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1991-04-24 第120回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    第百二十会国会衆議院 逓信委員会議録第十号(その一) 平成三年四月二十四日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 野中 広務君    理事 川崎 二郎君 理事 園田 博之君    理事 原田 義昭君 理事 前田 武志君    理事 上田 利正君 理事 武部  文君    理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    小坂 憲次君       小林 興起君    古賀 一成君       佐田玄一郎君    佐藤謙一郎君       佐藤 守良君    鈴木 恒夫君       武部  勤君    長勢 甚遠君       真鍋 光広君    森  英介君       秋葉 忠利君    上田  哲君       田中 昭一君    松浦 利尚君       吉岡 賢治君    坂井 弘一君       鳥居 一雄君    菅野 悦子君       中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君  出席政府委員         郵政政務次官  大野 功統君         郵政省通信政策         局長      白井  太君         郵政省電気通信         局長      森本 哲夫君         郵政省放送行政         局長      桑野扶美雄君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第五局長  山本  正君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     島  桂次君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小山 森也君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事技師         長)      中村 好郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     青木 賢児君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾畑 雅美君         参  考  人         (日本放送協会         会長室経営企         画〕局長)   竹中  康君         参  考  人         (日本放送協会         営業総局経営主         幹)      諏訪 恭也君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   中野 正彦君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同月二十四日  辞任         補欠選任   鈴木 恒夫君     佐藤謙一郎君   武藤 嘉文君     小坂 憲次君   山崎  拓君     武部  勤君   山下洲夫君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     武藤 嘉文君   佐藤謙一郎君     鈴木 恒夫君   武部  勤君     山崎  拓君   松浦 利尚君     山下洲夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日本放送協会昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日本放送協会昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書      ────◇─────
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書日本放送協会昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書日本放送協会昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の各件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各件審査のため、本日、参考人として、日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 野中広務

    野中委員長 まず、郵政大臣から説明を聴取いたします。関谷郵政大臣。     ─────────────  日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日本放送協会昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日本放送協会昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     〔本号(その二)に掲載〕     ─────────────
  5. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和六十一年度の貸借対照表等によりますと、昭和六十二年三月三十一日現在における資産総額は、三千四百五十七億三千万円で、前年度に比し、百二十七億五千三百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は、一千五百八十億七千二百万円で、前年度に比し、六十九億四千八百万円の増加となっております。  資本総額は、一千八百七十六億五千八百万円で、前年度に比し、五十八億五百万円の増加となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、三千四百六十億六千八百万円で、前年度に比し、五十三億五百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、三千四百七億三千四百万円で、前年度に比し、百四十九億八千四百万円の増加となりております。  この結果、経常事業収支差金は、五十三億三千四百万円となり、これに、経常事業外収支差金二十四億円を加えた経常収支差金は、七十七億三千四百万円となっております。  これに、特別収入十二億八千百万円を加え、特別支出三十二億一千万円を差し引いた当期事業収支差金は、五十八億五百万円とたっております。  引き続きまして、昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和六十二年度の貸借対照表等によりますと、昭和六十三年三月三十一日現在における資産総額は、三千五百八十億五千九百万円で、前年度に比し、百二十三億二千九百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は、一千六百四十五億九千百万円で、前年度に比し、六十五億一千九百万円の増加となっております。  資本総額は、一千九百三十四億六千八百万円で、前年度に比し、五十八億一千万円の増加となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、三千五百十五億八百万円で、前年度に比し、五十四億四千万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、三千五百二十八億四千百万円で、前年度に比し、百二十一億七百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は、十三億三千三百万円の欠損となり、これに、経常事業外収支差金十七億一千三百万円を加えた経常収支差金は、三億八千万円となっております。  これに、特別収入六十二億一千八百万円を加え、特別支出七億八千八百万円を差し引いた当期事業収支差金は、五十八億一千万円となっております。  引き続きまして、昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書国会提出につきまして、概略説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和六十三年度の貸借対照表等によりますと、平成元年三月三十一日現在における資産総額は、三千五百六十六億八千百万円で、前年度に比し、十三億七千八百万円の減少となっております。  これに対しまして、負債総額は、一千七百十二億一千八百万円で、前年度に比し、六十六億二千七百万円の増加となっております。  資本総額は、一千八百五十四億六千三百万円で、前年度に比し、八十億五百万円の減少となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、三千五百六十五億二千百万円で、前年度に比し、五十億一千三百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、三千六百七十億四千四百万円で、前年度に比し、百四十二億三百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は、百五億二千三百万円の欠損となり、これに、経常事業外収支差金十九億六千五百万円を加えた経常収支差金は、八十五億五千八百万円の欠損となっております。  これに、特別収入十三億円を加え、特別支出七億四千七百万円を差し引いた当期事業収支差金は、八十億五百万円の欠損となっております。  なお、監事意見書におきましては、貸借対照表等は、監査の結果、日本放送協会財産損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 野中広務

    野中委員長 次に、日本放送協会会長島桂次君から補足説明を求めます。島桂次君。
  7. 島桂次

    島参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和六十一、六十二、六十三年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして、一括して御説明申し上げます。  それでは、昭和六十一年度の財政状態から御説明申し上げます。  六十一年度末の資産負債及び資本状況貸借対照表等で見ますと、資産総額は、三千四百五十七億三千万円で、この内訳は、流動資産六百六十一億九千四百万円、固定資産二千六百十八億三千七百万円、特定資産百七十四億二千七百万円、繰り延べ資産二億七千二百万円でございます。  前年度末と比較し、百二十七億五千三百万円の増加となっておりますが、これは、建設計画に基づく衛星放送設備番組設備整備等により、固定資産増加し、また、事業収支剰余金発生等により、流動資産増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は、一千五百八十億七千二百万円で、この内訳は、流動負債六百三十九億六千五百万円、固定負債九百四十一億七百万円でございます。  前年度末と比較し、六十九億四千八百万円の増加となっておりますが、これは、長期借入金および受信料前受金増加等によるものでございます。  また、資本総額は、一千八百七十六億五千八百万円で、前年度末と比較し、五十八億五百万円の増加となっております。  次に、損益計算書について申し上げます。  受信料等経常事業収入は、三千四百六十億六千八百万円で、前年度と比較し、五十三億五百万円の増加となりました。これは主として、受信料増加によるものでございます。  これに対しまして、経常事業支出は、三千四百七億三千四百万円で、前年度と比較し、百四十九億八千四百万円の増加となりました。  これは、放送番組内容充実刷新受信契約維持増加施策推進に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は、五十三億三千四百万円となり、これに、経常事業外収支差金二十四億円を加えた、経常収支差金は、七十七億三千四百万円であります。これに、特別収入十二億八千百万円を加え、特別支出三十二億一千万円を差し引いた当期事業収支差金は、五十八億五百万円となりました。  次に、昭和六十二年度について申し上げます。  六十二年度末の資産総額は、三千五百八十億五千九百万円で、この内訳は、流動資産七百七十八億六千八百万円、固定資産二千六百百億二百万円、特定資産百九十八億一千七百万円、繰り延べ資産二億七千二百万円でございます。  前年度末と比較し、百二十三億二千九百万円の増加となっておりますが、これは、建設計画に基づく衛星放送設備番組設備整備等により、固定資産増加し、また、事業収支剰余金発生等により、流動資産増加したためでございます。  一方、これは対する負債総額は、一千六百四十五億九千百万円で、この内訳は、流動負債六百七十八億五千万円、固定負債九百六十七億四千百万円でございます。  前年度末と比較し、六十五億一千九百万円の増加となっておりますが、これは、受信料前受金及び放送債券増加等によるものでございます。  また、資本総額は、一千九百三十四億六千八百万円で、前年度末と比較し、五十八億一千万円の増加となっております。  次に、損益計算書について申し上げます。  受信料等経常事業収入は、三千五百十五億八百万円で、前年度と比較し、五十四億四千万円の増加となりました。  これは主として、受信料増加によるものでございます。  これに対しまして、経常事業支出は、三千五百二十八億四千百万円で、前年度と比較し、百二十一億七百万円の増加となりました。  これは、放送番組内容充実刷新受信契約維持増加施策推進に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は、十三億三千三百万円の欠損となり、これに、経常事業外収支差金十七億一千三百万円を加えた経常収支差金は、三億八千万円であります。これに、特別収入六十二億一千八百万円を加え、特別支出七億八千八百万円を差し引いた当期事業収支差金は、五十八億一千万円となりました。  引き続き、昭和六十三年度について申し上げます。  六十三年度末の資産総額は、三千五百六十六億八千百万円で、この内訳は、流動資産六百二十五億七千万円、固定資産二千七百二十億二千百万円、特別資産二百十八億四千四百万円、繰り延べ資産二億四千六百万円でございます。  前年度末と比較し、十三億七千八百万円の減少となっておりますが、これは、建設計画に基づく衛星放送設備等整備により、固定資産増加しましたが、一方において、前年度からの繰越金を当年度の債務償還及び事業収支財源不足に充てたことなどにより、流動資産が大きく減少したためでございます。  一方、これに対する負債総額は、一千七百十二億一千八百万円で、この内訳は、流動負債七百五十二億五千万円、固定負債七百五十九億六千八百万円でございます。  前年度末と比較し、六十六億二千七百万円の増加となっておりますが、これは、受信料前受金増加等によるものでございます。  また、資本総額は、一千八百五十四億六千三百万円で、前年度末と比較し、六十億五百万円の減少となっております。  次に、損益計算書について申し上げます。  受信料等経常事業収入は、三千五百六十五億二千百万円で、前年度と比較し、五十億一千三百万円の増加となっております。  これは主として、受信料増加によるものでございます。  これに対しまして、経常事業支出は、三千六百七十億四千四百万円で、前年度と比較し、百四十二億三百万円の増加となりました。  これは、衛星放送独自番組積極的編成受信契約維持増加施策推進に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は、百五億二千三百万円の欠損となり、これに、経常事業外収支差金十九億六千五百万円を加えた経常収支差金は、八十五億五千八百万円の欠損であります。これに、特別収入十三億円を加え、特別支出七億四千七百万円を差し引いた当期事業収支差金は、八十億五百万円の欠損となりました。この欠損金につきましては、前年度からの繰越金をもって補てんすることといたしました。  なお、放送法の改正により、昭和六十三年度から新たに添付することとなりました監事意見書におきましては、「監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認める」とされております。  これをもちまして、昭和六十一、六十二、六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び昭和六十三年度監事意見書についての概要説明を終わらせていただきます。  今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展努力してまいる所存でございます。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。
  8. 野中広務

    野中委員長 この際、NHK会長から訂正の発言を求められておりますので、これを許します。島参考人
  9. 島桂次

    島参考人 ただいま御説明いたしました中で数字の読み違いがありましたので、謹んで訂正させていただきます。  昭和六十二年度末の資産総額内訳につきまして、固定資産分につきまして二千六百一億二百万円と申し上げましたけれども、失礼しました、二千六百百億二百万円と申し上げましたけれども、二千六百一億二百万円が正しい数字でございます。これが一カ所でございます。  次は、六十三年度末の資産総額の中で、「六十三年度末の資産総額は、三千五百六十六億八千百万円で、」「前年度末と比較し、十三億七千八百万円の減少となっておりますが、」という説明の中で、特定資産というところ、これを特別資産と間違えまして、特定資産が正解でございます。  それから、その次、同じく「負債総額は、一千七百十二億一千八百万円で、この内訳は、」と申した中で、固定負債につきまして九百五十九億六千八百万円と申し上げましたけれども、これは七百五十九億六千八百万円でございます。(「反対ですよ、その数字は」と呼ぶ者あり)失礼しました。それは反対で七百五十九億六千八百万円を九百五十九億六千八百万円と申し上げましたけれども、これは七百五十九億……(「違う違う、逆だ」と呼ぶ者あり)失礼しました。たびたびどうも済みません。七百五十九億六千八百万円と申し上げましたけれども、これは九百五十九億六千八百万円の間違いでございます。  それから最後にもう一カ所、同じく資本総額一千八百五十四億六千三百万円、前年度末と比較いたしまして六十億五百万円の減少と申し上げましたけれども、これは八十億五百万円の減少でございます。  数字を間違えまして本当に申しわけありませんでした。
  10. 野中広務

    野中委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院山本第五局長
  11. 山本正

    山本会計検査院説明員 日本放送協会昭和六一年度、六十二年度及び六十三年度の決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  日本放送協会昭和六十一年度、六十二年度及び六十三年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、六十一年度につきましては六十二年八月十四日、六十二年度につきましては六十三年八月十二日、六十三年度につきましては平成元年八月十一日、それぞれ内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、それぞれ昭和六十二年十二月七日、六十三年十二月九日、平成元年十二月五日、内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。  以上、簡単ではございますが説明を終わります。
  12. 野中広務

    野中委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  13. 野中広務

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田義昭君。
  14. 原田義昭

    原田(義)委員 それでは、限られた時間でございますけれども、NHK全般につきまして何点かにわたって質問をさせていただきたいと思います。  まずもって、NHK役割といいますか、戦後の日本がこうして立派な発展を遂げてきた、その裏に政治、経済、社会、文化、全般にわたってNHKが果たしてきた役割、これについては私は大変評価の高いものがあろうかと思います。そしてまた、新しい時代に差しかかっておりますけれども、後で議論が出てまいりますが、高度情報化社会に向けてのいろんな対応、それに向けて努力、精進をお願いしたい、こういうふうに思っております。そしてまた郵政省に対しましても、行政の立場からいろいろな監督それから指導、これにつきましていろいろ御労苦があろうかと思いますが、それに対しましても日ごろ敬意を払っておるということをお伝えしたいと思います。  さて、新時代幕あけ情報化時代幕あけと言われておりますけれども、ちょうどその関係でこの前の四月十九日にいわゆる衛星放送ロケット失敗に終わった。これは大きな衝撃的なニュースとして伝えられたわけでございます。この3Hの事故につきまして、3H自身が昨年の料金の値上げ、国民にいろいろ負担を強いて、そういう過程の中からどうしても新しい政策として打ち上げなければいかぬということで決められたようですけれども、まずこの事故の事実経過、これをかいつまんでで結構ですからお願いしたいと思います。
  15. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  BS3Hにつきましては四月十九日の早朝アメリカの基地から打ち上げたわけでございますが、先生御指摘のとおり打ち上げに失敗いたしました。アトラスというロケットを使って打ち上げたわけでございますが、エンジンが二つあるわけでございますが、二段目のロケットエンジンの二つのうち一つが点火しませんで、そのために衛星が回転を始めて軌道を外れたということが原因でございます。  それで、なぜ点火しなかったのかということにつきましてはこの製作、打ち上げのメーカーでありますアメリカのゼネラル・ダイナミックス社が今調査をしておる段階でございます。
  16. 原田義昭

    原田(義)委員 そもそも衛星放送、これが新時代に向けての一つの柱になると言われておりますけれども、衛星放送の意義づけといいますかその展望について御説明いただきたいと思います。
  17. 島桂次

    島参考人 先ほど技師長から申し上げましたとおり、今回の失敗につきましてはNHK経営最高責任者としてまことに遺憾と感じておるわけでございます。  私どもは公共放送一つの任務である新しい時代放送先導的役割ということで一生懸命やってまいりましたわけでございますけれども、既に衛星放送は四百万以上の受信者になっております。今さら途中で中断ということは、これは絶対避けなければいかぬし、今後ニューメディア、新しい情報化社会の中心的な存在としてこれを健全に発達させる義務を私たちは持っていると思っております。そのためにこれから、この夏上げる国産衛星の3bを初め万全を期すべくいろいろと今努力、検討を重ねているところでございます。
  18. 原田義昭

    原田(義)委員 今、会長から衛星放送重要性、将来に向けての決意、これをお話しになられましたけれども、3Hの事故が今度あったわけですが、過去に私の勉強したところでは昨年の二月、BS2Xがやはりロケット失敗で落ちた。それから現在飛んでおりますBS3a、これがバッテリーの調子がよくないということで、この前御報告ありましたけれども、引き続いて今度の3Hの打ち上げ失敗。それだけ大きな意義を持ち、また将来大事なものであるにもかかわらず、この三つの事故といいますか、なかなかうまくいかないのが続いておるというのはどこか問題があるのだろうか、当然そう思わざるを得ないわけですね。  私も詳しいことはわかりませんけれども、いろいろ考えられますのに、例えば先駆的な分野であるということで、技術的な問題もまだまだたくさんあるようですね。しかもその技術の問題の中には衛星そのもの技術バッテリーがどうなるとか、それに対する保障措置、それから何といってもどんなにいいものをつくったってロケットがうまく上がらなければ話にならない。こういうようなことから考えますと、いかに目標が崇高なものであろうと、それに近づくアプローチが十分でない、そういう状況ですと本当に心配でならないわけであります。また恐らく予算措置等でも、資金が物すごくかかるのでどうしても削り削りやるから、結果としてはどこかにひずみが出て、ちょっとした失敗が全体の失敗になる、こういうようなことがあろうかと思います。  しかも、お聞きしますと、今度の3Hの打ち上げも、ちょうど会長が外遊中に行われたというようなことも言われておりまして、いずれにしても全体としてこれだけの大きなプロジェクトを遂行するに当たって何かいま一つぴりっとしたものがないのじゃないかな、そういうふうに私は思わざるを得ないわけです。  NHKの決算を審査する委員として、また国民としても、当然これだけ二年の間に大きな事故等があって、八月にも今度3bですか、送るようですけれども、これも大体大丈夫かな。皆さんの方では必死で成功に向けて頑張っていただかなければいけませんけれども、いずれにしても、そもそも衛星放送のあるべき姿、長期ビジョン、それを具体化していく上においての管理体制も含めたそういう一つ一つについて、例えば衛星そのもの技術的な発展を図るというのは当たり前のことですけれども、ロケットを打ち上げる、どこを使うかについても皆さん吟味はされているのでしょうけれども、どうも素人から考えても心もとないような感じがいたします。  一つ一つ技術それから打ち上げるところの技術力とかその評価、その辺を今回の事故を機に相当猛反省をしていただきまして、あしたにつなげていただかないと、これはひとり経済的な損失ばかりでなくて本当に国民の大きな信頼を裏切ることになる、そんな感じがいたします。こういうことについて会長いかがでございましょうか。
  19. 島桂次

    島参考人 ただいま、私の外遊中にこういう事故が発生して何かたるみがあるんじゃないかという厳しい御指摘を受けましたけれども、私はロケットの発射につきまして現場には森川理事を派遣し、このアメリカの責任者であるGEも現場の責任者をケープカナベラルに送りまして、私はGEのヘッドクォーターで、逐一映像と状況が入ってまいりますので、万一の場合に備えてこれから後の問題、万一事故があった場合、どうしてそうなったか、そのために私はヘッドクォーターにいた、これも外遊の一つの目的でございます。  それから、さらに御指摘の詳しい問題につきましては技師長の方からお答えしたいと思います。
  20. 中村好郎

    中村参考人 宇宙開発の問題につきましては大変大きなプロジェクトで動いておるわけでございます。先生もう御存じのとおり、日本の宇宙開発につきましては、科学技術庁を中心といたしまして、関係機関が協力して、この数年間、宇宙開発の問題について段階的に開発をしてきているというのが現状でございます。私どももできる範囲で技術的な御協力を申し上げて今日に至っておるわけでございますが、残念ながら、宇宙空間に衛星を打ち上げたときに予想もしなかったふぐあいがたびたび発生しておるのが偽らざる現実でございます。  また、私どもが独自で打ち上げる衛星につきましても、日本における宇宙開発の専門家の御意見等も十分伺いながら、外国の衛星なりあるいはロケットの信頼性についても十分検討して打ち上げてきたわけでございますが、運悪く2Xも3Hも、それぞれロケット事故によりまして打ち上げに失敗したということでございます。今後、この衛星事業を発展させるためには、どうしてもこのハードウェアを安定に作動させるということが大前提でございますので、今まで以上にこの問題につきましては万全の体制で取り組んでまいりたいというように思っております。
  21. 原田義昭

    原田(義)委員 これに関連しまして、ことしの夏の三カ月間、BS3aが一チャンネル、バッテリーがダウンすることによって使えない、これについてJSBとNHKとの間で利用調整の問題がいろいろ出てくるようですが、これについては今どんなふうな状況でしょうか。
  22. 中村好郎

    中村参考人 BS3aにつきましては、この夏、五月の中旬から八月の中旬の約三カ月間は、発生電力の関係から二チャンネルの運用にせざるを得ないという連絡を四月十日に私ども受けたわけでございます。  先ほど来申し上げておりますように、衛星の普及、発展が大変目覚ましいものがございまして、今や四百万世帯近い受信者がおられるわけでございます。そういう中で私どもといたしましては、3aの二チャンネルで継続的に衛星放送をやってまいりたいというように考えておるところでございます。しかし一方、通信・放送衛星機構を中心といたしまして、利用者であるNHKとJSBとの間でこの運用についての何らかの協議をしてほしい、参加をしてほしいという要望がございまして、ここ四、五日の間、毎日のように今JSBと運用に関する協議をいたしておりますけれども、まだ結論は得られていないというのが現状でございます。
  23. 原田義昭

    原田(義)委員 今のようなNHKの考え方全体につきまして、衛星放送そのもの、それからJSBとの調整、今回の事故に関連して行政的にもいろいろ議論があろうかと思いますけれども、郵政省の方はこの一連の問題についていかがお考えでしょうか。
  24. 大野功統

    ○大野政府委員 ただいまの原田議員からの御質問は、重大かつ基本的な放送の継続という問題でございますので、本来ならば関谷郵政大臣からお答えするのが筋でございますけれども、関谷大臣ただいま参議院の本会議出席中でございますので、かわりましてお答え申し上げます。  衛星放送BS3段階における衛星放送につきましては、委員御存じのとおり、まず3aというのがありまして、それから予備機として3bを考え、それからさらに、3a一機体制のもとでは3Hを予備機として考えていこう、こういうことで実施を図ってきた次第でございます。しかし、先ほどから御指摘のように、3aの一部にぐあいが悪くなったところがある、それからまた、四月十九日に3Hの打ち上げに失敗いたしました。今後の衛星放送の運用につきまして国民の皆様に大変御心配をおかけする事態となっておりますことは、まことに遺憾と存じております。  しかしながら、委員御指摘のとおり、放送を継続する、衛星放送を継続する、これはまことに重大な課題でございまして、当事者であるNHKあるいはJSBはもとより、監督官庁でございます郵政省におきましても、大臣以下、真剣にこの問題の解決に取り組んでいるところでございます。  具体的には、先ほども若干の説明がございましたけれども、現在三チャンネルで運用中の3aにつきましては、発生電力の低下によりまして、五月中旬から八年中旬ごろまでの間は二チャンネルでの運用を余儀なくされておりますため、この間は残り一チャンネルの運用につきまして、2bによる補完を行うということで検討することといたしております。この間の3aの二チャンネルの使用方法などにつきましては、NHK及びJSBが現在協議を行っておりまして、その結果を踏まえまして、五月中旬までにはすべての措置を完了する所存でございます。  いずれにいたしましても、衛星放送を継続する、この重大な課題に向かって真剣に取り組んでおりますので、何とぞ御理解をちょうだいしたいと思います。ありがとうございました。
  25. 原田義昭

    原田(義)委員 それでは、テーマを次に変えまして、個別の番組で大変恐縮ですが、一つは、今度また朝のドラマで「君の名は」が放映されているわけです。いろいろ伝えられるところによりますと、鳴り物入りで始まったにしては、ちょっと立ち上がり、視聴率等で成績が悪いというようなことを言われていますけれども、状況はどうでございましょうか。
  26. 小山森也

    ○小山参考人 一年にわたるドラマの進行でございますので、最初のところで幾分イントロダクション的な意味のものが非常に長うございました。したがいまして、ちょっと説明的な部分が非常に長かったという点はございます。これからいろいろなドラマの展開になってまいりますのですが、私どもも、視聴率だけの数字というよりも、後にいかに残すかということを重大に考えておりますけれども、やはり私どもとしては大勢の方に見ていただくことはうれしいことでございます。そういう意味におきましては、現在非常に上向きになっておりまして、まあ、いわゆる三〇%以下かどうかというような〇・何%ということは気にいたしませんけれども、三〇%を超えてきて非常に大きな支持を得始めた、このように理解いたしております。
  27. 原田義昭

    原田(義)委員 私は戦後の育ちなんですけれども、「君の名は」自身は、子供のときは名前だけしか知らなかったのですが、私以上の方は、そのパーセンテージはどうであれ、当然こういう名作を見てみたい、こういうことについては異論がないと思います。  ただ、朝のあの時間帯、勤務へ行くその直前のああいう時間帯でどうかとか、それから、今の時代のテンポに合うかというようないろいろな議論はあろうかと思いますけれども、私は、自信を持ってこういう名作を多くの人に見せていただきたい。ただ、それにつけても、せっかくつくられた以上は多くの人に見ていただくという意味で、例えば夜とか、わりかしいい時間に、年末にまとめて見せるだけではなくて、再放送のような形で多くの方が見られるような時間帯にも流すということを工夫していただくのはどうかな、こう思っておりますけれども、どうですか。
  28. 小山森也

    ○小山参考人 非常に御理解ある御質問をいただきましてありがとう存じます。  おっしゃるとおり、私どもの朝のドラマでございますので、やはりドラマには二面性がございまして、何を考えているか、今先生申されましたように、戦後の、今のように物質があふれているときでないときの人間の考え方というものがどういう純粋な考え方であったかということも御理解いただければと思いますが、それと同時に、ドラマでございますので、おもしろさがなければいけないということでございます。それで、これは大体五部に分けましてドラマの展開をし、さらに場所も、東京に限らず北海道、佐渡、志摩、九州という全国にわたっておりますので、いろいろな制作も全国の放送局が全力を挙げてやることになっております。したがいまして、今後ドラマの展開もおもしろいものになってまいりますので、ぜひこれから見詰めていただきたいと思います。  なお、夜どうかということでございます。今のところちょっと総合波でやるには時間が足りません。そこで、今のところ考えておりますのは衛星第二放送で、これは、まず最初に六月二十四日から一週間連続で毎日三日分ずつをやるということを手始めにいたしまして、これは深夜になりますけれども、深夜帯で大体一年分まとめながらやっていきたいと思っております。  なお総合テレビではどうかということでございますが、もう少し反応を見てから、時間の編成がやりくりできるかどうか、それから視聴者の方々の御希望はどうかというような総合的な判断をこれからいたしたいと思っております。  いろいろ御忠告ありがとう存じます。
  29. 原田義昭

    原田(義)委員 番組でもう一つ意見を言わせていただきたいのですけれども、私は囲碁将棋が大好きなんですよ。日曜日の教育テレビの番組については、もう昼間はなかなか見れませんから、ビデオで毎回欠かさず見ているのです。今、囲碁将棋のファン、愛好者というのは二千万とも三千万とも言われていますから、大変な視聴率だと思います。  例えば囲碁につきまして、一時間半プロの対局があるのですけれども、この中に大体三週か四週に一回ぐらいは、試合が九十分かからないで四十分か五十分で終わっちゃうことがあるのですよ。これはもうしょっちゅうあるのですね。そうすると残りの時間は何をするかというと、そこの言葉で並べ直すといって、プロが何度も何度も並べ直すのですけれども、やはり四十分も五十分も終わった試合を並べ直すと、当事者も疲れて気落ちをしているようなところをテレビでずっと映すというのは、見ている側も実はもう白けちゃうんですね。  ですから、私の個人的な意見は、十分かそこらは非常に参考になりますけれども、これは録画でしょう、録画でしたら残りの二十分か三十分うまく編成していただいて、例えば昔の名局を乗せていただくとかそういうことにすればよりその興味がわくと思うのですが、これは、私はたまたま大変好きなものだから、いつもこの番組をそう思っているのですけれども、何か検討の参考にしていただければありがたいと思います。
  30. 小山森也

    ○小山参考人 今先生のおっしゃるような御意見も確かにございます。またもう一つ、やはりテレビでやるのだから、そこの場でやったものをすぐ直ちに、まあ録画でございますけれども、なるべくライブの形ですぐ解説をしてもらうこと、これがやはりテレビらしい見方であるからという御意見もございます。  したがいまして、両方の御意見がございますことをよく承知しておりますが、余り長過ぎるではないかというような場合も、今までのケースですと一回確かにございました。あとは、時間オーバーしたものもございますけれども、早く終わってしまったものもございます。いろいろこれから工夫してまいりたいと存じますが、今のところでの判断といたしましては、テレビらしい映し方というとその場でということで、今選択をした次第でございます。御理解いただきたいと存じます。
  31. 原田義昭

