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1991-02-25 第120回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月二十五日(月曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 渡部 恒三君    理事 大石 千八君 理事 鹿野 道彦君    理事 近藤 鉄雄君 理事 二階 俊博君    理事 増岡 博之君 理事 加藤 万吉君    理事 佐藤 敬治君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    愛野興一郎君       粟屋 敏信君    内海 英男君      小此木彦三郎君    越智 伊平君       倉成  正君    古賀  誠君       後藤田正晴君    志賀  節君       武部  勤君    津島 雄二君       戸井田三郎君    萩山 教嚴君       浜田 幸一君    林  義郎君       原田  憲君    町村 信孝君       松永  光君    松本 十郎君       村田敬次郎君    村山 達雄君       綿貫 民輔君    五十嵐広三君       串原 義直君    小岩井 清君       嶋崎  譲君    新村 勝雄君       新盛 辰雄君    辻  一彦君       戸田 菊雄君    野坂 浩賢君       藤田 高敏君    武藤 山治君       和田 静夫君    石田 祝稔君       日笠 勝之君    冬柴 鐵三君       木島日出夫君    佐藤 祐弘君       中野 寛成君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         法 務 大 臣 左藤  恵君         外 務 大 臣 中山 太郎君         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         文 部 大 臣 井上  裕君         厚 生 大 臣 下条進一郎君         農林水産大臣  近藤 元次君         通商産業大臣  中尾 栄一君         運 輸 大 臣 村岡 兼造君         郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君         労 働 大 臣 小里 貞利君         建 設 大 臣 大塚 雄司君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     吹田  愰君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 佐々木 満君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      谷  洋一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 池田 行彦君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      越智 通雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      山東 昭子君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 愛知 和男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西田  司君  出席政府委員         内閣官房長官 大島 理森君         総務庁長官官房         審議官内閣審         議官      小山 弘彦君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  宝珠山 昇君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁経理局長 村田 直昭君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁建設         部長      黒目 元雄君         経済企画庁物価         局長      田中  努君         科学技術庁原子         力局長     山本 貞一君         科学技術庁原子         力安全局長   村上 健一君         科学技術庁原子         力安全局次長  長田 英機君         国土庁長官官房         長       八木橋惇夫君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         法務省保護局長 佐藤 勲平君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省中近東ア         フリカ局長   渡辺  允君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         大蔵省主計局長 保田  博君         大蔵省理財局次         長       田中  寿君         大蔵省国際金融         局長      千野 忠男君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房予算課長   山本  徹君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省畜産         局長      岩崎 充利君         食糧庁長官   浜口 義曠君         通商産業大臣官         房審議官    横田 捷宏君         通商産業省通商         政策局次長   麻生  渡君         資源エネルギー         庁長官     緒方謙二郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       向 準一郎君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君         消防庁長官   木村  仁君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     萩山 教嚴君   越智 伊平君     武部  勤君   加藤 紘一君     古賀  誠君   佐藤  隆君     町村 信孝君   新盛 辰雄君     小岩井 清君   菅野 悦子君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     加藤 紘一君   武部  勤君     越智 伊平君  萩山 教嚴君     小此木彦三郎君   町村 信孝君     佐藤  隆君   小岩井 清君     新盛 辰雄君     ───────────── 二月二十五日  平成二年度一般会計補正予算(第2号)  平成二年度特別会計補正予算(特第2号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成三年度一般会計予算  平成三年度特別会計予算  平成三年度政府関係機関予算  平成二年度一般会計補正予算(第2号)  平成二年度特別会計補正予算(特第2号)      ────◇─────
  2. 渡部恒三

    渡部委員長 これより会議を開きます。  平成三年度一般会計予算平成三年度特別会計予算平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 日本時間で二十三日の午前二時に、アメリカを中心とする多国籍軍最後通告の勧告に対してイラク軍はこれを拒否して、二十四日の午前二時に多国籍軍地上戦に突入をする旨を発表して午前十時に地上戦開始をされたということは御存じのとおりであります。  我々日本国民を初めとして世界の人類は、何としても犠牲の多い人間の殺りくを何としても避けたいということを心から期待しておりましたけれども、このような事態になったわけであります。私どもは、一日も早くこの戦いが終息をして平和の回復を図っていかなければならぬ、そういうふうに思っております。  そこで、外務大臣お尋ねをいたしますが、ソ連和平案アメリカ無条件撤退案、それぞれに発表されたわけでありますが、この間、日本政府内閣はこれらを検討して、最終的に多国籍軍の態度を支持するということをお決めになったわけでありますが、しかも、たしか二十四日の午後二時に湾岸対策本部はそれを決定をしたというふうに報道をされております。その間の情報収集あるいは検討、このような点についてはどのような手段なり方法なり、それによってお決めになったのか、その間の経緯と経過お話をいただきたいと思います。
  4. 中山太郎

    中山国務大臣 今回の経過につきましては、政府といたしましても、この日限が切られた中でのソ連和平案をめぐって、イラク政府声明等あるいはアメリカ大統領声明等めぐりましていろいろと問題点が存在したことは事実でございます。  問題点は、国連安保理決め安全保障理事会決議六百六十の完全実施から始まる六百七十八に至るこの諸決議が完全に実施されるということが国際社会要請でございましたが、イラク政府はなかなか、このいわゆる全面受諾に同意せずにいろいろと条件をつけておったということも、日本政府としては問題点認識として持っておりました。  まず、御案内のようにソ連和平案というものについては、ソ連ゴルバチョフ大統領の極めて積極的な努力日本政府も高く評価をいたしておりましたが、イラク政府との間に同意されました六項目、この中にはいろいろと問題点が存在をいたしております。  まず、このイラクのいわゆるソ連和平案を同意する、受諾するという話の中には、決議六百六十一号の経済制裁、それから六百六十二号のクウェートの併合の無効、あるいはまた六百七十四の損害賠償にかかわるような事項といったような決議は、すべてこれが無効になるというようなことが含まれておりまして、この安保理決議完全実施できないということ等も私どもはまことに残念に思い、このソ連提案というもの、ソ連和平案というものが問題点を非常に多く残しているということで、この多国籍軍決定というものについて私どもは十分検討いたしました結果、日本政府としては、この六百六十に始まる安保理決議即時受諾無条件撤退クウェート正統政府の権利の復活というこの基本原則等を含めて、私ども国際社会の正しいあり方、また、平和を求める日本としては、一方の国が武力で隣国を制圧するというようなことは認められないという日本考え方について、不適切であるという判断のもとに、多国籍軍を支持するという政府意思決定したわけであります。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 ソ連案項目等についても、ゴルバチョフ大統領から日本側連絡もあったというふうに我々も聞いておるわけでありますが、それらの検討の上で六百六十一、六十二あるいは七十四、そういう総合的に検討して多国籍軍の支持に踏み切った、その踏み切った時間はいつごろですか。
  6. 中山太郎

    中山国務大臣 政府決定を、政府として湾岸対策本部を開いて決定をしたのは、昨日の午後二時でございます。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 昨日の午後二時に湾岸対策本部を開いて決定をした、その間に、二十三日の午前に東京のホテルで総理大臣外務大臣会談をされたという経過報道されておるわけでありますが、決定をしたというのは既に地上戦が始まって四時間後ということになるわけであります。矢はつるを離れてから決める、事前にEC各国ではそれを支持するという連絡と相談、特にブッシュ大統領は多国籍軍とも十分話し合っての結論だということでありますが、その火ぶたが切られた後四時間後というのが我々はなかなかわかりにくいということであります。したがって、終わってしまってから、言うなれば表現が非常に悪い、適切ではないかもしれませんが、泥棒を見てから縄をなうというような後追いという格好になっておる。常に日本政府はそういう後追いの状況が続いておるのではないのか。検討してその上で決定をするということが必要ではなかっただろうかというふうに思うのですが、いかがですか。
  8. 中山太郎

    中山国務大臣 時間的な流れをこの機会に少し申し上げておきます。  これは私の立場での流れでございますが、流れ全体といたしましては、二十三日の零時四十分に、これは日本時間でございます、ブッシュ大統領記者会見を行っている。二時五十分にフィッツウォーター報道官記者会見をやり、三時三十分にイグナチェンコ・ソ連報道官が六項目の発表を行う、そして未明にブッシュ大統領ゴルバチョフ大統領との電話会談が行われた。さらに同じ未明にイラク革命評議会声明が発せられる、八時にキミット国務次官から村田大使電話連絡がございました。  そして私は、十二時三十分にアル・リファイ在京イラク大使外務大臣室に招いて、この非常に差し迫った時期に平和のために、そして一人でも多くの人が死んだりけがをしたりしないように、イラク政府、サダム・フセイン大統領に即刻この安保理決議受諾するように日本政府としては最後要請をさせてもらうということを申し上げたわけであります。  同じ一時にアマコスト在日大使が来られまして、私にいろいろとアメリカの話をされましたが、私はその際にこう申し上げました。どういうことになろうと一般無辜の市民が殺傷されないような十分な配慮というものがなければ、国際社会はこの問題について大変な痛みを感ずるであろう、私はそのようにお伝えをし、できる限りあらゆる軍事行動というものは軍事拠点に向かってひとつ集中してやってもらうべきだ、こういうことを要請をいたしております。  それで夕刻の六時三十分になりますと、アジズ外相が六項目提案受諾表明をいたしまして、九時十五分に今度は公邸におる海部総理に対してブッシュ大統領から電話がございました。きのうの午前一時三十分に安全保障理事会緊急会合が開かれております、ニューヨークでございます。それから、午前二時が撤退期限切れ安保理決議期限切れになるわけでありますね。そして午前二時三十分にゴルバチョフ大統領から海部総理電話が入って、この問題のさらなる努力要請したいということの連絡がございました。十時に地上戦開始をされるということで、私どもの方には地上戦に入る前に、ワシントンにおいてアメリカ国務省からブッシュ大統領声明前に連絡があったということは事実でございます。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 アメリカソ連との、六項目あるいはアメリカの要求、似通ったところもありますが、今お話があったように賠償の問題やクウェート原状回復問題等、若干の問題点があるということは事実であろうと思うのであります。しかし、今お話がありましたように、この地上戦によって無辜の民の方々が殺りく、殺傷のないように一日も早い平和を期待するというお話外務大臣からアマコスト大使にもお伝えになった。このような状況の中で、今後日本政府ほどのような方向で、速やかな平和を回復をするという具体的な方策があればお聞かせをいただきたいということが一点。  ソ連の六項目提案については、あなたがお話しになりましたように評価すべき点多々ある。ブッシュ大統領も高く評価をすると言いながらも、それについては拒絶をして地上戦に踏み切った。これが事実であるわけでありますが、これによってアメリカソ連との問題点は残ることがないだろうかということを非常に危惧するわけでありますが、それらの点についてどのようにごらんになると同時に、日本政府のこれからの動きというものについて具体的に御説明をいただきたいと思います。
  10. 中山太郎

    中山国務大臣 現在の時点外交的に日本が動くということの幅というものはまだ少ない。それは、我々が今現在やらなければならないと思って海部総理の命を受けて私が指令をいたしておりますことは、ニューヨークにおります国連日本代表である波多野大使に対しまして、国連事務総長、これを徹底的に日本政府はサポートして、そして和平への転機をつかむように努力をするべきである。それからイラク国連代表に対しては、即時安保理決議受諾をするように強く要請をさせております。この問題が一挙に解決するとすればそこの問題点から発展してくる、こういうことで実は考えておりまして、私も最後アル・リファイ大使に、もう時間が切れるから即刻フセイン大統領日本政府のこの受諾への最後要請を伝えてもらいたいということを直接申しました。  また、米ソ関係につきましては、ゴルバチョフ大統領ブッシュ大統領との間の電話会談というものは一度ならず行われております。しかも、長いときは一時間半くらい行われているということで、双方とも和平に対する努力はお互いに話し合いが十分行われていた、こういうことが述べられておりますし、イグナチェンコ・ソ連大統領報道官報道を見てみても、米ソ双方とも努力をしたが遺憾ながら戦争の状態になった。私は、この米ソ間の話し合いというものは、現在のところ、そんなに我々が危惧するようなことではなしにいろいろと話し合いが行われている、そのように認識をいたしております。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 アメリカ提案ソ連のまとめた六項目とを比較してみますと、時間的にも非常に短くアメリカはやっておられる。ソ連は四日以内とか二十一日に撤退する。アメリカは四十八時間とか一週間という非常に狭まっておりますね。言うなればアメリカのねらいとしては、兵器その他はそのまま放棄してイラク側に引き揚げろという内容になっておるわけであります。  そこでお尋ねをしたいというのは、この国会でしばしば総理外務大臣が御答弁になっておりますように、問題はクウェートから無条件完全撤退をすることだ、それによって平和は来すんだ、こういう御答弁が何回となく繰り返してありました。このアメリカ最終通告を見ますと、あなた方がおっしゃっておる点はもちろん国連決議でありますからそのとおりでありましょうが、言うなれば将来イラクがアラブに君臨するといいますか、影響力を持つということ、さらに、そのためのフセイン体制の打倒、こういうふうに外国の諸君たちも評論をしておりますし、日本の中でもそのような目で眺めておるというのが今の状況ではなかろうか、そういうふうに思うんです。それらについて、外交最高責任者であります外務大臣ほどのようにお考えであろうか。  あわせて、それらの軍事面から見て、フセインを打倒しなければ将来の中東の安定が来ないというような認識なのかどうか。それらについて、外務大臣なり、補足ができれば防衛庁長官もどのようにお考えか、あわせて伺っておきたいと思います。
  12. 中山太郎

    中山国務大臣 ブッシュ大統領の演説の中にこういう一節がございます。モスクワでアジズ外相が六項目ソ連和平提案受諾すると言っているときにクウェートでは百九十本の油井に火を放っている、天を焦がすような黒煙クウェートの四分の一の上空を覆っているということを言っておりまして、この現実和平への努力とやっていることとが余りにも大きな乖離があるじゃないかということをブッシュ大統領は非常に残念に思っておったわけでございます。  なお、現在、アメリカ軍だけではなしに、この地域の平和を回復するためには、アメリカ、イギリス、サウジアラビア、クウェート軍エジプト軍シリア軍、こういうものが主として陸上、また空には、米、英、クウェート、イタリー、カナダ、ア首連、バハレーン、カタール、フランスといったような各国が、また、米、英、サウジとクウェートといったような海上兵力が展開しておりまして、まさに多国籍軍としてこの平和回復活動協力をしているというのが現実の姿であろうと思います。  なお、私どもは、いわゆるクウェートからの無条件撤退、それで平和の回復がされた後の正統政府、これが認められるということの国連決議が認められれば、我々はそれで国連決議目的が果たされるという認識に立っております。
  13. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  今回の事態というのは、国連決議に基づきまして、イラク軍クウェートからの完全無条件撤退を実現する、そういったことを目指しまして、これまで国連加盟諸国において、また多国籍軍においてあらゆる努力は積み重ねた上で、最後手段としてとられた事態であると考えておりまして、あくまでその目的クウェートからの即時無条件の全面的な撤退を図る、こういうことであろうと考えております。そしてまた、その意味するところは、先ほど来外務大臣からの御答弁のとおりと私ども認識しております。
  14. 野坂浩賢

    野坂委員 大臣、今これから平和回復手段殺りくの最低限なもの、こういう意味デクエヤル事務総長に向けて日本の希望といいますか要望をお伝えをするということでありますが、今も激戦が続いておるわけですね。直ちにデクエヤル事務総長書簡を送り、あるいはその回答等をお聞きになって、ブッシュさんと海部さんがお話しになったように、総理または外務大臣が直接に平和回復のためにぜひ奮闘を願いたい。具体的な方策を、安保理等も開催をして非公式にもやっておるわけですから、日本としては最大努力を要望するという意味話し合いをするべきではなかろうか、そういうふうに思うんですが、いかがでしょう。
  15. 中山太郎

