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1991-03-07 第120回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月七日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 近岡理一郎君    理事 柿澤 弘治君 理事 斉藤斗志二君    理事 谷垣 禎一君 理事 虎島 和夫君    理事 町村 信孝君 理事 上田 卓三君    理事 田口 健二君 理事 山田 英介君       今津  寛君    衛藤 晟一君       岸田 文武君    高鳥  修君       武部  勤君    戸塚 進也君       中山 正暉君    葉梨 信行君       星野 行男君    増子 輝彦君       光武  顕君    池田 元久君       緒方 克陽君    北川 昌典君       村山 富市君    山中 邦紀君       山元  勉君    竹内 勝彦君       三浦  久君    和田 一仁君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村岡 兼造君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官     新野  博君         運輸政務次官  今枝 敬雄君         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      黒野 匡彦君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省国際運         輸・観光局長  寺嶋  潔君         運輸省地域交通         局長      佐々木建成君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      吉田 耕三君         運輸省航空局長 宮本 春樹君         運輸省航空局技         術部長     加藤  晋君         海上保安庁次長 豊田  実君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局核燃料課長 坂田 東一君         環境庁企画調整         局地球環境部環         境保全対策課長 柳下 正治君         環境庁大気保全         局企画課交通公         害対策室長   西尾 哲茂君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       下平  隆君         法務省入国管理         局総務課長   佐々木高久君         外務省国際連合         局原子力課長  貞岡 義幸君         大蔵大臣官房企         画官      青山 幸恭君         大蔵省主計局給         与課長     岩下  正君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 野村  瞭君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      関口 洋一君         農林水産省畜産         局衛生課長   石井 達郎君         内閣委員会調査         室長      中島  勉君     ───────────── 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     和田 一仁君 三月六日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     和田 一仁君 同月七日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君     武部  勤君   高鳥  修君     星野 行男君   伊藤 忠治君     緒方 克陽君 同日  辞任         補欠選任   武部  勤君     栗原 祐幸君   星野 行男君     高鳥  修君   緒方 克陽君     伊藤 忠治君 同日  委員工藤巌君が退職された。     ───────────── 二月二十六日  恩給制度の充実・改善に関する請願中島衛紹介)(第一五二六号)  自衛隊海外派兵につながる新規立法反対に関する請願三浦久紹介)(第一五二七号) 三月七日  自衛隊海外派兵につながる新規立法反対に関する請願小沢和秋紹介)(第一六二二号)  同(金子満広紹介)(第一六二三号)  同(木島日出夫紹介)(第一六二四号)  同(児玉健次紹介)(第一六二五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一六二六号)  同(菅野悦子紹介)(第一六二七号)  同(辻第一君紹介)(第一六二八号)  同(寺前巖紹介)(第一六二九号)  同(東中光雄紹介)(第一六三〇号)  同(不破哲三紹介)(第一六三一号)  同(藤田スミ紹介)(第一六三二号)  同(古堅実吉紹介)(第一六三三号)  同(正森成二君紹介)(第一六三四号)  同(三浦久紹介)(第一六三五号)  同(山原健二郎紹介)(第一六三六号)  同(吉井英勝紹介)(第一六三七号)  同(小沢和秋紹介)(第一七一一号)  同(金子満広紹介)(第一七一二号)  同(木島日出夫紹介)(第一七一三号)  同(児玉健次紹介)(第一七一四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一七一五号)  同(菅野悦子紹介)(第一七一六号)  同(辻第一君紹介)(第一七一七号)  同(寺前巖紹介)(第一七一八号)  同(東中光雄紹介)(第一七一九号)  同(不破哲三紹介)(第一七二〇号)  同(藤田スミ紹介)(第一七二一号)  同(古堅実吉紹介)(第一七二二号)  同(正森成二君紹介)(第一七二三号)  同(三浦久紹介)(第一七二四号)  同(山原健二郎紹介)(第一七二五号)  同(吉井英勝紹介)(第一七二六号)  自衛隊派遣の撤回に関する請願鈴木喜久子紹介)(第一六九四号)  同(長谷百合子紹介)(第一六九五号)  湾岸危機に伴う避難民輸送に関する暫定措置に関する政令の廃止に関する請願土井たか子紹介)(第一七四六号)  同(鈴木喜久子紹介)(第一七五八号)  海外派兵計画中止に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第一七五六号)  子供健全育成のため子供向けポルノコミック  撲滅の法制化に関する請願池端清一紹介)(第一七五七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一二号)      ────◇─────
  2. 近岡理一郎

    近岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中邦紀君。
  3. 山中邦紀

    山中(邦)委員 私からは、整備新幹線関係代行運転関係などについて質疑を行いたいと思います。  整備新幹線関係で、総論的に数点最初にお尋ねをいたします。  まず、政府は、本年度におきまして、整備新幹線に関しいかなる施策を講じようとしておられるか、その概要の御説明を賜りたいと思います。
  4. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生案内のとおり、整備新幹線というのは全部で五線ございます。そのうち、平成年度におきましては三線、東北新幹線盛岡青森間、北陸新幹線の一部、九州新幹線鹿児島ルート、八代─西鹿児島間でございますが、この間につきまして、従来から新しいフレームによりまして整備を進めようということで努力をしてまいりました。  平成年度予算政府原案におきましては、このうち、北陸新幹線高崎軽井沢間、これは平成元年度から既に着工しておりますから、それの継続工事ということで四百六十五億の工事費を計上させていただいております。さらに、北陸新幹線軽井沢長野間につきましては、いわゆるフルにするかミニにするか若干議論がございますが、地元調整がつけばフル新幹線整備をするということで、とりあえず工事費を五十六億円計上させていただいております。さらに東北新幹線、これにつきましては、盛岡青森間につきまして、いわゆるミニ新幹線、これを整備するということで、四十五億円の工事費を計上させていただいております。残ります九州新幹線につきましては、八代─西鹿児島間、この間につきましていわゆるスーパー特急整備するということで、四十億円の工事費を計上させていただいております。  以上でございます。
  5. 山中邦紀

    山中(邦)委員 整備新幹線につきましては、昭和四十五年五月十八日、全国新幹線鉄道整備法が制定されて、四十七年に基本計画決定されてから二十年の経過があるわけであります。この全体の当初基本計画決定以降の経過概要、そうして将来どのように実行されていくのか、その見込みを現時点において明らかにしていただきたいと思います。
  6. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今先生指摘のとおり、いわゆる整備新幹線につきましては、四十七年の基本計画、四十八年の整備計画と続いているわけでございますが、率直に申しまして、今日に至るまで、これをどのような形で整備を進めるか、長い歴史があったわけでございます。  四十八年に整備計画をつくりましたが、ちょうどそのときにオイルショックが起きまして、あるいは国鉄財政状態が悪くなるということで、いろいろな努力をいたしましたけれども、結局建設費捻出ができないということで、しばらく事実上建設を見合わせてきたという経緯がございます。  一方、その間国鉄の財政問題、これが深刻の度を加えまして、これまた先生案内のとおり、昭和五十七年に臨調の第三次答申で、五年以内に国鉄を分割・民営化しろ、こういう御指摘をいただきました。それを受けまして六十二年四月一日に今日のJRが発足したわけでございますが、この間、整備新幹線につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国鉄の財政問題、財源問題等のめどがつかないまま時を過ごしたということでございます。  そこで、この新しいJRができた段階で、果たしてこの整備新幹線をこれからどうしようかということをまず政府部内で議論をいたしまして、関係方面の御意見も聞きながら議論を進めたわけでございますが、ポイントが幾つかありまして、一つは、やはり新しくできたJRに過大な負担をかけてはいけない、JR経営の足を引っ張るようなことがあってはいけないという問題がまずあるわけでございます。  一方、国の財政事情も勘案しなければいけないということで、その結果出ました結論が二つございまして、一つ整備五線全部をいきなり対象にするのは難しい、これを絞ろうではないか、絞らせてもらおうではないかということが一点でございます。それからもう一つは、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、東京駅に入っているような新幹線を我々フル新幹線と呼んでおりますが、このいわゆるフル新幹線も含めてもう少しコンパクトな規格新幹線というのはあり得ないであろうかということを議論をいたしました。その結果、六十三年の八月一日に政府・与党の御意見もお聞きしながら取り扱い方針を決めまして、先ほど申し上げました東北新幹線、それから北陸新幹線の一部、九州新幹線鹿児島ルートにつきまして、フル新幹線ミニ新幹線あるいはスーパー特急を組み合わせた効率的な輸送体系整備しようではないかという結論が出たわけでございます。  それを受けまして、平成元年度から第一歩といたしまして高崎軽井沢間、この間はフル新幹線でございますが、この工事着工したという経緯がございます。さらに平成年度予算におきましては、現在国会で御審議いただいておりますが、鉄道整備基金を創設いたしまして、新しい特定財源を何とか捻出をさせていただいて、残る区間につきましての整備を進めさせていただきたい、かように思っておるわけでございます。  我々、今考えております基本的な枠、フレームにつきましては、約十年で整備をさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
  7. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ただいま述べられた十年というのは、現在着工している三線についてのことをお述べになっているのか、五線を含めてのお話ですか。
  8. 黒野匡彦

    黒野政府委員 現在着工を始めました三線についてでございます。
  9. 山中邦紀

    山中(邦)委員 二十年の経過があるわけでありますけれども、基本計画策定当時、これは事業を運営していく場合の採算性の問題もあったとは思いますが、もっと広い意味投資経済効果、こういうものをどのように測定して計画が立てられたのか。それから、その後もちろん時間もたっておりますけれども、いろいろな事情の変遷があったわけでありますから、経済効果の問題については何回か予測を改めるというか、一番新しいものにし直すというか、そういうことは行われておったのか、もし行われておったら、その中身、内容はどういうものであったか、お尋ねをいたします。
  10. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この計画をつくります段階、四十七年の基本計画段階では総合的な検討をいたしておりまして、国民経済的に与える影響あるいはJR経営に与える影響等々、多角的な検討はいたしてございます。ただ、その後特にその点についての見直しというのは私どもやっておりません。
  11. 山中邦紀

    山中(邦)委員 二十年の経過の中で仮に結論が同じことになるといたしましても、経済効果節目節目で確かめていく、しばらく凍結されておった工事実施がこの数年の中で始まってきたわけでありますから、そういうことを行うのが当然ではないかという気がいたします。していないということであるからやむを得ないことでありますけれども、これから行うつもりがあるのか、また本年度予算案で具体化されております三線についてどんな経済効果考えているのか、数字的に予測をしていないとしても、これなくして国民負担を求めるというわけにはいかないと思いますが、そういう意味で何がしかあればお答えをいただきたい。  また、工事進行については環境調査が行われているはずだと思いますが、今までどういう内容で行われておって、その結果がどういうものであるか、お示しを願いたいと思います。
  12. 黒野匡彦

    黒野政府委員 経済調査につきましては、我々、国民経済的内部収益率という言葉で呼んでおりますが、この投資がどの程度の形ではね返ってくるかということを我々なりにときどきに応じまして内部検討はいたしております。ただ、現在の計画そのものを根本的に見直すほどの数字には至っておりませんので、特にそれを大々的に外にお話し申し上げるというような段階に至っていないわけでございます。  それから環境問題につきましては、これは御指摘のとおりでございまして、現在の整備新幹線につきまして、運輸大臣の通達でございますいわゆる環境アセスメント手続が決まっておりますから、それに従いました環境影響調査地方公共団体の協力を得ましてやっておりまして、現在着工いたすのもすべてそれを前提にしての着工でございます。
  13. 山中邦紀

    山中(邦)委員 今お話しの点はもう少し具体的に聞かしていただきたいと思います。  初めは、経済予測はどうもやっていなかったように聞こえました。内々やっているけれども、当初と大差がないので公表していないというようなお話にも聞こえました。大差がなくても、現在の計画を遂行するという意味では、あるいは受益者負担という観点から意味のあることではないか。今の三線を実行していって、国民所得の上で、あるいはそれぞれの関連する地域県民所得なりあるいはもっと下の単位までどのように効果があらわれるという見込みを持っておられるかという点、それから、環境調査はどういう項目について行われているのか、その結果が出ておれば、どういう内容のものか、概括的で結構ですからお話をいただきたいと思います。
  14. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私どもが行っております経済調査というのは、簡単に申し上げますと、ある額の投資をいたしましたものがどの程度収益率国民経済全体に返ってくるであろうかということを我々なりの試算をしております。現在着工しつつある三線につきまして、例えば東北新幹線で申し上げますと、この収益率は八・七%という数字を持っております。北陸新幹線は若干高うございまして一三・一%、それから九州新幹線は七・五%、こういう数字を持っておりまして、いずれも投資としての効率はあると考えております。ただ、今先生が御指摘のように県民所得に対してどういう影響を与えるか、そこにつきましては具体的な数字は持ち合わせておりません。  それから環境の点でございますが、例えば東北新幹線につきましては五十七年十二月、環境影響評価報告書、これはアセスメントの一環でございますが、これを関係知事へお送りいたしまして、その後これに対します知事からの御意見を賜って、最終的にその報告書を六十年の十二月に地域住民の方々に公表し、それを待って工事実施計画関係手続に入った、こういう経緯がございます。
  15. 山中邦紀

    山中(邦)委員 投資経済効果関係では、どうも不十分なお話としか思えないわけであります。収益性関係からパーセントでお述べになったと思いますけれども、開業時点で赤字も予測されるものではないかと思っております。パーセントである程度数字があるからといって、それでよしというわけにはいかないんじゃないかというふうに思います。やはり地域環境に及ぼす効果数字的に一応把握をしてみるということが私は必要だと思います。受益者負担という考えの先は、新幹線計画効果と、その中で駅が廃止になってマイナス効果を受けている人というのが出てくるわけでありますから、このマイナス効果をどのように埋めるかということの指標にもなるはずだ、どの地域の人がどれだけの所得をふやすことができるかということは、そういう観点でも大事なはずだというふうに思います。どうしてそういうことが問題提起をされていないのか、されておっても実行されていないのか、その辺は疑問に思う次第です。  それで、三線について昭和六十年に工事実施計画認可申請がなされたわけでありますけれども、本年度予定工事計画との関係では異同があるわけですか、どの点にどういう異同がありましょうか。
  16. 黒野匡彦

    黒野政府委員 昭和六十年に提出されました工事実施計画は、これはいずれも先ほど来御説明しておりますいわゆるフル新幹線でつくりたい、こういう申請内容でございました。それを受けまして、その後政府等検討いたしました結果、このうち東北新幹線盛岡青森間につきましてはいわゆるミニ新幹線に変える、さらに北陸新幹線につきましては、高崎軽井沢間はこのままフルでございますが、軽井沢長野間につきましては地元調整がつけばフル新幹線にする、さらに北陸新幹線日本海側の金沢─高岡間につきましてはスーパー特急整備する、最後の九州新幹線鹿児島ルートにつきましては八代─西鹿児島間をスーパー特急整備する、こういうふうな方針を決めまして、それに従った予算の案にさせていただいております。
  17. 山中邦紀

    山中(邦)委員 大臣にお伺いしたいと思います。  二十年前に策定された新幹線構想理念、これを現状においてどのようにお考えか。基本計画整備計画などを作成されたときと大きく事情が変わっているというふうに思います。先ほど来申し上げている経済効果その他の点から再検討する必要がないのか、総合的な交通体系といいますか政策の中でもう一度位置づけて検討してみるおつもりはないのか、お尋ねをしたいと思います。
  18. 村岡兼造

    村岡国務大臣 新幹線鉄道は、国土の均衡ある発展地域開発振興に大きな役割を果たすものと考えております。先ほども御説明したように、整備新幹線につきましては、昭和四十七年に基本計画を策定いたしまして、さらに翌四十八年に整備計画決定はしたものの、長年にわたりまして財源問題等が解決に至らず、着工できなかったのでございますが、平成元年運輸省規格前提といたしました基本スキーム決定いたしまして、また平成年度予算鉄道整備基金の創設を行い、基本スキームに沿いました着実な整備を進めようといたしておるところであります。これにより整備新幹線第一歩を踏み出したものであり、その意義は非常に大きいと考えております。  なお、先生指摘基本計画を含めた新幹線のネットワークは、現在においてもその必要性は変わらないと考えておりますが、その後の整備につきましては、整備新幹線進捗状況を勘案しつつ中長期的な課題として検討すべきものと考えております。
  19. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ただいまお述べになった新幹線構想理念地域開発国土の均衡ある発展という観点から見れば、今の進行状況は大いに問題があるというふうに思います。現に具体化しつつある三線の工事計画を、大臣は、今お述べになった理念からはどのように評価をしておられるか。  ここに地元紙がございまして、私の出身の岩手の隣県、青森地元紙東奥日報のことしの一月六日の紙面に、村岡運輸大臣考え方として載っている部分がございます。引用しますと、「昨年末の内閣改造直後、村岡運輸相は自民党内で強まっている整備新幹線建設計画抜本的見直し全線フル規格の要求に対し、前向きの姿勢を示した。」こうございます。大臣は、何がしか独自のこれまでの進行と別の構想をお持ちじゃないのか。もしそうであるとすれば、それに関連して、いわゆる並行在来線経営分離問題、また、財源、特に地元負担経費についてはどのようにお考えの上のこういう態度であるか、お示しを願いたいと存じます。
  20. 村岡兼造

    村岡国務大臣 ただいまの新聞の記事、私、青森に行ったときに、今の盛岡青森間をフルとミニでやるんだけれども、ミニの方はどうしてもフルにしていただきたい、こういう要望が出たわけでございます。基本的には、先ほど話した基本スキームに沿いましてフルとミニでおおむね十年を目指してやる、しかし、いずれにしても見直すというところも一項目入っておりまして、その二、三年後に見直すときにも、その点は、地元要望は十分に考慮に入れておきます、こういうことで、受け取り方はどういう状況であったかわかりませんが、そのようなつもりで発言をしたところでございます。  以上でございます。
  21. 山中邦紀

    山中(邦)委員 どうも今のような御説明では、現在の構想進捗状況が明確な根拠、理念に基づいているかどうかちょっと疑問を感ずるわけでありますけれども、これまでの総論的な質疑の中から考えますに、現在具体化しつつある整備新幹線計画、これは中都市の間の高速交通実現を図っていくということに間違いがないわけでありまして、ミニ新幹線を多用していくということになりますと、在来線の改良という性格もかなり強いというふうに私は思います。  いずれにせよ、その実現による経済効果予測という点ではこれをもっともっと充実していいのではないか。国全体にとって、あるいは沿線地域で、いかなる影響が生ずるかということについては、科学的に予測を行うということがなければならないと私は思います。その中から、どの程度工事をどれくらいやるか、また、その費用負担はだれが当たるべきかという方向が出てくるのではないのかと思うわけであります。  このような大型のプロジェクトは、望ましい総合交通体系、これが前提にあって、その中で位置づけられる、そしてまさに大臣がおっしゃった地域開発国土の均衡ある発展に重要な役割を果たすべきだというふうに思うわけであります。在来線新幹線とその他の交通機関と総合的な体系をお示し願うということでないと、この構想の陰にあって不安を抱いている僻地の住民を説得するのは非常に難しいのじゃないか、それだけの意見を述べておきます。  今までの総論を前提に、私は次に並行在来線問題に移りたいと思いますけれども、この問題はいつごろからどういう理由で出てきて、どのように具体化し、現在に至っているか、概要お話し願いたいと思います。
  22. 黒野匡彦

    黒野政府委員 整備新幹線問題を検討する過程で大きな問題点が幾つかあったわけでございますが、その中で最大のものが当時の国鉄の財政問題でございました。そういたしますと、並行して新幹線整備する一方在来線の方は残すということは、国鉄にとりましては明らかな二重投資になるわけでございまして、これをどうしたらいいかという話はかなり早い時期から問題提起されておりまして、正式には昭和五十年ころの報告書の中でもこの問題をきちんとめどをつけるべきであるという方向づけがなされております。その後、整備新幹線検討の過程におきましては必ずこの並行在来線の問題が検討の対象になっておりまして、非常にはっきりした形で出てまいりましたのは、昭和六十三年の八月に政府・党で整備新幹線の扱い方を決めました申し合わせの中におきまして、並行在来線廃止の問題について具体的な方法を検討すべきであるという方向づけをさせていただいております。  さらに、それを受けまして、平成元年の一月に、元年度予算編成に向かって整備新幹線にどう取り組むかということを政府方針として決めたわけでございますが、そのときに、平成元年予算政府案に計上を予定しておりました高崎軽井沢のうちの横川─軽井沢、この間につきましては、並行在来線は適切な代替交通機関検討し、その導入を図った上で開業時に廃止しますということを明確に方針を決めさせていただいております。  さらに、平成年度予算を前に、昨年の十二月二十四日でございますが、整備新幹線着工等についての申し合わせというのを政府・与党にも御相談いたしまして行ったわけでございますが、その中に極めて明確に、整備新幹線の「開業時にJR経営から分離することを認可前に確認すること。」こういう方針を決めさせていただいております。
  23. 山中邦紀

    山中(邦)委員 現在具体化しつつある三線関係並行在来線問題が生じている区間、これはどこですか。また、地元意見JR意見を参照しながら方針を決める、こういうことのようでありますけれども、、地元へはいつごろどういう形で、問い合わせといいますか、意見の取りまとめを依頼されたのか、この点をお聞かせ願いたい。
  24. 黒野匡彦

    黒野政府委員 平成年度着工を予定させていただいております区間の中で、今先生指摘並行在来線問題が具体的に出る区間は、東北新幹線で申しますと、東北本線の沼宮内─八戸間でございます。北陸新幹線におきましては軽井沢長野間でございます。同じく北陸新幹線で高岡─金沢間。さらに、九州新幹線鹿児島ルートでは西鹿児島─八代間でございます。  そこで、我々、この問題につきまして、予算の準備をする段階、かなり早い時期から、関係の県の方々に対しましてはこの並行在来線問題をどう処理するかということを御相談してまいっておりまして、政府原案をつくる前の段階で、このうち東北新幹線関係それから九州新幹線関係につきましては、県の方から、並行在来線の取り扱いにつきましてJRからの経営の分離の方向で合意ができています、こういう報告を受けまして、工事費を計上いたしたものでございます。  なお、北陸新幹線軽井沢長野間につきましては、若干地元でも御議論が残っているようでございまして、その旨県の方から明確に伺っておりますから、これにつきましては、我々といたしましては関係調整を経た上で工事をするという一種の条件をつけさせていただいておりますし、さらに、北陸新幹線日本海側の高岡─金沢間につきましては、協議が中間段階にあるやに聞いておりますものですから、一応工事調整費という名目で、話し合いがつけば工事費に変わる、かようなものに予算を計上させていただいておるところでございます。
  25. 山中邦紀

    山中(邦)委員 北陸の糸魚川─魚津間、これは並行在来線の形態をなしているところと思われますが、ここはいかがですか。
  26. 黒野匡彦

    黒野政府委員 その区間につきましては平成年度では予算を計上いたしておりません。これは、先ほど御説明申し上げました五区間につきましてどういう順序で整備をするかという順位づけも一応してございますが、当該区間につきましては、今申し上げました区間に比べまして後順位になるものですから、特にこのような議論を詰めることなく、工事費の計上を見合わさせていただいております。
  27. 山中邦紀

    山中(邦)委員 運輸省から地元への問い合わせというのは、今お話しではありますけれども、前々在来線問題の政府・与党間の取り決めがあるから話は通じてはおったかもしれませんが、運輸省の方に聞いても、私は岩手県でありますが、岩手県の方に聞いても、それはどうも昨年の十月初めごろのように思っております。国有鉄道改革推進部業務課長から県の方へ、口頭で、平成年度政府予算において運輸省は着工調整費を要求しているが、予算成立のためには例の並行在来線の取り扱いの問題があるので、県としての考え方を整理しておいてほしい、こういうことであったというふうに思っております。  私が申し上げたいのは、政府・与党の取り決めというのは、当時新聞あるいはその他のマスコミで関係住民の間に十分浸透していたというふうには必ずしも思われない、地元住民の受け取り方は、短い期間に具体的な先の見通しもないままに迫られた、こういうことがあるのではないかというふうに思うのです。  ところで、今出てまいりました並行在来線問題については、JRからの経営分離をすべて行っているというわけではないわけでありまして、分離をしていない区間があるわけですが、それはどこですか。
  28. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今申し上げました並行在来線のうち、地元JRとの間の調整によりまして、経営分離をしないでいこう、引き続きJR経営の任に当たろう、こういう結論に達しておりますのは、九州新幹線鹿児島ルート関係の川内─西鹿児島間でございまして、この間につきましては、JR九州がさらに徹底した合理化をすれば、JR九州全体の中で何とか維持できるのではないか、こういう選択をされたと聞いております。
  29. 山中邦紀

    山中(邦)委員 そのほかに、北陸関係で二ヵ所、分離をしない方向が打ち出されているのとは違いますか。
  30. 黒野匡彦

    黒野政府委員 北陸新幹線関係の金沢─高岡間につきましては、まさに先生指摘のとおり、地元にもまだいろいろな御意見がございまして、分離をすることによってこの新幹線を受け入れることがいいのかあるいは他の選択がいいのか、これはまさに今県が中心になって御議論いただいている段階でございまして、我々といたしましては、その結論が出るまで、当然のことながら工事着工は差し控えさせていただきたい、かように考えております。
  31. 山中邦紀

