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1990-12-18 第120回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十二月十八日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 野呂田芳成君    理事 金子 一義君 理事 工藤  巌君    理事 小杉  隆君 理事 桜井  新君    理事 井上 普方君 理事 小林 恒人君    理事 平田 米男君       井奥 貞雄君    石井  一君       小澤  潔君    大塚 雄司君       狩野  勝君    亀井 善之君       志賀  節君    自見庄三郎君       谷  洋一君    星野 行男君       前田 武志君    松岡 利勝君       柳沢 伯夫君    小松 定男君       斉藤 一雄君    渋谷  修君       戸田 菊雄君    早川  勝君       細川 律夫君    和田 貞夫君       近江巳記夫君    宮地 正介君       佐藤 祐弘君    伊藤 英成君       菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 守良君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    土志田征一君         経済企画庁総合         計画局審議官  高橋銑十郎君         国土庁長官官房         長       八木橋惇夫君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    斎藤  衛君         国土庁地方振興         局長      芦尾 長司君         大蔵政務次官  尾身 幸次君         大蔵大臣官房審         議官      西村 吉正君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      中川 雅治君         大蔵省主税局調         査課長     増原 義剛君         大蔵省銀行局中         小金融課長   福田  誠君         国税庁直税部資         産評価企画官  品川 芳宣君         建設省都市局都         市計画課長   林  桂一君         建設省住宅局住         宅建設課長   上野 公成君         建設省住宅局市         街地建築課長  島崎  勉君         建設省住宅局市         街地住宅整備室         長       柳沢  厚君         自治省税務局固         定資産税課長  成瀬 宣孝君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 十二月十八日  辞任         補欠選任  小林 恒人君     宇都宮真由美君   小松 定男君     小野 信一君   斉藤 一雄君     筒井 信隆君   戸田 菊雄君     田中 昭一君   元信  堯君     山元  勉君     ───────────── 本日の会議に付した案件  土地問題及び国土利用に関する件      ────◇─────
  2. 野呂田芳成

    野呂田委員長 これより会議を開きます。  土地問題及び国土利用に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
  3. 金子一義

    金子(一)委員 金子一義でございます。早速に国土庁長官土地政策全般についての御質問をさせていただきたいと思っております。  もう御存じのとおり、地価が戦後三度目の異常な高騰を示してまいりました。この結果、社会にいろいろなひずみをもたらした、同時に我が国全体のいわば経済効率、こういう面でも非常にこれを損なうというおそれが出てきておる。こういう時期に当たりまして、我が国土地問題を解決していくということ、これはまさに緊急の課題でもありますし、また海部政権最大課題でもある、これはもう言うまでもございません。  佐藤国土庁長官土地問題、まさに担当の大臣としてこの一年間本当に真剣に取り組んでこられました。その点にまず敬意を表させていただくと同時に、またその所管大臣として、今度十月末出ました土地政策審議会答申も踏まえまして、これからこの問題に対してどのような総合的な対策を講じようとされておられるのか、まず全般論としてのその御所見を承りたいと思います。
  4. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 金子先生にお答えいたします。  土地対策につきましては、御存じのように五つございまして、一つ宅地供給宅地有効利用あるいは金融の問題、税制の問題、土地利用計画の問題、それから規制区域問題等ございます。そんなことでございまして、これを総合的にどのようにやっていくかということが大きな問題だと思います。  十月二十九日に先生の御指摘のように土地政策審議会答申が出ましたが、これは三つポイントがございます。一つ土地神話をなくすること、次には適正な地価実現すること、三番目には土地利用について適正にして合理的な土地利用確保を図る、この三点が中心ということでございます。そんなことでございまして、それをどのように実現するかということでございますが、個別施策が十ほどございます。  簡単に言いますと、第一は土地取引規制、それから土地利用計画整備充実住宅宅地供給促進土地有効高度利用促進土地関連融資規制土地税制の活用、受益者負担による開発利益の還元、それから公的土地評価均衡化適正化、それから土地情報整備充実土地に関する基本理念普及啓発、このようなものがございますが、これをとにかく強力に、早期に実現するよう全力を尽くす、そんなことで土地基本法に言っております適正な地価実現に努める、このように考えております。
  5. 金子一義

    金子(一)委員 今お話しいただきました三つポイント、その中で幾つかの具体的個別政策という点を御指摘いただいたわけでございますけれども、長官、この中で国土庁として、もしくは政府としてこれから一番最大、重点的に取り組んでまいりたいというふうにお考えになっているポイントというのはどこにあるのでございましょうか。
  6. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  今の点につきまして、実は五項目とも時間がかかるわけですが、実はこれは例えば税制一つとりましても、実効が出るのは二年から三年かかると思います。例えば宅地供給についても同じでございますが、一番今実効があるのは二つだと思っております。  一つは、規制区域、特に監視区域の強化でございます。これはいかに地価を値上げしないか。一時、監視区域指定について後手におくれるとい うお話がございましたものですから、基本的に地価が一〇%上がればすぐ監視区域指定する、二〇%上がれば、いわゆる監視区域届け出面積を百平米にするということを自動的にやるようにいたしまして、その批判はどうやら免れると思いますが、そんなことでございまして、もう一つはやはり金融だと思います。今度の土地高騰の大きな原因というのは、やはり金余り現象にあると思っております。  今度の地価高騰は、東京におきますのは事務所用地に端を発しまして、大阪、名古屋、それから地方に回ったわけですが、その背景には金融緩和があった、金余りがあったということでございまして、実はこれは平成元年の三月末でございますが、金融機関貸付残高は四百四十五兆だと思いました。そのうちの不動産貸付残高は四十六兆円、約一〇・八%でございます。それからまた、ノンバンクは別でございまして、ノンバンクは三十から四十兆あると言われておりますが、これは逆に不動産融資が一番大きいと思います。  そんなことでございまして、実はこの金融には二つほどございまして、一つ事業担保、もう一つ不動産担保でございまして、金融機関が金を貸すのは当たり前ですが、質の悪いものに貸しておるのじゃないか。すなわち、実需じゃなくて仮需に随分貸しておる。したがいまして、むしろこれを私は総量規制で引き揚げてもらいたい。そんなことで現在、この二つ中心にお願いしたい。  他の税制あるいは宅地供給取引規制の問題は時間がかかります。そんなことでございまして、そういう形でやっていきたい、現在もその方向でやっておるということでございます。
  7. 金子一義

    金子(一)委員 今監視区域の点をちょっとお触れになられたのでございますけれども、監視区域、今おっしゃられましたように一〇%上がればすぐ適用だ、二〇%上がれば今度は百平米以上ですか、百平米以上のものについての届け出をという……
  8. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今の点につきましてお答えしますが、私、説明不十分だったと思いますが、届け出面積は一〇%以上の場合は三百平米と五百平米とございますが、これが二〇%上がれば百平米にするということでございます。百以下でも以上でもなく、百平米にする。そうしますと、例えば二百から三百の場合は捕捉率が一五から二〇%でございますが、百平米にすれば大体五〇から六〇%、そのかわり地方自治体大変負担がかかる、また人員が必要になってくることで手間がかかるわけですが、そうすれば土地取引は随分厳しくなるということで地価の安定に役に立っていると思います。  東京都が地価の安定に非常に役に立っているのは、実は五年前から監視区域指定して強化したということが一つあると思います。きょうのニュースでも、埼玉県が地価高騰に備えて来年四月にはある一村除いて全部監視区域にするという、そんなことでございまして、監視区域にすることによりましてかなり価格が抑制できる、このように考えております。
  9. 金子一義

    金子(一)委員 監視区域のいわば対症療法としての今の御説明、機動的な発動というのが本当に望まれるところであります。  いっとき話題になりました埼玉では、今お話ありましたように監視区域が非常にうまくやられているけれども、どうも千葉に行きますと、なかなかそれが適用されているとは言いがたいという話でございますとか、関西空港に伴って泉州地域、この地域監視区域指定がいろいろな要因から地方自治体になかなか発動されずに後手に回ってしまったといったような問題があったわけでございますけれども、今おっしゃられました一〇%、二〇%というようなときに、こういうような状況のときにこれまでと違ってより機動的に発動ができる、そういう仕組みに新たになったのですか、それとも我が国全体として、比較的そういう監視区域というのが地方自治体にとって発動をやりやすくなったということなんでございますか、そこのところをちょっと。
  10. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えしますが、今の点につきましては、実はかつて国土庁監視区域適用がおくれておる、特に後手に回るということで非難がございました。そんなことでございまして、これは局長通達でございまして、自動的に一〇%上がれば監視区域指定する、それから二〇%上がれば届け出面積を百平米にする、自動的にやるように行政指導しておる。今言ったように後手に回らないようにということでそういう指導をしているということでございます。
  11. 金子一義

    金子(一)委員 長官税制金融の問題もお触れになられたのですが、最近ちょっと私いろいろな議論を聞いておりますと、税制金融というのがいわば土地対策ないしは地価対策として非常に表に、前面にややクローズアップされている感じがしました。今お話ございましたような本来の諸施策、大きな柱であります都市計画土地利用計画といったものはどうしても時間がかかるんだよ、それから住民の合意のためにはやはり大変なんだよという点から、少し前面からむしろ後ろの方に引っ込んじゃってやしないだろうか。このままマスコミ等議論でも新聞に出てきますのは保有税といったような問題になっちゃうものですから、保有税がすべてというような議論になりがちな部分というのを私はむしろ懸念しておりました。土地利用計画等々というものはやはり何といっても土地政策の一番の柱であるかと思っております。  国土庁は、今度大きなマスタープランをつくって、そしてそれに伴っての土地利用計画、詳細なものを方向づけをしていこう、そのためのノーハウをこれから大いに実行していこう、こういう御方針で検討されているかとも思うのでございますけれども、土地対策の大きな柱であります土地利用計画の確立についてどのような具体化を今進めておられるのか。
  12. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先般ちょうだいしました土地政策審議会答申の中でも、土地利用計画整備充実土地対策の中で非常に重要な位置づけをしております。問題意識といたしましては、現在の我が国土地利用計画におきまして八つの用途地域制度が整備されておりますが、ただ、この制度が一般的に禁止用途列挙型でございまして、建築自由度がかなり高い。したがって、規制内容も緩やかになっております。そういうこともあって、一部の地域におきまして土地利用の錯綜を招くとか、あるいは住居系競争力の弱い用途商業系に駆逐されるといった問題が引き起こっているわけです。また、適正な土地利用へ誘導していくための制度も必ずしも十分でないといった問題もありまして、御承知のとおり大都市地域においてかなり低・未利用地が存在する、そういった問題が生じているわけであります。このために、地区計画を定める等により土地利用計画詳細性を強めていくことが極めて重要であると考えております。  そういう観点から、本年六月に遊休土地転換利用促進地区制度が創設されております。また、新たな地区計画制度も昨年末の都市計画法及び建築基準法の一部改正によって創設していただいておりますので、こういった地区計画制度を今後積極的に活用していく必要があると思います。また、これとあわせて都市マスタープランビジョンづくりをもっと充実強化していかないといけない。あわせて、用途地域制度見直し等につきましても検討し、より適正合理的な土地利用確保を図っていく必要があると考えております。
  13. 金子一義

    金子(一)委員 今、用途別規制に触れられました。いわば住宅用途と定めてあるのですけれども、この住居系競争力の弱い用途というものがどうしても排除される。結果として商業地での地価高騰住宅地住居地といいますか、住宅地の方に非常に波及をしている。それからもう一つは、町中、主に都心でございますけれども、都心人口がどんどん減っていく、つまりなかなか人が住まない町づくりが行われている、こういう現象都心部で起こっておる。  これで一つ思い出しますのが、紀尾井町ビルが あそこにできた、そのときに用途別規制というものをもう少し地区計画としてうまく取り込んでくればあそこの地価が必ずしも上がらなかったのではないかといったような、野村総研だったと思いますけれども、シミュレーションが出ております。このシミュレーションはともかくといたしまして、局長、それとあわせまして、千代田富士見町の例がまた一方でよく議論が出ておりました。商業地ビルがどんどん建ってくる。そして住居地にどんどんこれが侵食していってしまって人がどんどんいなくなる、また一方で地価がべらぼうに上がってくる。そのときに千代田区が立体用途規制というものをつくりたいと考えたのだけれども、このときには立体用途規制をつくるに当たって都市計画法上は規制する仕組みがない、だからそのために法改正をしなければならない。これはちょっと、本当にそうかなと思う。今あれがなくても立体用途規制はそれぞれ地方自治体でできるのではないかと思うのですけれども、ちょっとその辺について、長官でも局長でも結構でございますけれども、事実関係を教えていただければと思うのでございます。
  14. 林桂一

    林説明員 御説明いたします。  現在、都市計画法用途地域の体系の中では一般的には立体的な用途規制というものは制度としては導入されていないということでございますけれども、立体的規制というような物の考え方は一般的ではありませんけれども、八種類の用途地域規制の中には二種住居専用地域というものがございまして、中高層の良好な住環境を維持するための地域となっておりますが、これにつきましては立体的な用途規制を行うということになっております。すなわち、事務所等につきましては二階までが許される、三階以上の部分につきましては住宅のみが許可されるといったような形になっておりまして、そういう意味部分的にではございますけれども、立体的な用途規制考え方を入れているということでございます。そのほか、地区計画制度とかいろいろな制度がございまして、そういうものの中で立体的な規制を行うということは可能な仕組みをとっているということでございます。
  15. 金子一義

    金子(一)委員 鈴木都知事がこの問題につきまして、二階まで商店、その上は住居をつくれるようにして、そしていわば人口が減っていくような状況じゃないように実現をしていきたいという考え方を言っておられましたけれども、やはりそういうような、単に平面の今の用途規制をもう少し立体化していくという考え方も、一種住専も含めまして、いわばどうしても住宅というのは価格競争力意味で非住宅系に対しては弱い。そういう意味で、どなたかがおっしゃられたかもしれませんけれども、同じ土俵の上でやったら排除されてしまう。だから、ある意味土俵住宅系と非住宅系に分けていくという議論もしくは立体的な考え方をこういう用途規制等にも取り入れて、そして、ああいう富士見町のような、もしくは都心部のように人が住まない町づくりが行われない方向、そういうことで用途規制をいろいろ御検討いただく。今藤原局長は、国土利用計画の中でそういうお話を他のものの一つとしてお取り上げいただいたわけでございますけれども、私からもそういう御要望をさせていただく次第であります。  長官金融の問題をちょっと取り上げられましたものですから、金融についてなのでございますけれども、お話ありましたように、今度の土地高騰の裏に金融というものが非常に大きな影響を与えてきた。それは本当に否めないと思っておりました。銀行局はきょうは来ていただいておりますか。——土地高騰要因としての金融問題について銀行局としてどういうふうに取り組んでいこうとされるのか。簡単で結構でございます。
  16. 福田誠

    福田説明員 お答えいたします。  金融機関土地関連融資につきましては、投機的な土地取引等に係る融資の排除のための通達の発出、特別ヒアリングの実施を行いまして、さらにそれに加えまして、本年四月には不動産業向け貸し出しにつきましていわゆる総量規制を導入するなど、かねてよりその適正化に努めてきております。  ちなみに、全国銀行不動産業向け貸出残高の前年比伸び率を見ますと、総量規制導入前の本年三月末の一五・三%から、九月末には六・九%へと急速に低下しております。また、一部で地価下落の動きが報じられるようになるなど、その効果につきましては着実に浸透しつつあるものと考えております。ただ、大蔵省といたしましては、今後とも金融機関社会の信頼を損ねることのないように、その適正な業務運営確保について、引き続き厳正な指導に努めてまいる所存でございます。  また、将来におきまして金融地価高騰要因一つとなることのないように、今後の土地関連融資のあり方につきましては、いろいろと検討を行っているところでございます。この点につきましては、今般、自民党金融問題調査会におきましても各種の御提言がなされたところでございまして、今後その内容を参考としながら、個別施策として適時適切に実施してまいりたいと考えております。
  17. 金子一義

    金子(一)委員 さっきも申し上げましたように、今般の土地投機の裏に金融があったことは本当に否めない。そういうことで、今回土地総量規制ということで枠を規制していただいておるということで、これは相当の効き目を実はあらわしているのだと思っております。これは相当効き目が出ておりましょう。  ただ、総量規制を本当にずっと続けていっていいかということになりますと、金融機関貸し出し総量規制というものをずっと続けていくというのは、我が国の自由な経済のもとでは決して本来的な話ではないだろうと思っております。むしろ最近の、特に年末でございますけれども、総量規制でぎゅうっと絞っていく、そういうことになりますと、今ちょっと音を上げ始めているのが中小企業であります。金融機関でありますから当然でありますけれども、利益の多い方向融資がシフトしてまいりまして、中小企業は非常に苦しくなってきております。  特に、聞いた話ですと、過去にさかのぼって、遡及利上げと言うのだそうですけれども、金利が上がっているから過去に貸し出したものについて貸出金利を上げるのに応じてくれよといったような話が出ている。いわば貸し手優位という状況になって、それが非常に影響を受けるのは中小企業であるという状況を考えますと、我が国全体の経済をオーバーキルさせても決していいわけではありませんし、そういう点を考えてこの発動総量規制は今は当然だと思っておりますけれども、そういう面にも十分御配慮をいただきたいと思っております。  それから、もう一つ土地担保融資について検討というお話を今いただいたのでございますけれども、土地担保、これも金融機関によりましては担保土地をとる。従来であれば事業に必要なだけのお金を貸しておったのに、土地さえあれば土地担保価額目いっぱいまで貸してあげますよ、要らなくても何でも、とにかく土地担保評価額目いっぱい借りなさいというので貸し出しが行われた。中には、土地が将来上がるだろうということで担保掛け率が一〇〇%を超えてしまう。つまり、将来の土地の値上がりを見越して貸していくといったような例が随分とあるようでございました。  やはり本来であれば銀行は、その事業、その資金繰りに応じて資金供給していくというのが本来の姿勢だと思いますものですから、そういう土地担保融資ということをこれから検討される上でも、土地担保なんかやめてしまえという乱暴な議論もありますけれども、それをやりますと一番困りますのは中小企業でありまして、大企業土地担保なんていうので借りてません。土地担保で借りてますのはまさに中小企業でありますものですから、土地担保をやめてしまえという乱暴な議論ではなくて、事業資金もしくは資金繰り資金に対する金融機関貸し出し姿勢という観点に、き ちっと本来の姿に戻ってもらうという意味での検討、また、大蔵省としての御指導というものをお願いを申し上げます。  最後に一つ。さっき長官お話しされましたように、ノンバンクというのが不動産融資銀行より若干低いようでございますけれども、金融機関の四十六兆円の不動産融資に対してノンバンクは三十兆から四十兆あるというお話をいただいたわけでございまして、ノンバンクのここで果たしている役割が大変大きい。ノンバンク、現状ではなかなかつかまえようがない状況になっているかと思うのでございますけれども、銀行からノンバンクお金が出る、ノンバンクから債務者、借り主にお金が出る、この二つの蛇口があるわけでございますけれども、この後者の方、つまりノンバンクから最終の借り手のところに行くここのところの把握と、何かの規制とは言いませんけれども、ここのところをうまくコントロールする検討というものを中心的にやっていただきたい。ノンバンクといっても本当に幅が広い。リースから信販から、またサラ金まで本当に幅が広いわけでございますから、金融機関からノンバンクのところをぎゅっと抑えるということになりますと、正常業務のところまで絞りかねないという問題があろうかと思います。この点は御要望にとどめさせていただきます。  時間がなくなってまいりましたので、保有税の問題でございます。  国土庁長官、今度の新保有税、いろいろ議論の末自民党の中で案が一つまとまったのでございますけれども、地価対策ないしは土地対策土地政策の一環として今度の保有税をどういうふうに評価されておられるか、大臣の御所見をお伺いさせてください。
  18. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  先ほど土地対策一つの中に税制を挙げましたが、これは基本的には土地神話をどうしてなくするかということで、これは土地の資産としての有利性をどう減殺するかということ、そういうことの中に個人と法人との税負担を公平にする、そういう形の中に土地有効利用を図るということ、そんなことでございまして、実は、土地を買ったとき、取得、保有、それから譲渡の場合に思い切った税の見直しをして税負担を重くしろということが基本的考えですが、その一環として新土地保有税、いろいろな意見がありますが、私はよくできたと思っております。  ということでございまして、これは基本的に二つ目的がありまして、一つは、土地の保有の税を高くしまして土地の選好を弱める。お金があれば土地を買うという選好を弱める。それとともに、先ほど先生御指摘のように今まで三回土地が上がりました。これからは土地高騰をどんどん防ぎたい、その枠組みをつくりたい。こんなことで新土地保有税ができたということでございます。そんなことでございまして、税率の点、いろいろな御意見がありますが、よくできたなということでございます。  そんなことでございまして、私はこれを高く評価している。そして、少なくとも土地神話をある程度崩せるのではないか。それからまたこの効果につきましては、五つの相乗効果でございますね。そういう形の中にこれは十分有効に効率を上げるのではないか、こういうふうに考えております。
  19. 金子一義

    金子(一)委員 この土地対策としての、地価対策としての保有税についていろいろな御議論がある。特に、骨抜きではないかといったようないろいろな御意見、またこれから野党の先生方ともこの点についていろいろ我々も議論していきたいと思っておるのでございますけれども、私も、これは骨抜きという議論は決して当たらない。また、非常に中長期的にもこの税体系というものは効いてくるというふうに思っております。  内容に詳細に入っておりますと残念ながら時間がなくなってしまうのでございますけれども、いろいろな御批判、骨抜きだという中で一つ二つだけ申し上げますと、控除額が中小企業が十五億、高過ぎるじゃないか、これがあるのでございますけれども、先般もNHKの土地スペシャルというので横山町の問屋街がモデルで出ておりました。NHKもこれは大変よく調べてくれたなと思っておるのでございますけれども、五億の控除でいきますと、横山町三十三区画、そのうちの三十三事業所がまともにかかる。ところが、これが十五億になることによって今度は六事業所に下がっていくというのが出ておりました。中小企業はやはりこれは非常に影響が大きい話でありますし、そういう意味で、本当に中小企業の場合、これは転嫁できない、もしくは転嫁すればいわゆる消費者物価にはね返らざるを得ないといったような、消費税議論と似たような問題というのが当然出てくるのだろう。そういう意味で、この控除額について私も評価をしております。  もう一つは、税率が低過ぎるじゃないかということがあるわけでございますけれども、本来この税で地上げ屋さんそのものを捕捉するということはしょせんできない。資産としての有利性を税で減少する。それから、それによって地上げ屋さんの行動というものを少しでも抑制していこう。一〇%の地上げを抑えるために九〇%の国民にも、いわば痛みを分かち合ってもらうということであります。  それだけに保有税というのは、薬というとらまえ方をしますと大変副作用もある。そういうことで、その副作用というものも我々は十分考慮していく必要があるだろう。よく言われるのですけれども、歯が痛いといったときに、だからといって強い痛みどめを常用していれば、これは胃もやられてしまいますし、体力も失われる。我が国全体の経済というものを十分勘案しながらやっていくということが、我々のこういう税、新税を導入する場合の基本的な姿勢であると思っております。  いわば保有税というのは、その土地対策地価対策という意味でのインフラの整備といったような観点でとらえるべきでありまして、直ちに即効性、これだけでもって地価を下げてしまうという視点で決して考えるべきではない。そういう意味で、今長官からも評価をいただいたわけでございますけれども、私もそれなりの評価というものを中長期的に期待できると思っております。  最後に、いわば国土庁、建設省への御要望なんでございますけれども、先ほどちょっとお話をいただきました土地政策審議会答申に基づいて、いろいろ土地利用計画、都市計画、遊休地の利用促進建築基準法改正監視区域の弾力的発動、それからそれに伴う土地供給策、こういったようなものをこれまでいろいろお取り組みいただいてまいりました。こういう土地利用計画、供給対策の中で、またこれからさらに議論をし、そして検討をしていただかなければならない事項も多いわけなんでございますけれども、基本的には土地対策として重要なことは私はほぼでき上がっているのではないかと思っているのです。問題は、これをどうやって実行するかというのが問題なんだろうと思っておるのです。  土地政策の総論というのは美しいけれども、各論になると血を流す問題だ、綿貫建設大臣だったか佐藤長官だったかと思いますけれどもおっしゃっておられましたけれども、国土庁、建設省としても、これこれの制度を用意したから、こういう仕組みをつくったから、さて、後実行するのは地方自治体の問題ですよということになりますと、国土庁、建設省、政府としてはそれで済むのかもしれませんけれども、我々政治家としては国民に対してその責任というのを果たしていけないだろう。これをどうやって実現するかというのが一番のこれからの課題ではないかと思っております。税制もいい、金融規制もいい。ただやはり基本は前面に、正面に据えて出ていくのが、まず計画ありきからそれを実現していくということだろうと思っておるのでございます。  そういう意味長官に、ちょっとその前に西ドイツのBプランとかなんとかというのですか、ケルンの市の職員が大変な苦労をしながら自分のライフワークとして、すき間を何とか高層化してい きたい、町並み景観をうまくつくっていきたいというプランをつくって、それを実現する。本当に命がけでライフワークとしてやっておられる。アメリカでもそういう例を私も拝見いたしましたけれども、そういう点、我々も、政治家佐藤大臣としまして、やはりそこまでそういうものをやるんだという決意を持ってこれを進めていきませんと、なかなか実現をできないのだろう。  それからもう一つ、場合によりましては、国土庁も建設省の役所の人も、プランをつくったら、今度具体的に地区計画は、自治体に出向させてもらいまして、出向じゃなくてもいいです、派遣をしてもらって、そしてその地区計画を実際に目鼻がつくまで帰ってこない。目鼻をつけて何とか実現までこぎつけさせる。人を派遣してしまおうというような決意を持って我々取り組みませんと、加藤政調会長がNHKの土地スペシャルで、さっきの泉州地区の監視地域、あれを実現できなかった、後手に回ってしまった、我々怒りを覚えているんだというふうにおっしゃられたのです。あれはあれで政調会長としては当然のお立場の発言だったと思うのですけれども、国民としてみますと、政治家に対して、そんなことを言って、あれは地方自治体の問題じゃないのというところで終わってしまうのですね。やはりそれではいけない。そういう覚悟というものがないとこれはどうしても実現ができてこないのだろう。そういう覚悟が一番大事だと思っておるのでございますけれども、大臣として御発言しにくいかもしれませんけれども、政治家佐藤先生として御所見を承りたいと思います。
  20. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  大変いい御意見を聞かせてくれて大変喜んでいるわけでございますが、実は、基本的には先生御高承のとおり、昨年暮れにできました土地基本法で一番大切なことは、公共福祉優先の原則ができたわけです。実は、これは土地につきましての公共の観念を調査しておりますと、アメリカでは七割ぐらいが公共優先、ヨーロッパで六割から七割ですが、日本では三十数%、ここに一つの基本がある。したがって、土地というのは国民の本当に限られた資産でございまして、これをいかに有効に生かすかということでございまして、これは投機的な対象ではないのですね。  そんなことがございまして、今考えておりますことは、もちろん我々全力を尽くしてやる方針ですが、基本的には土地利用についての国民の認識も深めたい。実は土地問題は、幾ら政治家や政府が頑張ってもいくものではございません。やはり国民の理解と協力がなくてはいけないということがございまして、今基本的には、適正な地価、本当に本人が希望すれば年間給与所得の五、六倍で住まいが持てるような状態に地価をどうするかということを含めて、そんなことで、私も含めて国土庁、建設省ともに全力を尽くしております。そんなことでございまして、今土地問題はもうとにかく政府・国、それから地方自治体、国民、三位一体でなければできない、そう考えておりまして、そういうことを含めてこれからも御指導、御協力をお願いする次第でございます。
  21. 金子一義