    原田(義)委員 もう一つお聞きしたいのですが、せんだっての新聞で、島会長アメリカで御発言になったというグローバル・ニュース・ネットワーク、GNNと呼ばれていますけれども、これについての現在のお考えを、報道されたとおりなのか、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。
  32. 島桂次

    島参考人 このグローバル・ニュース・ネットワークにつきましては、今から三年ぐらい前から、CNNが発足して全世界に普及し出したときに、ヨーロッパの放送事業者、それからアメリカ放送事業者から、CNNみたいなアメリカのニュースを全世界にディストリビュートするというんじゃなくて、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、それぞれのエリアの主な放送局がそれぞれの地域のニュースをそれぞれ分担してやるというやり方があるんじゃないかという呼びかけを、私もいたしましたし、ヨーロッパ、アメリカ放送業者からそういう話が進んでまいりました。  特に、今度の湾岸戦争で圧倒的にCNNが全世界に放映効果を上げたというので、これが急速に高まってまいりまして、したがって私は、アメリカの主要放送局の責任者とラスベガスで、それからヨーロッパの主な放送業者とはフランスのカンヌで、この問題につきましていろいろ話し合いをやったわけでございます。  これには膨大な資金が要りますから、これは、各国がどういう形でこれをやり得るのか、できたらことしじゅうにこういうものをお互いに案を出し合いながら検討しようじゃないかという趣旨の発言を記者会見あるいは私のスピーチの中でしたということで、どういう新聞記事になったか、私、きのうの夜遅く帰ってまいりましたので存じておりませんけれども、そういう話をいたしたわけでございます。
  33. 原田義昭

    原田(義)委員 今おっしゃったように、その構想自体は非常に膨大なあれでございますけれども、またあわせて相当な資金がかかるものだろうと思います。NHKがどの分野まで責任を持つのかとか、これからやるにしても相当詰めなきゃならぬ部分もあると思いますけれども、あわせて、NHKがやる場合には、当然、受信者それから国会の動向、そういうものも踏まえて、しかし、この時代に乗っかった意欲的なプロジェクトを十分詰めていただきたいというふうに考えております。  私の大体聞きたいのは以上でございます。
  34. 野中広務

    野中委員長 次に、上田哲君。
  35. 上田哲

    上田(哲)委員 外電によると、会長がこの十六日ラスベガスで、グローバル・ニュース・ネットワークの構想を発表して大変物議を醸している。どうもNHKに聞いてもまだよくわからない、郵政省も知らないということです。会長の個人的な、よく言えば壮大な構想、ひねって言えばまだ夢の話かなと。これが、当面はニューヨークにニュースデスクのセンターを置いて、英語放送をベースにして、まあアジア版のCNNの設立、こういうことのようですね。  もう少し突っ込んだ話によると、TF1とかZDF、インデペンデント・テレビジョン・ネットワークと交渉も進んでいるという話ですから、その辺はどの辺まで行っているのか。特に絞って言うと、ことしじゅうにこれを設立するというふうに伝えられています。それらの概要説明してください。
  36. 島桂次

    島参考人 私は、かねがね国会の先生方にも関係者の皆さん方にも、日本の情報、特にニュースも含めた放送ソフトあるいはアジアのソフト、こういうものをもっと全世界に出さなければいかぬ。現在、上田先生御存じのように九五%、洪水のように、新聞社も含めましてニュース素材というのは外国からなだれ込んできて、我々の方から出るものはほとんどないわけでございます。これはニュースも一般番組もそうでございます。  私は、三年ぐらい前からいろいろ、先ほど申しましたようなアメリカ、ヨーロッパその他の放送会社の首脳部といろいろの話し合いを重ねてきたわけです、全般のそういう問題につきまして、何とか我々の、日本の素材をもっと多角的に使ってくれと。現に先生御存じのように、アジア・ナウとかジャパン・ツデーとか、これは英語のキャスターを使いまして、これをアメリカとかヨーロッパにできるだけ送るように既に始めているわけでございます。  しかし、そういう話がどんどん進行している中で、特に今度、先ほど御説明申し上げましたように湾岸戦争の報道を機会に、CNNとはもっと別な形のニュースネットワークを本格的にやろうじゃないかという動きがヨーロッパの放送業者を中心に私のところへいろいろ来ているわけでございます。現にヨーロッパのEBUの会長のシャロフさんは、EBUの主な放送局が二十四時間ニュースを新しくつくる、その話し合いがようやく基本的にまとまった、それを日本NHKアメリカのパワフルな放送会社とどういうふうにリンケージしたら、ワールドワイドの、しかもアジアあるいは日本のニュースがかなりその中へ東京発で入っていく、そういう形ができ得るかということについて至急話し合いをしたいということがございましたので、それも今度の私の外遊目的の一つでございました。  その際、御指摘のようにこれは売れなければ、売るということはNHK自体が売るということじゃなくて、これを全世界の放送局が利用してもらうということじゃないと、取材のネットワークとかいろいろな意味でかなり膨大な金がかかることは事実でございます。そのときに、例えば十億ドルぐらいの金が要るんじゃないかという話が世界の各放送局から出ておりました。したがって、それはそのぐらい要るかもしらぬけれども要らぬかもしらぬ。  特にその中でNHKがどれだけ、受信料によって我々はやっているわけですから、我々が今現在やっている放送の中で世界の主な放送局とか主なフィルムエージェントにかなりのニュースの素材代を払っているわけですね。そういうものと比べてどちらがNHKの負担分として利益になるか、あるいは質的にどのくらい向上するか、その話し合いをこれから本格的に進めていかなければいかぬということで、御指摘のようなドイツのパワフルなZDFだとかあるいはアンテーヌドゥーだとかRAIだとかそういうところの最高責任者ともいろいろ話し合いを始めて、いずれもことしじゅうにはそういうものを実現させたいということでございましたし、私もこの種のものはそういったNHKの負担し得る範囲の中で、もっとよりいいワールドワイドのニュースが、特に日本並びにアジアのそういうニュースが外国にディストリビュートされるということは、これは単にNHK放送ということを超えて日本の国益に沿うものであるということで、本格的な検討に入ろうということで、一応私にもぜひそのスピーチと記者会見をやってくれという話もございましたし、ほかの有力なテレビ会社の社長さんもそれをやったということでございます。
  37. 上田哲

    上田(哲)委員 つまり、ことしじゅうに設立というのは、めどがついたと思っているわけですか。
  38. 島桂次

    島参考人 関係者同士の話し合いが、それを目標にして精力的に進めよう、こういうことでございます。
  39. 上田哲

    上田(哲)委員 当然、資金計画のめどがないとできませんね。
  40. 島桂次

    島参考人 そのとおりでございます。
  41. 上田哲

    上田(哲)委員 お話の中で十億ドルというのがあります。そのめどもほぼついていると考えていいのですか。
  42. 島桂次

    島参考人 これは、ニュースをつくる側が十億ドルの費用をかけて、それをそのままお互いに負担し合うということでは、私はこれは無理だと思います。問題は、それをどれだけ、これはホテルでもどこでも使うわけですね、そういうディストリビュートする先の収入がどのくらいあるか。この試算をするためにかなりの、やはり半年くらいのマーケット調査が必要だということで、今そういう現状で果たしてそれぞれの放送局がどのくらいの負担の中でできるかということを、目下鋭意協力し合いながらやっている最中でございます。
  43. 上田哲

    上田(哲)委員 それで、ことしじゅうに設立開業というのでは、私はかなり急テンポというかせっかちだなという不安を持つわけです。大臣、この話ほどの程度理解されていますか。
  44. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 現時点で私は伺っておりません。
  45. 上田哲

    上田(哲)委員 では現時点ではどう思いますか。
  46. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この問題につきましては、確かに情報は輸入、受ける方が九五%とかそういうふうに大部分であるわけでございまして、日本の真の姿を諸外国にまた理解をしていただく、あるいはまた日本の優秀な放送技術などを輸出をするという観点から考えますれば、その考え自体は私は決して悪い話ではないと思いますが、先生御指摘の十分なるそういう諸外国の理解なり,そういうようなことも考えつつこれは進めていくべき問題であろうと思っております。ですからまた、どのような考えであるか、私たちも注意深く見守っていきたい、そのように現時点では考えております。
  47. 上田哲

    上田(哲)委員 私は、新しい時代放送がいろいろなアイデアや夢、プランを進めていくということ自体は大いに考えていいことだと思います。しかし同時に、夢ばかり先に進んで、たこの糸が切れてしまっても困るので、国会の役目からいいますと、十億ドルということがこれだけ具体化され、具体的に話し合われ、そしてことしじゅうにやろうということになってくると、国会は予算を考えなきゃなりませんから、それがこういう論議を全然飛ばしたところで走っていくということの不安を一つ感じないわけにはいかない。その辺はいかがですか、会長
  48. 島桂次

    島参考人 これは、先ほど申し上げました十億ドルというのは全世界で全部にかかる費用ですね。取材のネットワークでニュース素材を材料とする、ということが大体そのくらいかかるのかなと。それに比べてマーケティング、それを利用していただく放送局がどのくらい全世界で出てくるのか。これは放送局だけじゃありません、御存じのようにホテルとかいろいろなところで利用するわけでございます。そのマーケティング調査をするということが一つ。  それから、その中でNHKが幾ら分担するか、そういう具体的な数字がほぼ固まってこない、先生の表現によれば夢のような早急な計画という段階で、郵政大臣にこれを説明して具体的な提案をするまでの段階ではない。  ただ一つだけ言えることは、できるだけ日本のニュースを全世界にキャリーしたいという方針の中で、幾つかのトライをやっているわけですね。トライが現実化し、実際にNHKが実際の計画としてどのくらいの負担をしようとするかしないかという段階になれば、当然関係者の皆さん方にこれを御説明し、了解を求めなきゃいかぬ、こう考えているところでございます。
  49. 上田哲

    上田(哲)委員 十億ドルといいますとこれは千三百六十億円という巨大な額ですから、NHKが全部持つなんという話はもちろんないわけだし、多岐にわたる分担ということになるのだが、受信料から出ることも間違いないわけだから。ということになると、郵政省が全部知ってなきゃいけないなどと官僚的には言わないけれども、やはり受信料国会審議ということになると、話が不意に外国から飛んでくるということではどうかというような問題は若干考えておくべきことではある。会長にやんわり私はその程度に言っておきますが、大臣、御意見がありますか。
  50. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 NHKという公共放送の立場、それも会長も十分に考えてのお考えであろうと思いますので、今後注意深く見守っていきたいと思っております。
  51. 上田哲

    上田(哲)委員 さて、衛星放送でありますが、これはゆゆしき事態になっている。そこで、安定放送供給の見通しは具体的にどうかを、これは確実に伺っておきたい。  BS3aは五月─八月の間二チャンネルになってしまう。これはもう自明のことであります。2bを使うというけれども、これはどこまでもつのか、もうはっきりしている。このまま三チャンネルを確保しようとすれば、ブレーカーで全く作動しなくなるという事態も十分に予想されているわけですし、軌道が揺れて、2bを使っていくといっても恐らく北海道、沖縄というところでの揺れは出てくるはずです。あえて比喩的な表現を使えば、三チャンネルではなくて二・七チャンネルなり二・八チャンネルぐらいということになっていくというふうに考えざるを得ないのだと思います。それでいいですか。
  52. 中村好郎

    中村参考人 先生御指摘のとおりでございます。
  53. 上田哲

    上田(哲)委員 これは五月─八月の間というのは大変はっきりしてきているのですが、もう少しく後にも問題は尾を引くのではないか。  つまり、3aはこの八月を過ぎると三チャンネルの可能範囲に戻るわけですが、ことしの冬至になると、夏至ほどではないがやはりマイナスが出てくる。来年の夏至になればまた同じような事態が出てきて二チャンネルになる。それ以外の期間は七年間の寿命を三チャンネルでいくということになるのですね。そこで安易に3bを打ち上げるからいいだろうというのは、既に2Xと3Hを二回失敗しているわけだから、三度目の正直で3bがうまくいくというようなプロバビリティーには議論があるところですから、3bなら大丈夫だという議論はできない。上がってみてからでなければできない議論ですから、現状においての議論では、このままでいくと大変不安定な放送状態にならざるを得ない。これは間違っていますか。     〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕
  54. 中村好郎

    中村参考人 予備衛星、軌道上で二機の体制で衛星放送を続けるというのがそもそもの原則でございます。したがいまして、一機体制で運用している間は非常に不安定な状態が続くということでございます。
  55. 上田哲

    上田(哲)委員 そうじゃないのです。一機体制が不安定だからというので打ち上げたのが二回失敗したんですよ。だから、急遽もう使わないはずだった2bや次の3bを使ってそれで大丈夫だという説明は無理があるだろうということを言っているのです。
  56. 中村好郎

    中村参考人 BS2bにつきましては一応寿命が来ておるわけでございまして、しかし、運用上の工夫によりまして五月の末まではサービスが可能だということになっております。したがいまして、五月の末まではこの3aと2bというのが一応使用可能というように私どもは判断をしております。
  57. 上田哲

    上田(哲)委員 困ってしまいますね。そんなことは当たり前なんですよ。あなたがおっしゃるように、2bというのは五月まででしょう。五月から八月が問題なんでしょう。だから3Hを打ち上げたのが失敗したのでしょう。だからこのままでは五月から八月というのは放送が困るではないか。話を区切って言わないとわからないかもしれないが、時間を節約しようと思って八月以降のことも、一年先のことも言ったのです。だから、そこはちょっと除いてもいいです。問題点を集中しましょう。  ことしの五月─八月です。この五月─八月は、あなたが言われたように2bは五月で切れるんだから、そうでしょう。そこで3Hがないということになると、3aと2bを使っていくのでは、例えば北海道や沖縄あたりには見えにくい揺れが出てくる、完全な三チャンネル安定放送供給にはならないということを言っているのです。
  58. 中村好郎

    中村参考人 NHKといたしましては、現在普及が四百万世帯、契約世帯が約二百数十万世帯、こういう中でどうしても二チャンネルによる放送を継続してまいりたいという願望を持っております。3aが二チャンネルになるわけでございますが、現在の衛星第一、第二をそのまま継続して放送していきたいというように思っております。
  59. 上田哲

    上田(哲)委員 二チャンネルをNHKが全部使えばというのは、NHKはそれでいいに決まっていますよ。ところがJSBがあるわけですよ。私はきょうJSBの社長の参考人招致をお願いしたんだが、手続的に間に合わないという返事なので大変不満を持っていますけれども、それはそれとして、三チャンネルができなくなって、二チャンネルをNHKが全部使えばいいに決まっているのです。放送全体として視聴者サービスとしてそうはいかないだろうと心配する。  NHKといたしましてはという話はちょっと横に置いてください。衛星放送を見る側からすると、五月から八月の間は三チャンネル安定供給にはならないという技術的な状態に入るということは認めますね。
  60. 中村好郎

    中村参考人 おっしゃるとおりでございます。
  61. 上田哲

    上田(哲)委員 NHKの愛社精神はよくわかるのです。それはそれとして、今あなたも四百万と言われる衛星放送受信者衛星放送はいいぞ、古い映画はいいぞと星のテレビを見ている人の立場で言っているんだから、そこを考えて御答弁をいただきたい。  そこで、では話をそっちへ持っていかなければならなくなってしまいますが、NHKとJSBとの話が必要になりますね。JSBとの話は既に何回かやっているように聞くのだが、今時点においては両方でどうやるかということについては結論が出ていない。それでいいですか。
  62. 中村好郎

    中村参考人 JSBとの協議は通信・放送衛星機構を間に入れましてといいますか、通信・放送衛星機構の取り持ちで協議をしております。現在までに約五回協議をしております。しかし、運用についての結論はまだ得られていないのが現状でございます。
  63. 上田哲

    上田(哲)委員 郵政省に聞きますが、NHKとJSBとの関係について言うと、三チャンネルについては、三チャンネルの配分については、NHKとJSBは対等の権利を持っているのかどうか。三が二になった、あるいは二・幾つになった場合、そのうちの二だけはNHKが優先使用できるのかどうかではありません。三チャンネルを前提としてNHK、JSBは対等の権利を持っているということですか。
  64. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 3aの使用権につきましては、NHKが二、JSBが一という割合で権利を持っているということでございます。     〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 上田哲

    上田(哲)委員 ちょっと敷衍して聞きたいのはそこなんです。  3aだけについてはということではなくて、3aはそうなんですね、ちゃんと書いてあります。そこで、3aだけでは二チャンネルになってしまってだめだから、2bを使おうということになったとき、どういうふうにやるかということについては、NHKに優先権があるのですか。
  66. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 2bはNHKのものでございますから、それはNHKのお使いになる優先権が当然ございます。JSBがとやかく言う筋合いじゃないと思いますが、3aにつきましては、ただいま申しましたようにNHKが二、JSBが一という割合で権利を持っているということになります。
  67. 上田哲

    上田(哲)委員 その3aで三チャンネルが可能である場合はそれで問題がないのだが、これが二になるということになったときの、2bを合わせてNHKにどれだけ優先使用権があるかです。これは視聴者に対して、公共放送であるか商業放送であるかは別にして、どういうふうに安定供給するかという知恵が問われます。それについて今相談をしているわけでしょう。その場合のどちらかの優先権や基準というのはあるのですか、ないのですか、対等なんですか。
  68. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 その割合で対等でございます。
  69. 上田哲

    上田(哲)委員 よくわからない。その辺を五回やってまだ結論が出ないことだから、こじれぬよう踏み込まないとしても、問題は、五月までにはその結論を得なければなりませんね、五月までには。そこは郵政省、どうですか。
  70. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 このような事態になりましたことを前提にいたしまして、現在使える衛星というのは、先生御承知のとおり、もうBS3aとBS2bしかないわけでございまして、この条件を前提にいたしまして、では具体的にどういう方法でNHKとJSBが使っていくかということにつきましては、ただいまのところ当事者で話し合いをしていただいているわけでございます。私どもといたしましては、今週中に整理といいますか、結論が出る出ないにかかわらず整理をいたしまして、その結果を踏まえまして、郵政省といたしまして五月中旬までには何らかの調整なり裁きなりをしたいというふうに存じております。
  71. 上田哲

    上田(哲)委員 四月十九日付の桑野放送行政局長の文書によると、「早急に関係機関と調整を行い、衛星放送の継続確保に向け最大限努力してまいります。」という。これは何らかの形で三チャンネルを確保するという意味ですか。
  72. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 ただいま私どもが、どういいますか、日本が持っている衛星そのものが3aと2bでございますから、その中で可能な限り三チャンネルを確保していくということでございます。
  73. 上田哲

    上田(哲)委員 しかし、技術的には三チャンネルは確保できないのですよ。どうするのですか。
  74. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 2bを使う限りにおきましては、六月以降、日本の離島等、端の方でいろいろな影響が出るということは先生御承知のとおりでございまして、それもやむを得ないというふうに思っております。
  75. 上田哲

    上田(哲)委員 では、そこの部分は打ち切りでやむを得ないということですか。そうなれば次の問題が出てきます。  そこで今度は、NHK会長の談話が出ているのですが、「受信者に迷惑をかけることのないようにする、」こうなっているのです。繰り返しませんけれども、迷惑をかけぬといっても、行政局長が言うような部分切り捨て論を前提にしてでなければ、これは収拾がつかないことになる。これは精神論じゃないのですね。JSBの徳田さんの方も、「サービスの継続に万全の措置を講ずる。」と、言葉はみんなそう言っているのですが、その言葉の気持ちは気持ちとして、事実上切り捨て論にならざるを得ない。  そこで、迷惑をかけることのないようにするということは、会長、もう一つ放送面の内容としてはどういう工夫をするのですか。
  76. 島桂次

    島参考人 放送行政局長が申し上げているとおりの、今放送衛星の現状がそうなっているということはよくわかっております。しかし、私たちの現段階での願望としては、先ほど申し上げましたとおり、技師長から申し上げましたとおり、我々としては今のところ二チャンネルをぜひとも使いたいという方針でいるわけでございます。
  77. 上田哲

    上田(哲)委員 会長の答弁は、JSBの方に我慢してもらって、うちは3aで二チャンネル、ちゃんとやっていくよ、こういうことですね。
  78. 島桂次

    島参考人 現時点ではそういう願望を私は持っております。
  79. 上田哲

    上田(哲)委員 例えば何らかの譲り合いをするとしたら、したらですよ、放送番組の編成を変えるとか放送時間短縮をするとか、いろいろなことが言われていますね。そういうことは考えているのですか。
  80. 島桂次

    島参考人 これはあくまで郵政大臣の最終決定を待った上で考えるべきことではないかと思っております。
  81. 上田哲

    上田(哲)委員 郵政大臣が最終決定すれば、現場の放送局としてはどう考えるのですか。
  82. 島桂次

    島参考人 私どもは、あくまで二チャンネルを使いたいという願望を持っているわけでございますけれども、それが通らない事態だって世の中にはあるわけでございます。これは、郵政大臣を初め国会の皆さん方も含めて、どういうことになるか。これは私がいかに二チャンネルで絶対譲らぬと言っても、願望としては現在私持っておりますよ、しかし、そうじゃない場合になった場合にも、私は経営の責任者として、できるだけ視聴者に迷惑のかからぬことを考えなければならぬ、それはこれから、今鋭意話し合いをやっているわけです、その先の段階で考えたい、こういうことでございます。
  83. 上田哲

    上田(哲)委員 最後は郵政大臣というのですが、今、私が質問したのは、視聴者に迷惑をかけませんとNHKもJSBも双方が言われることは、これは例えば番組編成面、放送時間短縮などの別なところの努力を考える余地があるのかどうか、こう質問したのです。  そういうことは考えないならそれでよい。私は、それはいいことじゃないと思っているのです。ここで三チャンネルが難しくなったから、靴に合わせて足を決めるとか、放送時間短縮するとかということがいいとは思わない。あるいはチャンネル自身を切ってしまうとか、これは問題だろうと思っております。そっちの方に安易にいってはならぬという意見を持っておりますから、それはそれでいい。そうすると、最終的にはやはり二・七、八というところになっていくときにチャンネルをどうするのかという調整にしかならない。これは物理的なことですね。最後は郵政大臣にげたが預けられた、こういうことになるのですが、大臣、どうしますか。
  84. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のように、五月の中旬ぐらいまでには問題をまとめなければならないと思っておりますので、上田先生御指摘のいろいろな角度からの御意見も頭に入れて、そのころまでには結論を、これは当然出さなければならない時限でございますから、それまでには最大のすばらしい解決策を出したい、そのように決意をいたしております。
  85. 上田哲

    上田(哲)委員 私は、結論的に郵政大臣じゃないところで決めてもらいたい。監督官庁が決めて、大臣がすばらしいなんと言ったって、本来すばらしいなんというのは、この方式から結論は出ないんだから、NHKの自主性あるいはJSBとの何らかの話し合いというもので自主的に自主的にやっていく、そして、妙案はここにはないけれども、受信者に、これだけ努力してこれがぎりぎりの接点だというのが理解されるところまでぜひやってもらいたいなと思うのですよ。  そこで、これはまた後に議論を継続しますが、衛星打ち上げの経費負担というのも大変重要ですね。今回の3Hの失敗によって、3Hは製作、打ち上げ経費が百三十億円、これは保険で返ってくるのだが、保険料の支払いだけはやむを得ない。これが大体二十六億。NHK十七億、JSB九億ということになります。JSBはいないからしょうがない、NHKだけに絞りますが、NHKの十七億というのはやはり受信料ですね。
  86. 島桂次

    島参考人 そのとおりでございます。
  87. 上田哲

    上田(哲)委員 これは私は大変問題だと思うのですね。やはり十七億も受信料からこういうことに支出するということに痛みを感ずべきだと思います。2Xと合わせて四十四億円、この議論はもう既に九〇年度予算の中で済んでしまっている。だからもうここのテーマにならないことになるのですね。これは行政手続上やむを得ないということで、ちょっと先に置いておくとして、この3Hの打ち上げが失敗したというその理由。これは目下鋭意調査をしておるということなのでありますが、私はやはり納得できないですね。そこら辺を細かくやりたいのですが、時間の都合で3aの方へ持っていきます。  3aの劣化が基本です。この3aがこんなふうは劣化してきたということについても、これはざっと三点の理由がある。そもそも打ち上げのときに四つの太陽電池パドルのうち一つがだめになるというのは、これは単なるアクシデントとは言えないのではないか。四つのうちの一つがこんなことになるというのは、やはり設計、製造過程における問題点があるのではないか。それから、太陽フレアというのはまあこれはやむを得ないということになる。夏至は計算ができているわけだから、前の二つの理由がなければこういう事態にはならなかったということにはなるだろう。しかし、こういうことになりますと、やはり宇宙開発事業団なりで、こうした問題がもう少し検討されるべきではなかったか。  話は飛びますけれども、2Xにしても3Hにしても、これは姉妹機ですから、これがともにGEの製作であって、やはり設計、製造上の過程の中でもう少しく検討されるべきではなかったか。ここらあたりを単純に不可抗力、アクシデントというふうに言ってしまってはならぬところが残ると思うのですが、いかがですか。
  88. 島桂次

    島参考人 私どもの技術陣もこの設計その他については一部参加しております。したがって、そういう意味での責任は私は痛感しております。
  89. 上田哲

    上田(哲)委員 ここで受信料の減免問題が出ているのですね。これは日本放送協会放送受信規約第十三条によると、「衛星放送も月のうち半分以上行うことができなかった場合には受信料は徴収しない」こうなっている。郵政大臣は、「まともに見られないものの金は取れぬ、当然のことだ」というふうに発言されているわけですね。
  90. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 例えばいろいろなケースがあると思うわけでございますが、NHKのテレビジョン放送のすべての部分が全く見えなくなったというような場合には、受信料をいただくということはもう頭から私はできない、そのように思っておるわけでございます。この五月から八月にかけて、北海道であるとか沖縄であるとか、またそういう離島などにおきましては影響が出てくるわけでございますが、どのくらいの部分が見えなくなるかあるいは難視聴になるかというようなことで考えますと、NHKの収支予算及び先ほど先生の御指摘がございましたが、受信の規約での明文は半分以上ということでございましょうが、現在のところそういうようなことでちょっと判断のしづらいところがあるわけでございますが、今後NHKとも十分に検討いたしまして、この問題もいわゆる一般常識的なものは当然あると思いますから、それを私はメジャーにいたしまして、この点は適切にきちっと対応をしていきたいと考えております。
  91. 上田哲

    上田(哲)委員 十三条が今回適用されるのかされないのかという判断は、現時点でどうですか。
  92. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先ほど大臣が申しましたように、衛星放送に関しましてNHKが2bを使うという前提でございますが、例えば二チャンネルあるうちの一チャンネルの方が国内の一部の地域で受信ができないということでございまして、その場合にはこれが直接適用されるということにはならないのじゃないかと思っております。
  93. 上田哲

    上田(哲)委員 これは一律にはいかないことでしょう。だから幾つかのケースを想定して議論が進められるべきであり、現に部内で進んでいるのです。これについてはNHKはどういうふうに考えていますか。
  94. 島桂次

    島参考人 先ほどから申しておりますように、あくまで私どもとしては二チャンネルを何とか使いたいという願望を持ちながら今JSBと交渉しているわけでございます。それも、今いろいろ郵政大臣以下の御発言にあるように、私どもの言い分をぜひ通してもらいたいと思っておりますけれども、それが通らない段階で、それに備えて幾つかのケースを今考えないわけではございませんけれども、今具体的にこの場で発言することはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  95. 上田哲

    上田(哲)委員 五月というのは来月なんですよね。ですからこれはちゃんとしてもらわないと、四百万世帯、二百三十五万世帯に対する責任というのはあるわけですから。  ちょっと話を横へ持っていきますが、JSBだって、商業放送だというけれども国費も入っているわけだし、そういう立場からすると、JSBの受信者に対する保障といいますか、これはまた当然あるわけですね。何か過日、大変盛大なパーティーも行われたそうですから、新聞でしか我々は知りませんけれども、大臣も行かれたに違いない。そういうふうにオープニングを華々しくやって、さてJSBの採算ラインというのはざっとこれから三年後に加入者三百万というところだというふうに言われています。これは公共放送とは違うにしても、受信者保護といいますか、放送の安定供給ということからすれば、やはり同じ視点で見なければならない地平がある。  こういうことからすると、まだ話し合いがついてないからと言うだけで便々日を送るわけにはいかないときに来ていることは間違いない。したがって、十三条を機械的に適用して、見えないものは金は払い戻しますよということがいいとは言わないし、そのことで済むとは思わないけれども、この時点で、もうそこまで迫っているものについて判断が要る。NHKは言いにくいだろうが、NHKが願望を言うことはそれはそれで一つの立場でしょうけれども、郵政としては、ここはどう考えますか。
  96. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、結局一般的な常識の中で、世間の皆さんが納得するような形でこれはさばいていく必要があろうというふうに思っております。
  97. 上田哲