    山中(邦)委員 私は、今のようなことでなしに、JRが自分の経営上の問題から、運輸省としてまだ決着がついてないという見方かもしれませんけれども、長野の手前あたり、ほかにもう一カ所経営を継続してもいいという態度であるというふうに承知をしております。手を挙げられましたから、重ねて今の点を説明してください。
  32. 黒野匡彦

    黒野政府委員 申しわけございません。若干事情が違ったものですから落としましたが、今の北陸新幹線の東京寄りの区間、軽井沢長野間でございますが、この中で一部区間が、JRのかなり輸送量の多い線区と競合する区間がございます。具体的には篠ノ井─長野間でございますが、この間はJRとして直接経営をしたいという方向で今地元調整中でございます。
  33. 山中邦紀

    山中(邦)委員 もう一ヵ所あるでしょう。
  34. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御指摘は津幡─金沢間だと思いますが、これは先ほど申し上げました金沢─高岡間の一部でございます。そういう意味で先ほどの御答弁で済まさせていただきます。
  35. 山中邦紀

    山中(邦)委員 九州の場合、川内─西鹿児島はかなりの距離があると思いますけれども、現在の運行でこの区間の採算性はどうなっておるのか。それから、ここに新幹線を入れていった場合、新幹線だけで経営した場合の採算はどうなるのか。それから、JR考えておりますように在来線ともども運行していった場合の採算性はどうなるのか、この点はおわかりですか。
  36. 黒野匡彦

    黒野政府委員 実は整備新幹線工事費を、仮にの話でございますが、全額JR負担でつくりますと、当然のことながら、全線すべて大変な赤字になります。一方、逆に工事費を全額JR以外、公費でつくれば、程度の差はございますが、いずれも黒字になります。そこで、今回我々がこのJR経営問題と国等の財政事情等を考えましてぎりぎりの選択をいたしましたのは、開業後JR経営にとってマイナスにならない範囲において工事費負担をしていただこう、こういう工事費負担のルールをつくったわけでございます。したがいまして、そういう形で経営をいたしますと整備新幹線につきましてはJR経営にとっては負担にならない、こういうふうに考えております。  さらに、先生の御指摘九州新幹線の川内─西鹿児島間の並行在来線の問題でございますが、これは仮にここを両方やりますと、その区間だけとりますと、JR九州といたしましては経営的にはかなりつらい数字、多分赤字になる可能性が強いと思いますが、JR九州の置かれている立場を考えまして、先ほど申し上げましたとおり、会社全体としての中で何とか吸収できるのではないか、吸収したいという方向で厳しい選択をしたというふうに報告を受けております。
  37. 山中邦紀

    山中(邦)委員 そういう抽象論はよろしいので、数字を把握をしておられるかどうか聞きたいわけです。新聞報道によると、九億円の赤字だ、こういう報道もなされております。運輸省が日本全体の交通問題に関し政策官庁であれば、JRの苦しい中でやっていくのだ、はいそうですかということではなかろうというふうに思うわけです。数字を把握をしておらなければそれまでの話で、これはそれ以上聞きません。川内─西鹿児島についておわかりなら、もう一回記憶を確かめていただきたい。  さらに、長野─篠ノ井間についても、あるいは津幡─金沢間についても同じお尋ねをしたいというふうに思います。それぞれの関連するJRが苦しい選択をしたのか、どういう内容の苦しい選択をし、あえて経営を継続しようとしたのか、これはおわかりのはずですね。
  38. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この並行在来線問題につきましては、まさに現在、JR地元公共団体等で、仮に第三セクターにするならばどういう形態があるか、どこまでJRとして協力できるか、その点が進行中でございまして、今先生が御指摘のような数字が時々報道機関等に出されておりますが、今の段階におきましては、私どもまだ確認するに至っておりません。
  39. 山中邦紀

    山中(邦)委員 線の決定についてはそういうことを確認しないのですかね。九億円という新聞報道があったのは、これは新聞があるから事実なんですけれども、そう言われればそんな程度数字と思われますか、それとも、確認はしていないというのであれば、もう工事決定していくわけでありますから、特にそういうことは確認しなくても在来線の処理の問題その他は結論だけ地元JRから聞けばそのとおりに進行していく、そういう次第ですか。
  40. 黒野匡彦

    黒野政府委員 検討過程の数字として私どもが聞いておりますのは、今先生指摘の川内—西鹿児島間は数億程度の赤字でやれるのではないかという報告を聞いております。
  41. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ほかの二ヵ所についても赤字には違いない、こういう把握ですか。額はわからない、こういうことですか。
  42. 黒野匡彦

    黒野政府委員 常識的に考えますと、第三セクターにした結果黒字になるということはまず考えられないと思っております。我々、その赤字額を極力少なくするために協力をしなければいけないと思っておりますが、具体的な数字はまだ流動的でございます。
  43. 山中邦紀

    山中(邦)委員 東北整備新幹線、北陸、九州、これの全体についての採算性経済効果についてはどういう予測をしておられますか。
  44. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この整備新幹線は私ども国と地方公共団体とのいわば共同プロジェクトという意識でございまして、地域としては、この新幹線をどういうふうに生かすかということを踏まえて地域の選択をされるし、国としては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおり、国全体の交通ネットワークの観点からこの路線が必要だという観点で路線を敷いたものでございまして、この新幹線が具体的にどういうふうに生かされるかということは、ある意味においてはこれからの地域開発とそれをどのような形で地域が主導的に進めるかによっても大きく変わるのではないか、かように考えております。
  45. 山中邦紀

    山中(邦)委員 これ以上押して聞いても何も出てこないという感じがしますので、次に移ります。  私の地元は、今問題になっている整備新幹線、それから田沢湖線と申しまして、新幹線計画から外れておるがミニ新幹線を通す在来線の改良事業が行われるところ、それから第三セクターのあるところと、整備新幹線問題を考えるには非常にいい、いろいろなものが集まっているところであります。そういうこともありますので、東北新幹線に絞って聞きたいわけでありますけれども、東北新幹線が、盛岡青森、これが完成した場合に、それではもう端的に時間をお伺いしましょう。現在の特急に比べて時間はどれだけ短縮できるのか。
  46. 黒野匡彦

    黒野政府委員 時間短縮効果でございますが、盛岡青森間、これが現在一番速い特急で二時間十一分かかっております。これは先生よく御承知かと思いますが、それを今我々が政府予算案として提案させていただいておりますいわゆるミニ新幹線、これで結びますと一時間三十六分ということで、約三十五分の短縮になります。さらに、仮にこれを原計画フル新幹線でつくったといたしますと五十五分になりまして、一時間十六分の短縮になります。
  47. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ミニ新幹線は田沢湖線では在来線の改良計画の中に入っているところを見ますと、今度ミニ新幹線新幹線に格上げしたという事情はあるにせよ、整備新幹線盛岡以北の大半はミニでありますから、どうも性格として在来線の改良、そして一部むしろ改悪を含んだような感じが強い、地元の受け取り方も過疎の地域の人はそう見ているのじゃないかというふうに思うわけです。  それで、運輸省の計画段階には沼宮内─八戸間フル規格部分について、在来線を手直しする、曲がっているところは少し直線にしながらということで、ミニ方式をとることも検討したはずでありますけれども、この方法でやった場合に、この間のフル規格で行ったケースと比べて、費用面、スピードアップの点でははっきりした結果が出ておりますか。
  48. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この区間は、正直申し上げまして私よりも先生の方がお詳しいと思いますが、極めて厳しい地形のところでございます。急勾配あるいはトンネル等がございまして、その区間を在来線を生かしながら、あるいは在来線の微修正といいましょうか若干の整備によってミニ新幹線を通すということは、我々は早い段階から無理だろうというふうに考えておりました。
  49. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ここで大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、整備新幹線着工に関してどうも在来線JR経営分離、それも主としてはJR意見中心にこれを先決させる方式をとってきているように思われるわけです。この辺はどのように評価をしておられるか。分離区間の住民の足を守る交通確保の点におきまして、片一方では明確な分離というところまで話が進んでおって、その先、住民側の立場に立つ施策が明確に打ち出されないままに工事が進んでいく、十年先には在来線廃止が現実化する、こういうやり方が住民サイドの立場に立って適当であるか、また、新幹線構想が、地域の活性化と申しますか、国土の均衡ある発展という点に理念を置くのであれば、この点は問題があるのではないかというふうに思いますが、率直な感想をお伺いしたいと存じます。
  50. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほども部長お話ししたように、並行在来線の取り扱いにつきましては、特に東北新幹線には合意ができていると聞いておりますけれども、並行在来線経営分離が必要となる区間につきましては、地域の足の確保のため、適切な代替交通機関の導入について検討することとしており、そのため運輸省としても適切に対処してまいりたい。  先ほど言いましたように、合意はしていると聞いておりますが、一部の住民等の間で経営分離に反対する意見があるということも聞いております。運輸省といたしましても、今後とも必要があれば県を中心として十分に話し合っていきたい。簡単に言いますと、見切り発車ということではなしに、そういう状況で来ておるのですが、今現在また一部反対があるということで、地元の県と十分話し合っていきたい、こういうふうに考えております。
  51. 山中邦紀

    山中(邦)委員 これは別に東北整備新幹線にとどまらないわけでありまして、一部反対、その趣旨も問題でありますけれども、各地でそういう新聞報道が出されているわけであります。そういう一般性があるために一例を東北整備新幹線にとっていろいろ質疑をしたわけでありますけれども、最低限、大臣地元の人のそういう不安に同情を示した、そうして何らかの善処が必要である、運輸省としても努力をするということを表明されたということで承っておきたいと思います。  我が国全土に関する交通政策を担当する立場とすれば、同情では足りないのであって、合意があったかなかったかという問題を超えて、本当に実質的な住民の福祉という点で考えていただきたいものだというふうに私は思います。  一部にそういう意見もあるやに聞こえる、こういうお話でありますから、若干私はその意見の中身を御説明して、それから次に移りたいと思うわけであります。  この沼宮内─八戸間、一部岩手県、一部青森県にわたりますけれども、並行在来線経営分離される地域住民は、新幹線もちろんイエスでありますが、経営分離については非常に不安を持っているわけであります。なかんずく岩手県一戸町というのがございまして、役場の所在地はもちろん、町内の四駅は全部廃止、そうしてフル規格の路線は全部地下を走る、同町内で頭を出すのは数百メートルと聞いております。そういうことの不安から在来線存続の請願、陳情を行ってきております。不安を解消し、将来どうなるかということを最低示さないと、広い面積で高地、高原性の山地が多いところであります。過疎と闘いながら高原野菜に精進するとか福祉施設が集中しているとかいうようなことで地域の活性化に積極的に努力をしてきた町民の不安というのは、今度の問題で極めて大きいというふうに思うわけです。  実際に県を仲立ちにして町民に二者択一を迫られたのは昨年の十月初めごろからであります。極めて短期間のうちに、十二月十九日に県は分離、そして新幹線着工意見を運輸省に出しました。時間不足もありますし、分離後の、従前と同等の足の確保ができるかということの確約保証もないということでありますから、不安を感ずるのは当然でありまして、新幹線高速交通的な意味合いと在来線の生活路線的な意味合いとはそれぞれ機能を異にするわけでありますから、住民がまとまった意見をつくったと思っておったでは済まないと私は思います。大臣ももう少し理解を深めて今後のこの問題の処理に当たっていただきたいというふうに意見を申し上げます。  最後に、第三セクター問題でお伺いをしたいと思います。  最初に、一般論として、旧国鉄時代であろうと思いますが、鉄路が一番長い距離を持った時期はいつであるか、そうして現在のJR各社の合計営業キロ数はどこまで減っておるのか、お伺いをいたします。
  52. 黒野匡彦

    黒野政府委員 国鉄が一番長い営業キロを持った時期は昭和五十六年でございまして、その当時二万一千四百二十一キロでございます。それに対しまして、現在のJR各社を合計いたしますと、これは昨年十二月の数字でございますが、一万八千二百七キロになっておりまして、その間、約三千二百キロほど路線キロが短くなっております。
  53. 山中邦紀

    山中(邦)委員 国鉄あるいは一部JRから分離をした路線の代替措置、全く廃止をしたのもありましょうし、バス転換もありましょう、第三セクターもありましょうが、これはどの程度の割合か、実数を把握しておられればどういう形でその後推移したか御説明をいただきたいと思います。
  54. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今御答弁申し上げました間に廃止いたしました路線の長さ、これはとりあえず旅客の営業キロだけで申し上げますが、三千三百五十六キロになります。路線の数では八十三線になります。このうち引き続き第三セクター等という形で鉄道を維持しておりますのが三十八線の千三百十一キロメートル、バス等他の交通機関へ転換いたしましたのが残りの四十五線で千八百四十六キロになります。
  55. 山中邦紀

    山中(邦)委員 今お話しのうち第三セクターについて、これがいつごろから事業を始め、現在までどういう傾向で事業の数あるいは延長キロ数その他の増減の変化がございますか。
  56. 黒野匡彦

    黒野政府委員 第三セクターというのは、これは先生も十分御案内のとおり、公的な資金と私的な資金を出し合ってつくられた主体ということでございまして、かなり昔からそういう経営形態があったのは事実でございますが、特に鉄道の分野で第三セクターという問題が話題になり始めましたのは、国鉄財政問題が緊迫してまいりまして、国鉄経営しております、いわゆる特定地方交通線と我々呼んでおりますが、輸送密度の低い路線につきましてその廃止問題が具体的に出てきたことと、もう一つ、いわゆるAB線と申しまして鉄道建設公団が地方で新線をつくっておりました。これは開業後はどうしても赤字が避けられない路線でございまして、これを開業するには第三セクターしかないということで議論が始まりまして、どちらかといいますとこのAB線の問題が先行いたしまして、昭和五十三、四年ごろからAB線問題から第三セクター議論が活発になりました。  この第三セクター鉄道の第一号が三陸縦貫鉄道、今岩手県にございまして、これまた先生よく御案内のとおりでございます。二番目がたしか福島と栃木県の間を走っております、当時は野岩鉄道と申しましたが、今は新しい名前がついております。こんなことではないかと思っております。  それ以後、特定地方交通線ということで国鉄経営している線を廃止するということで、先ほど申し上げました三十八線を第三セクターという形で経営を引き受けていただいた、こんな経緯でございます。
  57. 山中邦紀

    山中(邦)委員 第三セクターの収支状況、現状はどうでしょうか。そして、今後順調に経営進行するという見通しでしょうか。
  58. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 お答え申し上げます。  第三セクターと申しますか、転換鉄道、それから地方鉄道新線を引き受けて経営しております事業者は、三陸鉄道等三十五社でございまして、元年度の決算の三十五社合計の経常損益について申し上げますと、十二億八千万円の赤字となっておるわけでございます。これを赤字会社、黒字会社別に見てみますと、黒字会社が九社、合計三億二千三百万円の黒字、それから赤字会社が二十六社、合計十六億三百万円の赤字となっているわけでございます。  これらの鉄道につきましては、廃止の時点にキロ当たり三千万円の転換交付金が交付され、それから特定地交線から転換したものにつきましては欠損の十分の五、鉄道新線につきましては十分の四の補助が出るということで現在維持をしておるわけでございますが、これからさらに維持していくためには、地元それから鉄道事業者の継続的な努力が必要だというふうに考えております。
  59. 山中邦紀

    山中(邦)委員 国が国鉄の特定地方交通線八十三線の第三セクターへの転換に当たって講じた助成措置の内容、根拠法規、そしてその措置の存時期間、簡単に御説明ください。
  60. 黒野匡彦

    黒野政府委員 いろいろな措置をしておりまが、まず、転換する場合に、転換交付金と申しまして、将来の第三セクターの基金として弾力的に使っていただこうということで、一キロ当たり三千万円を交付をいたしました。その後、代替輸送を開始した後の経営問題につきましては、先ほどの地域交通局長の答弁と重複するかもしれませんが、バス事業の経営から生じる欠損につきましては欠損の十分の十、鉄道事業につきましては、十分の十ではございませんが一部を補助するという措置をしておりまして、原則として五年間助成をする、かような措置を講じております。
  61. 山中邦紀

    山中(邦)委員 それ以外に、鉄道施設について国鉄清算事業団が無償の使用を認めるあるいは譲渡を行う、そういうようなこともあったはずだというふうに思っております。決して、これからの先行きが安心しておられる、こういう状況にないというふうに思われるのであります。先ほどの答弁のように、事業者が努力をするということだけではとても足りない側面があるということは、運輸省は重々おわかりのはずではないかというふうに思っております。  平成元年度の決算でおっしゃいましたので、関連する第三セクターの中で特徴的なものを申し上げたいというふうに思います。  その一つは、黒字から赤字に転落をした、ちょっと言葉はよくありませんけれども、愛知環状鉄道という企業がございます。この赤字転落の理由は、新たに固定資産税と都市計画税の負担が加わったためだ、これは平成二年七月十二日の交通新聞の記載でございます。  それから、もう一つ赤字が大幅にふえたということで取り上げられている企業がございます。これは明知鉄道、前年七百万の赤字が当年六千万になった、これは災害復旧費の負担によるものだ、こういうわけであります。  国鉄清算事業団は無償貸与の鉄道施設を譲渡したい、こういうことで催促をして、幾つかの事業がこれを受け取ったようでありますけれども、早速にそれが経営に響いてまいりまして、固定資産税それから今まで任せておった災害復旧の費用を負担しなければいけなくなった、こういう事情にあります。  先ほどから三鉄が出てまいっておりますけれども、ここの平成元年の決算は八百三十万の利益であります。現在無償貸与を受けている、もしこれが譲渡を受けますと、固定資産税の見込み税額は一億円以上だ、こういうふうに三鉄の人たちは心配をいたしております。さらに、災害等ありますと大変だということで、無償で使用ができる今のあり方の継続を望んでおります。この点ぜひ大臣要望を申し上げておきたい。第三セクター既存のものの存続、経営安定については何か運輸省とすれば積極的な措置が必要であるというふうに思いますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  62. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生今御指摘のとおり、清算事業団が今無償で貸与しております施設は、なるべく早い時期に第三セクターに引き取っていただきたいと考えておるわけでございますが、実は清算事業団という組織そのものが旧国鉄の清算業務をその使命としておりまして、当然一定の時期に達しますとその使命を終わるわけでございます。したがって、長期的にこのような施設を手元に置くわけにはいかないということでお願いをしているところでございまして、税制上からも、本年三月三十一日までこの譲渡を円滑にするため幾つかの特典を設けているところでございます。  なお、固定資産税の話がございましたが、実は固定資産税はこれまた御案内のとおり地方税でございまして、まさに地方がこの固定資産税の税収と当該鉄道経営とをどういうふうに結びつけるか、これはまたある意味におきましては地方の選択の問題でもあるのではないか、かように考えております。  もちろん、我々といたしまして、この第三セクターの維持の問題についてもう一つ大きな問題であります災害問題、これは重大に受けとめておりまして、平成年度予算案におきましても、鉄道の災害助成につきましてはそれなりの予算を計上させていただいているところでございます。
  63. 山中邦紀

    山中(邦)委員 清算事業団はいつまでもあるものでもないとか、その他のことはわかります。あるいは固定資産税が地方税の問題だということもわかりますけれども、問題はそういうことではないわけでありまして、先ほど大臣は、今度の整備新幹線問題で一部とおっしゃいましたが、一部としましょう。非常に不安を持っている者がおって、それに対しては同情を示された。この同情を解消する一つの手だては、今まで事業をやってきた第三セクターに対して何がしかの善処を行う、こういう点にあると思います。具体的にどうだということが出なければこういう問題が大事だとお考えかどうか、その点だけでもお答えいただきたいと思います。
  64. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど来先生は今後並行在来線の分離問題とかあるいは現在分離をしております黒字路線、大部分は赤字、これに対してどうするか、こういうようなお話であろうと思います。先ほども私、話をいたしましたが、並行在来線経営分離後の代替交通機関の確保という問題につきまして、JRから経営分離が必要となる区間につきましては、通勤通学等の地域の足の確保のため適切な代替交通機関を導入することとし、そのため、運輸省といたしましてもそういう問題について適切に対処してまいりたい、こう思っております。
  65. 山中邦紀

    山中(邦)委員 今のお話の流れの中に例えば東北新幹線の沼宮内─八戸間の問題があるというふうに私は思います。この区間のJR鉄道資産の評価、それからこの区間を経営した場合の赤字、黒字の見込みについては、どの程度運輸省では掌握をしておられますか。
  66. 黒野匡彦

    黒野政府委員 沼宮内─八戸間の今のJRの資産でございますが、これは、簿価で申し上げますと約百七十億円と我々見積もっております。これをベースに第三セクターで経営していただきます点につきましては、まさに今JR東会社と県とが詰めておりまして、今の施設をどうするかということも含めてなるべく赤字を少なくする方法で詰めてきておりますから、今この段階数字を申し上げるのはちょっと控えさせていただきたいと思います。
  67. 山中邦紀

    山中(邦)委員 いろいろ不確定要素がありますから確たるものだということを言わないまでも、やはり採算問題から出発をしているわけでありますから、JRが採算で手を引いてその後の見込みを示さないということでは、住民の不安は募るばかりだと思います。  JRが百七十億の評価をしているということは、そのように私も承知をいたしております。JRが県の方へ示した収支見込みは、第三セクターに移して開業時点で大体二十億の赤字、そうですね。——二十億の赤字だ、こういうことであります。その二十億がどういう収支バランスの上からきているかといいますと、収入見込み三ないし四億円、経費総額、これに二十を足せばよろしいわけですから、二十三億ないし二十四億円、こういう数字が一応出ているということはわかっておられますね。
  68. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今先生の御指摘数字は承知しております。ただ、これはJRがこのまま自分のやり方で経営するとすればこうなりますという数字でございまして、これをベースに、第三セクターとして地方公共団体の協力も得ながらどのような知恵を出すかというのがまさにこれからの問題でございます。
  69. 山中邦紀

    山中(邦)委員 私もそれはそうだと思います。この知恵の出し方の中に住民参加、こういう要素がないと、そのうちに運賃の値上げも出てまいりましょうし、あるいはいろいろな予算の提供で地元の協力も得なければいけない、こういう問題が出てくるわけでありますから、なるべく早くこういう数字は確度を高める方向で検討して、しかるべきところに情報を流して多数の知恵を集める、こういうことがなければいけないと思います。  今度の経営分離のケースについて、以前の国鉄時代の特定地方交通線程度の助成措置というのは、これは最低考えなければ話は進まないと思います。それにしても、JRは民間会社になりましたから、百七十億の鉄道資産を前のように無償で使わせるかどうかということは、これは運輸省が十分指導しなければならないと思うわけであります。しかも、仮に第三セクターが選ばれるとすれば、当初数年の間助成をしておいて後は企業努力、こういうことでは、そのうちに店を閉めなければいけないわけでありまして、全国的な、総合的な交通体系を維持発展させる立場の運輸省とすれば問題があるのではないか。この点でも大いに大臣に頑張ってもらいたい。お考えをお聞かせ願いたい。
  70. 村岡兼造

    村岡国務大臣 地域の交通の維持はどう思うか、こういうようなお問いだと思います。  運輸省といたしましては、先ほども申し上げましたように、地域住民の生活上必要不可欠でありながらその運行維持が困難となっておりますバス、鉄道等の公共交通機関につきましては、地方公共団体と協力いたしまして、地方バスの補助、地方中小民鉄補助等の各般の助成策を講じ、運行維持を図ってきているところであります。今後とも地域住民にとって必要不可欠な公共交通機関の維持に努力してまいりたいと考えております。
  71. 山中邦紀

    山中(邦)委員 ぜひお願いをしたいというふうに思います。大臣のそういう御熱意がありますれば、地元の一部不安に思っている人たちが、もちろん礼を尽くして、邪魔にならないようにではありますけれども、運輸省やJRに自分たちの問題をわかってもらうために陳情に来るというようなことがあれば、これは許す限りお受けを願いたい。進行しつつある新幹線問題に水を差されるというようなお考えだけでなしに、約十年も続くかもしれないこれからの先行きの中で、地元の人の意見に耳を傾ける、こういう姿勢がぜひ必要だというふうに私は思っております。  次に、代行運転問題に移ります。  それで、代行運転というのはどういう内容のもので、いつ発生し、現在どのような状況にあるか、これはどういう御認識、どういう実情把握でおられるか、お尋ねをいたします。
  72. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の運転代行でございますけれども、これは、飲酒等のために自分の自動車を運転して帰宅することができなくなった人にかわりまして運転を代行するサービスを提供する業を一般的に言っております。  こういう運転代行という形態がいつごろ発生したかということについて、詳細な点はよくわからないわけでございますけれども、昭和五十年ごろからマイカー依存度の高い地方都市を中心に発達をしてきたというふうに聞いております。  運転代行の現状につきましては、運転代行業が道路運送法上の旅客自動車運送事業に該当しないために、正確に把握することは困難という状況でございますが、昨年九月末の時点で把握をさせていただいたところでは、運転代行の専業者の事業者数が約二千業者、それから車両数で約一万両、それから運転者数で約一万七千人というふうに聞いております。なお、このほかに約千六百社のタクシー事業者が運転代行業も兼業しているというように聞いております。
  73. 山中邦紀

