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1991-07-04 第120回国会 参議院 決算委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年七月四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月二十八日     辞任         補欠選任      西野 康雄君     種田  誠君  七月二日     辞任         補欠選任      井上 哲夫君     高井 和伸君  七月四日     辞任         補欠選任      木庭健太郎君     中野 鉄造君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 後藤 正夫君                 守住 有信君                 会田 長栄君                 千葉 景子君                 猪熊 重二君     委 員                 秋山  肇君                 石渡 清元君                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 鎌田 要人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 野村 五男君                 福田 宏一君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 渕上 貞雄君                 中野 鉄造君                 諫山  博君                 林  紀子君                 高井 和伸君                 三治 重信君    国務大臣        通商産業大臣   中尾 栄一君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       越智 通雄君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部企        業課長      和泉沢 衛君        警察庁刑事局長  國松 孝次君        経済企画庁調整        局長       吉冨  勝君        経済企画庁国民        生活局長     加藤  雅君        経済企画庁調査        局長       小林  惇君        科学技術庁科学        技術政策局計画        課長       結城 章夫君        科学技術庁研究        開発局宇宙企画        課長       興  直孝君        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課原子力安        全調査室長    鈴木 治夫君        国土庁計画・調        整局総務課長   柴崎 徹也君        法務省刑事局刑        事課長      但木 敬一君        外務省経済協力        局調査計画課長  小島 誠二君        大蔵大臣官房審        議官       中平 幸典君        大蔵省証券局業        務課長      堀田 隆夫君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        麻生  渡君        通商産業大臣官        房審議官     榎元 宏明君        通商産業省立地        公害局長     鈴木 英夫君        通商産業省機械        情報産業局長   熊野 英昭君        資源エネルギー        庁長官      山本 貞一君        資源エネルギー        庁公益事業部長  川田 洋輝君        中小企業庁長官  南学 政明君        中小企業庁計画        部長       広瀬 勝貞君        運輸省航空局監        理部航空事業課        長        辻  通明君        建設省都市局都        市再開発課長   高橋 健文君        建設省住宅局住        宅政策課長    川村 良典君        自治省行政局振        興課長      斉藤 恒孝君        会計検査院事務        総局第一局長   安部  彪君        会計検査院事務        総局第五局長   中島 孝夫君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      井川  博君        中小企業信用保        険公庫総裁    片山 石郎君        中小企業信用保        険公庫理事    阿久津孝志君        国民生活センタ        ー理事長     喜多村治雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十三年度政府関係機関決算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十七回国会内閣提出) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書平成年度政府関係機関決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書内閣提出)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月二十八日、西野康雄君が委員辞任され、その補欠として種田誠君が選任されました。  また、去る二日、井上哲夫君が委員辞任され、その補欠として高井和伸君が選任されました。  また、本日、木庭健太郎君が委員辞任され、そ の補欠として中野鉄造君が選任されました。     ─────────────
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 喜岡淳

    喜岡淳君 おはようございます。  毎日非常に暑い日が続いておりますので、エネルギー消費といいますか、クーラーの問題とか電力供給の問題については非常に大きな関心が集まっているところであります。そういう意味で、きょうは電気エネルギーの問題について通産省科学技術庁のそれぞれの方にお尋ねをしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  一番最初に、電源特会設置目的についてお尋ねをしたいというふうに思います。  電源開発のための促進対策特別会計というものがつくられております。ところが、この電源特会の一つの特徴として毎年毎年巨額繰越額が出ておる。しかも、不用額かなり金額が毎年毎年出ておる。現在三十八ほどある特別会計の中でも極めて異例の決算状況が続いておる。これが電源特会ではないかというふうに思います。こういうふうに多額繰越額不用額がたまに出るというのなら特別の事情でしょうが、設置以来毎年毎年同じことが繰り返されておる。どうしてこういうような特会設置されたのでしょうか、非常に大きな疑問を持つわけですが、電源特会設置された目的についてお尋ねしたいというふうに思います。
  8. 山本貞一

    説明員山本貞一君) お答えいたします。  電源開発促進対策特別会計は当初昭和四十九年度設置されまして、その当時は、電源立地促進目的といたしまして、電源開発促進税財源に設立されたものでございます。その後、昭和五十五年度電源多様化勘定を創設というか追加いたしまして、これは電源多様化を図るとともに、技術開発等を行うために設置されたものでございます。したがいまして、特別会計目的は、まず第一に電源立地促進、それから電源多様化を図るために設置されたものでございます。
  9. 喜岡淳

    喜岡淳君 どうも行ったり来たりしておりますもので、ちょっと時間があれになりますけれども。  今、電源特会電源立地促進のために、また新しいエネルギー多様化を進めていくためにも設置されたというお答えだったわけです。この電源特会財源はといいますと、これは電源開発促進税という税金になっておると思います。要するに、電力会社が国に納める、それが電源開発促進税ですね。ただし、その税金については我々電力消費者電気消費者負担をする典型的な国税――間接税ということだろうというふうに思います。しかも、今おっしゃったように、電源立地開発エネルギー多様化を目指すという特別の目的を設定した目的税でもあるというふうに思います。  そこで、私も不勉強でよく知らなかったんですが、結局は我々電力消費者がこの税金を納めておるわけですね。我が国の一般平均的な家庭で言いますと、いわゆる大衆の家庭といいますか一般家庭で大体月幾らぐらいこの税金を納めているのか、負担しているのか、一年間で幾らぐらい負担をしておるのか、それについて金額を教えていただきたいと思います。
  10. 川田洋輝

    説明員川田洋輝君) お答え申し上げます。  電源開発促進税は、税率は千キロワットアワー当たり四百四十五円でございます。一キロワットアワーに直しますと四十四・五銭という税率に相なっております。これを今先生お尋ね家庭におきます負担で御説明いたしますと、家庭におきます電気使用量平成年度で見ますと一カ月当たりほぼ二百五十キロワットアワーと相なっております。これに電源開発促進税税率四十四・五銭を掛けますと約百十一円ということに相なります。一年間で見ますと千三百円をちょっと超えるところ、こういう御負担になろうかと思います。
  11. 喜岡淳

    喜岡淳君 一般家庭でいいますと、平成二年現在、月百十一円で年間千三百円を超える、私の計算でも千三百三十二円ということになっておりますので、一世帯当たり一千三百円以上の税金を納めておるということになると思うわけです。  そこで、この税金を納めておる我々国民としてはこの問題について関心を持たざるを得ないわけでありますが、電源特会最大特徴であります多額繰り越し不用の多い理由についてお尋ねをしたいというふうに思います。  電源三法の交付金の中で一番中心的な役割を果たしておりますのは、言うまでもなく、いわゆる電源立地促進対策交付金だろうというふうに思います。電源立地中心を果たしておりますこの交付金は、公共施設をつくる際の交付金に使われておると思います。多いのは道路、港湾、レク施設教育文化施設などを建てる際に、やっぱり原子力発電所をつくる際にはそういう交付金をしっかりおろして地元の合意といいますか、地元対策をやろう、そういう対策交付金というのが一番中心を担っておるだろうと思います。ところが、電源立地促進する対策交付金につきましては、平成年度決算を見てみましたら、繰越額が実に六百億五千九百万円、四三・一%が繰り越されております。不用額は五百六十六億七百万円、約四〇・六%が不用になっておる。そういう意味で、平成年度決算では、この電源立地促進対策交付金繰り越し不用を合計しますと、実に八三%を超えるわけです。  ということは、結局我々から税金を集めたものの二割ぐらいしか使われなかったという決算状況です。税金負担した国民の側が疑問を抱くのは当たり前だろうというふうに思うわけですね。こんなに使われないのだったら税金を納める必要ないではないか。一体どうしてこの電源立地促進について電源立地財源繰り越し不用額を毎年多額に計上しているのか、その理由についてお聞かせいただきたいというふうに思います。
  12. 山本貞一

    説明員山本貞一君) お答えいたします。  今先生指摘特別会計繰り越しあるいは不用額につきましてでございます。これは、御指摘もございましたが、まず主として発電所建設が想定しているより若干おくれているということ、それに伴いまして立地交付金の対象になります公共施設整備事業整備の遅延が起こっております。主として今申し上げましたような理由で、電源立地促進対策交付金繰り越し不用がおおむね先生の今御指摘のような数字になっておるわけでございます。  ただ、今後の見通しというか必要性ということを申し上げますと、電力需要というのは着実に増加しております。これは今後ともまだ続く可能性も高いわけでございます。これに伴って電源開発を積極的に推進することがどうしても必要でございます。そういう状況になりますと、単年度――今年度、前年度というだけではなくて、もう少し長い目で見ていただきますと電源特会必要性はこれから出てくるわけで、私どもとしてはその財政需要を中長期的に見まして歳入歳出をバランスさせるという観点で考えております。  単年度では確かに御指摘のとおりでございますが、今申し上げました中長期的な視点から必要性があるということですので、御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  13. 喜岡淳

    喜岡淳君 中長期的に見るという観点を今述べられたと思うんです。確かに、電源開発というのは簡単にできるものではないですから、非常に長期にわたって見るべきでしょう。しかし、今までも同じ答弁が何回も繰り返されております。例えば昭和五十八年度にこの財源税率を大幅に引き上げておりますね、そのときにも同じ答弁をされている。  ところが、私調べてみますと、昭和五十八年度にこの税率を引き上げたわけですが、昭和五十八年度税率引き上げの前の年、昭和五十七年度電源立地勘定決算を見ますと、この年も二〇・四%繰り越ししておるじゃないですか。不用額も一四・二%あるじゃないですか。その前の五十六年だって繰越額が二五・二%、不用額は一八・一%。その前の年の五十五年度だって二六・八%の繰越額、二二・六%の不用額繰り越し不用が毎年毎年たくさん出ているんです。なのに、税率を引き上げておいて中長期的中長期的と言ったって、国民がそんなことを信用できますか。同じことを繰り返しているじゃないか。毎年多額繰り越し多額不用額が出て、しかも税率は五十八年に引き上げておる。五十五年にも引き上げているじゃないですか。中長期的に見れば見るほどこれはおかしいんじゃないですか。  多額繰り越し不用を出して、しかも税率を五十五年、五十八年と大幅に引き上げてきて、中長期的にと言っても、今なおまだ多額繰り越し不用額が出ておる。ちょっと今の説明では納得ができかねる。
  14. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 昭和五十八年度税率立地勘定について千キロワットアワー当たり七十五円引き上げさせていただきました。このときは実は昭和五十六年度電源立地対策がさらに必要だということで、現在の原子力発電施設周辺地域交付金等あるいは電力移出県等交付金といったような新規の立地対策も講ずることになりまして、そのための財政需要は初年度はそれほどじゃなかったんですが、将来を見込んで、それから電源立地促進必要性があり、かつ相当な勢いで進む見通しもありましてお願いをしたわけでございます。  なお、五十五年度に引き上げたのは、先ほど申し上げましたように、多様化勘定を設定するために引き上げたわけで、立地勘定は据え置きのままでございました。  確かに、先生指摘かなり長い間、繰り越しあるいは不用というようなことでかなりの額が出ておることは事実でございますが、私どもとしては、今それでは電源立地対策あるいは電源立地がこのままでいいかということは、私どもの十年間の見通しあるいは二十年間の見通しで見ましても、どうしてもそこはそのままではいけない。そういう意味で、総合エネルギー調査会あるいは電気事業審議会の答申を踏まえまして、私どもとしては、電源開発促進税財源といたします立地勘定需要というのは、中長期的に見ると今後高くなってくるということでございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  15. 喜岡淳

    喜岡淳君 いずれにせよ、その促進税が導入されたときは千キロワットアワーで税額八十五円ですね。今や千キロワットアワー四百四十五円にまで膨れ上がっております。つまり、五倍近く膨れ上がっておるわけです。立地勘定の方も当初の千キロワットアワー八十五円からこの税金も百六十円と倍近くに膨れ上がっておりますが、今なおやはり繰り越し不用額多額に出ておる。それから、電源多様化勘定についても、当時は立地であって多様化は入っていなかったという今の御意見ですが、この多様化勘定だって昭和五十八年に税率を引き上げておりますけれども、その前の年の五十七年度、この多様化勘定を見ますと二〇・四%の繰り越し、一四・二%の不用額。どういうふうにおっしゃろうとも、立地の方も多様化の方もいずれにせよ事実としては巨額繰り越し不用を出しておるという極めて構造的な問題があるというふうに思うわけです。  そこで、お尋ねいたしますけれども、どうして原子力発電所などの電源立地が進まないのか、その理由についてどういうふうにお考えでしょうか。
  16. 川田洋輝

    説明員川田洋輝君) お答え申し上げます。  電源立地の円滑な促進を図るためには、今御議論のいろんな施策を含めて、努力をいたしてまいっておるところでございまして、立地促進が特に必要と認められるような場所につきましては要対策重要電源として位置づけて、三法交付金によるいろんな施策あるいは電気事業者、私ども政府一体となって努力をいろいろいたしてまいっておるところでございます。  それで、現在要対策重要電源として指定されておる二十一地点中十三地点については運転開始または建設中の段階に至っておりますが、原子力中心とする八地点については未着工の状態にございます。特に、原子力につきましては安全性に関する不安感等を背景に電源開発をめぐる情勢が困難となっているという面もございまして、今後とも私どもとしてはいろんな施策を総合的に進めていくことによりまして、電源開発推進に一層努力をしてまいりたいというように思っておるところでございます。
  17. 喜岡淳

    喜岡淳君 予定しておるような要対策電源、これは国としては重要な決意を持って臨むという電源開発だろうと思いますが、その開発状況が非常に芳しくない。とりわけ、原子力を含む八地点においては未着工のまま残っておる。こうなってきますと、原子力発電に対する国民の不安とかあるいは住民心配とか、そういうものについてやっぱりきちっと受けとめた対応が必要だろうというふうに思います。そうしないと住民意識と空回りしては何にもなりませんので。  そこで、これは総理府広報室が発行しております「月刊世論調査平成三年二月号に、原子力についての国民調査といいますか意識調査の結果が報道されております。これを見ますと、明らかに九一・二%の人が原子力発電に対しては不安、心配だというふうに答えておられます。もう既に分析は通産省の方も終わっておると思いますが、どういうところが心配、不安かと聞きますと、一番多いのは放射能の人体への影響という心配二つ目には、原子力電発所の事故や故障、トラブルというものが頻繁に起きておるということの心配で、安全性の問題ですね。三つ目には、いわゆる放射性廃棄物といいますか、廃棄物の処理についての技術開発されていないということもあって、果たして廃棄物がどういうふうに処理されるのかなどなどが上位を占めております。原子力年鑑の一九九〇年版を見ましても、「「必要性」に根強い批判」こういう見出しのページが見受けられるわけです。  そういう意味では、通産省としては原子力発電所に対する住民の不安、こういったものに対してどういう受けとめ方をされておるのか、ちょっとそれをお聞きしたいというふうに思います。
  18. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 今先生指摘ございました原子力発電推進当たりまして、まず国民理解協力、それから発電所をつくる際の当該地元住民の方々の御理解協力、これが不可欠でございます。私どもそのために最大努力をしておるわけでございます。  まず第一には、原子力発電が安全であることを確保するために、これを第一に政策あるいは電力会社姿勢基本に据える、安全の確保を基本に据えるということを徹底しておるわけでございます。その上で、原子力必要性なりあるいは安全性について、適切かつわかりやすい広報に努めておりますし、あるいは透明性を確保するために原子力関係情報を適切に公開するということ。それから、異常事象発生時において迅速かつ正確にトラブル情報の提供を行う。そしてまた、地元自治体に対する連絡、通報にも万全を期するといったようなことを電気事業者に指導しているところでございます。さらには、地元住民との草の根レベルの対話が重要でございますので、その充実も図っておるところでございます。  今後とも私どもは、今申し上げましたような基本姿勢で、より一層の努力を進めてまいりたいと思っております。  なお、先生今御指摘ございました総理府世論調査につきましては、確かに九〇%程度の人が不安という統計が出ておりますが、先生指摘のようないろんな心配事項をアンケートしまして、それを足していって残り、不安を感じないという人が一〇%弱あるいはわからないという人、それを合わせて一〇%という数字でございました。ただ、これは国民の中に非常に大きな不安があるということは事実だと厳粛に受けとめておるわけでございます。  一方、その世論調査必要性についてアンケートがありますが、たしか六五%の国民必要性を認めておるわけでございます。この必要性を認めているということと不安があるということについてのギャップがある。これは非常に大きな問題だと思うわけでございます。
  19. 喜岡淳

    喜岡淳君 私の質問以外のことまでおっしゃられたようですが、私は不安と心配の問題について今御質問をしておるわけであって、必要か不必要かなどという議論は一切ここでは言っておりませんので、質問者の意思をお酌みいただきたいというふうに思います。  今の不安、心配の問題で、どのような項目で心配があるか不安があるか、それを順番にとっていって、残りのところが不安に思うことはない、あるいはわからないというふうに答えたんだというようなお答えでしたが、それはそういう方もいたかもわかりませんけれども最初から不安のない人は不安のないところに丸つけるわけですから、残りが一〇%だなどというのは、それは極めて意図的な、意図的といいますか、個人的な考え方ではないかというふうに思います。やっぱり通産省科学場所ですから、もっと科学的に御判断いただきたいというふうに思います。  そこで、大臣にお尋ねしたいというふうに思います。  これまでのように原子力発電中心にして特に電源立地についての必要性はわかりますけれども、じゃ具体的にあなたの町、あなたの海にというふうに言われますと、やはり環境問題とか不安感とか広がるわけです。そこで結局、今まではお金で最終的には片をつけていくといいますか、お金で最終的には意のあるところを酌んでいただくというような、お金を中心にした立地の手法というものがこれまでとられてきただろうというふうに思うわけです。従来はやはりそれが有効な面もあったかもわかりませんが、これほど環境問題、原子力発電所に対する関心の高まり、そういう今日のいわば国民意識の大きな地盤変化ということを考えた際に、電源立地については従来のようにやはりお金が決め手だというような手法、そういう発想ではもう限界に来ておるのではないか、そういうふうな気がするわけです。  したがって、通産省電力会社への指導も、草の根対話だとかあるいは情報の公開だとか広報の重視だとか、そういう金じゃない、不安感にやっぱりこたえていくような温かみのある人間的な手法というものを判断されておるようですが、これからの立地についてはもう金中心の昔のような発想じゃなくて、やはり情報公開とか対話活動とかそういうようなことをしなければ立地がなかなか進まないのではないか、そういうような気がするわけですが、今後の立地促進に当たっての大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  20. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 委員お答えいたします。  今までの手法というものをある意味において変える考え方に立ってどのように考えていかなきゃならぬのか、こういう仰せかと思いますが、国民生活あるいはまた産業生活の基盤を支える重要なエネルギーでありまする電力の安定的な確保のためには電源立地推進が必要不可欠であるということは、お互いに認めていただいておることであると思います。しかしながら、原子力等に対する国民の漠然とした不安といいましょうか、先ほど委員が大変な大きな不安をそのままリマークされておる。私もその数値も見たこともございますし、これはどのような形で――先ほど委員のおっしゃられた草の根運動といいましょうか、対話集会といいましょうか、そういった形においてキャンペーンを張る必要もあるということも感じます。  そこで、不安感等の意識の厳しさというものについて考えますると、電源開発推進のためには格段のさらなる努力というものが今必要だなということを痛感するわけでございまして、そのためには政府といたしまして、今後とも原子力につきまして、安全確保というものに最大限の努力を払うということがまず第一点である。それに加えて、なおかつ電源立地という開発の問題につきましては適切なおかつわかりやすいキャンペーン活動といいましょうか、広報対策というものに取り組んでいくということが国民理解を深めていく一番わかりやすい方法であり、極めて重要な問題点ではないかと、このように受けとめておる次第でございます。  また同時に、電源立地の円滑化のためには、地元と発電施設との共存共栄というものを実現することが不可欠でございまして、政府といたしましては、公共用施設の整備あるいはまた企業導入の支援、さらにはまた地元が行うイベント事業等への支援等、地域振興策の充実というものに引き続き努力を継続してまいりたいと考えておる次第であることもつけ加えたいと思います。  ありがとうございました。
  21. 喜岡淳

    喜岡淳君 いずれにせよ、毎年毎年巨額繰り越し不用額が出てくる。しかも、金が余るからということで交付金の単価を二倍に引き上げてみるとか、さまざまな工作をされておるようですけれども、しかしいずれにせよ、立地が非常に原子力の場合困難で進んでいない。これはもうお金ではないという住民感情が出ておるにもかかわらず、お金を中心に今も言いましたように補償の単価を引き上げていくとか、交付金金額を二倍に引き上げていくとか、そういう改正を幾らやったってなかなか進まないのではないか。人と人の対話ということを原則にしないと、どうしておれたち田舎にばっかり原発を持ってくるんだ、ごみ捨て場のようにせんといてくれ、危険なものは我々に押しつけるのかと、こういう感情がやっぱりあるわけですから、そこはもう金という手法から人と人の信頼関係の樹立と、そういうような立地の進め方というのがやはりこれからの時代ではないかというふうに思うわけです。  そこで、次にお尋ねをいたしますけれども、その電源開発がとりわけ原子力中心に難しいのならば、もう電力は毎日毎日逼迫しておりますので、そういう意味では緊急の電源開発というものが現実には急がれると思うんです。いつできるかわからない原子力を追い求めるよりも、やはりそれにかわる電源というものが急がれると思います。  先般、六月二十八日の毎日新聞に非常に興味ある記事が出ておりました。それは関西電力の事例です。関西電力では原発誘致が非常に難しいためにLNGのガス発電に切りかえている。御承知のとおり、天然ガス(LNG)発電の場合はCH4ですから非常に二酸化炭素の量が少ないというか、火力発電の中では一番二酸化炭素の量が少なくて環境にクリーンだと言われております。そこで、関西電力としては住友金属工業和歌山製鉄所の埋立地に今度LNGの火力発電所を持っていく、姫路市の新日鉄広畑工場の埋立地にもLNGの発電所を持っていく、こういう計画を進めておるようです。そして、この記事によりますと、今後の電力需要としては電力量二億一千四百二十四万キロワットのうちLNGのシェアは二一%だった。しかし、これを二四%に拡大する。それに反比例して、原子力発電のシェアは八九年度の二二・五%から今年度は二一%に下って、LNGと原子力の比率が逆転をする。もう原子力じゃなくてLNGの方が上回っていくんだと、こういう新しい動きも出ておるようです。  このようなさまざまなエネルギーの問題がありますが、今重要な関心を集めておるのは新エネルギー開発であります。地球に優しい新しいエネ ルギー、クリーンなエネルギー、そういう意味ではこの新エネルギー開発、導入に当たっていつも問題が指摘をされるのはコストの問題です。経済性の問題が言われております。しかし、私は経済性云々かんぬんということをいつまで言ったって新エネルギー開発は永遠にできないと思います。だからこそ、新エネルギー開発に当たっては経済性、効率性を乗り越えていくという勇気と決断がその責任者に問われておるんだろうと思うわけですね。それがあればあとのコストの問題もおのずとやはり解決していくわけです。まず最初の壁を乗り越える勇気、そういう意味で、新エネルギー開発を進めておられます通産大臣、また科学技術庁、それぞれ御意見を聞かせていただきたいと思います。  まず、新エネルギー開発の大臣の熱意のほどを聞かせていただきたいと思います。
  22. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) ちょうど私が国会に出ましたころは、何と申しましょうか、農業は国内だけの農業でやるとか、あるいは商工業は国内だけの商工業のような感じがいたしました。それから間もなく世界的に、日本の国の農業あるいはまた商工業はというような、エネルギーの問題はというような時代になりました。昨今は本当にオゾン層を見ましても何を見てもわかりますように、地球全体から見たエネルギー源であるとか、あるいはまた商工業の関係であるとか農業の問題というような感じがいたします。  私は、そういう中にあって、新エネルギーというものは、この間の湾岸戦争でも大きな教訓を与えられましたように、またこの間開かれました国際エネルギー機関(IEA)の会議でもそのような感じを受けましたので、私どもは真剣にこれを国民に不安材料を与えないような形で、どういう形でこれを開発、啓蒙し、なおかつ推進していくかということは、今からの大きな課題ではないかという感じがいたしますので、それに鋭意私は取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
  23. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) エネルギーの研究開発につきましては、これまでも内閣総理大臣が定めましたエネルギー研究開発基本計画に従いまして、関係省庁の連携のもとに積極的に推進してまいったところでございます。この基本計画につきましては、エネルギーをめぐる最近の状況の変化を踏まえまして、科学技術会議におきまして新たな計画の内容の検討を行い、本年六月、内閣総理大臣に対しましてエネルギー研究開発基本計画に関する意見というものを具申したところでございます。  この意見具申の中におきましては、エネルギーの安定供給の確保及び地球環境問題の対応の観点から、太陽エネルギーなどの自然エネルギーの利用の拡大を目指した研究開発推進するということにされております。これに基づきまして太陽、地熱、海洋、風力等の新エネルギーの各分野ごとに今後十年間に政府が中心となって推進すべき重要研究課題を提示しているところでございます。  今後、この意見を踏まえまして、内閣総理大臣がエネルギー研究開発基本計画を改定することとしておりまして、政府としてはこれに従いまして新エネルギーの研究開発を積極的に推進してまいる所存でございます。
  24. 喜岡淳

    喜岡淳君 新エネルギー開発についてはコストの問題をどう乗り越えていくのか、そこのところがやはり一番大きなネックだろうと思いますし、ならなければコストはまた下がってきませんので、ぜひ勇気を奮い起こしてやっていただきたいというふうに思います。  そういう意味では、これは通告をいたしておりませんでしたけれども、六月二十九日の産経新聞に非常に喜ばしい記事が書かれております。通産大臣、感謝の声があっちこっちで上がっておると思いますけれども、地方自治体の新エネルギーの設備導入に助成金を考えておると。「太陽光発電や風力発電、燃料電池といった新エネルギー促進のため、自治体が公共施設に新エネルギー設備を導入する際、費用の一定割合を補助する制度」これを通産省は新しく打ち出した。平成年度の概算要求で約十六億円を要求している。  非常に喜ばしいことを書いておりますけれども、この十六億円というのは最初年度ですから、初めちょろちょろ中ぱっぱで後でどんどんふやしていくのか、ずっと十六億円でいかれるのか、そのあたりのことはお聞きしないとわかりませんけれども、本来なら、初めちょろちょろよりも、これは非常に勇気と決断の要るわけで、ここから広げていくわけですから、もっとしっかりと遠慮せずにぜひ要求をしていただきたいというふうに私は思います。そうすれば、クリーンエネルギーを求めるのは電力消費者の圧倒的多数は求めておるわけですから、税金を納めておる側も非常にそれは納得をするわけです。  しかし、この問題を考えるときに、この新しい電源開発する電源多様化勘定についても、これまた巨額繰り越し不用額が発生しておる。これは非常に残念であります。この電源多様化勘定をふやすために税率の引き上げを一度行っておりますね、さっき通産省の方がおっしゃられた。税率を引き上げる際に国会で一体どういう政府の答弁があったか。電源多様化勘定の方でございますが、このままいきますと実は千六百億円ほど税収の不足が見込まれるために、結論としては、税率の増額をお願いしているわけでございますと、これは昭和五十八年五月十二日、参議院大蔵委員会での政府側の答弁であります。これからは電源多様化のために、いろんなエネルギー開発するためにどんどんどんどんお金を使うんだ、しかも税収が落ち込んでくるからお金が足らなくなる、そこで税率を引き上げたいという提案ですね。  ところが、今も言いましたように、この多様化勘定は毎年毎年やっぱり多額不用額繰越額が出ておるわけです。ですから、もう少し新エネルギー開発、クリーンエネルギー開発についてはしっかりと重点的な予算配分をしていただきたい。この税金立地勘定多様化勘定と二つに分かれておるわけですから、そういう意味では新エネルギー開発のためにもっとこの税金の集中的な配分をお願いしたいというふうに思いますが、ひとつ通産大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  25. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) ただいま委員から大変に御激励を賜りましたが、私どもそのようなコンセプトの中でそういう問題点を基礎として考えていきたい、こう思っております。
  26. 喜岡淳

