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1991-03-12 第120回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十二日(火曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 近岡理一郎君    理事 柿澤 弘治君 理事 斉藤斗志二君    理事 谷垣 禎一君 理事 虎島 和夫君    理事 町村 信孝君 理事 田口 健二君    理事 山田 英介君       赤城 徳彦君    衛藤 晟一君       岸田 文武君    高鳥  修君       戸塚 進也君    中山 正暉君       野田  実君    葉梨 信行君       増子 輝彦君    光武  顕君       池田 元久君    北川 昌典君       村山 富市君    山中 邦紀君       山元  勉君    倉田 栄喜君       竹内 勝彦君    三浦  久君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣       (内閣官房長官) 坂本 三十次君         国 務 大 臣        (総務庁長官)  佐々木 満君  出席政府委員         内閣参事官兼内         閣総理大臣官房         会計課長    荒田  建君         内閣法制局第三         部長      津野  修君         総務庁長官官房         審議官     小山 弘彦君         総務庁人事局長 石川 雅嗣君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務大臣官房審         議官      川島  裕君         外務大臣官房領         事移住部長   久米 邦貞君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   渡辺  允君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     藤島 正之君         自治省行政局選         挙部選挙課長  谷合 靖夫君         内閣委員会調査         室長      中島  勉君     ───────────── 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   今津  寛君     山村治郎君   増子 輝彦君     三原 朝彦君   和田 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   三原 朝彦君     増子 輝彦君   山村治郎君     今津  寛君   大内 啓伍君     和田 一仁君 同月十二日  辞任         補欠選任   今津  寛君     赤城 徳彦君   増子 輝彦君     野田  実君   山口那津男君     倉田 栄喜君 同日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     今津  寛君   野田  実君     増子 輝彦君   倉田 栄喜君     山口那津男君     ───────────── 三月八日  国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案内閣提出第六五号) 同月十一日  自衛隊の海外派兵につながる新規立法反対に関する請願小沢和秋紹介)(第一七八一号)  同(金子満広紹介)(第一七八二号)  同(木島日出夫紹介)(第一七八三号)  同(児玉健次紹介)(第一七八四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一七八五号)  同(菅野悦子紹介)(第一七八六号)  同(辻第一君紹介)(第一七八七号)  同(寺前巖紹介)(第一七八八号)  同(東中光雄紹介)(第一七八九号)  同(不破哲三紹介)(第一七九〇号)  同(藤田スミ紹介)(第一七九一号)  同(古堅実吉紹介)(第一七九二号)  同(正森成二君紹介)(第一七九三号)  同(三浦久紹介)(第一七九四号)  同(山原健二郎紹介)(第一七九五号)  同(吉井英勝紹介)(第一七九六号)  同(小沢和秋紹介)(第一八四八号)  同(金子満広紹介)(第一八四九号)  同(木島日出夫紹介)(第一八五〇号)  同(児玉健次紹介)(第一八五一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一八五二号)  同(菅野悦子紹介)(第一八五三号)  同(辻第一君紹介)(第一八五四号)  同(寺前巖紹介)(第一八五五号)  同(東中光雄紹介)(第一八五六号)  同(不破哲三紹介)(第一八五七号)  同(藤田スミ紹介)(第一八五八号)  同(古堅実吉紹介)(第一八五九号)  同(正森成二君紹介)(第一八六〇号)  同(三浦久紹介)(第一八六一号)  同(山原健二郎紹介)(第一八六二号)  同(吉井英勝紹介)(第一八六三号)  湾岸危機に伴う避難民の輸送に関する暫定措置に関する政令の廃止に関する請願岡崎トミ子紹介)(第一八二二号)  同(外口玉子紹介)(第一八二三号)  同(土井たか子紹介)(第一八二四号)  同(長谷百合子紹介)(第一八二五号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一八六四号)  同(宇都宮真由美紹介)(第一九〇九号)  海外派兵計画中止に関する請願大出俊紹介)(第一八六五号)  子供向けポルノコミック撲滅法制化に関する請願岩屋毅紹介)(第一九〇〇号)  同(魚住汎英紹介)(第一九〇一号)  同(中山正暉紹介)(第一九〇二号)  青少年健全育成のため子供向けポルノコミック出版禁止法的規制に関する請願渡辺省一紹介)(第一九〇三号)  青少年保護育成のため有害図書等追放対策強化に関する請願長勢甚遠君紹介)(第一九〇四号)  同(萩山教嚴君紹介)(第一九〇五号)  同(綿貫民輔紹介)(第一九〇六号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願谷垣禎一紹介)(第一九〇七号)  子供健全育成のため子供向けポルノコミック撲滅法制化に関する請願外二件(池端清一紹介)(第一九〇八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案内閣提出第六五号)      ────◇─────
  2. 近岡理一郎

    近岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。
  3. 山元勉

    山元委員 提出されております議案につきまして質問をいたしたいと思いますけれども、アメリカのマイアミあるいはフランスストラスブール総領事館新設だとか、あるいは東西統一いたしましたドイツの大使館の一本化など、その必要性や目的については理解をいたします。  そこで、一つだけお伺いをいたしておきたいのですけれどもフランスストラスブール総領事館新設について、少し詳しくその状況やあるいは規模等について御説明をいただきたいと思います。
  4. 兵藤長雄

    兵藤政府委員 お答え申し上げます。  ストラスブルク総領事館につきまして、まずその設置の理由でございますが、このストラスブルクのございますフランス北東部、これはECのいわば地理的な中心といたしまして、EC市場統合に向けて経済的な重要性がますます増しているわけでございますが、それを背景といたしまして、日系企業は大手でも十四社が現在進出をしております。在留邦人は八百人を超える状況になっております。それを受けまして、そこに日本アルザス成城学園、学校が開かれるというようなこともございまして、在留邦人からも総領事館設置の強い希望が出ていたわけでございます。  またさらに、先生御承知のとおり、ストラスブルク欧州議会ECの四つの重要機関一つでございます欧州議会、さらには欧州評議会根拠地でございまして、特に欧州議会につきましては、EC政治統合が進展いたします中で、直接選挙で選ばれました欧州議員欧州政治についていろいろな活動をいたしておるわけでございます。ここにいらっしゃる先生方もあるいはこのECあるいは欧州議会との交流に御参加いただいた方々も多々いらっしゃるわけでございます。また欧州評議会につきましては、EC十二ヵ国を含めました欧州、現在チェコ、ハンガリーが西方の西欧民主主義諸国一つということで参加したわけでございますが、二十五ヵ国をメンバーといたしまして、自由民主主義という価値観を共有する機関でございますけれども、最近のソ連、東欧情勢の進展によりまして、今後東西欧州を包括した機関としてその重要性を増大していくというふうに考えられるわけでございます。我が国欧州との関係強化する必要が叫ばれます中で、この欧州議会あるいは欧州評議会との関係強化ということはますます重要性を増しているということにかんがみましても、その根拠地でありますストラスブルク総領事館設置するということはまことに時宜を得たものである、その必要性はますます増大しているというふうに考えるわけでございます。
  5. 山元勉

    山元委員 確かに大きく変動をしているヨーロッパ状況に対応することは必要であると思うのですけれども、今話に出ましたECあるいは評議会議会、それらがこれから変化をしていくのに日本は対応していかなければならぬ。とりわけ日本とのかかわりでいいますと、どういうような問題点努力をするというのですか。かかわっていかなければならない、対応しなければならないのか。日本とのかかわりについてもう少し詳しく説明をしていただきたい。
  6. 兵藤長雄

    兵藤政府委員 お答えいたします。  まず、欧州議会我が国との関係でございますが、相手が直接選挙によります議会でございますので、当然我が国との関係国会議員先生方との交流中心になるわけでございます。その意味で、まず最初が一九七八年でございましたけれども、日・EC議員会議というものを発足させまして第一回の会議を開いたわけでございますが、一九九〇年、昨年の六月にストラスブルクで第十一回目を数えるまでに至っているわけでございます。こちらから出かけますときには常時十名以上の先生方がお出かけいただいておる。それから交互に開催いたしておりますので、東京でも隔年に開催をしているわけでございますけれども、このときにはそれよりも以上の三十名、四十名の先生方参加をして、いろいろな欧州日本との問題、日欧関係、特に政治問題を中心といたしましていろいろ交流を深めていただいているわけでございます。  欧州評議会議員会議につきましては、いわゆるOECD年次討議という形で、域外国つまり米国とかカナダとかニュージーランドとか豪州とかの議会とともに我が国国会にもオブザーバーとしての参加の招請があるわけでございます。これについても日本から御参加をいただいたという実績が過去何回もあるわけでございます。  そのほかに議会科学会議と称します会議がありまして、これにも日本に対しまして、参加要請がございまして、過去七回開かれたわけでございます。東京でも一回開かれましたけれども、これにも日本の方から国会先生方が一部御参加いただいておるということでございます。  そのほかストラスブルク会議等いろいろな名称会議が開かれております。それにも若干の先生方参加していただいたというような実績でございます。
  7. 山元勉

    山元委員 今お話がありましたように、これからEC市場統合が進められていく、日本の貿易とも大きなかかわりがある、あるいは安全保障体制の仕組みが変わっていく、日本アジアで果たすべき役割もそういう意味で大きいわけですけれども、学ぶところもあるいは対応しなければならぬところも非常に多いだろうと思うのですね。そういう意味では、この新しく設置される公館が責任を果たせるように、私からも、体制強化をしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  それから二つ目ですけれども、今度の改正基本手当改正が出てきています。今回、幅が大変大きいと思うのですが、端的に例えばどこのどのクラスで最大の幅、率と額をおっしゃっていただきたいと思うのです。
  8. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  在勤基本手当についてのお尋ねと承知いたしますが、先生案内のとおり、為替市場というのが変動相場制になって以来、この在勤基本手当等手当に関する法改正を昭和四十九年五月にいたしました。そしてその法改正に基づきまして、私どもとしては時に応じた改定をさせていただいているわけであります。すなわち、平成三年度の在勤基本手当につきましては、在外公館所在国における為替変動あるいは消費者物価変動等要素を勘案いたしまして支給額改定を行い、その件についてただいまお諮りをしているわけでございます。  全体を概観いたしますと、現在百七十四の公館実館ベースでございますけれども、そのうち百三十の公館につきましては増額改定をさせていただきました。また二十五の公館現状維持、前年度並みということでございますが、十九の公館につきましては、ただいま申し上げましたような事情を勘案して計算をいたしますと減額の状況になるわけでございます。  そして、どのくらいの差が生じているかということでございますが、今回の法改正お願いしている、基準額改定お願いしている一つ眼目は、全体の差が二五%以上をどうしても超えてしまう、現実生活費等々の積算をした上で基準額の二五%をどうしても超えてしまうという実館がございます。それが十一公館ございますが、その中でどのくらいの大きな差があるかというのは若干館によって差がございます。  増額公館について申し上げますと、大きな差が出ておりますのは、ブラジルですとかあるいはユーゴスラビア、この辺が三七、八%の増額お願いをしております。これはまさに為替変動当該国における消費者物価の大きな変動、これらを積算して求めますとただいま申し上げましたような増額の査定をお願いをせざるを得ない、かような状況になっているわけでございます。
  9. 山元勉

    山元委員 お尋ねしますのは、私この間、十二月ですけれどもヨーロッパに行ったときに、若い書記官の方が大変嘆いていらっしゃったわけです。確かに二五%を超したら政令改定していただける。しかし、ずんずん上がっていく段階では大変苦しい生活をしなければならぬわけです。今もお聞きしますように、三七%ベース改定をしなければならぬということなんですが、その若い書記官も何回か節目節目をつくってもらったら一番助かるのだけれどもとおっしゃっていたわけです。確かに下がると楽になる、こういうときもあるのですけれども、こういうふうに三七%という急激な上昇をしていくときには大変苦しい。確かにそうだと思うのですね、三分の一ベースダウンになるわけですから。  そこで、二五%以内は政令でできるということなんですけれども、今年度、たしか去年の国会改定がありましたから、それ以後今日までの間に政令によって手直しがされた実績について簡単にお知らせをお願いしたいと思うのです。
  10. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたとおり、年度内において為替変動あるいは消費者物価の急激な変動ということも当然あるわけでございます。かような点につきまして御理解のある御指摘をいただいたことは私どもとしても大変心強いわけでございます。私ども先ほど申し上げました法改正の中で年度内改正を委任されている法の構成になっていること、先生の御案内のとおりだと思いますが、実績といたしまして、昨年度におきましては、昨年の十二月に年度内改定を行いました。そして、十月一日にこれを遡及して実施をしたわけでございますが、この年度内改定によりまして、七十三の公館増額改定となりましたことを御報告申し上げたいと思います。
  11. 山元勉

    山元委員 士気にかかわることですから、ぜひきめ細かいことはしてあげないといけないと思います。  それでは、昨年、この公館関係の法案が成立したときについておりました附帯決議にかかわって少し御質問しておきたいのですが、今も給与の問題を申し上げました。それは、去年の附帯決議の第二項にあるわけですが、その中で健康管理とか休暇制度について充実をせよ、こういう附帯決議がある。ことし一年間、そういうことについての何らかの努力がされたのかどうかお聞かせをいただきたい。
  12. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  本委員会におきまして毎年度附帯決議をしていただき、我々の在外公館の機能の強化につきまして御支援をいただいておりますことを私ども外務省員としても大変深く感謝を申し上げたい次第でございます。  さて、今先生の御指摘になりました昨年の附帯決議第二項及び第三項に関するお尋ねでございました。第二項はまさに不健康地対策ということでございます。勤務環境の厳しい地に勤務する職員の各種の負担を軽減してあげなければならないということがこの不健康地対策眼目でございますが、それによりまして我々職員外交活動においてその能力を遺憾なく発揮することが可能になるというふうに思っております。  私どもは、この決議を受けまして、平成三年度予算案におきましては不健康地対策として十五億、約十六億の予算要求をさせていただいております。これは対前年度予算比、すなわち平成二年度との予算比におきまして七・六%の増というふうになっております。  さらにまた、この第三項すなわち在外公館事務所などの整備・拡充という点でございますが、この点につきましては、もう御案内のとおり施設拡充強化ということが我々職場で働くに当たって大変重要な要素でございます。一線にある我々の同僚が任国政府との交渉、情報収集邦人保護という職務にきちんと対応できるためには、まさしくこういうハードの分野におきます外交施設設備拡充強化ということが重要だと思っておりますが、この分野におきましては、平成三年度の予算におきまして約百三億の予算を計上させていただいております。これは平成二年度比におきまして一〇・三%の増額でございます。  私どもとしては、先生方の御支援のもとでこれらの施策につき遺漏なきを期したいと思っておりますが、毎日の起こってくる国際情勢変化現地における厳しい状況等を踏まえましてさらなる努力を続けてまいりたいと思っている次第であります。
  13. 山元勉

    山元委員 先ほども申し上げましたように、十二月にヨーロッパへ行ったときに、フランス大使館を随分と丁寧に案内をしてもらって私も見てまいりました。感想で言いますと、経済大国日本の花のパリの大使館、とんでもないという感じがしました。  外務省皆さんはその実態についてはよく御存じだろうと思うのですけれども会議室に例えば一等書記官の方が二人も三人もが同居しておられる。そのときにも、私ども労働組合事務所の方がよほどいいですよ、こう言っていたのですけれども、ああいうところで外国の人たちとしベルの高い話をしたり、資料を収集したり、あるいは内部的に論議をするということについては、余りそぐわない環境になっていると思うのです。ですから、今一〇・三%ですか、アップだというふうにおっしゃいましたけれども、例えば今申し上げましたフランス大使館は、ことし少しはきれいになる、あるいは立派な事務所になるのでしょうか。
  14. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございました在仏大使館事務所の件でございます。かような御指摘を受けまして私どもとしても大変恐縮をいたすわけでありますけれども、我々としても先生の御意見を踏まえまして在仏大使館とその後協議を重ねてまいりました。大使館の方からも諸設備強化につきまして陳情が寄せられているわけであります。  私どもとしては、平成三年度の予算につきましてはとりあえず大使館冷暖房設備改修工事中心事務所改善努力をしてまいりたいと思っております。三ヵ年計画といった計画を立てながらこれに対応いたしたいと思っておりますけれども、三年度の予算につきましては、七千百万円の予算を計上して、申し上げましたような冷暖房設備のメンテナンスをまずやりたい、かように考えているわけでございます。私ども在外公館設備先生方から見て大変みすぼらしいものだという御指摘があるとすれば、私どもとしても心して改善努力に努めなければならない、かように感じておる次第でございます。
  15. 山元勉

    山元委員 ここに写真も撮ってきたのですけれども、大使の部屋だとか一等書記官部屋写真を見て、皆さんよく御存じでしょうから重ねて言いませんが、先ほども言いましたように、高いレベルの資料を集めたり政治的な判断をしたりする場ですから、そしてまた一つ日本の顔なんですから、そういう点について努力をしていただきたい。これは外務省に言うよりも大蔵省に言わなければならぬのかもしれませんけれども努力をしていただきたいと思います。  それから附帯決議の五番のところに質の高い現地職員確保について書いているわけです。その点についてもどうかということを現地でお聞きしましたけれども、大変難しいんだという答えでした。確かに日本から外務省職員を全部持っていくわけにいかない。そういう中で現地採用が行われるわけですけれども現地採用、ここに決議してあるような質の高い職員確保について、どのようにお考えになっているのかお聞かせをいただきたい。
  16. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 現地職員確保の問題についての御質問でございますが、私ども本省から送り出している二千数百名のスタッフだけでは当然この仕事はできません。現地における職員支援を得ながら職務を全うするということになるわけでありますけれども、したがって、私どもとしては、優秀な現地職員確保するということが我々本省あるいは在外定員の増強と相まって重要なことであるというふうに感じている次第でございます。現実にはなかなか難しいということを申し上げざるを得ないのでありますけれども任国におきます先進諸国在外公館あるいは日系進出企業というものも当然同じ市場におきまして競争関係にあるわけでございます。したがいまして、私どもとして仮に優秀な現地職員確保できるということであるならば、処遇の面あるいは将来の生活保障といったようなことがきちんとされなければならないということがございます。  御案内のとおり、私ども在外公館の運営というものも予算の枠の中で実行せざるを得ないわけであります。我々といたしましては、この点におきましても最大限の努力をし、現地スタッフの優秀な方をリクルートするということを毎日の仕事の中で考えて対処いたしたいと思います。  それでは、我々として具体的にどういう過程を経て優秀なスタッフ確保できるかという具体策でございますが、これはそれぞれの任国事情によりまして異なると思います。途上国におきましては、大学卒という優秀なスタッフが割合にリクルートしやすいという事情があろうかとも思います。他方、先進諸国におきましては、そういう専門知識を素養として持っている方々を今の予算の枠の中でどの程度リクルートできるかというのは、単に採用の募集をするというだけの努力ではなくて、個人的な関係、個人的なつても求めながら優秀なスタッフを求めていく努力が要るわけでございまして、かような努力を日々しているところでございます。我々としてはなお努力をして在外公館機能が一層強化されるように、この分野におきましてもたゆみない努力を重ねたいというふうに思います。
  17. 山元勉

    山元委員 終わりますけれども、これは大使や大使館職員皆さんが我慢すればいいということではなしに、今申し上げてきましたようなこと全体を、大げさに言えば国益にかかわることですから、そういう点での努力をぜひしてほしいと思います。  それで、附帯決議についての最後ですが、七項です。これはあのような湾岸戦争を予期しての決議ではなかったと思うのですけれども、まさに戦乱、クーデター等のときの邦人の救護について「一層」という言葉で決議をしているわけです。この間のあの湾岸戦争に際しては、クウェートやイラクあるいは近隣の大使館皆さんは大変な苦労があっただろうとは思うのですけれども、まず、その具体的な措置についてどのようにされたか、お聞かせをいただきたい。
  18. 久米邦貞