    金子(一)委員 質疑を終了させていただきます。
  22. 野呂田芳成

    野呂田委員長 井上普方君。
  23. 井上普方

    ○井上(普)委員 ただいま自民党の金子さんの話を聞いておりまして、なるほどな、土地に関しましては二十年前と余り変わらない論議をしておるなという感じをいたしておるのであります。今佐藤国土庁長官は、公共福祉を優先させるということが一番土地基本法中心であって、これが目玉だ、こうおっしゃられましたが、石井国土庁長官の当時に土地基本法政府原案を出されたのには実は公共福祉の優先というのはなかったのですよ。そこで野党が一致結束して、参議院で逆転現象が出ておるのを利用しまして、自民党と折衝をいたしまして修正いたしたのであります。今度この土地基本法にしましても、土地に対する公共福祉が優先するということをおろそかにしておるがために、あえて自民党政府と申しましょう、だから今日の事態を招いたのじゃないかと私は思うのです。  土地は商品にあらず、こうおっしゃったのは、昭和三十九年、当時の建設大臣でありました瀬戸山建設大臣がおっしゃった言葉であります。しかしながら、その後の自民党の対策というのは、土地の値上がりは需給関係だという考え方から、常に需給需給、供給を多くすれば土地問題は解決する、地価問題は解決する、こう言われてきておるし、今もまだその論議が進んでやられておるのであります。しかし、これは公共的性格を土地は持つのだということを御認識にならなかったからこういうことになったと思います。この点につきまして認識を新たにしていただかなければならないんじゃないだろうか。佐藤長官は公共福祉を優先させることがまず第一番だ、こうおっしゃいましたが、私はそのとおりだと思うからあえてここで申し上げておるのであります。  そこで、なぜ土地が上がるのだということをつらつら考えてまいりますと、これは日本の経済成長と大きな関係がある、経済発展と大きな関係がある。このことは、昭和三十六年に笠信太郎という有名な評論家が朝日新聞におられまして、「花見酒の経済」という本を出されて、当時から私ら有名な本だということで見ておるのだが、まさにそのとおりの経済になってきているわけです。土地というものを担保にして銀行から融資が行われる、そして、土地が上がることによってまた担保能力が上がったのだから金を貸す、こういう雪だるま的な繰り返しによって日本経済というのが成長した一つの原因であろうと私は思う。こういうようなことから考えてまいりますと、しかも今日においてはもはや、この金融政策というものが一番大事だということは再三言われておったのだけれども、これに手をつけることがなかったのであります。  先ほど来から土地対策に対する政府の審議会の提言と言っておりますけれども、これは昭和四十七年に、当時福田行政管理庁長官から土地行政に関する提言が出されております。余り根本においては変わってないのです。ただ、やろうとする意思が政府にもないし、また経済界はやられたら困るという考え方で来られたがために私は土地高騰があったのだと思う。だから、それによって経済成長がこれだけ大きくなった反面において住宅取得が難しくなったということになれば、国民生活というものを犠牲にした上で、犠牲という言葉を私は使いたくありませんけれども、国民生活、土地価格というものを犠牲にした上で今日の日本の経済発展があるのだということが言えると思うのであります。したがって、そういうような観点からするならば、いろいろの金融政策上あるいは財政政策上の財政措置を行えということは土地基本法にも書いてあるが、これに対する抵抗というものは目覚ましいものがあるのじゃなかろうか、このように考えるのであります。どうです、国土庁長官、私が今まで申し上げたことについて何かお考えがあるならばお聞かせ願いたいと思うのです。
  24. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  大変詳しい専門家の先生お話でございますが、私は、金融政策につきましては、実はことし春に日銀がゴーサインについての自分の非を認めたということもあったりしまして実はややおくれた感じがしますが、かなりよくいっているな、これからもっと厳しくなってくるなというようなことで、これは押してお願いしたい、このように考えております。
  25. 井上普方

    ○井上(普)委員 大体大筋において私に御賛成があったものだと考えてよろしゅうございますな。  そこで、今たちまちの問題といたしましては金融問題です。金融問題一つ取り上げましても、実はこの土地基本法の中において、第九条「法制上の措置等」ということで、税制上あるいは金融上の措置を講じなければならない、政府がやらなければならない、これまた野党の修正要求によって実現した項目であることは、ここにおられる石井さん御存じのとおりなんです。  しかし、税制上の措置にしましても金融上の措置にしても非常になまぬるい。政府土地何やらいうのが新しい保有税を一%にしろと言ったら、自民党の方は何%にしておるのですか。えらい下げてしまって、〇・三%にしたのですかな。〇・二にして、一年やって〇・三に、これは靴の上からかゆみをかくような感がいたすのであります。しからば、金融上の措置はどういうことか。制度上何らかつくらなければいかぬ。戦前におきましては、私、戦前の財界の人のお話を承ると、土地担保にして事業拡張をやれやというようなことは戦前はなかった。諸外国においてもこんなことはない。日本だけの現象なんであります。これについて制度上の規制を加えなければならないと思うのでありますが、しかも基本法にはきちっと書いてあるから、どういう考え方で臨まれるのか、国土庁長官のお考えを承りたい。  土地基本法の九条「政府は、土地に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。」と書いてある。これは全政党が一致してつくられた修正案であります。いかなる考え方を持って臨まれるのか、お伺いしたい。
  26. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  時間的な、例えば早いか遅いかという問題がございますが、その方向に行っていると私は理解しております。
  27. 井上普方

    ○井上(普)委員 それじゃ、これから金融上の制度上の措置を講ずるとはっきり言うことができますな。
  28. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 その点につきましては、私は今の効果を見ながらやりたいとお願いしたいと思っていますが、例えば金融上の措置もかなり効果を上げてきております、こういうことです。先ほども言ったように、この年末にかけまして、例えば中小企業がかなりやはり倒産の危機が出ておるというのがその一つのあらわれだ、こう思っております。そんなこともございまして、これから効果を見ながら十分検討してまいりたい、こう思っております。
  29. 井上普方

    ○井上(普)委員 今倒産しておる中小企業の諸君は、これは実業家というのじゃない、虚業家の一つだ。まあ、このごろバブルというのですか、泡みたいなものだと言っておりますが、そういう存在ではないですか、今金融に困っているのは。  中には、経企庁の長官に言わすというと、これだけ効果が上がってきておるのだけれども、相沢君は金融緩和しろなんてことをおっしゃっておる。何という財政、考え方であろうかと私は不思議に思っておるのであります。  それはともかくとして、今までやられてきた金融、昭和五十七年から八年にかけましてやられたのは特別ヒアリング制度といって、ヒアリングというこれは行政上の指導なんです。こんなんじゃだめだということで、基本法の九条に書いてある。制度上の金融政策を立てなければならぬ、こう書いてあるのであります。あなたは、それは効果を見てとおっしゃいますけれども、早急に着手すべきであることを私は強く要求いたすものであります。  続いての問題といたしましては、いろいろともう時間がありませんので申し上げるのだが、保有税の問題です。  これは、実は土地の値上がりにつきまして、金融上の措置をしろあるいは税制上の措置をしろということは、常に土地が値上がりするときには言ってきたのです。これはもう、どの政党も同じようなことを言ってきた。ところがそれができなかった。  大蔵省は何と言ったかというと、税制上あるいは金融上の措置を講じろということを要求するというとこれは大蔵省の所管になる。大蔵省の所管は、いや、税制土地値上がりに対する抑制の補完的な意味合いでございますので、まず制度上のそちらの方をやってくれ、それからでございますといつも言ってきたことは御存じのとおり。しかし、それが金融上あるいは財政上お寒い、もうこうなったらたまらぬということになって、ようやく動き出しておるのが現状じゃないかと思う。  しかし、一方において確かに国土利用計画の詳細計画は立てなければならない。都市計画あるいは建築基準法それぞれにまたがる詳細計画というのは立てなければならないということも、これまた昭和四十七、八年当時からこのことは叫ばれてきたのでありますが、サボってきたのはどなたでございましょう。  演説になるからもうこれくらいにしますが、この私も、国土庁がつくられたときに国土庁設置法を審議した一人であります。そのときに、国土庁という役所は、土地政策の総合的なことを全部やる役所になっている。しかし、それが行われていない。なぜか。特に、金融上、財政上、制度上のことが当時から言われておりながらやられなかったのは、一体どこに原因がありますか。国土庁が余りにも力が弱過ぎるのか、大蔵省の力が余りにも強過ぎるのか、ここらあたりひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  30. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生非常にお詳しいわけで、お答えいたしますが、私は、今度、昨年暮れから土地対策が変わった大きな理由は、一つ先生方の御尽力によりまして土地基本法ができまして、公共福祉優先の原則を打ち立てたことと、そしてもう一つは、そういう点がございまして、海部内閣の最重要課題としまして全閣僚が一致して取り組む、この二つがあると思います。そんなこともございまして、いろいろな点が過去あったと思いますが、現在大蔵省は非常に協力してもらっておりますということでございます。
  31. 井上普方

    ○井上(普)委員 非常に何ですって。最後がわからぬ。
  32. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 協力していただいております。
  33. 井上普方

    ○井上(普)委員 協力とおっしゃいますが、そういうようには私らには見えないのでお伺いいたしておるのです。  大蔵省の政務次官、来られていますな。大蔵省は常に、先ほども申しましたように、詳細土地利用計画がなければできないんだ、こう言い続け、かつまた税法上あるいはまた金融上の措置を講じなければならないということに対して、いや、詳細計画の方が先だ、こう言ってきたのであります。これについて、今の事態を見ていかにお考えになるか、そしてまたその対策はどう考えられるか、お伺いいたしたい。
  34. 尾身幸次

    ○尾身政府委員 お答えを申し上げます。  大蔵省といたしましても、土地基本法の精神にのっとりまして土地問題の解決のために全力を尽くしたいと考えております。
  35. 井上普方

    ○井上(普)委員 大蔵省は全力を尽くしたいとおっしゃいますが、私らにはそれは見えないのですよ。  一例を挙げますというと、これは私いつも言うのだけれども、これは今やめていますが、土地の国有財産を払い下げするときにあなた方青天井で入札にしているでしょう。これが引き金になって、先ほど金子さんが言われた紀尾井町ビルなんというのは物すごい土地が値上がりしたのですよ。あれが契機になって、昭和五十何年でしたかな、中曽根内閣のときですが、このときにあれが土地暴騰の引き金になった。  しかし、この土地の取引というのは公示価格を基準にしなければならないということが公示法にきちんと書いてあるのですよ。片一方、会計法によって、いや、土地は競争入札に加えなければいかぬと言う。片方、公示価格においては、土地の売買は地価公示法を基準にしなければならないということが必ず書いてあるのだ。しかし、会計法の方は青天井にしてある。その法律上の、法制上の矛盾というのはまだ解決できていないのですよ。どう考えます、国土庁長官。あるいは大蔵省政務次官どう考えます。
  36. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生御指摘のとおりの制度になっておりますが、ただ、五十八年暮れから九年にかけてそういう事態もございましたので、国土利用計画法を一部改正していただきまして、国等が土地を売買する場合においても適正な地価の形成に配慮する、そういうふうな規定を置いてい ただいております。その規定に基づきまして、そういった処分に関しましても適切に対処するように適宜閣僚会議あるいは閣議等で相談の上、適切に対処してきておるというふうに考えております。
  37. 井上普方

    ○井上(普)委員 土地の取引は、と書いてある。入札は違うというようなばかなことを言うばか者がおる。取引の一つの手段だ、入札というのは。しかし、あなたの言うように国の、今何と言うたのですかな、国も従わなければならぬというようなことを考えておると言うけれども、法律はそもそも、国なり地方自治体というものは法律を遵守するものだという仮定の上に全部法律というのは成り立っているんだ。ところが、国の土地取引については青天井などというような制度が今でも存在しておるのですよ。それを、あるいは閣議でうまいことしたらいいとかへったくれとかいって表面を糊塗しようというのでは済まされぬ事態に来ておる。地価公示法を、これは後からつくられたのだから会計法よりも優先するのは当然の話だ。大臣どうです。
  38. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに会計法では一般競争入札を原則としております。その場合におきましても、地価公示価格等を参考、基準にしながら入札業務に当たっておられると思っております。公共用地の取得の場合でも同様だというふうに考えております。
  39. 井上普方

    ○井上(普)委員 だから、法律上は今そうなっていますか。大蔵省どうなんです。会計法を優先して今処分しているのじゃないですか。これは政務次官どうです。
  40. 尾身幸次

    ○尾身政府委員 公共用地の払い下げにつきましても、地価高騰の引き金にならないような対応でやってまいりたいと思っております。
  41. 井上普方

    ○井上(普)委員 対応というのでは困るのであります。制度上きちんと法律が法律として規制しているのだから、ちゃんとそれにのっとらなければいかぬのです。だから会計法を直す必要があると思うが、会計法を主管しておる大蔵省は何ら手をつけようとしておらないじゃないですか。この一つを見ても、私は大蔵省土地に対して考え方を改めていないゆえんではないかと思われるのであります。どうです。政務次官どう考えます。
  42. 尾身幸次

    ○尾身政府委員 先ほど先生お話にありました問題も含めまして、私どもといたしましては、土地問題の解決のために土地基本法の精神に沿って全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
  43. 井上普方

    ○井上(普)委員 まあしかし日本の国というのは、特に大蔵省というのは役人が強いところですので、これは官房の西村審議官というのが来られておるようですが、西村審議官、何か言い分があれば承りたい。
  44. 西村吉正

    ○西村政府委員 私は直接には金融政策の担当でございますが、官房の審議官ということで、大蔵省としては諸法規を守りながら、かつ、いろいろな制度を遵守しながら土地政策に協力してまいりたいと存じております。
  45. 井上普方

    ○井上(普)委員 いや、私が言うのは、法制上においてこういうような矛盾が出てきておるんだ、どういうように解決するんだ、後からできてきた地価公示法というのが優先するのは法律の建前だ、それならば、会計法あるいは予決令等々を改正する必要があると思うんだがどうだ、こう聞いているのです。
  46. 西村吉正

    ○西村政府委員 会計法の体系、それから土地政策関係の法律の体系、それぞれ現在の法律は矛盾なくできておると私どもは理解しております。  会計法規は大蔵省の担当でございますが、現在、全体の法律、制度としては、私どもはそれなりに整合性のとれたものと理解しておるところでございます。
  47. 井上普方

    ○井上(普)委員 整合性がないし、法律上の文言で衝突しておるから、それで言っておるわけだ。あなた、地価公示法というのは読んだことあるかね、どうだい審議官
  48. 西村吉正

    ○西村政府委員 土地関係の法規については、有権的解釈はまた国土庁の方にお伺いしていただきたいと存じますが、私どもも土地関係の法規については十分承知をしておるつもりでございます。
  49. 井上普方

    ○井上(普)委員 土地局長どうですか、整合性ありますか、これは。
  50. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 地価公示法では、先生御承知のとおり地価公示の公示価格の効力といたしまして、不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則とすること、公共事業の用に供する土地の取得価格の算定の準則、あるいは収用する土地に対する補償金の額の算定の準則とする、そういったことが規定されております。したがって、直接会計法の一般競争入札による処分原則と抵触するものではないと思っております。  ただ、一般競争入札による処分により地価高騰に油を注いだ、拍車をかけた、そういうふうな御批判もあり、国土利用計画法を改正していただきまして、国等が土地を処分する場合にも適正な地価形成に配慮する、そういう改正をしていただきましたので、それを受けまして、現在監視区域の中におきましては、現に公共の用に供することが確実であると認める場合には、これは随契を原則に、随契をまずする、そういうふうなことで対応しております。高騰が著しい地域では、公共団体あるいは関係省庁ともよく情報交換していただきながら一般競争入札を見合わす、そういった運用の中で適切に対処できておるんじゃないかというふうに考えております。
  51. 井上普方

    ○井上(普)委員 土地局長、あなたは土地局長落第だ、これは。地価公示法の第一条の二に何と書いてある。「都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行なう者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行なうよう努めなければならない。」と書いてある。全部そうですよ。第一条の「目的」も、これをつくった法律の目的も、「一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、」こういうことが書いてある。取引の基準にこれはしなければならぬということが書いてあるのです、すべて。取引というのは売り買いの場合です。だから法律上の矛盾がここに出てきているのですよ。  これは私はこの前にも指摘をしておいた。何ら変わらぬ言い逃ればかり考えておるのが現実じゃないですか。いつの間にやらこの地価公示法をないがしろにするようなことを平気で言うような土地局長が出てきてまことに困ったものだな、あんなものはやめてもらわにゃいかぬなという感がするのであります。法律、これはなにでしょう、おたくの管轄下でしょう。それについて効力のところだけ言って、政令にゆだねるようなことばかりおっしゃっている。基本はどうなんです。これでしょう、「目的」も。「土地の取引を行なう者の責務」というのが一条の二にきちっと書いてある。ところが、国有地を払い下げるとき、すなわち取引するとき青天井になっておるという会計法との矛盾がここに出てきておる、現に。これは前に指摘したんだけれども一向に改めぬから私は申しておるのですが、どうなんです。
  52. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに地価公示法の第一条の「目的」あるいは「土地取引を行なう者の責務」といたしまして、「類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行なうよう」努めるという旨、一条の二には規定されておるわけでございます。そういうことで、地価公示法によって公示される公示価格考え方一つの基準、参考としながら、それと均衡を保った価格で取引するように努める、そういうのが地価公示法の精神だというふうに考えております。
  53. 井上普方

    ○井上(普)委員 指標としてこれを基準にしてやらなきゃならないということが書いてあるのですよ。公示価格というのが全国一律に全部してないからそれはそういうような表現にならざるを得ないけれども、都市及び都市周辺においては、取引は公示価格等があるものはそれを基準にしてやらなければならない、努めなければならない。とこ ろがどうだ。国有地の売却については、先ほど金子さんが言われた紀尾井町一つとってみても、競争入札にしたものだから当時はびっくりするような、公示価格の五倍ぐらいだっただろう、あれは。これで取引が行われて、それが引き金になって今度の土地高騰の原因をつくったのであります。だからこういうことを私は言っているんだ。  それから、これらについて法体制をきちっとすることを政務次官も大蔵省にお帰りになってひとつ強くおっしゃっていただきたい。あるいは国土庁長官も、国土庁という役所は次官が大蔵省から来ることが再三ある、大蔵省出身の次官が。だから大蔵省に対して強いことを言えないという新しい役所の性格もあるだろうと私は想像するのだが、しかし、それはそれとして、あくまでも土地の総合的な政策をやるのは国土庁である。土地に関しては私に全部任せておけというぐらいの胸をたたいたやり方をやっていただきたいと思うのであります。  私は先般、実は台湾へ参りまして、台湾の土地制度を全部見てまいりました。これは法体制としては実にきっちりできています。しかし、今じゃその体制はめためたになっている。これはいろいろ原因はあるだろうと思います。その中で、私はある銀行家に聞きました。銀行土地融資をしてはならないという一項が実はあるのですね、あの土地関連法の中には。しかし、もうこれが崩れておるのです。というのは、子会社をつくってどんどんと裏金を出していった。  日本においても今そうでしょう。先ほど金子さんも言われましたが、ノンバンクというのは全部ともかく銀行の子会社あるいは関連会社になっている。それが、片方は四十何兆、片方は三十何兆というノンバンク貸し出ししている。その一番のあらわれは、今度の住友銀行によるところの伊藤万商事に対する金融のあのあり方を見てごらんなさいよ。まさに銀行なんていうて涼しい顔をして、大きな、きれいそうな顔をしているけれども、高利貸しと何ら変わるところがない存在に成り下がっておるのじゃありませんか、今の銀行は。住友銀行といえば日本で預金率第一か第二の銀行だ。それがあのような醜態を演じておる。これは一住友銀行だけじゃないと思う。金融に対する大蔵省の措置というものが余りにもなまぬるい。なまぬるいというより放任している。例えば特別ヒアリングをやる予算はいつです、昭和五十八年からやっておるはずだ。ところがこれがまだ見抜けなかったというところに大蔵省銀行局の甘さがある、こう感ずるんだが、甘さというよりは癒着があると考えるのだが、いかがです。
  54. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融機関土地融資につきましては、投機的な土地取引等に係る融資の排除のための通達を出すとか、先生今御指摘の特別ヒアリングを実施するなど、いろいろ今まで措置を講じてきたところでございますが、本年の四月からいわゆる総量規制というものを導入して、世界に類例のないような厳しい措置を講じてきておるところでございます。もちろん、日本の地価の上昇というものが異例のものでございますので、金融上の措置としても異例のことを行うのもある意味では当然かもしれませんが、いずれにしましても、私どもとしては総量規制という非常に強い措置を講じてきておるわけでございます。最近若干なりともその効果があらわれてきておると存じますが、御指摘のような金融機関の公共性にかんがみまして、これからも所要の措置をとり続けてまいりたいと存じております。
  55. 井上普方

    ○井上(普)委員 金融上の措置はとれ、制度上の措置も私は強く要求する。事実、法律で書いてあるんだから、これは強く私は要求いたしておきます。  さて、総量規制をやったんだと手柄顔に言う。しかし、日本の土地、これだけ異常な価格を出させたのは一体だれだ。一番大きな原因はやはり金融機関であります。だけじゃない。先ほど私は申し上げましたように、日本の経済成長は笠信太郎さんの「花見酒の経済」そのものであります。それによって土地高騰を来し、犠牲となったといいますか、この体制を変えなければこれは幾らしても庶民自身が住宅を持つことができない。そこで、土地に対する公共性の福祉優先という考え方が出てこざるを得なかった。自民党もこの考え方をのまざるを得なかったのは、そこに私は根本的な原因があると思う。だからもう「花見酒の経済」、すなわち経済成長というのはある程度抑えながら、国民生活を優先するという立場から土地政策に対処していただかなければならぬ、こう思うのですが、大臣、いかがでございます。
  56. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  日本の金融政策におきまして、実は低金利の状態が続きました。それが今日の日本の繁栄の基礎を築いたのだと思いますが、その副産物が土地高騰であったということも言えるわけでございます。そんなこともございまして、私は、先ほど先生がおっしゃいましたが、金融機関大蔵省、癒着は絶対していないと思います。と申しますのは、実は私が金融機関をみんな調べましたら、金融機関の中には、土地対策委員会というのをつくりまして審査をきちんとやっている金融機関もある。びっくりしました。そういうことでございまして、先生の御趣旨をよく理解しながら、これから努力したいと思います。よろしくお願いします。
  57. 井上普方

    ○井上(普)委員 あなたおっしゃいますが、もう終わりになるから言うけれども、住友銀行のあのざまは何です。これが日本の最大の大手の銀行じゃないですか。私はこの間一度言ったことがあるのだが、銀座八丁ある。この八丁ある間の四つ角が幾つあります、その四つ角に銀行の支店がないのは尾張町のあの四丁目ただ一つです。あと全部角地には銀行の支店がでんと座っている。これが今の銀行の姿。土地問題についてそれが最大の原因であると私は申し上げたいと存じます。  大蔵省よ、もっとしっかりしてくれということを強く望みまして、質問を終わります。
  58. 野呂田芳成

    野呂田委員長 渋谷修君。
  59. 渋谷修

    ○渋谷委員 土地問題の権威の質疑の後にやらせていただきますけれども、先般来、自民党の中で土地税制についての議論が行われまして、自民党の議員の方からはそれなりの評価の質疑もあったわけでありますが、もう一度改めて、この自民党のまとめました土地税制改革大綱につきまして大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  60. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 渋谷先生にお答えいたします。  私は、土地税制というのは土地対策の重要な施策の一環ということでございまして、重要な役割を負っていると思います。したがって、土地対策には宅地供給とか宅地有効利用とか金融税制土地利用の問題それから取引規制の問題とございます。そのうちの一環ということでございまして、特に実は税におきまして大切なことは、土地神話をどうしてなくするか。これは御存じのことで、土地の資産としての有利性を減殺する、そういう形の中に仮需を抑制し、そして個人と法人との負担を公平にするというようなことがポイントで、取得、保有、譲渡の際に思い切った課税をするというのが国土庁考え方でございます。そんなことでございまして、今度の新土地保有税並びにその税制改革につきましては、いろいろな意見がございますが、私は高く評価しております。  基本的に、新土地保有税につきましては二つの役割があると思います。その一つは、保有のコストを高くする、そして国民の土地選好を弱めるということ、もう一つは、過去三回土地高騰がございましたが、二度と土地高騰を起こさないようにしたいというようなことで新土地保有税をつくったわけでございます。  税率その他につきましていろいろ意見がありますが、これは基礎控除の問題あるいは非課税の問題それから譲渡、取得その他における税制を総合的に考えるべきである、このように考えておりまして、私は、今度の新土地保有税並びに税制改革につきましては高く評価しておる、この効果はかなり出るものだ、このように考えております。
  61. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣の方からは、今度のこの土地税制改革大綱について高く評価しているということでのお話があったわけですが、そもそもこの土地 税制改革についての目的でありますけれども、政府税制調査会やあるいはもちろん国土庁におきましても土地政策審議会などで答申が行われまして、この間の作業になっているわけであります。政府税調の答申などは膨大な資料でありますが、担当者がいらっしゃいましたら、とりわけ、なぜ新土地保有税をつくらなければならないかという点を中心にしながら、この土地税制改革の目的についてかいつまんで御報告いただけますか。  それと、国土庁の方からは土地政策審議会の方の考え方をお願いいたします。
  62. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  十月の三十日に答申をいただきました政府税制調査会の基本答申の中では、「土地問題への新たな取組み」という形でもって、今税制に求められている見直しにつきまして、その基本的な見解が明らかにされております。御承知のとおり近年の地価高騰によりまして、土地を保有する者としない者との間に大変な資産格差が生じている。個人間、個人・法人間あるいは法人間あるいは地域間におきましてそれぞれ生じておりまして、こういったものが企業の立地の制約とかあるいは社会資本整備のおくれなどにも問題を生じておるのだということでございます。  またこうした格差は、いわゆる公平とか機会の平等に対する基本的信頼を動揺させたり、あるいは勤労意欲、事業意欲の減退を招く懸念がある。そういう観点から、公正で活力ある経済社会を維持していくために、「中長期的視点に立って、地価の異常な高騰の発生を抑止しうるような政策体系を確立する必要がある。」ということでございます。  こういう観点から土地税制につきましても、諸般の土地政策との整合性をとりつつ、土地基本法にのっとって措置を、しかるべきその役割を果たす必要があること、また先般の抜本的な税制改革、これは、所得、消費、資産の間でバランスのとれた課税を行う、税体系を構築するというものでございましたが、そういう面からも土地税制の見直しが総合的に求められているというものでございます。
  63. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 土地政策審議会答申におきましては、土地基本法の規定を受けまして土地に関する負担の合理化を図るべきだという観点から、まず「税と受益者負担制度の役割」について述べておりまして、「社会経済的条件の変化により土地の価値が増加する場合には、これに伴う利益に応じて適切な負担が求められる」、また土地資産としては、「資産としての有利性の減殺、公平の確保、適正な土地利用促進等の観点から、」適切な負担が求められるべきだということでありますが、その中で、税制の見直しの方向としましては、「土地税制は、負担の公平を確保するとともに、土地の資産としての有利性を減殺し、投機的土地取引等の抑制、適正な土地利用促進等を図るうえで、土地政策上極めて重要な手段の一つとして、しかるべき役割を果たすべきである。」そういう位置づけをした上でそれぞれ基本的な税改正の見直しの考え方を述べております。  特にその中で、土地保有課税につきましては、その強化が土地の資産としての有利性を縮減して仮需要を抑制し、土地供給あるいは適正な利用促進等を通じて需給関係を緩和させるとともに、その受ける利益の一部を社会に還元する観点からも重要だ。ただその際、住民生活に及ぼす影響等に適切に配慮しつつ見直しを行うべしというふうに言っております。
  64. 渋谷修

    ○渋谷委員 それぞれお答えいただいたのですが、大変重要な点が実は抜けております。今のこの土地政策審議会答申の中でも決意がありますでしょう。お答えいただけますか。
  65. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 決意というのはどういう趣旨でお尋ねなのかちょっとわからないのですが、政策の目標を三つ掲げております。土地神話を打破すること、適正な地価水準を実現すること、それと適正、合理的な土地利用確保すること、この目的に向けてそれぞれの施策を総合的にやるべきだ、そういうことかと思います。
  66. 渋谷修

