運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-04-24 第120回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十四日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 大原 一三君    理事 金子徳之介君 理事 東   力君    理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君    理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君       逢沢 一郎君    石破  茂君       今津  寛君    岩村卯一郎君       上草 義輝君    内海 英男君       河村 建夫君    久間 章生君       久野統一郎君    保利 耕輔君       星野 行男君    松岡 利勝君      三ツ林弥太郎君    御法川英文君       村田 吉隆君    柳沢 伯夫君       有川 清次君    佐々木秀典君       志賀 一夫君    田中 恒利君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       前島 秀行君    目黒吉之助君       元信  堯君    倉田 栄喜君       西中  清君    藤田 スミ君       小平 忠正君    阿部 昭吾君       亀井 久興君  出席国務大臣         農林水産大臣  近藤 元次君  出席政府委員         農林水産政務次         官       杉浦 正健君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省構造         改善局次長   森本 茂俊君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    西島  勝君     ───────────── 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     村田 吉隆君   西岡 武夫君     逢沢 一郎君  三ツ林弥太郎君     河村 建夫君 同日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     西岡 武夫君  河村 健夫君     三ツ林弥太郎君   村田 吉隆君     田澤 吉郎君     ───────────── 四月二十二日  米の市場開放阻止に関する請願堀込征雄紹介)(第二九三四号)  米の市場開放阻止及び農業政策確立に関する請願岩村卯一郎紹介)(第三〇八四号) 同月二十三日  競馬場外勝馬投票券発売所開設問題に関する請願藤田スミ紹介)(第三一八四号)  米の市場開放阻止に関する請願北沢清功紹介)(第三二四九号) 同月二十四日  在宅パソコン方式での勝馬投票券の発売の法規制に関する請願長谷百合子紹介)(第三三二一号)  同(日野市朗紹介)(第三三二二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  土地改良法等の一部を改正する法律案内閣提出第七一号)(参議院送付)      ────◇─────
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付土地改良法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。金子徳之介君。
  3. 金子徳之介

    金子(徳)委員 今回提案されております法案につきましては、提案理由説明並びにその補足説明大臣から述べられておりますように、今後の土地改良事業の持つ役割、これは農業にとどまらず農村基盤にした全国のそれぞれの開発との関連が非常に強いということで幾つかの事例を挙げられ、特に新しい分野としては快適で美しい農村空間創出等々、農村生活基盤を含む総合的な基盤整備をしていくような、そうした質的な転換を図る必要がある、そのように所信を述べられているわけであります。私も地方土地改良区の責任者をいたしておりますけれども、まことに身にしみて共感を感じておるところであります。  そうしたことで、今回国営都道府県営土地改良事業について市町村事業負担を明確化したということはまことに有意義であるというふうに感じておるわけでありますが、問題は地方公共団体自治体等のこれらの応分の負担は、従来も交付税等償還時に助成をするという形で一部行われておりましたけれども、単年度でそれぞれこの一般会計から負担をするということになりますと、まことに容易でない自治体等もあるわけであります。これらについては脆弱な市町村に対してどのような財政措置を講じるのか、お尋ねをしておきたいと存じます。
  4. 片桐久雄

    片桐政府委員 国営及び都道府県営土地改良事業についての地方交付税等地方財政措置についてでございますけれども地方公共団体負担実態を反映した地方交付税措置とするために、平成年度国営事業に加えまして、平成年度からは都道府県営事業につきましても、ダムなど公共性の高い投資に係るものについて事業費補正が適用されるということ、それからもう一つは、一般公共事業債、いわゆる地方債通常分でございますけれども、これが充当できるということで、この地方債元利償還金についても事業費補正が行われるというふうに承知している次第でございます。
  5. 金子徳之介

    金子(徳)委員 自治体にとっては、一般会計から支出するということについてはやはり基準財政需要額の中にきちんと取り入れて、そのメニューの中に入らないと安心していられないということもあるわけでありますが、これらについてはどうか自治省の方とのすり合わせをしっかりとやっていただきたい、そのように御要望申し上げておきたいと思います。  次に、この中山間地域農村活性化総合整備事業について伺いますが、我が国農村は、中山間地域に大変大きなウエートがかかっておることは事実であります。例えば、全国の四十三万農家のうち中山間地域農家数は約十八万戸と言われて、四割、四〇%でございますが、非常に生産性が低い。農業生産額では約三七%ということで非常に生産性が低い上に、これから後継者問題等等を含めてまことに容易でない経営状況が現実であろうかと思います。  土地改良事業関連では、水田関係では貯留機能土砂流出防止機能あるいは都市部を災害から守っていく、そうした役割もなしておりまして、農業活動を通じて経営そのもの国土保全自然環境を維持していく、そうした公共財産を守る役割を担っているのではないかな、そのように感じております。地域資源管理者の役目といいますか、そうしたことから、私はこの整備事業について予算枠拡大を積極的に進めていただきたい、これは強く要望を含めて、今後全国実態、現状の中でしっかりとした位置づけをしていただきたい。ちょっと予算が少な過ぎるという感じをしているわけであります。  どうか、そうした意味では、千八百二十三市町村があるわけでありますが、平成年度では五十五地区、そして平成年度では、今年度では何地区予定されているのか、仄聞するところによると七十数カ所であるというふうに伺っているわけでありますが、その位置づけについて伺っておきたいと思います。
  6. 片桐久雄

    片桐政府委員 生産条件の不利な中山間地域の置かれた諸条件に十分留意しながら、農業生産基盤とあわせまして生活環境整備も総合的に実施する事業といたしまして、平成年度から中山間地域農村活性化総合整備事業というものを発足させたわけでございまして、私どもといたしましてはこの事業を推進いたしまして、中山間地域活性化国土及び環境保全に資するということで努力してまいりたいというふうに考えております。  この事業予算でございますけれども先生指摘のように、非常に厳しい財政事情の中でこの新規事業を発足させまして、昨年度予算は四十四億円ということでございましたが、平成年度につきましては九十五億円ということで、二倍以上の予算を計上させていただいたということでございます。  また、新規採択につきましても、平成年度新規採択五十五地区、総事業費といたしましては四百五十億円ということで新規採択をいたしましたけれども平成年度におきましては総事業費を昨年度よりもふやしまして五百億円ということで、これから新規採択地区を決めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  7. 金子徳之介

    金子(徳)委員 続いて、農水省のヒットとでもいいますか、平成年度から農村活性化住環境整備事業、この新しい事業創設されたわけでありますけれども、今後の農村活性化はもちろん、農地の多目的利用活動について非常に有効な一つ事業手段になるかと思います。そうした意味で評価をいたしているわけでありますが、これについては、私もそれぞれの事業内容等については集落整備等を含めて内容がよくわかるだけに、現在実施中の一般圃場整備事業等についても、同様の並び環境整備住宅地創出農地整備と一体に実施できるような現行制度拡充等についてお願いをいたしたいわけでありますが、そうした点についても考えがないかどうか、お尋ねします。
  8. 片桐久雄

    片桐政府委員 圃場整備事業につきましては、農業生産性向上近代化を図るために、耕地区画形質改善とか用水路、排水路農道等整備、それから耕地集団化、こういうものを総合的に実施する事業であるわけでございます。  ただ、近年に至りまして、地域の多様な土地需要に的確に対応し、計画的な土地利用を図るために、一般圃場整備事業におきましても農用地整備とあわせて、換地手法によって、公共用地等のいわゆる非農用地といいますか、農業外土地需要にも対応できるようなことを行っているわけでございます。  平成年度からは、先生指摘のように農村活性化住環境整備事業という新しい事業創設いたしまして、そういう農村住環境整備のための非農用地創設ということも積極的に対応してまいりたいと考えております。  これ以外の一般圃場整備事業につきましても、非農用地創設というような手法を講じて、土地利用の秩序ある転換といいますか、そういうことも心がけてまいりたいと考えております。
  9. 金子徳之介

    金子(徳)委員 非農用地創出によっての農村環境整備、これはこれからの新しい農業経営者に夢を持たせる、あるいは都市から農村への新しい農業者としての希望者、これもかなりの部分出てきているのではないかなと考えられるわけであります。今後の農地三法との関連もございますので、今後そういった改正等も当然やっていく時期が来るであろう。そうしたことで、この問題については今後も慎重に、また積極的に取り組んでいただくようにお願い申し上げておきたいと思います。  次に、時間が余りございませんので、要点だけでお尋ねをいたしたいと思います。  土地改良区は、せきの水利組合といいますか、その土地改良区、一市三町でやっているものについて非常にいろいろと問題が出ておって困惑している、あるいはその対処に苦労いたしておるわけでありますが、この基幹的な農業水利施設を適正に維持していくために今後どのような対策を考えておられるか。特に、本来の目的である農業のほかに国土保全等の公益的な機能役割も一層増大しているということから、地域社会全体で公平にこれらの水利運営についてそれぞれ支えていく御指導をいただきたいわけであります。これから、そうしたことについて事務補助的なものもあれば非常に助かるわけでありますけれども助成措置等が考えられないかどうか。これはガット・ウルグアイ・ラウンドで農業保護政策云々の話がございますけれども、基本的な問題として、この対策方針等、考え方があれば伺っておきたいと存じます。  なお、これは要望申し上げておきたいと思うのですが、この並びの問題として、一般土地改良区、土地改良事業に従事しているそれぞれの団体がそれを維持していくのに、人件費を含めて大変な状態になっております。そうしたこともあるということもあわせて申し上げておきたいと存じます。
  10. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生案内のように、土地改良水管理関係につきましては、施設的に見ても大規模化をしておりますし、高度化をしております。また、受益をされる方も混住化をされて、ややともすれば多目的に使われているような面も地域によって見受けられるわけでございます。それゆえに国、県による公的管理必要性が迫ってきておることを承知いたしておるわけであります。  このために、特に高度の公共性を要することにつきましては、御案内のように、公的管理として国は直轄管理や県の管理に対する助成措置は行わせていただいておるわけでありますが、土地改良区が行う施設管理につきましては、その費用は土地改良区が負担することを原則といたしておるわけで、その部分について今お尋ねがあったことであろうと思うわけであります。極めて小規模な状態の中では、まさに土地改良管理施設が極めて小範囲のものもあれば、かなり大きなものも存在をするものであります。さはさりながらも個人ではございませんので、施設整備あるいはその補修に対する助成は今日まで行わせていただいておるわけでありますけれども、そういうかなりの差があるものですから必ずしも十分だという受けとめ方はされていないわけでありますが、今日また技術的な指導を行ったりしてきておるわけであります。  こういう情勢にかんがみて、土地改良がやっておるものにどう対応していくかということにつきましては、受益混住化されておったり多目的に使われておったりということをいろいろ検討していかなければなりませんけれども、水の問題については、農林水産省にも今回農業用水対策室というものを設けさせていただいたので、その機能なり農業用水が多目的に使われているようなものを対策室で今度検討していただくことになりました。そういうものが出てくれば、当然のことながら、新たな対応拡充を図っていきたい、こう考えておるわけであります。
  11. 金子徳之介

    金子(徳)委員 ただいま大臣の御理解あるそれぞれの御配意のことを伺いました。非常に心強いものを感じたわけでありますが、元気の出る農業経営、また全国公平なそれぞれの対応対策というものに、ぜひ今後も御指導、御尽力のほどをお願いいたしたいと思います。  時間が参りましたので、最後に一つだけ要望を申し上げて終わりたいと思います。  土地改良負担金総合償還対策の平準化問題につきましては、どうか事業採択基準等も含めて、これから希望を持って取り組んでいけるような、そうした具体的な、実態に合わせた対応対策というものになお一層御尽力をいただきたい、以上を申し上げて終わります。ありがとうございました。
  12. 大原一三

  13. 星野行男

    星野委員 我が国農業の重大な時局に当たりまして、日ごろ尊敬申し上げております近藤元次先生農水大臣に御就任されました。御健闘をまずお祈りを申し上げます。  さて、戦後四十五年を経過いたしまして、現在では戦中戦後の食糧難の時代からは想像もつかなかった米の過剰基調、そして飽食の時代となっております。これは輸入食糧が年々ふえていることもありますが、基本的には農水省御当局を初め先輩各位が多年にわたり土地改良事業に大変な情熱を傾け、農業基盤整備を進めてきたことにより、水田農業などの生産性が飛躍的に向上してきた成果でありまして、心から敬意を表する次第であります。  しかしまた、この四十五年という時の流れは農村を大きく変えてしまいました。戦後の高度成長期以来、農村から多くの若者が高い収入と快適な生活環境を求めて都会へ流出し、その後遺症で、今農山村の過疎化高齢化が急速に進んでおります。十年後、一体山村の耕地をだれが守っていくのでありましょうか。  また農村経済におきましても、第一次産業から第二次産業、第三次産業へと急速に比重が移り、現在では農家所得に占める農外所得の割合が約八五%。農村では第二種兼業農家が主流となっており、さらに農村における非農家混住化も進んでおります。このような状況のもとで土地改良を推進することは容易なことではありません。  また土地改良も、従来の農業生産基盤整備という観点からだけでなく、農村都市化あるいは定住を踏まえた生活環境整備や、さらに都市農村との交流による農村活性化という観点からも多様なニーズにこたえていくことが必要となってきており、いわば土地改良事業の質的な転換が求められているわけであり、農水省が本年度から農業基盤整備農業農村基盤整備と名称を変更されましたことはまことに時宜に適したことであり、敬意を表している次第であります。  問題は、農業中核的担い手をいかにして確保するかということでありますが、最近の動向を見る中で、せめてもの救いは専業農家がわずかながら増加の傾向にあるということであります。土地改良事業を推進していく中で、このような意欲のある担い手や組織に農地利用集積を図り、厳しい農業情勢に耐え得る足腰の強い農業を育成していくことが極めて重要な課題であります。国際化の進展する中で、まさに今我が国の農政は正念場に立たされていると申しても過言ではありません。  今回の土地改良法改正は、このようなもろもろの状況を踏まえて提案されたものと理解をいたしておりますが、以下、順次質問をさせていただきたいと存じます。  まず第一点であります。先ほども申し上げましたように、農業国際化が進展する中で、農業生産性向上生産コストの低減は急を要する課題であります。特に、農業構造改善がおくれている水田農業につきまして、圃場整備事業実施を通じて農地利用集積を図り規模拡大を進めていくことが必要でありますが、この点につきまして、今回の土地改良法改正でほどのような配慮がなされておるのでありましょうか、お伺いをいたします。  あわせて、農地保有合理化法人役割についても御説明をお願いいたします。
  14. 片桐久雄

    片桐政府委員 水田を中心といたします土地利用型農業構造改善を進めるためには、経営規模拡大を図ることが最も重要であるというふうに考えております。そのために、農地流動化による規模拡大促進する上での基礎的条件である圃場条件改善を進めることが最も必要であるということだと思います。  今回の土地改良法改正におきましては、国営都道府県営事業について市町村負担を明確化することによりまして市町村による事業費負担が円滑に行われ、圃場整備のための事業などが一層円滑に進むものであるというふうに考えております。  また、圃場整備事業等換地におきまして、規模縮小農家申し出または同意によりまして、不換地または特別減歩によって生み出されました農用地農地保有合理化法人が取得する道を開くこととしておりまして、その地域における担い手農家経営規模拡大促進されるというふうに考えております。  それから、農地保有合理化法人役割でございますけれども、この農地保有合理化法人といいますのは農地法三条二項に規定する法人でございまして、農業経営規模拡大農地集団化等農地保有合理化促進するためみずから農地を買い入れまたは借り入れ、農業経営規模拡大等を志向する農家に売り渡しまたは貸し付ける事業を行う営利を目的としない法人でございまして、現在、県の公社とか、また一部市町村農協等もこの法人に該当いたしております。農地権利移動に介在することによりまして農地保有合理化につなげていく重要な役割を担っている法人でございます。
  15. 星野行男

    星野委員 わかりました。何分よろしくお願いいたします。  第二点であります。いわゆる二十一世紀型大区画圃場整備を進める際、複数の土地所有者共同で、例えば二ヘクタールの圃場をつくる場合、境界はどのようにして表示をするのか。また、所有面積比率を持ち分とする圃場共有ということは考えられないのか。また、圃場整備後作業経営についてどのような指導をされる御方針なのか、お尋ねいたします。
  16. 片桐久雄

    片桐政府委員 大きな区画圃場を二人以上の権利者換地する場合には、畦畔境界を明らかにすることができませんので、圃場の両端に境界を示すくいを設置いたしまして境界を表示するのが通例でございます。なお、登記図面には、大区画圃場であっても境界線が記載されて分筆されているわけでございます。  それから、二人以上で共有できないか、こういうようなことでございますけれども、これは換地処分原則からいたしまして、大区画圃場の場合であっても二人以上の権利者土地共有地として定めることはできない原則になっている次第でございます。したがいまして、その所有者ごと換地せざるを得ませんけれども圃場整備後作業とか経営合理化を図るために、大区画内の利用権とか、それからまた農作業を一括して担い手農家に集めるように、大区画化の効率が発揮できるような土地利用を行うよう指導しているところでございます。  平成年度から発足いたします二十一世紀型水田農業モデルほ場整備促進事業におきましては、二ヘクタール以上連担した生産団地地区内の過半を占めることを条件に、圃場整備事業等年度事業費の一〇%相当額促進費を交付するということにいたしております。
  17. 星野行男

    星野委員 次に第三点であります。  先ほど申し上げましたような農村経済実態から、一方では若者定着あるいは雇用機会拡大を図るため、宅地工場用地等の非農業的土地利用を積極的に推進することも必要になってきております。他方におきまして、土地改良事業同意を得るための障害となっております受益者金銭負担を軽減するため、お金のかわりに土地を出す、すなわち共同減歩方式により非農用地創出し、これを有効に活用して農村活性化を図ることが、土地改良事業の推進を図るためにも、あるいは農地中核的担い手集積するためにも有効な手段であろうかと存じます。  今回の改正によって、換地処分の時期を早めることにより非農用地換地促進が図られることになっていると伺っておりますが、これを活用して農村地域活性化を図るため、具体的にどのような事業を推進しようとされておられるのか、お尋ねいたします。
  18. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、農村地域での混住化等、多様な土地需要農村地域でも発生いたしておりますので、私どもといたしましては圃場整備事業を通じてそういう土地需要に秩序ある対応をしてまいりたいと考えている次第でございます。  そのための事業といたしましては、まず平成年度におきまして、非農用地創設を含む農用地再編を行います国営農用地再編パイロット事業というものを創設いたした次第でございます。また平成年度におきましては、非農用地換地手法を活用して宅地予定地等を生み出し、既存集落とあわせて新たな田園居住空間創設整備を行う農村活性化住環境整備事業というものを創設することといたしておりまして、こういう事業を通じまして、農村活性化のための圃場整備事業というものを推進してまいりたいと考えております。
  19. 星野行男

    星野委員 そういたしますと、今の御説明によりますと、例えば共同減歩をやりまして工場誘致をする用地をつくるということは可能だということでございますか。
  20. 片桐久雄

    片桐政府委員 圃場整備事業創設農用地換地という制度がございますので、その土地土地利用計画をきちっと立てていただきまして、道路用地でありますとか工場用地でありますとか、そういうものを経営規模を縮小したいという農家同意をもとに、そういう農家農地面積を縮小しながら非農用地創設換地ができることとなっているわけでございます。  今回の法律改正では、迅速にそういうことをできるように法律改正すると同時に、また、従来非農用地だけ創設換地ということになっておりましたけれども、今回の改正では、農用地についても規模縮小したいという農家同意を得て創設農用地というものを換地いたしまして、規模拡大したいという農家権利を移転する、こういうような制度も新たに創設することをお願いしている次第でございます。
  21. 星野行男

    星野委員 よくわかりました。そういう方向で総合的な土地の有効利用を図る中で、ぜひ農村活性化、定住を進めていくように御指導をお願い申し上げます。  次に、国県費を導入して土地改良事業を行った受益地につきまして、八年間農振農用地からの除外を原則として認めないことになっておりまして、これが時代の変化の激しい中で農家圃場整備をやることについて二の足を踏む原因にもなっております。現場では確かにそういう事情がございますが、そういう今の状況から見まして、こういうことにつきましてもある程度柔軟な対応が必要ではないかと考える次第でありますが、この点はいかがでありましょうか。
  22. 片桐久雄

    片桐政府委員 農業振興地域農用地区域内の農地につきましては、優良農地保全を図るという観点から、基盤整備事業完了後八年を経過しないような土地については原則として農用地区域を除外してはならない、転用を認めない、こういう運用を行っているわけでございます。  ただ、近年の農村地域実態にかんがみまして、その市町村地域の活性を図る観点からぜひ必要であるというふうに認められることも、農用地区域の除外といいますか、そういうことも必要であるというような状況も出てまいっておりますので、市町村農村活性化土地利用構想というような計画的な土地利用転換を図るような土地利用の構想を作成いたしまして、その計画に基づいて立地する施設につきましては、基盤整備完了後八年末満の土地であっても農用地区域から除外を認めるという弾力的な運用を行っているところでございます。  平成元年三月からこういう弾力的な措置を実施している次第でございまして、現在多くの市町村がこの土地利用構想を策定いたしまして、計画的な土地利用転換というものに取り組んでいるというふうに承知いたしております。
  23. 星野行男

    星野委員 当然の話でもございましょうが、その場合はやはり補助金返還という問題は当然出てくるわけでございましょうか。
  24. 片桐久雄

    片桐政府委員 原則として八年以内に基盤整備を行った農地を転用する場合には、その補助金を返還していただくということになっている次第でございます。ただ、その土地利用転換が、例えば道路用地でありますとか公共性の非常に高い事業転換する場合には、補助金返還の免除という措置もある次第でございます。
  25. 星野行男

    星野委員 次に、雪国におきましては、冬季間農業用水を流雪溝等の雪対策用水に利用したいという強い願望がございます。河川の取水権の問題や農業用施設の維持管理費の問題などいろいろとネックもございますが、豪雪地帯農村の冬の生活環境の問題として重要な問題でございますので、前向きにお取り組みをいただきたいと考えますが、この点はいかがでございましょうか。
  26. 杉浦正健

    ○杉浦(正)政府委員 大臣が参議院本会議に出席のため中座しておりますので、私から御答弁することをお許しいただきたいと思います。  私の出身は雪のない国でございますので、正直申して、雪国の問題については余り詳しく存じ上げているわけではございませんが、大臣は雪国でございますし、その点では大変理解が深いと存じます。先生も雪国の御出身でございます。裏日本、東北、北海道、雪の多い地域農業地域たくさんございます。先生の長年の行政経験をもとに、ひとつ雪国のお立場でいろいろと御指導、御示唆を賜ればありがたいというふうに思っております。  農業用水は、かんがい用水としてだけでなく農村生活に密着した地域用水としての役割を果たしてまいりましたし、多面的にそういう意味で利用されてまいっておることは先生よく御案内のとおりでございます。近年、先生が申されたような点も含めまして、このような農業用水の持つ多面的な機能と申しますか、それに対するニーズが高まってまいっておることは私どももよく承知しておりまして、先生の御趣旨に沿った方向でやらなければならぬと思っております。  ただ、水利権に絡みますので調整が大変でありますが、そういった点に配慮しながら、御指摘の雪対策を含めまして、農業用水並びに施設の多面的な利用、整備について、各地の状況に応じて適切に推進してまいりたいと思っております。  なお、御承知のことと思いますが、こういうような事情にかんがみまして、今年度から構造改善局に農業用水対策室を新たに設置して、推進してまいりたいと思っております。
  27. 星野行男

    星野委員 次官から、そういう雪国の実情について深い御理解をちょうだいいたし、前向きの御答弁を賜りまして、まことにありがとうございました。そういう雪国の実情につきましてもまた事務的に詳しく打ち合わせもさせていただきたいと思いますが、今後ともよろしくお願いを申し上げます。  時間が参りました。大変ありがとうございました。
  28. 大原一三

    大原委員長 松岡利勝君。
  29. 松岡利勝

    ○松岡委員 熊本一区の松岡利勝でございます。同僚議員に引き続きまして、幾つかの点について質問させていただきます。  農政をめぐる問題は多くの困難な問題があるわけでありますが、土地改良事業に係ります農家負担の軽減の問題は、農家経営の安定を図り、そして農業の健全な発展を実現していく上で、また、水田等の農地や国内農業が果たしております社会的役割をさらに高めていきます上で、極めて重要かつ緊急な問題であると思っております。  この農家負担の問題のゆえんはいろいろな要因があるわけでありますが、一言で申し上げますならば、負担の方が当初予定されていた額よりもはるかに大きく膨らんでしまい、そして負担を支える利益といいますか負担能力の方は、減反や米価の低迷等のため、低迷というか伸び悩みのため、当初予想に反して余り伸びなかった、このような状況にあるわけでございます。  こういったことを具体的に事例で見てみますと、私は熊本県の阿蘇町が出身でありますが、私の阿蘇町では、昭和四十五年から県営の事業といたしまして圃場整備事業を始めたわけであります。そして約三千四百ヘクタール、その施行面積がございまして、昭和六十二年度までにおおむね完了をいたした、このような状況でございまして、いよいよ負担金の償還が始まっておるところでございます。  そこで、この事業費について見ますと、当初四十五年の時点で予定したものに比べまして完了時点では六倍近い、そういうような状況になっておる、このようなわけでありまして、当初予定が何と六倍近い、そんな状況負担として覆いかぶさってきておるわけであります。  一方、それに対しまして米価の方は、昭和四十五年と平成年度産米で比較いたしますと、おおむね二倍であります。それに今度は減反率が三〇%を超えておりますから、そういった減反に伴う収入マイナス分といいますか、そういったものを重ね合わせますと、おおむね横ばいか、ちょっと伸びた程度、こんなわけでありまして、減反のマイナス分を差し引けば、米価収入は、今言いましたようなほんのちょっと伸びた程度、こういうわけであります。すなわち、負担は六倍にふえたにもかかわらず、収入は横ばいないしちょっと伸びた程度、こういうような状況でございます。  したがいまして、負担農家経営の安定を図り、またこれからも新しく開始する土地改良事業の円滑な推進を図る上からも、そしてまた、そういう意味負担の軽減、これはまさに喫緊の課題でありまして、関係の農家は切なる願いと必死の思いで負担の軽減を望んでおります。そういうような状況にあるわけであります。  水田は水を蓄え、そして供給し、さらにまたその働きによって災害を防ぐ、そういう国民生活を根底から支える大変重要な役割を果たしておる、私はこのように思うわけであります。確かに水田を初めとする農地整備は、農家経営基盤の強化につながることはこれは間違いありませんけれども、しかしまたそれ以上に、国民生活に不可欠ないろいろな役割、働きの強化にも実はなっておるわけであります。  私はこのような観点を強く踏まえて、土地改良事業に係る農家負担の抜本的改善策というものをぜひとも確立しなければならないし、またそうお願いしたい、このように基本的に思っておるところであります。  今回の措置は、今申し上げましたような観点からすれば、本来目指すものからすればまだまだ一里塚にすぎず、なお道遠しと思うわけでありますけれども、しかし大いなる一歩前進であることは間違いがない、私はこのように思うわけであります。そういった意味で大いに評価し、関係の皆様の御努力と御理解に心から感謝を申し上げ、敬意を表する次第でもございます。特に片桐構造改善局長、私、農林省時代に上司として仕えさせていただいたわけでもありますし、そういった意味でも本当に敬意を表する次第であります。  そこで、抜本的な対策につきましては今後なお御努力をお願いするといたしまして、今回の措置についてお尋ねをしたいわけでありますけれども、これまでは、言ってみれば市町村ごとにそれぞれ、それこそ千差万別に負担が行われておった、このように認識しておるわけであります。したがって、市町村の違いによりましては同じ事業なのに農家負担が異なるという、いわば大変不公平なことにもなっていた点もあったわけであります。  今回の、市町村事業費負担を明確化するという、このことでありますけれども、具体的にはどのような方法で市町村負担を決定されるのか。また、今回の措置の効果として、これはもう私、一番関心のあるところでありますが、また、関係農家も一番そこのところをどうなるのだろうかと関心を持っておるところでありますけれども市町村負担の明確化によって農家負担がどの程度軽減されることになるのか、まず、この二つの点についてぜひお伺いしたいと思うのであります。
  30. 片桐久雄

    片桐政府委員 今回の改正後におきます市町村負担額は、具体的には市町村の意見を聞いた上で、都道府県の議会の議決を経て、個々の事業ごとに事業の態様とか地域の実情に即して都道府県が決めるということになるわけでございます。  市町村負担額は都道府県の裁量にゆだねられておりますので、今回の改正による農家負担の軽減効果というものがどれくらいになるかということは、一概に述べることはできないわけでございますけれども農林水産省としては、都道府県と市町村負担割合について、標準的な費用負担の水準というものをガイドラインとして示すことによりまして、農家負担の軽減に資するように都道府県に要請してまいりたいというふうに考えております。  それで、市町村負担を明確化することによりまして農家負担がどの程度軽減されるかということにつきまして、ある程度の仮定を置いて計算をいたしてみますと、例えば平成年度都道府県営事業の継続地区のうち、現行の市町村負担割合がガイドラインの水準よりも低い地区において、その負担割合がガイドラインの水準まで引き上げられるという、そういう大きな仮定のもとで試算いたしますと、市町村負担額が数百億円ふえる、逆に農家負担が数百億円軽減されるというような計算が、私どもの方で一応試算をいたしております。
  31. 松岡利勝

    ○松岡委員 今お伺いをしたわけでありますが、もう少し詳しくわかれば教えていただきたいのでありますけれども、今市町村がそれぞれ、この改正がなされる以前の実態として、それぞれの判断によって自主的にといいますか負担をしておると思うのでありますが、これは大体どれくらいの額になっておるのでありますか、わかればそれを教えていただいて、そして、それをもとにしたときに、さらにそれの大体何割増しなり、何倍ぐらいまでいくのかどうかわかりませんが、なるということがわかれば教えていただきたいと思うのであります。
  32. 片桐久雄

    片桐政府委員 例えば都道府県営事業につきましての市町村負担実態というものは、地区によりまして大変なばらつきがあるというのが実態でございまして、例えば都道府県営圃場整備事業ということで、六十三年の新規着工地区というようなことで見ますと、これは平均的な市町村負担割合というのが七・八%程度ということでございますけれども、ただ、これが全体百四地区あるうちの負担がゼロというところが三十地区、約三割近くが負担ゼロというところもございますし、また、一〇%を超えて負担しているというところも三割近くあるというような実態でございまして、大変にばらつきがあるわけでございます。  それで、私どもといたしましては、この都道府県営圃場整備事業につきましては、市町村負担割合についてのガイドラインというものを一〇%というふうに指導したいと考えているわけでございます。したがいまして、一〇%を超えて負担している市町村につきましてはぜひそのまま継続していただいて、一〇%を超える負担をしていただく、それからまた、一〇%未満の市町村につきましてはできる限り一〇%まで負担をふやしていただくように指導いたしたい。その裏づけといたしまして、先ほど来説明しております交付税の措置とか地方債の措置とか、そういう地方財政措置をその一〇%基準で実施するということで、自治省とも話し合いがついている次第でございます。
  33. 松岡利勝