    ○久米政府委員 お答えいたします。  イラクのクウェート侵攻の当初の段階におきましては、イラクのクウェート侵攻が起こりました八月二日の数日後からクウェート市内の各地におきまして、イラク軍による外国人の身柄拘束、連行ということが起こってまいりまして、その段階で、八月四日から七日にかけまして二百五十名を超えるクウェート在住の邦人を段階的に大使館に避難をさせ、イラク軍による身柄拘束、連行から守るためにしばらくの間大使館に収容するということをまずいたしました。  その後、種々のルートを使っての脱出につきまして検討をし、イラク側とも折衝をいたしましたけれども、遺憾ながらこの脱出路を確保できませんで、八月二十四日のイラク側が大使館の機能を停止するという事態を迎えまして、遺憾ながら在留邦人方々がバグダッドで身柄を拘束されるということになったわけでございます。  こうした外国人に対する身柄の拘束、あるいはバグダッド在住邦人につきましては特段の理由なしに出国の禁止をするというイラク側の措置、これは国際法上もあるいは人道上も全く容認できない行為でございまして、政府としてはイラク政府に対しまして、同じ立場にございますその他の各主要国とも協調しつつ、国際社会の総意として外国人の無条件即時解放と出国を要求するということを粘り強く繰り返してまいりまして、十二月六日に全員の解放をようやく実現したわけでございます。  その間、政府といたしましては、人質となった在留邦人に対しましては現地大使館を通じ食糧あるいは必要な医薬品の差し入れ、また家族との書簡のやりとり等の援護措置を講じてまいりました。また、当初の段階より、いろいろな情報ソースを使いまして各施設に収容されました邦人の所在の確認というものに大変な努力をいたしました。  また、バグダッドにおきまして身柄の拘束は受けなかったけれども出国を禁止されていた在留邦人につきましては、大使館の医務官による定期的な健康相談やあるいは医薬品の提供等を行いましたほか、食糧あるいは資金等の問題につきましても個別のケースについて御相談に乗りつつ解決策を探すような努力をしてまいりました。  以上、簡単でございますけれども、イラクのクウェート侵攻に伴いまして政府がとりました邦人保護措置の概要でございます。
  19. 山元勉

    山元委員 大変な状況の中で八月から十二月までの対応ですから、一口にはなかなか言えないと思いますが、少し具体的なことをお尋ねしますので、簡単にお答えいただきたいと思うのです。  一つは、これは外務大臣の判断でもあったのだろうと思うのですが、二日の侵攻があって、そして邦人がたくさんいる中で直ちに五日には経済制裁、原油の輸入禁止だとか、手を上げてしまった。その中で邦人が右往左往といいますか、表現はなにですけれども、大変苦しいところに追い込まれていくという状況が私どもには見えたのですが、現地での大使館の対応、そして日本政府の直ちに経済制裁だとかいう、イラクから見れば敵側に回ってしまうようなああいう判断というのは、現地としっかり連携ができていたのか。私どもから見ると、邦人危ないという感じが直ちにしたのですけれども、その点の判断はどうでしょうか。
  20. 中山太郎

    中山国務大臣 経済制裁を決断いたしましたのが安全保障理事会での決議を行いますちょうど半日ぐらい前であったと思います。日本はこの地域に対する一番の受益国ということで、各国から非常に注目をされておりました。そこで、国家としての明確な意思を示すということがどうしても必要であるという考えからそのようなことを外務省としては決断をいたしたというのが実情でございます。
  21. 山元勉

    山元委員 そこのところ、恐らく現地大使館あるいは邦人皆さんは、そういういわばイラクに手を上げるというような行為はできたら避けてほしかった、もう少し待ってほしかったという気持ちがあったのではないかと思うのですね。その点については、その当時の新聞も言っていたように、この地域で、今大臣もおっしゃっていましたように、手を汚していない利点を生かして、イラクと良好な関係を結んでいるからよもや日本人に対する危害というのですか拘束とかいうことには及ばないだろうということで判断が甘かったのではないか、それから邦人の苦労が始まったのではないかという気がするのですが、その点はどうですか。
  22. 中山太郎

    中山国務大臣 今までのいろいろな紛争地点におきましても、個人が人質にとられるというような判断をする場合と、国家が国家意思によって人質をとるといったようなことは戦後実は経験をしたことがなかったわけでありまして、我が国としては、このような行為がイラクのサダム・フセイン大統領によってとられるとは考えておりませんでした。
  23. 山元勉

    山元委員 ですから、今までにないことだということについては理解をするのですけれども、やはり判断について、最後、十二月になってから、外務省の首脳と書いていますけれども現地とのコミュニケーションが不足をしていたという反省をしているということが新聞に出ているのですね。だから、そこのところを申し上げるのは、先ほど一番最初に申し上げましたように、大使館現地での苦労あるいは危険を感じる、そういう状況と、外務省の首脳が言っているコミュニケーションが欠けていたことによるずれが起こったのではないかという気がするのです。
  24. 中山太郎

    中山国務大臣 八月二日のクウェート侵攻以来、外務省のオペレーションルームは電話回線をつけっ放しにしてつながっておりますから、現地との連絡は緊密にとれていたと思います。  私は、当時八月二日はラオスに公務で公式訪問しておりまして、私が帰ってきたのは八月六日でございまして、その時点で私、すぐに会議を開いたというような状況でございましたが、現地大使館との連絡は絶えず緊密に行われておったということを御了承いただきたいと思います。
  25. 山元勉

    山元委員 普通いろいろな会社とか組織とかいうところでは、例えば災害についての計画だとか訓練だとか、あるいは大規模な地震を想定しての訓練等が行われます。こういう大使館等で、もし事があった場合の避難とかあるいは対応の計画、訓練というのはされているわけですか。その国に応じてのそれぞれの計画というのはおありなんですか。
  26. 久米邦貞

    ○久米政府委員 非常事態、緊急事態におきます大使館邦人保護の観点からの対応ぶりにつきましては、外務本省の方でマニュアルをつくっておりまして、それをまた各大使館で各地の事情に合わせましてそれぞれ大使館ごとのマニュアルというものをつくっております。これをもとにして実際に避難訓練を必ずしも各地でやっているわけではございませんけれども現地におきましてはそのマニュアルをもとにいたしまして現地在留邦人の代表との間に連絡態勢というものを日ごろからつくってございます。そうした連絡態勢を通じてできるだけ緊密な連絡を日ごろから行うということを心がけております。
  27. 山元勉

    山元委員 フセインがやった人質作戦というのは、私も、人道上も国際法上も絶対許せないと思います。けれども、そういうことが起こる可能性はやはりゼロではなかったわけですね。そういう意味では、今海外にある大使館公館がそういう危険に遭うということはゼロでないわけですから、そういう点では今度のことを教訓にしてというのはなんですけれども、もう一遍洗い直しをしていただきたい。  まず第一に、何よりも邦人保護だと思います。  これほど日本人が海外に、あらゆるところに出ていくわけですね。そういう意味では、今マニュアルとおっしゃいましたけれども、ぜひしっかりとした態勢をつくっていただく、日本人がいろいろなところへどのような有事であろうとも安心して出向けるような、国、政府、外務省を信頼して行けるような、新聞では今度、ところどころ、外務省に対するあるいは大使館に対する情報の不足だとかいろいろな批判が、つらいときですから出るのでしょうけれども、そういうものがありました。そういうことがないようにこれからの努力お願いをしておきたいと思います。  それでは次の問題に移りますが、地域改善対策の小委員会の問題です。本内閣委員会設置をされているものですが、私もその小委員会の一人ということで、これは反省も含めて申し上げるわけですが、幾つかお尋ねをしたいと思います。  私は、御案内のように去年初めて一年生でこの委員会に所属をさせていただきましたから、経緯を存じないわけですが、小委員会設置の経緯、いつから設置をされてどういう目的あるいはどういう審議が実績としてあるのか、お教えをいただきたい。
  28. 小山弘彦

    ○小山政府委員 小委員会設置されましたのは昭和五十三年五月二十五日.第八十四回国会のようでございます。それで、小委員会の最近の審議に私どもが求められましたのは昭和六十一年十二月十八日、小委員会に出席を求められたということがございます。その後の活動状況につきましては、私ども存じ上げておりません。
  29. 山元勉

    山元委員 私も記録を探して見せてもらったのですけれども、確かに五十三年の五月に設置をされて数回審議をされた。けれども、五十八年、九十八回国会から以降、設置はされるけれども一回も開かれないというのがずっと続いているわけです。そういう状況というのはおかしいと思うのですが、とにかく私が言いました五十八年から開かれていないということについては、間違いございませんか。
  30. 小山弘彦

    ○小山政府委員 私どもが出席を求められたのが昭和六十一年の十二月十八日でございまして、それ以後の状況については、先ほど申しましたように私どもも何も存じ上げていないというのが実情でございます。  今後のことにつきましても、これは私ども政府のマターではないということでございますので、存じ上げていないということでございます。
  31. 山元勉

    山元委員 小委員会、これは政府マターでない、こうおっしゃいますけれども、地域改善事業が国の課題、国民的課題としてどんどん進められている、それを所掌する対策室が、国会、この委員会に対してどういう対策について論議をしてもらわなければならないかという必要感というものはお持ちではないのか、お持ちであろうというふうに私は思うのですが、その点はどうですか。
  32. 小山弘彦

    ○小山政府委員 地域改善対策につきましては、これは憲法の基本的人権にかかわる問題でございますから、私ども行政部門としても非常に力を入れて進めてまいったものでございます。事実、昭和四十四年にいわゆる地域対策にかかわる特別措置法、これができまして、その後五十七年それから六十二年に、いずれも昭和でございますけれども、再度、再々度ということになりましょうか、法律の新しいものを置いてきた、そしてその地域改善にかかわる生活環境というものはこの二十年余りの間に非常に改善されてきたと私どもも思っておりますし、一般的にもそのように言われているのが実情でございます。事実、私ども行政部門としまして地域改善対策協議会というものを持っておりまして、ここで重要事項に関する審議、これを行い、かつ、所管行政省庁の間の調整すべきことについての御意見も伺う、それから、地方公共団体と国が一体となってこの事業を推進して、一日も早く地域改善対策、それから実態というものを向上させて同和問題の解決を見たい、このように思っているわけでございます。したがいまして、私ども行政部門としましては、その地域改善対策協議会、これにいろいろお諮りして審議をしていただくという道筋を持っておりますので、そちらの方で対行政部門としての御提言等をいろいろいただいている。事実、今までも、最近時では昭和五十九年、昭和六十一年と、こう意見具申をいただきまして、それに基づいて最近時のいわゆる地対財特法に基づく事業の実施に関しましては、その提言を踏まえてやってきた、こういうことでございます。
  33. 山元勉

    山元委員 小委員会開催について当局の方に云々してもらうことは難しいかもわかりません。確かに今おっしゃいますように地対協と一緒になって進めている、こういうふうにおっしゃる。まあ理解をしますけれども、問題は、私がどうしてもこだわるのは、小委員会が開かれていないとういうことです。今の国会で代表質問を初めとして、法務、建設それから文教、あらゆる委員会で差別の実態が明らかにされて、そして政府としても重要な課題意識を持っている、引き続いて努力をしなければならない、こういうふうに確認を各大臣がしていらっしゃる、そういうことは総務庁としても御理解をいただいていますね。
  34. 小山弘彦

    ○小山政府委員 委員おっしゃいますように、国会のいろいろな委員会におきまして重点的にいろいろ御質問をいただいているというのが実情でございますし、私ども総務庁としましては、いわゆる地域改善対策の調整にかかわる省庁といたしまして、当然他の省以上にこの問題についての重要性を認識して解決への道を模索し、実施し続けてきている、こういうことでございまして、この姿勢につきましては今後とも変わらない、こういったことでございます。
  35. 山元勉

    山元委員 私、滋賀出身ですけれども、滋賀における実態も少し申し上げて認識をしていただきたいと思うわけです。  滋賀においても差別の事象は絶えないわけです。かえって陰湿になっているし、事態は深刻になっていると言われているわけです。とりわけ野洲中学校事件と言われる学校における、あるいは企業や役所におけるそういう事象が絶えない状況が続いているのです。そういう状況の中で、教育の問題ですけれども、今まで努力をしてきたと今もおっしゃっています。私どもも随分と努力をしてきたつもりですが、例えば一九八八年と八九年、つい最近ですけれども、高校の進学率でいいますと、滋賀で九・六%の格差があったのが一一%にかえって格差が拡大をしているわけですね、一般地域と被差別部落との進学率の差が。京都でも、三・二%が六・五%というふうに、あるいは大学の進学率も同じように格差がかえって広がっているわけです。そういう状況の中で、今、財特法の期限が切れようとしているわけです。そこで教育委員会などが一生懸命になって、そういう期限切れ、格差が拡大をしていくという中で今何をする必要があるのかということで、学力やあるいは家庭の環境の調査をしているわけですね。そして、やはりしっかりとした事業が完成をしていないということがはっきりとしてきておるわけです。実際にそういうふうに差別の事象は絶えないし、拡大をしていく、そういう中で、現場やあるいは地域でこの期限が切れるということについての不安、危機感が強い。だから、教育委員会もじっとしておれないわけです。そういう状況については、総務庁としてもしっかりと認識をしていただきたいと思います。  そこで、そのことも含めてですけれども、この期限切れということで、地方議会が、市、町、村、県それぞれの議会がいろいろの論議をして、それぞれの決議を上げている。そういうことについては、総務庁は御理解をいただいていますか。どういう認識をしていらっしゃいますか。
  36. 小山弘彦

    ○小山政府委員 私ども、地方公共団体との関係につきましては、かかわりのある都道府県と始終密に連絡をしております。都道府県からの情報の提供、これは私どもも常に求めているところで、また、都道府県におかれましても、私どもの方へ事あれば連絡はしている、こういうふうに思っております。それで、いわゆる地域改善対策にかかわる問題としまして、先ほど申しましたけれども、昭和四十四年以降特別措置法を置きまして事業の速やかな実施を図ってきた、二十年を超える期間の間に生活環境的にはかなりの程度改善を見てきていることは認められるところであろうかと思います。  それでもう一つは、やはり格差の問題としましてはいわゆる心理的差別、心の問題の方がございます。これにつきましても啓発事業を物的事業と両輪のごとく運んできておりますので、その心理的差別にかかわる問題についてもかなりの程度解消はされていると思うのでございますけれども委員おっしゃいますように、確かに実態としましての差別があるという報告は受けております。ここのところが私ども非常に残念なわけでございます。  ただ、現在の法律は、委員おっしゃいますように、来年の三月三十一日でなくなる。それで、この問題につきましては、今回のいわゆる地対財特法ができるときに、地域改善対策の特別措置としての最後の法律であるということで国会に提出させていただきまして、全会派一致でこれが承認されたという経緯がございます。したがいまして、私どもは、これを特別措置としての法律としては最後のもの、こういう認識のもとに事業を推進してまいってきておりまして、これからほぼ一年の間に一層の努力を積んでいきたい、このように思っておるわけでございます。  それで、その後はという話になるわけでございますが、これにつきましては、いわゆる地域改善対策の特別措置ということでなくて、一般対策へ移行するということを前提に、その後の地域改善対策の行政の推進は十分配慮していかなければいけない、こういうふうに思っているところでございます。
  37. 山元勉

    山元委員 私は、今切れるからどうだこうだと後のことをお尋ねしているのではなしに、確かに長い努力はあった、そういう中で今切れようとしておる状況をどう認識するかという問題だと思うのですね。そういう意味で言いますと、私どもの滋賀県でも進学率の格差が開いている、差別の事象が絶えない、たちが悪くなる、こういう状況が現にある。そしてまた、そういう状況の中で、各地方自治体がいろいろと相談の上、決議を上げている。幾つかの型がありますけれども、例えば基本となる法律を新たに制定する必要があるという決議を上げている自治体がある、あるいは総合的な立法を求めている決議の自治体だとか、あるいは何らかの法的措置を求める、こういうことで全国の三分の一を超す自治体が何らかの形での決議を上げているわけです。  先ほども言いましたように、切れる直前になって今の状況を深刻に受けとめて、そしてそういう決議を上げていることについて総務庁としてどう認識をしていらっしゃるか、私は後のことをまだ聞いていないわけです。そこのところの認識を聞いているわけです。
  38. 小山弘彦

    ○小山政府委員 地方公共団体におきましてもこの問題については、いわゆる国民生活の基本にかかわる問題であり、かつ人権にかかわる問題でもございますので、常時いろいろ関心を持ち、かつ実態を正確に把握するということをやっているわけであろうと思います。私どももそういう実態があるんだなということは認識しつつ、そういう中で地域改善対策に係る行政を広く、かつ、しっかり地に足のついたものとしてやっていきたい、こういう認識を常に持っているわけでございます。私ども先ほど申し上げました地域改善対策協議会におきましていろいろ審議をしていただいているわけでございますが、その場におきましても地方公共団体に広く御意見を伺っているということでもありますし、それから関係団体の御意見も伺っている。大所高所から協議会委員方々に審議等していただきまして、さらにしっかりした御意見あるいは御提言をいただきたい、かように思っております。
  39. 山元勉

    山元委員 今の論議、ちょっとすれ違っているわけです。私は繰り返して申し上げておきますけれども、最後の特別措置としての法律だということがその当時あったということが、まず初めにあってはならぬ状況になっているのではないか。多くの自治体が基本的あるいは基本となるような法律の制定を求めている、あるいは総合的な立法を求めているという決議を上げてきているということについて、しっかりと認識をする必要があるし、そういう意味では最後の法律だということについて、まずそれを言われることについては間違いだというふうに思います。  そういうことは、例えば幾つかの団体、いろいろの種類がありますけれども、全国でこの問題についての署名運動が展開されている。例えば基本法制定を求めるような署名運動というのは何百万、第二回、ことしは二百三十万と言われておりますけれども、五年前は五百万の署名が集まった、そういうような一つの運動がある。あるいは国会議員の署名も、例えば衆議院は五百十二人ですけれども、三百人を超す過半数の国会議員の方が署名をしている。そういう状況もしっかりと認識をしなければならぬだろうと思うのです。そういう認識の上、今の事態の認識の上で、今後この期限が切れるけれどもどうするんだということを論議をする必要があるというふうに思うのです。  そこで、こういう状況が今続いているわけですが、あるいはそういう事態に至っているとも言えます。繰り返して言いますけれども、小委員会が開かれないことについては、私も一年間委員でしたから責任もあるわけですが、今、同対審答申から二十六年努力を続けてきた、あるいはこの国会でもあらゆる委員会で国民的課題として引き続いて努力をしなければならないというふうに確認をされている、そういう状況の中で、私ども国政に携わっている者、とりわけ今、小委員会に属している者、内閣委員会にいる者は責任を持たなければならぬのだというふうに思うわけです。  そういう立場で、これは具体的な答えはなんですけれども、この小委員会も再開をして論議をしなければならぬと思うのです。これはさっき、政府マターではありません、こういうふうにおっしゃいましたが、内閣委員長お願いをして、こういう状況の中で内閣委員会設置をしている小委員会の審議、あるいは論議をと言ってもいいかもしれません。それをことしは精力的にやらなければならないのではないかというふうに私は思いますけれども、御見解をお聞かせいただきたいと思うのです。
  40. 近岡理一郎

