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1991-06-27 第120回国会 参議院 決算委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年六月二十七日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月二十六日     辞任         補欠選任      星野 朋市君     秋山  肇君      上田耕一郎君     諫山  博君      高井 和伸君     井上 哲夫君  六月二十七日     辞任         補欠選任      種田  誠君     西野 康雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 後藤 正夫君                 守住 有信君                 会田 長栄君                 千葉 景子君                 猪熊 重二君     委 員                 秋山  肇君                 石渡 清元君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 福田 宏一君                 梶原 敬義君                 喜岡  淳君                 西岡瑠璃子君                 西野 康雄君                 渕上 貞雄君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 林  紀子君                 井上 哲夫君                 三治 重信君    国務大臣        農林水産大臣   近藤 元次君        建 設 大 臣  大塚 雄司君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       谷  洋一君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  西田  司君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        国土庁土地局長  鎭西 迪雄君        国土庁地方振興        局長       小島 重喜君        国土庁防災局長  鹿島 尚武君        外務省経済局漁        業室長      加藤 重信君        厚生省社会局施        設課長      松本 省藏君        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       川合 淳二君        農林水産省構造        改善局長     片桐 久雄君        農林水産省農蚕        園芸局長     安橋 隆雄君        農林水産省畜産        局長       岩崎 充利君        食糧庁次長    森元 光保君        林野庁長官    小澤 普照君        水産庁長官    京谷 昭夫君        建設省建設経済        局長       伴   襄君        建設省河川局長  近藤  徹君        建設省道路局長  藤井 治芳君        自治省財政局公        営企業第二課長  高田 俊昭君        会計検査院事務        総局第三局長   中北 邦夫君        会計検査院事務        総局第四局長   白川  健君        会計検査院事務        総局第五局長   山本  正君    参考人        住宅金融公庫総        裁        高橋  進君        農林漁業金融公        庫総裁      松本 作衞君        北海道東北開発        公庫総裁     窪田  弘君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   藤仲 貞一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十三年度政府関係機関決算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十七回国会内閣提出) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書平成年度政府関係機関決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書内閣提出)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、高井和伸君、星野朋市君及び上田耕一郎君が委員辞任され、その補欠として井上哲夫君、秋山肇君及び諫山博君が選任されました。     ─────────────
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は農林水産省建設省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁農林漁業金融公庫住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 農水大臣農林水産省、米の市場開放問題をめぐって大変御苦労でございます。  私は、我が国基礎的食糧というか主食の米の市場開放はどんなことがあってもやるべきではない、こういう信念でありますし、主張を繰り返しておりますから多くを申し上げませんが、最近におけるウルグアイ・ラウンド交渉の成り行きあるいは進展ぐあい、こういう状況あるいは日米間の米をめぐる状況がいろいろ新聞で伝えられておりますが、農水省にお伺いしたいのは、最も新しく正しい情報としてどのように我々に伝えていただくのか、そういう義務があろうかと思いますので、お尋ねをいたします。
  8. 川合淳二

    説明員川合淳二君) ウルグアイ・ラウンド農業交渉につきましては、三月に交渉が再開されまして、技術的会合ということで技術的部分についての会合が続けられております。この中では国内支持国境措置輸出補助金、これら三つのテーマでございますが、これにつきまして六月まで議論が一巡いたしました。この検討を受けまして、ダンケル議長から各国主張を選択肢、オプションという言葉を使っておりますが、併記いたしました報告が提出されたところでございます。今週の二十四日に提示されました。  今後の交渉は、御承知のように米国のファーストトラック手続の延長が承認されましたし、OECDの閣僚理事会のコミュニケでラウンドの年内合意を目指すことが確認されたというようなことを受けまして、今申しましたダンケルペーパーをもとに七月二十九日の週に貿易交渉委員会が開かれることになっておりますので、それまでこのペーパーをめぐって議論が行われるというような見通しでございます。  しかしながら、農業につきましては御承知のように各国とも困難な問題を抱えております。しかも、この各国間の考え方は三月から六月までの技術的会合の中でも相当の開きがあることが認められておりますので、交渉進展は予断を許さない、そういう状況にあると考えております。  いずれにいたしましても、我が国といたしましては、これまでの基本方針に基づいて、こうした会合に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 ここのところ、総理大臣を初め各派閥のトップクラスの人が、市場開放部分的にはやむを得ないのじゃないかというニュアンスのことを話したり、あるいは農林水産大臣が、そう簡単にはいかぬぞ、こう言っているようなニュアンスがちょっと報道で伝わってきたりしております。  農林水産大臣、口は悪いんですが、我々が見ておりますと、海部総理大臣は、俗にブッシュホンと言われるように、アメリカの圧力に対しては本当に断固としていいことはいい、悪いことは悪い、そういう姿勢がなく、何でもずるずると流されていくような姿勢でありますが、農林水産大臣としては体を張って米の市場開放は一粒たりとも頑張る、こういう決意を私はきょうこの場でお伺いして本問題については質問を終わりたいんですが、いかがですか。
  10. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) ガット・ウルグアイ・ラウンド事務的レベル会議現状については、今経済局長から御答弁を申し上げたとおりでございます。それぞれいろいろな立場でいろいろなところからミニマムアクセス等発言報道があるように伝わってきておるわけでありますけれども、私は海部総理が米の輸入発言をするようなことはないとそう信じておりますし、そういうことは何回確認してもそのようなことはないと信じておるわけであります。  ただ、それぞれの方々は、日米関係なり、日本が孤立しないように、さまざまな思いを持ってお話をされるのであろうと思いますけれども、私が今回ヨーロッパでの国際会議に出張させていただいて、アメリカ農務長官ともお会いをいたしましたし、それぞれECの代表のマクシャリー委員ともお会いをさせていただいたり、ヨーロッパ農業大臣ともお会いをさせていただいた感触では、少なくとも農業問題は、昨年末決裂をして延会になってから、どこの国もいささかの譲歩もしていないというのが現状ではないだろうか、そう思っておるわけであります。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 本当にしっかりした大きな声で決意を表明されました。  かつて、農水大臣の中には国会答弁の中では声の大きな人はたくさんいたんですが、譲るところはずるずるずるずるそういう人は譲ってきまして、よくやじも飛ばしたことがあるんですが、本院から出ておりました前農林水産大臣山本大臣は、その点は余り声は大きくなかったが、非常に粘り強く頑張ってきた、そのような受けとめ方を我々もしておりますが、ぜひ今の農水大臣も頑張っていただきますように、重ねて強く要請を申し上げたいと思います。  それで、六十三年度平成元年度の会計検査院指摘事項が少しでも減ったり中身が向上しておればそれは私は余り言わないんですが、この決算概要説明を出された前と、六十三年と今平成元年決算やっておるんですが、全く同じなんです。これは一体どういう神経で説明書を出されたのか、ちょっとお尋ねします。  ただ、会計検査院決算報告指摘事項を見ましても、不当事項あるいは意見表示あるいは処置要求事項につきまして件数が増加しておるのは事実でございますけれども、金額的には減少しているというふうなこともあるわけでございまして、これからもそういう予算内容趣旨目的に沿いまして、その効果的あるいは適正な執行につきまして、従来以上に努力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  12. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、六十三年度、元年度を同じ決算委員会で同じことをやるから、同じ文書が出ても、これは一年置きにやったらこういうことに対して全然気がつかないんですが、同じ日に同じようにやるものですから、だから非常にそこら辺は重視をしていると言いながら、無神経にさらさらっと書いておられる。やっぱりこの辺は気をつけられた方がいいんじゃないか、そのように思います。  昭和六十三年度決算検査報告によりますと、補助事業実施及び経理不適切として不当事項で六事業指摘をされておりますし、農業改良資金貸付事業運営不適切として、処置要求事項として指摘を受けているのもあります。御存じのとおりだと思います。また、処置済み事項として、地域改善対策事業目的が不達成なもの、用船料の算定が不適切なもの、搾乳牛選抜奨励金交付事業実施効果的でないもの、この三つ報告をされております。  さらにまた、農林水産大臣監督下にあります農林漁業金融公庫においては、不当事項として農業基盤整備資金等貸し付け不適切なもの七件、六千三百十六万円が指摘をされております。これは六十三年。  平成元年度の決算検査報告を見ますと、不当事項として鋼管のくい打ちで積算不適切補助事業実施及び経理不適切なものが十事業、これが不当事項。それから意見表示事項として国営木曽岬干拓事業、これはもう前に取り上げられましたが、造成された干拓地について指摘されておりますし、処置済み事項として、輸入麦買い入れ代金概算払いについて、そして素材生産請負事業における労務費積算について、これらが報告をされております。  さらにまた、農林漁業金融公庫では、農地等取得資金等貸し付け不適切なもの二十五件、不当貸付金額二億五千五百四十四万円、不当事項としてこれらが指摘をされております。  これら中身は後で一、二取り上げますが、大変問題が毎年毎年続いております。大臣、いかがですか。
  13. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) それぞれ毎年度指摘を受けた部分を注意しながら執行しておるわけでありますが、再びこのようなことでまた御指摘を受けることは甚だ遺憾だと、こう思っておるわけであります。  もう一つは、今農林水産事業を行う地域というのは零細でもあるし、大変活気のないところで何とか知恵を絞ってこの事業地域活性化をと、こう思って仕事を進めていくわけでありますが、そういう状態の地域であるだけに、必ずしも事業効果が結果として出てこないという御指摘を受ける面もあろうかと思いますけれども、その種の面はある程度やむを得ない面も出てくるのではないだろうか。  そういうことをできるだけ解消させるためには、もう少し行政政策上の中で幅を持たせた政策を有効に活用してその所期の目的が達成されるように、決算上の問題が起こらないようにするためには、私ども政策を一度そういう指摘をされておる分の効果が上がるような政策にまたつくり変えていくということも必要なことではないだろうか。具体的にそういう問題に私は認識を持って取り組んでいきたいと、そう思っておるわけであります。  とりわけ、今日的に金融問題で御指摘を受けるようなものも、古くから同じような形で政策を進めておるところに問題があるとすれば、新しい対応がおくれておる部分もあるのではないかということで改良資金等々については改善をさせていただいて、今その過程にあるというようなことも御指摘をいただいておる点でもございますので、御理解をいただきたいと思います。
  14. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、毎年毎年同じことの繰り返しをやっぱり避けられない。これを少しでもよくするためには、農林水産省内部監査といいますか、やり方ですね、内部における監査体制をもう少しこれを強化するしかないんじゃないか。  それは、今言われましたように、農林水産行政は非常に幅が広くいろんなことをやっているから幾らかそれはやむを得ないという意味もあるかもしれませんが、しかし会計検査院検査をしている検査率というのは八%から九%、したがってこれはやはり本当に全部手を入れていくと恐らくもっと出る。我々の直観でも出るだろうと思います。したがって、内部監査体制をもう少し各省ともしっかりしなきゃ、これは八%、九%の会計検査調査でこのくらいですから、これはやっぱりどうにもならない。  農林水産省内部監査体制のあり方を問いたいと思うんですが、今一体どのようになっておられますか。  ただ私ども、先ほど大臣も申し上げましたように、直接予算を国として執行する場合、あるいは県でやっていただく場合、さらにそれを間接補助としまして市町村あるいはその先の農業者の集団というような格好でやっていることもございまして御指摘のようなことが出ているわけです。極めて私ども遺憾に思っておるわけでございまして、会計検査院指摘一つのあれとしまして、そのほかの執行につきましても十全を期していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひこの内部監査ですね、経理課でやるんですか、会計検査院検査率というのは非常に少ないから、ここでもう少し内部でしっかりやるというように御指導を賜りたいと思います。  次に、具体的に申しますと、これは平成元年度の決算会計検査院報告の中に出ておりますが、熊本県の阿蘇畜産農業協同組合畜産対策事業補助金を受けたものとして不当事項指摘をされております。中身につきましては、会計検査院概略で結構ですが説明をしてください。
  16. 白川健

    説明員白川健君) 阿蘇畜産農業協同組合畜産農家からの貸付申請に基づきまして、昭和六十一年度から六十三年度までの間に補助事業によって肉用繁殖雌牛を四百三十頭購入し、畜産農家貸し付けたとしておりましたけれども、このうち百七頭は貸付申請書類等を作為しまして購入したものでありまして、畜産農家には実際には貸し付けていないという事態が判明しております。その百七頭のうちの四十九頭につきましては、実地検査時点では既にもう転売されているという事態が判明したものでございます。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 農水省、これはもし会計検査院がわからなきゃやみからやみに葬られるような問題で、県及び農水省ではこれらの不正の実態に対して一体何で会計検査院が出動しなければわからないのか、私はやっぱりこういうところに問題がある。一体どうして気がつかなかったのか。一つの例ですが、たくさんあるうちの一つを今取り上げておるんですが、その点はいかがでしょうか。
  18. 岩崎充利

    説明員岩崎充利君) ただいま御指摘のありました件でございますが、私ども予算執行ということから、事業実施要綱なり実施要領等の諸規定を定めまして、各県知事に通知いたします。また、各県の担当者を集めて諸規定の細部について説明して、事業の適正な実施について指導しているところでございます。また、県につきましても事業が諸規定に定めたとおり適切に執行されるように指導をいたしますとともに、事業主体に対しましても実施計画の作成なり関係書類整備なり事業実績報告等あわせて本事業の適正な実施に努めているところでございますが、ただいま会計検査院から御指摘がありましたような点につきまして、私ども本当に遺憾なことであるというふうに考えておりまして、これからもその指導体制充実等について万全を期していかなければいけないだろうというふうに考えている次第でございます。  なお、ただいま会計検査院からの御指摘がありました件につきましては、既に阿蘇畜協から農家貸し付けられなかった百七頭分に係ります国庫補助金分四百八十一万二千五百円と、また農業近代化資金貸し付けられておりますが、これにつきまして売却処分等々が行われたものについて三十頭分の売却処分が行われた以降の国庫補助金相当額の一万七千二百四十六円につきまして、国庫に返還させるという措置をとったところでございます。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 その後のこの阿蘇畜産農業協同組合経理等把握をされたことはあるんですか。
  20. 川合淳二

    説明員川合淳二君) この阿蘇畜産農業協同組合につきましては、平成元年の十二月から二年三月にかけまして、農協法に基づく検査実施いたしました。この過程でと申しますか、検査院の御指摘のような事柄が判明したというような時間的な経過でございます。  この検査結果を受けまして、昨年の三月以降業務及び会計適正化につきまして指導を行っているところでございます。この指導を受けまして、阿蘇畜産農協につきましては関係役職員を一新いたしまして、また新しい体制のもとで事業運営改善に取り組んでいると承知しております。私どもは、この農協につきましては今後ともその改善状況把握に努めまして、必要な指導を行っていきたいということを考えております。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 この組合経理が極めて不明瞭で決算書類三つぐらいあって使い分けをしておったという、そういう事実もちょっと聞くんですが、調査のときにはその辺は何か把握されましたですか。
  22. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 検査内容でございますので具体的な御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、今御指摘のようなこともございまして、私ども追加指導というような異例の措置をとりながら、現在指導を続けているという状況にございます。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 会計検査院にお尋ねしますが、実地検査でこの報告書に掲記されている以外に気がついた問題点等がもしあればお聞きをしたいんですが、いかがでしょうか。
  24. 白川健

    説明員白川健君) 先ほど御説明申し上げました事項のほかにも何点かこの畜産農業協同組合経理関係問題点が見つかりましたけれども実地検査におきましてはもう非常に経理が乱れておりまして、これを整理するのに大変であったという報告を受けております。ただ、指摘する事項であるかどうかというところまではなかなかいかなかったというのが実情でございます。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 本件は以上で終わります。  次に、六十三年度決算検査報告の中で、農業改良資金貸付事業運営について意見を表示し改善処置を要求したものといたしまして報告をされております。  その中身は、一つは、農業改良資金貸付事業運営について青森県ほか二十二県を対象に調査したところ、貸付財源に多額の余剰金を生じているのに、国への繰り上げ償還等を行っていない県があるということと、もう一つは、農業改良資金余裕金運用益農業改良資金特別会計に計上し、貸付財源に充てることになっているにもかかわらずそうしていない。  こういう中身でございますが、ちょっと会計検査院の方でこの点について概略報告をしていただきたいと思います。
  26. 白川健

    説明員白川健君) 本件につきましては概要説明にも記載してあるものでございますけれども、先ほど委員がお示しになりました二つのポイントについて簡単に説明いたします。  初めのポイントでございますけれども、本制度は都道府県が行う貸付事業に対して国がその原資について助成するものでございますけれども、従前これを補助金の形で助成していたものを昭和六十年度以降は無利子の貸付金として助成することにしたということでございます。  その改正の趣旨といいますのは、資金余裕のある県からは繰り上げ償還をさせて、そして不足している県にその資金を回すという、つまり資金を機動的、効率的に使用するという趣旨のものでございます。その趣旨に従った事業が行われているかどうかという観点から検査を進めましたところ、先ほど委員の方からお示しになりましたように多くの県で資金がだぶついているというのに一部の県では資金が不足していて国からの貸付金を受けている、こういう事態がありましたので、この制度趣旨を生かすように農水省当局に対しまして意見を申し上げた、こういう事態でございます。  それから、第二点でございますけれども、この事業を行う県におきまして資金余裕が生まれている期間は余裕金運用して、その運用益はまた貸し付け原資とするという制度になっておりますけれども、その運用の仕方の実態を見ましたところ、県のほかの資金と合わせまして総合運用といいまして大口の定期預金などにしておりました。ところが、国に対しては普通預金として報告しておりまして、普通預金の利息分だけ資金運用して益が出たというような報告をしておりましたので、この点は実態に合わせて報告してもらうように農水省に対して要求した、こういうことでございます。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 大変なことが次々に起こっておりますが、農水省としてはこの改善処置要求に対してどのような対応をとられたのか、そして実効が実際に上がっているのかどうなのか、簡単で結構ですからお願いします。
  28. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 農水省といたしましては、ただいまの会計検査院の方から述べられました指摘趣旨に沿いまして、都道府県に対しまして一つは過剰な資金の保有額があるということでございましたので、保有額の算定の基準を示すということをいたしました。それから、適切な貸付計画を策定いたしまして、県間の資金のアンバランスがなくなるように指導いたしました。それから運用益でございますが、運用益につきましても適切な計上ということで、このために設けられております県の特別会計に全額を繰り入れるようにということで指導したわけでございます。指摘平成元年十二月でございましたので、平成二年、三年度で是正するようにということで指導いたしました。  その結果、必要な額以上の資金を保有しておりました十一県につきまして、平成年度で七県、それから残りの四県につきましては平成年度中に削減するようになっております。それから、もう一つ運用益の適正な繰り入れがなかった二十一県につきましては、平成年度中に適正な繰り入れが図られるように処置済みでございます。  今後、このようなことが再発しませんように、一層の指導の徹底に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 こういうような問題というのは、もう本当に厳密に検査をやればいろいろと出てくると思うんですが、今二つの特徴的な例を取り上げて質問をいたしましたが、もちろんこの二つは厳正に対処すると同時に、今後とも本当に問題が起こらないように体制を整えるべきだ、このように考えます。これで農水省関係については終わりたいと思います。  次に、建設大臣建設省も今六十三年度平成元年度の決算概要説明をいただきました。六十三年も元年もまた同じことを書かれておりますが、ただ書き方に若干農水省と違うニュアンスは、「常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期して」と。私は、非常にこの「内部監察等」というところには魅力を持っておりますし、ずっとこれまで指摘をしてきたことでございますが、ただ平成元年もまた同じことを書いて同じように決算委員会にぽっと並べられると、これははいそうですかとなかなか言いにくい。  すなわち、六十三年度決算会計検査院による指摘事項は、六十三年度は道路や河川の整備に関する補助事業実施不適切、自転車駐車場の利用が不十分なものが指摘をされております。さらに、大臣監督下にあります日本道路公団二件、首都高速道路公団一件、住宅・都市整備公団が一件指摘をされておりますし、また元年度においては、建設省関係補助事業実施及び経理不適切なもの、それから宅地取得資金貸し付けについて指摘がなされておるし、さらに日本道路公団、阪神高速道路公団、住宅・都市整備公団についても同じようにまた指摘がされております。  これは毎年毎年のことでございますが、建設大臣、反省をすれば、「誠に遺憾であります。指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。」、こう書いておりますけれども、これは決算報告で毎年毎年ですから、もう本当に私もずっと決算委員会で大分やっておりますが、何とかならないのか、このように思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  30. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 先ほど農水大臣からもお話がありましたが、私からも同じような答弁ではまことに申しわけないと思いますが、実際に御指摘のとおり、あってはならないことが二年にわたって起きているわけでございますので、本当に残念なことに思っておるわけでございます。しかも、六十三年から元年度はふえているということでございまして、件数でございますが、まことに申しわけないと思います。  しかし、内部監察についてお話がございますように、直轄事業ではございませんけれども補助事業と公団の事業にあるわけでございまして、地方公共団体は、監査委員の常時監査あるいはまた公団等は監事の常時監査を中心にしまして、適切な予算執行が行われるようにもちろん留意をしておるわけでございます。その都度これらのことにつきましては、御指摘があった分については通達を発するなど他の機関に対しましていたした指摘も周知いたしまして、同種の事件が起きないような十分な注意はいたしておるわけでございます。  特に、今毎年毎年という委員からの御指摘のように、建設省はこれから公共投資基本計画四百三十兆円の大事業をさらに拡大していくわけでありますから、厳正な予算執行ができますように私が先頭になりましてしっかりと対応してまいりたいと思いますので、どうぞ御理解を賜りたいと存じます。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、米軍の発注工事談合問題について若干お尋ねをします。  一九八八年十二月の横須賀基地及び本年五月九日の横田基地における工事受注時の我が国企業の談合問題について、非常に簡単で結構ですが、建設省把握されていることについてお尋ねをします。
  32. 伴襄

    説明員(伴襄君) お答え申し上げます。  一つは横須賀の談合入札でございますが、これは既に公取の方で昭和六十三年十二月に課徴金の納付命令とそれから文書警告が出ております。これを受けまして、建設省といたしましても直ちに直轄工事につきましては指名停止を行いましたし、それから建設業法に基づく監督処分といたしまして指示処分を行いまして対応したところでございます。そのほか、このような措置とともに、建設省において再びこういう独禁法違反の再発を防止するために、建設業関係団体を通じまして、独禁法等の関係法令を遵守しまして適正な活動を行うように大臣からの指示がありまして、次官から直接主要七団体に指示等をしたところでございます。  それから、もう一件の横田基地の事件でございますが、これは実は電気通信設備の保守、運用に関する契約についての事案でございまして、建設工事にかかわるものではないわけでございますので、特に本件について建設業法によって監督処分をするという性質のものではないわけでございます。そこで、ただ本事案において独禁法違反というふうに指摘された業者が九社建設省の発注工事の登録業者になっておりますので、そういった業者については工事契約の請負の相手方としてはふさわしくないという判断のもとに、平成三年五月十五日から一カ月間の指名停止を行って対応したところでございます。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がなくなりましたが、横須賀基地の談合、受注のその主な我が国の企業名をちょっと挙げてください。大手企業です。
  34. 伴襄

    説明員(伴襄君) 大手の企業がほとんど入っておりまして、実は課徴金納付命令を受けているのは七十社ございます。それから、文書警告を受けたものはこの課徴金納付命令を受けたものを含めて百四十社ございますので、ほとんどの大手の企業はこの中に入っているという状態でございます。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 鹿島建設、清水建設等がその中の代表的な企業ですね。鹿島建設の会長の石川六郎さんというのは日本商工会議所会頭ですか。その点はいかがですか、事実関係
  36. 伴襄

    説明員(伴襄君) 鹿島建設の会長は石川六郎さんであると思いますけれども、この関係につきましては、こちらからも主要団体につきまして適切な活動を行うように指示したところでございますので、業界もそれを受けた形で刷新委員会等を開きましてそれの対応を十分やっているところでございます。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がないから聞いたことを答えていただきゃいいんです。商工会議所の会頭を石川六郎さんはやっているかどうか、いかがですか。
  38. 伴襄

    説明員(伴襄君) やっておられると思います。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 野村証券初め日本の代表的な大手の証券会社で、この前野村証券の田淵さんは証券業協会の会長を引き受ける予定だったが、これはもう責任をとった。  あなたは、この談合問題というのは犯罪行為と受け取っておるのですか。そうじゃない普通の民事上の行為だ、このようにとっておるんですか。その点はいかがですか。
  40. 伴襄

    説明員(伴襄君) 建設省の方針としましては、この独禁法違反というのはあってはならないことだというふうに思っておりまして、そういう基本的な対応方針で臨んでおるつもりでございます。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 あってはならないということは、犯罪行為とあなたがとっておるのか、とっておらないんですか。
  42. 伴襄

    説明員(伴襄君) 独禁法に違反する行為は、これは独禁法違反でございますので、決して容認しないというのが我々の対応の基本方針でございます。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 しっかり考えていただかなきゃいけないのは、アメリカの受注をするときに談合しているということは、やはり日本の官公需に対しても同じことが繰り返されているということと、大体常識的に我々いろいろ知っておりますよね、とらなきゃいけない。だから、答弁しにくいのかもわかりませんが、これは明らかに法律を犯して、そしていろいろ指導しているから云々と、こう言われましたが、日本の商工会議所というのは、商工会議所法という法律があって、法律で保護されてできておるのが商工会議所で、その商工会議所のトップに、いいですか、犯罪を犯した、最もやっちゃいけないことをやっている、しかもアメリカだけでなく日本じゅうどこでも恐らくその企業はやっている、そういう人がトップに座っておるんです。これはどう思うんですか、あなたは。
  44. 伴襄

    説明員(伴襄君) くどいようでございますけれども、建設業界のトップという立場でもあられますので、刷新委員会を設けましてそれでこれを根絶するようにと先頭に立って旗を振った方もまた石川六郎さんだというふうに記憶しております。そういう対応を近日中にやられると思います。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、最後に、時間が来ましたから、一言答弁していただきたいんですが、石川さんなんかは日本の政治のあり方や日本の将来、あるいはいろんなことに対して御意見を述べられている方ですね。こういう人がトップの会社でそういう法律違反をし、それをあっちこっちで金をもうけるためならその会社は何でもやっている、いろんなことをやっている。こんなことは常識的に、強いからまかり通っておる、相手が力があるから、許されていいことかどうか、大臣の見解を聞いて、質問を終わります。
  46. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 私は法律家でないので犯罪という範囲がどこまでが犯罪と言うか非常に難しいわけでありますが、先ほど来局長もその辺で御答弁がしにくかったと思います。  しかし、そのようなことが起きた会社の代表の方が、個人的には私は問題があるということではないと思いますが、会頭になっておるということについてそういう御批判があるということも否定はできないと思いますけれども、御本人もそれだけの良識のある方ですから、いささかもそのようなことで御批判を受けるようなことはしないと私は信頼をしておるつもりでございまして、今後こういうことが起きないようにしっかりむしろ責任をとってやってほしいと、こう思っております。     ─────────────
  47. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま種田誠君が委員辞任され、その補欠として西野康雄君が選任されました。     ─────────────
  48. 西野康雄

    西野康雄君 まず、自治省から順番にお聞をしていきたいと思います。  近年、建設省あるいは水資源開発公団が日本全国で水が要る水が要るということでむやみやたらと水源開発をいたしまして、地方自治体にこれを無理やり押しつけております。地方自治体の方は、水は要らぬ要らぬと言っておるんですけれども、買え買えと、こういうふうなことで財政がむちゃくちゃ圧迫されておるようでございます。  そこで、自治省は、構造的に水需要が停滞している時代では超先行投資的な水資源開発を縮小、休止することも必要である、このようなことを自治体に対して指導していくというふうなことを聞いておりますが、それはいつ、どのような指導を出したのか、そしてまた超先行投資だとして指導した例があれば御教示を願いたいと思います。
  49. 高田俊昭

