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1991-03-13 第120回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十三日(水曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 綿貫 民輔君       内海 英男君    金子原二郎君       小坂 憲次君    緒方 克陽君       加藤 繁秋君    戸田 菊雄君       時崎 雄司君    藤田 高敏君       堀込 征雄君    松原 脩雄君       山下洲夫君    兼務 田並 胤明君 兼務 常松 裕志君    兼務 細川 律夫君 兼務 前島 秀行君    兼務 遠藤 和良君 兼務 貝沼 次郎君    兼務 倉田 栄喜君 兼務 佐藤 祐弘君    兼務 東中 光雄君 兼務 菅原喜重郎君    兼務 高木 義明君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君  出席政府委員         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総         務審議官    青木 保之君         建設大臣官房審         議官      内藤  勲君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君         建設省建設経済         局長      鈴木 政徳君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  分科員外出席者         総務庁行政管理         局管理官    木村 幸俊君         環境庁自然保護         局保護管理課長 小原 豊明君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       下平  隆君         環境庁水質保全         局水質規制課瀬         戸内海環境保全         室長      渡辺 忠明君         国土庁防災局防         災業務課長   滝沢 忠徳君         大蔵省主計局主         計官      林  正和君         農林水産省構造         改善局計画部長 野田 哲也君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     岡本 芳郎君         水産庁漁港部防         災海岸課長   川口  毅君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      長田 直俊君         運輸省港湾局防         災課長     戸嶋 英樹君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      津村建四朗君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     山下 宣博君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   佐藤本次郎君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    山住 有巧君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  丸山 良仁君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  安仁屋政彦君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 分科員の異動 三月十三日  辞任         補欠選任   内海 英男君     小坂 憲次君   戸田 菊雄君     沢田  広君   藤田 高敏君     緒方 克陽君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     内海 英男君   緒方 克陽君     加藤 繁秋君   沢田  広君     池田 元久君 同日  辞任         補欠選任   池田 元久君     松原 脩雄君   加藤 繁秋君     時崎 雄司君 同日  辞任         補欠選任   時崎 雄司君     堀込 征雄君   松原 脩雄君     戸田 菊雄君 同日  辞任         補欠選任   堀込 征雄君     山下洲夫君 同日  辞任         補欠選任   山下洲夫君     藤田 高敏君 同日  第一分科員佐藤祐弘君、東中光雄君、第三分科  員常松裕志君、細川律夫君、貝沼次郎君、倉田  栄喜君、菅原喜重郎君、高木義明君、第六分科  員前島秀行君、遠藤和良君及び第七分科員田並  胤明君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算建設省所管)      ────◇─────
  2. 綿貫民輔

    綿貫主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算及び平成年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。
  3. 小坂憲次

    小坂分科員 お許しをいただきましたので、私からまず初めに、以前から関係各方面の要望があり、また予算効率的執行観点から、いろいろな場面に当たりまして私どもお願いを申し上げてまいりました公共事業施行時期の平準化問題について、若干意見を述べさせていただき、また大臣の御所見をお伺いいたしたいと思うわけでございます。  近年、人手不足は次第に深刻さを増しまして、従来は大都市地域の、それも季節的かつ三K産業と言われるような産業中心とした人手不足が言われておったわけでございますが、今では一年を通じて、大都会と地方の区別もなく、またほとんどの産業に拡大をいたしておりまして、ますますその深刻の度合いを増しているわけでございます。現在我が国は二十一世紀の豊かな社会づくりを目指しまして、国土の均衡ある発展を標榜し、さきの特別国会においては公共投資十カ年計画を決めまして、その第一歩を踏み出したわけでありますが、ここで特にお願いいたしたいことは、大都市中心ではなくして地方生活基盤の充実を第一に考えていただいて、そして一極集中あるいは時期的な集中によって工事費の高騰を招くことのないように、特に御配慮を賜りたいということで ございます。  それに関連いたしまして、最近ではいわゆるゼロ国債とかゼロ県債とかいう方式が導入をされまして、事業前倒し発注を行い、年度初めの事業量確保が図られておりますけれども、まだまだ通年の平準化発注と言うにはほど遠い状況でございまして、ゼロ国債の大幅な増加をお願いいたしたいわけでございます。特に私の選挙区のような積雪寒冷地にありましては、単に一部の事業前倒しというだけではなくて、地域の気候や事業の特性というものを勘案していただいた発注形態をとれるように関係先を御指導いただきまして、また短期集中工事が可能な予算づけをぜひともお願いいたしたいと思うわけでございます。  公共工事施行平準化につきまして改めて大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思いますとともに、寒冷地対策など今後の方針につきまして建設省の御意見を賜りたいと存じます。
  4. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま御指摘のとおり、公共事業執行につきましては、地域経済活性化建設労働力や資材の安定的確保を図るためにも、その施行が特定の時期に過度に集中しないように平準化を図り、計画的に実施をすることが望ましいことは仰せのとおりでございます。しかも、一極集中から多極分散地方振興は、我が国のこれからの国土の均衡ある発展を図る上でも非常に大事でありますから、地方工事発注につきましても、そのような意を用いなければならないことは当然のことでございます。しかも人手不足、大変深刻でございます。  特に建設省は、平成年度建設省所管事業執行につきましても、工事発注平準化計画的に行うということで、ゼロ国債につきましては特に補正予算におきまして、国全体の事業費で過去最高の元年度と同額の六千億を手当てしたところでございます。その配分は当然、地域経済の動向や、今御指摘のように積雪寒冷地等につきましては非常に大事なところでございますから、十分配慮をして行っているところであります。さらに、工事計画的な発注のためには国庫債務負担行為活用等も図りまして、なお一層公共事業平準化を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。  具体的な問題につきましては、局長からお答えをいたします。
  5. 望月薫雄

    望月政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、公共事業執行するに当たって、私ども平準化というのが特に大事だという思いをとりわけ最近強くいたしております。ただいま大臣から御説明させていただきましたように、平成年度及び二年度と続いて六千億円のゼロ国債を計上させていただきましたが、御案内のとおりゼロ国債というのはかねては景気対策という観点でございましたけれども、元年度、二年度、いずれも労働力の需給の厳しさという中でのゼロ国債という位置づけもあわせ持つ次第でございまして、そういった意味で私ども、これの積極的活用を引き続きやっていきたい。また同時に、大臣お話に出ましたように国庫債務負担行為活用でございますが、これは平成年度予算では建設省関係直轄補助では二〇%以上の増額を図っておるところでございまして、こういったゼロ国債あるいは今申し上げました国庫債務負担行為活用というものを駆使しながら、平準化努力を一層強めていきたい、このように考えております。  また、雪寒地域等の問題でございますけれども、例えばゼロ国債につきましても先般配分をさせていただきましたが、全体の四七%余りの額を雪寒地域に充てさせていただくというようなこと等でお示しさせていただきますように、雪寒地域地域対策というものもあわせて精力的な取り組みをしてまいりたいと考えております。
  6. 小坂憲次

    小坂分科員 ありがとうございました。大臣には前大臣に負けるとも劣らない大変に力強い決意をお聞かせいただきました。今後とも積雪寒冷地にまた御配慮いただきますように、重ねてお願いいたす次第でございます。  それでは、地域の具体的な要望並びに問題について現状を御報告し、また建設省のお考えをお聞きいたしたいと存じます。  私の住んでおります長野市を中心とする北信地域は、今、二十一世紀の都会人の心のふるさとを目指して、山に囲まれ、幾筋もの川の流れるその豊かな自然を生かして町づくりを推進し、一九九八年に冬季オリンピックを招致して国際都市としての飛躍を期しております。その県都長野市を流れる千曲川治水についてお伺いをいたしたいと存じます。  千曲川は、御存じのように詩情豊かな川として知られておりますけれども、その豊かな自然の残る千曲川も、それは同時に弱小堤防や無堤防地域が多く残っていることもあらわしているわけでありまして、とりわけ島崎藤村の有名な「千曲川のスケッチ」に描かれました立ケ花橋下流地域の無堤地域につきましては、速やかな整備が求められております。これらの改修方針並びに見通しをお聞きいたしたいと存じます。また、現在整備が進められております村山橋から、浅川という川がありますが、その合流点までの間の、通称赤沼堤防関連と言われておりますが、この地域補強工事完成見通し、これらについてお伺いいたしたいと存じます。
  7. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 千曲川は大正十年から直轄事業として改修を進めてきたわけでございますが、特に昭和五十七年、五十八年と連続した大災害を受けておりまして、我々としても、今後も重点的に改修を進めなければいけない川と認識しておるところでございます。  今おっしゃいました立ケ花という狭窄部中野市、豊田村の市町村境にあるわけでございますが、それから下流は無堤の区間が非常に多いわけでございますので、この間に、先年の災害等も契機に大いに無堤地区の築堤を促進しておるところでございます。また、立ケ花から上流につきましては、長野市を初め更埴市、上田市と市街地があるわけでございますが、確かに弱小堤がございますので、これらの堤防補強を重点的に進めておるところでございます。とりわけ、今おっしゃいました長野市の新市街地として特に治水安全度確保する必要がある赤沼堤防区間につきましては、まず堤防かさ上げ等を重点的に進めておりますが、特に用地取得等に努めまして、できるだけ早期にこの一連の地域治水の安全を確保できるように努力してまいりたいと考えております。
  8. 小坂憲次

    小坂分科員 どうもありがとうございました。ただいまは千曲川を特に例にとってお願いをいたしましたけれども、実際には中小河川のはんらんを含めて非常に暴れ川の多い地域でございまして、増水期になりますと私ども身の細る思いをいたしておりますので、何分特段の御配慮を賜りますように重ねてお願いをいたします。  さて、川と同時に、私ども建設省お願いをいたしたいことは多々あるわけでございますが、特に国道につきましてはどうも整備がおくれているような気がいたしまして、その点につきまして若干お願いをいたしたいと思うのでございます。  私ども地域を走っております国道十九号線、特に私の選挙区境の信州新町というところから長野市にかけまして、この十九号線には老朽橋が非常に多いのでございまして、御記憶にあるかもしれませんけれども昭和六十年の一月二十八日には、大安寺橋という橋におきまして日本福祉大学のスキーバス転落事故というものが起こりました。二十五名の学生のとうとい生命が奪われているわけでございまして、この橋は翌年完成をいたしました。同じように老朽橋昭和一けたにできた橋がこのほかに、昭和六年に完成をいたしました両郡橋昭和九年に完成をいたしました明治橋という二つの橋がまだその近くに残っておりまして、この橋はおかげさまで工事に着工していただいているわけでございますけれども、そもそも昭和一けたの工事直轄国道に一体どのくらい全国で残っておるのでございましょうか、これをまずお聞かせいただきたいと思います。
  9. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 我が国における昭和十年以前の橋梁は大体二百十橋、直轄区間だけでござい ます。これらの橋梁については、老朽化程度とか交通状況を勘案して逐次かけかえに入っているところでございます。卑近な例として、東京ではそこの四谷の鉄道の跨線橋などもこれの一つでございます。
  10. 小坂憲次

    小坂分科員 まだ大分残っているようでございます。私ども地域において、この二つの橋は非常に狭隘なためにバスがすれ違えないという状況でございまして、これが、特に今のようなスキー時期になりますと大変な渋滞の原因になっております。ぜひとも早期完成を目指して、なお一層の御尽力のほどお願い申し上げる次第でございます。  この橋に限りませんで、渋滞の種はまだほかにもございまして、今申し上げた区間の中に双子トンネルと言われる場所がございます。また、長野市内に差出の交差点という部分がございまして、これらがやはりネックになっておりまして、非常に渋滞が起こっておるわけでございます。この改良現状並びに見通しについてお伺いいたしたいと考えます。  また、笹平トンネルを掘って、笹平という地域の部落をバイパスをしてこの渋滞を解消していこうという計画も同時に進行いたしておりまして、この状況につきましてもぜひともお聞かせをいただきたい。これらの渋滞の解消がなされますと、この沿線地域過疎化に歯どめがかかるというふうに私も考えておりまして、また、現在招致運動を進めております冬季オリンピックも、この渋滞が残っているような状況ではとても立派なオリンピックをやることはできない状況でございますので、何分の御配慮をいただきたい。そんなことで、見通しについてお伺いをいたしたいと存じます。
  11. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、先ほど先生がおっしゃった明治橋、これは昭和六十一年から事業に着手いたしておりまして、現在橋梁下部工工事を行っていることは御承知のとおりでございます。それから両郡橋についても、六十年に事業に着手して、現在取りつけ部の用地買収及び改良工事をやっております。なるべく早くこれは急ぎまして、次期五カ年の早い時期に供用を図りたいと思っております。  さらに、今の秋古改良事業について、双子トンネル部分局部バイパスを含む改良事業として六十三年に事業に着手いたしまして、一部の用地買収及び調査設計が進んでおります。これも、やはりここが非常に込んでいるということも承知しておりますので、現在もう第十次の四年目でございますが、次期五カ年のうちでも早いうちに供用をさせていただきたいと思っております。  さらに、長野市の安茂里地内の差出交差点改良についても、これは五十六年に事業に着手しておりますが、現在までに用地買収及び改良工事促進ということで、これはこの第十次五カ年計画の中で来年度中には完成をさせたい、かように思っております。  なお、さらに明治橋から主要地方道長野大町線間の笹平地区にございます笹平トンネル計画、これについては、ここが非常に線形の悪いあるいは狭隘区間、こういうことでございまして、現在、明治橋関連事業の進捗を見ながらその間に内容を詰めようということで、事業化に向けての検討に着実に今入っているところでございます。  いずれにいたしましてもこの長野市周辺の十九号の対策、これは極めて大きな問題、特に雪との闘い等もございますので、平成二年の三月に長野南バイパスというのを都市計画決定していただきました。したがってこれについて、この事業化に向けての検討も今あわせて入らせていただいております。
  12. 小坂憲次

    小坂分科員 ありがとうございました。大変に細かいところまで御配慮をいただいていることがわかったわけでございますが、完成の前年に事故が起こるというようなことのないように、一日も早い完成お願いをいたすわけでございます。  ことしもようやく暖かくなってまいりまして、春の訪れを肌で感じることができるような時期になってまいりましたけれども、こうして水ぬるむ時期になりますと、私は、郷里の鬼無里というところに雪解け水の中にミズバショウの花がきれいに咲き誇る地域思い浮かべまして、何となく春の訪れに胸ときめく思いがするわけでございますが、同時に何とも言えない不安が胸を覆ってまいります。それは、雪解け時期になりますといつも起こります雪崩、土砂崩落、こういった問題でございます。たまたま先週三月九日未明に、この鬼無里村の入り口におきまして、国道四〇六号線のり面の大規模な土砂崩落が発生をいたしたわけでございます。この今後の対策見通し、すぐに通るように御尽力いただいておりますので、土砂そのものの現在の量は片づけることが比較的短期間にできそうな見通しではありますが、上層部にまだまだ崩落が続くような嫌いがあります。ぜひとも防災対策を含めた見通しをお聞かせいただきたいと存じます。  また、この四〇六号線各所において同じような危険箇所がございます。ぜひとも防災対策お願いいたしたい。その見通しについてお伺いいたしたいと同時に、私ども地域内に、百十七号線、二百九十二号線といった、特に地域に密着した整備促進お願いしている国道もございます。これらについての見通しもあわせてお伺いできれば幸いでございます。
  13. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 一般国道四〇六号、これは、百四十八号の白馬村に長野市から至る道路でございます。ここで鬼無里村の瀬戸地区におきまして、去る三月九日の未明に岩石崩落が起きました。これは、融雪による浸透水に加えて前夜から降雨がございまして、道路から水平距離約七十メーター、高さ八十メーターにある岩石表面が垂直な表面でございまして、これが落ちてまいりました。直径五メーター程度岩石を含む土砂三百立米が三十メートルの幅で道路上に堆積するという、非常に大きな事故が起きました。被災後直ちに全面通行どめいたしまして、岩石及び堆積土砂の取り除きと、損壊した道路応急復旧工事を行っております。通行規制についてはすぐやったわけですが、崩壊したのり面の上部に雪が残っておりますのでまだ状況の把握ができないということ、しかし、そうは言うけれども毎日使う道路でございますので、きょう、実はこの十三日から当面、朝昼晩三回の時間帯に限りまして、監視員をつけて、安全を確認しながら片側交互通行を開始させていただきました。  いずれにいたしましても、ここは極めて特異な垂直の切り立った岩石が落ちてきたということでございますので、本格的な復旧工事対策工を今検討させております。応急復旧応急復旧、本復旧は本復旧ということでやってまいりますが、基本的には、こういう対策は、のり面保護工とか落石覆い工の設置、排水工整備、こういったものをやるとともに、融雪期において事前事前のり面湧水状況を把握して道路パトロールをした上で情報をつかむ、そしてお知らせする、こういうことでございますが、場合によってはトンネルを掘って小規模なバイパスをつくらなければいけないような場合も出てこようかと思います。いずれにいたしましても、今後災害というのはあってはならないことでございますので、最大限努力をこれからいたしたいと思います。  そういうことにあわせて、この百十七号、二百九十二号、四〇六号、いずれも北信地域の極めて重要な、全国有数スキー場集中しておりますし、リゾート道路としても一般方々が、県民だけではなくいろいろな方々がお使いいただいている道路でございまして、そういう意味で、百十七号につきましては、長野市を起点飯山市を経て、新潟県の小千谷に至る路線でございますが、未改良区間がまだ二十四キロほどございます。これは全線道路改良事業に着手いたしております。その中で、飯山市の中で三・七キロのバイパス、これは平成年度中には供用させていただきたい、こういうふうに思っております。  それから、二百九十二号、これは群馬県の長野原を起点にいたしまして、飯山市を経て新潟県の 新井市に至る路線でございますが、全線五十一キロ中、未改良が五キロほどございます。この中で四キロほどを今一次改築中でございます。ここは志賀高原等観光地への連絡道路でございますので、中野市と山ノ内町で八・七キロのバイパス事業実施させていただいております。  なおまた、四〇六号につきましては、未改良区間が二十八キロございます。このうちで七キロほどを一次改築、また長野市や須坂市でも現道拡幅実施中ということで、このオリンピック誘致予定の一九九八年に目がけて、この関連道路網が少しでも遺漏のないように、県、地元当局と御相談しながら私ども最大限の御協力を申し上げたいと思っております。
  14. 小坂憲次

    小坂分科員 ありがとうございました。大変に力強いお話をいただきまして、私どもも期待をいたしております。ぜひとも、なお一層の御尽力のほどをお願い申し上げます。  それでは、引き続き国道に関しまして、私ども一生懸命努力はいたしておりますけれども地域予算だけではなかなか難しいわけでございまして、国の大きな力をもって国道整備していくということが必要でございます。その点、現在、地域幹線道路が幾つもございますが、その幹線道路国道昇格お願いいたしております。それについての見通しを簡単にお答えいただければ幸いでございます。  とりあえず二本、状況をお聞きしたいと思います。一つは、信濃町から信州新町というところに至ります信濃信州新線、もう一本は中野市から明科町を抜けております中野明科線、この二本の国道昇格見通しについて、簡単で結構ですのでお願いいたします。
  15. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道昇格については、今全国一万二千キロ以上の御要望が出ております。現在四万六千八百キロというのが国道の実延長でございます。この総体のこれからの規模をどうするか、これが一つの大きな問題として今検討させていただいております。  長野県からは全部で八路線要望が出ております。その中の今の二路線でございますが、いずれにいたしましても、国道の全体の規模を幾らにするか、その中で採択要件をどういうふうに時代の趨勢と合わせて考えていくか、そういうことがまず前提でございます。その中で、この御要望路線、基本は道路法における国道の法的な指定要件に合致しているかどうか、その中でさらに緊急性あるいは他のネットワークとの関係からの位置づけ、こういう検討をいたしておりまして、県及び地方建設局等において基本的な検討をいたしております。  私ども、来年、平成年度ということは平成四年の夏には新しい五カ年計画を新しい道路網の中で要求させていただく準備を着々と進めております。そういう意味では国道再編成はなるべく急ぎたい、かように思っております。ことしは、国土開発幹線自動車道審議会も開かなければいけない厳しい要請がございます。こういう中で、国道昇格についてもあわせてその時期をこれから詰めてまいりたいと思っております。
  16. 小坂憲次

    小坂分科員 ありがとうございました。今ネットワークというお話がございましたけれども、高速道がやっと私ども地域にも入ってまいりますが、その高速道を結び、また、先ほど申し上げた十九号線の渋滞解消にも役立ちますので、ぜひとも国道昇格につき前向きの御検討お願いする次第でございます。  高速道につきましても、ようやく地域内を大分工事が進んでまいりました。しかしながら、現在中央道長野線、更埴インターチェンジから須坂に至る間につきましては、暫定二車線で工事が進行中でございます。この四車線化につきまして、冬季オリンピックの招致にも役立ちますし、また地域経済活性化に大きな役割を担いますので、ぜひともこの四車線化について御配慮を賜るように、これは要望としてお願いを申し上げておきたいと思います。  時間も追ってまいりました。いろいろと要望を申し上げましたけれども、要は、過疎に悩む地域を助けて活性化させ、また過密や渋滞を解消して都市機能を整備するなど、地域振興にとって道路整備が重要な役割を果たすと思うわけでございます。最後に、こういった地域振興に果たす道路の役割といったものについて、まとめというような意味も含めまして、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  17. 大塚雄司

    大塚国務大臣 北信の道路状況についてつぶさに御質問があり、また、お答えをさせていただきましたが、道路整備は、我が国国土の均衡ある発展にとりまして極めて重要であります。人間の体で言いますと血管に相当すると私は考えておりまして、今お話がありました地域は、私は夏になるとしばしば自分でハンドルを握って走っておるわけでございますから、よく状況を承知しているところでございます。  ともかく、四百三十兆円の公共投資の基本計画もあり、また道路につきましては、ことしも予算もたくさんとまではいきませんが、前向きで組んでございますので、冬季オリンピックの招致もにらみながら、この北信地域道路整備には全力を挙げて取り組んでまいりたい。災害が起きないうちにきちっとすることが何より肝要でございますので、その決意で臨んでまいりたいと存じます。
  18. 小坂憲次

    小坂分科員 ありがとうございました。大臣もみずからハンドルを握られて私ども地域を走るというお話を聞きまして、一層の親しみを覚え、また、一層の御活躍を祈念いたしたいと存じます。  本日は、私ども地域の事柄を例にとっていろいろと質問させていただき、また、御意見を賜りましたけれども平成年度におきましても、建設省に対する国民の期待は非常に大きいわけでございまして、この事業の円滑なる推進並びに地域活性化に大きな役割を担っていただくいろいろな事業を積極的に進めていただきますよう、心から御活躍を祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  19. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて小坂憲次君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤和良君。     〔主査退席、戸田主査代理着席〕
  20. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 おはようございます。  徳島県では、平成年度と予定されております明石海峡大橋の開通を目指しまして、三千日の徳島戦略というものをつくりました。これがその計画でございますが、「架橋新時代への行動計画」というものをつくったわけでございます。私も県民の一人といたしましてこの計画の推進に協力したいと考えているわけですが、きょうは特に建設省に御理解と御支援をいただかなければいけないことがたくさんございますが、それについてお伺いをしたいと思います。  まず、交通ネットワークの整備の中でも最重点に位置づけております高速道路網の整備でございます。今大臣は東京でございますから、高速道路はもう既に皆さん十分利用しているわけでございますけれども、徳島県はまだ一メートルも走ってないのです。そんな実情もございますので積極的な御答弁をお願いしたいと思いますが、平成年度に四国の中の高速道路網は一体どこまで完成するのだろうか、この辺の見通しを最初にお聞きしたいと思います。四国には四国縦貫自動車道、それから四国横断自動車道、この二つ計画があるわけでございますが、平成年度までにどこまで完成をし、あるいは供用開始ができるのか、この辺の見通しからお伺いしたいと思います。
  21. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 数字でございますので私の方からお答えさせていただきます。  四国の高速自動車国道、今、四国縦貫、四国横断、両自動車道合わせて六百八十五キロでございますが、このうち、横断道の善通寺―川之江間三十五キロを初め七十キロが供用されております。さらに、縦貫道の徳島―美馬、土居―伊予間及び横断道の高松―善通寺、川之江―大豊、南国―伊野間、合わせて二百四キロ、これについて今現在 用地買収及び工事等に努めておりますが、本州四国連絡橋の神戸―鳴門ルート、尾道―今治ルート、これがそれぞれ平成九年ないしは十年度完成いたします。これらの区間をほぼこれに合わせて供用させたいと思っております。  なお、縦貫道の美馬―川之江東間等九十八キロについては、平成年度道路公団に施行命令を出したところでございます。現在、地元協議等をさせていただきたいと思っておりますし、さらに、四国横断自動車のうち新たに加わったものでございますが、基本計画区間である徳島市から津田町間など三区間八十二キロについて、整備計画策定のために必要な調査を進めておりますし、さらにその中から、鳴門市から津田町などの三区間六十五キロについては、各県にお願いして環境影響評価手続を現在実施しております。  その他の区間についても、地形あるいは地質あるいは開発計画との調整、アクセス道路、インター位置の関係等々具体的な調査を進めさせていただいております。いずれにしても、四国の高速自動車国道がおくれているという認識のもとに今後とも対応させていただきたいと思っております。
  22. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 平成年度ないしは平成年度、四国に三つの橋がかかるわけでございますが、橋ができましても、四国の中の高速道路網が整備されておりませんと橋の効果というものは十分に発揮できないわけでございます。今具体的な進捗状況お話がありましたが、少なくとも私は、四国四県の県都、徳島それから高松それから高知、松山、この県都を結ぶ高速道路はそれまでに完成をしていただきたい、このように考えるわけですが、いかがでございますか。
  23. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 私どももそのような考え方を目標に今やらせていただいておりますが、県の地域によりましては、県都を取り巻く周囲の状況が用地交渉あるいは計画の調整等々で極めて難しい、歴史的経緯を含めてかなり難航しているところがあるのも事実でございます。したがって私ども、これを何とか一生懸命、私ども四国地方建設局、県の方とも相談してやっておりますが、例えば徳島県におきまして言いますと、徳島県では約百五十キロが計画されております。このうち、徳島から脇間については、一部用地買収に難航している地域があって工程的に難しゅうございますけれども、十次五カ年計画期間内の供用を目標に今最大限努力をしておりますし、脇から美馬間については、現在設計協議中でございます。これは九年度までには供用が図られるだろうと思っております。  そういうことで、問題は鳴門から徳島市内の間でございますが、これは、いろいろと今国道改築事業あるいはその他の道路網とあわせて何とかいわゆる交通の利用という面から見て支障のないように逐次手を打ちながら、最終的に高速自動車国道完成するように努力してまいりたいと思っております。
  24. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 私は、四国の目標としては、県都を結ぶ高速ネットワークを三架橋が完成する時期をめどに準備を進めていくという最大限努力建設省お願いしたいと思います。用地交渉等地元で解決しなければいけない課題はあろうかと思いますが、予算上の措置とかいった意味ではそういうことを目標にしてもらいたいと思うわけでございます。強く要請をしておきたいと思います。  それから、今徳島県内の問題にお触れになっていただきましたけれども、徳島県といたしましては、縦貫自動車道のうち徳島―脇間については平成年度、それから脇―美馬間におきましては平成年度、そして美馬―川之江間におきましては平成年度供用開始をしたい、このように取り組んでいるわけでございますが、この見通しよろしいでしょうか。
  25. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 徳島―脇間につきましては、私ども可能な限り第十次五カ年内、ということは平成年度までに完成するべく今一生懸命努力しております。  それから、一番おくれておりますというか、昨年の十一月十九日に施行命令を出し、ことしの一月二十一日に路線を発表いたしました川之江東―美馬間につきましては、現在中心ぐいの設置準備中でございまして、ここがいつまでにできるかということを確約することはなかなか難しゅうございますが、通常こういう状態になってから十年というのを一つの目標にしております。しかし、いつも申し上げることですが、ハードな事業はかなり短縮することはできても、ソフトな用地交渉、地元との協議、こういうところが時間がかかりますので、この部分を地元の御協力を得てできるだけ短縮して、少しでも十年を短くするように努力してみたい。  それから、美馬―脇間は、現在設計協議中でございます。これは十二キロございます。これは次期五カ年の中では何とか完成できるというふうに考えております。
  26. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 先ほど平成年度とおっしゃいましたですね、美馬―脇間は。
  27. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 はい。九年度までには完成しますということで、九年度ではなくて、九年度よりか前に完成させたいと実は内々思っております。ですから、九年度の本四の架橋ができるまでにはここはできているというふうに私どもはしたいと思っております。九年度にできるのではなくて、九年度前に何とかできさせたい、かように思っております。
  28. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 川之江まで平成年度にやってくださいよ。お願いしたいと思います。  それから横断自動車道ですが、徳島県内分の工事でございますが、徳島と香川県の津田の間は新規に基本計画区間になりました。しかし、この環境影響評価の手続というのは鳴門と津田の間ですね。ですから、徳島と鳴門の間というのはまだ全く白紙の状態であると思います。今徳島県の中で最大の関心事は、この新規計画区間となった区間のうち徳島と鳴門の間が徳島市内のどこを通るのだろうか、こういうことが大きな関心の的になっているわけです。いろいろな選択肢があると思いますが、例えば海岸線を通るのかとか、あるいは今工事が進んでおります十一号だとか五十五号のバイパスの上を二階建てで通るのかとか、あるいは全く別のところを通すのかとか、これによって徳島市内の道路計画あるいは都市計画が大きく影響されるわけでございまして、早くこの路線の決定をしていくということが大事ではないかと思うのですが、早急に関係者に集まっていただいて、大きい道路から早く決める方が都市計画そのものはやりやすいと思うのですね。そういうことがございますので、早急にこの路線の決定ができるように積極的にお取り組みをお願いしたい、こう思うのでございますが、いかがですか。
  29. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 私ども全く先生と同じ考えでございまして、やはり県都の関係路線を先に何とかまとめたいということで、これは四国地建の道路部長になった者の最大の仕事の一つになっております。現実には、今先生おっしゃるように、海側のルート、山側のルート、いろいろな問題がございます。特に、徳島市を経由して南部へ向かう利用者の問題もあります。それから、周辺の土地利用との整合性あるいは環境の問題、事業経済性、施工性というような点。で、ここには、この四国横断自動車道のほか、縦貫自動車道、いろいろなものが入ってきております。そういう意味から、これらとの調和を図るということ。一方で、この地域全体が吉野川のはんらん原でございまして、旧海底部でございまして、軟弱な地盤層が広く分布している、こういったような点からの位置づけも検討の要素に入っております。  いずれにいたしましても、私ども地方建設局が主体的になって、徳島県、徳島市、日本道路公団から構成される徳島地域道路検討委員会というものを設けて、ここでこの路線選定を行うように努力をさせております。早く地域方々等も含めてこういう合意が得られて、都市計画の手続に入れることを私どもも願っておりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
  30. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 合意を得るそのめどなんですけれども、例えば一年先なのか二年先なのか三年先なのか。これは私、早ければ早いほどいいと思うのですね、いたずらに五年も六年も先ということではなくて。大体どのぐらいの期間に路線が決定できそうなのか、その辺の計画をぜひ聞かしていただきたいと思います。
  31. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 ことしは国幹審で、先ほど申し上げました四国横断自動車道のうち、環境影響評価で津田間ができてまいります。鳴門、徳島、津田と、この間も影響評価が三十六キロ完了するわけでございます。全体が進行してまいります。そういう中での検討でございますから、一層早まると思っておりまして、私ども、できることならば平成年度中に都市計画決定のための準備のそういう合意を得たいということで、今精力的にこの会合あるいは地域方々とのお話し合い、こういうものをやらせていただきたいと思っております。
  32. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 大変前向きな発言、ありがとうございました。じゃ、平成年度中にはできるということは、来年の三月三十一日までにできる、こういうふうに理解していいですね。
  33. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 都市計画決定ができるということではなくて、そのための合意と準備をさせていただくということでございまして、これは、そういうことが早くできればもちろんその先へ進めます。ここの部分、先ほど言いましたように、ソフトな部分は総論賛成、各論反対というケースが果たして多いものですから、そういうものの汗かきは私どもがいたします。いたしますが、ひとつ、少しでも三年度に進捗のスピードが上がるように私ども努力してまいりますので、先生方の御指導を一層いただきたいと思っております。
  34. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 さて、この徳島から阿南の間ですけれども、これは今のところは予定路線のままですが、これはいつ基本計画区間にするのですか。
  35. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 ここの阿南市から徳島間、ここにつきましては、現在、道路整備の効果とか採算性の双方を勘案して、路線調査あるいは地質調査、関連事業調査、経済調査等、事細かに調査を進めております。やはり極めて重要な区間だという認識も四国の地方建設局は考えて、重点的な調査費をここに入れて検討しているようでございます。私どもも、その推移を待って判断をしてまいりたいと思っております。
  36. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 国道バイパス整備についてお伺いします。  今、国道十一号吉野川バイパスというのは、県の計画では平成年度完成をしたい、あるいは五十五号の徳島南バイパス平成年度供用開始をしたい、五十五号の阿南バイパス平成年度供用開始をしたい、百九十二号の徳島南環状線、これは平成年度供用開始をしたい、このように計画を立てておりますが、このとおり実行できるでしょうか。
  37. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道十一号の吉野川バイパス、これについては、十次五カ年内にはちょっと難しゅうございますが、国体に間に合うよう、次期五カ年のうちのできるだけ早い時期に必要な拡幅整備を終える見通しを持っております。  それから、五十五号の徳島南バイパス、阿南バイパス等、これにつきましても、現在、用地買収工事を行っている特に阿南バイパスの北側の九キロ区間、これは国体に間に合うよう、次期五カ年の早い時期に供用ができる見通しを持っております。  それから、百九十二号の徳島南環状線等々、これは極めて歴史的経緯、いろいろな地域のふくそうした事情等もございますので、これについては、今後逐次詰めながら、その供用の目標を定めてまいりたいと思っております。
  38. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 それから、放射環状道路として万代橋とか矢三応神橋だとか末広の有料延伸道路あるいは徳島北環状線、こういう計画があるわけですが、これの整備平成年度までに部分供用を含めて完成する、こういう計画で進めているわけでございますが、建設省の考えはどうですか。
  39. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 徳島の内環状道路は、全体約十・七キロ、このうちの二・七キロが未整備となっております。特に、万代橋を含む〇・九キロ、これは都市計画決定がなされておりません。で、現在徳島県においてこの都市計画決定に向けての準備を進めておりますが、市内の極めて重要な地域でございますので、極めて大変だろうと思いますが、その計画が決まりましたら事業化検討をいたしたいと思っております。  その中で矢三応神橋は、鳴門市の大麻町と徳島市を結ぶ大麻徳島線の吉野川にかかる橋梁でございまして、これは六十三年に着手いたしておりまして、平成九年を含む次期五カ年の期間内に完成を図るべく事業を進めております。  また、外郭環状道路のうち問題の末広有料道路は、現在九千台弱の交通量が乗っていたかと思いますが、これは有料道路でございまして、極めて厳しい状況になっております。ここを現在徳島県において、安宅二丁目から川内町に至る区間、都市計画決定のために調査を実施中でございます。ここにつきましても、この末広有料道路と接続する全体的な意味合いにおいて事業化検討をすることといたしております。いずれにいたしましても、都市計画決定を前提といたしております。  なお、徳島北環状線、これは国道十一号と国道百九十二号の間でございますが、ちょうど十一号から徳島市の応神町間の四・〇キロについては既に整備済みでございまして、残り区間、特に応神町から板野郡藍住町間の徳島引田線までの四・二キロ区間、これは五十六年からやってきておりますが、少なくとも次期五カ年計画の期間内には概成をするということで今進めております。  さらに、その他の引田線から百九十二号に至る区間については、県とも今後調整しながら、ルートそのものをどうするか、ここを詰めていく、こういう計画で、少しでも全体の完成が早まるように努力させていただきたいと思います。
  40. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 特に矢三応神橋については、吉野川にかかる橋が下流では現在二つそのまま据え置かれているわけですね。徳島市内の交通量というのは大変多いわけでございますが、矢三応神橋、これをぜひ早く完成をしてもらいたい。というのは、市内の交通緩和のためにも大変重要な路線でございますから特段の御配慮お願いいたしまして、今、平成年度までにはできるというふうなお話でございましたが、そう理解してよろしいですね。
  41. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 私どももそのようなつもりで今仕事を進めております。
  42. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 次に、この行動計画に入ってないのでございますが、地域から大変強い要望がある課題について二つばかりお尋ねをします。  一つは、国道五十五号線に牟岐橋という橋があるのですね。これは私もよく通るのですが、大変老朽した橋でございまして、しかも道路と直角にかかっている橋でございまして、非常に交通渋滞の原因になっている部分があります。この牟岐橋の改修、そしてつけかえをして、もっと道路の形をよくする、こういうことが近々の課題だと思いますけれども、どのように対応しておりますか。
  43. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この牟岐橋は、昭和十年に建設した極めて老朽化した橋でございます。幅員が先生おっしゃるように狭い。それから前後に直角曲がりがあるということで、平成年度からかけかえを含む、かけかえをするだけではなくて改良してかけかえをするという意味改築事業に着手いたしました。現在、平成年度は測量設計及び一部用地買収にも着手させていただきました。用地買収ができませんと橋のところに入れませんので、ぜひこれを完了させて工事に入りたいと思います。完成といたしましては、今五カ年はあと二年しか残っておりません、次期道路整備五カ年計画期間内には完成するべく事業を進めさせていただきたいと思っております。
  44. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 もう一点。国道四百三十九号線というのがあるのですが、ここに日本全国でも ただ一つ国道の潜水橋があるのですね。水が出ると車が通れないわけですが、私は、こういう国道はやはり早くなくしてもらいたい、潜水橋をなくして、水が出ても通れる橋に早くつけかえをする必要があると思いますが、こちらの方はどういう計画がありますか。
  45. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この四百三十九号の上八万町の園瀬川にかかる西地橋、これは橋長五十二メーターでございますけれども昭和三十八年に架設された鉄筋コンクリートの床版橋でございます。先生おっしゃるように、全国でただ一つ一般国道における潜り橋だと理解をいたしております。西地橋を含めた前後約二・二キロの道路区間、ここがちょうど低い地形に位置しておりまして、その地域全体が毎年数回園瀬川の増水時に冠水する状況でございます。したがって、橋だけを云々するというわけにはいかない、そういう状況だとお聞きしております。抜本的な対策として、西地橋を含む上八万町下中筋から佐那河内村の一ノ瀬まで約四・五キロのバイパス計画しないとこの解決にはならない、かようなことで、国庫補助事業の上八万工区として六十三年に着手をさせていただいております。この中でこの橋も対応する、こういうことでございまして、今鋭意やっております。次期五カ年の中でこれらは解決させたいという県の意向もございまして、私どももそれと合わせて対応していこうというふうに思っております。
  46. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 それでは、先ほども話がありました県道の国道への昇格、これについて聞きたいのですが、徳島県では貞光剣山道、徳島引田線、新居浜山城線、穴吹木屋平線の昇格を建設省お願いしていると思います。これは平成年度中に採用されますか。
  47. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 採用されるかということを言われますと私どもお答えする状況ではございませんが、県からの御要望は、県内の実延長が百一キロ、関連する道路は二百十八キロと聞いておりますから、他の県、香川県、高知県と関連した要望として四路線が出ていることは了知しております。  私ども、先ほども申し上げましたけれども国道の規模それから採択要件の内容、そしてそれをいつどういう形でやるかということを今検討しておりまして、いずれにいたしましても、三年度中には私どもはぜひさせていただきたいということでその調査の熟度を今上げております。時期につきましては、先ほどの引田における整備計画を出すための国土開発幹線自動車道建設審議会と国道昇格を含めた道路審議会をどういうふうな形で今後開催していくのか、道路網の再編成の一連として検討しているところでございます。
  48. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 次に川の話になるのですけれども、吉野川に第十せきという大変古いせきがあります。この改築は長年の課題であったわけでございますが、平成年度予算に初めて建設費が四億円計上されております。  基本計画はいつまでに策定し、工事はいつ開始するのか。せきの建設場所の特定、これはいろんな議論があったわけでございますが、私のところでは現在のせきより五百メートルぐらい下流の方と伺っているわけですが、これによって生態系とか水系に大きな影響はないのかどうか、その辺の調査の結果。それから、可動せきにするという話を聞いているわけですが、可動せきになると上に道路を通すこともできるわけですが、その辺の設計のレイアウト、考え方というものが大体どういうふうになっているのか明らかにしていただきたいと思います。
  49. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 吉野川に存在します第十ぜきでございますが、これは約二百四十年前の宝暦年間に設置されました固定ぜきでございまして、旧吉野川への分流を目的とした施設として存在しているわけでございますけれども、大変老朽化が進んでいること、また洪水の疎通に阻害があるということで、この改築計画について検討してきたわけでございます。  この事業は、河川改修事業とあわせまして、流水の正常な機能の維持、また徳島市、鳴門市等各市町村への水道用水の供給を目的として可動ぜき化する事業として、平成年度事業費四億円をもって建設予算が計上されたわけでございます。今後、まずこれに必要な基本計画を、おっしゃるように策定するわけでございますが、関係者間の合意が必要でございまして、一般的に言いますと一年程度かかるわけでございますが、できるだけこの期間は短縮するように努力してまいりたいと存じます。関係者間の合意を経て、基本計画を策定してから工事に着手するということになります。  せきの位置でございますが、これは基本計画策定の段階に設定したいと思っておりますが、おっしゃるように、現せきを機能を移すわけでございますので、せき下流ということになろうと思います。どの程度下流がいいかということは、関係者間、いろんな関係者がございますので、その方たちとの協議の上で設定してまいりたいと思います。  それから、生態系への影響でございますが、御承知のように本事業は既に固定ぜきとして既設のせきがあるわけでございまして、その機能を単に代替するということ、またさらには、洪水時にはこのせきはあけて洪水の疎通に支障のないようにするということで可動ぜき化するものでございますので、生態系への影響はないというふうに考えております。  なお、せっかくせきを建設するのですから、その上に道路を通してはいかがかということがございまして、徳島県では環状道路構想をお持ちと聞いております。せっかくの機会に、これらのせきと道路とが兼用できるというようなこともまたそれなりに地域においては便利なことになるわけでございますので、その可否を検討していると聞いておりますので、それらの話が、合意が成立するならば、またせきとしての技術的可能性が十分確保するのであれば、我々としても地元の方と調整を図ってまいりたいと考えております。
  50. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 最後に大臣に。  今大臣もこの徳島の「架橋新時代への行動計画」をごらんになっていただけたようでございますが、国会で予算が成立いたしました後で結構でございますから、ぜひ徳島県にもお越しいただきまして、特に徳島県の要望は基盤整備、中でも交通網の整備が大変おくれておりまして、これが一切の計画の土台になっているわけでございますので、直接現地でいろいろな意見もお聞きいただきまして、建設省として御支援をいただきたい、このように要望いたしますが、いかがでございますか。
  51. 大塚雄司

    大塚国務大臣 昨日も四国の問題ではお話をさしていただきました。私は車が好きなものですから、四国も何回か自分でハンドルを握って走ったことがございます。特に鳴門大橋の架橋のつながる直前にも参りましたし、また瀬戸大橋が通りましてからも参りまして、鳴門から淡路島に参りまして、あそこのロイヤルグレイスホテルに泊って大変すばらしいところだというふうに思っております。  日本列島全体の均衡ある発展、その中に大きく位置づけられた四国の将来につきましては極めて重要である、こう思っておりますし、三本の架橋ができる平成九年から十年に目がけまして、その島の中の縦貫道路、横断道路整備はもとより、それに関連する道路整備をできるだけ進めることが日本の一極集中から多極分散型の国土形成を進める上で非常に大事である。できれば現在二百十五万の四国の人口を倍増するような夢を私も持っておるわけでございまして、その二百十五万の四〇%の八十五万の徳島県、自動車も四十五万台あるそうでありますから、一生懸命努力をさせていただきたいと思っております。
  52. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  53. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。  次に、緒方克陽君。
  54. 緒方克陽

    緒方分科員 私は、有明海の一番奥にあります湾岸部の堤防改良工事の現況についてお聞きをしながら、この工事の早急な完成を目指してぜひ努力をしていただきたい、そういう意味で少し質問をさしていただきます。  御承知のように、有明海というのは、有明海の湾の奥部には有明海岸があるわけでございますが、その背後には日本有数の穀倉地帯である佐賀平野あるいは白石平野を控えておりますし、また人口も約三十万を控えた市や町があるわけであります。また、有明海は世界でも有数の干満の差が大変激しいところで、約六メートルということで、干潮時においては十キロメートルにわたって干潟が形成されるということであります。この干潟の特徴が工事にもいろんな意味で大変影響を与えているわけでありますが、そういう特殊な条件がございます。また、台風の常襲コースに当たりまして、その一番奥に当たるということで、その海岸は高潮が頻繁に発生して、今日までも数多くの被害をもたらしているということであります。関係省庁では今日までずっと連携をとりながらこの堤防改良工事をされてきたわけでありますが、その現状を確認して早急な工事完成を目指すという意味で、まず現状確認の質問をさしていただきたいと思います。  海岸の改良工事でいろんな工事がされているわけですが、総体的に言うと時間がありませんので、波よけの堤防高、いわゆる天端高というふうに言われておりますが、ほぼ七・五メートルということでされておりますが、現在この天端高に到達しているのは、それぞれの受け持ちの省庁の中で何キロあって、その中で何キロが完成しているということで、受け持ちごとにその内容を明らかにしていただきたいと思います。建設省その他、続いてお願いしたいと思います。
  55. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず建設省関係から御説明いたしますが、ここの有明海はそれぞれの関係省庁がそれぞれの海岸を管理しておるわけでございますが、建設省所管海岸は約二十二キロでございまして、このうち十五キロは建設省直轄海岸として、また残り約七キロは佐賀県と福岡県の両県で所管しているものでございます。当該区間における海岸堤防計画高はいずれもTP七・五メーターになっておるわけでございますが、平成年度現在で約二キロの直轄海岸の堤防がこの計画高として完成しております。
  56. 緒方克陽

    緒方分科員 農林省、お願いします。
  57. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 農林省構造改善局でございますが、佐賀県の有明海沿岸で構造改善局所管の海岸延長が四十六・三キロございます。このうち有明海に直面いたしております約二十九・二キロメーターの海岸堤防につきまして、天端高を標高七・五メーターとして計画しております。平成年度現在、天端高が標高七・五メーターまで完成している延長は約九・二キロメーターとなっております。
  58. 緒方克陽

    緒方分科員 次は、水産庁、お願いします。
  59. 川口毅

    ○川口説明員 有明海の水産庁所管の海岸は全体で十三・四キロございます。そして、その中で特に防護を必要とする海岸が十二・二キロございまして、現在、TP七・五メーターの延長は約四割に当たる七百六十メーターでございます。
  60. 緒方克陽

    緒方分科員 運輸省、お願いします。
  61. 戸嶋英樹

    ○戸嶋説明員 運輸省の方で所管しております海岸でございますけれども、全体で保全すべき海岸が七キロほどございます。それのうち施設がございますのが約五キロでございます。これらの海岸については、ほぼ全延長について所要の天端高を満たしております。
  62. 緒方克陽