    上田(哲)委員 話が戻っちゃったじゃないですか。世間の納得するというのはどういうことか。これはもう一遍戻らざるを得ない。  三チャンネルがないのですよ。だから、今は3bを打ち上げて云々ということにならない。私もまたこれから先一年のことを申し上げたが、その話はいい。今引き戻して五月─八月の話をしているのですよ。五月─八月は明らかに三チャンネル完全にはならないのだから、これはやはり受信者に対してはどうするかということを第一に言わなければならないだろう。そのためには、例えば放送時間の問題とかチャンネルの譲り合いとか、いろいろなことはあるのだろうけれども、そういうことは余りとるべきではないということになると、どう考えたって北海道や沖縄ではぶれるのですよ。そこのところはしょうがないからお金を返すとかいう話にもなっていくというのが社会的常識だと言っている。  そうすると、郵政省としては国民のために話がつかないのだったら片肌脱いでひとつお役に立ちましょうということの案がなければいけない時期じゃないですか。そして、どうしたってマイナスの部分が出るのですから、そこは十三条減免措置みたいなものについては郵政省はこう考えるということを幾つかのパターンをつくっているじゃないですか。パターンがあるじゃないですか。それを出して、どう考えるということを説明してください。
  98. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 チャンネルの使い方につきましては、ただいまNHKとJSBで協議が行われておりまして、今週中にもその結論を得て、私どもとしての判断も加えて、最終的にはしかるべき時期までにはきちんとその裁きをつけようと思っているわけでございまして、その裁きの中で、受信料の問題につきましては、NHKとも十分私ども話し合いまして、適切に対応してまいりたいと思います。具体的にこうする、ああするということは、私ども今発表できる段階にはございませんので、御理解いただきたいと思います。
  99. 上田哲

    上田(哲)委員 今週中という話が出ましたね。じゃ、それは承っておきます。  ただ、裁きというのはよくないな、言葉としては。放送というのは上からやられるというのはよくない。ここは言論の自由というものにつながってきますから、何とか受信者の立場に立って一番いい方法はないかということに知恵を出すということでやってもらって、郵政省が決めたのだからしょうがないやとNHKもJSBもならないように努力をしてもらいたいと言っておきます。今週中にという話だから、そこを見守っておきます。  そこで、最後ですが、空の放送衛星とか何百億円とか大変なレベルだし、手の届かない宇宙のことだものだから、話が大き過ぎて飛んでいっているのだが、私はここにも責任の問題というのは残ると思っているのです。例えばさっき申し上げた3aについて、四つのうち一つがすぐだめになってしまうとか、太陽フレアは仕方がないとしても、これはやはり計算が十分でなかったというか、整備が十分でなかったということは当たり前の反省です。自動車がぶつかったって責任を問われるのに、空へ打ち上げた何百億円というものだったら責任がないなんておかしなことはないと思うのですよ。受信者に迷惑をかけないようにする、鋭意調査するというようなことばかり言っているわけだが、どこが悪かったのかというところが出てこないのですね。宇宙開発事業団とかGEだとかNHKだとか、その他だれがどういう責任を感じているのですか。
  100. 白井太

    ○白井政府委員 BS3につきましては、国それから宇宙開発事業団さらにはNHK、JSBあるいは通信・放送衛星機構、関係する団体が一体になりまして最善と思われるような方法で計画を進めてきたと私どもは見ております。ただ、何せそのプロジェクト自体が大変リスクを伴うという面もこれは否定できないわけでございまして、不幸にして一部にふぐあいが出たということでございます。  過去いろいろこの衛星をめぐりましてのふぐあいあるいは事故というのも見てみますと、いろいろなところで、本当に思わぬところでこのふぐあいが生ずるということになっておるわけでありまして、私どもといたしましては、この3aで起きました事故というのを十分頭に入れまして3bでまた再び同じような事故が起きないように関係者一同が最善の努力を尽くすということしか申し上げようがないのではないかというふうに考えております。
  101. 上田哲

    上田(哲)委員 とんでもない話です。そんなことを言っているのじゃ話にならないです。としか申し上げようがないのでは、なんと言っているなら、どんな失敗だって、というように申し上げればいいことになってしまうじゃないですか。とんでもない。十分な努力をしたと思いますがと言ってそれが通るのだったら、世の中に事故というものは絶対ありませんよ。アクシデントといい、人間の知恵を離れたところで起こったことであっても、これは後から考えれば人間の知恵は及ばなかった、今日の技術水準では届かなかったけれども、やはりここが反省点だったなということがなければ、同じ事故が続くに決まっているじゃないですか。X、Hと二回だめになっているのですよ。三回目はうまくいくだろうと思うからなんと言って、これだけの巨額な金額や国民の期待や負担というものをいいかげんに扱っていってもらっては困る。  NHKも十七億円かかったのは仕方がないんだということはよも言わないだろうと思うが、十七億円の保険料の拠出というのは簡単なことじゃありませんよ。現に二回失敗しているのです。三回目はうまくいくだろうなんて甘い話をしているようなことでは困る。また行政官庁もそれ以外に申し上げることはないと思いますなんて、そんないいかげんなことはだめだ。はっきり責任というのはどこにある、申しわけないということぐらいは、宇宙開発事業団なのかGEを呼んでくるのがいいのかNHKなのかよくわからぬ。しかし、新聞に出ている活字で言うと、この衛星NHK衛星と書かれている。三分の二なんだから別にNHKだけじゃないのだけれども、NHKのと言われるということは、ある意味での期待でもある。  そこに対して、これは不可抗力だ、仕方がないんだという話であってはならない。官庁の言うことは半分はしょうがないと思うけれども、これ以外に申し上げることはないんではないですかなんて開き直られては困る。NHKの十七億円は、みんな毎月毎月の受信料のお金が集まっているのですよ。そこの痛みがないと思う。そこのところをしっかりしてほしい。どなたでも結構だ、これは反省しなければいかぬというところを。責任はどこかにあるのです、これは。それをはっきりしてください。
  102. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 BS3Hの打ち上げ失敗によりまして今後の衛星放送の運用につきましていろいろ御心配をおかけする事態になりましたことは、私ども行政といたしましても心から申しわけなく思っておりますし、おわびを申し上げたいと思うわけでございます。  今までの今日に至る経緯につきましては、それぞれの時点において関係者一同一生懸命最善の努力をしてきたつもりでございますけれども、結果としてこういうふうな形になってきたことにつきましては、私ども、今後のあり方につきましても、十分そのことを踏まえながら対処してまいらなければいけないというふうに思っているところでございます。
  103. 島桂次

    島参考人 私は、現在の放送衛星技術が非常に不安があるということは三年前から考えておりました。それで、3Hを上げるときも随分いろいろな方から反対されました。私としては、それをあえて御納得いただいて上げたわけでございます。それが失敗した責任、これは私は十分考えております。
  104. 上田哲

    上田(哲)委員 終わります。
  105. 野中広務

    野中委員長 次に、武部文君。
  106. 武部文

    武部(文)委員 私は、衛星放送の問題の前に、この間、当委員会で可決になりました電波法の改正、緊急遭難信号の例のSOSの改正の問題に関連をいたしまして、大臣の私的懇談会であります電波政策懇談会でこの問題が取り上げられましたので、このことに関連をして、放送関係にもこれが大変影響がある、このように思いますので、そのことを先に質問をしたいのであります。  電波政策懇談会が三月十五日に報告書を提出いたしたわけでありますが、この報告書の内容の一番最後の方に「増大する電波行政経費への対応」として一項目報告書に記載されております。このことが大変大きな反響を呼びまして、マスコミでは大々的にこれを取り上げておりまして、我々も予想外な反応があったというふうに理解をしておるわけであります。  この中で、電波の受益者負担、そういう言葉が載っておりますが、これはマスコミでは電波使用料という名前にしてしまっておるようですけれども、早ければ九三年度に実施を目指しておる、こういうふうな報道が既になされておりますが、一体郵政省としてはこのことについてどのように考えておられるか、まず最初にそれをお伺いしたい。
  107. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、日本の情報化というのには、さまざまなネットワークの構築というのが大変重要でございます。せんだって当委員会にもお願いをいたしまして、将来、光ケーブルを張りめぐらし、それからATMというような従前なかったような新しい交換機で構築される公衆ネットワークというのが大変大きなウエートを占めるわけでございますが、同時に自動車電話あるいは各種の移動体に使われるような無線系というのも大変重要な通信手段でございます。  ところが、その基本になる法律は、先生御案内のとおり昭和二十五年にできました電波法が今全体の法律の基本になっておるわけでございます。電波法ができましたのは昭和二十五年でございますので、それまで政府しか電波を使ってはいけないのを何とか民主化しようということで初めて電波を開放したわけでございますが、おかげさまで、その後新しく民放が生まれる、あるいは電力事業が電波を使うというように発展してまいったのですが、昭和六十年の改革で、こうした電波をビジネスに使うというようなことはだれしも想像しなかったわけでございます。  現在の体系のままでは将来、果たして二十一世紀を展望できるだろうかということから、お話しの政策懇談会をお願いしまして、その結論が三月に出たばかりでございますが、今先生のお話にもございましたように、そのためには解決しなければならない課題が山とある。利用料の話はそのうちの一つでございまして、むしろこれから有効な電波の使い方をするためには、まださまざまな解決手段が必要だということでございますので、いずれにいたしましても、ただいまのところはこうした提言を受けて、今申しましたような視点でこれからの二十一世紀にも十分対応できる電波の監理体制というものを構築していかなければならぬということで、現在鋭意こうした報告書を受けて検討しているさなかというか、ようやく着手したという状況にございますことを御理解願いたいと存じております。
  108. 武部文

    武部(文)委員 そうすると、報道されておるような九三年度に実施するとか、あるいは料金の合計は約五百億円だとか、そういうことが既に出ておりますが、そういうようなことはまだ今のところはありませんか。
  109. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 先ほども申し上げましたように、この解決すべき課題の中には、周波数が足りなくなる、その資源開発をどうするか、あるいは新しい技術をもし仮に導入しますれば、今までのところを占有している人たちに新しいところへ移ってもらう、全体として適正な電波の割り当てということも考えにゃならぬ、その他、免許事務が大変にふくそうするであろう。あるいは不法無線の対策、このまま放置しておくと、免許したのはいいけれども実際妨害が多くて使い物にならないのではないか、さまざまな問題の提起があるわけで、先ほども申し上げましたように、そうしたことを解決するには、やはり相当の経費を必要とするのではないか。  ただ、現下の財政状況の中で、ここのところについて急激にこうした経費をふやしていくというのは非常に困難ではないのか。そうとすれば、現在、電波の免許人が一種の社会的な特典を受けている。つまり安定的に特定の周波数についての免許を受け、混信がなく安定的に使える、他の人が使おうとしても使えないという状態、そうした状況になっていることに着目して、事業者にいわば受益者負担的な考え方もあわせ導入してこうした問題の解決に向けての一つの方策として提言したいというのが、この懇談会の中身でございます。したがいまして、今申しましたように、全体の検討状況はこれからに相なるわけでございます。  ましてや具体的な金額だとか、あるいはもう少し細かいどこでどういうふうになるのかというようなことについては、まだまだこれからの検討になるわけでございますので、したがってスケジュール等についてもまだお示しができる状況にはない状況でございます。
  110. 武部文

    武部(文)委員 この無線局数ですが、無線局の数が今後十年間に現在の八倍、五千万局を超える、こういうことがここに出ておるわけであります。ほとんど陸上の移動局の伸びだと私は思いますが、この八倍になる、五千万局になる、こういう数字は一体どこから出たのか。さらに、この通信政策の将来展望について、このように八倍とか九倍とか、五千万とか六千万とかというような数字が出てくるということになれば、これは異常だと思うのですが、そういう点で通信政策の将来展望についてはどういうふうにお考えになっているか、これをお伺いしたい。
  111. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 最近の無線局の伸びというものは大変急激な状態でございまして、ちょうど一九八〇年、ということになりますと十年前の無線局の数は約二百万局でございます。昨年の一九九〇年、つまり十年たって六百万をはるかに超える状態になっておるわけで、この状態は今なお現在各地方の電波監理局に新しい免許の申請がいわば山積している状態でございまして、それで平均いたしますと、申請から免許を出しますまでに約二カ月かかっておる状態でございます。  御案内のとおり、技術の開発によって今まで使えない周波数が次第に開発されているという状況がございます。例えば、かつて移動しながら通信する場合は周波数の低い六十メガヘルツあたりを使っておったものですが、その後四百メガヘルツ帯に移り、今御案内のとおりに自動車電話は八百メガヘルツが中心でございますが、今首都圏の事情ではこの八百メガ帯もついに満杯になるであろう。ディジタル化すると同時に、従前使ってこなかった一・五ギガヘルツというさらに高い周波数、つまり光に近い周波数を開発してこれに充てるべしということで、つい最近でございますが、そういう実施方針は踏み切ったところでございます。  そういう形の中で、あらゆる移動体に対するニーズが非常にふえております。したがいまして、これはこの懇談会で、いろいろな移動体を初めとする無線局あるいは各種の新しいニューメディアの放送局もこれからふえるであろう、さまざまなことをカウントするとどうしてもあと十年たった二〇〇〇年にはトータルの数は五千万は下らないだろう、こういう予測をなすった、こういうことでございます。  したがいまして、そうした時代になりますれば、さっきも申し上げましたように、固定系の光ケーブルを中心とした情報ネットワークと、大変簡便に使える、安く使える、そうした移動系とが両々相まって将来の日本の情報社会の構築をすることになるのではないか、そういう意味でこの無線局の数というのも私ども十分あり得る話というか、十分想定してかからないと、この点を看過しておれば大変大きな過ちを犯すんじゃないかという意味で、大変大きな警鐘だと思って受けとめておるところでございます。
  112. 武部文

    武部(文)委員 御説明のように、移動通信中心の変化がこれから急激に起きる、これは予想できますし、今おっしゃったとおりだと思います。そのために、既存の電波利用者にまで新たな負担を強いる、求める、こういうことになるわけですが、それはそういう既存の電波利用者の理解を得られる、そのようにお考えでしょうか。
  113. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 先ほども申し上げましたが、今の我が国の周波数全体を見ますと、使える限りのところを目いっぱい使って、御案内のとおりの放送がございます。それから、通信も相当多くの量は単にケーブルだけじゃなくて、無線による電波に依存しておるところでございます。また、放送も固定波だけかというと、例えば御案内のとおり衛星を使ってアメリカとの、あるいは諸外国との即時の中継がある、あるいは駅伝みたいなことになりますれば、これは移動系の波を使って放送局に伝送する、あるいは事件が起きたらその事件現場からは移動系によらざるを得ない。さまざまな形で全体が成り立っている、こういうことでございますので、したがって、その過程では、従前使っておる波についてもより適当なところへ移ってもらうというようなことも必要になるわけでございます。  できるだけ今後の情報社会に対応するためには、今までの一たん免許をもらったらずうっとそこに安住するという形でなくて、そのときそのときの社会に一番最適なアロケーション、割り当てというふうな形も必要になろうか。そして、しかも、電波の秩序がきちんと維持されるためには十分な監視というか混信がないような秩序立ても必要になる。新しい波の開発の恩恵を既存の免許人も受ける。こういうことでもございますので、この懇談会では、こうした電波の利用を社会がひとしく享受するためには、その経費を、単に税金による負担というだけではなくて、新たな一つの方策としてこういうものを考えてはどうか、こういう御提言でございます。  ただ、これを受けて今後どうするかはまさにこれからの課題だということでございますので、お話しのような問題については、よくよく議論をする中でいろいろコンセンサスを得て、その上での解決の話だ、こういうふうに考えているところでございます。
  114. 武部文

    武部(文)委員 この報告書が出されましてからNHKや民放の対応ぶりを見ておると、突然のことで戸惑っておる、こういうような状況が今のところ現実だと私は思うのですが、この制度を検討するに当たって、こうした関係者、いわゆる放送関係あるいは移動体通信の代表とか、そういうものの意見を聞いた、そういうことがあるのか、それともこれから聞こうというような考え方を持っておられるか、それはいかがですか。
  115. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 この懇談会自体は、広くこうした電波の利用の今後のあり方について御検討いただくということで、さまざまな分野から入っていただいておるわけでございます。しかし、必ずしも、そうした意味合いでは、この懇談会の構成は直接の利害人が大勢参画しているという形ではないことは御指摘のとおりでございます。もちろん、一部こうした形に関係しておられる方も参加していただいておるわけでございますが、ただ、こうした議論をするについては、報告をまとめるについては、やはりぜひ関係者の意見も聞いておかなければならないということで、懇談会ではNHKあるいは民放、そうした方々あるいは電気通信事業者等々、あるいは自営で通信手段を持っておられる例えば東京電力みたいな自営業者等にも部会という形で御参入をいただいて、そして免許人としての意見も踏まえながらの検討をしていただいておるところでございます。  いずれにしましても、この懇談会自体はまだ最近報告をされたばかりでございますし、今後こうした提言を受けて具体的な検討に入るについては、おっしゃるとおり、関係人あるいは利害関係者というところの御意見も十分踏まえながら検討いたさなければならないと考えているところでございます。
  116. 武部文

    武部(文)委員 アメリカでは、放送業界が中心になって大反対をやって、いまだにこの問題は結論が出ない、実施されていない、こういうことを聞いておりますが、間違いありませんか。
  117. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 アメリカでは、これは我が国と同様でございますが、免許を受ける際にそういう手数料というのはあることはあるわけですが、あと世界の各国がとっておりますような電波利用料みたいな制度は現在は確かに入っていないわけでございます。  ただ、先生のお話にございましたように、アメリカでも周波数が逼迫をしている事態が大変深刻になっておりまして、例えばニューヨークとかロサンゼルスとか、大都会では自動車の電波がもう足りないというようなことも大きな問題になったり、あるいは周波数全体が不足するがゆえに新しい技術の導入がおくれるんだという産業界の意向等もあるわけでございまして、かたがた行政経費の増大も大変深刻な問題になっているというようなことで、この今の現状に対して新しい方策をぜひ考えるべきだということで、現在政府だとか議会等で相当活発な論議が行われているようでございます。  具体的なテーマとして挙がっておりますのは、電波利用料というのと、それからオークションという入札制度でございます。  電波利用料の問題につきましては、これは一九九〇年度予算といいますから、アメリカの予算は九〇年十月から新年度の九月までがその予算だそうでございますので、ちょうど九〇年度予算、去年で大分議会と政府の間の重要案件だということで取り上げられたようでございますが、今先生からの御指摘ございましたように、確かに案として浮かんだのは、当面電波利用料として五年間で約一兆五千億を放送事業者を対象に取るべきではないか、こういう意見があったようでございますが、まだ十分煮詰まらないということで、これはアメリカの予算は、伺いますと最終的には政府じゃなくて議会の方が提出するようでございますので、まだコンセンサスを得るに至らないというようなことに相なっているようでございます。ただ、アメリカのNTIAだとかFCCだとか、そうした政府の電気通信なり電波を担当する機関からは、こうした問題についていろいろの提案があるようでございます。  また、周波数のオークションの問題については、これも政府、議会に強く支持する向きがあるようでございますが、具体的に三十メガヘルツの幅あるいは六メガヘルツの幅をオークションにかけて、年間五千億とか八千億とかいうものを政府の財源に充てるべきでないかというような議論があるやには聞いておるところでございます。
  118. 武部文

    武部(文)委員 アメリカではやはり放送業界は大反対をしておる、それでいまだに実現をしていない、こういう状況と私ども承知しておるわけですが、もし我が国でこの電波使用料というものを実施する、こういうことになった場合は、先ほどいろいろ考えておるというようなことでございましたけれども、手順あるいは法律の手当て、さらには新しく特別会計を設けるとか、そういうようなことが考えられるわけですが、そういうところまで郵政省としては一応考えておられる段階なのか、それとも今のところ全くそういうことは考えていないのか、これをちょっとお聞きします。
  119. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 大変具体的なお尋ねになるわけではございますが、先ほど申しましたように全体として、こうした料金初め電波監理のありよう全般についての勉強をいたしておるわけでございまして、今具体的にこうした手当ての方策のところまでまだ御説明申し上げれる状況にはなってないわけでございます。  したがいまして、また何とも今の問題についてのお答えができかねるわけではございますけれども、仮にということでございましたので申し上げれば、やはりこうしたものを、受益者負担という考え方というものを仮に導入するとしますれば、当然のことながらこれは法律の改正、現にない制度でございますので、それは何の法律かというようなこともございますが、新たな立法措置も当然必要といたしましょうし、あるいはこうしたものをもし現実のものにいたすということになれば、入った収入が具体的にどう使われるかというような法律的にきちんとした手だてのことも必要でございますので、それが特別会計かどうかということまでは、もちろん今の段階で何とも申し上げかねますけれども、いずれにしてもこうしたいろんな諸問題はコンセンサスを得て、それが必要だということになりますれば当然詰めてまいらなければならない課題になると考えておるところでございます。
  120. 武部文

    武部(文)委員 もし実施する場合に、NHKあるいは民放、そういう放送事業者、そういうものからも、例えばカナダとかイギリスとかフランスとかそういうものは、さっきもお述べになった電波利用料という形で取っておるようでありますが、NHKや民放の放送事業者から一律にそういうものを徴収する、こういうお考えですか。
  121. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 くどいようでございますが、取るとすればというにはまだ相当のいろんなことを積み重ねなければならないわけでございますが、懇談会の示しておるような受益者負担的な考え方となると、当然その電波をどの程度使っているかというのが一つの出発点になろうかと思うのであります。あるいはそれをどの程度の幅で使っているかとか、どの程度の時間を占有しているかとか、そういうさまざまな利用のあり方の実態をよく調整しなければ、あるいはよく見きわめた上での考え方を整理をしなげればならぬと思っておるわけであります。  ただ、いずれにしても、こうした構想というものが現実になります際には、やはり公平性という問題が大変大きい課題になるであろう。そうしたときにその公平の観点から具体的に個々の免許の主体がどうであるか、あるいはそれが公共機関なのか国なのか、利益の追求なのか、あるいはその役割が何なのかとさまざまな議論が出てまいりましょうだけに、その辺の公平性をいかに確保するかという点が一つの大きなポイントになるのではないかと私ども考えておるわけでございまして、これ以上のことについてはちょっとまだ具体的には申し上げれる段階にないということでございます。
  122. 武部文

    武部(文)委員 じゃ、ちょっとNHKに聞きますが、現在NHKでは放送局、無線局、合わせて何局ぐらいございますか、数。
  123. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えいたします。  NHKが現在運用しております無線局は約二万四千四百局であります。このうち放送局は約一万八千二百局でございます。それからもう一つ、取材、連絡などに使っております無線局が約六千二百局ございます。
  124. 武部文

    武部(文)委員 わかりました。二万四千四百局。NHK放送法によって全国普及の義務があるわけですね。こういう公共的な特別な目的で使用する場合と、それから収益を目的とする利用の電波、それを同じような同列に取り扱って郵政省はこれからの検討の対象とする考えなのか、この点はいかがでしょうか。
  125. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 現在の六百二十五万に及ぶ我が国全体としての無線局の中にはさまざまな免許人がおられるわけでございまして、もちろん国自体が免許人になって、例えば治水に当たるとかあるいは河川のテレメータリングをやっているというような免許人もございます。あるいは地方公共団体も防災のためにさまざまな活動を電波によって行っているということもございます。  そうした意味合いで、この電波を利用している他の公共機関あるいは公益機関との兼ね合いを、NHKという具体的なお話が出ましたが、その点をどう考えるか、あるいは放送という事業と電気通信事業との違い、それをどう考えるか、さまざまな難しい問題があろうかと思うのでありますが、先ほども申し上げましたけれども、こうした問題については、もし仮に現実のものとなったときには、やはり公平性という観点は大変大事なポイントになる、あるいはそのことがまた逆にコンセンサスを得る一つのポイントになるのではないか。大変重大な御指摘ではございますが、いずれにしてもこれからの検討課題になるというふうに考えるわけでございます。
  126. 武部文

    武部(文)委員 時間が大分超過しましたので余り長くとりませんが、NHKの長期経営計画の改善、そういうものを私どもちょうだいしておるわけですが、その中にはこのようなことは全然入っておりませんでした。したがって、これからどのような金額になるか全くわかりませんし、いわゆる公共放送とそうでない放送とをどう取り扱うのかということもよくわかりません。検討の対象のようでございますが、いずれにしても、放送法というものは、先ほど申し上げるように義務を押しつけて、あまねく公平に全国一律にと、そういうような点が中心でありますから、そういう面からいうと、放送事業者の利益と視聴者の利益とどっちを考えるかというと、NHKは視聴者の利益を考えておる、とっておるんだ、とるべきだということを我々は常に主張してきたわけでございます。  そういう面からいうと、この電波の使用料というものがどういう形でNHKにやってくるのか、それによってはあるいはまた受信料の改定というようなことが起きる可能性はありはしないだろうか、そんなようなことも、内容を見て、新聞の報道を見て大変心配するわけですが、御説明によりますと、余りにもこれが中身が大々的にございまして、詳細に書いてあるのですよ。何千億をいつからどのぐらい取っていくというようなことまでみんな書いてある。したがって、お聞きしたわけですが、今の説明から聞くと余りまだ進展してないように承ったわけですが、これから計画をされ、協議される中では、今申し上げたような公共放送としてのNHK、さらにはその目的、そういうものから見て十分ひとつ検討をし、そのことがまた受信料にはね返るとかいう、すぐ短絡的に結びつくようなことのないようにしてもらいたい、こういう気持ちから申し上げたわけであります。  この問題はこれで終わりまして、先ほど来、同僚議員から衛星放送の話がいろいろ出ました。私もこの問題をお聞きしたかったのですが、もう時間がございませんが、いずれにしても失敗したことは大変残念でございまして、これが一体今後どうなるのだろうかということを大変心配しておる者の一人であります。一々3Hがどうだ、2bがどうだということは申し上げませんが、先ほど、これからどうなるのかということについて大臣の方から、すばらしい結論を出したい。大変結構なことで、すばらしいというのは両方がよくて初めてすばらしいということになるので、片方を立てれば片方が立たないのですよ。これは歴然としておるわけですから。そういうことから見ると、いい言葉だったけれども、なかなか難しいなということを考えます。  NHK会長は願望ということをおっしゃったわけですけれども、これはとりたい、二チャンネルを何としてもおれの手でというような、あっちのJSBの方も何とかして自分の方もと必死になっているのですから、協議を五回重ねたというが、協議なんという、名前はいいけれども、けんかですよ、はっきり言うなら。取り合いっこだ。そういう状況でしょう、現実に。それをどうして解決するかということは、双方にやっておってもこれは無理なんですよ。  ですから、先ほどもお話が出たように、これは行政の面で郵政省が中に立って、一体視聴者のためにはどれが一番いい方法か。放送時間のこともございました。チャンネルの時間帯のこともございました。そういう点の協議を真剣に早急にやってもらわなければならぬ、私はそういうふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  127. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 大変難しい問題ではございますが、いずれにいたしましても、五月の中旬までには結論を得なければならないと認識をいたしておりまして、鋭意努力をいたしたいと思っておるわけでございます。  この2bの問題などもあるわけでございまして、これがどのぐらいまで、実際に期限をとりつつこれを運営していくと案外そのあたりから一つのものが出るかもしれませんが、そういうことは非常にか細い考え方かもしれませんので、それは別といたしまして、また、時間帯であるとかいろいろな角度から考えて、円満な話し合いで終わるように注意深く指導をしていきたいと思います。
  128. 武部文

    武部(文)委員 島会長は、失敗をした直後に、衛星放送の安定運用のために新たに補完衛星が必要だ、現在は調査中だ、こういう発言をされておるわけですが、この具体的な目的というか、具体的な状況が今のところ何かあるのか。補完衛星を何とかやりたいという気持ちはわかるけれども、見通しはどうなんですか。全くないのですか、それともどういう状況でしょう。
  129. 島桂次

