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1991-03-13 第120回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十三日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 大原 一三君    理事 金子徳之介君 理事 東   力君    理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君    理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君       石破  茂君    岩村卯一郎君       上草 義輝君    内海 英男君       北川 正恭君    久間 章生君       久野統一郎君    田澤 吉郎君       田中 秀征君    保利 耕輔君       星野 行男君    松岡 利勝君      三ツ林弥太郎君    御法川英文君       柳沢 伯夫君    山本 有二君       小川  信君    加藤 繁秋君       北沢 清功君    五島 正規君       佐々木秀典君    志賀 一夫君       田中 恒利君    鉢呂 吉雄君       早川  勝君    堀込 征雄君       前島 秀行君    目黒吉之助君       元信  堯君    山内  弘君       倉田 栄喜君    西中  清君       藤田 スミ君    小平 忠正君       阿部 昭吾君    亀井 久興君  出席国務大臣         農林水産大臣  近藤 元次君  出席政府委員         林野庁長官   小澤 普照君         林野庁次長   入澤  肇君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    西島  勝君     ───────────── 委員の異動 三月十三日  辞任         補欠選任   今津  寛君     山本 有二君   西岡 武夫君     田中 秀征君   有川 清次君     山内  弘君   佐々木秀典君     小川  信君   鉢呂 吉雄君     北沢 清功君   堀込 征雄君     五島 正規君   前島 秀行君     早川  勝君   元信  堯君     加藤 繁秋君 同日  辞任         補欠選任   田中 秀征君     西岡 武夫君   山本 有二君     今津  寛君   小川  信君     佐々木秀典君   加藤 繁秋君     元信  堯君   北沢 清功君     鉢呂 吉雄君   五島 正規君     堀込 征雄君   早川  勝君     前島 秀行君   山内  弘君     有川 清次君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  森林法等の一部を改正する法律案内閣提出第六〇号)      ────◇─────
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案及び森林法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  3. 日野市朗

    日野委員 国有林野特別措置法、それから森林法が今国会提出をされまして、やがて当委員会における議了を本日に控えているわけでありますが、私も今まで何度かこの委員会におきまして、何とか平成三年を国有林野財政再建元年にできないかというようなことをお話ししてきたことを覚えております。一応再建のめどが立ってきたといいますか、累積債務部分経常業務部門ということをしっかりと分けて再建に向かうということで、私も、この特別措置法、それから森林全般にかかる森林法改正案、これは歓迎をするところでございます。しかし、この内容をいろいろ検討してみますとまだ幾つか気になることはございます。そういう立場から質疑をさせていただきたいというふうに思います。  私、昨年超党派の議員団でジュネーブに参りました、米の問題でガットを訪れたわけでありますが。そのとき、ずうっと飛行機でヨーロッパの上を飛んでまいりまして、一面の整備された見事な畑地でございますね、それの上をずうっと飛んでまいりまして、それはそれなりの感慨があったわけでございますが、そのとき私、もう一つ感慨を持ったのであります。  シーザーの「ガリア戦記」を昔読んだのでありますが、あれによりますと、ガリア地方なんというのは一面の森、深い森でございまして、そこでローマ軍が非常に苦戦をする状況なんかが「ガリア戦記」に載っているわけですが、ところが、その面影なんかは今はヨーロッパには全くございませんですね。  そして私、たまたまうちの子供の社会の教科書を見ておりましたら、昔のヨーロッパと今のヨーロッパ森林分布図が載っておりまして、昔はヨーロッパは一面の森林だったのですね。それがだんだん森林が減ってきて、今やもう皆さんも御承知のとおり森林と名のつくものは一体どこにあるのかというような感じがいたします。途中で森林面積がどんどん減ってきて、また森林面積がぐうっとふえる時期があるんですね。それの解説を読んでおりましたら、実はそのころペストの大流行でヨーロッパの人口は激減した、こうなっております。どうも人間の営みというものは森とある意味では相反するものであるかもしれない、こういうふうに私、考えざるを得なかったわけでありますが、しかし現在、この現代に生きている我々として、そんなことは言っていられないのであります。森を豊かにしながら人間が生きていく、これが私は非常に大切なことだと思うのであります。  森がなくなったときどうなっていったかといいますと、ヨーロッパがああやって畑をつくって食糧を生産する、それからあの中でそれぞれの国が繁栄し、人間が豊かな生活を営めたというその原因は、ヨーロッパはいろいろな歴史的な背景を踏まえているということを我々は理解しなければならないでございましょう。しかし、今人類にとって森の大事さというものを否定できる人はだれもいないと思います。  日本も豊かな森の国であります。今までの日本森林というものを見てみると、日本も豊かな森の国であったと言っていいと思うのでありますが、これから日本森林を守っていくために農水省の果たすべき役割というものは非常に大きいと思うのでありますが、このように森林二法が今国会に出されまして、森林保護していくという方向に大きな一歩を踏み出したと思うのであります。  しかし、この法案の中にもいろいろと出てくるのでありますが、森林を守っていく、自然を守っていくということは、私、さっきヨーロッパの例でちょっと申し上げましたが、開発ということとはかなり二律背反的な意味を持つのではなかろうか、二律背反的な立場に立たされるのではなかろうかという感じを持ちます。開発か自然の保護か、開発林地保護かというようなことは、今社会的問題としても大きく取り上げられておりますので、その点について基本的な立場を伺っておきたいというふうに思います。
  4. 近藤元次

    近藤国務大臣 お答えをいたしたいと思います。  先生は今、ヨーロッパ御視察の感想なり、あるいは歴史を顧みて森林重要性、そしてまた、ヨーロッパに限らず我が国におきましても開発優先の一時期を過ごしてまいりましたが、今地球的規模によって森林重要性、環境問題というのが取り上げられておることは御指摘のとおりでございます。  そういう中にあって、我が国におきましても早くから森林に対する新たな財源を求めるべく水源税の運動を展開してみたり、あるいは基金制度を造成するような運びになったりして今日まで参りましたけれども、なお今日、林政の抱える基本的な問題がまた大きな問題として今日を迎えたわけであります。  今回、森林二法を御審議いただく過程で私どもは、かねがね国内における最大の問題は、国有林累積債務というものをどのように解消するか、このことは国の事業としての責任でなかろうか、こう考え努力をしてまいりましたが、今回、関係者の理解と御努力によりまして、累積債務経常事業部門との区分ができる、これがいわゆる財政再建国有林における森林経営の新たな元年としたい、こういう強い決意で実は取り組ませていただいておるわけであります。  その機会に、国有林だけが森林ではございませんので、新たな環境問題を含めて、また経済的に豊かになった我が国の国民としても、森林機能を十二分に発揮をしながらニーズにこたえていかなければならぬという新しい問題も抱えておるわけであります。一千万ヘクタールの人工林を生かして二十一世紀は国産材時代を迎える、このように期待をしながら樹齢を数えてきたところでもございます。  しかし、当面、我が国山村なり林業の現状は、林業はどうしても採算性の低下という経済状況にございますし、林業担い手に至りましても、若い諸君が好んで林業に携わっていかない、一方では高齢化をしていく、ある意味では女性もまた御協力をいただいておるという担い手の問題が、一つは将来的にも当面も深刻な問題として考えていかなきゃなりませんし、労働条件の劣悪と言っちゃ悪いのですけれども、若い諸君に嫌われる三Kの対象にもまたなっておるわけでありますので、労働条件も完備していかなきゃなりませんし、また山村環境条件整備していかなきゃなりません。そういうようなことを考えながら、国有林民有林、そしてまた通称川下と言われておる木材関係、山にかかわるものを、流域を一つの単位として高能率を上げて万全を期していきたい、そのように実は考えておるわけであります。  森林整備の目標の達成のために必要な基盤整備のためには、林道整備をして、路網整備を図っていくことが高性能の林業機械開発、導入にも必要欠くべからざる仕事でもございますし、林業事業体の育成をしていかなければ、また山で働いてくれる人の不足する今日の状況でございますので、そのような事業体の体質の強化も図っていきたい、こう思っておるわけであります。  あわせて、流通加工合理化とか産地形成とか森林林地保全対策強化等をこの機会に改めて総体的に整備して進めていかなければならない。これを、いわゆる累積債務を解消し、法律二法を御審議いただく、いわば林業の新たな時代元年にしたいということを改めて強調させていただいて、努力していきたいと考えておるわけであります。
  5. 日野市朗

    日野委員 私の非常に個人的な感性から申し上げれば、これ以上もう開発はいいではないかという考えは持っております。もう山は開発なんということを考えずにきちんと整備をして、山は山としての機能を果たすべきという考えを持っておりますが、国有林ということになりますと、これは国有林のみならず民有林も含めて、林産物の安定的な供給というような面なんかもありますし、また、山を守っていくにはそれだけの資本投下も大事なことも私よく知っております。しかし、そうはいいながらも、できるだけ今自然を保護するということが人類の生存にとって極めて大切なことであるという認識、この上に立ったこれからの森林行政、これを心から期待したいというふうに思います。  そういう意味で、国有林累積債務対策が講じられていること、これについては私、非常に心強く思っております。私も随分いろんなつぶれかけた会社立て直しをやったことがございます。私も弁護士でございまして、破産ばかりさせるのが能ではあるまい、和議だとか会社更生だとか、何とかそういう手続で、とにかくつぶすな、働かせろということをやりながら、私、いろんな会社立て直しも今までやってまいりました。そういうことをやるときに一番大事なのは、やはり会社が生きていくためにやることと、それから借金払いとはもう切り離してしまえ、借金については何年間棚上げで、そして利子はまけてもらって、元本の何ぼを払うようにして、何とかそこいらまけてくれまいかというようなことを債権者の方に頼んだり、そんないろんなことをやってきたのですが、やはり累積債務を引きずりながら行くということは大変なことであります。  今までの国有林野会計を見てみますと、これはまさに借金地獄でありまして、これはもう普通の会社だったらとっくに破産、私でも破産しろと言うようなものでございましたが、今度は一応経常事業部門累積債務支払いは切り離して考えるということでございますから、私は、これは適切な方法であろう、こういうふうに考えています。  そこで、ちょっとこれからの経理の担当の方に伺いたいなと思うのでございますが、こうやって二つに分けたということはわかるのです。二つに分けましたよということはよくわかるのですが、必ずしも国有林会計と全く別個に、累積債務支払いのために一つ帳簿を用意するというものでもないのかなというような感じがするのですが、ここは二つにちゃんと分けてしまうのですか。経常部門累積債務の決済、これはきちんと帳簿上も二つに分かれてしまいますか。ここいら、いかがでしょう。
  6. 小澤普照

    小澤政府委員 お答えさせていただきます。  私ども、今回の特別措置法の中で区分という考え方をしておりますけれども内容を御説明いたしますと、まず累積債務経常事業部門区分するということは、累積債務利子償還金経常事業への影響を防ぎまして、森林の管理、経営経費の確保と経常事業におきます改善成果明確化を図るということとともに、資産処分収入債務処理への優先充当によります計画的な債務処理の実施を推進しようというわけでございます。このために国有林野事業特別会計予算書上、一般会計繰り入れにつきまして、債務対策に係る科目経常事業に係る科目区分する等の所要の改正を行いますとともに、その他、今回の特別措置法の中にも区分をするという考え方を明らかにしているところでございます。
  7. 日野市朗

    日野委員 そうやって予算上はっきりと科目を分けてしまうということでございますね。そこのところは、閣議了解事項国有林野事業経営改善大綱趣旨にも沿うことであろうと思います。そこはしつかりと分けておいていただきませんと、経常部門累積債務処理がごちやちやになってきますと、これは後々非常に禍根を残すと思いますので、きちんとそこを分けていただきたいというふうに思うのです。  それで、大体今までそういう流れに従って経常部門累積債務処理二つに分けるのですということは、一つ政策としては、そういう政策として進んできた。そして、先ほど言いました閣議了解の中でも、財源措置として「これらの自己収入を充当しても、債務処理に要する費用がなお不足する場合には、別途財源措置を講ずるものとする。」こう閣議了解ではかなり鮮明にイメージが出てくるのであります。  では法文上どうなってくるかということになりますと、国有林野事業改善特別措置法の一部改正案法文を見てみますと、これがちょっと見にはなかなかわからないような形になっているのではないかというふうに私は考えるわけであります。その表現されているのは第四条の第三項ですね、「政府は、改善期間において、前二項の規定による借入金償還金又は利子財源に充てるため、予算の定めるところにより、一般会計から事業勘定に繰入金をすることができる。」これがその部分に該当することになるだろうというふうに私は思うのであります。  この改正案で、今まで「利子財源に充てるため、」となっていたものに「償還金」が入った、これが非常に大きなポイントでございます。今まで償還金というのは入っていなかったが、今度は償還金も入った、これは大いに結構。私もこの部分は、償還金を入れたということは非常に画期的だ、このことに異を唱えるわけでは決してありません。これは非常に大きい成果だというふうに私も評価をいたします。  だが、ちょっと問題点もございましょうよということでございますから、この条項についてのコンメンタールをやっていただきたいというふうに思うわけでございます。それで私、これからそれぞれの字句をどのように読むのかということについてお伺いをしたい。これは、後でこれを読む人たちのためにコンメンタールを残しておきたいというくらいのつもりでお答えをいただきたいと思うのであります。  「改善期間において、」というのは、今度改正法によって新たに策定される改善計画というふうに読んでよろしいわけですね。その期間はどのくらいであって、大体、累積債務の解消までの期間がどのくらいであって、その間のギャップはどのように埋めたいというお考えなのかというところまでお話しできればお願いしたいと思うのです。
  8. 小澤普照

    小澤政府委員 今回の法案内容に盛り込まれております期間でございますけれども累積債務、それから事業全体を含めまして収支均衡する期間を二十年としておるわけでございますけれども、最初に御質問のございました「改善期間において、」というのは平成十二年度までを指しておりまして、十年間という意味でございます。
  9. 日野市朗

    日野委員 ここで「償還金又は利子財源に充てるため、」というのはよろしいでしょう。「予算の定めるところにより、」という条項ですね。これをどのように読んだらいいのか、いかがですか。
  10. 小澤普照

    小澤政府委員 この「定めるところ」と申しますのは、一般会計繰り入れは、毎年度の予算におきまして予算措置が講じられることが前提となっているものでありますことから、通例によりまして「予算の定めるところにより、」と規定されているものでございます。
  11. 日野市朗

    日野委員 この「予算の定めるところにより、」という文言でありますが、これはこの法律のみならず、こういった法規に関してはかなり広範囲に見られるところなのですが、大体、こういう用語例はどういうものとして扱っているのか、政府の方で何か統一的な基準とか、場合によってはここはこういうふうに読みましょうという一つ基準があれば、それをもし示せれば示していただきたいのです。
  12. 小澤普照

    小澤政府委員 基準と申しますか、このところにつきましては、一般的な通例に倣いまして規定をしているところでございます。
  13. 日野市朗

    日野委員 この通例ですが、こういう言葉を使うとき、これは閣議でどういうふうに使おうというようなことを決めたことはありませんか。閣議とかいろいろな通達や何かで決まっていることはありませんか。
  14. 小澤普照

    小澤政府委員 特にそのようなことはないというように承知しております。
  15. 日野市朗

    日野委員 これは非常に広範囲に「予算の定めるところにより、」というふうに使われていて、場合によっては予算を編成する者、つまりここは大蔵省ということになりましょうが、その大蔵省が自由裁量的に出したり出さなかったりできるというふうには読めないのだということはよろしいですね。こう書いてあっても、これは既に林政審答申閣議了解と決まってきて、そして今まで農水大臣大蔵大臣との間でのいろいろないきさつがあったでありましょうが、その話し合いの趣旨をきちんと生かした上での予算編成をするのであって、大蔵省フリーハンドを与えたものではない、このように理解してよろしいのでしょうか。
  16. 小澤普照

    小澤政府委員 この規定の運用といいますか、実際でございますけれども、この特別措置法によりますと、今までも一般会計からの繰り入れがございまして、これも同じ扱いでございますけれども予算につきましては、私どもがきちっと要求をし、そして所定の手続を経て決まるものでございます。
  17. 日野市朗

    日野委員 いや、これを心配しているのは、こう申しては失礼だが、随分今の政府むだ遣いをしておりますからね。海部さんなんか気前がよく、こっちへ何十億ドルだ、そっちにも何十億ドルだと金を随分お使いになっておるので、こんなことをやっておったら日本財政事情はさらにさらに悪化していくであろう。これは一時的にはガソリン税だの何だのと言って糊塗することはできたにしても、そんなものがいつまでもいつまでも続くものじゃない。しかも、日本政府要人がどこかへ行けば、すぐ金をくれという話でございましょう。こんなことをやっていたら日本財政は、財政上のイロハのイで、そのうちだんだん苦しくなってくる。もう全体が苦しくなったから、国有林さん、ちょっと遠慮してくれませんかというようなことになりやしませんかという心配を持つから、この法律条項大蔵省に対してどのような覊束をする効果があるのかということを私は聞きたいのですが、率直にいかがでございますか。
  18. 近藤元次

    近藤国務大臣 条文解釈専門家に任せるといたしまして、御心配されるようなことは、平成二年度までの累積債務平成三年度以降とを区分をさせていただいたわけでありますから、先生承知のとおりであります。  さらに、当然のことながら、債務を負った国有林野は自分の努力でやれるべきものを、あるいは売却可能な土地があればそれも資産売却等によって、残りの部分については一般会計から繰り入れをしていただく、そしてまた、経常部門がさらに黒字になるようなことがあれば、その黒字部分は過去の累積債務繰り入れをするということはありますけれども、いずれにいたしましても、平成二年度までにおける二兆二千五百億の累積債務というのは、これからも借入金で返済をするということになると、一時期二兆二千五百億よりもふえるかもしれない。ふえても少なくとも二兆—平成二年度までにおける累積債務から新たな債務が発生しようと、それは平成二年度に起きた累積債務は今私がお話ししたような形で解消していくということでありまして、なおその累積債務が、また事のいかんにかかわらず経常事業部門にかぶさってくるというようなことはあり得ない、そういう話で今度の区分をさせていただいておるわけであります。
  19. 日野市朗

    日野委員 この点については、かなり微妙な点もあるだろうと私は思いますし、大臣がせっかくそこまでおっしゃるのだから、これ以上さらに突っ込んだ質問はここでは控えさせていただきます。  ただ、今までの政策的な流れを凝縮した条文上の処理ということになりますと、それはいろいろな解釈が入り込む余地があるのであって、それについてはよほど林野庁も頑張っていかないと、これは積み残しといいますか払い切れない部分が出てくる、そのときに、これはもう政策上そう決まっているんだから大蔵省持てやという乱暴なといいますか、そういう議論になってくるのだろうと思います。とにかく今大臣がおっしゃったように、これからの農水大臣の御努力というものは非常にこれは大変だろうと思いますが、ひとつそこは頑張っていただきたいという私どもの希望を申し上げて、それではこの点に関する質問は終わらせていただきます。  では次に、財源として、これは林野土地の売り払いというようなことが出されているわけでございますね。これも私、見ますと、林野土地を売り払う、切り売りでありまして、まあ事情事情である、やむを得ないということで、これはしようがないというふうに私も思うのでありますが、しかし、心痛む仕儀ではあります。せっかく今まで営々としてこの林野が維持してきたものを売り払うわけでありますから、これは非常に私としても残念だと思うのですが、まず、その林野土地の売り払いの面積、価格、それから具体的な対象というようなものが大体は決まっているのかどうかということですね。いかがでありましょう。
  20. 小澤普照