    喜岡淳君 ひとつよろしくお願いいたします。  それと同時に、新エネルギー開発については、NEDOというんですか、特殊法人で新エネルギー開発を専門にやっておられるようですが、地方の電力会社もいろいろ新エネルギーについては研究、苦心しておるわけです。私は、選挙区が香川ですから、四国電力にはお世話になっております。四国電力の方も太陽の光発電から始まっていろいろと新エネルギー開発をやっておるんですが、何といったって四国電力は四百四十万人しかお客さんがいないんですよ、人口四百四十万しかいない四国なんですから。それは沖縄の方だってそうでしょうけれども、やっぱりそういう経済力の弱い電力会社は新エネルギー開発に当たっても非常に厳しいわけです。そういう意味で、新エネルギー開発のためにはそれぞれの電力会社努力しておりますけれども、それぞれの力に応じた補助といいますか、助成といいますか、そういうようなことをお願いしておきたいと思います。  それで、時間の方が余りありませんので、最後の質問をさせていただきます。  それは美浜の原子力発電所の例の細管破断事件の問題です。一九八七年、ノースアンナの原子力発電所が細管破断で事故を起こしておりました。そのとき以来同じような細管破断の問題が起きるのではないかと言われておりましたら、案の定美浜で細管破断の二つ目の事例が発生したわけですね。その結果、緊急炉心冷却装置が作動する。これは非常に危険な状態の一歩手前にいっておったということであります。  そこで、関西電力は、既にその事故の重大性、日 本原子力発電事故史上最大のこの事故に当たって、社長以下処分を発表いたしました。メーカーの三菱重工の方は製造段階で自分たちのミスがあった、つまり揺れどめ金具の取りつけの際にミスがあった、みずからそういう欠陥製品だったということを認めて、これまた社長以下の処分を発表されました。  ところが、問題になるのは、メーカーの方もミスがあったと認めておる欠陥蒸気発生器ですよ。しかし、それを安全だ、基準合格だと言って認可をした通産省は何の責任もないんですか。しかも、そのチェック漏れを見つけるべき原子力安全委員会も何の責任もないんですか。これはもう国民みんなの、どうなっておるんだと、ちまたのうわさですよ。通産大臣のお考えはどうですか。
  27. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 通産省といたしましては、本事象に関しまして調査特別委員会を早速設置いたしまして、そして徹底した原因究明はしてきたわけでございます。今後とも、電気工作物の工事であるとか維持等に責任を有する電気事業者に対しましては、再発防止に万全を期すように指導してまいるということを基本線とするとともに、国の審査、検査のあり方等の問題に関する検討もこれまた進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  28. 喜岡淳

    喜岡淳君 原子力安全委員会。
  29. 鈴木治夫

    説明員鈴木治夫君) お答え申し上げます。  原子力安全委員会の行いますダブルチェックでございますが、これは基本設計について行うものが主でございます。その後の実際の詳細な設計でございますとかあるいは施工につきましては、設置者なりあるいは製造者の責任になる。また、規制行政上の責任につきましては通商産業省にゆだねられているところでございます。  なお、細部の設計にかかわることですとかあるいは施工にかかわる事項でありましても、今回のように事故等が起きましたときに、再発防止上重要というふうに判断されれば、原子力安全委員会としても、所管行政庁の処理方針等について、報告を求めまして審議をするということとしております。  今回の美浜の事故につきましては、原子力安全委員会としても十分審議をいたしまして、徹底した原因究明とそれから再発防止対策の確立というのを図りたいというふうに考えているところでございます。
  30. 喜岡淳

    喜岡淳君 この間も決算委員会原子力船「むつ」の責任問題というのが議論ありましたけれども、いつもメーカーの方は責任を認めて処分をされる。今度はメーカー自身が取りつけ金具のミスがあったと製造段階でのミスを認めておるわけですね。しかし、通産省はそれは安全なものだと言ってオーケーしたんでしょう。どうして通産省の責任は問われないんですか。どうしてメーカーに命令をするだけなんですか。徹底的にやれ、安全管理をきちんとやりなさい、再発防止をやるんだと、そんなことで通用するんですかね。そういうことは国民感情としては全然理解できないです。お上はいつも傷がつかない。下々ばかりが責任をとらなければいけないんですか。メーカーは製造段階での自分たちのミスがあったと認めて処分を出したんでしょう、今度。その蒸気発生器に通産省は、これは間違いない、オーケーと言って、審査で出したんでしょう。どうしてオーケーした方は責任を問われないんですか。全然納得できないんですけれども、納得できるように言ってください。
  31. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 美浜の案件につきまして工事をされた、あるいは審査をされたのはかなり早い段階、日本で原子力発電の設備をつくる初期の段階でございました。そういう意味で、その当時の知見で十分な工事あるいは施工あるいは審査ということだったと考えるわけですが、その後のいろんな経験なり知見を加えまして、現時点でどういう点がさらに改善できるか、先ほど大臣が申し上げましたが、電力会社に指導すると同時に、国としても国の審査、検査のあり方等に関する検討を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  32. 喜岡淳

    喜岡淳君 時間で最後になりましたので、お願いだけしておきたいと思います。  電力事業は結局は国民税金で運営されております。この促進税負担しておるのは我々ですから。そういうことで、消費者が納めたこの促進税電力事業は実際さまざまなことをやられるわけですから、国民、納税者の方が納得のできるような税金の使い方、また事故に対する責任のとり方、そういう観点でこれからの行政を進めていただきますようにお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  33. 会田長栄

    ○会田長栄君 おはようございます。会田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず第一点は、経済企画庁の関係局長にひとつよろしくお願いをいたしたい。こう思いますのは、経済白書の役割の問題についてお尋ねしたい、こう思っています。  その経済白書もそろそろ発行が間近だと思います。もう原案はできているんだと思います。各省庁との連絡、調整に入っているんだとこう思っていますが、経済白書のそもそもの役割とは何であるか、最近の白書はその役割にこたえていないのではないかということを考えて質問するわけでございます。  言うまでもなく、経済白書がスタートしたのは昭和二十二年でございます。戦争のつめ跡が広がっていました。家計も赤字、企業も赤字、国も赤字だったときに、その実情を国民に訴えて戦後復興への国民努力を呼びかけたのが経済白書の始まりでございました。至って明快でございました。その後、昭和三十年にはもはや戦後は終わったということを呼びかけました。重化学工業化による経済成長をスタートさせ、また、その後も日本経済の潜在的成長力を引き出す精神的バックボーンの役割を果たしてきたことも事実であります。国民に実情を示し、新しい政策への理解を求める、それが白書の原点だと理解をしております。白書の目標であったはずでございます。  しかしその後、経済白書にはいろいろと批判の出ていることも事実であります。特に大きな過ちを犯した過去を持っているとまで指摘されております。その筆頭に挙げられるのは円切り上げ、すなわち為替の三百六十円固定レート維持が困難になってきた時点において、それに全く触れない白書を出したことでございます。国内外、民間でその必要性あるいは必然性が論議されていたにもかかわらず、為替当局の圧力に屈して説明を放棄したのがこの年の白書でございました。  とりわけ、今日問題になっておりますところの証券業界との関連もこの時代にまず始まりました。時の大蔵大臣が、G7に出席するときに、幻のような言葉を残して証券業界に立ち去ったというのもこのときであります。まさしくこの大蔵大臣の発言を見通して、証券業界が株式急騰に走って大分ぼろいもうけをしたと言われたのもここが始まりであります。ここからいわゆる証券業界と政界とのつながりというものが指摘されたのであります。  現在、昭和六十三年度及び平成年度決算を審議中ですが、その時点に書かれた経済白書もこれまた円切り上げに見送り三振、白書としては円切り上げ見送り三振白書だと、こう指摘されているのであります。いわゆる時の政権に迎合する、政策はなし、無政策の白書であったと、このとき言われているわけであります。何となれば、この両年の白書は、だれもが御承知のとおり、まさにバブル経済の真っただ中にありました。昭和六十三年度白書は民間活力万々歳白書と、こう言っても過言ではないという代物でございました。平成年度の白書は、ストック分析はあるものの、政策お手上げ白書だと私は見ています。そういう批判もあります。時の総理大臣は中曽根さんでございました。  もちろん、それではそういうところだけかといえばそうではなくて、分析技術への逃避と一面で言われたぐらい、これは微に入り細にわたり指摘していることも事実であります。この点につきま しては、同僚の千葉委員の方から総括質疑の際に指摘したところであります。そういう意味では、白書への批判というのは白書の問題把握の失敗ということに言い尽きるのではないか、こう思っているわけでありまして、白書の分析手法やわかりにくさへの疑問も残っているというのも事実であります。  そこで、もう一つお尋ねしたいのは、使用される用語も大変難しいということです。これは国民に向かって呼びかける白書だということではない。例えばアウトソーシング(部品等の海外調達)、オブリゲーションネッティング(金融機関の重複した債権債務の清算またはその制度化)、モラルハザード(道義の退廃)などの横文字の乱用や、内需の持続的拡大に配慮しつつも物価動向に十分配慮した金融政策運営の必要があろう、このように表現しているわけでありまして、私もこれは一体何を言わんとしているのかなというような疑問も感ずるわけでございます。  経済白書というにはやはり国民に語りかけるものでなければならぬ、こう思っておるものでございますから、以上のような視点に立てば、最近の経済白書に対する批判にどう対応して本年度の白書を発行しようとしているのか、その見解などをお聞きしたい。
  34. 小林惇

    説明員(小林惇君) 経済白書に関します大変広範な御質問でございまして、まず一番最初におっしゃいました経済白書のそもそもの役割という点でございますけれども委員が御引用されましたように、昭和二十二年に経済実相報告書ということで始まりまして、昭和二十六年以降は毎年度年次経済報告ということで閣議に報告するとともに公表しているわけでございます。  白書の理念、原点といたしましては、我が国経済の現状を総合的に分析あるいは検討し、委員指摘がございましたけれども国民各般に対し我が国経済の現状についての情報提供を行う、それから経済政策に対する示唆を示すというようなことを目的として作成しておるものでございます。今年度版につきましては現在作業中という状況でございます。  それから、第二の御指摘の点でございますけれども、本来の役割にこたえているだろうか、国民に対する語りかけが十分であろうかという点でございますけれども経済企画庁といたしましては、毎年度の白書の作成に当たりましては、経済の現状についてできる限りわかりやすく的確な説明を行うように努力してございます。  ただ、昭和二十二年の経済実相報告書と違いまして、比較いたしますと大部になってきておる面がございまして、この量の問題、質の問題、いろいろ差が出てきてございますけれども、一つには関係の学界あるいは産業界などからも、白書の結論だけを示すのではなくて、そこに結論を得るに至った中間の過程についても分析を示してもらいたい、ですから定性的な、あるいは恣意的な直観に基づく結論ではなくて、その結論がどういう思考過程あるいは分析の手法で導き出されたか、そういうようなこともあわせて示すようにという要望が非常に積み重なってきておるという側面もございます。  それから、用語の点等につきましても、委員指摘のような用語例は確かに難解のきわみの部分がございまして、用語としては出ておりますけれども、それをまた言いかえをしたり、いろいろな工夫をしてわかりやすくする努力はしておるわけでございます。  それから、特に先ほど御指摘がございましたけれども、経済の重要な局面転換のときにそれを指摘し切れてないのではないかという御指摘でございましたけれども、どうしても白書の手法といたしまして、データがそろったものについて分析をするということに徹しておりまして、そういう意味では確かにジャーナリズムが時々刻々問題を取り上げるような器用な形ではまいっておりませんけれども、いずれにしましても関係のデータがそろっているものについて分析をするということで着実にやっております。その結果として、タイミングにずれが生ずるというようなことがあるかと思います。  それから、昭和六十三年度とそれから平成年度の白書で欠けていたのではないかと言われる点で、例えば地価上昇の問題というようなことがあるわけでございますけれども、これにつきましても、限られたデータの中で六十三年度あるいは平成年度白書におきましても地価上昇、土地問題、東京への一極集中の問題など、可能な限りの分析を行いまして、関係方面にお訴えをしておるところでございます。
  35. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、ひとつお願いをしておきますが、要するに白書が毎年開発してきた分析手法というものがまことに高度化しているということは、私もそのとおりだと思います。ただ、国民理解する間に余りにも距離があり過ぎる。これは大学の研究室に行ったらいい教材になるのではないかぐらいのものだと思うから、私にはちょっと理解がなかなか難しいという面が出てきます。そういう面では、どうしても経済白書の原点を忘れずに本年度ぜひ発行するように努力してほしい、そして国民が最も関心を持っている問題について逃げないようにしてほしい、こうお願いをしておきます。  それでは、次に移ります。  これは六月二十六日の決算委員会の審査の際に質問をして一定の回答をいただいていることでございますが、次のお尋ねは四大証券会社不祥事にかかわっての問題であります。  まず一つお尋ねしたいのは、二十六日にもお答えいただいたように、今調査に全力を挙げています、こういう答えが返ってきたわけであります。その後、約一週間以上過ぎていますから、大蔵省の能力からいえば調査はもう山を越すところまで来ているんだと思いますが、その意味で、今日まで事実関係をどのように把握しているかということについて、大蔵省にお尋ねをいたします。
  36. 堀田隆夫

    説明員(堀田隆夫君) お答えを申し上げます。  報道されております一連の問題につきまして、現在私どもで把握している事実関係を申し上げます。  幾つかの問題がございますけれども、まず損失補てんの問題につきましては二種類の問題がございます。  一つは、各社が税務申告上自己否認をしたとして報道されている問題でございますけれども、これは前回申し上げましたけれども、元年十二月に私ども、証券局長通達を出しまして、損失補てんを自粛してほしい旨業界を指導したわけでございますけれども、その際に、あわせまして各社に社内点検をお願いいたしました。同じようなそういった損失補てんがあるかどうかということにつきまして調査をしていただいたものでございます。そして、一部の証券会社から、その損失補てんがあったという報告がございました。また、その問題につきましては各社において厳しい厳正な社内処分を実施したという報告を受けているものでございます。その報告の中に、この自己否認したとして報道されている部分が含まれているということでございます。  それからもう一つの問題は、いわばそれ以外の、現在国税当局との間で税務上の取り扱いをめぐって意見交換がされている、会社としてはその会社の考え方を説明しているという問題がございました。私どもとしては現在国税当局に考え方を説明しているという報告を受けております。この問題につきましては、私どもといたしましても事実関係を調査いたしまして、証券行政の観点から問題があれば厳正に対処したいと考えているところでございます。  あと、暴力団との取引の問題がございますけれども、これにつきましては、現在までに把握している事実関係を申し上げますと、一つは野村証券の関係会社でございます平成ファイナンス及び日興証券の関係会社でありますグリーンサービスがゴルフ会員権を取得しているということ、それからこれも野村証券の関連会社であります野村ファイナンス及び日興証券の関係会社であります日興 クレジットが暴力団関係者に融資を行っていたということ、それから両社の本社の担当者がこれらの関係会社に顧客を紹介していたということ、そういった事実関係を現在までのところ大筋において把握しているところでございます。
  37. 会田長栄

    ○会田長栄君 わかりやすくお尋ねいたしますが、野村証券、日興証券などが損失補てんをした企業数はどのぐらいあるんですか。
  38. 堀田隆夫

    説明員(堀田隆夫君) ただいま自主報告された会社数というお尋ねでございますけれども、これは証券会社が自主的に報告してきたものでございますので、従来から会社数なり内容を当局から申し上げるのは差し控えさせていただいているところでございます。
  39. 会田長栄

    ○会田長栄君 これはもう答弁にならない、これほど問題になっているときに。  私がとりわけ問題にしたいのは、前回もお尋ねしたとおり、大蔵省が通達を出した、どうもこれがもうなれ合いではないのか。ところが、このなれ合いに従って自主申告したのがまともだと思ったら、今度は申告した後でも、いわゆる国税庁の調査によって明らかになってまた後日申告をしている。それすらも大蔵省は何となくやむを得ないのではないか、こう思われているときだけに、今その問題を隠すとやっぱりそうかということになるから、私はお尋ねしているんですよ。これは証券業界だけの問題ではないんです、やっぱり。損失を補てんされる方の問題もあるんです。そういう意味では、これは守秘義務とか公表はしたくないなどということを言われてみても、それは国民の側から見たら、個人株主から見たら納得できるものではないですよ。そこは遠慮せず申してください、こういうことが二度とあってはいけないということでこれを問題にしているわけでありますから。どうぞ。
  40. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) ただいま先生から御指摘のございましたように、この事後的な損失補てんという問題につきましては、証券取引法自体で禁止しているものではございませんけれども、投資家の公平感や証券市場に対する信頼を損なうものであるということで、先生御承知のように、平成元年の十二月末に私どもの通達で、いわば行政指導としてこれを厳に慎むようにということを通達したわけでございます。その行政指導ベースの通達に従って各社において自主的に社内を点検して報告をしてください、こういうことで報告をさせたものでございます。  この損失補てんと申しますのは、証券の売買の形をとっておりまして、頻繁な証券売買の中で、簡単に言えば安く売って高く買い取る、その差益が相手方に残る、こういう形のものでございまして、そういうものを社内的に総点検をして報告をしてもらいたい、こういうことでこの報告をいただき、その結果に基づいて厳しい社内処分をさせた。こういうことでございまして、この申告を自主的に申告をした、報告をしてきたものを私どもの立場で公表するということは、先ほど業務課長から、担当課長から申し上げましたように、差し控えさせていただいておるということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  41. 会田長栄

    ○会田長栄君 証券局としては差し控えさせてもらいたいと、こう言うが、国民の側に立ったらそれで納得できませんよ。なんでそんなところに大蔵省は遠慮するんです。私はそう思いますよ。この期間にこの問題に今皆さんが申し上げたような答弁で押し切ろうとしたら、より国民から不信を買いますよ。前回も質問しましたが、平成元年の十二月末に出した大蔵省証券局長の通達、厳に慎むことというのは、実際は厳に慎むというのは主観的な問題でありまして、大蔵省の指導に全く従うということまで入っていませんよ、厳に慎むというのは慎まなくたっていいことなんですからね。もっとはっきりした対応を通達ですべきではなかったのか、こう私は申し上げたんです。それと関連をして聞いているわけですからね。  私は何も野村証券、日興証券を含めて証券業界だけが云々と言っているんじゃないんです。これは当然野村証券、日興証券などの損失補てんをしたものは、それは悪いですよ。しかし、それを催促してやらせようとしたものも悪いんだから、これ。大体、罪なんていうのは両者が合意しなきゃできないんだから、これ。それを大蔵省が隠すということになると、それはなれ合いではないかという問題が出てくるんです。それは当然でしょう。  先ほど経済白書の中でも私申し上げました。G7に出席するときに、大蔵大臣の幻の一言が株高騰を招いてある人がもうけたのではないかという指摘さえ受けているんですよ。たった一言ですよ。そのことの延長線上にこの問題はあると私は思っているから尋ねているんです。この際、大蔵省は本当に調査結果というものを公表する、その決意を持たない限りこの種の問題というのはまた起きると思う、私は。  もう一つ私は力説したいのは、証券業界、これは経団連、日経連も同じですけれども、財界の人たちというのは日本の政治を動かすためにはどれほどシビアな意見を申し上げているかわかりますか。日本の政治は我がかじをとるぐらいの自信を持って言っているでしょう。もちろん、海部内閣のそれぞれの審議会の主要メンバーとしておっしゃっているんじゃございませんか。それにもかかわらず、なるほどというのと、これはちょっと国民にとっては耐えられない問題だなと思う問題などがあって絶えず注目されているのに、この件に関しては全く逃げの姿勢だということは私は許しがたい、それは。大蔵省自身、海部内閣自身が、これを守秘義務だなどと言って逃げてはいけない、こう思うんです。きょうはまだ調査中ですからその結果を発表できないと言うんだったら、わかりますよ。しかし、守秘義務をもってこの問題にふたをしようとすれば、この問題は遠からずまた起きる。起きたときに内閣が責任を負いますか。その点の決意を聞きたいんですよ。
  42. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) 先生の今の御指摘の中に、通達は、厳に慎むという表現になっておるというお話がございました。これは先ほども私ちょっと申し上げましたように、法律で禁じている行為というのは事前にあらかじめ損失を負担するということを約する行為、これは法律で禁じておるわけでございまして、それが事後的なものについては法律上のマターでございませんので、私どもの指導ベースでこれを慎めと、厳に慎めということで書いておるものでございます。したがって、その趣旨がこれは緩くてもいいとかいうようなものでは決してございません。先ほど申しましたように、その報告の結果明らかになった事実について内部的な処分をさせているわけでございます。ただ、今先生のお話のように、こういうものが一体どれだけどういうことであったかというのが明らかにならないということは、問題ではないかというお話でございます。  先ほど、最初に業務課長から御報告しましたように、現在国税当局等で御説明をし、調整をしているものもございますが、そういう損失補てん額等について税務上の取り扱いも確定をしたしかるべき段階におきまして、私どもとしてこのディスクロージャーのルールに従いまして、各社から有価証券報告書の訂正といったような形で、それがどういうものであるかということを明らかにするように、これから各社を指導してまいりたいというふうに考えております。
  43. 会田長栄

    ○会田長栄君 やっぱり今日時点でこれだけの問題になっているわけでありますから、損失補てんを受けた企業数は何十社あるいは公的機関はどことどこ何社、事業団、これぐらいはもう最低でもおっしゃってもらわないと困ります。公的事業団の方は大蔵省は直接指揮監督権のあるところでしょう、各省庁が厚生省に限らず郵政省に限らずあるところでしょう。これは政府みずからがそのことを明らかにしていかなきゃいけないんですよ。だから、その点は時間をかしてください、必ずその結果を決算委員会で明らかにしますと、最低そこまではおっしゃってくださいよ。
  44. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) ただいまも御答弁申し上げましたように、私どもとしてはただいま調査をしているその内容が確定をしました段階におきま して、ディスクロージャーのルールに従って有価証券報告書という形で各社の経理の内容、決算の内容というものを明らかにしているわけでございますので、その訂正を求めるという形でこれが明らかになるように指導していきたいというふうに思っております。
  45. 会田長栄

    ○会田長栄君 それはもうわかるようでわからないんですけれども、いわゆる野村証券、日興証券などを含めまして、厳に慎むという指導通達が出ているにもかかわらず、やった企業数は何社で、どこどこでということを後日正確に発表してください、大蔵省の責任でと、こうお願いをしながら質問しているわけでありますから、そこのところははっきりしてください。本来であれば、今調査してわかったところまでは発表してくださってもいいと私は思うんですよ。これは後段、時間の関係もありますから質問に合わせてまた繰り返しますから、どうぞよろしく。  第二番目の問題は、どうしても明らかにしてもらいたいのは、野村証券と広域暴力団、日興証券と広域暴力団の関係でございます。この点につきまして事実を把握していると思うんです。これは警察庁にお答えを願いたいと思いますが、どうぞ教えてください。
  46. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 警察といたしましては、暴力団の資金源の実態解明ということは大変重大なことと考えておりますので、そういう観点からいろいろな捜査ないし調査活動をやっておるところでございますが、近年暴力団が株式売買等に介入した資金源活動を行っているということにつきましては幾つかの事例を承知しておるところでございます。  現在問題になっております野村証券等と広域暴力団との関係ということにつきましては、私ども新聞報道上いろいろと報道されていることは存じておりますので、先ほど申しました資金源の実態解明あるいはそこに何らかの違法行為があるのではないかというような観点から、今後もいろんな形で捜査ないし調査活動を続けてまいりたいというように思っております。
  47. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、具体的にお尋ねいたします。  野村証券と広域暴力団稲川会の石井進前会長との関係は、いつから始まったと警察庁は把握していますか。
  48. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 現在捜査中でございますので、その辺のところを関心を持ちながらやっておるということで御理解いただきたいというふうに思います。
  49. 会田長栄

    ○会田長栄君 これもまた捜査中ですと。捜査の終了した時点では明快にこの委員会に明らかにしますか。
  50. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 私どもは犯罪捜査を担当する機関でございます。そういう観点で今いろんな捜査、調査活動をやっておるわけでございまして、今後捜査の結果がどうなってくるかということについては今申し上げる段階ではございませんが、そうした捜査活動が一段落をいたしました過程で、差し支えない範囲においてお答えできることがあれば、お答えすることにやぶさかではございません。
  51. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、あわせてお尋ねいたします。  自治大臣は大変お怒りですね、この問題について。国家公安委員長としてのお怒りも当然含まれていると思いますよ。徹底的に事実調査をする、こういうふうに公表しています。その点、自治大臣からあくまで徹底的にこの問題は追及しなさいというように命令が出ていますか。
  52. 國松孝次

    説明員國松孝次君) この問題につきましては国家公安委員長から、いやしくも企業が結果的にではあれ暴力団の資金源活動に手をかしておるというような事態がもしあるとすれば大変ゆゆしい問題である、したがってこれは実態を解明するのが警察の責務であるという強い御見解を私ども受けております。それを受けまして、私どもといたしましても全くその点についてはそのとおりかねてから認識をしておるところでございますので、この問題につきまして実態を解明し、何らかの違法行為、刑罰法令に触れる行為があれば、厳正に対処してまいりたいということでやっておるところでございます。
  53. 会田長栄

    ○会田長栄君 野村証券と広域暴力団稲川会の石井進前会長との関係というのは、実は六年前から始まっている。要するに、大蔵省が局長通達を出してもやめない、一向に遠慮することがない、こういう事実でありますが、これと関連をして、何を一番先にやったかというと、株取引をやっている。二番目にやったことは、現在全く価値のないゴルフ会員権の資格保証金預かり証を引きかえに関連企業を通じて二十億円いただいたというところから出発しておる。この関連企業というのはどこですか、教えてください。
  54. 堀田隆夫

    説明員(堀田隆夫君) 先ほど御答弁申し上げましたけれども、ゴルフ会員権あるいは資格保証金預かり証を購入いたしましたのは、私どもがこれまでのところで把握している範囲の話でございますけれども平成ファイナンス及びグリーンサービスの二社でございます。
  55. 会田長栄