    山中(邦)委員 大体そういうことかと思いますが、運輸省地域交通局によるとということで、昨年の四月十八日の朝日新聞を見ますと、現在全国に千八百三十七社、九千百五十四台。これは、実際の数字を把握するのはなかなか難しいとは思いますけれども、一応そういう端数のついた数字まで掌握されたことがあるのではないかと思います。  また、発生経緯については、昭和四十年代後半にまず北陸地方、そうして東北、西日本というふうに広がったと言われております。富山、福島、秋田、新潟、群馬そして酒どころの広島とか、そういうところでふえてきておるようであります。これについてはいろいろな問題点が指摘されておりますけれども、運輸省の立場とすればどのように考えておられるか、問題点はないのかあるのか、あるとしてどこにあるのか、いかがでしょう。
  74. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 運転代行業にかかわる問題点は何かというお尋ねでございますけれども、運転代行をやると称しましていわゆる白タク行為を行う者が後を絶たないという点がございます。こういった違法行為に対しましては、従来から警察等関係機関と連携をとりつついろいろ指導、取り締まりをやっているということでございます。今後とも違法行為については、運輸省としまして今申しましたような関係機関と緊密な連絡をとりながら厳格に対処していくとともに、適正な形態で運転代行が営まれていきますように、事業者に対して適切に対応していくというスタンスでおります。
  75. 山中邦紀

    山中(邦)委員 むしろ今のお話の後半に期待をしたいのでありますけれども、取り締まり当局に連絡しながら白タク行為を取り締まっていく、これはなかなか難しいことはよくおわかりだと思います。  警察庁の方に伺いましたところ、一番最近年度で一年間の白タクの検挙数は五十に満たないというお話でありました。現認して、証拠を収集してというようなことは非常に難しいということではないかと思います。適正な対処というものについてはなるべく早く、実はもっと早くやっていただかなければいけなかったのではないかと思っておりますが、白タク行為という関連からいいますと、どうして運転代行の場合に白タク行為が多いのか、どういうケースがあるのか、どのように見ておられますか。
  76. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 運転代行の形態としましては、運転代行を行う人として二人の人間が一台の車を持ってバーならバーに参りまして、お酒を飲んでいるお客さんの車に運転をする人が乗りまして、お客さんをそれに乗せて自宅まで届ける、それからもう一人の人はもう一台車を用意しておきまして一緒についていくという形態が通常でございます。これにつきましては、お客さんの車に乗りましてお客さんのかわりに運転するということでございますから、白タク行為には該当しないわけでございますけれども、例えば代行者が持っていった車にお客さんを乗っけて運ぶというようなことがあるとしますと、それは白タク行為という道路運送法違反の行為になります。さらに、全く運転代行じゃなくて、通常の車を持っていってお客さんを自宅まで届けて、車は翌日とりに来るということであれば白タク行為であるというようなことで、今申しましたような三つぐらいの形態のうち後の二つの形態のようなものは道路運送法違反というふうに認識しております。
  77. 山中邦紀

    山中(邦)委員 今お話しなさったように、代行関係の車が一台、お酒をたしなんだ人の車が一台、そうして少し聞こし召した客が自分の車に同乗しておれば白タクではない。伴走してきている車に乗ってしらふの代行者が運転していく、そして二台で行けば白タク。これは社会的な実態とすれば同じようなものだとしか思えない。その区別をしろと言っても、これは二台並んだ車のどっちかに乗るということですから、客に区別を要求するというのは非常に難しかろうと思うのです。そういう意味から、白タクまがいというような批判を受けるのは今の業務のあり方からいってある意味では大いにあり得ることだと思っております。白タクを取り締まれと言うだけでは済まない側面があるわけでありまして、やはり不特定多数の人に業として有償的に運転業務を提供するという観点からいいますと、今までのような野放しの形では問題がある、このように思わざるを得ないわけであります。この辺、運転代行問題全般、そうして適正な運転代行を育てるというような観点から、大臣はどのようにお考えになりますか。
  78. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今の先生おっしゃいます運転代行業あるいは白タク行為というのを、大臣になりましてから、私もタクシー業界あるいはさまざまな方面でそういう御意見がたくさんあることを聞いております。  今局長が申しましたように、運転代行業は自家用車を使用して行うサービスでありまして、道路運送法上の旅客自動車運送事業に当たらないために、現在事業規制等による指導を行う立場にはないわけでございます。  一方、当該事業がかなりの範囲において利用されている実態でございまして、事業者に対し、法に違反せず適正に事業を行うよう、警察と関係省庁とも連携を図りつつ厳正に対応していきたいと考えておりますが、いつあらわれてくるかどうかというような状況も聞いておりまして、現段階では運転代行業に対しまして法的規制を行うことは考えておりませんけれども、こういう声が相当上がっておりますので、またこの問題について検討して考えていかなければならない問題ではないか、どうするか、どうしたらいいのかということもまた先生方の御意見も聞きながら各方面と検討していかなければならない問題ではないかと考えております。
  79. 山中邦紀

    山中(邦)委員 現段階で法規制を考えていないというお話ですけれども、その前に実態調査をもう少し行うべきではないのかという気がいたします。この点でどうもおくれをとっているのではないかというふうに思います。  乗る人からどんな苦情が出ているか、おわかりでしょうか。お金をたくさんぼられたとか、あるいは代行会社から派遣された運転手が事故を起こしたのに払ってくれないとかいうようなことも出ております。これは業務の態様でありましょう。料金を明示するというようなことは必要ではないかと思います。また、どういう人たちが運転代行の業務に携わっているか、これは職業選択の自由ですからどういう人がなってもいいわけでありますけれども、やはり運転技量の点は、交通機関に携わるわけでありますから、これはある程度腕のいい人でなければならないというふうに思います。  そういう問題点の把握というのは、どうなんでしょう、法規制までは考えてないが何がしかやらなければいかぬ、こういうお気持ちもおありのようですから、どんなことをしなければならないと考えておるか。それから、現状でもいろいろ白タク関係で問題が出ておるのですから、さしあたりどういう方法で現状の改善に努めようとしておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  80. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 先生指摘のように、運転代行業の実態と申しますものは、私どもの方で直接事業者として監督する権限を持っておらないものですから、詳しいことはわからないということでございます。したがいまして、料金がどうなっているかとか、それから業務の実態はどうかということについては必ずしも詳しくはわかっておりません。しかし、こういった事業がかなりの範囲で広がって利用されるというようなことであれば、運転代行における運転者の資格と申しますか、二種免許を持っていないというケースがほとんどだと思いますけれども、そういった問題とか、あるいは事故が起きたときの保険といいますか事故補償のための保険への加入がどうなのかというような問題もあると思いますし、それから、運転する人のお客さんに対するサービスをどういうふうに向上させていくかという教育の問題のようなこともあると思います。私ども、そういう問題意識は持っておるわけでございまして、そういったことについて国がどの程度関与するのかというようなことだろうと思うわけで、それにはまず事業者の実態を把握する必要があると思うわけでございます。  現在の実態は、先ほど御報告した程度のことでございまして、都道府県別に数がわかっているという程度でございますけれども、さらにいろいろ運輸局、警察、それからタクシーの業界等で情報を持っておりますので、そういったところからの情報を収集しまして、関係機関とも連携をとりつつ、これからどうしていったらいいのかということを考えていきたいと思います。
  81. 山中邦紀

    山中(邦)委員 良心的な代行業者の人たちは組合をつくり、あるいは協同組合にしたりというようなことをしているようであります。さらに、その連合会の結成ということもあるようでありまして、こういう団体が法人化していく場合にはどこが所管するかということになりますと、やはり運輸省。県をまたがった場合にはそういうことになってくるでありましょうから、権限がないからということで受け身の問題ではなく、お忙しいでしょうけれども実態調査に入っていただきたい。そうでないと、これが盛んに横行して、悪い意味の代行業者が出てくれば、暴力団関連も言われておりますし、心配なことではないのかというふうに思います。どういう人たちが従事をしているか、どういう形態で従事をしているか、その運転技量はどうだ、そういう観点はひとつ持っていただきたいというふうに思います。昼間勤めている人たちが会社の勤めの帰りに二、三時間アルバイトで代行運転をやっていくとか、夫婦で仲よくやっているケースがあったり、あるいは暴力団の準構成員が一人でやっておったり、あるいはサラ金で参ってしまった人が昼間別の仕事をして夜こういう仕事に携わったり、前歴はとにかく、責任を持って、しかも安全運転ができる状態にあるかどうかという観点はぜひひとつ調査項目に入れてお調べを願いたいというふうに思います。  現在まで、運輸省そのものが、あるいは地方の出先を通じて、代行業者の組合などと接触をして指導しているという実例はございますか。
  82. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 運転代行業の事業協同組合でございますが、これは実は私ども運輸省の方の出先で把握、監督するという状況ではございませんでして、いわば中小企業の一環として通産省サイドで事業協同組合の設立の許可をしている状態でございますけれども、昨年の九月、ちょっと古い時点でございますけれども、三十一都道県に三十九組合がありまして、事業者数としては四百七十六の事業者が参加しているというふうに聞いております。私どもの方の出先で運輸局、あるいはその出先の陸運支局というようなところがございますから、直接ではなかなか難しいと思いますけれども、いろいろな手段で実態把握に努めているということでございます。
  83. 山中邦紀

    山中(邦)委員 私の出身は盛岡でありますけれども、寒いところで酒飲みの多いところは多いですね。そして、一定の水準に達した人が業としてやらなければ怖い目に遭うということもございます。それから秋田の川反あたりでは、これもたくさん流しておりまして、タクシー業者の例えば年間八十億の売り上げが予想されるところを約一割ぐらいは代行業者が白タクでそれを奪っているのじゃないかというような風説もございます。  さしあたっては、白タクを規制するということは今の取り締まり法規でもあることなんですから、幾つか提案をいたします。御検討願いたい。  白タクを防ぐという意味で、流しを行わない、営業所で待機をする、あるいは一定の場所で待機場所をつくるというような形で、運転代行業を正面から認めた中でこういう規制をするということについてはどうですか、ぜひそうありたいものだというふうに思いますか。
  84. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 運転代行業の実態としましては、ある場所で待機をしておりまして、それでお客さんからの連絡を待ってそこの飲む場所に行くというのが一般的な形態だろうと思うわけでございます。流しをどんどんやっているというよりは、むしろ待機している形態が多いのだろうと思うわけですけれども、これを現在のように事業者として把握して位置づけて監督してない状況のもとに、営業所で待機しなさいということを規制するというのはなかなか困難でございますので、当面は警察その他の関係機関と連絡をしまして、違法が起きないように監視するということからスタートしたいと思います。
  85. 山中邦紀

    山中(邦)委員 幾つか申し上げますが、仙台の盛り場の国分町あたりは、両側にマイカーがずらっと停車をしておって、一車線ぐらいあいた中央部分を流しの運転代行業者がゆっくりゆっくり走っているという実態がございます。タクシーが中へ入れないというので文句を言っている、こういうこともありますから、やはり今のような観点の実態調査は私は必要ではないのかというふうに思います。よい業者を育てるというような観点から、アウトロー的な暴力団につけ込まれるようなことのないように、しかも飲酒運転対策にはある程度意味のある仕事が育っていくのではないかというふうに思います。  御存じかどうかわかりませんが、群馬県あたりでは、暴力団がショバ代を取る。流しの車がいい場所におれば高く取るのですね。それから、少し外れたところにおりますと安く取るわけです。ひとつお暇な時期に、夜そういうところへお出になって、御機嫌のいい時期に運転代行業者に実地に当たってみられたらいかがでしょうか。決して営業所だけにとどまっているというふうにはなかなか思えないわけです。そういうような観点から、料金の規制といいますか、これは白タクあるいはタクシー業との関連があると思います。そして、それを表示をする、どういう方法でか乗る人が事前にわかるようにするということが大事ではないか。  日経新聞、乗る前に「事故が起きた際の補償方法や料金システムなどを事前にしっかり確認する必要がありそうだ」。それは弊害から出てきた提案ですけれども、酔っぱらった人がそんなことを一々確認できるでしょうか。料金の問題、それから業として行うのですから事故の報告の問題はこれは受けてもいいのではないか、報告をさせることですね。それから、一定の人数以上になった場合は業務管理の責任者を置くとか、さらに先ほどちょっと出ました二種免許の問題、あるいは保険契約の締結について何らかの指導を行うということが必要ではないかというふうに思います。  運転代行業者が運転中に起こした事故については、代行業者に依頼した人に責任があるかどうかという法律問題が議論をされております。頼んだ方は、なかろう、陸送業者と同じじゃないかという意見が強いようでありますけれども、今のようなアルバイト的で、どこのだれかわからない、所在もわからない、すぐいなくなるというような人が代行業をやっておれば、依頼した方に責任がない、代行者に専ら責任を問うという格好では被害者の救済にはならないという側面がありますから、何でもかんでも罰則を設けて規制するかどうかという観点の慎重さはこれは必要だと思いますけれども、しかしながら、よその所轄である、あるいは問題が出てくるまで待つということではなしに、一種の有償運送業を営む業種であるという観点からいろいろ対策をお考え願いたい、これは希望を申し上げておきます。
  86. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 今先生指摘のように、代行業の中にはもちろん法律を守って良好なサービスを提供している者もおりますけれども、一部暴力団に絡むような業者もいるわけでございまして、問題がたくさんあることは先生指摘のとおりでございます。  今御指摘の、料金を表示させるとか、あるいは事故の報告をさせる、それから一定の両数以上持っている業者には連行管理者的なものを設けさせるとか、あるいは保険をつけさせる等々の制度は、言ってみますと、いわば一つの事業として位置づけて、旅客自動車運送事業としての許可制というか免許制というか、そういったものを設けたらどうかというようなお話ではないかというふうに承ったわけでございますが、そういうことにすべきかどうかにつきましては、先生指摘のように、まず実態を十分把握させていただく。実は、東京では余り運転代行業がないものでございますので、私はよく実態を知らないわけですが、地方の都市に参りましたときなどによく実態を見てみたいと思いますが、まず実態の把握をさせていただきまして、いわば規制緩和の流れが全体的にあるわけでございますので、そんな中でそういう今申したような法的規制をやるのがいいのか、それともほかにもう少し方法があるのかどうかということも含めて検討させていただきたいと思います。
  87. 山中邦紀

    山中(邦)委員 問題点は御認識いただいたと思います。その方法の問題をさらに実態調査の上でお続けいただくということと承りました。  以上で終わります。ありがとうございました。
  88. 近岡理一郎

  89. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 わずか三十分という限られた質問時間でございますので、三点に絞って御質問を申し上げたいと思います。  第一が湾岸紛争について、第二が運輸省設置法の改正について、そして第三がこれからの空港整備についてでございます。  まず、今枝運輸政務次官お尋ね申し上げたいと思います。  きょうは大臣の代理を務めていただくわけですから、代理大臣と呼ばせていただきたいと思います。  代理大臣のプロフィールによりますと、少年時代はパイロットを目指し、終戦直前の十九年陸軍航空学校操縦科を卒業、終戦後故郷に帰り青年団活動、こういうようなプロフィールがあるわけでございます。そして最終学歴に陸軍航空学校卒業とあります。多感な青春時代、戦争とのかかわり合いを持ち、それを原体験としてお持ちでいらっしゃるわけであります。  そこで、操縦桿をみずから握った経験をお持ちの代理大臣の湾岸戦争についての所感をお伺いいたしたいと思います。
  90. 今枝敬雄

    ○今枝政府委員 斉藤先生から御指名をいただきました運輸政務次官の今枝でございます。  大変私のことをよく御研究をいただいて、ありがたく感謝をいたしておるわけでございます。  御承知のように、今回の多国籍軍に参加している諸国を初め、国際社会の連帯協力によりクウェートの解放が実現したことは心から歓迎を申し上げる次第でございます。また、多大な努力を払われました方々にまずもって敬意を表したいと存ずる次第でございます。  私といたしましては、昨年のイラクによるクウェート侵略以来、国際連合を中心とした国際社会が一致団結してイラクを非難し、厳しい対応をとってきたことを特に評価したいと存ずる次第でございます。  我が国といたしましても各国と協調し、必要な制裁や支援措置等を通じまして平和回復のために努力を続けてまいりました。運輸省といたしましても、避難民輸送等目に見える貢献ができたものと考えておるのでございます。  今後は、これを機に、湾岸地域における平和と安全が達成されることを望んでおり、また、復興につきましては所要の協力を行っていくべきであると考えておるような次第であります。
  91. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 このたびの湾岸紛争における日本の対応について、巷間いろいろな批判もございます。例えば、ツーレート・ツーリトルというような批判もあるわけでありますけれども、昨日成立いたしました九十億ドルの追加支援は、第一次支援と合わせまして百三十億ドルにも上るわけでございます。国連を中心とした多国籍軍から感謝の言葉も寄せられているというふうに私聞いております。  そこで、運輸省といたしましてもいろいろな対策を講じてきたと私承っておりますが、具体的に何を、どこからの依頼で、そしてどうして、そしてそれに対する評価、例えばどういうところからお礼の話があった、こういうようなことについて具体的にお伺いいたしたいと思います。
  92. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 政府の中に湾岸危機対策本部ができまして、我が村岡大臣もその一員として活躍されたわけでございますが、運輸省の中には直ちに事務次官を本部長といたします対策本部を設置いたしまして省内の体制を整備してまいったわけでございます。  具体的な中身でございますが、第一点に、我が国の民間航空機による避難民輸送を行っております。第二点目は、周辺海域、ペルシャ湾でございますが、航行する我が国の船舶に対しまして安全確保、航行情報等を出しておるわけでございます。三点目には、航空機に対するテロ対策の徹底を図ってまいりました。四点目には、ペルシャ湾の中におきまして原油が流出いたしたわけでございますが、これに対しまして海上保安庁等、オイルフェンスの十キロメートルの供与等をやりまして、地元の国々から大変な評価を受けております。  特に、避難民輸送につきましては、人道的な見地から最大限の努力を払ってまいったわけでございまして、村岡大臣みずからこの航空二社に対しまして輸送協力をお願いいたしたところ、各社とも、日本航空、全日空二社でございますが、安全の確保を大前提にいたしまして快く協力をしていただきまして、結果といたしまして、日本航空、全日空によりましてベトナム難民、さらにはタイ人も含んでおりましたが、約一千名の人々に対しまして現地から本国へ輸送さしていただいておりまして、当該政府からも大変な感謝を受けておる、こういう状況でございます。
  93. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ただいま運輸省から御報告いただいたわけでありますが、私の手元の資料によりましてもサウジアラビア、バーレーン、カタール初め多くの国々から、日本の対応に感謝する、そして各国から協力の申し出があるが日本からの協力が最初にオーガナイズされた協力であった、こういうような高い評価とともにお礼の言葉があったということを私は国民の皆さんに広く伝えてほしいというふうに思います。  時間が余りないので、次に運輸省設置法の改正についてお伺いいたしたいと思います。  改正の目的は、運輸行政をめぐる国際環境の著しい変化に即応してハイレベルでの国際問題の的確な処理を図るとともに、総合的な国際運輸行政を強力に推進する体制を整備するため、運輸省に運輸審議官を設置する、こういうような内容になっているわけでありますが、そこで、運輸審議官の設置の理由とその背景、そしてさらにその必要性について御説明いただきたい。
  94. 今枝敬雄

    ○今枝政府委員 二十一世紀に向けての我が国の最大の課題は、我が国経済社会の国際化をさらに促進し、真に世界に開かれた経済社会を実現するとともに、相互依存関係を深める国際社会の中にあって我が国が積極的な貢献を果たしていくことにあると認識をしておるような次第でございます。  このような基本的な課題に対処していくためには、まず第一に旅客交通及び貨物流通にわたる国際運輸ネットワークの着実な整備と国際交流の一層の促進を図り、第二に国際社会と調和した運輸行政の展開と運輸関係国際協力の拡充が重要であり、このような見地に立って、運輸省といたしましては運輸審議官のもとで国際運輸行政を強力に推進していく所存であります。
  95. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今その理由等々をお聞きしたわけでありますが、運輸審議官を設置するためには運輸省も相当のスクラップを覚悟して運輸審議官の設置を決意したと私聞いております。どのような既存組織が廃止されるのか、御説明いただきたい。
  96. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま政務次官の方から運輸審議官経緯等について説明さしていただいたわけでございますが、非常にハイレベルな運輸審議官、次官クラスでございまして、このためには私どもの行政機構の増大を抑制するという立場からやはりスクラップを出す必要があるということでございまして、三つの組織のスクラップを考えております。  一つ大臣官房にございます国有鉄道改革推進部長一名、それから第二点目は大臣官房審議官一名、三点目は同じく国有鉄道改革推進部の中にあります、課長クラスの職でございますが、具体的には日本鉄道建設公団・本州四国連絡橋公団監理官という長ったらしい名称でございますが、この指定職二名と課長クラス一名、三つの組織を廃止させていただきたい、こういうことで考えております。
  97. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 国民は行政改革も一方では望んでいるわけでございまして、そういう意味で運輸省も痛みをこらえながら新しい体制づくりという御説明を今いただきました。  そこで、特に今回の目的の中に国際的ということが強く打ち出されているわけでありますけれども、この運輸審議官の設置を期に運輸省は国際的な運輸行政にどのような姿勢で取り組んでいくのか、その決意をお伺いしたいと思います。
  98. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今の国際行政につきましては、先ほど政務次官から具体的な中身を説明させていただいたわけでございますが、いずれにしても我が国経済社会をめぐりましてかなり国際化が進展いたしております。これに関係する国際運輸行政を積極的、強力に進めていく、こういう立場で今回運輸審議官の設置を御審議いただいているわけでございます。  特に、若干具体的に申し上げますと、我が国の多国間におきます国際航空交渉への対応、あるいは海運関係の国際会議への対応、あるいは国際交流促進施策の展開、さらにはOECDにおける造船助成の削減問題、あるいは空港、港湾等の運輸社会資本の整備、多国間の問題、そういったいろんな問題が出ておりまして、これら国際運輸関係の充実を強力に図っていきたい。このためにハイレベルでの国際問題の的確な処理を図っていく必要があるということで、総合的な国際運輸行政の推進の立場から今回の運輸審議官の設置をお願いしておる、こういうことでございます。
  99. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 運輸行政というのは非常に大事な行政だと私は思っています。昔は東海道五十三次があって、そして今東名高速があり東海道がある。まさしく大動脈であり大静脈、それが交互に複雑に入り組んで初めて運輸行政というのはなされている。そしてそれを効率的にやることがすなわち国力を上げ、そしてさらに世界の幸福、福祉につながっていくものだと思っているわけであります。私は今お伺いいたしまして特に国際関係、これにつきましては大変複雑な対外折衝が要求される、その背景の中でこの審議官設置ということになっていくと思っておるわけでございまして、これからもますます運輸行政の発展のために運輸省頑張っていただきたいことを期待を申し上げておきます。  審議官の設置は、ほかの省との比較をいたしてみますと、外務省昭和三十五年、大蔵省昭和四十三年、通産省が四十八年、農林水産省が六十三年となっておるわけであります。残念ながら運輸省に関しましてはこの後になったということで、残念に思っているわけでありますけれども、その辺何か御感想ございますか。
  100. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今御指摘を賜りましたように省で四省庁、国際関係を担当する次官級クラスのこの審議官が設置されておるわけでございます。運輸省も過去にいろいろと考えてまいったわけでございますが、特に最近、とみに国際化問題が運輸省をめぐっても相当大きな流れとなってまいったわけでございまして、先ほど申し上げましたような大幅な抑制、スクラップを出しましても、この際、国際担当の高次元の運輸審議官を設置することが大変大事である、これをつくりまして積極的に国際運輸行政に貢献してまいりたい、このように考えております。
  101. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今他省比較の御説明をいただいたわけでありますが、私としては、ある意味で運輸省としては遅きに失したのではないかといった感も免れません。しかしながら、国鉄の民営・分割化という歴史に残る大事業をこの間なし遂げられましてJR化されたことは、国民がすべてひとしく高く評価していると私思っております。その難事業を成功させた運輸省の時代の変化に即した新たな対応ということで今回の組織変更になったというふうに思っておりますので、これからの国際化においておくれのない運輸行政を推進していただきたいとお願いを申し上げておきます。  余り時間が与えられておりませんので、次に進みたいというふうに思います。  空港問題であります。第六次空港整備五ヵ年計画は、昨年八月公表をされた航空審議会の中間取りまとめをもとに策定作業が進められていると思いますが、地方空港の新設についてどのような考え方で整備を進めていかれるのか。その基本的な考え方と今後の計画策定スケジュールについてお伺いしたいというふうに思います。
  102. 今枝敬雄

    ○今枝政府委員 委員お尋ねの第六次空港整備五ヵ年計画の策定につきましては、三月一日に対前計画費六六%増の三兆千九百億円の投資規模の閣議了解を得たところであります。この投資規模を前提に、昨年八月の航空審議会の中間取りまとめに沿って具体的内容についての検討を進め、本年秋ごろには航空審議会の答申を得て五ヵ年計画の閣議決定を行う予定であります。  次に、計画の策定に当たっては、中長期的な航空需要の増大に対応しつつ、国内、国際ネットワークの充実、多様化が図られますよう、新東京国際空港の完全空港化、東京国際空港の沖合展開及び関西国際空港の開港の三大空港プロジェクトの完成を最優先課題といたして推進するとともに、一般空港の整備等所要の空港整備を推進する考えであります。
  103. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今、これからの五ヵ年にわたる空港整備計画をお聞きいたしたわけでありますけれども、四全総でうたわれ、そして国の大方針のもとで多極分散型の国土形成の必要性が強く打ち出されております。かつ、首都圏の混雑緩和並びに生活者重視の対応、こういった観点、さらに、羽田空港を初め首都圏の空港能力が既に飽和状態になっておる、こういう現状を見るにつけまして、一日も早く東京圏の補完機能をつくる必要があると私は思っておるわけでありますが、その点、いかがでございましょうか。
  104. 今枝敬雄