    小澤政府委員 これからの国有林野事業がその使命を十全に発揮しつつ経営改善を行うために林野土地の売り払いということを考えているわけでございますけれども、全体の面積あるいは金額でございますが、この点につきましては、今後二十年間で面積では十二万ヘクタール、金額で一兆二千億円程度の売り払いを見込んでおるところでございます。これにつきましては、保有資産全体につきまして一定の前提条件を置きながら見直しを行うことによりまして資産処分収入の見通しを立てたものでございまして、今後具体的な箇所づけ等を行いまして、売り払い予定資産を特定していくこととしておりまして、現在作業を進めているところでございます。
  21. 日野市朗

    日野委員 失礼な言い方になりますが、貧すれば鈍するということがございまして、場合によっては、苦しくなってきた、さあ、どこか処分だということで、これからの国有林野事業を営む上で非常に大事な、場合によっては生命線ともいえるような大事な資産を売るなどということが、これはゆめないように、そこいらはひとつ私の方から要望しておきたいと思うのでありますが、もちろんそのことは十分御配慮の上でございましょうね。これはうんと大事なんだ、ここの財産は大事なところなんだが、値段がいいから売ろうかとか、そういうことにはならないようにひとつ御配慮いただきたいのですが、そこいらはもう十分に心しておられることでしょうね。そういう場合、何か基準のようなものでもつくっておいでになりますか。
  22. 小澤普照

    小澤政府委員 この点につきましては、先生御指摘のとおり国有林野事業上の非常に重要な資産でございますので、経営の基本になるものは売り払いの対象にはいたしません。売り払いの対象になりますものは、土地林地でございますけれども土地につきましては、高地価の地域から低地価のところへ移転をするようなケースにおいて行う、それから林地につきましては、都市近郊等でこれが孤立した小団地であるというようなケース、その他ございますけれども、そのように、売り払ってまいりましても国有林経営の根幹に支障を来さないものということを基本に踏まえて実施してまいりたいと考えているところでございます。
  23. 日野市朗

    日野委員 それから、皆さんが心配しておられるのは、資産の処分の場合、その公正さということに対する非常に強い危惧がございます。  最近はそんなことはないのだろうと思いますが、一部林野庁資産についても、えっ、あそこがそれだけの値段でしか売れなかったのというような話がささやかれて、いや、あれは実は政治的な圧力がどうのこうのというような話がされたりすることがなかったわけではない。私は、こうやって林野庁資産の処分をいたしますよということになれば、随分ウの目タカの目でいる人たちというのは多いと思いますよ。そして政治的な圧力を利用しようとする人もいるでしょうし、そのほかのいろいろなコネを利用しようとする人たちもいるだろうし、場合によっては、その周辺の環境を変えてまでその林野庁資産に手を伸ばそうとする者もいるかもしれない。こういう事態にならないようにする何かの制度的な保証が欲しいと思うのですね。現在林野庁にそれはございますか。またなかったとしたら、どのようにそこを国民から信頼が得られるように処理なさるおつもりか、聞かせていただきたいと思います。
  24. 小澤普照

    小澤政府委員 資産の売り払いにつきましては、公正さを保つということは重要なことでございます。このために、今後の対応でございますけれども、また従前もでございましたけれども、審議会等の議を十分に得るということが重要でございまして、このためにここのところは慎重に、また公正に対処してまいりたいと思います。  具体的には、基本方針等につきましては、林政審議会で経営改善にかかわる重要事項という位置づけで御審議をいただきまして、そして個別的な具体的案件につきましては、国有林野管理審議会というのが各営林局ごとに設置されておるわけでございますけれども、ここで審議をいただいて決定していくということを基本に据えて売り払いに当たってまいりたいと考えておるところでございます。
  25. 日野市朗

    日野委員 あとはできるだけ事業を民間実行に移していこう、これは「徹底する」という言葉で記載してございますが、まず、この委員会でも今までの論議の中でも随分出ておりましたが、「民間実行を徹底する」といっても、それの受け手があるのかどうか。民間だって労働力は今少ないよ、そして、民間におけるこの手の林野関係の仕事をする人たちというのは高齢化もしておるというようなこともいろいろ指摘をされておりますが、私、さらにその先をちょっと心配してみたいというふうに思います。  民間、民間、こう言いますが、必ずしも民間でやり切れない部分というのはかなり残るのではないかというようなことであります。今まで林野の方で、国有林野の方から民間にいろいろ仕事を頼んでやってきた実績というものはございます。しかし、その民間のやった仕事が必ずしもいい仕事だったとばかり言い切れないのじゃないかなというのが、これは私もいろいろな山に入って実感として実は持っているところなんですね。例えば植林を民間に委託する、そうするとその活着率が悪いというようなことなんかも、私は実感として実はつかんでいるのです、林野庁の方でどうおっしゃるかわかりませんけれども。  それから、非常に採算が合いにくいと思われる点なんかございますね。例えば、国有林で敵といえばまずササでございますな。それからカモシカであるとか、そういったものに対処するということになると、民活を使うといったって、「民間実行を徹底する」といったって、なかなかこれは民間でやり切れないことではないかなと思われる部分というのはいっぱいあるわけでございますね。こういうところに対する対応をどのようにしていかれるのでしょうか。  これは、最小限度の国有林の労働者は残すということであっても、その最小限という言葉、それから民間実行の徹底という言葉、それはいろいろな状況によって弾力性を持った意味合いを持たなければならないというふうに私は思うのですね。ここらについて、いかがでしょうか。
  26. 小澤普照

    小澤政府委員 民間に事業をやっていただくというケースがふえてまいるわけでございますけれども、この際に、先生御指摘のように森林施業におろそかな点があってはならないというように考えておるわけでございます。したがいまして、きめの細かい森林施業に対応し得るような技術レベルを具備した事業体の育成、確保ということが重要でございます。しかしながら、林業事業体の現状からいいますと、必ずしも施業内容に十分対応し得る技術力を有していないというものも見受けられるところでございます。  このために、今後におきまして、林業事業体や関係団体に対しまして、林業技士等の専門的知識、経験を有する者による施行管理体制の整備の指導、それからまた施業の手引書の作成、配付を行いますとか、さらには契約時におきます技術指導等に努めてまいりたいと考えております。  なお、林業事業体みずからも、各種現地検討会、研修会への積極的な参加や毎年の請負業務の積み重ね等を通じまして、技術的集積を高めていただくように努めておるところでございまして、国有林といたしましても、関係団体等が開催する研修会等に講師を派遣するなど、これら事業体の自主的取り組みに対しまして協力、支援等を行い、事業体の技術力を高めていただきたい、このように考えておるところでございます。
  27. 日野市朗

    日野委員 いずれにしても、これは累積債務対策ということも含めて人を減らしていかざるを得ないということに踏み切られておるわけであります。本当は、私は個人的に言えば、これは実のところを言いますと気に入らないんですよ。  今まで国有林で養成をしてきた人、これは本当は国有林の大変な財産なんです。これは大変な財産だし、国有林が営々として努力をしてきた技術水準の上昇、これも大変な財産なんです。こういう技術が、じゃ民間に安直に、すぐにトランスファーされるか、移転されるかといえば、そうはまいらないのが実情なんですね。本当に涙を奮って馬謖を切る思いで、これは国有林を守るためにということで人減らしをする、これは本当に心痛むのですが、その減らした人たち、これをちゃんとまた国有林の中に活用していく。これは国有林野の職員から外れたにしても、第三セクターを今つくろうという動きが、やがて当委員会でも審議をしますが、山村振興法なんかでもありますね。それから各地で第三セクターをつくっていこうということ、それからOBたちをうまく機能的に組織して、会社にでもして、そしてその人たちに働いてもらって、そういう人たちを活用していこうということもやれると思うのですな。私、長野県のみどり産業ですか、ああいう事例なんかも知っていますが、やはりよその人たちを使うよりも、今まで国有林で働いてこられた方々、まだ若いですから、その人たちを十分活用していくという方向に進んだらいかがなものか、こう思いますが、長官、そのことについてはいかがですか。
  28. 小澤普照

    小澤政府委員 国有林で長年技術力を蓄えられた方々が退職されましても、大いにその実力を発揮していただきたい、私もそのように考えておるところでございますが、特にこれからは民有林国有林を通じました林業の活性化を図っていかなければならないという中で、請負の登録制度でございますとか、あるいは地元工場制度など木材の関連のものにつきましてもいろいろと体質強化を図っていく、そういうことの中でこの技能なり技術を有する国有林のOBの方々に大いに活躍していただきたいということでございますので、そのような事業体に参入をしていただく。あるいはまた、最近新しい林業事業体の創設の動きも各地域で見られることもございますが、このような事業体につきまして、育成整備について我々も大いに支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
  29. 日野市朗

    日野委員 特措法の方ばかりやっていて、森林法の方の時間が大分少なくなってまいりましたが、ちょっと森林法の関係について伺いたいと思います。  私、今度の流域ごとにやっていこうというやり方については賛成であります。大事業でありますが、ひとつ頑張ってやっていただきたいというふうに思いますが、特にこれは市町村と緊密な連絡をとってやっていかなくちゃいかぬだろうというふうに思います。それがこれからの日本林業の統一ある発展ということに直接つながりますので、ぜひとも市町村との緊密な連絡をとってやっていただきたいというふうに思うのです。国有林民有林との連絡、それから市町村との連絡、これをきちんとやっていくシステム、これはどういうことを考えておられますか。
  30. 入澤肇

    ○入澤政府委員 御指摘のとおり、市町村と十分連絡協調しながらやらなければいけませんし、また、市町村の行政能力も十分に活用しなければいかぬと思っております。今回の改正でも、市町村計画の計画事項を拡充しましたし、それから施業の実施協定の認可を市町村にゆだねておりますし、それから林地開発許可に当たって、知事が関係市町村長の意見を聞くというようなことで大分役割を強化しております。  私どもとしましては、まず、昔はよくあったというのですけれども、営林の相談、営林の指導というのが営林署の一つの仕事になっておりますので、営林局、営林署ごとに市町村と十分相談する窓口みたいなものをつくらなければいけないと思っておりますし、それからまた、流域の地域林業活性化センターあるいは活性化協議会、この中に市町村にも入っていただきまして、十分に市町村と連絡協調をするような仕組みを考えていきたいと思っております。
  31. 日野市朗

    日野委員 そこはしっかりシステムとしてつくらなければいかぬと思いますが、私が心配するのは、地方自治体では、今までの国の林業に対する施策が後手後手に回ってきているというか、手抜きみたいなものがあったのではないかと思うのですが、林業に対するウエートが非常に少なくなってきているんですよ。中央官庁は農林水産業でありますが、宮城県は農林は農林で独立をして、水産林業部なんです。林業水産じゃないんです。普通だったら林業水産でしょう。それから、その下に配置されている課も水産関係が多くて、林業なんというのは、こんなことを言うと怒られますが、ほんのぽちょぽちょっといるだけですね。そういったことは各市町村についても、やはり非常に林業関係を重視している、林業でかなりのウエートを占めているところではある程度の人的配置などもやっておりますけれども、そうではないところはどうも兼職でやっていたり、そういった下の方の受け手の層が薄いといいますか、そういうことを私は感じているのです。こういう点、もしこちらでシステムをつくろうといってボールを投げても、受け取るキャッチャーがいなかったというようなことになる心配がありますので、そこらについてはどう考えておられますか。
  32. 入澤肇

    ○入澤政府委員 御指摘のとおり、市町村に林業関係の職員が必ずしも十分配置されておらないところがたくさんございます。地域森林計画の対象森林を持っている三千七十二市町村のうちで、専ら林務行政を行う課とかあるいは係を設置している市町村というのは、平成元年、七百八十九市町村ございます。それから、他の職務と合わせた係で林務行政も行っているというところが六百九十五、合わせて千四百八十四というふうなことになっておりますが、これは五十七年の数字で見ますと若干ふえております。やはり林務行政、それから環境問題が重要だという認識が深まってきますと、市町村の方におきましても出向体制を整備しなければいけないというふうな気持ちになっているようでございますし、今回の森林法改正におきまして、先ほど申し上げましたように市町村の事務というものを強化しているということになりますと、こういう係をさらに設置するように、私どもの方としましても必要な経費を助成しながらお願いしていきたいと考えております。
  33. 日野市朗

    日野委員 案としては立派にできたけれども、それを担う人がいないでは、これはどうにもなりません。そして私、今、日本林業はそういった意味ではぎりぎりのところに来ていて、辛くもこれから立ち直れるかどうかという瀬戸際にいるのではないかと思います。この間から各同僚委員が、労働力の面からいろいろアプローチをされましたけれども、これはそういった労働力の面ばかりではなくて、行政の担い手の面からも同じようなことが言えると思うので、ここはひとつ気合いを入れてやっていただきたい部分であります。  それからもう一つ、今度は施業の代行制度を取り入れられる、私は、これは非常に結構なことだと思います。もっと早くやってもらいたかったと実は思っているわけなのであります。今までも勧告制度がございましたね。この勧告制度の実績はどのようなものであったか、あと五分しかないそうですから、できるだけ簡略に。
  34. 入澤肇

    ○入澤政府委員 端的に申し上げますと、今まで勧告を文書で正式に行った事例はございません。しかし、これは背景をちょっと調べてみますと、早急に間伐、保育を実施する必要のある森林につきまして、正式に勧告する前に森林所有者等に対して、市町村とか林業改良普及員とかそういう人たちを通じて個別に指導している、そのために間伐、保育を行うという事例がかなりありまして、そのために正式に文書で勧告した事例がないという報告が各県から上がっております。
  35. 日野市朗

    日野委員 今まではそういう状況で事実上やってこられたということでありましょうが、今度はちゃんと施業の代行制度ということは法文上も盛り込まれているわけでありますね。その中でちょっと私は気になるのですが、その制度の適用があるのは、災害を発生するおそれがある場合という一つの限定がついているわけですね。もちろん、これは私権に関することでありますから勝手にやれないことはよくわかります。しかし、これは単に災害の発生の場合ばかりじゃなくて多少拡大解釈もして、余りにも森林をほったらかしているような人たちの場合は、災害発生なんということばかり言わないで、それはきちんとやれよということでやれないものか、いかがですか。
  36. 入澤肇

    ○入澤政府委員 今先生御指摘のとおり、法律上は、私権、私有権の侵害に当たらないようにということで注意深く書いておりまして、一遍手続を、要するに勧告とか調停とか手続を踏んだ上で裁定に持っていくということになっております。  我々、災害を発生させるおそれがある状態というのをどういうふうに解釈するかということなのですけれども、具体的には、林分が著しく過密化している、そのために下草が生えていない、それから林内に成長した衰退木が転がっているとか枯損木が発生しているとか、あるいは表土の流亡が見られる、そういうところについては、今回の裁定制度を適用していきたいと思っております。裁定制度は法律上の一つの担保措置でございまして、これを最終的な武器として、事前に具体的な指導をして、災害の発生のおそれがあるということをかなり弾力的に解釈しながら、裁定にいかない段階で間伐、保育を進めていくように強力に行政指導したいと思っております。
  37. 日野市朗

    日野委員 そこのところはひとつ強力な指導方をお願いしたいと思っております。  それから、同じようなことで林地開発の問題についても、水害を発生するおそれがある場合は開発許可を出しませんぞ、こうなっていますね。これも同じように、通常用語例における水害発生と、それから林業考える場合、林野考える場合の水害発生というのはちょっと違うのではないか、これはもっと広い意味解釈して、開発行為に対する規制を行うことも可能ではないかと私は思っているのです。そして、そういう態度であれば恐らく大方の拍手を得られるのではないかとも思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  38. 入澤肇

    ○入澤政府委員 ここも法制局と大分議論したところなのです。かねがね、乱開発の防止を図るという意味から、林地開発許可制度の強化を図らなくてはいけない。昨年この委員会で承認していただきました森林の保健機能の増進法、あれにおきまして、初めて森林開発につきまして総量規制というのを入れたわけです。これはかなり効いておりまして、この総量規制を入れた後、保安林の解除基準それから林地開発の許可基準強化いたしました。今、これからつくられるゴルフ場等もこれに即してやられますので、かなり自然の保全と利活用の調和がとれた形になると思っております。現に現地ではそうなっておりますが、今回、それをさらに強化する意味で、法律上どのように表現するかというので苦心したところなのですけれども法律的に書くとなりますと、客観的な計量基準みたいなものがあらわれないと、法律上なかなか書きにくいということでございまして、「水害」という言葉に落ちついたのですけれども、この「水害」の我々の意味するところは、洪水とか溢水とかそういうものでございまして、狭い意味での水害というふうに必ずしも理解しなくてもいいのじゃないかと思っております。
  39. 日野市朗

    日野委員 時間が参りましたので、聞きたいことはまだまだありますが、終わります。しかし、国有林再建元年ということで、林野庁の皆さん、農水省の大臣を初め各職員の皆さんの御健闘を祈って、質問を終わります。
  40. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  前島秀行君。
  41. 前島秀行

    前島委員 私は、山づくり、山の整備の方を中心に、今度の法改正との関係について伺いたいと思っています。  最初の質問は、今度の一連の改正の中で、一つは、地域的には流域という一つの地域を単位とする、片方では、国有林等の機能分離、類型化する、こういう形の中で、二本立てといいますか、そういう考え方でありますけれども、その考え方そのものはいいのでありますが、問題は、その類型化され、機能をそれぞれ分けた中に対してどういう山の管理といいましょうか、手だてをしていくかということだろうと思うわけであります。  そういう意味で、四つに機能分類をし、それに対する具体的な管理、施業というのは、一体どういう形で、どんな段階でつくっていくのか、それを個別に具体的にそういう作業計画というものがなされていかないと意味がないと思いますので、そういう機能分類と具体的な管理の具体化というのはどういう形でやっていくのか。  それからもう一つは、そういう類型化、それから流域単位という形で、それに伴って組織等々も配置をしていくのだ、考え方としてこういう形になっていると思うのでありまして、そういう面で、その機能分類の基準というか根拠、それに対する具体的な施業というか管理の方法、それと、それの組織配置との関係について、基本的にどういうふうに考えているのか、まずただしておきたいと思っています。
  42. 小澤普照

    小澤政府委員 先生が今御質問機能類型でございますけれども、これは国有林野の使命ということでございますが、国民の要請をどのように受けとめてまいるかということから考えまして、森林の持っております機能を最高度に発揮させたいという観点から類型化してまいりたいということでございます。  この内容は、機能によりまして、国土保全林、自然維持林、森林空間利用林、木材生産林、このように類型化してまいります。  具体的にどのようにこれを類型区分するかということでございますけれども、全国森林計画におきましてこれまで把握されております箇所ごとの機能評価を基礎にいたしまして、さらに、保安林や自然公園等の法令による指定等も踏まえまして判断していくわけでございますが、同時に、地域の意見あるいは地域振興への寄与という観点から、市町村の意見もお聞きして分類してまいりたいと考えております。そして今後は、これを施業計画の樹立をする際に国有林野経営規程も改正いたしまして制度化し、その中で機能類型を図る、さらに、その施業計画に則しまして、営林署等において適切な森林施業を実施するということになるわけでございますが、施業方法につきましては、若干例示的に申し上げれば、国土保全林ですと、複層林の施業あるいは混交林への誘導のための施業を行う、あるいは治山施設の設置を行う。自然維持林ですと、これは原則として自然の推移にゆだねる。その他、森林空間利用林は、風景とか景観の向上に資する施業なり施設を設置していくということでございます。もちろん、木材生産林につきましては、適切な必要な施業を行うということになるわけでございます。  また、この具体的な管理のための組織の問題でございますけれども、これにつきましては、このように四タイプに類型化した森林の適切な管理を図るために、営林署の組織についても、国有林野のこの機能分類に基づきまして、あるいは森林のウエート、業務量等に応じて見直しを行い、必要に応じて森林レクリエーションあるいは国土保全等の業務や木材生産の業務等、特定の業務を適切に行う各種のセンターに改組統合する方向で検討しておるところでございます。
  43. 前島秀行

