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1991-03-11 第120回国会 衆議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十一日(月曜日)委員長の指名で、 次のとおり分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会、裁判所、会計検査  院、内閣及び総理府所管経済企画庁環境庁  、国土庁を除く)並びに他の分科会所管以外  の事項〕    主 査 松本 十郎君       魚住 汎英君    越智 伊平君       渡部 恒三君    新村 勝雄君       草川 昭三君    古堅 実吉君       楢崎弥之助君  第二分科会法務省外務省及び大蔵省所管)    主 査 林  義郎君       倉成  正君    穂積 良行君       増岡 博之君    串原 義直君       佐藤 敬治君    冬柴 鐵三君       正森 成二君  第三分科会文部省及び自治省所管)    主 査 津島 雄二君       近藤 鉄雄君    田邉 國男君       武部  勤君    加藤 万吉君       辻  一彦君    日笠 勝之君       中野 寛成君  第四分科会厚生省及び労働省所管)    主 査 粟屋 敏信君       大石 千八君    古賀  誠君       和田 静夫君  第五分科会総理府環境庁)及び農林水産省  所管〕    主 査 佐藤  隆君       鹿野 道彦君    町村 信孝君       松永  光君    五十嵐広三君       嶋崎  譲君  第六分科会総理府経済企画庁)及び通商産  業省所管〕    主 査 相沢 英之君       金子 一義君    渡瀬 憲明君       野坂 浩賢君    松浦 利尚君       石田 祝稔君  第七分科会(運輸省及び郵政省所管)    主 査 愛野興一郎君       戸井田三郎君    二階 俊博君       新盛 辰雄君    武藤 山治君  第八分科会総理府国土庁)及び建設省所管  〕    主 査 綿貫 民輔君       内海 英男君    金子原二郎君       戸田 菊雄君    藤田 高敏―――――――――――――――――――――― 平成三年三月十一日(月曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 渡部 恒三君    理事 大石 千八君 理事 鹿野 道彦君    理事 近藤 鉄雄君 理事 二階 俊博君    理事 増岡 博之君 理事 加藤 万吉君    理事 佐藤 敬治君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    愛野興一郎君       粟屋 敏信君    越智 伊平君       金子 一義君    倉成  正君       後藤田正晴君    志賀  節君       津島 雄二君    林  義郎君       町村 信孝君    松永  光君       松本 十郎君    村山 達雄君       綿貫 民輔君    五十嵐広三君       串原 義直君    嶋崎  譲君       新村 勝雄君    新盛 辰雄君       辻  一彦君    戸田 菊雄君       野坂 浩賢君    藤田 高敏君       武藤 山治君    和田 静夫君       石田 祝稔君    日笠 勝之君       佐藤 祐弘君    正森 成二君       三浦  久君    中野 寛成君       柳田  稔君    菅  直人君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         法 務 大 臣 左藤  恵君         外 務 大 臣 中山 太郎君         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         文 部 大 臣 井上  裕君         厚 生 大 臣 下条進一郎君         通商産業大臣  中尾 栄一君         運 輸 大 臣 村岡 兼造君         労 働 大 臣 小里 貞利君         建 設 大 臣 大塚 雄司君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     吹田  愰君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 池田 行彦君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西田  司君  出席政府委員         内閣官房長官 大島 理森君         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  荒田  建君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       公文  宏君         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       有馬 龍夫君         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         警察庁刑事局長 國松 孝次君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  玉木  武君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練         局長      小池 清彦君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 村田 直昭君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁総務         部長      箭内慶次郎君         国土庁長官官房         長       八木橋惇夫君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁土地局長 藤原 良一君         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 井嶋 一友君         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省中近東ア         フリカ局長   渡辺  允君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         大蔵省主計局長 保田  博君         国税庁間税部長 坂本 導聰君         文部大臣官房長 坂元 弘直君         文部省高等教育         局長      前畑 安宏君         厚生大臣官房総         務審議官    熊代 昭彦君         厚生省保健医療         局長      寺松  尚君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 小林 康彦君         厚生省薬務局長 川崎 幸雄君         社会保険庁次長         兼社会保険庁総         務部長     加藤 栄一君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       坂本 吉弘君         通商産業省立地         公害局長    岡松壯三郎君         通商産業省生活         産業局長    南学 政明君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省労政局長 清水 傳雄君         労働省労働基準         局長      佐藤 勝美君         労働省職業安定         局次長     伊藤 欣士君         建設大臣官房総         務審議官    青木 保之君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省住宅局長 立石  真君         自治大臣官房審         議官      二橋 正弘君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         中央労働委員会         事務局長    石岡慎太郎君         会計検査院事務         総局第四局長  白川  健君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     武部  勤君   加藤 紘一君     古賀  誠君   後藤田正晴君     魚住 汎英君   志賀  節君     渡瀬 憲明君   浜田 幸一君     穂積 良行君   原田  憲君     金子原二郎君   村田敬次郎君     町村 信孝君   村山 達雄君     金子 一義君   佐藤 祐弘君     正森 成二君   藤田 スミ君     三浦  久君   中野 寛成君     柳田  稔君   楢崎弥之助君     菅  直人君 同日  辞任         補欠選任   三浦  久君     古堅 実吉君   柳田  稔君     中野 寛成君   菅  直人君     楢崎弥之助君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成三年度一般会計予算  平成三年度特別会計予算  平成三年度政府関係機関予算      ────◇─────
  2. 渡部恒三

    渡部委員長 これより会議を開きます。  平成三年度一般会計予算平成三年度特別会計予算平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三浦久君。
  3. 三浦久

    三浦委員 私は、当面するJR問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  臨調行革から十年たちました。臨調行革の二百三高地として、当時の中曽根内閣国鉄分割民営を強行いたしましてから、もう既に四年たったわけでありますが、その後の状況はどうなっているのかと申し上げますと、まず、当初の分割民営の目的であった長期債務、この長期債務は一向に、減るどころか逆に増加の一途をたどっているというのが現状であります。また、国民財産として残されました新幹線は、当初の約束に反して、現在これが譲渡をされようといたしております。また、整備新幹線建設に伴う在来線JR経営からの分離、また住民負担の増大、これは国民の大きな怒りを買っている、これも現実であります。また、労働問題につきましても、おびただしい数のJRによる不当労働行為発生をしておりますし、また、職場での極限とも言えるような労働強化、そしてそれに基づいて、安全に対する不安というものが職場にみなぎっております。そういう意味で、私は、まさにこの国鉄分割民営の矛盾というものが今噴き出ている、そういう状況だというふうに思うのであります。  そこで、まず最初にお尋ねをいたしますけれども清算事業団国鉄から引き継ぎました長期債務と、これが今現在どうなっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  4. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 国鉄改革時に清算事業団は二十五・五兆円の長期債務を承継したわけでございますが、その後、土地処分計画どおりに進捗しないこともございまして、金利の発生分債務の累増を招き、現在二十七・一兆円に達しております。しかし、平成二年度においては土地処分が一兆円に近い実績を上げることが予定されており、また営団の出資持ち分政府に一括譲渡すること等もございまして、平成三年度首においては二十六・二兆円に減少する。また、今後は土地処分あるいはJR株式処分を早期に適切に実施することによって、長期債務の今後の減少を図っていき、最終的には国民負担を極力なくす方向で努力したいと思っております。
  5. 三浦久

    三浦委員 今お聞きのとおり、分割民営当時は二十五・五兆円だったものが今いわゆる確定している債務としては二十七・一兆円に膨れ上がっている。結局今お話があったように、いわゆる借金の利子、これを支払うためにまた借金をする、そういうサラ金財政体質というものは全く変わっていないというのが現状であります。  新幹線売却問題についても申し上げたいと思いますけれども、この新幹線の問題は、分割民営のときには、これはいろいろな議論がありましたけれども新幹線保有機構所有をさせる、そして三十年間にわたってJR各社リースをする、そして三十年たってから譲渡をする、こういうことが決められて発足したわけですね。ところが、あれからたった四年しかたっていないのに、これを今の時点で売却しようとしているわけです。これはどういう理由からそうなっているのかお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 村岡兼造

    村岡国務大臣 まず、国鉄改革の一層の進展を図る上で、本州JR三社の株式上場に際しまして、まず債務の確定がなされていない、あるいは維持、更新につきまして内部留保が十分でない、財務体質上の問題点がある、こういうことで、また一方において、改革当時に比べまして収益の見通し、経営が安定していける、こういうような状況が出てきたので譲渡することにしたものであります。
  7. 三浦久

    三浦委員 三十年後に処分を決めるという新幹線なんですね。それをたった四年しかたっていない現在売却をする。今大臣は、その理由株式上場の問題、それからまた内部留保ですね、これを十分にしなきゃならないとかそういうことを言われましたけれども、しかしそれは国鉄分割民営をやる当時からもうわかっていたことなんです。今さら改めて出てきた問題ではないんですね。しかしながら、あの当時でも例えば、分割民営をして民営会社にしたのに対して三十年間も国がいろいろ干渉するというのはどうなのか、いわゆる収支の調整をするというようなことでやるのはどうかとか、また、三十年間たったらこれは無償でいいんじゃないかとかいろいろな議論があったのですよ。そういう議論を踏まえながらも、かつ三十年間は保有機構所有をさせよう、そしてリースをして、三十年後に処分を決めよう、三十年後に譲渡をする場合でも無償でするのか有償でするのか、また有償でした場合には幾ら譲渡するのか、そういうことも三十年後に決めよう、こういうことになっていたんですよ。  ですから、今運輸大臣が言われた、株式上場必要性があるとか内部留保必要性があるとか、そういうようなことはその当時からわかっていたことじゃありませんか。だって、あの当時から株式上場早目にやらなければならないということは決まっておったわけですし、三十年間はリースをやる、リースをやれば内部留保は蓄積できない、こんなのは当たり前のことです。そういうことがわかっていながらやっていたということなんですね。ですから、私は、今運輸大臣のおっしゃったことは理由にならないと思うのです。  今、当時の運輸大臣でいらした橋本大蔵大臣がいらっしゃいますけれども橋本大蔵大臣もその当時国会でもってそのように答弁されておったんじゃありませんか、今私が言ったように。どうでしょうか。
  8. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに、国鉄国会を振り返ってみましたとき、この新幹線保有機構の存在につきましてはさまざまな御議論がございました。そして、特にその当時関心が集中いたしましたのは、期間終了後においてそれは無償譲渡されるものなのか、有償譲渡されるべきものなのか、国会においても両論の御議論がございました。そして、そのあたりについて結論を出さなかったということは、これは事実です。  ただ同時に、当時私ども国会で御論議をいたしました以上にJR各社業務成績を上げ、そして当初予測をされていた以上に早い時期にJR株式の放出というものが現実の課題として議論をされるところまで今日まいっておりますということは、私は関係者の努力というものがそれだけの成果を生み出したものと考えておりますし、そうした変化の中において、発足時想定されなかった新幹線保有機構の位置づけというものが今改めて御論議の対象になっておる。これはむしろ進歩の結果と、そのように受けとめております。
  9. 三浦久

    三浦委員 ちょっと大蔵大臣質問の矛先を向けて失礼ですけれども、しかし、株式上場早目になった、だから内部留保必要性が出てきた、そういうようなことをおっしゃいますけれども、だけど三十年間、三十年間も株式上場をしないつもりだったのかといえば、私はそうじゃないと思う。その当時は、なるべく早い機会株式上場をやる、また不動産も売却する、そして国民負担を軽減する、そういう方向で来ているわけですからね。ですから、その後の状況というのは何もないと私は思うのです。それはある程度経理がよくなったというようなことをおっしゃるのかもしれませんけれども、しかしそれはもうかるようにやったんだから。もうかるようにやったんだということは、当時の中曽根総理自身がおっしゃっておることですね。ですから、予想よりも早目経営基盤が確立した、だから上場機会が早くなった、だから譲渡するんだ、これは私は理由にはならないというふうに思います。  いいでしょう。それ以上の答弁が出ないようですから次に移りますけれども、それじゃ、この新幹線譲渡をやることによって一体だれが利益を得て、だれが損するのかということを考えてみなければならぬと思うのです。財務体質の改善、これをやってJRは確かに利益を得るかもしれませんね。しかし、内部留保をやるということは、結局それが損金に算入されるということでしょう。そうですね。そうすると、経常利益が減るということなんです。もう既にあの住田という東日本の社長は、今までは運賃値上げはしないつもりでいたけれども新幹線を購入することによってもうそれもできなくなった、これからは運賃値上げ、これもやるかもしれないということを言っておるのですよね。そうすると、一体国民はどういうことになるのか。新幹線自身は非常に安い値段で、後で言いますが、非常に安い値段で売られてしまうわけですよ。そして、それは国民財産ですから、そして今度運賃値上げまでそれによってさせられるというのでは国民は踏んだりけったりじゃないでしょうか。そういう意味で、我々はこういういわゆる新幹線譲渡には反対ですけれども、しかし仮に譲渡を強行したとしても、それによって運賃値上げ、これを行ってはならない、このことを私は運輸大臣に強く要望いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、運賃は私の守備範囲というよりも運輸大臣お答えになるでありましょう。しかし、今考えられております既設新幹線、これは現在新幹線鉄道保有機構が一括して保有をし、本州の三社に貸し付けておるわけでありますけれども、先ほど運輸大臣が述べられましたように、JR株式売却上場に向けての環境整備という観点からこれらの既設新幹線施設本州JR三社に譲渡しているという御指摘はそのとおりです。そして、その譲渡に当たりまして、既設新幹線特殊法人新幹線保有機構保有しておるいわば準国有財産という性格から、国有財産処分の場合と同じように、適正な時価として再調達価額譲渡をする必要があると私たちは考えております。  国鉄改革当初から分割民営反対を続けておられた御党のお立場からするとあるいは我々と違った議論があるのかもしれませんが、私どもは、清算事業団累積債務増加をいたしておりますのは清算事業団としての問題ではなく、この数年間の地価上昇の中において、清算事業団用地国民から疑惑を招くことのないような売却方法、すなわち公開入札という手法をとりました場合に、地価上昇に拍車をかける危険性があるということから、地価を顕在させない売却方式を検討するとともに、ある程度清算事業団自体債務がふえることは承知をしながら、我々としてはその土地売却にブレーキをかけてまいりました。こうした要因が清算事業団に悪影響を及ぼしておるという点も御認識をいただきたいと思うのであります。
  11. 三浦久

    三浦委員 質問しないことについて大蔵大臣が御答弁になりましたけれども、この新幹線国民財産でしょう、今。これを今度譲渡するわけですが、幾ら譲渡するのですか。これは実質的には一兆円の譲渡じゃないですか。一兆円という超安値で譲渡するという結果になるんじゃありませんか、どうですか。
  12. 村岡兼造

    村岡国務大臣 まず、先ほどの御質問お答えをいたします。  先ほど、この譲渡によって運賃値上げにならないかどうかと、譲渡によっての運賃値上げはないものと私ども考えております。  それから九・一兆円でございますけれども運輸委員会でも、国民財産であるから九・一兆円、非常に安いんではないか、こういう御論議もありました。また、別の御論議の中には、九・一兆円、JR三社はこれによって運賃上昇がなるんでないか、高いんではないか、いろいろなさまざまな御議論ございます。九・一兆円、JR株式基本問題検討懇談会のワーキンググループで精査をして九・一兆円というような譲渡代金に決めたわけでございます。  以上でございます。
  13. 三浦久