    ○今枝政府委員 先生の御趣旨を十分念頭に入れて今後の勉強をしてまいりたいと存じておりますので、よろしく御指導を願いたいと存じます。
  105. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ただいま今枝代理大臣から大変温かい、御示唆に富む御答弁をいただいたわけでありますけれども、私は今東京圏の補完機能ということを申し上げました。同時に、三大空港プロジェクトも今進行中だという御説明も先ほどの答弁でお聞きいたしたわけでありますけれども、東京圏のみならず、中部圏においても、これからの国際化に臨むときにどうしても需要にこたえ切れないのではないかということを心配いたしております。  そこで、これからの課題の中で中部国際というようなことも十分議論にのせ、そしてさらに推進していく必要があるのではないかと思うわけでありますが、選挙区は違われますけれども、代理大臣、御出身は愛知県でいらっしゃるわけでございます。この中部国際につきまして御意見があれば承りたいと思います。
  106. 今枝敬雄

    ○今枝政府委員 斉藤先生お話の中にございました中部新国際空港、これは鋭意今作業を進めさせていただいておりますと同時に、第六次空整の中に御審議をいただけるような運びになりつつあります。したがいまして、第六次空整においてどのように位置づけられていくかということにつきましてはまだその予測をしがたいところでございますが、中部新国際空港は、斉藤先生の静岡県も大いに利用をしていただかなければならぬという点から、ぜひ推進をしていきたい、かように考えております。
  107. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 これからの運輸行政でこの航空行政というのは非常に重きをなす、そしてそのウエートも高くなってくることは言をまたないわけでございます。私は、以前、多極分散型国土形成の中で、東京経由それから大阪経由、そういった限られたルートだけの運輸行政というのは時代に即さないし、これからは、地方から地方へ直接行ける、こういった行政が取り上げられなければならないということで、それに沿って運輸省も対応してくださってきていると理解をいたしておるわけであります。先ほど今枝代理大臣からはそれに関してお答えはもういただいたと思っておりますけれども、私の地元静岡県では静岡空港の建設について大変期待が高まっておるわけでございます。きょうはポスターをお持ちいたしまして、県民挙げてこのプロジェクトを推進しているんだということをPRをかねて御理解をいただきたいと思います。なかなかしゃれたいいポスターだと思っております。実はこの候補地は私の選挙区外なんでございます。これはどういうことを申し上げたいかと申しますと、全県一致してのプロジェクト、全県挙げてのプロジェクトであるということを申し上げたいためにもこのポスターをお見せさせていただいたわけであります。  もう一つ、実は「静岡空港完成予想図」というのもごらんいただきたいと思いましてお持ちをいたしました。これは完成予想図ですからこのとおりになるかどうかわかりませんけれども、今考えられるのは、飛行場があって、実はその下に新幹線が直接通過している。そういう意味では従来の地方空港にない数多くのメリットを有しているということでございます。例えば今申し上げました新幹線と直結する直接アクセスがあるというようなこと、そしてさらに、小さくてごらんになりにくいかもしれませんが、これは東名インターでございます。第一東名。第二東名、これはこれから予定されるわけでありますが、あわせて至近距離に至近アクセスとして三つのインターも準備される、こういうようなことでございまして、私としては非常に有利な状況の中でこの空港建設というのがされるのではないかと思っております。  そして最後になりますけれども、私はこの利便性の高い静岡空港の開設は国の方針と歩を一にするものだと思っておりますが、その点いかがでございましょうか。
  108. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 各空港の整備について、今地方の方では大変重要な課題で、御要望をたくさん聞いておりますが、今先生指摘の静岡空港もその一つとして、大変地元の高い要望一つでございます。私ども、静岡のような場合、大県でございまして、人口三百五十万以上だと思いますが、今の地方間の連絡問題で非常に役立つという御指摘はそのとおりでございまして、昨年の航空審議会の中間取りまとめにおきまして、航空需要の問題、航空企業の路線就航問題あるいは地域開発の関連づけ等の問題、非常に幅広く問題を詰める必要があるわけでございまして、今後の空港計画の熟度あるいは地域全体のコンセンサスづくり、こういったものを十分踏まえながら検討させていただければありがたい、このように考えております。
  109. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 時間が余りましたけれども、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  110. 近岡理一郎

    近岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時十一分休憩      ────◇─────     午後二時二十三分開議
  111. 近岡理一郎

    近岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。緒方克陽君。
  112. 緒方克陽

    緒方委員 ただいま議題となっております運輸省の設置法の一部を改正する法律案について質問したいと思います。  提案の理由は、国際運輸行政を推進するために今回運輸審議官を設置するということが提案をされておるわけでありますけれども、なぜ今回なのか。各省では既に──先ほど同僚議員の質問でも各省庁の年次が言われておりましたけれども、なぜ五十九年ではなかったのかということです。五十九年には運輸省の組織の大改正が行われているわけでありますが、なぜ今回なのかということについてお尋ねをいたします。
  113. 村岡兼造

    村岡国務大臣 ただいまの御質問でございますが、五十九年の改正では、大臣官房国有鉄道部で当時の最大の課題でありました国鉄改革に取り組むということで改革をしたわけでございますが、先生御承知のとおり、その後国際社会の大きな変動と進展がございまして、運輸審議官を設置しようという状況になりました。この主なる理由としては三つほどあろうかと思います。  その第一には、我が国経済社会の国際化の促進に当たりましては、これに関係する国際運輸行政を強力に推進していく必要があるという点でございます。  第二としては、特に、最近の運輸行政におきましては、主要国との航空交渉への対応、海運関係国際会議への対応、国際交流促進施策の展開のほか、OECDにおける造船の助成削減問題、空港、港湾等の大型公共事業への外国企業の参入問題も起きてまいりましたし、運輸関係国際協力の充実など、多様な国際問題に強力に対応していくことがぜひとも必要だと思っております。  第三には、このような状況に適切に対処いたしまして、ハイレベルでの国際問題の的確な処理を図るとともに、総合的な国際運輸行政を強力に推進する体制を整備するためには、事務次官に準じましてこれらの国際関係事務を総括整理する職がぜひとも必要であり、このため、今回運輸審議官の設置等をお願いをしているところであります。
  114. 緒方克陽

    緒方委員 運輸審議官という法律職を今回新設するわけでありますが、これに伴って運輸省全体の指定職を含めた管理職の一定の変更というものが行われるというふうに思いますけれども、その内容はどうなっているでしょうか。
  115. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 法律職の運輸審議官を設置するためには、私どもの行政機構の増大をできるだけ抑制すべきであるという観点から、三つの組織をスクラップさせていただく、こういうことでございます。  一点は大臣官房の国有鉄道改革推進部長一人、それから第二には大臣官房審議官一名、さらに課長クラスでございますが、国有鉄道改革推進部にございます日本鉄道建設公団・本州四国連絡橋公団監理官一名、この三名のスクラップを予定させていただいております。
  116. 緒方克陽

    緒方委員 実はこの運輸省の組織改正というのは、昭和で言うと五十九年、一九八四年ですか実施をされているわけであります。いろんな委員会、運輸委員会とか内閣委員会でこの問題が議論されておりますけれども、前年から運輸委員会でも議論をされておりまして、昭和五十八年十月五日の運輸委員会で質問がなされております。  その質問の中身の肝心のところだけ申し上げますと、中馬委員の質問で、今回の組織改正に伴って「遅まきながらでもこうした交通機関別の組織を政策項目別にお改めになったことは、私たちは非常に評価をいたしております。」そういうことに関連して政府が、長谷川国務大臣が答弁されているわけでありますが、その中心的な答弁の中身は、「これは運輸省がいままで縦割りの行政であったものを全部ひとつ横並びにしてやろう、そのためには大胆に機構を変革して、政策中心のところにしよう。陸海空、関係するものは全部政策です。」そういう意味で改革を行った、そういう議事録があるわけでございます。この点については間違いないですね。
  117. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま緒方先生の御指摘のとおりでございまして、五十九年の組織改正前におきましては、運輸省は大臣官房以外すべて交通機関モード別に縦割り行政というふうになっておったわけでございまして、その際には、横割り的な政策推進機能の強化を主たる内容とする組織改革、こういう旨の答弁を行ったのは今御指摘のとおりでございます。
  118. 緒方克陽

    緒方委員 結論的に言いますと、今まで縦割りの行政を横並びにするのだという答弁が運輸委員会でもあり、これは前年ですけれども、そこでも政府の見解が述べられております。  さて、いよいよ五十九年の七月一日より組織改正をされようとするときに、当内閣委員会で組織問題について議論がされておるわけでございますが、同じ内閣委員会ですので、いま一度この点を確認したいと思います。  運輸行政の総合化と効率化ということで運輸省設置以降最大の大改革だというふうに言われていたわけでございますが、昭和五十九年四月十七日ですかに審議されておりまして、ここにもいらっしゃいます山田委員の質問がされております。同席されて恐縮でございますが、ちょっと引用させていただきます。  ここでも、特に今回の組織改正の主要な柱というのは、「いわゆる縦割りというのでしょうか、そういう横との調整がもう一つとりにくいような形」であったということで、機構の再編をなさるということかという質問に対して、これは丹羽政府委員でありますけれども、「中央の方におきましても、運輸行政の中で、いわゆる縦割りという形をできるだけ横割りの形で全体の総合交通政策考えたいということが基本的な出発点でございます」というふうに答弁をされておりますが、それは間違いないですね。
  119. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  120. 緒方克陽

    緒方委員 例ばかりで恐縮ですが、あと一つだけです。  同じく五十九年の四月の十七日の委員会で、これは渡部行雄委員だと思いますが、質問をされております。その要旨は、「国際関係に十分配慮した運輸政策」とは一体何かということで政府に質問をされておりまして、当時の細田国務大臣から、「今官房審議官からいろいろお答えをしたとおりでございますが、海の関係、空の関係、それから観光関係を国際問題としてつかまえる、今まではばらばらにやっておりましたが、日本の国際的な地位が向上しましたから国際的な問題として、そういう視角から取り上げていく」ということで御答弁があっているわけでありますが、間違いないですね。
  121. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 五十九年当時でございますが、運輸省といたしまして対応すべき国際関係問題でございますが、外航海運、国際航空、国際協力あるいは国際観光といった問題が中心であったわけでございまして、こういった国際問題を一元的に行うという関係から国際運輸・観光局を設置する、今御指摘のとおりの答弁を行っておるのは事実でございます。
  122. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、国際化対応ということで、国際運輸・観光局というのが五十九年に設置をされたわけです。そして、先ほども運輸審議官を設ける場合にも国際的な問題がいろいろあるんだということで提案理由の説明もされているわけでありますけれども、結局のところ、情勢的にはそうでありながら国際運輸・観光局という局自体がなくなるということになるわけでありまして、言っていることと実際に機構改革の中身が違うじゃないか、何で国際運輸・観光局というのがなくなるのかということについての理解ができないということでありますが、一体なぜこうなるのですか。
  123. 村岡兼造

    村岡国務大臣 五十九年当時、国際運輸・観光局を設置する、その答弁には、国際関係事務を一体的にやるという答弁をしていると私も聞いております。  それで、今お尋ねの点は、そういうような国観局を廃止する理由はいかん、こういうことであろうと思います。私も、不備でございますけれども、昔は、十年一昔と言いましたけれども、今の時代の進展は五年一昔とも言われておりまして、先ほど私が答弁もしたように大型公共事業の参入等は、当時、国際化するとかこんな難しい問題になるとかは考えてもいなかったと思います。また、いろいろ船の問題、日米構造協議など国際運輸・観光局以外の各局に直結するような行政分野におきまして深刻な国際問題が発生をしておるというようなことは先生御承知のとおりで、成田問題一つとりましても、今三十数ヵ国発着いたしておりますが、さらにそのほかに四十三の国々が成田空港に発着を希望しておりまして、今とりあえず日米の航空交渉、何とかまとめましたけれども、大変な摩擦みたいな状況でございます。したがいまして、そういうような国際運輸・観光局も、当初はそういう目的であったわけでございますけれども、新たな問題が発生をし、各局ともやらなければいけない、こういうふうな状況もございまして、この国際関係の事務の総括整理を行わせる、こういうことで運輸審議官を設置したい、また、運輸政策局に集中をさせていきたい、こういうことでお願いしておるところでございます。
  124. 緒方克陽

    緒方委員 提案の趣旨でも、ハイレベルの交渉をということで運輸審議官をつくるんだということはわかりますけれども、これは五十九年に運輸省が組織を改正されたときの表であります。いろいろ宣伝をされているわけでありますが、国民の目から見ると、運輸審議官審議官であって、対外的に折衝されるのは、新しいそれぞれ局ができるわけですけれども、局長であって、国際運輸・観光局という名前が消えるということには間違いないわけですね。大臣は、時代の進展という言葉を言われましたけれども、行政のあり方を国民にわかりやすくしていくという観点からすると、国際化対応と言いながら何で国際運輸・観光局がなくなったのかな、一体どうなっているのかなという率直な国民の疑問というものが出てくると思うのですが、その点についてはどうですか。
  125. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 国際問題は非常に重要でございまして、ハイレベルの運輸審議官を設置してさらにより高度な国際的対応をしていこうというのが我々の趣旨でございまして、今先生の御指摘の点につきましては、十分国民にわかりやすいように今後の改革の趣旨を含めてPRを徹底して御理解を賜りたいと思っております。
  126. 緒方克陽

    緒方委員 私は、単にPRだけで幾ら言っても、役所の組織というのは何々局であり、やはり局というのが前面に出てくるわけですから、なかなかこれは理解しがたいということになるのじゃないのかなという気がしてなりません。  さて、そういう中で、さっき言いましたようにちょっとわかりにくいと思うのですが、皆さんはもう承知と思いますから持ってきませんけれども、昭和五十九年の「運輸省の新旧組織の比較表」ということで、これは国民の皆さんにPRされたパンフレットの一番の前ページの新旧組織の仕事の流れといいますか各局、各課あるいは各部の仕事の流れを示した表があります。それと、運輸省には大変時間をとらせましたけれども、現在、五十九年にできた組織から今度新しくできる組織になる場合に、端的に言いますと縦割りに行っているわけですが、そういう表の流れをこうつないでみたわけですね。一覧表じゃないですから、役所からつくってもらったものでつないでみましたところ、結局何のことはない、鉄道監督局が鉄道局になって、自動車局が地域交通局とかいろいろ分かれたものが今度は自動車交通局、そして海上交通局ということで、結局みんなもとに戻ってしまった。レクチャーのときにお聞きをしますと、具体的な仕事の関係で、企画担当の仕事と具体的な各局の仕事で非常にそごが出てくるのじゃないかという話をしましたら、企画は今度の運輸政策局に全部集めていくので、そこは企画だけで仕事は全部各局でやるのだというようなお話があったわけです。  そういたしますと、結局五十九年にもう本当に鳴り物入りで、何遍も言いますように、議事録で先輩議員が確認されて、やはり縦割り行政じゃだめだ、横割りで総合的に仕事をしなければならぬということで鳴り物入りでやられたものが、それはさっき言われたように時代の流れ、それは航空とかいろいろな流れはあるでしょうけれども、局自体がまたもとに戻るというのはどうも納得できない。それは、戻るのは戻っていいわけです。横並びでは何が問題だった、やはり運輸省としてはここが問題だったからもとの縦割りに戻しますというふうに理由をはっきり言ってもらわないと、国民としてはなかなか納得できないということですから、その総括と反省、何が問題であったか、運輸省として、そういう責任の所在といいますか、どこを反省されたのかをはっきりしていただきたいと思います。
  127. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今「運輸省の新旧組織の比較表」を見られての発言だと思いますが、この前のときは縦から横割りにする、こういうような話で、今度はまた縦割りになるのでないか。当時の経緯は余り私も存じ上げておりませんけれども、今回縦も横もうまくいくように、国際化に対応していく、そして運輸政策局に総合交通の政策部門、地域交通、貨物流通、国際運輸、そういうそれぞれの政策部門を集めまして、鉄道局とか自動車交通局とか海上交通局とか、国民にもこの局は何をしているんだということがわかりやすいように改める、こういう提案でございまして、御指摘の部面もあると思いますが、いずれにしても、先ほども申し上げておりますように、時代の変化に対応し、総合的、効率的な行政を図っていかなければならないということでございますので、どうぞひとつ御理解をいただきたい、こう思っております。
  128. 緒方克陽

    緒方委員 五十九年の審議を聞いておりますと、要するに、許認可の運輸省というものじゃなくて政策の運輸省、そして横並びでとにかく前向きに仕事をするんだということでやられて、そのときには、そういうことかなということでみんな了承してきているわけですよ。しかし、実際には、時代の流れとか政策部門は運輸政策局に上げるとかいうふうに言われても、やはりそのとき鳴り物入りでやって、縦割りから横並びへ、政策官庁への脱皮だというふうなことになったことが、どうもはっきりまずかったらまずかったということじゃなしに、時代の流れだからということだけでは済まされない。さっき議事録をいろいろ確認しましたのはそういう意味であって、そのうちにまた何かに戻るんじゃないかという意味で言うと、やはりまずかったのはまずかったとか、どの辺に問題があったということをはっきり言ってもいいんじゃないですか。余り詰めてもあれですけれども、やはりそこはそこで、役所としてもまずかった点はあったんだということを言った上で次に行かないと、何か次々に機構改革だけすればいいということについては国民の納得というのが得られないんじゃないかなということで、その辺の総括と反省というか、そこをいま少しはっきりしていただきたいと思います。
  129. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 二つほどございますが、第一点は五十九年の改正のときに政策推進機能ということで運輸政策局をつくらせていただいた、これは大変な進歩でございますが、その中でちょっと運輸政策局の内部の体制につきまして反省していかなければならない。今回、政策推進企画機能というものをより一層集中いたしまして強化を図っていくというのが、反省の第一点の改善でございます。  それから、横割りの四つの局を当時つくらせていただいたわけでございますが、かえって内部調整が、例えば鉄道行政について言いますと、三局にまたがって、一元的な責任体制というものが必ずしも十分でなかった。特に、鉄道事業問題で言えば、国鉄改革ができ上がり、民鉄化が進んできたわけでございますので、鉄道についても一元的な責任体制をより強化するというのがかえってやりやすいし、国民にも、鉄道局ということで鉄道問題はその局で一元的に行うというふうに対外的にも御理解しやすい、こういうふうな反省の上に立って、今回推進企画機能の強化、さらに一元的な交通機関モード別の政策推進体制の強化、こういう観点から御審議を賜っているということでございます。
  130. 緒方克陽

    緒方委員 今二つの反省的なといいますか、総括的なものが言われましたので、それ以上は言いませんけれども、そういう点は明確にしておかないと、何か場当たり的に次々とやっていくということについては国民の皆さんからはなかなか納得できないということもあると思いますので、あえて申し上げました。そして、これからまた鉄道局とかいろいろ縦割りになっていくことがあるわけですが、これも鉄道整備基金なんかも含めて新たなこととか、あるいは民営化されてJRになったということで、新たに何かそこにあるんじゃないかということも言われないようにきちっとした対応をしていただきたいというふうに思います。  そこで、次に具体的なことで少しお尋ねいたします。今回輸送モードごとの局ということになっていくわけですが、その中で貨物輸送に関する政策策定ですね。事業の指導監督については一元的に今まで貨物流通局が所管をしていたわけでありますが、今回の改正によると輸送モードごとに分割されることになるわけで、貨物輸送全般の問題について調整をする所管が必要であるということになると思うのですが、この部局はどこになるのでしょうか。
  131. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今後の貨物流通行政でございますが、国際問題への取り組み、あるいは輸入インフラの整備等の物流諸施設の整備問題への取り組み、さらには鉄道貨物輸送も含めたモーダルシフトの推進などの課題に対応していくことが必要でございますが、現行の貨物流通局では実はこれらを所管しておりません。したがいまして、今回の改正におきましては、これらの問題を含めまして総合的な貨物流通行政を展開する必要があるわけでございまして、こういう問題につきましては、運輸政策局において総合的な政策を立案いたしまして、各局がこれを個別的に実施する体制とするということでございます。  それからもう一点は、大臣官房に総務審議官を設置させていただこうと思っておりますが、この審議官が貨物流通行政全体につきまして総合調整を行わせていただきたい、このように考えております。
  132. 緒方克陽

    緒方委員 もうちょっと時間をかけてやらないと、今の答弁だけではなかなか理解しにくい面もありますが、次の時間がありませんので、一応そういうことをお聞きして、また別の機会に細かな内容については詰めたいと思います。  そこでさらに、具体的な例として、貨物自動車運送事業関係を見ても、政策部門は運輸政策局、事業運営、技術安全は自動車局になるわけですね。これでは一元的な窓口対応ができないことになるということで、いろいろな団体等の要請に一元的に対応するという場合に一体どういう方法を考えていらっしゃるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  133. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 貨物自動車運送事業そのものにつきましては、今先生指摘のとおり、自動車交通局におきまして一元的に所管させていただくということでございます。  それから、実運送ではございませんが、取扱事業につきましては運輸政策局の方で担当させていただきたいと思っております。
  134. 緒方克陽

    緒方委員 もう一つ具体的なことでありますが、昨年物流二法が施行されまして、私ども、これが定着化をさせていかなければならない現状にあるわけですが、これが非常に大きな課題であろうと思います。スタートしたばかりで、何が問題点なのかというところをまだつかむところまではいっておりませんけれども、これから当然いろいろ問題が起きてくるだろうと思うわけであります。この物流二法の定着化という主要課題について、どの部局が所管をされるのか、複数の部局にわたる場合が考えられますが、そのときはどちらが中心になってやるということになるのか、その辺についてお尋ねをいたします。
  135. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 昨年国会で御審議いただきまして、物流二法を昨年の十二月一日から施行させていただいております。このうち貨物運送取扱事業でございますが、これは運輸政策局で担当させていただきたいと思っております。また、貨物自動車運送事業そのものにつきましては、新しく考えております自動車交通局において所管させていただきたいと思っております。それで、全体的な物流問題について調整等が必要であれば大臣官房の総務審議官の方で調整させていただく、このように考えております。
  136. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、細かな問題まで少し触れましたけれども、組織の問題については一応終わらせていただきまして、私が運輸委員会で今日まで幾つかずっと取り上げてまいりました問題について、少しだけ質問をさせてもらいたいと思います。  実は、地球の温暖化ということが非常に大きな問題になっているわけでありまして、それぞれ産業界ごとにも今対応をやっているわけであります。そんな中で政府として地球温暖化防止行動計画というものを策定されたわけでありますけれども、その対策の主な内容と到達目標というものについて示していただきたいと思います。
  137. 中村徹

    ○中村政府委員 お答え申し上げます。 昨年十月に地球環境保全に関する関係閣僚会議決定されました地球温暖化防止行動計画で現在目標としておりますのは、CO2、二酸化炭素の一人当たりの排出量を二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化させるということが目標になっているわけでございます。  運輸部門におきましては、一つは自動車の単体からの排出量の低減化を図るということが一つの目標になるわけでございますが、このために自動車の軽量化とか、あるいはその他の技術開発を図っていきたいということでございます。  もう一つの点は、二酸化炭素の排出量の少ない交通体系の形成を図ろうということでございまして、このために各輸送機関の間の連携を図りながら積極的にモーダルシフトを推進する、あるいは共同輸送の推進、集約的な物流拠点の配置といったようなことを通じまして輸送効率の向上を図っていきたい、かように考えておるところでございます。
  138. 柳下正治

    ○柳下説明員 環境庁でございますが、お答えを申し上げます。  今局長からお話がございましたが、行動計画は、政府としてこの温暖化対策に総合的に取り組んでいくために今後その基本的な方針を明らかにするとともに、我が国としての基本的な実施可能な対策の全体像を明らかにしていこうということを目的といたしております。  そこで、今目標の点でございますが、まず第一点、二酸化炭素につきまして広範な対策の着実な実施で一人当たりの二酸化炭素の排出量を二〇〇〇年以降おおむね九〇年レベルでの安定化とともに、さらに新エネルギー、革新的な技術開発等の早期かつ大幅な進展の成果を最大限活用いたしまして、二〇〇〇年以降おおむね排出量として九〇年レベルで安定化をするように努力することを目標といたしております。  対策の中身でありますけれども、今ございました交通体系関連、さらにそれ以外にも都市地域構造のあり方について二酸化炭素の排出の少ないものに改めていく、あるいはエネルギー供給構造等広範な分野での省エネルギーあるいは自然エネルギー等の利用の促進、さらにリサイクル等のいわゆる生活レベルの問題にまで踏み込んでさまざまな対策を掲げておるわけであります。さらに二酸化炭素以外につきましても、例えばメタンなどの他の温室効果ガス対策、それから森林の保全問題、それから各種の技術開発の促進、途上国に対する協力等の国際協力の面、こういった面での我が国の温暖化対策の当面の方針を明らかにしたわけでありまして、一九九一年から二〇一〇年までの二十カ年計画といたしております。政府としては、各省庁一体となって取り組み始めてございます。
  139. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、さらに少し具体的な内容について運輸省にお尋ねをいたしたいと思います。  運輸省にかかわるC02の問題は、航空機、船舶、自動車それぞれあるわけでありますが、特に最近の情勢では自動車は毎年増加の一途をたどっている。そういう状況の中で、長期的に見た観点でこれをどうするかということが大きな課題になるわけでありますが、そんな意味で、運輸省にかかわりますCO2の総排出量の流れは一体どうなっているのか、総トン数と排出量に占める割合が運輸省にかかわるものとしてどういう流れになっているのか、お尋ねをいたします。
  140. 中村徹