    前島委員 機能別に施業計画は立てるのですか。
  44. 小澤普照

    小澤政府委員 機能は確かに濃淡がございまして、実際には機能が重複しているケースというのが多いわけでございますが、今の機能分類というのは、特に比重の高い機能というものに着目して区分してまいりますが、実際の施業計画になりますと、先ほど申しましたように、国土保全林であれば複層林施業等と言いましたけれども機能の特徴に合わせたものでやります。やりますが、その際に森林状況等もよく見きわめまして、施業計画上はそれぞれの森林にふさわしい計画にしてまいるということでございます。施業の方法はいろいろ、それぞれの森林に適するようにやってまいります。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
  45. 前島秀行

    前島委員 その機能分類はいいですよ。けれども機能分類して手を抜くところがあって云々ということだと一番困るので、機能類型した以上は、それに伴ったぴしっとした施業管理の方針を立ててもらいませんと、機能分類したことが意味がなくなりますから、その点は重ねて念を押しておきます。  それから、それと組織配置というのは当然かかわってくると思うのですが、今度の改善計画等々では、営林署並びに担当区事務所は三分の一程度統廃合するのだと言っているわけであります。先ほどの機能分類、具体的な作業との兼ね合いが当然出てくると思うのですが、この三分の一縮小云々というものはどんなテンポでいくのか、その機能分類とのかかわり合いはどうなるのか、その辺のところをちょっと……。
  46. 小澤普照

    小澤政府委員 最初に、機能分類にふさわしい施業をきちっとやるかどうかということでございますが、これはそのようにやってまいりたいと思うわけでございます。  それから組織につきましては、今後この特別措置法改正していただきますと、それに基づきまして新しい改善計画を樹立いたすわけでございますが、この計画を策定する中で、これからの組織の簡素化なりあるいは改組というようなものを考えてまいりたいと思っております。
  47. 前島秀行

    前島委員 次に、要員問題ですが、平成五年二万人、こういう案が出ていて、それに合わせるために特別の措置というのも考えているのですが、この平成五年二万人というのは何を根拠に出てきた数字ですか。
  48. 小澤普照

    小澤政府委員 この平成五年度末までの要員規模でございますけれども、二万人でございますが、これにつきましては、これから平成五年度末までの間におきます事業量の見通し、事業量は縮減するということになるわけでございますが、あるいはまた事業の民間実行の徹底や事務の外部委託、あるいは事務の簡素化の見通し等を総合的に勘案いたしまして、適切な業務運営が可能な規模として平成五年度末二万人の要員規模を考えているところでございます。
  49. 前島秀行

    前島委員 この平成五年二万人というのは、例の平成四年三月末、五十八歳ですか、あそこの特別措置を入れると、黙っていたって二万人が達成するわけですね。その後、その後でもって、その時点でまた新たな要員問題は検討する、こうなっているわけでありますが、その平成五年のときの、二万人が達成されたときの要員は、その時点で考える、こうなっているのですが、その時点の考える場合の根拠といいましょうか基準というのは何になるのですか。
  50. 小澤普照

    小澤政府委員 最初の方で、自然に二万人になるんじゃないかというふうにおっしゃいましたけれども、そのように自然のものだけではなかなかそうはいかないのではないかと考えまして、特別措置その他考えなければいけないと思っておるのでございますが、その後の、平成六年度以降の問題につきましては、さらにその後の事業量の見通しを踏まえまして、また同時に、事業の民間実行の徹底でございますとか、組織全般にわたります簡素化、合理化、事務改善等による適切な要員管理を行いまして、国有林野事業の使命を果たすために必要な最小限の要員規模とする考えでございます。  なお、この必要最小限の要員規模につきましては、二万人規模の達成の見通しがついた時点で検討をいたす考えでございますけれども、その結果として二万人規模を維持することになるか否かにつきましては、現段階で不確定な要因が多いことでございますので、数につきましてのお答えは申し上げられないと考えているところでございます。
  51. 前島秀行

    前島委員 その数の問題は、私も細かに、今五十歳から六十歳までの間の年齢別の数をもってこれを見ていけば、自然的に平成六年以降は二万人を割るんですよ。特別措置、平成三年度大体一定の数を予定している、千五百人くらい予定している、こう言いますと、それが実行できれば、ほっといたって平成六年から二万人を割るんですよ。だから、私は数を聞いているのじゃなくして、平成五年、二万人体制が出たときに要員問題はそこで検討する、こうなっているけれども、その検討の基準というか基礎というか、何を要素にして検討するのかと聞いているのです。
  52. 小澤普照

    小澤政府委員 その時点においてのことではございますが、繰り返すようで甚だ恐縮なんでございますけれども、やはりその時点におきまして、その後の事業量の見通しでございますとか、あるいは民間実行の状況、また組織の簡素化、合理化等、あるいは事務改善の様子も踏まえる必要がございますし、そのような観点から、しかし国有林野事業の使命を果たすために必要な最小限度の要員規模ということで考えてまいりたいということでございます。
  53. 前島秀行

    前島委員 また後で聞きますけれども。  では次に、民間実行の徹底という大方針があるわけであります。それで閣議の了解事項、出された改善大綱の中でも、要するに民間実行の徹底とあって、元年度の請負率、植えつけで五九%、素材生産で四〇%、これが現状でして、これを徹底する、こう言っているわけですね。そうすると、この十年間の改善期間中にこの民間の徹底というのは具体的にどういう形になるのでしょうか。
  54. 小澤普照

    小澤政府委員 今までも事業実行につきましては、改善計画に基づきまして請負化の推進に努めてきたところでございます。  今後につきましては、先ほども申し上げました事業の民間実行の徹底の方針のもとに林業事業体の育成にも努めまして、民間実行体制の整備を図りながら行ってまいりたいというように考えておりますが、この際、森林調査等、国有林野の管理経営上直用で行うべき必要最小限の業務につきましては直用で行うことといたしますほか、他の業務につきましては、要員調整の進展状況に即しつつ、逐次請負事業の拡大に努めてまいる方針でございます。
  55. 前島秀行

    前島委員 その閣議の大綱の中で具体的に出ているので、ではその植えつけ部分と素材生産の部分閣議了解の中では「徹底」と言っているのですね。数字はともかくとして「徹底」と言っている以上、五九%、四〇%が残る、そのままということはないと思うのですね。数字までは言わないとしても、それならば植えつけの方と素材生産の方ではどっちにウエートを置いた民間徹底になるのですか。
  56. 小澤普照

    小澤政府委員 請負実行の拡大の方向で民間実行の徹底を図っていくわけでございますけれども、ただ、植えつけか生産かというようなことでございますとか、あるいは、これらがどのように請負化されていくかということにつきましては、この具体的内容等につきましては現在検討中でございまして、まだ数字的に明らかにすることは困難でございますので、差し控えさせていただきたいのでございます。
  57. 前島秀行

    前島委員 その具体的な数字をこの場で言えないという点はまあいいですけれども、要するにいろいろ意見を伺うと、生産部門、素材生産部門の方にウエートを置いた民間徹底だ、これは大体言えると思うのですね。  そこで問題は、その受け皿である林業事業体等々の実態、果たしてそれだけ民間徹底をして国有林、山というのは大丈夫だろうか、こうなってくると、その事業体が果たして大丈夫なんだろうかというところにかかってくると思うのですね、山をつくる、整備をするという観点から見ると。  この請負事業体の実態というのは、林野庁平成元年度でいろいろ実態調査をしているようでありますけれども、これは民間の民有林事業体の実態と変わらない。いわゆる高齢化、五十歳以上というのは六〇%以上だという数字ははっきりしているし、あるいは三十歳末満なんというのはわずか三%足らずだ、こういう実態。あるいは経営の規模といったら、これはもうごく小さい規模だということ。特に素材生産部門に大きな民間徹底を図るという方向であるなら、素材生産の民間事業体の作業員の雇用規模なんといいますと、作業員を十人未満抱えているというのが二八%で、四十人未満といったら六五%、四十人未満でほとんど九三%。そういうのが林野庁の調べた請負事業体の実態だと思うのです。あるいは、就労時間の問題だとか社会保障、社会保険等々の加入状況だとか労働力の減少だとか、請負事業体そのものも、平成元年度のときとその前の六十一年のときと比べると百事業体が減っている。この減った事業体は何が原因であるかについては、私、細かく分析はしていませんけれども、減っていることも事実だ。  こういう国有林事業体の実態というものは、このままの状態で民間徹底でそちらに移行をしていく、安心して山を管理する、国有林整備する、特にその公共性に期待をされている国有林、国民のニーズから見ると、正直言って、任せっきり、安心できないというのが私は実態だろうと思うんですよ。そこで、それなら請負事業体に対する手だてというものを考えなくちゃいかぬだろうと思うんですね。その点はどうでしょうか。
  58. 小澤普照

    小澤政府委員 国有林につきましては、今まで林業事業体に対しまして登録制度というようなことをやっておるわけでございますが、これによりまして、実態を把握しつつ育成整備のための措置を講じてまいったところでございますけれども、ただいま先生御指摘のように、現状にございましては、経営基盤の脆弱なものもございまして、また労働条件につきましても不備なものも確かに見受けられるわけでございます。さらにまた、雇用する労働力も減少なり高齢化が進んでいる実態にございます。  したがいまして、今後の対応でございますけれども、新たに展開される流域管理システムのもとで国有林民有林を通じました民間実行体制の整備を進めてまいりたいというように考えてございますけれども国有林といたしましても、この場合、一般の林政施策と並行いたしまして、この事業体強化考えてまいりたいと思うわけでございます。  内容的には、もちろん請負の登録制度とか地元工場制度などの活用を図ってまいりますけれども、同時に、計画的また安定的な事業発注というものが必要でございますし、あるいは緑化用の樹木等、国有林野内の産物の販売や森林レクリエーションなどの国有林野関連事業のあっせんに努めてまいりたいというように思うわけでございます。さらにはまた、社会保険の加入の促進でございますとか、定休日の定着に向けた指導、啓蒙も必要と考えておりますし、さらにまた、高性能機械の導入促進が図られるようにロットの安定的な確保、作業方法等にも配慮した請負発注や立木販売の推進等によりまして、地域におきます林業事業体整備状況に応じました新たな林業事業体創設の支援も含めまして、育成整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  59. 前島秀行

    前島委員 要するに、民間徹底をしますと、かなりの量の仕事を事業体にお願いせにゃいかぬということなんですよね。それに対して、ただ一般的なほかの民有林と同じような形の手だてだけでは不可能だと私は思うんですよ。  例えば、今立木販売等々を言っておりますけれども、これはよしあしの面がいろいろあると私は思っているのです。例えば国有林の収入ということを考えると、立木販売を促進することはマイナス作用ですね。要するに、付加価値をつけてあれした方が収入増になるということは、だれしも言われていると思うんですよ。だけれども、今度は、逆に言うと、立木販売すると、民間の人たちの仕事の量はふえるかもしらぬけれども、それが完全に市場の中に行ってしまって、地元との関係からくると、いろいろな議論が出ていると私はよく聞くんですよ。そうすると、経営という側面と民間徹底という側面が相矛盾してくるわけなんですよね。そういう中で、ただ仕事量をふやせば、民間の方に仕事を回せば事業体はやっていけるんだということを、民間徹底して事業体は大丈夫だ、こういう根拠に私はよく聞くのです。事業体の方は、仕事を定期的にくれさえすればいいんだ、そうすればやっていけるから大丈夫だ、こう言うのだけれども、私は、それだけでは十分な受け皿の条件にはなっていないというふうに思うわけです。やはり具体的な手だてを真剣に考えなければ絶対だめだと私は思いますよ。  そこで、大臣、ちょっと大臣の感想というか意見を伺いたいんですよ。先ほど私が言ったように、流域システムで行く、機能別に管理をする、それはいいのですけれども、ちょっと横から勘ぐると、山を守るという観点から見ると、非常に濃淡が出てくる。その人の配置、組織の配置というのは、やはり合理化というものがあるもので、そこのところを追求せざるを得ない。そして、その山づくりの基本である労働力二万人というのはほっておいてもどんどん進む、正直言って進みますよ、大臣も御承知だろうと思う。そして、片一方で民間徹底という大方針がもう一本あって、それも進む。だけれども、支えである事業体の実態は御承知のような実態だ、それに対する手だては特別にない、こういうことだと私は思うのですね。そうすると、確かに片一方で国有林再建という課題はあるから、これは事実ですけれども、もう一つの重要な役目である山づくりという面、これについて私は不安でならない、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。大臣、そこのところどうでしょうか。
  60. 近藤元次

    近藤国務大臣 国有林累積債務区分によって私が一番心配しているのは、経常事業部門でさらなる赤字を累積することがあってはならないということでありまして、累積債務を解消する分野につきましては、一般会計導入がございましたから、私は、累積債務の解消というものについてはかなり自信を持っておるわけでありますけれども経常部門についてさらに赤字が出たときということは、より深刻になるというふうに考えておるわけであります。それだけに、今回の流域単位でより国有林民有林合理化する、あるいは川下ともまた連携をとるというようなスタイルで地域の森林計画なり私が計画をする森林計画をつくらせていただいて、先ほども日野委員からお話のございましたように、地方自治体の関心もまた、多少無理をしてでも一体化をしていくという方向で進まなきゃなりません。今、民間請負制度に対しましては一千三百程度の事業体はございますけれども、必ずしも期待にこたえるような一千三百であるかというと、先生御指摘のように、ここもまた高齢化をしておりますし、労働条件が必ずしもよくはございませんし、また技術的にも経営基盤が不安定な状況であることは御案内のとおりでございます。ここのところをひとつしっかり私ども、これからやっていかないと、いたずらに、民間請負は机上で計算は成り立つけれども、ここも経営を安定をしていく、そして事業体であるがゆえに労働条件の極めて悪い林業労働者に対して、休日だとかあるいは社会保険制度とかいうものを導入していくには、やはり企業体をきちっと経営するだけの量がなくてはこれに対応できませんし、技術その他につきましては、私ども、今後積極的に指導して技術の向上も図っていかなければなりませんし、機械の導入に対する協力もまたしていかなければならないと思っておるわけであります。  なお、もう一つ、先ほど日野委員からお話もございましたように、国有林の退職者について一つの、これからの林業関係に対する協力を求めるべきではないかという御提言がございました。大変いい御提言でございまして、私どももまた、いわば国有林のOBに対してもいろいろ御協力をいただく、その技術をさらに生かしていくということも考えて、請負の事業体に対して最大限の協力を申し上げて経営の安定を図っていきたいと思うわけであります。  ただ、今先生、山を守るという観点からはどうするのかというお話がございました。ここがまさに実は基本でございまして、ここがなくて経営の安定もできませんし、流域単位にした意味合いもなくなるわけでありますので、ここについてはやはり流域単位、総合的に積極的に私ども努力をしてまいりたい、そう考えております。
  61. 前島秀行

    前島委員 ぜひ大臣国有林の方が減量化をすればいいのだとか、林野庁がスリムになって、あとは民間に任せればいいのだと、こうなってくると、いわゆる国有林の持っている公益性を事実上放棄したと言われかねないのですから、ぜひその点の御配慮を引き続きお願いをしたい、こういうふうに思います。  次に、官民の連携といいましょうか、これが今度の法改正の中の大きな柱といいましょうか、だろうと思うのです。具体的に官民連携というのは法改正の中でどう位置づけられているのか、どう担保されているのか、その辺のところをちょっとお聞かせ願いたいと思っています。
  62. 小澤普照

    小澤政府委員 今後民有林国有林を通じました森林整備を一体的に推進してまいる必要がございますが、このためには民有林国有林が連携をとりながら、同一の森林計画化につきましては同一の期間の計画も樹立いたしまして進めてまいりたいというように考えているわけでございます。  それで、まず計画を樹立いたします際に、計画の策定者はこの場合、都道府県知事と営林局長あるいは営林支局長ということになるわけでございますけれども、まず相互に意見を聞いて計画内容の整合を図るということにいたしているわけでございます。  それから、具体的な実務といたしましては、都道府県と営林局等で会議の場も設けまして十分に打ち合わせを行いまして、民有林国有林で整合のとれた施業方法あるいは林道の配置等に努めてまいる考えでございます。また、計画の実施に当たりましては、それぞれがその役割を果たしますとともに、地域の林業関係者等により構成されます流域協議会等の場も活用しながら連携をとって推進するように指導してまいる考えでございます。
  63. 前島秀行

    前島委員 特に今言われた地域森林計画ですね、それから国有林の方ですと施業計画になると思うのですけれども、従来は地域森林計画というのは二百五十五というあれだった、それから国有林の方は八十だったわけですね。これが百五十八に統一されて流域単位でいろいろ考える、ここが一つの大きな柱だろうと思う。  そこで、具体的に官民の協力といいましょうか、あれがどう出てくるか、こういうことだろうと思うのですけれども、地域森林計画、国有林の方の施業計画というのはそれぞれ別々に立てるのでしょう。
  64. 小澤普照

    小澤政府委員 計画の樹立者は都道府県知事と営林局長、支局長ということになりますから、その意味では別々ということでございます。
  65. 前島秀行

    前島委員 連携するというのはどういう現象になるのですか。その過程で連携をする、同一テーブルに着くとか、例えば流域の方は百五十八になるわけですから、県単位ではない。そうすると、地域森林計画、従来のあれですと県が中心になってくる、県が対応する。民間の方は県が中心になってやる。国有林の方は局だとかということになってくると、ずれが出てきますわな、今までのあれからすると。かなり従来の体系との変化もあるし、それから地域森林計画を策定する県の方との間の対応のずれも期間的に出てくるわけですね。その辺の調整というのはどういうふうにするのですか。例えば、国有林の方は個別に担当者みたいなものを置いて対応するのですか。それとも一括、局の方が各県にまたがって対応するのですか。それとも、今度営林署がどういうふうに配置されるのかわかりませんけれども、それの対応というのはどうなるのですか。
  66. 小澤普照

    小澤政府委員 県をまたがるのは広域になりますから、これは農林水産大臣が計画を立てるわけでございますけれども、一括してやります。それから百五十八の流域につきましては、先生がおっしゃいましたように、今までは八十と二百五十五ですか、でございますから、そもそも計画する区域が違っていたわけでございますけれども、これからは百五十八という、民有林国有林も含めた流域をまず決めます。その中には当然民有林国有林両方あるわけでございますけれども、計画を立てる際に相互に意見を聞くということがまずございます。  それから、具体的には会議の場を設定しようと考えておりまして、民有林国有林両者が同じテーブルに着いてよく意見交換をいたしまして整合のとれた計画を立てたい、このように考えているわけです。
  67. 前島秀行