    緒方分科員 今、水産庁は七百六十メートルで四割と言われましたけれども、そういうことになるんですか。ちょっとその意味が……。
  63. 川口毅

    ○川口説明員 計画天端高七・五メーターが必要な海岸線延長は、鹿島市内管内の一・八キロでございまして、その四割の七百六十メーターがTP七・五メーターで既に完成しております。
  64. 緒方克陽

    緒方分科員 わかりました。建設省関係が約一割、それから農水省が約三〇%、水産庁が四割という状況で、それぞれ状況を確認いただきましたが、建設省の分が非常におくれているということであります。  そこで続いて、さっき言いましたとおりに、それぞれ省庁ごとに、最終的に平成年度に完了するということで作業を進められておるか、お尋ねをいたします。
  65. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 いつごろに達成されるかということでございますが、まず、平成年度末に、海に直接面する前面堤防の暫定堤防高は、既にTP六・一メーターの築堤工事をおおむね完成しておりまして、さらに六・一メーターから七・五メーターへ上げる段階となっておるわけでございまして、現在このかさ上げ工事に着手しております。  また、補助事業につきましては、現在三海岸におきまして海岸事業実施しておりまして、堤防の高さはTP五・八メーターから七メーターの暫定高さで施工しているところでございます。今後、暫定施工が完了し次第、七・五メーターのかさ上げ工事の段階へ上がっていくわけでございますが、この当該地区の海岸事業につきましては、今後とも予算確保に努めまして、二十一世紀初頭に完成するように努力をしてまいりたいと考えております。
  66. 緒方克陽

    緒方分科員 次に、農水省にお願いします。
  67. 川口毅

    ○川口説明員 水産庁の海岸ですが、建設省と同様に、現在TP六・一メーターの暫定施工ということで一応施設はございます。今後おおむね十年程度でTP七・五メーターまでかさ上げしようというふうに考えております。
  68. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 農林省でございますが、有明海沿岸で実施しております海岸事業の内容としまして主要なものは、消波工、堤体補強、堤体天端高、天端のかさ上げ等でございまして、天端高七・五メーターとして計画しています約二十九・二キロメーターについて今後の必要な事業費平成年度予算状況とを考えますと、標高七・五メーター完成するためには、今後おおむね十年程度を要するものと考えております。
  69. 緒方克陽

    緒方分科員 運輸省は終わっておりましたか。
  70. 戸嶋英樹

    ○戸嶋説明員 運輸省所管海岸についてでございますけれども、ほぼ全延長につきまして所要の天端高を満たしておりますが、ごく一部について満たしてない海岸については、逐次天端高をかさ上げいたしまして早期完成させる予定でございます。
  71. 緒方克陽

    緒方分科員 時間の関係であれですが、運輸省はもう残り少ないのですから、大体あと二、三年後とか、そういう具体的なことがありましたら……。
  72. 戸嶋英樹

    ○戸嶋説明員 もう二、三年で大体できるというふうに考えております。
  73. 緒方克陽

    緒方分科員 そこで、お尋ねいたしますが、さっきも言いましたように、大変な軟弱地盤でありまして、仕事をされる人は御苦労されているわけであります。十年ほど前からようやく地盤沈下に対応する新たな工法が確立されて、次々と沈下するのを何とか食いとめる方法が開発をされたということであります。しかし、せっかくつくってもまた沈下をするということになりますと、七・五メートルの天端高が最終的には達成されないということで、高潮などの場合にはそれが役に立たないということが想定されるわけであります。  そういうことからいたしますと、現況、沈下をしているのがあるというふうな話も漏れ聞いておりますけれども、そんなものがあるのかどうか、それはどの程度の沈下であるのかということで、農水省、建設省の方にお尋ねをいたします。
  74. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 堤防等の工事を行う際には、特に有明海岸特有の軟弱地盤に起因する圧密沈下を生じますので、施工に当たっては、地盤特性に応じまして地盤の改良工事を行い、その沈下を見込んで、まず事前に余盛り等をした上で実施しているわけでございます。  堤防沈下についての正確なデータが得られている直轄区間について見ますと、沈下量はおおむね二、三十センチでございまして、施工に当たって 余盛り高で施工した範囲内におさまっているわけでございますが、ごく一部の区間について余盛り以上に沈下している箇所がございまして、最大約七十センチという記録も見られております。これは全延長測定しました百十三点のうち二点ということで、大変ごく一部でございますが、こういう箇所につきましても、その沈下が認められた時期から早期にその施工をいたしまして、七・五メーター完成断面にかさ上げするようにいたしまして、既にそれらの箇所については手当ては済んでおります。  今後も、そのような地域特性を配慮いたしまして、施工については十分留意しながら補強していく予定でございます。
  75. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 有明海の軟弱地盤地域におきます海岸事業につきましては、急速な荷重の増加による沈下を避けるために段階的な施工を行うほか、地区によっては、沈下を見込んだ堤防天端高で施工を行っておるところでございます。  現在のところ、完成堤防のうち沈下している部分の沈下量を調べますと、おおむね数センチ程度でございます。
  76. 緒方克陽

    緒方分科員 わかりました。  そういう特殊な状況の中での工事であります。しかし、地元民といたしましては、台風が来るたびに大変心配をしているわけでございまして、大臣としても、今の現況をお聞きになった上で、工事が早急に完成できるように、いろいろな意味で、予算措置とかその他、配慮をしていただきたいというふうに思います。そのことについてお答えをいただきたいと思います。
  77. 大塚雄司

    大塚国務大臣 有明海のいわゆる高潮災害の歴史は、昭和五年を初めとして、六十年八月にも台風十三号で被害があったことを承知しておりますが、このために建設省直轄海岸事業に編入をして、できる限りの努力をしてまいりましたことは、ただいまそれぞれお答えをしたとおりでございます。  背後地の佐賀市や鹿島市などの人口や経済の動向を調べますと、ともかくこの高潮対策は非常に大事である。ことしから第五次の海岸事業の五カ年計画をスタートさせるわけでありますが、一兆三千億円の規模でやるわけでありますが、一日も早くそのような御心配がないように、地元の住民の方々にも安心をしていただけるように、可能な限り努力をさせていただきたいと存じます。
  78. 緒方克陽

    緒方分科員 大臣からそういう前向きの御返事をいただきましたので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  次に、雲仙岳の噴火についてお尋ねをいたします。これは国土庁と気象庁ですかね。  昨年の十一月十七日に雲仙岳は噴火をしたわけでありますが、お隣の県でありまして、私どもからもすぐ目の前に雲仙岳は見えておりまして、いろいろ心配もしているわけであります。歴史上、二百年前の大噴火で一万五千人の人が亡くなったというような大変な事態もあるわけでありますし、この十七日の時点でも、噴火を知らずに、周辺では観光に見えた人たちが紅葉見物をしていたというような報道も伝えられているわけであります。私、非常に素人でございまして、これから一体どうなるのかということで心配もしておりますが、そんな意味で三点質問いたします。  一つは、今後の噴火の見通しをどういうふうに見られているのかということをお尋ねいたします。
  79. 津村建四朗

    ○津村説明員 雲仙岳では、昨年十一月十七日に百九十八年ぶりの噴火がございました。その後、次第に噴煙が減少しておりましたが、本年二月十二日に別の火口から噴火いたしまして、山ろくまで降灰がございました。その後、この火口の噴煙も次第に減少いたしまして、最近はごく少量の蒸気を上げている状態でございます。  しかし、引き続き火山性微動及び有感地震を含む群発地震活動が時々発生する状態でございまして、地下での活動は続いております。火山活動は消長を繰り返すことがございますので、今後とも火山活動の推移を注意深く監視する必要があると考えております。
  80. 緒方克陽

    緒方分科員 二番目ですが、これは農水省でしょうか、降灰の被害とかその他被害の状況はどうなっているでしょうか。
  81. 滝沢忠徳

    ○滝沢説明員 雲仙岳の降灰によります農林業その他の被害云々というお尋ねでございますが、農林水産省、それから地元の長崎県の方に問い合わせをいたしておりますが、現在までのところ、被害の報告はないということでございます。
  82. 緒方克陽

    緒方分科員 それで、三番目ですが、一の質問のところで、これからも引き続き注意深く観察をしていきたいということでございまして、まだ何があるかわからないという状況の中で、もしも大規模爆発のあった場合など、いろいろな観光客の問題あるいは地元の人たちの避難の問題なども当然検討をされなければならぬのじゃないか。  しかし、当地は観光地でありますから、余り大騒ぎをしても人が来なくなるということもあって、大変扱いとしてはいろいろ難しい問題もあるのでしょうけれども、やはり被害が起きそうなときあるいは爆発がありそうなときということについてはそれなりの対応をするというのが当然じゃないかと思いますが、その対策はどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  83. 滝沢忠徳

    ○滝沢説明員 雲仙岳の火山対策についてのお尋ねでございますが、雲仙岳につきましては、従来から気象庁におかれまして常時監視を行っていたところでございますが、昨年来の火山活動の活発化に伴いまして、気象庁におかれまして火山機動観測班の派遣を行ったのを初めといたしまして、関係機関の緊密な連携のもとに、観測監視体制の強化、観測に基づく迅速な情報の提供、発表、そしてまた地元公共団体との連絡体制の確保などの対策を講じてきたところでございます。  一方、地元公共団体におきましては、先生御承知かとも思いますが、長崎県初め一市十六町におきまして災害警戒本部の設置、それから県、関係市町、関係機関合同によります雲仙岳火山対策連絡協議会の設置、それからさらにまた、特に島原市におきましては、住民及び滞在者の安全避難体制の確立を図りますため、先ごろ特別の避難計画の策定を行いまして、それを関係住民に配布するということなどの対策が講じられておるところでございます。  今後の点でございますが、現時点におきましては、先生指摘のような大規模な爆発等の発生の可能性は低いものというふうに考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど気象庁からもお話がございましたとおり、今後とも火山活動に注意をしていく必要があるということでございますので、私ども、今後の状況の推移に応じまして、引き続き観測監視体制の充実に努めてまいりますとともに、どのような場合におきましても、国といたしましては常に関係行政機関相互の緊密な連携を図りながら、住民等の避難誘導が迅速かつ適切に行えますよう、地元地方公共団体などと協力いたしまして被害の未然防止に懸命に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  84. 緒方克陽

    緒方分科員 そういうことで、もしもということもありますので、ぜひ万全の対策をよろしくお願いしておきたいと思います。  そこで、建設省にあと二点お尋ねをいたします。  一つは、国道三十四号線の渋滞対策でありますが、国道三十四号線は佐賀県を横断する最も重要な国道一つで、幹線道路になっております。ところが、この道路渋滞がだんだん激しくなっておりまして、バイパスとかいろいろつくられておりますけれども、なかなか改善がされないということで、通勤者を含む車の利用者に大変迷惑をかけているという状況にあります。特に佐賀市における出入口と、それから鳥栖市の三十四号線と久留米基山筑紫野線との交差点などでは渋滞が激しくなっておりまして、特に佐賀競馬などが開催される場合には大変渋滞をしております。早急な改善が必要だということであります。建設省としてはこの渋滞の改善のために推進計画を立てられて いるわけでありますが、その具体的な内容と、それから今後さらにそれを進めるために具体的にどのようなことをお考えになっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  85. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この交通渋滞対策全国的に及んでおります。そういうことから、私ども平成年度から、全国的な意味合いも含めて渋滞対策緊急実行計画というものをつくりまして、さらに平成年度からは全国的な展開も図ってきております。そういう中で、建設省、佐賀県、佐賀市、鳥栖市等で構成される佐賀県渋滞対策推進協議会におきましてこの計画をおまとめいただいて、そして具体的な箇所についてどうするか、こういう取り組みをやっております。  先生指摘のこの一般国道三十四号は交通量が一日に二万台以上、こういうことでございまして、特に筑紫野バイパス交差点、鳥栖市の轟町というところでございますが、それから上犬童交差点、神崎郡の千代田町及び森田交差点、佐賀市の鍋島町、こういうところの三カ所はその中でも特に主要な渋滞ポイントとして把握をいたしておるようでございます。  このうち、筑紫野バイパス交差点につきましては、平成年度道路用地内でできる応急対策といたしまして右折車線を、六十メーターございましたけれども、さらに現在百メーターに延伸いたしまして、車が交差点渋滞しないように、分離できるようにいたしました。さらに、交差する主要地方道の構成を見直しまして三車線を四車線といたしたところでございますが、この渋滞長が各方向で一割から四割程度減少をしたと聞いております。さらに、こういうものにつきましてはその後の状況を見ながら次の対策を講ずるということではございますが、この交差点集中する交通の分散を図るために、やはり一般国道に並行する主要地方道の整備など、ネットワークとして対応しなければいけない、こういうふうに考えておりまして、その対応も図っているところでございます。  上犬童交差点につきましては、交通量に比較しまして三十四号の交通容量が基本的に不足しております。そういうことでやはり交通渋滞が起きておるということでございますが、地域状況等もございますけれども、交通容量拡大のための対策を具体的に現在検討させていただいております。  それから森田交差点につきましては、実はこれは交差する県道の方が込んでいるようでございます。したがって、交差する県道の右折車線の延伸を図る、こういったようなことを含めて渋滞対策を進めております。  今は例を三つ申し上げましたけれども、いずれにいたしましても交通渋滞は環状道路バイパスといったようなネットワークで車がうまく配分されるということも一つありましょうし、交差点そのものの改良あるいは隘路区間部分拡幅、そういったような既存ストックの活用もありましょう。さらには、こういう情報をうまくお伝えするという道路情報の提供、こういったことを含めて渋滞対策に努めてまいりたいと思っております。
  86. 緒方克陽

    緒方分科員 では、最後、一点です。  福岡、佐賀、長崎、熊本の四県にわたる有明海に面したところでの環状的な道路、地元では有明海沿岸道路の建設ということで希望しているわけでありますが、このことに関連して、国としては、国土総合開発事業調整費ということで、有明海・八代海沿岸に関連して調査の部でつけられまして、九州中西部地域整備計画調査を実施をされているところでございますが、その調査の状況、早急な建設に向けての要望が強いわけでありますが、そのことについてお尋ねをいたします。
  87. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 簡単にお答えいたします。  この調査は、平成年度から平成年度にかけて、国土庁の調査調整費ということで、建設省、農水省、林野庁、水産庁、通商産業省、運輸省、ここにおいて協力してやってまいりました。この二年度末でその計画が出てまいります。それぞれ担当しておりますので、それぞれの担当分を今度は合わせまして、全体としてうまく機能するような計画に調整をいたします。  これをこれからやるわけでございますが、その中で私どもは、この中西部地域の都市基盤整備計画あるいは道路整備計画、観光レクリエーション開発整備計画、こういったような観点から、国道二百七号、四百四十四号、二百八号等の交通動脈を踏まえてこの地域幹線道路網がどうすれば地域の全体の幸せにつながるか、こういったようなことをこれから具体的に検討させていただこうと思っております。
  88. 緒方克陽

    緒方分科員 二年度内には各省庁で調整をされていくということでありますが、非常に地元の熱望も強いわけでありますので、前向きに取り組んでいただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  89. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて緒方克陽君の質疑は終了いたしました。  次に、常松裕志君。
  90. 常松裕志

    常松分科員 まず最初に東京外郭環状線、いわゆる外環道路の問題についてお尋ねをいたします。  この問題は、おとといも同僚の沖田正人代議士がこの分科会で取り上げて質問をなさっておりまして、私もこの質問を傍聴させていただいておりました。  実は私は東京の七区、東京都の市部、武蔵野市や三鷹市など十五市で構成されております選挙区から国会に送っていただいている議員でございます。この外環道路の東京ルートは、いわゆる大泉インターチェンジから世田谷区の鎌田までの十八・二キロ、練馬区、杉並区、武蔵野、三鷹、調布、狛江、そして世田谷を通ることになっております。このルートはちょうど私や沖田代議士の選挙区に直接かかわりのある地区ばかりでございまして、そういう意味では私ども非常に強い関心を持っているところでございます。  実は、きょうここに私、お二人の方からいたださましたお手紙を持ってまいりました。私の当選後いただいたお手紙でございますが、ちょっと読み上げさせていただきますと、武蔵野市吉祥寺東町に住んでいらっしゃる安藤さんという方からのお手紙でございます。   私は練馬区関町に生まれ、結婚後は吉祥寺に住んでまいりました。したがって、外環道路計画と、それに対する住民の感情や運動は子どもの頃から身近なものでした。   さて、このところ練馬区大泉まで進んでいる外環道路工事について、我家で話をしたところ、私の三人の子ども達から、自分達ににも言い分がある旨訴えられました。   子ども達の意見とは、「次の世代をになうのは、今の子ども達である。にもかかわらず、今、大人が自然破壊や環境汚染を起す計画を勝手に実行しておいて、そのツケを子どもの世代に残すのは、無責任である。」   未成年の子ども達には、選挙権や意見の発言の機会が与えられていません。彼らは、親や、身近な大人を通してのみ、社会の大きな問題にかかわれるのです。   ですから、私は、無責任な親とならない様、子ども達の意見も聞いていただきたく、筆を取りました。 ということで、子供たちも反対だというお手紙です。  もう一通は、退職をされた九十歳になる学校の先生からいただいたお手紙です。   昭和六年に、北多摩郡武蔵野町吉祥寺に居を定めてから、すでに六十年になります。   外郭環状道路というものの建設推進の話があるとか聞いて驚いております。これは自然破壊になり、われわれから安住の地を奪うことになるのではないでしょうか。   すでに家が一杯の吉祥寺を、これ以上騒がしい町にしない様、ご尽力のほどお願い申しあげます。 こういうような趣旨のお手紙をたくさんいただいているわけでございます。  そこで、このような訴えがあります以上、調査をしようということになりまして、沖田正人代議士や高沢寅男代議士、そして我が党の建設部会長であります佐藤三吾参議院議員などと現地の調査に行きました。  地元の皆さんの御案内で大泉から調布までのルートを調査いたしましたが、一言で申し上げますと、このルートに当たる地域はすばらしい住環境の地区でございます。また、自然環境としてもすばらしい地域でございまして、石神井公園の三宝寺池、善福寺池、そして、世田谷に入りますと野川に沿ってずっと国分寺崖線、いわゆるハケに沿って進みます。そしてそのハケ沿いには都内でも数少ないホタルの生息地でありますみつ池もございます。それこそ東京の最後の自然を縫うように東京ルートは走っているわけでございます。教育環境としてもすばらしいところで、上智大学がある、早稲田学院がある、東京女子大がある、立教女学院があるというような学校がルートの上にあります。また、玉川上水を横断する、神田川上水を横断する。江戸時代からの文化財もございますし、雑木林もいっぱいございます。大臣は東京の方でございますから、あの地域のことは十分に御想像いただけると思うのですけれども、そこで、大臣にぜひお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十五年十月九日に参議院の建設委員会で当時の根本建設大臣が、大臣の政治判断として次のように申されました。「地元と話し得る条件のととのうまでは、これは強行すべきではない、」「その間においては、」「凍結せざるを得ない。」こういう発言がございました。これは議事録に掲載されています。これが関係者の皆さんの間で凍結宣言と言われているわけですけれども大臣、この御発言は今もそのとおりと受けとめさせていただいてよろしいものでしょうか。  きょうは後ろに地元の方々も心配でたくさん来ていただいています。二十五年間にわたって本当に不安に過ごされてきた方ばかりでございます。どうぞ皆さんに大臣からこの際、あの折の根本建設大臣の「地元と話し得る条件のととのうまでは、これは強行すべきではない、」「その間においては、」「凍結せざるを得ない。」この御発言が今も生きているということをお答えをいただきたいと存じます。
  91. 大塚雄司

    大塚国務大臣 仰せのとおり私は東京出身で、先生が住民の代表としていろいろ御意見を申される御心情についてはよくわかるわけであります。当時昭和四十一年に都市計画決定をいたしまして以来、今日まで数々の論議もよく承知をいたしております。そして、ただいまの根本建設大臣の発言についても承知をいたしております。  しかし、この昭和四十一年以降の東京の道路整備につきましては、私も東京都議会の議員として随分道路問題に取り組んでまいりました。美濃部知事も十二年の間に、道路の問題と公害の問題では随分いろいろな御見解をお示しになって、大変すぐれた御発言もございましたが、一方で例えば自動車の計画道路の三十六号、三十七号については住民の投票でなければその事業は進めないというようなこともおっしゃったことがありますけれども、やはり道路をつくることは東京都の行政でも非常に大事でありますから、そういう御発言がありましたけれども、結果的には投票などを行わずに住民の皆様方の理解を深めてということになったわけでございます。  我々も決して、住民の皆様のお気持ちやあるいは環境を大事にする、周辺に公害をまき散らすような計画ではならないわけでありますから、そういう道路構造をいろいろ研究をして住民の皆様の納得を得る方法で進めなければいけない、こういう御認識で当時の建設大臣は地元の皆様と話し得る計画とするような努力をするという意味での御発言である、私はこう受けとめておるわけでありまして、それからもう二十年の経過がございます。  一方で、もちろん反対をする意見もありますけれども、早く道路をつくれという御意見もたくさん来ておるわけでございまして、その辺の調整をするのが建設大臣としての非常に大きな責任であると思っております。したがいまして、地域の自治体や地域の御意見をしっかり踏まえて住民の皆様が納得されるような努力を一層積み重ねて対処をしてまいりたい、このように思っております。
  92. 常松裕志

    常松分科員 おとといの沖田代議士の御質問に対して、昭和四十一年当時の計画についてそれで実行することはない、このように御答弁をなさいました。今具体的な計画はないわけです。だったら、大臣、その昭和四十一年の計画実施をするということについては凍結をされているということでよろしいのじゃないでしょうか。
  93. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私が申し上げましたのは、都市計画決定をしたものを例えば路線を変えるとかそういうことは非常に難しいことですからあり得ない、こういう趣旨で申し上げたわけでありまして、例えば道路をつくるにしましても、その道路の形状であるとか地元の皆様に被害を与えないようなことで話し合いをするということが大事だという趣旨でお話を申し上げたわけでございます。
  94. 常松裕志

    常松分科員 調査費の問題について少しお尋ねをいたしたいと思いますが、建設省では関越道以南の外環道路について調査費を計上しています。現在、事業が行われている埼玉県ルートや大泉区間、そして計画の変更案の出ている千葉県市川市区間と区別をして関越道以南の調査費が設けられているその目的は一体何なんでしょうか。計画が事実上凍結状態にあるにもかかわらず、調査費を計上しているというのは一体どういうわけなのか、御答弁いただきたいと思います。
  95. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 御承知のようにこの東京周辺、その四十一年から二十年の間に全く、車の免許をお持ちの方々から車の保有台数から、すっかりプロの車社会からアマチュアの車社会、しかも極めて女性の方々も免許をお持ち、こういう非常に国民的な車社会に変わっております。そういう中でこの東京周辺の地域の利用状況もいろいろと変わってまいります。私ども調査といいますのはそういう全体的な調査を含めて絶えずその状況がどう変わってきてどういうふうな状況のもとではどういうことを考えていかなければいけないか、こういうことを常に用意をするのが調査の目的でございます。  この外環におきましては、そういう意味で環境保全に十分配慮した道路の構造、整備手法はどういうふうなやり方があるんだろうかということも含めて幅広く検討するために東京外郭環状道路全体として調査費を計上しているわけでございます。特にこの関越以南の十七キロにつきましては、都市計画決定はされているものの、その後の周辺の土地利用の変化や過去の経緯を踏まえますと、環境保全の考え方や整備手法の考え方など従来に増して新しいといいますか、非常に幅広いといいますか、やわらかいといいますか、幅広く検討して地域の意向を十分反映して御理解の得られる計画とはどういうものなんだろうか、こういうようなことを関係機関と密接な調整を図っていく上にはいろいろと調査をしなければなりません。そういう意味で調査をしている状況でございます。
  96. 常松裕志

    常松分科員 そうすると、昭和四十一年の計画を何とかごり押ししようとするための調査費ではなくて、その四十一年当時の計画現状に合わない、したがって、私としてはこれはもう凍結すべきだと思いますけれども建設省としては全く新しい何らかの計画策定のための調査だというふうに今の局長の答弁を受けとめさせていただきます。  その調査費なんですけれども、鎌田までの十六・七キロを対象としているのですか、それとも鎌田から東京湾岸道路、あっちはルートさえ決まってないわけですけれども、それも含めて調査をしているのですか、局長、答弁簡単にお願いします。
  97. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 二点、お答えいたします。  まず一点、そういう意味で何もないから新たに調査をする、そういう意味の調査ではございませんで、四十一年に都市計画決定をしたという事 実、これについてはその経緯を重視しながら、しかし質的な内容的なものをいろいろと検討する、そういう意味で申し上げたわけでございます。  それから二点目、外郭環状道路全体についての調査費でございますから、そのどの部分でどういうふうな内容について調査をするかはそのときどきの必要性、状況に応じて変わるわけでございます。したがって、外郭環状道路という構想全体について対象、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  98. 常松裕志

    常松分科員 時間がありませんから先へ進みますが、その調査費ですけれども、これはいつから計上されていて今年度までに大体どのくらい支出されているのか、そして一体どんなふうなものに支出されているのか、具体的にお示しをいただきたいと思いますが、時間がありませんから、どうぞひとつ手短にお願いいたします。
  99. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、調査は昭和三十六年に始めまして、以後四十一年から四十四年にかけて当時都市計画決定等々が行われましたが、こういうものも踏まえ、さらにその後、和光地区について五十五年に新たに環境面にも配慮した道路構造を取り入れた都市計画決定が行われましたが、これに要する調査もずっと続けてやってまいりました。さらにその全線にわたって地域における土地利用の変化や和光地区での道路構造を踏まえ、地域の御理解を得つつ、その他の埼玉県内や練馬地区について都市計画の変更を進めてきた、それはついての調査もやってきたわけでございます。さらに関越道以南につきましても、先ほど申しましたような御理解を得られる計画とするべく基本的な調査等々を幅広く進めている、こういうことでございまして、その調査は約十億円程度現在までに支出をいたしております。これは全線にわたっての調査でございますから、関越道以南だけ、こういう意味ではございません。
  100. 常松裕志

    常松分科員 調査費についてもう少し詳しくまた別途お尋ねをいたしますので、その折によろしくお願いいたしますが、建設省として、建設大臣として調査をなさっているということでございますので、私に寄せられているもう一通のお手紙をぜひ御紹介いたします。これは外環反対連盟の事務局長をやっておられる高橋明士さんという方からのお手紙でありまして、恐らくこの連盟の方々のお気持ちを代弁しておりますので、こういう住民の声を聞くというのが調査の最も肝心なことだと私は思いますので、御紹介をいたします。   外環道路計画昭和四十一年に都市計画として決まってから、今年でちょうど二十五年目になります。四半世紀という長い時間がすでに経過していることになります。   沿線住民は、この長い期間を、たった一本の線引き、都市計画決定という行政措置によって、苦しめられ、重い思いを背負って二十五年もの間、耐えてきました。   二十五年前も、そして今日も、沿線地域の多くは閑静な住宅地、良好な住宅地としてできあがっています。   ところが、そこに住んでいる人たちが、老後を孫や子どもたもと一緒に暮らそうと、家の改築や増築を考えると、都市計画という厚い壁にぶつかってしまいます。いつ立ち退きを迫られるか分からない。いつ何時、家を壊すといわれるか分からないという不安が絶えずつきまとっています。   もし外環ができたら、六十四メートル幅で自然環境や市街地が分断され、壊されることになります。大型車両の通過する高速道路が撒き散らす騒音、振動、排気ガスによる公害が発生することになります。   このような問題に外環の沿線住民は、二十五年もの間苦しめられてきました。   計画者である建設省は口を開けば、東京都には放射状道路があるが、環状道路が少ない。渋滞を解消し、通過車両を迂回させるために外環の建設が必要だといいます。   しかし、そのためには、すでにできあがっている市街地や商店街を壊さねばなりません。反対連盟が昨年行った調査では、昭和四十一年の計画で外環のために立ち退きとなる家が二千四百五十五軒にも達します。これだけの犠牲を払わねばできない都市計画とは何でしょうか。   沿線住民を苦しめるだけの外環計画は、一刻も早く「白紙撤回」とすべきです。その上で、どうしても環状道路が必要であるならば、改めて、地域住民が納得でき、また公共のための建設に協力できる計画を策定すべきです。仮に「白紙撤回」が直ちに困難であるならば、かつての歴代建設大臣が言明してきた「計画の凍結」を確認し、沿線住民の不安を取り敢えず軽くすべきです。 というお手紙を、大臣、預かってきています。ぜひひとつ、沿線住民の方々の不安にこたえるために、最後に一言だけ大臣から御発言をいただきたいと思います。
  101. 大塚雄司

    大塚国務大臣 建設大臣といたしましては大変複雑な気持ちを持っております。そのように長年苦しんでおられた方の御要望も数多く聞いておりますが、一方でまたこの車社会になった東京の混乱をどうして救っていくか、道路整備を早くしろというお声もたくさんございます。  しかも、一昨年私は衆議院の土地問題の特別委員長をいたしましていわゆる土地基本法を策定させていただきました。私有権をめぐってのいろいろな御論議がある中で、与野党の皆様方のお話で、土地につきましては国民の皆様に基本認識として公共の福祉を優先する、こういうことも言われておるわけでございまして、行政を預かる私といたしましては、本当に皆様の気持ちは十分理解しながらも悩んでおるところでございます。  しかし、だからといって公共の福祉を優先するからといってそういうものを優先してどしどし進めるなんということではございません。ともかく合意を得る、皆様方にわかっていただかなければ事業は進まないわけであります。その努力最大限やるという認識で努力をしてまいりたいと思います。
  102. 常松裕志

    常松分科員 先ほどの読み上げた手紙が皆さんのお気持ちですから、どうぞ十分酌み取っていただきたいということをお願いいたしまして、次に、住宅都市整備公団の建てかえ問題及び家賃問題についてお尋ねをいたします。  まず、建てかえの問題についてでございますが、私は昨年の第百十八特別国会で二回にわたって建てかえ問題について建設大臣に質問させていただきました。第一回目が四月二十七日の予算委員会の第八分科会、二回目が六月二十日の建設委員会でした。  この建てかえ問題についての私の根本的な考え方は、建設省及び公団が政策として進める建てかえですから、したがって、その団地に住み続けたいと希望なさる居住者の方々には漏れなく住み続けられるような建てかえでなければいけないという考えでございました。これは私は今でも変わっておりません。そして、このことを基本に大臣に対して特に御高齢の方々に対する特別措置の充実を要望いたしてまいりました。  具体的には、一つ、特別措置の期間を五年から現居住者については終生にしてほしい。二つ目、住宅扶助限度額を特別措置の基準としているのは不合理ではないか。三つ目、七十歳からではなく六十歳からの特別措置にしてほしい、このような点を要望いたしました。それで、その後公団において特別措置が充実されたと伺っているところでございます。また、リロケーション住宅を久米川団地の建てかえに当たっても具体化するようにという要望もいたしました。その後、このような点についても具体化が図られたと伺っているわけでございまして、その概要についてお答えをいただきたいと存じます。
  103. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 先生から今お話がございましたが、私どもとしましては、そういった御要望を踏まえましていろいろ検討しました結果、ことしの二月に特別措置の期間、これは従前五年間でございましたが、これを十年間に延長することにいたしました。それから、建設省の方で地域リロケー ション住宅というのを制度化されておりますが、それをうまく組み合わせることによって、いわゆる社会的に弱い立場にある方々につきましてもそう無理のない格好で新しいところにお住まいいただけるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  104. 常松裕志

    常松分科員 リロケーション住宅を組み合わせるなどいろいろな工夫をしていただいた建設省並びに公団の関係者の皆さんの御努力については心から敬意を表したいと存じますが、実は久米川の問題についてちょっと二、三お伺いをいたしたいと思います。  そのリロケーション住宅ですけれども、久米川団地等につくられる場合に、これは別棟になるのでしょうか。リロケーション住宅というのは別にどこかにつくられるということになるのでしょうか。
  105. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 まず、ちょっと地域リロケーション住宅について御説明申し上げますと、これは原則は平成年度説明開始団地でございますが、居住者の要望がある場合タイミングも間に合いますので、可能な限り平成年度説明団地についても対象としたい、このように考えておりまして、久米川団地に実際に建設することについては今後検討してまいりたいと考えておりますが、地域リロケーション住宅を建設するに際しましては、別の棟ということではございませんで、公団の一般の建てかえ住宅の中につくる。それにつきましては国庫補助が入っておりますので、一般の家賃よりは安くなるということはございますが、別棟ではっきり区分するというようなことは考えておらないわけでございます。
  106. 常松裕志

    常松分科員 それが一番よろしいのじゃないかと思いますが、その後、家賃についてなんですけれども、例えば久米川団地の場合で言いますと、今回の特別措置の充実によってですが、平成元年に六十歳だった方がリロケーション住宅を希望したとします。そうしますと、その方は、戻り入居するのは平成五年に戻り入居になるわけですけれども、リロケーション住宅に入る。二DKのモデルですと、たしか一番初年度の家賃は二万六千六百七十七円というモデルになっていたと私記憶しているのですが、六十四歳になったときにリロケーション住宅を希望している方についての家賃は、そのモデルで言うと二万六千六百七十七円が適用されるというふうに受けとめてよろしいわけでございますね。
  107. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 先生もおっしゃられましたが、これは東京都内の平成元年着手団地の平均でございますが、御指摘のとおりでございます。
  108. 常松裕志

    常松分科員 確かに特別措置はリロケーション住宅との組み合わせによって相当充実をしてきたことはよく理解できました。  私は、六月二十日の建設委員会の御質問の折に、伊藤住宅局長からこういう御答弁をいただいています。私の質問は、公営住宅を建てかえ公団住宅の中の敷地に併設できないか、こういう質問をしたわけですけれども、その折、局長から、事業主体、つまり公団や都の合意が得られればできます、そして検討してみたいという御回答をいただいているわけですが、その後どんなふうな御検討がされているのでしょうか。
  109. 立石真

    ○立石政府委員 まず、全体の問題といたしまして、公団住宅の建てかえ事業に際しまして、その中に住んでいられる低所得者のために公営住宅活用する方法としましては、そのときもお答えしたかと思いますが、平成年度におきまして建てかえ事業に伴い公営住宅へ優先入居ができる制度が創設されまして、これまで十六の公共団体において入居実績があるところでございます。  ただ、この場合にはその団地内に居住するということではなくて、他の地域に散らばるということでございまして、先生の御指摘のところにつきまして次にお答えしたいと思いますが、居住者の中で従前の団地に引き続き居住したい、しかしながら建てかえ後の家賃の負担に耐えられない、非常に家賃の負担が重荷であるというようなことから、その低所得者に対して何らかの形で公営住宅を供給できないかというお話だと思うわけでございますが、これを一つの団地の中に公営住宅を入れようとしますと、公団住宅の敷地の一部を地方自治体に売却したり、あるいは他の団地との交換をしたりして公営住宅の建設を行うことになろうかと思うわけでございます。こういうようなことをいたすためには、かなり団地の状況とかあるいは入居者の状況とか、さらにその地域周辺を含めましての公営住宅の現在の状況とか、そういうものを総体的に考えなくちゃならないと考えておりまして、また具体的に管理上の問題等もあろうかと思っておるわけでございますが、その可能性についてはこれまで勉強してまいりまして、具体的な案件についても可能性は強まってきているというふうに思っております。
  110. 常松裕志

    常松分科員 最後に、家賃の値上げの問題で、大臣一つだけお尋ねをいたします。  お尋ねをしたいことは、このたび公団は十月からの家賃の値上げを計画しているやに聞いているわけでありますが、この家賃の値上げが実施されますと、特に既設団地に住んでいる御高齢の方々は非常に大変な事態になります。小平団地に住んでいらっしゃる日比谷圭介さんとおっしゃる九十歳のお年寄りからお手紙をいただいておりますが、現在毎月の年金が十六万円だ、そして三万三千円ぐらい家賃が出ていく、その上にまた一万円の値上げになったらとても生きていくことができない、こういうお手紙をいただいているところです。そこで大臣、ひとつ強力に大臣の御指導をいただいて、この御高齢の方々に対する家賃値上げについての特別な措置をやっていただけないかということを、最後に一つだけお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。
  111. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私は、昭和三十年から三十六年まで住宅公団に所属をいたしました。この新川団地もそうでありますが、公団の住宅を建てる仕事をやったわけでありますが、当時のことをしばしば思い起こすわけであります。いずれの団地も大変に競争の高い、そしてまた今日も住宅が大変ニーズが高いわけでありまして、どこまで建てたら御満足をいただけるか、本当にほど遠い感を残念に思っておるわけでありますが、ともかく懸命にやらなきゃいかぬ。抽せんに当たった方は本当に幸せであったと思いますけれども、外れた方もたくさんいる。そういう人のことも考えてこの住宅行政を進めるという立場にあるわけでありますから、ともかくこれからの住宅供給を進めていく上で、やむを得ず家賃の値上げをしなければいかぬということでありますが、今日まだ申請が出てきておりませんので、いずれ出てまいりますれば、当然のことながらいわゆる高齢者のためにはしっかりと対応をしていきたい、それはもう当然やることでありますからできるだけやりたい、このように思っております。
  112. 常松裕志

    常松分科員 ありがとうございました。
  113. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて常松裕志君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤祐弘君。
  114. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 高速道路の公害対策の問題でお聞きをしたいと思います。  日本道路公団が発足して三十五年たちまして、総延長距離も大変な長さになっておるわけですが、特に都市部の高速道路で騒音でありますとかいろいろな被害が、その高速道路が延びるのに比例してふえているというのが実情だろうというふうに思うのです。そういう点で、最初に高速道路の公害対策につきまして、建設省としてどのように取り組んでおられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  115. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 道路の環境の保全、これは極めて重要でございまして、私ども第十次道路整備五カ年計画の主要なテーマの一つとして掲げて、その対応を図ってきておるところでございます。特に、高速道路の騒音対策、これについては極めていろいろなところで問題を投げかけております。  しかしながら、都市活動の活発化による交通の増大、やはり車の保有台数も五千七百万、免許保 有者も六千万人、こういう中で車がいろいろな工夫のもとに使われてくるということになりますと、私どもその実態に合わせた対策といいますか環境計画といったようなものを考えていかざるを得ないと思っておりまして、特にこの道路交通騒音問題を解決するためには、基本的にはやはり自動車の構造というものの改善を基本としなければいけないんじゃないかなと思いつつも、私ども道路管理者といたしましては、首都高速道路のようなネットワークを形成する道路にあっては、環状道路等の道路交通の分散に資する道路整備を図る。言ってみれば一カ所に車をためるのではなくて、きちっと環境計画のもとにつくった道路を巧みにネットワーク化して、そこをうまく使っていただく、言ってみればネットワークによる解決、これが一つあろうかと思います。  それから、そういう場合に、今度は遮音壁の設置等道路構造についての質的な改善を図っていく、こういうのが二点目にあろうかと思いますし、沿道土地利用の適正化をあわせて図っていく、こういうものもあると思いますし、あるいはソフトの関係としては、交通取り締まりといいますか交通の誘導といったようなものもあろうかと思います。そういうハード、ソフト、根本的な計画論、こういうものの総合の中でやるわけでございまして、沿道の土地利用を適切に誘導し、秩序ある土地利用の形成という点から、幹線道路の沿道の整備に関する法律というものをつくりまして、沿道整備制度を創設いたしております。この中で、道路構造の改善の推進とともに、緩衝建築物の誘導、沿道の建物で音に強い建物のために国も補助をする、こういった誘導とか防音工事助成、二重窓等々そういう沿道に対する対策実施しているところでございます。  このため、既に供用している高速道路にありましては、地域状況関係者の意向等を把握の上そういう対策をしておるわけですが、遮音壁あるいは環境施設帯、こういうものの整備を進めているわけでございますが、平成年度末での関係四公団において、ちょうど遮音壁は千九百キロにも及んでおります。また、環境施設帯も七十キロに及んでいるようでございます。さらに、遮音壁等の道路構造対策実施してもなおかつ夜間の騒音が著しい場合に、家屋の防音工事助成を実施しているわけでございますが、これが平成年度末までには三万八千戸について助成をさせていただいておる、こういうようなことでございます。  いずれにしても、都市生活そして庶民に根づいた車社会の実態を、我々道路をつくる側、計画する側がどのようにカバーしながらこういう環境の保全というのに対して対応していくか、これはこれからも研究をしていかなけりゃいけない課題だと思っております。現状でできることはやる、そして考えられることは今後とも考えていく、こういう姿勢でこの環境問題には対応させていただきたいと思っております。
  116. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 短い時間ですので、できるだけ的確に短くお答えいただきたいと思います。  いろいろお話がありましたが、ネットワーク云云につきましては、それによって解決するということでもないんですね。やはりその高速道路が走っておるところで、まさに騒音、大気汚染がいかに起きているか、それを具体的にどう防いでいくかということでありますから、ネットワークが完成してますます交通量がふえるということだってあるわけですから、それを第一におっしゃったのは私は納得できないものがあります。  具体的に今度は環境庁にお尋ねをしますが、お見えいただいておりますね。環境庁が昨年十二月に、自動車交通騒音実態調査報告というのをまとめられました。これを拝見いたしますと、いわゆる環境基準を朝、昼、夕、夜と四つの時間帯ですべて達成しているのはわずか一三・四%、そしてこの四つの時間帯のいずれかで達成しているのを見ましても三三%程度しかないということで、全体としては非常に悪いという結果じゃないかというふうに思うのですが、どのように考えておられるか。特にまた、その中で都市高速道路の場合どういうことになっているか、その点お答えいただきたいと思います。
  117. 下平隆

    ○下平説明員 お答え申し上げます。  環境庁が取りまとめました平成元年の自動車交通騒音実態調査報告によりますと、生活環境を保全する上で維持することが望ましいとされております環境基準の達成の状況でございますけれども、高速自動車道におきましては、二百九十の測定点のうち達成をいたしましたのは七十一測定点でございまして、率にいたしまして二四・五%、都市高速道路におきましては、百一の測定点のうち達成いたしましたのは七測定点でございまして、達成率六・九%という、いずれも低い水準になっております。
  118. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 これは本当に深刻な事態だと私は言わざるを得ないと思うのです。環境基準というのを決めながら、それが都市高速の場合にはわずか六・九%ですよ、達成しているのは。やはりこの状態を、相当私は建設省には深刻に受けとめてもらわなければならぬというふうに思います。こういう傾向は、ずっと統計を拝見いたしましたが、五年間ほとんど変わっていない、改善が進んでいないというのが実態なのです。  それでまた、特に都市高速の中の首都高速で調べてみたわけですが、都市高速百一カ所の測定点、首都高速にかかわる測定箇所は五十六カ所でありますが、この五十六カ所の測定箇所のうちで環境基準を達成しているところは一つもないのです。ゼロなのです。いわゆる要請限度というのがあって、これはちょっと緩めた値ですが、要請限度もさらに騒音が超えている、それが八〇・四%なんですよ。こういう状況になっていることについて、建設省はどういうふうに考えておりますか。
  119. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、都市生活がいろいろと発展してまいりました。車社会が非常に定着してきた、そういう中での移動のニーズをどのようにさばいていくかというときに、交通の渋滞あるいはその渋滞から伴う環境問題、首都高速などは全線にわたって多くの利用があるために渋滞問題が起きております。こういうことがひいては環境問題につながっているわけでございまして、国民、利用者のニーズ、これをどういうふうに一方ではさばきながら環境問題に対しても的確に対応するかということから、計画論と対策論、この両方をあわせて対応していかなければいけないものと思っております。
  120. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 そういう抽象的な答弁では、私は問題だと思うのです。本当に今言ったように深刻な事態なんですよ。これはニーズとかなんとか、そういうことでは済まないのです。日々その沿線の住民はもろに被害をかぶっているのですよ。  もう少し具体的に言いますと、先ほど二重窓のお話がありました、助成をやっていると。ある程度やられていることは知っています。しかし、例えば私は東京の東部なんですが、足立、葛飾、江戸川という三区があります。ここに首都高速の葛飾江戸川線が開通しています。例えば葛飾区に堀切というところがあるのです。ここは、下の道路まで入れますと五重構造にもなっています。高速がずっとインターで分岐していて、そういうことから騒音が重複して大変大きい。そこで、近辺も私、お話を聞きに歩きました。確かに二重窓をやっているところもあります。二重窓をやれば解決するというのも一つ問題なんです。二重窓をやっているときには、夏でも窓をあけられないのです。そうでしょう。自然の空気が入らない。だから、二重窓でよしとするのは問題だということがありますし、基準があるので、実際には生活している人の感覚では耐えられないということがあっても、二重窓がやられないというのもあるのです。幾つもこれは例はあります。ですから自費で、これは堀切四丁目の方ですが、自費で二重窓に改修した、それでも騒音がひどくて深刻だというようなお話とか、いろいろなこともあるわけです。具体的にいろいろ私、途中でも公団の方にも要請したりしておりますので、どういうふうに対策が進 んでいるかをお聞きしたいのです。  一つは、今申し上げました堀切周辺の防音対策です。それからもう一つは、足立の江北でありますが、ここもずっと長い距離にわたりまして遮音壁がなくて、住民の方から今強い要望が出ております。何とかその騒音を解決してもらいたい。あるいは首都高速の七号線です。七号線の江戸川の春江町あたりの問題では、住民の方が署名を集められて公団にも要請されるということがございました。それぞれについてどういうような対応措置、対策をとろうとしておられるのか、進めておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  121. 佐藤本次郎

    佐藤参考人 ただいま御指摘の環境対策でございますけれども、主として私ども供用を開始している路線について行っておりますのは、時間の関係上騒音対策に絞って説明させていただきます。また、先生の御指摘もそこじゃないかと思いますけれども、騒音対策といたしましては、自動車が通行することによって発生する騒音をまず少なくすることが一つございます。  その方法といたしましては、構造的に解決しなければならないという点で、例の橋梁のジョイントがございます。そのジョイントを通るときのショックによりましての騒音がございます。これにつきましては、できるだけ耐久性のあるジョイントで振動を余り起こさないような工法を考案いたしまして、現在その整備を進めているところでございます。それからもう一つ、路面の不整形によりますショックによりまして、その振動による騒音もございますけれども、これは補修工事を徹底いたしまして、できるだけ路面の凹凸がないように素早く手配をしているところでございます。  それから、一たん発生された音につきましては、これを構造的にできるだけ少なくするということで、一般的な例といたしましては例の遮音壁、これを整備してございますけれども、これは実際は五十センチから二メーターぐらいの高さになりますが、非常に高い遮音壁で東西に走る路線ですと日照権の問題もございますので、地域の皆さん方の十分な御理解を得ながら実施しているというところでございます。  それからもう一つ、これは堀切の例になるかと思いますけれども、堀切―船堀のところです。二重構造になっているところは、やはり上の路面裏に音が反射して周辺の地域にある程度の騒音の影響を与えているというようなことがございますものですから、私ども実は試験的に五号線で、二階建てのところで裏面吸音板というのを実施いたしました。比較的それは騒音を軽減するという効果がございますものですから、二階建てまたは三階建てになるようなところでは、裏面吸音板を今後実施していきたいと思っております。それからもう一つ、そういう対策を行っても、また行えないようなところで、住宅地で騒音がどうしても問題があるというようなところにつきましては、基準等ございますけれども、二重窓の防音工事の助成も個別にやっているところでございます。  御指摘の中央環状線の江北地区、これは足立区の江北でございますけれども、それからもう一つ小菅、四つ木地区、それからもう一つは江戸川区の春江地区ですか、そこの周辺の方からは御要望はいただいております。私どもはこの御要望につきまして、今いろいろ調査している段階でございますけれども、場合によりましてはできるだけ早く対応していきたいと思いますけれども、恐らくその方法といたしましては、小菅、堀切につきましては吸音板を含めた対策、それ以外のところにつきましては遮音壁を実施していきたいということで、今後また地元の方ともいろいろお話し合いに入りたいと思っているところでございます。  以上でございます。
  122. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 場合によってはということではなくて、春江の方たちは、公団にお話に行って遮音壁をつけていただけることになったと言って大変喜んでいるのですが、そうじゃないのですか。
  123. 佐藤本次郎