    ○会田長栄君 もう一つ、石井氏が買い集めた東急電鉄株を担保に子会社を通じて百六十億円の融資を行ったと言われるが、この子会社とはどこを指しますか。
  56. 堀田隆夫

    説明員(堀田隆夫君) 私どもが把握している範囲でございますけれども、融資をいたしました子会社は、野村証券の方は野村ファイナンス、日興証券の関係は日興クレジットというふうに認識しております。
  57. 会田長栄

    ○会田長栄君 これはもうゆゆしき問題でございますから、証券業界と広域暴力団との関係というものについてもっともっと真剣に詰めてやっていかないと。今全国各都道府県ではどのような運動を続けているかというと、暴力団新法に基づいた以降ですよ。これは警察庁長官の通達もあること、全国的な指導もしていることと関連をして、総ぐるみ県民運動というものを各都道府県が展開をさせているんですよ。こういう運動をさせておく一方で、同じ政府の側でこのようなことが疑いを持たれるとなったらそれは大変な政治不信につながりますよ。その意味では、ぜひあらゆる観点からこれを整理をして、徹底的に追及をし明らかにしてほしい、こう私は思います。それは、二度とこういうことの起きないようにしてほしいという問題であります。  前回の質問では、大蔵省はこの種の問題について法改正の検討を含めて積極的に取り組んでいきたいということが明らかになっていますから、この点についてはこれで終わります。  その次にお聞きしたいのは、独占禁止法からいって、銀行や証券会社の関連を決めて長い年月が過ぎます。果たして野村証券というのは独占禁止法に違反しないんだろうかという疑問がまた出てきた。これは国税当局の調査、追徴税額、このようなものを総合していきますとその疑いが出てくる。その意味では、野村証券に対して独占禁止法の疑いがあって六月二十八日に公正取引委員会が事情聴取をしたのではないか、こう思われるから、その点ひとつ聞かせてください。
  58. 和泉沢衛

    説明員和泉沢衛君) 御説明申し上げます。  ただいまお尋ねの点でございますけれども、独占禁止法の関係とそれから証券会社というお尋ねでございますけれども、独占禁止法の十一条では金融業を営む会社、証券会社も含みますけれども、これが国内の会社の株式のいわゆる五%を超えて持ってはならないという規定になっておるわけでございます。ただ、これは昭和五十二年に独占禁止法の改正がございまして、それが従来一〇%だったものを五%に引き下げ、その経過期間というのが十年置かれていたというところの関係の御質問かと思います。  でございますので、一般的に申し上げまして、金融会社がこの独占禁止法改正にかかわりまして、その後経過期間の中で自己保有の五%を超える分の株式というものを処分したというところはそれぞれあるところでございます。  それから、今野村証券のお尋ねでございますが、 個別の案件の内容にかかわりますものでございますので、具体的な答弁は差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますと、金融会社というものが十一条の趣旨というものを守っているかどうかについては、日ごろから絶えず関心を持っているところでございます。あと、実際金融会社が、例えば法改正の後の経過期間終了後において、自分が引き続き保有しているものであるというふうに認められるものでない限りは、直ちに独占禁止法上の問題が生ずるというものではございません。  以上でございます。
  59. 会田長栄

    ○会田長栄君 この点についても今後ひとつ明らかにしていく点がありますので続けていきたい、こう思います。  次にお伺いしたいのは、これは野村証券の田淵社長が株主総会で、大企業顧客への損失補てんについて大蔵省に届け、承認を受けているということを報告しているんですね。御承知ですか。
  60. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) ただいま先生の御指摘の株主総会における野村証券の前社長の発言につきましては、私ども承知しておりますところは、その日のうちに新社長が記者会見をいたしまして、株主総会における発言について説明、釈明をいたしておりまして、損失補てんについて大蔵省と相談したというようなことはないということを説明しておるということでございまして、ただいま御指摘のような表現があったとすればそれは不適切でありまして、まことに遺憾なことだと考えております。
  61. 会田長栄

    ○会田長栄君 このように、社長と言われる日本的な社会的立場にある人が株主に報告をしている。その日のうちに釈明をして取り消した。報告、あいさつをした後、取り消すまでの間に何があったかということがここで出てくるんですよ。これは御承知のとおり、大蔵省がかんかんに怒って大蔵大臣が記者会見しているというから、これはもう大蔵省がこの間に入ったということだけはわかると言われているんですよ。見ていたわけじゃないからそこまでは言えない、と言われている。そうすると、社長が報告をし取り消しの釈明をするまでの間に何が一体あったのかということになると、これは大蔵省が指導したことは間違いない、と思われるんです。指導したんですか。
  62. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) 先ほど御答弁申し上げました新社長の記者会見は、前社長の発言が報じられた後、非常にこれは誤解を招くものであるということでみずから記者会見をされたというふうに承知をいたしております。
  63. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、最後に一言だけでこの問題はきょうは終わります。  兜町に政治銘柄という株取引上の隠語があるそうでございます。政治銘柄、この点については御承知ですか。
  64. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) 突然のお尋ねでございますけれども、私はそのようなものを承知いたしておりません。
  65. 会田長栄

    ○会田長栄君 これは、あると言われているというんですから、あるんですね。それはどういう銘柄を指すかというと、政治家が株取引に関与する案件で政治家が関与した株銘柄は必ず急騰する、そのことが選挙がある前に必ず出てくる、だから兜町ではこれは政治銘柄と名指ししているんだと言われているんです。これも直接見たわけではありませんからわかりませんよ、そう言われている。この点に関しても、これは非常に証券会社の損失補てん問題といわゆる政治銘柄との関連というのは今後厳しく追及をしていかないと、同じことがまた十年後に繰り返される公算が大きい、こう私は思うから、この点も意見として申し上げておくわけであります。  どうぞ大蔵省も警察庁も頑張ってください。国民の信頼にこたえるようによろしくお願いを申し上げます。  さて、最後でありますが、通産大臣に、テクノポリス構想というものを打ち上げて七年過ぎまして、その開発指針の改正内容及びその背景といったものにつきまして一言見解を聞いておきたい、こう思うんです。よろしくお願いします。
  66. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 会田委員お答えいたします。  昭和五十八年の十月に最初のテクノポリス開発指針が策定されたわけでございますけれども、この開発指針は平成年度を当面の目標年次としておりまして、また前回の開発指針策定以降、経済環境の変化が大きく見られてまいりましたものですから、今後のテクノポリスの基本的方向を提示すべく、本年の三月二十八日、開発指針の改正を行ったものでございます。  現在、この開発指針を受けまして、昭和六十二年三月以前に承認を受けましたところの大体二十地域におきまして、第二期テクノポリス開発計画というものを策定するための検討が進められているところでございます。各地域の検討状況にもよりますけれども、今年度じゅうには二十地域の計画承認を終了させたいものだなと、このように考えておる次第でございます。
  67. 会田長栄

    ○会田長栄君 ありがとうございます。時間でありますから、やめます。
  68. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  69. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題とし、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 平成年度、それから昭和六十三年度決算で、中小企業設備近代化資金、これは六十三年度で八件、平成年度で八件、中小企業高度化資金が六十三年度で七件、中小企業信用保険公庫が十二社で百四十八件、それぞれの不当事項、それから処置要求事項が指摘をされておりますし、これらの事項につきまして、毎年毎年これらの件数の指摘事項が出ておるわけでございますけれども、行政に携わる責任者として、責任省庁としてどういうふうにお考えになられておるのか、ひとつお聞きをしておきたい。    〔委員長退席、理事会田長栄君着席〕  それから二つ目には、再発防止対策を行っているにもかかわらず、なおこれらの不当事項が指摘されるのでありますけれども、今後どのような再発防止対策を講じておられるのか、いろんな方法があると思います。例えば事前審査だとか完了検査が具体的にどのように行われておるのか。再発防止対策について、御質問申し上げたいと思います。
  71. 南学政明

    説明員南学政明君) 先生指摘のとおり、六十三年度の会計検査院による決算検査報告によりまして不当事項として指摘されたものが何件かございますが、私どもといたしましてはこの不当事項を真撃に受けとめまして、以後このようなことが起こらないよう全力を尽くしてこれからも事態に取り組んでいきたい、このように考えております。
  72. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 本日の元年度の報告書の中にも、それから六十三年度の報告書の中にも、最後の方では同じようなことが述べられておるわけです。したがいまして、やはりそういう言葉だけではなしに、これから先一体再発防止をどのように具体的にしていくかという、通産省としての姿勢ぐらいはやはり答弁として示すべきが本当に親切な答弁じゃないかと思うんですよ。いかがでございますか。
  73. 南学政明

    説明員南学政明君) 例えば高度化資金の貸し付けにつきまして、六十三年度決算検査報告を踏まえまして、我々といたしましては、一層適切な実施を図るために、次のような措置を講じたところでございます。  まず第一に、中小企業庁長官から中小企業事業 団理事長、それからまた都道府県知事に対しまして、貸付時及び貸付後における管理に万全を期するよう通達を出し、所要の指導を行ったところであります。また、中小企業事業団におきましても、都道府県に対しまして、具体的な配慮事項の指示等によりまして高度化事業のより一層の適正化を督促するとともに、平成二年一月から平成四年一月までの二年間を再発防止対策強化期間といたしまして、都道府県の貸付担当職員等に対する研修会の開催等の措置を実施したところであります。  今後とも高度化事業の適切な実施に努めていく考えでありますし、ほかの事項についても同様に努力をしてまいりたいと思っております。
  74. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 現在もなお再発防止について具体的に努力されておるということでございますので、今後ともこのような指摘されるような事項のないようにひとつ努力をしていただきたいと思います。  続きまして、中小企業高度化資金の貸し付けの問題について、指摘にもございますように、貸付対象にならないものに貸し付けをしたり、貸付対象施設が貸付外の目的に使用されたりしていたものが実は七件ございますし、金額にいたしまして二億三千四百三十六万円あったとされておりますが、なぜそのようなことになるのか。恐らく再発防止のためにいろんな努力をされているにもかかわらず、なおこれらの問題については事前の審査でかなり明らかになっていくのではないかというふうに思うんです。  貸し付ける団体が協同組合などの団体でございますから、かなりそこらあたりが団体を信用することによってルーズになっているんじゃないかという気がするわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  75. 広瀬勝貞

    説明員(広瀬勝貞君) 先生指摘のとおりでございまして、高度化資金の貸し付けについて不当事項がいろいろあったわけでございますけれども、例えば一つは、実質的に中小企業ではない企業に貸し付けられたというようなことがあったわけでございます。それにつきましては、株主名簿等の確認をいたしまして、しっかりその会社の実態を把握するということを、具体的な例を挙げて指示しております。  それから、使用について、最初は高度化資金のための事業ということでやるわけでございますけれども目的外に使用されるというようなことが、これも御指摘があったわけでございますが、それにつきましては、貸付先に対する定期的な実地調査をやるようにということで指示をしております。  それから、契約額よりも実際上の支出は少ないにもかかわらず、貸し付けは契約額のとおりに貸し付けたというような、いわゆる過大貸し付けといったようなこともあるわけでございます。これにつきましては、事業費について元帳等によって十分に確認をするというようなことを指示しておるわけでございます。  今回の会計検査院の御指摘を踏まえまして、具体的な事例を挙げて具体的な対応策を中小企業事業団の理事長の方から各県の方にお願いをしておるというのが対応策でございます。
  76. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ここらは毎年毎年検査をされていると思うわけですけれども、今通産省の方からも再発防止の問題については御回答があったわけでありますが、中小企業事業団としてもそのような再発防止のために具体的にどのような形で指導されておるのか、お聞きしたいと思います。
  77. 広瀬勝貞

    説明員(広瀬勝貞君) 先ほど私申し上げました具体的な事例を挙げての対応策というのは、中小企業事業団の方から各県に通知を発しましてお願いしているということでの事業団としての対応でございます。もちろん、その前に中小企業庁長官から事業団と県に対応をお願いしておるということでございます。
  78. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では具体的には、もちろん県が仕事をするわけでありますから、そういう指導につきましては具体的には県にするわけですか、県から各事業団の方に指導をしていく、こういう形になるわけでございますか。
  79. 広瀬勝貞

    説明員(広瀬勝貞君) 高度化貸し付けの制度は、国から融資なり出資をして事業団に資金をあれしまして、そこから県にお金を出して、そこで県から融資をするということになっておりますので、事業団の方から県にむしろ実際のやり方についていろいろお願いをするということになるわけでございます。
  80. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、中小企業信用保険公庫の件ですけれども、これにつきましても保険金の回収金がありながら報告漏れとなっている件が百四十八件、こういう報告漏れなどの指摘を受けるというようなことは、一体どのような形でなってくるわけでございましょうか。どうもそこらあたり、通常の運営の中でやられるのだったら、報告漏れなどというのは出てこないというふうに私どもの認識では思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
  81. 片山石郎

    参考人(片山石郎君) 昨年、検査院から五項目にわたりましていろいろな点が指摘されました。この会計検査院の指摘を踏まえまして、内容は機械類信用保険、中小企業信用保険と同時に機械類信用保険というのを我々は通産省から数年前に引き継ぎましてやっているわけでありまして、その点でございます。いろんな問題点がありまして大変広範な指摘を受けたわけでありますが、次のような措置をとってその点を改善していこう、こういうふうに決めて、検査院の方もそういうふうにぜひやれというふうに言われておる次第であります。  内容を申し上げますと、第一に、平成二年の十二月でありますけれども、公庫は、支払いを受けた保険金の回収金、これは大体割賦販売業者とかリース業者とかそういうところが被保険者になるわけでありますが、そういうところに保険金をリースしても金が返ってこないというような場合には保険金を払うわけでありますが、保険金の回収金を管理する台帳を整備しなくちゃいかぬじゃないか、これは各リース会社なり割賦販売会社でありますが、それをまずやれということで、これは厳重に文書でもって保険契約者に通告して要請したところでございます。  第二点は、本年四月、保険契約者から公庫が支払った保険金の回収状況につきまして、保険金を払ってそれを回収する、回収した場合にはそのうちの半分を公庫に返すということになっておりますが、その現在のシステムを改善しまして、定期的に書面で報告を受けるようなシステムを導入するというふうにいたしました。これは大変効果があるんじゃないかというふうに我々も思っておりますし、検査院からもそういう感じで受け取られております。  第三点は、本年の四月、回収状況調査――回収を本当にこういうふうにちゃんとやっているのかという回収状況の調査ですね、その回収を十分やっているかどうか、それを効率的に行えるように管理システムを改善するということでございまして、これもいたしました。  第四番目は、平成四年の四月から、せっかく回収しても報告すると金を公庫にある程度戻さにゃならぬということですから回収報告がずれることが間々あるわけでありますが、回収報告が一年以上おくれた場合には、現在過怠金というのを契約者から取っておりますが、しかし現在より高い過怠金の利率を適用することを予定しておって、過怠金は年一〇・九五%でありますのを現在一四・六〇%というふうに高くいたしました。これは相当関係者にとっては痛いわけでありますから、余り意識的におくらせるなんということはもうないだろうというふうに思われます。  最後に、この問題を周知徹底させる必要があるということで、回収金納付制度の重要性につきましてもあらゆる機会を通じまして現在も周知徹底を図っておるつもりでおりますが、まだ不十分であるということで、全国の八カ所でその地域の代表格の保険契約者、いわゆる顔役みたいな人でありますけれども、そういう人に集まっていただきまして業務連絡会を現在も行っておりますが、こ のような会議の場でもって、回収納付金制度がいかに重要なものであるかということについて、十分徹底的に説明するという措置を講じつつあるところであります。  また、毎年一、二月には、年度でいって翌年度、四月からの制度がこういうふうになっていますよということと同時に、新規に契約をしたいという人もありますので、そういう人に対して特に運営方法などをよく説明しまして、これには大体関係者がほとんど出席しますが、ここにおきましても同様の説明を徹底的に行うことにしておりまして、趣旨が十分わかり、重要性を十分認識してもらうということにいたしたいというふうに考えて、実行に移しつつあるところであります。  今後とも、これらの措置が一層効果が上がりますように、鋭意その保険金の業務の改善に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  82. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 具体的に指摘をされたことについての改善に対する対策はわかりましたけれども、じゃ現在まで、そういう指摘のございました中でも、特に回収に当たっての把握というのはどういうふうにされていたんですか。
  83. 片山石郎

    参考人(片山石郎君) 保険金を支払った者のところへ実地調査ということで公庫の職員を派遣して今まで調べておりました。それはどうなっているんだということを調べてまいりました。しかし、検査院が指摘されたような状況で、決して十分なものじゃないということで甚だ遺憾に存じておるわけでありまして、何としてもこのような事態にならないようにと考え、今後、公庫としましては、回収金の債権管理業務の充実につきまして一層の努力を行い、保険業務の適切な運営を図っていく所存であります。  特に保険の利用者の理解協力、先ほどのような制裁金でありますが、場合によってはある程度の制裁金も不可欠であると考えておりまして、回収金の公庫納付制度の重要性についてあらゆる機会を通じて周知徹底させてまいりたい、こういうふうに考えております。
  84. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今の答弁と先ほどの答弁とをお聞きしてわかりますように、大体こういうことは通常の運営の中で常に業務として改善をしていかなきゃならない問題だと思うんですよ。五項目にわたる検査院からの指摘がなされて、なおかつそうしなければならないような事務能力しかないのかなというのが実は私のこの報告書を読んでの印象でございまして、本来、業務としてこれらのことは日常的にやっておかなければならないと思うんですが、今日指摘されるまでやらなかった理由は、一体何ですか。
  85. 片山石郎

    参考人(片山石郎君) 従来から公庫としましても被保険者への実地調査の実施とか制度説明会というのはできるだけやっております。もちろん人員も、これは専門にやる人員が非常に少ないということがありまして、他の部課からも応援を出したりしてやっておるわけでございます。しかしながら、今回検査院から御指摘を受けることになった事項につきましては、そもそも公庫は対応を図っておくべきものであり、対策が不十分であったというふうにまことに遺憾に存じております。  今後につきましては、検査院からの御指摘に沿って、自主的に我々がこれを非常に重点項目としてやって、ぜひとも実現させて先生の御指摘にこたえたいというふうに考えております。
  86. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 指摘事項の中で過怠金の制度の見直しを指摘されて、一〇・九五%から一四・六〇%に引き上げたというふうに先ほど答弁がございましたけれども、この制度そのものの見直しというのは率の引き上げだけでいいのかどうか、率を引き上げることによって全国一律でこういうような形になっていくのか。かなり各県によって状況が違うのではないかというふうに考えるわけですけれども、この制度そのものの見直しというのは率の引き上げだけを念頭に置かれたのか、それとも全国公平に行うために、また実施したりしなかったりする県もあったのではないかというふうに思うわけですけれども、その点を改善されたのか、ただ単に率のアップだけを考えられたのか、説明願いたいと思います。
  87. 片山石郎

    参考人(片山石郎君) 先ほど来申し上げています点は、これは全く全国一律でございまして、もっとも隅々の小さな町まで行くわけにはまいりませんので、その地域のところは集まってもらってやっておるということで、まんべんなくやっておるわけであります。  したがいまして、我々としましては、今度の制度は単に罰則を非常に強めたというだけじゃなしに、徹底的な説明も行い協力もしてもらえる体制、人数が割に少なくて困っておるわけでありますが、それを活用してぜひ先生の御期待にこたえるようにしてまいりたい、こう考えております。
  88. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 それでは次に、会計検査院にお聞きをしたいと思うんですが、今まで再発防止の考え方やこれからの取り組みのことについてはそれぞれ説明があったので御理解いただけると思うんですが、中小企業設備近代化資金それから中小企業高度化資金について、平成元年と昭和六十三年の貸し付けが不適切だというふうに指摘をされておりますけれども、それらの概要についてどういう認識を持っておられるのか、御説明を願いたいと思います。
  89. 中島孝夫

    説明員(中島孝夫君) 中小企業設備近代化資金あるいは中小企業高度化資金、それからただいまの機械類信用保険につきましてのそれぞれの指摘をいたしましたが、これらの事態が毎年同じことが繰り返されるというのは、基本的にはこれらの制度というものが非常に優遇されている制度であるというふうな点などが原因であろうかと思います。そのようなことから、このような事態が起こっているのではないかと思っております。  受検庁の側にとりましても、貸し付け時の審査あるいは貸し付け後の検査等々におきまして事実を把握するには相当困難な面があろうかと思っておりますが、私どもといたしましては、十分これからも検査いたしまして、適切に行われているかどうかということを追跡していきたいと考えております。
  90. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 もう一つ、検査院に聞きたいわけです。  中小企業信用保険公庫の場合に、保険の回収金の公庫への納付につきましては、納付金の確保に努め保険事業の適正な運営を図る必要がある。処置事項として多くの項目を指摘されて、ただいま信用保険公庫の方からも説明ございましたけれども、公庫で個別の納付処理をさせているにとどまっていて原因の分析などを行っていなかった。したがって、抜本的な対策を講じていくということを怠っていた。  数多くのいわゆる是正改善の処置命令を出しているわけでございますけれども指摘しなければならないほどずさんであったのかどうか、その要旨についてひとつ説明をしていただきたいと思います。
  91. 中島孝夫

    説明員(中島孝夫君) 先ほど公庫の方からも御説明がありましたとおり、会社に対して回収金の回収状況等について実地調査を行ったりとか、あるいは回収報告漏れがあった場合には過怠金を徴するなどという、回収の努力を公庫の側でこれまで行っていなかったというわけではないわけでございますけれども、私どもの方で検査しましたところ、やはりその回収報告漏れが多数生じていたという事態が見受けられたわけでして、これはどうもその努力にもかかわらず、そもそも制度的な欠陥があることに基づくものではないか。したがいまして、このような事態についてこのまま放置しておくと今後とも同じような事態が続くことになるのではないか、こういうような観点から私どもの方では指摘したというわけでございます。
  92. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では次に、大店法の問題についてお伺いをしたいわけであります。  独自規制の問題について、通産省、自治省も規制の見直しについてそれぞれ議論されておるわけでございますが、とりわけ自治省は、通産省の運用適正化措置を受けて各都道府県あてに独自規制の是正に向けて通達を出して、内部的には具体的 に調査、検討されていると思うわけであります。  したがいまして、自治省では、国の規制緩和に伴いまして、やはり国の規制を緩める自治体と、現状持っておる規制を維持していくものと、新たに規制を強化しようというところと私は出てくるのではないかというふうに実は思っています。同時に、通産省といたしましても、それらの問題についてそれぞれの局でいろんな形で問題を提起して、何らかの形で規制に対して行き過ぎがあったかどうかを調べておると思いますけれども、それらの問題についてどのような結果といいましょうか、恐らく自治省、通産省の間では具体的に協議がなされておると思うわけでありますけれども、調査の結果だとか洗い出しの結果行き過ぎがあったのかどうか、その点について御説明を願いたいと思います。
  93. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 地方公共団体のいわゆる上乗せあるいは横出しの問題でございますが、通産省、自治省よく連絡をとりまして、行き過ぎたものにつきましては是正をしていただくということでやってきたわけでございます。昨年の五月三十日に大店法の運用の適正化措置を講じましてこのような是正を図ってまいったわけでございますが、当時は大体四百の自治体がどう見ましても行き過ぎではないかというような独自規制を行っておりました。その後是正が進んでおりまして、本年三月の通産省の調査では、大体約一割が是正をされてきておるという状況になっておるわけでございます。
  94. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 じゃ、運用適正化措置を行った結果、かなり具体的にそういう事例が進んでいるということだというふうに理解していいと思いますが、その結果大店審で実質審議が開かれていく、そういう場合に、今まではいろんなところで規制の結果いろんなことがあったと思うんですけれども、一つには、商調協の意見が統一されていない場合は実質的な審議が開かれる。もう一つは、同じ商調協での意見に出店者側の方が従わない場合はそういう審議が行われると思うんですが、現在までに大店審で実質的な審議件数は、一九八二年度以降、その出店抑制措置が実施された以降、大店審で大体どれぐらいの件数が審議されているのか、御説明願いたいと思います。
  95. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 大店審における審議の状況でございますが、八二年以降この案件は全体といたしまして二百五十九件でございます。一番多かったのは八二年度でございまして、これが百四十二件でございますが、八三年度以降五十二件、二十七件、七件、七件、それから八七年も七件、八八年が十件、八九年が七件でございますが、九〇年度はゼロという結果になっております。
  96. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今度の具体的な法改正に伴いまして商調協そのものが廃止をされるということになるわけでございますが、当時議論になりましたように、全国で千を超える商調協に取ってかわって大店審が審議をしていく、それらのことについてはかなり無理があるのではないかというふうに言われましたし、通産省の場合は、地方部会をふやしたり、また部会ごとに専門員を配置して地元からの意見を聞いて、これまでどおり意見を聴取したりしてやっていくのでそう問題はないというふうに言われておりましたけれども、水面下で従来商調協が行っておったようなことについては、やはり今回の場合も私はやっていかなければならないのではないかというふうに思うわけです。  では、そういう場合に消費者のためになるような審議の機関というのは、やはり私はかなり明確に透明性が明らかになっていかなければならないというふうに考えておるわけでございますけれども、今の報告を聞きまして、これから先今まであったような争点、問題点というのはかなりなくなっていくというふうに認識してよろしゅうございましょうか。
  97. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 新しい法律体制のもとでは、今後は商調協ではなくて、大店審がいろんな審議の中心になっていくということになるわけでございます。この大店審でございますが、現在は中央に総会がございまして、各通産局所在地を中心に十六の地方部会が置かれておるということでございます。それからまた、各都道府県にも大店審が置かれておるということでございます。  今後の問題でございますが、商調協を廃止しますと、当然この大店審の審議の体制を強化するということが必要になるわけでございます。で、現在中央における総会におきまして、どのような体制でやっていくかということで鋭意検討をいたしておるところでございますけれども基本的には中央の総会の下に各通産局ごとに部会を置くということにいたしますが、これだけでは細かい地域の実態を把握できないという問題もございますから、さらに具体的な実態的な調査審議に当たりますための組織といたしまして、審査会を設けていきたいというふうに考えておるわけでございます。この審査会は基本的には各都道府県単位を考えておりますけれども、都道府県によりましては非常に案件の多いところあるいは少ないところもございますから、そこはその実態に応じまして設置の数は調整をいたしたいと思っておるわけであります。  いずれにしましても、このように審査会を置きまして各地域ごとにバランスよく審議ができるようにやっていく体制を整えてまいりたい。これによりまして、御指摘のような御懸念に対しては十分対応できるように体制を整えるという方向で考えておるわけでございます。
  98. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 五月十五日の日経新聞でかなり大きく取り上げられました件でございますけれども、まだ実施もされていないのに早々とマスコミがいろんな見解を出したようでございますが、その真偽のほどについてひとつ明確にしていただきたいと思うわけです。  二年後の法の見直しを見送るということになれば、特定地域での大店法の適用除外が問題となりまして、そこがやはり大きな争点になってくるであろうと思うし、とりわけ特定地域の線引きが大変問題になってくるのではないか。そこらあたりの問題が一つございますし、もう一つは、やはり線引きを行った境界線を挟んでの対応が異なる場合にかなり問題が起きてくるのではないかというふうに実は思うわけであります。そして、そういう問題があるにもかかわらず、新聞によりますと、二年後の法の見直しは見送る、こういうようなことを言われておるわけでございまして、恐らく見直しをしないということは大店法を継続をするということであろうというふうに思うわけでございますけれども、その点についていかがでございましょうか。
  99. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 先国会で改正されました大店舗法では、附則第二条におきまして、法律を施行いたしまして二年以内にその実施状況を検討し、必要な措置を講ずるということが明示されております。この改正法は、この五月二十四日に公布をいたしましたが、施行はまだされていないというような段階でございます。二年後にどのような措置をとるかということにつきましては、これはまさに今後法律を実施いたしまして、その実態をよく見た上で考え、判断する必要があるというふうに考えておるわけでございまして、通産省といたしまして二年後の大店舗法の再改正を見送るとかあるいは見送らないとか、そういうような方針はまだ一切決めていないという状況でございます。  したがいまして、特定地域の問題あるいはそれに伴ういろんな線引きの問題というようなことも全くまだ具体的に論ずる段階ではないというふうに認識をいたしております。
  100. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 時間ですので、終わります。
  101. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先般の決算委員会で国土庁にも通告をしておりました国土の均衡ある発展に伴う多極分散型国土形成促進法の関係につきまして、お尋ね最初にいたします。  国土庁にお伺いをいたします。昭和六十三年、第百十二回国会におきましてこの法案の審議に私も参加をいたしました。そのときに法案のあいまいさも感じたんですが、しかし我々地方の者からいたしますと、東京一極集中からもう少し地方へ 光が当たる、そういう中身を持った法案ではないかということで歓迎をいたしました。その後、この多極分散型国土形成促進法の実施状況は、どのようになっておるのでしょうか。
  102. 柴崎徹也