    前島委員 具体的な点はこれからだろうと思いますけれども、いわゆる行政の方と林野庁の方の今の組織とのうまい対応がないと、ある意味でいったら逆に矛盾する面もあるし、それから流域ということで今度は計画単位が膨らんできたのですから、粗雑になる面も私は出てくると思う。  それで、具体的に例えば、官民が連携をとってやらなければいかぬ、もうそういう時期に来ているのだということは私はよくわかるので、そうすると、その辺の官民一緒にやるということの重要性は、具体的な、例えば間伐だとか林道だとか、こういうことになると思うのですね。しかも林政審の中では、緊急間伐百四十万ヘクタールだというふうなことも具体的にされている。ここを官民一体でできるのかどうなのかというところが、本当の意味の官民一体でやるということの効果が出てくると私は思うんですよ。そうすると、こういう林政審でも指摘しているような、あるいはこの前の参考人の方も、そういったことを具体的に一緒になってやらないと、その指導をしなければ意味がないんだ、こういう発言があったのですけれども、例えば代表的な一つの象徴的例として、この林政審が指摘しているような百四十万ヘクタールの間伐を官民で一緒になってやろう、こうなったときに、それはどこで具体的にそういう協議がなされてくるのですか。あるいは林道問題等々を、これでいくと森林整備事業計画で五年計画の中に出るだろうと思うけれども、そういうことが具体的に官民一体になって初めて効果が出てくる、むだもなくなってくる、こういうことになると私は思うんですよね。それでは、具体的に今度の法改正考え方の中で、そういうのをどこでどういう場面で官民が協議をし実施していく、その保証をする仕組みというのはどうなっているのかというところをはっきりしてもらうと、なるほど官民一緒になってやるんだな、むだもなくなるだろうな、仕事も進むだろうな、効果もあるだろうな、こうわかるのですけれども、その辺の関係が,どうも具体的にイメージとして理解できないのでありますが、その辺のところをちょっとわかりやすく明確にしてくれませんか。
  68. 小澤普照

    小澤政府委員 先ほど申し上げましたのは、計画樹立に際しましての相互に連携をとるということでございますが、その次は実行の問題であろうかと思います。実行に際しまして、確かにこれからの施業は、間伐も含めましてやはり民有林国有林が連携してやらないと活性化が進まないというように考えておるわけですが、その際に、流域の中でこれはまず協議会というようなものを関係者で構成していこうと考えております。その中で、間伐の例をとりましても、林道、作業道の路網整備の問題がございますし、それから高性能機械もこれから入ってまいりますけれども、この場合には機械を効率的に動かすためには、どうしても民有林国有林を一体化したロットの設定が必要であることは間違いございません。したがいまして、そのような路網整備やら機械の効率的利用という点につきましても十分相互に連携をとって、打ち合わせをしつつ実施する必要がございます。したがいまして、事業の実行主体は異なることはございましても、これらの連携、整合ということを十分に考えた自主的な運用の仕方を考えたいと思いますし、またそのような指導を十分にしていかなければいけないと思っております。
  69. 前島秀行

    前島委員 そうすると流域協議会で、例えば間伐の問題だとか林道建設の問題等々、そこを国の側も入ってといいましょうか自治体も入って、そこで相談して、そこで決めて、そこで実行するという形になるのですか。その流域協議会というのはまた大きな期待を持ってつくられているわけですよね、つくられているわけです。そこのところ、これは自主的なと、こうなっていて、法律で担保されたものはないのでありますけれども、そういうところでその種の議論といいましょうか、連携といいましょうか、あるいは協調といいましょうか、そういうものがなされる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  70. 小澤普照

    小澤政府委員 先生のおっしゃるとおりかと思います。この流域全体の協議会ということになりますと、林業事業を実行する事業体林業事業の実行体ということになりますと森林組合とか材生産業の方とか入りますし、それから当然国有林側からは営林署というような参加になりますし、さらにまた関係の自治体、市町村というものも入ってまいりますので、このような流域内におきますそれぞれの組織あるいは団体等が十分綿密に連携をとりながら進めるということがこれからの流域全体の活性化につながってくるというように思うわけでございます。
  71. 前島秀行

    前島委員 はっきりしないのですけれども、まあ、これから検討するということであればそれだろうと思うのですが、確かに官民連携をとってやらなければいかぬな、それはそのとおりですけれども、それでは、果たして具体的にどういう形でやるのかということについては依然として明らかじゃないのですよ。言葉としてはよくわかるのです。それでは、それがどういう段階でどういう過程でぴしっといくのかということになってくると、さてという感じがするのですね。そういう面で、流域協議会に官民一体の大きなウエートがある、こう思うのですけれども、これに対する林野庁の対応といいましょうか役割というのですか、これはどういうふうにかかわってくるのですか。自主的な協議機関だからもうお任せしましょう、こう言っているのですか。それともこれに対して、先ほど言ったような緊急間伐の具体的な場をつくってやるための協議をしていくのだとか、あるいは林道となると、森林整備事業計画が出されてその具体的な実践の場がそこだとすると、これに対して林野庁がどう責任を持っていくのか、どうかかわっていくのか、それに対する役割がちゃんとしていないと絵にかいたもちになるし、というふうな気もするし、林野庁の責任が問われても私はしょうがないというふうな気がするので、この流域協議会に対する林野庁の役割、かかわり方、責任の持ち方について聞かせていただきたいと思います。
  72. 小澤普照

    小澤政府委員 このような協議会の運営につきまして支援をする必要があると考えておりますので、まず、必要な経費というものが出てまいりますから、これにつきましては助成をすることを考えておりますし、それから、協議会で策定され目標なり方針というものが出てまいるわけでございますから、これを達成していただく必要がございますので、この点につきましては、造林・林道事業の各種の助成措置が適切に活用されるように指導してまいりたいということでございますし、特に、平成三年度に新たに実施いたすこととしておりますけれども林業労働力育成確保対策や林業事業体体質強化対策あるいは高性能林業機械の導入でございますとかオペレーターの養成対策等、これらを活用いたしまして、より積極的に支援をしてまいる方針でございます。また、国有林野事業におきましても、この協議会に職員の参画ということをやりまして、一般林政施策との連携のもとに、国有林の計画的な伐採なり造林などの森林施業の推進とあわせまして、林業事業体に対する事業の安定的、計画的な発注、それからまた技術指導等を通じまして流域林業全体の活性化の先導的な役割も果たしてもらいたいと考えておりまして、このように総合的に対応してまいりたいと思うわけでございます。
  73. 前島秀行

    前島委員 それぞれの対策というのも結局、計画をする要するに検討事務資金みたいなものなので、抜本的なものじゃないと思うし、それから、これから官民一体になるという形の中でいくためには、この協議会というものに国が、林野庁が積極的にかかわっていく、リードしていくという姿勢がなければやはり絵にかいたもちだ、官民が一緒になってやるということが必要なんですから。ただ営林署の職員があそこに一員としてかかわっていくとか参加していくというだけじゃなくして、積極的にリードしていく、そういう意味だったら、私は、この流域協議会というものが法律で担保される、保証されるということがあってしかるべきだったというふうに思います。一説によると法になじまないというようなことらしいのですけれども、実態的なことを考えて効果あらしめるためには、いずれにせよ林野庁が先導的役割でリードしていくという点を、これから具体的に対応る中で、組織を配置する中でぜひそこのところは考えてほしい、こういうふうに思います。  そこで、次は自治体とのかかわり合いの問題です。  今度の一連の法改正考え方の中でも、自治体に対する期待というのが非常に大きいわけですね。それで、自治体に対する役割というのが大きく位置づけられていると思うのです。例えば、市町村の森林整備計画の拡充をするんだ、合理化事項を入れたり、あるいは設備の整備規定したり、項目を入れたりとか、共同化を図る、協業化を促進するための施業実施協定制度あるいは森林施業代行制度等々の創設をする、この中に大きく自治体の役割というものが位置づけられているわけだろうと思うのです。かなり自治体に対する役割、期待が大きいのだけれども、片やその自治体の実態から見ると、計画する段階ぐらいで実施ということ、実行ということを考えると、財政負担という問題が私はついて回るだろうと思うのですね。実はけさもこの委員会で、いずれかかるであろう例の構造改善の方の話を聞いていると、結局自治体の財政負担がふえるぞ、こういう形になってくる。しかも、こういう山を抱えてこの種の制度、この種のことをやらにゃいかぬというせっぱ詰まった自治体というのはいわば過疎地域の自治体が多い。こういう状況の中を考えますと、何かこの種の制度だけをつくって、私もいろいろ資料をもらって見ますと、いろいろな予算、手だてをしたとこう言っているけれども、私は、この資金の確保というものをつくっておかないと何の意味もないんじゃないかというふうな気がするわけなのです。自治体に対する期待が大きいだけに、位置づけが大きいだけに、自治体に対する支援といいましょうか対策というものがないと、効果がないような気がする。ただやれやれと言うだけでは意味がないような気がする。その点のところを、特に自治体に対する資金の確保という面でどう考えられているのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 小澤普照

    小澤政府委員 今回、市町村の役割、これをぜひとも大きくお願いしたいというように考えておりまして、市町村が推進役となりまして、地域が一体となった森林施業の共同化や担い手の育成あるいはまた機械化の促進など、森林施業の合理化のための条件整備を図ることとしているわけでございますが、この際、経費的な面でもいろいろと対応していく必要があるというように考えております。  主なものを申し上げますと、平成三年度から新たに市町村森林整備計画の策定費を予算に計上いたしまして計画事項の推進を図ってまいります。平成三年度からはこの推進のため、新たに施業共同化のための協議会の開催、あるいはまたモデル団地の設定等を内容といたします森林施業共同化等の促進特別対策事業を興します。また、技能研修等を内容といたします林業労働力育成確保特別対策事業、それから高性能機械の導入等を内容といたします林業事業体体質強化対策事業、さらにまた作業労務の整備等を推進いたします林業基盤緊急整備事業、これを実施いたしますほか、事業内容を拡充した林産物の利用促進のための施設の整備を推進いたしますために、国産材産地体制整備事業を行うこととしておるわけでございます。また、間伐や保育の裁定にかかわります分収育林の推進のために分収育林取得資金の融資対象者に新たに市町村を加えることにしております。さらにまた、市町村森林整備計画の達成のために各種森林林業関係補助事業を計画策定市町村におきましては優先的に実施することも予定しておりまして、これらを通じまして市町村が森林整備の推進に当たり、その役割が適切に発揮されるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
  75. 前島秀行

    前島委員 では、ちょっと聞きますけれども、代行制度というのが新しい制度として創設されているわけですけれども、いわば伝家の宝刀だと言われるけれども、自治体が本当にやらなければ、これは刀がさびちゃって何の意味もないんですね。そうすると過去の勧告制度と全く同じなんですよ。いつでもやるぞ、できるんだよとやって見せなければ伝家の宝刀の効き目がないんですよね。そういうことを考えると、この制度をもし自治体がやろうとしたときに、まあ分収育林制度ですから、いずれはそれを売って返ってくるかもしらぬけれども、本当にいざというときに、水害等々という一定の規定があるにせよ、これは緊急性ということですわな、さっといつでもやらなければいかぬということになってくるときに、これをやろうとしたときに、自治体は一銭も金がかからないのですか。既存の補助金、今言われた分収育林制度の自治体に対する整備からすると、一銭も金がかからずにこの制度は実行できるのですか、自治体がやろうとしたら。
  76. 小澤普照

    小澤政府委員 これはやはり代行する場合に費用がかかるわけでございます。したがいまして、その費用の手当てというものを、融資なり造林上の補助の制度もございますから、そういうものを活用させていただきたいというように考えているわけであります。
  77. 前島秀行

    前島委員 分収育林制度、代行制度だって実際は自治体は金がかかるんですよ、やるときには。それが何年後に返ってくるかわかりませんけれども。その他、今度の法改正に伴っていろいろな新しい制度をつくった、事業をやったと言われて、今度の法改正に伴う一連の事業、新規が結構あることは事実です。しかし具体的に見ると、この案をつくる、事業を計画するものに対する手だてだけだろうと思うのです。あとは結局既存の補助金だとか既存の融資制度をうまく活用してくれというのが主流だろうと思うのです。  そして特に、先ほど言った事業体の民間の方というのは、要するにもともと林業の実態から見て財政的に余裕がないから今日まで放置されてきている、進んでいないという事情が根底にあるわけなんで、ただ協業化だとかいろいろなシステム、制度をつくってその計画をつくっただけであって、実効という面について見ると、私は、そんなに期待できないという面があるわけです。もともと林業というのは財政的にピンチに追い込まれているわけですから。そういうものを手だてをしない限り——ゼロとは言いませんよ、いろいろあるということは事実ですけれども、そういうものをもっと手だてをしない限りは、いろいろないい制度をつくったって、結局実効という段階、効果という段階になってくると不可能になってくるんですよ、実際問題、既存のものに頼るということでしたら。既存のものに頼って大丈夫だというなら、もう以前の段階でできていたと思うのです。  それで、今度は逆に今度のことでもって自治体にその分をかなり期待をしている。その自治体も御承知のように財政状況というのはますます厳しいことは間違いない。しかも、この事業をやらなければいかぬところは過疎地域だという実態から見るとどうしても、ゼロとは言わないけれども、もっと抜本的な自治体に対する手だてだとか、あるいは制度を実効あらしめるためには、もっと根本的なものをこれ以上にやらないと、いろいろな制度を考えてもその効果というものは十分期待できないのじゃないかというふうに思えてならないわけなのです。その面で、ぜひその辺のところを考えてほしいし、先ほどの説明ですと、いろいろ挙がっているけれども、まだまだ十分でないし、私は、自治体から必ずその声が上がってくるような気がするのです。その点もう一度改めてお聞きしておきたいと思います。
  78. 小澤普照

    小澤政府委員 既存の制度も確かに使いますが、先ほど御説明した新しいものもございます。それから、やはりこういうものを本当に活性的に動かすためには、参画する人たち、また私ども行政を担当する者、関係者全体が熱意を持って取り組むということも必要であろうと思いますし、そのような中で具体的に推進してまいりたいと思うわけでございます。各制度、助成措置等につきましても、今後、また関係者の御意見も聞きながら、またアイデアも求めながら拡充強化ということにつきましても考えてまいりたいと思うのでございます。
  79. 前島秀行

    前島委員 最後に、大臣、私は、山づくり、森林整備というのは国づくりだろうと思っているのです。しかも、日本が本当の意味で先進国の条件を整えていくための投資だろう、山づくりというのは。そういうことだろうと私は思うのです。特に、国有林というのは公共性、その期待の部分が多いわけですから、やはりどうしてもそういう観点というのを求めざるを得ない。特に、この国づくり、本当にこれから先進国の条件を整えていくためには、この山というのは絶対的に優先されなければいかぬ施策だろうというふうに私は思うのです。特に農業問題でもそうですけれども、これはいろいろ議論がありますけれども、食糧というのはある意味では、私は反対ですけれども、外国から持ってくればかわり得るかもしらぬ。だけれども、山というものは外国から持ってくるわけにはいかぬわけですから、そういう意味では国づくりという面で非常に大事だろうと思うのです。今回の改正の中で、一般会計から金を入れていくという筋道をあげたという意味で非常に評価するし、苦労だったなとも思うのです。しかし、山づくりという面から見ると、まず債務処理、それから国有林会計は赤字を出すまいというものがすべてに最優先してしまって、すべての主流であって、山づくりというものは後からくっついていく、悪い言葉で言うと二の次かなという面があると私は思えてならないわけなんです。また、そうでないことを期待をしますけれども、そういう面でやはり基本的に山づくり、山の整備というのは国づくりなんだよという認識を持たないといかぬと思うのですね。  そういう意味で、我々が従来の認識を打ち破る努力をしていく、その先頭に大臣がなってもらう、農林省という役所がそれについていく、そして山づくりという面では我々が与野党を超えて声を大にして応援団として参加していくということでないと、この山づくりの問題、国有林処理の問題もうまくいかないと私は思うのです。確かに努力でもって穴があいたけれども、具体的にあれすると、二兆三千億が本当に消えるのかなということになってくると、不安の部分がついて回ることは事実だろうと私は思うのです。そういう面で、大臣努力に期待が大きいし、我々も応援しなければいかぬだろうと思うのです。その辺も含めて大臣の決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 近藤元次

    近藤国務大臣 大変激励をしていただき、また各方面から御意見をちょうだいして感謝をいたしておるわけであります。  累積債務のことはもうこれ以上申し上げませんが、これから実効が上がるか否かという問題点について御心配の点の御指摘がございましたけれども、私も長官とのやりとりを聞かせていただいて、流域単位だけは何としても成功させなければならないな、ここにまず魅力を持たせるという内容にしていくということを今考えながら来年度予算に向けて、またこの辺の整備を、どのような支援を、流域単位というものを決めたのだから、ただ従来の手法だけで、補助率だけで、採択基準だけでということではなしに、新たに流域単位になったということを考えて来年度予算要求に向かって努力をしてみたい、そして実効の上がるものにしていきたい。川上あってのことでありますから、川上を大事にしていくことが、当然のことながら川下もまた生きていけるということでもありますし、公益的、社会的な機能を経済以外に持ち合わせておるのが森林であるということを十分認識をいたしておりますので、努力をしていきたいと思います。
  81. 前島秀行

    前島委員 終わります。
  82. 大原一三

    大原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩     ────◇─────     午後一時一分開議
  83. 大原一三

    大原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中恒利君。
  84. 田中恒利

    田中(恒)委員 国有林改善特別措置法、昭和五十三年に発足いたしまして五十九年と六十二年、今度で三回目の改正であります。いずれも私どもこの改正に参加してきたわけでありますが、なかなか大変な状態の中の改善計画ですから、一定の前進はあった面もありますけれども、やはり自助努力を中心に人も相当減ってきた、営林署の統廃合もやった、機構合理化などやれることは相当やったように思いますが、現実には赤字はますます膨大になった。そういう意味ではやはり失敗をしたと思います。  そういう反省の上に立って、今回、私どもとしては前々から一般会計からの繰り入れということを相当強く言ったつもりでありますが、今度一般会計から債務の分について繰り入れる、こういう会計上の区分という問題が入り込んだ。私どもは前向きの改正だと思っております。このことを中心にして審議がなされてきておるわけでありますが、大臣、もう三度目ですから、あなたのときにどうしても国有林、少し前向きの方向に向けさせなければいかぬと思うのですが、それに対するあなたの御抱負といいますか、反省の上に立って、こういう方向で国有林経営管理というものを持っていくということを、念のために、たくさんの人がお聞きしておりますけれども、重ねてお尋ねをしておきます。
  85. 近藤元次