    近岡委員長 山元委員の御発言を踏まえまして、小委員会設置の趣旨に沿い、町村小委員長とよく協議してみたいと思います。
  41. 山元勉

    山元委員 ありがとうございました。終わります。
  42. 近岡理一郎

    近岡委員長 村山富市君。
  43. 村山富市

    ○村山(富)委員 何か官房長官が記者会見の都合があって時間がとれないので先にしてくれという話ですから、順序を変えて先にさしてもらいたいと思うのです。  私は、この国会における予算委員会の議論を聞いておりまして、この内閣委員会は自衛隊法の主管の委員会ですから、この委員会で真剣に自衛隊法の問題について、とりわけその百条の五の問題について議論をすべきではなかったかというふうに思うので、きょうはひとつその問題を掘り下げてやってみようかなと思っていましたら、防衛庁長官が分科会との関連があって来られないという話ですから若干省略せざるを得ないのですけれども、これだけは言わせてもらいたいと思うのです。  あの自衛隊法第百条の五というのは政令事項にゆだねられているわけですけれども政令事項にゆだねられるというのは、国会法律で政府に委任をする事項なんです。政令事項としてやってよろしいと委任する事項なんです。その委任をした授権の範囲を超えているというのは、私は第百条の五で今度特例政令を設けた政府のやり方が間違っているというふうに言わなければならぬと思うのですけれども、これは単にもう効力がなくて失効するのだからいいじゃないかといって片がつけられるような問題ではなくて、やはり三権分立のあり方の問題や、それから政府が政令で何でも必要と認めればやれるのだといったようなことで既成事実をつくっていった、こういうことから考えてまいりますと、大変大きな問題である。これはうちの仲間の中では、立法府に籍を置く議員としてこんな無責任なことでは我々は責任を果たせない、これは辞表物じゃないかというような議論までしたくらいですけれども、私は、それくらい重要な問題だったというふうに思うのです。これはもう時間がありませんからここでは申しませんけれども。  そこで、その問題と関連をして官房長官にお尋ねをしたいと思うのですけれども、この特例政令の中に「当分の間」という文言があります。この「当分の間」というのは、予算委員会の議事録を見ますと、防衛庁長官は、「当分の間」とは、「避難民の本国等への輸送の必要性が存在する期間」であると説明しているわけです。「輸送の必要性が存在する」というその判断は何をもってするのかというのはちょっとわからないのですが、これはどういうことなんでしょうか。
  44. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 「輸送の必要性が存在する」、こういうことですね。  それは湾岸戦争がいまだおさまらないで、そうしてその兵火に追われて避難民現実に出ておるという姿があって、そしてIOMなどから世界各国に対して、我が国に対しても避難民の輸送を頼みますよという連絡がある、そういうときは現実避難民がおるのですから、またIOMからも救援を依頼しておる、そういう状態が続いておる間はやはりその「当分の間」というところに当たる、そういうふうに思います。
  45. 村山富市

    ○村山(富)委員 議事録をよく見ますと、この政令の効力を失するのはどういう場合かということがいろいろ議論されているわけです。その政令の目的とするような情勢が完全になくなったということが明確になれば、この政令の効力は失効する、こういうふうに答弁をされている向きもあるわけです。参議院における総理の答弁は、「国際機関の正式な要請もなくなり、完全になくなったときにこの政令は失効させる」というものであってという解釈をしているわけです。ですから、国際機関の正式な要請も完全になくなったときにこれは失効するという一方の判断と、もう一方は、恐らくこれは政府が判断するのだと思うのだけれども、政府がこの特例政令の目的がなくなったというふうに判断をしたとき、こういうふうに両面から説明されているわけです。これは一体どういうことなんですか。
  46. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 それは国際機関からも、国際機関は一番情勢把握もすぐれておると思いますし、それからまた我が国の方としても諸般の情勢を考えて、もうそういう避難民というのはいなくなって救援の必要もなくなった、この両方の意思が合えばそこでそういう必要がなくなるのですから、IOMなどからも、情勢は好転したからもう避難民はいませんよと我が国にも通報があると思います。また我が国の方から問い合わせしてもいいでしょうけれども。そういうことになれば、これは法律用語では実効性の喪失というのですかね、俗に言えば自然消滅ということになるわけだと、私はそう思っております。そうなったら、実質的にその特例政令というものはもう存在価値を失う、実効性を失う、こう私は思っております。
  47. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、IOMだけではないと思うのですね、いろんな国際機関から要請があることがあるのでしょうけれども。今までIOMも含めて、自衛隊の輸送に対する派遣について具体的に要請があった事実があるか、これからもその要請があると判断をされますか、どうなんですか。
  48. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 あるいは外務省の方からお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、自衛隊機のという御質問でございますので便宜私の方からお答えいたしますが、具体的に自衛隊機を派遣してくれという要請はいまだございません。しかし、今後はまだ、避難民状況等実態を踏まえて、その可能性が全くなくなっているわけではないと考えております。
  49. 村山富市

    ○村山(富)委員 外務省、どうですか。
  50. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 突然のお尋ねでございましたから、担当局長ではございませんけれども、私ども外務省関係の国際機関から、自衛隊をこの時期に送ってほしいという、そういう特定をした要請というのはまだ来ているわけではございません。
  51. 村山富市

    ○村山(富)委員 これまでも来ていなかったですね。これから来るかもしれないという判断の根拠は何ですか。
  52. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 これからの可能性について全く否定できるわけではないと申し上げましたのは、それは専ら避難民状況いかんによるかと思います。避難民が現在の時点において、私ども外務省から聞いておりますところによりますと、全くいなくなっているわけではない。そういたしますると、今後ともそれを踏まえて国際機関からの要請があり得ると考えているということを申し上げたわけでございます。
  53. 村山富市

    ○村山(富)委員 具体的にお聞きして恐縮なんだけれども、今あなたがおっしゃった国際機関というのは、どういうものが考えられるわけですか。
  54. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 私ども外務省からお聞きしている限りでは、IOMという機関を専ら念頭に置いているところでございます。
  55. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは判断の問題だから、言うたって見解が違うといえばそれまでの話だけれども、湾岸戦争が展開されているあの時点、どんどんイラクから避難民が流出している時点でも要請がなかった。それでなおかつそんなことがあり得ると判断するのは僕はちょっとわからないのだけれども、どういう場合にあり得ますか。
  56. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 具体的にどういう場合にあり得るかということは、事前の段階で予断を持って申し上げることは適当でないと思いますけれども、事実として私ども外務省から聞いておりますところでは、現時点でも避難民が全くいなくなったわけではないという状況でございまして、いわゆる湾岸での武力行動は停止をされているわけでございます。避難民の発生というものはこれと若干タイムラグを持っておるということでございますので、そこのところは具体的にどういうケースにおいてということは特定できませんけれども、可能性の問題としてはなお存するのではなかろうかということを申し上げている次第でございます。
  57. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、今あなた、IOMと言いましたよね。IOMが日本政府に対して要請をするということが考えられる、こういうわけでしょう。避難民というのは湾岸戦争だけで生まれたものじゃないのですよ。あの中東地域には避難民は常時存在しているでしょう。それでは、そんなものが存在している間はやはり要請がある可能性があるわけですか。
  58. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 先生も御案内のとおり、ただいまの避難民状況ということにつきましては、恐らく当初予想したほど大きな数字になっているわけではないということではあります。しかしながら、八月二日以来の湾岸情勢の過程の中で、あるときは膨大な数に膨れ上がり、それが迅速なる国際協力のもとで処理されていくという状況がございました。そして、そういう過程を経てある一定の数の避難民におさまり、避難先の国々も国際機関の協力を得てこの状況をコントロールしているということでございます。  しこうして、この一月以来の状況を踏まえ、また今日の状況を考えますと、確かに予想された以上の数字にはなってございません。しかし、それにしてもただいまのイラクの情勢等もありまして徐々にふえている地域もあるわけでございます。かような状況を考えますと、先ほど政府委員からも御答弁申し上げましたように、若干の時間的な要素というのは国際機関において判断をせざるを得ない状況かと思います。したがって、我々といたしましても、ただいまの状況が数が予想よりは少ないからといって難民の移送の必要性がなくなったというふうにはまだ判断していないわけでございます。
  59. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは特例政令を見ますと、対象は特定しているわけですよね。「イラクのクウェイトに対する侵攻及び占領以降国際連合安全保障理事決議第六百七十八号に基づく国際連合加盟国のイラクに対する武力行使に至る一連の事態及びこれに引き続く重大緊急事態をいう。」この事態から発生する避難民というふうに特定しているわけです。もう停戦になったのですよ。だからこれに関連をして、まだ避難民がうんと出る可能性があるし、いるのだ、こういうふうに言えば、僕はもう限度のない、際限のないものになってくるのじゃないかという気がするのですよ。だからそうでなくて、やはりこれはちゃんとそういう必要性がなくなった時点というものは政府が判断をしてきちっとけじめをつけるのだというふうに思っておるのかどうなのかということをひとつ聞かせてください。
  60. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。ただいまの状況につきましては、先ほど来御報告申し上げているとおりでございますが、現在の避難民状況のもとにおいて移送は現に若干行われているわけでございます。この点は先生も御案内のところだとは思いますが、確かに大量の避難民という数字ではございませんから、IOMがこの避難民の移送計画を立てるに当たって、世界じゅうの輸送の機材を活用しなければならないという状況ではないのかもしれません。しかし、停戦後におきましても、ある地域におきましては避難民がまだふえている状況でございますから、それらに対応するのにIOMが関係国の協力を求めつつ移送を依然として続けているという状況でございますので、私どもとしてもIOMの判断のもとで、これからもまだ大規模な輸送というものがこの時点であきらめられていない以上は、体制を整えてこの問題に取り組む姿勢を明らかにしていかなければならない、かように考えているところでございます。
  61. 村山富市

    ○村山(富)委員 私は二つの面を言ったわけです。この特例政令が持っておる目的の情勢がなくなった、こう判断をしたときが一つ、それからもう一つはIOM、関係国から要請があったとき、この両面があるわけですね。この情勢があるかないかという判断は恐らく日本政府がするのでしょう。しかし、要請をするかしないかというのは、これはこっちが判断するのではなくて、向こうの国が判断をするわけですからね。そうでしょう。そうすると、これは要請がある可能性がある間はいつまでも存在するということになるのですか。そこはどうなんですか。
  62. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 「当分の間」というふうに、先ほど指摘がございましたようにこの政令には書いてございます。「当分の間」という法令の書き方というのは、その終期の問題でございますけれども、これは先ほどお話にもございましたが、その対象となる実態がなくなったときにいわば、先ほど官房長官からもお答え申し上げましたように自然消滅する、こういうことでございますので、それが法律的な物の考え方であろうかと思います。  他方、ちょっとお話にも出たかと思いますが、先ほど総理が予算委員会において失効させるというようなことを言われたという御指摘がございました。これはその法律上の問題とは別に政治的な判断の問題として、ある一定の状況において何らかのそういう措置を講ずるということを御答弁申し上げたというふうに我々は理解いたしております。
  63. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、失効させるさせないという判断は、それは政治家の判断も加わるのかもしれませんけれども、しかし、「当分の間」というその当分の間というのは、この特例政令の持っている目的の情勢があるかどうか、なくなったらもうこれは失効するのだということが一つの判断だ。もう一つは、先ほど来議論がありますように、IOMならIOM、国際機関から要請があったとき、こうなっているわけでしょう。だから、情勢があるかないかという判断は日本政府がするかもしれぬけれども、要請があるかないかというのはこっちが勝手に判断するのではなくて、要請をする側の国がやるのでしょう。そうすると、その要請がある可能性のある間はこの特例政令はまだ効力を持っていることになるのですね。そうすると、これはもうちょっと際限がなくなる。自然消滅することはないじゃないですか。そこはどういうふうに解釈されるか。
  64. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 先ほど指摘にもございましたように、この政令は非常に要件を限定いたしておりまして、「湾岸危機に伴い生じたイラク、クウェイト及びこれらの国の周辺の国からの避難民として、」その救済のための活動を行う国際機関からの要請があった場合、こういうことでございます。要請があるかないかはもちろん国際機関からの話でございますが、実態がなくなれば要請も自然になくなるというふうに考えるべきケースだと思います。
  65. 村山富市

    ○村山(富)委員 それはあなた方の勝手な判断だよ。そんなことが通用するかどうかわかりませんよ。  ただ、官房長官、時間がありませんから、最後にあなたにお伺いしたいと思うのだが、仮に要請がもうこれで完全になくなったというふうに判断をされた、また、この特例政令の持つ目的に必要とするような情勢もなくなった、こう判断した場合に、この特例政令は失効するわけですね。失効するという意味は、どうなんですか。この特例政令を閣議決定をして、もう必要ないから廃止するという廃止の政令をつくるのか。例えば法律の場合は、法律が必要でなくなればこの法律を廃止するという法律を出すわけですから、政令もやはりそのような扱いをすべきではないかと私は思うのですけれども、そこらの扱いはどういうことになるのですか。
  66. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 総理も、政治的に判断して、そしてそういう要請がなくなってそういう必要もなくなったら失効させます、こう答弁をしております。それから、政府の責任で、政令はこれで終わりだということを総理が決めますとも言うております。  ということになれば、平和がやってきて、IOMからも国際機関からもその必要はないということが確かめられれば、その時点においてほうっておいたってこれは自然消滅ですけれども、しかし、今総理がそういう発言、政府の責任で政令はこれで終わりだということを決めますと言うことは、これは特例政令を廃止する政令を出すということだ、私はそう思っております。
  67. 村山富市

    ○村山(富)委員 それは、私はその意見に賛成です。やはりけじめをつけなければいかぬですよ。これだけ注目を浴びている特例政令ですから、けじめがつかずにどうなったのかしり切れトンボでさっぱりわからぬ、自然にもう効力がなくなったのだ、こういう解釈ではやはり私はいかぬと思うのですよ。ですから、これはやはり廃止の政令を出して、そして閣議決定して、公示をして国民の前に明らかにするということは必要なことだというように思いますから、ぜひひとつ今官房長官の言われたとおりにしていただきたいということを申し上げておきます。どうぞ、結構ですから。  それで本題に戻らしていただきますけれども、特に私は最近の国際情勢のいろいろな変化の動き、そうした変化の中でソ連のゴルバチョフ大統領が日本に来られるというような問題に関連をして幾つかお尋ねをしてみたいと思うのです。  これは、湾岸戦争が起こるまでは、いろいろな要因はあるにしても、米ソのマルタ会談が行われて以降は、恐らく世界は今までのような冷戦状態から、言うならば対立から協調の世界に入っていくのじゃないか、そして軍拡をやめて軍縮の道をたどっていくというような大きな変化が遂げられるというような状況があって、世界は挙げて安全保障の問題やらあるいは経済の枠組みの問題等々、新しい世界秩序の構築をどうするかというようなことが模索されておったと思うのですね。ところが、たまたまイラクがクウェートに侵攻して湾岸戦争が起こった。こういうような事態があって、若干の混乱が起こってきておる。もう一遍安全保障の問題やらあるいは経済ブロックのつくり方やら等々の見直しをする必要があるのではないかといったような意見もそういう現状を踏まえた上で出てきておるのじゃないかと思うのです。  特にその中で、湾岸戦争に対する取り組みについて、アメリカとソ連とは大変な違いがありましたね。この違いについて、アメリカがソ連に対してどのような評価をしているかということが一つと、それから特にバルト三国のあの民族問題に対する武力の介入等に対するアメリカの厳しい批判なんかも出ていますけれども、そういたしますと、湾岸戦争が起こり、バルト三国に対する武力介入が起こる以前の米ソの関係と起こって以降の米ソの関係というのは若干の変化があるのではないか、またあり得るのではないか、こういうように思うのですが、そういうことにつきましては外務大臣はどういうふうにごらんになっていますか。
  68. 中山太郎

    中山国務大臣 湾岸戦争が起こる前の米ソの関係と起こった後の米ソの関係、これはどう思うかというお尋ねでございますが、私は率直に申し上げて、この国際的な外交上の米ソ関係というものはさほど大きな差異が現在出ているとは思っておりません。引き続き米ソ間の対話も続いておりますし、今回、ベーカー長官が中東を訪問された後、中東地域に対する米ソの意見の差を調整するというような考え方でソ連を訪問されるということも聞いておりますから、私は、米ソ関係というものは引き続き世界の安全、平和のための話し合いのパイプというものはきちっとつながっていると思っております。  また、バルト三国に対するソ連の連邦政府の武力の介入ということについては、アメリカは非常に厳しい批判をいたしておると私は思っております。我々、そういう意味では、バルト三国への今後の連邦政府の対応の仕方についてアメリカがどのような対応をしていくかということについては引き続き注目をしていく必要があろうかと考えております。
  69. 村山富市

    ○村山(富)委員 今、毎日の新聞に報道されておりますけれども、ソ連の現状は政治的にも経済的にも極めて不安定要素が多いのですね。若干混乱も見られる。こういうソ連の実態というのは、アジアはもとより世界全体の大きな不安定要因になっておると言えると思うのです。そういう状況にあるソ連に対して、日本は、これから国交回復の問題等について話し合いがされるわけですが、やはりソ連が安定してくるということは極めて大事なことだと思いますから、そうしたソ連の現状に対して、日本がどのような形の協力やら援助を今後やるのか、やろうと考えておるのか、私は、これは大事なことだと思いますから、お尋ねしておきたいと思います。
  70. 中山太郎

    中山国務大臣 ソ連の国内政治の安定ということは、単にソ連の問題だけではなしに、国際的に大きな影響を与え得る問題であるという認識を持っております。そういう観点からいたしますと、今日の混乱はなぜ起こっているのかと言えば、ペレストロイカが十分その目的を果たしていない、それに対する国民の不満、また一方、その不満のはけ口としてグラスノスチというソ連の国内政策に対する国民の積極的な政治への参加の姿勢、そういうものが今日の政治に対する国民の一つの大きな意見として反映が起こりつつある。また、共和国の各地における独立志向の動き。こういうものを考えますと、ソ連の国内政治というものは容易ならざる状況にあるのではないかと思いますが、日本政府としては、ペレストロイカが正しい方向性を維持しながら進んでいくことを支持しておりますから、ソ連に対しては医薬品等の人道援助はもちろん行っておりますけれども、ペレストロイカを成功させるための日本政府の技術的協力ということは引き続き行っていきたいと考えております。
  71. 村山富市

    ○村山(富)委員 そういうソ連の政治的、経済的に困難な状況等々も反映してだと思いますが、エリツィンですか、共和国最高会議の議長など急進改革派が、おとといの新聞を見ますと百万人ぐらい集めて、そしてゴルバチョフ大統領に対して全面対決を明らかにした、そして具体的な行動に入ろうとしている。  せっかく戦後四十五年の間の不自然な日ソ関係を清算して国交回復の扉が開かれようとしている、また双方の努力で開かれつつある、しかも、国民が戦後一貫して待ち続けてきた北方領土の返還問題も何らかの形で明るい展望も開かれてくるのじゃないか、こういう期待も持っておると思うのですけれども、こうしたソ連の政情、そういう全面対決といったような動きが、今申し上げましたような今後の日ソ関係の課題に対してどういう影響を持つと判断されますか。
  72. 中山太郎

