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1991-06-18 第120回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年六月十八日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月六日     辞任         補欠選任     大河原太一郎君     初村滝一郎君  六月七日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     小西 博行君  六月十三日     辞任         補欠選任      小西 博行君     橋本孝一郎君  六月十七日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     篠崎 年子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         糸久八重子君     理 事                 陣内 孝雄君                 竹山  裕君                 山口 哲夫君                 常松 克安君     委 員                 西田 吉宏君                 初村滝一郎君                 守住 有信君                 青木 薪次君                 篠崎 年子君                 野別 隆俊君                 渡辺 四郎君                 片上 公人君                 林  紀子君                 井上 哲夫君                 橋本孝一郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  西田  司君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        警察庁警務局給        与厚生課長    黒澤 正和君        防衛庁防衛局運        用課長      宝槻 吉昭君        防衛庁人事局人        事第一課長    坂野  興君        環境庁自然保護        局国立公園課長  小原 豊明君        国土庁地方振興        局長       小島 重喜君        国土庁防災局長  鹿島 尚武君        大蔵省銀行局特        別金融課長    戸恒 東人君        文部省教育助成        局施設助成課長  大澤 幸夫君        厚生省健康政策        局指導課長    篠崎 英夫君        厚生省保健医療        局疾病対策課長  有川  勲君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    藤原 正弘君        厚生省社会局施        設課長      松本 省藏君        農林水産大臣官        房参事官     山田 栄司君        水産庁研究部漁        場保全課長    吉崎  清君        運輸省地域交通        局海上交通課長  橋本 雅之君        気象庁地震火山        部地震火山業務        課長       森  俊雄君        労働省労働基準        局補償課長    出村 能延君        建設省都市局公        園緑地課長    中山  晋君        建設省河川局砂        防部砂防課長   高橋 哲雄君        消防庁総務課長  木下 英敏君        消防庁防災課長  古内  晋君        消防庁救急救助        課長       飯田志農夫君    参考人        日本たばこ産業        株式会社常務取        締役原料本部        長        折居 靖彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (雲仙岳噴火災害対策に関する件)     ─────────────
  2. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、去る六月三日発生いたしました長崎雲仙岳噴火による災害により、多数の方々が亡くなられました。まことに痛ましい限りでございます。  ここに、犠牲者方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷を願います。    〔総員起立黙祷
  3. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  4. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 委員異動について御報告いたします。  去る六日、大河原太一郎君が委員辞任され、その補欠として初村滝一郎君が選任されました。  また、昨十七日、村沢牧君が委員辞任され、その補欠として篠崎年子君が選任されました。     ─────────────
  5. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会日本たばこ産業株式会社常務取締役原料本部長折居靖彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般行いました委員派遣について、派遣委員より報告を聴取いたします。竹山裕君。
  8. 竹山裕

    竹山裕君 派遣報告。  去る六月十二日、糸久委員長常松理事青木委員林委員井上委員小西委員と私、竹山裕は、雲仙岳噴火による被害実情調査してまいりましたので、以下その概要を御報告申し上げます。  なお、初村議員篠崎議員現地参加されました。  雲仙岳火山活動は、昨年十一月十七日の噴火以来しばらく小康状態を保っておりましたが、本年に入ってから再び活発化し、特に五月以降は土石流火砕流発生が相次ぎ、六月三日には雲仙・普賢岳の地獄跡火口で大規模火砕流発生し、高熱のガスを伴った溶岩塊がふもとの島原北上木場町、南上木場町をのみ込み、三十五名の方々犠牲となり、今なお四名の方が行方不明となっております。まことに痛ましく、心から御冥福をお祈り申し上げる次第であります。  雲仙岳活動は、その後も周期的に大規模火砕流を繰り返し、八日には三日の規模を上回る最大規模火砕流発生して、その先端は海岸線の約二キロまで迫り、多くの家屋が焼失しましたほか、公共土木施設、農作物、畜産等にも多大な被害発生しております。また、水無川流域はたび重なる火砕流によって膨大な量の土石が堆積しており、土石流発生の危険が高まっております。しかも、私ども現地入りした前日の十一日には、従来の噴火様式とは異なる爆発性を帯びた噴火活動が認められ、火山活動は新たな段階に移行したのではないかと見られており、水無川以外の谷筋からも火砕流土石流発生する危険性指摘する専門家も少なくありません。火山噴火予知連絡会加茂会長代行も、概況説明の席上で「マグマ供給が続く限り、火砕流爆発的噴火の混合型の噴火が今後も続くと予測される」と述べ、引き続き厳重な警戒が必要であると強調しておりました。  こうした状況の中で、島原市では、二度と人命にかかわる惨禍を繰り返さないとの観点から六月六日には北上木場町など五町のうち、国道五十七号より西の山手側区域災害対策基本法第六十三条の警戒区域に指定し、深江町でも七日に大野木場地区の一部を指定するなど、その後順次追加拡大され、十二日にはついに水無川河口から半径二・五キロの海域までも警戒区域に指定されております。この結果、警戒区域及び避難勧告対象区域避難対象者は、二千五百四十七世帯、九千八百四十二名の多きに達し、被災地状況は想像以上に逼迫しておりました。  私ども市立総合体育館を初め四カ所の避難所を訪問し、被災者をお見舞いしてまいりましたが、閉め切った室内の暑さと着のみ着のままでプライバシーもない避難所生活で、避難住民の疲労とストレスは限界に達している様子が察せられ、励ましの言葉をかけるのもはばかれるほどでありました。今後避難生活が長引けば、体調を崩す人も多数出ることが予想されます。島原市長避難住民から犠牲者が出ないよう万全の救済対策要望しておりましたが、医師、看護婦緊急派遣体制整備罹災家族用住宅大量建設などの救済対策を早急に講ずる必要を痛感してまいりました。  このように、雲仙岳は依然活発な活動を続けており、今後本格的な降雨期を迎え大規模土石流災害発生も懸念されております。したがいまして、当面は人命安全確保を最優先に、観測体制強化、正確、迅速な情報伝達などに努めるほか、防災対策に万全を期すことが強く望まれます。派遣中、長崎県及び関係市町から、集団移転に対する財政援助等多くの要望が寄せられましたが、国としても、現行法令及び財政措置を弾力的に運用することによって迅速かつ適切に対処するよう強く要望いたします。  以上申し述べましたように、今回の雲仙岳噴火災害は、人家密集地域における火山活動に伴う土石流火砕流発生という特異な災害であること、地域住民を集団的に疎開避難させなければならないこと、また、火山活動が原因であるため、発生と終息の予測が極めて困難であることなど、従前の災害とは異質な極めて危険性の高い災害であります。それだけに、現行法体系では十分な対応ができない場合には、新たな立法措置について配慮してほしいという要望のあったことを付言いたします。  以上が調査概要でありますが、派遣中寄せられました要望事項につきましては、これを本日の委員会会議録末尾に掲載させていただくよう、委員長にお願いいたします。  最後に、雲仙岳火山活動が一日も早く終息することを念願し、今回の調査に御協力いただいた関係者皆様にお礼を申し述べまして、簡単ではありますが報告を終わります。
  9. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいまの報告の中で要請のございました要望事項につきましては、本日の会議録末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  11. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 次に、平成三年雲仙岳噴火について政府から報告を聴取いたします。鹿島国土庁防災局長
  12. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) お手元に配付申し上げました資料に基づきまして、平成三年雲仙岳噴火災害につきまして御説明申し上げます。  まず、大きなIの噴火状況等について要約して申し上げます。  雲仙岳は、昨年十一月十七日に約二百年ぶり噴火いたしまして、一時活動の低下が見られたものの、本年五月中旬ごろから活動が活発化し、現在に至るまで極めて活発な火山活動を継続いたしております。特に、地獄跡火口東壁から流下した火砕流によって多くの被害が出ておりまして、六月三日十六時ごろの火砕流では数十名の死傷者行方不明者が出るという事態が発生し、また六月八日の最大規模火砕流においては、幸い人的被害はなかったものの、数十戸の建物が被災いたしております。加えて、六月十一日深夜の噴火においては、島原市内に噴石が降下するなど、引き続く活発な火山活動状態に対し、火山噴火予知連といたしましても厳重な警戒を呼びかけているところでございます。  次に、二ページをお開きをお願いいたします。  IIの被害状況でございます。現時点におきます一般被害につきましては、人的被害として死者が三十五名、負傷者十四名、行方不明者四名、物的被害として住宅被害九十八棟等となっております。  次に、施設等関係被害でございます。建設省関係では、六月五日現在で公共土木施設約三億四千四百万円の被害額との報告を受けております。また、農林水産省関係では、公共土木施設農林水産業関係を合計いたしまして、六月十七日現在で約百六十三億円の被害額との報告を受けております。厚生省関係では、配水池取水施設などが被害を受けております。  次に、三ページをお開きをお願いいたします。  交通関係につきまして鉄道関係では、島原鉄道警戒区域避難勧告区域を通過する間について一部運休いたしております。また、道路関係では、警戒区域避難勧告区域を含む区間及び土石流等のおそれがある区間について、一般国道五十七号等で四カ所全面通行規制しております。  電力関係については、水無川流域四百十二戸において電力供給支障が生じ、現場は立入禁止であり、送電を停止中となっております。  通信関係では、白谷町付近において百三十三世帯加入者電話が影響を受けました。  放送関係では、NHK等電源ケーブル被害を受け停波したが、送信所を移すことにより放送を継続いたしております。  次に、大きなIIIの避難状況等でございます。  資料三ページ、四ページに掲げてございますように、深江大野木場の一部等三地区について避難勧告が継続しておりますとともに、島原北上木場町など十七地区深江大野木場の一部等二地区及び水無川河口から半径二・五キロメートル以内の海域について災害対策基本法第六十三条第一項に基づく警戒区域として立入制限等をすることの決定がなされております。  避難対象人員は、資料四ページ下段にございますように、島原市、深江町合わせまして一万三百四十九人であります。このほか自主避難した方も相当あるものと思われます。  次に、大きなIVの講じた措置等についてでございます。資料五ページ目になりますが、五月二十九日、災害救助法島原市、深江町に適用されており、同法に基づきまして避難所の設置、食品、被服、寝具等の給与、貸与に加えまして、応急仮設住宅百五十四戸が既に建設中であります。加えて、今後百五十六戸が建設されることが決定されており、避難者入居希望状況を踏まえ、さらに追加建設を行うことが予定されております。住宅については、応急仮設住宅以外に、公営住宅などの空き家への入居を四十七戸につき入居済みでございます。また、百二十戸につきあっせん済みでございます。引き続き、公的住宅空き家約三百八十戸についてあっせんをいたしております。  次に、財政金融上の措置として、中小企業金融公庫等災害復旧貸し付けを開始することを決定したほか、島原市、深江町に対して普通交付税の一部繰り上げ交付等が行われたところであります。  政府といたしましても、五月十八日を初め四回にわたって災害対策関係省庁連絡会議を開催し、情報伝達避難誘導体制について万全を期すること等、当面の重点的な対策について申し合わせたところであります。また、五月二十七日に関係省庁担当官現地派遣し、調査を行うとともに、六月五日、国土庁長官を団長とする八省庁から成る政府調査団現地において噴火状況調査を行っております。  さらに、政府といたしましては、資料六ページになりますが、六月三日に発生した規模の大きな火砕流により多数の死傷者発生したこと等を踏まえ、六月四日に国土庁長官本部長とする関係二十四省庁から成る平成三年雲仙岳噴火非常災害対策本部を設置し、被災者及び避難者に対して適切な救済措置を講ずること等、七項目の重点事項の推進を図るとともに、地域住民の安全を最優先住民避難について万全を期するため、当面避難体制及び住宅対策の二点に重点を置いて所要の対策を講じてまいっております。  以上でございます。
  13. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 以上で政府からの報告の聴取は終わります。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 まず初めに、先ほども犠牲者の御冥福をお祈り申し上げましたけれども、今回の雲仙岳噴火に伴う火砕流災害により犠牲となられた多くの方々の御冥福を心からお祈り申し上げますと同時に、被災者皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。  火山活動状況観測体制強化について質問をいたします。  今回の雲仙岳火山活動については、当初は土石流の危険が指摘されたのみで、火砕流に対する対策と備えは全く希薄であったと思うのであります。また、過去の例でも、集中豪雨のたびに土石流発生いたしまして大きな被害を出しておりますけれども火砕流については今回の雲仙岳災害までは余り聞いたこともなく、私も長い間災害対策委員をやってまいりましたけれども、今回が実は恥ずかしながら初めてであります。  そういうような状態の中で、あれほどの破壊力を持っているとは知られていなかったのであります。そうした火砕流に対する認識の甘さが結果として六月三日の、先ほどの報告にありましたように、大惨事につながったのではないかと考えられるのでありますが、火山災害対策強化に対する決意を含めて、国土庁長官見解を伺いたいと思います。
  15. 西田司

    国務大臣西田司君) まず、お答えをいたします前に、ただいまも皆さん方と御一緒に、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げたわけでございますが、重ねて今回の災害で亡くなられました方々の御冥福を心からお祈りする次第でございます。また、被害に遭われました方々に対しましても衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。  さて、今回の雲仙岳噴火に伴います災害状況でございますが、確かに御指摘のように、当初土石流災害というものを一番念頭に置いて私どもは取り組んでまいりました。ところが、六月三日にあのような大変な火砕流による災害発生をして人命を失った、傷つけられた、このことはまことに残念な限りでございます。  予測ができなかったかという御指摘でございますけれども、特に専門家皆様方もあらゆる角度からの想定に基づいて予測に努めてもらったわけでございますけれども、まことに遺憾ながらこの火砕流なるものの予知ができなかったということは極めて残念なことでございます。このことをよき反省の材料といたしまして、今後火山に伴うあらゆる防災対策に取り組んでいく決意でございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 今回の雲仙岳噴火災害一つの教訓といたしまして、今後は観測機器による観測体制強化はもちろん、火山の過去の噴出物を丹念に調査することによって、その火山活動歴史噴火周期性を見出す地質学的な調査にも力を入れていく必要があると考えるのでありますが、気象庁見解はいかがですか。
  17. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 雲仙岳につきましては、正確な噴火の記録が残っておるものは一六六三年と一七九二年の二回しかございません。そのため、現在のところ周期性を議論するに足るデータの蓄積はございません。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 最近海外でフィリピンのルソン島のピナツボ山が六百年ぶりに大噴火を起こしております。山の西側を中心に半径二十キロの範囲で火山灰溶岩の破片が降り注いで大きな被害を出していると報じられているわけであります。このピナツボ山と雲仙岳噴火火山帯として関連づけている書物が大変多いのでありますが、この点について、同じ環太平洋火山帯に位置するだけに関連性が気にかかるのでありますが、気象庁はどう考えていますか。
  19. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 直接の関係はないと考えております。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 今回の雲仙岳噴火が余りにも衝撃的であったために、国内の他の活火山活動についても関心が向けられております。今後注意が必要だと思う火山が、例えば浅間山とか伊豆大島とか阿蘇山とか桜島とか、いろんなことが言われているわけであります。私は静岡県でありますが、三原山伊豆海底火山爆発、この関係はいろんな書物で見ているわけでありますが、私も実地に現地に行ってそしてこの実情をいろいろ調べたことがあるわけでありまするけれども活動状況についてお伺いいたしたいと思います。
  21. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 今、日本では八十三、八十余りの活火山がございますけれども、そのうち十九火山につきまして気象庁では常時火山観測網を持ってございます。常時観測火山以外のところは随時機動観測班で対応してございまして、火山活動を厳重に監視しているところでございます。  それから、もし今御指摘のような火山につきまして異常が認められる場合には、また随時機動観測班等派遣いたしまして監視を強めてまいりたいというふうに存じております。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 あなたの説明はよくわからないんですけれども関係があるんですか、ないんですか。
  23. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 御指摘のように、確かに大島伊豆東部火山群、そういうところについて関連性があるという学説がございます。ただ、私ども気象庁の立場といたしましては、それが必ずしもはっきりした証拠に基づいているというふうには考えてございませんで、異常がありそうな場合には観測体制強化するというような姿勢で努めてまいりたいと存じます。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 三原山噴火しますと伊豆一帯関係地震もなくなるし、もちろん火山性爆発もなくなる。そして、この間の伊東の海底爆発のように、こういうことがあると三原山は極めて静かになる。この辺のマグマは全く一体性のものである。相当上に上がってきている。将来陸上に近づいているということを事実によって証明しているようなものでありますけれども、この点は気象庁としてはどう考えますか。
  25. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 地震とか火山一つ大きい事件がございますと、その付近一帯ストレス場と申しますか、その応力、力の場が変化してまいるのが通常でございます。ですから、その間に何らかの関係が見出されるという学説の生じることは当然のことでございますけれども、それがどの火山がその次にどこのところに力を及ぼすかということについては、必ずしも明確な答えは出ておらないというふうに私は考えてございます。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 それじゃ答弁にならないんですかね。富士山が三年ぐらい前ですか、頂上で火山性地震があったんです。そして、この辺の地震歴史を見てまいりまするとそれに符合するようなものが大分あるということで、あなたはもうわかっていると思うんだけれども、あえてしゃべらないでいると思うのでありますが、このことだけでもう質問時間が終わってしまいますのでこの次にするとしましても、余りにも秘密主義でいったんじゃかえってこれは不安のもとになるんです。ですから、やはりこういう火山地震情報等を出すには気象庁に頼る以外にないんですから、知らぬ、存ぜぬ、そうかもしれないというようなことだけでは遺憾ながら本委員会としてはこれはやっぱりいただくわけにはいかない、こう私は思いますので、これはまた後でひとついろいろ説明に来てもらいたいと思います。  それから、火砕流土石に覆われた地区及びその周辺の地域は、仮に火山活動が終息しても、被災地もとどおり生活生産活動を行うのは困難ではないかと見られるんです。集団疎開移転が必要との見方も出てきているわけでありますが、地域住民にとって住みなれた墳墓の地を捨てて他に移転することは断腸の思いでありましょう。果たして火山灰を大量にかぶった農地で今後引き続き営農ができるのかどうか、また被災地での定住は不可能かどうか、国土庁見解をお伺いいたしたいと思います。
  27. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 今回の災害によりまして人的被害はもとより、農林水産業におきましても相当な被害が生じているというふうに思われます。現在、警戒区域設定等によりまして、被害実態調査というものが非常に困難な状況にございます。今後調査可能となった段階で、国土庁といたしましても各省庁と連携を保って適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、例えば農業とか畜産業とか、いわゆる農地面積や従事する農家の数とか、その他の世帯の職業別内訳というのはまだわかっていないんですか。
  29. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 六十年の十月に行われました国勢調査によりまして、十五歳以上の就業人口の状況を調べてございます。  第一次産業に従事する人は島原市では三千四百八十三人、深江町で千三百二十六人。二次産業で四千六百二十九人、八百六十四人。三次産業では一万二千九百七十六人、千六百八十三人というふうに記録されてございます。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 被災地への復帰が困難だとすれば、集団移転をせざるを得ないと思うんですね。そうなれば、宅地や農地等の土地を買い上げる必要があると思うのでありますが、評価額も低く抑えられて二束三文で買いたたかれる可能性というのは非常に多いと思うんです。そういうことにならないように国としても適正な価格で買い上げるような指導をすべきと思うのでありますが、いかがですか。
  31. 小島重喜