    近藤国務大臣 過去何回か国有林改善に挑戦をしてまいりましたけれども、元本に対して一般会計から繰り入れをするというのが実は今回初めてのケースでございます。このことは、一つはとりもなおさず国有林の持つ重要性というようなものを各方面から認識をいただいた、こう理解をいたしておるわけであります。  私は、累積債務の分については、解消することについて、一般会計からの繰り入れの導入を含めてそれほど実は心配をいたしておりませんが、これからの経常事業部門について、これが健全経営を行われるかどうかということにつきましては相当真剣に取り組まなければならないと思うわけであります。累積債務経常事業部門から出た債務でありますから、今後赤字を出さないで健全な経営ができるという面につきましては相当真剣に取り組んでいただかなければなりませんし、また、そのために新たな観点で私どもは支援をしていきたい。  どちらかというと、山全体につきましては、やはりこの累積債務という赤字の部門を持っておることで新たな一般財源を要求するのも多少は引け目を感じた分もあったのではないだろうか、今回この重荷をおろして、そして経営ができるということになりますと、現場で働いておる皆さん方も、稼げど稼げど累積債務という重い荷物にどうも引きずられるというような感じがあったのではないかなという精神的な面も実は感じておるわけでありますので、今後現場で働いておる皆さん方から一生懸命努力をしていただくと同時に、そのための支援をまた今後引き続きしていかなければならない、そう考えております。
  86. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣がおっしゃるように、元本の繰り入れ、累積赤字がなくなっていくということによって国有林が再生をしていくというふうになれば、私は非常に結構なことだと思うのです。私ども自体もこの委員会の審議の中で、それについてまだ確たる確信を持つに至っていない、審議の内容もその辺まだもたもたしておるところがあるような気がしてなりませんので、そこらのところは私もそういう意味質問させていただくわけであります。  そこで大臣、これからの山の林政というものは、従来のように木材とか林産物などの経済財としてと同時に、公共財という二つの側面があるわけですけれども林業政策というのはどうも金で計算したり物をつくったり、出したり、そういうものが全体として中心であったのじゃなかろうかと思うのです。ところが、御承知のことでありますが、そうではないというのが国民の全体の世論でもあるし、関係者の一致した考え方のようですね。きのう当委員会が参考人の方四名に意見をお聞きしましたが、皆さんこぞって山の公共性、公益性というものを強く指摘いたしましたね。参考人の方の中には、国有林の赤字というのは黒字だ、こういう理解に立っても悪くないのじゃないかということを言い切った方もございますね。それほど森林に対する考えが非常に変わってきた。これが大臣もよく言われる環境問題ですね、自然と人間の調和の中に森林がどれほど大きな機能を果たしておるかということだろうと思うのです。  だから、林政全体が公益性というものを前面に出していく。しかし、その森林をつくるため、育てるためには金が要る、投資が必要だ。その金をだれがどういう方法で負担をしていくかというような問題が、これからの林政の当局者にとっては大きな課題になっていくと思うのです。ですから私は、そういう意味では山の持つ公益という機能、公共財であるというものをもう少し具体的に客観的に指し示していく尺度が必要になってくるように思います。  かつて農林水産省は、農林水産物は年間十三兆円の総産出額だけれども、これが日本の社会、国民に果たしている役割は二倍半から三倍近い三十五、六兆円あるのだ、こういうことを出しましたね。私ども飛びついたわけでありますけれども、あれは非常にマクロ的でありますが、あれではなくて、あれよりもっと細分化した、ミクロ的に細かい分野にわたって森林が持つ公益的な機能というものを客観的に認めさせるようなデータが必要になってくるのじゃないかと思うのです。それがないと、これからいろいろ一般会計中心に財政援助をやるにしたって、何か足らないような気がします。それは林野庁は専門担当機関だから林野庁がある程度やりましょうが、私は林野庁だけではだめだと思うな。やはり大学とか研究所とかそういうところの知恵をかりて、森林の持つ公益機能というものはこういうものなんだ、数字で示せばこういう形になるんだ、こういったものを明らかにしていく作業が、きょうあすというわけじゃありませんけれども、必要になってくるように思うのです。大臣にこのことをひとつお願いしたいわけですけれども、いかがですか。
  87. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生の御意見、まさにそのとおりだと思うわけであります。山を持つ役割なり、山に対する理解というのは、総論的には国民的なコンセンサスも得られてきた、こう理解をいたしておるわけであります。  さて、具体論になって、山に対する施策をどうするかとかそういう個別論になりますと、やはり財政的な支援を一般会計から求めていかなければならないという問題になりますと、総論だけでは、なかなか理論武装が整わないと言っていいのか、具体論として、今先生の御指摘のように、価格的に定量的に土砂崩壊の役割をどのような評価をするか、あるいは水資源にかかわる役割をどのようにしているか、また地球環境上の問題等も実はいろいろ大きな役割を公益的にしておるわけでありますから、この問題については、今後山全体をつくっていくためには具体的な、財政的な支援をしていくために予算要求をしていかなければなりませんけれども、その分析を定量的にどのように判断をしていくかという分になりますと、林野庁も極めて頭脳明晰な職員ばかりでありますけれども、必ずしもそれ専門に携わるわけにはまいりませんので、先生のお話のございましたように、大学なり学者なりというものに依頼をしなければならない、そう考えて、今事務当局にその準備を指示いたしておるわけでありますので、可能な限りこの公益的な機能の価値というものを、国有林の経済ベースだけではない役割を果たしている分について、国民の税金もひとつ使わせていただきたい、そう考えておるわけであります。
  88. 田中恒利

    田中(恒)委員 ぜひやってください。私も時々営林署へ行って、署長さんや職員の人に、あなた方の仕事の内容、大体どういう方面にどういうふうに仕事をしておりますかと質問をすると、国有林は赤字で弱っておるんだがどうだなどと聞きますと、先生、一番大きいのは人件費だ、人件費で人によって違うけれども、場所によって違いますが、山の仕事をしておるのは三分の一とか半分しかやっておりませんという人が案外多いのです。あとは、管理のためのこととか、地域社会との関係とか役場とか森林組合とか、そういう関係の仕事は非常に多いのですよと、特に国有林関係者の場合は言うわけですから、私は国有林については、特に人件費を含めて公益機能がどの分野まで食い込んでおるかといったようなことを実態の上に立って明らかにしていくことが必要だと日ごろ思っておるわけであります。ぜひ大臣のお考えになっておるような方向で、来年度予算あたりから少しでも前進するように御配慮をいただきたいと思います。  それで国有林は、これから保安林ですか国土の保全林、それから自然維持林、森林空間の利用林、あるいは木材の生産林といったような四つの機能に分けて、それに基づいて管理をしていくということになっておるわけでありますが、その際に、それぞれの機能ごとの森林に対する経費の負担というものが若干変わってくるのじゃないかと思うのです。そういう経費の負担が機能類型別にどういうふうになっていくのか。  あるいは施業、これは国有林の場合は訓令ということで森林経営規程というものがありますね、私も持っておりますけれども、なかなか膨大なものが。あの経営規程というのは相当昔からの古いものですけれども、この種の事業ではあれは事業法的な性格を持っておるのだが、訓令というのはどういう意味なのかと実は前々から思っておりますが、それは別にしまして、これは今度変わらなければいけませんね。いつごろまでに新しい訓令というか経営規程を変えるつもりか。そして、機能別に非常に大きな幾つかの特徴のあるポイントがあると思うのですよ。これが施業の内容になるんだ。それの特徴点について長官の方からひとつお願いします。
  89. 小澤普照

    小澤政府委員 お答えいたします。  機能類型につきましては、今回のこれからの国有林野事業の施業の方針に反映させるために分類を行うわけでございますけれども、今のお尋ねは、どのような手続的なといいますか、スケジュールというようなことでお尋ねだと思いますけれども、私ども、現在このように考えておるわけでございます。  国有林の施業計画の樹立手続につきましては、先生が今御質問ございました国有林野経営規程によりまして行っているわけでございますけれども、この国有林野経営規程につきましては改正を必要とするわけです。現行の経営規程につきましては、この今回の法案改正後に改正をさせていただくということになりますけれども、まずその改正をいたしまして、それから機能分類の手法というものをそこで明確にする必要がございます。そうしまして、国有林のそれぞれ属地的な、要するに森林ごとに施業計画を樹立していきますけれども、またこの際には、市町村の意見も聞きまして類型を確定していくわけでございます。ただ、この時期的な問題につきましては、私ども、現在平成四年度にこの類型の確定を行いたいというように考えているところでございます。  なお、これの類型をいたしました上で、このような機能にふさわしい施業を展開していくわけでございますし、また、あるいは共通するような林道その他の基盤整備も実施してまいりたいと考えておりますけれども、これらにつきましては施業計画を樹立いたしまして、その計画が目標どおりに目標に沿って実施されるような観点から、経費につきましては計上いたし、事業の実行をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  90. 田中恒利

    田中(恒)委員 基本計画はつくっていきますね。この法律ができると基本計画をつくるでしょう。それは中央でできるし、地方も数は大分違ってきますけれども、できますね。それと並行して国有林経営規程、これも進められていくということですか。それが平成四年になるということなんですか。
  91. 小澤普照

    小澤政府委員 国有林野関係の経営規程そのものは、そのものの改正は、今回森林法改正によりまして新しい森林計画等を樹立いたしますが、その際に同時並行的に改正を行いまして、そして先ほどの機能分類の作業は平成四年度というように考えているわけでございます。
  92. 田中恒利

    田中(恒)委員 今度の改正の目玉は累積債務を一般の通常業務と区分をしていくということでありますが、このことの行われるねらいは、ちょっと確認させていただきますが、一般の通常業務部門に支障を起こさせない、関連を持たせないということのためにこれが行われるんだ、だからこれからは、これまでの累積債務というものが一般の業務に大きな、大きなというか、大きな場合もある小さい場合もあるが、負担にならないというふうに改めて理解をしてよろしいですね。
  93. 小澤普照

    小澤政府委員 今回累積債務処理経常事業部門とを区分する意味合い、この意味合いの中で最も重要と考えておりますことは、それぞれの処理ということはございますけれども、同時に、債務処理経常事業部門に支障を及ぼさないということでございますので、そのような形の中で国有林全体の経営改善を図ってまいりたいと考えております。
  94. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは、これも質問があったんですけれども、私聞いておって、ちょっとよくわからない。わからないというか、はっきりしない。しないことはないんですけれども、あなたのところも言いたいことが言えぬということがあるのかもしれぬが、ともかく正確に二兆二千五百億と言っておりますが、この現在時点の債務平成二十二年まで二十年、十年間の改善計画の間に消していくというわけですね。二十年かかるでしょうということなんですが、それはどういう形で消されるのか、その粗筋ですね、粗筋だけでもまずお知らせいただきたい。
  95. 小澤普照

    小澤政府委員 債務処理の方法でございますけれども、これは昨年十二月の国有林野事業経営改善大綱に則して行ってまいりたいということでございます。  具体的には、まず林野土地等の資産につきまして徹底した見直しを行いまして、その処分により収入の増大を図りまして、債務処理優先充当してまいるということでございます。  なお、今回区分をいたします経常事業部門でございますけれども、これにつきましては、自主的な改善努力によりまして将来生ずる剰余金につきましては債務処理に充当してまいります。  なお、これらによっても債務処理の費用が不足する場合には別途財源措置等の措置を講じまして、累積債務の縮減、解消に努めてまいる考えでございます。
  96. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは、今の三つの手法、そをもう少し具体的にお聞きしますが、土地の処分ですね、処分の仕方とかいろいろありますね、地価との関係とかいろいろありますが、それはさておいて、大体林野庁はことしは七百六十何億ですか、七百億ぐらいはコンスタントにいくんじゃないかと考えておるから、これをこのまま二十年延ばしたら一兆四千億、一兆四千億は国有林の持っておる財産の中で処理できるものを処理していくのかなと私どもはひとつ考えております。  しかしそれでも、約二兆三千億の金、まだ九千億足りません。その九千億をどうするんだ。そうすると利益ということを言われるわけですけれども、これはちょっと将来、十年先十五年先はどうなるかわかりませんが、これはそんなに当てにはできない。そうすると、いや応なしに別途の措置、すなわち一般会計から繰り入れる。そのほかにもあるかもしれませんよ。あるかもしれませんが、常識的に、一般会計から繰り入れるという方法が考えられる。これを九千億見るのか。九千億とすると、大体四百五十億ぐらい二十年かかったらあれするわけですけれども改善期間が十年ということになっておるので、その辺の操作はどういうふうになるのかなといったようなことがずっと頭にあるわけです。  しかし、それは二兆二千五百億ということであって、それだけでもこれは済まぬわけですね。私は林野庁から昨年の五月にいただいた資料を持っておりますけれども、それを見ると、平成七年には三兆七、八千億にまで総額はなっていく、こういうふうに載っております。だから、事のいかんによっては債務はどんどん、金利ですから膨らんでいくんですから、そういう単純計画でもいかないということなんですね。そこへこの法案で、借りかえ資金の元本を償還することができる、こういうことになったわけですよ。なったんですが、一体それをこれから十年かけてどういう計画で進めていくのかということがわからないのです。それがわからぬ。だから、それを示してほしいという要望が各委員先生方からあったけれども、なかなかあなたの方は、はっきりお示しになれないんでしょう、示されないわけであります。  しかし、おおよその方向づけはわかったが、さて、例えば平成三年、今年度、元本として一般会計から繰り入れられるものはどうなんだ。今百億あるが、この百億は今までのつながりですからね、そんなに変わっているわけではないんで、元本に入ってないと思うのです。だから、それ以外に一般会計からどれだけ来るのかということが未確定なんで、それが我々にとってはちょっとした不安になっておるわけです。その辺をある程度我々もなるほどそうかというふうにさせてもらいたいんだな。何か、こうこうします、土地を売ります、利益あります、一般会計から何とかしますということではちょっと国会の審議としては不十分だ、こういうように思うのですが、その辺のお答えはできませんか。
  97. 小澤普照

    小澤政府委員 債務処理というのは非常に金額も大きゅうございまして、これから二十年をかけまして処理をしてまいるという考えでございます。  先ほど先生がお話しされました金額は、あれは今までの方法ですと、借入金の場合の約定がございますから、約定どおりの方法に従って今後対応していった場合に債務が膨大になってくる、こういうことでございますが、今回はそこのところをいわゆる区分いたしまして、新しい処理方法を導入するということでございます。  なお、その場合に平成三年度の予算でこれを見ますと、債務処理の収支につきましては利子償還金が二千二百八十五億円必要でございます。そのほか、これは林野土地等の売り払いにかかる直接経費は六億円を計上しているわけでございますし、それに対して財源が必要でございますから、これにつきましては林野土地等の売り払い収入七百二十六億円、それから一般会計繰り入れ、先ほど先生おっしゃいました百億円、それから累積債務処理の負担となる借入金千四百六十五億円をもちまして平成三年度の債務処理を行う考えであるわけでございます。  今後、ではどういうふうにこれがいくのかということになるわけでございますけれども、この点につきましては、今後の債務処理の進め方、その他諸事情がございますけれども、自己資産処理につきましては、これは鋭意計画的に努力をいたしましてやっていく必要がございますけれども、それ以外のものにつきましては、先ほども申し上げましたように、改善大綱に則しまして、もちろん改善大綱は自己資産処理も含めてございますけれども、そのような中で努力をしてまいるということでございまして、数字的に先のことまでを今申し上げる状況には至ってないということを御理解いただきたいわけでございます。
  98. 田中恒利

    田中(恒)委員 これはきちんとした償還計画があるはずじゃないのか。これは私、前の改善計画のときに長官と大分やりとりしたんだがね。持っておる、と。持っておるのだけれども、なかなかそのとおりいかない。わからないわね、材価にしてもいろいろな不確定要素があるし、特に金を握っておる大蔵との関係もあるわけですから。今度の場合大きいからなかなか大変だから、こういう席で言えと言ったってそれはなかなか言わぬと思うけれども、しかしそれにしても、例えばことしはこういうふうにしたいという程度のことは出してもらわないと、どうもよくはっきりしないのですよ。  私ども承知しておる範囲では、平成三年は、二兆二千五百十一億円の借金を返していくためには二千二百六十八億円の償還をしなければいけない。その金利は千三百九十七億円だ。それで元本は八百六十九億だ。この資料は古いから多少違うかもしれませんが、大体そういうことだ、金利と元本は。そうすると、元本は一般会計から繰り入れるということになれば八百六十九億が入るのかということが考えられるわけだが、それがそのとおりいくかどうかは問題はあると思うけれども、少なくともその程度の水準まではやはり努力しなければいかぬと思うので、これは林野庁長官よりも大臣の課題になるのかもしれませんね。この問題は多分事務当局だけでは話はつかぬでしょうね。つかぬだろうが、しかしそれが四年、五年、六年といって、これを二十年かけてゼロにしていくという計画はどこか持っておるのだ。それを示しなさいといってこの前も委員の要求があったのだが、いろんな事情で出せないということでしょうが、出せないなら出せないでいいですけれども、ことしこの元本分の八百六十九億というお金、これは借りかえ資金にするとちょっと違うらしいが、しかしそれにしてもそのお金は満度に一般会計から繰り入れられてしかるべきだと私などは思っておるのですが、いかがですか。
  99. 近藤元次

    近藤国務大臣 私が引き継ぎをさせていただいて、この問題の心配をしていることの二点、私が事務当局から確認をいたしておるわけでありますけれども、二兆二千五百十一億という、この六十二年度の会計区分にして出てきた累積債務について、土地の売り払いをどこまでやるのか、何ぼでもやられちゃかなわないわけでありますから、ここは一体どこを限度とするのかということを一つ確認をして、一兆二千億を限度とするというような確認をさせていただきました。  もう一つは、これが二兆二千五百十一億を返済する間に、さらに返済の財政運用の中では恐らく二兆三千になったり二兆四千になったりするという可能性が実は出てくるわけであります。その債務についてはどうするのか、こういうことを心配いたしたわけでありますけれども、そこは区分を明確にしてやって、一般会計から導入が遅くなればさらに債務がふえていく。  もう一つは、土地の処分がおくれればおくれるだけ、その利息分というのがまた先に繰り延べられて累積債務が増大をするということになるわけでありますけれども、その区分については、六十二年度を限度とした累積債務にかかわって増大する分というのは、さっきお話し申し上げた、国有林野土地は一兆二千億でありますから、まあ一兆五百億ということになるのかもしれません。それから派生してくる分については、一般会計で元本も利息も繰り入れをしていただくという、その内容については、いわば財政運用のやり方によって、あるときは一般会計にたくさん入れることもあるだろうし、あるときには財政上少し繰り延べをするということもあるのかもわかりませんけれども、少なくとも経常部門について累積債務から出てくるものに責任を負わせるということではなくて、ただ経常事業部門経営が安定をしてきて黒字が出たら、それは当然累積債務の方に支援をするという形にはなりますけれども、そこは不確定な要素で、我々は努力をする必要はありますけれども、そういうことで区分をいたしておりますし、私が確認しておることは、経常部門に迷惑をかけないで一般会計からの導入も入れて累積債務処理ができる、そう考えておるわけであります。
  100. 田中恒利

    田中(恒)委員 土地を売って一兆二千億内外、そういうことでしょうね。なかなか、七百億円台の資産の売却というのもそんなに簡単なものじゃないように思うし、そうすると、あとの二兆三千億か二兆四千億ぐらいの金をどうするかということについては、土地売買の時期とか一般会計の操作上のいろいろな手段があるので一概には言えないということでありますが、しかし元本の借りかえ金を償還するということが法律ではっきり決められたわけですから、元本部分についてこれだけだということについては一定の方向づけは、例えば大蔵省とは話ができておると理解していいですか、それもできてないのですか。
  101. 小澤普照

    小澤政府委員 今回のこの経営改善のための区分は、累積債務処理だけのためではないというように思います。  債務処理を行うということは、要するにいわゆる経常事業そのものが健全性を回復する、そのために必要な手法でございます。私どもとしては、私は特に国有林経営を預からしていただいている者として申し上げますと、やはり国有林が速やかに経常事業経営改善を行いまして、国民からの要請にこたえていくということが必要でございますから、そのようなことが速やかに進められなければいけないというように考えているわけでございまして、そのようなことともちろん平行いたしまして債務処理も進めていく必要がございます。  債務処理につきましては、資産の売却と繰り入れというようなことのみならず、将来生ずると考えられる剰余金も充当してまいるという考えでございますし、やはり国有林野事業というもの自身が健全性を回復するということとこれは密接不可分であるというように考えております。したがいまして、今後の債務の具体的な処理の問題につきましては、まだ、いつ、幾らというようなところは明確になっているものではございません。
  102. 田中恒利

    田中(恒)委員 それはあなた、累積赤字と通常会計と、通常会計だって健全でなければだめですよ。それはわかっておる。それは区別して考えるということだから、今ここで二兆五千億の累積赤字をどういうふうにして消していくのかということは、通常との関係なんかそんなにないと思うのです。やはり元本と金利だ、金利ですよ。それをどういうふうにして戻していくかということを考えたらいいのです。  その場合に、借りかえ資金というものを幾らにしたらいいかということが内部的な関係と絡んでなかなか出しにくい面があるようですけれども、あると言ったって、実際は、我々根拠を持っていないのだから極めて大ざっぱに言って、十年間は一千億に近いものを何とか一般会計から持ってこなければ、これは消えないですよ、いろいろ言ったって。だから、その程度のことしか私もわかっていないけれども、後になれば利子はだんだん少なくなっていくのですからね。だから当面の十年くらいが非常に重要なんですが、それについては大臣はしばしば言っておるわけだが、責任を持つというか、やれるということですね。私はここまで行ったらあなたの言葉を信頼するほかしょうがないのです。そのことについては絶対自信があると言い切れるね。
  103. 近藤元次

