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1991-04-17 第120回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月十七日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 大原 一三君    理事 金子徳之介君 理事 東   力君    理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君    理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君       石破  茂君    今津  寛君       岩村卯一郎君    上草 義輝君       星野 行男君    松岡 利勝君      三ツ林弥太郎君    御法川英文君       柳沢 伯夫君    有川 清次君       佐々木秀典君    志賀 一夫君       田中 恒利君    竹内  猛君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       前島 秀行君    目黒吉之助君       元信  堯君    倉田 栄喜君       西中  清君    藤田 スミ君       小平 忠正君    亀井 久興君  出席国務大臣         農林水産大臣  近藤 元次君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産省畜産         局長      岩崎 充利君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  中田 好昭君         建設省住宅局建         築指導課長   梅野捷一郎君         建設省住宅局市         街地建築課長  那珂  正君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   渡邊 五郎君         参  考  人         (地方競馬全国         協会会長)   大場 敏彦君         農林水産委員会         調査室長    西島  勝君     ───────────── 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   目黒吉之助君     竹内  猛君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     目黒吉之助君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案内閣提出第七八号)      ────◇─────
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  内閣提出競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長渡邊五郎君、地方競馬全国協会会長大場敏彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  4. 大原一三

    大原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東力君。
  5. 東力

    ○東(力)委員 競馬は、人馬一体躍動美を楽しむスポーツとして、また、かけを通じて楽しむ娯楽として国民の間に広く親しまれるようになっていると思います。そういう健全な娯楽の中で収益を上げて国庫納付をするということでありますし、それがまた畜産振興さらには社会福祉に使われているということでありますから、まことに結構であると思います。  平成二年度につきましては、一千万人を超える人が競馬を見に来られて、そのうち女性が百十万人と伺っております。さらに、売り上げが三兆円で、その一〇%の三千億円を国庫納付し、剰余金等の配分である第二国庫納付金を含めると四千億円ほどの国庫納付があったと伺っております。さらに、十年間で二兆四千億円の国庫納付をしたというふうに承知をいたしております。普通、税金を払うというのは余り好きじゃない人が多いと思いますが、健全な娯楽を通してなおかつ国に貢献する、政策を遂行するに当たって貢献できるということはまことに結構なことであると思います。 そこで、大臣に承りたいのですが、政府はこういう競馬役割につきまして基本的にどのように考えているのか、また、今回の法改正につきましては、このタイミングですね、なぜ今、またどういう改正をするのか、その基本について承りたいと思います。
  6. 近藤元次

    近藤国務大臣 お答えいたします。  先生から今競馬のことについて評価をしていただいて、ありがとうございます。  あわせてまた、今お話のございましたように、競馬を取り巻く環境につきましては大変変わってまいりまして、若年層女性皆さん方からも競馬に対しての興味を持っていただいておるところであります。そのことはとりもなおさず、競馬大衆化をしてきたというようなことでなかろうかと思うわけであります。特に、一人当たりの競馬に投資をする金額というのも競馬ファンが増大をするたびに下がっておるということは大衆化を意味することではないだろうか、こう思うわけでございます。  競馬の目的は、とりもなおさず、馬の改良増殖、その他畜産振興や、国及び地方公共団体の財政への寄与をしたり、国民への健全な娯楽の提供というようなこと、大きく分けて三点に分けられるのではないだろうか、こう思うわけであります。  今回の改正も、その三点を中心にしながら、競馬をめぐる事情が変わってまいりましたので、ファンへのサービスや、さらに、大衆レジャー化をし、あるいはあくまでも競馬大衆化されればされるほど公正性確保して、収益適正化と、その収益を効率的に使用させていただくということにあろうか、こう思うわけでございます。そういう趣旨にのっとって、今回、法律改正をさせていただきたいということでお願い申し上げておるところでございます。
  7. 東力

    ○東(力)委員 競馬の運営におきましては公正の確保ということが、ファンはもちろんでありますが、国民全体から信頼されるという点におきましても非常に大切であると思いますが、これにつきまして、馬主登録制度並びに調教師騎手免許制度、こういったことはもちろんでありますが、その他どのような点を強化するのか。  さらに、今国会におきましては、暴力団員による不当な行為防止等に関する法律案も提出されておりますが、競馬が健全なレジャーとして一層国民の中に浸透していくためには、警察とも十分な連携をとって、あらゆる観点から公正を確保していただきたいと思うわけでありますが、これにつきまして、今度の法律改正でどのようなところが強化され、そして、大丈夫、きちっと自信を持って公正であると言い切れるかどうかにつきまして、所見を伺いたいと思います。
  8. 岩崎充利

    岩崎政府委員 公正確保の件でございますが、今回の改正では、競馬のより一層の公正確保を図るために、ただいま先生指摘のように、馬主調教師あるいは騎手資格制度を厳格化するということにいたしております。  馬主登録欠格事由につきましては、現在、禁治産者、準禁治産者破産者で復権を得ない者、また、競馬法に違反して罰金以上の刑に処せられた者、また、懲役一年以上の刑に処せられた者のみが法定されておりますが、今回、これらを含めて、さらにきめ細かく網羅的に省令で規定するというふうにいたしております。  ただいま申し上げました三点に加えまして、さらに、例えば馬に薬物を使用する等競馬への関与禁止なり停止処分されていた者につきましても、欠格事由ということにいたしたいと思っております。また、暴力団関係者等をも含めたいというふうに考えておりまして、その実施に当たりましては、今後、警察当局とも十分連携をとって、競馬公正確保に万全を期してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  また、調教師なり騎手についても、同様に規定を整備することにいたしたいと考えております。  なお、競馬会馬主登録等審査が、対外的に見ましても公正さに疑いを持たれてはならない、そういうことにならないように、馬主登録等が適正かつ公正な判断のもとに行われるための適正な手続を整備するということにいたしまして、競馬会は、馬主登録等を行おうとするときには、中立的な第三者から成ります審査会というものの意見を聞かなければならないというようなことにいたしたような次第でございます。
  9. 東力

    ○東(力)委員 法律改正につきまして、その公正の観点、しっかりやっていただきたいと思いますが、そのほかに、次の三つぐらいの領域にわたって質問をさせていただきたいと思います。  一つは、剰余金をどのように活用していくか。今度特別振興資金が設けられるわけでありますので、その点につきましても、どのような用途を政策的な要請に結びつけられるかということについてが第一点であります。  第二点は、せっかく健全な娯楽として、なおかつ、国や地方にも貢献しているということでありますから、この普及売り上げをふやしていく、そして、一人でも多くの国民娯楽として楽しんでいただくという観点からの施策。  第三点は、これだけ国際化社会になっておりますから、いろいろな形の国際的な問題というのが絶えずあるわけでありますけれども、この競馬につきましても、その観点一つ二つ問題点をただしてみたいと思います。  まず第一に、剰余金についてでありますけれども中央競馬売り上げは、先ほども申し上げましたけれども平成二年には三兆円を超えるに至って、これに伴って剰余金の額もかなり大きくなってきたわけでございます。  そこで第一点は、今まで二兆四千億円のお金を十年間に納めてきた。それで畜産振興とか社会福祉とかに貢献してきた。どのように貢献してきたかという具体的な役割、意義というものをまず教えていただき、そして今回の法改正におきまして、剰余金にさらに特別振興資金を設けて、これは売り上げに変動があったりするかもしれませんし、競艇とかあるいは競輪とか、ほかとの兼ね合いもありますから、少しフレキシブルにしようということがあると思いますが、その使途の重点的な項目といたしましては、ファンサービス騎手等福利厚生、さらには周辺整備というふうに伺っております。  これにつきまして、まずファンサービスというのは、どんどん売り上げがふえていくような状態で、みんな喜んで来ているんだから必要なのかどうかという点が一つあると思います。それから、騎手福利厚生、非常に結構なことであり、やっていただきたいと思います。また同時に、周辺整備につきましても、競馬場周辺に迷惑がかからないように、またファンも交通その他不快感がないようにということで、道路その他の施設をきちっとしよう。  これを承っておりますと、関連をした人たち福利厚生、さらにはお客さんも便利にしようということでありますが、もう少し広げて、例えばもっと大きく地方開発に資するようなことができないのかどうか。これは、中央競馬地方競馬の話もありますし、そこに助成をというようなことにもなるかもしれません。同時に、畜産振興とか狭く限定したわけでありますけれども、これだけ大きくなってくると、もっと広げていけるのかどうか。  例えば乗馬クラブとか馬事公苑とか、今までもいろいろあると思うのですが、非常に小規模な大学の馬術クラブですと、えさ代を少し補給してやる、しかも日本全体で一億少々だと伺っておりますが、もう少し大々的に、例えば県だとか市町村だとか、そういったところの総合的なリゾートや地方開発やそういったものとの整合性をとりながら、しかし同時に、畜産振興とか乗馬とか社会福祉とかいうところに限定しながら、もっと思いきった地方開発をやっていただけないかということを含めて、大変問題が多岐にわたって恐縮でありますが、今までの実績をまず自慢していただきたい。  それからその次は、ファンサービスというのは、こんなに伸びているのにどうして必要なのか。  第三点は、周辺をよくしよう、あるいは従業員をよくしようというのは結構でありますが、さらに拡大していただけるほどのゆとりとか姿勢というものはないのかどうか。この点について、大臣なり、渡邊理事長に伺ってもよろしいですか、あるいは局長でも結構です。
  10. 岩崎充利

    岩崎政府委員 ただいま先生指摘のように、中央競馬会におきます売上高の一〇%、売得金の一〇%、また剰余金のうちの二分の一相当額は第二国庫納付金というような形で国庫に納付されてきているわけでございますが、これにつきましては、四分の三が畜産振興、四分の一が社会福祉という形で使われてきたわけでございます。  おかげをもちまして、畜産関係につきましては、草地造成とかあるいは畜産物施設整備、その他畜産関係体質強化なり生産性の向上というような形の中で、今日の畜産につきましては全体として米と並ぶ総生産額を出すというような形まで発展してきたところでございます。ただ、最近におきます畜産をめぐります情勢というのも、国際化等かなり厳しいものがありますので、これからもさらに畜産発展振興を図るための措置ということをやっていかなければいけないだろうというふうに存じている次第でございます。  それから、剰余金活用の問題でございますが、剰余金につきましては、先ほど申しましたファンサービスの充実なり、周辺地域の整備開発なり、馬事振興等の健全な発展を図るための事業というものに充当するということと、畜産振興事業の経費に充てるために、私どもとしてはその一部を一たん資金としてプールの上、安定的に活用するということで、今回の法律改正剰余金活用としてお願いしているということでございます。  それで第一点目は、競馬の健全な発展を図るための業務というものとの関連かなりの費用がかかり、資金に余裕があるときに行うのが適当なものということを対象とするといたしておりまして、先生が御指摘になりました例えば騎手等競馬関係者福利厚生施設というようなこと等もやりますが、あわせまして大規模な、例えば森林馬事公苑の建設というようなこともやれるような道を開きたいというふうに考えておる次第でございます。こういうような場合には、やはり当然その地域なりそういうものとの十分な連携のもとにやるということが必要だろうと考えておる次第でございます。  それからもう一つは、畜産振興助成に関しましても道を開くということで、畜産振興のための助成業務とする法人を通じて助成するということで、効果的かつ効率的な畜産振興が図られるように措置したいと考えておる次第でございます。
  11. 東力

    ○東(力)委員 次に、競馬をさらに普及していくということについていろいろ聞いてみたいのですが、そのことは売り上げを増すということでありますから大変結構なことじゃないか、また、やるべきことじゃないかと思うのです。  まず最初に、今一千万人を超えたということでありますが、そのうちの女性は一〇%ちょっと。これが同じぐらいになってくると、いろいろな点で男女非常に肉薄しておりますから、非常にふえてくるんじゃないか。それから全体としてもどれぐらいふえてくるのかという、あるいは余りふえ過ぎたら困るということもあるのかもしれませんが、いずれにしても女性に対して配慮していくということも一つの案ではないか。  さらに、私ども選挙区もそうでありますが、和歌山県のような非常に離れた地方におりますと、なかなか実際に行ったり、あるいは買ったりということができないので、ウインズのような場外馬券売り場拡充できないかどうかということがありますし、これにつきましては、近くの住民が迷惑になるというような話には対処すべきでありますけれども、そういう場外馬券売り場ウインズ等のようなものの拡充をさらに地方まで広げてくれないか。  あるいは、買おうと思っても買えないということでカード、プリペイドカードのようなものを持っていてやるようなことがどうだろうかとか、あるいは電話投票加入台数拡充ですか、これも私、自分は競馬に二十年前に一回行っただけで余りよく知らなかったのですが、選挙区の方へ帰ると、いろいろなところから、電話の申し込みをしているんだけれども当たらないだろうかというような話が急にあちこちから来まして、私も気がついたのですけれども、そういうものを拡充していくことにつきましても、どの程度積極的にやっていくのか。  その売り上げをふやしていく、それから国民に浸透するという話では結構だと思うのですが、しかし在宅馬券の購入ということになりますと、便利にはなるし、また不正もそれだけ少なくなるかもしれませんが、青少年に対する影響はどうだろうかという話も出てくると思うのですね。さらに、せっかく電話でそういうふうになってくると、端末機機等、いろいろな形で活用できるようにハイテク等を駆使することができると思うのですが、この辺につきましてもどのような基本的姿勢で臨んでいるかということについて伺いたいと思います。  私の観点は、この点は競馬会から見ると売上増になる。さらに、のみ行為等不正行為、そういったものが妨げられる。しかも買う方から見たら便利で、ずっと普及するということであればまことにいいことだと思いますが、いろいろ問題点がありましたら、だからやめるというのではなくて、それを整理しながらいい方向を推進するということがいいのかなと思うのですが、その点につきまして、今の個々の具体的な項目についてお考えを言っていただければありがたいと思うわけです。
  12. 渡邊五郎

    渡邊参考人 お答えいたします。  ただいま御質問の点は、およそ中央競馬に関することのように思いますので、私の方からお答えさせていただきます。  場外発売所の件につきましては、私ども監督官庁の御指導を得ながらいたしておりますが、地域社会調整等で必ずしも思ったようにスムーズにいかないという点は事実ございますが、そうした方式に加えまして、お話のような遠隔地ファン要請あるいはのみ行為防止等からも、私ども既に電話投票方式によります御便宜を図るということで現在進めております。これ自体も、現在二十四万人程度の加入でございますが、回線等の都合からも頭打ちの現象も出ております。本年から新しくPAT方式パット方式と呼んでおりますが、ファミコン、パソコン等によります在宅投票方式につきまして、この春から実験的にモニター制度でこれを実験いたしております。このモニター制度によりまして、いろいろ問題点等もよく解明いたして、本格的な実施に達しますならば恐らく現在の電話投票以上の効果が及ぶのではないかと期待しておるわけでございます。  なお、こうした問題について、在宅投票方式青少年に与える影響等、御心配の向きもございますが、私どもモニターの期間内にそうした点を十分検証しながら、こうした方式普及を図りたい、このように考えております。  さらに、新しい御提案の話のプリペイドカードの問題、この点につきましては、技術的な問題もございますが、一つは制度的な問題もございます。多少時間はかかりますが、新しいこうした方式について、私どもとしては意欲的に前向きに検討させていただきたい、こういうような形で、できるだけファンの御要望に応ぜられるように努力いたしたいと考えております。
  13. 東力

    ○東(力)委員 女性に対してはどういうふうにされるのか。非常に大事な点だと思いますが。
  14. 渡邊五郎

    渡邊参考人 失礼しました。  先ほど、女性ファンにつきましては現在入場者の一割ぐらい、時によりますと二割、三割のウエートになるようなぐあいに入場者が非常に拡大しております。私ども、こうした方々ファン層が広がることは非常に歓迎いたしたいと思っております。そのために、場内の設備その他こうした女性方々にも受け入れられるよう施設のリフレッシュに努めると同時に、女性方々を特別に対象にいたしました教室といいますか、そうした勉強会なりもしながら、かつ女性向けの各種のPR、パンフレット等も用意しまして、御理解なりを深めていくようにしていきたい、そのように考えております。
  15. 東力

    ○東(力)委員 普及ということに関して、今は主として売り上げとかそういう方面のことをお尋ねしたわけでありますが、もう一つの側面は、競馬を楽しむ、娯楽、こういう点に関しましては、例えばテレビで放映される、さらには新聞も、一般新聞もどんどん報道するようになって、かなり、馬だけではなくて、いわゆるスターホースというスターの馬だけではなくて、若い騎手とか調教師とかいろいろな形で非常に情報が普及するようになってきたと思うのです。  また、タクシーなんかに乗りましても、ラジオでしょっちゅう、聞きたくても聞きたくなくても聞かされるというようなことがたくさんございますし、そういう形でマスメディアを通じてどんどん入っていると思うのですが、私ども特に地方にいますと、地方にももっともっと広がらないのか、これは地方競馬との兼ね合いもありますが、見る機会がないのか。そういう、競馬場ができないとしたら、今度はそれに代替するものとして、一般テレビ等もありますが、もう少し、ウインズというものがあって売るということでありましたら、例えばそこにハイビジョンシアターみたいなものがあって見れるようにならないのか。これは都会においても、何も競馬場に必ず行けなくても、近くに例えばホテルなりシアターなりあるいは文化会館等みたいなところにも見れるようなものがないだろうか。あるいは地方だったらもっとそういうことが非常にありがたいと思うのです。  聞くところによりますと、今度のダービーでNHKハイビジョンの実験をするということを承っておりますが、今度はどこにいても楽しめる、馬券を買って楽しむ人が一番スリルを持って楽しむのでしょうが、我々買わない人でも、見て非常にエキサイティングなしかも美しいというゲームでありますので、この点につきましても、ハイテクを十二分に駆使した普及の仕方ということにつきましてどのようにお考えか、理事長にお伺いできれぱありがたいと思います。
  16. 渡邊五郎

    渡邊参考人 現在、私どもとしましては映像の全国ネットワークによりまして、各場外発売所ではテレビによる実況などはいたしておるわけでございます。  一般テレビ関係につきましても、私どもは土曜、日曜の施行になりますが、現在民間テレビ等を通じましていたしております。ただ、恐縮でございますが、私どもの番組によりまして非常に視聴率の高いときはよろしいのでございますが、一般的には必ずしも一般視聴率よりも高いようなものではございません。こうした点からも、よく関係者に理解してもらって進めておるところでございます。  さらに、新しい技術として、お話のありましたようなハイビジョン問題等もございます。これは今NHKの方と御相談いたしておりまして、業務用観点からも、このハイビジョンというのが私ども審査等にも重要な手段になり得るのではないかということで、この五月のNHK杯なりで実験的なこういう状況のことをいたしますが、ただ、まだハイビジョン自体につきましては非常に技術の問題以上にコストが高いというような問題もございます。そのほか、衛星放送はどうかというような問題もございます。若干時間はかかるかと思いますけれども、私どもも積極的にこれに取り組んで、これからの新しいメディアとして考えてまいりたい、こう考えております。
  17. 東力

    ○東(力)委員 最後に、国際的な問題につきまして大臣に伺いたいのですが、私もこの前政務次官をさせていただいたときにウルグアイ・ラウンド、今はまた引き継がれてやっているところですが、そしてそれにさかのぼってこの四月から自由化いたしましたが、三年前に牛肉、ミカン等自由化の問題がありました。一般的に農業関係国際化あるいは自由化、開放、こういった問題がありますが、競馬につきましても、二点につきまして大臣のお考えを伺いたいのです。  一つは、これだけ三兆円産業になってきますと非常に大きな影響を国際的に持つと思うのですが、種馬等を買いに行って、イギリスやフランスで非常に高い値段で取り上げちゃって怒られるというような摩擦があるのかどうか、それに対してはどういうような対策を練っていかれるか。これは不動産投資なんかで、例えばハワイへ行ってみんな買っちゃった、サラリーマンが住むところがないとかいって怒られる、これと非常に似ていると思うのですが、この点についてどういうふうに対処されていくのか、現状と対策。その場合に、同時に軽種馬の生産農家に対する対応ということも出てくると思うのですが、いずれにしても海外との関係でトラブルのないように国際化を進めていただきたいということがあると思うのです。  もう一つのポイントは、今度は走る方のレースですけれども、外国で出た馬はジャパンカップ等の例外を除いてこちらで走れない。こっちからは幾ら行ってもいい。プロ野球でも、大リーグには幾らでも行けるんだけれどもなかなか行けてない、向こうから来るのは一チーム二名とか制限している、こういうような状況であると思うのですが、これにつきましても本来的には国際化をしてくれという要請が強いのかどうか、そしてそれに対していつまでも抵抗するのか。あるいは日本ファンに、世界じゅうの馬に自由に走ってもらって最高のゲームが楽しめるようになるのかどうか。この点につきまして大臣のお考えを聞かせていただければありがたいと思います。
  18. 近藤元次

    近藤国務大臣 残念ながら、国内産の馬よりも外国の馬の方が現状では強いと実は言われておるわけでありますので、先生お話しのように、外国から種馬を導入してくるという形をとっておるわけであります。そのことが外国の馬の価格を高騰させるというようなことは実は余り聞いていないわけでございますので、そういうことはなかろう、こう判断をいたしておるわけであります。  もう一つは、外国で走った馬を国内で特別のレース以外は走らせていないわけでありますけれども、やがてはこれも自由化の方向に要請が強まってくるだろうというふうには理解をしておかなければならないと思うわけであります。それゆえに、国内産の馬をやはり競争力を持たせるというそういう改良については、せっかく法律改正をして剰余金をもって他の分野にもひとつ協力申し上げようというときでもございますので、この辺の検討を事務当局に、今私の方から指示をいたしておるところでありまして、いずれにしてもこの面での対策というものを十分にやっていきたい、そう思っておるわけでありまして、やがてはそういう時代が来れば、その点のことを除けば国民一般大衆には国内、国外が対等の立場で競争のできる日をやはり期待をしておることであろうと思うわけであります。  なお、現実の問題で詳細なことがあれば競馬会理事長の方から御答弁をいただきたい、こう思っております。
  19. 東力

    ○東(力)委員 どうもありがとうございました。
  20. 大原一三

    大原委員長 前島秀行君。
  21. 前島秀行

    ○前島委員 最初に、最近の競馬の現象あるいは今回の法改正あるいはこれからの競馬のあり方、目的について聞きたいと思うのですが、まず政府の方に聞きたいと思うのですが、いわゆる三兆円売り上げの時代に入った、あるいは入場者も一千万を超える、女性も多くなった、いわば非常に競馬ブームというふうな状況になっているのでありますけれども、果たしてこれがいいのだろうか悪いのだろうかという点の、現在中央競馬会を初めとして、あるいは地方競馬を含めて、こういう状況について、ある人はちょっと過熱過ぎるじゃないか、あるいは中央競馬会ちょっとあおり過ぎではないか、こんなふうなとらえ方、いろいろな意見があろうと思うわけであります。  そういう面で、まず政府の方から、今中央競馬会を中心として起っておる現象についてどういうふうな認識を持っているのか、最初に承っておきたいと思います。
  22. 岩崎充利

    岩崎政府委員 最近の競馬をめぐる事情を見ますと、ファンの数が大幅に増加し、また売り上げ規模が拡大する、若年層女性層において人気が高まるという形で質的に変貌を遂げつつありまして、その経済的、社会的位置づけが相当に大きなことになっているということについては、先生指摘のとおりでございます。  このように、売り上げなり入場者数が好調に推移しております背景といたしましては、やはり国民経済の順調な発展なり週休二日制なり、そういう社会経済情勢が有利に働いてきたという面があるということと、またスタンド等の施設や場内環境の整備なり、場内管理の徹底というような形での明るい環境づくりに努力して、だれでもが気軽に参加できる手近なレジャーとして国民に認識されるようになってきているということも一つの原因じゃないかというふうにも考えております。  それで、先生、過熱かどうかというようなこともお話しになりましたが、私ども、現在の競馬国民から親しまれ、支持が広がりつつあるという状況にあるということで認識いたしておりまして、競馬が興業として不安定な面を有しておりますし、社会経済の状況や国民の心理状況から非常に変動しやすいという要素も考えられるところでございますので、今回の改正におきましても、ファンサービスの充実とか公正確保に重点を置いて、今後競馬が安定的なファン層というものを確保して、健全かつ安定的な発展を図ろうというふうにしている次第でございます。
  23. 前島秀行

    ○前島委員 中央競馬会はどう見ますか。過熱と思っていますか、いい状況だと思っていますか。
  24. 渡邊五郎

    渡邊参考人 私どももただいま局長がお答えされましたように、最近の動向、ファン層の拡大というのは、従来のファン層と違った新しい大きなファン層に支持されていると思っております。また同時に、これは現在の施行、私どもの興業的な施行ではございますが、こうした競馬の施行についてファンの信頼をいただいておるのではないか、多少これは手前みそかもしれませんが、そのようにも思います。  ただ、過熱かどうかということにつきましては、やはり興業的な性格のものでございます。一時的なことであってはいけない。私ども今せっかくこうした形で、中央競馬なりに対しますファンの信頼なりをできるだけしっかりしたものとして健全なレジャーとして受け入れられるように、目下そうしたことにこれから力を尽くすべきじゃないか、このように考えております。
  25. 前島秀行

    ○前島委員 競馬の目的といいましょうか、ねらいといいましょうか、あるいはこの法案は、いわゆる目的ということじゃなく趣旨という言葉で書いてあるのですが、いわゆる歴代政府の方の見解としては、競馬の目的というか使命というのは、馬の改良、いわゆる畜産振興ということと健全なレジャーの提供なんだという点と、それからいわゆる財源確保、この三点を言われてきたと思うわけであります。これはそれぞれ私はそうだろうなと思うのですけれども、これからそれぞれの三点の目標を達成するためにも、競馬というのは今後どうあるべきなのか、どういう方向でやるべきなのかということはこれからの重要な課題だろう、私はこういうふうに思うわけであります。  そういう面で、政府の方に、競馬の今後の方向といいましょうか、これから目指す方向について基本的にどんなふうな認識を置いているのか、その点を確認をしておきたいと思います。
  26. 岩崎充利

    岩崎政府委員 ただいま先生指摘がありましたように、競馬は、一つには馬の改良増殖その他畜産振興、また二つ目は国及び地方公共団体の財政への寄与、それから三つ目は国民への健全な娯楽の提供というものを目的としているところでございます。  例えば中央競馬業務運営というようなことにつきましても、これだけファン層の底辺が拡大してきているという、そういうファンの期待に応じまして、やはり楽しんでもらえるようなレースを提供するということが重要ではないか、そういうことを通じまして、また国の財政なりあるいは地方公共団体への財政なりあるいは畜産振興に寄与するということになるのだろうというふうに考えている次第でございます。  そういうような最善の努力を積み重ねるということによりまして、ただいま申し上げたような目的が達成され得るというふうにも考えている次第でございまして、このような観点から、公正の確保ということを図るとともに収益の適正、効率的な使用を進める一方、大衆レジャーの場としての明るい環境の整備ということを行うことが肝要であるだろうというふうに考えていまして、これらを通じまして、健全で安定的な競馬発展を期することが重要であるというふうに考えている次第でございます。
  27. 前島秀行

    ○前島委員 私は、現在の現象は過熱ぎみだというふうに見ているのです。それは単に売り上げが三兆円に伸びたからという額だけのことを言っているのではないのです。要するに、その中身が伴っていないのではないだろうか。あるいは競馬に対する、あるいは中央競馬会の運営に対する社会的な認識の問題、これがまだ十分信頼を得ていない、そういう意味も込めて、ちょっと過熱現象ではないだろうか。足が地についていない、こういうふうにとらえるべきではないかというふうに、私は基本的に思っているわけなんです。  というのは、金だけのことを言いますと、御承知のように、競馬ファンですと注目するアメリカのブリーダーズカップというのがありますね。これは秋にやるGⅠ七レースで、それぞれのクラスといいましょうか、あれのチャンピオンをやる、かなり注目をするカップがある。一日に七レースやる。それの売上金と正月にやるAJCとの売り上げが、額で言うと同じだそうですね。大体七十五、六億というふうにマスコミも報じている。同じふうに売れている額とその行われている中身というのが、質的に全然違いますね。額だけは確かに三兆円云々に行ったけれども、その中身ということになると、正直言って全然質が違うという現象があると私は思うのですね。  そういう面で、もう少し中身をよくしていかないとパンクする可能性が出てくるのではないか。かけごとですからね、これは。いろいろレジャーを健全なものにしたいということはあるけれども、しょせん金をかけるのですから、かけごとがついて回るわけですから、そういう面でちょっと過熱ぎみではないだろうか、足が地についていないと私は言わざるを得ない。額だけを追っかけ過ぎてはいないかな、そういうふうに私は基本的に思うのです。  そういう認識の中で、今度の法改正との兼ね合いの問題を具体的に聞いていきたいと思うのですけれども、私は、目的は畜産振興、当然でしょう、重要な目的だろうと思うのです。あるいは国、地方自治体を含めて財源を確保する、重要な目的だろうと思う。この二つの目的の達成というのは、いわゆるかけごとであるこの競馬国民の中にレジャーとしてスポーツとして定着して初めて、私は、畜産振興というもの、財源確保という問題が達成できると思うのですね。  そういう面で、過熱であり、まだまだ日本競馬というのは地についてない、そういう観点で今度の法改正を見ますと、まず、いわゆる馬主登録制度の問題が、今度の改正の重要な柱の一つとしてなってきているわけです。この馬主登録の問題について、従来は法律の中でぴしっと書いてあったけれども、省令に落とす、あるいは十六条の方の調教師の登録、騎手の免許の問題も、これも省令に落とす、こうなっているのですけれども、一体これは何で省令に落としたのか。  それから二つ目の問題として、審査会という問題が提起されているのですけれども、ほかに今までは馬主登録審査会というのもあった、あるいは運営審議会というのも別にある。何か屋上屋を重ねてますますこんがらかってしまうのじゃないか、こういうことも懸念をされるわけであります。  そういう面で、省令に落としたのは一体何なのか、それから省令に入れる十三条、十六条の項目は具体的に何を書こうとしているのか、その点、政府の方にまず聞いておきたいと思うのです。
  28. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現行の競馬法におきましては、一年以上の懲役刑に処せられた者等、馬主登録を拒絶することができる者につきましては極めて限定的に規定されているだけでございます。今回、一層の公正を確保するという要請にこたえまして、欠格事由をよりきめ細かく網羅的に規定するということが必要でありまして、それによりまして資格要件を厳格化するということにした次第でございます。  欠格事由として規定すべきものといたしましては、例えば政令で規定されております競馬に関与することを禁止された者等のこういう者につきましても今回欠格事由としたいということで、これは法律ではなかなか規定しがたいというようなことがございます。また、他種の公営競技では登録が省令に委任されているというようなこと等も考えまして、欠格事由につきましては現在の懲役等々の問題も含めまして省令に委任するということで、きめ細かく具体的に書こう、こういうことにした次第でございます。  それから、省令で何を書くかということでございますが、第十三条の省令におきましては、現行の法定の欠格事由ということを規定することはもちろんでございますが、一つは集団的、常習的に暴力的な不法行為を行うおそれのある者、あるいは馬に薬物を投与したこと等によりまして競馬法の施行令十四条の規定に基づいて競馬に関与することを禁止あるいは停止された者、あるいはこれは他種競技、例えば自転車競技法等において、やはり罰金以上の刑に処せられた者等々を規定することを検討している次第でございます。
  29. 前島秀行

    ○前島委員 確かに小回りのきくように細かく規定をしたいという意味で、省令に落としたという点はわからなくはないですけれども、逆に言いますと、いつでもくるくる変わるのじゃないかという不安がついて回る。過去のいろいろな中央競馬会等々の運営についてもそういう過去の実績等々があるので、ここは非常に不安を感ずるところなのです。したがって、細かく規定をするためにということはいいのですけれども、ふらふらしない、ぴしっとした原則で貫いてもらいたい。そうしないと逆効果だという点だけは言っておきたいと思うのです。  次に聞きたいのは、今度は審査会をつくるのですね。馬主登録審査会も既にあった。あるいは別に運営審議会がある。すると、審査会というのは一体何をやるのですか。あるいは従来の各種の審査会、審議会等との関係は一体、屋上屋を重ねるようなことになりませんか。その審査会の構成あるいは任務、機能といいましょうか権限といいましょうか、そのことについて具体的に説明してください。
  30. 岩崎充利