    ○中村政府委員 運輸部門におきますCO2の排出量というのは実はわかっておらないわけでございますが、それに近い一つの指標といたしまして、最終エネルギー消費に占めます運輸部門の割合というものをとって調べてまいりますと、昭和五十四年度において全体の最終エネルギー消費量のうちの二〇%でございましたものが、五年後の昭和五十九年度には約二二%、それからさらに五年後の平成元年度には約二三%というような状況で推移いたしております。
  141. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、毎年一%ふえてきているということで、その中には自動車の占める率がかなり高いのじゃないかと思いますが、先ほど五十四年の例を言われましたから例はおよそ十年前で結構ですけれども、同じような意味でこの十年間の自動車の台数の増加とCO2排出の流れというものはどういうことになっているのか、お答えをいただきます。
  142. 中村徹

    ○中村政府委員 指数で見てみますと、昭和五十四年度における自動車の保有台数を一〇〇といたします。そうしますと、五十九年度で一二四、平成元年度で一五六というふうになっております。  これに対しまして、運輸部門における最終エネルギー消費量の推移を見ますと、五十四年度を一〇〇といたしますと、五十九年度が一〇三、平成元年度は一二八、それから、最終エネルギー消費に占めます運輸部門の割合というのは先ほど申し上げましたような数字になっているわけでございまして、やはり自動車の保有台数の伸びほどではないけれども、それと同じような傾向でもってエネルギーの消費量もふえているというふうに言えると思います。
  143. 緒方克陽

    緒方委員 一応の数字を示されましたので、これはまたこれからさらに詰めていきたいと思います。  そこで、次に技術的な問題について少しお尋ねをいたします。  実は私は運輸委員会で、最近高速道路網が全国的に発達をしている中で、そこに働く高速道路の料金収受人に、トラックのガスが特に真横に近く排出される問題で、大変な健康問題が起きているということでずっと取り上げてまいりました。運輸省として、この問題で、トラックの改造といいますか、改造という言葉よりもこれは専門的にお答えいただきたいのですが、新車あるいは検査を含めて一定の改善の努力をされてきたということは承知しているわけでありますが、まず第一にどんな改善をされたか。路上検査あるいは定期の車検とかあるわけでありますが、そういうものについてはどういった指導をされてきたのか、お答えをいただきます。
  144. 松波正壽

    ○松波政府委員 先生今御指摘の排気管開口方向については、大変前から御関心を持っていただきまして、私たちも再三にわたって御説明を賜っております。  今御質問のトラックの排気管開口部の向きにつきましては、社団法人日本自動車工業会及び社団法人日本自動車車体工業会に対しまして、先生今御指摘のございました高速道路の料金徴収に携わる方々への排気ガスによるところの影響を極力軽減するため改善するよう指導をいたしてきたわけであります。あわせて我々、地方運輸局に対しましても、本指導の徹底を図られるよう指示いたしまして、現在は陸運支局におきまして、この指示にも留意しつつ、排気管の開口の向きが基準に適合しないものについては、先ほど先生の御指摘ございました、我々、車検と称しておりますが、継続検査の機会、交通安全運動あるいは不正改造車排除キャンペーンの際の街頭検査、そういうような機会をとらえまして、正しく使用させるよう使用者を指導しているところでございます。
  145. 緒方克陽

    緒方委員 日本自動車工業会を指導して一定の改善をされたということですが、そのほかの例でもいろいろ聞きますけれども、実際には、新車は新しい規則といいますか、基準に基づいてやっていくわけでありまして、なかなか一気にはいかないと思うのです。トラックなどの改善というのはこれから具体的にどういう流れで改善されていくのか、しばらくの年月がかかるのじゃないかと思いますが、そこらは一体どうでしょうか。
  146. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答え申し上げます。  大型トラックの排気管の開口部の向きの改善につきましては、先ほど各団体を通じて指導してきたことを御説明申し上げましたが、これを受けまして、自動車製作者といたしましては、フルモデルチェンジとか構造変更の機会等をとらえまして、各型式ごとにその対策を行ったときには、タイヤあるいは床下機器など構造装置への影響も考慮しつつ最適な排気管の開口部の向きへの改善を既に実施してきているわけであります。  それではどういう進捗状況かと御質問があったわけでありますけれども、その結果、最近の実績で、例えば昨年一年間でございますけれども、構造変更がございました大型トラック約八十型式のうち、まず、従来より排気管の開口方向が後ろ向きであって改善の必要がないものの数は約半分に相当します約四十型式ございました。それから、排気管の開口方向の改善が実施されたものは残りの半分に相当いたします約二十型式、さらに残っております約二十型式につきましては、今後ともフルモデルチェンジあるいは構造変更等の機会をとらえまして早急に措置できるよう指導してまいりたいと考えております。  また、運輸省といたしましても、今後とも、先ほど先生も触れられましたが、対策の完了していないトラックに関しましては、これまで申し上げましたような機会を通じまして、可能な限り早急に完了するよう引き続き両工業会を指導してまいりたいと考えております。
  147. 緒方克陽

    緒方委員 それで、型式別にずっと改善がされていくわけですが、一定の時間がかかると思うのですけれども、いつごろになりましたらこの問題の最終的な改善の終了といいますか、そういうものになるわけでしょうか。
  148. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答え申し上げます。  なるべく早くと思っておりますが、その中で未改善の車につきましては、一つのめどでございますけれども、平成年度中に改善を終了するように、そんな方向で指導してまいりたいと考えております。
  149. 緒方克陽

    緒方委員 それで、お尋ねしましたのは平成年度中に改良する。しかし、実際にはまだ走っているトラックがあるわけですね。そういうものは検査においてもなかなか難しいという面もあるのじゃないかと思います。実際にはもっと長く期間がかかるのじゃないですか。三年度にはもうみんななくなるということでしょうか。
  150. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答え申し上げます。  今説明が不十分であったかと思いますが、二つのカテゴリーがございまして、新しく世に出る新車のケースと、先生指摘の既に使用過程車のケースがございます。今私が御答弁申し上げましたのはこれから世に出る新型車のケースでございますので、あと残っております使用過程車につきましては、街頭検査の機会あるいは車検の機会等をとらえまして適切に指導してまいりたいと考えております。
  151. 緒方克陽

    緒方委員 ですから、適切にやるでしょうけれども、そうすると二、三年ぐらいで終わるという感じになるのでしょうか。
  152. 松波正壽

    ○松波政府委員 今申し上げました二つのカテゴリーの使用過程車につきましては、時間的な予測はできませんけれども、先生指摘のように少し時間はかかるのではないか、こんなふうに考えております。
  153. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、新車はそれぞれ変わっていくわけですから、いわゆる車検とか路上における検査その他でこの点についてはぜひ、高速道路の料金収受人その他一般の通行されている人、自転車通行の人も、ダンプ、トラックなどが横に出す場合には大変な問題になっているわけでありますので、その辺は早急な改善をよろしく指導をお願いしておきたいと思います。  次に、関連してNOxの問題について環境庁と運輸省にお尋ねをしたいと思います。  これも現在いろいろな取り組みがされているということは承知しておりますが、特に中央公害対策審議会が一昨年の暮れに出されました答申で「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」ということで、平成年度までに車種に応じて実施をするということになっているわけでございますが、その実施内容を、専門的な言葉じゃなくて、国民にわかりやすい言葉で、どういう形で実施をされていくのか、単体と総量といろいろありますけれども、その辺について運輸省と環境庁の方から御答弁をお願いします。
  154. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えをいたします。  自動車排出ガスの対策につきましては、我々、一酸化炭素とか炭化水素、窒素酸化物あるいは黒煙、こういったものについて規制をしてまいっているわけでありますけれども、近年におきましては、それらの物質のうち特に窒素酸化物を重点にいたしましてこれまで数次にわたり規制強化を行ってきているわけでありますが、先ほど先生から御指摘ございました一昨年、平成元年十二月の中央公害対策審議会の答申「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」を踏まえまして、排出ガス規制の強化を図るべく今手続を行っているところでございます。  そのポイントを申し上げますと三つございまして、第一に、自動車排出ガスの測定モードを現在の都市内における自動車の走行実態をより反映したものに改めること、第二番目には、窒素酸化物の規制強化を図ること、第三番目には、粒子状物質の規制導入及び黒煙規制の強化を図ること、こういうことでございまして、それらを車種に応じまして逐次規制を実施することといたしておりまして、このために、平成二年十二月に、我々のこの基準を決めますところの道路運送車両の保安基準という省令がございますけれども、その改正の決定をいたしまして、現在ガット通報を行っているところでございまして、この三月中には改正省令の公布を予定いたしているところでございます。  そこで、今お尋ねのこれらの規制内容につきまして、規制年次別で概括的にちょっと御報告をさせていただきますと、これも三つございます。  最初に、平成四年規制でございますけれども、これにつきましては、平成四年十月一日以降製作されます新型車から実施することといたしておりまして、車両総重量が二・五トンを超えますところのガソリン重量車につきまして窒素酸化物を一九%削減することといたしております。  それから第二番目の平成五年規制でございますが、これにつきましては、平成五年十月一日以降製作されます新型車につきまして実施するわけでありますが、車両総重量が一・七トン以下のディーゼル軽量車につきましては窒素酸化物を三三%削減し、車両総重量が一・七トンを超え二・五トン以下の、我々ディーゼル中量車と称しておりますが、これの直接噴射式のものにつきましては窒素酸化物を三五%削減することといたしております。また、粒子状物質規制を新たに導入いたしまして、黒煙を二〇%削減することといたしております。  最後に、三番目の平成六年規制でございますけれども、これは平成六年十月一日以降製作されます新型車から実施をいたすことにしておりまして、車両総重量が二・五トンを超えますところのディーゼル重量車につきまして、これも直接噴射式の方式でございますが、窒素酸化物を一七%削減することといたしております。  概括的に申し上げまして、以上でございます。
  155. 下平隆

    ○下平説明員 お答え申し上げます。  御指摘の中央公害対策審議会の答申は、大都市地域を中心といたしました窒素酸化物などの大気汚染を一層改善する必要があるという状況を踏まえまして出されたものでございますけれども、この答申の中に、ディーゼル車を中心といたしました排出ガスの低減目標が設定をされておりまして、その目標が短期、長期の二段に分かれて掲げられております。この短期の目標に従いましてこれを措置するために、環境庁といたしましては、ただいま運輸省の方から御説明ございました、規制に必要となります自動車の排出ガスの許容限度の量を定める告示を近く行う予定でございます。
  156. 緒方克陽

    緒方委員 これは国民の人からぜひ質問してもらいたいということで言われておりますから、モード別というふうに言われましたけれども、例えば走行実態に合わしたとかいうようなことは、その辺もうちょっとわかりやすく、議事録を見てわかるように説明してもらいたいのです。
  157. 松波正壽

    ○松波政府委員 それでは、そのモードについて簡単に御説明を申し上げたいと思います。  排出ガスを評価する場合には、町の走行実態の再現をする必要がございます。その走行実態につきましては、一般的には四つのモードがございまして、一つはアイドルの状態、それから加速の状態、定速の状態、減速、こういう走り方の組み合わせになるわけでございますけれども、従来はこれを十モードと称しておりまして、十の山がございまして、そしてアイドルだとか加速だとか一定速とか減速、これが組み合わされておりまして、それが町を走る走行実態をあらわしていたわけでございますが、最近は、御案内のようにもう少し高速の方の部分もあると同時に、若干渋滞ぎみでございますから、平均速度が低下しております。そういう意味で十・十五モードという新しいモードをつくりまして、今の町の走行実態を再現した中で評価をしたい、こういうふうに新しいモードを採用していただく予定になっておるわけでございます。
  158. 緒方克陽

    緒方委員 はい、わかりました。  それで、このNOxの問題については大都市では大変な問題になっているわけであります。今言われたように中央公害対策審議会の答申に基づいて平成六年を目指してずっと実施をされているわけでありますけれども、実際には、大都市では新しい工場地帯の膨大なものができていくという中で自動車が集中してくるということで、自動車一台一台については一定の規制はされていくけれども、総量としては自動車はどんどんふえていくということで、結局改善をされていないというのが今日の問題じゃないかと思うのです。今やられようとしておりますそういう対策の中で、特に大都市、東京とか大阪とか横浜などそれぞれが厳しいわけですけれども、平成六年までに現在のそれは今度の規制をやられることで低減をされていく、何%も減っていくということになるのでしょうか。
  159. 下平隆

    ○下平説明員 お答え申し上げます。  答申に掲げられました排出ガスの低減目標を達成した場合に、窒素酸化物の総量の削減効果を見ますと、先生今御指摘になりましたように、今後の交通量の伸びなどを考慮した場合でございますけれども、短期の目標に従います効果があらわれます平成十年ごろで約二割、そして平成二十年ごろにおいては約三割の削減が見込まれるというふうに試算されております。さらに、これを東京あるいは神奈川の窒素酸化物の総量規制が行われております地域環境基準を達成するかどうかという観点で見ますと、一般の環境大気の測定局では環境基準をほぼ達成できるというふうに見込まれておりますけれども、沿道での自動車排出ガスの測定局では、環境基準を達成するためにはさらに窒素酸化物の排出総量を削減することが必要であるというふうに答申で試算をされております。
  160. 緒方克陽

    緒方委員 そういうことで、それぞれの自動車ごとでは改善をされていくわけですが、自動車自体の総量が毎年毎年ふえていく、しかも大都市に集中をするということで、環境基準を特に沿道では満たされないという状況が出てきているわけであります。幾らやってもなかなか改善をされないというのが現実の姿でありまして、今度の答申では根本的な解決にはならないというふうに思うわけであります。運輸省に言ってもなかなかと思いますので申し上げますけれども、そういう実態を改善するためには、やはり国民の健康を守るという立場で行政をされている環境庁というのが、この問題について具体的に運輸業界に対してはこうだ、あるいは産業界のいわゆる生産をされている、石油業界を含めたいろんな業界に対してはこうだというような具体的な規制というものをされていかないと、結局なかなか問題が解決しないというふうに思うわけでありまして、そういう中で自動車の総量規制といいますか、これは、交通渋滞を含めてやられているところが世界的にも幾つかあるわけでございますが、日本でもそういうことをしない限り問題の解決にはならないのではないか。これは交通渋滞も含めてでありますが、特に環境問題という立場で、環境庁としては、もう一歩進んだ提言というものをやりながら規制をやるということをしていくべきだし、その一つとして自動車の総量規制というものを当然検討されていくべきだと思いますが、その辺について環境庁、お答えを願いたいと思います。
  161. 西尾哲茂

    ○西尾説明員 お答えいたします。  委員指摘のとおり大都市におきます窒素酸化物の改善ということのためには、今申しました単体の規制を初め総合的な対策を講じていかなければいけないということでございまして、先ほどからお話に出ております中央公害対策審議会の答申におきましても、そういう環境基準の達成を目指していくための新たな方策の一つといたしまして、大都市等の地域全体の自動車からの排出ガスの総量を抑制するという方策について早急に検討することが必要であるという指摘がなされております。  このため、環境庁におきましては、専門家によります窒素酸化物排出ガス総量抑制検討会というものを設けまして検討を進めるということにしておりまして、この検討会におきましては、昨年の十一月に中間的な取りまとめを行いました。今後、この中間的な取りまとめにつきまして関係方面意見を聞くなどいたしまして、さらに議論を深めまして、最終報告を取りまとめることといたしておりまして、目下鋭意その作業を進めておるということでございます。
  162. 緒方克陽

    緒方委員 その検討作業は、もちろんいろいろな業界との話も必要でしょうけれども、いつごろをめどに今のところまとめを計画をされているのでしょうか、時期的な問題がわかればお答えを願いたいと思います。
  163. 西尾哲茂

    ○西尾説明員 検討会の検討でございますが、私どもできるだけ早期に最終報告の取りまとめがなされるように努めていきたいということでございますけれども、やはり関係するところも非常に多うございますし、またいろいろと法的な課題、その他課題も多々ございまして、現時点で具体的にいつまでということを申し上げかねる状況にあることを御理解賜ればと思います。
  164. 緒方克陽

    緒方委員 いろいろなところとの話があるから、それはわかりますが、では、とにかくなるべく早くその最終的な答申に向けて環境庁としては努力をしていただきたいという要望を強く申し上げておきたいと思います。  それで、あと二点ほどお願いをしたいと思います。  一つは、これは技術上の問題でありますが、排気ブレーキというものについて運輸省の方のお答えを聞きたいと思うのです。  マスコミでも排気ブレーキというものを使って、使ってというよりも宣伝といいますか、報道がされて、安全の問題とか技術の問題、いろいろされているわけでありますが、排気ブレーキを使っている車は今何台ぐらいあるのでしょうか。
  165. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えをいたします。  我々排気ブレーキと称しておりますけれども、排気ガスの流れを阻止することによりまして自動車を減速させる、いわゆるエンジンブレーキの作用を積極的に利用しておりますこの排気ブレーキにつきましては、通常用います主ブレーキ装置の負担を少しでも軽減するメリットがございますので、昭和四十年代に入ったころから普及が始まりまして、現在では大きな車でございますけれども、例えば最大積載量が五トン以上だとか、あるいは車両総重量が八トン以上、こういうような車につきましては装着されている状況にございます。
  166. 緒方克陽

    緒方委員 台数はなかなかわからないということのようですが、その能力は格段に上がったという報道がされておりますが、運輸省としてはどういう認識をされているでしょうか。
  167. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えを申し上げます。  今排気ブレーキの特性にも少し触れさせていただきましたので、その部分は割愛させていただきますが、この大型トラックの排気ブレーキの能力といたしましては、通常我々減速度と称しておりますが、いわゆる速度の時間変化値をもってあらわすわけであります。現時点のデータによりますと、車種とかはかり方、速度等によって若干異なるかもわかりませんが、最大で〇・〇四G程度の減速度が発生する、こういうふうに認識をいたしております。  これではちょっと難しゅうございますから、それでは比較でございますけれども、これは、通常用いられますところの主ブレーキ、フットブレーキに対しては一割程度の減速度の能力に相当するものだと考えております。
  168. 緒方克陽

    緒方委員 次に、こういう排気ブレーキで、実際には高速道路などで事故の原因にもなっているというような報道がなされておりますが、その点については確認されているでしょうかどうでしょうか。
  169. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えをいたします。  自動車の運行中におきましては、今ほど説明してまいりました排気ブレーキを操作したことによりますところの事故につきましては、その事故形態等によりまして原因を特定することがなかなか困難だ、こういうふうに思うわけでございます。現在その発生状況の実態が把握されているかどうかという御質問でございますが、関係のところ等もいろいろ調べてみたのですけれども、把握されていない、こういうふうに我々承知をいたしております。
  170. 緒方克陽

    緒方委員 そういうお話でございますが、マスコミの報道その他実際にトラックを運転している人の話などからは、やはりこれは一定の効果もあるという話もありますし、また事故の原因にもなっているという話も私は聞くわけですね。そんな意味で、この問題についてはいま少し警察庁その他いろいろな人たちからも事情を聞くなりして対応をしていただくように、もう少し今まで聞かれたところよりも幅を広げて事情聴取をしてもらって、この問題についての対応をお願いしておきたいと思います。  時間が迫ってまいりましたので、運輸白書でいろいろなことが言われておりますが、労働力不足ということの中で運輸省としても対応しなければならぬということが言われております。その中でジャスト・イン・タイムの問題についてちょっと質問をさせていただきたいと思いますが、局長は東名高速道路を真夜中にお走りになったことがありますでしょうか。
  171. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 私、今の貨物流通局長になりましたのが昨年の六月の末でございますが、昨年の十一月にあるトラック関係の労働組合の方の勧めで、東名高速道路、東京から浜松まででございましたけれども、真夜中に大型トラックに同乗させていただきまして、運転手のそばに乗りまして走行したことがございます。
  172. 緒方克陽

    緒方委員 それは幸いなことですが、私も実は乗ってみたわけですね。それでびっくりしたのですけれども、高速道路の走行車線じゃなくて追い抜き車線をだあっとダンプが連続して走っているわけですね。そのときに右側にフラッシャーをつけるのです。それはどういう意味か御存じでしょうか。右側ですから、追い抜き車線ですから、あとは通行区分帯しかないんです。それなのに右側にフラッシャーをつけるんですよね。それを見られたことがあるかどうか。
  173. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 残念ながら見たことがございません。
  174. 緒方克陽

    緒方委員 それでは本当に夜中に乗られたときによく注意して見ていなかったのじゃないかと思うのですが、私、びっくりしたんですよ。何で右側に曲がれないのにフラッシャーをつけるのだと私が聞きましたら、ブレーキを踏んだら危ないから、もうすぐブレーキを踏むかもわかりませんよということでみんなフラッシャーをぴかぴか右につけるのだということなんです。もう東名を走っている間に何回もあるのですよ。そんな状況で、もう十メートルから十五メートルの車間距離で走っているわけです。だから、急にブレーキを踏んだら困るからということでぴかぴかしながら自分たち運転して、自衛の措置でやっているわけですね。そんな厳しい状況で走っているわけですから、それは一遍聞いてください、局長。それが仕事ですから、とにかくフラッシャーを、方向指示器を曲がれない右側につけるような状態で走っているこの東名高速の状態をぜひ見てもらって、労働条件の改善といいますか、事故をなくするという意味も含めてぜひ考えてもらいたいと思います。  そこで、時間を少し節約するということで、後のこともありますので、あと三分で終わりたいと思います。まとめて三つ聞きます。  ジャスト・イン・タイムということをやられているわけですね。週刊誌とかその他いろいろな業界で時間に合わせてやってくれということで、夜中に大変な苦労をして走って、おくれてはいかぬからということで、高速道路の出口のバス停あたりでは朝の四時、五時にはトラックがだあっととまっているという状況があるわけです。そんな中で、ジャスト・イン・タイムについては非常に問題だということで、この白書の中でも対応が二つ出されております。  一つは、少品目を緊急にやらなければならぬから料金を少し上げさせていただきたいということで、高い料金でも当然負担してもらいたいというのが一つ。  それから、複数の荷主での共同輸送という問題が当然検討されなければならぬと言っておりますが、そのことについて運輸省はどういう方向で今検討されて、指導されようとしているのかというのが一つ。  いま一つは、私が特に言いたいのですが、さっき言いましたような労働者の実態で、なかなか危険で、夜も眠らない、あるいはジャスト・イン・タイムで神経をすり減らすということから労働者がなかなか集まらないという状況にある。ゆとりを求めている社会の中でそんなにトラック通運の労働者だけが真夜中に神経をすり減らして働かなければならぬのかという疑問に対しては、もっとゆとりを求めるということから、荷主に対して余裕を持った輸送をしてもらうというようなことで、とにかく仕事に合わせて労働者がそれに振り回される、トラック業者が振り回されるということでは困るのじゃないかと思いまして、もうちょっと視点を上げて、労働者不足あるいは安全という問題からも、いわゆる荷主に対してゆとりある輸送というようなことについても当然対応を要求されてしかるべきではないかというふうに思いますが、以上三点について運輸省の考え方をお尋ねをいたします。
  175. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 ジャスト・イン・タイム・サービスでございますが、これは必要なものを必要な量だけ必要なときに納入させるというような方式でございますけれども、これは在庫費用が圧縮されるという意味におきまして物流コストが低減されるということで、我が国の経済発展に大いに寄与した面も否定はできないと思います。しかし、逆にこういう方式は多頻度で少量輸送になる、あるいは厳格な時間指定が求められるというような輸送でございますので、最近におきます構造的な労働力不足に加えまして、先ほど来問題になっております環境問題であるとかあるいは道路混雑の激化というような制約条件が大きく顕在化してきた今日におきましては、物流の効率化、省力化というような観点からはマイナスの面も含んでいるのじゃないかと我々は認識しております。  こういうような状況を踏まえまして、昨年の十二月四日でございますが、運輸政策審議会の物流部会から「物流業における労働力問題への対応方策について」と題する答申をいただきました。その中でもジャスト・イン・タイム・サービスの見直し必要性について提言をいただいております。そういう提言を受けまして、先生指摘のような具体策を今後進めていかなくてはいけないと考えております。  第一には、御指摘ございましたけれども、物流サービスの中に、非常に労働力のたくさんかかる労働集約型の物流サービス、それからゆとりのあるといいますか、効率的な物流サービスというのがあり得るわけでございますが、そういうサービスの間のコストの格差を反映するように弾力的な価格体系を導入していかなくてはいけない、そして、価格メカニズムによってより望ましい方向に誘導していくべきではないかというように考えております。  そういうことが提言されておりますので、私どもといたしましては、この弾力的な価格体系の導入ということにつきまして、答申後、ことしの二月六日に学識経験者とか関係の事業者とか産業界とかあるいは我々行政側から成る検討会議を設けまして、ことしの六月を目途に結論を得たいと考えております。  それから第二番目の問題でございます。こういうジャスト・イン・タイム・サービスを少しずつ見直していく場合にはやはり共同輸送を推進していかなくてはいけない。複数の納入事業者から別々に各小売店に配達をするというのはやめて、一カ所の配送センターに集めて、たとえ異なったメーカーの品物であったとしても一つの配送センターにまとめて一つのトラックで運ぶというようなことにすると頻度が落ちて合理的な配送になるわけでございます。そういう共同輸送につきましても今後大いに推進していきたいと考えております。  それから最後に、先生おっしゃいましたゆとりある輸送というようなことにつきまして、荷主サイドの理解と協力を得なければいけないのじゃないか、私どももそれが不可欠であると考えております。このため、答申でもそういうことに触れておりますので、先般、私が経団連とかあるいは日本商工会議所などに出向きまして説明会を開催するなどいろいろと働きかけを行っているところでございます。  さらには、そういう中央だけではなくて三大都市圏、これはそういう地域地域地域の実情に応じた働きかけということもしていかなくてはいけないということで、地方の運輸局を中心に地方レベルで協議会を設けまして、今後とも改善の方向に向けて努力してまいりたいと考えております。
  176. 緒方克陽