    三浦委員 運輸大臣の御答弁は、いわゆる再調達価額が九・一兆円だ、だから九・一兆円で売買するんだ、こういうお話だと思うのですね。しかし、売る方の理屈は一応それが成り立つかもしれませんよ。しかし、これはもう既に現在リースされているものなんですね。JR発足当時にいわゆる調達価額は八・五兆円だ、そしてそれに何がしかの利息をつけて、そして三十年間のリース料を決めて、そして一年間にJRが約七千百億円のリース料を払っている。それで、現在もうかなり払ったのがありますから、そうすると八・一兆円今残っているわけですわね、そうでしょう。それに一兆円足して九・一兆円というのが再調達価額になっているわけですよ。しかし、売る方があれば買う方もあるわけですから、買う方の側から見ればどういうことになっているかということを考えなきゃならぬと思うのですね。  買う方から見れば、いわゆる当初の八・五兆円、いわゆる三十年間のリース料、これはずっと変わらないのですよ、今後も。変わらないのですね、リース料は。ただ名前がリース料じゃなくなるんでしょう、譲渡するんだから。リース料じゃなくなって、ただ売買代金年賦金ということになるんでしょうね。しかし支払う額は一緒なんですよ、三十年間。リースをしているときも自分所有するときも。違っているのは、ただ一兆円上積みされたということでしょう。その一兆円も六十年間で支払えばいいということですから、そうすると年間はわずか約七百億円ぐらいですよ。今までJR三社で約七千百億円払っていたものに約一割上積みして支払っていけばいいというだけの話なんです。それでJRはこの新幹線自分のものになるわけです。ですから、一兆円上積みしただけで自分所有になるのですよ。リースから、自分所有になるのですよ。そうすれば、買った方は一兆円で買ったのと全く同じことになるじゃありませんか。そうすればこれは、買った方が一兆円で買ったと同じことになれば、売った方は一兆円で売ったと同じことになるのじゃないですか。どうでしょう。
  14. 村岡兼造

    村岡国務大臣 三浦先生は一兆円で売った、買ったと、こういうことでありますが、いずれにしても、こちらは九・一兆円で売るわけでございまして、一兆円の契約をするわけでございませんし、それから先ほどの御質問の中で、三十年リースだ、四年ぐらいで取りかえるのはおかしいじゃないかと、こういうような状況もありますが、四年経過いたしましてJR三社の経営収益力が大変増してきたこと、同時にまた、JR各社のために完全民営化をするためにはやはりどうしても株式売却上場をしなければならないという希望があったこと、また単にこちらが押しつけいたしましても、売り買いの問題でございますし、ワーキンググループを設けまして、そして恐らくJRとも話をしてこういうような譲渡代金になったものだ、一兆円の売買ではないということでございます。
  15. 三浦久

    三浦委員 法形式的には運輸大臣のおっしゃるとおりだと思いますよ。しかし、事実は一兆円で売買されたということなんですよ。債務は、だって、リースで同じことですから。リースだって同じことなんですから。ずっと払い続けていくというのは同じことなんですから。  それで運輸大臣、最後に念を押しておきますけれども、この新幹線譲渡によって、それを理由にして運賃値上げ、これは認可しない、これはお約束できますね。
  16. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、譲渡代金のあれで運賃値上げは考えておりません。
  17. 三浦久

    三浦委員 次に、JRの労働問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  ちょっと、時間の節約上、労働省からいただいた資料に基づいて私の方からお話をさせていただいて、確認をしていただきたいと思いますが、分割民営に際して所属労組の差異によって採用、配属、出向、配転について差別はしないというたび重なる政府答弁がありました。また附帯決議もございました。それにもかかわらず、JR関係の不当労働行為事件は全国で四十一地労委に提訴され、その件数は二百七十四件に及んでいます。既に地労委から百件の救済命令が出されています。すべてJR不当労働行為を認定した救済命令になっておるわけであります。現在もこのJR関係の不当労働行為事件は、地労委で九十九件、そして中労委で九十三件係属をいたしております。  そのうち最も注目を集めている採用に関する不当労働行為事件ですけれども、この採用に関する不当労働行為事件もJR不当労働行為が認定をされて、そして中労委に今係属をされている、そういう状況であります。その人数は採用関係だけでも三千百三十八名にも及んでいるというふうに聞いておりますけれども、間違いないでしょうか。
  18. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  19. 三浦久

    三浦委員 運輸大臣、それに労働大臣、今お聞きになったとおり非常に膨大な、おびただしい不当労働行為事件がJRによって惹起をされているわけであります。  中労委の事務局長お見えになっていただいておると思いますけれども、高梨という公益委員が中労委にいらっしゃいますね。この人はJR関係の不当労働行為の担当者だというふうに聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
  20. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 高梨委員は審査委員といたしましてJR不当労働行為事件を数件担当しております。
  21. 三浦久

    三浦委員 現在も担当しているのですか。
  22. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 そのとおりでございます。
  23. 三浦久

    三浦委員 中労委に三者懇というのがありますね。これはJR関係の不当労働行為事件全体の解決に当たるということで、公益委員、また労働者側委員、また使用者側委員、この三者で構成されている懇談会ですけれども、ございますね、どうですか。
  24. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 中労委におきましては三者懇談会を設けまして、JR不当労働行為事件の解決に努力をしているところでございます。
  25. 三浦久

    三浦委員 高梨公益委員はこの三者懇のメンバーだったのではありませんか。
  26. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 高梨委員は今申しました三者懇談会のメンバーでございます。
  27. 三浦久

    三浦委員 現在はどうなっておりますか。
  28. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 現在もメンバーでございます。
  29. 三浦久

    三浦委員 現在も三者懇のメンバーをやっているんですか。間違いないですか。
  30. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 現在も三者懇のメンバーであります。
  31. 三浦久

    三浦委員 それではお尋ねします。  高梨公益委員は昨年の六月、鉄産総連の労働学校で講師として招かれて「労使関係と労働委員会制度」と題して講演をいたしておりますね。この講演内容に関しては、これは公益委員としての適格性を欠くものであるということで、さまざまな法律団体や労働組合から辞職の要求、罷免の要求、こういうものが出されていると思いますけれども、いかがでしょうか。
  32. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 高梨教授の講演に関しましていろいろな団体から申し入れがあるということは承知をいたしております。
  33. 三浦久

    三浦委員 その理由はどういうことですか。
  34. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 高梨教授の講演をされました内容に関しましてそうした団体が言っておられる事柄というのは、公益委員としてそうした発言内容はいかがなものか等々を中心とした内容であるというふうに承知をしております。
  35. 三浦久

    三浦委員 労働大臣お尋ねしますけれども、労働委員会、特に中央労働委員会というのは準司法的な行政機関だと思いますけれども、そのように理解してよろしいですか。
  36. 小里貞利

    ○小里国務大臣 独立した行政委員会でございます。
  37. 三浦久

    三浦委員 準司法的なという点はどうですか。
  38. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 賃金問題の調停なりあるいは不当労働行為の審査、こうしたことを、独立した行政委員会として労使関係の安定のために機能をする、こういったものでございまして、準司法的というような性格も持っている、こういうふうに考えます。
  39. 三浦久

    三浦委員 労働大臣に伺いますが、公益委員、特に中央労働委員会の公益委員たるものは、少なくともその職務の遂行は中立公正でなきゃならない、その事件に対して予断と偏見を持ってはならないというふうに思いますけれども、その点一点。  もう一つは、自己の担当する具体的な事件についての言動は慎むべきだというふうに思いますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  40. 小里貞利

    ○小里国務大臣 まずその後段の方からお答え申し上げますが、先ほど先生お話しの個別案件、いわゆる鉄産総連におきまする高梨教授の発言の問題でございますが、これは高梨教授個人の御発言でございまして、直接的に私お答えする立場にない、コメントできない、これが一つでございます。  それからもう一つ、前段のお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、いわゆる独立をいたしました行政委員会であります。ただいまも局長、御答弁申し上げましたように、不当労働行為、特に再審査の請求なり再審査なり、あるいは全国的な規模の不当労働行為等につきまして、独立した調査権、調査をする、審査をする、そして独立した主体的立場に立って任務の遂行に当たっておるものである、こういうふうに理解をいたしております。
  41. 三浦久

    三浦委員 中立公正に行わなければならないという点はどうですか。
  42. 小里貞利

    ○小里国務大臣 当然の原則でございます。
  43. 三浦久

    三浦委員 労働大臣、この高梨委員の講演はお読みになりましたでしょうか。
  44. 小里貞利

    ○小里国務大臣 正直申し上げまして、先生の方から質問が行われるというお話をお伺いいたしましたので、一両日前に事務方からアウトラインについての説明を受けました。
  45. 三浦久

    三浦委員 この講演の中で高梨公益委員は、国労が雇用保障に最大のポイントを置かなかったことが短期間に組織の崩壊を招いた、こういう断言もしているのですね。しかし、昨年の六月といいますと、いわゆる採用事件はもう既に全部結審されているのですよ。そういう時期で、自分が担当した事件、これについて、いわゆる国労が組織がどんどんどんどん減っていった、そのことはJRからの不当労働行為、支配介入、こういうものによって行われたのかどうかということが中労委で争われているわけです、現在。そして、地方労働委員会では、いわゆるJRの組織的介入、支配介入、こういうものによって不当労働行為が行われたと認定しているわけですね。そういう状況下にある事件、そして自分が担当している具体的な事件、それについて、国労が短期間に人員を減少したのは不当労働行為にあるんじゃなくて自分の運動方針が悪いからだというようなことを言うというのはどういうことでしょうかね。これは私は公益委員として中立公平な立場に立った発言とは思えないし、またこのことは法的な手続外で自己の見解を述べる、特に自分が職務上知り得た秘密を場外で述べるという結果になっているんじゃないかと思いますが、その点についての御所見はどうでしょうか。
  46. 小里貞利

    ○小里国務大臣 高梨教授が個人の立場でいろいろな問題について多彩にわたって御発言になっておられる、一応の論旨は私も承りたところでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、あくまで高梨教授個人の御発言でございまして、私がそのことについて一々言及申し上げることはその立場でない、かように考えております。
  47. 三浦久

    三浦委員 労働大臣は、高梨公益委員が個人の立場とおっしゃっておられますけれども、彼はこの講演の中で何と言っておりますか。私はこの中労委の公益委員として、この国労の不当労働行為救済事件をどうやって解決するのか日夜頭を悩ましておりますということをはっきり言ってから、さまざまなことを述べているのですよ。ですから、これはただ単に高梨教授が教授個人として述べているということじゃないのです。彼はれっきとした中央労働委員会の公益委員じゃありませんか。そして自分の担当した事件について具体的に詳細に述べているわけなんですよ。ですから、彼個人の言動だからわしは関係ないというのは、まあ任命権者は総理大臣ですけれども、その所管大臣としての労働大臣のお言葉とは私は思えないですね。私はやはりこういう発言は慎ませなければならない。幾ら独立機関であっても、中立であり公正な立場で審理に臨まなければならないわけですから、これではまるっきり中央労働委員会の権威というものは国民の前になくなってしまうのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  48. 小里貞利

    ○小里国務大臣 申し上げるまでもなく、中労委員会の公式の現場で御発言になることも、私は、原則的には言うなればその人の委員としての責任の限りにおいて御発言があるべきもの、かように思います。今先生が御指摘になっておられる問題は、そのような私どもの労働省なり労働行政の立場から直接的に委嘱を申し上げましたベースの中で御発言なさったものではないのでございまして、いわば先生もお話しのとおり講演、特定の団体が、おいでいただいてひとつあなたの自由な立場で所見を聞かしてください、講演してくださいと言われた、そういう一般、オープンの立場においてなされたことを一つ一つ私どもの中労委員のお一人であるというその基準においてとやかく申し上げるのはいかがなものであろうか、私は一般常識的にそういうふうに判断をするものでございます。したがいまして、先ほど申し上げたように、これは高梨教授個人の講演の中における話題の一つでございますから、公的立場にある中労委を委嘱をしておるという特定の職務権限の線上にあるものとは解しがたい、こういうような認識のもとに申し上げた次第でございます。
  49. 三浦久

    三浦委員 そうすると労働大臣は、労働委員というのは守秘義務はないというふうにお考えなんですか。労組法の第二十三条に「労働委員会の委員若しくは委員であった者又は職員若しくは職員であった者は、その職務に関して知得した秘密を漏らしてはならない。」とはっきり記載されているのですよ。ですから、職務権限の、職務の職場でやったんじゃないとか個人でやったんだとか、そういうことは理由にならぬでしょう。自分が職務上知り得た秘密を場外でもって漏らせば、これはやはり公益委員としての職務違反になるんじゃないですか。どうなんですか。
  50. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいま先生が提起しておいでになる不当労働行為に対する審査の審査そのものがまだ終結をしていないわけでございますから、その案件に関するいわば個人的所感を申し述べられたんだろうと私は推理をいたします。結論が出ておるのであれば、その結論に対しまして先生が守秘義務云々の責任関係も出てこようかと思われるところでございますが、あくまで、先生もその講義録をお持ちのようでございますが、高梨教授個人の一つの感想をお述べになったにすぎないのではなかろうかな、私はそういうふうに理解をするものでございます。
  51. 三浦久

    三浦委員 これは大臣、全く逆なんですよ。終結をしていないから問題なんですよ。終結をして命令が出ていれば、もうそれは公になっているわけですから何も問題にならないんですよ。いわゆる命令を出す前の段階で、職務上、いわゆる審問という手続が行われて今はもう結審になっているわけですが、その審問の手続上知り得た秘密をいわゆる鉄産総連の労働学校で述べている、そこが大問題なんですね。これは、大臣のお考えは全く私は逆ではないかというふうに思うんですよ。
  52. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 もちろん中労委の公益委員につきましても守秘義務なるものは存在をするわけでございますが、高梨教授がお述べになりました中身がそうした守秘義務に反するかどうか、こういう点につきましては、私どもといたしまして、違反するというふうな内容のものではない、このように考えておるわけでございまして、いろいろお述べになりました内容につきましても既に新聞等で報道もされている内容でもございますし、それからまた一般的な守秘義務の内容ということにつきましては、公務員法上の保護さるべき職務上の秘密とほぼ同様の内容のものである、したがいまして、労働委員会の職務に関連する事柄といたしましても、例えば企業の秘密とされているような業務内容でございますとか、あるいは個人の生活上の秘密でございますとか、そういう性格のものでありますし、一般的に会議の内容、労働委員会の運営に関する事項、そうしたものがこうしたものに含まれるというふうにも解されない、このように考えております。
  53. 三浦久