    岩崎政府委員 審査会でございますが、審査会につきましては大臣任命の学識経験者から成ります公正中立な判断を仰ぐための機関ということでございまして、競馬会の処分の公正さ等を担保するための機関というふうに考えておる次第でございます。  それで、現行の馬主登録審査委員会につきましては、これは馬主としての適性について、馬主等が入りまして競馬事情に通じた関係者から参考意見を求めるということのためにつくられたものでございまして、審査会は中立公正的なものとして位置づけるというような形の中で公正さを担保するというふうな形にいたしておる次第でございまして、これはダブることはないというふうに考えておる次第でございます。
  31. 前島秀行

    ○前島委員 後でもう少し、運営審議会等とのあり方については、改革、改善のことで言いますけれども、もう一つ、クラブ法人のことについて伺います。ここが最大の問題点だと私は思っているわけであります。  いわゆるクラブ法人、馬主登録対象者、クラブ法人の加入者との間に愛馬会というものが存在をするわけですね。そうすると、一口幾ら等々に加わる人、ここに先ほどつけ加えようとする項目に該当する、要するに排除したい、加わってもらいたくない層という人がいる。愛馬会にあれする、愛馬会がクラブ法人と契約をして、馬主になって登録するということになってくると、いわゆる今度十三条でつけ加えたい層というのは排除できない、私はこういうふうに思っているわけであります。その人そのものがそうであるならばできるけれども、その関係者が名前をあれすれば、そこまで排除できる対象にならないと私は思う。その人を排除して、その人が訴訟したら恐らく競馬会は負けるだろうということは、みんなの一致した意見なんです。これから一番大切な馬主登録の問題で、このクラブ法人に対してぴしっとした行政指導というものがないと、ここがたまり場になるということだけは間違いない。  それで、ここがいろいろな事件を起こせば、競馬に対する認識あるいは中央競馬会に対する認識そのものが根底から崩れて、三兆円どころじゃなくしてということになる可能性が非常にあると私は思うのですね。このクラブ法人に対する指導はどこまでできるのか、できないのか、具体的にどうしようとしているのか、この点について、まず政府の方から。
  32. 岩崎充利

    岩崎政府委員 クラブ法人の問題についてでございますが、確かに法人そのものは馬主ということで、これは今度の改正法の中で馬主としての厳格な要件が規制されるということでございますが、愛馬会との関係でございますが、愛馬会あるいは愛馬会の会員そのものは馬主ではないということでございますので、今回の法律そのものでは規制できないことも事実でございます。  ただ、私どもといたしましては、愛馬会の規約というものがございますので、そういうものの中で現在入会手続として資格を制限いたしておりますが、そういう形の中で今のようなものは排除できるような指導をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  33. 前島秀行

    ○前島委員 中央競馬会はそこのところ自信がありますか。排除できる自信がありますか。
  34. 渡邊五郎

    渡邊参考人 クラブ法人問題についてはかねがね御指摘もございまして、現在中央競馬会としてこれらのクラブ法人の実態については把握に努めまして、かつ競馬公正確保のためにこうした法人からの誓約書等もとって対処いたしております。  具体的には、まずクラブ法人の代表者は当然馬主でございますので、馬主登録という形でそうした問題のある方は当然排除される。さらに、私ども匿名組合であります愛馬会の方の代表者についても、これに準じた指導として行っております。  ただ、御指摘の点は、あるいはその愛馬会の会員の中に問題の方がいたときにどうかと。私ども、直接的にそこまでを直ちに排除するということが非常に困難な面があろうかと思います。むしろ、匿名組合の一つの会員になるということについてはそれぞれの立場でなされておりますが、競馬公正確保という点で、私どもは現在代表者までの指導はいたしております。  ただ、今後の問題として、こうした点について、今先生おっしゃるような暴力団関係とかそうしたことがこの愛馬会を通じて支配的になるようなおそれのある場合には、これを排除できるようにしなければならないと考えております。少し話が広がりますが、先ほどお話のありましたこれからの審査会におきまして、馬主登録の基準なりも考えてまいりたい。その際に、クラブ法人のあり方を私どもとしてはもう一度再検討いたしたい、このように考えております。
  35. 前島秀行

    ○前島委員 要するに、クラブ法人登録は愛馬会の代表者まではできますよね。それから先はできないのですよ。これははっきりしている。排除して、訴訟されたら負けることは間違いない。そうすると、クラブ法人そのものをやめるかどうかということにぶつかってくるわけですね。  クラブ法人というのは、競馬会にとって競馬会そのもののすそ野を広げるという意味で、私は必ずしも否定をしない。だけれども、要するに本当に競馬というものを安定、定着をさせ、健全なレジャーとしてあるいはスポーツとして提供するんだ、そこにウエートを置くかどうかという、そこにかかってくるんですよ。だから、要するにそういうものが排除できない、訴訟してもだめだということになったならクラブ法人そのものをやめるくらいの決意がなければ、私は、中央競馬あるいは競馬というものが国民的に認知されないし、健全なレジャーとして定着をしない、こう思っているのですね。ここはひとえに中央競馬会なりあるいは政府姿勢にかかっている、私はそう思います。だから、今クラブ法人をやめるのかやめないのかと言ったって答えが出てこないと思うからそれ以上言いませんけれども、そこは農林省、政府中央競馬会姿勢にかかってくるのです。このことだけは言っておきます。  それから登録料の問題です。これもかなり議論があるし、重要な問題だろうと思うわけで、そこで登録料に対する認識、どういう認識なのか。あるいは今回引き上げの根拠は一体何にあったのか。あるいは今度登録料を引き上げると、いろいろな角度で効果もあるし影響もある。特に、生産者にも影響する部分も出てこないとは限らない、私はこういうふうに思うわけであります。そういう面で、登録料に対する認識と、今回引き上げた根拠はどこに置いているのか、それを引き上げることによる効果と影響というものをどうとらえているのか、政府の方に聞いておきたい。
  36. 岩崎充利

    岩崎政府委員 特別登録料でございますが、この制度は、競馬成立の歴史から見ますと、その初めにおきましては、馬の所有者が相互に自己の馬の出走する競走に金銭を出し合って優勝を争ったというところから由来してきているわけでございますが、我が国におきます現行の特別登録料制度というものは、優秀な種馬なり繁殖用の雌馬を選定するために、特に重要な位置づけがなされるレースにつきまして馬主が相応の負担をしてもなおそのレースに出走させたいと思います馬を集める、またそのレースへの馬主の出走意欲を高めるということのために、通常の競走に出します賞金とは別に付加賞を、その競走で優秀な成積を残した馬に交付するということでございます。  この特別登録料を引き上げた理由、根拠ということでございますが、先ほど申しましたような形の中で特別登録料の上限の算定でございますが、これはやはり自分の馬を出走させることによりましてその競走から得られるであろう、馬主が期待し得る賞金の額というものを勘案いたしますとともに、諸外国の特別登録の水準というのも考慮するのが適当であろうというふうなことで、今回引き上げに踏み切った、こういうことでございます。
  37. 前島秀行

    ○前島委員 競馬会に伺います。  この登録料の制度をどんなように考えているのか。ヨーロッパで言うと賞金額の一%から三%ぐらいという形でいくのか、あるいは一定の額でいくのか。ここでよく議論になっている出走手当との兼ね合いの問題がありますな、それを最低下回らないようにするのか等々いろいろ方法があろうと思いますけれども、今度登録料を上げたけれども、その登録料制度の運用の原則といいましょうか方向をどういうふうに中央競馬会考えているのか。
  38. 渡邊五郎

    渡邊参考人 特別登録料については、もう御案内のように、かねてから上限一万円程度が時代にそぐわないということで、今回改定させていただくわけでございます。ただ、諸外国におきましては、この特別登録料、ステークスマネーが実際に賞金の大部分を構成するような形になっておりまして、我が国ではこれは賞金と別途の付加賞という形でされておりまして、多少歴史的な違いはございます。  今回、一万円が三百万円まで上限が引き上げられましたが、直ちにこれを大幅に増額するかどうか、私どもまだはっきりした方針をつくっておるわけではございませんが、段階的に引き上げて適正な水準に持っていきたいと考えております。お話にあります出走手当なりそうした問題も当然考慮の中に入ろうかと思いますが、何しろこれまで一万円というようなことで極めて低額なものになっておりましたが急激に増額するわけでございますので、関係者意見も十分聞いて適正な額へ近づけるようにしていきたい、こういうふうに基本的には思っております。
  39. 前島秀行

    ○前島委員 要するに、登録料は単なる手数料だという認識は、これは改めるべきだろうと思うし、同時にこの登録料の改正、値上げがレースの充実になるようにどう工夫するかということだと私は思うわけなんで、そこは十分検討をしてもらって、何のための値上げだったのかと後でまたならぬように十分検討をしてもらいたい。そして、値上げすることによってレースが質が落ちないように、あるいはいわゆる登録漏れの救済だとか、あるいは最終登録をもっと近づけるとかという工夫を十分してもらって、いずれにせよその登録料というものがレースの充実につながるという点を十分考慮をしてしっかりやってもらいたいということを、要望としてお願いをしておきます。  その次に、控除率の問題でございます。それと端数切り捨ての問題。これはファンの皆さんから見れば非常に強い要望があった。同時に、片や地方競馬その他公営競技との兼ね合いの問題もあって、いろいろな議論の末、二五%の控除率そのものは据え置いた、あと単複の方で五%を入れたという過程の努力については私は評価はするし、一つの大きな壁を被ったのだろうなという点は評価はするのですけれども、やはり基本的にはまだここは、これで単複をあれしただけでもって私は解決しない、こういうふうに思います。  端数切り捨てだって、そうです。年間端数切り捨てだけで百億円になる、こういうわけでしょう。要するに日常、つり銭詐欺に遭うのですよ。言葉は悪いですけれども、つり銭もらえないのですから、つり銭詐欺に遭うのですよ。その結果、百億円も詐欺されるわけですよ、買う側から見れば。言葉は悪いですけれども、現実にはそうでしょう。そうだろうと思うのですよ。これは、法律があるんだからそれはできないんだ。今どきコンピューターができる段階に、そこは法律があるから、その他との兼ね合いがありますからできません、百億円政府の名において、国の名において、法律の名において詐欺をさせてもらいます、こういうことですからね。ここはそのとおりだろうと思う。文句言えないと思うのですね。  したがって、この辺の問題については当面の問題として、他の競技との兼ね合いがありますけれども、私はもっと工夫がなかったのかなという点なきにしもあらずなんであります。  そこで一つ聞きたいのですけれども、単複の方で「当分の間、」となっていますけれども、この「当分の間、」という意味は一体どういうことなんですか。一年か二年かでやめるんですか、その辺のところを。
  40. 岩崎充利

    岩崎政府委員 明確に期間を定めるということではございません。それで、「当分の間、」というふうに措置した理由といたしましては、単複を今回特別給付金ということで上乗せするという形になりますが、ファンの利益還元の一つの方策として特別給付金制度の実施を行うということでございますけれども、やはり主催者の収益にも影響してくるということでございまして、主催者の収益なりあるいは他種競技の売り上げ等に対する影響というものもございますし、またそれぞれの投票法がございますが、その投票法の間でのファンのシフトの状況がどうなるか、また、ファン還元のあり方としての評価の程度というようなものをこれから十分フォローしようということのために、「当分の間、」とした次第でございます。
  41. 前島秀行

    ○前島委員 これは法律改正事項で、また同時に他への影響があるのでそう簡単なことは言えないと思うけれどもファンサービスという観点から見れば、これはついて回ることなんです。したがって、本来「当分の間、」などとあいまいにしておくこと自身、双方に問題があると思いますね。上げられることに問題と思っている他の公営競技の方もあるし、ファンの側から見れば「当分の間、」だからまたいつもとに戻るかわからない。法律改正があるから、こう言えばそれまでのものですけれども。この問題は、いずれにせよ今後もかなり議論があると思うので、引き続き工夫の余地をぜひ検討してほしい、こういうふうにお願いをしておきます。  その次に、益金の問題で、使い道の問題です。使途を拡大等とありますけれども特別振興資金について聞きたいと思っておるわけですけれども、現在も国庫に納める中に四分の三が畜産、四分の一が社会福祉関係という原則がありますね。それと、中央競馬会自身が環境整備という名のもとでいろいろな補助事業をやっておる。あるいは外郭団体の中央競馬福祉財団がありますね。これはもとをただすと、要するにみんな競馬の益金が回り回って行っているわけですね。これもいろいろな議論のあるところだと私は思う。その使い道について、使い方についていろいろな議論があるところだと思うのです。  そうすると、今回特別振興資金をつくってやる、私は従来やっているものの屋上屋を重ねるような形になるような気がしてならないわけなんです。その辺の、従来の各種の中央競馬会なり外郭団体がやっている補助事業あるいは福祉事業との兼ね合いは一体どう調整するのかしないのか。あるいは、私は、どことは言いませんけれども、こうい誤解を招いている部分があるのならこの際整理をう形で特別振興資金という形を設けてやるとするなら、従来の各種あるものについて整理をする、誤解を招いている部分があるのならこの整理をしてみる、こういうことも必要ではないか、こういうふうに思っているわけなんです。そういう面で、今度の振興資金をつくってやるんだけれども、今までとの、その他の現在やっているところの関係について、ちょっと政府の方でまず説明してください。
  42. 岩崎充利

    岩崎政府委員 特別振興資金関係でございますが、競馬会はこれまで、競馬の開催等によりまして競馬場周辺の交通が混雑するなどの影響を受けている市町村に対しましては、また道路整備その他の周辺の環境の改善を図るために必要な資金を拠出してきたということがございます。  これは競馬を開催することに伴い生ずる影響に対しまして競馬会が対応してきたというものでございまして、今後も競馬事業を行う以上はこれは当然やらなければならない事業であろうというふうに考えている次第でございますが、今回特別振興資金を設けてこれを活用するとしたのは、現在の剰余金の発生の状況などから、これを有効活用するということで、一般の予算で行うにはその事業規模の大きさとかあるいは費用の額から見てなかなかなじみにくいというものを対象にしたいということでございまして、対象事業は、このような剰余金という余裕がある場合に初めて実施するというような事業考えているということでございまして、競馬車業を行う以上、当然実施されなければならないこれまでの環境整備事業というものとは区別して実施するということにいたしたいと考えております。
  43. 前島秀行

    ○前島委員 従来やっているものと屋上屋を重ねるような形、結果としてばらまきにならないように、私はそこのところはちゃんとしてほしい、それは中央競馬会の方にも要請をします。  それと、そういう面で特別振興資金の規模だとか、あるいは畜産振興にする、こういうわけなんですから、その対象事業だとか、あるいはそれはどういう手続でするのか、その辺のところを説明してほしいということが一つ。  もう一つ、これは政府にお願いをしたいわけですけれども、いわゆる三十六条との兼ね合いの中で、法律でははっきり、四分の三が畜産振興、四分の一が社会福祉、こうなっているわけですね。今回マスコミでも取り上げられましたように、五百二十億、湾岸資金九十億ドルの中に入っているわけでしょう。三十六条の畜産振興社会福祉と、湾岸の九十億ドルの中の五百二十億、これは一体どういう関係があるんですか。  こういうのが現実に行われているんですから、今度の特別振興資金も、あるいは第一項の国庫納付金の使途の拡大というものは何に使われるかわからないということになるわけですね。そこを心配するわけなんです。したがって、これは政府なり農林省なり中央競馬会に、本当に三十六条に沿ったような形でこの益金というものが使われるように責任を持ってほしい、ちゃんと追及をしてほしい、この要望、そのために今度新たにつくる特別振興資金の規模、対象事業、どういう手続、中央競馬会と役所、農林省との関係は一体どうなっているのか、その辺のところについて具体的に、明確に説明してほしいと思うのです。
  44. 岩崎充利

    岩崎政府委員 特別振興資金でございますが、これは大きく分けまして二つの使途があると思います。一つは、競馬場周辺地域の住民とか、あるいは競馬場入場者の利用に供する施設の整備とか、その他の競馬の健全な発展を図るために必要な業務に使うというものが一点、それからもう一つは、畜産振興事業に資する、あるいは畜産振興に資すると認められる事業ということでございまして、いずれにいたしましても手続的には農林水産大臣の認可を受けるという形にいたしましてやっているわけでございます。  また、振興資金の経理というのは、一般の経理と区分した上で財源として扱うという形ではっきりさせたい。また、その規模等でございますが、実はこれは、収益全体として剰余金がどのくらい出るか、またその剰余金の中から、例えば競馬会の方で支障がない範囲ということになっているわけでございますので、設備投資等にどのくらい要りまして、またいろいろな形の中で損失てん補等々にもどのくらい要るかというような形、どれくらい特別振興資金対象が出てくるかというふうなこと等も見ながら、具体的には政令で毎年定めていくという形にしているわけでございまして、現状でどのくらいの規模ということまでなかなかまだ、これから十分検討していきたい、こういう形でございます。
  45. 前島秀行

    ○前島委員 大臣、答弁は要りませんけれども、要望は、競馬がこれだけになって、これだけの額が国等々に入ってくるわけですね。これを有効に使うということは大切なことだと思うのです。運営もさることながら、大切なことだと思うのです。それをちゃんと、金を出す、いわゆるファンの側が納得するような運営をするということが、そもそもの競馬がどうなるのかということに通じてくるだろうし、また、最初に言った三つの目的の達成とも裏腹の関係にあるのでありますから、ぜひここは大臣、使い道を正しくさせる、これは中央競馬会の使い道も含めてきちっと指導監督をしてほしい、これは要望をしておきます。  その次に、場外馬券の問題です。これは私は、これからの競馬のあり方、要するに大衆、一般国民との接点ですから非常に重要な問題だろうと思います。そして、現にこの場外馬券売り場の設置の問題でいろいろ地域に紛争が起こっていることも事実だろう、こういうふうに思います。あるいは、現にできている馬券売り場の周辺の皆さんとの間のいろいろなトラブルも現に起こっている、こういうことだと思うのです。これは政府として、あるいは中央競馬会として今後どういう競馬にしようとするのか、また国民にどういう理解を得ようとするのかという意味で一番大事な点だろう、私はこういうふうに思っています。  そこで、基本的に今後もふやそうとしているのか、あるいはもうやめるのか、やめてパソコンだとか何かのような在宅投票という方にウエートを置こうとしているのか、この基本的な場外馬券売り場についての政府考え方をまずお伺いしたい。
  46. 岩崎充利

    岩崎政府委員 場外馬券売り場の設置でございますが、遠隔地ファンのニーズにこたえるものであるとともに、のみ行為の防止の上で効果が期待できるというような形の中で評価される面がありますが、一方でこれは周辺住民の生活環境に影響を及ぼす面があるということ等がございますので、私どもといたしましては、地域社会との調整を十分行った上で実施するということで指導しているところでございます。
  47. 前島秀行

    ○前島委員 要するに、基本的にふやそうとしているのですか、それとももうふやさないのですか。逆に、今言っているようなパソコンだとか云々でそっちの方でもってやろうとしているのか。というのは、今の場外馬券売り場は売るため以外の何物でもないと私は思う。売らんとしよう、売上額をふやそうとしている以外の何物でもないだろうと私は思うのですよ。これじゃどんなにふやそうと思ったってふえない。  それから、現に私たちも多少かかわった岡山だとか、今起こっているそれぞれの地域の紛争ということになると、中央競馬会姿勢にも問題があると私は思う。今のやり方にも問題があると思う。本当に積極的に場外馬券売り場という問題を国民に理解してもらうという努力をみずから飛び込んでいってやろうとしないんじゃないですか。今はだれかが誘致するのを待っているんじゃないですか。そこが地域的にどうであるのか、全体のバランスがどうであるのか、地方競馬会との関係がどうであるのか、あるいは他の公営競技との関係がどうであるのかということで、だれかが誘致するのを待っているんじゃないですか。話がまとまれば多額の融資、二%の低金利の融資を出しているんじゃないですか。そして、できたところは世間の周辺の家賃より高く中央競馬会が借りてやっているのが現状の場外馬券売り場の運営じゃないですか。そこに基本的に中央競馬会も問題があると私は思うのです。それを許している農林省も問題があると私は思う。だから次から次に場外馬券売り場の問題が出てくると私は思うのですね。  これはこれからの中央競馬会のあり方、競馬全体のあり方にとって重要な大衆国民との接点ですから、こんな安易な姿勢では困ると私は思う。やはりどこにつくるかという基準、つくるとするなら基準を設けるだとか、あるいはあり方としてどういう機関に責任を負ってもらうだとか、一定の基準だとかあるべき姿だとかというものをぴしっと整理をしてやらなければ、どんどん問題が起こってくる。  しかも岡山のごときは、一番市民との接点というのは、要するにブローカーにやらしているわけでしょう。一番嫌なことは中央競馬会は後ろへ下がっているわけじゃないですか。そして地域がごちゃごちゃになって、その地域が真っ二つに割れて、子供までそのけんかに巻き込まれている、こういう現象が起こっているのでしょう。私はそこで非常に中央競馬会姿勢も問題があると思う。それを許している農林省も、役所も重要な問題だろうと私は思う。そういう面で、今後の場外馬券売り場のあり方の問題については抜本的に検討しなければいかぬだろうと思うのです。その辺のところをぴしっと政府なりあるいは中央競馬会の方が姿勢を示してほしい、基本的な考え方を示してほしいと私は思う。
  48. 近藤元次

    近藤国務大臣 場外売り場の問題では、過去幾つか全国的に問題を惹起してきておることは承知をいたしておるわけであります。  先ほど局長から答弁いたしましたように、ファンサービスなり、のみ行為なりの防止ということも一面あるわけでありますし、もう一つは、中には地域振興地域から要請があるということもございます。  さて、これからどうするかということになると、在宅馬券が購入できるような傾向というのも一つはそういう意味の役割を果たすわけでありますけれども、ただ、地域振興というのは在宅ということになるとかかわり合いが薄いという状況でもございますので、将来ケース・バイ・ケースということもありますが、それに対応する一つの物差しは何かということになりますと、従来は町内の同意を得るという形をもって地元了解というような判断をしてきたようでございます。  先生ほど私は競馬に知識がないものですから十分な答えになるかどうかわかりませんが、この辺は競馬の内容ではない、一つの政治判断の問題でもございますので、私から答弁をさせていただきたいと思うわけでありますけれども、要は、町内とは何ぞやということにもなりますし、町内以外に公的施設というものが近隣にあるというような環境もございますし、そういうものが町内の同意に参加しておるかどうかというような問題も種々あろうかと思うわけでありまして、私の方から一つの基準を考えるべきだ、病院からはどうとか学校からはどうとか、あるいはいろいろな基準を、物差しをつくっておかないと一つのガイドラインというものができないし、ただ、一部の人たち場外馬券売り場をつくりたいということだけであってはいけないことで、これだけ競馬大衆化して、ファン女性にまで至る、女性にまでと言うとちょっと言葉が悪いかもしれませんけれども若年層にまで至るという状況でもございますので、大衆にそういうことで信頼を失うということは、長期的に見ると競馬そのものに対する安定的な運営にも支障が出るということにもなりますので、そういうことについてうちの局長も監督課長も十分な知識がないので、若干有識者から研究、検討会を持たせていただいて、どういう点で基準を設けるかということの研究を少しさせていただきたいと思って、今事務当局に指示をいたすつもりでございます。
  49. 前島秀行

    ○前島委員 大臣がそこまではっきり言ってくれたので非常にありがたいと思うのです。やはりぴしっとした基準、ルールみたいなものを含めてぜひお願いしたいというふうに思います。  基本的な問題は大臣が答弁してくれたからそれでいいのですけれども、ひとつ地全協の皆さん、例の中央と地方との共存共栄との兼ね合いの問題で、地方競馬施設を相互利用したらどうか、場外売り場で相互利用したらどうかという意味で、地全協の皆さんの御意見はどうかということが一つ。  それから、中央競馬会の例のパソコンの問題です。これも僕から見ると、売り上げを上げたいがためのあれじゃないかなと思わざるを得ない、あるいはなかなか外のあれができないもので在宅でやろうと意図しているという方向に思わざるを得ない。したがって、パソコンの影響ということは心配せざるを得ないと思うのですね。  そういう面で、その点を中央競馬会の方に聞きたい。地全協の方には相互利用の点についての意見、パソコンについては中央競馬会意見
  50. 大場敏彦

    大場参考人 この件につきまして主催者の意見をまだ改まった形で聞いたわけじゃございませんので、今断定的なお答えは差し控えさせていただきます。  しかしながら、地方競馬サイドといたしましては、場外の立ちおくれというところを痛感しておりますから、でき得るならば新しい場外をつくるよりは中央の、既設の場外を空閑のときに限って利用させていただきたいという希望を持っているわけであります。  その際に、今先生から御指摘がありましたように、それじゃ地方競馬場を中央の場外発売所として活用する考え方はどうかというような考え方も出てきているわけであります。ありますが、一般的に言いまして、一般論としては中央競馬馬券地方競馬場で売りますればそれだけ手数料収入も主催者側に入るし、あるいは集客効果があって地方競馬の本来の馬券売り上げ増にもつながるのではないか、こういう期待感があるということも事実であります。  しかし、また一方、大勢の意見としては、同じ商品の質を見ますれば、残念ながら地方競馬の方が劣っているというのが現実だろうと思うのです。そういう意味からして、地方競馬ファンの金が中央競馬の方に流れてしまうのではないだろうか、あるいはひさしを貸して母屋をとられてしまうのではないだろうか、そういう懸念がかなりあるということも事実であります。  それから、主催者だけの問題ではなくて、地方競馬の廐舎関係方々、つまり調教師とか騎手、廐務員の方々、それから馬主、生産者とかの方々に与える影響もあわせて考える必要がある、こういう御議論もございます。  それからもう一つは、当該競馬場だけではなくて、その競馬場でそういう事業を始めた場合に、それに近接する競馬場がどういう影響を受けるかというようなことも一つ考えておかなければならない側面だろうと思うわけであります。  いずれにいたしましても、この問題は一般論よりは個別具体的にいろいろ検討しなければならない側面がございますので、もうしばらく検討させていただぎたいと思っております。
  51. 渡邊五郎

    渡邊参考人 先生から、ただいまパソコンによります在宅投票方式について御質問がございまし た。  現在、電話投票によりますのは二十四万人程度、中央の処理能力あるいはそれぞれ加入の方の負担等を考えますと、より負担が軽くて、かつ、より処理能力があるパソコン、ファミコン等を使用した方式の導入を図りたい。ただ、私どもは売らんかなというようなつもりはございませんが、今電話投票に対する加入希望は極めて多い。ただ、最近の状況は限界に達しておりまして、抑制しておりますけれども、なおこれに対する御希望もございます。  そうした点で、こうした方式を導入してはどうかということで、この四月から千五百人のモニターによりまして今実験的に実施しております。ただ、これにつきまして家庭内にいろいろこうした投票行為を持ち込むということがございますが、この場合にはROMカードという特殊な専用のカードも使いますので、私どもむしろ電話投票よりも、そうした点での影響は少ないのではないかと思いますが、なおモニターの様子を見まして、そうした御懸念のないように努めたいと思っております。
  52. 前島秀行

    ○前島委員 これは時間もありませんので、また私、最後の総括のときに基本的な方向とか姿勢の問題でもう一回ただしたいと思うのです。  ちょっと、一、二、確認をしておきたいのですが、例の二条、三条との兼ね合いの問題で、競馬場の数と中央競馬会の開催日数、三条との兼ね合い、これは政令で落ちているのですけれども、どうするのか、これが一つ。  それから、地方競馬の方の関連で交付金の一号、二号の問題がありますね。一号の方は千分の〇・五下げるということになっていますね。二号の方はどうするのか。これは省令事項、別表の方の問題ですけれども、これをどうするのか、説明要りませんから、こうこう、こうすると、時間がありませんから答えてください。
  53. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず、前段の競馬の開催回数等でございますが、今後状況に変化がない限り、現状以上に競馬の開催回数をふやすつもりはございません。  また、二号交付金の問題ですが、現在引き上げるということで検討いたしております。
  54. 前島秀行

    ○前島委員 地方競馬その他との関係がありますから、競馬場の数それから開催日数は、厳に現状は最低維持をしていく、この努力は明確にしておいてほしいと思います。  それから、地方競馬の自治体あるいは地全協の運営等々の財政上の問題がありますから、その辺のところは一号、二号含めて十分それぞれの皆さんが運営ができるように、それにかかわっている人たちが十分身分保障、経済保障ができるような点を考えてください。  最後に、大臣、私、まだ質問したいことがいっぱいあるわけなのでありまして、中央競馬会を含めた全体の競馬が健全なレジャーとして発展してほしい、そのことが目的の財政の確保にも通ずるし、あるいは畜産振興になる、こういう形だろうと私は思う。今回の法改正法改正で、私はいいとします。しかし、これですべてが解決するのじゃないのです。この法改正というのは、全体の競馬のあり方の問題を含めて、ごくごく一部の問題なんですね。そして、競馬が本当に安定していくためには、まず公正の確保をするということ、レースの充実を図るということ、これが同時にまた最大のファンサービスにもなるということですね。そしてまた、いわゆる競馬サークルというのですか、これもいっぱい問題があります。廐舎制度の問題、あるいは国際化が来るけれども一体どうするのか。これはすぐ間近に来ますよね。米と違いますよね、米は自分でつくるけれども、馬は向こうの方から買ってきているのですから、これもすぐ来る。国際化にどう対応するのかなど、いろいろ問題がある。厩舎内部のサークル間の近代化の問題、いっぱいの課題があると思うのです。  だから、今度の法律改正で、はい、ここで一丁上がりということになってくると、私は三兆円が必ずおっこちて基本的な問題になってくるだろうと思うのです。そういう面では、今回の三十年なんというのはほっておき過ぎた。それでもやったからいい。しかし、法は改正したから、あとの、先ほど言ったコースの公正を欠く問題だとかレースの充実を図るとか廐舎問題、国際化の問題、馬主制度の問題を含めた競馬サークルの近代化の問題なども一緒にやらなきやだめだと私は思うのです。  そういう面で、まず政府大臣の方から、今後の問題として必要があれば法改正をする、具体的な日常ワークとしてほっておかないで、中央競馬会関係者にちゃんと改革を命ずる、監督するということがないと、これだけ進んできたものが一遍にひっくり返ってしまう、しょせんはかけごとですからね。  そういう面で、最後に大臣基本的な考え方、これからの指導の方向を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 近藤元次

    近藤国務大臣 きょう午前中の、委員競馬協会なり政府委員との質疑をいろいろ聞かせていただいてまいりましたし、私は、この法改正に当たりましても、競馬の益金をもって少し広域的に拡大をしていこうというふうなことでありますから、内部に問題点がないかということで、私なりに少し勉強させていただいたりしてまいりました。  自転車あり、ボートあり、ほかの公営競技との横並びという関係もここに存在することはもう先生御案内のとおりでありますが、当面の競馬のかねてからの問題をひとつここで法改正改正させていただいて、引き続きさらにやらなければならぬ一、二を、今先生からも国際化の問題なり、また内部の改善なり、そういう問題等先生は過熱だと言いますけれども、それは見解の相違が若干ありますが、しかし、せっかくの一千万人を超える人たち競馬場においでをいただくという人たちを含めて、あるいは推定すれば一億人にもなろうかという、こういう延べ日数における競馬ファン皆さん方競馬運営上の信頼を回復するためにも、いろいろな課題があろうかと思いますので、引き続きまた公営競技全般の中で解決をしていく問題として検討させていただきたい、こう考えております。
  56. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  57. 大原一三