    ○渋谷委員 特に国土庁のこの土地政策審議会答申におきましては、地価については現下の地価高騰を早急に鎮静化すること、そして中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅確保し得る地価水準の実現を図ること、地価水準を引き下げるということを明確に打ち出したところが今回の非常に重要な点であります。  委員長の方からも先般の特別国会の一番最後に談話がございまして、委員長談話の中で、「真の原因は土地投機による仮需の増大であり、これを可能ならしめた金融および土地税制のあり方に問題がある。」「土地税制に関しては、とくにわが国において緩やかとされている土地保有税の強化を図るべきである。」と明確にこの前、この委員会の席で申し上げたのであります。  大臣は評価をするというぐあいにお話をされております。もちろん、自民党の中での話ですから、これは問題があると言うわけにはいかないでしょう。しかし、新聞やあるいは現実にこの作業に携わった委員の方々から意見が出ていますね。もちろん、賛否両方あろうかと思いますが、あした自民党税制改革大綱を受けて政府の方からも改めてまとめた内容が出されると思いますが、きのうあたりの議論内容をちょっと聞かせていただけますか。
  67. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  今与党の税制調査会におきましていろいろ平成三年度の議論がなされておることは私どもも承知してございますけれども、私ども政府といたしましては、政府税調もございます、政府税調の今後の御審議も踏まえ、政府としてその見直し案を取りまとめて所要の法律案を今国会に提出すべく、全力を傾けてまいるつもりでございます。
  68. 渋谷修

    ○渋谷委員 いや、政府税調の中での議論
  69. 増原義剛

    ○増原説明員 先生の御指摘は党税調でございますか、政府税調でございますか。政府税調の中でのいわゆる見直しの方向性でございますか。
  70. 渋谷修

    ○渋谷委員 自民党の税制改革大綱について政府税調の中での評価。
  71. 増原義剛

    ○増原説明員 それは、昨日も政府税調がございました。会長の方から記者発表等がございましたかもしれませんが、私どもとしましては、今現在いろいろ政府税調の中において議論がなされておるところでございます。あすまた総会が予定されておりますので、そのときに政府税制調査会としてきちんとした御答申をいただけるものというふうに考えております。
  72. 渋谷修

    ○渋谷委員 実はきょう新聞に、本当はあした発表になるはずの政府税調の答申原案が出ておりまして、私の方で資料のお願いをいたしましたが、それは新聞が勝手に書いたのでしょうということで、物の原案はいただけなかったのですが、この中で、枠組み自体は望ましいけれども、自民党税制調査会案に対しては、税率が低過ぎる、基礎控除が高いとの強い不満を表明する意見があり、資産としての有利性を縮減する上で不十分だとの認識が出された、こういう記事が載っておるのですが、大臣いかがですか。
  73. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  私、実はそれはよく読んでいないからわかりませんし、またあした出てみないと正確かどうかわかりませんが、私は基本的には今度の新土地保有税につきましては、例えば国土庁が最初唱えたときは、私は一%で、そのかわり基礎控除が五億円、それから非課税が平米十万円というようなことでやったわけでございます。そんなことがございまして、税というのは土地対策のいわゆる決め手ではないと思います。重要な政策の一環というようなことでございまして、私は、相乗効果で考えるべきじゃないか、こう思っている。そんなことで、先ほども先生に、私は、この新税についてはいろいろな意見はありますけれども、高く評価している、こう申し上げたわけでございます。
  74. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣のおっしゃっている意味はそれはそれでわかるのです。もちろん税制だけで土地問題を解決しようなどというぐあいには考えてお りません。しかし、総合的な政策ということになりますと、すぐできるものと、これはどういったって時間がかかるものと、あるいはこの前の国会等の移転決議などもありましたけれども、長期的にかかわる問題、つまり東京への一極集中の問題ですね。それは重々承知の上なんです。そして、今まさにこの土地問題で先鋒というべき役割を果たさなければならないのは、この土地税制であります。先鋒の勢いが鈍っていたのでは、後に続く政策も一体どういうことになるのかと心配せざるを得ないわけであります。  確かに一部に地価が下がったり、あるいはマンション価格が下がっているというニュースも聞きます。これはいろいろな意味での要因があっての話でありますが、そういったことを横目でにらみながら、結局土地税制が、あるいは先ほど国土庁の話もありましたけれども、一%あるいは五億円などという話があって、これは大変だ、そういうアナウンス効果もあったと思うのですね。ところが実際問題、議論してみたら、自民党の中では当面〇・二%、将来においては〇・三%にしよう。あるいは、後ほどもう少し具体的に御相談申し上げますが、幾つかの配慮しなければならない事項等が出てくる。評価するかしないかということは、もちろん政策としての評価もあるでしょうけれども、具体的な効果としての評価の問題もあります。例えば一%、五億円といったようなことについて、専門家はもちろんでありますけれども、当然こういった内容を具体的に提案する立場で、土地情報を十分把握していればそのシミュレーションができているはずであります。一%、五億円ということでの地価に対する影響、これについて国土庁の方では何らかの具体的な内容シミュレーションを明らかにしていますか。
  75. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生お尋ねのような定量的な効果を算定しているわけではございません。ただ、定性的な問題についてちょっと触れさせていただきますと、私どもも、税制改正要綱としまして新保有税につきましては、法人保有土地について一定水準以上の規模のものに対し相続税評価額をベースに現行固定資産税の負担額等を配慮しながら税率等も決めるべし、そういうふうな要望をしております。  具体的な数字については明らかにしておりませんが、先ほど長官が申し上げましたように、検討の過程で我々の一試案として、一%、五億円、それと平米十万以下の面積の非課税、課税最低限の設定、そういうふうな案をつくったことがございます。今回の政府税調あるいは自民党の税調の案も、大体考え方としてはそういう方向で来ているのではないか、税率については差はございますけれども。そういうことで、私どもとしては、今後土地神話をなくし、そのため土地の資産としての有利性を縮減するという目的には非常にかなっているのではないか。そういうことで、今後やはり二度と異常地価高騰を起こさないような制度的枠組みの一つをつくっていただいたなという気がいたしております。  それと、地価引き下げの効果につきましても、〇・三%という率でありましても高水準の地価のところではかなりの負担になることは確かであります。そういう意味で、収益性が低減される、また供給有効利用促進される、そういう面で地価引き下げに向かって機能することは明らかだ、そういうふうに評価しておるわけです。
  76. 渋谷修

    ○渋谷委員 理念の議論はわかるわけです。それは後ほどまたゆっくりお話ししましょう。  問題は、その大臣の言っている評価なりが本当に裏づけられるかどうかということが大事なわけですね。ましてや、国土庁が具体的にそういう提案をした。例えばその提案の対象となります日本の土地の所有者数はどのくらいで、白書にも書いてある話ですが、そのうち国土庁の案ではどれだけの方々が対象になるのか、そしてこの自民党の税制改革大綱では一体どれだけの方々が対象となるのか、それを明らかにしていただけますか。
  77. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 国土庁要望内容は、先ほども申しましたように数字を明確にしてございませんので、大臣が申しました一試案についてお尋ねかと思います。それに関して申し上げますが、私どもが五億、平米十万以上の土地と考えましたのは、法人保有土地のうち平均規模以上のものを想定して一応そういう数字を置いたわけであります。したがって、これははっきりした積み上げ資料はございませんけれども、法人の土地保有企業のうち大体半分程度が対象に入ってくるのではないか、それぐらいの見当でありました。だから、これは正確じゃございません。非常に大ざっぱな数字でございます。それはお許しいただきたいと思いますが、大体七十万ぐらいの法人ではないかというふうにその当時は予測しておりました。
  78. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生御指摘の自由民主党の土地税制改革大綱における土地保有税仕組みを前提とした場合の課税対象者数でございますが、それがどの程度になるか、どの規模になるかということでございますけれども、現段階では政府といたしまして確たることを申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思います。  ただ、自民党案に即してあえて申し上げれば、いわゆる居住用の用地が原則として非課税とされましたこと、それから小規模事業用地等に配慮して課税最低限やその税率が設けられていること、あるいは、農地は原則非課税とされていること等にかんがみますと、新土地保有税の課税対象は、いわゆる一定規模以上の資産、事業用地をお持ちの事業者の方々にそれがかかってくることになるのではないかと思います。結果的には、そういう意味で相当の土地を保有している企業の方々が中心になるものと推定されます。  いずれにしましても、政府としましては、土地保有税につきましては現在政府税制調査会の御審議をいただいているところでございまして、この結果を踏まえまして、各方面の御意見にも耳を傾けつつ、具体的な案を取りまとめてまいりたいと思います。
  79. 渋谷修

    ○渋谷委員 今数字をおっしゃらなかったのですが、新聞報道などによれば大体五万人ぐらいというぐあいに聞いております。例えば国土庁の一%、五億円などという記事などが出まして、あるいは政府税調の中でも具体的に税率やその他については出さなかった経過がありますけれども、しかし、それらを踏まえていろいろな研究機関や研究者がシミュレーションを出していますね。先ほど大臣が言いました、高く評価するということと選好を弱める、あるいは保有についての一定のコストを求めるのだというようなお話もありましたからこれは後ほど答えてもらいますが、だれかそちらにいる方で、百億円の土地がある企業で今度の自民党の〇・二%だと具体的に実際の税額は幾らになるか、どなたか計算しておいてくれますか。  それを答えていただく前にシミュレーションについて、税率一%、それから〇・五%、そして〇・三%という数字があるならばそれを。何も政府の中に資料がなくても、それぞれ発表されている資料ならそちらで調べているでしょう。それらについて明らかにしてくれますか。(増原説明員「それは納税者の立場でございますか」と呼ぶ)いやいや、地価への影響です。地価をどのくらい引き下げるか、パーセントでいいです。
  80. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  そのいわゆる土地保有税地価に与える影響でございますが、御承知のとおり、地価はさまざまな要素でもって構成されております。それぞれの土地状況に応じまして、あるいは景気や金融の動向なども反映しまして、そういったさまざまな要因に従って決まっておると思われます。したがいまして、土地問題につきましては、いわゆる税制金融を含めて土地政策全体で考えていく必要があるのではないかというふうに思われるわけでございます。もちろんその中にあって、税制の果たす役割は非常に大きいものがあろうかと思います。そういう意味で、例えば税率が何%であればどれだけ下がるかということにつきましては、先 ほど国土庁の方から御答弁申し上げましたように、定量的に申し上げることは非常に困難であろうかと思われます。  ただ、先生御指摘のように、学者等の方々がいろいろマスコミに公表されているものはございますけれども、これにつきましても、その前提がいろいろ異なっておったり、あるいは保有コストがどういうふうにそのモデルの中に反映されておるのか、例えばバブルをどう見るのか、そういったことがさまざまございまして、いろんなばらつきがございます。もし必要でございましたら、これまでマスコミに公表されているものにつきまして御提出しても結構でございますが、この中にも非常にばらつきがございまして、また、そのモデルの設定いかんによって非常に大きく変わってくるというものでございますから、私ども政府としましては、定量的にその効果について申し上げることは困難ではないかと思います。
  81. 渋谷修

    ○渋谷委員 それでは、政府税調での議論の中で、産業界から、例えば一%であればこれほどの大きな負担になる、これじゃとても企業はもたないといったようなことで、具体的な数字を挙げて皆さんにその負担を軽減してほしいということでの要望があったことがありますでしょう。例えば一%であれば鉄鋼業界では新土地保有税を持ったとすれば一体どのくらいの負担額になって、そして〇・三%にすれば幾らになるか、これは数字もあると思うのですが、どうですか。
  82. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  個々の企業あるいは業界に新しい土地保有税がどのような影響を与えるかということにつきましては、実は先生御承知のとおり、大企業になればなるほどその土地の保有の状況が全国ベースに及んでおります。したがいまして、私どもはっきり申し上げて、それに関する正確なデータを持っているわけではございません。そういう意味で、各個別の企業からいわゆる自主申告と申しましょうか、自主的にそういうものにつきましてそのデータを出していただかないことには私ども計算できないわけでございまして、現在のところ具体的にそういうものは持ち合わせておりません。
  83. 渋谷修

    ○渋谷委員 今お話を聞いたとおりでありまして、土地問題というのは理念だけじゃ済まないのですよ。具体的な問題です。ましてや企業の負担を軽減するなどという議論がまともに行われたんでは、とてもじゃないけれども話は逆転しています。そうでしょう。ここまで土地が狂騰して、この理由は大臣も先ほど述べられましたが、土地の資産としての有利性をいかに減殺するかということであるならば、税制上の幾つか、取得、保有、譲渡という問題がありますけれども、例えば一つ、保有については土地を持つということについてコストを上げましょうということが、先ほど来から政府税調なり土地政策審議会答申の中でのコンセンサスじゃないですか。それが自民党税調で議論する中で例えば〇・三%になる。あしたどうせ政府税調の答申として発表される話でありますから、政府・与党一体でしょう、議院内閣制のもとですから。〇・三%の根拠を示してください。
  84. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  今政府税制調査会におきまして、いろいろ土地税制万般につきまして御議論をいただいておるところでございます。うまくいけばあすの政府税調の総会におきまして何らかの御答申がいただけるものと思っております。政府としましては、それを受けまして各方面といろいろ詰めを行いまして、今国会に所要の法律案を提出させていただきたいと思っております。
  85. 渋谷修

    ○渋谷委員 少なくとも政治の場ではわかりますよ。なかなか根拠を持って議論するということはできない場合もあります。しかし、行政は違うでしょう。具体的なデータを把握して、例えば一%ならどれだけの地価に対する影響があるか、わざわざ石さんがこの政府税調の答申の後ろにその影響についての試算をするための式まで、経済効果まで示してくれているではありませんか。これをベースにすれば、例えば地価に対してどういう影響があるかということを具体的に明らかにすることができないわけじゃないでしょう。例えばどれだけの人たちが一体対象になるのか、地価に対してどれだけの効果があるのか、一%ではどうか、〇・五%ではどうか、〇・三%ではどうかという計量的な議論があって初めて政策に迫力と真剣さが出るんじゃないですか。これではまるっきりバナナのたたき売りじゃないですか。行政の立場の、少なくとも数字を把握している立場の命取りじゃないですか。もう一度言ってください。
  86. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  政府税制調査会におきましても、新たな土地保有税経済に与える影響ということで触れられております。また、その参考資料としまして、もちろん経済効果の分析もされているわけでございます。  その中で、それを申し上げますと、   地価は、理論的には将来にわたって土地から得られると予想される収益を反映して決まると考えられるが、保有課税の一般的な効果として、固定資産税であろうと土地保有税であろうとその税負担に応じて土地の収益性が低下するので地価も低下することになる。   現実の地価(取引価額)は、土地の将来にわたる収益性からかけ離れた過大な値上がり期待を織り込んだものとなっている可能性がある。このような場合には、土地保有税の導入により過大な値上がり期待が縮小し、地価が更に低下することも考えられる。 という形で、いわゆる定性的に理論を展開されているわけでございます。定量的な分析につきましてはそのときもいろいろ議論がございましたが、なかなか難しいであろうということだったと思います。
  87. 渋谷修

    ○渋谷委員 具体的には明らかにしてくれないのですが、例えば岩田上智大教授グループによれば、これは一%の税率です。もう十分ごらんになっているだろうと思うのですが、十年間で三〇%の地価の引き下げという発表をしています。大臣、十年間ですよ、十年間で一%で三〇%、ならせば一年にやっと三%です。もちろん、ここ数年で、例えば地域によっては二倍に地価が上がったようなところもあるわけでありますから、これだって果たして効果があるかどうかということは議論の余地があります。しかし、政策の方向としては、これは明らかに、少なくとも例えば土地を持っている方々に対してはアナウンス効果としても十分な意味があるでしょう。しかも、あしたからかけるというわけではないですよ、そうでしょう。平成四年なりからやろうという話です。〇・三%ということになりましたら、これは地価引き下げということについて一体どれだけの効果がありますか。  先ほど百億の土地、例えば企業が持っている場合について、〇・二%でもいいです、〇・三%でもいいです、実際の実効税額というのは幾らになりますか。
  88. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  百億の土地を持っていらっしゃる企業の場合に土地保有税が〇・一%あるいは〇・二%になった場合にどの程度の効果を持つか、どの程度の負担になるか……
  89. 渋谷修

    ○渋谷委員 実効税額、実際に払う税額。
  90. 増原義剛

    ○増原説明員 実効税額がどの程度になるかということでございますが、これは御承知のとおり税率だけではございませんで、いわゆる基礎控除がどういう形になるのかといったこともございましょうし、あるいはそれは全国に展開しているすべての土地を名寄せした場合の百億円でございますから、中には平米一万円のものもございましょうし、あるいは平米百万円のものもございましょう。そういった状況によりまして、いろいろ影響が変わってくるわけでございますものですから、そこらあたりは一概にはなかなか申し上げにくいと思います。
  91. 渋谷修

    ○渋谷委員 それでは、そういういろいろと諸条件を入れると計算が面倒のようですから単純にしてください。十億円の基礎控除があるだけ、あと は全部対象になります。それで、百億で実際に払う税額は幾らになりますか、それでちょっと計算しておいてください。  いいですか、大臣。実際にこれは業界から数字が出ているわけですよ。鉄鋼三十七社で控除十億円、税率〇・三%。その前には、一%の税率のときはどうなるか。九百五十億円の負担になる。単位億円だから間違いありませんね、九百五十億円。〇・三%にすれば二百八十四億円で済むという数字を出しているじゃありませんか。これは皆さんのところに、行政の側に出ているにもかかわらず、委員会で私が質問すると言ってもこういった資料を持ってこない。大体国会の議論を何だと思っているのですか、大臣。百億円のそれ、ちょっと計算しておいてくださいよ。  例えば不動産業、一%の新保有税税率であれば二十八社で一千四百七十四億円の負担になる。これが〇・三%になれば四百四十一億円、そうでしょう。べらぼうな話ですよ。一体これで大臣、資産としての有利性を低めることになるかどうか。もちろんまるっきりないというわけじゃないですよ。そういう議論をしているわけじゃありません。少なくとも一%ということで、これは大変だ、ましてや先ほど来いろいろとしち面倒くさい控除の部分を言っていますけれども、平米三万円ということは坪大体十万ですね。十万の土地については課税しない、これは一万平米持っていようが、百万平米持っていようが課税しないということでしょう、そうでしょう。例えば平米一万、坪三万にした根拠というのは大臣、どうお考えですか。その根拠、大臣聞いていますか。     〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕
  92. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 私どもが試案を検討する過程でも考えておったわけですが、できるだけ幅広に高い負担を求めるということは、それだけ大きく土地資産としての有利性を減殺するということには間違いないと思います。ただしかし、経済への影響あるいは国民生活への影響を考えますと、できるだけ絞って効率的な効果を期待するという面もあろうかと思います。そういうことで、できるだけ地価水準の高いかつ地価上昇率の上昇圧力が強いところ、そういうところに限定して課税するということが非常に効果の上で効率的ではないかというふうに考えたことはございます。そういう面もあろうかと思います。  それと、いま一つ申し上げさせていただきたいことは、新保有税が非常にかなめになっておりますが、今回の税制改正案の中で、固定資産税の評価の適正化均衡化も来年されようとしております。その負担増も当然入ってくるということも念頭に置いておく必要があろうかと思いますし、また譲渡課税につきましても、法人の超短期譲渡課税は分離課税強化をされますし、法人、個人を通じて長期譲渡所得課税につきましては五ないし一〇%というかなりの強化が考えられております。そのほかに三大都市圏の農地課税の見直しとか、遊休地に対する特別土地保有税の強化あるいは事業用資産の買いかえ特例の圧縮、そういったさまざまな税制見直しが考えられておりますので、そういう税制全体の総合的な見直しの中で非常に大きな地価等に対する効果が出てくるんじゃないか、私の方は強く期待しておるわけです。
  93. 渋谷修

    ○渋谷委員 総合的な政策というのは、最初から言っているようによくわかっているのですよ。土地問題はそうしなければいけないということは重々承知の上です。しかし、この一番目玉である保有課税について、ここまで後退したのでは後の政策が続かなくなるでしょうということを心配しておるわけです。一番の目玉です。  それで、この土地保有税については、例えば税については今申し上げたようにできる限り例外措置を講じない方がいい。そうはいったって、居住用資産や、あるいはたまたま東京に店を持っているパパママストア、小規模ストア、小規模企業までこれを対象にしたのでは、これは追い出し税になってしまう。そういう配慮はわかります。問題はバランスの問題なんですね。  例えば、国土庁の案で、少なくともそれは自信を持って提案したんでしょう、一%、七十万という方々が対象になる。それが自民党の〇・三%で五万そこそこの方々しか対象にならない。しかも、予想されている税収は大蔵省、幾らですか。
  94. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたが、その納税者数とか税収につきましては、今現在のところ政府として確たることを申し上げる立場にないことを御理解いただきたいと思います。
  95. 渋谷修

    ○渋谷委員 何のために委員長、きょうこの土地委員会を開いたのですか。具体的なデータを出さないでどうして議論できるのですか。土地問題について、例えば税率について、それが一体どう地価を下げる効果があるのかと質問をしたって、その具体的なデータは何も出てこないじゃないですか。委員長、これじゃ、とてもじゃないけれども真剣な議論ができませんよ。
  96. 桜井新

    ○桜井委員長代理 審議を継続してください。
  97. 渋谷修

    ○渋谷委員 別にこの前の特別委員会じゃないし予算委員会じゃないから、審議とめてどうこうという話じゃないのですよ。しかし、まじめにやってくださいということを言っているのですよ。みんなが忙しいときに、こうやって集まってきて審議をやっているじゃないですか。しかも、これだけ土地問題が大きく議論されているときに、私なりにもちろん調べてきての話でありますが、それは新聞に出ている話は新聞に出ている話で、あなた答えればいいでしょう。
  98. 増原義剛

    ○増原説明員 申し上げます。  マスコミ等におきまして、その税収は大体二、三千億、納税者数は五万人というふうに出ております。また大臣も、きちっとしたものではないけれどもという断りつきで先般の予算委員会で御答弁されておりますが、いわゆる新土地保有税の納税者数あるいは税収に関連しました大臣のこういった御発言は、とりあえず一つの大ざっぱな感触として申されたものであるというふうに伺っております。  事務方としまして、今のところ確たる数字は持ち合わせていないということでございますが、いずれにしましても、自由民主党で示された案による新税の税収等につきましては、政府の立場から確たることを申し上げることは現段階では差し控えさせていただきたいと思います。
  99. 渋谷修

    ○渋谷委員 どうせあしたになったら政府税調の案が示されて、自民党の税調の案を敷衍して具体的に明らかにすることでしょう。  それで、例えば今税収で二、三千億という話になったら、竹下内閣のふるさと創生予算より少ないですよ。そうでしょう。一体それで大臣、もちろんこれだけじゃないということですよ。これだけじゃないということだけれども、少なくとも土地保有税についてこういう状況になっているということについて、もう一度これは大いに評価するということではっきりと言えるのかどうか、大臣の御見解を。
  100. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 渋谷先生にお答えいたします。  先ほどから言っておりますけれども、税というのは土地対策の重要な役割の一つでございます。それには決め手がない、そんなことでございまして、もちろん土地保有税の税率につきましては低いより高い方がいい。ただし、これも基礎控除とか非課税とか、その他の譲渡、保有それから取得の税制がどうなるかということがございまして、新土地保有税税制全般とをどう見るかということ、それによってかなり違ってくると思います。  それからもう一つ、実は先生も先ほどお話がございましたけれども、今度の新土地保有税でかなり心理的に大きな影響を与えておる。それが先生御指摘の、例えばマンションの下落とか、あるいは成約率が今六割ぐらいですかになっていることだと思いまして、そういう意味におきましては、私はやはりかなりの効果がある、それで高く評価しておる、こういうふうに思っておるわけでございます。
  101. 渋谷修

    ○渋谷委員 少なくとも、この自民党の税制改革について一部の新聞では、痛み感じないと。  先ほどの百億の話、忘れていました。大体、実 効税額幾らになりますか。
  102. 増原義剛

    ○増原説明員 申し上げます。  一筆の土地で百億円、それでいわゆる非課税なしという形でございますと、その基礎控除額、十億円でございましたかでございました場合に、〇・一%であれば……(渋谷委員「今度の税率で〇・二%じゃないの」と呼ぶ)〇・一%で九百万になるものですから、年間千八百万円程度御負担いただくことになると思います。したがいまして〇・一八%になるのではないかと思います。〇・二%が〇・一八%、基礎控除が十億ということは百億に対して一〇%でございますので、そういうことになるかと思います。
  103. 渋谷修

    ○渋谷委員 これだから困るのですよ。税の専門家でしょう。これは路線価に対する課税でしょう。それで、さらに法人税との損益通算をやるでしょう。そうすると税額が違ってくるでしょう。
  104. 増原義剛

    ○増原説明員 少し舌足らずで恐縮でございます。今の法人税との関係でございますが、これがいわゆる黒字企業でございましたら損金算入にするというふうな自民党の案になっておりますものですから、これにつきましてはいわゆる実効税率が約五〇%でございますので、その負担はその半分になると思います。一方、赤字企業でございますれば、これは丸々御負担いただくことになりますので、その実効税率は変わらないと思います。
  105. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、今の黒字企業の場合は幾らになるのですか。
  106. 増原義剛

    ○増原説明員 〇・一八%が〇・〇九%程度になるかと思います。
  107. 渋谷修

    ○渋谷委員 九百万と言っておりますけれども、実際にはそれよりさらに低くなるのです。七百万ぐらいですね。だから、百億の土地を持っていても、大臣、七百万で済むのです、この保有税の実際の税額ですよ。ほかでいろいろなケースで計算してみればわかります。  それはもちろん、こういう仕組みをつくったという評価は評価でするわけです。するわけだけれども、先ほど来から申し上げているように、少なくとも土地政策、これほどの重大な問題になっているときに、その先鋒を務めなければならないこの土地税制について、このていたらくで果たしてこれから先の土地政策が本気になって展開できるのか。先ほど来から大臣は、これは海部内閣の最重要課題だなどと言っているけれども、実際には実が伴っていないでしょうということを言わざるを得ないのです。  さらに足切りの問題。先ほど来から申し上げております。私も足切りが何もなくて全部それは適用すればいいなどという乱暴な話をしているのじゃないのです。最低限の居住用資産あるいは町場の小規模企業まで追い出すような税制になったのではこれは大変だというぐあいには思います。しかし、例えば平米三万円の坪十万の土地については全部外してしまう。当然これは政府の方で案として上がってくれば何か理屈をつけなければいかぬでしょう。どういう理屈をつけるつもりですか。
  108. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  今現在、私ども政府税制調査会においていろいろ御議論をいただいているところでございます。その答申を踏まえまして、また主要なところと御相談しつつ、しかるべき政府案を今国会に提出いたしたいと思っております。
  109. 渋谷修

    ○渋谷委員 自民党の中で、率直なところを申し上げて、先ほど来の議論を聞いてわかると思います、根拠なしに例えば三万円という数字を挙げてくる。バナナのたたき売りですね、逆の。そして、これについて今度は政府税調やあるいは大蔵省の方で理屈をつけなければならぬ、えらい不幸な話であります。  さらに、例えば法人、「中小法人」と書いてあるから紛らわしい。私は中小企業の問題をずっと長くやっている。なぜ資本金が一億円ですか。基礎控除について十億円という数字があるのを、個人及び資本金一億円以下の中小法人については十五億円ということにしましたでしょう。この資本金一億円というのはどういうところから出てきた数字ですか。
  110. 増原義剛

    ○増原説明員 申し上げます。  自民党の土地税制改革大綱にそういう仕分けがなされていることは承知しております。  これについてなぜかということにつきましては私ども今お答えできる立場にございませんが、一億円の議論につきましては、いわゆる中小企業対策等々におきまして資本金が一億円であるか否かによっていろいろ区別されております。また、税の執行上の観点から申し上げますと、一億円以上の土地につきましては国税局の調査課所管の法人という形になっておりますし、一億以下であれば税務署の法人担当の所管になっておるといったような区別がございます。そういう形でいろいろとこの一億円という概念が使われておるのではないかと思います。
  111. 渋谷修

    ○渋谷委員 この一億円という資本金については、言ってみれば財政当局、税制上の方から、法人税の観点から来ている資本金なのですね。ところが、一般にこういう形で発表されますと、また中小企業を甘やかすのか、例えば消費税の議論と一緒です。これをあえてここで言うつもりはありませんけれども、町場の中小企業に資本金一億円なんてありますか。  例えば、中小企業基本法で言う中小企業というのはどういう定義か、大臣知っていますか。
  112. 増原義剛

    ○増原説明員 申し上げます。  私は必ずしも専門でないものではっきりわかりませんが、こういった資本金のほかに従業員の数とかいったものもいろいろ要件に加えられて、たしか定義づけられているのではないかと思います。
  113. 渋谷修