    ○松岡委員 どうも大変ありがとうございました。  先ほども基本的に申し上げましたように、まだまだ抜本的な軽減の改善の措置というものをお願いしたいわけでありますが、しかし、今お話がありましたような一〇%を基準にひとり努力をしていただくということで、また、それ以上少しでも一〇%を超えているところもなお御努力いただきますように、ひとつ農林省の特段の御指導もお願い申し上げる次第でございます。  次に、また今回の改正によりまして、国または都道府県が管理をされておられます土地改良施設の更新事業について同意徴集手続の簡素化が図られる、このようなことが予定されておるわけでありますけれども、そういったことをされる趣旨といいますか、その点について、どういう趣旨でこういうことを目指されておられるのか。また、そういったことがなされた場合、これは運用が非常に問題になるわけでありますが、農家権利なり利益というものが十分に保護されるような運用をぜひとも十二分にお願いしたいと私は思うのであります。この点について、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  34. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良施設の更新事業、これも土地改良事業一つであるわけでございますけれども、この更新事業といいますのは、新たに施設を設置するのではなくして、現在ある土地改良施設の耐用年数の到来に伴いまして、従来と同様の施設利用を将来的にも保持していくために実施するものでございまして、地域の営農を継続していく上で当然に必要とされる事業でありますことから、その特殊な性格にかんがみまして、施設更新事業のうち一定の要件を満たすものに限りまして同意手続を簡素化できるというふうに、今回法律改正をお願いしているわけでございます。  ただ、このような場合であっても、当該更新事業の申請に当たっては、大多数の組合員の意向に反して事業実施されることにならないように、土地改良区の総会の特別議決を要件とすることといたしておりますし、また、他の事業と同様に、計画決定に対しては異議申し立ての道を開くことによりまして農家権利保護にも十分配慮しているところでございます。この事業手続の簡素化の措置が適切に運用されるように、関係機関を十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  35. 松岡利勝

    ○松岡委員 ぜひそういうことで、改正後の問題がないようにお願いをしたいと思うのであります。  それと、もう一点お伺いしたいと思うのでありますが、また今回の改正によりまして土地改良区の員外理事の定数枠が、たしか四十から五十に拡大をされる、こういうことでありますが、その点はどういう考え方でそのようなことを目指されるのか、ひとつ趣旨についてちょっと御説明をお願いしたいと思うのであります。さらに、これによって土地改良区の運営が、言ってみれば組合員以外の員外理事でありますから、組合員の意向に反して行われるというようなことにつながるおそれがないかという危惧を抱くわけでありますが、この点について、その辺のところはどういうことであるのか、問題ないとすれば、問題ないというようなそういう整備がどうなっているのか、ぜひひとつお聞かせを願いたいと思います。
  36. 片桐久雄

    片桐政府委員 農村混住化が進展する中で土地改良区の円滑かつ適正な運営を図るためには、その運営に市町村長などの地域住民を代表するような人とか、それからまた農業経営を移譲した人で、水利用とか施設管理につきまして深い知識と豊富な経験を有する人の参画を得ることが、従来にも増して必要になってきているわけでございます。  今回の員外役員の定数枠の拡大につきましては、このように土地改良区の運営の充実強化を図るために行うものでありまして、その選出は組合員の選挙によるものであるということ、また員外役員の定数の上限は五分の二以内ということでございますので、役員全体の五分の三以上は員内理事でなければならないということは確保されているわけでございますから、土地改良区の運営が組合員の意向に反して行われるおそれはないというふうに考えておる次第でございます。
  37. 松岡利勝

    ○松岡委員 よくわかりました。そういうことで、ぜひとも問題のないように、またいろいろと実態に即した指導もお願いを申し上げたいと思うのであります。  それで最後に、大臣においでいただきましたので、ぜひ所信をお伺いしたいと思うのであります。  大臣いらっしゃらないときに申し上げたわけでありますけれども、冒頭お話しを申し上げさせていただきましたように、農家自体の努力や責任の範囲をはるかに超えた形で、当初予定の、先ほどの私の阿蘇町の場合ですと実に六倍近くにもなってしまった負担額に対処するためにも、また水を蓄え、供給し、そして災害を防ぐという国民生活を根底から支えている水田の働きや役割といったことを著しく高めることにもなる土地改良事業、そういうものでありますから、この土地改良事業を円滑に今後とも進める上からも、農家負担のなお一層の軽減策が望まれるわけでありますが、この点につきまして、ぜひとも大臣の御理解ある御所信を今後に向けてお願いいたしまして、最後の質問としたいのであります。よろしくお願いいたします。
  38. 近藤元次

    近藤国務大臣 土地改良負担の問題というのは、土地改良事業そのものが公共性を持っておるわけでありますから、公共事業として扱ってきていることは、もう既に御案内のとおりであります。  とりわけ、今日農業事情が大変厳しい環境の中で、一つの問題として土地改良負担金という問題が浮上してまいりましたし、また、とりわけ環境問題における役割というようなものも大変大きな役割を果たしていただいておるというような観点から、今回の法律の中にもそういう趣旨を踏まえての改正をさせていただくわけでございます。  一つは、負担金の問題は調査を十分にすることと、また、できるだけ単価を安くして抑制していくという問題が一つあろうかと思います。  もう一つは、予算規模よりはむしろ採択の方に積極的に進めてきたために、長期化をしてしまって、そして予定よりも整備の完成がおくれてしまうゆえに営農の不便を感じたりあるいは負担増につながっていくというようなことがございますので、その観点からまた対応していかなければならぬと思っておるわけでありますけれども、今日、混住化社会というのがまた一つ農村を取り巻く環境になってまいりましたので、公共的な部分について、今回国営と県営の分でありますけれども市町村に対する今回の負担区分をまた支援していくことを、実は法律に明確に明記させていただいたところでございます。  さて、残された問題というのは、市町村事業土地改良を行うような事業についての分野が残っておりますので、この分野については来年を目指してまた努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。  いずれにしても、土地改良問題は、農業農村を取り巻く環境基盤でありますから、これが順調に進まなければ農業の将来に向かってのこれからの政策が進まないわけでございますので、可能な限り、あらゆる観点から土地改良負担の軽減に向かって最大の努力を払っていきたい、そういう決意でおるわけであります。
  39. 松岡利勝

    ○松岡委員 関係の農家からすれば大変ありがたい、御理解ある大臣の御所信をお伺いいたしました。本当にありがとうございました。  時間でありますので、終わります。ありがとうございました。
  40. 大原一三

  41. 目黒吉之助

    ○目黒委員 土地改良法等の一部を改正する法律案について質問をしてまいりたいと存じます。  この法案の内容は、国営及び都道府県営事業に対する事業費市町村負担の明確化が第一でございます。第二は、農地保有合理化促進を図るための換地制度改正であります。第三は、土地改良施設の更新事業実施手続の簡素化、第四に、土地改良区の員外理事の増員等を内容とした一部改正であります。  以上の内容関連をいたしまして、以下、幾つか質問をしてまいりたいと存じます。  まず最初に、総括的なことですけれども、現在、第三次土地改良事業が進められておりますが、その進捗状況についてお伺いをしたいと思います。  この計画は、昭和五十八年から平成四年までの十年間を期間として三十二兆八千億円の事業費で計画され、進められているものでありますが、現在までの進捗状況はどのようになっておりますか、お答えを願いたいと思います。
  42. 片桐久雄

    片桐政府委員 第三次土地改良長期計画の進捗状況でございますけれども、この計画、昭和五十八年度から平成年度の当初予算も含めまして進捗状況を見ますと、国が行いまたは補助する事業費、全体で二十八兆七千億円に対しまして、平成年度予算も含めまして五五・六%の進捗率ということになっている次第でございます。
  43. 目黒吉之助

    ○目黒委員 もう少し詳しく、事業費ベースあるいは面積ベースでどのくらいになっておりますか。
  44. 片桐久雄

    片桐政府委員 先ほど私が申し上げました五五・六%といいますのは、国が行いまたは補助する事業費のベースでございます。面積ベースでいいますと、主な事業であります農地整備それから農用地造成、これを合わせまして、平成年度見込みで三七・一%になっておる次第でございます。
  45. 目黒吉之助

    ○目黒委員 この事業が計画からも大分おくれているわけですけれども、その主なる理由というのは一体何なのか、この辺がはっきりしないと、第四次に入るわけでありますが、土地改良区が計画どおりなかなか進んでいかないんじゃないかという観点に立ちまして、おくれた理由等について若干お伺いをしておきたいと思います。
  46. 片桐久雄

    片桐政府委員 この第三次土地改良長期計画、五十八年から発足したわけでございますけれども、その作業は五十六年とか七年に行ったわけでございます。その作業を行うときに、土地改良事業の年の伸び率を相当高く見込みまして、実は年率一二%で事業量が伸びるということを前提に作成いたしたわけでございますが、その後の五十八年以降の公共事業予算の伸びというものが、平均的な伸び率で見ますと、二・二%程度ということになっておりまして、この事業費の伸び率といいますか、この差が目標達成率の低い理由というふうになっている次第でございます。
  47. 目黒吉之助

    ○目黒委員 主として公共事業費の伸び率の低下というところに原因を置かれておられるようでありますけれども、私は、それも一つの原因でありましょうけれども一つ農家負担が依然として増高しておる、加えて農産物価格が低迷しておるといったようなことで、土地改良にかかわる費用自身が農家の経済あるいは農業経営を大きく圧迫しておる、このような認識も持っておるのですけれども、これらについてはどのように認識をされておりますか、お伺いしておきたいと思います。
  48. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、農業をめぐる厳しい情勢というものがございまして、農家負担対策負担金を軽減するためのいろいろな対策必要性が高まっているわけでございます。私どもといたしましては、ここ二、三年にわたりまして次々と負担対策実施してきている次第でございまして、今回の法律改正もその負担対策の一環ということで、市町村負担の明確化に取り組ませていただいた次第でございます。
  49. 目黒吉之助

    ○目黒委員 次に、後からも質問いたしますけれども、あるいはまた今度の改正の中にも若干盛り込まれておるようでありますが、農業は単に食糧生産のみならず国土保全環境保全機能といったものを持っておるわけでございます。これらの機能を確保していくために、だれがこれを担保していくのか、あるいはその費用をだれが負担していくのかといったような点については、現在の農基法の中でも明確にされてはおりません。  ただ、今度、市町村負担の明確化の中には若干そういったニュアンスが入っておるようでございますけれども、この点は今後非常に大きな一つ課題になってくるというふうに私は思っております。農業生産物は確かに農家の皆さん売りますけれども環境保全分あるいは地域社会を維持しておる分といったようなものについては農業従事者だけが負担しておって、だれも買ってくれないわけですね。こういったものに対する評価あるいは公平な負担といったようなものをこれからは当然考えられていかなければならぬと思いますが、この点はどうですか。
  50. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業につきましては大変に幅が広くていろいろあるわけでございますけれども、その中で、土地改良事業の種類によりまして、公共性の高いものについては国の負担率を高くする、また農家負担を少なくする、物によりましては、例えば基幹的な水利施設でありますダムとか頭首工とか、それからまた排水路、排水機場、それからまた道路とか、そういうものにつきましてはほぼ公的負担で公営事業実施して、農家負担はゼロないしゼロに近くするというような方向でいろいろ努力をしている次第でございます。  ただ、土地改良事業の中におきましては、農家の利益というものは、かなり私的な利益といいますか、そういうものもありますので、事業によりましては農家負担も前提にしてやるべきであるという事業もあるわけでございます。
  51. 目黒吉之助

    ○目黒委員 この点は後からも質問しますけれども、ただ、今の農基法を中心にした諸般の制度農業の経済性を追求するという立場ででき上がっておりますので、そういうものじゃなくて、社会的に求められる価値が今まで申し上げました環境保全だとか地域社会を維持するといったようなところには既にあらわれておるわけでありますから、これは今おっしゃったように公共性の高いものあるいは基幹的なものについての経済効果のみでは推しはかれないものがあるということを、この際ひとつしっかり踏まえていただいて、自後の対策に盛り込んでいただくように、この点は要望しておきたい、こう思います。  次に、いわゆる土地改良事業費の負担問題にこれから若干絞ってお伺いしてまいりたいと思います。  土地改良事業が計画される場合は、事業の施行に関する基本的な要件、すなわちその事業必要性、技術的な可能性、経済性、負担能力の妥当性、総合性といったようなものについて事前に調査をされて、これらの基準をクリアして初めて実施に移される、こういう仕組みになってございます。  このうち農家負担につきましては、農業経営状況から見て農業者負担能力の限界を超えるものであってはならない、これが農家負担のいわば原則になってございます。このような観点から、農家負担の判断指標としていわゆる事業費所得比率が用いられておるわけでございます。これは土地改良法の九十条で国営事業について、九十一条では都道府県営事業について、それぞれ国が補助する残りの分、すなわち補助残の徴収について定めておるわけでございます。  大体普通、国営事業実施されるということになってまいりますと、それに並行して県営事業が行われ、さらには団体事業が行われる、同時並行的に実施されているというのが普通の形になってございます。この場合に、事業計画の策定に当たっていわゆる受益者負担の限界というのは各事業ごとに算出をされていくのか、計量されていくのか、全体でもって合算した形で行われるのか、この点ちょっとお聞かせを願いたい。  それからあわせて、農家負担の限界というのは一体どのような方法で皆さんが調査をされ、あるいはまた同意をとるときに説明をされておるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  52. 片桐久雄

    片桐政府委員 一般にかんがい排水事業におきまして、国営、県営、団体事業というものをあわせ行うことによりましてその効果が発現するというような場合には、国営事業計画の作成に際して、関連する県営、団体事業を含めて一体的に事業効果を算定している次第でございます。なお、県営、団体事業実施に当たっても、関連する国営、県営、団体事業関連事業位置づけて,一体的に事業効果を算定している次第でございます。  また、農家負担の限界ということでございますけれども土地改良事業農家負担額は、総事業費から国、都道府県等の補助金を差し引いた額でございまして、年償還額は農家負担額に償還条件による年賦金率を乗じて算出されているわけでございます。この年々納めます農家負担の額でございますけれども、これは幾つかの事業が重ねて行われる場合には、すべての事業による年増加所得額の四割以内というものを年償還額の目途としております。  そういうことで原則としてやっているわけでございますけれども、ただ、具体的な負担限度額につきましては、一般的に農家経営規模とか経営形態とかそういう条件に差異がございまして、具体的に一概に幾らということを申し上げることはなかなか難しいというのが実態でございます。
  53. 目黒吉之助

    ○目黒委員 いわゆる受益者負担が、国営並び関連事業一体として行っていくのが通常なわけですけれども農家負担を計算する場合にどうも一体とした形での計算というのはなかなかされていないで、事業ごとに経済効果が測定されておるといったようなケースが非常に多いように思うわけでありますけれども、この点は皆さんの認識と現場というのはちょっと離れているのじゃないかという感じが私はいたすのです。  例えば、国営事業負担金分が一万二千円です、それから県営の方が二万円です、団体営の方は三万円ですというふうになりまして、そして農家はそれぞれ合算したものを償還をするという形になるわけでありますが、事業実施するに当たって、これは国営事業が行われるときに経済効果については三つを一体として算出されるのですか。
  54. 片桐久雄

    片桐政府委員 先ほど申し上げましたように、国営事業が県営とか団体事業をあわせ行うことによりその効果が発現する、こういうような事業におきましては、一体的に事業効果を算定いたしまして、その効果をそれぞれの事業ごとに分配するといいますか、そういうことによりましてそれぞれの事業ごとの負担金を算定する、こういうようなやり方をやっているわけでございます。
  55. 目黒吉之助

    ○目黒委員 この問題は、現場とおっしゃることとをきっちり詰めるのにはかなり時間がかかるのじゃないかと思いますので、そういう問題があるということをひとつ十分に認識をされた上でこれからも対応していただきたい。普通は大体この三つが、理解としては別々にありますよ。最初国営事業をやられるときに、この次に県営事業をやる分の受益分、いわゆる所得の増加分はこうなりますよといった説明が一体として行われてそれぞれの事業が行われるという関係はちょっと薄いように私は感ずるものですから、特に申し上げておきたいと思います。  それから、農家負担の限界というのはそれぞれの事業によってかなりばらつきがあるということについては、額については理解できるわけでありますけれども事業費負担は年増加所得のおおむね四〇%、こういうふうに今おっしゃったわけでありますが、例えば今十アール当たりの平均所得、これは平均ですから、これが七万一千五百八十五円、このように示されております。このうち、土地改良をやることによって増加した分というものをまず取り出して、そのうちの四〇%が農家負担分、単純にそういうふうに理解するわけでありますが、このほかに経済効果の測定要因としては、いわゆる営農労働力の削減効果あるいは維持管理費の削減効果あるいはまた増産効果、こういったものが今までのいわば効果測定の基準になっておりますから、ただ単に金額であるいは米価で所得がどれだけ上がったかということだけでは算定できないことは私も承知いたしておりますが、いわゆる事業費償還額というのは、水稲で見た場合に、今申し上げました要素なども含めまして、現在おおむねどのくらいの額になっておるのか。いわゆる事業費所得比率で算出した十アール当たりの土地改良による年増加所得額というのは、おおむねどのくらいと見ていいわけですか。
  56. 片桐久雄

    片桐政府委員 圃場整備事業農家負担の具体的な額でございますけれども、これは市町村負担率とか何かいろいろございまして、一概に言うことは非常に難しいわけでございます。  例えば平成年度圃場整備事業で、新規着工地区、これが内地で八十五地区あるわけでございますけれども、これについて見てみますと、十アール当たり事業費が平均で八十八万二千円となっているわけでございます。この場合の平均の農家負担というものを試算いたしますと、十アール当たり事業費八十八万二千円のうち十八万六千円となっておりまして、この年償還額は、いわゆる農林漁業金融公庫の金利六・五%で二十五年償還、十年据え置き、こういう条件で算定いたしますと、ピーク時で十アール当たり平均一万九千八百円程度、二万円弱という年償還額になるわけでございます。  これが先ほど私が説明いたしました増加所得額の四割におさまっているかどうかというような御質問の趣旨ではないかと思いますけれども、これについても、平成年度圃場整備新規着工地区の事例をもとにして、水稲についての主な年増加所得額、これは先生指摘のようにある程度の反収の増、それからまた労働時間がかなり短縮される、その短縮された労働時間はほかのところで燃焼する、こういうようなことで年増加所得というものを考えますと、十アール当たり約五万二千円程度というような算定ができるわけでございまして、何とか五万二千円の四〇%の範囲内に二万円弱の年償還額がおさまっているのではないかというふうに考えている次第でございます。
  57. 目黒吉之助

    ○目黒委員 局長、この辺が問題なんだろうと思うのですよ。今おっしゃいましたように、土地改良をやることによって、十アール当たり五万二千円の増加利益がある、そして、その四〇%が負担だという前提に立っておるわけです。労働費の削減分については後から改めて伺いますが、仮に労働費が浮いたにいたしましても、制度の建前からいえば、浮いた労働費はいわゆる生産性向上もしくは規模拡大という形で農業に投下されなければ意味がないのですよ。よそへ行って稼いできて、その分が土地改良費の負担ですよという諭理はここは成り立ってないのです。  ですから、浮いた分が農業に投下されていくような形であれば負担金になっても結構だと私は思うのですよ。ところが、そうなってないで、土地改良をやることによっていわゆる兼業になる、別の職場から所得を得て負担金を払いなさいよということなんです。その論理はちょっと無理だと思うのですね。  私はなぜここにこだわるかといいますと、申し上げたいことを先に申し上げますが、負担の基準は基準としてしっかり押さえて、社会経済的な変動要因によって負担が増高する場合はそれはそれで別途対応しないと、農業経営上、これ以上負担させてはならないという限界を超えて負担させることは農業経営を弱体化させることですから、ここのところはしっかりと押さえておいてもらいたいというのが、今まで、それからこれからも若干申し上げます質問の中身なんです。ここが一致していないとどうも話がおかしくなりますので、この点はそう思われませんか。
  58. 片桐久雄

    片桐政府委員 圃場整備によりまして労働時間が節減される、その節減された時間を経営規模拡大という形で燃焼するということが一番好ましいというふうに私ども思っておりまして、特に規模拡大希望する農家規模拡大促進するためのいろいろな努力は、今後ともやってまいりたいと考えている次第でございます。  ただ、現在ある農業労働力がそのまま、すべての農家規模拡大を展開できるというような客観的条件が非常に厳しいということもございますので、この辺のところは、農外所得の増大というようなこともいろいろ努力しながら農村地域社会の活性化を図っていく必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  59. 目黒吉之助

    ○目黒委員 どうもその辺がちょっとあいまいですね。土地改良事業というのは農外所得を確保するためにやるのですか。そうじゃないでしょう。そうじゃなくて、土地生産性向上ですね。以下、農業の生産基盤強化のために投資されるわけでしょう。その結果、おっしゃるように、確かに浮いた時間が兼業に行ってしまいました。しかし、土地改良の建前からいいますれば、兼業収入をもって費用に充てるというような組み立てにはなっていないのですよ。基盤が強化され、生産性向上されて、そして増加所得分の中から負担していくという建前です。  私がここにこだわるのは、何度も申し上げますが、土地改良事業というのはこれからもやることなんですから、行われることなんですから、農家負担の限界というものはきちっとしておいて、所要の条件負担が増高する分については別途考えなければならぬはずなんです。  もっと言いますと、平準化事業というのがありますね。平準化事業というのは、農家負担すべき限界を超えているから、あなた方がいろいろと知恵を働かせて措置されたのでしょう。そうじゃないですか。
  60. 片桐久雄

    片桐政府委員 平成年度に発足いたしました平準化事業につきましては、内地の場合に一応原則反当三万円というものをめどに平準化をいたしたい、こういうことで、確かに三万円を超える場合には大変に厳しいというような観点から、こういう対策を打ち出した次第でございます。
  61. 目黒吉之助

    ○目黒委員 局長、そういうことを言っておってはだめですよ。いわゆる負担能力の妥当性、その事業に要する費用のうち受益者たる農業者負担する部分の額が、農業経営状況から見て農業者負担能力の限界を超えるものであってはならない、施行令第二条の四号。判断資料として、農業所得比率イコール年増加所得分の事業費償還額、これではじき出した分というのが年償還額として基本的な償還の考え方になっておる。これを超えているから、負担軽減措置を皆さんがおやりになったのでしょう、こう聞いているのですよ。北海道が幾らだとか内地が幾らなんて聞いてない。そうじゃないですか。
  62. 片桐久雄

    片桐政府委員 昨年の平準化措置の十アール当たり三万円とか北海道十アール当たり二万円、こういう数字を決めさせていただいたわけでございますけれども、これはいろいろ農家経済の実態というものを考えまして、総合的に判断いたしまして反当三万円とか二万円、こういう数字を決めさせていただいた次第でございます。
  63. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そうしますれば、あなたがおっしゃった計算でも、所得の増加額、土地改良することによって年増加された所得というのは、先ほどおっしゃったように一万九千八百円。では、これしか納めなくてもいいんですか、平均でおっしゃいましたから。そうじゃないでしょう。これを超える分、農家負担がたくさんあるから、いろいろな平準化措置やら、もっといいますれば農家負担しておるし、自治体負担しておるという現実があるわけなんでしょう。あなたがおっしゃいましたように、平成年度八十五地区のいわゆる農家の年償還額というのは一万九千八百円である、こういうことになっておって、現実はそれよりも非常に増高しておるわけでありますから、それぞれが今日の農業事情等を勘案して、農家も非常に苦しい中負担しておるし、国の方もそれなりの手当てをしておるし、市町村も特別、今まで義務的じゃないんだけれども負担をするということになるんじゃないですか。  私、もう一度申し上げます。農家負担の限界というのをまずはっきりして、それから、そこを超える分はこれからどうするかということについて、やはり手当てをしていかなければならない部分ですからあえて申し上げているんで、そこはひとつずらさないでください。
  64. 片桐久雄

    片桐政府委員 私どもも、現在の土地改良事業負担金の額というものは農家負担能力の限界にかなり来ている、それからまた過去の事業につきましては限界を超えているものもあったということを考えておる次第でございまして、過去のものにつきましては、その限界を超えると思われるものにつきましてはいろいろ対策を講じて、負担金軽減対策というものを実施している次第でございます。  また、これから実施されるものにつきましても、現在お願いしております市町村負担の明確化というような措置、そういうものを十分活用いたしまして、少しでも農家負担を軽減するような努力を続けているわけでございますし、今後とも努力を続けてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  65. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ややわかりましたが、今後とも、いわゆる農家負担、させてはならない部分を超える分については、今おっしゃったようなことを基本にしてそれぞれ知恵を出し合って進められるように、この点はひとつ確認と申しますか、さらに具体化されるように強く要望しておきたいと思っております。  それで、いま一つ念を押しておきますが、今おっしゃった平準化事業で内地三万円、北海道二万円というのは、先ほどおっしゃった農家負担の限界で、平成年度八十五地区、くどいようですけれども一万九千八百円となっておる、お答えになりました額よりもかなり高い額で平準化措置が行われておるわけですが、ややもすると、この三万円、二万円というのが農家負担の限界であるかのように受けとめられる、あるいはなし崩しにそうなる危険というのがあるわけでありますので、この点はそうじゃないんだということをひとつここで御確認を願っておきたいと思うのですが、いかがですか。
  66. 片桐久雄

    片桐政府委員 私が先ほどお答えいたしました一万九千八百円という年償還額につきましては、これは圃場整備事業だけの負担金の額でございます。平準化事業について十アール当たり三万円とか北海道の場合二万円と言っておりますのは、いわゆる十アール当たりのすべての事業についての負担金ということでございまして、例えばかんがい排水事業圃場整備事業を一緒にやっているとか農用地開発事業をやっているとか、そういうような各種の事業を全部合わせて三万円を超える場合には平準化措置を適用します、こういうような趣旨でございますので、そこのところを御理解願いたいと思います。
  67. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そういう趣旨じゃないんですよね。いいですか、そういう認識だと私も少し抵抗があるんです。  と申しますのは、これは新潟県の例でございますけれども、先ほども若干議論がございましたが、四十七年に国営かん排事業八十六億円の予算で出発した、五十五年に二百三億円になった、六十年に二百九十億円になった、そして平成元年に終了をして、二年から償還が始まる、こういうふうに事業費が膨れ上がって、受益者負担、当初十八億円で出発したのが百七十五億円になった、こういうものに対する平準化事業なんであって、今局長がおっしゃったように、個々の事業によって違うのでそれに手当てをしているなんというものじゃないでしょう。
  68. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のような、事業が長期化している間にいろいろ石油ショックとかインフレとか、また工事の実施基準の変更とかという形で事業費が増大し、またその負担額も増大しているということは事実でございます。私どもといたしましては、そういうような面も含めて、できるだけ農家負担を軽減するための対策ということで平準化対策というものを打ち出した次第でございます。
  69. 目黒吉之助

    ○目黒委員 次に、今回の市町村に対する財政措置農家負担の関係について若干ただしておきたいと思います。  今回、市町村にガイドラインを設けて負担の明確化をしたわけでありますが、先ほど農家負担の限界は大体、いわば土地改良をやることによって増加した利益の四〇%ということになって、ここは論議がかみ合ったわけでありますけれども、今度の措置によって農家負担の四〇%が三〇%に減額され、三〇%が二〇%に減額されていくということを目的として措置されているとはちょっと思えないのですが、その辺はどう理解をすればいいですか。
  70. 片桐久雄

    片桐政府委員 市町村負担負担割合につきましてのガイドラインの考え方でございますけれども、これは市町村の受ける利益というものをどう考えるか、またその限度というものをどう考えるかということでございます。  私どもといたしましては、土地改良事業実施によりまして市町村が受ける利益というものは、農業とか関連産業の振興による地域経済の拡大を通じまして農村地域活性化が図られるという点とか、また農業用の用排水施設、農道等整備を通じて農村生活環境改善が図られる、こういうことが市町村の受ける利益であるというふうに考えている次第でございます。  この受ける利益の限度というものをどういうふうに算定するかということでございますけれども、これは数量的にきちっと算定することは非常に難しいわけでございますけれども、私どもといたしましては、この算定のやり方といたしまして関係者の意識調査というようなものを実施いたしましたり、また現在、市町村負担実態を踏まえまして農村混住化等状況を総合的に勘案して決定したいと考えておりまして、先ほど説明いたしましたように、例えば県営圃場整備事業というような場合には都道府県の負担割合のガイドラインというものを一〇%というふうにいたしたいと考えているわけでございます。  ただ、現在市町村負担実態といいますのは、先ほど出ました六十三年の圃場整備事業新規着工地区で見まして八%弱の負担割合になっておりますので、一〇%というガイドラインをすべての市町村が守っていただくということであれば、それは相当の農家負担の軽減に役に立つと考えている次第でございます。
  71. 目黒吉之助

    ○目黒委員 私は、後段でおっしゃった点については若干議論がございます。ただ、前段でおっしゃった点、いわゆる今度の地方財政措置は主として市町村が受ける利益に対する代償である、したがって、先ほど申し上げましたように直接理論的に計算される農家の所得増加分の四〇%を三〇%に引き下げるとかというものではない、ここだけは一つはっきりしておかないと、自後農家負担をどう軽減するかという問題を検討するに際して、市町村負担があるからいいんだというような形に集約されていくことは非常に実態財政措置機能とが違ってきますので、そこはひとつはっきりしておきたいというのが私の考え方ですが、そういう考え方でよろしゅうございますか。
  72. 片桐久雄

    片桐政府委員 市町村負担の明確化、またそのガイドラインというものは、あくまでも市町村が受ける利益というものをもとにして、その限度の範囲内で負担をしていただくという考え方でございまして、これは農家負担を軽減するために市町村負担する、こういう考え方ではないわけでございます。  ただ、その市町村負担が明確化されて市町村負担が増大することによりまして、その反射的効果といたしまして農家負担が軽減されるというようなこともあるわけでございます。
  73. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そういうことであれば了解をいたしました。  次に、ちょっと飛びますが、第四次土地改良事業というのはその中心が平場から中山間地帯、少し傾斜のある地帯に移行することになります。そうなりますと、事業費の一層の増高が想定されるわけであります。この間私どもが参考人としてお招きをした山間地の村長さんの村内の土地改良の実例などを見てみますと、かん排事業事業費の六五%がつぎ込まれるといったような工区もあるわけでありまして、山間地に入れば入るほどこういった傾向が強くなっていくのだろうと思っております。  したがいまして、今の枠組みで果たしてこれから中山間地の土地改良事業が完遂されるのだろうかということが大変危惧されるわけでございます。私は、やはり県営事業あるいは団体営、特に自治体が中心になったもので起債などを十分に活用できる方途というようなものも大いに考えなければならぬと思うわけでありますが、この点についてはどんなふうにお考えになっておられますか。
  74. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、中山間地域は比較的基盤整備がおくれているということは事実でございまして、今後そういう地域に重点を置いて基盤整備事業を進めなければいけないと考えている次第でございます。  ただ、この中山間地域基盤整備につきましては、確かに面積当たりの事業費も平場に比べれば高くなるという点もございますし、また採択要件ということでも、例えば圃場整備二十ヘクタールというような採択要件ではなかなか採択できない、こういうような、大きく分けて二つの問題があると考えている次第でございます。  こういう中山間地域基盤整備を進めるための手法といたしまして、昨年中山間地域の総合整備事業というものを発足させたわけでございますけれども、この事業の中では、補助率をほかの事業に比べて六〇%という高い補助率にするとか、また採択基準につきましても極めて弾力的に、しかも事業内容につきましても相当総合的な整備ができるという事業の仕組みにいたしておりまして、私どもといたしましてはこういうような事業を今後大いに推進いたしまして、中山間地域基盤整備を進めてまいりたいと考えております。
  75. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ぜひひとつ大いに御努力を願いたいと要望しておきたいと思います。  これに関連して、団体営の土地改良事業のうち、その地域土地改良区がなくて市町村事業主体になってやっておるものというのは、比較的農家負担が軽いのですね。実際には水利費の一部を負担するにとどまっておるようなやり方も中には出ておるようでございますが、こういったところでは土地改良事業農村の後継者対策あるいは若者定住の事業などと一体にして考えて実施されておりますし、こういった傾向が今後ふえてくるのだろうと思うのでありますが、この点についてほどのように掌握をされておりますか。私は、そうであるのであれば大いに活用していく必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
  76. 片桐久雄