    緒方委員 十分短縮するつもりでしたけれども、四分になってしまいました。以上で質問を終わります。
  177. 近岡理一郎

    近岡委員長 山田英介君。
  178. 山田英介

    ○山田委員 ただいま審議をいたしております運輸省設置法の一部を改正する法律案でございますが、その法案の要旨、目的として、運輸行政をめぐる国際環境の変化に対応してハイレベルでの国際問題の的確な処理を図るとともに、総合的な国際運輸行政を強力に推進する体制を整備する必要があるために、運輸省に新たに運輸審議官を設置する、こういう目的と伺っております。内容につきましては、「運輸審議官一人を置く。」「平成三年七月一日から施行する。」こういうものでございます。  そこで、事務次官クラスの高級レベルでの国際問題の的確な処理を図るためこの審議官を設置しようとするわけですけれども、過去における運輸省の国際会議等への参加実績と申しますか、どの程度ございますのか、また、今後予想される重要な国際会議はどういうものがございますのか、その辺につきまして御説明を賜りたいと思います。
  179. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今御指摘の最近における重要な国際会議の事例をちょっと簡単に申し上げさせていただきますと、例えばことしの二月でございますが、日米航空交渉、それから昨年の夏でございますが、日米構造問題協議、同じく昨年の春ごろでございますが、先進国海運閣僚会議、昨年の十一月でございますが世界気候会議等重要なものがございました。  それから、今後、当面予定されている重要な国際会議でございますが、例えば引き続き日米構造問題協議のフォローアップの会議、あるいはガット・サービスの取引交渉、さらにはアジア・太平洋経済協力閣僚会議等、多数が予定されておるところでございます。
  180. 山田英介

    ○山田委員 行政機構の新設とか改廃につきましては、従来からスクラップ・アンド・ビルドという原則のもとに行われてきておるわけでございます。今回の新設とともに廃止される職名を改めて明確にしていただきたいと思います。
  181. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今回の次官級クラスの運輸審議官設置につきましては、行政機構の増大の抑制という立場から、一つ国鉄改革推進部長一名、それから大臣官房審議官一名、それにもう一人、課長職でございますが、日本鉄道建設公団・本四連絡橋公団監理官一名、合わせて三名の廃止を予定いたしております。
  182. 山田英介

    ○山田委員 今述べられました三名の方々、そのポストはいずれも政令職ということでございます。格からいえば法律職を廃止すべきではないのか、極めて単純明快な疑問が出てくるわけでございます。これはどういうことでございましょうか。
  183. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 昭和五十八年の国家行政組織法の改正によりまして、従来法律職であった局長部長クラスが政令職という格好になったわけでございまして、現在法律職とされている組織はごく限られたものとなっておりまして、大臣、次官等に限られておるわけです。  今回、運輸審議官の組織設置に当たりましては、最近の事例では農水省の農林水産審議官の例がございますが、国家行政組織法の改正前に法律職とされていたものが実は部長一人になっておりまして、それに今の官房審議官課長クラスを加えまして大幅なスクラップをやって合理化を図っていきたい、このように考えております。
  184. 山田英介

    ○山田委員 五十八年九月八日に召集された第百回臨時国会、これは行革国会と呼ばれたのでございますが、行革関係六法案の一つ、今おっしゃいました国家行政組織法、この改正によりまして、おっしゃるとおり従来法律事項となっていた局、部の設置等が政令で措置されるようになった、それはそのとおりでございます。この改正によって運輸省においても内部部局の再編合理化が当時行われたわけです、約七年前。昭和五十九年七月一日から現行の体制になっておるわけです。現在は七局九部八十五課と承知しておりますけれども、五十九年七月以来七年間で現体制をほぼ全面的に見直しをしなければならなくなったわけでございますが、たくさんございます各省庁の中でかなり全面的な組織の見直しというのは運輸省だけかなという感じがいたしております。ですから、その当時の再編合理化に見通しの甘さといいますか、そういうものがあったのではないかというふうに感じるわけでございますが、その辺はどういう御見解をお持ちでございますか。
  185. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど緒方先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、行政組織そのものは、経済社会や国民のニーズの変化に応じて必要な見直しを行い、再編成を弾力的に行っていくことが重要であると考えております。  五十九年の改正では、当時の最大の課題でありました国鉄改革に取り組むとともに、各分野での政策を推進する体制として政策四局を設置したところでありますが、これまでの間、国鉄改革の推進や政策中心行政の展開など、五十九年の改正の趣旨に沿ったそれなりの成果を上げてきたものと思っております。  先ほど官房長お答えのとおり、三つの分野に分かれておったり、何らかの反省も加えているところでございますけれども、一方で、この七年の間に、国鉄改革後におけるJR鉄道事業の展開や大都市問題等に対応するための鉄道整備に関するニーズの高まりや、さらには、先ほどもお答えしましたが、我が国の国際化の進展を反映した国際問題の高度化あるいは多様化など、運輸行政を取り巻く状況は大きく、また激しく変化していると言っても過言ではございません。  したがいまして、今回の改正は、このような状況の変化を踏まえたものでありまして、これにより、前回の改正の目的である運輸行政の総合化と効率化をさらに進めようとするものでございまして、御理解をいただきたい、こう思っております。
  186. 山田英介

    ○山田委員 そこで、今回の組織の改編による国民へ及ぼす影響、また言い方をかえれば窓口利用者へのメリット、デメリット、例えば大幅な改正によって許認可事務の受付窓口等も変更になるでありましょう。利用者への周知徹底方法、これらについてどのような姿勢で臨まれようとしておられますか。
  187. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今回の改正におきまして、運輸審議官の設置により、我が国の国際化の進展に対応した国際運輸行政の総合的かつ強力な展開が可能になるとともに、政策企画機能の運輸政策局への集中によって、各分野における政策を総合的に推進することが可能になるものと考えております。同時にまた、政策実施部門につきましては、現行の航空局に加え、鉄道局、自動車交通局及び海上交通局を設けることといたしておりまして、その面につきましては国民の方々にも従来よりはすっきりしているのではないか、こう思います。  これによりまして、国民の皆様あるいは利用者の皆様に対してよりわかりやすく、しかも交通機関の特性に応じた効率的な行政の展開が可能になるものと考えているところであります。
  188. 山田英介

    ○山田委員 七月一日から施行するということでございますので、実際にこの法案が可決、成立をして以降三カ月ないし四カ月という期間、準備期間ということになるわけですが、ざっくばらんに言えば、部局等組織が改編されるわけですから、今までと違う、例えば建物の階数とか場所が違ってくるというだけでも利用者の皆さんにとっては非常に戸惑いもあるでありましょう。この準備期間にいろいろと知恵を絞って、国民、窓口利用者の方々に対するPRといいますか周知徹底はひとつ万全を期してお願いをしたい、こう思っております。  それから、いま一つ、職員の配置転換なども恐らく相当な規模になるのではないだろうか、こう思われます。この配置転換等によって職員の方々が不利益をこうむるようなことがないように、組合などとの交渉にもやはり一定の配慮が必要になってくるのではないか、かように存じますが、この点はいかがでございましょうか。
  189. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 先ほどの御指摘の点の対外的なPRでございますが、非常に早い御審議を賜って大変感謝いたしておりまして、本法案成立後速やかに政省令の手続をとって徹底的なPRに努力してまいる覚悟でございます。  それから、ただいま御指摘の組織改正でございますが、実は今回二年間にわたってかなり省内で勉強してまいったわけでございまして、これの検討過程におきまして関係各局の業務の配分についても十分検討してまいったわけでございますが、その際に、私どもも職員組合がございまして、十分職員組合とも必要な連絡をとってまいりました。今後とも職員に対する適切な配慮を払いながら組織改正の円満な実施に向けて努力してまいりたいと思います。
  190. 山田英介

    ○山田委員 運輸省の内部部局の整理合理化の必要性については、いわゆる平成年度行革大綱、平成二年十二月二十九日の、平成年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針についての閣議決定がございます。その中で指摘をされておりますのは、運輸省の附属機関及び地方支分部局の整理統合問題でございまして、支所、出張所について平成年度においては五ヵ所を整理統合するように、こういう閣議決定がなされているわけでございますが、この検討状況あるいは具体的な進捗状況と申しますか、そこにつきまして御答弁をいただきたいと思います。
  191. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今先生の御指摘のとおり五ヵ所の整理について考えておりまして、これを具体的に申し上げますと、一つが第一管区海上保安本部のチキウ岬航路標識事務所、第二点目が第三管区海上保安本部の劒埼航路標識事務所、三点目が同じく城ヶ島航路標識事務所、四点目が南大東島地方気象台の南大東空港出張所、五点目が与那国島測候所の与那国空港出張所の五ヵ所でございまして、平成年度当初に整理を実施したい、このように考えております。
  192. 山田英介

    ○山田委員 法律案については以上お伺いをいたしました。  それでは、関連して何点かお尋ねをしたいと思います。  まず、一昨年でございますが、運輸省は本格的な新幹線を利用した通勤構想というものを発表または打ち上げられたわけでございます。私が理解しているところでは、距離は遠いところにあるマイホーム、自宅からであっても新幹線を利用することによって、時間的には極めて早く都心の職場と申しますか都心に出ることができる。その背景にはいろいろ要因があるのだと思います。一つには、東京及びその周辺地域の地価が非常に高騰して通常の通勤手段では片道二時間以上もかかってしまう、そういう遠くにしかマイホームを持てないというような基本的な問題が背景にあろうかと私は理解しておるわけでございますが、この本格的な新幹線通勤構想というものの概要と、それから今私は私なりに申し上げましたが、その運輸省のねらいといいますか、その点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  193. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御指摘にいわば尽きているわけでございますが、六十三年の九月でございます、私どもでまとめまして、地価の高騰の影響を最も強く受けております首都圏につきまして、新幹線を通勤用の交通機関に活用することによりまして、従来通勤圏外にありました比較的地価の安い地域、ここを宅地化できないか、こういう構想で打ち出したものでございまして、具体的には通勤手当の非課税限度額の撤廃等をお願いいたしたものでございます。
  194. 山田英介

    ○山田委員 それで、新幹線もたくさんあるわけでございますが、この対象となる本格的な新幹線通勤構想、今極めて簡単に御説明なさったわけでございますが、もうちょっと具体的にお話しいただけないでしょうか。例えばどの新幹線についてそれが適用されるのか、対象となるのか。そして、宅地化を進めていくわけですから当然新しい新幹線の駅というものも設置しなければならないでしょうし、その辺はどういうことでございましょう。
  195. 黒野匡彦

    黒野政府委員 御案内のとおり、東海道新幹線の沿線といたしますと地価が非常にもう高くなっておりまして、私どもがねらいました通勤圏の拡大には必ずしもなじまないだろうということと、もう一つ、これも昨今大変問題になっておりますが、東海道新幹線の線路容量が逼迫しておりまして、輸送力の増強もなかなか図れないということで、私どもの構想では、東北、上越両新幹線の百キロ圏を超える駅周辺、この辺をねらいといたしまして、その辺ですと平均的なサラリーマンでも取得可能な宅地開発がまだできるのではないかという考えから、さような地域を一応構想の対象として想定してございます。
  196. 山田英介

    ○山田委員 百キロ圏を超える区域を対象とするという御答弁が今ありましたけれども、上越、東北両新幹線の百キロ圏を超えるといいますと具体的には大体どの辺からが百キロ圏を外れる以遠になるのでしょうか。
  197. 黒野匡彦

    黒野政府委員 東北、上越それぞれの新幹線でございますが、宇都宮、高崎以遠あたりが百キロのちょうど境になります。
  198. 山田英介

    ○山田委員 それはもう一つ考え方、基準の一つだろうと思うのですけれども、例えば高崎以遠とか宇都宮以遠が大体百キロ圏を外れるところ、そうするとその手前であっても例えばいわゆる住宅地の開発というものが可能な、あるいは適した、そういう立地があった場合には、これはどういうことになりますでしょうか。それも当然検討の対象というふうに考えていいわけですね。
  199. 黒野匡彦

    黒野政府委員 私どもの構想は、新幹線を通勤に利用しやすくするということを手段といたしまして、その効果として宅地の供給がふえれば通勤者の方々に喜んでいただける、こういうものでございますから、特にこの地域を限定するというものではございませんで、今先生おっしゃったとおり、その手前でも新幹線を御利用いただければそれなりの効果があるかと思っております。
  200. 山田英介

    ○山田委員 それで、具体的にこの構想は動き出しているのでしょうか。
  201. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この構想の一環といたしまして私ども税制改正で通勤手当の非課税限度額を何とか撤廃してもらえないかという要求を出しまして、関係方面と折衝いたしました結果、従来非課税限度額が二万六千円でございました、これを五万円までに引き上げることを実現いたしてございまして、これは平成元年の一月一日から既に実施に移されております。
  202. 山田英介

    ○山田委員 実は、通勤手当の非課税限度額の拡大ということについては、私もこの構想が打ち上げられる以前に、物価問題特別委員会で月額二万六千円から少なくとも当面五万円まで枠を拡大すべきであるということを取り上げた経緯もあるわけで、非常に強く関心を持っているわけでございますが、おっしゃいますように、私は通勤手当、基本的にこれは課税というものを撤廃してもらいたいという気持ち、考え方でございます。私どもも努力をさせていただきますけれども、運輸省におかれてもぜひひとつ非課税限度枠の撤廃の実現に向けて力を入れていただきたい、かようにお願いを申し上げたいと思います。  それで、実際に適地が決定をしても、そこに新駅を設置しなければいずれにしてもこの構想はスタート、要するに完成しないわけですが、その新駅の建設というものにつきましては、例えばすべて地元負担ということで考えておられるのか、あるいは一定の枠内で国の助成措置などが考慮されるのか、その辺についてはいかがでございますか。
  203. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この構想に基づきましては、既存の駅を中心に利用客がふえるのではなかろうか、住宅地がふえるのではないかと我々考えておりますが、今の先生の仮に新駅をつくる場合はという御質問に対してお答え申し上げれば、JR側がJRとしての必要性から新駅をつくる場合は別といたしまして、地域住民の方々からの御要望で新駅をつくる場合につきましては、建設の費用は地元負担していただくというルールがほぼでき上がっておりまして、現在の新幹線開業後にできました駅は、ほぼ例外なく地元負担建設をさせていただいております。
  204. 山田英介

    ○山田委員 実は一昨年の十二月に、私は、当時運輸大臣をされておられました江藤大臣を運輸省にお訪ねをいたしまして、具体的に御要望を申し上げた経緯がございます。ぜひこれは村岡大臣から御答弁をいただきたいのでございますが、埼玉県は人口六百万を超える非常に大きな県でございます。そして、大宮駅が上越、東北両新幹線の結節地点、結節する駅にもなっております。それで、上野から大宮までが約二十分で新幹線が到達する。大宮から先の次の停車駅が熊谷、ここは約十六分で到達します。熊谷の先が高崎ですから、これが十六分、高崎と上毛高原が十八分、こういうようなことになっておりますが、この上越新幹線につきましてはちょうど大宮と熊谷の中間地点に川里村というのがあるのです。ここなどは地価の水準も高くないし、立地としては非常によろしいのではないかということでぜひ御検討をお願いしたい、当時の江藤大臣にそう申し上げたのです。江藤大臣は、川里村は大変有望である、こういうお返事を賜りました。  それから東北新幹線の方は、大宮から次の停車駅が小山、これが十九分、小山から宇都宮が十三分、宇都宮から那須塩原が十七分ということで、大宮─小山のちょうど大体中間地点が久喜市ということになります。その久喜駅というのは実は在来の久喜駅の構内に新幹線が入ってきているわけですね。ですから、その意味では新たな用地取得とかそういうものは特段に必要はない。もともとJRが持っている、使用している駅の構内に新幹線の架橋というんでしょうか、これがずっと入ってきているということで、東北新幹線については久喜駅というものは極めて立地としてはよろしいのではないか、私、文書でこのように要望をいたした経緯がございます。そのときに、当時の江藤大臣は、久喜駅の周辺というのは非常に地価が高いので厳しいと思う、こうおっしゃいました。私はあの周辺を調べておりましたので、実はその久喜駅から十分くらいのところに住宅・都市整備公団が約十万坪の用地を持っているのです。ほとんどまだ開発されておりません。計画はございます。国の機関の一つである住宅・都市整備公団が開発をする住宅というものは市価、一般の民間のデベロッパーが開発して売り出す価格と比べますと二割ほど安く供給できる、こういうことでございます。ですから、単に久喜駅の周辺の地価が高いから無理だというふうにおっしゃる前に、国の機関が十万坪からの土地を持っている、そのことも考慮に入れていただければ可能性というものはあるのではないですか、こう申しました。当時の江藤大臣は、それは知らなかった、丸山公団総裁とぜひ相談をしたい、こういうお話でございました。その直後の総選挙で江藤大臣は落選なさってしまわれたのですけれども、しかし、その大臣が今村岡大臣にかわられても、一つの運輸行政のトップにある方がおっしゃいましたという事実は、それはやはり継続性があってしかるべきだというふうに私は思うわけでございます。したがいまして、先ほどの御答弁の中で熊谷や宇都宮の先あたり、こうおっしゃいましたが、しかし、そこに限定されるものではないという重ねての御答弁をまたちょうだいしました。その内側であっても適地があれば対象になり得るという御答弁でございます。要するに私が申し上げたいことは、上越新幹線にありましては川里村、それから東北新幹線にありましては久喜市、久喜駅を利用するということについて、この構想を順次推進されるプロセスにおいてぜひ川里と久喜は検討の対象として留意をしていただきたい、こういうことでございます。  長々となりましたが、村岡大臣、ひとつ積極的な、前向きな御答弁を期待したいと思います。
  205. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今山田先生から新幹線に対する通勤のお話を伺いました。答弁では、百キロあるいはそれを超すところだけではなくて、百キロ以内でも可能だという答弁、そのとおりであったろうと思います。それで、前の江藤大臣への山田先生お話について、二つの駅の一方は有望だ、一方は地価が上がっていて相当厳しい、しかしまた、そこには公団の所有地もある、こういうお話、今官房長や幹部の方々に、その話を承知しているのか、こういうことを聞きましたら、山田先生と当時の大臣お話だと。そうは申しましても、江藤大臣先生にも言ったわけでございますので、具体的に私も調べてみたい、こう思っておりますが、先生御承知のとおり、新駅の設置につきましては、基本的には地元JRでよく協議して相談していただきまして、適切な結論を得ていただきたいと考えておりますが、一般論といたしまして、新駅を設置する場合は旅客の需要とか、また先ほどの状況地元負担という地元の協力等を総合的に判断する必要がありまして、久喜駅及び川里駅の設置についてもこのような観点から検討すべきものだ、なおまた、私もきょう初めてその話をお聞きいたしましたので、それについて検討してまいりたい、こう思っております。
  206. 山田英介

    ○山田委員 大臣がおっしゃいましたことはそのとおりだと私も理解できます。将来的に、地元の市町村、地元の県、こちらからぜひというような局面がいずれ出てこようかと存じますが、そのときはぜひひとつ積極的な対応をお願い申し上げたいと存じます。  次に、航空スポーツですね。ランドスポーツの王様がゴルフなんて言えるかもしれません。その次に盛んになってきたのがマリンスポーツ、海洋スポーツというのでしょうか。最近、この四、五年のうちに非常に活発になってきたスポーツの分野にスカイスポーツ、航空スポーツの分野がございます。この航空スポーツに対する指導と育成という観点から、時間の許す範囲内でお伺いをしたいと思っているのですが、まず、法律的にいえば超軽量動力機、具体的に申しますとグライダーとか、非常に簡易なつくりになっている小さな軽量なウルトラライトプレーンとかハンググライダー、パラグライダー、熱気球、愛好者が非常にふえてきている実態がございます。欧米等では非常に盛んであり、日本も今そういう兆候が出てきた。今後一層発展をする、あるいは愛好者がふえていくということが予想されるわけでございます。運輸省のこのスカイスポーツに対する基本的な考え方、基本的なスタンスというのはどういうことでございましょうか、お尋ねをいたします。
  207. 村岡兼造

    村岡国務大臣 レジャー航空の振興に関してどういう考え方をしているか。山田先生の都会と違いまして私の方は過疎地でございますが、このレジャー航空も私どもの方にまでそういうところを確保したいというような話がございます。一方で、個人の趣味でやっておりますので、このごろ事故も相当ふえてきております。田舎といえども、そういうのは大変歓迎なんだけれども、実は騒音あるいはまた事故になった場合に、町村でそれを誘致していかがなものか。私どもの秋田県の問題でも、私運輸大臣になる前に、二、三年前にそういうのを耳にいたしました。運輸省といたしましては、レジャー航空の振興を促進していきたいと考えておりますが、安全対策も非常に大事なことでございますので、団体とか協会とかそういうものを通じませんと、近年特に機数もふえてまいりますと事故みたいなのがふえてまいります。それらの点を留意しつつ、活動の場の整備に関する指針の作成や支援策の検討を行いまして、振興を推進してまいりたい、このように考えております。
  208. 山田英介

    ○山田委員 具体的に、従来の航空行政の中でのこれらのスカイスポーツに対する対応、それから現在の対応とでは、やはり今大臣の御答弁にもうかがえますように、かなり正面からとらえて安全性は大原則として確保しなければならない、その上に立った健全な育成を図ろうという姿勢がうかがわれるわけでございますが、これは方針を、要するにもうやらせまいやらせまい、規制規制という方向じゃなくて、むしろ正面からとらえて健全に育成さしていこう、こういうふうに変化したととらえてよろしいわけですね。
  209. 加藤晋

    ○加藤(晋)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘のように、運輸省といたしましは、従来からしジャー航空につきましては安全の確保を前提ということでその健全な発展に努めてきたわけでございますけれども、我が国のレジャー航空活動が一層盛んになってまいりましたので、御指摘のとおり平成元年度から、安全対策を中核としつつレジャー航空の振興等を運輸行政の重点施策ということで位置づけまして、レジャー航空の振興を強力に推進しているところでございます。
  210. 山田英介

    ○山田委員 平成元年のことだったと思いますが、私は、運輸省の中に、このスカイスポーツ分野を担当するために、航空スポーツ担当官というようなポストといいますか、窓口といいますか、そういうものを設置して対処したいというふうに聞いていたわけでございますが、現実的にはそういうポストあるいはそういう方の配置を既にされておられますでしょうか。
  211. 加藤晋

    ○加藤(晋)政府委員 お答えいたします。  今先生おっしゃいましたように、運輸省といたしましては、何遍も申し上げますけれども、レジャー航空の振興とかこれに伴う地域振興というものを今後の運輸省の重点施策として位置づけておりますけれども、これを推進していくために、今先生の御質問にもございましたように、今後安全確保を前提といたしましてレジャー航空の健全な育成を図っていくために、レジャー航空に関する業務を一元的に取り扱うことを目的といたしまして平成元年七月に航空局内にレジャー航空指導室、こういうものを設けておりまして、航空行政として統一的かつ強力に取り組んでいこうということでございます。
  212. 山田英介

    ○山田委員 それで設置をされておられるわけでございますが、我が国におけるスカイスポーツの実態といいますか、これを掌握しておられると思うのですが、当委員会でどのくらいのすそ野が広がっているのかお示しをいただければありがたいと思います。
  213. 加藤晋

    ○加藤(晋)政府委員 お答えいたします。  実は運輸省といたしましては、財団法人の日本航空協会というのがございますけれども、そこを介しましてレジャー航空の愛好者等を指導いたしておりますが、この財団法人の日本航空協会にはいろいろな関係の団体がございます。そこの会員数といたしましては、平成二年末現在ウルトラライト機、超軽量動力機と言っておりますが、これが約二千五百名、ジャイロコプターと言っておりますが、これが約百五十名、ハンググライダー、これが約四万一千名、それから模型航空機が約一万五千名、気球が約二千六百名、そのほかにいろいろありますけれども、そういったほかのものを加えまして総計約六万六千名という会員になっております。  それから機数につきましては、ウルトラライト機が約一千機、ジャイロコプターが約百機と聞いております。
  214. 山田英介