    説明員(高田俊昭君) 今の御質問にお答えさせていただきます。  私ども、例年六月ごろに出されております地方財政の運営に係る事務次官通達というものがございますが、この中におきまして従来から、水道事業及び工業用水道事業につきましては、その建設投資計画の策定に当たって、的確な需要予測を行い、投資規模の適正化を図るよう指導いたしているところでございます。そして特に、治水等を目的とするダム等が建設される際に、地方団体として当該地域における将来の水需要に対応するそのための計画的な水資源の確保という観点から、水源開発に参加しようとする場合にあっては、当該団体にとっての水源開発への参加の必要性、所要水量、それから企業採算性、こういったことなどにつきまして、その企業サイドだけじゃなくて、関係部局間で十分検討した上、慎重に対処していただきたい、こういうようなことをこの通達の中で求めてございます。  なお、今御指摘のありました具体的な例ということでございますけれども、自治省といたしましては、経営上の視点からこのような一般的な指導はお願いしているわけでございますけれども、今御指摘のような個々具体的な指導を行った事例は今のところございません。以上でございます。
  50. 西野康雄

    西野康雄君 一九八九年の三重県企業庁工業用水道課が出した「三重県における工業用水道事業の概要及び料金体系の問題点と課題」、こういう論文を読んでみたわけですけれども、長良川河口ぜきは「北勢地域を対象とした次期工業用水の必要水資源として、六十七万五千トン/日分を確保する目的昭和四十八年度に水資源開発公団が施行する長良川河口堰建設事業に参画したのであるが、その後の社会、経済情勢の大幅な変化や、水使用の合理化対策等が進む中で、当初に計画した、水需要の予測が大きく狂い、当面需要の発生が見込めない超先行投資的なものとなっている。」、あるいは文中には「契約水量と使用水量との間に、大きなギャップが生じ、将来的にも解消される見込みのないことが見えはじめた昭和五十年代後半から、基本水量の見直しについての要請が利水企業から出てきた。その使用量は五〇%以下にも落ちこんでいる。」、こう述べているわけですね。  また、一九七六年発行の愛知県地方計画を見ましても、「長良川河口堰事業の当初の給水対象地域と掲げた名古屋の臨海部コンビナートは、水あまりとなり、もはや利水施設として意味をもたなくなり、同車業の給水地域さえ限定できなくなった。」と、こう述べておるわけです。  三重県工業用水道の平成元年度の利用率、これを調べてみたんですけれども、平均実給水量と給水能力比、これ見ますと四六・三%にすぎません。ここへ長良川河口堰事業が加わると二六・二%にまで低下するわけです。三重も愛知もこれは水余りで、それは水だからあっぷあっぷするのは当たり前なんですけれども、余りにも水余りがひど過ぎるわけです。これは地方公営企業としての経営とそれから財政破綻を意味するんじゃないかなと、こう思うんですね。  地方自治体に負担を強いる水資源開発に対して自治省はどのように思い、どのような対策を講ずるのかということの御所見を伺いたいし、また長良川河口ぜきにおいて、水道用水財政は、事業完了後、水道会計が建設期間中の建設利息をも含めた額を元金として、元利均等二十三年半年賦払いで公団に返済することになっているんですが、水の売れ先がないため料金の値上げが一般会計の負担に転嫁されます。いずれにしても、住民負担になるわけです。自治省としては、最終負担を強いられる自治体や住民の立場に立って、この長良川河口ぜき建設事業をどう思っているのか、一時中止の要請はしないのか、そういうふうなことをお聞きしたいんです。  三重県なんかは、毎年三十億円を向こう二十三年間何にも使わない、もう本当に売れ先のないのにこれをどんどんと、まさに水に流すというのか、湯水のごとく使うというのか、どう表現していいのかわかりませんけれども、こんなことを許していたら、地方自治体はだめになってくる。だから、自治省としてはきっちりとこういうことに対しては厳重な対処をする必要があるかと思うんですけれども、どないですか。
  51. 高田俊昭

    説明員(高田俊昭君) ただいまの御質問は二点ほどに分かれようかと思います。  一つは、自治体に負担を強いる水源開発に対してどう考えるのか、どう対処をするか、こういうことでございますが、まずその点につきましては、将来における水需要の増加に備えた一定の水源開発、こういうことは必要であろうかと考えております。特に、工業用水道事業は、一般的に長期的な水需要見通しに基づいて企業立地に先立って整備される事業で、事業自体に先行性というのを本質的に持っております。一概に先行投資そのものを否定することができないことも事実じゃなかろうかと思います。長良川河口ぜきにつきましては、将来の需要に備えるというようなこと等のために、両県の自主的な判断と責任において進められてきている、こういうふうに考えております。  なお、自治省といたしましては、今後先行性の高い水源開発、こういったことにつきまして将来の都市用水の需要に合理的に対応できるような、そういう水源確保制度といったものについて今後検討してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。  それからもう一点、自治体に住民負担を強いるこの長良川河口ぜきの事業の一時停止を要請しないのかというような趣旨の御質問でございますけれども、これにつきましても、大体今申し上げたような事情でございますけれども、長良川河口ぜきにおける基本計画策定時の水需要あるいは工業用水道用水の需要見通しは妥当なものであった、こう考えておりますが、その後の社会経済情勢の変化、水使用の合理化、こういったこと等によりまして、御指摘のとおり水需要の見通しは厳しくはなってきております。しかしながら、地方団体において、将来における水需要の増加、こういうことに備えまして一定の水資源を確保するということも必要でありまして、そのような考え方からこの事業に参画しておるものと、こういうふうに理解しております。  したがいまして、自治省といたしまして、一時中止等の要請というようなことは、今のところ考えておりません。以上でございます。
  52. 西野康雄

    西野康雄君 長良川河口ぜきと同じような問題を抱えておるし、今後発生するだろうなと思うのに相模川取水施設事業というのがありまして、全長四百九十五メートルの全面締め切り型取水ぜきの建設が神奈川県企業庁水道企業団においてなされようとしております。水需要予測等を考えると先行投資のように思うわけで、計画の緊急性がない以上、地元住民の自然保護への思い等を考えて、自治省としてこの計画に対して何らかの指導をする方針はございませんか。全容がわからないから答弁できないとおっしゃるかな、どうですか。
  53. 高田俊昭

    説明員(高田俊昭君) 今の相模川の御質問でございますけれども、この相模川取水ぜきにつきましては、相模川水系建設事業として、宮ヶ瀬ダムの開発による原水を安定取水するための施設として神奈川県内広域水道企業団が建設する予定である、こういうふうに聞いております。  また、先ほどの工業用水のところでも申し上げたことと重なるわけですけれども、地方公共団体におきましては、将来における水需要の増加に備えて一定の水源を確保することが必要である、こういう考え方からこの各企業団の構成団体の合意に基づきましてこの宮ヶ瀬ダムに参画しているものと、こういうふうに私ども理解しているところでございます。  なお、自然保護との関係でございますけれども、御指摘の自然保護につきましては、現在相模取水施設建設事業環境影響予測評価において検討されている段階だと伺っております。その結果を踏まえて適切な対応がとられるものと、こういうふうに考えているところでございます。
  54. 西野康雄

    西野康雄君 相模川のことに関してはいずれまた御質問をしたいと思います。どうも自治省の方、ありがとうございました。  さあ、お待たせをいたしました。長良川河口ぜきについて河川局長にお伺いをいたします。  平成二年十月、建設省河川局、水資源開発公団がお出しになりました冊子がございます。その中の八ページ目ですが、「長良川河口堰について」の冊子を読むと、「塩水遡上への対応」の中に塩分濃度予測の結果が出ております。例えば河川水塩分濃度、河口からの距離十五キロ付近でおおむね一万一千ミリグラム・パー・リットルですね。二十キロ付近でおおむね一万、二十五キロ付近でおおむね六千、こういうふうなことでございます。これの算定根拠というんですか、これは一体どこから出てきたのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  55. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 御指摘の塩分濃度につきましては、まず河川水塩分濃度については、塩水くさびを形成するときに、河川の通常状態の流量で満潮から干潮までの平均的な状態で発生すると予測される塩分濃度を密度流解析によって推定したものでございます。地下水の塩分濃度につきましては、現在既に塩害が発生している十五キロより下流の地域で観測した資料による相関関係を用いまして、河川水の塩分濃度と地下水の塩分濃度との関係から推定したものでございます。また、土壌塩分濃度につきましては、現在既に塩害が発生している十五キロより下流の地域で観測した資料による地下水塩分濃度と土壌塩分濃度との相関関係から推定したものでございます。
  56. 西野康雄

    西野康雄君 その河川水塩分濃度ですが、それは表流水としてやったのですか、それとも底層のものをシミュレーションしましたか。
  57. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 長良川の河口は海に面しておりますので海の水が上がってくるわけでございますが、大潮の場合は非常に干満の差が大きいので、いわば我々の中では強混合という形で、押し出してくるというような形で上ってまいります。それから、小潮の場合、干満の差が非常に少ないときには、海の水がはい込むように入ってくる。これは塩水くさびということで申し上げました。そういう関係のものを密度流解析して、いわばその断面における塩分濃度を推定して出したものということでございます。
  58. 西野康雄

    西野康雄君 何の数値をどう当てはめようと結構でございます。また後で、どういうふうに解析をなさったのか数値がございましたら、御提出を願いたいと思います。  というのは、建設省の木曽川下流事務所というのは非常に熱心で、随分といろいろな研究をなさっておられます。その中で、昭和五十年一年間を通じまして、長良川の十四・二キロの地点、つまりマウンドが今ございますね、そこらで塩水が遡上するのがとまっているというのが十五キロ付近でございますが、そのところで一年間観測いたしました。二百ミリグラム・パー・リットル以上の日が年間どれぐらいあるのか、年間たったの二十二日。それで、しかも底層で五千以上と確認されたのは一月七日、八日、一月二十二日、四月六日、九月十四日、九月十五日、十一月十三日、これだけなんです。あなた方は一万一千だ、一万だ、六千だと、こんなことを言っているけれども、実際観測されている表層で、観測した分は底層が五千以上あっても、ゼロの日もあるんです。いいですか、農業用水でも、今でもそうでしょう、長良川で取水しているのは〇・七五メートル、七十五センチぐらいのところから取水しているんでしょう。そして、農業用水に必要な四月、五月、六月、七月、八月、このあたりは二百ミリグラム・パー・リットル以上のところでも皆無なんです。片一方で十五キロ付近で一万一千、二十キロ付近で一万、二十五キロで六千、余りにも観測結果と違い過ぎるわけです。こんなばかなことありますか。だから、一遍数値を出しなさいよ。こうしてこうしてこうなったから、これだけの河川水塩分濃度になった、実際の観測値とこれだけ違います、違う根拠はここですよと。それじゃないと、こんなものをマスコミに発表したら恥ずかしいと思いませんか。どないです。
  59. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 先生も農業の方で御専門でございますので、今のおっしゃった意味は十分私も御説明させていただきたいと思います。  例えば、九州筑後川等でよくアオ取水というのをやっております。昔はこういう潮どめぜきという対策ができないために農民が大変苦労いたしまして、海の水がはい上がってくるその上に浮いている真水をとるという形によってやってまいったわけでございます。  実は、長良川の下流でも長島輪中では、明治初年はそういう形をやっておったようでございます。その後、洪水の対策としてしゅんせつをしていった結果、それができなくなって上流取水に切りかえ、あるいは塩害が発生して塩害対策に大変苦慮したわけでございます。今おっしゃられました十四・二キロというのは、ちょうどマウンドの下流側といいますか、ちょうど潮どめの機能を持っている地点でございますから、おっしゃいましたように上には真水が確かに浮いていると思います。上流から比重の小さい真水は上を浮いてくる。しかし、川底には塩水が押し込んでくるということによる結果、昔は農民の皆さんは、潮の満ち引きあるいは大潮、小潮に苦慮しながら、大変その間を縫って水を使うことによって努力してきたわけであります。  農業用水についてもそれだけの努力でございますから、二十四時間取水しなければならない工業用水、水道用水ではとてもそういう対応はできないわけでございまして、またおっしゃいました上の塩分濃度が二〇〇ppmといいますから、これはもう水道用水としては限界でございます。そういう意味では、完全に塩分を遮断しないと、さらに今後しゅんせつする、塩分遡上対策としては完全を期しがたいわけでございますので、長良川河口ぜきによって塩分遡上をとめることが極めて重要な課題となっているわけでございます。
  60. 西野康雄

    西野康雄君 何を言うてますのや。私の聞いているのは、こんな一万一千や一万やとか六千やとか、こんなもの今出てくるわけおまへんやろと。表流水の話をしているのと違う。アオ取りの話をしているのと違う。もう御存じでしょう。観測結果も、底層の海水というのは下からはい上ってきて、淡水より下でしょう。その底層のをとってみても、こんな一万一千だとか一万だとか出てこない。だから、どんな類推をしたのかと聞いておるわけで、別にアオ取りがどうのこうのだとか、工業用水で限界だとか、それは私だって農学部ですから、農業用水で一〇〇〇ppm、これが農林水産省から出している塩分濃度の限界だとかそんなのわかっています。違うんですよ。  こういうふうに塩害がたくさんあるだとか、塩分がようけ上ってくるんだとか、そういうふうなことを実際の観測データと全然違うようなものを出してくるから、これはどうなのだと聞いているので、別段、淡水がここまでですとか、工業用水はもっと淡水化しなければなりませんとか、だれもそんなこと聞いていないですよ。なぜこういうふうなものを出してくるんだと。だから、出した根拠となる数値、そして今まで観測した結果とその類推のデータを出してもらいたい、こう思うわけで、そのデータを出すかどうか、今聞きますから、どうですか。
  61. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 先生、ちょっと誤解があったら申しわけないので、この前後を読ましてもらいますが、「長良川には現在河口から約十五キロ付近にマウンドがあり、」と、マウンドというのは先ほど言いました十四・二キロを含めて、その地点にあります。現況では、「塩水の遡上はこの地点でほぼ止まっていますが、河床を浚渫することによって、これを全面的に取り除くことになるので、塩水が約三十キロの付近まで遡上することが予測され、それに伴い、河川水の塩分濃度、堤内地の地上水及び土壌の塩分濃度」が以下の表になるということでお示ししておりますので、これは表にも書いておりますように、河道しゅんせつをした状態で塩分が遡上したときの予測結果としてお示ししたものでございます。必要な資料はまたそのときにお示ししたいと思います。
  62. 西野康雄

    西野康雄君 出してもらえるんですかと、聞いているんです。
  63. 近藤徹

    説明員近藤徹君) お示ししたいと思います。
  64. 西野康雄

    西野康雄君 それで安心をいたしました。二年前に河床データを出せと言ったらいまだに出てこないので、よっぽど綿密なことをやっていただいておるんじゃないかなと、こう思っておるわけでございますが。  一九九〇年二月、河川局が発表した「長良川河口堰について」を読みますと、「現在の河道で洪水を安全に流し得ると推定される水位以下の河積は、計画の河積に比べて七割程度です。」とあります。「昭和六十三年三月の長良川河口堰の本体着工に伴い河道の浚渫工事が本格化することから、今後の必要な浚渫量を改めて算出したところ、約千五百万立方メートルの浚渫が必要」だと、こういうふうに結ばれております。  そこで、河口ぜき事業のしゅんせつ区間ゼロから三十キロまでの河積ではなくて容積ですね、どれぐらいあるのかということをお尋ねしたいと思いますし、文中に粗度係数等いろいろと与えて水理学的算出というふうな文言がございますので、その数値、式、これは後でも結構です、ここで口で説明してもデルタtが何だとか水深hがどうだとかいろいろあるかと思いますので、後でも結構ですが、しゅんせつ区間の容積は一体どれぐらいあるのか、これをちょっと聞かせてもらえますか。
  65. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 長良川の河川は、私どもがそれぞれキロマークを置いておりますが、一番河口がマイナス〇・六キロとなります。それから、三十・二キロの区間における計画高水位以下の容積は昭和六十二年時点では一億二千万立方メートルでございます。
  66. 西野康雄

    西野康雄君 恐らくそうだと思います。私も一九七七年、つまり安八町水害のあった翌年の河床年報でずっと計算しても、一億一千八百万立方メートル。だから、非常に正直にお答えになってくださいましてまことにありがたいなと思っているんです。  河積が平均して必要な河積の七割というならば、容積も七割というふうなことになるかと思います。だからこそ、しゅんせつをなさるんだと思いますが、足りない容積すなわち必要なしゅんせつ量は、そうすると大体私が一億一千八百万、建設省河川局が一億二千万と。私自身が計算をいたしますというと、一億一千八百万立方メートル割る〇・七引く現在の容積一億一千八百万立米ということになって、七割ということになると五千五十七万立方メートルをしゅんせつしなければならぬわけですわ。あなた方が出してきた一千五百万立方メートルと全然違う。この辺は一体どんな計算をなさったんですか。七割だと片っ方で言うておいて、片っ方で一千五百万立米でよろしいと。僕の計算では、五千五十七万立方メートルがしゅんせつされなければならない。河積の七割、計画高水位以下だったと。どうですか。
  67. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 先ほどの答弁で私答弁漏れがございましたが、資料提出を求めたのにいまだに出していないというのは先生の御記憶違いだと思います。私の方では既に一昨年の暮れにお出ししたと、私は思っております。  それから、河積と容積は同じではないか、こういうお話でございましたが、川というものは入れ物とちょっと違うわけでございまして、御承知のように水路でございますから……
  68. 西野康雄

    西野康雄君 だから、河積は河積と言うてまんがな。そこから容積を出しているからこうだと言うてるんや。
  69. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 蛇が卵をのんだように膨らんでいるところもあれば狭いところもあって、全体としてどれだけの洪水を流すかということでその能力が決まるわけでございます。したがって、川の断面積の絞られたところでは流れないことになりますから、今の容積だけの計算では実態とは合わないんだと思います。長良川も御承知のとおり川幅も、幅も広いところもあれば狭いところもあるわけでございますから、厳しいところではそういう状態になっているということを申し上げておるわけでございます。
  70. 西野康雄

    西野康雄君 それじゃ、それなりの具体的なものを出してもらいましょうか。そして、河床年報等は私の手元にはないと記憶しておりまして、たしか資料要請をしたときも、前任者はそんなのあるんですかと言ったままでございます。また、私がひょっとして記憶が違っているのかもしれません。そうしたならば、もう一度一九七七年度以降の分、これをちょっとお出し願いたいと思いますし、この容積と河積が違うということはわかっておるんです。そうしたら、どこの地点が七割であってどこの地点が十分ですよというふうなことをお示しを願いたいと思います。どうですか。
  71. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 河床年報というのは、私どもは作成を義務づけているとか通例つくるわけではございませんが、現地で河川の測量をしたときに一応測量結果の取りまとめとして中部地方建設局ではそういう形でまとめておったわけでございまして、私どもはもともと義務づけているわけではございませんから、そういう資料の存在を知りませんでございました。  先生の方は大変調査が行き届いておりまして資料の存在を御承知だったので私どもに御要望があり、たしか当時の建設委員会で先生から資料要望があって私どもで御提出したわけでございまして、私どもその後地元で作成しておるものがありましたら、お示ししたいと思います。
  72. 西野康雄

    西野康雄君 いや、その答弁漏れとそれとは結構でございます、後で。違うんです。今僕が聞いたのはどこが河積――断面積のこの辺のところのこの地点が七割しか通りません、ここは蛇が卵をのんだように大きく膨らんでいますからここは大丈夫ですというその具体的なものを出してください、こう言うておりますねん。だから、どないです、それは出してくれますかと、今聞いているんです。
  73. 近藤徹

    説明員近藤徹君) どういう形でお示ししたらいいか、また検討した上でお示ししたいと思います。
  74. 西野康雄

    西野康雄君 こういうのは、川幅をとってきて河床とずっと比べてくればこれはもうわかることなんですけれども、しかしそれは余りにも数値が違い過ぎるし、こういうデータを出さないというふうなことも起因しているんじゃないか。  僕は、この一千五百万立米というのは、初めの水をとめる高さがぐうっと低くなりましたわな、周り近所からこんなに高いところまで水をためてもらったら困るというので八十センチぐらい低くした、そして延長二十キロ、幅六百、これを掛け合わせると一千三百万から一千五百万ぐらいになるので、ああ減った分の水をためるためにはこれは底をしゅんせつせないかぬのやな、ほぼそんな数値だなと思って、そこから疑問を抱いてやったわけです。ですから、その河道のしゅんせつについてはそういうふうなどこをどうするんだと、幅だとかその辺、お示しを願いたいと思っております。  それから、しゅんせつに関してですけれども建設省は河口から三十キロまでのうち二十六キロをしゅんせつしておりますね。平成元年度、平成年度のしゅんせつ、これの量の実績、それからこれにかかわる費用はどれぐらいかかって、今後どれくらいかかるのかという総予算。それから、きのう私聞くつもりなかったんですが、ヒアリングの方が公団分はどないしましょうと言うたものですから、公団分もそれならついでにお答え願えますか。
  75. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 長良川のしゅんせつにつきましては、河口ぜき工事と一体として実施します三キロから七キロ区間及びブランケットの用土のしゅんせつについては水質源開発公団で実施し、残りを建設省がしゅんせつ工事また砂利採取に許可するという形で実施しているわけでございます。このしゅんせつ量は、建設省及び公団が平成元年度及び平成年度実施したしゅんせつ量、これに砂利採取量も含めますと、それぞれ七十三万立米、九十三万立米でございます。また、しゅんせつ工事に要した事業費は、一般間接費なども含めまして、二十二億円、三十九億円となっております。
  76. 西野康雄

    西野康雄君 大体立米当たり三千から四千ぐらいかなと思っておったんですけれども、これは直轄河川改修事業費とでもいいましょうか、そういうところから出ているわけですか。
  77. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 申し上げましたように、水資源開発公団については長良川河口ぜき建設事業費で、それから建設省については直轄河川改修費で実施しております。  今単価のことをちょっとおっしゃっておりましたが、これは先ほども言いましたように、いろんな調査測量費から一切を含めた単価で構成しておりまして、直接工事に要した経費ですとこれより若干少なくなります。
  78. 西野康雄

    西野康雄君 その直轄河川改修事業でやっていて、そして公団分は長良川河口ぜきでやっておるということでございますが、この河口ぜき事業というのは水資源開発公団の事業ですわな。しゅんせつの費用は建設省本来の治水事業費、直轄河川改修費で負担をしておるということになりますと、河口ぜき建設費に洪水調節費として一番最近のもので五百六十一億円、アロケーション率で洪水調節三七・四%が入ってきておるわけで、河口ぜきそのものに洪水調節機能はおまへんわな。  これは、「部外秘 東海地方の昭和六十年における水需要と水資源開発」という、建設省中部地建企画部が編をしておられますが、それを見ても治水容量はゼロと。ずっといろんな説明を聞きましても洪水時はせきのゲートを全開、こういうふうなことですから、そうなりますと洪水調節のアロケーション率三七・四%、今お聞きすると、しゅんせつの方は河川改修事業だということになりますと、このアロケーション率、洪水調節費としての五百六十一億円というのは、これはおかしなことになりませんか。洪水調節機能がないのに治水のアロケーション率を出してきているというのはどう考えてもおかしいと思いますけれども、この辺の答弁、どないですか。
  79. 近藤徹

    説明員近藤徹君) まず、先生、洪水調節とおっしゃったんですが、これは治水でございます。洪水調節というのは、ダムを建設して洪水が出てきたときにダムの空き容量に水をためて下流の洪水を減らすという機能でございます。  この長良川河口ぜきは、長良川の川底をしゅんせつして現在よりも洪水が流下しやすいような形にするわけでございます。その際に、現在十五キロまで塩分が遡上しているわけでございますが、それが約倍の三十キロぐらいまで遡上するということになりますと、濃尾平野の穀倉地帯あるいはこれから中部圏の発展を予定されておる地域の水利用が塩分によって阻害されることになって利用不可能になるので、まずこの河道しゅんせつをする前に、河口にせきを建設して塩分が遡上しないようにしてからこの大規模しゅんせつをするわけでございます。  なお、水資源公団につきましては、せきの前後の関連部分についてはしゅんせつを先に行ってせきを建設する、それに引き続きましてその上流に向かって私どもの直轄河川改修費でしゅんせつをしていこうということでございます。したがって、関連する事業区間としてはせきの前後でございますので、せき前後で我々が投資可能な額を治水費としてアロケーション率を決めて負担をしておるわけでございます。  なおまた、水利用の立場につきましては先ほども自治省の方に御質問がございましたが、三重県というのは大きな水源を歴史的に持っておりません。木曽三川にどうにか首を出して利用しているという状況でございまして、例えば三重県が北伊勢の工業地区で今九トンの水をとっているわけでございますが、これは岐阜県内に入ってとっているわけでございます。  したがって、さらに北伊勢のみならず南伊勢あるいは三重サンベルトゾーンを含めた今後の開発計画を考えれば、どうしても三重県としては将来的に長良川に水を依存せざるを得ないという地形的な状況があって、やはりこの河口ぜきに参加を意思表示したわけでございまして、それぞれに参加意思表示し関係者が集まって議論した結果、このアロケーション率が決まって実施しているわけでございます。私どもの負担しております治水費も、そういった長良川の大規模しゅんせつの一環として、必要な事業費としてこの事業を負担しているわけでございます。
  80. 西野康雄

    西野康雄君 だから、しゅんせつは直轄の改修費で出しておるわけで、ここへ治水の比率のアロケーションとして出してくることはないし、水資源開発公団がやっているしゅんせつは、これはせき上げのための水位が高まるからそれのしゅんせつをしてすりつけをやっておるだけの話で、治水だとかそんなものとは全く関係ないわけで、本来の流すだけのものをピアが立っていてそれで流れがとめられるからそれを掘り下げているだけの話で、本来の治水事業でも何でもないわけですよ。  それを治水だとか言うのはおかしいし、また三重県は自前の水源を持たないからと、そんなことを言っていたら大阪だって自前の水源といったら滋賀県の琵琶湖になってしまう。おかしいのは、水が余っておる。要らない。下水道の整備がかなってくると、だんだんだんだんとこれがまた水が余ってくる。  この間、下水道事業団の人と話をしておっても、二十一世紀に入ったら水資源開発公団と水売りの戦争をせにゃいかぬな、水売りで戦争するんやったらミズーリ州へ行ったらどうやというふうな話をしていたんです。二十一世紀になって水が足らぬのやおまへん。余ってきますよ。(「熊本は水が足らぬで地下水が枯渇しているんだ」と呼ぶ者あり)熊本の話をやっているんじゃないんですよ。三重県の話をしているんです。だから、水がいっぱい余っている、そういうところにおいてはこういうふうな事業をやらないで熊本へ行ってやってやればよろしい、そういうふうなことになってくるわけですよ。  だから、無理やり地方自治体に財源を押しつけてこういうふうなことをやっているということ自身が非常におかしなわけですよ。塩害塩害と言うならば、一九八五年の中部地建木曽川下流工事事務所の長良川河口ぜきのように、社会環境及び自然環境に及ぼす影響が大きく、木曽川での河口ぜき建設は現状において非現実的と考えざるを得ないということで、立田村の塩害に関してはブランケットと矢板が最も現実的で効果的だ、こういうふうなことを出してきているわけなんですよ。だから、硬直したそういうふうなことを考えずに、そしてまたppm等々に関しても、本当にこれ非常にオーバーに装っているな、誠実味というんですか、そういうものがないな、こう思うわけです。  時間の方もやってまいりました。建設大臣も行かれたようです。人命がとうといんだ。我々も人命がとうとい。しかしながら、これはせきを建設するとかえって洪水の危険性が増すんじゃないか、そういうふうなことで徹底的に論議をやっております。ですから、建設大臣がこの間行かれたときには地元反対派の方々の声を聞かなかった、こういうふうなことも聞いております。  最後に望むのは、やはり地元の反対の意見も十二分に聞きながら、中止すべきものは中止する、一たん休止してゆっくりと考えるべきものは考える、こういうふうな姿勢が大事じゃないかなと思いますが、大臣、御所見をいただければと思います。
  81. 近藤徹