    三浦委員 それは全く間違っていますよ。一般的に知られているということは、逆にさまざまな地方労働委員会で不当労働行為の救済命令が出されているように、いわゆる国労の組織の減少というのは、分割民営に伴って、国鉄当局やまたその後のJR、これの不当労働行為によって行われたものだということが常識じゃありませんか。それがそうじゃないなんということが一般に知られている常識だなんというのは、全くこれは事実を逆さまに描き出していることですよ。そんなことで、ちょっと労働行政はなかなかできにくいんじゃないですか。また、公正な判断というものを期待することはできないんじゃないんですか。  私は、これに余りこだわっていると時間がありませんから次に進みますけれども、高梨委員は、この事件について和解以外にないということも至るところで強調しているんです。強調しながら、命令を出すのは難しいとか、それから和解も地労委の命令を基礎にしてはできない、いわゆる地労委命令から離れなければ、いわゆる地労委命令というのは原職復帰を命じたものでしょう、その地労委命令から離れなければ和解は絶望だ、こんなことを述べているんです。このような発言は、私は、これから和解交渉が行われようとしているときに公正な和解というものを著しく妨げるものだというふうに言わざるを得ないというふうに思います。  というのは、JRにしてみれば、もう命令は出ない、また地労委の命令は基礎にはしないということになれば、安心してしまいますね、ああ、もう絶対におれたちの不当労働行為は認定されないんだなと。そうなれば、もう自分たちの主張に国労や全動労の組合が屈服するまで長々とやっていればいいんだ、決して命令は出ないんだ、こういることになりますよ。これは、私はまさに公正な和解を阻害する以外の何物でもない、いわゆる中立性というものをかなぐり捨てたものであるし、また中央労働委員会の公益委員としての適格性を欠く発言だというふうに思いますが、いかがでしょう。
  54. 小里貞利

    ○小里国務大臣 平たく申し上げまして、先ほどもお答え申し上げましたように、公正であるということはもう大前提でございます。しかしながら、いかがなものでございましょうか、そういう特定の中労委員という立場でありましても、平素いわゆる国民運動なり、国民連動と申し上げますかそのようなオープンな特定の団体等の主催する講演会等に出ていかれまして、そして個人としての感想を述べる。しかもその感想を、今先生お話しのように、例えばこの問題はいろいろ中労委の審査、結論遅くなって迷惑をかけておるけれども、いろんな意見が多面にわたって出ておるよ、明暗両相ある、しかし私は、この話は和解でもって結論を得るというのも一つの方式だと思うがな、こういうことを先生おっしゃったかのごとく今御発言でございますが、そういう御発言をなさるのも、その人の個人の立場におきまして感想を述べられるというのは、私は、必ずしも、公益委員でございますよ、中労委でありますよというその立場によって、一々委嘱を申し上げておる機関が、監視と申し上げては言葉が過ぎるかもしれませんが、見詰めてやるというのもいかがなものだろうか、かように思う次第です。その高梨発言が公式の場におきまして、中労委の立場におきまして御発言があったといたしますと、これは必ずしも高梨さんのそういう独裁あるいは独善の立場によって、独善的一つの意向によって志向される、制約をされるものであれば、先生がおっしゃるのはわからないでもないのでありますけれども、あくまで中労委も極めて民主的に各委員の御意見を承りながら合理的に集約されていくものである、私はそういう認識に立っておる次第でございます。
  55. 三浦久

    三浦委員 自分が担当している具体的な事件の具体的な内容について発言をするということは慎まなきゃならぬ、これはやはり私は労働省全体の意思として統一してほしいと思うのです。  大臣がそうおっしゃるんならもう少し続けましょう、時間が余りないのですけれども。この高梨さんの講演された「労使紛争と労働委員会制度」、この講演記録が証拠として中央労働委員会に提出されているんですよ。これは事件番号は平成二年(不再第三号)、東海旅客鉄道(大阪第一運転所配属)、不当労働行為事件(配属差別事件)、これにJRからZ号証としてこれは提出されていますよ、Z第三七八号証です。これをどうお考えになりますか。  公益委員不当労働行為の救済命令を出す場合は公益委員会議を開くのですよ。公益委員会議の中には高梨氏も入るのですよ。そして、そこで合議をして、合議をした結果に基づいて、それを認容するのであれば認容の救済命令を出す、それが認められなければ棄却の命令を出す、こういうことになっているのですよ。そうすると、高梨氏が裁判官をやり、高梨氏が書いたものが証拠に出ている、こんなことが許されますか。  今の民事訴訟法でも、証人になった人は裁判官からは除斥されるんです。それはなぜかといえば、裁判の公平を確保するためです。証人の証言を吟味しなきやいけませんでしょう、裁判というのは。それを、証人になった人が裁判官をやったら、それはその証人の証言をうのみにするからです。この桜吹雪が目に入らぬかという劇がありますけれどもね、あの遠山の金さんの時代ならいざ知らず、この近代社会において証人と裁判官が一緒になるなんということは、これは許されないことなんだ。だから、除斥原因、裁判官になっちゃいけないということになっているんですよ、民事訴訟。準司法機関であれば、中央労働委員会が準司法機関だとおっしゃいましたから、そうであればやはりこの規定が準用されなければならないんじゃないんですか。ここに出ているZ号証、これは高梨氏の書いた講演がそのまま写されている、それが中労委の審問に出てきているわけです。そうであれば、高梨氏はこの事件には関与できない、もしくは中央労働委員会の公益委員をやめなければならないんじゃないですか。どうでしょう。
  56. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 地労委なり中労委なり、あるいはその他の、いわゆる訴訟戦術と申しますか、そういう面におきまして、会社側がどういうお考え方でそういう形を、戦術をとられたか、これは私ども全くコメントする立場にもないわけでございます。それからまた、高梨教授の御発言の中身ということも、これも先ほど来申し上げておりますように、個人としての御発言である、こういうふうに考えておりますし、それぞれ双方とも私どもといたしましてコメントする立場にはない、こういうふうに存じます。
  57. 三浦久

    三浦委員 しかし、これでは労働委員会制度の自殺ですよ。私は、労働大臣、やはり労組法の第十九条の七に、これは罷免の条項がありますね。健康がすぐれない、職務上の義務違反、また不適格な非行があったとき、やはりこの条項に照らして再吟味すべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
  58. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 中労委の公益委員の罷免の条項に照らしまして、罷免をすべき内容のものではない、このように考えております。
  59. 三浦久

    三浦委員 次に、中労委の事務局長お尋ねいたしますけれども、もう不採用事件については結審して長いもので一年半になりますね。命令を出してくれというふうに一部の労働組合は一生懸命運動をいたしております。しかし中労委はそれにこたえておりません。しかし、あれだけ地方労働委員会でJR不当労働行為というものが明らかになっている。ですから、中労委の命令を出してくれというのは切実な労働者の声なんです。争議団の人々はアルバイトをやる、または物品販売をやる、そうしてプールしたお金の中から、独身者は十万九千円をもらう、借りるんですね。既婚者は十二万円から十六万円を借り受ける。大体平均で十三万円の収入で今必死になって生活を支えているという、そういう状況にあるわけであります。高梨氏のように、命令を出せば最高裁まで行くから時間がかかってしようがない、だから和解なんだというようなことを言いますけれども改革法の二十三条に触れたら和解ができないと高梨氏は言っている。ですから、結局この和解というのは非常に困難なんです。そうすると、この和解で時間をかければそれだけ時間が浪費することになるんです。ですから、今多くの労働組合がこの中労委の命令を出してくれといって盛んに運動をやっておるじやありませんか。  私は、正常な労使関係というのは、やはり憲法や労働法というものが守られて、その上に成り立つものだというふうに思います。ですから、不当労働行為というものがあって団結権の侵害があれば、その団結権の侵害というものをいわゆる命令によって回復させる、そういう秩序の上に初めて正常な労使関係というものが成り立つんだというふうに思います。そういう意味で、あなたに言ってもしようがないのですけれども、中労委の会長に、早く審理を促進するように伝えていただくように御要望しておきたいと思います。いかがでしょう。
  60. 石岡慎太郎

    ○石岡説明員 中労委といたしましては、JR事件につきましては、労使関係者の御意向も十分踏まえまして、当事者間の話し合いを基本として円満な解決を図ることが望ましい、そういう方針のもとに現在関係当事者から事情聴取を精力的に実施し、円満な解決に向けて努力を重ねているところでございます。できるだけ早期に解決するように努力いたしたいと思います。
  61. 三浦久

    三浦委員 次に、職場の問題について運輸大臣お尋ねします。  当然雇用しなければならない職員を雇用しないために、職場では極限と言われるほどの労働強化が行われています。  運輸大臣、これは何だとお思いですか。わからないでしょう。これは携帯トイレなんです。おわかりですか。携帯トイレです。中をあげてみますと、ひもをこう破きますね、そうすると手ふきが出てきます。それから、これが小用を足す袋です。それから、これが小用を足した後にこの本体を入れる袋です。これを運輸大臣JR貨物の運転士は乗務するときに、弁当と一緒に、この携帯トイレをかばんの中に入れて、そうして汽車に乗り込んでいくのです。運輸省、そうですね。間違いないですね。
  62. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JR貨物の勤務形態の具体的内容については、第一義的にJR貨物の責任において行うものでございますので、詳しい内容については承知しておりません。
  63. 三浦久

    三浦委員 なぜこういう携帯トイレを持っていくかといいますと、列車を運転する時間が長時間にわたっているからなんですね。つまり、一人で長時間運転させられるためにトイレに行く時間がない。したがって、運転しながらこれを使って用を足す。運転しながらですよ、用を足す。そういう状態が日常化しているのです。これは何も特別な人が個人的にやっていることではありません。組織的に行われているのです。  例えば、ここに文書があります。JR貨物東北支社の技術課長から現場の係長あてに送られた事務連絡書です。「「携帯用トイレ」の配布について」と書いてあります。これによりますと、「鉄道貨物輸送に対する荷主の要請、旅客会社とのダイヤ調整等により、従来に比べてノンストップ列車が増加する傾向にあり、運転士の生理面の対策が問題になりつつあります。生理面で配慮すべき標準的な時間は、個人差はもちろん、時間帯、線区条件などによって一律に規定することはできませんが、運転士の不安感除去の意味から、試行的に当面機関区当直に「携帯用トイレ」を準備し、申し出のあった運転士には配布するようにされたい。」こういうふうに連絡文書が来ているわけです。それに基づいてこれが職場に置かれ、そしてみんなが持って乗務しているという状況なんですよ。  この使用書を見ますと、乗務をした場合どうするか、まず自分が催してきたらこれを破かなければいけませんね。そしてこれのファスナーを今度はあげなければいけません。ここにファスナーがありますから。そうですね。それで、ここに用を足したらまたファスナーを閉めなければいけません。そして、ファスナーを閉めてからこれに入れるんです。これは運転しながらやるのですよ、運輸大臣。そしてこれを運転席に置く。そういうことを運転中にさせなければならないような、そういうダイヤが組まれているのですよ。私は、これは労働者を人間扱いしていない、そういうことに非常に激しい憤りを感じます。同時にまた、こんなことでもって列車の安全というものが確保できるんだろうかという強い危惧の念を持ちます。運輸大臣は、今私がお示ししましたこの携帯用トイレを見てどういうふうにお考えですか。
  64. 村岡兼造

    村岡国務大臣 JRの貨物の問題について、今先生のその携帯のものは初めて見ました。また、先生おっしゃるとおり、私どもの使命は安全の確保が第一であります。安全の確保に支障を来すような状況であれば私ども十分に調査をして、またその結果に基づいて指導することがあれば指導してまいりたい、こう思っております。
  65. 三浦久

    三浦委員 このトイレの携帯が必要がないような、そういうダイヤの組み方をさせるというふうにお約束願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  66. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今初めて聞きましたので、実態を調査をいたしたい、こう思っております。
  67. 三浦久

    三浦委員 時間ですので終わります。次は、関連質問です。
  68. 渡部恒三

    渡部委員長 この際、佐藤祐弘君から関連質疑の申し出があります。三浦君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤祐弘
  69. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 廃棄物処理の問題でお伺いします。  大変ごみ問題が深刻になっておりまして、地球環境問題とも相まって市民の関心も大変強いわけであります。といいますのも、ここ数年一般廃棄物、産業廃棄物とも急増しております。一般廃棄物は一九八八年度で四千八百二十八万トンと史上最高を記録している。何と五年間で一三%ふえておる。五百六十二万トソも急増している。これは数字だけではわかりにくいわけですが、東京ドームでいいますとあの十五杯分ですね。それがわずか五年間でふえている、そういうテンポでふえ続けてきている。産業廃棄物の方も既に一九八五年段階で三億トンを超えております。なぜこんなにごみが急増をしたのか、やはりこの原因と責任を明らかにするということなしには的確な対策は立たないというふうに考えるわけです。  そこで、具体例でお聞きをしたいわけでありますが、一昨年から昨年にかけまして、千葉の幕張メッセ、この会場でいろいろなイベントが行われました。大量のごみが出た。特に、一昨年の十月末から十一月上旬にかけまして、東京モーターショーというのがありましたが、十二日間で三百八十三万トンもの廃棄物が出たわけです。うち一般廃棄物として千葉市が処理したのは百六十万トンです。ほとんどが自動車メーカーの展示施設関係で、なかなかすぐに処理されずに貯留場所にしばらく滞留するというような事態もありまして、非常に深刻だった。いわば、幕張メッセという大型のプロジェクトがごみ問題の深刻さに拍車をかけたということで、千葉の県議会、市議会でも大問題になりました。  厚生省お尋ねしますが、こういう事実を当然御存じだと思うわけですが、厚生大臣、こういう大量にごみが発生する、そういう事態についてどう対応する方針か、お示しをいただきたい。
  70. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 お答えいたします。  経済活動が活発になる、それからまた消費がふえる。それらの全体の関連から各種の廃棄物がふえていくということは事実でございます。また、ただいま委員から御指摘のように、産業廃棄物も特にふえてきた、あるいはイベントに伴っての廃棄物も非常に出てきた、こういう状態でございますので、これらの処理につきましてはかねてから御答弁申し上げておりますように、まず出すところからこれを考慮していかなければならない。いかにこの廃棄物が出ないようにするかというところがまず第一点でございますし、次には、出た上の廃棄物の処理に当たって、これをむだのないようにリサイクルできるものはリサイクルし、またその処理についてもそれぞれの公害の起こらないような処理を心がけていかなければならない、いろいろな手当てがございます。  そこで、今お話しの大規模プロジェクトの場合の話でございますけれども、このことにつきましては、計画策定の段階から廃案物処理を考えて計画を立案するということがこれは非常に大事なことである、このように認識いたしております。こういう考えに基づきまして今回の廃棄物処理法というものの改正案を御提案申し上げておりまして、その中で事業者に対しましては二点特に要望いたすようにしておりますが、廃棄物の減量化や適正な処理のための計画の策定、これを排出事業者にお願いするということが第一点でございますし、また同時に、国及び地方公共団体の施策等への協力義務をお願いする、こういう規定を新たに盛り込んでこの手当てをすることに相なっておるわけでございます。
  71. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今大臣は、大規模なプロジェクトの場合には計画策定の段階から廃棄物処理の計画を立てることが必要だというお話でありました。本当に私はそれが必要だというふうに思うのです。  そこで、通産省にお聞きしたいのですが、この幕張メッセは民活法に基づく認定プロジェクト、そうなっておりませんか。
  72. 坂本吉弘