    佐藤参考人 実は、これは予算上の裏づけがございまして、私が申し上げましたのは平成年度以降にやる予定でございます。現在の平成年度にはまだ予算化されておりませんので、また平成年度予算も現在審議中でございますので、そういった意味でまだ予定でございますと申し上げたところでございますけれども、私どもとしては、地元の皆さんの意向を聞いて十分対応させていただきたいとは思っているところでございます。  以上です。
  124. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 住民の要望も大変強いわけでありますから、早い実現の方向で――夏までにというのは強い要望なんですよ。夏は特に、南向きの家は窓をあけますし、北向きだってあけますけれども、ところがそこに騒音が入ってきますから、夜閉め切ってというのは大変寝苦しいし、ですから早く夏までにという要望で去年から私はお聞きしていました。そういう状況もありますから、早急な実施要望しておきたいと思います。  それともう一つ、今非常に地元の方が御心配しておられて大きな問題になっておりますのが江戸川区の清新町というところなんです。ずっと葛飾江戸川線が行きますね。湾岸線にぶつかるわけですが、その手前に新たにランプをつくるという計画が出てきたわけです。これにつきまして、この清新町というのは、御承知かと思いますが最初高速の線が計画された時点にはなかったわけだと思うのですが、高層住宅がたくさん建っている住宅地域なんです。そこにランプがつくられるということになると、騒音とか汚染とか心配だ。今でさえ、地下鉄東西線と中土手を走っている高速道路の騒音が非常に問題になっているわけですよ。それに加えてランプということになりますとこれは大変だというので、実は住民の方が非常に心配して、先日も江戸川区議会に対して何とかランプの計画をやめるように要請をしてもらいたいということで、一万人を超える署名を集めて陳情もされている、こういう状況があるのです。公団としてはこのランプについて、ランプができた場合に大変な交通量、しかも大型トラックが多くなるのじゃないかとかいろいろな御心配が地元にはあるわけですが、そういう点公団としてはどういうふうに考えておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  125. 佐藤本次郎

    佐藤参考人 私どもの担当しております首都高速道路は、都市内の市街地をネットワークとして走ってございまして、できるだけ均衡に地域の皆さん方にサービスできるように、比較的密度の高い区間でランプをつくりまして地元の方のサービスを図っているところでございます。したがいまして、一般の高速道路とはちょっと違いますけれども、ただそのときに、私どもの考え方といたしましては、下にランプに連絡する道路があることがまず必要ですね、アクセス道路として。それから一方では、余り密度を高くつくりますと首都高速道路を走る交通流に対しても影響がございます。その辺を勘案しながら、やはり地元サービスを第一ということでランプを検討しているところでございます。  御指摘の江戸川区の清新町付近につきましては、確かに六十二年九月に供用開始されたときには計画されておりませんでした。その後、あの地区は北の方に船堀ランプがあって、比較的密度の薄いところでございます。一方では、市街地も熟成してきてございまして、首都高速にできるだけ速く連絡するようなサービスをという要望もございます。そういうことで、江戸川区の方からこのランプの設置の要望をこの辺でということを受けております。  ところが一方、下の方にやや幹線的な都道の計画がございます。この計画と私どもの中央環状線を接続することの方が、より都市交通を円滑に使用するためにも、よりサービスを向上するためにも必要なランプじゃないかと私どもとしては思っているところでございます。ところがこのランプは、用地の関係等で必ずしも外回り、内回りに対してすべてサービスできるようなランプでございませんで、北方向についてサービスするという、いわゆる半分のサービスを行うランプを今計画し ているところでございます。したがいまして、これは下の幹線の都道と一体となっているものでございますけれども、この幹線の都道を都市計画すべく現在都の方でいろいろ地元の方とお話し合いをしているというふうに聞いております。  私どもとしては、そういった幹線道路ができた暁には必要なランプではないかということで、地元の方々に、この道路と一緒にこのランプの必要性について御理解と御協力をお願いしたいと思っているところでございます。  以上でございます。
  126. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 経過的には、当初の段階で区の方から、ただ高速道路が走るだけか、地元には全くメリットがないじゃないか、だから乗りおりできるランプをつけてほしいという要望が出た事実は、私も知っています。それはかなり前のことです。しかし、その後交通量が大変ですね。一日の台数は九万台とも聞いておりますが、大変な交通量で騒音、排気ガスがひどい。加えてこの清新町の場合には、その上の船堀とか平井と違いまして、船堀の場合で言いますと、中土手に高速道路が走っているわけですよね。そこに道路があって、そこに直でランプになっていますから、離れた住宅の方の影響は若干少ないわけですね。同じようなことを当初はイメージしていたのかもわからない。  都道との絡みがあるのですが、当初計画では都道が東西線の北側につけられるというような話もありました。今回これが南側になるということもあって、この複雑なランプの設計図が今出されているわけですが、そういうことから当初と違って、地域の方は反対だという声が非常に強く起きてきているというのが実態なんですね。ですから、当初そういうことがあったからということだけで進められるのではなくて、新たな状況の変化といいますか実情に即して、住民の合意がなければ強行しない、そういう態度で臨んでいただきたいというふうに私は思うのです。  そういう点、建設大臣は東京選出でもありますが、そういう住民合意なしにはそういう強引なやり方はしないというふうにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  127. 大塚雄司

    大塚国務大臣 高速道路をめぐる騒音あるいは環境問題が大変に大事であることは、同じ東京でありますから私も十分承知をいたしております。例えば、遮音壁をつけるといえば、東西ですと日照問題が起きて反対運動が起きる。ただ、行政でございますから、すべての反対にパーフェクトに対処をするということは当然できないわけでありますから、今御指摘のように、住民のお立場をよく考えて、それこそ今お話しの夏の時期に窓もあげられないというようなことは非常にお気の毒でもございますから、そういうようなこともきめ細かく調査をいたしまして、考え方としては、住民の皆様のできる限りの要望を取り入れるという方向で努力をしていく、こう考えております。
  128. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 またつけ加えて申し上げますと、少し時間がなくなってきてしまったのですが、この江戸川区というのは東京二十三区の中でも非常に公害がひどくて、いわゆる公害認定患者、これは三番目に多いのですよ。一番目が足立で、二番目が大田区ですね。三番目が江戸川区というような地域でもあるのですね。しかも、現在でも問題の周辺というのは六十ホンから六十五ホン、これは終日ですよ。学校もあるのですが、こういう騒音の数字が出ておる。それに加えて、ランプで車の出入りが激しくなる。近くにトラックターミナルなどもあるのですよ。ですから、そういう大型トラックが来るのじゃないか。  事実、そういう細かい話になりますが、葛西インターというのがありまして、その先に葛西ランプというのがあるのですね。そこは今大渋滞なのです。だから、これがこちら側にランプができると、そういうのも皆回ってくるのじゃないか。この間にトラックターミナルがあるのですよ。それだけに住民の方の心配が非常に大きいし、だからもうやめてほしいというのは切実な声になっているという状況なんですね。ですから、その住民の要望を何よりも大事にするという立場で、今大臣も住民の方の納得ということを重視するということをおっしゃったわけですが、そういうことで当たっていただきたい。私としては、もう現在の状況では、このランプ計画は中止をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  最後、混雑緩和の問題で、高速道路の混雑緩和の問題などもお聞きをしたかったのでありますが、本当に首都高、これはみんな体験していると思うのですが、箱崎の渋滞ですね、これがもう全線に影響していて大変なことになっているのですね。これまた言いますと、ネットワークとかいろいろなこともおっしゃるのじゃないかと思うが、そうではなくて、ネットワークの問題といいましても、新宿線の方でも反対運動も起きています。いつできるかわからないわけですね。それで、つくることが妥当かどうかという問題も検討しなければならぬ、そういうことですから、そういうことではなくて、今のこの状況の中で箱崎のあの渋滞をどう解決するのか。  実際に高速を使ってみて困るのは、渋滞に巻き込まれてしまうと逃げ場がないということもあるのですね。そういう場合には、出口だけをもっとたくさんつけるとか、何とか幅を広げるとか、そういう応急の対策があっていいものじゃないかと思うのですが、そこに絞って御答弁いただいて、ちょうど時間となると思うので、いただきたいと思います。
  129. 佐藤本次郎

    佐藤参考人 それでは、抜本的な解決策は抜きにいたしまして、緊急対策を申し上げます。  しかも、既に実行しているものもございますので紹介させていただきますと、平成元年末に大井付近で湾岸線とそれから一号線を連絡する道路完成いたしました。これは、千葉の方から九号線を通って箱崎に行くルートのバイパスでございまして、多少遠回りでございますけれども、時間的には早く目的地に着くというルートでございますので、九号線の箱崎への上りにつきましては、この効果は相当あらわれました。  それ以外に、御指摘の箱崎には六号、七号それから環状線も入ってございますので、この緊急対策といたしましては、江戸橋から箱崎の区間、現在三車線でございます。そこがネックになって、現在都心環状線、それがまた四号線、五号線へ影響しているということがございますので、そこを根本的に解決する必要があるのではないかということで、約四百メーターぐらいですけれども、三車線を今四車線に拡幅するように検討してございます。ただし、ここは非常に町の中でございます。例の小網町だとか日本橋という非常に稠密な、商業活動の行われているところでございますので、構造的にもそれから施工的にも、非常に慎重を要するところでございます。また、上空を利用するということもございまして、関係機関も非常に多くございますので、その辺と現在調整中でございますけれども、私ども公団といたしましては、この江戸橋から箱崎に行く拡幅が相当効果を発するのじゃないかということで、今準備を進めているところでございます。  それから、御指摘のように、放射線で都心環状線流入部のところでのオフランプをつくったらどうかということでございます。これにつきましては、七号線で両国インターの近くで一つ、これも現在検討してございます。それから、錦糸町のオフランプも車線数をふやす、これはもう今工事していまして、もうすぐ完成すると思いますけれども、それ以外の路線につきましても、できるだけ都心環状線に負担にならないように、その直前でのオフランプというものを今検討してございますけれども、やはり下の道路への影響もございますので、それをどうするかということを今関係機関といろいろ調整、検討しているというところでございます。
  130. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 御答弁いただきまして、高速道路につきましては便利さ、そういう意味での要求と同時に、騒音、汚染、公害対策ですね、これがもう非常に大事だということを重ねて強調したいわけでありますし、ですから、そういう問題で 新たな不安が起きているというような地域では、住民の合意なしに強行はしないという態度で臨んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  131. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて佐藤祐弘君の質疑は終了いたしました。  次に、田並胤明君
  132. 田並胤明

    田並分科員 それでは、主に十七号国道バイパス関係について三点と、それから百四十号と圏央道と、合計五つの問題について質問をこれからいたします。  ついせんだって、NHKが「くらしと政治九一・三」ということで、暮らしと政治全般についての世論調査を行った結果が出ておりますが、その中で国政並びに地方政治に何を望むかということで調査が行われております。国政の問題は、主に景気対策だとか消費税だとか土地であるとか国際問題であるとかなっていますが、地方のレベルにおける政治に望むものとして、福祉医療がトップでございますが、あとは大体要望する割合としては、道路交通網の整備、環境問題、地元産業の振興、こういうのが上位を占めているわけです。国政と地方政治を分けることは必要ないのでありまして、必ずリンケージする問題で、考えてみますと、やはり何といっても地元の産業の振興であるとかあるいは環境整備の問題であるとか景気をよくしてくれという問題、すべて道路交通網の整備というのが非常に大きな役割を果たすだろうということを、この調査結果は示していると思うのです。  そこで、私が聞きたい第一点は、埼玉県の深谷から群馬県の伊勢崎を経て前橋に至る上武道路の問題なんです。これは一般国道の十七号のバイパスとして、今申し上げた路線をつなぐ非常に重要な路線でありますが、これが調査が開始をされたのが昭和四十一年というふうに聞いております。それでおおむね平成年度中には、上武道路と上武大橋と完成をして供用開始になるという予定のようでございます。大変熱心に努力をされた建設省には感謝を申し上げたいのですが、調査を開始して二十五年といいますから四分の一世紀たたないと、距離としてはわずかと言うと怒られますが、埼玉側の工事区間というのは五キロなんですね。わずか五キロなんです。群馬側の方は、比較的早く三十六キロ部分が建設をされまして、もう既に供用開始になっておりますが、この上武大橋ができないことによって、埼玉側の五キロの工事が非常におくれたという経過になっていると思うのです。  私どもとして非常に待っておった道路でございますし、これができることによって十七号の交通渋滞もかなり緩和をされますし期待の持てる道路なのでございますが、平成年度にとりあえず暫定二車線で供用開始をするという方針は立てられているようでございますが、これまで延びて延びて延びてきたものですから、地元としては、建設省がこういう方針でやっておるんだと言われてもやや疑心暗鬼なんです。ぜひひとつこの目標に向かって全力を挙げて、間違いなく平成年度のなるべく早い時間帯に供用開始ができるような方針を確立をしていただきたいし、現況どの程度の、いつごろ暫定供用開始になる予定で工事を進められているのか。もちろん平成年度予算が通りませんとこれはできないわけでありますけれども、一応建設省としてどの辺をめどに今工事を進捗されておるのか、この辺をお聞かせを願いたいと思います。
  133. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘のこの上武道路、十七号のバイパス計画は、御承知のように浦和そして大宮、こういうふうにだんだん外延してまいりました。また一方、高崎、前橋の方からどんどん延びてまいりました。そういう意味で、先生が御指摘のこの上武区間、いろいろな経緯もありたと思いますが、ここが現在の状況であることは私ども十分承知しております。  そういう中で、この上武道路としては、前橋市の今井町から群馬県内の新田郡尾島町の方の十九キロが暫定二車線で供用中でございまして、現在の新上武大橋を含むこの部分についてはこれからということでございましたが、群馬県、埼玉県境の利根川にかかる九百四十五メーター橋梁で、ここができるということは極めて大きな効果があるということで、六十一年から工事に着手し、橋梁本体はもう完成いたしております。今最後の、その他の工事をやっております。これだけ延びたというのは、実は私ども、当初これ有料でやるという計画もありました。それが今は無料の道路ということで、そういう計画の変更も若干影響したのだと思います。  そういうこともありまして、前後の関連区間である埼玉県側の五キロ、群馬県側の三キロについては工事促進しておりますが、この新上武大橋を含め、平成年度供用については、三年度のうちでもできれば年内という気持ちで今進めております。若干用地の難航があったためにこういう状況になったことは事実でございますが、どうやら暫定供用においては、用地の残件が実は残りますけれども、暫定供用としては支障がないという見通しが立ちましたので、こういうことで進めたいと思っております。
  134. 田並胤明

    田並分科員 今の局長の話を聞いて、恐らく地元の人は喜ぶんじゃないかと思うのですが、平成三年内に、年度内じゃなくて平成三年内にぜひ完成をするように、供用開始ができるようにひとつ一層の御努力お願いしたいと思います。  これも一般国道の十七号のバイパスの問題ですから若干関連はするのですが、熊谷バイパスから分かれていくところが上武道路で、さらに熊谷バイパスをそのまま北進をいたしますのが深谷バイパスでございますが、この十七号の深谷バイパスも延長約十五キロ、これもおかげさまで平成年度に暫定二車線で供用開始になりました。時間は、これもやはり二十年近くかかっているんでしょうか、昭和四十六年に都市計画決定ですから。非常にこの辺も農村地帯で、用地買収の方はかなり地元の協力があったようなんですが、これもかなりかかりました。しかし、おかげさまで平成年度に暫定二車線で供用開始になりまして、これによりまして既に供用されております熊谷バイパスと結ばれて、従来の熊谷市内と深谷市内の街内を通っておりました旧十七号、これの交通渋滞もいささか解消されたという感じがいたします、私どもよく通りますので。  しかし年々交通量はふえておりますから、間もなくこの新しい暫定二車線の深谷バイパス、それからそれを経由して熊谷バイパスに入ってまいりますと、どうしても現時点ではもう既に熊谷市内で渋滞が始まっているという状況です。特に週末とかそういうのに集中はされますけれども、しかし熊谷の市内を通過をするだけでも上り、下りとも相当の時間がかかる、こういう状態が既に出始めておりまして、深谷のバイパスへ行きますとやや緩和をされますが、上武道路ができればなお緩和をされるんでしょうが、ぜひひとつ、先に手を打ってもらうというのはなかなか建設省の場合難しいんだと思うのですけれども、暫定二車線から四車線化の早期完成というのは、そんなに遠くないうちにやらないといけない状態になるのではないだろうか、こういう気がいたしますので、これについても非常に地元の方でもそのことを強く望んでおりますから、この深谷バイパスの暫定二車線を四車線化にする工事を早急に着手をするべきではないだろうか。これの見通し等についてお聞かせを願いたいと思います。
  135. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生つぶさに御発言になられたとおりでございまして、ここは昭和六十年に熊谷市の玉井から東別府間の一・四キロ供用を手始めに、平成二年の昨年の二月に全線暫定二車線で供用をさせていただきました。供用後いろいろな問題がございまして、横断歩道橋等交通安全施設の整備とか緑化とかといったような、環境整備も今あわせてやらしていただいております。  これの四車線化をいつやるかということでございますけれども、交通も非常に順調にさらに今やだんだん交通がふえて、四車化の必要性の状況は一層高まりつつあります。その前後に熊谷バイパ スというものがございまして、この熊谷バイパスも今四車化の事業が最盛期でございまして、こういう状況を踏まえまして、この進捗に合わせて、この熊谷バイパスについては結局第二・十七号の効用が果たされることが一番望ましいわけですから、そういう意味で一気にはできませんけれども区間についての計画はきちっと立てながら、逐次計画的に四車化の対応もさせていただきたいと思います。
  136. 田並胤明

    田並分科員 今局長の方で、熊谷バイパスの方までお話が出たようなんで、関連してあわせて質問させてもらいますが、この深谷バイパスのさらに東京奇りが熊谷バイパスでございまして、鴻巣市の箕田から熊谷市の高柳というところまで十八キロほど熊谷バイパスがございますが、これはおかげさまで昭和六十三年に埼玉博覧会が行われまして、そのときに大分建設省御協力を願って、当初の予定よりも延長して四車線化をしていただきました。埼玉博に来るお客さんは百万を突破をいたしましたが、そういう意味では、交通渋滞の解消に大いに貢献をしていただいた点は高く評価をしたいと思うのですが、現在まだ行田市の市内から鴻巣市の箕田まで八キロほど暫定二車線になっておるわけですね。今の局長の話では、鋭意熊谷バイパスについても全線四車線化で取り組んでいる、こういうお話でございますので、ぜひそれの促進方を強く求めると同時に、いつごろまでにこの熊谷バイパス全線四車線化を考えておられるのか、それをお聞きをしたいということ。  もう一つは、鴻巣市の箕田から今度は従来の十七号に入っていきます。そうしますと、深谷バイパスができ上がり、熊谷バイパスができ上がって、それで従来の十七号に入っていきますんで、そこからまた渋滞が非常に激しくなる。途中大宮あたりからは十六号が一緒になるものですから余計混雑をして、私今熊谷市に住んでおりますが、例えば熊谷から県庁所在地の浦和へ行くのに、私が県会議員をやっている当時というのは一時間ちょっとで浦和まで着いたんです、車で行っても。現在は、もう二時間半ぐらい見ないと浦和まで到着しません。したがって、私の場合には、関越自動車道の東松山インターへ乗って所沢インターでおりて浦所線で浦和へ入る、こういう路線を通るか、あるいは一部農免道路が熊谷のすぐ隣の町にありますのでそれを利用して川越へ抜けて、川越から十六号へ入って大宮へ出て、大宮から今度は裏通りへ入って浦和へ入っていく。とにかくこの渋滞が物すごい、年々増大をして、今も申し上げましたように、かつては一時間とちょっとで浦和まで行けた車が、今はもう二時間を超えないと着かない。車で行ったのではなかなか用が足せないというような状況に今なっているわけです。  もちろんこれは、土地の高騰であるとか、地権者の協力というものが非常に不可欠な問題でございますが、せっかく熊谷バイパスの鴻巣の箕田まで、全線四車線化の見通しもそんなに遠くないうちにあるのだろうと我々希望を持っておるわけですが、その先の鴻巣から上尾まで、さらに今度は上尾から大宮までのこの新しい上尾バイパスあるいは大宮バイパス、これらが完成をしませんと、完成をするころにはまた渋滞になるのでしょうけれども、いずれにしてもそれらを早く先手先手でもって道路行政をやっていかないと、埼玉県内はもう大変な混雑状況で、いろいろ経済的にも大きな支障が出てくる、こういう気がいたします。  ぜひひとつこの二つの点について、建設省のお考えをお聞かせを願いたいと思います。
  137. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、熊谷バイパスの四車化の経緯でございますが、これは先生指摘のように、十・五キロほどについて昭和六十一年から事業に着手して、現在四車化しております。残りの区間が行田東松山線から国道十七号の間等にあるわけでございますが、この中で橋に係るものがございます。この橋梁工事を今一生懸命、鉄道立体、鉄道を越えるものとあわせてやっております。いずれにいたしましても、これが終わりましたら改良舗装を行うわけですが、国道十七号の箕田から深谷バイパスの間、およそ十六キロ弱でございますけれども、この間は第十次五カ年計画期間内、言ってみれば平成年度内には四車化を図りたいと思っております。深谷バイパスと分かれて高崎に至る部分については、さらにその後対応させていただきたいと思っております。  なお上尾バイパス、これは新大宮バイパス、熊谷バイパスの間にある約二十キロの大バイパスでございます。平成元年の十二月に、いろいろなことがございましたがやっと都市計画の変更をさせていただきました。この中から、平成年度に南側の半分の約九キロを事業化させていただいております。現在、測量調査はもとより、地元の事業説明に入らせていただいております。これは、早くやらなければ地価も上がりますし、また交通のそういう問題に対してますますできにくくなりますので、これは何とか地元の御了解、御協力をいただいて推進してまいりたいと思っております。
  138. 田並胤明

    田並分科員 ぜひひとつ全力を挙げて、予算的な面もあるでしょうけれども、とかく埼玉県というのは道路事情が決して全国的に見てよくないというのは、前の予算委員会分科会でも申し上げ、大臣もそれを認めたわけでございますので――埼玉には直轄道路というのは十七号と四号と十六号ですか、これしかないわけですよ。あとは県管理の一般国道、こういうことになりますので、ぜひひとつこの十七号だけじゃなくて、建設省が見て道路改良だとかあるいは新線建設をしなければいけないという部分がかなりあると思いますので、どうぞよろしく御努力のほどをお願いをしたいと思います。  四点目の質問は、首都圏の中央連絡道、いわゆる圏央道の問題でございます。埼玉県は、東京から十七号、四号、いろいろ放射線状のが多いのですが、横線というのが非常に少ないのです。例えば十六号もその一つですが、それともう一つは例の四〇七号、これは一般国道になりますが、こういう横線の道路というのが非常に少なくて、あとは主要県道で補うというような格好でやっております。そこで出てきたのがこの圏央道で、その名のとおり、都心からおおよそ半径四十キロから五十キロの位置に計画をされております、非常に長い二百七十キロメートルぐらいに及ぶ道路なんです。神奈川、埼玉、茨城、千葉の各県を結ぶ新しいネットワークとして、建設省計画をされておるわけです。  この道路の地元の期待というのは、一つには沿線の地域の開発はもちろんでありますが、いわゆる交通の円滑化であるとか、都心へ流入する道路をそこでカットして、中央道それから関越自動車道、東北道、常磐道、東関東自動車道、これを全部結んでくれるわけです。そうすると、従来都心へ入らないとなかなか行けなかった道路も、これができることによって途中でカットされて相当都心に入る車が少なくなる、こういう期待も強いわけでありますから、これはもうぜひ早急にこの工事の進捗を強く求めたい。また、そのことは決して埼玉県だけではなくて、今言ったように首都圏の交通あるいは経済、あらゆる面に相当の効果を発揮をする道路だと思うのです。  聞くところによりますと、現在埼玉県がかなり進捗状況もよろしいということで、平成七年ごろには埼玉県内の二五四の以西の部分については完成をするという話を聞いております。問題は、その二五四の以東の部分です。それと、さらに以西でいきますと神奈川の方面、あるいは以東で言うと埼玉県の部分と茨城、千葉、これらがかなり難航しているようなお話を聞くわけでありますが、少なくも最初の仕事として中央道と関越道と東北自動車道、このくらいはきちっと結べるような事業の進捗をしていただいて、それだけでも相当都内へ入る車の量も減ると思いますし、渋滞の解消にも大きく貢献をするのではないかというふうにも考えますので、それらを含めて、建設省としてはいつごろをめどにとりあえず埼玉県内の完成を考えておるのか、あるいは二五四以東の今後の計画はどういうふうになっているのか、これらをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  139. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の御指摘のとおり、首 都圏中央連絡道路は、私どもも首都圏の活性化、再生のために極めて基本的なネットワークだと思っております。その結果、現在特に国道十六号の混雑が著しい八王子から埼玉県の比企郡川島町間約五十キロ、ここをまず手始めに六十年度及び元年度、さらには八王子側は平成年度でございますが、このような形で事業化をしてまいりました。  さらにこれに加えて、神奈川側といたしましては、六十三年度に約九キロ、平成年度にさらに加えて十二キロの事業化もいたしたい。それから、横浜横須賀道路に係る約十キロについても事業化、さらにことし平成年度には、常磐道から東関道に向けて約二十六キロの事業化も図りたいということで、全体で二百七十キロ中約百七キロ、このような延長のものを事業化をいたしたく、平成年度を含めてでございますが、現在準備をしている最中でございます。  それに加えて基本計画というものを、横浜市の金沢区から戸塚区の間ちょうど抜けている部分がございますが、その間は基本計画として結ばっておりますし、さらに先生指摘の、二五四以東の北本市を含め谷田部町に至る間七十二キロでございますが、これにつきましても基本計画平成二年の十一月に出させていただいている、こういうようなことでございますし、さらに千葉県におきましても茂原から木更津の間で二十九キロ、合わせて二百三十七キロが基本計画区間として出ております。このような形で、かなり私ども圏央道については次々に計画を進めております。  この平成年度以降、平成年度そして新しい五カ年計画を策定する平成年度以降におきましては、現在の基本計画状況区間を次の事業化区間という形でさらに調査を進めて、整備計画のレベルにまで上げてそしてその事業化を図っていきたい、こういうふうに思っております。その際には、地域の開発ポテンシャルあるいは地域計画との調整を当然のことながらしてまいらなければなりませんので、環境その他とあわせまして今後調査を熟度を上げてまいりたいと思っております。
  140. 田並胤明

    田並分科員 ありがとうございました。私なんかもよく首都高を利用するのですけれども、先ほども質問あったと思うのですが、今の首都高というのは渋滞渋滞で、これは本当にどうにもならぬなという感じが非常に強いですね。ですからそういう意味でも、圏央道あるいは都県境の道路、横に結ぶ道路をぜひ、せっかく公共投資四百三十兆円という計画があるわけでありますから、ぜひ建設省も相当力を入れてこの辺の一層の努力を強く求めておきたい、このように思います。  最後に、もう時間が来ましたので百四十号の関係についてお伺いをいたします。  これは国道百四十号の関越自動車道花園インターチェンジから秩父市を経て、建設省努力で今始まっております雁坂トンネル、いわゆる熊谷―甲府線、この雁坂峠に至る区間整備を今全力を挙げて埼玉県の方でも整備をしておりますが、これは埼玉県の一般国道百四十号といっても、県管理でありますから県が主体的に事業を行う場所ではありますが、雁坂トンネル建設省直轄でありますから、昨年から埼玉側、一昨年から山梨側が始まりまして、これも大変待望久しいトンネル工事で待ちに待った工事でございますが、いよいよ始まりました。  聞くところによると、平成九年までに何とか供用開始をさせようということで全力投球をしていただいているというお話を聞いておりますので、まことに結構なことでございますが、これが開通をした時点で、従来の百四十号だけではとてもとてもその交通をさばけるような状態にはないのではないだろうか。今までは秩父でとまっておりましたから、それ以上行けませんでしたから入ってくる車も少なかったわけでありますが、この雁坂トンネルができ上がるということになりますと、当然埼玉と山梨はその道路によって結ばれる大変主要な国道になります。  したがって、これに向けて現在県の方でも皆野―寄居バイパスの建設も計画をしているようでありますし、それの完成を私どもとしては一日も早く願っているわけでありますが、今度はそれができ上がった場合に、雁坂トンネルができ上がり、百四十号の皆野―寄居間のバイパスができ上がった場合に、その車が全部秩父市内でとまってしまう、こういう心配が実はあるのです。秩父市内というのは、御案内のとおり百四十号と二九九とこの二本が通っておりますけれども、百四十号のバイパスができるような地形じゃないわけですね。せっかく花園インターから寄居―皆野間、立派な道路ができ上がって秩父へ入ってくる。そこで詰まる。それから雁坂トンネルの方から、甲府の方から入ってきた車が秩父へ来る。そこでまたとまってしまう。  これはもう平成九年ということになると、あともう何年でもないわけでありますが、そういう大変短い時間の間に建設省さんが大変な御努力をされて道路改良される、それが全部秩父市内で車が渋滞の源をつくってしまう、こういう道路事情にあるということについても御理解を願って、この秩父市内の渋滞対策もあわせて建設省は県の方とも十分協議をして、ひとつよりよい結論を出して、至急この辺の道路整備に当たられたらいかがか、このように考えますので、そのお考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  141. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この百四十号、平成元年の三月十日に秩父市及び長靜瀞町を中心とする秩父リゾート地域整備構想というものが承認を得て、ここは秩父リゾート構想を中心として極めて多くの国民の利用する大事な地域として生まれ変わったと聞いております。私どもこの百四十号、現在雁坂トンネル六・六キロを含む十七・五キロの道路を、直轄権限代行事業及び国庫補助事業で鋭意進めております。先生指摘のように、平成九年というものを一つの目標として今鋭意私ども努力をいたしております。トンネルが難工事でございますから、そのいかんによってはこの九年というものもどうなるかわかりませんが、それでも私どもは技術的に何とか解決をしながら、所期の目標になるように努力していこうと思っております。  そうなってまいりますと、当然のことながら観光バスも通りますし、いろいろと多くの車が出てまいりますから、前後の未改良区間の解消ということが大事になります。そこで、まず大滝村川又から二瀬間の約六キロの未改良区間について今後、ここにはダムの計画も多々あるものですから、そういうものとあわせてこれから大至急調整して、どういう形で整備するかを県ともどもまとめていきたいと思っております。  そういう間で、関越自動車道の花園インターを使って秩父市そして雁坂トンネル、こうなりますと、先生指摘のとおりこの間の道路が重要になります。そこで、平成年度からは皆野―寄居間が十一キロのバイパスとして事業化をいたしました。そうすると、ますます秩父市における交通渋滞ということがクローズアップされるという先生の御指摘だと思います。そこで、六十二年から実は秩父地域道路交通網計画調査というものを進めてまいりました。平成年度からは一歩進めまして、この調査をもとに路線調査を含む整備方針について地域方々と協議会等々を設けて、少し具体的な内容にまとめるべく対応させていただきたいと思っております。  この百四十号を前後から攻め、また中側から攻める、いろいろなことでこれはお金がかかることでございますので私、非常に心配しておりますが、何とかそういう地域の御要望に少しでも目標を持ってこたえられるようにしていきたい。まんべんなく、いつできるかわからないということじゃなくて、目標がわかれば地域の開発の御努力もそれだけに意味があると思いますので、努力させていただきたいと思います。
  142. 田並胤明

    田並分科員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  143. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて田並胤明君質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩 いたします。     午後零時八分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  144. 綿貫民輔

    綿貫主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。加藤繁秋君。
  145. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 実は、きょう私は瀬戸内海の本島という島を中心にしまして、讃岐広島とか牛島というたくさん島があるのですが、その島の海岸が減っているという問題についてお伺いをして、対策を何とか速やかに講じてほしいなという気持ちで参ったのです。実は、海岸というのは建設省だけだと思っていましたら運輸省も関係しているとか、海岸が減る問題について砂利をとっているという問題もありまして、通産省とか農林省とかたくさんの省庁にまたがっているもので、実は大変御迷惑と思ったのですが、きょうは一応海岸を一般的に管理しているということで、建設省お願いしたわけでございます。  私も実は田舎によく帰るのですが、本島や讃岐広島にはよく行くのです。行きますと、地元の人から言われるのですが、随分昔は海岸がたくさんあったのですけれども、今はもうほとんどなくなっているということなんです。これは、私、三月九日に現地に行ってまいりましたので、ちょっと写真を撮っていますのでぜひ見ていただきたいと思うのです。  ちょっとこれ見せていただけますか。先に渡す方が新しいものなんです。この最後のものだけは古い写真なんです。お手元にありますように、海岸がどんどん減ってきているということで、私、現地の人に言われまして、何とか対策を立ててほしい。現地の人の話によりますと、これまで瀬戸内海というのは、もちろん海岸だけじゃなくて、緑とか、そしてまた青い海とか海岸というこの三つが大変美しい景観をなして瀬戸内海国立公園になっているわけなんですけれども、それが本島とか讃岐広島あるいは牛島、それだけじゃないかもしれませんが、その他の島で、特に本島では五年くらい前から年に一回の海水浴ができなくなってきているという状況。そして砂をたくさんとるものですから魚も大変少なくなっているし、特にイカナゴという小さな魚もいるのですが、そういうのもほとんど減ってきている。そして、砂利の採取業に聞いたのですが、昔はこの海砂利をすくいますと、たくさん貝とか魚が上がっていたのですけれども、ほとんど今はもう上がってこないというそういう状況になっているわけなんです。  それに対して、県は海岸のそばに護岸をつくりまして何とか防ごうじゃないか、そして離岸堤はもちろんつくっているのですけれども、護岸をつくって海岸が減って、高潮とか海の害に対してつくったものですけれども、そのつくった結果、今度海で波に当たりまして、はね返りの潮がかわらとか屋根に当たりまして、大変な塩害が起きているという問題も出ているわけなんです。  そういう中で、これは本島ですが、「島をよくする会」というものをつくりまして、何とか、このままでは沈んでしまうのじゃないか。その写真の中にもありますように、随分昔は砂浜があって、そして木が生えていた。砂浜がなくなったものですから木の根っこが侵食されている。昔は田んぼだったところがどんどん砂が減って田が侵食されているというような状況で、島がなくなるんじゃないかという危機感が募りまして、何とかしてほしいということと同時に、最近は東京一極集中が叫ばれていますけれども、何も東京一極集中だけじゃなしに、県におきましては県都に集中している。特に、島嶼部におきましてはだんだん人が減っている、お年寄りになっている。したがって、そういうお年寄りの年に一回の小遣い稼ぎといいますか、海水浴場に来た人に対して商売したり、家を貸すというような、こういうことさえもできなくなってきている。ましてや、瀬戸内海国立公園という景観が失われつつあるという現状に対して、環境庁からまず最初にお伺いをしたいのです。  こういう瀬戸内海の景観が失われているという問題、これは瀬戸内法という法律があるのですが、その瀬戸内法に基づいた瀬戸内海環境保全基本計画というのがあるのですが、この基本計画の第二の「計画の目標」というところの第三項ですが、「瀬戸内海において、海面と一体となり優れた景観を構成する自然海岸については、それが現状よりもできるだけ減少することのないよう、適正に保全されていること。」こういう目標があるし、それから自然公園法によりますと、二十条では地形変更というのがあるわけですけれども、海岸が減ってきて地形が変わっているという問題がそれに該当するかどうかというあたり、そして瀬戸内海の景観が失われているこういう環境問題に対して、環境庁としてどのように考えて対策を講じようとしているかということについてお伺いをします。
  146. 渡辺忠明

    ○渡辺説明員 瀬戸内海におきます海砂利採取と景観につきましてのお尋ねでございますが、御指摘のように、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づきましては基本計画を定めておりまして、瀬戸内海の環境保全の目標をお示しいたし、国、地方公共団体及びその他の者がその目標を達成するために講ずべき施策の基本的方向を示しているわけでございます。御指摘の点もその指針の一つでございますが、こういった指針を瀬戸内海の環境保全に関する諸計画に反映いただきますとともに、いろいろな施策の実施に当たって指針といたしていただいているわけでございます。  香川県におきましても、この趣旨を踏まえまして県の計画を定めているところでございますし、海岸の景観の保全につきましても、国立公園の管理あるいは自然海浜保全地区の指定、こういったことを通じまして対応しているわけでございます。  また海砂利採取についてでございますけれども、海岸侵食との因果関係につきましてはいろいろ難しい問題があろうかとは思いますが、この基本計画におきましても、海砂利採取に当たっては環境の保全に留意するようということを示してございまして、県におきまして採取計画の認可、こういったことに当たりましては、この趣旨等も踏まえまして、いろいろな配慮が行われると聞いているわけでございます。私どもといたしましては、基本計画の趣旨といったものを踏まえまして、適切に景観の保全あるいは海砂利の採取といったものが行われますように府県等に要請等、対処してまいりたいと考えております。
  147. 小原豊明

    ○小原説明員 自然公園法二十条のお話がございましたけれども、自然公園法の二十条の規定は、普通地域の中におきまして、ある一定の基準を超える規模の工作物の新築あるいは土石の採取とか土地の形状変更とか、そういった人為的行為を行う場合に都道府県知事に届け出を義務づけているものでございます。  それで、この瀬戸内海の海域、この周辺は、海域の普通地域でございますけれども、海域は一般的に、一般的にと申しますのは海中公園地区の周辺一キロを除いて一般的な海域の普通地域においては、土石の採取ですとか土地の形状変更は、要届け出行為、届け出をしなければならない行為にはなっておりません。それと海砂利採取については、海岸線に影響が出ないように採取計画では配慮されているというふうに私どもは聞いております。
  148. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 最初の答弁の方は渡辺室長ですか。答弁の内容は基本計画の説明をしただけなんですよ。私は、その基本計画に基づいてやったけれども、現にもう五年前から著しく海岸が減っているではないか、こういう事実をどう考えるかというのを聞いたんですよ。再度答弁を求めます。
  149. 渡辺忠明

    ○渡辺説明員 県におきまして、この基本指針の趣旨を踏まえまして、今も保護管理課長からございましたように、砂利採取計画の認可に当たりまして、環境保全上こういうところではとってはいかぬ、こういった配慮事項をいろいろ定めまし て、そういったことで環境保全に注意しながらやられておるということでございまして、その旨の御答弁を申し上げたわけでございます。  また、こういった趣旨も踏まえまして県におきましては、海岸線、海砂利採取の影響等につきまして現在調査を行っているということでございますので、そういった点につきましても、私どもとしては環境保全の立場からこれからもいろいろその推移を見守っていきたい、そういう考えでおります。
  150. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 ごく簡単に答えてほしいのですが、瀬戸内海の島の海岸が減っているという問題について、環境庁として問題ありと見るか問題なしと見るか、どっちですか。
  151. 渡辺忠明

    ○渡辺説明員 海岸侵食と海砂利の採取につきましては、その因果関係につきましては潮流の影響等いろいろ難しい問題があるわけでございますが、そういった点を踏まえまして県において現在調査が進められておるという段階でございますので、そういったことも見合わせながら今後の対応というものを考えていく必要があろうか、そのように考えております。
  152. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 いや、私は海砂利との因果関係を聞いているのじゃないのです。何の理由であれ海岸が減っているじゃないか、景観が失われているじゃないか、この点についてどう考えるかというその一点に答えてくださいよ。
  153. 渡辺忠明

    ○渡辺説明員 海岸の保全につきましては、各省庁、各県の各部局いろいろなところでその施策が講じられるわけでございますが、その際に、先ほど申し上げました基本指針、この趣旨を踏まえて適切に対応が今までもされてまいりましたし、今後におきましても御指摘のような景観保全の観点から講じられていくものというふうに考えておりますし、そういった方向でまた関係者にいろいろ要請してまいりたい、かように考えております。
  154. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 ちょっとわけのわからない答弁ですけれども、要するにこの基準計画に基づいて、現状がそうなっていなければ県に対してちゃんと指導する、こういうことですか。
  155. 渡辺忠明

    ○渡辺説明員 本島につきましては御指摘のような海岸侵食の事実があるわけでございまして、その辺につきまして県が現在鋭意調査を進めている、こういう段階でございますので、自然環境の保全の立場からできるだけ自然海岸、海浜が減らないようにということがやはり基本線でございますので、調査の趣旨もその方向でなされることを期待しておりますし、その成果に基づいて適切な対応がとられる、こういったことを見守ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  156. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 見守るだけじゃなしに強い指導をお願いしたいですね。  時間がありませんから次へいきますが、そうすると今度具体的に海岸を管理しているところが一体どこかといいますと、私、写真に見せたところは建設省並びに運輸省そして農林水産省ですけれども、きょうは建設省と運輸省にお伺いをしたいのですが、海岸というのはもちろん国有財産ですから全国民の財産ですが、そうした海岸が減っているということについて一体何が原因だというふうに考えているかということ。同時に、具体的に減っていることについて建設省からお伺いしたいのですが、どういう対策を立てているのかという点についてお伺いをしたいと思います。
  157. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 全国には海岸延長約三万四千キロメートルあるわけでございますが、そのうち一万六千キロについては侵食や高潮による被害のおそれがあるということで、海岸法に基づきまして海岸保全区域を設定して、また先ほどお話ありましたように、関係四省庁が担当して海岸の保全に努めておるところでございます。  原因は何かと言われますと、これは自然の現象である日ごろの海象作用あるいは暴風雨時等の高潮とか侵食とか、さまざまの原因もございましょうし、その背景にはまた人間の社会経済活動等も影響すると思いますので、それぞれの海岸の特性に応じてあるわけでございますので、どれが原因かということは特定できないと思いますが、我々といたしましては、このような高潮あるいは侵食というものに対して、それを防御するような高潮堤あるいは侵食対策としての護岸工事実施することとしておるわけでございます。ただ、日常のいろいろな侵食作用によりましても、先ほど言いましたように、例えば前に前浜がたくさんあったのが欠けていきますと、それらの堤防や護岸がだんだん安全でなくなるということもございます。そこで我々といたしましては、沖合に離岸堤を設けるとかいろいろな多角的なことを研究しながら、実験的に海浜が安定化するような努力をしておるところでございます。
  158. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 私も地図を見せてもらったんですけれども、例えば生ノ浜につきましては離岸堤が一つだけできているわけなんですね。写真にあるところはその離岸堤のできてないところなんです。例えば運輸省は別にしまして、一般海岸においてそういう建設省関係の保護地域を延ばすというような、そして離岸堤をちゃんとつくって少しでも砂の流出を防ぐというようなそういう対策を考える気持ちはあるでしょうか、どうでしょうか。
  159. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私どもが保全の必要があるというものにつきましては、先ほど申し上げましたように海岸保全区域を設定いたしまして、あるいは建設省所管あるいは運輸省所管とすることで担当省庁がそれぞれの指導をしつつ、県あるいは直轄等で工事を進めてその防護策をとっておるわけでございます。  今お話一般海岸ということでございますから、海岸保全区域には指定されてないところであろうと思います。これらについても、今先生がおっしゃいましたように保全の必要があるという場合には、まず一義的には、県知事がその現状を調査して保全の必要性があるとした場合には、海岸保全区域を県知事の方で指定していただく。また、どのような保全対策が必要かということにつきましては、私どもの担当部局とまた連絡をとっていただきながら、所要の対策工事施行していくことが大事ではないかというふうに考えております。その際に一義的には、高潮堤とか侵食護岸とかがありますが、あるいは今効果を上げているのが離岸堤というものでありますれば、そういうものも対応策の中に取り入れて実施していくのが適当ではないかというふうに考えております。
  160. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 建設省は確かに、生ノ浜で一つできていますので、そこの部分は写真がちっょと波打って海岸が膨らんでいるところがあるのです。それは離岸堤があるところなんです。その横に今度は侵食されているところがあるのですが、実はそこにはもちろん離岸堤もつくられてないし、よく聞きますと、そこは運輸省の所管だというふうに聞くのですけれども、運輸省はそういう問題についてどのように対策を講じているかということについてお伺いします。
  161. 戸嶋英樹

    ○戸嶋説明員 香川県には、本島には生ノ浜港それから本島港等五つの地方港湾がございます。これらのうち今御指摘の生ノ浜港海岸等におきまして、御指摘のとおり侵食傾向が見られております。したがいまして運輸省としましては、県で現在調査を進められておりますけれども、侵食傾向があるというものにつきましては、香川県及び海岸管理者であります丸亀市を指導いたしまして、必要であれば海岸保全区域を新たに設定することも含めまして、海岸管理者の要請を踏まえて所要の対策を講じていきたいというふうに考えております。特に侵食が著しいというふうに考えております生ノ浜港海岸においては、海岸保全施設として現在、御指摘のとおり離岸堤の整備を進めております。平成年度を初年度とする次の五カ年計画においても引き続き積極的に対応し、平成年度までにこれを完了したいというふうに考えておるところでございます。
  162. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 よくわかりました。  そうすると今度は甲生海岸というこの表側なんですけれども、表側はもちろん運輸省の所管ですけれども、ここは、写真の中にありますように海 岸は波打って削られて、その減ったところが藻で覆われてとても泳げるような状況じゃないわけなんですけれども、そういう甲生海岸あるいは本島の港のあたり、そこについてほどのようにお考えですか。
  163. 戸嶋英樹