    近藤国務大臣 折衝に当たって、恐らく自助努力分というものをしなければならぬという立場で折衝があったので、長官は大変歯切れが悪いのだろうと実は思っておるわけであります。  平たく申し上げさせていただくと、今までの赤字の分はまず自分たちでやれる努力をしなさい、その残りについては資金運用の、単年度ごとは別であるが、最終的には二十年までには一般会計を入れてでも解消してやるよ。そして、しかしこれからの経常事業経営分で黒字が出るように努力をして、黒字が出たらそれも一般会計へまた繰り入れをしろよ、赤字解消に一役買えよ、こういうことで私は理解をしておるものですから、累積債務債務分について一般会計が入るということで、単年度ごとは別としても、それが方針であるとすれば二十年の間には解消はできると私は実は確信をいたしておるわけであります。
  104. 田中恒利

    田中(恒)委員 確信ですか。しかし、金はなかなか厳しいですからね。それでもいろいろありますが、長官、あなたが言われたことに関係してくるが、確かに通常業務は同時に進めなければいけない。その通常業務も民有林国有林が同じレベルで処理をしていくというふうになりましたね。ところがことしの予算案を見ると、どうもそういうふうな考え方には立っておるようですが、例えば林道にしたっていろいろな条件が国有林の場合はついておりましたね。民有林が二割か三割入っておらなければいけないとか、いろいろ民有林の規模の大きさとかなんとか若干ありましたが、それでも同じ条件の中で予算がことし組まれておりますが、その予算を見てみるとやはりまだ額は相当こまいですね。造林だって大体百十二億二千万くらいでなければいけないと思うのだが、六十七億五千万だ、あるいは林道だって九十八億七千万程度なければいけないのが六十二億一千万程度だ。こういう形になって、基準はとっておるようだが、やらないところが出ておるのであろうと思うのだけれども、これはこれからどういうふうになっていきますか。完全に民有林並みの林道に対する補助、造林に対する補助、そういうものをやっていく自信はありますか。
  105. 小澤普照

    小澤政府委員 先ほどは累積債務処理について申し上げましたけれども経常事業の方につきましても我々一般会計からの繰り入れを期待もいたしておりますし、またこれを充実していかなければならないというように考えているわけでございます。したがいまして、債務処理につきましても、これは二十年という期間で、改善期間は十二年まで定められてございますけれども処理全体につきましては資産の売却なり将来の剰余金ということも考えまして二十年ということで考えているわけでございますが、今お尋ねの経常事業に対する一般会計からの繰り入れでございますが、これは五十三年度以降経費の一部を繰り入れを行いまして、この問題につきましては年々拡充に努めてまいったところでございます。  平成三年度予算案におきましては、民有林助成と同一とするよう繰り入れの拡充を図る考えでございますが、若干具体的に御説明申し上げますと、まず造林事業につきましては、新たに保安林以外の森林における単層林の整備のための人工造林経費と保育に要する経費を繰り入れ対象とすることを新たに考えておるわけでございます。  それから、繰り入れ対象とする森林の齢級につきましても拡大をするということでございます。  それから、林道事業につきましては、既に繰り入れ対象となっている林道がございますが、これにつきましては改良につきまして経費を新たに繰り入れるということでございます。  それから、民有林とのバランスでございますけれども、林道の開設に当たりましては、利用区域の森林面積によって民有林の方は採択基準を決めておりまして、これが五十ヘクタールというのが一つの標準になるわけでございますが、国有林につきましても利用区域の森林面積が五十ヘクタール以上あります場合の林道の開設、改良及び災害復旧に必要な経費を繰り入れ対象とすることといたしております。  そういう意味で、経常事業に対する、造林、林道に対する繰入額は百三十八億六千九百万円ということでございまして、対前年比率で一二二・六%ということで予定をさせていただくということでございます。
  106. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣、今の債務の問題にしたってこれからの問題だ。ことし百億出ておる。これは従来の踏襲にほんのわずかついておるくらいで、この法律改正の借りかえ資金の元本はないですね。これはことし一体どうするのか。法律は近く成立するでしょう。成立をすれば発効するわけでありますが、その場合に、法律に基づいてことしの借りかえ資金分を一体どういうふうにしていくかという問題もある。  それから、これは法律で関係ないけれども民有林国有林とのバランスをとっていくということについても、必ずしも金額的には完全なものが出てきておるとは思わないので、改めて全体の国有林会計そのものについて一定の資金的な体制をとらなければいけないと思うのですが、そういうものについて大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  107. 小澤普照

    小澤政府委員 確かに債務処理につきましては、平成三年度予算に計上されております一般会計繰り入れは百億でございまして、これはいわゆる利子に相当していくかと思いますので、元本の償還に対する予算は組まれていないわけでございますが、この問題につきましては、今回の法律改正によりまして初めて借りかえのための借入金等の償還金、つまり元本の償還と言ってよろしいかと思いますが、これが一般会計繰り入れ対象に追加されることになるわけでございまして、今後につきましては、このことを踏まえまして、この確保に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  108. 田中恒利

    田中(恒)委員 大分残っておりますが、時間がありませんので、簡単でいいですから、森林整備の投資計画は総額幾らぐらいになるか、そのことだけちょっと……。
  109. 小澤普照

    小澤政府委員 森林整備事業計画につきましては、今回の森林法改正案の中でその根拠となる条文整備させていただくわけでございます。したがいまして、この森林法改正されまして、この投資計画、つまり事業計画につきまして策定を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。そのスタートは平成四年度からというように考えておりまして、金額的なものにつきましてはこれからの作業になるわけでございます。  この問題につきましては、平成三年度の予算の中において新規策定をしたいということで、昨年度の予算作業のときに五カ年計画の策定を持ち出しましたが、そのときには確かに一定の金額につきまして算定をいたしましたけれども、今回は、この策定が平成四年度からということになりますために、今までの金額は一応白紙に戻しまして新たにこれから組み直すということでございますので、金額につきましてはまだ決めてございません。
  110. 田中恒利

    田中(恒)委員 白紙に戻してまた新しくということだが、この間、新聞を見ると三兆円から四兆円ぐらいの間じゃないかと出ておりました。ところが、今言われた昨年のあれでは四兆五千四百億ぐらいかな、農林省がこれを決めておるのです。この投資計画というのはみんな非常に期待をしているわけだ。下水にしてもいろいろなものにしてもみんなあるのに、林道や造林についてはない。そういう基本計画で五カ年に向かっての方向づけだけができることによって、みんな安心して仕事をするわけだけれども、だから期待はしているのですけれども、何か去年出したものよりも下がるというのは、これはマスコミの報道だからどこか違っておるところがあるかもしれませんが、そんなことをやっては困るので、これは四兆か五兆の公共事業の投資になるわけでありますから、相当思い切ったものを出してもらいたいと思う。改めてやり直すということなら改めてやり直すでいいですけれども、改めてやり直すといったって、去年やったのとそんなに大きく変わるはずはないと思うので、その辺は十分に気を使ってもらいたいと思います。  そこで、もう時間がありませんので、私は森林法のことについてもいろいろ聞きたかったのですけれどもできませんが、先日、私の党の方で、労働力の機械化の現地調査とそれから労働力の新しい動きをしておるところと二班に分かれて、労働力の新しい動きをしておるところはたまたま私の県でありましたので私が参りました。これは愛媛県の久万町という林業の町でありますが、ここへ行きまして、ここで町長さんや関係者から現状を聞いたわけであります。  実は、これがこの委員会山村振興法の改正をやっていただくことの内容につながっておるわけでありますが、第三セクターでありまして、株式会社でありまして、株数なんかも聞いておりましたが、たしか五万円株を住民が六百株ぐらい、それから役場が、最初三、四百持っておったのが、住民の熱意にあおられて、これが最高で七百株ぐらい、それから森林組合が百株ぐらい、それから農協も加わっております。全町がその会社をつくって、そしてそこに若い労働力、しかも、その地域にはいなかったUターンの、生まれはそこですけれども、Uターンで帰ってきた連中ばかり、今六人ですが、四月からは二人ふえて八人になるし、あと一年ぐらいしたらまた二人ふえて十人ぐらいになるはずですが、ともかく平均年齢二十七歳というのだから非常に若いです。そういう連中が入って、今のところ山の伐採と保育をやっております。これは町長が社長、林業課長が専務でありまして、町が主導です。町を主導にさせたのは、例の一億のばらまきの金です。あれを何に使うかというところから起きたようでありますが、非常におもしろい試みだと思っております。  問題は、そこの若い人々の待遇がともかく町職員と全く同じというところです。町職員よりも作業手当とかいろいろな条件が若干悪いから、その悪い部分のものを何かちょっとつけ足しておるようであります。ただ、退職金なんかが町の職員のような仕組みにならぬから非常に苦労しておるようでありますが、しかし、退職金も民間の会社のように入るということになっております。労働時間なんかは、八時から五時までとぴしゃっとやっております。その株式会社は「いぶき」というのですが、そういう会社をつくって動きが始まっております。  私は正直なところ、今これは一億と全町民の期待の上にのって、その方々も一生懸命やりたいということで動いておるが、さて、経営上これはどうかなという心配はないことはありません。森林組合の組合長とも話しましたが、森林組合と競合はありませんかと言ったら、ある心配もあるけれども、しかし、そういうことになればうれしいのだが、それよりもつぶれはせぬかという心配の方が強いですよなんて言っておりました。  今、全国各地から毎日のようにお客さんが来て、あれでもう仕事ができぬで困るとみんな言っておりますが、それにしても、いわゆる林業労働力問題がこれだけやかましくなっておるときに、林業のことを全く知らないUターン青年が自分の里へ帰って、そこで山に生涯を埋めるという決意で、非常にかたいチームワークをもって今なれぬ林業労働に携わっております。将来はもちろん付加価値をつくる製品の工場もつくりたいと言っておりますし、喫茶店もつくりたいと言っております。NTTの大きな庁舎が合理化でなくなったから、その半分ぐらい広い事務所を持ってでんと構えておりますが、私が行ったときは雪の中で作業をやっておったわけでありますけれども、あれを見ると、ああいう形にでもしなければ日本の若い労働力というのは確保できないのではないかということを教えられまして、私としては非常に感銘を受けた地域の一つであります。  久万の材というのは非常にいいので、京都の北山の材と並び称せられるようなところもあるのですけれども、全体としては、人口は減り、山につく若者はいない、こういう状況です。そういう中で、今は六人ですが、十人余りの青年がふるさとに帰ってそういう仕事に携わっております。  こういう動きは、私の地域の久万町だけではなくて、私の選挙区でありませんけれども、いろいろあると私は思うのです。ぜひ一遍こういうものを林野庁の方で把握して、これは林野庁にも何か話しに行ったことがあるが林野庁のお役人もなかなかかたいですななんて言っておりましたけれども、だから、何かの問題で必ずしも仕組みがうまくとれなかった面があったのでしょうが、そういうものを広げるということが大切ではないかと思いましたので私は御紹介するし、同時にこの地区は、今一番困っておる税金の問題とか償却の問題あるいは退職金の問題、あるいは特に技術力を身につけなければいけないということで勉強したいというのですが、その勉強するための指導とか助言とか、そういう関係のことなどもいろいろなことがあると思いますけれども、そういう問題を地域の農政、林政というか、地域林政の上に反映させていく課題があるように思いましたので紹介して、ぜひ林野庁として全国的にこういう新しい息吹を集めていただいたら、必ずそこに共通の何か類型化できるものが出てくるように思います。そういうものの中から、これからの地域の林業労働力確保という問題について大胆に踏み込まねばならないことがあったら踏み込んでもらいたい、こういうふうに思いまして、紹介を兼ねながら要請をしておきたいと思うわけでありますので、よろしくお願いいたします。何か御意見がありましたら。
  111. 近藤元次

    近藤国務大臣 愛媛県の久万町の第三セクターの問題について先生から御紹介をいただいて、すばらしいことだなと思って今聞かせていただきました。  一つは、私ども後継者対策に努力をいたしておるわけでありますけれども、少なくとも、今就労しておる人たちが魅力がなければ後に続く者は出てこないというふうな考え方を持っておるわけでありまして、その意味では第三セクター、町長さんが社長だと言われるお話がございましたけれども、まさに、町村がかかわり合いを持つことは一つの職場としての安定性の魅力を持っておられるのだろうと思いますし、そういう組織があることが、やはり労働環境をきちんと、休日なり社会保険制度なりあるいは退職金なりというようなものがつくり上げられていくんだろう、こう思っておるわけであります。  なお、つくることも大変御苦労されたんだろうと思うけれども、よりこれから持続をさせて安定をさせるということが、もっと御苦労が要るんではなかろうかと思いますので、今二、三のことを先生から御指摘がございましたが、その他何か林野庁でやるべきことは積極的に御支援を申し上げて、よりこのことが全国に広がるようにまた紹介をしながら、第三セクター並びに民間的なその企業に対して、労働条件なりそういう職場の魅力をつくりながら後継者対策にもまた大いに役に立たせていただきたい、そう考えておりますので、今の先生の御紹介の点について、私どもできるだけ詳細に調べさせていただいて、他にもそういうことができるかどうか、積極的に進めていきたい、そう考えております。
  112. 田中恒利

    田中(恒)委員 終わります。
  113. 大原一三

    大原委員長 倉田栄喜君。
  114. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ちょっと、時間の割には質問の数が多いと思いますので、簡潔に御答弁をいただければと思います。  まず、国有林野事業改善特別措置法改正について、この累積債務改善問題についてお伺いをいたしたいと思います。  これはいわば再建の問題でございますので、私はこの収支見通し、この内容が出されて議論されてしかるべきであろうかと思うのですが、不確定要素が多くて出せないということでございます。異論ありますけれども、その点について御説明願いたいわけですけれども、まず財源措置として、林野土地等の資産の見直し及び処分の拡大とございます。この処分による収入はどのくらい見込んでおられるわけでございますか。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
  115. 小澤普照

    小澤政府委員 林野土地資産の処分につきましては、処分によって得られるものが累積債務対策の重要な財源一つであるということでございますが、今後二十年間におきまして売り払いの対象とするものは、面積で十二万ヘクタール、金額で一兆二千億円程度の売り払いを見込んでいるところでございます。
  116. 倉田栄喜

    ○倉田委員 面積は十万ヘクタールでございますか。
  117. 小澤普照

    小澤政府委員 十二万ヘクタール。
  118. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その面積十二万ヘクタール、金額にして一兆二千億円、これは林野土地の合計でそういうことであろうかと思うのですが、金額にして林野部分幾つ、それから土地部分幾つ、これは区分されておるわけでございますか。
  119. 小澤普照

    小澤政府委員 土地につきましては一万ヘクタールで金額は四千億円と見込んでおります。なお、林野につきましては十一万ヘクタールで、金額にして八千億円というように見込んでおるところでございます。
  120. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それだけの面積あるいは金額でございますけれども、今国有財産としてあるその資産の中で、どの林野を処分し、どの土地を処分する、いわゆる箇所づけでございますけれども、その計画はできているわけでございましょうか。また、その部分について公表する計画というのはあるわけですか。
  121. 小澤普照

    小澤政府委員 この資産処分に当たりましては、実体の土地あるいは森林というものの箇所づけが必要なわけでございますけれども、現在は個々別々の箇所づけまではいっておりませんで、おおよその枠を考えまして、つまり都市近郊に所在する孤立の団地というようなところで見直しを行っているわけでございますけれども、今後、具体的な箇所づけ等を行いまして、売り払い予定資産を特定してまいりたいということでございまして、現在作業を進めているところでございます。
  122. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その箇所づけでございますけれども、大まかな指針としてどのような基準で箇所づけを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  123. 小澤普照

    小澤政府委員 まず、都市近郊の森林一つ考えております。それから次に、孤立の小団地でございますが、小団地というのは、私ども、おおむね三百ヘクタール以下のものを考えております。それからあと、里山に所在しておりまして、同時に地域振興に役立つものというように考えております。
  124. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その処分といいますか、売り払いの方法ですけれども、どのような形を考えておられるわけでしょうか。
  125. 小澤普照

    小澤政府委員 林野土地の売り払いに当たりましては、まず、地方公共団体や公的機関に対する公共用を優先することといたしております。これらのものを初めとする随意契約適格者の中から買い受け要望がない場合には、一般競争入札により処分することとなるわけでございます。  なお、一般競争入札を実施するに当たりましては、緊急土地対策要綱及び国鉄清算事業団用地等の一般競争入札による処分についてという申し合わせがございますけれども、これに従いまして地価対策にも配意することといたしております。
  126. 倉田栄喜

    ○倉田委員 売却をするということですので、これは契約の相手方が必要なわけですね。そうしますと、価格によったりあるいはときどきの状況によったりして計画どおりになかなか処分できない、あるいは売れない、こういうことも想定をされるわけであろうと思います。一方では、この累積債務の重要な収入源として見込まれておる。そうすると、これはなかなか難しい問題だろうと思うのですけれども、いわばなかなか売れない、こういうふうな状況になったときに、方針的に、例えば無理をしてでも売っていかれるのか、いわばその値段をどんどんある意味では下げるような形でも売っていかれるつもりなのか、あるいはある一定の歯どめがあって、それ以上で売れないときにはほかの部分財源措置考えられるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  127. 小澤普照

    小澤政府委員 林野土地資産処分に当たりましては、この場合にまずこの活用に関する情報を公開する必要があると思っておりまして、広く一般的にまず公開をいたしまして、適切な土地等の需要の掘り起こしに努めてまいりたいと思っております。また、需要動向を的確に把握いたしますとともに、その処分に当たりましては、国有財産法及び国有林野の活用に関する法律に従いまして適正に処理いたしまして、最大限の収入の確保に努力をいたす考えでございます。
  128. 倉田栄喜

    ○倉田委員 先ほど売却の中に公共団体、地方自治体等も考え、優先的に、こういうお話がございました。  例えば地方自治体の場合ですけれども、これは具体的にどういう形が考えられますか。
  129. 小澤普照

    小澤政府委員 地方自治体と申されましたが、要するに地方公共団体等がどのような利用を考えておるか、あるいはまたどのような利用に対して国有林野土地林地を処分していくのかというようなお尋ねかというふうに思いますけれども、私ども想定しておりますのは、公共団体ですとやはり住宅用地でございますとか森林公園のような形で御利用される例が多いのではないかというように思っております。
  130. 倉田栄喜

    ○倉田委員 いわゆる林野土地等の売却の見通し等々について大臣の御所見をお伺いをしたいと思うわけですけれども、それとまた同時に、この処分の結果については国会に報告するなどして公表する必要があるんではないか、こういうふうに考えますけれども大臣はいかがでございましょうか。
  131. 近藤元次

    近藤国務大臣 今長官からお話し申し上げましたけれども、処分に当たりましても林政審等にかけて処分を計画をさせていただくわけでありますけれども、処分後の入札制度その他につきましても今御説明申し上げたわけでありますが、結果として国有財産の処分もあるわけでありますので、それは当然のことながらしかるべく公表して明らかにしていきたい、こう思っております。
  132. 倉田栄喜

