○衛藤(晟)
委員 あなた、そんな勝手な解釈─それはいろいろな時代
状況の中であったから、それを繰り返さざるを得ないから、お
仕事上そういうことを言われるかもしれませんけれ
ども、憲法前文にはこうあるのです。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」
国連憲章第一条には、国際連合の目的は、次のとおりである。「国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。」とあるのです。そしてまた、第二条四項には「すべての加盟国は、その国際
関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は
政治的独立に対するものも慎まなければならない。」いわゆる侵略行為は加盟しているものはやっちゃいかぬということになっているのです。そしてそういう中で、国連憲章の中にも入っていますが、「安全
保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、いかなる措置をとるかを決定する。」四十条にはまたぐっと書いてある。そして四十二条には「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」恐らく今回こういうものに沿って国連
決議がなされて、イラクに対する制裁を決めたのでしょう。
国際連合は、お互いに絶対に侵略してはならないんだ。しかしパリ不戦条約にも国連憲章にもありますように、自衛権は否定していない、あるいは集団自衛権も否定していない。しかしそれだけに、平和を乱すものがあればそれを国際連合が決定して制裁行為をとりますよと言うことはできるようになっている。そういう中で
日本国憲法は「われらは、平和を維持し、」「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」ということがあるのです。
その名誉ある地位を占めたいと思いながら何もできなかった
日本に対して、アメリカのワシントン・ポストがつい先日行った世論調査では、調査の仕方もいろいろあるかもしれない、しかし、結果としていわゆる湾岸の敗北者になったのは、イラク、ヨルダン、イラン、パレスチナ、そして、同盟国でありながら
日本なんですね。そして、その中で対日不信は強まっているのです。「信用するようになった」が一九、「失望した」が三〇。ドイツは「信用するようになった」が二五、「失望した」が二二。ドイツでも「信用するようになった」が大きいのです。イギリスは「信用する」が七一、失望はわずか二、まさに今
日本外交は問われているのだし、
内閣法制局の見解はおかしいのではないのか。本当の
意味で、国際連合憲章、パリ不戦条約あるいは
日本国憲法の前文、九条を読んだ中で、あなた方の解釈は勝手な解釈になっているのではないか。
ただ、私はそれもやむを得なかった部分があるというように思います。それはあの戦後の
日本の敗戦という事態の中で、我々はその当時とても国際的貢献とかを考えられる事態になかった。なかったがゆえに、そういう判断、それで済まされたということじゃなかろうかと思うのです。いま一度真剣に
内閣法制局は考えていただきたい、心から
お願いを申し上げる次第でございます。
以上で終わります。