    坂本(吉)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  73. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 民活法の規定では、事業者から整備計画というのが出されてそれを通産大臣が認可するという仕組みになっているわけですが、その整備計画の中に廃棄物の処理計画はあったでしょうか。
  74. 坂本吉弘

    坂本(吉)政府委員 この整備計画の中にはございませんで、この廃棄物の問題につきましては、事業者と地方団体、この場合千葉市でございますけれども、協議をしながらこの廃棄物処理計画を決めているというのが実態でございます。
  75. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 つまり、整備計画には廃棄物の処理方針は含まれていないということですね。そして今、自治体ということを言われました。この仕組みでは、幕張メッセの場合も千葉県が開発整備方針というのを決めるということになっております。しかしそれも、通産省が当然大きな基本指針に沿って指導するという仕組みだと私は承知しているのですが、重ねてお尋ねしますが、整備計画に廃棄物処理は含まれていないということと、それから、今おっしゃった、自治体と業者でやるはずだというその自治体の開発整備方針、これには廃棄物処理の計画があったのかどうか、通産省としてそれをチェックされたのかどうか、その点御答弁いただきたい。
  76. 坂本吉弘

    坂本(吉)政府委員 大変恐縮でございますが、開発整備方針にそれが入っていたかどうかという点につきまして、ただいまちょっと把握しておりませんので、調べて御返事したいと思います。
  77. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ちゃんとこの幕張メッセについてお尋ねすることは申し上げてありましたし、調べるのは当然じゃないですか。やはりこれは、この廃棄物処理についての認識が非常に弱いということを示していると私は言わなければならぬと思うのです。  私の方で千葉県の整備方針も全部持っております。この中には、廃棄物処理については一言もないんです。下水道とか公園とか道路、そういう関連の計画はあります。しかし、廃棄物処理については全くない。  通産大臣、私はやはりこういう国が主導するプロジェクト、今廃棄物問題は大変深刻です。そういうプロジェクトに廃棄物処理がすぽっと欠落している、これがこれまでの実態なんです。ここをやはり私は改める必要がある。こういうことをやってきたことがやはり廃棄物の増大に拍車をかける大きな原因にもなってきた。こういう点でこの民活法に基づくプロジェクトについても廃棄物処理計画をきちんと織り込む、こういうようにしていく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。大臣答弁をいただきたい。
  78. 坂本吉弘

    坂本(吉)政府委員 ただいま御指摘ございました幕張メッセに関しましては、当初の事業者の計画では一日平均八・八トンという計画でございまして、通常のケースでは大体六・六トンでございますので十分その処理のキャパシティーの中に入っておったわけでございますが、御指摘の自動車ショーの際、これは先ほどお示しになられました数字のとおり一日平均十六・七トンという廃棄物が出たわけでございます。  この点につきましては、御指摘のように、廃棄物の処理につきまして事業者と地方団体との計画という点に任せておったというのが実情でございまして、この点を今後とも指導してまいりたいと存じますし、また、ただいま委員御指摘のような問題が随所に多発し、これがごみ処理問題に関しまして深刻な問題を今後提起をするというようなことでございますれば、十分その点を踏まえまして、関係各省とも相談をしながら検討していくことが必要ではないか、こんなふうに考えているところでございます。
  79. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大事な問題ですから私は大臣の御答弁をいただきたいんですが、今いろいろ言われましたが、これまでやはり抜けておったというところが問題だと思うのですね。いわばトイレのない住宅を建てているようなものなんですね。  幕張メッセ以外にも、この近辺で言いましても、みなとみらい21とか東京臨海部副都心とか大きなプロジェクトが今進行しつつあります。若干のことは自治体でやっているようですが、国の民活認定の要件には入ってない、そこが問題だということを申し上げている。ですから、その点での改善ですね、やはり廃棄物処理計画がきちんとしてないような民活プロジェクトは認めないといいますか、認める上はそういうものをきちっとさせる、そういうことが必要じゃないかと思うのですが、大臣いかがでしょう。
  80. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 幕張メッセなどの御指摘は、これはもう本当に委員のおっしゃる面がたくさんございます。  そこで、今政府答弁で大体尽きるかと思いますけれども、大局観としてグローバルな見地で申し上げますと、これはもうリサイクル法案などにも委員にも大変御関心をお持ちで、この間もあのような形でお通し賜りましたし、その前をさかのぼって考えてみましても、オゾン層の法案等を見ましても、地球環境整備というのはもう今や人類そのもののある意味におけるチャレンジをしていかなきゃならぬという問題になってきておる。これは十年前には考えられない事態だったと思うのです。それだけに私どもは、もう今からは、生産をする、それをまた、ある意味においては非常に生産によって助かる面もございますが、あと一つは、廃棄物が大きな意味において私どもに被害を与えていることも事実、環境問題にもそのまま大きくコンサーンをするということも事実、それをどのようにまたリサイクルしてそしてこれをエネルギーに変えていくか、これまた私どもの大きな課題でなくちゃならぬ、こう思っておるわけでございます。  そこで、産業構造審議会の廃棄物処理・再資源化部会の「今後の廃棄物処理・再資源化対策のあり方」の答申、これはたしか昨年の十二月六日だったと思いましたが答申しておりますけれども、ここにも述べられておりますように、当省としましても、再資源化、減量化を実現する社会システムというものを構築していくに際しまして、どうしても百貨店などが多いんでございますね、あるいはチェーンストア等こういう協会等にも私どもいつも言うておるのでございますが、流通業者は消費者にとって身近な事業者としてリサイクル活動への参加そのものをしていただく、これを積極果敢にしていただく、それから包装における消費者選択の拡大、これも必要でございましょう、また、再資源化製品の供給拡大等大きな役割が期待されるということが私どものまずもっての認識でございます。  そして、このような認識にまず基づきまして、本年の一月四日に、日本百貨店協会あるいは日本チェーンストア協会等の流通関係団体の長に対しまして、通産省では、私からも廃棄物の減量化あるいは省資源化の促進に関する協力要請を行うとともに、また行ってきたわけでもございますが、さらに一月十八日には、担当局長から包装適正化推進の協力要請というものを行ってきているところでございます。  通産省としましては、今後とも、百貨店やチェーンストア協会等の流通業界において最も一番問題点を含んでいるわけでございますから、生産者、消費者との適切な連携をとりつつ、なおかつ、再資源化、減量化の促進のための積極的な取り組み方がこれまた一番肝要ではないかということの意識で努力してまいる所存で考えていくつもりでございます。  なお、最も検討を開始している問題として、これはもう私どもが既に手をつけていることも申し述べなければなりません。しかし、何せ四十七年以降この問題自体が続いていることも事実でございますから、今回は大規模に、相当にグローバルに御提案賜りましたが、そのグローバルに対応して、グローバルな形でこれを大きな意味で対応していかなければならぬ時期が来た、このように認識をし、確認もし、推進していく、こういう覚悟でございます。
  81. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今通産大臣から、地球環境の問題とも絡めて、リサイクル、再資源化、そういう点で百貨店、チェーンストアなどの指導も強めたいというお話がありました。これについてはまた後で具体的にお聞きしたいことがあるのですけれども、その前に、今御質問しましたのは、政府が認定する民活プロジェクトですね、大型プロジェクト一般につきましては、先ほど厚生大臣から、大規模なプロジェクトについては計画策定の段階から廃棄物の処理計画が必要だという御答弁があったわけです。政府が主導する民活プロジェクトについてもそれを要件とする、それが必要ではないか、その方向でやはり検討されるべきではないかということを申し上げておるわけですが、その点はいかがでしょうか。
  82. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 これはもう全く御指摘のとおりでございまして、これはもう各省庁とも関係が深いのでございます。厚生省のみならず、環境庁にも、あるいは農水省にも、等々関係がございまして、これは、私といたしましても鋭意努力をして、これも、この間も関係閣僚だけで集まろうという話もしたのでございますが、そういう関連をお互いにさしていただいて、徹底的にこれは通産省として、私どもはたまさか産業構造の監督官庁でございますから、私どもが呼びかけ人のような形になりまして、そして、そのマクロの大きな考え方は環境庁でもおやり賜りまして、そして、各論的な幾つかの問題は農水省や厚生省その他にも幾つも関係がございます。これは、連動しながらこの問題は図っていかなければなるまいな、このように私も鋭意今努力をしている最中でございます。やっております。
  83. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 御指摘のとおりという御答弁であったわけですが、要するに民活プロジェクトですね、問題にしていますのは、省庁典型例として。それにやはり廃棄物処理計画、これをきちっと入れていくという方向で検討されるということと受け取ってよろしいでしょうか。
  84. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 特に、幕張メッセ類似の民活施設で現在建設中の横浜国際平和会議場などにつきましても、一つの具体的な例でございますが、通産省としましては、事業の実施に当たりましては、環境保全の配慮というものを相当に指導し、拍車もかけておるということを考えましたり、また、開業に当たっては同種の問題が生じないように関係地方自治体とも協議しつつ、消費者の問題も考えておるという一つの事例からしてもそうでございますが、これはもう全く御指摘のとおりに、私どもとしてもこれは時間の余裕がある問題とは思っておりませんから、この点は鋭意時間を詰めてもやっていかなきゃならぬ専権事項だな、こういうふうに思っておるわけでございます。
  85. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私はごみ対策、非常に抜本的に変えていくといいますか、そういう必要があるというふうに思うんです。今国会で通産省、厚生省から法律の提案がなされておりますが、これまでは、大筋でいいますと、ごみがふえ出してからは、焼けるものは焼く、焼けないものは埋め立てるということが中心になっておったわけですが、そうではなくてやはりリサイクルですね、もう資源を生かしていく、こういうことで、こういう点ではむしろ市民運動とか自治体でさまざまな努力が行われております。分別回収して生かしていくという、たくさんいろいろ例はありますが、例えば西宮市では、まぜればごみ、分ければ資源という考え方で、十年間に集めたごみの中からガラスや鉄、有価物を回収しまして六万二千トン、それを再生業者に売って何と八億八千万円ですね、これだけの収入を得ている。こういう例は幾つも、高知とかその他いろいろあるわけですが、リサイクルの考え方を出されたことは、私はそれとして評価できると思っています。しかし、まだまだそういう点ではこういう地方自治体の経験なんかも取り入れてもっと徹底してやる必要があるというふうに思っております。  もう一つ、その問題とやはり最終処分場、この確保が今大変困難、焼却場の問題もありますが、特に東京の場合は極めて深刻でして、二十三区だけで四年間に百万トンふえたんですね。五百万トンです。私も、東京湾の外の中防と言っておりますが、中央防波堤の外側の埋立地に先日行ってきました。ごみの山でもうあと一年余りしかもたないと、現場の方は何とか二年もたしたいということで懸命の努力をしておりますが、そうもいかない。深刻な状況ですね。それで、新たな埋立場ができるのは一九九六年ということになるわけです。そうしますと、その間四年ないし三年捨て場がないという状況が起きる。東京は一日にごみの出る量が一万四、五千トンですね。一万四、五千トンは若干わかりにくいですが、ですから、二トントラックで言うと七千台、八千台というのが毎日出るわけですね。それが三、四年間最終処分地がないという状況なんです。極めて深刻な事態ですね。これは最終処理の関係ですから厚生大臣にお伺いするのがいいかと思いますが、こういう東京の実態、どう考えておられるのか。対策を何かお持ちか。いかがですか。
  86. 小林康彦

    ○小林(康)政府委員 東京都は事業活動が活発なこともございまして、急激なごみの増加、それに対する焼却施設の能力が追いつかないということがございまして、最終処分場について非常に逼迫した状況になっていることは御指摘のとおりでございます。そのため、今回の廃棄物処理法におきましても廃棄物の発生の抑制、減量化に力を入れる、そういう点で制度面で強化をいたしますとともに、東京都が講じようとされております減量化のための努力、あるいは最終処分場を工夫をしまして、何とか次の計画までつなげる努力に対して支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  87. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう一般的な話じゃないんですが、次に進みます。  法改正に絡んで、幾つもあるんですが、二点お伺いしたいと思うんです。これは厚生大臣になりますか、一つは、通産省も関係はあるわけですが、去年、一連に答申が出されました、通産省、厚生省環境庁と。そこで、一つの大きな問題は、処理困難な大型のテレビとか冷蔵庫、こういうものを企業に回収してもらわなきゃどうにもならぬという問題が一つですね。それからもう一つは、東京のごみ急増の一つの大きな要因にもなっているわけですが、OAごみというのが急増しているわけですね。これはやはり一般廃棄物として今処理されている、産業廃棄物にすべきではないかということが答申にもうたわれておりました。しかし、現実に出てきた法案では、どうもその点が弱くなっている、後退しているというふうに私は思うんですが、厚生大臣、なぜこのせっかくの答申が十分生かされずに後退する結果になったんでしょうか。これではなかなか本格的な解決にならないと思うんですが……。
  88. 小林康彦