    ○渋谷委員 中小企業政策の観点からいえば、製造業一般については資本金一億円で従業員数が三百人です。どちらかに当てはまれば中小企業です。だから資本金が一億円であれば、従業員が一万人だって中小企業です。従業員数が三百人であれば、資本金が十億、百億だって中小企業です。小売・サービス業については資本金が一千万、五十人です。私はそれでもまだ大き過ぎると思う。例えば中小企業で、もちろん財テクで、あるいは将来の例えば資産の有利性のために土地を保有している人はたくさんいるからであります。  そういうことで言うならば、いわば住宅問題その他で都市住民が持っている恨みつらみが、例えばこういう形でまた中小企業にということで、中小企業にその人たちの感情が向くことは決していいことではないのですね。そういうことで言えば、本当に追い出し税にならないところにこの足切りというのは設定すべきであるというぐあいに僕は思うのです。  そういうことで言うならば、例えば中小企業基本法にある、製造業で言えば従業員が二十人ぐらい、小売・サービスで言えば五人ぐらい。どうですか、このぐらいになったら実感としてわかるでしょう。町場の中のパパママストアあるいは床屋をやっている人やふろ屋さん、そういったところがイメージとして見えてくるでしょう。そういったところは外さなければなりませんよ、そんなところまで追い出そうという税じゃないのですから。そういう目的じゃないのですから。そういう配慮がここには感じられませんね。自民党は中小企業の党と言いながら、実際上こういう具体的なことになりますと、私は配慮が感じられない。  さらに、この保有税の問題だけに触れているわけにはまいりませんけれども、先般の質疑のときに御質問を申し上げまして、土地を保有することの有利性を高めている理由に、税制企業土地を持つことを支援してきた、含み資産を持つことを行政が支援してきたのです。その一つとして、特定事業用資産の買いかえの特例の問題をこの前、国会で指摘いたしました。一号と十五号について指摘をいたしまして、十五号は廃止されることになった。一号は残りますね。  さらに、この一号から十五号まで、これはいつごろつくられて、どういう目的、どういう時代背景の中でつくられたか御説明いただけますか。
  114. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  一号から五号までにつきましては、創設年度は昭和四十四年でございます。それから七号も四十四年でございます。それから九号、十号、十一号も四十四年でございます。それから十五号もそうでございます。  そのほか主なところを申し上げますと、六号、いわゆる航空機騒音障害防止区域の内から外への買いかえでございます。これは四十九年。八号が四十六年になっております。それから十二号が五十九年でございます。それから十三号は四十九年、十四号が四十五年、十六号、十七号は五十九年、四十九年という形になっております。
  115. 渋谷修

    ○渋谷委員 十六、十七を外せば、十五号までは大体四十四年ですね。  これが設けられた背景は何ですか、その理由は何ですか。
  116. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  それぞれにつきましてはそれぞれの政策目的から設けられたものと思いますが、例えば二号でございますと、大気汚染規制区域の内から外へのばい煙発生施設の移転を伴う買いかえ、こういった形でもって、当時公害問題が非常に大きな問題になってきておったというところから設けられたのではないかと思われます。三号の騒音規制区域の内から外への騒音発生施設の移転を伴う買いかえ、こういったものもやはりそういう系列に入ろうかと思われます。四号の水質汚濁規制水域または湖沼法の指定地域の内から外への汚染排出施設の移転を伴う買いかえとかといったものもそういうところではないかと思います。  それからそれ以外の流れとしまして、いわゆる既成市街地等から、東京、大阪、名古屋などの区域でございますが、そこの内から外への買いかえがございます。こういった、いわゆる都市への集中をいかに分散させていくかというものがちょうど高度成長期のころでございまして、大きな問題になっておったというところから、これをいかに緩和するかという観点から、例えば一号あるいはその他の七号、八号、九号などにつきましても、新産であるとかいわゆる誘致区域とかという形でもって都心から地方への移転を促進していこうという観点で設けられたものと思っております。
  117. 渋谷修

    ○渋谷委員 昭和四十四年にこれが設けられまして、もう二十年以上たっているのです。当然これについては、こういう特例を設けたわけですから、この特例によるその後のフォローアップ、言ってみればこれは政策税制でしょう、その政策目的が実現されたかどうかということをフォローアップしていかなければならぬですね。そういうものはフォローアップしてありますか。
  118. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、さまざまの特例措置につきましてはいわゆる政策税制という形で位置づけられております。そういう意味で、期限が設けられておるものが大半でございます。これにつきましては、毎年度の税制改正におきまして見直しを行っているところでございます。
  119. 渋谷修

    ○渋谷委員 だんだん話が抽象的になってきましたから結論で申し上げますと、例えば政府税調の答申でも、こうした特別控除あるいは買いかえ特例等が設けられていることで「その効果が必ずしも明らかでなく逆に土地の資産としての有利性」、つまり企業土地を持っていればどうでも展開できるというわけですね。十五号があったときには、自分のところの資産を売却して減価償却資産ということでマンションを買ってもこの対象になるということで、土地を持つ有利性を確保したわけです。だから今度は廃止された。けれども、残る、例えば十四号まで、そちらの方で今度のこの議論をする上でサンプリング調査をやったでしょう。その結果が、もちろんサンプリング調査ですから漏れているものもあるかもしれません。しかし、二号から六号までは実績がない。十号、十四号もサンプリング調査をやったけれども、データとして出てこない。  それで、政府税調の答申では、この特例については一部改善しろなどという話をしているのではないのです。全体的に再点検をして、「真に必要なものを見極める一方、効果が定かでないものや適用実績の乏しいものは廃止するなど、抜本的な整理合理化を図ることが必要である。」と書いてあるのです。これは抜本的な整理統合などと言えますか。  大臣、事このように具体的に点検していきますと、大臣がこれは大いに評価ができるものだなどという話にはならないわけですよ、とてもじゃないけれども。土地問題の特別委員会ということで、この問題を専門にやる場ですから、あえて細かい問題にまで踏み込んでお話をさせていただきましたけれども、これから先当然、来年これに関連する法律が出てまいりますでしょう。それについては、改めてまた機会を設けていただいて、細かい点まで議論をさせていただきたいと思いますが、やはり土地についての有利性をいかに減殺するかということについては、一定のコンセンサスができているわけですから、やはりそれに基づいた形での行政としての努力をしてもらわなければならないというぐあいに思うわけです。  幾つか用意してきた質問がありますが、残された時間がわずかでありますから、この前も質問いたしました西が丘の競技場の件について、これは別にきょうは文部省呼んでいません、この前文部省からその内容、目的については説明を聞きましたから。  この前、国会等の移転決議をやりましたね。大臣はこれをどんなふうに受けとめていらっしゃるか。
  120. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  去る十一月七日に国会移転の決議をされたわけでございますが、この件につきましては、実は私は、大変国会が一極集中排除につきましての温かい御理解を示していただいた、このように考えておるわけでございます。そんなことでございまして、これからはその決議の趣旨を踏まえましてやりたいと思っていますが、首都機能移転については、単なる国土法じゃなくして国民的コンセンサスが必要なものでございますから、そんなことを踏まえてこれからやりたいと思いますが、基本的に国土庁で今まで首都機能移転につきましては二つのことをやってきました。  一つは、行政機関の移転の施策でございます。それからもう一つは、国土庁に前大臣の石井さんがおつくりになりました首都機能移転問題に関する懇談会、この懇談会で首都機能移転についていろいろ問題点を整理したわけでございますが、今後はそういう点を踏まえまして、ひとつ今度また新しく国会移転決議を受けまして内閣に、総理のもとにいわゆる日本の各界のトップクラスの人を集めました有識者会議というのができました。そんなことでございまして、これとの連携を図りながら、これから十分この決議の趣旨を踏まえて前向きに勉強したい、こういうふうに考えております。
  121. 渋谷修

    ○渋谷委員 この前も議論をいたしまして、その基本的な方向は、これはもちろんそういう方向でやらなければならないということで一致しているわけでありますけれども、問題は、個別的な問題になりますと現実にはそうは動いていない。     〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕  土地問題の非常に重要な一つの問題として、東京への一極集中の問題がある。いろいろな議論があります。しかし、今度の国会等の移転決議ということで一定の方向性が示された。どこにするという話ではありませんが、少なくとも新都市論、国会及び行政機能の中枢を、新しい都市をつくって、それは三十万か五十万か知らぬけれども、少なくともこの二十年ぐらいの間に新都市をつくることによって東京への一極集中を抑止しよう。  本当は、きょうは少し国土政策といいますか、あるいは東京問題ということについての哲学についても大臣お話を申し上げたいと思っていたのです。つまり、都市を野方図に無秩序に発展させる時代は終わった、これを何とかしなければいけないということはこれまでもやってきたけれども、結果として具体的な政策になると、そうは いっていない。事務所、ビルをどんどんつくればいい、足らないからつくればいいという話ではないでしょう。そうすればどんどんまた人が集まってくる。車の問題やごみの問題やあるいは下水道の問題、もう完全に都市のキャパシティーを超えているではありませんか。  そういうことで言うならば、これまでの時代のように成長がすべてを解決する、雇用の場もつくってくれる、それで生活のレベルもアップしてくれる、そういう時代ではない。まさに成長をコトロールする、そういうことで言うならば、都市の成長も含めてコントロールしなければならない。都市のキャパシティーを、容量を決めていかなければならない。これはまさに都市計画やあるいは地域における土地利用について基本的なそういう哲学がなければ、先ほど来の議論の経過でありますけれども、これから先の都市政策が組み立てていけないのですね。  私はそんなふうに思っているのですが、そういう形で東京にこれ以上一極集中させないということで努力しているにもかかわらず、一方で、この前申し上げましたように、西が丘の競技場、文部省が来て説明しました。今現実に三十万の市民が使っているのです。国としてそういう施設を提供し、市民が利用できる施設をつくった、大いにいいことです。サッカー場などの利用者を含めれば、年間五十万人に達するでしょう。これを全部締め出してしまって、オリンピックでいつも日本が負けているからしようがない、エリート選手養成施設をつくろう、こういう話になったのでは——この前いろいろ理由を聞いたら、そういう問題にかかわる専門家はみんな東京に住んでいる、平気でそういうことを言うわけですね。これだって東京一極集中問題でしょう。これは集積の効果なんですよ。  だから、それならば、西が丘のあの競技場のスペースでは、本当言えばやり投げの施設だとかあるいは中距離ランナーを育てる施設だとか、そんなわけにはいかないのですよ。そんなスペースはないのです。とりあえずということで今作業をやっているようですけれども、ほかの地域、広いところにそういう専門家が住むことができる住環境も整備しながら新たな施設をつくるという方が、今のこういう都市政策の観点議論している経過からいっても当然ではないのか。  大蔵省は、これについてこの前請願で出しましたら、もう既にこれについては設計費もついている、まだ実施設計費まではいっていないようでありますけれども、私はこの二月に当選したばかりですから、その前からこれは予算がついている話でありまして、請願を出しましたら、そういう実施設計料も計上されているし、我が国スポーツ界にとって緊急の課題だということで請願も採択されない。  こういう状況にありますけれども、少なくともこういう都市政策という観点からいって、これ以上東京に一極集中させないということは一定のコンセンサスになっていると思うのですね。文部省とのやりとりの中で大蔵省は予算をつけるわけですが、大蔵省としての考え方をぜひ聞いておきたいと思います。
  122. 中川雅治

    ○中川説明員 ただいま委員御指摘の施設につきましては、昭和六十三年の三月に総理のスポーツの振興に関する懇談会報告等、各方面から競技力向上のためのスポーツ科学の研究や科学的トレーニングの場の提供等を行う施設を整備する必要があるとの提言がございまして、これらを踏まえて、文部省において、特殊法人日本体育・学校健康センターの一部門として国立スポーツ科学センターを設置する計画で検討が進められているところでございます。  平成二年度におきましては、実施設計料の初年度分が計上されているところでございまして、いずれにいたしましても、実際の建設への着手につきましては、設計の完成を待って検討していくことになると思われるわけでございます。当該施設を現在の西が丘の競技場の場所に建設することにつきましては、財政当局として一般論を申し上げれば、新たな場所に新たな施設をつくりますと、土地代も必要になるわけでございますし、管理費用もそれだけ増加することとなるわけでございますので、時代の変化に対応した新たな行政目的を達するための施設につきましても、できるだけ既存の場所にスクラップ・アンド・ビルドの原則に従って整備をしていただきまして、限られた財政資金を効率的に使うことが望ましいと考えております。  なお、この建設予定地の地域住民利用要望につきましては、国立西が丘競技場施設のこれまでの経緯等も勘案しまして、文部省において今後できるだけ地域住民の利用にも配意した検討をしているというふうに聞いております。
  123. 渋谷修

    ○渋谷委員 私は基本的にはあそこにつくることは納得いきません。というのは、施設として狭過ぎて、あと何年かたったら必ずこれは時代に合わなくなって、より大きな施設をつくらなければいけないという議論になるからです。またこれは、その意味でいうと、税金のむだ遣いになるのではないかなというぐあいに思うものですから、あえて申し上げさせていただいているわけですけれども、今最後にありました地元住民、今現実に利用している市民の方々への配慮ということは、大蔵省も含めてぜひ理解しておいてもらいたい。いろいろなやり方が今後あろうかと思いますので、これはぜひ要望として大蔵省に申し上げておきたいと思います。  きょうは実は建設省の方からも来ていただきまして、問題は土地税制についてはこういう状況で、まだ私から見ると及第点をつけるわけにはいかない。大臣はよくやっているというぐあいに言っておるわけでありますけれども、これはもう一踏ん張りしてもらわないとどうにもならぬなあというぐあいに率直なところ思っているわけです。まだまだ落ちている部分がたくさんあります。しかし、もちろん税制だけでこの問題が解決できるわけではない。  例えば今の保有税の問題につきましても名寄せという問題がありますでしょう。きょうは自治省呼んでませんけれども、自治省、これはちゃんと協力してくれるのですか。これは自治省にも協力してもらわなきゃいけないでしょう。土地情報の整備の問題も当然あります。  さらに、都市計画あるいは土地利用についての考え方、これは建設省から、これは私の一つの思いつきの提案ということでは無責任かもしれませんが、土地がこれだけ高くなっている現状において、日本では諸外国とは違って、一部制限はあるけれどもどう使おうと勝手気まま、自由、こういう土地の所有についての一つの観念、これを何とかしなければいけないという議論がありまして、そういう中で都市計画法あるいは建築基準法の見直しなども建設省でやっているやに聞いています。私は一つの哲学あるいは政策のあり方として、都市についてはまだ利用されてない空間があるわけですから、この空間について公有化を図るというような方向というのは政策的に考えられないものか、あるいは建築についてやはり原則禁止という方向にこれから近づけていかざるを得ないだろうというぐあいに思うのですが、そういった点について最後にお伺いをいたしまして、いずれまた改めてそれらについては別の場で議論することをお願いをいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  124. 島崎勉

    ○島崎説明員 建築基準法におきましては、建築物の建築に関しまして良好な市街地環境の確保という観点から、用途地域に応じまして容積率とか建ぺい率ないしは高さ、日影等の制限を行っております。また必要に応じまして、より細かな制限といたしまして地区計画を策定いたしまして、条例によりまして建築物の用途ですとか形態の制限ということができることになっておりまして、これらの制限に関しまして従来から適切な見直しがある程度行われてきたと考えてございます。しかしながら、経済社会情勢の変化に対応するために、現在用途地域内の建築規制に関しましては建築審議会においてその検討をお願いしているとこ ろでございます。  また、今先生おっしゃいましたいわゆる容積関係の公有化の問題でございますが、フランスにおきまして今御指摘のような制度がございますが、一九八六年の法律改正によりまして一部廃止する市町村も逆に出てきているというようなことも聞いております。  いろいろ難しい問題があろうと思いますが、この我が国の容積につきましては一定の市街地環境の整備とそれから公共施設のバランスという観点で容積制限をしてございまして、この現行の容積率制限とあわせまして一定の、例えば一定階数以上についてはその差につきまして何か負担を求めるというような制度検討するということに関しましては、やはり現行の土地利用の制限が相当厳しい制限になるということもございまして、相当困難ではないかというふうに考えてございます。しかしながら、今後とも容積率制限の趣旨に沿った適切な運用につきましては、より一層その趣旨に沿って活用を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
  125. 渋谷修

    ○渋谷委員 ありがとうございました。
  126. 野呂田芳成

    野呂田委員長 この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ────◇─────     午後一時五十二分開議
  127. 野呂田芳成

    野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細川律夫君。
  128. 細川律夫

    ○細川委員 それでは、私の方から御質問をいたしたいと思います。  ことしの十月二十九日に土地政策審議会答申を出しました。それは「土地基本法を踏まえた今後の土地政策のあり方について」というものであります。この土地政策審議会答申を見ますと、まず第一に「土地問題の基本的認識」という項がございます。さらに第二といたしまして「土地政策の基本的な考え方」これを書いておりまして、第三に「個別施策の展開方向」、こういう順序で答申が書かれているわけでございます。私は、この第三の「個別施策の展開方向」、この点につきまして御質問をいたしたいと思います。  この「個別施策の展開方向」といたしまして、答申では八本の大きな重要な事項を展開をいたしております。そこで、この八本の個別施策の展開の中でまず第一に書かれておりますのが土地取引規制でございます。この土地取引規制といたしまして、監視区域制度、さらに規制区域制度という二つ制度が書かれているところでございます。私は、この土地政策の個別的な政策につきましてまず第一に書かれておりますのが土地取引規制であるということにつきましては、土地政策審議会の方で、土地対策土地取引が非常に重要だ、金融政策あるいは税制の問題いろいろありますけれども、土地取引規制が第一に重要だというような認識ではないかと思いますし、仮に第一でないとしても、大変重要な政策が土地取引規制であるというふうなことで、第一番にこれを持ってきているものと思われるところであります。したがって、この「個別施策の展開方向」として第一に土地取引規制が書かれておりますことについて、長官のまず認識をお聞きいたしたいと思います。
  129. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 細川先生にお答えいたしますが、先生の御指摘のとおりでございます。実は、基本的に先生が先ほどおっしゃいましたようなことですが、この十月二十九日に土地政策審議会答申が出ました。これは土地基本法を踏まえて今後の土地政策をどうするかということでございまして、これには大きく三つの目標があったと思います。  その一つは、土地神話を打破すること、二番目には、適正な地価実現すること、三番目には、合理的、適正な土地利用確保する、この三つの目標を掲げて、その個別施策の第一番が先生御指摘の土地取引規制でございます。実は、土地問題で一番大切なことは、まず現在の地価を、高い安いはございますが、いかにして安定させるか、そのためにはどうしても取引規制が必要だということで第一番にある、こう思います。そんなことでございまして、現在先生御指摘のように監視区域規制区域と両方ございますが、現在監視区域の徹底的な弾力的な厳しい運用をし、地価の安定に努力しておるということでございます。  それから先ほど先生規制区域とおっしゃいましたけれども、実はこの規制区域適用したいのですが、二つポイントがございます。一つは、今までの規制区域では基本的にまず地価を凍結させる、それから二番目には、規制区域指定したところからは欲しい土地が買えない、それとともに経済界に大変な混乱を生ずるというようなことでございます。実は何とか私ども、規制区域適用したい。それには弾力的運用で、地価の凍結は例えば経済成長率ぐらいとかあるいは物価値上がりぐらいは考えられるんじゃないかとか、あるいは規制区域指定しても地方自治体が公共的に欲しいものは買えるようにするというようなことでいろいろ弾力的運用を考えていたのですが、なかなか地方自治体の長が応じてくれないということでございます。実は局長とも十県ぐらい話しておるのですが、どの県も知事が応じてくれないというようなことでございます。何とか規制区域指定しまして、それで基本的には地価の安定をなお一層強力に図りたい、こんな考えでこの問題を進めているわけでございます。  そんなことでございまして、先生の御指摘のとおり、地価の安定が一番、そのためには取引規制が第一番、このように考えております。
  130. 細川律夫

    ○細川委員 この土地取引規制については二つ書かれておりまして、監視区域制度、それから規制区域制度でありますけれども、今長官の方からもお話がございました土地規制区域制度の問題でございます。私は、まずこれについて御質問をしていきたいというふうに思います。  長官の方からは、今規制区域適用がこれまでなされなかったことについて御説明もありましたけれども、確かに今まで国土利用計画法が施行されましてから一度も適用がされてないのがこの規制区域制度でございます。土地の、地価高騰につきまして、この規制区域制度というものはいわば伝家の宝刀とも言われておる制度でございまして、これほど土地高騰がありましたのに、なぜにこの伝家の宝刀であります規制区域制度適用がされなかったのか、この点について詳しい経過を御説明をいただきたいと思います。
  131. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 規制区域指定につきましては、国土庁としましても積極的に指導してきたところでございます。先ほど長官から御答弁申し上げましたように、ことしの三月も、監視区域指定後手に回らないように、総点検をする中で特に地価高騰の著しい県あるいは大規模プロジェクトを控えている県知事に対しまして、長官からもひとつ前向きに規制区域指定検討してほしい、そういった要請もしたわけでありますが、なかなか県の方では我々の期待の方向で対応できないという状況にございます。先生も御案内のとおり、規制区域制度は全取引が許可制でございますし、区域に指定されますと指定時の地価にほとんど凍結される、また、法律に列挙されました利用目的以外には取引は認められない、そういった非常に厳しい内容でございますので、知事の方では社会経済活動に与える影響も大きいということもあって、慎重にならざるを得ないんだと思います。  その際、ややちょっと長くなりますが、知事のサイドの意見を説明させていただきますと、規制区域指定する前に、もう少し対応すべき問題、課題があるんじゃないか。例えば、監視区域制度のより厳正かつ的確な運用とか、土地関連融資の抑制、さらには税制の見直しなど国、公共団体が協力して規制区域前にやるべき課題、そういったものをもっと進めてほしい。  それともう一つは、この区域指定をいたしますと、全取引が許可制ですから、やはり審査に膨大 な人員を必要とするわけです。そういう執行体制が厳しい行財政状況のもとで非常に確保が難しい、そういったこともございますし、また規制区域の中に線引きをする場合にどこで線を引くか、規制区域の中と外でいろいろ問題が生ずるおそれがある、また解除後も心配だ、そういった懸念もあったようであります。  せめてそれならば、大規模プロジェクト予定地だけに限定してどうかとなりますと、またこの地域におきましても価格がほとんど凍結されるような区域指定では、かえって用地の供給が少なくなり、プロジェクトの進行を阻害することになる、そういった心配もされておるわけです。そのほかに、買い取り請求に対応するための膨大な財源措置が心配だとかいろいろあるわけですが、そういった懸念のため現在はまだ実績が一つも上がっていない、そういう実情にございます。
  132. 細川律夫

    ○細川委員 今、これまで規制区域制度適用されなかった理由についていろいろ述べられたところでありますけれども、しかしそういう規制区域制度適用になれば、いろいろな困難が発生をするということは当然予測はされるわけでありますけれども、今回、特に土地政策審議会の方でこの規制区域制度についてこれを適用すべきだ、特に強く要望されているわけであります。  この規制区域制度、今局長の方からいろいろ難しい問題が述べられましたけれども、あえて土地政策審議会の方で規制区域制度をやれ、制度適用しろ、特に大型プロジェクトなどについてやったらどうかという提案でありますから、その点について長官の方では今後それについて本当にやられるのかどうか、ひとつその気持ちをお聞きしたいと思います。
  133. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、土地政策審議会答申で、大規模プロジェクト予定地で二つの点が予想される点、第一番には開発利益の発生、地価高騰等予測される地域におきましては、二つ制度を活用したらどうかと言われております。その一つは、開発利益の還元措置、あわせて開発利益の発生を未然に防止することを目的として規制区域制度の積極的活用を検討すべきである旨の提言がなされたのでございます。  国土庁としては、この答申を踏まえまして、大規模プロジェクト予定地における土地の投機的取引及び地価高騰の未然防止の観点から、開発利益の還元方策等に関する検討をあわせて、規制区域の積極的な活用方策について今後各方面の御意見もお聞きしつつ、幅広い観点から検討を行っていきたい、こう思っております。
  134. 細川律夫

    ○細川委員 長官のお答えでは、今後検討をしていきたいというお答えでございました。  そこで、今後規制区域制度発動するということで、私もその点について期待をしたいところでありますけれども、国土庁の方では、この規制区域制度発動するということで研究会を発足させたというような新聞報道などもございます。先月の六日付の新聞などで、国土庁の庁内に研究会を設け、一年後をめどに結論を得て発動に踏み切る方針というように書かれているところでございます。  このような報道がありましたけれども、事実こういう研究会を発足をされたのかどうか、あるいは発足させたとするならば、この研究会の目的は何なのか、あるいは具体的にどういうことを研究をしていくのか、お答えをいただきたいと思います。
  135. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 私もその新聞報道を拝見しましたが、かなり報道の方が先走っておるわけでございますが、私どもとしましては、審議会の答申を受けまして、やはり少なくとも大規模プロジェクト予定地において規制区域制度を積極的に活用するための方策について検討しなければならないと考えております。  その際、答申にも言っておりますように、開発利益の還元方策とあわせてうまい方法がないかどうか、そういった点が検討の一番大きな眼目になるのじゃないかというふうに考えておるわけです。ただ、制度的にも非常に難しい側面を持っておりますので、庁内に適当な時期に研究会でも設けまして、できるだけ早い時期に結論を出して、また審議会にもお諮りしたい、そういうふうな気持ちで今局内で相談しておる段階でございます。
  136. 細川律夫

    ○細川委員 大変不満な答弁でございます。適当な時期に研究会をつくって、そして検討して、審議会の方に諮りたいとかそういうようなことでは、規制区域制度適用するというようなことを国土庁の方で本気でやる気があるのかどうか、大変疑わしいというふうに私は思います。適当な時期ではなくて、早くそういう研究会なら研究会をつくるというふうにしなければいけないのじゃないかと思います。  今の局長の答弁だと、先ほど長官の方からはこの規制区域制度適用について積極的な御発言がございましたけれども、それに水を差すような大変消極的な御答弁でありますが、再度この点についてお聞きをいたします。
  137. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 決してそういう趣旨ではございませんで、いささか言葉足らずでございましたが、年明け早々にも適当な時期を選んでという意味であったわけでございます。早い時期にそういう研究会を設け、鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
  138. 細川律夫

    ○細川委員 国土庁の方では、これまでに規制区域について検討されてきているようでありますけれども、特に昭和六十三年には規制区域指定ということで、規制区域検討会議というものをつくられ、検討をされたようでございます。この規制区域検討会議内容はどういうものであったのか聞かせていただきたいと思います。
  139. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 当時、特に地価上昇が著しい地域でございまして、既に監視区域地価抑制策を講じておりましたが、なお鎮静化に至らない、そういう中で何とか規制区域を活用できないか、そういう考えもございまして、国土庁と関係都府県の担当部局長、そういったメンバーが集まりまして検討会議を開催し、検討してきたわけでございます。中身は、指定要件の考え方指定準備の進め方、指定及び指定後の措置、そういったことについてかなり具体的に検討をしたわけでございます。
  140. 細川律夫

    ○細川委員 そもそも規制区域検討会議というものはどういう目的でつくられて、そして、今検討された事項についてはお聞きしましたけれども、これをどうするつもりでこのような検討会議を開催され、検討してきたのか、そしてその結果はどうであったのか、御説明いただきたいと思います。
  141. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 規制区域につきましては、国土利用計画法の中にも指定要件等が定められておりますが、現実に指定となりますと、なお具体性に欠くいろいろ難しい面もございますので、この検討会議で、そういった指定基準の考え方とか、あるいは指定の際に十分準備しておくべき事項、そういったことを詰めておくことが監視区域指定の円滑化につながるのではないかという気持ちもありまして、この検討会議でそういった中身を詰めたわけでございます。  我々としては、この会議の結果を踏まえて公共団体ができるだけそういう鎮静化に至らない地域について、この規制区域の活用について積極的に取り組んでいただくことを期待したわけでございますが、先ほど申しましたような実態にとどまっておるわけであります。
  142. 細川律夫

