一向に工事に着手する気配もない。すなわち、席取りをして指定席を確保しておいて、他の同業者、ライバルの出方を見ておるというふうな、言いかえると大変ずるいと言っていいと思うんですけれども、そういうケースもあるやに聞いておるのです。  そのようなものに対しては、通産省としては今後特別に、罰則といってもないわけですけれども、どのような指導をされるのか、そのような大型店に対してどのような勧告をされるのか、この点をひとつお伺いしたいと思うんです。
  49. 坂本吉弘

    政府委員坂本吉弘君) ただいま井上委員指摘のようなことで、地元の計画その他に御迷惑をかけるというケースが生じているわけでございます。  まず、第一点といたしまして、出店計画が未熟な段階で地元がいろいろそれを織り込んだ計画をつくるなり、そういったことで途中でやめるという場合でございますが、これはいわば行政としてなかなか手が届きにくいところであるわけでございます。  一つ申し上げられますのは、今回出店調整処理期間を昨年の五月三十日から一年半という従来よりはかなり短縮した期間で、いわば将来に対する予測可能性というのを関係者に与えたわけでございますが、当時みなし出店も含めて千三百数十件ございましたけれども、そのうち約三百数十件が今日までの間に取り下げられるというような現象が出ております。ある意味では、将来に対してどういう調整が行われるのか非常に不明確な段階でいわば前倒し的に出店をするというケースは、そういう角度からかなり減るのではないかという期待を私ども持っているわけであります。  しかしながら、何らかの事情で出店計画が取りやめになるというようなケースも今後想定されるわけでございまして、私どもかねがね大型店に対しては、いわば席取り的なそういう出店の表明あるいは出店計画といったものは避けてもらうように、今後とも節度ある行動というものを期待いたしたいと思っておるわけでございます。  第二点に御指摘ございました、調整の終了後、開店予定日を経過してもなお工事に着手しないというようなケースも別途ございます。このようなケースにつきましては、地元の地権者あるいは周辺のその出店を織り込んだ計画というものに多大な迷惑をかけるという事態に着目いたしまして、昨年、開店予定日を経過して一年以上出店されないケースにつきましては、これはいわゆる未開店店舗といたしましてこれを職権で廃止させるという措置を導入いたしました。ただ、席取り的な出店表明を行ってみずからはリスクを冒して出店しないというふうなケースに対しては、今のような対応をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  新しく規制緩和が行われる事態を迎えまして、大型店行動につきましては社会的な関心も大変高くなることと存じております。私どもといたしましては、従来以上に周辺の町づくりあるいは中小小売業者への配慮、その他地域への関心というものを高めてもらうようにかねがね話をしてまいり、また今後ともそういうことを期待してまいりたいと思っておるわけでございます。
  50. 井上計

    ○井上計君 そういうケースが今後さらに発生をする懸念があるわけですし、商業道徳に違反しておるだけじゃなくて、やっぱりある種の契約違反であります。当然そこに地域商店街なりが計画をされたことによって大変な経済的な迷惑をこうむるわけでありますから、損害賠償的な請求ができるような、それもまた今後そういうことが起きてくるのではなかろうかと思うんです、そういう紛争が。十分ひとつ御指導をお願いしたい、こう思います。  次に、時間がありませんから、あと一つは簡単にお伺いします。  商店街の高度化計画が今度の振興法の改正等々によって、あるいは特定施設整備促進法等々によってかなり活発になってくる、こう思います。商店街の共同計画というのは、いろんなものが今後出てくると思うんですが、一つ想定されるのは、地域商店街がやっぱり一つのセンターといいますか会館をつくる。その会館の中には、商店街発展、振興に利するものについては当然高度化資金の対象になる、こう思うんですけれども、間接的に商店街発展、安定に必要なものもあると思うんです。  率直に申し上げて、現在認められていないと思うんですけれども、私の考えでは、その中に商店街従業員の福利厚生等々を考えて診療所を設ける、その診療所設備等々も含めて、それもぜひ高度化資金の対象にしていただきたい。その診療所は、ただ単に商店街の従業員だけじゃなくて、地域、近隣の人たちの健康相談といいますか、あるいは健康診断といいますか、そういうふうなものにも使える、それがやっぱり商店街の活性化あるいは集客にも大変プラスするのではなかろうかな、こう思っておるのです。  これについては、今オーケーとは言われぬでしょうけれども、十分お考えいただいて範囲を拡大して、直接的な商店街の振興、発展だけじゃなくて、間接的にもそういうことに利するような施設等も含めた共同化、共同事業というものをお考えいただく必要がある、このように思っておりますが、いかがでありますか。
  51. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 先生御指摘の場合は、特に地域総合健康保険組合が設立されている場合だと思うんですけれども、これは地域的な相互扶助によりまして、疾病等のときに医療費の出費で家計の運営ができなくなるというようなことを防ぐために、いわゆる健康保険法の趣旨にのっとりまして、この法律の認可を受けて設立されている組合なわけですが、その施設とか事務所の設置に、今おっしゃいましたような診療所等の施設でございますが、これは通常、組合の保健事業の附帯的な事業として行われるのが通例だというふうに承知しております。  一方、中小企業事業団の高度化事業でございますけれども、これは中小企業者の事業経営の合理化のために推進しているものでございまして、それを通じまして中小企業構造の高度化を図るということのために必要な資金の出融資をするわけでございます。  したがいまして、両制度の趣旨が違っておるわけでございまして、現時点では、地域総合健康保険組合の行います施設については、高度化事業の対象にしていないわけでございます。  御指摘のような病院といいますか診療所のようなもの、こういう場合にはいわゆる医療保健施設でございまして、その場合には年金福祉事業団の長期低利融資の制度がございまして、こういった制度を活用していくべきではないかというふうに考えております。私どもとしましても、そういう場合には関係方面と連絡を図っていきたいというふうに思っております。  それから、同じく組合でつくるものでもいわゆる従業員の福利厚生施設、宿舎ですとかあるいは託児所とか研修所といったようなものですが、こういった場合には、これは高度化資金の助成の対象にできるようになっております。
  52. 井上計

    ○井上計君 地域健保組合の問題については、きょうは実は所管の厚生省の方を呼んでいませんから、質問をしないつもりでいたのですが、あなたの方で地域健康保険組合の問題が出ましたから、申し上げます。  御承知のように、政府管掌の健康保険と健康保険組合と二つあるわけですね、今制度が。ところが、三十五年前から、単位健康保険組合あるいは総合、要するに業種別縦割りの健康保険組合については、設立が認められていたのですが、地域の健康保険組合の設立は厚生省がどうしてもうんと言われなかったのです。私は、十年ほど前から、健康保険組合を地域にも設立を認めて、そして健康保険組合が経営努力をすることによって、少しでも医療費の節減あるいは地域のそのような福利、疾病予防等に貢献すべきであるということを主張しておったのですが、なかなか厚生省はうんと言われませんでした。  五年ほど前であったわけでありますが、予算委員会それから補助金特別委員会等で私が健康保険組合がいかに経営努力をしておるかという詳細な資料を政管健保と対比したものを出して、当時中曽根総理大臣で、厚生大臣が今井さんであったと思いますけれども説明をしたら、これはぜひやるべきだ、このような中曽根総理の答弁で、急遽厚生省は制度を変えて、地域健康保険組合を認めるというふうに変えたわけです。その後、仙台の卸団地等々を先般商工委員会で視察に行きましたが、地域の健康保険組合が認められたわけです。  私は、商店街を中心としたその周辺にそういう健康保険組合をつくれば、今申し上げた健康保険組合のそのような健康相談あるいは疾病予防、そういうふうなものを施設と一緒にすることが商店街の活性化にも役立つという主張をしてきたのですが、現行法ではこれは不可能だと承知しております。そこで、一歩下がって、さっき申し上げたように、地域の従業員のそのような健康診断等々の施設をつくる、健保組合の設立は別にして。それの利用範囲を拡大して、従業員以外の人にも、周辺の人たちにもそれが使えるようにしたらどうですかというお尋ねをしたわけです。それについては法が違うからということで、それはわかっていますけれども、これから商店街の活性化のためにも、地域にいろんな貢献をするためにも、そのようなことは考えていく必要がある、こう思うんです。  もう時間がなくなりましたから、このことについて、特に通告してありませんが、大臣、ぜひこれから御努力をいただきたいと思いますが、大臣のお考えがあれば承って、質問を終わることにします。
  53. 中尾栄一

    国務大臣中尾栄一君) 委員が大変熱心に中曽根内閣のころからの御主張だということをただいまおっしゃられました。その方向に向かって私も懸命に努力することをお誓いいたします。
  54. 井上計

    ○井上計君 終わります。
  55. 前田勲男

    理事前田勲男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会    〔理事前田勲男委員長席に着く〕
  56. 前田勲男

    理事前田勲男君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案特定商業集積整備促進に関する特別措置法案民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案中小小売商業振興法の一部を改正する法律案、以上五案を便宜一括して議題といたします。  本日は、五案の審査のため、お手元に配付いたしております名簿の六名の方々に参考人として御出席願っております。  この際、参考人皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多忙のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております五案につきまして、皆様方から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  なお、議事の進め方でございますが、まず参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただいた後、委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。また、発言の際は、その都度委員長の許可を受けることとなっておりますので、あらかじめ御承知おきください。  それでは、まず宇野参考人にお願いいたします。
  57. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) 宇野でございます。  それでは、意見を申し述べさせていただきます。  今お話がございました五つの提案というものにつきましては、私は基本的には賛成であるということを申し上げさせていただくわけでございますが、若干この機会に所見を申し上げさせていただきたい、こう思います。  皆様方が御存じのように、百貨店法というものが過去にございましたが、それは戦後昭和三十二年に施行されまして、それが四十八年には御案内のように廃止されて、大規模小売店舗法というものに変わっていったわけでございます。そのときの第一条に挿入されておりますることが、「消費者利益の保護に配慮しつつ、」という言葉が入っておった。  それで、中小商業者に事業機会を与えるということは、もうこれは戦前の百貨店法の時代も戦後の昭和三十二年のときのも同じことでございますが、今申し上げたような消費者利益の保護という点が入っておったということが、私の理解では、それ以前の百貨店法のときのように、基本的には百貨店というものが許可を受けないと出られないというのに対しまして、緩やかな形で出ることを認めようという届け出制に変わった、これが消費者利益というものを考えたということの一つのあらわれだろうと思うわけでございます。  ところが現実は、その運用の問題もございまして、結果的には許可時代よりも届け出制になりましてからむしろ規制が強化されるというようなこともあったことだと思うのであります。しかし、この場合に、もう一回今のような消費者利益ということをどう考えたらいいのかということが、やはりこれからこの法律を動かしていきます場合にお考えいただく必要があるだろうと思うわけでございます。  ただその場合に、四十八年のときに取り上げられたときの消費者というのは、あくまでも経済的な利益を考えての消費者利益、こういうことが基本にあったかと私は思うわけでございます。その意味では、緩やかな形で規制をするということで、若干はブレーキはかけるけれども、もう一方から申しますと、中小商業者の方々には大いにアクセルを踏んでもらいたい、こういうことであわせて小売商業振興法ができておったことは御案内のとおりだと思うのであります。  問題は、そのブレーキがけとアクセル踏みというものをどう政策的にうまく取り上げていくのかということがこの法の運用において課せられた課題であろう、こう思うわけでございます。ところが、消費者利益という点は、今申し上げたように、経済的な利益ということを前提にして考えておったと思うわけでございますが、その後いろいろと消費者というものに対する考え方が広くなってもまいりますし、変わってもまいっておりまして、いわば生活者利益というような言葉で呼ばれるような内容が登場してきたと思うわけであります。この辺を踏まえて、これからの運用をどう考えるかということが一つのポイントかと思っているわけでございます。  いずれにしましても、流通というものを変革させますのは、生産と消費を結ぶいわばパイプ役が流通でございますし、そういう点から考えますと消費がどう変わっていくかということが大きな問題になるわけでございます。  それで、実は昭和五十八年の十二月に通産省の関連で審議会でまとまりました八〇年代流通ビジョンというのがございました。九〇年代流通ビジョンはその後に出ているわけですが、八〇年代流通ビジョンのときには、私もその審議に参加いたしましたので、非常に頭の中にあることでございます。  たしか、その当時の数字で昭和四十一年と、それから今申しました五十八年十二月に答申をしたわけでございますから、五十七年のときの統計数字だったと思うのでありますが、平均的な家庭の一世帯の消費支出というものが、四十一年のときにたしか十五万円ぐらい、それに対して五十七年が二十三万円ぐらい。今は約三十万前後だろうと思いますが、そういう点で考えますと、十五、六年の間でいわば消費支出は五〇%ぐらいアップした、こういうことが言えるわけでございまして、それは小売業に潤いを与えたことになると思うのであります。  問題はその中身でありまして、四十一年のときの食費というのは三八%。それに対して五十七年のときには二八%と、一〇%減少しております。それから、被服費が一〇%から七%へと。それから、住居費は九%から八%へと。コンマの後の方はちょっと省略をいたしましたが、これを足してみますと、食衣住という物に関連するものへの支出を主体にいたしますものが、五七%から四三%に減少しているわけでございます。  その残りをとってみていただきますと、いわば無形サービスへの支出と申し上げていいと思うのでありますが、美容院へ行くとか子供の学校だとかまた旅行であるとかスポーツを楽しむとか冠婚葬祭、こういうようなものの支出がちょうど逆転をしておりまして、四十一年のときには四三%だったものが、五十七年のときには五七%になっているわけであります。ちょうど、いわば物からサービスへということが言われているのも、この数字が裏づけていると思うのであります。  この辺を考えてまいりますと、御案内のように、五十七年からその後よく問題が指摘されておったわけでありますが、通産省で取り上げておりまする商業統計でありますか、五十七年の次の六十年の商業統計を見ますと、約十万件の小売店が減少した、こういうことが取り上げられたと思うのであります。その後伸びるという傾向はないわけでありますが、これをどう見ればいいのか。大きいものが出てきたから小さいものがつぶれていってしまった、こういう見方もあるのかもしれませんが、より大きな要因というのは、今申し上げたような消費構造の変化というものがこれをもたらした一つの大きな要因だと考えるわけです。  つまり、物を中心とした、物販を中心とした商店街というものが歯抜け状態になってきたというのは、一つは今のような消費構造になかなか適応できない。だから、その逆を申し上げてみますと、郊外に出てまいりましたショッピングセンターというものは、これはむしろこの十年間に倍増しているわけであります。それは何かといえば、今のような消費構造を先取りいたしまして、無形サービスの購入をも頭に置いた店舗展開というものが全体として計画的にできる、こういうところに一つの大きな要因があったと考えるわけであります。  その点からいいますと、今申し上げたような趣旨で、町中の商店街が歯抜けになりまして、それでおかしくなってもよろしいということを私申し上げているわけではございません。やはりそれぞれがバランスのある発展をしていくということが社会的に見て望ましい姿である、こういうように考えるわけであります。  私がなぜこんなことを強調申し上げたかといいますと、今のままの状態で、それぞれが同じような経営をしながら発展をしていこうというのは、無理だということを申し上げたいわけであります。消費者が変わっていく限り流通は変わらざるを得ないのでありまして、消費をそのままにとどめておくならば、これはそれぞれの小売も卸もそうでございますが、流通というのは変わらなくて済むわけであります。それを強権をもって、消費はこうでなければならない、これ以上食べてはいけないとか着てはいけないということはできるわけではないわけでございます。  そういう点を考えますと、問題は、今のような消費構造というものがどう変わっていくのか。また、消費行動というものが変わっているわけであります、消費の意識も変わっているわけでありますから、そういうものをどのように先取りしながらやっていくかということが本来私は流通業の仕事であろうと思うのであります。その辺をまず考えながら、変化というものにどう対応していくかということが本来流通業の仕事だとも考えるわけでございます。  その辺のことから見ますと、繰り返し申し上げますが、現状のままでみんながよくなろうとするのは無理があるわけでございまして、むしろそれぞれが消費の変化というものにどう対応していけるかという、そういう前向きの姿勢があってしかるべきだと思います。  しかも、その場合に問題は、先ほど申し上げましたように、ショッピングセンターはもちろん車社会になっておりますので特に郊外の方に行きます方が、町中で駐車場が十分ないところで買い物をするのにどうするのかということを考えますと、同じようなものがあるならば郊外に行った方がいいというのは、これは当たり前なことでございます。そうすると、やはり問題は、町中の商店街というものがどういう形で活性化できるのかということが一つのポイントになると思うのであります。  この点を考えますと、五十八年十二月に出しました八〇年代流通ビジョンにおいては、物を買いに来る場であるという商店街を考えるだけではなくて、むしろ地域の方々の集いの場であり憩いの場である、そういう意味においてコミュニティーマート構想というものが打ち出されておったはずであります。  問題は、そのときの考え方としましては、意欲ある方々が前向きに商店街の活性化を図っていこうということに対しましては手厚く差し伸べるべきではないかと、政府とか公共団体が。動こうとしない者に手を差し伸べるというのはナンセンスな仕事であり、これまた別のもので面倒を見るということはあってしかるべきだと思うのでありますが、経済政策としての考え方としてはこれは別の問題ではないか、こういうふうに考えるわけであります。  今申し上げましたような点で見てみますと、どうもその後の状況を見ますならば、さっき申し上げましたように、アクセルを踏む方に関しましては、それぞれ意欲ある方はおやりになってまいりましたが、私はもっと意欲ある方々がふえて、そして伸びていかれることを大いに期待したいわけであります。そういう意味から申しますと、ブレーキがけの方の問題は、これは別に日米構造協議で言われたからというだけではなくて、本来もっと規制は緩和されていくのが本当であろう。  問題は、先ほど申し上げましたように、バランスの問題でありますから、この辺をどう持っていくかということでありますが、その意味から見ますと、今回出ておりますような特定商業集積というような形で、通産だけではなくて建設とか自治、こういうようなものが一緒になって、先ほど申し上げましたようなコミュニティーマートというようなものよりも、もっと飛躍的に商業集積をどのように構築していくのか、こういうことでいろいろ施策が講ぜられるということは大変喜ばしいことではないか、こういう気がするわけでございます。  その意味から申しますと、一部マスコミなどで、こういうような五つの法律の問題につきまして、むちとあめというような言葉が出ておったのでありますが、私はこれは極めて嫌らしい言葉だと思うのであります。そういったようなものではなくて、あくまでも本来はアクセルを踏んでいくことがだれでも今の我々の経済社会においては必要なことなのでありますから、しかしそれに対してもそこにハンディがあるならば意欲的な方には後押しをしてあげる、こういうことがあってしかるべきだと思うわけです。  そこで、最後に申し上げたいことは、皆様方も御存じのように、私は昭和三十一年のころからアメリカへ何度も行っているわけであります。その三十一年のころ、ロサンゼルスのダウンタウンというのは大変いい町であったように思っておるわけでありますが、その後行きますのにだんだんとゴーストタウンになってしまっている。皆郊外は非常に伸びているのですね。あのようなことは、同じ方向になるからといって我々は同じように町中をほっぽらかしておいていいということにはならないと思うのであります。ゴーストタウンにならないような、やはりすばらしい住みよい場であり、それから先ほど申し上げました憩いの場である、それで集いの場である、こういうようなものに活性化されることが私は非常に重要なことだと思うわけでございます。  そんなようなことで、舌足らずのことを申し上げたわけでございますが、要はアクセルとブレーキがけというような問題をどのようにうまくまとめていくか。これは最終的には、今度この法が動き出しますならば、運用上の問題においてまた慎重にやっていただかなきゃいけないことではないか、こう思う次第でございます。  以上、私の考え方を申し上げさせていただきました。  どうも失礼しました。
  58. 前田勲男