    ○小林(康)政府委員 最初の、市町村の通常の行政サービスでは処理が困難な一般廃棄物につきましては、生産、流通、販売ルートを通じた回収システムの整備が必要と考えておりますが、この点に関しましては、別途提案されております再生資源利用促進法、この法律で企業サイドを中心にして対応されるものという整理をしてございます。  今回の廃棄物処理法におきましては、市町村が処理が困難となっている一般廃棄物に対しましては、この再生資源利用促進法とあわせまして廃棄物処理法におきまして、その製品の製造者等の協力を得ましてその処理を行う規定を設けることとしております。具体的には、厚生大臣が指定をいたしまして、その指定をしたものに市町村が製造者等事業者に必要な協力を求めることができること、厚生大臣は事業を所管する大臣を通じまして必要な措置を講ずることを要請することができること、こういう規定を入れてございます。  紙ごみにつきましては、現在の処理体制の整備の状況から、現時点で産業廃案物とすることは困難ということを判断をいたしまして、今回の法改正におきましては、多量排出型の減量化計画の策定あるいは市町村への協力の義務あるいは処理に要する費用に見合った手数料の設定等の規定を設けているところでございます。
  89. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それはわかっているんです。それだけではとどまらずに、産業廃棄物として指定する必要があるんじゃないかということを申し上げている。政令段階で検討するというようなお話もあったわけですが、ぜひ私は、そういう方向でいかなければ解決をしないというふうに思います。  もう二点、もう時間が詰まってまいりましたのでお聞きしますが、企業ごみというのは本当に急増しているんですね。先日、東京都の調査では、丸の内、大手町、有楽町のオフィスビル百三十三棟、それが出すごみが二十三区全体が出すごみの三割なんです、オフィスビル百三十三棟でですね。そういう調査結果が出ている。ですから、その中のOAごみが非常に大きな部分を占めているという問題もあるんですが、本当に処理をスムーズにやっていくためには、こういう一定規模以上のビルについては処理計画をつくらせるということと同時に自治体の立入調査権、これをやはり認めていく必要があるというふうに思うんですが、この点は厚生大臣、そういう方向で進めますか。
  90. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 オフィスのごみ、特に紙ですね、そういったものが非常にふえております。この処理についても今回、法改正の中でその取り扱いについての規定を設けるようにいたしておりまして、基本的にはこれはまだ産業廃棄物というカテゴリーには入りにくいということで、そのオフィスのそういう紙関係の量の多いものについてはある一部の費用の負担をお願いするというようなことで、そういうことで全体の責任に、今まで、市町村に全部お願いするのではなくして、排出する方の人にそういうような手数料の負担もしていただいて責任を持っていただく、こういうふうにしたいと思っております。
  91. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 もう最後になりましたので、通産大臣に具体的に要請したいわけですが、先ほどデパート、スーパーなどに対するお話がありました。本当にこれは身近な問題として大事だと思います。  そこで、第一に過剰包装をやめる。それから、トレーとかプラスチック容器、これは大変いろいろ処理困難な問題もあるのですね。だからこういうものを大幅に減らす。それから、そういうものを、牛乳パックを含めて回収責任といいますか、こういうものをそういうところに課していく。  もう一つ、私、大変思いますのは、リターナブル瓶ですね。ビール瓶というのは、あれは十五回使うんですよね。再使用をするんです、洗って。その後もガラスの原料になる。ところが、今ワンウエー瓶、使い捨てというものになりますと、そういうことはむだ遣いになるわけですね。しかも、例えばプラスチックの容器で、二リットル相当の容器ですと、一遍使い捨てて、その処理費が一本当たり七十四円もかかるのです。一方のリターナブル瓶というのは繰り返し繰り返し使える。ですから、リターナブル瓶をうんとふやすという方向で指導が必要じゃないかというような諸点について、大臣、業界団体を通じてぜひそういう方向で指導していただきたい、そういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  92. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私は、先ほど来委員お話を聞いておりまして、やはり戦後四十五年の経過というものの中に、私どもは生産また輸出、そしてまた日本の活性化ということばかりを頭の中に想定しながらずっとやってきたという流れはあったと思うんですね。それによって日本のエネルギー、あるいはまた資源開発、あるいはまたそれによる大きな日本の経済の向上、これにつながったことは事実だろうと思うんです。しかし、さはさりながら、その裏にある廃棄資源、そういうものによっての大きな、一般における地球環境の破壊につながるような大きなそういうものがさらに積み上がっていったんだということも、大きくその意味において忘れ去られておった面は否めない事実だったかなという感じは確かにいたします。今の委員の東京都庁の移動のことだけでも、それだけのものが出るんですよと言われると、確かに膨大なものだということがわかります。  先ほど御指摘のように、百貨店あるいはチェーンストア業界の中におけるトレーの問題であるとかそういうような問題、またその前に御指摘いただいた冷蔵庫の問題やその他の大きな廃棄物の問題、こういうものを踏まえまして、これもある意味において日本の活性化する経済の活力の側面にそういうものがあるということも事実でございますから、これは今度の答申を十分踏まえながら、委員の御指摘いただいたようなものも十分に私どもは頭に入れながら、指導方針、行政方針において、地方自治体とも運動しながら、あるいは各省庁とも連動しながら、これはもう真っ先に考えていかなければならぬ喫緊の課題である、こう私は考えておりますから、そのような覚悟でやっていきたいと思います。
  93. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これで終わりますけれども大蔵大臣に御質問する予定であったのですが、焼却場とか最終処理場、これは地価問題もあって非常に困難という状況がありますので、予算措置を含めて各段の努力をお願いしたいということを申し上げて、終わります。
  94. 渡部恒三

    渡部委員長 これにて三浦君、佐藤君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  95. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ついせんだってまことに遺憾な事件が起こりました。いわゆる国立大学あるいは自治体の病院の医師と医療機器メーカーとの癒着の問題であります。  これは新聞で見るところでは、文部省の方は国立大学関係についていろいろと再発防止の手だてをとられて、委員会か何かつくられておるようでありますが、横浜市立病院の方は、これは自治体の関係でありますが、自治大臣は、この種の事件の再発防止についてどのような指導方針を具体的に立てられておりますか。
  96. 吹田愰

    ○吹田国務大臣 ただいま楢崎先生のお尋ねでありますが、自治体病院関係でこうした医療機器等の購入に当たって問題が起きておるということは非常に遺憾なことでありまして、まことに申しわけないと思っております。  地方公務員でありますから、こういった問題の起きないように、これから特に住民の不信を招くようなことがないようにさらに指導を強化していきたい、かように考えております。
  97. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 当たり前の話ですよね、今のお話は。文部省は特別の委員会か何かをおつくりになっていろいろと再発防止について考えておられる、そういうことは考えていらっしゃらないのですかという私の質問の趣旨なんです。厳にそういうことが起こらないように指導します、当たり前の話でございまして、何か具体的に考えておられますかと、それをお伺いしておるわけです。
  98. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 公立の病院で医療機器を購入いたします場合には、やり方はいろいろあると思いますけれども、私どもが承知をいたしております一般的なやり方といたしましては、機種選定委員会のような合議制の委員会をつくりまして、複数の専門家が協議して選定をするということで相互のチェックを働かせるという仕組みになっているのが一般的と承知いたしております。  今般このような件が発生いたしましたことにかんがみまして、私どもといたしましては、公立病院の開設者でございます地方公共団体において、購入の際の意思決定の仕組みあるいは契約事務の執行につきまして、改めて調査点検するように指導してまいりたいというふうに考えております。  自治省といたしましても、公立病院のこういう購入手続の実例も、事情聴取あるいは調査をしながら、先ほど大臣から御答弁がございましたように、今後とも住民の信頼が確保されますように、機会を見つけるたびに地方団体に対して指導を徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  99. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 厚生大臣あるいは外務大臣でもいいのですが、今回の二つの事件は、いわゆるGEなどの外国の医療品メーカーの品物ですね、非常に高価な。これは、私は記憶があるのですが、リクルート事件のときに、いわゆる昭和六十年一月の中曽根・レーガン両首脳会談に端を発しまして、いわゆるMOSS協議が行われて、そのMOSS協議における主な合意事項として医薬品や医療機械分野の項目が入っておりますね。だから、こういうところに一つは源があるのではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  100. 中山太郎

    ○中山国務大臣 MOSS協議等において行われた話し合いの中で、いろいろと関税問題も含めてございましたが、原則として民間企業の商業行為でございますから、それは外国企業あるいは日本企業という区別で考えるべきものではないのではないか、私はそのように思っておりますし、一方、それを扱う側の利用者の方は、できるだけ精度のいいもの、値段は別として精度のいいものを学者としては求めていく傾向が非常に強い、そのように私は考えております。
  101. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がなぜ記憶があるかというと、あのリクルート事件のときには、例のクレイのスーパーコンピューターが問題になったんですね。これはまさにこのMOSS協議あるいは日米首脳会談に端を発しているわけですから、今回もこういう事件が起こると、さかのぼってあの日米首脳会談にその源があるのではなかろうかというふうに私は考えるわけです。  そこで、法務省の刑事局長にお伺いしますが、もう東京地検で、最近起こった二件のほかに国公立関係で捜査中の事件が、同じような捜査中の案件があるでしょうか。
  102. 井嶋一友

    井嶋政府委員 お答えいたします。  お尋ねのような国公立関係の病院の事件がいろいろ報道されておることは承知をいたしておりますが、今御指摘のように東京地検では去る三月六日に千葉大学医学部の附属病院をめぐる事件を起訴しました後に、同日、横浜市立大学医学部附属病院に関する事件を捜査中でございます。  捜査の対象がいかなる事件、いかなる事項に及ぶかということは、まさに捜査の内容でございますから、私の立場からはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、私がお伺いしたのは、千葉大あるいは横浜市立大の事件のほかの国立大学病院関係で、医師等にかかわるほかの捜査中の案件がございますかとお伺いしているのです。ないならないとはっきりおっしゃってください。
  104. 井嶋一友

    井嶋政府委員 もう委員既に御案内のとおり、捜査は、強制捜査のような形で行います以外は、一般的に密行でやるわけでございまして、かつまた、いかなる事件を立件するかしないかということは、唯一国のシステムとしては捜査機関しか決定権がないわけでございまして、私どもの立場からそういった内容に触れることを申し上げることはできません。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ、まああるということですね。  厚生大臣にお伺いをしますが、厚生大臣所管であります社会保険病院あるいは厚生年金病院にはこの種の問題はございませんか。
  106. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 厚生年金病院、社会保険病院につきましては、それぞれ団体に委託して運営しておりますが、この種のそういう問題については、現在のところ私どもはないと考えております。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ一応確認をいたしておきますが、違っておったら違うと言ってください。以下申し上げることが合っておったら、時間がございませんから、お立ちになる必要はない。  社会保険病院の場合、建物は国の予算で建てられますね。具体的には厚生保険特別会計の健康保険勘定から。所属は社会保険庁運営部保険指導課。運営は社団法人全国社会保険協会連合会、略して全社連と言っております。  一方、厚生年金病院の場合は、建物はやはり国の予算で建つ。これは厚生年金であります。所属は社会保険庁運営部年金指導課。運営は厚生年金事業振興団、振興がつくのですかね、事業団ですかね。これだけは間違いありませんね。間違いないならよろしゅうございます。おたくから聞いたのですから、間違うはずがない。  そこで、建物は国の予算、では中に入れる医療機械はどういう仕組みになっていますか、社会保険なりあるいは厚生年金病院の場合。
  108. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 お尋ねがありました二種の形態につきましては、医療機器ないしは建物の管理等の費用につきましては、国の特別会計の予算で経理しております。したがいまして、そういうものの投入等につきましては、それぞれ社会保険庁の機構を通じて決定いたしております。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうだと思いますね。ただし、消耗品、メスとかそういうものはそれぞれの運営で得られた資金で買われておると思うのですね、これは間違いないと思いますが。つまり、消耗品程度以外は全部国の予算で買う、こういうことでしょう。  そこで、私は数年前に予算委員会において名古屋医大の当時は講師と医薬品メーカーとの癒着について取り上げました。はっきり言いまして、後から先輩が来られて、やがて教授になる人だから、十分注意をするから、このくらいにおさめてくれということを聞きました。再びそういうことが起こらなければいいことでございますから、私は強く戒めましておさめましたが、その方は教授になられました。  つまり、いわゆる白い巨塔と言われる、そういう白い巨塔に内在する問題がいろいろあります。私は大きく分けて六つあるのではないかと思う。つまり病院、医師を含みます、病院と製薬会社、メーカーとの癒着の問題であります。二番目に、いわゆる病院、医師と医療機器メーカーとの癒着の問題であります。三番目に、同じく病院あるいは医師と治験薬、新薬をつくる場合の治験薬の関係が問題になります。四番目に、やはり病院あるいは医師と、病院を建築、改築する場合、病院建築業者との癒着の関係が具体的に出てきております。つまり、病院と建築会社とそれから医療機器、いわゆるトリプルの関係がある。それが四番目です。五番目に、医療機器売り込みが非常に激しいわけですから、建築業界と同じようにひそかに談合が行われておるのではないか。建築業界もえてしてあるんですけれども、医療機器業界にもそれがあるのではないか。例えばその場合に、その仕切る人が契約高の何%かを世話料としていただく、そのお金は当然購入費に上乗せされる、しかもそれが国の予算で払われる、こういうことがあってはいけませんね。  それで私は、以下、政界、官界、業界のこの種の癒着の構造について一例を挙げて御報告いたしますから、調査のほどをお願いしたい。つまり、医療機器業界における談合の疑いがあるということです。具体的なあれで伏せなくちゃならないと私が思うところはイニシアルで言います。全部私にはわかっておるし、調査の裏づけ資料がございます。  まず、社会保険Xという病院の場合。これは、その社会保険病院の医療機器購入方法は通常の病院の形態と異なり、出入りのディーラーが直接窓口にはならないで、ある建設会社がすべての窓口になる。このある建設会社も具体的にわかっております。そして、医療機器もすべてこの建設会社に卸すという方法がとられております。具体的なルートについては、東京のマスミ器械というものがあります。医療機器メーカーで、これは名前を申し上げます、山岸橘之助という人が社長さんでございますが、この山岸社長が指示をする。そして、その指示どおりに全部が動きます。これも具体的な資料があります。  通常の官公庁の病院では考えられないことでございますけれども、社会保険病院、厚生年金病院については、今申し上げたような状況が堂々とまかり通っておるのであります。  このマスミ器械の山岸社長は、元厚生大臣、現在は代議士の親類に当たります。その背景といいますか影響力を及ぼして、厚生省にも頻繁に出入りをしております。それも裏づけ資料があります。そして、各厚生省の役人と接触をして、その人たちと同行あるいは名刺を持って病院を訪れられるわけであります。そして、病院につける予算にも口を出す。そのとおりに実際は実現するものですから、病院の事務長さんたちもお手上げをしておるというのが現状であります。  この山岸社長は、実務についてはこの元厚生大臣の関根秀樹という秘書と行って、沢竜会という政治団体をつくり、建築関係、設備関係、医療機器関係と三つのグループに分けまして、医療機器関係の窓口はマスミ器械が行っておるのであります。その連絡役は、これもはっきり申し上げます、美和医療というメーカーがやっております。  この関根秀樹さんは、自治省に届けられておりますこの届け出書から見ますと、沢竜会の会計責任者になられておりますね、元厚生大臣の秘書であると同時に。それから、今言いましたマスミ器械の山岸橘之助という社長さんは、同じくこの元厚生大臣のもう一つの政治団体である新経済調査会の代表者にもなられております。この沢竜会は、医療機器メーカー、東京商会、美和医療ほか八社あります。幹事は美和医療。この八社も全部わかっております。ディーラーは、ムトウ、秋田医科器械その他全国のディーラー八社から成っております。会費は年間五十万から百万円であります。  この山岸社長さんは、社会保険や厚生年金病院などの病院内の予算会議にも出席されております。どうして普通の民間の企業さんがそういう予算会議にも出られるのかわかりません、私には。そして、社会保険、厚生年金病院の事務長とほとんど接触を持たれております。予算会議にはみずからその社長さんは病院の設計者やゼネコンも引き連れて出席されることもある。これも裏づけ資料があります。  時間がございませんからはしょってあれしますけれども、例えばYという社会保険病院の場合は、これは病院購入の器械をこのマスミ器械が受注をして、そしてMという会社から各メーカーに発注をする。このMもわかっております。  それから、もう一つのZという厚生年金の場合、これもZはどこか、一番近いところであります。これはマスミの山岸社長がTという、この設計事務所もわかっておりますが、Tという設計事務所を同行して、病院予算会議の議長まで務められておるのですね。全く私は想像ができません、どうしてこういうことができるのか。  そして、社会保険病院、厚生年金病院の改築、新築の場合、建築材料、例えば砂利とか窓ガラスとかサッシ等に至るまで指導が行われる。そして、その設計事務所等へはメーカーリストと紹介状を、遠いところは関根氏または山岸社長名で郵送をする。近いところは山岸社長のマスミ器械の事務所に呼びつけて申し伝えられる。そういう仕組みになっております。  それで、この山岸社長と関根秘書お二人の世話料、仕切り代と申しましょうか、これは契約額の四%から六%が渡る仕組みであります。それでもなお別に利益率は一五%から二〇%あるから、実際に業者には損はないから、それでやむなく沢竜会の会員になっておるというのが実情で、陰ではそれらの業者はいわゆる接待で泣いておるというのが現状であります。  先ほどお話ししましたとおり、関係しておる官庁は、厚生省関係では、社会保険庁運営部長、同運営部保険指導課健康保険施設係など、それから社団法人としては全国社会保険協会連合会、全社運ですね。  それで、一つ具体的に申し上げておきますが、ことしの一月十一日午後七時から帝国ホテルでこのメーカーの全団体の新年会、これは第二回目に当たります、新年会が行われて、厚生大臣がごあいさつに行かれておるはずです。集まられたメーカーたちは約千人です。ところが、その同じ帝国ホテルの同じ時間に、別に部屋をとって山岸会というのがセットされている。だから、その公式の厚生大臣があいさつされた方の会はいいのです。それが終わったら、その流れが別室に設けられた山岸会という仕組みのところに流れていくようになっている。これはお調べになったらわかることです。  以上、私は概略を申し上げました。  そこで問題は、間違いかどうか調べていただきたい、会計検査院の検査対象になるはずですから。こういうことが行われておったら一体どうなるんでしょうか。  そこで、会計検査院の御所見を伺っておきたい。そして、あわせて法務省の刑事局長さん、それから警察庁の刑事局長さんの見解も聞いておきたいと思います。
  110. 白川健