    ○細川委員 この規制区域検討会議の中には、国土庁土地局長さんを初めとする国土庁の関係者、そして東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、そして政令都市の横浜、川崎、これらの関係者が参加されているわけでございます。したがって、この検討会議の中で、先ほどお話がありましたような、規制区域指定することによってどういうことが生じてくるのか、そして、その予想される事態に対してはどのようにそれを回避していくのかといろいろ検討されたのが、この「規制区域検討会議における検討結果」という冊子の内容ではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、せっかくこのように国土庁中心とし て関係の都道府県などが関与をしてこういう検討をしたにもかかわらず、実際に土地が暴騰いたしまして、規制区域制度適用したならば大変いいだろうと思われるようなときにも、結局一度もこの適用がされなかった。大変残念でありますけれども、それでは、このようなことを検討された、そしてまた今度来年から研究会をつくって検討しよう、一体これまで検討したこの規制区域検討会議検討と、来年早々につくるというその研究会との検討する内容はどのように違うのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  143. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 一般的には、六十三年の検討会議の結果を今後もできるだけ活用していきたいと考えております。ただ、今回の答申に基づいて我々検討しようといたしておりますのは、大規模プロジェクトの予定地につきまして少なくともより円滑に指定できるような方策、これは法制度上の整備も含めまして、先ほども申しました開発利益の還元方策等もあわせ検討しながら、一つの新しい制度についても念頭に置いて検討していきたい。現在国土利用計画法にあります規制区域制度規制区域制度として、なおそういう大規模プロジェクト用の何か対応がないかどうか、その辺を勉強していきたいというふうに考えております。
  144. 細川律夫

    ○細川委員 大規模プロジェクトの予定地などを対象として検討していくということでありますけれども、これまで規制区域適用についてはいろいろ検討をされながらも、一度も適用がされてないということでありますから、今後この規制区域適用というのは非常に難しかろう、なかなか実現できないんじゃなかろうかという心配もされるわけなんです。  そこで、この現制区域制度というのは、国土利用計画法の土地の権利の許可ということで最初に書かれている、規定されているところでありますけれども、この規制区域制度の要件が大変厳しい要件ではないかというふうに思います。そこで、今後国土庁の方で規制区域制度適用していこう、これを検討するに当たって、国土法そのものも現行法どおりでいいのか、それとも国土法の改正も考えておられるのかどうか。その点についてまずお聞きをしたいと思います。
  145. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 まず規制区域指定要件でございますが、現行法では、地価の急激な上昇またはそのおそれがあるとき及び投機的土地取引の相当範囲にわたる集中、この二つの要件を備えていないと指定できないことになっております。これは、冒頭申し上げましたように、規制区域は非常に厳しい私権制限を課するものでありますし、社会経済活動に与える影響も極めて大きいわけでありますので、こういう厳格な要件を定めているわけでございます。そういうことから、やはり指定要件の緩和については慎重な検討が必要であると考えております。  なお、監視区域につきましても、指定要件については、これは地価の急激な上昇またはそのおそれがあるときということになっておりますので、この監視区域制度の要件との均衡も配慮されなければならないだろう、特に法制上はそういう課題があるんだろう、そういうふうに考えております。
  146. 細川律夫

    ○細川委員 国土法の十二条に適用の要件が定められていて、今局長説明があったとおりの要件になっているわけでございます。  それで、私どもの方としましては、現場の国土法を運用している人たちにいろいろ意見もお聞きをしたわけでありますけれども、規制区域適用をしたときにはすべての土地取引が許可制になりますから、いろいろな方がその許可に不満を持つだろう。そうしますと、いわゆる不服の申し立てあるいは訴訟事件、これが大変多く提起をされるであろうというようなことを心配をしております。この不満を持った人たちが不服の申し立てあるいは裁判を提起をするときに、その提起の理由とするところはこの要件のところではなかろうか。例えば投機的な取引だというような点で、果たして投機的な取引があったのかどうか。投機的だということは非常に証明をしにくいような点もあろうかと思いますけれども、そういう意味で、国土法を運用している現場の人たちは、この要件について、非常に厳しいんじゃなかろうか。厳しいがゆえに、この適用について、もしやれば大きな混乱も生じて、不服の申し立てなどがたくさんできる。そういう場合に、受けて立つ側として、不服の申し立てあるいは裁判で勝たなければいけないんだけれども、その勝つ自信といいますか、そういうのが持てないんだというような意見も言われたわけであります。そういうことを考えますと、当然この国土法十二条の規制区域の要件についてもひとつ検討しなければいけないと私は思いますけれども、いかがでございましょうか。
  147. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、財産権に対して厳しい制限を課するものでありますから、要件についてはやはり慎重な態度で臨む必要があると思います。基本法が制定されまして、土地については公共の福祉が優先するというふうな理念が定められておりますが、個別具体法の中でそういう精神をできるだけ反映させていく努力が必要ですが、一方私権の保護についても、バランスをとりながら配慮をしていく必要があるのじゃないかと思います。ただ、先生が御指摘のように、要件は指定する際に、後刻トラブルをできるだけ未然に防ぐような客観化が必要だというふうに考えております。  それで、この検討会のときも、「投機的取引」の定義、これは、将来他に転売し、その間における地価の上昇による価格差益を享受することを目的として行う取引であるとか、あるいは「相当範囲」とはどういう範囲を考えるかとか、投機的な取引が「集中して行われ、又は行われるおそれ」があるという指標としてはどういう指標をとるのか、そういったことを詰めたわけであります。例えば「集中して行われ、又は行われるおそれ」がある具体的な指標をちょっと挙げさせていただきますと、短期間に転売を行う土地取引件数が増大しておる、あるいは特定の利用目的を持たない土地取引件数がふえておる、さらに取引件数に対し建築物その他工作物の着工件数の割合が少ないとか、あるいは金融機関貸出金利の動向、不動産取引関連融資の実績、開発プロジェクト等の構想や計画の有無、実施状況、そういった指標を一通り全部取り上げて総合的に判断する、そういうふうな形にしておるところであります。
  148. 細川律夫

    ○細川委員 では、先に進みます。  長官の方からは先ほど、規制区域適用につきましては大規模なプロジェクト予定地などについて土地高騰を避けるためにやりたいんだというようなことでありましたけれども、それでは一体どういうようなものが大規模プロジェクトの予定になるのか。例えば東京の方では臨海副都心などの構想もございますし、あるいはまた汐留駅周辺の開発、あるいはまた新線などが建設をされますと、そういうところでまた地価高騰が予想されるわけですけれども、大規模プロジェクトについてそこに規制区域の網をかけたいという長官のそのお気持ちの中には、一体どういうような大規模プロジェクトを予想されているのか、お聞かせをいただけたらと思います。
  149. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  先生が先ほどお話しでございましたが、臨海副都心とかあるいは汐留の跡地の問題、それから国会の移転予定地とか、もう一つは常磐新線予定地等、そういうものを大規模プロジェクト、こう理解しております。
  150. 細川律夫

    ○細川委員 そうしますと、今言われたような大規模プロジェクトに対して、今後国土庁としては来年早々に研究会を設けて、そしてこのプロジェクトの予定地に網をかけていく、規制区域の網をかけていく、そういう方針でこれからやられる、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
  151. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先ほどから局長も答弁しておりましたけれども、非常に難しさがございますのは、実は国土庁地方自治体にお願いするわけですね。したがって、この規制区域というのは地方がやらないとできないのです。実は先ほど局長 も、研究会をしてやるということでございました。実は内々にはいろいろ研究しておるのですが、非常に基本的な難しさがございます。  そんなこともございまして、実は私考えておりますのは二つございます。一つは、現在の規制区域指定法で弾力的運用はできないだろうか。できれば弾力的運用、先ほどの地価の問題それから一定の利用目的以外は許可にならないのを何とかうまい方法はないだろうか、まず弾力的運用で考えたらどうか、こう思っております。それで、どうもいけない場合はということですが、例えば国土利用計画法では総理が指定することになっていますが、実は指定しても地方自治体がのまなければ実際は動かないわけです。そんなこともございまして、今の制度で、だからいろいろな知事と話しますと、皆基本的にはおっしゃるとおりと言うのですが、いざ実行に移らない、この辺を一体どのようにしたらいいか。だから率直に言いますと、知事がどういうふうにしたらやってくれるのだろうか、このことを含めて検討してみたい、こう思っております。
  152. 細川律夫

    ○細川委員 時間が経過しますので先に進んでまいりたいと思いますけれども、規制区域制度につきましては御質問をいたしましたので、次に届け出に係ります価格審査事務について、これから御質問をしたいというふうに思います。  土地の売買などがございますと、これをある一定の広さ以上の場合には届け出をしなければならないわけでありますけれども、この届け出に関しての審査事務につきましては、各都道府県の知事がされているところでございます。各都道府県とも適正な地価の形成に向けて鋭意努力をされているということで、今その効果も大分出ているようでありますけれども、実はその価格審査事務の仕事の量の問題でございます。昭和六十二年に監視区域制度が新たに創設をされまして、国土法が制定をされました当時とは予想もできないほど事件数が増大をいたしておるところでございます。したがって、事件数がふえましたならば、それに応じて人の配置もしなければならない、あるいは人員の能力もまた要求されますし、経済的な負担、予算などもこれまた各都道府県には大変負担がいっているわけでもございます。  そこで、その事務をどのようにして軽くさせるといいますか、労力を軽減させるかという点でありますけれども、例えば東京あるいは千葉県などにつきましては、二十三区あるいは市町村などにこの事務の委任もいたしております。しかし、その他のところでは各県が負担をしておりまして、大変その労力などについてその負担の増大に苦しんでいる県もあるようでございます。  そこで、都あるいは千葉県などでは事務の委任をしておりますけれども、他の県などではそれがなされていない。これは一体どういうことでそのようになっているのか、また国土庁としてはどのように指導をされているのか、お聞きをしたいと思います。
  153. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、東京と千葉県を除くほとんどの県では、この審査事務の統一的かつ効率的な実施を行うという観点から市町村への委任は行っていない、みずから直轄で審査事務に当たっておるわけでございます。私ども国土庁としましては、市町村への審査事務の委任は当然法律上できるわけでございますが、ただ市町村によりましては、審査体制の整備等が十分でないというところも多々ございます。そういう意味で、人材の養成とか市町村に対する指導も行っていかなければいけないわけですが、当面こういった市町村における体制の整備状況等も十分勘案の上、都道府県、市町村間で十分相談し、その都度最も適当と思われる執行体制をとっていただく、そういう指導をしております。
  154. 細川律夫

    ○細川委員 その事務の委任について、都道府県でばらばらであるということのようなんですけれども、国土庁としては一定の基準なり標準なり、そういうものを定めて、事務の委任の指導というのはされてないんでしょうか。
  155. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 各公共団体によって審査がばらばらになるというおそれはなきにしもあらずでございますが、そういうことになりますと届け出人に非常に御迷惑をかけますので、そういうことにならないように、各県担当者会議等も適宜開きながら問題点等情報を収集し、打ち合わせ、指導しておるところでございます。その辺はこれまで十分配慮してきておるつもりでございます。何せ件数が多いですから、時にはいろいろ私どもの耳にも問題点が聞かされるようなことがございますが、その都度そういうものについても公共団体に迅速に連絡しまして、是正に努めていただくようにしておるところでございます。
  156. 細川律夫

    ○細川委員 この事務の委任につきましては、確かに局長の言われるように、小さな市町村などにつきましてはなかなか審査事務もできないような、あるいは能力的に難しいような市町村もあろうかと思いますけれども、私は、例えば人口が二十万なら二十万、それ以上の都市には当然に審査事務を委任させるということでやることによって、県の負担なども大分軽減をされるというふうに思います。余りにも今件数がふえております。特に百平米が監視区域の対象というようなことになってまいりますと、本当に件数がふえます。件数がふえると人の配置を県でしなければいけないというようなことで、埼玉県などでは非常にその点の人員の配置などで苦労もされているようでございます。そうしますと、一つの一定の基準を定めて各市などに審査事務を委任ができるということにすれば、県の負担も軽くなるし、またこの審査事務というのは、一件ごとに現地を見てそして調査をするわけでありますから、県の職員よりも逆に各市の職員などの方が現地については精通をしているということも考えられますし、事務の委任ということについては、基準を決めて委任ができるようにしなければいけないのではなかろうかというふうに私は思います。そういう意味で、基準をつくって、私が先ほど申しましたように、例えば二十万以上の市には委任をするというようなことについてはいかがでしょうか。
  157. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のようなお考えは確かに一つの方法だと考えておりますが、そういう例としまして、都市計画では開発許可等の事務が大変専門的かつ技術的な判断を必要とする、そういうことで、都道府県知事が委任し得る市町村を人口十万以上の市の長に限定しておる、そういう例もあるわけでございます。ただ、国土利用計画法の監視区域制度につきましては、やはりそういった画一的な人口規模によるのではなく、市町村の審査体制等の整備状況を十分勘案しながら、適宜県、市町村と相談しながらやっていただく方が、より実際的ではないかというふうに考えておるわけです。  御指摘のように、私どももできるだけ市町村に委任していくという方向を否定するものではございません。そういう方向は必要だろうと思っておりますが、ただ一つ懸念されますのは、体制が未整備のまま委任されますと、肝心の窓口の的確、厳正な指導が甘くなってしまう、せっかくのこの監視区域制度の効果が非常に緩くなってしまう、そういうことを恐れておるわけでございます。したがいまして、例えば当面は県で直轄でやられるにしましても、適宜市町村の職員を研修員等の形で県で研修していただいて、そういう人を核に市町村の体制を固めていただければ、これはどんどんその市町村に委任していただけるような体制が進んでいくのではないか、そういうふうに考えておりまして、そっちの方からも努力しております。
  158. 細川律夫

    ○細川委員 では次に進みたいと思いますけれども、もう一つ審査事務についてお聞きしたいと思いますけれども、土地価格の審査につきましては、売買予定の代価、それと利用目的、この二つを特に審査をするということになっているわけでございます。ところが、先ほども申し上げましたように、百平米あるいは二百平米、大変小さな狭い土地でもこの監視区域の対象になっておりますから事件数がふえる。その膨大にふえた事件、それぞれ一件一件価格利用目的などについて審査 をしなければいけない等、大変時間と労力がかかるわけでございます。そこで、この監視区域制度を運用している現場の人たちは、こんな煩雑な事務処理をもうちょっと簡潔、簡単にしてもらえないかというような要望が大変強いわけでございます。したがって、これについて、そもそもがこの利用目的などを審査するというのは、この監視区域制度がないといいますか、もともとのいわゆる規制区域制度の方のこれを準用した形で届け出制度の方も持ってきておりますから、そこまでは二千平米あるいは五千平米、一万平米というような、そういうことを予想してこの利用目的の審査もしなければいけないような法律になっているのじゃないかと思いますけれども、監視区域制度が採用されておりますから非常に事件数がふえております。簡単にできるようなことをぜひ国土庁の方で指導をしていただきたいというように思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  159. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに御指摘のとおり審査件数が多いですから、できるだけ事務を簡素化し、合理化していくことが必要だと思っております。そういう方向で努力いたします。ただ、価格審査のほかに監視区域制度におきましても利用目的審査を行う。答申でも、むしろ需要選別機能を強化しなさい、そういうふうな御提言をいただいておりますので、そういう目的もこの監視区域制度は同時に持っておる、そういう点は御理解いただきたいと考えております。
  160. 細川律夫

    ○細川委員 それでは次に進みますけれども、事務を進めていく上において経費といいますか、都道府県は大変お金が必要でございます。この事務経費というものは、毎年毎年事件数がふえるごとにこの経費も増大をいたしているところでございます。本来、この国土法に関する事務については、国の機関委任事務でございますから、本来ならば全額事務の経費については国の方が負担をすべきだと私は考えるわけでありますけれども、いずれにしましても、今各都道府県はこの事務によって経費の負担に苦しんでいるわけでございます。  例えば東京都を例にとって申し上げますと、先ほどもお話に出ましたように、東京都は二十三区あるいは市町村に事務を委任をいたしております。この二十三区そして市町村に対して、東京都の方から事務の費用としてお金を支出をいたしておりますけれども、その金額が二十三区に対しては三十億三千五百万円、各市町村に対しては合計十六億八千九百万円、合計四十七億二千四百万円の金額でございます。これは、二十三区それから市町村に渡したお金の金額でございます。東京都自体にかかるお金はまた別でございます。この四十七億二千四百万円が、二十三区そして市町村に払っているお金でございます。  ところで、ここで私は国土庁長官にお聞きをいたしたいと思いますけれども、国の方から果たして東京都の方に対して国土法の関係のお金として一体どれくらいのお金がおりているのか、平成二年度では一体東京都に幾ら交付金がおりているのか、御存じならお答えいただきたいと思います。できれば長官が知っておられるかどうかを私はお聞きしたいのですけれども、知らなければ知らないで結構です。
  161. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 恐縮でございますが、長官にはそこまで報告してございませんので、私から答弁させていただきます。  確かに、国土利用計画法に基づく監視区域の運用については機関委任事務でございまして、国としてもそういうことで従来から交付金を、土地利用規制対策費交付金という形で交付しておるところでございます。これまで、届け出件数の増大に伴いまして、非常に厳しい財政状況の中で財政当局もよく予算措置をしてくださっていると我々の方では感謝しておるわけでございますが、ただ、公共団体側から見ますと、なかなかそのお金では不十分だというふうな点もあろうかと思います。特に、交付金は大体標準的な所要経費の半分近くは充足しているんじゃないかと私の方は考えておりますけれども、ただ、公共団体によりまして、御指摘の東京都などは特別区、市町村に委託する中で、相当陣容も多数の人員を確保しながら懸命にやっていただいております。そういうこともありまして、御指摘のとおり、全体で四十七億くらいかかっておるようでございます。それに対して六億とか五億とかいう程度の交付金にとどまっておりますので、その辺は大変少ないのですが、他の県では大体半分近くいっておるのではないかと思います。予算措置につきましては、今後とも我々としましても公共団体の執行が適切に行われるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  162. 細川律夫

    ○細川委員 東京都が二十三区あるいは市町村に委託の事務費として四十七億円以上払っておりますけれども、それでは一体国の方から東京都にどれだけのお金が来ているのか。これは長官の名前で、平成二年六月十八日付で東京都に交付金の決定通知書というのが来ております。平成二年度土地利用規制対策費交付金交付決定通知書、平成二年六月十八日に来ておりますけれども、この金額がたったの三億三千万でございます。東京都としましては、二十三区あるいは市町村に事務の委任をしている、その費用だけで四十七億円も支出をしているわけなんです。それで、長官の名前で交付金が来たのがたったの三億三千万なのであります。これほど少ない金額しか来てないというわけでありまして、そうしますと、国土庁の方としては監視区域制度を徹底しろ、区域も広げろ、そして面積も引き下げろというような指導を積極的にされる。しかし言われる都道府県の方は、一生懸命やればやるほど件数がふえてそしてお金もかかる。仕事をやれと言ってしかし金は出さないというのでは、これは都道府県が余りにもかわいそうであろうと思います。そういう意味で、大蔵省に対してももっと予算をつけるように、出すように、ぜひ長官の方から強く言っていただきたい。先ほども言いましたように、たったの三億三千万であります。この費用の面、土地対策として監視区域、私はある意味で非常に有効に今働いておると思います。各都道府県、一生懸命やっておると思います。それに対しての財政的な援助というのがどうしても大事であろうというふうに思いますので、ここの点の長官の気持ちをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  163. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 御指摘の点は、私もいろいろお話聞いておりまして、大変だなと。監視区域指定しましても、届け出面積が五百から三百、三百から百になるということだと捕捉率が高くなる、それだけやはり経費と人が必要ということでございまして、御指摘のとおりでございます。私は、また補正であとを追加する、こう思っておりまして、大体局長の言うように半分ぐらいと思っておったのですが、まさか一割にも満たないとは実は知らなかったわけですが、御指摘のことを踏まえましてこれからも大蔵省と交渉しまして、御迷惑をかけるのはかけると思いますが、できるだけ迷惑を少なくかけるようにということで努力してみたい、こう思っております。
  164. 細川律夫

    ○細川委員 ぜひともこの点につきましては、長官の方でひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。  それから、細かい話になりますけれども、土地価格審査につきまして、現場の方といいますか、各都道府県の方で価格審査をいたしております現場の方で大変困っている点がございますので、その点について国土庁の方の御意見をお聞きしたいと思います。  それは、建物つきの土地売買が大変多いということでございます。届け出に係ります価格審査については、土地価格が著しく適正を欠くか否かというような判断でありますけれども、しかし土地と建物とが一体となって取引をされるような場合、土地価格の一部が建物に転嫁をされるというようなおそれがあるわけでございます。したがって、この建物を適正に評価をしなければならないということでございます。しかし、それが大変難しい。というのは、土地の評価と異なって建物についてはまだ評価理論が確立をしていない。 あるいはまた地価の公示あるいは地価調査とかいうような、そういう標準地、基準地のような評価となる基準が建物についてはないというようなこと、あるいはまた建物については多種多様であるというようなことでありまして、評価が非常に難しいということでございます。また、マンションとかあるいは事務所のような建物につきましては、審査に出すときに計画中の場合がございまして、その審査の後で計画を変更するというようなことも考えられるわけでございます。あるいはまた、建物については非常にグレードアップした建物がございまして、そういうような建物についての評価というのが大変難しくて、土地の値段が建物に転嫁されているのではないかということについて、現場では非常に苦労をされているようでございます。むしろ土地つき住宅については、土地が幾らするかというそのことの労力よりも、建物がどれくらいの値段であるかというその判断をするのに労力をかける、土地よりも建物の方の評価に労力をかけざるを得ないというようなのが現場の実態のようでございます。その点について、国土庁の方ではどういうふうに都道府県を御指導されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  165. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに、マンションや戸建て住宅の多くは土地建物一体取引でございますので、建物価格を評価の上、総額からそれを控除しまして、審査の対象たる土地の取引予定価格を確定しておるわけです。したがいまして、御指摘のとおり、審査庁にとりましては建物価格を判定するのが大変面倒でございますし、また、届け出業者の中にはその建物に土地代も潜らせて処理しよう、そういうふうなケースもあるやに聞いております。大変難しいわけでありますが、私どもといたしましては、建築原価に四二%を上乗せしたもの、この四二%は販売費、一般管理費あるいは借入金利子等に相当するということで、大体建築原価の四二%をプラスして建物評価を処理するようにと言っておりますが、ただ、建築物の原価がこれまた大変難しいわけであります。届け出者から見積書、仕様書等を提出させ、これをもとに建築工事歩掛かり、建物価格資料等により審査をしておりますけれども、建築技術上の専門知識を要しますので、建築等の関係部局との連携体制を整備しながら行うように指導しておるわけです。しかし、そういう面で大変御苦労をかけておることは十分承知しておりまして、私どもといたしましても、これをより一層簡便かつ合理的に評価し得るような体制をいろいろ検討してまいりたいと思います。  建物種類の多様化とか新工法開発への対応等で困難な問題も多いのですが、ひとつそれを乗り越えて何かいい方法を考えていきたい、努力していきたいと思っております。
  166. 細川律夫

    ○細川委員 これまで私の質問は、国土利用計画法の実際の運用面などにつきましていろいろと御質問をさせていただきました。土地対策につきましては、この国土法をいかに厳正に的確に適用するかということも大変大事なことでありまして、ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  まだまだいろいろ御質問したいことがありましたけれども、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  167. 野呂田芳成

    野呂田委員長 平田米男君。
  168. 平田米男

    ○平田(米)委員 まず国土庁長官にお伺いをしたいのですが、本年六月二十二日の土地問題特別委員会で私が質問させていただいた件につきまして、その後の経過、対応をまずお伺いしたいのです。  長官も覚えていただいていると思いますが、その際にチラシ広告、これをお示しさせていただきまして感想をというふうにお伺いをしましたところ、この広告の内容は不当広告ではないか、何とかそういう広告を出さないように検討をしたい、このような御答弁をいただきました。これまで約六カ月経過をしておるわけでございますが、この問題に対しましてどのような対応をされましたのか、御説明をいただきたいと思います。
  169. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 平田先生にお答えいたします。  先生の御質問はよく覚えているわけでございますが、不動産広告については、宅地建物取引業法により誇大広告等の禁止について規定が置かれております。広告に係る不動産の一定事項について著しく事実に相違する表示、また実際のものより著しく優良あるいは有利と人を誤認させる表示を禁止し、違反に対しては監督処分または罰則により対処することとされております。また、事業者または事業者団体の自主規制としまして、不動産の表示に関する公正競争規約が設けられ、不動産広告の表示の基準等が示されています。  御指摘のような事案がこれらの規定に照らして違法、不当なものに該当するか否かは、個々具体の事案に応じて慎重に判断する必要があると思いますが、いずれにしましても、土地基本法の精神に照らしまして好ましくないと考えられるものについては、関係者に対して適切に対処するよう指導してまいりました。
  170. 平田米男

    ○平田(米)委員 抽象的な御答弁、それはもっともでございますが、この件については何らかの対応をしていただいたのかどうかということでございます。
  171. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 実は私も、毎日、毎週新聞広告に出ているのを見まして、ある場合には現地に行ったりしまして、これはおかしいと思うのは土地局に話しまして指導するように指導しました。ただ、数が多いものでございますから、これも全体からいえばごくわずかだと思います。そんなことでございましたが、気がついた点につきましては、局長と相談して指導してまいっております。
  172. 平田米男

    ○平田(米)委員 御答弁の趣旨からいけば、この件については特段されなかったというふうに理解をしたわけでございますけれども、しかし大臣として委員会で答弁をされた以上、やはりきちっとした対応をされないと、まさに委員会軽視ということになるのではないかというふうに思うわけでございます。このチラシ広告が今おっしゃられたような法規等々に抵触するかどうかというのは、これは一つ問題かと思いますが、やはり長官に、このような地価高騰をあおって商売をやる、こういうような姿勢を断固打ち破っていくんだという姿勢をしっかり持っていただきたい、そういう意味で私は質問させていただいたわけでございまして、そういう趣旨で、今回も事実をもって長官の行動について事細かく追及をするというような意思ではなくて、そういうふうな断固たる長官土地問題に対する取り組みの姿勢、こういうものをお伺いをしたいという観点から御質問をさせていただいたわけでございまして、ぜひともそういう強い姿勢を持って取り組んでいただきたいとお願いを申し上げます。  それから、その委員会の際に、藤原土地局長がやはり私の質問に対して、これは地方公共団体の生産緑地の先買い権の財源についての質問でございました。これに対しては検討するという御答弁をいただいたわけでございますけれども、どのような御検討をいただいたのか、御説明をいただきます。
  173. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 当特別委員会等の御審議を踏まえて、先ごろいただきました土地政策審議会答申にも、都市計画における保全する農地として区分された市街化区域内農地については生産緑地地区の指定等を行うこととし、この場合、転用制限の強化、地方公共団体の買い取り制度の充実等について検討を行うべきである、こういう内容の提言をいただいております。当委員会の御意見がこの審議会にも反映しているのだろうと私は理解しております。  また今後、この答申を踏まえまして、公共団体が先買いする場合の財源措置等も含めまして、転用農地の買い取り制度の充実が必要であると考えておりまして、このため、建設省等でも公共用地等の先行取得債の拡充等について考えておられるようですし、私どもの方も、これはこれからでございますが、これから関係方面にさらに働きかけてまいりたい、そういうふうに考えております。
  174. 平田米男

    ○平田(米)委員 これからだという御答弁でございますが、その際申し上げましたけれども、要するに制度をつくっても資金の裏打ちがないものは全く効果がないわけでございまして、特に先買い権というものはこれからの都市政策の中で大変重要かと私は思っております。しかし、今回の自民党の土地税制に対する案を見ますと、やはりこういう視点が非常に欠けているのではないか。形だけをつくって、仏つくって魂入れずということを言いますけれども、やはりその中身というものをしっかり充実をさせていくということが重要だろうと思うのですが、この先買い権の財源措置についてどのようなものが今後検討課題として挙げられるか、国土庁のお考えをまずお伺いしたいと思うのです。
  175. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 やはり現在、既存制度の拡充を図ることが最も望ましいと考えております。まず公共用地の先行取得債の拡充がございますし、また都市開発資金という貸付制度もございますので、この辺を拡充していくことが大変効果的だと思っております。市街化区域農地につきましても、保全する農地については転用制限を強化しようとしておるわけですから、それとの関連でやはり市町村の買い取り資金を増大しなければならないというふうな課題もあるわけですから、そういう課題ともあわせ考えながら、そういう資金面の充実を図ることが重要だと考えております。
  176. 平田米男

