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斉藤(節)
分科員 私は
文部省の方にお尋ねいたすわけでありますけれ
ども、まず
大学院教育についてお尋ねしたいと思います。
私の友人に
国立大学の教授が何人かおりますけれ
ども、彼らは
大学院も担当しております。彼らは、私と会うたびに、現在の
大学院教育についていろいろと悩みを言って、何とかしなければならないというふうに嘆いているわけでございます。
それは何かと申しますと、第一に、
大学院教育は片手間
教育である、こういうふうに言っているわけでございます。特に理工系の場合、学生は各
研究室に配属されまして、そして教授からテーマをもらって
研究しておるわけでありますが、実際カリキュラムがあるわけでありますけれ
ども、あっても、極端に言いますと授業らしい授業はしていない。専ら教授の手伝いみたいなものであるというわけでございます。これは、主に
大学教授の多忙さもあります。いわゆる学部を兼任しているということ、その他役職などの雑用があるということ、そういうような教授の多忙さもありますけれ
ども、また一方、施設、校舎にも原因があるんだ、このようにも言っているわけでございます。
第二に、まず
大学院の校舎がないということでございます。学部の校舎、すなわち教授
研究室を使っているのが現状だ、こういうわけです。しかもほとんどが老朽化しているというわけでございます。
また、第三に、施設も特別に
大学院学生用
研究施設というものはないというわけであります。既に
大学院大学として認められているところとか、あるいは本
年度予算で
大学院大学の新設が認められているようでありますけれ
ども、こういうようなところは、すべての面でいいのかもしれません。しかし、ほとんどの既設の
大学の
大学院は今申し上げたような状態ではないかと思うわけでございます。
先月十五日、
大学に
関係ある国
会議員、衆参両院議員でございますけれ
ども、十何名集まりました。この
大学に
関係ある国
会議員の集まりで、東京工業
大学の末松学長のお話を聞く機会があったわけでございます。そのとき末松学長は、いわゆる国大協の会長であります有馬東京
大学総長の話として、これからやらなければならない
大学の課題として、
一つは自己評価の導入、それから第二に
大学院の入試の問題、それから財政問題、特に建物、施設、そして四番目は組織である、組織の問題がまた非常にある、こういうふうに言っているというわけでございます。
そこで、これらのうち財政について、末松学長は、
文部省予算の
高等教育予算、つまり特別会計でありますけれ
ども、これはここ五年間で人件費が五〇%も増加した、こういうわけでございます。そのため、それまで人件費とそのほかの諸
経費との間が五〇、五〇であったものが、今は七五%が人件費となって食われてしまっている、こういうわけでございます。しかも、建物といえば
二十年以上のものがほとんどでありまして、老朽化している。それに学生数は、特に理工系の学生に至りましては非常に増加が多くて、ここ二十年間で三倍になっている、こういうわけでございます。
このような話を私たち聞きまして、いろいろ
質疑応答をやったわけでございますけれ
ども、そこで私は、
大学は
基礎研究を行うと同時に優秀な
研究者を養成していかなければならない、そういう義務が
大学にはあるものだ、そのように思っておるわけでございます。今述べましたような状態では、とても最先端の
研究はできないのではないか、このように思うわけであります。先端技術を
研究しております企業、会社など、そういうところの
研究所は、もう既にNHKのテレビなどでもよく放映しておりますけれ
ども、特にICだとか、こういった先端技術の
研究所というのはすばらしいものがございます。
大学院において十分な
基礎研究の経験を積んでおかなければ、せっかく企業の
研究所に
研究員として勤めた場合でも、十分な能力、能力といいましてもいろいろありますけれ
ども、つまり柔軟な頭脳を持った、アイデアに富んだ
研究をする能力、そういう能力を発揮することはできないのではないかな、そんなふうに憂慮されるわけでございます。
そこで、
大臣にお尋ねしたいのでございますけれ
ども、
文部省として
大学院教育はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、御所見をお伺いしたいと思うわけでございます。その答弁によりましては四つ、五つばかり附属の質問もございますので、まずどのようにお考えになっているか、その辺御答弁願いたいと思います。