    ○白川会計検査院説明員 お答えいたします。  私ども会計検査に当たりましては、施設の建設それから設備の購入等につきまして、その価格が妥当であるかとか契約手続は適正になされているかという観点から検査をしておりますけれども、今までそういうことに関して特に指摘するような事態は見受けられなかったという報告を聞いておりまして、ただ、先ほど委員がお示しの事態につきましては、私どもの検査をする対象から外れているのではないかというように考えられますので、この点につきましては、事実関係を知った上においても、私どもとして検査権限の中でどこまで指摘することができるかというのは甚だ疑問であろうかと考えております。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 国の予算が使われておるのですが、そうなんですか。検査対象にならないのですか、国の予算が使われておっても。おかしいんじゃないですか。建築物もそうだし、入れる医療機械も、先ほどの御答弁で言われたとおりでしょう。国の予算が出る、どうして検査の対象にならないのですか。ならないわけを言ってください。
  112. 白川健

    ○白川会計検査院説明員 ですから、表向きの関係書類は全部我々検査しておるわけでございますけれども、その裏側の方でどういうことをやっていたかということについては私ども承知しておりませんという意味お答えしたわけでございます。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ十分マークしてくださいますね。  そこで、これはやはり庶民が不可解に思うことを一例だけ挙げておきますが、東大の形成外科、ここに患者さんが見せに行かれた、その教授が診察をされた、そして診察料、初診料ですか二百円取られた。それで、追って手術は知らせますということで帰っておったら、約一カ月たって、場所もわかっております、ある駅の前に建っておる普通の病院、何時に来なさいという連絡があった。それで、そこにその日行ったらその東大の教授さんが手術されるのですね。そして今度は抜糸はそれから一週間後東大の形成外科で同じ教授がやられるわけですね。どないになっておるのだ。東大の形成外科にはそういう手術をする――国立病院でしょう、東大といえば。シンボルじゃないですか。どうしてそういうことになるのでしょうか。患者さんは首をひねりひねり、なぜこういうことになっておるのか、国から予算がついているはずなのに、どうして手術室がないのか、東大の形成外科には。これも時間がないから厚生大臣調べておいてください。どうしてこういうことになっておるのか。文部大臣調べておいてください。よろしゅうございますか、調べておいてください。  もう一つは、国家公務員法の百四条で、もちろん国立の方は給料が少ないと思うから、アルバイトをされるのは、私は普通の公務に差し支えなかったらいいと思うし、その仕組みができていますね、公務員法の百四条によって。それで、この方はそのアルバイトをするについては内閣総理大臣または文部大臣の許可が要りますね。もう形成外科といえば一人しか教授がおられませんから、アルバイトの許可が出ておるのかどうか、調べておいてください。  以上でこの医療機器問題は終わらしていただきます。
  114. 下条進一郎

    ○下条国務大臣 今楢崎委員からいろいろと御調査の上のお話が出ましたけれども、私、厚生省といたしましては全く初耳でございます。それが我我といたしましては厚生行政にかかわることであれば、これはもう不正があってはいけないということで厳重に管理監督しているわけでございますので、私は不正がないことを信じておるわけでございます。  また、先ほど新年会のお話が出ましたけれども、これは千人からの業界、日本全体の業界の新年会に出席したわけでございまして、それから後どういう流れがあった等は我々は全く関知しておらないことでございますので、御承知願いたいと思います。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほど申し上げたとおり、厚生大臣があいさつされた方の会は問題ないと言っているのですよ。だから、厚生大臣が出られた会は、おっしゃっているとおりの正規の会ですから、それはいいのです。問題なのは、その後のことを言っているのです。  それから、そういうことがないことを信じておるとおっしゃった。それは信じられることはいいことですが、しかし、私はきょうあれだけ具体的に言っていますから、私も調査には協力をいたしますから、資料等もございますので、それを申し添えて、ぜひ調査をしていただきたい、こういう要望を申し上げて次に移りたいと思います。  それで、法制局長官、この前、自衛隊法の百条の五ですね、あなたの答弁では、この「国の機関」を行政官庁に限られておりますね。そうじゃないでしょう。あなたが筆を入れられております、この前申し上げました歴代の法制局長官が編集者になっている法令用語辞典、それには、三権分立だから、行政、司法それから立法、三つに分かれておる、国の機関は。立法の場合は「国会」と括弧して書いてありましょう。だから国会が国の機関になってもちっともおかしくないじゃありませんかというのが私のこの前の質問の趣旨なんです。そうすると国会のコントロールが及ぶ、百条の五に対してですね。首をひねられぬでもいいです、そうなっておるのですから。  そこで、もう一つ聞いておきますが、この百条の五「国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行う」と書いてあります。この中の「航空機による」というのは、自衛隊が持っておる全部の航空機、何でもいいのですね、防衛庁長官。法制局長官でもよろしゅうございます。
  116. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 今御質問のうちの前半の部分につきまして、私の方からお答え申し上げます。  まず、国の機関というお話でございました。国の機関といいますと、この今回のといいますか自衛隊法の百条の五あるいは自衛隊法施行令の百二十六条の十六に則して申し上げれば、国の機関というのは例えば、この前も申し上げましたが、最高裁判所長官をという場合にございましては、国の機関から依頼があった場合の国の機関は最高裁判所であろうと思いますし、また衆議院議長あるいは参議院議長という場合には衆議院あるいは参議院、こういうことであろうと思います。また内閣総理大臣その他の場合でございますと、行政機関それぞれ所管とするところがお願いをする、依頼をする、こういうことであろうと思います。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから先ほど私が言いましたとおり、国会であってもいいわけですよね、案件によれば。今の御答弁のとおりだと思います。  そこで、この百条の五の航空機は、いかなる空機でもいいわけですか。例えば戦闘機でもいいわけでしょう、F15でも。
  118. 渡部恒三

    渡部委員長 楢崎君、せっかく質問されたのですから、質問した答弁をお聞きになったらどうですか。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、さっきから聞いておるけれども、だれも立ってこぬから……。
  120. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 お答えいたします。  法文上航空機による輸送ということになっておりまして、航空機の限定はございません。それで、これについては、過去六十一年の十月におきます、まさにこの法律の改正を行いますときの国会答弁におきまして、航空機の種類の限定はないという旨の答弁がなされておるところでございます。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのとおりでして、何でもいいのですよ、これは。何でも、戦闘機でもいい。つまり法律というのは、一遍文章化されたらそうなるんです。このときは提案理由の中にいわゆる首脳会議、東京サミットの国賓、大統領クラスの国賓の輸送のためにフランスから買ったスーパーピューマ、これを送るのに使いたい、それが始まりだったわけです。ところがいつの間にか文章としては航空機になっておるものだから、何でも使える、こういうふうになるんです、法律というのは。しかもあの六月にもうサミットの送り迎えは終わっているんでしょう。百条の五が通ったのはいつですか。もう送り迎えが済んだ後でしょう。つまり私が言いたいのは、送り迎えのためにこの条項ができたんじゃない、スーパーピューマというヘリコプターを自衛隊のものにするための法律なんです、これは。はっきりしているんです、これは。そして、文章ではそれが入っていない、提案理由にはあったけれども。  ちょっと防衛庁長官、お伺いしますが、自衛隊の航空機について、航空機の使用及び搭乗に関する訓令というのがございますか。
  122. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 ございます。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 資料として出せますか。
  124. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 訓令でございますけれども、これは資料としてその趣旨のものを出すことはできるかと思います。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは理事会にぜひ出してください。今後にかかわる問題が含まれておりますので。  じゃ、その中に、その搭乗訓令の中に、その他長官が必要と認めた部外者という規定がありますか。
  126. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 恐縮でありますが、今直ちに資料が手元に出てまいりませんけれども、私の記憶ではそれはあったと思います。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あるんです。それは政府答弁の中にある。  これは私がどちらも質問したから覚えておりますが、昭和四十一年の十月二十七日、これは内閣委員会。これは私のほか何人かが質問されておる。例の防衛庁長官が鹿児島に自衛隊の飛行機を、そのときはYS11です、それを使って行っている。鹿児島から自分のふるさとへにしきを飾って帰るとき、今度はヘリコプターを使われたという問題であります。だから責任をとっておやめになりました。  二番目は昭和五十六年四月二十六日に起こったことで、これを取り上げたのは五十六年五月七日の内閣委員会であります。このときは石原慎太郎議員が小笠原に行かれて、そして裕次郎さん、私もファンですけれども、裕次郎さんが病が重いということで至急帰らなくてはならないようになって防衛庁に頼まれた。そしてあのときはUS1ですね。島だから飛行場がないから飛行艇で行かれた。  この両方のときですね。四十一年の元防衛庁長官のときは海原さんが、当時防衛局長か官房長か忘れましたが、それから五十六年五月七日の内閣委員会では塩田防衛局長答弁しています。どうしてそういうことができるか。それは搭乗訓令というものがあって、今さっき言ったとおり、その他長官が必要と認めた部外者はだれでも乗せられるのです。避難民に限らずですよ。在外邦人でもだれでも乗せられるのでしょうが。わざわざこの百条の五、何でつくったか。こんなものはつくらないでもいいのですよ。  ただ一つ意味があるのは、さっき言ったとおり、ヘリコプターを自衛隊のものにするという意味しかなかった。ところが、一遍法律ができてしまったら、そういう意味しかない百条の五に依拠して今度特例法令をつくった。むちゃくちゃですよ、これは。法制局長官、あなたも苦労された模様だが、むちゃです、これは。間違いですよ、この百条の五に依拠してやるのは。  それで今度、官房長官、お待たせをいたしましたが、この秋に政府機を買われるのでしょう。予算もついていますね、B747―400。これは伊藤忠商事が代理店で三百六十九億六千二百万で契約されて、そして日本への引き渡しはことしの八月、第一号機、ことしの十月、第二号機、そしてアメリカに行ってそれで訓練をして日本には十一月に帰ってくる。  官房長官にお伺いしますが、今のところこれは総理府所属だと思うのですね。所属になると思う、今のところは。しかし、今訓練しているでしょう、自衛隊の諸君を民間会社にやって、操縦とか運用とか維持のために。そうでしょう。そうすると、これがいよいよできていったときには、もう事の流れの次第では当然六十一年のヘリコプターのスーパーピューマと同じことになる。それでこれは法律をつくらざるを得ない。  これを私は心配するのは、さっき言いましたと同じように、これは当然総理なんかが外国へ行くときに使うのでしょう。つまり海外派兵、派遣、自衛隊の。今度の場合の特例政令は暫定的、一時的であったけれども、この政府専用機B747―400は、これは恒常的になりますよ。そして先ほど申し上げたとおり、747はさっきのスーパーピューマと同じ。747に限るようなアピアランスで法を改正して、実は航空機一般に入ってしまう、そしてこの政府専用機以外にも自衛隊の海外派遣に道を開く、そういう可能性が非常に多い。  だから今まだお決めになってないと思いますけれども、いずれその所属がはっきりした段階ではまた質問機会もあろうと思いますが、十分この点はシビアにお考えにならないと、この海部内閣ではたくさんの今までないような憲法に触れるような事柄がいろいろ出てきた。そしてこの政府専用機が十一月買われて、まあ十一月まで続くかどうかわかりません、海部内閣が。それは別として、これがもし自衛隊に移管されたら大変な問題が起こります。これはいわゆる戦後初めてのことになるでしょう、この海外派遣をいわゆる恒常化するという問題が含まれておりますから。  最後に官房長官のお考えを聞いておきたい。
  128. 坂本三十次

    坂本国務大臣 政府専用機の管理運用の問題については議員も御承知のとおり、今最終的な予算をお願いしておる段階で、それが通ったならば検討委員会で管理運営の方法を決めていきたい、こう思うております。しかし、今委員がおっしゃいました御意見については私どもも留意をしてお聞きをいたしておるわけであります。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、これで終わります。差しかわります。
  130. 渡部恒三

    渡部委員長 この際、菅直人君から関連質疑の申し出があります。楢崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。菅直人君。
  131. 菅直人

    ○菅委員 法務大臣、法務大臣の職責の中ではちょっと変わった分野になるかもしれませんが、法務大臣土地基本法の十七条というのを読まれたことがありますか。
  132. 左藤恵

    左藤国務大臣 土地基本法、ざっと読んだことはございますけれども、十七条を挙げて特に記憶をいたしておりません。
  133. 菅直人

    ○菅委員 ぜひ、この土地基本法十七条というのは、法務省の管轄されている土地登記に私は非常に関連を実態上持っている条項だと思いますので、また機会があれば読んでいただきたいのですが、簡単に言えば、ここに十七条いろいろありますけれども、「土地所有及び利用の状況地価の動向等の土地に関する情報を提供する」とかそういうことが書いてあるわけです。  私は、もう三年ぐらい前になりますけれども、林田法務大臣の当時にも、せっかく登記簿というものがあるんだから、それを土地情報のもっと何といいましょうか、例えば地価の動向とかあるいは固定資産税やいわゆる相続税評価額のデータをそれに加えて公表しておけばいろいろなプラスの効果が出るのではないか。例えばの例で言いますと、原野商法などというのがありますね。もともとの値段は坪五円だとか十円だとかというのに、いろいろうまく宣伝をして坪十万だとか二十万だとかで原野を売り飛ばす。これなども土地売買がきちんと登記簿に載せられて、しかも価格がきちんと載せられていればそういうばかなことは絶対不可能なわけです。しかし、日本の登記制度では中間登記の省略とかあるいは価格はもちろん書く必要がありませんし、そういう現在の登記の性格上そういったことになっていないわけです。  そこで、今法務省はこの登記簿のコンピューター化ということで相当の予算を使って大作業をやられているというように聞いているわけですが、どうでしょうか、こういった土地の基本的な情報のデータバンクとして土地登記の登記簿を使われる、そういう積極的な姿勢をお持ちかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  134. 左藤恵