    島参考人 私は、先ほども、フロリダの衛星打ち上げのときに万一に備えてGEとかヒューズのヘッドクォーターと最悪の場合にどうするかということをやっておりますし、現に森川技術担当理事が鋭意今アメリカでいろいろなことをやっております。できるとすればいつできるのか、費用は幾らなのか、そういうことがある程度見通しがついた段階で、郵政省を初め関係者の皆さん方と御相談した上、その見通しがつくかつかないかわかりませんけれども、できるだけ可能な限りそういうものをつくって、何とか衛星放送を中断することのないように最大限の努力を今やっている最中でございます。
  130. 武部文

    武部(文)委員 今の状況からいいますと、先ほどもお話がございましたけれども、3aは不安定だ、それから2bは五月までだ、これもいつ電池が切れるかわからぬ、こういう状況です。そしてこのスペアというものは、いわゆるスペアの衛星機材というのほぼとんど見込み薄だ、こういう状況ですね。  こういう状況で、マスコミは何と言うかというと、何ともひどいことを言って、三隣亡で仏滅だ、こう言っておるのですよ。こんなばかげた、人を茶化したようなことを言っておるのだけれども、そんな生易しいものじゃないでしょう。三隣亡で仏滅で、後はどうなるかわからぬという、そんなばかげたことでこの問題は解決すべき事態じゃないと思うのですよ。極めて深刻な状態で、本当にそれこそ衛星放送の将来の展望がここで開けるか消滅するかという瀬戸際のような気が私はするのですよ。そんな気がするのです、素人だけれども。したがって、まさに衛星放送の存廃をかけた時期だ、そういう決意でひとつ臨んでもらわなければいかぬ、そういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  131. 島桂次

    島参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。
  132. 武部文

    武部(文)委員 先ほど十三条の問題が出ました。これも大変重要な問題なんです。それで半分見えなかったら返すということもちゃんと決まっておるのですから、それだけにもうそういう事態が目の前に来ておるのですから、これはやはり郵政省が指導して、見えなかったところは受信料はその際にははっきりとお返しいたしますと、そのかわり見えるようにさらに努力をして、これから完全な形に努力をさらに続けますという約束を国民の側、受信者に早急にやるべきだと思うのです。これを今検討中だ、検討中だといってぐずぐずするべきじゃないと思うのです。それが信頼を取り戻す大きな道だと私は思うのですけれども、これはいかがでしょう、NHK
  133. 島桂次

    島参考人 私は、もうその決意で、二、三日前から一生懸命努力しております。ただ、私一存ではできません。これは郵政省初め皆さん方の御了解を得なければいけませんので、できるだけ早く、いつどうできるかということを一日も早く、ある程度の輪郭ができましたら早速御相談したいと思っております。
  134. 武部文

    武部(文)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  135. 野中広務

    野中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  136. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田利正君。
  137. 上田利正

    上田(利)委員 事業は人なりということが言われますけれども、会長に若干お尋ねをしたいと思うのでございます。  最近、NHKの人事につきまして週刊誌などでいろいろなことが報道されております。役員人事につきましては、きょう発令といいますか実施というふうに承っておるのでございますけれども、マスコミが大々的な報道を行い、最近に至りましては、NHK問題をいろいろな観点から取り上げております。きょうの論議になっております衛星放送の問題も、もうさまざまな新聞あるいはマスコミが報道しておりますけれども、そういう中での今回の人事。本委員会で論議することはなじまないのでございますけれども、ただ、言うなれば国民の期待にこたえていくNHKという観点から、あるいは昨年、平成二年度から経営五カ年計画を立てられまして、それに向かって会長以下役員、職員、全力を挙げて今取り組んでおる、こういう点については非常に敬意を表するわけでございますけれども、本委員会に人事問題はなじみませんが、国民の期待を背負っておるNHKという立場で、あえて申し上げるわけでございます。  九日に、私どもいろいろと人事の内定問題を承りました。何かNHKの中を人事問題でいろいろなものが駆けめぐったというようなこともそれぞれ状況の中でお聞きをしたような次第でございますけれども、六人の役員、理事が交代をしているというわけですね。時によっては、事業は人なりですから、これはやらなければならぬ問題でございましょうけれども、非常に大幅な役員人事、こういう中でそれぞれ週刊誌などが、おもしろおかしくと言っては語弊があるかもしれませんけれども、いろいろな報道をしてきておる、こういうことでございます。  五カ年計画を遂行するに当たってはやらなければならぬとか、何かそういうふうなやらなければならない特別の理由がおありであったのかどうなのか。しかも会長は、十日にはソビエトを中心にしながら海外へ行かれる。衛星打ち上げの問題もあるので、後はアメリカへということで最後はアメリカのようでございますけれども、そういう内示を行いながら海外へ会長は出られていった。  タイミング的に見ますると、東京都のあの知事選を連日連夜ずっと報道しておりましたが、知事選の結論が出た段階で人事の発令がされ、そして会長が海外へ出ていった。何かあるのではないかというふうなことが言われておるのでございまして、その点につきましてどんな観点から人事異動を行われようとしておるのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  138. 島桂次

    島参考人 私が九日の日に発令しましたのは、九日の日に経営委員会がございまして、御存じのように経営委員会の了承をとりませんとできない人事でございまして、二十五日発令の場合は、九日の経営委員会に諮らなければいかぬという事情があったわけでございます。  先生御指摘の理由は、御存じのように、昭和三十年代の中ごろ、教育テレビを始めるために、その当時の経営が三千人ぐらいの大学卒業の新入社員を入れたわけでございます。その人たちがちょうど今定年近くの時期に来ているわけでございます。その人事が非常に渋滞しておりまして、逆ピラミッド型になっているわけでございます。一種の若返りという、そういうことをやっていかないとどうにもならぬという事情が一つございました。  それよりもっと大きな理由は、私はやはり先ほどのGNNとか国際的な共同制作とか、あるいは日本の番組を外国へ出すという場合には、どうしても、NHK本体もさることながら、その関連団体、そういうものを強化、発展しなければいかぬ。そのために私は、現に今度の新任役員の場合も、関連団体の役員をやっている人間を本体に入れたり、本体からまた関連団体にやったり、そういう意味の人事のクロスをして、企業の活性化を図らなければいかぬ。普通の場合のように役員が退任しますとそれで永遠にNHKから離れるということじゃなくて、NHKグループの中でどんどん将来、現に今までもありましたし、今度の人事異動でも、そういう例もございます。  それからもう一点、同じように地域放送の拡充ということが、やはり今、国際化の問題ともう一つ大きな柱としてあるわけでございます。今までは、地方の放送局へ出ますと再びカムバックする例というのはございませんから。そういう意味で、今度はやはり地方の、それぞれ大阪とか名古屋、今回は大阪でございましたけれども、そういうところの人事交流もしなければいかぬというようないろいろな観点から、単なる大幅な人事異動をやってどんどん大幅に切りかえていくという観点だけではなくて、そういう五カ年計画、これから将来の新しい情報化時代の新しい公共放送のあり方を構築するためにも、従来のような方法をやっていたのではだんだん行き詰まるということで、いろいろ考えた末、そういう人事をやったので、その辺の事情については何とか御了解といいますか理解していただきたいというふうに感じておるわけでございます。
  139. 上田利正

    上田(利)委員 会長から今御答弁をいただきました。しばしば会長は、本委員会の中でも、そういうようなことを言っておりました。出先と人事の交流をやるとか、あるいは地方の局長に出たらそれで終わりだということじゃないということの中から、今回も、御回答いただきましたような、そういう人事の体制になっております。  ただ、非常に大幅な人事であったということと、タイミング的に、東京都の知事選が週刊誌を通じて、いわゆる元NHKの、かかわった人が知事候補になっただけに、あることないこといろいろな形で報道された、そういう状況の中でしたから、やはり波紋が出たんじゃないか、ない腹も探られるというようなことになったんじゃないか、こう思うわけでございます。  そういう点は、事業は人なりということでございますから、当然それはそういう形で、会長を中心にして経営委員会に諮ってということになる。これはもう私も承知しておりますけれども、やはり適切な時期を選んで、その実施をする、そういうことをしないと、何か島会長になってから強権的な人事じゃないかとか、島桂次会長の組織改革がこれからいろいろと行われるけれども、これは島ペレストロイカであるとか、いろいろなことを言ってくるんですね。そういうことによって、一万四千人を超えるNHKで一生懸命働いている職員全体に、何か水を差すようなことになってはいけないと思うのです。  だから、そういう点では、人事は非常に重要なんですよ。ですから、もうこれ以上申し上げませんけれども、一説では、政治部の経験が深い島会長だから、これからの一般人事もそういう者で占めていくだろうとか、政治部長はそれで占めていくだろうとか、いろいろなことが言われてきているのですね。火のないところに煙は立たないとかいろいろなことはありますけれども、島会長のことですから私は信用しておりますけれども、やはりそういう点も熟慮に熟慮を重ねた上で実施していく、そして公共放送の基本であるところの、NHKは一党一派に偏らない、公正、公平な放送行政に徹していくんだという基本があるわけですから、人事もそういう形でやらないと禍根を残すようなことになると思いますから、ぜひそういう点で今後十分対応をされるように希望を述べておきたい、こう思います。  次に、放送衛星の関係に入りますけれども、これらもマスコミを通じまして盛んに言われていることは、どうもNHK放送衛星にかかわってきてから非常に財政的に負担がかかってきたのじゃないか。ですから、一昨年になりますけれども、受信料の大幅引き上げということも実施をせざるを得なかった。それだけの、衛星だけの問題じゃないのですけれども。  しかし、地上波によって、地上波を中心としていわゆる受信料をそれぞれ払いながら、このNHK放送文化がずっと発展をしてきたわけです。衛星を打ち上げていく、それには金がかかる。ハード面においてもソフトの面においても当然かかるわけです。そういう中では、これは受信料で賄わなければならぬわけですから、受信料で。まだ衛星を我々が見ているわけでも何でもないのに、何でその衛星の開発費やその他を我々の受信料で、言うならば地上波の受信料でもって、そんな研究開発その他を全部やらなければならぬのか。衛星そのものの打ち上げあるいは玉の問題を含めて、何でその受信料から出さなければならぬのか。こういう疑問も受信料を払っている視聴者の側から出たって無理はないことだと思うのです。  最近は、そういう形の中で、どうも放送衛星というのは金食い虫だとか、いろいろなことが言われてきている。そういう中で、実質的にNHKBS2aを上げまして、これは昭和五十九年でございますけれども、それ以降商業衛星としてのスタートを切って、実験を重ねながら、昨年ですか、これを有料化に持っていった、こういう経緯なんですよね。  そういう中で、この五十九年から今日まで、ハード面やソフト面を含めまして、平成二年度末、本年の三月末ということになりましょうけれども、それまでに総額どのくらいかかったのか、投資したのか、それをまずお聞きをしたいというのが一つと、しかも人件費については、これが衛星の担当ですよということの配置はしてなかったわけですが、片手間というわけにはいかないので、それは人件費を食っていることは間違いない。これは推定数で出さなければなりませんけれども、そういうものの推定案分も入れまして、五十九年に2aを上げてから大体どれだけお金がかかったのか、投資をしたのか、これをまずお尋ねしたい、こう思います。
  140. 中野正彦

    ○中野参考人 お答えいたします。  BSのハード面の設備投資といたしましては、まずBS2でございます。これは昭和五十五年度から六十一年度にかけて整備を図ってきたものでございますが、a、b合わせまして三百五十一億円でございます。これはBS2の国の負担分も合わせた総プロジェクトの約六〇%を占めているわけでございます。  それからBS3でございますが、これは六十年度から着手をいたしまして、平成二年度までに二百四十二億円を投資しております。  そのほかに、これは地上から電波を発射するいわゆる送信装置等がございます。いわゆる地上施設でございますが、これは五十七年度から整備を始めまして、平成二年度までで百二十三億を投資しております。したがいまして、このハード面の設備投資といたしまして、この三者で総額七百十六億ということになります。  一方、番組制作費等人件費を含めましたいわゆるソフト経費でございますが、これは五十八年度から平成二年度までで八百十九億円ということでございます。  以上でございます。
  141. 上田利正

    上田(利)委員 今数字を出していただきましたけれども、本当に膨大な金がかかっているわけですね。これはすべて受信者、いわゆる視聴者から受信料という形で、一部政府からのものもございますけれども。  そういうことを考えますと、今回、BS3Hの打ち上げが四月の十九日失敗してしまった、もう午前中からそれぞれの同僚議員が問題にして本委員会でも論議しておるわけでございますけれども、これは非常に重大だと思うわけでございまして、昨年の二月の二十二日でございますか、2Xがやはり打ち上げで失敗をいたしました。そのときにも、平成二年度の予算審議のときにも大きな問題になりました。これは重大な問題ではないかと。2Xが打ち上げ失敗になってしまった、保険料で払えるからということですけれども、その保険料を保留をして、そして代替で2Xのかわりをすぐ探してと、こう会長はおっしゃいましたよね。そのいわゆる代替の衛星ということで3Hを今度は上げた。一説では、Xだったから名前が悪かったから今度はHにしたらこれは絶対大丈夫だろう、こういうことがあったとかないとか、うわさではありましたけれども。  私は、十八日の日に、ある人に、これはどうも難しいぞ、今回も失敗するのじゃないか、こう思う、どうもおれの予感はそうなってしょうがないと。そしてゴルバチョフのいわゆる歓迎晩さん会へ十八日に出まして甲府へ戻りましたら、そうしたら向こうで、朝落ちたという、失敗だ、こういう情報がすぐ入ってまいりましたけれどもね。  この重要なときに、会長は、ゴルバチョフ大統領がもう十六日から我が国に来られるという中で、あなたは先にソ連へ飛んだのですよね。そしてゴルバチョフと会見をした、その模様がNHKのテレビを通じて、予告もありました。大々的に予告をして、今まで会長がやるのにそんな予告があったかなと。私、生まれてから、NHKがテレビを始めてから見ておりましたけれども、そういうことがなかったけれども、あなたの場合は予告があって、そしてそれを一時間以上にわたってその模様を放映をしているのですよ。  何でこの重要なときに、去年の二月の二十二日をよく思い起こしてくださいよ、2Xが落ちたときに、これは大変なんだ、大変なことなんだ、そういう中で、すぐその保険料によって、それを使ってまた上げなければ大変な状況になってしまうというときに、あなたは外国へ、何の用事があったか知りませんけれども、ゴルバチョフなんかこっちへ来るのですから、何でゴルバチョフが日本へ来られる前に行かなければならなかったのですか。人事もそのまま決めて飛んでいく。衛星はどうなるのかという、十九日に上げることは決まっているのですから、その日程が、もう二十三日までは向こうに行っているという日程を組んで行っちゃったのでしょう。まあ私ども報告は受けておりましたけれどもね。トップである会長がソ連の地においてゴルバチョフとの会見の模様を放映をする。まあ大臣でもあんなに長く、総理大臣が行ったってあんなに長く放映はしないでしょうな、私、今までのを見て。  何のために行ったか。やはりその衛星について、あなたは関心がなかったんじゃないですか。そんなの落ちようが落ちまいが、また保険で返ってくるんだから、アメリカも喜ぶ。お蔵に入っているどうにもならぬようなものをNHKが買って、上がったって上がらなんだって、もう百三十五億円で買って、アメリカは落ちても何でもいただき。うちの方も保険料を払えば、これで見ますと実際は十七億ぐらいというが、二十七億円ぐらいですか、保険料がかかっておるわけです。そんな安易な考え方で、あなた、飛び出していっちゃったんじゃないですか、どうですか。
  142. 島桂次

    島参考人 ゴルバチョフ大統領との話は、去年の秋から何遍かソビエト側の要請がございまして十一日にやったわけでございますけれども、その後私はアメリカに行きまして、ほかのこともやりました。  ロケット打ち上げのときには、GEのヘッドクォーターにはGEの会長も私も、絵も来ていますし、それから同時に情報も管制センターと直結しておりますので。技術担当の森川理事とGEの現場の責任者は現場にいたわけでございます、それで、その場で失敗したということがわかりまして、私は、すぐそのときから、その原因究明とこれからどうしたらいいかということを懸命にやったわけでございます。その日程に合うから、それを外して行ったんじゃございません。私は東京にいてもあるいはいいかもしれませんけれども、アメリカの打ち上げの最高責任者と一緒に、GEの場合も現場の責任者が現地に行っているわけです、ケープカナベラルですか。私も森川という技術担当理事をやっているわけでございます。決して私はそれを無視したとか、どうせどうなってもいいんだというようなことは毛頭ございません。それは先生ちょっと誤解されていると思いますので、それだけははっきり申し上げておきたいと思います。  それからゴルバチョフの放映問題につきましては、そういう御批判もあると思いましたけれども、編成上の問題につきましては最終的に私の責任でございますから、その御批判は甘んじて受けたいと思っております。
  143. 上田利正

    上田(利)委員 私は、会長、誤解も何もしていないんですよ。ソ連でそういうゴルバチョフとの会談といいますか、要請も昨年からあったからということでソ連に飛び、それからロケットの打ち上げの問題があるのでGEの会長を含めた形でという、それはそれなりにわかるのですけれども、それにしましても、アメリカに飛びまして、何か打ち上げの十九日は強風であって、少し打ち上げの時間も、これは新聞報道しか見ませんからわかりませんけれども、時間を延ばしたりなんかしながら、調整しながら上げたけれども、二段ロケットのうちの第一ロケットは、一段はよかったけれども、二段へ点火しないでそのまま落ち込んできたから爆破命令を出してこれを破壊をした、こういう形なんですよ。  そこまで行って、森川氏と一緒に行って、技術担当も一緒に行ってということですけれども、それならばそれなりに、午前中の論議を聞きましても、あるいは会長の談話を新聞で見ましても、余り重要視していないような、これは大変な問題なんですよ。  いわゆる2Xが落ちたときに、今までアメリカに依頼したロケットについては、七年間ぐらいはもうほとんど失敗はなかった、たまたま失敗したんだ、桑野局長の方から来た文書かどこかわかりませんけれども、七十七回にわたって失敗はなかったけれども結局今回失敗をした。我が国の国産ロケット、今BS2とBS3aが飛んでいるわけでございますけれども、2はもう寿命がないわけでございますけれども、いわゆる外国産のロケットについて、打ち上げたものは全部一〇〇%失敗しているんですよ、我が国では。通信衛星とかあるいは気象衛星とかなんかは別にしまして、放送衛星では全部失敗なんです、一〇〇%失敗なんですよ。それで、午前中からも話がありまするように、今度はBS3b、これはどうなるかということはありますけれども、これは宇宙開発事業団のものですから、どういうことになりましょうかですけれども。  だから、2Xが落ちたときも、次には二度とこんなことはないと。しかし、我々は本委員会でも、安物買いで慌てて買って、お蔵に入っているものを修理してどうのこうの、修理をやったというやつはだめではないか、これを言ったはずなんですよ。そうしたら今度の3Hもそのとおりになってしまった。だから、相当これは深刻に考えていかなければならぬ問題であって、口だけで責任をとるなんという筋合いのものじゃないんじゃないですか。しかも、会長がそういう熱意で、心配だから行ったというんだったら、なおでしょう。それは、現地まで行っておったというんだったら。  そして、まだその原因究明はわかりません、GE社に任してあります、あるいはその関連会社の調査結果を待っています、こういうことでしょう。これはどうしようとするのですか。本当に衛星についての信用を失墜しているのですよ。ですから、これから衛星料金の契約だってどんどんどんどんこれはだめになりますよ。今、衛星の世帯は四百万世帯を超えましたけれども、実際に契約しているのが二百三十五万世帯でしょう、三月末の推定にしましても。五二、三%という契約率なんですよ。これを契機としてさらに、まあ2bをどう生かすかどうかという問題もありますけれども、こういう状況では、これはもう放送衛星というのは当てにならないということになりませんか。
  144. 島桂次

    島参考人 放送衛星3Hが失敗したということについての事態の深刻さについては、先生のおっしゃるとおりだと私も考えております。  ただ、先生の御質問の中で二、三ちょっとお答えさせていただきますけれども、実は、あの発射当日午前中、あれは今度はアメリカ軍の空軍ベースから上げたわけでございます。それで、アメリカ空軍ベースとGEが、雷雲が発生してきてちょっと打ち上げる可能性が、成功率が七〇%ぐらいになるかもしらぬということで、GEのヘッドクォーターに来たわけでございます。私は、これは延期してくれ、だめだ、そんなことで上げてもらったら困る、だから延ばせるだろうということでやっておりました。  そうしたら午後三時過ぎになりまして、九五%成功の可能性があるから何とかきょうじゅうに上げたい、しかも、今の衛星技術からいいますと、その九〇%以上というのはもうパーフェクトに近いところだ、一〇〇%ということは言えない。それで、どうしてもGEの責任者が上げさせてくれと言いますし、現場のGEとNHKの責任者も、やはりそこまでゴーということであるならば、この際打ち上げをGEの言うとおりやりたいというので、ゴーサインをGEの会長以下がやったわけでございます。  そういう、一々気象条件の変化、それから、どこまで一番いい条件が待てるかというようなことで終始検討したのは事実でございます。  私も、ちょっと留守にしておりましたので、新聞報道がどうだったかちょっとわかりませんけれども、私としては、そういう意味では最後の瞬間まで非常に、アメリカ空軍のいろいろ監視といいますか、レーダーで後追いする、あるいはアメリカ空軍は長い間の経験がございますから、そういうところのあらゆる情報を参酌して、その説明を受けて発射したというのが実情でございます。
  145. 上田利正

    上田(利)委員 いや、会長努力はわかりますけれども、いずれにしてもこれは失敗しちゃったんですからね。もう何ともどうにもならないのですよ。  それで困ることに、午前中から同僚議員が言っておりますように、いろいろと2bをだましながら使いましても、これは五月しかもたない。あとは燃料だけ残して、もう墓場行きになるわけなんです。  そうすると、今の3a、二チャンネルしかない。しかも、JSBが四月一日からもう有料化しちゃったんですよね。そして、2Xが上がっている段階ではいいのですよ、三チャンネル機能しておれば、二百ワットの出力を持って。今度の3Hも同型の衛星のようでございますけれども。それもだめになっている中で、いわゆる民間放送JSBが有料化しちゃったわけでしょう。さあ、それで頼りの3Hがだめということなんだから、もう2bは命がない、生命がない、三チャンネル使わなければならぬ、NHKが二チャン使っているわけですから。  そして、お話しのように、午前中同僚議員が言っているように、どちらがどうするかこうするか。二チャンネルはNHK衛星だからうちが使うんだ、2bの方をだましながらやるのはJSBでやってくれ、こう言ったって、JSBも四月からやりまして、有料化しまして、三十万を超えている。それで、契約件数を見ましても十六万以上という形になってきているようなんですね。NHKがスタートを切ったときよりも非常に成績がいいのですよ。しかもこれが、南の方とか北の方とかを中心にして契約数があるわけなんです。2bを使った場合だったら、これは見えないんだから。そうでしょう、沖縄とか北海道の方は。  また、十八日に、これも大きな問題ですけれども、会長のいない段階で、十九日に3Hを打ち上げるという段階でJSBとの間で契約を結んだ、どっちがどっちでどう言ってきたか知らぬけれども。結んだら、夜中までかかってやって、その翌日になったら、七、八時間で三分の一はという形で、もう時間がないから細かいことは申し上げませんけれども。そういう形で、JSBとNHKとの間で三分の一方式で契約をした。落ちてしまった。  郵政省に聞きますけれども、郵政省はJSBに認可を与えたということは、3aの一チャンをということなんでしょう。2bを使うということなら、これはもう一回やり直さなければならぬでしょう。局長、これはどうですか。
  146. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、3aにはJSBは権利を持っておりますけれども、2bはNHKのものでございますから、それをJSBが使うということについては、またいろいろと別の観点の検討が要ろうと思います。
  147. 上田利正

    上田(利)委員 会長、今の状況じゃ、午前中はいろいろどうだこうだ、どちらでどうだなんて話をしておりましたけれども、2bはもう五月末で墓場行きなんですよ。何と言ったって、何ぼだましたってだめなんだ、死んでしまうんだから、これは。JSBは今の中じゃ使えないんですよ。NHKが使わなければならないんですよ、これは。自分のものだから、だましだまし。それで3aはJSBが一チャンネル使って、NHKが一チャンネル、こうしかならないんですよ。  情熱を持ってとか、お願いをしているとかなんとか午前中おっしゃいましたけれども、意欲を持っているんだというようなことを私も聞いておりましたけれども、それはいいのですが、だからそこをどうする予定でございますか、どうしますか。
  148. 島桂次

    島参考人 3Hが失敗した後の問題につきましては、やはりあくまで公共放送で、先生さっき営業成績も非常に悪いということも申されましたけれども、いずれにしても四百万を超える受信者が既にもういるわけでございます。そういう立場に立って、今もそのJSBの皆さん方とお互いに主張を述べながらいろいろなことを今検討しているわけでございます。  それで、私としては、今の段階ではあくまでやはり公共放送の使命達成のために、どうしても何とか二チャンネルを確保したいという立場で今JSB側と交渉しているわけでございます。その交渉は、先ほど郵政大臣がおっしゃったように、いずれにしてももう長い間待てない、この結論は。それはいろいろこれから関係者と検討しながらやっていくつもりでございますけれども、現段階においては公共放送の立場から、あくまでやはり二チャンネルを確保すべく何かいい工夫はないかということで今鋭意いろいろ一生懸命交渉している最中でございます。
  149. 上田利正

    上田(利)委員 もう時間がありませんけれども、いい工夫とかいろいろ考えましても、3Hにかわる補完衛星がすぐにでも上がれば別なんですよ、あしたにでも上がってくれれば。とてもそれができないでしょう、今の段階では。そうすると六、七、八月はどうにもならない状態になるんですよ。そうなってから大騒ぎではどうにもならないのですよ。本委員会だってそうなったときには大変、ここに常駐でもしていなければならぬような状態になるのですよ、大臣はもちろんのこと、うちの常任委員長も。これは大変な状況になるのですよ。  そして、衛星の料金はもう払わない。払わないということになったら、もうあの五カ年計画は全部パアになっちゃうのですよ。今ででも本契約は五二、三%ということで非常におくれている。JSBも四月からやり出して、これでおしまいですなんて、やったら、全然見れません。JSBの契約によれば、二週間以上見えなかった場合は料金はいただきません、お返しします、こういうことになっている。NHKのこの放送受信規約十三条によれば、そこのところがあいまいなんですよね、午前中からありましたが。衛星二チャンネルのうち一チャンネル生きていれば料金は取れますよ、ということになる。大臣は、減免措置をやらなければならぬじゃないかと記者会見の中で言っていますけれども、それは大臣も善意で言ったと思うのだ。  ところが、そんな減免措置なんということをやるようになったら、料金の調定をどういうようにするかといったら、営業なんかは大混乱でどうにもならない状態になりますよ。そんな大臣がおっしゃるように簡単にはできない。だめでは一切取らないとか、一チャンでも生きていれば全部もらうとか。おかしいじゃないかと言ったって何と言ったって、そんなものおかしかったらどうでもしろと言って全部取るか、どっちかしかない、これは。  だから、これは何とか鋭意努力をして、鋭意努力をしてなんということにはならないのですよ。JSBだって生きるか死ぬかですよ。四月からやったが、もう六月からだめですなんということになったら、これはどうにもならない。こっちは公共放送だぞ、おれの持っていた衛星だぞと言ったって、この間の落とし前どうしてくれるんだ、3Hを三分の一で、しかも九億円保険料だけはまるでただで取られちゃうじゃないか、こういう問題も出てくるのであります。  これは非常に重要な問題だけに、去年も私どもは2Xが落ちたときに、一度あることは二度ある、今度二度あることは三度あるということになっちゃう。だから補完衛星というのは常に二機上げておかなければまずい。三チャンネルとなったら、三チャンネル無傷のものがあいてなければならない。この3aも半身不随でしょう、去年の八月から上げて、すぐ四分の四が四分の三しか生きてない。この間の二月には太陽の爆発の問題もありまして、一瞬ぱんと全部だめになったときがあったでしょう。これも報告がありましたけれども、すぐそれを2bでカバーしてやったらすぐ生きて、またもとに戻ったからいいのです。3aは狭心症みたいなものだ。いつだめになっちゃうかわからないのです、これも。  だから、もし上げるんだったら補完衛星は二機ぐらい上げて、一機上げてだめだったら、きのう十九日にまた一機上げてもらうようなことでもしなければだめだったのです。それから民間のJSBも、郵政も早く認可し過ぎたんじゃないか。ここをお互いに私ども逓信委員を含めてやはり大いに反省していかなければならぬと思いますけれども、会長から一言聞いて、あと大臣の所感をちょっと聞いて終わりたいと思います。
  150. 島桂次