    理事前田勲男君) ありがとうございました。  次に、永山参考人にお願いいたします。
  59. 永山利和

    参考人(永山利和君) 永山でございます。  お手元に簡単なメモをお配りしておきましたので、それに沿う形で私の意見を述べさせていただきます。  現在審議されております大規模店舗法の関連五法案でございますが、私が問題にしたいと思っておりますのは、この法律を取り扱う角度といいましょうか、その点を一つの私の意見の中心にしたいと思っております。  この問題を取り扱う角度の第一といたしまして、この大規模店舗法が想定しております大規模店舗というものの持つ影響が大変これまでも大きかったと思いますし、現在までの、特にこの一、二年の出店申請を見ましても、大変多数の申請がなされておりまして、ある意味でラッシュ状況が見られております。そういうことで、この問題を考える際に、まず第一に、その影響というものをどう考えたらいいかということであります。  言うまでもなく、私どもの消費生活に与える影響が大変大きいわけでございますが、同時にそれにかかわりますさまざまな商業、特に小売業、卸売業に与える影響はかなり大きいと考えられます。これまでも大規模店舗のシェアというのはだんだん高まってまいりましたし、今後もそういう傾向が強まるものと予想されているわけであります。  しかも、その大規模店舗の拡大に合わせまして、商業部門ばかりでなくて、最近はオルガナイザー機能というものが改めて注目されている関係もございまして、卸売業あるいは生産分野に非常に大きなインパクトを与え、かつ開発輸入などに見られますように、海外に対してもかなり大きな影響を与えてきておるわけでございますので、単に商業の合理的な発展あるいは公正な競争の維持という、そういう角度の国内的な観点だけではどうも十分でない、そういった状況が見られるわけであります。  そういう意味で、純商業部門あるいは流通部門というふうに考えているだけでも、もう少し広い作用を与えているように思われるわけです。したがいまして、かなり広い角度でこの問題を扱うという時代が来ているというふうに思います。  それから、大きな作用の第二点目といたしまして、この大型店の今後の展開というものが可能にならしめている幾つかの条件を見ますと、生産の方の技術革新というものが今後ともかなりのテンポで予想されるわけでありますけれども、さらに流通の技術、とりわけ情報化あるいは通信技術の発展に伴いまして、業態もさまざまな展開を見せると考えられますし、それから何よりも、生活、消費と生産を結ぶところの流通の場の設定といいましょうか、特に居住環境の整備でありますとかあるいは都市計画、町づくり、そういったものとの関係も非常に深いものがございます。  商業というのも歴史的に見れば自然の成り行きで発展してきているように見えますけれども、さらにここに大型店の大きな影響が付加されるということになりますと、これは商業ばかりではなくて、居住環境、つまり消費者の側の直接間接を考えてみますと、生活上のいわば下部構造にも大きな変化を与えるというような性格を持ってきていると思います。  それだけではなくて、さらに消費者自身というものをかなり変えてきているのじゃないかということが言えると思います。この消費者を変えてきたという意味合いは、必要なものあるいは求めているものが大量に供給されておりますから、その中から消費者は選択すればよろしいというようなことになってまいります。これは非常に利便性が高まっていることでもございます。  ただし、生活というのは単に物を買って消費するというだけにとどまりませんで、当たり前なことですけれども、そこにさまざまな生活上必要なものあるいは改善を求める部分あるいはより高次の利便性を求めるもの、さらには人間同士の潤いを持たせるとか、さまざまなニーズがあるわけであります。  そういうものが商業活動あるいは大型店影響のもとに次第に受け身になるといいますか、本来主体的な消費であるべきものが、非常に品ぞろえあるいはサービスが多様化するにつれまして、単なる消費といいましょうか、あるいは選んで使うだけという、その前後にかかわるさまざまな社会影響、例えば後で申しますけれども、公害の問題とか生活廃棄物の問題、こういうものにややもすると目が向かなくなるという、そういうまた弱点も生ずる一つの要因になってくるのではないかというふうに思うわけです。  したがいまして、経済上の効率性だけでは律し切れない問題を私ども多数抱えているのが今日の状況でございます。無論、これを経済効率を追求しながら改善するということが一つの方向であることは言うまでもありませんが、しかし効率だけよくなれば済むということでもないわけでありまして、そういう意味では全体のバランスをどうとるかという、そういったことにもなりますけれども、ここにある種の今日まで主張されてきております大型店そのものの先駆性というものが持っているある一面性というのがあることを私どもは見落としてはならないと思うわけであります。  それから、大きな第二番目の大型店問題に関する視点といたしまして、消費者利益というものが最優先されているわけでございます。  もちろん、この消費者利益という点につきましては、この法律以外にも幾つかこれを実現する法律がございますけれども、しかしこの消費者利益というものの中身も、必ずしも単なる消費だけではございませんで、生活用の消費のほかに企業がさまざまな消費も行いますので、そういう意味では消費というのはかなり幅の広い領域をカバーしているわけであります。そういう中で、大型店が持っているさまざまな作用も改めて考え直す時期ではないかと思っております。  その一つは、まずこれは経済性に最も深くかかわっている点ですけれども大型店は価格が安いという、そういうことが主張の多くの中に見られるように思うわけであります。しかし、少し事実を見てみますと、必ずしもそうとばかり言えない点がございます。例えば、生鮮食品というのが非常に小売業の中でも大きなウエートを占めております。無論、食品の消費構造が変わってきておりますから、いわゆる物的な消費ばかりではなくて、外食等の拡大によりますサービス化というものが進行していることは、これは改めて言うまでもないかもしれません。  ともかく、そうした多様な消費が進行するということの中で、消費単位が小さくなる、あるいは多様化するということは、当然これに見合う消費あるいは流通のあり方、生産の仕方、こういうものを全体としてどう調整していくかということが社会的にも必要になってくるわけです。  調整というのは、強制をもって規制していくあるいは枠にはめていくという趣旨では決してございませんで、当然変化に対応するという意味で、何が一番効率的なのかということを考えますと、ある程度例えば生鮮食品の価格などにどう出ているかというのを見ますと、例えば東京ですと、東京都の生活文化局が販売店舗形態別の価格調査をしておられます。これなどを見ますと、生鮮食品に関しましてはかなりの品目で一般小売店の価格が低いという結果がずっと出ております。そういう意味では、小売店の持つ役割というのは注目されるわけです。  しばしば言われます内外価格差というものにつきましても、これはその原因については、単に流通構造だけではございませんで、我が国の寡占価格あるいは寡占企業の行動パターン、こういうものについても注意を喚起する方が少なくないことも見落としてはならない点だろうと思います。  それから、商品の品質に関する議論というのが随分ございまして、これも大型店の進出によって改善されてきたかといいますと、必ずしもその必然性があるとは思えない点がございます。無論、大型店が悪い品物を売っているという主張をしているわけではございません。しかし、商品の品質向上あるいは安全性の確保というものを主張してまいりましたのは、消費者運動あるいは公害の拡大というものを防止する、そういう意見の集約がもたらしてきたものでありまして、それをむしろ後追いしてきたというのが実情ではないかというふうに思います。  むしろ、大型店の目指してきたものは、主にブランド志向あるいは消費者をいかに一定の方向で効率よく消費させていくかという、そういったものが、技術的にもあるいはマスコミュニケーションなどの手段を用いまして、いわゆる非価格競争といわれるものをかなり強く打ち出したことが、この品質問題というものの問題の背後にのし上がってきたみたいなところがございます。そういう面からいたしますと、やはり大型化すること自体がそうした操作をしやすいという環境をつくってしまうおそれがあるわけであります。  それから三つ目に、この大型店といいますのは多様な商品を取り扱う、とりわけ食料品などを前提にいたしますと、包装や保管、配送システムなどを支えるさまざまな技術的な工夫が必要になってまいります。そうしますと、事前の加工あるいは包装、こん包、こういうものに非常に多額のコストと物量的な投資をしなければならない。したがいまして、その結果として多量の生活廃棄物が排出されてきまして、消費量以上のそうした廃棄物の拡大を見る。  こういう問題にどう対応していくのかという点を考えますと、従来の日本の小口の消費というもの、あるいは計量の変更が可能な商売、こういうものが非常に有効なものであったことを改めて見直す段階に来ているというふうに思いますし、それから品質の低下を防止するために加工をしたりする、例えば八百屋さんで漬物をつくるとか、あるいは魚屋さんで干物をつくるとか、こういうことはやはり大型化しますとやりにくくなってくるということがございます。そういう面で、小型店の持っている非常に重要な生産的な側面、プロダクティブな側面というものを無視してはならないというふうに思います。  それからもう一つは、買い物というのは、単に一定の貨幣でいかに多くのいいものを手に入れるかというだけではございませんで、そこに社会生活、親と子の交流とか買い物への楽しみ、そしてその中で人間それ自体をもう一回取り戻すというような広い活動がございますので、これを経済効率の中に押し込めてしまうという発想を多少改めなければいけないというふうに思うわけであります。そういう点からいたしますと、現在の大型店の効率ある営業の仕方というものだけで十分それをカバーできないという面があるように感じておるわけです。  それから、大きな三つ目として、小売店と大型店との共存関係をどうつけるかという点であります。  日本都市というのは、非常に消費購買力が集中しておりますので、大都市で大型消費というのを実現しやすく、またそのための交通等々の下部構造ができ上がっていたわけでありますけれども、これ以上大都市に集中するということは、さまざまなほかの点から考えましても、もう効率の限界というよりも、むしろ交通ラッシュに見ますように、もう人間性を超えた、人間性というものを失わせるような、そういう状況があるわけでありまして、そういう面で、これ以上の過密あるいは交通渋滞というものをやはり規制する段階に来ているというふうに思うわけです。  そういう点では、とりわけ従来の商業集積というものをどう上手に活用するか、こういう観点を強く見直す時期でもあろうというふうに思うわけであります。それは、もちろん商業部門だけでは不可能でございますから、大都市過密の弊害の除去あるいは過密の緩和、さらにはオフィスを中心にした最近の大東京の再開発というものが行われようとしておるわけではございますけれども、そういう問題も改めて考え直す、そういう意見も強まっているというふうに感じております。  それから、小規模商業が非効率であるという暗黙の前提があるように感じておるわけでありますけれども、先ほど申しましたように、価格の点でも、あるいは品質あるいは近隣性、それから対面販売というふうに言われますけれども、その技術的な意味以上に、人間と人間の触れ合い、あるいは顔見知りであるという、そういう社会性というものを維持している大変重要な機能もございます。そういう面では、内容を改善することを通じてもう少し小規模商業の位置というものを復活させる、そういう時期でもあろうかというふうに考えております。  それから、規制一般についての問題です。規制があることが何か経済進歩を妨げるような、そういう議論も一部にはあるように感じるわけではございますけれども、規制というのは一定のルールでございまして、その規制があることがむしろ競争促進し、また新しい安定した営業活動をつくり上げていく、そういう側面も有しておるわけであります。規制をなくすことは、むしろ世界的に見ますと、大型店等の取り扱いにつきましてはそれぞれ手法や考え方は異なっておりますけれども大型店の立地あるいはその運営に関するさまざまな規制があるということは、決して競争を全くとめてしまうというようなものではないことを改めて確認しておくことが重要だろうと思うんです。  むしろ、規制を外せば外すほど大型化していくということは必然的な面がございますから、そのことによってかえって真の競争をそいでいってしまうという結果を招くこともあり得るわけであります。そういう意味では、ある程度規制を与えていく、そして特にその広い観点から大規模店の規制をするということは、今日改めて再検討すべき時期であろうというふうに考えますので、規制の排除一般ということだけを最優先するということには余り賛成しかねるという、そういう意見を持っております。  以上で私の意見を終わります。
  60. 前田勲男

    理事前田勲男君) ありがとうございました。  次に、高丘参考人にお願いいたします。
  61. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 私は、今御紹介をいただきました日本チェーンストア協会の会長をいたしております高丘でございます。  本日は、内閣御提出の大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案等関係五法案につきまして、業界を代表して意見を申し上げる機会をいただきましてまことにありがとうございます。  まず最初に、大店法改正法案につきまして意見を述べさせていただきたいと存じます。  大店法は、消費者利益配慮しつつ中小小売業事業活動の機会を適正に確保する等の目的で昭和四十八年に制定をされました。その後、石油危機等を原因とする経済的な諸情勢のもとで昭和五十三年の改正が行われ、調整対象となる大規模小売店舗が、通産大臣調整をされます第一種大規模小売店舗のほかに、都道府県知事が調整をされる第二種大規模小売店舗が法定されるなど、規制が大幅に拡大をされました。また、大店法の運用自体も、我々大型店から拝見をいたしますと、漸次規制が強化される方向に変わってきたことは御高承のとおりでございます。  小売商業は、消費者である全国民のニーズに対応して、良質の商品とサービスをできるだけ安く提供することが責務であるというふうに考えております。そして、その責務は、本来自由で活力ある事業活動の中で初めて果たし得るものであるというふうに考えておりまして、そういう観点から、我々はかねがね規制の緩和を要望してまいりました。そして、昭和五十年代の後半から、我が国経済社会の構造的変革を背景といたしまして、前川レポートや新行革審の規制緩和に関する御答申、通産省の九〇年代流通ビジョン、日米構造協議等を経まして、今日の改正案につながったものと理解をいたしております。  小売商業は、この間、業態的に見ましても、大型店のほか、専門店、コンビニエンスストア、ボランタリーチェーンストア、あるいは訪問販売、通信販売等も大きく成長しておりまして、一方、戦後小売業に参入された中小小売商の商店主の方々には、残念ながら高齢化とこれらの方々の御子弟がほかに職を求められて、後継者がいないという要因も重なってまいりました。そして、現在では小売商業の問題は、大型店と中小店の対立の調整という構図では全体を的確にとらえられなくなってきているように存じます。  消費者の側から見ましても、その多様な選択を可能にし、豊かでゆとりのある生活を実現するためにも、一方で大型店に対するニーズが増大する反面、他方では中小小売店を含めて専門店に対するニーズが増大し、ショッピングセンター等に対しましても大型店と専門店が相互補完の関係で出店することが必要になってきております。また、消費者は単に物やサービスを買うという段階から、楽しい雰囲気の中で買い物がしたい、ショッピングと同時に家族の団らんや教養娯楽を求める等、消費のパターンが大きく変化しております。  したがいまして、今後の出店に当たりましては、核店舗となる大型店とともに専門店をどのような業種構成で配置するか、あるいは映画館でありますとか、子供の遊び場、休憩施設、カルチャーンター、レストラン、コミュニティーホール等々の施設をどのように配置するかなど、大型店中小小売店の対立という構図をはるかに超えた町づくりの観点が極めて重要になってきております。  また、最近における経済の国際化の中で、輸入の拡大は極めて重要な課題でございますが、これとともに経済の諸制度を国際的にも普遍的なものにしていくことが極めて重要であります。先般の日米構造協議におきましても、流通問題、とりわけ大店法問題が大きな議題の一つに上がったというふうに承知いたしておりますが、輸入品専門売り場の特例を含め、大型店出店調整制度の改善は諸外国からも強く要望されているところでございます。  このような流通構造の変化、消費者ニーズへの対応、経済の国際化の進展等から見まして、今回の五法案の提案に至られたものと理解しております。我々の立場から申し上げますれば、その内容について、全体としてはまことに時宜にかなった妥当な改正であるというふうに考え、高く評価している次第でございます。  次に、各法案の個別のポイントについて申し上げます。  大店法改正法案についてでございますが、このたびの出店調整制度につきましては、従来、出店調整が法文上明定されておりません。商業活動調整協議会において行われておりましたものを清算し、大規模小売店舗審議会により直接調整が行われることになっております。出店調整の公平性、透明性、迅速性の確保の上で、格段の改善であるというふうに考えております。我々がかねてから要望してまいりました大店法の規制の緩和の方向にも沿ったものというふうに考え、消費者利益や国際協調の観点等からも歓迎するところでございます。  これから先のことで恐縮でございますが、改正法案が成立し、施行されるに際しましては、大店審の審査体制の強化、改正法に基づく明確な運用等によって、商業調整がおおむね一年という期間内に円滑に行われますよう、そして小売商業が消費者利益の増進と地域経済の発展に寄与できますよう、適切な御配慮をお願いしたいと存じます。  また、国と地方自治体の種別境界面積改正につきましては、最近における一般的な店舗の大型化の傾向にかんがみまして妥当なものと考えます。さらに、全国で千を超えます地方公共団体のいわゆる上乗せ、横出し規制の是正につきましても、今回の改正によりまして行き過ぎた規制が適正化されるものと強く期待しております。  次に、輸入品専門売場特例法案について申し上げます。  我々チェーンストアは、国際化の進展に対応いたしまして、製品輸入の拡大に努力するとともに、消費者に豊富な品ぞろえでお求めになりやすい輸入商品を提供するようにこれまでも努力してまいりました。今回の特例法は、これらの努力を助長するものであり、消費者の選択の幅を拡大するとともに、輸入拡大の可能性を増大するものと考えます。昨年五月末から運用上緩和措置がとられました百平方メートル以下の輸入品売り場の数は既に六十に達しておりますが、我々といたしましては、本法をできる限り活用し、一層の製品輸入の拡大に努力してまいりたいと思っております。  次に、特定商業集積法案について申し上げます。  我々は、これまで大規模ショッピングセンター等の建設に際しまして、関係する中央、地方の行政機関が極めて多く、いろいろ不都合も感じてまいりました。今回、町づくりの観点を踏まえられまして、通産省、建設省、自治省等関係省庁が一体となって高度商業集積の建設を促進されるとともに、高度商業集積づくり等総合対策のために、通産省におかれまして千六百二十一億円に上る支援措置を用意されました。また、建設、自治両省におかれましても関連する公共施設の整備促進を初め所要の支援措置が講ぜられましたことは、今後小売商業全体の発展消費者利益に寄与するものであるというふうに考え、すべての関係者から大いに評価されているというふうに存じます。  この施策につきましては、当業界としても積極的な参画を行いたいと存じております。活用しやすい制度となるように御配慮をお願いいたしたいと存じます。  さきに述べましたように、今後の消費者ニーズを考えますと、小売商業界は、大型店と中小小売商の対立というのではなく、すべての小売商業界が有機的に一体となって店づくり、町づくりを行うことによって、初めて消費者の豊かな消費生活に奉仕できるものと考えております。その意味におきましても、今回の商業集積づくりのための法案は、中小小売商業振興法改正案及び民活法の改正案を含めて極めて適切なものと考えます。  何とぞ、十分御審議の上、一日も早く内閣御提出の五法案が成立し、小売商業の振興と消費者ニーズにこたえるとともに、国際的にも高い評価をかち得るように強く希望いたしまして、私の意見陳述を終わります。  ありがとうございました。
  62. 前田勲男

    理事前田勲男君) ありがとうございました。  次に、山本参考人にお願いいたします。
  63. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 全国商店街振興組合連合会理事長の山本でございます。  まず、先生方には、日ごろ国政の立場より、商店街、中小小売商業の振興発展のために特段の御尽力、御配慮を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。また、本年度予算の魅力ある商店街商業集積づくりの総合的対策につきましても格別の御配慮を賜りまして、ここに厚く御礼を申し上げる次第でございます。  それでは、私の所見を述べさせていただきます。  御承知のとおり、商店街を取り巻く環境は、消費生活の高級化あるいは多様化、生活者の価値観の変化、交通体系、都市構造の変化、さらには昨年五月の運用適正化措置により、滞留案件が二千五百件と言われる大型店のハイペースの出店申請が行われまして、ますます厳しさを加えておるわけでございます。  このような状況のもと、大店舗法関連五法案が提出されたわけでありますが、この中で大店舗法の改正につきましては、残念ではありますが、関一係審議会での審議、格段の振興策の拡充等、諸般の情勢を考慮しつつ、さらには中小小売業者の事業機会の適切な確保を図るという大店舗法の目的に則して厳格かつ慎重な調整処理がなされることを要請し、やむを得ないと判断しておるところでございます。  また、魅力ある商店街商業集積づくりのための中小小売商業振興法改正商業集積整備法の制定等につきましては、強く支持するところでありまして、この施策を活用商店街の活性化に積極的に取り組んでまいる所存でありますので、その早期成立、施行を望むものであります。  個別案件につきましては、まず、大店舗法改正案の実施等に際しましては、次の点について格段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  一つは、中小小売業者意見が大店審の審査の過程で的確に反映されるよう、関係者の十分な話し合いの場の確保と大店審の審査体制、機能の充実を図っていただきたい。  具体的には、一つ、大店審の地方部会等の組織体制を拡充するとともに、その事務局体制の強化を図っていただきい。  二つ目には、大店審地方部会委員の選定については、地域の実情や商業事情に精通している者であることはもちろん、商業問題専門家の立場から中小小売業者を入れるとともに、都市計画等の専門家も入れていただきたい。  三つ目といたしまして、大店審意見聴取対象者の小売業者の選定に当たっては、商店街団体の推薦を尊重していただくとともに、学識経験者の選定については、都市計画等の専門家を入れていただきたい。  四つ目といたしまして、交通体系、都市構造の変化等による大型店の商圏は近時著しく拡大しており、市町村城を超えた広域的な観点から調整を行っていただきたい。  五つ目は、大店審の審査の過程で、出店大型店地元中小小売業者の当事者間同士の直接の話し合う場を設定していただきたい。  六つ目といたしまして、審査要領の見直しに当たっては、従来の経済性指標に加え、町づくりの観点の比重を高めていただきたい。  二つ目といたしましては、町づくり視点が大店審の審査に強く反映されるよう、大店審における市町村長の意見表明の機会をぜひとも確保していただきたい。  三つ目は、改正店舗法施行後二年以内に同法の見直し、検討を行うことについては、一部の特定地域であっても、規制の撤廃は大店舗法の調整制度そのものをなし崩しにするため、撤廃は絶対に行わないでいただきたい。  次に、中小小売商業振興法改正及び商業集積整備法の制定につきましては、中小小売業者が新しい商業環境に的確に対応し得るよう、商店街の近代化、高度化、さらには良好な郡市環境づくりを通産省、建設省、自治省の緊密な連携のもとに強く推進していただく必要があり、税制上の特例措置、債務保証等とあわせて、一刻も早く成立、施行させていただきたいと存じます。  ただ、商業集積整備法の実施に際しましては、あくまでも商店街中心の町づくりを推進していただくとともに、高度商業集積の整備に当たりましても、既存商店街への影響に運用上十分配慮されるよう特にお願いを申し上げます。  また、市町村の作成する特定商業集積整備の基本構想は、大店審における審査の過程で、町づくり視点から最大限の配慮が払われ措置されるようお願いを申し上げます。  私ども商店街は、豊かな消費生活の提供者として、また都市の顔として、その重責を果たすべく日夜商店街の活性化に取り組んでいるところでありますが、先生方におかれましても、中小小売商の置かれた苦しい立場を御理解いただき、大店舗法関連法案の善処方とあわせまして、魅力ある商店街商業集積づくりのための総合的対策を平成四年度以降におきましても相当長期間にわたって維持拡充されるよう、格段の御配慮を賜りまするようお願いを申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
  64. 前田勲男