    ○戸嶋説明員 ただいまの話は本島港の甲生地区であろうと思いますけれども、これにつきましても同じように侵食傾向が見られるということを報告を受けております。現在のところ、まだ何ら対策工事をやっておりませんけれども、必要であれば、これについても地元の意向を踏まえて進めていきたいというふうに考えております。
  164. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 地元の意向を踏まえてぜひともひとつよろしくお願いしたいと思います。本島の人だけじゃなしに、これは讃岐広島もそうですし、牛島という隣の島もそうですけれども、島というのは特に特殊事情がありますので、ぜひともこれは、まずは砂が流れないような対策を講じていただきたいな、そしてできれば昔のような砂浜に復活できるように、建設省も運輸省もそして環境庁も、ぜひひとつ努力お願いしたいなと思うのです。  問題は、そういうふうに対策を講じていただけるのですけれども、これは島の人がおっしゃるのですが、やはり瀬戸内海の砂利をとるということ、瀬戸内海というのは、御存じのように閉鎖的な海水ですから、海岸ですから、海ですから、したがって、一定量あるところをとりますと減るのは間違いないので、減るとそれが海岸の侵食に影響しているのじゃないかというのはこれは地元の方の意見なんです。私、その因果関係について幾つか調べてみたのですが、例えば高知県で上森教授という高知大学の教授がいたのですが、この方が高知県の砂利対策協議会ということで「高知県における砂利対策の基本的方向」というのを高知県に出しているのです。この中身を読みますと、高知県では海の砂利をとることが海岸に少なからず影響を与えているんじゃないか、したがって、その与えている中で技術基準というのをつくって、砂利のとり方については十分に考えなさい、こういうような指針を出しているわけなんですけれども、こういう問題について、実はあるところから聞いたのですが、建設省もこういう技術基準、つまり砂利をとるときに一定の基準をつくるべきじゃないか、こういうことを検討した時期があるというふうに伺ったのですけれども、そういう検討をした事実があるかどうかということにつて建設省にお伺いしたいし、そして通産省に対して、この海の砂利をとるということについて海岸の影響をどの程度考えているのかということについてお伺いをしたいと思います。
  165. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 建設省が所管しておりますのは、河川内における砂利の採取に関してでございます。河川の中の砂利は、それぞれの河川の過去の経緯また現状等によって、砂利が採取できるもの、できないものいろいろございますので、砂利を採取することが適当でない河川については、砂利採取を禁止しております。また、それ以外の河川におきましても、現在の河道の安定が保てるようにという見地からそれぞれの河川ごとに保安距離その他を設定して、その採取が妥当と認められる部分についてそれぞれ認可している状況でございます。
  166. 長田直俊

    ○長田説明員 私ども通産省の方で、砂利採取法という法律を建設省さんと一緒に持っております。この法律の体系で申しますと、一応県の方でそれぞれの許可方針というのがございまして、例えば瀬戸内海で申しますと、それぞれの県が海底士砂採取許可方針というのを持っております。この中で、自分の県の砂利、それから砂の需要、それから環境保全、それから県内の砂利採取業者の経営状況といったようなことを勘案して、それぞれにそれぞれの形での許可予定量というのを決めて、その範囲内で許可しているというような実情でございます。  海の砂利一般につきましては、その与える影響が一般的には大変複雑でございまして、こうした許可方針の中でそれぞれ各県ごとに、例えば海上交通上問題があるとか、それから国土保全上必要な海域は採取許可の対象としないとか、そういった県ごとに指針をつくっております。     〔主査退席、戸田主査代理着席〕
  167. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 確かに、言われているように県ごとにつくっているので、私、四国の四県の許可方針を見たのです。愛媛県だと、県外に持ち出し禁止ですね、月二十五日以上とってはいけないとか、徳島は十年前から一応禁止しまして、関空だけ二年間だけ認めたとか、あるいは高知県は、先ほど言いましたように、基本的に技術水準というのをつくってやるべきじゃないかという答申を出しておる。高知で見ましても、六十三年度で見ますと百六十八万二千立方メートルなんです、一年間に。ところが私残念なことに、香川県を見てみますと、一年間に五百六十万立方メートル許可しているのです。これは圧倒的にもう四国四県の中で多いのですね。多いときには六百万立方メートルも許可しているということ。その県内外、県外に持ち出してはいけないというのではなしに、香川県の場合には県内が優先という言葉になっていまして、五百六十万とっていましても実際は二百万しか香川県は使ってない、こういう状況になっているのですね。  そういう中で、この砂をとるということに関して、通産省の監視体制、例えば夜間とってはいけないということとかあるいは許可量以上とってはいけないとか、こういうことについて監視体制を強めなければいけないというふうに私は思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  168. 長田直俊

    ○長田説明員 監視体制一般につきましても、一応県ごとにその監視体制をとっております。香川県の場合も、夏季と冬季に分けまして、時間の制限などを認可の方針の中に組み入れて、そういった形で認可を行っております。そして、香川県につきましては、特に昨今の、先生のまさに御指摘の監視体制というのが問題に、問題にといいますか、強化をしなければいけないという県の方針でございまして、実は昨年度までは、従来は漁業取り締まり船というのを転用してきて年に十回程度巡視を行っていたわけでございますが、本年度平成年度からでございますが、専任の監視員二名を設置いたしまして、また専用船を確保して、それから週に三日程度巡視回数をふやす、それから早朝の巡視、朝の五時ぐらいから巡視を行って、違法の採取が行われていないかという形で監視体制を強化してきております。私どもも、いろいろな県でこうしたような問題のあるところにつきましては今後ともこういった監視の強化の体制を組んでいくように、できましたらいろいろな場を通じまして指導するつもりでございます。
  169. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 平成二年から二人ふやしたというのですが、これは県議会でも答弁していますからそうでしょう。ところが、平成三年の三月三日に砂利船が実は午前三時に高松の沖で衝突事故を起こしているのですね。つまり、強化していても、午前三時に高松の沖で衝突している。午前三時に衝突というのは、実際上、今ですと夜の六時までですから、六時までとって大阪まで行く。大阪まで行くのが、荷をいっぱい積むと七時間かかるのです。そうしますと、六時から七時間たちますと夜中の二時ですね。そうすると、午前三時に高松の沖で衝突するはずがないのです。そのころは大阪で荷をおろしている現状ですから。おろすのが大体三時間から四時間かかりますので。したがって、強化されたといってもなかなかそれが十分されてないという。  同時に私、ここに砂利採取の協同組合の帳簿を持っているのですが、この帳簿を実は私見せてもらいまして、実際許可したのが半年間で二十四万八千五百立方メートル。ところが、帳簿で県に届け出しているのが二十三万二千六百二十、帳簿上は合っている。ところが、この出勤簿を見てみますと、実際は三十万四千立方メートルとっているわけなんです。そうしますと、この帳簿の中で、出勤してもそれを報告しない。これはそういうチェックをしている帳簿なんですけれども。したがって、こういうように実は盗掘、そしてしかも時 間から超えてとっているということは厳然たる事実じゃないかと思うのです。したがって、こういう事実に基づいて、さらに通産省としては、しかも砂利をとることによって瀬戸内海の海が侵食されているかもしれない、そういう事情からかんがみて、もう少し指導体制を強化しなければいけないと思うのですが、どうでしょうか。     〔戸田主査代理退席、金子(原)主査代理着席〕
  170. 長田直俊

    ○長田説明員 監視体制の強化につきましては、先ほど申し上げましたように、これからもいろいろな場を通じて私ども、各県にお話ししていきたいと思います。それから、さらに砂利業界に対しましても、先生の御指摘のようなことが違法という形で採取されることがないよう、これは従来からも私ども口を酸っぱくして言っているわけでございますが、今後につきましても巡視を徹底するように指導してまいりたいと思っております。
  171. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 最後に私、瀬戸内海の砂というのは、大体閉鎖的な海ですから決まっているのじゃないかと思うのですが、通産省として総量の規制、つまり、これ以上砂をとってはいけないという規制を私はする必要があるのじゃないかと思うのですが、毎年毎年とるのじゃなしに、例えば瀬戸内海の砂は大体これぐらいしかもうとってはいけない、こういうような規制をしないと、なかなかこれは今後この侵食の問題やあるいはいろいろな問題について解決できないと思うのですが、どうでしょうか。考えを聞かしていただきたいと思います。
  172. 長田直俊

    ○長田説明員 私ども、従来から各県ごとの採取量という採取許可方針をつくって、それぞれに基づいて認可という形で、これは砂利採取法で決まっておりますので、その総量について明確な形で制限するあるいは調整するといったようなことは現在のところ考えておりません。  ただ、私ども、瀬戸内海沿岸の各県から聞いておりますところでは、総量というようなものを今後、県内の需要は勘案するけれども、できるだけ減らしていく方向で対応したいというふうに各県とも総論では伺っておりますので、そうした方向を指導といいますか指示してまいりたいというふうに考えております。
  173. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 ありがとうございました。
  174. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて加藤繁秋君の質疑は終了いたしました。  次に、細川律夫君。
  175. 細川律夫

    細川分科員 連日、大変御苦労さまでございます。  私の方からは、東京外郭環状道路のことにつきましてお伺いをいたしたいと思います。いわゆる外環道路は、首都圏に集中しております多くの高速道路一般国道に接続をいたしまして、自動車の円滑な分散あるいは導入を図るということが目的であります。特に埼玉県の南部におきましては、既存の道路の道幅が大変狭くて、歩道も設置をされていないようなそういう道路ばかりでありまして、質、量ともに大変不十分でございます。したがって、いわゆる外環道は、埼玉県南部の各都市を結ぶ道路といたしまして極めて重要な役割を果たすというそういう道路でございます。  そこで、私の方からは、この東京外環道路の全体の進捗状況及び今後の見通しについてまずお伺いをいたします。
  176. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 東京外郭環状道路は、先生指摘のとおり延長約八十五キロの環状の幹線ネットワークとして、首都圏における分散、導入あるいは調和のとれた交通体系のために極めて重要な幹線道路と認識しております。このうち、東京都の練馬区、いわゆる関越道のところから埼玉県の和光市、戸田市、浦和市、川口市、草加市、八潮市を経て、三郷市、いわゆる常磐道に至る七市一区約三十キロメートルについては整備を進めているところでございまして、第十次道路整備五カ年計画期間内の供用を目標に促進をいたしております。  三郷市から先の千葉県内の国道六号線以南の区間約十二キロメートルにつきましては、昭和四十四年に都市計画決定されておりますが、これについては地域からの種々の要望等もございまして、五十三年に千葉県知事から再検討要望も出されました。その結果を踏まえて六十二年十月に、周辺の環境に配慮した構造の検討結果を千葉県の知事に御提示いたしました。その結果、千葉県が松戸市等々と御相談いただきまして、松戸市からは平成元年十二月に、関連道路整備等の条件とあわせまして、建設省検討結果を受け入れられる旨の回答がございました。市川市につきましては、市議会に東京外郭環状道路対策特別委員会をお設けになって、この案を含めて御検討が進められて現在に至っていると聞き及んでおります。  また、東京都内の東名高速から関越自動車道間十七キロにつきましては、昭和四十一年七月に都市計画決定がされておりますけれども、その後の周辺の土地利用等の変化や過去の経緯等もございまして、これらを踏まえ、現在の環境保全に十分配意した道路の構造、整備の手法等について検討中でございまして、地域の意向を十分反映いたしまして、御理解の得られる計画とすべく、関係機関と密接な調整を図ってまいりたいと思っております。  なお、専用部、一般部も合わせますと、千葉県内を含めて東京都練馬区から埼玉県を経て千葉県市川市までの、全体の六割を占めます約五十キロが何らかの形で事業化済み区間となっておりまして、これが中で地域の御理解を得ながら、一歩一歩整備を進めてまいりたいと思っております。
  177. 細川律夫

    細川分科員 そうしますと、関越との交差点から以南といいますか、東京―神奈川の方については一体できるのかどうか。それから、先ほどの国道六号線の以南、市川の方に至るこの区間でありますけれども、こちらの方については果たしていつごろ完成の予定なのか、そのあたり、差し支えない範囲でお答え願いたいと思います。
  178. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、東京練馬区以南といいますか、この十七キロの点につきましては、先ほども申し上げましたようにいろいろな経緯がございました。それから周辺の土地利用等の変化もございました。湖沼あるいは河川あるいはその他いろいろな地域もございました。そういうものを十分組み入れた形での道路の構造、整備の手法、例えば和光市におきましては、そういう趣旨に沿った道路構造の変更も一部いたしておりますが、そういったような意味合いを含めた計画の構造の内容の検討あるいはつくる際の整備の手法の検討と、いろいろと勉強いたしておりまして、こういうものを踏まえて、地域の意向もいろいろな御意向がございますので、そういうものを反映させた上で御理解を得られる計画を一日も早くまとめて、東京都からも長期計画の中でこの地域道路整備についての積極的な御意向も承っておりますので、こういうものとあわせて私ども整備の方向を進めてまいりたいと思っております。そういう意味検討調査作業の今ちょうど中間、こういうふうな状況でございます。  それから市川市につきましては、もう既に案を提示してございまして、この案をベースにいたしながら市議会で御検討いただいて、かなりの経過を経ていると聞いております。私ども、市川市に対しましても、千葉県を通じあるいは直接私どもなりにできる範囲内の御説明等をいたしながら、早く御了解いただけるそういう計画としてまとめさせていただいて、都市計画の変更に運びたいと思っております。
  179. 細川律夫

    細川分科員 それでは、この外郭環状道路の埼玉県内、特に三郷インターチェンジから関越に至るこの区間についての進捗状況、そして見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  180. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 埼玉県内につきまして、実は一部未買収用地がございます。しかし、工事は全面的に展開をしております。練馬区内については、用地の約九割が買収済みまたは地権者の了解が得られております。文化財の調査が実はここに絡んでおりまして、こういう調査も今一生懸命、東京都の教育委員会の御協力で大勢の方々を投入していただいて調査をしていただいております。 こういう状況でございますので、さらに地権者の代替地要望への対応等々、対応すべき項目はたくさんありますけれども、工程的にもかなり厳しい状況ではございますが、平成年度内の全線供用ということを従来から掲げておりまして、これに向けて、厳しい状況ではございますが最大限努力をしていきたいということで、文化財あるいは用地の確保のところで若干厳しい状況があることも、私ども心配はいたしております。しかし努力をする、こういうことでございます。  一般道路につきましては、実は千葉県市川市から和光市に至る四十四キロを二百九十八号線という国道事業中でございます。埼玉県内を中心用地買収及び工事促進しております。いずれにいたしましても、この専用部と一体となって、草加市内の一部を除きまして専用部と同時に供用を図る考え方でございまして、残る草加市内の区間につきましても平成年度には供用するということで、これも計画的に進めさせていただいております。
  181. 細川律夫

    細川分科員 今、平成年度内に完成といいますか供用開始ができるようにとの見通しを述べられましたけれども、先ほども申し上げましたように、この外環道路につきましては、埼玉県南部の人たちにとっては大変重要な道路でありますので、ぜひ平成年度内に完成供用開始をしていただくようにお願いも申し上げる次第でございます。  それから、三郷インターチェンジのところから南の方でありますけれども、この国道六号までについては、これは進捗状況あるいは見通しはどうなのでありましょうか。
  182. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 三郷インターチェンジから国道六号間につきましては、葛飾大橋から国道六号までの間で一般部のうち二車線を供用しているところでございます。その他の区間についても用地買収及び工事を進めております。できるだけ早い時期にこれは供用すべく事業促進いたしたいと思っております。  それから、ついででございますが、六号以南につきましては、先ほどのいろいろな経緯を踏まえまして私ども検討した案につきまして、現在千葉県及び市川市で検討いただいているところでございます。
  183. 細川律夫

    細川分科員 この外郭環状道路、大変重要な道路でありますので、まず全体的にぜひ早く完成をされるようにお願いも申し上げる次第でございます。そしてまた、例えば三郷インターから関越のインターチェンジのところまで供用開始になりましても、結局それから先が完成しておりませんと、そこまで来た車が結局その道をおりて、またその付近の交通渋滞も発生することは目に見えておりますので、どうぞそういうこともかんがみまして、早期の全体の完成へも努力もしていただきたいと存じます。  続きまして、この外郭環状道路との接続をいたしまして計画が予定をされております東埼玉道路につきまして、お伺いをいたしたいと思います。この東埼玉道路につきましては、埼玉県の南の東部地域におきまして急激な都市化が進んでおりまして、八潮あるいは草加、越谷、吉川、春日部、こういうようなところではまさに慢性的な交通渋滞にも陥っているところでございます。そういう中でこの東埼玉道路が予定をされておりますけれども、この東埼玉道路の進捗状況及び今後の見通しについてお伺いいたします。
  184. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この東埼玉道路はいわゆる第二・四号という位置づけで、外環から外縁部に向かって延びている十四・六キロの道路でございますが、六十三年に都市計画決定をおかげさまでさせていただきました。  その中で、元年度から一部、八潮市、いわゆる外環から直接接続いたしまして越谷市大成町に至る間四・二キロにつきまして事業に着手して、現在用地測量を実施しております。事業に着手をしたばかりでございますし、ここにたまたま遺跡が出てございます。こういうことで、この遺跡の調査にまずかかっております。その間に設計協議その他いろいろなことをさせていただいて、同時並行的に、少しでもここの現四号の交通渋滞に役立つように、スピードを上げて整備をしてまいりたいと思います。遺跡はどうも古墳時代後期の集落で二・六ヘクタールというようなことでございますので、またこれも教育委員会等々の最大限のお骨折りをお願いしている最中でございます。
  185. 細川律夫

    細川分科員 東埼玉道路が予定をされておりますこの周辺では、例えば越谷ではレイクタウン整備事業というものが予定をされておりまして、またあるいは、庄和町の方では東埼玉ビジネスパークという大変大型のプロジェクトが予定をされております。したがって、これらの事業促進あるいはまた地域活性化のためにも、この東埼玉道路は大変地元も期待をいたしております道路でございます。  今の御説明では聞けませんでしたけれども、東埼玉道路完成をする時期は大体いつかを聞かせてください。
  186. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 これはまことに申しわけありませんが、私どもここで見通しが立たないのが現実でございます。それは、この文化財調査――用地取得及び建設というレベルに至りましたら私ども明確な工期を申し上げられるのですが、文化財の発掘というものはなかなか私どもだけでいかないものですから、これに今最大限努力をしながら、これが終わったときに用地買収でまたもう一回ゼロから出発するということのないように、用地取得に関するいろいろな手続といいますか調整等は並行してやっております。そういう意味で、普通の事業でございますとかなりのこれは事業費のかかる道路ではございます。十年前後、普通はかかります。しかし、この十年の中へはこういう遺跡の問題が現実に入っておりませんから、これをどういうふうに見るか、そういう意味で、ここで明確に申し上げることはお許しいただきたいと思います。
  187. 細川律夫

    細川分科員 いろいろな問題があろうかと思いますけれども、ぜひその問題をクリアされまして、促進方をお願いしたいと思います。  次に、この東埼玉道路の予定をしておりますのが国道四号線との接続になっているわけであります。この国道四号線についてお聞きをしたいと思いますけれども国道四号線、大変交通量も多くなっているところでありまして、特に四号線のうち旧四号線といいますか、それと草加バイパス交差点、このところが二車線から一車線になるようなそういうこともありまして、交通渋滞も非常に強く起こっているところであります。そこで、交通事故どもそこでもまた起こっているということでありまして、それについての対策といいますか施策といいますか、どういうふうに考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  188. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 今御指摘の、国道四号と足立越谷線との交点を中心事故が起きておることは事実でございます。当該交差点内において六十三年に二件、平成元年に二件、また草加バイパスから越谷春日部バイパス流入部においても六十三年に三件、平成元年に六件。事故の原因そのものは、公安委員会の御調査によりますとドライバーに起因するというふうにお聞きしておりますけれども、そういうことで、だからどうということではなくて、それならばなおさら交通事故の発生を未然に防ぎ、安全な交通を確保するためにどうしたらいいかということで、この交差点について、公安委員会の御協力を求めまして現在事故の形態と原因を分析、検討しております。その上でどういう対策を講じたらいいかということを、この交差点の四車線化も含めて検討をいたしている最中でございます。  その際、やはり問題になりますのがこの越谷春日部バイパス状況でございます。これは暫定形として全線が二車線で供用されております。延長八・三キロということでございますが、日に二万七千台も通っておるということで、非常に交通事故もこのバイパス自体も起きているわけでございますが、関東地方建設局で管理する国道の全体から見ますと、まあ平均以下ではございますけれど も、交通事故の大きな要因を我々が未然に防ぐためにはどうしたらいいかということから、幾つかの対策を考えております。  一つは、主要交差点にはもう一度右折レーンを設置していく、こういうことが一つ。それから当該バイパスの二車線を四車線化するためにどういうふうな形で四車線化していったらいいかということで、現在橋梁工事中心に進めております。今後この越谷市下間久里の足立越谷線との交差点の立体四車線化を早く進めまして、第十次五カ年計画内にせめて完成させることを目標に今努力をしております。その他につきましてもさらに逐次四車線化を進めて、そして、こういう越谷春日部バイパス状況の交通の流れが変われば、今先生指摘の足立越谷線の交差点における交通事故もあわせて誘導防止できるのではなかろうか、このような観点から総合的に判断していきたいと思っております。
  189. 細川律夫

    細川分科員 今越谷春日部バイパスの四車線化ということが言われましたけれども、これは全部ができ上がるのは大体いつごろでございましょうか。
  190. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先ほど申し上げましたようにこの五カ年内では、現在行っております足立越谷線との交差点中心とした部分はこの十次五カ年計画期間内に完成させたいと思っております。全線次期五カ年計画、もうあと二年で次期の五カ年計画と私どもは考えておりますので、次期五カ年計画期間内には完成させたい、かように考えております。
  191. 細川律夫

    細川分科員 ぜひ御努力をいただきまして、この越谷春日部バイパスの四車線化の完成お願いいたしたいと思います。  続きまして、首都圏中央連絡道路、この点についてお伺いをいたしたいと思います。まず最初に、いわゆる圏央道の全体の進捗状況についてお聞かせください。
  192. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 首都圏中央連絡道路は、現在茅ケ崎市から成田市間約二百キロなど三区間、合計二百四十キロにつきまして基本計画を策定済みでございます。延長が二百七十キロでございますから、大半がもう基本計画まで達しております。まだ千葉県の部分が、後でこの首都圏中央連絡道路に繰り入れられた経緯もございまして、調査の熟度が上がってないのが現実の姿でございます。  また、その整備に当たりましては、国道十六号の混雑が一番著しい区間、すなわち八王子市から埼玉県の川島町間五十キロを最重点に、さらにそれに加えて二区間、合計六十九キロについて事業化してまいりました。埼玉県内では既に一部工事にも着手いたしております。さらに平成年度においては、つくば市から東村間など三十八キロについても事業化をいたしたいと思っておりまして、全体で百七キロの区間事業化いたしたい。約四割に相当いたします。  そしてさらに今後、ここは全体を通じて専用部分につきまして有料道路ということをベースに考えておりますので、採算という面からもかなり厳しい状況がございますが、整備手法等をこれからも十分検討しながら、基本計画区間につきまして逐次事業化の運びをさせていただきたいと思っております。
  193. 細川律夫

    細川分科員 埼玉県内は縦の道路は割とあるのですけれども横の道路がないということで、圏央道につきましても本当に期待が強いわけでございます。  そこでお伺いしますけれども、川島町以東の計画と今後の見通し、それをお聞かせいただきたいと思います。
  194. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 川島以東、いわゆる国道二百五十四号以東の区間、埼玉県の北本市を含め、久喜市そして谷田部町に至る、言ってみれば常磐道に至る間でございますが、ここは平成二年の十一月一日に基本計画区間に繰り入れさせていただきました。全体で七十二キロでございます。この間はほとんど幹線道路らしい幹線道路、大きな道路がないという、しかし極めてこれから発展余力といいますか可能性の高い地域というふうにお聞きしておりまして、その中心になる自動車専用道路という形での部分をどのような形で整備するかということで、最重点として今調査をここに入れております。早く基本計画から整備計画へ上げていかなければいけないわけでございますが、その際、沿線の開発計画というのがございますので、こういうものとの調整で後で手戻りになるといけませんので、事前に十分調整を図り、さらに環境等との調和についても十分対応を図って、整備計画の段階にのせたいと思っております。
  195. 細川律夫

    細川分科員 それでは最後に大臣に御質問させていただきます。  先ほどから質問いたしておりました東京外環道路あるいは圏央道、これらにつきましては首都圏の環状道路といたしまして極めて重要な道路でありまして、早急にこの整備を進めるべき道路であるというふうに私は認識をいたしております。したがって、この東京外環あるいは圏央道の建設につきまして大臣の御認識をお伺いいたしたいと思います。
  196. 大塚雄司

    大塚国務大臣 東京都、埼玉、千葉、神奈川の東京圏で人口が約三千万人、それぞれの都と県はこの四十五年間に倍増をしたわけであります。その間、放射の道路は比較的整備が進みましたけれども、言うなれば、人間の体で言うと、いつも血管だと私は申しておるのですが、その大動脈になるような環状線の整備がおくれていることが地域の皆様に大変に御迷惑をおかけしておるわけでございます。  ただいまお話のありました東京外郭環状道路八十五キロのうちで一部都市計画決定をしていないところもございますけれども、既に都市計画決定をいたしましてもそのこと自体にまたいろいろな御意見がございまして、促進をせよという声も大変大きくございますが、一部には見直せという声があったり、大変に国会の中でも意見が割れているぐらいですから、なかなかこれは大変なことだと受けとめておりますが、しかし、先ほど申し上げましたように、血管に当たる道路、あるいはまた土地基本法でいわゆるこの土地の基本認識は、公共の福祉を優先するんだ、こういう認識も新たにしたところでございますから、この圏央道、外郭環状道路、そしてまた湾岸にありますいわゆる千葉県の東京湾の一周の道路等々、この動脈が全部リンクして初めてこの地域の自動車交通を円滑にするというふうに思いますので、精力を込めてこの計画に沿って努力をしてまいりたい。  ただし、進めるのですけれども住民の皆様の要望をよく聞いた上でやるという認識はもちろんのことでございます。  以上でございます。
  197. 細川律夫

    細川分科員 どうもありがとうございました。
  198. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて細川律夫君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君。
  199. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 まず第一に、北上川上流改修一関地区遊水地事業について質問いたします。  地元としては、北上川上流改修一関地区遊水地事業促進されておりますことに感謝を表しているわけでございますが、二千億円以上を要する大事業のため、三点について特段の御配慮を願いたいと言っております。  第一は、本事業の円滑な促進早期完成を期するため、建設省一関遊水地工事事務所を設置していただきたいということ、第二は、事業費を大幅に増額し、事業促進お願いしたいということ、第三は、関係住民にかかわる生活再建策として、家屋移転の促進、遊水地内耕地を農水省と一体となって優良耕地にしていただきたいというのであります。この件については既に建設省に対しましても強く要請があったわけでございますが、検討状況はどうなっているのか、お伺いします。  また、同時にこの北上川上流一関市弥栄地区の改修についてでございます。  長年の懸案でございましたこの改修も、中江川樋門及び築堤工事促進されましたので、これま た地元で大変感謝しているわけでございます。ついては、この引き続き関連する本郷樋管上流の北上川右岸弥栄堤防築堤工事促進を図っていただきたい。ここは水害の常襲地でもありますので、強い要望があります。このことにもひとつ前向きの御検討をいただきたく、私からもお願いするわけでございますが、御所見をお伺いいたします。
  200. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 北上川は東北地方随一の大河川でございまして、特に岩手県内を縦断している川でございますが、とりわけ一関地区は岩手県内から流出した洪水が集まってくるというところで、大変過去にも大きな災害をもたらしてきたわけでございます。昭和二十二年のカスリン台風、昭和二十三年アイオン台風等を経験いたしまして、北上川改修計画の中でも一関地区に遊水地を設置するということで関係者の御理解を得まして、昭和四十七年から事業を開始したわけでございますが、特に昭和五十六年八月にも相当な出水規模がございました。我々としては、できるだけ予算確保に努め、これらの事業促進しているところでございます。  この地域、一応三つの遊水地区に分けておりまして、一番大きな第一遊水地につきましては、まず周囲堤を建設いたしまして、この遊水地内に居住する皆様を周囲堤の内側といいますか、居住地側の方に移転するという事業を精いっぱいやってまいりまして、ほぼ概成しておるわけでございますが、なお、この周囲堤につきましても、五十六年八月の出水規模には十分耐えられる高さで実施いたしまして、本年の出水期までにはその高さでは概成するわけでございます。引き続きましてカスリン、アイオン台風、こうなりますが、まず次の目標としてはアイオン台風時の水位までかさ上げすることにしておりまして、なお家屋の移転も八九%と進捗しておるわけでございます。  これらの事業は、北上川改修の中でも大きな事業でございますので、地元の皆さんとしては一関遊水地工事事務所を設置して重点的に実施されたいという御要望と承っておりますが、私どもは岩手工事事務所の方でこれを所管しておりまして、事務所があるなしにかかわらずこの事業の重要性にかんがみまして今後も地元の皆様の御理解を得つつ事業促進を図ってまいりたいと考えております。もちろん事業費確保については十分努力して進めていくわけでございますが、何しろ限りある治水予算の中からでございますので、極力その中で知恵を絞って事業早期発現に努力してまいりたいと存じます。  それから、家屋移転には、もちろんこの遊水地区内にお住まいの方は早期に安全な場所へ移転を図っていただくよう地元と密接な連携をとってやっているわけでございまして、なお、遊水地内にある農地についても、地元の皆さんが今後も農業振興を図られるように我々もいろいろな形で地元の皆さんと一緒に御協力を申し上げていきたいと考えております。  それから、北上川の弥栄堤防でございますが、これは北上の改修の中の一環として昭和五十五年度よりこの地区の堤防築造に着手したわけでございますが、昭和六十三年度までに本郷樋管下流部の暫定堤防を暫定高さで一応概成させたわけでございますが、なお引き続き上流部の用地買収にも着手しておりまして、今後も計画的に事業の進捗を図るよう努力しておるところでございます。
  201. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この促進方、私からも特段の要望をしておきます。  さらに、北上川上流砂鉄川改修工事促進についてでございます。  この砂鉄川改修工事は、平成年度から用地の買収がなされる等、本格着工に向けて御尽力いただいたことに対しまして地元民こぞって感謝しているわけでございますが、何せこの地域も有名な北上川狭窄部の水害常襲地であります。集中豪雨、台風等の都度はんらんし、耕地の冠水はもちろん、工場、民家への浸水、さらに地域幹線道路である県道花泉東山線、薄衣舞川線の交通は途絶され、当地区のみならず広域にわたって生活経済に多大の被害と影響を及ぼしている現状でありますので、ぜひこの工事費用の増額と工事促進をしていただきたいと熱望されているところでございます。この対応につきましても、どのように対応されるのか。  さらに、同時に千厩川中小河川改修工事についても事業費の大幅増額が要望されております。この改修事業も既に進行中でございまして、その日ごろの御高配にはこれまた地元が大変感謝しているところでございます。  しかし、この川の洪水に対しましてはたびたび浸水被害を受けており、特に昨年の十一月四日から五日の低気圧による豪雨出水により、平坦部全域の耕地の冠水、工場、家屋への浸水、さらに県南内陸部と太平洋沿岸を結ぶ幹線道路であります国道二百八十四号線が冠水し、交通が途絶えました。このように広域にわたり生活経済が脅かされているところでございますので、この事業に対しましても特段の増額と進捗方が要望されております。あわせて御所見をお伺いいたしたいと思います。
  202. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 北上川には各種の中小河川が合流しておるわけでございますが、今おっしゃいました砂鉄川、千厩川等は狐禅寺の狭窄部の上流に合流しているものでございますから、一たん北上川の出水等がありますと、大変この沿線に住んでおられる方も被害に遭っておるわけでございまして、そのような強い要望が出たものと理解しております。  砂鉄川でございますが、まず下流部は北上川改修と一体となりまして、六・七キロ区間については直轄管理として平成年度より無堤部改修のための用地買収に着手いたしました。また、その上流の二・八キロ区間につきましては、昭和四十一年度から小規模河川改修事業として国の補助事業によりまして岩手県に補助をいたしまして、掘削築堤を計画的に進めておるところでございます。  千厩川につきましても、北上川合流点昭和四十五年度に千厩川水門を完成させまして、合流点より三・四キロ区間中小河川改修事業により、また昭和五十三年度からその上流二・一キロ区間を小規模河川改修事業により、昭和四十三年度から掘削計画と築堤計画実施しておるところでございます。  いずれの事業にしても、地域からの大変強い要望を私ども承知しておるわけでございますが、何せ我が国は大変水害に遭う危険性の多いところに住民が住んでおるという状況がございます。ちなみに我が国の河川のはんらん区域における居住人口は約五〇%、アメリカと対比しますと、アメリカの場合は九%、こういう状況でございまして、治水上条件の悪いところに地域住民が住んでおるという状況がございますので、我々はそういう中で財源の確保に努めまして、治水安全度が一日も早く向上できるように今後とも鋭意努力してまいりたい。その一環の中において今の各河川についての治水の安全の向上のための努力を進めていきたいというふうに考えております。
  203. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 次に、主要地方道一関大東線の狭山地区改良事業化について御質問いたします。  この主要地方道一関大東線は、国道三百四十三号線と連結して沿岸部、内陸部交流の時間短縮と県域全体の均衡のある発展を図るために主要な路線であります。また、先ほど質問いたしました国道二百八十四号線が冠水で交通が途絶えたときの最短迂回路になる路線でございます。このため、県が重点施策として進めた県単高速交通関連道路整備事業の一関ルートとして大幅な改良整備が進められているわけでございますが、しかし平成年度で陸前高田市の矢作工区と東山町の羽根堀工区が竣工したとしましても、この狭山トンネル地区が勾配、屈曲が大で、トンネル内の幅員も狭いなどで大型車の交通の多い今日では隘路となっており、解決を要する課題として残されているところであります。  つきましては、このトンネルを含め、新ルートの設定を考慮していただきたい。そうして事業化されるよう特段の配慮を願いたいと地元から熱烈な要望を受けております。このことにつきまし て、ひとつ建設省見通し、また実のある前向きの御答弁をお願いしたいなと思うわけでございます。
  204. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 一関大東線は、先生指摘のように一関と大東町を結ぶ二十九キロの道路でございますが、大船渡市並びに陸前高田市を結ぶ幹線道路の一部を構成して極めて重要な交通がなされていると聞いております。おおむね改良済みではございますけれども、この御要望の一関と東山町境の狭山トンネルを含む区間といいますのは、現在のトンネルが二百二十六メートルでございますが、勾配が八%、幅員も五・五メートル程度で、改良がされてはおりますけれどもかなり厳しい状況とお聞きしております。  そこで、現在このトンネルを含む二・八キロ区間中心にいろいろと検討をいたしております。県として平成年度から調査を実施しておりますが、多分六百とか七百とかそういうオーダーの三倍近いトンネルの延長になろうかと思います。かなりの長いトンネルを含めて、延長も二・五キロ以上のバイパス計画という形で最終的な計画がまとまるだろうと予測しておりますが、現在まだ調査中でございますので、この調査が完了次第、県としても事業に着手したいというふうな予定である旨をお聞きしております。そういうことで、私どもこの路線全体を県と私どもとそれぞれ分担し合いながら今後とも事業の推進に御協力いたしたいと思っております。
  205. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 一応前向きな答弁と受けとめまして、私からもお礼を申し上げます。  それでは次にお伺いしますが、三陸縦貫自動車道大船渡三陸道の整備促進についてでございます。この路線も地元にとりまして非常に待望されている整備路線でございますので、ぜひ早期完成されますように事業促進方と、さらに三陸町綾里川ダム、これは地下ダムでございます、この総合開発事業実施計画調査の早期完了と本工事に早く着工していただきたいという陳情も来ておりますので、この二つについて建設省所見をお伺いいたします。  特に、この地下ダムは本州で初めての地下ダムになる、そういう意味では非常に珍しいケースでもあり、大切な実験がなされる工事じゃないかと思いますので、ひとつこの点につきましても前向きな御答弁をお願いいたしたい、こう思う次第でございます。
  206. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 綾里川ダムの関係について御説明いたします。  これは、岩手県気仙郡三陸町の綾里川に建設されるダムでございますが、昭和六十一年度実施計画調査に着手いたしました。平成年度には建設に着手するということで、小規模生活ダムとして検討しておるところでございます。また、あわせまして、先ほどおっしゃいましたように、本州では最初の地下ダムとして組み合わせることによりまして水の安定供給を図ることによって、この地域、特に三陸町の水道用水の供給あるいは流水の正常な機能の維持にも役立てるようにする規格としております。まとまり次第、早期事業化したいというふうに考えております。
  207. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 三陸縦貫自動車道大船渡三陸道路整備につきまして御説明いたします。  三陸縦貫自動車道は、昭和六十二年に新たに高規格幹線道路網の一つとしてまとまりました。その中から、大船渡市から三陸町に至る延長十七キロの部分事業化いたしている部分でございます。五十八年から事業に着手して、現在、用地買収及び工事促進しておりますけれども、この道路は約三十の橋梁がございますし、五つのトンネルがございます。その中でも、二・二キロに及ぶ新三陸トンネル等々極めて大きなトンネルもございます。  そこで、この中から特に、この新三陸トンネルを含む大船渡市立根町から三陸町越喜来間約五キロにつきまして、ここが非常に大きなネックだということで地元の強い要望――昔のトンネルがございますけれども、これが非常に小さくて通りにくいトンネルということでこれがネックになっているとお聞きしておりますので、そこをまず新しく新三陸トンネルという形で抜きましてやるということで、ここにつきましては、この五カ年計画期間を目指して今鋭意努力をいたしておるところでございます。  その他の区間につきましては、これらにあわせて逐次整備を進めてまいりたい、かように考えております。
  208. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 どうもありがとうございました。  次に、公団住宅の家賃問題についてお伺いします。  公団住宅の家賃値上げについては、一九八八年四月の衆参両院建設委員会の集中審議を経て行われたのでありますが、最近までの首都圏を中心とした地価高騰あるいは公団入居者の高齢化による収入水準の低下等の要素を踏まえ、今回の改定に当たっても前回と同様集中審議を行うべきと考えておりますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  209. 立石真

    ○立石政府委員 住宅都市整備公団の家賃改定に当たりましては、前回集中審議をいただいたのは先生指摘のとおりでございます。その段階におきましては、家賃の改定ルール等をどうするかというようなことも含めまして、いろいろと集中的に御審議をいただいたところでございます。  今回、家賃の改定をしようとしているところでございますが、国会の側でお求めがあればまた御審議をしていただくことと思っております。
  210. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 次に、総務庁の方にお伺いします。  閣議決定による定員削減五カ年計画に基づく定員の五%の画一的な削減は、特に建設省については見直す時期ではないかと思うわけでございます。  この計画を継続すれば、日米構造協議の四百三十兆円の公共投資の拡大に応じた事業の行政における管理監督は非常に困難をきわめることになり、これを無理に計画どおり事業の遂行を図ることになれば、民間へ管理監督を委譲することになると思います。工事の安全で確実な遂行に悪い影響も及ぼすことが懸念されますので、ぜひ建設省に対しては見直すべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  211. 木村幸俊

    ○木村説明員 先生よく御承知のとおり、国家公務員の定員管理につきましては、私どもといたしまして、行政需要の動向とか行政の適正かつ円滑な運営といったことを十分念頭に置きまして行ってきているところでございます。  その中で、建設省の定員についてでございますが、これにつきましても、業務の実態等を十分精査しながら、また同時に、建設省の方から十分お話を伺った上で必要な定員措置を講じてきているというところでございます。  ただいま先生の方から四百三十兆円の公共投資についての話がございましたけれども、これにつきましても、今後とも建設省から十分お話を伺った上で、効率的な事業実施、さらに定員配置の適正化といったことを十分念頭に置きまして適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  212. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 次に、建設省における労使関係についてお伺いいたします。  建設省には、通称建設職組と全建労の複数の組合があるわけでございますが、同一職場に複数の組合が存在する場合の労務管理を預かる当局側として、常に同等かつ公平な対応が肝要かと思うわけでございます。かつての三・二七確認というようなことも聞いておりますので、建設省の労務管理の基本姿勢についてお伺いいたします。
  213. 望月薫雄

    望月政府委員 お話しのとおり、私ども建設省には複数の組合が存在いたしておりますが、はっきり申し上げられますことは、いずれの組合のメンバーの方々も、あくまでも建設省の職員として日夜建設省の業務の的確な遂行に努力していただいているもの、かように考えております。また、そうなければならないというふうに確信いたしております。  そういった前提の中で私どもも、両組合、複数 の組合との対応につきましては、差別のない関係ということで今後とも貫いてまいりたいと思っております。
  214. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 以前、公営企業体の主流を占めた国鉄など三公社、さらに郵政、林野などの五現業では、当局姿勢が脆弱なために国民へのサービスが低下し、職場荒廃も随所に見られたわけであります。そのことは、つまり親方日の丸的意識によってもたらされたものでありますが、三公社、特に国鉄の民営化により労使関係は大変良好になったということは、とりもなおさず親方日の丸思想の排除、経営姿勢の確固たるものに起因すると考えるのであります。  建設省の業務は公共事業がその主体をなすものでありますから、地域住民、民間企業に対してのサービス低下や批判を受けるようなことがあってはならないわけであります。闘争時のいわゆるワッペン闘争、机上標示、ビラ張りや時間内の交渉など迷惑がかかるようでは困ると思います。  建設省、特に地方機関ではそのようなことがありませんか。お伺いいたします。
  215. 望月薫雄

    望月政府委員 先生お話しのとおり、四百三十兆円を内容とする公共投資基本計画が指し示していますように、建設省の負うております責任と果たすべき使命、今日も大きいのですが、今後ますます重大になる、こういった認識に立っております。それだけに、職員の皆さん方、管理職も含めてでございますが、建設省関係者一丸となってそういった職務の的確な遂行と国民の負託にこたえていくということについては、さらなる気持ちを引き締めなければならぬ、こういう気持ちでいっぱいでございますが、今日、今先生の御指摘のような残念な事例も場所によっては散見されるということも否定できないものと伺っております。  私ども、いずれにしましても違法、不当な行為というものは当然国家公務員についてはあってはなりませんし、これについての是正、適正化を図るのは当然でございますが、さらに何よりも大事なことは、私ども、自信と誇りに満ちた職場づくり、明るい職場づくり、こういった中で本当に国民の信頼にこたえていくという意識をお互いにしっかりと持ちながらの国民に期待され頼られる建設省としてのさらなる道筋をしっかりと定着してまいりたい、かように考えております。
  216. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 官房長の違法に対しては確固たる対処をする所見伺いまして、非常に心強く思っております。  昔から、よい管理体制の中では労働組合も正常に運営され、管理体制の弱いところに正常な労働組合は生まれないとも言いますが、まじめな職制や職員がばかを見るような環境をつくらないように強く要望するわけであります。つきましては、もう一度このことに対する今後の対策をお伺いする次第でございます。
  217. 望月薫雄

    望月政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、私ども四百三十兆円の指し示す内容というものを果たしていく責任官庁という自負を持ちながら、それだけにまた責任の重さをかみしめている今日でございます。したがいまして、こういった内容を本当にしっかりと受けとめて国民の期待にこたえていくということが最大の使命でございますわけで、そのためには安定した信頼関係に支えられた労使関係の確立ということは当然のように基本でございますし、これからその面でのさらなる努力を労使ともども一緒になって頑張っていきたい、かように思っております。
  218. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 それでは時間が参りましたので、私の質問をこれで終わらさせていただきます。どうもありがとうございました。
  219. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に、時崎雄司君。
  220. 時崎雄司

    時崎分科員 日本社会党の時崎雄司でございます。初めてこうして大塚建設大臣とお会いするわけですが、私と同じ名前だということで何かの御縁だろうと思います。今後ともひとつどうぞよろしくお願いいたします。  既に建設大臣もごらんになっていると思うのですが、建設業界という雑誌がございますね。あれの三月号に女性の土木技術者の方々の、これは若い方々ですが、座談会の模様が載っておりまして、土木というのは世のため人のためと大きいタイトルがついてございました。その内容の中でも若い女性の技術者の方々から言われておりましたが、これまでは急いでつくることが建設なり土木の使命のようでございました。しかし最近のようにこの業界、若者離れというのか三Kということでなかなか優秀な労働者が集まらぬというようなこともございまして、これからは今言いましたように世のため人のためということの目標をきちっとして、そして環境に配慮をするような建設なり土木の業界に育っていかなければならぬ、こんな趣旨の座談会での発言でございました。私も全くそうだろうと思います。  ところで、最初にお聞きしたいのは、たしか二月二十二日でしたか、環境委員会におきまして霞ケ浦の浄化対策を取り上げました。その中で、地元茨城県の多くの方々がひとしく待望しています霞ケ浦導水事業の建設についてお尋ねをいたしたところでございます。  既にこの事業も第二導水路と言われます利根川と霞ケ浦の間の導水管が昨年の三月に概成をした。そしてこの四月以降は第一導水路の那珂導水路と呼ばれておりますが、那珂導水路の水戸周辺における導水路の工事が本格的に始まる、こういう状況になっておるわけでございまして、先般の環境委員会では河川局の開発課長さんにそのことについて幾つかお尋ねをいたしました。きょうは続きではございますけれども、ぜひ局長並びに大臣、さらにはその他の方々に率直な御意見なり御回答をいただきたい、こう思うわけです。  この環境委員会での開発課長の答弁の中に、地下四十メートルのところを約六メートル幅で導水管を敷設する、こういうことでございまして、その際に地上にあります土地の所有者、この方の同意を得た上で工事をするのか、こういうことを再三お尋ねしたのですが、どうも私の聞き方がまずかったみたいで、同意をとれるように最大限努力をしてまいりたいと思います、この答弁の繰り返しで終わってしまったのでございます。  民法その他法律、条文を読んでみても、当然地権者の同意は必要ではないか、こう私は思いますので、ぜひとも大臣の方から、そういう場合同意が必要だ、こういう考え方をひとつ出していただきたいな、こう思うところでございます。
  221. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 環境委員会でも担当課長から御説明申し上げたと思いますので、余り重複しないように御説明したいと思います。  本事業は、那珂川下流部、霞ケ浦、利根川下流部を連絡する導水路を建設することによりまして霞ケ浦また水戸市内の桜川の水質浄化、それから那珂川、利根川の既得用水の安定取水を図るとともに、茨城県、首都圏の都市用水を開発することを目的とする首都圏及び茨城県における極めて重要な事業でございます。  この水戸トンネルは那珂川側、水戸側からスタートします導水路の一部をなす重要な施設でございます。この建設は先生おっしゃいましたように水戸台地の地下四十メートルの岩盤の中を通すものでございまして、水戸台地は約千三百万年以上昔にでき上がった水戸層の上に各種洪積世等の地層が乗っているわけでございますが、ちょうどこのトンネルはこの岩盤の中をくりぬいていくものでございます。したがいまして、そのトンネルの上におられます地権者の方の通常の土地利用につきましては現在においても今後についても阻害することはないわけでございます。これは公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づきまして積算した結果、補償額は算定されない状況でございます。したがいまして、この区間については補償額ゼロということを担当課長申し上げたと思います。  なお、所有権が及ぶのか及ばないのかという議論につきましては、にわかに断定することはいろいろと困難であろうと思います。理論上はいろいろな議論はあろうと思います。しかしながら、関係する地権者の方々トンネル工事に対して同 意を得るよう私どもとしては努めておるということを課長も申し上げましたし、我々もそのように考えております。
  222. 時崎雄司