    説明員近藤徹君) その前に。  まず、治水上全然必要ないとおっしゃいましたので、この点だけ説明させていただきたいと思いますが、先ほども言いましたように、洪水が発生した場合には河道をしゅんせつしておかないと洪水が流れないということからしゅんせつをするわけでございます。したがって、洪水の発生していない通常のときに塩分が上流まで上ってきて用水障害等が発生するので、これは治水事業と一体不可分ということでせきを建設しているわけでございます。このような潮どめ機能を持ったせきは、我々が直轄の大臣管理区間として管理しております全国百九水系中既に五十三カ所あるわけでございます。例えば非常に近い江戸川等にもあるわけでございまして、潮どめぜき機能というものは治水事業と一体不可分でございまして、必要なわけでございます。  それから、利水については、先ほども言いました伊勢湾を含めた今後の中部圏の開発構想の中で、最後に残された水源地域として、関係県が参画したものと考えております。
  82. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 今日までも西野委員とはたびたびお話をさせていただいてまいりました。  先般、私は現場に参りました。今先生が反対派に会わなかった、意見を聞かなかったと、こういうことでありますが、私は今日までも申し上げてまいりましたように、民主主義のルールというのはやはり地方自治体の皆様方の御決定になったものを土台に考えるべきだと。沿川の生命、財産を守るためにそれぞれの自治体が大変長い間御苦労を積み重ねた中でこの案が生まれてきたわけでございますし、当日私は賛成派という方からも意見は聞いておりません。自治体の代表の意見を聞いたわけでございまして、それは自然を守るということも、反対派も賛成派も同じように大事に考えているものと私は思っております。  そういう中で生まれた事業でございますから、私は今日までもたびたび申し上げておるように、今日進んでいることを粛々と進めるのだと、こう申し上げておるわけでございまして、ただいま拝聴させていただきました数々の御研究やその成果については当然河川局長を中心によく検討もさせていただきまして、結局はあの周辺に住んでいる方々のことをやはり第一に考えるということで進めさせていただきたい、このように思っております。
  83. 西野康雄

    西野康雄君 ありがとうございました。  治水論、しゅんせつが必要かどうかはまた川の容積が出てからやりたいと思いますし、安八町水害も堤防の破堤は越流じゃなかった、十二分に流し得たということを指摘して、私の質問は終えさせていただきます。
  84. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 よろしくお願いします。  けさほど我が党の梶原委員の方から米の市場開放問題について近藤農林水産大臣にお尋ねをいたしました際に、大変力強いお答えがございました。不退転の決意を貫くと申されました。私は、そのことをしっかりと胸にたたみ込みながら、ただいまから質問をさせていただきたいと思っております。  六月六日の報道によりますと、農水省の首脳という肩書で米市場開放問題について「可能性があることは十分認識している。大事なのはタイミングだ」と語ったと報じられておりますが、これは明らかに米の市場開放を前提にし、あとは時期の問題、政治決断を示唆したものであるとしか受けとめられないものでございます。この御発言の首脳というのは近藤農林水産大臣であることが後で明らかになりました。  農林水産大臣のガット・ウルグアイ・ラウンドへの基本姿勢を私もここで改めてお伺いしたいと思います。
  85. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 私の訪欧中の新聞の報道の中にそのような表現が報道されたということで、首脳ということは私も私だと、大臣だと、こう思って、実は理解をいたして、そのような発言、そのような単語がなかったこともその後の記者会見で明らかにしたところでございます。  政治決断というような質問が記者さんから出てきたのは、ちょうどその日にOECDの閣僚会議が終わって、なるべく年内にガット・ウルグアイ・ラウンドのまとめをするべきだと、そういう立場で政治決断が必要だというようなことがOECDの閣僚会議の中で言われておるが、それについていかがかという問いに対して私が答えた部分でございます。  私は、政治決断という表現がOECDでなされたということは知っておるけれども、そこへ行くまでの過程議論というのは今承知をしていない、ガット・ウルグアイ・ラウンドというのはまだ事務レベルでも一回りしていないで輸出補助金分野が残っておるときに、政治的な発言ということ自体は事務レベルで熱心に討議をしておる方々の情熱を失うことにもなるし、そういう時期でもない、いずれにしてもガット・ウルグアイ・ラウンドが事務レベルでまとめ上げるというようなものではなかろう、いずれ事務的に対立する時期があるかもしれませんけれども、そういうときには政治的にやっぱりプッシュをすることはあるだろう、こういう話をしたわけでございます。  それが政治決断というようなことの表現で報道されたということで、夜中に起こされて、東京から電話が参りましたので、私も大変いい会談だと思ったのに、そういうことが実はあったことでびっくりして、そして確認をさせていただいて、そういうことではなかったことも明らかにさせていただいたところであります。
  86. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私のような新米議員でも経験ございますけれども、週刊誌ですと大変ちょっとのことでも針小棒大に読者がおもしろおかしく興味を引くように書くわけです。事権威ある日刊紙がそんなに大臣の御発言を曲げたりして書くはずはないと、私も夫が新聞記者をかつてしておりましたのでそういうふうに思うわけでございますけれどもウルグアイ・ラウンドの場で決着を図りたいというお気持ちは持っていらっしゃると思うんですね。  そこで、申し上げるまでもなく、昨年末のウルグアイ・ラウンドの決裂は、アメリカ、ECとの輸出補助金そして農業保護削減問題が大きな障害になったことは、これはもう天下に、白日のもとに明らかになっているわけでございます。アメリカは、ECの譲歩を引き出すためにも日本に圧力をかけ米の市場開放をさせる、そして返す刀であの難しい日本さえ米市場開放を認めたんだから今度はECもと、これがアメリカの戦略ではないかと思うんですね。中東湾岸戦争後、アメリカの圧力は米だという大方の予想どおりでございます。  日本は、アメリカが本当に怒り出す前に日本みずからの手で市場開放を、こういうプログラムを組んでいらっしゃるんじゃないか、そういう図式じゃないか、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
  87. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 御案内のように、米の問題については日米間ではやらない、ガット・ウルグアイ・ラウンドの場で話し合いをするということはもうかねがね日米間の間で合意ができておることでもございます。  また、アメリカがどういう戦略かということはわかりませんけれども、先生の今のようなお話にお答えをさせていただければ、私は日本の米が仮にそういう態度をとったからしてECがまた態度を軟化させるというようなことにはならぬ、こう理解を実はいたしておるわけであります。ECも、もう既に天下に明らかにして、日本がどういう態度をとろうともECはECの態度で対応するんで、日本は日本の態度である、こう話をされておるわけでありますし、またECと米の関係というのは全く無関係と言ってもいいような状況であることもおわかりのとおりでありますから、そういうことの話し合いの中でECを動かそうということであるとすれば私は間違いでなかろうか、そう理解をいたしておるわけであります。
  88. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 二国間協議には持ち込まない、あくまでもウルグアイ・ラウンドの場で決着を図る、そういうことでございますね。  それで、先ほどの御答弁の中で政治決断というお言葉が出ました。この政治決断についてお尋ねをしてまいりたいと思うわけです。  米市場開放問題は、最近でこそ箝口令がしかれたせいか若干オクターブが下がったように思われるんですけれども、つい先ごろまでは自民党の首脳の方々はしばしば部分開放発言を繰り返していらっしゃったわけです。御承知のように、金丸元副総理の冨山での発言、そして海部首相の埼玉での発言に続いて、それに輪をかけたように新行革審鈴木永二会長の開放発言など、もう五月から六月初めまで開放発言のオンパレードでございました。最近でこそ西岡武夫総務会長以下の声はトーンダウンしておりますけれども、これが政府の本音なのではないかと思うんですが、いかがですか。
  89. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 政府の本音ではございません。それぞれの立場で二国間を心配され、またそれぞれの関係の立場で御発言があったと、こう思うわけであります。  まさに、日本の新聞報道等を見ておりますと、米がまた象徴的にガット・ウルグアイ・ラウンドで対決の場になっておるような印象が非常に強く伝わっているのではないだろうか。私どもはそういう認識を実はいたしておりませんので、昨年の年末、延会になった状況と何の譲歩も進展もないというふうに理解をして、改めて二月に仕切り直しをして進めた段階でも、ようやく先ほど全く事務レベルの会議が終了して、その取り仕切りをしたダンケル事務局長からのペーパーが出された段階である、こういう状況の中で日本の態度を変更する必要は私は全く考えていないわけであります。  それぞれそういう御発言をされる方々に対してはガット・ウルグアイ・ラウンド状況等についてよく説明をして理解をいただいておるところでありますけれども、余りにも発言が政治家以外のところにまで及んで多く出てくるものですから、私はどういう発言が出てこようと、最終的には政府が決定をするべきだと。政府が決定をする段階では、国会の決議もございますし、また私ども自身が米の重要性というのを極めて重く認識しておる立場でございますので、そういう発言に私が今心を動かされるとか政策を変更するとか交渉の態度を変えるとかということの必要性を感じていないということを御答弁させていただきたいと思います。
  90. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私は、もう本当にその大臣のお言葉を伺いますと、そのとおり信じたいわけですよね。だけれども、どうしてそれがマスコミとかいろんなところで、先ほどおっしゃったように、政治決断というニュアンスで語られているようにひとり歩きなさるんでしょうね。農水相にしても海部首相にしても政治決断政治決断、こういうふうに言っておられるんだというように書かれております。盛んに言われております。  私は改めてお聞きしたいと思うんです。もう一度政治決断と言われているその政治決断の中身、もしお気持ちの中にほんの少しでも、例えば五%とも言われるミニマムアクセスのことがあるのか。開放化のことが心の片隅にほんの少しでも夜眠られないぐらいにあるのか。市場開放といっても私はさまざまな方式があると思いますけれども、私大臣に本当に正直に政治決断の意味を、ちまた、世上言われている政治決断についてもう一度大臣のお言葉をはっきりお聞きしたいと思うんです。
  91. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 政治決断などという言葉を使ったことはありませんけれども、そういう現状で、今眠られないほどどころではなくて、今日のガット・ウルグアイ・ラウンド状況を見ておると全く必要性を感じていないわけであります。  たまたま政治決断が先般私との会談で出たときには、ガット・ウルグアイ・ラウンド全体を前進させるということであって、農業部門でもなければ米の部門でもなくて、私はむしろOECDの会議内容農業よりもサービスとか別の分野でかなり議論がされたとも聞いておるわけでありますから、そういう意味のガット・ウルグアイ・ラウンド全体をやっぱりまとめ上げるという立場でのことではないだろうかと、こう思っているわけであります。必ずしもガット・ウルグアイ・ラウンド農業だけが大変対立関係にあるという理解を私はしておるわけではなくて、もっとサービス関係でもかなりの対立関係があるというふうなことの理解をしておるわけであります。  農業交渉については、先ほど申し上げましたような状況でございますし、少なくとも一九八六年、これがスタートしてから今日四年有余を過ぎた段階で、最も自由化の方向に向かって努力をしてきたという日本の国の立場であります。そういう前進をさせてきた日本の国から何かを話をするという立場ではないわけで、それぞれ困難な問題を抱えておる、もっと障壁の高いものを持っておる、国境措置のもっと厳しいものを持っておる人たちがまだ全然態度の変更もなければ何もない状況でありますから、そういう立場の日本が農業交渉のリーダーシップをとるというような気持ちも、私は私の実力ではそういうことはあり得ないと、こう思っておるわけでありますから、信じていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
  92. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 国会決議がございますね、三たびにわたる国会決議がございます。これは、国権の最高機関である衆参本会議において満場一致決議された米の自給決議でございます。何よりも重い。政府はこれを守らなければならない義務があると思うんですね。    〔委員長退席、理事千葉景子君着席〕  もし先ほど私が申しましたように政治決断という形で開放化に向かった場合、これはもう完全に国会決議を無視したことになる。そうですよね。国会の軽視であり、また議会制民主主義の否定でもある。国民を無視した政府の責任は非常に重いと思うんですよね。憲法違反とも言えるかもわかりません。このことを重視していただきたい、そういうふうに思っております。  時間がどんどん進んでまいりますので、続きまして新しい食料・農業・農村政策検討本部についてお尋ねをしていきたいと思います。  去る五月二十二日の毎日新聞の朝刊一面を見て大変驚きました。その数日前に金丸元副総理がお米の部分自由化を認める発言をし、しかもウルグアイ・ラウンドのことも聞くがそのかわり農民の言うことも聞くべきだ、農地は自分の財産なのだからまず第一に農地を自由にしなければならない、こう発言したばかりなのでございます。それを証左するように毎日新聞の一面の大見出しでは、農業への企業参加、減反の廃止、農地法改正、食管制度廃止、こういう活字が全く躍っているかのように見えたものでございます。  お米を自由化するには二十年間も続けてきた減反が障害になる、国際化に対応する農業にするためには企業がお金を出して農地を買い占めアメリカ並みの大規模農業が必要であり、そのためには食糧を安定供給するという、そういう食糧管理制度が邪魔になるとおっしゃるんですか。私は農林水産大臣に新政策本部のねらいをお伺いしたいと思います。
  93. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) この農業の新政策の問題は、ガット・ウルグアイ・ラウンドとかそれぞれの人が発言をしておることと直接関係の全くないことでございまして、私が大臣に就任間もなく農業基本法をみずから勉強してみたいということに端を発して、この問題が意外に反響を呼んでまいりまして、またその趣旨のことをやるべきだという方々が国会の中でも圧倒的に多かったように私は理解をいたしておるわけであります。  戦後、農業基本法を中心にして三十年それなりの努力をしてまいりました。それなりの成果は上げてまいりましたが、まだ問題は山積しておるが、土地利用型の農業について最もおくれておるんではないだろうか、こう認識をいたしております。そしてまた、流通、消費形態が全く三十年で変わってまいりました。  それだけに、従来は我が省の政策は大体農業を中心にして政策を出してきたわけでありますけれども、やっぱり地域政策を取り込んだところの農業政策でないと実効が上がらぬのではないだろうか。そして、今日的には消費者ニーズというものを受けとめて生産体制をつくるという形でなければならぬのではないだろうか。  そういうこと全体を、今お話のございましたように、食管法だとか農地法だとかさまざまな制度のために、実は今回の私が打ち出しました新しい食料・農業・農村政策を見直すという懇談会を発足させたのは、そういう部分の問題ではなくて、これから新しい農政に対してやっぱり夢のある、そして農業に後継者を中心にしてどのような対策をしていくかというときには、農業と農村を一体にして魅力のあるものにさせていきたいということで全体を一度見直してみたい。  その結果が出てきて、必要性に応じて今の制度と整合性を持たせて新しいスタートをしていくということで、何かの目的があって、例えば食管法を改正するとか農地法を改正するとかガット・ウルグアイ・ラウンドが出てきたからということの対応のために今回の見直し、懇談をするということでは全くございません。  これは、新聞記者会見でも、私はくれぐれも念を押して、正しく農家、農民、国民に理解をいただくためにも全体をやっぱりオーバーホールしてみたい、こういう信念で私がスタートさせたわけでありまして、そういう部分的なものに焦点を合わせて改正をするというか見直すというようなことではないということを念には念を押しているけれども報道になるとこういうことに焦点が合わされて報道されることはまことに残念でございます。  また、専門家の懇談会の席上でもそのことをくれぐれも念を押して、有識者からの懇談会も先般第一回目の会合を持たせていただいてきたところでありますので、そのように御理解がいただければありがたいと思います。
  94. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 例えば各論の一、「多様な担い手」、いわゆる農業経営体の中で、農地所有と農業経営の分離、農地所有、利用等のあり方を検討すると言われる。現行農地法で言う農地は耕作する農民が所有する、この基本理念は持ち続けるおつもりでございましょうか。
  95. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 多様な担い手の育成という点でございますけれども、先生御承知のように、土地利用型農業につきましては、高齢化の進展とか、また農業労働力の新規参入の減少というようなことで、大変に今、こういう農業労働力の弱体化ということにどう対応していくか、重大な課題になっているわけでございます。  私どもといたしましては、こういう課題に対応いたしまして、土地利用型農業の生産性を向上して農業生産力を確保していくための中長期的な視点に立った検討ということが重要になってきておりまして、その場合にやはり従来の個別農家が中心だと思いますけれども、それ以外に新規参入者とか、それからまた農業サービス事業体とか、そういういろんな多様な担い手のあり方につきまして検討していきたいということでございます。  また、こういう検討を進めるに当たりまして、現在農地法が基本的な考え方として持っております、農地は実際耕作する人が権利を取得すべきである、農地が投機的な取引の対象になってはならないというような基本的な考え方、また優良な農地を保全しながら、場合によっては住宅地等の都市的な土地需要にも適切に計画的に転用していくといいますか、そういうような基本的な考え方につきましては、農地制度の根幹的なポイントといたしまして、これは維持していくべきであるというふうに考えている次第でございます。
  96. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 今おっしゃいましたけれども、農村では過疎とか高齢化とか、あるいは後継者難の中で、協業化あるいは法人化、農協委託などといったように、生産者は苦しみながらさまざまな工夫を凝らしているわけでございます。そんな中で、資本力に物を言わせた、先ほども答弁ございましたけれども、企業の参入を認め、農業者が賃労働者になる、そういうふうな方向でなくて、農業者の今までの御苦労、工夫というものをもっと支援する、援助する、そういう方向を選ぶべきだと思うわけでございます。  今世界の趨勢は、アメリカのような環境破壊型の大規模農業ではありません。環境保全型の家族農業を志向していると思うんです。この環境保全型の農業の育成こそ私は今最も必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  97. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 農業自身も、御案内のとおりでございまして、食糧生産を担っている、安定供給を担っているほかに、水資源の涵養でありますとか国土の保全とかいう多面的な機能を持っておることは御指摘のとおりでございます。そういう多面的な機能を維持増進しながら農業生産をやっていくということが基本にあろうかと思います。これは、日本だけでなくて欧米諸国でもそういうような方向での御論議といいますか、政策の展開があるというふうに承知しておるわけでございます。  我が国の場合には、御案内のとおり、水田農業が中心であったというようなことから比較的そういう問題が少なかったわけでございます。しかし、御案内のとおり、地球環境の保全等の関心が高まってきている中で、我が国におきましても環境の保全に十分配慮した農業政策を展開していくということが大変重要であるというように考えておりまして、現実に前の予算でもそういうふうな事業を志向しているわけでございます。今回の新しい検討におきましても、その一環としまして、中長期的観点から、我が国の気候や風土に適した、環境と調和した農業の展開方策について検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  98. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 それでは、続きまして「土地利用型農作物等の新たな生産体制の確立」、この中で新たな生産調整政策と需給管理のあり方を検討し、諸制度、施策を見直すというふうにうたっておられます。これは、減反政策を廃止して、食管制度の廃止につながっていくのではありませんか。
  99. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 土地利用型農作物等の新たな生産体制の確立を新しい食料・農業・農村政策の検討に当たって重要な検討項目であるということに位直づけて検討を始めていることは確かでございます。  ただ現在、残念ながら米につきましては供給力の方が需要を大幅に上回っているという状態が続いておるわけでございます。そういう現実を踏まえまして、この土地利用型農作物等の新たな生産体制の確立の検討項目の一環として今後の新しい生産調整政策のあり方について検討をしてまいりたいということを考えているわけでございます。その検討に際しましては、活力ある水田農業の実現を図るという観点に立って幅広い検討をやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  100. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 問題は、昨年十月から導入された自主流通米価格形成機構、いわゆる米市場の導入によって、産地間競争が激化する、政府米確保が困難になるなど、多くの問題点指摘されているわけでございます。しかも、食糧庁は値幅制限の緩和を図ろうとしております。減反政策をやめた場合の需給調整を初め、我が国農業の柱である水田農業の維持など総合的な政策、施策が必要だと思いますけれども、これはいかがですか。
  101. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 先ほど来大臣答弁を申し上げましたように、農業基本法制定以来の情勢、農業、農村をめぐります情勢変化を踏まえまして、今日的視点からいろいろな分野におきます検討を進めていくことにいたしているわけでございます。やっぱり農業自身は食糧の安定的な生産、供給ということが基本でありますし、また先ほど申し上げましたように、環境あるいは自然の保全、国土保全というような視点も頭に入れる必要がありますし、また農村地域社会の問題、その他生産、供給、流通あるいは地域の問題、これらを総合的に検討していく考えでございます。  最初から制度の改正、食管法をどうするとか農地法をどうするとかでなくて、今日的視点でいろいろな分野における問題を検討いたしまして、新しい施策を展開すべきはする、従来の施策を充実するべきはするということで進めていくように考えているわけでございます。
  102. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 何よりもウルグアイ・ラウンドに向けて国内の生産制限が障害となっているということを取り払おうとする、そういう企図が何となくちらついているように思われるわけでございますけれども、時間がございませんので、続いて新行革審の問題について移ってまいりたいと思います。  六月十二日に海部首相に提出されました新行革審の提言のうち、農業に関する部分について私は農林水産大臣にお伺いしたいと思います。どういうふうにお考えになられますか。
  103. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 先般の「行政改革の推進状況に関する意見」について、農林水産省行政改革の努力について私は一定の評価はいただいたものと受けとめさせていただいておるわけであります。  この意見の中で、米市場部分開放を前提に農政改革を提言といった報道が一部に見られましたので、この意見について担当の部署に聞きましたら、直接米の交渉事項について触れたものではないということも確認を実はいたしておるところであります。この点について、今後の農政改革全般についての求めが重点であるというふうに考えておるわけでありまして、そういう線に沿ってさらに一層努力をしていきたい、そう思っておるわけであります。
  104. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 しかし、鈴木永二臨時行政改革推進審議会会長の記者会見におきましては、米の市場開放を前提にした提言であると言っておられます。海部首相が米の開放提言に圧力をかけてそういう発言になったというふうにも言われております。かつて中曽根元首相は、国会を無視いたしまして、しばしば首相の諮問機関である審議会答申をもって政治に臨んできました。市場開放問題を初め非常に困難な国内農業改革に当たっては、農業の価値を改めて見直し、そして生産者が将来に希望の持てる大胆な改革が必要であると考えます。そのために私は、国会でのもっともっと徹底した論議を保障すべきであると思っております。  時間がございませんので、本当は大臣にもう一度御見解をお聞きしたいと思ったんですけれども、よろしくお願いいたしますね、本当に頼りにしておりますから。
  105. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) もう一回答弁いたします。  鈴木会長が記者会見でお話をされたということでありますが、その前にも鈴木会長は米の開放のことについて触れられていることは私も聞いておるわけであります。いろんな人がいろんなことを言うてくれますけれども、私の理解と認識を変えるという発言はなかったというふうに私は考えておるわけであります。どなたがどう発言しようとも、私の理解と認識を変えるような発言があれば、またそのときその方とお話をしたい、こう思っております。  先ほどのお話の中に減反政策の問題がありましたけれども、私はこの問題は一番農家が不満に思い、不信に思っている第一点だと思うんです。二十年もやってきて、私どもは水田再編ということで提案をしておるんですけれども、受けとめておる農家は皆減反という受けとめ方をしておるんです。ですから、そういう意味では、減反という意味合いと水田再編という認識とは全く違った農業的な意欲の持ち方になるだろうと思うので、そういう減反のところを、米の消費が減る一方のときに、それを狭い日本の国土、農地の立場からもう少し自給率を上げるために有効に使おうということを私は考えているわけでありますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  106. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 ありがとうございました。  時間がありませんので次に移らせていただきます。捕鯨の問題でございます。  去る五月に、国際捕鯨取締条約に基づきまして、アイスランドのレイキャビクにおいて国際捕鯨委員会、IWCの第四十三回の年次総会が開催されております。この会議には我が党の新盛辰雄捕鯨問題対策特別委員長が特別顧問として参加をされておりますし、また私自身、私の選挙区高知は古くからカツオと並ぶ土佐捕鯨の土地でもございます。この捕鯨問題には大いに関心があるところでございます。  これは本当に余談ですけれども、うちの民謡よさこい節にも「潮吹く魚が泳ぎよる」とうたわれていることは余りにも有名でございます。  余談はさておきまして、この国際会議には、新聞等マスコミの報道によりますと、環境保護イコール鯨類という雰囲気のもとで、環境保護は世界の潮流であって捕鯨などは絶対に許しがたいという議論がまかり通り、我が国など商業捕鯨の再開を希望する国を糾弾するような会議だったという印象が非常に強いようにうかがえますけれども、その内容はいかがでございますか。
  107. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) ただいまお話がございましたように、本年度のIWCの年次会合は五月の七日から三十一日にかけまして科学委員会さらには本会議というふうな一連の会議が開かれまして、先生からお話がございましたような特別顧問も含めまして、我が国も代表団を送って審議に参加をしたわけでございます。  審議された主な項目としましては、御承知のとおり、一九八二年に決定をされましたいわゆる商業捕鯨モラトリアムの見直し問題、それから我が国も進めております鯨類の捕獲調査に関する問題、それから我が国関係をしますけれども各国の沿岸地域における小型捕鯨の問題、それから四番目に、これは数年前から新たな問題として出てきておるわけでございますが、イルカ類の小型鯨類の保護問題というふうな課題について審議が行われたわけでございます。  我が国としては、先生御承知であろうかと思いますが、商業捕鯨モラトリアムの見直し問題に関連して、我が国が捕獲調査をやっております南氷洋におけるミンククジラの商業捕鯨の再開が十分科学的に論拠を持って可能ではないかという主張をいたしたことが第一点。それから第二点が、沿芹における小型捕鯨について、一定の暫定枠のもとでこれを復活させることが十分理由があるのではないか。それから、モラトリアム発効後私どもが継続して行っている捕獲調査を本年度も我々としてはこういう計画で実行をしていきたいということを説明主張をしたわけでございます。  御指摘のような欧米諸国における大変特異な環境保護運動の圧力のもとで、ここ数年来のIWCの審議状況については、我々として大変遺憾な事態であるとは思っておりますけれども、私ども主張点については、商業捕鯨の再開それから小型沿岸捕鯨の暫定実施については、実は残念ながらこれを実現するような結論を得ることはできませんでした。ただ、第三点の捕獲調査問題につきましては、科学委員会でかなり建設的なまじめな議論が行われたというふうに認識をしておりますけれども、本会議におきましては再考を求める決議が採択をされたという経過になっておるところでございます。
  108. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 まことに時間がなくて、いろいろとお尋ねしたいことがたくさんあるんですけれども我が国が継続してきた調査捕鯨が世界各国から評価をされ始めてきたということは仄聞しておりましたし、非常に結構なことと喜んでおりました。  そうした中で、私は今本当に今回のこのような結果でIWCのあり方に大きな疑問を感じておりますけれども、アイスランドが脱退宣言をしていく、そしてノルウェーが商業捕鯨再開を声明をする、こうした全く捕鯨を理解しないIWCに対して捕鯨国として見切りをつけるというふうなお考えがあるのかどうか。かつての最大の捕鯨国日本の農林水産大臣として、お考えはいかがでございましょうか。
  109. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) 今回のIWC会合が終わった直後に、アイスランドの代表が、帰国後IWCの現状にかんがみて脱退する可能性について本国政府に相談をしてきたいという意思表示があったことを私ども承知をしております。今のIWCの状況から見て、私どもこのようなアイスランドの態度について一定の理解は示し得るわけでごいますけれども、諸般の国際情勢、特に最近地球規模での環境問題についての国際的関心が非常に高まっております。  その中で、来年予定されております国連環境開発会議の準備会合の中でも、漁業と海洋環境の調和に関する問題についても大変国際的な論議が行われております。そういった中で、捕鯨国としての立場について国際的な理解を得るために、現在その問題について唯一の国際機関でありますIWCという場がいわば崩壊してしまうような行動というものが長期的に見て本当に得策であるかということについて、私どもとしてはやはり慎重に検討していく必要がある課題であるというふうに理解をしております。
  110. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 時間がありませんので(「時間だよ、もう。五分過ぎているよ」と呼ぶ者あり)済みません、順々にずれ込んできておりますので。  じゃ、最後になりましたけれども、せっかく外務省お呼びしておりますので、私はこの件につきまして、農林水産省はもとよりですけれども、務省におかれましてもぜひとも外交努力によって日本の立場を理解させていただきたいと思うわけでございます。異文化を理解させるということは非常に困難だと思いますけれども、IWCを直ちに脱退ということにはなかなかならないかもしれません。けれども、科学的な根拠に基づく冷静な論議を積み重ねるためのリーダーシップを日本としてもとらなければならないのではないか。そういう意味で外務省の御見解をお伺いして、終わりにさせていただきたいと思います。
  111. 加藤重信