    説明員(小島重喜君) お答えいたします。  ただいま私どもの所管しております防災集団移転促進事業というのがございまして、これにつきましては移転跡地の買い上げについての補助制度はございますが、その際に私どもの所管しております制度の中では、危ない地域でございますから、それを買い上げてそしてそこに防災植林をするとか、あるいはもうそこでは家を建てられないようにするとか、そういうような措置をすることにしておるわけでありますが、その場合の買い取り価格につきましては、今の申し上げましたような用途というようなこともございまして、買い取り時点におきます時価、こういうことで私ども従来運用しておりまして、そういう意味で買い取り時点におきます適正な価格で買い取る、こういう仕組みになっております。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 移転、疎開を余儀なくされる人にとってはまことに暗たんたる気持ちだと思うのであります。安全第一を考えればそれもやむを得ないであろうと思いますが、その場合、地域をどう処理し、活用するかが問題となってくると思うのであります。でき得ることなら自然環境を保全し、防災国立公園のような形で整備、保全をするのが最善の方法だと考えるのでありますが、県の副知事さんや皆さん、あるいはまた島原の市長さんとも私は相談をいたしました。大変ありがたいことだという現地の話も実は聞いているわけでありますが、これらの点について国土庁長官はどんなふうにお考えになりますか。
  33. 西田司

    国務大臣西田司君) 現在、当面の応急的に講じなければいけない避難の問題、また避難民の方々がどのような居住条件の中で、より安心して生活していただけるかということに今国においては全力を挙げておるところでございます。  ただいま、この災害というものが一段落をした、いわば将来的にどう考えるかという御質問でございますけれども、このことは大変私は重要なことだと考えておるわけでございます。例えば水無川流域というものだけにこだわらずに、将来的には防災に強い町というものをつくっていく観点から、いろいろな研究、検討がなされて今後に備えていかなければいけない、このように思っております。  御指摘を受けて、我々も十分に勉強したいと考えております。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 長官の気持ちはよくわかりますが、きょうは雲仙岳関係を言っているんです。その他の関係を言っているんじゃなくて、現実に私の見てきた、あなたも見てこられたこの関係について、防災国立公園といったようなものについてはどうお考えですか。
  35. 西田司

    国務大臣西田司君) 私が申し上げたのもよその話を申し上げたわけではないわけでございまして、例えば島原市あるいは深江町の将来をどのような町づくりに持っていくかという視点からお話を申し上げたわけであります。その中で御提言の国立公園化という問題も一つの検討に値する事柄である、このように受けとめております。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 わかりました。  国立公園とか国定公園の自然公園及び皇居外苑とか新宿御苑などの国民公園は、これは環境庁ですね。それから、都市公園やその他の特殊公園は建設省の所管となっております。仮に水無川の流域を公園として保全することとした場合、一案として歴史公園とか森林公園とか動物公園とか、このような特殊公園が考えられるのでありますが、特殊公園の採択基準等はどのようになっているか、あるいはまた水無川の流域を特殊公園として保全することが可能かどうか、これは建設省にお伺いいたしたいと思います。
  37. 中山晋

    説明員(中山晋君) お答えいたします。  都市公園につきましては、特殊な形態に応じた特殊公園がございまして、例えば動物園あるいは自然環境を重視した自然環境公園、そういう基準で整備しております。  それから、現在の水無川の立入禁止区域を公園として整備したらどうかという特殊公園的な考え方でございますが、現在では立入禁止区域の活動、普賢岳の活動が鎮静化しておりませんので、現段階では特段の検討は行っておりません。  今後の問題につきましては、地元の意向等も十分に踏まえまして、検討してまいりたいと考えております。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 これは地元の皆さんともちょっと相談したわけであります。詳しい相談はまた別でありますけれども、大変ありがたい提案だと、私も新聞記者会見のときには個人的な見解だけれどもと言って申し上げました。そういうことについては、私だけでなくて恐らく皆さんも相当そういう考え方を支持してくださる方が多いと思うのでありますが、これはひとつ検討してもらうということでお願いいたしたいと思います。  雲仙・普賢岳周辺は雲仙天草国立公園に指定されているけれども、環境庁としては集団移転跡地の公園化についてはどんな考え方を持っておりますか。
  39. 小原豊明

    説明員(小原豊明君) 水無川上流部を含む雲仙岳一帯はすぐれた自然風景地の保護と利用という観点から国立公園に指定されております。火山活動により自然景観が大分変わってきていることは事実でございまして、活動の鎮静化を待ちまして、地元の長崎県あるいは関係市町村の意見も聞いて、国立公園の区域あるいは公園の計画の見直しを行いたいと考えているところでございます。  なお、火山活動が続いている今の段階におきましては、新しい制度の自然公園については特に考えてはおりません。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 土石流対策について質問いたしたいと思いますが、雲仙岳火山活動は、六月十一日ごろから従来の噴火様式とは異なる爆発性を帯びた噴火活動が認められまして、新しい段階に移行したと見られているのでありますが、このために水無川の以外でも火砕流土石流発生する危険性が高まっていると報ぜられております。  今後、本格的な降雨期を迎えたわけでありますが、建設省では土石流発生危険性をどのように受けとめておられますか。また、雲仙岳周辺には土砂の災害危険箇所はどの程度あるのか、お伺いしたいと思います。
  41. 高橋哲雄

    説明員(高橋哲雄君) お答え申し上げます。  雲仙岳周辺の土砂災害危険箇所は、水無川水系及び北東斜面の中尾川水系、湯江川水系について申し上げますと、水無川水系につきましては四渓流、中尾川水系につきましては八渓流、それから湯江川水系につきましては二渓流ございます。いずれも土石流につきましてそれぞれ砂防施設を入れております。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 土石流発生危険性が高まれば当然その対策にも万全を期す必要があると思うのであります。しかし、監視体制や砂防ダム等の防災施設は万全ではないのではないかということを心配しておりますが、特に危険性の高い水無川については、ワイヤセンサーの設置もままならず、十分な監視体制がとれていないのではないかと心配されているけれども、いかがですか。  それから、遠隔操作で監視できる赤外線画像カメラを設置するということになっていたけれども、設置は完了したのかどうか、お伺いしたいと思います。
  43. 高橋哲雄

    説明員(高橋哲雄君) お答え申し上げます。  土石流火砕流による災害から地域住民の生命、財産を守るために土石流の監視システムの増設強化を図る必要があるとかねてから考えております。この土石流監視システムの中身は、先生がおっしゃいました監視カメラ、赤外線カメラ、ワイヤセンサー、振動センサー、雨量計、監視局等で構成されておるわけでございますが、特に遠隔から監視するためのカメラ等のシステムにつきましては六月七日から増設を開始いたしまして、普賢岳の南の一・五キロにあります岩床山及び西の方の二キロにございます仁田峠の二カ所に監視カメラと赤外線カメラ、これは岩床山の方はカラーカメラ、高感度カメラ、それから赤外線カメラ、それから仁田峠の方はカラーカメラ、高感度カメラを設置いたしまして、岩床山につきましては六月の十五日、それから仁田峠につきましては十六日にそれぞれ設置を完了いたしております。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 次に、被災者対策についてお伺いしたいと思いますが、去る十二日の現地調査で、体育館等の避難場所を訪問いたしまして被災者皆さんをお見舞い申し上げたわけでありますが、先ほどの派遣報告にもありましたように、暑さと着のみ着のままでプライバシーのない避難所生活避難住民皆さんの疲労とストレスは限界に達していると思うのであります。避難住民犠牲者が出ないうちに仮設住宅等への入居を進める必要があるのでありますが、応急仮設住宅供給戸数、供給時期はどのようになっているか、お伺いいたしたいと思います。  また、応急仮設住宅への入居を希望している世帯ほどの程度いるのか。応急仮設住宅の設置戸数は全部または一部流失した世帯の三割というのが従来の基準でありますけれども避難生活の長期化等を深く考慮いたしまして、雲仙岳災害の場合は特例的に引き上げる必要があると考えるのでありますが、いかがですか。
  45. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明を申し上げます。  応急仮設住宅への入居希望世帯数でございますが、県におきまして今月十三日にとりあえずの募集締め切りを行いました。その際の入居希望世帯数は五百七十七世帯でございました。  このような状況を踏まえまして、まずとりあえず現時点で島原市におきまして百十四戸、深江町におきまして四十戸、合計百五十四戸を建設中でございます。その百五十四戸のうち、とりあえず島原市の四十四戸につきましては六月二十二日から順次入居ができる。それから、六十六戸につきましては六月二十七日以降順次入居を行える。さらに、島原市の残り四戸につきましては七月初旬に入居ができる。それから、深江町の四十戸でございますが、これにつきましては六月二十七日から入居を順次していただく、こういうような段取りで現在進んでいるわけでございます。  さらに、島原市におきましては、これ以外に百五十六戸の追加決定を既にいたしているわけでございまして、順次建設を進めていく予定でございます。  また、先ほど申しましたように、全体のとりあえず決定した応急仮設住宅建設戸数が三百十になりますが、入居希望世帯数が五百世帯を上回っているわけでございまして、このような入居希望方々状況を踏まえまして、できるだけそれに沿う方向で現在県におきまして別途さらに建設通地を検討中でございます。今後その適地が見つかり次第、順次応急仮設住宅建設を進めていくという考え方になっているわけでございます。  さらに、応急仮設住宅の設置について全焼全壊あるいは流失世帯数の三割以内という基準があるのではないかという御指摘でございますが、御指摘のとおり災害救助法の一般基準におきましては、全焼全壊、流失世帯数の三割以内というのを一つの目安にしているわけでございますが、これはあくまでも一般的な目安でございまして、特別の事情があれば厚生大臣と協議して特別の基準でさらに多く設置をするという道が開かれております。  それから、ついでに付言して恐縮でございますが、今回の災害におきましては避難対象地域内の家屋自体が極めて長期間にわたって現実に使用できないという状態になっておりますので、全焼全壊あるいは流失世帯と同様に取り扱うという私どもの考え方でございます。したがいまして、この三割以内という要件が今回の応急仮設住宅建設に当たって制約になることはないと考えております。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 国土庁長官は今月五日の記者会見で、現在の状況が長期化する場合、疎開を積極的に進めていく考えを示しておられましたけれども集団疎開となると現行法では対処できないのではないかと心配されます。  そこで、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律による防災集団移転促進事業の要件は、移転しようとする住民の半数以上が住宅団地に入居することとなっているけれども、今回のように大規模移転が想定されるような場合は、移転しようとする住民の半数以上が住宅団地に入居することは実際上困難だと思うのであります。要件を緩和する必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  47. 小島重喜

    説明員(小島重喜君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり現在の要件はそうなっておりますが、現在までこの法律の適用を受けまして移転いたしました戸数が千三百七十七戸ございまして、そのうちこういう集団の団地に入りました者が一千九十八戸ということで、約八割くらいの人はこういう要件を満たしておるわけでございます。  今回の島原の件につきましては、御案内のとおりその詳細につきましても、現在こういう状況でございますから、一体何戸の方が移転を希望されるとかいうことがなかなかつかめないというのが現状でございます。私どもといたしましては、とにかくこの集団移転、危ないところから全員出ていただくということは重要な要件でございますので、その後具体的に島原の方でどのように対応されるかということがわかりますれば、できる限り私どもといたしましても地元の意向を尊重できるようにしていきたいと思いますが、あわせて、やはり一つのコミュニティーと申しますか、そういうものを別のところにつくろうというようなこの法律の趣旨もあろうかと思いますので、それらのことにつきましてもやはり住民方々の御協力も必要ではないか、かように考えております。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 国道を通行どめとかあるいはまた島原鉄道の連休によって市民の足が奪われた形になっているのでありますが、代替の交通機関としてフェリーが活躍しているようでありまするけれども、これも海上の警戒区域設定によって運航もままならないということになります。通勤する人たちによっては陸の孤島のような不便な生活だということを言う声もあるわけでありますが、安全を配慮いたしました市民の足の確保という点でどういうお考えがあるか、お伺いしたいと思います。
  49. 橋本雅之

    説明員橋本雅之君) 現在陸上交通網が島原市と島原半島の南部との間で交通規制されております。六月十日から臨時に島原港とそれから須川港の間で九州商船がフェリーを運航いたしまして住民方々の足を確保してまいりましたが、十二日の午後六時から警戒区域が海上の一定区域にも指定されたことに伴いましてこのフェリーの島原港への出入港が不可能となりまして、現在運航中止となっております。このため、現在長崎県と運輸省を初めといたしまして関係者の間で海上輸送の確保のための方策について検討しておるところでございます。  一方、バス輸送につきましては、六月十四日以降島原鉄道が通勤の足を確保するために、有家町と島原市の間で島原半島西側を経由するバスを連行している状況でございます。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 今回の噴火によって工場の焼失とか農地の壊滅的損失で旅館や工場や中小企業者、畜産業者、農業従事者、商売をしている人たちは生活収入の道が閉ざされたわけであります。こういう人についての金融その他の対策ほどうなっているか。  あるいはまた、海部総理は雲仙岳視察の際に特別立法を用意したいということを考えているようでありますが、この点に対する質問をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。‐
  51. 戸恒東人

    説明員(戸恒東人君) お答え申し上げます。  雲仙岳噴火によりまして被災されました中小企業者の方に対しましては、既に国民金融公庫、それから中小企業金融公庫、商工中金、そして環境衛生金融公庫によります災害貸付制度がございまして、これにつきましては六月四日に本制度の発動といいますか、適用と各機関に指示したところでございます。  そこで、国民金融公庫について申し上げますと、災害を受けました方々につきましては一災害につきまして二千万円貸付限度額を上乗せするというような制度がございまして、同時に、通常の場合には貸付期間につきましては運転資金ですと現在は五年、据え置き二年ということですが、災害貸し付けの場合には運転資金、設備資金ともに貸付期限が十年で据置期間を二年以内にするというような措置をとってございます。  それから、農林漁業者に対しましてはまた農林漁業金融公庫の災害復旧貸付制度がございまして、その場合には貸付金利等が通常の貸し付けよりも低利なものとなっているところでございます。  いずれにいたしましても、地元にたくさんいらっしゃいます中小企業の方々、それから農業従事者の方々に対しましてはこういう各機関が既にいろいろなpR活動も行っていると思いますし、また近辺の支店に御相談に行っていただく、あるいはその代理店となっております金融機関に御相談になっていただきますれば、新しい貸し付け、それから既に金を借りているといいますか、既に借り入れをしている人がいろいろ返済の方で悩まれる場合には個々の金融機関の方に直接御相談、あるいは金融機関の方から各商工会と既に相談がいっていると思いますので、できるだけそういう磯関の活用をしていただきたいと思っております。  以上でございます。
  52. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 特別立法についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、まず被害状況というものを正しく把握いたしました上で、災害関係の諸制度を十分活用いたしまして的確に対応していくということがまず重要であるというふうに認識をいたしております。  また、政府非常災害対策本部といたしましては、つとに関係省庁に対しまして、地元長崎県等から出されました要望に対して可能な限り迅速かつ的確に対処していくことを既に申し合わせ実行いたしておるところでございます。  なお、火山活動は依然として予断を許さない状況にございます。これに伴って地元の状況も流動的でございますので、地元の考え方もよく聞いて、事態の推移に応じて的確な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  53. 青木薪次

    青木薪次君 終わります。
  54. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 私は、まず六月三日の火砕流による犠牲者となられた方々の御遺族の皆さんにお悔やみを申し上げ、犠牲者の御冥福をお祈りいたします。そして、今なお火傷等で入院治療中の負傷者方々の一日も早い完治をお祈り申し上げます。  私は、災害救助の問題について特に厚生省にお伺いをしていきたいと思うんですが、大臣にも後ほど総括的にお伺いをしたいと思っております。  自然のしわざとはいえ、いつ終わるともわからない猛威の中で、先ほどからお話がありますように、避難をされて不安と不自由な生活を余儀なく続けられておられます約一万人に近い方々に、私も六月五日の日に現地にお伺いをいたしまして、何とお見舞いを申し上げてよいのか心が痛みます。  そこで私は、やはり今直ちに国会が政府と一体となってひとときも早く、そして一つでも二つでもお助けができるものを、あるいは救援の手を差し伸べて被災者の苦痛の万分の一でもお助けができればと思い、そういう点から以下質問を申し上げてみたいと思う。  まず、その前に厚生省にお尋ねをいたしますが、珪素という物質があります。通常は天然には遊離をしていない物質なんですが、これが噴火による火山灰に含まれています。この珪素が人体に及ぼす影響等について、医学的な知見があればまず聞かせてほしい。
  55. 有川勲