    左藤国務大臣 我が国の不動産登記の制度につきましては、個々の不動産、物理的な現況とかその権利関係を登記簿に記載するということをして、そして公示をするということが目的でございまして、実際、今お話しのような問題につきまして、そういう点を趣旨、目的あるいは手続構造、こういったところから考えまして、非常に難しい問題であるというふうに考えております。  お話しのようなコンピューター化という問題も手をつけたわけでありますけれども、非常に時間もかかる問題でもありまして、すぐにもなかなか実行できない、順次にこれをコンピューター化していこう、こういうことで今やっておりますけれども、それは別といたしましても、そうした今のお話のような点を不動産の登記制度の前提であります当事者申請主義とかあるいは書面審査主義、こういう現行の体制の中では、今お話しのような個々のすべての不動産につきまして正確な売買価格とかそういったものを登記簿に公示するということは非常に困難であり、期待できないということもありますし、また、実態と乖離しましたような売買価格が登記簿に公示されましてもまた逆に取引を混乱させるというようなこともありますので、今の段階でこのことにつきましては実行するということは非常に難しい問題があるわけでありますが、そうした御趣旨の点もございますので、我々の方としては少しく検討はさせていただきたい、このように考えております。
  135. 菅直人

    ○菅委員 三年前の林田法務大臣のときから検討だけは約束をしてもらっているのです。しかし、私は率直に言いまして、大臣、これは法務省が本当にやられないのだったら法務省以外でやってもらうしかなくなってくると思うのですよ。自治大臣おいでいただいておりますが、自治省は土地については大変なデータを持っておられますよね。つまり、土地台帳というのは今、自治省がといいましょうか自治体が全部持っておられる。もちろん自治体が持っているということは、自治省はそれを把握しておられるわけでして、たしか二千数百万筆と言われる土地のデータを一番持っておられるのは、私はこの登記簿以外でいえば自治省の土地台帳ではないかと思うのですが、今後、この土地台帳についてこの委員会等でも、例えば固定資産税評価額の公表をお約束されたり、あるいは今回の国会に出ております地価税に関連しては、土地台帳について地価税としてもそれを見なければできないので供覧をする等々の法律の事項も入っているようですが、私は一歩踏み込んで今、登記簿などとも関連させてもっと国民にわかりやすく、そういったものを公表していくという姿勢がもっと迅速にやられていいのではないかと思っておりますが、自治大臣、見解を伺いたいと思います。
  136. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 固定資産税の課税台帳は、おっしゃいますように固定資産税を賦課するための基本的な帳簿といたしまして、地方税法の規定によりまして市町村において必ず備えつけておかなければならないものでございます。この中の記載事項につきましては、土地の所在、地番、地目、地積そのほか所有者の名前などいろいろなものが記載されるわけでございますけれども、基本的には、この課税台帳は課税をするための基礎資料ということでございまして、そういう意味から地方税法におきましても第二十二条の守秘義務の対象になっておりますので、これを第三者に閲覧させるということはなかなかできないわけでございます。そういう意味で、台帳そのものの公表ということは、これは非常に難しいわけでございますけれども、例えば平成三年度以降、路線価等の公開が逐次行われていくわけでございますので、こういう公開を行ったものにつきまして、これを一元的に管理するとかというような形で情報を提供することは可能なのではないかと思うわけでございます。
  137. 菅直人

    ○菅委員 国土庁長官国土庁長官はもちろんこの土地基本法の所管官庁ですから、この十七条の趣旨ということもよく御承知だと思うのです。つまり、この土地基本法をつくるころを含めて、今お聞きのように土地値段とか土地の問題は毎日のように週刊誌や新聞に出るわけですが、例えば、ここは五十億といったときに何が五十億なのか、実際の売買価格が五十億なのか、いわゆる課税対象としての評価が固定資産税で五十億なのか、相続税で五十億なのか、実はわからないわけです。あるいはこれから始まります地価税の議論も、じゃある会社が、ビッグビジネスがどこに土地を持っているのだ、これも自治省が守秘義務だからと言ったら全然わからない。この間のたしか昨年暮れの土地特別委員会で、一体どのくらい税収が取れるのだと言っても、大蔵省は、簡単には土地台帳がないから、名寄せができないからわからないと言っているわけです。国土庁はそういう状況を踏まえて土地台帳の整理をやりたいなどという意欲的なことをいろいろと発言をされておりますが、私もそれは大変期待をしている一人なのですけれども、今お聞きになった、法務省が管轄している登記簿とかあるいは自治省が管轄をされている固定資産税の台帳とか、そういうものを含めて国土庁としてどういう関連で土地台帳などを整理統合あるいは公表されようとしているのか、その方向を聞きたいと思います。
  138. 西田司

    ○西田国務大臣 お答えをいたします。  土地対策、特に当面の地価対策につきましては国土庁が窓口になって所管をいたしておるわけでございます。私も就任以来、土地問題は内政上の最重要課題と位置づけられておりまして、このことには積極的に勉強をし、取り組んでまいりました。  その中で、私は、今委員も御指摘になりましたけれども、一体国土庁でどれだけの土地情報を持っておるかということについて多大の疑念を持っておるわけでございます。それは、今までのいろいろな長い法律上の仕組みであるとか、あるいは今もお話がございましたが守秘義務であるとか、そういう関係がございまして、今日、率直に申し上げて国土庁で的確な系統的な情報というものを把握しておらない、このことは否定できない、このように思っておるわけでございます。  しかし、何といたしましても土地対策を進めてまいらなければなりませんから、現在国土庁といたしましては、必要な土地情報の範囲あるいは土地情報の管理システム、そういうあり方等について実は検討に入ったところでございます。そういう検討に入りまして、また土地政策審議会等にもお諮りをいたしまして、今委員が御指摘になったような今エアポケット的になっておる問題を何らかの方法で解決つけないと、総合的な土地対策はなかなか言うべくして難しい、こういう認識で積極的に取り組んでいこう、このように考えております。
  139. 菅直人

    ○菅委員 実際にはこれに大蔵省も関連はするのですが、自治大臣、自治大臣はまだ大臣に就任されてそう間もないわけですけれども、自治省が持っている土地に対する権限というのは、多分一般に国民的に理解されている以上に私は非常に大きいと思っているわけです。これはさきの予算委員会でも固定資産税評価の見直し問題について申し上げました。今は情報のいわゆるベースになるデータについても申し上げました。これは別にアメリカから言われたからやれと言うわけではありませんが、日米構造協議の中でもかなり問題となってきている課題の一つであります。ぜひ大臣にこういった問題について、もう少し前向きというか積極的に、日本の、何といいましょうか、土地政策がもっとオープンに行われ、そのことが国際社会でも理解を得られるような方向にしていくには、今自治省が持っておられるそういったデータ、登記簿は少なくともデータは全部オープンですから、もっと積極的に開示されていく方向が必要だと思いますが、大臣としてもう一度、もう一度というよりは初めてかもしれませんが、大臣の姿勢をお尋ねをしておきたいと思います。
  140. 吹田愰

    ○吹田国務大臣 ただいま菅先生のお話ですが、先ほど税務局長から答弁いたしておりますが、土地に対する登記の方は、これは登記所において管理し、それをしかも公開するという前提でこれはやっておりますが、自治省の関係における市町村土地台帳というものは、課税対象としての固定資産税の問題に直接影響があります。したがいまして、今日の二十二条の守秘義務というものによって管理されておるものですから、本人または本人が特に委任状等を出しまして見せてやってくれというような場合にのみこれが公開というか、その人は、直接所有者ないしは所有者と同じ権利としてこれに説明しているあるいは見せているという状況ですが、今のおっしゃるような方法で一連のそうしたデータベースに載せてどうというような問題につきましては今後の研究課題でしょうが、ただ、個人の守秘義務というものからいたしますと、簡単に進めることができるであろうかなという心配は残っております。ただ、今後また平成六年にはいよいよ見直しというような問題も出てまいりますから、そういったこと等を踏まえての路線価の問題での、総体的なその地域の路線地域において云々するということについての問題は、これはもうはっきり出てくるわけでありますが、個人の何兵衛さんにどう、どれだけの単価の土地であるというようなことは、やはり今後もこの点は関係省庁とも協議しますが、なかなか困難な問題ではないかなというふうに思っております。
  141. 菅直人

    ○菅委員 きょうは現物を持ってきませんでしたけれども、もう数年前に台湾に出かけたときに、台湾の地政局というところは、そういうちょうど私が言う登記とか課税台帳と一緒になったものが全部コンピューターに入っていまして、それが全部公表されているのですね。なぜ例えば吹田大臣がどこに土地を持っているということが公表されたら個人のプライバシーを侵害するのか、なぜ私が持っている土地が公表されたら侵害するのか。私は、土地というものがまさに土地基本法でも言われているように社会的な性格を持っている以上、これはダイヤモンドを幾つ持っているとかという話とは若干違うわけでありまして、都市計画とかそういうものになれば、当然社会的にこの土地をどうするかということになるわけですから、そういう社会性の非常に強いものを持っているということに対して、当然公表されてもしかるべきだと思います。  きょうはこの問題はこの程度にとどめますけれども、法務大臣それから自治大臣に特にお願い申し上げておきたいのですが、私は、どうしても自治省なり法務省がそういうことができないというのであれば、それらを全部どこかに一括してまとめるような、そういう方向性をやはり政府全体として考えてもらわなければ、国民として、自治省はこういう理由で守秘義務がある、法務省は別の理由で守秘義務なりあるいはそういう性格が違う。しかし国民は別に法務省のためと自治省のために生活しているわけじゃないわけですから、国民のためにそのやり方がおかしければ、一元化したやり方での情報管理、公開を求めなければならないわけですから、その点をよく念頭に置いて今後のこの問題に対応していただきたいというふうに申し上げておきます。  次に、これもまた法務省に関連をするのですが、借地・借家法の改正の動きがかなり煮詰まってきているというふうに伺っています。私不勉強だったのか、最初に借地・借家法と聞いた途端に、ああ、これは建設省から説明に来るんだろうというふうに頭の中でぽんとあったのですが、来られてみると法務省の方でして、これは権利の安定化等々のそういう私法の特別法なんだということをいろいろと講義を聞かせていただきました。  その講義は講義として、しかし実際には借地・借家法というのを一般の国民は、じゃあ自分が借りている家がどうなるんだろう、それじゃ自分が前々から借りた土地に建っている家がどうなるんだろうということを気にしますし、中には心配される人は、もうこれ以上、長い間住んでいた比較的安いアパートだけれども、今度は更新のときにいろいろ理由をつけられて追い出されるのではないだろうか、こういう心配を実際にしている人も多いわけです。そういった意味で、私はきょうは借地・借家法の改正の中身そのものに細かく踏み込むつもりはありませんけれども、そういった借地・借家法の持つ性格を法務省としてあるいは建設省としてどういうふうにとらえて、どういう目的のためにこれを改革する、あるいは改正する必要があるというように考えておられるのか、基本的なこの借地・借家法に対する認識と、そして改正というものを考えられているときのその目的、それについてまず法務大臣にお聞きしたいと思います。
  142. 左藤恵

    左藤国務大臣 今回のこの借地・借家法改正は、定期借地権などの導入といったような、借地に対します非常な最近の需要の多様化、そういった社会経済情勢のいろいろな変化に対応できますように、そういう立場から借地・借家の関係を合理的に調整して、そしてその円滑化を図ろうというのが目的でございまして、そういう意味から、今先生お話がありましたけれども、契約当事者間の権利を調整する民法の特別法というのが借地・借家法でございますので、その借地・借家関係の合理化、円滑化を図る改正をいたしまして、そして良好な借地・借家の供給を促していく。そういう意味で、結果としては住宅政策に資する面もあろうかと思いますけれども、住宅政策を目的とするものではなくて、今のそういう関係をもう少し合理的に調整していこう、こういう考え方で今回の改正を考えております。
  143. 菅直人

    ○菅委員 今供給を促すという言葉が一つ入っていたわけですが、それは具体的にはどういうことでしょうか。
  144. 清水湛

    清水(湛)政府委員 お答えいたします。  借地・借家法は大正十年に制定されまして、その後基本的な改正もなく今日まで来ておる。しかも、規制の仕方が非常に画一的であるということから、現在の社会経済情勢に対応し切れないということになっているわけでございます。そのために、貸す方もなかなか貸しにくい、借りる方も借りにくいというような状況が出ておるのではないか、こういうふうに考えられるところでございます。  そこで、現在の社会経済情勢に対応することができますように、先ほど大臣答弁されましたように、定期借地権というような新しい形での借地関係を導入するというようなことを現在考えているわけでございます。その結果といたしまして、例えば事業用の借地権というようなことで、一定の期間が経過すれば必ず返してもらえるというような新しい借地権の種類を認めるわけでございますが、そういうようなことによって借地の供給が促されることになるのではないか、その結果として住宅政策にも資することになるのではないか、こういう趣旨で大臣が御答弁申し上げたところでございます。
  145. 菅直人

    ○菅委員 これについて建設大臣、建設省としては住宅ということを中心にして、もちろん土地そのものもでしょうが、住宅の供給、あるいはその中でも民営住宅の供給も一つの責任範囲とされているわけです。  私が借地・借家法の問題で感じるのは、一方で幾つか心配があります。しかし、一方で非常に何か及び腰なところも感じるわけです。それは、いろいろ議論をしてみますと、きちんとした住宅としての受け皿というのか、例えばかなり弱い立場にいる人がこれを理由にして追い出されるのではないか、そのときにきちんとした、例えば木賃アパート群、古い木賃アパート群を建て直さなければいけない、そういう場合には、そういう立場にある人は例えばこういうところに移ってもらえば負担が大きくならないで大丈夫ですよというような受け皿が用意されているのか。あるいは、借家にしてもいろいろなケースがあるわけですが、今の定期借地権などにしても、そうするとどういう形だったらいわゆるアパートの経営などが成り立つのか、そういった仕組みなどともこの法律は相当関連してくると思うわけです。建設省側から見てこの法律の効果なり、あるいは逆に言えば、建設省側から見てこの法律をもう少しこういうふうに変えてもらいたいのだ、そういった方向性があれば、その関連も含めて見解を伺いたいと思います。
  146. 大塚雄司