    片桐政府委員 団体事業につきまして、市町村がやっている場合、土地改良区がやっている場合、いろいろあるわけでございます。また事業の種類によりましても、かん排事業圃場整備事業、農道整備それぞれ事情が異なるわけでございますけれども、総体的に申し上げまして、平成年度の実績で見ますと、団体営の中で市町村営が五割強、それからまた土地改良区が四割強という状況で、残りが農協とかその他の数人共同、そういうものになっているわけでございまして、年次的に見ますと市町村営というものがふえる傾向にあるわけでございます。  先ほど説明いたしました中山間地域の総合整備事業について見ますと、これは県営事業団体事業と二通りあるわけでございますけれども団体事業について見ますと、これはすべて市町村営でやっているのが実態でございまして、今後ともこの中山間地域の総合整備事業につきましては、そういう形で積極的に推進していきたいと考えている次第でございます。
  77. 目黒吉之助

    ○目黒委員 大臣に伺いますが、ガット農業交渉で、我が国農業の持つ国土保全機能、災害防止機能環境保全機能など多面的な価値に着目をして、非貿易的関心事項を評価するように長い間求めてきました。その結果、中間報告に非貿易的関心事項についても考慮する等々の文言が織り込まれたところでありまして、この点は大臣も御案内のとおりでございます。  今回、土地改良法の一部改正に当たって、このような機能を今後は事業の中に盛り込んで負担を明確にしていかなければならないと思うのです。ガットでいろいろなことを言っていますけれども、実際はこれに対する手当てが国内にないということではやはり片手落ちなわけですから、こういった機能を、この法案で見る限りは市町村がこれからしょって立つみたいな感じになっておりますけれども、やはりこの分について国、県、市町村、あるいは農業者というのは農業をやりつつそういった価値を生み出しているわけですから、こちらの方は軽減になるわけですけれども、そうじゃない分についてはその分を負担するという考え方に立ってもいいじゃないか、このように思うのですが、いかがでございましょうか。
  78. 近藤元次

    近藤国務大臣 今目黒委員から御提言のありましたことは、今まさに私どもが財政当局と折衝する一つの中心課題であるわけでありますけれども土地改良事業全体が公共事業というふうに扱われるときに、もう既にその趣旨は一つは入っておるわけだ、こう思うわけであります。  そういう観点からして、今日的には社会政策上国土保全なり水源涵養なり、あるいは緑なり空気なり水なりというような、そういう一般に共通した国民に与える影響というようなもの、そういうものを守りながら営農していただいておる農家の立場という観点から見れば、一つは営農利潤だけで計算ができないではないかという趣旨は、私ども実は同感でございまして、とりわけ近年地球環境問題というようなものが取り上げられて価値観がまた見直されておる状況でございますから、ガットでは、いわばそういう問題については農業の分野で見るべきではない、我が国に言わせれば、環境の問題として予算的な措置をするべきだという意見も実はございます。  しかし、今日的な状況でそれが大体予算規模で幾らになるかという計算上成り立たない分野が余りにも多過ぎるわけであります。空気や緑や水という問題についてどれだけの価値があるかということは、近年学者がいろいろな角度から御議論していただいたり、見解の発表はいたしておりますけれども、まだ成熟したものにはなり切っていない。そういう観点で、意味合いというものは皆理解をしていただけるようになったわけでありますし、特にまた平場と中山間地ではその役割かなり違った役割をして、むしろそういうところ、土地条件的に不利なところほどそういう役割を果たす面が大きいというような観点から、中山間地の分野についても補助の率はアップをする、言いかえれば負担を軽減する。  また、とりわけ市町村負担が実は非常にまちまちでございましたので、今回の法案で明確にしていただいて、起債なり交付税措置をさせていただくということが、ようやく県営までのところ、区分ができたわけでございますけれども、残された課題は、今御指摘のありましたように、実は市町村土地改良事業という分が宿題になっておるわけでございまして、そういう面につきましては十分心得て、ガットの問題としても私どもは容認ができないと思っているわけでありますし、あわせて国内における負担軽減は、そういう役割を十分に果たしていくようにしていきたい、努力をしていきたい、こう考えております。
  79. 目黒吉之助

    ○目黒委員 次に、新聞等で伝えられるところによりますと、どうもアメリカの側は日本に対して、土地改良事業等長期の農業投資に対して補助金削減の対象にして削減を求めておる、このように聞くわけでありますが、今ほどおっしゃいましたような土地改良事業機能も考え合わせてみますときに、日本の場合はますます拡大をしていかなきゃならない要素が非常に多いと思うのです。これはそういう意味では日本の国内事情を理解しない、むしろ干渉だというふうに理解をしておるわけであります。やはりふやすべきである、こう思っておりますけれども、この点はどのように今受けとめていらっしゃいますか。
  80. 近藤元次

    近藤国務大臣 農業農村基盤整備がいわば農産物の流通価格に歪曲をするものだというようなことは、全く私ども判断をしていないわけでありますから、今国内支持の分野からこれを除外するべきだということで努力をさせていただいておるわけでありますし、実はその主張に共感をしておる国、同感しておる国がかなり多数ございますので、最後までこの分野については貫いていかなければ、我が国の農政のコスト低減に結びついていかないわけでありますから、それなくしてこれからの我が国の農政はないと判断しておりますので、最大限の努力をしていきたい、こう思っております。
  81. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ちょっと時間もなくなりましたので、負担の問題については、最後に、この法律が成立いたしますと、県は市町村の意見を聞いて条例に盛り込んで、それぞれの市町村負担をいわばガイドラインを物差しにして条例に書き込むことになるのだろうと思うのでありますが、これはどう見ましても一括条例というのは非常に公平を欠くように思うわけであります。  これはどうでしょうか、やはり郡市単位とかあるいは細かく言えば市町村単位みたいな形で指導されるおつもりですか、それとも一定の地域を対象としたガイドラインの実施というようなものを考えておられるのでしょうか。いわば条例の運用の仕方ですね。
  82. 片桐久雄

    片桐政府委員 この法律上は、市町村の具体的な負担額は市町村の意見を聞いた上で都道府県議会の議決を経て定めるということになっているわけでございまして、私どもとしてはその負担のガイドラインを定めて指導したいということを考えているわけでございます。  ただ、具体的にそれでは都道府県の議会の議決のやり方はどうなるのであろうか、どういう指導をしようかということでいろいろ実態を調査したり検討を加えているところでございますけれども状況を見てみますと、大体条例では原則だけを定めるというようなことになるのではないか、それで具体的な各市町村ごとの額につきましては、個々の事業ごとに議決をするというようなやり方が多くなるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  83. 目黒吉之助

    ○目黒委員 わかりました。  次に、いわゆる代行工事について伺ってまいりたいと思います。  河川法二十条による代行工事を中心にお伺いをいたします。河川法二十条は、河川管理者以外の者が行う工事についての負担を決めることを決めておるわけでありますが、そのうち農家負担についてこれからお伺いしてまいりたい、こう思います。  どうもこの事業というのは、個々の対象によってかなり負担が違ってくるものですから、全体像を理解するのにかなり骨が折れるのですね。平均をして出されましても大した意味はないわけですし、問題は、個々の事業実施されるに当たって、その中に代行工事などの負担分というのがどんなふうになっておるのかということを大まかに掌握ができて、そして農家負担が過重になっている分については、これまたそれぞれ軽減をしていく措置を考えていかなければならない、こんなふうに基本的には思っております。  今、国営かんがい排水事業にかかわる二十条代行工事のうち、農家負担というのはおおむね何%くらいになっておりましょうか。
  84. 片桐久雄

    片桐政府委員 河川法二十条によります代行工事の農家負担実態でございますけれども国営かん排につきまして、国が六四、県が三五、市町村が一、農家がゼロ、こういうふうに私ども実態を把握している次第でございます。
  85. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そうあれば非常に結構なのですけれども、では、今負担している分を負担しなくてもいいのかということになるとそうもいかないと思うのですよ。せっかくおっしゃっていただいたのですが、そうもいかないだろうと思いますよ。いけば一番いいのですけれども、局長がそうおっしゃったから、では国営代行工事分については負担しないことにしようなどという話になっても、それは通る話じゃないと思うので、私はむしろ、現状をきちっと踏まえて、負担の軽減をどうこれから確保していくかというところに重点を置いた議論をされた方がいいのではないか、こう思うのですけれども、現状では農家負担ゼロだとおっしゃると、ではそれぞれの地域負担しているものがゼロかということになってきますと、私がいろいろと聞かせていただいた範囲ではどうも農政局管内別にかなり違っておる。どういうわけか、近畿農政局あたりについては確かに資料でもゼロとなっておる。ほかのところはかなり負担がある。  私も正直言いまして、負担がこれだけありますよというそれなりのデータは入手しておるのですけれども、具体的に負担分がどうだとかあるいは関連等々の分についての区分けといったようなものが細かい点で必ずしも明確ではないということは申し上げておきます。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕  新潟県で、国営かん排事業をやるについて若干の例を申し上げますと、二十条工事にかかわる分を含んだ工事で総事業費が八百五十四億二千百万円で、このうち二十条工事が三百三十一億二千三百万円、これは一定の期間を区切って工事完了したものの調べでありますが、そのうち農家負担分は八十八億六千九百万円になっておる。それから、これから継続して行う地区の分についてのトータルは事業費総額が一千二百四億二千万円、このうち予定される農家負担額は三十八億七千四百万円である、こうなっておりまして、それぞれ事業ごとに大まかな内訳が示されておる。この中には特別の財政措置が施されておるところもあるように聞きますが、本来、二十条工事は、河川でいいますれば建設省もしくは県が工事をしなければならない。ところが、たまたま圃場整備事業をやるために建設省のいわば河川改修工事と圃場整備事業とがマッチしない、予算づけがずれるというようなことがあって、農林省の代行工事、国営の場合あるいは県営の場合は代行して工事をするというものでありますから、負担区分というものはなかなか面倒だろうということについては、容易に私も承知をいたしております。  先ほど、代行工事は一般的に国が六四、県が三五、市町村が一、農家負担がゼロですと言われますと、これはもう何も言ってみようがないわけでありますが、私が今参考までに申し上げましたデータ等々の実態もあるわけですが、この点は確認をされないとどうも先へ進めなくなりますが、本当に農家負担は全部ゼロですか。
  86. 片桐久雄

    片桐政府委員 私が先ほど農家負担ゼロと申し上げましたのは、これは平成年度実施国営かん排事業七十七地区全部でございますけれども、その中で二十条工事をやっておりますのが三地区ございまして、その三地区について、二十条工事に係る負担について申し上げた次第でございます。確かに先生指摘のように、県営圃場整備事業などの中で二十条工事をやっている場合に、農家負担をゼロにしているという地区もございますけれどもかなり農家負担を前提にしているというところもあるわけでございます。  私どもといたしましては、この河川法二十条に基づきます工事は極めて公共性が高いということでございますので、今回の法改正によりまして市町村負担が明確にされるということを踏まえて、今後は、国営事業であってもまた都道府県営事業でありましても、二十条工事に係る農家負担につきましては実質的にゼロにするという方向で指導をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  87. 目黒吉之助

    ○目黒委員 わかりました。ぜひそうしていただいて、ただ、その際に、今回とりました、いわゆる市町村のガイドラインを示して財政措置をしたその分をそっくりそっちへ回して、そしてそのような分については負担をそのままにしておくといったようなやりくりだけではなしに、今おっしゃいましたような方向で、事業費の総体が多くなるように、負担金、補助金が多くなるようにしていかなければ、この二十条工事に係る今おっしゃったような事態を実現することはなかなか難しいと思いますので、一言つけ加えさせていただきたいと思います。  非常に結構な方向だというふうに受けとめました。ただ、あすから直ちにというわけにはいかないわけでしょうが、近畿農政局管内というのは、何か特別な事情で従来から負担については余り受益者に及ばなかったというのがあるのでございましょうか。
  88. 片桐久雄

    片桐政府委員 近畿農政局管内では、いろいろ圃場整備をする場合に、一級河川とか、そういう河川工事といろいろ関連をする工事が非常に多いというようなケースが、特に滋賀県等におきましてそういうケースがあって、それを処理するのにいろいろ工夫をしているというような実態があるというふうに聞いております。
  89. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そのことが私は、よしあしは別といたしまして、とにかく過渡期ですから、そういう意味でいいますと、やはりいわば個々具体的な事例によって手当ての幅というのはある、このように理解をさせていただいて、私どもの方としましても、自後の対策、手当てをすべきものについては手当てをしていかなければならぬというふうに思っておるのですが、それでよろしゅうございますか。
  90. 片桐久雄

    片桐政府委員 確かに地域実態に応じていろいろ工夫をするということが必要であろうというふうに思いますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、河川法二十条に基づく代行工事につきましては農家負担をゼロにするというような方向で、いろいろ指導に努力してまいりたいというふうに考えております。
  91. 目黒吉之助

    ○目黒委員 二十条工事については、大変前向きに取り組みがなされておるという点についてはそれなりに評価をさせていただいて、ぜひそのような方向で全体として実現していきますように、強くひとつこの点は要望しておきたい、こんなふうに思っております。  それで、一つだけ確認をしておきたいのですけれども、二十条工事で関係省庁と協議に入る場合に、河川でいいますれば、河川というのは普通大体下流から改修をしていきますね。ところが、圃場整備になりますと、ある途中が工事をしなければならない、そこが代行になるわけですね。この場合、普通は下流からずっと改修をしてきた構造が、やはり圃場整備に当たってその構造を活用して大体今はなされておる、そうじゃなければ協議する必要はないわけですね。それで、その協議に基づいて行われるわけでありますから、従来いろいろと聞かせていただきました代行工事は、農業利水上必要な部分だけの幅員とか、流量とかというようなものでないことは今日確かになっていると思うのでございまして、この辺はひとつそういう立場に立って大胆に、おっしゃいましたようなことが一日も早く実現するように、二十条代行工事については農家負担はゼロにするということを実現できますように強く要望させていただきまして、ちょうど時間の紙が回ってまいりましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  92. 宮里松正

    ○宮里委員長代理 志賀一夫君。
  93. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 ただいま土地改良法全体についていろいろお話があったわけでありますが、私はまず個々の問題でお聞きをして、農家負担が一層軽減されるように期待をしながら質問をしたいと思うのです。  本来、農業構造改善事業というのは、行く行くは、農業の持つ公益的な役割あるいは食糧問題の将来展望などを考えたときには、農家負担はもうゼロにするくらいの心構えでやるのが正しいのではないか、そうすべきだとさえ私は思っております。ところで、私の福島県におきまする国営総合農地開発事業、もうたくさん福島県ではやっておりまして、きょうは具体的な課題として母畑地区の問題あるいは矢吹地区の問題についてお尋ねをしたいと思う次第であります。  まず第一に、この母畑地区の原計画では、総事業費百五十四億で受益者負担は十アール当たり八千円であったものが、着工以来の減反政策の実施やオイルショック等々があったために工事が長期化をし、総事業費が五百十億円に増額いたしまして、十アール当たり受益農家一戸当たり年償還額が五万三千円となったというふうにお聞きをいたしております。また計画変更後、すなわち当初三千九百五十七ヘクタールであったものが計画変更によって二千七十六ヘクタール、約半分に縮小されたのでありますけれども、総事業費では約三・ 五倍の五百四十七億円、これを面積比を加えてみれば、当初の計画よりは七倍の事業費に膨張していると言えると思います。この辺の事情を、受益農家の皆さんもわかるようにひとつまず御説明していただきたい、そんなふうに思います。
  94. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘の母畑地区でございますけれども、この地区は、総合農地開発事業といたしまして昭和四十二年度事業着工したものでございますが、その後の開田抑制などの農業情勢の変化によりまして、昭和五十一年度に第一回の計画変更を行い、事業実施してきたわけでございます。さらに、近年の農業を取り巻く諸情勢とか後継者難というような情勢を反映いたしまして、現在第二回目の計画変更作業を進めているところでございます。この計画変更案では、先生指摘のように、地元と協議の上、総事業費を約五百四十七億円というふうに見込んでいる次第でございます。  このように事業費が、原計画百五十四億円、これは昭和四十七年度の単価でございますけれども、これより大変に増高しているわけでございますけれども、その原因といたしましては、まず第一に労務費とか資材費などの物価上昇に伴う事業費増、これは私ども自然増というようなことを言っておりますけれども、約九十八億円ということでございます。  それからまた、第二番目に、造成される圃場勾配の緩和とか、地元の要請に基づく整備水準の向上に伴う事業費増というものが百五十七億円というふうに算定しております。  それから第三番目に、現地の地質などの予期せぬ状況によりまして工事内容を変更することによる事業費増というものが百三十八億円というふうに試算いたしておりまして、こういうようないろいろな事情を御賢察願いたいというふうに考えている次第でございます。
  95. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 総事業費が五百十億円あるわけですが、計画変更後五百四十七億円になっても、十アール当たりの償還金は五万三千円、事業費は変わっても償還金の十アール当たりの金額は変わらない。この辺はどうなんでしょう。  それから、今後残されている事業が完成後も、受益農家償還金五万三千円というのは変わらないのか。この点をただしておきたい。
  96. 片桐久雄

    片桐政府委員 現在検討しております計画変更案というものでは、先ほど説明いたしましたように総事業費約五百四十七億円、これに基づきました農家の規定年償還額というものは、先生指摘のように十アール当たり約五万三千円というふうになっているわけでございます。ただ、国営農用地開発事業については、高率の国庫補助に加えて長期低利の償還条件を設定しているということ。それからまた、受益者負担能力に相当配慮した制度となっているということもございまして、昨今の農家負担金問題を踏まえて昭和六十二年度には計画償還制度というものを、また平成年度には負担金の平準化等を行うために負担金総合償還対策というものを創設いたした次第でございます。  こういうようないろいろな計画償還制度、それから平準化のための融資制度、こういうものをいろいろ適用いたしまして、また県とか関係市町村、こういうところでもいろいろ農家負担軽減のための努力をしていただきまして、現在農家の年償還額というものを十アール当たり約二万二千円というようなことで見込まれているというふうに承知している次第でございます。
  97. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 このいただいた資料を拝見しますと、事業費が非常に順調な伸びとも言える増額状況になっております。五十年度で十アール当たり百十四万六千円であったものが平成元年には百九十一万一千円というふうに大変事業費が伸びているわけでありますけれども、この辺の伸びはどんな原因で伸びているのかということを、まずお聞きをしたいと思います。
  98. 片桐久雄

    片桐政府委員 こういう事業費の増高につきましては、先ほども説明いたしましたように、労務費とか資材などの物価上昇という点、それからまた、いろいろ地元の要望もありまして整備水準を向上させるというような点、それからまた、地質などの予期せぬようないろいろな状況によりまして工事内容を変更するというような、そういういろいろな事情が重なっているというふうに考えている次第でございまして、こういう事情を御賢察をお願いしたいと思います。
  99. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 そういう理由で上がる率というものはわからないわけでありませんけれども、しかし全体としての事業費というものが、見れば、国営事業というのはこんなにかかるのか、こう言えるような数値ではないかと思います。  仮に、私の福島県内でやっております事業で、団体営で見ますと、十アール当たり九十九万円、それから県営圃場整備事業で、三十アール価格で八十二万円、五十アール価格で七十七万円というふうに、半分にも満たないのですね。国営事業だからこんなに高いというのはどうも、どんな点から考えても私は納得いかない。整備水準が、国営事業だからといってそんなに高いはずがない。私は比較をして見ていますけれども、そんなふうに言えると思うのですが、その辺明らかにしてほしい。
  100. 片桐久雄

    片桐政府委員 この母畑の国営農地開発事業は、ダムをつくって水を引くという事業、それからまた区画整理をするというような事業、そういうものもございますし、また農用地開発といいますか、そういうような事業もあるわけでございます。  そういう総合的な事業ということでございますので、先生指摘の県営圃場整備というような、そういう区画形質を整理するというような、そういう単独の事業とはかなり内容が違う点もあるというふうに考えておる次第でございます。
  101. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 それは内容的にもちろん違うわけですけれども、しかし国営事業だから高くていいんだという理屈は成り立たぬと思うのです。余りにも高過ぎるということを私は指摘せざるを得ないし、その辺は十年間のうちに、一般的に我々が見れば、なぜこんなところにコンクリートの工作物を使うんだろう、こういう例も多々あるわけでありますから、そういう点でどうも高過ぎる、こう言わざるを得ないと思っているところであります。  ですから、その点については後でも若干触れますが、ここでまずお聞きをしたいのは、公共的施設ということで、ダムとか農道とか用排水路等を公共的施設というふうに言っているわけですが、これについては、これからだんだん補助率を高めて、負担のないように公費負担にするようにするのか、その辺の基本的な考え方をお聞きしたい。
  102. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業の中でも、基幹的なダムとかそれからまた基幹的な用水路、それからまた排水路、そういうような公共性の高い工事につきましては国庫の負担率も高めるという努力もしておりますし、また、今回の市町村負担の明確化というようなことも踏まえまして、農家負担がゼロないしゼロに近いような方向で事業実施するというような方向を現在進めている次第でございます。
  103. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 ぜひ努力をしていただいて、そういう日が一日も近いことを期待しておるわけであります。  ところで、工事費が高いという理由の一つとして、一般的には面工事は大体一八%から二〇%だというふうに聞いているわけでありますが、公的部分が多いのにもかかわらず、やはり依然として全体として見れば農家負担率が高いということは指摘せざるを得ないと思うので、やはり今後ともその辺は早期にもっと考慮されるべきではないか、そういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  104. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業の中で特に公共性の高いもの、例えば水路とか道路とか、そういう線的なもの、それから先ほど指摘いたしました基幹的な水利施設等、こういうものについては公的な負担というものを高める、また、今回の市町村負担の明確化という措置の中でも、そういう工種、主として線的なもの、道路、水路、そういうものについては市町村負担というものを高めていく、農家負担を低める、こういう努力をしているところでございます。  ただ、いわゆる面的なもの、圃場整備の中での面整備、それからまた、農用地開発における農用地の面整備、こういうようなものについてはある程度の農家負担をしていただく、こういうことで、工種ごとに農家負担のあり方というものを今後進めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  105. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 再度申し上げるわけでありますけれども事業費が高いというのは大変重要な問題だと私は思うのであります。平成年度で、母畑地区では百九十一万一千円、矢吹地区で二百五十三万八千円、そんなふうに高いわけであります。余りにも高過ぎることが、母畑あるいは矢吹全体の計画に当初入りながらも、むしろ低い団体経営でやった方が早く借金は返せるし、その方が簡便にできるからということでこの規模が少なくなってきたという理由があるわけでありますから、その辺はやはり国営事業事業費が余りにも高いという点をもう一度いろいろな角度から精査をして、これから善処しなければいけないのではないかというふうに思います。  農家から見れば、自分の土地を十アール二百万円台も事業費を出すということは、これは自分の土地は減歩されて少なくなりながら、想定ですけれども、現に売買されるであろう田畑の値段の何倍かまで事業費を出してやらなきゃいけない、このことに大きな矛盾を感じているわけですね。場所によっては、阿武隈山系の僻地でありますけれども、無理やり圃場整備事業に参加させる、たった二十アールで無理やり参加させた。ところが、反当たり三十万の経費で、六十万かかった。そして、その金をその人は出しようがないというと、その辺の土地の値段というのは、買ってくれる人があってやっと二十万くらいになるかというところでありますから、場合によっては土地を失いながら借金が残るという事態もあるわけであります。  こういう点を考えれば、やはり事業費の高さというのが、むしろ国営事業であるだけにどうも納得がいかない、こういうふうに言わざるを得ないわけでありますけれども、その点についてもう一度考えを聞かせていただきたいと思います。
  106. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業についての農家負担の軽減という観点もございますし、また投資効率といいますか公共投資の効率を高めるというような観点からも、国営事業についての事業費単価の抑制ということは従来もいろいろ工夫してきた次第でございますけれども、今後とも事業費単価の抑制については努力してまいりたいというふうに思います。  また、工期が非常に長くなるということも、先生指摘のようないろいろな問題があることも事実でございますので、そういう工期の短縮ということについても今後努力をしてまいりたいというふうに考えております。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 次に、負担金の軽減等についてお聞きをしたいと思うのであります。  反当たり五万三千円の規定の負担金が、平成三年二月時点でお示しになった資料では二万二千円になるわけでありますが、このとおりなのか。そしてまた、農家の皆さんが理解しやすいように、ひとつこの辺の経過、そしてなぜ二万二千円になるのか、それをお示し願いたいと思います。
  108. 片桐久雄

    片桐政府委員 この母畑地区につきまして現在検討を進めております計画変更案では、総事業費五百四十七億円ということで、それを前提にした農家の規定年償還額十アール当たり五万三千円ということになるわけでございます。  これにつきまして、計画償還制度という制度を適用することによりまして、償還の年限が十七年というものを二十五年に延長するということになるわけでございます。その延長することによりまして五万三千円が三万五千円というふうに下がるわけでございます。ただ、償還年限が十七年から二十五年に延びる、こういうようなことになるわけでございます。  この三万五千円につきまして、県と市町村がいろいろ努力をいたしまして助成をするということで、三万五千円から二万七千円にまで引き下げる努力をする、こういうようなことを現在予定しているわけでございます。  それが今度平成年度から適用されます平準化事業というものを適用いたしまして、県、市町村助成を前提としたこの二万七千円の水準をさらに二万二千円に引き下げる、この場合には償還年限が二十五年から三十五年というふうに延びるわけでございますけれども、ただ、この償還年限が延びる分につきましては無利子融資をして延ばすということでございますので、この二万七千円から二万二千円に低下する、三十五年に延びるというところは、償還総額はふえないというような形になっているわけでございます。
  109. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 二万二千円になる過程で市町村が公共的施設に助成ということがあるわけですが、その部分でほどの程度になるのでしょうか。それからまた、計画償還制度拡充という項目では金額的に一体どれくらいの額が助成されるのか、援助されるのか、それをお聞きしたい。
  110. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず第一点の県、市町村助成によりまして三万五千円から二万七千円に引き下げるという点でございますけれども、これは県、市町村合わせて約四十億円の助成が行われる予定であるというふうに聞いている次第でございます。  それからまた、計画償還の適用でございますけれども、この計画償還制度といいますのは支払い期間を延長するという制度でございまして、この場合についての助成額というものはないわけでございます。
  111. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私が言いたいのは、いろいろな助成なり利子補給等をやっても、現実的には農家にとって大したお金ではないな、こう農家の皆さんが受けとめているのではないでしょうか。  十アール当たり五万三千円で十七年間の年賦だと九十万一千円になりますね。そして、二万二千円で三十五年間という長い間納めるとなると七十七万。そうすると、いろいろな制度適用をやって、大変安くなったんだよ、表面は五万三千円から二万二千円になりましたというけれども、その差はわずかに十三万一千円、これでは農家の皆さんが納得し得る状態ではないと思うのです。ですから、先ほども言ったように、団体営あるいは県営圃場整備事業というような事業に変わっていく。二万二千円で大変安いようだけれども、これは三十五年、自分から始まって孫の時代までかかる。将来農業情勢がどう変わっていくかもわからぬのに負債を孫まで残そうという人は数少ないのではないかと私は思うのですが、そういう点ではもう一度抜本的にこれらの諸制度を検討すべきではないでしょうか。農家が喜んで国の施策に期待できる、歓迎できる、そういう制度に改めるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  112. 片桐久雄

    片桐政府委員 負担金軽減の対策につきましては、いろいろな対策を今まで打ち出してきた次第でございまして、私どもといたしましては、今後ともこういういろいろな対策をできるだけ有効に活用し、またうまく組み合わせて、農家が無理なく納めていただくような工夫をしてまいりたいと考える次第でございます。
  113. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私がただいま申し上げたような方向で、もう一度この制度を再検討するという考えはありますか。
  114. 片桐久雄

    片桐政府委員 ただいま私が説明いたしました五万三千円から二万二千円に引き下げる、こういういろいろな工夫、努力ということが、現行のいろいろな仕組みでは精いっぱいではなかろうかというふうに考えている次第でございます。  今後、これに加えてどういうことができるかということにつきましては、また現地のいろいろな事情に即しましていろいろ努力をしてみたいと考えております。
  115. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 ひとつここのところ、国営事業をやらないでよかった、団体営や県営の方がよかった、今、母畑地区から抜けてよかったと胸をなでおろしている人がたくさんいます。そういうことがないように、国営で対処されてよかったなと思えるようにひとつ頑張っていただきたいと思います。  私は次に、農家負担軽減の一環としてお尋ねしたい点は、昔、耕地整理組合があって、その耕地整理組合の記念碑がたくさんの人の名前を書いてあちらこちらにあったことを覚えていますし、現にあります。今、土地改良事業をやった場合でも、昔の思い出をまだ今もやろうというのか、新しい記念碑が各地に見られます。この記念碑は、やはり全体の土地改良事業事業費予算の範囲内で建立されている、こういうことですか。
  116. 片桐久雄

    片桐政府委員 記念碑の設立につきましては、事業効果というものを残すといいますか、そういうような観点から必要最小限のものということで補助事業の対象になっているというふうに承知いたしております。
  117. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 現状、国からの補助金等公費がその建設費に支出されているという事実はお認めになりましたね。その記念碑に大変大きく「大地よ甦れ」、ある国会議員の肩書がだっと出て、政治家の名前がずっと大きく書かれてある。これは法律でどうのこうのと言う前に、今政治改革で政治家の倫理観というものが問われているときに、いろいろな経過の中で、裏の方に細かく書いてある部分については何も問題ないと思うのですけれども、表面に「大地よ甦れ」と、こんなに大きくすばらしい揮毫があって、その下に衆議院だれだれ、そういうことが選挙区内にたくさん見られることは、政治資金規正法等のかかわりもないわけではありませんし、また特定政治家の半永久的な広告塔にもなるわけでありますから、こういう事実をやるべきではないのではなかろうかと私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  118. 片桐久雄

    片桐政府委員 私も記念碑をいろいろなところで見せていただいているわけでございますけれども、特にそういう不適切なものというものがあるようであれば、私どもとしてもいろいろ指導してまいりたいというふうに考えております。
  119. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 どうも今の御答弁、最後の方わかりませんが、これは問題があります。いろいろな角度から検討すれば、今の政治資金規正法上からもやはり問題があります。あるいは公金の利用という、使途という点からもあるのではないかというふうに思うので、しからば現実にそういう状態があることをそのまま黙認するのか、あるいはどうされるのか、その辺、明確にお聞きをしたいと思います。
  120. 近藤元次