    説明員(有川勲君) 火山灰の健康に与える影響の観点でございますが、長い期間火山活動をいたしております桜島火山に関しましては、厚生省といたしましては五十三年来、健康調査を含むさまざまな調査を行ってきております。今おただしの人の健康の面からの調査に加えまして、環境中に含まれますいろんな成分について人との健康との関係調査を進めてまいっております。成分の分析等もいろいろとなされておりますが、こういったものは大別してガスとしての影響と、それから今おっしゃられましたいろんな物質も含めたものの全体の健康影響としてとらえた調査を進めておるわけでございます。  その調査結果の発表がなされておりますが、その概要をごくかいつまんで申し上げますと、目とかのどに対する急性の影響は見られますが、火山灰の降灰等に含まれるいろんな物質によりますもろもろの健康影響につきましては、調査の結果としては直接因果関係があるというような特典な疾病を認めるに至らないという結論になっております。
  56. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 私みたいな素人が調べた、あるいは医学部の先生からもお聞きをしたわけですが、地殻の中にまじっております酸化物あるいは珪酸塩なんかが噴火の際のマグマの高熱によってこれが合体をして生じたのが珪素である。これは、私は福岡の出身ですから、福岡の方でもいわゆる炭じんによるけい肺問題で非常に苦しんでおる方たちがたくさんおられますが、この炭じんとも性格が違ってガラス状の粒子だということで非常に肺機能に及ぼす影響が大きいんだということを、私はある学校で医学部の先生から実はお聞きをしました。  そういう点から見て、きのうのテレビでもやっておりましたけれども、既にのどの痛みとか目の痛みを訴えておられる地域の方が出てまいりました。継続は力なりという言葉は余り当てはまらないわけですけれども、これほど長い期間降灰が続けば、かなりやっぱりこれから後人体の健康上の問題として出てくるんじゃないか。ですから、現地に行きますと確かにマスクをはめております。しかし、その珪素の恐ろしさをどの程度地域住民の方たちが知っておるかどうか。これはお願いしておきたいと思うんですが、やっぱり珪素そのものをもう少し医学的な知見なんかを含めて、そして県を通じて現地の方に予防対策としてマスクなりタオルなりを常に口に当てるような努力を住民皆さんに指導するように、これは要望しておきたい。時間がありませんから申し上げておきたいと思うんです。  そこで私は、先ほど申し上げましたように、一つでも二つでも援助の手を差し伸べて、特に住民の苦痛をお助けしたいという立場からお尋ねをいたしますが、「災害救助法による救助の程度、方法及び期間について」ということで厚生省の事務次官通知が出されております。毎年毎年内容については改定をされており、どうして担当が厚生省かということ自体についても実は私よくわからなかったわけですが、この内容をずっと見てみますと、これは風水害を主体とした救助の内容になっておるというふうに実は思えてなりません。  そこで、幾つかの問題点を具体的に指摘しながら、見解をお伺いしたいというふうに思っておりますが、まず第一点の避難所の設置問題。期間は災害発生から七日以内。もちろん厚生大臣の承認があれば延ばすことができるということになっておりますけれども、風水害であれば、台風一過、過ぎ去れば、あるいは集中豪雨が過ぎれば、あるいは二、三日、多くても一週間あれば避難という、そういう状態は解けると思うんですが、火山災害の場合に果たしてこれが避難所の設置の基準に合うのかどうなのか。今でも既に長い方はもう一カ月近くになります。そして、大多数の方がもう三週間近くになる。こういう点から見て、避難所の設置の問題、その期間を含めて、これが第一点。  それから、避難所の設置費ですが、百人一日当たり一万二千円。大臣、よく聞いておってください。そうしますと、先ほどもお話がありましたように、今回の場合も自分の住んでおった地元に帰れないという人がたくさん出てまいります。そうした場合に、避難所の設置費が百人に対して一日一万二千円。今もう既に、私も行ってまいりました、大変暑い。体育館の中、何十人、何百人という方が一緒に生活をされております。蚊がおりますから、網戸を張ろうと思っても網戸はない。そして、夏の間はやっぱり冷房設備は要るわけです。あるいは冬になりますと暖房設備が要るわけです。こういう点から見て、百人に対して一日一万二千円という避難所の設置費。ですから、これも先ほど言いますように、風水害であれば二、三日ですからお互いに我慢できると思うんですけれども火山活動に対する災害の点から見た場合は、これは非常にやっぱり不十分じゃないかという点が第二点目。  それから、第三点目は仮設住宅の問題でございますが、先ほども厚生省の方から説明がありました。かなり長期間になるであろうというお話がありましたが、これを見てみますと、一戸当たり平均二十六・四平米、八坪なんです。島原の、あるいは深江町もそうですが、現地皆さんにお伺いしましたところ、かなりが専業農家の方でございます。二世帯、三世帯一緒に同居して生活をされておる方がおられるわけです。八坪という家です。バス、トイレ、台所を含めてです。あるいは集合住宅にしますから二世帯一つぐらいは台所が一緒になるかもしれません。しかも期間は二年以内ということになっております。そして、建築費が坪当たり十五万一千円。私も住宅生協の理事長を長年やっております。十五万一千円でどういう家が建つのか。夏の間はあるいは我慢ができるかもしれません。冬は一体どうするのか。ですから、これも風水害から見れば台風が去った、大雨が去った、二、三日たてば大体めどが立ちます。仮設住宅で例えば二年間あるいは半年間、あるいは十日間おれば自分でどうかしようという気持ちになるかもしれませんけれども火山活動の場合はいつまで続くかわからないわけですから、こういうことについてが第一点。  そして、供与期間が二年以内だというふうになっておりますけれども、これもせっかく今から仮設住宅建設なさるという計画等も出ておりますが、もう少し本当に心温まる気持ちで建設面積から建設費を含めて私はやっぱり援助の手を差し伸べるべきじゃないか。  それから、三つ目が「炊き出しその他による食品の給与」というのがあります。これは一日当たり一人八百円。これは人事院勧告との関係もありましていろいろ聞きましたが、一日八百円。ところが、問題はその次です。被災地から縁故先等に一時避難する場合三日分支給ということです。集団の避難場所に行かずに自分の縁故関係を訪ねて何とか災害の終わるまで避難をしよう、そういう家族については三日以内分しか食費が出ない。仕事ができなくて避難をするわけです。こういう部分もやっぱり風水害中心の災害救助法の救助の程度、方法及び期間という内容になっておるんじゃないだろうか。  それからいま一つは、例えば災害救助法なんかに基づいて出動命令あるいは協力命令等が出されます。そういう中での実費弁償の問題です。これは風水害の後でも大変です。しかし、火山の場合は現にまだ災害が起こっておるわけです、火山噴火をし、火山灰は降っておるわけですから。そういう中で現に今仮設住宅についても、大工さんやら左官さんを含めて、火山灰を吸いながら応急仮設住宅を建てておる。あるいは六月三日のテレビでもありましたように、地域の医療機関に市長なり町長の要請によって総動員をかける。そして、けがをなさった方たちの治療に当たられたわけです。この火山災害による場合は、噴火がおさまって救助に出るわけじゃない。しかし、この実費弁償のとらえ方も、そういう危険度といいますかそういうものをやっぱり全く考慮しないで、医師、歯科医師であれば一日一万四千九百円、あるいは保健婦さんなり助産婦さんであれば一日九千円という実費支給の単価に実はなっておるようです。先ほどからお話がありましたように日本列島には八十幾つの火山があり、そして海底火山を含めて火山帯が無数に走っておるわけです。ですから、フィリピンで今大噴火が起きておりますが、ああいう大噴火が日本列島に起こらないという保証はないわけです。そういう点から見ても、私はこの内容そのものを、やはり火山災害に対する災害救助あるいはその程度、期間というのを抜本的に見直す必要があると思うんですが、厚生省、担当としていかがですか。
  57. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明を申し上げます。  大変たくさんな盛りだくさんの御質問でございます。一般的に災害のケースを想定いたしますと、風水害あるいは竜巻その他災害がまず発生してしまうという事態が多いわけでございますが、ただ、今回の雲仙岳災害のように、多数の方々が生命または身体に危害を受け、あるいは受けるおそれが生じた場合にも災害救助法は適用することができるようになっているわけでございまして、現に今回も六月三日の大火砕流発生に先立つ五月二十九日に災害救助法を適用いたしまして避難所の設置その他の対応をとったわけでございます。また、過去にさかのぼりますと、確かに余り火山噴火というのは例は多くはないわけでございますが、昭和三十七年に十勝岳が噴火をしたとき、それから昭和六十一年に伊豆大島三原山噴火したとき、以上前例として二つあるわけでございます。  それで、具体的に救助の程度、方法、期間それぞれ御指摘がございましたけれども、それぞれについてお答え申し上げますと、まず避難所の設置で、災害発生の日から七日以内ということで、確かに水害等でございますとそれで大体事が足るわけでございますが、今回のようなケースの場合にはある程度長期化いたします。どうしても七日では済まないわけでございますので、期間延長の措置をずっと現にとってきております。そういう弾力的な対応が可能な形になっているわけでございます。  また、避難所の設置の経費につきましても、現に例えば食事のお話もあったかと思いますが、一人一日当たり八百円というのは一つの目安でございまして、現実に避難所の中でそれ以上の食費がかかった場合にも弾力的に災害救助法の対象にしてやっているわけでございます。これが一つの目安だということで、その一個一個の項目について弾力的な特別基準等の設置が可能でございますし、現にその特別基準の設置によって具体的な対応を図っていきたいと考えているわけでございます。  さらに、御指摘のありました個別の項目で、応急仮設住宅の基準面積、一般的な基準では二十六・四平米、八坪でございますけれども、これは世帯の人数に応じまして、また四人世帯でございますと九坪、五人世帯でございますと十坪というふうに災害救助法の基準面積もふえるような形をとっておりますし、それから基準単価につきましても、その災害の特殊性等をかんがみまして個別の特別基準設定の道が開かれているわけでございます。今回の応急仮設住宅の面積あるいは単価につきましても県の方とよく協議をし、また財政当局とも協議しながら特別基準の設定などについて検討したい、こういうふうに考えているわけでございます。できるだけ弾力的に対応したいというふうに考えております。  さらに、御指摘のありました実費弁償の件につきましても、これは全国的な人件費の動向を見まして毎年改善を図っているということでございます。  いずれにいたしましても、災害救助法自体は臨時応急の措置を規定した法律体系ではございますけれども、ある程度今回のように長期化した場合でも対応できるよう弾力的な運用というのができる道が開かれておりますし、そういう方向で今回も対応してまいりたいと考えているところでございます。
  58. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、わざわざこの備考欄に説明書きがあるわけですね。例えば応急仮設住宅の供与の問題についても、今お話がありましたように基準面積が平均一戸当たり二十六・四平米であればいいと、これは先ほどちょっと言っておりますから、もうきょうは言いません。また、実情に応じて市町村相互間によって対象数の融通ができる。これは総枠は二十六・四平米で何十戸だと決まっているわけです。だから、総面積は何ぼだ。その間で世帯数の人員によって何ぼか融通ができる。あるいは、お話がありました食費の問題だって、食品給与のための総経費を一人一日八百円という単価の問題です。融通がきくというお話ですが、「食品給与のための総経費を延給食人員で除した金額が限度額以内であればよい。」こうなっているんですよ。ですから、総枠は決まっているわけです。しかし私は、この給食の単価の問題を言っているわけじゃなくて、これは一時避難、遠隔地に避難した方たちについて三日分だけ給食費を渡せばいいというのは、風水害であればあるいは大部分の方は可能かもしれませんけれども火山活動の場合の避難の場合は、これでは仕事ができなくて避難しているわけですから、ここらについてはひとつ見直してもらいたいということを実は申し上げておるところです。  そこで、もう時間が来ましたから、大臣に最後にちょっとお伺いしたいわけですが、今申し上げましたように、厚生省がどうして担当主管になっておるかということを冒頭私自身も実は疑問に思ったわけですが、確かに風水害関係ですから厚生省が主管になってこういうことをされておるというふうにあえて理解をいたします。  先ほどもお話がありましたけれども政府部内でも特別立法をという報道もあっておりまして、そういう点についても大臣自身が基本的にどういうふうなお考えを持っておられるのか。今私が申し上げたような問題点も実はたくさんあるわけです。今島原で現に市長さんとそれから二つの地区の集落の皆さんがもう終わった後も地元には帰れない、だからどこかほかの土地を切り開いてそこに永住するようなことで検討に入っておるという報道もされております。ですから、今日まで営々と汗を流して努力をし蓄えてきた財産のすべてが天災でなくなってしまう、そういう被災の実態を私はやっぱりぜひ政府自身も考えてもらいたい。  大臣、湾岸戦争では百二十億ドルも出したわけですよ。私は国際関係をお粗末にしろとは言いません。大事にしなきゃいけない。各大臣がどんどんどんどん各国との交流を深めておる。その中では何十億ドルあるいは何億ドルという援助金なりあるいは救援金をぽんぽん出しておりますね。せめて国内でこういう災害が起きたときには、私はやっぱり手厚い援助を差し上げても国民はだれ一人文句を言う人はないと思うんです。外国から経済大国と言われるならば、こういう被災民の方にも経済大国と言われるような救援の手を、あるいは救済の手をぜひ差し伸べていただきたいと思いますから、最後に大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  59. 西田司

    国務大臣西田司君) 先ほど御報告をいたしましたように、六月四日に政府におきましては今回の非常災害対策本部を設置いたしまして、そこでいろいろな重要事項を申し合わせをいたしておりますけれども、その中で基本的な考え方といたしまして、地元、特に長崎県を中心として皆さん方から御要望のあること、意見を含んで御要望のあることについては十分対応をしていこう、そして物事によれば現行制度の拡大解釈も必要かもしれません。あるいは、先ほど来厚生省からもお答えをいたしておりますように、でき得るだけの弾力運用をやって皆さん方におこたえをしていくということが現在対策本部というよりも政府の基本的な考え方でございます。  そこで、特別立法のお話でございますけれども、私どもは現在、まず現状というものを正しく把握して、そして現行制度の中で対応のできるもの、できないもの、この仕分けというものを今地元と一体になって鋭意取り組んでおるところでございまして、特にまだ火山活動も続いておる現状から考えまして、地元においても極めて流動的でございます。そういうことを総合的に判断をいたしながら、今御指摘の問題にも答えを出していかなければいけない。これが現在私どもの考え方でございます。
  60. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 終わります。
  61. 篠崎年子

    篠崎年子君 私も雲仙火山噴火についてお尋ねしたいと思いますが、まず初めに先ほど来から皆様方からもお話があっておりますように、この火砕流によりまして亡くなられました多くの方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、また被災地皆様方に心からのお見舞いを申し上げる次第です。  また、私は地元でございますので、地元の島原市長また深江町長を初め、関係者皆さん方が夜を日に継いでの仕事の中で一生懸命頑張っていらっしゃるお姿を拝見いたしまして心から敬意を表します。国としましてもいろいろの対策をとっていられることはわかりますけれども、またそれ以上に要望がありますので幾つかお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  住宅の問題についてお尋ねをしたいと思っておりましたけれども、既に同僚議員の方からお話があっておりますので、特にこの点につきましては、私ども避難所にお伺いいたしましたときに、まず真っ先に言われましたのは、ちょうど私が参りましたのは体育館でございまして、体育館の中の四百枚ぐらいの畳の中に五百人以上の人が住んでおり、この熱気を見てくださいと、入った途端に汗があふれ出すわけです。一日も早くクーラーをつけてほしい、そういう願いとともに、また、仮設住宅でもいいからとにかく早く私たち家族が一緒に住める、そういうような施設を一日も早くつくってほしいという要望がございました。これは今かなえられつつありますが、一日も早く御努力をいただきたいと思うわけでございます。  ところで、先ほど来からお話を聞いておりましたら、火山のことにつきまして、特に火山等に異常があった場合には火山監視体制の中で観測体制強化していく、こういうふうなお話があっておりました。雲仙の火山活動につきまして異常がわかり出しましたのはいつごろなのか、そして雲仙について火山監視体制を強化された、監視あるいはその観測所、そういうところに人員を強化されたのはいつごろからだったのかということをまずお尋ねをしたいと思います。
  62. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 火山活動の経過と観測体制強化についてお話しさせていただきます。  雲仙岳周辺では特に橘湾を中心にいたしましてかなり以前から群発地震が頻発する場所でございました。今回の噴火に近いところでは八九年の十一月ごろから橘湾の群発地震が始まりまして、その後少し半島の方に近づいたところでも地震が起きるようになってまいりました。一昨年の七月初めからは今まで観測されたことのなかった微動というものが観測されると同時に、同時というより少し間を置いてですけれども、山体の近くでも群発地震が起きてまいりました。気象庁では十月ごろより福岡から機動観測班などを派遣いたしまして地震計の増設に努めてまいったところでございます。その後、十一月十七日に噴火いたしましたけれども、その後も機動観測班派遣いたしまして地震計の増設などに努めてまいりました。一時小康状態でございましたけれども、二月に入りまして再び火山活動が活発化してまいりました。五月十三日ごろからは山のごく近くで地震が起こり始め……
  63. 篠崎年子

    篠崎年子君 済みません。私がお尋ねしましたのは、いつごろから人員をふやしたかということです。そのことだけお尋ねいたします。
  64. 森俊雄

    説明員森俊雄君) ちょっとはっきりした日にちを資料の方で確認いたします。
  65. 篠崎年子

    篠崎年子君 じゃ、いいです。はっきりしていないようですのでそれはもう余りお尋ねしませんけれども、こういうことなんです。  例えば精密火山観測が必要なところが四つあります。浅間山、伊豆大島、阿蘇山、桜島ですね。こういうところは十人、十人、十一人、二十人というふうに人数があるわけですけれども、雲仙につきましてはそれまで六人だったんです。今やっと三人ふえて九人体制ということですけれども、実際に今火山活動をしているのは雲仙だけ、もちろん桜島はしょっちゅうですけれども、急激な火山活動をしているのは雲仙ですね。こういった場合には特にそこに手厚く人員を配置すべきではないだろうか。そうしないとそこに勤めている人たちが非常に過労に陥っていくということもありますし、また予知体制につきましても十分なことができるかと、そういう心配がございますので、今後十分注意をしてもっと人数をふやすように努力していただきたい、そういうことを申し上げたかったわけでございますので、いつからということはまあよろしゅうございます。  それから次に、警備体制のことについてお尋ねしたいと思います。  これは警察官あるいは消防署、その人たちも大変一生懸命になって警備についており、不眠不休の警備に当たっていらっしゃるということはわかります。特に警察官の皆さんにつきましては、各地域からの応援を受けながら警備に当たっていらっしゃるわけですけれども、やはり先ほどからもお話があっておりますように、警備をするということについては一日一日その費用がかかるわけですね。そうしますと、長崎県のようなところでは、ようなところでと言うとちょっと申しわけないんですが、小さな県ではそういったようなことで非常に費用がかさんでくる。仮設住宅の方にもお金を出していかなければならない。それから、避難の費用にもいろいろ出していかなければならない。こういうことになってまいりました場合に、警察官の派遣等につきまして、これは特に国の方からそういったようなオーバーをする場合には援助ができるのかどうかということについてお尋ねいたしたいと思います。
  66. 黒澤正和

    説明員(黒澤正和君) お答え申し上げます。  大規模災害における警備のため出動しました応援部隊を含めた機動隊の警察官に対する超過勤務手当につきましては、国が補助することといたしております。今回の場合も、長崎県の機動隊員及び応援部隊の超過勤務手当は国が補助することといたしております。  以上です。
  67. 篠崎年子

    篠崎年子君 それでは次に、学校のことについてお尋ねいたしたいと思います。  こういう体制の中で学校が夏休みを一カ月繰り上げまして措置をとったということは、教育関係、特に何かとおくれがちなところで非常に手早く対策がとれたということで敬意を表したいと思いますけれども、ところで、今のところの状態では大体八月一日から新しい学期が始まるというわけですね。そうしますと、八月一日から授業を始めるということになってまいりますと、ほかの子供たちは暑いから夏休みをとっている。その夏休みの一番暑いときに教室の中に入って授業をしていかなければならないということになってまいりますと、授業の能率も落ちるし、また子供たちや教師の健康状態も心配されるわけです。  そこで、特別の措置として、この場合に限り教室の中にクーラーの設置はできないものだろうかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  68. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) 御説明いたします。  お尋ねの公立の小中学校の冷房施設の件でございますけれども、いわゆる活動火山対策特別措置法に基づきまして、降灰防除地域に指定された地域におきます学校については、その整備に必要な経費を国庫補助の対象としているところでございますが、雲仙岳周辺地域につきましては、現在のところは法律に基づく降灰防除地域の指定を受けていないため、国庫補助の対象とされていないところでございます。  なお、降灰防除地域の指定につきましては主として国土庁の方で担当をされておるわけでございますけれども、近く雲仙岳周辺地域の指定の問題について検討がなされる予定であるというふうに聞き及んでおるところでございます。
  69. 篠崎年子