    中山国務大臣 委員御指摘と同じように私ども政府考えておりまして、一月十五日の午前十時に私はデクエヤル事務総長国連本部に訪ねて約三十分間お話をし、デクエヤル事務総長はこう言われました。もう最後の時間まであと十四時間しかない、自分は全力を払って努力するけれども、ひょっとしたらまずい結果になるかもわからない。しかし、日本政府は、いかなるときでも必ず和平のために事務総長に御活躍をいただかなければならないと考えておるし、そのために日本政府ほどのようなことでも事務総長をサポートしながら協力をしていく用意があるということを既に伝えております。  また、昨日の未明までにニューヨーク波多野大使に対しましてデクエヤル事務総長あて日本政府意思をさらに伝えておりまして、我々としましたら、必要であるときには我々ができるだけのとり得る手段を使って和平の構築のために国連事務総長協力していくということは申すまでもありません。
  16. 野坂浩賢

    野坂委員 外務大臣がお会いになったときはまだこのような激闘という時期ではなかった、期待があった。しかし、今、既に矢はつるを放れて激しい戦闘が行われておるというのが現状でありますから、この状況の中で、日本が平和を志向し、日本国民期待をする和平実現のために、余りにも世論は、日本外交は極めて弱い、こういうふうに言われておるというのが現状なんですから、外務大臣としては事務総長等にも直接連絡をとって日本国民の願望にこたえるように、あるいはその他ソ連アメリカにも積極的に、一日も早く停戦ができるようなそのような措置を即刻とるべきだ、そう思うのでありますが、もう一度御答弁いただきたい。
  17. 中山太郎

    中山国務大臣 今委員お話しのような趣旨のメッセージを昨日総理書簡として事務総長に既に伝えておりますし、必要とあらば私自身がどのようなことをしても必要な時点に出かけるということも、国会の御承認があればやらなければならないと考えております。
  18. 野坂浩賢

    野坂委員 我々は中東に平和を、即時停戦を、それが非常に強く要望されるところでありますが、左後ろの方から議事進行についての発言がありますので、それでは九十億ドル問題についてお尋ねをいたします。  総理外務大臣、大蔵大臣、一連の皆さんが、この国会が始まってから九十億ドルの支出問題について、どの党も質問されて、公明党の市川さんのところから、いわゆるこの九十億ドルの使途は、湾岸協力会議といいますか、GCCに日本は九十億ドルを提出をして、その運営委員会で、特に、ビシャーラ事務局長でしたか、ビシャーラ事務局長とサウジの恩田大使とがその運営については協議する、協議をする間に、各国からの要望があればそれを十分審査をして配分をする、これが一連の答弁であります。その中身については、輸送関連、医療関連あるいは食糧、生活関連、事務関連、こういうふうに分けて、全く兵器や弾薬には関係がないのだということを口を酸っぱくしてお話しになりました。  きのうの新聞等によれば、各社ともこれは戦費である、そしてまたアメリカは二十二日、湾岸戦争経費として百五十億ドルを計上しております。ダーマン予算局長は、いわゆる九一年の、向こうは会計年度は十月から九月まででありますから、補正予算として百五十億ドルというものを計上しておるわけであります。参考資料として提出をしておる書類の中を検討しますと、五百三十五億ドル、これはクウェートやドイツやサウジや日本、これだけがいわゆる入ってくる、歳入になる、特にその中で具体的に言えば、日本は百七億四千万ドルである、この第一次の日本が支出をしました二十億ドルのうち二億六千万ドルは米国以外の国に渡されるが、その残りと九十億ドルは全額アメリカ行きというふうになっておる、こういう説明がダーマン予算局長によってなされておるということであります。それらの事実はどのように把握をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  19. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先生御指摘のように、二十二日に補正予算がブッシュ大統領から議会に提出されておりまして、それに関しまして概要がアメリカのホワイトハウスから発表されております。この補正予算は、今先生御指摘ございましたけれどもアメリカの補正予算百五十億ドル、それから諸外国からの貢献額といたしまして先生が御指摘のように五百三十五億ドルということが計上されております。  その中に、日本に関しましても先生御指摘のような言及がございますが、私ども日本政府の基本的な考えは、今先生が要約されましたけれども、この予算委員会の場で総理を初め政府側から繰り返し申し上げておりますけれども、今回の九十億ドルはGCCに設けられました湾岸平和基金に拠出いたしまして、そこの運営委員会、具体的にはGCC六カ国を代表いたしますビシャーラ事務局長日本政府を代表いたします在サウジの日本大使が構成しておりますが、この運営委員会決めるということはまさに先生御指摘のとおりでございまして、私ども、今先生が御指摘のように、それから私がさらに申し上げましたような形でアメリカが発表しておりますのは承知しておりますけれども日本政府の基本的な考えは今申し上げたようなことで、従来から総理が申し上げられたことに基本的に変わりません。
  20. 野坂浩賢

    野坂委員 この前は我が党の藤田委員が冒頭に質問した際は、その使途については明白でない、しかしその次の質問者からは様子が変わってきた。その後アメリカ報道がいわゆる後方支援に使うんだということを言い始めたわけであります。今回は、今松浦さんですか、局長からお話があったように、湾岸協力会議に出して平和基金にそれが回って、平和基金に出して、そして恩田大使なりあるいは事務局長話し合いをしてその配分を決める、こういうことが一連の答弁として出ておるわけですね。その中でアメリカは十分承知をしながら、ただいま国会中で、国会で審議中であるけれども、九十億ドルは全額いただくんですということを明確にしておるわけですね、百五十億ドルをアメリカの予算に計上した段階で。これは、アメリカが言っておることは間違いなんですか。
  21. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 九十億ドルが今後どういうふうに、どの国に向けられるかという点に関しましては、総理がこの場でも繰り返しおっしゃっておられますが、最終的には、今私が申し上げました湾岸平和基金の運営委員会決めることになりますけれども、今回の湾岸におきます平和回復活動の中心を担っておりますのがアメリカでございますので、アメリカにその大宗が向けられることになろうというふうに私ども考えておりますが、今アメリカ側で発表いたしましたように、私どもが九十億ドルをすべてアメリカ向けというふうにコメントしたことはございません。  それから、先生にもう一度申し上げたいと思いますけれども、従来の実績でございますが、先生が先ほど触れられましたこのアメリカの発表に十七・四億ドルということになっておりますけれども、従来の二十億ドルの実績に関しまして、特にそのうちの十九億ドルが湾岸の平和基金向けでございますけれども、この委員会の場でも申し上げておりますけれども、この十九億ドルは円で申し上げまして二千五百二十九億円でございます。そのうちアメリカ向けが今までのところ千五百八十一億円で、これはそのときの為替レートで違いますので、仮に百三十円で計算いたしますと十二・一六億ドルということになりますけれども、まだあと八百億円残っておりますので、これを今アメリカその他向けにどういうふうに配分するか運営委員会で議論しているところでございます。  まさに最終的な数字は出ておりませんが、これに関しまして、この委員会の場でも申し上げたことでございますけれども、湾岸平和基金からアメリカの財務省の口座、これは具体的にはディフェンス・コオペレーション・アカウントでございますが、そこに従来の資金協力は輸送関連経費として払い込まれておりますけれども、この輸送関連経費ということで日本が払い込んでおりまして、これは行政府から議会に対しまして、輸送関連経費に使うという条件がついておりますということを通報しております。  これは、このディフェンス・コオペレーション・アカウントに関します法律の第h項に条件の通報というようなことがございまして、行政府としては、したがいまして従来の十九億ドルは輸送関連ということで資金協力、それからもう一つは物の協力、物資協力がございますが、今私はとりあえず輸送関連の資金協力に焦点を絞って申し上げておりますけれども、これはこの第h項に従いまして条件がはっきり議会にも通報されて、それに基づいて行政府としては従来のものを使っております。これははっきりこの場でも御報告させていただきたいと思います。
  22. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、アメリカの言っておることは間違いである、こういうことですね、一つは。したがって、日本政府としてはこれに対してどのような措置をおとりになるか、こういうことが一点。  それから、従来この国会でも議論されました交換公文については、その内容を明記するということになっておるわけであります。その交換公文は、いつごろそれは提出をされるものであるか、その点についても御答弁をいただきたい。
  23. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私は、アメリカ政府の発表に関しまして今二点申し上げております。  第一点は、従来の湾岸平和基金を通じます協力の実績及びその残っております金額の使い方についてでございますけれども、これに関しましては、今申し上げましたように、従来の実績は、仮に百三十円で計算すると十二・一六億ドルで、さらに追加がアメリカ向けに行われると思いますので、最終的な数字は私今正確にちょっと通報を受けておりませんけれどもアメリカ側が十七・四と言っておりますけれども、最終的に十七・四になるか、ちょっと私わかりませんけれども、いずれにしても、全体の二十億ドルの八割から九割がアメリカ向けということで、必ずしもアメリカの発表と私が今申し上げていることが基本的に矛盾するとは考えておりません。  ただ、今後の九十億ドルの点に関しましては、先生御指摘のように、アメリカ側は全額アメリカということになっておりまして、私どもは大宗がアメリカ向けということで御説明してきております。これはアメリカ政府にも改めて私どもは説明をしてきております。つまり、九十億ドルが全額アメリカ向けということではなくて、私どもは大宗ということで、最終的には湾岸平和基金の運営委員会決められることになるという日本政府考え方は改めてアメリカ政府連絡してございます。
  24. 野坂浩賢