    中山国務大臣 今日のソ連の国内における内政上の問題は、あくまでもソ連の内政的な問題でございまして、我々日本とソ連との間の外交上の懸案処理ということにつきましては、日本政府としては内政にあえてくちばしを入れるというようなことは避けるべきである、このように考えております。
  73. 村山富市

    ○村山(富)委員 くちばしは入れなくても、影響はやはりあるでしょうからね。  そうしますと、これは結論的にお尋ねしたいのですけれども、そういう日ソ関係の置かれておる現状あるいは日ソを取り巻く国際的な状況等々を想定してみて、今度のゴルバチョフ大統領の訪日に対して外務省日本政府としてはどういう対応で臨む考えですか。四島返還の問題についても、例えば日ソ共同宣言を土台にしてまず二島を返してもらって、そして後で二島の問題が起こるのだといったような意見もありますし、いろいろ出ておるわけですけれども、そうした問題と関連をして日本政府としてはどういう方針でおられるわけですか。
  74. 中山太郎

    中山国務大臣 現在のソ連の国内政治というものは、ソ連が民主化をしてきた一つの大きな姿であろうという認識を持っておりまして、私どもは、国内政治はソ連の人たちの手によってみずから民主的に解決がされるべきであろうと思いますが、現在、ゴルバチョフ大統領がソ連の代表者として、指導者としておられる以上、私どもは、今月末のベススメルトヌイフ外相の訪日による外相会談、また来月に予定されるゴルバチョフ大統領の訪日が予定どおり行われることを期待したいと考えております。
  75. 村山富市

    ○村山(富)委員 日本に対するいろいろな意味における期待がだんだん大きくなってきておる、それはやはり日本が力がついてきた証拠ですね。それだけに、日本の与える影響というのは大変大きいと思うのです。今度の湾岸戦争に対する日本政府の対応なんというものは、いろいろ批判の的になっております。ある意味では日本の外交のあり方が問われていると私は思うのですよ。最近のマスコミの社説なんかでも「日本外交に欠けているもの」とか、いろいろな意味で論陣が張られて、意見が出されております。反面考えますと、さっき言いましたように、それだけまた日本政府に対する期待も大きいわけですね。せっかく経験豊富な外務大臣が御苦労されているわけですから、もう少し主体的な立場に立って日本の見解、外交政策が堂々と世界に述べられる、こういったような状況をつくっていく、それを支える在外公館の機能を強化していくというようなことも私は必要だと思うのですが、外務大臣の今後一層の奮闘を期待しておきたいと思います。  そこで、若干問題が小さくなって恐縮なんですけれども、そういう在外公館の機能を強化していく、足元を固めるという意味で二、三お尋ねをしてみたいと思うのですが、在外公館に勤務する職員給与法について、その第九条の二によればこういう項目がありますね。「戦争、事変、内乱等による特別事態が発生している地に所在する在外公館として外務大臣が指定するものに勤務する在外職員」に在勤手当の額の百分の十五に相当する額を加算することとしている、こういう内容のものがありますね。これに関連をしてお尋ねしたいと思うのですけれども、今回の湾岸戦争で指定された地というのはどういうところがあるわけですか。     〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕
  76. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま村山先生読み上げていただいたとおり、この給与法の九条の二によりましていわゆる戦乱地加算という制度が導入されてございます。これは昭和五十一年六月に発足いたしました制度でございます。自来十数件にわたる事例がございますが、今回の湾岸戦争に伴って指定をされた実例につきまして、まず御報告を申し上げたいと思います。  クウェートの大使館につきましては平成二年八月二日から同年十二月十日まででございます。この十二月十日というのは、クウェートの全館員が国外に退避をいたした日の前日でございます。  それからイラクの大使館につきましては、平成二年八月十四日から平成三年一月十四日までの期間を指定いたしました。一月十四日は、その翌日に全館員が退避をした、前の日でございます。それから近隣の公館でございますが、バハレーンの大使館平成三年一月二十一日から同三月二日まで、それからサウジアラビア大使館につきまして一月二十二日から三月二日まで、それからイスラエルにおきます大使館が一月二十三日から三月二日まで、この間を戦乱地指定といたしまして、御案内の戦乱地加算を適用いたした次第でございます。
  77. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは重ねて聞きますけれども、どういう時点をとらえて指定をされるのですか。例えばイラクがクウェートに侵攻した八月二日ですかね、そういう時点をとらえるのか、あるいは実際に交戦が行われている、こういう時点をとらえるのか、その指定をする時点のとらえ方、それは一体どういうことになるのか。  それからもう一つは、これははっきり「戦争、事変、内乱」と書いてありますね。そうしますと、例えば内乱であるかどうかという見方はいろいろあると思いますけれども、タイでもって軍事クーデターがあった、そして若干内乱の様相を呈していた、こういった場合にもやはり対象になるのか。そこらの基準というものが何かあるのですか。
  78. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 どのような事態のもとで適用の発動をするかというお尋ねかと思います。  結論から申し上げますと、これはそれぞれの個別の事例に従って判断していかざるを得ないというのが実情でございます。法の中に特定の基準を設けているというわけではございませんが、いわゆる特別な事態というのは、まさに私どもの通常の勤務の状況から見て特別な事態ということを言っているわけでございます。  具体的に申し上げますと、ただいま私の方から御報告申し上げましたクウェートの大使館、昨年の八月二日から適用になったわけでございます。これはまさしくイラク軍がクウェートを侵攻し全領土を併合してしまった日でございます。その日からまさにクウェートにおきましては通常の勤務ができない極めて混乱の多く生じた日となりました。まさにそういう日から適用をしたわけであります。  それから、先ほど申し上げました事例の中で近隣の諸国で申し上げますと、サウジアラビアの大使館、これは本年の一月二十二日から適用になってございます。これはまさしく地上戦が始まる直前といいますか、地上戦に入ってサウジアラビアに対する攻撃というものが顕著になった、その辺の事情を酌み取って判断をいたしたわけであります。  したがって、全般についてこういう基準でということはなかなか難しい事情にありますことは御理解をいただきたいと思うのでございますが、指定に際しまして私どもとして一つ事例を申し上げれば、例えば外務大臣が在留邦人ないしは館員の家族の引き揚げといったことにつきまして勧告を出すという事態もあるわけでございます。そのような事態に立ち至ったときというのも一つの判断の基準になり得るかなということを私ども考えているわけでございます。  さらに、先生お尋ねのクーデターのような場合がどうだろうかということでございます。過去の例におきまして、いわゆるクーデター、政権転覆という事態が起こって戦乱地指定を行った例もございます。したがいまして、また同じ御答弁になって恐縮でございますが、まさに状況によって判断をしなければならないかと思うわけでございます。  タイの場合、例えばでございますが、これは無血革命というか、そういう混乱の生じない形での政変だったというふうに承知するわけでございます。その際に、先ほど申し上げました在留邦人の引き揚げですとかあるいは私どもの館員の家族の引き揚げですとかいう事態にも至らなかったわけでございます。したがいまして、私ども、タイのケースにつきましてはその指定を行う必要性はなかったもの、かように考えた次第でございます。
  79. 村山富市

    ○村山(富)委員 もうこれ以上申しませんけれども、やはりいつ危険にさらされるかわからないような不測の事態が発生するような要因というものは各所にあるわけですから、そういう事態に備えて安心して業務に携われるようなことも十分判断をして、できるだけ落ちこぼれのないように手だてをしてあげるということが大事ではないか。これは大蔵省、予算関係もあるのでしょうけれども、何といっても外務省が所管する仕事ですから、そういう点は十分これからも配慮されるようにしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それからもう一つは、在外公館に勤務する外務公務員の休暇帰国に関する省令というのがありますね。それによりますと、不健康地その他これに類する地域を外務大臣が指定することになっているわけですね。この不健康地というのは、現在まで指定されている箇所はどれくらいあるのですか、数だけでいいですから。
  80. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま村山先生指摘になりましたとおり、私ども省令によりまして不健康地の公館を指定しているわけでございます。いわゆる不健康地に所在する公館数として百二の公館が指定されております。これは現在百七十四の在外公館が全体でございますから、パーセンテージにいたしますと約五九%程度の在外公館が不健康地に指定されているというのが実情でございます。     〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは、指定する基準みたいなものが何かあるわけですか。
  82. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 どういう基準をもって不健康地とするかというその点は法に特に定めているわけではございません。私ども一般的に申し上げまして、自然の環境あるいは社会環境といったような生活環境の全般が大変厳しいという状況の地域がございます。これは私から一々申し上げる必要はないだろうと思いますが、一般的にあるいは法が予想する常識の範囲の中でこの不健康地ということを念頭に置いているわけであります。  ただ、私ども具体的に物事を考えるに当たりまして、不健康地というのは一体どういう実情であろうかということに思いをいたすわけであります。不健康地にいる館員というのは一体どういうことに不安を感ずるかということでございますが、五つ、六つこの状況がございます。  第一は、まず健康管理の面での不安でございます。これはマラリアを初めといたしましてアメーバ赤痢あるいはハエウジ病といった風土病に常にさらされているという地域がございます。  それから、住居確保に伴う負担というのがございます。これは、すべての地域において私ども日本生活しているように簡単に住居が探し出せるという状況でない地域が結構あるわけでございます。  それから、生活必需品の非常に不足している地域、これは毎日食べます肉であるとか生鮮野菜であるとか、あるいはトイレットペーパーに至るまで、基本的な物資の調達に不安を感じているという実情がございます。  それから第四番目に、現地のインフラの未整備ということがございます。これは停電が頻繁に起こるあるいは長時間にわたる、したがって、電気冷蔵庫等は物として存在していても機能としてなかなか果たさない。あるいは断水が多くて水の質が悪い、したがって細菌による感染の危険が非常に高い。そういう悩みを我々の同僚は現地で持つということになります。  それから第五番目に、治安上の不安ということがございます。これはテロといった極端な不安もございますけれども、毎日の生活の中で強盗あるいは窃盗といったことが一般に行われている地域も残念ながらあるわけであります。  それから六番目に、文化、娯楽施設の欠乏という地域も多々あるわけであります。我々、同僚との生活の中である種の生活を楽しめるという要素は、.御案内のとおり非常に重要な要素だろうと思います。  それから七番目に、子女教育上の悩み。学校教育を十分に与えられる施設がないということから、親子離れ離れになるという状況を多く見ておるわけであります。  それから、行動の制限という、制約のある地域もございます。  ちょっと長くなりましたが、これら非常に多くの不安を感じている地域というのがただいま申し上げました百二の公館に該当するものと私どもは考え、外務大臣の指示のもとでかような体制をしいているということについて御理解を得たいと思います。
  83. 村山富市

    ○村山(富)委員 今挙げられたところで全部網羅されていると思うのですが、話を聞きますと、やはり基礎的な生活部分、特に水やら電気やらそういうものが欠けている地域だってあるわけですね。これは家族も含めて健康上の問題ですから私はやはりゆるがせにすべきではないと思うのです。今後も現状に照らして、住宅はできるだけ整備してあげるとか、休暇をできるだけとれるようにしてやるとか、この趣旨に照らしてめり張りのきいた十分効果の上がるような施策というものを真剣に考えてやってやる必要があると思うのです。これは、少ない職員の数の中でいろいろな仕事を受け持って一生懸命やっているわけですから、そういう基礎的な部分は当然十分な配慮をしてやるべきだと思いますから、この点も特にお願いしておきます。  そこで、話題を変えまして、次に、外国人労働者の問題について若干お尋ねしたいと思うのです。  外国人労働者といって、だれが労働者でだれが労働者でないかという区分はできませんけれども、今不法に滞在していると思われる外国人は、これははっきりした数はわからぬでしょうけれども、どれくらいおるというふうに想定されますか。
  84. 久米邦貞

    ○久米政府委員 これは私どもではなくて法務省の方で推定した数字でございますけれども、昨年の夏入管法を改正いたしましたが、あの前の段階で約十万ほどの不法就労の外国人がいたという推定が出ております。入管法改正と時を合わせましてかなりの数が国外へ出ているということで、現在はあるいはそれよりも減っているのかもしれませんが、いずれにいたしましてもこれは推定値でございますので、はっきりした統計はございません。
  85. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは、例えば法務省やら労働省やら、外務省はもとよりですけれども関係する省庁が大変多いですね。この外国人の受け入れとかその就労問題については関係する省庁が多いでしょう。だから、外務省だけが決めればできるという問題ではなくて、やはり窓口は法務省になっておるのでしょうけれども、そういう関係の省庁がやはり一堂に会して議論をして、この外国人労働者の受け入れ、扱いについてはどうしたら一番いいのかという国としての方針を決めるべきだというふうに僕は思う。そんな話というのはないんですか。
  86. 久米邦貞

    ○久米政府委員 御指摘の点につきましては、御承知かと思いますけれども、二年前に十七省庁の連絡会議というものができまして、それから一昨年の十二月に、同じ十七省庁の大臣から構成されます外国人労働者問題の関係閣僚懇談会というものが官房長官を座長にいたしまして設置されております。
  87. 村山富市

    ○村山(富)委員 やはり外務省は外交上の問題があるでしょうし、法務省は治安上の問題があろうし、労働省はまた同様に問題がある、それぞれ所管によって抱えている問題が違うわけです。違うけれども、やはり総体的に日本政府として外国人労働者の受け入れについてはこうするといったような、基本的な政策といいますか方針というものはあるのですか。
  88. 久米邦貞

    ○久米政府委員 特別な技術、知識を有する外国人については積極的に受け入れを拡大していくということについて政府の方針が出ておりますけれども、単純労働については、社会的、経済的あるいはあらゆる文化面においてもいろいろな広範な影響があるので慎重に検討すべきであるということで、現在鋭意検討を進めているところでございます。
  89. 村山富市

    ○村山(富)委員 慎重に検討すべきであるといって、言っておる間にどんどん入ってきて、そして不法に滞在しておる労働者がふえていく。しかも、その不法に滞在しておる労働者というのは公式のビザを持っておるわけじゃないですからね。したがって、やみで働く。そうすると、よくトラブルが起こったりなんかしたら、もう本人が泣き寝入りするかあるいは何かの事件になるかするようなことがまた起こり得る可能性があるわけです。外務省は特にビザを発給するという入り口のところを担当しているわけですから、したがって、もう少し在外公館日本に入国したいという希望者等については親切に情報を提供してやるとか、入り口でもう少し対応する考えはないのか、そこらはどうなんですか。
  90. 久米邦貞

    ○久米政府委員 日本に不法入国をいたしまして不法に就労するという外国人につきましては、日本に入る段階では合法的に入って、入った後に不法に残留したりあるいは本来行うべきでない活動を行ったりという形で不法就労になるケースが非常に多いわけでございますけれども、それ以外にも、査証の段階で訪日の目的を偽って申請をしたり、あるいはもう当初から偽造旅券を用いて査証の申請をしてくるというケースもかなりございまして、こうしたケースにつきましては、現地の各在外公館におきまして個人面接を行う等非常に複雑な手続を経て、できるだけそういった形での不法な入国というものをスクリーンできるように努力をしておるところでございます。ただ、そのためには事務的にも専門官の養成が必要でございますし、そういった偽造旅券あるいは訪日目的を偽った申請を見抜くだけの非常に訓練された専門的な査証担当官の配置が必要でございますし、またその仕事の量も非常にふえてまいりますので、それに見合った人員の配置というものが非常に重要になってくるわけでございます。
  91. 村山富市

    ○村山(富)委員 例えばフィリピンとかタイとか中国とか、日本に入国を希望している外国人、これはなかなかわからぬでしょうけれども、今、日本に入国している外国人の国で、多い順に五カ国くらいわかりますか。
  92. 久米邦貞

    ○久米政府委員 急な御質問でございますので正確な統計はちょっと持ち合わせておりませんけれども、現在、査証発給件数でまいりますと、平成元年で百六十万の査証を発給しております。実際日本に入ってきた外国人はもう既に二百五十万を突破していると思います。それは査証免除があって、査証なしで入ってくる者もございますので、それを合わせますと二百五十万を突破しておるという状況でございますけれども、査証発給件数ということでございますと、平成元年で百六十万という数字がございます。
  93. 村山富市

    ○村山(富)委員 お話ししてなくて質問して恐縮なんですけれども、そういう外国から入ってきておる、国別に、多い順番でいきますとどういう順番になりますか。
  94. 久米邦貞

    ○久米政府委員 同じく平成元年をとりますと、韓国人が一番多くて、二番目が米国人、三番目が台湾、四番目が英国、五番目がフィリピンという順序になっております。今申し上げたのは新規の入国者数でございます。
  95. 村山富市

    ○村山(富)委員 これもお話をしてなくて突然聞いて恐縮なんですけれども、例えばフィリピンなんかは、在外公館に問い合わせがあったりいろいろ訪ねてきたりなんかする件数というのは大体どのくらいあるものなんでしょうか。わかりますか。日本に入国をしたいと問い合わせがあったり在外公館に訪ねてくる人の数は、例えばフィリピンならフィリピンで一日にどれくらいあるのですか。
  96. 久米邦貞

    ○久米政府委員 大使館に訪ねてきた数というのは把握しておりませんけれども、フィリピンの場合は大体査証を取って日本に入ってくることになっておりますので、査証発給件数で申し上げますと、フィリピンの場合は、平成元年で約七万件の査証を発給しております。
  97. 村山富市

    ○村山(富)委員 今お話を聞いても、これだけ国際化時代になって、そして出入国がある意味では自由化されつつある。しかも、日本はある意味では経済大国ですから、いろいろな意味日本に行きたいと希望を持っておる方がだんだんふえていくと思うのです。  そういう現状にあるときに、これはさっきお話がありましたように専門職の訓練をした職員を配置するとか、そういう状況に対応して職員をふやすとかいうようなことは当然やってもらわなければならぬと私は思うのですよ。なぜかといいますと、やはり入り口のところでもう少し適正にきちっと情報を提供するなりあるいは指導するなり何かして、入ってしまえばわからなくなる可能性があるわけですから、入り口のところでもう少しチェックができるような、しかも友好関係が保持されてトラブルが未然に防止できるような対応の仕方はないのだろうかと私は思うのですよ。これは、一つ職員が足らないからです。聞いてみますと、もう日曜も休みも返上して毎日毎日応対に追われているという現状もあるように聞いております。そういうところでは、やはり親切、丁寧に状況を聞いて判断してということは恐らくできないのじゃないですか。ですから、そういう点はもう少し判断してもらわないと、この外国人労働問題は国際上のトラブルになる、外交上の問題になる可能性もないわけじゃないと私は思いますよ。ですから、そういう意味から申し上げますと極めて大事なことだと思いますから、今申し上げましたように、入り口のところでもう少し親切に情報を提供するなり適正な指導をするなり、できるだけトラブルが未然に防止できるような対応をしっかり考えていく必要があると思うのです。そこらは今どうなっているんですか。
  98. 久米邦貞

    ○久米政府委員 近年、アジア諸国から日本へ流入してまいります外国人の数は非常に急速にふえておりまして、先生指摘のとおり、これらに対応するためには、ただ要員をふやすだけでは対応できない面は確かにございます。したがって、我々といたしましても、要員の増加による体制強化とあわせて、いろいろな制度上の改善あるいは事務のOA化あるいは情報提供も含めてそういった体制自体の総合的な強化策というものをいろいろ研究しているところでございます。
  99. 村山富市