    理事前田勲男君) ありがとうございました。  次に、柴田参考人にお願いいたします。
  65. 柴田守

    参考人(柴田守君) 日本商業労働組合連合会の柴田でございます。  本日は、こういう機会を与えていただきましたことを最初にお礼申し上げたいと思います。  私は、今回の五つの関連法案につきまして、全体的には賛成の立場から、幾つか要望意見を申し上げたいと思います。  まず第一に、大規模小売店舗法の改正についてでございますが、これにつきましては、二年後の見直しを前提にして賛成を申し上げたいと思います。  私どもは、現在の小売商業の置かれている環境というのは、大手と中小が競争的共存を図れる新しい秩序づくりの段階ではないかというふうに考えておりまして、やはり二年後今回の法を見直すことが必要であろうというふうに思いますので、そういう視点を申し上げておきたいと思います。  特に、今回新しい法のもとで、大店審審議方法といいますか、こういうものが変わってまいります。この運用がどうなるのかということについても、実際に行われてみないと判断がつきにくい部分もございます。そういう点からも、二年後の見直しについてはぜひ実施をしていただくということの前提で、賛成を申し上げたいということでございます。  要望意見を申し上げたいと思いますが、第一に大店審調整についてでございますれども一つは、大店審のメンバーの中に小売労働者の代表をぜひ加えていただきたいという点でございます。もしこれが不可能であれば、そういう意見を代表する立場の方をぜひ御選定いただきたいということで御要望申し上げたいと思います。  第二に、大店審の審査内容につきましてはぜひ公表していただくように、そういうシステムでお願いをしたいと思います。  次に、第三の点でございますけれども、審査に当たりましては、地域意見というものを十分尊重するような体制でぜひお願いをしたいと思います。当然、審査基準につきましては大枠を中央でつくることになるとは思いますけれども、その中で可能な限り地域状況というものを反映できるような内容にしていただきたいという点でございます。  具体的に申し上げますと、営業時間の問題一つとりましても、非常に生活が夜型になっている沖縄地域と、生活が朝型になっている東北、北海道、こういったところでは、やはり営業時間の時間帯については配慮すべきではないかというふうに考えております。  これを全国一律に十時―七時という形で縛るというところに無理があるのではないか。総営業時間をある程度規制しながら、その中で調整を図っていくというような弾力的な対応が今必要になっているのではないかということで、地域意見が十分反映できるような大店審の審査をお願いしたいと思います。  次に、第四点目になりますが、この審査の中でぜひ労働者福祉の視点、これも考慮をいたただきたいという点でございます。営業時間、これは労働時間に非常に大きく影響してまいりますし、配送等についてはいろいろな労働環境に影響が大きいということで、ぜひそういった点も考慮に入れた調整をお願いしたいと思います。  特に、この際申し上げておきたいのは、営業時間あるいは無料配送に見られる過剰なサービス競争というのは、経済全体の効率上も問題ではないかというふうに考えておりますので、営業時間の設定、営業日数の設定、営業時間帯の設定等々については、これらの配慮もお願いをしたいと思います。  次に、輸入特例法についてでございます。  これにつきましては、あくまでも特例法ということで、時限立法であるということを明確にし、早期に廃止をすべきだという立場に立っております。これは、もう当然のことでございますが、輸入品の販売拡大に努力することについては変わりがございませんけれども、しかしこういった特例が余り多く長期に置かれるということは、問題があるだろうと。  特に今回、千平米という非常に大きな面積がある意味では自由化されるということで、大変そういう点からも大きな問題を持っているというふうに思いますので、この早期の撤廃とあわせて、その運用についてのチェックを当分の間きちっとやっていただきたいということを申し上げたいと思います。  次に、商業集積法を初めとする三つの関連法案でございます。  これにつきましては、私ども町づくりを重視するという産業政策を持っておりまして、そういう視点からも積極的に賛成をしたいというふうに思います。ただ問題は、この町づくり法案がどういう形で運用されるか、どういう形で今後この法案そのものが生きた形で活用されるかということにかかってくるのではないかということで、その行方には大変私どもも注目をいたしております。その立場から幾つかの意見を申し上げたいと思います。  一つは、町づくりと一口に表現をされておりますけれども、私どもはこの中には、先ほど宇野先生もちょっと触れられましたけれども、既存の町の活性化の問題と新たな商業集積の開発プロジェクト、この二つのものをバランスよく配置するということを意味しているというふうに思います。このどちらかが過重に行われるということは、いろいろなゆがみを生じてくると思いますので、こういった点からの運用上の配慮といいますか、あるいはバランスをとるような運用の仕方、こういうものを要望しておきたいと思います。  それから、第二の点で申し上げたいのは、ヨーロッパ各国と比べて、日本町づくりがうまくいっていないということの原因の一つは、都市計画のグランドデザインが日本にないということだろうと思います。  この法案がこういう形でできましても、一方では都市計画法というようなものがございます。そういう意味で、総合的なグランドデザインができるような状況をつくり出すことが必要ではないだろうかということで、この法案そのものについては賛成でございますが、この法案都市計画法、あるいはいろんな関連法案との調整ということがどのように行われるのか。この辺についても、私どもは大変大きな関心を持っているということを申し上げておきたいと思います。  あわせて、私どもは、それぞれ地方自治体ごとに商業近代化計画、いわゆる町づくりプランというものを早急にまとめ上げる必要があるのではないかというふうに思っております。私ども幾つかの市町村を調査いたしておりますけれども、こういった商業集積、町づくりに対して、積極的な町と消極的な町とでは格段の差が生じているのが現状でございます。そういった点からも、ぜひ各市町村における商業近代化計画、町づくりプラン、これの策定と推進をお願いしたいと思います。  そして、その計画の策定段階では、地域生活者が参加できるような場づくり、これも非常に重要ではないかというふうに思いますので、この点についても要望を申し上げたいと思います。  次に、特にこの町づくり法の中で、交通アクセスの整備、駐車場の問題、駐輪場の問題等につきましては、公共の立場からも力を入れていくべきではないかというふうに思います。今回特に地価税が新たに持たれるということで、それぞれの企業における駐車場対策が一段と困難になると思います。そういう視点からも、ぜひ駐車場、駐輪場等についての公共としての役割の発揮、このことを求めたいと思います。  さらに、そういった都市環境の保護あるいは整備に向けての公共投資、これは四百三十兆円というような問題もございますけれども、これについても格段の配慮をする必要があるのではないかというふうに申し上げておきたいと思います。  もう一点、今回の基本方針の策定につきましては、通産、建設、自治、この三省が関与するという形になっておりますけれども、私どもが今の交通アクセスの問題を重視するという視点から、この法の基本方針の策定に運輸省を参加させるべきではないだろうかというふうに思っておりますので、これについても要望を申し上げたいと思います。  最後に、今こういった形で五つの関連法案審議されているわけでございますが、ぜひ商業関係について一つ法律でより多くの枠を設定する、大きな枠を設定するという時代に来ているのではないだろうかということで、私どもは、小売商業基本法の検討ということを問題提起したいと思います。  この小売商業基本法の中で幾つかの視点がございますが、一つは、やはり週一回休業制といったような労働者福祉を重視する、そういう視点からの小売商業全体に対する一つの大枠をつくるというようなことが必要だろうと思いますし、町づくりについては、大手と中小が競争的に共存する環境づくりというような意味からも、こういった一つ法律で大手と中小との調整を図るという、調整のための基本法が必要ではないだろうかというふうに思うわけでございます。  そして、こうした小売商業基本法のもとでは、より地方分権化を推進するということで、今回はこういう形で大店審について問題提起をさせていただきましたけれども、さらにこの二年間の審議等を見た上で、改めて大店審のあり方について検討する必要があるのではないだろうか。  そういうような点からも、ぜひ小売商業基本法的な大きな法案審議あるいは検討ということをお願いして、私の意見にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 前田勲男

    理事前田勲男君) ありがとうございました。  それでは最後に、三村参考人にお願いいたします。
  67. 三村光代

    参考人(三村光代君) ただいま御紹介いただきました日本費生活アドバイザー・コンサルタント協会の副会長三村でございます。  私どもの会は、設立しましてまだ三年、ことし三周年を迎えるというような若い団体ですが、実際にその中のメンバーになっております消費生活アドバイザーは、十年前に通産大臣の認定試験を合格した者たちの集団としてスタートした制度の者たちでございます。それから、消費生活コンサルタントは、三十七年から養成されておりますコンサルタントの養成講座の修了者として、消費者側に立って消費者の知恵袋として活動してきた者たちが、ややスタンスの違った者たちが集まりまして、昭和六十三年に通産大臣から許可をいただきました社団法人でございます。  現在、会員数は千八百三十を数えるまでに至りまして、消費者問題の専門家集団としては日本一を誇れる団体になったと自負しております。ちなみに、私どもの会の会長は、本日一番初めに御発言をくださいました宇野政雄先生でいらっしゃいます。  それでは、消費者といたしまして、大店法関連法案に対する意見を要望も踏まえて述べさせていただきたいと思います。  私どもの会員の中にも全国商調協委員をしている者がたくさんおりますので、その会員たちの声の代弁というつもりで発言したいと思います。  大店法改正され、大型店出店調整がスムーズにいくようになれば、消費者にとっては買い物の場が広がることになるので、歓迎できることだと言えます。しかも消費者は、多くの品ぞろえから欲しいものを適切な価格で選べることを望んでいるのですから、大型店舗が自分の生活圏内にふえることは大変喜ばしいことだというふうに思っております。  したがって、大店舗法の第一条に挙げられておりますように、消費者利益保護を基盤にして改正店舗法が運用されるならば、大いに評価できると期待いたしております。  また、大型店出店調整が最悪の状態では十年もかかったという例もあるというふうに聞いておりますが、私の近くでも九年かかって、出店をあきらめたというような例もあります。  そういうような中で、現在出店調整商調協という調整機関で行われているわけですが、その審議の場が公開されていないという不透明な中で行われているというところにも、いささかこれが消費者側から見たら元凶だと言われている点もここにあるのではないかというふうに思います。  会員たちの意見も聞いてみましたが、多くの商調協委員の方たちの意見としましては、委員の構成や選定の仕方にも問題があるのではないか、実際に何回審議をしても平行線のまま交わることがないというようなこともある、それから消費者代表の発言を封じるような意味での主宰者側等の発言も出ているというような話も聞いております。  その意味で、今回改正されまして、商調協を廃止した上で大店審という審議会の中で手続が踏まれていくということでありますが一層の迅速化、明確化を図るということでは期待できると思えるのです。  ただ、いささか気になりますのは、商調協全国に現在千数百あるのに対しまして、この大店審は地方部会がわずかに十六しかないというふうに聞いておるわけですが、これで迅速化が図れるのだろうかという疑問があります。しかも、地域の声を集め調整する機関がないと対応し切れないのではないかと思われ、大店審構想が念仏にならないように願っております。  何だかんだ言っておりましても、これまでの商調協には複数の消費者代表がメンバーとして参加しており、消費者の声が主張されていました。ところが、これからはこれがなくなってしまうのではないかという心配を私どもは抱いております。大店審委員の中にぜひ消費者代表を加えることをお考えいただきたいというふうに思います。消費者不在の中で大店審審議されていくようなことがないように、ぜひ消費者代表としては声を大にして要望したいと思います。  それから、審議の内容を透明化させるという意味で、ぜひ審議内容は公開するということを義務づけていただきたいと思います。それが消費者だけでなく地元の事業者の方からも信頼を得る一つの手段になるのではないかというふうに私は思います。  それでは、消費者は大店舗がたくさんそろうことがいいのではないかと考えているような私も意見を今まで言ってまいりましたが、実際には、消費生活というのは随分多様化してまいりまして、たくさんある品物の中から選びたいという消費者の欲望もあるわけです。私は、時間の区切られた中で商売をしている大店舗だけが繁栄していくような時代では困る、これからそうなっていくのでは困る、やはり自分の身近にあるような商店も、日本のような狭い地域の中では、絶対この存在も無視はできないのではないかと常々思っております。  身の回り品等につきましては、例えばこそくな意見で恐縮ですが、私の家などの場合でも近くの商店がストッカー役を果たしてくれているというふうに私は思っておりますし、また経験豊かな商店主から生活の知恵を教わるということも、例えばお魚屋さんなどが一番わかりやすい例だと思うんですが、そういうことも、核家族化している若い人たちには大切な生活の場になっているのではないかというふうに思います。  したがって、大型店を軸に、地元商店が共存できるショッピング街をつくることや、個性的品ぞろえの専門店、歩いていける近くの便利な店など、地元の商店のあり方について、消費者を交えて考える機会をぜひこれからも与えていただけたらありがたいというふうに思います。  さて次に、輸入品売場特例法についてですが、昔と違って、消費者は舶来品だからという考えで物を求めるような時代ではなくなってきているというふうに思います。しかし一方には、物によっては根強いブランド志向があることも確かなことでございます。  昨年、個人輸入代行業者が倒産して行方不明になったという事件があり、そのための苦情が各地の消費生活センターに殺到いたしました。これは、商品の代金を前払いするという方法をとっていたため、被害が大きくなりました。このような危険負担を消費者がしょっていたにもかかわらず利用者が意外に多かったという理由は、個人輸入を行うと、代行業者を通じても、総代理店のものより大幅に安く、外国のよい品物やブランド品が買えるということにあったようです。  一般には、消費者は、国産品であれ外国品であれ、品質が自分で納得できれば信頼できる価格で求めたいと望んでいます。輸入品売り場が設けられ、日本消費者のニーズに合った魅力ある商品が売り場に並べば、消費者は自分の目で手で確かめてから買うことができるようになり、しかも先ほど申し上げましたような被害者もつくらなくて済むということになると思います。  しかし、消費者としては、特に輸入品売り場という形で場所を決めて並べられるよりは、国産品と並べて比較して選べるようにしてもらう方が大変ありがたいというふうに思います。  また、商店街構想につきましては、公共機関等の施設と商店街が一体化して整備されるというような構想につきましては、これからの商業地域のあり方として大変評価できるというふうに私は考えております。  しかし、車で行かなければならないような郊外にこのような施設ができると、そこに向かうための車公害が発生するなど、私の近くでも隣の町の人たちが、自分の家の前を通ってショッピングセンター等に行くのだったらばつくってもらいたくないというような消費者の声が出たこともあります。そういうような車公害の問題等も指摘される中で、今考えなければならない商店街のあり方ということを一歩一歩積み重ねる形で、消費者の声を聞きながら構想を練っていただけたら大変ありがたいというふうに思います。  これから高齢化社会に向かい、高齢者が楽しみで毎日行けるような施設や、あるいはその施設に付随した保育施設を併設させるというような形をとったショッピングセンターができれば、高齢者だけではなくて、子育て中の若い母親たちもそこに出かけ、教養を身につけながら買い物ができるというような時代になっていくことが望ましいのではないかというふうに思います。  そういう中で、消費者の消費行動が大きく変わってきたということももちろんありますが、生活パターンが大きく変わり、今や専業主婦が昼間買い物に行くということは、全くないとは申し上げませんが、大変少なくなっております。帰りがけに慌てて商店に飛び込んで買い物をするというような働く主婦が多くなってきているという中で、その生活パターンに合ったような店舗展開をしていただかないと、これからの大店舗にしても、それから小さい中小小売店にしても伸び悩むのではないかというふうに思います。  また、消費者も生活パターンが変わったというだけではなくて、先ほどどなたかの先生もおっしゃいましたが、このごろの消費者が、買い物については割合自己主張しているのですが、例えばスーパーに買い物に行くときには買い物袋を持っていくというパターンがいつのころからかなくなってしまい、すべて受け身で当たり前という考え方消費者が走っていることも、これは、消費者として反省していかなければならない問題だというふうに思います。  以上です。
  68. 前田勲男

    理事前田勲男君) ありがとうございました。  以上で各参考人の御意見の開陳は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  69. 穐山篤

    ○穐山篤君 各参考人には、大変ありがとうございました。  それぞれ表現の仕方、視点の違いはありましたが、おおむね賛成という立場で補強意見が多かったというふうに思うわけであります。  実は、当委員会では前に独禁法の改正の問題を扱いました。これは、日米構造協議の結果、双方が合意をしたものを法律にしたわけです。今回、大店法外四つの法律についても、日米構造協議の合意の中から最良なものを政府が提案をしてきた、こういう性格のものであります。  そこで、宇野先生、永山先生にお伺いをするわけですが、日米構造協議というのは国対国の相談事項で、四百三十兆円を含めて一応整理整とんされたわけですが、ただアメリカには、御案内のとおり、包括貿易法三〇一条というのが別にあるわけです。常にこれが日米の貿易摩擦などのときには出てくるわけです。ブッシュ大統領もおととし、日米構造協議とスーパー三〇一条とは別でありますよというふうに態度を表明しているわけです。非常に私ども気にしているわけです。  さて、今回出しております大店法などの改正の問題について、これから見直しもあるわけですけれども、先生方が専門的に勉強されておって、今回の法律が成立した後、これでいろんな実績が積まれていくわけですが、新しいこの分野における貿易摩擦というものが予想をされるのではないかと私は危惧をしているわけですが、先生方はどういう御感想を専門的にお持ちか、まず最初に大きな視野からお話を承りたいと思っています。
  70. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) 私は、やはり今お話のありましたような日米構造協議を受けて、特に皆それぞれの今参考人の先生方もおっしゃっておられたと思いますが、その中身が透明性でございますか、そういったような形で、それは必ずしも国内だけではなくて国外の方もごらんになればよくわかるわけでございますから、その点がはっきりするならば問題はアメリカの方々も特に御異論はないのではないか、こういうように私は思います。
  71. 永山利和