    近藤国務大臣 私も古くからそういうものを見かけてはおりますけれども一つはたまたま国会議員が土地改良理事長であったり、政治家が理事長であったり、いろいろな別の責任を持つ立場である人がいたりすることもあるわけですから、一律にどうこうは言いにくい状況でありますけれども、そのことについて特にそのかかわり合いのない人が売名的にやるというようなことであれば、そういうことは好ましくないという指導はしていかなければならない、こう思っておるわけでありますけれども、その経費は最小限度事業費の中で認めてはきておるわけでありますが、その辺の、裏であろうと表であろうと名前を書くということは、やはりある程度の土地改良なり市町村なりという、その建立をする人たちの何というか、常識に任せてきたというのが今日までの状況でもありますし、今後もそのような形でいいのではないだろうか、こう実は思っておるわけであります。
  121. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 やはり、これは政治資金規正法に照らしますと問題があるというふうに私は思います。そういう立場で、単に黙認するのじゃなくてやはり今後何らかの形で善処すべきだ、そういうふうに思います。でないと、何のために政治資金規正法なるものがあるのか。年賀状も出さない、暑中見舞いも出さない、あるいは広告にも出さない、そういう政治家があるのに、一方では、もう半永久的な広告塔にちゃんと特定政治家の名前が常時有権者の前に表示されているということ自体が、しかもそれが国民の皆さんの税金でつくられておるという現状、いわゆる公的な施設でもあるわけでありますから、それに堂々と大きく揮毫がされてそのまま存続させるということは、やはり国民の皆さんから見ていかがなものか、こう考えざるを得ませんが、もう一度大臣の答弁をお願いいたします。
  122. 近藤元次

    近藤国務大臣 当然のことながら、政治資金規正法に触れるようなものについて、揮毫するとかそういうことで売名的な行為を行うというようなことがあれば、ここは私ども指導していかなければならないし、私どもこれからもそういう意味での対処をしていきたい、こう思っております。
  123. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 このことについては今後対処するということですから、きちっと、あらゆる法令等を検討しながら、やはり国民の目から見てなるほどと思われるようなことにしてほしい、それが政治倫理の確立だ、こういうふうに思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  最後に、ちょっと時間超過しますが、一つだけ。母畑ダムの水が計画変更によってかなり余ると思うのですが、この余った水が計画利用水量どれぐらいになるのか。日量一万七千トンぐらい余るというふうに聞いているわけですが、この水が余ることによってダムの建設に伴う受益者負担の軽減も当然あるわけでありますから、その辺もこれから受益者負担の軽減という立場できちっと精査をして負担の軽減をすべきだ、こういうふうに思いますので、その辺についてどういうお考えか。また、その余剰水の利用方法について、今はどうすべきなのかをもう話し合う時期に来ていると思いますが、やっているかどうかも含めて御答弁いただきたいと思います。  以上であります。
  124. 片桐久雄

    片桐政府委員 母畑地区国営農用地開発事業については、現在計画の見直し作業を進めているところでございまして、千五沢ダムの水の利用量、今後どうなるのかということについては現在いろいろ検討している段階でございますので、現在の段階でどのくらい余るとか、そういうところはまだなかなか申し上げられる段階ではないわけでございます。  ただ、今後見直しをいたしまして、千五沢ダムの水が余るというようなことがはっきりしてきた場合には、関係機関といろいろ協議しながら、例えば新たな水需要があればこのダムの水も利用していただくということも考えられるというふうに思っている次第でございます。  この余った水を有効に利用したという場合に、ある程度農家負担の軽減にも役に立つのではないか、こういうような先生の御指摘でございますけれども、現在の段階でまだ利用者も特定していないというようなことでございますので、そういう可能性があるということは言えると思いますけれども、現在の段階でどのくらい負担が軽減されるのかというようなことについて確定的なことを申し上げることはなかなかできないという状況でございます。
  125. 大原一三

    大原委員長 簡単にお願いいたします。志賀君。
  126. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 一つ物申さなければいけないと思うのですが、昨年のこの委員会における質疑で、水の利用ということについての質疑がないのに、それに対する利用についてこういうように考えていますということを明らかにしているじゃありませんか。それなのになぜ、ここで私が、もう既に縮小した計画が決まっているのに、水がめが利用できないか、そんなことを答弁できないなんてそれはおかしいですよ。去年の三月か四月かわからぬけれども、議事録を見ればはっきりわかるわけでありますから。明確にそういう答弁をしているのに、今時点になって——そしてこの年初めには、私がこの水問題をしようとしたら、その点については質問しないでくれという要請があったから、私ははいということで承知しましたけれども、今全体の計画変更がきちっとなった段階で何にも言わぬというのはおかしいですよ。差別じゃないですか、そういう答弁の仕方は。
  127. 大原一三

    大原委員長 時間がありませんから、局長から簡単に御答弁願います。
  128. 片桐久雄

    片桐政府委員 昨年私がお答えいたしましたのは、上水道との共同事業化とか整備水準の再検討ということをお答えいたしたわけでございます。その検討が現在も続いているというような状況でございまして、確かに先生指摘のような余剰の水を有効利用するということがあるわけでございますので、今後できるだけ地元の要望に沿うようにいろいろ検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  129. 大原一三

  130. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 土地改良法改正は以前にも行われておるわけでございますけれども、昭和六十一年の法改正のときにも当委員会で熱心な御審議があったようです。そこで改正に当たって附帯決議がございます。八項目にわたって附帯決議がつけられております。それについてのお尋ねです。  その第一項では、「第三次土地改良長期計画」、これは昭和五十八年から平成四年までということですけれども、この第三次の「計画事業量が達成されるよう必要な予算の確保に努めること。」ということがあるわけですが、その後この附帯決議第一項の要請がどういうふうに達成されたのか、その工事の進捗状況事業量とか予算の面ですね、これについてどうなっているか、明らかにしていただきたい。
  131. 森本茂俊

    ○森本(茂)政府委員 第三次土地改良長期計画でございますが、これは先生おっしゃいましたとおり、五十八年以降十カ年で、平成年度までの計画でございます。これが全体で三十二兆八千億でございます。  そのうち進捗率でございますが、調整費を除きました三十兆四千億円に対しまして、平成年度までの達成率が五四・一%でございます。  それから、国が行いまたは補助する事業費、これが二十八兆七千億でございまして、これに対する進捗率は五五・六%でございます。
  132. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 ということになりますと、進捗率は決してよくない、目標よりも大分おくれておる、こういうことになるようですね。この原因は那辺にあるのですか。
  133. 森本茂俊

    ○森本(茂)政府委員 長期計画は五十八年にできたわけでございまして、五十六年、五十七年で長期計画策定のための作業をいろいろやったわけでございます。そのころは予算の伸びも相当よくて、日本の財政事情が非常によかったわけでございまして、私ども長期計画の年平均伸び率を一二%ぐらいに想定してこの計画を立てたわけでございます。  その後、先生御承知のとおり国の財政事情が非常に悪くなりまして、長期計画期間の公共事業全体の予算の伸び率が二・二%ぐらいにとどまったわけでございまして、それがやはり大きな原因でございます。
  134. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 どうもこの土地改良事業というのは、当初につくられた計画よりも、今お答えがあったようなその後の事情というものが加わるにしても全般的に非常におくれている。そして、それにつれて事業費、工費もかさんでいるという傾向にあるように見えるのです。そうなると、それが全部公的な負担で行われるならいいけれども受益者負担ということで農家負担しなければならないということになると、その分だけ負担分がかさんでいく。それで、その償還などについて非常な御苦労が出てきたり不満が出てきたりというのが実情のようなのですね。  例えば、私の選挙区内で当麻町というところがあります。道営圃場整備事業の例ですが、今の第三次よりも前になるわけですけれども、例えば第一地区で昭和四十七年に着工した圃場整備事業は、当初計画では五百三十五ヘクタール、この事業計画期間は五年ぐらいで上げようということだったようですが、実際に完了したのは昭和六十三年、非常におくれています。面積も四百九十一・三ヘクタールと減っているのですけれども、一方事業費は、九億五百万の当初計画だったものが、実際にかかったのが二十九億四千六百万、大変に多くなっている。三倍ぐらいになったのですね。第二地区というところも、昭和四十八年度にかかって完成したのが平成年度、去年までかかっております。これもやはり事業費が三倍以上にふえております。それから第三地区というところは、昭和四十九年度にかかったのが去年までかかっておる。これも事業費が三倍ぐらいになっているということで、おくれにおくれると同時に予算も多額になっているのです。道営のかん排事業についてもやはり同じような結果が、この当麻地区の改良区の方から出ているわけです。  こういう実情については、原因として今お話があったようなこともあるのですけれども、どういうところにあるのかと聞いたら、一つ予算づけの問題、それからまた、このころ一斉に土地改良事業が行われたために、業者の方も非常に忙しがって一ところにかかり切れないということもある。また、その間に資材だとか物価も上がってくるなどから工費もかさんでくるということだったのですが、しかし、それにしてもこのおくれ、そしてまた工費のかさみというか当初計画との隔たりは余りにもひど過ぎるように思うのです。国の方でもお金を出しているわけですけれども、その点についての行政指導だとかそういうことは、例えばこれは道営だということですけれども、道などと協議の上での行政指導なり何なりができなかりたものですか。これはどうですか。
  135. 森本茂俊

    ○森本(茂)政府委員 先生が今例を挙げておっしゃいました当麻地区、私も資料を持っているわけであります。確かに御指摘のように第一地区、第二地区、第三地区とも三倍程度、事業費が上がっているわけでございます。  これはいろいろ原因があるわけでございますが、先ほど申し上げた公共事業の抑制によって事業費が伸び悩み、事業が長期化してきたというのは一つの大きな原因ではございますが、そのほかに、特に四十七年、四十八年に着工した地区はちょうどオイルショックの時期を経ているわけでございまして、その間に物価上昇が相当あったわけでございます。これが完了いたしました六十三年当時と着工した時点と比べますと、建設物価のスライドは恐らく二倍ぐらいになっているのではなかろうかと考えるわけでございます。  したがいまして、そういう工事の長期化をできるだけ避けなければならないというのが私どもの一番大きな問題意識でございまして、工期の長期化を避けるために私ども今考えておりますのは、五十七年以降の新規採択の総事業費を抑制いたしまして、継続地区は重点的に予算を配分することによって工期の延長をできるだけ避けたいということでやっております。一時期と比べますと、工期も、一遍にというわけにはいきませんが、十三年かかっていたのが十年になるというふうに、実効が着々とではございますが上がってきているところでございます。  それで、そのほかに私どもが考えており、そして今やっておりますのは、その整備水準を画一的に国なりあるいは県なりが定めるのではなくて、いろいろな代替案をつくりまして、これだけの整備水準までやる工事をやればこれだけのお金がかかりますと、しかし安上がりでこういう工事をやればこういうふうになりますという代替案を地元農家に示しまして、それで地元農家にそれを選択していただく、そういうことによっても、これから事業費の増高をできるだけ避けていかなければならないと考えておる次第でございます。
  136. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 いずれにいたしましても、これだけ長くなり事業費もかさむ、それによって利得をしているのは工事屋さん、土木工事なんかをやる工事屋さんはいいと思うのですけれども、しかし負担をさせられる受益者農家の人たちにとっては非常にこれが苦痛になって重くのしかかっているわけですね。  一方、その間に例の減反、転作などもろもろの事態も出来して、生産所得というものがむしろ農家の所得としては下がってきているというようなことになり、そこに大きな不満がまた出てくる、これは工事のおくれにしても当初計画の見通しが変わることにしても、受益者に責任があるということではないわけですから、そこで負担増になる。後ほどまたお伺いしますけれども、そこでその負債の償還対策ども出てくるわけですけれども。  それで,今度のこの一部改正市町村事業費負担をはっきりさせようということは結構なことだと思うし、ガイドラインとして一〇%ぐらいの負担が出てくる。先ほどの局長のお話では、それは農家負担の軽減を目的にしたということではないけれども、結果としてといいますか、反射的な効果として農家負担の軽減にもつながるものと考えられるというお答えがあったと思うのですね。  ところが、ここで確認をしたいわけですけれども、これは既に完了している事業、実際には延び延びになった、当麻の場合にもやっと去年完了した、完了してしまった。こういう完了してしまったところについては今度の改正案の適用というのはないわけですね。それで、ないのだとすると、どうしてそういうところは外したのかという、この事情、理由、これをもう一回はっきりさせていただきたい。
  137. 森本茂俊

    ○森本(茂)政府委員 既に完了した地区については改めてその市町村負担を今から決めるという制度はできないわけでございまして、したがいまして、私ども考えておりますのは、これからやる地区と既に完了した地区とに分けまして、それで、既に完了した地区につきましては、これは平成年度からでございますけれども負担金の総合償還対策事業というものを実施することにしているわけでございます。  それで、この事業は、御承知かとは思いますが、国が五カ年間で一千億の資金を造成いたしまして、平成年度は二百億造成しているわけでございますが、その資金の活用によりまして、負担金の償還が困難な地区に対しまして、償還の平準化を行うため土地改良区等が必要な資金を系統等から借り入れる場合に、借入金の金利が無利子になるように土地改良負担対策資金及び都道府県からの利子補給をするという措置をしたわけでございます。  そのほかに、同じ資金を使いまして、特別型の国営事業のうち、計画償還制度適用地区について、償還時に利息の一部を助成する等の措置を行っているわけでございます。  既に完了した地区については、そういうことで措置しております。
  138. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 結局、今度の改正も既に完了したところはついては適用がないのだと。  それで、これまでの既往の事業によって農家負担する、重荷になっているその負債については、今の平準化事業などでできるだけ負担というか苦痛を減じていこう、こういうことのようですね。今の平準化については、これは基準があるわけですね。北海道の場合には負担額が反当二万円ですか、それで、農家一戸当たりでは四十万からということになっているようですね。  ただ、御案内のように、北海道の場合は、そう言ってはなんですけれども、内地の農家の方に比べると所有面積も非常に大きい、したがって、土地改良の対象になっている農地というのも、一戸当たりでも結構大きいわけですね。そういうことを考えますと、全体で、その土地改良事業について負担をする額というのは一戸当たりかなり負担になってくる。反当は実際には今二万円まではいかない。さっきの当麻あたりだと一万七千円ぐらいのところへいっているのですけれども、しかし、その所有面積が大きいものですから、十ヘクタールなんというのは結構標準的なものですからね。そうすると、総額になるとかなり大きな金額になってくるわけです。  そこで、この平準化についても、北海道のこの基準あたりはもう少し緩和できないのかという要望もあるのですけれども、この辺についてはどうですか。それと、去年からこれは実施をされることになったのですけれども、これの活用の度合いといいますか、どの程度の成果を挙げているのか、この辺の実情をひとつお伺いしたいと思います。
  139. 森本茂俊

    ○森本(茂)政府委員 平準化事業の採択要件、先生おっしゃいましたとおり、北海道については全国平均と比べて農家経営規模が大きい、そしてまた、農業の依存度が高いわけでございますので、内地の採択基準とは別な要件を規定しているわけで、先生おっしゃいましたとおり、上限三万円を二万円にしているところでございます。ただ、それをやっているだけじゃなくて、さらに平準化事業の認定要件といたしまして、地域の特別の事情を配慮した、北海道におきましては知事が構造改善局長と協議して特例額を設けることができることにしておりまして、この措置によりまして、地域の実情に応じた平準化事業の円滑な実施ができるのではないかと考えているわけです。  ただ、北海道の場合は、この上限十アール当たり二万円という適用ではなくて、現実には農家一戸当たり四十万の方でほとんどの地区が救えることになっておりまして、先生も今御質問ございましたが、現実に認定状況を調べてみますと、全国で十三県、二百四十二地区でございます。そのうち、北海道で認定されましたのが約半分に相当します。百二十四地区で認定をしておる状況でございます。
  140. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 こういうような方法、それからまた、いわゆるリリーフ資金なんというのもありますね。しかし、どちらにしてもこれは利息から充当していく、あるいは元金先送りにしていく。だから、償還の期間としては延びるけれども元本はいつまでたっても減らないというようなことにもなるのではないかと思われるのですけれども、例えば償還の仕方として、既往の債務の元本、これをも何とか消していくというようなあるいは元利均等払いのような方法というのは、これは制度的には考えられないのですか。
  141. 森本茂俊

    ○森本(茂)政府委員 土地改良事業は、それぞれその事業の性格、公共性でございますとかそういうことによりまして負担額が決められておりまして、しかも相当高率に設定されておるわけでございます。私どもも、特に公益、公共性の強い、例えばダムでございますとか頭首工のような、ああいう基幹施設を持っている地区というのは負担額がそれだけ高いわけでございまして、そういう地区につきましては平成年度から、基幹施設に対する特別の補助率を用いた事業をつくったり、あるいはまた、非常に条件の不利な中山間地域のような負担能力上問題があるというようなところについては、また高率の補助率の制度をつくるとか、いろいろな工夫をしながら努力をしているところでございます。
  142. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 先ほどからいろいろなお尋ねがありましたけれども、もうどっちにしても借金はいつまでたっても消えない。長くなって年度償還額が減っているということであっても、片っ方で生産額がふえてこないものですから、やはりみんな苦労しているわけですね。ですから、これも先ほどもお話があったようですけれども土地改良によって受益というけれども、一体何が受益なのか、益を受けるのではなくてむしろそれは被害になっているのではないかという思いが、農家の方方には非常に強くあるのではないだろうかと私は思うのです。つまり、何のための土地改良なのか。それも、てきぱきとやられて、負担額もそう多くなくてやれる範囲でやって、そしてやっただけのそれに見合う作付ができて、農産物がつくれて、それによって収益が上がっていくのなら喜びもある、よくなるための犠牲を払うということはあるわけで、投資ということにもなるわけですけれども、どうも結果としては投資効果があらわれていない。  そして、今度農林水産省が発表されました平成年度の白書、これによっても農家戸数は本当に減っているわけですね。担い手問題も心配されるということが白書の中でもうたわれている。そしてまた、農家の皆さんが老齢化している。今の担い手であるそのだんだん年配になっておる方々がやめるということになって、後継者がいなくなるということになったらどうなるだろうかという心配がこの白書の中には非常に如実に出ているわけですね。ですから、せっかく土地改良はやったけれども、減反だ、もう生産調整だ、転作だというようなことで、そういう農地が使われないで遊んでしまっているというところもあるのではないかと思われるわけですね。  それで、その中で一方、このつくった土地改良関係の施設ですけれども、これを今度維持していくのがこれまた大変だ。土地改良区によってはそういう農家経済の実情を反映して賦課金も徴収できない、なかなかその辺も経済的に大変になっている。ところが、土地改良区の運営それ自体に非常に困っている土地改良区があるわけですけれども、それに対する公的な助成制度というのが、これまた法的にはないようですね。  こういうことについて、もう少し公的な助成の道というのは考えられないのか、あるいは施設の維持、それが農用地として活用されていないけれども、これもまた再々お話が出ておりますように、水田などの、あるいはこれは畑でもそうだろうと思いますが、環境保全役割ですとかその他の水資源涵養の性格だとかいろいろな果たしている役割があることを考えると、公的な側面というのは非常に強いわけですし、そういう点での、この施設の維持管理あるいは土地改良区の運営についての公的な助成というものについては検討されているところがないのかどうか、この辺についてのお考えをひとつ聞かせていただきたい、こう思います。
  143. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良施設の維持管理の問題でございますけれども、施設の大規模化とか高度化、それからまた、受益地が都市化しているとか混住化が進んでいる、そういう観点から、国、県による公的な管理とか、また、直接管理ということじゃないですが、いろいろな形での関与の必要性というものは高まっているというふうに思っております。  特に、高度の公共性を持つ施設につきましては、国による直轄管理とか、また県の管理に対して助成措置ということも講じておりまして、また、その助成なり直轄管理の施設というものも徐徐にふやしているというような状況でございます。  また、土地改良区が管理している施設に関しては、施設の整備補修に対する助成事業とか、また施設の管理技術に対する指導等に対する助成、こういうようなことをいろいろ努力しているところでございます。  今後とも、こういう土地改良施設の維持管理というものにつきましては、いろいろ努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  144. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 施設の維持管理について御検討いただける、また現にやっているのだという話は結構なことだと思いますし、これをどうかひとつさらに進めてもらいたいと思うのです。  ただもう一つ土地改良区自体に対する助成ですね。これは、土地改良区というのは自主的につくられたものなんだからということがあるでしょうけれども、しかし土地改良法に基づいてつくっているわけですから、勝手に何でもかんでもというわけじゃない。これは民法だとか商法の社団だとか法人だとか会社とは性格が違うと私は思うのですね、その役割からいっても。そうすると、やはり公的な非常に重要な役割を持っていると思うので、公的な助成というものも、立ち行けなくなっているようなところについては考える必要が出てくるのではないだろうか。もちろん、土地改良区の統合の問題というのもあるだろうとは思いますけれども、しかし、その地域土地改良事業の重要性ということも考え、それから施設の管理維持などの役割の大切さということも考えると、そういう助成もあってもしかるべきじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  145. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良法に基づく土地改良区という団体、これは、先生指摘のように極めて公共性の強い団体でございまして、法制度上、また税制上も公法人一つということで位置づけられているわけでございます。  私どもといたしまして、この土地改良区を整備強化するというような観点から、まず、何といっても小規模の土地改良区の水系単位の合併というようなこともいろいろ努力をいたしておりますし、また、土地改良区の職員の研修とかそういう点についてもいろいろ努力をしている次第でございます。  今後とも、土地改良区の整備強化という観点につきましてはいろいろの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  146. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 ぜひひとつその点をお願いしたいと思います。  時間がなくなりましたけれども、最後に大臣に、第三次の土地改良長期計画、これは平成四年で上がるということで、平成年度から第四次の長期計画が策定されるのではないだろうか、こう思うわけですけれども、それの視点と申しますか目標などについて、大臣の御意見もお伺いしたいわけですけれども、何といっても、この土地改良というのは、ただ単に農地だけじゃなくて、今は総合的に、農村をどういうような農村にしようかということが、この間ずっとさまざまな審議の中で、当委員会でもなされているわけですね。白書の中でも、環境保全の問題、あるいは都市農村をどうやってつなげて、都市部の人たちと農村の人たちとの交流を図るかというような問題だとか、あるいは景観の問題だとか、いろいろな問題が絡み合っての、これからどういうような農村づくりをしていくかということが非常に大切になってくるだろう。  私の義理の弟がそういう農村づくり研究をやっておりまして、農水省さんの方からも助成をいただいて、西ドイツのバイエルン州なんかの研究をしております。私もその写真なんかを見せられて、ドイツのバイエルン州の農業政策がそういう点で非常に進んでいる、感心をしたわけですけれども、まことにきれいな農村をつくる。土地改良事業、それからかん排などについても、ただ単にやりましたということだけではなくて、非常に自然を生かしながら、実に見事な村づくりをして、そこにまた町場の人たちが遊びに来たり、あるいはいわゆる市民農園的な農場でもまた楽しむというようなこともやっておるわけですけれども、そういうこととも絡めて、この第四次の長期計画についてはどんなふうにお考えになっておるか、大臣にお伺いをしたい。
  147. 近藤元次

    近藤国務大臣 第四次の土地改良長期計画は、先生今お話しのありましたように平成五年ですから、具体的な作業にはまだ入ってはおりませんが、そろそろ準備をしていかなきゃならない時期に来ておることも事実でありますので、今念頭に置いておりますのは、先生から図らずも今御指摘がございましたように、単に、従来の基盤整備を進めていくということは当然のことでありますけれども、それにつきましても、三次までの反省の上に立って、量的な問題を、やはり達成率について少し無理があったのではないかな。無理の面については、一に農林水産省の責任というよりは財政当局との関係も実はございましたが、しかし、ある面ではやはり内容の変更というものが伴ってきたということも、現実に現場で起きておるということも一つの反省の上に立たなければならぬかなという感じがいたしておるわけであります。  名称を変えさせていただいたように、農業農村整備事業ということは、とりもなおさず地域社会の中でのいわば農業なりその基盤整備なりというものを位置づけていくというようなことで、村づくりにこの土地改良事業というものを位置づけていくという役割を果たしていかなければいけないという新たな観点からまたとらえていかなきゃならぬ。いわゆる総合的な整備事業生活環境と、そして土地改良のいわゆる基盤整備事業という、そういう視点に立ってこれから長期計画をつくりたい、こう考えております。
  148. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 いずれにしても、大きなお金をかけて、そしてまた受益者と言われる農家の方々にも負担をかけながらやる事業、それが、せっかくやっても、そこからは所期の目的が生かされない。農地が、手を加えても活用されない。そこで働くめど、あるいは働く意欲も出てこないようなことでは、仏つくって魂入れないことになる。逆に、極端に言えばマイナスになってくることだってなきにしもあらず。そしてまた、手をかけてつくったものも何か廃墟になってしまうというようなことでは何にもならないわけでありますから、そういう総合的な観点に立ち、しかも、本当に受益者と言われる方々にも喜びを与えるような土地改良というものを、これから総合的な農業政策の中でやっていっていただかなくてはならないのではなかろうか、こう思います。そのことを強く要望して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  149. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  堀込征雄君。
  150. 堀込征雄

    堀込委員 私は、まず、今まで長年にわたって進めてきました土地改良事業の反省といいますか、総括の視点の認識、その点からお伺いをいたします。  今度の提案理由説明にございますように、土地改良事業農業生産性向上だとかあるいは農業構造改善に大きな役割を果たしてきた、これは衆目の認めるところだろうというふうに思います。しかしながら、一方で問題なしとはしない。幾つかの問題点もまた、きょうの質問にもございましたが、あったわけであります。  その一つに、基盤整備事業などと具体的な農業生産とを直結しないという問題点が、工期のおくれだとか、あるいは農業情勢の変化などによってしばしば指摘をされてきている。つまり、下物の土地の方はやるけれども、上物の生産の方と結びついていないのじゃないか、こういう批判がなされてきているわけであります。これも私は、大規模化だとか、大規模化によるコストダウンだとか、あるいは生産性向上だけ重視をするという考え方が、その辺が一つネックになっているのではないか、こう思うわけでございまして、これからの事業はそういうことを具体的に解決をしながらいかなければいけない。その際、土地改良区だとかそういうことだけで仕事を進めるということじゃなくして、具体的に農業生産、農業生産物の販売を担当する農業協同組合だとか生産法人だとかあるわけでございますから、計画の樹立段階できっちりした打ち合わせや事前の話し合いや、そしてまた計画の樹立があっていいのではないか、そういうふうに思うわけであります。そういう意味で、そういう点をもっときめ細かに交流をしながらこれからの事業をやるべきと思うという点が一つ。  それから、具体的に土地改良区の職員と、県、市町村の職員と、具体的な農業生産に携わる農協の職員とか、そういういろいろな職員と日ごろもっと交流をしながら、意見交換をしながらこういう計画をして、具体的に煮詰めていくことが必要ではないか、こういうふうに考えますが、農水省、まずその辺の認識についてお伺いをいたします。
  151. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業、特に畑地かんがいに関する事業とか、また農用地開発を行う事業とか、そういうものは新しい作物を導入するというようなこともあるわけでございます。そういうような新しい作物を導入するような事業という場合には、単に基盤整備をしただけではなかなかうまく営農体系が成り立っていかないというような観点から、土地改良区のほかに、農協とか市町村とか改良普及員とか、そういういろいろな農業関係の方々が協議会というようなものをつくって、営農体制というものをつくるような指導をしている次第でございます。特に、そういう新しい作目を導入するような場合には、マーケティングというのが非常に重要な課題でございまして、そのためにはやはり農協、経済運、そういうところが全面的にいろいろ支援していただくことが重要であるということで、農協との連携も密になるように指導している次第でございます。
  152. 堀込征雄

    堀込委員 そういうことで指導はあるのでしょうけれども、実際にはなかなかそうなっていないので、もう少し日ごろのそういう協議会などを通じた人的交流などを含めた、あるいは頻度のある話し合いなどをぜひ指導してほしいと思います。  もう一点、土地改良事業の総括という意味でお伺いをいたします。  午前中来、農家負担の問題については、それぞれの皆さんから問題点が出されています。広域大規模なものについて特に負担金が払えないんだとか訴訟まで起きているケースもあるわけでございますが、全国的に見ても八郎潟だとか河北潟、吉野川の北岸用水、いろいろございます。そういう問題が出ておりますので、一例だけ私は質問するのですけれども、例えば吉野川北岸用水ですと、一万三千百十人の農家のうち未納者が四千二百五十人、実に三〇%強の農家がいる。そして、その四百四十九名の農家から土地改良区の賦課処分に対する訴訟が提起されている、こう聞いているわけですね。そういうことが間違いないか。そして、そういうことが起きている原因について、この土地改良事業全体を総括する立場から、農水省としてどういうふうに考えていますか。
  153. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘の吉野川北岸地区負担金問題について訴訟が起きているということは、私どもも大変遺憾に思っている次第でございます。こういう土地改良事業負担金問題ということで、私どももその軽減にいろいろ努力しているわけでございます。  こういう負担金問題が出てきた原因といたしましては、まず農業情勢が大変に厳しいという面が一つございます。もう一つは、土地改良事業の面で事業期間が非常に長期化した、その中で石油ショックとかいろいろな経済事情の変更によって事業費が増高しているという面もあるわけでございます。私どもといたしましては、そういうような状況対応いたしまして、できるだけの負担金軽減対策に努力してきている次第でございます。
  154. 堀込征雄

    堀込委員 午前中来の議論で考え方はわかるわけです。しかし、例えば徳島県の吉野川、ここでは各町村非常に苦しんでいるわけですね。今度の法案でも市町村負担の明確化、こういうことを言っているわけでありますが、ここでは既に大きな問題になって、例えば吉野町では未給水地区へ町の一般財源から補助を出すということまで町長が答弁されているというような事例もあるわけであります。農水省としても、これは土地改良区内部の問題だ、こういう視点ではなしに、やはり国営事業でありますから、きめ細かな対応指導をやっていただきたい。なぜかと申しますと、八郎潟にしてもそうですけれども、こういう問題というのは、今農業情勢が内外とも厳しいときに、全体的な農業批判の声になってくるわけでございまして、やはり国民に農業のあり方、農業の存在をよく理解してもらうためにもきちっとした対応をしてもらいたい。ぜひ積極的に現地の声も聞き、必要なできる対策は立ててほしい、対応してほしい、こう思いますが、いかがですか。
  155. 片桐久雄

    片桐政府委員 国営吉野川北岸農業水利事業につきましては、負担金問題でいろいろ問題が発生しておりますので、私どもといたしましてもいろいろ対策を講じている次第でございます。  一つは、計画償還制度というものも適用させていただいております。それからまた、昨年総合償還対策ということで創設させていただきました、その中で計画償還助成事業というものも適用させていただきたいということで、農家償還予定額もかなり軽減されるというようなことで予定いたしております。また、この地区におきまして、営農体制の確立が非常に重要な課題であると考えておりまして、営農確立のための実証展示圃というようなものも設置いたしております。今後、畑地かんがいの効果というものを関係農家に理解していただくように努力してまいりたいと考えております。
  156. 堀込征雄

