○新盛
委員 外務大臣は後で時間をかけてあれしますが。
それで、今縦割り行政としてこれは非常に欠陥があると私
どもは見ていたのですけれ
ども、
大蔵大臣が代表して、特に今の状況ではまだそういうことになっていない。現実的に、この問題については
アメリカ議会調査局の報告書を見ましても、援助目的の再確認、援助
内容の再検討、実施体制の再検討などを踏まえて既に
議論がされておりますし、カナダの議会下院、
外務通商常任
委員会では、一九八七年五月にこのカナダにおける
政府開発援助に関する証言、こうしたものを聴取しながら、どうしても
日本のようにこうして、
日本はそれこそ援助国第一位ですから、そういう意味でその行く先がどうも不明であるというのでこの報告書をまとめておるのですね。だから、このいわゆる官僚主義的なやり方で運営されているという全般的な
各国々の様子もあるわけですけれ
ども、これはガラス張りにして
国民に明らかにせしめる、こういうことは必要じゃないか、それから来ていると思うのです。
ここに紹介しますが、西ドイツのブリギッテ・エルラーさんという人が一九八三年十月にODA、いわゆる西ドイツの担当官であった。三週間にわたってバングラデシュの現地を視察旅行に出かけてこの現地を見てみたのだが、もうびっくりして、帰国後直ちに辞表を出した。これは有名な話であります。自分が手がけた開発援助プロジェクトが、その目標であった最貧困層の救援と自助
努力によってやられているだろうと思っていたけれ
ども、全く役立っていないばかりか、この援助プロジェクトがあったばかりに逆に貧民の生活が甚大な被害をこうむっているという結果を目撃をして
辞任をしたというのです。そして本を書かれたわけですね。この
内容を見まして、私も本当にそうだろうなと。
それは、私も去年の九月に今こういうふうに本をつくったのですが、この中にも紹介されておりますように、インドネシアからマレーシアあるいはスリランカなどをずっと見て回りました。「光と影」、
松浦委員がさきの
委員会で紹介しましたように、光の部分は非常に立派なのですが、影の部分は一体何に使われたのか、何が目的だったのか、本当に開発援助という名のもとに、中間に入っておりますプロジェクトあるいは商社あるいは建設会社などを初めとして、こういう関係の利益になる、あるいは相手の国から非常に、ある意味では逆にこういうODAのやり方まずいのじゃないか、こういう
指摘も受けたわけであります。
それで、私
どもはODAをふやすことは賛成です。
世界の貧しい
国々の経済あるいは社会開発に貢献をして、また貧しい
人々の生活水準の向上に寄与するというこうしたことであれば、
日本の
国民だってこれは地球社会の一員ですから当然のことだと
理解を示すのでしょうけれ
ども、今こうした状況で、ある場所では全くむだ遣いをしているやに見受けられるこの海外援助というのは、もう一回、カナダでもそうでありましたように、あるいは
アメリカでもそうでありますように、あるいはドイツでもそういう反省をしておられるように、
日本は経済大国、しかも援助第一位の国、こういうことになっているわけですから、そうした面で皆さんがこうしてもっと現地の生々しい実態を把握をした上でやっていただきたい。
海部
総理が途上国の方に行かれて、ポケットから出すわけじゃないでしょうけれ
ども、ばらまきをしてきたじゃないかと世間では風刺しているわけですね。こういうことではよくないのじゃないか。こうした面のその中心的衝に当たられる
外務大臣としては、これからこうしたことを直していくためにどうすればいいのか、第一、予算の中でも数量がはっきりしない、そして予算、決算が出るわけじゃありません。国会に承認を求めるわけじゃない。ある意味では会計監査人でも入れて何かきちっとしたチェックをということであればいいのですけれ
ども、そういうものが定かでないわけでありまして、このような状況を踏まえて、ぜひともこれは
外務省として今後の明確な指導体制をつくり上げてもらいたい。そういう意味で、今申し上げた諸点について御答弁をいただきたい。