    参考人(永山利和君) 日米構造協議自体に対する評価という点が一つと、それからその中での大店法の今後の運用及びその将来という御質問趣旨だったと思います。  まず、第一の点につきましては、私率直に申し上げまして、三〇一条を抱えながら市場開放を要求するというのは、甚だ矛盾した態度があるということを指摘しなければならないと思うんです。同時に、その矛盾した態度をそのままにして、現在の構造協議のような、そういった日米間の二国間協定というものを先んじることは、恐らく他の国々との貿易問題へ発展していくことにもなりますので、交渉あるいは協議のルールとしても必ずしも得策ではない面が出てくると思うんです。恐らく、現在のような方向で貿易摩擦がある時点でアメリカが納得する形で解決する日が来るだろうかということを考えますと、問題はほかのところにあるように思うんです。  例えば、農産物あるいは商業、建設、それぞれの個々の協議分野を見ましても、一つ一つを仮に解決したとしても、貿易摩擦自体が根本的におさまるという状況が来るとは予想されません。したがいまして、こういった矛盾した関係、ねじれた関係というのが、今後どういうふうにすれば弱まるかという事態は、努力しなければならないにしても、このままの姿勢を受けとめていくだけでは問題の解決にはならない。むしろ、我が国の感じていること、あるいはアメリカ自身の持つそうした二面的な主張というものをやはりきちんと主張するとともに、一体この貿易摩擦自体の根幹がどこにあるかということについて、もう少し双方のはっきりした意見を了解、コンセンサスを得た上で、それぞれの個別分野の協議というものをするような、そういう対応が必要なのではないかというふうに感じております。  それから、そういう関係で大型店規制というものの緩和問題が出て、またそれに対応するさまざまな既存の商業への対応策ということが論議され、もしそのままいくとすれば、今後の日本商業というものにかなり大きな影響を与えることになります。先ほど申しましたように、この問題は、単に商業問題における市場開放という角度だけの議論では済まない側面を持っております。  したがいまして、我が国全体の商業に対する商業者、あるいは大型店の経営者、あるいは消費者、あるいはその地域のそれぞれの特殊な発展を遂げてきた我が国の商業の事情、これはアメリカの歴史に比べますとはるかに古い商習慣も持っておりますし、また非常にすぐれた問屋機能あるいは流通配送機能というものを持っている国であります。そういうものを全く御破算にするというようなことになることは、甚だ国民経済全体の効率にもマイナスになる面がありますので、そういう点をもう少し主張して、そしてアメリカが考える商業と我が国で考えている商業とはもともとその土台が違うということを、もう少し理解していただくことがこの問題の処理に重要なのではないか。  あわせまして、大型店そのものと小売商業との関係という問題につきましても、先ほど申しましたように、小売商業は確かに減少してきてしまっていて、それがすべて大型店によるものというふうには言えない面があるかと思います。しかし、さればといって全く影響がないかといえば、これまで商工会あるいは商調協でさまざま問題になり、かつそこにもまだ投影されていない商業者の意見も多数ございます。  そういうことから考えまして、この問題の処理についは、協議に参加できない蚊帳の外の業者が非常に多いということを改めて主張しておかなければならないし、そのことがひいては国民生活の、特に近隣的な商業というものを我が国は非常にこれまで発達させ、そしてそのことが高齢者社会あるいは子供の多い社会にも対応できた理由でもございますから、今後ともそういう面の特殊な事情というものを、日本の特殊性だけを主張するという意味ではありませんけれども、しかしそういう点の理解を十分した上での協議ということを進めなければならないというふうに思っております。
  72. 穐山篤

    ○穐山篤君 次に、同じ問題で、宇野先生、永山先生、チェーンストアの会長さん、それから商店街振興組合の山本さんにお伺いをしたいと思います。  日米構造協議を経て、政府が法律を出すことになった。当然、消費者、生活者に対する十分な配慮、それから手続の簡素化と迅速化、それから明確化、透明性、それから輸入の拡大への配慮というものを念頭に置いて出しているわけです。ところが、政府の原案でいきますと、商調協を廃止して大店審ができる。これは七名の委員で構成をするわけです。それから、地方に十六の部会が設置をされる。委員の方が五名とも言われているわけです。我々主張して、審査のあり方を変えたらどうかという主張もありますけれども、原案はそういうことになっているわけです。  そうしますと、日本全国何百件というものを全部そこで扱うことになるわけです、大型店の申請が出た場合。果たして、それを迅速に審査ができるだろうかという技術的なあるいは専門的な心配、懸念が生じてくるわけです。十六の部会があったとしてみても、補うのにはまだまだ不十分ではないかということが考えられるわけです。  そこで、どうしても審査の基準というものを天下に公表して、なるほどと納得できるものがなければならないというふうに思いますし、使ったデータ、資料というものは公表をする。これは、アメリカ側あるいはEC側にしてみても多分そういうものを期待するだろうし、国内の商店の方々、消費者の方々もそれを期待していると思うんです。  こういう点について、四名の方から特別御意見があろうと思います。例えば、審査基準についてはこういうふうにあってほしい、あるいはデータの公表は最小限度この範囲までにしてほしいと。  それから、異口同音に出ましたのは、消費者の代表を入れてくれ、あるいは地域のそれぞれの都市計画の専門家も入れてくれと。こうなりますと、こんな小人数のものに全部詰め込むことが非常に難しいわけですね。ですから、もっと審査体制を、この七名なり十六の部会に押し込めることが無理だとするならば、別な道も必要であろうと思います。  さてそれから、過去商調協で取り扱ってまいりましたが、相当長い期間がかかっています。その期間のかかっている間、途中で出店を取りやめる、申請を取りやめるというところも出てきているわけです。それから、過去もそうでありましたが、その大型店のスペースについて大型店自身が苦情があった、あるいは近隣の商店街から不服がかなり出ているわけです。  そういうものが商調協の中で議論されているわけですが、今度は不服審査といいますか苦情処理といいますか、そういうものが公式に政府の提案では設けられていないわけです。従来は、商調協なりなんなりの場で意見のある者は言って、通るものもあっただろうし通らないものもあったと思うんです。しかし、十分に意見が通らなかった。出店側でもそうだし、受け入れ側でも不満が残った。その場合の苦情処理といいますか、解決の道が公式にはふさがれている感じがしてしようがないのです。何とか方法を考えるべきだというのが私ども意見なんですが、このことについても御意見が当然あると思いますから、四人の方にお伺いをしておきたいと思います。
  73. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 私ども、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、大店審のいわゆる機能の拡充ということをお願いしておるわけでございまして、現在は十六カ所ということでございまするが、現在の出店状況等々、昨年末で調整の件が二千五百件、それから年明けも三月まで毎月約百件ぐらい出ておるわけでございます。そういう観点から考えますと、少なくとも大店審は各県に一カ所置いていただきたいということをお願いしておるわけでございます。  そして、審査基準等々につきましても、消費者人口とか、いわゆる周辺の店舗展開の量の問題とか、あるいはある程度将来を展望しての余裕を持った店舗とかというような、いろんな指数を集めて検討していただければ、おのずから答えが出てくるのではないかというふうに思っております。  ただ、委員の選定でございますけれども、でき得れば我々業界の代表者の意見も聞いていただける場を欲しいと思っております。私ども全振連といたしましては、今度いただきました予算が、国から県、そして商店街は現場が各市でございます。したがいまして、国、県、市の流れの中で、市と一体になってこれから緊密な連携を持って町づくりを考えなければならないと思っておりますので、そういう流れの中でこの問題を解決していただきたいなと思っておるわけでございます。  委員につきましても、できれば専門家、ここでこういうことを申し上げてはどうかとは思いますけれども、例えば各県、市のOBの長年町づくり等の経験のある方に地方大店審委員になっていただいて、その市その県の将来展望を考えて、どうあるべきかというような発想で調整をしていただければありがたいと思っておるわけでございます。  いずれにしましても、今後の出店ぐあいということもまた予想しなければなりませんが、いろいろ地価の問題あるいは人不足等々の問題もございますので、今後の展望が一体どうなるのかというのは非常に難しいことではございますけれども、そこいらを大体見通していただいて体制づくりをしていただきたいと思っておるわけでございます。法律改正はともかくとして、運用の面でそのようなきめの細かいことをしていただければありがたいと思っておるわけでございます。
  74. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) お答え申し上げます。  大店審につきましては、私どもが伺っておりますのは、十六の地方部会をかなり数をふやして対応されるというふうに承っております。確かに、御指摘がございましたように、十六ではスムーズな運営はあるいは難しいのかなというふうに思います。  ただ、今山本参考人からお話のありました出店数につきましては、現在の出店数の中で極めて大きな部分を占めておりますのは第二種小売店舗でございまして、それは、ロードサイドにおけるホームセンターとか紳士服とか靴とか、従来の店舗からすれば比較的大きな店舗が第二種大型店として出店表明、届け出がされているわけでございます。したがって、通産大臣が御所管になります百貨店とか私どもチェーンストア協会の加盟企業の出店につきましては、現段階までは滞留している部分がございますからある程度の数が多くなっていると思いますが、今後の出店につきましては、経営的な見地から考えましても、年間多くても数十店舗というオーダーのものであろうというふうに思います。したがって、ある程度の数の大店審をふやしていただければ十分の御審議をいただけるのではないかというふうに思っております。  それから、審査基準についてどう考えるかというお話でございますけれども、いずれにしても、商業界あるいは消費経済の変化というのは非常に大きいものでございますので、かつ地域的にも差異があろうかと思いますので、余り固定的な審査基準をつくることには、私は問題があるのではないかというふうに思っております。現在までも大店審の方で審査基準についていろいろお考えをいただいたという経緯もございますので、審査基準をそれぞれ大店審でフレキシビリティーを持ちながらおつくりいただくことについて、私は反対ではございませんけれども、一律に固定的に長期的な審査基準をつくるということには若干の疑問を持っております。  それから、構成のメンバーにつきましては、当然、消費経済を中心として学識経験をお持ちになる方々が中心になって御調整をいただくのがいいだろうと思いますし、あるいは法律趣旨からいたしましても、小売商業者の意見消費者意見が反映できるような形の人選が行われることが望ましいというふうに思います。これまでもそういう形で構成をされておりますので、今後について私どもとりわけ心配はいたしておりません。  以上でございます。
  75. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) 今、お二方からお話がございました。  私は、たまたま大店審の七人の委員の一人としてやっておるわけでございますが、大変古いときからやっておりました。百貨店審議会のときにやりまして、それから大店審に変わってからもやりまして、延長してはまずいというようなことで五、六年前にやめたわけですが、また昨年から戻るとこんなようなことでやっているわけです。  いろいろの御意見がございましたが、例えば審査基準云々というようなことでは、前の四十八年の大店法ができましたときの審査指標というようなものをつくりましたのは、私は座長役をさせられてつくった覚えがございます。今日考えてみますと、また今、実は大店審の中で指標を云々するということについて専門の先生方に御協力をいただいて作業が始まっているところでございます。  過去と今を考えますと、高丘さんがおっしゃられたように、過去と少し違いまして、いわゆるホームセンターのような専門店などがロードサイドへどんどん出てきている。こういう点で、過去と比べてみますと、かなり異質なものが出ているというような気がするわけでございます。大きな流れなのかどうか、百貨店が出た時代、スーパーが出た時代、今度は専門店とでもいいましょうか、そういうものが出てくるというようなことで、変わってきているなという気もいたします。  その辺を考えてみますと、審査指標という具体的な数字で云々するという点につきまして、もし御期待されるものが、指標というものがぱちっと出てきたらば、そこでもう何も弾力的なことは考えられないということになりますと、我々はきょうの夜は何を食わなきゃいけない、その次の日はまた何を食わなきゃいけないというふうなことになると同じことで、絶対的なものというのは私はあり得ないと思うんであります。ある幅が出てくるということだけは数量的に考えられると思うんですけれども、その中で、先ほど来お話がありました営業時間であるとか休業であるとか店舗面積の大きさ云々というような、そういうことが総合的に判断されるということが望ましいとも思っております。  事実、過去においてそういう形で審査要領というものができておったはずでありますが、ただ過去をとってみますと、商調協の方がこれを活用されて云々したけれども、いつまでに解決しなければならないということがないから、七年も八年も九年もたったということがあるわけでございます。今度はおしりが決まっているわけでございますから、その点でいろいろとやっていかなきゃいけないということで作業は進められていくと思います。  さっき申し上げましたような点で、その後いろいろ統計処理とかそのほかの問題に関しても、過去よりはいろいろと基準というものをつくるのにはやりやすくなった状況もありますので、その辺は十二分に検討して我々はその作業をやっております者としては、御趣旨に沿ったようなものをやっていく、解決していく方向へ向かわなければいけないのかな、こういうように判断をしております。  以上でございます。
  76. 永山利和

    参考人(永山利和君) 第一の点でございますけれども、最近の出店申請ラッシュの状況に見られるような動向が今後どうなるかという問題につきましては、やはり高丘さんもおっしゃっていましたけれども、非常に多様な形態が考えられると思います。その中には、例えばハイマート構想のように大変規模の大きいものも含まれる。これは、その地域のあるいはもう少し広域的な交通や人の流れを大きく変えるもの、あるいは地域商業サービスのあり方にも大きな影響を持つようなものも当然出てまいります。それから、そういう多様な展開があるだろうということでは今後も、従来は商業分野の展開ということですけれども、いわゆる異業種間の提携やそれから新規参入というようなこともありますので、その範囲もさらに広がるのじゃないかというふうに考えております。  それから、二番目の審査基準ということについてでございますけれども、やはりこれだけの多様化とそれから出店の数というものを考えますと、この問題をどう処理するかというのは、その商業のあり方あるいは活性化をどう維持していくかということもさることながら、やはりどうしても次の三点ぐらいは、審査基準というふうに言うべきかどうかは別としまして、考慮しなければならない要素が大変あるのじゃないかというふうに思うんです。  その一つは、やはり都市計画との調整をどうするかという問題であります。当然それは、土地利用というものをどう考えていくか、またそれを動かす場合にどうするかというようなことも含めまして、土地利用、都市計画との調整という要素はどうしてもこれは避けて通れないと思います。  それから第二番目は、交通体系に影響を与える問題について、一体これをどうするか。特に、かなり日本の車というものの利用効率というのが悪くなってきておりますので、一体こういうものを放任、放置しておいて果たしていいかということになりますと、別に車を乗るなということではございませんけれども、しかし過度に、車の渋滞あるいはそれによる二次、三次の大気汚染あるいは排気ガス問題、こういうものをやはり放置できない段階にもう来ております。  事実、私の体験でも、三鷹市で聞いたことでございますけれども、非常に交通渋滞の地域に新たに立地する店の影響を心配する周辺の方々は、まず何よりもぜんそくの多発というようなことを言っておりまして、そこにさらに車の負荷がかかるという問題に対して大変ナーバスにならざるを得ない、そういう数値が出されているわけです。  これを考えますと、やはりある一定地域に車がさらに集中してくるようなそういう状況に対して、何らかの規制をせざるを得ないものがあると思うんです。それから、そういう意味では交通体系との整合性といいますか、あるべき合理的な姿というものをやはり調整要素として考えなければならないと思うんです。  それから、三つ目としまして、従来からございます営業時間の問題につきまして、やはりこれは先ほど柴田さんもおっしゃっていましたけれども、我が国の夜間労働の急速な増加というのはこれは国際的にも問題でございまして、一年間の労働時間数の問題もさることながら、その勤務形態の多様化といいますか、夜間化という問題にやはりある程度の歯どめをかけていく時代であろうと思うんです。  夜ももちろん生活をエンジョイすることは自由なことなんですけれども、しかしさればといって、そのために不要なまでに営業を延ばしていく、あるいは場合によりますと、アルコール類あるいはたばこ類の自動販売機というふうなものが、果たして営業の自由ということから許されていいかどうかというのは、私はもう少し検討すべき材料ではないか。  世界的に見まして、たばこ、酒の自動販売というものをこれだけ大っぴらにやっている国というのは、さほど見かけない。にもかかわらず、健康に対する留意あるいはアルコール摂取の多量化に伴う問題というのは、まだ十分認識されていない、そういった後進性があるように思います。  そういうものを含めまして、やはり何らかの商道徳、あるいはこういった営業活動というものの野放し的な自由というのは、やはり考えなければならない点があります。  これは、それぞれ消費者ニーズというものとどうかみ合わせるかという議論もありますから、大いに議論していただきたいと思うんですが、最低限、都市計画、交通計画、さらには営業時間、この三つの要素について何らかの規制を設けることは、決して消費生活を著しく制約するということには至らない。これは、先進国がいずれもそれなりの処置をしている経験を見ましても、この点は営業の自由を妨げるということにはならないで、十分クリアできる要素であります。  そういう基準を設けながら、しかし十六部会なりあるいはそれに多少プラスするという程度の審査では、なかなかこれらの問題に十分対処できない、あるいは従来の自治体のそれぞれつくり上げてきた地域計画や都市計画の実情というものを十分とらえていけないのじゃないかという危惧もございますので、やはり自治体レベルの協議というものをもっと重視するような審査の方法を考えるべきではないかというふうに思います。  しかし、全体としまして、この今回の改正の中には、審議期間を切るということによりまして、いわゆるそれらの真に議論すべき時間を制約してしまっているおそれがございます。そういうことのないように努力してはいただきたいわけですけれども審議委員、審査のメンバーの多様化ということとあわせまして、時間を切るということと民主主義とをどう両立させるのか、この辺をぜひお考えいただきたいというふうに思っております。
  77. 穐山篤

    ○穐山篤君 今の問題に関連をして、三村さん、柴田さん、それから高丘さん、三名の方にお願いをしたいと思うんです。  外国の場合でも、規制の緩和をして何でも御自由にとはなっていないわけです。ちゃんとしかるべく大型店の適正配置だとか、それから都市計画であるとか、ゾーンの問題であるとか、なかなか厳しい一定のルールがあるわけです。そういう意味では、外国のことも大いに参考にしなきゃいかぬわけですが、従来出店をする、許可が出るまで非常に長い時間がかかってきたのを短くして、迅速化を図ろうとしているわけですが、しかしそこには障害がどうしても出てくるわけです。  この間の統一地方選挙で全国応援をして回ってみますと、知事でも市長でも言うことは、公害のない環境を十分に保全して町の活性化を図ります、魅力のある町づくりをやりますと、みんなもう社会党から共産党まで同じことを言っているわけです。あるいは自民党もそうなんです。言いかえてみれば、地方公共団体の長はそれを公約にしているわけです。政治公約ですから、できるだけ調整をしながら町づくりをやりたいという意味では、地方公共団体の意見を全く無視することはできないと思う。  しかし、期間は四カ月、長くてもあと八カ月というふうに限定されているわけです。相当知恵を出さなきゃならぬと思う。ましてや、私の地元でも夜の時間の延長を一時間やるかどうかで大もめにもめているわけですが、従業員、社員の生活の条件というものもありますし、交代制をどうしてもしくということになりますと、人材雇用の問題がかかってくるわけです  そうなりますと、総合的に勉強しなきゃならぬということになるわけですが、そこの出店をする側と受ける側の商店街ないしは地域、地方公共団体との調整をやらなきゃならぬというのは、異口同音に言われているわけです。私ども特に社会党の場合にはその点を重視しているわけですが、今回の場合期間が非常に少ない、相談をする場所も機会もチャンスが少ないということが難点になっているわけですが、これを補強することについて何か特別の御意見があるかどうか。  それから、先ほど四人の方々にお伺いしましたが、お答えがもらえませんでしたのは、大店審で決定された後、直接当事者あるいは間接当事者から不服の申し立てをするルールが公式にはないわけです。それでよろしゅうございますかといえばちょっと酷になるんですが、そういうことについて特別のお考えがあるのではないかと思ってお伺いをしたわけですが、もう一度その点も含めてお考えをお伺いしておきたいと思うんです。
  78. 永山利和

    参考人(永山利和君) 最後の点を落としましたので、補足させていただきます。  審査期間も短くなり、かつ全体として審査機会も減小しておりますので、むしろ逆比例的に不服に関する意見の聴取の機会をもっと設けるようなそういう改正が必要なんではないかというふうに思います。
  79. 柴田守

    参考人(柴田守君) 今先生から御指摘がありました欧米における規制の問題と、日本で今回規制緩和を進めているこれをどう考えるかという問題について、私どもなりの考え方を申し上げたいと思います。  確かに、先生方おっしゃいますように、ヨーロッパは法律でいろんな意味で規制をするという立場で、今までロワイエ法も含めてやってきております。アメリカは、完全自由化といいますか、そういう法律を持たない。日本はちょうど真ん中ぐらいだったわけですね。非常にある意味では、中途半端といいますか、大型店だけを法律で規制をして、そして中小の方は自由にやりなさい、そこの調整がいろんな問題を今まで生んできたというふうに私どもは思っております。そういう意味で、できればそういう調整の基本になる小売商業基本法的なものを持つべきではないのかということを先ほど指摘をしたわけでございます。  その中で、規制というものをどう考えるかという点でございますが、私どもは、規制はいわゆる経済活動の規制、これについては自由化すべきだという立場には変わりがありません。しかし、経済的な問題であっても社会的に非常に影響を与える問題、例えば今先生からまさに御指摘のあった営業時間と労働時間の関係で言えば、労働時間というのは社会的生活に非常に大きな影響を与える。そのために、営業時間に一定の規制といいますか、社会的な枠をはめるということについては、これはむしろそういうものを甘んじて受けるというのが一つ社会のルールではないかというふうに思います。  さらに、今後非常に大きな問題になってくると思います環境問題というのも、私は非常な大きな意味での社会的な問題だと思うんです。そういうもののために、都市づくりや町づくりの上で一定の規制を加えていく、このことは何ら問題がないのではないかという見解に立っておりまして、今回の大規模小売店舗法からは少し視点が外れますけれども、そういう大きな視点日本のこれからの小売商業のあり方、社会のあり方というものを考える時期に来ているのではないか。私は、今回のこの五つの関連法案の問題というのは、単に日米構造協議という視点で考えるのではなくて、日本社会のあり方として我々に問題提起をされている、こういうふうに思っております。  それから、大店審の問題について幾つか私ども考え方を申し上げたいと思いますが、確かに大店審は非常に数が少ない。そして、今かなり多くのこの大店審にかかる案件があるということについては事実でございますが、私は、この案件の数というのはある意味では過渡的な問題だというふうに思っております。これまで商調協が機能しなかったそのツケが二千五百件という非常に多くの数になってきているということで、今後大店審が有効に機能すれば、そう毎年毎年たくさん出店があるわけじゃございませんので、十六では無理としても、もう少し補助的な機関を設ければそれで可能ではないだろうかというふうに思います。  さらに、時間的な問題についても、これは私は商調協委員をやったことがありませんのでよくわかりませんけれども、実際に商調協がどの程度の審議時間を今まで持ってきたのかというようなことを考えていきますと、八カ月、四カ月というのは集中的に審議をすればある程度可能ではないだろうかということで、むしろ私どもとしては前向きにとらえて、この中で今まで以上のいい審査なりそういうものが行われるものを期待したい。しかし、結果はわかりませんから、二年間の状況を見たいと言ったのはそういう意味でございます。  それから、苦情処理機関の問題でございますが、これについても、今の大店審状況からいけば、これは異議があれば、もう一度その大店審に短い期間で審査をするという前提でかけるというようなことが運用上可能ではないかというふうに思いますので、そういう形で考えていただければありがたいというふうに思います。  それから最後に、大店審委員の中に労働者代表ということで私どもは申し上げました。あわせて申し上げたのは、そういう委員の選定が難しいというような状況であれば、意見反映の場をぜひ持ってほしいということで申し上げております。私は、大店審審議委員の数は限られていると思いますし、学識経験者がそのほとんどを占めるということについては反対ではありません。しかし、その前提は、その下部機関として一定の情報を聴取する、あるいは意見聴取をする機関を持つということが重要ではないだろうかということで、その点も含めて申し上げておきたいと思います。  以上です。
  80. 三村光代