    説明員(加藤重信君) お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘なさいましたとおり、捕鯨をめぐる国際情勢には厳しいものがあるという形で認識しております。特に欧米諸国を中心といたしまして捕鯨反対の主張には根強いものがございまして、これらの国々の議会関係者や政府の対応ぶりに強い影響を与えているものと、そういうものが実情と私ども取けとめております。  このような状況の中で、捕鯨に関する我が国の立場について国際的な理解を得るべく、外務省といたしましても我が国の考えを説明するなどさまざまな努力を行っており、今後ともこのような努力を粘り強く続けてまいりたいと考えております。
  112. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 ありがとうございました。
  113. 千葉景子

    ○理事(千葉景子君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  114. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題とし、農林水産省建設省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁農林漁業金融公庫住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 会田長栄

    ○会田長栄君 どうぞよろしくお願いいたします。  本日、米審が行われているようでありますが、きょうお尋ねしたいのは、本年度の米価の問題についてでございます。  農水省は、六月二十六日、米価審議会を前にして、九十一年度産米の政府買い入れ価格、すなわち生産者米価について大蔵省などと本格的な米価問題について調整に入ったと聞かされております。とりわけ大蔵省は、米の生産性が向上する中で供給過剰の構造は変わっていない、こういう理由から最低でも三%台の引き下げを主張しているということも聞いております。  ここで改めてお尋ねいたしますが、まず一つは、平成年度までのここ五年間、生産者米価、玄米六十キログラム当たり、どのような決定の変わり方をしているかということについてお尋ねいたします。
  116. 森元光保

    説明員(森元光保君) お答えを申し上げます。  過去五年間の米の政府買い入れ価格、これはウルチ一―五類で一―二等の平均包装込みの価格でございますけれども、六十一年産が一万八千六百六十八円、それから六十二年産が一万七千五百五十七円でございます。それから六十三年産米は一万六千七百四十三円、元年産米が一万六千七百四十三円、それから二年産米が一万六千五百円、こういうことになっております。
  117. 会田長栄

    ○会田長栄君 昭和五十一年度の生産者米価、これの決定と同じのが平成年度の生産者米価の値段だと承知しております。ここ十五年間で他の諸物価は一体どのように変わってきているのかというところに私は興味と関心があります。すなわち、生産者米価は平成年度昭和五十一年度の値段、しかしここ五年間の今米価の推移を聞きましたら、毎年値下がり、据え置き、値下がりというものを繰り返してきていて一万六千五百円という数字になっている、こういうことでございますが、その他の諸物価、ここ五年間で一体どのぐらい上がっていますか。
  118. 森元光保

    説明員(森元光保君) その他の諸物価と申し上げましても、消費者物価指数でちょっとお話をさせていただきたいと思いますけれども、これはただいま先生からお話がございましたので、五十一年を一〇〇としてお話をさせていただきますと、六十年が消費者物価指数は一四四ということになっております。それから、元年が一五〇ということで約五割アップ、二年は一五四ということになっております。  一応そういった形になっておりまして、賃金指数につきましては、やはり五十一年を一〇〇にいたしますと、六十年が一六一、それから元年が一八四、二年が一九四、こんなふうな数字が出ております。
  119. 会田長栄

    ○会田長栄君 もちろん、ここ十五年間で諸物価というのは一五〇%強になっておる、こういう数字が出ておりますし、労働賃金の問題についてはこれは二倍になっているということも事実であります。しかし今御指摘のとおり、生産者米価の問題については一万六千五百円という昭和五十一年の米価決定と同額の問題であります。ここ五年間で二千百六十八円という値下がりをしているわけであります。  そこで、もう一つお聞きしたいのは、米を生産するためには何といったって必要なものが、幾つか要素があります。そのうちの一つに農機具の問題が出てまいります。この農機具の価格変動は一体どう押さえているかということをお聞きしたいんです。
  120. 森元光保

    説明員(森元光保君) お答えをいたします。  農業生産資材につきましては農水省の農村物価賃金調査というのがございまして、こちらの方で価格の推移等を把握しておるわけでございます。農機具は六十一年度を一〇〇といたしますと、二年度が三%くらい上がっている、こんなような数字になっております。また、肥料につきましては、逆に六十一年度を一〇〇にいたしますと二年度が九四・九ということで若干値下がりをしておる。それから農薬につきましても、六十一年度を一〇〇にいたしまして二年度が九五・一、このような数字になっておるわけでございます。
  121. 会田長栄

    ○会田長栄君 そこで私、二、三例を示します。  これは、何といっても米を生産する場合に農機具といえば一つは動力田植え機、昭和六十一年というのは大体四条まきで五十四万七千円だったんですよ。これが平成元年で五十六万七千五百円、そして平成年度でまた若干値上がりをしているという状況でしょう。動力耕運機の問題もそうでしょう。昭和六十一年度は三十九万八千六百円、平成元年度はどのぐらいかというと四十四万九千五百円、平成年度はまたこれに若干上積みされている。通風乾燥機でどうかというと、六十一年度が八十万二千百円、平成元年度が九十万一千七百円、それで平成年度がこれまた若干値上がりをしているという現状にあるんです、農機具は。  これは、なぜ農機具がこれだけの値段にしなければならないのかということについてはきょうは省略します。  生産するために重要な部分としての農機具というものがこのように値上がりを繰り返しているんです。それから、今お答えあったとおりに農家の肥料、これはどうか。これについては値下がりしているものもあれば横ばいのものもあれば値上がりしているものもある。平均的に言えばこれは大体横ばいだろうと。では労賃についてどうか。先ほど申し上げたとおり、勤労者の給与所得というのはここ十五年間で二倍になっている。こういう状況であります。  もう一つ農家は現金ですべて農機具、肥料を買うわけじゃない。重要な要素は農家の借入金です。金を借りて次のものを生産していくというときに、この借入金はどうなっていますか。値下がりしましたか。
  122. 森元光保

    説明員(森元光保君) ちょっと細かい数字を手元に持っておりませんけれども、若干昨年の二年産米価を決定いたします際には、少し前年よりも値上がりしているという状況を踏まえまして価格を決定させていただいたという経緯がございます。
  123. 会田長栄

    ○会田長栄君 ましてや、湾岸戦争後の石油製品というのはどのぐらい値上がりしているかといったら一〇%強ですよ。私から言わせれば、湾岸戦争によって石油が不足した、したがって値上がりするのが当たり前という常識になっておる。しかし、これは通産省が発表しているとおり、日本の石油備蓄というのは七十三日分あります、だから二カ月分というのは微動だにしませんと発表してきました。しかし、現実にあの湾岸戦争、短期間の中で行われましたけれども、備蓄と関係なく値上がりしてきた、こういう状況でしょう。  そこで、一番日の質問についての結論です。こういうような状況の中にあって農水省が九一年度産米の米価決定に当たって値下げを諮問しているというからには、これなりのやっぱり重要な根拠というものを示さなぎやいけないだろう、こう思っているんです。その根拠は示してあるようでありますが、まことに私から見ればどこからその数字を持ってくるのかなと思うほど疑問に感じます。こういう状況を考えますと、これはとりわけ今農業を取り巻く後継者の問題等があって、まことに衰退していく産業ということを若者に植えつけていくことだけは間違いないですよ。非常に今度の米価審議会の決定というものを私はその意味では重視しているんです。  なぜ農水省平成年度の生産者米価について値下げ諮問したのか、その見解を聞き、なおかつ今後の農業にどのように一体展望を持たせていくかということについて大臣から見解をいただいてこの問題の質問は終わりたい、こう思うんです。
  124. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 本日、米価審議会を開催させていただいて、そのために私委員会と行ったり来たりしておるわけでありますが、値下げの諮問はいたしておりません。それから、大蔵省とも米価について交渉もまだ始めておりません。  と申し上げることは、生産費調査がまだ終了しておりませんし、また労働費等につきましては労働省からそのまとめをいただかなきゃなりませんので、今鋭意作業はいたしておりますけれども、そういう資料その他で生産費調査が出てこなければ米価の数字は出ませんので、きょう諮問はいたしましたけれども、数字は生産費調査が終わった段階で数値の諮問をいたしたい、こう考えておるわけであります。従来からの米価算定方式についてなお今後引き続き米価算定について留意すべき事項、基本的な問題について御審議をいただく諮問をさせていただいたところでございますので、先生から今いろいろお話もございましたような御発言についても参考にさせていただいて、最終的に諮問数値を出したい、こう考えております。
  125. 会田長栄

    ○会田長栄君 要するに、大臣みずから大蔵省と話に入っていなくても農水省の担当がそういう話に入っているということであれば、これは非常に大事なことでありますから、今私が申し上げたような視点というのもぜひ頭に置いていただきまして検討願いたい、こう思います。  それでは次に、国土庁に国土利用計画法第二十三条第一項にかかわって大規模土地取引の問題について御質問をいたします。  もちろん、第二十三条は「土地に関する権利の移転等の届出」について示されているものでございましょう。国土利用計画法の二十三条の盲点というのが実はあるわけでありまして、具体的にその意味では私の方から申し上げて、率直な国土庁の見解を聞いていきたいわけでございます。  それでまず第一点は、平成二年三月二十二日に届け出された事例についてでございますが、これはもう御承知かと思いますが、福島県いわき市入遠野白鳥百十一番地の原野山林、樹木を含めて四十一万三千六百八十平方メートル、約四十一町歩、五百十七名の共有林が一部の所有者によって売買契約が結ばれて、いわゆる第二十三条に基づいて市と県に届け出たという問題でございます。  そこでお伺いしたいのは、この事件のいさきつ、経過というものを知っていると思いますが、承知しているとすればどのような見解をお持ちだか、まずお伺いしたい。
  126. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) お答えいたします。  委員指摘の事実関係につきましては、ただいまおっしゃいましたとおり、共有林の売買に係る件でございまして、平成二年三月二十二日に国土利用計画法第二十三条に基づく届け出が行われまして、同年四月二十三日に当事者に対し不勧告通知を県が行ったわけでございます。ところが、その後におきまして当該届け出が当事者の意思に基づかないものであることが判明いたしたため、県当局におきまして、関係者に対し契約解除を含め厳正な指導を現在行っているというように承知をいたしております。  国土庁といたしましては、ただいま委員も御指摘のように、共有物を一部地権者のみがいわば勝手に処分しようとしたというものでございますので、国土利用計画法を適用する以前の民事上の責任の問題ではございますけれども、このような届け出が行われたこと自体が非常に遺憾なことでございまして、私どもは福島県当局におきまして引き続き関係者への厳正な指導等、適正な対応が行われるよう指導してまいっているところでございます。
  127. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは次に、国土利用計画法第二十三条第一項に基づけば、申請書の内容とは一体どんなものなんですか。
  128. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 法律に書いておりますけれども、当事者、対象物、それから予定対価の額、利用目的等々でございます。
  129. 会田長栄

    ○会田長栄君 そういう申請書の基準に基づきまして申請者が市町村に申請をして、受理をして審査するわけでありますが、その審査基準というのは何でございますか。
  130. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 審査基準につきましては通達で定めておりまして、市町村を経由して県知事が判断するものでございますので、基本的には市町村は届け出の様式等々が具備されているかどうか、それから当事者、対象土地がきちっと画定しているかどうか等々を形式的に審査をいたしまして、整っておれば県に上申するという仕組みでございます。
  131. 会田長栄

    ○会田長栄君 非常に市町村にとりましても、市町村から意見を付して届けられた中身のものを県が受理したとしても、実際は今の法律に基づけば何ら市当局もあるいは県当局にも行政的手続については、これは誤りだなどと言えない代物に実はこの法律の条項がなっているわけですね。  しかし、ここでお尋ねしたいのは、それでは申請者が虚偽、うその事実に基づいて申請をして市町村が受理してしまった場合、そして県がそれを形式的に審査して、書類上不備なきものとして不勧告の扱いをした場合に、一体県とか市町村当局というのはどういうように対応すればいいのでしょうか。その点ひとつ聞かせてください。
  132. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) もちろん、法律上は虚偽の届け出につきまして法律違反ということで罰則がございますが、今回のようなケースでございますと、私ども状況を調べてみたのでございますが、五百十七人という相当多数の共有者の共有物ではございますけれども、同意書の署名、押印というものがついておるというようなことで、なかなかこれが本当に同意に基づくものであるかどうかというチェックまで市当局が事前にできたかどうかということについては非常に難しい問題があろうというように考えております。  ただ、法律上は明らかにこれは虚偽の届け出でございますのでもちろん国土法の問題がございますし、それ以前に民事上の問題として、ただいま申しましたように、共有物を一部地権者が勝手に処分しようとするというようなことでございますので、当然一般的な民事上の責任の問題ということが起こってくるというように理解をいたしております。
  133. 会田長栄

    ○会田長栄君 もちろん、現在ある国土利用計画法第二十三条の第一項にかかわる問題として、それは市当局なり県当局なりが行政上の手続をやって誤りを犯したとは私も思っていないんですよ。それは仕方ないと思っているんです、今の法律に基づけば。それ以上のことを一々点検し、チェックし、なおかつ調査を命じてやるというところまでは法律上は書いてございませんし、やるべきでもない、こう思っておりますから、当然出てくるのでありましょうけれども、一番肝心なところは、この届け出が虚偽であるということが明確になった時点で、実は県当局は不勧告の通知というものについて取り消さなければいけないんだと私は思うんですよ。それはどういうふうに見解をお持ちですか。
  134. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 先ほどもお答えいたしましたように、当事者の意思に基づかない違法な届け出であったということが、事後でございますけれども、判明いたしたわけでございますので、福島県当局におきましては、契約解除等の原状回復を行った上で再度当事者の合意を得て適正な手続を踏むように関係者に指導を行ったところでございまして、現在関係者もそのことにつきまして異論を唱えておるわけではございませんで、契約解除等の手続が進められているというように承知をいたしております。
  135. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、もう一つこれに関連をして聞きますが、この第四十七条第三号、これはどういう中身でございましょうか。
  136. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 四十七条の第三号でございまして、ただいま委員指摘のように、二十三条、届け出すべきものにつきまして虚偽の届け出をした者に対しまして「六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」という罰則規定でございます。
  137. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、第四十七条第三号ですが、もちろん先ほどから申し上げている事例というのは今日では調査の結果虚偽であるということがわかったんですから、当然この条項というものが行政当局によって発動されてしかるべきなんではないのかなというふうに考えるんです。ただ単にこの条項があるんではないでしょうから、その点はどのように見解をお持ちですか。
  138. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) もちろん、最終的にはこの条文によります罰則がこの法律の実効性を担保しているわけでございますけれども、私ども国土利用計画法が適正に執行されるというのが一番重要なことでございます。ただいま申しましたように、関係者が届け出は全員の合意に基づくものでないということを認めまして、契約解除の手続を進めるということについて現在了解をいたしておるわけでございますので、そういう原状回復及び県当局の指導の結果というものを私どもとしては見守りたい、かように考えております。
  139. 会田長栄

    ○会田長栄君 実は、現地でどのような問題になっていますかということですが、もちろん今見解をお聞きしたから明確になったわけですが、どうもこの土地売買にかかわって契約を結んで、届け出をして書類審査の上に不勧告の通知を受けたわけでありますから、これは民事で言えば売買契約というのがまたわきにあって生きているわけですね、実際は。  国土庁が考えれば、それは国土庁行政指導はそのようですということではっきりしましたから、それは結構です。ところが、知らないうちに名前と印鑑を使われて売買契約を結ばれてしまったということでありますから、買った方の人がみずからこの契約は無効でございます、申しわけありませんでしたということで処理できれば一番いいわけです、これは。円満解決なんです。ところが、円満解決しないものだから、結局売らないという多数の人が告訴をしたわけです。だから、行政指導はタイムリーにやっていかないとこういう問題が当然起きてくるという状況でございます。  したがって、いわき市議会というところでもいろいろ当局と議会との間でやりとりしましたが、一向に当事者の一番地元である市当局では明快な答弁がなくて、県当局の指導を受けながら今後結論を出していきたいということばっかりなんです。これほどわかりやすい話ないんですよ。だからその点では、国土庁にぜひ御指導を的確になされるように、そしてそういう紛争が一日も早く解消できるように温かい御指導をお願いしておきたい、こう思うんです。いかがですか。
  140. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) ただいまの委員の御指摘も含めまして、私ども県当局に対しまして、例えば非常に関係者に誤解を与えるというようなことも考えられますので、不勧告通知書の回収等も含めた厳正な措置というものを県当局に指導してまいりたい、かように考えております。
  141. 会田長栄

    ○会田長栄君 もちろん、この買い主のM社という会社がみずから、これはまことにそうでございましたと、したがって、この機会に申しわけないけれども、この種の関係は一切契約を無効にいたしますと言ってくれれば一件落着なんですね。問題は残ったにしても、今後地域が合意に達していくことはできるんですね。ところが、なかなかM会社というところの社長さんは、それは法律に基づいた取引と、申請書届け出の問題とこの売買契約は違うみたいなことを言って、結局いろいろとお金を返せの、あるいは承知しないのはだれだのといって動いているらしいですから、その点そういうつまらない訴訟、争いはやめなさいということで、ぜひ円満に解決できるように御指導願うということをこの場でお願いしておきます。  この問題と関連をして最後に聞きたいわけでありますが、要するにこれはこの法律の二十三条に基づく届け出だけではこれからもこういう問題が出ないという保証はないんですね。申請されてその基準に達していれば、市町村当局も県当局もこれが書類上当たり前だといって受け付けて受理せざるを得ない。受理する、不勧告の通知を出す、こういうことになっていくわけですよ。どうしてもここに盲点があるんですね、この法律に。これがたまたま確かな人たちだったからこれで済んだんですね。これがなかなか耳が聞こえないの、あるいは視力が弱いのというおじいちゃんだのおばあちゃんだったらこの問題はどう発展していったのかというところまで出てくるんです。  だから、この法律にはそういう意味で、四十七条第三号による処罰規定まで設けていながら、実は申請手続というところとその審査の過程で弱いところがある、こう指摘せざるを得ないんです。だから、できればこういう争いが二度と起きないように法改正を一部してもらえば、これは二度とこういう問題は起きないんだろうと私は思うんですけれども、そういうことについて長官の見解をひとつ聞いておきたい、こう思います。
  142. 西田司

    国務大臣(西田司君) 御指摘のような事実は極めて遺憾なことでございまして、先ほどお答えをいたしましたように、今後関係機関に対して厳正にしかも的確に指導をしてまいりたい、このように考えております。  また最後に、法律の補完をしていく必要があるのじゃないか、こういう御指摘でございますが、あわせて検討してみたい、このように思います。
  143. 会田長栄

    ○会田長栄君 それじゃ、どうぞよろしくお願いをして、これに関連する質問は終わりまして、次に移ります。  次の問題は、国道への昇格問題と高速道の問題についてに移らせていただきますが、まず道路整備について御努力願っていることについては、建設省を初め関係機関にこの場をかりて感謝を申し上げておきたい、こう思っております。  もちろん、これは建設省国土庁も従来から政策として掲げている以上国土の均衡ある発展を願わない者は今日だれもございません。しかし、どうしても東京一極集中を是正するという課題も遅遅として進まない、逆に言えばより集中度が進んでいるのではないかと言われている今日でありますが、地方にとってはこの道路整備というのはみずからの地域の経済発展のためにも生活基盤整備のためにもまことに重要なところに来ているわけでありまして、この道路の整備問題の緊急性というのが今日問われている状況であります。  そこで一つは、これは全国的に起きている問題でありますが、何としても道路整備を図っていく場合に、建設省の一般財源というのはまことにその意味では余り多くはない。そこで、県道から国道への昇格運動というのが全国で物すごく起きているんですね。それはなぜかというと、それぞれの都道府県における県道整備というのは財源がどうしても足りないということで長期的にわたる、国道に昇格してくれればその進捗度合いというのが速くなるというところから起きているんだろう、こう思いますが、これは昨年の決算委員会でも同様な質問をいたしました。  そこでお尋ねするのは、国道昇格をさせてくださいという路線というのは全国で幾つありますか、そしてその路線のキロ数というのはどのぐらいになりますか、お尋ねします。
  144. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 現在国道昇格、昭和五十七年に国道昇格をして以来約十年たちますが、今回御要望が各地から出ております総数は路線数で約百八十路線、延長で約一万二千キロ余となっております。
  145. 会田長栄

    ○会田長栄君 そうすると、道路整備、国道の整備の上限、これは今のところ五万キロでしたか、それで現行整備されているのはおおよそ四万六千キロ、残り四千キロしかない。ところが、国道に昇格させてほしいという路線のキロ数というのは今御回答いただいたように一万二千キロ。そうすると、四千と一万二千ではどうも合わない。  そこで、建設省として、この路線というものの五万キロという上限を六万キロとか六万五千キロとかというように延長されるように今検討されているんでしょうか。
  146. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 国道は、先生御承知のように、道路法の第五条の一項で、国土を縦断し、横断しあるいは循環し、都道府県の県庁所在地あるいはその他拠点を結びながら全体のネットワークを組むという形ででき上がっております。  四全総の趣旨でございます多極分散型の国土形成、こういうような全国的な御要望の中で、我が国のGNPが昭和四十二年から現在までで約三倍、自動車の保有台数も五倍になって、非常に車社会が発展してまいりました。国道は幹線道路の約十分の一でございますけれども、その十分の一で日本全体の自動車交通の約三分の一を担っております。そういう傾向は地域において特に大きくなってきておりますので、こういう状況を踏まえまして、私どもやはり多極分散型の国土を目指す、こういう新しい国の大きな施策が出てきている以上、それをベースにもう一度国道網のあり方について見直すべき時期が来ているのではないか、こういう認識に立って道路審議会等にも諮りながら検討を進めているところでございます。
  147. 会田長栄

    ○会田長栄君 前回の委員会で県道から国道に昇格させてほしいということがあって、それは建設省といたしましても国道に昇格させるために現況はどうなっているのかということについて調査に入っていると。その調査結果というのはまとまったのでございましょうか。
  148. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 全国的な調査は全部一応路線としては終わりました。そこで、現在私どもといたしましてはこの平成年度中に国道網の編成をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  その基本的な考え方は、第十次五カ年計画が平成年度で終わります。平成年度からは新しい視点に立った道路網の整備を再度見直ししながらつくらせていただきたいと思っております。そうなりますと、来年には新しい五カ年計画の物の見方で構想をまとめさせていただきたい。そのベースになるのが道路網そのものでございますので、この平成年度中には国道網の再編成を行わせていただきたいということで調査をし、それを今まとめ、かつまとめる中でいろいろと各路線ごとの検討をさせていただいております。
  149. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、その検討をして大体どのぐらいの時期の審議会にお諮りするんですか。
  150. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) お答えいたします。  この検討する際には、離島であるとか半島であるとか、要するに地域のいろいろな特殊性がございます。そういうものの将来のいってみれば地域の振興を図る観点からのネットワークと、それから現時点で交通需要が非常に多いことからくるネットワークの強化と、いろんな側面から、どちらがより上位でどちらがより下だということなく、それぞれがお互いに関係し合いながらのネットワークだと思っておりますので、そういう具体的な路線をその網の大きさであるとか、あるいはその路線にかかっている経済のいろいろな人の動き、物の動き、あるいはそこの地域におけるいろんなプロジェクトの存在の有無、こういったものを具体的に検討しております。  したがって、相当慎重にしなければなりませんので若干時間がかかっておりますが、私ども何とか、平成年度中ということでございますのであと半年でございます、半年といいますか、年度でいいますとまだ半年じゃございませんけれども、来年の三月末までには必ずつくらせていただきたいと思っております。今全くその作業の真っ最中だということだけをお答えさせていただきます。
  151. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、福島県のいわき―石川、そして国道百二十一号線につなぐ国道にしてほしいという声についても調査済み、終了している、こういうことでございますね。
  152. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 路線としての基本的な資料は調査が終わっております。これを国道として今後どのように検討していくか、この部分を今検討、調査を行っている最中でございます。基本的な資料の調査は終わった、こういうことでございます。
  153. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、最後に磐越自動車道という高速自動車道の問題について、これは郡山―熱海は開通をしていて、間もなく猪苗代まで開通する運びになりました。しかし、前回もさわったごとく坂下と新潟県の津川の問題というのがはっきりしません。計画路線としては出たようでありますけれども、これをいつまでに一体実施計画として実際に着工するのか、その見通しを聞きたいというのと、郡山からいわきまでの間というのは土地買収に入ったんでしょうか、それとも買収に入っていて着工する寸前になっているのでございましょうか。その点についての考え方をお聞かせ願って、私の質問は時間でありますから終わります。  どうぞよろしくお願いいたします。
  154. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) 磐越自動車道、先生御指摘のとおり、二百十三キロが全延長でございますが、全線にわたって施行命令を出し、道路公団において全線にわたって事業実施しております。  そのうち、御承知のように郡山から磐梯熱海間九キロがこの前開通いたしました。そして、磐梯熱海から猪苗代磐梯高原間十七キロをこの八月の七日に開通させたい、お盆の前には開通させたいということで、今鋭意最後の準備を行っているところでございます。それから、猪苗代磐梯高原から会津坂下間までの間は、平成年度に開通させたいということで、今事業を一生懸命取り組んでおります。それから、会津坂下から津川間は、この六十三年の一月に施行命令を出したばかりでございまして、現在設計協議を行っております。  なお、郡山からいわき間、これにつきましては、現在用地買収及び工事等を一部行っております。この用地買収は、当然のことながら地元の貴重な土地をいただくわけでございますので、それぞれ具体的な話になりますとまたいろいろな事情がございますので、かなり現地では苦労しておりますが、また多くの方々の御協力をいただきまして、なるべく早く開通すべく努力させていただきたいと思っております。
  155. 会田長栄