    堀込委員 そういうことで、私は、土地改良事業は今大きな転換点を迎えていると思いますから、生産の問題、負担金の問題、そういった問題を、ぜひ今までの土地改良事業、長年のものを総括していただいて、やはり欠点は直すという方向で新しい事業展開をしていただきたいと思うのです。  次に、事業に参加する農家の側の最近の風潮というか気持ちというか、そういう問題でありますが、事業を進める上で、今までは農林省が目指してきたように生産性向上、そして規模の拡大によるコストダウン、そういうものでよかったと思いますけれども、そろそろそれだけでは農家の納得が得られない、限界に来ているのではないかと思うのです。つまり今、特に小規模の土地改良などは、生産性向上とか事業をやることによる資産価値の上昇なんかは余り望まない。そういうものからいうと、土地改良自体は採算は合わないけれども、まあ崩れかかった石垣とか水路とかをこの際直そう、そういう意識が農家の側にかなりあるわけですね。あるいは、大型機械を入れるような圃場にしておかないと将来息子が農業をやってくれないとか、そういう意識があると思うのです。したがって、やはり負担問題ですけれども、高い負担になりますと、それが後世まで続くと、そんなにかけてやらなくてもいいという農家が出てくるということだろうと思うのです。  そういう意味で、今まで土地改良事業をやる際の農家に対する説得としては、生産性向上するとか、それによってコストダウンができるとか、資産価値が上昇する、こういう理由をいろいろな懇談会で述べてきたと思うのです。今後事業を進める上で、そういうことでは農家の理解が得られない、農家の総体の参加を得ながら具体的にどういう方策で事業を進めるか、この点についていかがですか。
  157. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、農村地域での混住化というものが非常に進展いたしておりまして、農家意識も多様化している、また農業投資についての意欲の格差がいろいろありますし、事業参加の意欲についても格差があるというのが現状だと思います。そういう状況を反映いたしまして、私ども土地改良事業につきましても、農家の多様なニーズにこたえるような事業のやり方をいろいろ工夫していかなければいけないのではなかろうかというふうに考えております。  平成年度から創設させていただきました農村活性化住環境整備事業というのがございますけれども、これは集落周辺の圃場整備もやりながら、さらに、例えば次三男住宅とか、そういう住宅予定地についても整備する、また、場合によっては家庭菜園等のようなものもついでに整備する、それから集落周辺の水辺空間とか農村公園とかいうものも一緒に整備する、そういう農村の多様なニーズにこたえるような土地改良事業の推進を心がけてまいりたいと考えております。
  158. 堀込征雄

    堀込委員 ちょっと角度を変えさせてもらいますが、そういうニーズにこたえた事業をやっていくということになりますけれども、公共事業予算はしっかり土地改良事業に配分をいただかないとできないわけであります。平成年度まで農業農村整備事業のシェアは、総体の公共事業予算の中で大体一四・一%か二%ぐらいのところで来ていたわけです。にもかかわらず、あちこちで工期のおくれなどという原因が出てきたわけであります。にもかかわらず、平成年度予算のシェアが一三・九五%ということで一四%を割り込んだ。これは例の生活関連枠の我が方の配分が八・九%だったというところに原因をしていると思うのですね。これは、やはり生活関連枠は農業基盤整備費とは違うんだということで、前例にされては非常に困ると思うのです。今までの予算がどちらかというと一極集中であった。これから地方農村がしっかり公共投資の恩恵を受けながら生活を向上させていかなければならないときに、特にこれは生活関連枠の配分によって今度の予算の減少というのはどうも納得できない。そういう意味で、これから地方が潤う、あるいは地方の生活が豊かになるように、そういう予算枠を獲得していくことが必要だ、こういうふうに思いますが、今度の生活関連枠の配分は前例になるのかならないのか、どういう決意で今後その予算を獲得をしていくのか、その点についていかがですか。
  159. 近藤元次

    近藤国務大臣 生活関連枠というのが実は新しく設けられたので、どこからどこまで生活関連枠なのかという区分というのもなかなか不明確でございました。私から言わせれば、農林水産省予算、みんな生活関連枠みたいな感じさえ持つ一人ではございますけれども、今区分された結果から見れば、生活関連枠というのは概して集落排水ということを中心にしたわけでありますから、それが倍増されたというその一点をとらえればかなりの枠でありますけれども、全体のシェアから見れば、必ずしも満足されるものじゃなかったわけであります。とりわけ名称も農業農村整備事業という名前に変えて、名前からいっても生活関連に密着をしたようなことを取り込んでいきたい、こう考えておるわけであります。  来年以降のことになりましては、従来の配分のやり方、配分の額、その辺が必ずしも今後、平成年度以降の予算平成年度踏襲という形にはまだ決まってはおりませんが、いずれの決まり方をしてももう少し、今お話しのございましたように、ふるさと創生、多極分散という、都市交流というのを柱にしておる農林水産省の新しい姿勢にこたえるだけの予算獲得には全力を挙げていきたい、そう考えております。
  160. 堀込征雄

    堀込委員 大臣の決意を伺って気を強くするわけであります。いずれにしても、公共投資計画があって、これは日米経済構造協議があるまでもなくこれから生活関連を重視していく、こういう時代になるだろうというふうに思います。  その意味で私はきょうちょっと質問したいのは、そうしたらその生活関連の受け皿をやはり私どもがしっかりつくっておかなければいけないのじゃないか。農村生活基盤予算を獲得をしていくためには、それなりの受け皿が必要だろう。その受け皿として予算科目を農業農村整備事業費に名称変更した。そして、農業の生産基盤だけではなくて、農村というものを総体としてとらえて、地域の生活向上に積極的にかかわっていこう、こういう姿勢は出たわけでありますね。  ところが、第三次土地改良長期計画の計画事業費の項目を見ますと、農村整備をどこでやるかは全く不明なわけですね。どの科目でどういうふうにやるのか。そういう意味ではもっと、新しい第四次の長期計画ではきちっとそういう項目をつくって、受け皿をしっかりつくる必要があるのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  161. 近藤元次

    近藤国務大臣 第四次の計画で念頭に置いておることを先ほどお答えさせていただきましたけれども、今むらづくり対策推進本部をつくりまして、構造改善局の次長が本部長になりまして、各局のエキスパートを集めて、目下みずからの勉強からスタートをして、農村に対する村づくりのニーズというものを集積をさせておるところであります。  そのニーズが出てまいりますと、今の現行制度の中にどれだけ取り入れられるのか、あるいはこれから新しい制度をつくるのかということを自後検討していきたいと思いまずけれども、今の事業制度の中でもかなりの部分、工種を変更することあるいは追加をすることでもかなり取り入れられていくのではないだろうかなと。先生先ほど石積みの話もありましたけれども、ややコンクリートに偏っているところ、集落周辺の河川はやはり石積みでやるとか、あるいはため池の周辺には桜を植えるとか、あるいは街路樹を農道にどうするのかというあたりのことがいろいろ検討されてくるであろう、こう想像いたしておるわけでありまして、そういう関係を総体的に見て、村の景観を含めてどうするかということは、当然生活関連の分野としてお認めをいただきながら仕事を進めていきたい、こう思っております。
  162. 堀込征雄

    堀込委員 大変心強い答弁をいただいたわけであります。私は、今回の土地改良法改正、非常に参考になるのは、さっきも佐々木議員から出されましたけれども、実は西ドイツの農地整備法が大変参考になるのではないか。  西ドイツではやはり、一九七五年に、今の私ども土地改良法のような農業生産性向上一辺倒の土地改良、むしろ自然の生態系を生かした、その中に農協をシフトしていくような方向に法改正がされているわけであります。つまりアメリカは別としても、EC諸国では、農業のある町づくりとか自然と農業の生態系がマッチする村づくりというようなことが方向として出され、着々と取り組まれてきている、こういうふうに思うのです。  私は、日本の事業もこれからそういう方向が目指されるべきではないか、こういうふうに思うのです。そうした面で、つまり農村地域の町づくり、村づくりあるいは生活面に溶け込んだ事業転換をしていかなければならない、そうでなければ、この事業の任務なり役割は大変縮小されてくるのではないか、こう思うのです。  今申し上げてきましたように、土地改良基盤整備自体が生産性向上だとかあるいは過重な負担金問題、あるいは公共事業予算はだんだんと生活関連枠が充実してくる、こういう情勢が一方にあるわけであります。農村要望は、今申し上げましたように生活面を、村全体をどうしてくれるか、こういう要望が厳然としてあるわけであります。先ほど大臣からも御答弁をいただきましたが、私はそういう条件をいろいろ考えますと、今度の改正というのは前進ではあるけれども、やはりちょっと不十分じゃないか。やはり第一条の「目的」を改正をして、今度は村全体、農村全体の事業をやるんですよ、こういうことにとらえていくべきではないか。つまり村づくり、町づくりの視点を改正の視点に入れていくべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
  163. 近藤元次

    近藤国務大臣 今度の法改正がすべてである、決してこう思っておるわけじゃございませんで、長年、何とかして市町村負担を起債の対象や交付税対象にしてやりたい、こういう長年の念願が実はかなったものですから、それを中心にして今回の法改正をさせていただいたのですが、いまひとつ、なお市町村事業土地改良事業の分が実は宿題になっておるわけであります。  あわせて、第四次の計画を立てる段階では、改めてまた土地改良法改正も生まれてくるのではないだろうか、こう考えておるわけですが、農村全体についての事業内容等について、まだそこまでの準備が正直整っていないわけで、つい先日ようやく看板をかけさせていただいて、職員も二名、今お話しのございましたドイツには行きませんでしたけれども、オランダ、パリ、イタリーと、乏しい本年度予算の中からやりくりして、職員に実はヨーロッパを視察していただいたりしておるところでございますので、やがて今先生のお話しのような時期も遠からずやってくるであろう、こう私も期待をしながら努力をしていきたいと思います。
  164. 堀込征雄

    堀込委員 こだわって恐縮でございますけれども、現行の法律で圃場整備から排水改良までできる、あるいは集落排水から道路、何でもできるという法律になっている。ところが、今大臣から見解をお聞きしたから結構でございますけれども、この法律自体はどうしても事業法であり団体法だ、こういう制約があると思うのですね。どうしても不足なところがある。そこへきまして日本の行政は、特にこういう事業については建設省と農水省、縦割り行政、そういう限界もある。そうして見ますと、やはり集落全体、農村全体をどうするという総合的、計画的発展方向の中で位置づけられて事業が進んでいかないという宿命的な弱点があるのではないか、こういうふうに思うのです。  この土地改良事業も初期の段階は排水改良だとか圃場整備、こういうことで基盤整備をやってきたわけであります。今集落排水や農道整備やモデル事業をやっている。先ほど大臣もちょっと触れられましたけれども、恐らく将来はもうちょっとソフト面を重視した、気持ちのなごむ村づくりをどうしていくかというソフト面の事業に展開されていく方向になるのではないか、こういうふうに思うのです。  そういうふうに考えますと、この土地改良法団体法、事業法でありまして、これを少し、地域全体をどうするというような計画法の枠に広げるか、あるいは新しい法律をつくるということがどうしても必要なのではないか。私は、今回の改正原則的に賛成でございますけれども、そういう意味でどうしても不十分だ。改めて農村計画法というようなものをつくることが必要なのではないか、そしてこういう事業をしっかりやっていくことが必要なのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  165. 近藤元次

    近藤国務大臣 農村計画法という、名前は別にしても、今先生のそういう内容にわたっての御指摘がございましたけれども、正直、この仕事を進めていく一番の悩みは、村全体をつくるとすれば農林水産省だけで必ずしも十分対応できないという問題点が一つございます。それだけに、今事業を進めていく間には、市町村からまず計画をつくっていただく。私どもと密接な連携をとってそれぞれ一緒になってつくるという気持ちで、この作業を進めていく段階では、市町村からそれぞれ建設省の分は要求してもらう、運輸省の分は要求してもらう、環境庁の問題は市町村から対応してもらう、県から対応してもらうということになりますけれども、基本は農村でありますから、農林水産省が総体的なことに対してのアドバイスなり相談相手をさせていただきたいと思うわけであります。  農村計画法をつくるときにも同じことが一つ、他省との関係で非常に難しい調整が実は必要になってくるわけであります。集落排水をつくるにも下水とどう調整するかというようなことでさまざまな調整が必要でございまして、農村計画法というよりも農村計画制度については従来もさまざまな検討をいただいておりますし、研究会などができまして、そこからもまたそうあるべきではないかというようなお話もちょうだいをいたしておるわけでございます。  このような観点から、総合的な制度になるわけでありますので、そこらあたり今後さらに勉強させていただきたいと思うわけでありまして、必要性は感じておるということだけはお答えさせていただきたいと思います。
  166. 堀込征雄

    堀込委員 もうその答弁で結構でございますが、ちょっとだけお聞きをしておきたいことがあります。つまり、今もございましたが、いわばそういう発想でそういう議論がかなり古くから農水省内部でもなされてきたと思うのです。  こだわって質問しますけれども、五十八年九月十四日付で農村計画制度研究会の中間報告が出されています。この報告では明らかに、さきに申し上げた西ドイツのような農村計画制度をつくるべきだ、生産環境生活環境自然環境を含めたそういう新しい制度をつくるべきだ、こういう報告を出しているわけですね。提言をしているわけです。  五十八年九月でございますからもう七年以上たっているわけですか、これがどこへどういうふうに消えてしまったのか、具体化ができたのかできないのか。今大臣の答弁がございましたように縦割り行政の難しさはよくわかるのですけれども、しかし、これは決断をして進めないと進んでいかない、こう思うのです。今大臣の方は、決断をしながら検討していきたい、こういう答弁がございました。これはなぜ消えたか、あるいは生かされているのか、この辺いかがですか。
  167. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘の五十八年の研究会の中間報告につきましてはいろいろ検討をいたしまして、その後の農業振興地域整備法の改正、これは五十九年に改正をいたしているわけでございますが、その中で、整備計画の中に生活環境施設というものを入れるとか森林の整備というものも計画の内容にするとか、また協定制度というものもこの農振法の中に取り入れまして、施設の配置協定とか施設の維持管理協定というものも導入したところでございます。  また土地改良法改正も五十九年にやっておりまして、その際、農業集落排水施設整備事業も法定化するとか、非農用地の生み出しの方法を改善するとかいろいろ改善を加えた次第でございます。  こういう農振法とか土地改良法とか、またその後、集落地域整備法というのが、これは建設省と農林省の共管で、市街化区域の外で農村集落整備をする場合の計画法でございますけれども、こういうものも実現した次第でございます。  しかし、この研究会が提言している農村計画制度の確立について、これらの制度改正ですべて対応しているというものではございませんで、ある程度不十分な面もあるわけでございます。今後ともこの農村計画制度のようなものを何とか実現するという方向で中長期的な課題として検討してまいりたいと考えております。
  168. 堀込征雄

    堀込委員 そういうことで、大臣からもお話がございましたように、せっかくすばらしい研究会報告が出ているわけでありますから、それは今いろいろな法律で対応したとおっしゃいますけれども、実はあの報告に出ている総体の思想というのは具体化されていないと思うので、ぜひ省を挙げてこういうものについて検討をいただきたい、こう思います。  具体的な問題について二、三点お伺いをいたします。  一つは、土地改良区の人材確保の問題です。私、例えば農林年金の標準給与で調べますと、平成元年、土地改良職員の平均給与二十三万一千七百六十四円、平均年齢四十一歳。農林年金は農協とかいろいろな団体がありますが、大体四十一歳の同じ平均年齢、たばこ耕作組合の区分で比べますと、これが二十六万六千八百九十五円。つまり三万五千円ぐらい平均賃金が低いわけです。土地改良区の連合会を除きますとさらにこの差は拡大をするのではないか、こういうように予想されるわけであります。  したがって、土地改良区の職員などについてもっと人材を確保していく面で待遇改善をしたりいろいろな対応が必要だと思いますが、この人材の面について考え方がありましたら説明してください。
  169. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良区の人材の確保それからまた処遇の改善という問題でございますけれども、基本的には土地改良区の創意と工夫によっていろいろ努力していただきたいと考えている次第でございます。  私ども農林水産省としましても、土地改良区をできるだけ整備統合するということから、土地改良区の経済基盤の充実を図るということも促進してまいりたい。また、土地改良区の職員の研修というようなことにも力を入れて、土地改良区の人材確保、待遇改善にもできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  170. 堀込征雄

    堀込委員 できれば職員の事務費補助などについても検討いただきながら、これから土地改良区の人材確保の面で少しくやはり考える必要があるのではないか、こういうふうに思います。  次に、先ほども質問がございましたけれども、中山間地域土地改良事業、大変今小規模のものが進んでおる。これはやはり先ほど申し上げましたように、生産性向上とかそういうことが目的になっていない。むしろ水路が崩れちゃったり農道がおかしくなっちゃったりしているので、これをひとつ村を挙げて補修しようとか、そういうことが動機とか契機とか問題意識になってやっている、こういう問題があるわけであります。しかもそういうところは急傾斜地で非常に工事費もかかるわけですね。ですから、この採択基準なんかも緩和をしながら特別な措置を講じていく必要がある、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  171. 片桐久雄

    片桐政府委員 中山間地域などの地理的条件の不利な地域についての土地改良事業の採択条件、これにつきましては、従来からもいろいろ採択基準の特例というもので実施しているわけでございますけれども、また平成年度からさらに中山間地域のための特別の総合整備事業というものを創設いたしまして、この事業におきましては、まず補助率をほかの土地改良事業よりも高くするということで六〇%というような補助率にいたしておりますし、また事業の採択基準の面におきましても、例えば圃場整備、普通の土地改良事業は二十ヘクタールというのが採択基準でございますけれども、この総合整備事業の中で圃場整備をやる場合には、例えば二ヘクタールとか五ヘクタールとかそういう小規模の圃場整備事業でも実施できるというような、そういう弾力的な運用ができるようにこの事業が仕組まれている次第でございます。
  172. 堀込征雄

    堀込委員 それでは最後に、先ほどもちょっと申し上げましたが、この土地改良事業、将来は恐らく農村全体のソフト面をどうするか、農村づくりをどうするか、しかもそれはコンクリート農法ではない新しい心和むような農村をつくっていくかということになっていくであろう、こういうふうに思うのです。そういう意味で、やはり環境に配慮した事業環境に配慮した工法ということが積極的に取り入れられていくべきだ、こういうふうに考えるわけであります。  私ども長野県などは非常に急傾斜地でございまして、土地改良によって、水路がコンクリート化したことによって、必ず谷間では大水が出ると被害が起きるというような、流れが速くなるおかげでそういう事情も出ています。したがって、やはりソフト面を重視した、農村にせっかく小河川をつくったら、そこにはメダカもドジョウも蛍も飛んでいるというようなそういう工法をやはりやっていかなければいかぬ、こういうふうに思いますが、その辺、ソフト面を重視したこれからの事業のあり方について見解がありましたら聞かせてください。
  173. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良施設の整備に当たりましては、まず所定の機能と安全性を有し、施行とか維持管理が経済的なものということが原則でございますけれども、そのほかに生活環境とか自然環境への配慮をしたものとなるように努めているところでございます。新しい事業といたしまして、平成年度から水環境整備事業というようなもので、農業水利施設を活用して親水施設の整備を広域的に行う事業とか、それからまた農村活性化住環境整備事業というような居住空間の整備をあわせて行うような事業というのも創設いたしております。それからまた、通常の土地改良事業の施行におきましても親水護岸とかまた景勝樹林とかまた歴史的施設の保全とかそういうような観点から、環境への配慮にも努めてまいりたいというふうに考えております。
  174. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  175. 大原一三

    大原委員長 有川清次君。
  176. 有川清次

    ○有川委員 今まで多くの方から意見が、基本的な問題が出されてまいりました。土地改良事業は、農産物の内外価格差の是正のために、農業構造改善あるいはまた多様化する消費者ニーズに対応した農業生産の展開、国土の均衡ある発展のための農村の定住圏の整備あるいはまた国土の防災、保全自然環境保全等を図っていくという、こういう立場を私も踏まえながら、今回の改正案については是とするものでありますが、まだまだ、今まで述べられましたように一部分の改善は見られるものの問題点をたくさんはらんでおり、研究をしなければならぬ問題だろうと思います。  できるだけ重複を避けながら質問したいと思いますが、まず、土地改良事業の果たす役割と今後の実施に当たっての基本的な考え方についてでありますが、土地改良事業が果たす役割については数多くの効用が挙げられております。その中で、地域農業再編に果たす役割についてでございますが、近年、水田転作等に対応して地域でどのような作付体系をとるのか、また、立地条件が不利な中山間地域等においては、消費者需要に即応して、いかに付加価値が高い農産物の作付体系の確立を図るのか、こういう大きな課題があると思います。急速に変化しつつある消費者ニーズを的確にとらえて作物をどう考えるかということですが、土地改良事業はこうした課題を解決するための基礎的条件整備するものでありましょう。その果たす役割は、そういう意味で非常に、ますます高くなっておるわけでありますが、しかし、その実態について見れば、多くの課題指摘されるところであります。  第一点は、土地改良事業実施しても導入作物の選択が非常に困難になっておる。私の選挙区でも国営畑総などを実施されておりますが、あと何をつくればいいかということで放置したり、途方に迷っておるという農家かなりあるのが現状でございます。作物導入の選定等に対する従来の政府の発言は、そもそも土地改良事業は申請主義でやられておるのだから、このために作物の選択は地域において自主的に考えるべきである、こういうような答弁が返ってきておるところでありますが、これでは全く無責任と言わなければなりませんし、言いかえれば、国がただ一定の事業をこなしていけばいいという態度にすぎないというふうに考えます。  先ほどの大臣の答弁は、かなり積極的な答弁も聞かされたところでありますが、こうした点を解決する方策として、農産物の需要と供給の長期見通し、これを地域的にブレークダウンして、これに基づき作付体系の確立を図る必要があると思いますが、これに対する御見解をお伺いしたい。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
  177. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業実施に際しての導入作物の選定ということは、先生指摘のように大変に重要なことであるというふうに考えております。導入作物を決定する場合に、やはり何と言ってもマーケティングといいますか、消費者ニーズを踏まえながら、また地元の実情にも合わせて選定するということが重要であるというふうに思っております。  先生指摘のように、「農産物の需要と生産の長期見通し」とか、それからまた作目ごとに、例えば果樹であれば果樹農業振興基本方針というようなものが出ておりますけれども、こういう作目ごとのいろいろな需給見通しというものも勘案しながら、まず導入作物を選定するように指導いたしたいというふうに考えておりますし、それからまた、新規導入作物のメニュー拡大ということが非常に重要であるということで、幅広い情報の収集とか、有望な新作物の導入の可能性を検証しながら展示を行うというようなこともいろいろ努力をしている次第でございます。今後とも地元の実情に即した作物の導入について、作付体系も踏まえつつ、いろいろ支援、指導をしてまいりたいというふうに考えております。  昨年の十月、構造改善局長通達をもちまして、土地改良事業地区における流通、販売体制の強化を含む営農推進体制の整備強化ということを特に指導をいたしたところでございます。今後とも導入作物の選定、またその営農体系の確立、それからその流通、販売体制の強化という点につきましていろいろ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  178. 有川清次

    ○有川委員 努力は多とするところでありますが、やはり長期見通しがないと、八郎潟やうちの笠野原畑かんでもそうでしたが、米をつくれということが随分やられまして、反対もある中でつくってみた、できたころには米をつくるなということで取り締まりをするような状況になっておるわけでありまして、これでは農家はたまったものじゃありませんから、変動が激しい時期でありますが、きちっとした長期見通しを立てて、おっしゃったように販売体制まで確立しながらやってほしい。そして、地方に任せるのでなくて、やはり国自体が縦割り行政だけではなくて横の連携もとりながらきちっとする、そうした親身になった努力をしないと、これからの農業は大変だと思いますので、要望しておきたいと思います。  次に、当初計画に比べて非常に工期が延びるという発言がこれまでもあったところですが、そういうことが続けば、今国際化の進展という、私はこれ以上の市場開放は許せないと思っておりますが、こうしたことに対応した地域農業をおくらせるばかりか、地域農業担い手確保、特に若年後継者にも大きな影響を及ぼしてくる、このように思います。また、畑作地帯においてはダム等の基幹水利施設の建設がおくれて、せっかく整備はされたけれども十分活用されない事例が多く見られるわけであります。  先般も要望だけ申し上げましたが、鹿児島県の肝属南部開拓建設事業国営ですが、この圃場整備はもうかなり進んで、ほとんど終わりに近い状況であるけれども、いまだに水が来ないし、平成年度の予定、こうなっておるわけですね。しかし、それもかなりおくれることが予想されておる現状でございますが、一、二年は耕作されたけれども、大抵の人が放置されて、水を利用した農業、そういうものにいっていないわけであります。  そういうことを考えた場合に、審議会の答申にもありますが、「「水無し農業から用水営農」への転換は、作物の選定、栽培技術、作物の集出荷等従来の営農形態の基本的な変革を伴い、かんがいシステムが完成してもその効果を得るまでにかなりのタイムラグがあるため、」「基幹施設については農家負担に十分配慮した形で早期先行的に整備するなどの事業対応が必要である。このため、水田に重点をおいた現行のかんがい施設整備事業制度について見直しを行い、新たな事業制度の展開について検討する必要がある。」こういうふうに答申していますよね。  事業工期の短縮と畑作地帯における事業実施のあり方について、政府見解をお伺いしたいと思います。また、先ほど申し上げた肝属南部の具体的な事例ですが、今後の対策についても答弁をいただきたい。
  179. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず、国営肝属南部地区についての御質問にお答えさせていただきたいと思いますけれども、この事業は未墾地といいますか、開発用地とこれに隣接する既耕地を対象に農地造成とあわせて区画整理それから畑地かんがい、こういうものを総合的に実施して優良農地の確保と規模拡大を図りたい、こういう事業で、昭和六十一年度事業着手させていただいたわけでございます。この事業実施に当たりましては、まず事業効果の早期発現という観点から農地造成事業を先行して実施してきておりまして、計画造成面積約五百九十ヘクタールのうち、平成年度までに二四%程度を施行いたしているわけでございます。  先生指摘のかんがい施設の整備につきましては、その施設が有効に利用されますように地元の意向というものを十分尊重したい、それからまた、造成された農地における営農状況等を見きわめながら対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  先生指摘の、造成した農地が余り利用状況がよくないのじゃないか、こういう指摘もありましたけれども、私ども毎年調査を行っているわけでございますが、私どもの調査によれば、管理不良等は見られないというように報告を受けているわけでございますけれども、御指摘のような事実があるとすれば、今後適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  土地改良事業一般につきまして、できるだけ土地改良事業の効果が適切に発現されるというような観点からいろいろ留意してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  180. 有川清次

    ○有川委員 肝属南部畑総の現地は、私は何回も行って、この前、写真を持ってきておったのだけれども、全部草畑ですよ。そんなものじゃないです。だから、それを早く水をやって、しかも人家から非常に遠いので、その周りに若者が後継者として家でもつくって営農する、こういうシステムまで考えていかないと、とてもみんなが勇んでつくるという状況にない、こういうのが現状ですね。そういう状況じゃありませんので、水がないというのも盛んに言われますから、きちっとしていただきたいと思います。  次に、農村地域活性化に果たす役割についてでありますが、立地条件の劣悪な中山間地域等においては過疎が非常に進行いたしまして、集落の維持さえ困難な状態が続出しておるのが今日の現状です。このため、土地改良事業等を通して、農業の振興とあわせ生活環境整備等促進しながら定住条件の確保を図ることが喫緊の課題となっておるわけであります。この点、農業農村整備事業における生活基盤関連事業のシェアは年々拡大しておると思いますが、平成年度においては二三・七%のシェアを占めるに至っておりますけれども、これを将来どの程度までに高めようと考えておられるのか。現在位置づけがはっきりしていないと思いますが、平成年度から始まる第四次土地改良長期計画策定に当たっては、生活関連基盤事業をどのように位置づけようとされておるのか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  181. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず、農業農村整備事業費の中での生活関連のウエートということでございます。  これは、生活関連とは何かというところがいろいろあるわけでございますけれども、私どもは、農業農村整備事業の中で、農道整備事業集落排水事業それから農村整備事業、こういうものを生活関連というふうに考えている次第でございますけれども、それが先生指摘のように平成二年では二三%、平成三年では二九%というふうになっている次第でございます。これを平成三年から平成十二年、この十年間で、とれは公共投資基本計画、十カ年計画の期間でございますけれども、この期間十年間で生活関連のウエートを四〇%程度に高めたいというふうに考えている次第でございます。そういうような観点でまた第四次土地改良長期計画の作成にも当たってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  182. 有川清次

    ○有川委員 御努力を要望しておきたいと思います。  今まで述べましたように、生活関連基盤整備は非常に条件が劣悪な中山間地域においてこそ一層の促進が必要だというふうに思いますが、問題は、事業に伴う地方財源の確保だと思います。先ほど大臣、財源確保に全力を挙げたい、こういうお話もありましたが、こうした点に対していかなる方策を利用しようとされておるのか、特別な配慮措置の確保に対する御見解をもう一回しかとお伺いいたしたいと思います。
  183. 片桐久雄

    片桐政府委員 地理的条件に恵まれない中山間地域基盤整備についてでございますけれども平成年度に中山間地域の総合整備事業というものを創設いたしまして、国の負担率を上げる、六〇%というような事業でございますけれども、そういうことでまず国の負担率を上げるというような点を努力いたしておるわけでございます。また、今後地方財政措置の面でも、平成年度平成年度は比較的公共性の高いダムとかそういうものについての地方財政措置ということでございますけれども、今後、平成年度以降に向けていろいろ団体営といいますか市町村営の農村総合整備事業、そういうものについても地方財政措置が講じられるよう、いろいろ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  184. 有川清次

    ○有川委員 次に、土地改良区の員外理事定数の拡大の問題についてちょっとお伺いいたします。  今回の定数改正については、土地改良区の員外理事の定数を拡大されたということですが、それなりの理由がありまして、またそれだけの意義のあることだということについては否定をするものではありません。しかし、一部土地改良区において、組合員の個々の意見がなかなか十分反映されない運営がなされておったり、先ほど志賀委員も言われましたが、ややもすれば政治との深いつながりを持つ存在として認識されたりしている面があると思うのです。  今回の員外理事拡大がこうした弊害を一層助長するような心配は全くないのか、また組合員の意見を十分反映させるための方策としてどのようなことを考え、どのように指導されていこうとするのか、御見解をお聞かせください。
  185. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良区の員外理事につきましては、最近の混住化というような状況も考えまして、この員外理事の定数枠を拡大したいということで御審議をお願いしておるわけでございますけれども、この員外理事拡大につきましては、まず土地改良区の役員、これは員内理事も員外理事も含めまして組合員の選挙によって選出されるという点が確保されているわけでございます。また、員外役員の定数の上限は五分の二ということでございますので、過半数である五分の三以上は員内理事であるということも確保されているわけでございますので、今回の改正によって組合員の意見が土地改良区の運営に反映されにくくなるというようなことはないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  186. 有川清次