    参考人(三村光代君) 消費者側の意見としては、先ほど申し上げましたように、今の十六というような数の大店審でできるのだろうかという不安は、大きく皆が持っていることだというふうに思います。ただ、ふやしていただけるということの問題は別にしまして、規制を余りに緩和し過ぎたため、例えば大型店同士の競合ということが起こった場合に、やはり痛み分けということが起こるのではないかという不安も持っております。  実際に消費能力というのはどんどん拡大しているわけですけれども、現実には限界があることで、例えば大店舗が私の生活圏内にたくさんできたからといって全部で買い物ができるわけではありませんから、必ず痛み分けが起こるのではないか、そのあたりも踏まえたやはり審議が必要なんではないかというふうに思うわけです。ただ、今の状態の大店審の私などが持っているような情報からいきますと、新聞情報等によれば陰の商調協が暗躍するのではないかというような情報を見ていますと、それも十分にあり得るのではないかという心配はやはりしております。
  81. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 大型店に対する規制の問題につきましては、私どもは現時点において大店法の廃止を要請しておりません。それは、現段階においてある程度の調整が行われるということは当然あり得ることであろうという認識に立っているからでございます。ただし、小売商業界の変化というのは極めて大きなものがございまして、今回の法改正に至るプロセスでも通産省の産構審の流通部会、中政審の流通小委員会との合同会議等で議論をさせていただいたわけですけれども、まさに私は不信から信頼へ、対立から協調へという時代に大きく変わってきたと思うんです。  きょう参考人でお呼びをいただきました中で、現実に商売をいたしておりますのは私と山本参考人でございますけれども、私は山本参考人を信頼しておりますし、多分山本参考人も、私どもが協調的に今後進めていくだろうということについて御信頼をいただいているというふうに思います。したがいまして、大型店の規制というものを面積とか時間とかいうことで規制をしていくということについては、議題議題によって考えていくべきことであろうというふうに思います。  そのほかの問題につきましては、先ほどもゾーニングのお話がございましたけれども、例えば日本における商業地域の指定というのは、幹線道路沿いに非常に幅の狭い商業地域の指定があるだけなんですね。今後、高度商業集積ということを考えてみますと、商業地域を面指定していかなきゃならないというような問題もあります。したがって、規制の問題につきましては、今回の五法案だけでは十分な政策的な措置にはならないのではないだろうか。そのほかいろいろな問題がございますけれども、そういう意味商業環境をこれからよりよくしていくためには、各方面にわたってどのような規制をするのがいいのかという問題になろうかというふうに思っております。  それから、町づくり地域社会との関連の問題につきましては、過去においていろいろな御批判があろうかと思いますけれども、私ども地域社会へ参入をさせていただくという上において、地域社会の、とりわけ地方文化との調和というようなことは当然配慮をしていかなければならない問題でございます。その点も最重点の問題として私どもは対処をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、不服の申し立ての問題でございますけれども、従来は規制を非常に厳しくなさってこられたということから、私どもに不満が残ったことは事実でございます。しかし、これまでも運用ルールとして、一年間を経過した後には増床あるいは営業時間、営業日数等について再申請ができるという慣行が続いておりました。したがって、私どもとしては、不服、不満はあったとしても、一年後にまた皆様とお話し合いをさせていただいて、そこで法律趣旨に従ってお認めをいただけるものはお認めをいただいてきたということでございますので、今後改正法案が成立した後にもそういうお手続をいただけるものと私どもは思っております。
  82. 穐山篤

    ○穐山篤君 先ほど柴田参考人は、見直しを含めて賛成、こういう態度を表明されたわけです。二年間実施をした上でいろいろ問題点を拾い上げて見直しをする、これは当然のことだと思うんですが、柴田さんは、予見される事項を相当念頭に入れながら見直しを含めて賛成、こう多分言われたと思う。私はそういうふうに思ったわけです。振り返ってみますと、どういうことが二年間の間で問題になり、二年後手をつけざるを得なくなると、今高丘参考人からもそれに若干触れた意味のお話があったわけですが、その点について柴田さんと高丘さんに、見直しを予想して賛成されているわけですが、こういうことが多分起きるだろう、こういうことは改められるだろう、しなければならぬだろうと、念頭の中に入っているのじゃないかと思うんですが、その点をお二人からお伺いしておきたいと思います。
  83. 柴田守

    参考人(柴田守君) 二年後の見直しを前提にということで申し上げた意味二つございます。  一つは、特に大店法に関しては、今回の改正だけでは不十分な部分があるのではないか。特に、経済的な規制に関しては、もう少し緩和をしていかなければならないだろうというふうに基本的に考えております。これは、今回の中身に入ってしまいますけれども、種別面積の問題であるとか、あるいは今後地域によってはさらに自由化をすべき地域というような地域別規制といいますか、こういうような点も含めて、相当の見直しが規制緩和という方向で必要なんではないかというような立場で第一点申し上げたわけでございます。  これは、法の根幹にかかわる部分でございますので、この二年間どうのこうのというよりも、今までの流れの中で、果たして今回の改正で十分かどうかという判断の上に立って、私どもとしてはもう少し問題点があるのではないかというふうに見ているわけでございます。  二点目の内容は、今回新たに導入される大店審審議等について、私どもは率直に申し上げて、今までの商調協の審査状況から見てより改善されるというふうに期待をしております。しかし、それはあくまでも現在の段階では期待でございまして、どういう状況になるかわからないということで、ぜひ適正な形の審議促進していただきたいということで二年の歯どめをかけたというのが第二の点でございます。  それから、私どもの立場で申し上げれば、輸入特例法につきましては、できれば早い機会に廃止をすべきだというのが私どもの立場でございまして、これについても、二年後にそういう一定の成果が上がれば、面積の問題も含めて見直しを行うべきではないだろうか、こういうような立場から申し上げたわけでございます。  さらに申し上げれば、商業集積法につきましても、果たして運用上うまくいくのかどうか、こういう問題もございますし、これは二年後ということにはなっておりませんけれども、これについても、私は早い時期に問題があれば見直しをするということがあってもよろしいのではないかというふうに思っております。これは、この問題だけではありませんが、やはり今のように非常に時代も早く動いていく中ではもっと迅速に対応する、そういう対応姿勢が法律の上でも必要ではないか、こういう立場も私どもは持っておりますので、そういう観点から二年後という問題提起をさせていただいたということでございます。
  84. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) お答えを申し上げます。  先ほど商業界が大変変わってきているのだということを申し上げましたけれども、それは、例えばお役所の御調査でも、食料品小売業というのは今六十万店以上あるわけでございますけれども、御調査によりますと、その約半数、五〇%が後継者がいないから十年以内には廃業をするというふうにお答えになっているわけです。あるいは、あるメーカーの調査によりますと、家電の小売店についてもこれも後継者難から半分は廃業することになるだろうというふうに答えていらっしゃいます。ですから今、小売商業の問題というのは、私はむしろ店舗面積を規制するということが中心的な商業政策ではないというふうに思っているわけです。  去年、日米構造協議が最終段階のときに、チェーンストア協会の会長談話という形で私は三点を申し上げました。  その第一は、商業環境を整備するために公共事業を格段に強化すべきだということが一点でございます。  第二点は、中小小売商業対策として、カラー舗装をするとかアーケードをつくるとか、そういう物的なものではなしに、もっと豊富な品ぞろえができるように、あるいは海外製品も取り扱えるように、中小小売商業者の方々にもそういう品ぞろえができるようなことについて助成をすべきだ。つまり、ソフトの面での助成が大事なんだということを申し上げました。  三番目には、中小小売商業者がさっき申し上げたような形で退出をしていらっしゃるという状況の中で、もう少し温かい手を中小小売商業者に差し伸べることはできないのだろうかということでございます。それは、つまり農業でいえば、減に対しての補助金が出るとか、離農については手厚い措置がとられているのにかかわらず、中小小売商業者にはそういうことが極めて薄い。それでは、日本小売商業のあり方がよくなっていくという上においては、私は支障があるのではないかというふうに思います。  そういう意味におきまして、したがって小売商業政策の中で、店舗の規制政策というのは非常に後順位になっていくだろう。私は、その実態というものが二年間のプロセスの中でさらに明らかになっていく。既に、去年からの規制緩和の行政措置によりまして、幾つかの商調協等における御審査の状況も非常にスムーズに多くの案件が処理をされてきております。したがって、二年後には大店法というのは存在をするとして、伝家の宝刀としては残ってはいるけれども、現実の運営においては、大店法というものをぎくしゃく運営する必要はなくなっているという状況が私は二年後には出てきているだろうというふうに思います。  したがって、その時期に、諸先生方がこの法律についてどういうふうに御判断になるのかという問題が二年後に起こってくるのだというふうに私は思っているわけでございます。
  85. 穐山篤

    ○穐山篤君 私の質問はあと二分になりましたが、輸入品の専門売り場の問題で、暫定的なものだから適当な時期に廃止をしたらどうか、先ほどそういうふうに柴田参考人から伺いました。千平米といえば十メートルの百メートルですよね。随分大きな規模であります。  私の経験でいきますと、アメリカの百貨店に入りましてネクタイを買おうと思ったら、アメリカのネクタイは余りよくないからこちらを買ってください、お薦めしますといって出てきたのはフランス製ばかりなんです。いい品物ならば多少高くとも、好みに合えばみんな買うんですよ。ですから、これは輸入を拡大するというポーズからこういうものが出たと思いますけれども、それは百貨店であろうがスーパーであろうが専門店であろうが、いいものであれば、あるいはそれになお値段が安ければ、みんなどこでも買うんです。あえてこういうことを私はやる必要はないと。例えば果物にしてみても、あるいは製品にいたしましても、それぞれ比較をしながらみんな消費者は買っていくのではないかと思うわけです。  特に、先ほど柴田さんからは、これは暫定的なものだ、こういう理念を示されたわけですが、そのほかの方で、いや、これは政策の問題として長続きをした方がいいとか、あるいは適当な時期にやめた方がいいとか、特別に御意見があったらひとつ伺っておきたいと思います。
  86. 柴田守

    参考人(柴田守君) 私の発言がそういう形になっていますので、私の方からもう一度見解を申し上げておきたいと思います。  私は、この法案そのものに反対ということではありません。現在の状況であれば、政治的、政策的な判断としてこの法を持つことはやむを得ないという判断でございますが、基本的にこういったものを長続きさせるということについては反対だ、できるだけ早く廃止をしてもらいたいという見解を申し上げたわけでございます。  まさに、特例法でございますから、それはもう先生方とお気持ちは変わらないと思うんです。ただ、私はこの際申し上げておきますと、いろんな特例法が日本にあるわけです。それが現実にはその生命がもうないというふうに我々が見えるものについても残っている、こういうものをできるだけそういう形にしないような政策運営というのがこれから必要ではないか。  今回の法案そのものには反対ではございませんけれども、できるだけ早い時期に見直しをし、できれば廃止できるような、これはまさに日米構造協議の問題ですから、そういう日米の貿易関係といいますか、こういうものに持っていくべきではないかと、そういう視点から申し上げたということを補足させていただきたいと思います。
  87. 穐山篤

    ○穐山篤君 終わります。
  88. 大木浩

    ○大木浩君 自民党の大木でございます。  本日は、六人の参考人の先生方、それぞれ遠いところありがとうございました。特に、高丘、山本両参考人は衆議院に続いての連投で、大変御苦労さまでございます。  先ほどから皆様方の御意見を伺っていたのですけれども、またこの委員会で既に通産省といろいろ議論しておりますが、今消費者の消費行動というものも、それからまた日本経済自身それから日本社会も非常に大きな変化がある。だから、その変化を全く無視して今までどおりではだめだぞというのは、これは宇野先生の言葉を待つまでもないと思います。  最近いろいろ何とか化というのが多いわけです。その一つが国際化でございまして、言葉は国際化なんですけれども、なかなかそれに追っつかないというようなことで、輸入のための特別の場所をつくるというような話は、もっとそれは私は本当は基本的な政策があればそれをやった方がいいのだと思うんです。なかなか追っつかないので、当面の政治的判断ということでやらせていただいているというふうに理解しておるのです。  もう一つは、先ほど地元へ行くといろんな市長さんが同じことを言われているということなんですが、私も帰りますと必ず地方の時代だということを言われるわけでございます。日本は余りにも東京一極集中だと、町としての東京ばっかりじゃなくて、やっぱり行政の中心地としての東京あるいは各役所というものが、今まで一生懸命やってきたのでしょうけれども、余りにも集中し過ぎているので、もっと行政を地方分権化した方がいいのじゃないかと、こういう議論が行政改革というふうな議論をしますと必ず出てくるわけです。  そこで、今回の大店舗法は、今までの商調協体制から大店舗法体制に言うなれば移行するわけでございますけれども、これをその形として見ますと、今までの商調協というのは比較的地方に近いところで議論が行われておった。ところが、今度は大店舗法ということで、何はともあれまず中央で基本的なことは決めるのだと。それから、十六ですか地方部会をつくると言うけれども、これも先ほどからのお話で、少し少な過ぎるのじゃないのと、こういうふうな議論もございます。  この点は、通産省もいろんな答弁の中で、各都道府県としての、名前はどうなるかわかりませんけれども、大店舗法の支店を設けるということですから、これは少なくとも都道府県単位ではできると思うんです。こういった重心がむしろ地方から中央の方へ少しずれていくのじゃないかということについて、これでいいのかなということが、形だけ見ていると、我々もどの党の皆さんも同じような心配があると思うんです。  そこで、宇野先生はもういろんなところで審議委員なんかもしておられますけれども、どうなんでしょうか、これは、やっぱり中央で共通にまず基本原則を決めるということが必要なのか、その場合どういうことを決めるんだろうかということについて、ちょっとお考えをお伺いしたいと思うのです。
  89. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) 先ほども申し上げたことですが、やはり全然野放しにして、各地方でそれぞれいろいろやっていただくということでは必ずしも秩序が成り立たなくなるのじゃないかなと。しかし、そうかといって、がんじがらめになるようなものを中央の大店審でつくってしまうということは、これはもうやはり意味がないと、こう思うわけです。  特に、先ほど申し上げました審査指標というような数字というのは、出しますとひとり歩きいたします。ですから、やはりその辺のところである幅のものが考えられる、その中を弾力的にどうするか。つまり、百貨店法のときから大店法ができ上がったときにも同じような議論があったのですが、声を大にする人の意見で通るというのじゃなくて、ある幅の中での議論をしていただくということが非常に意味があるのじゃないかということで指標などが作成された覚えがあるわけです。  私は、それもまた今時代が変わってきたので、さっきも申し上げたように、数量的にもかなり処理し得るものもあるし、しかしやはりあくまで幅は幅であるわけですから、その中でそれぞれが議論されるということが望ましいというような気もするわけです。ですから、そういう意味で見ると、商調協の方々が、実際にはやはり過去において、今のような数字のようなものはある一つの参考としてはおやりになったと思いますけれども、それですべてを律しておったわけではないと思うんで、その辺の兼ね合いをどう持っていけるかということがこれからだろうという気がしております。
  90. 大木浩

    ○大木浩君 宇野先生のお話を聞きましても、今まで商調協は一生懸命やっていたのでしょうけれども、余りにも現場に近過ぎるというか、利害関係者が対立しているところへ、そこへ第三者が行って議論してみてもなかなかそれがまとめ切れない。言うなれば、だれか強権を発動できる人がいない限りはなかなか決まらない、こういうことになると思うんです。  高丘参考人も衆議院の方でも述べておられたと思いますけれども、今の宇野先生と同じような話なんですが、大型店の立場からいろんな意味での全国的な整合性というものはきちんと考えながら政策をつくってもらいたいということ、抽象論としてはわかるのですけれども、具体的にはどういうことを考えておられるのか、ちょっとその辺のところ、もしも補足的な御説明がいただければありがたいと思います。
  91. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 私は、現実の出店に当たってそれぞれの地域社会とのお話し合いというのは重要視していくべきものだということは考えているわけでございます。しかし、地域別に余りにも基準が違うということになりますと、やはり今全国的に消費の態様もグレードが同じようになってきておりますので、ある地方にはごく小さな店舗しかできないということになりますと、事実上出店ができなくなるわけでございます。  現在、地方の都道府県、市町村等でおつくりになっていらっしゃいますいわゆるそれぞれの地域の規制の条例等は数百に達して、それがまた千差万別なわけでございます。ですから、すべてを地域にゆだねるということになりますと、そういうふうに余りにも差異の大き過ぎるような地方条例ができる可能性がないわけではないのではないだろうかということを心配するわけでございます。  私どもは、例えば日米構造協議にしても、この委員会でも御審議を賜りました独禁法の問題等についても、日米両国で余りかけ離れた制度、システムじゃなくしようじゃないかというのが一つの根底にある考え方だと思うんです。そういう意味におきましては、地域特性を重視しながら、しかし基本的なところはなるべく一つのルールでやっていただけるようにというのが私どもの希望でございます。
  92. 大木浩