    大原委員長 有川清次君。
  58. 有川清次

    ○有川委員 今前島委員の方から、基本的な問題や論議がなされました。三兆円産業に発展をしてきたこの競馬をより公正にという面を含めて改正案が出されておるわけですが、私も競馬のことはよく知りませんので、しかし勉強すればするほどまだかなり問題が残っているということも痛感しながら、ぜひそうした面の改善を、これを機に今後努力されることを期待しながら、競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案について質疑をいたします。  特に、私は地方競馬の生産地にいるという立場でございますので、軽種馬の生産対策、特にアラ系の生産対策や農家経営の安定対策と、アラ系の競走馬が多く出場している地方競馬振興を中心にして考え方をお聞きしたいと思います。  まず第一点は、アラブの生産状況ですけれども平成二年の統計を見てみますと、全国の軽種馬の生産頭数は一万一千七百五十一頭でありまして、そのうちサラ系が八割、アラ系が二割であります。昭和四十年以前にはアラブが半数以上、三千五百頭以上占めていたわけでありますけれども、生産者に言わせますと、サラ系に比べて飼養管理が非常にやりやすいということでもありますし、今でも北海道から鹿児島まで全国に広く飼われているところであります。このように全国で飼われているということは、一般の人に馬に親しむ機会を多く与えているということでありまして、馬事馬産の振興に大変大きな役割を果たしていると理解をいたします。また、現在のアラブは長い間の品種改良の結果であるわけで、このことを考えますと、このまま資源を衰退させるわけにはまいらないと思います。さらに、アラブの存在意義についていいますと、地方競馬の方はアラ系の競走馬がないと成り立たない、こういう状況でもあろうかと思います。  アラブはこのように重要な馬資源である、それにもかかわらず生産が減少し続けているのが今日の現状だと思います。農林水産省も中央競馬会も、アラブの生産対策にどうも消極的であるのではないか、サラ系の生産にばかり目が向いているのではないかと言わざるを得ない、そんなような状況を感ずるわけです。  そこで、畜産局長にお伺いしますが、アラ系の生産は全国の生産地においてどのような役割を果たしているとお考えなのか、またアラ系軽種馬の生産振興について、基本的な考え方をまずお答えいただきたいと思います。
  59. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず、アラ系の生産が生産地に果たす役割でございますが、アラ系飼養を主体とします農家の飼養規模を見てみますと、一から五頭規模のものが約七三%を占めているということで、非常に飼養規模が小さく、また、東北、九州地区ではアラ系の飼養主体の農家が多いということでございます。これは、この地方の土地面積に制約があるということとあわせまして、アラ系の方がサラ系よりも、先生先ほどお話しになりましたが、非常に丈夫で飼いやすい。また、投資が少なくて済むということ等からでございまして、これらの地域の飼養農家を支える非常に重要な役割を果たしてきているところでございます。  一方、生産されましたアラ系の大部分は、施設規模で制約等があります地方競馬活用されている、地方競馬を支えるまた重要な役割を果たしてきているということでございます。  生産振興基本的な考え方でございますが、私ども、このようなアラ系主産地の飼養農家を支えている役割なり、地方競馬を支える役割ということ等から、今後とも地方競馬の安定的な発展を通じて需要の安定を図るということが一つございますとともに、関係団体との連携のもとにいろいろな施策を講じながら、アラ系の生産経営の安定というものを図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  60. 有川清次

    ○有川委員 このアラ系が非常に減ってきつつある。また、私の地域でも、鹿児島でも勢いサラ系に向きがちな状況で、非常に無理をしておるという状況があるのですね。そこの隘路を、もっと生産対策をきちっと実行されなければ競馬がやれないわけですから、そういう意味で、もう少し具体的に積極的な御意見を、考え方を聞きたいと思うのです。
  61. 岩崎充利

    岩崎政府委員 アラ系の生産対策等々でございますが、これはサラ系も含めた軽種馬生産対策というような形の中で実施していることでございまして、国といたしましては、団体営草地開発整備事業を通じた草地開発等に対します助成、それから農業近代化資金や農林漁業金融公庫資金等の各種制度資金の貸し付け、それから家畜伝染病予防事業を通じた馬の伝染性貧血症の予防というような形の対策を講じているということでございますが、またこれは中央競馬会助成といたしまして、生産者団体であります日本軽種馬協会の種馬場に優良種雄馬を配置して、低廉な種つけ料による改良の促進なり、生産者等が広く利用できる育成施設の整備というようなこと等、軽種馬育成環境の整備を行っておりますし、また軽種馬改良情報のデータバンクの作成というようなこと等をやっております。  ただ、アラ系のみの対策ということでございますが、日本中央競馬会によります、これはアラ系につきまして抽せん馬の購入というようなこと、また育成、配付を行っているということのほかに、地方競馬全国協会では、日本軽種馬協会に対しましてアラ系種雄馬の購入に対する助成ということも行っているというようなことでございます。
  62. 有川清次

    ○有川委員 今、生産対策についてお答えがあったわけですが、アラブの馬生産対策として、また、アラ系の馬を飼っている農家の経営対策として、国または中央競馬会あるいは地全協はどんなことをしているかということですが、そう胸を張って言えるようなことは余りないような気がするわけですね。  今、抽せん馬制度があるということでありましたけれども、市場取引の百四十頭ぐらいですね。二流ですよね。そういうものを、これは馬房つきでありますし、生産賞があるという、具体的にはこの程度のことでしかないのじゃないかと思うのですが、アラ系などで、今言われたことのほかに、もっとやられていることがあれば、お答えください。
  63. 岩崎充利

    岩崎政府委員 大体、ただいま申し上げたような対応策をとっているということでございます。
  64. 有川清次

    ○有川委員 また後でちょっと触れますが、今回の制度改正では国庫納付金の使途の範囲を拡大して、また中央競馬会は新しく交付金の交付事業を行うということになっておりますけれども競馬の成り立ちからいたしますと、競馬収益の使途を考えるときは、いつでも馬匹振興、馬産振興という産地対策を忘れてはならないというふうに思います。生産地、特にアラブの生産について、そうした産地対策をどう対処されようとしているのか、畜産振興に資するものに必要な経費を追加するなどあるわけですが、その辺のことを含めて、もう一回お答え願いたい。
  65. 岩崎充利

    岩崎政府委員 若干繰り返し的になりますが、アラ系生産対策につきましては、一つ地方競馬の安定的発展ということを図ることによってアラ系の需要を確保することが非常に重要だろうというふうに思っておりまして、これはまた、ひとつ地方競馬の安定的発展のためのいろいろなことも考えていかなければならないだろうというふうに思っておりますとともに、改良の推進なり草地基盤の整備なり、各種制度資金による経営基盤の強化とか、またいろいろなことも考えているということでございますが、またアラ系の優良種雄馬の導入促進によります資質の向上や生産技術の向上とか、あるいは改良情報の提供等によって、アラ系飼養農家の生産経営の安定というものを図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  66. 有川清次

    ○有川委員 それじゃ、今度の、国庫納付金の使途の範囲を拡大しという改正の中では、具体的には、新しくこれを生産について対処するというのは、新しいものは具体的にはないのですか。
  67. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の法律改正との関連でございますが、現在考えておりますことにつきましては、競馬の健全な発展あるいは畜産振興に有効に活用していくということが適当であるというものについて特別振興資金で手当てをするということでございますが、これは具体的にどのようなものを対象とするかということは今後検討すべきものでございますが、アラ系生産を含みます軽種馬の生産対策ということは、これは競馬の健全な発展につながるということと、また畜産振興にも資するということになりますので、この資金対象となり得るものでございます。  ただ、どういうものをどういうふうにするかということにつきまして、また必要に応じまして今後検討していくということであろうというふうに考えておる次第でございます。
  68. 有川清次

    ○有川委員 それじゃ、次に、中央競馬会の交付金交付事業ですけれども、この仕組みは、畜産振興等に助成することを業務とする法人に交付金を交付するということになっております。これからしますと、助成する既存の団体がないと競馬会の交付金は流れないということになると思いますが、アラブ系種の生産に現に助成している団体があるのかどうか、また、改正法によってアラ系の生産対策に交付金が交付されるか否か、その辺のことをお答え願いたい。
  69. 岩崎充利

    岩崎政府委員 特にアラ系にだけ限って助成している団体というものはございませんが、軽種馬生産経営の安定等のために、優良種雄馬の全国配置による低廉な価格での生産農家への提供とか、あるいは血統、競走成績など改良情報の提供とかそういう形の中で、日本軽種馬協会というものがございます。  それから、主にアラ系育成者を会員として馬の飼養管理とか育成技術の改善のための研修会の開催とか育成馬の家畜市場の開設、運営等を行っている団体といたしまして、競走馬育成協会というものがございます。
  70. 有川清次

    ○有川委員 日本軽種馬協会は、サラ系について、例えば種の場合ですが、無料で交付金を支給、安く種つけができるという仕組みがあります。アラ系もやるべきと思うのですが、これはないですよね。それはどうなっておるのか。  それから、あわせて鹿児島県の大隅町岩川に、種馬がサラ、それからアラブの二頭ずつがおるわけですが、それに民間が五頭ぐらいおります。しかしながら、その優良性の問題について飼育者としてはあまり期待を持てないということで、わざわざ北海道まで種つけに行くようなコストのかかることをしておるわけでありますが、昔は外国まで行ったそうですけれども、こうした場合に、アラ系種の種雄馬の確保、配置など、どのように考えていらっしゃるのかというのが一つ。  それからもう一つは、畜舎の改善なのですけれども、生産と育成を主にされておるわけですが、長期低利融資資金では、さっきお答えがありました公庫資金とか近代化資金、こういうのが従来からあるということで言われておりますけれども、現地に聞いてみますと、融資がほとんどできてない。そういうのがあれば私たちも畜舎の改善をして環境をよくして、いい馬の生産をもっとばっちりやりたいという希望をどこに行っても生産農家は言われておるわけですが、その辺のことについてどう考えていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  71. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず種雄馬の配置の問題でございますが、アラ系の種雄馬の確保に当たりましては、これは中央競馬会はやっておりませんが、日本軽種馬協会に対しまして地方競馬全国協会が助成をしております。アラ系の種雄馬は今まで六十四頭が購入されておりますが、現在、全国の主要生産地十三カ所に十六頭を配置しております。  鹿児島県につきましては、先ほどちょっと先生お触れになりましたが、二頭ほど配置いたしておりまして、ミスターローレルというのとニイムというのがございます。特にミスターローレルにつきましては、こういう種雄馬の中ではかなりいいのではないかというような評価も得ているような次第でございますが、いずれにいたしましても、優良なアラ系種雄馬導入等について、関係団体との連携のもとに、アラ系の優良種雄馬の導入促進による資質向上というものに積極的にまた努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、施設のための資金等々の問題でございます。軽種馬経営に対します長期、低利の制度資金につきましては、軽種馬の生産あるいは育成のための農地の取得とか施設等の整備や、また繁殖雌馬の導入に対しまして、先ほどちょっと申しましたが、農業近代化資金なり農林漁業金融公庫資金の融通を行っているということでございます。  こうした制度資金の軽種馬生産経営に対します貸し付け状況ということを見ますと、最近、貸し付け件数、金額ともに増加傾向ということでございまして、元年度では、農業近代化資金と農林漁業金融公庫資金の合計で十四億円ほどやっております。  それで、こういう制度資金活用ということによりまして、軽種馬生産経営の安定ということを図ってまいりたいというふうに思っております。  なお、先生指摘になりましたような特別振興資金活用した長期低利資金の融通ということにつきましては、軽種馬生産経営状況を見きわめながら、生産経営安定のための諸施策とか現行制度資金との調整等を考慮しつつ、これから必要に応じて検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  72. 有川清次

    ○有川委員 アラ系種雄馬の確保、配置について、なお一層努力をされるということでありますから、ぜひ御努力を願うことと、畜舎改善等やはり特別振興資金などを含めて、皆さんが本当に安定生産ができるような長期、低利のものを活用できるように、ぜひ真剣に御検討をお願いを申し上げておきたいと思います。  それでは次に、現在では馬の生産は競走馬の生産のために行われているのがほとんどですが、このために競走番組の編成が生産にまで大きく影響を及ぼしております。中央競馬でのアラ系の競走が大変少ないわけですが、アラ系の重賞レースは、百を超える重賞競走のうちわずか二レースしかないというのが今の現状ですね。地方競馬ではアラ系が多く使われているとはいえ、やはり中央でのアラ系の活躍の場がないと、迫力の問題もあるでしょうけれども、生産を次第に縮小していくという心配があるわけです。中央競馬の番組編成等に当たっては、このところも考えなければならないと思いますけれども考え方をちょっとお伺いしておきたいと思います。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
  73. 岩崎充利

    岩崎政府委員 中央競馬におきますアラ系競走でございますが、ファン馬主が世界の主流となっておりますサラブレッドによりますスピード競馬への期待感というものが強く、その魅力が薄れてきているということ等から、馬主からのアラ系競走の廃止についての要望が出ていることも事実ございます。  ただ、アラブは地域によりましては重要な産業ともなってきておりまして、生産者対策もあることから、中央競馬会といたしましては、先ほど申し上げました抽せん馬制度等を維持しつつ、できるだけ番組編成に当たりまして配慮してきているということでございます。  この問題については、現在生産者団体と日本中央競馬会と地方競馬全国協会におきまして、それぞれ検討が行われているところでありますが、生産者、馬主競馬主催者、ファン等の考え方に非常に隔たりがあるというのも事実でございます。なかなか早急に解決の方途が見出しにくい難しい課題でございますが、十分検討を行いながら、中央競馬におきますアラ系競走の今後の扱いについて検討していく必要があるのだろうというふうに考えておる次第でございます。
  74. 有川清次

    ○有川委員 アラ系の存在価値というのは最初お答えになったわけで、ぜひその辺を踏まえた検討は、前向きにお願いしておきたいと思います。  それでは次に、地方競馬の売上金の推移を見てみますと、昭和五十五年の七千九百七十三億円をピークにいたしまして、その後は減少してきておるわけでありますが、売り上げが伸びて平成元年度には八千四百九十一億円になっております。一方、中央競馬を見てみますと、地方競馬が不振であった時期も一貫して売り上げが伸び続けているわけでありますが、こうした地方と中央との違いというのはどこにあるということなんですか。  一番大きな問題は、地方公共団体競馬に対する姿勢の問題があるのではないか。例えば、地方公共団体には競馬を財源確保の一手段としてしか見ない面が非常に強くて、計画的にまた健全にこれを育成していくという考え方をとっているところは非常に少ないのではないかというふうに思うわけであります。  また、人の配置にいたしましても問題があると指摘する人もございます。毎年の収益金を全部一般会計に繰り入れるということではなくて、もっとファンサービスに力を入れるとか、競馬場の改善や周辺環境の整備などをして、長期的に安定した健全な地方競馬を育成していくべきだ、このように考えますが、こうした地方競馬に対する基本的な考え方、指導方針などをお伺いしたいと思います。
  75. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地方競馬の目的から見ますと、畜産振興への寄与、地方財政への寄与あるいは国民への健全な娯楽の提供ということでございますが、この目的を達成するためには、やはり長期的に安定した健全な経営が地方競馬でも行われなければそういう目的もなかなか達成できがたいということであろうかと思っております。  このためには、公正な競馬実施というものを基本として、ファンにとっては魅力ある競走とすることが重要でありまして、この点につきましてはただいま先生から御指摘があったとおりでございます。施設の改善等の明るい環境の整備なり、周辺環境の整備なり、レース内容の充実等のファンサービスの強化というものを通じた地方競馬振興について、私ども指導してまいりたいと考えている次第でございます。  また、これらの施策の実施のためには、やはり基本的には地方競馬主催者の自助努力というものが重要であろうというふうに考えてございますが、ただ、各地方競馬主催者の努力だけではなかなか十分な解決ができないというような問題もございますので、各地方競馬主催者が協調して経営安定が図られるというようなことのために、今回改正法の中でもいろいろ手当てをしているわけでございます。  競馬実施に関します委託制限の緩和によります場間場外事務の円滑化ということも一つございますし、また交流レースの拡大がこれによって図られてくる、それからまた、中央競馬による支援、これも特別振興資金活用した形での、例えば中央競馬による支援ということなども推進してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  76. 有川清次

    ○有川委員 今まで益金だけに主眼点が行って、サービスの問題、環境の問題が非常に弱かった点がこうした事態を引き起こしておると思いますので、おっしゃるような方向で、自助努力もだけれども、やはり側面的な指導というものをきちっとして、地方競馬を、中央との関係があるわけです、土台になるわけですから、お支えを願いたいと思います。  もう一つのその原因に、地方競馬には中央に比べて依然として暗いイメージがあるわけですが、先ほど言いましたように、この競馬周辺を明るいイメージに整備することはもちろんですけれども、公正の確保に力を入れるとか、地方の主催者が努力をしなければならないことが多くあります。それをどのように指導していくかという問題があろうかと思いますが、特に公正の確保、この面についてお聞かせを願いたいと思います。
  77. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地方競馬におきます公正確保でございますが、従来から馬主調教師騎手免許制度、廐務員の知事による認定制度、レース前の騎手の外部との遮断なりレースの監視等について厳格に対処してきたところでございますし、また、暴力団関係者の入場拒否の徹底等、公正確保について努力してきたところでございます。  公正確保はやはり競馬基本考えておりますので、今後とも公正確保の徹底について、地方競馬主催者を指導いたしたいと思っております。  それから、いろいろな形で御指摘がありましたが、地方競馬におきましても、例えば競馬スタンドのリフレッシュとか特別観覧席の整備等の施設改善、また、女性対象とした競馬教室とか乗馬教室、地元企業とか市町村とか畜産団体によります冠レースというのですか、そういうものの名前をつけましたレースの実施とか、いろいろな形で明るく楽しい競馬実施にも努力していくことが必要ではないかと考えております。
  78. 有川清次

    ○有川委員 公正の確保関連をいたしまして、地方競馬地方競馬全国協会が大きな責任を持っているわけですが、馬主登録について今まで厳格にやってきたということですが、中央の登録要件の方が地方の登録要件より厳しいということはよく言われております。中央競馬については今度法改正後、さらに厳しい運用を図るというふうになってきたわけですが、地方競馬馬主登録は今後どのように改善をされようとしているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  79. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の馬主の制度改善につきましては、これは中央競馬地方競馬については差異がございません。全く同一に行われるというところでございます。  ただ、若干付言いたしますと、今回、日本中央競馬会には審査会を設けて、馬主登録について審査を行うということにいたしております。これは中央競馬会競馬実施的な部門と馬主の登録とか騎手の免許というような公権力的な、行政処分的な仕事も兼ねてやっているということで、その公権力的な、行政処分的なものにつきましては審査会というものを設けて客観的な手続を決めるということでございますが、地方競馬におきましては主催者とは別に地方競馬全国協会というものがございまして、これが免許あるいは登録等を行っているという形でございます。  ただ、資格の中身につきましては、中央地方を通じて馬主登録の厳格化を図っていくということについては同じでございます。
  80. 有川清次

    ○有川委員 中身については、先ほど答弁がございましたので理解をいたします。  それでは次に、地方競馬全国協会、地全協が全国の地方競馬公正確保畜産振興の仕事をしているわけですが、設立後三十年もたって、地方競馬に関するノーハウや経験が蓄積されていると思います。これまでのように、ただ地方の主催者から交付金を受けてこれを配っているというようなことに甘んじるのではなくて、これからもっと積極的に地方競馬の健全な発展に努力をすべきだと思います。地方自治との兼ね合いはあるとは思いますけれども、このような地方競馬の健全な発展のために地全協の役割をもっと強化するということについての考え方について、お聞かせを願いたい。
  81. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地全協は畜産振興事業のほかに、地方競馬の公正かつ円滑な実施の推進を図るということのために、先ほどちょっと申し上げましたが、馬主あるいは馬の登録、騎手の免許、騎手の養成とか訓練、審判員等の養成または派遣というような地方競馬の基礎となる非常に重要な業務実施しているほかに、もう一つは、地方競馬の健全な発展を図るための廐舎関係者の共済事業への助成とか、地方競馬公正確保に必要な施設整備に対する助成等も実施しているところでございます。  地方競馬振興を図る観点から、地方競馬全体に関する振興策の企画なり、あるいは立案ということも行っておりまして、地方競馬全般にわたりますコンサルタント的な役割も担っているということでございます。  このため、従来から実施してきた地方競馬振興のための企画調整役としての業務というものを一層強化いたしますとともに、地方競馬主催者等の要望に沿って、地方競馬振興を一層図っていくように、地方競馬全国協会を私ども指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  82. 有川清次

    ○有川委員 次に、中央競馬との関係ですが、地方競馬が不振である原因の一つに、中央競馬と競合しているところがあるということもあると思います。  例えば、府中や中山と東京周辺地方競馬は競合するというふうに思いますが、競合は必ずしも悪いということではなくて、切磋琢磨して、ファンにより興味深い、そういうレースを提供するということもあるわけですが、大井のあのナイター競馬などはそのよい例だというふうに思います。小さいところは小さいなりに、それぞれの特徴を生かした競走ができるようにもっと努力すべきであると思います。  しかし、これからの中央競馬地方も含めて、日本全体の競馬競馬にかかわる産業がどうあるべきかを考えながら、国民に対して健全な余暇参加の機会を提供する、そういう立場で運営されるべきと思いますが、中央と地方のあり方について、基本的な考え方をお聞かせください。
  83. 近藤元次

    近藤国務大臣 中央競馬地方競馬は、歴史的な沿革から施行主体が異なってきておりますが、我が国の全国の競馬振興を図っていくためには、中央と地方競馬がそれぞれの特色を生かしながら、活力を持っていくことが必須条件だ、こう判断をいたしておるわけであります。  そのために、交流競技を行うなり、あるいは場外馬券売り場の相互利用をするなり、あるいは経営基盤の脆弱な地方競馬主催者の施設整備に対する中央競馬からの支援をしていくというようなことで、競馬全体がこれぐらい全国あまねくファンの増大をしているときに安定をさせるためには、中央、地方がある意味では競争、切磋琢磨しながら、ある意味ではお互いが共存共栄をしていくという、そういうことが何よりも大切であろうと思うわけであります。  とりわけ、先生から御指摘のあったように、地方競馬振興というものが一つは大事でありまして、利益金をもう少し還元をさせる方向で、ファン還元なり地域還元なりというようなもの、そのことはひいては競馬ファンを増大をしていくことにつながっていくわけでありますので、その方向に向かって、今日こそやらなければならないその時期ではないだろうか、こういうことを考えて、今指導していくことを御理解いただきたいと思います。
  84. 有川清次

    ○有川委員 よくわかりました。ぜひ努力をしていただきたいと思います。  次に、地方への助成関係で、改正法に関連しまして、中央競馬地方競馬助成をすることとなっております。どのような施設対象とするのか。助成の規模はどの程度なものなのか。融資だけに限るようなことを聞いていますけれども、どのような仕組みで行うのか、助成事業考え方をお聞かせください。
  85. 岩崎充利

    岩崎政府委員 中央、地方の相互協力体制の一環ということで、今回の制度改正によりまして、日本中央競馬会の剰余金活用した特別振興資金を利用して、地方競馬主催者の実施いたします各種施設の整備の支援というものも行うことができることといたしております。  当該支援策の具体的内容につきましては、現在、日本中央競馬会と地方競馬全国協会と、それから公営競馬の主催者の集まりであります全国公営競馬主催者協議会というものの三者で話し合いを進めているという段階でございまして、私どもといたしましても、その具体的な仕組み等を現在検討しているという段階でございます。  したがいまして、具体的に申し上げるという段階ではございませんが、対象となる施設あるいは仕組み等々につきましてでございますが、財政的に恵まれていない地方競馬主催者に対しまして、その支援対象といたしましては、廐舎、馬場、スタンド等の競馬場施設を念頭に置きたいというふうに考えております。また、その仕組みは、中央競馬会地方競馬全国協会が協力して実施するようなことを考えていったらいかがかということで、現在関係方面を含めて検討しているという段階でございます。
  86. 有川清次

    ○有川委員 十分な検討をお願い申し上げたいと思います。  委託制度の改善の問題でお伺いしますが、法案を見ますと、新たに県外にまで競馬を委託するということになっております。これには競馬を拡大していくという趣旨があるのかどうか。また、委託する事業の範囲はどこまでなのか。おのずから制限があると思いますけれども、この辺をちょっと明確にしていただきたい。
  87. 岩崎充利

    岩崎政府委員 最近におきましては、都道府県域を超える地方競馬間におきます交流競走というのが、これは急速に進展いたしておりまして、また情報伝達の方法も改良されてきているということで、ファン方々は他の都道府県の競馬場で行われる競馬の勝馬投票券も購入したいというような要望がかなり強くなってきているということでございます。  現在、これは地方自治法の二百五十二条の十七ということで、その職員派遣方式ということで他の都道府県の競馬場において勝馬投票券の発売を行っているという、便宜そういう形をとっているということでございますが、今回は都道府県域を超える他の競馬の主催者へ競馬実施事務を委託できるようにいたしまして、これにつきましては、現在実施しております場間場外発売を円滑に推進して、ファンサービスに資したいというふうに考えておる次第でございます。  それからもう一点、委託できる事務の範囲でございますが、原則として勝馬投票券の発売、払い戻し業務と場外施設内の取り締まり業務というものに限るということにいたしたいと考えております。
  88. 有川清次

    ○有川委員 時間がありませんので、先ほど場外馬券売り場、販売所の利用の関係はちょっと出ましたから、最後に次の点をお伺いしたいと思います。  ファンからの控除率引き下げの要望に対しまして、改正案は、単複に限って特別給付金を交付することができるとしておりますが、地方競馬の場合は、収支状況から見て支障のない場合という条件がついております。しかし、現実を見ますと、近くの競馬が給付金を交付しているのに、収支が悪いからといって隣り合わせのところで給付制度を採用しない、こうなってきますとますます客が来なくなるという状態が出るのじゃないか。そういう意味では、国がしゃくし定規に決めるのではなくて、実態を知っている地方の主催者がどう考えているかということを最大限に尊重すべきだと思いますが、その辺の対処方針についてお聞かせください。
  89. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の措置は、中央競馬会剰余金活用という形の中で特別給付金制度ということを設けましたことに伴いまして、やはり地方競馬の主催者側からも、同じような制度としては道をあけてほしい、こういう御要請もあったことから今回の措置をとったところでございますが、やはり先生指摘のように、主催者の意向が基本であるというふうに考えておる次第でございます。
  90. 有川清次

    ○有川委員 それでは、時間が来ましたので、これで終わります。
  91. 宮里松正

    ○宮里委員長代理 志賀一夫君。
  92. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私は、まず最初に今回の法改正についてお聞きをいたしたいと思います。  今回の法改正は、昭和三十七年の競馬法の一部改正以降実質的な法改正が行われていないが、この間における社会経済情勢や競馬をめぐる事情は著しく変化をし、現行の競馬制度は、法制面においても、また運営面においても、実情との著しい乖離が生じていると言われているのであります。そういう点からすれば、今回の法改正は、実情との整合性をどうとっていくのかという観点からの法改正であるべきことは理の当然であります。  売得金を例にとってみましても、昭和三十七年と平成二年度との対比では、まさに六十三・九倍、約三兆九百八十五億円の巨額となっている現状からして、競馬の生命ともいうべき公正確保がこれでよいのか、今後も競馬への信頼が継続され得るのか、そのためにどのような法改正が必要なのか、また、売得金の大きな伸びによって国庫に納入された益金の使途が、多くのファンの支持と理解を得られるものなのかどうかという視点に立った法の改正であるべきだというふうに思いますが、今回の法改正について、まず大臣はいかなる考えを持っておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  93. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生から今お話のございましたように、最近の競馬をめぐる事情というのはまさに画期的な変化が出てまいりまして、ファンの中にも若年層女性皆さん方競馬場においでをいただくというようなことで、また売り上げも飛躍的に伸びてまいりました。一千万人を超える競馬場へおいでをいただく直接的なファンを含めて、一つの社会環境を見渡したときに、大衆化をしてきたということを実は感じざるを得ないと思うわけであります。その意味では、さらに競馬に疑義を持たないような信頼性と、あるいはそのことは、なかんずく公正明朗にしていくということが大切なことでなかろうかと思うわけであります。  競馬の目的は、馬の改良増殖その他畜産振興を初めとして、国及び地方公共団体に対する財政的な寄与をしておることでもありますし、また、何よりもそのことは国民の大衆的な娯楽として提供しておる、その信頼と安定性というものをこの法律改正によって、当面問題になっておるところについて改正をさせていただいておるところでございます。  このような広がりの中に、今後競馬を取り巻く状況から見て、長期的に安定をした発展確保するとともに、これから努力をしていかなければならないわけでありますし、また益金全体につきましても、競馬場内での施設整備、改善はもとよりでありますが、やはり女性皆さん方がおいでになるということだけでももう施設改善をしていかなければいけませんし、また、連休、長期休暇というようなことになって、家族的なレジャーというようなことになりますと、そういう意味の施設改善、環境整備をしていく、こういうことに寄与していただいて、そして、ファン皆さん方一般生活の中にも、また、周辺にそれなりの、交通渋滞なりあるいは人がたくさん集まることによって迷惑をかけるところの地域の環境に対しても益金の利用をさせていただきたい、こういうようなことを考えながら、今回の法律を提案させていただいたような次第でございます。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今回の法改正の中で、私は特に売得金についてお伺いをしたいと思うのでありますが、売得金を可能な限度でファンに還元すること、また、公益的、社会的に配分することは競馬の本来的な使命と考えられるのであります。したがって、控除率の引き下げは当然のことである、現状のままではファンの納得が得られないのではなかろうか、そういうふうに思うのですが、どうお考えでしょうか。
  95. 岩崎充利

    岩崎政府委員 控除率をめぐります問題につきましては、一つには控除率の二五%が、競馬ファンなりそういう方々から見ますと非常に高いのではないか、もっと引き下げたらいいのじゃないかというようなことはございます。特に、外国と比べましても控除率が高いということがございます。  他方、その他の公営競技等と比べまして、これは公営競技を通じる一つ基本的な枠組みでありまして、競馬だけ、これにつきまして特例を設けるということについてはいかがかという話もあるというようなことで、両々相まって、このことにつきましてはなかなか意見がまとまらないというのが現状でございます。  私どもは、やはり控除率の問題については基本的には公営競技全体を通ずる問題だということでございまして、これにつきましては公営競技全体の課題ということでございますが、ただ、先ほどからも申し上げておりますように、競馬につきましては本当に多数の方々ファンというものがありまして、やはり競馬ファンによって成り立つということでございますので、何とか競馬ファンに対する還元方策、ファンへの利益還元ということも考えていかなければならないということで、私ども種々検討いたしました結果、やはり単複に限りまして、中央競馬会におきましては剰余金の中からこれを給付金という形で出したらいかがかというようなことで今回の法律改正に踏み切った、こういう次第でございます。
  96. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 御説明をいただきましたが、しかし、私は先ほども指摘申し上げたように、三十七年と比較いたしますと、この売得金が六十四倍近くも上がっている、そういうような大変な変わりようがあるのに、今回の改正で控除額を初め重要な課題について、根本的に掘り下げて法の改正をやらない、これはどうもおかしいのじゃないか、また、研究会報告の内容等を見ましても、控除率の引き下げを初め重要な課題について、みんな検討課題だということで避けて通っておる、こういう姿勢はいかがなものか、こんなふうに私は思うのでありますが、大臣、今後どう対処しますか。
  97. 近藤元次

    近藤国務大臣 控除率の問題については、一つは、ファンはいつでも念頭に置いていることだろうと思いますが、公営競技横並び、その他研究をしていかなければならぬ課題もございますけれども大衆化をした傾向、私は余り競馬場に行って馬券を買ったこと、もう何十年もないわけで承知はしてないのですけれども、私が今の競馬法を出すに当たっていろいろなことを自分なりに考えてみて、関係者からお話を聞いた範囲内でも、控除率の問題よりももう少しファンに対して間接的なサービスをすることが長期的安定を図るのではないだろうか。むしろ、まだ中央競馬かなり整備率が充足をしてまいりましたけれども、新たに女性が参加をする、家族で競馬場においでをいただくということになると、さらに競馬場というそのものが、ただ馬券と馬を見るということではなくて、少なくとも家族が競馬場で一日を過ごすようなことに対してのファンサービスというのも一つは大切なことではないのかな。なかんずく、地方競馬についてはまだまだ施設整備なんかということは実は不十分でございますから、内容的に充実をする。今日的大きな変化というのは、先ほども若干申し上げましたけれども、経済情勢の変化、また余暇をどう過ごすという点の休暇制度、あるいは新たなニーズとして出てこられたというものでなかろうか、こう考えておるわけであります。  もう一つは、絶えず競馬場の環境整備、施設整備関係を今までの利益の中から改善をしてきた、競馬業界、競馬管理者、主催者等がたゆまざる努力をしてきた、そういうものの積み上げによって今日を迎えたのでないだろうか。  一面では、配当金額を増大するということが必ずしも的中者がふえるということではないわけでありまして、馬券買って当たった人はいっぱいもらうのはいいのだけれども、いっぱい人が当たるということになると、私なりに考えて別の観点から見ると、そういう層がふえるということではなくて、女性ファンなどはむしろそういう競技のばくち性よりも、あの馬が格好がいいとかあの騎手がまたすてきだというようなことで、実はそういう意味合いからすれば、今回若干ながらその改正をさせていただいた、若年層女性、最も大衆的な複勝の部分についてと単勝の部分について若干割り戻しをするというか、そういう関係にさせていただいたことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  98. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 ただいまの大臣お話について、私の納得するところではありませんが、時間の関係もありますので次に移っていきたいというふうに思うのであります。  次の、馬主等をめぐる問題は、いわば競馬の盛衰を左右する問題でありますので、真剣に対応していただきたいと思います。  特に、国際的に通用する強い馬づくりを目指して、間近にやってくるであろう競馬国際化時代に対応し得る条件をつくり出すためには、関係者の並み並みならぬ努力が必要であり、そのためには改善すべき諸点については速やかに対応するということが、公正確保によるファンの一層の支援を得られるものと思われるのであります。以下、率直な答弁を期待したいと思います。  まず、馬主の数と馬房の貸し付け数はどうなっているのか、お聞きをしたいと思います。
  99. 渡邊五郎