    野坂委員 今の局長の御答弁は、アメリカに九十億ドル全部行くかどうかはわからぬよ、そういうふうに話をしておる。今までの答弁は、湾岸協力会議のうちの平和基金に九十億ドル無条件で出す、四つの項目に分けて出します、それを各国が要望してきて、運営委員会でそれの審査をして、それで配分をするということになっておるというのが皆さん方の一連の答弁なんです。  今は、いや全部かどうかわかりませんよ、大体まあ全部だろう、アメリカは全部だと言っておる。だから、運営委員会決めるのに、日本アメリカと幾ら出しますというふうな折衝があるはずがないと思うのです、常識的には。その運営委員会決めなきゃならぬ。しかも、使途についてはそういう四つの項目に分けて日本は要望する。アメリカに幾ら、イギリスに幾らあるいはサウジに幾らというようなことはない、そこに出して、要望はあるんだ、こういう形式の御答弁であったわけでありますが、今度は、今の答弁では、アメリカとはこれから話し合いをするというような意味にとれる御発言があったわけであります。それについては外務大臣なり大蔵大臣から御説明を最終的にいただきたい、こういうふうに思うのです。
  25. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 外交当局がアメリカ側にどう説明をされているか、これについて私はつまびらかにいたすわけではありません。しかし、日本政府が今、国会で御審議をお願いをいたしております多国籍軍に対する資金協力は、湾岸平和基金に拠出するものであります。そして、アメリカの予算書にアメリカ期待される金額を計上されることは、これはアメリカ政府の御判断であり、財政当局から云々することではございませんけれども、少なくとも大宗がアメリカに割り当てられるにせよ、他の国々からも既に要望が出ておることを私は承知をいたしておりまして、その予算書にどう書かれているからそのとおりに日本が実行しなければならないという性格のものではございません、そう私は理解をいたしております。
  26. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私が先ほど来申し上げておりますのは、この委員会の場で総理が繰り返しおっしゃっておられます基本的な考えに関しまして、アメリカ政府連絡をしたということでございまして、そこの中には先ほど来申し上げておりますように、最終的には湾岸平和基金の運営委員会決定されるということを含めてアメリカ側に連絡をしてございます。  それから、先ほど先生が御質問の交換公文についてでございますが、これは当然のことでございますけれども、今回の九十億ドルに関しまして国会で御承認をいただぎまして、その後私どもGCCと、従来二度やっておりますけれども、今回も交換公文を結びたいと考えておりますので、交換公文は締結が終わりましたら直ちに公表さしていただきたい、こう考えております。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 大蔵大臣は、アメリカが書いておってもそれは勝手だと、期待して書いておるだろうということですけれども、少なくとも私たちも、予算案を国会に出されて、それが決定をすれば執行部がそれを執行していく、行政府が執行していくということになってておるわけです。それはいいかげんなものを出されるわけはないというふうに思うわけでありますが、外務省ですか、大蔵省ですか、アメリカの予算というのはいいかげんなものだというようなことを新聞でも観測記事が出ておるわけですけれども、私はそういうものではなくて、やはりドイツやあるいはクウェートやサウジや日本が出した総額を見て、それをにらんでそして予算をやはりやっていく、それもいわゆる十二月まで、一月まで、一月から三月までというふうに分けて、極めて明細に、事細かに配備から具体的に進めるということになっておるわけであります。だから、期待されるというよりも、それらについてはある程度の話し合いができておる、こういうことになるんではなかろうかなというふうに疑念を抱くわけでありますが、その点を明確にしてもらいたいということが一つ。  そして、今までの国会の議論の中では、早期に解決をする、早急に停戦が実現できる、我々目前に、長くてもあと数週間でと、そういうふうに思うわけですが、その場合にアメリカでは、具体的に言うといわゆる早く終わっても、三月いっぱいなら百五十億ドルを使わなくても済むかもしらぬ、早期に終わったらこれはゼロになるかもしらぬ、この百五十億ドルは。ただし外国から支援をしてきたお金は返還はいたしません、幾ら早く終わっても、こういうふうに説明をダーマンさんはしておるわけですね。  ここの国会での議論というのは、早く終わったらどうなるんだ。こういう点については、総理は、それは平和協力主義、経済復興や民生安定、環境汚染等を整々とするために使うんだ、こういうふうに、その際はきちんと区分けをするということをこの議事録を読んでみましたらそのように書いてある、お話しになっておる。そういう点についてはどのように理解をしたらいいのか。
  28. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 従来からも御説明しておりますが、九十億ドルが国会で御承認いただいて交換公文を結びまして、それから日本政府から湾岸平和基金に払い込まれますけれども、それがその場で直ちにアメリカ向け、それからその他の多国籍軍に参加している国々に幾らということが決められてお金が自動的に支払われるということではございません。  前々から申し上げておりますように、まずこの運営委員会で、今回資金協力一本でまいりますけれども、この資金協力の使途が従来の輸送関連経費から、総理が申し上げております医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の諸経費に充てるということを、運営委員会でそういう具体的な使途について議論いたしまして、そして結論を出しまして、それを前提にいたしまして、アメリカその他の各国から具体的な要請を受けまして、それを踏まえて審査し、支払いを行っていくということでございまして、あくまでもこの湾岸の平和基金にお金がまず払い込まれて、運営委員会各国からアプローチがあって、その都度お金を審査の上払っていくということでございまして、先生が念頭に置いておられる例えばアメリカならアメリカに自動的に全部が払われるということではございません。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、これは一遍に払い込むわけではなしに、順次払っていくわけだから、戦争が早期に終結をする場合は、その九十億ドルの問題については、しかもこれは自主的に日本決めたことでありますから、アメリカの要望その他いろいろなことは考えながらも自主的に決定をした、したがって十億ドルとか二十億ドルとかというのを出すのですから、戦争終結の場合は例えば九十億ドルの使途というものは変わってくる、そちらの平和復興に変わってくる、そういう条件がついてくるということは間違いないわけでしょうか。
  30. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先ほど来、地上戦に入りました今回の戦闘の見通しに関しましてもお話が出ておりますけれども、現段階で私どもはまだ確たる見通しを立てにくいと考えております。したがいまして、先生御指摘のように戦闘が非常に早く終わって云々ということに関しまして、私ども仮定の前提を置いてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしましても、先ほど来御説明しておりますように、湾岸平和基金に払い込みまして、そこで各国からの具体的な要請を一つ一つ審査、検討して決定していくというメカニズムで行っておりまして、仮に先生が御指摘のように戦闘が早く終結するというようなことになれば、終結後の平和維持活動その他にも使いたいと思いますけれども、いずれにしましても、現段階では見通しを立てるのは非常に難しいと私ども考えております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわからぬですね。  後でまた九十億ドル問題の際に質疑をする場合があろうと思いますが、最終的にこの議会に、二十二日にアメリカの議会に提出をした、昨年十月からことし三月までの湾岸危機・戦争経費に関する補正予算案、こういう名目で出ておるわけですね。明らかにその内容を、パトリオットミサイルや爆弾、弾薬と部品の補充、五十万人の兵員の輸送、特別手当、そういうものを含めて戦費としてこの九十億ドル問題については提案をされております。公述人等のこの公聴会でも、これはやはり戦費ですねというのが法律的にも経済的にもお話しになっておるわけです。  だから、この九十億ドルは輸送関連とかあるいは食糧関連とか医療関連とか事務関連とかいろいろ言われておりますけれども、それらを総合するとやはり戦いの費用だと、またある程度皆さん方の意見を入れて後方支援だと、こう言っても、後方も前方も正面も今は一体でありますから、これはなかなか、あなた方がいろいろなことを言うんでしょうけれどもアメリカでは明らかに戦費だということを明確にしておるわけですね。それについてほどのようにお考えでしょうか。官房長官でも結構です、湾岸危機本部幹事長ですから。総理がおられませんので。
  32. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 総理もかねがね何度も申し上げておりまするように、この九十億の支援というものは国連決議にのっとって、そしてこれを実行あらしめておる、そういう国連決議実行のための平和回復活動に使う、こういうことであります。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 私が言っておりますのは、官房長官、このアメリカの予算書で百五十億ドル計上して、これは使うか使わぬかわからぬけれども、これは湾岸危機・戦争経費に関する費用として百五十億ドルを計上する、こういうことになっておるのです。あなた方はそうじゃないと。それでは、輸送関連とか生活関連とか、それは戦費の中に、アメリカの兵員五十万人の輸送とかこういうようなことは、向こうでは戦争経費だといって明確にしておるわけですね、款項目で。それはアメリカはそう言っておるけれども日本は戦費、経費ではない、それは。五十万人の輸送や、あるいはパトリオットですか、そういうものについての修理というようなものは、全然それは戦費ではなしに、何でも平和復興のための措置だ、こういうふうにお話しになりますと、アメリカの意見と日本の意見は全く違う、こういうことになるわけですが、そのようにアメリカの案というものはどこで否定できるのでしょうか。
  34. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 我が国は我が国としてできる限りの支援をするというような立場から、総理が言われたように平和回復活動に使う、それも国連決議に従った平和回復活動に使うと終始申し上げてきたとおりであります。  今アメリカでは戦費と言っておるがとおっしゃられまするが、それはアメリカ側の判断、解釈というものでありまして、日本のただいま申し上げたような判断というものは、我が国にとっては私はより正確な言い方であろう。アメリカはそれを戦費、こう言うておるのならば、アメリカは多国籍軍の先頭に立ってやっておりますからそういう表現をしたのではなかろうか。我が国とすれば先ほど申し上げたとおりであります。幾ら同盟国といったところで、それはやはり国情も違いますから、和して同ぜずというのが気持ちにあるでしょう。だけれども、私の申し上げたのがこれは正確だ、こう思っております。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 官房長官、なかなか理解しにくい御答弁、なかなかウルトラC的な発言でよくわからぬのですが、平和回復活動というのは、裏を返すと今平和回復をするために戦っておる、だからあなた方は多国籍軍の武力行使を支持すると書いてありますね、湾岸対策本部目的のところに。平和回復活動というのは武力行使のことですか。
  36. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 先ほども申し上げましたように、我が国は国連決議に従って、そして国連平和回復活動を支持する、多国籍軍の活動を支持しておると申し上げておるわけでありまして、外務大臣に聞けば御正確でありましょうけれども、六百六十から六七八、この六七八はこれも国連決議でありまして、いわゆる国連決議を実力でもってでも通そうというのが六七八だと思うておりますが、そういう意味におきまして協力をしておる、国連決議をこれは遵守し、支持をしておる、こういう立場で私どもは申し上げておるわけであります。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 官房長官にこれ以上言うと、また……。言うなれば、国連と多国籍軍というのは、国連そのものじゃないんですよね、多国籍軍は。そこに支持するけれども平和回復活動というのは武力行使だ、括弧で書けば。そういうことになるわけですね。その武力行使をするところに出すわけですから、あなたがおっしゃっておる平和回復活動というのは武力行使のための銭を出す、それは戦費じゃないか。だからアメリカは明確に、非常にわかりやすい、アメリカの場合は、だから戦費なんだ。日本の場合は、いや輸送は、弾薬を運んでも、買いさえしなければこれは戦費じゃない、こういうような言い方はこれは間違いだと言っておるわけですよ、アメリカは。だから戦費じゃありませんかと、素直にお答えになったらどうですかということを、きょうまた九十億ドルで説明がいろいろあると思いますけれども、そういうことになるのが極めて常識的な解釈である、こういうふうに私は思っておるわけであります。いかがですか。どなたでも結構です、もう答弁は。
  38. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 国連憲章との関係もございますので、私の方から簡潔に御答弁申し上げたいと思います。  現在多国籍軍が行っております行動は何かという性格の問題でございますけれども、これは先生も御承知のとおり、昨年の八月二日にイラククウェートに侵略をいたしまして、この問題の解決に国連が平和的解決ということでいろいろな努力を重ねてきたわけでございますが、遺憾ながらイラクがどうしても国連決議に従って撤退をしないということで、やむを得ず多国籍軍が武力をもってこの侵略を排除するという行動に出ているわけでございます。現在多国籍軍が行っているのはもとより武力の行使でございますが、この武力の行使は、国連決議六百七十八号によって権限を与えられたそのもとで行われているわけでございます。  なお、現在の事態を戦争と呼ぶかどうかという問題についてこれまでもいろいろ議論がございましたが、これまでの政府の御答弁は、いわば正確な意味で古典的な意味の戦争ではない、これはあくまでも侵略に対する国連のもとでの平和回復活動であるという意味で、正確な意味で申し上げているわけでございます。ただ、これが日常的な意味であるいは常識的な意味で現在の事態が戦争であるということが言われるということもあり得るということは、今までも御答弁申し上げているとおりでございます。ただ、現在の事態の基本的な性格が先ほど申し上げたようなものであるということでございます。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 武力行使をして、武力行使を相手もして、武力衝突があれば戦争だ、当たり前のことじゃないのですか、それは。だから私どもは、この武力衝突をして激しい戦いが行われ、人の殺りくが相次いで行われておるということについては、戦争と言う以外にないだろうと思います。これは事件と言う学者もいますけれども、事件ではなくて戦争である、こういう状況であるということを私どもは常識的にも認識をしております。  それで、アメリカとの取り扱いの問題については納得はできません。アメリカはそう言っておるけれどもあれは勝手だ、日本日本だ、だけれども下の方ではつながっておるのです、こういうことでは、表面的に糊塗して国民にわかりにくい国会にしないで、わかりやすい国会にして、理解を得やすいような御答弁をいただかなければ、納得ができません。この問題については留保して、次に九十億ドル問題等提案をされますから、その際にも十分に討議をしてまいりたい、こういうふうに思うわけです。  それで、多く時間がありませんからごく簡潔に申し上げます。防衛庁長官お尋ねをします。  防衛庁長官、今度の九十億ドル問題について防衛費を一千億削除する、こういうことになっています。紆余曲折がありましたが、そうですね。今の中期防衛計画というのは十八兆四千億で、後代負担というのですか、後年度負担というのは二兆五千億流れていますね。今度の新中期防衛計画というのは二十二兆七千五百億円、こういうことになっております。この後年度負担というのは幾らになるわけですか、次に送り込む分は。
  40. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 お答えいたします。  今度の新中期防におきます後年度負担は一兆九千九百億余、約二兆でございます。
  41. 野坂浩賢

    野坂委員 二兆円ということに、いわゆる二兆五千億円というのはずれてくるわけですね、向こうから。それで今度、平成八年からまた向こうに行く場合は二兆円だと、言うなれば生身というのは五千億円削ったということになりますね。そういうことになりますね。長官、どうですか。二兆五千億と二兆だから、五千億削ったのじゃないですか。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  生身とおっしゃるのはなんでございますけれども、現在の、現行の中期防、平成二年度まで行われましたその中期防におきまして、いろいろな契約をいたします、そして、いろいろな艦艇その他を取得しましたり、不動産を取得したりする。その支払いが新しい中期防期間、つまり平成三年度から七年度までに支払いに立ってくるというのが、先ほどお答えしましたように二兆五千億であり、同じような形で新しい中期防が平成七年度までございますが、その期間に、新中期防期間に契約いたしまして、支払いが平成八年度以降になるのがその二兆円弱、こういうことでございますので、実態はそういうことでございます。
  43. 野坂浩賢

    野坂委員 いいかな長官、十八兆四千億は前からずれた関係もありますが、結局、二兆五千億円というのは今度の新中期防の中に入ってくるわけですね。この受け皿が受けるわけですね。契約でそれぞれやっていくけれども、計画としては二兆円次の平成八年度以降に持っていくということになるわけですよ。そうですね。だから、入ったのが二兆五千億円と次に送る分は二兆円ということになれば、五千億円というのは減ってくる。言うなれば、二十二兆七千五百億円は、新中期防では後代負担の相殺をすると二十二兆二千五百億円になりますな、こういうことが常識的には言えるのではありませんかといって聞いておるわけです。
  44. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  新中期防で経費の総額の限度と定めておりますのは、二十二兆七千五百億円でございます。これは新中期防期間中に現実に歳出として、あるいは民間の話で申しますと現金で支払うのが二十二兆七千五百億円ということでございまして、その支払いの原因になる契約が平成二年度までにある、そういったものが二兆五千億、こういうことでございます。  そしてまた一方、新中期防期間中、平成三年度から七年度の間に契約をいたします、それから支払いの義務が発生すると見込まれるものがあるわけでございますが、その新期間中、新中期防期間中に契約をするけれども現実の支払い、現実の歳出は平成八年度以降にずれ込むというものが二兆円弱ある、こういうことでございます。  だから、二十二兆七千五百億円から今言いましたずれ込みと流れ込みですか、それから流れ出しですか、その差額の五千億円ぐらいを差っ引くというのは、必ずしも余り意味のある計算ではないのじゃないかと思います。あくまで契約ベースの話と債務の発生ベースの話とそれから現実の支払いの関係でございますので……。
  45. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 ちょっと事実関係を補足させていただきますが、現中期防十八兆四千億総額の場合の後年度負担が二兆五千億ということでございます。それは計画段階でまさにおっしゃるとおりでございましたけれども、実績ベースではこれが二兆になっております。したがって、新中期防におきまして現中期防からの流れ込みは二兆五千億の計画であったものが、二兆円になっております。  そして、この新中期防におきます後年度負担は新たに二兆ということで、流れ込み二兆、流れ出し二兆、こういうことでございまして、真ん中の部分はある意味では対等の立場に立つ、ニュートラルな立場に立つ、こういうことでございます。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 流み込みが二兆五千億の予定が二兆円になった。今度は二兆円が一兆五千億になる可能性がありますね。為替レートは、これは百三十六円ですか。幾らですか。
  47. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 為替はそのとおりでございます。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 今は百三十円を切るという状況ですね。そうすると、もし百三十六円よりも円高になった場合は、それだけは不用額として出なきゃならぬ、こういうことになりますね。どうですか。
  49. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 御指摘のとおり、為替レートのいかんによっては、その二兆円の後年度負担の部分が変化してくるということは事実でございます。
  50. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんから、今度の二十二兆七千五百億円、今回は五・四七%で四兆三千八百七十億円という予算がついていますね。そうすると、それは今回は五・四七%ですが、新中期防というのは大体三%の増だ。平成五年になってからまた見直す。この見直すという前提は、今は平和の潮流、デタント時代、こういう格好でありますから、それよりも見直して多くなっていくという、二十二兆七千五百億円よりも多くなってくるということはないと私は思いますけれども、そのように確認してよろしゅうございますか、防衛庁長官は。
  51. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  新しい中期防で定めております経費の総額の限度が二十二兆七千五百億円でございますので、これを超えることはございません。  それからなお、三年後必要に応じ見直すということがございます。その見直し要因については御承知のとおりでございますけれども、そういうことでございますので、これを超えるということは考えておりません。  ただ、この二十二兆七千五百億円と申しますのは平成二年度価格でございますので、そこのところはひとつ御留意いただきたいと思います。  それと関連いたしまして、平成三年度予算の対前年度伸び率と、それから新中期防の伸び率の関係でございますが、三年度予算の伸び率というのは、現実平成二年度の予算額と平成三年度の予算の歳出額との比較での伸び率でございます。新中期防の三%と申しますのは、実質伸び率の平均値でございますので、そこのところは物価の上昇その他、デフレーターの関係があるなしの差があるということはございます。そういったことでございますので、平成三年度予算の伸び率も、実質で見ますと三%以下になっているということでございます。
  52. 野坂浩賢

    野坂委員 言うなれば、二十二兆七千五百億円ですが、これは平成二年度の物価水準で決定しております。したがって、この物価上昇分はプラスになる可能性が強いということですか。二十二兆七千五百億円は動きますか、動きませんか。
  53. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 今大臣からも御答弁申し上げましたとおり、二十二兆七千五百億円というのは平成二年度価格での実質価格でございますから、将来年度におきまして、名目額としてこれを上回ることはあり得ることでございます。しかし、実質額としてはこれを上回ることはございません。
  54. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは四兆三千八百七十億円、五・四七%の伸び率、こういうものについては、今、九〇年度を基準にして三%というふうに考えるべきなのか、九一年度を基準にして三%ずつの伸びということを考えるべきか、いかがですか。
  55. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 五・四七ないし――修正後の数字はそのように変わりますが、当初の五・四七%平成三年度の防衛費の伸び率というのはいわば名目の伸び率でございまして、平成三年度の平成二年度価格に対する伸び率ということでございます。平成二年度予算に対する伸び率ということでございます。したがいまして、それは実質額に換算いたしますときに、新中期防との関係で言いますと、これは平成二年度価格ですべて計算されておりますから、したがって、同じ土俵の中で議論をいたしますと、まず平成三年度予算を平成二年度つまり一九九〇年度のベースに直した上でその伸び率を計算いたしますと二・九%ということになりまして、新中期防におきます平均的な実質伸び率三%とほぼイコールということでございます。
  56. 野坂浩賢