    ○会田長栄君 ありがとうございました。
  156. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 貴重な時間でございますので、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと存じます。  まず最初に、先般発生いたしましたところの雲仙・普賢岳のあの大爆発、大火砕流の発生、まことに大変な事故で、事変でございまして、災害でございまして、とうとい人命を多く失っておるわけでございまして、謹んで亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げながら、一日も早い事態の安定、また被災者の方々の生活の安定をお祈り申し上げてやまない次第でございます。  西田長官、大塚大臣初め、関係各省庁の皆様方も対策のために大変な御労苦をいただいておりますことにまず敬意を表しながら、お尋ねを申し上げたいと存じます。  この火山というものはまことに厄介なものでございまして、私も知事十二年間、桜島の火山噴火ということで、本当に悩まされ続けたわけでございまして、それだけにこの雲仙の問題、全く人ごととは思えない次第でございます。  大正三年に桜島が大爆発をいたしまして、このときの灰は遠くカムチャツカまで飛んで世界を驚かせたわけでありますが、あの大噴火のときに、いろんな前兆があった。例えば井戸の水が、当時でありますから飲み水は井戸の水を使っておるわけでありますが、井戸の水が熱くなる、あるいは山鳴りがする、さらには海水の一部にたぎりが出る、山から蛇とかあるいはモグラとか、こういうのがにょろにょろ出てくる。そういう天変地異がございまして、住民の皆さん方はこれはただごとじゃないということで、当時は鹿児島測候所と申しておりましたが、その測候所に何か大爆発が起こるんじゃないかということを問い合わせたところが、当時の測候所は、何にも異常はない、住民は平静に生業を営み、いささかも流言飛語を飛ばしてはいかぬ、こういうおしかりを受けて、そのやさきにどかんと一月の十二日に大爆発をやったわけです。そこで大変な惨害を受けました。  それを記念して、ちょうど桜島の袴腰というところを上がりましたところに桜峰小学校というのがありますが、そこに当時の桜島大爆発の噴火の記念碑がございます。そこに当時の西桜島の村長さんが満腔の怒りを込めてこういう言葉を書いておるんです。「吾人は理論に信頼せず」という言葉を使った。あれだけ事前にいろんな兆候があったのに、何かあるんじゃないかと言ったのに、何にもない、大丈夫だと言って、どかんとあの爆発が出た。よって、「吾人は理論に信頼せず」という痛烈な言葉を書いておるわけであります。  そういうことで、私も、火山の爆発あるいは降灰、ガス、こういった対応に苦しみ、また国の施策も活火山法の改正等もいただきまして対応いたしておるわけでございますが、まだまだ全般的に見まして不完全。何よりも火山のいわゆる噴火のメカニズムあるいはそれの把握の仕方、こういったいわゆる噴火の予知ということについての研究が、それぞれの大学で苦労しておられますが、まだまだだろうというのはその当の学者先生がおっしゃっておられるところであります。  あるいはまた、そういった火山は、御案内のとおりそれぞれの火山で性質が違います。いわば体質が違うということでございますし、よく笑い話に言うんですが、北海道の有珠山の降灰はアルカリ性、桜島の灰は酸性。したがって、これは桜島の場合には当然農地の土壌矯正をせにゃいかぬわけです。そういったことで、それぞれ火山の性質も違う。  そういったそれぞれの火山の噴火のメカニズムなり、あるいはそれの対応なり、あるいは火砕流、これも大正三年の桜島の爆発の場合にも火砕流が出ている痕跡があるわけでありまして、そういったもの等に対する研究というものももっと進めなきゃならない。  あるいはまた、火山の発生に対しまする避難あるいは防災のための諸措置、これにつきましても建設省の手であるいは林野庁の手で土石流対策といたしまして砂防ダムをつくる、こういったこともやっていただいておるわけでありますが、これもまだまだ工夫を凝らさなきゃならないところがある。そういった防災の問題。  さらには、火山に関する情報というのが今度のこの雲仙でもやはりデータがなくて困ったということが新聞報道等でも出ておるわけでございますが、そういった面でのやはり過去の噴火の歴史、記録、こういったものをデータバンク化する、こういったことも必要でございますし、あるいはまた諸外国で既に試みられておりますハザードマップ、災害予測図、こういったもの等の作成も大事なことであろうと思うわけであります。  そういうことをテーマにしまして、いささか手前みそでございますが、三年前、昭和六十三年にいわば地球上で初めてのいわゆる学者それから行政関係者、マスコミ、一般の市民、こういった方方の御参加をいただきまして、鹿児島県で世界的な国際火山会議というものを開催いたしまして、三十カ国から四百人の研究発表者が参加をしていただきました。その成果を鹿児島宣言ということでまとめたわけでございます。  そのときの皆さん方の一致した意見としては、やはり国際的な火山についての研究、研修、それから情報、こういったものの機能を総合した国際的な火山センターというものをひとつ日本につくっていただきたい。特に、御案内のとおり地球上には火山が八百あるそうでございますが、その一割が日本、大部分は発展途上国でございまして、いわゆる火山の噴火予知についての研究も進んでおらない、あるいは機器等の整備も進んでおらない。そういうことで、ひとつ火山の面でも先進国である日本にいろいろ教えてもらいたい、そういうことで自分たちの被害というものも未然に防ぎたい、あるいは火山砂防、こういった面についても治山の面についてもいろいろ教えてもらいたい、こういう非常に強い要望があるわけでございまして、そういう中からただいま申しました国際的な総合火山センターというものをひとつ日本政府の手でつくってほしい、こういう非常に強い要望がございました。  私どもも、せっかく火山会議というものを開きまして、これを一過性のものにしたくない、今度の雲仙の例等を見てもまさにそう思うわけでございますし、あるいはまたフィリピンの六百年ぶりに噴火をいたしましたピナトゥボ、こういった火山の例等を見ましてもそう思うわけでございますが、このような国際的な総合火山センターの設置ということにつきまして、国土庁長官とされまして西田大臣の御所見、あるいはまたこれはいいことだということであれば、どのようにして推進を図っていくかということにつきましてのお考えをお示しいただければありがたいと存じます。
  157. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) まず、事務的に申し上げることをお許しいただきますが、火山災害対策上、火山現象に係る研究体制の充実を図るということは、大変私ども重要な課題であるというふうに認識をいたしております。  先生からかねてお話がございました六十三年七月鹿児島で開催されました鹿児島国際火山会議におきます鹿児島宣言で、ただいま御披露のございました火山に関する国際的な総合情報・研究・研修センターの設立につきまして御提唱があったわけでございます。現在、私ども聞くところによりますと、鹿児島県の方におきましてその事業内容運営の主体等につきまして具体的な構想を御検討いただいているというふうに承っております。  防災に関する総合調整の立場にあります国土庁といたしまして、この鹿児島県の検討の結果を踏まえまして、関係省庁とも連携を図りながらさらに検討をさせていただきたいというふうに考えてございます。
  158. 西田司

    国務大臣(西田司君) 今回の雲仙岳火砕流災害、土石流災害に伴いまして、ただいま大変貴重な御提言をいただいたと受けとめておるわけでございます。  御指摘にもございましたように、まだ火山、地震というものはなかなかその科学的な解明というものが進んでおらないところに予知、予測の難しさを痛感いたしておるわけでございます。しかし、今回のこの事態というものをよき教訓といたしまして、今後あらゆる角度から、国内だけでなく広く世界の英知を集めて、この難しい問題に挑戦をしていくということは適切な考え方である、このように思っております。
  159. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 この国際火山センター、いろいろこれからプロセスが必要だろうと思うわけでございますが、特に私といたしましてお願いを申し上げたいと思いますのは、やはり先ほどもちょっと申し上げましたが、火山が発展途上国に多いという現実で、日本の国際協力につきましてもいろいろの議論がございますが、やはり私はこういった面で発展途上国の皆さん方を日本に呼んでしかるべきところでこういったトレーニングをやる。そういうことで、そういった人たちをまた再教育も加えながら火山の予知について指導を申し上げる。  それが、それぞれの国でまた火山の予知ということで、災害の被害軽減あるいは人命の救助ということに役立つということでございますれば、日本がやはり顔のないとかなんとかいろいろ言われますけれども、これが最大の顔のある海外援助の一つになり得るのではないかという感じもいたしますので、ひとつ一遍に完全なものをつくるということが無理でございますならば、せめてそのようなトレーニングセンター式のものからでもスタートするということを強く御要望申し上げる次第でございます。  それから、この火山会議のときにやはり各国共通の問題になりましたのがいわゆるハザードマップの問題でございまして、これは外国ではかなりハザードマップが進んでおりまして、日本のような国でハザードマップがつくられていないというのは理解に苦しむという発言がありまして、これは実は日本のこういう狭いところで、しかも温泉地帯等が多いものですから、下手にハザードマップをつくられると、おれのところの土地の値段が下がってしまうとか温泉地が寂れるとか、こういったようなことがあってなかなかハザードマップについては抵抗が強いということを申し上げたわけでございます。  やはり地域によりましては、そのようなものをつくることによって万全の備えをやりたいというところもこれは当然地域防災計画の中であるわけでございますので、そのようなハザードマップのマニュアル的なものをひとつ国土庁の方で御用意をいただきまして、各県がそれに基づいてハザードマップをつくるという道も開いておくべきではなかろうかと思うのでございますが、この点について防災局長さんの方からでもお答えをいただければありがたいと思います。
  160. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) 火山周辺の住民等の防災意識を高揚していただく、あるいは適切な防災計画を地元自治体でつくっていただくというような便に供するために、火山噴火災害危険区域予測図、先生仰せられますハザードマップでございますが、この整備をただいま進めておるところでございます。  国土庁におきましては、六十三年度から実は作業を開始いたしてございますが、四つの火山をモデルにとりまして現在作業を進めております。具体的には、平成四年にまとめることができればということで、今年度末完成を目途にいたしまして作成の指針づくりというものをただいまやっておるところでございます。先生仰せられますとおり、アメリカのセントヘレンズ火山が一九八〇年に噴火をいたしました際に、ワシントン州政府がこのマップづくりをやっておりました。これが大変役に立ったということを私ども教訓にさせていただいてこの作業を進めてございます。これから先一生懸命やらせていただきます。
  161. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 次に、現在まさに災害の多発期でございます梅雨の時期でございます。特に、この梅雨の末期になりますと局地的な集中豪雨が発生しやすいわけでございまして、そういった中で、土石流ももちろんでございますが、全般的な土砂災害、こういったものが多発をする。大変残念なことでございますが、私の鹿児島の方では死人が出ないと梅雨が明けないというぐらいがけ崩れあるいは土石流等があるわけでございまして、特に火山地域におきましては三十ミリ程度の雨でも集中的に降りますと土石流が出る。  こういったようなこともございまして、そういった面での土石流対策あるいは火山対策、砂防あるいは治山事業、こういった面の強力な推進の必要がございますが、時間の関係で、建設省、林野庁の方からそれぞれ手短に現在の対応の状況をお示しいただきたいと存じます。
  162. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 我が国は、地形が急峻でまた地質が脆弱な地域が広いために、豪雨のたびに土石流による災害が発生するわけでございますが、とりわけ土石流による災害は貴重な人命が失われるという点で大変悲惨な災害でございます。  このような災害から人命、財産を守るために砂防ダム、流路工等の建設による整備を重点的に実施しているところでございますが、平成年度末の施設の整備状況は約一九%と低い状況にございます。このため、砂防ダム等の整備を含むハード対策とあわせまして、一方で住民の警戒避難体制整備等ソフト対策を含む総合的な土石流対策の基本となるべき計画に基づきまして事業実施する土石流危険渓流総合整備事業の推進、また事業実施とあわせまして警報施設の整備等を総合的に行う総合土砂災害対策モデル事業の推進等、鋭意土石流対策を進めておるところでございます。  今後とも、とうとい人命の保全と財産の保護のため、土石流対策に最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  163. 小澤普照

    説明員(小澤普照君) 土石流等の山地災害関連の対策につきましては、私ども林野庁といたしましては治山事業において実施しているところでございまして、特に梅雨期とも絡みまして土石流対策は大変重要な課題であるというように考えております。  現在、治山事業におきましては、第七次治山事業五カ年計画に基づきまして実施をしておりまして、内容的には、治山ダム工、山腹の土どめ工等の設置でございますとか、あるいは山腹の緑化、山崩れ発生予知施設等の整備を総合的に実施しているところでございます。  また、梅雨期でございますけれども、山地崩壊やあるいは土石流等による災害の発生が憂慮されることから、林野に係る災害の未然防止を図るという観点から万全の措置をとるべく各都道府県、また営林局、営林支局への通知を行っておりますが、全国的な全体的な治山の施設整備の水準はまだまだこれからということでもございますので、今後とも長期的な視野に立ちまして整備水準の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  164. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 砂防あるいは治山、いずれもこれは、災害の防止はもとよりでありますけれども、大事な国民の資源を守り、あるいは国土を保全する、こういった役割があるわけでございます。こういった面の予算につきましては、私どもも役人の経験がございますが、とかく予算がなかなかつきにくいところがございます。伺いますと、砂防の方で全国七万渓流、要工事のところに対しまして、一九%の進捗率ということでございますと、これはまた林野の方につきましても恐らくそのような状態にあるのではないかと存じますが、こういった面につきましても、やはりせっかく金余り大国日本になったわけでございますので、まず自分の国土の保全ということをやらずして何ぞやという気もするわけでございまして、そういった面につきましての今後とも施策の充実をお願い申し上げる次第でございます。  次に、国道の整備、道路整備の問題についてでございますが、先ほど同僚の会田委員の方からもお話がございましたが、私どももやはり国土の均衡ある発展という面から見まして、九州あるいは東北、北海道それぞれ東京から遠いところほど道路の整備というものがやはり遅れているのではないか、こういうひがみかもしれませんが気持ちが非常に強いわけでございまして、そういった面でまず一つは高規格幹線道路についてでございます。  これも既に御存じのとおりでございますが、九州におきましては九州縦貫道あるいは九州横断道、こういった道路を今建設中でございますが、御案内のとおり、九州においては大変御苦労をいただきながら、まだ完全につながっている高速道路はないわけなんです。九州縦貫道というのが一番先に手をつけたわけでございますが、人吉と八代の間が大変な難工事でございまして、関係の皆さんに言わせますと、小型鍾乳洞の中でトンネルを掘っているようなものだ、こういうことをおっしゃるぐらいの大変な難工事。それに続きまして、人吉とえびのの間のいわゆる加久藤トンネルを今やっていただいておるわけでございます。  あるいはこの横断道路にいたしましても、なおまだ完通をしておらない、そういう状況でございますが、他方におきまして、例えば北九州から大分、宮崎を経て鹿児島に参ります東九州自動車道、これにつきましては最近、昨年でありますか、基本計画を策定していただいておるわけでございますが、まだこの整備計画の策定の段階まで至っておらない。あるいは南九州西回り自動道、これにつきましては一般国道の整備という形で熊本、鹿児島両県それぞれ地元の努力も相まって進みつつありますが、やはり東京一極集中の弊ということが言われ、多極分散型の国土形成ということが言われながら、これが絵にかいたもちに終わりませんためには、どうしてもやはり高速道路綱あるいは一般国道、こういった面の整備が必要だと思うわけでございます。  九州地方におきまする、特に南九州におきます高規格幹線道路の整備の今後の見通しということにつきまして、道路局長の方からひとつ御答弁をお願い申し上げたいと存じます。
  165. 藤井治芳

    説明員(藤井治芳君) お答えいたします。  全国的な高速道路一万四千キロ、その中で現在九州の計画は一千五百キロ余という形に相なっております。正確に申し上げますと千五百五キロ、これが一万四千キロの中の九州の高規格幹線道路の総延長でございます。その割合は一〇・九%ということで、ちょうど人口、面積とほぼ同じような規模の計画に相なっております。そのうち、供用は六百二十一キロということでございますから、三分の一よりも多い形のものができ上がっております。  そういう中で、今までどちらかというと日本海側、玄界灘側を通っておる九州縦貫自動車道、これが先生御指摘のとおり、現在人吉を含めた加久藤のトンネルのところで最後の工事をやらせていただいております。それに加えまして、東九州縦貫自動車道、これは北九州を起点といたしまして鹿児島に至る四百十八キロでございます。これもいろいろな経緯がございましたが、六十二年に国幹道法の改正の中で新たに国幹道に入れさせていただいて計画の路線に入ったわけでございます。  この入る前にいろいろな意味で、この東九州縦貫自動車道と同じ構造といいますか、機能を持った一般国道の自動車専用道路を事業化していたところもございまして、そういうものは利用の面からひとつ積極的に使ってみよう、こういうようなことを考え、かつ六十二年の時点で基本計画を出した区間等々を入れますと、全体で約二百四十六キロでございますから、四百十八キロのうちの二百四十六キロが自動車専用道路区間として事業化している区間ないしは供用している区間と基本計画まで出ている区間でございます。  この基本計画が出ている区間のうち、例えば末吉町から隼人町間の二十八キロなど三区間全体で八十二キロ、これについては環境影響評価手続を現在順調に実施しておりまして、例えば鹿児島県の場合で申し上げますと、六月の十八日から七月の十八日の間が環境影響評価の公告、縦覧をいたしている最中でございます。こういうことで、これらの手続が全部終わりますと、その他の新たに基本計画を入れる部分も含めて、また追加インターチェンジといったようなものも含めて、全体的な計画をまとめて次期国幹番の時期をお決めいただいてそこでお諮りさせていただきたい、このような手順で今やっております。  さらに、先生、南九州西回りにつきましても若干御言及なさいましたけれども、これも全体延長百四十キロ、八代から鹿児島市に至る百四十キロの高規格でございますが、そのうち全体延長の四六%に当たる六十五キロにつきましては現在事業化をさせていただいております。やはりこれも、この中には水俣という非常に不幸なことが起きた地域もございます。そういう中で、地域活性化を図るという視点から私どもなるべく促進をさせていただきたいということで、地元の県、市とも御相談しながら事業を進めさせていただいていると、こういうようなことでございます。  いずれにいたしましても、九州は今まで一本しかなかった縦貫道路を二本にし、さらに横断道路も、九州横断自動車道延岡線、長崎大分線に加えて延岡線、こういう二本の横断自動車道を新たに計画に加えて今一歩一歩事業化を進めさせていただいていると、こういうことでございます。
  166. 鎌田要人

    ○鎌田要人君 高規格幹線道路につきまして、九州においても着々とおくればせながら進んでおるようでありまして、大変これは九州の一体的発展という面から見ましても慶賀すべきことだと思います。引き続いてひとつ御努力のほどをお願いしますと同時に、一般国道の昇格問題、これにつきましては先ほどお答えがございましたが、現在百八十路線一万二千キロのいわば立候補があるということでありまして、今の五万キロ構想でまいりますというと、四千キロに対して一万二千キロということでありますから、これは大変な難関。  もともと、この五万キロ構想と申しますのが、私の理解しておるところに間違いがないといたしますと、昭和四十二年に策定をされた。その昭和四十二年から今日まで国民の持っております車の台数は五倍、GNPは三倍と、こういうことを伺っておるわけでありまして、いわば背がどんどん伸びておるところに、伸び盛りのところ、まだ小さい、私みたいに小さいところで五万キロ、それがもう大きくなっておるわけでありますので、この枠は当然ふやすべきということが私の考えでございます。  この五万キロ構想の拡大ということにつきましても、御検討中ということでありますので、ぜひともこれはひとつ国民の公共の利益あるいは国土の均衡ある発展のために、大いに思い切った御検討をお願いを申し上げたいと存じます。  最後に、現在の第十次道路整備五カ年計画についてでございますが、これは明年度をもって終了することになりておるところでございますが、現在までの進捗状況はどうか。また、これが来年度において今のような進みぐあいでございますと、よっぽど思い切ったこれは努力をしないと完全達成というのは難しいかと存じます。  あわせまして、現在の国と地方の道路投資に対しまする一般財源の投入率、これは細かい数字は申し上げませんが、圧倒的に国の方が小さい。もう少し国はやはり一般財源をこれに投入をしながら、これだけのやはり国民的悲願でありますところの道路の整備ということに力を入れるべきだと思うのでございますが、この点につきましての大臣のお考えをお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  167. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 国会が終わりましてから、私は、できるだけ時間がありましたら地方の道路の事情も見たいということで、地建を回らせていただいております。残念ながらまだ九州には足を運ぶ時間がございませんが、ともかく車社会という完全な車時代になりまして、道路網の整備、今御指摘の五万キロは昭和四十二年というのですから、もう二十数年たっておるわけでございまして、御指摘のように、この目標をもっと拡大をするという方向でいかなければならないことは当然のことと思っております。  また、高規格幹線道路網の整備につきましても、大体今五千キロ、あと九千キロを二十一世紀初頭までということでありますから、ともかく財源の獲得も御指摘のように非常に大事でございますし、また道路の整備の分担割合と申しますか、国の直轄事業あるいは地方でつくっていただく道路、または一般道の整備等々、そのシェアをそれぞれ充実をしていくという方向になろうかと思います。  最近の資料でございますと、国費が大体二七・五%、地方が四八%、財投が二四・五%、こういうような割合でございます。これらをどのように国がもっとふやすべきであるか、地方にもまたやっていただくべきか、それらの問題も含めてこれから五万キロのこの枠の拡大に向けまして努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。  幸いに、四百三十兆円の基本計画のスタートの年でもございまして、国民の皆様方にも道路というものが公共の福祉を優先するということでは非常に大事だという御認識も増してまいりました。従来、一部道路をつくるときには反対等でなかなかうまくいかない面もありましたが、これらは土地基本法の制定以来、国会の先生方もまた一般の皆様方も大変に御関心もいただいておるわけでございますので、目標の達成のために皆様の御協力を得てできる限りの努力をしてまいりたい、このように考えております。
  168. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 雲仙岳ではまことに痛ましい、またお気の毒な災害が続いております。六月三日と八日の大規模な火砕流によって三十七名の方が亡くなられ、四名の方が依然行方不明だということです。家屋も百二十九棟が火災等によって焼失してしまい、水無川の上流から中流域にかけての山林や田畑は溶岩や火山灰の下に埋もれてしまいました。また、一万人以上の住民の皆さんが苦しい避難生活を続けておられます。心からお見舞いとお悔やみを申し上げる次第であります。  今は梅雨の季節、集中豪雨による水害のシーズンであります。そこで、治水行政を担当しておられる建設省にお尋ねいたします。  ちょうど一年前のことになりますが、平成二年の六月二十八日から七月三日にかけて北部九州地方を中心に梅雨前線性豪雨が降り、これによって死者二十七名、重軽傷者九十名、家屋被害は、全壊百九十三戸、半壊二百二十戸など、全部で四万二千五百余戸にも及ぶ水害が起こったわけでございます。これは考えてみますと、雲仙岳の噴火の被害にある意味では匹敵するような大きな災害であったと言っても過言ではないと思います。  全国的にはさらに多くの水害が毎年繰り返されていると思いますので、まず平成二年の全国の被害状況、また過去十カ年の被害状況ほどうなっておりましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  169. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 平成二年の全国の水害による被害状況でございますが、死者、行方不明者合計八十八名、負傷者二百四十一名、家屋被害十五万五千棟、公共土木施設災害は報告額ベースで九千億円に上っております。  また、昭和五十六年から平成二年の十カ年で見ますと、年平均の死傷者は四百六十四名、死者、行方不明者は百二十九名、家屋被害約十三万棟、公共土木施設災害、これは報告額ベースですが、六千六百億円となっております。  さらに、この期間に一般被害、いわば資産被害等でございますが、そういう被害の発生した市町村数は、十年間で三回以上が千百市町村、二回以上が千七百市町村、一回以上の経験は二千四百市町村、大体三分の二以上になっておるわけでございまして、ほとんどの市町村が水禍に見舞われているという状況でございます。
  170. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 大変な災害の状況だと承りました。全国には三千三百余りの市町村があるわけでございますので、その三分の一に当たる市町村が十年間に三回以上被害を受けている。また、三分の二に当たる市町村が十年に一度は水害を受けているというようなお話でございますね。  一体なぜ災害が後を絶たないのか、建設省はその点についてどういう見解を持っておられますか。
  171. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 我が国は、幅二、三百キロぐらいの幅の狭い列島の真ん中に標高二千から三千メートルの高い山脈が連なっており、その山を削って河川が運んだ土砂がつくり出した平野に我我が生活しているということで、世界でも非常に珍しい地形でございます。  加えて、狭い地形の中に我が国ではいわば河川はんらん区域に人口の五〇%、資産の七五%が集中しているわけでございまして、これをアメリカ等と比べますと、アメリカでははんらん区域の面積は全国土の七%でございます。また、はんらん区域に居住する人は九%にすぎないという状況で ございまして、我が国が水害と切っても切れない国土構造にあるということでございます。とりわけ、世界先進国の中でも、台風とか梅雨等の前線性豪雨が、集中豪雨が発生しやすいという条件もございます。  そういう状況の中でございますので、歴史的にも水害との闘いが続いてきた国土だと考えております。
  172. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 いろいろと背景は承りましたが、要は、災害が多いのは整備がおくれているからだ、整備がおくれているのは予算が足りないからだ、設備投資が少ないからだということだろうと私は思います。しかし、災害をしばしば受けている地域が先ほどのようにたくさんあるということを考えますと、ひとつ万難を排して治水対策を早急に推進していただきたいというふうに願わずにはおれません。  そこで、一体これまでどんなペースで治水事業が進んでいるのか、現行治水五カ年計画はたしかことしで終わろうとしておると思います。その状況をお聞かせいただきたいと思います。
  173. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 我が国の治水投資は、戦後大変厳しい状況の中から始められたわけでございますが、特に昭和三十四年の伊勢湾台風によって五千名の方が亡くなるというような悲惨な災害を見て、これは国家ベースで治水五カ年計画を策定するということが意思決定されまして、昭和三十五年を第一次治水五カ年計画のスタートとして、現在までに七次の治水五カ年計画を策定して整備の推進を図ってきたところでございます。  現在の五カ年計画では、一般公共事業費八兆円、また災害関連事業及び地方単独事業二兆一千四百億円、それから財政状況等を見ながらあるいは災害の発生状況等を見ながら弾力的に充当すべきものとして保留されている額として調整費が二兆三千六百億円でございまして、合計十二兆五千億円で五カ年計画がスタートしたわけでございますが、本年度平成年度が最終年度になるわけでございます。  我々としては、この七次の五カ年計画を盛りかえ盛りかえ進めてきたわけでございますが、先ほども言いましたような極めて厳しい自然条件、社会条件下でございますので、現在の整備水準で見ますと、当面五年から十年に起こるであろう時間雨量五十ミリ相当の降雨に対して、一応の安全度を早期に確保したいと考えておりますが、その目標に対して現在、この五カ年計画スタート時では整備水準が三九%程度でございましたが、平成年度末には四五%になる見込みでございます。今後とも、事業費の確保に努めて、この整備水準の向上に努めたいと考えておるところでございます。
  174. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 今のお話ですと、平成年度末の整備率は約四五%で、これでは半分にも達していないわけです。しかも、一年間でわずかに一%余りの整備率の上昇ペースだということですので、単純に計算しますと五十年ぐらいはかかるんじゃないかということになるわけでございます。しかも、この際の到達目標が、これまた時間雨量わずか五十ミリという降雨に対して安全をとりあえず確保しようということでありますので、本当に水害の危険からあるいは心配から私たちが解放される日はいつの日かわからぬじゃないかと私は今承ったわけでございます。  このような中で、また来年度からは、平成年度からは新治水五カ年計画がスタートするわけでございます。既に策定のための検討作業に入っておられると思いますけれども、私からもこの機会に少し考えを述べさせていただきたいと思うわけでございます。  まず第一に、我が国の立ちおくれた治水の現状にかんがみまして、次期五カ年計画では安全度の早期向上を図られますよう最大限の努力をしていただきたい。とりわけ大河川に対しましては、これは我が国の経済社会活動の中心となる地域を貫流しておるものでございます。いわば我が国の生産基盤であるわけですから、大河川改修が引き続き強力に促進されなければならない、このように考えるわけでございます。  かつてのように毎年破堤、はんらんするというような状況にはありません。それもそのころに比べると大変整備されたような感が一応はするわけでございますけれども、やはり治にありて乱を忘れずといいますか、沿川住民の治水促進の悲願といいますか、声なき声に十分耳を傾けて一生懸命頑張っていただきたいとお願いしたいわけでございます。  それから、安全で潤いのある生活環境の創造、これはよく言われることでございますけれども、私は、このためには生活環境の重要な一部をなすのが中小河川だと考えております。これは、先ほどのお話にもございましたように、しばしばはんらんをしているということでございます。浸水や頻発する土砂害を解消するために、引き続いてこの点についても努力願いたいというのが第二点でございます。  また、最近は住宅宅地供給、これは現下の緊急の課題でございます。特に都市周辺では、埼玉東部などにはまだ十分宅地になりそうなところがあるわけでございますが、治水上大変劣悪な条件下にあるということでそれができない。治水対策を先行的に実施しないと大都市問題が解決できないと私は思っております。  また、それにも関連するわけですけれども、下水道の整備は大事だと言われますけれども、下水道を受けるのは川でございまして、やはり川の先行的な整備も同じような意味で大事であろうかと私は思います。  どうか、社会資本の整備に対応して治水事業を重点的に、先行的に実施していただくという心がけをぜひ持っていただきたいと思います。  また、農山村部においては浸水を許容できないようなハウス栽培等の施設園芸が盛んになってきております。そういう方向へ農政が転換されつつあるわけでございます。治水に対する要請はこれまで以上に重くなってきているわけです。また、農山村では、各地の地域振興のためにいろいろな地域振興のプロジェクトを持ってこなきゃいかぬ。水害、土砂害の危険を誘発しないような形でその誘導が必要なわけでございますので、そういう意味でも農村、農業あるいは農家、こういったものが国際化時代に対応できるために必要な施策でございますので、それを支援するような治水事業をやってもらいたい。国土の均衡ある発展、先ほど言われましたけれども、そういう意味でも地域、特に農村地域の振興のために御尽力いただきたいと思うわけでございます。  また、これはもう時間がございませんので簡単に申し上げますけれども、高度化した現代文明社会を支える必要があるわけですが、それを災害が決定的にあるいは壊滅的に壊してしまうおそれがある、いわゆる危機管理のためにひとつ治水対策もこれから乗り出すべきときだと思います。例えば大都市のスーパー堤防、それから異常渇水時に対して水を備蓄するような異常渇水ダム、こういうものが大事だろうと思います。そういうことにも配慮願いたいと思います。建設省では新治水五カ年計画を策定するに当たってどのようなお考えを持っておられるのか、あわせてここでちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  175. 近藤徹