    渡邊参考人 お答えいたします。  現在、馬主の数は、個人二千五百八十二、法人三百五十六、合わせまして二千九百三十八名となっております。このような馬主さんの在籍管理馬として私どもに登録されておりますのは、三月一日現在で六千百五十六頭、こうなっております。  なお、貸し付けの馬房の数もあったかと思いますが、これは美浦、栗東の両トレセンに四千三百三十二、このようになっております。
  100. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 そうすると、一人の馬主が入廐させることができる馬の数は平等と考えれば、平均一・四頭ということになりますが、そうですか。
  101. 渡邊五郎

    渡邊参考人 そういうことになります。
  102. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 調教師との間に預託契約がなされても、一定期間調教しなければ出走ができない。入廐している馬だけが出走態勢にある競走馬ということになろうかと思いますが、馬も生物である以上、入廐している馬全部が常に完全な状態で出走態勢にあるとは限らないので、年に何頭くらいの馬が入れかわるのか。言いかえれば、一人の馬主は一年に何頭の新しい馬を入廐させることができるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  103. 渡邊五郎

    渡邊参考人 先ほど私から申しましたように、馬主さんの在籍管理馬が六千頭を超す頭数を持っております。そうしますと、私どもの馬房が四千幾らでございますので、約二千頭ぐらいがその間馬房に入れませんので、レース等には出れない状態、こういうふうになっております。
  104. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 一人の馬主は一頭強の馬しか入廐させられない、また、入れかえ可能の馬もほぼ同数くらいがあるんではないかというふうに私ども思っているわけでありますが、競走馬の寿命は一年強で、馬主の平均入廐数は二頭に達しないという状況になりますが、その中で、一人で百頭以上所有する者があるということは不平等にならないのかどうか。  しかも、それが大衆の金を集めて運営する営業法人ならば、個人で競馬を楽しんでいる馬主の馬の入廐を阻害することになる。競馬会は少数の営業法人を保護、優遇しているのではなかろうかという批判も出ていますが、いかがに思いますか。
  105. 渡邊五郎

    渡邊参考人 本来競走馬の所有頭数自体の多少は、それぞれの馬主さんの資力等にもよるわけで、いろいろ馬主さんの状況による頭数の振れがあるのはやむを得ないことだと思います。  ただ、現在内廐制という形で私どもの方から廐舎を提供している立場からすれば、そうした公共的性格を持っているという点で、一部の馬主にだけ寡占的状態が生ずることは好ましくないということで、私どもとしては、現在一馬主、法人でございますが、百二十頭を限度として、それ以上は入れないように制限しております。
  106. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 中央競馬発展してきたのは、公正確保の見地からの内廐制によって厳しく管理してきた結果であると聞いていますが、安易な制度変更によって、一部の者だけが有利な施策を行うことは甚しく平等性を欠き、公正確保上からも重要な問題であり、廐舎従業員の労働慣行を阻害して、廐務員などにも不利益をもたらすおそれもあります。  馬主とか廐舎人等の関係意見を聞いて検討しているのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  107. 渡邊五郎

    渡邊参考人 ただいま御指摘のような馬主さん、それから調教師等をめぐりますいろいろな問題もございます。そうした点からも、私ども今回法律改正でお願いいたしておりますように、馬主登録並びにそれの抹消の規定あるいは調教師騎手の免許取り消し等の規定なりを整備していただくと同時に、法案の方でもお願いしております審査会という第三者機関によります公平中立的な判断によりまして、こうしたこれからの馬主調教師のあり方についても、私どもとしても十分な指導をしてまいりたい、このように考えております。
  108. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今の内廐制度というものが大変な役割を果たしてきたということは、理解されるわけであります。しかし、ここ長いことこの四千という馬房がほとんど変化をしない、しかし馬はどんどんふえている。そうすると、いわゆる競馬会での公正な競走というものが盛んになることによって競馬の繁栄も招来できる、そういう点からいいますと、一貫して馬房がふえない、ふやさない、こういう状態はいかがなものか、そんなふうに思うのでありますが、トレセン等の増設によって馬房をふやし、競走馬が平等に出走する機会を与えるべきではないか、そんなふうに思いますが、いかがでしょう。
  109. 渡邊五郎

    渡邊参考人 現在四千幾らかの馬房に制限して内廐制をとっておりますが、これはもう先生御案内のことではございますが、現在中央競馬では、競馬場の数、開催回数、レースの数等限られております。こうした限られた状況の中で必要なレース提供のできる馬の頭数というのはおのずと限られてきまして、やはりこれだけの廐舎数で、馬房数で足りるものと私ども考えております。  ただ、御指摘の面からさらに工夫をすべきではないかという御意見も出て、一部外廐制の導入等の問題も提案されていることも事実でございますが、この問題についてもなお慎重に検討をしなければならないだろう、こう思っております。
  110. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 一レースで平均何頭の馬が出走するのか、お聞きしたい。
  111. 大原一三

    大原委員長 今数字を調べていますから。
  112. 渡邊五郎

    渡邊参考人 年間の出走延べ頭数は三万八千三百九十七頭でございまして、これは実頭数にいたしますと六千六百八十ということになります。
  113. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私は、一レースに平均何頭の馬が出走するのかとお聞きしているのです。
  114. 渡邊五郎

    渡邊参考人 一レースの平均出走頭数は十一・五頭、こういうふうになっております。
  115. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 その中で一人の馬主が数頭出走することがあるというふうに聞いていますが、ファンの声としては、不明朗で八百長があるという声もありますが、いかがでしょう。
  116. 渡邊五郎

    渡邊参考人 同一馬主によりまして、レースによっては二頭ないし三頭というような出走がございますが、私どもといたしましては、出走してくる馬についての監視その他公正な審査を十分にしておりまして、この間にそうした問題はないように、私ども指導をいたしておるところでございます。
  117. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 ただいまの競馬会考え方についてはよく理解しがたいのでありますが、詳しい事情を知らないファンの疑念を晴らすものとはならないというふうに思います。  外国では同一馬主、同一廐舎の馬は一つの枠にくくって、配当も同一取り扱いとして公正確保と信頼性を維持しているというふうに聞いていますが、それとの比較でどう思いますか。
  118. 渡邊五郎

    渡邊参考人 先生が御指摘になりましたのは、アメリカ等の例でいわゆるエントリー制度ということで、同一馬主の場合に枠を同一にするとかいうような措置をとっていることは先生おっしゃるとおりでございますが、一方、イギリス等におきましては、我が国と同じように同一馬主でもそれぞれ出走できるということで、我が国はイギリスと同じようなシステムでやっております。  問題は、そうした場合に不公正なことが起きないような十分な公正確保のための監視なり、措置を私どもとっておるつもりでございます。
  119. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今のお答えで私が考えますのに、やはりそれぞれの国々によって違うと思いますけれども、我が国においては競馬を支えるのはやはりファンの皆さんですから、そのファンの皆さんから見れば必ずしも納得のいくものではないのではないか、そんなふうに思います。  それはそれとしまして、先に進みたいと思いますが、馬房の問題です。  すぐに馬房数の増加が不可能ならば馬主の総量規制とか、一人当たりの入廐制限を行わなければ、不公平だけでなく、重大な問題が発生するのではないかと思います。廐舎貸付制度の構造上の問題であって、至急に解決すべきことではないかと思いますが、いかようにお考えですか。
  120. 渡邊五郎

    渡邊参考人 現在の内廐制度について御指摘のような問題もあろうかと思いますが、そのほか廐舎内部におきましても活性化すべきではないかというような御議論もございます。先ほど申しました一部外廐制の導入等というような御意見もございます。これからの私どもの問題として、この廐舎制度自体の改善には一生懸命当たっていくつもりでございます。
  121. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 調教師騎手、廐務員等の年間平均収入は平成元年でそれぞれいかほどか、また、平成三年度の予想数値はどれくらいになるかお聞きしたいと思います。
  122. 渡邊五郎

    渡邊参考人 平成二年の私どもの見た数字でございます。調教師二百二十二名につきまして平均いたしますと約三千万円、最高は九千六百万、最低七百万ぐらい、それから騎手二百九名につきましては、最高は一億八千三百万、最低は三百九十六万というようになっております。廐務員につきましては二千七百十三名おります。廐務員の平均は年間六百八十万円程度、最高二千万円、最低三百万円弱でございます。  平成三年の推定ということは、ちょっと私どもではかりかねますので、現状だけ答えさせていただきます。
  123. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 次に、競馬が入廐するために預託料として、地方競馬では一頭当たり十二、三万円、中央競馬では約五十万円というふうに聞いているが、そんなところでしょうか。  また、そういたしますと、一廐舎に月一千万円の収入が、さらにはまた馬の廐舎入出による雑収入もあるというふうに聞いていますが、調教師等の収入はかなりな額になると思いますが、そうでしょうか。
  124. 渡邊五郎

    渡邊参考人 私どもの方の中央競馬に関しますサラ、アラブ系の一頭当たりの一カ月ずつの平均預託料は、平成元年度で四十一万二千円程度、このような数字になっております。  なお、調教師お話のありましたようなその他の所得というお話でございますが、私どもは、調教師の家畜商的な行為は厳に禁止いたしております。また、そういうような所得が上がるようなことであれば、私どもで厳正に指導いたさなければいけないことだと考えております。
  125. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 昭和四十九年四月十一日付中央競馬会理事長通達では、「競走馬の取引に関する要綱」の中で調教師行為について規制をし、また、不当な金品の収受をしてはならないと厳しく指示し、違反行為があれば制裁をすることが明記されております。  生産者を初め関係者から不明朗なお話を数多く私は聞いていますが、調教師がどの馬主からどの馬を入廐させる、またレースにはどの馬主のどの馬を出走させるなどの権能を持っているからには、生産者と家畜商、馬主との深いかかわりが自然のうちにできてしまっていることは不思議ではなく、周知の事実だと思います。このような事態をどのように受けとめておられますか、お聞きをしたいと思います。
  126. 渡邊五郎

    渡邊参考人 調教師が関与する馬の売買なりの問題につきましては、先生指摘のように四十九年に「競走馬の取引に関する要綱」というもので、厳にこれを制限することにいたしております。したがいまして、これが守られていればそういうことはないはずでございますが、先生おっしゃるようなことがありますれば、私どもも調査して、御指摘を受けないようにしなければならないと思います。よくそういうようなうわさも、私ども耳にすることがございます。  今回、法改正調教師に対しまする免許なり取り消しなりを厳正にするというようなことになりますれば、一層そうした点について徹底をさせていかなければならない、このように考えております。
  127. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今お話し申し上げた事実は多分にあるわけでありますから、十分この調査をされて、競馬公正確保について万遺憾ないように措置していただきたいというふうに思います。  さらに、私お聞きしたいのは、研究会の公表には、内廐制度は公正確保等のために措置されたものであり、その合理性は認められ、反面競争原理を抑制している嫌いがあるので、強い馬づくりのためにも制度変更を検討しなければ、そういうふうに書かれていますが、具体的に何が障害となって、どうすべきなのかをお聞きをしたいと思います。
  128. 岩崎充利

    岩崎政府委員 調教師をめぐりまして、いろいろございます。確かに馬房等々が固定化している等々の問題もあるところでございます。  調教師と馬房の関係というようなこと等につきましては、私ども一つは預託頭数制限の緩和とか調教師の定年制とか等々をやっておりますが、特に優秀な成績を上げた調教師の管理する馬房数を増加して不振な調教師の管理する馬房数を削減するというメリットシステムの導入ということについても現在検討している、こういうことでございます。
  129. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 時間がありませんので、もっとお聞きしたいのでありますが、先に進めさせていただきます。  次に、廐舎貸し付けの固定化などによって調教師の優位性がうかがわれると書いてありますが、優位性とは一体何かを具体的にお聞きしたい。  さらに、それが競馬基本的な姿から離れることを懸念するととらえておられる具体的な内容をお聞きしたい。先ほどの研究会の報告についてであります。
  130. 岩崎充利

    岩崎政府委員 馬房が固定化するというような状況がございますが、一つにはこれは中央競馬会全体としての開催回数等々が決まっておりますので、どうしても馬房数というのは固定化してくる。特に、内廐制度というものをとっておりますので、これはまた公正確保なり情報公開というようなことから、内廐制度そのものにつきましては非常に一つの意味があるというようなことから、馬房数というのが決まってくる。ただ、調教師に対しましては一定の馬房数を与えるという形の中でございます。  他方、馬主そのものが近年かなりふえてきているというような状況の中からいきますと、調教師馬主に対しまして、あるいは生産者に対して優位性があるんじゃないかというようなことの批判があることも、私ども十分承知しているわけでございます。そういう状況の中で、やはり全体として競馬に対する公正確保なり、そういう形の中で、どうしたらいいかということでございますが、これにつきましても、先ほど申し上げましたように一つには預託頭数等をふやしている、また、先ほど申しましたメリットシステム等の導入も検討するというような形の中で、全体としてしっかりした廐舎内の形のものをつくっていきたいというよなことで指導しているような形でございます。
  131. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 馬房数に限りがあるわけですから、馬房と利用者としての馬主は、調教師に馬を預託して出走させるわけですから、調教師が優位性を持って公正な競馬の運営に支障がないかどうか、お聞きしたいと思います。
  132. 岩崎充利

    岩崎政府委員 これは調教師が優位性を持つかどうかということと申しますよりも、やはり廐舎制度全体として公正にこれを運営するにはどうしたらいいかという問題ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。  そういう状況の中で、ただ現実の問題といたしましては馬房数がどうしても特定化されてくるという状況の中で、やはり競馬というのは優勝劣敗が原則でございますので、いろんな形で努力した人が報われるような形での、また優勝劣敗という考え方も導入した形での廐舎制度ということも、これからいろいろ検討しながら考えていかなければならない問題ではないかというように考える次第でございます。
  133. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 調教師に優位性があるということになれば、やはりまあ馬の生産者とのかかわりもあります。それから家畜商についてもあります。もちろん馬主についてもあるわけであります。やはりこの優位性があれば、調教師が出向いていって生産者のところに行って買うのにいろいろなかかわりを、生産者、家畜商あるいは馬主とかかわってくる、そういうことのかかわりの中から一定の馬房が限定されているのだから、当然その廐舎の管理者である調教師に優位性がある。どこの馬主のどの馬をどういうふうに入廐させるか、数を含めてやはり優位性がある。それからまた、だれを、どの馬を出走させるかについても調教師の優位性がある。そういうことでは本当に公正な競馬がされ得るのか。  そしてまた同時に、この競馬の本来の競争性を高めていく、そして来るべき国際化時代に対応する馬づくりもそういう中で果たしてできるんだろうか、こういう疑問点も多々あるわけでありますから、そういう点でやはりもう一度これをどうすべきかを考えなければ問題だ、こう指摘をせざる得ないわけであります。
  134. 渡邊五郎

    渡邊参考人 現在の内廐制度それ自体は本来的な意味は持っておりまして、公正確保、運営の円滑化あるいは情報の提供等のためにはそれ自体としては意義がございましたが、今おっしゃるような点で、反面、馬房割り当て等を通じて競争原理を抑制しているというような点で問題が指摘されている面が事実ございます。  現在、私どもとしては、馬房の割り当てに対してメリットシステムというような制度の導入なり、まあこれは馬房数には関係ございませんが、今の廐舎自体を活性化するための持ち乗り制の導入とか、さらには一部外廐制の導入問題の検討といったものによりまして、御指摘のような調教師が一方的な優位性を持たないように、公正な競争原理に立って競馬を施行できるようにさしていきたいと考えております。
  135. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 一つの提案でありますが、馬の所有者は馬主なのだから馬主に馬房を貸し付けて、廐舎管理は調教師に任せるというような、そういう仕組みもいいのではないかというふうに思いますが、どうでしょう。
  136. 渡邊五郎

    渡邊参考人 ちょっと私の理解が間違っていたらまた訂正さしていただきますが、調教師の方へ預託契約で、今馬を馬主さんは預けておるわけでございますが、その際に調教師にすべて任せるというようなこと自体が、あるいは調教師の方の優位性を保つ点で、十分預託契約の上で馬主さんと調教師との連携を持ちながら進めていくことが必要じゃないか、こういうふうに私ども考えております。
  137. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 最後に私は、今大事なことは、公正確保とか競馬を支えている人たちの待遇ということでは、先ほどの調教師等の高い待遇ということについても一概に否定することではありませんが、ただ、このように競馬が好調なときこそ、将来に備えて廐舎制度を改善する必要があると考えているわけであります。どの社会でも、悪いときよりよいときの方が改善を進めやすいし、血を流さずに内部の合意も得やすいものだということを言っているわけでありますから、種々、長期短期両面から十分な検討をなさって、将来の競馬が一層進歩されますように十分な施策を講じていただぎたいと強く御要望申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  138. 大原一三

  139. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 大臣初め政府委員の皆さんには、もう休憩時間返上で熱心に御答弁いただいて大変敬意を表しますと同時に恐縮に存じますが、おつき合いをいただきたいと存じます。  同僚議員からいろいろ質問がございましたので、既にお尋ねのあった質問については補充的にお聞きをすることにして、なるべく重複は避けるようにしたいと思いますが、今回の法改正のポイントは、一つは売上金の活用の問題がございますが、もう一つはやはり競馬が非常に大衆レジャーとして発展をしてきている、ファン層も広がっているというようなところから、特に公正性確保ということも重点にされておられる。そこで、馬主の登録要件などについても、いろいろと御努力をいただいて、規制を強化するという方向が出てきているということでございます。  そこで、先ほどクラブ法人馬主についてもう既にお尋ねはありましたけれども、この問題については、確かに馬主になる方が欠格事由を持たれるような方だと困るということについても、今度の審査会では規制的な御配慮をいただけるものと思っておりますが、もう一つの側面として、このクラブ法人馬主というのは、要するに多数人で一頭の馬の持ち主になる、なり得るということですけれども、これは一つは、その登録している法人がもしも何らかの事由によってそれ自体が不都合になったり、あるいは経済的な破綻をするということになると、その多数の共有する所有者に対して、経済的な面あるいは社会的な面で、またいろいろな不祥事を生じかねない。私は弁護士として、例えば豊田商事の事件をやりまして、結局はこれは、一つはお金持ちでなくても馬主になれるという魅力と、それから、その馬が稼いだ場合の賞金の配分にあずかれるという経済的なメリットと二つの側面がある。それにつられてといいますか、それを慫慂しながらそういう多数馬主を獲得をしていくというようなこともあるだけに、一たん事ある場合には、そういう方々に対するマイナスの影響というのも出てきやせぬかということも一つ心配になるわけですけれども、これに対する御配慮はどういうように対処されるおつもりか。これは中央競馬会の方、お役所の方、それぞれ簡単で結構ですから。
  140. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現在馬主は、法人――個人を含めて法人ということでございまして、今回の法律につきましては、個人あるいは法人につきましての馬主の登録要件の厳格化ということをやるということでございます。  それで、愛馬会の場合は、これは多数の会員の方々から集めたお金をもって馬を買いまして、これを法人に現物出資するという形になっているわけでございます。その現物出資の仕方というのは、商法の五百三十五条と五百三十六条の規定に基づいた匿名組合契約によってやるという形になってきているということでございます。  その場合に、例えば当該法人が破産等々したような形の場合、どういうことになるかということにつきましては、これは一般の法規の中で解決さるべき問題ということになりますから、愛馬会は愛馬会が債権者になって当該法人との関係ができてくるという形になっておりまして、これは競馬法の世界で規定できるというようなことにはなかなかなり得ない。  ただ、公正確保という観点から申しますと、やはり愛馬会なり愛馬会の会員等々につきまして、馬主と同様に適格性に欠けるような方々については、これはできるだけ排除していくことが必要であるというような形の中で、今回の馬主の資格の改善等々を図っているということでございます。
  141. 渡邊五郎

    渡邊参考人 クラブ法人、現在二十一社、私どもの方へ登録されております。これにつきましては、お話しのように非常に誇大な宣伝等、一口馬主というような言葉で馬主行為ができるような誤解を招くような宣伝は厳に控えるように私ども指導しておりますし、特に平成元年から愛馬会の健全な運営の確保と、御指摘のような会員の保護というようなことから、私ども、この二十一社から中央競馬会指導に従う旨を記載した誓約書を提出させておりますし、愛馬会と会員との間の契約を整備させてこれも提出させ、関係書類は、逐次私どもの方で毎年度、実態の把握に努めております。  ただ、私ども今後の問題として、一頭当たりの出資口数が幾らが適正か、現在制限自体を設けてないとかいろいろな問題がございます。先ほど来、またこれが暴力団関係とかいろいろな問題もございます。今御指摘を受けた点を今後さらに整備して考えていかなくてはならないと思っております。
  142. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 現在のところ、確かに一口馬主といわれるような方々について、一頭の馬について何人までというような規制はないわけですね。これはそうですね。そうすると、際限なく、場合によると小刻みに、出資額は非常に少なくて、それで共有馬主としては何百人にもなるというようなことにだってなりかねないわけで、それぞれの馬主間には連帯感というのは全くないわけですからね。そういうような問題もある。それから、今お話に出た、一口馬主というような誇大な宣伝、こういう問題もあります。  こういうことについては、今後省令などで規制についてもう少し明確にされるようなお考えはあるのですか。これは局長の方にお願いしましょうか。行政指導ということになりますか、あるいは省令で明確にするということになるのか、その辺はいかがですか。
  143. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の法律改正におきまして、馬主資格を厳格化するということにつきましては、これは馬主登録をやるかどうかというような、極めてすぐれて行政処分的なことでございますので、今回の法律改正の中でそういう今のようなお話のものを規定する、省令で書くということはなかなか難しい問題だろうと思います。  ただ、現実に今のお話のようなこと等がございますので、私ども行政指導で、今の点も十分踏まえながら指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  144. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 今のに関連してですけれども、先ほど渡邊理事長の方から、誓約書を出させるというお話がありましたね。誓約書の条項に従わないような場合、あるいは勧告しても従わないというような場合には、今度の登録の取り消しの対象というようになる、審査会などでも考えられることになりますか。
  145. 岩崎充利

    岩崎政府委員 ただいま申し上げましたように、馬主の資格の問題といたしまして、省令で規定されますのは、やはり行政処分というような公権力の行使の観点でございますので、それは当然社会通念上、例えば競馬において不正行為をしたような形の中で、競馬関与禁止処分とか停止を受けたような者とか、先ほど申しました暴力団関係とか、そういう形の中ではっきりさせるということでございますが、なかなかそういう細かいというのか行政指導的なものまでは盛り込むような形にはできないということでございまして、これはすぐれて指導の問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  146. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 今の点ですけれども中央競馬会としては誓約書を入れるということだけれども、誓約書違反の事項などがクラブ法人馬主の場合に発見されたような場合に、どういうように処置されるおつもりか、中央競馬会として。(渡邊参考人指導の方でございますか」と呼ぶ)指導というか、そういう誓約違反などのようなことが発見された場合の処置ですね。どういうように考えるか。
  147. 渡邊五郎

    渡邊参考人 私どもとしては、指導によりまして是正措置を講じさせる、どうしてもきかない場合に、私ども指導をきかない場合にそれなりにどうするかは、まだその先まで現在検討はしておりません。  ただ、今回審査会なりで馬主の登録というようなことが厳正に措置されるということから、これまでクラブ法人、その他生産者馬主とかいろいろな分類がありますが、そうした馬主さんについてのやはり何らかの基準的考え方をこれから整備していただいて、そうした基準に反する場合に、これが公正な競馬実施に問題を生ずる場合には、最も強い措置として、馬主資格にも及ぶような措置も考えなければならないと思っております。
  148. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 先ほど局長お話しのように、ほかの諸法その他とも絡んでくるわけですね、法制上は。しかし、これが、例えば法人が倒産しちゃったとかいうようなことになりますと、持っている馬自体の資産価値だっていろいろ問題があるわけです。非常に稼ぐ馬で、所有者がかわってもまた稼ぐという馬だったら、これは譲渡だとか、いわゆる営業譲渡的な考え方だとかその他で、一口馬主といいますか、そういうものの救済措置をとっていくことになりますけれども、しかし、そうでない場合には、これは破産になっちゃったりなんかすると出資したものはほとんどパアになってしまうというような心配もあるわけですから、そういうようなことになってしまったら大変なので、今こういう制度が認められるとすれば、そういう不祥事がないようにこれから厳重にひとつ、それぞれ競馬会としても、それからお役所としても行政指導をしっかりやっていただく、あるいは監督していただく、やっていかなければいかぬと思うのです。これを要望しておきます。  次の質問に移ります。  今度の改正で、法二十三条の十三、これはいわゆる会の役員の欠格事由の定め、これが現にあるわけですが、従来この規定の中では、役員の欠格事由の中に国会議員、国家公務員、地方公共団体の議員または長、常勤職員、政党役員、こうあった。ところが、今度はこれが外れております。この規定の欠格事由に今申し上げたような方々を挙げていた立法趣旨、そして今度はこれを外した事情、これについて御説明をいただきたいと思います。
  149. 岩崎充利

    岩崎政府委員 当初、確かに国会議員なり地方会議員等々につきまして欠格事由といたしておりましたが、最近の立法例等につきましては、これを役員欠格事由としていたとしてもその職務上いろいろ危惧はないんじゃないかということで、みんなこれを外しております。  そういうようなことから、最近の立法例に倣いまして、国会議員あるいは地方会議員等まで役員になることを禁止するということはいかがかということで、それに倣って今回の法改正をした、こういうことでございます。
  150. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 質問の前半の答えがなかったように思うのですが、従来こういう規定が置かれていこということは、どういうことを考えてのことだったのでしょうか。立法趣旨ですね。今、危惧がないというお話でしたが、従来どんな危惧を想定されての規定だったのでしょうか。その点なんです。
  151. 岩崎充利

    岩崎政府委員 確かではございませんけれども、いろいろな形での影響力の行使というようなこと等も懸念されたのではないかというふうに考えておりますが、現時点におきましては、最近の立法例でも見られますように、そういうことまで禁止することはなかろうということになっておりまして、この最近の立法例に倣って、今回私どもも措置した、こういうことでございます。
  152. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 恐らく地位利用とか、そういう懸念が従来はあってのことではないかと思うのです。そういう危惧はないというお話なんだけれども、外しても、そういうような心配はやはり公正性との関係で問題になってくると思うのです。ですから、一般方々からごらんいただいて、この種の方々が入ることによって、その地位利用、そういうことについて疑惑の目で見られることのないように、これまたしていただかなければ、制度改正してもまずいよということになるとまずいと思うのです。  それから、従来あった政党の役員ということ。政党の役員というのは、一体中央本部の役員なのか地方の支部の役員なのかというような問題もあったりして、これも概念規定がはっきりしないところがあるのですが、これも外れたということで、政党の役員であっても今度は会の役員になれるということになるようです。そうだとすると、これは特定の政党に偏在されると困るわけでして、特に野党第一党の社会党からは入れていただきたい、そういうことをお願いしておきます。もっとも、地方に行きますと社会党も野党第一党となっていないところが多分あるわけですけれども、しかしこの点でも公正と同時に公平をぜひ期していただくようにお願いをしたい、このことを要望しておきます。  それから、ここのところ大変好況で、売上金が随分上がっておる。今度の改正では、この売上金の活用についていろいろと配慮がされているわけです。それで、控除率についてはファンからいろいろな要望があったけれども、当面はそのまま。そのかわり、ファン還元について、単勝式、複勝式の馬券対象にして売上金全体の五%以内で特別給付金を交付できることとしたというお話ですが、先ほどの大臣の御答弁で、ファンサービスというのは一体どういうものなのかというお話があって、実は私も共感を覚えたわけです。確かに、今度のファン還元の方策としての特別給付金、これは、その余得にあずかる方というのは勝馬投票券に当たった人になるわけですし、それからまた、五%以内ということですから、例えば一万円の配当があるなんていうとかなり大きいと思うのだけれども、その五%というと五十円ですか、そう考えると大したことはない。そういう考え方よりもむしろ、先ほど大臣お話しになったような、もう少し大きな目で見た、ファンに喜んでもらえるような使い方の方がいいのではないかと私などは思ったりする。  それから、後ほどまた中央競馬地方競馬関係についてお尋ねを予定しておりますけれども、例えばこの方式地方競馬についてもやれるんだ、収支の状況などに応じてということにはなっているけれども。ただ、実際に中央競馬の方がこれをやり出すと、中央競馬の方がやっているのに地方競馬の方はやっていないということでは、そうでなくても格差があるのにまた格差ができてくる。そこで、経営的には問題があるけれども中央競馬がこういうものを出す以上、地方競馬としても財政状況が苦しくてもやらなければならない、そういうことになって、かえって財政を圧迫しやしないかという心配があるのですが、この辺の心配は、地全協、どうですか。
  153. 大場敏彦

    大場参考人 地方競馬の方は中央競馬と異なりまして、剰余金というシステムはございません。ですから、剰余金があるかないかということと関係なしに、その費用は経営費の中から支出せざるを得ない、こういうことになるだろうと思うのです。  しかし、中央競馬で仮にこの制度、給付金制度を始めたということになりますと、特にそれと近接するような地方競馬はなおさらでありますが、同じような措置をとらざるを得ない。それから、一つ地方競馬場でその措置をとりますと、それと交流関係にあるような他の競馬場でも、ファンが共通しておりますから同じような措置をとらざるを得ないということで、かなり広範な範囲にわたって同様な措置をとらざるを得ないという事態が出てくるのではないかと思っております。  もちろん地方競馬の運営に支障を来してはまずいということは当然のことでございますが、地方競馬サイドといたしましては、中央競馬でそのような措置をおとりになるのであれば、同じように競馬法の適用を受ける同一競技でございますから、本質的な差異は何もないわけでありますから、同様な措置をとらせていただきたいと思っております。
  154. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 そうしないと売り上げの点でもまた差が出てきはせぬかという心配があるわけですね。ですから、これがファンサービスとして前向きだというように評価できる面と、競馬全体を考えた場合に果たしてそれでいいのかなという点がちょっと懸念されるものですから、この運用についてもひとつさまざまな点を御配慮いただきながら施行していただくようにお願いをしたい。そしてまた、中央競馬地方競馬、共存共栄を図らなければならないわけですから、これも中央競馬だけで財源十分だからやるよということでなくて、やはり地方競馬の立場も御考慮いただきながら、協議の上でおやりいただけるような方向をぜひ模索していただきたい、こんなふうに思います。  それから、お金の問題については先ほど大分質問がありましたので、時間の関係もありますから、予定をしておりましたけれども少しはしょらせていただきたいのですが、ただ、一つ国庫納付金が国の一般会計に組み入れられてしまうということで、先ほども前島委員の方から湾岸戦争の援助資金財源として充てられている問題などについてもあったわけですが、こういうお金の使い道というのは、今度は拡大されるといいながらやはり原則的な目途というものはあるわけですね。余りそれと外れた使い方をされるということでは、ファンとしても納得いかない面があるのじゃなかろうかと思います。  しかし、国庫納付金一般会計に組み入れられてしまう、そうすると政府の方でどう使っても、お金などというのは一たん入ってしまうと区別があるわけじゃないからわからないということにもなるわけです。このお金を拠出したいわば出資者であるファンの気持ちなどからすると、それが本来的な目的に使われるということで一つの安心感なり、ただ遊ぶだけではなくて自分たちのお金が、たとえ勝馬券が当たらなくてもそういう社会的な意義を持ったものとして使われているんだという思いがある。それがまた競馬に参加することの意欲といいますか、そういう点でも違ってきはせぬかと思うのです。  そういう点で、例えば競艇などは、これは仕組みが違うとはいいながら、実にテレビその他の宣伝がすごくて、モーターボートのお金はこういうように使われています、福祉関係にもこうですとか盛んに宣伝しておるわけです。それに比べると、どうも競馬の方についてはそういうPR不足というか、あるいは福祉のためにあるいは畜産振興のためにこういうように使われているんだということがはっきりしていないのではないか。これを知らせる対策、そしてそのためには、できれば一般会計に組み入れるのじゃなくて特別会計化をするという方向、これはいろいろな省庁との絡みももちろんあると思いますけれども、そういう方向も模索していく方向を見出せないのか。この辺については大臣のお考えなどございませんでしょうか。
  155. 近藤元次