    時崎分科員 今お答えになったのは二月の二十二日に環境委員会で開発課長が言われたのと全く同じでして、私はそういうことではなくて、同意を得るというのは、当然これは努力をするということはわかるのです。これはもう再三言われていますから何も今あえて聞かなくてもいいのですが、仮に同意をとれなかったときには、工事をするのかしないのか。もっと極端に言えば同意がないまま工事を進めることがあるのかないのか。そこをお尋ねしているので、これはひとつ大臣からずばりお答えいただきたい。
  223. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま河川局長からお答えをしましたように、同意を得るという意味の中には幾つかあるわけでありますが、通常の土地利用に伴う損害補償額については、今日までのいろいろな例からいたしましてもゼロである。しかし、工事を進める上でその地権者に同意を得る必要があるかないかといえば、実際に、この公共事業全般を見ましても、どの公共事業につきましても、当該地権者のみならず周辺の皆様にも同意を得るというのはもう今日の慣例でございますし、あるいはまた個人の建築の場合でも近隣の同意を得るということも常識でございますから、そういう意味で、この工事を進めるに当たっては地権者の方々の同意を得るということは当然だと思います。
  224. 時崎雄司

    時崎分科員 今大臣の方から、同意を得る、こういうことでございますが、当然、その中には同意を得なければ工事は進めない、こういうことも含まれている、こういうふうに理解してよろしいですか。
  225. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど来私も申し上げておりますように、同意を得るということは私が申したとおりでありますが、先ほど来申しておりますように、法定の公共事業でございますから、その同意を得ることについては、当然公共事業を進める上で、例えば地権者以外の場合でも同意を得ることもあるのですから、そういう意味で同意を得るということでございます。
  226. 時崎雄司

    時崎分科員 同意を得るということは、当然同意が得られない場合にはその工事はしない、こういうふうに私は理解するのですが、どうも大臣も余り歯切れがよくないようで、仮に同意が得られない場合に通常どういうことになるかというと、これは収用ということになるわけで、手段もきちっとしているわけですから、当然それは収用になれば収用になった手続によってやるわけですから、やはりその前段は同意を得なければ工事はできない、こういうことをはっきりやはりおっしゃっていただかないと、このケースは今後いろいろな意味でまた波及をしてくる。  特に大深度の利用の法律なども検討されていますので、そういうものがない中での今の工事ですから、やはりその辺は、たとえ公共事業とはいえ個人の権利侵害にならぬような法律に基づく一定の手続を踏まないとできないということは、やはりこれは当然のことだろう、こう思いますので、同意を得るということは、同意を得られない場合には工事はしない、ここまではっきり、そして、どうしても必要があれば収用その他の手続をとる、こうなるわけですね。
  227. 大塚雄司

    大塚国務大臣 お話しのとおり、公共事業ですから、法の定めるところによって進めていくわけで、その過程で地権者の方の同意を得るということで、まあ得られない場合に中止をするということは、それは公共事業の性格上できませんが、法に定めるところによって進めていくということでございます。
  228. 時崎雄司

    時崎分科員 それでは次に、補償の問題についてお尋ねをいたします。  これも再三環境委員会の中で、地下四十メートルであること、それからトンネル区間は泥岩という岩盤に覆われている、したがって地上の地権者の利用の阻害にならない、こういうことでの説明がございました。そして、昭和三十七年に閣議で決定した公共用地の取得に関する補償の決定がございますので、それに基づいて計算すると補償額ゼロ、こういうことは再三聞いたわけでございますが、その中でも、これまで山岳部のトンネルについてはそういうケースが間々あるということは説明をされておりましたが、今回のように住宅地、さらには商業地等々、市街地におけるこのようなトンネルについて補償しなかったというケースはございますか。
  229. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私もちょっと調べたことがございませんので、今直ちにお答えすることはできません。しかしながら、おっしゃいますように、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱によりますと、これは地下四十メーター、しかもその上に、三十メーター近い岩盤の中に囲まれた地域でございますので、およそ今後あるいは現在において土地利用される区間ではないというふうに判断いたしておりまして、その限りにおいては補償額は算定されないということでございます。この関係につきましては、地権者の方々に十分事情を御理解いただきまして御同意をいただくよう努力してまいりたいと考えております。
  230. 時崎雄司

    時崎分科員 私の聞いていることと答弁は大分違うようでして、そういう例について御存じないならば、後でお調べになって、そういう例があるかないか、山岳地帯におけるそのトンネル工事については補償しなかったというケースは前回お聞きしていますので、水戸のように、今回のように市街地におけるトンネルの建設に伴って全く補償しないというケースがあるのか、こういうことですから、ひとつお調べいただいて御回答願いたい、こう思います。  ところで、今お話がある公共用地の取得に伴う損失補償の基準要綱、昭和三十七年、恐らくこれ、説明されているのは第二十条「空間又は地下の使用に係る補償」という項だろうと思います。したがって、「土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に定めた割合を乗じて得た額をもって」、こういうことになるわけでしょうから、妨げがゼロだということですから、そうすると、かたい岩盤が一定以上の深さにある、そうすると地権者の土地利用というのはそのものが存在しなくなる、利用権そのものがなくなる、こう考えていいのですか。
  231. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 ただいま先生の御質問、公共用地の取得に伴う損失補償基準のお話かと思いますので、まず私の方から御説明をさせていただきたいと存じます。  ただいまお話のございましたように、二十五条には土地の利用が妨げられる程度に応じて適正な割合の補償をするということになっておりまして、それを受けました補償基準の細則によりまして、程度に応じた割合は当該土地の立体利用阻害率に応じて算定する、しかもその利用阻害率は別添参考としまして事細かく書いてあるところでございます。  でも、これは先生既に御承知のとおり、地下あるいは上空の利用につきましてはどこまで地権が及ぶかということは私どもも実ははっきりはわかりませんが、実際には通常の使用手段によって限られている、そうした有効空間があるのではないか、この有効空間に対して阻害をした場合には当然補償するということかと思います。この有効空間の考え方としましては、技術的に、あるいは制度的に、さらには経済ベースを考えて利用可能かどうかという点から、どこの高度あるいはどこの深度だったらどの程度の潜在的な利用価値があるかということから決まってくることかと思います。  通常、確かに市街地とそれから山林ということでは当然違ってくるかと思いますけれども、そうした通常の手段ではとても使えないようなところまでは、潜在的な所有権はあるかもしれませんが、補償の対象になるようなそういうものはないのではないかというのがこの基準の考え方だと思っております。  それから、先ほどの御質問になるのですが、ちょっと追加させていただきたいと存じますが、公共事業のすべての工事で、市街地の地下利用で補 償しなかった例が果たしてあるかどうかにつきましてはちょっと私も存じておりませんが、収用委員会の場に持ち込まれた裁決事案として見ますと、なるほど先生の御指摘のように、大体が山林におきますトンネルあるいは電線の空中の問題、そういうものにつきましては補償費ゼロというのが何件もございます。
  232. 時崎雄司

    時崎分科員 私のお尋ねしたのは、土地の利用が妨げられる程度は応じて補償をするというこの閣議決定の要綱ですね。そうしますと、今回の例えば地下四十メートルのところで、建設省の考えとしては妨げられる程度はゼロだ、こういう考え方のもとに今回は予算もとらなかったし、また補償する考えもない、こう言っておるわけで、そうしますと、今回のように地下四十メートルで岩盤もある、そういう箇所についてはもう地権者の土地利用権というものは存在しない、こう理解をして今回のような方針というか考え方になったんですか。
  233. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、相当程度の利用可能なところまで事業権と申しますか所有権はあろうかと思います。ただ、損失補償の対象とします、そうした現実使えるかどうかという点から判断いたしますと、ただいまお話のありましたように、岩盤の中であるし、そこには恐らく通常の建物を建てる場合の基礎もそこまではいかないでしょうし、さらに地下水をとるためにそこまで掘るというようなことも考えられない、そういうふうな状況を考え合わせて、この場合には恐らく補償の対象にはならないであろうというふうに今思っているところでございます。
  234. 時崎雄司

    時崎分科員 先ほど建設大臣の方からも地権者の同意を得る、こういう答弁がございました。一切補償しないで、どうして同意がとれますか。これは、今度は現実論として。この事業については単にそこに住んでおります水戸のその該当する地権者だけではなく、その周辺を流れている桜川の水質浄化の目的もございますし、その先の霞ケ浦の浄化の目的もございます。もうひとしく県民が一日も早い完成を期待しているわけですね。そういう中で、今言われるように所有権があるわけですから、当然同意を得る。しかし建設省が考えておるのは、利用の阻害はゼロだ、だから補償しない。さて、現実の問題として、皆さん、同意をとれるとお考えですか。
  235. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私ども、地元におきましてこの事業の重要性、また地域振興に占める事業効果について御説明申し上げますとともに、水戸トンネル部についてはこのような地層の中でこのような状況であるということ、とりわけ地下四十メーター、かつ岩盤で囲まれておるところであり、この岩も水を通さないものであり、現在におきましても今後におきましても皆様の利用に阻害することはないであろうということも十分御説明申し上げまして、現在、説明会の中で説明して御同意をいただく努力をしているところでございます。私どもは、このような努力によって十分地域の皆様の御同意が得られるものと確信しております。
  236. 時崎雄司

    時崎分科員 きょうは三日目ですから、大分皆さんお疲れのようでございまして……。  どうも私、この事業が既に若干予定よりおくれている、そういうことで今回またこういう、同意はとるが補償はしない。大変危惧をしているんですよね、この事業はおくれてしまうんではないかと。もう建設省の皆さん、幹部ですからよくおわかりだと思うのですが、今大深度利用についての検討がそれぞれの省庁で行われ、できれば今国会あたりで出したいなどという期待もあったでしょうけれども、そういうものがまだ出ていない。現に地下四十メートルぐらいのところでは、千代田線の国会議事堂駅だって地下四十メートルですし、渋谷の方だって今そういう計画もあるだろうし、それから第二常磐線という常磐新線だって、都内に入ってきたら大深度にならざるを得ないとかいろいろなことが言われているのですね。  水戸ならば四十メートル下の地下鉄なんか将来にわたってもつくる考えはないとあなた方はおっしゃるんですか。これは大変失礼な言い方じゃないですか。水戸の地下四十メートルなら利用する価値がないとか計画がないとか、そういうことは予想できないとかと言うんですか。東京は現に国会議事堂駅、四十メートルのところにあるんじゃないですか。どうもそういう東京ならばという思い上がり的な印象があっていやなんですよ、これは。  もう一度、利用しないと先ほど言った、利用するようなことはないと言っているんですけれども、本当ですか、これ。将来、あと五十年、百年たったら水戸だって地下鉄の三本や四本できるかもしれないんですよ。ちょっと失礼な言い方だと私は思うのですが。
  237. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 もし東京の場合であっても、強固な岩盤がありましてその下までは通常経済的、技術的に使わないというところならば、それは先生も御指摘の大深度地下の対象にはならないのではないか、東京だから何メーター、水戸だから何メーターということではないと思います。東京でも地盤の固さ、深さ、そういうことによって固まってくるのではないかというふうに考えます。  大深度地下は、御指摘のように利用の話がありながら、確かに統一法制が必要だということは私どもも理解いたしますし、ぜひ早期に法制度を整備しなければ、ただいま御指摘がありましたように確かにあいまいなところがあることも事実でございます。そういう制度をつくらなければいけないということで、今内閣審議室を中心に各省庁で勉強中でございます。  繰り返しになりますが、東京だから四十メーターでいい、水戸は四十メーターでないということではございません。やはり地下の物理的な構造が主になってくるのではないかというふうに考えます。
  238. 時崎雄司

    時崎分科員 時間もございませんから、最後に、常識的に考えて、利用の制限にならないから補償しない、そのことが閣議決定の要綱でそうなっておる、これはその閣議決定されたものを私も読ませていただきましたから理解できるのですが、それぞれの一人一人の気持ちに置きかえて物を考えたときに、例えば将来所有者がだれかにその土地を売却するときに、実は私の地下には建設省がつくった直径六メートルもの大きい導水管が通っているんですよ、そういう前提で、じゃあ売買というときに、ああそんなものがあるなら安く値段を提示しますよ、買いたたかれることだってあるでしょう。  土地というのは利用だけでもって価格が決まっていくんですか。あなたのおっしゃるように利用を制限しないから補償しなくていいということであれば、土地の値段というのは利用だけで決まるんですか。ずばりそこを。
  239. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 これも先生御承知のとおり、公共用地を取得する場合の価格の考え方は、いわゆる正常な取引価格、これは恐らく利用価値というものが最も反映するかと思いますけれども、これは現在では近傍類地の取引価格を基準とすることにいたしておりまして、それに加えまして収益還元とかあるいは原価法といったような技法によりまして価格を算出しております。それを取得価格というふうにして補償の対象にしております。
  240. 時崎雄司

    時崎分科員 私が申し上げているのは、そういう意味じゃないんです。だから個人個人の胸に置きかえてと前提をつけているんですよ。あなたの所有している土地の下にそういうものが入ってきた。さあ売るときになったら、そういうもののない土地ならばこのぐらいの値段で買うが、そういうものがあるのでは残念ながらもう少し安くせざるを得ないよというようなことだってあるでしょう。しかしそれは、建設省方々がおっしゃるのには、この土地にどんなものをつくっても大丈夫なんですと言っているんだから、大丈夫ですからそれは値段安くしないでと言ったって、買う方がそのことによって若干でも値下げを要求するようなこともあったりするわけでしょう。  だから、土地の価値というのは、単に利用できる、利用を阻害するというだけの――それは公共事業としてそうだということは、あなたに言われなくてもこれに書いてあるんですから、補償基準はこうだということが。しかしそういうものもあるだろう、こういうことを私申し上げているので、そういうもろもろのものが複合されて土地の売買価格というのは決まっていくのではないだろうか。そして、岩盤のないところに行ったら補償する、こう答えているのです。そうですよね。同じ地下四十メートルでも、岩盤がないところについては補償しましょう、こう言うのです。地上から見て、岩盤があるかないかというのはわからぬわけですよ。そうじゃないですか。そうしたら、境界線のところではある人はゼロで、ある人は何十%かの補償、地価の値段の何割かで補償を受けたということになる。これは当然そういうことになるでしょう。  そこで、事業を早く推進するためにも、かたくなにゼロだと言うのじゃなくて、話し合いの中で、限りなくゼロの場合もあるでしょうし、場合によっては一定の補償をせざるを得ないことだってあるのではないか。そういうふうに一律に、岩盤があるから大丈夫だ、そして所有権はあるけれども利用権だけの阻害だ、こういう言い方をしていますからね。その辺の柔軟な対応というのですか、そういうものはございませんか。
  241. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 ただいま先生のおっしゃる議論も十分拝聴いたしたわけでございますが、いずれにしても、地元の地権者の関係することでございますので、関係者の方にこの事業の重要性、地域における地域進展のために占めるその役割等を御説明すると同時に、この皆様のお持ちになっている下の土地がこういう状況である、したがって我々としては現在も将来においても皆様の土地利用を阻害することはないであろうということを十分御説明して、御同意を得るよう努力してまいりたいと考えております。
  242. 時崎雄司

    時崎分科員 ぜひこれからの建設省のそれぞれの立場の方々に、先ほど冒頭言いましたように、ただ物をつくればいい、こういう感覚ではなくて、これからは環境、さらには個人個人の権利、そういうものを十分守っていただいて、少なくとも建設とか土木とかという業界が三Kと言われないような、そういう業界に今後とも発展していただく、こういうことでの御指導をお願いして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  243. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて時崎雄司君の質疑は終了いたしました。  次に、堀込征雄君。
  244. 堀込征雄

    堀込分科員 私もこれから、特に長野県の問題について質問させていただきますが、その前に建設省、国民生活に密着をした大変有益な事業、大切な事業を今まで進めてこられた。道路にしろ治山治水にしろそのほかの事業にしろ、特に国民生活に密着をしているわけでありまして、大変努力をされてこられた関係者の皆さんに敬意を表するわけであります。  しかし、今二十一世紀を目前にしてみますと、私ども人類が自然と闘って今日まで来た。そして、自然と闘いながら自然を征服する過程で生活水準を高め、進歩を果たしてきたわけであります。そしてその結果、今や地球だけではなしに、この宇宙空間まで人類が制するような、そういう時代にまでなってきた。これはやはり、すばらしい人類の知恵と闘いの結集であった、こういうふうにも思うわけであります。しかし、よく言われていますけれども、人間の限りない欲望が充足をされていくその反面、人間と自然の調和が壊されるのではないかという危惧が出てきていることは御存じのとおりでございまして、人間と自然の共生の時代、こういうふうに言われるわけであります。これからの建設行政に求められるのはまさにそういう点だろう、こういうふうに思います。  そこで、まず冒頭、建設行政としてこの点の基本姿勢、特に環境との調和、協調をどう図りながら基本的な建設行政を進めるのか。なおかつ、調和を図りながらより豊かな人間生活を実現をしていく任務を負っているというふうに思うのでございますが、まずその点についてお伺いをいたします。
  245. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先生とは偶然汽車の中でお会いをして以来でございますが、私もこの行政をつかさどるようになりまして、地球規模で環境を守らなければいけないという大前提で仕事をしなければいけない、まずそう思っておるところでございます。  三十七万平方キロの日本列島に一億二千万の国民が住んでおるわけでありますが、森林やあるいはまた山岳、農地、こういうものを取りますと、いわゆる可住面積というのはかなり限られてくるわけでございます。それが大都市に集中してしまって、大都市での弊害があり、多極分散型の発展を図ろうということから、どうしても分散をするのにはそれぞれの都市も発展させるわけでありますから、勢い自然に手をつけなければならない。特に道路とか新幹線とか、こういうものができるたびに、やはり自然は少しずつ破壊されていくことは事実であります。  しかし、同じ破壊されるにしても、この行政を進める建設省が環境を守るという姿勢を常々持つことが非常に大事でありますから、どんな小さいものでも環境影響評価というようなものをやりましたり、もちろん法定のものはやるわけでありますが、気持ちの中では本当に環境を守るという姿勢で取り組むということが何より必要である、こういう認識でございまして、全省挙げてこれらの公共事業を進めるに当たっては環境、自然を守るということを忘れないように、常々私は皆に申しておるところでございまして、またそのように進めてまいりたいと存じます。
  246. 堀込征雄

    堀込分科員 そこで、そうは申しましても全国至るところ問題が起きていることも事実でございまして、例えば代表的には長良川河口せき問題などがあるわけであります。建設省として、治水あるいは利水両面からどうしても必要だという立場をおとりになっていまして、これに対して反対運動もあるというのが状況だと思います。私は、断っておきますけれども、いわゆる絶対的な自然保護派、自然保護絶対主義の立場に私自身も立っているわけではございませんで、人類の進歩を果たしてきたのはやはり自然と人類との闘いであった、それに人間が勝利をしてきたという結果だと思っていますし、これから自然との調和を図りつつ、なおかつ開発だとか人間生活の向上のためにやっていくべきは積極的にやっていかなければならない、こういう立場に立っています。  しかし、私懸念しますのは、長良川問題というのは、やはりこの手法あるいはやり方が今後の建設行政に大きく影響するのではないかという点でありまして、住民の理解をしっかり得ないと、あるいは今後の建設行政に影響していくのではないか、こういう点でございます。建設省も大変な努力をされてきましたし、県や沿川市町村の促進決議や促進の運動も存在をしているということも承知をしているわけであります。議論も出尽くされたという感もないわけではありませんが、改めて理解のために努力をすべきではないか、こんなふうに思います。  そういう意味で私は、今大臣の方から一般的に、自然を考えながら行政を進める、こういうふうにありますけれども、やはり我が国の片や建設省、片や環境庁という両庁があるわけでございますから、よく議論をして意思統一をしていくことが必要だと思いますけれども、多分そういうこともやられているのだろうというふうに思いますけれども、この辺の意思統一はどう図っていかれるのか、お尋ねをいたします。
  247. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 長良川河口ぜきに先生お触れになりましたので、長良川河口ぜきを事例にして御説明させていただきます。  長良川河口ぜきは、長良川沿川の住民の生命財産を守ると同時に、中部圏の発展に必要な水資源を確保するという事業でございまして、昭和四十三年度に閣議決定して、水資源開発公団が事業化 をして現在に至っているわけでございます。この事業は、もとより自然破壊をするようなものは一切ございません。  まず、この事業着手に当たりまして、その五年前から、特にウ飼いで有名な長良川でございましたから、水生生物に関する調査を、当時専門家約九十名から成る調査団によって徹底的な調査を行い、その関係につきましては、約二万二千名から成る地元の漁業団体の皆様にも徹底的に御説明をいたしまして、さらに追加調査を繰り返して十分な調査の上で、水産資源の保護あるいはその振興に関する諸施策も関係自治体と徹底的に行った上で、合意の上で昭和六十三年に工事に着手したわけでございます。  なお、形式上は五十九年から環境影響評価制度が閣議決定されまして進められておるわけでございまして、この事業昭和四十三年ですから遡及適用はしないわけでございますが、実質中身においては、それ同等もしくはそれ以上のことを私どもはやってきたという自信を持っております。なお、陸上の動植物についての調査は若干不足しておったわけでございますが、その後も定期的に調査を行っておりまして、その取りまとめた結果につきましては昨年十月に関係県市町村にも説明し、住民への徹底も図って、また十分な御了解を得ているところでございます。この関係におきましては、陸上動植物についても、今後改変するであろう土地は全体の三%ぐらいでございまして、ほとんど陸上の動植物についても影響はないと考えております。  なお、この問題についてはいろいろな新聞報道等がございまして、環境庁も関心を持っておったわけでございますが、昨年十二月の時点で当時の環境庁長官から、長良川河口ぜき建設事業に関する環境庁長官見解というのが出されました。この内容につきましては、当時建設大臣がその内容について一応の点検を行わせていただきまして、この御趣旨に沿って今後も粛々としてこの事業を進めていくということを、当時の大臣から意向を表明された次第でございまして、我々はこの趣旨に沿って、我々が従来進めてきた環境調査の内容について環境庁にも御説明し、その内容も点検していただきながら、不足がもしあるならばさらに追加するという姿勢で臨んでおりますが、基本的なところでこの事業を中断するなり一応見直すなりという必要のあるようなものは、私ども現在のところはないというふうに思っております。  なお、当然ながら今後も、自然保護の上でもいろいろな面でもさらにいいものとするために、なお追加調査をしながらさらに研究を重ねて、環境面の充実に努めていくこととしております。
  248. 堀込征雄

    堀込分科員 そこで私の主題、きょうは長野県の千曲川上流ダム計画について御質問させていただきます。  このダム計画は、建設省北陸地方建設局の千曲川工事事務所が担当されているというふうに思います。そこでパンフレットも出して、計画の概要は大体わかるわけでありますが、そこでこの千曲川上流ダム計画について、計画するに至った動機といいますか必要性について、まず御説明をいただきたいと思います。
  249. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 千曲川につきましては建設省直轄事業として、また下流信濃川ということでございますが、一連の区間建設省直轄事業で進めてきたわけでございますが、その沿川に多くの住民の方がお住まいでありますので、この治水安全度を向上させることは大変重要なことでございます。昭和五十六年から五十八年にかけまして三年連続して大水害に見舞われまして、沿川市町村あるいは被害に遭われた流域住民の皆さんからは、抜本的な治水対策を強く要望されたところでございます。  私どもはこの経緯も受けまして、昭和五十九年に信濃川水系工事実施基本計画に基づきまして、上流ダム群による洪水調節の一環として、南牧村の海の口地先にダム計画を発表したわけでございます。あわせて、千曲川信濃下流の流水の正常な機能の維持と下流沿川市町村の都市用水の確保を目的とする多目的ダムとして、地元の協力が得られることを前提として、五十九年八月に実施計画調査の要求をしたわけでございます。しかし、地元南牧村当局では住民のダム調査に対する同意が得られなかったため、五十九年十二月に予算要求を見送った次第でございます。  現在まで、国と県と南牧村との間で十分な合意が得られるように話し合いを進めておるところでございます。
  250. 堀込征雄

    堀込分科員 ただいま説明ありまして、建設省側の論理といいますかあるいは地元の下流の方の論理といいますか、治水、利水両面から必要だという御説明ございましたし、関係市町村あるいは県からも要望が出ている、だからということでございます。しかし、このダムは相当前から関係方面で検討されていたわけであります。  例えば、一番古い話では昭和二十二年、終戦直後でありますけれども計画があったという話でございまして、その地図まで発見をされている。そこには、千曲川本流に七カ所のダム堤建設の位置まで記されているというような事実もございまして、この話はともかくとしまして、昭和四十二年から四十三年にかけて広瀬ダムの建設計画が示されて、地元でも大変な反対運動が盛り上がった、そして長野県議会でもダム建設反対の陳情が採択をされた、そしてこの計画が立ち消えになった、こういう事実がございますが、この事実は確認できるかどうか。そしてまた、立ち消えになった原因について、建設省はどうお考えになっていますか。
  251. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 広瀬ダムという計画でございますが、建設省におきまして昭和四十一年度より下流千曲川信濃川沿川の治水、利水対策を目的に、南牧村の川平地先において調査を進めてきたダム計画でございます。  まだ構想という段階でございましたが、昭和四十二年に、まだ地元と何ら話し合いを持たない段階でテレビ等で報道されまして、地元の皆様から大変反発を買ったわけでございます。また、それ以前の段階で、これは我々関係しないわけでございますが、首都圏の水不足対策として、千曲川より山梨県の笛吹川に分水して東京へ導水するというような構想が一部のマスコミで報道されまして、東京への分水計画ではないかというふうに地元の皆様から大変不安を持たれたわけでございます。その結果、この広瀬ダム計画もあるいはその計画なのかというようなことがございまして、私どもまだ構想していた段階でございますが、大変地元の皆様の不安あるいは反発がある状況でございましたので、このダム構想が進んでいないわけでございまして、今日に至ったという状況でございます。
  252. 堀込征雄

    堀込分科員 今答弁ございましたように、計画の段階で広瀬ダムはつぶれた。答弁の中にもありましたが、昭和四十二年建設省計画をする三年前に、つまり昭和三十九年にももう一つのダム計画があった。東京都水道局を中心にしながら構想されて、当時の新聞を見ますと、東京電力と電源開発公社を主体として、あそこでせきとめたダムで山梨県の笛吹川へ水を持っていって、首都圏の水が足りなくなったので東京の方へ水を引こう、そのためにあの地籍に大ダムを建設しよう、こういう計画もありまして、これも実は、今建設省計画段階でつぶれたその三年前に、関係自治体や関係団体の反対でつぶれている、こういう事実があるわけですね。  そこで、二度にわたって挫折をした千曲川上流ダム、今度こそ物にしよう、三度目の正直、こうなるわけでありまして、建設省さん、この建設計画を進めているわけでありますが、しかも折よくと言っては、これはちょっと語弊があってよくございませんけれども、建設を進める側にとっては、昭和五十六年、五十七年、五十八年と連続大水害が出まして、千曲川下流に大きな被害を出した、こういう状況も出てきておる。  ですから私は、これは地元でもそう言っていますけれども、このダム計画は確かに五十六年からの三年の水害があって、治水、利水両面から必要 だ、こういう論理と、そういう昭和三十九年と四十二年の計画があったものですから、それがつぶれているものですから、そのまた具現化ではないか、したがって、たまたまタイミングよく三年続けての大水害があった、この際チャンスだから計画を練り直してもう一回やろう、こういうふうに言ってきた、こういう声が地元に非常に強いわけでございますが、この辺についてはどう受けとめられるでしょうか。
  253. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 過去のダム計画の構想段階でいろいろな報道がなされまして、私どもの意図が大変誤解されたことはまことに残念でございます。特に、東京分水計画については、私ども一切検討したことも構想を持ったこともないわけでございますので、この際申し上げさせていただきたいと思います。  それから、五十六年から五十八年とタイミングよくとおっしゃいましたが、私どもはこの水害については大変遺憾に思っておりまして、下流の築堤、河川改修について予算を充当し、再度災害防止のために懸命な努力をしているわけでございます。しかし、千曲川は御承知のとおり非常に長い河川でございますので、上流に降った雨、中流に降った雨が一挙に集まってきますと、どうしても新潟県への狭窄部の付近で大きなはんらんを起こさざるを得ないわけでございまして、やはり上流で降った雨は上流で一時貯留してもらうということが、治水安全度から最も効果があるわけでございまして、私どもはそういう意味で、従来から信濃改修基本計画の中でその問題を検討した結果、どうしても上流ダムが必要であるという結論でございますが、その位置その他につきましては、どうしても地元の皆さんの理解が得られなければいかぬということでございます。  今考えられます千曲川上流ダム地点は、ダムとしては適地でございますが、このような従来犯したような誤解を再び起こすことのないように、まず地元の皆さんと十分話し合っていきたいという立場でございます。したがいまして現在、国、県と南牧村との間では、ゼロからの話し合い、話し合い中は予算をつけない、話し合いの窓口は村とするというこの大前提のもとに、既に十八回の話し合いを実施してまいりました。この話し合いの中で御了解いただければ、できるだけ早期に実現の方向に向かって努力してまいりたいと考えております。
  254. 堀込征雄

    堀込分科員 しかし地元の皆さんは、先ほど申し上げましたように三十九年、四十二年とそういう経過がございました。それで、いろいろ建設省は説明をされていますけれども、しかしうまいこと言ってまたダムをつくって、東京へ実際は水を持っていくのではないか、こういう疑念がまだ消えないわけですね、率直に言って地元では。それはまたある程度、経過を見ればそういう計画があったわけですから、いたし方ない面もあるわけであります。例えば四十三年二月、長野県議会では陳情を採択をいたしまして、治水ダム設置計画反対についての案件が採択をされています。この時点では、防災ダムの効果はない、こういうふうになっているわけですね、だからダム計画は中止する。つまり、沿川の市町村、県議会は、昭和四十三年の時点ではあそこのダムは防災効果はないんだ、こう言ったわけです。  それで、今回はたまたま三年連続の五十六年からの連続水害があった。したがって県議会も、いろいろ内部には意見がありますけれども、沿川の中下流の自治体なんかはむしろ防災対策を望んでいる。千曲川改修期成同盟会という組織をつくって、私のところへも陳情に来たりいろいろ努力をされている、建設省の方へもお願いに行っている、こういう状況になっているのです。私が理解できないのは、四十二年、四十三年のときは防災効果がないと言った、ところが今日は防災上必要だ。これは住民の率直な感情でございまして、この点にやはりきちっと答えなければいけない、こう思うのです。  そこで、建設省として、このダム計画で五十六年から五十七、五十八年に起こった下流の水害をどの程度食いとめることができるか。例えば、あの年には私ども長野県では、長野市松代町だとか飯山市等で大変な水害が起きておるわけであります。これはこのダムによって避け得た災害であったかどうか、こういうことを含めて、防災効果について御説明をいただきたいと思います。
  255. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 このダムだけで防げ得たかというと、いろいろ議論があるところだろうと思います。当時の洪水は、千曲川の全川至るところではんらんするような状況で、下流に洪水が押し寄せて破堤を見たということでございますので、破堤を見た箇所につきましては、私どもはすぐ激甚災害対策特別緊急事業等で復旧に努めるとともに、再度災害防止の観点から脆弱な堤防の補強等を進めておるわけでございます。  なお、沿川ではんらんしたものがもし仮にまた千曲川に出てくるとすれば、さらに洪水のピークは高まるわけでございまして、そういう高まったものは、やはり上流で一時的に貯留することが必要だろうと思います。いろいろな計算があると思いますが、仮に昭和五十七年九月の台風十八号で見ますと、六千七百七十トンの洪水が出るのではなかろうか。このダム建設によっては、三百三十トンという洪水調節を行うことにしております。ただ、信濃川水系工事実施基本計画では、この流域の重要性から見ますと、一万一千五百トンの高水を処理する必要がある。その意味におきましては、上流ダム群で二千五百トンの洪水調節を必要としておりまして、その中で大体三分の一ぐらいを今の構想のダムは負担することとなろうと思います。これらのダム群の建設によって、初めて下流安全度確保できると考えております。
  256. 堀込征雄

    堀込分科員 今五十七年九月の例を出して、かなり洪水調整能力があるという答弁がございました。これは雨の降り方、あるいは集中豪雨の降り方ですね。例えばあの条件と違う地籍に降ったりして、いろいろなケースが出ると思うので、あるいは風向きとかいろいろな自然条件はあると思うのです。そういう条件によりまして、果たしてあそこに上流ダムを建設することによって下流の水害が防げるかどうかという点も、実は地元ではかなり論議のあるところでございまして、むべなるかな、確かな論理でございます。そういう意味では、洪水調節の機能などについてもいろいろなケースを想定して、こういうことがあるんだということはやはりわかりやすく説明をしていくことが必要ではないか、こんなふうに思います。  そこで、治水の方はともかくとしまして、利水の方でありますが、中下流地域で具体的に今生活用水だとかあるいは農業用水だとか、こういう緊急に講じてほしいというような切実な要求があるかどうか。私のところへも、実は千曲川改修期成同盟会の皆さんから、都度都度陳情はいただいておるのであります。しかし、今あの地域につきましては、そうはいっても水道用水だとか農業用水を緊急に必要としているというようなところは、今のところはないのじゃないか。つまり利水についての強い要望は、沿川市町村にそんなにないというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
  257. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 現時点においてはそれほど強い要望が来てないと先生おっしゃいましたが、そういう状況だろうと思います。実は、昨年は利根川、四国の吉野川、それから千曲川下流信濃川では大変な渇水になりまして、新潟県内では番水というようなことに追い込まれたわけでございます。残念ながら千曲川信濃川水系には大きなダムがないために、新潟県内では大変困りまして、番水とかいろんなことで対応しようとしたわけでございますが、たまたまタイミングがよくといいますか、台風の集中豪雨によって難は避けたわけでございます。これは下流渇水型ではございますが、上流においても、今後の気象条件でどうなるかということはまだ保証の限りではございませんので、私どもは過去の雨の状況その他を確率的に検討した上で、所要の利水の容量を確保し、安全度確保するということは重要だと考えております。とりわけ、千曲川にはそれほどダムの適 地というのはないわけでございますから、せっかくのダム適地においては治水、利水両方に役に立つような多目的ダムとして計画することが適切だと考えて、対応してまいりたいと考えております。
  258. 堀込征雄

    堀込分科員 時間が参りましたので、最後に、先ほど答弁ございましたが、六十年度予算で一たん一億円の予算、調査費をつけた、しかし関係市町村の予算取り下げ要求なんかもあって、実質上取り下げをした経過がある。その後、先ほど答弁ございましたように、村と市あるいは県を含めて十八回も真摯な話し合いを進められておる。こういうことで、私も建設省の姿勢を評価をするわけであります。しかし、ダム建設にまだ村当局が反対の姿勢でいるということも事実でございますし、それはまた東京分水計画やいろいろの歴史的な経過を負っているということで無理からぬ点もあるわけでありまして、ぜひ長良川の教訓にまつまでもなく住民合意の、住民の完全納得の上で建設行政、このダム計画も進めていただきたいというふうに思います。  この計画の進め方について、先ほど質疑もありましたが、つけ加えてございましたらお聞きをしたいと思います。
  259. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 このダムの建設によって、下流の市町村は治水的にも利水的にも大変安定した生活環境が得られるわけでございますから、流域の皆さんがこの促進を望まれるのは当然でございますが、また、水没地の皆さんは先祖伝来の土地を提供し、その土地を離れなければならないということでございますから、これは上下流一体で地域町づくりの中でまたお考えをいただきたい。  また私どもは、移転される方には、少なくとも我々の事業によって生活の根底が覆って子孫に悔いが残らないように、十分皆様方の一人一人の生活が成り立つように努力していくことが必要だと思います。その上では、窓口である村当局の十分な御理解と、また住民への橋渡しをお願いしたいというふうに考えております。
  260. 堀込征雄

    堀込分科員 時間ですので、終わります。
  261. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて堀込征雄君の質疑は終了いたしました。  次に、貝沼次郎君。
  262. 貝沼次郎

    貝沼分科員 国道を初めとする道路の進捗状況について、質問をしたいと思います。まあ私が言うまでもなく、現在生活基盤を支えておるのは道路でございまして、この道路整備というものがなされないと大変行動範囲が狭くなるわけでございます。  岡山県の倉敷市の玉島バイパス、これもあそこは土地が大分やわらかいところであるために、随分時間もかかりましたが、今は広くなりました。道路が駐車場のようになっていたのが今は広くなりましたが、しかしまだまだ信号が多くて、実際とまることばかりなんですね。せっかく大きな道路ができたにもかかわらず、信号が多くて大変です。そこで、高架をしなければならないということで大分進んできておるわけですけれども、この整備状況並びに今後の見通し、これについてお願いしたいと思います。
  263. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  玉島バイパスは、岡山バイパスと一体となりましていわゆる倉敷市街地部、旧玉島市街地部と言ってもいいのかもしれませんけれども、その交通混雑緩和、交通安全の確保に非常に役立つものと思って、私ども九・三キロの計画実施させていただいております。  歴史は古うございまして、四十七年より事業着手、四十九年に用地着手、五十二年からいよいよ工事着手、こういうことでございますけれども、極めて難しい地域を含めまして現在七・五キロは供用を図らせていただいております。現在、この既供用区間のうちの本線部でございます爪崎高架橋、延長で約二・六キロございますが、この上部工事下部工事を促進するとともに、未供用区間が一・八キロ、玉島阿賀崎の方に至るところが一・八キロほど未供用区間がございます。これについて、用地買収及び工事を行っております。  これから一生懸命やりまして、この五カ年というわけにはまいりませんけれども次の五カ年、もう三年目には、ことし平成年度になるわけでございますから、五年度には新しい五カ年計画の発足ということを含めて、次の五カ年内にはこれらのものにきちっと対応さしていただきたい、かように思っております。
  264. 貝沼次郎

    貝沼分科員 これは地元で非常に要望の強い路線でございますので、一日も早く実現できるようにお願いしたいと思います。  特に、今おっしゃった爪崎というのは、恐らく玉島へ行っていよいよ旧二号線に入るところがまだちょっとおくれているわけですね。あそこのところが非常に混雑するわけですけれども、あの辺はいつごろよくなるんでしょうか。
  265. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 今先生がおっしゃいましたのは、玉島阿賀崎とそれから都計道の柏島道越線というのでしょうか、この間が実は一・八キロおくれております。ここにつきまして今用地買収工事を行っておりますが、それよりももうちょっと中ごろ、爪崎高架橋というのが新倉敷、ちょうど都計道の堀貫線あるいは市町村道の八重島地線、あるいはさらに右の方に行きますとちょうど長尾高架橋と山陽道とのインターのちょっと手前でございますが、この間に爪崎高架橋ということで二・六キロの区間を持っております。この部分につきまして、今上下部をやっております。全体的に高架構造そして一般構造あわせてこれをきちっとつくる、今真っ最中の状況になっておる状況でございます。
  266. 貝沼次郎

    貝沼分科員 よくわかりました。  それからもう一つは、笠岡バイパスなんですね。この笠岡の手前までは大変広くなって割とすいすい行くんですが、笠岡の市に入った途端にもう動かなくなってしまう。そうして広島県に入ったらまたさっと行く、盲腸みたいになっているところですけれども、これを早く解決しないと二号線の意味が非常に薄れるんじゃないかということで、ぜひともこれを早急に実現をしていただきたいということでありますが、今大体海辺の方を通ってそれで福山の日本鋼管の方に向かっていくようになっていると思いますけれども、この辺についての進捗状況あるいは今後いつごろ開通できるのか。その辺の見通しと、そのバイパスに入るのはどこから入るのか、恐らく浜中から入るのだろうと思うのですけれども、まだ地元でもはっきりしておりませんので、その辺のところを御説明願いたいと思います。
  267. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 笠岡バイパス、実はこれは大バイパスの一部でございます。この歴史は先生の方が非常にお詳しいと思いますが、水島玉島産業有料道路、これが五十二年に開通したものが倉敷の方にございます。その次に、玉島笠岡有料道路という構想が実はございました。これがいろいろといきさつがございまして凍結のまま、凍結といいますかその後ずっと建設されないまま現在に至っております。この連続として、実は笠岡バイパス七・六キロが事業中という形で、六十三年に都市計画決定されております。  なぜこの笠岡バイパスを早目にしたかと申し上げれば、先生御承知のように笠岡湾の干拓が行われまして、このときに一緒に道路用地を確保して先にここをやれば、間のところも含めて全体の事業が進捗できるということと、あわせて二号線の現状対策もできるじゃないか、こういうようなことから事業化された部分でございます。したがって、現在の計画を見ますと、前後が国道がございません。前後が将来的には延びるという構想の中の部分で、現在は都市計画道路西大島浜中線というのがございます。これとアクセスする。そしてバイパス終点からは、現二号のアクセス道路としての都市計画道路用之江茂平線、こういうのがございますが、これを経てまたもとの二号に戻る、こういう非常に変則な形でこの笠岡バイパス活用を図ろうということでございます。  考え方としては、これは全線が最終的には二号線としてつくっていきたいと思っているわけです が、余りにも四十七、八年ごろからの経緯のある計画だものですから、これをひもときながら、地元のいろいろの問題等を含めて、今この幹線道路計画策定部会というものを建設省と岡山県においてつくりまして、前向きに、何しろ何とかしなければいかぬということで検討をさせているところでございます。
  268. 貝沼次郎

    貝沼分科員 そうすると、これは国道が直接つながるわけじゃありませんが、そういう県道等とアクセスをしてできると思いますが、開通はいつごろを予定されていますか。
  269. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 これは、この部分だけ開通しても効用が果たせませんので、この両方の都市計画道路と合わせて開通させるということでございますけれども、実際の問題としては、この干拓地内が非常に軟弱でございます、埋め立てておりますので。埋め立てといいますか、干拓で干上がらせております。そこで、この軟弱地盤処理工法はどれがいいかということを今検討しております。この工法等によって左右されますので、現時点で明確にするわけにはいかないということは私、現地からお聞きしております。しかし、今のようなことで都計道と一体となって早く効用させるように、強いて言えば、この五カ年ではもう無理でございますから次期五カ年、あるいは次期五カ年を含めてなるべく早く供用するように検討してみたいと思っております。いずれこの供用の目標をもう少しはっきり申し上げることもできようかと思いますが、もうちょっとお時間をいただきたいと思います。
  270. 貝沼次郎

    貝沼分科員 一日も早く供用できるようにお願いしたいと思います。  それからもう一つ、総社バイパスというのがございます。これは県立大学の建設等も関連しておりますので早くという話も出ておるわけでありますが、これはどうなっておりますか。
  271. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 総社バイパスは、岡山市高塚から総社市の井尻野に至る延長七キロの道路でございます。六十三年に都計ができまして、元年度から事業化いたして用地買収及び工事に着手しております。このうち、山陽自動車道の岡山総社インターチェンジに関連する〇・五キロに関しましては、山陽自動車道倉敷ジャンクション―岡山総社インターチェンジがこの三月十六日に供用予定でございますので、これよりか先にこれとの関連で供用させるということで、この三月十二日、昨日でございます、供用したところでございます。  残る区間につきましては、今用地買収に取りかかることといたしておりますが、実はこれも文化財の調査が必要な箇所もございますので、何か弥生時代、奈良時代の国府跡だそうでございますが、かなり大きな規模の文化財が発見されました。そこで県及び関係の大学にお願いして、どこにやっていただくかまだ決まっておりませんが、井尻野古墳あるいは何か三カ所ございますが、こういうものを早く片づけていきませんと肝心のところにつながりませんので、これを早く片づけて御要望におこたえしたいと思っております。
  272. 貝沼次郎

    貝沼分科員 あそこは古墳が多いので本当に難しいところなんですけれども、それでももう百八十号線、あそこのところは全然動かないのです。ですから、地元としては非常に急いでおる路線でございます。  それから、それの隣にあります一宮バイパス、この点はいかがでしょうか。
  273. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  それから、ちょっと総社バイパス一つだけ間違いをいたしました。平成年度工事に着手と申し上げましたが、四十八年に事業化いたしまして、具体的には平成年度から始めております。  それから一宮バイパスでございますが、これは国道百八十号の岡山市の北西部ということで、岡山市の楢津から同じ市内の高塚に至る九キロの道路でございます。平成二年の十二月十五日から十二月二十八日の間に都市計画の縦覧を行わせていただきました。この三年の二月十四日、先月ですが、岡山県の都市計画地方審議会において答申がなされ、この二月の二十六日に都市計画決定がされました。いよいよ事業化の準備が整いましたので、早期事業化をいたすように私ども心がけてまいりたいと思っております。  先ほどの総社とこれと合わせて早く効用がされるように、しかも全部が完成されなくとも暫定的にでも、部分供用等によって少しでもその効用が果たせるように、それも工夫いたしながら進めさせていただきたいと思います。
  274. 貝沼次郎

    貝沼分科員 この辺の道路は、空港があそこにできたにもかかわらず、倉敷から空港へ行こうとするとなかなか道路が込んでだめなんです。ですから、新幹線で来た方がずっと早いということになってしまいます。こういう道路が使えますと、これは全部アクセスになりますので、うまくいくようになるわけでございます。  それから次は、倉敷―井原間の国道昇格の問題です。これは旧山陽道でございまして、岡山の歴史をそのまま物語っているような場所なんですが、これは道路としてもそうですが、いろいろな今後の地域発展のためにも、ぜひともこれを国道昇格にしていただきたいという要請が非常に強いわけでございますが、この辺の見通しはいかがでしょうか。
  275. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 岡山県の国道昇格は、現在極めて多く私どもお聞きしております。岡山県関係分として、県の中だけですと十路線で四百五キロほどでございますが、鳥取、兵庫あるいは広島といった関係県との関連を入れますと、千キロ以上に及ぶ大要望が出ております。このようなものを加えまして全国的に一万二千キロ以上の要望が出ている中で、現在国道が四万六千八百キロ余でございます。  私ども国道のトータルの延長を幾らにすべきか、四十年代に決めた当面の目標といたしましては五万キロということでございましたが、この規模をどのような考え方で今後考えたらいいのか。それから、今先生要望の倉敷―井原のような路線、これは前回の五十六年の国道昇格で東北地方で初めてこの種の性格の要望が出てまいりました。こういうものを今後どのように扱っていくのか等、採択要件との絡みもありまして、内容の検討も今いたしておる最中でございます。  そういう中で、国土開発幹線自動車道建設審議会との絡みも含めて、今後どういう国道道路網の再編成のスケジュールの中でやっていったらいいか、今検討している最中でございますが、一つだけ言えることは、平成年度中には何とか国道昇格国道再編成の作業をさせていただきたいなという希望のもとに、できるだけその中でも早くできればありがたいということで作業をいたしておる状況でございます。いずれにいたしましても、いろいろな情勢の中からの判断が要ることでございますので、そういうことを見ながら大臣の御指示のもとに作業をいたす予定でございます。
  276. 貝沼次郎

    貝沼分科員 これは岡山県でもかなり熱意を込めておりますので、ぜひひとつお願いしたいと思います。  それから、これは日本道路公団の方になると思いますが、中国横断道岡山ジャンクションから北房ジャンクション、この間の整備あるいは今後の見通し、こういったものについてお願いしたいと思います。
  277. 山下宣博