    野坂委員 平成二年度を基準にするということになりますと、防衛局長、一九九一年度は四兆二千八百四十億円で、ずっと三%を累増していきますと二十二兆七千四百四十二億円になるわけですね。九一年度を基準にして、九一年度を四兆三千八百七十億円にしますと、二十三兆八千六百二十九億円になるわけですよ、計算をしてまいりますと。だから、その基準のとり方ですよね、その点を明確にしてもらわなければならぬ。
  57. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 新中期防におきます基準は、あくまでも先ほど来申し上げておりますように平成二年度でございます。平成二年度の予算を基準にして、そこが発射台でございます。
  58. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは違うんです、本当は。そうすると、平成二年度を基準にすると四兆三千億にはならぬのです。今度は、九一年度は四兆二千億になるわけです。だから、その点が根本的に違うのです。だから、その点は後で文書で提出をしてもらいたい。  もう一つ聞きます。長官、時間がないので、もっとやらなければいかぬので、簡単に答えていただきたいと思いますが、一つの例を申し上げます。  航空自衛隊の作戦用航空機は、現在の中期防では一体何機ですか。
  59. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 現在の中期防でという御質問でございますが、現在の中期防の平成二年度完成時ということになると思いますが、それは四百六機。そのほかに予備機が数十機ございますが、いわゆる作戦用航空機は四百六機でございます。
  60. 野坂浩賢

    野坂委員 四百六機で予備機が三十三機ですね。四百三十九機ですか。
  61. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 作戦用航空機は四百六機でございまして、そのほかに予備機が三十三機あるということでございます。
  62. 野坂浩賢

    野坂委員 防衛大綱の別表には四百三十機と書いてありますね。予備機というのは何をやるのですか。言うなれば練習等によって墜落をした場合に、それを補充するための予備機であって、作戦としては航空作戦には十分対応できるというのが予備機的な性格ではありませんか。
  63. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 まず御指摘の防衛計画の大綱の別表には、作戦用航空機は四百三十機ということに書いてあるというのは御指摘のとおりでございます。そこで予備機でございますけれども、これはどういうものかといいますと、部隊の更新・近代化の過程で一時的に発生する予備機というものがございます。それから第二に、航空機の定数維持期間に対応して保有する減耗予備機というのがございます。それから第三に、計画減耗機数と実績減耗機数とが乖離する結果生ずる予備機というのがございます。これらは、いずれもパイロットあるいは油代、予算、そういったものがこれについて見合いのものがついておりませんで、実際に一時的な過程で生ずるということから作戦用航空機にはカウントしないということになっております。  これは、物の考え方をまず申し上げますが、実際、大綱別表に示されております作戦用航空機の規模につきましては、大綱の書き方でございますけれども、自衛隊の体制という項を受けて別表にこう定める、こういうことになっておりますし、それから別表の中でも基幹部隊の編成と並んでこの作戦用航空機というのは示されておるということから考えましても、予備機というのは実際に自衛隊の運用する場合に必要な作戦用航空機の範疇には属さないという基本的な考え方がございます。それらを受けまして、先ほど申しましたように、予算的な手当てもなされていない。  さらにこれは既に国会でもかつて答弁を申し上げておりまして、この予備機というのは作戦用航空機には含まないということに従来から政府答弁を申し上げているところでございます。
  64. 野坂浩賢

    野坂委員 これは、日本の自衛隊の中の航空技術問題あるいはその他の条件によって、墜落をしたり破損をする場合がある、したがって予備機がある。これが予備機の定義です。しかし、今度の新中期防の完成時は一体どうなるか、時間がありませんから申し上げますが、作戦使用機は四百二十二機だ、予備機は十六機ある、だから四百三十八機だ、こういう格好に変えていくんですよね。だからいつでも使える。たくさん買えば予備機に残しておけばいい。別表大綱というのは、あるものはあるけれども、予備機で処理していけばいい、こういう動きなんです。  だから、この際防衛庁長官に申し上げておきますし、御答弁をいただきたいと思うのですが、言うなれば予備機の基準というものを明確にしていかなければ別表大綱というものに違反をするという結果に出る可能性が非常に強い、こういうふうに思わざるを得ません。指摘せざるを得ません。それらについての対処、対応について、防衛庁長官からごく簡潔にお願いをいたします。
  65. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど防衛局長からお答え申し上げましたように、予備機と申しますのは減耗の関係もある、あるいは機種の切りかえもあるわけでございますが、現実にそれを飛ばすに必要な油なり人員なりというものはついてないわけでございますので、これはその作戦用航空機の機数としては外数である、こういうことで十分御理解をちょうだいできるところじゃないかと存じます。  また、その御指摘のとおり、新中期防完成時におきましては、作戦用航空機四百二十二機、そしてその予備機が十六くらいになるんじゃないか、こういうことにしておりますけれども、これは現在の、何と申しましょうか、大綱の約四百三十機というものに比べましても、作戦用航空機は四百二十二ということで、十分妥当な水準であろうか、こう思っております。
  66. 野坂浩賢

    野坂委員 もういいんです。ちょっと、もう時間ないんだから、もういい。
  67. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 ちょっと補足させていただきたいと思うのですが、大綱ができましたときに、まさに大綱ができましたときに、今予備機を含めますと実に五百四十二機という数字でございました。それで、大綱では四百三十機と定めておる。そのときの作戦用航空機は四百二十七、これは五十年度の話でございますけれども、五十一年度もほぼ同様の話でございます。四百二十七機で予備機が百十五機あって、相当上回っていた、こういうことでそういう実態を踏まえて作戦用航空機は四百三十機というふうに定めた経緯から考えても、そのただいま申し上げた考え方は正しいのではなかろうかと思います。
  68. 野坂浩賢

    野坂委員 正しくありません。これについてはさらに追及をしなければなりませんが、時間が来ておりますので、これで一応私のこの問題については、大綱との相当な開きがあるわけですから、したがって、これについては留保しておきたいと思います。  次に法務大臣に、あと五分程度しかありませんから長々と答弁をしないで簡潔にお願いしますが、狭山事件について申し上げます。  一九六三年五月一日に当時の高校生であった中田善枝さんが何者かによって殺害された事件であります。その容疑者として石川一雄さんが、当時二十五歳でありますが、現在は五十三歳であります、あの部落なら、あそこならやりかねぬだろうという予断と偏見といいますか、そのような状況の中で逮捕されてからもう二十八年に今日なっております。一九六四年、昭和三十九年三月十一日に浦和地方裁判所で死刑の宣告がされました。昭和四十九年に、いわゆる一九七四年の十月三十一日、東京高裁で無期懲役という判決が出ました。最高裁で棄却され、現在再審要請中でありますが、刑の確定から既に十三年六カ月となりました。未決勾留は十一年八カ月、合わせて二十五年一カ月に今日及んでおります。私は、そういう状況を踏まえて、先日も法務委員会で議論があったと聞きますけれども、仮釈放の時期は来ておる、こういうふうに私は断ぜざるを得ないと思うのであります。法務大臣としてはどのようにお考えか、お答えいただきたい。
  69. 左藤恵

    左藤国務大臣 仮釈放につきましては、矯正施設の長からの申請に基づきまして、地方更生保護委員会決定いたしております。石川一雄につきましては、既に仮釈放に必要な刑法所定の最小限の期間は経過いたしておりますが、通常、無期刑の受刑者はこの刑法所定の期間を経過した後も相当の期間受刑した後に仮釈放になっておりまして、その審理に当たっては、法令の定める基準にのっとりまして、他の無期刑の受刑者との間に不公平にならないように、公平に取り扱われるもの、このように承知いたしております。
  70. 野坂浩賢

    野坂委員 昭和五十四年の五月の二十九日の法務委員会、ここで西宮弘委員の質問に答えて当時の矯正局長豊島英次郎さんが述べておりますが、こういうことを、時間がありませんから最後申し上げます。「ただしかし、十年経過時点におきまして、本人の状況等をよくしんしゃくいたしまして、適当な措置をとりたいというふうに考えております。」こういうことを御存じだと思います、法務大臣は。したがって、千葉の刑務所はいわゆる仮釈放の申請をする権利を所長が持っておる。今おっしゃったように不公平で不公正にならないようにということが言われておるということは事実ですね。あの千葉刑務所内の囚人は約八百三十人います。この中で一番古いのは石川一雄君です。なぜ出ないだろうかというのが囚人の声であります。しかも、そういう意味では、囚人の皆さん方の中の不公平、不公正を言っておるわけですから、まず不公平ではないということが断定的に言えます。  それから、四つの条件がありますね。処遇の問題は一体どうなのか。処遇についてはA、B、C、DとありましてBです。いわゆる模範囚と言われておるわけであります。そして、仮釈放した場合、社会に出て影響はどうだろうかというのについては水島所長も大丈夫だとしております。あるいは身上、保護と二つあるわけですが、受け入れ団体は解放同盟とその他の団体があります。そういうことを一つ一つ確認をいたしますと、仮釈放の時期に来ておるので検討を始めたい、こう言っております。いいですか。そして、十二月十七日に私が参りましたときには、大詰めに参りました、こういうお話をちょうだいしました。そして、十年たったら考えますと。そして、去年も無期懲役の皆さんは三年間で三人も釈放されております。仮釈放。それは十年以上であります。あなたがおっしゃったように、関東地方更生保護委員会でもこの審理は一年間続くんですね、長い場合は。いわゆるそれぞれの手続がありますから。そうすると、十三年六カ月と未決十一年という二十五年一カ月というものは、どこに不公平がありどこに不公正があるか、そして四つの条件を満たしておるんではないか、こういうことが端的に私は言えるだろうと思うのです。その点については了として、今までの委員会たくさんありますが、時間がありませんから申し上げませんでした。十年たったら措置しますということを明確に言っておるんですよ、石川青年。これについてどのようにお考えですか、法務大臣。時間がありませんから。
  71. 佐藤勲平

    佐藤(勲)政府委員 申し上げます。  前の矯正局長が十年たったら検討するというように申しておるわけでございますけれども、仮釈放の申請を刑事施設の長が地方更生保護委員会にするにつきましては、委員仰せのとおりに、種々の状況を判断して行うわけでございましょうし、また地方更生保護委員会でも、例えば仮釈放に関しての法務省令がございます。その基準に従っていろいろ配慮すべき事項がございますので、その点の調査、審理に多少の時間がかかることは、これは否定でぎませんので、その点御了解いただければありがたいと思います。
  72. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がかかることば承知しておりますが、十年たったらということがあります。そういう格好で十三年六カ月にもなっております。三年六カ月、しかも検討開始するということは明快に言っておる、大詰めに来たと言っておる、そして国会では議論されて十年たったら措置しますと言っておる。不公平でも不公正でもない、出さないのが不公平で不公正である、こういうのが一連の動きなんです。法務大臣、御存じですな。そういう意味で、あなたはそれを監督する立場です。そして模範囚であるということも明らかだ。それらの点について勘案して、我々は仮釈放すべき時期だという断定をしております。法務大臣としては、それに沿って前向きに善処されるべきだと思いますが、いかがですか。
  73. 左藤恵

    左藤国務大臣 今のお話につきまして、矯正施設の長の判断というのが基本になるわけでございますけれども、そうした御趣旨のことにつきまして我々も前向きに検討するようにその関係者にお話をしたい、このように考えております。
  74. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。時間が参っておりますのでこれでやめなければなりません。  先ほど申し上げましたように、いわゆる九十億ドルの取り扱い問題について日本政府アメリカ政府とは違う、そういう意味で、それらについては理事会で討議していただきまして一つの方向を打ち出してもらいたい。そして、防衛庁の基準問題についても統一見解を述べてもらうということを理事会で御協議賜りますようにお願いします。よろしゅうございますか。
  75. 渡部恒三

    渡部委員長 これにて野坂君の質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。
  76. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、きょうは若干湾岸問題に触れて、あと総括で残しました農業問題、また引き続く美浜原発二号炉の安全性問題について若干論議をいたしたいと思います。  まず第一に、今回多国籍軍地上戦に突入したその第一は、イラク国連決議に、いわゆるクウェートからの完全無条件撤退、これに従わなかったために地上戦に突入ということになったわけでありますが、和平への努力がなお続けられている中で多国籍軍による大規模な地上戦に突入したということは、大変残念であると思っております。地上戦開戦までのソビエトの和平に向けての外交努力は大きなものがあったと思いますが、どういうように評価しているか、外相にお尋ねしたい。
  77. 中山太郎

    中山国務大臣 日本政府といたしましても、ゴルバチョフ大統領和平への調停工作については高い評価をしておるということを申し上げておきたいと思います。
  78. 辻一彦

    ○辻(一)委員 高い評価というのではちょっと言葉が足りないものですが、中身としてどう考えていらっしゃるか、もうちょっと伺いたい。
  79. 中山太郎

    中山国務大臣 最終的な局面で、イラクアジズ外相との間の協議が二回にわたって行われたわけでありますけれども、私は率直に申し上げて、結局、イラクがすべて明確にすべき点をしなかった。一つは、撤退の明確な日時を国際社会に向かって明らかにしなかったということではないか。それからまた、六百六十の安全保障理事会決議は守ると言いながら、ほかの決議について、三分の二の撤退が終わった事態経済制裁を解除するという項を落としておりますけれども、ほかの決議はすべてこれを無効にするということを言ったところに、我々もこれには納得ができないという判断をいたしたわけであります。
  80. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうはこれに多くの時間をかける余裕はないので、あと二、三点を伺いたいと思います。  ソ連外交努力地上戦の突入によって実らなかったわけですが、なお今後和平を模索しているように思います。そこで我が国の場合ですが、我が国は中東とは、欧米、ソ連とは違った立場と歴史を持っておる。これはもう十分わかっていることでありますが、一つは中東に植民地としてのかかわり合いを今まで持たなかったということ、もう一つはイラン・イラク戦争の八年間中立を守ったということ、三つ目は武器輸出を全然やっていないということ、これは非常に大事な点だと思うのですが、これらは中東イラクに物を言える立場にあったのではないか。多国籍軍に今いろいろ論議をされております財政資金を出しておりますが、地上戦に入るまでにもっと日本として和平への努力がなされるべきでなかったか。どういう努力をされたか、この点をひとつ伺いたい。
  81. 中山太郎

    中山国務大臣 日本政府として、今までは国連の加盟国として、国連安全保障理事会決議を支持していくということで今日までやってまいったわけであります。一方、イラクに対しましては、在日イラク大使に対して、私は二度、直接、この安保理事会の決議を遵守するようにイラク政府に直ちに連絡をしてもらうようにお願いをしましたが、最終の局面においても、サダム・フセイン大統領に直接日本政府意思を伝えてもらいたいということを申しております。片や国連におきましては、波多野大使を通じてイラクの代表及び国連事務総長に対して、この問題点の解決のために努力を続けてもらいたい、こういう強い要請海部総理からの意思として伝えてまいっております。
  82. 辻一彦

    ○辻(一)委員 アメリカとの情報交換が十分行われておったのかどうか。我が国が湾岸資金の追加支援を決めるまでは、随分と先方のアメリカの方から直接電話総理や外相にかかってきたということはしばしば聞いた。肝心のこの和平か本格的な地上戦に突入かというときに、こちらから大分待って電話をかけなければ情報がわからない、こういうことであったのはどうかと思うのですが、アメリカとの情報交換は十分なされておったのかどうか、この点をお尋ねしたい。
  83. 中山太郎

    中山国務大臣 日米間におきましては、大統領海部総理の間、またベーカー長官と私との間は緊密な連絡が絶えず行われておりますし、また、私以外の外交チャネルでも極めて緊密な連絡、情報の交換が行われていることを明確に申し上げておきたいと思います。
  84. 辻一彦

    ○辻(一)委員 アメリカからもう少し早く直接電話が、前からの経緯からすればかかってもよかったのではないかと思いますが、その点はひとつぜひ努力をしてもらいたいと思います。  地上戦がだんだん熾烈になっている。イラクは化学兵器の使用の暴挙に出るおそれもある。このことは多国籍軍、特に米軍の核兵器使用を誘発する可能性もなしとはしない。イラクに対して、化学兵器は使用すべきでない、するなということを強く申し入れると同時に、我が国は、さきの歴史的な背景から随分優位な立場はありましたが、この戦争の経緯を見るとなかなかそういう立場が難しくなってきましたが、なお唯一の被爆国としての民族的、国家的な体験がある。そういう点を生かして、いかなることがあっても核兵器は使用しないよう、このことだけはアメリカに強く申し入れるべきであると思いますが、この見解はいかがでしょう。
  85. 中山太郎