    ○大木浩君 地方のそれぞれの特殊性は考えながら、しかし必要なものは全国的なある程度の基準を考えるというお話だろうと思います。  抽象論からいえば全くそのとおりだと思うんですが、日本の行政組織というのは非常にばっちりと網の目のようにできておりまして、つい最近も私ちょっと本を読ませていただいて手元にあるのですけれども、「鄙の論理」という、前の熊本の知事をやっていました細川さん、昔は我々の同僚であったわけですが、ここにおりましたし、それからもう一人岩國さんという出雲の市長さんで、昔はアメリカにおられた方です。  この本を見ておりますと、非常に極端な例を出しておられるのでしょうけれども、これは商調協の話と別ですけれども、例えばバスの停留所を十メートル動かしたいと言いましたら、いやいや、それは何か法律があって停留所の間隔というのは何メートルなきゃだめだとかいうようなことで、十メートル動かすのに半年かかったとか、それからちびっ子広場の公園をつくりたいので、何か補助金をくれるそうなので頼みに行ったら、やっぱり公園というものは必ず滑り台が一合とブランコが二つとか決まっているのだそうですね。これもまた地方のそれぞれの状況でそんなものは地方に判断を任せたらいいのじゃないかというようなことをいろいろ書いてございますけれども、そういうような問題があっちゃいかぬだろうということは思うわけでございます。ですから、これはひとつ宇野先生あたりは、これからいろいろと御意見を言われる場合にやっぱりその辺のバランスは考えていただきたいと思うわけでございます。  それで、山本参考人、地方部会の十六あるいは都道府県ができればもう少し数が多くなると思うんですが、そこでしっかり事務局なども整備して委員なりしっかりしたのを出せというお話が先ほどありました。事務局を強化しろというお話がありましたですね。事務局を強化しろというのはどういう意味か、これが一つ。  それともう一つは、都市計画についての専門家を入れるというお話がございました。私は、もっと日本というのはゾーニングのことを進められないのかという個人的な気持ちは持っておりますけれども、その点はまた後で議論することにいたしまして、今の地方部会あるいは都道府県にできる大店審の下部機構のあり方というのを、もうちょっと山本さんの考えておられることを補足説明していただければありがたいと思います。
  93. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 現在の大店舗法の改正という限定した範疇で申し上げたわけでございますけれども、本来で言えば、商業施策としてもっと抜本的に見直していただいて商業政策をお立ていただきたいというのが私どもの願望でございます。  これは、先ほどお話もございましたけれども、そう簡単にいかない問題でございまして、商業に対する予算をつけていただいたのもはっきり言ってことしが初めてということでございます。したがいまして、私どももこういう予算をいただいてこれから前向きに取り組もうとしておるわけでございますけれども、今まで前例がございませんのでいろんな戸惑いがあるわけでございます。したがいまして、それを踏んまえて今後対応していくということになりますけれども、大店審におきましても恐らくそうではないかなというふうに思います。  人間関係というものは、いろんな問題を考えるにしましてもやっぱりある程度知恵と時が必要でございまして、ある程度は時が解決するということもございます。特に、これの調整問題というのは、ある程度やっぱり時が欲しいなというふうに思うわけでございます。そこいらも踏んまえて、通産省の方で大店審の運営については、格別なお知恵を出していただけるものと期待をしておるわけでございます。したがいまして、二年先のというお話もございましたけれども、私どもは、また来年どうなるかわからぬというようなこともございますので、これから逐次漸進的にこれに取り組んでいきたいなと思っておるわけでございます。  特に、私ども商店街におきましては、いわゆる振興法と調整、これはやっぱりある程度はリンケージしたような格好で運営をしていただきたいと思っておるわけでございます。いわゆる大店舗法は大店舗法としてひとり歩きしちゃう、それで残ったところは中小が何とかせいよということでは、これははっきり言ってより一層ちぐはぐが出てくるので、やはり一本化して商業施策として運営をしていただければありがたいと思っておるわけでございます。  ここまでくると、大型、中小ということも考えなきゃいけませんけれども、いわゆる二十一世紀に向けて流通業界がどうあるべきだというような観点からも考える必要があるわけでございます。中小は中小としての役割もあるし、大型は大型としての役割があるというようなこともございますので、そういう問題を十分我々が認識して対応する必要があるのではないか、法律ができたから何もかも法律でどうこうというわけにもいかぬのではないかなというふうに思っております。私ども、この問題は本当に自分らの問題としてこれから検討をして、場合によれば大型店とも話し合いをして、将来の流通業界のあり方、消費者の利便を十分考え、あるいは町の活性化を考えて対応していきたいなと思っております。  今ここでいろんな注文を出しましても、大店審の宇野先生から先ほど指数をつくるとか指標をどうとかというのは非常に難しいとおっしゃいますけれども、ただ商調協でやっておりました四つのいわゆる出店の時期とか営業時間とかというようなことがございましたけれども、これからはもう少しやはり幅も広めて、先ほどお話がございましたけれども、やはりある意味においては、公害問題とかあるいは道路、交通問題等々もひっくるめたいわゆる判定をしていただかないとまずいのじゃないかなというふうに思っております。  そういう具体的な運用の内容につきましては、まだ承っておりませんし、またこれから御検討されるのではないかなというふうに思っておりますので、今の時点でそれ以上の先走った意見はちょっと控えさせていただきたいと思っております。
  94. 大木浩

    ○大木浩君 山本さんはたまたま私と同じ愛知県の生まれなんで、私も中部通産局で愛知県なり中部地方のいろんな実例なんか調べさせていただいたのですけれども、やっぱり名古屋のように二百万都市とか、もうちょっと小さくなって二十万とか三十万の豊田とか春日井とかそういった都市、それからもっと小さな、私は今人口二万以下の町に住んでいますけれども、みんなやっぱり状況は違うわけです。  ですから、そういった問題を、先ほどの十六の地方部会あるいは都道府県の単位で、まあ商工会議所なり商工会と相談して決めるよと言ってはおりますけれども、どこまできちっと意見が通るかなと。それに、さらに先ほどからの話で、労働者代表だとか消費者代表とかいろいろあるわけですけれども、そういった前提として先ほど山本さんは地方部会と言われましたですね。地方部会ないしはもうちょっと下がっても都道府県なんですが、やっぱり基本はその辺でかっちりと議論をして、それが中心になるべきだ、こういうふうにお考えでしょうか。
  95. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 要するに、今度は種別の枠が大きくなりまして、三千、六千平米がいわゆる各県で調整をされるということでございますので、それ以上のものは大店審ということになるわけでございますが、それ以上大きいいわゆるハイマート二〇〇〇というようなものもございますと、各県、市あるいは県域を越した中部圏でそういう大きいものが一体幾つ必要だろう、どこにつくったらいいだろうというような問題になるかと思います。そうなってくると、これは大店審で国の立場でごらんいただいて適正に調整をしていただく必要があると思いますので、そういう意味においては、大店審は国全体を眺めて調整をしていただくというふうにお願いができたらと思っておるんです。  ただ、地方のいい意見は十分に聞いていただきたいということを申し上げたわけでございまして、そういう観点から、やはり各市にかなり長年勤められた助役さん以上ぐらいとかいうような県、市のOBの方々が委員にお入りいただいて、実態をよく踏んまえてそして意見を出していただければある程度調整がスムーズにいくのではないかというふうに思っております。これもやってみなきゃわかりませんので、円満にある程度その一年の期間で結論が出せるのか、あるいは不満が出て訴訟になるのかというようなことも場合によっては予想されないことではございませんけれども、そんなことのないようにひとつ運営をしていただきたいと願っておるわけでございます。
  96. 大木浩

    ○大木浩君 永山先生にお伺いしたいのですけれども、先ほどから永山先生は、必ずしも今度の法案、賛成とおっしゃったか、反対とまではおっしゃらなかったけれども、いろいろ留保つきのような御意見というふうに承ったのですけれども、基本的には、やっぱりこういう小売商業というものはある程度のまず規制ありきというところから始まった方がいいのだ、こういうふうに私は承ったんです。ただ、いろんな各国の例を見てみましても、必ずしも小売商業自体に焦点を合わせて規制をしているのか、そうじゃなくて、もっと環境問題とか交通問題とか、あるいは町づくりの中で、その町の景観、一部の昔からの伝統の町というのは、むしろもう昔のとおりにしておけとかいろんなのがございますですね。どうなんでしょうか、各国、日本とは事情が違いますけれども、そういったものをどの程度に規制するのが、今ちょうど出ておりますこの大店法一つ基準としてお考えになって、これはきつ過ぎると考えておられるのか、緩過ぎると考えておられるのか、ちょっとその辺のコメントをいただきたいと思うんです。
  97. 永山利和

    参考人(永山利和君) 私は、一般的に申しますと、やっぱり商業の大規模、中規模、小規模にかかわらずやはり何らかの意味で規制といいますか、参入規制なりあるいは拡大の規制というものがある局面で必要な場面が出てくると思います。  例えば、これは別な例ですけれども、工場なんかにつきましても、住宅と工場とが一緒になっているような状態のものを何十年も周辺その他を考えてどうすべきかというふうな問題を考えますと、やはり営業一般の自由という形だけで、いわゆる野放しという言葉は正しくありませんけれども、放任させる状態でいいかどうかということが出てくる場面があると思うんです。  これは、かなり地域社会なり経済の持っている特性にもよると思うんですね。例えば東京で申しますと、大田区なら大田区のところで住宅がどんどん出てくることによる工場へのさまざまなリアクションがございまして、そのために東京の本当の必要な生産機能までも場合によるとそいでいってしまうというような場合に、しかしそうかといって、現状のままの工場の建物の構造とかそういうものを放置したままでいいかという問題は依然として残るわけです。  ですから、ある程度その他城の経済社会の構造の中で、このものは積極的に育成するというようなものについては、それなりの助成策などを講じながら積極的に進めていく。しかし、商店街の中に例えば非常に悪臭だとかその他交通の混雑を起こすような問題があるそういう営業があった場合に、これもそのまま自由だからといってほっておいていいかという問題も、恐らくそれは何らかの基準を設けるということよりも、むしろその地域で、時間がかかるかもしれないけれども、とにかくある程度そういう問題の処理をできるような仕組みというものを本来すべきだと思う。  これは、都市なり社会発展のテンポ、それから時代の変わり方のテンポにもよると思うんですけれども、ヨーロッパ諸国の場合には、そういうことについてかなり古い時期からの都市計画をずっと維持できる基盤を持ってきたわけです。日本の場合は、大震災とか戦災とかといういわばもう根本的に取り払われてしまっているという、歴史がすっかりなくなってしまうという、そういう不幸がございますから、簡単にはヨーローパ型の都市計画をこのまま入れろというわけにいかない歴史的な事実がございますから、それをまねるということは不可能な面があるのです。  しかし、それにもかかわらず、やはり生活環境や営業環境というものをきちっと整備する合意を得ながら、その一定の規制というのを、例えば工場なら工場、商店の場合にも一定規模、僕はもう少し低くても小さくてもいいと思うんですけれども、例えば過当な競争をさせるような状況に関する規制を設けているのはよくあるわけです。これは、法的規制というよりも、むしろ小さな三千人単位ぐらいのコミューンの規制でやるというふうなものもございますから、その方法についてはある程度アンバランスになってもしようがないと僕は思っているのです。  例えば、京都なら京都にも高層建築を建てさせろということは、確かに法の前の平等というにはいいのですけれども、しかし、それが本当に京都にとってプラスかどうかという議論は、これは京都なら京都でやる必要があるのじゃないか。そういうものをどう調整するかということについては、確かにいろいろ難しい面はあるのだけれども、特に商業の問題が今後大きなインパクトを地域社会経済に与えるだけに、ある程度その地域の合意づくりができる、そういうものを踏まえた調整のあり方という仕組みを考えていく必要がある。  それには、やはり現在の十六なり、あるいは都道府県レベルでも場合によると大き過ぎる面もあるし、しかしハイマートみたいなことになりますと、確かに広域的な影響がございますから県レベルでも調整がつかないという、立地の地点によってはそういうことも起きると思うんです。ですから、それは幾つかのグレードで問題ごとに調整をするというような構造をつくったらいいのじゃないかというふうに感じている次第です。  どこがどうという一般原則をなかなか工業よりも商業の方が置きにくいのは、歴史と、その入るべきものですね、これが非常に違いますので、一概にガイドラインを出せと言われてもこれは苦しいところがあるのです。しかし、例えば駅ビルなんかを見ましても、東京もあるいは長野県のどこかもほとんど入っているテナントはどことどことどこと、こう一緒というふうなものが果たして本当に日本商業の将来にとってプラスなのかどうかということになりますと、もう少し地域性、ローカル性というものが出せるような方向というものを何とか政策的な配慮で出す必要があるのじゃないかなという感じは強く持っております。
  98. 大木浩

    ○大木浩君 柴田参考人と三村参考人、お二人とも、たしか大店審の議論というのはなるべく公開にしろ、なるべくというか公開にしろと、こういうお話がございましたですね。これは、恐らく通産省の答弁聞いておりましても、必ずしも公開に全部するとは言っていなかったですね。こういう議論というのは、お一人一人だれがこう言ったというようなことが外へ出ると自由な立場で余りしゃべれないよと、こういうことが恐らく委員さんの方からはあると思うんですけれども、にもかかわらずあえて公開にしろとおっしゃっておりますので、それはどういうふうに公開するかですね。  一々名前は要らないけれども大体こういう審議があったということが出てくればいいのか、いやもう少しはっきりと、まあもちろんできるだけ外へ出した方がいいのでしょうけれども、ちょっとその辺のところが、その二つ利害関係のバランスの問題が出てくると思います。その辺は、にもかかわらず公開というお話ですね、どういうことを考えておられるか、コメントいただきたいと思います。
  99. 柴田守

    参考人(柴田守君) 先生おっしゃるように、大変微妙な問題だと思うんです。審議内容をどこまで公開するかというような点については、私自身もこれがいいという主張はありません。  ただ、少なくとも審議の過程の中で賛否の代表的な意見がこういう形であったと、そして最終的にはこういう決着を見たというようなことぐらいはきちっと出すべきではないか。だれが何を言ったかという問題は、これはいろいろ支障があるでしょうけれども、少なくとも大きな主張点がどういう形であって、それを全体としてどうまとめたのか、あるいは最終的に投票になった場合には決をとって何票対何票でこういうふうになったと、あるいは配慮する意見としてはこういうものがあったというようなことがやはり公開をされていく、それが一つの範例といいますか前例という形で。私は、地域意見を尊重するという立場なんですが、少なくとも大店審十六が余りてんでんばらばらにやるのは問題だというふうに一方では思っているわけです。  そういう点からも、審議内容が公開されることによってお互いの審議に対して一定のバーができるのではないかということで、可能な限りオープンにし、公開をするということでぜひ御検討いただきたいと思います。
  100. 三村光代

    参考人(三村光代君) 私は、公開というふうに申し上げたのですが、もっと突っ込んで傍聴までさせるようなシステムをつくるべきではないかというふうに思います。  その思っている理由というのはいとも簡単なことでして、先ほどからお話が出ておりますように、中央集中的になろうとしている大店審のあり方から考えると、その地域の場に実際に出店しようとしている地域消費者意見というのがどこまで反映されるかということがやはり問題になるだろうと思いますので、傍聴までできたらありがたいというふうに思うわけです。特に、中央集中的な大店審だというふうにもし考えてよろしいのであれば、そういう考え方をすれば、利害関係が割合ない人が委員に選ばれるのだろうというふうに思いますので、できる限り公開していただきたいというのが消費者側としての意見です。
  101. 大木浩

    ○大木浩君 私は、実はきょうの皆さんの御発言と前回の商工委員会参考人皆さんの御発言を聞いておりまして、お二人は二回とも御参加いただいたわけですけれども、どちらかといえばきょうの方が皆さん方御理解を示していただいたような気がしておるわけです。  宇野先生もこれからいろいろな形で実際にこの大店審の運営におかかわりになるのだろうと思いますけれども、どうなんでしょうか、先ほど私が申し上げました重心がどの辺にあるのだろうという話ですね、先生の立場から、今までいろんなところでかかわっておられたところで、今の都道府県の単位が一番中心になるべきなのか、もうちょっと下に重心が行くべきじゃないのか、その辺ちょっと何かお考えがありましたら伺いまして、終わりにしたいと思います。
  102. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) 私は、市町村の関連の段階のところからの御意見を聞くというのはいいと思うんですけれども、やはり現在の状況から見ると、県の単位ぐらいのところでまとめてみられるというようなところ、つまり重点をどこへ置くかというならばその辺のところがいいところではないか。ですが、先ほど来お話がありましたように、今度の場合にはかなり規模の大きいものを大店審そのものでやっていく、地方部会ではないというようなお話もありましたので、それは私それでおのずから守備範囲というのは決められてきます。  そういう点を考えますと、十六の地方部会ということになると、いわば通産局で幾つかのところに地方部会が二つとか三つあるところもあるので十六になっているわけでしょうが、もう一つ分けた段階で、都道府県あたりのところでやれるということであれば、全体としてはバランスがとれていくのかなというのが私の今の判断です。
  103. 大木浩

    ○大木浩君 終わります。
  104. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、公明党・国民会議広中和歌子でございます。  本日は、大店法改正審議にかかわりまして、六人の多様な御意見を代表する方々のお話を大変に興味深く拝聴させていただきました。どうもありがとうございました。  まず、宇野先生にお伺いいたします。  この大店法改正への動き、その背景として消費構造の変化ということ、また消費行動消費者行動の変化ということを挙げられました。そのほかにも、おっしゃいませんでしたけれども、いろいろあると思います。豊かさであるとか、産業構造の変化、それから産業立地の変化による人口移動、それから高齢化など人口動態の変化、そういうものもあると思います。  高齢化につきましては、今後の問題だろうと思いますけれども高齢者の買い物パターンというのはどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  105. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) その点については、私何も発言をしていなかったのですが、この辺は特にヨーロッパの私なんかの仲間の向こうの先生方といろいろ討論しているときに聞いていることで、日本でもやっぱり考えなきゃいかぬなと思っていることがあるわけです。日本で言うところの消費者利益という問題で、我々は一般的に消費者利益ということを言っておりますけれども、ヨーロッパなんかの場合においては、今のままの野放しの販売競争によりますと町中の商店というものがどんどんやめていってしまう。そうすると、言うならば農村の過疎地があると同様に、実は大都市の中で商業の過疎地が出てきている。  例えば、それの一例を申し上げてみますなら、日本でももう既にどんどん出てきているわけですが、千代田区なんというところは、住民にまだ住め住めとは言っても本当に住める場所になっているか、買い物する場合。特に、私のような年配の者がマンションの一番上の方に住んでおって、それで買い物しようとするときに、下の方のお店がどんどんやめていくとなりますと、これは大変不便になるわけでございますね。  その辺を考えてみますと、ヨーロッパなどの例では、今のような下の方の連中が高齢者にとっては非常に困ることだから、むしろそこにおってもらわないと困るという形の小売商業に対して引きとめ策をとっているという事例があるわけですが、日本もそのうちに今のような問題が出てくるであろうということは、私は想定します。  ですから、その辺を考えてみますと、さっきも申し上げたことですが、ロサンゼルスのダウンタウンが過去において大変よかったけれども、今はゴーストタウンになってしまったケースがあったというようなことが東京でも起こってくるような気がするわけで、その辺についてはやはり十二分に配慮していかなきゃいけないのじゃないか。きらびやかな町並みを云々ということももちろん必要ですけれども、もっと日常生活をしている者にとって不便にならないような、それをやっぱり考えてみる必要があるだろうという気はしております。
  106. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  私も同じような問題意識を持っておりまして、いわゆる消費者のニーズというのはウオンツというのでしょうか、非常に多様だろうと思いますけれども、本当にそれは年齢層によっての違いがあるということ、特に東京都心などにおきましてスーパーというのでしょうか、小さな食品店などがどんどん消えていくということで非常に不便を感じている方が多いのじゃないかと思います。  次に、山本参考人にお伺いさせていただきます。  都心部の地価高騰もかかわっておりますし、そのほかテクノポリス構想、あるいはすみ分けというのでしょうか、家は田舎にそして働く場所は都会へといった新たなライフスタイル、そういうものも生まれてまいりまして、それまで人が余り住んでいなかった地帯に人口がどんどん動き始めている。そういう中におきましては大店舗というのは非常に立地されやすい状況にあると思うのでございますけれども、こうした新開地というのでしょうか、そういうところへの進出に関して小売商店主の取り組みはどうなんでしょうか。  アメリカの場合を例にとりますと、アメリカでもそうした移動が起こりましたときに小売商店主は、そうしたところに非常にスムーズな形で吸収されていったから心配することはない、そういうようなことをアメリカの人が言っておりましたし、私自身も何かそのような気もするのですけれども、いかがでしょうか。  たくさん質問をさせていただきたいものですから、非常に簡単にお答えいただければありがたいと思います。
  107. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 私どもも、都市化が進んでおりますし、それから地価が高くなるということで都心部から郊外へ出られる、これは土地問題もございますのでなんですが、本当は欧州なんかは町の真ん中には一般の人が住んでいるのですね。むしろ、郊外には金持ちが住んでいるというような感じなんですけれどもね。日本の場合は、逆に一般の人が外へ行っちゃう、そしていわゆる業務用のビルとかいうようなものが残っているということでございますので、そういうところがどんどん都市化が進んでいくということになれば、これは消費者の不便がございますので、そういうところに出店されるというのは当然のことだというふうに受けとめております。  私どもも、そういうところへ、場合によれば旧市街地を放棄してそちらへ移転するかなということも考えなきゃいけませんけれども、しかし日本のような国土の狭いところでございますので、従来ある町をほうっていくというのもちょっと考えものでございますので、従来あって空洞化したものはそれなりに何とか再構築できるのかというようなことも考えて、今度つくっていただきました予算関係もそういう方面にも生かさせていただいたらなというふうに考えておるわけでございます。
  108. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほど高丘参考人のお話の中で小売店への補助政策をと、それは先ほど宇野先生のおっしゃいましたように、やはり都心にも商店が残ってほしいという視点からもあるいは必要かもしれませんけれども、体質の弱化というのでしょうか、が弱くなるということにもつながりかねませんし、それからまた消費者としてはそれが税金の形であれ何であれ高いものを買わされるという、結果としてそうなるわけでございますけれども、それについてちょっと短くコメントをしていただきたいと思います。
  109. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 私が申し上げましたのは、歴史的なプロセスで考えますと、戦後日本小売商店、とりわけ規模の小さい商店が増加をいたしましたのは、一つは五百万人と言われる戦後の海外からの引揚者、復員者、その人たちの就業の機会が農業と商業しかなかったという実態があったと思うんです。その後農業人口は減っていく、そして地方から都市へ来て商業者になられた方々もたくさんいらっしゃる。その方々が実は年齢的に今リタイアをされるという時期に来た。必ずしも恵まれた環境ではおありにならなかった方々が、ここでリタイアをされなければならないという状況がある。  サラリーマンなら退職金はあるけれども商業者には退職金はないわけでございます。まあ共済が一部できております。そういうことを考えた場合に、何か温かい手を差し伸べて差し上げるべきではないだろうか。そのことが新しい商業環境をつくっていくのではないかということを申し上げたわけでございます。
  110. 広中和歌子

