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小澤(克)
委員 私がお尋ねしたのは、当時の状況がどうだったかということをお尋ねしたのですから。
そこで、当時の客観的な状況それから
提案者の説明については、今私が指摘したとおりです。これに対して国会の側から、議員の中からいろいろな議論があります。その中で、これは民社党の川端
委員さんが次のような
質問をしておられます。
これは既に当
委員会でもいろいろ引用されておると思いますが、「それでは少し観点を変えまして、今回自衛隊法の改正案で、
政府の専用機を自衛隊が保有する、それと国賓や
総理などの航空輸送を任務に加えることになっているわけですけれ
ども、法の文面から見まして、当面はどうかわかりませんが、将来にわたって
政府専用の大型旅客機の導入、あるいは
総理などがこれで外国に行くようなこともあるのかどうか、自衛隊がそれを運航することになるのかどうか、お伺いしたいと思います。」こういう
質問があります。
これに対して友藤
政府委員が、全部読みませんが、要するに論理的には両方可能であるというふうに答えておられます。
これに続いて、川端
委員から「これは当然仮定の話ですけれ
ども、法的にそういうことは可能であるということを伺った中でお伺いをしたいと思いますが、そういうときに、緊急時に在外邦人の救出というのが今までいろいろ問題になってきたわけです。そういうものにこの専用機等を利用するということが可能かどうか、お伺いしたいと思います。」
これに対して、友藤防衛庁の
長官官
房長が「今お尋ねの海外におきます在外邦人の救出の問題でございます。これにつきましては、法律の条文をごらんになるとおわかりのとおり、今回の百条の五の規定は「国賓等の輸送」ということでございまして、この範囲は、私
どもの方といたしましては在外邦人の救出とか緊急援助隊、こういったものについては含まれないというふうに
考えております。そういったものを想定したものではございません。」こうはっきりおっしゃっている。さらに「在外邦人の救出につきまして自衛隊がやれるのかという問題については、現在、自衛隊法上、御案内のとおり任務として明記をされておりません。」ここからなんですが、「今回追加をします規定でも読めないというふうに
考えておりますので、こういったことを自衛隊が任務としてやるということにするためには、明確に自衛隊の任務として規定をしていくことが必要であろうかと思います。」こう明確に答えておられますね。
これに対して、川端
委員の方から大変重要な指摘があります。「邦人救出に
対応する法案の整備の方が国賓や
総理を移動するよりももっと重要であり緊急なものであるというふうに
考えるわけです。なぜこの部分に関しての法案の提出がされないのか理解に苦しむところでありますが、御
答弁をお願いしたいと思います。」川端
委員は、むしろ邦人救出の方が優先すべきだ、そういう観点からこういう
質問をしておられます。
これに対して、先ほどからの友藤さんが「今回、百条の五で国賓等の輸送権限の付与等の規定の追加をお願いをいたしておりますのは、御案内のとおり、今年五月の東京サミットにおきます
各国要人の輸送のために
総理府が購入いたしましたヘリコプターを、三機でございますが、サミット後にいかに活用していくかということの検討の中で、今後国賓等の輸送の所要が恒常的に見込まれる、こういった状況を踏まえまして、」あとは省略いたしますが、こういう立法に至ったんだというふうに説明しておられます。そして、「今お尋ねの邦人の救出の問題、これは非常に重要な問題であろうかと思いますけれ
ども、私
どもとしましては、やはり国会の御論議あるいは
国民世論等の動向を踏まえて、自衛隊がそういうものをやるべきであるということでまとまっていく過程において慎重に
対応をさせていただきたいというふうに
考えておるわけでございます。」こうはっきり言っておられます。
さらに、この点について川端
委員は、もう一度この邦人救出の方が重要なんだということを強調されて、国賓用にヘリコプターを買ったから法律をつくるというふうなものよりもはるかに重要な問題であるにかかわらず、この邦人救出の問題が議論されてないのは理解できない、そして、「国際緊急援助隊あるいは
国連の
停戦監視団等々に関しても、自衛隊がその任に当たるということには自衛隊法の改正を必要とするわけですけれ
ども、」ということを
前提に議論をされておられるわけです。
それに対して非常に重要な
答弁がまた友藤さんからなされている。「今のお話、私
どもそういった役割は非常に重要な役割であろうかと思いますが、御案内のとおり、自衛隊は武力集団でございますし、その行動、任務等につきましてはやはり
国民の皆様の御理解、御
支援がいただけませんと十分な機能を発揮することができないのでございます。」このようにはっきり答えておられる。
このようなやりとりの末に、さらに参議院では先ほど引用いたしましたとおりの議論があったわけですけれ
ども、こういった議論、こういったやりとりの上で、このやりとりを
前提としてこの法案を国会は成立させたんです。ということは、非常にわかりやすく言いますと、委任状を書く
段階で委任事項について、これは一体どういう
意味なのかということを委任を受ける側から説明を求め、委任をする側として細かく議論をした上で、それでは結構ですと言って委任状にサインをした、こういう状況があるわけですね。この立法時の客観的状況及び
提案者の説明、それに対する国
会議員側からの質疑、これを超えた解釈はできない、これらの議論を
前提に委任状を出したわけです。その委任状の範囲を超えて委任事項を勝手に書きかえる、あるいは読みかえる、これは断じて容認できないし、そのような解釈は成り立たない。
すなわち、ここで繰り返し議論されているのは、特に川端
委員は、これでは足りないじゃないかという観点から議論しているわけです。国賓や大臣を輸送することよりも邦人救出の方が先ではないか、どうしてそれを入れないんだという観点から議論しておられる。しかし、一貫して
提案者側は、これは国賓及び
内閣総理大臣等を運ぶために今回こういう改正を願うのである、邦人救出については別に
国民的な議論をお願いしたい、こう言っているわけですね。
この
経過からしますと、この百条の五は、要するに輸送について強い要請がある者を、そういう者を運ぶという法改正ではなくて、まさに国賓、
内閣総理大臣といった要人を運ぶための法改正に限るんだ、その範囲内でこれに準ずる者を政令に委任したんだ、こう解釈するしかないんです。どうですか、反論できたら反論してください。