    ○平田(米)委員 おっしゃったような既存の制度を使うというのは、いずれも借り入れで行うわけでございますから金利がかかるわけでございます。そうすると、金利負担というのが大変膨大になるわけでございますけれども、これについてはどのようなお考えがございますか。
  177. 林桂一

    林説明員 御説明いたします。  生産緑地制度につきましては、現在、昭和六十三年の総合土地対策要綱、閣議決定でございますが、それの趣旨に沿いまして生産緑地制度の全面的な見直しの検討を進めているところでございますが、その中で指定要件の見直しあるいは転用制限の強化のほかに、もう一つ地方公共団体が生産緑地を優先的に先買いできる制度の整備という課題がございまして、その課題具体化ということでいろいろ検討しているところでございます。  先ほど国土庁の方から御説明ありましたが、当面都市開発資金の貸し付けの制度で、大都市におきましてこれまでは大規模な都市施設とかあるいは再開発の種地とかそういったものに対しまして、地方公共団体に対しまして国が資金を貸し付ける制度がございます。一部のものにつきましては金利の低減等の措置が図られているという制度でございますが、こういったような制度の活用とかあるいは公共用地先行取得債につきまして、これは五年以内の事業化ということが一つの前提になった制度でございますが、生産緑地の取得ということになりますと、なかなかそういう形での事業化のめどが立たない場合もあるというふうなこともありますので、かなり長期の事業化を前提とした起債ができるような制度といったことを、現在いろいろ財政当局ともお話ししながら、そのような制度にしていただくようにお願いを進めているというところでございます。  先ほどのでは利子についてどうするのかということでございますが、そういった制度検討の中で、実は利子についても低利のものの方が、借りる側からしてもなかなか事業化が進まない、事業化のめどが立っていないものについての買い取りも容易にできるということもありますので、できれば低利のものが望ましいということでもございますが、いろいろ財政支出との問題もございますので、その辺につきまして含めて検討しておりますが、当面は既存の制度の有効活用によって対処したいというふうに考えているところでございます。
  178. 平田米男

    ○平田(米)委員 これは要するに、利息を補助するということになればまたその財源という話になるわけでございまして、前回の委員会のときもたしか局長は、法人保有土地の新税につきましては、財源の使途につきましてはあわせて検討したい、私の質問に関連してこういうふうにお答えになったわけでございまして、今自民党のあの新土地保有税、これで二千億か三千億入ってくる、これはいずれ本国会で議論をされるわけでございますけれども、そういう二千億円、三千億円、大変少ないと言われておるわけでございますけれども、その財源をどう使っていくか、これはやはり土地政策全体のバランスの中で考えていかなければいけないのではないか。今議論が出ておりますのは、住民税を下げるとかあるいは法人税を下げる、こういうような議論も出ておるようでございますけれども、仮に成立したとするならば、その財源についてはやはり土地政策の一環として、全部使えるかどうかわかりませんが、このような先買い権の資金もしくは利子補給の財源として考えていくことが極めて重要ではないかと思うのですけれども、大臣いかがでしょうか。
  179. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  私も実は財源がどれぐらい入るかよくわかりませんが、入った財源によって考えが違ってきますが、基本的には土地対策に全部使いたい、こんな気持ちを持っております。土地対策にできるだけ多く使いたい、このように考えております。
  180. 平田米男

    ○平田(米)委員 これはこの程度にしたいと思いますが、まとめて前回の質問に対する関連質問でいきたいと思います。  五月三十一日の委員会で、梅野建設省住宅局住宅建設課長に質問をさせていただいたときに、幾つか答弁をいただきました。そこの中で、公営住宅の床面積の規格を拡大する方向検討をします、こういう答弁をいただきました。これまでどのような検討及び対応をされたのか、御説明をいただきます。
  181. 上野公成

    ○上野説明員 お答えいたします。  公営住宅の面積につきましては、六月に日米構造協議の最終報告にも、二〇〇〇年までに現在平均九十平米ぐらいの面積を百平米にするというようなこともありまして、現在、全体は九十平米でございますけれども、そのうち特に民間の借家が四十四平米、それから公共賃貸は四十七平米ということで、借家の水準が非常に低いわけでございまして、公共賃貸住宅につきましても、その規模を拡大するということが非常に重要だというふうに考えております。来年から第六期住宅建設五カ年計画が始まるわけでございますけれども、その中にも公共賃貸住宅の規模の拡大についても盛り込むことを検討しております。  それから来年度の予算要求でございますけれども、専用面積につきまして二・七平米増ということで要求をしております。今後とも、公営住宅の規模の拡大には努めてまいりたいと思っております。
  182. 平田米男

    ○平田(米)委員 その二・七平米増というのは、もう少し具体的に言っていただけますか。
  183. 上野公成

    ○上野説明員 現在が中層の四階建て、五階建ての建物で御説明いたしますと六十一・四平米でございます。ですから、これは今の全体の平均が四十七平米でございますから、それよりは十四平米ほど多いわけでございます。共用部分も含めまして大体七十一平米でございます。それを二・七平米増でございますので、六十四・一平米の専用面積にするということでございます。
  184. 平田米男

    ○平田(米)委員 二・七平米の増床を要求されておられる、これから結論が出るのだろうと思いますが、そのとおり合意ができればまずよろしいかと思いますけれども、ただ、まだまだこの面積では到底豊かさを実感できる生活などを送れるような住宅とは言えないということは、当然御認識だろうと思います。二〇〇〇年に向けて今後どのような計画といいますか方向性でこの増床を考えておられるのか、御説明ください。
  185. 上野公成

    ○上野説明員 これは、平成三年度二・七平米増というふうに申し上げましたけれども、これから十カ年、大体そのペースで規模をふやしてまいりたいというふうに考えております。一九九五年で大体七十平米ぐらいまで持っていきたいというふうに考えております。     〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
  186. 平田米男

    ○平田(米)委員 九五年で七十平米、すると二〇〇〇年ではどれだけというふうにお考えなんですか。
  187. 上野公成

    ○上野説明員 これは第七期の五カ年でございますのでまだ具体的な検討まで至っておりませんけれども、一応私どもが考えておりますのは七十五平米というものをめどに考えております。
  188. 平田米男

    ○平田(米)委員 二〇〇〇年で七十五平米というのはどういう根拠に基づくのでしょうか。誘導居住水準というのがございますね。それは、確かに全国民がこれに住むことを目標にしているとは政府も言っておられないわけでございますけれども、しかしその七十五平米というのは誘導水準と相当かけ離れているのではないかと思うのですけれども、その辺はどういう考えなのでしょうか。
  189. 上野公成

    ○上野説明員 三人家族で三LDKということで、大体一室、今現在より寝室が一つふえるという形でございます。Lがふえるということで言った方がいいかと思いますけれども、誘導水準でございます。
  190. 平田米男

    ○平田(米)委員 要するにこれは、今おっしゃっているのは三人家族でというふうに伺っていいわけですね、公営住宅の分も。そうすると、誘導水準に持っていくというふうに理解していいわけですか。
  191. 上野公成

    ○上野説明員 そういうことでございます。
  192. 平田米男

    ○平田(米)委員 では次に、中層耐火構造の四階から五階建ての標準の主体、附帯工事費の平米当たり単価については適正化に努めていきたい、こういう答弁をされたのですけれども、それについてはいかがでしょうか。
  193. 上野公成

    ○上野説明員 標準工事費の引き上げにつきましては、従来からデフレーターの伸び等を勘案いたしまして引き上げに努めてまいっているところでございます。平成二年度におきましては、平均六・五%の引き上げを行ったところでございます。それで、平成三年度の予算要求でございますけれども、建設工事費が上昇をしていることにかんがみまして、平均で九・〇%の引き上げを要求しているところでございます。今後とも、工事費の実態等を勘案しつつ適正な標準工事費を設定するように努力してまいりたいと思っております。
  194. 平田米男

    ○平田(米)委員 九・〇%を要求しているということであるわけですけれども、恐らく平成二年度も要求をした結果、抑えられて六・五%増になったということなのでしょうが、このようなやり方ですと、現実問題として実際かかっておる工事費と基準になっておるものが大変差があって、その地方公共団体の負担というのは非常に重いという状況にあるわけです。その状況は全く解消されていかないという現実に対して、これはどうしようもないわけでございまして、これは大蔵省に言わなければいけないのかもしれませんけれども、九%でも少ない。もっと急激な対応をしないと実際上の公共住宅の建設の促進、これは建てかえも含めてでございますけれども、できないのではないかというふうに私は感ずるのですが、どうですか。
  195. 上野公成

    ○上野説明員 この二、三年は非常に工事費が上がっている状態でございまして、過去に石油ショックの後に非常に大幅に上がったところがございますけれども、それに近い状態で今建築費が上がっておりまして、非常に不安定な状態でございます。御承知のように、そういうことも勘案いたしまして、積算の方の考え方とかそういうものについても少し見直しをしている最中でございまして、なるべく実態に合った標準建設費を設定できるように努力をしてまいりたいと思っております。
  196. 平田米男

    ○平田(米)委員 それでは、その決意を了として、しっかり頑張っていただきたい、こういうことで次の質問に移ります。  公営住宅のエレベーターについて三階、四階建てについても検討をする、また既設の公営住宅についても検討します、こういう答弁をいただきました。これについてはどうですか。
  197. 上野公成

    ○上野説明員 公営住宅のエレベーターにつきましては、六階以上については設置を義務づけております。それから、五階につきましても昭和六十三年度から、高齢者向けの住宅を含んでいる場合は設置をすることを指導しておるところでございます。来年度の予算におきましては、五階建て以下の中高層住宅に対するエレベーターの設置の要求をしております。設置が認められるよう努力をしてまいりたいと思っております。
  198. 平田米男

    ○平田(米)委員 既設の公営住宅についてはお答えいただきましたでしょうか。
  199. 上野公成

    ○上野説明員 新設の方が認められますれば、それと同様に既設の改善についても進めてまいりたいと思っております。
  200. 平田米男

    ○平田(米)委員 高齢化社会と言われて久しいわけでございまして、お年寄りが安心して住めるような公営住宅というのは、まず第一はエレベーターがなければどうしようもないわけでございますので、まさに最優先で努力をしていただきたいと思います。  次に、国土庁長官にお伺いをしたいのですが、現在の地価状況についてはどのように御理解をされておられるのでしょうか。
  201. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 公的な地価調査では七月のものが最後でございまして、若干大都市圏等で地価動向調査を、県に短期的な地価動向を調べていただいておりますが、それも大変部分的でございます。したがいまして、土地精通者からごく最近の状況を聞いた情報でございますが、全国的に言える状況としましては、土地取引におきましても売却物件が増大しておる反面、いわゆる購入サイドでは買い控えが生じておりまして、取引の成立が激減しているという状況でございます。このため、仮需要の強かった一部の地域から下落の兆しが生じているというふうに見ております。  圏域別に見ますと、東京圏では一部に下落傾向が見られるところもありますが、全体としては横ばいという感じであります。大阪圏では、各地で横ばいから反落の傾向があらわれております。名古屋圏では、まだ地域によって上昇傾向が認められるところもある、そういった状況であります。そして、本年九月の地価調査で最も懸念されました地方地価も、おおむね落ちつきを取り戻しつつあると考えております。大体そういう状況でございます。
  202. 平田米男

    ○平田(米)委員 まさにそれは事実を御紹介いただいたわけでございますけれども、そういう事実に対してどういうようなお考えといいますか、感想といいますか、決意といいますか、それをお伺いをしたいわけでございます。
  203. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 かなり広範に監視区域制度を活用させていただいておりますし、融資の抑制も四月以降一段と厳しく進めていただいております。金利も上昇しておりますので、地価に割高感も生じていたとは思いますけれども、そういった施策もようやく地価に効果をあらわしてきつつあるのだなというふうに思っておりますが、なお非常に高い水準でございますので、やはり今後さらに引き続き関連融資の抑制に努めるとともに、取引規制についても一段と厳正的確に行っていく必要があると思います。また、答申の趣旨を踏まえまして総合的な対策も、現在進めつつある対策は随分あるわけですが、鋭意そういった対策を進め、土地税制も強化する中で、一層地価に対する効果を大きくしていきたい、そういうふうに考えております。
  204. 平田米男

    ○平田(米)委員 私の質問に対してお答えになっていないのではないかと思うのですが、要するに全体的には一応暴騰はおさまってきた、しかし高どまりである。その暴騰を抑えた原因として、融資規制の問題、金利が上がったということもあります。そして監視体制を充実した、こういう御説明かと思うのでございますけれども、その上で、このままの地価であってはならないと私は思っておるわけでございますけれども、これはやはり土地政策審議会答申のように、利用価値に対応した地価あるいは一般中堅勤労者が取得できるような住宅地地価、こういうものをやはり 目標にするならば、もっと地価を下げなければいけない、このように思うわけでございますけれども、これまでの手法としては、融資の問題それから取引の監視の問題、この二つの手法でやってきて、一応暴騰は抑えたけれどもしかし高どまり状態である、こういう視点に立って今後の対応として必要なものは何か、これは我々考えなければいけないことではないかと思うのですが、その点大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  205. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えしますと、今先生の御指摘のとおりでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、土地対策には五つございまして、一つ宅地供給宅地有効利用、あるいは融資規制の問題あるいは税制、それから土地利用の問題、それから取引規制の問題、こういうぐあいにあるわけですが、現在すぐできることは、まず地価を上げないことというようなことで、今規制区域、特に監視区域を強化してやっているということです。それとともに、今度は地価高騰の大きな原因というのは、いろんな理由もございますが、やはり金融緩和というのが大きな理由であったということでございまして、特に大蔵省、日銀等にお願いしまして融資規制に努めておるということでございまして、実は残りの土地税制の問題あるいは土地利用の問題、宅地供給の問題というのは若干時間がかかります。恐らく私は最低三年ぐらいかかると思います。  そういうことでございまして、とりあえずできるものと長期的にやるものと、これを総合的に考えてやっておるということでございまして、とりあえずできるものはやはり取引規制の問題と融資規制の問題、この二つをやりながら実はあとの三点についてやっていく、そういう形の中に相乗的効果を生じて、先ほど先生も御指摘ありましたようなことですが、地価を引き下げる、そしてでき得れば給与所得者の年間所得の五、六倍で住まいが持てるような形に地価を持っていきたい、このように考えておるわけでございます。
  206. 平田米男

    ○平田(米)委員 そうすると、融資規制取引規制二つの手法では暴騰は抑えることはできるけれども、しかし地価の引き下げは今大臣がおっしゃった三つの方法をとっていくことが重要である、そのためにはあと三年くらいかかるのではないかというお話でございますけれども、さて、そのあと三つの方法が、じゃ具体的にどう進んでいくのかというのがこれから極めて重要なわけでございますけれども、今税制の問題にしましても、あるいは土地利用規制の問題にしましても余り進捗がない。そういう点から考えますと、例えば不動産業者のある発言によりますと、今回の自民党の土地税制の案では、これで土地は下げどまった、一部東京では下がったけれどもこれでは下げどまりであるというような発言さえ出ておるわけでございまして、これはあとの三つ大臣がおっしゃった手法に対して本気になって取り組んでいかないと、今おっしゃったような適正な地価実現するなどということは到底できない話ではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか、もう一度。
  207. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は先ほどちょっと私簡単に申したのですが、不動産融資の問題ですが、実はこれも私は、金融機関事業に金を貸すのは当たり前で、その場合に担保二つありまして、一つ事業担保一つ不動産担保でございます。そんなことでございまして、不動産に融資するのはいいのですが、実はその融資の中に質の悪いものがある。いわゆる仮需要がある。これがかなりあるということで、この引き揚げをお願いしているわけですが、これもバンクとノンバンクとございまして、その中にかなりの融資がある。これを、仮に質の悪いものを引き揚げた場合には恐らく地価はかなり下がると思いますが、仮にそれをやった場合には日本経済に大きな影響を与える、特に中小企業に大きな影響を与えるということで、これも徐々にやるべきじゃないか。こういう考えを持っておるわけでございますが、今度は実は昨年暮れに、皆さん方のおかげで土地基本法ができました。その際一番大切なことは、今までと違いまして、海部内閣の最重要課題ということで全閣僚一致してこれをやる、これが今までと違う。     〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕  そんなことでございまして、私は先ほどの宅地供給あるいは有効利用の問題、これも建設省で例えば低・未利用地の法案を通したりいろいろなことをやっております。それからまた、土地利用についても、今土地利用を改める法案をやっている。また、税制の問題もいろいろございますが、新土地保有税を含めて、実は取得、保有、譲渡に関しては思い切った税制改革をやっておるというようなことでございます。  そんなことでございまして、必ずこれを実行しまして、先ほど言ったような適正な地価にいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  208. 平田米男

    ○平田(米)委員 どうもあとの三つの問題についてはしっかりした姿勢というものが私は感じられないわけでございますが、土地政策審議会でも地価をどこまで下げるかと。伺いますと、地価を引き下げることを答申した初めてのものであるというふうにも伺ったわけでございますけれども、ただ下げるということをお題目のように、スローガンのように言っておってもこれは仕方かないわけでございまして、やはりどこまで下げるかというのは、具体的目標を定めることが必要ではないかと思います。そういう意味で、審議会は一応一般的には土地利用価値に相応した適正な水準にまで地価を下げるべきだ、また住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅確保し得る地価水準まで下げるべきだ、こういう答申をしておるわけでございますけれども、この点について長官はどのようにお考えでございますか。
  209. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 土地政策審議会答申三つの目標を掲げてあります。一つ土地神話をなくすることです。二番目には適正な地価実現すること、三番目にはいわゆる土地利用について適正、合理的な土地利用確保する、この三つの目標に向かって十項目、具体的に出ております。これは御存じのように土地取引規制を含めてですが、この実現に向かって全力を尽くしてそのように持っていきたい、こう考えております。
  210. 平田米男

    ○平田(米)委員 そうしますと、政府としても地価の引き下げの目標を設定する、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  211. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、先ほど先生がおっしゃった土地政策審議会土地相応の利用とかあるいは一定の勤労者の方たちが住宅地確保する場合に一定の水準で確保できるようにする、このようなことを適正な地価と考えておって、その実現に全力を尽くしたいと思っております。
  212. 平田米男

    ○平田(米)委員 政府として地価の引き下げの目標を設定するというのは大変結構なことだと思います。ただ、その目標の設定にしましても、この答申でも、考えてみますと具体的なようで抽象的なわけでございまして、一般の商業地などは利用価値に相応した適正な水準というようなことで、ある程度具体性を持たせることができるかもしれませんけれども、住宅地についてはもう少し具体的な設定をしないと、非常にわかりにくいような気がするわけでございます。  その点について少し具体的にお伺いをしたいわけでございますけれども、この答申では「中堅勤労者が」と、まず人の基準を出しておりますね。それから「相応の負担」、その人の資力に対する相応の負担。だから資力をどう考えるかというのは、これは一つの基準になるわけでございます。そしてまた「一定水準の住宅確保」する、これは豊かさを実感できる住宅ということになるんだろうと思うのですけれども、それは一体何なのか。もう一つは、答申に出てないわけでございますけれども、これは住宅というのはそこでずっと働くわけじゃありませんで、勤労者の皆さんはそこからお勤めに出るわけでございますので、当然その通勤距離というものが問題になるわけでございます。これをどこからとるかということがいろいろ 議論があるかもしれませんが、しかし通常は都心から通勤時間どのくらい、こういうようなものをきちっと置かない限り、ほかの三つを並べてもやはり住宅問題を解決するための具体的な目標にはならないと私は思うのでございますけれども、まずこの四点を立てるべきだという点についてはいかがでございますか。
  213. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 いつも住宅の取得が可能な地価水準というのは具体的に問題になるわけですが、一応私どもは中堅勤労者の年収の五、六倍程度で持ち家ないしは賃貸住宅、マンションの場合もございますが、持ち家が持てる、そういうふうなことが年々のローンの返済等を考えて負担限界かなというふうに思っております。一定水準の住宅というのは、いろいろとり方はありますが、一応住宅政策でも誘導居住水準というふうなものを目標にして努力しておられるわけですから、少なくとも戸建てでは百二十三平米でございましたか、中高層住宅では九十くらいの水準を目標に地価水準を実現していく、そういうことかなと考えております。
  214. 平田米男

    ○平田(米)委員 お伺いしたいのは、通勤時間というものが一つ要素になってくるわけでございますけれども、それは見合うものは遠くへ行けば今でも手に入るのでございますので、まさにそこが一番重要なわけでございまして、働く場からどれだけ離れたところにそういうものが取得できるような目標を設定するのか。
  215. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 通常、現在首都圏で供給されております住宅も五十キロ圏前後が多いのだろうと思います。そういう中で、できるだけ通勤時間を短縮しながら供給し得るような方策というのが一番望ましいのじゃないかというふうに考えております。例えば、常磐新線等ができますと五十キロ圏程度でも一時間ぐらいで、一時間そこそこで通勤可能じゃないかというふうに考えておりますが、通勤時間の要素も非常に重要な要素だというふうに考えております。
  216. 平田米男

    ○平田(米)委員 距離ではなかなか、おっしゃったとおり交通機関の便利さによって違うわけでございますので、基準としては不適切ではないかと思うのですが、今局長がおっしゃった一時間というものが大きな目安になる、このように理解してよろしいわけですね。
  217. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 我々土地対策を担当する者として、そういうところで適切な地価水準の実現を図っていきたいということであります。今後、この答申をさらに各省庁で具体化していただき、政府として目標を定め、具体の施策を推進していくことになろうと思いますので、またそちらの方でも私どもの考えに近いところで詰めていただければ、我々も大変幸いだと思っております。
  218. 平田米男

    ○平田(米)委員 では、次の質問に移ります。  新総合土地対策要綱が、当初は十二月二十日ごろに決定をする、そういう予定であったというふうに伺っておりますが、それが何か一カ月ほどおくれるということだそうでございますが、土地政策審議会答申は当初よりも大分予定が早まって出された。それにもかかわらず新要綱の方が予定よりもおくれる。これは非常に不可解なわけですが、この辺はどういう状況になっているのでしょうか。
  219. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 土地政策審議会から十月二十九日に新しい答申をいただきまして、この答申を、去る十一月二日に開催しました第十四回土地対策関係閣僚会議における取りまとめを踏まえまして、土地政策審議会答申具体化を図るための作業を行っております。策定の時期については当初、年内を目標としていたわけでございます。しかし、税制改正に係る事項あるいは平成三年度予算案に関連する対策あるいは制度、そういった事項をできるだけ盛り込んだ方がより一層内容が充実するのではないか、そういうふうな考えもございまして、これらの関連事項のスケジュールとの関係から年明けに策定することにしております。  策定予定の具体的な内容につきましては、現在検討中でございますが、審議会の答申で提言を受けた事項が核になるわけでございますが、できるだけそれらの事項で具体化できるものは具体的に書き込みたい。また、昭和六十三年に閣議決定しました「総合土地対策要綱」、これに盛り込まれております事項で引き続き推進すべき事項についても、この新しい対策にも取り込んでいきたい、そういう方針のもとに現在作業を進めておるところでございます。
  220. 平田米男

    ○平田(米)委員 次の質問に移りますが、委員長、このグラフを示して質問をしたいと思います。
  221. 野呂田芳成

    野呂田委員長 はい、どうぞ。
  222. 平田米男

    ○平田(米)委員 長官とそれから大蔵省、両方にちょっとお伺いをしたいのですけれども、これは私がつくりました折れ線グラフなんですが、これは固定資産の価格の概要調書に基づいて作成をいたしました。東京都における個人所有土地の比率を、地積、面積、これは黒の実線で示してございます。それから評価額、これは赤の実線で示しているものでございますけれども、これは見ていただいたとおり、東京都の土地が、面積でもそれから固定資産税の評価額でもどんどん個人所有のものが下がっておるわけでございまして、下がっておるということは反対に法人所有がふえておる、こういうものを示しておるわけでございます。グラフにすると非常にわかりやすいのでつくってまいったわけでございます。見ていただいたとおり、昭和六十一年以降急激に下がっております。しかも、地積の下降よりも評価額の下降の方が激しいわけでございます。ということは、地価の高い土地がどんどん法人所有になっている、こういうことをまた示しているわけでございますけれども、このような土地の移転の状況について大臣、どのような御感想をお持ちでございましょうか。
  223. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えしますと、たしか土地取引の中で、かつて十年ほど前は法人所有は一〇%ぐらいだったと思います。ところが、六十三年でございますか、そのころは、東京都内におきましても土地取引で法人に移動しておるのが四十数%ということでございまして、異常に法人が土地を買っている。これは、率直に言いますと、日本経済がよくなりますと企業がよくなる。よくなって金余り現象で、企業がいわゆる低・未利用地といいますか利用目的のない土地を買っておった、その結果そういうふうになった、このように理解しております。
  224. 平田米男

    ○平田(米)委員 確かに融資が緩くなったということもあるわけでございますが、その一つの原因として、先ほども午前中の答弁の中で大臣が、個人と法人の土地所有に対する税の不公平があるのだ、こういうふうにおっしゃっていましたが、こういう土地の移転についても、やはり大きな原因としてそれが考えられるのではないかというふうに私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  225. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 御指摘のとおりだと私も考えております。
  226. 平田米男

    ○平田(米)委員 今法人と個人の土地の所有に対する不公平税制というのはいろいろ挙げられるかと思いますが、そこで一番大きなものと言われるのが、個人の場合は相続税があって、そしてまあ三十年に一回は多額な相続税を払わなければならない、そのために不動産の処分もせざるを得ない、だから無用な不動産を持っていても仕方がないんだ、こういう意思が働くわけでございます。確かに法人には死亡ということがありませんので、相続などということは考えられないわけでございますが、しかし税の公平という観点からするならば、個人が相続税を負担する、形は別かもしれませんけれども、同様な負担を法人がしなければ個人と平等じゃないということになるわけです。公平じゃないということになるわけでございまして、この点が一つ大きく言われることではないかと思うのです。  午前中の答弁の中で、大臣は新土地保有税、自民党の案に対してよくできているのではないか。個人と法人の税負担が不公平だとおっしゃりなが ら、新土地保有税がよくできている。私は、ちょっとおっしゃっていることに矛盾があるのではないかと思うわけでありますが、今回は、新土地保有税は法人に限っていないわけでございまして、個人にもかけられます。ということは、現在の個人にだけ相続税がかかっている、その税負担が何も是正されることにならないということでございますね。そういう意味で、新土地保有税は不公平税制の改善にならないということ。同時に、新土地保有税の場合に、課税された税金は、法人の場合は損金算入できるわけでございます。ということは、個人よりも実質的に負担が低くなる。そういう意味で、不公平税制を生ずることになるのではないか。  そういう点についてはいかがお考えでございますか。
  227. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに先生御指摘のとおり、法人と個人を比べますと、相続税負担あるいは借入金の損金算入のできる点等考えましても、法人の方が有利だと思っております。  ただ、今回の自民党税制改革案におきましても、恐らく、非課税あるいは課税最低限等の要素を考えますと、現実に課税対象になるのは大部分比較的大土地所有の法人に限定されるんじゃないか、そういうふうな見方を私はしているわけですが、そういう意味で、大企業に対するそういった不公平是正という観点からは新保有税はかなり機能するんじゃないか、そういうふうに認識しておるわけです。
  228. 平田米男

    ○平田(米)委員 時間がありませんので、大蔵省の御意見をお聞かせいただけますか。
  229. 増原義剛

    ○増原説明員 御指摘の点でございますが、自由民主党の土地税制改革大綱に示されております土地保有税でございますけれども、御承知のとおり土地基本法に示された土地の公共性という意味を踏まえまして、土地に対する諸問題の根源的なあるいは構造的な要因となっている土地選好を弱めるために、土地資産の価値に応じまして新たな負担を求めるということで創設をされようということだと思います。この土地保有税の場合は資産価値に着目をしているわけでございまして、基本的には個人、法人の区別はないわけでございます。  御指摘の損金算入の話でございますが、もちろん法人税の課税所得の計算上損金に算入されるということでございますが、これは個人事業者の場合であっても、かなり大規模になると思いますが、その事業所得とか不動産所得の場合には損金算入になるわけでございまして、特に法人が有利というわけではないと思います。それから、先ほど国土庁の方からお話ございましたように、新土地保有税は、居住用地は原則として非課税とされております。したがいまして、これでもうかなりの個人の方々が落ちるということになると思いますし、またその小規模事業用地等に配慮しまして課税最低限が設けられておりますことから、新税の課税の対象は、一定の資産規模以上の事業用地を持っておられる企業、とりわけ法人を中心とした税制になるものと思われます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、現在政府税制調査会で御審議をいただいているところでございまして、その結論を踏まえまして今国会に法案を提出をして御審議をいただきたいと思っております。
  230. 平田米男