    説明員(柴崎徹也君) お答えいたします。  いわゆる多極法でございますが、これは四全総に則しまして東京一極集中を是正し、国土の均衡ある発展を図るため制定されたものでございます。六十三年に制定されまして今日に至っておりますが、その間、この法律に盛られておりますいろいろな事項につきましてそれぞれ推進しているところでございます。  振興拠点地域の基本構想の承認でございますが、これは本年一月に三重県の地域について行っております。それから、千葉の業務核都市の基本構想の承認でございますが、これは本年の三月に行っております。そういったことで着実に推進しているところでございます。
  103. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 国の行政機関の移転の問題が一つ大きな課題でありまして、法律の要綱の中心。それから、地方の振興開発、これが二番目。もう一つ大きな柱としては、住宅の供給に対しまして「国及び地方公共団体は、地域の特性に応じつつ、」「住宅及び宅地の供給の促進に関する施策を総合的に実施する」云々、こういうことが柱になっております。  国の行政機関の移転というのは、先般私も質問をする前に国土庁の皆さんから随分聞きましたが、非常に不十分だ。東京周辺の首都圏にただ少し一部を動かしただけだ。地方の振興開発については、あの当時、随分あちこちからそういう希望があると、地方振興開発についてはこの法律の適用の希望があるような答弁を私も聞きましたが、今聞きましたら三重県だけだと。こういう状況で着実に進んでいるということがどうして言えるのか、その点についてもう一度、簡単でいいですから、少し反省をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  104. 柴崎徹也

    説明員(柴崎徹也君) お答えいたします。  多極法は、御承知のように、四全総の実施法として四全総ができました一年後にできたわけでございます。それで、行政機関の移転、これにつきましても平成元年にその推進を申し合わせておりますけれども、振興拠点構想それから業務核都市といったようなことでいろいろやっております。四全総自体につきましても、国土審議会におきましてこの二、三年、部会でその推進状況を審議をしていただいたところでございます。  それで、本年の五月末に国土審議会から内閣総理大臣に要望事項が出されておりまして、その中でこの四全総につきましてさらに積極的な推進を図るべしということで、具体的に首都機能の移転の促進あるいは地方の中核都市の整備、そういったことを指摘をされているところでございまして、現在鋭意その線に沿いまして検討を進めているところでございます。
  105. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 地方におりますと、私は九州の東海岸の大分県ですが、大変な過疎化が進んでおります。過疎率ナンバーワンが鹿児島、ナンバーツーが大分、三番目がたしか北海道、四番目が島根県、五、六が高知と広島、そういう形なんですよね。    〔理事会田長栄君退席、理事千葉景子君着席〕 町村によりますと、既に高齢化率が三〇%を超えている町村もたくさんある。こういう状況の中で、この第四全総やあるいは多極分散型国土形成促進法あたりは非常にもう有効的に機能するんじゃないか、こういう感じを持たせたんですが、その点については業務核都市で千葉県、地方では三重県だけ。こういう状況ですから、法律をつくった意味が余りないと思うんですね。もう少し力を入れて取り組んでいただきたいと思います。  次に、住宅問題に少し入らせていただきたいんですが、この促進法の中でも住宅等の供給については、「国及び地方公共団体は、地域の特性に応じつつ、」「住宅及び宅地の供給の促進に関する施策を総合的に実施する」云々と、こうなっております。  経済企画庁お尋ねしますが、非常に最近心配をしているのは、最近の住宅着工件数の伸びが非常に落ちているのではないか、そういう心配をいたします。政府は一月の二十五日に、平成年度の経済見通しと経済運営の基本的態度、これを閣議決定されておりまして、そこの見通しでは大体二・七%程度住宅は減少するのではないか、こういうことを書かれておりますが、一体全体最近の住宅着工件数がどうなっているのか、平成年度見通しは一体どうなるのか、お尋ねします。
  106. 川村良典

    説明員(川村良典君) お答え申し上げます。  先日発表されました平成三年五月の住宅着工統計調査報告によりますと、平成三年五月の新設住宅着工戸数は十一万四千戸と昨年の五月に比べて二二・一%減少いたしております。これによりまして新設住宅着工戸数は昨年十一月から七カ月連続して前年の水準を下回ったことになっているわけでございます。  このように新設の住宅着工戸数が減少しております理由といたしましては、昨年の一月から四月期に金利が大幅に上昇いたしましてその後も高水準で推移をしているということでございます。それからまた、人手不足あるいは建築資材価格の上昇等によりまして住宅の建築工事費が増大しているといったことが影響しているんじゃないかというふうに考えているわけでございます。  こういう状況が続きますと平成年度の新設住宅着工戸数は平成年度よりは減少することになるというふうに思われるわけでございますけれども、今年度も住宅金融公庫の無抽せん体制が維持をされること、あるいは住宅取得促進税制が拡充されるといったことによります下支えといったことから、年度合計といたしましては百五十万戸台の新設住宅着工があるのではないかというふうに現段階では見込んでいるところでございます。
  107. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私はあちらこちら地元を歩き回っておりまして、住宅着工件数の落ち込みというのは想像以上に大きい、こういうことをじかに聞いておりますが、百五十万戸台に乗るという見通し、根拠はある程度あると思うんですが、少しその辺のことを納得できるように説明してくださいませんか。
  108. 川村良典

    説明員(川村良典君) 昨年度平成年度の住宅着工の実績でございますが、百六十六万戸ということでございまして、これは過去の経緯からいいますと五番目という非常に高い数字だったわけでございます。また、昨年の場合には例年以上に年度途中に着工量が多かったということで、その結果かなり落ち込みの数字が大きく出ているということでございます。  なお、着工の推計につきましては一定の算式をもって推計をいたしているところでございますが、昭和六十一年度、これは最近では一番低い年でございまして百四十万戸という数字になっております。ただ、四月、五月の状況を見ますとその六十一年の状況よりは大体一万戸前後上回っているということでございまして、それらを勘案して百五十万戸は達成できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  109. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私が肌で感じたことと今言われていること、これはやがて一年たってみるとわかることだと思いますが、私が申し上げたいのは、いかなる経済の変動があったとしても国民が一番豊かに暮らせるのはやはり住宅が安定している、そういうことだろうと思います。  そこで、景気のいい悪いにかかわらず、住宅はやっぱりずっと平均して、国の方針として第六期住宅建設五カ年計画における建設戸数七百三十万戸、年平均にしますと百四十五、六万になるんだと思うんですが、それを着実に維持するように政策的に努めていただきたい。いやしくもこれが景気の調節弁みたいにならないようにお願いをしたいと思うんですが、経済企画庁長官、いかがでしょうか。
  110. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) 梶原委員お答えさせていただきます。  先生指摘のように、現在での住宅建設は戸数 表示でいきますと大体毎月十一万数千戸、年にいたしますと百四十数万戸ペースでございまして、ひところの大変高い百六十万戸台のペースに比べますとかなり減ってきていることは事実でございます。  私ども理解しているところでは、中身はかなり貸し家の方が下がってきておりまして、また貸し家の建築が下がっているのみならず、貸し家の充足率といいますか、借り手がないという状況ですね、その方も影響もしております。五年間で七百三十万戸、五で割ればおっしゃるとおりそういう百四十万戸ぐらいの数字になるわけでございますが、決して景気調節の手段にするわけではございませんが、景気とともにある程度変動するわけで、毎年同じようにということはなかなか難しゅうございます。今のペースで何とか五年間のそうした七百三十万戸を達成したいし、またできるんじゃないか。ここのところ落ち込んできたのはやはり一つには金利が上がったということがございました。住宅ローンの問題もございます。それに対しては先日、日銀の公定歩合を引き下げまして、その影響もまあおいおいに、三月か半年か、その間にだんだんに金利の低下状況も出てきてある意味では下支えになるんじゃないか。  それから、基本的なと申しますか、認識の根本に、実は戸数と建築の投資額とが必ずしも並行しておりませんし、着工床面積なども戸数ほどは落ちていないという点もございます。それから、建設業に対する金融の出方を見ておりますとそれほど下がっていなくて、より高級より広い住宅に対する投資が出ていますものですから、それらも勘案いたしますと、先生指摘のように住宅事情の充足をより重要視しながらやってまいりますけれども、現況におきましては何とかまだやっていける状況じゃないか。これをさらによりよくしたいと思っております。
  111. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ、今経済は動いていますから、状況を絶えずにらみながら、政策的な手を打っていただきたいと思います。住宅に関する関連業界というのは約八百業種ぐらいある、このように言われておりますし、これはもう悪くなっていろいろしてもそういう面にも響きますし、何よりも国民生活を豊かにするという観点から、やっぱり住宅については別な観点から政策的な手を打っていただきたいと思います。  次にODAの関係、きょうはOECFの担当窓口をされております経済企画庁、外務省にもお見えいただいておりますので、ただいまから二、三質問をいたします。  先ほど少しお願いをしたんですが、ODAの予算、実績、簡単で結構ですが、ここ数年の状況を教えてください。
  112. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) お答え申し上げます。  六十三年度につきまして申し上げます。六十三年度の事業予算でございますけれども、一兆三千四百八十七億円でございます。実績でございますけれども、約束額ベースで算出した数字を申し上げますと一兆四千六十七億円、このうち有償資金協力が一兆一千百五十六億円、無償資金協力が一千九百三十億円、技術協力が九百八十一億円でございます。  平成年度でございますけれども、事業予算につきましては一兆三千六百九十八億円、実績で一兆三千百五十億円、このうち有償資金協力一兆百五億円、無償資金協力二千二十八億円、技術協力千十七億円。  平成年度でございますけれども、事業予算が一兆四千四百九十四億円、実績で有償資金協力が一兆七百五億円、無償資金協力が千九百九十八億円、技術協力分につきましては現在集計中でございます。
  113. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 平成年度の予算もあわせてちょっと、予算額だけ、わかりますか。
  114. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) お答え申し上げます。  平成年度の予算でございますけれども、事業予算は一兆五千二百九十五億円でございます。また、平成年度の一般会計予算は八千八百三十一億円でございます。
  115. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この前、新聞で報道されておりましたが、平成年度の予算要求のガイドラインが九%、このように出ておりましたが、これでいきますとどのぐらいになるんですかね、予算、一般会計ですか、これは。――それは後でいいです。今言われました数字ですね、いただきたいんです。今ちょっとメモをし損ないましたからね。  臨時行革審の答申で、答申の内容について新聞で報道されておりますが、定かでないんです。これの中身、七%云々というのを、これについて少し説明してくださいませんか。
  116. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) お答え申し上げます。  今先生のお触れになった数字はODAをGNPの〇・七%を目標にするというものだと思いますけれども、これは第三十五回国運通常総会、一九八〇年に開催されたものでございますが、ここにおきまして十二月五日に採択がされたわけでございます。「ODAの対GNP比〇・七%目標を達成していない先進国は本目標を八五年までに、遅くとも八〇年代末までに達成するよう最善の努力を払う。その後可能な限り早く一・〇%を達成する。」こういう目標が採択されたわけでございます。  これにつきましては、幾つかの国が自国のODA政策について解釈宣言を行うこととしておりまして、我が国につきましてはODA〇・七%目標を一九八五年までに達成するとの特定期限及び一%目標について留保する、こういうことを表明しておるわけでございます。
  117. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほどは失礼しました。  〇・七%、これは今日ベースでいきますと、仮に計算するとどのくらいになるんですか。
  118. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) 一番新しい数字、一九九〇年分の数字がございますけれども、これで申し上げますと〇・三一%でございます。八九年につきましても同様に〇・三一%でございます。
  119. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、〇・七%にした場合はどのくらいの金額。そのままちょっといてください。  先ほど一般会計予算の分の八千八百三十一億円の数字が出ました。その前に一兆三、四千億の数字が出ましたね。どっちを言っているんですか。
  120. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げました数字は予算の数字を申し上げました。  OECDのDACにおきましては、通常は私どもディスバースメントベースと言っておりますが、これは実行支出純額という建て方でございまして、これは実は暦年で言っております。暦年で出ております数字でございますけれども、一九八九年の数字がたまたま私の手元にございますが、これが一兆二千三百五十八億円でございます。九〇年の数字もこれの八%強ふえた数字でございます。  したがいまして、先ほどは〇・三一%が現状と申し上げましたので、〇・七%ということになりますと、この二倍以上の数字になるということでございます。私、手元に具体的な数字を持っておりませんけれども、大体概算でいえばこの倍以上ということになります。
  121. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこで、外務省にお尋ねしますが、先ほどの予算と実行ベースの差がありますね。我が国の会計方式というのは単年度会計で処理をしておりますから、そういうところからおくれが出てくるのかどうなのか、差は一体どういうところから出てきているんですかね。
  122. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) 数字の差でございますけれども、一つの理由は、先ほど申し上げましたように事業予算ベース、それから約束額ベース、それから支出純額ベースという数字のとり方が違うということ。これは、前二者につきましては、当然のことでございますが会計年度でとっておるわけでございます。それから、支出純額につきましては、DACに報告するという関係上、暦年ということになっておりますので、そういうところから数字の差が出てくるということでございます。
  123. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 実行ベース、例えば何らかの理由で予定どおりいかなかった、そういうような要因もあるということですかね、もう一度。
  124. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) ODAにおきましては幾つかのスキームがあるわけでございます。例えば予算的にも一般会計予算を使うもの、それから財政投融資を使うもの、あるいは特別会計を使うもの、いろいろあるわけでございます。  原則から申し上げますと、技術協力、それから無償資金協力につきましては、これは単年度でございますのでその当該年度に実施をしてしまうということでございます。これは原則でございます。それから、円借款につきましては、これは必ずしもその会計年度内にすべて事業を終了する、あるいはすべてを支出してしまうという必要はございません。これは事業の性格によりまして数年かかるプロジェクトもございます。  したがいまして、無償資金協力技術協力については、原則といたしまして当該会計年度に実施をしてしまうということでございます。
  125. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 外務省にお尋ねしますけれども、単年度会計で処理をしておりますから、何といいますか、工期といいますか、年度内に工期が間に合わなきゃ大変困る場合がある。そうしますと、しょせん工期を守るのに非常にすぐれている日本の企業が受注をするのが非常に好ましい。援助に絡んでそういう面もあるのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  126. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) 先ほど無償資金協力とそれから技術協力についてはその会計年度中に実施をするというふうに申し上げたわけでございますけれども、無償資金協力につきましては、そのプロジェクトの性格上、数年にわたって実施をしていく必要があるというものにつきましては、国庫債務負担行為というものを用いまして実施をしております。それから、二年までは、繰り越しということはあってはならないことでございますけれども、例外的に繰り越しという制度もございます。  したがいまして、特に前者でございますけれども、そういった時間がかかるプロジェクトにつきましては国庫債務負担行為というもので対応をしておるところでございます。
  127. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 我が国の援助が非常にひもつき援助が多いという批判がずっとされております。そういう点では、納期とか工期とかそういうものは、日本の業者がやった場合には非常にきちっとしているので、そういう面で外務省としては、その点は助かっている面があるのではないか、その点はいかがなんでしょうか。
  128. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) 今先生の御指摘のとおり、かつて日本の経済協力はひもつきであるという批判でございますとか誤解があったことは事実でございます。  ただ、最近の実績を申し上げますと、我が国はDAC諸国の中でも最もアンタイド化を進めている国でございまして、例えば円借款について申し上げますと、一九九〇年度でございますけれども、八四・四%が一般アンタイド化されておるわけでございます。無償資金協力あるいは技術協力につきましては、各国とも通常はタイドでやっているわけでございますけれども、我が国の場合につきましてもタイドでございますが、いわばコントラクターは日本人で、実際の調達のものにつきましてはローカルのものを使うとか、あるいは第三国のものを使うとかいうことをいたしておるわけでございます。  ただ、先生が先ほど御指摘になりましたように、今申し上げた契約者がタイドになっておるということにつきましては、これはやはりプロジェクトの効果的、効率的、円滑な実施を図るという観点から、私どもは必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
  129. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がありませんから先を急ぎます。  私、週刊ポストをずっと持っておるんですが、これは非常にODAに伴う疑惑の問題、それに金丸さんが出てきたり海部さんが出てきたり中曽根さんが出てきたりしておるんです。援助の効果というものと、もう一つはそういう疑惑の問題と二つ出てくるわけです。  それで、会計検査院に、この会計検査院のODAに伴う検査の実施状況というのはどのようになっておるのか、時間がありませんから簡単で結構ですが、お尋ねいたします。
  130. 安部彪

    説明員(安部彪君) 政府開発援助につきましては国民関心も高いところでございますし、先ほどからお話がございますように、援助額も年々増大しておりますので、会計検査院といたしましてもその必要性、重要性を十分に認識いたしまして検査体制の整備に努めてきているところでございます。  昭和六十一年十二月に機構改革を行いまして、従前、政府開発援助の実施機関でございます外務省、国際協力事業団、それから海外経済協力基金の三機関を二つの課に分けて検査しておりましたが、これを一つの課で一元的に検査することにいたしまして、さらに六十年十二月には外務検査課を設置したところでございます。現在、外務検査課には二十二名の職員を配しておりまして、外務省などの援助実施機関の検査を行っておりますが、その検査の一環といたしまして、海外に赴きまして年間五カ国程度の現地の調査を行っておりまして、また現地調査に必要な外国旅費等につきましては私どもその増額に努めてきているところでございます。  検査の実施に当たりましては、語学が堪能で国際的な知識や経験が豊かな職員を配しておりまして、資料、情報の収集、分析には創意工夫を凝らしますとともに、調査手法の開発を図って検査上のノウハウの蓄積に努め、それからさらに研修等を通じまして職員の資質の向上を図るなどいたしまして、検査を一層充実させるべく鋭意努力いたしているところでございます。  これらの検査、調査の結果でございますけれども、六十二年度決算検査報告におきまして、技術協力にかかわります国際航空運賃の支払い方法を経済的なものに改善させたものを処置済み事項と掲記いたしまして、それから六十三年度決算検査報告におきましては、ODA全般にかかわる政府開発援助の実施につきまして、特記事項としてそれぞれ掲記しているところでございます。  今後ともさらに一層の努力を重ねてまいりたいと考えているところでございます。
  131. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大体、平成年度予算で外国出張予算が千三百八万円、これではこれからふえ続けるODAの検査体制では非常に不十分かと、このように思いますので、これは通産大臣、経企庁長官もいらっしゃいますが、この予算の増額について努力をしていただきたいと思います。  あとOECFの場合は、最近は現地のプロジェクトに対する受注企業名がこういう年次報告書で出ております。しかし、外務省経済協力評価委員会でつくっている「経済協力評価報告書」には、ずっと読んでみますと、一体このプロジェクトに対してはどこが受注したのかというのが全く書いてないんだね。この点は公表できるのかどうなのか、企業名。
  132. 小島誠二

    説明員(小島誠二君) お答え申し上げます  評価報告書につきましては、目的がもともと過去に実施しましたプロジェクト等につきまして改善すべき点を改善し、また将来の新たなプロジェクトのために教訓を得るべきところは教訓を得るということを目的として作成しておりますので、報告書の目的、性格上、受注企業名を載せていないわけでございます。  他方、それ以外の報告書等について言及はないかということでございますけれども、これにつきましては、私ども我が国援助にかかわる企業名の公表について、これは援助に対する国民の一層の理解と支持を得ていくために必要というふうに判断をいたしまして、昭和六十二年度以降でございますが、円借款案件、無償資金協力案件並びに開発調査案件につきまして相手国からの同意を得まして既に行っておるところでございまして、もう少し具体的に申し上げますと、企業名公表は原則として年一回行っております。  円借款につきましては、今先生のお示しになりました年報でございます。それから無償資金協力、それから開発調査、これにつきましてはJICA (国際協力事業団)の年報、さらには財団法人国際協力推進協会、ここが出してございます・「国際協力特別情報」、ここにおいて公表しておるところでございます。
  133. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ、できれば詳細に公表していただきたいと思います。  時間がなくなりまして、私ども外交・安保調査会で一昨年当時西ドイツ経済協力省の担当者に会いました。これは調査会から派遣されて皆さんと一緒に行ってきたんですが、ここで我々が質問しましたのは、経済協力が効果的に行われているかどうか、チェックはどのようにして行っているのか、会計検査院は援助国の実態も検査しているのかどうなのかという質問をしたのに対して局の次長は、経済協力省内に査察機関があり、これは独立してどの国にも自由に検査することができる、検査の結果を公開している、その範囲も広げている、このように答えておりますが、外務省としては、今言われましたように、評価しか我々にとってはあなた方の報告はない。問題は、いろんな疑惑やこれからふえていくODAに対して、それが国民にわかりやすい非常にオープンにされたものにすべきだ、このように考えます。  本来なら通産大臣それから経済企画庁長官に最後に御意見を聞きたいんですが、もうこれから〇・七%にひょっとすればなろうかというそういう状況から考えますと、経済協力省かODA省か何か、省にこれは格上げして独立した機関とすべきだと思うんですが、お伺いをして終わりたいと思います。
  134. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) お答えさせていただきます。  ただいまのODA問題は、先生御高承のとおり、外務、大蔵、通産、経企四省庁体制でございまして、予算八千八百億に関しましては十数省の関係となっておりますが、それぞれ分担がございまして、無償の分は外務省が主としてやっておりますし、有償のうちの主たる海外経済協力基金などは私ども経済企画庁の方が監督官庁という格好でやらさせていただいております。  そもそも相手の国のニーズに対応するのには、技術協力でいく場合もあるし、無償を取りまぜていく場合もありますし、有償という格好が主たるものになるものもございますものですから、やはり各省に関係いたしますので独立の別個の省庁ということになりますとなかなか運営が難しいのではないか。むしろ今関係しております各省庁がそれぞれに、今先生のお話がございましたように、枠は広げていかなきゃならぬ、額はふやさなきゃならぬ、しかし中身はよほどしっかりきめ細かく監督していかなきゃならぬという、ちょっと矛盾していると申しますか、両面から要請を受けておりますものですから、例えば私ども経済企画庁の方では海外経済協力基金にここ三年ほどの間に組織の変更で検査役を設けるとかいろいろやっておりますし、ことしもさらに現地調査を強化していきたい、このように思っておりますので、そうした点で御期待に沿うように頑張らさせていただきたい、こう思っているところでございます。
  135. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) もう総枠は今経済企画庁長官が答えたとおりだと思いますが、先ほど委員の御質問の中に、一体このような交通費でやっていけるのか、もう少しそういう点においても緻密な計画をつくれ、こう言っておりますが、今の経企庁長官も触れられましたが、四省庁がそれぞれ協力体制で、ただ金目のものをその国に援助すればいいという感覚ではなくして、どのようにそれを有効的に効果的に各省庁の責任分担においてやっていくかということが私も大事だと思います。  その省庁においても、今まで経企庁あたりが核になってやっていただいておりますから非常にいいかと思いますけれども、なおかつ、私どもの省などにおいても、各省庁いろいろと分野が分かれておりますから、そういう点でもお互いに協力し合いながらいかに効率的な有効打を放てるかというような形でその国に資していって、その国の活性化が同時に日本の共存共栄の大きな進路にもつながる、こういう方向で考えていきたいと考えておるわけでございます。  それだけに、今の先生の御指摘のことは十分に脳裏に刻み込みまして、そして私も同意見の点がたくさんございますから、それを十分にまた予算のときなどは頑張ってみたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  136. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうもありがとうございました。
  137. 守住有信

    守住有信君 通産省所管の特に中小企業問題についてお尋ねさせていただきたいと思いますが、大臣は政府委員の御答弁をお聞きになりながら、私の方の関心というところをお聞きになって、最後にでも御感想なり御意見なりを承れば結構でございます。  最初に、先ほど大店舗法の規制緩和に対してのやり方、自治体との関係も御指摘が出ておりましたけれども、それ以前からいろいろ中小企業と申しましても小売の小企業、特に旧商店街と申しますか、伝統のある地域ではございますけれども、近代日本でいろんな多様な商品、消費者の方のニーズもどんどん変化いたしておりますし、そういう地域で資本力もない、ノウハウも乏しい、企画力も乏しい、こういうものに対して通産省は、例えば個別の特定不況業種とか特定不況地域とか、これは工業等も含むわけでございますが、そういうとらえ方で対策もどんどん手を打っていただいておりましたが、小売、零細と申しますか、商店街を中心に小売業に対しまして地域全体の活性化ということでハイマート構想とかいろいろ既に構想も伝えられております。  さらには、大店舗法の規制緩和に対する一種の国内対策、小売業の対策ということで特定商業集積の整備促進に関する特別措置法llいわゆる商業集積法、あるいはまた民活法の一部改正の活用、あるいは中小小売商業振興法の一部改正、大体三つぐらいだと思いますが、そういう新しい立法政策を掲げまして、この浸透をいろいろ地方の通産局あるいは県を通じたり、あるいは地元の市町村の中小企業関係者あるいは地元の商店街、振興会、そういうところでお取り組みであるというふうに私も認識をいたしております。  この中小小売業者の活性化のためには、個別の業種はいろいろございますけれども、商店街全体で魅力のある向上を図っていくことが必要でございます。それに対してはやはりみんなが協力し、共同し合っていく、商店街全体としてこういう意識というか、商店街そのものの自主的、自立的なとらえ方というのも必要でございますが、しかしやっぱり政府、特に通産省としての中小企業対策として、いろんなノウハウを持たない中小小売業者があるわけでございますので、その活性化のための計画づくり、これについて長い間いろいろ知恵を出しながら強力に支援していっていらっしゃいますけれども、こういう支援策ということにつきまして通産省の手法があると思いますけれども、特に最近の手法について御説明をいただきたいと思うわけでございます。
  138. 南学政明