    近藤国務大臣 一般会計化をされているものを特別振興資金の方に戻せないかという点につきましては、大変大きな問題でございますし、なかなか困難なことだと思いますけれども、ただ、一般会計の中の四分の一は福祉の問題、四分の三は御案内のとおり畜産振興を中心にして使っておるわけでありますから、一般会計から畜産振興に対して国庫納付したより、畜産振興対策について額が少なくなったときのチェックだけは実はきちんとできるわけでございますから、そこは最低限度のチェックは当然我が省としてしていかなければならないことだ、そう認識いたしておるわけであります。  幸いにも特別振興資金をお認めいただければ、ここのところは若干従来の振興策に枠を広げて、競馬場なり場外売り場なりという周辺に対しての環境整備なりいろいろなことにまた使うことが可能な状況にはなったわけでありますけれども、私は、かなり施設整備ができましたけれども、やはり中央と地方の格差があったり、あるいはこれから国際化の時代に向かっていくときに、もう少し内部の体質強化も必要なのではないか、こういう感じがいたしておるわけでございます。  いずれにしても、この金はファンの目に見えて理解を求めていくということが何よりも大切なことだ、こう認識をいたしておるわけであります。  中央競馬にしても地方競馬にしても比較的地味なやり方を実はいたしておりまして、特別に一般会計へ入るという従来からの性質からいうと、おのずからそうならざるを得ない面もありますけれども特別振興資金等につきましては、ファンの皆様方に過大にならないように、嫌らしさのない程度のPRもあわせてさせていただく、PRを含めて理解を得るというような立場で努力をしてみたい、こう考えております。
  156. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 大臣姿勢に共感を覚えますけれども、ぜひそのような方向と、それから一般会計に組み入れられたとはいいながら、それがどういうように使われるかということについて、関心は高いと私は思うのです。だから、適正に使われているというようなこと、少なくとも湾岸援助の財源になったということは納得がいかないというファンは多いと私は思うのです。この点について、きちんとどういう使い道をされたかということをお確かめいただくことも、一般財源の中に組み込まれたとしても必要になってくるのじゃないか。その辺を、ぜひこれからまた一つの課題として御検討いただきたい、こう思っております。  それから馬づくりの問題は、さっきアラブ系統については有川委員からお尋ねがありました。それに対するお答えは、アラブ系だけではない軽種馬についてのお答えとお伺いしましたので、私はサラ系についてもお伺いしようと思ったのですけれども、これはさっきのお答えの中でということで、時間がありませんからちょっとはしょらせていただきます。  それで、地方競馬中央競馬との関連ですけれども、私は、今の競馬人口は非常に多くなっていますけれども、やはり地方競馬というのは非常にすそ野が広いと思うのです。中央競馬の隆盛というのもその地方競馬の広いすそ野の上にあるのだということだろうと思います。今度の改正の中でもそのことが趣旨としてうたわれて、共存共栄ということ、全体としての競馬の隆盛といいますか、そういうことも考えられておる。そしてまた、中央競馬からの地方競馬への支援と申しますか共同体制、こういうことも方向づけが出ている。  さっきもお話があったと思いますけれども、特に、この際地方競馬として、今度の改正に絡んで中央競馬の方あるいは政府に対して、特に地方競馬に対してこういうことをやってもらいたいのだということがございましたらお聞かせいただけますか。地全協、率直におっしゃっていただきたい。
  157. 大場敏彦

    大場参考人 従来とも中央競馬地方競馬は決してライバルという形の関係ではなくて、同じ競馬ファミリーの中の兄弟という形でいろいろ助けていただいております。今後とも、そういう形で御援助願いたいと思っております。  今回の法改正の中で我々が一番関心を持っておりますのは、県域を超える地方公共団体に主催者の事務委託ができるということでございまして、これは最近における広域的な地方競馬の交流ということに照応いたしまして、場外的な広域販売という制度を開くということでございますので、これを積極的に活用していきたい。それから、地方競馬の場合には場外の販売網が非常に立ちおくれているのが実情でございますから、といって新たに場外馬券所を新設することは地域問題からしてかなり難しいという実態もございますから、地方競馬の既存の競馬場を相互場外という形で活用するほかに、でき得ることならば中央競馬で持っていらっしゃる既設の場外を空閑期に利用させていただければありがたい、かように思っております。  それから、地方競馬側としては、残念ながら従来盛んなときでも内部留保が十分にされていなかった。地方財政の一般的な財源に充当されている部分がかなりございまして、そういう意味で施設の改善、整備というところで立ちおくれが顕著でございます。それを助けていただければありがたい。例えば特別振興資金制度等を活用いたしまして、もちろん地方競馬の自助努力というものが一大前提でございますけれども中央競馬サイドからの温かい御配慮があれば地方競馬としては非常に助かる、かように思っております。
  158. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 これも余り詳しくはお尋ねできないのですけれども、今事務委託が拡大されたということ、これはどこでも歓迎されている向きですけれども、さらにそれを広げて、一定の条件のもとで結構ですけれども、これを一定の法人、例えば振興公社など第三セクターに一部の事務委託、全部というわけにもいかないかもしれませんが、事務委託できないだろうか。そうすることによって地方競馬の主催者としてはまた非常にやりやすくなってくるんだがという御要望もあるやに聞いているのですけれども、この辺については局長の方で特に支障はあるのですか。地方自治法との絡みなどもあるようには聞いておりますけれども、何とかこれは善処できないですか。
  159. 岩崎充利

    岩崎政府委員 やはり競馬の施行自体が都道府県あるいは特定市町村という形で、地方公共団体でやっておるわけでございます。したがいまして、その委託先もやはり地方公共団体に限るべきである、これはいろいろな面がございまして、やはり地方公共団体に限るべきであるということの中で、今回は地方公共団体という形の中で委託を認めている、こういうことでございます。これは前からそういう形になっておりまして、今回もそういう形にいたしておる次第でございます。
  160. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 地方自治法等の制約があり、自治省との関係ももちろんあることは承知しておるのです。しかし、地方競馬の経営あるいは運営をよりよいものにしていく、よりスムーズにしていくという点からは、今のような点が何とか考えられないものかという希望が非常に強くあることは私も地元で聞いてきておるわけです。だから、これが純然たる民間団体、法人ということになると問題があるかもしれませんけれども振興公社など、自治体、公共団体が出資をし、役員もそこから行っているというようなものについては公務員に準ずる者として、職員に準ずる者としての扱いで、例えばお金の扱いなどもあると思いますけれども、何とか考えていけないものか。これからの検討事項になろうかと思いますけれども、ひとつ頭に入れていただきたい、こんなふうに思います。  それから、北海道特有の競馬としての輓曳というものがあるのですが、これは北海道だけで行われておるわけですけれども、なかなかばかにしたものでありませんで、平成二年度で北海道の道営競馬では入場者が百十五万人、売り上げ四百四十八億に対して、輓曳競馬は、場外も入れてですけれども入場者が八十二万五千人、それから売り上げについては三百二十一億、これはなかなかのものなんですね。道営競馬に引けをとらないぐらいの売り上げを上げているのです。この輓曳競馬というのは特殊な競馬ですけれども地方特有の競馬ですが、これに対する位置づけ。  それと、輓曳競馬の生産者というのは、これまた軽種馬の生産者とはちょっと違うのですね。大体がこれは農用馬とされている重種馬なのですけれども、今度の改正に絡んで、これに対する何か特に援助の仕組みだとかいうことについての方策などをお考えになるところはありませんか。これは局長の方からまず。
  161. 岩崎充利

    岩崎政府委員 輓曳競馬は現在北海道の市営競馬組合ということで、岩見沢なり旭川なり帯広なり北見の競馬場において開催されている。確かに売得金も、先生おっしゃいましたように、三百二十一億というような形で大きくなっております。また、輓曳競馬の廐舎関係者等々につきましてもかなりの数になっておりまして、これも雇用の場の提供を通じた地域活性化にも寄与している。  現在の輓曳競技の課題として、やはりファンサービスとしての砂じん防止対策というふうなことがございまして、現在畜産近代化リース協会の助成によって砂じん防止のための散水機の開発というようなことも行っております。また、輓曳競技につきましては、地元に根強いファンがいるということで、また畜産振興なり地域活性化への寄与が大きいということから、今後とも安定的な発展が図られるようにその振興についても指導してまいりたいと思っております。  また、輓曳競馬の生産者も多数おられることでございます。これにつきましてもいろいろな形での振興を図っておるわけでございます。例えば輓曳競馬を含めた非常にいい馬の生産ということも必要でございますし、これにつきましては、北海道の家畜センターである十勝牧場におきましても良馬の生産あるいは繁殖雌馬等も供給するというような形でやっておりますし、また、今回の特別振興資金等々におきましても、必要があればいろいろな形で必要に応じていろいろ検討していったらいかがかというようなことも考えておる次第でございます。
  162. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 輓曳馬というのは本来的には農用馬ということになっているのですけれども、実際にはもうそういうことはないで、まさに専用馬であるわけなものですから、そうすると、そこでやはりいい馬をつくろうとしなければならないのですが、ただ軽種馬の生産者と違ってやはり兼業農家が多いのです。ですから、これに対するいい馬を育てるための援助というのは軽種馬の生産者とまた違った御配慮がなければならないのではなかろうか。資金活用面などについてもひとつぜひ御配慮をいただきたいと思っておりますので、御注文を申し上げておきます。  それから、これに関して、北海道の北見の競馬場は専ら輓曳競馬しかやっておりません。これは二百メートル直線があれば間に合うわけです。ところが、今の法律の制限のもとで千二百メートルというような、つまりむだ、遊んでいるところが多いんですね。これをもう少し実情に合わせて施設の要件を緩和していただくなりすれば、駐車場その他多目的にも使えるというようなことになるのですが、この辺についてはどうですか。
  163. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現在、地方競馬を開催できる競馬場の備えるべき設備の要件を政令で定めてございますが、馬場にありましては一周千メートル以上、幅が十六メートル以上と規定されているところでございます。御指摘のように、輓曳のみを開催することがこれにつきましては想定されていなかったという時代のものでございまして、輓曳のみ開催されるということでございますと、これにつきましては長さが二百メートル、幅二十メートル強の直線馬場で競走を実施しているということで、将来とも輓曳競馬のみの実施をするということであれば、土地の有効利用を図る観点からも、私ども、実態に合わせまして政令を改正する方向で検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  164. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 実情に合わせて政令の改正でやっていただけるということで、恐らく皆さん、これで大変喜ぶだろうと思いますので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。  最後に近い御質問ですけれども、法の二十八条と三十四条関係ですね。これは勝馬投票券の購入制限の問題です。学生生徒、未成年者は買ってはいかぬ、それからまた、そうであることを知って売った者については五十万円以下の罰金に処す、こういうことになるのですけれども、どうも片っ方で競馬が大衆レジャーとして発展しているじゃないか。それから女性も含めて非常にファン層が拡大しているじゃないか。ギャンブルであるという性格は否定できないにしても、最近ではギャンブル性ということについては余り意識しなくなっているじゃないか。特に、資料で見ますと、競馬ファンの年齢別の構成は、平成二年の調査結果では二十代が二四・一%というので一番多いのですね。四十代が二四%、こうなっているわけです。二十九歳以下となっていますけれども、実際にはこれは十八歳くらいまで買っているんじゃないか、そういうような人まで入っているんじゃないかと思われるのです。この学生生徒の定義はまことにあいまいなので、この中には、例えば定時制の高校生なんかだったら、これは社会人である人もいるわけですけれども、どうやって見分けしてどうやって区別するのか、またはそういう必要があるのかどうか。ほかの公営競技との整合性ということもあるのかもしれないけれども、この辺についてどう考え、どういうふうに運用されていくつもりですか。
  165. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず学生生徒でございますが、これは学校教育法上の学校の学生生徒ということでありまして、従来からそのような解釈、運用を行っているところでございます。  今回というのか、これは前からそうでございますが、やはり学生生徒なり未成年の馬券購入というものの禁止措置というのは前からあったわけでございまして、社会的に未成熟な、あるいは勉学に専念すべき者が、こういうような形の中で馬券というのか勝馬投票券を買うということについてはやはりいかがかという社会通念に基づく規定だということでございまして、これは競馬法の制定当初から定められている、それからこのほかの公営競技にも同様な規定があるわけでございます。
  166. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 どうもちょっと一般的なお答えで余り納得がいかないのですが、要するに片方ではどんどんファン層も広げようと、競馬場の本場なんかには家族ぐるみでピクニックのつもりで小さい子供まで連れていっても安心できるような競馬場設備をつくろうじゃないか、こういう話もあるわけでしょう。それから一方、パソコンなんかを利用しながら、今も電話でもできるということですけれども、家庭内でもできるよなんということになると、子供だって競馬について関心を持つんですからね。馬を好きになるということもあるでしょうし。そうなってくると、やはり馬券買いたいなということを早く思うようになることだってあると僕は思うんですよ。その中で一概にこういう規定を置いてどれだけ実効性というか、不祥事というか、まずい点が出てくるのか。これはいろいろな絡みがあるとは思いますけれども一つ検討課題になっていくのではないかと思っておるので、問題提起をしておきたいと思います。  最後になりましたけれども日本の場合には馬と人との親しみ方といいますか、これが外国などに比べるとまだまだ少ない。外国というかアメリカだとかイギリスだとかフランスなどに比べて少ないのじゃないか。だから、これだけ競馬が発達しても、競走にたえられない馬はあと使い道がないとか、大体北海道でも機械化されて農耕馬なんてものはないのですから。そうすると別の使い道、つまり牧場、レジャーのための、あるいは観光用のというような、もっとたくさんの馬を人と親しませることによって馬に対する認識といいますか、つき合い方を広めるというような配慮があってもいいのではないか。去年市民農園法が通りましたけれども、そういうことと絡めた農村づくりの一環としても何とか考えていけないものか。今度の益金運用などもそういうことに使うというようなことは考えられないかなどなどについて、簡単で結構ですが、最後に大臣のお考えがありましたら……。
  167. 近藤元次

    近藤国務大臣 実は先生今御指摘のとおりでございまして、競馬ファンもこれだけ拡大をされてまいりましたし、馬に親しむ機会というのはあらゆる点で考えられるだろう、こう思うわけであります。何となく乗馬にしてもまだ上流社会的な感覚が抜け切れない面が実はございますし、私が念頭に置いておりますのは、今度の特別振興資金の中にもこの部分はぜひ入れていきたい、こう考えておる一つであることを御紹介申し上げて、御理解いただきたいと思います。
  168. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 私のところの北海道なんかは大変広いですし、非常に観光客も多くなっていますし、また滞在型の観光ということを北海道では意図してもおりますので、そういう方々にも馬と親しんでいけるような場の設定だとかいろいろな配慮があってしかるべきではなかろうかと思いますので、ぜひまた御検討いただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  169. 大原一三

    大原委員長 竹内猛君。
  170. 竹内猛

    竹内(猛)委員 競馬法及び中央競馬会法の一部の改正関連をして、私の同僚がたくさん朝から質問をいたしましたが、総括をした形で私の方から御質問をしたいと思います。  私は、十年ぐらい前から、現在の競馬法改正をしなければならないということを主張してきたわけですけれども、幸いに今回改正に踏み切ったということは、かなりの英断であったと思います。  戦前は別として戦後は、昭和二十三年七月に、社会党の連立内閣のときに、GHQの占領下ではありましたが、ここで国営競馬地方競馬の法律が与党の反対それから社会党を含む野党が賛成をしてこれは成立をした。その反対の理由の中には、ソビエトは一国でやっている、そういうソビエトのまねをするのもけしからぬということもあったし、そういうものを国営でやるのもけしからぬ、ギャンブルである、こういう理由もあったと思いますが、そういう形ですね。  それから二十九年五月に、今度は中央競馬会法が成立をするとき、このときには相当な議論がありまして、特に益金を農業、畜産に回すということを条件にして社会党も不承不承賛成をしている、こういう経過があります。  三十七年の改正、地全協との関係の場合においては、これは相当な議論をいたしましたが、あの当時の政治状況からして社会党としては附帯決議にも参加をしない、もちろん本案に反対をするという形をとってきました。  それから三十年を迎えた今日の段階で、現在、二十三年当時四十四億円の売り上げがさらにふえまして、あるいはまた二十九年の段階においても百十二億の売り上げ、売得金に比べて三兆九百八十五億というように非常に売得金も多くなってきた。そういう段階の中で、これは米の、生産者の米の価格の一年分ですね、大体三兆八千億くらいですから。この生産と同じくらいの競馬の売得金になっている。一つの大きな産業のような形と言っても差し支えないぐらいになっているわけでありまして、そういう中で、入場者も現在一千万を超えている、そしてその中で女性が一割、大体百一万。さらに年齢別に見ても、二十九歳以下の者が二四・一というように非常に若い人、女性が多くなったということは新たな現象でありまして、それは先ほど来指摘をされたとおりであります。にもかかわらず一般に世間では、競馬というのは競輪、オートレース等々と同じように賭博でありギャンブルである、こういうふうな感じがまだ抜けていない。そこで、本法の改正をするに至った基本的な考え方というものは一体何だ、これはもう一遍改めてみたいと思うのです。大臣、いかがですか。
  171. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生から今御指摘のありましたように、競馬のそれぞれ改正時点をとらえての御発言があったときから今日を考えてみても、社会情勢から、あるいは生活環境から、国の経済力から、それぞれ大変なさま変わりをしてまいりまして、ここに来て、また急激に競馬ファンというものが、競馬人口というものが増大をしてまいりました。こういう環境の中で、先生も御指摘がございましたように、競馬に対する目的といたしましては、馬の改良増殖その他畜産振興であると同時に、国及び地方公共団体の財政に大きな寄与をいたしておるわけであります。そして国民の健全な娯楽の提供として、今日これだけの競馬人口がふえたということは、いま一度私ども、この競馬の目的を振り返ってみて、そしてまた一方では、競馬ファンに対して、これを安定させて、さらに大衆的な娯楽としての位置づけをさせるために今回の法律改正をいたしたわけであります。  その内容としては、このような状況の中で、何といっても競馬一つの、馬券を買って、また見返りを求めつつ行う娯楽でありますから、公正と明朗さというものがもう基本でなければならないわけでありますし、また、それから得た収益金というものをどのように使うかということで、大衆化と経営の安定化とファンに対するサービスと、またより理解をいただけるという立場での内容的に充実をしていくということを考えていかなければなりませんし、一方では、競馬場一点で開設をする、そこに人口が集中する、車が集中するというようなことで、周辺には必ずしもプラス面ではございませんし、マイナスを解消する環境整備等を含めて、従来懸案になっておりましたことについても、新しく益金で対応していく。そういうことで、また中央、地方競馬の格差を是正をしながら、競馬全体の立場での、また内容的にも国民娯楽として安定をさせて、理解を求めていくための努力をするために、今回当面する問題について、法律改正をさせていただいたわけであります。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  172. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大体そういうことだと思います。それは理解いたしますが、まだ競馬関連をして、こういう問題があります。暴力団が介入するのではないか、のみ行為がある、レースに不正がある、あるいは場外馬券周辺に不衛生なものがあるし、混雑する、いろいろと競馬関連をしては、住民にも迷惑をかけるという形で、多くの批判がまだ尽きておりません。特に、先ほど来お話があったように、青少年に対しても悪影響があるであろう。  こういうようなことが言われておる一方、今歴史的に見ても、ギャンブル性はあるけれども、これはやはり健全なスポーツであり、レジャーであり、あるいは畜産振興に寄与する、あるいは地域の活性化に役立てるのだ、こういう点について新たな面が出てきている。そこで三十六年の長沼答申あるいは四十八年の競馬懇談会の中間報告、五十四年には吉国の答申に類するものがありました。さらに、昨年から本年にかけての競馬研究会の約四カ月にわたるところの検討の結果が報告をされている。そこで、今度出されたのは恐らくその四カ月間の答申というか報告を踏まえたものだろうと思いますけれども、この四カ月間で、ファンに対するサービスあるいは施行者に対する安定化、騎手調教師、廐務員あるいは廐務員の助手といいますか、あるいは関係しておるところに働いておる皆さん、そういうところの要求を全部酌み取って万全なものとして出されたのかどうか、今後検討する余地がまだあるじゃないか、これはいかがですか。
  173. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の改正案でございますが、私ども競馬関係者意見を十分に聴取するために昨年十一月に、これは中央競馬なり地方競馬の施行者、またマスコミの方々馬主ファン地方自治体あるいは畜産関係者、そういうような方々から成ります競馬に関する研究会を設置して、十分な審議を経て報告書を取りまとめたような次第でございます。今回の法律改正につきましては、これに基づいてやろう、こういうことでございますが、先ほど先生指摘がありましたような方々の御意見も、中央競馬なり地方競馬の施行者の方々からの御意見を通して私ども十分把握したつもりでございまして、最終的には今回の改正案につきましては理解をいただいているのではないかというふうに考えている次第でございます。
  174. 竹内猛

    竹内(猛)委員 だんだん競馬というものが、あるいは競馬だけじゃありません、それに類する公営企業というものが大衆化をしてきた。そういう中で入場者が質的にも変わったし、数的にもふえてきたという段階で、これからはこれが健全にレジャーとして、あるいはスポーツとして、大衆的な娯楽として発展していくためには、この社会的性格というものが常にあいまいですね。今まで二十九年あるいは三十七年の本委員会での議事録を読んでみると、すべてこれはギャンブルであり賭博であり、社会的にだめなんだ、こういう否定的な立場からの批判が強かった。特に三十七年はそれがより強かったですね。そして、ソ連が一国でやっているということも含めて、そのようなことを国がやるなどということはもってのほかだということであったわけですけれども、この段階になると、やはりこれは大分違ってきているわけですから、そういう点についての畜産振興あるいは福祉への還元、地域の活性化、こういう点からいって、今までの法律は事業法的な面と規制をするという面の側面が多かった。そうじゃなくて、やはり目的を明らかにするということがそろそろ必要じゃないか。この法律の第一条に、今までにもない、今度またそれはない。いかがですか、これの目的を明らかにすることは。
  175. 岩崎充利

    岩崎政府委員 競馬の目的につきましては、過去に当委員会におきましても何回も御答弁がありましたように、馬の改良増殖その他畜産振興、国及び地方公共団体の財政への寄与、それから国民への健全な娯楽の提供、これにつきましては今日においても変わりはないというふうに考えておりまして、当然こういう形の中で競馬実施している、こういうことでございます。
  176. 竹内猛

    竹内(猛)委員 やはり物をやるには目的をはっきりして、その目的を達するために手段、方法というものをきちんとする。先ほど来、公正の問題があったけれども、これは後で言いますが、そこで、公正問題へ行く前に、馬主の問題についても先ほど来、クラブの問題が問題になっておりました。  従来は金持ちが、お医者さんであるとか事業家であるとか芸能人が、文化人が馬を持っていた。特定の人々が馬を持っていたけれども、今日の場合においては中央競馬で二千九百四十一人、それから地方競馬では七千三百七十三名というものが馬主であって、そのうちに法人が持っておるのが中央で三百五十七、地方では三百五十六という形になっておりますけれども、先ほど同僚から質問があったように、競馬クラブ、この法人の問題についてはこれから非常に禍根を残すと思うから、十分にこれは検討してもらいたい。はっきりしてもらわないとこれは将来にいろんなことになるおそれがある。その点についての答弁をしっかりしてもらいたい。
  177. 岩崎充利

    岩崎政府委員 クラブ法人についてでございますが、クラブ法人馬主と申しますのは、馬主登録をしている法人が商法五百三十五条と五百三十六条の規定に基づいた契約、これは匿名組合契約と申しますが、によりまして会員組織愛馬会、通称愛馬会から競走馬の現物出資を受けて、これを自己の所有馬として馬名登録を受けて競走の用に供する形態、こういうことになっている次第でございます。  ただ、これまでなかなかクラブ法人の会員の組織とクラブ法人との間の契約関係等が必ずしも明確になっていないとか、あるいは一部において誇大な会員広告をなさっていることへの批判とか、あるいはクラブ法人の宣伝が会員組織のメンバーを一口馬主と呼称するというような形で適正を欠く、また一般社会においては、会員組織のメンバー自体を正規の馬主ととられかねないことというような形の指摘があったところでございまして、このような問題に対処するために、愛馬会の健全な運営の確保や会員の保護という観点から、私ども、クラブ法人に対しましては、指導に従う旨を記載した誓約書の提出なり、愛馬会と会員との間の規約の整備なり、またこれも提出させる。また、クラブ法人と愛馬会との間の出資契約書の整備、提出、会員募集パンフレット等の提出ということを指導しているわけでございます。  そういう状況の中で、今回馬主に関します公正確保のために資格要件を厳格化するというようなことでございまして、愛馬会そのものは馬主ということではございませんが、今後においては以上のような指導に加えまして、馬主登録の拒絶要件に該当するような者が愛馬会の会員に含まれることのないように、私ども厳格に指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  178. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは、先般全国の馬主会の会長さん並びに関係者からの話を聞いたときに、一番心配になるのはこの問題であるということを強く言われております。だから我々はここで新たにこの問題については提起をして、十分に指導監督、誤りのないようにしてもらいたいということをさらに要求をします。  続いて、競馬が中央地方を通じて大衆に広い人気を持っているのは、馬という動物を介しておるからなんだ、だから強い馬、いい馬というものをみんなが求める。ところで、我が国の場合には、アラブ系それからサラブレッドの系統、こういうふうに二つがあるわけですけれども、サラブレッドの方が八割でアラブが二割だと言われる。しかしそれは、海外からこれは種をつけてもらわなければならない、海外にはもっと強い馬があるだろう、こうなってくると、北海道であるとか鹿児島であるとかその他、日本の各地に馬を生産をしている生産者がおるわけであります。海外の馬を輸入をしてきて強い馬だけを持ってくるということになれば、ここで馬の産地はつぶれてしまう。これをどうするかということについて先ほどから質問があったけれども、確かに輸入するには税金をかけるであろう、この辺の調整をどうしますか、これをちょっと聞かせてもらいたい。
  179. 岩崎充利

    岩崎政府委員 我が国の競馬につきましては、海外からは競馬施行の閉鎖性が指摘されておりまして、一層の外国産馬の参入機会の増大についての要請がある、また国内からも外国産馬の参加によるレース内容の充実を求めるファンの声があることも事実であります。ただ、我が国の競走馬につきましては、これは先ほど先生の方からも御指摘ございましたように、遺伝的能力水準が、欧米の競馬先進国からかなりすぐれた繁殖用馬を輸入してきているものですから、遺伝的な水準というものは高まってはきておりますが、その能力を引き出す育成調教の問題につきましては、なかなかこれは欧米の競馬先進国と比較しては差があるような実情だということで、生産者はいろいろな形で御心配をなさっているということもございます。世界的な潮流となっております競馬国際化の実情を踏まえながら、私どもは、ただいま申し上げましたような国内生産の実態にも配慮して、外国産馬が出走できるいわゆる混合競走等々の問題につきましても、これは生産者団体なり馬主団体等の協力のもとに段階的な制限緩和を進める、そういうような形の中で進めているような次第でございます。
  180. 竹内猛

    竹内(猛)委員 畜産振興するということになっているときに、外国のいい馬とかなんとかというものを連れてきて、国内の馬の産地を押しつぶすようなことは絶対やってもらいたくないし、そういうことがあるとしたら、これは容易ならざることになりますから、ぜひ注意をしてもらいたい。そうでないと、これは目的に反しますからね。馬だってこれは畜産一つの大きな対象になるものでありますからね。  さてそこで、次に私は、前から中央競馬会と農水省にいろいろ話をしてきたのですが、競馬を本当にファンに喜んでもらうためには、騎手などは時によって新聞にも、あの騎手はというふうに出ますわね。馬の名前も出るが、馬主とか調教師あるいは廐務員、そして馬券を売っている皆さん、こういう多くの方々が働いている。今度の法律の改正で「馬丁」という言葉、これは極めて不見識な言葉ですね、差別用語だ。これを、競走馬の飼育または調教を補佐する者、こういうぐあいに改めたということは遅きに失する。けれども、いいことですね、これは。そういうような方々が非常に努力をして、そうしてファンが喜ぶような馬の調整をしている、そのことが今日をもたらした原因である。今日は、馬主は二千九百三十八、これは中央競馬会ですが、馬が六千百五十六頭、調教師が二百二十三人、騎手が二百十二人、廐務員が二千七百十三人、こういうふうになっている。そういう中で、労使関係というものが大変問題だと思うのです。先般も大変交渉をして、退職金の原資の問題であるとか、賃上げの問題であるとかあるいは調教助手の身分の問題であるとか、こういう問題でいろいろと話をしたけれども、一応ある程度まで見通しは立ったようでありますけれども、将来こういう労使関係をやるたびに、一体二百二十三名の調教師という、財政的にも、財産の上においても不安定な者が常にそこに雇用に出て、最後になると中央競馬会がそこに乗り出さなければ話がまとまらない。こういうようなことは、これはどういうものでしょうか、もう少し何とか近代的な労使関係というものができないものか。今ここですぐ答えられないかもしれませんが、これは、私は、非常に封建的な制度が残っているじゃないか、こう思うのですけれども、これはいかがですか。
  181. 渡邊五郎

    渡邊参考人 お答えします。  現在、先生おっしゃるような調教師騎手、廐務員の状況はございますが、本来的に調教師はその廐舎におきまして廐務員を雇用している一つの経営体として、また厩舎相互の競争を通じまして切磋琢磨するというのが、今の、これは我が国に限らず外国におきましてもそのようなことでございます。直接的には調教師が経営者として廐務員を雇用するという原則の上に立って、現在では調教師の団体であります日本調教師会と廐務員の労働組合との自主的な交渉によって行われております。前近代的とかいろいろ言われますが、以前に比べますとかなり改善はされてきておりまして、当事者間で解決を図るようにいたしております。私どもが直にここに出るものではございませんが、先生の御趣旨もあって、これからもそういう近代的な労使関係になるように指導もしてまいりたいと思います。
  182. 竹内猛

    竹内(猛)委員 やはりこれは大変大事なことですから、大事なレースの前にストライキをするというようなことになると、これはもうどうにもならなくなってしまう。そんなことにならないようにするためには、どうも調教師二百二十三名で何千人かを雇用するということ自体が非常に不思議なことですからね。この時間ではちょっと質問が続きませんから、それはここでやめます。  次に、中央競馬地方競馬、他の公共的な競技はファンがあって成立するわけであります。自分たちだけが力んでみたところで、ファンが集まってこなければどうにもならない、そのファンサービスのために公正でなければならない。公正確保ということが言われている。その公正確保のために今度は競馬法の十三条、十六条、日本中央競馬会法十八条等々に対していろいろなことを加えているけれども、そのほかに公正を確保するために何か努力する方法はありますか。
  183. 岩崎充利

    岩崎政府委員 公正確保を図るという上から、一つは、やはり馬主の登録、馬主資格なり、調教師なり騎手等免許制度の問題がございます。また、このほかには、いろいろな形の中でレースを行っていく場合に、例えば騎手等につきましては一定の場合に部外から遮断する方途をとる、またレース中には十分監視を行い、レース後は薬物検査等も行うというような形の中で公正確保を図ってきているところでございます。今の後者の二つにつきましては、これは運用の問題でございますので、私ども、これはさらに徹底しながら、しっかりした公正確保を図るということでございますが、馬主等々につきましては、これは公正確保観点から、馬主の資格の改善ということを今回の法律の一つの眼目にいたしますとともに、馬主等々の登録あるいは騎手調教師の免許等々行う場合には、これはもう一つ中央競馬会審査会を設けて、中立的な方々によりまして適正な手続を経て行うというような形の中で、今回改正を行うということで御提出申し上げている次第でございます。
  184. 竹内猛