    篠崎年子君 降灰防除地域ということですけれども、今現に灰が降りつつありますので、この点はその地域指定になっていいんじゃないかと思うわけです。十分お考えいただきたいと思うわけでございます。  次に、ちょっと後に戻りますけれども、農業の皆さん方災害、それから補助についてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  私がこの間十二日に参りましたときに、島原に入ります手前の有明町、国見町、こういうところのちょうど道路沿いに田んぼがございまして、その田んぼが灰で一面に地ならしをしたようになってしまっているわけですね。そういうところにつきましては、今後本当に田植えができるだろうか、あるいは農作物かつくれるだろうか、そういう心配をいたしました。  このことにつきましては、例えば他の勤労者の場合には休業中の補償がありますし、それから、先ほど来からお話があっておりますように、中小企業の皆さん方にもいろいろな融資の措置があるということですが、農業対策につきましてはどのような措置ができるのか、お尋ねしたいと思います。
  70. 山田栄司

    説明員(山田栄司君) 島原市あるいは深江町のように直接被害を受けたところ以外も私は現地を見させていただきましたが、相当の灰が降っているというふうなことで、とりあえず降灰を除去するための技術対策につきまして長崎県の農業改良普及員を中心に現在いろいろ指導していただいておるところでございます。  ただ、被害を受けましてもう作付ができないといったような場合につきましては農業共済制度がございます。これによりましてできるだけ共済金が早期に支払われるようなことを考えてまいりたいというように考えております。  なお、水稲につきましては、当該地域は中晩生の地帯でございまして、まだ田植えには入っていなかった時期のようでございますが、降灰等にまして田への移植ができない状況にあることから、これをかかり増し経費的に移植不能耕地として取り扱い、共済金をお支払いしていきたいというふうに考えております。  なお、融資の問題につきましては、災害資金としまして自作農維持資金がございます。十分枠は用意しておりますので、今後農家の方々要望を県の方でいろいろ把握していただいて、その結果を踏まえて対応させていただきたいというふうに考えております。
  71. 篠崎年子

    篠崎年子君 最後に、先ほどちょっとお話があっておりましたけれども集団移転の問題でお尋ねをしたいと思うわけです。  長い間、先祖代々一緒に暮らしている人々というのは、特に農家の皆さん方というのは、非常にお互いのきずなが強いのでできるだけ離れたくない、そういう気持ちが強いんじゃないかと思います。特に今回災害を受けました北・南上木場地区におきましてはほとんどの皆さんが家を焼失し、そしてあそこはたばこの栽培が多かったと思うんですけれども、もうたばこの栽培あるいはその他の水稲等もできなくなってしまっている。そういうことを考えました場合には、やはり自分たちは離れたくないという気持ちが非常に強い。ところが、ある一定の地域を確保するということにつきましては、やはりかなりの経費を必要とするかと思うわけで、これは一自治団体あるいは県等ではできることではございませんので、国としてこの点について十分な措置をしていただきたいと思うわけです。  こういうこともひっくるめまして、今回のような災害というものはめったに起きるものではありませんけれども、起きてからでは間に合わないことではありますが、こういうことを一つの教訓として、いろんな法律の中でできないようなことを今後もうすぐ即座にできるという、やはりそういったような特別立法が必要ではないだろうかと思うわけでございます。先ほど来から長官もお話があっておりまして、もうしばらく様子を見たいということですけれども皆さんの意思をそういうふうに結集ができれば特別立法ができるかどうか、その点について長官の御意見をもう一度お伺いしたいと思います。
  72. 西田司

    国務大臣西田司君) 特別立法についての御質問でございますが、私といたしましては、まず現在の被害状況というものを、また現地の正しい把握をすることに政府を挙げて取り組んでおるわけでございます。災害関係の現在の制度を活用して的確に対応していくということがまず第一義だと考えております。  今回の災害状況にかんがみまして、政府としては非常災害対策本部を設置いたしまして、関係省庁に対し地元長崎県から出された要望に対しての可能な限りの迅速かつ的確な対応を申し合わせておるところでございます。  なお、火山活動は依然として予断を許さない状況にございます。これに伴って地元の状況も現在流動的でございますので、事態の推移に応じて的確な対応を図ってまいりたいと、このように考えております。
  73. 篠崎年子

    篠崎年子君 最後に一言だけ。  避難所に参りました。各地域避難所に参りましたら、どこに行きましても皆さん方がまずおっしゃるのは、湾岸戦争に九十億ドル出した、支援に三十億ドル出した、そういったときには国会の議も経ずに出しているではないか、国民がこういったような災害を受けているときになぜ即座に救助の手が差し伸べられないのか、そのくらいのことはできるではないかということが各避難所に行きましたときにどこででも聞かれる言葉でございました。国民はやはり政府を信用したいと思っております。信じたいと思っております。その国民の信頼にこたえるために今後御努力をお願いを申し上げたいと思います。  これで終わります。
  74. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は初めに、今回の雲仙岳噴火に伴う被災、災害により犠牲となられた方々に対し、心から御冥福をお祈りいたすものであります。また、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。特に私は地元議員として、被災地島原市長深江町長並びに県知事、県議会、そして消防団員、特に自衛隊の方々に対して、お礼の言葉を申し上げたいと思います。  雲仙岳はただいま依然として活発な活動を続けております。それから、十一日ごろからは従来の噴火様式とは異なる爆発性を帯びた噴火活動が認められ、火山活動は新たな段階に移行したのではないかと見られております。したがって、島原市、深江町などこれまで被害を受けた地域皆さんはもとより、島原半島全域にわたった方々が不安の日々を送っておるのであります。この間、西田国土庁長官は一再ならず三たびも現地に足を運ばれ、地元住民関係機関を励まされ、対策の指導に当たられましたことは、まことに感謝にたえません。心からお礼を申し上げたいと思います。  さて、災害地の住民にとって今一番関心事であることは、今後、火山活動がいつまで続くのか、いつになれば鎮静化し、終息するのかということだと思います。  過去の火山活動の実例等から、今後の雲仙岳火山活動について、気象庁はどのように予測しておられるのか、お答えを願いたいと思います。
  75. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 火山噴火予知連絡会は、五月三十一日に統一見解を、また六月十二日には、今後は溶岩ドームの崩落を伴う火砕流に加えて、軽石を噴出する噴火も繰り返される可能性があり、火山活動に厳重な警戒が必要である旨の会長コメントを発表いたしました。  今後とも関係機関と緊密な連携をとりながら、引き続き厳重な監視を続けてまいりたいと思います。今の火山の研究の現状では、いつまでというふうなことをはっきりと申し上げられる段階にないというふうに考えております。
  76. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 今のお答えではいつまで続くかわからないということでございますが、私はやはり今後とも警戒区域の拡大、長期化が予想されるが避難所生活を余儀なくされております被災者方々の御心労は大変なものがあると思う。私も本委員会現地派遣に参加して被災者をお見舞いしてきましたが、閉め切った室内の暑さと入浴やトイレ、着がえ、洗濯など衣食住全般にわたる不便な避難生活で疲労とストレスは極限に達していると私は思います。したがって、避難された方々に対しては手厚い救済の手を差し伸べるべきであると思います。  政府は、被災者及び避難者に対し、応急仮設住宅を三百十数戸建設することとしておるが、いつごろまで建設がかかるのか。また、建設戸数が三百十数戸と先ほど御答弁がありましたが、希望者の半分しかない現状でございますので、これの追加が必要ではないか。さらにまた、仮設住宅の一戸当たりの建設単価が現在百二十万円と聞かされております。ところが、実際にはその倍近くかかる。したがって、せめて基準単価を二百三十万円程度に引き上げるべきではないかと思いますが、厚生省のお考えをただしたい。
  77. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明申し上げます。  応急仮設住宅建設の見込みでございますけれども、現在建設中は島原市におきまして百十四戸、深江町におきまして四十戸、合計百五十四戸現在建設中でございます。  その百五十四戸の内訳でございますが、島原市百十四戸のうち四十四戸につきましては六月二十二日から順次入居をしていただけるようになっております。また、六十六戸につきましては六月二十七日から順次入居をしていただくことになっております。また、四戸につきましては七月初旬には入居をしていただけるようになろうかと思います。また、深江町の四十戸でございますが、こちらは六月二十七日から順次入居をしていただけるということになっているわけでございます。以上、百五十四戸につきましては既に入居者が決定済みでございます。  それから、さらに島原市につきましては既に百五十六戸をそれ以外に追加建設することを決定しているわけでございますが、こちらの方は県に問い合わせましたところ、遅くとも七月中ごろまでにはこの百五十六戸について入居をしていただけるというような方向で作業を進めるということでございます。  さらに、先生御指摘のように、現在避難をしておられる方々応急仮設住宅への入居希望状況を把握いたしましたところ、現時点で五百七十七世帯ということで、まだ若干の応急仮設住宅建設の予定戸数との差があるわけでございまして、現在長崎県におきましてできるだけ入居希望者に沿う方向で建設適地の調査、検討を鋭意やっているところでございまして、今後適地が選定され次第、順次建設を進めてまいるということになろうかと思うわけでございます。  またさらに、応急仮設住宅の基準単価が低過ぎるのではないか、こういう御指摘がございました。災害救助法に基づきます応急仮設住宅は、災害のために住家を失った方々に対しまして簡単な住宅を仮設いたしまして、一時的な居住の安定を図るというのが基本的な目標でございます。したがいまして、御指摘のような単価が一般の基準になっているわけでございますが、長期間にわたる避難生活あるいは火山灰による生活環境上の問題など、今回の災害の特殊性を踏まえまして、長崎県と協議しながら、また財政当局とも協議しながら、基準額を上積みするというための特別基準の設定、こういうことについて十分検討してまいりたいと考えております。
  78. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 最後にお答え願った基準額を財政当局その他県と打ち合わせてかさ上げするという御答弁がありましたが、ぜひその点も強く要請しておきたいと思います。  それから、いずれにしまじても今回のような避難命令に基づく長期かつ大量の避難は過去にも例がない。災害対策基本法もこうした事態を想定していなかったと私は思います。したがって、警戒区域の設定の規定はあっても、設定された場合の住民生活についての配慮規定はない。このために被災者は、クーラーもないあの暑い体育館に何百世帯も入った過密な状態避難生活を余儀なくされておるわけであります。仮設住宅の確保についても万全の態勢がとれないのだなと私は思います。  その意味からも、この際、災害対策基本法を見直し、雲仙岳噴火災害のような大規模かつ長期にわたる災害に対応できるよう、住民生活にとっての配慮規定を追加するようなことで改正する必要があるのではないかと思います。また関連して災害救助法も、近年の生活水準の向上や情報化時代にそぐわない面がいろいろ出てきているので、時代に即応した内容に改める必要があると考えますが、国土庁、厚生省の見解をただしたいと思います。
  79. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 私の方に災害対策基本法住民生活についての配慮規定を追加してはというお尋ねでございました。  私としては、まず現地被害状況、そういった地元状況を正しく把握いたしまして、現在ございます災害関係の諸制度をフルに活用して、被災者方々生活にまずもって配慮していくということが重要であるというふうに認識をいたしてございます。  つとに、政府の非常災害対策本部におきましては、関係省庁におきまして地元長崎県からの要望に対しまして可能な限り迅速かつ的確に対処していくということを申し合わせまして、ただいままで施策を実施してまいってきております。  なお、火山活動は依然として予断を許さない状況にございますので、これに伴って地元の状況も流動的でございます。事態の推移に応じて的確な対応を図るように、さらに進めてまいりたいというふうに考えております。
  80. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 各避難所に入っておられる被災者方々が相当長期間にわたりまして集団生活を余儀なくされているということで大変御苦労されていることは十分承知しております。生活環境面におきましてできるだけきめ細かな配慮を行うよう県とも連絡をとり、また指導して進めてまいりたいと考えているところでございます。  特に当初は、体育館等十六の避難所の中で八カ所の避難所が冷房がないということで、非常に御苦労をかけたわけでございますが、現時点では既に、クーラーの設備のなかった八カ所の避難所につきまして、すべてクーラーが入っております。クーラーの容量等さらにクーラーの数もふやすということも検討している状況でございますので、御報告をいたしたいと思います。  また、災害救助法につきましては、各救助種類ごとにそれぞれ一般的な基準が設けられているわけでございますけれども、今回のような災害の特殊性にかんがみまして、特別な事情があれば、厚生大臣と協議しつつ、特別基準の設定というような弾力的な運用の道があるわけでございまして、今回もできる限りそういうような方向に沿った運用を進めてまいりたいと考えておるところございます。
  81. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 国土庁、厚生省の御答弁についていろいろ考えられるわけでありますが、当初私どもが行ったときに、クーラーを注文したらどうかと言ったわけです。日本じゅうないというんですね、メーカーに電話したけれども。それで、ただいま注文中であるからおいおい来るでしょうということであったが、全部済んだということを聞かされて非常に安心しております。今後とも、両省庁とも私が言ったような線に沿って努力していただければ幸いと思います。  それから、通常災害でありますと、被害を受けた施設等を原形に復旧して、またもとどおり生活がそこで始まるわけでありますが、大量の火山灰あるいは溶岩で埋め尽くされた水無川沿いの地域は、危険である上に葉たばこあるいはジャガイモ等すべて農地も灰をかぶっておる。したがって、もとに戻ることは不可能だと私は思います。ですから、長い間住みなれたふるさとを離れなければならないという人たちの気持ちを思いますと、私は暗たんたる思いが込み上げてくるわけなんです。今後の生活と安全を考えれば、この際集団移転もやむを得ないのかなというふうに考えざるを得ない。  既に島原市では北上木場、南上木場、両町の四百五名を移転させるような意向を表明しておりますが、今後の推移によっては一万人程度の大規模移転になることも考えられ、そうなった場合には小規模移転を想定している現行法では対応し切れないのではないか。あるいはまた、防災集団移転特別措置法の見直しについても考えざるを得ないと思うが、国土庁のお考えをただしたい。
  82. 小島重喜

    説明員(小島重喜君) お答え申し上げます。  先生も御案内のとおり、まだ現地があのような状況でございますので、例えば集団移転をするということになりましても、その規模でありますとかあるいは内容等につきましては全く私どもも不明でございます。  私どもといたしましては、現行の法律の体系の中でできるだけ積極的に、地元がそういう意向でまとまりますれば、対応して、円滑に集団移転ができるように配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  83. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 集団移転ということになりますれば、住宅団地の造成あるいは大量の住宅建設が必要となる。移転促進地域内の農地や宅地の買い上げも必要になる。そうなると財政基盤の希薄な関係町村ではとても対応できない。したがって、特別財政援助が不可欠と考えるが、この点はどうなんだろうか。  また、防災集団移転促進事業では、農地や宅地の買い上げ額について適正な時価で買い上げるということになっておるような答弁が出ましたが、被災者の間では、地価評価が低く抑えられ買いたたかれるのではないかという不安を抱く者がおるわけなんです。ぜひとも適正な時価で買い上げくださるように指導してもらいたい。このことについて国土庁見解を賜りたい。
  84. 小島重喜

    説明員(小島重喜君) 現行の集団移転の制度をかいつまんで申し上げますと、国庫補助率が四分の三ということになっておりまして、地方の負担は四分の一ということでございます。また、この地方負担の四の一につきましては、地方財政措置といたしまして相当部分が地方債なりあるいは交付税なりによって措置をされる、こういうことになっております。また一方、今お話しございましたように大変大規模になるような、あるいはその他特別の事情があってどうも市町村ではできないような場合には、現行の制度におきましては県がその事業の一部を、言うならばかわってやると申しますか、かわってやるように市町村から申し出をする、このような制度にもなっております。  いずれにしましても、今回の場合、先ほどから申し上げておりますように、どの程度のものになるかということが今のところ全く見当がつきませんので、現段階で確定的なことは申し上げることはできませんけれども、私どもといたしましてはぜひそういう事業が円滑に実施できるように、私どもはもちろんでありますが、関係省庁とも十分に打ち合わせをしていきたいというように考えておるわけでございます。  それから、買い上げの価格の問題であります。  これは先ほども申し上げましたように、跡地につきましてはさらにそこにお住まいいただいたり、あるいはそこで農耕などされるということはまた身の危険にも関係いたすものでございますから、地元の市町村あるいは都道府県がその農地なりあるいは宅地なりのすべてを買い上げて、その跡地につきましては、言うなら防災植林というようなそういう格好で防災上の見地からいろいろ御利用いただく、こういう考えで今の法律は仕組まれております。その法律の仕掛けのとおり、あとそういうことで市町村なり県が必要があって買い上げるということになりますと、それはやはりその時点におきますところの時価というもので買うということがやはり社会通念上やむを得ない措置ではないかというように思うわけでございまして、私どもといたしましては、それが不当に買いたたかれるというようなことはそれは適切なことではございませんので、やはりその買い取りの時点におきます適切な時価で買い取れるようにその点につきましては指導してまいりたいと、かように考えております。
  85. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それを心配しておるんだから、ぜひ買いたたきをせぬように特に重ねて指導のほどをお願いしたいと思います。  それから、多量降灰によって葉たばこあるいは農産物や畜産、林産に大きな被害が出ていると聞いておるわけなんです。この島原地区の主要な産物である葉たばこや畜産が全滅に近い被害を受けたということになりますと、地域の経済に与える影響ははかり知れないものがある。したがって、葉たばこの被害を含め農産物、畜産業、林産業の被害額はどの程度に達しておるのか、またそれらの被害に対する対策はどう考えておられるのか、日本たばこ産業株式会社、農水省、林野庁の順でごく簡単にお答えを願いたいと思います。
  86. 折居靖彦

    参考人折居靖彦君) お答えいたします。  葉たばこの島原半島全体での面積は約六百四十ヘクタールでございますけれども、今回の立入禁止となりました警戒区域避難勧告区域には約二百ヘクタールのたばこ畑がございます。このうち四十ヘクタールについては火砕流で焼失したというふうに推定しております。六月、七月、この時期は葉たばこの収穫の最盛期で、まことにお気の毒でございます。立入禁止に伴って農作業ができないという状況、全焼した以外でも収穫が全く皆無になるという状況になっております。  立入禁止区域内の被害総額は約十億円と私ども推定しております。この十億円は、一人当たりに直しますと、百四十九人の個々の農家の方がおられますから、平均しますと約六百六十万円の収入がゼロになるという見通しでございます。私ども、これに対して、農業共済とは違いまして掛金なしの災害援助金制度というものを、会社が全額負担でこの制度を持っておりまして、全損の場合、収穫皆無の場合五〇%の援助金を払うということですから、会社としては一人当たり三百三十万円平均あるいはそれ以上の災害援助金を支払うということを決断いたしました。このように私どもとして、会社としてでき得る限りの援助策をこれからも行っていく所存でございます。
  87. 山田栄司