    説明員近藤徹君) ただいまの先生の御意見は、大変貴重な御意見と受けとめております。  私どもは、来年の新五カ年計画策定のためにまず省内においてもさまざまな議論をしておりますが、さらに現在河川審議会におきまして今後の河川整備はいかにあるべきかということを大臣から諮問していただきまして、現在その下の計画部会で審議をしているところでございます。先生から今いただきました御意見等も計画部会の先生にお伝えし、検討していただくことにしてまいりたいと考えております。
  176. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 よろしくお願いいたします。  きょうはせっかくの機会ですので、川づくりの今後のビジョンとか、あるいは治水事案への多様なニーズにこたえてもらうための要員あるいは人材の確保、こういう面でも時間があればお伺いしたいのでございますが、ちょっとその前に建設大臣に最も重要な治水事業費の確保についてお願いをさせていただきたいと思います。  これまでお伺いしてわかりますように、立ちおくれている我が国の治水安全度を顧みると、二十一世紀までの十年間、この二十一世紀へ安全で潤いのある国土を継承していくための大事な期間でございますので、この時期を失しないように重点投資をしていただく必要がある。そして、私たちの世代の責務として、立派な治水施設を後世に送っていただかなければならないというふうに痛感するわけでございます。  公共投資基本計画四百三十兆というのが今年度からスタートしたわけでございます。どうかこの治水事業をその中で重点的に投資していただくように、これは国民的要請でもあると思いますので、どうかそのことを受けとめていただきまして、大臣のお考え、御決意を承りたいと思います。
  177. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 御専門の委員のお話を貴重な御意見として拝聴させていただきました。  私は、在任中に大きな災害、洪水に遭ったらどうしようかということを毎日考えておるような状況でありまして、時間雨量整備目標五十ミリに平成年度末で四三%、着実にその整備目標に近づきつつはありますけれども、これで足れりということではないという認識は全く御指摘のとおりであります。何としても財源の確保ということがまず第一に挙げられるわけでありますが、先ほど来のお話のように四百三十兆円の基本計画のスタートでもございますので、先般河川審議会に諮問もさせていただきましたが、ともかく河川の管理、整備というのは人間の命や財産を守るという意味で、その河川流域の皆様方のことを考えれば最優先でやらなければいけない。  特に、長良川の河口ぜきのことでは午前中西野委員ともお話をさせていただきましたが、やはり生命、財産を守るということでいろいろお話もさせていただいてまいりました。幸いそういうことが、国民各層にも河川に対しての関心というものをかなり持っていただいているように思いますので、そういう背景をよく考えながら、今後一層の財源確保に努力をしてまいり、御期待に沿ってまいりたい、このように考えております。
  178. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ありがとうございました。  治水事業にかねてより大変御理解の深い大臣でいらっしゃいます。どうかよろしくお願い申し上げます。  最後に、雲仙岳の対策についてお伺いしておきたいと思います。  当面は、住民の避難といいますか安全確保のために、防災情報を収集、分析、伝達するということが一番大事だと思います。そしてまた、噴火がおさまれば、緊急復旧といいますか防災対策が遅滞なく進められるようにしていただかなければならないわけでございます。ここで私が特にお伺いしたいのは、その後の本格的な防災対策についてであります。それは、今溶岩や火山灰が積もっている水無川上流、中流、こういったところに恒久的な遊砂池、言うなれば火山噴出物をため込むような池、これを治水事業で計画的につくっていって活用していただきたいということでございます。  なぜこういうことを言うかといいますと、やはり被害者の救済上そういった施設は私は非常に役に立つんじゃないかと思うわけでございます。土砂をためるということになりますと、これはもう当然ためるのが目的でございますから、そのための用地というのは、私は、従前の土地利用の状態、これからもう今たまった、ありがたい話だというふうな見方もできるわけで、やっぱり評価というのも可能じゃなかろうかと。こういうことは、これから大変苦労されている地権者等々の生活再建等にもお役に立つ、一助になるんじゃないかと、こういうふうなことを考えております。  そこはともかくとして、とにかく砂防計画上遊砂池というようなものがここであり得るかどうか検討していただけないかどうか、ちょっとお願いしたいと思います。
  179. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 雲仙岳の噴火につきましては、まず現在のような火砕流が発生しない以前におきまして、我々は水無川の河川改修も完了させ、また上流の砂防流路工等も完成させてきたわけでございます。その後の噴出物に対しましては、河床の中にたまりました堆積物の除去あるいは砂防ダムの中の除石等の工事も懸命にやり、進めてまいったわけでございますが、その後火砕流というような状況が出てまいりまして、我々が従来考えていたもの以上に対象とすべき土石が多くなり、かつまた日夜生産されているという状況でございまして、今後その推移を見ながら、この砂防対策については抜本的に計画を見直さなきゃいかぬというふうに考えております。  その中で、先生がおっしゃいました遊砂池という構想は大変貴重な御意見だというふうに思っておりまして、従来の常識的な砂防計画は、やはり火山対策、特に生きているこういうような火山においては、土地の利用規制その他も含めた大きな検討が必要だろうと思っております。我々の事業の中でできるものについては、今の御提案を十分検討させていただきたいというふうに考えております。
  180. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 あと、これは要望だけにとどめさせていただきますが、治水事業を進めていく上ではいろんなことが伴わなきゃいかぬわけでございますが、その中で要員、人材の確保が大事だと思います。ダム、堤防、河川敷、いろんな公物管理も大事でしょうし、高水敷の利用というのも高まっているから、この占用問題、使用問題、これもお忙しいと思います。今の突然起こった災害、これに対する対応も大変でしょう。そしてまた、危機管理でちょっと申し上げましたスーパー堤防をつくることになると、これは町づくりでもありますからいろんな面との協議がある。  そして、午前中聞いておりましたけれども、長良川のような調整問題、あれも非常に大変だと思います。非常によくわかる説明をしていただきました。ああいう根気強い説明をひとつ国民の皆さんにやっていただいて、そして一日も早く事業が進むように、治水事業が完成するように心から祈念しまして、また頑張っていただくように激励して、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  181. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 農水大臣がお見えになりませんので、最初に、順番を変えて国土庁にお伺いします。  きょう、他の委員からもいろいろ雲仙・普賢岳の噴火の災害のことがお話に出ましたが、政府も国土庁長官を本部長として非常災害対策本部を設置して災害救助に精力的に対応しておられる。そして、去る二十一日、地元市町村や住民からの要望に基づいて、現行法現を最大限に活用した上での十八項目にわたる被災者救済対策を発表されました。私も、全部読ませていただいて、現行法のもとにおいて国土庁は真剣に被災者の救済に頑張っておられるということについてよかったなということを申し上げたいと思います。  ただ、この十八項目、衣食住から教育、労働、各分野にわたってのいろんな救済策はそれなりに理解できるんですが、被災住民の方々にとっては、もうこの土地はこりごりだ、どこかへ移転したいというふうにお考えの方もおられるように聞いております。そうすると、この対策の中で集団移転促進特別措置法に基づく措置というのが果たして被災者の皆さん方の要望にうまく適合するんだろうかどうだろうかというふうな観点から二、三点質問させていただきます。  まず、今申し上げました集団移転促進特別措置法によると、対象戸数は十戸以上でなければならないというふうなことになっておりますけれども、たとえ七軒でも八軒でも、やっぱり移転したいというふうな方もおられると思うんですが、こういうふうな十戸未満というふうな場合にまでこれを適用できるような余地はあるのかないのか、いかがでしょうか。
  182. 小島重喜

    説明員(小島重喜君) お答え申し上げます。  あの法律の趣旨から申し上げますと、ある一つのコミュニティーと申しますか、それが言うなら災害によって崩壊をするというような場合に別のところで新しいお住まいを確保するというのが趣旨でございまして、私どもは、やはり一つの団地というものを形成する以上は、あるいはコミュニティーというものを形成する以上は、どうしても十戸程度のものがないとコミュニティーにはならないんではないかと。そして、今までの災害の例で見てみましても、一戸とか二戸とかそういう家が滅失した例がございますけれども、それは言うならコミュニティーごとのということじゃございませんものですから、現時点では十戸ということは最低限の団地の規模としては必要ではないか、かように考えております。
  183. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 確かにこの法律の制度趣旨から言うと今おっしゃったとおりなんですが、そうかといって新しい法律をつくるというのも大変だとすれば、施行令ないし施行規則を、政令なり省令なりを変えれば、十戸というのを五戸と直せばできないことはないわけなんです。要するに、十戸以上でなきゃだめだよということでなくして、もう少しきめ細かくはできないだろうかという点なんです。  同じことが今おっしゃった新しくつくる住宅団地への移転の戸数についても、現行法では十戸以上、あるいは移転する住居の半数以上がその住宅団地へ行かなければこの法は適用しない、こういうふうな規定になっています。ですから、五十戸の場合だったら半数以上ですから二十六戸以上がまとまって行かなければだめだ、こういうふうな規定にもなっているわけですね。その辺ももう少し検討する余地があるんじゃなかろうかと思いますので、考えておいていただきたいと思います。  それから、それ以上に、現実にこういう問題が起きてくるかどうかはわからないけれども、仮にこの法律を適用して集団移転ということになった場合の現在の土地の買い受けの問題、あるいは市町村から言えば買い取りの問題について、集団移転した場合の従前の土地の代金の価額についてはどういうふうになっておりますか。
  184. 小島重喜

    説明員(小島重喜君) 集団移転をいたしました跡地につきましては、私どもといたしましては、もうそこは危険な区域だということで一応条例などによりまして建物等の立地制限をしていただく、そしてあわせて、そういう地帯はただ更地にしておくのではございませんで、一応防災のための植林をしていただく、こういう考え方である意味では公共的な部分に使っていただく、こんなような考え方に立って土地を買い取ることにいたしております。  従来、その集団移転した例は千数百件ございますけれども、そういう中で見てまいりますと、やはりどうしても買い取りの時点におきますところの時価ということにせざるを得ないということで、私どもは買い取りの時点におきますところの適正な時価で買い取るように指導していきたい、こういうように考えております。
  185. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、この法律自体にはそんなことは書いていないんです。買い取りのときの時価で買えとか、いつの時点で買えということは規定していないわけですよね、法律自体では。  ただ、今おっしゃったようなことだと、せっかく宅地があって、そしてめぐりに畑が三反歩あって、あるいは一町あってやっていたけれども、仮にこれが溶岩に全部埋まってしまった、あるいは石だとか軽石だとか、そういうもので埋まってしまってほとんど取引価値がないということになると、今までは宅地だ畑だということで一千万だ二千万だという価値があったけれども、市町村なり県が買ってやるよと言ってくれたときに、こんな溶岩が一メートルもずっとあるなら何の使いようもないからこれはただだと、極論すればただだということになるわけです。  しかし、法律自体にはただだとか、その買い取りの時価だとか書いてないんです。施行規則の方でいろいろそういうことを決めている。施行規則で、要するに総理府令で決めているわけなんです。  総理府令の中で、その買い取りについての問題点はざっと見ると三点ぐらいある。  というのは、法律では農地及び宅地その他の土地を対象にしているのに、総理府令では農地と宅地だけでその他の土地は何か除外されているようなんです。もしその他の土地というものを除外するということになると、いわゆる山林だとかあるいは原野だとか雑種地だとかというのは抜けてしまう。  それから、移転促進区域内に所在するすべての農地と宅地が一括でなければ買い取ってやらぬよと、こういうことになっている。そうすると、私は売りたくないという人が一人でもいて、その農地が残ったら全部が買えないというふうな限定がついている。  三番目は、今まさにあなたがおっしゃったような値段の問題で、災害が発生するおそれがある危険区域であることを勘案してただで買う、ただで買うというのは書いてないんですよ、勘案して算定した額だと、こういうことになっている。これは総理府令でこの三点は全部決めていることなんです。法律には書いてないんです。  もう少し実際の被災者の立場に立っての集団移転しやすい方策というものを考えないと、例えば雲仙の今の被災者の方がこの法律に基づいて集団で移転しようというときに、今までの二千万円の価値が五十万円にやられてしまったんではほとんど意味がない。その辺について、長官、どうお考えになりますか。
  186. 西田司

    国務大臣(西田司君) 雲仙岳の火山活動は、御承知のように依然として予断を許さない状況にあるわけでございます。これに伴って、地元の考え方や状況も流動的でございます。どの程度の規模の集団移転をするか、あるいはどのような内容でやっていくか、こういうことが現時点においてはつまびらかになっておりません。  そういうことを踏まえまして、これらを地元の考え方ややり方やそういうものが申し入れが出てまいりますと、今委員が御指摘になったような問題に私は具体的に取り組んでいかなければいけない。例えば、集団移転促進事業を行うということが決まった場合には、地元の実情や意見というものをよくお聞きをして、そしてこれらの実施事項が円滑に行われるようなことを念頭に置きながら、必要であるならばいろいろ政省令あるいは通達等、そういうものに手を加えながら、その実現に向かって取り組んでいかなければいけない、こういう考え方を基本的に持っておるわけでございます。
  187. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 非常にわかりいいようなわかりにくいような答弁でございましたが、要するに実際の問題が起きたときには、総理府令の改正等を考えて、もう少し実際的な補償ができるようなことを考えていただきたいと思います。国土庁については以上でございます。  次に、建設省北海道開発庁について一、二点お伺いしたいと思います。  北海道開発庁事業主体となって、北海道沙流川に二風谷ダムを建設しておられる。この問題については、私は四月四日に予算委員会において建設大臣及び北海道開発庁長官にもいろいろ御質問申し上げました。  この二風谷ダム建設に対するアイヌの人二人の地権者が土地収用裁決を不服として建設大臣に審査請求を申し立て、その審査請求の手続の一環としてことしの三月八日に審査請求人両名からの意見陳述の日を持っていただいたわけです。この日の、持っていただいた日の状況については建設大臣にも直接私いろいろ申し上げまして、建設省の対応についていろいろ御意見を申し上げました。  とりあえずお伺いしておきたいんですが、本来、この審査請求人からの意見陳述というのは、建設大臣がお聞きになるべきものであるということはこの前も申し上げたわけです。陳述人の両名は、この三月八日に自分の陳述を書面にまとめて建設省に提出しましたが、建設大臣、この陳述書の二通はお読みいただいたでしょうか。
  188. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 実際にその陳述書につきましては、行政不服審査法第三十一条の規定により、しかるべき職員を聴取する職員として指定いたしまして聴取をさせたわけでありますが、その内容につきましてはおおむねの報告を受けておるわけでございます。  その内容は、特にお二人からアイヌ民族の歴史や御本人の御家族の生い立ちまでを含めた少数民族のお立場からの御意見の陳述があったと、こういうふうに伺っておることでございまして、この陳述を中心に今後この御意見を踏まえまして慎重に対処をしてまいりたい、このように考えております。
  189. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 事業主体である北海道開発庁長官はお読みいただきましたか。
  190. 谷洋一

    国務大臣(谷洋一君) 今の問題につきましては、私は直接読んでおりません。概要につきましては聞いております。
  191. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は非常に意地悪く、読んだかというふうな質問を申し上げましたけれども大臣あるいは長官、お忙しいでしょうけれども、そんなに分厚いものじゃないんです。萱野茂さんが書いた「ウコチャランケ」というこの陳述書、ウコチャランケというのは話し合いという言葉なんです。これは三十四ページの大きな字の書面です。貝澤正さんが書いた「一アイヌの声」という、これも三十一ページのそんなに厚いものじゃないんです。ぜひ、まだお読みいただいていなかったら、読んだいただきたい。  例えば、この陳述書の中で萱野茂さんは、「数や力で決められる民主主義なるものは、数の少ない先住民族、アイヌ民族に言わせると全くといってもいいほど頼りにもならない、数の暴力に見えて仕方がない」、「本当の民主主義とは、少数者の意見も生かすことではないでしょうか。」、このように述べております。  また、貝澤正さんは、  私達の声など聞く耳を持たないと、権力者側は実績を作り上げようと工事はどんどん進められている。   ダムが完成して潭水されるまで私は生きながらえるかどうかは予想はつかないが、その時に私は先祖の残してくれた大地に小屋を建て、湖水の底の人柱となる決心を固めている。そうでもしなければ先祖の所へ行って何とも弁解しようもない。 こういうふうに述べています。  いずれにせよ大臣長官もよく読んで、少数民族の立場というものに御理解をいただきたい。  建設大臣は、来る八月下旬ないし九月上旬に、本件審査手続の一環として、参考人意見陳述を予定していると聞いておるんですが、そのとおりでしょうか。また、この参考人意見陳述の機会において、大臣としては参考人意見をどの程度それこそ参考にしていただけるお気持ちなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  192. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 八月下旬ころの参考人の陳述につきましては、行政不服審査法第二十七条の規定によりまして本年二月審査請求人から申し立てがあったので、慎重な審理の一環として実施するものでございます。先ほども申し上げましたように、本陳述につきましては、行政不服審査法第三十一条の規定によりまして、しかるべき職員に聴取をする職員として指定をしたしまして、建設省において実施する予定でございます。陳述の時間は、審査請求人の申し立てどおり一人一時間、合計三時間を予定いたしております。
  193. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 何度も申し上げますけれども、建設大臣北海道開発庁長官に私は文句を言っているんじゃないんです。要するに、例えば今の本二冊にしろ、あるいはこの前も申し上げましたが、国際労働機関総会一九八九年六月二十七日採択の独立国における原住民及び種族民に関する条約がございますが、これもお忙しいでしょうけれども一度全文をぜひお読みいただきたい。そうしたら、少数先住民族に対する権利保護というものが国連のILO総会において採択された際に、世界的な潮流として少数民族を保護とか同化でなくしてその固有の権利を回復するということが各条文に満ちあふれております。  一九九三年、再来年に国際的な少数先住民族の会議が開かれる。そういうときにこの沙流川の二風谷ダムの問題を取り上げられることも考えられる。そうしたときに、日本政府が少数民族に対してどのような処遇をしたかということの国際的な評価、マイナス評価にならないようにするためにも、もう少しいろいろ生意気のようですが勉強していただきたい。これはだから私の希望なんです。読まなきゃいかぬと言ったって、読む読まぬは大臣の問題ですから、読むべき義務もあるわけじゃありません。しかし、何とか読んでいただきたい。  以上で建設省北海道開発庁の問題を終わります。  次に、農水省会計検査院についてお伺いします。  時間が大分なくなっちゃったんで、食管特別会計中、国内米勘定についていろいろお伺いしようと思ったんですが、非常に問題を飛び飛びに伺いますので理解いただけるかどうかわかりませんが、まず食糧管理費用のうち集荷手数料についてお伺いします。集荷手数料を具体的に幾らと決める、その算定根拠はどのようになっておりますか。
  194. 森元光保

    説明員(森元光保君) お答えをいたします。  先生も御案内のように、集荷手数料につきましては、政府が生産者から米を買い入れる際に行うべき業務というのが集荷業者にいろいろございます。今全国に二百三十万戸の米の販売農家があるわけでございますが、そういった農家ごとに、例えば集荷計画の作成あるいは通知あるいは検査、倉庫のはいつけ業務を効率的に実施をいたしますために、品種別の出荷予定数量の収穫前あるいは収穫後の取りまとめ業務等がございますし、さらにまた検査に先立ちましていろいろ受検品につきましての品質調整指導等もあるわけでございます。  そういったもろもろの業務がございまして、それに対しまして対価としてそれを支払っておるわけでございまして、具体的な算定に当たりましては、それぞれの業務に必要な経費につきまして一応人件費、物価の変動等を考慮いたしまして毎年これを定めておる、こういうような状況になっておるわけでございます。
  195. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、集荷手数料というのを平成元年度において総額百十五億円支払っている。百十五億円支払っているんですが、集荷業者というのは、実質的には農協が九五・七%の集荷をしていて、農協以外の商社系の集荷業者というのは四・三%を集荷している、こういう状況なんです。  そうすると、九五%もの集荷のシェアを占めている農協に対する一方的な集荷手数料の支払いということになるわけです。そうすると、集荷手数料がどのように算定されるかというのは、算定の根拠というのは非常に重要な問題になってくる。今お伺いしたけれども、一俵について二百四円であるとか、二百十八円であるとか、どうしてそういう数字が出てくるのか、もう少しわかるように言ってください。
  196. 森元光保

    説明員(森元光保君) 集荷手数料につきましては、実は昭和二十八年当時から支払いをしておるものでございまして、当時は恐らくいろいろの実態等を調査いたしまして算定をしたというふうに思っておるわけでございますが、その後の集荷手数料につきましては、毎年人件費の上昇率でありますとか、あるいは物価の上昇率、そういったものを考慮いたしまして算定をしてきているというような状況になっておるわけでございます。
  197. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 だから、最初からそう言えばいいんです。合理的な算定根拠があるわけじゃない。昭和二十八年のある数字、それに比べてだんだん来ただけのことなんだろうと思うんです。そうでなきゃ、私が幾ら何回聞いても大体そんな出てこないんだ、答えが。  私は、その数字が果たして妥当なんだろうかどうなんだろうか、そこはわからないんですが、食糧庁としては、この支払った集荷手数料についての農協なり業者の収益勘定、損益勘定等について検査なり検討なり調査したことはあるんですか。
  198. 森元光保

    説明員(森元光保君) 集荷手数料につきましては、ただいまも申し上げましたように集荷に直接かかる労務費でありますとか、あるいは伝票整理等に要しますところの事務経費等につきまして、それの対価としてお払いをしておるわけでございます。これまでやはり業務に対しましてはできるだけ省力化をするとか、あるいは効率化が図れるように今指導をしてきております。  先生が今御指摘の単価等につきましては、実は農業協同組合の販売部門におきますところの他の農産物、例えば野菜でありますとか果物のそういった農産物の集荷販売手数料の動向というのを見ておりまして、これを見ますと大体二・三%とかあるいは二・五%というような形になっておるわけでございます。集荷手数料につきましても、そういった視点から見ますと二・二%程度でございますので、私の方といたしましては特に集荷手数料だけが高いというような考え方ではございませんので、この点につきましては御理解をいただきたい、かように思っておるわけでございます。
  199. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は、高いとか安いとか今まで言ったことは一度もない。この数字が本当に客観的な数値になっているんだろうかどうだろうかということを伺っているだけなんです。  これが客観的な数値であるか、算出根拠がどうだと言ったら、昭和二十八年に決めた数字からころころ来ているだけなんだ、こうおっしゃるから、現時点においてこれが妥当かどうかということを検証するためには、集荷業者の集荷業務における集荷手数料の額の損益計算でも見てみれば、これじゃ損だからもう少し値上げしてやろうということかもしれぬし、これじゃぼろもうけだから半分でいいということになるかもしれぬし、そういうことも一つの検証の方法だという意味で検証されたことはありますかと伺った。要するに検証したことはない、こういうことでしょうか。
  200. 森元光保

    説明員(森元光保君) 私の方も集荷手数料の全体的なものについての体系的な調査は特にしておりませんけれども、いろいろその集荷業務についてそれが今どういう状況になっているのかということにつきましては、年々私の方もいろいろヒアリング等はしております。したがいまして、そういったような形でもって、かなり現在の集荷手数料は六十二年から値上げをしていないというような状況で、かなり抑制的に決めておりますので、私の方といたしまして大体適正な水準としてお支払いをしている、こういうふうに考えておるわけでございます。
  201. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 先ほど申し上げたように、百十五億円、この百十五億円の集荷手数料のうち九五・七%が農協に行っているということになると、要するに百億円近い独占的なシェアによる一口に言えば営業形態になっているんです。ですから、集荷業者の指定の問題を含めて農水省としても検討してみる余地があるんじゃなかろうかと思います。  会計検査院に伺う。この集荷手数料については、会計検査上特別な問題は何も考えられませんでしたか。  要するに私が問題にしているのは、集荷業者の指定の要件の問題。この集荷業者の指定は農水大臣が指定します。その農水大臣の指定する指定要件の問題。それから、現実に農協が九五%のシェアを占めているという問題。それから、集荷手数料自体の妥当性、金額の妥当性についての検証の問題。しかも、これが随意契約になっているというふうな問題。この辺の問題について会計検査院の御意見があったらお伺いします。
  202. 白川健

    説明員白川健君) お答えします。  食管制度に対する私ども検査の見方といいますのは、いかにして管理経費を節減するかという点でありまして、そういう見方からしますと、ある物の単価が例年上昇している場合には特に注意して検査するわけですけれども、この集荷手数料につきましては六十二年度以降だんだん単価が下がったり横ばいの状況で推移しております。そういうことですので、特に私どもとしては注意しては見てこなかったというのが実情でございます。  それから、まだ幾つかほかの点について御質問があったわけですけれども農協に独占的に集荷業務をやらせるかどうかということにつきましては、私どものところで判断する問題ではないのではないかと考えております。それから、随意契約の問題ですけれども、これは会計法及び予決令の規定に従ってなされているものと考えております。
  203. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 あと、運搬費及び保管料についてもお伺いしたいと思ったんです。  運搬費は、お伺いしたところによると、年間百五十三億円が支払われている。保管料は年間二百十三億円が支払われている。原則的には運賃及び倉庫料に関する運輸省の基準料金に基づいてやっていると、こういうお話ですが、この双方の項目について時期的にも確定している大量の類型取引だということを前提にして、運輸省で定めたその基準料金よりも割り引きしてもらって運搬し保管してもらうということは当然町の人なら考えるんですが、この点については食糧庁はどう考えていますか。
  204. 森元光保