    山下参考人 お尋ねの道路につきましては、中国横断自動車道の岡山米子線のうちの岡山から北房の間かと思いますが、これは先ほどお話がございました山陽自動車道の倉敷ジャンクションから岡山総社インターまでこの三月十六日に開通を予定しているわけでございますけれども、ここから北上いたしまして中国縦貫自動車道の北房までの間約四十一キロメーター区間でございまして、昭和六十一年三月に整備計画が策定され、建設大臣から昭和六十三年五月に日本道路公団が施行命令を受けまして、昭和六十三年六月に路線発表を行いました。  現在の進捗でございますが、道路中心ぐいの打設が完了いたしておりまして、道路構造や横断する道路あるいは水路の構造などにつきまして、 その管理者や地元の皆様との設計協議を進めている段階でございます。了解の得られました区間から高速道路の用地を示す幅ぐいの打設をいたしておりますけれども、現在この幅ぐいの設置が全体の延長で申しまして約二〇%の進捗の状況でございます。今後設計協議をさらに進めまして、幅ぐい設置の進捗を図りまして、用地買収をさせていただきまして順次、文化財の発掘等も必要でございますけれども、その後工事着手へと進めてまいりたいというふうに考えております。
  278. 貝沼次郎

    貝沼分科員 ここの予定のところは、大変山も急なところがあったり難しいところが多いと思いますけれども、しかしこれは山陽、山陰というところを結ぶ、あるいは四国まで結ぶ大変重要な路線になると思いますので、一日も早く実現するように希望したいと思います。  以上で終わります。
  279. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、前島秀行君。
  280. 前島秀行

    前島分科員 私は、第二東名の建設の問題、それから昨年被害をこうむった大場川の改修の問題等々について、地域の課題で恐縮ですけれどもお尋ねをしたいと思います。  まず第二東名ですが、私たちは期待を持っているわけであります。同時にまた、さまざまな課題もあろうと思いますものですから、今後の見通しとか課題について原則的なところを確認をし、これからの具体的な地域の対応にしたい、こういうふうに思っているわけであります。  そこで過日、都市計画を決定するに当たって市町村を通じていろいろな説明があったわけでありますが、まず私の静岡の方は、沼津から西が都市計画決定に向けて今作業を進めているわけでありますが、その辺のこれからのスケジュール的なもの、見通し的なものがどうなっているのか、その点をひとつお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。
  281. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 第二東名高速道路は、東京から静岡を経て名古屋に至る三百二十キロでございますが、そのうち横浜市から東海市間の二百九十キロの基本計画を策定させていただいております。さらにその中から、重点的に調査を行いまして終わりました箇所、これがちょうど沼津市から東海市間二百十六キロ、静岡県内ですと百三十四キロに相当いたします。これについて調査が整いましたので、整備計画策定の前提として環境影響評価手続を知事にお願いいたさなければいけないということで、お願いをいたしたところでございます。現在静岡県では、昨日三月十二日より知事案が縦覧中というふうに、ただいま私の手元に情報が来ております。  いずれにいたしましても、この知事による環境影響評価手続が終了いたしました区間につきましては、これをまとめて国土開発幹線自動車道建設審議会、総理大臣が会長でございますが、会議を開くことをお願いいたしまして、そこで整備計画の原案を承認いただく、そこでその承認のもとに建設大臣と運輸大臣の両者により整備計画を策定していただいて、そして事業に着手するということでございまして、私ども順調にこの手続が踏められるならば、この第十次五カ年計画期間内にも逐次事業に着手させていただきたい、かように思っております。  いずれにいたしましても、現在八割以上が混雑度一以上の状況でございますから、第二東名高速道路を一日も早く事業化完成させて、第一東名ともども安全な高速ネットワークの確保を図りたい、こういう考え方でおります。
  282. 前島秀行

    前島分科員 もう少し時間的なというか、整備計画ですか、あるいは工事の着工のめどだとか、それらはもう少し具体的になるのですか。ならなければしょうがないと思っているのですけれども、できるものなら大体この辺をめどにというふうなものを、もし示していただければと思っています。
  283. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 時間的にかなり幅がございますので、時間的なものというよりも手続的なことを申しますと、今言いましたように環境アセスメント手続は終わります。そうすると、国幹審を開いていただきまして整備計画の原案を御承認いただきます。そこで整備計画を出します。そこでその整備計画をもとに、今度は道路公団に施行命令を出します。道路公団が調査をいたしまして、調査というのは今度は具体的にもうすぐ工事をする寸前までの調査をいたします。  そういうことで、それが終わりますと今度はいよいよ建設ということでございますが、施行命令を道路公団の総裁に出しますと、今度は実施計画ということで建設大臣に申請が出てまいります。その申請が出た後に路線発表をいたします。路線発表したらこれはもう地元にはっきりしたわけですから、測量をすると同時に設計協議に入り、幅ぐいを打ち、用地取得に入り、それから実は工事。ですから、これから工事に入る間が、いわゆる私どもソフトの期間と言っておりますが、この期間が極めて読みにくいわけです。特に、静岡県のようにいろいろな開発計画等々があって地価等の高騰、監視区域といいますか規制区域等々県にお願いしていろいろとセットしていただいておりますから大丈夫だとは思いますけれども、そういう用地の問題等々含めたその部分が一番時間がかかるので、これを私ども何とか県と一緒になって進めるべく、これからが、そこが正念場だと思っております。
  284. 前島秀行

    前島分科員 具体的な年数が出てこないから、これ以上はあれですけれども。  今度は逆に、私のところは沼津で切れてしまっていますので、これはいろいろ問題がありますもので、今度は東の方、東京の方につなぐ、とりあえずは横浜ですか、それからこれのめどというのはどんなふうに考えているのか、ちょっと説明してください。
  285. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 東の方につきましても、私ども、西と同じように早く整備計画を出したいということで、この環境影響評価手続に必要な調査を現在全線にわたってやっております。ここは他の区間と違って、現在の東名を通ってもおわかりですが、よく濃霧が出ます。そういうようなことから、異常気象時に対する安全対策、特に第二東名は、設計速度は百二十キロでございますが、構造的には百四十キロ以上で走れる構造につくるという形でございますから、一層異常気象時における安全対策には配慮いたさなければならない、そういうようなことからいろいろとその設計調査等々に難しさがございます。そういうことで若干おくれておりますが、西の方におくれないようにこれは調査を進めて、可能であればこの次、今回の国幹審には間に合いませんけれども、その次の国幹審には何としても間に合わせたいということで、県、私どもの中部地方建設局と関東地方建設局が一生懸命やっておりますが、これは神奈川県、静岡県ともども、一緒でないとできっこありませんので、一緒になってそういうふうに努めたいと思っております。  なお、その次の国幹審をいつやるかということにつきましては、これはまだ現時点では未定でございます。
  286. 前島秀行

    前島分科員 次のと言うから来年かな、ことしかなと思ったのですけれども、そのめどはないわけですね。
  287. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 はい。
  288. 前島秀行

    前島分科員 私がなぜ東の方を聞くかというのは、ちょうど沼津のところで切れますと、恐らく部分開通になるでしょうね。時間がずれるだろうと思うわけですけれども、沼津の地域というのは御承知のように箱根を東に抱えて、北側に富士山、富士五湖というのを抱えて、そして南には伊豆半島、こういう観光ルートのいわば拠点みたいな形になっているということと、それから産業的にも二四六が第一東名と並行をいたしまして、この沼津から、私たち駿東郡、こう言って、二四六沿線、こう言っているのですが、裾野、御殿場地域に非常に今産業、工場誘致等々で活発にあるわけなんですね。そうすると、部分的に第二東名が出てきますと、これは便利でございますから地域 に物すごく影響をこうむるという心配が実はあるわけなんですよ。そういう面で、なるべく、穴をあげるといいますか間をあけてしまいますと、そこにわあっと観光的にも産業的にも交通が集中するもので、地域に大変問題が出てくる、こういう状況が予測できるわけなのでございまして、そういう面で、ぜひ早目になるべく穴のあかないといいましょうかというふうな状態をぜひつくり上げてほしい。そういう面で、現時点でいついつと言うことができないことはわからなくはないわけなんですけれども要望としてその辺のところをぜひ、交通渋滞地域との兼ね合いの問題がありますものですから、ぜひうまくつながるような形をお願いしておきたい、こういうふうに思っているところでございます。  次に、先ほど言われましたように、百四十キロで走れるような構造だ、そうすると、道路幅が相当あるのですよね。三車線、両方で六車線ですからね。道路だけでも横幅三十五、六メートル、こういう状況ですね。それと、そういうこれからの交通事情を見ますと、環境問題ということについて非常に問題があるわけでございまして、特にこの富士山のふもとは、すそ野を通っていく状況で、そしてその後は海沿い行という形にならざるを得ないということで、環境に対する影響ということについて非常に敏感な地域でございまして、特にコースが第一東名から北側ということですと環境への影響ということが非常に心配される地域なんです。それで、きのうから一般縦覧が来ているので、関係者は恐らく非常に関心を持っていると思うのですが、そういう環境に対する基本的な認識をまず伺っておきたい、こういうふうに思います。
  289. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 第二東名・名神は、設計速度としては百二十キロ、こういう形で考えておりますが、将来の可能性を持たせるという意味で百四十キロでも走れるような構造にしておく、こういうのが基本的な設計態度でございます。そういう工事の将来への可能性を秘めた規格の高い道路でございますから、線形上やむを得ず人家の集積している地域を通過する。こういったような場合には、当然のことながら、必要に応じ遮音壁、遮音築堤、植樹帯等から成る環境施設帯を設けて、自動車走行に伴う大気汚染とか騒音等による周辺の影響を軽減することは当然のことでございます。ただ、設計に際して、まず基本が、なるべく都市部を避けて、アクセス性は確保するけれども、都市部を極力避けてなるべく生活環境への影響を極力抑えるという設計基本を持ちますから、結果としてトンネルとか高架橋が随所に出てくる、こういう形になります。そうなりますと、また一方で自然環境の保全、こういうようなこと、動物、植物、景観等、こういったものに対して、設計に際して具体的な対応をしなければいけない、こういうふうに思っております。  静岡県内の第二東名高速道路の環境影響評価は、都市計画決定権者である知事がこの都市計画の手続に合わせて実施しておりますけれども、そういう中でいろいろな専門家からの御意見が今後寄せられるだろうと思います。そういうものに対しましては、当然のことながら、それを検討の中に入れて最終的な評価書をつくっていくわけでございますから、そういう中で我々総意を入れながらこの沿道環境の保全に努めてまいりたいと思っております。
  290. 前島秀行

    前島分科員 今言われましたように、既に関係団体からいろいろな意見がもう出始めているわけですね。知事の方に出ているし、あるいは動植物、それから私は騒音という問題を非常に心配をするわけでございます。県の方から出された今回一覧の住民への説明の環境調査、予測評価は、正直言ってぎりぎりという部分が非常にありまして、意見が出ているわけですね。  例えばかつての基準でいけば、当時四十八年ですか、五十六年に基準が変更になったようでありますけれども、その昔の基準からいくと全部オーバーしてしまっているのですよ。こういう状況です。それから騒音の方ですと、対策を練るとちょうど基準に合うというふうに、また物の見事に基準に数字が合っているわけですね。いろいろな対策を練るとぎりぎりの数字という。基準以下なのは一カ所しかない。それが一ですよね。これは正直言って、従来の基準からいくとオーバーなんですよね。そういう状況なんで、私はかなりこの部分については対応をしっかりしてほしいという気持ちがあるわけなんで、そこで基準に余裕を持たせると言っては語弊がありますけれども、従来の基準と新しい基準とにも相当差がある。十ぐらいずつ違うのですね、騒音でいくと違う。そうすると、これから例えば騒音で対策を練るときに、このようなぎりぎりの数字だと困るのですよ。  というのは、騒音なんかで見ますと、これはみんな平均値なんですね。一時間単位の一日の平均値。ですから、こういう瞬間的な騒音というのが車は大事なんですよ、御承知のように。これは全部ぎりぎりの数字というのも、この基礎になっているのは平均値なんですよ。騒音で一番大事なのは、瞬間的なものというのが要するに大事なんですけれども、それを基準にしてやってないということになるわけなんです。この評価の予測値から対応を練ると数字はこうなるわけなんですけれども、そういう面でもう少し余裕を持った対策でないと、私は、動き出した後、また後日手だてをしなければいかぬということが必ず起こり得る、そんな気がするわけなので、その辺の基準のとり方、対策の幅の問題というところについて、もう少し具体的に考え方を示してほしい。これだとぎりぎりなんですよ。
  291. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 環境影響の評価をいたしまして、よりよい環境の状態を確保して事業を進めていくということは当然のことでございます。現在、国全体として、こういう基準ならばいいんだというふうに決められている基準が現在の基準でございますから、その基準をもとに私ども公共事業執行させていただいております。過去、現在、こういうことにつきましては、私どもそれの特別な専門家ではございませんので、あくまでも現時点で、国としてお決めいただいておるその基準をもとに評価をいたすわけではございますが、何も私どもの目標がぎりぎりそれに入ることでもってよし、そういうふうな態度ではございませんで、現時点においてとれる対策等々はできるだけとる。それから、もし可能であるならばこういう事業実施しながら新しい対策をとる。例えば防音壁なんかは、これができたころと現在の防音壁とはがらっと変わっております。こういったものも、当時これをやりながらいいものをどんどん取り入れてきているがごとく、環境対策は、その都度その都度とれるものはまた可能な限り採用するという態度で、余裕を持ってということには必ずしも当てはまらないとは思いますが、我々としては精いっぱい環境の保全、環境の確保には努力しながら、国の将来を担う第二東名道路でございますから、そのことが地域方々にいろいろな問題を起こさないように、これからもできるだけ気配りをしながら対応させていただくよう指導をいたしたいと思います。
  292. 前島秀行

    前島分科員 平均値じゃなくしてマキシマムの数字でぎりぎりならまだわかるのですけれども、平均値で基準にぎりぎりになると、マキシマムは瞬間の云々ということになってくるとこれはオーバーするわけなので、その辺が分かれ道ですから、ぜひその辺のところ……。
  293. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 一点だけお答えさせていただきます。  今の最大値と平均値というものの考え方でございますが、現在の環境基準そのものが平均値の思想といいますか、基本的に言うと、一点主義というそういう物の考え方ではなくて、そういう状況が絶えず生活に影響を及ぼすというのは全体の平均的なものとして影響を受けるというお考えかと思います。平均的な物の考え方で基準が決まっておりますので、それをベースに私どもも判断をいたしているということでございます。
  294. 前島秀行

    前島分科員 ぜひ後で手だてをしなくてもいいようなあれを基本的にやってほしいと思います。  それから、特に私の地域で富士市というところが、わずかな区間ですけれども住宅あるいは工場、店舗等々を入れると二百三、四十の移転をせざるを得ないという地域があるわけなんでございます。当然、今言った騒音だとか環境問題ということがこれから出てくるわけなんで、地域、自治体と話し合っていく中でそういう問題が当然出てくると思うのですね。要望が出てくると思うのですが、そういう面でデータ、県がやったりあるいは国あるいは出先の機関がやったいろいろな調査というものがあると思うのですよ。  それを私はどんどんオープンに出していって、騒音等々含めて納得するような形で対応はしていく、そうすれば結果的には後追いにならなくていいと思うのです。そういういろんな不測の事態というようなこともあることはしょうがない部分にしても、やはりこの基礎的なデータというものを積極的に今の時点で出していって、そして住民の方からそのデータに基づいて要望を出していく、そしてそれを受けて対応していくということが結果的には合理的なことになると私は思うので、縦覧の前だからということもあるかもしれませんけれども、そういうデータを住民になかなか出したがらないんですよね。それは結果的に後追いになって、ややこしくなるというふうな気がしてならないんですよ。もっと率直にデータを出してもらえば、率直にこうしてほしいということが出て、物事はスムーズにいくという気がするので、そういう基礎的なデータを公表するというか必要に応じて出すということが、これが住民の協力を得ていく上にどうしても必要だ。そういう面でデータの公表ということを積極的にやってもらいたい、こういうふうに私は思うのですけれども、国の方から県の方に対して、あるいは出先に対してそういう指導をしてもらいたいのですが、そのデータの公表ということについてはどうでございますか。     〔金子(原)主査代理退席、戸田主査代理着席〕
  295. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 これは言ってみれば環境影響評価手続あるいは都市計画の手続の中でなされる一つの内容でございまして、とかく誤解されておりますのが、よく多くの方々に平易に理解いただけるように私どもパンフレットをおつくりいたします、そのパンフレットはエッセンスしか載せませんから、細かいデータは載せないわけです。そうすると、よく大学の先生から御指摘を受けるのですが、もっと細かいデータを出せ。これはパンフレットはしょせんパンフレットでございまして、実際はちゃんとした環境影響評価書というものがございます。したがって、こういう必要な書類については私ども、閣議決定された環境影響評価実施要綱に基づきまして、環境影響評価準備書という中に盛り込んで、実は静岡の場合、昨日からでございますが縦覧しております。その中に地域環境における基礎的な項目は何だ、その結果はどうだとか、現状調査の結果はどうだとか、環境に及ぼす影響の予測等、それはどう評価しているんだといったような細かい内容を、パンフレット的じゃなくて、これは生のまとめたものでございますが、こういうものが準備書に盛り込まれております。これは全部お見せするということになっておりますので、これでもって、こういう縦覧を通じて関係地域の住民に意見を求めているわけでございますので、そういう形で今後とも、こういう私どもの成果というものをお示しすることに相なろうかと思います。
  296. 前島秀行

    前島分科員 今局長が言ったデータというのは生のデータじゃなくして、いろいろ分析した結論のデータなんですよ。確かにパンフレットよりか詳しいことは事実ですけれども、基礎的なデータを、やはり先ほど言ったような人たち、大学の先生だとか等々が欲しいと言ったらば、私は、生のデータを出した方が事はスムーズにいくということなんです。縦覧の資料というのは結論だけなんですよ、パンフレットより細かいことは事実ですけれども。そうじゃなくて、それ以上のものだ、こういうことなんで、それは積極的に対応するようにお願いをしておきたいと思います。それの方が結果的にはいいですよ。  それと、先ほど局長も言うように、百四十キロですもので、幅も広いということなんで、かなり市街地を避けているわけですね。そのことで、次には農地、農業地域との絡み合いという問題が逆に出てきているわけでして、あるいは逆に言うと、最近は住宅開発というか住宅地が奥の方にいっていますもので、ぽつんとひっかかる場合が、三十軒、四十軒世帯がぱっと住宅開発されてあって、そこをかすめているという問題があって、そこで聞きたいのは、具体的な路線に絡まなければ補償だとか移転の対象にならないのかということなんです。そこに幅があるのかということなんです。
  297. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 用地補償の対象としては、あくまでもその道路のそのものに絡まないとできないわけでございます。しかし、当然こういう計画そのものは県、市と一緒になってやるものでございますから、その沿線の地域開発あるいは地域誘導という政策を県や市はお持ちなわけでございますから、そういう全体の中で地域の代表者としての県、市がいろいろな対策を一緒になってやる、これは不可能ではないと思いますが、いわゆる道路事業として云々ということになりますと、これはやはり道路に係る直接影響をする部分、こういうふうになってくるわけでございます。
  298. 前島秀行

    前島分科員 微妙なところがあるのですけれども、結果的には要するに全然だめではない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  299. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 いいとか悪いとかという、これはやはり個々の具体的なものに影響する場合があると思うのです。例えばインターチェンジのような部分と、それからいわゆる路線区間のところというのはおのずから違いますね。そういうことで、これは具体的な例をもって議論しなければならないと思いますが、基本的には道路の用地に係る部分しか補償の対象にはなり得ないというのが原則でございます。
  300. 前島秀行

    前島分科員 原則だといえば例外もあるんだからなるかなとも思うし、あれですけれども、それとは逆に、今度は移転じゃなくして補償の問題です。  例えば、私の行った地域は山の方を走りますもので、ちょうど静岡の富士のお茶の産地のど真ん中を今度は走ることになったわけです、計画では。そうすると、高いところで三十メートル、四十メートル、幅が百メートルくらいの云々、こういうことになってきまして、茶畑への影響というのが非常に今この説明会の中で農家や関係者の皆さんから出てきているわけです。  御承知のようにお茶というのは霜とか日光というものが微妙に影響していまして、それによって全然つくりが違いまして、それは農家の収入源にも全然追ってくるということなので、その東名が走る地域の霜の補償、災害に対してどうするのか。あるいは高さ、日が照らなくなるとお茶の葉っぱは全然違うわけなんですよ。そういう地域、そういう地帯に対する補償といいましょうか対応というのはどう理解しておいてよろしいですか。
  301. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 そういうふうに具体的に御指摘いただきますとこちらも多少お答えできるわけでございますが、こういう、今おっしゃったような事業施行によって生ずる日照阻害とか電波障害といったような、これに起因して障害等いわゆる事業損失といったものが発生して、これが損害等が社会生活上受忍範囲を超えるというようなものの場合には、補償の対象となることがございます。  仮に、第二東名の周辺地域の茶畑が日照阻害、霜等によって具体的な影響を受けて、その影響が第二東名の整備事業によることが調査の結果明らかであって、かつ、その影響が受忍の限度を超えるというようなものである場合はは、補償の対象になるものと考えます。
  302. 前島秀行

    前島分科員 私たちの方も、ぜひそれは第二東名の一日も早い建設を願うし、その効果も期待するし、ただし、同時にさまざまな問題が起こって くるということもまた事実でありますから、それに対しては積極的な真摯な対応をぜひお願いをしたい。  もう一つ、大場川の問題について、昨年御承知のようにテレビ等々へ出てああいう結果が出ているのですが、六十一億ですか、国の方からの対応で決まっている、こういうふうにあれしているのです。それはそれでありがたいわけですけれども、特に都市を流れる川、そしてあの地域は今の東名の地域と同じようでして、箱根、富士山の山を裏に抱えまして、急に坂になって平ら地になっているという状況で、非常に地理的な条件があって災害になった、私はこういうふうに思うわけです。そういう面で、六十一億の国が出した当面の対応は、災害のあった地域の手だてというところが中心だと私は聞いているけれども、それだと抜本的な対策には実はならないということなんです。要するに、下流部分を手だてをしないと全然だめだということなんですよ。そしてあの地域は、それから先が、例の台風の災害があった狩野川と連結をしている、こういう特殊地域でございますものですから、ただ災害があった地域改修するというだけではできないという地域的な特殊事情があるので、その辺の大場川の改修の基本的な考え方と、それに連なるあの狩野川の改修とを一体になってやらないといけない、こういうふうに私たちは思っているのですが、その大場川の対応と狩野川の今後の改修の方向といいましょうか基本的なものを伺って、時間でありますので質問を終わりたいと思います。
  303. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 大場川でございますが、平成二年九月十三日から十六日の豪雨によりまして大きな被害を受け、また、テレビ報道をされたわけでございますが、これは、御承知のとおり狩野川に合流する支川でございます。大場川のうち、三島市徳倉地先青木橋から下流国道一号の錦田橋までの間四・一キロにつきまして、再度災害を防止するため、おっしゃるように六十一億の災害復旧助成事業として採択いたしまして、平成年度から六年度までの五カ年間でこの改良復旧を進めることとしております。  問題はその下流がどうなっているかという御質問でございますが、まず、その下流二千七百十メーター区間につきましては、中小河川改修事業改修を県事業として進めておるところでございまして、その下流区間のうち、下流部の大場川橋梁までの千二百二十メーター区間については、既に計画に基づいた改修が完了しております。本年度は、ネックである大場川橋梁のかけかえのための調査に着手しておりまして、また、未改修である同橋梁から上流について、鋭意用地買収実施しておるところでございます。  なお、それから下流につきましては、二千五百四十メーター区間直轄管理区間になっておるわけでございますが、一応上流の災害復旧助成事業及び中小河川改修事業に見合う流量は、十分な改修が完了しております。また、狩野川本川も、合流後についてはほぼ計画の形で概成しております。現在狩野川では、この大場川合流点より上流区間の問題につきまして改修を鋭意進めておるところでございます。
  304. 前島秀行

    前島分科員 終わります。     〔戸田主査代理退席、主査着席〕
  305. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて前島秀行君の質疑は終了いたしました。  次に、山下洲夫君
  306. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 大臣に突然で恐縮でございますけれども、「ダム堰等に関する広報等について」、「事務連絡」平成二年十一月二十六日付、責任者の名前が開発課建設専門官竹村公太郎さん、このような事務連絡が出ているわけです。もう一点追加としまして、平成二年十二月四日という形で出されております。出されている先は、各地建、北海道開発局、沖縄総合事務所、各都道府県、ダム堰等広報担当課長様へ、このような形で出されているわけですが、これをお読みになったことがあるでしょうか、素直に教えていただきたいと思います。特にまだ大塚建設大臣が就任なさる前でございますので、お読みになっていなくても結構でございますが、もしお読みになっていたらお読みになったということを教えていただきたいと思います。
  307. 大塚雄司

    大塚国務大臣 残念ながら、これは私見ておりません。
  308. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 全部読みますと膨大になりますので、ちょっと私が部分的に読みますので、また感想をお聞きしたいなと思います。   去る十一月十九日に行われたダム堰等に関する説明会において、指示した標記の件について貴管内において考えられる広報活動等について、別添アンケート用紙に記入の上、送付願います。   尚、アンケート様式以外にも貴管内において、実施可能な広報活動についても記入願います。 ということになっていますが、まず1としまして  1、オピニオンリーダー名簿   長良川河口堰を正しく理解してもらい、治水事業を推進するべく、世論を盛り上げていくために、オピニオンリーダー名簿を作成し、この人々に河川事業一般及び長良川河口堰に関する説明を行う。   県事業は県で、直轄事業では直轄と県で分担がある場合には調整し、各分担ごとに様式に記入する。 ちょっと省きます。それから   ①国会議員 ②県議員 ③党県連 全部読みますと大変ですから、略します。   従来から、コミュニケーションのチャンネルがあり、河川事業一般として世論を盛り上げるために、対応の必要性があると思われる議員等には、「対応の必要性」に○、対話のチャンネルがない場合は△、対応不要ないしは不可能の議員等には×を附す。 このようなものになっております。それから同じようなことで「大学教授」「マスコミ編集責任者」「首長」それぞれあるわけでございます。また「広報紙等PR手法」「魚類の放流」「アマゴの放流計画」。  「河川行政関係人物リスト」これなんかを読みますと   新聞、雑誌、治水事業一般(地元の河川事業及びダム事業等)又は、長良川河口堰に関連する投稿を依頼できる人物をリストアップ。 簡単に言いますと、長良川河口ぜきを褒めてくれる人のリストアップだと思います。このようなことがるる細かく書いてございます。  それから先ほど申し上げました十二月四日に、これに追加しまして   平成二年十一月二十六日付け事務連絡にて依頼した標記の詳細について次のとおり補足説明する。また当アンケートの取扱いについては、注意されたい。 これが一から九項目までです。ちょっとⅠだけ読みます。   長良川河口堰に関する説明会における各地建、県に対する指示事項については下記の九項目であり、早急な対応をとられたい。 それにはいろいろと書いてあります。地元国会議員のことだとかいろいろと九項目あります。最後に大きい数字のⅢとしまして   十一月二十六日事務連絡では提出期限を、十二月七日までとしたが、調査作業量が膨大と思われるので、ワープロ等で清書の後、十二月二十一日までに親展にて郵送必着に変更する。 このような事務連絡が出されているわけですが、これについて、いきなりですから十分な感想も難しいと思いますが、特に先ほど申し上げましたとおり、国会議員にマルとか三角とかペケ印をつけるような事務連絡が現実に出ているのですが、その点について感想をお聞きしたいと思います。
  309. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 それは、私どもの担当者からいろいろな事務打ち合わせの段階で連絡したものと思います。日ごろから長良川河口ぜき等のいろいろな新聞報道を見ますと、我々がこの事業を進めていく事情について十分御理解をいただいて いないということを担当者としてもかねがね思っておったのだろうと思いますし、我々の公共事業の必要性について十分理解をいただくように努力せいということは、私どもかねがね申し上げておったわけでございます。その関係で流した資料だと思いますが、内容については若干誤解を招くところもあろうと思いまして、その資料の提出については見合わせたわけでございます。  今端的にマル、バツ、三角とおっしゃいましたのは、関係地域の皆さんに御説明する機会を持っているのか持っていないのかということを問い合わせたまででございまして、今の内容についても単にそういうことでございまして、いずれにしても今我々は、我々の進めている事業がある意味では、新聞等を見るといろいろな判断もあろうと思いますが、正確に皆様にお伝えする努力をいたしながら、公共事業というものが、特に長良川周辺の住民の皆さんの生命財産の保全の上で重要な役割を果たしているということを御理解いただこうという熱心さの余り連絡したものと考えております。
  310. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 私はこの問題で多く時間を費やしたくないのですが、例えば「マスコミ編集責任者」、これ読んでみましょうか。   地建、県内に発行所のある新聞、雑誌等の編集責任者について関わり合いの度合い及び、河川事業一般についての理解と協力を得るため説明等の対応が必要か、○か×で記入する。 対応の必要な人はマルだと思うのですね。対応の必要でない人はペケだと思うのですね、常識的に素直に考えれば。その対応の必要でない人は、長良川河口ぜきに理解を深めていてペケなのか、全然理解してもらえないのがペケなのか、これは私には理解できません、正直言いまして、素直に文章を読みますと。だけれども私は、例えば国会議員にいたしましても県会議員にしましても党の県連の役員にしましても、大学教授からあらゆるところまでバツや三角やマルで、しかも建設省の河川局がこのようなことを内部的に行うという、そこにまず大きな問題があると思うのですよね。問題をそれだけにお持ちだから、わざわざ第二回目の事務連絡で、親展でしかも郵送で必着をしろ、このように変えられたんじゃないですか。そうでなかったら、もっとオープンになさればいいじゃないですか。そこにこの河口ぜき問題に隠された、世論的にも隠された大きなものがあるからこういうことになってくるというふうに私は思うのですよ。それについて明確にお答えいただきたい。特にこのマル、バツ、三角というのは許せる問題じゃないですよ。
  311. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 長良川につきましては、歴史上宝暦治水等で住民の方々が大変懸命に治水に苦労してきたという川でございます。一方で最近長良川河口ぜきではサツキマス等で大変有名になっております。しかし、この長良川が二つとも同じ川であるということを理解してない方も大変おります。残念ながら、私どもの親戚にもそういう理解をされておるわけでございます。そういう意味では、通常の新聞報道等では正確に住民に伝わってないのではないかという懸念を私どもの担当者は持ったのだろうと思います。そういう意味で、正確に理解しておられるのか、おられなければこの機会に参上して御説明しようか、そういう意味で、いろいろなコンタクトがあるのかどうかということを聞いたまでだろうと思います。  もちろん私どもは、通常河川事業をする関係では存じ上げている方はおるわけでございますが、一般のこういう問題になりますと存じ上げない方もおりますから、できればいろいろな機会にいろいろな方にお知り合いをつくりたいということで、担当者の熱意の余りそういうような資料を集めようとしたのだろうと思いますが、マル、バツ、三角という書き方は別として、あるいはABCがよかったか、コンタクトがあるかないかというような表現がよかったか、その辺は大変誤解を招いたと思って残念に思っておりますが、いずれにしても、我々の事業の内容を正確に知っていただくという努力の結果だと御了解願いたいと思います。
  312. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 私は、少しでも理解をしてあげたいなという気持ちで一生懸命答弁を聞かせていただいているわけでございますけれども、あらゆる分野にコンタクトをとられるわけですね。それは一定の限られた方にとるのではなくて、この資料からいきますと大々的にすべての人へコンタクトをとる。そのとれる人をそれぞれ探して、一番とりやすい人がとるという内容になっているのですよ。そうしますと、例えば山下八洲夫はどなたがお伺いすれば一番コンタクトをとりやすいか、そういうことは文章の中に書いてありますよ。読みましょうか、もしあれでしたら。そういうことをやるのですから、コンタクトはみんなとれるのですよ。みんなマルなんですよ、コンタクトで言いますと。そこで、何で三角がついたりペケがついたりするかわからないのです。それはもしものことがあって、例えば山下八洲夫は多分ペケがついていると思いますよ、正直言いまして。どうもコンタクトをとれないというようなことでペケがついているんじゃないですか、正直に。じゃそこを答えてください、山下八洲夫を見てみて。私はきのう言っておきましたから、山下さん何がついておるか聞きますよと言って。
  313. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 その資料を送ったというのは担当者でございまして、私も実は承知しておらなかったわけでございますが、新聞報道等でそういうことがあったということを承知しまして、これは大変誤解を招くなということで、仮にそういう資料をいただいたとして我々はどうするのか、ただ資料を持っているということだけですから、そういう資料を提出する必要はないということで直ちに取りやめさせました。したがって、山下先生がどうなっているかということは、一切そういう資料はございませんので、御了解願いたいと思います。  ただ、先生がおっしゃいましたけれども、だれにでもマルがつけられるというほど、私どもは皆さんにすぐお伺いしていけるほど自信のある男はございませんので、やはりあらゆる機会に細かいつてを伝わって、何とか御理解いただこうということでやっております。割合、人にすぐお会いして御説明できる者もあれば、仕事は大変熱心でありますけれどもそういう説明は下手な者もおりますから、そういう関係で資料を集めようと担当者は考えたものと思いますが、これは誤解を招くのでその資料は集めませんでしたし、現に持っておおらないことを御了解願いたいと存じます。
  314. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 もうこの問題で時間を費やしますとほかの質問ができなくなりますので、これ以上申し上げませんけれども、膨大な資料になって、昨年のうちに全部集まってもうきちっとされているのですよ。それは間違いないと思うのです。そういうことを私は一々これ以上追及いたしませんけれども、私は、こういうことを国の機関が行ったということを本当に残念に思うのですね。たとえ途中で気づいて取りやめたと、百歩譲っていたしましても、こういうことはもう許せない事柄だと思うのです。  だから私は、先ほどちらっと新聞も正確に伝えてないというようなお話がありましたけれども、この長良川河口ぜきの問題というのはいろいろな記事が出ておりますよ。例えばよそ者が反対をしているじゃないかというような記事も、私も読んだことがあります、簡単に言いますと。だけれども山下八洲夫はよそ者かなと思ったりするのですよ、正直言いまして。それぐらいいろいろな角度から確かに出ていることは事実ですけれども、それだけやはり河口ぜき問題がもう日本じゅう、場合によればもう国境を越えて外からもやはり不安がっている、これぐらい大きな環境問題あるいは安全問題を中心にして課題になっているのです。ですから私は、こんなことまでついつい勇み足をやってしまったのじゃないかなというふうに思うわけでございますが、ぜひ、こういうことについてはもう二度と行わないように、深い強い反省を求めておきたいと思います。  それから、これは建設省、水資源にもお願いし たいなと思うのですが、今長良川河口ぜき問題に関心を示している方、いろいろな団体がたくさんあるわけです。長良川河口ぜき問題で申し上げますと、例えば「河口ぜき建設に反対する流域連絡協議会」というのがあるのですが、そこには例えば「河口堰建設に反対し、長良川を守る県民の会」とか、あるいは「岐阜県自然環境保全連合」とか、あるいはまた「サツキマスを守る会」とか、あるいは「長良川を愛する会」とか、全部で私が今わかっている範囲では十四団体ございます。まあこれも、ほとんど私もマスコミで見かけたことはあるわけでございますが、ある人の発言でよそ者という人、私はこう感じるような人はゼロに等しいのですね。  そういう中で一つお願いがあるわけですが、こういう団体の皆さん方と私たちがいろいろと話し合いをしますと、建設省は本当になかなか説明をしてくれない、そういう話ばかりお聞きするのですね。また、建設省の方にそういうことを申し上げますと、しょっちゅう説明をしていらっしゃる、そういう話も聞くのです。どちらが正しいかわからないわけです。もちろん水資源だって同じです。これで一番苦労なさっているのは、建設省にしても水資源にしたって、一番現場の出先の皆さんばかりじゃないかなという気がするのですね。いろいろな出先が一番出会いが多いですから。そういうことがございますので、ぜひできましたら、こういう団体の代表の皆さん方と、水資源あるいは建設省あるいはまた建設省の推薦する、長良川河口ぜき建設に推進をしたい、そういうような学者、そういう方でもいいと思うのです、思い切って、理解を求めていただくのであれば、二時間とか三時間たっぷり時間をとりまして公開討論会等を、東京でもいいですし、あの岐阜県でもいいですし、あるいは長島町でもいいですし、ぜひ思い切ってこういう代表の皆さん方と公開討論会を行う、このような気持ちはございませんでしょうか。理解をしていただくためにはそれが一番私は正しい、いい道だと思いますが、それにつきましていかがでしょうか。
  315. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 長良川河口ぜきは、長良川沿川六十七万の方の生命財産を守る大変重要な事業でございます。したがいまして、この事業発足当時から関係県知事、地元市町村長、また、それぞれの代表の皆様に徹底的に説明をし、また影響ある方にはその影響の問題について十分な説明をし、特に漁業関係者二万二千人にかかわる問題につきましては、二十二の漁業組合の代表者とも十分話し合いをし、その結果、影響を受ける損害については漁業補償も行って進めてきたわけでございます。ただ、環境問題と称する形でいろいろな意見をお持ちの方も十分ございますが、基本的には我々の事業は、地域の住民の皆さんの直接生活環境、中でも治水にかかわる問題でございますので、その問題にかかわる方々に十分納得いくように説明することは最も基本的だろうと考えております。私どもも、過去、昨年の二月及び昨年の十月、地元に所要の資料を作成いたしまして説明を続けておるところでございます。  なおそのほか、マスコミ等におきましても、過去に水資源開発公団総裁及び中部地方建設局長が、新聞の上で、反対とおっしゃられる方々とも座談会もいたしましたし、また、私ども課長がNHKのテレビで公開討論会もやっておりまして、その努力は十分しておるところでございます。そのような成果の上に立って、現在地域住民は一体となって十三市町挙げて、また三県知事が早期完成を願っておるところでございますので、私どもは、住民の皆さんの中に不安があれば、不安の問題について徹底的に御説明して御理解いただくよう、今後も努力してまいりたいと考えております。
  316. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 確かに、沿川市町十三あるいは六十七万の生命を守る、これはよく言われております。そういう看板も立っております。確かに治水の問題、この問題は大切なんです。私はそれを否定しておるのではないのです。後ほど触れていきたいと思うのですけれども、せきをつくってあそこをせきとめることが治水上より安全だということになってくれば、こんな問題は一つも起きないのですよ。それも大変な、かえって危険が大きくなるのではないか、こういう心配もしているのですよ。  この沿川六十七万の市町村長さんは確かに率先して頑張っていらっしゃいます。岐阜県で申し上げますと、町村長さんも建設促進の町村長会で議決をしまして、私のところへも随分、何とか山下さんは、立場はわかるから賛成と言わなくてもいいから黙っておいてほしい、そういう言い方ですよ、私のところにはね。それは優しいです。私も余り河口ぜき問題には声を上げなかったのですけれども、そのうちだんだん、沿川のそういう団体の町村長さんはどんどんエスカレートしてくるのですね。それは何でかというと、だんだん、その地域住民の中には不安がっている住民がどんどんふえてきているのですよ。逆なんですよ。  例えばあの沿川の住民に具体的に建設省でアンケート調査したのですか。そんなことやってないでしょう。議会で議決をした、町会議員さんは全員町民の代表だから、議会で賛成をすればもうそれで全部賛成なんだ、こんな時代ではないのですよ、今。田舎へ行けば行くほど隣組制度は強いのですよ、私も田舎町に住んでいますからよくわかりますけれども。そういう中で、私のところなんか来ましたよ、こんなこと言いたくなかったのだけれども山下さん、山下さん反対しているから、選挙になったら赤旗立てて山下さんの選挙落選させに来ますよ、だけれども、赤旗というわけにいかぬから白旗立てて来ようかとおっしゃったから、自旗はもう負けてるじゃないか、むしろ旗にしなさいと私ちょっと冗談言ったのですけれどもね。あそこの町の人は、沿川の住民の人が来るのじゃないのですよ。岐阜県は九十九も市町村がありますから、揖斐川にもあるいは長良川にも木曽川にも全然関係のないような町村がたくさんある。そういうところの町村長さんが見えるのですね。それぐらい一生懸命、建設省の力で推進運動をさせているのですよ。  だから、朝日新聞のアンケートだって御存じだと思うのです、今さら私が申し上げなくてもいいのですけれども。ここでとにかく「安全になるか」ということで、「安全になる」というのは一七%、「危険になる」二三%、「変わらない」が二三%です。建設については「推進」が一〇%、「中止」が二二%、「一時凍結」が四六%なんです。これは私のじゃないですよ、朝日新聞ですよ。東海三県でやられた朝日新聞なんです。  それから「長良川河口堰建設に対する長島町民アンケート」、これは長島町だけの全戸にやられたのですよ。これでも「安全になる」というのはたったの七%です。「危険になる」四一%、「わからない」が三九%。それから河口ぜきの建設を「このまま進めてよい」一四%、「一時中止して災害や環境への影響調査をすべきである」三九%、「建設を中止すべきである」二三%。約六二%の人は、一時を含めて中止をして、一遍検討しなさい、これは理解が示されてないのですよ。  確かに今六十七万の生命もある、私は、それは共通するのです。私も、六十七万の生命は守らないといけないです。あの堤防がもし決壊したら大変なことになるのですよ。それは承知しているのですよ。せきをつくれば守れるのですか。そのことで皆さんは不安がっているのですよ。そのことに明確に、こういう不安がっている皆さんに明確に回答ができる、このような環境をつくらなくてはいけないのですよ。そういう立場でちょっと御答弁いただきたいと思います。
  317. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 いみじくも先生今おっしゃいましたが、せきをつくったら安全になるかということでございまして、これは何度も申し上げておるのですけれども、大規模しゅんせつをします、大規模しゅんせつをした結果海水が上流まで遡上した結果、地域へ塩害その他、国土保全上いろいろな支障があるので、そういうことを避けるためにまず塩どめのせきをつくって大規模しゅんせつをする結果、地域治水安全度確保す る。この先例としては、既に昭和三十三年に利根川で大塩害が起こった結果、地域の住民の総意で利根川河口ぜきをつくった先例があり、これを見習って、災害のない前にこの事業をつくろうということにしたわけでございます。このことはもう私は、恐らくうちの建設省職員があらゆる機会に御説明していると思いますが、残念ながら国会の先生である先生までが、せきをつくったら安全になるのか、こういう言い方をされておって私どもも大変残念なわけでございます。  したがって、このような報道の中では、先ほどのアンケートにおきましても、御承知のとおり、岐阜県でも飛騨があれば美濃があり、また愛知県でも尾張があれば三河があり、三重県でも伊賀があり伊勢がある、こういう状況でございますから、この住民の全体のアンケートとして私ども新聞報道されたと聞いておりますし、とりわけその人数の大半が、この流域ではない愛知県の方が入っておると聞いております。そういう結果の中で、そういう日常の理解の中でこのアンケートがなされたものと思いますので、私どもは、やはりこの流域に住む六十七万人の方の直接の生命財産に関係するものでございますから、まさに直接市町村の方に御説明して御理解を得ようとしておるわけでございます。  なお、長島町におけるアンケートは、私どもはその内容については十分承知しておりませんが、反対ということを前提にした方々がどのような形で集められたのか、私ども聞くところによると、とてもその地域の皆さんの感触として、結果として信じられないということを聞いておりますから、やはりこれは十分信頼度があるものとは考えられませんが、ただ、今言いましたように、こういう状態でもまだ御理解をいただけないということでございますので、今後もあらゆる機会を持って関係の皆さんに御理解いただくよう、努力してまいりたいと考えております。
  318. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 もう時間がありませんので、最後に申し上げたいと思います。  御都合のいいような答弁しかしないんですね。先ほどは三県知事も賛成して推進をしているとおっしゃったんですよ。だけれども、今回は岐阜県で言えば揖斐川もあれば飛騨川もあればというような発言に変わってくるんですよ。だから、この朝日のアンケートは三県全体だからそうなったんでしょうとおっしゃったでしょう。そして長島町につきましては反対を前提にやったんじゃないですかと。  ああいう長島町とかというようなところは東京と違うんですよ。何事でも行政のやることに対して、私の住んでいる中津川市というところでも一緒ですよ、行政のすることに対して反対という声を出すだけでも、百倍も千倍もすごい勇気が要るんですよ。一つ間違うと村八分になるんですよ。これが田舎の特徴なんですよ。東京のど真ん中、隣が何をしようとわからない。だけれども、田舎へ行けば行くほど隣組制度はしっかりしているんですよ。その上に立って反対の声を上げる、このことは本当に勇気が要ることなんです。たとえそうであろうと、この長島町のアンケートは全世帯にアンケートを出しているんですよ。それを今のような答弁では。  せきをつくって安全か安全でないか、私の知識のない頭ではわかりません。わからないけれども、私なりにいろいろと勉強すれば、建設省の話より反対している皆さんの話の方が納得する部分がたくさんあるんです。出てくるんです。だから先ほど言いましたように、公開討論会もやってみたらどうだというようなことを申し上げたんだけれども、そのような姿勢でやるからだんだん反対運動も大きくなるんじゃないですか。自信があれば、何回でもそういうことをやって、できれば、最後に申し上げておきますけれども、一時中止をして、少しぐらいは環境アセスもきちっとやってやるべきなんですよ。  時間がなくなったから発言できなくなりましたけれども、きょうの新聞にも、国土庁の木曽川水系の推進開発計画、今春策定を断念ということで、とうとうまた延びちゃったんですよ。きょうは利水の問題一切触れなかったですけれども、最初はこれだって利水からスタートしているんですよ。利水から、そして治水、しゅんせつ、塩害、せき、こういう歩みをしているんですよ。きょうは触れなかったですけれども。そういう実態ですから、そういうことをおっしゃるんなら、もっと納得できるような、堂々と国民に向かって、あるいは地域住民に向かって説明やら、じっくりとアンケートをとっていただきたいと思います。  最後に、今のやりとりを聞いていらっしゃって大臣の感想だけお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  319. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私はテレビの報道でも、この長良川の問題については一貫して申し上げておるのでありますが、昭和三十四年の伊勢湾台風で五千人の方が亡くなられたあの三川の流域、日本列島にはゼロメートル地帯が千百平方キロございますが、その四割があの地域でございます。この案をつくるまでにはいろいろな研究をしてきた。例えば一番理想論からすれば、沿岸の地域を全部盛り土をしてやるのも一つの方法であるでしょう。あるいは堤防をかさ上げをするのも一つの方法でありましょう。いろいろなことをやってまいりましたが、利根川の前例等もありましたり、今後のことを考えて水位を低くするためには、やはりしゅんせつをせざるを得ない。その結果塩害が起きるということから始まった発想でございます。  私は環境を大事にするということについては人後に落ちないつもりでございますけれども、しばしば申し上げておるように、環境の問題には十分配慮をしながら粛々と進めるものである、こう申しておったわけでございまして、あの長島の町長もお会いしましたし、知事にもお会いしましたし、沿道の議員の方々にも何人もお会いをしておりますが、我が国の民主主義の制度からすればやはり議員の皆様や議会の意見や市長の意見を尊重するということも一方で大事でございますので、今日粛々と進めておるわけでございます。
  320. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 どうもありがとうございました。
  321. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて山下洲夫君質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  322. 東中光雄