    説明員(山田栄司君) 私ども被害の把握に努めておるわけでございますが、警戒区域等の設定のために被害の内容は十分把握できないというのが実態でございます。  ただ、県の方で調べていただきまして私どもに御報告いただいている数字によりますと、六月十五日現在でございますが、避難対象区域で約九億円、それから避難対象区域外で約九億円、合わせまして約十八億円ということになっておるわけでございます。  家畜につきましては、警戒区域等の中に入れませんので金額はまだ把握できないという状況でございます。  それから、林野関係でございますが、林地荒廃防止施設等で約百四十一億円、林道等あるいは林産物等で約二億円程度、合わせまして林野関係で約百四十四億円となっております。  なお、水産業関係につきましては、水無川の河口流域が警戒区域に入っておるというふうなことで現在調査できない状況でございますが、大量の土石流あるいは降灰、火山灰等の流入で今後被害が生ずることを私ども懸念しておるわけでございます。  このような状況を踏まえまして、先ほど申し上げましたとおり、周辺の降灰による農作物の被害を防止するための技術指導を農業改良普及員の方々に現在やっていただきますとともに、家畜の避難につきましては、五月二十四日ごろから関係農業団体等の御協力によりまして、乳牛等はかなりの数を避難させたというふうな状況でございますが、鶏等は、これは避難はほとんどできなかったというふうな状況でございます。避難いたしました牛等につきましては、当面飼料が必要だというふうなことで、国の家畜改良センターが阿蘇と宮崎にございますが、ここから緊急に牧草を輸送するというふうな対策も講じてきたところでございます。  なお、被害を受けられましてもはや回復不可能な地域等につきましては、できるだけ農業共済金を早期に支払うというふうなことで、通常ですと収穫期を待つということでございますが、今回は仮渡しを含めましてできるだけ早期に支払っていきたいというふうなことでございます。  なお、農地あるいは林地等の今後の復旧対策でございますが、それぞれ災害復旧事業あるいは公共事業等がございますので、火山活動の鎮静化を待って現場を調査しながら迅速に対応していきたいというふうに考えております。
  88. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 参考人のたばこ産業会社の常務さん、ありがとうございました。  それから、連発する火砕流と豪雨によって島原市内の三つの河川の底に堆積していた火山灰が有明海に流れ込んだ。したがって、漁業にも深刻な影響が出始めておると聞いておる。このために長崎県では海底汚染による漁業被害実態調査に乗り出したと。あるいはまた水産庁でも職員を派遣して調査に当たっていると聞くが、被害調査の結果と今後の漁業への影響、そしてあわせて土石流火砕流に伴う漁場の環境影響調査を早急に実施しなければならない。漁場環境の保全に努力すべきであると思うが、水産庁の見解をただしたい。
  89. 吉崎清

    説明員(吉崎清君) 水産庁では、去る六月十一日及び十二日に、当職以下四名が長崎県漁業担当部局と一緒になりまして現地において雲仙岳噴火に伴う漁業調査を行いました。  現在のところ警戒区域には立ち入れないこともあり、漁場等の具体的な被害は把握できなかったところですが、地元漁協等から、一部の漁業者が避難しており一部操業が不可能となっていること、また避難をしていない者にあっても漁業に身が入らない等の操業意欲の減退が見られる等の報告を受けました。さらに、観光客による需要がなくなったことによる漁価安、交通の途絶による出荷難等の影響が生じている模様でございます。  今後、漁場への火山灰等の流入が進めば、水質の汚濁、漁場の埋没等の漁場に対する各種の影響が生ずることが懸念されるところでありまして、長崎県では漁場環境影響調査を実施することを検討していると承知しております。水産庁としましては、今後の火山活動の推移を見守りながら、県と十分相談しつつ漁場環境影響調査に可能な限り協力してまいりたいと考えております。
  90. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、教育面でも大きな影響が出ておる。特に深江町では、当町内に小学校が二校、中学校が二校、計四校あるんですが、そのうちの三校が警戒区域内にあるために学校に子供が行けない。したがって、火山活動が長期化すれば他の場所にプレハブでもつくって仮校舎をつくりたい、何とかならぬものですかねというようなことを私は町長さんからじかに聞かされた。このことを取り上げようと思って連絡しましたら、きれいな計画表が出てきて、その一部を私は文部省に渡しておるんですが、これに対する財政支援を積極的に行う必要があると思うが、これについての文部省の見解をただしたいと思います。
  91. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) 御説明いたします。  先生御指摘のように、雲仙岳噴火等により学校の休業が長期化した場合に、避難地域での授業の中断を避けるために仮設校舎を設置するという事態も考えられるところでございます。このような場合の仮設校舎の設置について現行では国庫補助の対象として想定されていないところでございますけれども、御指摘のような今回の事態の重大性にかんがみまして、文部省としましても、児童生徒の就学状況や地元の御意向等を勘案しながら関係省庁と協議の上、十分検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  92. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 海部総理は、六月九日の雲仙岳噴火災害現地視察を踏まえ、大変な被害だ、災害である、まず現行法でやれるものは全力を尽くしたい、それでも対応し切れない場合には新しい対応を積極的に考えたいと特別立法の制定を含めた対策を講じていく考えを示した。また、坂本官房長官もこれを受けて、臨時国会で特別立法を考えたいと述べて、特別立法の検討を国土庁に指示したということであるが、国土庁では現在どのような検討を行っているのか。  それからまた、現行の法令や財政措置を弾力的に運用してどこまでできるのかやってみることは必要であり、また重要であろうかと思う。したがって、特別立法の制定を含め、新しい対応を積極的に考えていくのは当然のことであると思いますが、ぜひ特別立法の検討を願いたいと思います。  国土庁国土庁長官の所信を賜りたいと思います。
  93. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 私ども非常災害対策本部事務局といたしまして、地元からの要望等を踏まえまして今後講ずべき対策のうち、現行制度の中でどこまで対応できるかということを各省庁とともども検討するようにただいま進めているところでございます。そしてまた、長崎県当局に対しましても、具体的な要望と申しますか、問題点をまとめてお出しいただくように、これまたあわせてお願いをしてございます。
  94. 西田司

    国務大臣西田司君) このたびの噴火災害に関しては、事態の重大性にかんがみまして災害応急対策に万全を期するため六月四日直ちに平成三年雲仙岳噴火非常災害対策本部を設置し、関係省庁緊密な連携のもとに積極的に災害対策を進めてきておるところでございます。また、既に五月二十九日には災害救助法を適用し、住民の救助に当たっておるところでございます。今後とも、各種施策、事業を最大限に適用し、所要の国庫補助等の確保を図った上で、国全体として地元を支援してまいりたい、このように考えております。  さらに、関係地方公共団体の今回の災害対策に伴う財政負担については、地方債の配分あるいは交付税措置等を通じて適切に対処してまいる考えでございます。
  95. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 最後に、人口四万五千の島原市が五千五百人以上の避難住民を抱えておる。さらにまた、隣の深江町では八千五百七十五人の人口で四千三百人の避難住民を抱えて大変苦労しておる。国の全面的な支援がなければ十分な災害対策も不可能であると私は思います。  また、島原市、深江町、小浜町、雲仙等のホテル・旅館業者は相次ぐキャンセルで経営が行き詰まっておる。倒産の危機に瀕しておる。早急に金融措置を考えてもらいたいと思います。  さらに、島原市と深江町の水源及び施設の復旧についてもぜひ水道施設災害復旧事業として採択してもらいたい。これは厚生省に御答弁を願うわけですが、財政的に希薄な長崎県や関係市町に対する国の十分な財政援助と今回の噴火災害と今後の対策に対する国土庁長官決意のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 藤原正弘

    説明員(藤原正弘君) 先生お尋ねの水道施設の被害の件でございますが、雲仙岳噴火に伴う水道施設に対する影響を調べましたところ、島原市の中木場簡易水道、それから深江町の大野木場簡易水道に被害発生しておるわけでございます。両簡易水道の給水区域の住民の方は避難しておられて、給水区域には住民はおられない状況でございます。  これらの簡易水道の復旧につきましては、現地への立ち入りが今のところできませんので詳細な被害状況が把握できない状況でございますが、飲料水の確保は生活の基本でございますので、厚生省としても事業計画が確定次第速やかに災害復旧事業として財政援助を行ってまいりたいと考えております。
  97. 西田司

    国務大臣西田司君) 先ほどもお答えをいたしましたように、各種施策や事業を最大限に適用をいたしまして所要の国庫補助等の確保を図った上で、そして長崎県や島原市や、それから深江町が今次災害において財政的にお困りのないように国も全力を挙げて御支援をしなければいけない、このように考えております。
  98. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 ありがとうございました。  よろしくお願いをいたします。
  99. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 改めて被災地皆様に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、西田国土庁長官を初め関係省庁皆様には、災害発生以来、その対策に大変御尽力を賜っており深く感謝申し上げる次第でございます。  このたびの雲仙岳噴火による災害は、これまでのところ火砕流による被災がほとんどでございます。火砕流の恐ろしさは、天明時代の浅間山の大噴火の記録やそれについての近年の発掘調査の結果などから、私はある程度理解し想像していたつもりでございますが、現実に雲仙岳状況を見聞きして、今さらながら自然の容赦ない猛威におののいている次第でございます。これ以上大事に至らない形で噴火が早くおさまるよう祈ってやみません。  しかし、噴火がおさまったその後も土石流の心配は依然として続くだろうと思われますし、生活もとどおりに戻すには苦難が多かろうと案じております。政府におかれましては、被災地方々に、きょう今日はもちろんでございますが、将来にわたって安全と安心を与えていただくよう、さらなる万全の対応、対策を切にお願いする次第であります。  そこで、防災事業を所管されている建設省にお尋ねいたします。  建設省では、これまでに有珠山とか御岳山、桜島など数々の大規模火山災害に際し既に防災対策としての砂防事業を的確に推進してこられ、豊富な経験をお持ちだと思います。そういう立場から見て、このたびの雲仙岳火山災害の特色を、今までのものと比較して、この時点の段階でどういうふうにごらんになっておるのでしょうか。貴重な蓄積を存分に生かして被災地に確かな安全と安心を与えていただきたいと思います。
  100. 高橋哲雄

    説明員(高橋哲雄君) お答え申し上げます。  建設省といたしましては、今先生がおっしゃいましたように、有珠山とか御岳あるいは桜島等におきまして、土石流、山腹崩壊等の大規模火山災害につきまして、砂防ダム、遊砂地、導流堤等の砂防施設の整備を図るとともに、一部の火山につきましては、あわせて監視カメラ、ワイヤセンサー等の土石流の監視装置を設置いたしまして、火山地域におきます地域住民人命、財産を守るための事業を推進してきたところでございます。  今回の雲仙岳噴火につきましては、五月十五日、十九日に小規模土石流発生した後、二十四日から大小の火砕流が頻発いたしました。我が国の火山地域における土砂災害といたしましては、先生の御指摘のとおり、近年例を見ない現象でございます。  建設省といたしましては、火枠流による被害の甚大さと、これに伴い渓流に堆積いたしております多量の火山噴出物による土石流災害危険性にかんがみまして、今後適切に対応してまいりたいと思っております。
  101. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 当面の問題としますと、建設省にお願いしたいことは、やはり必要な防災情報を迅速に収集、分析し、そして伝達して万全な避難警戒をとっていただきたい、こういうことでございます。この点についてどのように既に対応されておるのか、あるいはこれからどう対応されようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  102. 高橋哲雄

    説明員(高橋哲雄君) 土石流火砕流災害に対応するために土石流あるいは火砕流の監視システムを整備する必要があることは、単に地域住民の安全の問題だけではなくて、今後私どもがそこに入って仕事をする場合にも非常に重要なことだと考えております。したがって、先ほど青木先生にもお答え申し上げましたが、私どもはシステムの整備を今後も進めてまいりますが、特に情報の伝達の面で、現在増設いたしました設備につきましては、リアルタイムで情報が伝わらないうらみがございます。したがって、なるべく早い機会に光センサー等を使いまして情報をリアルタイムでとれるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  103. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 それから、幸いこの先噴火がおさまりますと、そして現場作業に危険がなくなるということになりますと、早速緊急対策に入っていただくと思います。早急にその場合は砂防工事を実施していただかなければならないということでございますけれども、その面での準備はこれはもうこういう段階であっても進められると思うわけでございます。どうかその点についての取り組み状況をお聞かせいただきたいと思います。
  104. 高橋哲雄

    説明員(高橋哲雄君) 普賢岳の噴火活動状況にかんがみまして、五月十六日に災害関連緊急砂防事業によりまして事業費を三十二億三千四百万いただきまして、砂防ダムを五基新設することを決定いたしております。  現在噴火活動が活発でございますので、作業の安全確認ができ次第に今申し上げました災害関連緊急砂防事業といたしまして、施設の建設それから既設の砂防ダムの除石工等に着手できるよう準備を整えております。また、六月三日及び八日に発生いたしました大規模火砕流によりまして、上流部で大量の林木が倒壊いたしまして渓流にそれが流下いたしております。降雨に伴いまして土石流とともに下流に流下して被害を拡大させるおそれがございますので、流木対策もあわせて実施する予定でございます。  なお、下流の河道区間の埋塞につきましては、同じく安全を確認しつつ河川の災害復旧事業に基づく応急復旧工事によりまして埋塞土を早急に排除しまして、河道の流下能力の確保を図る等万全の対策を期してまいりたいと思っております。
  105. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 これは老婆心ですけれども、資材の調達とか運搬とか段取りもそうですが、いろんな面で遺漏のないようにひとつ心がけていただきたい、そして早く安全を確保するようにしていただきたいと思うわけでございます。  それから、最近の情報ですと水無川上流域以外の河川、特に雲仙岳東北部の中尾川とか湯江川の流域にも多量の火山灰など噴出物が降下したというふうに聞いているわけでございますが、これについての土石流対策はどのように取り組んでおられますか。
  106. 高橋哲雄

    説明員(高橋哲雄君) 雲仙岳の東部にあります中尾川、湯江川流域につきましては、六月八日及び十一日に火山灰等の火山噴出物が降下いたしております。これらの量によりましては土石流発生の可能性がございますために、早急に両河川の上流域に土石流発生監視のためのワイヤセンサーの設置を行う予定でございます。多分六月十九日に設置が完了する予定でございます。また、今後既設のダムの除石等についても実施をしてまいりたいと思っております。  さらに、中尾川につきましては、島原市の要請に基づきまして財団法人砂防・地すべり技術センターが土石流災害予想区域図を作成いたしまして、六月十二日に島原市はこの図を公表いたしております。
  107. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 いずれにしましても、長期的に考えますと、水無川流域の安全をどのように確保するかが最も重要な問題になってまいります。その場合、砂防は世界に砂防という言葉が通じるように世界語になっておりますが、この日本の砂防は世界一の技術力を持っていると言われておりますので、今後の火砕流土石流に対して安全な国土をつくり出すことが可能であり、また必要だと考えております。そのためには面的にも大規模な砂防施設の設置、従来のような川の中だけに限らず面的にも大規模な砂防施設を設置すること、あるいはこれまで行われておりますけれども緑の砂防ダムといいますか、砂防林の造成等こういうものに大幅に取り組んでいただいて、あるいはこれまでにないような対策も必要になろうかと思います。  この点についての取り組み方の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 高橋哲雄

    説明員(高橋哲雄君) 火山活動が落ちつきました段階では、先生の御指摘のように水無川全体あるいは雲仙岳周辺の各水系全体につきまして、火砕流土石流に対していかに安全にすべきかを十分考慮していく必要があると私ども考えております。私どもといたしましては、これまでに得ました日本各地あるいは外国等の火山砂防に関する経験及び技術を駆使いたしまして、御指摘のようなことも含めまして、ぜひ地域の基盤の安全を図ってまいりたいと思っております。  よろしくお願い申し上げます。
  109. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 今のお話を聞きますと、従来の工法にこだわらずに、大規模な例えば遊砂空間をつくったり、あるいは砂防林のほかにいろいろな適正な土地利用も含めて、考えていただけるんじゃないかというふうに私は受けとめるわけでございます。私は、そのような対応によって初めてあの変わり果てた水無川の上中流域、これの緑を取り戻すことができるし、また水無川流域全体として本当に安全な安心できる地域づくりが可能になるものと信じております。  このような対策の推進に当たりましては、先ほど来お話が出ておりますけれども、私有地や私有財産などについても買い上げていく必要が出てくると思いますが、これもある意見では大変お気の毒なことではございますけれども被災者生活再建の上で役に立てる方途にもなり得るわけでございますので、どうかこの点について砂防計画の立場からも十分検討していただきたい、私はこうお願いしたいところでございます。そしてさらに、将来的に安全と安心を確立する上で、どうしても避難警戒システムの完備も重要であると思うのでございます。  この整備も含めたいわゆる総合的な土石流対策を実現していただきますようお願いしまして、私の質問を終わります。
  110. 常松克安

    常松克安君 私も、改めまして災害によって命を亡くされた方にはお悔やみ申し上げ、かつまた今回の災害を受けられまして一日も早く山静かならんと願う人々、一日も早い地域回復、あるいはまた諸問題に関する件に関しましては各先生方の質問のとおりで、同感であります。よって、重複を避けまして、私は災害医療という問題を中心にしてお話を同わさせていただきたいと存じます。  と申しますのも、この委員会で前大臣から、災害医療という問題に対して国土庁はまことに不備であるということを大臣から答弁をいただいております。災害に関しては何といいましても第一番目には人命尊重、命あっての物種であります。よって、そのノウハウを鋭意結集してそれに対応していきたい、こういう答弁もちょうだいしておりますので、あえてその問題を選ばさせていただきました。  まず、防衛庁に聞きます。  一番として、今回の災害派遣、看板は立派に派遣という看板がついておりますが、普通科連隊が移駐、そのときに災害というふうなもののノウハウを心得ての派遣であったか、お知らせ願います。
  111. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) お答えいたします。  今回の雲仙岳火山活動に際しましては、自衛隊に対しまして火砕流発生しております非常に危険な状況下での行方不明者の捜索といった要請がございましたわけでございます。自衛隊としては、装甲車等の装備を活用いたしましてその機動力を発揮して、人命の捜索に当たったところでございます。
  112. 常松克安

    常松克安君 いや、よく話を聞いてお答え願いたいんですが……。  まことに御苦労さまです。大変な中で救援をしていただくわけでありますが、非常に災害という問題は多岐にわたっておりますので、これより自衛隊も、万々一にも、世界貢献のために出動せにゃいかぬかなというさなかでもあります。よって私は、海外派遣にふさわしいノウハウの条件が実は十条件あるわけでありますが、それを一々ここで論議には及びません。  じゃ、第二段に行きますが、そのときに医官は何名、ナースは何名同行されましたか。
  113. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 今回の災害派遣に際しまして、医官が一名、衛生官一名、衛生隊員四名、計六名を当初派遣しております。島原城内に救護所を開設しておるところでございます。
  114. 常松克安

    常松克安君 それらの派遣なさいました医官及びナース、衛生隊員の方々から、むしろこの派遣された連隊の救援隊の方ですね、こういう方が火山灰において目にほこりが入って目を痛めていらっしゃる、これが一番多いと聞かされました。まあ言うなれば、隊員の健康保持をまず中心にしての一つのチームづくりであったと思います。ただし、そういう方々が、なぜもっと多くの医官があるいはナースが災害救援という名において出動なし得なかったのか、それは要請がなかったから行けなかったのか、この辺のところをお願いします。
  115. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 先ほども申し上げましたが、今回の自衛隊に対する要請は、火砕流等の危険な中でその機動力といいますか、装甲車等を用いての人命の捜索ということでございましたので、特段民間の方の負傷者の治療といいますか、そういった医療活動の要請というものはございませんでした。
  116. 常松克安