    竹内(猛)委員 馬主だけではなしに、もっと大事なことがありますね。これは、三十七年の改正のときに我が党の中澤茂一委員あるいは東海林稔委員がしばしば主張したことは、つまり二五%の控除というものは一体適当であるかどうかということを強く主張しました。現在確かにフランスは二八%、韓国は二八%、アメリカが一七から三六%というようにそれぞれの国々の事情によって違っているし、もっと多いところもありますが、二五というのは永久不変のものではなしに、他の競技との間の、例えば地方競馬の全国協会あるいは競輪、オートレース等々の関係で横並びにやむを得ずやったということであろうと思うのです。これは変えることはどうですか。もっとファンに還元をするということはできませんか。
  185. 岩崎充利

    岩崎政府委員 ファン還元の一つの方策といたしまして、二五%の控除率をもう少し少なくしたらどうかというようなお話があることも当然でございます。  ただ、この問題につきましては、ちょっと先生もお触れになりましたが、公営競技全体を通ずる問題でもあり、これは公営競技全体としての検討課題ということで、現在私どもといたしましては、これにつきましては、今回の法律改正の中には盛り込んでおりません。この問題につきまして、今後全体として公営競技の中でいろいろな形で御検討があるときに、必要に応じてまたこれを検討するということであろうかというふうにも考えている次第でございます。
  186. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大臣、二五%というものを将来いつまでもその二五%にとどめるのか、それとも、いずれはこれはもっと、一億円仕事をすれば二千五百万円を取り上げてしまうのだから、これは大変なことだよ。そしてあるときには、中曽根内閣のときには、これはわけのわからないところに二回も取り上げられてしまった。今度も、これは税金じゃないですからね、五百二十億というものを湾岸に持っていかれるなんということはもってのほかだ。ファンの方に返さないでそっちの方に持っていくなんというのはもってのほかの話なんだから。そういうことのないようにするためにはもっと考えなければならないし、端数切り捨てという問題が先ほどありましたが、百十二億くらいありますね。これだって実際はファンのものなんだ。これも横並びでやむを得ないから切り捨てをするという。そうしたら、その切り捨てられた部分は環境整備なりあるいは労使関係の近代化なりに返していくなら話はわかるけれども、切り捨てただけでもって懐に入れてしまったのじゃしようがない。その点はどうなんですか。これははっきりしてもらわないとぐあいが悪い。
  187. 近藤元次

    近藤国務大臣 二五%控除率の問題につきましては、先生今御指摘のように、馬券の当たった人にもう少し返したらいいじゃないかという御発言のように、その率が永久的に変わらぬかということの発言でありますが、私も、永久不変だというふうには認識はいたしているものではございません。  ただ、先生が前段に触れられた公営競技全般もございますが、私ども競馬そのものにとりましても、まだやらなければならない、間接的にも含めて競馬ファンに対するサービスという面は、その当たり馬券の増額だけがサービスではないと思うわけであります。それもまた大事なことでありますが、いましばらく時間をかりたいのは、先ほど前島先生から、今非常に競馬に対して過熱という話もございましたけれども、過熱でも何でも、とにかく競馬ファンがふえたことだけは間違いないわけでありますから、それを安定して、まさに大衆娯楽に結びつけていきたい。それを心配するのは、先ほど先生からも御指摘のありましたように、外国から競走馬が来たとき、一体日本がそれに対抗できるかどうかという馬の競争力。私は、馬の競争力というのは、国内馬が、いわば種だけではなしに、やはり調教師なり騎手なり、そういう人的問題も外国の方が技術的に一段上なのではないかなというふうなことで考えておるものですから、国際化時代を迎えるようなことがあっても、恐れることなしに日本競馬が安定的に国内馬で競争力を持たせていくという問題については、若干の時間のかかる問題だけにかなり重要視をしておかなければならないことだ、そう思っておるわけであります。施設改善、サービスはお金があれば短期に解決はできますけれども、馬の改良と人的向上というものはやはり若干の時間がかかることであるだけに、念頭に置いて、可能な限り今回そのことが、安定することがファンサービスにつながるという理解で、いましばらく二五%でひとつ全体的な需要に対してこたえさせていただきたい、こう私は思っているわけでございます。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  188. 竹内猛

    竹内(猛)委員 永久不変のものではなくて、時には検討していくということは絶対に必要なことだということで、次に、中央競馬会の人事の問題について、先ほど佐々木委員からも御発言がございました。  この人事の数は二十九年に決めたものでありますから、千八百人という数によって、理事あるいは監事、監査等が別に八人とかなんとか決まっていると思うんですね。ところが、事業があの当時から物すごく膨れてきていて、千八百人じゃとても耐えられないと思う。今回はこれをふやそう、どの部分をどうふやすのかという問題が一つと、それからこのときに考えなければならぬことは、中央競馬会が今日までにしばしば新聞紙上をにぎわしたり週刊誌をにぎわしたりしたことがある。今から十年ほど前に、発馬機の問題で大変な事件が起こった。刊事事件が起こりました。去年もまた柴田事件というのが起こった。その前には外国の馬の輸入について不愉快な問題が起きている。忘れたころには必ずそういう問題がしばしば出てくる。これは大衆の団体だから、なければなくていいけれども、これはやむを得ないけれども、それを起こすということが実に忌まわしいことですね。  そして最近は、やはり外郭団体もたくさんつくっているようですね。この間資料を出してもらったら、十カ所、外郭団体が出たけれども、それにたくさんの人々が働いているわけで、そういうものがなければ、恐らく今日のこの大きな事業ができないだろうと思う。  そういう中で、一体この人事の問題というものをどういうぐあいにこれから管理をしていくのか、そしてファンの皆さんに指をさされないように立派なものとしていくのかということについて、これは渡邊理事長から答弁してもらいたい。
  189. 渡邊五郎

    渡邊参考人 お答えいたします。  御指摘にございましたように、昨年ミニFM関連で事件がございました。過去にも御指摘のありました発馬機事件等もございました。公正な競馬実施いたします中央競馬会としてはまことに遺憾でございまして、深く反省いたしております。昨年の事件に関連しまして、早急に私どもとして綱紀粛正のための命を出しますと同時に、内部体制についても規律の徹底、運営の適正化に努めたところでございます。二度とこうしたことのないように、十分部内には徹底しておるところでございます。  それからもう一つ関連の団体についてお話がございました。現在私どもが出資、関連しておりますものは、会社も含めまして十一団体でございます。これらについても、私どもも監事なり監査室におきまして毎年度全団体の検査をいたしておりますし、役職員なりがそれぞれその事業についての調査それから参画をいたし、適正な指導をしておるところでございます。  ただ、私どもとしましては、こうしたことにつきましても、先生のような御懸念を生む点もなおございます。むしろ第三者機関的なものにも経営の診断なりなんなりを見て、部内だけじゃなくて皆さん方にも御理解いただけるように、きちんとした体制がとれるような措置もとってまいり、二度とそのような御迷惑をかけるようなことのないようにいたしたいと考えております。
  190. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ひとつファンに疑問を持たれないように、しっかり内部の方もけじめをつけていただきたいと思います。  それから大場会長にちょっと御要請を申し上げます。  地方競馬が最近、五十五年から六十年の間が大分落ち込んだ、これはもうだめになってしまうのじゃないかと心配をしました。ところが、また最近盛り上がってきまして、もう一兆円近い売得金が出たし、入場者かなり多くなってきたようですね。そこで、この地方競馬の中には一つの傾向がある。益田のように、あるいは大分県の中津のようにえらく落ち込んでしまっているところがある、あるいは北海道は先ほど佐々木さんが言われたとおりですが、岩手県のように――大井はナイターをやっているから別ですが、非常に創意工夫をしてうまくいっているところがある。格差がありますね。その格差の原因というものの一つに、やはり自助努力というものが不足をしているのじゃないか。まず、みずからが努力をしてファンサービスをする、いいレースをつくる、中央競馬と競争してもこれは初めから無理だから、地方のローカルなものとして努力をすると同時に、県なりそこから来るところのまあリーダーというか運営の人材を、場当たり的な人材じゃなしに、やはりそこで本当にしっかりやっていくんだという、そういう人材が来なければ、二、三年、そこに腰をかけて後はやめてしまうんだということでは、到底競馬は脚光を浴びられない。そういう点については、地方競馬地方競馬なりにひとつ創意工夫を発揮してほしいという要請がありますけれども、いかがですか。
  191. 大場敏彦

    大場参考人 地方競馬の中でもいろいろ格差があるということは事実でございますが、その中で我々が反省しなければならないのは、主体的条件でのいろいろ拙劣さ、あるいは努力の足りないという点があります。しかしながら、それが最大の原因であるかといいますと必ずしもそうではないだろうと。例えば大都市消費圏を対象にして大きなマーケットを持つ競馬場はいい。しかし、ほとんどローカルな、人口が薄いような地域競馬場ではマーケットも小さいから、したがって売上金も収益率も低い、こういった問題があるわけで、これは必ずしもその競馬場が悪い、競馬場の主体的努力が足りない、自助努力が足りないということだけで説明できない部分もかなりある、こう思っています。  しかしながら、先生指摘のとおり、地方競馬側でいろいろ、人材が地方公共団体の定期異動で二年ないしは三年ぐらいでかわってしまう、こういったところは非常に大きな問題であることも事実でありまして、優秀な経営スタッフを安定的に確保するということは地方競馬にとって大きな課題であろう、かように思っております。
  192. 竹内猛

    竹内(猛)委員 本会議関係上、もう一点だけ、どうしても質問をしておかなければならないことがあります。それは場外馬券所の問題です。  先ほどもありましたけれども、場外馬券所が今全国で二十二あります。三十七年のときには場外馬券所はやめてしまえという附帯決議がついているけれども、今日の売得金の八割は場外でやられておるということから考えてみると、場外馬券所というものは公正を期す上から見ても大事なことになっていると思うのです。  そこで、今までは都市の中には幾つかあるけれども、郊外でつくろうとすれば必ずそこには反対運動が起こって中止になって、地域には二つの対立が起こって、非常に嫌な思いをしているところばかりだ。私のところもそうです。こういうようなことは、これはまずい。だから、それを正すためには、やはり基準それから手続、指導方針、こういうものをはっきりしていかなければ公正を期すことにならない。場外馬券所というものをちゃんとしっかりつくるということについて、先ほど来もお答えがありましたが、もう一遍これを確認をして、私は終わりたいと思いますが、いかがですか。
  193. 近藤元次

    近藤国務大臣 お時間がないようですから簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。  先生今御指摘のようなことの方向で、外部の知識も得て基準なりを検討させていただいて、余り地域に対立があることは競馬開催者にとってもいいことではございませんので、そのような方向で検討させていただきたいと思っております。
  194. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  195. 大原一三

    大原委員長 この際、休憩いたします。     午後二時四十一分休憩      ────◇─────     午後四時十八分開議
  196. 大原一三

    大原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西中清君。
  197. 西中清

    ○西中委員 競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案について若干の質疑をさせていただきたいと思います。  競馬は、国、地方公共団体の財政への寄与、また畜産振興等、我が国の経済社会の中で大きな役割を果たしてきたことは私も十分承知をいたしております。ただ、近年、私が思いますのは、そういった役割もさることながら、むしろこの競馬の持つ性格といいますか、これは国民の健全なレジャーとしての性格を非常に大きくしてまいったのではないか、このような認識をいたしておるわけでございます。したがって、競馬の目的というものが従来より若干変質しておるのではないか、こういうような思いをいたしております。馬産振興馬主のためのレースといったものから、むしろ国民が広く競馬レジャーとして支持する、こういう存在に変わってきておるというふうにも私は認識をいたしております。今まさに競馬ブームと言っても過言ではないわけでございまして、多くのファンを抱えておると思います。それだけに、ファンまた国民競馬に対する公平感であるとか信頼感であるとかそういったものを確保すること、それからファンに対するサービスを向上させること、これが極めて重大、重要になってきたのではないかなと思っております。  そうした認識の上で若干の質問をいたしますが、私の今申し述べましたこと等、今後競馬制度を政府としては一体どういう方向に持っていこう、どういう方向に持っていくのが好ましいと思っておられるのか。競馬に対する基本的な考え方、姿勢についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  198. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生今御指摘がございましたように、まさに近年の競馬をめぐる事情というのは大変な変化が出てまいりました。売り上げにおいても世界一でありますし、なかんずくだんだんと若年層女性のすそ野の方の広がりを見せて大衆化をしてきたということでもございますし、とりわけ一人当たりの競馬に対する投資額というのが、額が下がってはまいりましたけれども売り上げが上がるということは、とりもなおさず大衆化をしたということに位置づけられるのだろうと思うわけであります。それだけに、競馬の公正化というようなもの、あるいは明朗性というようなものに十分な注意を払わなければなりませんし、そしてまた、どのようにして競馬ファンに対して還元するか、ある意味では、もう国民的な娯楽だとすれば、国民にどういう還元をしていくかということを、直接、間接を問わず還元していくということに十分な注意を払わなければなりませんし、また国、地方公共団体に対する寄与の額も増大をしてくるということでもございますので、それだけに運営に当たる面で注意すべきことを注意し、将来にわたる点で懸念されることをこの機会にやはり改善していくというようなことを考えながら今回の法案を提案させていただき、成立後はその成立の趣旨に沿って十二分に配慮しながら運営をしていきたい、そう考えておる次第であります。
  199. 西中清

    ○西中委員 私がお伺いしておりますのは、この競馬というものに対して従来の、例えば畜産振興であるとか財政の支援の一つの大きな制度であるとか、こういうとらえ方が、考え方として主としてこれからも維持されていくのか、それとも、いや、そういうものはそれなりの意味があるけれども、むしろ今度は国民の健全なレジャー、また余暇を利用する中でいい対象物である、そういった位置づけに重きを置かれるようになるのか、将来展望としてどういう絵を描いておられるのかという点についてもう一度お伺いできたらなと思いますが。
  200. 近藤元次

    近藤国務大臣 従来の畜産振興等に充てることにしておることは従来どおり、今国内の畜産における状況も、自由化問題を含めて大変厳しい環境に実はございますし、これは畜産を含めて、これもまた国民一つの重要な問題として私どもの行政の一環でやらなければならぬ仕事でもございます。また、あわせて売り上げが増大してくることによって、剰余金等を特別積立金でもって新たなサービス競馬に対する直接、間接のサービスを少し拡大していこう、こういう趣旨で今回の法案を提案させていただいておるわけでありますから、従来のものに少し枠を広げた形で仕事を進めたい、こういう考え方でございます。
  201. 西中清

    ○西中委員 売り上げが三兆円を超えてくるという状況でございますね。いわばこれは、主体は畜産、一部社会福祉事業等に納付金等が使われておるわけですが、私は、まさにその金額の大きさからいきまして、果たしてそれだけでいくということが、利用されておるファンの皆様にとって適切な配分なのかなという疑問も実は一方で持っておるわけですね。ですから、競馬が非常に小さかった時代と今とは本質が変化をしてきているのではないかという問題意識を実は先ほどから申しておるのでございます。これ以上申してもどうということはないと思います。  そこで、今度の中央競馬会法の改正に当たりまして、私は、目的というところでそれなりに、国民余暇のためにどうこうするとかレジャーのためにというような発想、思想があってそういう改正がなされるのかなと実は思ったのですが、ここはさわってない。中央競馬会の定款を見ますと、第一条ですが、ここでも「本会は、競馬法に基いて中央競馬を行い、もつて競馬の健全な発展を図つて馬の改良増殖その他畜産振興に寄与することを目的とする。」それは結構なんですが、果たしてそれだけでいいのかなという問題意識を実は持っておる。ですから、今法律が出ておるわけで、私は、それを変えるというような極端なことを申すわけではございませんけれども、少なくとも定款においてその辺のところ、そういう思想というものをもう少し入れていくということも考えてもいいのじゃないか、私はこういうように思っておるのでございますけれども、御意見を伺いたいと思います。
  202. 岩崎充利

    岩崎政府委員 中央競馬会法におきまして、その趣旨、目的が「競馬の健全な発展を図つて馬の改良増殖その他畜産振興に寄与するため、」と法律上定められておりまして、これを受けまして、中央競馬会の定款においても目的がただいま先生指摘になったように「競馬法に基いて中央競馬を行い、もつて競馬の健全な発展を図つて馬の改良増殖その他畜産振興に寄与すること」ということにされております。定款でレジャーの提供が明記されていないことにつきましては、中央競馬を行い、競馬の健全な発展を図ること自体が実は競馬というレジャーの提供そのものであるということによるものであります。  なお、競馬の目的が、一つは馬の改良増殖その他畜産振興、また国及び地方公共団体の財政への寄与、さらには国民への健全な娯楽の提供にあるということは、過去においても国会におきまして再三申し述べているところでございます。
  203. 西中清

    ○西中委員 御説明ではありますけれども、「健全な発達を図つて」ということが、積極的な意味において、果たしてレジャーとしてこれを位置づけるというようなことにはなかなかつながらないのではないかな、私はそう思っておるのです。ですから、そういうことがきちっと法律改正なり、もしくはそれが無理とするならば、定款なりに一つの思想として出てきておる、出てきておっても不思議ではないのではないかな、そういう思いでおるということをまず申し述べておきたいと思います。その後のことにつきましても、私は、やはりその点について一貫して考え方を持っておるということをまず申し述べておきたいと思います。  それから、今度の改正、三十年ぶりということだそうですが、さまざまな問題が折に触れて提起されてまいったし、世の中も大きく変化をしておる、こういうことだったのですけれども、なかなか改正されなかった。それはどの辺に大きな理由があったのか、御説明をいただきたいと思います。
  204. 岩崎充利

    岩崎政府委員 競馬関係法を見ますと、競馬法は昭和三十七年以来、また日本中央競馬会法は昭和二十九年の法律制定時以来、実質的に大きな改正が行われていないということは御指摘のとおりでございます。これまでも種々検討をいたしていたところでございますが、関係者の間でなかなか意見の一致を見られず、法律改正案としてまとめることができなかったというような事情でございます。
  205. 西中清

    ○西中委員 そこで、ファンサービスの一環として、控除率が二五%であるのを引き下げろ、こういう売り上げに対する控除率というものを引き下げろという声がかねてから非常に強くあるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになっておるのか、伺いたいと思います。
  206. 岩崎充利

    岩崎政府委員 控除率をめぐります問題につきましては、一つファン還元という形の中で、やはり諸外国の例から見ても二五%は高いのではないかという形の中で、これを引き下げてファン還元すべしという御意見があることも事実であります。他方、やはり諸外国から見ましても二五%そのものがそう高いものではない、また公営競技全体としても二五%になっているというような形の中で、これは動かすべきでないという御議論もあったところでございますが、いずれにいたしましても、公営競技全体を通ずる基本的な枠組みの問題だということで、二五%については全体の問題でありますという形の中で決まってきているような実情でございます。
  207. 西中清

    ○西中委員 お話しのことはよくわかるのですが、これは何で二五%なのですか。その二五%と決められた何らかの合理的な整合性を持った理由づけがあるのかどうなのか、これを伺っておきたいと思います。
  208. 岩崎充利

    岩崎政府委員 非常に難しい御質問でございますが、やはり控除率というのは、競馬主催者から見ますと、これは一定の財政収入を確保するということでございますし、勝馬投票券購入者の側から見ますと、これは利益の保護という、この二つの要請から今まで二五%という形の中で、経過的にというのか、経緯的にというのか、歴史的に決まってきている、これは公営競技全体を通じて二五%という形の中で定着してきたということでございます。
  209. 西中清

    ○西中委員 伝統や生い立ちやそれから性格やらいろいろ違った競技が、何が何でも一律にしなければならないということなのかどうなのか、私は、その辺も実は疑問を持っておるのです。  それから、こういう形にしておくと、どこも二五%だから、サービスということについて余り努力をしなくても、どこの競技に行っても好みに応じて行けばいいのだ、こういう言い方もできるわけで、やはりここには競争の原理がないなということも言えないわけではないというさまざまな問題を含んでおるというふうに思います。  ですから、これはすぐにはいかぬでしょうけれども、少なくとも今は経済が順調に発展してきて、ここ数年は大変景気がよかったというフォローの風が猛烈に吹いてきておる、こういう状況の中ですから、その点はサービスということについてそう神経を払わなくたってそれなりの成績は上がってきたのではないか。しかし、世の中はいつも上向きのときばかりではないのであって、景気が悪くなってきたときに一体どうなるかということもやはり考えておくということは大事なことでありまして、その点でも、一般的なサービスを含めてこの控除率、ファンのいろいろな要望の中でも強いものでございますから、やはりできる限りこれにこたえていくということは真剣にお考えいただきたいと思うのです。今後この問題について一遍抜本的に検討してみよう、こういうようなお気持ちがあるのかないのか、伺っておきたいと思います。
  210. 岩崎充利

    岩崎政府委員 この問題につきましては、全体として公営競技に共通する問題だという形の中で、公営競技全体としての検討課題ではないだろうかというように考えている次第でございます。
  211. 西中清

    ○西中委員 一方で単勝式、複勝式の還元率をふやすということだそうですが、なぜこれだけを対象とされたのか、伺っておきたいと思います。まあファンサービスの一環なのでしょうが、言い方が悪いかしりませんけれども、余りにもこそくだなという感じは率直に言って第一印象として持ちました。  それから、売得金の五%以内としている理由、さらに「当分の間、」としている理由、この点について伺っておきたいと思います。
  212. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず、単複に限定した理由でございますが、やはり今回につきましては、中央競馬会におきましては、剰余金から今回単複という形の中で、限られた財源の中で回すのにどういうものがあるかという形の中で単複ということにいたしました。これにつきましては、さらに単複の売り上げそのものがほかの公営競技は非常に少ない、他の公営競技に対する影響かなり少なくて済むということがございますし、また、諸外国におきましても、控除率は勝馬投票法ごとに違っているという場合もございまして、単複につきましては、大体諸外国でも控除率は低いというような状況等々も踏まえまして、単複に限った次第でございます。  それから、還元率の五%ということにつきましても、これもなかなか難しい問題でございますが、私どもは、やはり五%というのが一つの切りのいい、わかりやすい数字でありますし、ファンにとっても還元の実感がありまして、ある程度の評価は得られるのじゃないかというような考え方から、五%ということで考えたような次第でございます。
  213. 西中清

    ○西中委員 いずれにしても、これは極めて関心の高い問題でございますので、ひとつ真剣な取り組みをしていただきたいと思います。大変な積立金もお持ちだということは国民がみんな知っておりまして、こんなに残るならファンに対する還元をすればいいじゃないか、これは率直な気持ちだと思いますね、そういった点、十分御考慮をいただきたいと思います。  それから、こういう、一部でありますけれども、還元率の引き上げをしますと、地方競馬はどうなるのか。経営の圧迫を受けるようなことはないのか。中央競馬地方競馬の共存共栄ということもうたわれておりますけれども、そういう点からどういうふうに対応を考えておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  214. 岩崎充利

    岩崎政府委員 地方競馬の問題でございますが、やはり中央競馬地方競馬との間に制度上差が生じることのないようにということで、地方競馬にも特別給付金制度を適用する道を開いてほしいという地方競馬主催者の要望があったことも考慮いたしまして、競馬事業の収支状況から見て、競馬の円滑な実施に支障がないというふうに認められる場合には、地方競馬においても特別給付金を交付できるという形にしたところでございます。
  215. 西中清

    ○西中委員 それでは次に、競馬の公正な運営という問題でお聞きをしたいと思います。  馬主の登録要件については、現行競馬法では登録を受けることができない者を具体的に明記をいたしておりますが、改正案は農林水産省令で定めることといたしております。なぜそういう改正をいたすのか、理由を伺いたいと思います。
  216. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の馬主の資格の改善等々でございますが、今回の馬主登録制度の改善につきましては、一年以上の懲役刑に処せられた者等、馬主登録を拒絶することができる者については法律上極めて限定的に規定されているという形になっております。今回の一層の公正の確保要請に応じて、欠格事由をよりきめ細かく網羅的に規定するということによりまして資格要件を厳格化するということにしたところでございまして、この場合に欠格事由として規定すべきものとしては、政令で規定されております競馬に関与することを禁止された者等の競馬に関する専門的な事項がありまして、これではなかなか法律で規定しがたいというような事情なり、ほかの公営競技では登録が省令に委任されているということ等から、欠格事由につきましては省令に委任するというような形にしたわけでございます。
  217. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、登録要件を省令事項とするということになりますが、具体的には登録要件をどのようにお決めになるのか、御説明をいただきたいと思います。
  218. 岩崎充利

    岩崎政府委員 したがいまして、法律で今決められております禁治産者、準禁治産者破産者なり、競馬法関係で罰金以上の刑に処せられたり、あるいは一年以上の懲役が科せられたということに加えまして、省令では集団的、常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者、いわゆる暴力団関係者、それから、先ほどちょっと申し述べましたが、競馬法施行令第十四条には、不正に薬物使用等をやった場合等に、競馬に関与することを禁止または停止された者というようなもの、あるいは他種の公営競技、例えば自転車競技法等に違反して罰金以上の刑に処せられた者等々を欠格事由として規定する予定にいたしております。
  219. 西中清

    ○西中委員 十六条二項には、調教師騎手の免許取り消しができるようにしておりますけれども、それはどういう理由でこうなったのでしょうか。
  220. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現行規定では、法律上は、一度登録というのか免許されますと、今取り消し規定がないということでございます。形といたしましては、一たん免許を受けた者が登録後に制度の趣旨にそぐわないという事由に該当することに至った場合に、これが取り消されないということについては非常におかしい。そういう規定がないこと自体がおかしいということもございまして、これは最近の立法例等々も取り消し規定があるというようなことから、法令上の根拠として取り消し規定を設けた、こういうことでございます。
  221. 西中清

    ○西中委員 十八条では審査会が設置されることになっておるのですが、これはどういうものを審査なさるのか。馬主登録審査委員会等々、その他運営委員会ですか、そういったものもあるわけですが、この辺との関係は一体どういうことになるのか、伺っておきたいと思います。
  222. 岩崎充利

    岩崎政府委員 一つは、どういうものかということでございますが、中央競馬会そのものが、実は競馬施行という現業的な部分と、先ほど申しました騎手調教師等の免許なり馬主の登録というような公権力的な行政処分的なこともやっておるということで、今回の審査会対象といたしますのは、そういう行政処分的な色彩を持つものにつきまして権限を与えているということでございます。  先生、今御指摘がありました馬主登録審査委員会との関係につきましては、今までは、馬主登録審査委員会そのものは馬主等のそういう方々も含めた構成ということになっておりまして、馬主としての適性に関して、競馬の事情に精通した関係者から参考意見を求めるというような形での今までの馬主登録審査委員会でのことでございますが、今回は、先ほど申しましたように、行政処分的なものを審査するということで、学識経験者から成ります全く中立的な委員によりまして、中立的な適正な手続を経てやるという形のところで処理していく、こういうような形で今回の改正を行っていきたいと思っておるところでございます。
  223. 西中清

    ○西中委員 次に、法人馬主の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  現在、中央競馬の約一割が法人馬主であり、またクラブ法人などという新しい馬主形態もあらわれてきているわけですが、こうした多数の馬を抱える法人馬主の増加によって、一つのレースに同一馬主の競走馬が複数出走するケースがふえていると聞いております。  それで、一つは、馬主形態の変化に伴いまして、馬主登録要件もその変化に対応し得るものでなければならないというふうに考えるわけですが、その点はどういうようにお考えになっておるのか。それから、例えば昨年一年間で、こうした同一馬主の持ち馬が同じレースに複数出走するケースはどの程度あったのか、御報告をいただきたいと思います。
  224. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の法律改正におきましても、当然、自然人とあわせまして法人も対象になる。法人の場合には、これは代表なり取締役もいかぬ、そういう要件に該当するかどうかということをやっていく、こういう形になるわけでございまして、厳しい要件が課せられてくることは当然のことであります。  さらに、クラブ法人の場合、特に問題になりますのは愛馬会という形のものが一つ問題になってくるわけでございますが、愛馬会につきましては、これは馬主ではございませんので、今回の法律改正で当然適用になるということではございませんが、私どもは、愛馬会の会員につきましても、馬主登録の拒絶要件に該当する者は愛馬会の会員にはなり得ないような、愛馬会の規約を整備するようにという形で指導をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、同一馬主の馬が同一レースに出走しているということの実態でございますが、平成元年に同一馬主の所有馬が複数出走したレースは六百十五レースでございまして、全レースの一八・四%という形になっております。
  225. 西中清

    ○西中委員 このケースは非常に難しい問題もあることもよく理解しておるのですが、やはり何となく、同一馬主の馬が何頭か出て同じレースで争っているというのはいささか納得しがたい部分もあるわけですね。そういう点で、果たして公平の確保という観点から、これが野放しでいいのかな。かなり比率も高いわけですが、こういう問題についてこれからどう対処しようとしておられるのか。ごく簡単に、素人考えですが、二頭出しておいて、こっちの方が強いと言われておるけれども、実際はこっちで勝つんだなんという仕掛けができないということは言い切れないのですね。ですから、公平さという点、公正さという点では、それはそれなりの問題を抱えておるな、このように思っておるわけなんです。こういう点、何らかの、規制までいかなくても、自主規制なり、ないしはこういう方法があるんだ、今後はこれでいきたいというような何か具体的な方針があったならばお伺いをしておきたいと思いますが。
  226. 岩崎充利

    岩崎政府委員 同一レースに同一馬主の所有馬が複数出走することについてでございますが、ただこれは、それぞれの馬に関します調教師なり騎手なり廐務員すべてが同一ということはあり得ないことでございまして、関係者はそれぞれ競争して勝利を目指して努力しているということがございます。それから特に馬に騎乗する騎手につきましては、競走において馬の全能力を発揮させなければならないということ、また馬につきましても内廐制というもとで競馬会の職員が常に調教進度を把握しており、またレース展開におきましても各コーナーでの監視やビデオ等により万全を期して、競走に不正のないよう十分留意しておるというようなことでございまして、不正が行われないようなシステムとなっていると私ども考えている次第でございます。  また他方、やはりどうしても強い馬同士の競走を見たいというファン方々がございまして、強い馬が同一馬主の場合、やはり同一レースで複数の馬が出てくるという場合もありまして、なかなか一律で律し得ないというところもございます。ただ、確かに公正確保上の観点からの問題も指摘されているということでございますので、一層の公正確保のための方策を今後また検討してまいりたいというふうに考えております。
  227. 西中清

    ○西中委員 なかなか難しい問題だと私も思っております。だけれども長く中央競馬が繁栄していくためには、やはりできる限り公正確保ということを重視をしていかなければ、いつかしっぺ返しがくるのではないかな、こういう思いでおりますので、ひとつ特段の御検討をいただきたい、このように思います。  この七日に京都競馬場で開催されました第五十一回桜花賞で、一番人気馬の落鉄というアクシデントがございました。この措置をめぐって公平、公正さという点ではいささかファンの信頼感を損ねるものがあったのではないかな、実はそう見ております。私も、悪いことですが競馬はまだ一遍も券を買った経験がないのでよくわからぬのですが、テレビをたまたま見ておりまして、なかなか蹄鉄を打てないという状況で場内放送も聞こえておりました。しかし出走のときには何の放送もなくてという感じで、つけたのかつけぬのかと思って見ていてそのままいっちゃったということですね。こういう例はしょっちゅうあるのかないのかよくわかりませんけれども、一定のルールが決まっておればそのルールに従ってやればいいわけですが、これはルールがあったのかないのか、その辺のところもよくわからないのです。ですから今後、こういう問題についてどういう対処をなさろうとしておるのか伺っておきたいと思います。
  228. 岩崎充利

    岩崎政府委員 桜花賞のイソノルーブル号の落鉄問題でございますが、跣蹄と申しますか落鉄したままで走るということについては、今の運営上といたしまして、これは発走除外の規定には当たらないということになっております。そういうことでございますのでそのまま発走させたということでございますが、ただやはりいろいろまた反省すべき点もあるということで、日本中央競馬会におきましては、一つは、今回のような事例が発生した場合には、発走前にできるだけ放送を行うということが一つございます。それから装蹄等のためのつなぎ馬房を馬場内に設ける、それから落鉄することが少ない調教、競走兼用の蹄鉄の普及に努める等の措置をとることとしたというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、競馬の大多数のファンに支えられて順調に推移しているときでもあるので、私どもも、公正確保には万全を期しますようにより一層指導してまいりたいというふうに存じております。
  229. 西中清