    ○村山(富)委員 いずれにしても、これはこれからますます大きくなっていく大事な課題だと思いますし、ひとつ十分な配慮をして適切に対応できるような措置を十分検討して講じてもらう必要があると思いますから、その点は特にお願いしておきたいと思うのです。  もう時間も参りましたから、最後にお尋ねしたいと思いますが、在外邦人選挙権の付与に関する問題ですね。これは基本的な人権を平等に保障するという意味では大変大事な問題ではないかと思うのです。今、選挙権を付与するという観点から見て対象になると思われる在外邦人の数というのはどのぐらいあると見ていますか。
  100. 久米邦貞

    ○久米政府委員 現在、海外におります長期滞在の邦人の数は約三十万に達しております。
  101. 村山富市

    ○村山(富)委員 五十九年に海外在留邦人選挙権行使について公選法の一部改正案が国会に提出されたのですね。これは残念ながら六十一年の衆議院の解散でもって審議未了、廃案になっているわけです。この間、大分たつわけですが、この問題についてどのような検討をされておるのか。特に外国に在留している邦人に対して選挙権を付与することについて、外務省はどういう見解をお持ちになっているのか、そこらをひとつ明らかにしてください。
  102. 久米邦貞

    ○久米政府委員 基本的な問題といたしましては、選挙権の行使の道を海外の有権者に対しても開くということは非常に重要なことだと認識しております。ただ、このための在外選挙法案というのは、御指摘がございましたとおり、昭和五十九年四月の第百一回国会に提出されましたけれども、実質的審議が行われないままに、二年後の六十一年六月、衆議院解散のために廃案となって現在に至っているわけでございます。  この問題につきましては、各方面からいろいろな御指摘もあったと承知しておりまして、今後も、海外におきます在留邦人の意向も踏まえつつ関係各省庁との間で慎重に検討していきたいと考えております。
  103. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは冒頭に申し上げましたように、基本的人権に関する保障の問題ですから、やはりどこに住んでおろうと日本国民は平等の権利を有するということからすれば当然なことだし、ある意味では大事な問題ではないかと思うのです。これは主として自治省がこの主管をしておるのでしょうけれども、自治省は、この法案が廃案になって以降何か目新しい作業を進め、検討しているわけですか。
  104. 谷合靖夫

    ○谷合説明員 いわゆる在外選挙法案が廃案になった経緯は先ほどのお話のとおりでございますが、国会においては、継続審議になっている間、実質的な審議は行われていなかったわけでございます。ただ、その間におきましても各方面からさまざまな御意見なり問題点指摘があったわけでございます。  例えば、法律案の中では、だれに在外投票を認めるかという点については、いわゆる将来帰国する意思を有する長期滞在者ということになっておったわけでございますが、いや、それならばむしろ永住者も含めるべきではないかというような御意見もございました。また、技術的な面になりますけれども、広くお住まいになっておられる海外の日本人の方々に、いつ選挙が行われるのかあるいは立候補者の氏名とかその政見等をどうやって周知をするのか、そうした点についての御批判というのもあったわけでございます。さらに、在外公館で投票していただくということになっておるわけですが、在外公館から遠く離れたところに住まわれている日本人の方、あるいは在外公館では在外投票を認めないという国もあるというふうに伺っておりますが、そうしたところにお住まいの選挙人の方にむしろそれならば郵便投票というようなものを認めたらどうであろうかというような御意見もあった、そういうさまざまな御意見なり問題点指摘がございましたので、私どもそうした点を踏まえて幅広く研究をさせていただいているという状況でございます。
  105. 村山富市

    ○村山(富)委員 ちなみに聞いておきたいのですが、外国の場合にやっている国もあればやっていない国もある、それは現状はどういうふうになっているか、わかる範囲でいいですから。外国の場合に、外国に在留している人に対して選挙権の付与をしているかしていないか、している国がどれくらいあるか。それは選挙制度が違いますから、よその国でできたからといって必ずしも日本でできるとは限りませんよ。けれども、外国の場合はどういう扱いになっているか、参考までにお聞かせください。
  106. 久米邦貞

    ○久米政府委員 私どもの方で必ずしも全部の国について調べたわけではございませんけれども、西欧の主要国につきまして調査いたしました結果では、少なくともサミット諸国につきましては、イタリアを除いて何らかの形で在外の自国民に対する選挙権を認めているという調査結果を得ております。何らかの形でと申し上げましたのは、郵便投票でしたりあるいは在外公館での投票あるいは代理投票といったいろいろな形がございます。それは国によって違うということでございます。それから、対象になりますのも、あるいは公務員であったりすべての自国民であったり、いろいろ国によってまちまちでございます。
  107. 村山富市

    ○村山(富)委員 さっきの自治省の話を聞きますと、いろいろこういう問題もある、こういう問題もあるというようなことも若干申し述べられましたけれども、しかし、五十九年に法案を提出しているわけでしょう。それは、仮にその法案が成立したら施行されているのですよ。そうでしょう。それはもう成立しないことを前提に出す法案というのはないでしょうから。そうすると、そのときの条件ではできたのに、今検討している課題の中ではどういうところがネックになっておるわけですか。
  108. 谷合靖夫

    ○谷合説明員 実は、例えば周知の問題があったわけでございます。これについては法案提出時については、ある程度その周知の方法が十分でなくてもやむを得ないのではないか、割り切らなければいけないのではないかという形で法案を提出いたしたというふうに考えておりますが、確かに一票二票で当落が逆転をするというようなことを前提にいたしますと、やはりその周知については、その政見なり候補者の氏名等があまねく行き渡るような十分な方法を講じた上で実施をするということがいわば望ましいわけでございますので、そうした点の割り切り方がそれでよかったのかどうかという点がございまして、そういう問題も含めて検討させていただいておるということでございます。
  109. 村山富市

    ○村山(富)委員 いわゆる五十九年の段階では割り切って出したのでしょうからね。これは、万全を期して一つも落ちこぼれがないなんということは不可能なことじゃないかと思います。ですから、今お話があったように、あるところではある程度割り切った形でもってやらざるを得ないのじゃないかと思いますけれども、今あなたが言われたようなことを聞いておりますと、ああ、これはいつまでたってもできないな、こういう気がします。何か目標をつくって作業を進めているわけですか、それはもう全然目標はない、いつ出すかもわからぬというような形で作業を進めておるか、どっちですか。
  110. 谷合靖夫

    ○谷合説明員 事柄の性格上、いつと時限を切って出すというようなお答えは申し上げかねるわけでございますが、外国に住まわれております日本人に選挙権行使の機会を保障するというのは基本的に重要な問題だというふうに私ども認識をしておりますので、御指摘がございましたいろいろな点を関係省庁とも協議の上、さらに検討を重ねていきたい、かように考えております。
  111. 村山富市

    ○村山(富)委員 言う意味はわからぬでもありませんけれども、五十九年に法案を提出をして、そして仮にその法案が成立したら、現在施行されているわけですからね。そうでしょう。ところが、残念ながらそれは審議未了で廃案になった。五十九年からですからもう大分たちますね。だから、いつまでという期限は、これは私も聞こうとは思いませんけれども、しかし本気になってやる意思があるのかないのか、本気になって検討を加え、作業しているのかどうか、これはどうなんですか。
  112. 谷合靖夫

    ○谷合説明員 先ほども申し上げましたように、この選挙権行使の機会を保障するということは極めて重要な課題であるというように私ども認識をしておりますので、そうした面で各省庁とも協議の上さらに検討を重ねていくという考え方で臨んでみたいと存じております。
  113. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは在外邦人に関する問題ですから、恐らく関係省庁といえば自治省と外務省中心だと思いますが、外務省の方は本気でやる気があって自治省と接触しておるのか、これはどうなんですか。それは本気でないとは言わぬでしょうけれども
  114. 久米邦貞

    ○久米政府委員 先ほども申し上げましたとおり、各方面からのいろいろな御指摘も承りつつ、かつ、海外での在留邦人の意向も踏まえて関係省庁との間で慎重に検討していきたいというのがただいまの外務省の考え方でございます。
  115. 村山富市

    ○村山(富)委員 ごく最近の読売新聞をみますと、「海外邦人選挙権 自民、新制度を検討」、これは自民党で検討されていると思いますが、そして自治省との話し合いの中で「同党としては、最も間近の国政選挙となる来年夏に予定される参院選には間に合わせたいとしている。」こういう意気込みで今党の方でも取り組んでいるわけですが、今あなた方の答弁を聞いておりますと、とてもじゃないけれどもそんなことにならぬというように私は判断せざるを得ません。お話を聞きますと、この法案が成立するその附帯決議の中にも入れようという話もあるように聞いておりますし、これまでも附帯決議には再三再四入っておったのではないかというふうに思いますから、そういう意思を尊重して本気になって関係省庁、特に自治省が中心になって積極的に推進をして、必ずいつの日かはできるだけ早い機会に日の目を見るという方向で頑張っていただきたいというふうに思うのです。最後に外務大臣のこの問題に関連をする所見をひとつ聞かせてください。
  116. 中山太郎

    中山国務大臣 大変難しい御質問だと思いますが、私は選挙をやってきた人間という共通の経験から感じますことは、告示から投票までの期間が衆議院の場合は極めて短い、地方議会との選挙の絡みをどうするのか、もちろん国政選挙に限るべき問題であろうと思いますけれども、そうなった場合の公職選挙法の適用をどの範囲まで適用するのかという問題が現実の問題として出てくるだろうと思います。その場合に、投票所あるいは立候補者氏名の告示及び公報の配布といったような具体的な選挙手続を在外公館でどの程度までやれるのかという事務的ないわゆる作業量というものを計算するとともに、その法的ないわゆる執行の権威づけというものは投票に必要でございますから、そこいらの点を関係省庁と十分詰めた上で、この在外邦人に投票権を認めるということの前向きの姿勢をとるべきである、このように考えております。
  117. 村山富市

    ○村山(富)委員 ちょうど時間となりましたからこれで終わります。重大な問題を抱えておる国際情勢の中で大変御苦労も多いと思うのですけれども、一層ひとつ御健闘を御期待します。  どうもありがとうございました。
  118. 近岡理一郎

    近岡委員長 次に、山田英介君。
  119. 山田英介

    ○山田委員 ただいま審議中の在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、この中身といたしまして、改正の第一は、新たに米国のマイアミ及びフランスストラスブール総領事館設置する、改正の二番目は、昨年のドイツ統一に伴う在東独大使館に関する規定の削除など、第三点は、最近における為替相場及び物価水準の変動等を勘案して、既設在外公館に勤務する職員在勤基本手当基準額を全面的に改定をする、そして四月一日から実施をする、こういう改正の中身と承知をいたしております。  そこで、現在審議中の平成三年度の予算案におきまして、在外公館で勤務をされている方々が二千六百四十八人、本省で活躍をされている方々が千七百六十八人、合わせて四千四百十六人という体制かと存じます。このような数字の定員で、激動する国際情勢の中で、果たして西側の、また国際社会の経済大国の一員として十分な外交活動ができるのかどうか。従来から外務省におかれましては五千人の外交実施体制というものを目指して努力をされているわけでございますが、その五千人体制に持っていける年度というのは大体どの辺を目指しておられるのか。  また、さらに世界情勢は激動も予想されるわけでございますけれども、将来ともに五千人体制ということで大丈夫なのか。いろいろ伺いますと、諸外国の外務省職員の定員等と比べますと、その面では我が国の場合見劣りがするという指摘もなされているところでございますが、この点につきまして簡潔に御答弁をいただければと存じます。
  120. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございました外務省の定員の確保状況でございますが、お説のとおり、私ども本年度の予算要求におきまして、昨年度の定員数に加えて、百十名の定員増をお願いをしているわけであります。その結果として、平成三年度末におきましては、ただいま先生指摘になりましたとおり、本省、在外合わせまして四千四百十六名という定員になるわけでございます。  それで、いわゆる五千人計画ということについて言及がございました。私ども変動する国際情勢の中で、情報収集活動、在外邦人保護等々、外交上の事務をやるにつきまして、まず昭和の五十四年度に三千四百名でございました。そういう状況を踏まえますと、これはなかなか厳しい状況だという認識のもとに、諸外国との対比の関係におきまして、五千人といった数字が当面我々事務当局としてねらっていってしかるべき数字であろうか、かように考えて、昭和の五十四年度にいわゆるこの五千人計画を作成をいたしたわけであります。  自来、厳しい財政状況の中にもかかわらず、外務省の定員につきましては着々と伸びてきていることも事実でございます。先ほど申し上げましたとおり、平成三年度の予算におきましては四千数百名の予算をいただくわけであります。私どもとしては、与えられた規模の中で最大限の仕事をしなければならないということはもとよりでございますが、これらの数字を踏まえつつ、また激動する国際情勢の中で外交に遺漏なきを期するという気持ちを持ちながら、一層の努力をいたしたいというふうに考えております。  どの辺をめどにこの計画を達成できるのかというお尋ねでございました。これはなかなかいつまでにということを申し上げにくいのが実情だと思います。私どもとしては、現在与えられている定員の中で、まずは我々外務省員の訓練度を高め、あるいは事務の合理化等を図りながら、与えられた定員の中で最大限の仕事ができるということを目指したいと思いますが、そういう状況ではあったとしても、国際情勢の変転というのは余りにも急激だということは認めざるを得ません。したがいまして、昭和の五十四年度に計画をいたしましたけれども、なお一層努力をし、我々の計画達成のために御支援お願いしたい、かように考えるわけであります。
  121. 山田英介

    ○山田委員 先ほど触れましたこの法律改正の主要な三点につきましては、リーズナブルな中身であろう、私はこのように考えております。  そこで、自衛隊機の派遣につきまして先ほど村山委員からも質問がなされましたが、及び政府専用機の管理運航等につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、改めて簡潔にお願いしたいのですが、今回特例政令をつくりまして、湾岸危機に伴う避難民で、国連の移送等の任務を目的とする機関から要請があった場合に自衛隊機を派遣することができる、使用させることができるようにされたわけでございますが、このねらいは端的に言ってどういうことなんでしょうか。民間機だけではなく、自衛隊機も派遣をしなければとした理由につき、確認でございますが、一言お答えいただきたいと思います。
  122. 日吉章

    ○日吉政府委員 お答え申し上げます。  この措置は、防衛庁といたしましては政府の機関、この場合には外務省になろうかと思いますが、依頼を受けまして、私たちの自衛隊機によりまして避難民の輸送をするということでございますが、依頼を受けます私たちとしまして理解をいたしているところによりますと、まさに人道的な見地から避難民を輸送する、その場合に、民間機等では十分に対応できない状況にありましてなお我が国の自衛隊機であるならばそれに対応できるというような場合には、まさに非軍事的、人道的な立場から我が国の今次紛争に伴いますいろいろなトラブルに対しまして対処する方策としまして自衛隊機による輸送を行う、こういうふうな措置が決められたと、私たち依頼を受けます防衛庁といたしましては理解をしているところでございます。
  123. 山田英介

    ○山田委員 民間機では十分に対応できないところ、したがいまして今日までの国会の審議等を通しまして言われておりますことは、例えばアンマンからカイロまでの航空路、これは民間機に任務を負わせるには危険ではないか、そういう危険なルートというものについて自衛隊機を活用しよう、運航しよう、そういうねらいがあった、このように理解してよろしゅうございますか。
  124. 日吉章

    ○日吉政府委員 私たちの理解といたしましては、ただいま委員の方から御指摘ございましたように、危険な空域におきまして民間機にその使命を負わせるのは適当でないというような場合も含まれるでしょうし、また危険、危険でないという範疇外の問題といたしまして、民間航空会社はやはり営利企業として経営を行っておりますので、そういう観点から民間企業に期待を抱くことは難しいというような場合にも対応することが期待されているのではないか、かように考えている次第でございます。
  125. 山田英介

    ○山田委員 それでは伺いますが、今官房長官お認めになられましたように、一つには危険ルートを民間機に担当させるわけにはいかないだろう。危険なルートはしたがって自衛隊機がふさわしいということであれば、イラクと多国籍軍が戦闘をしている期間中でありましても、例えば言われておりましたアンマン─カイロ間などの航路は民間機で十分移送できる状況であったわけでございます。現在は停戦が実現をいたしております。したがいまして、危険なルートは基本的になくなったのだろうと私は思いますし、また、ルートの危険性は極めて小さくなったのではないか。要するにその戦闘行動が停止された現在におきましては、それは危険ルートというのは基本的にないのだろうと思いますし、ルートの危険性というのは極めて小さくなったということは言えると思います。  したがいまして、IOMからの軍用機の要請は、我が国の自衛隊機による移送を要請するという可能性はほとんどなくなったのではないか、このように思います。従来からの政府答弁を見てまいりますと、「当分の間」、それはIOMから要請があるまでです、そしてもう少し具体的に、その後、総合的に状況を判断してこの特例政令は無効であると閣議等で宣言をする、また、先ほどの官房長官の御答弁でございますと、特例政令を廃止するための政令を決める、こういうことでございますが、そういう意味で停戦という局面が大きく変化したわけでございます。危険ルートはなくなった、あるいはルートの危険性は極めて小さくなったという状況を踏まえまして、IOMからの要請もその可能性はほとんどないであろうという点から、私は、もうそろそろこの特例政令の失効を宣言してよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  126. 日吉章

    ○日吉政府委員 依頼を受けます防衛庁の方から御答弁を申し上げますことが必ずしも適当かどうかという点がございますが、私の方から御答弁を申し上げたいと思います。  「当分の間」というように政令に書きましたのは、そもそも明確な確定期限を切ることができないという状況がございます関係上、「当分の間」というようにしたわけでございます。ただいま委員指摘のように、戦闘状態も終結いたしましたので、そういう観点からは、従来に比べますとこの自衛隊機による輸送の必要性が薄らいできているのは事実であろうかと思いますが、ただ避難民といいますものは、必ずしも戦闘状態が終結しますと直ちに避難民の輸送需要がなくなるということではないのではないかというふうに思いますので、そういう点でなおしばらく様子を見る必要があるのではないだろうか。全くその必要とされる場合がなくなったと言い得る状態ではないのではないだろうか。かように思います。  いずれにいたしましても、この政令の書き方から御判断をちょうだいしたいわけでございますけれども、この政令適用の事象がなくなりますれば実効的な効力を喪失するというような書き方になっておりますので、その点は御賢察を賜りたい、かように考えております。
  127. 山田英介

    ○山田委員 自衛隊機を使用する可能性は停戦という局面を迎えて大変少なくなってきた。ただしかし、今後まだどういう展開になるかわからないから、もう少し様子を見たい。少なくとも停戦という事態を迎えまして、自衛隊機を派遣して移送の任に当たらせるという可能性は小さくなったという御認識は明確に持たれているようでございます。  一つは、今申し上げましたその実態面、いま一つは特例政令そのものから見ても、要するに湾岸危機に伴い生じた避難民、こうなっているわけです。その湾岸危機というのはまさに特定されておりまして、「イラクのクウェイトに対する侵攻及び占領以降国際連合安全保証理事決議第六百七十八号に基づく国際連合加盟国のイラクに対する武力行使に至る一連の事態及びこれに引き続く重大緊急事態をいう。」したがいまして、特定されているわけです。昨年の八月二日から、要するに日本時間では一月の十七日、多国籍軍の武力行使が具体的に始まった。そして「これに引き続く重大緊急事態」ですから、「重大緊急事態」というのは、これを素直に読めば終わっているわけです。過ぎているわけです。要するに地上戦もクリアして、そして国連安保理決議十二本をイラクが受け入れて、その他の軍事停戦、両軍の司令官同士の人質の解放とか地雷、機雷を設置した場所を示せとか、そういうことも全部合意ができて、そして現在停戦、こういう形になっているわけですね。この特例政令の条文を素直に読めば、「重大緊急事態」というのはもう過ぎた、こう判断せざるを得ないわけです。ですから、特例政令のこの避難民発生、何によって発生したかという特定された事態がもうそのポイントを過ぎたわけですから、実態面から見てそしてまたこの特例政令の条文そのものから見て、私は特例政令についてはもう失効の宣言をするべきである、かように思うわけでございます。この「重大緊急事態」のポイントが過ぎたという点については官房長、いかがでざいますか。
  128. 日吉章