    常松克安君 救急ヘリは出動されましたか。
  117. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 救急ヘリといいますか、ヘリコプターを約二十機この間派遣しておりますけれども、その任務といいますのは、一つ火山活動状況の監視、偵察といったもの、それから二つは人命捜索の際の空中からの情報の収集という内容でございます。
  118. 常松克安

    常松克安君 さる東京都内で直下型の地震想定をして、自衛隊がこれに関しまして災害派遣、救助というふうな一つのシステムの中で救急ヘリ、医官もあるいは衛生隊も全部出動いたしました。そこで一番やはり大事なことは熱傷である。熱傷によって人が死亡する率が多い。後ほど消防庁に聞きますが、ほとんどの方が熱傷で亡くなっていらっしゃるわけです。そのことに対して、救急ヘリの中に積み込む医薬品を一覧いたしました。きちっと自衛隊の補給処の中には万全とワンセットとしてあるわけです。そういうものを積み込みナースも医官も訓練出動をした。今後先々においてこういう火山災害というふうな、あるいはいろいろな自然災害において出動要請があった場合は、とっさにそれに対応して出動が可能でしょうか。
  119. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 先生、今御指摘のとおり、例えば南関東の大震災といったような場合にも災害派遣をすべくその訓練等をやっております。  今先生からお話がございましたように、今回の雲仙岳火山活動あるいはその他のいろいろ今後の災害に際して、具体的に地域関係自治体等から自衛隊のそういった医療面での部隊の派遣という要請があれば、積極的に対応してまいりたいと考えております。
  120. 常松克安

    常松克安君 大臣、済みません。(写真を示す)これは熱傷八〇%の患者です。余り見られませんよ、夕飯が入りませんから。熱傷患者というものはこういうものです。非常に命という問題と直結した一秒を争う大変な治療が必要とされているわけであります。よって、消防庁にお伺いいたします。  今回、消防庁の方で掌握していらっしゃいます資料の中で、負傷者方々、何名の方々を搬送されましたか。その時間帯について簡潔にお伺いできませんでしょうか。三日の事件でです。
  121. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) 三日の火砕流後に搬送した人数でございますが、島原の温泉病院のところから大村市にございます国立長崎中央病院と長崎市の長崎大学附属病院、それから愛野町にあります愛野記念病院、諫早市にあります健康保険諫早総合病院、計十二名搬送しております。時間帯は、大体午後六時前後から夜中の一時、二時に転送を開始しております。  以上でございます。
  122. 常松克安

    常松克安君 消防庁にお伺いいたしますが、例えば名古屋市におきましては中京病院が熱傷センターというものをつくっております。全救急隊員に対して、判断をするために、熱傷の一度、二度、三度すべてのスコアカードを持たせて訓練しております。そして、その第一報を病院に入れる。その症状によってどういう割り振りをするか。これは実際に実施されておるわけでありまして、異常に日本も火山地帯が多いわけで、今回を一つの大きな教訓といたしまして、一秒を争うわけでありまするから、今後そういうふうな実施訓練というふうなお考えはいかがでしょうか。
  123. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) 現在救急搬送を全国で実施しておりますが、今御指摘のようにこの火山火砕流ということでなくても熱傷による救急患者の搬送が相当の件数ございます。現在、救急隊員は、百三十五時間のもとに、熱傷に対する応急処置の仕方について勉強して対応しているわけでございます。  今回の火砕流というのは非常に特殊な事情でございます。これらの経験をまたいろんな機会に救急隊員の質の向上に生かすべく努力してまいりたい、このように考えております。
  124. 常松克安

    常松克安君 もう一度、その時間帯のところで、火砕流によって第一報が入ったのが何時で、島原病院に搬送したのがどれぐらい所要時間がかかって、後ほど医師の判断で、もはやこれは専門医に任した方がいいということで、国立長崎あるいは長崎大学附属に運ばれたこの所要時間をお聞かせ願いたい。
  125. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) 現在、現場で倒れていた人あるいは救出されて第一次の、第一次といいますか、島原の温泉病院に運ばれるまでの間の時間的経過については、ちょっと手元に資料がございません。したがいまして、島原温泉病院で気道の確保等生命維持のための必要な応急処置を行いました上で、これは同病院の中で行われたわけでございますが、重症と考えられた患者についてよりよい医療ができるようなことで、第三次の救急病院等に搬送したわけでございます。その時間を申し上げたいと思います。  国立長崎中央病院に、大村市でございますが、大体五時四十五分から六時あるいは七時にかけて搬送をしておりまして、転送時間は一時間一分から五分かかっております。これは三名でございます。長崎大学附属病院、長崎市でございますが、六時半から一回目、これは一時間三分かかっております。夜中の一時過ぎに搬送しておりますが、一時間一分かかっております。計四名でございます。愛野記念病院、愛野町でございまして、五時半に四名、これは四十分で着いております。それから、諫早市の健康保険諫早総合病院の場合は、七時二十二分に搬送しておりますが、一時間十七分で一名搬送をしておるわけでございます。  以上でございます。
  126. 常松克安

    常松克安君 九州全域で消防庁が統轄いたしております救急ヘリは何機ですか。
  127. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) ちょっと今の質問は、九州地方で消防ヘリ……
  128. 常松克安

    常松克安君 全域で。
  129. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) 現在、福岡市に二機ございます。
  130. 常松克安

    常松克安君 それだけですね。
  131. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) それだけです。
  132. 常松克安

    常松克安君 そのうちの一機は飛ばぬそうですが、どうですか。
  133. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) 今回島原市の要請で飛びましたのは、平成元年に導入されましたドーファン2型、十四名乗りのものでございます。人員の輸送ということで今回も救急搬送には利用されませんでしたけれども、眉山付近に取り残されました報道関係者等の十名を救助いたしておりますが、救急搬送には利用しておりません。そういった意味で、輸送人員といいますか、そういう輸送能力のある飛行機、十四人乗りのドーファンが一機出ているわけでございまして、もう一機は出動しておりません。
  134. 常松克安

    常松克安君 いや、私は批判がましいことを申し上げているのじゃなくて、まことに御苦労さまでございましたと。所要時間をお聞かせ願ったのは、あの大変な災害の中でよくぞここで救急隊の、おのが命を捨ててもいかなる職務も達成するぞという、現場の決意のほどがあらわれているからであります。  そこで問題は、もう一度お伺いしますが、今後緊急にそういうふうな大変な災害となった場合には、そのヘリは近くに置いておきますか。それとも、要請がなければ飛びませんか。
  135. 飯田志農夫

    説明員飯田志農夫君) 現在、消防ヘリコプターの活用につきましては、県境を越える場合等につきまして広域的な応援協定をもとに運用しております。それは、今御指摘のように、要請があったことを前提にその要請にこたえる形で出動しているわけでございます。ただ、その要請がある前でありましても、準備態勢をととのえるという意味でさまざまな準備態勢をとっておりますので、要請があれば直ちに出られる態勢をとっているわけでございます。基本的には、要請に応じてという態勢で考えているわけでございます。
  136. 常松克安

    常松克安君 要請がある前に人が死んでしまったら責任とれないですよ。  防衛庁にもう一度お願いいたします。  現地にいろんな形で行っていらっしゃいますけれども、いつ起こるかわかりませんので、その中でこういうふうな人の命に関するような事件に遭遇され、かつ専門医に渡した方がいい、こういう場面につきましては、これは救急ヘリとして御協力をお願いできるでしょうか。
  137. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 自衛隊の場合、先生御存じのとおり災害派遣としてそういった救急患者の輸送もやっておるわけでございます。いろんな場面での輸送といったものがあろうかと思います。  ちなみに、平成二年度でいいますと、年度で延べ五百十五機、患者の輸送にヘリコプター等を出しております。具体的な要請があれば、いろんな災害派遣の場において積極的に対応していきたいという考えを私たちは持っております。
  138. 常松克安

    常松克安君 よくそれは存じておるんです。七百三十七名、平成二年度においては輸送していただいておるんです。  私の今言っておるのは、こういう緊急な場合についての要請というのはだれの要請が必要なんでしょうか。市長ですか、知事ですか、国土庁長官ですか、防衛庁長官ですか。間に合わない。
  139. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 県知事からの要請をいただいて対応することになっております。もちろん、急を要する場合は連絡を先にいただいて、正式な要請というものはまたしかるべき措置をしていただくということで、緊急のそういった対応も可能かと思っております。
  140. 常松克安

    常松克安君 じゃ、次は厚生省、少しお教えください。  かたがた、不幸にして救急隊によって病院へ行って、病院で応急処置及び熱傷に関する緊急避難的な、もう全力を挙げて医療関係をしていただいたと聞かされました。しかし、もう一度それを専門医に転送した方がいい、こういうふうな状況で、私は素人なものですから、熱傷の危険性というものはどういう症状なんでしょうか、お教えください。
  141. 篠崎英夫

    説明員篠崎英夫君) 熱傷につきましては、まず大きく分けまして一度から三度まで症状があるわけでございます。  一度につきましては表皮が焼けて熱傷に及ぶもの。それから、二度がその下の真皮というところでございますが、それも熱傷に及ぶもの。それから、三度が皮下組織すべて、つまり全層が熱傷に及ぶものでございます。この一度から三度までによりまして熱傷そのものについての症状あるいは治療法が違うわけでございますが、一般的に申せば熱傷の深さと受傷面積によってその重症度が決まるわけでございます。  一番問題になりますのは、熱傷の部位から細胞外液やあるいは血漿が大量に喪失いたしますために輸液が必要な状況が生じます。また、熱傷部位の皮膚が欠損しているために非常に感染を起こしやすくなっておるわけでございまして、そういう意味から敗血症に陥るというようなことでございます。
  142. 常松克安

    常松克安君 間違いがございましたら、また御指導願いますが、二十年前、三十年前と今日では非常に熱傷学会の方も大きく成長していただきまして、その医療も最先端をいくようなことに相なっている。  例えて申しますと、どちらかというと面積の五〇%に年齢を足して一〇〇を出ると死亡、こういうふうな一つの基準になっているように聞かされました。しかし、今日は面積が八〇%まで熱傷というふうな症状を受けた場合でも、事によっては全力投球でそれを助けていくことができ得るとこういうふうに聞かされ、私も三体、日本医科大学、杏林大学、いろいろなところで熱傷を受けられたその治療のさまをすべからく立ち会って見学をさせていただきました。  やはり一番きつかったのは八七と想定される人が助かったわけです。こういうふうに非常に助かっておりますけれども、何といいましても最初の発見、最初の処置、最初の時間でございます。いろいろな条件が違ってまいりましょうけれども、第一発見からの時間、一番重度の熱湯であってその時間の許される範囲はいかがなものでありましょうか。
  143. 篠崎英夫

    説明員篠崎英夫君) やはり治療にはなるべく短時間ということが原則でございます。また、熱傷と申しましてもそのもとがいろいろ違いますればそれに対する対応も異なってくると思いますが、先生の御質問にお答えするといたしますと、いっときでも早く治療は開始すべきだというふうに思っております。
  144. 常松克安

    常松克安君 八名の方々の死亡なさいました病名は、いかがなものでございましょうか。
  145. 篠崎英夫

    説明員篠崎英夫君) 長崎県の保健環境部からの連絡によりますと、熱傷というのと多臓器不全、もう少し熱傷の後時間がたちますといろいろな臓器が障害を受けますので、診断名、死亡の原因としては熱傷というものと多臓器不全と、この二通りがあるようでございます。
  146. 常松克安

    常松克安君 その中で一番お伺いしたい件は、ある専門の先生がおっしゃるには、十年前の治療と今日の治療とは違う。まず、その一つの違いは大きくは気管切開を二十年前は教えていた。しかし、今日の医学では気管内挿管を教える。こういうことを聞かされたんですが、この八名の方のうち何名が気管切開の処置を受けていらっしゃったんでしょうか。
  147. 篠崎英夫

    説明員篠崎英夫君) これも長崎県の保健環境部の方からの連絡でございますが、気管切開をした者がうちの方では三名となっております。気管内挿管が六名でございまして、この一名が両方とも、つまり気管内挿管はやったけれどもうまくいかないというので気管切開に切りかえたと、この数がダブっておるんだろうと思います。
  148. 常松克安

    常松克安君 人の命にとって一番大事なのは気道確保でありますけれども、気道というものはなかなか入らないというのは、熱傷によっての症状はどういうことなんでしょうか。
  149. 篠崎英夫

    説明員篠崎英夫君) これも個別のケースについてはちょっと不明でございますが、一般的に申し上げますと、口腔やあるいは鼻腔内の高度の熱傷によりましてその粘膜が浮腫を来しておるわけでございますので、気管内へチューブを入れることによって大きな出血をするというような危険性があったために、気管切開をするということが考えられると思います。  それからもう一つは、今回のように火山灰を大量に吸引した場合に口腔あるいは喉頭内にその火山灰がたまっておりまして入らないということが考えられます。
  150. 常松克安

    常松克安君 今お聞きのとおりであります。  こういうふうな場合、思ってもいない自然災害、そして我が身がまさかと思われることで人の生死にかかわってくるような問題、そういうときには専門の医療機関の方々にお助け願う以外はないわけでありますが、やはり一番大きなネックになっておりますのは搬送という時間との戦争であります。その時間との戦争で消防庁の方も自衛隊の方も要請、要請と、こうおっしゃるわけであります。それはわかります。書かれた法律から一歩でも出ることがないのはそれが皆さんのお仕事なんです。そんなものは勝手に外せ、緊急にやれと、私が命令しますというわけにいかない。  この辺のところの緊急処置、例えて言いますと、国際緊急援助隊はその国から要請を受けると四十八時間以内に全部フライトしているわけです、資材から何から全部。海外でもそのようなことでありながら、日本においてはまだ要請、要請というふうな字句によって人の命が左右されるということに関して、これは通告外でございますけれども局長さん、大臣では失礼でございます、今のお話を聞いていただきまして、いかがなお感じを受けとめていただきましたでしょうか。
  151. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 私ども国土庁の方では、先生御案内のとおり災害対策の調整というのが仕事でございます。  かねてから災害対策基本法の中で国の方としてまず防災基本計画というのを決めてございます。医薬品の調達のこと、そして救助に関すること、基本的な事項を決めてございます。これに基づきまして厚生省を初め医療に関係する関係省庁におかれまして防災業務計画というのを決めてあるわけでございます。これで詳細決めまして、都道府県に対しまして、そしてまた関係機関に対しまして指導を行っていただいておるわけでございます。  ただいま先生から大変具体の、そしてつぶさのお話を伺いまして、身の引き締まる思いがいたします。これからもこういう仕組みの中で一生懸命対策を進めていかなければというふうに改めて痛感をいたした次第でございます。
  152. 常松克安

    常松克安君 痛感は結構なんですけれども、ちゃんとそれを改正するようにひとつ御尽力のほどをお願い申し上げておきます。  じゃ、もう山度厚生省にお伺いします。  これは立場は違っているんですけれども、救助法による三十二条の規定及び法第二十四条の現定、これは医療の発動、救助の発動でありますけれども、この要請発動がなかった場合に、災害を受けられた方々は全部自分の保険証で自己負担で医療を受けるのか、この発動があった場合は全部その医療費については国家がすべからくをでやるのか、この差をちょっと教えてください。
  153. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明申し上げます。  災害救助法による医療でございますが、これは救助の種類の一つになっているわけでございますが、災害救助法が想定いたしております医療、この形態は、例えばある地域におきまして医療機関が何らかの形で非常に壊滅的な打撃を受けて地域の医療体制が壊れたという場合に日赤等から救護班が派遣され、そして住民に対して必要な医療をやっていく、こういう形を想定しているわけでございます。そうでなくて通常の医療機関等がその災害地域にある場合には、まず社会保険等既存の医療の体制を活用していただく、こういう仕掛けになっているわけでございます。
  154. 常松克安

    常松克安君 じゃ、先ほど申し上げました八名亡くなられた方、この医療費ほどうなりますか。市長の要請によって病院が出たんです。どうなります。払ってくれるんですか、くれないんですか。
  155. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 基本的には、通常の社会保険の仕組みの中で対応していただくということになろうかと思います。
  156. 常松克安

    常松克安君 じゃ、社会保険の場合は一割、国民健康保険の場合は三割自己負担ですか。災害で亡くなって、気管内挿管して、えらい目に遭うて、御家族の悲しみの中であんた払え、こうですか、法は。
  157. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 不幸にしてお亡くなりになられた方に対しては別途災害弔慰金等の制度がございまして、そちらの方で所要の給付が行われるような形になっているわけでございます。
  158. 常松克安

    常松克安君 ちょっと座っておってくださいな、もうすぐ済みますから。  救助法というのはこれは国法なんです。国の法律なんです。全国会議員が承認した法律なんです。最高の法なんです。今論議しているのは、町の条例や県の条例を云々しておるんじゃないんです。待ってもいない、経験もしたくない災害に遭っているんです。そこでもって、先ほどの答弁の中で市長の要請により病院は出動したというんですよ、よろしいか。さっきの答弁、議事録見たらわかります。市長の要請によって出たと言うんです。そうするならば、こういうふうな中における応急処置的なものとしての負担というものは、遺族の方に向けないで国家がこれは持って当然じゃなかろうか、かように私は御指摘申し上げているわけです。よろしいですか。  じゃ、今度は立場をかえて局長にお伺いします。局長、済みません。この救助法の制定されたのは昭和二十二年と聞きます。その二十二年から今日まで七回及び九回改正になっております。その改正がなぜ必要になったのか、教えてください。
  159. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) ちょっと恐縮でございますが、所管の厚生省の方からお答えをお許しいただきたいと思います。
  160. 常松克安

    常松克安君 そうですか、済みません。外国は全部無料なんです。
  161. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 恐縮でございますが外国等の事情はちょっと勉強させていただきたいと思いますけれども、基本的な形は先ほど御説明したとおりであろうかと思っております。  なお、災害救助法の三十二条に基づきまして都道府県知事の要請を受けて日赤等が具体的な医療を実施するという場合には、これは災害救助法に基づいて全額公費で医療が賄われるという形になっております。
  162. 常松克安

    常松克安君 事ごとに都道府県だとか市町だとおっしゃいますが、先ほど言ったじゃない、この災害救助法は国法なんですぞ。それは機関委任をしておるだけの話じゃないですか。国家がこんなに豊かになって、人が困っているときに助け得ないというようなことがあっていいんでしょうか。  それは課長さんのお立場ですから、大体は先輩から教えられて、この原稿用紙の枠の中に入ったら絶対勝手に言うてはいかぬということを知っておるんですよ、私は。知っておるんですけれども、しからば昭和二十二年から九回にわたってこれは改定をしてきておるじゃないですかと言うんです。だから、改定をしておるというのは、今様の、現在に合わないからいろんなところを改定なさったんじゃなかろうかと推測申し上げる。そういたしましたら、こういうふうな問題につきましても今後慎重な審議をしていただくような受けとめ方をしていただけるのでしょうか。
  163. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 災害救助法の全体的な位置づけあるいは法の趣旨の議論にかかわる問題になるかと思いますが、基本的には臨時応急の措置をとるということで各種の救助措置があるわけでございますが、現在のところ、医療に関しては先ほど説明させていただいたような形の取り扱いになっているということでございます。
  164. 常松克安