    説明員(森元光保君) まず、運搬費についてでございますが、ただいま先生のお話がありましたように、食糧庁といたしましては、一応運輸省の認可料金あるいは届け出料金がございますが、それを適用して実施をしていただいております。  認可料金の中には、今先生のお話にございましたように、定期、大量の類型取引による割り引きの規定もあるわけでございまして、これが適用になる場合におきましては、私の方といたしましてもその割り引きにつきまして認可料金の範囲内で適用させていただいているということでございます。
  205. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 いや、その基準上そういうものを割り引くということじゃなくて、商売としてこれだけこんなに大きな金額を決まったときにこうやるんだから、普通の規定以上にもっと割り引けというのが普通の商人だったらやることなんだけれども、食糧庁はそういう努力をしているかしていないかと聞いているんです。
  206. 森元光保

    説明員(森元光保君) 一応私の方も食糧庁という行政機関として対応しておりますので、運輸省が定めました認可料金につきまして、これをさらに割り引けということにつきましてはいかがかというふうに思っておりますので、一応認可料金を定める際に十分そういった点を配慮して定めていただくように、認可料金等の設定につきましては私どもその都度申し入れをさせていただいているということで御理解をいただきたいというふうに思っております。
  207. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それはおかしな話で、あなたの方でそういう申し入れをしたなんて、そんなことで運輸省の料金認可なりそんなものが影響を受けることは何もありゃせぬ。そうじゃなくて、恥ずかしがらぬでまけろまけろというふうに言ったらどうですかということを申し上げているんです。  あと、一番大切な米の予約による概算金の支払いについてお伺いしようと思っているんです。  御承知のとおり、米については、実際に売買する、実際に食糧庁が買い上げる以前に予約概算金というのが支払われています。平成元年度においては、予約概算金はいつからいつぐらいまでの期間にどのくらいの金額が支払われましたか。
  208. 森元光保

    説明員(森元光保君) 予約概算金につきましては、先生御案内のように、事前売り渡し申し込みにかかる概算金として支払っておるわけでございまして、概算金を支払う場合におきましては特例政令を制定していただいております。大体毎年七月の中旬から予約期間が一カ月ございますので、その一カ月期間の間に予約した方に対しまして支払いをするということになっておるわけでございますが、平成元年産につきましては、概算払いは三千百十億というような状況でございます。
  209. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 食糧庁は金があって、いわばこれ予約概算金というけれども、内金だか前渡し金だか払うのは、それは結構な話なんです。  七月十四日から八月十四日の一カ月間に三千百十億円を前払いしましたよと、しかし実際に米が手元に入ってくるのはそれから約三カ月後の十月中旬から十一月に入ってくるわけです。普通の商品だったら買ったときに銭を払うのが普通なんです。ところが、このお米について三カ月も前に三千百十億円という金を払っているんです。  この金が、食糧庁に金があってどこへ積んでおくのも同じだから先払いしてやろうかという金ならいいけれども、そうじゃないんです。この金は全部食糧証券等に基づいて借り入れしてきている金ですから、三千百十億円の、私は概算金というよりも前払い金だと思うんです。  前払い金についても高いか低いか、そのときの状況によるでしょうけれども、利息がかかっている金なんです。この三千百十億円の金に対して三カ月間前払いしたとした場合に、それこそ概算でもこれが、この金額が負担する利息金というのは勘定できますか。
  210. 森元光保

    説明員(森元光保君) 元年産の米穀につきまして、大体概数で計算をいたしますと、今先生からお話がございましたように、概算払いをいたしましてから政府買い入れまでの平均所要日数、約三カ月。といいますのは、七月の中旬ころからお払いをするわけでございますけれども、生産者は、その期間まだお米が生育しておるわけでございまして、出荷をする時期は十月ころから最盛期に入ってくるわけでございます。したがって、農家がお米の代金をいただくには、それまでお米の代金が全然入らないというようなことにもなりますので、概算金を支払っておるわけでございます。元年で申し上げますと、三千百十億のうち、自己資金等がございましたので、これを差し引きまして、二千四百三十四億食糧証券で発行しております。これが約十九億程度ということになっております。
  211. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 時間がありませんから、私の意見だけ申し上げます。  要するにこの概算金というのは、農家の方で出すのが嫌だというのを強制供出させるそういうふうなときに、また農家の経済も非常に困窮しているような状況にあった、こういうときにできてきた制度なんです。現在において強制供出させるわけでもなし、任意売買ということ、極論すれば任意売買ということを前提にし農家経済というものを考えたときに、この予約概算金を支払うことの妥当性、相当性についてもいろいろ検討していただきたい。  会計検査院、この点について何か所見があったら述べてください。
  212. 白川健

    説明員白川健君) この概算金につきましては、かつて私どもの方で、先ほど委員の方で示されました、何といいますか、食糧証券の利息との関連で、受益者といいますか、生産農家が受益することとなる部分については、それは国に納付させる必要があるという指摘をしまして、そして実態的には概算払いをして、それで生産するまでの間は資金を融通したという形になっているわけでございます。そのような指摘をしたことがございまして、なおこの制度自体につきまして、現在自主流通米も相当量に上っているという現状を踏まえまして、今後検討を続けさせていただきたいと、このように考えております。
  213. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 大臣答弁なくて、時間なしで申しわけないけれども、終わります。
  214. 林紀子

    ○林紀子君 私は、まず雲仙岳の噴火災害に対する対策についてからお聞きしたいと思います。  雲仙岳の噴火はまだ予断を許さないという状況で、警戒区域に立入禁止という状況はまだこれから十五日間は続くということが報道されております。災害が長期化する中で、農林漁業の被害も深刻化しております。灰が降る中で、何とか農業も続けていこうということで、ちょうど田植えの時期ということもありまして田植えも行われているということですが、火山灰による土壌の酸性化、これを防止するために何とか対策がとれないものかと思うわけですが、もちろん警戒区域の中には立ち入りはできませんけれども、その周辺部分農業が続けられるように、この土壌の酸性化防止のために対策をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  215. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 隆灰農地、灰が降った農地の復旧につきましては、その灰の降り方についての一定の基準というものがございまして、一定の基準以上に被災した場合には災害復旧事業としてその復旧に助成措置を講じているわけでございます。  雲仙岳の場合の火山噴出物の特性について、現在もいろいろ調査を継続いたしておりまして、その酸性度の程度につきましてもいろいろ調査をしているところでございますけれども、いろいろ土壌改良剤等の投入によって酸性を矯正することも災害復旧事業一つの候補として助成の対象にいたしているわけでございます。  緊急に応急工事等を講じなければならない箇所につきましては、今後いろいろ調査を行いまして、適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  216. 林紀子

    ○林紀子君 活火山法などが発動されますと、それでまた対応できるところもあるというお話は聞きましたけれども、それは先々の話ということですので、今緊急にこうした対策をとっていただきたいということをお願いしたいと思います。  特に、島原半島は九州でも有数の酪農地帯ということですけれども、立入禁止で帰れない、十分の一の値段で牛を売った、死んだ場合は共済が出るけれども、売ったのだから共済は出ない。殺して共済をもらった方がいいけれども、家族の一員として今まで育ててきた牛をそんなことは到底できない。また、深江町でも牛が移動で乳が出にくくなっている、警戒区域内の農家は鶏を百五十羽処分した、この補償はどうなるのだろうか。また、ブドウの巨峰をつくっていらっしゃる農家の方も警戒地域には入れないで水をやることができない、木が参っている。もとからやり直したら五、六年はかかる、今取り入れの時期だが収入がゼロになってしまって一年間の収入が全く見込みがない。今後、今まで専業でやってきたけれども、親子一緒に農業をやっていけるかどうか、生活ができるかどうかめどが立たない、こういう声がたくさん寄せられております。  きのうきょう、我が党の第四次の国会議調査団が入ってこういうお話もいろいろ聞いているわけですけれども、ぜひこうした農業部分に、共済というのはわかった時点ですぐ支払いができるように手当てをしてくださっているというお話も聞きましたけれども、今こうして困っていらっしゃる方々に、農業部分でも大きな力をかしていただきたいと思うわけです。そして、こうした方方が今一番おっしゃっているのは、農業、漁業、そして御商売の方も大変なわけで、避難している方々の願い、それは何しろ現金が手元に欲しいということですね。  大島が噴火をしたときには世帯更生資金、今生活福祉資金ということになりますでしょうか、これで五万円、十万円という形で緊急の融資を行った。申し込んだら翌日すぐにそれを支払う。保証人も一人は必要だけれども、ない場合はそれを考慮してすぐに出す。大変素早い対応がなされたわけですけれども、この現金が手元に欲しいという方たちに対して今どういう対処をしているのか、これは厚生省になると思いますが、お伺いしたいと思います。
  217. 松本省藏

    説明員松本省藏君) 御説明を申し上げます。  先生、既に御承知のことかと思いますが、まず災害弔慰金の支給等に関する法律というのがございまして、これに基づきまして災害援護資金貸し付けるという制度がございます。これは、実施主体が市町村でございまして、その貸付原資は国と県が持つという制度でございます。  島原市と深江町が実はこの制度貸し付けのための予算計上が用意できておりませんで、ただいま島原市議会、それから深江町議会、これで予算計上を行わなければいけない事情になっております。確認いたしましたところ、島原市におきましては七月八日までの間に補正予算の計上をする、それから深江町につきましては六月二十八日に補正予算計上をすると、こういう状況でございまして、その計上が行われましたら、その後速やかに貸し付け対象の方々に対してまず貸し付け実施するということになると思います。  それから、その法律に基づく災害援護資金が借りられないケースが出てまいりますが、その場合には今先生お話しのありましたような、現在では生活福祉資金、この中に災害援護資金という項目があるわけでございまして、これをお貸しするということになるわけでございます。ただ、この制度は、基本的には低所得の世帯の方々ということになっているわけでございまして、そういうようなことで、その生活福祉資金の方につきましてもあわせて円滑な実施を図っていくという方向で、現在県といろいろと具体的な方法等について相談をしているところでございます。
  218. 林紀子

    ○林紀子君 速やかにというお話がありましたが、その生活福祉資金の方ですけれども、低所得世帯ということになりますと、今回避難をしている方々の中でも、その前年度の収入がどうのというようなことで制限があって借りられないというような状況は、また生まれるわけでしょうか。
  219. 松本省藏

    説明員松本省藏君) 生活福祉資金制度そのものが低所得世帯の方々などを対象としているわけでございまして、基本的なそういう制度趣旨からしまして何らかのそういう制約というのは当然生じてくるわけでございますが、個別に今回のケースで具体的にどういう形で低所得の世帯の方方に対して円滑に実施していくか、その実施の方法、内容等について現在県と十分相談、協議をしているという段階でございます。
  220. 林紀子

    ○林紀子君 今、弾力的にということがいろいろな部分で言われているわけですけれども、御紹介いたしましたように、今まで農業をやっていても農業壊滅状態になってしまって収入の道が今後どうなるかわからない、御商売をやっている方もどうなるかわからない、こういうことですから、今までの所得ということを考えて低所得世帯には当てはまらないというようなことのないように、ぜひ弾力的に配慮していただいて、ぜひ今これだけのお金が必要だという方には最大お渡しできるように、またそれが足らない部分はまさに国の方がそれを援助していくという立場でぜひお考えいただきたいと思うわけです。  それでは次に、米の市場開放問題についてお伺いいたします。  午前中も同僚委員の方から大変詳しく大臣の方に質問がございましたけれども、私もここのところはぜひお伺いしたいところですので、重なるところもありますけれども、再度伺わせていただきます。  六月六日の夕刊各紙には、米市場の部分開放について農水省の首脳が、「「可能性があることは十分認識している。大事なのはタイミングだ」と述べ、交渉当事者として初めて部分開放の考えがあることを示唆した。」と報道され、午前中の大臣の御答弁では、この農水省首脳というのは大臣御自身であると思うということもおっしゃいました。  これがどういう状況の中で報道されたかということもお話がございましたけれども、この報道は全国の農民にとって大変な衝撃だったわけですね。ですから、大臣としては、ぜひ、こういうような誤解が生まれるようなそういう発言というのは、特に今の時期ですからどうしても慎んでいただきたいと、大臣の真意が伝わるような、そういうことをいつも念頭に置いていただきたいということを思うわけです。  そして、この後、海部総理日米首脳会談に七月の十一日から出かけますし、その後続いてサミットが行われるわけですが、今まで海部総理は「エコノミスト」の発言などでも、アメリカがウエーバー条項を少しでも譲れば、またECが可変課徴金ですか、それを譲れば日本も考えざるを得ないというようなことを発言しているわけですね。  今度、大臣はぐるっと回ってアメリカ農務長官とも直接お話をしていらしたということですけれどもアメリカ、ECの態度を見て歩み寄ったような状況というのは考えられるのかどうか、そこのところをもう一度お聞きしたいと思います。
  221. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) アメリカ、EC、それぞれお会いをしてまいりましたけれども、歩み寄っておるという状況は全く感じられませんでした。そういう状況の中での発言でありましたので、私の真意ではなかった発言だと、こう思って、大変未熟なものですから記者さんに誤解を与えるようなことがあって、むしろ私は全国農民に心配をかけたことはまことに遺憾なことで申しわけなかったと思って、次の記者会見でもその旨おわびを申し上げたのですけれども、そこの部分報道してくれませんでした。  それからもう一つは、今そういう状況で林委員発言の中にもウエーバーを少しでも譲ったらという、海部総理は少しでもなどという話は全くしておりませんで、各国の困難な問題と一緒に話し合いをする、こういう立場で実はございますので、私は外国へ行ったときもその旨は、殊のほか基礎的食糧については特別の理解を求めなければならない立場ですということで表現をしてまいりました。
  222. 林紀子

    ○林紀子君 ここにアメリカの「公正な貿易のためのキャンペーン」という団体のクレイグ・マリレーズという理事が海部首相に書簡を送ったというニュースがありまして、どうしてこういう書簡を送ったかといいますと、  日本のコメ市場開放日米の貿易問題の改善に貢献しない。米国政府がこれをことさらにとりあげるのは、日本のコメをスケープゴートにして米国民の農政にたいする不満を日本にむけること。圧力をかけやすい日本を譲歩させて、ウルグアイ・ラウンド推進の突破口にしようとしているからだ。そのために日本の農民が犠牲にされるようなことがあってはならない。こういう状況で日本の農業が自由化されても、米国の巨大穀物商社や多国籍食品企業のためにはなっても米国農民の利益にならない。 こういう気持ちから、アメリカの圧力に日本は絶対屈してはならないという書簡を総理あてにじきじきに送ったという報道がなされているわけですね。  ですから、確かに日本の農民の気持ち、願い、利益とアメリカの農民の利益とは一致するというふうにも思うわけですし、今回総理が日米首脳会談に出かけ、またサミットに行ってもアメリカには絶対屈しない、この米の輸入自由化の問題でイエスなどということは絶対に言わないと、そういうことを農水大臣からも厳しく言っていただきたいと思うわけですが、その辺は農水大臣の御決意は、こういう場でお伺いするわけですけれども、やはり海部総理の今までの発言を見るとどうしても心配が出てきてしまうわけですね。ですから、その辺を特にお願いをしたいと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  223. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 米は日米間でやらないでガット・ウルグアイ・ラウンドでやるという立場は両国の合意に達しておるところでもございますので、私は、報道では米の問題が日米首脳会談で出てくるようなことの話は出るけれども、そのようなことがどうして出るのかなということさえ思っておるわけでありますし、また私が今日の心境からいって海部総理に従来の方針を変える必要はないという立場でのお話はしなければならないと、こう思っておるわけであります。  そういうことでございますので、私は、海部総理日米首脳会談で従来の方針と変わったことの態度を表明することはないと、こう信じておりますし、今お話がございましたので、またその書簡みたいな人がアメリカにいっぱいいてくれればいいんですけれども、たまたまそういうのがいて先生読まれたのではないか。むしろ、私に入ってくるのは逆の情報がいっぱい入ってきて、心配を実はいたしておるわけでありまして、私は、米の問題というのが単品でこれだけ事前に取り扱われるということは、むしろある意味では日本の方が象徴的に話題にし過ぎてしまっているんではないだろうか。まともの議論ができないようなことになってはいかぬなと。  私は、米の問題、農産物なりガット・ウルグアイ・ラウンドが感情的な交渉にならないように、できるだけ努めて鎮静化をしていかなければならないのではないのかなという感じさえ実は持っておるわけであります。  それは、アメリカ農務長官からのお話でも、こんなに日本から工業製品を買って、日本の自動車や日本の機械で生産をして、うちへ帰れば日本のテレビを見ながら日本の電気製品で生活をして、できたものをなぜ買えないんだというような、こういう話が出たり、五万トンも入っているのに一粒たりともなんというと、何となく極めてこちらは一方的に閉鎖的だと、けしからぬという感情が出てくることの方がむしろまともな説明なりまともな交渉ができなくなるという心配を実はしておる立場でございますし、あとは従来の方針で対応してもらうように総理には私の方からは話をする予定でもございます。
  224. 林紀子

    ○林紀子君 続いて大臣にお伺いしたいわけですが、六月の十二日にソ連のコトリャール漁業相との間で共同新聞発表を行い、また今、日本、アメリカ、カナダ、ソ連の四カ国による北太平洋サケ・マス新条約会議アメリカのワシントンで開かれているわけですね。  四月の二十三日の農水委員会で私はこの問題で大臣に質問をいたしましたけれども、北洋でのサケ・マス沖取り禁止は受け入れないというこれまでの方針は変えないとそのとき御答弁をいただきました。ソ連との話し合い、また四カ国協議の中でこの従来の方針を変えない、このことは貫き通すのでしょうか。それともサケ・マス沖取り禁止というのを容認したという、これまた新聞報道があるわけですが、どうでしょうか。
  225. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 四カ国の中で日本を除いて三カ国で仲取り禁止の合意ができ上がって、それに対応いたしてきたわけであります。  一つは、サケ・マスというのは、御案内のように母川国主義というのが実はもう国際的に認知をされておるわけでありまして、ほかの魚とは立場を異にする魚種でございます。そういう意味合いで、我が国で沖取りをしておる皆さん方が何とかして沖取りを継続できるように努力をしてまいりました。  しかし、何としてでも三カ国の話し合いというのは大変厳しい状況で、多少でも何かできないか、こう思って水産庁挙げて努力をしてまいりましたけれども、今回またソ連の漁業相との話し合いの中でその糸口を見つけたい、こう思って努力をしたけれども、大変ソ連の立場も、もう結論を変更するような雰囲気は全くございませんし、ましてや三カ国で既にそういうことを取り決めをしておるということでありますので、次善の策をとらざるを得ない。もう既に交渉が今始まっておる直前の私の訪ソでありますので、ソ連の二百海里内において沖取りをしておる漁船、漁業者の皆さん方に漁業をやらせてもらうという交渉を始めたわけであります。  今回、その点については、ソ連は沖取りについては方針を変えるわけにはいかないけれども、二百海里内の操業については条件によって操業をさせるというめどがついたわけでありますので、今回四カ国の今会議が進行中でありますけれども、そのまま受け入れるわけにはいかないわけでありまして、三カ国それぞれの立場で厳しい条件をまた付しておりますので、その条件についてまた私たちは日本の国の立場で今主張を続けさせておるわけであります。  交渉事でありますのでその内容についてはお許しをいただきたいと思いますが、目下交渉のさなかという状況で、そのままうのみにするということはできないということだけはきちっと交渉に行っておる次長に対して話を伝えて、交渉に行っていただいておるわけであります。
  226. 林紀子

    ○林紀子君 私は、六月十日、十一日の両日、根室市の市長が水産関係者と懇談してまいりました。もし沖取り禁止を受け入れたならば、地域経済に与える影響ははかり知れないものがあると皆さん口々におっしゃっていたわけですが、中小船主の皆さんは、じわじわと外圧が強められ漁業をやめなければならなくなっているのに転業先もなく、精も根も尽き果てたと話していらっしゃいました。また、漁協の組合長さんは、国際的な流れの中で木の葉のように揺られているのが我々だ、負債の整理計画も立て直さなければならないし泣きたくなる、こう嘆いていらっしゃいました。  また、根室市役所では、基幹産業であるサケ・マス沖取りの禁止は関連産業への打撃を含めて市の経済を深刻な危機に陥れる、サケ・マス水揚げの金額の三倍から四倍のマイナスの波及効果がある。そして、それは根室市にとどまらず、北海道の二百十二市町村のうちサケ・マスにかかわる四十六自治体の地域経済にも痛手を与えることになる、こういうふうにこもごもおっしゃっていたわけです。  母川国主義というのが確かに言われているわけですけれども我が国の経済にいかに大きな混乱をもたらすのか、打撃を受けるのか。海洋法条約の六十六条三項の規定というのをもっと強力に我が国主張するべきだというふうに考えるわけです。そして、こういう状況の中で減船をしなければいけない人たちに対してどういう補償が考えられているか、援助の手が差し伸べられているかということもあわせて伺いたいわけです。  サケ・マス船主の抱える負債、三十トンから五十トン型で一億一千万円、五十トンから百トン型で五億円、百トンから二百トン型は五億五千万円にも上る。国、自治体からの減船補償は借金払いにも足りないというお話を聞いてまいりました。確かに、サケ・マスに対する減船の補償というのはほかの減船補償よりも厚いものがあるということも伺いましたけれども、この減船補償、こうした国際的な状況の中で減船やむなしということになっているわけですから、どういう手当てがされるのか、今後の融資制度ども含めてお答えいただきたいと思います。
  227. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) お尋ねのサケ・マスの沖取り禁止問題につきましては、基本的には先ほど大臣からお話し申し上げたとおり、先般の日ソ間の大臣レベルでの協議結果、そしてまた大臣から御説明をしました現在進行中の日米加ソ四カ国の北太平洋におけるサケ・マスの保存管理問題に関する協議の進行状況を踏まえて、残念ながら再編成を図らざるを得ないという判断をしておるわけでございます。  これに関連して、海洋法第六十六条の規定を使っての主張というお話がございました。実は日ソ間のソ連産サケ・マスを日本漁船によって漁獲する行為はまさにこの六十六条の援用によって、かつまたこの六十六条に決めてあります二国間協議の結果によって維持されてきたわけでありますが、先般の大臣協議の過程でも明らかにされたとおり、この二国間協議におけるソ連側の最終方針というものが示されておるわけでございます。日本の現状から見て、この海洋法六十六条による二国間協議にソ連としては応ずるつもりがないということを明確に示しておるわけでございます。  そこで、大臣から申し上げましたとおり、一つにはソ連の二百海里内において確立されつつあります日本漁船の活用を図りつつ漁獲を続けるという合弁方式、そしてまた従来から行われております日本漁船の二百海里水域内における漁獲の継続、この点について一定の条件下でそれが発展をしていく可能性ありということについて合意が得られたわけでございます。  それからまた、こういった事態はかねてから我我も予想しておりまして、これに備えまして昨年の十二月に、御承知のとおり、北洋サケ・マス漁業の再編整備に関する基本方針を決めまして、計画的な減船を進め、またその減船を行う際の減船漁業者に対する交付金の水準等を内容とした基本方針を決めて所要の予算措置も昨年末に行っておるわけでございます。したがいまして、この基本方針に沿って減船というふうな事態に対応した交付金の交付業務を既に現在実行をしつつあるところでございます。  以上でございます。
  228. 林紀子

    ○林紀子君 今、合弁会社のお話が出ましたけれども、ピレンガ合同の日本側の出資会社の北洋合同水産、今回委託方式という形で改善されたということですけれども、今まで十九億円の赤字を抱えている。さらにことし五億円の赤字が出るのではないか、こういうお話も聞いてきたわけですね。  時間がありませんので簡単にお答えいただきたいわけですけれども、前回の農水委員会ではやはり水産庁長官の方から何とか支援の措置を考えるというお話もあったわけで、どのような支援の措置を考えていらっしゃるか端的にお答えいただきたいと思います。
  229. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) 今回の大臣間協議で一定の合意を得ました合弁方式のもとでのソ連二百海里内操業を行う合弁企業につきまして、ただいま先生からお話しのありましたピレンガ合同、これは従来から活動しておりますが、それに加えましてことしからもう一つの合弁企業がスタートをしております。この二つの合弁企業のもとで民間レベルでの操業条件の相談をして、一定の条件下で少なくともことしの出漁は確保されておるわけでございます。  ただいまピレンガ合同の採算状況についてお話がございましたけれども、御指摘の金額がいわば経営計算上のいわゆる損失という形で確定したものではなくて、私どもの理解としては当面の資金繰り上のいわば資金ギャップという形で一定の金額が出ておるということは承知をしております。まさに、合弁企業に参加している日本側パートナーの資金繰り上の問題として金融措置が当面つながれておるわけでございます。  ことしの漁の状況、そしてまた来年以降の操業の状況を見て、二つの合弁企業があり、またそれに対応した日本側パートナーがいるわけでございますが、それらの皆さん方のこれからの対ソ交渉状況、それからまたことしの漁の状況等々を見て関係者と相談をして、いかなる支援が必要かつ可能であるかということをこれから私どもとしては検討する必要があると思っておりますが、現時点ではその内容についてまだ申し上げられる状況にはなっておらないことを御理解いただきたいと思います。
  230. 林紀子

    ○林紀子君 最後に、私は土地改良区での自民党員の獲得運動についてお尋ねをしたいと思います。  資料をお配りいたしますので、ごらんいただきたいと思います。    〔資料配付〕
  231. 林紀子

    ○林紀子君 この資料をちょっと御説明いたしますと、ごらんいただけばわかるわけですが、山形県の土地改良事業団体連合会庄内支部が主催する土地改良区理事長並びに参事・事務局長合同会議、五月十八日に行われたわけですが、この席上配付された文書がこれです。  これによりますと、まず資料一の方には「自民党員」と上に書いてあります。そして、一番左側に十八の土地改良区名が書いてありますね。「青龍寺川土地改良区」、これは右から三番目の欄に「割当党員百三十七」と書いてございます。次が「東郷堰土地改良区 割当党員二」、「八沢川土地改良区 割当党員三十八」、「中川土地改良区 割当党員九十七」という形で、全部で九百二十四人の自民党員を獲得するようにということが書いてあるわけですね。  その下の資料二というのは「土政連会員」ということで、やはり同じように土地改良区の名前が書いてありまして、一番右側に「今回割当」のこの土政連会員の拡大数が書いてあるわけです。この土政連会員というのはどういうものかといいますと、規約というのを見せていただいたわけですが、「政治活動を通じて、農業政策の根幹である土地改良事業及び農村整備の推進に努める」ということをうたっておりまして、その会長さんは自民党の参議院議員ですから、自民党の後援会というふうに理解していいものかと思うわけです。  この資料を入手いたしましたけれども、私はこれまた四月九日の農水委員会で、土地改良区の民主的運営が図られなければならないということで、朝日新聞の出しました資料をもとに大臣に御質問をしたわけですけれども、そのとき大臣は、それは十年前の話であるということと、大臣御自身はこの土地改良区の恩恵に浴していないと、選挙のときにそういうことは何の恩恵にも浴していないというお答えがあったわけですが、今回私が入手いたしましたこの資料から見ますと、十年前も今もこういう形で自民党の選挙、党員獲得にこの土地改良事業というのが利用されているその何よりの証拠ではないかと思うわけですね。  土地改良事業というのは大変多額なお金が動くわけですし、これが本当に民主的に運営されなければならないということをそのときも私は申し上げたわけですけれども、この土地改良区の公正な運営上に今回のこの資料というのは大変大きな問題があるということを示していると思います。大臣、このことについてどうお考えになりますでしょうか。
  232. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 先生ただいま御指摘のこの件につきましては、私どもも詳細な事実関係を十分に承知しておりませんので、明確なコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。  ただ、一般的に、土地改良区、それからまた土地改良事業団体連合会、これは土地改良事業の円滑な実施のために農業者等が自主的に組織する団体でありますので、その活動範囲は法令に定める範囲内で組合員または会員の総意によりまして自主的に決定されるべきであるというふうに考えている次第でございます。
  233. 林紀子