    ○西中委員 対応策を決められたようで、それはそれで結構なんですね。このルールが周知徹底されておるならば、そのときの措置がこうです、だから見ているファンも、ああこのルールでやったんだなということで何ら問題は起こらないと思いますね。予想できなかったのかどうか知りませんけれども、こういった問題についてもやはり日ごろから検討されまして、そしていろいろなケースのときの対応策というものをあらかじめ公表しておって、皆さん方によく知っていただいておるということが大事だろうというように思います。その点もひとつまた再検討を願いたいと思います。  次に、競馬ののみ行為の問題であります。これは競馬以外の競技もあると思いますが、暴力団の重要な資金源、こういうようになっているというように言われております。こののみ行為をできる限り少なくさせるためにも、場外発売所のない地方での発売所の設置、それから先ほど触れました控除率の引き下げ等のサービス、それから電話投票あるいはパソコン投票の拡大等を図っていくこともそれなりに意味はあるのではないか、私はそう見ておるわけでございます。  そこで、警察庁の方にお伺いしますが、こののみ行為の実態はどのようになっておりますのか、御説明をいただきたいと存じます。
  230. 中田好昭

    ○中田説明員 お答えいたします。  平成二年中におきます公営競技に関する法令違反のうち、いわゆるのみ行為で検挙した状況は、件数で六百五十一件、人員で三千三百六人となっております。このうち暴力団員によるものが件数で五百五十八件、これは全体の八五・七%になっておりますが、また人員で二千二百二十六人、これは全体の六七・三%でございます。こういうふうになっておりまして、依然として暴力団の有力な資金源になっていることがうかがわれる状況にございます。また、この点競馬について見てみますと、件数では四百三件、人員で二千三百九十九人となっており、うち暴力団の検挙は三百三十八件、八三・九%、千六百二十六人で全体の六七・八%となっております。  次に、暴力団ののみ行為による収入でございますが、これは平成元年の二月に特別に調査いたしたものがございます。これによりますと、のみ行為だけの収入についてはそれを分けて調査いたしておりませんが、いわゆる賭博とのみ行為を合わせた年間収入につきましては約二千二百億円程度というふうに推定いたしておりまして、これは暴力団の収入予想、大体一兆三千億というふうに推定いたしております、それの一七%に当たるというふうな形で、これは覚せい剤の収入が四千五百億というふうに見ておりますので、これに次ぐ二番目の資金源というような形になっているというふうに存じます。
  231. 西中清

    ○西中委員 御報告いただきましてありがとうございました。退場していただいて結構でございます。  こういう実情にあるようですが、これは検挙されたデータですから、それ以外がどれだけになるのか、これはちょっと想像つきませんが、いずれにしてもかなりの部分を占めておるし、同時にまた、暴力団以外のものも散在しておる、こういうところから見ますと、やはり馬券を発売する場所等ができるだけまんべんなく配置されるということが望ましいのではないかな、それが結局のみ行為を減少させる効果を持ってくるのではないかな、このようにも思っております。  そこで、場外馬券ですが、この発売所が、制約といいますか難しい条件があってなかなか思うように進まない、こういう状況であることは私もよく存じております。それだけに、例えば電話投票制度というようなものが現在あるわけですが、これを充実させるということも、のみ行為を減らす効果を期待できるのではないかな、実はそういうふうに思っております。  そこでお伺いをしますけれども、現在二十四万五千件この投票制度が利用されておるわけですが、もう一つ積極的に展開をするというような様子ではなさそうでございます。それはどういう理由があるのか、まず伺っておきたいと思います。  同時に、毎年若干ふえてきてはおるのですが、希望者が非常に多い、こういうように聞いております。その倍率はどの程度になっておるのか、伺っておきたいと思います。
  232. 岩崎充利

    岩崎政府委員 電話投票加入の募集につきましてまず御説明申し上げますと、電話投票所が新設あるいは増設された場合に、新聞等による公募で行われておりますが、電話投票所の設備によりまして定員が限られているということのために、定員を上回る応募がある場合には抽せんにより加入者を決めているということでございます。  公募を行った場合の応募状況でございますが、これは地域によって差がありますが、最近の例では、平成二年八月に関東地区で三千名の公募を行いましたところが、三万四千五百八十四名の応募がありまして、その倍率は十一・五倍ということになっております。  電話投票の場合には、やはり負荷というのかコンピューター等々でいろいろなかなか難しい問題もあるということで、なかなか思うように設備投資が進まないというような状況もございますが、やはり電話投票は、競馬場なり場外発売所の混雑緩和とかあるいはのみ行為の防止とか、発売施設から遠隔地にいるファンへのサービスに有効と考えられるというようなことから、電話投票所についてファンの要望にこたえられるようにさらに検討してまいりたいと考えております。
  233. 西中清

    ○西中委員 設備投資、それなりにお金がかかると思います。思いますけれども、やはり需要がこれだけあって、ファンに対するサービス、それから今も御説明がありましたように、場外発売所が設置できない、そういった点だとか、環境の悪化を防ぐ、こういういろいろなメリットもあるわけでございますから、やはりこれは競馬会でできないような金額じゃないと私は思うのです。また、技術的にも、回線だって十分あるようですし、コンピューターの容量という問題がありますけれども、そういった点で積極的に設備投資を推進をされた方がいいのではないか、このように思っておる次第でございます。  ですから、逆な言い方をすると、この電話投票制度を抑えることがかえって今度はのみ行為を助長するということにもなりかねないわけでございますので、この点、積極的に推進をされるよう私は要望するのですが、改めてもう一度御回答をいただきたいと思います。
  234. 岩崎充利

    岩崎政府委員 電話投票につきましては、希望者も多いということで、これからまた積極的にいろいろな形で検討してまいりたい。  なお、端末コンピューターを利用したような形でPAT方式投票というような形で在宅投票をするというようなことも私ども考えておりますが、これにつきましては、基本的には電話投票の一方式として位置づけられておりまして、従来の電話投票電話機を使用して投票を行っていたものにかえまして、加入者がパーソナルコンピューターなりファミリーコンピューターとか、専用端末機を使用して電話回線によりまして電話投票所のコンピューターに投票内容を直接入力するという方式でありまして、これは従来の電話投票と同様に加入者の勝馬投票券の購入金の支払いなり払戻金、返還金の受け取りは、またこれも銀行の普通預金口座を通じて行われるということでございまして、これはまた電話投票一つの変形ということではございますが、今行っております電話投票と比較いたしまして、通信に要する時間の短縮が図られ、加入者の電話料金の負担が軽減されるという利点がある。  ただ、これはいろいろ言われておりますが、在宅だということでいろいろ誤解されるところもございますが、その加入手続なり暗証番号等の使用は電話投票と全く同様であります。その上にパソコン等を使用するために、競馬会の電算機と通信するためには加入者専用のソフトシステムが必要であるということで、これはやはり当該者きり持たないような形にいたすというような形で、ほかの者に使われるという心配をなくした形でやるというような慎重な対応をとることによってまたこれも可能ではないかというようなことも考えております。
  235. 西中清

    ○西中委員 さまざまな問題があることもそのとおりだと思います。いずれにしても、この点についてはもう少し充実をしていくことが望ましい、私はこのように思っております。  現在この電話投票を受け付ける場所は全国で二十一カ所と聞いておるのですが、その所在地が非常に偏りがある、四国、北陸等はそれがない、こういうへんぱな状況にございます。これがなかなか改善されないでそのままきておるということで、競馬会ファンサービスを一体どう考えているのだろうかという疑問を抱いておるわけでございます。その辺はどういうことが理由になっておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  236. 岩崎充利

    岩崎政府委員 電話投票所の設置でありますが、これは、基本的に場外発売所等の混雑緩和なり運用の効率性というような観点から、場所につきましても、競馬場があるところ、あるいは場外発売所の所在する近隣地域を中心に設置してきたというようなことがございまして、結果としては地域的に偏りがあるものというように考えておる次第でございます。
  237. 西中清

    ○西中委員 例えば四国は発売所もないのでしょう。それに電話もやらないというのは一体どういう理由なんですか。
  238. 岩崎充利

    岩崎政府委員 先ほども申し上げましたように、この電話投票所の設置につきましては、場外発売所があるようなところとか、それから競馬場があるところの近隣地域の混雑緩和というようなことも念頭に置いて、場所の選定等も行ってきたという経緯があるものでございますので、そういうもののないところについては、なかなかそこまで電話投票所をつくるという形にはなってきていなかった。したがいまして、先生指摘のように、地域的に偏りがあるというのも事実でございます。
  239. 西中清

    ○西中委員 説明としてはもう一つ納得し切れぬものがありますね。中央競馬会というものは、四国を除くという規定があるならばいいですよ。そうじゃないでしょう。中央競馬会なんですから、全国で同じようなサービスを提供するというのがその使命でなければならぬと私は思いますね。何も四国のことばかり言うわけじゃありません。ほかの地域もないところもあるんですよ。しかし、その地域において結構競馬新聞が売れておる。やはり需要があるという一面があるわけですね。そこのところに適当なものがなければ、のみ行為でやってしまうというケースだって絶無であるとは言い切れないと私は思うのです。ですから、それなりのサービスをまんべんなくやられた方がいいのじゃないか、こういうように思っておるのです。その点、改善されるお気持ちはございますか。
  240. 近藤元次

    近藤国務大臣 のみ行為、当然のことでありますが、もう一つ遠隔地にもサービスをという役割もございます。もう一つ、今局長が答弁したように、一定の休日に集中して、そこに自動車が集積されるということも大変迷惑のかかることでもございます。そういう意味で、電話なり、いわゆる在宅投票ができるような形でのファンサービスというのは当然やっていくべきだろう、こう思うわけであります。  従来から、電話回線等の問題がありまして、NTTとも協議をさせていかなければなりませんけれども、今先生お話しのようなことについては、またこちら側からも積極的に指導して、全国これだけの大衆ファンがいるわけでありますから、そういうものにサービスができるように対応していきたい。従来は、どちらかというと希望が多いという、希望に合わせて対応してきたのではないかな、私も過去のことは十分知りませんけれども、そういう感じがいたすわけでありますので、適正な配置を整えるようにこちらからも指導していきたいと思っております。
  241. 西中清

    ○西中委員 ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、今度は心配の方なんですが、未成年の馬券買いという問題が報道されておりますね。未成年や学生生徒の馬券購入がふえてきたのではないかという心配があるのですが、実態はどんなものか、つかんでおられますか。
  242. 岩崎充利

    岩崎政府委員 私ども、未成年者につきましては馬券は買わないようにという指導をいたしておるような次第でございます。そういうものについては、巡回指導等をもちまして、できるだけ事前に補導するというような形をとっております。  最近の補導の状況でございますが、平成二年では大体九千六百六十六名を補導いたしております。いずれにいたしましても、私どもは、未成年者が馬券購入を禁止されているということの広報とか場外馬券所への入場拒否、巡回警備によります事前防止等を行うことによって努力しているということでございます。
  243. 西中清

    ○西中委員 この問題はなかなか難しいなと思うのは、今中学生や高校生がかなり馬券を買いに来る。窓口で生年月日を確認したりして、御苦労されている方も多いようですね。しかし、どうも一種のファッションというか、そういう感覚で、そんなに深刻な気持ちでやっているというのじゃなくて、もっと軽い気持ちでやっているというケースが多いようです。これで一々取り締まりをきつくしてやるということで補導ということになると、子供には後々後遺症が残っていく心配も実はあるわけでして、取り締まりをしっかりやるということも一つの方法かもしれませんけれども、むしろそれよりもこういった点についての啓蒙といいますか教育、PRといいますか、あらゆる手段を使って未成年者、学生生徒は馬券は購入できないんだ、譲り受けることはできないんだということを、雑誌などにちょっと広告が出ているのを見ていますけれども、もう少ししっかりした対策をお立ていただくことが必要ではないか。今始まって、そう深刻な状況になってしまったわけじゃないのですから、今のうちにしっかりと手を打っていく。これは政府の方からも中央競馬会にもしっかりやらせるということ、この点について真剣なお取り組みを要望いたしたいと思いますが、お考えを伺っておきたいと思います。
  244. 岩崎充利

    岩崎政府委員 競馬会では、競馬場なり場外発売所施設内におきまして、場内テレビとか投票所窓口、大型映像、出馬表、レーシングプログラム及び場内放送等によりまして、学生生徒、未成年者が勝馬投票券を購入できない旨の啓蒙に努めていますとともに、警備担当者が巡回いたしまして、未成年者と思われる者について補導指導ということを行っておりまして、競馬法で禁止されている者の勝馬投票券の購入を未然に防止するように努めているところであります。また、開催案内等を行う新聞広告なりポスターテレビスポット等におきましても、学生生徒、未成年者は勝馬投票券を購入できない旨を常に表示している。さらに、各投票所におきましても、未成年者と判断される者については窓口において生年月日等を確認いたしますほか、職員等が発売所内を巡回、監視いたしまして未成年者等の購入防止に努めて、未成年者等は購入できない旨の注意書きを掲出しているところでございます。  なお、競馬場なり場外発売所への若年層の参加の増加にかんがみまして、警備等々においてもいろいろな形でやっておりまして、できるだけ未成年者の勝馬投票券購入防止を徹底するようにこれからも一生懸命やっていきたい、また先生が御指摘になりました啓蒙、普及ということも非常に重要でございますので、こういうものもさらに含めながら努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  245. 西中清

    ○西中委員 ちょっと後戻りして悪いのですが、電話の投票制度に加入するためには十万円、二十万円、三十万円という保証金というのですか、これを納めることにしておるわけですが、二十四万人幾がしということになると相当な金額になっておると思うのですが、その金額ほどの程度のものなのか、それからこれはどういう会計で処理をされておるのか、それから運用は何らかなさっておると思いますが、どういう運用をなさっておるのか、その辺の事情について御説明いただきたいと思います。
  246. 岩崎充利

    岩崎政府委員 保証金につきましては、競馬会でさわるということじゃなくて銀行にとめておくという形でやっておるというようなことでございます。
  247. 西中清

    ○西中委員 銀行に預けているのですけれども、本人の普通預金口座に利子分は支払われているわけですね。その辺の事情をちょっと知りたいわけですよ。
  248. 岩崎充利

    岩崎政府委員 本人名義の定期預金ということでございまして、ほとんどが大体十万円の定期預金ということになっているということであります。
  249. 西中清

    ○西中委員 この問題はもう少し私も勉強してからなにしたいと思いますけれども、これはどういう性格でどうなるのかということについては、まだちょっと私も理解し切らぬところがございますので、また折を見てなにしたいと思います。  次には、国庫納付金の問題でありますけれども改正案ではその使途を拡大するということになっております。なぜ拡大をしなければならないのか、この辺のところの理由を明らかにしていただきたいと思います。
  250. 岩崎充利

    岩崎政府委員 現在、日本中央競馬会法の第二十七条の規定による競馬会国庫納付金の四分の三相当額畜産業の振興のために必要な経費に充てられてきたということでございます。先ほどちょっと大臣の方からも申し述べましたが、最近の畜産をめぐる情勢等々も、かなり国際化への対応とかあるいは体質強化とか生産性の向上等々求められておりまして、なかなか内外ともに厳しいというような情勢の中で、将来の畜産を担う者も確保しながらこれから大いにその体質強化を図っていかなければならないような事態になっておるような次第でございます。  このため、従来におきましては、畜産振興に必要な経費に充てられるということについて書いてございましたが、間接的に畜産振興に資するというようなことも含めてやりたいということでございまして、例えば畜産農家も自立し得ますような農道とか集落排水とかあるいは多目的集会施設の整備というような形で農村の営農環境と申しますか、定住条件の整備のための事業とか、畜産への応用性のある農作物の遺伝子構造の解明の研究というようなものにつきまして、直接的には畜産振興のみを目的とはいたしておりませんが、この実施の効果として畜産振興に寄与するということになる事業実施に必要な経費につきましても、この国庫納付金の四分の三相当額を充てて、全体として畜産振興の一層の促進を図っていくということが適切であるというような形の中で今回の法律改正を御提出申し上げた、こういうことでございます。
  251. 西中清

    ○西中委員 私がここで申し上げたいことは、要するに、冒頭で述べましたとおり、競馬制度そのものの本質が変わってきているのではないかというお話をいたしましたが、いわば国民総参加のような状況に今ブームとしてなってきておって、目的が、畜産振興に主としてこの納付金も使われる。それに一部社会福祉事業。さらに今度新しく行う事業畜産関係が主力であり、また農村部の環境の整備といいますか条件をよくしていこうという、それは別に異論があるわけじゃないのですが、果たしてファン皆さん方馬券をお買いになる皆さん方が農村であるとか農業関係者とか、それから畜産関係者だけではない様相が非常に強く出てきておりますね、現代は。ですから、生産者に対してこういう予算を使うことももちろんこれは大事なことなんですが、金額もかなり巨大になってきておりますので、やはり一般国民といいますか生活者といいますか消費者といいますか、そういった面に対する還元の意味も含めてそこまで、同じ広げるならそういう点までやった方がファンも納得がいきやすい、説得力を持っておるというように私は思うんですね。間接的には回り回ってプラスになるのですという論は立つのかもしれませんが、そうじゃなくて、やっぱり直接的にレジャー関連なりなんなりに還元をするという方向を開いておってもよかったのではないかなと思っておるのですが、この点について何かお考えがございませんか。
  252. 岩崎充利

    岩崎政府委員 中央競馬会の目的そのものが、競馬を通じまして畜産振興に寄与するということでございまして、競馬と申しますのは、やはり馬の改良増殖等々を通じましていろんな形で畜産と結びついた形の中で今日まで来た。そういうことで競馬そのものが馬の選定、いい馬の、良馬の選定ということを通じましていろいろな形で、親子判定技術とかそういうような形の中でやってきた。これがまた畜産技術改良にもなりました。また衛生面におきましても、これは家畜衛生というような形で結びついてきたというような形の中で、やはり競馬畜産というものの中で中央競馬会の目的にも沿うことになってきたというような形でございまして、そういうことの中で、四分の三ということでございますが、大宗はやはり畜産振興あるいは畜産振興に資すると認められるようなものに行うのがしかるべきではないかというようなふうに考えておる次第でございます。
  253. 西中清

    ○西中委員 御説明は御説明としてわかります。わかりますが、これは議論として冒頭から私は申し上げておるので、今ちょっと残念な思いをしておるというのが真実のところでございまして、確かにそうなんだけれども、こうして畜産に寄与するためにお金が使われているんだと言ったって、正直言うとこれはなかなか目に見えないものでしてね。これがどんどん畜産に使われたからどんどん畜産の生産品が良質になり安価になりということが目に見えておれば割合理解が早いけれども、余りそういう効果も目に見えておりません。今大勢の人が、いわば全国民的に競馬をやっておって、何であそこだけ行くんかいな、これは法律があるからやと言えばそれまでなんですが、一般的な受けとめ方からすれば、どうももう一つぴんとこないという面もないわけではない。そういう面で法律の目的、この競馬法の目的等につきまして、これをどうこうするということは急には無理としても、運用の部分等につきましても、これからはそういったことを念頭に置きながら、やっぱり少しずつやっていくということも大事な時代に入ってきているのではないか、こういうように私は思っておりますので、これは意見としてお聞きいただきたいと思います。  それで、これは今まで議論がありまして、補足的な解釈の問題だけなんでちょっと確認をしておきたいのですが、三十六条の「政府は、第二十七条の規定による国庫納付金の額に相当する金額」云々という条文がございますが、この金額というのは当初予算ベースの金額と理解してよろしいのでしょうか。その点どうでしょうか。
  254. 岩崎充利

    岩崎政府委員 そういうことでございまして、当初予算ということに考えております。
  255. 西中清

    ○西中委員 次は、特別積立金の活用についてお伺いをいたしたいと思います。  五千五百七億円にも達する特別積立金についての規定は、日本中央競馬会法二十九条に記されていますが、どういう性格のものかもう一つ判然といたさない。一体これはどういう性格のお金なのか、どれぐらいの規模が適切とお考えなのか、その辺のところを説明されたいと思います。
  256. 岩崎充利

    岩崎政府委員 特別積立金の性格でございますが、この特別積立金は、剰余金を積み立てたものであるということから利益剰余金であるというふうに考えられますが、競馬という特殊な事業から生ずる剰余ということで、それぞれで適時処分すべきではないという考え方から積み立てられているものであります。  競馬会には追加支出とか政府からの援助等の規定がないということから、独立採算で経営を維持していかなければならないというような事情にあるところでございまして、特別積立金は競馬会にとりましては財政的な基盤をなすものでありまして、安定的な経営のためには、経営規模に見合った水準というものを確保するということが必要ではないかというふうに考えております。  その規模はどのぐらいかという問題でございますが、特別積立金といたしましては、一つは、相当程度が固定資産ということになっていまして、競馬場施設になっております。それから一部が損失補てんに充てられる、あるいは不測の事態が生じた場合、例えば何らかの事由で競馬が開催できないようなときに、やはりいろいろな形で、調教師の方もおるし廐務員の方もおるし、関係者へのそういうことも考えていかなければならないというような形の中で、不測の事態に対応するような形のものも残しておかなければいけないという、もろもろも含めた形での特別積立金という形になっている次第でございます。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  257. 西中清

    ○西中委員 それで、この処分の方法ですが、政令で定めるとなっておりますが、どういうときに処分ができるのか。処分の手続はどうするのか、どうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
  258. 岩崎充利

    岩崎政府委員 政令で定める場合は、ただいま申しましたように、不測の事態あるいは中央競馬会が赤字になったというようなことに対応する場合にこの特別積立金を取り崩して充てるということで、そういう事態になったときに政令で定める、こういう形になっております。したがいまして、現在のところ、政令では定めていないということになっております。
  259. 西中清

    ○西中委員 次は地方競馬でありますけれども地方競馬の経営基盤の現状は一体どうなっているのか、政府の認識をお伺いをしたいと思います。  何しろ脆弱であるというように言われておるのですけれども、どういったところにその原因があるのか、どう分析をしておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  260. 岩崎充利

    岩崎政府委員 一つは、地方競馬でございますが、地方競馬の入場人員は、昭和四十九年度をピークといたしまして年々減少いたしてきましたが、昭和六十一年度に上昇に転じまして、平成二年度には千三百八十七万人ほどの入場者ということになっております。一方、売り上げにつきましても、これは昭和五十五年度をピークに減少いたしまして、昭和六十年度を底にして昭和六十一年度から上昇に転じまして、平成二年度では九千四百九十三億円と過去最高額を記録したような状況でございます。  地方競馬の経営基盤が脆弱であるということでございますが、これは地方競馬がその特質といたしまして、地方地方でその地域に合いました競馬をやるというようなことでございますので、経営規模が小さいというようなこともありまして、売り上げに比較いたしますと経費がかかる。また非常に狭い地域を単位といたしますので、なかなかおもしろい充実したレースが組みにくいというようないろいろなことがございまして、経営基盤が脆弱であるということになっているのではないかと考えている次第でございます。
  261. 西中清

    ○西中委員 今回の法改正で経営基盤の改善を図ろうとされているようですが、具体的にどういうことをなさるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  262. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回の競馬法改正におきましても、今のような地方競馬の脆弱性というようなことも念頭に置きながら、一つは、地方競馬の交流をこれから一層促進することが重要だろう。また、地方競馬主催者が協力して経営基盤の強化を図るということが一番重要じゃないかというようなこと等もございまして、今回、一つ競馬実施に関します主催者間の委託の制限の緩和ということを図ったわけです。従来は、現行法によりますと委託できるということが県内だけにとどまっていたわけですが、今回につきましては、県外の主催者にも委託ができるというような道を開いた、こういうことでございます。  それからもう一つは、地方競馬主催者が地方競馬全国協会に交付するということになっています交付金の額の算出について別表で定めているわけでございますが、経済事情の変化に応じて改正するということにいたしまして、これによりまして売り上げ規模の小さい主催者の負担が軽減されてくるというふうに見込まれるところでございます。このほか、例えば特別登録料制度の導入につきましても道を開くというようなこと等も行っている次第でございます。
  263. 西中清

    ○西中委員 最後になりますが、競馬に関する研究会報告書では、「中央競馬地方競馬それぞれの特色をいかした共存共栄の関係に立つ相互の協力体制を一層促進する」と述べているわけですが、いずれにしても、この地方競馬というものは各地方においては非常に重要な企業でございますから、それが成り立つように特段の配慮を必要とすると思います。今後の決意を大臣に伺って、終わりといたしたいと思います。
  264. 近藤元次

    近藤国務大臣 地方競馬が脆弱だということの内容について局長から今御答弁がありましたが、実はこれもまた地方競馬なりの格差がかなりございます。どちらかと言えば、開催をしておる市町村は財政基盤も弱いわけでありますので、ファンサービスなり設備改善なりというよりは財源にしてきたという傾向のあるところも実は競馬場によってあるわけでございます。  そういう意味で格差がどんどん広がってきておりますし、なかんずく中央と地方との差はかなり出てまいりましたので、一つは、設備改善のために中央競馬からも支援をしていきたい。そしてまた地方競馬に魅力を持たせるためには、馬も騎手もレースに参加をさせていく、あるいは騎手だけを地方競馬に参加をさせて、全国的にも地方競馬から、武豊に来て乗ってほしいというような要請もあったりするような状況も実はございますし、また場外馬券売り場などは、共同的に利用できるようなものがあったら共同的な利用というようなものも考えていくべきだし、お互い共存共栄をしていくというのが私ども役割でございますので、そのようにお互いが、地方競馬には地方競馬なりの活力を持たせていく、ファンに魅力を持たせる、サービスを持たせていく、それがやはり地方の特色を持ったところの競馬全体の振興にも寄与できるもの、そう考えておるわけであります。脆弱になっておる地方競馬振興のために、今後中央競馬の持てるノーハウなりあるいは資金的なり技術的なりというものを支援をしながら、総体の競馬全体におけるものの振興を図っていきたい、そう考えておるわけであります。
  265. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  266. 穂積良行

    ○穂積委員長代理 藤田スミ君。
  267. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今回の改正案については、競馬界の益金の活用だとか、また馬主の登録などへの審査制度の導入などは当然の措置だというふうに思っています。  そこで、私はまず最初に、競馬会などの売り上げ拡大路線と言ったら少しお気に召さないかもしれませんが、その問題についてただしていきたいというふうに思うのです。  公営競技について、私は、昭和三十六年に公営競技調査会の答申、いわゆる長沼答申と呼ばれていますが、こういうものを引っ張り出して読んでみました。この中では「社会的に好ましくない現象を惹起することが少なくない」こういうことで、現状凍結ということが言われているわけです。その次に出されましたのが吉国答申であったと思いますが、これも抑制基調の維持ということで引き継がれていっております。そして、今回の競馬に関する研究会報告を見ましても、場外馬券売り場の「設置をめぐる反対運動等からすると、国民の一部には競馬に対してまだ根強い反感や嫌悪感が存在することもまた否み難い事実である。」と認めておりまして、開催日や競馬場などは現状維持というふうに書かれているわけであります。このことは大衆娯楽としてスポーツ、レジャーということで国民の間に広まってきたということだけではなしに、それとあわせてやはり競馬の持つもう一つの側面であるギャンブル、これに対する国民の批判、警戒の目も強まっている。そういう住民の声を尊重することが非常に大事だということになるというふうに思うわけです。したがって私は、今後ともこの公営競技、競馬についても節度ある態度が求められているというふうに思いますが、その基本的な認識についてお伺いをしたいと思います。
  268. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生おっしゃるような経過が実は今日までございますし、また、一部そういう気持ちで受け取っておる人もおられるだろうと思うわけであります。競馬については、世界の東西を問わずほとんどの国が、主要な国というのは競馬等を開催をしておるように私は認識をいたしておるわけでありまして、日本の国内を見ると、かなり過去において賭博性が非常に強かったという一時期も実はございましたし、そこからまたよからぬ事件が発生をしたり、ひんしゅくを買うような出来事というのもあったことも私も承知をいたしておるわけであります。  そういうものを乗り越えて、今は一千万を超える入場者のような、実は大変な大衆娯楽的な傾向に進んできたのではないだろうかな、そういう受けとめ方をして、せっかくここまできたその大衆娯楽的な意識を持っておる善良な国民を、どのように安定をして、定着をしてその競馬ファンに対してこたえていくかという一面と、なおまた、一部暴力団等を含めて、そういう場所を根拠にしてよからぬことをしておるような人たちをどのようにして規制をし、取り締まりをし、健全な方向に向かうか、ここが一番の接点ではないのかな、こう思っておるわけでありまして、これだけの大衆、若年層から女性層に至るまで今日的な競馬に対するファン、まさに国民の大衆娯楽に位置づけるための仕事をこれからしていく立場では、重い責任を感じて今後この法律改正に取り組まなければならないと認識をいたしておるわけであります。
  269. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 要するに、競馬のこれまであった開催規定というのは、この公営競技というものをやはりいたずらに拡大してはならないんだよという一つの大事な節度を持たせていくための担保として、これまで開催規定というものが法令に載せられていたと私は思うのですね。今回、省令委任ということになりまして、国会のチェックなしに開催をふやされやしないかという心配が出てくるのは当然のことだというふうに思うわけです。そういう問題と合わせて、この国庫納付金を義務づけている中央競馬会ですから、国会で決める今までのやり方でいいじゃないかという世論が出てくるのも、これも当然のことだというふうに考えます。この点についていかがでしょうか。  また、地方競馬の場間場外の委託についても、これは今までも職員を派遣してやっていたわけですが、手間が省けるということでむやみに拡大すべきではないし、それから場外扱いを始めるときは、やはり地方自治体並びに地域住民の新たな同意をとることは当然のことだというふうに思うわけです。これは開催の地方自治体などが具体的に実施することですが、法改正に当たっての考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  270. 岩崎充利

    岩崎政府委員 今回、開催回数等の上限を定めておりますものにつきまして、ほかの公営競技等々でもこの規定が省令に委任されているというようなことから、今回、他種競技の規定ぶりと合わせまして省令に落としたということでございます。  ただ、先生も御指摘がありましたように、中央競馬の開催回数を変更するということにつきましては、やはり競馬そのものがかけごとという面があることも、これはそういうことでの国民感情がありますし、また他種競技への影響を与えるということ等から、社会情勢等に変化がない限り困難であるというふうに、省令には落としますが、これをふやすとかそういう形のものは困難であるというふうに考えておる次第でございます。現在のところ、省令でも現状のままを規定する予定でありまして、今後状況に変化がない限り、現状以上に競馬の開催回数をふやすつもりはございません。  それから、地方競馬実施の委託制限緩和の問題でございますが、これも競馬開催を行っている実施者に対して委託をするということで、ねらいといたしましては、地方競馬の経営基盤が脆弱であるということの対応といたしまして交流競技なり、あるいは共同して、地方競馬方々が一緒になってやるということへの道を開こうというようなことで、場間場外ということを頭に置いているような次第でございます。  先生指摘地方議会の承認等々の問題でございますが、これは地方自治法によりまして、委託ということを使って場間場外発売を進める場合に、双方協議の上規約を定めるということになっておりまして、その合議に当たりましては双方の地方公共団体の議決というものを要するということとされております。  それから、地方競馬主催者間の委託による場間場外発売を進める場合に、場外場となった競馬場におきましては、本場としての開催時より入場人員は大幅に減少するということになりますが、競馬場に人が集まる日数が増加したり、あるいは従来と異なった曜日における開催ということも行われることもありますので、これらにつきましては、従来の地域社会との了解の範囲を超えるというときには、地域社会と十分調整を図るというように指導してまいりたいと思っております。
  271. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 他種競技に合わせて省令に落とした、こういう開催日あるいは競馬場の数の変更に対する部分の御説明でありましたけれども、実際には他種競技もやはり省令になって広がっているところがなきにしもあらずなのです。今の御説明では、現状ではふやすのは困難だ、こういうお話でございましたので、それはそれでいいと思いますが、ただ、気になりますのは、変化がない限りと、どういう変化があればふやされるということになるのでしょうか。どういう変化があればですか。それとも、ずばり、競馬場の数、開催日数については現状の水準を維持すべきは当然というふうに私は今ここでお聞きしておいていいんでしょうか。
  272. 岩崎充利