    常松克安君 じゃ、結構でございます。よくそこまで踏ん張られました。  大臣に総まとめとしてお伺い申し上げます。  今回のこの問題は、ただ島原の市民の方々や町民の方々のみならず、全国民が見ております。例えて言えば、フィリピンではこれ以上の何十倍も大きな火山災害が起きております。これに対して見舞い金を普通なら政府は出します。出せません。それはなぜか。日本国内で起こったことはまだ経過中であり、その対応は大変でございます。そうしますと、二つの問題の指摘があるわけであります。やはり一つは、顔の見える救済の行政のスピード化を国民は求めておるわけです。精査して検討して拡大解釈、それは言葉じゃなくて顔の見える行政、救援のスピードを要求しております。第二番目には、やはりいろんな委員からお話がありましたけれども、素朴に申し上げましても、豊かな国にあってはやはり豊かな救援というものが今日あってしかるべきじゃなかろうか。  こういうふうなことで、現行法は、法を曲げるわけにはまいりませんが、これは特別立法もさることながら、基本法あるいは救助法というものは過去に改定されているわけですから、まずこの辺のところの根本的に今様の時代に合うような金額、こういうものを含めましての検討というものがあってしかるべきかと提言申し上げますが、最後に大臣の御所見をお伺いいたします。
  165. 西田司

    国務大臣西田司君) 私は、今回の島原・雲仙噴火災害というものを大変重大に受けとめておるわけでございます。  先ほど来各省庁からもお答えがありましたように、基本的には現行制度でどれだけ対応ができるかという問題に今取り組んでおるところでございます。その答えの中にも、できるだけの弾力的な運用を図っていこう、こういう姿勢が見えておるわけでございます。私どもは、現在そういう角度から現地長崎県等との連携を密にしながら、その対策、具体的な洗い出し、個々に取り組んでおるところでございます。誠意を持ってこれらに対処していきたい、そしてその結果から生まれたものに対して私どもは判断をしていかなければいけない、こういう考え方でございます。
  166. 常松克安

    常松克安君 以上です。
  167. 林紀子

    ○林紀子君 私は、今回の災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々、また避難を余儀なくされている方々に心からお見舞いを申し上げます。  まず私は、報道関係者等の労災給付について、労働省にお伺いしたいと思います。  私も、以前民間放送でしばらくの間働いていたこともありますので、今回カメラマンを初め多くの報道関係者犠牲となられたことはとても人ごととは思えません。被災関係者の中から天災地変だから労災保険が給付されないのではないかという心配の声が出されております。しかし、火砕流は既に五月の二十六日に発生しており、今回犠牲となられた方々は業務として取材などに従事していた。ですから、業務上の災害に当たると思いますけれども、これはどうでしょうか。また、輸送していたタクシー運転手も同様だと思いますが、これもあわせてお答えいただきたいと思います。
  168. 出村能延

    説明員(出村能延君) 御承知のとおり、労災補償は労働者が業務上の事由によりまして傷病等をこうむった場合に適用されるものでございます。一般に、御指摘にありましたように、天災地変により就業中の労働者が災害をこうむった場合につきましては、天災地変は事業主の支配管理下にあるか否かにかかわらず不可抗力的に発生するものでございますので、一般的には業務上のものとは認められないというところでございますけれども、しかしながら今回の報道関係者等のように業務そのものに天災地変による災害をこうむりやすいという特別の事情があると認められる場合には、業務上として認められる場合が多いというふうに考えられるというふうに思います。  今回、不幸にして被災されました労働者の方々につきましては、労災保険給付の請求があり次第早急に労働者であるか否か等の必要な調査を行った上、業務災害と認められるものにつきましては迅速に保険給付を行ってまいりたいというふうに考えております。
  169. 林紀子

    ○林紀子君 タクシー運転手はいかがでしょうか。
  170. 出村能延

    説明員(出村能延君) 同様でございます。
  171. 林紀子

    ○林紀子君 それから、報道関係者の中にはテレビ局の子会社、下請の方、アルバイトの学生もいたと報道されております。子会社の中には労災保険に未加入だったり、保険料が納付されていなかったという方もいるのではないかと心配されるわけですけれども、これは労働者の責任ではありませんし、法律では全面適用が原則というふうにうたっていると思います。ですから、子会社、下請またアルバイトなどにもこの労災保険を給付するということは当然だと思いますが、それはいかがでしょうか。
  172. 出村能延

    説明員(出村能延君) 労災保険は、原則としまして労働者一人でも雇用する事業所を適用事業所としており、当該適用事業所の労働者が業務上の事由によって疾病等をこうむった場合には支給されるものでございます。  したがいまして、労災保険の適用事業であれば、事業主がその加入手続を怠っていたか否かにかかわらず、そこに雇用される労働者が業務上の事由によって傷病等をこうむった場合には、保険給付が受けられるということになるわけでございます。
  173. 林紀子

    ○林紀子君 労災保険を申請されました場合は、今もお答えにもありましたけれども、ぜひ迅速に処理するようにお願いいたしまして、次に厚生省にお伺いしたいと思います。  私も十二日には現地を見させていただきましたけれども避難所の方に本当に短時間でしたけれどもお伺いいたしましたら、決してぜいたくを言うわけではないけれどもということで、食事のことで希望を出されていらっしゃいました。  いつも同じようなお弁当なので子供がなかなか食べなくなってしまって苦労しているということだったわけですが、これは避難も長くなりますと、メニューがどういうものか、また栄養上の問題というのも大変大きな問題になってくると思うわけです。ですから、栄養上の面も考えまして、ぜひ栄養士も配置して、その指導に基づいた給食というのを支給していただけないかということが一点。  それから、先ほどのお答えにありましたけれども、この災害救助法によって一日一人当たり八百円以内というのはあくまで目安ということですが、現在お弁当屋さんに頼んでいるものが一食当たり四百円から四百五十円かかっているという話を聞きました。一日当たり千二百円から千五百円ぐらい必要ではないかと思いますので、これも実態に見合った特別基準でぜひ考えていただきたい。  この二点について伺いたいと思います。
  174. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 避難所におきます食事の問題でございます。  まずは、食事でございますので、衛生面あるいは栄養面に十分配慮しながら避難所生活をしておられる方に供与をしていくというのが原則でございまして、島原市並びに深江町ともその基本的なところについては十分配慮をしながら給付をしていると言っております。また、今おっしゃられましたように、長期間にわたってまいりましたので、単純なメニューを毎回同じような形でお渡しをいたしますと非常に飽きがきますし、食べにくくなるという事情もございます。量、種ともできるだけメニューに変化を与えながら、また大人から子供までだれでもが食べられるような工夫をしながらメニュー設定し、食事をお出ししているということでございます。さらに、特に島原市におきましては、離乳食についても要望に応じて対応しているということのようでございます。また、深江町におきましても三歳以下の乳幼児について別メニューの対応を検討しているということでございます。  いずれにいたしましても、できるだけきめ細かな配慮をして長期間の生活に耐えられるように工夫をするよう島原市、深江町で努力するように県に対して指導してまいりたいと思っております。  また、具体的に食事代の災害救助法上の一般基準八百円のお話でございますが、現在先生おっしゃられるような形で約四百五十円という程度の食事をお出ししております。したがいまして、一般基準の八百円というのは当然超えてしまうわけでございますが、先ほど来私お答えいたしておりますように、特別基準の設定などによりまして具体的に対応してまいりたいと考えております。
  175. 林紀子

    ○林紀子君 それから、避難所ではすべてにクーラーが設置できたということを先ほど伺いまして、まず暑さに参ってしまうだろうなということを私も感じたわけなので本当にほっとしているところですけれども応急仮設住宅ですね、限度額二百三十万円ぐらい今建設費がかかっているのでという具体的なお話が先ほど初村委員の方からもございましたけれども、それに合わせてぜひこの応急仮設住宅にもクーラーを設置していただきたい。特に、暑い長崎、しかも降灰地帯ですので窓があけられないということもありますので、これもあわせてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 一般の取り扱いでは、応急仮設住宅については、クーラーは貸与の基準の中には入っていないのでございますが、今回の災害の特殊性すなわちある程度長期間にわたるであろうということ、それから火山灰等で窓を閉め切らなければいけない状態になるということになるわけでございまして、こういう今回の災害の特殊性にかんがみまして、クーラーの設置につきまして県とも協議しながら、また財政当局とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。
  177. 林紀子

    ○林紀子君 それから、文部省にお伺いをしたいのですが、先ほど国土庁の方で、あの地域が隆灰地域ということで指定されたら教室でのクーラーというのは取りつけることができるのだというお話がありました。桜島の被害に遭っている鹿児島などでは既に行われているということですが、プールに覆いをしてほしいという、これは学校の現場からお話があるということなんですが、この辺はいかがでしょうか。
  178. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) 御説明をいたします。  今先生お尋ねのプールの上屋等につきましても、先ほども説明いたしましたけれども活動火山対策特別措置法に基づきます降灰防除地域の指定がなされたところにつきましては、国庫補助の対象となっておるということでございます。
  179. 林紀子

    ○林紀子君 それでは、ぜひ子供たちのためにもこの降灰防除地域というのですか、その指定を国土庁の方で早くしていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、気象庁にお伺いしたいのですが、この火山というのはなかなかすぐにはおさまらないだろう、長期化するだろうということが言われているわけですが、気象観測体制、特に観測機器について、どのように充実していくのかということを簡潔にお答えいただけたらと思います。
  180. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 気象庁では、昨年十一月の噴火に先立ちまして火山機動班を派遣し、地震計の増設、火山遠望観測装置の設置など観測体制強化を図ってきたところでございますけれども火砕流発生など表面活動の観測、監視が一層重要になってきていることから、火山遠望観測装置、傾斜計の増設、熱映像装置、空振計の整備等を行うとともに、雲仙岳測候所の職員を当分の間三名増強して観測体制の充実を図ることとしました。さらに、火山活動状況に応じ適宜火山機動観測班派遣することとしております。  また、土石流発生と密接な関係がある雨量の監視につきましても、雨量計の増設により監視を強化するとともに、適時適切な情報の提供に努めているところでございます。
  181. 林紀子

    ○林紀子君 今三名人員の方もふやすというお話がございましたけれども、先ほど同僚委員質問では今九人体制ということですね。現在、二十四時から六時までの夜間の体制というのは、一人体制だというお話を聞いております。火山活動というのはいつどうなるかわからないわけですから、夜間も気が抜けないということだと思いますので、二十四時間二名以上の人員体制にするべきではないかと思いますが、この三名増員を図られたことによって、夜間も常時二十四時間二名体制ということが可能になるのでしょうか。  それから、今お話ししていただきました観測機器の充実ということで、やはりその機材を使用する人員増というのももちろん必要になってくると思うわけですが、これもこの三名増の中で対処をしていくのかどうか。やはりここに非常に厚い体制を組んでいただきたい、人員の面でも厚い体制をということをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  182. 森俊雄

    説明員森俊雄君) 雲仙測候所は、通常六名体制のところを三名増員いたしまして、今九名で運営しております。それから、通常は夜間一人でございますけれども、随時応援をしているというふうに聞いてございます。  それから、機材の増につきまして、これにつきましてはそれに対応できるように人員の増も図ったところでございます。
  183. 林紀子

    ○林紀子君 そうしましたら、人員増を図って今三名ふえて九人ということなんですね。
  184. 森俊雄

    説明員森俊雄君) そうでございます。
  185. 林紀子

    ○林紀子君 ぜひこの二十四時間二名以上ということと、人員増九名――九名でもなかなか大変だと思いますので、その辺をさらに厚くしていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。  それから私は、先ほど来集団移転の問題につきまして皆様からいろいろ御質問ありましたけれども、ここのところがどうしてもやはり非常に心配なものですから、もう一度お伺いしておきたいと思うわけです。  集団移転の場合、先ほどのお答えでは移転促進区域内の土地というのは適正な価格で買い上げると、その適正な価格というのは買い取り時点の時価であるというお答えをいただいたと思うわけですけれども、その買い取り時点の時価ということになりますと、既に灰が降って火砕流でやられて、そういう土地をその時点の時価で買い上げるということになると思うわけですね。  そうしましたらどう考えましても、今まで何もなかったときよりも値段が上がるなんということは考えられないわけですからね、どうしてもそこのところ、これから集団移転して引っ越していく方たちがその後の生活のことも含めて考える場合に、これは市町村並びに県が買い上げるわけでしょうから買いたたくなんということはもってのほかなわけで、そういうことはないと思うわけですけれども、しかしこの時価というのは非常に心配なわけです。そして、国の補助対象限度額というのが一千百六十万円という最高額が区切られているわけですね。そうすると、こういうふうに区切られておりますとやはり高く買おうと思っても、いろいろこれ全部ひっくるめた事業で一千百六十万円というふうにお話を伺っておりますので、これ以上超えるというようなことになるとここに引っかかってきて、なかなか市町村も集団移転をしていく人たちのことを考えた買い取り価格ということにはならないのではないかと、先ほど来お話を伺っておりましてもそこのところがどうしても心配なわけです。  ですから、先ほどから弾力的運用というお話が何度も出てまいりましたけれども、この補助対象限度額というのも一千百六十万円を上回ってもこれは弾力的に運用するし、時価の買い取りということもぜひその辺は弾力的な考えを持って対処していただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  186. 小島重喜

    説明員(小島重喜君) 先ほどからも申し上げておりますように、私どもが補助をする際の観点でございますけれども、やはりそれはそういう地域をその後にそこに人が住まないようにするというような観点で買うということでございますものですから、今お話にもございましたような生活再建とかそういう観点というのは、要するに時価の中には少なくともそれを税金で買い取るという話の場合にはなかなかそこの点までは出てこないんじゃないか。  要するに、後、何に使うかという話がやはり大変重要なといいますか、そういうものとして使って、しかも買うときのやはり時価というのが世の中の通常の取り引きの場合はそういうことになってくるんじゃないかということで、私どもは従来から今お話しございましたように買い取るときの時価で買う、こういうように今までのケースではやってきております。
  187. 林紀子

    ○林紀子君 確かに今後何に使うかということかもしれませんけれども、そこに人が住んでいた、しかしこういう災害で住めなくなったということが出発点だと思うわけですね。それをぜひお考えいただきたいのと、それから必要があるときは、国は市町村に対し道路、住宅などの普通財産を「無償、又は時価より低い価額で譲渡し、又は貸し付けることができる。」というふうにうたっておりますね。ですから、その移転先の面につきましても十分な配慮をしていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。  そして最後に、私は非常災害対策本部長である国土庁長官にお伺いしたいと思いますが、地元の長崎新聞の「声」という欄にこういう投書が載っておりました。「総理、私たちも貴殿と同じ日本人です。」「見たこともない国に救援する数億ドルの金はスムーズに支出され、替為差額さえ支出すると報道されております。」「外国のかわいそうな難民や戦争遂行に手助けする金があるなら、私たち島原半島の人間を助けてください。」と、こういうふうに投書がされておりましたけれども、これは多くの島原の人々、長崎県民、また日本の国民の声ではないかと思うわけですね。  今までいろいろ御質問してまいりましたけれども、全部予算が絡む問題なわけです。ですから、これをもう地元任せにする、自治体任せにするということではなくて、何としても国が責任を持って全面的に対策に当たるということで、予算の面でも予備費を組むなどということで、どうしても大幅に対処をしていただきたいと思うわけですが、その辺の御決意も含めまして伺いたいと思いますが。
  188. 西田司

    国務大臣西田司君) このたびの噴火災害に関しましては、事態の重大性にかんがみまして、災害応急対策に万全を期してまいります。六月四日、直ちに平成三年雲仙岳噴火非常災害対策本部を設置いたしました。関係省庁緊密な連携のもとに、積極的に災害対策を進めてきているところでございます。また、既に五月二十九日には災害救助法を適用し、住民の救助に当たっているところでございます。  今後とも各種施策や事業を最大限に適用してまいりまして、所要の国庫補助等の確保を図った上で、国全体として地元を支援してまいりたい、このように考えております。  さらに、関係地方公共団体の今回の災害対策に伴う財政負担については、地方債の配分あるいは交付税措置、財源対策財政支援、両面から全面的に御支援をいたします。
  189. 井上哲夫

    井上哲夫君 私の用意しました質問事項は随分重複がありますので、簡潔にダブらない範囲で質問したいと思います。  まず冒頭、お悔やみ、お見舞いを心から申し上げます。  十二日に現地に行ってまいりまして地元の県市町より要望書をいただいたわけでございますが、この要望書を見まして一番感じることは、災害復旧事業等の認定に弾力的運用と、きょう朝から晩まで各委員方々質問はすべてこの点に絡んできておるわけでございますが、この弾力的運用というところでお尋ねをまずしたいと思います。  先ほど来厚生省の答弁を聞いておりまして、例えば炊き出しが一日八百円が千五百円ぐらいまでの弾力的運用とかあるいは仮設住宅についても弾力的な運用と、そういう答弁をいただいておるわけでございますが、現実に私は果たしてそれが地元の人が求めている弾力的運用というところに少しでも届いているんだろうかというふうに思いますと、どうもそうではないんじゃないか。一日八百円の食費というのは、たしか私、昨年長崎の大村収容所に行きまして、いわゆる不法滞在者と言われる人たちの本国送還を待っている、その人たちの食費が一日八百円だったという記憶があります。間違っているかもしれませんが。  それで、現実に着の身着のままでああいう体育館に避難をされて、新聞報道によると一番長い人で二十二日いる。しかも、今の厚生省のお話を伺いますと、仮設住宅入居も六月の二十二日が一番早い方で、場合によっては七月の上旬、さらに今後増設される仮設住宅になればもう七月の中旬、下旬になってくる。その間、あのような体育館の中で避難のために余儀なくされている生活がこの先もできるだろうか。例えば、八百円の食費が千五百円になったからできるだろうかというふうに思うと決してそうではない。  これは私の素人判断なんですが、島原の雲仙は有名な温泉地で旅館街、保養所もたくさんある。一週間とか十日、避難民の方に空っぽになっているホテルや保養所に入ってもらう、そういうようなことを考えるのが弾力的運用ではないだろうかと、ちょっと暴論になるかもしれませんが。  今考えてみますと、食費が八百円か千五百円になっても、あのようなプライバシーが保てない中で、危険なために自由に外にも出られないということを考えてみますと、やはり一回、一週間とか十日あるいは三日でもいいから、温泉地で少し今まで積もり積もったストレスが抜けるようなそういうことも本当は行政で考えていただけないんだろうか。全国からたくさんの義援金が集まっております。この義援金の使い方はまたいろいろな制約があろうかと思うんですが、恐らく日本の人たち、全国の人たちがそれ相応にみんながお金を雲仙に送ってほしいと寄附をしている人の気持ちの中にはそういうこともあるのではないか。  そこで、今言われたその弾力的運用で生活の居住性をもう少しよくするという点ではいかがなものでございましょうか。余りこれまでの答弁以上のものはできにくいということは十分承知しております。
  190. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 避難所における長期間にわたる集団生活で、入所しておられる方々が非常に御苦労されておられるのは十分承知しております。食事あるいは入浴、それから洗濯その他生活に伴う諸所の面でできるだけきめ細やかな配慮をしていくように、さらにさらに県と相談をしながらやっていきたいというのが基本でございます。  いずれにいたしましても、集団生活が長期間にわたるというのは好ましくないのは十分承知しておりまして、やはりできるだけ早期に、とりあえず住居のない方々に対しましては応急仮設住宅建設していく、それから既に一方では進んでいるわけでございますが、公営住宅へのあっせん入居、そういうような各種の住宅対策を総合的に展開していくということが必要なのではなかろうかと思っておりますし、そういう観点でできるだけの努力をしたいということでございます。  それから、御提案ということで、旅館とかホテルを借り上げるというようなことは可能なのかどうかというようなお話もございましたが、ホテル、旅館を借り上げることにつきましては、幾らで借り上げるのかとか、あるいはどのくらいの期間入っていただくのか、あるいはどなたが先に入るのか、いろいろな種々難しい問題もあるようでございまして、現在長崎県においてその可能性について検討しているというふうに承知しているわけでございます。私どもといたしましては、まず応急仮設住宅をできるだけ早期に計画的に建設を進めていくということを第一義にしたいと考えているところでございます。
  191. 井上哲夫