    島参考人 放送衛星が、現在の技術状況でございますと、先生おっしゃるとおり二機上げて補完体制をとらなければいかぬということは十分私も承知しておりました。それで2X、3Hを、いろいろ反対される方もございましたけれども、私はNHKの費用でこれをやったわけでございます。それが不幸にして失敗した。その責任はお前にあるじゃないかと言われればそのとおりでございます。しかし、二機体制でなければ非常に難しいということは、私は三年前からいろいろ努力してきたつもりでございます。ただ、努力してきたけれども、それが結果として失敗に終わった、これはもう何を言っても弁解できないことでございます。  しかし、これから一体いつ、普通二年ぐらいかかるわけでございますけれども、これからロケットなり中継器を新しくつくる、普通のスタンダードでいえば、それを何とかできないかということで、もう失敗した直後からあらゆる全世界の関係者と今いろいろ連絡をとりながらやっているわけでございます。それがどういう形でできるか、そう簡単ではないということはわかっておりますけれども、それがある程度できるのかできないのか、はっきりいたしましたら、また郵政大臣以下、国会の皆さん方と御相談をしながら、今後の善後策をとりたい。  それからJSBとの関係につきましては、現段階では、午前中申し上げたとおり、公共放送の使命達成のため、何とか消費者の皆さん方に大きな被害を与えないような形での収拾策を今鋭意JSBと話し合っている最中でございます。
  151. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生、各角度からの御指摘、本当に言葉はやわらかい言葉でございますが、内容は針で心臓をつつかれる思いで一つ一つ伺っておりました。  JSBの問題にいたしましてもおっしゃるとおりでございまして、四月一日から有料化したわけでございますから、それが今の時点でこういうような問題になるということは、受信者の数はそれだけ少ないにしても、それとこれとはまた別の話であろうという御指摘、一つ一つ本当にごもっともなことでございます。  そのような大変厳しい環境、状態にあるわけでございますが、いずれにいたしましても、それで両手を上げてしまったのではどうにもならぬわけですから、その中で関係各位と知恵を出し合って対策を講じ、現時点の打破を図る。そして、先ほどの補完衛星などをもっときちっとすべきであるという御指摘なども含めて、今後の衛星の打ち上げに対しては、これは完全度一〇〇%のものではないというものでございますから、そうでない場合にはどこまでどのように対策をしていくかという、そういう二次、三次的なカバーもまた考えつつ今後は進めていかなければならない、そのように思っておるわけでございまして、先生御指摘の一つ一つ本当に厳しく受けとめて対処をしてまいります。
  152. 上田利正

    上田(利)委員 終わります。
  153. 野中広務

    野中委員長 次に、伏屋修治君。
  154. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最初に、六十一年から六十三年にわたります事業収支についてお尋ねをしたいと思います。  六十一、六十二、六十三年に共通して言えることは、事業収入が予算に比べてかなり増加したというようなこと、あるいは支出においては予算に比べて残額になった、そういうようなことがございますが、NHKでどのような御努力をなさったのか、できるだけ細かい話を聞かせていただきたいと思います。
  155. 中野正彦

    ○中野参考人 お答えいたします。  まず六十一年度から説明をさせていただきますが、その前に一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、私どもNHKとしましては、財政運営の基本といたしまして、毎年度の予算の執行に当たりましては、収入面においては少しでも予算より多く増収額を図る、一方、支出においては可能な限り経費節減等を図りまして、全体として支出の抑制を図って収支の改善に努めていく、こういう考えを持って毎年予算の執行に当たっております。  今先生お尋ねの六十一年度から六十三年度の事業収入がどうなっているかということについて、六十一年度から順次説明をさせていただきます。  六十一年度の事業収入の予算は三千四百二十五億円でございます。これに対する決算は三千四百四十九億円で、予算に対しまして二十四億円の増収になっております。その増収額の内訳としましては、受信料収入が十一億円、副次収入が六億円、財務収入が五億円、特別収入などで二億円となっております。特に副次収入の増加は、「大黄河」「ルーブル美術館」「おしん」など、いわゆる大型企画番組の多角的活用、あるいはテキストの出版等による増収でございます。また財務収入の増加は、これは収支改善によりまして私どもの手持ち資金の増加がございまして、これをより効率的な運用をいたしまして増収を図っております。  次に、六十二年度につきましては、収入予算三千五百十五億円に対しまして、決算は三千五百四十五億円、予算に対しまして三十億円の増収となっております。その内訳は、受信料収入が十六億円、副次収入十億円、財務収入一億円、特別収入等で三億円の増収となっております。副次収入の増加につきましては、御存じのように「地球大紀行」あるいは「NHKスペシャル」などの番組の多角的活用等でございます。財務収入の増加につきましては、六十一年と同様、収支改善による手持ち資金の増ということでございます。  最後に六十三年度につきましては、収入予算三千五百十五億円に対しまして、決算は三千五百四十八億円、予算に対しまして三十三億円の増収となっております。その内訳としましては、受信料収入が十二億円、副次収入が五億円、財務収入が十億円、特別収入等で六億円となっております。副次収入の増収は、「NHKスペシャル」あるいは「大河ドラマ」といった大型番組の活用でございます。  それから、お尋ねのように、各年度共通して言えることは何だということでございますが、まず受信料収入の増加につきましては、受信契約件数が、営業活動の強化によりまして、各年度四十三万件の増加目標に対しまして、六十一年度及び六十二年度が四十四万件、いずれも目標を一万件上回っております。それから六十三年度は四十五万件の増ということで、目標に対して二万件上回っております。こういったことはよりまして受信料が増収となっているということでございます。  それから副次収入でございますけれども、受信料額をなるたけ長期間に据え置くという経営の方針によりまして、副次収入その他の収入を少しでも増収を図って受信料収入をカバーしよう、こういう結果で増収枠を図ったということでございます。  以上であります。
  156. 伏屋修治

    ○伏屋委員 丁寧に御説明いただきましたけれども、私の聞きたかったのは、そのように増になった、あるいは残額があったということについて、副次収入あるいは受信料が大部分を占めるわけでございますけれども、それ以外の副次収入、財務収入でどのような細かい配慮をされたのか、その辺を詳しく説明をいただきたかったわけです。
  157. 中野正彦

    ○中野参考人 お答えします。  まず、副次収入につきましては、先ほどもちょっと簡単に触れましたけれども、大型の企画番組のいろいろ多角的な活用でございます。これは外国の放送機関あるいは国内のいろいろな機関に提供しておりますし、それからこういった番組の素材をいろいろ出版に活用するとか、そういった多角的な活用を図っております。それから、放送番組のテキストの出版を行っておりますが、これは出版権料としてNHKが副次収入で獲得しております。そのほか、NHK技術研究所でいろいろ研究開発を進めておりまして、現在特許権一千件ぐらい保有しておりますが、こういった特許権の活用も図っております。そういったことで、副次収入の増加を目指して頑張っているということでございます。  それから、財務収入でございますが、これは私どもの手持ち資金、約一千億円程度の手持ち資金がございますけれども、これをより率の高い定期預金等に、あるいは事業債でありますとか金融債、そういった利率の高いものに運用いたしまして、効率的な利息収入を獲得しているということでございます。
  158. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その大部分を占める受信料についてもお聞きしたかったわけでございますけれども、何分時間が制約されておりますので、当委員会で六十一年度から六十三年度にわたりまして附帯決議がつけられましたけれども、その附帯決議の内容についてNHKでどのような努力をされたか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  159. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えいたします。  六十一年度から六十三年度のNHKの予算及び事業計画の策定に当たりまして、本院から附帯決議をいただきました。  その内容は、放送の不偏不党と表現の自由の確保、それから公正で豊富な放送番組の提供、三番目が受信料の確実な収納と受信者の負担がふえない努力、それから衛星放送の充実普及、国際放送の充実と受信改善の努力、最後は六番目で地域放送の充実でございます。  こういういただきました附帯決議は、いずれもNHK経営の根幹をなすものでございます。特に最初の、放送の不偏不党と表現の自由の確保及び二番目の公正で豊富な放送番組の提供につきましては、公共放送事業の基本でございますので、放送番組の編成それから放送に当たりましては日夜この線に沿って努力しております。  また、三番目から六番目までの問題でありますけれども、本院の御指摘を踏まえまして、平成二年度から六年度までの五カ年の経営計画として取りまとめまして、昨年明らかにいたしました。現在、この経営計画に基づきまして、例えば営業の業績の向上と経費をできるだけ抑えます努力、それから平成六年度には一日六十五時間程度、これは世界で十番目以内でございますが、これを目指したラジオ・オブ・ジャパンの国際放送の拡充計画、これは着実に進めております。それから衛星放送の特質を生かした魅力ある番組の提供、それから地域放送につきましては自主編成を充実、それから地域放送から全国に向けての発信の強化といったことを努力しております。  このように、いただきました附帯決議に沿いまして、鋭意この実現に努力している最中でございます。
  160. 伏屋修治

    ○伏屋委員 事業収支はついてはそれぐらいにしまして、けさ方から同僚委員の方からもいろいろとお話がございます放送衛星についてお伺いをしたいと思います。  BS3aと今回失敗はしたのですけれども3Hというものが成功しておれば完全な二機体制という形で、以前の島会長の発言の中にもありますように、受信料をいただく以上は万全の体制で臨まなければならないという御発言がございますが、こういう御発言どおりになったのではないかなと思うわけでございますけれども、残念ながら七年間の運用寿命を持つ3a自体の事故、そしてまた3Hが不幸にも失敗した、こういうようなことでございますが、このBS3Hを打ち上げるまで、これはNHKの自前の調達の衛星でございますが、それを打ち上げるまでに対郵政省の間にどういうような話し合いとかいろいろな経緯があったのか、そのあたりを御説明いただきたいと思います。
  161. 島桂次

    島参考人 この二機体制につきましては何遍か前郵政大臣を初め郵政省の皆さん方に私からお願いをいたしまして、同時に、各党の通信部会その他の関係者の方々の了解を得まして、むだ遣いではないか、あるいは今度失敗したらどうかというようないろいろ御疑念もございましたけれども、私としてはどうしてもBS3aあるいはこの八月に打ち上げる予定の3bにつきましても、現在の衛星技術でございますと万一の場合があるということで、何とか3Hを上げさしてくれということで、いろいろお願いしたわけでございます。それでお許しを得まして、私、NHK自体の責任で何とかしようと思いましたのですけれども、残念ながらこういう結果になりまして、その点については深く反省しておるわけでございます。
  162. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この3Hの打ち上げ失敗につきまして大臣も既にコメントをしておられるようでございますが、改めてけさ方からめ同僚委員のいろいろな質問も踏まえながら、大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  163. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まことに今回の3Hの失敗というのはもう遺憾なことでございまして、大変残念に思っております。またけさからの各委員の先生方からのいろいろな御指摘をいただくまでもなく、大変心苦しく思っておるわけでございます。ただ、そういうような状態になりましたので、NHKとJSBがどの部分をどのように使用するか等々など、まず喫緊に解決をしなければならない問題、それを五月の中旬までには措置を完了する所存でおります。  なお、今後、そういったことで補完衛星の問題等々につきまして、万が一の場合にそれをカバーできる体制というものをやはりもっとつくっていかなければならないということをひしひしと感じておるわけでございます。
  164. 伏屋修治

    ○伏屋委員 大臣の御所感はお伺いいたしましたが、実務の方の局長はこの問題に対してどう考え、またどのように郵政省が入りましてNHK、JSBそれから機構、この話し合いが先ほど来お話を聞いておりますと五回ほど持たれたと聞いておるわけでございますが、そこら辺の経過あるいは今後の見通しなどもお聞かせいただきたいと思います。
  165. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 3aの二チャンネル使用につきましては、先ほどから御説明が終わっておりますように、NHKとJSBあるいはその他の関係者で今話し合いの最中でございます。私ども指示いたしておりますのは、今週中といいますか、きょう、あすにでも一応どういう点が、もしまとまればそれにこしたことはないわけでございますけれども、まとまらない場合には、どういう議論がそこであったのかということを今週中に私ども報告を受けることになっておりまして、その報告を受けまして、議論の中身を見まして、私どもの物の考え方も入れまして、両者の調整といいますか、そういうことをいたすつもりでございます。
  166. 伏屋修治

    ○伏屋委員 けさ方からのいろいろな質問の中身もお聞きしておったわけでございますが、何回協議を重ねてみても選択する幅というのは非常に狭いわけでございまして、いわゆる二チャンネルを現行三チャンネルでどう使うか、こういうことになるわけでございますので、そのあたりは、もうNHKもJSBも両方とも放送を継続する、こういう姿勢には変わりはないわけでございますが、さてその中継器がどうなるのかということになると二チャンネル、こういうことになりますので非常に選択の幅が狭くなってくる、こういうふうに思います。  NHKの言い分は、先ほど来会長のお話も聞いておりましたけれども、公共放送であるということが一つの大きな建前になっておりますので、あくまでも二チャンネルを使いたい、JSBとしては四月一日から発足したばかりだからということで、両者相譲らない、こういうようなのが現状ではなかろうかと思いますけれども、そのあたり、もう一度会長のお考えをお聞きしたいと思います。
  167. 島桂次

    島参考人 私は、NHK公共放送の責任者としまして、あくまで二チャンネル確保ということを前提に今一生懸命JSBの皆さん方とお話をしているわけでございますけれども、やはりおっしゃるとおり、選択の幅というのはある程度あるということも十分私もわかっております。しかし、まだ話し合いが続いているわけでございますから、私どもとしても精いっぱい努力したいというふうに考えておるわけでございます。
  168. 伏屋修治

    ○伏屋委員 島会長のお話を聞いておりますと、いわゆる放送衛星というものは二機体制が原則でなければならぬ、それで万全の対応ができるんだ、こういうふうに常々おっしゃっておったわけですけれども、2Xの失敗、それからさらに今回の3Hの失敗という形で一機体制、こういう形になっておるわけで、まことにそれは会長から見れば不本意なことだろうと思いますけれども、それにもかかわらず衛星放送体制というものは発足した、八九年の八月に発足をして受信料をいただくようになったというところに、まことに会長の本意でないような結果に今進んでおるわけでございます。  死んだ子の年を教えるようなことを言っては悪いですけれども、二機体制というものが完壁にいくというふうになってから衛星料金を徴収していってもよかったのではないか、ちょっとその受信料徴収というのは早過ぎたのではないのかな、こういう心配を今しておるわけでございます。けれども、これは心配しても仕方がないことで、これからどう視聴者の方にお返しをしていくか、これが大事なことだと私は思いますが、そのあたりのお考えをお聞きしたいと思います。
  169. 島桂次

    島参考人 先ほども申し上げましたとおり、今NHKとJSBとの間で鋭意いろいろ話し合っておりますし、これは当然郵政省とか国民の皆さん方の御意見とか、国会の先生方はもちろんでございますけれども、そういうものを総合的に考えて最善の努力をしたいと思っておりますし、これから先の二機体制の実現について可能な限り一生懸命努力するほか現段階ではないというふうに考えております。
  170. 伏屋修治

    ○伏屋委員 訪米中の島会長の発言の中にも、衛星放送の安定運用にはやはり補完衛星は必要である、早速調査を進めたい、こういうような御発言がございましたけれども、具体的にはどのようにこれを進めていこうとされておるのか。  衛星調達というものは非常に難しいわけでございまして、3Hというのは、たまたまGEが発注を受けておったのがキャンセルになった、そのことから調達が早められて3Hの打ち上げということになったわけでございますが、いつもそのような状況にあるとは考えられませんので、先ほどの会長の発言では二年ないし三年ぐらいで調達をして補完体制を整えたい、こういうお考えでございますけれども、国内を見ましても、いわゆる衛星打ち上げの種子島のところは、漁業関係もありまして夏冬九十日間しか打ち上げる期間はないというようなこともございますし、また、ある報道を見ますと、初めから衛星を調達しようとすると五年ないし六年はかかるであろう、こういうようなことも言われておるわけですけれども、そのあたり、一日も早いというお気持ちは会長にはあると思いますけれども、どのようにそれを進めていこうとお考えになっておられるのですか。
  171. 島桂次

    島参考人 失敗直後、具体的に申しますとアメリカのGEとかヒューズとか、その他アメリカの各ロケットメーカーあるいは中継器のメーカー、あるいはヨーロッパに私は飛びまして、アリアンあるいはその他のヨーロッパのメーカー、これに、普通ですと二年ぐらいかかる、ロケットは比較的いろいろの方法があるのでございますけれども、問題はその中継器でございます。これを、二年かかるところを何とか期間を超スピードに、今まで開発した技術もあるわけでございますから、これは日本側の業者も含めましてその期間をどこまで進められるか今一生懸命やっておりますし、ある程度の見通しもつくかなと思っておりますけれども、こういう国会審議の責任のある場所でいつになったらできるということがまだ申し上げられないのは非常に残念だと思っておりますが、そういう現状でございます。
  172. 伏屋修治

    ○伏屋委員 一日も早くその御努力を細かくなさって、一日も早い補完体制をつくって、受信者の方に不安を持たせないようにということが大事だと思います。この放送衛星の一番のメリットというか一番のセールスポイントは、やはり何といいましても二十四時間放送、こういうところにあるわけでございます。それが二チャンネルということになりますと、いわゆるJSBとNHKの話し合いの中では、二チャンネルのうちの一チャンネルを、NHKの一チャンネルは2bの方へ行って、そしてやってもらいたいというJSBの意見もあるやに聞いております。  いずれにしましても、二チャンネルということになってまいりますと勢い放送時間というものは、二十四時間放送体制というものは崩れてくるわけでございます。そうなってくれば、二十四時間放送ということでそれぞれの方が受信契約を結んでおるわけでございますので、そういう面から考えますと、NHKは公共料金という形で経営の主体を占めておりますけれども、JSBあたりになりますと、今後のいわゆる経営上の大きな打撃を受けたと言っても決して私は過言ではないと思いますので、こういうような事故NHKあるいはJSBに与える影響というのはどのように考えておられますか。
  173. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 こういう事態になりました影響というのはさまざまになって出てくるわけでございますけれども、特にJSBにつきましては、先生御指摘のとおり有料放送でございまして、有料放送としての利用者との契約があるわけでございまして、これは見えなければ料金は取れないということでございますので、直接的な経営に対する影響がそこに出てくるということ、かなり深刻だというふうに存じております。
  174. 伏屋修治

    ○伏屋委員 ことしの夏八月に打ち上げて十月から運用開始という3b、これを打ち上げるという計画があり、既にもう筑波の方でそのロケットの展示があったという報道がされておるわけでございまして、いよいよ打ち上げになるわけでございますが、このBS3bを使ってNHKはハイビジョンの本放送を始める意向である、こういうふうに私は聞いておるわけでございますが、この一チャンネルをBS3bに移すようなことになると、ハイビジョンの今後の計画にいささかの狂いが生じてくるのではないか、このように思うわけですけれども、補完体制のないままこういう形で進めていくと、今までのハイビジョンの計画の狂い、そういうものについてはどうお考えでしょうか。
  175. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 放送衛星三号b、ことしの夏に打ち上げ予定でございますけれども、この中には産投出資によりまして通信・放送衛星機構が中継器を一本保有することになっておりまして、これを利用いたしましてハイビジョンを放送する方に利用させるということでございます。しかし、それは優先順位がございまして、現在のNHK二チャンネルそれからJSB一チャンネル、これが確保されて、さらにまた余裕があればそういうふうなものをやるということでございますので、NHKの今やっておられます二チャンネル、JSB一チャンネルがまず確保される、それが優先順位でございます。
  176. 伏屋修治

    ○伏屋委員 また少し前に返りますけれども、やはり衛星放送の契約をなさった受信者の方々にとっては非常に不満も多いでしょうし、今後の衛星放送に対する不信というものも多かろうと思うわけでございます。そういう面におきまして、またそういうようなことを先取りをしながら、企業そのものがいわゆるBSチューナーというものを内蔵したテレビを販売するという形で、今それが多く、人気商品で特にパナソニックの画王というのはかなりの人気を呼んでおるわけでございますが、そういう経営そのものにも大きな打撃を与えることになるということから、やはりそういう視聴者の不安、不満というものを一日も早く解決するためには、何といいましてもできるなら補完衛星を打ち上げれば一番いいんですけれども、今会長の御発言によりましても、どんなに急いでも二年ぐらいはかかるというような御発言でございますので、その間もう少し視聴者に対して親切に納得のいくようなそういう手だてというものを、やはり公共放送である以上はNHKが主体になって視聴者にそのことを訴えていかなきゃならないと思いますし、もう二度とそういうような事故のないようにするための補完体制ということについても、微に入り細にわたって受信者の方に丁寧にそういうことを説明する、そういう機会をつくらなきゃならないと私は思うわけですけれども、そのお考えはどうですか。     〔委員長退席、前田(武)委員長代理着席〕
  177. 島桂次

    島参考人 先生の御趣旨はまことにそのとおりでございまして、私たちは視聴者に対しまして十分の御理解を得なけりゃいかぬと思っておりますけれども、ただ、今先生おっしゃったように、二年間というのをもうちょっと縮められるかということで今鋭意努力しているわけでございますから、一体どこまでできるのかということを一日も早くある程度見通しをつけた上で、郵政省初め皆さん方に御相談申し上げたい、こう考えているわけでございます。
  178. 伏屋修治

    ○伏屋委員 衛星についてはそれぐらいにしておきたいと思います。  次に、放送番組センターというものがこの四月一日から横浜で発足をいたしたわけでございまして、一般利用というのが十月、こういうふうに言われておるわけでございますが、この構想を練られて非常に短期間の間にこの開設にこぎつけた、こう聞いておるわけでございますが、いつごろその構想を持たれて、どういう経過をたどってこの番組センターに行ったのか、その概要、それからその放送番組センターの抱える、今後予想される問題点等、そういうものがございましたら御説明をいただきたいと思います。
  179. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 放送番組センターというのは、人々の生活や風俗を反映いたしました記録といたしまして、これは国民的な貴重な財産であると思われます放送番組というものを組織的、継続的、体系的に収集・保存して、そして皆さんに公開していこうというものでございます。放送法によりまして郵政大臣が全国に一つを限りまして指定することになっておりまして、平成三年の二月十八日、ことしの二月十八日でございますけれども、財団法人放送番組センターにその役目を指定したわけでございます。  このセンターは、平成三年、ことしの十月から横浜のみなとみらい21地区の横浜館におきまして業務を開始いたします。一般への公開をいたすわけでございまして、今そのための準備をしております。収集・保存する放送番組は、平成七年度までに約七千本、平成八年度以降は毎年二千本を予定いたしております。一般の視聴につきましては、著作権の関係から当面は館内でのみの視聴ということといたすつもりでございますけれども、そういった著作権の関係についていろいろな方法を著作権団体と今打ち合わせているところでございます。  このセンターは、業務の安定的な実施を図るための基金を募集しております。目標といたしまして百億円ぐらい必要じゃないかということでございますが、平成七年度までに放送界から九十億円、特にNHKにおかれましては三十億円、民放界から六十億円出捐をいただくことになっておりまして、その他一般の民間企業からも寄附を募ることといたします。そういうことで今鋭意準備中でございます。
  180. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今局長もお話ございましたが、著作権の問題、これは館外貸し出しなんかというようなことからすると著作権の問題がかかわってくるのではないか。その著作権の問題の処理ということについては、基本的にはどのようにお考えになっておられますか。
  181. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 著作権の処理というのはいろいろなかなか難しゅうございまして、実を申しますと今センターにおきまして著作権のいろいろな団体とどうしたらいいかということを打ち合わせをしている最中でございまして、結論が出ましたらまた御報告申し上げます。
  182. 伏屋修治

    ○伏屋委員 大体概要をお聞きしたわけでございますが、将来的にはナショナルセンターとそれから地域にそういうセンターを設立するというような構想もあるやに聞いておりますが、今具体的にはそういうような構想は手元にあるわけでございますか。
  183. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 将来の構想というのはいろいろあるわけでございますけれども、何せまだできたばかりでございますし、当初の基金そのものもまだ手元に集まっているわけではございませんで、ここ数年間にわたりまして、先ほど申しましたNHKあるいは民放の方から拠出いただくということでございます。将来はこれをだんだん育てていきまして、先生のおっしゃっているような構想にも近づけることができればいいなというような感じはいたしておりますが、今の段階でどこどこに支部をつくるとかそういうことを具体的に構想しているわけではございません。
  184. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次に、放送番組国際交流センター、これの設立状況についてお尋ねをしたいと思いますが、どのような現状でございますか。
  185. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 我が国と諸外国との相互理解ということのために、あるいはまた開発途上国の放送発展というものに協力いたすために、いろいろな国際交流、番組の海外提供を初め放送番組の国際交流というものは大切であろうというふうに思っているわけでございます。このために私ども外務省等と協力いたしまして、放送番組の国際交流を支援する財団法人放送番組国際交流センターと言っておりますけれども、これは理事長に大来佐武郎先生をお願いしておりまして、設立準備を進めております。近く設立が許可をできる予定でございます。  これは、諸外国との番組交流におきましては、まず言語の障害が一つ大きな問題でございますので、このセンターはテレビ番組の吹きかえに対する財政的な支援だとか、外国語に吹きかえました番組を集積しておきまして、それを海外の用に供する国際番組ライブラリーの運営といったもの、こういう事業を通じまして、放送番組の国際交流を促進する計画でございます。  また、テレビ番組を衛星回線によって提供するような場合の回線料に対する助成、内外の放送関係者の交流を図るための国際会議の開催といったようなことも行う予定でございまして、やはり日本発の情報を外に向けていこうということの一つの、つくった規模というのはまだ本当に小さいものでございますけれども、だんだんこれも大きく育てていこうとする構想でございます。     〔前田(武)委員長代理退席、川崎(二)委員長代理着席〕
  186. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最後に、国際放送の拡充強化について、この国際放送を拡充強化するために調査費がついておるわけでございますが、その強化策というものはどういうことをお考えになっておられるのかお聞きしたいと思います。
  187. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 平成三年度の予算におきまして国際放送拡充のための調査費がついておるわけでございますけれども、国際放送の拡充のために新たな海外中継局の確保が必要になるわけでございまして、日本からどういうところにそういう基地をつくったらいいかということで、ノルウェーあるいはカーボベルデあるいはエジプト、こういったところを一つの候補といたしまして調査を行うことにいたしております。そういうところにまた中継局ができましたら、そこ発信の受信状況が周辺にとりましてよくなっていくということに結びつくわけでございまして、とりあえずは調査費でございますけれども、ことしの予算でそういうふうな措置をしていただいております。
  188. 伏屋修治

    ○伏屋委員 NHKはこの点に関してどういうふうにお考えですか。
  189. 小山森也

    ○小山参考人 本件の調査費のことにつきましては、郵政省の方でやっておりますので私ども今初めて聞いたような次第でございます。  ただ、前から国際放送を充実しなければならないということは私どもかねがね伺っておりまして、目標としてはフランス並みにしたいというようなことを言っていたわけでございます。去年の平成二年七月現在、フランスでは大体一週間四百時間、これに対しまして日本が三百十一時間ということになっておりまして、そこで私ども努力いたしまして、本年度、平成三年四月から三百三十六時間に拡充いたしまして、フランスは四百時間でございますが、かなり差が縮まったことになっております。なお、今後八俣の送信所に三百キロワットの送信機三台を拡充することになっておりますので、それをどのように使っていくかということによりまして国際放送は拡充されると思いますが、ただ問題は、全体の中に占める予算、運営経費でございます。これは非常に限られております。したがいまして、建設費はそのようにできましても、どうやってその経費を確保していくかということがNHKにとりましては大きな問題になってまいります。  以上でございます。
  190. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。
  191. 川崎二郎

    ○川崎(二)委員長代理 次に、松浦利尚君。
  192. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先ほどからいろいろ同僚委員がお尋ねをしておりましたけれども、放送衛星の打ち上げ失敗ということが当面の非常に重大な問題になっておると思うのです。起こった結果についてどうだったか、ああだったかという議論をする前に、早急にこれに対応するNHKの態度、郵政省の態度を明確にして、国民にその経過を報告していただきたい、そのことを私は冒頭要望しておきたいと思うのです。  先ほど上田委員も指摘しておるように、これが後に尾を引きますと、恐らく契約する人はどんどん減っていくばかりで、NHKの信用というのはまさに失墜してしまうのです。ですから、今しなければならぬことは、どうするのか、起こった結果に対して、民放も含めて三チャンネル、どう対応するのか、その結論を早急に国民の前に明らかにすることだ、そう思うのです。このことについて、会長並びに大臣からお聞かせをいただきたい、このように思います。
  193. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 けさからの各委員の先生方の御指摘、その問題が一番の問題であったと思うわけでございまして、今週中にその結論を求め、また、今後のことにつきましても五月の中旬ぐらいまでにははっきりとしたものを打ち出していきたい、そのように思っております。
  194. 島桂次