    説明員南学政明君) 先生指摘のとおり、中小小売商業をめぐる環境は今大きく変化をしつつあるわけでありまして、こうした中で商店街の活性化を図っていくことは極めて重要な政策課題であると認識いたしております。したがいまして、通産省といたしましては、商店街振興組合等が商店街活性化のために行う各種の調査研究、計画づくりを積極的に支援していく考えでございます。  具体的には、まず第一に、商店街におけるこれらの事業を助成するために中小商業活性化基金を全国で六百億円積み増しいたしまして、基金規模を千百二十億円といたしました。  また第二に、商店街活性化に関する高度で専門的な知識と経験に富んだ者等を全国で二百四十名程度中小企業事業団に登録いたしまして、商店街からの依頼に応じてこれを派遣するアドバイザー制度を創設することといたしております。このアドバイザー制度によりまして、商店街の計画策定に当たっての創意工夫に側面から助言指導を行っていく考えであります。  今後、こうした措置の積極的な活用によりまし て、中小小売商業の活性化を推進していく考えでありまして、平成年度以降についても引き続き大いに努力してまいりたいと考えております。
  139. 守住有信

    守住有信君 そこで、もう一つの角度がこれは警察庁――いわゆる駐車規制ということで、ずっと大混雑の中の都市生活でございますし車の交通がありますけれども、一方では、商店街でやはり人を寄せるために大店舗の方はもう郊外に大駐車場を持ちまして、消費者はどうもそちらの方へ吸引されていって旧商店街がだんだん寂れておるという。  そのためにはいろんな基金とか、特にアドバイザーなどの人材、ノウハウと同時にハード面といいますか、共同利用駐車場でございますけれども、これはやはり土地とかいろいろ不動産の関係がありますし、また商店街としての資本力もございますし、土地と絡むわけですから利害もいろいろあるのでなかなか進みにくいという面があります。  こういう点について通産省は、私の印象ですが、ソフト面については非常にノウハウとか知恵とか次々にお出しになって末端の方ではちょっと消化―不良じゃないか、十分浸透していないんじゃないかという意識すら持っておるわけです。そして、この共同利用の駐車場ですが、旧商店街の中におけるコミュニティーマートと同時に共同利用駐車場ということについて、これはいろいろ建設省や自治省とも絡むわけですが、まず通産省御自身として、やはり中小企業対策の中心通産省ですから、そこらあたりの発想なり取り組みをまた御説明いただければありがたいわけですが。
  140. 南学政明

    説明員南学政明君) モータリゼーションの進展とか道路網の整備に伴いまして、自動車で買い物に出かける消費者が増大してきておりまして、駐車場の整備というのが商店街の集客力向上のための重要なかぎになっております。  一方、先生指摘のとおり、地価の高騰等によりまして商店街において駐車場を整備していくことが極めて難しい状況にありまして、商店街が当面する大きな課題の一つが駐車場の整備の問題でございます。このために通産省といたしましては、今年度商店街の組合等によって行われる駐車場等のコミュニティー施設の整備事業に対して支援措置を大幅に拡充することといたしました。  すなわち第一に、国と都道府県合わせて二分の一の補助につきまして、補助限度額を大幅に引き上げを行っております。  第二に、中小企業事業団から必要資金の八割無利子融資につきまして据え置き期間の延長、あるいは融資要件の改善等を行うことといたしております。  第三に、税制面の措置でございますが、商店街の商業基盤施設等についての特別償却、さらには商店街の商業基盤施設、商業施設等の整備の用に供する土地等の譲渡益についての特別措置などいろいろな施策を講じているところでございます。  さらにまた、さきの国会で成立させていただきました商業集積法を活用することによりまして、地方公共団体自身が行う商店街における公共駐車場の整備についてもこれを推進しているところでございます。  今後とも、駐車場整備の重要性にかんがみまして、私どもとしては大いにこれを支援してまいりたい、このように考えております。
  141. 守住有信

    守住有信君 実は、私は昨年からこういう問題意識で自民党の駐車場議連に入りまして、通産省、中小企業庁と御一緒に建設省の都市局とか道路局とか自治省も入っていただきまして、この議連の中でのシンボルが共同利用駐車場問題でございますから、そういう角度で党としても御議論いただく、そして通産省建設省と自治省の三省庁が一体になってこれに取り組んでいただく、こういうふうなことがあったわけでございます。  建設省としても、この商店街の共同利用駐車場への取り組みについて、どのようなお取り組みでこれからやっていかれようとするのか、お伺いしたいと思います。
  142. 高橋健文

    説明員(高橋健文君) 商店街活性化のための建設省の駐車場整備方策につきまして御説明いたします。  基本的には、商店街の活性化を図っていくためには、単に商業振興の観点からの整備だけではなくて、良好な街づくりの観点に立ちまして、道路や駐車場を初めとします関連する公共施設を一体的に整備して商店街の立地条件や都市環境の改善を図っていく必要があると考えております。  とりわけ、今日のような自動車社会におきましては、既存の商店街の活性化を図るためには駐車場整備が非常に重要であるわけでございますが、建設省といたしましては従来から融資制度を中心に助成をしてきております。  具体的には、地方公共団体や地方道路公社の行う駐車場整備に対しましては、道路整備特別会計からの無利子融資でありますとか、あるいはNTT株式の売却収入の活用によります無利子融資を行っております。  また、民間の駐車場整備や、例えば街づくり公社といったような第三セクターが行います駐車場整備に対しましては、民間都市開発推進機構の低利融資でございますとか、あるいは道路開発資金の低利融資、日本開発銀行等からの低利融資等の助成を行ってきておるところでございます。  さらに、今年度におきましては、従来からのこういった施策に加えまして、駐車場整備をより一層推進するための補助制度を整備してございます。  第一には、商店街において商店主の方とかあるいは地主等の民間の方が共同して整備する駐車場、いわゆる共同駐車場整備促進事業でございますが、こういった事業についての補助制度を創設してございます。  二番目には、特定交通安全施設等整備事業によりまして、道路管理者が駐車場の整備をする制度を創設してございます。  さらに、市街地再開発事業等によりまして、市街地を面的に整備する場合におきます駐車場整備に対する補助制度の拡充を図ったところでございます。  これ以外にも税制面でも、駐車場整備促進を図るために、地下式あるいは立体式の都市計画駐車場等に対します割り増し償却制度の創設でございますとか、あるいは固定資産税、不動産取得税の特例措置の大幅な拡充を行ったところでございます。  また、最後になりましたが、さきの国会で駐車場法を改正していただきまして、総合的かつ計画的な駐車場整備推進するために、国であるとかあるいは地方公共団体、これらが責任を持つんだという、そういう責務を明確にしますとともに、駐車場施設の附置を義務づける建築物の範囲を拡大するなど所要の措置を講ずることとしたわけでございます。  今後とも、これらの施策を総合的に活用いたしまして、商店街の活性化のための駐車場整備推進を図ってまいりたいと考えております。
  143. 守住有信

    守住有信君 関連しまして、先ほども申し上げましたけれども地元の地方自治団体、主として市でございますけれども、これにとりましても、実は県にとりましても大きな問題で、いろいろな地方自治団体はまさしく地方の住民の集積の地域ですからということで、自治省も一緒になってお取り組みだと聞いておりますが、あわせて地方自治体の取り組みとかあるいは後ろからのバックアップの財政支援、その市も貧乏な市が多いわけでございますが、そこらあたりはどうでございましょうか、お願いします。
  144. 斉藤恒孝

    説明員(斉藤恒孝君) 自治省といたしましては、三省庁協力によりまして特定商業集積の整備促進に関する特別措置法の円滑な施行に努めることはもちろんでございますが、地方公共団体が商店街の活性化のために寄与する事業を単独事業として行いたいという場合もるる出てくるわけでございます。このため、地方公共団体が単独で商店街の活性化に資する公共施設整備事業を行う場合に、地方債を活用する。その地方債につきましては、特に元利償還財源の一部を交付税で措置する地域総合整備事業債というものがございまして、 この元利償還金付の起債で支援をしていく、あるいはイベント等のソフト事業や計画策定のための経費を交付税等で支援していくということを基本的には考えているわけでございます。  それから、駐車場につきましては、御指摘のように立体式とか地下式の建設が必要になっておりまして、大変料金が高くなるわけでございます。ところが、駐車場の料金水準というものはおのずから限度があるわけでございまして、このため自治省といたしましては、平成年度から公営駐車場の整備促進対策というものを講じることにしております。  その内容としましては、一つは、都市計画駐車場に限らず、大店法の規制緩和に対応しまして、商店街等の振興整備のために緊急に整備が必要な駐車場等のいわば都市計画駐車場に準ずる駐車場につきまして、起償措置の範囲を拡大するというのが一つでございます。また、緊急に整備すべき都市計画駐車場、またはただいま申しました都市計画駐車場に準ずる駐車場のうちに構造が立体式または地下式で建設投資額の回収が長期にわたる、あるいは料金が高くなるというものに対しまして一般会計から出資する、あるいは利子補給という支援措置を講じまして、またその財源として出資償あるいは特別交付税による財政措置というものを講ずるということに平成年度から取り組んでいるところでございます。
  145. 守住有信

    守住有信君 いろいろ三省庁からお聞きいたしまして、相関連する部分が非常に多いわけでございまして、それぞれ縦割り行政と言われておりますけれども、私はこの問題だけは、本省の方もそうですが、出先の方でも本当に県と一緒になり、そして市を指導する、商店街を指導するということで縦割りでない本当の横割り行政で、そしてそれぞれの手段、方法を大いにフル発揮していただく。  私は地元の商栄会、商店街で聞いておりますと、なかなか理解、浸透しにくいというのが、私いろいろ質問してみましても私の熊本市内、どこの市内も幾つもあるわけですけれども、これがなかなか浸透しないなということを非常に痛感しておるわけでございます。  そのためには、これはまた三省庁ですけれども、理想を言うならば、私は、三省庁のスポットライトを浴びせた総合的なパンフレットをまずつくっていただく。縦割りのパンフレットではなく、三省庁を合わせたモデル的ないろんな手段、方法、そこへ助成が入っておるわけですから、そういう方法でもしてこれを県、市、商店街、市にも中小企業局とかいろいろ商業関係の責任の部局もあるわけですから、それらを通じてずっと総合的な仕組みで目に見えるように、近ごろは映像文化といいますので、法律制度だけでなくて、実際的な実践例や成功した例なんかも入れて、あるいはいろいろ地元には問題や隘路あったけれども、それをこういう方法で克服した、いかにして解決したかとか、そういうものもなお念のために入れていただいて、三省庁の共同で商店街という行政対象は一緒なんですから、そこを特にお願いを申し上げる次第でございます。  それからまた、私の感じておりますのが、建設省道路局等がおっしゃるのは、駐車場は道路の延長ですよと、ああなるほど、道路の一部を駐車場で使いますよ、地下ばかりに限らず、あるいはまた公園の地下とか、あるいはまた都市局から見れば、これは確かに商店街は都市改革の一部ですし、都市計画地域あるいは都市再開発計画、そういうものともこれは絡んでくるわけで、商店街の人たちは本当にお客様をいかに自分のところの商店街に引っ張り込むかということを一生懸命考えております。そして、みずからの世界は自助努力で、いろいろなサービスとか商品の多様化、時代におくれをとらぬように、自分の商売の内容を変革させて消費者ニーズに即応している。そして、大店舗に負けぬような振興策、こういうふうなのが私の思いでございますので、冒頭この点を重点にお尋ねしたわけでございます。お願いも申し上げました。よろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つ、忘れておりましたが、新聞を見ておりましたら、「駐車場フル活用へ促進事業」「市役所、銀行など休日借り上げも」と、こういうふうで「建設省は三十日、既成市街地の商店街などで深刻化する駐車場不足への対策として、既存駐車場の有効利用促進事業制度を創設する方針を固めた。」云々と出ておりましたが、これはこれからの既存駐車場。また、銀行はその地域にあってこそ金融業務も成り立っておるわけですし、経営者諸君も支店長も休みの日、週休二日は同じ思いでございますから、そういうのも見事に共同利用型に統合運用する、運用面、ソフトの面もこれは入っておるようでございます。損害保険制度の新設とか、それから「基本計画は市町村が策定。建設省は事業費を補助していく考えだ。」というふうに最後に載っております。これはこれからの駐車場にさらに新たな知恵をお出しになる仕組みだと思いますので、新しい共同利用駐車場と同時に、既存のいろんな銀行あるいは市役所その他の日曜日なんかあいておるところをいかにして事故なく利害が調整できるかというような制度の開発だと、こういうふうに受けとめましたので、この点も大いに積極的にお取り組みいただければと、期待を申し上げておる次第でございます。  次の方に移らせていただきますが、今度は工場、工業の方でございます。  私どもが期待しておりました租税特別措置法、これは何かと申しますと、大東京、大都会地はかつて工場等がありまして、今も国土庁の工場制限法で新しい工場立地は制限をされておりますが、既存の工場があるわけでございます。そして、大都会は公共用地が少ない。公共住宅とか都市公園とか、あるいは公共事業の換地とか、そして一方では多極分散の国土開発計画、企業の地方への誘致。したがいまして、あれは去年の十二月でございましたか、租税特別措置法の一部改正の中にいわゆる大都会にある工場用地を企業が売却して、ただし売却先はあくまでも公共利用、そしてそれが地域振興整備公団等々の工業用地の方に、工場が地方へ移転していった場合に政策減税をやる。あれは党の商工部会と建設部会が御一緒になって芽が出た。そこまで私は知っておるわけでございますが、この特別措置法の制度がいつ施行されていくのかということを第一点にお尋ねしたいわけです。
  146. 鈴木英夫

    説明員鈴木英夫君) 委員ただいま御指摘のように、この移転促進税制はいわゆる土地の買いかえ特例でございますけれども、この制度をおつくりいただいたわけでございます。特に、この移転促進税制につきましては、首都圏等移転促進地域内で土地を売りまして誘導地域に新しく買い求めるというときに適用される税制でございます。  ただ、首都圏で売りましてこれがまた土地ころがし等に利用されてはいけませんので、公共の用途のために売却をするということに限定いたしまして、一般制度に比べまして、面積要件でありますとかあるいは圧縮割合でありますとか、期間要件などを優遇された譲渡益の圧縮記帳を認める制度でございまして、ただいま御質問の点につきましては、この制度は三年度の税制改正により創設されたわけでございますけれども平成四年一月一日から適用予定となっております。
  147. 守住有信

    守住有信君 それで感じるわけですが、私は両面をねらった非常にいい誘導税制だと思うわけです。地方分散、地方の振興と大都会における公共用地の不足、両面ねらっておる。ただ、これがどうも企業の方で本当に浸透して御承知なのかどうか、これが一つ気になるわけです。  法律の施行は来年一月でございますけれども、この適用というか活用ができる企業、工場は、既にそのデータを私は通産省あたりはちゃんと持っておられると思っている、どこの企業だ、どこの工場だと。そういうのにひとつ一般論的なPRじゃなくて個別に、こういう制度がある、活用してみたらいかがですかと、設備近代化で工場の中にも大分古うなっている工場もあるわけでしょうから、そういうのにダイレクトメールかなんか知りませんが、これは私案ですけれども、大都市圏 等の一定の制限の中にある工場がどこの会社のどの工場だと、通産省はそこまで外郭団体を通じてそれはもう把握できるはずだと思いますので、そこに個別的にそれぞれの産業界を通じてこの制度の活用をお話しいただく。そうすると、私どもは、さきの大分の先生じゃありませんが、熊本でございますが、熊本の県庁その他を動かしましてその企業にアプローチして、その工場をそれぞれの地方の工業団地等に誘致、誘導をしたい、このように県庁を動かしたいと考えておるわけでございますが、私のこういう着想というのはいかがでございましょうか。また、それにお取り組みいただけるだろうか。  これは何も通産省の役人の方から直接じゃなくていいわけで、データベースということはどんどんやっておられますから、その各種産業界を駆使してはいかがだろうかということをまずお尋ねしたいと思います。
  148. 鈴木英夫

    説明員鈴木英夫君) 委員指摘のように、この制度を真に実効あらしめるためには、広く啓蒙、普及ということをやっていくことが必要であろうと思います。  平成四年の一月一日から適用予定と申し上げました一つの理由も、こういうものを広報、普及、啓蒙するための時間がある程度必要ではないかということであろうかと考えておりまして、これまでも私ども当省所管の各種団体にいろんな説明をしてまいりました。さらに、今後ともこういう各種団体を活用するといったようなことが一つ。  それから、同県におかれましても、最近東京事務所というのを各道府県は置いておられまして、ここで企業誘致を盛んにやっておられます。私どもの方にも情報収集によくおいでになるわけでございますけれども、そういう団体あるいは各道府県のそういう活動を通じてこの制度の普及にさらに努めてまいりたいと考えております。
  149. 守住有信

    守住有信君 その点よろしくお願いしておきます。  もう細川知事以来、Uターンアドバイザーはもちろんですけれども、これは人の問題がございますけれども、やっぱり工場――まあ一次産業の農業問題は別にしまして第二次産業、経済のソフト化と言われていますけれども、地方にとりましてはやっぱり雇用で、第二次産業が来てほしい、特に男子労働型、こう言っておりますけれどもね。それに対して、これは非常にいい、具体的に詰めていくというあれになってくるんじゃないか。だから、よその県もそうだと思いますけれども、東京事務所以下、県庁も個別情報が欲しいんですね、一般論ではなくて、どこの会社だ、どこの工場だ、何の業種だと。そうすると、自分のところの県内にある工業団地で海岸にあるようなやつもあれば内陸部にあるやつもあれば山間部、いろいろございますからね。それに合う条件を相手の企業に個別的に――もう役人も近ごろはセールスマンの時代でございます、私はそういうふうに、細川君と同じように働いておったわけでございますが、それを特にお願い申し上げておきます。  それから、引き続きましてだんだん具体論で我が足元の熊本の問題に入ってまいりますが、いろいろ地域整備公団等々で工場立地、それで大分私はペンペン草が生えておるなんて皮肉を言いよりましたが、最近になりまして、例を挙げますと八代の港湾で、だんだん人口が減っておりましたがヤマハが来てくれましたり、流通も大手が二社来ましたり、あるいはまたもう一つはあの有明海の長州町の有明造船、これは日立造船でございます。造船業が非常に不況でほかが全然来なかった。そこへヤマハのモーターボートのエンジン部分でございますがそういうのも来たということで、その他の地域の内陸部も、もちろんテクノポリスも土地が足らぬようになっておりますけれども、どんどんあれになりまして熊本におきましては少なくとも工業団地がもうほとんど満杯と、こういう状況になっております。  もう一つ気になりますのが、やはり大牟田もそうでございますが、荒尾等のあの周辺の産炭地域でございます。もう一つが、今もお話に出ておりました過疎地域でございます。  そのような産炭地域や過疎地域というものを念頭に置き、地方分散の基本的な路線の中で今後の工業団地の造成に対してはどのような考え方、お取り組みであろうかということをお尋ねしたいわけです。
  150. 鈴木英夫

    説明員鈴木英夫君) 今委員指摘のように、現在全国の工業団地、例えば例にとってみますと、造成済みの工業用面積というのは、私どもが把握しています限りで約六万九千七百ヘクタールぐらい累積であるわけでございますけれども、そのうち九〇%強の六万五千五百ヘクタールが分譲済みという状況になっております。これは、特に近年の好景気といいますか、そういうものを受けましてここ数年売れ行きが非常に順調であるということであろうかと思います。地域公団が行っております団地造成につきましても同じような傾向がございまして、現在八六%が売れておる、こういう状況になっております。  また、先生指摘の熊本の団地につきましても非常に売れ行き状況は好調であるというふうに伺っております。特に私ども政策体系といたしましては、工配法上の誘導地域におきまして、地域公団によります中核工業団地の造成あるいは地方公共団体が造成されます工業団地に対します利子補給金の交付、こういうものを通じて工業団地造成を私ども支援しておるところでございます。  今後とも、地方公共団体と密接な連携をとりながら、経済情勢あるいは工場の立地状況、地域の実情あるいは団地の有効性等幅広い観点を勘案いたしまして、団地造成施策の展開に努めてまいりたいと考えております。
  151. 守住有信

    守住有信君 次のテーマに移らせていただきたいと思います。  先ほども同僚委員の方から、テクノポリス第一期が一応終わりまして第二期へということで全国二十のテクノポリス地域、ことしの十二月末ぐらいまででございますか、その第二期のそれぞれの基本構想を県が立てて通産省とお打ち合わせをすると、こういうふうに先ほどもお聞きしたわけでございますが、この今後の第二期のテクノポリス構想につきまして、通産省はどのようにお取り組みであろうかということをまずお伺いしたいと思います。
  152. 鈴木英夫

    説明員鈴木英夫君) テクノポリス計画でございますけれども、現在昭和六十二年の三月までに承認を受けました二十地域につきまして、第二期のテクノポリス開発計画を策定するための検討が進められておるわけでございます。  その中の重点でございますけれども、特に地域の企業の技術力向上というようなことが重大な課題として位置づけられておりまして、各テクノポリスにおきまして地域企業と地域の大学等との連携とかあるいは地域企業間の異業種交流事業、こういう事業のための円滑化の施策あるいは仲介、助言、そういった方策について特に強調された開発計画になっておりまして、その方向について具体的な検討が行われておるものと承知いたしております。
  153. 守住有信

    守住有信君 ちょっと抽象的過ぎたように感じましたけれども、私の足元の熊本県は比較的あれは成功しておる方だと、よその地域はまだ二つか三つしか見にいっておりませんけれども、こう感じております。じゃあれは、今後熊本県の方からいろんな今おっしゃったようなポイントについての構想、手法を出していって、皆さんの方と御相談して再び第二期へ向かっての今後の応用、展開に取り組んでいかれると、このように理解すればいいわけですか。
  154. 鈴木英夫

    説明員鈴木英夫君) やや抽象的で申しわけございませんでしたが、私どもがこれからの開発計画で非常に重要だと思っておりますことは、テクノポリス計画は先端産業を中心にして育成をするわけでございますけれども、特に地場産業に技術が移転されるかというようなことが、これからの大きなテーマになっていくだろうと考えております。地場産業の技術力が高まりませんと、あるいは地場資本の技術力が高まりませんと、やはり全 体としての底上げにならないと、こういう意識を持っておりまして、そういう意味で、特に産官学の共同研究といいますか、そういうことによって新しい製品なりアイデアを生み出していく、あるいは地場企業に技術が移転されるということが大事であろうと思っております。  現在、各テクノポリスにおきまして、こういう産官学の共同研究交流というのが非常に進んでおりまして、ほかの地域でもいろいろな成功例があるようでございます。熊本地域におきましても、私は今後ともこの地場企業への技術の移転というのが円滑に進められるように期待をしておるわけでございます。さらに、この地域産業活性化基金等も利用いたしまして、あるいはテクノポリス開発機構というようなものも利用いたしますとともに、アドバイザー制度等もございますので、ぜひこういうものも活用していただけるように、また県等についても御指導いただければというふうに考えております。
  155. 守住有信

    守住有信君 今いいことをおっしゃって、そのアドバイザー制度ですが、地場産業との話だけですけれども技術レベルが違うのか、いろいろ経営者のあれもあるのか、地場産業に技術移転がなかなかうまく進んでおらぬということが今ぐらいまでの話でございまして、あのアドバイザー制度というのは東京にばかりあると、私はこう思っておりましたが、例えば福岡通産局にもああいうアドバイザー制度、技術移転に関係するものはありますのでしょうか。もしなかったとしたら、大いに強化して、私も熊本県や地元の産業界、経済同友会初めいろんな経営者の幹部にぼんぼん物を申していきますけれども、そこらあたり、ちょっと私の参考のためにもお教えいただきたいと思います。
  156. 鈴木英夫

    説明員鈴木英夫君) 各テクノポリス地域におきまして、委員御高承のようにテクノポリス開発機構というのを設立しておりますけれども、それの連絡会議がございまして、その会議がテクノポリスアドバイザーを置きまして、会員の要請に基づいてアドバイザーを派遣するという制度がございます。したがいまして、この開発機構連絡会議の場であっせんあるいは派遣を行う、こういう制度になっております。
  157. 守住有信

    守住有信君 いや、いいことをお伺いしましたので、もっと具体的に私も地方で刺激していこうと考えております。ありがとうございました。  それからもう一つ、テクノポリスセンターの中にソフトウエア研修センターというのがおかげさまでできまして、あれは資本金九億円でございましたか、政府の方が四億円、熊本県が一億円、地元の業界が四億円でございましたかな、今ハードの方の工事はどんどん進んでおるわけでございます。これがいわゆるソフトウエアの技術者のレベル高度化とかその養成ということで、あの地域に一方では富士通とか日電とかナショナルとか横にはNTTの研究所もありますし、熊大の研究所もある。電子応用技術研究所がある。いろんな他の研究所もやってまいりまして、一番のメインが富士通以下の三社でございますし、その横に通産省指導のソフトウエア研修センターというのが工事に入っておるわけでございますが、これが全く新しい試みで、郵政省の放送や通信のソフトなりハードの技術者の養成ということでごく最近立法化してこれが施行に入るわけでございます。  したがいまして、この間は通産省の情報処理振興課長さんに逓信委員会に来てもらいまして、やっぱり行政対象は違っても先に走っておるところですから、その御体験やいろんな悩み、問題、隘路、どう克服していくかというノウハウといいますか、そういうことの感じをお話もいただいたわけです。  私もまたそういう角度でおるわけでございますので、このハードはできるわけですが、これの内容の充実と、あとはレベルアップした女性や男性の人たちが地場産業の中に活躍していく、雇用の中に入っていくということだから、ここらあたりは通産省としてもいろいろ御勉強なさって、よその体験もお持ちだと思います。熊本だけではなく他の地域の研修センターのノウハウもお持ちだと思いますので、ちょっと私や私の地元に参考になるようなことを今会議録に残していただければありがたいと思いますので、その辺のところをよろしくお願い申し上げます。
  158. 熊野英昭