    ○日吉政府委員 「重大緊急事態」が過ぎたかどうかという判断につきましては、私はそれを判断する立場にございませんので答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、この政令によりますと、「湾岸危機に伴い生じた」避難民の「本国への輸送」となってございます。したがいまして、この「に伴い」という文言をどのように解釈するかでございますが、私は、湾岸危機に起因するという相当因果関係、合理的妥当性があるならば、武力衝突そのものは既に終わっておりましても、その間に相当因果関係があれば、これは政令の適用対象になるのではないかと考えておりますが、この点につきましては、政府全体で公正な判断をする必要があろうかと考えております。
  129. 山田英介

    ○山田委員 外務大臣にお伺いしたいのですが、ただいまるる申し上げました実態面の大きな変化、それから特例政令の規定に基づく事態の大きな変化というものを踏まえまして、私は特例政令の失効を、繰り返すようでございますが、もうそろそろなさるべきではないのか、このように存じます。  そこで大臣にお伺いをしたいことは、この特例政令の失効を宣言する時期、比較的早い時期に宣言されるというお見通しをお持ちでしょうか、それとも、まだかなり後になるというお見通しでございましょうか。それは外務大臣としてこの地域の将来的な情勢等も一番分析、見通しがきくお立場にあると存じておりますので、この特例政令失効の時期につきまして比較的早い時期なのか、あるいはまだかなり先のことなのか、ひとつ率直なお考えをお示しいただければと存じます。
  130. 丹波實

    ○丹波政府委員 大臣が答えられる前に、今の先生の御質問の点は、避難民を扱う国際機関が現在及び近い将来の状態をどう見ているかということと密接に関係あるものですから、その点をちょっとご説明申し上げたいと思います。  実は、ある意味では先生が持っておられる問題意識を私たちも持っておりまして、ごく最近IOM及びUNDROの二つの国際機関に対しまして、避難民の流出の見込みにつき、かつ、彼らの今後の体制について、意見を問い合わせたわけです。ごく最近のことですが、このようなことを言っておりますので、御参考までに。  まずIOM側ですが、今後の避難民流出の見込みについては不透明である。IOMとしては依然大量の避難民の流出に備えスタンドバイしている状況にある。ただし、現在のところ、イラクよりの難民の流出は顕著なものがあるが、避難民については数は限られている。しかしながら、我々は、先ほど申し述べたように、まだ依然としてスタンドバイしている。またIOMは今後のニーズを探るため、イラク、クウェートの両国に近くミッションを派遣することを検討しているということを言っております。  それからUNDROの側ですが、先方は、当面のところ大量流出があるとすればイラク人の難民が中心であり、第三国人はほとんど流出をしないのではないかと思っているけれども、しかしながら、確たる予想を行うことは今のところ困難だということでございますので、近い将来すっきりしたピクチャーが出てくるかというと、そこはこの二つの専門機関が言っておりますとおり判断がなかなか難しいところではないかというふうに考えます。
  131. 中山太郎

    中山国務大臣 今国連局長がお答えいたしましたが、外務大臣としては、これらの国際機関から定期的に情報を公式にとりまして、その状況国会等にもお話をする機会もあろうかと思いますから、その情報に基づいてもう必要がないという判断をいたしたときは外務大臣としての措置をいたしたい、このように考えております。
  132. 山田英介

    ○山田委員 それでは、今の大臣の御答弁でございますが、IOMの要請があるまでという一つの終期のとらえ方、そういう答弁があるわけですね。ですから、大臣おっしゃるように、IOMに対して、事態の推移はどうなのか、今後の見通しについて、要するに我が国に自衛隊機を特定しての要請というのは可能性としてあるのか、これはまさに現段階から確認をされてしかるべき事態の大きな変化である、私はこう認識します。したがいまして、それでは日本国政府として、IOMに対して今日まで、要するに停戦後今日までという意味になるわけでございますが、要請の可能性はどうなんですか。停戦になりましたよという経緯はあったのですか。もしなかったとすれば、本日よりできるだけ早い機会に、まず第一段としてどうなんですかという日本政府としての照会、これが必要であると思います。  今の国連局長の御答弁でございますが、それも踏まえて、例えば内戦のような状態がこれからずっと続いていく、イラク人の難民がふえるだろう、しかし現在はまだ少ない、イラク人以外の外国人の難民は様子を見ないとわからない、こういうわけですね。ただ、戦闘行動、戦闘行為が行われている期間中であっても、実際問題としては出なかったわけですね。百万人とか二百万人とか言われていましたけれども、その数字からすれば極めてわずかな数しか出なかった。その時点では、多分本格的に地上戦が始まっていないから出ないのだろう、始まったらもっとたくさん出るのではないかという予測を外務省もされておられた。しかし、現実問題として、地上戦は予想に反してというか、結構なことですが、極めて早期に解決された。しかし、現在はまだ停戦が成立しているということですから、まさにそこに見通しとか分析力とかというものが機能するわけでございまして、先のことはだれにもわからないから、まだ様子を見ますということでは通らないと思うのです。その冒頭の部分、ちょっと御答弁いただきたいのです。
  133. 丹波實

    ○丹波政府委員 一月の戦闘が始まったならば約四十万人の避難民が流出するのではないかというのは、外務省の推定ではございませんで、実は関係の国際機関の推定だったわけですが、結果的には約一割ぐらいの流出にとどまったというのが現状かと思います。  今後の問題につきましては、私の先ほど紹介申し上げた中に、IOMは今後のニーズを探るため、イラク、クウェート両国にミッションを派遣することを検討中というところがございましたけれども、私たちとしてはIOMがもしこのようなミッションを送るのであれば、彼らがそういうミッションとして行って帰ってきて一つの今後の見通しとしての結論を出すというのが一つの目安かなというふうに考えております。
  134. 山田英介

    ○山田委員 そうしますと、御答弁の趣旨からいきまして、あるいは積み上げからいきまして、時期の問題がくるわけです、近くミッションを出すというわけですから。要するにそのミッションが調査した結果を参考にして、有力なそれを参考にして判断しますということですから、比較的早い時期に特例政令の失効を宣言する事態がやってくるというふうに私は考えざるを得ないわけですが、大臣、そこのところを少し具体的におっしゃっていただけませんか。
  135. 中山太郎

    中山国務大臣 IOMがミッションを出す、ミッションが帰ってきて、そのミッションがIOMに報告を出したという時点において政府はIOMに、いわゆる報告の結果、どのような報告がなされたかということを確認いたし、その確認に基づいて政府としては対応いたさなければならないと考えております。
  136. 山田英介

    ○山田委員 政府専用機の管理運用につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。  まず、総理府になろうかと思いますが、六十二年、政府専用機を購入すると決めたわけでございます。しかも発注しておられるわけですけれども、この使用目的を端的にお答えをいただきたいと思います。
  137. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  今先生おっしゃいましたように、六十二年の夏だったかと思いますが、政府専用機、ボーイング社の747─400という最新鋭機なわけでございますが、その購入を決めまして、現在購入手続をやっている最中でございますけれども、その使用目的につきましては、六十二年六月の政府専用機検討委員会というところで要務として三つ決めてございます。一つは総理大臣等の輸送、二つ目は緊急時における在外邦人救出のための輸送、三つ目は海外の災害地域に対する救援物資の緊急輸送等ということで目的を決めてございます。
  138. 山田英介

    ○山田委員 今、緊急事態におる在外邦人の救出も入っていましたか。
  139. 荒田建

    ○荒田政府委員 はい。
  140. 山田英介

    ○山田委員 それで、実際には六十二年十二月に二機とも米国ボーイング社に発注をし、本年の八月にまず第一号機を米国内において受領する、二号機は本年十月に米国内において引き渡しを受ける、本年十一月に日本へこの一号機、二号機のジャンボ機を持ってくる、こういうことでございます。その時期は極めて切迫をしておる、そこまで来ておるわけですね。実際どこが管理運航を担当するかということについては決まっていない、現在総理府の中にこの検討委員会設置をされて、そして結論を出すべく検討しておる、こういう状況だと思います。  それでは、米国内でこのジャンボ機の一、二号機を受領する方はどういう方でありますか。それから、受領して日本へ操縦して持ってくる方はどういう方になるのでしょうか。
  141. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  政府専用機、先生今お話しのようにことしの八月に一号機、十月に二号機という形で引き渡しが行われ、その後所要の訓練を経まして、今のところ十一月には日本に持ってこよう、こういう形で考えております。  そこで、だれが受領するかというお話でございますが、この専用機は総理府においてこれを購入し、平成三年度中は総理府においてこの管理を行っていこうということで考えておりまして、当然私どもの方で受領に参るということになります。  それから、だれが操縦してくるのか、恐らくこういうお話であろうかと思いますが、その点につきましてはまだこれから先の話でありますから、具体的にはまだ決めているわけではございません。その段階になりましてそれに必要な態勢をとるといいますか、必要な要員を派遣してこちらに持ってくるという形になりますが、具体的にだれといいますか、あるいはどういう身分の者といいますか、そういった者で運ぶかはまだこれからでございます。
  142. 山田英介

    ○山田委員 事実関係をちょっと確認をさせていただきますが、私の知り得る範囲では、現在国内においてこのジャンボ機を操縦するための訓練をほぼ一年ほど前から受けているグループがありまして、確かに今の御答弁では総理府の身分で発注し、また引き取るんだというふうにおっしゃいますけれども、それは自衛隊から約四十人ほどの自衛官が総理府に出向いて、これは併任あるいは兼任いずれの言い方もあろうかと思いますが、自衛官の身分が一方にあり、同時に総理府の職員という身分があって、そして今、国内で既に一年ほどこのジャンボ機についての操縦を含めたもろもろの勉強を行っている、その数おおよそ四十人のクルー。そして、総理府が受領すると言うけれども、それは総理府の職員の肩書きが一方にあるわけですからそのとおりだと思うのですが、もっと厳密に言えば、はっきり事実に即して言えば、自衛官たる身分を兼ね備えた総理府の職員が受領し、そしてそのクルーが日本へ操縦して持ってくる、間違いありませんか。
  143. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  防衛庁の方にお願いいたしまして、自衛官につきまして総理府の職員に職を兼ねていただきまして、一年ほど前から四十名の、この兼ねた時点はいろいろございますけれども、必要な資格あるいは技能、こういったものを得るための研修を現在やっていることは先生おっしゃるとおりでございます。  そこで、ここから先は先ほど申し上げましたように十一月段階、あくまで予定でございますけれども、その訓練といいますか、今研修を受けさせている人間がそちらに受領に行って持ってくるというようなことで、常識的にはそのとおりだろうと想定されますが、いずれにしましてもまだ時間がございますので、これからその辺の細かい話は詰めていきたいということに考えておりまして、現在研修、勉強している人間が必ずそういう形で行くということまではまだ決めておりません。常識的にはそういうことになろうかと思いますが……。
  144. 山田英介

    ○山田委員 日吉官房長にお伺いいたしますが、平成三年度では総理府が予算を組んで、政府専用機が来た場合にその経費はちゃんと対応します、こうなっているわけですね。その意味で、防衛庁から併任、兼任、そういう立場に現在あるおよそ四十人のクルーというのは、特段に否定も反論もされていませんからそれは事実ですね。そうすると、確かにどこで最終的に管理運航するかが決まるかどうかわからないのに、四十人からの自衛官を総理府にわざわざ出してということになりますと、それは直接的な運用経費は防衛庁負担ではありませんが、しかし現実に四十人の自衛官が政府専用機の関連で抜けるわけですから、その四十人の方々が従事していた職務というものは他の自衛官に転嫁される、補わせざるを得ないということになると、防衛庁としてもいろいろな意味があるから、所掌事務遂行に支障のない範囲で四十人を出しているわけですね。防衛庁としてはどういうメリットがあるのですか、四十人出すというのは。  お答えいただく前に、こういう理解でいいかどうかを確認させていただきますが、今そういうジャンボ機のような物すごい大きな機体のものは、防衛庁としては操縦できるパイロットがいないわけですね。私の推測では、四十名をわざわざ総理府に併任、兼任の形で出して勉強させているということは、恐らく、将来自衛隊も大きな飛行機を操縦できるマンパワーとノーハウを確保したい、またこれを機会に確保できるのだ、そこに実は防衛庁なりのメリットというものがあって協力をしておられる。いろいろ理由はあると思いますよ。でも、そこのところは官房長、いかがですか。
  145. 日吉章

    ○日吉政府委員 私どもが総理府の方からの要請を受けまして私ども職員を兼務という形で総理府に派遣いたしておりますのは、政府専用機あるいはそれに類した大型の航空機を防衛庁が将来運航することあり得べしという前提で協力をいたしているというものではございません。これは総理府としましては、我が日本国政府の中でこれに類した技能を有するものとしては、国家の機関としては防衛庁をおいてほかにないというような意味で防衛庁の方に御依頼があったものと、かように受けとめております。  それから、防衛庁といたしましても、この要請に対応いたしましたといいますかこたえましたゆえんのものといたしましては、自衛隊のパイロットあるいは航空機の整備士等の任務から考えまして、ジャンボ機というような大型機と自衛隊機というような航空機の違いはございますけれども、大きくは航空機の操縦、整備等に関連するものでございまして、こういうような形で幅広くいろいろな技術を習得することは決して不適当なことではない、何らかの形で自衛隊機そのものの運用整備等にも寄与するところがあるのではないか、そういう観点から御要請に対応してもいいのではないかということと、もう一つは、当面協力いたしておりますのは、公資格取得のための受講とか受験というようなことに限られておりますので、本務を遂行する必要がありました場合には直ちに自衛隊の本務の方に復帰し得るような態勢がとり得る、こういうような観点から御協力を申し上げている次第でございます。
  146. 山田英介

    ○山田委員 常識的に考えて、現在国内で約一年、この一号機、二号機の操縦等に関して訓練を受けている。それは間違いなく自衛官と総理府職員の身分をあわせ持つ形で訓練を受けている。それで受領に行く、操縦して帰ってくる。それは自衛官たるパイロットといえども、C130輸送機とジャンボ機というのはそんな簡単に、C130が操縦できるからこっちもできるというものじゃないわけですから、それはある期間、高密度のしっかりとした内容の訓練を受けなければならないことはもう間違いありません。確かにまだ決めてない。その時点になって、引き取りに行く、日本に操縦して持ってくる段階になって、では出向、一時自衛官の身分を外すというふうに切りかえることもあり得るのかもしれない。けれども、今の官房長の御答弁から見て、それはいかがかなと思います。それで、要するに常識的には今の訓練を受けている四十名ほどのクルーが受領に行って、向こうで訓練をまたやって、それで十一月ごろ持ってくる、こういうことですね。よろしいですか、それで。─いいです、そう理解しておきますから。常識的に考えてそうですから。  それで、時間が参りましたので外務大臣から御答弁いただきたいのですが、今国連平和維持活動に協力する我が国の新しい国際貢献の組織づくりというものが、平和協力法案が廃案になりましたその後を受けて、現在またどういう新組織づくりにするかという点が大きく浮上してきているわけでございます。そこで、今議論させていただいております政府専用機をこの新しい組織に管理運用させるお考えはありますか。また可能性としてそれはあるのじゃないかと思いますけれども、その点につきましてはいかがでしょうか。  といいますのは、今検討委員会を総理府のもとに設置されて検討されているのですが、そこは外務省、運輸省、防衛庁それから総理府の四者から成っている検討委員会なんですね。ということは、何でもかんでも四つの省庁を集めてきたということじゃ当然ないわけで、結局いずれかが管理運航しなければならないという意味があって、その四省庁が今検討委員会で検討しているということですが、外務省もその中に入っているわけです。しかもPKOに対する協力、難民救済、人道分野、災害救助等も含めた新しい国際貢献の組織づくりということが今焦点となって、どういう形になりますか、今後の問題ではありますが、それができ上がる時期、それから今申し上げました目的、政府専用機と新しい組織の目的がかなり重なってくる。つくり上げられる時期、それからできばえといいますか、中身にもよりますけれども、この新しい組織に政府専用機の管理運航をお願いする、任せるという可能性は排除できませんね。そういうお考えはございますか。
  147. 中山太郎

    中山国務大臣 現在、自民、公明、民社の三党間の御協議をいただいている最中でございますが、政府におきましても内閣官房が中心になっていろいろと検討いたしております。なお、政府専用機を今後どのような組織が管理運用するかということにつきましては、まさに今検討委員会で御議論をいただいている最中でございますので、この検討委員会の結果を待ちまして政府としても方針を決定いたしたい、このように考えております。
  148. 山田英介

    ○山田委員 大臣、そうじゃなくて、それは予算委員会とかいろいろ伺っています。しかし、現実に検討委員会がありましてそこで検討しているわけですから、私が今お伺いしたかったのは、新しい組織ができた場合、そしてその任務とか目的等が整合性があるということであれば、この新しい組織に政府専用機を任せる、管理運航を任せるということもあり得ますね、それは初めから排除できるものじゃないですね、それも含めて検討しているんですねということを今お伺いしているわけです。
  149. 中山太郎

    中山国務大臣 まさしく委員お尋ねの点は、三党間で御協議をいただく中で、その結論というものは政府との間でまた御協議いただいて決まるものだ、このように考えております。今、これが排除できるかできないかというところまで私の立場で言及するのはまだ差し控えさせていただきたいと思っています。
  150. 山田英介

    ○山田委員 時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。
  151. 近岡理一郎

  152. 三浦久

    三浦委員 外務大臣にお尋ねをいたします。  昨日、自民党の加藤政調会長が記者会見をいたしました。そして、PKOについての三党合意、これによる新しい組織づくりの問題について触れまして、この新組織は平和維持軍の、平和維持軍というのは国連の平和維持軍ですが、この兵力引き離しなど最前線業務まで参加できるとの見解を示したと報道されております。しかし、平和維持軍は、各国から派遣された軍隊の部隊が現地の軍司令官の指揮のもとに活動する軍事的組織であります。また、その軍事的なプレゼンスによって停戦違反を抑制する役割を果たすものであります。そしてまた、自衛のための武力行使も認められております。このような組織に日本参加をすることは憲法上認められないと私は考えますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  153. 丹波實

    ○丹波政府委員 昨日の自民党加藤政調会長の御発言につきましては、私たちも新聞報道で承知しているだけでございますので、加藤政調会長が現実にどのような御発言をされ、背後にどのようなお考えがあるのかは私たちは承知をしておりません。ただ、自衛隊の、いわゆる括弧づきの「国連軍」、まあ国連平和維持軍でも結構でございますが、それの本体への参加ということをもし意味しておられるのでございましたら、これは従来から申し上げておりますとおり、平和維持軍の参加の態様を見なければ判断ができない。そういう意味で、御承知のとおり昭和五十五年の政府答弁書の中の「いわゆる「国連軍」は、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」という考え方は今でもそのとおりでございまして、これを具体的な参加の場合にどう考えるかというのは、別の問題と考えます。
  154. 中山太郎

    中山国務大臣 ただいま国連局長が申し上げましたように、私自身も加藤政調会長から直接その真意を伺っておりませんので、ここでその新聞報道等について論評することは差し控えさしていただきたいと思います。
  155. 三浦久