    島参考人 ただいま郵政大臣のおっしゃったとおり、当面JSBとの話し合いを重ね、どうしてもそこがうまくいかなければ、さらに郵政省その他の関係者の意見を聞きながら、一日も早く、今後の補完体制も含めてできるだけ早くNHKの今後のあり方についてやりたいというふうに考えております。
  195. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、そのことが今一番急がなければならぬ大事なことだと思うのです。  それから、大臣にちょっとお尋ねしますが、御案内のとおりに、平成元年二月に「衛星放送の将来展望」というのが衛星放送の将来展望に関する研究会から報告書として出されておりますね。この中に、衛星について非常にリスクが大きい、ですから、そういったことを考えると衛星調達法人といいますか、そういうものを設立して、NHK、民放、すべてユーザーに回るべきだ、そういう報告が出されているのですね。これは、衛星の将来の発展を見越して、「平成三年〜四年頃には調達法人を設立する必要がある。」という指摘をしておるのですね。  補完衛星を含めて二機体制というのがまさに安定的に映像を送るポイントだと私は思います。だから、二機体制というのは私は賛成だ。だから、そのためにもリスクをNHKなりそういったところに負わせない、そういう意味からも調達法人を早急に設立させる、そのことが私は将来展望の中でも非常に大きな重要な問題になってくると思うのです。これについて、郵政大臣、この報告書についてどのような見解を持っておられるのかお聞かせをいただきたい。あわせて会長からも聞かせてください。
  196. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 従来のといいますか、今日の放送衛星の調達というものにつきましては、NHK及びJSBといった放送事業者が共同で、あるいは単独で、衛星の調達をしてまいっておるわけでございます。  今問題になっておりますのはBSシリーズでございますけれども、BS3の後の放送衛星の調達のあり方ということで、先生御指摘のように、昨年の十月に私ども次期放送衛星問題研究会というものをつくりまして、そこで広く有識者の方々の御参加をいただきまして現在まで検討をいただいておる最中でございます。  御指摘のように、放送事業者とは別の法人、これを調達法人というふうに言うといたしますと、この調達法人が放送衛星の調達を行う方法につきましては、衛星の打ち上げに伴ういろいろなリスク、例えば予備機の用意だとか保険契約の手続、あるいは障害時、衛星打ち上げを失敗したときとか中継器が故障したとき、こういった対応につきましても、その調達法人の責任において実施されることになるわけでございまして、放送事業者は各種のリスク対策につきましては当事者として対処する必要はなくなるわけでございます。そういう意味で放送事業者の負担が軽減されるメリットがあろうというふうに私どもは思っております。  それはただいま申し上げました次期放送衛星問題研究会の一つのテーマにもなっておりまして、今、次期衛星の調達につきましてはこの研究会が近々結論を出していただけるのじゃないかという状況が進んでおるということを御報告申し上げたいと思います。
  197. 島桂次

    島参考人 二十年近く前から国産放送衛星の開発につきまして政府とNHKが中心になって現在までやってきたわけでございます。  初めは難視解消で始まったわけでございますけれどもそれがその後、独自サービス、衛星放送を独自にやるということに最近変わってまいりまして、その三年ぐらい前から私は、現在のテレビ放送もNTTを中心に、地上回線は全部NHKが持っているわけではございません。したがって一日も早く、今放送行政局長の申されたような一つの、空に、宇宙にあるNTTですか、そういうものを早くつくっていただいて、私どもはユーザーとして必要なチャンネルを借りる。  今や衛星時代というのは世界的にいろいろ進んでまいりまして、アメリカではもう九三年ごろ百何十チャンネルの衛星を上げるという時代になっているわけでございます。したがって、私どもはそういったものが一日も早くできることをかねがね前から願っておるわけでございまして、幸い郵政省の方からもそういう計画が出てまいりましたので、それにいろいろな意味で大いに協力していきたいというふうに考えているわけでございます。
  198. 松浦利尚

    松浦(利)委員 宇宙衛星というのは、放送衛星というのは一〇〇%ということはないのですよね。だから常に危険負担というのが伴うのですよ。そういうことになれば早期に調達法人等を設立して負担を軽減する努力をすべきだと私は思う。そうしないとまた必ずこういう事故は起こるのです。しかもこの事故というのは予想できない。成功するだろうと打ち上げてみても失敗するわけですからね。だからそういう意味では、非常にリスクを伴った事業ですから、早急に調達法人というものの設立に向かって挙げて努力してもらいたい、私はそう思うのです。  それからこれは島会長にお尋ねをするのですが、先ほど同僚委員の質問で、あなたは盛んに公共放送公共放送ということを口にされるのですね。私もNHKというのは公共放送だと思っておるのです。ところがあなたは、NHKの「ネットワーク」去年の一月号ですよね、これは。おたくの部内の「ネットワーク」という機関誌、毎月部内にだけしか、NHKの職員しか読まない、これであなたは対談しておられるのです。「新時代の大海原をNHK丸はゆく」ということで上田早苗アナウンサーと一緒に対談しておられますね。その中であなたはこういうふうに活字にしておられるのです。「公共放送のあり方を、白紙に戻して考え直さなければいけない。」こう言っておられるのですよ。これはどういうことを言っておられるのでしょうかね。  あなたは先ほどから公共放送公共放送と、今度のチャンネルの関係についてもNHK公共放送だから二チャンネル確保したいという意味のことを暗に言っておられるけれども、ここでは公共放送を見直す、こう言っておられる。これはどういうことですか。この前参議院の逓信委員会の経過をテレビで見ておりましたら、及川委員公共放送の質問をしておりましたけれども、何を答えておられるのか私はわからなかった。  簡単に公共放送とは何ですか、あなたの言わんとする公共放送。現在までのNHK公共放送のあり方を白紙に戻して考え直す、その考え直そうとするあなたの公共放送は何ですか。
  199. 島桂次

    島参考人 御質問の私の趣旨の意味は、御存じのように私ども昭和二十五年にできました放送法に基づきましてずっとやってまいりまして、ごく最近まではNHKと地上波の民放、この併存体制であったわけでございます。ところが最近、この数年間、情報化社会とか多メディア時代というのが全世界に進行したわけでございます。現に日本でも、衛星放送だけじゃございません、ケーブルテレビその他いろいろなメディア、パッケージメディアその他あらゆる新しいメディアの時代になってくるわけでございます。  そういう時代に我々が、今までどおりNHKと民放というこの地上波の秩序がやがて三年後、五年後、十年後、このテンポはどうなるか知りませんけれども、そういう多メディア時代の中でのNHK受信料制度も含む公共放送のあり方というのは、絶えず新しい時代に備えていろいろ経営の可能性、公共放送のあり方ということをやはり今のうちからケース・バイ・ケースで検討していく必要がある。しかし、当分の間私どもは、当分の間というのは五年か十年、いつになるかまだ情報化社会の見通しというのはなかなか霧がかかって見えないわけでございますけれども、あらゆるケースに備えて新しい時代の新しい公共放送をいろいろのケースで考えておくというのは当然NHK経営の責任者として考えなければいかぬという趣旨のことを申し上げているわけでございます。
  200. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は言っておられる趣旨はわかりますけれども、公共放送というのは何ぞやということが理解できないのですね。  「BBCの財源に関するピーコック調査委員会報告書」の「結論と勧告」の中に、イギリスでは公共放送の定義づけをしてあるのです。この中に、   本委員会は、公共的保護の対象としてふさわしい番組のタイプについて独自の見解を持っており、これはまた本委員会の考える公共サービス放送のコンセプトの大きな部分を形づくっている。これを四つのキーワードで表せば、知識、文化、批判、そして実験であり、 これが公共放送の性格である、こう言っておるのですよ。あなたは抽象的にわあっとこう言われたけれども、我々自身は何を言っておられるかちょっとわからない。  また、NHKの長期展望に関する審議会、平岩東電会長が座長になった一九九〇年二月の提言の中で、「三つのEを重視する エビデンス エデュケーション エンターテイメント」要するに事実の的確な報道、教育、娯楽、この三つをNHKに求めたいということを提言しておるわけです。  あなたが言っておる公共放送というのは何を言っておるか抽象的でわからない。具体的に公共放送とは何だということをぴしっと今言ったような形でおっしゃってみてください。あなたはどういうふうに理解していますか、NHKの公共性というのを。
  201. 島桂次

    島参考人 私どもは五カ年計画を設定する際に平岩さんを中心とする委員会で定義されたとおりのプリンシプルを持ってやっているわけでございます。ただ私が先生に先ほど説明申し上げたのは、私は今、イギリスのピーコック委員会も含めまして、BBCというのは深刻な赤字体制で、ある意味ではどうにもならなくなっているわけです。したがって、イギリスの場合と日本の場合はちょっと事情が違う。我々はあくまで平岩委員会のあれをプリンシプルとして進めるという点については、先生御指摘のとおりでございます。
  202. 松浦利尚

    松浦(利)委員 島会長、私はBBCがどうにもならぬ状態になっておるということを指摘しておるのじゃないのですよ。この中で公共放送というのはこの四つですよということを提言しておる、公共放送というのはこういうものだよと。そのことをあなたに質問した。BBCの内容がどうだこうだということをあなたに質問しておるのじゃないのです。その点を誤解のないようにしてください。  ですからあなたは時々誤解を受けるのですよ。人の質問をまともに受けておらない。全然角度を変えて答弁をなさる。それがあなたの、頭がいい方、鋭い方だから、そういうふうになるのかもしれぬけれども、私はそれは逆に誤解のもとになるのじゃないか。ここに書いてあることだって、「公共放送のあり方を、白紙に戻して考え直さなければいけない。」何か公共放送というのをもう全然、考え直してしまおう。  もっと付言すると、後の方であなたはこんなふうに言っておるのですよ。   戦後四十数年、公共放送というのは、いい意味で非常に堅実で、立派な仕事もやってきた反面、どうしても現状維持的で、新しいものに挑戦するという意欲が、少なくなっている。まあこれは公共事業の一種の宿命ですけれども。なんて言っておるのですよ。どういう形であろうと公共というものは、公共放送というものは変わらないわけなんです、事業の内容は変わっても。私はそれを指摘したいのです。  だから、今から質問することを大臣にお尋ねをいたしますが、百十四国会放送法九条の三の改正があって、業務委託をすることの条文改正がありましたね。それはいいのです。そうすると、今盛んに業務委託としてNHKエンタープライズというのが設立されて、ローカルにもずっとできておる、各地域に。ところがこれは、全部NHKが出資をするこうした業務委託については、郵政大臣の了解が必要なんですね。その了解はちゃんとやっておられることは事実だと思うのです。ところが、その先にNHKエンタープライズが今度は逆にまた出資をするのです。今度は孫会社ができるわけですね。それについてはだれもチェックする能力がないのですよ。  私は、もっと皮肉っぽく言わせてもらえば、NHKエンタープライズに私たち国民の聴視料が出資金として行くわけですね。その金が大臣の了解を得た上で出資される。しかし、出資された会社がどういう経営になっておるかどうかということは大臣もチェックできないのですよ、なぜかというと株式会社だから。ましてや我々国会においても、株式会社そのもの、一企業をここに持ってきて、経営の内容がどうだこうだという議論をすることは法的にできない。しかし、間違いなく我々の聴視料は入っておるのだ。ですから、そういう事業のあり方というのがNHKに一体どこまで許されるのか、非常に大きな問題ですよ。  確かに島会長は頭のいい人だから、NHKの聴視料をこれだけ上げてはいかぬ、もう上げることが非常に難しい、だからそういった意味では、こちらの方で副収入を得る、だから「おしん」というものを諸外国に売って、そしてそれでもうける。それはいいことですよ、決して悪いとは言わない。しかし、それがそういう形で、国会あるいは郵政省がタッチできない分野でNHKの事業というのがどんどん大きく拡大をされていくということは、逆に言うと、営業活動がそれだけ活発になっていくということだ。株式会社というのは収益を求めるわけですから、収益を求めるものに公共性を求めたったこれは始まらないのですよ。確かに百十四国会で法律の改正はしました。しかし、どこまで事業拡大というのを認めるのか、そういう点については全く議論されておらないのですよね、率直に言って。  だから、公共放送であるNHKというのは一体どこまで事業範囲というものを拡大していいものかどうか。そういう点について大臣からお聞かせいただきたいと思います。     〔川崎(二)委員長代理退席、委員長着席〕
  203. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 事務的なことは桑野放送行政局長からまた答弁をさせますが、その前に、NHKの関連団体への出資の財源は言うまでもなく受信料であるわけでございますから、そこにおのずから無制限にそういうようなことが行われることにはならないと私は考えておるわけでございます。先生のおっしゃいますように放送法第九条の三の問題、それからまた、出資の対象ということで、放送法施行令の第二条で細かく載っておるわけでございます。そういうようなことで、このことが無制限に広がっていくということはあるべきことではないと私は思いますし、また、そういうようなことがあれば私たちは指導助言を適切に行っていきたい、そのように思っております。  また事務的なことは局長から答弁をさせます。
  204. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生御指摘のように、NHKの出資会社からさらにまた出資するといったような場合につきまして、法令上の明文の規定があるわけではございません。ございませんけれども、放送法規定の趣旨からいたしますと、NHKが出資した関連団体からの出資につきましても、NHKが直接出資するものの考え方に準じて行うべきであろうというふうに私たちは思っております。  そこで、NHKに対してはそのことにつきまして指示もしておりますし、NHKにおかれましても、このことを踏まえて、関連団体からの出資や、その出資先の会社の活動が適正に行われるように努めるべきであろうというふうに思うわけでありまして、これらが無制約に行われるということは決して適当でないというふうに思っております。
  205. 松浦利尚

    松浦(利)委員 決して現状をどうだこうだと言っているのじゃないのですよ。ただ問題は、歯どめがかからないのですよね、現在のやり方をそのまま放置したら。要するに、先ほど言ったように、直接NHKが出資する株式会社については、郵政大臣の了解を得た上で出資をするという歯どめがある。それから先の孫に対しては何にもない。だからNHKの方はそれを体して、今度はNHKエンタープライズの方が、株式会社エンタープライズならエンタープライズがその出資先をチェックするというだけなんですよね。  そうすると、それは逆に言うと、さっきから言うように、NHKの公共性、公共放送維持するための負担金として国民が納めておるという現在の公共放送について重大な支障を与えるのじゃないか、営業活動が中心になっておりますからね。率直に言って、それにどうやって歯どめをかけますか。現在の法律では国会はもう手がつかない。そうすると、郵政大臣の直接的な了解を得た分野についてだけ、それから先は、NHKが報告しようがしまいが、そんなことは法律的に関係ないわけです。  これは局長、どうすればいいのでしょうかね。島会長だからいいかもしれない。だんだんだんだん何年かたったときには、法律で根拠があるからと言ってだあっとやられてしまったら、それはもう大変な、営業活動をするNHKというようなことになりかねないわけですからね。どうすれば一番いいと思いますか。
  206. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先ほど申したことの繰り返しになるわけでございますけれども、NHKに対して先ほど申したようなことを私の方も申し上げておりまして、NHKも、明文上の規定があるわけではございませんけれども、放送法規定の趣旨からしますと、NHKの出資した関連団体からまた出資する場合もNHKが出資することと同じような考え方でやるべきだということで私ども指示しておりまして、NHKの方もそのようにいたすということを私どもとの間で取り決めている次第でございます。
  207. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは局長、具体的にお尋ねいたしますが、NHKエンタープライズから孫に出した出資について何か了解を得られましたか。局長、どうですか。
  208. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 個々のケースにつきまして一つ一つチェックしているわけではございませんで、物の考え方の整理をいたしておるということでございます。
  209. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今局長が言った、物の考え方の整理を言われたのは、これからのことでしょう。会長、どうですか。
  210. 島桂次

    島参考人 NHKの関連団体というのは、全部ではありませんけれども、ほとんど私どもNHKが出資している会社でございます、株式会社ではありますけれども。したがって、今郵政大臣以下おっしゃったNHK公共放送としての歯どめというのは十分考えながら、私が関連団体の業務指導をやっているわけでございます。したがって、そういう線で私もやっているつもりでございます。
  211. 松浦利尚

    松浦(利)委員 局長が言われたことは、今会長が言われたことと違うのですよ。会長は、自分がチェックをしている、こう言われているのですね。これは仮定ですよ。NHKエンタープライズが出資しておる孫に対しては、NHK会長であるあなたがチェックをしております、そうじゃないのです。その孫に対しても、郵政なら郵政の了解を得た上でしたい、それが常識的だということを局長は言っておられるわけです。あなたはどうですか、そういうふうになさいますか。
  212. 島桂次

    島参考人 ちょっと表現がまずかったので誤解だと思いますけれども、当然のことながら郵政省の人たちと相談をもちろんしているわけでございます。その上で、私が出資している会社でございますから、直接的な関連団体のそういった経営方針については私もチェックしている、こういう意味でございます。
  213. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、局長、違うじゃないですか。こんなことにこだわりたくないけれども、将来について非常に大切なことだから、くどいように聞くのですよ。今までのことも話し合った上でやっておられるというけれども、どっちが本当のことを言っておられるのですか。了解を得た上でやっておると会長は言っておられるのでしょう、あなたは常識的なことを申し上げておると言ったけれども。現にもう孫に出しておるわけです、出資を。だから、そういう点について報告があったか、こう聞いているのですよ。それは将来そういうふうにしようと言っておられるのでしょう。
  214. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 個々のケースについて、一々チェックしているわけじゃないと申し上げましたけれども、この物の考え方を昨年NHKとの間で私ども整理いたしまして、それ以降につきましては私ども個別に相談を受けているというようでございます。
  215. 青木賢児

    ○青木参考人 NHKの関連団体がその孫会社に出資する場合には、やはりNHKが関連会社に出資すると同じ基本的な考え方を持つようにということで、郵政省と御相談いたしまして、これについての出資の管理基準というのを設けてございます。  これには、主として五項目に沿ってこの管理基準ができておりますけれども、関連団体が出資する場合には、その団体の設立趣旨、事業目的、そういうものが関連団体と一定の関連性を持っておること、またNHKのその団体への出資目的に照らして妥当性を欠くものでないかどうかということが第一項目。二項目目は、出資によって出資先会社の事業が既存の民間企業等に多大の影響を与えないということを十分に配慮すること。第三番目は、出資によって団体の事業が特定企業あるいは特定グループと結びついて行われないというようなことを十分に配慮すること。なお、出資金の保全に不安のあるものでないこと。それから、出資によってそれ相応の経済的な効果が期待されるというようなことがこの出資の場合の基準になっております。  出資した後につきましては、関連団体の子会社につきましては、我々は、親会社監査役の子会社調査権を行使するというようなことによりまして、これらの運営が的確に行われているかどうか、あるいは公共放送との関連で、これが的確な事業運営が行われているかどうかということを把握するということをしております。  それで、NHKとしては、これらの関連団体に対してその出資先の現状について、運営状況、決算報告というのを求めまして、これについての指導を行うということでございまして、これについては、その内容、結果について郵政省に対しても必要に応じて御相談申し上げているという実情にございます。
  216. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは、簡単に言うと孫にもでしょう。子会社でなくて孫にもでしょうな。孫に対してもそのとおりでしょう。
  217. 青木賢児

    ○青木参考人 孫の会社についてその実情を把握して、これを御報告申し上げているということでございます。
  218. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、それを本委員会に出していただけるのでしょうか。どうですか、出せますか。その孫に出資しておる会社の名前と決算状況はもらえますか。
  219. 青木賢児

    ○青木参考人 この出資先の一覧表というのはございますので、我々としては資料としてこれを提出することはできます。
  220. 松浦利尚

    松浦(利)委員 では、そのようにお願いをしたいと思います。  いずれにいたしましても、大臣、今言ったようにNHKの島会長のところまでは来るわけですね。だから、それから先、会長が言われたように本当は出資の了解を得なくてもいい孫なんだけれども、具体的に事前にそういう話し合いを常識的にはされることが本当だ、こう言っておられるから、ぜひそういうふうにしてもらいたい。  そしてNHKというのは、先ほどから言うように、本来営利というものを目的にして放送というものを手段に使ってはいけないんだ、だから公共なんだ。そういう意味で、株式会社というのは営利会社で利益を得なければいかぬ会社ですが、おのずからそこには秩序というものが必ずなければならぬ、一定の枠というもの、制限というものがなければならぬはずですから、それはぜひ大臣の方で十分記憶にとどめておっていただきたい。行き過ぎないように、場合によってはブレーキをかけることがあってしかるべきだ。現在ではありませんよ、将来そういう事態が起こったときにはぜひブレーキをかけていただきたい、そう思うのです。  そこで会長、これは大変失礼なんですが、私の見間違いか何かわかりませんけれども、大体会長の発想は、ソフトというのはつくるものではなくて買うものだ、こういう発想がありますか。
  221. 島桂次

    島参考人 つくるものでなくて買うものだということは毛頭ございません。  ただ、先生に御了解願いたいのは、今やNHKは、衛星放送その他、非常に放送時間がふえているわけでございます。しかし一方では、一万五千人という枠を少しずつでも減らしていかなければいかぬというのが一つの理由。それから、やはり世界には非常にすぐれたソフトがたくさんあるわけでございます。私どもがつくるソフトは、もちろん一生懸命いいものをつくりますけれども、特に衛星放送その他いろいろ量的な拡大がなされてきますと、今までは、NHK放送番組の九五%ぐらい地上波だけやっていた時代はそれでできたんでございますけれども、やはり衛星放送、あるいは先ほど申し上げましたGNN、世界的なニュースの拡大ということになってきますと、どうしても全世界で制作した質のいいソフトも同時に視聴者の皆さん方に提供するということも、公共放送の重要な任務でございます。したがって、それをある程度取り入れていかなければいかぬということになってきていることは事実でございます。
  222. 松浦利尚

    松浦(利)委員 地上波、宇宙波等含めましてソフトが不足してくるというのは、これは当たり前なんですよ。だから、そういった意味で、将来のソフトについてどう確保するかというのは、放送業者がひとしく考えなければならぬことなんです。  それから、これも私が心配のし過ぎだと思えれば幸せなんですが、国際メディア・コーポレーション株式会社をつくられたんですね。これは、NHKが出資しておらない、完全に独立した会社なんです。ところが、NHKから退職した人たちがみんな重役陣にだあっと並んでおられるわけですね。それで、一部上場会社が四十社ぐらい集まって、非常に資本力の強い株式会社国際メディア・コーポレーションというのをおつくりになった。そこでソフトの調達をして、各民放その他も含めてソフトを売買するわけですな。あるいはアメリカから買ってきたのを供給するとか、そういった役割の、世界でも珍しい、国際的に非常に珍しいソフト会社なんですよ、ソフト購入会社というのですかな。私は民放の人たちがこのことを考えるべきだったと思うのですが、これはNHKの島会長がアイデアを出されてそういう会社をつくられたんですね。  だから、私がここで大臣にぜひお願いしたいのは、やはり民放とNHKというのは競争していかなければいかぬ、だから、力関係でこれは評価すべきものじゃないのです。逆に言うと、強大な力でNHKがソフトを支配してしまいますと、要するに、たくさんのメディアを持っておってソフトまで支配をするということになると、ガリバー的な存在になってしまうんですよ。  だから、私はそういう点について、バランスした放送ということを考えると、公共放送であるNHKそれから民放、そういったものを考えていく場合に、やはりバランスしたものが必要ですから、そういった点について、こういった株式会社国際メディア・コーポレーションというソフト会社、こういったものについてはある程度大臣の関心、郵政省の関心を強めていただきたい。NHKだけが突出してもだめなんですよね、電波行政というのは。すべてがあまねく栄えなければいかぬわけですから。それで、全体的な国民が放送を通じてすべてあらゆるものを享受させてもらえればいいわけですから、その点をぜひお願いしたい。これについて大臣の御意見一つ。  それから、もう時間がありませんから、最後にこれは島会長でなくても結構ですが、実は余りいいことじゃないのですが、宇宙アンテナを買いますでしょう。宇宙アンテナを買うと、こういうのが中に入っておるのですよ。ですから、放送受信契約書というのをNHKNHK営業総局開発推進センターに送るのですよね。それで初めて来られて契約をする、こうなるのです。ところが、買ったらこれを出さないうちにNHKの人が、おたくアンテナを買ったから、うちの衛星の契約をしてくれと来るのですよ。調べてみたら、東京の例ですけれども、東京で買うでしょう。それでつけてあるでしょう。つけてあったら発信者の「スタンプ等をご利用下さい」といって「東京都電機商業組合加盟店」のここに印鑑を押しまして、そして大臣なら大臣、関谷大臣がつけたよというのをNHKに送ってやるわけですよ。ところが、契約者の方が契約しないうちに、あなたのところ買ったじゃないか、契約してくれと、こう来るのですな。それが物すごく心証を悪くしているのです、NHKの。  契約というのは、あくまでもこういう形をとらずに、NHKの皆さん方が直接聴視者のところに行って、あなたのところではどうですかといって契約が成立する。前もって何かスパイもどきに、電機業界がスパイをしているとは言いたくはないのだけれども、ちゃんとここに印鑑を押して、これに印鑑を押して出したらNHKか何かリベートがあるかどうか知りませんよ。何でこんなところにあなた、東京都電機商業組合加盟店の印鑑なんか押す必要がありますか、これ。NHK営業総局東京営業センターですよ、これ。会長、見てもおかしいでしょう。こういうことはやめてもらいたい。これについての見解を求めて、終わります。
  223. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 前段の問題につきまして御答弁させていただき、後半の問題はNHKの方から答弁をいただきたいと思うわけでございます。  先生御指摘のように、集中排除ということも考えていかなければならない。NHKそれから民放両方が、いわゆるイコールフッティングのような立場で競争をやっていく、これは私はぜひ守るべく指導もしていきたいし、また、そういう問題につきましては注意深く見守っていきたい、そのように思っております。
  224. 諏訪恭也

    ○諏訪参考人 お答え申し上げます。  私どもは、営業活動を効率的に進めるというふうな観点から、つまり、衛星放送の受信機を買った段階ですぐ届けていただくというふうな方法が大変効率的な方法ではないのかというふうなことから、メーカーさん等々とかけ合いまして、出荷の段階でそういうはがきを入れてもらうというふうなことが可能になりました。それで、それを入れてもらったところに対してはそれ相応の手数料をお支払いするというふうなことから、それがどこからどう出たのかというふうなことのために、そういう判が押してあるわけでございます。  一方、私ども、とにかくなるべく早く、何といいますか、普及と契約の乖離をなくしたいというふうなことから、要員がそれなりに配置してありまして回っておるというふうなことがありまして、時にはそういうふうなかち合うというふうなこともありますので、その点については私どももそういうことのないように、現在もいろいろな手を打っておりますし、今後もそういうふうにしてまいりたいというふうに考えております。
  225. 松浦利尚

    松浦(利)委員 誤解せぬでくださいよ。受信者と契約をしてくださいということですよ。家電業界があそこの関谷大臣が買ったよという通知が来て、そこに行ってあなた買ったじやないかというのは不愉快でしょう。自分が出しておるわけじゃない。私なら私が契約書を出すならいいのですよ、これを。会長、これを。そうじゃない。これを出す前に来るわけです。だから、そういうことを──いや、もういいです。もう時間がありませんから。その点をぜひ注意をしていただきたい、こういう意味ですから、会長、誤解のないようにしてください。そういうことですよ。  終わります。
  226. 野中広務