    中山国務大臣 日本政府といたしましては、あらゆる機会をとらえてイラクに対しては、化学兵器あるいは核兵器、生物兵器を使わないように要請をしておりますし、また被爆国として、国会の場等も通じて、双方関係国にも日本の気持ちをよく伝えているわけであります。
  86. 辻一彦

    ○辻(一)委員 このことは日本がいかに強く言っても言い得ることでないか、それだけの民族として、国家としての被爆体験を持っておる、これを私は十分ひとつ生かして物を言ってほしいと思います。  四つ目に、多国籍軍が仮にクウェートイラク軍を制圧した場合に、多国籍軍イラク領内に深く進攻するかどうか、これが大きな節目になると思うのですが、イラク領域内に深く多国籍軍が攻撃のために入るのは国連決議を超えるものである、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  87. 中山太郎

    中山国務大臣 イラク領内に多国籍軍が深く入ることについて、これは行き過ぎではないかということでございますが、国連決議六百七十八号によりましたら、これに基づきますと、あらゆる手段をとることを認めているわけでございまして、これが多国籍軍イラク領内に入っても、それは国際法に違反するものではないということになるわけでございますが、問題は、クウェートからイラク軍を撤兵させることがこの多国籍軍の大きな目的であり、国連決議の趣旨でございますから、アメリカも含めて、クウェートからのイラク軍の追放ということ、それからクウェート政府の正当な権利の回復ということ、これが原則であると私は考えております。
  88. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国連決議は今外相の言われるように、イラククウェートからの完全撤退クウェートの解放にあるということは明確でありますが、クウェートからイラク軍が武力によって排除される、結局解放される、クウェートの解放が行われた場合に、それでもこの多国籍軍イラクの領域内に地上軍が入っていくと、これは私は国連決議を超えるものと思うのですが、これはどうですか。
  89. 中山太郎

    中山国務大臣 クウェートからイラク軍が追放されていくという状況の中で、クウェート国外に、イラク軍が国境外に出ていくという状況の中で、そのイラク軍がさらにクウェートの中にいる多国籍軍及び市民を攻撃した場合には、安保理の六百七十八号の決議によって、平和目的というもの、平和の回復のための一つの許容範囲というものは十分認められていると私は考えております。
  90. 辻一彦

    ○辻(一)委員 仮にクウェートイラク軍を多国籍軍が制圧をし、武力排除が行われて実質的には解放が実現したときに、なおイラクの国家破壊あるいは文化等を破壊しかねない多国籍軍の領域内への深い進攻というものは、国連決議を超えるものじゃないかと私は思いますが、これはまあ短い時間ではなかなか論議しかねるわけでありますが、こういう機会が日本の発言する大事なときでないか。特に国連が動くべきときだ。その国連を動かすために我が国は最大限の努力をすべきである、このことを強く要望しておきます。  私は第二に、この間論議ができなかったのでありますが、農業問題に若干入りたいのです。  農林大臣お尋ねしますが、私は、六十三年の二月の本院の予算委員会で当時の竹下総理に、食糧自給をどう考えるか、少なくも三三%、三分の一はどうあっても確保すべきだ、こういうことを申し上げて、何としても三分の一は確保すべきである、こういう当時の竹下総理答弁があったわけですが、以来我が国の食糧自給率はまた低下の一途をたどっている。こういう点で、食糧自給率の低下についてどうお考えになっていらっしゃるか、農林大臣から伺いたい。
  91. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生御指摘のように、カロリーべースで四八%ということで、一%下がったわけであります。十年をかけて五〇%まで持っていきたいということで、需給の長期見通しを立てながら公表したところでありますけれども、一%下がった最大の原因は、米の消費がまだ減退の一途をたどっておるということと、やはり肉に対する消費動向が非常に強くなってまいりましたので、飼料作物の輸入を増大をしなければならなくなった、その辺が一番大きな理由で、まだ細かい理由たくさんありますけれども、そういうことを中心にして、今私ども、今後どうやるかという検討をさせていただいているところであります。
  92. 辻一彦

    ○辻(一)委員 農相は今食糧自給率をカロリーベース四八%でお示しになったですね。昨年の予算の分科会でもちょっと論議をしたことがありますが、私は、カロリーベースを使っていると、日本の自給率の低下を迫力を持って説得することが難しいのではないかと思うのです。  というのは、我々日本人は、米から御飯を食べている。それから小麦からパンをつくる。それからトウモロコシやマイロ等の飼料から家畜を通して卵と肉と乳をとっている。それは言うならばもとは飼料作物、穀物である。このベースでいけば、既に我が国は三〇%を今や切ろうとしている。昭和三十年代に八三%の穀物自給率を持った我が国が今、世界、サミットの中で最低の三〇%を切るという状況は、これは私は、主権国家、独立の国家として最低の食糧は自分の手でつくりたい、こういうことを主張する、食糧安保論を展開する上において、カロリーベースよりも穀物ベースにおける三〇%を使った方がより迫力ある説得力を持ち得ると思いますが、いかがですか。
  93. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 お答えします。  自給率は、もう御案内のとおり総合自給率あるいはカロリー自給率、穀物自給率とあるわけでございますけれども、いろいろな問題を論議される部面でいろいろな物差しを使っていくのが適当ではないかと思います。今大臣答弁申し上げましたのは、それぞれの自給率、総合自給率はある時点の金額で表現しております。また穀物自給率は穀物の自給ということで、主食用とえさ用と合わせたものが一つの物差しになっております。その点カロリー自給率が、えさ等につきまして輸入物で置きかえてはいますけれども比較的無難という意味で、一つの国内的な政策を進める場合の指標としては一番無難ではないかということでお答え申し上げたわけでございまして、必要に応じて、穀物自給率が議論になる場合にはそういうものを基軸にしまして論議を展開していくということになろうかと思います。
  94. 辻一彦

    ○辻(一)委員 カロリーベースを使っちゃ悪いと言うわけではないけれども、カロリーベースでいえば、畜産物は国産品になるのですね。しかし畜産物、乳や肉や牛乳のもとは全部外国の輸入の穀物によっている。九九%は、まあ九〇%以上は輸入ですね。だから、それを国産として計算するところに問題がある。やはり我が国の真の自給という点からいえば、穀物自給率をもって論議すべきだ。四八%、カロリー自給率が下がりましたと言って、日本は食糧自給率は低いんだということを説得するより、三〇%を今切ろうとしているんだよ、だからこれぐらいは自分でつくらせろ、こういうことを言う方がはるかに説得力を持つ、こういう意味で申し上げたので、カロリーを使っちゃいかぬとは言っていませんが、私は、OECDでもこの穀物ベースを使って比較している、これを使ってぜひやってもらいたいと思いますが、農林大臣いかがですか。
  95. 近藤元次

    近藤国務大臣 どちらかを使うといっても、統計上公表するときには、穀物自給率もカロリーベースも双方とも公表いたしておるわけであります。穀物自給率も三〇%横ばいを三一%にいたしたいということで、穀物を使ってもあるいはカロリーベースを使っても、私どもの農業の方針というのは、一つは、やはりどちらを上げるにしても穀物自給率を上げていくということが一番大事な根本になっていくわけでありますから、そういう意味では、えさ用の穀物を上げるにしても、あるいは米の消費の拡大をするにしても、加工問題を加えて大豆の品質、小麦の品質を改良していくにしても、穀物の自給率が上がっていかないとカロリーベースも上がらないというふうに認識をいたしておるわけであります。
  96. 辻一彦

    ○辻(一)委員 自給率を上げなくちゃならぬということは長い目で見ればもちろん大事ですが、今は日本の最大のウルグアイ・ラウンドにおける米の根拠は食糧安保論でしょう。その食糧安保論を説得するには、四八%自給なんですが低いと言う方が説得力があるか、三〇%しか穀物ベースではないんだと言う方がより説得力があるか、こういうことを私は申し上げておるので、時によってはカロリーベースを使うのは結構と思いますが、今食糧安保論を是が非でもひとつ貫かなくてはならないという我が国の立場からすれば、この穀物ベースをぜひひとつ活用してやっていただきたい。それでもう結構です。  それからもう一つ、私は、工業と農業は本質的に違うのではないか、これについての見解をちょっとお伺いしたいのですが、工業は資本と技術を移動させればどこでも同じような生産性を上げることは不可能ではない。しかし、農業は国土、農地というものに縛られている。農地を輸入しようにも輸出しようにも土地は動かないわけですから、初めからハンディがある。その中で、国土の非常に広いところとそれから日本のような国土の非常に狭いところと、自由貿易という観点から、論理から同じように論ずるのは非常に無理がある、こういうように私は思いますが、時間的にそんなに長い御答弁は要りませんから、ポイントをひとつ聞かしていただきたい。
  97. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 辻委員にお答えいたします。  我が国は当然のこと、自由貿易を基調とした工業品貿易ということによりまして多大の恩恵を受けていることは、これは紛れもない事実でございまして、しかし一方、農業そのものは国民生活にとっては全く不可分のことでありまして、先ほどの委員のまさに食糧安保論というのもそこから始まったことでございましょう。そういう意味においては、地域社会の活力の維持といいましょうか、あるいは国土・自然環境の保全等、あらゆる多面的で重要な役割を果たしているものだ、こう考えます。  そこで、農業そのものは土地や自然条件の影響を非常に受けやすいという特質を有しているということも忘れてはならぬことでございますから、そういう認識の上に立って、このような事情を踏まえまして農業問題の解決にこれまた対応していくという心構えがなければならぬ、これは十分に踏まえておるつもりでございます。
  98. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この論議をやればまた長くなるから簡単におきますが、日本のような国土の狭いところに、広い国土を持つ、動かすことのできない条件を持つ、そこと同じようにやろうというのは無理があるというふうに思うので、こういう論理を考えなくちゃいかぬのじゃないかと思うんですね。  それからもう一つは、我が国は、欧州のように比較的あるいは絶対的に狭い工業先進国では、農業は主食である食糧の生産とともに国土保全、環境保全、水資源保全という大きな役割を持っている。これはもう言うまでもないことなんですね。この認識がもっとガットの中で取り入れられなくてはならないのではないか。これがないと、ガットは食糧輸出国の論理で押し切られてしまう。もっと国土の狭い国、食糧の非常に多数を外国から輸入している食糧輸入国の論理をガットの中で受け入れさしていくという、こういう努力がより大事であると思うんですが、その点いかがでしょう。
  99. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生お話しのように、農業が持つ社会的な政策、役割というものは非常に大事なものでありますし、この論議というのは非常に農業問題を話し合うときに大事な問題でありますけれども、残念ながら、ここ四年たって今日に来て交渉のルールをまとめるときにこの論議をする機会があるかどうかわかりませんけれども、私は、非常に大切な問題でありますから、機会があれば積極的に、今まさに地球的環境が問題になっているときでもありますので、時宜を得た問題だと思っておるわけであります。ただ、世界食糧会議みたいな立場とは違って、実は交渉の委員会でございますので、その辺は背景として主張すべきところをきちっと主張しなければならない、こう考えております。
  100. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最近のガットのダンケル事務局長の見解といいますか、声明ですね、日本の食糧安全保障論と米の完全自給という従来の日本の主張がかなり反映している、こういうふうにお考えになっているか、いかがです。
  101. 近藤元次

    近藤国務大臣 中間合意の中には食糧安保、基礎的食糧というものが明記をされておりますので、先般出されたノンぺーパーとは違った意味日本の従来の努力が明記をされておると理解をいたしております。
  102. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今のガット・ウルグアイ・ラウンドの中で農業問題の最大の対立点は、要するにアメリカとECが輸出補助金をつけて競争する、これがもう最大の問題点ですが、これが解決をしない、妥協ができないためにずっと持ち越されておりますが、補助金の削減率といいますか、そういうものを数字で妥協する可能性があるいはあるかもわからないと思うんですね、一つは。また、アメリカとECがどうしても農業問題、輸出補助金の問題で妥協ができないとなった場合に、ECを説得する、攻めるために、アメリカがまず日本に二国間の交渉、あるいは正式の二国間交渉じゃなくても圧力をかけて米を譲歩しろ、ECに説得しろ、こういう動きに出る懸念が非常にあると思うんですが、こういう場合に、二国間交渉はもちろん、これらの圧力に屈すべきでない、こう思いますが、いかがですか。
  103. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生御案内のように、二国間からこの問題が始まりまして、両国で話し合いの中で、ガット・ウルグアイ・ラウンドで話をしようということの経過で来た問題でありますので、私は、その問題はアメリカからも言うてくることはないんではないだろうか。言うてきたら、これはガット・ウルグアイ・ラウンドでやるべきことだというふうに主張していきたい、そう考えております。
  104. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、二年半ほど前なんですが、アメリカの最大の米の生産地、ミシシッピ川のアーカンソー州を訪ねて、いろいろな状況を見たことがあるのですね。広大な農地に稲をつくっている。アメリカの四割を生産するわけですが、アーカンソー大学の農業試験場に行って、品種改良をずっとたくさんやっているのを見たら、中粒種の品種改良を広いところでやっている。みんな長粒種をつくっているのになぜ中粒種を改良しているんだ、こう聞いたら、これは日本が米市場を開放したら今の長粒種を中粒種に二年間で切りかえる、そして日本に輸出を考えているんだ、こう言っておるのですね。  そこで、私は、五%であるとか三%であるとか、日本の一千万トンから言えば五十万トン、三十万トンということになりますか、それぐらいなら、こういうような言い方がいろいろされますが、私は、アメリカのミシシッピのあの広大な流域の米の生産地が、日本の市場があるんだ、だからひとつここの生産構造を長粒種から中粒種へだんだん切りかえていくとしたら、このアーカンソー等における圧力は今のカリフォルニア等の比でない、そういう圧力が出てくる。これは牛肉・オレンジと同じように、一部開放は、またそれを広げて自由化に道を開く二の舞を演ずるのではないか、こういう点で、部分開放といえども米の市場開放はやるべきでない、こう思っておりますが、これについての見解はどうですか。
  105. 近藤元次

    近藤国務大臣 もうかねがね総理からも政府の方針については御答弁を申し上げておるとおりでありまして、国内産で自給するという方針でこの問題に対処していく決意であります。
  106. 辻一彦

    ○辻(一)委員 米の問題は、前内閣のときにも閣僚間の若干の不協和音があって、いろいろな受けとめがあったわけですが、前内閣で通産大臣の突出発言が繰り返されて、日本の米問題に対する不統一が国会でも、また国際的にも論議になったと思うのですよ。  中尾通産大臣は農業関係の深い造詣もありますように聞いておりますし、この点で心配はないと思いますが、米について明確なお考えをお持ちだろうと思いますが、念のために通産大臣の見解を伺いたい。
  107. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 ただいま委員、心配ないとおっしゃいましたが、大変心配な問題であることは間違いないわけでございまして、米の問題は国会における、あくまでも決議などの趣旨を十分体して対処していくということが基本方針であることは間違いありません。  他方、一九四八年のガット設立以来、多国間貿易ということについての自由貿易の利益というものを大きく享受しているのは、私どもの国の一貫した言うならば国際経済秩序の主要な担い手であった根幹をなしておるということも忘れてはならない。そこに、ウルグアイ・ラウンド交渉というものはともかく四年間も交渉し続けたわけでありますから、これをどんなことがあってもここで妥結をしていかなければならないという不退転の決意もこれまた対応しなければならぬ問題でございまして、それだけにこの問題点につきましては大いに努力を払いたい、こう考えておる次第でございます。
  108. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国会決議をしっかりと踏まえてもらえばこれで足りるわけでありますが、なかなか容易ではないと思いますが、通産大臣の一層の努力を願いたいと思います。  続いて、私は中山外務大臣お尋ねするのですが、去年の四月、予算の外務の分科会におきましても米の問題は論議をして、もう御承知のとおりでありますが、今通産大臣の見解もお伺いしたんですが、やはり外務大臣、通産大臣、農林大臣が、三大臣がウルグアイ・ラウンドで一致したひとつ努力をしてもらうということが大事である、そういう点でもう一度外相の米に対する見解をお尋ねしたい。
  109. 中山太郎