    岩崎政府委員 そういうことでございます。変化がない限りと申しましたのは、例えば公営競技全体を通じる形の中で、これから公営競技をどういうふうに持っていくかというようなことの中で、またそういうことも御論議になるだろうというようなことがありますれば、そういうようなことが念頭にあるということでございますが、今のような状況の中でふやすということについては考えていない、こういうことでございます。
  273. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次の問題は、これは先ほどからも問題になっておりましたが、中高生、未成年者の馬券購入の問題であります。  私、競馬会平成二年の事業報告書を読ませていただきました。「新規・若年層ファンの獲得に重点を置く広報活動を実施した。」ということで、賀来千香子とか「好奇心一〇〇%の競馬です。」とか、これを見ていても、これは若い人が喜ぶなと思うような言葉がたくさん入っておりまして、なるほどなと思って見たわけです。  しかしながら、皆さんがこういうふうに事業報告書で述べられているような広報活動に力を入れられて、一方では未成年者の馬券買いというものが非常に社会問題になってきているというふうに思うのです。それは警視庁少年一課が調べたところによりましても、ことしに入って、馬券を買って補導された中高生は八百六十五人に上っておるということで、昨年一年間を既に上回ったというふうに報道されております。この中では、その補導された子供たちが、遊ぶ金が欲しかった、スリルがたまらない、一レース三万円買ったというようなことも言われておりまして、学校ではやっているから買ったんだというふうな答えも三六・三%調査の中では出ております。  こういうふうに、若向け番組で競馬の予想を報道したり、テレビで放映されて、公営ギャンブルが教室の中まで持ち込まれてきているというような状態の中で出てきているわけで、まさに皆さんの力を入れられたこの宣伝、広報活動が、皆さんの言われる若年層をさらに追い越した若年層の方に入っていってしまっているということになると思うのです。したがって、年間百億にも達している競馬会の広報費の見直し、抑制とあわせて、この中には全く、学生生徒の馬券購入は禁止されているのでその対策についてはというようなことは一言もありませんが、そういうことをもっと徹底した活動を展開するべきじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
  274. 岩崎充利

    岩崎政府委員 未成年者の問題でございますが、私どもも含めまして競馬会では、競馬場なり場外発売所施設内におきまして、場内テレビ、投票所窓口、大型映像、出馬表、レーシングプログラム及び場内放送等によりまして、学生生徒、未成年者は勝馬投票券を購入できない旨の啓蒙に努めておりますとともに、また警備担当者の巡回によって未成年者と思われる者につきまして指導、補導を行いまして、競馬法で禁止されている者の勝馬投票券の購入を未然に防止するように努めている。また、先生指摘もございましたが、開催案内等を行う新聞広告とかポスターテレビスポット等におきましても、未成年者等は勝馬投票券を購入できない旨を常に表示しているということにいたしております。いろいろな形でございますが、私ども、こういうものにつきましてさらに今の趣旨を徹底さしていきたいというふうに思っておる次第でございます。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  275. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 おっしゃることは、私も競馬場に行って見ましたので、一応の掲示のあることはよくわかっているのですが、しかし、皆さんが若い層にもっと広報活動を広げていこうという意欲の割に、ここにもさっき指摘したように、しかし、未成年者はだめなんだということについての広報活動というのはやはり非常に弱いですよ。したがって、私は、おっしゃるようにそういうふうな宣伝をもっと強力に進めていかれることを重ねて要請をしておきたいと思います。  先ほどからも議論になっておりますが、法律に全く顔をあらわさない馬券の場外発売がいわゆる電話投票だというふうに思うのです。在宅パソコンの投票もやろうとしている問題であります。  電話投票に関する資料というのもいただきました。それは、加入者が二十四万五千人、売り上げが二千七百億円、一人百万円買っている。窓口販売は、入場一億人で三兆円ですから一人三万円ということになりますので、比較をしても、非常にギャンブル性が強くなっていると言わざるを得ません。そして、競馬場に行くよりも、場外発売所で買うよりも、さらに電話投票というのは不透明な部分が多くなることは間違いのないわけであります。だから、電話投票の約定で、代理投票してはだめだよとか、欠格事由の人はできません、こう言っても、家の中でやっているわけですから、それが本当にそのとおり実行されているかどうかというところの押さえはやはり不可能なわけです。しかも、電話回線の能力次第で国民の中に、無制限というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、持ち込んでいくことができるわけで、そういうものの歯どめについてどういうふうに考えていらっしゃるのか。電話投票、これが一点です。  もう一つの問題は、パソコンの問題です。これは、各家庭に画像も届けてパソコン通信で売るということです。ある本を読みましたら、父親が朝からパジャマ姿のまま、子供のファミコンを取り上げてギャンブルにうつつを抜かす時代が来る、こういうふうに書いていました。私は、決してその言葉は大げさではないというふうに思うのです。家族から切り離されて異様な雰囲気の中でお父さんがパソコンにしがみつくか、それとも子供たちもいや応なく巻き込む形で浸透していくのではないか。だから、家庭内にギャンブルを持ち込んで家庭破壊を起こさないという保証があるだろうかというふうに思います。まして我々に近い世代はパソコンとかファミコンとかいってもなかなか理解が悪いわけですが、子供の方はもうすぐにわかって逆に指導するような役割を果たすというようなことを考えますと、私は一人の母親としても、競馬のこのような拡大には本当に反対だと大きな声を上げたいわけであります。もし本当に競馬が好きでたまらぬという方があるなら、それは私、その人を否定しません。生活力もあり判断力もあるそういう方は、限られたその場所に出かけていって大いに楽しんでくださればいいわけで、それをわざわざ家の中に持ち込み、在宅投票という名のとおり家庭が馬券購入の場になっていく。そして画面に馬の走っている姿だとかあるいはその倍率だとか、そういうものが入っていくということになると、これは本当にどういうふうなことになるでしょうか。私は、ぜひ大臣に今そこのところを考えてほしいというふうに思うのです。まだ試行段階だということでありますけれども、もっともっと広く子供にかかわる分野の関係者の声にも一度ここで耳を傾けてほしい。  私は厚生省にも実はいろいろと話を聞いてみました。そうしたら、中央児童福祉審議会というところがあって、そこでは児童の健全育成のため遊技等の興行者への勧告制度もあるというようなことを言っておりまして、農水省の話も聞いてみたいなんて厚生省の方も言っておりましたけれども、ぜひ大臣、この際、それを本格的に実施する前に、そういうものを家庭の中に持ち込んでいいかどうかということを、広く関係分野の方の意見をもう一度聞くということを求めたいわけであります。二点お伺いしました。
  276. 近藤元次

    近藤国務大臣 これだけのファンがいて大衆娯楽的な環境になってきた競馬について、場外馬券売り場も大体藤田先生は反対だろう、こう思いますし、電話もだめだ、パソコンもだめだというようなことになると、のみ行為等――一体遠隔地にいる競馬ファン人たちにどのようなサービスをしていくか、大衆娯楽としての定着をどのような方法でやるかということ。競馬場なり競馬の開催回数なりというものは、閣議了解のもとでも、今回の研究会の答申でも、これ以上ふやすべきでないという答申もいただいておるわけでありますから、そういう意味からして、電話投票などというのは、やはり遠隔地の人へのサービスなり、パソコンもそうでありますが、だれでも、子供でも何でも買えるというような状態のものについては厳格に、私ども、そういうことにならないようにするということ。二次的には、そこには子供が競馬をやるために、あるいは子供が電話投票をやるという権利を確保するというようなことはできないわけでございますから、未成年者である子供たちが馬券を買いに行くという行為については、私ども、徹底した指導をしていかなければならないと思いますけれども、家庭の中で電話投票するなりあるいはパソコン投票するなりということについては、その暗証番号というものがありますし、パソコンにはカードというものが存在するわけですから、その権利を持っている、恐らく親であろうと思いますけれども、その親が子供たちにそういうことをするか、させるかということでない限り、そういう行為が事実上できないようになっておるわけでありますから、そこはひとつ家庭の中で親としての、またモラルなり指導なりということについては、私ども、やるべきことがあったらやりたいと思うわけでありますけれども、これを、安定した大衆的な娯楽、楽しみ、こういう形の中で成長させていくべきだという判断を私はいたしておるわけであります。
  277. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、別に競馬全部反対と言っているんじゃないですよ。誤解をしないでください。それから、私は、お金をかけて楽しむということも、そこに一定の節度があれば決してそれを否定しているものじゃありません。だから、何もかも反対反対と言っているのじゃないということをぜひ理解をしてほしいのです。そしてその上に立って、家庭の中にそういうものを持ち込んだときに、大臣がおっしゃるような大衆娯楽、健全な娯楽というものが果たして娯楽のままで進んでいくのかというと、そうじゃないような影響が大いに出てくるだろうという心配を持っているから、ぜひ児童に関係するそういう人たち意見もこの際聞いて、そして本当にこれで大丈夫か、こういうやり方で大丈夫かということも押さえてやってもらいたい。私個人で言えば、パソコンの家庭への導入というような問題については、ぜひこれは慎んでほしいと言いたいわけですけれども、しかし、それにしても、もっと家庭への影響というものを慎重に考えるべきだということを申し上げているわけであります。この問題は、私はこれからもずっと見守っていきたいと思いますし、これ以上続ける時間もありません。  非常に大事な問題が残っておりますのではしょってまいりますけれども、私は、今回法案で馬丁というのが名が変えられて廐務員ということになったのは、これは当然のことだと思いますし、名前が変わったということだけでなしに、これが労働条件の改善に結びつかなければいけないと思うわけです。労働条件については、今国会には競馬会の開催従事員の皆さんからも請願書が既に出されております。開催日だけ働く六万人に及ぶ開催従事員のほとんどが女性労働者であります。三兆円の売上金を直接手にする従事員の皆さんは、法律で馬券を買ってはいけない者とされ、今回法改正で発売者としての刑事罰を負わされかねない立場に立たされている、こういうことにもなってきました。にもかかわらず、身分は非常に不安定です。職員に準ずるような身分的取り扱いというものが非常におろそかにされています。したがって、退職金というようなものについてもまだ十分制度もないような状態であります。  私はこの間、中山競馬場に行ってまいりました。昨年の十二月にオープンしたばかりの大変新しいところですけれども、ここでも古い施設で言われている、例えば開催従事員の手洗い所、こういうものも十分設置されていないのです。だから、わずかの休息時間に列をつくって、トイレにあるたった二つの手洗いを使って洗って、お弁当を食べなければならぬ、休まなければならぬというような状態ですし、食堂も狭いし、全く窓のないようなところで、休養室も本当にお粗末な狭い狭いものであります。私は、端的に言って、彼女たちは職場というよりも売り場の附属品のような扱いをされているのじゃないか、こういうふうに正直憤りを感じました。  私が見に行った日の次の週は皐月賞の日でしたけれども、十一万人入って二百八十億売った、大騒ぎをしているんですよ。手洗いを改善するのに一億も絶対かかりませんからね。一千万円も出したらできるんじゃないですか。そういうところについての改善というのは速やかにやるべきじゃないか。そうでないと今度の法改正にそぐわないと思います。この点についてどうですか。
  278. 岩崎充利

    岩崎政府委員 競馬場あるいは場外発売所におきましては、一カ所に多数の人間が集まる特殊な環境であるということで、開催従事員の職場環境も含めた環境改善に努めるように競馬会指導してきたところでございます。競馬会におきましても、建物の構造の関係から抜本的な改善というのは難しい面がありますが、可能な限りの対策を講じるとともに、建物の改築時には環境改善に十分配慮しているものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、限られた時間で相当の緊張が伴う職場でありますので、その環境改善には十分配慮するよう今後とも競馬会指導してまいりたいと思います。  それから、ただいま先生指摘の中山競馬場の洗面台等々の問題でございますが、個別の事業所の状況まで私、承知いたしておりませんが、実態を十分調査しまして、必要があれば改善について検討するように競馬会指導してまいりたいと思っております。
  279. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が参りましたので、まことに恐縮ですが、わざわざ建設省から来ていただきましたのでお許しいただけるでしょうか。  八七年に岡山市の場外馬券売り場について、市議会の反対決議もあり建設をやめるようにということで私は質問をいたしました。競馬会は昨年の五月、この設置断念を岡山市議会に通告いたしました。私はここに文章も持っております。もう時間がありませんから農水省にあえてお尋ねはしませんが、このとおり設置は中止されたということの確認だけは、ちょっと首を振ってくだすったら結構です。そうですね、御存じありませんか。――農水省も、岡山市議会に競馬会が昨年の五月設置断念を通告したことは御存じですね。――はい、もうそれで結構です。首を縦に振られましたので、確認をいたしました。  しかし、建物は現実に建っておりまして、住民は不安と怒りを持っています。住民合意がなければつくらせない、このことのけじめをはっきりさせて、もうあそこにはつくらせない、ごり押しがまかり通るようなことを絶対にさせないようにこれからもするべきだと思うのです。  そこで建設省にお伺いいたしますが、今回の岡山の経験から、これは地元住民からも請願が出ておりますが、建築基準法四十八条で、住居地域や近隣商業地域に建てられないものとして劇場、映画館、観覧場というものが挙げられています。それより大きい場外馬券売り場が建てられるのはおかしいと思うのです。ここはどうしても法改正あるいはまた運用の改善が求められていると思います。御答弁いただいて、私は終わります。
  280. 那珂正

    ○那珂説明員 御説明申し上げます。  建築基準法に基づく用途地域等による規制でございますが、御案内のように良好な市街地環境の確保という観点から、それぞれの用途地域の目的に基づいて建築物の用途、形態を規制しているものでございます。  住居地域につきましては、主として住居の環境を保護するため定める地域ということでございますが、我が国では、いろいろな用途が混在した形で形成されている市街地がかなり多数でございます。このため、既存の建造物の建てかえ、増改築、これらに際して過度な制限とならないように、現行の住居地域では相当程度の用途が併存していることを許容しているのでございます。  住居地域におきましては、市街地に存在する典型的な用途であって、公害の発生とか自動車交通の発生をもたらす施設で、かつ一定規模以上の工場、自動車車庫、倉庫、そのほか先生指摘の劇場、キャバレー等の建築を限定的に列記して禁止しているところでございます。いわゆる場外馬券売り場は設置数が全国的に見て少ないこともございますし、その設置場所を含めて農林水産大臣等の適切な指導監督を受ける特別な施設であるということでもあり、住居地域での建築は現在禁止されていないところでございます。  また、運用というようなお話もございましたが、住居系地域の中で第一種住居専用地域、第二種住居専用地域等の用途地域もございまして、これらを適宜指定されるよう指導してまいりたいと存じます。
  281. 大原一三

    大原委員長 小平忠正君。
  282. 小平忠正

    ○小平委員 私からも今回の競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。  特に私は北海道四区が選挙区でありまして、ということは日本で最大の馬産地日高を私の選挙区とする、そういう立場にありますので、私はその生産地、生産者の方に軸足を置いたような形でこれから何点かの質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。  競走馬といいますと、これも広く言えば畜産業、農業の一つであるのですが、この軽種馬の飼育、育成というものについては同じ、いわゆる口がある生き物を飼うということは大変な仕事であります。農業でもいろいろありますけれども、特に牛とか馬とか豚とか鶏とか、こういう口があるものを扱う農業というのはいわゆる盆も正月もない、三百六十五日が毎日仕事、そういうのがこの畜産業の特徴であると思います。  その中でも、とりわけこの軽種馬の農家というのは、例えば農業において厳しい、酪農などは特に厳しい最たるものだといいます。朝早くから遅くまで、夜明けから日暮れまで営農にいそしむという、そういう意味においては酪農は大変忙しくてハードな仕事でありますけれども、しかし一生懸命働いてそして乳づくりをして、よい牛をつくり、乳を搾れば、それが収入増につながっていく、そういう地道な面もあるのですけれども、軽種馬という分野は、幾ら一生懸命いろいろな仕事をしても、その馬が高く売れるとか、あるいはそのときの経済の動向、景気の動向、さらにはその馬が大きなレースで優勝するとか、そういういろいろな条件が加味されて、農家の方の経営状況がよくもなり悪くもなってきます。そういう特殊な農業だということ、これは既に御承知のことであるのであります。  そういう中で、私も選挙区を歩いておりまして感じるのですが、軽種馬を育成する農家の方でも企業的な背景の軽種馬をやっている方もいますし、あるいは本当のいわゆる農家といいますか、日高でいうと平均で大体十頭未満、八頭から九頭ぐらいの繁殖馬を置いて、それを大体ベースにしてされている、そういうのがいろいろあります。しかしほとんどは、大体八割方はそういう農家が多いと思います。そういう中で軽種馬に携わっている方の気質も、我々は農民だという方もあれば、いや我々は違う、我々は企業家だ、そういう方もいます。そういうところで、特に競馬という世界では馬主と生産者とのいろいろな長年の取引関係といいますかそういう慣習がありまして、生産から流通まで普通の農産物には見られない特別なものがあることも既に御承知のことであります。  そういうところで軽種馬生産農家の経営状況を見ますと、今ほど申し上げましたように競馬ブームのおかげで現在はおおむね安定いたしておりますけれども、しかし非常に景気の動向の影響を受けやすい、またその生産が過剰といいますか、生産調整も課されている、そういうところにあります。  そこでお伺いをしたいのでありますが、まず軽種馬生産農家の現状及び今後のあり方について基本的なお考えを農水大臣にお伺いをしたいと思います。さらに、軽種馬産業を畜産行政の中で今後どのように位置づけていかれるのか、こういう基本的な問題についてのお答えをいただきたいと思います。
  283. 近藤元次

    近藤国務大臣 軽種馬の生産の九割が北海道で、先生選挙区の日高を中心にして生産に大変な御努力をいただいておるわけであります。軽種馬生産というのは大変重要な産業で、地域にとってはかけがえのない一つの産業であるように認識をいたしておるわけであります。  今日、競馬国民の健全な娯楽として定着をしている、このような状況の中では、軽種馬生産経営の健全な発展というものに大きな期待を寄せなければならない、こう認識をいたしておるわけであります。このためには、草地の基盤の整備であるとか軽種馬の改良であるとか、各種制度の資金による経営基盤の強化等を進めることによって、今後とも軽種馬生産経営の安定に資していかなければならない、こう考えておるわけでございます。  特に、国際化の時代を迎えてくるような環境の中で、国内で優秀な軽種馬を育てていく、生産をしていくということはやはり一つの緊急な課題ではないだろうか、こう実は考えておるわけでございますので、今後この法律の成立を待って十分な対応をしていきたい、このように考えておるわけであります。
  284. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、今大臣がおっしゃいましたように、いわゆるよい馬を育てていかれる、このことは、競馬という娯楽といいますかそういう分野でのみならず、先進国というか、我が国、日本において、先進国という立場においても、文化というハイレベルな意味においても、よい馬をつくっていくということは大事なことだと思うのです。そんな意味からも基本的なその御姿勢を堅持していただきたい、こんなふうに期待いたしております。  次の質問なんですが、競馬の本来の目的は、私は、馬の改良といいますか、そういうところから西洋においてもそういう歴史が始まってきたのではないか、こんなふうに思うわけであります。さらに、その後は畜産振興にもつながってきて、それがまた社会福祉の方面にもこの競馬のいわゆる益金といいますか剰余金が使われてきている。そういうことの中で現在の中央競馬のいわゆる益金、売り上げは三兆円以上にも達しておりまして、国庫納付金は四千億円を超えている。平成二年度そういう状況なんですが、現在のこういう盛況は、軽種馬生産の努力の上に成り立っている、もちろんほかのいろいろな条件も加味されてありますが、まず生産あっての競馬である。その上で、軽種馬の生産対策、さらには経営の安定対策としてどのような事業にどの程度の金額が国庫納付金の中から支出されているのか、そこのところを御提示いただけないでしょうか。
  285. 岩崎充利

    岩崎政府委員 軽種馬の生産対策と経営安定対策に係ります国費でございますが、平成二年度の団体営草地開発整備事業を通じた草地開発等のうち、軽種馬に係りますものといたしましては二億二千万、また平成二年度の馬の伝染性貧血症の予防を含めた家畜伝染病予防として、これは全体でございますが九億五千五百万、また平成元年度の農業近代化資金と農林漁業金融公庫資金のうち機械施設、繁殖雌馬の導入等の軽種馬に係ります貸付額が十四億五千万、その他、こういう形になっております。なお、軽種馬の生産、経営対策につきましてはこのほかに、日本中央競馬会の軽種馬生産対策事業関連ということで、これが百十五億円ほど出ております。また、地方競馬全国協会の軽種馬生産対策事業関連といたしまして二億五千万円、こういう形になっております。
  286. 小平忠正

    ○小平委員 この後ちょっと関連して質問していきますので先に進ませていただきますが、次に競馬本来の目的からいたしますと、軽種馬生産対策として今そういう御答弁をいただいた中で十分な対策がとられているかというと、現地のいろいろな要望を聞いている中でもまだまだ不十分であると私は思うのです。そこで、今回のこの改正案によりますと、日本中央競馬会法第三十六条の改正ですか、これで国庫納付金の使途が従来の「畜産振興」から「畜産振興事業等」、こういうふうになっていますね。いわゆる生産地での心配は、今回のこの改正によって軽種馬生産対策に回される国費が、広くなったことによって今後薄められるのではないか、そんな心配をしているのがあるのですが、そこのところはいかがでしょうか。
  287. 岩崎充利

    岩崎政府委員 日本中央競馬会の国庫納付金の四分の三相当額畜産業の振興のために必要な経費に充てる、こういうことになっておるわけでございます。今回「畜産振興事業等」に広げるということでございますが、これは畜産農家も受益し得る農道とか集落排水とか多目的集会施設の整備などで、農村の営農環境の整備のための事業とか、畜産への応用性のある農作物の遺伝子構造の解明の研究などということで、直接に畜産振興のみを目的とはしておりませんが、この実施の効果として畜産振興に寄与することとなる事業実施に必要な経費ということに広げよう、こういうような形でございます。  今回の改正は、このような考え方のもとで、競馬会国庫納付金が拡大しているという事情も踏まえて、競馬会国庫納付金の使途も拡大しようということでございまして、軽種馬生産対策がこれによって縮小されるというようなことは私ども考えておりませんで、必要な軽種馬生産対策については、今後とも実施を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  288. 小平忠正

    ○小平委員 その御答弁を農家が聞きますと、非常に安心すると思います。ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。  それに関係もあるのですが、実は現在のこの軽種馬生産対策として、中央競馬会や地全協によって種馬の生産地への提供などのそういう事業が行われておりますけれども、その実績はどんなふうになっているのか。あるいはこれで十分なのか、そこのところをお聞きしたい。  さらに、改正案を見ますと、中央競馬会剰余金をもって特別振興資金を設け、これによって畜産振興事業助成する法人に対して交付金を交付することになっております。この特別振興資金の使途であるのですが、軽種馬生産農家の経営安定のために使われる仕組みとなるのか、それが一点ですね。  それともう一点は、またこれまでもこの現行法のもとで日本軽種馬協会などを通じて、中央競馬会は生産対策を行ってきたのでありますけれども、この改正後の特別振興資金による事業と、それから従来の事業との関係はどう区分け、整理していくのか、そこのところを明確に御答弁いただけないでしょうか。
  289. 岩崎充利

    岩崎政府委員 まず第一点の競馬会、地全協の軽種馬生産対策の内容でございますが、中央競馬会実施しております軽種馬生産対策といたしましては、優良種雄馬整備促進事業というものをやっておりまして、これは外国の優秀な種雄馬を毎年二、三頭購入いたしまして、日本軽種馬協会に寄贈いたしまして、低い種つけ料で種つけが行えるようにいたしております。それから軽種馬育成基盤整備促進事業ということで、生産者団体等が軽種馬の育成施設を整備する場合に、その経費を助成する。また、軽種馬改良情報整備事業ということで、日本軽種馬協会が生産登録、競走成績等の情報を一元化して整備することについて、その経費を助成するというようなものでございまして、先ほども申しましたように、総額で百十五億円をやっております。  また、地全協でございますが、日本軽種馬協会が、これは特にアラブ系の優良種雄馬を毎年一、二頭購入いたしまして、低い種つけ料で種つけを行う事業助成いたしております。軽種馬生産対策費といたしましては、先ほど申しましたように、二億四千五百万円、こういうことになっておる次第でございます。これら団体の軽種馬対策につきましては、今後とも所要の予算が確保されるように指導してまいりたいというふうに存じております。  それから第二点の、特別振興資金につきまして、軽種馬生産農家の経営安定に使われるようなことになるのかということでございますが、これは日本中央競馬会の経営安定ということに支障を生じない範囲で、特別振興資金につきましては、競馬の健全な発展あるいは畜産振興に有効に活用していくことが適当という考えで設けるものでございまして、軽種馬生産農家の経営安定を含む軽種馬生産対策についても活用できる仕組みというふうになっておる次第でございます。  それから、従来から中央競馬会が行っていた生産対策事業と今回の特別振興資金との関係でございます。  先ほど申しましたように、競馬会自身は、優良種雄馬の民間利用の促進とか改良情報の提供というようなものに対しまして助成をしてきたところでございまして、今後ともこのような助成が着実に実施されるということが私ども重要であるというふうに考えております。従来から競馬会実施しているものについては、これまでどおりの考え方で実施してまいりたいというふうに思っております。  他方、今回、競馬の健全な発展を図るための業務がいろいろございますが、そのうち比較的規模の大きいもので、競馬会一般予算で行うのにはなじみにくいというようなものにつきましては、農林水産大臣の認可を要するということとした上で、競馬会剰余金活用する道を開くというような形にいたしております。したがって、軽種馬生産につきましては、今後競馬会剰余金を効果的に活用できるというものがあれば、剰余金の使用を検討するというようなことといたしておりまして、軽種馬生産の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  290. 小平忠正

    ○小平委員 民間で共同出資をするなどしてシンジケートをつくって、よい質の種馬を求めるとか、そういう努力をされております。しかし、この畜産の品種改良というのはよい種を安く提供することが大事なことなんで、これはぜひ国が援助をしてそういうことに、農家が安い費用でよい種をつけられるように、そのことについての大いなる努力をしていただきたい、こんなふうに切にお願いする次第であります。  それで、次の質問なんですが、そういう中で今この日本の競走馬は、こういう種のこともあるのでしょうか、外国産馬と比較すると、例外もありますけれども、概して劣勢にある、こう言えるのではないかと思います。しかし一方では、賞金額は世界で今最高を行っている、こういうところでありますので、近年我が国のこういう経済情勢を勘案して諸外国から国際的な場で日本に対して、日本競馬をいわゆる開放すべきである、そういう自由化論が現在でも非常にありますし、これからもますます強くなっていくのではないかと思います。今の時点では、四百万円という税金を課して、そして全レースの二二%ですか、外国産馬の未出走馬、そういう枠が組まれておりますし、また出走済みの馬については、今国内では二つのレースですか、それに限ってそういう混合レースが認められている、そういう状況でありますので、特に今のこういう状況では、今この二二%ぐらいの混合レースがもう限度ではないかと思うのです。これ以上広げますと、ダイレクトに生産地に影響が出てくる、そういうところであります。しかし、これは将来的にいって、じゃ永久にこの状況が続くかというと、その保証はありません。したがって、今後馬の資質向上を行うためにも、またそういう環境を整備強化するためにも、強い馬をつくることが肝要であると思いますが、このことについてどのような対策を講じていかれるのか、御答弁いただきたいと思います。
  291. 岩崎充利

    岩崎政府委員 最近の流れといたしましては、やはり国際化への流れというのが非常に強い。しかし他方、国内生産の実情を見ますと、遺伝的な能力ということにつきましては、これはいろいろな形で外国の優秀な種馬等々も輸入しておりまして、これはかなりの効果が上がっているところでございますが、なかなか国内の場合には育成調教施設等々もまだ不十分だというような形で、能力的にはまだまだ格差があるというような状況でございます。  そういう状況の中で、現在国際化への対応も頭に置きながら、ただ、やはり国内生産者への影響ということも配慮して、いわゆるマル混レースというものが、外国産馬が参加できます混合レースにつきましては、これは規制緩和につきましては段階的に、これは生産者なり馬主等々に御相談の上、そういう形で段階的な規制緩和というような対応を図っているところでございます。  何と申しましても、やはり国内対策といたしましては強い馬づくりということが重要でございまして、その一つでは、遺伝的な能力を高めるということで、先ほど申しましたような軽種馬農協に対しまして種雄馬の中央競馬会からの寄贈というような形で遺伝的能力を高めることについて努力をいたしております。また、初期調教というようなことも必要でございまして、育成調教施設等々の拡充も図っていかなければならないというようなことの中で強い馬づくりにも努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  292. 小平忠正

    ○小平委員 時間がありませんのではしょって質問いたしますが、次に地方競馬振興についてのことなのですが、現在時点では中央競馬には六千頭ですか、そして地方競馬には約二万三千頭が登録されておりますということから見ても、生産地にとってはいわゆる地方競馬振興が大変重要なことになるわけでありますね。しかし、もうこれを見ますと、中央競馬はよろしいのですけれども地方競馬については地域によっていわゆる強弱がありまして、全体的によいとは言えないと思います。そういう中で、今後競馬、中央ばかりではなくて地方競馬の経営基盤が強化されていくことが、これが全体的によくなっていく、安定していくことの主たるものである、こう考えるのでありますが、そのようなことから中央競馬地方競馬の支援を行うことは、私はやはり必要であると思います。改正案でもその点に触れております。具体的に中央は地方をどのように支援していくのか、時間があれば詳しくお答えいただきたいのですが、大臣も最後まで出席していただいているので、最後にもう一点大臣にお伺いしたいことがあります。  いわゆる地方競馬振興について、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  293. 近藤元次

    近藤国務大臣 地方競馬振興が全体の層を広げ、各地域に活力をもたらせ、ファンサービスにも通じていくわけでありますので、地方競馬の格差がまた地方競馬なりにあることは承知をいたしておりますし、中央競馬との差はかなりの差がついてきておるわけでございますので、一つは、今回地方競馬の自助努力を期待をしながら他県にも委託ができるように法律改正の中に盛り込ませていただいたわけでございますし、ファン層がそのことによって広がるだろう、こう思います。  また、魅力を持たせる点につきましては、一つは、中央競馬からのレースに参加をさせる、あるいは騎手を参加をさせる、あるいはまた、施設改善等で整備をして環境整備もよくしていかなければなりませんので、さりとて資金的に地方競馬独自で施設改善までということになりますと、また中央競馬が、単勝、複勝に五%増加をするということになりますと、地方にもおのずからそれが影響していくだろう、こう思いますので、施設整備につきましては中央、地方と相談の上で中央から支援をさせていきたい、そう考えておるわけであります。
  294. 小平忠正

    ○小平委員 最後にもう一点だけ。  この競馬に対して今一番大事なことは、公正の確保ということが、競馬を健全な娯楽として今後も国民の間に定着していくためにはそのことが大事だと思います。  そういう意味では、今回のこのいろいろな改正等について、特に免許、登録関係について列挙されておりますが、その点についてひとつよろしく進めていただきたいという面と、それと今ギャンブルというそういう面は確かにありますが、しかし、それはそれとして、娯楽という意味において、国民の中に一部ありますいわゆる反感とか嫌悪感、これを除去していくことが特に今大事でありまして、今回のこの改正を契機にして今後国民の間にこれがよい形で定着していくように、それについて大臣はどのようにお考えになっているのか。その基本的な御姿勢を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  295. 近藤元次

    近藤国務大臣 ギャンブル性から、数字の上からも大衆娯楽的な数字があらわれてまいりまして、これをぜひとも定着をし、安定をさせていきたい。そのためには何よりも公正、明朗であるということが、信頼関係が大切でありますので、その意味でも暴力団を排除するとかいう意味合いからも、それから馬主として適当でない人たち馬主登録の中で規制、制限をしていくというようなことで今回法律改正をさせていただくわけでもございます。あわせて、これからいろいろな意味合いで競馬を広く国民の間に娯楽として定着をさせていくことが、私は、今数字にあらわれているようなことに対する期待、余暇をどうするかという国民のニーズに対する期待、そういうものにこたえていくようなことになろうかと思いますから、競馬開催をする内部から少なくとも信頼を失うような、疑念を抱くようなことのないようなことをするために免許を廃止をするとか登録制度を厳しくするとか、そういう措置をとらせていただいたわけでございますので、一生懸命努力をしていきたいと思っております。
  296. 大原一三

    大原委員長 次回は、明十八日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十九分散会