    野中委員長 松浦委員御指摘の資料の取り扱いにつきましては、その都度理事会の協議といたします。  次に、田中昭一君。
  227. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 大変お疲れだと思いますが、数点について御見解をお聞きいたしたいと思います。  私はベテランでございませんで新人ですから、そういう立場から、きょうはNHKの六十一年度から六十三年度の決算を行う、こういうことでございます。これは放送法の第四十条の三項に基づいてやるわけですが、考えてみますと、六十一年度—六十三年度というのはもう既に三年ないし五年が経過をいたしておるわけです。その後、もう既に平成三年度の予算が成立をしておる。それから、平成二年度の事業計画、予算の段階では国民の皆さんがいろいろと御意見ございましたけれども、受信料の値上げが実施をされておる、経営五カ年計画が策定をされてこれが進行中である、こういう時期だと思うのです。  それで、確かに収支予算であるとか事業計画あるいは資金計画というのは放送法三十七条に基づいて国会の承認が必要である。しかし、決算の場合は、放送法四十条では、事業年度計画を二カ月以内に郵政大臣に報告をして、内閣に行って、会計検査を受けて、その後国会に提出をする、報告をする、こういうことで、国会の承認は放送法上ではやらなければいけないという規定はない、私はそういうふうに理解をするわけです。  そこで、これは国会には国会の慣行なり常識などがあると思います。それはそれなりに理解をするつもりですけれども、しかし国会の議論というのはやはり国民の皆さんが十分に理解をし納得をする、こういう議論というものが非常に必要ではないかということを私は常々感じております。  そういう意味では、一般的な社会常識でいきますと、三年前─五年前の決算の議論が終わってないのに既に具体的な値上げなどの問題がもう進行しておる、こういう状況になりますと、一般の社会的常識でいきますと決算を、それを踏まえて新たな事業計画なり予算を編成していくというのが、これが一般的な社会の常識だと私は思うのですね。  ですから、まあ国会における決算などというのはこれは名目であって、これに関係がないことをNHKの問題について議論すればいいんだというふうに割り切ってしまえばそれはそれでいいと思うのですけれども、しかし国民の皆さんの立場から見れば、これは例えば報告を具体的にやるとすれば、五年前、四年前、三年前の決算がまだ終わってない、しかし大幅な値上げが出てきておるということについて国民の皆さんはどういうふうに理解をするのかということを私に問われた場合に、どういう答弁をすればいいのか。これが国会の常識だと言えばそれまでですけれども、そういう問題点について私は、今までの慣行などもございましょうから、郵政省が悪いとかNHKが悪いとか追及をするつもりはございませんけれども、どういうふうに理解をすればいいのか、そこら辺について郵政大臣なりNHKの御感想をまずお聞きしたい、こういうふうに思います。
  228. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 田中先生御指摘の問題でございますが、私もかつて全くそのように思った時期もございました。このNHK貸借対照表国会への提出につきましては、先生御指摘のように年度ごとに行っておるわけでございまして、これについて、国会における取り扱い、いわゆるこの委員会での審議、これは、国会のその年次年次のタイムスケジュールといいましょうか、大変混乱をした国会でありますと委員会の日数がどうしてもとれなかったというようなことで流れるということもあるのも事実でございます。  今までの経過を振り返ってみますと、本当に、先生特段にそういうふうに不思議に思われたと思うのでございますが、六十一年、六十二年、六十三年度この三年の決算が今行われておるというのは、最近では余りないケースでございまして、衆議院の段階で見ましても、六十年度の決算が六十三年の十二月に行われ、それから五十九年のが一年前の六十二年の八月に行われておる。五十八年のがその一年前。  したがって六十年度までは、六十年、六十一年、六十二年、六十三年と毎年一年ごとに行われておったわけでございますが、ここずっと行われていなかったということでございまして、大変これは、国会の状態にいろいろな問題がございましたからそれであると思うわけでございますが、感想ということで私が強いて述べさせていただくといたしますれば、先生がおっしゃいますように、決算をいろいろ審議をしていただいて、その中のものを今度は予算案に入れてまたすばらしい放送行政に生かしていくということであろうと思うわけでございますから、今後はそういうようなことで鋭意早くこの決算の審議もしていただく。ですから今回三年分を一度に行っておるわけでございまして、あとはもう既に平成元年、二年というものがありますが、こういうものも早い時期に審議をしていただきたい、そのように個人的には思います。
  229. 中野正彦

    ○中野参考人 私どもNHKの決算につきましては、毎事業年度終了後から内閣経由で国会に提出される手続につきましては、今先生のお話があったとおり放送法四十条の規定によりまして手続をとらせていただいておるわけでございます。その国会に提出された後の扱いでございますけれども、国会におかれましては、決算審議という形で、現在進行中の問題も含めまして、協会経営活動あるいはその成果というものをつぶさに見ていただいている、こういうふうに私どもは理解しております。  今後とも公共放送としてのNHKの業務運営に深い御理解を賜りたく、よろしく御審議をお願いしたいと思います。
  230. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 これ以上申し上げませんけれども、それはそれなりに国会運営の事情もあったことについては、私も理解をいたしたいと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、私は、やはり国会の議論などというのは、どこから見ても国民の皆さんが納得するような、そういうものに向かって努力をするというのが私たちの任務であるし役割である、こういう立場から、こういう問題などについても今後お互いに努力をすることが必要ではないかな、こういう点についてまず冒頭申し上げておきたい、こういうふうに思います。  そこで、正直に六十一年度─六十三年度、これは平成元年の場合もそうですけれども、事業収支差金というのは、予算ベースではゼロもしくは赤字ということになっておるわけです、決算書を見れば。それから決算ベースで見ても六十三年度、平成元年は赤字だ、こういうふうに決算がなされているわけです。平成二年度に受信料の値上げがされまして、一応今日は安定した経営になっておる、これが現状だと思います。  そこできょうは、決算対象というのは昭和六十一年度から六十三年度でありますから、先ほど申し上げましたように、六十一年度、六十二年度、六十三年度というのは、非常に経営は不安定な状況にあったわけで、赤字経営体質、不安定な経営、こういう状況にあったと思います。ですから、平成二年度に、これはもちろん受信料の値上げだけではありませんし、いろいろな体質改善施策についてNHKとしても努力をされたということについては十分理解をいたしておりますけれども、この時点において、この赤字経営体質、経営の不安定というのは、どうしてそういうことになったのかという点についてはどういうふうに認識をされたのか、そして、それを乗り切るためにいろいろな施策を講じておりますけれども、その進捗状況というのは一体どういうふうに今日把握をしておるのか、この決算の時期に改めて基本的なお考え方を明確にしていただきたいと思います。
  231. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えします。  御案内のように、昭和五十九年に三カ年の経営計画をつくりまして、そこで受信料を改定させていただきました。それで、要員効率化を一層推進いたしましたし、それから、番組の費用、番組単価と私ども申しておりますが、これについてはゼロシーリングを続けさせていただきました。さらには、平成元年度に非常措置として川口の放送所の跡地を、百四十八億円でございますが、これを売却するなど、あらゆる経営努力を払ってまいりました。  しかしながら、今先生から御指摘いただきましたように、協会は収入面では受信契約増加が頭打ちでございまして、これは今も続いております。それで、大幅な収入増が望めない。一方で支出面では、国際化がもう極端に進んでおります。それから、高齢化等社会構造の変化は随分進んでおりまして、国民、視聴者のNHKの番組に対する要望は極めて多角化しております。そうしますと、重点的な番組費用というのは相当かかるような情勢になってきております。  こうしたことを踏まえまして、国会の御議論を受けながら、経営五カ年計画、この中でその問題点についてすべて込めております。  放送面では、一口で言いますと、国民の多角的なニーズにこたえるような豊富な内容の充実、これを進めますとともに、一方では、業務全般につきまして、組織改革を初め、管理部門の整理、それから新しい番組部門に対する要員とか経費についてはカットした部門を充てる、こういったことを年々強化してまいっております。そうした形の努力の中で財政運営の安定を図るということを進めております。  経営計画の初年度に当たります平成二年度以降、それから三年度に当たりましてもこのような努力を遂行しておりまして、何とか五カ年計画の中で掲げた目標を平成六年度内にきちんと進めていって、その当初の目標を実現したいというのが現状でございます。
  232. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 そこで、今の御答弁を踏まえましてお聞きをしたいのですが、これはもう御承知のように、視聴者にとりましては受信料の値上げという問題については非常に関心が高いわけです。平成二年度に受信料値上げを行ったわけで、その他いろいろと協会としても御努力をされておられまして、五カ年計画では、経営方針では、おおむね平成五年までは値上げはないというふうに整理がされておるんじゃないかというふうに理解をいたしております。  それから、いろいろ問題指摘のあります衛星放送の収支差金についても、平成四年度には黒字転換になるのではないかな、これが経営方針の中身だと思うのです。そういう判断について、これは経営方針が発足をしたばかりでありますけれども、今日的な判断としてこれに狂いが出てこないのかどうなのかという問題について一つはお聞きをしたいわけです。  それでいろいろ、事業計画、予算の際にも問題提起いたしましたけれども、企業の巨大化の問題がございます。NHKが関連企業を含めまして大変巨大化している。それから多チャンネル化の問題もございます。したがって、経費の増大などもかなりあると思います。  それから二つ目としては、今もエンタープライズ、MICOなどの問題の議論もございましたように、いろいろそれなりの副次収入などを含めまして努力をされている点についてもある程度承知をいたしておりますが、これもまた公共放送としての一定の節度があると思います。一般の企業のようにはいかない面があると思います。  それから省力化、合理化で努力をされている点についても理解をいたしておりますけれども、これも労働者の、そこで働く職員の労働条件、特にゆとりのある生活ということで、労働時間短縮の問題などが政府の方針としても平成四年千八百時間、こういう問題などもございます。  それから、衛星放送経営の柱に立てるといいますか重視をする、こういう経営の中で、これも先ほどから議論がありますように、相次いで衛星の打ち上げについて失敗をするという問題。  将来の問題としては、電波利用料金の徴収の問題など、NHKを取り巻くいろいろな情勢があると思うのですけれども、経営五カ年計画で、先ほど申し上げましたようにおおむね平成五年までは値上げはない、それから衛星放送については四年度黒字転換になるであろう、こういうふうに決定されておると思いますけれども、こういう情勢の中でその判断に今日狂いはないのかどうなのかという見通しについて、少しお聞きをしたいと思います。
  233. 島桂次

    島参考人 経営五カ年計画につきましては、昨年国会の皆さん方の御理解を得て値上げいたしました以上、私は五カ年間絶対値上げしないようにきちっとやっていきたいと思いますし、さらに地上波についてはできるだけ値上げを避けてそこから先もいくべく、経営の最大の努力をしたいと思っております。  ただ、衛星料金につきましては、衛星の状態につきましては、私どもが五カ年計画を立てた段階とは、午前中からも御議論のあるとおり、いろいろ衛星に不安定な状況が出てまいりました。したがって、衛星についてはややはっきり、その五カ年計画の予定どおりいくかどうかもうちょっと見きわめなければいかぬ、非常に困難な情勢になってきたと思います。  ただ、ここで注意をしなければいかぬことは、衛星のために必要な経費を地上波からイージーに転用しないように、きちっと衛星自体の独立会計といいますか、その収支だけははっきり別建てとして、衛星だけの赤字は赤字という形できちっとそれは明白にしていかなければ、地上波だけ見ていらっしゃる受信者に対して非常に迷惑を与えるわけですから、その辺は厳格にやっていきたいというふうに考えております。  それから、NHKの巨大化についての御質問でございますけれども、確かに普通民主主義国家において一つ放送機関が巨大になるということは、我々は決して適当じゃないということは十分自覚しております。したがって、先ほど申しましたように、これからの情報化社会の進展の中で、公共放送がどういう規模が適当かということにつきましては、昨年の国会審議でも私申し上げたとおり、少なくとも最大限五年の間にNHKの適正規模というものをやはり考えなければいかぬ時期が来るのじゃないかというように考えております。  それから、NHKの職員は、私の目から見て一生懸命やっていると思います。実働時間というのが非常に長いということもわかっております。しかし、これはもう最近の一般的な情勢から、当然労働時間の短縮、給与につきましても同業各社に比べましてそれほど高くございません。それは、一方ではできるだけ効率化を進めながら、そういう職員の労働条件、待遇につきましては最大限の配慮をしたいというふうに考えているわけでございます。
  234. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 NHKは、放送法公共放送としての使命を帯びているわけです。ですから商業化の問題などについて、いろいろ批判も出てくるということだと思います。  そこでお尋ねしたいのは、受信料を中心にしてNHK経営というのは今後も維持をされていく、こういうことはもう当然だと思うわけです。  そこで放送法七条の「目的」では、見る権利、見る自由、いわゆる公的負担の原則を前提にして、あまねく受信料を徴収するという制度で原則的にNHKというのは経営が成り立っている。公共放送という立場からいけば、今後もこれが大きく変わるということはあり得ない、これはまあ当然だと思うわけです。  ところが、私、この間も質問いたしたわけですけれども、今日、多チャンネル化時代の到来の中で、見ない自由であるとか選択の自由であるとか、そういう声がやや強くなりつつあるというのも、これは時代の流れの中で否定できないんじゃないかな、こういうふうに思っております。  また、時間もございませんから簡単に申し上げますけれども、いわゆるコマーシャル、広告料で成り立っておる民放にいたしましても、これも御承知のようにJSBに見られるように利用料金を徴収するという変化が出てきておるわけです。そういう問題についても、これもまた時代の流れであろう、こういうふうに思うのですけれども、しかし一般の国民の皆さんから見れば、JSBの場合には契約をしなければ金は取られない、しかしNHKの場合はパラボラアンテナを立てれば受信料を取られるという疑問が出てくるのは私は当然だと思うのですね。  そういう意味から、こういう今日的な情勢の中で、今までの受信料制度という問題についてやはり発想の転換をしなければならない、そういう時期が来るんではないかなという気がしますし、いろいろ評論家の中でもそういう意見が提起されていると思うのですけれども、こういう世の中の流れの中で、今までのこのNHK経営の根幹に何らかのメスを入れなければいけない時代が到来しつつあるという問題について、郵政大臣なりあるいはNHK当局としてはそういう問題についてどういうふうに受けとめながら今後検討をしていこうとされておるのかという点について、少しお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
  235. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生御指摘のようは、我が国の放送というのが受信料を財源とする公共放送としてのNHKと、それから広告料収入を財源とする自由な私企業としての民放が併存競合する中で発展してきているわけでございます。  現行の受信料制度というのは、これも御承知のとおりでございまして、財源を広く国民全体に直接求める、そういうことで公共放送としての高度な自主性、中立性を財政面から確保することを可能にするものでありますし、NHKの財源方式として基本的にこのこと自体は大切にしておかなければいけないものと思っております。  しかしながら、御指摘のように新たに民放の衛星放送が有料方式ということで出現いたしました。受信料と有料の料金という、ともに受信者から収納する二種類の料金というものが併存するような形になってきているわけでございまして、どう違うのだということは確かに受信者にわかりにくくなってくるおそれがあることも事実でございます。  ただし、衛星放送というのは普及はまだ緒についたばかりでございますけれども、NHKの物の考え方からいたしますれば、NHKはやはり公共放送でございますし、その使命は全国の国民に衛星放送を最大限に普及させるということ、実績はともかくとしてそれは究極の目的にあろうというふうに思うわけでございます。この点は、有料放送である民放の衛星放送が、直接契約する人のみを対象としてサービスを提供しているということと大いに物の考え方においては違うというふうに思っております。  したがいまして、NHK衛星放送というのは、国民全部に普及し、そしてまた見ることができるようにということで、オープンな、つまりスクランブルといったようなことをかけないで、だれでも見れるような形で行われておりますし、やはりそこで受信料という形態の財源というのが適当なんだろうと思います。  しかし、先生がおっしゃいますように、このままずっといけるのかということにつきましては、私どもも問題意識を持っていなければいけないというふうに思いますし、今後におけるいろいろな現象が起こる中で、NHKともいろいろ御相談させていただきながら、こういった問題は将来の課題として考えていくべきものだというふうに承知しておる次第でございます。
  236. 島桂次

    島参考人 基本的には放送行政局長の申し上げたとおりでございますけれども、ただちょっとつけ加えさせていただきますと、私は、公共放送は当分の間、日本社会においては必要じゃないか。ただ、これからのニューメディア時代、多メディア時代は、先ほど申し上げたとおり大変な時代を迎えつつある。我々は、受信機を設置したら必ず金をいただくという以上は、本当に国民から信頼され、質のいい放送をできるだけ効率よく出すということを少しでも怠れば、これは国会議員の皆さんだけではなくて一般国民の力から公共放送を支持されなくなるということになりますので、私ども一生懸命やりたいというふうに考えております。
  237. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、今の二人の答弁でどちらに近いかといえば会長に近い感覚でおります。私がそんなことを言いますと郵政省がまとまってないように思われるかもしれませんが、そういう意味でなくして、私の私的な考え方で申し上げますと、受信料というものをいただいて、それを財源として公共放送をやる、今会長が言いましたように、それだけの受信料をもらってやるわけですから、質のいい、内容の高い、文化度の高い、そういう放送をやっていただく。これは、ぜひこういう受信料制度で公平中立な、いい番組をつくるということで、島会長が、いましばらくといいましょうか、かなり長期と言いましたが、私はそれ以上の長期に今の体制でぜひやっていきたいと思っております。
  238. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  それで、先ほどもこれは議論があったのですけれども、六十一年度から六十三年度のNHKの予算あるいは事業計画を決定するに当たって、附帯決議というのがなされておる。これは大体毎年おおむね同じようなことでございまして、大体六項目ぐらいに分けられると思います。中身は省略しますけれども、今の問題と関連をいたしまして、その中でも「受信料の確実な収納と受信者の負担が増えない努力」ということが明記されていると思います。やはり受信料を中心にしてNHK公共放送を守っていくという立場に立つ場合には、受信料の収納業務という問題は非常に重要なNHKの業務である。  そういう観点に立ちまして、やや少し具体的な問題ですけれども、平成二年度から六年度の経営計画では、地上契約数が九四年度末までに大体二百五万を達成する。これを達成するために毎年度四十三万の増加が必要だ、こういうふうになっておったと思います。しかし、九一年度の予算ではこれを四十万に修正をしている。それから、衛星放送の契約の場合は、九四年度末までに九百万確保の当初計画を維持しておりますけれども、九一年度目標は百六十九万から百四十五万へ下方修正をしておる。これが実態だと思います。その要因は一体何かというのを簡単にお聞きをしたい。  それから、新規の衛星契約者というのは地上契約者からの契約変更だと思うのですね、おおむね。その分、地上契約者が減少するということを考えた場合、算術計算でいきますと、衛星契約を百四十五万ふやしたとしても地上のカラー契約を九十四万の減、普通契約を十一万の減にとどめるということでなければならなくなるわけですが、これは大変なことではないかな、困難ではないかな、こういうふうに思うわけです。  特に先ほどからの議論がありますように、営業要員をなるべく抑え込んでいく、削減をする。それから経営計画の中でも受信料収入に対する営業経費率を、九四年度一二%台、九一年度予算では一四・三%、こういうことになっているわけです。したがって、収納業務を確実にやるということ、そのことと、営業要員を抑え込んで省力化をしていく、そういうような問題との矛盾がやはり出てくるのではないかな、こういう気もするわけです。ですからそういう意味で、今申し上げましたように、計画を下方修正しておるという問題と今後の収納業務をどう充実をしていくのかという問題などについて、少し基本的な御意見をお聞きをしておきたいと思います。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  239. 諏訪恭也

    ○諏訪参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、五カ年の経営計画では、平成三年度の総数増加目標は四十三万というふうなことでございましたが、これは今年度四十万というふうなことでございますし、それから、衛星増加目標についても百六十九万というのが百四十五万というふうなことです。  これは、私ども平成元年度に初めて衛星の有料化というふうなことをしたわけでございますが、つまりこの分野は我々の全く未経験な分野でございまして、平成元年度でいろいろな経費のかけ方、リソースの使い方、それからノーハウというふうなものをいろいろ学んだ結果、三年度の営業活動の進め方についてはもっと緩やかに進めて、そこで力をつけてどんどん取り込んでいくというふうなことで、五カ年計画にはそごを来さないように翌年度以降にさらに取り込んでいく。つまり回転を速く、弾みをつけるという観点から、今年度についてはこういう下方修正をさせていただいたというふうなことでございます。ですから、この下回った分については翌年以降必ず取り戻したいという決意で今臨んでいるところでございます。  それから、経費率のお話でございますけれども、まず私ども、営業活動の中で一番経費がかかるというふうなのは、やはり人的経費でございますね。どうしても営業活動は歩いて足を使ってやるというふうな部分が非常に大きいウエートを占めておりますので、これをできるだけ効率化して削減して、人手にかわるものに変えていきたいというふうなことでございます。  その一つは、まず収納業務でございますが、今二二、三%ぐらい訪問集金の対象があるわけでございますけれども、これをなるべく間接集金化に持っていきたいというふうなことで、これはまだ何年度からというふうにはっきり決めているわけではありませんけれども、訪問集金の対象者全数の方に振り込み用紙を送って、その振り込み用紙で払い込んでもらって、払い込まれなかった方を直接集金するという方法をとりたいなというふうに考えておりまして、二年度においても、それから三年度においてもその試行をやっております。二年度の結果では、振込用紙を送って、払い込んでくださる方が四十数%というふうなところでございますので、残りの人を直接集金するということでございますから、その分業務が効率化できるというふうなことです。  そういうふうなことをしまして業務を効率化して、経費率というのは受信料収入に対する営業経費でございますので、受信料収入をまずふやす、受信料収入をふやすということは、先生御指摘のように、地上の放送から衛星カラー放送にふやす、つまり千三百七十円が二千三百円になるというふうなことになりますと、その分受信料収入がふえるわけですから、そういうふうに衛星の方にどんどん転換していくことによって財源確保を図りたい。それから、経費の方はそういうふうに、先ほど申し上げましたように、いろいろな節減施策を講じながら縮めていきたい、それによって経営計画で申し上げております最終年度の一二%台というのを達成したいというふうに考えております。
  240. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間がございませんので、さらなる受信料の収納業務についての御努力を強く要請をしておきたいと思います。  次に、これも簡単に申し上げたいと思うのですが、いわゆる国際化社会だと言われておりまして、大国日本としても国際的な貢献をやらなければいけない、積極的にやらなければいけない、こういうことが今日極めて必要であろう、こう思っております。そういう中で、NHKとしても国民に対する国際的啓蒙についてかなり努力をされておる、この点については私は高く評価をしているわけで、今後さらに国際的な啓蒙番組の作成などを含めまして努力をしていただきたい、こういうふうに思っております。  そこで、日本としても、例えばNGOであるとか海外協力隊とかいっぱい国際的に活躍していますから、そういうものを積極的に取り上げていただく、こういうことなども具体的にお願いを申し上げておきたいのですが、しかしこの際、やらせじゃないかということでマスコミでも問題になりましたスペシャルドキュメント番組「そしてチュちゃんは村を出た」というのが取り上げられました。これはいろいろNHKの考え方などについても理解をいたしておりますし、また人道主義的な立場からああいう措置をとったということなども理解をしているつもりですけれども、番組としては大変いい番組であった、しかし残念ながらあれがやらせであったという問題が指摘される、こういう状況になったわけで、そういう意味では、そういうことのないように、正しい放送姿勢といいますか、そういうことについてはさらに努力をする、同時に前段申し上げましたように国際的啓蒙の番組などについてはさらなる努力を強く要請をしたい、こういうふうに思います。この点について御見解を少し聞いておきたいと思います。
  241. 小山森也

    ○小山参考人 この番組につきまして、事実関係は先生のおっしゃるとおり、このチュちゃんというのは帰っております。先生の御指摘のとおりでございます。ただ、あえて御理解いただきたいと思いますのは、この番組はタイの年少労働者がどういう状態にあるかということで、一つの警鐘を鳴らそうというものでございました。それで、その実態を番組全体としては伝え、先生からも今お褒めいただいて恐縮でございますけれども、いい番組であったというお褒めをいただいたのですが、私どももその点の目的については確かにそのようでございました。ただ、余りにもかわいそうであったので、クルーがそれぞれの金を出し合って彼女を自宅へ戻してやったという事実がございます。  これは私、後からその事実について考えまするに、番組の中で、その後でもよろしいですから、やはりその事実についてその点を明確に伝えるべきだったと反省しております。こういったドキュメントにつきましては、全部が全部というわけにまいりません、それぞれの対応があると思いますけれども、それぞれに応じて、少なくとも我々が事実と違うことを報じたではないかということをNHKの映像の中で批判されるということのないようにこれから注意してまいりたいと存じております。  以上でございます。
  242. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 放送衛星の問題についてお聞きをしたいと思っていたのですが、時間が参りました。前段に御質問された各先生の御意見などもございますので、当面の対応策について最善の努力をしていただくということ、それから今後衛星放送というのはやはりNHK経営の中心になるものですから、今後こういうことがないように積極的な努力を強く要請をいたしまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  243. 野中広務

    野中委員長 次に、菅野悦子君。
  244. 菅野悦子

    ○菅野委員 私は、NHK放送姿勢の基本についてまずお伺いをしたいというふうに思うわけです。  前回の予算審議の際に、NHKの番組基準で言っている「世界平和の理想の実現に寄与する」という目標は日本国憲法の平和主義に基づくものだという議論をいたしました。そのとき会長も、「憲法の精神を体しながら放送を行う」というふうに答弁をいただきました。しかし、それに反することがNHKで起きているのではないかと思うわけです。  具体的には、ことしの元日に放送されましたNHKスペシャルにおいての磯村特別主幹の発言でございます。中東貢献策に触れた点なんですけれども、「危機管理体制を一段と整備し、そしてまた柔軟にかつ血も汗も流すような覚悟が求められる時代は入ってきた」というふうなコメントをされたわけです。  これは実は大変な発言でございまして、怖いこと言いはるなとか、NHKどないなってるんやというふうな話を私ども耳にしたわけなんですけれども、日本人も血を流せというのは、ことし一月の情勢の中では、湾岸危機などの事態に対して、日本の若者も戦争に行けという極めて特殊な呼びかけであったわけですね。だからこの発言について、例えば朝日ジャーナル誌もこう書いています。自民党幹事長であった「小沢氏に対するリップサービスだったというのも、政界関係者のもっぱらの見方なのだ。」こういうふうに報じているほどなんです。  こうした特殊な呼びかけをNHKの特別主幹、専務理事待遇という最高幹部が放送番組の中で主張するということはいかがなものか。放送法第一条に規定されている不偏不党という原則、この間の論議の中でも、予算のときに、附帯決議に不偏不党というのも第一項に挙げられているというふうなやりとりがありましたが、NHKの報道姿勢として明らかに偏向ということになるのではないかと思うのですけれども、その点で御認識をお伺いしたいと思います。
  245. 小山森也

    ○小山参考人 磯村キャスターの発言でございます。ただ、先生の御意見は御意見として承りますけれども、よく前後を見きわめていただきたいと存ずる次第でございます。  この放送は、いわゆる中東だけでなしに、ソビエトの問題とかいろいろな問題を取り上げております。その中の一節といたしまして、「あくまでも外の要因に対しては受動的であって、かつ外国の目から見ると、自国本位の身勝手さというものが目についた一年でした」というのがあって、つながっております。しかも、「その中に日本人の乗客はおりませんでした」ということで済まされる世の中ではなくなってきたんではないかというのと同時に、国際情勢にもっと関心と覚悟を持って行動をしなくてはならないということを表現するに当たりまして、「血も汗も流すような覚悟を求められる時代に入ってきたということが言えます」ということでございまして、これは全力をもって我々一人一人が世界情勢に対応すべきではないかということに対する言葉遣いの問題ではないかと思います。  私どもは、それによりましてNHKそれ自体が特定の勢力に対して、あるいは、いわんや自衛隊の派兵とか戦争への参加というようなものにつながるというつもりであのキャスターが言ったものではないということを御理解いただきたいと存じます。したがいまして、基本姿勢はあくまでも変わっておりません。
  246. 菅野悦子

    ○菅野委員 今おっしゃいました、単に放送番組の一部とか、いろいろ言った中での一部だというふうなことですけれども、しかし、こういう指摘自身は具体的に言われているわけです。「柔軟にかつ血も汗も流すような覚悟が求められる時代に入ってきた」というのは、御本人のコメントとして言われているわけです。そのこと自身が、この日本の政治では憲法との関係でこれは大問題なわけです。この当時、具体的に血を流せと言われる時代にというふうな話、これは「リップサービス」と指摘されているように、自民党さんの中ではこういうことを言っていた、具体的にあるわけです。しかし、多くの国民はその一方でそういうことには反対をしているという事態があるわけで、国民的なコンセンサスのない問題であったということは事実としてあるわけです。  そのことに対して、例えば評論家の発言とかだれかが言ったことを紹介したということではなくて、NHKの最高幹部がみずからの発言としてきちっとそのことを押さえてしゃべってはるわけですから、ですからこれは、聞いている側はNHKとしての認識、NHKとしての発言というふうに受け取られるのは当然だというふうに思うのですけれども、その点いかがですか。
  247. 小山森也