    中山国務大臣 きょうは先ほどから委員お話を聞いておりまして、私も御造詣の深いことに敬意を表しておりますが、外務大臣といたしましては、米及び稲作等の重要な農産物につきましては、国会決議等を踏まえまして、食糧安全保障の観点から十分努力をいたしたい、このように考えております。
  110. 辻一彦

    ○辻(一)委員 農林大臣、もう重ねて聞くのはいかがかと思いますが、通産大臣外務大臣のこのような努力をするという固い決意の上に立って、担当大臣として何としても頑張ってもらわなければならぬと思いますが、いま一度ひとつ、米どころの農相ですからそれは心配はないと思いますが、念のためにいま一度お伺いしたい。
  111. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生御案内のように、生産調整も三〇%しておりますし、世界市場にもわずか三%しか米市場はございませんし、また内外価格差を縮めるためにも必死の努力をいたしておる日本全体の米農家、また農政の基本が稲作でありますから、そういうものを踏まえたときには、国会決議を尊重しながら、当然のことながら国内産で自給する方針で努力をいたしたい、こう考えております。
  112. 辻一彦

    ○辻(一)委員 三大臣ともぜひ頑張ってください。  それで、私は総括のときに農業基盤整備の必要性を総理、農相から一、二お尋ねしましたが、若干補足する意味で申し上げたいと思います。  私は北陸の水田地帯の農家の出身ですが、子供のときに泥田、湿田に大きなげたを履いて入って、そして田舟というのを押して、稲を刈ってそれに載せて運んだ、こういう子供時代の思い出があるんですが、湿田はおかげで乾田化をし、かなり機械も入るようになった。これは土地改良の結果であると思うのですが、そういう意味で私はまだまだだと思うのですね。  そこで、第三次土地改良十カ年計画は来年で大体終わるわけですが、その進捗率は四十数%、極めて不十分ではないかと思うのですが、どういう状況にあるか、これからどう努力をされるか、これをひとつお尋ねしたい。
  113. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 第三次土地改良長期計画は、昭和五十八年から平成四年までの十カ年計画でございます。総事業量三十二兆八千億、こういうことで出発したわけでございますけれども平成三年度の予算まで計算いたしますと、その進捗率は五五・六%というような進捗率でございます。平成三年度といいますと、これで九年度目ということでございますので、先生御指摘のように必ずしも進捗率はよくないというのが状況でございます。  私どもといたしましては、厳しい財政事情の中で最大限の努力をしてまいったわけでございますけれども、この土地改良事業、非常に重要な仕事でございますので、今後ともこの推進に努めてまいる所存でございます。
  114. 辻一彦

    ○辻(一)委員 まあ五六%、三年度でということですから、まだまだ不十分、ぜひ努力を願いたいと思います。  こういう中で、全国にもたくさんの例を調べますとありますが、北陸、私のところも米どころではありますが、福井でも生産性を上げてかなりのコストダウンをやっている事例があります。福井市の郊外で、これは朝日新聞の農業賞をもらった例でありますが、二十四戸の集落で三十ヘクタールの耕地を持っている。そこで、集落の中心に建物を建てて大型機械をそこに置いて、小さい機械はもう使わない、持たない、こういうふうにしてやっている。その結果、生産費は半分近くで米を生産している、こういう例も出てきておるのですね。  これらを考えると、北陸でも、この前も申し上げましたが、労働時間が一反十五時間というような乾田直播の場合なんかも出てきている。これからは農業機械の過剰投資を何としても低減することが大事であり、またこのために泥田、湿田を乾田化をし、区画を大きくして大型の機械がさらに有効に使えるようにしていく、こういう土地改良の方向はさらに大事になっていくのではないかと思います。  そこで、これらの新たな情勢を踏まえて今、平成四年度で終わりますと次に土地改良十カ年計画の第四次が策定されようとしている。いろいろな準備がされておると思いますが、これらの内容を入れた強力な十カ年計画の策定が望まれている。前回にもお尋ねしましたが、いま一度農相の決意をこれらについて伺いたい。
  115. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生今御指摘のようなことで、平成元年度からは低コストの大規模圃場整備というのを進めてまいりました。また、本年度、新規として二十一世紀に向けてのモデル的な面的集積的な形の新しい政策も出しておるわけであります。これからはコストを下げながら農家の所得をどうやって安定向上させていくかということが最大の眼目であるだけに、先生が今御指摘をされたような方向でこれから基盤整備、農業構造改善を進めていきたい、こう考えております。
  116. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、平場の方は大型化を図っていく、そしてコストダウンを図るという道がいろいろあると思うのですが、中山間地帯、特に山間地では農業自体を採算性が合うようにするのは容易でないと思うのですね。そういう点で、農林業を山間地等で維持することは極めて難しさがある。そこで放任しておけば、これはだんだん過疎化してなくなってしまう可能性が強い。でありますから、スイスでは山岳農業の維持、ドイツでは国土の傾斜度によって助成をしている。だから、平地はゼロ、そして傾斜がずっとなるほど助成率を上げていく、こういうような中山間地対策を欧州諸国ほかなり早くから力を入れている。我が国も中山間地対策というのがちょっとはしりが出ているということは承知しておりますが、より中山間地対策を強化すべきである、こう思いますが、いかがでしょう。
  117. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生お話しのように、中山間地の持つ役割というのはまさに常々言われているように社会政策上、国土保全であるとか緑化問題であるとかあるいは水源涵養であるとかいろいろな意味合いで、まさに環境問題を含めた社会政策上必要な役割も果たしてこられておるわけであります。  しかし、土地が極めて不利な条件であるために、規模拡大やコスト低減のために大変な努力をしていかなければなりませんので、新しい中山間地の活性化対策ということで、負担を軽減をするような政策で今回仕事を進めさせていただくわけでありますけれども、圧倒的な地方からの要望が強いように感じられておるわけであります。大変待望されておったことに対する政策ではないか、こう思って、今後一層力を入れていかなければなりませんし、またその地域は高品質のものをつくっていただくことと、あわせてまたいろんな選択と知恵を出しながら地域の皆さん方からも努力をしていただく、その支援を十分していかなければならないと決意をしておるわけであります。
  118. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次に、中国の問題に絡んで飼料、えさの問題をちょっと論議をしたいのですが、日本の石油が中東に依存度が非常に高いという点で、エネルギー政策の上からも非常に大きなネックといいますか問題、課題である。それから、日本より黒字の多いドイツが余り黒字を批判されずにそれより少ない日本がいつも批判を受ける、これもアメリカの輸入市場に余りにも依存度が高いということが一つの原因でないか。こういう点を考えると、輸出輸入を問わずに特定の国、特定の地域に余りにも高い依存をするということは避けるべきではないか。  こういう点で、家畜のえさ、飼料にしてもしかりであって、日本の畜産はほとんど外国の輸入飼料に頼っている。これはトウモロコシ、マイロ、コウリャンですが、それから大豆かす等々、これは搾った後はかすになる。こういうのを見ると、対米依存度が非常に飼料の面でも大きいですね。えさについてもう少し輸入市場を分散を図ってはどうかと思うのですが、いかがですか。
  119. 近藤元次

    近藤国務大臣 輸入の分散を図るより国内自給が一番いいわけでありますけれども、残念ながら土地条件その他でそうはまいっておりませんし、またなかなか自給率を上げることは困難でありますので、目下輸入をせざるを得ない状況であります。そういう状況の中に、今特に行政指導なり政治指導はしておりませんけれども、いずれにしても品質と供給能力というものが大前提でなければならぬので、従来アメリカに大部分を依存いたしておるということで、いずれにしても、飼料の供給の安定性からいっても分散というものはある程度、私はコストにはね返らなければ適切なことではないかと判断をいたしております。
  120. 辻一彦

    ○辻(一)委員 確かに安定した供給が必要です。国内で自給するのが一番いいのですが、これは時間がかかる、こういう点で申し上げたのですが、だからアメリカのえさ、飼料はそういう点で世界で最も安定した農業の穀物生産地帯になる、これはそう言えると思うのですが、もう少し輸入市場を分散を図る、こういう点で、これはえさの安定確保という点からも、今大臣も述べられたようにいろんな点も考えまして必要ではないか。  そこで、私は一つの問題を提起したいのですが、中国の黒竜江省に三江平原というのがあります。一千万ヘクタールとかいう、日本の農林省も八〇年代に三年間にわたってここへ技術陣を送り込んで土地改良区の青写真をつくり上げた経緯がありますが、今、三江平原の飼料生産基地を目指しておるわけでありまして、これに協力をしていくということが大事ではないかと思うのですが、三江平原の計画を、ごく簡単で結構ですからお伺いしたい。
  121. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 中国の三江平原につきましては、中国政府はこれを小麦、トウモロコシ、大豆などの穀物生産基地として位置づけをいたしまして、農業開発を進めてきているわけでございます。我が国としましても中国政府要請にこたえまして、国際事業団を通じまして一九八一年から八四年までの間、モデル地区の開発調査というものを実施いたしましたし、また八五年から九三年まで低温冷害とか水利開発に係る研究についての協力を行っている次第でございます。  農林水産省といたしましても、今後中国政府のいろいろな要請があれば、外務省を初め関係機関と協議の上できるだけの協力をいたしたいというふうに考えております。
  122. 辻一彦

    ○辻(一)委員 昨年、九〇年の十一月三日の新聞に、朝日ですが、「三江平原の農地開発事業 日本に参加を要請 中国政府」こういうふうに出ておりますが、中国は三江平原に第三次円借款を要請をしてこれを具体化しよう、こういうような優先順位をどうも繰り上げたように感ずるのでありますが、これをひとつぜひ推進をするべきでないかと思います。  また、黒竜江省の隣に吉林省というのがありますが、これは有名なトウモロコシの生産地で、この黒竜江省、吉林省に日中は協力をしてえさの基地をつくる。第一には、中国の暮らしがだんだん上がっていけば畜産の需要が伸びるから、それのえさに使うというのが第一でありますが、なおひとつ余裕を出してもらって、これを日本の方に輸入をしていく、こうすれば私は市場の分散を確保できるのではないか、こう思いますが、こういう点でこれはひとつぜひ取り組んでもらいたい。  そこで、外相にお尋ねしますが、第三次円借款の再開とごく簡潔で結構ですから進捗状況。また、今申し上げた三江平原の計画を中国が具体的に第三次円借款に入れるよう要望しているとなれば、できる限り協力すべきであると思いますが、それについての見解を伺いたい。
  123. 中山太郎

    中山国務大臣 今、委員の御指摘の第三次円借款の進捗状況につきましては、対中国第三次円借款、八八年八月の竹下元総理訪中時に、九〇年度から六年間で計四十二プロジェクトに対し八千百億円を供与する旨の意図表明が行われました。ヒューストン・サミットにおきまして、海部総理により本件を徐々に実施する方針が表明され、これを受けて中国側から要請のあった九〇年度分案件のうち、成熟度、緊急性さらには民生及び改革、開放に対する貢献度等の諸要素を総合的に勘案して検討してきたところでございます。  優先度が比較的高い案件より円借款を供与することとして、第一回分及び第二回分としてそれぞれ十一月二日及び十二月二十一日、中国政府との間で交換公文の署名をいたしました。九〇年度分の残りの案件につきましては、最終的なコミットメントは諸状況をさまざまな角度から総合的に勘案しつつ決定していくことになります。  なお、細部にわたりましては、経済協力局長から報告をさせます。
  124. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いや、それでいいです、要点がわかれば。  三江平原は私、五月の上旬に一週間ほど見に行ってくるつもりでおるのですが、これが中国政府に具体的な要請があり、具体化するとなったならば、これは大蔵、外務、農林それぞれ関係がありますが、ぜひひとつ頭に入れて努力を願いたいと思います。  そこで、大蔵大臣は一月の八日でしたか訪中されて、そういう点では西側の要人としては中国の首脳部と初めて正式に会談をやったわけですが、蔵相の対中認識というものをどのように得られたか、これをちょっと伺いたいと思います。
  125. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 確かに、天安門事件以降公式に閣僚ベースで訪問をいたす第一号ということで、非常に積極的に中国側の首脳部も論議に応じていただいたと思っております。  その中で私が非常に感じましたことは、確かに国際的な情報から遮断をされ、情報が入りにくくなっておる。しかし同時に、その期間内にインフレを完全に抑え込んだということから、非常に中国側は経済についての自信を持って議論をし得る情勢になっている。その上で、昨年の暮れに終了いたしました七中全会で承認をされ、今春の全人代に提案が予定されております第八次の五カ年計画というものに対して非常に強い期待とまた自信を持っており、これについての国際的な協力を得たいという希望を明示しておる。  そして、その中において非常に特色的なのは、大きな枠組みとしての計画経済というものを堅持しながら、市場調節にゆだねる分野を拡大しながら統一市場システムをつくっていきたい。同時に、地域間格差の是正というものを非常に大きく打ち出している。またこれに関連して、中央と地方の関係の整序というものをこの中に織り込んでいる。率直に申しますとこうした点についての説明には非常に自信を持ち、また積極的に理解を求める空気でありました。  他方、例えば湾岸における当時の情勢等その他国際的な問題に対しては、情報が特定の部分に集中をし、一般的に論議のできる情勢ではなかったということを感じております。
  126. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間があればいろいろもう少し詳しく聞きたいこともありますが、要点は伺いました。  そこで、これは外相にこの問題で最後に伺いたいのですが、最近におけるソビエトの政治経済の状況を見ると、欧州と世界の安定にはソビエトの安定がぜひ必要である。それが今、いろいろな不安がありますが必要である、これはもう痛感されると思うのです。同時にアジアにおいては、アジアと世界の安定には中国の安定が何としても必要である。中国の現在の開放政策、それから経済改革政策、こういうものを今後とも支えて協力していく、こういうことがアジアにおいては非常に大事であるというように痛感をいたします。  そんな中で外相の対中認識、それからまた、なるべく早く中国に行ってもらった方がいいのじゃないかと思いますが、なかなか難しい時期でありますから容易ではないと思いますが、訪中を急いで十分な意思疎通を行うべきでないか、この二点についてお伺いしたい。
  127. 中山太郎

    中山国務大臣 海部内閣が誕生いたしまして以来、海部内閣外交方針の一つとして、中国を孤立化させることはアジアのみならず国際平和のために好ましくないという考え方を堅持いたしておりまして、アメリカ及びEC諸国が極めて厳しい態度をとる中で、天安門事件以降も日本政府は中国の改革、開放に対する努力評価する点を指摘し、私みずからも各国首脳に対しては、中国を孤立から避けるために努力することを日本政府考え方として主張してまいりました。ヒューストン・サミットにおいても同じでございましたが、幸いなことに、昨年の六月十五日の日米外相会談においても私は強く主張し、日本が第三次円借款に踏み切ることに大方の了解が得られたということでございまして、私はそれなりの日本政府努力評価されていいものだと考えております。  その点に関しまして、中国の訪日される呉学謙副総理初めいろいろな方からこの点については評価をしているというお話もございますが、私もできるだけ近い機会に中国を訪問して、日中のいろいろな政治課題というもの、またアジアの全体の問題、国際政治における問題等について意見の交換をする機会をぜひ持ちたい、このように考えております。
  128. 辻一彦