    三浦委員 監視団と平和維持軍が若干重なり合う部分がある、そういう点はあると思うのです。しかし、政府の見解によっても、またこの前の国連平和協力の特別委員会における法制局長官の答弁を見ましても、平和維持軍というのは主として停戦の監視、戦闘再発の防止、兵力引き離し、国内治安の回復、維持を任務としている、ですから国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない、それで、それは何も自衛隊だけに限定されるものではない、こういうことははっきり答弁されているわけですね。工藤長官は昨年の特別委員会で、平和維持軍的なものに対しては参加することが困難な場合が多いのではなかろうかということまで言われているわけであります。ですから、国連の平和維持軍にいわゆる三党合意による新しい組織が参加をする、このことは現在の憲法上許されるべきことではないと私は思いますが、そういう理解でよろしいですか。
  156. 丹波實

    ○丹波政府委員 私どもは、平和維持軍であるから不可能あるいは困難、平和維持軍でないから可能であるという、平和維持軍という名前によって物を考えるということではございません。私、手元に、これは国連本部が発行いたしました「ブルーヘルメット」という本を持っております。国連が出した本でございますのである意味で最も権威があると思いますけれども、一昨年の十一月にナミビアに日本政府が選挙監視団として二十数名の者を派遣したことは御承知のとおりでございますが、ナミビアのUNTAG、あのときの国連の活動は、実は平和維持軍でございました。これはそういうふうに仕分けされております。その平和維持軍の中にミリタリーコンポーネント、軍の部門、それからシビリアンコンポーネント、文民の部門がありまして、日本参加したのはこの文民の部門でございます。したがいまして、この平和維持軍の中にもいろいろな活動がございますので、その活動の中身、任務を見て判断していかなければならないというふうに考えております。
  157. 三浦久

    三浦委員 そういうことはわかっていますよ。昨日の加藤六月政調会長の言っていることは、最前線の業務にまで参加できる、こういうことを言っているのですよ。そうすると、平和維持軍というのは主として武力の行使を目的としているわけでしょう。そうしたらそれに参加できないというのは素直な憲法解釈じゃありませんか。何をそんなにこだわる必要があるのですか。  報道によりますと、政府はさまざまな貢献策を検討しておるようでありますけれども、平和維持軍や停戦監視団には直接参加しないで後方支援を行うことも考えているようであります。そもそもこの平和維持軍の後方支援というのはどういうことを想定されておられるのですか。さっきもちょろっと出たようですけれどもね。
  158. 丹波實

    ○丹波政府委員 当院でもたびたび御説明申し上げておりますとおり、この問題は、現在、内閣官房が中心になりまして検討しておるわけでございます。かつ、先般、党とも話し合いが行われたわけでございますけれども、一体平和維持活動のどの分野にどのような形で参加をするのかということ自体が現在検討の対象になってございますので、一定の分野を取り上げて参加する、しないという前提で御議論を私の方から申し上げるのは遠慮させていただきたいというふうに考えますので、よろしくお願いをいたします。
  159. 三浦久

    三浦委員 後方支援活動というのはどういうことをお考えになっていらっしゃいますか。
  160. 丹波實

    ○丹波政府委員 再度のお尋ねでございますので、日本政府として、今後のPKOの活動分野としての御説明ではなく、例えば昨年の九月に、事務総長自身が今後の「国連平和維持活動における文民の活用」という報告を出しております。その中で、国連事務総長が考えております、いわゆる後方という言葉が適当なのか、ここでは「ロジスティクス、技術的職務及び供給支援職務」と呼んでおるようでございますが、例えば医療、空輸、内陸輸送、基幹施設の建設、駐留地の運営・維持、その他その他が載ってございます。
  161. 三浦久

    三浦委員 この「ブルーヘルメット」、これによりますと、後方支援、いわゆる補給、輸送、通信、いろいろな活動がありますけれども、これは従来から軍事部門の活動であり、軍隊である兵たん部隊が担ってきたのじゃないですか。だから、こういう後方支援参加すること自体もやはり憲法上許されないのではないですか。
  162. 丹波實

    ○丹波政府委員 この昨年九月の総長報告は、まさに今後の文民活用の分野として、研究課題として挙げておるわけでございますので、現在の段階で一定の判断のもとに、これは軍との関係があるからできる、できないという判断を下すのはちょっと早いのではないかというふうに考えます。
  163. 三浦久

    三浦委員 そうすると、兵たん活動は、軍隊がやる場合もあれば、また、文民がやる場合もある、そういうことですね。しかし、いずれにしても、後方支援活動は平和維持軍の軍司令官の指揮下に入るものではないのですか、どうですか。
  164. 丹波實

    ○丹波政府委員 私が今後の研究課題というふうなことを申し上げましたのは、まさにこの問題が今後どのような態様で行われるかということも含めて国連で研究しようということになっておるわけでございまして、先ほど挙げた医療その他の分野の一番上の表現は「軍人でも文民でも実行しうる任務は以下のとおり。」として挙がっておるわけでございますので、必ずしも軍人の下についてこのような任務が行われるということにはなっておらないわけでございまして、いずれにしてもその点も含めて国連が今後研究しようということになっておるわけでございます。
  165. 三浦久

    三浦委員 あなたが持っていらっしゃる「ブルーヘルメット」は第二版だと思うのです。そこにどういうことが書いてあるかといいますと、「現場の指揮」の項について次のように記されています。「司令官は事務総長にたいして責任を負う。司令官は懲戒の問題をのぞくすべての活動にたいして、全面的な指揮をおこなう。」司令官は「指揮系統をつうじて、任命されたすべての派遣軍と部隊の配置と移動をふくむこの活動のすべての構成員にたいして全面的な権限をもっている。」こういうように書かれております。そうして、この「ブルーヘルメット」の後ろの方ですけれども、「平和維持軍指揮系統図」というのがあります。この中には「兵站部門」というのがあります。また「兵站部隊」というのもあります。ですから、これら兵站部門の活動する文民もまた兵站部隊が行う後方支援活動もすべて軍司令官の指揮下に入る、そういうことになっているのです。  柳井政府委員もおられますけれども、あなたは昨年十一月五日の国連の特別委員会でこうおっしゃっておられます。「各国から派遣されました要員、部隊は、この司令官の指揮下で行動を行うこととなるのが通例だというふうに言えると思います。」「現地司令官の指揮というものでございますが、これは各国要員または部隊を有機的に結びつけまして一体として機能させるために、その配置でございますとかあるいは移動等の運用を行う権限でございまして、」こういうふうに言われておりますね。間違いないでしょう。
  166. 丹波實

    ○丹波政府委員 今先生がお読みになられたところは「ブルーヘルメット」そのとおりだと思うのですが、私が申し述べておりますのは、それは過去の実例を書いておるわけですが、この事務総長の研究はまさに次のように言っておるわけです。「この報告書において述べられている問題は、従来伝統的に国連職員や軍人によって行われてきた職務が、次のような各国政府から提供される文民あるいは民間請負によってどの程度代行され実行されるかということである。」ということで今後研究していこうということで、今後このような分野が開けていくであろうということでございますので、先生のおっしゃっていることと私が御説明申し上げていることとの間にはそういう意味では矛盾はない、別な側面ということでございます。
  167. 三浦久

    三浦委員 しかし、その文民も軍隊もすべて平和維持軍の軍司令官の指揮下に入るということじゃありませんか。軍司令官の指揮下に入るということは、そういう軍司令官が指揮する戦闘行動と一体不可分の活動だということを意味しているのじゃないでしょうか。  昨年十月二十六日の政府統一見解では、「昭和五五年一〇月二八日付政府答弁書にいう「参加」とは、当該「国連軍」」、これは平和維持軍のことだと思いますが、「「国連軍」の司令官の指揮下に入り、その一員として行動することを意味し、」「当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、」その国連軍に対する参加は「憲法上許されない」、はっきり述べているのです。ですから、文民であろうと軍隊であろうと、国連平和維持軍の軍司令官の指揮下に入るということ、そうすれば、それはまさに戦闘行動と一体の諸活動というふうに認められる。とすれば、それは武力行使と一体なんですから、あなたたちは武力行使と一体の行動というものは憲法上許されないと言ってきた、そしてそれが自衛隊であろうと、また自衛隊以外の組織であろうと、それは問わないのだということまで言ってきたじやありませんか。そうであれば、国連平和維持軍に対する後方支援活動、これに日本の国が参加をするということは憲法に違反をするというふうには言えませんか。大臣、どうですか。
  168. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 昨年の特別委員会での議論につきましての御指摘がございましたので、私の方から簡単にお答えさせていただきたいと思います。  ただいま御指摘のとおり、昨年の十月二十六日にいわゆるかぎ括弧つきでございますが、「国連軍」への平和協力隊の参加と協力についてという政府の見解をお示ししたことがございます。ただ、ただいま先生指摘の武力行使と一体という点につきましては、この平和維持軍あるいはその他の名称の国連の平和維持活動の個々の任務・目的ということを精査いたしませんと、我が国からの参加の態様というものもなかなか判断が難しいのではないかと思います。  これも昨年の秋にいろいろ議論のあったところでございます。廃案になりましたけれども、当時のいわゆる平和協力隊の活動として補給その他の活動が任務として考えられていたわけでございますが、それ自体は武力の行使でない、しかし、もしそれが武力行使と一体となるような態様で行われるならば、これは憲法上許されないものであろう、しかしながら、そうでないような態様の協力であれば、これは憲法上許されない問題ではない、こういうような考え方で整理したというふうに記憶しております。
  169. 近岡理一郎

    近岡委員長 三浦委員に申し上げます。時間が参っておりますので、結論を急いでください。
  170. 三浦久

    三浦委員 やめます。
  171. 近岡理一郎

  172. 和田一仁

    和田(一)委員 在勤法の審議に当たりまして、私は、当面最大の問題となっているのは、昨年の八月、イラクのクウェート侵攻がございました、その際の在外公館のあり方、対応の仕方、特に在クウェート、在イラク大使館の対応の仕方、あり方というものに対してさまざまな意見が出されてきたのではないかと思っております。  一つには、ああいう非常に緊迫した状況を適切に把握し切れなかったのではないかという点がございます。いわゆる情報の収集能力が十分でなかったのではないか、こういうことが指摘されておろうかと思います。それから二つ目には、ああいう事実がありまして、侵攻された後の在留邦人その他への対応がどうも危機管理体制として十分できていなかった、そのためにああいう人質も生じたのではないか、こういった点が非常に厳しく意見が出されているように思うわけでございまして、私は大変貴重な体験をしたものだ、こう思っております。  この大変貴重な体験を通して、これからもあり得るかもしれないこういった危機管理体制情報収集、こういうことについてこの教訓からどのように学んで、そして将来どう生かそうとしておられるか、この点についてまずお聞きをしたいと思います。
  173. 中山太郎

    中山国務大臣 今回の湾岸危機に当たりまして、外務省は大変な貴重な経験をいたしたと思っております。在外公館における非常事態に対応して、在外日本人、邦人の救出の問題はどうなのか、本省との連絡はどうであったか、いろいろな問題点がございます。そのような中で、私どもは現在、外務省の幹部でこの経験を生かしてこれからの外交機能強化のためにどのようなことを整備しなければならないか議論の最中でございますが、来年度の概算要求までに外務省としては具体的にこの項目を整備いたしまして概算要求をいたし、また委員会等にも御報告をしなければならないと考えております。
  174. 和田一仁

    和田(一)委員 実は一九七四年にクウェートの大使館がパレスチナゲリラで三日間乗っ取られた、こういう事実がございましたね。そういうときにも、そのことを大変貴重な経験として今後に対応するのだ、こういうお話であったと思うのですが、どうもまだそういった貴重な経験が生かされ切ってないという感じが今回もいたしておりますので、私は、再びこういうことのないように本当に十分な対応を必要とするのではないかと思います。  そこで一つ、お聞きしたいのですが、在外公館に勤務しておられる方々の休暇というのはどういうふうになっているのか。これはいわゆる瘴癘地の健康のための休暇等があろうかと思うのですけれども、本人の意思で申告したら、その時点で随時とれるのかどうか。いろいろの報道等を見ておりますと、そうではなくて、どうも本省に一応お伺いを立てて、そしてそれによって指示をもらうとかあるいは許可をいただくとかという形でこれは休めるというふうに理解しておりますが、そうであるのかどうか、これが一つ。その判断で本省が出したとすれば、この時期のこういう事態に対応する情勢として、大使あるいはその他の人の休暇を許可した、指示したということはいかにも大変問題だなという感じがいたしますが、いかがでしょうか。
  175. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 手短にお答え申し上げます。  在外職員休暇制度の仕組みでございますが、二つの制度に依拠しているわけであります。すなわち、休暇帰国制度と健康管理休暇制度、この二つの制度をもって私どもの在外職員の士気の向上に努めているわけであります。  すなわち、休暇帰国制度と申しますのは、在外公館に勤務する我々職員のうち在外公館に引き続き勤務する期間が三年を超える者に対して、三年につき一回、原則として二ヵ月以内の期間の休暇のための帰国を認める制度でございます。生活環境が厳しい、勤務環境が厳しい地におきましては、一年半というふうに二倍に時間を計算をいたしまして制度を運用しているわけであります。この許可をするに当たりましては、本省の許可をもってそれぞれ運用しております。  もう一つは、健康管理休暇制度というものでございます。勤務環境が特に厳しいところに所在する在外公館等に勤務する職員及びその扶養親族でございますが、健康管理の必要上、一定期間任地を離れ、健康管理に適した地において時を過ごすということの制度になってございます。これは原則的にその当該公館着任後六カ月目及び二年六カ月目に実施資格が発生いたしますが、この件につきましてもそれぞれ本省の許可のもとで運用をされているということでございます。  それぞれの許可を発するに際しまして、ただいま先生から御指摘がありましたように諸般の状況を判断するということは当然ございますけれども、この制度の運用上、ある一定期間、私がただいま御報告申し上げましたそれぞれの期間でございますが、期間が経過し、在外に勤務する者が権利として休暇をとるこの制度を運用する権利を有するに至りましたときにそれぞれ判断をするわけでございます。勤務環境の厳しい折、またあるいは本省との連絡を必要とするというようなこの制度の趣旨にもかんがみまして、時間が来たときにはできるだけその趣旨で運用してまいりたいと考えておりますが、いずれにしても状況の判断ということはしていかなければならないと思っております。
  176. 和田一仁

    和田(一)委員 運用上そういう規定があるかもしれませんけれども、それは事が事だけにやはり状況判断というものがきちっとされないと今回のようないろいろな意見が出てくる原因になるわけなんで、私は、そういう意味でもやはり本省として当時のあの地域における情報収集が十分でなかったと言われても仕方がない、こう思うのですね。  それで私は、ああいった軍事的な行動に対する情報収集というものに対しては、やはり専門の駐在武官、ミリタリーアタッシェ、日本ではディフェンスアタッシェというのですか、こういう者がいないと十分でない、こう思うのです。伺ったところ、百七十四在外公館のうち三十公館に三十八名いるというお話でございました。  大臣、これからのこういう情報収集に対してこの程度のことで十分とお考えかどうか。私は、特にこういった軍事的な情報というのはやはり相手の国のカウンターパートナーのような人とも交流がないといけない、そのときにはやはり文民でなくて武官であるということが必要であると思うし、同時に、そのクラスも大変大事だと思うのですが、大臣、御見解いかがでしょう。
  177. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 大臣の答弁の前に一言だけ御報告をさしていただきます。ただいま先生が御指摘になりました防衛駐在官の現在の状況につきましては、まことに事実そのとおりでございます。もとより私どもとしても、情報収集という分野におきましてそれぞれの専門の分野方々の御支援をいただくということが大変大事であるということは心しているつもりでございます。ただ、外務省の定員を定員として要求する場合に、各省のアタッシェの問題をどう扱うかということは、定員管理の全体の中で考えていかなければならないという要素もあることを御理解いただきたいというふうに思います。
  178. 中山太郎

    中山国務大臣 これからの国際社会の中で地域紛争が起こる可能性が高くなるという予測が一般的な常識になっておりまして、そのような国際情勢変化を起こしてくるという中でミリタリーアタッシェを海外の公館に置くということは、私は極めて重要な情報の入手の基礎的な問題だろうというふうには認識をいたしております。
  179. 和田一仁

    和田(一)委員 今大臣お答えのとおりでございまして、重要だと私も思うのです。ですからこそ今の体制よりは強化する方向でないといけないと思うのです。特に軍というのは、これは世界どこでも同じですけれども、非常に階級的な構造になっておりますから、そういう意味では、今伺いますと、三十八名のミリタリーアタッシェのうちほとんどが一佐クラスというような感じでございますけれども、中に将補の方が一人おられる。これはゼネラルはゼネラルとしての情報源が出てくるのです。佐官クラスは佐官クラスのカウンターパートナーとの対応しかできないというような、公式の場では特にそういう席には座れないとかいろいろあるわけでございますから、そういう意味では、数は官房長がおっしゃるようになかなか自由にいかないかもしれないけれども、これはこれからふやしていく定員の中でぜひ重点的にふやしていただきたいし、また質においては、そういう意味で私は上級の方を必要な国には出していきたいという思いがございますが、大臣、いかがでしょう。
  180. 中山太郎

    中山国務大臣 御趣旨を体して努力をいたしたいと考えております。
  181. 和田一仁

    和田(一)委員 それと同時に、現実に今出ているこういったアタッシェの立場、それからその扱い方、これについても私は十分ひとつ検討を加えていただきたい。非常に制服は制服同士の交流というものがあるわけなんで、それを十分やはり活用して情報をとるということが非常に大事だと考えております。特に国によっても違うでしょうけれども、例えばペンタゴンあたりは制服を着ていればノーチェックで各国とも武官は入れる、そうでなければ一応チェックされるというぐらいにこれは特殊な交流があるわけなんで、そういう意味で駐在武官というものの各在外公館での実際の働き方、これも大臣、一遍ぜひチェックしていただいて、これで十分かどうかを検討していただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  182. 中山太郎

    中山国務大臣 必ず検討させていただきます。
  183. 和田一仁

    和田(一)委員 もう時間が来たので、最後に一つだけ。  今度のもいろいろそういう意味では専門家の中に兆候があったという報道もあるようでございますので、ぜひそういう意味で、小さな兆候も、もちはもち屋という言葉があるように、専門家が情報を収集してそれを分析する、そういうことをきちっと機能していただくように御要望いたしまして終わります。
  184. 近岡理一郎

    近岡委員長 衛藤晟一君。
  185. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきましてはいろいろな議論もされてまいりましたし、これに賛成をいたしておるものでございます。また、とりわけ今回の湾岸危機の問題を見ましても、私は、外務省の充実という点ではとにかく圧倒的に人が足りない、待遇が悪いということをつくづく感じています。思い切った措置をぜひ今後お願いしたいということを申し添えまして質問に入らせていただきます。  まず防衛庁の方に質問させていただきたいと思います。  今回のいわゆる湾岸戦争に関して、難民救済の目的で自衛隊機を派遣するということが特例政令で制定をされました。それで対応しようとしたわけですが、実際に派遣されることなく一応停戦というぐあいになりました。この政令は「当分の間」ということでございますので、「当分の間」を過ぎますと廃止されるということお聞きいたしております。そこでお伺いしますが、今回のような国連の要請があり、かつ人道的見地に立つ難民救済のようなケースに自衛隊機を使用できるように自衛隊法を改正すべきであるというぐあいに私は考えております。各野党の方々からも、特例政令というこそくな手段で抜けるのじゃなくて、ちゃんと法改正をやれという議論もありましたので、それについてまずお尋ねを申し上げます。
  186. 藤島正之