    井上哲夫君 ホテルや旅館や保養所の借り上げを地元の県市が検討しているというなら、厚生省の方は、むしろとめる方じゃなくて、進めるようにおしりをたたいていただきたいと思います。  私も、これは何といいますか質問にならない質問だと思うんですが、いろいろ用意した質問が全部重複しちゃいましたのでお許しを願いたいと思うんですが、大体こういうかつてない形の、あるいはいつ終息をするかもわからない、今来るのかいつ来るのかわからない、こういう自然の大きな力の前では私ども生活は実は大変弱いものであることを今回の災害でまざまざと見せつけられた。場合によっては国民から多くの義援金というか寄附をもらってそのお金で思い切った、今常松理事がおっしゃいましたが、いわゆる顔の見える災害救援をやる。そのためには、場合によっては租税措置を考える。今回に限って、これだけ寄附をしてくれる人はその半分のこれだけは経費で落ちますよとか、あるいはこういう島原雲仙岳災害のための特定の事項に使うんだからということで、そういう知恵を出すことはできないだろうか。  十二日に現地に行きまして、これはうわさで聞いたので真偽のほどを確認しておりませんが、仮設住宅にはなべかまも要る、電気冷蔵庫も要る、クーラーも要る、着のみ着のままの人が二カ月、三カ月あるいは半年生活するのに最小限必要なものが要る。それはどこから調達できるのだろうか。何か電気事業協会からの寄附を仰ぐとか、あるいは業者の中には進んで寄附をしてくれる人が出るんじゃないかとか、そういうことを地元の関係者も期待しているということを聞いたわけでございますが、むしろそういうことまで行政が積極的に介入して、豊かな日本と言われる今の現状の中で、ここで心の豊かさを取り戻す、そういうことをやってもいいのではないか。その点で、何にも質問通告をいたしておりませんので長官に申しわけないんですが、いかがでしょうか。
  192. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) ただいま先生から御提案がございました。振り返りますと、昭和六十一年十一月でございます、伊豆大島噴火に伴う島民の方の移転というような避難の行動もございました。当時、国民の皆さんの方から大変同情もいただき、ちょっと金額については記憶がございませんけれども、かなり多額の寄附をちょうだいし、それを東京都そして地元の自治体におきまして避難された方々に分けたというような話も一部聞いたことがあるように記憶をいたしてございます。租税の措置というのは、聞きかじりでございますが、そういう行為に対しまして一部もちろん税制上減免の措置を講ずるというような手当てもあるようでございます。  いずれにいたしましても、大変これから国民の皆さんにこういうことがアピールされて、どの程度長崎の雲仙のケースに適用できるかというのはつぶさにわからないわけでございますけれども政府がこれを慫慂してということはともかくといたしまして、自発的な行為としてこれが行われることは、大変に私としてはすばらしいことかなというふうに思います。
  193. 井上哲夫

    井上哲夫君 今私が唐突な質問をしたわけですが、実は私二、三日前に地元に帰ってレストランで食事をしていたら、ウエートレスの女性が長崎の雲仙の方に寄附をしたいというので市役所に特っていったら断られた、どこへ持っていったら受け取ってくれるんでしょうかという質問がありまして、早速私は、市役所の中に記者クラブがある、そこへ持っていけば新聞に名前も載せてくれるし、受け取ってくれるよということを話したわけです。  全国の津々浦々から小さな善意というか、小さなそういう寄附ということでやっているんですが、一般の国民がいざそういう気持ちで実行に移そうというと、意外にどこへ持っていったらいいのかで突き当たる。そういう意味では、行政が余りそういう善意のところまで介入するのはよくないと言われるのは本件のような災害の救援の場合には逆じゃないかというふうな気がしますので、そういう質問をしたわけであります。  次に、もう一点だけお尋ねをして終わりたいと思うんですが、地元の要望書を見ますと、要望事項の中に土石流火砕流に伴う漁場の環境影響調査の予算をつけてほしい、こういう趣旨の要望書が出ております。先ほどどなたか御質問されたときにも、地元の水産物被害について現状把握が正確にはできていない。しかし、かなりの海面及び水無川の河口の水域においては今回の災害に伴う影響が出ているから、復旧に際しては十分調査の上で対処したい、こういう趣旨の御答弁はありました。この答弁はありましたが、さらに私は重ねてお尋ねをしたい。  恐らく、長崎県から出ている漁場の環境影響調査の予算を出してもらいたいという要望の真意は、私は地元の人に聞いたわけではございませんが、今回の災害で、今後もまだ災害が万一あるかもしれませんが、漁場に大きな変化を受けるだろう。例えば底物のタイ、ヒラメや貝類等から養殖のワカメやノリとか、そういうふうなところまで含めてかなりこの海水面の影響が悪くなる。  そうだとすれば、これはむしろ前に戻すというよりも、この被災地の漁場の大胆な改造なり改良なりそういうことも含めて、もし災害が終息した場合には直ちに三カ月、四カ月かかってもいいから環境影響の度合いを調査してほしいと、その調査結果に基づいて大胆な復旧、つまりその中には改造、改良も含む、そういうものをやってもらいたいというような気持ちがあるからこそ、こういう予算をつけてほしいという要望が出たのではないかと私なりに理解するわけですが、この点いかがでしょうか。
  194. 吉崎清

    説明員(吉崎清君) 県と十分相談して、漁場環境影響調査につきまして、水産庁として可能な限り協力してまいりたいと考えております。
  195. 井上哲夫

    井上哲夫君 もう少し中身のある答弁を期待申し上げたんですが、やむを得ないかもしれません。  要望として申し上げますが、環境影響調査というと、人為的に国や県や事業体が事業を起こしてそれが周囲に影響を及ぼす度合い、それによってさらに計画を練り直したり、事業の改善を図る。環境影響調査というのはこういう一般的な定義、イメージでございますが、恐らく今回の災害に伴う地元の要望で言う環境影響調査というのは、そういうかた苦しいものじゃなくて、速やかに回復、改善を図って再び漁業で生活が成り立つようにしてもらいたいという素朴なところから来ているものだと思いますので、その点十分御理解をいただいて、なるべくそういう意味の予算もつくように御配慮をお願い申し上げたいと思っております。  以上で私の質問要望を終わります。ありがとうございました。
  196. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 最後になりましたけれども、今般の災害犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈りいたします。また、火山活動の長期化が大変予想される中で、避難されている方々及び被災地において日々懸命に救援活動を展開している方々の苦労に対しまして心から敬意を表します。  さて、観測体制なりあるいは住宅環境整備等、既にもう質問されておりますので重複は避けますが、これは先ほど井上委員からも質問がありましたけれども住宅問題というとすぐ災害の場合には学校とか公民館、武道館というふうに一歩も進歩していないわけでありますけれども、今日の時代はもう大分それから変わっておるわけでありまして、やっぱりホテルとか旅館の借り上げというぐらいのことも考える、そういう発想の時代だと思います。あるいはそれをあっせんする、補助するとか、いろいろな難しい事情があるのでしょうけれども、何か現地の方では準備されているようでありますが、九十億ドルとは対比しませんけれども、少なくともこれからはそういう時代だと私はそう思います。そういう意味で、ちょっと意見めいたことを申し上げておきます。  国土庁にお尋ねしたいんです。情報の伝達ということについてであります。  これもまたこういう災害の場合には非常に大事なことなんであります。今回の場合でも過去の災害でもそうですけれども、未確認情報が飛び交ったり、あるいは無用な混乱がかなり起こってくるわけでありますけれども、例えば眉山に亀裂が発しているとか、あるいは風に吹かれた火山灰を見て新たな噴火が始まったなどの根拠のない話が流れて騒ぎになったということを聞いております。さきの伊豆大島噴火でも、全島民避難という意思決定がされたのは、ホテルが溶岩流にのまれたとか、あるいは測候所が燃えたという流言飛語、懐かしい言葉ですけれども、流言飛語が飛び交って誇張された情報と正しい情報が混在した結果危機感が強まったということ、そういう意見もあります。  こうした過去の苦い体験が今回の災害にも生かされていかなきゃならないと思いますけれども災害対策本部としては、火山活動を中心に正しい情報が迅速確実に伝わるようにして、不確かな情報はすぐ確認できる体制をとるというようなそういう体制も必要だと思いますけれども、その点についてどのように対処されておりますか、お尋ねしたいと思います。
  197. 鹿島尚武

    説明員鹿島尚武君) 橋本先生のただいまのお話にお答えします前に、大変恐縮でございますけれどもお許しをいただきまして、先ほど井上先生から寄附のことがお話しございました。実は余り自慢がましく聞こえちゃいけないと思いまして申し上げ損ねておりましたが、こそっと申し上げてお許しをいただきたいと思っております。  と申しますのは、国土庁というのは防災の政府の窓口でございます。職員みんなが大変この問題に関心を持っておるわけでございますが、せんだって私ども国土庁、大臣の方から御発声がございまして、大変ささやかなものであるけれども気持ちを伝えようということで、私ども職員一同既に日本赤十字社に寄附をさせていただいております。一言申し添えさせていただきます。  さて、正しい情報が迅速確実に伝えられる体制を整えるという、これは大変重要なことでございます。防災関係機関はもとより、住民等に情報を正しく伝えて事前の警戒、準備、避難に役立てるというのが、これが日ごろの備えであろうと思っております。特にこれが非常時ということになりますと、大変不安な心理状態に皆陥るわけでございます。そこで、混乱を防止するために、被害を未然に防止、軽減するために情報の伝達ということ、しかも迅速にこれを行うということが必要であろうというふうに考えております。私どもといたしましては、日ごろから災害に対する情報の収集、伝達の体制につきましてハードそしてソフト面から整備を進めてまいっております。そしてまた、災害時におきましては、災害対策本部を中心にこの情報が迅速かつ的確に収集、伝達されるように整えておるわけでございます。  こういった趣旨から国も、五月二十四日の災害関係省庁連絡会議、それから六月四日の平成三年雲仙岳噴火非常災害対策本部第一回本部会議におきまして、住民等の安全を最優先情報伝達避難誘導体制について万全を期するということを全員で申し合わせをいたしてございます。今後とも、御指導ございましたように、正しい情報が迅速かつ的確に伝わるように、関係機関そして地元県市町とも密接な連携を図って万全を期していきたいというふうに考えております。
  198. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、避難区域の指定についてお尋ねしたいのであります。  これはテレビでも見たのでありますけれども、総理が現地を訪問されました際に、島原市の対策本部長であります鐘ケ江市長が、避難勧告など市町村長が全員任を負うには問題が大き過ぎる、助けてくださいと、こう言って涙ながらに訴えておったのを見たのでありますけれども、これは当然のことだろうと思います。  そこで、災害対策基本法によれば、市町村長が避難の指示や警戒区域の指定などを出すことになっておりますけれども、これほど大規模災害で、区域指定の持つ重要性は言うまでもありません。八日の火砕流人的被害を避けられたのは、三日のとうとい犠牲を教訓に避難勧告の対象区域を拡大したからでありまして、多くの民家が焼けた深江町では、発生二時間前に立入禁止になって、間一髪で救われたと。このことからも区域指定の判断を一歩誤ればどういうことになるかということは容易に想像つくわけでありますけれども、国とか県がこの重要な決定を下すに対してどのように関与しておるのか、指導助言の内容についてお尋ねしたいと思います。
  199. 古内晋

    説明員(古内晋君) 消防庁としましては、かねてより災害発生の危険があると予想されます場合には、危険の切迫する前に十分の余裕を持って安全な場所へ住民避難させるため避難を早期に指示し、情報伝達の方法にも配慮しますよう県を通じまして指導してきているところでございます。したがいまして、避難勧告警戒区域の設定につきましても、これらは災対法上は市町村長の権限とされているところでございますが、これらの措置に当たりましては、住民の安全を最優先に配慮するよう指導してきたところでございます。  今後とも、この人命第一というその趣旨に沿いまして、適切な措置が行われるよう指導してまいりたいと考えております。
  200. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 それじゃ、被災者の次に遺族補償について、自治省にお尋ねします。  今回多くの消防団員の方がお亡くなりになっております。遺族補償年金や遺族補償一時金が支払われると思いますが、こうした中で常勤と非常勤の差があるわけであります。非常勤の消防団員の場合は補償額の計算の仕方が常勤職員とは違うようであります。公務によりその生命を落としたということでありますから、常勤、非常勤を問わず同じ補償が受けられるべきだと考えられますけれども、この点について、まず一点。  それからまた、非常勤消防団員の損害補償金を定めた政令によれば、異常な自然現象時における人命の救助等のため災害を受けた場合は補償額が五〇%加算されるとありますけれども、今回のケースに適用されてしかるべきと考えますが、それでよいでしょうか。  この二点をお尋ねしたいと思います。
  201. 木下英敏

    説明員(木下英敏君) 消防職員と消防団員について補償額に差があるのかという御質問でございますが、適用する法律は違いますけれども、基本的には補償の種類あるいは支払い額の計算方法は両者全く同一でございます。  ただ、補償額の算定そのものに当たって、その人の給与を前提に一定の係数を掛けるという計算式になるわけでございますが、消防職員につきましては本来の給与があるものですから、計算としては被災日前三カ月の給与の平均給与額を基礎に計算するわけです。  団員の場合につきましては非常勤でございますので、その団員としてもらっている給与がございません。したがいまして、これは便宜消防職員との均衡を考慮しまして、勤務年数あるいは階級に応じましてそれぞれ三段階に分けて補償基礎額というものを政令上定めるわけでございますが、そのやり方としては、例えば十年末満の団員でございますと公安職給料表の一級十六号の俸給月額を使って計算するということで、若干人によって凹凸はございますけれども、実際計算される年金額等を見る限りは、両者平均的に見ますと同一であると申し上げて差し支えないと思っております。また、賞じゅつ金等につきましても職員、団員の間に全く差異はございません。  それから、第二番目でございますが、このケースが特殊公務に該当するかどうかという点でございますけれども、やはり政令で言う、先ほど言われた政令の中での「高度の危険が予測される状況」という解釈は、生命または身体に対する重大な危険を受けることが通常予測される程度の危険な状況をいうわけでございまして、被災した団員が高度の危険を予測していたか否かにかかわらず、客観的にそのような状況にあると判断されれば足りるという運用としております。  特殊公務災害として認定したケースは、最近でも幾つか例がございますが、今回の場合について申し上げますと、結果としてかなりの危険な状況のもとで活動したものでございまして、その危険性という意味においては、これまでの認定例と比べまして決して遜色のないケースであったのではないかと思っております。ただ、この公務災害の認定そのものは国が行うんじゃございませんで、市町村長が行うものでございます。  今後、消防庁としては、当該市町村長の認定状況を見ながら適切に対処してまいりたいと思っております。
  202. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次、防衛庁。  今回の災害で遺体捜索のために陸上自衛隊の十六普通科連隊が派遣されたと聞いております。九日まで行われた遺体捜索では、捜索中に火砕流発生して捜索中の隊員の三百メートル近くまで接近したということを聞いております。火枠流発生の危険を背にしての自衛隊の作業は、まさにこれはもう死と隣り合わせだと言っても私は過言でないと思う。このような実際危険な作業ができるのは自衛隊しかないだろうと思います。  そこで、伺いたいわけでありますが、自衛隊の場合、万一殉職した場合には、公務災害補償は別として賞じゅつ金が最高一千七百万円出るんだそうであります。これに対して、警察官ならば国から最高二千万円まで、また都道府県からも賞じゅつ金と同様のものが出ると。例えば長崎県では最高二千万円の賞じゅつ金が出るとのことであります。賞じゅつ金のみについて見れば、自衛隊員が最高千七百万円で、長崎県の警察官は最高四千万と、こういうふうになるわけであります。  金額だけではありません。こういう危険作業をいつ負わされなきゃならないかもわかりませんし、かつまた指揮官は万一の場合には非情な命令を出さなきゃならない。死を賭してでもその任務を遂行させる命令を出さなきゃならぬわけであります。そういう隊員なり関係の者に対する扱いとしてはちょっと差があり過ぎるのではなかろうかというふうな気がいたします。同じ災害復旧に従事する者であってこれだけの差をつけては士気にも影響する。  今回の掃海艇の派遣隊員の場合には閣議決定によって二千万円の上乗せが認められましたけれども、今度の陸上自衛隊員にも、しかもこの長崎の場合まだまだ長期化するし、非常に危険な状態が続いておるわけでありまするし、今度の場合でも上乗せを認める等の改善が必要であると思いますけれどもいかがか、お尋ねしたいと思います。
  203. 坂野興

    説明員(坂野興君) 先生御承知のように、現在海上自衛隊はペルシャ湾に掃海艇を派遣しておりまして、その派遣に際しまして、従来と違った上乗せの賞じゅつ金等の制度を設けているわけでございます。ただ、この制度は掃海艇のペルシャ湾への派遣ということについて定めたものでございます。  今回の雲仙岳噴火に際しましての災害派遣に当たりましては、ただいま先生からお話しございましたように、賞じゅつ金といたしまして最高一千七百万円ということになっております。これは公務災害補償とは別のものでございますが、国家公務員の中にはこういった危険な任務を行う官職に対しまして、例えば警察庁とかあるいは消防とか、そういったところに同じような賞じゅつ金制度がございます。それで、国の行います賞じゅつ金制度につきましては大体統一がとれているわけでございますが、ただ警察等につきましては、大部分が地方公務員であるということから、万が一殉職等をされましたときには、国から出されますと同時に、地方自治体等からも出されるというような状況になっております。  それで、私ども自衛隊といたしましても、万が一殉職したときに国がどういう手当てをするかということは、自衛隊の任務遂行上大変重要な問題であるというふうに考えておりまして、自衛隊の賞じゅつ金制度につきまして現状のままでいいのかどうか、これにつきましては現在部外の有識者等の意見も伺いながら、適切な制度をどうしたらいいかということについて勉強しているところでございます。
  204. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 終わります。
  205. 糸久八重子

    委員長糸久八重子君) 本日の質疑はこの程度にし、これにて散会いたします。    午後五時十分散会