    ○辻(一)委員 あと三十五分間ほどですが、この前からの問題になっております美浜第二原子炉の安全問題、これについて若干お尋ねしたいと思います。  御承知のように、原子力発電所の安全性は、日本では入念な一年に一回の定期検査、これによって十分検査をする。もう一つは、小さな漏れ、事故、いわゆるピンホール、目に見えないような小さな穴から漏れてくる、そういうものを早くキャッチをして事前に対応する、いわゆるLBBと言われておりますが、リーク・ビフォア・ブレークというそうですが、小さな漏れ、大きな破断の前に小さな漏れを発見する。この二つによって原子力の安全性というものは保たれている。ところが、今度の美浜の発電所の事故はその二点が崩れかかったということで、安全上非常に大きな問題である、私はこういう認識をしております。  ECCSが、緊急炉心冷却装置が作動したからよかったでないか、心配ない、こういう言い方がありますが、例を挙げれば、谷底につり橋をかけて、そしてその橋げたがたくさんある、一年に一回だけはこれを検査をする。だんだん古くなってくると検査を厳しくしますが、これは心配ない、これは定期検査ですね。それから、その橋げたを渡ろうとしたときに、折れかかったら早くわかる方法がある、だからLBBの原則で早くキャッチできるから心配はない。そこでそのつり橋を渡ったところ、橋げたが一枚折れて谷底へ落ち込んだ。ところが命綱一本、ECCSがあったために宙づりになって助かった。だから、そういう助かり方なんですから、そのECCSが働いた、宙づりになれば、これは人間寿命が、何回もやったら死んでしまう。  だから、ECCSが作動して安全であったということは、結果的にはそうでありますが、安全上から重大なことで、こういうことを再三繰り返してはならないということが非常に大事であると思いますが、この点のひとつ見解を通産大臣に伺いたい。
  129. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 ただいま委員の橋げたの例ではございませんが、本当にある意味においては、ECCSがいかに働いたとはいえ重大問題として取り上げなきゃならぬ、これはもう私の認識するのみならず、資源エネルギー庁の方にもしかとその旨は伝えておるつもりでございます。  我が国の定期検査の問題でございますが、蒸気発生器につきましては、全数、全長にわたるECTというんでしょうか、渦電流探傷検査というものを実施しておりまして、蒸気発生器の健全性をつとに確認しておる次第でございます。  美浜発電所二号機につきましては、昨年四月の五日から七月の二十五日までの間に定期検査を実施いたしまして、そのうちの、指示のありました十六本の伝熱管というものについて施栓を実施しているわけでございます。  通産省としましては、まずは、先ほど私が申し上げましたように徹底的な調査をする。そして先ほどのような、まかり間違えたことがあったらば一触即発的な事態になるということの対応、いかようにしてこれを救っていくのか、これがもう一番肝要なことでございますから、それをバイタルな問題として、今後原因究明のための調査を進めた上で、その上で必要に応じた対応について検討していかなきゃならぬ。即座にこれは対応することをお約束させていただきたいと思います。  定期検査の見直しのことについてもお触れになられましたが、これにつきましても、その必要性というものを十分認識しながらこれも対応していくということをお約束申し上げたいと思います。
  130. 辻一彦

    ○辻(一)委員 定検の問題に具体的に大臣お触れになりましたので、この問題をちょっと先に若干論議したいと思うのですが、原子炉では、細かいことは別にして、温度の高い方の縦ひびは全部点検をしておる、これはわかりますね。横ひび、横のひびは今までやってなかったのを、大飯の事故が起きて以来、管板というところ、その局所だけはやっている。低温側の縦のひびを全部調べているのか、あるいは低温側の横のひびを全部やっているのかとなると、やってないところが随分実際は多いと思うのですね。だから全部が、入念とは言いながら、全部を検査という状況にはなかなかなっていないということが一つ。  それから、アメリカのノースアンナの原子力発電所は横のひびが入って、そして、それで九年目でしたが、これは御存じのようなより大きい事故を起こした。横のひびが入る、これはなかなかわからないのですね。今栓を打ってやっておる。大飯でも六十三年ですか、横ひびが出て、これは栓を打ってとめておる。しかし、原因はなお解明されていない。  そこで私は、去年の七月にこの国会の派遣の後、時間をとってフランスのダンピエール原子力発電所を見に行ったのですが、これはフランスで初めて蒸気発生器を全面交換したその後であったわけですね。そのときに、なぜこれを交換したかといいますと、所長ほか三時間ほどいろいろな現場を見て話を聞きましたが、第一は、横にひびが小さいのが入ってどうしても原因がわからない、細管をつくった製造元、メーカーまで全部追跡調査をしたが、どうしても解明できない。そういうことでもうこの解明をあきらめて、こんなのに時間をかけてやっているよりはこの交換をした方がいいというので、百八十億のお金をかけて全面交換をした。もちろん第二の理由は、そういうことにお金がかかるからというのでありますし、もう一つは、フランスとしては新しい技術を、世界の蒸気発生器の全面交換という中で技術を確立したい、こういう点もあってやったのです。しかし第一は、横のひびがわからない、こう言っておるのですね。  こうなると、世界の、アメリカにしても日本にしてもフランスにしても、横に入っているひびの原因が十分今日解明されていない。それで栓を打ってとめている。あるいは定期検査中に一年間の間にそういうひびが出てくる。こういうことで、日本では定期検査でオーケーしても、それはその面では役に立ってないということが実証された。こういう点で私は、この細管は今東海へ持っていっているのですからそれの解明を待たなければいかぬのでありますが、新しい検査法が必要な段階に来たのでないか、こう思いますが、時間の点から長い説明は要らぬから、ごく簡単に答えていただきたい。
  131. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、定期検査で細管のECT、確かに我々、軸方向の割れあるいはリークということに対しまして徹底した検査をやってきたわけでございます。それで、横方向につきましては確かに難しいわけでございますが、周方向についての減肉あるいは割れに対しましても、それに合ったような検出、ECT、特殊ECTが開発されておりますので、それを適用するようにということで我々やってきておりますが、今回の事象は、先生おっしゃったように原因究明中でございます。そういうことで、取りました細管について徹底した原因究明をして、それを踏まえまして今後の細菅の定期検査のあり方に反映していきたいというふうに考えております。
  132. 辻一彦

    ○辻(一)委員 定期検査は、さっき私が申し上げた二つの、一つの大事な両輪というか柱ですから、これでわからなくて問題が起こるようになれば非常に不安感を招くわけですから、これは徹底究明をして、定検に新しい一つ、必要となれば取り入れてやってもらいたい。  もう一つは、今通産省は加圧型の発電所に対して、問題がある、暫定マニュアルというか手順書をつくって、それで指示をしておるのですが、ピンホールというのは、目に見えないような小さな穴があいて、そこから放射能が漏れた。それは今までのようなマニュアル、運転手順で早目にキャッチしてやることができる。ところが、今度のように急速に事態が進行すると、もう放射能がふえた水をとってサンプルをして、ちょっと多いと、もう一遍これを検査している間にもう走ってしまった、こういうことですから間に合わない。だから現行のマニュアルでは、ああいう破断が急速に一時間ぐらいで走ってしまう場合には不備があるのではないかと思いますが、簡潔にちょっとお答えいただきたい。
  133. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、ピンホール型の損傷ということでございますと、二次側の放射能の検知ということで確実につかまっているわけでございますが、今回のような事象、いろいろこれから経時的なチエックをするわけでございますが、放射能濃度のパラメーター、これに有意な変化が出たときには、やはり原子炉の運転を停止する措置を直ちに講ずる等の、原因が明確にわかるまでの措置としてこういうような措置が必要じゃないかということで我々措置したわけでございまして、先生御承知のとおり、二月九日十二時四十分でございますが、二次冷却水の放射性パラメーターが変化しているということに気づきまして水分析をやり出したわけでございますが、その途中で原子炉が自動停止、それからECCS作動ということになったわけでございますので、この十二時四十分のパラメーターの変化というのを我々有意な変化ととらえまして、こういうような短時間で細管が破断した事実ということにかんがみまして、目安として、当面の措置として指示したものでございます。  以上でございます。
  134. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その指示内容は、二〇%を通常超えた場合に手でとめる、三十分以内にとめる、緊急のときにはスクラム、緊急停止をかけると、こういう要点ですね。  そこで、ところが、現場のこれを扱っている関西電力、関電では、この責任者は、一時的に二〇%ふえたのをキャッチしてそれでとめるということになったら、もうしょっちゅう何回もとめなければならぬと、これはどうにももたなくなってしまう、そこで、六十分から四十分の平均値をとって、それが二〇%を超えたと見た場合にはこれを運用したい、こういうように言っておるんですが、今御報告のとおり、十二時四十分に発生して一時間ちょっとでこのECCS作動にまでに至った。これを見ると、四十分、六十分の現地で言うところの平均値をとっては間に合わなくなるわけなんですが、これについてはこの根拠はあるのかどうか、いかがですか。
  135. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘の放射能の濃度のパラメーターでございますが、性格上、ある程度のばらつきというのはあるわけでございまして、我々あえて有意な変化ということを定量的な目安として二割ということを言ったわけでございますが、モニターの示します放射線の幅があるわけでございますが、それが全体的な傾向として二割程度上昇した場合に有意な変化ということで関係電力会社に指示したところでございまして、先ほども申し上げましたように、十二時四十分という時点を我々やはり当面の措置としては大事なトリガーの時間であるというふうに認識して指示したところでございます。
  136. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この原子炉をとめるかどうかという判断が、有意な変化であったかどうか、そんなことはすぐにわかるものがないと、これは迷っておったらだめなので、そういう点であいまいな根拠を示すと、これは現場はとめていいのかとめて悪いのか迷うんですね。  そこで、関電がこう言っておりますが、この方式で美浜二号の事故を予知できたかどうか。データを調べてないので何ともわからない、こう言っておるんですが、通産が示した指示、それに基づいて現場の関電が運用を考えた、それでもって美浜二号の前回の、この間起こった事故を、その方式を当てはめた場合に確実に予知できるのかどうか、いかがですか。
  137. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  我々、このブローダウン水位モニターの数値を見ておりますが、十二時四十分に四十二から四十五CPMと、通常三十五CPMぐらいのカウント数でございますが、変化してきておるわけでございます。これにつきましては、この美浜二号の運転員が気づきまして、水分析ということに措置をとろうとした数値でございますので、運転員としては気づいているわけでございますので、我々この数値というのは、全体的な傾向でございますが、有意な変化というふうに考えております。
  138. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっと質問に答えていないんですね。大事なのは、通産が言う指示で瞬間値をとらえたら、この二〇%ぐらいを振れてオーバーする場合がいろいろある。だから瞬間値をとらえたら、これは原子炉をいつもとめなければいかぬ。そんなことをしたら大変ですからね。だから現場の関電では、四十分とか六十分という平均の数値を、これは数学的に出すんでしょうが、やって、それで自動的に判定しようというのですが、そういう平均値のとり方で、この間の関電の事故は、その方式を当てはめたときに予知できるのかどうか、それを聞いておるんです。いかがですか。
  139. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  このモニター、一分間に一つの数値をカウントして、約一分間に一つでございますが、打点しているわけでございます。それで、先ほども申し上げましたが、我々この数値をプロットして全体的な傾向を見ますと、十二時四十分というところには有意な数値、先ほど申し上げましたように三十五CPMが四十二から四十五に変わってきていて、中心的な数値、ある幅でこう推移しているわけでございますが、中心的数値がそういうふうになって、運転員が有意というふうに認識できるようになっておりますので、我々はこの数値というのをやはり大事にして、次のアクションをとるべきトリガーというふうに我々は判断しているわけでございます。
  140. 辻一彦

    ○辻(一)委員 余りこの数字の話は時間もないので詰めかねるのですが、それでは、今現場の関電が出している一つの運用方式がありますね。あなたの方で、通産で指示をして、それに基づいて運用するための具体的なのをやっているわけだから、それによって一遍美浜の十二時四十分が予知できたかどうか計算をして、資料として後で出していただきたい。いいですね。
  141. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  指示をいたしまして、関西電力から正式にこういうようなことによってやるというふうにまだ来ておりませんので、参りましたら、今先生がおっしゃったような点についても検討いたしまして、御説明させていただきたいと思います。
  142. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっと指摘をしておきたいのですが、一時間の平均値をとるとすると、二時間ぐらい見なくちゃ計算上ならない。それで、その半分の数字しかつかまらないんですね。だから、瞬間値なら簡単であるが、平均値というのは相当な時間が要るんで、だから一時間や四十分では間に合わない、始まってからでは。だから、十分ぐらいに例えばそういう予知がでぎるようなものができるのならば、つかまえることができる。それはひとつ、そちらの方が専門でしょうから、検討して一遍数式を出してほしいと思います。  私の懸念するのは、暫定マニュアルというのは、それによって原子炉を現場はとめるかどうかを判断するわけですから、だから現場にその判断の幅を持たすようなのは非常に難しいと思うんですね。これはやはりきちっとこれに従ってとめるかとめぬかということが判断できる、そういうものが基準としてなくてはならない。そういう意味で、この運転マニュアルの不備は十分検討をして取り組んでほしいと思います。  それから、時間の点から詳しくは申し上げませんが、運転マニュアルの中で、破損蒸気発生器が判定され、隔離された後、健全側主蒸気逃し弁を使用して云々と明示してありますが、この手順を見ると、弁のあげ方、手順等に問題があるのではないか、それは単純なミスか、あるいはそれとも非常に急いで主蒸気逃し弁を開かなくてはならなかったほど圧力が上がったのか、このことについては問題を指摘しておきます。後でひとつ詳しい資料をつけて説明をいただけばいいと思います。  そこで、さっきの二つの、早目にキャッチするというのがどうも不安定さがあるのですね、今暫定基準で示してどうするかという状況。それから、定検をやったけれども、さっきの橋げたの話じゃないが、六千六百本ある橋げたの一本にああいう事故が起きたのなら何本か起こる可能性もないとは言えない。そうなりますと、この原子力発電所の安全性を優先させていくという点からいうと、一遍この点検をする必要があるのでないかと思うのですね。だからそれは、一度に一斉にというのが一番望ましいのですが、なかなか難しさがあるとは思いますが、一度一斉に点検をする、この点について必要があると思うが、いかがか、簡単で結構ですから答えてください。
  143. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 先ほど来御説明していますように、現在原因の徹底究明中でありますので、原因がわかりましたところでその原因に応じた対策を講ずるということでございまして、その段階で御指摘の点も踏まえて検討したいと思いますが、ただ、とめなければわからないものなのか、あるいはとめなくても過去のデータを詳細にチェックすることでわかるのか、あるいは、先生おっしゃいましたように、運転を非常に注意深くしていれば次の定検までは大丈夫だという判断ができるのか、その辺はやはり原因を究明した段階で対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、危険なものを運転させるということはもちろんできませんので、現在運転中のものも含めて、これは運転中のものについては既に過去の定期検査のデータをもう一度見直すという作業をやらせておりますが、そういうことで原因究明が進むにつれて御指摘の点について御心配のないように対処していきたいというふうに考えております。
  144. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その裏には電力の需要といいますか需給もあるということを言っていらっしゃると思うのですが、何といっても原発は安全性が第一、最優先をさせなくてはならない。そういう電力需給等も考えれば、一遍ということにいかなければ二回とか三回に分けて、古い、問題のあるところから点検を行っていく、そして動かしていく原発については、これは出力をある程度、必要ならば落として安全を確保する、こういうことが具体的にいろいろ考えられると思いますが、その点について最大限の努力をひとりしてもらいたいと思います。  それから第五に、資料の問題でありますが、私も現地からもいろいろな資料の要請をして、調査の結果要請をして、いろいろといただいたりあるいは政府の方からも来ておりますが、まだまだ解明されない、あるいは提出されない資料が多いわけなので、この資料を公開をするということと、それから通産のこの調査委員会は、新聞の記事によると、調査期間中の資料は非公開とする、こう言っておるのでありますが、私はこれは公開の原則に従って公開されるべきものであると思いますが、これはいかがですか。
  145. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 資料の公開問題につきましては、原子力の安全性についての国民の各位の御理解をいただく上で、原則として公開できるものは極力公開するというのが原則でなければならないと私どもも思っております。ただ、データあるいは個々の委員の発言等については、やはり自由な討論を確保するためでありますとか、あるいはノーハウに属するような財産的価値のあるものについては保護しなければならないとか、一定の制約があることもまたお認めいただかなければならないわけでございまして、そういう制約というものと、できるだけ公表して御理解を深めていきたいという私どもの姿勢との兼ね合いにおいて具体的には判断をさせていただきたいと思っております。  御指摘の調査委員会につきましては、それぞれの専門の委員の方々、十八名お集まりいただいて議論をしていくわけであります。恐らく甲論乙駁といいましょうか、いろいろな議論が展開されるのだろうと思いますので、一々の段階でどういう問題が、だれがどう言ったという式のことを逐一御報告するというのは、これはやはり本当の意味での原因究明にはかえってマイナスになるおそれがあると思いますので、節目節目に適切に進行状況を御説明するというような方法で工夫をさせていただきたいというふうに思っております。
  146. 辻一彦