    ○倉田委員 累積債務改善の問題は今回三回目になるわけですし、国民の皆様方の今回のこの改善措置に寄せておられる期待は非常に大きいというふうに思うわけであります。そういう意味からしましても、収支見通し等々を含めて明確、適正な運用をして、改善の実が上がりますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、森林法等の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  今回、不在村森林所有者の所有山林について、これは森林の荒廃化等々の問題からいわゆる分収育林契約に係わる裁定制度を新しく設けられました。これは知事の裁定、公告という強制力を持つというふうに理解をしているわけでございますけれども、場合によっては憲法二十九条一項の財産権の保障との問題で問題点が出てくるのではなかろうか、こういうふうに思うわけですけれども、この二十九条一項との関係では慎重な検討がなされてきたわけでしょうか。
  133. 入澤肇

    ○入澤政府委員 このたびの施業代行制度裁定によりまして、立木につきましては育林者と森林地の所有者の共有となる、育林者はその共有持ち分の対価を育林地所有者に支払うという制度でございます。それから、土地につきましては、その土地を育林の目的に利用する利用権が設定されるけれども土地の所有権の移転等は含まれない。この施業代行制度は、その中身からしまして、まず目的に照らしまして受忍の限度内の範囲であるということ、それから適正な手続きを経ているということから、私どもは憲法二十九条に反するものではないと考えております。  すなわち、この分収育林契約の締結につきましての裁定は、このまま放置すれば土砂の流出とか崩壊とかその他の災害の発生のおそれがある森林、すなわち公共の福祉を損ねるおそれがある森林について災害を防止するという、その災害の防止の必要な限度において行うものであること、また、分収育林という形で森林整備成果、収益が森林所有者にも還元される仕組みであるということ、それから手続的にいいましても、施業実施の勧告等の手続を経まして、さらに都道府県知事が調停を行う場合には当事者の意見を聞くということにされておりますし、裁定に当たりましても意見を述べる機会が確保されておりますし、さらにこの分収育林契約の締結後、間伐とか保育の実施によりまして災害発生のおそれがなくなったという段階におきましては、直ちにその分収育林契約の解除を行うべきことというふうに規定整備しておるところでございます。
  134. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その裁定の具体的な内容として、例えば所有者に対してその所有権を売りなさい、それは土地であったり森林そのものであったり、そういうことまで裁定の内容としてできるわけでしょうか。
  135. 入澤肇

    ○入澤政府委員 この裁定の中身は、立木につきましてとにかく分収育林契約を締結するということ、土地につきましてはその育林目的に照らして利用権が設定されるということでございまして、土地の所有権の移転等は含まれていないわけでございます。
  136. 倉田栄喜

    ○倉田委員 続きまして、林地開発許可制度の見直しの問題に絡みまして、まず総合保養地整備法、いわゆるリゾート法がございますけれども、この問題からちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。  このいわゆるリゾート法で、第十五条「国有林野の活用等」とございます。「国は、承認基本構想の実施を促進するため、国有林野の活用について適切な配慮をするものとする。」というふうにあるわけでございますけれども、この十五条の「適切な配慮」というのは、結局国有林野のリゾート開発に対する開放なのではないか、こういう指摘も一部にあるわけでございますけれども、この点についてはどのように考えておられますか。
  137. 入澤肇

    ○入澤政府委員 総合保養地域整備法の十五条につきまして、総合保養地域に国有林野が含まれる場合には、国有林野の活用につき適切な配慮を行えというふうな規定がございます。  私どもヒューマン・グリーン・プランの一環としてこれに参加しているわけでございますけれども、この場合に林地の荒廃につながらないようにどのような配慮をしているかと申しますと、まず第一に保安林につきましては保安林の許可制度、それから普通林地であれば林地開発許可制度の運用を適切に行う、それからまた地方公共団体が策定する長期的な視点に立った土地利用計画がございますけれども、その整合性が図られているということが条件でございますし、また自然環境の保全に配慮するという観点からは、長官通達をもちまして、事前に環境影響評価を行えということを言っておりますので、自然環境に悪影響を及ぼさないということに十分配慮しているつもりでございます。
  138. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今回の林野土地等の資産の処分ということにかかわるかどうかわかりませんけれども、一九八九年三月三十日、これは農林水産事務次官通達で「農地転用許可基準改正及び運用の改善」という通達がなされております。また同年の、一九八九年だったと思いますけれども森林の保健機能の増進に関する特別措置法が通過をしておりまして、これは従来知事の許可が絶対的な要件であった水源の涵養林や防潮林など全国八百万の保安林保護制度、これに対して見直しをされたのではないのか、こういうふうに思います。  それで、農水省の林業地域調査によれば、十年で二十五万八千五百ヘクタールの森林転用がなされている。それで今回も十一万ヘクタールの林野土地資産が処分をされようとしている。こういう状況の中で、大臣もまたここの議論の中でも盛んに強調されております。林野が持ついわゆる公益的な機能、国土保全の力、緑を守る、こういう視点から一定の歯どめというのか、きちんとした基準あるいは運用というものがなされなければいけないであろう、こういうふうに思うわけでございますけれども、今回また森林法改正によって、林地開発許可制度の見直しがされておるわけでございます。  そこでお伺いいたしますけれども、この林地開発許可制度の見直しをされるのはどういう趣旨なのでしょうか。
  139. 近藤元次

    近藤国務大臣 開発行為の大規模集中化により悪影響を防止するためでありまして、特に下流地域における水害防止のための許可要件を追加いたしたものであります。都道府県知事の許可に当たり、関係市町村長や都道府県森林審議会の意見の聴取などを義務づけさせていただいたものでございます。
  140. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これは、許可制度の見直しをしたということは、開発の方向に対しては厳しくなるという趣旨でございますか。それともそうではないわけでございましょうか。
  141. 入澤肇

    ○入澤政府委員 今御指摘がありましたとおり、一昨年森林の保健機能増進法というのを制定していただきまして、それに基づきまして一定の区域内におきまして林地開発をやる場合に、要するに一定の施設を計画的に整備する場合には初めて総量規制という概念を持ち込んだわけでございます。それによりまして、利用と保全の調和を図ろうではないか、森林を守っていこうという姿勢を示したのですけれども、それに関連いたしまして保安林の解除基準、それから林地開発の許可基準強化したわけでございます。  しかし、林地開発の許可基準等の対象となっている林地というのは、一般的に地域指定が行われるところではございませんので、広範囲にわたって災害が起こるような場合にどのようにそれを防止するかということが林地開発一つ問題点として各方面から指摘されたわけでございます。  そこで、今回開発の周辺地域だけではなくて、下流地域にまで、要するに上の方で、川上の方で開発をすると下流にまで水害等の影響を及ぼすおそれがあるという場合には、その点も考慮して開発許可をしろというふうな制度に、許可基準そのものを強化するという形で法制局と相談して提案させていただいているわけでございます。
  142. 倉田栄喜

    ○倉田委員 下流の方々の御意見も上流の開発に反映させていく、こういう趣旨ということでございますね。強化をしていくのだと理解をしておきたいと思います。  そこで、今回の開発許可制度の見直しの中に、地元市町村との意見の調整ということで市町村の土地利用計画等の適切な反映ということになっていると思います。これは、今お答えいただきましたような趣旨からは非常に結構なことであろうかと思うわけですが、一方では、先ほどの質問にちょっと出ましたけれども、いわゆる総合保養地整備法によるリゾート開発には地元市町村が第三セクターの方式のもとで参加しているケースも多いと聞いております。そうすれば、地元市町村が開発の中で第三セクターに参加している場合に、地元市町村の意向を聞くということはそもそも開発の方向で林地開発許可制度が運用されることにならないか、その点をちょっと心配しているわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  143. 入澤肇

    ○入澤政府委員 今回の森林法改正におきましては、先ほど申しましたように許可要件を強化すると同時に、従来は次官通達で都道府県森林審議会の意見を聞くとか市町村長の意見を聞くということになっていたのですけれども、それを法制上の制度に格上げするといいますか、強化するという意味におきまして明定したわけでございます。  要するに、地元の意向を的確に反映させるためには関係市町村長の意見を聞くことがまず第一ではないか、それから林地開発に伴う影響を専門技術的に判断するために都道府県森林審議会の意見も聞くことにしたらどうかということで、法律上書かせてもらったわけでございます。
  144. 倉田栄喜

    ○倉田委員 先ほど川下、下流の方々の御意見も参考にするというふうなお話がございましたけれども、市町村ともどもに、地元におられる住民の方々の意見というのもある意味では反映をさせていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけですけれども、この林地開発許可制度の位置づけについて、大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  145. 近藤元次

    近藤国務大臣 森林の持つ重要な役割というものに、今日国民のニーズが非常に高まってまいってきておるわけであります。  ただ、国民の保健機能というようなことになりますと、狭い国土の中に今一億二千万の人口がそれぞれ生活をしておるわけでありますから、どうしても林地対象になりがちだ、こう思うわけであります。また、一面では、林地を保有するところは山村が中心でございますし、雇用の場あるいは地域においてもいろいろ森林を利用するという面でのニーズも高まってきておるわけであります。そういう意味からすれば、ただ単に一つの施設ということではなくて、やはり一つは総量的なものも考えていかなければならないわけであります。  従来から森林の持つ機能を十分に果たすことは前提でありますけれども、個々の問題を考える前に、一つは総量的にその地域を考えて許可をしていかなければいけないことだ、それで両方の機能を十分に果たしていきたい。また、地域的なそれぞれの格差がありますので、地域の実情等も勘案すると、ある程度はケース・バイ・ケースということで、一つの物事で片づけていくというわけにはいかない難しさがあると思いますけれども、いずれにしても川上でやることで川下の人が迷惑するというような、他に迷惑をかけるということは許されないことだと思って、その辺を許可に当たってはきちんと対応していきたい、そう考えております。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今大臣から総量的な規制についても考えてみたい、こういうお話がございました。  そこで、最初に申し上げましたいわゆるリゾート法でございますけれども日本環境会議というものが本年の一月十五日に開かれまして、リゾート法そのものについて問題提起をしておりまして、この会議の中ではリゾート法を廃止したらどうか、こういう提言もなされておるわけでございます。  そこで、このリゾート法については、今総合的な総量規制のお話もございましたけれども、もっと根本的な視点から見直してみる必要があるのではないかと私は考えるわけでございますが、大臣、この点についてはいかがでございますか。御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  147. 近藤元次

    近藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、森林の持つ国土の保全や水源涵養等の重要な役割を当然考えなければなりません。しかし、都道府県知事がいわゆるリゾート法に基づいて総合保養地域の整備に関する基本構想を作成する段階から、その点について私どもは指導しておるところでもございますし、リゾート法の対象となる森林開発行為であっても、森林法に基づく保安林制度とか林地開発許可制度の基準により厳正に審査を行い、森林の保全に万全を期しているところでもあります。  当省としては、今後ともこのような行政指導を強めながら、あるいは森林保全が図られるように、また、環境庁等とも連絡会議等を開きながら対処していきたい、こう考えております。
  148. 倉田栄喜

    ○倉田委員 終わりたいと思います。ありがとうございました。
  149. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  藤原房雄君。
  150. 藤原房雄

    ○藤原委員 森林二法の審議に当たりまして、与えられた時間はわずかでございますので、数点に絞りましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  林政審の答申の中にも自己収入の確保ということをうたっておるわけでありますが、この審議を通じまして、また内容を見ましても、この自己収入確保の努力、こういうものが余り前面にといいますか、そこらあたりのことがどうも薄いのじゃないか。要員規模の適正化とか組織機構の簡素化を声高に叫んでも、収入増の努力というものがどうも感じられない、こんなことを痛感いたしまして、ちょっと申し上げたいと思うのであります。  我が党の林業政策におきましては、木材の流通のあり方について、「生産地において市場情報が的確に把握でき需要に即応した造材・加工を機動的に行うとともに、集積・配給機能も十分発揮されるよう流通の高度化を推進する」、こういうように主張しているわけでありますが、このような趣旨を踏まえまして、今日まで、衆参農林水産委員会を通じまして、また予算委員会等で昭和五十八年ごろから、私がちょっと調べただけでも七回ぐらい、農水省、要するに林野庁に提言をいたしてきたところであります。昨年の十一月二十一日にも我が党の東委員が当委員会におきまして取り上げまして、いろいろ提起をいたしておりました。林野庁の皆さんも十分に御存じのことと思うのでございますが、要約して紹介させていただきます。  東委員は、これまでの我が国林野行政は、木を育て山をつくることに熱心であっても、木材の流通、加工、販売面への取り組みは弱かった、したがって、山で生産された木を商品性の高い製品として販売する努力が甚だ希薄であったという見地から、以下のような具体例を挙げました。その具体例というのは、「山村のルネサンス」という愛媛大学の村尾先生の著書を紹介して述べられておるわけであります。  その概要だけ申し上げますと、秋田には有名な天然杉があるが、その資源はもう底をつきつつある。しかし、その一方で、天然杉ほどはないにしても、造杉と呼ばれる、これまたすばらしい人工杉が豊富にある。ところが、この造杉は、従来、ぬきの原料として安く販売されており、五十八年二月から三月までの価格で立方あたり原木五万円であった。そこで、この立方あたり五万円のぬき、これを東濃檜という銘柄化に成功した。すぐれたノーハウを持つ業者の方が、ぬきではなく柱として製品化して販売した結果、同じ樹種、同じ木であるにもかかわらず、五万円のものが上小節で十万円、二面無節で二十五万円、四面無節で四十万円、実に二倍、五倍、八倍という高い値段で販売された。また、青森ヒバも、長い間土台角として広く販売されていたけれども、そこで、これも同じ業者が同じ手法で柱として製品化したところ、これまで八万円であったものが十四万円、三十八万円、六十五万円で販売できた。こういう実例が紹介されているわけであります。  これは情報化の発達した今日では一般的には考えられない現象ではないか。同じ品物がこれほど多様な価格で、しかも、大変な格差のある価格で販売されている。しかし、この一物多価という現象が今日の成熟した我が国経済の中で厳然として存在している。林野庁長官、この現実をどう考えるか。  こういう提起がありましたが、私どもの今日までの提起に対して、どうこれを受けとめて努力してきたのか、お伺いしておきたいと思うのです。時間がございませんから、ずっと述べまして、最後にまとめて御答弁いただきたいと思います。  さらにまた、なぜこうした一物多価という前近代的な市場状況にあるかということを、造杉を例に挙げて指摘しておきたい。  現在、大都市を中心として全国的に、柱材への消費者ニーズは三メートルとか四メートルがメジャーサイズとなっている。それにもかかわらず、造杉を原木として出荷する際の採材寸法の多くは三メートル六十五センチのままである。三メートル六十五センチでは、四メートルの柱をとるには足りないし、三メートルの柱をとるには六十五センチを切り捨てなければならない。こういうばかげた話がある。しかも、造杉は立派な柱として採材できる代物であるにもかかわらず、建物の壁の中を貫くぬきという形で出荷している。このぬきという製品のように、人目につかない部分に使われるものを一般に羽柄材と呼んでいるが、林野庁はこういう羽柄材には値段の安い外材をもって充当するよう指導すべきではないか。造杉のようなすぐれた国産材を充てるのはもったいないのではないか。にもかかわらず、あえて羽柄材として出荷するから価格も外材と同等の価格でしか販売されないのではないか。  では、このぬきとしての三・六五材が、例えば大消費地である関東の木材市場で歓迎されているかというと、決してそうではない。しかるに、歓迎されていないという事実を、造材し加工している生産地の人々はほとんど知っていない。ただ、ほとんどの人が昔からの採材方式を惰性で続けているにすぎない。私の手元にも、林野庁からいただきました「東北・北海道における採材寸法の実態」という資料がございますが、これを見ますと、造杉の採材のあり方はここ数年ほとんど改善されていないことがわかる。我々が質問するたびに前向きに取り組むという答弁がなされておるのですが、実態は一向に変わっていないということを指摘せざるを得ないと思うのです。これは真剣なお取り組みをいただき、確かに今までの古い因襲といいますか壁があることはわかりますけれども、ぜひこれを打ち破って新しい時代に即応した形に進めていただきたいと思うわけであります。  また、青森ヒバや北海道のエゾ・トドマツについても全く同じことが指摘されている。殊に、エゾ・トドマツには何百年物というすばらしい素材が多く賦存しているにもかかわらず、これが一般的には大した素材ではなく、価格も安い素材にすぎないと思われている。しかし、これも大変な誤解である。ちなみに、このエゾ・トドマツの採材は三メートル六十五、二メートル七十三のみで、全国のメジャーサイズの三メートル、四メートルでは全然採材されていない。需要動向に完全に背を向けている。ここに問題があると言わざるを得ない。したがって、たとえ国有林は収支状況が厳しいとはいえ、こうした見地からの取り組みをいいかげんにしたままでいたずらに国の一般会計の応援を求めるべきではないのではないか、こう言いたくなるような現状と思うのであります。しっかりした対応をするならば、現在の青森ヒバ、造杉、エゾ・トドマツの販売量から推計して、国有林の収支を控え目に見積もっても年間百億円を超えるほどの改善ができると私は考えるものでありますけれども、いかがお考えでしょうか。  そこで、林野庁はこうした対応に全力を挙げるべきだし、中でも青森ヒバや造杉は三・六五での出荷、あるいは北海道のエゾ・トドマツの二・七三あるいは三・六五での出荷のあり方は可及的速やかに改めるべきであり、そのためにも具体的な目標を決めて取り組むべきではないか。例えば、三年から五年の後には、とりあえず三・六五や二・七三材は全販売量の中で三、四割程度に絞る、また、できるだけ早い機会に限りなく全廃に近づけていく、こういう目標を掲げて努力するということが必要ではないか、こう思うのであります。  今日までも、実際に局によりましては努力をして成果をおさめた実例も私どもは聞いておりますが、それが継承されない、継続性がない、こういうことも私ども痛感をいたしておるわけでありますが、この点についてぜひひとつ御努力いただきたい。愛媛大学の村尾先生や我が党の指摘によって、最近は林野庁としても多少は前向きに取り組むようになっておりますけれども、まだまだ物足りないし、各営林局にはこうした販売上の諸問題を改善するために事業部とか利用課があるわけであります。消費者ニーズに応じた商品づくり、こういうことに欠けていると言わざるを得ない、こう思うのです。  なお、こうした改革を実行するに当たっては、関係する国有林材の受け皿となる地元の製材業者の理解、協力がぜひとも必要であるが、こうした改革を遂行することが地域の林産業、ひいては林業の大変な活性化に通ずると確信します。また、政府は、こうした成果を発揮することこそが国有林が果たすべき大きな役割の一つである。  国民にこたえる事業改善のため、また使命を果たすためにも真剣な討議をいただきたいと思うのでありますが、これらのことにつきまして、何度も言っておりますから御存じのこととは思うのでありますけれども、長官、大臣から決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  151. 小澤普照