    広中和歌子君 それじゃ、永山先生にお伺いいたします。  先生は、ルールが競争を促すということで、規制を外せば大型化する、そういうこともおっしゃっていますし、しかし大型店が出現したからといって価格は必ずしも安くはない、大型店での価格が安いというのは神話であるというふうに言っていらっしゃいますけれども、この点について御説明いただきたいと思います。  それからもう一つ、ローカル色を出すということをおっしゃっていますけれども、その政策については、地方分権ということを考えていらっしゃるのですか。
  111. 永山利和

    参考人(永山利和君) まず第一の点につきまして、これはきょう数字を持ってきておりませんので具体的にお示しすることはできませんけれども、東京都の生活文化局が毎月調査しておりますデータを見ていただきますと、品物ごとに一般小売店とそれからスーパーと百貨店との価格差が出ております。これによりますと、特に日用品の中でいわゆる雑貨品と呼ばれるグローサリー類はスーパーが安いのですけれども、生鮮食品になりますと一般小売店の価格の方が傾向的に安くなっております。考えてみますと、なぜ安いかというそのわけがあると私はにらんでおるわけです。  卑近な例ですけれども、例えば八百屋さんが品物をそろえながらお客さんが来るのを待つわけですね。その待っている間働いているわけです。場合によりますと、いろいろほかの作業、例えばお肉屋さんですとお総菜をつくったり、そういう作業をするわけです。ですから、全く分業でシステム化されているところよりも、はるかにそこで働く人たちの稼働の内容が効率的にいくわけです。  それから、売れ残りというものについても可能な限り売り切れるような形で、いろんな工夫をしてむだのないようにしていく、そういう工夫はもちろんそのほか大型店もやっているには違いないのだけれども、しかしやはりパッケージその他できていますから、またし直すというようなことは非常に大変な手間になりますので、結局そういう手間から考えますと、生鮮というのは本来小型あるいは小規模店でも十分採算がとれる状況を持っていると思うんです。  しかも、需要が非常に多様化すると同時に、高齢化のお話をなさっていましたけれども、やはり高齢化というのは消費量も少しずつ小さくなってまいります。そういうような弾力的な対応も小売店はできる。したがいまして、小売商の持つそういうメリットの見直しというのを消費者はもっとしていくべきだったのじゃないか。  それからもう一つは、そういうメリットが知られないうちに、高丘さんもおっしゃっていたように、自然死していくわけですね。自然死することによって初めてその利便性が見直されると、こういうことになったのではいけない。今回の大規模店舗法の改正は、恐らくそういうことにさらにプレッシャーといいますか、あるいはそれにむちを当てて早死にさせるようなことになっていく傾向が強いのじゃないか。それを非常に私は危惧しているわけです。  そういう点で、この価格問題ということもさることながら、それ以外のさまざまな高齢化であるとかあるいは地域のやはり対話ですね。私も言葉の不自由な国に行きまして、スーパーマーケットで物を買おうとするわけですけれども、なるべく買わないようにして人の顔を見ながら話をするという努力をしていくことによってやはりコミュニケーションができてくる。そういう役割が従来の小売方式、いわゆる対面販売と言われるものがあって、そういうものを価格にはのせていないけれども、我々はそれをサービスとも思わないできた面があると思うんです。  やはりこれだけ大都市化して、非常に移動の激しい東京なんかの大都市、あるいはそのほか大阪なり名古屋なりの大都市部の場合、移動が非常に激しいわけですから、その中で孤立する人がふえてきますが、そういうものをやはりきちっと受けとめる社会構造というものがそういう中に仕掛けられていると思うんです。こういうものをやはり助長していく必要があるというのがこの小売店のメリットというふうなことです。  それから、あとローカル色と申しましたのは、やはり全国展開する方向ですね、大型化といいますと。そうしますと、大型というのは小型を兼業できるわけです。これは、大きければ小を兼ねられる、小は大を兼ねられない、こういうことがあります。大型化というものがややもすると大量生産、大量消費というものを伴う。それは大変メリットもありますし、そのことによって価格低下を可能ならしめる面が少なくないわけです。  しかし、これが余り前面に出てまいりますと、いわゆる地方産業あるいは地方文化というものの担い手までも消してしまうというおそれがあるわけです。死んでしまってから初めてもう一遍一村一品運動をやろうというふうなことをやっても、これは回復するものもありますけれども、一度失われるとなかなか元に戻らないということもありますので、そういう点でやはり地方産業というものの中には、ある程度コスト負担はあってもその存立や生き長らえるという手続をすることが、長い目でプラスになるというものも少なくないと思うんです。  そういう意味で、地方色というのはある意味で残す努力をする時代じゃないか。これだけ大量生産の技術というものが出てきて、またそれがもう一遍発展して少量生産まで来ているわけですので、リバイバルさせる技術というものも手当てさえうまくしてやれば可能な状況というのがあるのじゃないかと思うんです。そういう点で、消費の多様化に耐えるためには、ある程度のコストは行政としても払うべきだというふうに考えているわけです。
  112. 広中和歌子

    広中和歌子君 この中で何人かの方が都市計画づくりということを強調なさって、その都市計画づくりの中でローカル色も出るし、特に広域の都市計画の中で地方自治におろして考えられるべきだといったような意味の御意見も多かったのだろうと思います。このような考え方は、私も大賛成ですれども、結果としては逆に出店規制が強まるケースもあるのではないかというような気がいたしますけれども、高丘参考人はどのようにお考えでしょうか。
  113. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 日本商業というのは、私は個別の店舗大型店もあるいは小規模の専門店も国際的水準から見て極めて高い。卸売業もそうだと思っています。  ただ、問題なのは、商業施設が西欧諸国やアメリカに比べて著しく劣っているということなんです。それは、私は過去の大店法にもし一番大きなデメリットがあったとするならば、消費経済の発展の中で商業施設をスクラップ・アンド・ビルドできなかったという点にあると思います。今回の規制緩和と申しますか、新しい改正法案によって、その辺が促進をされるということが私は日本小売商業にとうて大切なことだと思っております。  ですから、それぞれの地域社会が住民の皆様方のためにどういう商業施設が必要なのだということをお考えになれば、私はその地域計画というものが出店の規制につながるということはない。むしろ、商業施設としての環境を整備して、よりよい商業施設をつくるという方向に進むというふうに私は思っております。
  114. 広中和歌子

    広中和歌子君 三村参考人消費者の立場から、生活パターンが変わってきている、特に女性などが働いているから、例えば昼間なかなかショッピングができないということを指摘されて、まさにそれは同意見でございます。  同時に、柴田さんが労働者のそこで働く方の立場から、週一回の休業と、ただし弾力的でもいいというふうにおっしゃいましたけれども、フレックスタイムということは受け入れられますでしょうか。  それに対して、中小の商店街では、特にパパママストアなどではフレックスタイムというのもなかなか大変だと思うんですけれども、こういうのも私はむしろ多様化して、例えば美容院なんかでも今ごろは十一時にあいて八時、九時に閉まるのもありまして、大変一部の人にとっては便利なんです。一律じゃなくて、多様なフレキシビリティーというのが必要だと思いますけれども、あわせてお答えいただければと思います。
  115. 柴田守

    参考人(柴田守君) 今先生おっしゃるように、私はフレキシビリティーそのものについては賛成でございます。ただ、それは大枠の中でそういうものを図るべきだと。例えば、日本の百貨店というのは、週一回休業ですけれども、休業の曜日が違います。ですから、ある店は休んでいるけれども隣の店はやっているという形で、消費者の目から見れば百貨店はある意味では地域においては常に開いていると、こういう形をとっているわけです。これは、週一回休業という形で休業規制をしてもできる内容だというふうに思っております。  それから、営業時間の問題についても、私は総営業時間制というようなことを申し上げたのですが、一日八時間の営業という形で規制をすれば、その中で、八時間で後ろ型の店と前型の店とあってもいいではないかと。十時から七時というのが営業時間として適正であって、それより後ろは全部だめだ、それより前は全部だめだと、必ずしもそういう形の規制よりも、むしろ時間数で規制をする方が消費者にとってもいいですし、また働く人にとっても、ある意味では通勤時間帯が少し変わるわけですから、込んだ電車に乗らないで済むというようなこともあると思うんです。  その選択の中で、例えば都心の店は七時までに店を閉める、しかし郊外の店は八時ぐらいまで営業をするという形をすれば、職住近接の勤労者にとっては閉店をしてから三十分ぐらいでうちへ帰れる、都心へ通っている方は一時間半、二時間かかるわけですから、そういう意味では生活全体の中でバランスがとれたものになるのではないか。そういうような発想というのをフレキシビリティーと先生が呼ばれるのであれば、私は大賛成でございます。
  116. 広中和歌子

    広中和歌子君 最後の質問にさせていただきます。  いや本当に、何でもお手々つないでが日本の休暇のとり方かと思っておりましたので、新しい側面を示していただいて大変に意を強くしております。  最後に、三村参考人にお伺いいたします。  先ほどから商業歴史は長いとか何か言われておりますけれども、しかしながら、現実には日本の今のその分野を見ておりますと、非常にコマーシャリズムの影響を受けておりまして、そうしたセールステクニックなんというのはかなり海外のものが輸入されているのじゃないかと思います。つまり、例を挙げれば、バレンタインにしろ母の日にしろ、みんなこれはセールステクニックとして外国から入ったものでございまして、我々はそれに消費者としては非常に影響を受けているわけでございます。そして、大量消費につながっている。  日本のGNPの向上につながるならそれはそれで結構かと思いますけれども、いつも売り手の側から消費者のウオンツなりニーズなりを開拓されるという形ではなくて、むしろ消費者の方から発信する。どういうものが我々は欲しい、どういう生活スタイルに合った商業活動をしてほしい、またはこうしたものは、こうした買い物の仕方というのは環境によくないからといったような形で、むしろそろそろ積極的に発言をする、発信をする時期にきているのじゃないかと思います。  属していらっしゃいます社団法人日本費生活アドバイザー・コンサルタント協会、その協会の趣旨ども含めましてお考えを伺わせていただいて、質問を終わります。
  117. 三村光代

    参考人(三村光代君) 私どもの会の趣旨をというお話からいきますと、先ほど初めにもちょっと申し上げましたように、私ども消費者側に寄った消費生活コンサルタントと企業側の企業と消費者のかけ橋の消費生活アドバイザーと、スタンスの違ったものが一緒になっておりますので、一つこういう考え方でというのは大変打ち出しにくいのですが、消費者側に寄った側の立場からいきますと、日本消費者というのは確かにばかではない、すごく利口だとは思うんです。利口な消費パターンをとっているとは思うんですが、踊らされやすい。結局、情報が十分に提供されていないというところに私は一つの問題点があるのではないかというふうに思います。  例えば、昔からコマーシャルの中で情報を提供されたために、踊らされているということとは裏返しに、コマーシャルから得た知識で自分の情報を生活の中に生かしているという面もないわけじゃなくて、今現在私はコマーシャルをかえって消費者教育の場にしていくべきではないかというふうに思っています。実際にそういう形でメーカーさんにもコマーシャルをもっと消費者教育の場に使ってもらいたいと、踊らせるのではなくて、上手にコマーシャルで消費者教育をしてほしいということもメーカーさん等には申し上げているということからいいまして、お話が大きいお話なんですが、実際にはそういう中で消費者自身ももっと利口な消費パターンをとるような形に育ってきているのではないかというふうに思います。  例えば、つまらない話ですけれども、バターと御飯の組み合わせなんというような、御飯にバターを載せて食べるなんというのは日本人の生活に余りなかったことですけれども、それにおしようゆをちょっと加えたらとてもいい食生活のパターンができるよというような形のコマーシャルをバターのメーカーさんが出したり牛乳のメーカーさんが出してくるのですね。そういう形で、消費者がもっとコマーシャルを自分の生活の中に取り入れていくという形になっていけば、踊らされるという見方とはちょっと違った見方ができるのじゃないかと思います。  それから、バレンタインデーだとか母の日に消費者が踊らされているというのは、確かに明らかに踊らされている部分もありますけれども、それはそれなりに消費生活が豊かになったのだという部分から見直してみてもいいのではないかというふうに私は思っています。
  118. 市川正一

    ○市川正一君 日本共産党の市川でございます。  本日いろいろ伺いまして、賛否にかかわらず、それぞれに政府案に対する重要な疑点、問題点が指摘され、提起されていると思います。きょうは政府側は出席しておりませんけれども、本委員会としてはさらに時間をかけて慎重な徹底審議を尽くす必要があるという認識を得たということをまず申し上げたいと思います。  私の持ち時間は、残念ながらやりとりを含めて十分なんです。ですから、まことに失礼でありますけれども質問をさせていただくお方をある程度絞り、そして質問もまとめて申し上げますので、お答えはどうぞ意を尽くしてちょうだいできれば幸いであります。  最初に、永山参考人に伺いたいのでありますけれども、ちょうだいしました要旨によりますと、独占禁止法の強化の一環としての規制という命題、さらにはまた、規制の中でこそ競争促進されるという命題を提起されました。  私も同感なんでありますが、しかし大店法による現行の規制は、自由主義経済に反するかのような見解が一部に横行しております。しかし、私の知るところでは、例えばフランスのロワイエ法、ここでは大規模小売店市場参入は許可制になっておりますし、許可制を採用していないドイツそれからイギリスにおいても、商業立地規制あるいは都市計画の観点から計画制御をしております。また、アメリカも、さっきありましたけれども、決して野放しではないのですね。郊外のショッピングセンター建設では、州の環境法で大型建築物の規模計画についてのアセスメントチェックを行い、ゾーニング規制もかけられております。  私ここに持ってまいりましたのは、東京地婦連の田中里子事務局長さんが日経流通新聞でこう述べています。「さまざまな小売り業態があって、適正な競争をし、補完し、共存していけるように政策誘導すべきだ。その方が消費者の選択の幅が広がる。また、今後の高齢化社会を考えてみても、」、これは先ほど宇野先生もおっしゃいましたが、「近くに商店があった方が住みやすい。」と述べられていらっしゃいます。  私は、こういう世論が普遍的にあるということも踏まえて、永山参考人がフランスのロワイエ法のことに触れていらっしゃいますので、できればもう少し各国の状況も含めて具体的にお伺いいたしたいというのが第一問であります。  第二問は、このこととも関連しますが、先ほど三つの審査基準を永山参考人がおっしゃいました。大店法によります出店調整というのは、結局のところ店舗面積と開店日と閉店時刻と休日日数の四項目だけに限られるのですね。そうしますと、これでは地域住民の生活環境とか、都市政策あるいは町づくりというような点で対処できなくなると思います。限度があると思います。この点についてどうお考えになるのか。  あわせて、永山参考人は先ほども三鷹の調査をなさったというふうに伺っております。そこでは出店反対が五八%、特に交通問題については全員が心配しているという結果が出ていると承っておりますが、この調査からどういう教訓を引き出していらっしゃるのか、総論的にお聞かせを願いたいと思います。  最後に、全振連の山本参考人にお伺いいたしたいのでございます。  私は、全振連が発行されました「九〇年代の商店街の在り方」というものを拝見いたしました。非常に学ぶところが多うございました。特に、これは十ページでありますが、「零細個店は生業的であり、生存権と直結しており、店主は高齢化しているため転廃業も自由ではない。」、「限界的経営が存在していることを忘れてはならない。」と述べていらっしゃいますが、先ほど来高丘参考人との間のやりとりども含めて、私は切実、痛切やと思います。さらに、二十三ページによりますと、「大店法が改廃されれば九〇年代の商店街は「冬の時代」を迎えることとなり、絶対容認することはできない。」とも述べていらっしゃいます。  私は、こういう実態、こういう実感、これを踏まえて、冒頭にもお触れになりましたが、今日の政府の支援策で本当に打開できるんか、やっていけるんか、そういう点で、もう一歩突っ込んだ具体的な御要望なり御意見などを承れば幸いであります。  十分以内でおさめたいので、よろしくお願いします。
  119. 永山利和

    参考人(永山利和君) 時間もないようですので、簡単にお答えさせていただくことをお許しください。  まず第一の点につきましては、既に幾つか議論も出されておりますけれども、少なくとも、現在日本で世論として自由化の方向での規制緩和というふうなことを行っている国は、むしろ例外的ではないかというふうに私は理解しています。  規制の基準というものにつきましては、重点の置き方はそれぞれ違うと思いますが、特にフランスのロワイエ法の場合は、単に出店規制というだけではなくて、中小零細業者及び職人全体の一種の税から社会保障に至る基本法という性格を持ってもおります。  そういう意味では、私は我が国でも、先ほど高丘さんもおっしゃっていましたけれども、これは一体経営なのか資本なのか、生業という言葉もございましたが、そういうことで考えますと、これを営業、資本とだけみなすということでは非常に問題がある階層でございますので、これについてはぜひここの商工委員会等でも、その社会的経済的意味について大いに議論をいただいて、そしてそのもってきた意味や現在でも果たしつつある重要性を再確認していただくような、そういう方向で御検討願えないかというふうに思っています。  それからもう一つ、やはり都市計画、土地利用それから交通、こういう社会の長期的な発展や住みやすさ、生活環境あるいは自然環境の保護、こういうものを一体としてまとめるという、そういう作業に私は日本が、前はあったと思うんですけれども、特に第二次大戦後そういうところが非常にばらばらに運用されている問題があります。今回の場合につきましても、商業、工業あるいは都市計画、そういうのを総合的にまさに考えるべき、そういう一部だと思うんです。ですから、非常に委員会の構成あるいは審査の原則、そういうものについて不十分だというのが私の認識であります。  それから、二番目の三つの基準というものも、やはりその観点からいいまして、この大規模店舗法の規制緩和に当たりあるいはそういう方向をするならば、やはり今申したような都市計画の観点、土地利用の観点あるいは自然環境との調和の関係、さらには小零細業者を含む生活や生業の社会的な位置づけというものをきちんとするような方向での議論というものをしないことには、やはり一面的に大企業がそこのけそこのけで通るという、そういうふうな批判を免れないのじゃないかということを危惧する次第です。  それから、三つ目の三鷹の例を申しましたのは、これは非常に典型的に出ていると思いますのは、日産自動車の敷地にロビンソンというお店が出ると。これにつきまして非常に周辺の住民の方々が、大店法そのものも問題にしつつも、しかし根本的にはやはり生活環境が非常に壊される、しかも健康破壊そのものが進んできまして市内でも有数のぜんそく患者を抱えた地域である、それにまた大量の自動車が流入してくるということの恐ろしさというものを考えますと、やはり商業の大型化というのが与えるさまざまな影響をもう少し広範な観点から見直した対応が必要だというふうに思うわけです。  消費者利益だとかあるいは商品の買い回りをしやすくするということももちろんその中の一つですけれども、しかしそれだけを追求するという時代がそろそろ限界にきているのじゃないかということを申し上げたかったわけであります。  ちょっと大急ぎで不十分だったかと思いますけれども、以上で終わります。
  120. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 今先生御指摘になりましたのは、私ども最も重点に考えたことでございます。政府の案がまとまる前の段階でございまして、全国の会員の猛烈な反対もございました。しかし、そこらを全体的に考えまして、いわゆる日米構造協議とかいろいろな世論等々も考え、また国において予算関係もおつくりいただいたというようなことと、それから大店舗法の中には基本的には私ども中小小売業者事業活動の機会を確保するという文言は全然変わっておりませんので、そういう面から今後の大店審においても適正な調整を行っていただけるということを信じて、まあいたし方なく了承をしたということでございます。
  121. 市川正一

    ○市川正一君 心境はよくわかります。一緒に頑張りましょう。  終わります。
  122. 池田治

    池田治君 私は、大店法改正につきましては、大型店と小売店の信頼と協調による共存が可能であることを前提といたしまして、連合八百万の組合員は全員消費者でございますので、一応賛成の立場をとりまして、消費者利益増進という点を深く思っておるところでございます。  しかし、東京都の生活文化局の調査の結果のように、大型店、すなわち大量の商品を販売するお店が小規模小売店より価格の面では必ずしも安くはない、こういう統計の数字が示しておりますが、ほかの面でもこういう結果が出ておるのかどうか、生鮮食料品以外にもそういうものがあるのかどうか、三村参考人にお尋ねしたいと思います。
  123. 三村光代