    ○有川委員 指導面の徹底を、その趣旨が生かされるように、弊害が出ないように要請をしておきたいと思います。  次に、これは先ほどもちょっと出た問題でありますが、今日、土地改良区が人的、財産面から弱体化が進んでいる状況がありまして、その強化策としてまずどのような方策を用意されておるのか。特に、土地改良施設の維持管理に対する公的な助成、国や都道府県の一層の振興が必要だと思いますが、このようなことについては、先ほどいろいろ人的配慮もされておったと言われましたが、御見解をお伺いしたいと思います。  関連いたしまして、ダム管理に関する身分保障の件ですが、高圧の電気技師の制度的、法的な身分保障はないということで、現在は町村が土地改良連合会に出資して土改連が面倒を見ておる。小さな市町村では十分な身分保障ができないのが現状だという実態もありますが、この辺についての、単に先ほどの研修程度の問題ではなくて、もう少し深刻な問題が出ておるように思っております。  あるいは、もう一つは、土地改良に関する登記事務ですけれども、諸申請書類の代行事務などを行っておるけれども、事務量が非常にふえてきて、それに対する職員が不足をしてまいっておる、こういう状況があります。定員増など、今日は土改連の援助でやっておるような状況だそうですが、もっと内容の充実なり指導が必要なのではないかというふうに思います。  続けてもう一つ、維持管理の面で申し上げますが、私のいる笠野原畑かんの農業用ダム大隅湖というのがございますけれども、ここ数年、このダムの上流が集中豪雨のたびにがけ崩れがいたしまして、土砂が入りまして、非常に湖が浅くなってしまう。昨年の集中豪雨の際に、また水を減らしておったのだけれども、すぐ満杯になってしまって、もうこれ以上は危ないということで放水をしたら、下流の河川で堤防の決壊が各所に出た、またお金をつぎ込まなければならぬ、こういう状況があって、非常に参っておる状況でありますが、これの除去なり、そういうものに対する助成とか何か手だてが現在の中であるのかどうかを含めてお伺いしたい。
  187. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず、土地改良区が管理している土地改良施設の維持管理という点での公的助成をふやすべきではないか、こういう質問でございますけれども、私どもといたしましては、土地改良区が管理している施設の整備、補修、そういうものについてはできるだけ助成をするような考え方で当たっておりますし、また、施設の管理技術に対する指導、それについての助成ということも行っているわけでございます。今後ともそういう努力を増大させていきたいというふうに考えております。  それからまた、土地改良区の職員の身分保障という点でございますけれども、やはりまず何といっても土地改良区自体の団体基盤を強化するということが基本であるというふうに考えておりますので、やはり小規模な土地改良区を水系単位などで合併をする、それで組織の運営基盤を強化していくようなことも努力してまいりたいというふうに考えております。  それから、もう一つ御質問の、ダムの土砂流入等の除去の対策でございますけれども、これは国営とか県営で造成した施設につきまして、その土砂を排除するための工事を県営かんがい排水事業の中で対応することができるように平成年度において制度拡充を行ったところでございます。それからまた、平成年度からはすべての土地改良造成施設についても同様の工事ができるよう団体営かんがい排水事業拡充を行ったところでございます。
  188. 有川清次

    ○有川委員 身分保障の問題でありますが、小さいところ、いろいろ合併の問題も出ておりますけれども、現実にいろいろな形態の土地改良区があるわけで、悩んでおって、苦しんでおって、低賃金で追いまくられている、こういう状況があるわけですね。ぜひ全国的な調査もしながら、一定の指導といいますか、漠然と、そういうものはこうだという程度でなしに、具体化するような指導を要請しておきたいと思います。  それから、大隅湖のダムの土砂除去、これから実施されるということですが、どのぐらいの負担金とか県の持ち出しとか、どういう状況になっているのですか。中身を教えてください。
  189. 片桐久雄

    片桐政府委員 ただいま申し上げました、新しくできました事業の国の負担率は五〇%でございます。あと残りのものにつきましては、県、市町村協議をいたしまして負担をしていただくということになるのではないかと思います。
  190. 有川清次

    ○有川委員 時間がありませんので、受益者負担の問題が一番大きな課題でありますが、これまで多くの委員から指摘をされてまいりました。ぜひ軽減に向けて努力をしてほしいと思うのです。  ただ、直接住民と接触する第一線の市町村の職員、この人たちが例えば実施する直前に同意をとりますね。うちのところも今畑かんの準備を進めておるのですが、大変な苦労をして八五%の仮同意をとった。今からいよいよ本同意に入るんだけれども農家の皆さんは、仮同意をしなければ、賛成をしなければ村八分に遭ったりいろいろ困るからということで同意をした。しかし、今の負担金やらいろいろな状況を見てみれば、とても後継者もいないし展望もない。十アール当たりの負担率を考えると、二ヘクタールとか三ヘクタール、八ヘクタールと持っている人たちはその部分しかやってもできない、こういう問題がありまして、当局は本同意について非常に心配しておるのが現状だと思うのです。ぜひ、受益者負担の問題は、先ほど来言われるように、二倍、三倍と膨れ上がっていくようなことのない措置を十分対応していただきたいと思います。  最後に、要望ですけれども、これは国土庁の担当と聞いたのですが、ボラ、コラ、シラス等特殊土壌に対する事業平成年度で終わるわけですけれども、これは私たちの鹿児島県にとっては大変な問題でありますので、継続して実施されるように、農水省の方からもこれは強く要請をしておいていただきたいというのが一つと、もう一つは、さっき佐多の問題を申し上げましたが、こうした国営畑総をやられる場合に、全体の計画が、畑地が四百七十七へクタール、山林が六百三十八ヘクタール、当初から山林が非常に多いわけですね。そうすると、こうした土地改良の基本的なものは、自然を守るとか防災対策とか環境保全とかいろいろなことがあるわけでしょう。災害の問題やら自然破壊の問題も出てくる。それから緑を失っていく。しかも、この地域はしょっちゅう猿が出るんですね。これに参っておるんですよ。猿の被害がたんだん広がってきています。山をどんどん切って、広葉樹林を切って、その際まで畑にしていけば、やがて作物をつくるようになったら大変なことになるんじゃないか、こういう心配も実はされておるところでございます。現在造成されているのは、さっきおっしゃったように面積で五百九十三ヘクタールですね。そのうちに、山林が何と四百八十二へクタールなんですよ。後継者もいないところですよ。後継者が居つくような農業ということでやられるなら、そういうことも含めた対策、こういうことが非常に大事だと思っております。これは林野庁とも関係をしてきますし、要望として、これからのこうした地域土地改良のあり方、畑地かんがいという事業のあり方については十分な検討と配慮をして行っていただきたいことを申し上げまして、終わります。  どうもありがとうございました。
  191. 宮里松正

    ○宮里委員長代理 藤原房雄君。
  192. 藤原房雄

    ○藤原委員 公明党を代表しまして、土地改良法等の一部を改正する法律案につきまして若干の質問を申し上げたいと思います。  このたびの土地改良法等の一部を改正する法律案につきましては、国営及び都道府県営事業における市町村負担の明確化ということや、農地保有合理化促進のための換地制度改善とか、土地改良施設の更新事業実施手続の整備、これらのことを主体にした改正であります。これはそれなりの時宜を得たものだろうと思うわけであります。  しかしながら、過日の農林大臣法律案提案理由説明の中にもございますように、   土地改良事業につきましては、農業の生産基盤整備を通じて、農業生産性向上農業構造改善等に大きく寄与してきたところであります。   また、近年における農村混住化の進展、中山間地域における過疎化の進行等の中で、土地改良事業農村地域活性化国土保全等に果たす役割は、農業者のみならず、地域社会にとって極めて大きなものとなっており、今後ともますます増大することが見込まれております。 このように大臣提案理由説明で申しておりました。私も全くそのとおりだろうと思います。  まず最初にお聞きしたいのは、こういう大きな社会の変化の中にありまして、先ほど申し上げたような何点かについて改善をしよう、今後の新しい時代の変化に対応した形にしようということであります。そういうことからしまして、土地改良法の法律目的原則にかかわる重大な問題であろう、こんな認識をするわけであります。部内でもいろいろな御検討をなさったと思うのでありますが、現在、本来の土地改良という、法律にのっとりますものよりも、農村地域整備、こういうものにかかわる工事費は三割をオーバーするような状況になっておるということ等を考えますと、そしてまた大臣のこのお話のとおり、今後ますます増大するという方向性ということからしますと、この法律の目的等につきましても、明記をして改正すべきではないか、こういうことを言う方もいらっしゃいますし、私も、そういうこともうなずける一面もあるわけであります。これは単に当面する問題についての対応ということでなくて、今後にとって非常に重要なことなんだという認識の上からは、当然法改正の中で、こういうことにつきましても十分に論議されなければならない、また明記されなければならない問題ではないか、このように考えるわけであります。これからのことにつきましてはどういう御見解を持っていらっしゃるのか。  また、今日までいろいろ御検討なさったと思いますが、土地改良法だけではなくて、農村社会に対する法律もいろいろありますけれども、こういう時代の推移に即応した明確な法律もないわけでありますから、そういうことからいたしまして、今回この土地改良法の一部改正の中、この法律だけによるわけではないのですけれども、今回はこういう形にしましても、今後農村社会に対しまして、混住化の、また社会の変動の中で、そういうものを加味した法律というものをお考えになっていらっしゃるのか、その間のことについて、まず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  193. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生から今いろいろな客観情勢の変化についてのお話がございましたし、まさにそのとおりだ、こう思うわけであります。  混住化社会というものが進んでまいりまして、農業を取り巻く環境も変わりましたけれども農村を取り巻く環境も変わってまいりまして、特に農業の排水事業とか水事業とかあるいは農道とかいうようなものが、農家の皆さん方だけの利便という関係ではなくなってまいりました。そういうことが進んでくるにつけて、全国的に、市町村受益を受ける分についてそれなりの補助を出しておる、負担をしておるというような町村もあれば、全くないところもあれば、実はいろいろ、千差万別の状況でございまして、こういう観点をとらえて、市町村負担というようなものを一つ地方財政法に基づいて明確にするべきではないかという議論がいろいろ各方面から出てまいりました。それで、今我々可能な限りの調査などをしながら、国営、県営部分については、公共性の多いものから今回明確にさせていただいたわけであります。  しかし、これですべてではございませんで、宿題は、市町村あるいは土地改良事業の分が残っておりますし、なかんずく、先生方からもいろいろ御議論をいただいた中でも、もう少し地域社会との関連を持たせた農村整備についてどうあるべきかというようなことを言われて、その部分が今度の土地改良法に入っていないのはどうしてなのかという御質問も実はございました。我が省もいろいろな時点で、いろいろな分野のそれぞれの法律を今日までつくってまいりましたし、制度改正もしてきたわけでありますが、このところ、ようやく農林水産省の中にも、農業用水対策室あるいは林業労働対策室、村づくりの対策本部というようなものを実は設置をいたして、目下そのみずからの勉強を含めて、社会的なニーズ、関係者の御意見などを聴取をしながら、新しい時代に向かってどうあるべきかという答えが出るにつれて、恐らく網羅的な一つの考え方に立って法整備が必要になってくるであろう、いましばらくの時間をおかしいただければ、こう思っておるわけであります。
  194. 藤原房雄

    ○藤原委員 かんがい排水審議会の企画部会の第二次報告、この中の「農村の総合整備をめざした土地改良事業の展開方向」、この報告取りまとめの中にも、最近の農村社会の変貌、そしてまたその役割の重要性、そういうことがいろいろ明記されております。そういうこと等からしまして、大臣は今、いろいろな問題については今検討といいますか、いろいろなものが整備されて、そういう中で今後こういう法整備も必要なときがくるだろうということでございますが、現実的にもう予算項目の中でも、農業基盤整備費というのを今度は農業農村整備事業費というように名称を変更されましたし、実際農村整備が三割近い二七%からの予算を占めるような状況になっておる。こんなこと等を考えますと、政策目標といいますか、こういうものがだんだん増大をしておる、こういうことを痛感するわけであります。  そういうことからしまして、今までもこういう農村社会の中での変化というものについてはいろいろ議論されてきたところではありますし、また、そういうことに対します予算措置とか事業とか、こういうことでいろいろ進められてきたわけでございますけれども、いよいよこういうことに真剣に取り組まなければならないときを迎えておるのじゃないか、こういうことを痛感いたしますので、今申し上げておるわけでございます。  いつとかなんとか、そういうことについては申し上げる段階でもないかもしれませんが、やはりひとつ早急に新しい農村像といいますか、パンフレット等には未来の予測をするいろいろなものが書かれておりますけれども、そういう裏づけになる一つの法的な指針といいますか、法的な裏づけのもとにこういうものがなければならぬと思うわけですが、そういう点ではひとつ精力的に御検討いただきたいと思いますし、また、第四次の土地改良長期計画、これもいよいよ作業に入る時期に来た。先ほど同僚委員からもいろいろ質問がございましたが、農業の場合はほかの事業の五カ年計画と違って十年間の長期にわたります計画を立てるわけでありますから、そういうことからしますと、やはりそういう基本的な物の考え方の上に立ってこの十年の計画というものが立てられるべきではないか、こういうこともいろいろ考えておるところでございます。  いよいよこの第四次の長計に取りかかる、こういう中にもあるわけでありますから、今までいろいろ理念的には論議されておりますけれども、法体系の中でやはりそういうものもきちっと明確にする時期がもう眼前に迫っているのではないか、こんな気持ちがするわけでありますが、この辺のことについてはいかがでしょう。
  195. 近藤元次

    近藤国務大臣 第四次の長期計画を立てるときには、もちろん農業農村整備事業というようなことで、地域社会における農村役割なり農業役割なりということを明確に事業計画の中に入れていかなければなりませんし、また、新しく生活関連枠というのもでき上がったわけでありますし、また今日まではそれぞれの部分について、集落排水事業なりあるいは農村環境整備事業なり、さまざまな事業部分について今まで制度をつくり法改正をしてきたわけでありますが、市町村事業なり土地改良事業も明確にする努力をしていかなければなりませんし、おおむねそのころには総体的な法律なり制度なりというようなものの準備もしていかなければならない一つの目安ではないか、こう判断をいたしておるわけであります。
  196. 藤原房雄

    ○藤原委員 次にお伺いしたいのは、この法律で、市町村負担の明確化、こういうことが一つの大きな柱になっておるわけでありますが、市町村負担の明確化、これを明確化すべきである、しなければならないという理由といいますか、その根拠になるものは、やはり一義的には農家負担を軽減するというところにあるのだろうと思います。それぞれ各市町村でいろいろな工夫をしながら、議会で議論をし、そして財政力に応じてどういう負担の仕方ができるかといういろいろな議論の中から市町村負担状況というのはあったのだと思います。そういうことからしまして、今度は、この市町村負担の明確化ということが現実的に農家負担の軽減というものにそれなりの役割といいますか、何らかの形で、影響といいますか、農家負担が軽減される、こういう方向に行くとお考えになっているのかどうか。農家負担を軽減するということだけではないのかもしれません。しかし、一義的にはそこに何らかの影響を及ぼさなければこのたびの法改正というのは余り意味がないのではないかと思う。今日までもこういう法的なことはなくてもそれぞれ負担をしておった現状にありますけれども、三千三百市町村それぞれいろいろな対応をしているわけでありますけれども、今度は法のもとに明確化される、このように認識をするのですけれども、その辺は農林省としてはどのようにお考えでしょう。
  197. 片桐久雄

    片桐政府委員 今回の土地改良法改正によって市町村負担を明確化する趣旨といいますか理由といいますか、そういう点でございますけれども、近年の農村における農家と非農家混住化ということが非常に大きな変化になってきているわけでございまして、土地改良事業の果たす役割農業者のみならず地域社会にとって大きなものとなっているわけでございます。また、そういう状況を踏まえて多くの市町村土地改良事業事業費の一部を負担しているというようなこともあるわけでございまして、こういう実態を踏まえて、土地改良事業の円滑、効果的な推進を図る観点から行うわけでございます。この明確化をすることによりまして、また市町村負担実態を反映した地方交付税措置または地方債の措置、そういうものを可能にするという点でも意義があるわけでございます。  このように明確化し、地方財政措置対応がなされることによりまして、市町村負担実態としてふえてくるということを考えているわけでございますけれども、その結果といたしまして、農家負担が軽減されるということもあるわけでございます。
  198. 藤原房雄

    ○藤原委員 今日までの土地改良事業の資料をいただいたのを見ますと、市町村によっては負担割合がゼロというところもかなりあるように見受けられますけれども負担のゼロの市町村につきましては、これは農家戸数といいますか、土地改良事業そのものが、地理的な条件の中で農業自体がそう大きいウエートを占めていないということなのか、財政力の上のことなのか、どういう理由で市町村負担割合がゼロだということになっているのか、その辺ほどのようにお考えなのでしょう。
  199. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず土地改良事業についての市町村負担実態でございますけれども、例えば昭和六十三年度新規着工の、これは北海道を除く内地の都道府県営圃場整備事業について見てみますと、全部で百四地区あるうちに、市町村負担がゼロというのが三十地区、二九%程度が市町村負担ゼロ、こういうようなものがあるわけでございます。  大部分の市町村かなり負担をしているという中で、どうしてこういう三割近くの市町村がゼロという実態になっているのかということでございますけれども、私ども、まだなかなか詳細の調査は行き届いておりませんけれども、大体の感じといたしましては、やはり財政事情ということが非常に大きな要因なのではなかろうかというふうに感じている次第でございます。そういう観点からいたしまして、今回負担の明確化を図りまして、それに地方財政措置の裏づけというものを実施していきまして、こういう市町村負担というものもできるだけ底上げをしていくような努力をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  200. 藤原房雄

    ○藤原委員 財政力によってという、主な理由はそこにあるのだろうというお話でございますが、確かにいただいた資料から見ましても二八・八%、大きなウエートを占めていることは間違いないのですが、しかし二〇%を超えているところもございまして、また過日、参議院で参考人にいらっしゃった方の中には、工事にも、事業にもよるのですけれども、大半町村で負担をした。町全体が、もう農業が大きな産業基盤ということで、それを育成するためにはということだと思うのですけれども、やはり農業の振興なくして村はない、町はない、そういうところにとってはそれなりの負担をして進めているというところもあるようですけれども、今度はこの法律改正によりまして交付税に算入されるということですから、ガイドラインとして一〇%、最低そのくらいのことについては負担されるということになるわけだと思います。  そこで、今度自治省との間で交付税に算入するということについては明確に話し合いはついたというふうに聞いておるわけですけれども、それは間違いないですか。
  201. 片桐久雄

    片桐政府委員 今回の法律を提案するに当たりまして、自治省の方ともいろいろ協議をいたしております。平成年度から都道府県営事業につきましては市町村負担分、それもいわゆるガイドラインというものを指標にいたしまして、そのガイドラインまでの市町村負担分につきましては事業費補正という形で対応するという点と、もう一つ地方債の起債枠で対応する、しかもその起債の元利償還金について今後事業費補正という形で基準財政需要額の中に算定する、こういうような形で市町村負担実態を反映した地方財政措置を行う予定であるというふうに聞いております。
  202. 藤原房雄

    ○藤原委員 聞いている、局長なのですから、直接交渉に当たったわけじゃないのですか。
  203. 片桐久雄

    片桐政府委員 地方財政措置をどう実行するかということは自治省の権限になっているわけでございます。協議、折衝に当たりまして、もちろん私、直接自治省の方から、そういうことをやるということで確認をして、聞いている次第でございます。
  204. 藤原房雄

    ○藤原委員 ガイドラインの一〇%ということですが、町村によりますと、先ほど申し上げたように農業が主たる、主といいますかもう大きなウエートを占めているところにつきましては、このデータにもございますように二〇%を超える負担率のところもあるわけであります。三・九%というのですから、構成比からいくと数は少ないかもしれませんが、こういう今まで一〇%を超えるような負担率、ガイドラインをオーバーしたものにつきましてはどういうことになるのでしょう。
  205. 片桐久雄

    片桐政府委員 ガイドライン、私ども都道府県営圃場整備につきましては一〇%ということを予定いたしておりますけれども実態といたしまして一〇%を超える市町村というのもかなりあるわけでございます。私どもといたしましては、こういう一〇%を超える負担をしていただいている市町村は、今後とも一〇%を超えて負担をしていただきたいということで指導してまいりたいというふうに考えております。ただ、自治省とのお話で、地方財政措置はガイドラインの一〇%を限度とするというようなことでございますので、一〇%までを財政措置の対象にするという予定でございます。
  206. 藤原房雄

    ○藤原委員 次に、今まではこの負担割合をどうするかということについては町村の議会で、地方自治体の議会で議決しておったわけですけれども、今度はそうじゃなくて都道府県が市町村の意見を聞くということですか、それで都道府県の議会で決めるということになるわけですね。そういうところはよくわかるのですけれども、今までは自分のところの町の産業としてかくかくしかじかだということでいろいろな議論があったわけで、そこで決められておったわけですけれども、今度は県全体を見渡してそういうところで、県議会、県レベルでいろいろ各町村の実態を見て、意見を聞いて議会で決めるということになりますね。これは民主的な手続とかいろいろなことからいいまして、そういうことで何か今までとは変わった、身近な対応ということではなくて一ランク上の組織でやるわけでありますから、そこあたりで何か変わったことが出てこないのかどうか、よく意見を聞いた上でやるわけですから、今までと違ったことにはならないのだろうと思うのですけれども、その辺のことについてはどのように御検討なさって、また御見解を持っていらっしゃるのでしょう。
  207. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、確かに今までの市町村負担といいますのは、いわゆる任意の負担といいますか、市町村の意思による負担ということだったわけでございますけれども、今度の新しい制度による市町村負担といいますのは、いわば義務負担といいますか、そういうような制度になるわけでございます。  ただ、今度の新しい制度に基づく市町村負担の具体的な決定の手法でございますけれども、これは都道府県が市町村の意見を聞いた上で、都道府県議会の議決を経て定めるということになっているわけでございますので、都道府県と市町村との間で十分な意思疎通が行われまして、その意向を十分尊重して負担額を決定すべきものであるというふうに考えておりますし、私どもといたしましても、そのような指導をしてまいりたいというふうに考えております。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席]
  208. 藤原房雄

    ○藤原委員 地方自治体、町村とそれから県レベルで、行政上ではいろいろなことについてお話し合いをしたり、また意見を申し述べる。しかし決めるのは議会ということでありますから、よく理解した上で説明してわからないことではないのだろうと思いまずけれども、その辺ちょっと危惧を抱きましたので申し上げているのですけれども、わかりました。  今回の改正では、国営とか都道府県事業に対する市町村負担区分、負担割合ということについてガイドラインを設けてということですけれども団体営等については、これは今後どういうようにお取り扱いになるのでしょうか。今後はまたこれに準じた形で何かお考えなのでしょうか。
  209. 片桐久雄

    片桐政府委員 団体営の事業につきましては、市町村がみずから行う場合、それからまた土地改良区が行う場合、その他また農協とか、数人共同で行う場合とか、いろいろあるわけでございます。私どもといたしましては、こういういろいろな団体営の実態、それからまた、団体における市町村負担実態というようなものもこれからいろいろ詳細調査をいたしまして、団体営の市町村負担についても地方財政措置が実現されるような方向で今後検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  210. 藤原房雄

    ○藤原委員 この地方負担のことについては以上で大体わかりましたが、同僚委員からもいろいろお話がございましたけれども農家負担の問題について次にお伺いをしておきたいと思うのであります。  負担対策、また農家負担に対する問題でありますが、冒頭に申し上げましたように公共投資基本計画、この中にも農山漁村に対する、都市と比較して相対的に劣っている生活環境向上に向けて、集落排水施設と生活基盤整備事業整備促進する、こういうことで、今度はこの農村集落につきましてもいろいろまた対応することになるわけでありますが、さっきもお話がございましたが、土地改良法制度は、基本原則として受益者農家の発意によって同意主義、それから三分の二の同意を必要とするということになっていますね。今度は理事とかいろいろな構成の中身もちょっと変わることになるのかもしれませんが、こういう社会のいろいろな変化の中で三分の二の同意ということには今どういう意味があるのか、その点のことについてはどのようにお考えでしょう。
  211. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、この土地改良事業は、農地権利者の申請に基づきまして、またその農地権利者の三分の二の同意をもとに実行することになっているわけでございます。これは、土地改良事業はそれぞれの農地、私有財産である農地に対して大変にいろいろな影響を及ぼすというような観点から、そういう手続を定めている次第でございますし、またその事業受益という点で、個々の農地権利者が、利益を受けるその利益を限度にして負担金も負担していただくというような原則になっておりますので、そういう法律の手続になっている次第でございます。
  212. 藤原房雄

    ○藤原委員 また、最近の農山村におきます過疎、それから農村部におきます後継者不足、これが非常に深刻なことであるということは、先ほど同僚委員からもいろいろお話がございましたし、これから五年、十年たちますと、ますますその問題が大きくクローズアップされるのだろうと思います。土地改良事業を推進していくということは、スケールメリットを生かすとか、それからコストダウンにつながるとか、いろいろなプラスの面があるわけであります。それは否定するものではないのですけれども、最近の農産物価格の低落傾向とかそれから減反政策とか、こういうこと等の中で少しぐらい、少しぐらいといいますか、土地改良事業によりまして効率的な農業ができるということと、それからそういう最近の社会情勢をめぐります内外の諸情勢の中で非常にマイナス面等でどうかということになりますと、先ほども同僚委員からもいろいろお話がございましたが、非常に厳しい状況の中にある。確かに効率性を高めるということは大事なことでありますから、これは推進しなければならないことだと思うのですけれども土地改良だけによって、また規模拡大とかそういうことだけで農業の振興策が図れるわけじゃございませんで、流通とか加工とか、それからどういう地域に適した作物をどうするかという、いろいろな複合的なその地域に合った農産物、そしてその流通、いろいろなものが総合されて農家経済というものがメリットを生かすことができるということになるのだと思います。これは土地改良法の一部改正ですから、あれもやります、これもやりますなんということはここで言えるわけじゃない、土地改良法のことだけ議論するわけでありますが、しかし、農林省として見ましては、総合的なものが全部生かされて初めてこれが大きな効果を生み、そしてまた農業の振興という方向に前進するわけでありまして、そういうことからいいますと、局長は自分の与えられた土地改良のことだけを真剣に考えていればいいのかもしれませんが、大臣としてはそうはいかないだろう。大臣はもっと大きな次元の上に立って、農業が本当に振興されるような施策をきめ細かに進める、こういうことでなければならぬだろうと思いますし、その点についてもまず御所見を伺っておきたいと思うのです。
  213. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生の御説のとおりで実はございます。一つは、土地改良関連してもそうなんですけれども農林水産省に上がってくるときには、土地改良事業が終わったらどういう営農をやる、どういう作付をするということも計画的には上がってくるわけでありますが、営農を担当する一線の市町村なり県なりあるいは普及所なり農協なりというようなところと本当に密接な連絡をとっているかというと、必ずしも末端ではそこが十分でない面もあろうかと実は思うわけであります。基盤整備だけをして便利性を追求しても、機械導入等で労働環境はよくなったりするわけでありますけれども、逆に、大型の機械を導入するというようなことでコストが高くなるという面が一つは出てくるわけであります。  そういう観点からすると、営農をどのようにするかということは極めて大事なことでありまして、機械コストが非常に高くなっておるということでございますから、こういう分野について、基盤整備ができた上での作業上の関係をどのようにしていくか、機械負担を軽減するのをどうするかということを今後さらに一層第一線でも綿密な連絡をとって計画をつくって申請をしてもらうということ、あわせて可能な限り短期にすること、もう一つは、先ほどから局長が申し上げているように、どうも工事料が高過ぎるというようなことでありますから、そういう面でのまたいろいろなメニューを地域によって、いろいろなやり方について地域要望するようなことに可能な限り近づけた対応をしていきたい、設備が過剰にならないように、土地改良事業費が全体が高くならないようにしていかなければならないな、こう思っておるわけであります。  もう一つは、流通の問題に触れられましたけれども、私ども、近年の消費構造を見ておりますと、外食産業、加工産業が七割を超えるというようなことで、家庭消費が減ってきておるわけでありますから、そういう意味合いでは、農産物から食料品になるまでの間にかなりの付加価値が実は上がっておるわけでありますから、その付加価値を農村において雇用の場や所得の場として考えていくことができないだろうかということを今後さらに一層私ども考えていかなければならない。そういう面で、どちらかといえば今の農村農家の方は農産物をつくっておる、最終末端消費者に行ったとき食料品になるわけですから、可能な限り農村の段階で付加価値を上げて、食料品とするまでの間、でき得るものによってはこれから考えていく一つ課題ではないか、実はそのように考えておるわけであります。
  214. 藤原房雄

    ○藤原委員 今大臣からお話がございましたこと、これはそのとおりだと私も思いますし、それから過日の畜肉、酪農、畜産物の価格のときにも、一生懸命コストダウンのために努力をする、一方で、農業資材が年々上昇しておる、それは各産業の労働賃金が上がっておるわけでありますからやむを得ないというのはあるかと思いますけれども、そういうことで、規模拡大とかいろいろなことで努力しておることが農家一戸当たりという観点で見ますとなかなか生きてこない、そういうことを痛感するわけであります。  そういうことからいいますと、今大臣が言われましたように、流通の問題、それから農業資材等に対しましての年々高騰するこれらのことにつきまして、内外価格差といいますと、農産物価格はどうしても上がる要因というのはないのかもしれませんけれども、そっちの方は頭で内外価格差で抑えられて、使用するものがどんどん年々上がるという、こういう中でそれをどうコストダウンに結びつけていくかというこの努力というのは、農家のそれぞれの方々も大変に苦労するところであるし、そしてまた若い人たちがなかなかそこについていけないというのが現状であろうと思います。そういうこと等につきまして、ぜひ土地改良とともに、農家一戸一戸が現在のこういう土地改良事業を初めとしまして、一生懸命生産性を上げよう、コストダウンをしようという努力が実るような環境もあわせてひとつ御努力いただきたい、このことを申し上げておきたいと思うのであります。  次に、土地改良事業の進捗状況のことについて、これは同僚委員からもいろいろお話がございましたが、私も二、三点についてお伺いしておきたいと思います。  最初に、二十四年に土地改良法の制定がありまして、今日まで三次にわたります土地改良長期計画のもとに進められてまいりました。五十八年にかく決定しまして、第三次土地改良長期計画、これは平成年度で最終年度を終わりまして、平成五年から新しい第四次の計画が進むことになるわけでありますが、これは先ほどもいろいろな質疑応答がございましたけれども事業費ベースで五五・六%ですか、それから面積ベースで三七・一%、総額三十二兆八千億という十年間のこの長期計画が立てられておったわけでありますが、本年度の見込みを入れてもこういう状況であるということのようでございます。この目標が半分にも達しない、非常に大きな乖離を生んだという、財政的な変動とかいろいろなこともあったことは事実でありますけれども、先ほども何点かお話ししておりましたが、これは深刻にその分析といいますかそれの受けとめ方、それが即また次の第四次に生かされていかねばならないことでありますから、国のいろいろな計画は大抵五年ですけれども農業の場合は十年の計画、そのぐらいで見なければならないのだろうと思いますし、こういう急激に変化する社会の中では十年というのは本当に長いですから、いろいろな変化もあって、それに沿うなんということは非常に難しいことだと思います。しかしながら、半分にも満たないということでありますと少しいろいろな問題があるのではないか、このように思うのですが、農林省としましては、この目標に大分差があったということについてどのように受けとめていらっしゃるか、それはまた第四次に生かさなければならぬという観点の上から、全部終わったのじゃないのですけれども、分析していらっしゃる現時点でのお考えをぜひひとつお伺いしておきたいと思います。
  215. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、第三次土地改良長期計画の進捗率というものが低いということは事実でございます。実はこの土地改良長期計画、土地改良だけが十年ということで、ほかの公共事業の計画は大体五年ということになっているわけでございますけれども土地改良事業かなり長期間を要するというようなことで十年計画になっているわけでございます。  この長期計画の作業をした昭和五十六、七年という時期でございますけれども、この時期につくりましたそのほかの五カ年計画等につきましても、やはり経済事情の激変といいますか、かなり成長が高かったのが急に成長が低くなったというような状況を受けましていろいろな影響を受けたわけでございまして、土地改良長期計画の場合には、その影響をもろに受けたというようなことではないかというふうに思っております。私どもといたしましては、土地改良事業は非常に重要な事業でありますので、今後ともいろいろ工夫をいたしましてその推進に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  第四次長期計画の作業につきましても、これは平成五年から始まりますので、そろそろ準備を始めているところでございます。第四次長期計画の作成に当たっても、この第三次の経験というものを十分生かしながら今後その作業に当たってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  216. 藤原房雄