    ○辻(一)委員 まあ資料公開は具体的にならなければそれぞれわからないのですが、最大限ひとつ公開されることを強く要求しておきます。  そこで、二月の二十一日のある新聞は、第一回の通産の調査委員会が開かれたときに、委員から、偏り過ぎである、こういう内部からの意見があったということを伝えておるのですが、どういう意見があったのか聞きたい。
  147. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 御質問の意味が、技術の専門家だけを集めていて、もう少し技術専門以外の者も入れるべきではないかという御意見であろうと思いまして、その点でお答えをいたしますが、私ども調査特別委員会と申しますのは、この顧問会の中に、顧問会ということで技術の専門家がおるわけでありますけれども、その中の技術の専門家を集めて技術についての知見をいろいろお聞きしようということで集めたものでございまして、総合的な判断といいましょうか社会的な問題などを含めた上での判断というのは、私ども行政庁の方がその委員の先生方の報告も踏まえた上で判断をさせていただく、こういう仕掛けになっているものですから、あるいはそういう印象を与えたのかもしれません。御質問の意味、取り違っておりましたら、後ほどまた追加をさせていただきます。
  148. 辻一彦

    ○辻(一)委員 スリーマイルのあの事故があったときに、当時のカーター米大統領は特別委員会を設置したのですが、大学の専門家あるいはいろいろな学者とともに主婦を一人入れておるのですね。それからNRC、いわゆるアメリカの原子力規制委員会が本格調査をやったときには、社会的常識ある人として弁護士さんを入れておる。このようにしてこの公正さあるいは社会的な常識、こういうものをやはり反映するように委員の選考に当たって考えている。あるいは専門家といっても、これは私も詳しいことはわかりませんが、例えば金属腐食の専門家や水の流れの専門家というのは今度は欠くことのできないメンバーであるが、そういう人がちゃんと含まれておるのか、一覧表を見て余り詳しくはわからないのですが、そういう点で、公正な、強力な委員会を設置する点については総理答弁もあったし通産大臣答弁もあったわけですから、十分私、委員の意見を参考にして人選をしたい、こういう御答弁でありましたが、この中身は大体それにふさわしいか。もしなければ、不備であれば、これは追加してでも考慮していただきたい、こう思うのです。
  149. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 技術については、いろいろ多角的な観点で各分野を代表されるような方々にお入りいただいたつもりでおりますけれども、なお検討を進めていく過程で手落ちが、抜けがあるというようなことがありましたら、これはその段階でしかるべく対応させていただきたいと思っております。
  150. 辻一彦

    ○辻(一)委員 通産大臣、これは非常に大事な委員会だと思うので、足りなければ、もう一遍決めてしまったものだからどうもならぬというのではなしに必要な人は追加をして、そして立派な委員会の内容にしてほしい。  と同時に、科学技術庁にも安全委員会があるわけですから、だからそのダブルチェック、別個の調査する権限を科学技術庁は持っておるのですから、この安全委員会の中で独自の調査委員会をやって、これもしっかりダブルチェックでやっていただきたい、その点ちょっと、簡単で結構ですから、いかがですか。
  151. 村上健一

    ○村上政府委員 お答え申し上げます。  原子力安全委員会におきましても、この問題は非常に重大なものと認めまして、去る二十二日に原子炉安全専門審査会、これは法定の審査会でございますが、その中の発電用炉部会にこの調査、審議を指示したところでございます。
  152. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その発電部会は、この前私が福島の原発のダブルチェックをただしたときに、我々が期待するところにはまだ距離があったように思いますが、この安全委員会で設置される調査委員会もひとつ十分厳しく対応していただきたいと思います。  そこで、最後に防災問題について一、二触れたいと思います。  あの事故の後、原発を立地していない町村が周辺に七つ、市町村が集まって、立地をしていないものだから安全協定が結ばれていない、だから、事故が起こったにかかわらず通報も何もなしに、新聞で知ったという。行政の長としては、自治体の長としては、住民からどんどん聞き合わせがあるのにどうにもならぬ、こういう不満が非常に強く出て、その周辺の非立地の七市町村長が集まって、この間県や関西電力にも申し入れをしておる。それは、そういう事故の通報等を含めた安全協定を非立地の市町村とも関電は結ぶべきだ、こういって県に申し入れておるのですが、私は、これは当然な願いであり、全国的にも北海道を初め六カ所、七カ所で非立地の町村といわゆる電力企業が安全協定を結んでいる例があります。したがって、関電はこの非立地の市町村と安全協定を結ぶように指導すべきであると思いますが、いかがですか。
  153. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 原子力発電を円滑に運営していく上で、地元の御理解、御協力が必要なことは申すまでもありません。そのためにいろいろ工夫をし、安全協定を結ぶ等の措置をしているわけでありますが、具体的にどういう範囲の市町村と安全協定をどういう内容で結ぶかということについて、画一的な指導までは通産省としてはしていないところでございます。  ただ、先生御指摘の問題につきましては、安全協定、これは協定によりましていろんなタイプがございますが、通報というのはなるほど一つの項目ではありますが、それ以外のこともいろいろありますので、通報するということについては、必ずしも安全協定がなくても関係するようなところには早目に通報するというのはいわば当然のことでございますので、これは私どもとしては、少なくともそういうことについては各社において、今まで落ち度があったのであればもう一度十分見直すように、こういう点で今指導しているところでございます。
  154. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原子力発電所を設置した市町村、自治体に助成する法律がありますね。その中に、隣接市町村にも助成の道を開いておるのですね。法的にいうと、立地市町村とそれから隣接の市町村、こういうふうにして助成の場合にも道を開いておるのですから、安全協定を結ぶ場合も、立地の市町村と、これに準じた形で、私は、この隣接、近接市町村と結んでいいのではないか。いかがですか。
  155. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 もちろん立地の場所というのはこれは当然でございますが、非立地の場所についての周辺の環境問題あるいはまたこれに対するおそれのあることさえもが通告されておらないということ、これは重大な問題でありますから、この問題につきましては政治的な課題としまして私も十分に踏まえましたので、それだけに、これほどのような形で対応していくかということは、今ここに具体的な例はございませんけれども、また具体的にまとまっているわけではございませんが、これは、委員考え方非常に至当だと思いますから、十分に調査し、なおかつ検討し、前向きで考えていきたい、こう考えます。
  156. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後にちょっと、一、二分オーバーして、もうちょっとお許しいただきたいのですが、自治大臣に一つお尋ねしたいのです。  この前防災の問題を論議をしましたら、関係省庁の連絡会等を持って対応したい、こういうことも後で伺いましたので、住民参加等を含む防災訓練を前に進めていくためにどういう対応をしていらっしゃるかということをお尋ねしたい。  それから建設大臣お尋ねしたいのですが、これは、この間申し上げましたように、あの原電地帯は、十五の原子力発電所、まあ一番たくさんあるのですが、万が一のときに――あってはならないと私は思うのです。しかし、万が一のときにはやっぱり避難をすることを考えなきゃいかぬ。そのときに道が通らなくては大変なんですね。あそこに国道二十七号線というのがありますが、これは夏は五百万から海水浴のお客さんが来て、もう難渋で、何時間もかかるというような国道一本しかないのですね。したがって、舞鶴と敦賀の間に近畿自動車道敦賀線を、ようやく二十数キロかアセスが行われたのですが、早急にこれをひとつ前進をさせて、万が一の防災の道路としても敦賀―舞鶴間が活用できるようにすべきであると思いますが、この二点についてお尋ねしたい。  それで、科学技術庁長官には、いろいろお尋ねしたいことがあったのでありますが、一つだけ、核融合という問題がありますね。地上の太陽、それから宇宙の太陽。宇宙の太陽は、太陽光として大いに開発しなくてはいかないし、地上の太陽は核融合、熱核融合であると思うのですが、これは今世界の国々で四者が協力しておりますが、ぜひ力を入れてやるべきだと思いますが、簡単で結構ですから、ちょっと三点。
  157. 渡部恒三

    渡部委員長 関係大臣、順次簡潔に御答弁ください。吹田自治大臣
  158. 吹田愰

    ○吹田国務大臣 先日も申し上げましたが、今関係省庁と調整中でございますが、できるだけ御期待に沿うような方向で検討していきたい、こう思っております。
  159. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 御指摘の道路は、防災面からも非常に重要であります。三月で約半分できるわけであります。残りの半分につきましても全力を挙げて努力をしてまいります。
  160. 山東昭子

    ○山東国務大臣 ITERの計画は、国際協力プロジェクトとしてソ連も含めた四極で開発している問題でございますので、非常に意義のあるものと考えております。ですけれども、御承知のように、人を含めて環境整備に大変お金のかかるものでございます。後ろにいらっしゃる大蔵大臣からコツンと殴られるかもしれませんけれども、私としては積極的に推進していく所存でございます。
  161. 辻一彦

    ○辻(一)委員 蔵相にも要請しておきます。  それではこれで終わります。
  162. 渡部恒三

    渡部委員長 これにて辻君の質疑は終了いたしました。  この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ────◇─────     午後三時二十六分開議
  163. 渡部恒三

    渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、先刻本院で承諾いたしました予算の内閣修正について、政府の説明を求めます。大蔵大臣橋本龍太郎君。     ─────────────  平成三年度一般会計予算修正書  平成三年度特別会計予算修正書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  164. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 政府は、さきに、平成三年度予算を国会に提出し、御審議をお願いいたしているところでありますが、既に本会議において御説明いたしましたとおり、このたび、一般会計予算及び国債整理基金特別会計予算について、所要の政府修正を行うこととし、院の承諾を得ましたので、ここに改めてその内容について御説明いたします。  第一は、一般会計歳出予算におきまして、臨時特別公債に係る償還財源の国債整理基金特別会計へ繰り入れ二千十七億円を修正増加するとともに、この財源に充てるため、防衛関係費十億円、公務員宿舎施設費七億円及び予備費二千億円を修正減少することといたしたことであります。  また、防衛関係費に係る国庫債務負担行為を修正減少することといたしております。  第二は、国債整理基金特別会計予算におきまして、歳入面において、今般創設される法人臨時特別税及び石油臨時特別税並びに臨時特別公債に係る償還財源の一般会計より受け入れ等を修正増加するとともに、歳出面において、臨時特別公債に係る償還費等を修正増加することといたしたことであります。  以上をもちまして、平成三年度一般会計予算及び平成三年度特別会計予算の修正についての御説明といたします。      ────◇─────
  165. 渡部恒三

    渡部委員長 次に、平成二年度一般会計補正予算(第2号)、平成二年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題とし、審査に入ります。  まず、両案の趣旨について政府の説明を聴取いたします。大蔵大臣橋本龍太郎君。     ─────────────  平成二年度一般会計補正予算(第2号)  平成二年度特別会計補正予算(特第2号)     〔本号末尾に掲載]     ─────────────
  166. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 平成二年度補正予算(第2号)の大要につきましては、さきに、本会議において申し述べたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするに当たり、その内容を申し述べます。  一般会計予算の補正について申し述べます。  まず、歳出面におきましては、湾岸地域における平和回復活動に対する我が国の支援を実施するため、湾岸平和基金拠出金一兆一千七百億円を計上しております。  他方、歳出の節減合理化に最大限の努力を行うこととし、既定経費について百十六億円を節減するとともに、予備費について二百五十億円を減額することとしております。  歳入面におきましては、その他収入について、その確保に努め、一千六百四十五億円の増収を見込んでおります。  また、今般の支援に係る平成三年度以降の財源を確保するまでの臨時的措置として、臨時特別公債を九千六百八十九億円発行することとしております。  以上によりまして、平成二年度一般会計第二次補正後予算の総額は、歳入歳出とも第一次補正後予算に対し、一兆一千三百三十四億円増加して、六十九兆六千五百十二億円となっております。  特別会計予算につきましては、国債整理基金特別会計及び外国為替資金特別会計において、所要の補正を行うこととしております。  以上、平成二年度補正予算(第2号)につきまして、その内容を御説明いたしましたが、なお詳細にわたる点につきましては、政府委員をして補足説明いたさせます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  167. 渡部恒三

    渡部委員長 これにて大蔵大臣の説明は終わりました。  引き続き、補足説明を聴取いたします。保田主計局長
  168. 保田博

    ○保田政府委員 平成二年度補正予算(第2号)の内容につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして、補足説明させていただきます。  まず、一般会計予算の歳出の補正につきまして、御説明いたします。  湾岸平和基金拠出金一兆一千七百億円は、昨年八月二日に発生したイラク共和国によるクウェート国への侵攻及びその併合に対し、湾岸地域の平和と安定の回復のため国際連合安全保障理事会決議を受けて活動している各国に対する支援として行う湾岸アラブ諸国協力理事会の湾岸平和基金に対する追加拠出に必要な経費であります。  既定経費の節減百十六億円は、既定経費の見直しによる不用額の減額を行うものであります。  次に、歳入の補正につきまして御説明いたします。  その他収入一千六百四十五億円の内訳は、日本中央競馬会納付金五百二十億円及び外国為替資金特別会計受入金一千百二十五億円であります。  公債につきましては、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に基づく臨時特別公債を九千六百八十九億円発行することといたしております。この結果、平成二年度の公債発行額は、七兆三千百二十億円となります。  特別会計予算につきましては、以上の一般会計予算補正等に関連して、国債整理基金特別会計及び外国為替資金特別会計において、所要の補正を行うことといたしております。  以上をもちまして、平成二年度補正予算(第2号)についての補足説明を終わらせていただきます。
  169. 渡部恒三

    渡部委員長 これにて補足説明は終わりました。  次回は、明二十六日午前九時より委員会を開会し、補正予算の審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会