    東中分科員 住都公団の公団賃貸住宅の建てかえ問題についてお伺いしたいのですが、最初に、この公団住宅の建てかえは何か法律上の根拠があってやられているのですか。あるとすればどういう法律上の根拠ですか。
  323. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 公団法そのものには建てかえという直接の規定はございませんが、借家法に基づいてやる、あるいは建てかえ前の住宅、従前住宅は用途廃止するわけですが、それについては建設大臣の承認を得てやるというようなことでやっております。
  324. 東中光雄

    東中分科員 借家法に建てかえについての規定なんか全くありません。それから、建設省の中での手続をどうするかというのは、それは賃貸人である公団側の問題であって、賃貸契約をしている相手方との関係では一切法的根拠はないということを今言われたことになります。  では、契約上の根拠がありますか。賃貸契約が二十四条ありますか、ここに建てかえをすることについての規定がございますか。
  325. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 ちょっと先ほどの説明が言葉が足りなかったかもしれませんが、建てかえ事業は公団法の施行規則の第十一条第三項に基づきまして、既存の住宅について用途廃止のための建設大臣の承認を得た上で除却するわけでございますが、引き続きまして公団法二十九条第一項第一号に基づき住宅の建設を行うものでございます。  住んでおられる方々との関係におきましては、借家法で現在結んでおります賃貸借契約を解除させていただくということでございます。
  326. 東中光雄

    東中分科員 それは契約解除の問題であって、建てかえ問題ではないじゃないですか。そうでしょう。すっきりしなさいよ。
  327. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 そういう意味では先生のおっし ゃるとおりでございますが、建てかえに必要な前段階の手続を借家法に基づいて行っているということでございます。
  328. 東中光雄

    東中分科員 それで、一方的にやるのですか、そうじゃないでしょう。あなた方は賃借人の同意を得て建てかえをやる。それから、その場合に賃貸人としての公団側では内部的にどんな手続をしなければいかぬとか、それはありますよ。公的なものだから当たり前のことです。  そうでなくて、賃借人との関係でいえば、建てかえについては相手方と合意をして、更改契約になるか、あるいは別々の形をとるかは別として、とにかく相手方の合意を得てやる。合意を得られなかったら一方的にはやれないという性質のものではないのですか。
  329. 丸山良仁

    ○丸山参考人 おっしゃるとおりでございまして、相手の同意を得てやるわけでございます。それで、もし相手の同意が得られない場合には民事訴訟に持ち込むという形になるわけでございます。
  330. 東中光雄

    東中分科員 ところが、建てかえ計画というのは、公団のような公的なものですから、私的なものではないのだから、それはいろいろやらなければいかぬと思うのです。現在は、三十年代に建てたものから建てかえるというふうな方針は、賃貸人である公団側が、いわば家主側の計画ですね、それを提示をされるわけでしょう。そして、それについて同意を得られたらいいし、得られなかったら変更するし、いろいろやる、こういうことになるのじゃないですか。その点を、事柄の筋道を聞いているのです。
  331. 丸山良仁

    ○丸山参考人 おっしゃるとおりでございまして、建てかえをやるためには相手の同意が要る。そのために公団といたしましては、二年の期間をかけまして居住者の方々に鋭意説明をいたしまして御協力を得るようにしているわけでございます。
  332. 東中光雄

    東中分科員 何ぼ期間を置いたって、もう期間がうんと狭くても、要するに相手の合意が得られるような内容になればいいのですよね。  なぜその建てかえをやるのですか。
  333. 丸山良仁

    ○丸山参考人 公団は、現在、七十万戸の住宅を抱えておるわけでございますが、そのうちの十七万戸につきましては昭和三十年代に建てられたものでございます。これらの住宅は立地条件がすぐれているにもかかわらず大部分が法定容積率二〇〇%のところに六〇%以下しか使っていないわけでございます。また、住宅の規模について見ますと、二DKあるいは三K以下が九三%でございまして、その平均規模は三十八平米という小さいものでございますし、設備も現在のものに比べれば非常に劣っております。そのために公団といたしましては、三十年代に供給した住宅につきまして、これを敷地の適正な利用を図るとともに、居住水準の向上を図るために昭和六十一年度より建てかえを始めたわけでございます。  もちろん、建てかえを行うためには居住者の方方の御協力と御理解を得ることが必要でございますから、公団といたしましては、公団でできる最大限の措置を講じた上で居住者の方々の御理解を得るように努めておるわけでございます。それは実績で見ますると、六十一年から始めたわけでございますが、六十一年から六十三年までの三年間の七千数百戸につきましては全員の同意を得ることができまして、現在建てかえ事業を進めているわけでございます。
  334. 東中光雄

    東中分科員 強引に押し込み押し込み、もう言うことを聞かなかったらどうにもならぬようになって全部の合意を得たって、それは押しつけというものですよね、形の上は合意だからと言うても。僕はそういうことになったらいかぬよということを言うために聞いているのだから、あなた方の方では、要するに敷地の有効利用をしたい、五階建てですから容積率が六〇%以下だ、だからそれを十四、五階建てにして二〇〇%までの容積率いっぱいまでやろう、有効に使おうじゃないか、そこから居住水準を高めよう、この二つでしょう。本来ならば、それはいいことなんです。相手方が同意しないはずはないんです。ところが、あなた方の方で出してくる計画がまるっきり同意できぬようなことになってきている。  ここに「東淀川団地建替事業概要(第一ブロック世帯用)」というものがある。これは私の選挙区の中ですが、あるのですよ。出来島団地のときも、私、たまたま説明会に近くへ行ったので寄ったのです。余り一方的なことを言うものだから、あなた、それはいわば契約の更改の申し入れみたいなものなんだから、そんなもの、こっちの言っていることを聞いてくれなければあかぬというような説明をしていたらあかぬということを言ったら、来ていた担当の課長さんですか何か知らぬが、先生そんな演説みたいなのやめてくださいと言って、何を言うんだ、事柄の性質間違うとるよというので関心持って調べ出したんです。そしたらこの計画が随分ひどいですよ。  概要を言いますと、これは東淀川団地の場合ですが、ここに書いてありますけれども、現在お住まいの住宅、これは第一ブロックだけですけれども、六百八十六戸だということです。それで住宅専用面積は一万七千四百八十五平米、これを建てかえしますと賃貸住宅が六百九十三戸になる。これはプラス七戸です。大きさは専用面積で三万五千五百十二平米。だから約二倍になるわけですね。そのほかに分譲住宅が百四十三戸建つ。その専用面積が一万百八平米。現在の約六割ぐらい新たにできる、こういうことなんですね。  この分譲価格を公団の方で概算言うておられるのを計算すると、五十五億円ぐらいになるんですね。これは土地は前のままですから、まるっきり建設費だけで五十五億。そんなことないとだれもが思います。ところが、問題は建てかえ後戻ってくるときの家賃ですよ。これは総裁も何遍も認めておられますけれども、大体二倍から三倍ですね。同じ面積で二倍から三倍ですね。だから、面積が倍にふえたらもうとんでもないことになる。  一つの例でいいますと、私のよく知っている人ですが、これは二DKに住んでいる昭和三十四年七月に建設されたときから入っている人です。その当時は、この人の収入は夫婦で大体三万弱だった。家賃が五千四百円で共益費が二百五十円だった。随分高かったわけですよ。その当時は団地族と言われるくらいに非常に近代的で立派なものだったんです。それでその当時耐用年数は七十年と言われていましたね。七十年のつもりで、狭いながらもということでこうやってきた。ところが、二十年ほどしたら家賃がぐっと上がり出した。  これも大変だ。御承知のようないろいろ問題があったわけですけれども、原価主義だと思っておったのに公団がえらい営利主義に変わってしもうた。だって、その人からいえばもともと投資した金と違うものを取り出すわけですからね。そして今度はどうなんだというたら、現在は家賃が二万九千円まで上がっています。ところが、建てかえ後の二DK、ちょっと面積は大きくなりますけれども九万七千円ですよ。こんな三倍以上になったらとてもじゃないがやっていけぬということですね。これじゃ賛成しようがないじゃないですかということになっていますよ。  なぜまたこういうべらぼうなことになるのか。耐用年数はまだ半分にもなってないですね。三十五年にもなってないでしょう。それでそれをつぶしちゃうんでしょう。それで、耐用年数の残っておる分の金もつぶすための金も全部家賃算定の中へ入れるんだっていうんでしょう。こんなむちゃなことがありますかということになっているわけです。  だから、こういう計画はやめてほしいということで、この自治会としては、建てかえを希望をしていない居住者のために一部の建物を残すよう計画を変更してほしいと、その他七項目ですが、申し入れをした。要望書をつくって申し入れた。ところが、それはだめですと。それから、地価の再評価による家賃の算定はやめて、家賃が余り上がらぬようにしてほしいということを言うたら、それもだめだと。こういう格好で、老人世帯等の特別措置を大幅に延長してほしい、これも決まってお る線しかだめと。この三つは、国の方針、要するに中央で決まっておる方針だからだめだと。国会ででも言うよりしようがないんだ、こういう式になっているんですよ。それで、ずうっと二年間たったらもういや応なしに押しつけてしまう。これはもうだめです。  だから、土地を有効利用したいんだったら有効利用したらいいです。それから、居住環境をよくするんだったら建て増してもいいです、その二つの条件からいえば。しかし、そんなむだをして、金をむちゃくちゃに高くするというふうなことはやるべきじゃないというふうに思うんですが、なぜつぶさないかぬ、なぜ建てかえないけませんのや。その点を聞かしてほしいんです。
  335. 丸山良仁

    ○丸山参考人 今も申し上げましたとおり、非常に土地の有効利用になっていないということが一点でございます。それからもう一点は、確かに家賃計算上は七十年でございますが、現在の三十年代に建てられた住宅を見ますと、狭い上に設備も不十分である、こういうことで建てかえておるわけでございます。  それで家賃が高くなるのは今先生がおっしゃられたとおりでございますけれども、その対策といたしましては、七年間にわたって、初年度は六五%の家賃の減額というような措置も講じておるわけでございますし、御老人方等に対しましては特別の措置も講じておるわけでございますから、そういう点も御理解いただきたいと思います。
  336. 東中光雄

    東中分科員 なぜ有効に動いている七十年の、あと三十五年使える家を、鉄筋コンクリートの立派なものですよ、それは古くはなっていますけれども立派なものです、それを壊すんですか。有効利用するんだったら、壊さぬで上へ建て増したらいいじゃないですか。なぜ壊すんですか。
  337. 丸山良仁

    ○丸山参考人 四十年代のものは建て増しをやっています。増築をやって一部屋ずつふやしておるわけでございますが、三十年代のものは、何回も申し上げておりますように、もう設備も陳腐化しておりますし、そういうような関係から、建て増すよりは建てかえた方が効率的ではないか、こういうことで建てかえているわけでございます。
  338. 東中光雄

    東中分科員 建て増すよりも建てかえた方がいいと。陳腐になったなんて、もともと七十年耐用年数があったんでしょう。半分で陳腐になって使えぬようになっておるんですか。今、そうおっしゃるんですか。
  339. 丸山良仁

    ○丸山参考人 使えないとは申しておりません。ただし、経済的価値が非常に落ちている、住んでいただいている方に対しましても、今の住宅と比べたら劣っておるから、やはり居住水準の向上を図るというのが一つ住宅政策ではないか、そのためにはやはり建てかえるのが適切である、このように考えておるわけでございまして、これは公団だけが勝手にやっているわけじゃございませんで、住宅宅地審議会の答申にもございますし、その他建設省方針としてもそういうことは言われているわけでございます。
  340. 東中光雄

    東中分科員 それは、この人たちがどう言っているかといったら、結局建設省はあるいは住宅公団は土建業者にえらい仕事つくってあげるんやな、そういうことになる、こう言うていますわ。そのためにつぶされて、それで家賃が一遍に三倍にも上がるんや、こう言っていますわね。そういう感じを与えているんですよ。立派なものですがな。なかなかきれいにせぬかったが、この団地でいうたら外装だけ最近きれいになったんですよ。よくなったなあと思ったらつぶすんだという話やね。なぜ、五階建てあるんだから、あと三十五年続くんでしょう。残存償却費というのはどのくらいですか、この東淀川団地で。戻り家賃に加わっていくのはどのくらいなんですか。
  341. 丸山良仁

    ○丸山参考人 正確な数字は手持ちにございませんが、当時は一戸当たり大体二百万ぐらいでできておりますから、半分たっておりますから百万ぐらい残っておると思います。
  342. 東中光雄

    東中分科員 除去費はどれくらい要るのですか、建てかえするとしたら。
  343. 丸山良仁

    ○丸山参考人 一戸当たり五十万ぐらいだそうでございます。
  344. 東中光雄

    東中分科員 それじゃ、今あるままでそこへ、今五階建て、それを少し広げるなら広げて、そして十五階あるいは十四階上へ建て増すということを検討されましたか。
  345. 丸山良仁

    ○丸山参考人 私は技術者ではございませんからよくわかりませんけれども、現在の五階建てなりなんなりの住宅をそのままにして、その上に十五階を建て増すなどということはとても危険でできないだろうと思います。
  346. 東中光雄

    東中分科員 それは検討されましたかと聞いているのです。あなたが専門家じゃないからわかりませんけれどもそう思うのじゃなくて、住宅公団としては、この建て増しが、上へ延ばしていくということが、あるいは――この東淀川団地では理事会がアンケートをとりました。そうしたら、建てかえて大きくしてほしい、新しくしてほしいという人は若干おりました。しかし、建てかえを希望していないという人が六一・三%です。希望していない人はそのまま残してくれというのです。  それで、私、何でやらぬのかなと、大阪に阪急ビルがあって阪急電鉄が入ってくるところがあるのです。今まで八階建てだったのがいつの間にか真ん中へ三十何階建てのものを建てました。これは東京駅でも、実際東京駅は今工事ばかりやっています。ちゃんと電車、列車は通りながら、使いながら、ちょっと汚いけれども、しかしどんどんやっておるでしょう。大阪の大川の下を走っている地下鉄のその下をまた地下鉄が通るのですから、こんなものはやる気があったらできるのと違うかということで、私、一級建築士の人に聞きました。  そうしたら、わけはないと言うのです。ただ、日照とか何かで全部をそのままにして上に上げるということは無理だろう。何とかせなあかん。しかし、そこをとめてそのままで上へ延ばしていって、それで下の部分をあとちょっと拡幅してやれば有効利用ができるでしょう。そして、余計なむだは要らぬでしょう。それで居住水準は高めることができるでしょう。要求はあるわけです。技術的にできるかできぬかということについて、私聞いたら、これはできますということを聞いているのです。あなたは、専門家じゃないから知らぬけれども難しいのじゃないかと思うじゃいかぬじゃないですか、どこかで審議をしましたか。
  347. 立石真

    ○立石政府委員 私、住宅局長でございますが、直接の私に対する御質問ではございませんが、私は建築学科を卒業しておりますので、その面からも答えさせていただきたいと思います。  まず、五階の建物の上に十五階の建物ができるかという御質問でございますが、これは、技術的には可能でございます。  ただ、その場合に二種類の考え方がございまして、一種類といたしましては、まず、現在ある五階建ての構造物の上にあと十階乗っけられるかということが一つの形であり、もう一つは、五階建ての建物をそのまま置いたところでまたいで乗っけられるかという問題であろうかと思います。  まず、第一番目の五階建ての上にあと十階積み重ねるということは、現在の五階建てまでの建物の構造から考えまして、これは不可能でございます。  それから第二番目に、またいでできるかということでございますが、技術的には可能でございますけれども、私の理解するところでは、相当に高額な、それこそ目の飛び出るような、構造体としてつくらなければならないので相当の建築工事費がかかるだろう、これは住宅公団の住宅としてはふさわしくないだろうというように思います。
  348. 東中光雄

    東中分科員 目の飛び出るというのは、どのぐらいになったら目が飛び出て、どのぐらいなら飛び出ないんですか、ちょっと聞かせてください。
  349. 立石真

    ○立石政府委員 具体的には数値として出せませんが、例えば五階建ての建物の上に、そこまで柱を立てて、そこへはりを渡すわけでございます。そして、それだけではきっと建ちませんので、いろいろと現在の住宅を突き抜くはり等も設けなければならないだろうと思いますので、具体的な金額はわかりませんけれども、目の飛び出るような 工事費がかかるだろうと思っているところでございます。
  350. 東中光雄

    東中分科員 それは出目金なら何でもなくても目が飛び出ています。そういう形容詞でごまかしてはいかぬ。問題は、十階建て増すとして、今の住宅のままで高度利用で、だから土地なしで十階建てができるということなんです。そういうことでしょう。つぶしてやるのではなくて、今五階建てがある、その土地代はもう昭和三十四年に買うた坪何千円のときのものです。今坪何百万になっているわけです。その何百万の土地を買わないで、その土地を有効利用するということで建てるのだから、少し工事費が高うなったって、土地の有効利用と言っている以上は、それをその分使ったっていいのです。  契約については、あなた方が一方的にやれないのです。相手方の同意を得なければいかぬのです。そういう性質のものでしょう。そして、技術的に可能だということを今あなたは言うた。目が飛び出るといったって、そんなもの、何の証明にもならぬでしょう。そのことについて、公団なり建設省なり住宅局なり、そういうことを組織的に検討したことがあるのかどうかということです。例えば、東京駅だったら東京駅のままで建てかえるよりしようがないのです。だから、それをやったことがあるのですか、ないのですか。
  351. 立石真

    ○立石政府委員 五階建ての建物の上にまたいで建てるような構造物については、非常に、技術的に不可能ではないけれども相当の経費がかかり、また、構造体として無理であるという感覚から、特に検討したことはございません。
  352. 東中光雄

    東中分科員 だから、いかぬのです。あなたの個人的考えでしょう。総裁は素人だからわからぬと言っている。こういう調子で、苦労して入ってきた居住者を一遍に――大体昭和三十年代に公団へ入った人というのは、二十代で入れなかったのです。給料が三万ぐらいなければいかぬから、大体三十代、四十代の方が入っているのです。その人が、今三十年たったのですから、三十四年ですから、そうすると皆六十代後半から七十代なんです。だから、ずっと入っている人はみんな年金生活者なんです。私が聞いた人でも二十万の年金生活者ですよ。一番小さい二DKで九万六千円だ。だから、何か特別の扱いをした、いろいろ援助をしてやるんだ、そんな不遜なことがありますか。そうでしょう。  だから、年金生活者が二二・八%いますよ。そういう人たちの分を残して、その分を上へ建てるなら建てて、ほかのところをつぶすならつぶして、またちゃんとやればいいじゃないですか、それだったら希望を入れるわけですから。六割の人がそういうことを要求している。そういう状態で、理由はいろいろありますよ。家賃が高くて、とてもじゃないが困る、あるいはもうそれは三十年生活しているのだからぱっと一方的に破壊されるのはかなわぬ、いろいろありますけれども、しかし相手と話し合いだから、あなた方の出したこの契約をのむかのまぬかということだけでいったのではだめだというのです。  それで、建てかえというのは既定の事実みたいにして、住居費も残存経費も全部家賃になるから家賃が高くなるのだというようなことをうそぶいている。私は、これは公団の趣旨からいったって許されぬことだと思うのです。だから、合意によって初めてできるのだから、今まではもういや応なしに詰められてやっているということで、それは一〇〇%承知したと言われても、みんな恨み骨髄で、百万円もらって何ができますか、そういう状態です。  これは、もう時間がないようですから、大臣、約款契約みたいな契約がしてあるわけですね、もともと。そこに書いてないことをやろうというときにぼんとこれを出してきて、これを変えるんだったらだめですというふうなことで、それでしかも理解と協力、合意を得る、これでは対等じゃないですね。だから、そういう建てかえも含めて残存させる方法を考える。建てかえをやったらよろしい、高度利用よろしい、しかし居住者の居住の権利を守ってやる、そういう方向をやるべきだと思うのですが、大臣の……
  353. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私は公団に昭和三十年から六年間働いたことがございます。今御指摘の団地の募集のときに、こんなにたくさんの方が申し込まれて本当に入った方はどんなに喜ばれただろうなということを目の当たりにしてまいりました。早いものでそれから三十年余が過ぎまして、建てかえの話が出たのは、その間に建築技術も進みましたし、容積率も変わったりしておりますから、有効利用をしようという話は当然起きてくることだろう、また長年住んだ方は少しでもいい住宅に入っていただくということも政府の住宅政策ではやるべきことであろう、そういうことから始まった話でございます。  仰せのとおり強制的にやる権利などは全くないわけでありますから、話し合いの中で合意を求めていく努力を積み重ねた上でやるべきである。これは公営住宅の建てかえでも全く同じであろうと思いますし、民間の再開発も全く同じである。これは公共事業としてやる場合は別でありますが、公共的な性格を持った住宅政策ではありますけれども、そこに長年住んでおられた方々のことを考えるのは当然でありますから、この計画についても十分建設省で指導しまして、かなり進んでおるようでありますが、皆様の御意見を入れて合意を得るように努力をさせたい、このように思っております。
  354. 東中光雄

    東中分科員 事業計画の変更をも含めて合意するということでなければこの出しているものは全く一緒で、リロケーションができたからとかそういう制度ができたからといってこの住宅計画自体は示したままであと同意する、合意を得る、それだけ言っておったのではあかぬので、それ自体についても希望を聞き、そして技術的に可能かどうかということを検討し、やるということをぜひ要望しておきます。  大臣うなずいていただきましたので、質問終わります。
  355. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。  次に、松原脩雄君。     〔主査退席、戸田主査代理着席〕
  356. 松原脩雄

    松原分科員 私はいわゆる地対財特法にかかわる問題について質問いたします。  御存じのとおり、昭和四十年に同和対策審議会答申というのが出ました。ここで部落差別と言われるものが日本に現存する最も醜悪な社会悪というふうに認定をして、そしてかかる状態は日本国憲法において国民にひとしく保障されている基本的人権と人間の尊厳にかかわる問題であって、その解決は民主主義社会実現の最も重要な課題であるという指摘をした。その上で、この問題の解決のためには国に責任がある、そして国民的課題として総合的な施策を実施しなければならぬという趣旨の答申に実はなっております。  それが一つのてこになりましてさまざまな諸施策が行われてきました。現在は地対財特法によって事業等が行われておるわけでありますが、これも来年の三月になったら期限が切れてしまうという状態になります。結論から申せば、この期限切れ後、適切なる施策を実施しない場合は、部落差別の現状を解消するどころかもっと深刻な差別が助長される可能性、危険性が非常に強いと私は思うのですね。  そこで、まず最初に大臣に、部落差別の現状及び部落差別をなくしていくという件に関しまして一般的な御決意をお聞きをしたいと思います。
  357. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私は地方議会の出身でございますが、同和問題につきましてもいささか勉強させていただいてまいりました。憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識を持っておりまして、今日までも建設省としましては地域の環境の改善のために努力を積み重ねてきたものであると存じます。  今お話がございましたように、最近この地対法のことについてもいろいろな御意見があるようでありますが、その問題もさることながら、本問題 の重要性にかんがみて地方公共団体としっかり話をして対処をしていくべきである、こう思っております。
  358. 松原脩雄

    松原分科員 私は奈良県から選出をされております。奈良県は昭和五十年の全国同和地区調査によりますと、人口が六万二千人、県民に占める割合、人口比率ですね、五・八%です。これは全国で一位の状態になっております。実際、同和地区は奈良県内に四十七市町村がございますが、そのうち二十九市町村、八十二地区が同和地区に指定をされております。同和地区のうち人口が千人以上の大規模なもの、それが二十四地区あるわけであります。これほど奈良県において大きな状況になっておりますので、実は同和対策というものについては行政当局が本当に一生懸命に努力をしてまいりました。奈良県を初め各市町村も一生懸命そういう努力をしてまいったわけであります。  したがって、後ほど指摘しますが、もし仮に今回の地対財特法の期限切れの後しかるべき施策が施されないならば、差別されておられる方々のみならず行政当局自身が本当にすごい悲鳴を上げるような、そんな状態に実は追い込まれるわけであります。そのために新しい法制度としては部落解放基本法の制定というのも一つ大きな方式として打ち出されております。実際、部落解放基本法の制定をすべきであるというのが、調べてみましたら奈良県のすべての市町村長からそれを制定すべきであるという要請が実は上がっておる状況であります。そのような、私が申し上げておるのは行政当局もまた必死になってしかるべき施策が必要であるということを要請しているんだという大前提のもとでお話を聞いていただきたいと思うわけであります。  ここに奈良県の上田知事から要望書が出されております。本年の二月八日付のものであります。何度にもわたって出していたと思うのですが、その要望書の資料に基づいて指摘をしておきたいと思います。  まず、同和地区を有する市町村の財政状況について私は指摘したいと思う。これは集計によりますと、同和地区を有する市町村、それが自分の財政状況からいきますと同和対策事業比率が一四・八%という数字になっている。そのうち被差別の方々がおられる人口比率が五%以上のところは、その比率が実に二五・二%という大変巨大な数字になっておるわけです。ちなみに奈良県全体でいいますと、同和対策事業比率は一二・四%ということになっております。これらの多くの事業費を注ぎ込んで、主として環境改善と言われるものに予算をつぎ込みまして地域の改善をしてきたわけでありますが、後ほど指摘しますけれども、実はまだ相当量の残事業が積み残されておるわけです。  そして、そういう積み残しの問題もあれば、今申し上げた、いわゆる一般財源に占める比率等の関係からしまして、現在の特別な措置による財源措置が仮になくなりますと、一部の市町村団体は赤字再建団体となる、それから、起債制限比率も二〇%を超えていくだろう、それから、経常経費関係についても、施設の管理運営費や地方債の償還費等がふえまして、市町村の財政運営が極めて困難な状態に追い込まれてしまいます。もしそういうふうになりますと、いわゆる事業が途中で打ち切られて継続ができなくなる。したがって、途中で手をつけている建設分がそこでいわば野腐れのような状態になるということが一つあります。  それから、市町村の財政をこれほどに圧迫しますから、それは原因は一体だれにあったかということになると、やはり部落があるからだということになりかねませんから、もう一度差別を逆に助長することになるというふうな危険性があります。そのために、いわゆる奈良の市町村長の皆さん、行政団体は、本当に中央の方にも、もちろん建設省の方も含めましていろいろと陳情行動を重ねているはずであります。かようないわゆる市町村の財政上の問題につきまして、政府の方の御認識と、これに対する御見解をお聞かせを願いたいと思います。
  359. 立石真

    ○立石政府委員 初めに全体的な状況を御説明して、そしてまた奈良県の問題というふうにお答えさせていただきたいと思います。  まず、建設省といたしましては、同和地区の住環境の改善を図ることは同和問題の解決のための重要課題であるというように認識しております。昭和四十四年に制定されました同和対策事業特別措置法のもとで、また延長された三年間を含め計十三年間、諸事業の推進に取り組んできました。その後、五十七年の地域改善対策特別措置法において、そして現行の特別措置法のもとでこれまで四年間、都合二十二年間にわたりまして住環境の改善のための諸事業を積極的に推進してきたというように考えているところでございます。  これらの取り組みによりまして、同和対策といたしましては、平成年度までの実績としまして、全国で約八百三十地区において小集落地区改良事業等を実施してまいりました。これによりまして、改良住宅六万三千戸を建設するとともに、道路あるいは公園等の公共施設の整備を行い、これらによりまして同和地区の住環境の改善につきましては相当の成果を上げてきているというように自認しているところでございます。  奈良県におきましては、同対法施行以来、先生の御指摘もございましたように、また私たちも認めているところでございますが、住環境の整備に対しまして行政体もまた熱心に取り組んできたものというように私たちも見ておるところでございます。しかしながら、先ほど先生のおっしゃいました大規模な地域があるとか、あるいはまた人口の比率においても高いという奈良県のいろいろな事情があると考えますが、そういう事情によりまして、小集落地区改良事業についても依然として十数地区が地対財特法の期限内に完了しない可能性があるというように私たちも伺っているところでございます。法期限後の当該市町村の財政負担問題というのは、こういう面では大きな課題であるという奈良県からの強い指摘を私たちも受けているところでございます。  建設省といたしましては、事業を所管する立場で、現行の地対財特法のもとで、残された期間内に最大限事業進捗を図ることが基本であるというように考えているところでございますが、この地域改善対策一般対策への円滑な移行を図るための最終の特別法であるという地対財特法が失効した場合、つまり平成四年四月以降の方策につきましては、そういうような残された事業についての状況を把握し、また財政力の弱いということに注目しながら、事業として推進していかなければならないものは推進していかなければならないと思っているところでございますが、その方法につきましては、現在、地域改善対策協議会において審議されているということでございますので、その意見も踏まえまして建設省としての対応を検討してまいりたいと思っております。
  360. 松原脩雄

    松原分科員 とてもじゃないけれども、来年の三月まででいわゆる事業問題あるいは市町村の財政問題というのはクリアできそうにないというふうに私も今のお答えを受け取りました。一年内に全部やれやと言われても、それは実際上無理であります。したがって、市町村財政が置かれたこのような極めて深刻な状況につきまして、政府としてもそれを強く受けとめてしかるべき対処をしていただきたい、こう思う次第であります。  次に、今若干指摘がありました小集落地区の改良事業実施状況につきまして、もう少しお伺いをしておきたいと思います。  奈良県の場合ですが、順次地域を指定して小集落の地区改良事業実施してきたわけであります。そして現在、平成二年、去年の段階でも、先ほど御指摘のあったとおり十六市町村、二十七地区で事業実施しておりまして、そのうちの十数地区が法期限後にやはり改良事業を継続せざるを得ないというふうな状態になっているわけです。現にそうです。  そこで、法期限後にずれ込むというのは、何も奈良だけじゃなくて全国的にも存在しているというふうに私は聞いておりますが、その理由、なぜ 法期限後までずれ込まざるを得ないのか、これは奈良県の見解ですが、そういうことについては政府はどういうふうに考えておられますか。
  361. 立石真

    ○立石政府委員 まず、奈良県におきましての事業の実績についてでございますが、これまで二十二市町村、四十一地区について小集落地区改良事業等を実施してまいりました。改良住宅は三千二百戸建設されてきております。この結果、これまで十七地区で事業を終了しまして、現在十六市町村、二十四地区において事業実施しているところでございます。これらの事業について、今後の一層の努力によって期限内に事業進捗をさらに進めてもらいたいと考えているところでございますが、奈良県の話では、十数地区合わせて国費ベースで三百億円ぐらいの事業平成年度以降にも残る見込みであるというように言われているところでございまして、私たちも、奈良県の数字については割とそういうものではないかというように考えているところでございます。  そのおくれた理由についてでございますが、まず、全国的なベースにおきましてはかなり事業の進捗が図られておりまして、大都市地域の例えば大阪、京都、福岡等の大規模地区についてはまだ事業が大分残っている地区もございます。しかしながら、一般的な中小規模の地区につきましては、かなりの程度、必要な地区についてこれまで事業が行われたというように考えているところでございますが、奈良県におきましては、かなり多くの事業が残っているというように考えております。  その事業がおくれている理由といたしましては、まず第一は、御指摘のように、大規模地区が多いことでございます。また第二は、財政上の問題、あるいは地域事業計画を設定するまでの、一致するまでの期間がかかったことなどにより事業着手が立ちおくれた地区があるというような要因もあるわけでございますけれども、最近の状況といたしましては、地価高騰によりまして、対象地区におきましても土地の保有志向が一層強まってきておりまして、事業に必要な用地の取得が困難化してきている点が第一。さらに、事業を進める上におきまして、例えば改良住宅の入居希望を調査しますと前よりもふえることがあるわけでございますが、これらの用地を団地ないしその周辺において確保するための地元調整の難航、こういうようなこと等がありまして、当初の計画どおり事業の進捗が図れなかったのではないかというように考えているところでございます。
  362. 松原脩雄

    松原分科員 御指摘のとおりなんですね。特に、奈良というのは大阪のすぐ隣、ベッドタウン的なところなんですよ。ですから、近年物すごく土地が値上がりをしまして、大体同和地区というのは奈良の盆地部分集中していますから、人口が割と多いところにあるのです。ですから、土地の値上がりという問題をもろに受けてしまうのです。だから用地を取得するのが非常に困難であるというのが一つなんですね。  もう一つは、やはりそういうものの中で、土地の保有意識ももちろん出てきた。したがって、持っていれば値上がりするだろうということも、それはあるでしょう。もともと、小集落地区の改良事業なんというのは強制的手法は許されませんから、皆さん方の同意に基づいて円滑に地域をよくしていこうではないかという手法をとっておるわけですね。  それらが重なったために、いわば事業がおくれてしまっているのであって、決して奈良県の行政当局あるいは運動体も含めましてネグレクトしているのではない。他の府県と比べても、むしろ奈良県なんかの方が一生懸命にこの同和の問題の解消になるように頑張っているんだという評価はしていただいておると思いますが、その点、もうちょっと意見を聞かせてください。
  363. 立石真

    ○立石政府委員 私たちも先生指摘のとおり、奈良県におきましては対象地区も非常に多く、あるいはその地区に大きなものもあって、対象とする事業も多くなければならないと思っておるところでございまして、先ほど申し上げましたように、行政当局におきましても非常に熱心に、他に比べてもずっと熱心にやっているというように考えておりますし、また、地域住民の協力も得られているというように考えているところでございます。
  364. 松原脩雄

    松原分科員 そこで、実は積み残し、残事業についてちょっと政府の方の認識を聞いておきたいのです。  「地域改善対策特定事業実施状況」という、奈良県のいわば計算をしたものがあります。そのうち、建設省関係でいいますと、事業費の総額が千四百五十六億円である。そして、それを各年度別にやってきたわけですが、平成年度事業費が二百三億円。そして平成年度以降、来年度以降の事業費で、これは残事業になってくると思うのですが、五百十七億円ほど残事業費が見込まれるというのが奈良県の試算であります。  建設省の方として、この数字についてはどのように見込みをされておられますでしょうか。
  365. 立石真

    ○立石政府委員 奈良県知事からの要望書の中におきまして、そのような数値があることについては存知しているところでございます。  しかしながら、国としてこのとおりの数値かどうかということは特に確認ができてないことが一つでございますし、また、平成年度以降の事業費がどのくらい残るかということにつきましては、平成年度までの事業について確定した数値を持たなければならないということが一つと、また、平成年度にどれだけの事業をするのかということを含みまして、平成年度以降の残る事業についての金額は出てくると考えておりますので、奈良県の方から事情を聞きながら今後とも調整をしていきたいと思っております。
  366. 松原脩雄

    松原分科員 部落差別というのは、何も環境改善対策だけではありません、非常に総合的な政策が必要なわけですね。福祉とか教育、あるいは仕事、保障、そして啓発という面もありますし、これからそれはどんどん進められていかなければいかぬと思うのです。  また、もう一つ、実は五十年の全国調査では、三十四府県でいわゆる同和地区が存在するという認定になっているのです。しかし、どうもその後調査していってみますと、これは運動団体の方の調査なんですが、五十年代はそういう同和地区とは認められなかったけれども全国でまだ千ほどそういう被差別部落があるという一つの報告が出てきているんですよ。大体、従来東北にはなかったと言われたけれども、どうも調査ではある。  その特徴はどういうことかといいますと、余りにもそこの部落の戸数が小さ過ぎるという面が特徴的にあると思うのです。もちろん大きいところもあります。けれども、十戸とかそれ以下とかいうことで、その地域社会の中では本当の少数者になっている。要するに、余りにも差別されているものだから、自分が被差別の住民で差別されておるんだという声すら上げられないというのが、この部落問題の非常に大きな問題点だと私は思うのですね。  ですから、同対審答申が日本で最も醜悪な社会悪だというふうに指摘されたこの部落差別の問題というのは、やはりいまだに残っているし、それを解消するという道筋にあるわけであって、今後ともこれの解消のためには最大限努力をしなければならない。被差別の方々は少数者ですよ。それは日本国民全体からすれば少数者だ。少数者だからといって彼らの人権がそのまま殺されていっていいというわけにはいかないということで、今後とも、きょう御答弁になりました点を踏まえて、建設省としても前向きの対応をぜひともお願いをしたいと思うのですね。  最後に、ちょっと建設大臣お願いしたい。  今申し上げたように、実は奈良県も、各市町村も悲鳴を上げておるわけですね。もしここで適切な諸施策が来年三月以降とられなければどうなるかということについて、本当に悲鳴を上げておる。ですから大臣、今の奈良県における部落の現状、それから、それに対する改善事業現状等を一回視察をして、そして、地元の行政当局の意見 を聞くという姿勢を示していただけないものかどうか。これをちょっとお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  367. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま住宅局長から今日までの経過をお話をし、平成年度以降のことについてももちろん心配をしている話をさせていただきました。ともかく地域の環境を改善するということは、同和問題の解決を図る上での重要課題だということはもう最初に申し上げたとおりでございまして、積極的に推進をしてまいらなければならない。  現地視察についての御示唆がございましたが、御指摘の趣旨も踏まえまして検討させていただきたいと存じます。
  368. 松原脩雄

    松原分科員 終わります。
  369. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて松原脩雄君の質疑は終了いたしました。  次に、高木義明君。
  370. 高木義明

    高木分科員 大変お疲れさまでございます。私は、道路行政につきましてお尋ねをしてまいりたいと思います。  地方の時代が叫ばれて久しいわけでございます。地方の時代というのは、御承知のとおり地方分権、いわゆる権限、財源を地方に移譲するという一つのそういう大切な要件もございますが、それとともに多極分散国土の形成、いわゆる四全総の見地からも大切な行政課題であろうと私は思っておりますし、その中で言う全国一日交通圏ということは、鉄道、道路、航路、空路それぞれその役割を生かしつつ、総合的な交通体系の整備が今大きく望まれておるわけであります。特に、東京一極集中の是正ということも、今国政の大きな課題であります。そういう中で、とりわけ道路網の整備というのは、特に今日このように車社会になっておりますので、地方活性化という意味では極めて重要なテーマであろうというふうに思っております。  私の地元の長崎県でもたくさんの要望があっておりますが、国におかれましても、厳しい環境の中ではありますけれども、各段の御配慮をいただいております。このことにつきましては、この場をかりまして深く敬意を表したいと思いますし、感謝を申し上げる次第でございます。特に、昨年の八月三日から十一月四日まで、長崎県にとりましてはかつてない大イベントとしまして長崎旅博覧会というのを行いましたが、これに目がけて、地元はもちろんのことでございますが、国の当局のいろいろな御支援、お力添えをいただきまして、事前の交通渋滞という大きな問題も解消されまして、大成功のうちに終わったということがございまして、本当にこの件につきましても私、個人的にも大変お世話になりましたし、お礼を申し上げる次第でございます。  そういうことの中でも、まだまだ課題がないわけではございません。特に、長崎というのは西の端でございますから、中央、大都市部との時間、距離を短縮するということが何よりも大切でございます。そういう意味で、以下、私が何点かに絞りましてお尋ねをしてまいるわけでございます。  まず第一は、九州横断自動車道の整備促進についてでございます。  まず、長崎から長崎多良見間の整備計画早期決定につきましてお伺いをいたします。この問題につきましては、昨年も私は取り上げましたが、特に長崎市の都心部と現在供用されております多良見間を高速道路が走るということになりますと、道路交通網の大きな改善の力が出てくるわけでございます。そういう意味で、今日段階、この整備計画への格上げという強い要望もございますけれども、国としての取り組みについていかが対応されておりますか、お尋ねをしておきたいと思います。
  371. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 昭和六十二年に新しい高速道路の見直しが行われました。高規格幹線道路網ということで七千六百キロから一万四千キロの時代、言ってみれば四全総の時代の高速道路時代に入ったわけでございます。  この九州横断自動車道は、その前の言ってみれば根っこから計画が立てられていたものでございまして、今いろいろなところで整備が進んできておりますが、長崎市を起点として佐賀市を経て大分市に至る延長二百五十二キロ、これは大分あるいは佐賀等々いろいろなところで事業の進展を見ているわけでございますが、この御指摘の長崎―多良見間につきましては、十二キロについて今までいろいろな経緯がございました。長崎外環とのとり合い等々、歴史的な経緯が多々ございましたけれども、今回やっと調査等の内容が整いましたので、環境影響評価の手続の段階に至りました。私どもも正直のところ言ってほっとしている、よかったなというふうに私どもも思っております。  そういうことで、今県にお願いをいたしまして、この準備書の公告、縦覧、説明会の開催等々を経て、この一月には長崎県から知事の意見書も提出されているところでございます。私ども、今後この評価書をもとにそれぞれの手続をいたしまして、準備ができ次第、全国今八百九十キロ余の、全国的に第二東名とかいろいろなところでやはり同じような環境影響評価をお願いしているところがございます。こういうものの全体の準備が整いましたら、それをまとめて国土開発幹線自動車道審議会をお開きいただくようにお願いをし、そしてその中で整備計画の原案としての御承認をいただくべく私どもは考えております。  いずれにいたしましても、いろいろな歴史的経緯を持ちながらやっとここまで達したというこで、これからだと思って、私どももその整備に楽しみを持っているところでございます。
  372. 高木義明

    高木分科員 ただいまは、取り組みの状況並びに整備見通しということを含めてお答えをいただきました。特に、地元におきましては、二月の十四日にこのアクセスともいう常盤町田上町線という道路の都市計画決定もされたようでございまして、着々と地元としての準備も進められておるわけでございます。どうか、この計画がさらに一日も早く促進をされますようにお願いを申し上げます。  くどいようでございますが、再度その見通しにつきましてお述べいただければ幸いでございます。
  373. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 若干、この九州横断自動車道全線についてもう一度振り返りますと、供用中の路線が、御承知のように日田からこの多良見まで供用しているわけでございます。この長崎側が今回の十二キロだけ、そして大分側は日田から玖珠、そして湯布院、そして日出、こういうところが今一生懸命やっておりまして、日出と湯布院のの間は供用中、こういうことで、大分―日出のジャンクションの間はやはり工事中、さらに米良までが設計協議中、こういうことでございますから、今回のこの多良見と長崎間が整いますと全線にわたっていよいよ本格化する、こういうことでございます。  そこで私どもは、これとあわせまして、今先生がおっしゃったようなことも含めて、長崎バイパスの延伸部あるいは国道三百二十四号のバイパスの進展等、関連道路網とあわせて、この高速道路ができ上がった暁にさらにうまく発揮するような進度調整も考えながら、これから取り組みをさせていただきたいと思います。
  374. 高木義明

    高木分科員 そこで、平成二年一月二十六日に大村―武雄北方、この間が供用開始されまして大変交通の利便に供したわけでございますが、ただ残念なのは、いろいろな諸条件がございまして暫定二車線ということで供用されておるわけでございますが、普通の道路ならいざ知らず、やはり高速道路でございますので、何としても危険が伴うものでございます。そういう意味では、特に四車線にしてほしいということが強く要望されておるわけでございますが、この辺の見通しにつきまして、取り組みもあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  375. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の基本的なお考え方はそのとおりであろうと思います。高速道路は、最終的には四車線、場合によって六車線のところもございますけれども、基本的に四車線という追い 越しができる構造のものが一番望ましいわけでございます。ただ、全線早く高速交通としての機能をまず確保してほしい、また確保すべきだ、余りにもおくれている現状から、まずせめて二車線だけでも急ごう、こういう物の考え方が第一点。それから、それが余りにも非合理的であれば別でございますが、交通量から見て、とりあえず暫定的にそのような考え方をしても何とか成り立つ、こういう場合につきましては、二車線施工を全国的に採用させていただいております。したがって、こういう二車線でやっている事例は全国的に多々ございます。  しかし、その二車線につきましても、その後の利用の状況等々見まして、私ども一つずつまた改善していく、こういう形をとっているのも事実でございます。例えばこの横断自動車道の場合は、一例を申し上げますと、佐賀大和の前後は大体二万台以上の交通量でございます。たまたま嬉野付近は現在一万六百台、これは多分平成二年の一月一日と平成三年の一月三十一日までの間の平均交通量として見ますと一万六百台程度でございます。したがって、若干やはり区間において差がございますので、そういうことから二車線として御協力をいただいていることだと思います。  今後、四車線化につきましては、こういう利用状況あるいは全線がつながった暁における地域開発計画状況等々、あるいは関連の道路網の整備また利用の仕方、すべてを見ながら、私ども安全に通行ができるということが前提でございますので、そういう面を含めて四車線化について検討をさせていただきたいと思います。
  376. 高木義明

    高木分科員 次に、国の直轄国道であります一般国道三十四号日見バイパスの建設促進についてお尋ねをいたします。  この道路も、御承知のとおり長崎都市圏の重要な幹線道路でございまして、この新しい日見バイパスの建設は大きな効果が期待されるわけでございます。この日見バイパスの建設促進につきましては、最近かなり進捗もはかばかしいものがあるわけでございますが、現状の取り組み状態、そしてまた供用見通しについて、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  377. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この一般国道三十四号の日見バイパスは、これも極めて歴史的、時間的経緯を持ったバイパスでございます。四十四、五年ぐらいからいろいろと取りざたをされ、そしてやっと五十一年に事業化の運びになった。その間にはいろいろな問題がございました。そういう七・一キロの道路でございます。五十二年には用地、工事に着手いたしまして、平成元年四月に、長崎市市街地側一・一キロが何とか供用させていただいたところでございます。現在、引き続き用地買収、現道拡幅部分工事も行っております。  ただ、この区間には、そういう歴史的経緯の結果、いろいろと周辺の方々の御協力に対するお気持ちの差異もございます。また、現実問題として、墓地というのがこの中間にございます。おおむね二カ所にわたって百基ほどの墓地がございます。こういったものを、今後この対応においてどのようにしていくかということが極めて用地取得上問題でございまして、こういう方々に恨まれてはまずうございますので慎重に扱いながら、現場の工事事務所の人たちが汗をかきながら、今ここの部分の解決に一生懸命取り組んでおります。  そのほか、日見トンネルその他いろいろとございますけれども、私ども歴史的経緯があるがゆえに、なるべく早く完成させたいというのが長崎工事事務所の職員、所長以下全員の気持ちでございまして、今後とも、地域方々の御協力を得て、私どもも大いに急ぐことを期待している路線でございます。
  378. 高木義明