    小澤政府委員 今先生からお尋ねのございました国有林の木材の販売の問題でございますけれども国有林がこれから経営立て直しまして、また国民の信頼を得るためには、この販売業務の改善というのは非常に重要な分野であるというように考えておるところでございます。  特に最近は、やはり消費者あるいはまた国民の生活に密着した販売を行っていく必要がございます。最近私どももいろいろとこの面につきましては努力もいたしておるところでございますけれども、特に最近、建築材の需要につきましても、いろいろと木を愛用していただきたいという面もございまして改善に努めておるわけでございます。特に乾燥した木材を欲しいという声が強うございますので、人工乾燥というやり方はもちろんあるのでございますけれども、あらかじめ国有林の中で伐採をいたします際に、枝や葉っぱをつけたまま一定期間置いておきまして、水分をまず抜いてから出荷するという方法も、私どもとっております。これをブランドとしてはサンドライという名前もつけておりますけれども、このようなことで、消費者ニーズに一歩でも二歩でもまた近づけたいというような考えをいたしているところでございます。  今後は、さらに民間の原木市場との連携も密にいたしましたり、あるいは情報の収集、あるいは国有林の販売の時期などもなるべく早目に、また幅広く業界にもお知らせいたしまして、販売活動を活性化してまいりたいというように考えているところでございます。  それから、採材の問題ございまして、四メートル材あるいは三・六五メートルの採材という問題ございます。私どももいろいろ調べているわけでありますけれども、木材には地場の需要とそれから広域の需要があるように思います。例えば四メートル材ですと、これは関東から西の方では大体土台に使う、あるいははりに使う、あとは内装のなげしとかかもいに使うというような需要になってきておりますし、それから、同じようなこういう内装材につきましても、関東から北の方ですと三・六五メートル材を使うというのが従来から行われている。これは言うなれば一つの生活習慣から来ているわけでございます。それから、柱材ですと三メートル材を使っておりますが、北海道の場合はちょっと寸法が違いまして二・七三メートル材を柱に使っている。こんなような状況があるのでございます。  そこで、確かに先生御指摘のように、採材寸法を変えることによってもっと効率的な販売ができるのじゃないかというお話でございまして、私どももこの点につきましては検討する必要がある、また具体的に実行する必要があると考えておりますが、要するに地場需要もある程度満たす必要はございますけれども、広域に需要が広がりますともっと効果的な販売ができるということでございます。  ただ、地場の方は、広域ということになりますと木材は重量物でございますので運賃コストがかなりかかるというのでやや二の足を踏むということもございますので、我々はこういう際に、やはり安心してもっと広域流通をやっていただくようにする必要がございますので、現在、例えば北海道のエゾマツ・トドマツ材につきましては、私どもも間に入りまして東京の市場でこれを試験的に販売していただく、そうしますと、東京でも相当な需要があるというようなことがわかってまいりますし、つい最近の我々得ております結果でも、平たく申しますと、かなりいい値段で取引されたという事例もございました。このような内容につきましては、また後日、先生にも詳しく御報告はいたしたいと思っているところでございますけれども、やはり積極的なあるいは機動的な販売というものをこれから我々心がけていかなければならないだろうというように思います。  情報につきましても、営林局、本庁、営林署も結びまして、電算機で販売情報のネットワークも組んでおります。そして、各営林局あるいは営林署にどのような在庫があるか、どのような販売の予定になっているかということも今オンライン化してまいったところでございますので、今後ともさらに努力してまいりたいと思いますので、この点につきまして御理解もいただきながら私ども進めてまいりたいと思う次第でございます。
  152. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生から今、林野庁は木を育てて素材で販売するだけではないか、付加価値やあるいは消費者ニーズに合った仕事をしてないではないかという御指摘をちょうだいいたしたわけでありますけれども、役所の人というのはどちらかといえば流通や商売の点について一番弱点であるかもわかりません。山を育てていく、木を育てるということについてはかなりの経験を持っておるわけでありますけれども、商売というのが弱点でそのような御指摘をいただいたのかもわかりませんが、少なくとも今の時代、やはりより生産地の近くで付加価値を上げていくということもまた大切なことでもありますし、製品は、当然のことながら消費者ニーズに合わせたものを製品化していくということが今必要なことでございますので、今後、先生の御指摘のあったようなことのないように努めてまいりたい、こう思っております。
  153. 藤原房雄

    ○藤原委員 時間がありませんから長いお話はできませんが、これは長官もよく御存じのことでもございますから端的に申し上げたわけでございますけれども、これはぜひ御努力いただきたい。  サンドライ等の話じゃなくて、採材の仕方一つによって価格に大きな差がある。昔、北海道で炭住街をつくるときにとった寸法がそのまま今日に踏襲されておる、そういうことで、この技術革新の、また建築様式の大きな変化の中にありまして、消費者ニーズという実態の把握、そういうものを知らずして、私、切る人というようなことであってはならぬということで、今日までもいろいろ御努力いただいたことも知っておりますし、そういう記憶もございますけれども、それは技術的なことが継承されないというところにまた無念さがあるのですけれども、ほかの産業と違いまして、市場がたくさんあってそこで競争し合う、そういうところではございませんだけに非常に難しい面はあるかと思いますが、ぜひ長官、いろいろお話がございましたが、ひとつその決意を固め、また大臣もいろいろお話がございましたけれども、この大改革のために、国民にこたえるために、是が非でも収入増に対しまして細心の注意を払い、そして所期の目的を達成していただきたい。  この法案は三度にわたります改革でございます。それだけに、審議する者としてただこの場にあるというだけではなくて、ぜひこれは成功させなければいかぬ、そのためには何をどうしなければならないのか、こんな思いでいろいろ御提起を申し上げているわけであります。もちろん林野庁の皆様方も我々以上に強い御決意だろうと思いますが、ぜひひとつ、話として聞くのじゃなくて、現場での諸問題、これらの隘路を打開をしまして、そういう方向性で、少しでも収入増に結びつくような消費者ニーズにこたえることによってこういう道が一つでも開かれるように御努力いただきたい、このことを要望しておきたいと思うのであります。  もう時間になりましたのであれでございますが、先ほど来も各同僚委員からもいろいろお話がございましたけれども林野とか土地を売る場合の基準等をどのようにさだめるかということや、また売る場合には、各局の審議会だけではなくて全国レベルのところでチェックする機能というものが必要ではないか。それからまた国会にそれを報告することも含めた公表といいますか、こういうことが是が非でも必要ではないか。  もう一つは、民間との違いというのは、会計法にのっとって林野の仕事というのはなされるわけであります。そういうことからいいますと、一つ一つ書類をつくり、物品については帳簿に記載し、大変な手続が必要だ。経理につきましても四十四年、四十八年、それぞれ改革になっているようでありますが、これだけの大改革、国有林会計の改革をしようということでありますから、事務量、仕事量とともに経理面においても、経理事務の担当者が張りついていなければ仕事が進まないということではなくて、これは一応会計法にのっとって経理規程や何かあるわけでありますから単純にはいかないことかもしれませんけれども、こういう手続等につきましてもやはり簡素合理化ということをできる範囲内で進めなければならないのではないか。経理規程等、事務の仕事はOA化とか何かでいろいろなことをやっておると思うのですけれども、現場へ参りますとこれは一つの大きなあれではないか。こういうこと等につきまして、ぜひひとつこの法律を実効あらしめるために、これらの問題についてもお聞きをしておきたいと思います。
  154. 小澤普照

    小澤政府委員 土地林野等の資産売却等に当たりましては、公正に行い、また公表ということも行ってまいりたいと考えておりますし、また、今お尋ねの経理事務につきましても改善考えております。事務処理の簡素化、合理化は、経営改善を行う上で不可欠でございます。  国有林野事業の経理につきましては、財政法、会計法等に基づきまして、現金の収支、物品あるいは不動産等の会計処理を行いますほかに、企業特別会計といたしまして国有林野事業特別会計法等に基づきまして事業経営成果でございますとかあるいは財政の状態につきましても経理しているところでございますけれども、事務処理の簡素化、合理化を図るということの観点から、これまでも職員の提案制度等を通じまして事務処理改善に努めてきたところでございます。  さらに平成二年度までに全局、全署に電算機を導入いたしまして、平成三年度からは経理事務のほか収穫あるいは販売業務等に係る事務の電算処理を行うこととするなど、事務処理の一層の改善に取り組んでいるところでございます。  今後とも国有林野事業経営改善の一環といたしまして、電算機の活用等によります事務処理の簡素化、合理化を推進いたしますとともに、事務の集中処理化あるいは職務権限の再配分、さらに事務の簡素化、可能な分野の外部委託、これらにつきましてさらに検討いたし、推進してまいる考えでございます。
  155. 藤原房雄

    ○藤原委員 以上で終わります。
  156. 大原一三

    大原委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  157. 大原一三

    大原委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。石橋大吉君。
  158. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の各党を代表いたしまして、森林法等の一部を改正する法律案並びに国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案の二法案について、一括賛成の討論を行います。  まず、森林法等の一部を改正する法律案についてでありますが、今回の法改正におきましては、主として森林計画制度の一層の内容の拡充を図り、流域を中心として国有林民有林一体の、また上流、下流一体の森林整備を進めるとともに、都市と山村との交流を図り、国民共有の財産としての森林の公益的機能の一層の発揮、さらには国産材時代に向けて、長期にわたって低迷を続けている我が国林業の振興を図ろうとするものであります。  また、森林施業の合理的かつ着実な実施のための推進役として市町村を重視するとともに、その位置づけを明確にし、市町村森林整備計画の中に森林施業の共同化の促進、林業従事者の養成及び確保、機械の導入促進などの諸事項を定めるとともに、今日の森林林業の実態を踏まえつつ適切な施業を実施するために、施業実施協定制度並びに森林施業代行制度などを創設したことであります。  また、国有林野事業改善特別措置法の一部改正につきましては、国有林野事業経営状況にかんがみ、その経営改善を推進するため、平成三年度以降十年間を新たな改善期間とし、改めて改善計画を策定するとともに、経常事業部門累積債務部門とを明確に区分し、計画期間中に経常事業部門の収支均衡の実現を目指すこととし、また、一般会計から事業勘定への繰り入れ対象の拡大等の措置を定めようとするものであります。  両法案につきましては、去る三月七日、昨日十二日、さらに本日十三日の三日間、延べ十時間五十九分にわたって、各党各委員から多方面にわたって詳細な質疑を行うとともに、昨日十二日には、東京大学名誉教授筒井迪夫先生外三人の学識経験者の皆さんに参考人として御出席をいただき、専門的立場から五十六分間にわたり貴重な御意見を賜るなど、慎重審議を行ったところであります。  法改正事項の実施に当たって留意すべき事項または一層の努力を要する事項等につきましては、各委員質疑に対する農林水産大臣並びに政府委員各位の答弁を通じて前向きの方向が明らかにされたところでありますし、さらには、森林法等の一部を改正する法律案については八項目にわたって、また、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案については十項目にわたって、具体的かつ詳細な附帯決議も付されることとなっておりますので、これらの諸点を踏まえ、今後の農林水産大臣及び林野庁当局の一層の努力に期待いたしまして、本法案を一括して可決することに賛成するものであります。  何とぞ、各党各委員の皆さんの御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、賛成討論といたします。  以上。
  159. 大原一三

    大原委員長 藤田スミ君。
  160. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、国有林野事業改善特別措置法の一部改正案に対して、反対の立場から討論を行います。  反対の第一の理由は、今回の法案の基本的性格であります。今回の法改正は、昨年の林政審、国有林野事業経営改善大綱で示された国有林野経営の公共性の否定、全面的な民営化路線に基づき、現有土地資産の約五割、十一万ヘクタールに及ぶ林野の売却、さらには現場第一線の営林署担当区の三分の一及び治山を除く全事業所の廃止、そして現行の三万四千人の要員を二万人以下にするという大合理化を行うという基本的性格を持っており、到底認めることはできません。  反対の第二の理由は、法案で言う区分による累積債務対策が、一般会計の大幅導入による累積債務処理でなく、事業勘定からの借入金で賄おうとする名ばかりの累積債務対策であること、さらに真のねらいは、累積債務対策の名のもとに国民の貴重な共通財産である国有林野を実に一兆二千億円に上る大規模な売り払いで進めようとしている点であります。  反対する第三の理由は、二万人体制の問題であります。法案では、九二年度に限って退職者に特別給付金を支給することになっていますが、九三年度末に要員を二万人以下にする政府の方針は、この特別給付金では到底賄えないものであり、労働者に多くの犠牲を強制するものであります。また、この二万人体制自身が、事業実行形態における現場部門の民営化方針に裏打ちされたもので、国有林の管理放棄を促し、一層の荒廃を招くものであります。  次に、森林法等一部改正案に対する反対討論をいたします。  本法案は、国有林野事業改善特別措置法の一部改正によって切り捨てられる林野行政の受け皿として行われるもので、国有林野事業合理化の一端を担うものであります。  まず第一に、全国森林計画に施業の合理化、共同化の項目が追加され、それを受けて、国有林には新たに地域別の森林計画が課せられます。このことは、公共性、公益性の強い国有林を経済的理由が優先されがちな民有林と同じ位置に引きおろすことであり、国有林野事業合理化を合法的に推し進めるためのものです。  第二に、国有林民有林一体で流域単位で森林整備を行うとしています。国土保全のために流域単位で見ることには我が党も反対するものではありません。しかし、本法案は、流域管理を名目に本来国が行うべき森林整備などの推進役を地方公共団体等に肩がわりさせるばかりか、農林水産大臣のあっせんを担保に森林整備協定による下流域の受益者負担を打ち出したことです。これでは国の責任回避、安上がりの林野行政をねらうものと指摘されても仕方のないものであります。  第三に分収育林契約の締結に関する裁定制度の導入の問題であります。森林保全のために、間伐施業が重要であることは言を待ちません。しかし、間伐施業が実施されない多くの理由は、林業で生計が成り立たないためであり、政府の木材輸入自由化を基本とする林業政策が招いたものと言えるでしょう。しかし、本法案の裁定制度の導入は、このような問題にメスを入れることなく、分収育林契約を強制する内容を持っており、財産権に対する制限を課すものであり、問題があると指摘せざるを得ません。  今日、地球的規模の環境保全、緑豊かな国土を築くためにも、木材の輸入自由化を基本とする林業政策を改め、国の責任で国内林業の振興を図り、国有林の公共性、公益性を高めることこそ切実に求められています。  両法案は、この国民の期待に反するものであることを申し上げて、討論を終わります。
  161. 大原一三

    大原委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  162. 大原一三

    大原委員長 これより採決に入ります。  まず、内閣提出国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 大原一三

    大原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  164. 大原一三

    大原委員長 この際、本案に対し、東力君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。藤原房雄君。
  165. 藤原房雄

    ○藤原委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   国有林野及び国有林野事業は、木材の安定的な供給、国土保全等公益的機能の発揮等を通じ、国民生活の向上、国民経済の発展を図る上で、重要な役割を果たしている。   よって政府は、これら国有林野事業に課せられた使命達成のため、森林整備拡充に必要な措置を積極的に講ずるとともに、本法の施行に当たっては、長期的・総合的な展望に立って、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。      記  一 国有林野事業の公益性及び累積債務処理重要性にかんがみ、一般会計からの繰入れ等財政上の援助措置を積極的に講ずるよう努めること。    また累積債務経常事業部門区分については、経常事業への影響の防止等その目的が十全に果たされるよう適切な運用に努めること。  二 新たな改善計画の策定及びその実施に当たっては、国有林野事業が直面している構造的要因を認識するとともに、広く国民各層の理解を得つつ円滑に推進されるよう努めること。  三 林野土地の売払いについては、それが国民の貴重な財産であることにかんがみ、関係審議会等の意見を十分聴取し、特に、林野についてはその有する公益性の維持・確保が図られることにも配意し、適切かつ公正に行うこと。また、その売払い実績については公表すること。  四 国有林野機能分類に基づく類型化については、国民の多様な要請に応え、国有林野事業の管理経営上の指針とするという趣旨にてらし、適切かつ合理的なものとなるよう十分検討すること。  五 将来の要員規模については、国有林野事業事業運営のあり方等を踏まえ、その使命達成を旨とした適切なものとなるよう検討すること。併せて、将来の要員規模、要員調整の進展状況、職員の年齢構成等を踏まえ、新規採用のあり方について検討を進めること。    また、いわゆる希望退職者の募集に当たっては、職員の意思を尊重した適切な運用が行われるよう指導を徹底すること。  六 組織機構の整備に当たっては、地方自治体及び関係団体等の意見をも踏まえつつ、地元サービスの低下をきたさぬよう適切に対処すること。  七 国有林野事業自己収入を確保するため、その大宗を占める林産物の販売に当たっては、木材需要の開発推進、的確な市況・市場の調査、民有林とも連携した産地銘柄の形成等積極的な販売戦略の展開に努めること。  八 森林に対する国民の要請の多様化に対処し、併せて自己収入の確保に資するため、国有林野事業の管理運営との適切な調整を図りつつ、森林空間を利用した保健休養等にかかる新たな事業の展開を図ること。  九 林業事業体の育成に当たっては、一般林政施策ともあいまって、計画的な事業の発注等による経営の安定強化を図るとともに、雇用関係の明確化労働条件改善及び国有林内での安全対策について積極的な指導・監督を行うなど、優秀な林業労働力の定着・確保に必要な労働環境の整備に努めること。  十 民有林国有林一体となった適正な流域管理という林政の方向にかんがみ、国有林野事業の運営に当たっては、地域振興に留意して市町村等との一層の連携強化を図ること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  166. 大原一三

    大原委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  東力君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  167. 大原一三

    大原委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤農林水産大臣
  168. 近藤元次

    近藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ─────────────
  169. 大原一三

    大原委員長 次に、内閣提出森林法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 大原一三

    大原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  171. 大原一三

    大原委員長 この際、本案に対し、宮里松正君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。宮里松正君。
  172. 宮里松正

    ○宮里委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、森林法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     森林法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   近年、わが国森林林業をめぐる情勢は、森林の有する各種機能の発揮に対する国民の要請が多様化・高度化する一方、国内の林業生産活動は、外材との競合の強まり等から停滞の度を深め、森林資源の維持培養を図る上でも憂慮すべき状況となっている。   よって政府は、森林整備の拡充、国産材需要の拡大、林業の活性化及び木材産業の体質強化等のため積極的な施策の推進を図るとともに、本法の施行に当たっては左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。      記  一 全国森林計画等の見直しに当たっては、広く国民の意見並びに森林をめぐる自然的条件及び社会的経済的要請を踏まえ、適切な内容のものとなるよう十分配慮すること。    また、自然環境の保全等に対する国民の関心の高まりに対応し、これらの要請を適切に反映するよう努めること。  二 民有林及び国有林が一体となった地域林業の振興を推進するため、森林計画の策定段階にとどまらず、その達成に向けた事業実行面での一層の連携強化が図られるよう努めること。  三 森林整備事業計画については、地域における森林の実態、森林整備の緊要性等を十分に勘案した適切な策定に努めるとともに、必要な予算の確保等その着実な実行の確保について特段の努力を傾注すること。  四 市町村森林整備計画の策定に当たっては、地域の関係者の意向等が適切に反映されたものとなるよう指導すること。また、計画の円滑な推進を図るため、市町村における林業行政体制の充実を図るとともに、所要の支援措置を積極的に講ずるよう努めること。  五 都道府県知事の裁定にかかる森林施業の代行制度については、現行勧告制度の運用等を踏まえ、裁定の基準を明確にし、公正な運用が図られるよう指導すること。  六 森林の公益的機能の高度発揮が期待される複層林施業等を推進するため、特定森林施業計画制度の創設・運用に併せ、その経営的・技術的な普及指導の積極的な展開に努めること。  七 森林整備協定制度の運用に当たっては、適切かつ有効なあっせんの実施に努めるとともに、都市住民等の森林林業及び協定制度に対する理解の醸成等について積極的に取り組むこと。  八 林業就業者の減少・高齢化が深刻の度を加えている現状にかんがみ、林業事業体の体質強化、雇用の安定、賃金水準、労働基準法の完全適用、社会保険の適用、退職金制度の拡充など他産業並みの労働条件と労働安全の確保、高性能機械の導入促進による作業の効率化、労働強度の軽減を図るなど、早急にその養成確保対策の拡充・強化に取り組むこと。    併せて、山村地域における生活環境の改善等定住条件整備の一層の促進に努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  173. 大原一三

    大原委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  宮里松正君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  174. 大原一三

    大原委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤農林水産大臣
  175. 近藤元次

    近藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいります。     ─────────────
  176. 大原一三

    大原委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  178. 大原一三

    大原委員長 次回は、来る十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十九分散会