    ○平田(米)委員 実質、法人しかかからない——かからないというのはちょっと言い過ぎなのかもしれませんが、ほとんどが法人ではないかという御答弁。しかし、法人に限るんだったら法人だけに対象を絞ればいいわけでございまして、何も課税限度額で基準をつくるのではなくて。これは当初国土庁もおっしゃっていたわけですよ、法人に土地保有税をかけたいと。大変的を得た議論だ、提案だと私も思っておったわけでございます。やはり日本の国家というのは国民で成り立っているわけでございまして、法人というのは経済活動あるいはその他の活動の中で道具としては大変価値のあるものでございまして、社会の中で実存しそして大変な影響力を持っているわけでございますが、しかし国家の基盤は国民なわけでございまして、国民一人一人を基準に考えていくならば、一番大事にされなければならないのは個人ではないかと思うのです。それにもかかわらず現在の税制が、土地だけに限らない、いろいろなところであるわけでございますけれども、個人と法人との間に極めて大きな不公平がある。これを放置して、単に資産を持っているから税金をかけますよ。じゃ今回の土地高騰の中で一番元凶となって動いたのはどこなのか、個人なのか法人なのかとすれば、一〇〇%法人と言っても過言ではないと思うのです。それを没却して、じゃ資産を持っているからみんな平等にかけます、これでは土地暴騰の原因が何かと究明をして、それに対する土地対策をしようという決意が、姿勢が欠けていると言われてもやむを得ないのではないかな、こんなふうに私は思うわけであります。  土地の所有だけではなくていろいろな面で、個人すなわち国民は法人よりも冷遇されているわけでございまして、やはりこれは大転換しないと、本当に今言われたように企業だけは豊かになる、すなわち法人だけは豊かになる、しかしそのために汗水垂らして一生懸命働いておる国民は一向に生活が豊かにならない、少なくとも実感できない、こういう社会状況というのは変わらないと思います。そういう意味で、大臣初め大蔵省ももう一度真剣にお考えをいただきたい、そのように申し上げて私の質問を終わります。
  231. 野呂田芳成

  232. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今、多くの国民が政府土地政策を大変厳しい目で見ているというふうに私は思います。大変な大都市中心地価高騰で、東京都心では事務所ビルラッシュといいますか、それで住民が次々に追い出されるという状況がありますし、東京の東部とか周辺の区部でも、私の地元の足立で見ていましても、アパートの建てかえとかまた借家、これをマンションにかえていくといったことで、いろいろ住民の方が影響を受ける。特にお年寄りの方は、もう一たんアパートから出てくれと言われますと、周旋屋に行きましてもなかなか相談にも乗ってもらえない、本当に深刻な状況になってきているわけですね。それだけに政府がどういう土地住宅対策、これを進めるかと大変注目もし、厳しい目でも見ているという状況だというふうに思います。  そういう中で、十月末にも先ほどから議論になってますように土地政策審議会答申政府税調の答申が出ました。ところが、国土庁長官は、土地神話を打ち破らなきゃならぬということを、これまで当委員会の答弁でも繰り返しおっしゃってこられたわけですが、そういういわゆる土地神話を崩す、なくしていく重要なかぎの一つだということで言われました、強調された新土地保有税、これにつきまして政府税調が出て、そして今度は自民党税調の方で、言われているように大幅ないわゆる骨抜きが行われたということがありまして、こういうことから、若干の期待を持って見ていた多くの国民の皆さんも、どうもこれは違うぞ、財界、大企業からいろいろ意見があるというような報道もありますから、結局はそういうものにどうやら屈していっているんではないか。党税調の大綱でそうだし、あした政府税調ということだそうですが、そういうように、政府としても非常に後退した施策になっていくんではないかという不満といいますか批判、こういうことが今広がっていると私は思うのです。  こういう問題につきまして、かねがね土地神話の打破とかおっしゃってきた国土庁長官としては、そういう国民の批判、指摘にどうこたえられますか。まず最初に、その姿勢の問題としてお伺いしたい。
  233. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたしますが、実は土地神話をなくすということは、土地の資産というものの有利性を減殺する、そういうところでやはり個人と法人との税負担を公平にする、そういう形の中に土地有効利用を図るということで、そのためには譲渡それから取得、保有の段階で税負担を重くするというようなことが基本でございま す。そんなことで、今度の新土地保有税というのは二つ考え方がございまして、一つは、土地の保有コストを高めて国民の土地への選好を弱める、土地を欲しくなるのを弱める。それからもう一つは、今後二度と土地高騰しないような枠組みをつくりたい、こんなことでつくったわけでございます。  そんなことでございまして、私はこの新土地保有税を非常に高く評価します。というのは、やはり国税としてなかなか難しい問題がよくできたなということでございます。そんなことで、税率の問題についていろいろな御意見ございますけれども、実はこれは改正の税全体で見るべきだ、こう思っております。そんなことでございまして、企業の場合も、例えば前は赤字会社と合併して損金をカバーしていましたが、今度は分離課税になったとか、いろいろなようにしまして個人と法人との税負担の不公平を少なくするように努力している。その他いろいろな問題において、保有、譲渡それから取得についてもかなり税を強化しているというようなことでございまして、私はこの新しい自民党がつくった税制を高く評価しておる。そして、これでかなり土地神話は崩せる、このように考えておるわけでございます。
  234. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 新しい税は、仕組みだけでなくて税率とかいろいろな条件、これがまさに問題なので、その点については後ほどまたお伺いをしたいと思いますが、土地政策審議会答申では「現下の土地政策の最も重要な課題は、この異常な地価を勤労者が住宅確保しうる適正な水準にまで引き下げること」であるということを指摘している。このとおりだと思うのですね。いわゆる土地神話というのも、土地を持っていればこれは絶対に値下がりしない、いずれもうかるといいますか期待感、そういうものがあるわけですから、その土地神話を崩すということで言えば、地価を下げる、地価が下がっていかなければ神話は崩れないということだろうというふうに思うのですね。  ここでこういうことがうたわれているわけですが、ここで言われております「勤労者が住宅確保しうる適正な水準」というのについてどのようにお考えなのか。きょうの答弁でもありましたかね、年収の五倍とかというような御答弁があったようですが、金額にしますとどのくらいのことを考えておられるのかという問題ですね。それと、年収の五倍程度という、あるいは五、六倍というような言い方もあったかと思いますが、それがどうして適正な水準というふうに言えるのか、その点まずお聞きします。
  235. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 これは、お答えしますと大変難しいお答えになるわけでございます。  適正な地価というのをどう見るかということでございますが、中堅勤労者が相応の負担で持てる住まい、一戸建ての場合は常識的に百二十平米ぐらいでしょうか、マンションの場合九十平米くらい、これを一定水準の住宅と考えておりますが、ただこれは、地方におきましては、例えば私は選挙区は広島県で福山、尾道でございますが、福山で現在明王台という分譲地をやっておりますが、これは土地が六十坪ぐらいで、それから建坪は三十から三十五坪ぐらい、これで大体三千二百万から四千万の間でございます。そうしますと、実は福山地区の勤労者の平均所得は大体六百三十万ぐらいということでございまして、大体五、六倍で住まいが持てるようになっているということでございます。そんなことでございまして、特に東京におきましてもそのようなことで年収の五、六倍、ローンでいえば月収の二五%以内でしょう、この範囲内で住まいを持てるようになればその住まいの地価は適正な地価ではないか、私はこのように考えておるわけでございます。
  236. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 平均年収についてはもう七百万を超えているというようなこともありまして、五、六倍が適正かどうか私は疑問を持っておりますが、例えば今地方お話がありましたけれども、東京都内で考えますと年収の十倍以上ですか。都心部でといいますか、二十三区内で九十平米ですか、九十平米のマンションというと大変ですよ。これはもう億ションですね。だから、年収の十倍以上でなければ取得できないということになってくる。  そうしますと、この今の答弁からいいますと、やはり地価を現在の半分ぐらいにしなきゃならぬということになってくるというふうに思うのですが、そういう方向でやられようとする決意はおありなんでしょうか。
  237. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 実は、これにはやはり土地対策御存じのごとくに五項目ほどありまして、これを並行してやりながら、時間が三年から五年くらいかかると思っております。もう一つは、勤労者の人が所得もふえていきます。大体平均名目で五%ふえますと五年間で三七、八%ふえますね。三%の場合は大体二〇%ふえる。所得もふえる、地価も下がるということで、ちょうどそういうようにうまくいくんじゃないか、このように思っておりまして、二分の一近くというのでしょうか、そのぐらい下げれば給与所得者が年間所得の五、六倍で住まいが持てるようになるのじゃないか、このように考えて、その努力を全力を挙げてやるつもりでございます。
  238. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今おっしゃったのは、三年から五年でそういうふうにできるということですか。総合的にとおっしゃるけれども、例えば保有税についても、また後で質問しますけれども、その他いろいろ問題がありますね。そういうことを考えると、本当にそういう短期間で、今の施策の進め方でできるのかと私は非常に疑問に思っている。あるいは五年とおっしゃると、それは長官個人の御意見というか希望的観測というか、あるいは閣議その他で十分詰められたテンポなんでしょうか、その点を。
  239. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今の点につきましても、もちろん閣議で話したことはございませんけれども、皆さん方の理解とコンセンサスはそのぐらいでどうしてもやらなくてはいけないという決意でやっているということでございます。
  240. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、お気持ちはよしとしても、大変裏づけに乏しい。それならそれで本当に抜本的な、相当強力なことをやらないと、絵にかいたもちですよ。そう思うのですね。現状ここしばらくの間で不動産の倒産があるとか、一部で中古マンションの値下がりとか、そういうことも若干は知っておりますが、まだ本格的なものにはなってないです。ですから、そういうふうにおっしゃるなら、ふさわしい対策といいますか、そういうものをやっていただかなきゃならぬと思います。  幾つか個別のことで聞いていきますけれども、一つは大企業による投機的な土地買い占め、地上げ、こういったものが大きな要因だったわけですね。そういうことに関連して、この答申では「監視区域制度」のところですけれども、「仮需要等を土地市場から排除する需要選別機能をより一層強化する」、これが必要だということが強調されているわけですが、これまでどのようにこれをやってこられたか、またそれは実績がどう上がっておるのか、今後どうされようとしておるのか、そういう点についてお答えいただきたい。
  241. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 国土利用計画法に基づきます監視区域制度では、著しく適正を欠く価格に関して行政指導を加えることができるわけですが、それとともに、譲り受け人による土地利用目的を審査することによりまして、土地市場から不適切な需要の排除を図っております。現実には、土地利用計画に適合しない利用、また公共公益施設整備予定に照らし明らかに不適当である、そういった利用を勧告対象にしております。こういう機能を需要選別機能と呼んでおるわけですが、昨年の国土利用計画法の改正によりまして、このような需要選別機能に加えまして短期間転売を勧告対象とできるように改正をしたわけでございます。  そういうことで、漸次利用目的の規制を強化してきておるわけですが、答申ではさらにこの需要選別機能を強化すべしということでございます。 我々としましても、具体的な利用目的を有しない仮需要を土地市場からできるだけ排除していくことが特に地価の上昇過程では重要だと考えておりまして、その点につきましては、単に土地転がしのような短期間転売取引だけではなしに、当面利用目的のない、まあ投資的な保有といいますか、そういうものも勧告対象にできるような方向で、今後これらの各方面の御意見も聞きながら幅広に検討していかなければならないと思っておりますが、そういう方向検討していきたいと考えております。
  242. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いろいろな点で監視機能の強化が必要だと思います。  今回の八六年から始まった地価高騰は、大きな特徴としては事務所ビル需要といいますか、これを国土庁自体が過大な予測をしたというようなこともあったわけですが、これが住宅地を侵食していくといいますか、そういうことが一つ大きな要因になっていると思うのです。こういうことに関しましては、やはりこの答申で「土地利用の問題」というところで、基本的に市場メカニズムにゆだねられてきたことが「住宅競争力の弱い用途が排除される」、そういう結果を招いたというふうな指摘があるわけです。これも私は大事な指摘だと思うのですが、この指摘に立って、競争力の弱い住宅用、そういうものが排除されないようにしていくためにはやはり用途規制といいますか、いわゆる土地利用制度、計画、そういったものを相当見直していくことが必要だろうと思うのです。こういう点で長官はどういうふうにお考えか。これは建設省とも連携した施策が必要になってくると思うんですが、この指摘だけでなくて、こういう問題点を改善するためにどういう具体策を考えておられるか、その点をお聞きしたい。
  243. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおり、地域によりましては土地利用の錯綜とか競争力の弱い住居系商業系に駆逐されるといった問題が起こっておりますし、また大都市地域でも低・未利用地が相当存在するという問題がございます。そういう問題に対処するために、答申でも都市のビジョンとかマスタープランの充実、整備を図るとともに、用途地域制度の見直しとかあるいは地区計画制度の充実、積極的な活用、こういったことが当面特に重要であると指摘しておりますので、私どももそういう方向で現在努力しつつありますが、さらに具体化実効を上げていかなければならないと思っております。  なお、長期的な課題としては、さらに抜本的な土地利用計画制度のあり方についても、例えば立体的な用途規制のあり方とかあるいは土地利用強制的な面での私権制限、そういったものも含めて検討しろと言っておりますので、これは中長期的な課題と思いますが、そういう課題にも今後取り組んでいかなければならない、そういうふうに考えております。
  244. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 土地利用の問題といいますか、どういう都市にしていくのかという問題ではいろいろ意見がありますが、きょうは時間がありませんが、立体というようなことだけではなくて、本当に住宅地住宅地らしく保全していくといいますか、そういうところに商業ビルが入ってくるのは防ぐとか、いろいろな観点からのこれは検討、計画が必要だろうというふうに思つております。  それはまたの機会にしまして、大蔵省にお聞きしたいのですが、来ていただいていますね。今回の地価高騰金融政策に大きな原因があったということは、もうはっきりしていると思うんですね。日銀自身が反省の弁を語らざるを得ないというようなこともありました。ようやくことし三月に総量規制をやられた。この効果が上がっているというお話もありますが、この総量規制をやられた直後にたしか私も質問をいたしまして、総量規制といっても総量の伸び率の枠内ならよろしいという規制ですから、絶対値の規制ではないのですね。  それで、最近の資料でその点見ますと、金額ではことし三月末が残高が一番多かったと思うのですが、「全国銀行不動産業向け貸出残高」ですね。三月末が四十八兆七千億ということでありましたが、その後若干総量規制の効果もあって絶対額も減ってきておりましたが、九月末はやはりまた四十八兆一千億と最高水準に戻りつつあるといいますか、という状況があると思うのですね。ですから、必ずしもこれで総量規制が効果を上げてもうよろしいということではなかろうと私は思うんですが、その点どう考えておられるのかということが一点。  もう一点は、ノンバンクが、そのときも指摘をしたのですが、やはり抜け穴になっているという問題があるわけです。この問題で大蔵省としてどういう指導をしておられるのか。ノンバンク土地不動産融資はどの程度かという実態把握をしておられるかどうか、まずその点についてお聞きをしたい。
  245. 福田誠

    福田説明員 お答えいたします。  今先生御指摘のとおりの数字でございますが、金融機関融資につきましては、本来個別の金融機関の経営判断にゆだねられるべき事項でございますが、地価上昇問題が一段と強まっている中で、地価問題の重要性にかんがみまして、当面の措置として本年三月に通達を出しまして、今御指摘の不動産業向けの貸し出しに係る量的規制を実施したわけでございます。  その総量規制導入後の姿を見ますと、金融機関不動産業向け貸し出しは急速に伸びを低めておりまして、また最近一部で地価下落の動きが報じられるようになるなど、現在その効果が着実にと申しますか、ようやく浸透しつつあるのではないかと私どもは考えております。したがいまして、当面私どもとしては総量規制の効果を注意深く見守ってまいりたいというのが第一番目の答えでございます。  次に、ノンバンクが行う土地関連融資でございますが、これにつきましても、これまで資金供給者である金融機関を経由する間接的な方法で可能な限りその適正化を図るべく努めてまいったわけでございます。なお、ノンバンク土地関連融資に対しまして直接規制を行うことにつきましては、現行の貸金業規制法は消費者保護の観点からの規制を目的といたしておりまして、そのような要請に直接こたえることは現状では困難でございます。ただ、先般土地政策審議会答申におきましても、「いわゆるノンバンクたる貸金業者の土地関連融資についても、その実態を把握し、より実効ある指導を行えるような方策のあり方について検討すべきである。」との提言が行われておりますので、大蔵省としましては、貸金業界を所管する立場から、今般ノンバンクの自主的な協力を求めつつ貸付金の実態について直接調査をすることとしたところでございます。しかし、今そういうことで調査に取りかかったところでございますので、ノンバンクから先の不動産関連の融資がどれくらいあるかということは、まだ現在は把握しておりません。
  246. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 三十兆から四十兆とも言われておりますが、規制の新たな法整備というのは考えておられますか、その点だけ簡潔に。
  247. 福田誠

    福田説明員 お答えいたします。  ただいま若干法制面の問題点を触れさせていただきましたが、ノンバンクに対しまして直接的に指導を行うために、現行の貸金業規制法等の法的整備を行うことの適否につきましても検討してまいりたいと考えております。
  248. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ちょっと時間が五分になってしまったのですが、新土地保有税について、午前の同僚議員の質問に対して、私も〇・二%なら納税義務者は何人で、対象は何人で、税収見通しはどうかというのを各段階ごとに聞きたいと思ったのですが、全然答弁を拒否したわけですね。答弁しなかった。これは、全く私は遺憾なことだということを言っておきたいと思うのですね。当然大蔵省がそんなのははじき出してないわけないのですよ。もしはじき出してないとしたら、怠慢この上ないということだろうと思うのですね。だからやはりこういう問題では、国民的関心事ですし、国政の重大問題ですから、別に自民党案の何とかか んとかではなくて、まさに数字の問題で〇・二ならどう、〇・五ならどうというようなものは、当然答弁を用意してしかるべきだということを指摘しておきたいと思います。  それで、やはり私は新土地保有税最大の問題点は土地ころがし、これでぼろもうけをした大企業、これに対する非常に甘いことになってきたという点であります。具体的に一、二申し上げますと、当初一%ということが言われておりました。新日鉄の場合でいいますと、一%の課税だと約三百億の税負担ということだったのですが、これが〇・二%になりますと三十億、損金算入で十五億、こういうふうにうんと、二十分の一になるわけですね、一%から比べますと。経常利益はことしの三月期決算で二千億円ですから、これではほとんど痛みを感じないといいますか、専門家の方も、これではもう痛みを感じないし、いわゆる地価を下げる実効はないというふうに言っている方が圧倒的なのです。これでは長官の言うようなそういう対策にはなり得ない。  もう一例を挙げておきますと、三井物産の場合で私どもで計算しました。一%で三十億、それが〇・二%だとすると五億で、損金算入で二億五千万。経常利益が六百五十億ですから、ほんのわずかな負担にしかならない、かすり傷程度にもならぬというようなことだと思うのです。ですから、やはりこういうことではなくて、しかるべき課税をしていくという方向でなければならぬというふうに思うのです。この点はどうお考えでしょうか。
  249. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先ほど来の繰り返しの部分が多くなってあるいは失礼いたしますが、地価対策土地税制だけでは十分な対応ができないということは、先生もよく御存じのとおりだと思います。金融もありますし取引規制もございます。また、供給有効利用促進策、さらには土地利用計画の詳細化、そういう総合的な対策の中で対応していかなければならないと思っております。  また、税制につきましても、新保有税だけではなしに、固定資産税についても来年、三年に一度の見直しで相当の強化が予想されております。また、譲渡益課税につきましても強化されておりますし、先ほど来の特別土地保有税あるいは事業資産の買いかえ特例についても相応の見直しを行う。そういう中で、土地の資産としての有利性が相当減殺されていく、また供給有効利用促進される方向に動く、そういうふうに我々見ておりまして、地価引き下げの機能につきましても、そういった税制総合見直しの中で相当機能していくのではないか。  また、伝え聞くところによりますと、この新保有税も五年ぐらいの期間を限って地価の動向等を見ながら見直すというふうな話も聞いておりますので、そういう中で適切に対応していかなければならないのではないか、そういうふうに考えておる次第であります。
  250. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 総合的にとか、いろいろそういうことになるとそういう答弁になるのですが、そうではなくて、新たな土地保有税というのが地価抑制、切り下げの上で非常に大事だということでこの間議論をしてきたわけでしょう。それについて私は申し上げているので、総合的にということで済むものではないのです。  もう時間が参りましたので終わるようにしますけれども、一%だと非常に経済活動に障害を来すというような議論もあったようですが、私はそんなことはとてもないと思うのです。〇・二%で二、三千億でしょう、今言われている議論は。これは一%として一兆というようなことが言われていました。これは毎年掛けるからボディーブローのように効いてくるんだという話がありますが、今の〇・二では効きませんよ。一%で効かせても十年で十数兆ですね。含み益は今どれほどあるか。これは国土庁の方が書かれたジュリストの論文ですが、六十一年が約二百八十兆だったのが六十三年で四百三十兆、大企業の含み益です。これはまさに地価高騰で生じたあぶくですよ。これに対して当然正当な課税をしていくということが必要だし、国土庁も狭く厚くといいますか、大企業の未利用地の実態調査などをされて、そういう方向に意向があるかのようなことを言っておられた時期もあるのです。そういうことからいっても、今回のあのようなことでは相ならぬということを強く申し上げて、質問を終わることにします。
  251. 野呂田芳成

    野呂田委員長 伊藤英成君。
  252. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今土地の問題というのは本当に大変な状況にあるな、しかもそれは、ただ土地高騰している、価格高騰しているということだけではなくて、今の状況のもとにまじめに働く人がいなくなってしまうのではないかというぐらいの状況だと思うのですね。そういう意味で、この土地の価額の問題について深刻に考えているわけであります。そういう視点からこの問題について幾つか質問をさせていただきたい、このように思います。  まず最初に、政府税調及び自民党の税調で、土地税制の見直しがこの土地対策の有力な手段として出されているわけでありますが、政府土地税制の見直しでサラリーマンが家を持てるようになるのだろうかな。したがって、どの程度土地の価額が下がるのか、いつごろサラリーマンが家を持てるようになるのか、その辺のことについて政府のシナリオというのでしょうかね、これをまずお聞きしたいと思います。
  253. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 国会の御質問に答えて総理あるいは国土庁長官からたびたびお答えしておりますのは、やはり大都市地域において都市勤労者が相応の負担で一定水準の住宅が持てる地価だということで、具体的には年収の五、六倍、望ましいのは四倍というような説もありますけれども、現況から考えますと五、六倍程度で適当な通勤時間圏内に持てるような状況をつくり出すことだというふうに答弁を繰り返ししてきておられます。  政府で正式に決定したものでそういったものをまとめたものはございませんけれども、今回の土地政策審議会答申におきまして、そういった趣旨の政策目標を掲げるべし、そういうふうな御提言をいただいておりますので、今後これをさらに詰めて政府対策として固めていきたいというふうに考えております。おおむねそういうふうな考えで今まで対応してきておりますし、さらにそれを強化していこうという方向ではないかというふうに理解しております。
  254. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の件で、大蔵省は動きありますか。
  255. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  政府税制調査会におきまして、御指摘のような地価引き下げの目標であるとか、あるいは平均的なサラリーマンがいつになったら住宅地を取得できるのかといったような点について、どのような議論をされたかという点でございますが、御承知のとおり政府税調におきましては、さきの基本答申に示されておりますように、公平で活力ある経済社会を維持していくために、中長期的な視点に立ちまして地価の異常な高騰の発生を抑止し得るような政策体系、これを確立する必要があるという観点から、土地基本法の趣旨にのっとりまして各種の施策が総合的、体系的に推進されなければならないという点も指摘しているところでございます。  その中にございまして土地税制、もちろん重要でございますが、これにつきましての視点として二つほど指摘されております。土地に関する税負担の適正、公平の確保という観点と、土地政策の一環としての税制というものでございます。それは、要すれば土地の資産としての有利性の縮減という点にあろうかと思われます。こうした土地税制でございますが、これが強化されれば土地の有利性が縮減されるわけでございます。これは、保有、譲渡、取得それぞれの段階でいろいろな措置が講じられればその有利性が縮減されるわけでございますが、そうなれば土地の収益率が落ちますので、地価の低下、抑制という効果を持つことはもちろんでございますが、御指摘のような税制のみによって地価がどの程度下がるか、あるいはその結果いつごろ平均的なサラリーマンが住宅を取得できるかといったような点につきましては、特にそういった個々の観点からは議論されてないわけでございます。  いずれにしましても、今現在、政府の税調でいろいろ議論されております。それを踏まえまして、今国会中にその具体的な法案を出しまして御検討いただこうと思っております。
  256. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今回の土地保有税の問題について伺いますけれども、この土地保有税の創設を検討しているわけでありますけれども、先日明らかにされた自民党の案で考えますと、税率は〇・三%ですね。基礎控除も平米当たり三万円、または大企業で十億円あるいは中小企業で十五億円という状況であります。それで、この状況政府は税調の答申土地保有に対する税負担を適正な水準に引き上げるというふうにしているのですが、今回の状況を見て、この土地問題の小委員長であった石教授も、この問題について非常に批判をしておられますね。新税で適正な水準と言えるのか、あるいはこの自民党案でどのくらい地価は下がるというふうに考えておられますか。
  257. 増原義剛