    説明員(熊野英昭君) ただいま先生からも御指摘ございましたように、いろいろソフトウエアの問題というのは大変重要な問題になってきておるわけでございます。そういうソフトウエアクライシスを回避しつつ、同時に我が国の全体に均衡のとれた情報化を進めていくことが必要でございます。そういう観点から、各地域におけるソフトウエアの供給力を高めていくことが大変重要なのではないかと考えておりまして、平成元年六月に地域ソフトウエア供給力開発事業推進臨時措置法という法律を成立させていただきました。この法律は、システムエンジニアの育成を中心とするソフトウエア供給力の開発を行うことを目的としてきております。  具体的には、この法律に基づきまして平成年度及び二年度で六カ所ずつ計十二カ所の地域ソフトウエア研修センターの設置を決定しておりますけれども、実はただいま先生から御指摘いただきました熊本のソフトウエア研修センターがこの十二カ所の第一号でございまして、実はこれは既に四月にセンターが完成をしております。それで、既に社屋を完成して仕事を七月から本格的に育成事業、具体的な内容といたしまして一つは研修生に対する、何と申しますか、講義をしていくようなこと、それからもう一つは、研修生が講義を受けた成果を実践的に進めていくためのソフトウエア技術の実践指導支援事業と申しておりますけれども、そういう施設をつくりまして具体的な事業を始めようとしているところでございます。  一般的に申し上げまして、まさに熊本で始めていただこうとしているようなことを全国に展開していくわけでありますけれども、抽象的に申し上げますと、通産省としてはこのために研修のための標準カリキュラムの策定をいたしましたり、あるいは教材を開発いたしましたり、そしてそれらを各地域にできますセンターに提供し、さらには講師などもどもの方から御紹介を申し上げるとか、あるいは地域における企業に大いに使っていただく必要がございますから、広報活動をいたしましたり、そういうことをやっていきたいと思っております。  なお、この事業につきましては、労働省からも研修事業費の一部助成を行っていただいているところでございます。  いずれにいたしましても、私どもこういう形でこれから本格的にこの熊本の第一号をもとにいたしまして、毎年六カ所ずつ、できれば五年間で三十カ所ぐらい全国に展開をしていきたいと思っておりますけれども、やはり大事なことは、各地域におきまして地元の企業がいかに熱心に取り組んでいただけるかということが、所期の目的を達成するためにも大変重要な点ではないかというふうに考えている次第でございます。そういう観点からも、ぜひとも先生方にもよろしく御指導賜ればというふうに思います。
  159. 守住有信

    守住有信君 それで、全国ですけれども、地域にプログラマー養成の電子専門学校がいろいろございますが、この第三セクターのセンターの出資者に三百万円でも五百万円でもいいからみんな入ってほしい、それらプログラマーがいずれシステムエンジニアで成長していくんだというようなことで入ってもらいましてそこはうまくいっておりますが。  あと、経営者が気にしておりますのは、株式会社でございますから成果を上げにゃいかぬ、ただ人材養成だけではだめで、授業料だけでは大したことになりませんので、やはり研修や技能向上と同時に、東京、大阪等の新しいシステム開発のプログラムをそこで受託していかないと、これは赤字続きの会社になっていくんじゃないかということでございます。  こういう不安を社長、役員あたりからあのころ私はちらちらと聞いたことがあるわけでございま すので、このあとのお守りと申しますか、第三セクターといえども株式会社でございますから、そこらのところ、実はソフトの発注者というのは東京中心にあるわけで、地方ではほとんどないわけでございますから、そこらの誘導、指導というのをこれからどうやっていきゃいいのかというふうなこと。  幸い、私が申し上げましたように、大手の三社は同じ地域に来ておりますから、そこの下請か何か知りませんけれども、受託はあり得るだろう。そういうことに対して通産省は、その会社が成り立っていくような、技能の向上のカリキュラムその他はいろいろ御努力でございますが、そこらあたりをどうおとらえになっているのだろうか。これが一つでございます。
  160. 熊野英昭

    説明員(熊野英昭君) 先ほども説明申し上げましたように、この地域ソフトウエアセンターでの支援の対象としております事業は、地域におけるシステムエンジニア育成のための研修事業と、それから、研修により育成された人材の方たちがいろいろ実践的にそれを使っていくための施設をお貸しするといったものが中心になっておりますけれども、ただいま御指摘のありましたようないろんな仕事を受託するようなことにつきまして、それ自体は株式会社でございますから、いろいろそれぞれ御努力をされる過程でまた私どもにもいろんな御相談がありましたら、可能な限りでお手伝いをしていくようなことを私どもといたしましても検討をしてまいりたいと思いますし、また御相談をちょうだいしたいと思います。それにあわせていろんな知恵を出してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  161. 守住有信

    守住有信君 最後でございますけれども、おかげさまで南九州の中小企業大学校の人吉分校というのが、去年の末、予算で基礎調査費でございますか、これがついたわけでございます。したがいまして、南九州でございますから、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県を念頭に置いた中小企業の分校でございますけれども、これは新しく土地造成をやるとか埋め立てするとかじゃございませんで、人吉も盆地の中で歴史ある土地ですが人口が減っておる、こういうところでございますから、横にもすぐ工業団地があるわけでございますので、より早く本予算といいますか、建物の整備等々、これを真っ先に来年度取り組んでほしい。  私は、これは一熊本じゃございません、鹿児島も宮崎も沖縄も南九州の外れでございます。沖縄なんか思うと本当にそう思いますので、そういう問題意識でおりますものですから、そこらあたりについて、この中小企業大学校、地方振興、おくれた南九州でございますので、ひとつそのお取り組みについて大臣のお考え方を、今度の十二月で勝負だろうと思っておりますので、お願いを申し上げる次第でございます。
  162. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) きょうはまた多岐にわたって守住委員からいろいろとレクチャーを賜りました。本当に感謝にたえません。  私ども先ほどから聞いておりまして、大店法、商積づくりの問題あるいは駐車場の問題、はたまたテクノポリスの問題、あるいは今一番問題になっておりますのは、何といいましても一極集中主義的なこの東京都というものだけでやってはならない、地方分散型で、多極分散型でいくべきであるということで、それをあえてまた委員地元の例まで挙げてお話しになられました。私どもはそういう意味において、あらゆる形において、頭脳立地法も通ったことでもございますし、あるいは大店法も通ったことでございますから、地方の活性化こそが日本のある意味における大きな進展につながっていくんだと、こういう意識の中で考えていきたいと思っております。  そういう意味におきましては、先ほど委員が御指摘のとおりに、せっかくそういう形で一つの私どもが計画をつくったにせよ、それはむだになってはいけない。また同時に、それが効率のいいもので地元住民のためにもなるし、またこちらから移転していった大きな工業立地の場合におきましても、その移転していった工場が何とつまらぬところに来たかというような印象も与えてはいけない。同時に、地元の繁栄にもつながらなきゃならない。バランスのとれた、調和のとれた、すなわち今のはやり言葉でハーモナイゼーションと申しましょうか、そういう形でもって考えていくのが私どもが一番基本的に考えていかなきゃならない理念だと思っております。  その意味におきまして、先ほど熊野局長も答えましたし鈴木局長も相次いで答えておりましたように、私ども通産省は今や許可権を持つ省というよりは頭脳立地の集積集団みたいなものでございまして、本当にそういう点ではありとあらゆる知恵を絞れというのは私も強く通産省の内部でも浸透させておるつもりでございますから、その点いろいろとまた熊本の問題のみならず、先ほど委員最後に御指摘の沖縄に至るまで、どうかそういう点でどんどんプロポーズしていただきまして、そしてこのような形でお互いに知恵を絞り合って、シェアし合ってお互いの繁栄の道につなげていこうではないか、こういう形をぜひともとっていこうというのが私ども基本方針であることも最後に申し添えておきたいと思う次第でございます。  至らぬところは諸先生方に補っていただきまして、そして頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思っております。
  163. 守住有信

    守住有信君 大変ありがとうございました。  ちょっとつけ加えさせていただきますが、中小企業大学校、これは前から申し上げておりますが、カリキュラムの問題です。直方は産炭地で精密工業その他でございますが、南九州はやっぱり農業と水産業でございます。林業も含みます。したがって、その大学校のカリキュラムについては、これは農業そのものは農水省ですが、あるいは農業大学校、バイオ研究所その他ですが、その農林水産の加工業でございますね。そしてまたその流通、そこに関係する中小企業が非常に多いというわけでございますし、期待はまたそこにあるわけでございますので、やっぱり南九州――沖縄も含めた南九州らしい中小企業大学校の分校としてのカリキュラムなり先生方なり、これは人間の問題でございますので、ハードは予算さえつけばばっとこれはできるわけですけれども、中身の方を早目に十分南九州の中小企業にぴたっと合うような、特にその特徴が持てるような人吉分校にしていただきたいということを最後にお願いを申し上げまして、終わります。
  164. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は、きょうは少々地味な問題ですが、消費者保護の問題についてお伺いしたいと思います。  消費者保護といっても非常に範囲は広いのですが、主として製造物責任法、いわゆるPL法の制定問題についてお伺いします。  御承知のとおり昭和四十三年に消費者保護基本法というものが制定されたわけですが、その後消費者の保護は、法が考えているように、順調にいっているのかどうかということが非常に懸念されるわけです。消費者保護の問題としていろいろ考えられるでしょうけれども、やはり商品の欠陥による拡大損害についての救済ということから企業の無過失責任を考えるPL法の問題が不可欠だと思います。企業の拡大損害に対する救済の問題ということになると、実際にはどのように商品の欠陥があり、それによって被害が発生しているかというふうな実態調査的な側面の問題が非常に重要だろうと思います。  ちょっと話は飛ぶんですが、経済企画庁の所管に属する特殊法人としての国民生活センターについて最初にお伺いしたいと思います。  御承知のとおり、国民生活センターは昭和四十五年十月一日に国民生活センター法に基づいて設立された特殊法人でありますが、目的としては国民生活の安定及び向上に寄与するため、国民生活に関する情報の提供、調査研究を行うというふうなことが目的になっています。きょうはセンターの理事長さんにお見えいただいておりますので、センターの事業の概要を申し述べてください。
  165. 喜多村治雄

    参考人喜多村治雄君) 国民生活センターは、 国民生活センター法に基づきまして、普及啓発事業、相談、危害情報事業、情報管理事業、調査研究事業、商品テスト事業、教育研修事業の六つの事業を行っております。
  166. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 いろいろお仕事の中で私が特にこのPL法の問題に関連してお伺いしたいのは危害情報に関する業務、これについてセンターでの調査の方法だとか調査した内容であるとかあるいは危害の傾向であるとか、このような問題について、例えば平成年度で結構ですが、大まかな説明をいただきたいと思います。
  167. 喜多村治雄

    参考人喜多村治雄君) 国民生活センターでは全国約三百に上ります地方のセンター――消費者センター、生活センター等名称はいろいろございますけれども、地域のセンター並びに全国八病院の協力を得まして危害情報を収集いたしております。  平成年度におきます危害情報の収集件数でございますけれども、地域の消費生活センターから上がってまいりましたものが二千七百七十件、それから病院から上がってまいりましたものが三千五百八十件、合計いたしまして六千三百五十件でございます。  危害内容を平成年度について申しますというと、消費生活センター情報では化粧品、それから美容のサービス、健康食品などによります皮膚障害が極めて多いということでございますし、また病院の情報では階段、自転車そういうものの事故による打撲傷あるいは化粧品によります皮膚障害が上位を占めておる、こういう状況でございます。
  168. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 問題は、全国の各消費センターでそういうふうに相談を受けていろいろ調査することは結構なんですが、そういうふうにして集めた情報を事故再発防止のためにどのように情報提供し、利用しているか、その点についてはどうでしょう。
  169. 喜多村治雄

    参考人喜多村治雄君) 危害情報システムの目的は、先生指摘のとおり商品サービス関連事故の発生を未然に防止いたしまして、そして拡大を最小限にとどめるというところにございます。商品サービスに関連いたしました事故の原因がそれ自体の欠陥によります場合、我々は調査、テスト結果などをもとにいたしまして、マスコミを通じて一般消費者に注意情報を出しております。あるいは事業者に対しましては商品改善、表示の改善など要望を行います。あるいは必要に応じましては、その関係省庁に当該企業に対する指導をお願い申し上げたり、さらには安全基準の策定あるいは関連法規の見直しなどにつきまして要望をいたしておるところでございます。  最近、行政機関等に改善要請をいたしましたものを一つ二つ挙げさせていただきますというと、スクラブ剤が入りました洗顔料がございますが、それに対しまして厚生省そのほか、公園等に設置されております遊具、それに対しまして建設省そのほかにお願い申し上げた次第でございます。
  170. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そのように集まった情報を再発防止のためにいろいろ利用しておられるという中で、私が特に問題にしたいのは、行政に対する提供というか連絡というか、これが現在どのようにきちんとやるようにされているのか、適当にやっているだけだとせっかく集まった情報が行政を通じて基準の設定とか、あるいは監督というところにうまく作用していかないわけです。この辺については、行政と対応することに関してうまく連絡というか規則的に、規則というか規範ですね、どういうふうに決まっているんでしょうか。
  171. 喜多村治雄

    参考人喜多村治雄君) 国民生活センターの監督官庁は経済企画庁でございます。経済企画庁消費者保護基本法に基づきますいろいろの消費者保護政策を打ち出しておられるわけでございますけれども、その中に関係課長会議でありますとかいろんな会議がございますので、私どもはその監督下にありますセンターでございますので、企画庁を通じて関係省庁に流すという手だてを持っております。
  172. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、私の質問通告の際の説明によっても、今の説明によっても、こういうものを行政の対応を求めるために定期的にきちんと報告するように、というふうなことが規則的には何ら規定されてない。  企画庁長官、このセンター法の二十九条には企画庁長官のセンターに対する監督権がある。そして、監督によって種々命令する権限もある。そうすると、もう少し定期的にきちんとセンターから報告を求め、その求めた報告をまた所管の行政機関に直接連絡し、その処置の追跡等も行うというふうなことについての経済企画庁長官としての規則的な整備をお考えにはなりませんか、いかがでしょう。
  173. 加藤雅

    説明員(加藤雅君) お答え申し上げます。  先ほど理事長からもお答え申しましたように、私ども国民生活センターとは常時連絡をとっておりまして、ただし問題になる商品というのは規則的に出てくるわけでは必ずしもございませんので、その商品が出てまいりました場合には、私ども常時どういう情報が入っておるかということは、実は国民生活センターとはコンピューターを通じてつながっておりますので、そのコンピューターを見ておりまして、ある程度の数の情報が入ってまいりますと、それは問題ではないかということで、まず分析をやってもらうということをやります。この分析の結果、ある所定の手続をとる必要があるというふうに判断した場合には、先ほど申しましたように毎月行政庁と連絡会をやっておりますので、その連絡会のところでまずお願いをして、措置をとっていただくというふうに処置をしている次第でございます。
  174. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 いずれにせよ、せっかく全国の消費センターから集めたそういう情報が再発防止のために有効に生かされるようなことを考えておいていただきたいと思います。  もう一点、センターについてお伺いしたいのは、センターの会計というか経理の問題なんです。センターの運営経費は、一口に言えば、一般会計からの交付金によって賄われています。センターにお伺いしたいのは、一般会計からの交付金が設立当初から今日までどのような金額的な傾向になっているのか、またそれが歳出予算全体の中に占める比率はどんなぐあいになっているのか、お伺いしたいと思います。
  175. 喜多村治雄

    参考人喜多村治雄君) 国民生活センターの交付金は、昭和四十六年、これは設立いたしました翌年度でございますが、昭和四十六年度の四億二千万円から以降増加を続けておりまして、五十七年度に二十億九千万円となりました。それ以降減少いたしまして、平成年度では十九億三千万円となっております。これは一般会計歳出予算総額との比較でございますけれども、それに対する比率は、昭和四十六年度、これもちょっと数字が細こうございますので百万分比で申し上げますと、百万分の四十四・七に対しまして平成年度は百万分の二十七・五と半分程度に落ちておる、こういうことでございます。
  176. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、交付金金額的には一番多かったのは昭和五十七年の二十億九千万円。ずっと二十億だ、十九億だという金額が続いてきて、平成年度も十九億三千三百万円と金額的にはこう来ているけれども金額が同じでも二十年前の金額と同じ金額だったら、金額はどんどん実質的には下がっているんです。ですから、一番率がよかった昭和四十七年度だったら、四十七年度の一般歳出に占める交付金の割合に対して現在はもう四割しかいっていないんです。この四割しかいっていない、しかもこの交付金が人件費と事業費に大別される。人件費の方は二十年前と同じというわけにはいきませんから人件費の方だけはどんどんふえていって、事業費の方はその分だけどんどん圧迫されていく。事業費についてどういう傾向になっておりますか。
  177. 喜多村治雄

    参考人喜多村治雄君) 私どものセンターの事業費の額は、昭和四十六年度の一億七千万から五十七年度には九億七千万へと増加いたしました。が、平成年度は七億三千万円となっております。これの一般会計歳出予算総額に対します比率を念のために申し上げますというと、昭和四十七年度 百万分の三十二・五に対しまして、平成年度は百万分の十・四、三分の一に低下しております。
  178. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 経済企画庁長官に申し上げたいんです。  要するに、金額はそんなに変わってないように見えるんですが、実質的なセンター事業に占める金は、比率的にいえばまず交付金自体が四割にダウンしている。しかも、そのダウンしている交付金の中で今度は事業費の占める割合は三割に減っているんです。ですから、一般会計全体に対する比率として見れば一割の仕事しかしていないんです。ですから、金額が同じだから去年と同じだというわけにはいかない。  この辺について、センターが消費者被害救済のためのいろんな調査だとかあるいは相談を受けるとか、実際にもう少し業務ができるような形での事業費の予算というものについて、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  179. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) いろいろこの国民生活センターにつきまして、大変力強い御支援をいただいておりまして、ありがとうございます。  ただ、今理事長から御説明いたしましたように、実額でいささか下がっております。これはもう先生御存じのとおり、昭和五十九年度、六十年度の予算のころにマイナスシーリングが一般会計全体にかかりまして、ここのセンターだけが減ったわけではなくて行政部費全般にかかった次第でございます。  他方、一般会計の歳出の方は既に七十兆になっておりますが、この多くの部分は国債費が十兆を超しております。地方交付税交付金も十兆を超しております。社会保障費も十兆を超しております。こうした大口がふえたためでございますので、この交付金と一般歳出全体七十兆分の幾らかという比率で事を論ずるのは、私どもとしてはちょっと、何と申しますか、勘弁していただきたいと申しますかそういう感じでございまして、実額で実は作業をする方のお金が一番多かったころで大体十一億ぐらい、今は七億数千万ぐらい。確かにその分、人件費が膨らんでいきますから、人件費の方にも、食われておりますのでそれを心配いたしまして、既にこの平成年度におきましては、出資金という格好でございますが、本予算で二億一千二百万円新たに追加計上をいたしまして、本予算でですね、これが約十七点ぐらいのいろいろな機械の購入をいたしております。本来ならば、通常の経費の中で順次そうしたものを買いかえていくというのが一つの方法だったかと思いますけれども、到底それが不可能な状況でございましたものですから、昭和四十五年の発足以来約二十年たっております。もちろん、テストセンターは途中でできたものでございますけれども、その機械等もかなり古くなっておりますので、二億一千万を追加計上いたしまして大体年内に全部機械はできるわけでございます。  こうした配慮をいたしました結果を踏まえて、平成年度の予算編成についても、このセンターに対する格段の配慮を求めるべく、現在事務折衝をさせていただいているところでございます。
  180. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 確かに、今長官が言われたように、一般歳出と直ちに比較してというのは、一つの考え方なんです。ただ問題は、消費者というのは、株をやって損失が出たら補てんしてもらえるような立場にないわけなんです。あるいは業界としてまとまって、東京ドームに五万人全国で集まっていろいろ政治的要求をするというふうな立場にもないわけです。一口に言えば、消費者というのは海岸の砂のようにまとまりがなくて、常に割を食って生きているそういう立場の消費者、しかも欠陥商品による被害をどうやって救済しようかということについて、消費者国民と直接の接点を持っているのはこの国民生活センター及び地域の消費生活センターだけなんです。その予算をどんどんどんどん減らして、人間の方は給料を減らすわけにはいかぬから給料は上がっていく。実際のするべき仕事は銭がなくてできないというふうなありようでは、消費者保護基本法なんというものを四十三年につくったけれども、ほとんど大切にしているというふうには見えない。長官がおっしゃるのも私はわかるけれども、もう少し予算を実質的にふやすということで、もっと努力していただきたいと思います。  次に、PL法に関して通産省にお伺いします。  皆さん御承知のとおり、この六月六日に日本経済新聞で、通産省が製造物責任法案づくりに着手したというふうな報道がなされました。いよいよ通産省もPL法をつくることになったかとこう思ったら、五日後の六月十一日になると、通産省は製造物責任の法制化は当面考えずなんというような記事が出てきて、ぬか喜びになったんです。この新聞報道についての経緯を説明していただきたいと思います。
  181. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 確かに、六月の六日の報道では、通産省はPL法の法案作成に着手するということでございました。また、十一日の報道では、これが非常に消極的であるというふうに報じられたわけでございます。  この製造物責任の問題は、私どもも非常に重要かつ問題の及ぶ範囲が広範な問題であるというふうに認識をいたしておりまして、当然通産省の中でもいろんな議論が行われております。私どもの中では自由濶達にいろんな角度から議論をするということでやっておるわけでございます。六月六日の報道はそのようないろいろ行われておる中の一部の点が非常に強調されて行われたというふうに思われまして、まだ私どもの内部ではここに報道されているように明確に法制化をするとかいうようなことの結論に達しているわけではございませんで、いろんな角度から検討をしておると、かつこの問題の深さを考えると、もっといろんな研究が必要であるという状態でございます。したがいまして、どうももう少しそのような事態を正確に外にお伝えした方がいいのではないかというようなこともありまして、若干私どもの幹部がそのような状況をお話ししたというのが六月十一日の報道になっておるということでございます。  したがいまして今の段階で、私どもは法制化するとかしないとかというような方針を決定したということではないわけでございます。
  182. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 結局この新聞報道は、法案づくりに着手したとか当面考えずとかというこの新聞報道のもとになっているのは、通産省で委託をして検討してもらっていた製品安全対策研究会の報告書に基づいて、こういう報道がなされたというふうに報道の内容を見ますと書いてあります。この研究会の報告書は、PL法の制定に関しどのように報告をまとめているかということについて、通産省としてはどのように把握しているんでしょうか。
  183. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) この日本産業協会の製品安全対策研究会報告の内容は、広範な分野に及んでおりますけれども、狭義の意味のいわゆるPLの法律、制度というような問題につきましては、これもいろんな点を指摘しておりますけれども、製品の欠陥、これをどのような考え方で概念として確立するのか、あるいはその場合の責任の内容あるいは責任期間、責任主体の範囲、こういうような問題について、この研究会でも消費者あるいは産業界の方々が一堂に会して議論をいたしたわけでありますけれども、おのおの主張にまだ隔たりもありますし、また現状についての認識についても隔たりがあるということでございます。さらに、そのような議論の前提となります現状の被害及びその救済の実態、これにつきましてももっと分析あるいは実態の把握に努める必要があるということでございます。さらに視野を広げますと、製品安全対策というのは未然防止あるいは再発防止というような点も含めて、総合的な点で考えていくべしというような点でございます。
  184. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それで結局、結論はどうなんですか。この報告書は、PL法を早期に制定するべきだという報告内容になっているとお読みになったのか、それともそうじゃなくて、まだこれは全然やるかやらぬかとか、そういう検討課題が多過ぎるからまた将来の課題だというふうに書いてあるというふうにお考えになったのかどっちなのか、 その結論はどっちかと簡単に言ってもらえばいい。
  185. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) この報告書では今申し上げましたようにいろんな論点を網羅的に整理しておるということでございまして、この結論が法案を早期に導入するとかしないとかということには及んでいないというふうに認識いたしております。
  186. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 時間がないので、申しわけありませんが、通産大臣としては、この報告書あるいは報告書を別にしても、このPL法の制定について概括的にどんなようなことをお考えなのか、御意見をお伺いしたいと思います。
  187. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 消費者保護の推進につきましては通産省としましても、国民生活のゆとりと豊かさを実現するという上で、重要な政策課題だと考えております。  これまでも種々の事故防止対策あるいは被害救済対策というものを講じてきたところではございますが、製造物責任制度というものにつきましては消費者保護の充実に資するものであると認識しておりまして、検討に当りましては米国における制度の行き過ぎへの反省等諸外国の動向、中小企業や下請企業あるいは流通業者等に与える影響等を含む社会経済活動への影響なども十分勘案していかなければならないと、このように認識をしておる次第でございます。  したがいまして、通産省としましては、まず製品事故と被害救済の実態を十分に把握しなければならない、そして製造物責任制度にかかわる課題を総合的な観点から十分に検討していくことが必要でございまして、その上に立って国民的コンセンサスが得られることが極めて重要であると、このように認識いたすものでございます。  以上です。
  188. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 通産省、いろいろありがとうございました。  あと、経企庁にお伺いします。  経企庁に属する国民生活審議会においてPL法に関して昭和五十年、五十一年、五十六年に審議の結果の提言がなされています。これの要点を言ってください。
  189. 加藤雅

    説明員(加藤雅君) お答え申し上げます。  今三回にわたって国民生活審議会から御報告をいただいております。その要点は四つございまして、一つは消費生活センター等の充実強化をすべきである、これは先ほど御指摘がございました。それから二番目は、企業における消費者対応窓口をもっと整備充実すべきである。それから三番目は、被害情報等の情報収集、提供システムをもっと整備充実すべきである。四番目に、製造物責任についての立法的解決に向けての努力を行うべきである。  以上の四点であるというふうに理解しております。
  190. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 このそれぞれの提言に対して、企画庁としてはどのように対応してきたのでしょうか。
  191. 加藤雅

    説明員(加藤雅君) 消費生活センターにつきましては、企画庁といたしましてその設置及び運営に対して助成を行っております。  なお、消費生活センターの整備状況でございますが、昭和五十年度の百五十六カ所が現在は二百八十八カ所ということで約倍になっております。それから、企業の相談窓口でございますが、これは企業において設置されたわけでございますが、四十七年の八十カ所と申しますか、八十の窓口が六十三年には約八百五十と、これは約十倍以上になっております。  なお、この設置窓口の方々を集めまして消費者関連専門家会議、ACAPというふうに俗称しておりますが、こういう窓口の方を集めました会議、これは昭和五十五年に任意団体で発足したわけでございます。私の方で六十年五月に社団法人として認可をいたしまして、現在このACAPの方々にお集まりいただきましてこの方々の連絡会と申しますか、そういうような形で私どもの方で毎月御指導をさせていただいております。  それから三番目に、被害情報収集システムでございますが、この消費生活センターにコンピューターを置いておりますのと、それと別にこの被害情報収集システムに病院を追加しております。先ほど三千五百件という数字を申し上げましたが、この病院の方からも情報を収集するようにいたしました。これは昭和五十三年でございます。それから、先ほどの国民生活センターにパイオネットというコンピューターの端末を全国各地に置きまして瞬時に情報が入ってくるようなシステムを設けまして、これは昭和五十九年でございますが、それの予算措置を行ってまいったところでございます。  なお、PL法に関しましては、大変難しい問題がございまして現在も検討を続けておるわけでございますが、昭和六十一年度から六十三年度まで毎年いろいろな調査を行っておりまして、その調査の結果として、例えば企業がPLについてどういうふうにお考えであるか、あるいは今までのPLについてどういう判例があって、どういうような結果が出ておるかというふうなことを調べたところでございます。  そのほか、各省でも対応されておりますが、それは省略させていただきます。
  192. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今、手元の資料を探しているんですが、五十年、五十一年、五十六年の審議の結果の書面がちょっと手元にないのであれなんですが、これはもう国民生活審議会では五十年の時点において製造物責任法の導入、制定が必要である、検討するべきであると昭和五十年に出ている。今書面がちょっとないので文章をそのとおり読めませんけれども、私はちゃんと読んでおる。五十一年も同じなんです。五十六年も同じなんです。要するに、五十一年と五十六年はニュアンスはちょっと違うけれども、それにしても製造物責任法の制定が必要であるということを五十年から言っているんです。  これに対して、経企庁はどれだけの対応をしたのか。今あなたがいろいろおっしゃっていましたけれども、要するに直接的にPL法を制定せよと言っている、導入せよと言っているこの国民生活審議会の五十年からの提言は十五年間無視されている。そうじゃありませんか。    〔理事千葉景子君退席、理事会田長栄君着席〕
  193. 加藤雅