    ○藤原委員 実際、今年度が終わってみなければわからないという面もあるかもしれませんけれども、私どもいろいろ見ますと、進捗率の低い項目というのは、財政変動を比較的受けにくい融資事業です。これが非常に進捗率が低い、こういうことも数字の上から見られるのです。国民の食糧の安定供給という基礎的な条件整備の上からも、土地改良というのは非常に大事であることは論をまたないところですけれども、こういうことをいろいろ分析しますと、抜本的な政策といいますか、今までの考え方を踏襲するということでは、今までの域を出ないのじゃないかという感じがしてならないのです。  土地改良のことにつきましては、私も今日までいろいろ申し上げましたけれども、確かに工事費が非常に高いとか工期が非常に遅延しておるとか、こういうことが農家負担の増大をもたらし、そしてまたさらに、農業の先行きが非常に不透明であるということやいろいろなことがここのところ重なりまして、農家の方々も二の足を踏んでおる事情の中にある。融資事業でされる融資が、工期が遅延をするということのために長期にわたって大きな農家負担という形になっている。借りたものは返すというのは農家の方々もお考えになっていらっしゃることですけれども農家経営を揺るがすような返済計画を立てられましても、農業を続けていくことはできない。そういう中で悪戦苦闘しておる方々が非常に多い。  こういうこと等を考えますと、今までの踏襲ではなくて、新しい考え方というものもぜひ第四次の中に入れていかなければならぬ。そのためにも、第三次の、今日までの四十二年にわたります計画の進め方の中で教訓となるものをぜひひとつ生かしていただきたい。これは非常に観念的なことで申しわけないのですけれども、そんなことは当然お心の中にはあるのだろうと思いますが、決意のほどをお聞きしておきたいと思います。
  217. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、厳しい農業情勢の中で農業投資を行っていくということはなかなか難しい面があるわけでございます。ただ、厳しい農業情勢であるからこそ、また農業生産の基盤であります農地整備等を、特に生産性向上というような観点に重点を置いていろいろな投資を増大させていくことはますます必要性が高まっているのではないかというふうにも考えている次第でございます。そういう観点から、農家負担のできるだけの軽減というようなこと、それからまた、事業費をできるだけ効率的に使うというようなことにも十分配慮しながら今後土地改良投資のあり方についていろいろ勉強をし、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  218. 藤原房雄

    ○藤原委員 今日までも土地改良のことについて、北海道でも事業の返上とかいろいろなこともございまして、私も何度かこの委員会で申し述べさせていただきましたし、負担対策等についてもいろいろな施策をしていただきましたことはよく存じております。  そしてまた、今日まで私どもが提起いたしました問題につきましても、一つ事業費の単価の抑制ということで、経済的な工法の工夫等によって事業単価を低減すべきだということ等も申し上げたこともございますし、それから、国営事業制度改善等につきましては、土地改良事業制度再編整備等について推進しよう、こういうことでいろいろ事業が進められておる、こんなこと等も聞いております。また、国営事業償還方法の改善とか償還円滑化のための措置等、いろいろ措置されていることはわかるのですが、午前中から、同僚委員からもお話がございましたように、何といっても国営事業というのは非常に割高である、こういうことがよく言われるわけです。これは、どこと比較してどれだけかということになりますと、それぞれいろいろあるわけですけれども、積算とかいろいろなことについては農林省としましてもそれなりの根拠があって、建設省かどこかの積算の基準があって、それで試算なさっていらっしゃるのだろうと思いますけれども、その地域地域によりますと、いろいろな工夫があってもっと軽減できるところもあります。そういう地域性とか工法とか、そういう工夫というものがもっと生かされるようでなければならぬと思うのですけれども国営ということで国がタッチしますと、お上で全部やってしまう。最近は随分、地元の意向を聞くとかいろいろ変わりつつあるということも聞いておりますが、そういう点については、もっと話し合いの輪の中に入り、そしてまた、事業単価の低減の工夫、そういうものが農民も理解できるような形で進められるということが大事ではないかと思うのです。この辺のことについても今日までいろいろな努力をしていることは私も知っているのですけれども、今後一層の努力をいただきたいということも含めて、御見解をお伺いしておきたいと思います。
  219. 片桐久雄

    片桐政府委員 国営事業事業費単価につきましていろいろ御批判があるわけでございます。私どももできるだけいろいろ工夫をしてきているつもりでございますけれども、いろいろな御批判も謙虚に受けとめながら、事業費単価の抑制、それからまた効率的な投資のやり方ということにつきまして今後ともいろいろ勉強してまいりたいというふうに考えます。
  220. 藤原房雄

    ○藤原委員 今度の法改正によりまして恩恵を受けるといいますか、これの適用になるのは継続とか新規に工事をなさる方々なんですが、完了して返済している完了地区につきましてはこの恩恵に浴し得ない。四十数年の歴史がありますから非常に難しいことなのだろうと思いますけれども、非常に工事費が高いだけに、これは完了地区につきましてもそれなりの対応策といいますか対応というものが必要ではないか、こう思うのです。  先ほど御質疑の中で、償還の中で無利子にするとかいろいろなことで配慮しておりますというお話もございましたが、継続、新規でこれからなさる事業と完了した地区に対する対応、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。工期が何度も遅延して、四十年後半あたりからの事業のあったところについては、三回も工事費が高騰して今苦しんでいるところもたくさんあるわけです。そういうこと等を考えますと、完了地区もこれは前にやったことだというふうに済まされない点があるのだと思いますが、こういう対応についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いしておきたいと思います。
  221. 片桐久雄

    片桐政府委員 今回の市町村負担の明確化の措置は、平成四年の四月一日以降に適用するというようなことで考えている次第でございます。  既に完了いたしまして負担金の額が確定している、または負担金を既に納入を開始しているような地区についての負担対策でございますけれども、これはもうここ二、三年いろいろ工夫をいたしてまいりまして、特に平成年度から国が一千億円の資金を五年間で造成いたしまして、平準化のための利子補給とか特別型の国営事業についての利子の一部助成とか、それからまた計画償還制度の適用とか、そういういろいろな対策を講じているところでございます。  私どもといたしましては、既に完了した地区負担金につきましては、これらのいろいろな措置をできるだけ活用して負担金の軽減に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  222. 藤原房雄

    ○藤原委員 土地改良区の方々とお話ししますと、維持管理に大変に——規模にもいろいろありますから一概には言えないのですけれども助成を何とかできないものかということや、それから最近非常に高度化しておりますことから、維持管理に対する技術者の育成、こういうことについて助成といいますかお考えをいただきたいという要望が非常に強いのです。非常に古くからできた規模の小さいものや大きいところやいろいろなところがありますので一概にはできないと思うのですけれども土地改良が一たんできますと、その管理は非常に重要な意味を持つわけで、それが滞るようなことがありますと、せっかくの、水資源とかなんとかいろいろ言われておりますが、これはぜひひとつ、技術者の育成とか土地改良区の強化、こういうことも含めての考え方というのはやはり一つ柱としてなければならないなというふうに思うのですが、この辺はどうでしょうか
  223. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良施設、これは新たに造成することも重要なのですけれども、やはりこれを適切に管理して有効に活用されるということも極めて重要であるわけでございます。特に最近では、土地改良施設が大規模になっているとか高度化しているとか、また受益地が混住化しているとか、そういうようなことがございますので、国、県による公的な管理とか、また土地改良区が管理しているものについてもできる限り助成をしていくということが必要であると考えている次第でございます。  特に、高度の公共性を有する施設につきましては国による直轄管理とか、また県の管理に対しまして助成措置を講ずるというようなことも拡充いたしているわけでございますし、また土地改良区が管理している施設についても、施設の整備、補修に対する助成とか施設管理技術についての指導について、これは都道府県の土連がそういう指導をするのに国が助成するとか、そういういろいろなことを実施している次第でございます。また平成年度におきましては、土地改良区の職員の技術研修を行う土地改良施設管理技術者養成事業というものも創設したところでございます。  今後ともこうした措置を通じまして土地改良施設の適切な維持管理が行われるように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  224. 藤原房雄

    ○藤原委員 農村にお住まいになる方の混住化とか老齢化とかいろいろなことが言われておりますが、それと同時に、社会も大きく変わっております。これは前の委員会のときにもいろいろ申し上げたのですけれども、最近、東北とか北海道の流雪溝というのがありまして、農業用水のダム、これは多目的のことが多いわけですけれども、そういうダムの水、冬の分ですね、農業者が使わないわけでありますから、ぜひ水を利用して雪を流す流雪溝に使いたいというところがあるのです。大体農村地帯ですと農業用にダムがつくられるということですから、新たに水を確保することは非常に難しい、こういうところがございます。  私の選挙区の倶知安など双葉ダムというのがございまして、積雪の多い倶知安など、そういう流雪溝でその水がぜひ利用できないか、こういうことでありますが、いろいろ御努力いただいてそういう突破口を何とかつくりたい、こんなこと等お話をお聞きになっていらっしゃると思うのです。  確かにお住まいになっている方々の変化もありますが、社会のニーズというものは大変変わってきておる。そういうことで用水を多目的に利用する。しかし一たんできますと、市町村が使いたいからといって簡単に水を使えるような状況にはない。建設当時に農林省、建設省それぞれでやります、そこに首を突っ込むということは、省庁間のことがあってなかなか難しいことですけれども、世の中がこんなに変わってきますと、そんなことを言ってもぜひ水を使わせてくれということになりますと、それは使った分だけ料金を取るわけでありますからそれだけ負担軽減になるわけだし、事情をもっと検討していただいて、実態に即した形でできるような、省庁の壁を突き破るような、この時代の変化の中でそういうことが必要じゃないかというふうに思えてならないのです。  何も私の選挙区のことだけじゃございませんで、大量に水を必要とするだけにそういう話があちこちで聞かれるのですが、こういう農村における変化というもの、それから水の多様な使用目的対応できるようなこともぜひ御検討いただきたいと思うのですが、いかがですか。
  225. 近藤元次

    近藤国務大臣 この問題は大変重要な問題で、水資源というものを、ある意味では国内のエネルギーであるこの水をどう効率的に使うかということは喫緊の課題だ、こう認識をいたしておるわけであります。今回農業用水対策室を設置させていただいたのも、実はその辺に考えを置いて室をつくったわけでありますので、今後、省庁間ということではなしに、特に農業用水を担当しておる私どもとしても、先生の今の御提言のようなことを考えながら最大の努力をしていきたいと思っておるわけであります。
  226. 藤原房雄

    ○藤原委員 圃場整備事業とか土地改良事業全般はそれぞれの地域同意とかいろいろな手続を経てやるわけですから、数字だけ見て云々というわけにいかないのかもしれませんけれども、私どもこれを全体的に見まして、生産性向上の一番見込まれる傾斜度三百分の一未満の水田整備、これの大区画水田面積整備率というのは非常に低いですね。本当からいうと、そういうところが先に進んでいなければならぬなという感じもするのです。それはもう中山間地域も大いに進めていただきたい。ただ、そういうところにつきましては、財政力やいろいろな面でやるのは大変だと思いますから、それなりの助成措置とかいろいろなことでまた見ていただきたいと思うのですが、大区画水田面積整備、こういうことからして平たん地で整備率が低いということは何に由来するか。これは都市近郊とかいろいろな条件があってなのかもしれません。それから、この整備状況全体を見ますと非常に跛行性がある、こんなことを非常に感ずるのですけれども、これらのことについてはどういうふうにお考えでしょう。
  227. 片桐久雄

    片桐政府委員 圃場整備整備率といいますか進捗率といいますか、これは地域に応じてかなりいろいろばらつきがあるということは先生指摘のとおりでございます。そのばらつきの一番大きな原因は、やはり地理的条件といいますか、特に山間地等では整備率が低い、平たん地では比較的整備率が高いというようなこともあるわけでございます。  それからまた、大区画圃場整備でございますけれども、これは従来三反区画というものを標準にして整備を進めてきたところでございますけれども、最近一ヘクタールとか二ヘクタール、そういう大区画圃場整備もぼつぼつあらわれているということでございまして、私ども、この大区画圃場整備を今後の大きな課題として進めたいというふうに考えている次第でございます。この大区画圃場整備を進める場合に、できる限り事業単価といいますか、事業費の抑制を図りながらそういう大区画圃場整備ということもいろいろ工夫していかなければいけないのじゃないかということも考えている次第でございます。
  228. 藤原房雄

    ○藤原委員 もう時間もございませんで最後になりますが、大臣、ちょっと法律には関係ないかもしれませんが、過日の新聞を見ますと、農林大臣は、三十年ぶりに農業基本法を改正しようかということもちょっと出ておりました。積極的に日本農業改革のために頑張っていらっしゃる近藤農林大臣にしてしかるべきかと思っておるのですが、新聞だけのことですから真意のことはよくわかりませんが、本当にこういう御意思または御決意でいらっしゃるのかどうか、またそうだとすれば、どういうことを基本にお考えになってこういうことをお考えになっていらっしゃるのか。これは、国土の均衡ある発展の中での土地利用とか内外価格差縮小とか、今抱えておる農業にかかわる問題というのは非常に多いわけですけれども農業基本法というのは何といっても農業の憲法みたいなもので、それがどっかと三十六年に制定されてあるわけです。ところが、憲法といえども時代の変遷の中で変えなければならないのは当然だろうと思いますけれども一つこれは大きな転機が来たのか、今までも大きな転機はたくさんありましたけれども、そろそろこの辺でということなのか。大臣の真意のほど、それからまたお考えの底にあるものは一体何なのか、そこら辺のことについて最後にお聞きをして、終わりたいと思います。
  229. 近藤元次

    近藤国務大臣 大変高度な質問で、実は私が最初に記者会見でお話を申し上げたのは、この三十年間の推移を見ておると、生産体制、消費体制、流通体制、農村を取り巻く環境そして国際化時代と、さまざまな変化が出てまいりました。一度農業基本法を勉強してみたいな、こういうことをかねがね考えておったものですからお話し申し上げたら、この反響が大変大きくて、私と同じような考えをしている人がこんなにたくさんいたのかなと思うぐらい大変大きな反響が及んでまいりましたので、私もなお真剣にこの問題をやらなければならぬという意欲を持たせていただいて、今は国会開会中なものですから私も余り勉強する時間がないので、そうかといっていつまでも任期があるわけじゃなかろう、こう思いますから、可能な限り、せめて大綱だけでもこの夏ごろまでには自分でまとめたいな、こう実は思っているわけでございます。その後はまた事務当局に御研究をいただくことにいたしたいと思いますけれども、大体夏ごろまでには私がおよその大綱、問題点というものをこの環境、取り巻く状況対応してまとめ上げたい、こう考えて目下勉強させていただいておるところであります。
  230. 藤原房雄

    ○藤原委員 今の時点が最適であるということじゃないのかもしれませんが、これだけの大きな変化をしたわけでありますから、大臣の今お話しのとおり、やはりいずれかの時点には一つ新しい方向性というのは見出さなければならぬ。何かそう長くはないなんという心細いお話でしたけれども、これはひとついい人には長くやってもらわなければならぬわけで、情熱を傾けて頑張っていらっしゃる大臣にはぜひひとつお取り組みいただき、農家の方々に一つの大きな光明を見出していただけるような御努力をいただきたい、こう思います。  以上で終わります。どうもありがとうございました。
  231. 大原一三

  232. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 先日、農業白書が発表されました。この白書の「むすび」のところを見ますと、「基幹となる農業労働力が大量に流出し、その新たな補充も大きく減少している一方、高齢化が急速に進むなかで農業労働力の中心をなす世代が交代期を迎えつつあり、今後の農業農村の持続的発展に重大な支障が生じるおそれがある。」こういうふうに書いています。実際、自民党農政の農産物の自由化路線のもとで、農業農村の崩壊は驚くべきスピードで進行している、そのことを私は今度の白書はいや応なく示している、こういうふうに思うわけです。人間で言えば多臓器不全というような状態とも言えるんじゃないでしょうか。  この農業農村の崩壊自身が土地改良事業全体に深刻な打撃を与えていることは言うまでもありません。まことに皮肉なことだと思いますが、農家経営を助けるためだ、そういうふうに言われているこの土地改良事業によって、農家負担が原因で離農していく農家も多くなっているわけであります。したがって私は、土地改良事業に対する抜本策というのは何よりも日本農業に対する抜本策を前提としており、それは農業後継者から農業展望を奪った農産物の自由化路線の転換にあることを真剣に自覚しなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えます。ましてや米の輸入自由化、それがたとえ部分的であったとしても、土地改良事業にとって取り返しのつかない打撃を与えることは明らかではないでしょうか。私は大臣に、まず最初にそのことをお伺いしたいわけであります。
  233. 近藤元次

    近藤国務大臣 米の自由化の問題につきましては、私かねがね申し上げているように、国内産で自給する方針で対処していくということを申し上げておるわけでありますが、農業農村を取り巻く状況というのは、今まさに社会情勢の変化やさまざまな変化の中で、少なくとも日本の農業というものの将来の展望というのを模索をしておるという実態であろう、こう思うわけであります。その中で、可能な限り不透明な部分を透明性を出していくという、そういう役割一つは果たさなければなりませんし、またこの厳しい環境の中でも土地は日本の農家の皆さん方が大変な御努力をいただいて、青果にしても園芸にしても、国際的には品質的にも安全性からいっても十二分に競争力を持つ。ただ、不幸にして今日まで土地利用型の農業というのが、土地の狭隘性やまた急速な工業化社会に進む中で、所得格差、環境の差というようなものから生まれてきた現象が現実あることは、私は承知をしておるわけであります。それゆえに、土地改良法は何といっても農業基盤整備でありますし、あわせて従来の方針から農村都市との生活環境の格差の解消等を、農業農村整備という名前に改称させていただいた機会に進めていくということで、そしてまた都市にないものが農村に存在をする、農村にあっても都市にないものという関係を、これから魅力ある農村づくりというようなことで交流を深めていくことが、若い後継者が生まれてくることになるであろう、こう思っておるわけであります。  農業就業人口が多少減ることは、ある意味では規模拡大を進めていくときに生じてくることでありますけれども、その人たちが新たな勤労的な所得で、そして自給率を上げるような方向で日本の農業が発展をしていくこと、もう一つは、地球環境というようなことが世界的に問題になっているときに、特に山村における農業を営んでおる人が社会政策上大きな役割を果たしておるというようなことも考え合わせて、大体の枠組みができて、土地改良法改正をさせていただいて、国、県、市町村にわたるまでの負担区分を進めさせていただくために今回の法律を出させていただいておるわけでありますから、若い人にも魅力のある農村農村生活環境農業に対して最善の努力をしていきたい、こう考えております。
  234. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう一度農業白書に戻しますが、この農業白書の中で「中山間地域の動向と耕作放棄地の増加」という見出しをつけまして、こういうふうに言っています。「高齢化等が進行するなかで耕作放棄地の増加、人口の流出による過疎化地域の全体的な活力の低下等の状況がみられるほか、集落の消滅、農地のかい廃等による災害の増加といった事態が生じているとする市町村もある。」そういうふうに言っております。そしてECの例を引いて「ECでは、条件不利地域に対し、農業の存続を確保することによる最低限の人口水準の維持と景観の保持を図ることを目的とした特別の対策を講じている。」そういうふうにその特別対策必要性を示しているわけであります。  実際問題として、中山間地域におけるかんがい排水事業は、管理もままならないところは幾らでもあるわけです。きょうは時間がありませんから、私はこれまでもこの委員会で取り上げましたし、繰り返しませんが、こういうところはそのまま放置しておいたら、本当に災害につながりかねないわけであります。そういうところは国が責任を持つことを前提に、市町村管理を委託するなど、地方公共団体管理に移行することを含めて、抜本策を早急に検討するべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  235. 近藤元次

    近藤国務大臣 農業施設の管理体制については、今回の委員会でもさまざま御意見をちょうだいいたしたところでありますし、改めて管理体制というものは私の方で検討させていただきたいなと、諸先生方の御意見を拝聴しながら聞かせていただいたわけであります。  もう一つ、中山間地対策につきましては、社会政策的な役割を非常に重く考えておかなければいけない、こう考えて、今日までどちらかといえば中山間地対策はおくれてきたので、今回、昨年活性化対策事業というものを出させていただいて、比較的幅のあるメニューの中に、総合的にあらゆる農村で生活ができる分野に至ってのいろいろ対策を講じさせていただきました。非常に全国から人気が高うございまして、来年度予算、この枠をふやすのに一番頭の痛いぐらいの人気が高い制度ができたというふうに認識をいたしておるわけでございまして、もう一つは、現実には後継者対策でありますけれども、高齢者が中山間地というようなところで、土地条件不利なところで営農しておるところに対して、何か高齢者向きの機械というようなものが存在しないかな、こういうことを実は私も念頭に置いて、事務当局に今、機械問題というのはかなり農林漁業における関係からいっても、林もそうでもありますし、中山間地もそうでありますので、何か研究ができないだろうかということで勉強をしていただいておるところでございます。
  236. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私はぜひ特別対策に乗り出していただきたい。そうでないと、このままいけば本当に大変なことになるというふうに重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、更新手続の問題についてお伺いをしたいわけですが、私、今ここに全国土地改良事業団体連合会が出しております「土地改良に対する批判に応える」という文書を持っています。この文書の中では「土地改良事業負担問題を起こすなど、地元に押しつけている。」こういう批判がある。これに対してこの文書は「土地改良事業は、事業参加資格者からの申請により事業が発足し、かつ実施には参加資格者の三分の二以上の同意を必要としますので、事業の押しつけはあり得ません。」こういうふうに答えを出しているわけです。今回の法改正では、国または都道府県が管理する土地改良施設の更新事業については、組合員の四四・四%の賛成で更新ができるということになってしまうわけであります。まさに民主的手続の後退ではないでしょうか。  そこでお伺いをいたしますが、今回のこの規定は、組合員の権利と利益を侵害しないことを条件にしていますが、それは更新事業による負担金が、更新しなかった場合の想定される管理費を上回らないことだと説明をされております。しかし、それはあくまでも総会時の見積もりの段階ですね。もしその後の経済情勢の変化によって更新事業費が見積もりよりふえ、その結果、負担金額が大きくなって、更新しなかった場合に想定される管理費を大きく上回っても、組合員の権利と利益を侵害したということにはならないとお考えなんでしょうか。
  237. 片桐久雄

    片桐政府委員 今回の法律改正で、土地改良施設の更新事業の特殊性にかんがみまして、この更新事業のうち一定の要件を満たすものに限り、同意手続を簡素化できるということにしたものでございます。その一定の要件ということでございますけれども、これは事業内容が施設の機能の維持を図ることを目的とするということと、それからまた更新事業実施後も取水量、取水時期等が変わらず、また農家の費用負担も合理的であって、農家権利または利益を侵害するおそれがないものということでこの同意手続を簡素化できることというふうにしている次第でございます。  また、この更新事業の申請に当たりましては、大多数の組合員の意向に反して事業実施されることになりませんように、土地改良区の総会の特別議決というものを要件といたしておりますし、また異議申し立ての道を開いてもおりますので、農家権利保護に十分配慮しているというふうに考えておりまして、また、この事業手続の簡素化の措置が適切に運用されるように関係機関を指導してまいりたいというふうに考えております。
  238. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 まだ十分よくわかりかねます。  まさに問題の本質はここにあるというふうに思うのです。土地改良事業がこれまで多くの問題を引き起こした最大の問題点、そういうふうに言える問題は、当初の負担金が、一九七〇年半ばから自民党政府による総需要抑制政策によって工事期が非常に延びました。そして、国による設計変更などによって工事費がふえました。国営土地改良事業の特別会計方式への移行によって、地元負担分の借金とその利子の負担が大きくふやされました。そして、オイルショックなどの経済情勢の変化によって大きくその負担がふえていって、支払い能力を超えてきた。ここに農民の苦悩があったわけです。  現在の国際情勢の中では今後も大きな経済変動があり得るわけで、この更新事業についてもその可能性をしょっているわけです。それを、そうなっても組合員の権利と利益を侵害したことにはならないとして、なおかつ四四・四%の賛成で、逆に言うと五五・六%の人が、五六%の人が知らないうちにやられてしまってもいいのだということは、一体これまでの土地改良事業の問題をどういうふうに総括をされてきたのかというふうに言わざるを得なくなるわけです。したがって、更新事業による負担金が当初の見積もりより超えた場合には一体どうなさるおつもりなのか、ずばり言って、その時点では改めて農民の三分の二の同意を求める、こういうことになるのかどうかお伺いをしたいわけです。
  239. 片桐久雄

    片桐政府委員 先ほども説明いたしましたように、この同意手続を簡素化できる更新事業の要件ということで、更新事業実施後も農家の費用負担も合理的であって、農家権利または利益を侵害するおそれがないもの、こういうことにいたしております。この条件で手続を省略して事業実施した後にまた事業費が増高して費用負担がふえるというような場合には、そういう計画変更につきまして三分の二の同意が必要であるというふうに解釈している次第でございます。
  240. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 計画変更というのは事業費負担増、そういうふうに受けとめていいですね。
  241. 片桐久雄

    片桐政府委員 更新事業の当初の計画よりも事業費が増大いたしまして、その結果、農家負担が増大する。それで、その結果合理的な負担を超えてしまう、こういうことでございます。
  242. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 今回の改正事項の中の、国営または都道府県営事業における市町村事業費負担の明確化の問題についてお伺いをいたしますが、今回の改正によって、市町村については原則負担の法体系をとることになったわけでありますが、端的にお伺いをいたします。これによって農家負担が具体的にどれだけ減るのか明らかにしてください。また、過疎地域市町村によっては財源が著しく弱いところもあるわけですが、政府は地方交付税によって市町村の新たな財政負担をカバーするというふうにしておりますが、全額見ることができることになるのかどうか。また、市町村同意要件を廃止した結果が市町村の自主性を失わせるというようなことになってはならないわけでありまして、厳格な運用が求められていると思います。三点をお伺いします。
  243. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず第一点の、市町村負担の明確化による農家負担の軽減の程度でございますが、これは現在の段階で正確に算定することは大変に困難でございますけれども都道府県営事業で現在継続中の事業につきまして、私どもが予定いたしておりますガイドライン以下の市町村負担状況実態がガイドラインまで市町村負担を増大していただける、こういうことを前提にして計算した場合に、農家負担の軽減額は数百億円に上るのではないかというふうに考えております。  それからまた、市町村負担分の交付税ないし地方財政措置でのカバーということでございますけれども、これは、今回の措置は、市町村負担実態対応して算定基準をいろいろ変えていくということでございます。市町村負担の全額を交付税の措置で措置をするということは大原則でございますけれども、従来は耕地面積とか農家戸数という形で地方財政の基準財政需要額というふうに算定していたもののその一部分を事業費補正とかそれから地方債元利償還金分、そういう形で負担実態を反映した財政措置を講ずる、こういうことでございます。  また、市町村の自主性が侵害されることにならないかという点でございますけれども、この点につきましては、都道府県が市町村の意見を聞いた上で都道府県議会の議決を経て定めるということになっておりまして、私どもといたしましても、都道府県が市町村と十分意思の疎通を行って、その意向を尊重して負担額を決定するように指導してまいりたいと考えております。
  244. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは、次の問題、もう一つの大事な問題は、土地改良区の理事のうち組合員以外の者の定数を、現行の理事の定数の五分の一以内から五分の二以内に拡大した、この点であります。これは、私は、空洞化した土地改良区を一層空洞化するものだと言わざるを得ないわけであります。一体、員外理事に歯どめというんですか規制があるんでしょうか。例えば土地改良事業を請け負った建設業者あるいはそれに関係する企業あるいはいわゆる天下り、こういうような人はふさわしくないよというそういう規制というものがあるんでしょうか。  それからもう一つは、農協や農業共済団体の員外理事の定数というのは四分の一以内です。これを大幅に上回る今度のこの五分の二という数字であります。したがって、こういうことが前例になって、農協や農業共済団体の員外理事の定数をふやすというようなことがあってはなりません。その点はどうなんでしょうか。
  245. 片桐久雄

    片桐政府委員 今回の土地改良区の員外理事の定数の拡大でございますけれども、これは、最近の農村における混住化等状況を反映いたしまして、土地改良区の運営に市町村長などの地域住民を代表する者、それからまた農業経営を移譲した人で水利用とか施設管理について深い知識と経験を有する人の参画を得るということが従来にも増して必要になってきておるわけでございます。こういうような趣旨からして、今回五分の二以内というふうに拡大させていただきたいということでございますけれども、員内理事、員外理事とも役員は組合員の選挙によるということでございますし、また員外理事の定数は五分の二以内ということでございますので、役員の過半数、五分の三以上は員内理事でなければならないということでございますので、土地改良区の民主的な運営は確保されるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  246. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、そういう考え方は現実と照らして非常に甘いというふうに言わざるを得ません。現在土地改良区の事業の中で起こっているトラブルの一つがいわゆる民主的な手続の問題、これがたくさん起こっているわけです。いわんやこういうふうに員外理事を五分の二というふうなことになると、そこでの権限というものが非常に大きいし、それから、結局皆さんは選挙によって選ばれるのだからそこの地域の人たちの責任だと言わんばかりですが、しかし実際には皆さんは歯どめもかけていないわけですから、これは必ず民主主義の上で大きな問題が起こってくると私は言わざるを得ないわけであります。  それで次には、土地改良事業負担対策の問題ですが、この負担金の増大は多くの農民が反対に立ち上がって、そしてその中で土地改良事業負担対策というのは確かに改善はされてきました。しかし、まだ非常に不十分であります。そして農家負担の重さは相当なものであります。その中で農民はダムや頭首工、農道、そういう公共的な部分の工事費までなぜ我々が負担しなければならないのかという強い不満を持っていることは、先ほどからのお話にもありました。その点、農水省として、公共的な部分は農家負担でないのだと明確に打ち出すべきではないか、この際、そのことは明確にするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  247. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業につきましては、その公共性の程度に応じまして適切な国庫負担を行っておりますけれども事業による利益が個別農家に帰するという点もありますので、受益農家にも応分の負担を求めるということが基本になっているわけでございます。  ただ、公共性が高い大規模なダムとか頭首工、そういう基幹的なかんがい排水施設の整備につきましては、高率の国庫補助を行う基幹かんがい排水事業というものを平成年度創設したところでございます。また、こういう基幹的なかんがい排水施設とか幹線的な農道、こういうような事業につきましては、国庫負担の増加ということもございますし、また、地域の都道府県、市町村負担も増大いたしておりまして、農家負担がない場合が多いというふうに承知いたしております。  今回の法改正によります市町村負担のガイドラインを決める場合にも、施設によりましては農家負担がゼロというような、そういうガイドラインの決め方も考えている次第でございます。また、地方公共団体負担がふえるという点につきましては、平成年度から平成年度地方財政措置につきましても充実に努めているところでございます。
  248. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 市町村負担のガイドラインという形で、公共的な部分は市町村負担という枠組みで一応打ち出されたということでありますけれども、しかし私は、まだ本当に不十分だと思うのです。それは個別の土地改良事業によって公共的部分の比率が違うわけですから、基本的には公共的な部分についてはもう農家負担ではない、そういうことを明確に打ち出すことが大事です。そして、そのことによって個々の土地改良事業ごとの額を割り出して農家負担からそれを外す、そういうふうな作業が今求められている。これは土地改良事業を前進させるためにも、これまでの教訓としても、今そういうことが求められていると私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  249. 近藤元次