    高木分科員 御案内のとおり、第五工区の田中町―芒塚間、そして第六工区の芒塚―妙相寺間、この間はトンネル区間でございますが、大変難工事も予想されておるわけでございます。そしてまた第七工区の妙相寺―蛍茶屋間、この三工区が今建設促進が望まれております。どうぞ、先ほど申されました趣旨も十分理解できますけれども、さらに一層の御配慮お願いをしておきたいと思います。  それから次には、国道の追加指定についてお尋ねをいたします。長崎県におきましては、長崎野母港線、国見雲仙線、口之津雲仙線、福江玉之浦線、佐世保伊万里線、厳原豆酘美津島線、これは一部でございますが、以上の五線を国道に昇格をしていただきたいという地元の要望は強いものでございます。なかなか全国各地要望は多いと思いますが、とりわけ長崎県は西の端に位置をいたしておりまして、行きどまりの半島地区が多うございます。そういう意味で、非常に今の基準からすると難しい面がございますけれども、以上申し上げました道路の追加指定についてどのような見通しがあるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  379. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道昇格、長崎県が五路線、実延長で百五十一キロ、関連延長を入れますと二百十六キロほどの御要望があることは承知をいたしております。このいずれもが半島ないしは離島に関連する路線でございまして、現在の採択要件では、かなり厳しい状況のもとで御要望をいただいていることも了知しております。  しかし私ども、現在国道四万六千八百キロほど全国にございますけれども、このような国道網の全体の規模は、昭和四十年代に五万キロということで決めたいきさつがございます。このときは、やはり我が国の車社会、当時の世の中の経済社会の動向が五万キロというものをもって了解された社会だったと思います。しかし昨今の国内の経済情勢、社会情勢、そして車の社会の実態等々を見まして、果たして同じようなものでいいのだろうか。特に、四全総という国の政策の中で、これをどう考えたらいいのだろうかというような御指摘をこの国会の場でも多々受けておりまして、そういう面も含めて、私どもいろいろと検討をいたしております。そういう点が一つ。  それからあわせて、従来いろいろなおくれた地域国道のあり方、あるいは現在の国道がふくそうしているものの再編成のあり方等々、国道の採択あるいは実態の見直しという御意見もございます。これらをあわせまして、そうした作業の中から新しく御要望をいただいているものについても、一緒になって国道の再編成の作業をさせていただこうと思っております。そういうことで、従来もう既に各地方建設局を通じて各県の御要望もいただいております。作業もしております。今後私ども平成年度中を目途にこれからこれをまとめる作業に今入っております。  いずれにいたしましても、何とか少しでも早く内容を固めて、そして新しい国道網の姿のもとで次の事業の展開を図りたいと思っております。特に、平成年度は国幹審を開いていただかなければならない特別な年でもございますので、そういう道路網再編成の全体の中で、この国道昇格についても判断をしていきたいと思っておりますが、なるべく早くやらしていただきたい、こういうふうに思っております。そういう意味で、これから県の御要望についても、私ども真剣に対応させていただこうと思っております。
  380. 高木義明

    高木分科員 特に私が申し上げたいのは、長い間の要望でございまして、全国的に見ると非常に厳しいことも理解をするわけでございますが、とりわけ今、東京一極集中の是正という政治課題もありますし、財政力の比較的弱い地方の県につきましては、公共投資の傾斜配分配慮されて、きめ細かく対応するということも大切なことではないかなと思っております。  そういう意味では、今日ある基準が果たして十分なのか、また違った面で基準を見直すこともぜひ私はやっていただきたいと思うわけでございますが、国道追加指定の基準につきまして、その見直しにつきましていかがお考えであるか、お聞かせいただきたいと思います。
  381. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 簡単に申し上げますと、この基準につきましては、それぞれ国道の内容、性格も変わってきておりますので、あわせて全体的な意味で今見直し作業をさせていただいておりま す。そういう中で、先生の御趣旨も十分生かすように努力したいと思います。
  382. 高木義明

    高木分科員 次に、長崎市のこれまた大きな期待でありますが、女神大橋構想というのがございます。これは長崎港をまたぐ道路計画でございまして、交通体系上極めて意義ある道路でございます。すなわち、先ほども述べましたけれども、長崎は我が国の西の果てに位置をしておるということ。ということは、やはり交通にとっては行きどまりの部分に当たる。しかも半島地区だ。そしてまた、都市の形状が一点集中型の道路体系になっておる。こういうことから考えますと、港の港口に一つの大きな橋をつくって車の循環をよくしていくこと、これができますと、朝晩の通勤通学、生活関連、そしてまた商工業はもちろんでございますが農林水産業、そういった産業活性化にも大変役に立つ道路計画でございます。  この点につきましても、かねてから建設省の方では慎重な検討をしておられるようでございますが、私はこの意義につきまして評価をしていただき、どうか早い着手をしていただきたい。そのためには、どうしても地元の自立、そしてまた協力も必要でございますけれども、やはり国の力をかりるということが大きなかぎでございます。この女神大橋の建設につきまして、国としていかがお考えなのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  383. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 女神大橋は、先生指摘のとおり長崎港を横断し、県道長崎野母港線と一般国道二〇二号線を結ぶ橋梁というのがこの女神大橋の位置でございますが、かねてより長崎県及び地元からその整備要望がなされておりました。私ども、この長崎の市を中心とする大きな幹線ネットワークはどうあるべきか、従来から勉強いたしておりました。そういう中で、この女神大橋の御要望を受けまして、あわせて検討をしてまいりました。  そういう意味合いで、今回、女神大橋というものは長崎外環状道路計画の一部を構成する路線という形で、全体としては二十五キロに及ぶ一つの環状機能でございますが、長崎都市圏の南部地域の交通の分散を直接的には女神大橋は果たすわけでございます。さらに、神の島の開発等、いろいろな役割を持つ路線ということで認識しております。そういう意味で、私どもこれを積極的に長崎都市圏の将来の骨格になるものという認識のもとに対応しようと思っております。
  384. 高木義明

    高木分科員 時間も来ておりますけれども、ぜひ私は、この女神大橋に寄せる県民の期待というのも高いものがございますので、今後一層の取り組み、位置づけをお願いしたいと思っております。もし取り組みの考え方がございましたら、お述べいただきたいと思うわけでございますが、どうでしょう。  時間の関係がございますので、そのお取り組みの方針をいただいて、総括をして大臣の、私がこれまで述べてまいりましたが、特に道路の建設促進について格段の御配慮をいただきたいということにつきましての所信も、あわせてお伺いしたいと思います。
  385. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 事務的に一点だけ御説明をいたします。  この女神大橋を含む国道二〇二号から都市計画道路の長崎外環状道路までの区間につきまして、都市計画決定をしようということで県と相談いたしまして、そのための協議作業を今進めているということでございます。これが終われば早速にでも事業化、こういうことに相なります。何はともあれ、これは最重点の課題だという認識で取り組むつもりでおりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  386. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど来、九州北部の横断自動車道を初めとするネットワークのお話をつぶさに聞かしていただきました。局長からお答えしておりますように、いずれも重要な道路でありますから前向きに検討をしていくわけであります。  私は東京でございますが、かねてから一極集中から多極分散型の国土形成をする、冒頭に先生がおっしゃったように、国土の均衡ある発展を図っていくためには、ともかく一日日帰り圏といいますか、というような将来の日本を構想していかなければならない。そういうことからしますと、何といっても道路あるいは鉄道といったいわゆる交通網がしっかりとつくられることが、何より大事であると私は考えておるものでございます。したがいまして、高規格幹線道路一万四千キロ、二十一世紀初頭を目標に、今回も四百三十兆円の公共投資基本計画に基づきますスタートの年でもございますから、しっかりとその辺を踏まえて、頑張って道路整備を進めてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  387. 高木義明

    高木分科員 終わります。
  388. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、倉田栄喜君。
  389. 倉田栄喜

    倉田分科員 かなり遅くなりましてお疲れのことと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  私は、まず災害復旧事業改良復旧事業促進という観点からお伺いをさせていただきたいと思います。  御承知のように、熊本県は一昨年、昨年にかけて、特に阿蘇地方、阿蘇の降灰、それから七月二日の大災害ということで、非常に災害に遭いました。今、国の方からも非常に御援助いただいて復旧作業に取り組んでいるわけでございますけれども、その復旧作業の中で、災害復旧というのは原形復旧が原則であるということはよく承知しておるわけでございますけれども、いろいろな状況が変わる中で、単に原形復旧しただけでは、国の予算をせっかく使ってももったいない部分があるのではなかろうか。周りの状況が変わるわけだから、その周りの状況に合わせていくような改良復旧ということも基本に据えて考えていかなければいけないのではないか、こう思うわけでございます。  そこで、いわゆる改良復旧事業というものは、一般的に原形復旧が原則であるとしても、改良復旧事業というものの、例えば災害復旧の助成事業であるとか、河川等災害関連事業とか、災害関連河川特別水害対策促進事業とか、いろいろな関連事業があるわけでございますけれども改良復旧事業の採択範囲の拡大ということは地元の切実な要望でもあるわけでございますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  390. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 おっしゃるとおり、災害復旧につきましては原則は原形復旧となっているわけでございますが、原形復旧のみでは再度災害の発生した場合に防止することは困難な場合には、一連の施設につきまして施設の安全度の向上を図るため、改良復旧事業として災害復旧事業とあわせて災害復旧助成事業関連事業の制度を積極的に活用し、再度災害の防止に努めてきたわけでございます。  先生、今枠の拡大なり採択基準の拡大ということでございますが、私ども現在まで運用の範囲内におきましては、現場の実情等十分調査した上で極力この採択の対象にしてきておりますし、そのような対応で今後も進めていくことが必要ではないかと思っております。
  391. 倉田栄喜

    倉田分科員 御答弁いただきましたように、ぜひともひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、また災害の件でございますけれども、熊本県においては、昨年七月二日発生しました局地的集中豪雨による激甚災害で、大変な被害を受けたわけでございます。そこで、激甚災害に関連してちょっとお尋ねをしたいと思いますが、激甚の指定を受けますと、補助事業のかさ上げがございます。これは、各市町村の税の収入状況によってどのくらいの率があるか違うわけでございますけれども、例えば、特にひどい被害を受けた一の宮町という町がございますけれども、これは通常の事業ですと七二・七%、通常の関連事業ですと五〇%、これが今回激甚の御指定をいただきまして、激甚の通常事業ですと九〇・二%、激甚の関連事業ですと八二・一%、こういうことで補助を いただいているわけでございます。  そこで、お尋ねというのは、先ほどできるだけ弾力的に改良復旧事業ということで採択の拡大を図っていきたいという御答弁もいただいたわけでございますけれども、この激甚の通常事業、一の宮町の例でいきますと九〇・二%、関連事業八二・一%、これはやはり通常事業関連事業で差がある。この差というのは何とか埋められないのかというのがお尋ねの趣旨なのですけれども、そもそもここにこれだけの差がある理由、地元としては、改良ということに視点を置いた場合においては、関連事業についても通常事業と同じような補助をしていただきたい、こういうふうな趣旨でございますが、この点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  392. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 災害関連事業は、先生おっしゃいましたように公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づくいわゆる災害復旧事業費、それに改良費を加えて一連区間について改良実施し、再度災害の防止を図るものでございますが、このうち災害復旧事業費については、国庫負担法で基本的には国庫負担率三分の二、今の一の宮町についてはそれに財政支出等の関係から、今七二%と先生おっしゃいましたが、恐らくそういう数字になったんだろうと思います。それから改良費の方につきましては、一般改良事業との均衡がございまして、河川、海岸については二分の一、道路橋梁、砂防等はそれぞれの本則に基づき三分の二となっておりまして、これが適用されておるわけでございます。  このような前提でございますので、改良費を災害費並みにという負担率にすることは困難ではあろうと思いますけれども、また先生がおっしゃいましたように、激甚災害であったものにつきましては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律を適用いたしまして、それぞれ災害費、改良費等もかさ上げしておるわけでございまして、このような運用によって、他の事業から見れば、災害の起こったところについてはそれなりの国庫負担率を引き上げて実施しておるわけでございますので、それに基づいて進めていくのが妥当ではないかと考えております。
  393. 倉田栄喜

    倉田分科員 お尋ねしたかったのは、その激甚の指定を受けた場合の通常事業関連事業、相当な補助率のかさ上げをいただいておるわけでございますけれども、できるだけ高い方の補助率に合わせてやっていただきたい、こういうことでお尋ねをしたわけでございます。災害が起こりますと、ともかく一日も早く復旧をしなければ、これは被害を受けられた方々の心の安定は得られないという問題もあるわけでございますし、また災害を受けた場合には地方自治体、町なら町だけではとても対応できない部分がある。国の援助に非常に期待をするところまた大でありますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。  そういう意味で、その災害復旧の場合についての、いわゆる災害が発生をし、それから実際に工事に着手するまでのシステムというのを考えてみると、災害が発生をする、国へ報告をされる、そこで査定が行われるわけですけれども、査定の日程がある、そしてまた査定の設計書があって、予算がついて、実際の設計書が組まれる、こういうふうになるわけです。現実には、災害の査定が終了しないと工事に着工できないのが原則。  例えば一の宮町の例を出させていただきますと、あそこに今回の流木被害のもととなりました古恵川という河川がございます。この場合も、古恵川の河川の周りに住んでおられた方々というのは、川の底上げというのはなされておるわけでございますけれども、側岸というのは非常に応急的な処置で済まされておる、いつまた二次災害が起こるかわからない。例えば去年の七月から、もうすぐするとまた梅雨時期になってしまうわけですね。そこで、こういう二次災害の発生のおそれが非常に強いところ、また地元住民の方々の不安が多いところ、こういうところについては、何とか迅速に着工できるようなシステムがつくれないものかどうか。また、その査定そのものについても、早急に実施できるような制度ができないものかどうか、地元の強い要望があるわけでございます。例えば査定のあり方についても、これは大体一回原則でやっておられるのだと思うのですけれども、一回で迅速に素早くしていただきたい、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点についてのまずお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  394. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 災害復旧事業費の決定に当たりましては、おっしゃるとおりまず報告があり、申請があり、それを査定して、その結果決定して、それぞれ担当部署で復旧事業に臨むというのが手続でございますが、ただ、まず二次災害のおそれがあるようなところにつきましては、将来的にはこれを関連事業等の要望があり、関連事業災害復旧計画的に実施するというようなところでございましても、緊急に二次災害防止のための応急工事を行う、これも国庫補助事業の対象としておりますので、住民の皆さんの不安は極力取り除くようにしております。また、災害復旧事業の査定に当たりましても、私ども建設本省のみならず地方建設局にも、通常は他の業務を担当しておる者を災害査定官に任命しておりまして、地元の方で査定の準備が整い次第、いつでも査定官を派遣するような準備もしております。  このようなことによりまして、住民の皆様に二次災害のおそれ、不安がないように絶えず努力をしておるところでございますので、御理解のほどをお願いしたいと思います。
  395. 倉田栄喜

    倉田分科員 ぜひとも早急な復旧が図られるように、災害発生から設計書をつくって実際の着工までスムーズにいきますように、ひとつ御努力お願いしたいと思います。場合によっては、その査定の方法等々にも、大きいところは国でやったとしても、部分的なところは主体性を地元地方自治体に任せるとか、そういうことも御検討を願いたい、こういうふうに思うわけでございます。  また、災害が発生した場合、これはどういう災害であったのか、この点についてはまず最初に状況の調査をしなければいけない。この状況調査については、現状では地方自治体が主体になってやっておかなければいけない。例えば熊本県の場合は、降灰被害あるいは集中豪雨による被害等々で、これはほかの県も同じかもしれませんけれども、調査費だけでも四億ぐらいの金額がかかった、こういうふうに聞いておるわけでございます。現状、その調査費の四億については国からの補助は全くないわけであって、県が単独で負担をしながら必死になってやっておるわけでありますけれども、この辺のところも、本来災害復旧というのは大きな目で見れば国、国土庁、そういう観点からのお仕事であろうかと思いますので、何らか災害復旧の調査費等々についても、地元町村あるいは県の負担が軽くなるような御配慮お願いを特にしておきたい、こういうふうに思います。  そこで、これは大蔵省の方にお尋ねしたいと思いますけれども、いわゆる国庫補助の負担率の暫定引き下げ措置については、財政上の問題から六十年以来据え置きのままで、六年もの長い間続けられておるわけでございますね。それで平成年度で終了することになっているわけでありますけれども平成年度以降については、補助率の暫定引き下げ措置について、昭和五十九年度の国庫補助負担率に何とか戻していただけないだろうか、こういう強い要望があるわけでございます。この点について、お考えをお尋ねしたいと思います。     〔戸田主査代理退席、金子(原)主査代理着席〕
  396. 林正和

    ○林説明員 今先生から御質問ございましたように、六十年度以降、補助率につきましては暫定措置を講じております。平成年度まで暫定措置が講じられてきたわけでございますが、この二年間、平成年度以降の取り扱いについて検討してまいりました。この間、関係省庁とともに、国・地方の財政事情でありますとか、あるいは国と地方との機能分担、あるいは費用負担のあり方、あるいは公共事業についての事業費確保の要請等々 の見地から検討いたしまして、関係省庁間の合意として、私ども財政当局としては非常に厳しいことでございましたが、当面の財政事情それから事業費確保の要請という観点から、六十一年度の水準として三年間暫定措置を講ずるということにしたものでございます。  先生、今御質問のございました五十九年度までしてはどうかということでございますが、御案内のとおり国の財政事情、依然として厳しいものがございます。と同時に、事業費確保を図っていかなければいけないという要請も高うございますので、この時点で五十九年度にするということは適当ではないというように考えております。
  397. 倉田栄喜

    倉田分科員 何とか地方自治体が力をきちんと持っていけるように、難しい状況ではあろうかと思いますけれども特段の御配慮お願いしたい、こういうふうに思います。  続きまして、熊本に白川という川がございますけれども、現在この川は一千五百トンの流下能力ということで考えられておると思いますが、建設省計画では三千トンが目標というふうに聞いております。昨年七月二日の場合もそうでございましたけれども、もうちょっとのところで熊本市内、本当に大被害が起こるような状況でございました。被害が発生してからでは非常に遅いわけでございまして、できるところから速急に着手すべきであろうかと思います。そこで、白川の河川改修事業について、現在の進捗状況及び今後の見通し等についてお伺いをしたいと思います。
  398. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 白川は熊本市内を貫流する河川でございますが、昭和二十八年六月に西日本を襲った梅雨前線豪雨によりまして大出水となりまして、死者四百二十二人、浸水家屋四万棟、浸水面積四万三千ヘクタールという大水害となったわけでございます。これを契機にいたしまして、昭和三十一年度から直轄改修事業に着手したわけでございます。現在は、この昭和二十八年六月の洪水規模に対処し得るよう、基本高水流量三千四百トン、河川への計画高水流量三千トンの治水計画を策定して改修事業を進めているところでございます。ただ、まだ現状の流下能力は極めて低いために、段階的にそれぞれ安全度の目標を設定して進めておるわけでございます。  現時点におきましては、昭和五十五年八月の出水による被害をまず当面の目標といたしまして、この洪水の再度災害防止の観点から、熊本市街地中心にいたしまして千五百トンの洪水が流れるように緊急計画を立てて、河川激甚災害対策特別緊急事業等さまざまの事業費の別枠の予算をも確保しつつ進めてまいりまして、昭和六十年度までに概成したところでございます。  その後は、一層の安全の確保を図るため、熊本市街地部での用地買収、築堤、また長六橋の改築や河口地区での用地取得等を進めておるところでございます。とりわけ、白川での用地買収につきましては、密集市街地部の用地買収、また借地人、相続人等の権利関係等が複雑でありまして、土地の買収にもさまざまな困難が伴っておるわけでございますが、地元自治体等の御協力も得まして、現在までは必要な用地の約半分程度を取得した状況でございます。今後とも用地取得に努めまして、早期治水の安全の確保をするよう事業を進めてまいりたいと思っております。  平成二年七月には、集中豪雨による出水によりまして、熊本市街部において三百二十四戸が浸水するという被害も生じておりますので、今後とも関係自治体の協力も得まして、まず用地取得に一層の推進を図る努力をいたしまして、さらに白川の治水安全度確保すべく促進努力してまいりたいと考えております。
  399. 倉田栄喜

    倉田分科員 用地取得については、私、昨年もちょっと御質問をさせていただいたわけでございますけれども、なかなかこれはケース・バイ・ケーなんでございましょうけれども、交渉に見えてくださらないみたいな話も聞いたりいたしまして、ぜひとも何回も足を運んでいただいて、早期に取得できるようにお願いをしておきたいと思います。  次に、国道昇格の問題についてお伺いをしたいわけでございますけれども、大牟田から宇土まで現在熊本の県道があるわけでございます。この県道もできるだけ早く国道に昇格をしてほしいという要望が強いわけでございますけれども、この昇格の見通しについてはいかがでございましょうか。
  400. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  熊本県から現在六路線、合計二百七キロが熊本県分でございますが、隣の県の分とラップいたしますので、四百三十キロ余の要望という形で出ております。  大牟田―宇土間は五十六キロ、こういう延長で、福岡県と熊本県と合わせた御要望になっております。県としては極めて熱心に御要望いただいているわけでございますが、先ほど別の先生にも申し上げましたけれども国道が現在四万六千八百キロございまして、これを今後どのぐらいまで延ばしたらいいのか、延ばすのが我が国にとって一番望ましいのかということと、その中で今回の国道昇格をどの程度の規模にするのが妥当なのか、こういう議論。そういう中で、採択基準を含めて、どういう路線国道として今後採択するのが望ましいか、こういうもろもろの問題をあわせて検討いたしております。  五十七年に昇格いたしましてから八年を経過しておりますので、いろいろな意味で御要望がたまっております。こういうものを早目に、私どもとしても御調整をさせていただきたいと思っております。いずれ道路審議会にかけ、そしてこれをまとめるわけでございますが、平成年度国土開発幹線自動車道建設審議会の行われる年でもございますので、もろもろの道路網の再編成の中で調整しながら、具体的な宇土―大牟田間がその有力な候補となるかどうかの、そういう検討を含めて対応をさせていただきたいと思います。
  401. 倉田栄喜

    倉田分科員 ぜひとも、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  ここでまた、道路の問題でございますけれども、いわゆる九州縦貫自動車道の建設の問題でございますが、人吉―えびの間、それから八代―えびの間の全線四車線化、この問題についてお伺いをしたいと思います。  人吉―えびの間の高速道路というのは、平成七年に完成をすると聞いておるわけでございますけれども、この点いかがでございましょうか。  それから、これがオープンした場合、交通量というのは相当ふえると予測をされるわけでございますから、ある意味では、後に申し上げました八代―えびの間の全線四車線化も非常に重要なことであろうと思いますし、今のうちに具体的な着工計画をしておく必要があるのではなかろうかと思うわけでございますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  402. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 九州縦貫自動車道四百二十八キロのうち、人吉―えびの間だけがまだ開通しておりません。二十二キロでございますが、これを今鋭意事業をやっております。その中に長大トンネルの加久藤トンネルですね、延長が六・二キロというものが入っておりまして、これが意外にいろいろと難しい地質の中を、現場の技術者が一生懸命対応しております。私ども、このトンネルが予想どおりのスピードでいくならば、おおむね五年間ぐらいで供用が図れるのではなかろうかという前提で今まで数字を申し上げておりました。今後も、もしそうなればあと五年ぐらいでいけるのかなと思っておりますが、これもすべてこの山次第でございまして、トンネルが無事計画どおり進むことを私どもは期待しながら、なるべく早く開通ができるように努力したいと思っております。  そういう中で、この四車化の問題、人吉―八代間、ここは現在、交通量は過去の一年間を見ますと一万一千台ほどでございます。私ども初めから四車線つくることが一番望ましいわけですが、財政的な問題、特に有料道路の場合には採算性の問題等々難しい問題もございまして、かつその中で、一万台前後であれば二車線でも対応できると いう技術的安全確保の面からの判断も含めて、暫定二車という構想で全国的に展開しております。しかしこれが最終的なものではございませんから、この利用状況等の動向を慎重に見ながら、四車線化につきましては的確に対応できるように今後ともしてまいりたいと思います。先生がおっしゃるように、この人吉―えびのが開通した暁にどうなるかということは重要な判断材料だと思いますので、ここら辺もあわせて十分慎重に見守りながら、この部分方針検討していきたいと思います。
  403. 倉田栄喜

    倉田分科員 時間がなくなってまいりましたので、まず道路の問題について三点続けてお伺いをさせていただきますので、簡潔にお答え願えればと思います。  まず、同じく四車線化の問題で、熊本県においては国道五十七号線が大変な渋滞をしております。この渋滞の解消について具体的な計画があるのかどうか、これが一点でございます。  それからもう一点、熊本―天草間のいわゆる幹線道路、現在市内から天草に行くまで二時間二十分ぐらいかかってしまう。非常に時間がかかるわけですけれども、この幹線道路整備見通しはいかがなものであろうか。  それから三点目に、先ほど縦貫道路という観点から申し上げましたけれども、九州全体を見た場合に、いわゆる横断道路の建設が非常に不十分である。例えば熊本―延岡間の横断道路について取り組みの状況、この三点についてまずお伺いしたいと思います。     〔金子(原)主査代理退席、主査着席〕
  404. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 では、簡潔に申し上げます。  五十七号につきましては、現在宮地交差点、立野拡幅、大津バイパス、菊陽バイパス、熊本東バイパス、川尻バイパス等の事業をそれぞれ実施しておりまして、例えば宮地交差点では、今平成年度から事業化いたしておりまして、二年度は一部用地を買うまでに至っております。立野拡幅は、五十二年に事業化した古い計画ではございますが、現在、平成年度には一般国道三百二十五号との交差点部の整備を図るよう、ここに焦点を当ててやっております。大津バイパスについても、四車化が図れるように対応しておりますし、菊陽バイパスについても熊本東バイパスについても同様の考え方でやっております。  なお、熊本―天草間の幹線道路につきましては、五十七号あるいは三号が一部関連しますし、国道二百六十六号、三百二十四号、こういうものがそれぞれ関連するわけでございます。これらについては、部分的に交通安全対策としてその完成を図るべく改良しておりますし、一部はその他の交通渋滞対策としての対応のためにいろいろな拡幅あるいはバイパス計画等の調査をやっております。特に、二百六十六号と三百二十四号を利用して行ってもなかなか時間がかかる、こういうようなことから、もっと早くここに達成できないかというような御要望もありますので、この天草―熊本間の時間短縮のための幹線道路のあり方についても現在調査を行っているというふうに申し上げます。  最後に、熊本―延岡間の横断道路につきましては、国幹道として六十二年に決めていただきました。現在調査を一生懸命やっております。これは今まで調査のストックがなかった路線でございますのでかなり調査に時間を要しておりますが、極めて重要な横断道路でございますので、重点的な箇所を決めながら、今調査の進展を図っている状況でございます。
  405. 倉田栄喜

    倉田分科員 時間が参りましたが、最後に一点だけお伺いをしたいと思います。  建設残土の処理についてその具体的な方針をお伺いしたいわけでございますけれども、例えば熊本県の現状、建設残土の処理方針についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  406. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 先生指摘のように、建設残土を今後どうしていくかということは今後の公共事業を進める上で大変重要な問題でございます。建設省といたしましても、過去二年間この問題を検討してまいりまして、その結果を踏まえて、近く対応方針の通達を出すつもりでおります。  基本的には残土は使える資材でございますので、工事現場からは発生量を少なくするということと同時に、事業間でできるだけ利用調整をしていこう、さらには、発注の条件としまして積算の中にそれを加えていくというような基本方針でやっていくつもりでございます。加えて、各地方建設局ごとに県や公団等の発注機関で連絡協議会をつくりまして、そこで具体の対応策を検討していこうということを考えております。  ただいま御指摘の熊本県の状況につきましては、私ども、熊本県では昨年の十二月に県の土木部に残土等の処理に関する検討委員会を設置しまして、どうやって今後適切に処理していこうかという検討に入っているというふうに聞いております。
  407. 倉田栄喜

    倉田分科員 終わります。ありがとうございました。
  408. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて倉田栄喜君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田高敏君。
  409. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 本委員会の質問も私で最後になったわけでございますが、両三日間の質疑を聞いておりまして、私は、道路問題というのは均衡ある国土の開発、わけてもそれぞれの地方地域活性化のために大変大事な役割を果たしている、こういうことを再認識すると同時に、これは私の所感ではありますが、意見の違いがありましても、道路局長初め大臣等の御答弁も非常にきちょうめんにされてきた、そしてまた、大臣自身の建設行政に対する御見識のほども半ばうかがい知ることができました。  こういった前提に立って、まず私第一にお尋ねしたいことは、四国出身の同僚議員からも出たと思いますが、四国の縦貫自動車道、横断自動車道、いずれも全国地方に比べますと四国の自動車道というものは、決定的と申しましょうか大変おくれておるわけなんです。これは単に地域的なエゴということではなくて、建設大臣中心にこれは政府としても格別の御関心を持っていただいて、現在の段階では四全総の第十次五カ年計画の枠内で進行しておるわけでありますが、次期の五カ年計画、これはたしか平成五年から九年までだと思いますけれども、この県都を結ぶ、例えば高松から松山、あるいは高松から高知といったようなそういう関係を結ぶ自動車道というものは完成できてないわけですから、これはもうぜひ次の五カ年計画の中期以前に繰り上げるぐらいな心構えといいますか構えで格段の御努力を願いたいと思うのですが、まず、大臣あるいは道路局長の御見解を承りたいと思います。
  410. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど四国の人口をちょっと誤りまして失礼をいたしましたが、ともかく、四百万が八百万という規模になるような地域の振興を図る、基本的に私はそう考えております。とりわけ三ルート、瀬戸の大橋ができまして以来、明石架橋がまたできるわけでありますが、この三ルートの架橋に投資をした額というのは大変に膨大なものでございます。もちろん償還もしなければならぬわけでありますから、そういう観点から申すのはやや不適切かもしれませんけれども、この投資が生きていくというのは、やはり四国の中の縦貫、横断道路がきちっと整備をされて、四国全体の隅々まで発展をするような道路網が完成をするということが極めて大事である。しかも、そのときが大体平成九年から十年ということになりますとそう長い期間がございませんので、この公共投資四百三十兆円、これからの十次の道路五カ年計画に続く十一次の道路五カ年計画も含めて、道路整備につきましては全力を挙げていこう、こういう決意でおります。
  411. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 四国の人口倍増に向けて道路網の整備に格段の努力を払いたい、これは大変ありがたいことですが、具体的には年次を明示することは難しいかもわかりませんが、先ほど申し上 げたように、十一次五カ年計画の中期以前ぐらいにこの縦貫道路を繰り上げて実施できるようなそういう構えでひとつ御努力を願いたいと思うのですが、御所見いかがでございましょうか。
  412. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 四国内の高速自動車国道は、六十二年に新たに加わったものも加えまして総計六百八十五キロが計画されております。先生御承知のように、このうち縦貫道の川之江―土居間十四キロを含めて七十キロが現在の状況でございます。本四架橋というものが一つの四国におけるエポックだと思いますので、それの時点で切りますと、本四完成までの供用延長は、現在の供用延長を含めましてトータルとして二百七十四キロに相なるだろうと思っております。それに向けて、今私ども具体的に努力をいたしております。  例えば、四国縦貫道で言えば川内―伊予も含め、あるいは四国横断道で言えば南国―伊野までも含めるということで、徳島から脇、脇―美馬、土居―いよ西条、いよ西条―川内、川内―伊予、高松―善通寺、川之江―大豊、南国―伊野、こういったようなものがその中に含まれるわけでございます。  さらにそれ以外にも、環境影響評価基本計画ないしは整備計画へ向けての作業も、この間において私どもは積極的に対応をしていきたいとは思っておりますが、一点だけ難しいところがございます。それは、例えばこの六十二年に新たに加わった四国の南部のところは、交通量が現時点で見ますとそうございません。こういうところは、その地域の貴重な発展のためにこれから高規格幹線道路をつくるという性格もございますので、こういうものは、一般国道の自動車専用道路というような性格も含めていろいろな整備手法を駆使し、国費を相当投入しながらつくっていかざるを得ない部分がかなりございます。したがって、これからの四国の高速自動車国道等の高規格幹線道路整備に当たっては、今までと同じような整備だけではなくて相当整備手法に工夫をしていかないと、今までのピッチを持続しさらにそれを上乗せすることは難しいだろうと思っております。しかし、先生指摘のように四国はおくれているということは私どもも全くそのように考えておりますので、私ども精いっぱい工夫に努力をいたしまして対応をいたしたいと思います。
  413. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 最後の精いっぱいの努力ということで、年次の設定その他につきましてさらに詰めることはやめたいと思いますけれども、今治―尾道架橋ですね、本四架橋の問題でその完成年度に何らか四国縦貫道路完成年次が引っ張られるということではなくて、むしろ早くこの縦貫道路早期完成に向けて、そしてこの架橋の方をむしろ促進さしていく、こういう姿勢で取り組んでほしいことを強く要請をしておきます。それらについての見解は、後ほど一括してお答えいただいて結構です。  きょうの主たる質問は、もちろん私の地元でありますけれども、今治小松自動車道の高規格道路の問題であります。これは御承知のように、県の場合はこういった「愛媛県開発構想概要図」、「県勢要覧」ですね、こういうものによりまして、例えば一九八六年あるいはそれ以降こういうものを毎年出しまして、例えば一九八六年版で言いますと、今治―小松間のこの道路は山際を通るんだ、山際ルートなんだ、そして名前は瀬戸内海大橋連絡道路、そして八八年には今治小松自動車道と地名まで明記して「県勢要覧」、いわゆる県の開発構想概要図の中にこう入れておるわけです。これは五年間ずっと続いてきておるんです。これは委員長、前建設大臣でございますから少しく御承知かもわかりませんけれども、地元の住民にしてみれば、こういうものが出ますと、ああこの高速自動車道がつくのはこの地点だなというふうにみんな思い込んでおったわけですよ。ところが、今度ぽっと出てきたなにによりますと、山際ではなくて今の新しい海岸ルート、こう言っておりますが、海岸の方を通るようなルートになってきておる。地元にとっては大変これは驚きですね。ある意味では、これはどういうことなんだということで、今地域にかなりな反対運動が根強く起こっておることも御承知のとおり。このあたりの経緯を、時間的な関係もありますからひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  414. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 私ども建設省としては、この道路、今治小松自動車道に当たる道路については、昭和五十五年度より調査を実施しております。当初は、現況の把握、交通分析、整備効果などに関する調査を中心に進めてまいりましたが、本格的な路線検討は、もう高規格幹線道路網の計画をつくるという状況が煮詰まってきたその一年前、六十一年から開始をいたしております。愛媛県でこの本四と四国縦貫自動車道を連結する道路構想につきまして、この「県勢要覧」に掲載されたということにつきましては、私どもも承知しておりますけれども、これは私どもから見ますと、どうも私どもの方と十分な調査、調整もないままお載せいただいているやにお聞きしておりますので、どうもそれが地域住民の方々にあたかも十分な調査を経て定められたルートであるかのごとき受けとめられ方をしたということは、まことにもって私どもとしても困ったなあというふうに、不必要な誤解を生じさせて地元の方々が本当にお困りになったことはまことに遺憾なことだなあ、正直に非常に困ったことだと思っております。私ども道路検討というものは地道に積み重ねた上でつくり上げるものでございまして、その間において多くの方々の御判断を得ながら最終的に決める、そういう性格のものでございますので、そういう意味でこの「県勢要覧」のルートについて理解をしている次第でございます。
  415. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 道路局長の御答弁を聞いておりましても、ここ三日間の答弁を聞くと、すらすらっと答弁できておるのですが、今のはちょっとこう、ところどころどもったようななにを見ると、かなり苦しい経過があったんじゃなかろうか、これは全く私の想像ですけれども、そんなように感じます。  というのは、もう言うまでもございませんが、こういうふうに最初は山際ですからずうっと一本線でこう行く、これが県の「県勢要覧」に出ておった。今度の道路は、こういうふうにいわば変わったわけですね。そうしますと、この距離からいっても、十八キロが二十三キロになる。三角形の底辺を行くのと、三角形の二辺を行くようなことになりますし、そして環境的な観点からいっても、市街地といいますか住宅地帯を走るんではなくて山際を行くわけですから、そういった面からも山際ルートというのがこれは当然常識的にも考えられることだ。用地買収の面から見てもその方がいいだろう、地勢上から判断をしてもそのことの方がよろしいんじゃないかということで、私ども社会党の建設部会の調査団がここへ入った、もう第三者が現地を見まして説明を聞いても、だれ人も、社会党だからこうだという意味ではなくて、これは建設省はどうしたんだ、だれが考えても山際ルートの方がいいんじゃないか、こういう判断をみんながされるほど、このルート変更についてはかなり不自然なものがある、こういうふうにみんなが判断をいたしております。  そこで、重ねてお聞きするんですけれども、こういう山際ルートというものが当然県の開発構想の面からいってもあったわけですから、この二つのルートを少なくとも総体的に比較検討をして、どちらの方がよりベターかということで結論を出されたと思うんですが、なぜこの海岸ルートになったのか、そこのところずばり、みんなが納得するようなお答えをいただきたいと思うんです。
  416. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まことにこれから失礼なことを申し上げますが、ひとつお許しをいただきたいと思います。非常に私、言葉を慎重に選んで今しゃべっておりますが、それは「県勢要覧」という、やはり県にとってみれば大事な資料について私がいろいろとお話を申し上げるものですから、それに若干批判的なお言葉を申し上げるという意味で慎重な発言をさしていただいております。  今先生が、ルートがあった、それを海側に変更された、こういうお話でございましたが、そうい うことはございません。私ども、このルートを検討する際に当たりましては、本四と四国縦貫自動車道を連絡するという観点から幅広く検討する、これが前提でございます。その際に、地域環境への影響等に配慮する、既存の拠点へのアクセスを重視する、こういう観点から総合的に検討を加えておりまして、具体的にはルート選定上の具体的な条件として、今治南インターチェンジ、これは本四の拠点でございます。小松インターチェンジ、これは四国縦貫自動車の拠点でございます。今治東インターチェンジ、これは中間において現在ございます国道との接点でございます。それを重視してルートの比較検討を行ったわけでございます。その際、現ルート、結果的に先生がおっしゃる海側のルートに選定するに至った。こういう意味で申し上げますと、五十七年に定められた四国縦貫自動車道の小松インターチェンジ、四十八年に定められた本州四国連絡道路の今治南インターチェンジ、これをまず固定いたします。次に、利用交通量に関する分析、既存幹線道路網との連絡性から国道百九十六号と連結することが得策であるという判断からそれをどの地点に選ぶかということで、ちょうど中間地点になる今治東インターチェンジを計画いたしたわけでございます。そうして、このインターチェンジの設置、上記のこの二点を条件にインターチェンジ設置の可能性、地域間交流の可能性、地域開発の可能性、市街地からの利便性、人家、農地への影響、地域環境への影響並びに経済性等の要素を総合的に勘案して、現計画ルートの選定を行ったわけでございまして、私どもは総合的に考えながら、あくまでも地域環境への影響と既存拠点へのアクセス、こういうことも重視して今のルートにしたわけでございます。これはルートの考え方でございますから、道路そのものの検討はさらにこれに加わってくるわけでございます。
  417. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 先ほど、山際ルートが一つあった、そういう意味ではなくて、「県勢要覧」に、県の開発構想に出ておったわけだから、今説明のあったような海岸ルートをやる場合には、総体的にその道筋はどうなのかという検討は、比較検討の材料として当然検討すべきではなかったかということでございます。これは簡単にひとつ。
  418. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。いろいろなものを検討するのは当然でございます。そういう意味で、今私が御説明させていただいたような考え方に沿って案をつくり、それをもとに関係機関、当然県及び地元に対して御説明をし、最終的な案としてまとめて都市計画決定のための手続の準備に入る、こういう手順を今踏んでいる最中でございます。そういう意味で、県の御意見もその段階でお聞きしている、こういうことでございます。
  419. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 冒頭局長からの御答弁にもありましたが、私は歯にきぬを着せないで言わしてもらえば、県のそういう開発構想と国のこのルート発表との関係には、行政上十分な意思疎通なり周到な協議ができてなかったのじゃないか、これはひとつ率直にお答え願いたいと思うのです。これが一つ。  それと、時間の関係もありまして申し上げますが、二市二町にまたがる問題ですけれども、その中で、この自動車道の延長距離の一番長い東予市の市長が、ことし一月にやめたのですけれども、その市長が絶対反対だ、それは、私はここにも市長の方から参りました親書も、手記も持っておりますけれども、これは御披露することは遠慮しましょう。とにかく、やり方が地元の首長として納得いかない。道路をなにする以上は少なくとも行政と議会筋が全面的に、半ば賛成する、地域の住民が喜ぶ、そういう道路でなければ、首長が絶対反対なんというそんな行政があっていいのかどうか。これは私は、そんなことは許されないことではないか、こう思っておるわけであります。  そういう意味合いから、今からでも遅くないわけでありまして、山側、これは仮称ですけれども、山側ルートというものについても、今日の段階においてももう一度再検討をする価値があるのではないか、こう思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  420. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この整備に当たりましては、先生のおっしゃるとおり、地元の方々の御同意、御協力がなければつくっても意味がないわけでございます。先生のおっしゃるとおりでございます。したがって、私ども計画をまとめる際は慎重にも慎重を重ね、そしていろいろと御意向を事前に確認しながらやってきております。  その一つの例といたしまして、地方自治体の意向を十分に確認すべく、昭和六十三年六月から平成元年一月のおおよそ七、八カ月の間に各自治体とおのおの十回近く協議、調整を行った旨、私どもは報告を受けております。そういう中で、各市町村、もちろん県も含まれておりますが、県といろいろと御調整をいただいて、そして私どもの考え方を御説明し、当然その中から、地元からこれはこうできないかとかああならないかというような違った御意見もあったかとは思います。しかし、そういうものに対してまた御説明をさせていただき、そういう中で現在の案がまとまってきたものと理解しております。  さらに、それであっても、そうだからといって威張るわけではないので、今回私どもがそういう形でつくった原案をもとに、また各自治体において都市計画原案づくりをお願いしなければいけませんので、そういう意味で、また今現在各市町村に御相談をかけている状況でございます。  そういう中で、各市町村からの御回答等もいただいておりますが、これはこの場では説明を省かせていただきますが、私ども先生のおっしゃるとおり、地元から反発を受けるような案であってはなりませんので、これに対しては今後とも慎重にも慎重を重ねて、みんなが喜んで御同意できるような案にまとめたいとは思いますが、そういう過程を経た案であるというふうに私どもは今信じておりますので、この案をもとにさらにあらゆる努力を払って御説明を重ね、まずいところがあればその部分をどういう形でこの案の中で消化できるか、これも工夫をさせていただきたいと思っております。
  421. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 行政サイドだけでなくて、地域の住民が大変な反対運動を起こしておるわけですから、そういう地域住民の声を正しく吸い上げるという意味においての御努力もぜひやってもらいたい。当面、そういう現地の事情からいきますと、これを行政的に余り強行するようなことになれば、あってはならぬことですけれども、物理的な抵抗運動というようなことも起こり得ると思うのです、私が見る限り。そういう点から、現在、その周辺には今治バイパスというのがありますが、こういったバイパスがせっかく建設省の御努力予算もつきつつあるわけですが、そういうところをさらに拡幅を促進していく。そして、百九十六号線という道路がありますが、こういったところもこの問題解決の当面の手段として十分配慮していくべきではないだろうか、このことが一つ。  いま一つは、これは大臣、私は非常に不合理に思うのですが、きょうは農林省の皆さんもおいでいただいておりますが、朝倉村という地域は、現在約五十億程度の財政を投資しまして土地基盤整備をやっておるのですよ。まだ平成五年ぐらいまで継続して事業が続くわけですが、そこへまたこういった道路を二重投資みたいな形で、現在基盤整備をやって国の金を入れておるところへまた道路計画が重複する。こういう計画というものは、これは行政として、こういう行政というものはあっていいのかどうか。これはやはり率直に、こういう、無定見とまで言いませんけれども、非常に計画性の乏しい道路行政といいますか計画については、これは私は率直に反省をすると同時に改善をしてもらいたい。  農林省も、建設省の方からは相談をして受け身かもわかりませんが、こういう計画が来たときには、いや、実はうちはこれだけの土地改良事業を現在やっているんだ、建設省さん、それはちょっと無理ですというようなことがあって初めて協議 というものになるのではないか。そういったことのないまま今、計画が依然として進められようとしている。これはやはり地元の住民からいけば道理にかなわない行政ではないかというように思うのですが、いかがでしょうか。
  422. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の御指摘、いろいろな点で私ども非常に勉強をさせていただいているわけでございます。  ただ、事実だけを幾つかあえて申し上げさせていただきますと、私どもが地元にお願いして御説明をさせていただいているこの案では、農用地が、その地域のちょうど通過市町村、今治、朝倉、東予、丹原、小松の五市町村でございますが、この農用地のうち約一%がこの道路の用地になっているようでございます。これは事実だけでございます。  またもう一点、私ども、これは本州四国のEルート、いわゆる尾道―今治ルートというルートから今治に入りまして、これが高速道路に至るものでございますから、この道路は町と町の人たちが使いやすい、そういう道路である性格も持ちます。通過交通、本四の車が、ただよその車がすうっと高速道路の縦貫道に行くだけの性格だけではなくて、その周辺の町の人たちとのアクセス、これも非常に重視させていただこうと思っているわけでございます。そういうような地域道路でもあり全体の道路でもある、こういうような計画論も含めてこの案にまでまとめさせていただいたという点は御説明をさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、いろいろな面からの疑義あるいはそういう御質問あるいは地元におけるいろいろなお考えもあろうかと思いますので、今後とも、私どもが自信を持って出してきている案ではございますが、それの説明に当たっては、かりそめにも不信感あるいは協力しがたいようなお気持ちを起こさないためにも、一生懸命説明に説明を重ねるとともに、地元の方々の真意を十分お聞きしながら、一つ一つ対応を慎重にさせていただきたいと思っております。
  423. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 かれこれ時間も参りましたので、結論的に言えば、建設省としてこういう路線発表を正式にやった以上非常に難しいという建前も十分わからぬことはありませんけれども、前段私が幾つかの問題点を指摘したような経過もあるわけですから、これは、そういう意味においてこの山際ルートに変更することができないのかどうかということも今日の段階でなお検討してもらって、地元の住民の了解が得られるようなそういう御努力を願わなきゃいかぬのじゃないか。かたがた先ほど言いました今治バイパスのこういった道路活用等につきましても、さらに積極的な努力を払ってもらいたい、こう思うわけであります。  環境問題等についても質問を予定いたしておりましたが、これは環境行政の後追い的なことになりますので後日に質問を留保いたしますが、最後にひとつ局長及び大臣の私の質問に対する御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  424. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生からきょう御指摘いただきました点を私ども一つの教訓といたしまして、地元にこういう先生の御指摘も十分おろしながら、慎重にも慎重を重ねて地元の関係方々の御理解を得るように努めていきたいと思います。
  425. 大塚雄司

    大塚国務大臣 一昨年の土地基本法の制定で公共の福祉を優先するということになりましたが、いわゆる公共事業を進めるにつきましては、計画の段階では十分に意見を聞き、計画が決まり事業化をしたときにはその事業を強力に推進をしていくということになろうかと思います。これは一般論であります。そういうことから、ただいまいろいろ御論議を伺わせていただきましたが、局長から御答弁申し上げましたように、都市計画の原案づくりを今お願いしておることでありますから、今までのお話を踏まえて、それぞれの自治体と地元の皆様の御意向をできるだけ聞いて対処をするというふうにさせていただきたいと思います。
  426. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 時間が来ましたので、終わります。
  427. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて藤田高敏君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時三十五分散会