    ○林紀子君 大臣に。
  234. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) ここでこの配付資料を見せていただいたり、今質問されたことについての具体的なことは承知をしてないのですけれども、一般的にこれが土地改良事業そのものについての民主的運営というよりは、間接的に土地改良事業を推進するために自主的に会合が持たれて話し合いが進められたという形ではないのかなと、こう思っておるわけでありますけれども、なおこういう資料をいただいたので、私はどういう運営の仕方があったか内容についても調べてみたいと、こう思っております。
  235. 林紀子

    ○林紀子君 それはぜひお調べいただきたいと思うわけですね。土地改良区に所属している方たちは、土地改良区ということでそのために組織したところですので、思想、信条、皆さんいろいろお持ちなわけです。それを四十ヘクタール当たりに自民党員を一人出すという形で割り当てが行われる、その割り当てを消化しなかったらそれじゃどうなるのか、そういうことについてもぜひ調査をしていただきたいと思うわけですがね。やはり私たち国民の税金を使って、そして自民党員をふやすためにこの土地改良区が利用されていると、この資料からはそれ以外読み取りようがないわけですね。  ですから、その辺ぜひよく調査もいただきたいと思いますし、これはまさに全国の氷山の一角ではないかと思うわけです。四十ヘクタール当たりに党員一人ということで計算いたしますと、今、土地改良区八千三百三十二地区、面積およそ三百六十七万六千ヘクタール、これを四十ヘクタールで割りますとおよそ九万、全国で九万人の自民党員をこの土地改良の補助金によって獲得をする、そういう大運動が繰り広げられているということも考えざるを得ないわけです。  ですから、この山形の例についてはもちろんお調べいただきたいと思うわけですが、この山形の例だけではなくて、全国的にもぜひ調査をしていただきたい。そして、土地改良事業団体連合会など関係機関に対して厳正な対処をぜひしていただきたい、そのこともお答えいただきたいと思います。
  236. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 土地改良区ないしは土地改良区連合会につきましてのいろんな活動については、法令の範囲内で政治活動も含めていろいろ行えるということだと思います。ただ、土地改良区、土地改良区連合会は公益的な団体であるということもありますので、その節度と良識を持って行動すべきであるということもあると思います。  今後とも、必要に応じてこの原則を踏まえて指導してまいりたいというふうに考えております。
  237. 林紀子

    ○林紀子君 確かに、それぞれの農業を営んでいらっしゃる方々はそれぞれの思想、信条に従って、米の輸入自由化をするようなところには絶対入れないとか支援しないとか、いろいろそれはあると思うわけですね。政治活動、確かにそれは個人個人自由です。しかし、この補助事業を利益誘導に使って、こういう形で一党一派の利益を追求していくということは、民主的な運営、公正な運営、そういうことから考えてどうしても許せない問題だと思います。  ですから、政治活動は自由だということと、それからこういうところの私たちの国民の税金が使われているこういう事業にかかわっての政治活動がいいというふうに今受け取れるような御発言だったものですから、最後に一言確認しておきたいと思いますが、こういうことは絶対許せないという立場でぜひ厳正な対処をお願いいたします。
  238. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) こういうことは許せないしと言われても、先生はそういうことを調べてきて許せないと言うかもわからぬけれども、許せるか許せないかも含めて調べてみたいと、こう思っておるわけですから御理解いただきたいと思います。
  239. 井上哲夫

    井上哲夫君 私は、きょうは決算委員会ということでありますので、国営の農地の開発事業、具体的には私の地元の三重県でも考えさせられる事業がありますので、それを想定に入れながらお尋ねをいたしたいと思います。  三重県、和歌山県との県境のところに御浜町という小さな町がありますが、この御浜町で国営御浜農地開発事業昭和五十年から着工になり、本年度終了といいますか完成見込みになっております。これは御浜パイロット事業とも言われておりますが、この事業について、途中でその基本計画といいますか計画が変更になっているということでございますが、現時点での、つまり計画変更で予定している受益面積、植栽面積、事業費見込み額あるいは受益戸数等について、まずお尋ねをいたします。
  240. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 国営御浜農地開発事業についてのお尋ねでございますけれども、先生御指摘のように、この事業昭和五十年から着工した事業でございますが、昭和六十年に第一回の計画変更をいたしまして、今度第二回目の計画変更をいたしまして平成年度に完成いたしたいというふうに考えているところでございます。  この第二回目の計画変更の予定の内容でございますけれども、まず受益面積につきましては、現在六百二十一ヘクタール予定しているものを、既に造成を完了いたしました四百八十九ヘクタールに縮小いたしたいというふうに考えております。それからまた、植栽面積もそれに応じまして、現在の計画では四百六十四ヘクタールというふうになっておりますのを三百三十一ヘクタールに縮小いたしたい。それからまた、それに伴いまして総事業費の見込み額も、現在の計画では百六十七億円という予定でございますけれども、これを百五十五億円というふうに縮小いたしたい。それから、受益農家戸数につきましても、現在の計画では四百七十六戸ということでございますけれども、これを三百二十二戸という形で縮小をして第二回の計画変更を行い、平成年度事業を完了いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  241. 井上哲夫

    井上哲夫君 この当初の計画が、今お話しのように、二回にわたって縮小、変更になったということでございますが、その理由は数々ある中で、やはり着工後のオレンジの自由化に象徴される営農条件の厳しいといいますか著しい変化ということになろうかと思うんですが、いかがでしょうか。  それと、計画変更になりますと地元の同意がまた必要になろうかと思うんですが、現時点でその辺の見通しも含めてお尋ねをいたしたいと思います。
  242. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) この御浜地区の農用地開発につきまして五十年度に着工されたわけでございますけれども、その後かんきつをめぐるいろんな情勢変化があったわけでございます。特に、中晩かん類がこの御浜地区の主要な生産物でございますけれども、そういう中晩かん類の生産者価格の低迷ということがありますし、また、かんきつの園地再編対策の実施ということもございます。それからまた、オレンジの自由化につきまして六十三年の六月に自由化の方針を決定いたしまして、ことしの四月から自由化が実施されるというようなことがあったわけでございまして、こういういろんなかんきつをめぐる諸情勢の変化が生じたために、地元の関係者の営農意欲が減退したという面があったのではなかろうかというふうに考えております。  ただ、既に完成した園地におきましても、相当一生懸命農業経営に携わっておりまして成功しておられるという話も聞いておりますけれども、全般的にそういういろんな情勢の中で営農意欲が減退してきたというのが事実だと思います。  私ども、先ほど説明いたしましたような計画変更というものを現在作業を進めておりまして、県それから関係の町、土地改良区、こういう関係の方々と協議、調整を進めながらこの作業を進めております。スケジュールといたしましては、できましたならば、ことしの秋口にはこの計画変更の考え方を固めまして、それで各関係農家の同意を得るべく努力をいたしたいということで、現在いろいろ作業を進めている段階でございます。
  243. 井上哲夫

    井上哲夫君 計画はあくまで計画ですので、途中から事態が悪くなれば変更される、むしろその方が私も望ましいと思いますので、地元とさらに計画変更について意思の疎通を図っていただきたいと思っております。この完成農地では成功者もおるということなんでしょうが、私が現地に二度、三度入った感じでは、とても成功者はいないように見受けられたわけでございます。  次に、事業費負担についてでございますが、これは当初一二・五%と。土地改良の投資における農家の負担率の推移というのは、最近では一〇%台になっているようで、昭和五十年度のこの当初の計画では一二・五%もやむを得なかったとは思うんですが、現実に大変厳しい中で今入っておる農家、特に新しく土地を購入して償還金の返済も始まるというような、そういう農家のいわゆる受益者負担金の軽減という点についてはこれまでどのような形をとられたかお尋ねをいたしたいと思います。
  244. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) この御浜地区の国営事業の負担金の考え方でございますけれども、国のいわゆる負担率の体系といいますのは、公式には国が七五%、それから県が一二・五%、それから地元ということで地元の市町村なり農家も含めて一二・五%と、こういうふうになっているわけでございます。  まず、その負担金軽減という場合に、この地元負担の一二・五%につきまして、このうち例えば市町村がある程度負担するかどうか。それからまた、県が現在の一二・五%を上乗せ負担するかどうかというような、そういういろんな問題があるわけでございまして、その点につきましては、現在、県、関係町、それぞれ協議をしていただいているというふうに聞いているわけでございます。    〔委員長退席、理事千葉景子君着席〕  それからまた、そういう形で今度は農家の負担金の割合、負担金額というものが固まってくるわけでございますけれども、それの償還の仕方につきましていろいろ工夫をいたしたいというふうに考えておりまして、現在地元で検討いたしておりますのは、いわゆる計画償還制度というものを適用したらどうかということでございます。  この計画償還制度を適用いたしますと、通常であれば十五年償還を二十五年償還という形で長期にいたしまして、一部償還財源等についても財政措置がとられるというようなことで、かなり年々の償還額は少なくなるというような形もあるわけでございまして、私どもといたしましてはそういういろんな措置を講じながら、農家の負担の軽減ということにつきましていろいろ努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  245. 井上哲夫

    井上哲夫君 大変周囲の環境が悪く悪く変わっていったということで非常に不運な面があるわけでございますが、本来この御浜の開発事業の場合には中晩かんに限定をして着工されたし、また承認もされた。現在も中晩かんしか植えられないという限定つきで農家はやっておる。そういう点から、今御説明のありた助成といいますか軽減対策、これを一層進めていただかないと大変な事態になるのではないかと私は思っておるわけでございます。  しかも、この現地は、先ほどの受益者数、受益者農家数を四百七十六から三百二十二に減らしたと。しかし、まだ植栽可能な面積の中では二〇%ほど入植者が満たない、ことし終わる開発事業でまだ二割も希望入植者を募ることができないという事態があるわけです。そういうことを考えますと、今後の営農指導体制というのはどのように見通しをつけられ、あるいはどのような対応策を検討されているのか、この点についてさらにお伺いをしたいと思うわけです。  といいますのは、現実に計画も縮小した、しかしそれでもまだ入植希望者がかなり満たないということは、考えようによってはもっと大胆な、もっと早い時期の計画縮小がなぜできなかったのだろうかと。これは言ってみてもしょせんは結果論ですから、私はそういうことまで言うつもりはないわけですが、さて現状の中でじゃどういうふうに営農指導なり営農検討ができるのか、その点もお尋ねいたしたいと思います。
  246. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、まだ売り渡し先が決まっていない農地というのが約二割ほど、七十四ヘクタールほどあるわけでございます。これにつきましては、県とか県の農業公社、それから関係の町、いろいろ連絡をとりながら、現在参加農家の募集範囲を地域的に拡大するというようなことで募集を行っているところでございます。    〔理事千葉景子君退席、委員長着席〕  町の中の人が一番好ましいわけでございますけれども、その町の外の人でも希望者があるというようなこと、それからまた三重県の県外の方でもいろいろ希望があるというようなことも聞いておりまして、私どももそういう努力を地元と一緒にやっておりまして、現段階で言いますと、その七十四ヘクタールのうち半分強につきましては売り渡しの見込みがつきつつあるというようなことも聞いているわけでございます。  この点につきましては、今後ともそういう募集範囲を地域的に拡大するというようなことをいろいろ努力しながらやってまいりたいというふうに考えております。  それからまた、営農の指導の問題でございますけれども、中晩かんについてのいろんな新しい品種を導入するとか、また中晩かんではなく、梅とか果木とかそういうようなものも導入したいというような要望もございますので、この点も含めていろいろ今後検討してまいりたいというふうに考えております。  これにつきましても、三重県、それからまた地元のいろんな農業関係の機関ともいろいろ相談をしながら、そういう中晩かん及びそれ以外の花とか果木とか梅とか、そういうほかの新しい導入作物の検討につきましてもいろいろ検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  247. 井上哲夫

    井上哲夫君 県外からも募るとか、梅、果木等の方まで拡大をすると。私は二度、三度この地に入りまして、関係農家にいろいろ話を聞くと、大変難しい問題であろうけれども、御浜はミカンで生きるよりほかに生きる道がない。したがって、中晩かんしかいけないというその制約を何とかとれないだろうかということをしばしば聞いてくるといいますか、陳情を受けております。  現実には温州にしても減反が厳しくなされておるという中で、このところだけに限ってそういう自由な勝手なことができるかと言われますと、それはなかなかできないだろうと。そういう意味では私もそう思うんですけれども、ある意味で政策の変更、工事の面積あるいは工事費の縮小という変更も本当は必要なことではありますが、大胆な政策の変更、午前中大臣はほかの質問に対してやはり政策を非常に弾力的に変更して農村を整備していかなければだめなんだという趣旨のことをおっしゃってみえて、私も本当に同感という思いで聞いておったわけでございますが、この政策中身まで大きく変換をすることができないだろうかという点をいま一度検討をお願い申し上げたいと思っております。  それから、この問題、こういう国営のパイロット事業というのは平成元年度でもう終わったといいますか、新たな事業認定はしない、そういうことになっているようでございますが、現実にこういうパイロット事業と言われるものが全国で行われて、うまくいったのもあるでしょうが、なかなか思うようにいかないケースが多分にあるだろうと思っております。  こういう場合に、何といいますか、最後の質問になっちゃうんですが、決算委員会でもありますのでお尋ねをしたいと思うんですが、何が一番まずいというか反省すべきことなんだろうかという点について、お考えがあればお聞かせを願いたいと思うんですが。
  248. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 農用地開発事業につきましていろいろ問題が出ている地区が多いということは事実でございます。これは、昭和四十年前後にいわゆる開田を目的にした農用地開発が米の生産調整というような事態になりましてその後計画変更をしたけれども、なかなか収益性の高い営農計画が立たなかったというようなことでいろいろ苦労している事案があるわけでございます。  またもう一つ、本地区のようにいろいろかんきつについての経営を目指して開発をやったというケースもありたわけでございますけれども、先ほどのお話のようにオレンジの自由化とかかんきつの価格の低迷とか、そういうような問題が発生いたしまして営農意欲が減退したというような問題もあるわけでございます。  私どもといたしましては、こういうような情勢変化を踏まえて、できるだけ農家の経営が安定に向かうようないろんな努力を今までもしてまいったわけでございますけれども、今後ともいろんな努力をしながらできる限りの農家の経営の安定が図られるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  249. 井上哲夫

    井上哲夫君 もう時間が来ましたので、最後に大臣に、お答えは結構でございます、地元は大変苦しんでおりますので、ひとつ一層負担の軽減あるいはその他お知恵を拝借できるようお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  250. 三治重信

    ○三治重信君 まず最初に、国土庁の方にお尋ねをいたしますが、地価が殊に首都圏を中心に大暴騰をして、これが対策をこの二、三年一生懸命やってきてようやく今年に地価が安定し、あるいは一部首都圏では下がってきたというような報道もされておりますが、この地価の動向についてどういうふうに判断されているか。  その地価の動向の判断とともに、地価の公示制度がまだまだ十分に、公示価格が本当に信頼されて取引の安定に役立っているかどうか。またさらに、改善を要するところをどういうふうに考えているか、その双方をひとつ国土庁として、やはり地価対策の基本ではないかと思っておるわけですが、どういうふうに判断されどういうふうに今後この地価の公示制度改善し、信頼を得るような公示制度に持っていくお考えかお聞きしたいと思います。
  251. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 委員からただいまお話がございましたように、最も最近の公的な土地評価、これは去る三月下旬に国土庁が公表いたしました平成三年の地価公示でございます。  それによりますと、昨年一年間のこれは地価の動向をあらわすものでございますが、昨年の前半までは上昇傾向がまだ見られるところが多かったわけでございますけれども、後半に入りますと比較的多くの地域で上昇が鈍化をし始めまして、横ばいから特に大阪圏等では下落に転じたところが出始めてまいっております。この傾向は昨年の年末に近づくに従いまして強まっているというのが平成三年の地価公示によります現況でございます。  その後、現在に至るまで若干時間が経過しておるわけでございますけれども、私どもいろんな精通者の方からの御意見も聴取をいたしておるわけでございますけれども、基本的にはそういった状況に変化は見られないというように認識をいたしております。ただ、非常に大都市圏の住宅地を中心といたしました地価の水準自身は非常に高いわけでございますので、引き続き国民の適切、良好な住宅取得という観点からは、大都市圏等の地価水準についてこれからも十分監視を続けていく必要があるのではないか、かように考えているわけでございます。  それから第二点の、地価公示制度がじゃどういう役割を果たし、これから充実改善すべき点はないのかというような御質問だと理解をいたしますけれども、申すまでもございませんが、地価公示制度は、ただいま委員からもお話がございましたが、一般の土地取引価格に対しまして指標を与えるという機能、それから公共事業等の用地取得の際の補償の額の算定の基準になる、大きく言いますとそういうような機能というのを持っておりまして、そういう機能を通じまして適正な地価の形成に寄与するということを目的といたしております。  その判定は国土庁の土地鑑定委員会というところでやっているわけでございますが、一口で申しますと、売り手にも買い手にも偏らない客観的な価値をあらわした価額、いわゆる正常な価額というものを表示することによって一般の土地の取引の際の目安としての機能というのを持たせようというように機能が期待されているわけでございまして、私ども引き続き公的評価制度の中心でございますこの地価公示制度というのをこれからも十分期待に沿うような充実改善というのをやっていく必要があろう、かように理解をいたしております。
  252. 三治重信

    ○三治重信君 たしか最近、今までは一年に一回の地価公示ですよね、その地価公示の一年に一回のやつを四半期ごととか年二回とかいうふうにさらに精度を上げる計画があるようなことが報道されていたと思うんですが、それはいつごろから実施し、完成するのか。大体、地価公示制度として理想的なものは四半期に一遍とかぐらいまでやれるものかどうか。
  253. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 公的な地価の公表といたしましては、ただいま申しましたように毎年一月一日時点で調査をいたしております国土庁みずからによります地価公示、それから七月一日、ちょうど半年後になるわけでございますが、国土利用計画法に基づきまして都道府県知事が調査をしておりますいわゆる県の地価調査というものがございます。さらに、国土利用計画法におきます価額審査の厳正を期するために各都道府県で三カ月ごとの短期の地価動向というのを把握されております。これはポイント数等々限界があるものでございますが、そういう体系になっております。  私ども、今後の地価対策、土地対策を進める上で、やはり例えば三大圏等につきましては国土庁みずからももう少しきめの細かいタームで短期的な地価動向あるいは地価そのものも重要でございますが、地価に関連する関連指標といったものについてのウオッチシステムと申しますか、そういう監視体制というものをこれから強化していく必要があるんじゃないかというような認識のもとで現在いろいろと検討を進めておるという状況でございます。
  254. 三治重信

    ○三治重信君 やはり公示制度は、一つは中間的に県でやらすというようなことなんですけれども、公示制度の一月の分は国土庁、国が直接やっている、あとは県でやっている、その点の連携をもう少し検討していただきたいように思うわけです。  私は、非常に世界でもまれな高地価というもの、本当にこのまま日本がやっていて、今バブル経済で一つは株の方で大変な事件が出てきておるわけですが、一つ先に地価の問題で、結局地上げが問題になっておるわけですけれども、この二つの地価と株が非常にバブル経済の結果として日本経済に大変な悪影響を及ぼし、今後もまだ尾を引くだろうと思うんです。  こういうことをなくするのは、いろいろな具体的な規制措置とか統制とかいうものよりやはり現実の動きがどうなっているかということを一般に知らした方が効果が大きいという意味において、公示制度というものを私はやはり信頼される価格を国民全体に知らすということが何より重要なことだろうと思うわけです。  ぜひひとつ、県にだけ任さぬでそのやり方やなんかも協議をして、実施機関は県がやるのは結構ですが、そのやり方やどういうふうな選択でどういう人に頼んでやるかというやつは全国思想統一をしてしっかりやってもらいたい、こういうふうに思う。そういう連絡調整を国土庁でしっかりやって、同じ方針で同じような水準の人たちが土地の選択の基準も合わせる統一的なやり方でひとつぜひやってもらいたいと思う。  それで、今の地価の動向についての見識をお聞きしたのですが、私は、この中で一つ、今現在法律に基づいて行われている地価の監視区域制度、大変各地で行われているわけですが、これの動きがどうなっているのか。私は、早いところこの監視区域はできれば逐次廃止していった方がいいような感じを持つんですが、監視区域の処理の問題、やるときにはばばっといろいろやったけれども、廃止するときにはどうしても手おくれになるんじゃないか、こう思うわけですが、監視区域の廃止方針についての検討を行っているかどうか、また現在どういうふうになっているか概要を説明願いたい。
  255. 鎭西迪雄

    説明員(鎭西迪雄君) 監視区域につきましては、昭和六十二年に国土利用計画法を改正いたしまして、今回の地価高騰に対応すべく規制区域のほかに監視区域制度というものを導入したのは御承知のとおりでございます。  当初、一部一県二市、合計四地点、区域から始まったわけでございますが、その後逐次各自治体の御努力によりまして拡充強化をされてまいりまして、現在では四十六都道府県、千百三十四市区町村において指定が行われている。これは、法律に基づきまして五年以内の期間を知事さんが定めまして区域を指定するということになっておりますので、その大宗は平成年度の後半から五年度に更新時期が来るということでございまして、まだ解除という問題は現実には出ていないわけでございますが、私ども当然監視区域の指定の際の考え方といたしまして、地価が安定をし地価上昇のおそれがなくなったと認められるときは早急に解除をするという、そういうガイドラインといいますか運用指針というものを各県にお示しをいたしておるところでございまして、そういう考え方で運用がなされておるというように理解をいたしております。  現状では、私ども、一番最初に申しましたが、まだ地価の動向につきましては予断を許さない状況にございまして、現時点において監視区域の解除が具体的にできる状況にある区域というものはないのだろうというように理解をいたしております。
  256. 三治重信

    ○三治重信君 次に、建設省にお尋ねいたしますが、地価の高騰に伴って、私は非常に都市計画に対して対処を間違ったと思うんです。容積率を上げさえすれば非常に土地の有効利用にいいと思ってやったが、容積率を上げたところだけどんどん地価が上がって逆効果になっている。しかも、それはただ地価を上げただけで、実際の都市計画やなんかで高層化が実現しなかったのじゃないかと思うんです。  むしろ、やはり私は、外国がやっているように一定の計画のもとに高層化をする。それは結局、四階建て以上とか十階建て以上とかそういう建物を建てる市街化の建設ということに方向転換を早くしないと、これは土地の値上げだけに使われて実際の都市計画というものはできぬじゃないかと、こういうふうに思うわけですが、その点どういうふうにお考えになっているか。
  257. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) ただいま地価対策についていろいろお話がございましたが、一昨年土地基本法ができまして、その中で土地に対する基本認識、公共の福祉を優先するということを初め四つの柱ができました。その二つ目の柱は、地域状況に応じて土地を有効に利用する、こういうことでございまして、従来からも建物の高さの最低限を決めますところの高度地区、あるいはまた容積の最低限を決める高度利用地区というような制度がありまして、先行してその地域にこれらの指定をして土地の有効利用を図るという制度はあるのでございますが、実際にはなかなか大幅な指定というのは今日までなかったわけでございます。  しかし、今御指摘のように、先行して指定をしたり大幅に容積率を上げますと、地価を上げてしまうということもございます。実際には、この一月に経済社会の変化に伴う都市計画のあり方について建設大臣から都市計画中央審議会に今後の問題について諮問をいたしておりますが、そういうような諮問の答申等をいただく予定の中で、今おっしゃられたような土地の有効利用を図っていくための高度利用をいかにしたらいいか。  特に、地区計画制度という制度もございまして、結局は高度化を図るためにはその地域に住んでおられる方々のすべての方が協力をしてくれないとできないものでありますから、そういうことを考えますと、小さな権利を持った人たちまで含めてあらかじめ高度地区をかけたり高度利用地区をかけますと、大変な制限といいますか私権に大きな影響を与えるものでありますから、地区計画制度などを活用して、また従来の制度としては総合設計制度とかあるいは特定街区の制度とかいろいろございますけれども、一律にやるのではなくて、むしろ自治体が主体となってそれぞれの地区にいろいろな計画を盛り込んで公共施設の整備等等も図りながら誘導をしていく、こういうことが一番望ましいのではないか、こんなふうに考えて取り組んでおるところでございます。
  258. 三治重信

    ○三治重信君 今、大臣がおっしゃったとおりだと思っておりますので、建設省が統一的に指導するんじゃなくて、やはり各都道府県からさらに第一線の市の方へ具体的な計画実施体制というものを移して指導していくということをやってもらいたいと思う。  それから、事実零細な土地制度というようなものは、これは日本では大都会も農村もそうなんですが、零細な地主という、これが非常に妨害になっているわけです。それをどうしていくかというと、結局土地の集積はできぬということになってくると、やはり集団的なやり方。それは、建設省も、私もいつも関心を持っていろいろ言ってきたいわゆる信託制度、土地の信託制度やビルの信託制度でやると一番いいような気がするんです。  これは経費がかかり過ぎるかもしれませんが、そういうときには、やはり私は、都市計画税を利用してやるということをもっと考えてほしいと思うんです。都市計画税が非常に利用されていない。殊に、大都会においては四%というやつが利用されなくて下になっている。だから、四%まで利用すれば共同的な信託制度だとかなんかというものでも補助が出せるし指導が出せると、こういうふうに思っております。  最後に一つ、都市計画の区域内農地がいわゆる宅地化されるということが決定されたわけです。ただ、これで私が心配するのは地主です。  今の農地の地主がお百姓をやっていてそれをやめるというときに、それを売れというんじゃなくて、そこへ地主がみずから住宅を建ててほしい。その建て方について指導して、そしてこの農地の宅地化を推進してもらいたい。そして、地主の思想の転換、地主がお百姓からいわゆるビルディングなり貸し家主になって、またそれが大きな地主だったらみずから会社をつくって、それでそのビルの管理会社の社長になるというふうな、いわゆるオーナー的なものに転換する指導体制をやはり相当やってもらう。いわゆる地上げ屋に食われるということのない体制をひとつやってもらわぬと、地主の考え方、発想の転換、これは役所が直接やることができぬならば、やはり民間団体なり専門家がいわゆる指導に立ってもらうような方策をぜひひとつ推進してもらいたいと思います。  以上です。
  259. 大塚雄司

    国務大臣(大塚雄司君) 前国会で生産緑地法の改正をしていただきまして、従来のいわゆる市街化区域内の農地につきましては宅地化すべきものと農地として営農していくものの区分を都市計画で決定をしまして、平成四年末までにそれぞれの地域でその決定をしていこうということになっておるわけでございます。  そのプロセスでいわゆる宅地化すべきものがデベロッパーに買収されて建てるということではなく、その土地を持っている人たちが直接参加して建てるということは、御指摘のとおり、大変その土地にまた新たな投資があるよりは活用した方がいいことは当然でございますので、農業協同組合ともいろいろお話をしながら、そのような誘導をそれぞれの自治体を通じて指導して効果を上げてまいりたいと、このように考えております。
  260. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 他に御発言もないようですから、農林水産省建設省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁農林漁業金融公庫住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は七月四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会