    ○山田委員 それで、飛行を許可して実際に楽しんでおられるということでございますが、やはり、何というのでしょうか滑空できる空域、民間の旅客機とか軍用機とかそれぞれ航行している、飛行しているわけでございますから、そういうかかわりにおける安全性を確保するということは極めて重要なことでありまして、伸び伸びとスカイスポーツが楽しめる空域の確保というのでしょうか、そういうことも当然検討されていかなければならないのだろうと思いますが、このスカイスポーツのための空域を確保するということについてはどんな御方針をお持ちでございましょうか。
  215. 加藤晋

    ○加藤(晋)政府委員 お答えいたします。  運輸省といたしましては、レジャー航空の安全を確保というのが大前提でございますけれども、この健全な育成を図るには、今先生が御指摘のように確かに空を飛ぶものですから空域が必要になるわけです。ただし、航空交通が錯綜しております、今先生がおっしゃいましたような旅客機等が飛び回っているところとか、人家の上空を避けたようなところ、そういったところのレジャー航空の空域の確保については、レジャー航空の健全な発展を図るということで、これからもそういった意味でいろいろ検討してまいりたいと考えております。
  216. 山田英介

    ○山田委員 現行の安全規制基準に基づいて見てまいりますと、グライダーとかモーターグライダー、こういう機種は航空法の適用を受けておる、それから耐空性の基準や操縦者の資格が決められているというふうに伺っているわけでございます。しかし、ウルトラライトプレーンとか、ジャイロコプターと言うのでしょうかミニヘリコプター、ハンググライダー等については法的には基準がない、あるいは明確ではないというふうに聞いているわけでございます。もしそうだとすれば、この点につきましては法的にきちっと整備をしていく必要があるのではないかと私は考えますが、その実態と法的整備必要性について、二点にわたりますが御調明をいただければと思います。
  217. 加藤晋

    ○加藤(晋)政府委員 お答えいたします。  今先生お話しになりましたように、このレジャー航空に使われますいろいろな機材と申しますのは多種多様でございまして、その中でウルトラライトプレーン、超軽量動力機と言っておりますが、これとか、今先生がおっしゃいましたジャイロコプターにつきましては、航空法上では航空機として取り扱っておりますので、これは機材とか操縦者等について航空法上の所要の安全規制基準が課せられているということでございます。  一方、ハンググライダー等でございますけれども、こういったものについては航空法上航空機としては取り扱っていないものでございます。ただ、先ほど申し上げましたけれども、運輸省といたしましては平成元年七月に航空局内にレジャー航空指導室を設けておりまして、そういったものの安全確保を強力に推進していくとともに、民間においても自主規制に努めていただいておりますので、こういったハンググライダー等についての法的な安全規制基準につきましては、今後の普及状態とかそういったものを見守りながら検討していきたいと思っております。
  218. 山田英介

    ○山田委員 大臣、先ほど冒頭にスカイスポーツに対する大臣の姿勢につきましてはお伺いしましたので、予算委員会の方へどうぞいらっしゃってください。  それでもう一点、飛行制限条項について伺いたいのですが、グライダーを操縦する場合には飛行計画書を提出しなければならない、こういうふうに伺っております。これはいろいろ愛好者の方々に伺ってみると、ちょっと過大な規制というふうに感じている方がほとんどでございます。この辺については、これは大前提は、繰り返すようですけれども、ただ緩和すればいいという考え方は私は当然持っておりません、操縦する本人の命にかかわるわけですから。そこのところをもうちょっと、安全性をきちっと確保しつついま少し伸び伸びと、あるいは自由にといいますか、スカイスポーツですからもうちょっとその辺何か調整できないのかなというふうに思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  219. 加藤晋

    ○加藤(晋)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘になりましたグライダーの飛行でございますけれども、これにかかわりますその飛行計画、フライトプランと申しておりますけれども、これは、当該飛行が安全に終了したことを確認するということで、ある意味では御本人のためにもなるということでございます。半径九キロメートル、これを超えるような遠距離の飛行において飛行計画を出していただくわけですけれども、この場合、不測の事態が発生した場合の捜索、救難を迅速的確に実施するために必要な情報として通報を出していただく、飛行計画の通報をお願いしているところでございます。  グライダーは、特殊な競技の場合を除きまして、通常は限られた距離の飛行をいたします。先ほど申しました九キロとありますので、普通は飛行計画の通報は要らないわけでありますし、なお飛行計画を出していただく場合でも、これは文書または口頭になっておりますから電話などで通報されても結構なわけでございます。そういう意味で、余り規制というふうな意味ではなくて御本人の安全を守るということも含めて対処しているというふうに考えております。
  220. 山田英介

    ○山田委員 先ほどの御答弁で、今後スカイスポーツの発展の度合い等も勘案しながら法的整備考えていきたいというお話でございましたが、その点は必要なことだと思います。航空法を読んでみても、航空法第二十八条の三項、試験飛行ということにひっかけて、ウルトラライトプレーンとかマイクロライトプレーンとか言われる超軽量の動力機の飛行を許可しておる。しかし、現実には試験飛行ではないわけですよね。二十八条の三項をそう読んで許可を出しているということなんですが、これらも踏まえて、要するに正面からこのスカイスポーツの安全を確保しつつ発展を目指すといいますか後押しをする、こういうことでぜひこの点は積極的な御対応をひとつお願い申し上げたい、このように思います。  もう一度法案の関連で、大臣は私の質問時間の最後の方の部分で退席をなさると伺っていたものですから何点か後に回されていただいたのでございますが、改めて一、二点お伺いしたいと思っております。  運輸審議官でございますけれども、要するに事務次官がおられて局長がおられて、そこで運輸審議官を設置するということなんですが、どういうグレードというのでしょうか、位置づけになるのでございましょうか。
  221. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 事務次官は文字どおり事務の最高責任者でございますが、運輸審議官は次官クラスで、次官と局長のちょうど中間に存在するような格好になるわけでございます。具体的に申し上げますと、外務省あるいは大蔵、通産、農水、各省同じような国際担当の審議官がいるわけでございますが、審議官のいわゆる処遇の面におきまして申し上げれば非常にわかりやすいと思います。次官は指定クラスでは十一号俸でございますが、運輸審議官は九号俸ということでございます。今御審議いただいておりますのでまだこれから人事院との具体的な協議が必要でございますが、そのような方向で現在調整中でございます。
  222. 山田英介

    ○山田委員 もう一点伺いたいと思いますが、今回の改正によってできる法律職、これはまさに運輸審議官ということでございますが、それ以外に今回の組織の改編によって局長レベルというのでしょうか、そういうポストの新設というのはどのようになっているのでしょうか。
  223. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 大臣官房に新たに総務審議官を新設させていただきたいと思っております。これは現在国鉄担当の総括審議官という職務がございますが、これと同等でございまして、局長クラスのポストでございます。ほかの各省庁にも同じような趣旨で総務審議官がたしか八省庁程度設置されております。
  224. 山田英介

    ○山田委員 私は、何点かずっと質問をさせていただいてまいりました。大幅な組織の改編でございますし、許認可行政を通しての国民とのかかわりというものも非常に大きな運輸省の存在であるというような観点から、国民にとって今回の大幅な機構改革というものが決して不利益にならないように、そしてまた七年たってほぼ全面的な組織の改編ということでございますから、この新しい体制で国民の期待にこたえられるような運輸行政をぜひ進めていただきたいと思いますし、卑近なことで申し上げれば、窓口を利用なさる方々に対する機構改革に伴う周知徹底は、特段に、重ねてお願いを申し上げたい、かように存じます。  若干時間が残りますが、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  225. 近岡理一郎

    近岡委員長 田口健二君。
  226. 田口健二

    ○田口委員 私は、今議題になっております運輸省設置法の一部改正に関連いたしまして、とりわけ航空行政について若干の質問をさせていただきたいと思います。  私の出身地であります長崎県というところは非常に多くの離島を抱えておりまして、実は人が住んでおる島だけでも七十五と多数に上っておるわけであります。したがいまして、本土との交通利便の問題というのは大変重要な問題でございまして、従来は、航路、船舶による交通というのが、現在もそうでありますが、中心でありましたが、近来特に航空路という要望が非常に強まってきておりまして、また現実にそういう方向で動いているわけであります。昭和三十六年に県は第三セクターという形で航空会社を設立いたしまして、今運営をしておるわけでありますが、この離島航空という問題について運輸省の基本的な考え方がございましたら、まずそれをお聞きをしたいと思っております。     〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕
  227. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  離島航空についてのお尋ねでございますが、現在、離島航空路線は七社によりまして五十一路線が運航されております。年間約四百十一万人の方々が利用されておるわけでありますが、離島住民の足として生活に密着した交通機関としての役割を果たしているところは先生御存じのとおりでございます。  離島に就航している航空企業の経営状況について申し上げますと、現在の活発な航空輸送需要に支えられまして大部分の企業が実は黒字を計上いたしております。企業全体としては離島路線を維持していくことは可能な状況になっているわけであります。  しかし、このような離島路線の必要性とか離島就航企業の経営状況等を踏まえまして、国といたしましては、従来からいろいろな支援策を講じているところでございまして、着陸料でございますとかあるいは航行援助施設利用料の軽減措置を講じております。また、関係地方公共団体におかれましても、固定資産税の軽減措置とか欠損補助を行っておるところもございますけれども、そのようなさまざまな助成も行われておるところでありまして、これらの助成も受けまして、航空企業においても合理化等の経営努力によって離島路線の維持確保を図っている、そういう状況でございます。  私どもといたしましては、今後とも国、地方公共団体及び航空企業のそれぞれが離島路線維持のために適正な役割を果たしていかなければならないのではないか、そのように考えております。国といたしましては、高速交通体系整備、離島住民の足の確保、そういう観点から、今後とも離島路線の維持整備に十分努めてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  228. 田口健二

    ○田口委員 今のお答えではそういう離島航空関係の企業の経営状況というのはかなりよくなってきている。全国的には、ちょっと私も資料を持っているのですが、先ほど申し上げました県が主体になりました長崎航空という第三セクターの航空会社ですが、現実に言うと、決算面では黒字になっているのですよ。ところが、いわゆる運賃収入だけではもう経営は成り立たないのですね。現実に私もよく知っておりますし、委員長席にお座りの虎島先生もよく御存じだと思いますが、いろいろな広告宣伝だとかいろいろなチャーターだとかそういうものをやってどうやら経営の収支が合っているというふうなことなんですね、中身は。  そこで、具体的に要望として地元からも出ておるのでありますが、例えば航空燃料を買いますと税金かかりますね。小さい会社ですから、大きい会社とは違って一括して大量の航空燃料を買うというわけにはいかない、そういうことになると、当然割高にもなる。だから、こういうものに対する減免措置などは一体できないものなのか。あるいは機材を購入する場合にそれに対して一定助成をするとかそういう措置というものが国では考えられないものかどうか。その辺ちょっとお尋ねしたいと思います。
  229. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  離島航空の維持確保につきましては、国におきましては、先ほども申し上げましたけれども、従来から着陸料あるいは航行援助施設利用料の軽減措置をしており、地方公共団体においても固定資産税の軽減、欠損補助等さまざまな助成措置が行われているところでありまして、これらの助成を受けまして、航空企業の合理化努力も相まって、ただいま先生いろいろ御指摘ございましたけれども、企業努力をいたしまして離島路線を維持しているということは先生おっしゃるとおりでございます。  離島航空については、先ほど申し上げましたとおり高速交通体系整備とか離島住民の生活の足の確保、そういう観点から、離島路線の維持確保を図る方針で臨んでいるわけでございますけれども、ただいま先生具体的に航空機燃料税の減免等の措置を例に挙げられまして、そのような支援措置を講じられないかというお話でございました。支援策としてはいろいろなことが考えられると思うわけでございますが、要はいかにして収入をふやしいかにしてコストを削減していくかということでございますので、今後ともそのような必要な施策につきまして総合的に検討してまいりたい、このように考えております。
  230. 田口健二

    ○田口委員 今のに関連をしてもう一点悩みがあるのですね。それはパイロットの問題なんです。  これは、大きな航空会社に比較をして企業の規模自体も非常に小さいわけですから、その従業員、パイロットに対する待遇というのもやはりかなり格差があるわけですね。なかなかパイロットを確保するのが困難だ。そういう意味においての離島航空等に対するパイロットの養成といいますか、そういうものはちょっと考えることができないのだろうか。その辺はどうでしょうか。
  231. 加藤晋

    ○加藤(晋)政府委員 お答えいたします。  今先生おっしゃいましたこの離島航路と申しますか離島航空路線を運航する航空会社のパイロットの養成でございますけれども、これは、こういったところを運航しています定期航空会社の場合には、航空大学校の卒業者とか自衛隊の出身者の計画的採用、それから足りない分については自社養成という形で必要なパイロットを確保しておるわけでございます。今先生おっしゃいましたように、不定期航空会社と申しますか、こういったところでは大変苦しいわけでございますけれども、民間のパイロットの養成機関の出身者とかいった方を採用いたしまして、自社にこういうところは大抵使用事業部門というのを持っておりますから、そこで必要な経験を積ませた上でこういった離島航空路線の運航に従事させて必要なパイロットを確保するということになっています。今先生おっしゃいましたように、パイロットが非常に大変だというお話でございますけれども、現在の離島航空路線の運航を維持、今の規模を維持していきますのに必要なパイロットは今のところ大体充足されているんじゃないかと私ども考えております。
  232. 田口健二

    ○田口委員 次に、これは具体的に長崎空港の問題になるわけでありますが、いわゆるトリプル化の問題ですね。非常に乗客がふえまして、平成元年の実績で二百二十四万人ということでありまして、とりわけ昨年から羽田の沖合の展開の関係もありまして東京便が増便をするということで、東京─長崎間は平成元年の実績で既に百万人を突破をしている。私どもも毎週のように経験をしておるわけでありますが、常に東京便というのは満席の状態が今続いているわけですね。長崎空港には現在全日空と日本エアシステムの二社が入っているわけでありますが、これらの増便あるいはトリプル化ということについて、現状運輸省としてはどのようにお考えになっておるか、お聞きをしたいと思います。
  233. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  長崎─東京線でございますが、現在、お話しのとおり全日空が四便それから日本エアシステムが二便、計六便が運航されているわけでございます。平成元年度の実績を見てみますと計九十八万人の輸送実績ということになっておりまして、トリプル基準は百万人でございますので、これにわずかに達していない、そういう状況でございます。二年度の実績につきましてはまだ出ていないわけでございますけれども、現在までの推移から判断いたしますと、百万人を超えることは確実である、そういうことが予想されるわけであります。  ただ、ほかにもこのトリプル基準あるいはダブル基準というのを満たす路線が国内には幾つかあるわけでございます。御指摘の長崎─東京線についての増便、トリプル化の御要望というのは地元から再三承って十分承知しているわけでございますけれども、先生お話にもございましたけれども、現在羽田空港の発着枠が非常に厳しい、そういう状況で、なかなか大変な状況にあるわけであります。全国の各公共団体から、羽田空港に係る路線の開設でございますとか増便の要望が多数出ている中で、それをどうさばいていくかということで我々苦慮しているところでございますが、羽田の地元の御協力を得ながら逐次その充実に努めてまいりたいと思っているわけでございます。  こういう状況の中で、運輸省といたしましても、今後、その路線の航空需要の見込みでございますとか、あるいは地方公共団体や航空会社の要望等よく承って十分検討してまいりたい、そんなふうに考えております。
  234. 田口健二

    ○田口委員 今お答えをいただいたのですが、今のお話では地元地方公共団体なりあるいは航空会社等の意見も十分聞きながらということで、決定権は運輸省にあるわけですね。その場合どうなんですか。例えば、航空会社の意向というのは非常に重視をされていくわけですか。その辺どうでしょう。
  235. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたとおり、トリプルあるいはダブルの需要面での数字と申しますか、そういうものを突破している路線が幾つかある中で、羽田の発着枠が非常に制限されておりますから、幾つかの限られた枠にその中からどれを選択するかということは、航空会社の希望それからやはり本当に需要見通しが今後どうなっていくか、あるいは地元の方々のいろいろなお考え、そういうものを総合的に勘案して決めるということで、お尋ねの航空会社の要望も聞くのかということについては、航空会社のお考えも承るつもりでおります。
  236. 田口健二

    ○田口委員 それでは次に、近年地方空港の国際化ということが非常に重要な問題になってきておりますし、とりわけ成田や羽田の状況から考えますと、こういった枠というのは今後将来的にやはり拡大をしていくだろうというふうに思っております。長崎空港の場合も、既に中国、韓国との二路線があるわけでありますが、さらにチャーター問題を含めてこういう需要はこれから非常に拡大をしていくと思うのです。  そこで、このことを考えるときに常に問題になってくるのが、いわゆるCIQという問題ですね。これが非常に一つのネックになっているという気もするわけでありますが、地方空港全体からということになりますと、なかなかお答えもいただきにくい点もあるのではないかと思いますので、当面長崎空港におけるCIQの状況、今後これが拡大をしていくということになれば、どういう対応、体制をとっていくことができるのか。  きょうは各省の方にも来ていただいておりますので、順次御意見をお聞きしたいと思いますが、まず大蔵省の関係からお答えをいただきたいと思います。
  237. 青山幸恭

    ○青山説明員 お答え申し上げます。  長崎空港の点についてでございますが、委員御高承のとおり、私ども、五十四年の九月に税関空港に指定させていただいております。五十五年の四月でございますが、長崎税関の空港出張所というものをつくってございまして、常駐させておるわけでございます。ただ、いかんせんそのときどきに応じまして飛行機が入ってくるということになりますとかなりこれは人手を食うということにもなりますので、近隣署所、具体的には私ども長崎税関の本関からでございますが、適宜人を派遣しておるというところでございます。  現在の状況でございますが、長崎空港におきましては週六便ということになっておるようでございます。これらにつきます人出港といいますか、その業務ということでございますが、近隣署所、具体的には先ほど申し上げましたような長崎税関本関から大体車で一時間程度でございますが、そこから人を派遣させまして、円滑、迅速な業務処理に努めさせていただいておるというところでございまして、今後ふえればまたそれに応じて私どもも当然検討していくということでございます。  以上でございます。     〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
  238. 田口健二

    ○田口委員 それでは、検疫関係は農水省の方で担当だろうと思いますが、二つあると思いますね。いわゆる植物とそれから動物関係ですか。お見えになっておれば、順次お答えをいただきたいと思います。
  239. 関口洋一

    ○関口説明員 長崎空港につきましては、植物防疫法によりまして、植物が輸入できる港ということで指定がされておるわけでございます。ただ、現在の状況で申しますと、一日一、二便ということでもございますので、近隣の長崎にございます長崎出張所から職員を派遣いたしまして、その便に対応させているという状況でございます。  したがって、植物の輸入に当たりまして現時点で特別の支障はないというふうに考えておる次第でございますけれども、今後国際化がさらに進展するということになれば、引き続き円滑な対応ができるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  240. 石井達郎

    ○石井説明員 お答えいたします。  長崎空港におきます動物検疫につきましては、既に長崎空港出張所を設置しております。ここに二名の家畜防疫官を配置いたしまして、検疫対応を行っているところでございます。  同空港におきまして今後著しい増便等がある場合には、家畜防疫官の増員等を図りながら円滑な動物検疫を行ってまいりたいというふうに考えております。
  241. 田口健二

    ○田口委員 それでは、厚生省お見えでしたね。─お願いいたします。
  242. 野村瞭

    ○野村説明員 お答えを申し上げます。  人の検疫につきましては厚生省が所管をいたしておりますが、現在、厚生省におきましては、全国の主要空港十四ヵ所に検疫所を配置いたしまして、百六十七名の職員がここで従事しておるわけでございます。  成田空港、大阪空港以外の地方空港の検疫所には入国者数等に応じまして所要人員を配置しておりますけれども、一時的に業務が集中する場合やあるいは職員の配置がない検疫所には、最寄りの検疫所から職員を派遣しまして検疫業務を行っているところでございます。  現在、長崎空港には、長崎検疫所、これは港に置かれておりますが、この検疫所の出張所が空港にも置かれているわけでございまして、先ほどもお話がございましたが、週に六便ということでございます。したがいまして、検疫対象人員も非常に少ないということでございまして、長崎検疫所からの出張で対応しているところでございます。しかしながら、国際化の進展等に伴いまして、入国者数等の動向を踏まえまして、検疫業務に支障が生じないように今後とも努力をしてまいりたいと存じておる次第でございます。
  243. 田口健二

    ○田口委員 それでは入国管理関係、法務省にお願いいたします。
  244. 佐々木高久

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  長崎空港につきましては、現在、日本航空、大韓航空及び中国東方航空が運航しておりますけれども、現時点におきます出入国審査は長崎港出張所からその都度職員を派遣いたしまして対応しております。しかしながら、長崎空港におきます出入国審査をより強化するという観点から新たに長崎空港出張所を設けようということで、平成年度予算にその所要経費を計上しているところでございます。
  245. 田口健二

    ○田口委員 各省の状況を今お聞きをしたわけです。冒頭申し上げましたように、地方空港の国際化というのはこれからますます進展をしていくだろうと思いますし、長崎空港の場合にも、新たな路線の問題についても今それぞれ進められておりますし、路線の開設ということになれば、今それぞれ各省関係の方から御答弁がありましたように、その関係がやはりうまくいかないとこれはなかなか進まないわけでありますから、運輸省におかれましても、関係省庁との連絡を密にしながらそういうCIQ体制の充実、整備についてぜひ今後も努力していただきたい、このことを要望申し上げまして、ちょっと時間がありますが、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  246. 近岡理一郎

    近岡委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  247. 近岡理一郎

    近岡委員長 速記を起こしてください。三浦久君。
  248. 三浦久

    三浦委員 まず最初に、海上保安庁にお尋ねをいたしたいと思います。  五十七年七月に北九州の白島地域が港則法適用区域に指定をされておりますね。その理由についてお尋ねをいたしたいと思います。
  249. 豊田実

    ○豊田政府委員 お答えいたします。  港則法という法律は、港の中における船舶交通の安全とか港内の整とんを図るという目的を持った法律でございまして、この法律の対象地域とする港域の設定というものにつきましては、基本的には船舶交通が相当あるということを前提にしまして、地元関係の方の御意見を伺いながら決めていくということになっております。
  250. 三浦久

    三浦委員 これは洋上石油備蓄基地で、まだ完成されているものじゃありませんね。この前台風でケーソンが破壊して、しばらくの間ずっと工事が中断をしておった、そういう港湾ですね。まだ全然使用には供されていないと思います。  ところで、北九州の新門司の埋立地域がございますが、ここでは港湾建設工事の第一期がもう終わっております。そして、第二期の工事が行われておるわけであります。その地域にもう倉庫も建っておりますし、フェリーも小倉から移転して、四月一日からあそこが発着所になります。それからまた荷さばき場も整備をされております。ですから、港としての機能が大変高くなってきているわけですね。さらにまた、第二期工事に絡むさまざまな作業船の出入りもある、こういうことなんです。ですから、白島が港則法の適用地域になるのであれば当然この新門司地域も港則法の適用の指定があってしかるべきではないかというふうに私は考えているのですが、どうでしょうか。
  251. 豊田実

    ○豊田政府委員 お答えいたします。  今御指摘のありました新門司地区という地域については、御指摘のとおり港湾整備がかなり進捗しておりまして、将来の方向を見ますとかなり船舶交通もふくそうする海域であるというふうな認識を私ども持っております。したがいまして、この港則法を適用する方向で関係の方々の御意見調整しながら検討してまいりたいと思っております。
  252. 三浦久

    三浦委員 大体いつごろをめどに作業を進められておられますか。
  253. 豊田実

    ○豊田政府委員 実は私どもただいまいろいろな数字を調査しておる段階でございまして、現段階でいつまでというふうにはお答えできる段階ではございませんが、なるべく早く適用の対象として検討を進めたいと思っております。
  254. 三浦久

    三浦委員 港則法適用地域に指定されるということは、港湾労働法との関係でいいますと、これは港湾労働者の雇用と就労、また生活の安定を図る結果にもなるというふうに私は考えるわけであります。そういう意味で、一日も早い指定をよろしくお願いいたしたいというふうに思います。  それからまた、新門司地域の北側の方なんですが、白野江というのがあります。ここに人工島をつくる計画があるのですね。北九州市の港湾計画の中に入っておるのです。大体今年度の上半期ぐらいに工事着工になるのじゃないか、こう言われております。これができますと、大体外貿コンテナ埠頭が四バース、それに内貿埠頭が数バースという計画になっております。したがって、ここも機を失せず港則法の指定地域に指定されるようにお願いを申し上げたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  255. 豊田実

    ○豊田政府委員 門司の周辺海域、いろいろ港湾の整備計画が進んでおるということは私どもも承知しております。いずれにしましても、かなり港湾がふくそうしている海域でございますので、将来のいろいろな整備計画をにらみながら、この法律の対象として検討を進めたいと思っております。
  256. 三浦久

    三浦委員 次に、運輸大臣に、航空保安職員、つまり航空管制官などの要員問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  近年、毎年航空需要が増加しているのは御承知のとおりであります。したがって、航空保安職員の業務量も増大するばかりでありますけれども、業務量の増加に航空保安職員数が追いついていない、そういう状況で慢性的な要員不足という状況が今出ているのじゃないかというふうに私は考えております。運輸大臣は、航空保安職員は十分確保されているとお考えになっていらっしゃるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  257. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  業務量に見合った航空保安職員が確保されているかどうかというお尋ねでございます。航空保安職員の確保につきましては従来から努力しているところでございますが、航空交通の安全を確保する観点から、各官署の施設の規模、運用時間あるいは取扱交通量を勘案いたしまして、これに対応し得るように従来から必要な要員の配置を行ってきているところは御承知のとおりでございます。  例えば、交通量が増大すれば、空港の管制にあってはその業務内容に応じた管制席の細分化ということを行っております。また、航空路にあっては担当空域の細分化により必要な増員措置等を講じてきているところでございます。  また、今後とも見込まれる航空交通量の増大や多様化に対応して十分な安全対策が講ぜられるように、引き続き航空保安要員の必要な要員の確保について十分努めてまいりたい、そんなふうに考えております。
  258. 三浦久