    説明員(加藤雅君) 五十年のときの答申でも、答申といいますか御報告でも「実体法・手続法を改正することが必要である」というような文言は確かにございます。  ただし、私どももそういうことは十分意識をいたしましていろいろ内部で検討を重ねてまいったところでございますけれども、何分にも先ほどから繰り返してお話をしておりますように、非常に関係される方が多岐にわたりまして、特に私ども非常に困難だと思っておりますのは中小企業の方でございますが、そういう方々に対する影響というのも非常に重要でございますので、なかなか答申をいただいたからすぐ法制定というような段階に至っておりません。  その点は御指摘のとおりでございますが、問題の重要性にかんがみまして、実はきょう現在この時間にも国民生活審議会の消費者政策部会を開きまして、そこで非常に各方面から熱心な御議論をいただいているところでございます。
  194. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 時間がありませんので余り申し上げられませんけれども、ともかく国民生活審議会は経済企面庁に属している審議会なんです。そこで製造物責任法を導入せよと昭和五十年から言っているのに、十五年たってもまだ全然影も形もない。しかも、影も形もないだけならいいんですが、製造物責任法を導入するためにはいろいろ調査しなければならないものがいっぱいあるんです。実態調査をしなければならない面がいっぱいある。  結局、経企庁としてこの制定に向けての実態調査的なことはどの程度おやりになったのか。時間がないから私の方から申し上げますけれども、例えば損害賠償訴訟について、訴訟が非常に多発するとか訴訟の賠償金額が高くなるとか、アメリカにおいては訴訟が非常に多くて企業も倒産に追い 込まれているとかどうとか、いろんな問題がある。日本においてこのPL法つくったらそういうふうになるのかならないのかというふうなことをどの程度検討されましたか。  あるいは、今度は企業がそれだけの損害賠償ができない、それじゃ保険によってカバーしようといったら、現在の製造物に関する責任保険の運用状況についてどの程度調査しているのか。現在の責任保険において保険料あるいは保険金額においてもほとんど問題ないんです。これがPL法ができたからといってどれだけ変わるか、可能性があるかどうか、どの程度調査しているのか。あるいは、この保険について政府の再保険についてはどうなんだろうか。いろんな実態をどれだけ調査しているのか。  輸入品の欠陥についても、まさか日本の消費者がアメリカの製造業者に損害賠償させるなんということはできやしない。そうしたら輸入業者を製造者に準ずる者として、流通業者あるいは販売業者を直接の相手方として損害賠償できるような制度をつくらなかったら、これだけ国際間における物資の流通がある中で輸入品についてのしりの持っていきようもないじゃないかとか、それをどうするかとか。あるいは、同じ商品が日本の場合にはPL法がないから安くて構わぬけれども、輸出品についてはアメリカの方に保険を掛けていかなきゃならぬ。その保険料はだれが負担するのか。結局日本国内の消費者がアメリカの商品に対する保険料を負担する。人のうちの保険料を日本の消費者負担する。こんなことが公平かどうかとか、いろいろあるでしょう。  あるいは、少額多数の訴訟についての集団訴訟の問題はどうなんだろうか。あるいはまた、企業の企業情報を、訴訟にいかぬまでに、あるいは訴訟において、どのように開示させることがどうかとか、いろんな問題がいっぱいあるんです。  それについてどれだけの調査しているか。実態調査も含め、あるいは諸外国の調査を含め、どれだけ昭和五十年から調査しているんだ。十五年たっている。何やっているんですか。どういう調査やりましたか。私の時間はあと二分しかないから、一分だけで答えてください。
  195. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) ただいま猪熊先生から大変詳しい、また大変厳しいおしかりをいただきまして、確かに昭和五十年から問題になっておりまして、当時我妻栄先生からそのような法案の骨子と申しますか、御提案もございました。現在それを含めまして六つの案が御党を含めまして出ております。  私どもとしましては、従来のことについて手ぬるいとおっしゃられればおわび申し上げる以外ございませんが、第十三次国民生活審議会が昨年暮れに発足しましたときに、前の第十二次審議会の答申の中に立法を含めて検討をせよと、従来にない厳しい御指示をいただいておりますので、直ちに二月にこの小委員会を発足させまして、二十二名、名古屋大学の森嶌教授を座長としまして始めました。今先生の御指摘のようなことを既に今日まで七回その委員会を開いてやっておりますが、いつまでということは、自主的にやっていただいておりますものですから申し上げられませんが、今御指摘の分を含めまして大体この秋ごろには一つの中間的な報告のところまでまとめたいということで、本当に大変な御努力をいただいております。なお、その委員会には大学の先生方が約三分の一、消費者団体の代表の方が約三分の一、それからメーカー側の方が三分の一、なおこれは通産省所管のものもございますけれども、薬品等もかなり先ほど来の話に出ておりますように化粧品その他もございますものですから、そういう方々を含めて入れまして、何とか立法化の方向で一生懸念努力いたしておりますので、ひとつ御了承いただきたいと思っております。
  196. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、消費者保護の主務官庁だということを考えて、十五年もおくれた分を取り戻すためにうんと頑張ってください。  終わり。    〔理事会田長栄君退席、委員長着席〕
  197. 諫山博

    ○諫山博君 雲仙・普賢岳火山災害について通産大臣に一点だけ質問します。  激甚災の指定をしてもらいたい、これは現地の被災者の一貫した非常に大きな要求です。ところが、政府側ではかけ声は聞こえますけれども、具体的な動きが見られません。どうして激甚災の指定が進んでいないのか。関係省庁に聞きますと、直接被害がそれほど深刻ではない、あるいは被災地に立ち入ることができないので直接被害を把握しにくい、こういうふうに聞きました。直接被害に比べて間接被害が大きいというのは火山災害の共通の特色です。水害の場合ですと家が流れる、家財道具が汚染される。つまり、直接的な被害が非常に多い反面では、営業損失などは短期間で終わりますから比較的少ない。これが水害です。火山災害の場合は状況が変わります。直接被害はそれほど大きくなくても間接被害が非常に大きくなる。例えばたくさんの住民が避難する、あるいは観光客の足が遠のく、集落全体がもう死の町のような状況になってしまう、これが水害とは違う火山災害の特色だと思います。  島原市の商店街の代表に聞きますと、島原市内の商店の売り上げというのは八〇%から九〇%減少した、こういう声を聞きます。長崎県の東京事務所の資料がありますけれども、島原市小浜温泉、雲仙温泉では六月二十六日現在で観光客のキャンセルが二十五万六千人、その中の十四万人は雲仙温泉だと言われております。間接被害が極めて大きいというのは今度の火山災害の大きな特色です。私は、被災地の直接被害をできる限り速やかに把握する、どうしても避難地域に入れないために把握が困難だったら、とにかく概算によって直接被害をつかむ、そして激甚災の指定をしていただく、これが一番筋だと思います。  しかし、もう一つ考えなければならないのは松代、有珠山の前例です。このときは、直接被害だけではなかなか激甚災の指定になりませんでしたけれども、間接被害が非常に大きいというので激甚災並みの取り扱いをするということが決まりました。国会での審議を読んでみますと、商店の売り上げ減による被害が激甚災指定の要件と同じぐらい深刻である、これは間接被害でしたけれども、とにかく激甚災指定の要件に当たるぐらい間接被害が大きい場合は激甚災に準じた取り扱いをしよう、実際にそういう処理がされました。私たちは、今必要なのは、現行法の積極的な活用あるいは弾力的な運用だと思っております。  そこで、通産大臣に要望ですけれども、もちろん激甚災の指定は通産大臣だけの権限ではありません。しかし、今一番大きな被害を受けているのは農民と中小零細業者です。売り上げ減あるいは観光客の減少によってはかり知れない間接被害が出ておりますから、松代あるいは有珠山の例に倣って、激甚災の指定がおくれるようであればそれに準じた処理をやってもらいたい。ぜひ中小零細業を担当している通産大臣としてこの問題が速やかに実現できるように積極的に行動していただきたいということを要望いたします。答弁、いかがでしょう。
  198. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 委員指摘のとおり、今回の災害によりまして、事業所の損壊等全く直接的な被害だけではございませんで、いわゆる間接被害が相当に生じておる。これによりまして中小企業者の方々が大変に困難な状況に置かれているということは、十分に認識しておる次第でございます。  現在、県に対しましても間接被害を含めた被害状況の精査をお願いしているところでございまして、その結果を踏まえまして、関係省庁とも極めて密接に相談の上、これら中小企業者の実情に応じたできる限りの対応を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  199. 諫山博

    ○諫山博君 次に、野村証券、日興証券など大手証券会社による株損失の補てんと暴力団への多額融資、この問題について質問します。  一般投資者の犠牲の上に一部の大企業の利益だけを擁護するのはけしからぬ、こういう声が上がっています。NTTの株を買って損をした主婦 の怒りに満ちた投書も新聞に発表されました。外国でもこれは大問題です。  イギリスの証券・先物委員会(SFA)は次のように報道しています。麻薬取引などにかかわる不正な資金のマネーロンダリングに銀行や証券会社が利用されないよう各国政府や業界が協力し合っているときに、よりによって暴力団関係者の後押しをしていたとすれば信じられないことである。これはイギリスの新聞の報道で、同様の報道は各国の新聞にあらわれています。  大蔵省が一九八九年十二月二十六日付で日本証券業協会会長あてに通達を出しました。そのときに、大蔵省は損失補てんの実情について各会社の報告を求めています。大蔵省の私に対する説明によりますと、野村証券の自己否認による損失補てん百六十億円などと報道されている内容はこのときの報告に含まれている、こういうことです。  そこで、損失補てんをした会社の数は幾らか、損失補てんを受けた顧客の数はどれだけか、補てんの総額は幾らになるのか、この点を大蔵省から説明していただきます。
  200. 堀田隆夫

    説明員(堀田隆夫君) お答え申し上げます。  いわゆる自主報告額あるいは自主報告の内容につきましては、行政指導により各社から自主的に点検して出してもらったというものでございますので、当局として公表することは従来から差し控えさせていただいているところでございます。
  201. 諫山博

    ○諫山博君 証券会社のスキャンダルをやみからやみに葬り去るということがずっと行われておりますけれども、これが今度の大事件を引き起こした背景だというのは、もう国民の一致した見解です。数字説明しないというのは全く不当です。大蔵省のやっていることに国会はとやかく言うなという態度ではありませんか。  きょうの読売新聞によりますと、この問題で海部首相は今月十一日に開かれる日米首脳会談でブッシュ大統領に釈明する、こういう報道があります。アメリカには釈明するけれども日本の国会には説明をしない、これは本末転倒です。この大蔵省の態度がいかに不当であるかということは午前中でも取り上げられましたけれども、私が答弁を求めた三点について大蔵省が数字だけは明らかにするように、ぜひ委員長からも要求していただきたいと思います。これは委員長に対するお願いです。
  202. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この件につきましては、改めて理事会で協議することになっておりますので、御了承をいただきたいと思います。  なお、委員長としてつけ加えておきますと、この案件につきましては一九八九年、九〇年、つまり六十三年度決算平成年度決算、それぞれ直接関係をいたしておりますから、正確を期すためにも今提起をされたことは午前中の会田委員質問との問題を含め理事会で協議をしたらどうかと、こう思っておりますので、そのようにひとつ御了承願います。
  203. 諫山博

    ○諫山博君 わかりました。  次の問題です。  大手証券会社による暴力団への融資、これがもう一つの大問題です。稲川会の石井前会長が東急株購入のために野村、日興両証券から多額の融資を受けた。これが報道されていますけれども、融資の実態は次のとおりです。一九八九年十月三十一日から十一月十四日までの間に野村ファイナンス、日興クレジットが五回にわたって合計二百五十億円を融資した、これが一致して報道されている内容です。そのほかに、日興クレジットからは一九九〇年四月十八日に五十一億円、五月一日に三十五億円、七日に二十億円が融資され、合計すると三百六十二億円になる、こう報道されています。  大蔵省に二点にわたって答弁を求めます。一つは、この事実に間違いはないのか。もう一つは、大蔵省は暴力団への高額融資はしないように行政指導をしていないのか。二点についてです。
  204. 堀田隆夫

    説明員(堀田隆夫君) お答え申し上げます。  野村証券及び日興証券が行いました暴力団との一連の取引につきましては、ただいま事実関係を調査しているところでございます。ただいままでに報告を受けましたところで申し上げますと、今先生からの御指摘ございましたけれども、野村証券の関係会社でございます野村ファイナンス、それから日興証券の関係社でございます日興クレジットが暴力団関係者に対して融資を行っているということは事実でございまして、そういう報告を受けているところでございます。  いずれにしましても、暴力団とこうした形で取引を行うということは、その証券市場なり証券会社に対する信頼回復が急務となっている今の状況でございますし、暴力団新法が制定されるのを初めといたしまして、暴力団活動を抑制する方向で社会的な取り組みが行われようという時期でございますので、極めて問題のある行為と考えておりまして、事実関係を把握した上で厳正に指導したいと考えております。
  205. 諫山博

    ○諫山博君 金額説明できませんか。
  206. 堀田隆夫

    説明員(堀田隆夫君) 融資の金額でございますけれども、野村証券の関係会社は総額百六十億円、日興証券の関係会社、先ほど申し上げました日興クレジット、野村の方は野村ファイナンスでございますけれども、日興証券の方は総額で日興クレジットから二百二億円融資しているという報告を受けております。
  207. 諫山博

    ○諫山博君 今度は警察庁に質問します。  株の損失補てんというのは、一般的に言うと、刑法上の背任あるいは商法上の特別背任に該当します。午前中の中平審議官説明によりますと、損失補てんの方法ですけれども、証券会社が自社所有の証券を安く売った、さらに顧客の所有する証券を高く買った、そして相手方にもうけをさせて株損失の補てんをした、こういうやり方が説明されました。わざと会社の株を、証券を安く売る。わざと相手方の株を高く買う。当然そこで差額が出てきますけれども、この差額を顧客に対して補てんする。会社側にはそれだけの損害を与える。これは会社の社員としての任務に背いて会社に損害を与える、あるいは第三者に利益を与える、まさに背任行為そのものだと思いますけれども、警察庁の見解はいかがですか。
  208. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 背任罪が成立するためには、委員御案内のとおり、刑法の二百四十七条であればその構成要件、あるいは商法の四百八十六条であれば特別背任についてその規定がございまして、その構成要件に当たる行為があるかどうかということがまさに問題になるわけでございますが、そういう問題につきましては、やはりその具体的な事実を十分に掌握した上でその正否を検討すべきことであります。  私どもといたしましては、今そうした犯罪が成立するかどうかということにつきましての具体的な事実を把握するに至っておりませんので、現段階では御答弁をいたしかねるというところでございます。
  209. 諫山博

    ○諫山博君 一般論として説明を求めますけれども、会社の社員がわざと会社の証券を安く売る、会社に損害を与える。一方では、わざと相手方の証券を高く買う、会社に損害を与える。一般論でいえば、これこそが背任罪の典型ではありませんか。一般論として、どうですか。
  210. 國松孝次

    説明員國松孝次君) もちろん、今御指摘のようなことが端的に証拠によって証明されれば、背任罪が成立するのではないかという疑いが出てくるのではないかというように思いますが、その他いろいろもろもろの条件を見ないと、全体としての犯罪が成立するかどうかは何とも言えないところではないかというように思います。
  211. 諫山博

    ○諫山博君 一般論として、私が説明したような行為が背任罪に当たるということはお認めになったと思います。もろもろの状況ということも言われましたけれども、背任罪になるかどうかの基本はこの点なんです。  そこで、株損失の補てんが証券取引法五十条との関係で問題になることは当然です。しかし、これは大蔵省の所管になります。同時に、この行為が犯罪行為だとすれば、これを所管するのは警察庁と検察庁です。今までも同じような損失補てん が何回か行われました。ところが、警察も検察庁も犯罪行為としてこれを見ようとはしなかったんですね。ここに非常に大きな問題があると思います。基本的にああいう行為が背任になることは警察庁として認められておりますから、ぜひこの問題を具体的に追及されることを要望して、次の問題に移ります。  法務省に質問です。  東京地方裁判所に被告人小谷光浩の恐喝事件が係属しています。この裁判で岩間カントリークラブ会員資格保証金預り証のことが問題になっております。私は東京地検の冒頭陳述書を読みましたけれども、この中に、右預り証を百七十五枚(額面合計七〇億円)について「ほとんど財産的価値のない」と書いています。東京地検の作成した冒頭陳述の中に、岩間カントリークラブ会員資格保証金預り証はほとんど財産的な価値がないと、記載されていますか。
  212. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) お尋ねの事件におきます検察官の冒頭陳述書中に「ほとんど財産的価値のない岩間カントリークラブ預り証」との記載があることは間違いございません。  ただし、一言申し上げますが、これはあくまでも検察官の事実認定の過程において検察官が立証しようとする事実に関する主張でございますので、裁判所でそのとおり認定されるかどうかはまた別問題でございます。
  213. 諫山博

    ○諫山博君 今の答弁は非常に重要だと思います。今問題は、裁判所がどう認定するかではないんです。捜査権を持っている検察庁がこの預り証は無価値だと認識している。これが問題なんです。ところが、ほとんど財産的価値のない預り証を野村証券、日興証券系列下の会社がそれぞれ二十億円で買い取ったと、これは午前中の答弁に出ております。しかも、それだけではなくて、これを担保に野村証券など十二社及び一個人で三百八十四億円の融資がなされた、こういうことも報道されています。  そこで、もう一つ法務省に説明を求めます。  昭和六十年四月三日の最高裁第二小法廷の決定で、金融機関が無担保であるいは十分な担保をとらずに貸し付けを実行すれば背任罪になる、こういう決定があるはずですけれども、間違いありませんか。
  214. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) お尋ねの事件における証拠関係から認定された事実に基づきまして、最高裁がそのような判断を示していることは事実でございます。  ただし、御指摘の判示部分の前には「貸付金の回収が危ぶまれる状態にあることを熟知しながら」というよう文言もございまして、いわゆる具体的事件についての具体的な判断であるというふうに考えております。
  215. 諫山博

    ○諫山博君 私は殊さら最高裁の決定を引用しましたけれども、最高裁をまつまでもなくわかり切ったことです。担保価値のないものを担保にとって何十億もの金を貸し付ける、こんなことが許されるはずはありません。ましていわんや、担保価値のない書類を受け取って二十億円の金を相手方に渡す。会社の社員がやればまさにこれは背任行為ではないですか。そういう立場で本件を捜査しているのかどうか、私は検察庁にお聞きします。
  216. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) 個々具体的な事件について捜査すべきか否かという点は捜査機関が判断すべき事項でありますので、法務当局としてはお答えしにくい、また現在捜査しているかどうかという点につきましても、これは捜査の秘密にわたる事項でございすので、そのいずれであるということもお答えいたしかねるということでございます。
  217. 諫山博

    ○諫山博君 具体的な事件としては説明されないようですから、一般論として、もう一度聞きます。  検察庁が無価値だと思っている書類を二十億円で会社の社員が買い取る、一般論として、これは典型的な背任ではありませんか。
  218. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) 一般論として申し上げますと、刑法上、他人のために事務を処理する者が自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的で任務に背いた行為をして本人に財産上の損害を加えたときは背任罪として、また商法上、会社の取締役等が自己または第三者を利し、または会社を害することを図ってその任務に背き、会社に財産上の損害を加えたときには特別背任罪として、いずれも処罰の対象になるのでありますが、お尋ねのような事例が以上の構成要件に該当するか否かについては、あくまでも法定の手続に従って収集された証拠に基づいて判断されるべき事項でありますので、この点についても答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  219. 諫山博

    ○諫山博君 今刑法上の背任罪、商法上の特別背任罪について説明されましたけれども、あの説明はこの事件にみんな当てはまるわけですよ。会社に損害を与える、これが一つの要件。相手方に利益を与える、これも要件。会社の任務に背いた行為をする。ですから、これは複雑な事件ではないんです。わかり切った事件です。今なお検察庁が捜査に動いていないとすればこれは非常に怠慢です。  六月十八日に筧検事総長が検察長官会同を開いて訓示しております。この中で刑罰の積極的な活用、とりわけ各種経済事犯に適切に対処するということを強調しております。警察庁長官も同じことを言っております。従来、暴力団対策というと、やれ恐喝だとか売春だとかそういうことにばかり目を向けていた、しかしこれからの捜査というのはあらゆる法律を活用し、事件化に努めなければならないと、警察庁長官は言っております。さらに、暴力団による株など経済活動の実態の解明が今まで不十分であった、こういうことも言っております。つまり、暴力団の犯罪の内容が大分質的に変わってきたわけですよ。けんかをするのが暴力団というほど単純ではなくなったわけです。  私は、検察庁は今なおこの問題で捜査に動いていないようですけれども、警察はどういう捜査をしているのか、お聞きします。
  220. 國松孝次

    説明員國松孝次君) ただいま委員指摘になりました暴力団情勢に関します一般的な認識といたしましては、御指摘のようなところで私どもも考えておるところでございますが、現在いろいろと報道等で問題になっていることは承知しておりますけれども、そのうちのどのものについて捜査をしているとかいないとかということにつきましては、具体的な事項につきましては、申しわけございませんが、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  221. 諫山博

    ○諫山博君 警察と検察庁によく聞いてもらいたいんですけれども、今までは、証券に絡む犯罪というのは大体これは大蔵省がやるものだ、証券局の担当だということで、刑事事件として余り重視しなかったと思うんですよ。しかし、法律的に見れば、事態は極めて簡単です。株の損失補てん、これが大蔵省の行政指導の問題であることは明白です。同時に、犯罪行為になるんだという観点を持たなかったのではないのかというふうに疑わざるを得ません。私は重ねて、警察と検察庁が改めて、これほどスケールの大きな背任事件、世界周知の事実にまでなったわけですから、これに捜査のメスが入れられなかったとすればこれは日本の恥ですよ。警察はどうするつもりか、説明してください。あわせて、検察庁の決意も聞かせてください。
  222. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 私どもといたしましては、具体的な事実の詳細を把握をいたしまして、その中にもし刑罰法令に触れる事実があれば、それにつきましては厳正に対処をしてまいるつもりでございます。
  223. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) 委員指摘のとおり、検事総長の訓示の中で「健全な経済取引秩序を侵害し、国民生活を脅かす各種財政経済事犯に適切に対応することが、現下検察に課せられた重要課題の一つ」であると認識しているとの訓示もなされているところでありまして、およそ法に触れる行為があれば検察として適切に対処するものと思っております。
  224. 諫山博

    ○諫山博君 警察、検察庁に重ねて要望します。  その気になれば、これは明白な犯罪ですよ。ところが、恐らく株の問題は余り警察は得意でな かったのではないかと思います。警察庁長官の訓示に出ておりますから、この問題を徹底的に刑事事件として捜査するということを警察、検察庁に要望し、次に大蔵省です。  証券取引法によりますと、大蔵大臣は証券会社に報告を求めることができます。資料の提出を命じることもできます。大蔵省の職員に業務の状況、帳簿書類その他の物件を検査させることもできます。検査を拒んだり、妨げたり、資料の提出を断れば罰則です。この規定は活用されていますか、あるいは活用する計画がありますか。
  225. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) ただいま先生指摘の規定は、証券取引法第五十五条に基づく私どもの検査等の規定でございます。  御承知のように、証券会社に対して私どもは検査をいたしておりまして、この法律に基づいて資料の提出等をさせて検査をいたしておるところでございます。
  226. 諫山博

    ○諫山博君 そうすると、もっと速やかに真相がわかるはずです。この法律によると、検査を拒めば処罰されるでしょう。検査を妨げても処罰をされる、資料の提出を拒否しても処罰される、そういう規定であることは間違いありませんね。なぜこれをもっと積極的に活用して真相を把握しませんか。
  227. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) ただいま先生から御指摘のように、私どもはこの証券取引法五十五条に基づく権限を法律のもとにいただいているわけでございます。ただいま先生から御指摘のありましたような証券会社についての問題が大きな社会的な問題にもなっていることでもございますし、私どもは通達を出して、これを事後的な補てんといえども禁止をしておるということでもございますので、この権限を活用し、検査を通じて実態を把握して、この通達の趣旨を徹底し再発防止に努めていきたい、こういうふうに考えております。
  228. 諫山博

    ○諫山博君 今の答弁が口先だけに終わらないことを希望します。  そこで、通産大臣に質問です。  株の損失の補てんを受けたのは大半が通産大臣所管の民間会社だと思います。違法に損失補てんをした証券会社が責任を問われるのは当然ですけれども、損失補てんを受けた企業もやはり責任を免れないと思います。これは補てんをしてくれと要求しているに違いありません。経済同友会では、損失補てんをしてもらった企業は名のり出るべきだ、こういう声が出ております。しかも、企業と暴力団のつながりというのが改めて表面化してきました。こういう事態を迎えて、通産大臣としても毅然たる行政指導が必要だと思いますけれども、考えを聞かせてください。
  229. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 証券市場につきましては、公正な取引が行われるという健全な市場であることが強く要請されるところでございます。そのためには、証券業界のみならず、投資家たる企業においても社会的責任を有する主体としての自覚が極めて重要である、こう認識せざるを得ません。  今般の損失補償問題につきましても、企業そのものの自覚というものが強く期待されるものと考えております。
  230. 諫山博

    ○諫山博君 委員長に要望いたします。  今回の株の損失補てん及び暴力団に対する高額融資というのは、証券業界がいかに腐敗、堕落をしているかということを物語っていると思います。これは世界じゅうでも大問題になっているし、日米構造協議でも取り上げられるのではないかと言われております。私は、決算委員会がこの問題を、関係大臣すべて集まっていただいて、集中的に審議することを要望いたします。  決算委員会の過去の歴史を調べますと、こういう腐敗事件の追及で非常に積極的な役割を果たして国民から喜ばれたという例が幾つかあるようです。本問題は、ちょっと考えただけでも大蔵省、通産省、佐川急便の名前も出てきますから運輸省あるいは公正取引委員会、法務省、警察、各省にまたがる非常にスケールの大きいスキャンダルだと思います。その意味では、当決算委員会で取り上げるのに最もふさわしい事件で、今こそ決算委員会が真価を発揮すべきではないかという立場から、この問題を決算委員会で集中的に審議していただくことを要望します。  次に、その際に私は三名の証人をぜひ喚問していただきたいと思います。  一人は野村証券会長田淵節也氏、もう一人は野村証券前社長田淵義久氏、三番目は日興証券前社長岩崎琢弥氏、この三人で全容が明らかになるかどうかというのはまだよくわかりませんけれども、少なくともこの三人は証人として喚問して、決算委員会が十分国民の期待にこたえるという役割を果たしてもらえるように委員長に要望いたします。  委員長答弁を聞かせてもらえれば、よろしくお願いします。
  231. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 本件は、先ほども申し上げましたように、六十三年並びに元年に係る決算の審査の期間の中での出来事ですから、事は重大だと私は思っています。  御指摘の点は、既に理事会でも問題が提起をされ、改めて理事会で集中審議の是非を含め、当然それに伴う証人並びに参考人等のことも含めて理事会で協議をしようというふうになっておりますから、そのような扱いで本日のところは御了承願いたいというふうに申し上げておきます。
  232. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  233. 高井和伸

