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市川委員 総理がおっしゃった東西冷戦にカウントされてない平時の防衛力、それは五十一年の原点はそうだったのですよ、
総理。まさにおっしゃるとおりなんです。だけれ
ども、今度はアフガニスタンに対するソ連の侵攻が始まった時点から、東西にカウントされてないはずの防衛力がカウントされる防衛力になったのです。そして、大綱は平和ぼけとかデタントぼけとか、シーレーン千海里だとか
日本列島不沈空母、バックファイアを
日本の上空で撃ち落とす、三海峡にソ連太平洋艦隊を封じ込めるとか、勇ましいことがどんどんどんどん始まって、いつの間にか大綱が形骸化されたわけですね。GNPの一%、五十一年に決めたとき持っていた枠組みも壊しちゃった。ですから、
総理、それは昔の話を言っているのであって、今はそれをもうさんざん壊したあげくの果てにある大綱なんですよ。
ですから、やはり防衛問題というのは、私は
国民に正直でなければいけないと思うのです。そうでないと、本当のコンセンサスをつくれないのじゃないかと思うわけです。一生懸命私
たちもそれなりに防衛というものを
考えている。
政府が何か急に今までの答弁と違うことを始める、これが一番いけない、防衛問題においては。せっかくつくりかかった
国民のコンセンサスが壊れていく。それをさんざん今までやってきたのです。だから、そういう意味では、五十一年に大綱をつくったときに、こういう国際情勢を前提とします、国際情勢が変化したら、大きく変化したら見直します、時の
総理や
防衛庁長官が何回言ったかわからないわけです。ですから、素直にやはり見直しをするというのが、私はこれが
政治だと思うのですよ。それを、ああでもないこうでもない、ああでもないこうでもないと言うのは、これは
国民から見てやはりシビリアンコントロールではない。
総理、それを申し上げている。
それから、あとシーレーンの問題をやりたかったのですが、シーレーンだって昭和五十六年、鈴木元
総理がアメリカへ行かれてレーガン大統領に会って、北西太平洋、バシー海峡、台湾海峡までの千海里、こういう
発言をプレスクラブでされて、そこから当時の外務大臣が
辞任する騒ぎになったりなんかして、まあシーレーンという問題が起きてきた。ワインバーガー国防
長官はアメリカの国防報告で、大綱には千海里シーレーンは入ってないって
指摘をしているわけです。ですから、そういうことをもうさんざん言われ尽くしてきたわけです。ですから、こういう大きな変化が起きたのですから、大きな変化が起きたら見直しますと
政府は言ったのですから、素直にそれを見直すというのが僕はわかりやすい
政治だと思う、わかりやすい
政治。それを、ああでもないこうでもないと理屈をつけてまた中期防をつくっちゃう。ここが非常にわかりづらい。
政府の信頼感がぐっと弱まっちゃう、シビリアンコントロールをやっているのか。
そういう意味で、シーレーンという問題も私はそろそろ再検討すべき時期に入っているんじゃないのか。中東で有事がある。まあそんな、
防衛庁がこの大綱で書いてある限定的小規模侵略なんというのはもうあり得ない、安保条約の抑止がきいている限りそんなのはない。中東で有事だ、ソ連が出てくる、アメリカの空母、第七艦隊が中東に派遣される、ソ連がそれを邪魔をする、したがって
日本がそれを
協力して海峡封鎖をする、バックファイアをやっつける、こういうことをもうさんざん言われ尽くしたわけです。今どうですか、それ。中東で有事が起きている。別に何か
日本が三海峡封鎖したりしなければならないような
事態ではないじゃありませんか、また一面、
総理。ですから、もう変わったのですよ、冷戦が終わったのです。中東で有事ですよ、今。だけれ
ども、シーレーンを何か防御しなければいけないような
事態は何も起きてない。ソ連とアメリカはデタントですから、ある意味では。もちろんゴルバチョフのペレストロイカが非常に危ぶまれているということもよくわかりますけれ
ども、そういう意味でここは、防衛支出というものはきちっと見直すときに来ているのじゃないのか。
しかも、この中期防を決めた中に、「この計画については、実施に際して随時必要に応じて見直しを行い、」と、こう書いてある、新中期防。「実施に際して随時必要に応じて見直しを行い、三年後には、その時点における国際情勢、技術的水準の動向、経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、この計画に定める所要経費の総額の範囲内において、必要に応じ、計画の修正を行う。」こう書いてあるのですが、昨年組んだ予算、ここにも「経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、」とこう、これは「三年後には、」という文章は入っていますが、もう三年たたないうちに大きな財政事情の変化が起きちゃったじゃないですか。一兆二千億を増税で賄わなきゃならないという
事態が起きているじゃないですか。しかも、随時必要に応じて見直すということは、年数に関係なく書いてある。
国際情勢は変わった。大綱では見直しますと約束している。また、中東で有事があった。しかしその当時予想していたような第七艦隊が出ていく、ソ連が妨害するというような、そういう国際情勢はもうなくなってしまった。シーレーンというものを再検討すべき時期に来ていますよ。そういう意味で、僕らは五年間で二十二兆七千五百億というのは、五年間で五千億ぐらい削れるんじゃないのか。一千億ずつ削ったって五年間で五千億、まあ後で申し上げますけれ
ども、細かいことは。
そういうことで、
総理の見解は、何か御用意されていますけれ
ども、どうですか。