    大塚国務大臣 お話の借地・借家法の改正につきましては、つい二月の四日に法務大臣に法制審議会から答申があったようでありますが、これらの問題につきましては、従来建設省も参加をしていろいろと意見を申し上げてきたところであります。既に御承知のように、木造中心主義から耐火建築物が主流をなすような時代になったのですから、当然そういう意味では改正をしようということは基本的にあると思いますが、今度の借地権は、普通借地権と定期借地権とこういうものができて、今問題になっております借家権も含めて、一度貸してしまうとなかなか立ち退いてくれない、そのことによって民間の住宅を経営される方方がやはり貸し家の事業をやるのはもうやめようというような空気も実際にはございます。そういうものに対して、このたびの借地・借家法の改正が出ますると、確かにこれらの制度を導入することによっていわゆる貸す方々が土地や建物の返還に不安がなくなるという意味では供給がふえていくであろう、こう思うわけであります。  しかし一方、今お話しのように、従来借りておった方々がこの改正によって追い出されてしまうのではないかとか、あるいは、従来のような話し合いの中で、例えば立ち退き料等にもいろいろな影響が出てきやしないかとか、これは確かにあると思うのであります。しかし、その辺は、特に正当事由の判断に当たりましてはいろいろな判断要素の明確化ということを今度の改正案では考えておられるわけでございまして、その中には、例えば借地・借家に関する従前の経過であるとか、あるいは建物を貸したり土地を貸している利用状況であるとか、そういうものをやはり考慮して明文化をする、あるいは立ち退き料の提供があればそれらも考慮に入れて正当事由の有無を判断するというようなことも取り入れられていくはずでございますので、確かに不安がないとはしませんでしたが、私はこのことによって権利者を、いわゆる借りている方々のことも十分配慮して対応ができるもの、このように考えておるところでございます。
  147. 菅直人

    ○菅委員 私は、建設大臣には特に、もしこの法律の改革を進めるのであれば、建設省として、そういう弱い立場にある人が単にこの法律で守られるというのではなくて、住宅がきちんとそういう人たちに手当てされる。例えば私の地元などでも、もうお年寄り、七十歳、八十歳で一人の方がアパートを借りようと思っても貸してもらえないというのですね。不動産屋さんに行っても貸してもらえない。ですから、三鷹市などでは、市が一たん借りたものをそういう人たちに貸しているという制度もできているぐらいでありまして、そういった意味では、そうでなくともかなり厳しい状況がある中で、こういった制度がいわばそういう弱い立場にある人を、立ち退きという言葉も今大臣からありましたけれども、逆に早く出ていってくれ、そうしたらこれを建てかえられていいんだからということに使われかねない。そのときに、もし使われるということになるなら、逆に言えばそういう人たちがきちんと別の公的住宅などで受け皿があるという、そういう形を私は建設省としてはあらかじめ用意するという立場が必要だと思いますが、その点もう一言伺っておきたいと思います。
  148. 大塚雄司

    大塚国務大臣 現行の制度ですと、公営住宅の入居者で、例えば収入がオーバーをして割り増し家賃を払うという制度もありますが、立ち退いてくれという場合もしばしばあるわけでありますが、そういうときには公団住宅等が対象になってあっせんをするというようなこともやっておるわけであります。ただ、民間の住宅で、例えば公的な再開発をやるとか、あるいはそういう意味での都市改造をやる、あるいは住宅改良をやるというような場合には当然その手だてをすることができますけれども、一般の民間の賃貸住宅を立ち退くときに公的な住宅をというようなわけにはなかなかまいらぬと思いますが、これは、この法律ができて、これから運用の中でやはり権利者を、借地権なり借家権を持っておられる方々、言うならば弱い立場の方々を守ろうという思想を持ってそれぞれの住宅行政を進めていくということになろうかと思います。
  149. 菅直人

    ○菅委員 もう一点、法務省にこの点だけは確認をしておきたいのですが、今回出される法律の場合には、既に入っている人、既に借地権や借家を借りている立場の人にはこの法律は適用がないのだというふうに伺っております。また、今問題となっておりましたいわゆる正当事由についても、当初判例を変えるものではないという説明もあったのですが、これも含めて適用しない形で法律を出すのだというふうに聞いておりますが、そういう認識で間違っていませんか。
  150. 左藤恵

    左藤国務大臣 今回法制審議会からいただきました御答申の中の借地法等改正要綱という形では、今のお話の契約の更新を拒絶するために必要な正当事由の内容を明確にするというふうなことが一つの条件になるというふうに書いてございます。こういう改正でございますけれども、これは、新しい改正、既存の借地・借家の問題には適用しないという方向で現在法案の準備をいたしておりまして、新しい改正後の法律の規定の中にそういったものが入る、こういうことでございます。
  151. 菅直人

    ○菅委員 借地・借家法はこれから出てくる法律ですから、内容的なところはまたそれぞれの委員会で審議をされると思います。  しかし、ぜひ法務省及び建設省にお願いをしておきたいのは、先ほど建設大臣は施行されてみてその結果を見ながらというような趣旨のことも言われましたけれども、私はそれじゃちょっと危ないのじゃないか。つまり、この法律が改正されるならされるとして、どういういわば効果というか、あるいは逆に言うと副作用を生むかも予測しながら、確かに公的住宅の建てかえのときなどは移れるわけですけれども、こういう個人の住宅の場合は移る制度がないと言われますけれども、実際には公営住宅など本来はそういう趣旨でつくられたものが必ずしもそういう趣旨に使われていない場面もあるわけですから、このあたりは専門家の建設大臣としては、あらかじめこういったものが施行されたときにどういうことが起きるのかということを予想した上で対応ができるのか、またそれができなければこういった改正も逆に言えばまだ時期尚早ということにもなりかねないと思いますので、その点については常に、どちらの権限ということではなくて、あわせた形としてあらかじめ検討をいただきたいということを特に申し上げておきたいと思います。  あと残された時間で少し。前回の予算委員会でも都市計画について幾つかの点で建設大臣議論をさせていただきました。大塚大臣は東京の選出ですし、私はこれは象徴的なような気がするのです。つまり、これまでの建設省の仕事というのは、いい悪いというのじゃなくて、やはり一つの国土の開発というのか、場合によったら山を削ったり海を埋めたりあるいは道路をつくったり河川をいろいろと土手をつくったり、そういうまさに、どちらかといえば公共事業とでもいうのでしょうか、そういうものを全国レベルで実施をする、そこに非常に重点が置かれてきたと思うわけです。  しかし、戦後四十五年間たって、今日の日本を見ると、もちろんまだまだ不十分な面もありますけれども、基本的にはそういった分野の充実はかなり進んできておる。逆に、都市においての生活、これは別に大都市東京だけを言っておるわけじゃなくて、国民の大部分は大都市、中都市、小都市まで含めれば、大部分の国民が今や都市生活をしている。下水道があったり歩道があったり、そういう中で生きているわけです。そういう中にあって、これからの建設省の役目、建設行政というのは、いわゆる四百三十兆円で山を削ったり海を埋めたりということではなくて、本当に、衣食住という言葉がありますけれども、その住生活、これは住宅はもちろんですが、都市の道路の問題、歩道の問題等々含めたそういう住宅生活の、いわば住生活環境庁、環境省といったような、そういう性格に重点が移る時代的な要請があるのではないか、また移るべきではないかというふうに私は思っているわけです。  そういった意味で、大都市選出の大塚議員が大臣になられたことは、ある意味では象徴的ではないかとも期待を含めて思っているわけですけれども、そういった基本的な認識についての大臣の見解を伺いたいと思います。
  152. 大塚雄司

    大塚国務大臣 過般のお話でも、計画なきところに開発なしという原則に立ってという御指摘もございました。  ただいまお話しのように、日本列島三十七万平方キロ、農地、森林そして市街化調整区域、市街化区域、それぞれの目的に従っていろいろな法律の規制があるわけでありますが、国土全体のマスタープランと申すべき全国総合開発計画、現在は第四次でありますが、それに従いまして、全国の都道府県が都道府県単位にそれぞれその県の土地の利用計画についてもいろいろ定めておるわけであります。しかも、いわゆる市街化区域の中では、都市計画法による都市計画決定に基づきまして開発すべきものも、また、住宅につきましてもいろいろな定めをいたしておりまして、その中でとりわけ用途地域というものが八種類あるわけでありますけれども、必ずしもその用途地域のとおりにいっていないわけではありませんが、そのものが都市の環境等にいろいろな問題もなしとはしない。例えば、住居地域に住居だけではなくていろいろなものが混在して環境を悪くしている、あるいは準工業等に住宅が建って、これもまた余りいい環境の住宅ではないという例はうんとあるわけでありまして、この一月に実はそれらの問題をきちっとしようというので、都市計画中央審議会に、経済社会も大きく変わったわけでありますから、都市計画のあり方について諮問をいたしまして、年内に答申をもらって、それに従ってもろもろの改正をいたそう、こういうふうに考えておるわけでございます。  特に、許可の問題について、この間は建築基準法も許可制度にというような御提言までいただきました。私も勉強させていただくというお答えをしたわけでありますが、大体市街化調整区域は開発をするときは開発許可制度がございますし、また市街化区域の中でも土地の形状を変えるようなものはもちろん開発許可をするわけでございますし、その他大規模の住宅を建てるような場合やあるいは再開発をする場合には、地区計画であるとか、再開発地区計画であるとか、それぞれ諸条件をやはり地方自治体が中心になって許可をしていくという制度があります。ただ、建築基準法はあくまでも建物の一つの基準に合致しているかどうかという確認をすることになっておりますが、それも年間百万件からあるわけでございまして、これを直ちに許可にすることによって都市の環境をよくすることに役立つかどうかはまだしばらく勉強させていただきたい。  しかし、全体としては、今御指摘のように、これからの二十一世紀へかけての日本列島全体の土地利用計画は、まさに環境を重視しながら、そして、住む方を中心に考える。実は、建設省の公共投資も二十年前から比べますと、道路などは全体公共投資の六〇%を占めておったものが今日では四〇%、あるいは都市公園はそのころ二十年前は〇・一%であったものが現在二・三%、下水道は二・五%が一六・七%、住宅は七・四%が一七%というぐあいに生活環境や文化機能の公共投資に比重をずっと置きかえてきておるわけでございまして、これからはますます住んでいる方々の生活密着型の公共投資にやっていこう、特に四百三十兆円のスタートでありますから、そんなことを心得てやってまいる所存でございます。
  153. 菅直人

    ○菅委員 国土庁長官に、先ほど土地政策審議会の話が出ました。土地政策審議会はもちろん土地に関連しての基本政策を審議をされていると思うのですが、私は、この審議会でもいよいよ土地の利用についての審議が始まるんではないか、あるいはもう既に一部始まっているというふうにも聞いておりますが、これは建設省が管轄をされている都市計画中央審議会などとも内容的には非常にダブるところがあると思うわけです。しかし、それはそれとして、国土庁の立場でこれからの土地の利用についてどういう考え方を持つべきなのか、大いに議論をしていただきたいわけですが、そういった土地政策審議会を中心とした土地利用についてどんなふうに議論されているのか、考えられているのか、見解を伺いたいと思います。
  154. 西田司

    ○西田国務大臣 土地対策を進めていきます上で、御指摘になりました土地利用計画というのは非常に重要な役割を持っておる、このように私は考えております。  その第一点は、やはり大都市、特に大都市の良好な環境というものを土地利用計画の中でどうつくり上げていくかということがまず第一点として考えられなければいけないと思っております。それから、もう一つは、限られた土地でございますからこれを有効、高度利用をしていくという観点からも土地利用計画というものは極めて重要なことである、このように考えております。それから、私が直接現在、今取り組んでおります当面の地価対策、こういうものに資するためにもこの土地利用計画というものは極めて重要な役割を果たしていく、関係省庁との連携を密にして取り組んでいかなければいけない、このように考えておるわけでございます。  そこで、国土庁といたしましては、既に委員も御承知のとおり、一月二十五日に総合土地政策推進要綱というものを閣議決定したわけでございますが、その中で、一つは広域的な計画というものを今後充実させていく必要があるのではないか、町づくりの詳細な部分に入り込んでいく必要があるんじゃないか、こう考えております。そして、それらを進めていきます上にも、行き当たりばったりではいけませんから、まずマスタープランというものを、かなり細かく都市計画の詳細性の確保を図りながら、やはりマスタープランというものをきちっとつくり上げていく。その中には地区計画というものもきちっと位置づけられながら積極的に推進していくことが必要ではないか、このように思っております。  それから、そういうものを進めていきます上で、用途規制のあり方、これもおろそかにするわけにはいかない。もちろん、経済や社会の変化が起こっておりますから、十分に土地利用計画というものは関係省庁との連携の中でかなり検討は進めていかなければいけないことだと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、土地利用計画というものを基本に置いて合理的にこれからの新しい町づくりというものの中に入り込んでいかなければいけない、こういう基本的な認識で取り組んでおるわけでございます。
  155. 菅直人

    ○菅委員 国土庁長官と、特に建設大臣、この間の議論を聞いていると、今もマスタープランという表現がありました。確かに私なども、当初は全国の土地を考えて、三十七万平方キロを考えて、ここはこういうふうに使おう、そしてそれを都道府県単位で考えて、あるいは市町村単位で考えて、さらには地区ごとに考えてというふうな発想法でいけるのじゃないかと思ったわけです。しかし、どうもそういう物理的に絵をかいていっただけでうまくいくのか。  例えば、先日も聞きましたら、地区計画がカバーされている面積というのは、たしか用途区域が重なっているところで一%にはまだ達していないということですよね。あるいは従来からあるいろいろな文教地区とかいろいろな何とか地区指定なども面積でいうとせいぜい二%とか三%とかというところなわけです。つまり、何といいますか全体の都市的な土地の中でほんの一%とか二%という単位程度のところで地区計画がやられています、あるいはこういった制度があります、こういうのがありますと言われても、じゃ、残された九十数%のところはどうなっているのか。実は全く手がついていないわけです。  二言目には、それは市長さんがやらないんだ、知事さんがやらないんだと言うけれども、そう言われても、そんな厄介なことにわざわざ手を出そるとする市長さんがそうたくさんはおられないわけでして、どうも私は、絵で見て、全体、中間、詳細という形だけではだめなんじゃないか。いわゆる都市計画というもののつくる手法そのものを考えない限りは、これは本来的には広がってもいかないし、実効性も持たないのではないか。東京都でよく言われるように、もう三十年前から決められた都市計画決定の道路が何十本と動かないでいる、あるいはそれに類する話が山とあるわけです。これも含めて、計画そのものをつくるあり方を考えなければいけないのじゃないか。私は、この審議会でもそういう視点も含めて、前回の予算委員会で、先ほど大塚大臣も言われたように、計画決定のあり方を考え直すことを検討していただきたいというふうに申し上げたので、この点は両大臣とも、ただマスタープランがあればうまくいくという考え方では私はどうも行き詰まっているというふうに思いますので、その点を指摘しておきたいと思います。  もう時間がありませんので最後になりますが、この間いろいろな議論をしてみまして、建設省の役所の中の組織のことですけれども、どうも宅地とか都市計画とか住宅というのがばらばらなんですね。都市局であったり、住宅局であったり、建設経済局であったり。せんだっての私が質問をした開発許可制の問題でも、これは建設経済局だ、同じ法律のこれは都市局だ、これは住宅局だというふうに分かれていると聞いて、局が分かれているからどうこうと言うつもりはありません。そういうつもりはありませんけれども、少なくとも、先ほど用途地域の問題も言われましたけれども、まさにそれらは全部都市環境というところに重なり合う問題ですから、そういうことが役所ごとの、また省内的役所の縦割り行政にならないように、きちんとまさに総合的な形で対応ができるようにしていただきたいという要請を最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  156. 渡部恒三

    渡部委員長 これにて楢崎君、菅君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして一般質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時六分散会