    参考人(三村光代君) 今お話が出ていますように、私も生鮮食料品が一番はっきりと出ていると思います。  例えば、消費者は先ほども申し上げましたけれども割合利口でして、大型店に買い物に行ったときに大型店の中で生鮮食料品、特に野菜等はもう買わずに、その外の小売店で買うというような消費パターンをちゃんととっているのですね。生鮮食料品以外では、ちょっと特に統計的に挙げられるようなものは、大変申しわけないのですが、思いつきません。
  124. 池田治

    池田治君 高丘参考人チェーンストア協会の会長さんですから、実際に売り場を持っておられますが、この点はいかがに思われますか。
  125. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 大した資料をきょうは持ち合わせてきておりませんが、経済企画庁が第七次流通問題研究会の報告として昭和六十二年の数値で作成をされました資料がここにあるわけでございます。これによりますと、一般小売店を一〇〇といたしまして「総合」では大型スーパーが九五・七、中小スーパーが九二・二、百貨店が一一三・七になっております。その中で「食料品」については、御指摘がございましたように、一般小売店一〇〇に対して大型スーパーが一〇一・八、中小スーパーが九七・七、百貨店が一一〇・八になっております。「被服及び履物」は大型スーパーが七四・一、中小スーパー七四・一、百貨店一二二・〇ということになっております。  同一商品の比較というのはなかなか難しいと思いますので、したがって食料品、とりわけ生鮮食料品については最も品質の差異の大きいところでございますので、何とも申し上げられないと思いますが、価格については常々努力をしてはおりますつもりでございますが、結果としてはそのような数値でございます。
  126. 池田治

    池田治君 本当は私はもっと零細小売店との比較をお願いしたかったのですが、資料がございませんでしたら、できるだけ今回の改正によりまして大型小売店舗も零細商店にも価格は安いようにひとつ御努力をお願いしたいと思います。  次に、輸入品売場の特例法についてでありますが、日本人の大半は輸入品を持っておるといいますし、日米間の貿易黒字も湾岸戦争以来漸次減ってきているようでございまして、ここらで改めて特例法に基づいた千平米という無規制な店舗をつくる必要があるかどうか、これも一つ疑問に思っております。  そこで、去年の五月三十日以来、通産省において行政指導で百平米以内の規制は緩和しておりますが、緩和して以来輸入品が売れたかどうか、もう一度高丘参考人にお願いをいたします。
  127. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 参考人皆様方がおっしゃいましたように、今回の輸入品の売り場の問題はやはり特例措置だと思います。今消費者皆様は国の内外、産地のいかんを問わず、いい商品をお買いになるのであって、輸入品であるからといってお買いになるわけではないというのは御指摘のとおりだと思うのでございます。  ただ、東京で申しますと、中央の大百貨店に非常に便利なところにお住まいの方は輸入品に多く接しられるけれども、かなり郊外、衛星都市においてはそういう品ぞろえをした店舗が少ないという意味で、そういう地域における輸入品の売り場というのはそれなりの効率的な売り上げを示しております。  したがって、特例ではありますけれども、海外製品の輸入を促進するという意味では全くプラスがないということではないと思います。それだけのメリットはあるというふうに思っております。
  128. 池田治

    池田治君 最後の一問ですが、柴田参考人。  大型店が増加してきますと、競争の激化によって営業時間や労働時間の延長にもつながりかねない、こう思っております。参考人は、朝型とか夜型の労働時間や営業時間を分けたことを先ほど述べられましたけれども、現在のスーパー等の労働時間は三段階に分けてやっているということも聞いておりますが、実際どうなっておるのかどうか。そして、余り競争の激化によって労働時間の短縮に逆行するようなことがあれば、ドイツのような閉店法でも立法せにゃいけない、こう思っておりますが、いかがな御意見でございますか。
  129. 柴田守

    参考人(柴田守君) まず、現在の状況からごく簡単に申し上げますと、大型店におきましては、営業時間の延長に伴って、ツーシフト、スリーシフトという形でシフトの労働体制をしいております。ですから、営業時間の延長が即労働時間の延長には結びついていない、むしろシフトを組むことによって短い労働時間で長い営業時間に対応しているということは、大型店については言えると思います。  しかし、中小小売商におきましては、それに対抗して営業時間を延長すれば、当然労働条件、特に労働時間に非常に影響を与えている。というのは、シフトを組むだけの人数を確保できませんし、シフトを組むというのはそれだけ効率がいいということが前提ですから、そういう高い効率が望めませんから、そういう意味では営業時間の延長と労働時間問題というのが非常に深刻に結びつくのが中小小売商、この立場だということを申し上げたいと思います。  私が申し上げたのは、そういう中小も大手も全体として考えたときには、一定の営業時間にシフトをさせて、その中でできるだけ効率のいい労働をとるという形が望ましいのではないか。そして、あわせてこれは、消費者皆さん方も単に店があいていればその店はよく勉強しているとか便利だとかというとらえ方をしないで、実際にそれだけの営業時間というものが現在の段階の効率がいいかどうかという点についても見ていく必要があるのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  そういう意味で、先ほど申し上げました小売商業基本法という、言ってみれば大手、中小も含めた小売業全体をカバーするような法律というようなものをつくって、その中で例えば週一回休業というような、これはもう大手も中小もないわけですね。今むしろ、中小小売商の方が週一回休業になっていて、大手の一部が週一回休業になっていないという事実もあるわけでして、そういうような大きい視点からこういう法律を考えていく時期に来ているのではないか、それが日本における小売商業の新しい秩序づくりではないだろうか、私はこういう点で申し上げたわけでございます。
  130. 池田治

    池田治君 基本法をぜひ今度一緒に勉強して、通産省のしりをたたいてやらせましょう。  終わります。
  131. 井上計

    ○井上計君 民社党の井上でございます。  参考人皆さん方には、大変長時間にわたって御苦労さまでございます。貴重な御意見を拝聴いたしまして大変参考になりました。ありがとうございました。  私も時間が幾らもありませんので、限られた方に限られた質問をいたします。  特に、小売商業を取り巻く環境が昭和三十年代の後半から大幅に変わりました。百貨店法あるいは最初の大店法が制定されました当時は、いわば中小小売商の保護育成と、保護という形の色彩が強かったわけでありますが、その後大分変わってまいりました。今回の改正等は共存共栄ということが実は主眼でありまして、従来のように中小小売商の保護というふうなことは薄らいでおるということであるわけであります。それは、先ほど宇野先生も冒頭お話しになりましたけれども、すべての環境が変わりました。  したがって、保護だけでは中小小売商の安定はもうあり得ないということは当然であるわけでありますから、中小小売商店も大いに努力をしてもらって、今消費者ニーズあるいは変化の先取り等々の御努力を願わなくちゃいかぬわけであります。しかし、何しろ百六十万といわれる中小小売商、しかもその中で五〇%以上は今なおいわば従業員が一人か二人、中にはパパママストアといいますか、あるいはじいちゃんばあちゃんストアのような生業の方がまだ多いわけでありますから、そういう方に対してなかなか時代の変化の認識あるいは啓蒙といっても非常に難しい、こう思うわけであります。  けさ、当委員会で、私も通産省に対して、今度の法改正に伴ってそういうふうな変化ということについて十分小売商に対してPRすべきである、努力をすべきであるということも主張しておきましたけれども、何といいましても、役所あるいは国のそういう啓蒙だとか指導というのはもう限界があります。どうしてもやはり団体御自身でおやりいただく必要がある、こう思うのであります。  百六十万の中小小売商の中で相当数の会員を抱えておられる全振連の山本会長は、特にその面については御努力いただかなくちゃいかぬであろう、こう思いますけれども、依然として大店法改正絶対反対、もっと規制を強化して大型店の進出を阻止しろというふうなことを言っておる人たちがまだまだ地域によってはかなりいるわけであります。そういう人たちに対する指導といいますか、あるいは啓蒙といいますか、大変これから御苦労であろうと思いますけれども、どのようにお考えでありますのか、お伺いをいたしたいわけであります。  そこで、ついでではありますけれども、先般、これは地元の新聞でありますけれども、愛知県と全振連とが共同で秋十月に全国商店街サミットというのをおやりになるというふうなことをちょっと新聞で見ました。大変結構な催しだと、こう私も感じておりますけれども、それらを含めてこれからどのような努力をされるおつもりなのか、全振連のお考えがありましたらお聞かせをいただきたい、こう思います。
  132. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 私ども昨年来、既に一昨年になりますけれども、庁の御支援もございまして組織を強化するということで、現在四十六都道府県に連合会ができたわけでございまして、今奈良県だけが若干おくれております。したがいまして、組織の強化を通じまして、前回もブロック会議を開きまして、この法の趣旨を徹底して浸透を図るということで努力をしておるわけでございます。  なお、今度の五法案につきましても、いろんな諸手続をとっていただくと七月ごろではないかというようなことも伺っておりますので、その期間におきましても各県連単位でこの法の趣旨の徹底を図ってまいりたいと思っておるわけでございまして、既にやっておるわけでございます。  今サミットのお話も出ました。そういう新しい時代に対応するために法律あるいは予算等々を生かしていくわけでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、この商店街の現場はやはり各市でございます。したがいまして、国、県からの予算関係をいただくと同時に、各市と一体になって今後の商店街はどうあるべきだと、消費者の利便も考えて一緒になってどうあるべきだと、と同時に、やはり各市にも幾分の御負担をいただくということをお願いしなきゃいけません。やはり従来あった町の中の商店街というものは、商店街だけではとても動けないという面もございまして、やはり市と一体になって、警察、交通関係から土木関係、そういうものもひっくるめてこれから取り組むということでございます。したがいまして、そういう問題を発表するというような意味で、この十月に全国サミットを行う予定で今進めておるわけでございます。
  133. 井上計

    ○井上計君 ありがとうございました。ぜひひとつその面では、また大いに御努力いただきますように期待をいたしておきます。  柴田参考人にお伺いするのでありますが、先ほど来営業時間の問題がいろいろと質疑の中に出ております。それぞれ大変難しい問題でありますが、その中で正月三が日の営業の問題であります。消費者本位あるいは消費者の要望にこたえて云々ということがずっと言われておりますから、消費者から見ると、正月も店があいている、特に大型店があいていることは、一番好ましいわけであります。元日は大体皆さんどこでも休んでおられますけれども、二日からもう既に開いておられるお店が相当あります。  大型店が二日から開かれますと、最近のように商品の納入を、特に生鮮食料品等はもう一日に二回も三回もというふうな状態になっておるときに、出入りの中小企業、中小企業だけじゃありませんけれども、出入りの業者は大みそかも元日も全く休めないわけです。これは、大型店皆さん方、従業員の方々もお正月休めない、家庭団らんが全くできないというふうな問題もありますが、同時に出入りの業者やその従業員が全くもうお正月を休めない、こういうふうなことを随分と聞いておるわけであります。  商業労連としては、もう数年前から正月三が日は休もうというふうなことを盛んに言っておられることを私は承知しておりますけれども、しかし大型店あるいは百貨店の中にはそれに協調しない、依然として二日から店をあけているところが相当ある、こう聞いておるのですが、どういうふうな現状にありますか。どういうふうな状態、これからどのようにしようと思っておられますか。これは、商業労連だけということではないと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいとこう思います。
  134. 柴田守

    参考人(柴田守君) 大変鋭い問題指摘でございまして、実は商業労連は、かねてから正月三が日休業というものを産業政策の基本に置いて取り組みをしてきたわけでございます。この一、二年その看板を少し下げている、なぜ下げているかという実態をお話をした方がおわかりいただけると思います。  今先生おっしゃるように、同じ地域内で商業労連の大型店だけが三日まで休んでいるという状態のところは全部非難されるわけですね。お客様から、あの店は勉強しない店だ、三日も休んでいる、片方は一日、二日からやっている、こういうことで地域において、言ってみれば悪貨は良貨を駆逐するといいますか、まじめにやっているところが非難をされるというような状況の中で私ども地域主義をとったわけです。  地域で守れるところは守ろうということで、先生いらっしゃっている名古屋は、これはもう駅前はだめですが、栄地区は全部三日まで休んでおります。それから新宿、ここは全部店が三日まで休んでおります。そういう形で、地域地域でつぶしていこうと、こういう政策に転換をして、全体としての正月三が日休業問題については、理念としては残してありますけれども、これを政策として厳しくやっていくことについての限界を感じたというのが率直なところでございます。  そういう意味で、先ほどの週一回休業制の問題もそうなんですが、私ども法律で全部規制をするというようなことではなくて、少なくともその業界として自主的な規制基準といいますか、こういうものを持ってやっていかないと、これからはその産業そのものが働く人たちにとって魅力のないものになってくるということを非常に心配をしております。  そういう意味から、改めて先生から問題提起がありましたので、私どもも産業政策の中でもう一度その点も含めて少し討論してみたいと思います。実態はそういうことでございます。
  135. 井上計

    ○井上計君 時間がなくなりましたから、高丘参考人に一問お伺いします。  今、商業労連の柴田さんからお考えをお聞きいたしました。ここで、やはり百貨店協会、それからチェーンストア協会等々が一緒になって、そういうふうな問題を俎上に上げて御検討いただかないとなかなか解決しない、こう思うんですが、高丘参考人チェーンストア協会では、そういう問題についてはどうお考えになりますか。それをお伺いいたします。
  136. 高丘季昭

    参考人(高丘季昭君) 我々の業界は労働組合の連合体が商業労連だけではございませんで三つございますけれども、これまで正月営業についての御意見を協会に対しても申し入れがございました。しかし、現状ではそれぞれの企業が今対応をなさっている段階でございまして、協会として協議をするというような段階まで来ておりません。それぞれの企業にはそれぞれの企業の経営哲学みたいなものがございまして、店のオペレーションの時間と社員あるいは労働組合員のレーバータイムとは分けて考えるべきだというような考え方もございますので、現状で百貨店協会もチェーンストア協会も、業界として対応をするというような条件は整っていないというのが現状でございます。
  137. 井上計

    ○井上計君 ちょっともう一つ、高丘参考人にこれはお願いでありますけれども、企業として確かにこれは独自の問題でありますから、企業の自主性からして、おっしゃることはわかります。  しかし、先ほど申し上げましたように、特に労働時間の短縮等々やかましく叫ばれておる中で、ただ単に企業がこうだからということでは処理できないような情勢に入ってきているわけです。ですから、ぜひ団体として、おたくのチェーンストア協会として、きょうは百貨店協会の代表お見えじゃありませんけれども、ぜひともこれは総合的にお考えいただいて、企業のやはり自主性ということもありますけれども、少なくとも正月三が日ぐらいは統一した行動をおとりいただくことが、これは広くやっぱり事実上生活者のために必要である。そのために困っておる出入りの業者、従業員が相当おるということはぜひひとつ御認識をいただきたい。このことをお願いをしておきます。御答弁は要りません。よろしくお願いします。  終わります。
  138. 今泉隆雄

    ○今泉隆雄君 きょうは御苦労さまです。参院クラブの今泉です。  私は、この法律は何でこんなに、これだけの論議がありながら急いで改正しなきゃいけないのかということに非常に疑問を持っている一人でございます。  私は、この間の委員会でも言いましたけれども、東京の下町の谷中の生まれでございまして、立派な商店街といいますか、小さな商店がたくさん並んでいるところで生まれてずっと育っております。そういう中で、大概、六十年というのは短い方で、七十年、八十年、私の父親、母親の時代からつき合っている小売店さんが非常に多い。そういうような環境で育っています。  その中で、山本参考人にお尋ねしたいのですけれども、やはりこの法律が通った場合に、今まで町づくりとか、それから高丘参考人から小売業者に対しての助成とかそういう商業政策の問題とか、いろいろ言われておりましたけれども、しかしやっぱりこの法律が通った場合に、そのはざまに入って山本参考人はお困りのようですが、一番困るのは小売店の方じゃないか。そして、やはり消費者が困るのではないかというふうに考えるのですが、山本参考人にちょっとお尋ねしたいと思います。
  139. 山本勝一

    参考人(山本勝一君) 私ども商店街は、古くは信長の楽市というようなところから発祥してきたわけでございまして、非常に長い間地域に密着して地域の文化に貢献し、いろんな行政サイドにも協力をしてまいったわけでございます。  三十年代の後半からいわゆるセルフ方式で大型店が進出をしてきた。これを大店舗法である程度調整をしていただいてきたわけでございます。既に三十年間にわたりまして、相当の数の出店が行われておるわけでございまして、私どもだけの話でいえば、むしろここいらで規制強化をお願いしたいというふうに思うくらいでございます。しかし、国際化あるいは消費者の方々の世論とか、私どもだけが日本人じゃございませんので、もっとたくさんの人が見えるということでございますし、いろんな御意見もございますので、これも時の流れとしてやむを得ないというふうに受けとめたわけでございます。  ただ一つ、大店舗法の中には、先ほども申し上げましたけれども、私ども事業活動の機会を適正に確保するという文言は厳然として残っておるわけでございますので、大店審におかれましても時と場合によったらゼロ回答もあり得るというふうに私は思っておりますので、そこいらを信頼して納得したということでございます。  よろしくお願いいたします。
  140. 今泉隆雄

    ○今泉隆雄君 もう一問だけお尋ねしたいと思います。三村参考人にお尋ねしたいと思います。  さっきから永山参考人もおっしゃっておられますけれども、スーパーそれからやはり大店舗が必ずしも安いかというと、決して安くはないのですね。私はきのう、今住んでいる仕事場のそばのスーパーに牛乳を買いに行ったらば、前の日に牛乳を買いに行ったときよりかワンパック六十円高かった。何でそんなに上がったり下がったりするのかがよくわからないのですけれども、値段が非常にその日によってスーパーというのは違うわけで、必ずしも安いということもありませんし、それからいい物があるかというと、大概パックされていますから肉にしても魚にしてもよくわからない。  それで、これはここにいらっしゃる委員の先生方はお聞きになるとお笑いになるかもわかりませんが、私の商売で、私の周りに二十になる前の女の子たちがたくさんおります。大体二十ぐらいまでのが非常に多いのですが、その連中の話を聞いていますと、アジというのはやはり開かれた状態で海の中で泳いでいる、イカもやっぱりするめみたいな状態で泳いでいると信じているのが非常に多いんです。ですから、魚というのはこうやって開くのだというようなことを教えてくれる、そういう小売のお店というのは僕はとても大事だと思いますし、やはりそういうお店があるからこそ、何か人間と人間とのつき合いの中での商売が成り立つのじゃないかというふうに思うんですが、その辺のお考えはいかがでございましょうか。
  141. 三村光代

    参考人(三村光代君) いささかアジが開かれて泳いでいると思ったことはありませんけれども、実際に昔の小売店の魚屋さんが、先ほど初めのときに私も申し上げましたけれども、魚屋さんが実に一番いい対面販売の代表だったと思うんです。現実に今どんどん新しい種類の魚が出てくると、今の若い人たちはどうやってお料理していいかもわからないし、それからもう既に目がついている魚は嫌だという若い人たちが出てきていて、アジですらもおろせないというような人たちがいるという話もあります。それから、もうちょっと年代が上がった人でも、サケ一匹もらったらどうしていいかわからないという人だっているような時代になってきているわけです。  そういう中で、スーパーも対面販売をやはり少しは意識しようとする方向もないわけではないのですが、スーパーという特殊な販売形態の中で、セルフサービス的な販売形態の中で対面販売というのはどうしてもある部分は中途半端になりがちではないか。やはり小売店のそれこそパパママ的な方が親切丁寧に教えていく、そういう対面販売というのは、私はこれからもやはり日本社会の中には残らなければいけない販売形態だというふうに思います。それがどういうふうに今のきょうの法律改正の中で生かされていくかということは、小売店の方でぜひ考えていただきたい問題だと思います。
  142. 今泉隆雄

    ○今泉隆雄君 とにかく、笑い話じゃなくて、そういう状態で、今私なんかが行っている小売店なんかでは、これを欲しいと言うと、これはやめておきなさいよ、こちらの方がいいよと、そういうようなことをやっぱり言ってくれるお店をぜひ大事にしてあげたいというふうに思います。  質問を終わります。
  143. 前田勲男

    理事前田勲男君) 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終わります。  参考人皆様には、大変お忙しいところ、長時間にわたりまして御出席を賜りまして、貴重な御意見を拝聴させていただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。大変ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会