    ○増原説明員 お答え申し上げます。  政府税調の方で、先ほど申し上げましたように土地の資産としての有利性を縮減する観点から、その保有、取得、譲渡それぞれについてその適正化を図るべきである、税制面の適正化を図るべきであるという指摘があったわけでございます。特に保有につきましては、いわゆる国税としての新しい土地保有税の導入も御指摘いただいているところでございます。  そういった各般の施策によりまして、一体地価がどの程度下がるかということにつきましては、それぞれの土地状況に応じ、また景気や金融動向等によりましていろいろ地価というものが決まっておるものですから、具体的に幾ら下がるかという定量的なことはなかなか申し上げることは難しいと思います。加えて、税制面のみならず金融政策あるいはその他の土地政策全般を踏まえまして、先ほど国土庁から御指摘ございましたように土地対策というものはなされていくべきであろうということも、あわせて政府税調の方でも指摘されているわけでございます。  ただ、税制面から見ますと、この新土地保有税だけではなくて、いわゆる新土地保有税が毎年課される税であるということと、それからまた基礎控除などによりましてかなりスリムな税制になりますけれども、いわゆる土地保有では相当のウエートを占めていらっしゃる大規模土地保有者に適切な負担を求めるものであること、加えて、先ほども国土庁からございましたように、いわゆる固定資産税の方につきましてもその適正化均衡化があわせ行われることになっております。そういう意味で、その土地保有に対するコスト、これは相当程度増大するものではないかというふうに思います。そういうことから、地価の低下、抑制につきまして相応の効果はあるものというふうに考えております。  さらに、具体的にそのほかの措置について申し上げますと、いわゆる固定資産税の評価の……(伊藤(英)委員地価が下がるかどうか」と呼ぶ)はい。地価の低下、抑制には私どもは効果あるもの、そういうふうに思っております。  加えて、これはさきの予算委員会でも大蔵大臣が申し上げましたように、今回の土地保有税の導入を通じまして、土地の保有についての認識、保有コストの認識につきまして国民の皆様方の中にいろいろ認識を持っていただいたということも、あわせてそういったものに資するのではないかというふうに考えております。
  258. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私は、地価は下がらないと思うのですね、少なくともこの税制で。ほかの施策はもちろんしなければいけませんよ。この税制の面だけで考えたときに、これは下がらないだろうなと私は思うのですよ。だからこそつい二、三日前の新聞にも、今回の案を見て不動産業界は息をついた、これで地価が下げどまるめどがついたというふうに、不動産業界がほっとしているという話が載っております。今現在、ちょうど地価はやや鎮静化しているというのでしょうか、そういう状況になってきていると思うのです。これは実は金融面での引き締めと、もう一つは、いろいろなことを国も施策としてやるだろう、したがっていわゆる土地神話なるものはこれから消えていくのじゃないかという予想があって今のような状況になっていると思うのですね。ところがこの案を見て、ありゃりゃそうでもないなと思って、ほっとしているということじゃありませんか。
  259. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたしますが、実は今度の新土地保有税につきましては、再々同じような答弁をして申しわけありませんが、二つのことがねらいでございます。一つは、土地の保有コストを高くする、そういうことの中で国民の土地に対する選好を弱めるということが一つと、それからもう一つは、今後二度と再び土地が値上がりしないような制度的枠組みをつくるということが二つの点でございます。  そんなことでございまして、最初ちょっと国土庁の考えと若干は違ってきたわけでございますが、つい最近土地、マンションの成約状況を見ておりまして、例えばマンションも大体三割ぐらい下がっております。そんなことで成約も六〇%ぐらいということは、逆に将来マンションはもっと下がるんじゃないか。また土地が、実は地価の値上がりが低く、というのは一けたになりまして、今やや下落の方向に向かっております。これは金融等の措置によるわけです。そんなことでございまして、国民が新土地保有税で、あっこれは土地が下がるんだ、こんな気持ちがそうさせているということでございます。  それからもう一つは、地価につきましては、実は税は土地対策の重要な役割の一つでございますが、決め手ではございません。そんなことでございますが、私は、この新土地保有税というものはそういうような心理的効果と、またいろいろな点を含めましてやはりかなり効果がある、このように考えているわけでございます。
  260. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今私が申し上げたのは、今長官が言われたような心理的効果があってこうなってきたと思うのです。その心理的効果が、今回の自民党案を見てあっという間に薄れていくのではないか。だから、この間テレビでやっておりましたよ、いつになったら今度上がってくるかと。いつになったら上がるだろうかという話をテレビでもう放映するという状況ですよ。だから今回の問題は、この新土地保有税なるものは、せっかくやるにしては本当に意味のあるものになるのかということになると思うのです。  そこで、今回のこの案で、伝えられるところによりますと、納税義務者なる者が会社も含めて五万人前後というふうに言われたりいたしますね。そうしますと、非常に偏った税になると私は思うのですね。例えば、これは非常に多くが大企業の製造業、そういうところに偏ってしまう。そうすると、そういうところは今回この法律によって土地を放出することになるのだろうかというと、余りそういう効果はなくて、結局はそこのいわばコストアップになって製品の価格がアップするということだけになってしまうんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  261. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに今回の自民党案では対象範囲が相当限定されておりますので、巷間五万社程度が課税対象というふうなことが言われております。ただ、課税最低限その他いろいろ考えますと相当地価の高いあるいは地価上昇率の高かった地域で大土地保有をしておられる個人なり法人に課税されるということですから、それだけ地価高騰とかあるいは土地の資産保有に対するプレッシャーとして相当の役割を果たすのじゃないか、そういうふうに私どもは期待しておるわけであります。
  262. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 再確認いたしますが、今五万社と言われましたか、そういうふうに言われたりします。そのうちで、法人と個人との割合は大体どのくらいだと思われますか。
  263. 増原義剛

    ○増原説明員 自民党の土地税制改革大綱にございます案でいった場合にどの程度の納税者になるかということにつきまして、今政府の方としまして確たることを申し上げる立場にないのでございますが、先般うちの大臣が予算委員会で、ざくっ としたところ、大ざっぱに申し上げて五万人程度ではないかというふうに申し上げましたけれども、その中で、例えば法人と個人がどの程度になるかということにつきましては、実はまだそこまでは詰めたことは分析はできておりません。あくまでもざくっとしたところでございますものですから、その点御了承いただきたいと思います。  それから、あと物価への影響でございますけれども、いわゆる転嫁問題でございますが、いわゆる当該土地保有にかかるコストがどの程度転嫁されるかということにつきましては、それぞれの企業で提供されております財サービスの個別の具体的な市場の需給関係、あるいはその市場が競争的であるかないか等によりまして、いろいろ変わってくるのだろうと思います。  例えば、輸入品がすぐにあるとか、あるいは地価の安いところに競争的な企業があるとかという場合であれば、これはなかなか転嫁はしにくいであろうと思われます。また一方で、ウエーティングリストがあるようなそういうオフィス事情がありまして、ウエーティングリストがあるような、いわゆる超過需要があるようなところは、これは転嫁しやすいであろうということが言えると思います。  ただ、いずれにしましても……
  264. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ちょっと、いいです。法人と個人の割合もわかりませんと言っているところが、今のような説明は通じますか。冗談じゃありませんよ。そんな、数字もわからなくて輸入品がどうのあれがどうの、そんなこと関係ない。  そんなこと言っているのじゃなくて、その税がかかるところで生産されるものはどうなるか考えれば、先ほど私が言ったとおりでしょう。余分なことを言わなくていいですよ。
  265. 野呂田芳成

    野呂田委員長 簡潔に答弁お願いします。
  266. 増原義剛

    ○増原説明員 具体的に新しい土地保有税を負担される企業の場合でございますが、先ほど申し上げましたように、当該企業が提供されている、生産されている財サービスの個々のマーケットの状況によって、それぞれその転嫁が行われるかどうかということがいろいろ検討されて行われてくるのだろうと思います。ですから、場合によっては転嫁されるところもあれば、ないところもあると思われます。
  267. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 あと説明しなくてもいいです。いいけれども、市場の需給価格によって決まる云々という話は別の問題であります。この税によってその価格にどういう影響を与えるかというその増分、変化分の問題について話をしているわけです。きょうはいいですが、それはちゃんと正確に答弁をしていただきたいと思います。  ちょっと長官に伺いますけれども、実は私は今回、余りデータもいろいろないみたいでありますから細かくは論述できませんけれども、何といったってこの土地保有税の納税者がざっと五万人くらい、しかも多くが会社なんです。多くが大企業、しかも製造業がかなり多いだろう。そういうふうに非常に偏っている。あるいは先ほど申し上げたように、そういうふうに考えれば、この部分について言えば実際にはインフレ的ですよという話になってくる。したがって、地価引き下げの効果というのは極めて少ないと思わなければなりません。私は、今回の新土地保有税はもう一回全部やり直したらどうか、いわばこんなにいいかげんな新税をつくることはない、こういうふうに思っているのですが、長官としてどうですか。
  268. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は、私はちょっと先生と見解が違うのでございます。というのは、私はやはり新土地保有税というのができたところに大変な意義があるということ。それからもう一つは、今度の場合やはり土地神話をなくするということで、取得、譲渡、保有について強化しております。また法人に対して、個人と法人との税負担の公平を図るべきいろいろな施策を講じているところでございまして、つまり私は、もちろん税だけではございませんが、その他の諸施策が総合的に機能すれば、実はかなりの効果がある、このように考えているわけでございます。
  269. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 土地融資金融機関融資の問題について伺いますけれども、私は、今回の土地高騰という問題について金融機関の果たした役割といいましょうか、そういうものは非常に重大だったのではないかな、こういうふうに思うのです。  だからこそ土地白書でもあるいは土地政策審議会でも、その辺のことについて述べられたりしていると思うのですが、まず大蔵省は、今まで実施してきた事項について、これは簡単で結構ですが、どういうふうに評価をしておられますか。
  270. 西村吉正

    ○西村政府委員 地価高騰金融の関係につきましては、いろいろな議論がなされておりまして、私どもも真剣に受けとめておるわけでございます。私どもといたしましても、いろいろな方策を全力を尽くしてきたつもりでございますが、その施策の成果もありまして、最近では土地融資も鎮静化してきておると理解しておるところでございます。
  271. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私は、金融機関のビヘービアというのは最近は感心しないなというふうに思っているのですね。これは何も私だけではなくて、今ここに、日経連の会長で今度の第三次行革審の会長であります鈴木さんが銀行の経営の問題について言及をされております。私が知るだけでも、去年ぐらいからでも何度もあったりいたしました。これは金融だけの問題ではありませんが、例えば就職協定の問題かどうかとか、労働条件等の問題についても、賃金その他そういうような問題についても、銀行のやり方についていろいろと、経営者としてあるべき姿かどうかということで言及をされたりしております。もちろんこの土地の問題についても、例えばこの新聞にちょうど出ておりますけれども、「過剰流動性を都市周辺の土地につぎ込み、地価上昇の土台を作ってしまった。行政の保護を受けながら、一方で自由競争の名の下、社会秩序を壊すような行動は見逃しがたい。」という話をされております。  私は、銀行あるいはさっきちょっと話が出ましたノンバンクにしても、この金融機関のビヘービアは本当にいいのだろうかと考えたときに、大蔵省のその責任は大きいと思うのですよ。そういう意味で、これから具体的にどうしようとするのか。これは特に私は、日本がこれから十年間かかって四百三十兆円という公共投資をやろうとしていますね。そういうふうに考えると、この辺の問題について特に銀行のこういう土地融資に対する法規制というようなものを考えなくていいのか、それからいわゆるノンバンクと言われるところについて具体的にアクションをとらなくていいのかということについて、極めて重大に考えなければならぬ。特に、これは金融機関ということを考えますと、日本の経済を健全に保つためには、逆に言えば金融機関の行動がそれこそ健全であってもらわないと困る。そういう意味では、しかるべき規制等はちゃんとタイムリーにしなければならぬと思うのですが、今後どういうふうにされるつもりですか。
  272. 西村吉正

    ○西村政府委員 先生御指摘のように、金融機関はその公共性にかんがみまして、社会的な責任を自覚した業務運営を行っていく責務を負っておるわけでございます。私どもも、そういう金融機関社会的責務にふさわしい行動をとってもらうよう、十分注意をしていきたいと思います。  ただ、私ども常々悩んでおりますのは、これは銀行法の第一条にも規定されておるところでございますが、一方において金融機関に公共性というものを求めなければいけないわけですが、他方において金融機関の経営の自主性というものも認めていかなければならない。これは、金融自由化を進めていく上でそういう配慮もしていかなければならないわけでございます。常々私ども金融行政をやっていく上で、この公共性と自主性というもののどの辺で調和をとっていったらいいのか、十分考えて対処していきたいと存じております。
  273. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 これから具体的にどうされるのですか。
  274. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のような点、二度と地価高騰金融が手をかさないようないろいろな方策、このためには現在行っております総量規制というようなものをタイミングを失することなく発動していくというようなこともございましょうし、御指摘のいわゆるノンバンク等、いわば金融の抜け穴というような点についてのいろいろな施策も考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  275. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 いろいろな施策というのは具体的にどういうことを考えるのですか。要するに、私は今回の土地高騰の問題についても、大蔵省は全部やることが遅過ぎると思うのです、後追い。だから、いろいろなことを考えます、あるいは調べてからやります。もちろん調べなければいけませんけれども、遅過ぎると思うのです。そういう意味で、今せっかくこういう状況になったのだから、具体的に何をどういう形で検討するのか、何をするのか、いかがですか。
  276. 西村吉正

    ○西村政府委員 その点について私ども今検討中でありますが、具体的な方向といたしましては、ただいまも申しましたように、いわゆるトリガー方式と申しますか、総量規制等をタイミングを失することなく発動できるような仕組みを考えていくとか、あるいはノンバンクにつきまして、まずともかく実態を究明することが先決でございますので、先日もその実態調査のための要請をしたところでございます。
  277. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 このノンバンクの問題については、聞きますとノンバンク研究会というのを持っておられるそうですが、この研究会は何をして、これから今議論をしたようなノンバンク金融機関として大蔵省が扱うのに貢献する機関でありますか。
  278. 西村吉正

    ○西村政府委員 ノンバンク研究会は、とりあえずは銀行局長の私的な諮問機関といたしましてまず実態を解明するということで、ノンバンクの実態解明に力を注ぐという目的のために設けられたものでございますが、その実態究明等成果が上がりました時点で、それを具体的にどう生かしていくか、真剣に検討してまいりたいと思っております。
  279. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 時間が参りましたけれども、最後に一つだけ長官に。  それこそ土地の問題については、土地保有税あるいは譲渡益課税等々、これから本格的に議論をするわけです。したがって、土地価格をこれから本当に引き下げるのか、そのためにどういうふうに取り組んでいくのか、その辺の決意をお伺いをして、質問を終わります。
  280. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生の御指摘のとおり、この間の土地政策審議会三つの目標を掲げました。第一番は土地神話の打破、二番目には適正な地価実現、三番目には土地利用の適正、合理的な実現確保する。この三つの目標に向かって、土地取引規制を含めて十項目ございますが、これに全力を挙げて取り組んでまいりたい。そして三ないし五年以内に、基本的に中堅勤労者が年間給与所得の五、六倍で一定の水準の住まいの持てるようにいたしたい、こんなことで頑張りたいと思いますので、何とぞ御理解と御後援を心からお願いする次第でございます。
  281. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 終わります。
  282. 野呂田芳成

    野呂田委員長 菅直人君。
  283. 菅直人

    ○菅委員 短い時間ですので、端的に幾つかの質問、特に地価評価に関連した質問をいたしますので、お答えをお願いしたいと思います。  長官、今回自民党税調の大綱が出まして、新土地保有税の中身がかなりねじ曲げられたという意味で大変残念に思っております。しかし、その後いろいろな皆さんの意見を聞いていて、ただ残念に思うだけではなくて、もう一つの見方をしてみようかと思っているのです。それは、本来土地に対する保有コストを高めるという議論の中で、固定資産税が動かないから新土地保有税という議論になっていった経過が、政府税調でもあるいは国会の議論でもあったと思うのです。それが固定資産税の方も動くんだということをかなり言われて、この大綱の中でも固定資産税評価の引き上げという表現がいろいろな形で出ているわけです。  まず自治省にお尋ねをしますけれども、この大綱の中で「地価公示価格の一定割合を目標に、評価の均衡化適正化を推進する。」とか、あるいは十月十九日に出された自民党の地行部会の文書ですけれども、地価公示価格のおおむね七割程度を目標に固定資産税評価を均衡化していくのだということを言われ、あるいは他の場面でも言われております。この方針は変わりなく進められるつもりかどうか、自治省にまず伺いたいと思います。
  284. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 お答えをいたします。  固定資産税の評価水準につきましては、御質問の中にもございましたように、国会におけるさまざまな論議あるいは政府税制調査会の中でも幾度となく取り上げられまして、そうした議論を通じまして、集約的に申し上げますれば、やはり評価水準が低過ぎるのではないか、あるいは地域間にばらつきがあるのではないか、そのあたりに一番大きな問題があるという指摘を受けております。そうした中で、我々といたしましては、特に最近の著しい地価高騰の中で評価水準が下がっているわけでありますけれども、例えば五十年代前半の地価の安定期等を見てみますと、評価水準もそれなりに高かった、ばらつきもそんなになかったということを踏まえまして、ただいま先生からいろいろ御説明がありましたような一つ考え方で今後の評価がえに対処していくべきであるというふうに思っているところでございます。
  285. 菅直人

    ○菅委員 いわゆる公示価格の七割を目標に、よく言われる十年間程度の中でやっていく、そういうことでいいんですか。数字も含めて、期間と。
  286. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 例えば七割という数字でございますが、これは五十年代前半、具体的には昭和五十七年度の評価がえの際の基準地の全国的な水準が約七割近いところにございました。そうしたことから考えますと、今後地価の動向が安定化していき、また、地価公示制度自体につきましてもいろいろ改善の努力がなされるというふうに承っております。そういったことを考えますと、今この段階で平成六年度以降直ちに七割ということを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、いずれにしてもそうした過去の傾向なり実績、そして今後の地価動向、あるいは地価公示制度自体の今後の新しい取り組みの方法、そういったものを踏まえまして、例えば地価公示価格の具体的な一定割合を目標に評価の均衡化適正化を全国的に推進していきたいというふうに思っております。
  287. 菅直人

    ○菅委員 成瀬課長、このことは私から言うまでもないことですが、来年度の固定資産税評価額の変更が、全国平均で昭和六十一年度は公示価格対固定資産税の比率が四七・二%あった。それが来年度は比率でいえば三六・三%に下がることになる。しかも、大都市は約一五%から二〇%という比率になっているわけです。ですから、七〇%というものに問題となっている大都市を合わせようと思えば、今のままの水準がそのまま推移したとすれば、公示価格が変わらなかったとすれば、固定資産税評価額を約三倍から四倍、場合によったら五倍くらいに上げなければ七割にならないことを内容的には意味しているわけです。そういうふうに理解していいんですね。
  288. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 先生がただいまお示しいただきましたデータでございますが、特にこの数年の、六十年以降の大変な地価高騰の中で評価水準が下がっているということを、まず一つは御理解いただきたいと思います。具体的に申し上げますと、千葉とか京都とかいわゆる大都市でございますが、そんなところは三年間で三倍にも四倍にも上がっておりますので、したがいまして、評価額を一遍に三倍、四倍に上げなければ評価水準は下がる、こういう関係もございます。  そういう中で、例えば七割にすると一遍に数倍程度引き上げなくちゃいけないではないかということでございますが、実は、よく全国的に見ていただきますと、確かに大都市部では二〇%前後のところもございますけれども、地方に行きますと五 割以上の、例えば五割とか六割とかそういった水準がキープされている地域もございますので、そのあたり地域によりまして、今後の取り組み方の難易性というものには相当の差があるものというふうに思っております。
  289. 菅直人

    ○菅委員 一つだけ国土庁に確認をしておきたいのですが、この土地政策審議会の中で、地価公示制度について「平均的な収益価格を示すことによって、市場において土地利用価値を超えた値付けがなされている場合にはその実態を明らかにする方法を確立することが望ましい。」こういう文章を受けて、公示価格の中に何か二本立ての価格表示でも設けるのか、いわゆる従来の公示価格以外に何か収益還元をベースにした価格をあわせて並べるのかというような議論も一部聞こえてくるわけですが、実態としてそういうことを意味しているのか、そうでないのか、明確にしてもらいたいと思います。
  290. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 結論から申し上げますと、併記して並べるという意味ではございません。答申では、一定の地域においては平均的な収益価格を示すべきであると指摘されているわけですが、これは地価公示価格の性格を収益価格に改めるとか、あるいは従来の正常価格と収益価格を併記するという趣旨ではございませんで、市場において土地利用価値を超えた値づけがなされているような地価急上昇期において、その実態を明らかにする見地から、参考として一定の地域単位で平均的な収益価格を示す、そういう趣旨であると理解しております。  また、具体的な検討は今後やっていきたいと思っております。
  291. 菅直人

    ○菅委員 つまり、これは大臣もよくお気をつけいただきたいのですけれども、固定資産税評価の場合も、本来の価格じゃないから、異常な取引だからといってどんどんどんどん現実の実勢価格から下がったというか、差ができていたのですね。ですから、税金を払うときは安い価格の評価で税金を払い、売るときには当然高い額で売っているわけです。ですから、収益還元価格というものを考えること自体は論理的に成り立つわけですけれども、実際の売買がこういう高い価格でなされているときに、公示価格だけを別の論理で下げてみても、それをまた基準にして今度は課税がこれの七割だとか八割だとかで、路線価あるいは固定資産税評価額という形で連動すると、また実勢からどんどん離れることになりかねないわけです。ですから、今の局長の話で、そうする意図は全くないということなので、ある意味でははっきりしましたけれども、収益還元価格というものを考えること自体は私は非常に参考になる考えだと思いますが、そのことが実勢から離れる理由づけに使われることになったのでは、固定資産税がいわゆる実勢から乖離をした二の舞、三の舞に、公示価格もその二の舞、三の舞になりかねないということをよくお気をつけをいただきたいと思います。  もう一点、大蔵省にも来ていただいていますけれども、今回新土地保有税では相続税評価額が課税の基準になるわけです。一応全国の評価額というのはあることにはなっているのでしょうが、実際に課税をするとなれば、それが果たしてどの程度の課税の準備がこれから、できているのかあるいは進められるのか。  これにあわせて、これはあと他の省庁になるかもしれませんが、まさに今こそ長官、公的地価認定の一元化のチャンスだと私思うのですよ。これは土地基本法の中でも、あるいはその附帯決議では特に一元化という言葉まで入っていますけれども、つまり公示価格の今七割とか、あるいは大蔵省は一時は八割にしたいということを相続税評価で言われている。今自治省の方も、将来的には七割にしたいと言われている。ということは、公示価格の七割だとか八割だというのだったら、固定資産税の税率一・四%を初めから〇・七掛けておけば、公示価格そのものを固定資産税評価額に合わせたって全く同じことになるわけですね。  そういった点で、まず大蔵省の方に、新土地保有税のその課税の路線価、これをどういうふうにしていくのか。先ほど来いろいろ議論がありましたが、例えば、今そういうデータを大蔵省が持っていないので、この大綱の中でも、固定資産税課税台帳等の土地に関する資料を供覧するというような文章も大綱の中に入っていますが、そういう問題あわせてどうなっているかお伝えいただきたいと思います、大蔵省
  292. 品川芳宣

    ○品川説明員 お答えいたします。  相続税の土地の評価自体については、先生も御案内のように、現在その課税のためのものであるということで、従来から公示価格との均衡化に努めておるわけでございますけれども、安全評価に努めるということで公示価格の七〇%をめどとして評価しているわけでございますが、御指摘の土地保有税につきましては、確かに相続税の今までの議論の中では、性格もいろいろと違いも指摘されていることではございますが、現在税制調査会において審議が行われている状況でございますので、その土地の評価についてどういうふうなやり方をするかという具体的な点については、説明を差し控えさせていただきたいと思っております。
  293. 菅直人

    ○菅委員 まあ、それは法案が出てないから責任はまだ自民党であって政府じゃないのだという意味なのかもしれませんけれども、そういった形で役所の縄張りの中でうちは知らないという話は、少なくとも国民の前では通らないと思うのですね。  それでは、方面を変えて自治省に、固定資産税評価の公開の問題がありますね。これが公開されれば我々も見れるし、本当に台帳が全部出れば、ここにA社が大分にあり、あるいは北海道に持っているというのも、厳密にやれば見れるわけですね。この公開の問題、どういう段取りで進めますか。
  294. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 お答えいたします。  固定資産税の路線価の公開につきましては、これはもう既に昭和六十三年六月の総合土地対策要綱の中で方針決定されておりまして、私どもといたしましても、この路線価の公開ということは評価の適正化均衡化に大いに役立つものというふうに理解しております。したがいまして、自治省としてはこれを積極的に計画的に推進、拡大をしていくつもりでございます。  そのために、平成三年度の評価がえにおきまして、地価公示地点数等にも配慮しながら、できるだけ多くの地点、ポイントの公開を行いまして、次の評価がえ以降できるだけ早い時期に全路線価の公開ができるように努めたいと思っております。  しかしながら、来年、平成三年度の評価がえの際が初めての経験になるわけでございます。申すまでもなく全国には三千を超える団体がございまして、率直に申し上げまして行政能力等にも差がございます。そこで、初めての取り組みでございますので混乱が起きませんように、私どもとしても十分適切な指導はやっていきたいと思いますけれども、一遍にというわけにはなかなかまいりませんけれども、先ほど申しましたように地価公示ポイント数を十分意識しながら、それを相当上回る数の公開に努めていきたいというふうに思っております。
  295. 菅直人

    ○菅委員 それと関連して、先ほど言いました固定資産税台帳の供覧、あるいは将来的には公開も含めてでしょうが、これも自民党の大綱の中に盛り込まれております。多分これは、まずは先ほど来の国税で新土地保有税がなされる中で、たしかシャウプ勧告の後に国税から地方税に移るときに、台帳が大蔵省から自治省に移ったという歴史的経緯を聞いておりますが、それをある部分共有のものにしていくという方向が、一物二価、一物三価をなくしていくという方向も当然のこととしてあり得ると思うのですが、その点自治省どうですか。
  296. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 これは、まだ法案を具体的に詰めていく中でいろいろ協議をさせていただきたいというふうに思っておる課題かと思います。  ただ、基本的には新税は新土地保有税、仮称でございますが、これは申告方式をとっておりますので、必ずしも課税台帳と結びつく話ではござい ませんけれども、全国的な名寄せの問題等々、いろいろ執行面で配慮していかなければならない問題、課題もあろうかと思います。そういう面で、十分関係行政機関が連携協力していくということも必要でございます。具体的な取り組み、対応等につきましては、今後具体的に詰めさせていただきたいというふうに思っております。
  297. 菅直人

    ○菅委員 今名寄せは、ほかの方法でできる方法はありますか。
  298. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 今名寄せ台帳的に存在をいたしておりますものは、市町村単位での名寄せ帳だけでございまして、全国レベルでの名寄せ帳といったものは今は存在をいたしておりません。
  299. 菅直人

    ○菅委員 国税でありますか。つまり、市町村単位であるといったって、それは自治省は全部市町村を監督しているわけですから見ることができる。結局国税にはないわけでしょう、全部を名寄せするのは。だから、さっき言ったように〇・二%掛けたら一体どのくらい取れるんだといっても、足切りの十億を超える会社がどれだけあるかが名寄せができないというのが相当じゃないんですか。大蔵省どうですか、イエスかノーで結構ですよ。
  300. 品川芳宣

    ○品川説明員 先生の御指摘のとおりでございます。
  301. 菅直人

    ○菅委員 ですから、まさに国民から見れば、何で政府・与党、大与党がこんな大綱までつくっているのに大蔵省が税の見積もりが出ないか。国民からすれば当然のことなわけですよ。結局は役所単位で、こっちには資料があるけれどもこっちにはないという話が、こういういいかげんな形で出てきているわけです。  ですから、とにかく今後のことになるという自治省の見解もありますけれども、当然のこととしてそういうことがきちんと連動するようにしていただきたいということを指摘をして、最後に、これに関連して国土庁、できれば大臣土地基本法十六条に公的地価認定の問題があります。先ほど言いましたように、附帯決議で一元化のこともきちんとこの委員会で決議をしているわけです。私は本当にチャンスだと思うのですね。まさに今の議論を聞いていても、こっちにはあるけれどもあっちにはない、あっちにはあるけれどもこっちにはない。そして、幸いなことに公示価格の何割とかそういう言い方を固定資産税の評価の方でも言い、あるいは相続税評価の方でも言われるようになった。まさにこのチャンスを逃して公的地価認定の一元化を進めるときはないと言ってもいいぐらいだと思うのです。そういう問題についての見解なり意欲を聞かしていただきたいと思います。
  302. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生よく御案内のとおり、土地基本法審議の際に、直ちに一元化をすることは容易ではないということで、基本法でも「公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるもの」とされたわけであります。したがって、私ども各省におきましても、そういう基本法の規定に基づいて、現在それぞれ相互の均衡、適正化に努めておるわけでございます。ただ、相互の均衡というのは決して一元化を排除する、否定するものではないと私は理解しております。
  303. 菅直人

    ○菅委員 最後に、時間にもなりますので大臣に、この土地議論、前の石井国土庁長官時代から土地基本法が、きょう朝の審議でもありましたように野党提案にかなり近い形で成立をした。この一元化の問題なんかも政府案には入ってなかったのですね。それを、均衡化と今局長が言われたように、一元化を含む概念だという答弁だったのですが、そういうことを入れ、附帯決議を入れ、一生懸命ある意味では我々野党が国土庁のしりをたたきながらやってきたという側面も、率直なところあると思うわけです。  ここまで来て私は、まさに公的地価認定の問題というのは単に技術的な問題じゃないと思うのです。土地政策というものが本当に税との関連でも連動し、あるいは国民的な中でもオープンな形で議論ができるようになるかどうかの非常に重要な問題だと思うわけです。将来は、できれば売買価格も公示価格などと同じようにはっきりさせ、それを登記簿に載せるようにすれば、またいろいろな形で変な売買もなくなってくるし、やれると思うわけです。  そういった問題についての、大所高所からで結構ですから、大臣の意欲なり見解を伺って、質問を最後にさせてもらいたいと思います。
  304. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  もう既に局長が答弁したとおりでございますが、昨年成立しました土地基本法におきましても、先ほど先生が御指摘のとおり、いろいろ御苦労されてこれを入れていただいているわけですが、「公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるもの」とされております。そんなことで、平成元年十二月の土地対策関係閣僚会議におきましても、公的土地評価適正化を行うこと等申し合わせたところでございます。さらに、平成二年十月二十九日の土地政策審議会答申においても、相互の均衡と適正化を図る必要性があると指摘されております。  今後とも、関係省庁においてその一層の推進を図るべく、国土庁努力するつもりでございます。
  305. 菅直人

    ○菅委員 終わります。
  306. 野呂田芳成

    野呂田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十八分散会