    高井和伸君 経済企画庁お尋ねいたします。  昭和六十三年度及び平成年度における当初の経済見通し、そしてその結果出たその二つの間における数字の乖離、離れた原因はどこにあるのかという点から、まずお伺いいたします。
  234. 吉冨勝

    説明員(吉冨勝君) お答え申し上げます。  経済成長率の当初見通しと実績につきましては、昭和六十三年度及び平成年度とも実績が当初見通しを御指摘のとおり上回っております。六十三年度は当初見通しが三・八%、実績が五・九%。元年度は当初見通しが四・〇%、それに対して実績が四・八%でございました。  この要因を見ますと、昭和六十三年度につきましては、内需がさらに内需を拡大させるという自律的な拡大の成長パターンが形成されまして、個人消費、住宅投資、設備投資といった全般にわたって予想を上回る好調が示された。また、平成年度につきましては、設備投資が予想をまた大きく上回りまして好調を示したほかに、住宅投資も底がたく推移いたしました。このように両年とも内需が予想を上回る好調を示したために、実績が当初見通しを上回ることになったというふうに今考えております。  やや蛇足ですけれども見通しと実績との間に乖離があることについては、我が国経済が民間活動を主体とするものであるために、また国際環境の変化には予見しがたい要素も多いことにかんがみまして、見通し数字というのはある程度の幅を持って考えているところでございますので、その点にも留意する必要があるかと存じます。
  235. 高井和伸

    高井和伸君 今最後に申された、数字についてのある種の幅が必要だということは、この「経済見通しと経済運営の基本的態度」という文書にもちゃんと書いてありまして、それはよくわかる話でございます。  しかしながら、日本経済の世界における経済的地位のポジションからいった場合、世界情勢が予測しがたいから日本の経済の数字もなかなか読めないんだというような、他人ごとで済まされるような時代はもう過ぎ去ったんではなかろうかと私は思っています。ドル、EC、そして円というような三つの大きな通貨がこれから十年ぐらいは日本の経済、世界の経済を支配していくだろうというときに、日本の経済見通しというものがかなりいろんな場面における重要な指標になっていくということを私は心しなきゃいかぬのじゃないかと思っています。  それで、ちなみに昭和五十四年から平成二年までの実績と見通しの乖離を見ますと、見通し数字に掛ける〇・六から掛ける一・五までのかなりの幅の落差がたくさん並んでおりまして、一割内 外での落差で終わった年は三、四年ぐらいであるというような実績でございます。  こういった数字がやはりこれからいろんな不確定要素があるからわからないということは、それはそのとおりでございますけれどもかなり精度を高めたものにしていかなきゃいけないんじゃなかろうか。そしてまた、月ごとに月例経済報告というのも出ております。こういった期間の設定、国家予算が一年であるということもありますけれども、そういう期間の設定との対比でこれからかなり慎重な運営をしなきゃいけない経済運営の中で、この数字は大変重要だと私は思っておるわけです。  現実的に日本の経済はマイナス経済成長ではもたないと一般に言われておるわけでございまして、過去の成長率を見ますと、一回だけ昭和四十九年度にあったということでございます。  そこらのことにつきまして、今後不確定要素がいろいろあるとしても経済成長は続けなきやならない運命なんであるけれども、もしマイナス成長になった場合、日本の経済はどうなるのかというような、非常に可能性があるのかという前提から聞きますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  236. 吉冨勝

    説明員(吉冨勝君) お答え申し上げます。  現在我が国の経済は個人消費、設備投資を中心とする景気拡大基調が持続しておりまして、景気の拡大期間というのはこの六月で五十五カ月、これは五十七カ月続きましたイザナギ景気に次いでの戦後二番目に息の長い景気上昇局面でございます。  今後の見通しですけれども、まず個人消費が雇用者所得の増加などを背景に着実に増加すると考えられます。また、設備投資につきましても、これまでのような二けたの伸びからは鈍化いたしますけれども、人手不足などを背景としました合理化、省力化投資、さらには技術革新に対応するための研究開発投資など構造的要因に支えられて、引き続き設備投資は堅調に推移するものと見ております。したがって、全体として景気の腰にはなお強いものがあるというふうに考えられます。さらに、さる七月一日には公定歩合が〇・五%引き下げられ、インフレなき景気拡大を息の長いものにするためにとられたものと解釈されますし、それにより、引き続き物価上昇の圧力の顕在化を防ぎながら、内需主導型の景気の持続的拡大を一層確実にするものと期待しております。  したがって、政府の経済見通しでは平成年度の実質経済成長率を三・八%程度、このうち内需が寄与度として四・〇%程度、外需がマイナス〇・二%程度でございますけれども、そういった三・八%程度の成長を見込んでいるところであります。  以上のような状況を踏まえますと、これを達成することは十分可能でありまして、我が国経済は物価の安定基調のもとで経済運営五カ年計画で想定しているような、安定的かつ持続的ないわゆる巡航速度に近い成長に移行していくものと考えております。したがって、経済成長率がマイナスに落ち込んだり、あるいは当初見通しを大きく下回るといったような可能性はないものと考えております。  政府としましては、今後とも物価の安定を基礎としつつ、主要国との経済政策の協調にも配慮し、適切かつ機動的な経済運営に努めることにより、内需を中心とした景気の拡大をできるだけ息の長いものにするように努めてまいる所存でございます。
  237. 高井和伸

    高井和伸君 続きまして、航空行政についてお尋ねいたします。  日本の航空機の中で象徴的な飛行機としてYS11というのがございます。この飛行機がつくり終わられてからもうかなりの年月がたっておりまして、約二十二年ぐらい。その後の民間航空機の日本国内における開発状況というのはどのようになっているのでしょうか、お尋ねします。
  238. 熊野英昭

    説明員(熊野英昭君) ただいま委員が御指摘のYS11につきましては、六十人乗りの双発ターボプロップ機といたしまして、一九六五年から一九七四年までの間に百八十二機生産をしたところでございます。しかしながら、その後航空機開発というのは大変膨大な資金的、技術的リスクを伴うようになりまして、現在では世界で国際共同開発方式が趨勢となってきております。こういう状況を背景といたしまして、我が国の航空機開発も国際共同開発方式に重点を移してきておりまして、YS11以降、機体を国産開発いたしましたものは、四人から九人クラスの飛行機の三機種のみでございます。この三機種は、富士重工のFA200、三菱重工のMU300、MU柳の三機でございます。
  239. 高井和伸

    高井和伸君 現在の国際共同開発における日本国のかかわりあいの実態はどのようになっているのでしょうか。
  240. 熊野英昭

    説明員(熊野英昭君) 現在の我が国の民間航空機に関する国際共同開発状況について、御説明を申し上げます。  先ほども申し上げましたように、航空機開発というのは大変膨大な資金的あるいは技術的なリスクを伴いますために、現在では国際共同開発方式が世界的な趨勢となっているわけでございます。また、航空機の国際共同開発は、ハイテク分野における技術交流の促進によりまして、国際貢献あるいは我が国航空機工業そのものの振興、産業技術全体の向上にも資するという観点から、政府といたしましてはこれを可能な限り支援しているところでございます。  具体的に申し上げますと、現在機体についてはB777、YXX、またエンジンにつきましてはV二五〇〇につきまして国際共同開発を実施しておりまして、政府も、航空機工業振興法に基づき、これらを支援しているところでございます。
  241. 高井和伸

    高井和伸君 決算状況で、今のお話の国際共同開発事業における平成元年及びその前の六十三年度では、どのような数字になっているのでしょうか。どんな使途で、どのように使われているのか、お尋ねします。
  242. 熊野英昭

    説明員(熊野英昭君) V二五〇〇のエンジン開発、それから次期中型民間輸送機YXXに係ります国際共同開発に対しまして、政府は六十三年度に四十三億円、平成年度には四十一億円を交付いたしまして、これを積極的に支援してきたところでございます。
  243. 高井和伸

    高井和伸君 私が興味を持っておるのは、民間の大量輸送航空機という視点からでございます。  そこで、運輸省の方にお尋ねしますけれども、今決算は二年度分の決算をやっておりますので、昭和六十三年度及び平成年度における日本の国内航空会社の航空機調達状況というのは、どのようになっているのでしょうか。
  244. 辻通明

    説明員(辻通明君) お答え申し上げます。  我が国航空企業が購入しました航空機の金額についてでございますが、昭和六十三年度におきましては総額で約七百三十億円、平成年度におきましては約一千九百四十億円というふうになっております。
  245. 高井和伸

    高井和伸君 それから、あと科学技術庁の方でも航空機開発、特に私の興味のある民間航空機開発のために、どのような施策を講じておられるのか、お尋ねいたします。
  246. 興直孝

    説明員(興直孝君) お答えいたします。  科学技術庁といたしましては、これまで航空技術の育成、振興を図るための研究、試験の実施に努めてきたところでございます。  具体的には、これらの研究を行うに当たりまして、中核的機関といたしまして科学技術庁の航空宇宙技術研究所におきまして、我が国の将来の航空機開発に必要となります技術の確立を目指しました研究開発を進めるとともに、科学技術振興調整費を活用いたしまして、関係各省庁の研究機関等の能力を結集した航空技術の研究開発を図ってきているところでございます。  科学技術庁といたしましては、航空技術の研究開発を取り進めるに当たりまして、航空・電子等技術審議会の意見を求めながら検討を行っているところでございまして、最近では昭和五十九年に「長期的展望にたつ航空技術の研究開発構想につ いて」を、また昭和六十一年八月には、これらの研究課題の中から、特に省エネルギー航空技術の研究開発における重点課題などにつきまして答申を受けるなどをし、具体的な推進方策のあり方について検討を進めてきているところでございます。  こうした展開の中で、航空宇宙技術研究所では、その保有します施設、設備を関係機関の共用に供しまして、航空技術の研究開発推進に当たっているところでありますが、最近ではファンジェットSTOL機の研究を低騒音STOL実験機「飛鳥」の製作、飛行実験を行いながらこれを進めるとともに、高効率での大量長距離輸送を可能とする高亜音速航空機、さらには二十一世紀の革新的な航空輸送技術の確立を目指しまして、層流を制御するなどの空力技術、機体構造重量の超軽量化を図るなどの新複合材構造技術、さらには低速から極超音速に至る広い速度領域での飛行制御技術、要素技術などの研究開発を進めているところでございます。  以上でございます。
  247. 高井和伸

    高井和伸君 今までのお話を総合して、私の考えているところをひとつ述べさせていただきたいと思います。  日本の民間航空会社が買う飛行機は、先ほどの答弁にはございませんでしたけれども、全部外国製、ほとんどがアメリカで一部ヨーロッパのエアバスがあるという状況でございます。そして、私が調べたところによりますと、航空機産業の生産額を昭和六十三年度ベースで見ますと六千六百十四億円でアメリカの十三分の一、そして英国、フランスの三分の一程度のところであると。先ほどの通産省答弁の中では、産業構造あるいは国際貢献というふうな観点からのお考えも述べておられましたけれども、少なくとも日本におけるいろんな基礎的な技術レベル、先ほど科学技術庁からのお答えがあったような技術は、かなりトータル的に日本は進んでいるんじゃなかろうか、こう思うわけでございます。こういった問題は、日米の経済構造摩擦という側面からも大変影響してくることだろうと思いますけれども、日本の航空機製造産業というんですか、航空機民需の問題のレベルでいった場合、もう少し日本国はこれを力入れてやるべきじゃなかろうか、こう長期的に思うわけです。  今までの予算の使い方などを見ますと、先ほど国際共同開発事業として元年度四十一億であるというような数字が出ておりました。非常にリスクが大きく、開発費も膨大なものがかかるということはよくわかりますし、ヨーロッパにおけるエアバスの開発状況などの実績を見ますときに、一国じゃなかなかできないということはよくわかります。しかしながら、日本国の経済的な実力との対比においては、航空機製造という問題が非常に立ちおくれているんじゃなかろうか。おくれることがいいことなのか悪いことなのかということは一つ別問題としまして、少なくとも先進諸国並みの力に合った、経済力に合った航空機を自国のものとして持たなきゃいけないんじゃなかろうか。  これはよく国威の振興ということで、一国の元首が外国を訪問するときは自国の飛行機に乗っていくというようなことがありまして、過去にもいろいろあったわけでございますけれども、そこまでいかないとしても、日本の優秀な技術を航空機につぎ込んでいくというようなそういう視点での施策は、科学技術庁もおやりですけれども、今のところそんなに大げさなものではない。さらに、通産省の方も大げさなものではない。こういった観点は、私の立場から言うと、日本の経済力及び技術力というものからいって何となしにバランスが悪いんじゃなかろうか、こう思うわけです。  そういう視点から、最後でございますけれども、通産大臣は航空機産業に対してどのようなお考えをお持ちなのか、その点をお聞きしまして、私の質問を終わります。
  248. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) これはもう委員申すまでもなく、地球がこれだけ狭くなったという状況の中において、短時間でその目的地に到達するということは極めて大事なことである。そういう点におきましては、私ども通産省もその任に当たっておりまするから、その先端技術を相当にいろいろ取り入れながら、なおかつ自主的な日本の生々発展にこれ努めていくということに全力を投球するという方向で、ついこの間も私は工業技術院がございますつくば市にも行ってまいりましたけれども、そこでもそのような激励をさせていただいた次第でございます。  そのような方向の中で、先ほど来の熊野局長答弁どおり、私どももそういう問題に向かって鋭意献身してみたい、このように考えております。
  249. 高井和伸

    高井和伸君 終わります。
  250. 三治重信

    ○三治重信君 まず、通産省お尋ねをいたします。  日米構造協議の問題についてでございます。やはりこれも日本が貿易黒字が出てから、日本の産業に対する、あるいは税関に関するいろいろの問題で始まったと思うんです。今、日米構造協議で、アメリカの構造協議に持ってきつつある態度というものについては、一番初めは貿易関係で何とかアメリカの品物を日本でももっと買わせようというのがだんだんそうでないようなことになって、構造協議の中身が従来と非常に変わってきているんじゃないかというふうな感じを持っておるわけですが、まずそこからひとつ日米構造協議について、通産省はどういうふうに感じておられるか。  と申しますのは、私は大蔵委員会で大蔵省に聞くと、金融関係のことは日米構造協議じゃないんだと。それから、建設省に聞くと、建設省の方は日本の建設産業にアメリカが入り込むのは、これは日米構造協議じゃないんだというふうなことをいろいろ聞くわけですね。そうすると、通産省がやっていることだけが日米構造協議かというとそうでもなさそうだし、やはり中心通産省がやっておられることだろうと思うんです。また、外務省に本当は聞くべきことかもわかりませんけれども通産省として、日米構造協議の中身がどうもちょっと変わってきており、いつまでもこれをやるべき問題じゃないんじゃないかという感じを私は持ってきているんですが、どういうふうな感じをお持ちでしょうか。
  251. 榎元宏明

    説明員(榎元宏明君) 日米構造協議でございますけれども先生御案内のように、日米の対外不均衡の是正に向けましてマクロの経済政策の協調が一番その点では重要でございますけれども、これを補完するものとしまして、日米双方がそれぞれ相手の国の構造問題を指摘し合って、それぞれの指摘を踏まえながらみずからの考える構造改革に取り組むということで八九年の七月以来議論をし、そして昨年最終報告が取りまとめられ、これに基づきましてフォローアップが累次されてきたわけでございます。  おっしゃいますように、そういう観点から議論されておりますので、どの省の部分がどうだということではございませんで、非常に今のような広いフィールドからこの問題が議論されております。日本側からアメリカに対しましては七項目ほど指摘をさせていただいておりまして、簡単に御紹介申し上げますと、貯蓄・投資パターンであるとかあるいは企業の投資活動、これはわかりにくいところでございますが、競争力の向上の問題でございます。あるいは企業ビヘービアの問題、あるいはアメリカの政府規制の問題、あるいは研究開発、さらには輸出振興、あるいは労働力の教育と訓練の問題等を指摘しているわけでございます。また、アメリカから日本に対しまして提案があり、そして私ども日本側の措置といたしまして、貯蓄・投資パターンあるいは土地利用の問題、流通の問題、排他的取引慣行の問題、系列関係の問題、そして科学メカニズムの問題を私どもの措置として実施するということで話が今進んでいるものでございます。
  252. 三治重信

    ○三治重信君 大体そういうことだというと、この結末をどういうふうに持っていこうとしているのか。また、こういうのをいつまででもやっていると、今度は相手の国のあら探しが主になって、貿易関係とかなんかというのは余り実際上は役に立たぬような問題で、相手の国の慣習とか制度と いうものに対するあら探しみたいになっちゃいはせぬかと思うんですが、どうですか。
  253. 榎元宏明

    説明員(榎元宏明君) 確かに、協議の過程ではお互いの国の代表はそれぞれ非常に真剣に議論をしておりますので、細かいことも議論に出てまいります。場合によっては言葉がきつくなることもあるわけでございますけれども、これもそれぞれ世界の自由貿易主義を支える非常に大きな柱の国である日本とアメリカのそれぞれの担当の者が、貿易のインバランスあるいは国際収支のインバランスを解消するという観点から議論をしているのでございまして、大きな目的を失っているわけではございません。
  254. 三治重信

    ○三治重信君 一つの例を申し上げますが、自動車の系列の問題で、これなんか本当に向こうがどういうふうに因縁をつけるのか知らぬけれども、この系列の問題というのは、中小企業と大企業との関連やあらゆる産業秩序において、私は決して悪いことじゃないと思うんですが、こういうことに対してどう対処しているのかということが一つ。やはりこれに対してもう一つは、先日も「ジャパン二〇〇〇年」というCIAの報告が出ている。ああいうふうに、ひとつ日本をたたこうという意欲が、裏側にやはり出ていつつあるということを意識しながらやってもらいたいと思うんです。  これは何もアメリカと仲たがいするとかなんとかということじゃなくて、やはり相手の基本的な態度が何であるかということを腹に隠して交渉をしないと、まためどをつけないといかぬではないかというふうに思っておりますが、あら探し的なものやそういうことについて余りこの構造協議をやっていくというと、それじゃもう日本とアメリカと同じくしたら一番問題が起きないじゃないか、全然同じにすればと、そういうことが結末になるんじゃないかと思うんですが、大臣の御意見を承りたい。
  255. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 私は、外国から日本を一体どう見るのかという観点から、ちょっと言ってみたいと思います。  やはり、今の日本のエネルギッシュな、しかもなおかつ戦後四十余年にしてこれだけの大きな繁栄といいましょうかプロスパリティーをつくったということは、外国にとりましても大変な脅威ではあろうと思うんです。CIAの出しました二〇〇〇年レポートというものもわからないわけではないと思います、その情念においては。しからば、日本がそれほどの形で計画的に、なおかつ一糸乱れず行動をとっておるかというとそうではない。それをわかっているのは日本であります。しかし、外国から日本を見た場合に、何か太平洋の一角の中に竜巻のようなすごいエネルギッシュなえたいの知れないものがある、こういうふうに見えても、これはまた客観的に見ればわからないわけではない。  こういう中にあってやはり私どもは、先ほどの系列なんという言葉も既に英語になってしまっておるというような状況もございまして、この間来、向こうから来日する方あるいはこちらから行きましても、系列なんという言葉は向こうでもう副大統領以下お使いになっておるというようなことから見ましても、ある意味においては、複雑多岐にわたって日本を意識的にかあるいは無意識的にか、非常に脅威の存在だと見ていることは間違いないなということは否めない事実だと思います。それだけに、これは多少時間もかかることではございます。  先ほど委員が自動車の問題等も出しました。これもプロセスを踏んで、まあその自動車の前に半導体の問題がございましたが、これももうこちらから強烈に本当に我々の立場も十分言い尽くし、向こうももちろん言い分はございましょうけれども、結果的にはあのような格好で妥協ができたわけでございます。ウミガメの問題も、これも我々は言い分がございます。しかし、向こうにも言い分もありましょうけれども、妥協点があの点であったわけでございます。そういう点では、自動車の問題も着々と今私どもの言い分を積み重ねておる段階でございまして、これはいずれ必ず理解をされるんじゃないかというように、私はそのように自信を持って判断させていただいている次第でございます。
  256. 三治重信

    ○三治重信君 ぜひそういうふうに長い気持ちで、お互いが変なふうにならぬようにひとつお願いします。  通産省、どうもありがとうございました。  じゃ、あと経企庁の方にひとつお願いいたします。  為替の相場をずっと見ておりまして、円高をどんどんやったけれども日本の貿易黒字は直らなかった。しかしながら、長い目で見て非常に為替の自由化、円高が日本の国際貿易において世界に対して緩和の措置をとってきた。こういうふうに思って、やはり日本の国から見ると、円高になり、しかもそうめちゃくちゃな統制をしないで貿易の黒字が世界から袋だたきに遭うことがなくなってきたという意味において、私は円高というものが非常に効果を出してきつつあると思っておるんですが、湾岸戦争以後どうも円高が狂ってきて、狂ってきていて大して変わりなけりゃいいんですけれども、何か一部報道によると黒字がまたふえつつあるんじゃないか、こういうふうなことが出つつある。  経企庁として、為替の円高に対して貿易黒字がふえるのかふえないのか、またどういうふうな見通しを持っておられるか、ちょっと簡単にお願いします。
  257. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) 三治先生のお話は、ことしに入りまして一―三月の最近の数字を頭に置いての御質問かと思いますが、かつては日本は八百億ドルぐらい経常収支ベースで黒字が出たときもございました。昨年が大体三百億ドルベースの黒字でございまして、本年、平成年度も大体そのくらいのことということで見通しを立てておりましたが、昨年の秋は、御存じのとおりの湾岸紛争で、かなり経常収支の黒字が四半期ベースで数十億ドルぐらいにダウンいたしておりましたところ、一―三月は約倍に上がりまして百数十億ドルになりましたものですから、いわばそれを四倍するとかつてのように数百億ドルに上がるのではないか、こういう御議論もございますが、かなり変動が激しいものですから一概にそうは考えられない。  ただ、私どもが考えておりました、大体日本が三兆ドルぐらいの経済でございますので、そのGNPの一%、三百億ドルぐらいと考えておりましたが、目下のところ経常収支の方は思ったよりは黒字基調は強くなってきておりまして、外需の寄与度をマイナス〇・二ぐらいに見ておりましたけれども、この間の一―三月ではむしろプラスの一・五まで立っておりますものですから先行きについては非常に心配もいたしております。これは為替の問題ももちろん影響いたしておりますけれども、円安という意味では、昨年の方は百五十円台でございまして、きょうは百三十九円四十銭でございますれども、それ以上に今はいわゆる冷戦構造の解消に伴う東欧諸国その他の日本商品に対する需要が急速に出ている、あるいはさらに回り回って湾岸紛争後の需要が影響しているのではあるまいか。対米という意味では、急に黒字がふえているという格好ではないと理解をいたしております。
  258. 三治重信

    ○三治重信君 対米の貿易黒字がやはり経済だけでなくて、既成的に一番大きいからこれは最重点で配慮してもらわなくちゃならぬですが、対米の貿易黒字が政治問題になるのを防ぐためには、やはり貿易黒字対策というものは、世界全体の貿易の均衡、拡大、発展についてアメリカ一辺倒にしない対策というものがつくられるべきだと思うんですけれども、こういう一方的にアメリカにだけ貿易関係が偏ってしまわないための対策というものを企画庁ではどういうふうに考えておられるか。
  259. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) 日米間の貿易に関しましては、一九五〇年代から六〇年代ごろまでは御存じのとおり日本が非常に赤でございましたが、その後におきまして問題になりましたのは、日本 からアメリカに対する輸出の規制という格好で問題になりました。そして、逆にアメリカ商品の日本に対する輸出の促進と申しますか、日本から言えば輸入を増大するという格好で議論になっておりますが、最近ではむしろ、向こうからの輸出というよりは、向こうの産業活動を日本においてより自由に行わせるという要求の方が強くなっております。  現状におきましては、日本からアメリカに対する輸出はそんなに大きな変化は出ておりませんが、日本の経済そのものを五%台から三%台の成長にスローダウンしてくる過程において輸入が落ちてくる可能性が強うございまして、その場合に輸出輸入の差額としての黒字が考えているよりも大きくなるのではないかという見通しが、つい最近発表されましたOECDの日本の経済に対する見方の中でもとられておりまして、これからも製品輸入を中心とした輸入の促進策が必要なのではないかと、このように考えております。
  260. 三治重信

    ○三治重信君 それで、ひとつぜひ、日本は生活の基礎を全部輸入に、貿易に負っているわけですから、その輸入の計画的というか、統制じゃなくて計画的に日本の必要とする食糧や原材料をアメリカだけに頼らぬで世界的に、アメリカにどういうふうな仕打ちを打たれてもびっくりしないで生活ができるという、原材料や食糧の確保対策というものをやはり基本にして貿易計画をぜひつくっていただきたいと私は思うんです。  きのうの新聞で国際公共財という私としては非常に新しい言葉が出ているんですが、これはどういう観念ですか。白書を見ればわかるかもしれませんけれども、これが貿易と関係があるのか、どうもなさそうなような気がするんですが、その御説明を受けて、質問を終わります。
  261. 吉冨勝

    説明員(吉冨勝君) お答え申し上げます。  公共財といいますのは、日本の国内で申し上げますと、だれもが自由に入ることができて利用することができる公園のようなものを例示として考えることができます。こういったものを国際的に提供していく、つまりだれもが自由に使える、例えばODAのような援助というのは、途上国の貧しい人々が生活をよくしていくために日本が提供していく国際的に自由な財であるというふうに考えますので、これは公共財の一つではないかと思います。  それからもう一つは、自由貿易体制といいますのはその中で貿易を伸ばすことによって全体の厚生の水準が上昇してまいりますから、そういう自由貿易体制を守るというためにはそれぞれの国の努力が必要でございます。しかし、その国の努力の結果として自由貿易体制ができ上がっておりますと、それを皆さんが、各国が自由に利用することができて、それによって貿易が伸び経済が伸びる、民生の水準が上がるということで、こういう自由貿易体制を守るということもまた日本の国際公共財の提供の一つと、そのような考え方がそこに述べられております。
  262. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 他に御発言もないようですから、通商産業者、経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会