    近藤国務大臣 農家負担を軽減することは、私ども最大の努力をしていかなければなりませんし、今日も大変な努力をさせていただいてまいりました。しかし、公共部分と非公共部分の区分は当然あってしかるべきだが、それがすべて公共事業、水はゼロにした方がいいというだけで片づくかというと、そうはいかないのではないだろうか。やはりそれなりの、その水の施設を利用するのは受益というものがある程度明確になっておりますし、またその範囲というものもございますし、それぞれに応じた負担を実は御協力をいただくというのが筋ではないかと思うわけであります。総体的な公共性につきましては、また非公共とともに負担軽減については努力をしていきたい、そう考えております。
  250. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間がもう来ておりますので最後に一問だけ、もう一度最初の問題に戻りたいと思います。  幾ら負担金が部分的に軽減されていったとしても、入るべき収入が減ってはこの負担金も支払うことができず離農に追い込まれていく、そういうことになってしまうわけであります。だから、本当の負担対策というのは農産物価格の引き上げであり、農家収入の増大である。そして、内外価格差の解消という名目で連続的に農産物が引き下げられてきている、ここを改めていかなければ、幾ら負担対策を打ち出しても、農家負担金を支払うその収入を確保することができなくなる。そういう点から、単に負担金の問題ではなく、そのことによって農業展望を失い、後継者が離農し、日本の農業が崩壊していく、壊滅していく方向性を改めていく政策を打ち出していくことがこの問題の根幹だというふうに考えるわけです。  先ほど大臣は大変御丁寧に、いろいろとその展望を模索しているということでお話がございましたけれども、あれこれの手だてではなしに、これまでの政策を大きく改めて、日本の農業を発展させていく方向に政策を転換することが大事だというふうに考えます。  最後に一言だけ大臣の御決意を聞いて、終わりたいと思います。
  251. 近藤元次

    近藤国務大臣 国際価格の内外価格差があることは承知をしながら、先生から御質問をいただいておるわけでありますけれども、これ以上農産物価格を引き上げていくということは必ずしも結果としていいことにはならぬのではないだろうか。そのことはとりもなおさず、消費者物価がここのところ上がっておる傾向の中に、生鮮食料品が特にその引き上げの要因になっておるというような背景も考えてみたりしておるときに、私ども今日は、構造政策で農家所得を何とかして増大をさせていく所得面の魅力と、あるいは農業の将来における魅力と生活環境というようなことで努力をしていかなきゃならぬと思いながら、今あらゆる政策を検討して来年度予算に向かっての準備をさせていただいておるわけでございますので、その方向で今後引き続き努力をさせていただきたい、そう考えておるわけであります。
  252. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間が参りましたので、終わります。
  253. 大原一三

    大原委員長 小平忠正君。
  254. 小平忠正

    ○小平委員 今回のこの土地改良法の一部改正にかかわる問題に入ります前に、まず私から、このことに関して基本的な問題について何点か質問させていただきます。  土地改良事業我が国農業近代化等に果たしている役割については万人が認めるところであり、今後も国際化の進展等に対応して農業の体質強化を図る上からも事業促進が必要であることは御承知のとおりであります。  総論で言えば、土地改良事業必要性はだれもが認識の一致するところであるわけですけれども、一方、実際に事業実施している現場においては、多くの困難な事態に直面しているのが実態であります。  特に最近の状況について言いますと、事業費は年々上昇する中で、農産物価格の引き下げあるいは水田転作面積拡大等によって、受益農家負担金の支払いにきゅうきゅうとしているのが現実であります。特に、私の選挙区は北海道なのですが、転作面積が五〇%以上を占めるところも多々あり、負担金の償還はもちろんのこと、いわゆる経常賦課金の徴収すら非常に苦労している、これが実態であります。  このような現実については政府も十二分に御承知のことと思いますけれども、現在講ぜられている負担対策等で十分であるのか、また今後新たに対策を講ずる必要があるのか、ここのところについてまず基本的なことを大臣、御答弁をお願いしたいと思います。
  255. 近藤元次

    近藤国務大臣 土地改良事業につきまして大変評価をいただいて、感謝申し上げたいと思います。  今日、土地改良事業を進める段階で、諸般のいろいろな状況の変化がございますけれども一つは、負担金に対して大変重く感じられておるということで、数年来いろいろな方法で軽減に対しての努力をしてきたわけであります。今後なお引き続き私どもが考えておりますことは、事業費単価を抑制していくということをまず一つ考えなければならないな、その段階ではやはり若干の、特に緊急性があるとか、あるいは緊急性がないようなものである程度選択をできるようなことが何か設計上できないものかなということを考えながら事業を進めておるわけでありますし、また、国営事業の話が先ほどからずっと出ておるわけでありますけれども国営事業実施する段階における制度改善等もしていかなければいけない、こう実は思っておるわけでありますし、それから融資制度拡充も進めていきたい、こう思っておるわけでありますが、いずれにしても、従来市町村負担をしていただいておる問題につきまして、その財政措置が明確化されていない点について、今日、長年の努力が実ってこの法律改正になったわけでございまして、そういう点での負担軽減というものを今後また引き続き行っていかなければなりませんけれども一つは、国営、県営までの市町村負担の明確化はできたわけでありますが、まだ一つ残されているのが、市町村事業なり土地改良事業における市町村負担についてが宿題になっておるわけでありまして、これを来年度予算までには何とか解決をしたいということで努力をいたしておるわけでありますし、もう一つは、やはり負担軽減の中で、従来、終わった事業に対して償還をするときの負担の重みというのは、これについては平準化をさせていただいたりしてまいりましたけれども、ここの部分、借りた金をもうなくしていくというわけにはなかなかまいりませんので、いずれにいたしましても、その償還金以外に何が一体、終わった事業に対して出資があるのかなということを考えると、維持管理の問題ではないだろうかな、こういう問題について今後検討していかなければならない問題であろう、そのことによって出費の軽減をするのが一つの研究課題として残っておるというふうに承知をいたしておるわけであります。  いずれにしても、負担軽減というのは今農家の皆さん方からの要望の大変強いところでもありますし、この委員会すべての先生方から御発言もございましたことでありますので、鋭意努力を続けていきたいと思うわけであります。
  256. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、借りたものは返さないのはおかしいとおっしゃった、それは確かにそのとおりであります。しかし、負債がこれだけだんだん積み重なってきたということは、農民の責任というよりは、いわゆる政府の施策ですとか、あるいは外圧等々そういう国際環境ですとか、農民の意思ではなくて、いわゆる受け身でもって受けたそういう負債の増大というのがあるわけですね。そういう意味においては、借りたものは返さないといかぬという、これはそうでありますけれども、しかし、そこのところを、この問題については国の農業のこれからのあり方ということについて考えていく場合に、もう少し違った観点からもっと幅広くこういうことについて今後検討を続けていってもらいたい、こんなふうに私は願っている次第であります。  今基本的なお答えをいただきましたので、次に、さらにこのことで政府の基本的な考えをお聞きしたいのであります。  この土地改良事業実施に当たって、この事業により発生する利益との関係で、農家負担能力の限界が配慮されていることは当然でありますけれども、例えば水田に例をとった場合に、年間償還費はどのくらいが限界だと政府はお考えになっておられるのか、また、これに関連して実際の負担金はどういうふうになっているのか、これについて御答弁をお願いしたいと思います。
  257. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業の年間償還費のお尋ねでございますけれども、例えば水田についての圃場整備というようなことで考えた場合に、農家負担の年間償還費の限界ということで考えますと、土地改良事業計画を審査する場合に、私ども基準としておりますのは、この事業実施に伴う効果といいますか、それによりまして年間増加する所得額というのが算定されるわけでございますけれども、この年増加所得額の四割程度というものをめどに考えている次第でございます。  それで、現実にそれではどのぐらいの負担になっておるのかということでございますけれども平成年度圃場整備事業、これは内地の場合でございますけれども、十アール当たりの事業費が平均八十八万二千円ということで、十アール当たりのその中で農家負担額は十八万六千円、それで、これを二十五年償還、金利六・五%ということで償還した場合に年償還額のピークは一万九千八百円程度、こういうふうになっておるわけでございます。  それからまた、先生の地元であります北海道で見ますと、北海道の場合には比較的事業費が内地に比べて低いということもございまして、最近着工いたしました道営の圃場整備事業で見ますと、十アール当たりの平均年償還額が一万二千五百円程度というふうになっておる状況でございます。
  258. 小平忠正

    ○小平委員 生産資材等々、年々かさむ中で農民は一生懸命努力をして、そういう経費の節減に努めて生産に努力をしているというのが実態でありますので、これについてもこれからの政府の手厚い助成なり保護をお願いしたいと思います。  次は、今後土地改良事業は、対象地域が立地条件の不利な中山間地域にだんだん移行しまして事業費もますますかさんでいく、このことが予想されております。さらに、都市近郊地域などにおきましてはいわゆる混住化、あるいは兼業化等の進展により、土地改良事業実施に対する各農家の意識や意欲の格差がこれから大きな問題になってきております。このことは今後の土地改良事業の円滑な運営を一層困難なものにしておりますが、政府は今後どのように対応しようとしているのか。また、これとあわせて、現在弱体化が進んでおります土地改良区、これらの体質強化についてどのような方策を用意しているのか。土地改良区がおかしくなれば大変なことになると思いますので、そんな意味においてはどんな方策を用意されているのか、これらについてお伺いしたいと思います。
  259. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず、地理的条件の不利な中山間地域についての土地改良事業でございますけれども、従来から過疎地域とか振興山村、こういうような地域については採択基準の緩和とか補助率の引き上げという措置を地域の実情に即していろいろ進めてきている次第でございます。また、平成年度からはこういう措置に加えまして、中山間地域の総合整備事業というものを創設いたしまして、補助率も六割というふうに高い補助率で、しかも事業内容も極めて弾力的に実施できるということでこの事業を推進しているところでございます。  それからまた、都市近郊地域等、非常に混住化が進んでいるようなところでの土地改良事業のやり方でございますけれども、こういう地域では土地改良事業に対するいろいろなニーズがあるわけでございます。そういう多様なニーズに対応するように、例えば市民農園の整備とか宅地予定地の創出、そういうようなことを、圃場整備による換地手法を通じてこういう用地を生み出すとか、また規模を縮小したいという農家同意を得まして創設農用地というものを生み出して、規模拡大したい人にこれを権利移転するというような制度も今回お願いをしているわけでございます。こういうようなことで、農家と非農家混住化の進展の中で、多様なニーズにこたえる土地改良事業というものも推進してまいりたいというふうに考えております。  それからもう一点、土地改良区の体質強化の問題でございますけれども、小規模の土地改良区が多いわけでございますので、例えばこれを水系ごとの合併を推進するとか、そういう形で組織、運営基盤を強化するということ、それからまた、土地改良区が管理している施設の整備、補修に対する助成というようなものも推進していくというふうなことで、土地改良区の整備強化というものにも努力してまいりたいというふうに考えております。
  260. 小平忠正

    ○小平委員 次にお伺いしたいことは、昭和三十九年の土地改良法改正によって土地改良長期計画が樹立をされることになりまして、以後、土地改良事業がこの長期計画に基づいて実施をされてきております。現在の計画は昭和五十八年に樹立された第三次計画であって、五十八年度から平成年度までの十カ年を対象期間といたしておりますが、その進捗率は非常に低い。平成年度予算を含めても事業費ベースで約半分、五〇%、面積ベースに至ってはわずか三七%と非常に低いものになってきております。進捗率が低い原因は種々弁明されることがあるとは思いますけれども、こうした実績を見るとき、これが何のための計画であるのか非常に疑わざるを得ない、こう思うわけであります。このことは農政の不信にもつながる大きな原因の一つにもなっている、こう言わざるを得ないと思うのでありますけれども、この点に対して政府の見解をお伺いしたいと思います。
  261. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように第三次土地改良長期計画の進捗率は、平成年度予算で、これが九年目でございますけれども事業費ベースで五五・六%というような状態でございます。私どもは、この土地改良事業農村農業にとって極めて重要な事業でございますので、今後ともより一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。この進捗率が非常に低いという点につきまして、確かにこの計画作成時点とその後の経済情勢が非常に大きく変わったというようなことからこういう結果になっているわけでございますけれども、私どもといたしましては、今後とも最大限の努力をして土地改良事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  262. 小平忠正

    ○小平委員 次に、今回の法改正の具体的内容についてお伺いいたしたいと思います。今回の改正事業費に対する市町村負担が明確化されましたことは、時宜を得たものと思うわけであります。この点に関して幾つか質問いたします。  まず第一点は、土地改良事業に係るそもそもの負担のあり方についてでありますが、土地改良事業受益者負担原則がとられておるのは、事業を通じて個々の農家の資産評価の上昇等につながるものでありますから、このように説明されております。一方、土地改良事業は、広くその社会資本の充実を図るものであって、国民食糧の安定的供給、地域社会活性化、さらには国土保全、防災といった大きな役割から見れば、事業に係る費用は他の公共事業と同様、その大部分を公的負担で賄うのが当然ではないかと私は思うわけであります。今回の改正は、そういう意味では公的負担拡充につながるものであって、私も一定の評価はいたしておりますが、今回市町村負担をふやすということになっておりますが、ではなぜ国庫負担拡充しないでこのような形にしたのか。これについては、そんなややこしいことはしないで、単に国庫負担を従来以上にふやす、これが明快で、そして農民の方にも、あるいは改良区も含めて非常にわかりやすく、また今後に向かって希望が持てることになっていくと思うのでありますけれども、このような形をとったそもそもの基本的な理由といいますか、それから、今後これらに向けてどう対処していくのか、これらについてお伺いいたします。
  263. 片桐久雄

    片桐政府委員 土地改良事業につきましては、その事業内容とか公共性の度合いに応じまして国庫負担とか国の補助というものを行っているわけでございますけれども、また、国の補助とか負担につきましても、いろいろ拡充に努めているということでございます。例えば、平成年度におきましては、特に公共性の高い大規模なダム等の整備について高率の国庫補助を行う基幹かんがい排水事業というようなものも創設させていただいたわけでございます。  今回の法改正市町村負担の明確化ということをお願いいたしておりますのは、最近、農村混住化が進展する中で、土地改良事業市町村というような地域社会にもたらす効果というものが大変に増大いたしているわけでございますし、また、そういう効果を踏まえまして、多くの市町村がもう既に土地改良事業事業費の一部を負担しているというようなこともあるわけでございます。こういう実態を踏まえまして、市町村事業費負担というものを制度化いたしたい、こういうことでございます。
  264. 小平忠正

    ○小平委員 今回のこの改正案では、都道府県は、市町村の受ける利益の限度で負担金の一部を負担させることがでざることとしております。市町村の受ける利益の限度の判断基準を何に求めるかということが問題だと思うのですが、この点、事業の種類、地域の実情等により大きくこれらが異なってくると思うわけですが、これらについて今後どのような運用をしていかれるのか。さらには、市町村負担は財政力の強い市町村はよいとして、財政力の弱い市町村では既に、これらの今回の改正については大きな不安を持って受けとめております。この点、都道府県が市町村負担額を決めるに当たっては市町村の意見を聞くとしておりますけれども、財政力の強い市町村と弱い市町村では負担率に格差がつくのかどうか、格差がつかないのか、そこのところと、市町村負担を拒否したような場合は、これは認めることができるのか、これらについてひとつ明快な御答弁をお願いしたいと思います。
  265. 片桐久雄

    片桐政府委員 まず、市町村の受ける利益の限度ということでございますけれども土地改良事業実施によりまして、市町村は、農業それからその関連産業の振興による地域経済の拡大ということで農村地域活性化が図られるという点、それからまた、農業用の用排水施設、農道等整備を通じて農村生活環境改善が図られる、そういうような点で利益を受けるというふうに考えている次第でございます。このような効果は、事業内容とか地域の実情等によりいろいろ異なることは先生指摘のとおりでございます。  農林省といたしましては、市町村負担の水準ということにつきまして、標準的なものということでガイドラインを示すことにしておりますけれども市町村の具体的な負担額につきましては、このガイドラインを指針としつつ、市町村の意見を聞き、都道府県議会の議決を経て決定されるということになるわけでございます。  また、財政力の強弱によって負担率に格差がつくのかどうか、また拒否した場合にはどうなるのかというようなことでございますけれども、従来任意に市町村負担していたものにつきましては、主として財政力の原因によりまして大変なばらつきがあったわけでございます。今回の市町村負担の明確化の措置によりまして、また地方交付税などの所要の地方財政措置も講じられるという予定でございますので、従来財政上の理由から余り負担できなかった、それからまた負担率が低いというような市町村についても、市町村負担を増大させるのに効果があるのではないかというふうに考えております。  それからまた、市町村の具体的な負担額につきましては、市町村の意見を聞いた上で都道府県議会の議決を経て定めるということでございますので、私どもといたしましては、都道府県は市町村との間で十分な意思疎通を行って、その市町村の意向を十分に尊重して負担額を決定するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  266. 小平忠正

    ○小平委員 財政力の弱い市町村というのは、すなわち一次産業を中心とした地域でありまして、今交付税をそれできちっとするということでありましたけれども、それが地方の弱い者いじめにつながらないように、そこのところをきちんと踏まえて、この改正が歓迎される方向に行くようにやってもらいたい、このように強く願う次第であります。  この後、何点か質問を用意してあったのですが、時間が来ましたので終わらせてもらいますけれども、今回、これらについて市町村負担にしたということ、もう一点は、土地改良区が更新事業の手続で従来より簡便化したことは事実であります。このことも、今日、事業化ですとかあるいはいろいろな面において農家の不在が多いという中で、一々個々の農家の判をもらって歩くといいますか、了解を得るということは非常に困難である。そんな意味からも、このことをとにかく簡素化していくということは私も評価いたしておりますけれども、しかし、これが農民の一部の皆さんに対して不利益、不公平にならないようにこの運用方をきちんと間違いないようにやっていってもらいたい、このように強く願う次第であります。  これらについて一言申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  267. 大原一三

    大原委員長 阿部昭吾君。
  268. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 若干お尋ねをしたいと思います。  土地改良事業圃場基盤整備にとどまらずに、農村全般の環境整備との関連というのをいろいろな地域で連帯しながら展開をされておるという中で、今農村地域で下水道事業ないしは集落排水事業といったものが非常に期待されており、徐々に進んでいるのであります。全国はどのようになっておるのか、私はまだ十二分な勉強をしておりませんけれども、私の県の場合で言うと、県に土地改良事務所というのが幾つかの各水系土地改良区ごとに設置されておる。これが技術指導その他いろいろ担当してやっておるわけであります。この土地改良事務所が現状の段階では基盤整備や水系水利その他のいろいろな改良事業の担当をなさっておる。並行して下水道であるとか集落排水とかというものが始まってきている。これは主として市町村段階でその施行を担当しておるわけでありますけれども市町村段階には、残念ながら下水道や集落排水事業指導できる技術陣というのは非常に不足しているのであります。そういう意味で、土地改良事業指導しておる技術担当者、この皆さんに農村の技術指導であるとか集落排水であるとかいろいろなものも担当できるようにすべきではないかという強い期待が実はあるのであります。  そういう地域に起こっている希望に対して農林省はどのようなお考えを持っておられるのか、ちょっと一言伺っておきたい。
  269. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生指摘のように、農業農村整備事業の中で、例えば集落排水事業というようなものは比較的新しい事業でございまして、確かに市町村とか県とかというところの職員が比較的技術的蓄積が少ないというものでございます。集落排水事業についての技術的指導という点では、全国段階で日本農業集落排水協会というような協会がございまして、そこでいろいろな技術的な蓄積というものもやっておりますし、また県段階では県土連がいろいろ技術的な蓄積をしつつありまして、この県土連が市町村集落排水事業指導しているという面も出てまいっておるわけでございます。  私どもといたしましては、集落排水事業、それからまた、これから実施いたします水環境整備事業とか住環境整備事業とか、そういう新しい農村生活環境整備に関するようないろいろな事業についての技術的蓄積、それからその指導体制というものについて今後一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  270. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 例えば下水道ということになると建設省が主になってやっておる。集落排水ということになると農林省、そのほか地域によっては厚生省でやっておるところもある。したがって、中央に参りますと、縦割りから言うと全部分かれてしまう。しかし、私は、基本的には農村における下水道とか集落排水とか、これはやはり農林省が中心となってまとめていくのがいいのではないか。今片桐局長さんの御指摘のように、市町村段階では技術スタッフが非常に不足しておる。かつて私は、下水道関係のときに、今の下水道事業団というものを発足するのにかかわった経験がございました。そういう意味で、何せ農村地域の下水道、集落排水事業といったようなものはこれから非常に大がかりな広がりを持つ事業だろう。しかし、現場における技術スタッフは非常に不足しておる。従来の下水道は建設省、集落排水は農林省、そのほかに厚生省もやっておる、こういう関係を、やはり農村地域の場合には農林省が中心になって一定のまとめをして技術的な体系というものを確立をすべきではないか、こういうふうなことを私は強く考えておるのでありますが、大臣、私のこういう考え方に対して、ぜひ進めてもらいたいという願望を持っておるわけでありますが、一言大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  271. 近藤元次

    近藤国務大臣 農林水産省にとっては大変ありがたい激励とも思われる御発言をいただいて、ありがたいことでありますけれども、いずれにしても、下水道そのもの全体が建設省がもう既に所管をして——先生、下水道事業団にかかわったとすれば、あれだけ今全国的な要望にこたえておるところであります。我が農林水産省、実は後発でございまして、普及率わずか一%という恥ずかしいような状況でございますので、今後私は、所管がどこであろうと、農村における生活環境というのは我が農林水産省がその中心にならなければならないという趣旨では、私どもは、整備率を今後の十年の中に四〇%ぐらいはぜひ上げていきたい、そう目標を持って努力をしていくわけでありますから、その間で建設省がやる部分も、農村というても農村の中の町部というのもございますので、そういうものと相関係を持ちながら鋭意また努力をしていきたい、そう思っておるわけであります。
  272. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今のことは、土地改良基盤整備事業が相当進んだ、この土地改良事務所の中にいる技術スタッフ、これは、維持管理だけならば今のスタッフは必ずしも必要でなくなるという時代も将来やってくる。しかし、このスタッフが農村集落排水なり下水道の関係も技術的に指導、担当するとなれば、いろいろな意味で人の配置も、現場の土地改良事業指導しておる技術スタッフは将来に向かって非常に大きな展望が開けるということもありますので、ぜひひとつ前向きな対応希望して、私の質問を終わります。
  273. 大原一三

    大原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  274. 大原一三

    大原委員長 この際、本案に対し、藤田スミ君から修正案が提出されております。  修正案の趣旨の説明を求めます。藤田スミ君。     ─────────────  土地改良法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  275. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、土地改良法等の一部を改正する法律案の修正案の趣旨と提案理由について御説明いたします。  修正案はお手元に配付されております案文のとおりであります。  修正案の内容は、第一に、国または都道府県が管理する土地改良施設の更新事業及び水資源公団が行う水資源開発施設の更新事業について、土地改良区における同意徴集の省略等その実施手続を変更する改正規定を削除することであり、第二には、土地改良区及び土地改良区連合の員外理事の割合を定数の五分の一から五分の二以内に拡大する改正規定を削除することであります。  次に、その修正理由を申し上げます。  政府案のうち、国営及び都道府県営土地改良事業における市町村事業費負担の明確化、あわせて地方財政措置拡充することなどは評価するものであります。  しかしながら、今後ますます増加するであろうと予想されるダムや頭首工など基幹的農業用排水施設などの施設更新事業における同意徴集手続の省略は、土地改良事業における事業参加資格者の三分の二以上の同意原則を逸脱するものであり、土地改良法の民主的手続を大きく後退させるものと言わざるを得ません。  また、土地改良区などにおける員外理事の定数割合の緩和については、土地改良区は構成する組合員によって運営されるという原則をさらに後退させ、土地改良区の運営をますます組合員から遠ざけるものであります。  我が党は、このような土地改良法の基本的な原則、民主的な側面を後退させる改正規定の削除を求めるものであります。  以上が修正案の内容提案理由であります。  何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  276. 大原一三

    大原委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  277. 大原一三

    大原委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。堀込征雄君。
  278. 堀込征雄

    堀込委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、土地改良法等の一部を改正する法律案の政府原案に賛成し、日本共産党から提出された土地改良施設の更新事業実施手続の整備等に係る改正規定を削除する等の修正案に反対の立場から討論を行うものであります。  土地改良法は、昭和二十四年に制定されて以来、農業生産性向上農業構造改善はもちろんのこと、近年における農村社会の混住化の進展等の中で、農村生活環境改善農村地域活性化等に大きな役割を果たしております。  また、最近の農業農村を取り巻く厳しい状況のもとで、国際化の進展等に対応して農業構造改善を一層促進するとともに、中山間地域活性化を図ること等が喫緊の課題となっており、こうした課題対応する上で土地改良事業の果たす役割はますます大きく、その円滑かつ効果的な推進が必要となっております。  今回の改正は、こうした状況を踏まえた適切な措置であり、賛意を表するものであります。  以下、賛成の主な理由について申し上げます。  第一は、市町村事業費負担を明確化したことであります。  すなわち、今回の改正は、土地改良事業が、農業者のみならず地域社会にとって大きな役割を果たしている状況を踏まえ、国営都道府県営事業等について、市町村事業費の一部を負担させることができることを法律上明確化したものであります。このことにより、従来行われていなかった市町村負担制度化され、費用負担の適正化、ひいては農家負担の軽減にもつながるものとして評価するものであります。今後とも農家の過重な負担を軽減する適切な対応を望むものであります。  第二は、換地制度改善を図ったことであります。  今回、農用地創設目的とする創設換地手法を設け、事業実施地区外に存する農家に取得させる道を開いたことは、広域的な農地創出を通し地域農業担い手を育成するという課題にこたえたものであります。  また、工事のすべてが完了する前に換地処分実施できる道を設けたことは、これが非農用地換地等の円滑な実施につながり、農村地域生活環境整備等にも寄与するものと考えます。  このほか、今回の改正では、土地改良施設の更新事業実施手続の整備土地改良区の員外理事の定数の拡大等の措置を講ずることとしておりますが、そのいずれもが土地改良事業の円滑な実施に資するものであり、時宜を得たものと言えます。  以上、政府原案に対する賛成の態度を明らかにし、政府におきましては、今後とも土地改良事業の円滑かつ効果的な実施が図られるよう、一層の努力を払うことを要望して、私の討論を終わります。
  279. 大原一三

  280. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の土地改良法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、施設更新事業における同意徴集手続の簡素化についてであります。これは、土地改良事業における事業参加資格者の三分の二以上の同意原則を逸脱し、農民の自発性に基づいて土地改良事業実施するという土地改良法の民主的側面を後退させるものであり、原則的に賛成することはできません。  また、たとえ簡易な同意徴集手続の条件として、組合員の権利または利益を侵害しないこととされていても、政府の都合や経済情勢の変化等で農民負担が当初見通しよりふえる可能性もあり、その際は、組合員の権利や利益を侵害していないと判断され、過半数を超える不同意者がいても事業実施ができるこの手続のもとで一層混乱を招く危険が出てまいります。  第二の理由は、土地改良区の理事のうち組合員以外の者が占める割合について、現行の五分の一以内を五分の二以内に緩和する点であります。現在、員外理事の比率は、農協や農業共済においては二五%でありますが、それを土地改良区において四〇%まで緩和することは大きな問題があると言えます。このことにより、土地改良事業を請け負った建設業者や関係を持った民間企業あるいは農林水産省からの天下りなど何らの規制もなく組合員以外の者が理事になり、さらにそうした理事がふえることによって土地改良区の民主的な運営に支障を来し、組合員の不利益となる事態も危惧されるところであります。このような規制緩和には賛成できません。  我が党は、土地改良事業によって利益を受ける市町村が、その市町村の受ける利益を限度として市町村事業費負担を法文上明文化すること、あわせて市町村事業費負担に対する地方財政措置拡大することについては、農家負担の軽減に結びつくものであり、評価するものでありますが、土地改良法の民主的側面を後退させ、土地改良区の民主的運営を形骸化させる法改正が入っている以上、賛成することはできないわけであります。  以上で討論を終わります。
  281. 大原一三

    大原委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  282. 大原一三

    大原委員長 これより採決に入ります。  内閣提出参議院送付土地改良法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  283. 大原一三

    大原委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  284. 大原一三

    大原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  285. 大原一三

    大原委員長 この際、本案に対し、東力君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。目黒吉之助君。
  286. 目黒吉之助

    ○目黒委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、土地改良法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     土地改良法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近の農業農村を取り巻く厳しい状況のもとで、土地改良事業が国民食料の安定的供給、農業生産性向上農村地域活性化国土保全、防災等に果たす役割は、一層重要なものになっている。   よって、政府は、本法の施行等に当たり、左記事項の実現に努め、土地改良事業の円滑かつ効果的な運営に遺憾なきを期すべきである。       記  一 市町村事業費負担の明確化に当たっては、農家負担の軽減が図られるよう努めるとともに、事業費負担実態を反映した地方財政措置拡充を図ること。    また、団体土地改良事業における市町村事業費負担の明確化について対応を検討すること。  二 農地保有合理化法人を通じ換地実施地区外の農家に対して農用地換地するに当たっては、換地場所の設定、換地後の作付体系等について事前における十分な調整を行うなど、事業参加者のコンセンサスを得て実施されるよう指導すること。  三 土地改良施設の更新事業に係る同意徴集手続きの簡素化及び土地改良区の員外理事定数の拡大に当たっては、組合員の権利を保護し、その意見が十分反映される運用が行われるよう指導の徹底を期すること。  四 第四次土地改良長期計画の策定に当たっては、国際化の進展等に対応した高生産性農業の実現と活力ある農村社会を形成するための農村地域の総合的整備に必要な事業量の確保を図ること。  五 土地改良事業の工期の短縮、事業費単価の抑制を図るとともに、現在講じられている各種負担対策については、これが地域の実情等を反映して十分機能し得るようきめ細かい運用に努めること。  六 中山間地域における土地改良事業については、当該地域の立地条件事業費負担能力等に配慮し、その円滑な推進に努めること。  七 土地改良区の体質強化を図るため、水系等を基準とした合併を推進するとともに、土地改良施設の維持管理等に対する国及び地方公共団体指導助成拡充に努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
  287. 大原一三

    大原委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  東力君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  288. 大原一三

    大原委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤農林水産大臣
  289. 近藤元次

    近藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の趣旨を尊重いたしまして、十分の検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。(拍手)     ─────────────
  290. 大原一三

    大原委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  292. 大原一三

    大原委員長 次回は、来る五月八日水曜日に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会