    三浦委員 今局長が言われましたが、ことしの秋には第六次空港整備五ヵ年計画が答申されるようでありますけれども、当面する大型プロジェクトである関西国際空港の建設の問題がありますね。それから羽田の沖合展開、さらに成田の二期工事、フロー・コントロール・センターの建設、こういうものに伴う航空管制官など航空保安職員はどのぐらいの人数が新たに必要になるというふうに見込まれておられるのでしょうか。
  259. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  お尋ねの三大プロジェクト、新東京国際空港の完全空港化、東京国際空港の沖合展開及び関西国際空港の開港に伴います航空保安職員の新たな配置につきましては、円滑な業務遂行に支障を生じないように適切に確保してまいりたい、そんなふうに考えております。  なお、具体的な要員の数につきましては、今後、関係省庁と調整しながら詰めていくことになるわけでございますが、現在見積もり作業を行っている最中でございまして、具体的な数字は持ち合わせておりません。
  260. 三浦久

    三浦委員 総務庁にお尋ねをいたします。  この航空保安専門職というのは、だれでも入省してすぐできるという仕事ではありませんね。航空保安大学校で最低二年、職種によっては三年から五年の教育研修、訓練の期間が必要であります。したがって、あらかじめ要員計画を立てておかなければ間に合わないというような特殊性があると思います。総務庁はこういうことを定員の査定でどのように考慮されておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  261. 新野博

    ○新野政府委員 国家公務員の定員管理につきましては、行政需要の動向、行政の適正かつ円滑な運営等を十分念頭に置きながら行ってきておるところでございます。  ただいまお尋ねの航空行政関係の要員につきましても、その業務の増加の状況とかあるいはその業務の性質等につきまして、いろいろ必要な要員につきまして内容を十分お聞きし、相応の規模の増員を認めてきておるところでございまして、平成年度につきましても、そうした形でその内容を審査してきたところでございます。今後とも、また毎年度の増員要求につきましては、運輸省からのその要求の内容を十分精査いたしまして、定員配置の適正化には努めてまいりたいと思っております。
  262. 三浦久

    三浦委員 運輸省にお尋ねしますが、航空保安専門職はそれぞれの職種ごとに資格が必要になるという特殊性があります。ですから、その人が休んでもだれでもその職務にかわって働くことができるというような関係にはなっていないのですね。ですから、資格のある人じゃないとできないということですから、例えば管制官などは技量の向上のために長期研修、一月から六ヵ月ぐらい行くそうですけれども、そうするとそのほかの人に負担がかかってしまうという状況が出ているわけですね。ですから、私は、こういう場合の代替要員をやはり確保すべきではないかというふうに思っているのですが、いかがでございましょうか。
  263. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  先生お話のとおり、長期訓練あるいは年次休暇等に対応するためには代替要員が必要であるということでございますが、一般的には各官署におきまして管制官等の訓練に必要な要員を配置することにいたしておりまして、これによって対応しております。ただ、一部の小規模な人数しかいない小規模官署におきましては、その要員のみでは必ずしもこういう要請に十分に対応でき切れない、し切れない面もあることは事実でございまして、全体の要員配置計画の中で適切な対応のあり方について今後も検討してまいりたい、そのように考えております。
  264. 三浦久

    三浦委員 今小さな官署ということを言われましたね。例えば離島とかそういうところ、三人で一チームつくってやっているというようなところがたくさんありますね。そういうところは本当にもう結婚式でも休めないとかいうような状況になっているのですね。ですから、今局長が言われましたように、至急やはり特別な手当てをすべきではないかというふうに私は思うのです。  特に、この代替要員の問題は女性にとっては大問題なんですね。結局、一定の訓練をしてぴしっと航空管制官の資格を取らせる、ところがお産で産休をとる、そうするとほかの人に迷惑をかけるのは心苦しい、自分がやめればまた新たな要員を入れることができるというようなことで、せっかく養成した女性の航空管制官がやめてしまうというような状況も出ていると私は労働組合の方から聞いております。これは非常にもったいない話でありまして、ですから、特に女性の場合の代替要員なんというのはぴしっとやはり確保するということが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  265. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  ただいま女性の管制官のお話が出ました。だんだん女性の管制官もふえてまいりまして、大体全管制官の中で一割程度を占めるようになってまいりまして……
  266. 三浦久

    三浦委員 もっとあるでしょう。一四%。
  267. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 その程度になっておりまして、それで、お話のとおり産休等の問題も生じていることは事実でございます。このような新しく生じてきている問題についても今後の要員確保の中で適切に対応してまいりたい、そんなように考えております。
  268. 三浦久

    三浦委員 大臣、ちょっと今の点、非常に大事な点ですから、大臣の方からもちょっと御答弁いただきたいのです。
  269. 村岡兼造

    村岡国務大臣 まずお答えする前に、田口先生質疑の時間と三浦先生質疑の間退席しておりましたことをお許しを願いたいと思います。ありがとうございました。  今航空局長とのいろいろ航空保安要員のやりとりを聞いておりました。私も大臣になって間もないのでございますが、成田、羽田あるいは航路の東京湾のところを視察をいたしました。そういう保安要員の方とも、短い時間でございますが、いろいろ話をしましたら、まあ昔はレーダー一つとりましても一つずつ大変難儀であった。しかし、だんだんレーダーをとらえる機械その他も非常に発達してきた、こういう話も承ってまいりました。一方では、人の目では大変難儀なやつを機械で見るというふうにだんだん改良もされてきております。今、確保については難しいところもありますが、現在は確保をしているという答弁もございましたが、いずれにしても、近年急激に各地域で空港の需要とか発着の回数が増大しておりまして、航空保安大学校につきましても、保安要員の増員問題も今検討をいたしておりますので、今先生のおっしゃいましたことを踏まえながら、今後保安要員の確保に努めてまいりたい、こう思っております。
  270. 三浦久

    三浦委員 次に、航空保安職員の労働条件の問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、この航空保安職員というのは全国的に広域異動いたしますね。ところが、移転費などが旅費法で決められておりまして、移転距離が二千キロでもう頭打ちなんですね。それで、それ以上は幾らキロ数が延びても移転料は同じなんです。これは何か私にとっては腑に落ちないことで、非合理なことじゃないかと思っておるのですけれども、例えば北海道から沖縄、それから東京から沖縄、これはもう完全に二千キロをオーバーするわけです。  運輸省にお尋ねいたしますが、一年間で二千キロ以上の広域異動をする職員は航空局関係で何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか
  271. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  広域異動についてのお尋ねでございますが、沖縄に係る移転を除きますと、二千キロメートルを超える移転の件数というのは非常に少のうございます。全体の一%ぐらい、たしか二十数件であると記憶しております。その程度でございますが、沖縄に係ります異動は、平成元年度で申しますと三百十四件ございまして、全体の約一九%を占めておるわけでございます。ただ、この沖縄につきましては、先生案内のとおり水路の移転距離というのは実距離の四倍に換算するという措置が講ぜられておること、それから移転料の額が割り増しされていること等、そういう配慮がなされているところでございます。
  272. 三浦久

    三浦委員 大蔵省にお尋ねをいたしますが、旅費法は昨年の四月から十一年ぶりで改正になったのですね。ところが、この移転料の二千キロでもって頭打ちというのは依然として同じなんです。これでは職員の経費が移転に伴って、転勤に伴ってオーバーしてしまう事例がしばしば出てくるのじゃないかと私は思うのですよ。この点、大蔵省はどういうふうにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  273. 岩下正

    ○岩下説明員 御説明申し上げます。  まず先生から二千キロで頭打ちというぐあいにおっしゃっておられました。先刻御高承のこととは存じますけれども、旅費法の移転料でございますが、二千キロ以上というゾーンを設けまして頭打ちということではなくて、二千キロないしそれを超えるものにつきまして一まとめにしまして実態に応じた移転料を調査いたしまして、そういったものに基づきまして旅費法の定額が決まっているということをあらかじめ申し上げさせていただきます。  この移転料につきましては、御指摘がございましたように随時見直しを行ってきておりまして、昨年も旅費法の改正によりこの移転料の定額の改定をいたしました。この昨年の定額の改定に当たりましては、実際に赴任のありました職員の移転に要した費用の実態を調査いたしまして、それに基づきまして三四%程度の引き上げを行っております。これによりまして、先生指摘の二千キロ以上の移転につきましても実態に即した定額の改定が行われたと私どもは考えております。それから、これも航空局長から御指摘が既にございましたけれども、沖縄につきましては三〇%の移転料の定額の加算措置が行われていることを申し添えさせていただきたいと存じます。
  274. 三浦久

    三浦委員 今あなたのおっしゃったのは、二千キロを超えた場合にはもう幾ら超えても一定の額しか出ないということでしょう。そういうことでしょう。それを私は頭打ち、こう言っているわけですよ。  それで、今大体カバーできているとおっしゃるのですけれども、これは労働者、職員から聞いた話ですが、改正後の例ですけれども、例えば札幌の管制部から沖縄の下地島空港に異動した、こういう例があるのです。このときにかかった費用は、コンテナが四十万円、車の移送賢二十万円、旅費は夫婦に子供二人で三十万円、合計九十万円かかったそうです。それで、支給されたのはわずか五十六万円。ですから三十四万円の赤字になった、こういうことなんですね。こういうことは、命令によって転勤していくわけですから、転勤をして、いわゆる旅費が、例えば下地島空港というのは特殊なところと言われるのかもしれませんけれども、しかしどんなことがあっても三十四万円も赤字になるというようなそういう旅費法の規定というのは、私はちょっと実情に合わぬじゃないかという気がするのです。こういう実費弁償ぐらいはきちっとすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  275. 岩下正

    ○岩下説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のような個別のケースをいろいろ当たりますと、確かに旅費法に定められた定額を超えて実際に支出された方の場合ももちろんございましょうし、逆にそれの範囲内のかなり低い方でおさまったというようなことも実態としてはあるかと存じます。  そこで、実費を弁償してはどうかということでございましたけれども、これも御承知のとおり従来からいろいろ議論がございます。私どももその議論は承知しておりますけれども、移転料についての実費制導入ということにつきましては、例えば支給対象経費をどの範囲にいたしますのか、その限定がなかなか難しい。例えば車はどうするかとか、ピアノはどうするかとか、いろいろ難しい問題がございます。それから実費弁償ということになりますと、証拠書類を整えてそれを一々本人サイドもあるいは支給する側もチェックするというような事務の煩雑さがございます。それから輸送方法などにつきましてもどういう限定をするかというのがなかなか難しいといったようないろいろな技術的な問題がございまして、これは直ちに踏み切ることは困難で、現在の定額制を維持せざるを得ないのではないかというぐあいに私どもは考えておるところでございます。
  276. 三浦久

    三浦委員 それじゃ移転費の二千キロでもって頭打ちにして二千キロを超えた場合はもう定額しか払わない、この点についての改正はどうですか。これを見直すということは考えられませんか。
  277. 岩下正

    ○岩下説明員 御説明いたします。  二千キロを超える移転の実態というものを昨年の場合も私ども調査いたしましたが、繰り返しになりますけれども、三四%の引き上げによりまして二千キロを超える移転につきまして実態としてほぼカバーされるのではないかということで改定したのが去年の改定でございます。それから、再々になりますがやはり沖縄の場合の特例もございますし、これで当面は対応できているのではないかと私どもは考えております。
  278. 三浦久

    三浦委員 大臣、今大蔵省のお話を聞いておりますとやはり実費弁償はしていないんですね、無理だと言うんですよ。そうすると、この航空保安職員というのは先ほども言いましたように相当広範囲に動いているのです。ですから、せめてそういう長距離移転する職員に対しては、損をしてまで転勤をするというようなことじゃなくて、やはり実費は弁償する、そういう立場で大蔵省と折衝してほしいというふうに私は思っております。  それで、時間が来たようでありますのでもうやめなくちゃいけませんけれども、管制官の皆さん方は非常に苦労されておられるわけですね。人が足りないということもありましょう、給料も安いということもありましょう。ですから、こういう航空保安職員の労働条件の向上の問題と要員の確保の問題、これはやはりかなり力を入れてやっていただかないといけない問題じゃないか。いわゆる一律に定員法でもってぱっと削減してしまう、それで後は省内で都合をつけてやるというようなやり方、結局予算のシーリングですね、そういうものでぱっと決めちゃって後は省内でやりくりしてやっていくというようなやり方では、いつまでたっても航空保安職員の定員をぴしっと満たす、必要な人数を確保するということはできないだろうと私は思うんですね。やはり予算のシーリング方式というものを航空保安職員に限っては撤回すべきだというふうに私は思いますが、いかがでしょうか
  279. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、航空保安要員の確保につきましては、増員も含めて確保に一生懸命頑張っていきたい、こう思っております。また、今初めてそういう長距離の移転費の問題もお聞きをいたしましたが、その問題につきましても、よく検討してまた関係各省と当たりたい、こう思っております。
  280. 三浦久

    三浦委員 終わります。
  281. 近岡理一郎

  282. 和田一仁

    和田(一)委員 今回、次官級の運輸審議官を新しく置く、そしてあわせて運輸省の組織も若干改正を行って総合的かつ効率的な運輸政策の推進体制を図っていきたい、こういうことでしょうが、大臣がこの法案の提案理由を説明なさった中で、ここに文章がございますけれども、運輸行政の国際化ということを非常に強調されているように思います。まさにこの大臣の提案理由説明、三ページぐらいの中で、私数えたら二十九行の中に十九ヵ所「国際」という言葉が出てまいりまして、それほど国際化に対応しないといけないという思いが強くあるんだな、こんなふうに感じました。  運輸行政にかかわる国際関係事務を処理する職が必要だ、こういうことだと思いますが、それではその運輸省における主要な国際問題というのは具体的にどんなものだろうか、こう思いまして、よく拝見をいたしました。そうしますと、そこでは幾つか大きな項目がございまして、例えば空の問題、海の問題、それからエネルギー資源等重要物資の輸送の問題、それから国際交流の促進の問題あるいはアジア・太平洋経済協力閣僚会議等運輸行政の対応、こういうような大きな項目が挙げてございまして、私、限られた非常にわずかな時間なものですから、こうした主要な国際問題の中から、特に国際化に対応しようということで考えておられるので、一つだけに絞ってお聞きをしたいなと思っております。  それは、この三番目に出てくる「エネルギー資源等重要物資の海上輸送の安全確保に関する関係国との調整」というのがございます。これは、海上保安庁によるプルトニウムの海上輸送の護衛についてのことだと私は理解しておりますが、そのとおりかどうか。そして、その計画の策定あるいは実施に関する米英仏等関係国との調整をなさろうとしているのだろうと思いますが、これはいずれも日米原子力協定あるいは日仏原子力協定、こういうものに基づいてのプルトニウムの輸送ということでございまして、こういう大事なことだけに新しい審議官も大変だろうと思いますけれども、この辺の、この三番目の「エネルギー資源等重要物資の海上輸送の安全確保に関する関係国との調整」という項目を踏まえながら、今私が言ったように、これがプルトニウムであるならば、それについて、今のところの計画について、簡単で結構でございますけれども、御説明をいただきたい、こんなふうに思います。
  283. 村岡兼造

    村岡国務大臣 エネルギー資源の輸送の中でプルトニウムということの問題でございますが、海上輸送の護衛につきましては海上における犯罪の予防及び鎮圧を目的といたしたものでございまして、これは第一義的には海上保安庁の任務であると考えております。このため、現在護衛に必要な性能、設備を備えた巡視船の建造を進めておりまして、また輸送に際しては、綿密な輸送計画のもと、万全の核物質防護措置がとられることになっているため、海上保安庁の護衛巡視船で十分対応可能と考えております。  なお、先ほど先生が言われました国際会議等の詳細問題については政府委員からお答えさせていただきます。
  284. 豊田実

    ○豊田政府委員 プルトニウムの輸送問題につきまして、私ども海上保安庁としては、ただいま大臣の方からお話し申し上げましたように、その海上輸送における護衛の関係を主として担当しておりますが、全体の輸送計画につきましても、外務省、科学技術庁と一緒に問題に取り組んでおりまして、最終的な輸送実施としましては平成年度の秋ということを目標に今調整を進めておるところでございます。
  285. 和田一仁

    和田(一)委員 海上保安庁の巡視船で大丈夫だということで御答弁ございましたけれども、現有の巡視船ではだめなので新しく予算をつけて、そしてこれに対応する巡視船を今建造中だと私は承知しております。その巡視船についてもちょっとどんなものなのかも伺いたいと思うのですけれども、これは建造中ですから、どのような装備、どのくらいの規模で、いつごろできるかはもうおわかりだと思うのですが、ちょっとおっしゃっていただきたい。
  286. 豊田実

    ○豊田政府委員 今回計画されておりますプルトニウム輸送は、当面フランスから日本まで運ぶという前提になっております。したがいまして、長距離を途中港に寄らないで日本まで護衛するという前提で航続距離が長い巡視船を現在建造しております。大きさとしては総トン数約六千五百総トン、それからヘリコプターを二機搭載しておりまして、速力としては二十五ノット以上を目標に建造を進めております。既に平成二年の三月に建造に着手しておりますが、完成は平成四年四月を予定しております。
  287. 和田一仁

    和田(一)委員 わかりました。  足の長さだとか速力だとか完成の日時等はわかったのですが、これはプルトニウムを輸送する船を護衛するわけですね。護衛能力はどうなのか。ヘリコプターというのは二機載っかっているけれども、これは火器か何か持っているのですか。
  288. 豊田実

    ○豊田政府委員 今回予定しております搭載するヘリコプター、これは主としてその航路上の警戒を上空からするという役割を持っておりまして、今予定しておりますヘリコプターは、自動操縦装置とか自動空中静止装置とか新しい機能を装備するほかに、遠洋をパトロールしますので、航続距離の点でも、それからスピードの点でも、現在保安庁で保有しているヘリコプターを大幅に上回る能力を確保したいというふうに考えております。
  289. 和田一仁

    和田(一)委員 時間がないので少し急いで伺いたいと思うのですが、私は、このプルトニウムという物資が日本にとってどういう必要性のあるものか、これも理解しているつもりでございます。それからプルトニウムというこの物資が持っている危険性、重要性というものもわかっているつもりでございます。そして、かつて昭和五十九年に、フランスから同じようにこのプルトニウムが日本まで運ばれた、その運ばれた実態も大体わかっているつもりなんです。五十九年に運ばれたその同じ方法はもうとれないんだ、国際的に今の日本の立場からいって同じようなことはできないんだ。したがって、それにとってかわって今おっしゃったような、来年秋に間に合わせよう、独自でこれを運ばなければいけない。それを運ぶためには日米の原子力協定、日仏原子力協定、こういう協定に基づいた交換公文の中で示されている約束事に従ってこれを運ばなければならない。そういう国々との合意があってできるんだ、こういうことではないかと私は思うのですね。そのことについて、今、日本の政府は、この五十九年のときにとられた対応と同じような対応をとることによってそういう関係諸国との合意をとろうとしているのか、そうではないが、今言ったような計画で大丈夫だと思っておやりになるのか、この辺が非常に大事だと私は思うのです。私は、このことについては、かつてもう何回か質問しております。それも十分皆さんはおわかりだと思うのです。しかし、いよいよだんだん近づいてきた中で、そして今こういうような国際情勢を私たち目の前に見るときに、日本のこれからの国際社会の中における立場としてこれは余り簡単に考えたのではいけないなという気がまた改めて起こっているので、きょうまたここで伺っているわけなんです。したがいまして、私は、この問題について、大臣の基本的なお考えを含めて、対応についてもう一回お聞かせをいただきたいと思います。
  290. 豊田実

    ○豊田政府委員 現在、計画が進められておりますプルトニウムの海上輸送につきましては、ただいま御説明しましたように、私ども新しい巡視船を建造して護衛に当たるということを基本としております。当然ながら、いろいろな脅威と申しますか、想定される脅威についてはなるべくそれに遭遇しないようにルートを慎重に決定するということのほかに、先ほど申しましたように、途中でほかの港に寄るということも一切せず直行する計画をつくるとか、あるいは輸送船そのものにつきましても、私ども、武装をしました海上保安官を乗せるというようなことで、護衛船だけではなくてその輸送全体の計画を安全な輸送を確保できるように十分調整しながら進めてまいるつもりでおります。また、アメリカ等との関係につきましても、私ども海上保安庁の巡視船が護衛に当たるという前提で理解を得ておるところでございます。
  291. 和田一仁

    和田(一)委員 大臣いかがですか。
  292. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今保安庁次長が答弁をいたしましたが、正直に申し上げまして、私この問題等についてまだ和田先生ほど調べておりません。大変重要な問題でありますので、それらの御指摘の点につきましても、いろいろまた各国との条約の問題点がいいかどうかというような問題についても、ひとつまた調べて検討させていただきたい、こう思っております。
  293. 和田一仁

    和田(一)委員 今豊田さんの方からお答えいただいたのはもう当然のことでございまして、これを輸送するというのには、これはどこへも寄港できないことは当然ですし、その航路も当然表に公表するわけにはいかない。しかし、通過する国々には今こういうことだよということをきちっと知らせる義務もある。そのためには衛星通信を使って、非常に高度の通信技術を持ったものがガードしていないとできないというようなことも考えると、今説明をいただいたような新しい巡視船たった一隻でそのことが可能なのかどうか。こういうことがだんだん具体的になったときに、日米仏等の具体的な原子力協定の中の交換公文書の中でさらに決められている実施の取り決め、これが物を言ってくると思うのです。その実施取り決めに基づいてやってないではないかということになったときに、さあそれではということになるのかどうか、私はそこが心配なんです。国会で何回聞いても、大丈夫なんですという答弁しかないのですよ。きょうは外務省お見えいただいていますね。済みません、その辺は絶対大丈夫でしょうか。
  294. 貞岡義幸

    貞岡説明員 先生の質問にお答えします。  現在プルトニウム輸送につきまして米国政府と協議をしております。その際には、海上保安庁巡視船を護衛船とするという前提で協議を行っております。それから、先方の出席者には国務省のみならず国防総省、沿岸警備隊、専門家も入って、鋭意事務的に協議を行っております。それで、その協議におきまして、米側より海上保安庁巡視船一隻では不十分であるというふうな危惧の声が出ていることは一切ございません。
  295. 坂田東一

    ○坂田説明員 お答えいたします。  ただいま外務省あるいは運輸省の方から御答弁があったとおりでございまして、私どもも既にこの輸送にかかわります輸送計画の日米間の協議に参加をしております。  先生の御指摘がございました護衛のやり方につきましては、この輸送計画の安全を確保する上で極めて重要なファクターということで、日米間ともども非常に熱心にこの問題も議論してきておるわけでございますけれども、今貞岡課長から御答弁がございましたとおり、これまでの協議の範囲では、海上保安庁の巡視船を一隻護衛としてつけてやっていくということにつきまして特段米側から異論があるわけではなく、私どもといたしましても今後ともそういう前提で話し合いを続けてまいりたいというぐあいに考えてございます。
  296. 和田一仁

    和田(一)委員 今までの答弁と全く変わらないのですね。その話が出てから後、いろいろ新聞等でも見直しがあるのではないかというような記事が出ているのですよ。閣僚会議でもそういうことを確認しているのではないかということも新聞に漏れるぐらいでございますし、また現に、アメリカの議会の中でも、こういうことについて一体どうなっているんだという議論があるのですね。去年のアメリカの下院のエネルギー・商業委員会では、日本のこのプルトニウムの輸送計画についてちょっと調べないといけないなというような発言がある。そういうことを踏まえると、これはやはりまだ完全な合意になっていないなという感じが私はするのです。今外務省はそんなことはないとおっしゃった。しかし、向こうは今外務省がおっしゃったように国防総省まで入ってそういうことを議論している。うちの方は運輸省と科学技術庁だけなんですよ。どうしてこういうことを専門にしている防衛庁を人れないのですか。そういうことが私はおかしいと思っている。もっと本気でこの問題について取り組んでもらわないと、きょう私がここで質問したことが、そして答えたことが後で変わってくる、そのことを私は恐れているのです。ですから私は何回もこの問題については伺っているわけなんで、もう時間が来ましたのでやめなければなりませんけれども、この問題はまた機会があったら尋ねさせていただきます。どうぞひとつそういう意味できちっとした対応をして、こういうことを通してでも日本の国際的な信用が損なわれないように対応していただきたい、こういう思いがあるものですからお尋ねいたしました。  申しっ放しで恐縮でございますが、これで終わらせていただきます。
  297. 近岡理一郎

    近岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  298. 近岡理一郎

    近岡委員長 これより討論に入るのでありますが、先ほどの理事会の協議によりまして、討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  299. 近岡理一郎

    近岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  300. 近岡理一郎

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  301. 近岡理一郎

    近岡委員長 次回は、来る十二日火曜日午後二時理事会、午後二時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会