    ○藤島説明員 避難民の救出というような業務を自衛隊の一般的な任務として持たせるには、自衛隊法の改正が必要だというふうに私ども考えておるわけです。そういった任務を自衛隊にふだんから付与しておくかどうかということについては、実は具体的に検討していないわけでございますが、先生のただいまの御意見は御意見として承らせていただきたいと思います。
  187. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 ぜひやはり、今回を見ましても、なかなか民間航空では行けないというようなときにまさに人道的立場、しかも国連の要請があるという条件をつけながら、これがちゃんとできるようにしなければいけないのではないかと思っておりますので、御検討をお願いします。  さらに、在留邦人救済の必要性ということが最近出てまいりました。再びこれを特例政令でいくということはなかなか難しいのではないかというぐあいに私は思っています。特に有名な話としては、イラン・イラク戦争のときに、テヘランに在留日本人が残されました。各外国は民間航空機なりあるいは各国の国防機が出て救済に走りましたが、日本人はそれに乗せてもらえませんでした。有名な話がございますが、そのときに、やっといわゆる大使がトルコ大使の方にお願いをして、最後に乗せてくれた、二機のうち一機を分けてくれたというような話がございます。やはりこれも、こういう必要性の中で自衛隊法に任務規定を正式に入れるべきではないかと私は思っておりますが、これはどうでしょうか。
  188. 藤島正之

    ○藤島説明員 在外邦人の救出につきましても同様なことが言えると思いますので、先生の御意見を貴重な御意見として賜らせていただきたいと思います。
  189. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 それでは外務省お尋ねをしたいと思います。  まず、警官が職務の執行の過程で正当防衛のためにピストルを使用した場合、これは武力行使ということになりますか、どうでしょうか。
  190. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  どのような状況のもとで警官がピストル等を使用するかということにもよるであろうと思います。一般論ということになってしまうわけでございますけれども、私は、例えば日本のような国の場合、いわゆる警備行動というような観念で考えられるような行為ではないかというふうに考える次第でございます。  ただ、ただいま御指摘になりましたのが純粋に国内でのそういう行為なのか、あるいは国際的にそういうような形の行為が行われた場合を想定しておられるのか、その辺の具体的な事態に即して考える必要があると思いますが、とりあえず警備活動というような分野のものがあろうかと思います。
  191. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 何とお答えいただいているのかよくわかりませんけれども、簡単な前提でございまして、警官の職務執行の過程で、しかも正当防衛でございますので、当然国内でございまして、そういうときにたまたまピストルを使用せざるを得ないというような場合があったとしますと、このピストル使用は武力行使に当たりますか、どうなんでしょう。
  192. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 国内ということでございますれば私からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、一般的に申しますれば、武力行使というようなものであるよりは武器の使用というように観念される場合が多いのではないかというふうにとりあえず考える次第でございます。
  193. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 それでは、憲法九条で言う武力行使、あるいは今回外務省見解でも武力行使とかいう言葉がよく出ておりますけれども、具体的にどういうことなのか定義をしていただきたいと思います。武力行使の定義をお願いいたします。
  194. 津野修

    ○津野政府委員 武力の行使と申しますのは、一般的に申します場合には、人的、物的組織体であるところの実力を発動することというのが一般的な、一般的なといいますか、武力の行使の言葉自体の意義でございます。
  195. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 そうすると、警察も組織でありまして、その警察のピストルの武器使用ということは同じく武力行使に当たるのですか。
  196. 津野修

    ○津野政府委員 お答えいたします。  一般的に法律といいますのは、その法律が制定されました趣旨あるいは法律自体の規定されているところの意味というものを常に考えて解釈していくわけでありまして、警察官職務執行法上におけるいろいろなけん銃の使用というのは職務執行として行われているということでありまするから、それをどういう言い方でするか、それはまさに警察官職務執行法上けん銃の使用というようなことで恐らく言っているのだろうと思いますけれども、そういうことであろうかと思います。
  197. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 わかったかわからぬかよくわからぬのですが……  それでは、今までの答弁の中でもいわゆる武器使用というのと武力行使をイコールにしたような、ちょっと問題があるのではないのかというぐあいに私は思っているのです。  では、改めて、武力行使を目的とするPKOは戦後ございましたか。戦後というか国連憲章、国連ができてからですから当然そうなりますが、武器使用を目的とするPKOはありましたか。
  198. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  いわゆるPKOの実施にかかわります国連決議におきまして武力の行使というものを平和維持軍の任務上明示的に認めたものは、コンゴ国連軍のケースがそれに該当すると思います。  その他のいわゆる国連平和維持活動について見ますと、全く武装しない軍事監視団と自衛のための火器を保有するいわゆる平和維持軍とに大別されるわけですが、前者が武力を行使することがあり得ないことは申し上げるまでもないと思います。また、後者につきましては、武力の行使あるいは武器の使用というのは自衛の場合に限定されておるということでございます。
  199. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 ちょっともう一回今のところ、私もよくメモできなかったものですから。  そうすると、PKOについては、日本国憲法上これは平和維持軍へ出しても違法ではないということに理解してよろしいのですか。
  200. 丹波實

    ○丹波政府委員 平和維持軍と申しましても、その活動の態様を個々に当たってみますと、全く文民的な分野もございますし、軍事的な分野もあるわけでございます。特に先生が御議論しておられますのは、もちろんこの軍事的な分野のところであろうかと思いますが、その目的・任務が武力行使を伴うものである場合には、昭和五十五年の政府答弁書でも申し上げておりますとおり、これに参画することはできないということでございます。
  201. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 ちょっと待ってください。武力行使を目的とするPKOは原則的にないということでありますね。それから、武力行使を伴うPKOが、今できないと言われましたけれども、憲法上の根拠はどこに書いてあるのでしょうか。教えてください。
  202. 丹波實

    ○丹波政府委員 憲法上の問題につきましては法制局の担当の部長から御聴取いただきたいと思いますが、私がただいま言及いたしましたのは、昭和五十五年のいわゆる政府答弁書でございまして、該当の箇所をお読みいたしますと「いわゆる「国連軍」は、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的.任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」という該当箇所でございます。
  203. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 そうすると、もし国連から日本に、過去にあったような形のPKOに出てくださいよということが言われた場合、憲法上の制約はないことになるのですか。具体的にどういうところが制約になるのですか。これで許されていないPKOというのは何と何ですか。そして、それはどういう憲法の根拠によって許されていないのですか。はっきりしてください。
  204. 津野修

    ○津野政府委員 憲法上の根拠でございますけれども、従来からもたびたび申し上げております。従来から言っておりますのは、当該国連軍の目的、いわゆる平和維持活動を行う場合もそうですけれども、目的・任務が武力行使を伴うものであれば我が国としてこれに参加することが許されないというのは、当該国連軍による武力の行使があった場合に、我が国による行為と評価されることになる、したがって、我が国による武力の行使または武力による威嚇を禁止する憲法第九条に違反することになるということでございます。そういうことでございます。
  205. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 ちょっと待ってくださいよ。いいですか。PKOは国権の発動ですか。国連の活動なのじゃないですか。その目的はあくまでも国連の平和を維持するためなんでしょう。しかも、そのPKOが出るときに、これは国連の要請によって出るのでありまして、そして当事国も了承するのですよ。今回の多国籍軍の場合は、イラクは制裁を了承したのじゃありませんよ。私が今言おうとしているのは、いわゆる国連平和維持活動について言っているわけでございまして、それを国連の要請があり、しかも、その当事国がそれを了承しなければ入らないのですよ。  そうすると、目的も任務も非常にはっきりしておりますけれども、ということになれば、いわゆる通常におけるPKOは憲法上の制約がないということになりますけれども、どうなんですか。
  206. 津野修

    ○津野政府委員 先ほどもう一つつけ加えようかと思ってやめたのですが、それは、もう一つ問題点として海外派兵という問題がございます。それはどうしてかといいますと、武力行使の目的を持って武装した部隊を外国の領土、領域、こういうところへ派遣することは、我が国の必要最小限度認められた、憲法上認められた自衛権の行使の範囲を超えるものである、したがって、まず第一関門といたしまして海外派兵の問題が出てくるわけでございます。  それから第二点といたしまして、先ほど来問題になっております、一つは国連軍の行動ではないかということでありますけれども、これは平和維持軍なりそういったものがどういった決議に基づいてどういった内容の決議をやるかによって個々具体的に判断しなければいけないと思います。一概には言えないかもしれませんが、一般的に国連軍、いわゆる平和維持軍というのがどこまで国連軍のみの行為として評価されるのか、我が国の行為として評価する点が全くないのかといいますと、それは非常に従来から疑義があるところでありまして、どちらかといえば、停戦監視団とかそういったものはともかくといたしまして、いわゆる平和維持軍といったようなものについては参加できないというのが従来からの政府の答弁でございます。
  207. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 私は従来からの答弁を繰り返し聞いておるわけじゃないのです。いいですか。武力行使を伴うかもしれないPKO、これは武力行使を目的としていないのですね。いいですか。目的も任務もはっきりしている。しかもこれは国連の要請によって行うのです。しかも、受け入れ国である当事国もこれを了承するのです。その中で憲法上の制約は一体何があるのですか。あなた、海外派兵が云々と言いましたけれども、憲法何条にそういうことが書いてあるのですか。はっきりしてください。PKOについて、あなたは、いろいろなケースがあるでしょう、しかしできないケースがありますということを言っていましたから、どういう根拠でできないのか、憲法の何条にどういうぐあいに書いてあるのか、はっきりしてください。
  208. 津野修

    ○津野政府委員 憲法第九条におきまして、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」というような規定がございますが、この九条の規定からいってできないということでございます。
  209. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 あなた、九条の規定のどこにそう書いてありますか。これは「国権の発動たる戦争」ですか。「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段」ですか。紛争解決後ですよ、全部。しかも二項に書いてあるのは「前項の目的を達するため、」ですよ。しかも一回出ていきますと後はブルーヘルメットをかぶっているのですよ。国連事務総長の指揮下にあるのです。そうしたら一体憲法は禁止しているのですか、どうなんですか、どの条文が禁止しているのか、はっきりしてください。
  210. 津野修

    ○津野政府委員 従来から政府の答弁で言っておりますのは、憲法九条は、国際紛争を解決する手段としての戦争、武力による威嚇、武力の行使を禁じております。これは従来から言っているわけであります。しかしながら、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨ではないというふうに解されてきているわけでありまして、そういった趣旨から国が認められておりますのは、いわゆるその自衛のため必要最小限度の自衛権の行使、その自衛権を行使するための組織、そういったものを持つことが許されているということからきているわけでございます。
  211. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 あなた、自衛のため必要最小限のということはどこに書いてあるのですか。
  212. 津野修

    ○津野政府委員 これは憲法九条一項、そこの解釈から従来そういうことでなっているわけでございます。
  213. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 だから、何度も言いますように、いいですか、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」これは日本だけじゃなくて、いろいろな国もあります。第一次大戦後にバリ不戦条約ができました。そのパリ不戦条約の反省にのっとって、一体だれが本当に侵略国であったのか、そういうことがいろいろ問題になるので、ちゃんと国連憲章の中でそれを明らかにしていって、いわゆる今の国際連合があるわけです。  この項はあなたの言っているようなことを本当に意味していますか。九条はあなたの解釈をはっきり意味しているのですか。本当に必要最小限の自衛しか認めていないのですか。国連憲章をもう何度も読むことはないでしょうから何度も言いますけれども、いいですか、目的は憲法に書いている「国権の発動たる戦争」ではありませんよ。「国際紛争を解決する手段」でもありませんよ。国連の決定によって、要請によって、そしてその目的を持って、国際的な平和を維持するためにという任務を持って行くのですよ。しかも相手国もこれを了承するのですよ。当事国も了承するのですよ。どこの憲法に規定されているのですか。  国連憲章というのは先にできて、まさにあの敗戦後の日本というのは今のイラクみたいな立場であったかもしれません。そうであろうと思います。そういう中で、いわゆる侵略のための戦争はしないんだということを我々は決意して、またこの憲法を受けたのでしょう。国連憲章とある意味では二重写しなんですよ、この日本国憲法は。国連憲章は国連軍の創設まで書いているのです。私は今それを云々言っているのじゃない。国連平和維持活動について言っているのです。国連平和維持活動の部分について、武力を目的としていないけれども、ひょっとしたら武器使用があるかもしれない、それをも日本国憲法は否定しているのですか。否定しているのだったら、もう一回ちゃんと条文のどの項が否定しているんだと文を示して言ってください。
  214. 津野修

    ○津野政府委員 これは従来からたびたび国会等におきまして法制局として答弁しておることでございますけれども、例えばこういったことを一番端的に申しておりますのは、集団的自衛権の行使の際によく言っておりますが、政府は次の理由により従来から一貫して我が国が集団的自衛権を行使することは憲法上許されないとの立場に立っている。これはどうしてかという理由があるわけですけれども、集団的自衛権だけじゃないのですが、そこで、なぜかというと、そこの次が問題でありまして、憲法は「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。それは、あくまでも国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものである」という言い方でございまして、これが九条一項の解釈として確立しているものでございます。
  215. 衛藤晟一

    ○衛藤(晟)委員 あなた、そんな勝手な解釈─それはいろいろな時代状況の中であったから、それを繰り返さざるを得ないから、お仕事上そういうことを言われるかもしれませんけれども、憲法前文にはこうあるのです。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」  国連憲章第一条には、国際連合の目的は、次のとおりである。「国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。」とあるのです。そしてまた、第二条四項には「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも慎まなければならない。」いわゆる侵略行為は加盟しているものはやっちゃいかぬということになっているのです。そしてそういう中で、国連憲章の中にも入っていますが、「安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、いかなる措置をとるかを決定する。」四十条にはまたぐっと書いてある。そして四十二条には「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」恐らく今回こういうものに沿って国連決議がなされて、イラクに対する制裁を決めたのでしょう。  国際連合は、お互いに絶対に侵略してはならないんだ。しかしパリ不戦条約にも国連憲章にもありますように、自衛権は否定していない、あるいは集団自衛権も否定していない。しかしそれだけに、平和を乱すものがあればそれを国際連合が決定して制裁行為をとりますよと言うことはできるようになっている。そういう中で日本国憲法は「われらは、平和を維持し、」「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」ということがあるのです。  その名誉ある地位を占めたいと思いながら何もできなかった日本に対して、アメリカのワシントン・ポストがつい先日行った世論調査では、調査の仕方もいろいろあるかもしれない、しかし、結果としていわゆる湾岸の敗北者になったのは、イラク、ヨルダン、イラン、パレスチナ、そして、同盟国でありながら日本なんですね。そして、その中で対日不信は強まっているのです。「信用するようになった」が一九、「失望した」が三〇。ドイツは「信用するようになった」が二五、「失望した」が二二。ドイツでも「信用するようになった」が大きいのです。イギリスは「信用する」が七一、失望はわずか二、まさに今日本外交は問われているのだし、内閣法制局の見解はおかしいのではないのか。本当の意味で、国際連合憲章、パリ不戦条約あるいは日本国憲法の前文、九条を読んだ中で、あなた方の解釈は勝手な解釈になっているのではないか。  ただ、私はそれもやむを得なかった部分があるというように思います。それはあの戦後の日本の敗戦という事態の中で、我々はその当時とても国際的貢献とかを考えられる事態になかった。なかったがゆえに、そういう判断、それで済まされたということじゃなかろうかと思うのです。いま一度真剣に内閣法制局は考えていただきたい、心からお願いを申し上げる次第でございます。  以上で終わります。
  216. 近岡理一郎

    近岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  217. 近岡理一郎

    近岡委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出在外公館名称および位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  218. 近岡理一郎

    近岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  219. 近岡理一郎

    近岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、虎島和夫君外三名から、四派共同提出に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。虎島和夫君。
  220. 虎島和夫

    ○虎島委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    政府は、次の事項について引き続き検討の上、適切な措置を講ずべきである。  一 湾岸危機及び東欧情勢変化等激動する国際情勢に迅速かつ的確に対応し、世界の平和と繁栄のため我が国がその国力にふさわしい国際的責任を果たし、積極的な外交を展開するため、外交実施体制、特に在外公館の基盤整備・機能強化に努めること。  一 我が国外交の第一線拠点にふさわしいものとなるよう、長期的計画に基づき、在外公館事務所及び公邸の整備・拡充を進めるとともにその国有化の推進に努め、併せて在外職員宿舎の整備に努めること。  一 在外公館における外交活動の能率促進のために通信体制強化・事務機器等の近代化に努めること。  一 館員による活発な外交活動支援するため、在外公館における質の高い現地職員確保・増員に努めること。  一 在外職員、特に自然環境勤務環境の厳しい地域に在勤する職員が、安んじて活発な外交活動を展開しうるよう、勤務・生活環境の整備、待遇の改善等に努めること。  一 世界的に治安状況が不安定となる傾向にかんがみ、在外職員が安全にその職務を遂行しうるよう警備・防犯対策の強化に努めること。  一 海外での事件、事故及び戦乱、クーデター等の緊急事態に備え、在外公館の緊急事態対応能力の強化に努めること。  一 緊急事態に際しての邦人の救援保護を含む邦人の安全確保を図ること。また、在外邦人の医療対策に一層配慮すること。  一 海外子女教育の一層の充実を期するため、在外日本人学校及び補習授業校の整備・拡充、教師の増員、父兄の子女教育費の負担軽減に努めるとともに、帰国子女教育の充実のための制度改善及び施設の整備等の対策を総合的に推進すること。 以上であります。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  221. 近岡理一郎

    近岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 近岡理一郎

    近岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣。
  223. 中山太郎

    中山国務大臣 ただいま在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、本法案の御審議の過程においては、外交活動の基盤強化につき、深い御理解と貴重な御提案を賜りましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。  法律案と同時に可決されました附帯決議の内容につきましては、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存でございます。  特に、今般の湾岸危機等の緊急事態に備え在外公館の緊急事態対応能力の強化に努めることは極めて重要でありますので、今後とも皆様の御支援方よろしくお願いをいたします。まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  224. 近岡理一郎

    近岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 近岡理一郎

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  226. 近岡理一郎

    近岡委員長 次に、内閣提出国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。佐々木総務庁長官。     ─────────────  国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  227. 佐々木満

    ○佐々木国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  国家公務員の退職手当につきましては、民間における退職金の実情等にかんがみ、長期勤続者に対する退職手当の特例に関する規定を整備いたしますとともに、通勤災害に係る退職手当の取り扱いを改善する必要があると認められましたので、政府としては、ここにこの法律案を提出した次第でございます。  次に、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、職員が通勤による傷病により退職した場合に適用される退職手当の支給率を通勤による死亡により退職した場合と同等の水準に引き上げることとしております。また、休職に係る退職手当の一般的な取り扱いにおきましては休職期間の二分の一の期間を在職期間から除算することになっておりますが、職員が通勤による傷病により休職された場合につきましては、この除算を行うことなく全期間を在職期間に通算することとしております。  第二に、勤続期間が二十年以上で、定年、勧奨等の理由により退職した長期勤続者につきましては、現在、昭和四十七年十二月一日の在職者に限って暫定的な割り増し措置が講じられておりますが、その翌日以降新たに職員となった者に対しましても同様の措置を講ずることとしております。  このほか、附則におきまして、この法律の施行期日及び経過措置について規定しております。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  228. 近岡理一郎

    近岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十九分散会