    ○小山参考人 繰り返して申し上げるようでございますけれども、あくまでも私どもの経営の意思としての問題ではなしに、これは表現の問題として、ひとつ非常に社会的に世界的に物を見るべきである、グローバルな視点から日本それ自体を見詰めて行動をしなければいけないということの中の表現が非常にそういった点に受け取られたものと思われますが、決して特定の、いわんや自衛隊の派兵とか戦争への参加を求めるというようなことを彼自身言っておりません。ひとつぜひ全体を見ていただいて、文脈を見ていただきたいと存じます。
  248. 菅野悦子

    ○菅野委員 納得はできません。やはり公共放送としてどうなのかということで、もっときちっと姿勢を正していただきたいというふうに思うわけです。ですから、この点は引き続き問題意識を持って私たちは追及していくということを表明しておきたいというふうに思います。  続きまして、国会中継の問題についてお伺いをいたします。  これは、議案となっております昭和六十一、六十二、六十三年度という時期というのは、NHK国会中継で一部の政党の質問だけが一般国民の視聴が非常に困難な深夜の録画放送に回されるという極めて不公正な放送が行われていた時期でもあったわけです。六十一、二年というのは衆議院で五回の予算委員会中継がありましたが、そのうち三回が深夜放送になりました。この三回とも我が党の質問が深夜になっておりますし、自民党も一回深夜に回されているわけです。  こうした事態は長い間常態化しておりましたが、この数年間はNHKが中継を打ち切る午後六時までに委員会が終了するようになりました。これは国会の側の努力で深夜放送は確かに少なくなっているわけです。しかし、完全になくなったかというとそうではなくて、ことしも参議院予算委員会で自民党と我が党の質問の一部が深夜の録画放送になるというふうな事態は依然としてあるわけです。  また、午前中の質問者の最後が放送されないという問題も、これはもう引き続きずっと続いております。たまたまことしの衆議院の予算委員会の質問で、我が党の不破委員長の質問の最後の部分が放送されないということになったわけなんですけれども、結論部分がなくなったということで、我が党の本部にもどうなったんかということで随分と電話が殺到するというふうな状況がありまして、私どもは直ちにNHKに対して、当日中に切れた部分を銀画放送するように要請したんですけれども、それは結局放送していただけませんでした。  これは、放送法に定められた政治的公平の原則から逸脱するというだけでなくて、憲法で保障された国民の知る権利、見たいという皆さん方にこたえてないということでは、やはり考える必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。  私どもは、中継の延長とか、あるいは教育テレビへ切りかえるとか、さらには録画放送時間の繰り上げとか適切な措置をとってほしいということをたびたび要請してまいりました。これはまた我が党だけではないのですね。例えば六十一年には、衆議院予算委員理事会の総意として予算委員長NHKに改善を申し入れているということがありますし、また、午前中の最後の部分については、今国会の予算委員理事会でも議論になりまして、その議論を踏まえて大石理事NHKに改善方を申し入れているというふうな経過があるわけです。  ですから、国会の方では繰り返しそういうことを要望しているということなんですけれども、この問題ではこの間もいろいろやりとりがありまして、島会長は本委員会でも、現行のやり方を、絶対不可欠なものであるかどうかについてはこれから本格的に検討しなければならない時期に来ているというふうに繰り返しておっしゃっているし、検討するという答弁、これは私も昨年の予算の審議の中で具体的に会長からいただいております。ですから、そういう事態を根本的に改めるという決意がおありになるのかどうか、そのように検討されていらっしゃるのか、そのことをぜひお尋ねをしたいというふうに思います。
  249. 小山森也

    ○小山参考人 国会中継は、国民の知る権利ということと同時に、国民の政治参加の上でも重要であるということを私ども強く受けとめている次第でございます。  そういった意味から、今度はまた別の観点から見ますと、それであればあるほど一定の原則のもとに放送しておりませんと、そのときどきで変更になるということになりますと、一体どういう基準で変更するのか、次の原則というのがどういうことかということにつきまして、むしろこのことによって混乱が生ずる。したがいまして、一定の原則というものを設けまして、しかも、その中で放送し切れなかったものにつきましては夜に放送しているという次第でございます。  なお、それではなぜそういったような時間帯を考えるのかと申しますと、やはりNHK放送番組、これは基本計画でも当委員会にもお諮りしておりますように、放送、特に総合波というものは、いろいろな情報であるとかあるいはエンターテイメント、そういったすべてのあらゆる国民に接触率の多いように、いろいろ親しく見ていただくということで,番組の間にバランスをとっております。しかもその時間になりますと、ちょうど十一時五十五分からの放送は、各ローカルでの天気予報等非常に国民生活に密着している時間である。しかも十二時からはニュースである。また午後六時からは、これはローカルでもって放送になっております。これは、NHKが全国ネットワークを持っておりますと同時に、皆様方の、地方と親しくなる、親しくつき合うNHKとして非常に大事な時間でございます。  そういった意味におきましては、これは、総合波ではそのような時間を設け十時以降に、深夜にわたっておりますけれども、しかしその内容は全部御紹介しているということでございます。無論これはどの委員会でもということではございませんことは、もう先生御承知でございます。繰り返しになりますので、非常に時間が長くなりますので省略いたしますが、中心は衆参両院の予算委員会の総括質問でございます。  なお、これにつきましては国会の御都合もいろいろあろうかと存じますが、ひとつ、放送事業者としての私どもの責任の判断において編集しているということも御理解いただきたいと存じます。
  250. 菅野悦子

    ○菅野委員 おっしゃいますけれども、NHKは総合テレビの編成方針で弾力的な放送というのを掲げていらっしゃるわけなんですね。やはり定時番組に縛られることなく、国民の関心のある問題とか国内外の重要問題に即応できるように、多分そういうような弾力的放送にしていくということを掲げていらっしゃるんだろうというふうに思うんです。今もおっしゃっておられましたが、そういう点では、中継というのは予算委員会の総括、それも一巡だけとかいうふうなことがあるわけで、非常に重要な問題です。そういう点では、状況に応じた弾力的な放送というのをぜひ適用するその対象であるというように思うわけです。  実際、予算委員会などが延びるというのは委員会が紛糾するようなケースが多いわけです。例えば六十三年の二月の衆議院予算委員会では、我が党の正森議員の質問を当時の浜田委員長が突然妨害するというふうな事態が起きて、そのさなかにNHKは機械的に放映を中断したわけですけれども、このときは本当に視聴者からすごい、大変な批判が寄せられましたね。そういう中で当時の川原会長は、この問題について本委員会で、「放送を延長することができれば視聴者の期待には最もこたえ得た」というふうに答弁をされているほどなんです。ですから、NHK国会中継で再び不公正な事態を起こさないということできちんと保障していこうということを考えたら、この弾力的な放送ということを掲げているわけですから、やはりその点で、国会はいつもいつもたくさんあるわけじゃないわけですから、そういうポイントのあるところについてはきちっと対応をしていくということが当然あってしかるべきだというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  251. 小山森也

    ○小山参考人 まず、弾力的な編成ということについて基本的に御理解いただきたいことは、もう一つはやはり定着した定曜定時、定曜定時と申しますのは、決まった曜日の決まった時間いつもここにチャンネルを合わせていただくお客様、こういったファンの方、この定曜定時を大事に守ってくださるNHKに親しんでいただく方、これもやはり大事にすることも必要でございます。  それと同時に、フリーゾーンといいまして、特定の時間を常に決めることによりまして、むしろそのときそのときの情勢の変化によりまして見る予定であった番組がしょっちゅう変わってしまって、これでは一体どうなっているんだというような話になるならば、最初からフリーゾーンにしておいてそこで時々刻々適切な状況に合わせていくということで、フリーゾーンということで設けたわけでございます。  なお、今御指摘の六十……、ちょっと年度を忘れましたけれども、(菅野委員昭和六十三年」と呼ぶ)予算委員会の点でございますが、これにつきましては、そのときのいわゆるニュース性というものの問題の判断だろうと思いますけれども、そのときの判断がどうであったかということはいろいろ考えなければいけないと思いますが、常時これを六時というふうに延ばすんだ、延びたときは延ばすんだ、十一時五十五分になってもやっているときにはこの定時番組を延ばすんだということについては、私ども直ちにイエスというような返事はできかねるということも御理解いただきたいと存じます。
  252. 菅野悦子

    ○菅野委員 そういうことになりますと、例えば高校野球の場合などはNHKは一分たりともこれは中断させずに機敏に教育テレビに中継を移していらっしゃる、こういうことをやっているわけですね。  ですから、よくそういうふうにおっしゃいますけれども、例えば国会のやりとりなんというのは、あと五分ということで、多分たった五分じゃないかというふうなこともおっしゃりたいのかわかりませんけれども、時間的には質問全体の一部ではあっても、多くの場合、質問の結論部分に当たるわけなんですね。ですから、やはりそういう点でどんな番組でも結論のところが抹消されるということでは視聴者が不満に思うのは当然であって、しかも高校野球とかそういう点では努力がされている。にもかかわらず、例えばこの国会の場合で言ったら、ましてこの前などは湾岸戦争への日本の対応という国政上の大きな問題を首相と各党の党首あるいは書記長クラスの代表が論戦している最中のことでしょう。それを単に時間が短いから切ってもいいとか、いやいやそれはちゃんと枠組みが決まっていてそういうふうにやっているから、だからそういう譲歩は全くできませんというのであっては、これは国民の知る権利にこたえられないと思いますし、そういう姿勢では公共放送としていかがなものかというふうに思うわけです。  ですから、その点ではぜひ、今までも繰り返し努力をする、検討するということをおっしゃってきたわけですから、だからそういう点ではやはり口だけだったということではなくて、検討の結果はどうだったのかということも含めて御返事いただかないと、ちょっと私は納得できませんが。
  253. 島桂次

    島参考人 ただいま小山参考人から申し上げたとおりの事情でございますけれども、私どもは私どものやっていることが全部正しいということを主張しているわけではございません。我々は公正で、本当に不偏不党的な立場に立たなければいかぬわけでございますけれども、なかなかそれが何であるかということは、非常に難しい面もあるわけでございます。したがって、我々は我々なりに一生懸命これから検討はいたしますけれども、今までの先生の御質問については、小山参考人の言ったとおりでございます。
  254. 菅野悦子

    ○菅野委員 ぜひ前向きにもっと努力をしていただきたいということを重ねて強く要請をしておきたいというふうに思います。  続いて、衛星放送の問題について御質問したいと思いますが、これはもうかなり議論されておりますので、その点も踏まえながら御質問させていただきたいというふうに思います。  NHK及び郵政省がこの問題に当たる基本的な姿勢についてということなんですが、これまでの議論でも明らかにされておりますが、衛星放送は開始以来の危機を迎えていると思うんですね。BS3a、この二波だけで当面放送するか、それともBS2b、これを復帰させて三波をできるだけ引き延ばすか、またその場合の受信料をどのように取るのかという点で非常に重大な選択を迫られているというふうに思うわけです。こうした選択に当たっては、政府やNHKのメンツとか事業者の利害などにとらわれることなく、やはり何よりも重視しなければならないのは四百万に上る衛星受信者のこと、これを第一に考えて、それを最大の判断基準にしてぜひ対応していただく、そのことがまたNHKへの国民の信頼を図る唯一の道ではなかろうかというふうに私は考えるわけです。  そうした観点から考えますと、郵政省の免許方針はどうだったのかなあということを今率直に疑問に思います。電力不足がはっきりしていたにもかかわらず、ぎりぎりの線で三波放送ができるとしてJSBに免許を出した、ところがその後太陽活動が予想を外れて三波は無理になった、そしてBS3Hの打ち上げをやったんだけれども、これも失敗したということが経過です。トラブルが明らかになっていたにもかかわらずメンツを優先した決定ではなかったのかなというふうに思うんですね。  ですから、こうした過去の実例を見ても、放送衛星には不安定な要素が大きいわけで、やはりBS3Hの状態を見きわめて免許をするのが順当ではなかったのかということを私も、ほかの委員もおっしゃっておられましたけれども、このことをぜひ郵政省に重ねて申し上げておきたいというふうに思うんです。  そういうことと関連もいたしますが、BS3bの一つのトランスポンダーをハイビジョン専用チャンネルにして、そして通信・放送衛星機構が管理するという構想はどうなるんだろうかと、次のことが心配になるわけです。ここでも私は、やはりこの間の教訓から見たら、十分な補完体制がないまま無理をしてはならないというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  255. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 JSBに免許を昨年の秋に行ったわけでございますけれども、そのときには3aの三チャンネル確保というのは私どもはできるというふうに聞いてもおりましたし、それを前提に、もちろんJSBの方は事業会社、民間会社でありますから、一日も早く立ち上がりたいという事情もございました。しかし、その時点におきましては、私どもは三チャンネル確保というのは大丈夫だというふうな判断でやったわけでございます。事態がこういうふうになりました場合にどうだったかなという反省はないわけでもございませんけれども、一連の流れの中での判断というものは私はやむを得なかったというふうに思っております。  それから、3bにチャンネルを確保いたしましてハイビジョンをやるということでございますが、これは先ほども御答弁申し上げましたように、まずNHKの二チャンネル、それからJSBの一チャンネル、これを確保して、余裕があればハイビジョンにそれを使おうという形で今進んでおるわけでございます。これは通信・放送衛星機構が保有するチャンネルでございますので、それにつきましては関係の方々にいろいろ相集まっていただきまして一つの仕組みをつくってハイビジョンの普及のための放送をやっていこうじゃないかということを今いろいろ検討しておるわけでございますけれども、あくまで優先順位といたしましては今行われている放送の方が先にチャンネルを確保していく、そういう順位が決まっておる、ルールでございます。
  256. 菅野悦子

    ○菅野委員 免許の問題では、そのときの判断はそのときとして仕方がなかったみたいな話ですけれども、事態がここまで来ているわけですから、今後は、その点はこの教訓をきちっと踏まえた上で、補完体制がないまま無理をしないということでやっていっていただきたいということを強調しておきたいと思います。  それから、あともう一つどうしてもお聞きしたいことがあるのですが、それはアニメーション制作にかかわるNHKの考え方をお聞きをしておきたいというふうに思うわけです。  三月の十二日に日本俳優連合とか多くのアニメ制作にかかわっている方たちがアニメ文化の危機を訴えて、そして制作費の大幅引き上げということを要求してデモンストレーションをやられた。これはマスコミでも大きく報道されているとおりです。  テレビの中でアニメはどんどんふえているのですけれども、制作現場は本当に大変だ。声優の方も、それから動画の制作者も、大変な低賃金と長時間労働を強いられているという状況があるわけですね。今までは本当にアニメで働きたいという若者の夢と希望によって何とかもってきた。ところが、もうとてもじゃないが、例えば声優さんの場合でも、テレビシリーズの場合、一本平均で一万三千円足らず、レギュラー三本持っていてもとても生活できぬというふうなことで、声優の中でトップクラスという人でもレギュラー一本だったら年収百八十万にしかならないということで、そしてだれもアニメーターがいなくなったというふうな、そういうことが言われるぐらい先行きが不安がられているわけです。  これを解決するには、放送局の制作費を大幅にアップする、最低賃金並みの保障をアニメーターにするために、制作費を三倍にしてほしいというふうな要求を関係者が各テレビ局などにやっておられるようなんですけれども、日本俳優連合などからNHKに対しても、アニメ制作費の大幅アップ、三倍加という要求がされていると思いますが、NHKとしてはこれにどうこたえるつもりなのか、ぜひお伺いしたいと思います。
  257. 小山森也

    ○小山参考人 アニメーションにつきましては、次代を担う子供たちに夢を与える番組といたしまして非常に大事なソフトと理解しております。しかしながら、私ども、ただ上げればいいというものでもない。やはり受信料をいただいて、受信料を使っている立場でございます。  しかも私どもの立場といたしますと、他の放送局、放送会社とも比較いたしておりますけれども、必ずしも安い料金ではございません。決して劣った形で契約しているわけではございません。これが誇るべきものか、受信料をむだ遣いしているではないかと言われるか、これはいろいろ評価の分かれるところでございますけれども、私どもといたしましては非常に大事なソフトであるということから、それ相応の報酬を払って委託をしている、制作費を出しているというつもりでございます。ぜひともその点につきまして、よく他の放送局との御比較をいただきたいと存じます。
  258. 菅野悦子

    ○菅野委員 ちょっと現場の実情を余りにも御存じないのではないかなということを率直に不満に思うわけですね。  声優さんたちの仕事の実情も聞いてまいりましたけれども、大変劣悪な状態で録音していらっしゃいますよ。例えば、ギャラが低いというだけでないのですね。「白味線録り」とか「妖怪くちパク」という録音方法、御存じですか。  「白味線録り」というのは、絵もキャラクターもかかれていない、赤い線とか青い線がすっと出てくるだけのフィルムに向かって録音する、そういうことなんです。赤い線は何々の役とか決まっていまして、その線が出ている間にせりふを言う。「妖怪くちパク」というのは、画面に口だけパクパクかかれているのに合わせてせりふを入れる。画面に口が三つも四つも映ってパクパクしているさまをまさに妖怪そのものだというので、この名前がついているのです。  これは、NHKがうちはそんなことないとおっしゃるかもわかりませんけれども、ことし三月まで放送していた「ふしぎの海のナディア」の収録でも、これはたびたびやられているのです。表情も動きもわからない、そういう中で声優さんたちはせりふをしゃべらされている。でき上がった絵に合わせて収録するのが当たり前のはずなのに、なぜこんなことをやらなあかんのやということなんですね。  そして、その上にやはり非常に安いということなんです。これはやはり制作現場の人手不足、制作費不足、日数不足、それから録音日までに絵が完成していない、こういうぎりぎりの極限状態で今の日本のテレビアニメは制作されているんだ、放送されているんだということなんです。  こんなやり方でNHKがよく言う良質な番組ができるはずがないのですよ。ですから、声優さんにしてみたら本当にこれはもう屈辱的な演技をやらされているというふうにおっしゃっているのです。ですから、それをぜひ改善をしてほしいと私は言っているわけなんです。ですから、その点では、もう時間が来ましたから、お答えいただく時間がありませんが、ぜひそういう現場の実態を踏まえて改善方をよろしくお願いしたいというふうに思います。  最後に、今回の三つの決算に対する態度について、これは多分討論はできないと思いますので、あわせて質問の中で言っておきます。  今回議題となっている昭和六十三年度、これは我が党は国会中継問題が放送法の政治的公平の原則に反するものだということだけでなくて、また、憲法が保障する国民の知る権利を保障しないものであるということを指摘して、こうした不公平をNHKが是正しようとしないということを理由に、六十三年度の予算案に反対いたしました。したがって、六十一、二年度決算には賛成をいたしますけれども、六十三年度については、今のやりとりも踏まえまして、予算案と同じような態度をとるということを表明して、質問を終わります。
  259. 野中広務

    野中委員長 次に、中井洽君。
  260. 中井洽

    中井委員 長時間にわたって御苦労さまでございます。  最初に、会長にお尋ねをいたします。  先ほどももう既に論議が出ておりましたが、過般電波政策審議会の報告書が提出をされました。そこにはいろいろと書かれておりますが、結局は電波料金を取ったらどうだという方向であります。  今電波料金をどうするかということで論議が行われております。武部先生、随分慎重に御質問をなさっておられまして、それを私が無遠慮に会長に聞くのはどうかと思ったのでございますが、会長として、NHKというお立場で、電波料金を払えと言われたときにどうなんだろう、またこれからのお話であろうかと思いますが、率直な現在のお考えをお尋ねいたします。
  261. 島桂次

    島参考人 電波料につきましては、これが世界の趨勢であるということは私よくわかっております。今郵政省を中心に御検討されているということもわかっておりますし、私どもも郵政省にいろいろの意見を申し上げております。ここではっきり申し上げておきたいことは、我々は聴視者の受信料で運営されている公共放送でございます。したがって、その面を十分考えて減少していただきたい。願わくば我々は免除していただきたいというのが本音でございますけれども、いずれにしてもこれからの相談事でございますので、そういうふうにこれからやっていきたいと思っております。
  262. 中井洽

    中井委員 郵政省はいかがですか、今のお話を聞かれて。
  263. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 先ほどのお話の懇談会の中身は決して電波利用料の問題だけじゃなくて、次の世代の情報化社会の構築のために、逼迫してまいる電波、これがないと、大量の高速の情報網とあわせて構築をしなければならない大事な資源でございますが、その点について御案内のとおりの御提言があるわけでございますが、何せこれから具体的な検討に入ろうということでございますので、こうした問題についてはこれからの課題ということになろうかと思っております。  ただ、先ほどのときにも答弁をさせていただいたわけでございますが、こういうものについてやはり一つ社会的コンセンサスが必要であろう。そうした意味では、できるだけ公平な負担ということが具体的な導入については考えられなければならない大きな問題だろう。そうした意味合いでNHKと同じ程度の公共性を持っている機関が多多ございますので、こうした問題とのすり合わせをどういうふうに考えていくかということが今後の大きな課題であろう、こういうふうに考えているところでございます。
  264. 中井洽

    中井委員 それでは決算について幾つかお尋ねをいたします。  六十三年の決算を見させていただきますと、NHKがお持ちの土地やら建物の簿価が載っております。土地の簿価が全部で二百三十億円近いわけであります。簿価でありますから、いろいろな計算があるかと思いますが、路線価格とか時価とかなかなか評価しにくいと思うのですが、大ざっぱに言ってどのくらいの土地の値段になるとお考えですか。
  265. 中野正彦

    ○中野参考人 六十三年度末にNHKが保有している土地につきましては二千三百件、面積にしますと五百三十六万平米でございます。この国会に提出をいたしております決算書の中でその問題に触れておりますが、取得価額は今先生御指摘のありましたように二百三十億、これはそれぞれの年度で取得したときの時価ということでございますので、確かに現時点では相当の価額になっておろうかと思いますが、私ども時価評価というのはこれまで一度もやっておりませんので、ここでちょっとどれくらいということを申し上げる数字を持っておりません。御勘弁いただきたいと思います。あえて申し上げれば固定資産税の課税標準額というのがございますが、これは税務署の方から通知をいただいておりますが、おおよそ八百億という数字はございます。
  266. 中井洽

    中井委員 随分へんぴな場所にある土地もあることを承知しておりますが、放送センター、会館等かなりいい場所にございます。国民の土地問題に対する意識も大変高まっておりますし、郵政省も過般法案で高度利用ということを出してまいりまして、私ども審議してこれを通してまいりました。NHKにおかれましても都会の一等地に持っておられる会館等の十分な有効利用、あるいはNHKだけじゃなしに周辺のところとの共同の建物、こういったことを大いに促進していくべきだと私は思いますけれども、会長いかがお考えですか。
  267. 島桂次

    島参考人 私どもはいろいろの意味で経営の合理化、できるだけいろいろのことをやっていきたい。その中で御指摘のような問題については、これからいろいろの角度から有効にこれを利用しなきゃいかぬということで、既に名古屋とか福岡とかいろいろな形でそれを今展開している最中でございます。
  268. 中井洽

    中井委員 もう一つお尋ねをいたしますが、各決算書の中に未収の受信料欠損償却費というのがございます。大体六十一年から六十三年まで百億円ぐらい出されているわけであります。これを上げていくルールというのはどういう形になっていますか。
  269. 中野正彦

    ○中野参考人 受信料の未収金の計上の仕方でございますけれども、これは一年間で受信者から、受信設備を設置された契約者の方でございますが、その方からいただくべき債権額でございます。それを受信料収入という形で整理をしておりますが、それに対してその一年間で現金として入ってきたものが幾らかということで、その債権額と現金で入ってきた差がいわゆる未収金ということでございます。これが平年でございますと大体百億でございます。この百億の未収金につきましてはさらに翌年度あるいはそれ以後の年度についても未収金の回収に努力いたしておりますけれども、これまで会計処理をしてきました実績を申し上げますと、大体この百億の未収金が最終的には二・八%、これは債権額に対してでございますが欠損ということで、要するに一般の会社で申し上げますと貸し倒れという形で欠損処分をさせていただいております。そういう状況でございます。
  270. 中井洽

    中井委員 例えばどうしても取れないからこれは欠損にするんだとか、何年間意識的に払わなくて幾ら説得してもだめだからとかいうルールがあってこういう形に上げてこられるのか、それとも毎年百億円ずつぐらい欠損としてずっと処理していくんだという形でこれを御処理なさっていらっしゃるのか。毎回毎回委員会でお尋ねして、未収をできる限りなくしていくんだ、公平なためにできる限り全部からもらうんだ、努力しておると言うけれども、毎年同じ百億ずっと上がっておるようではちっとも努力の跡がうかがえないと言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  271. 諏訪恭也

    ○諏訪参考人 お答え申し上げます。  具体的に申しますと、私ども滞納対策と申し上げておりますけれども、つまり取るべき受信料が滞ったというふうなものを営業活動上滞納という仕分けをしておるわけです。この滞納については私どもそれこそ、先ほども申し上げたのですけれども最も効率的なやり方でやるというふうなことで、余り人手をかけずにやる方法、例えば文書対策、文書を出して督促するというふうなことだとか、それから現在いろいろな会社でテレマーケティングというふうなことで電話を使って督促するような方法等が行われておりますので、そういう方法なども援用しながら効果的な滞納対策を進めているというふうなことでございます。その結果、滞納は私どもの努力のかいもあって何とか件数で百万件を超えないようなことで滞納対策がなされているというふうなことです。その受信料額が年間約百億というふうなことでございます。  ただ、これは会計処理上欠損として償却するわけですけれども、私ども、滞納になったものについてはこれを決して捨てることなく継続的に対策をしていく。そうでないと、つまり、二年間だけ待っていればこれは納めなくてもいいのだというふうな理解をされますと大変不公平になりますので、その点は滞納になったものについてはずっと追っかけて対策していくというふうな形をとっております。
  272. 中井洽

    中井委員 御苦労のほどもよくわかりますし、いろいろと創意工夫をされていることも承知をいたしておりますが、民間会社でこんな、二年取れなかったら、はい、欠損欠損てやらしてくれるような税務署というのはどこもないのですよ。毎年あなたら御努力しているのだったら、少しでも減ればいいじゃないですか。毎年同じようにずっとあるというのはどういうことですかと申し上げているのです。あって当たり前だという発想で、欠損で百億ずつ落としていけばいいのだ、それではまともに払っている受信者はたまらぬじゃないですか。どうですか。
  273. 諏訪恭也

    ○諏訪参考人 私ども滞納については、どんどんどんどんふえるというふうなことは、それこそ受信料制度そのものを危うくするものだというふうな強い認識を持っておりますので、ここは制度維持というふうな観点からも最重点で対策を進めておるところでございます。  ただ、結果的にはどうしてもこれをどんどんどんどん減らすというところまでは至っていないというのが現状でございます。かけるコストというふうなものも限界がありますし、要員も限界があるというふうなことから、私どもは百万というのを一つの防御ラインにしながら精いっぱい頑張っているというのが実情でございます。
  274. 中井洽

    中井委員 幾らお尋ねしても、百万あって、百億ぐらい欠損いいんだということにしかどうも聞こえない。大変残念なことであります。法的にきちっとしているわけでもありませんし、大変難しい問題であることは承知しながら、一層の御努力を賜りたい。二年納めなかったらもういいんだということが日本じゅう広がったら大変なことになる。そういったこともよくおわきまえをいただいて、御努力をいただきますようお願いをいたします。  それからもう一つは、毎年減価償却が当然のごとくなされておりますが、大体三百五、六十億減価償却がやられております。受信料収入の一割をはるかに超えておるのであります。私は、ほかの会社と比べてどうなんだろう、大変高いのじゃないか、こういう気がします。もちろん技術がどんどん進みますから償却等が速いのかもしれませんが、この償却のルールというのは民間会社などと違うのか、NHKだけ特別のルールがあるのか、あるいは、どういう形で償却をこういう巨額な形でおやりになっているのか、御説明いただきます。
  275. 中野正彦

    ○中野参考人 お答えします。  減価償却費につきましては、償却率あるいはその償却の方法につきましては私ども一般の企業会計と全く同じやり方をとっておりますし、建物については定額法、それから機械、構築物等につきましては定率法ということでございます。機械等につきましては、これは技術革新の問題がございますので、なるだけ早期に償却を実施するという考え方、これは一般の企業と同じ考え方をとっております。  それで、減価償却費は支出の中で非常に高い比率を占めているという御指摘がございましたけれども、六十三年度の決算書でごらんいただきますと、事業支出総額が三千六百億、そのうち減価償却費が三百六十億ということで、ちょうど一〇%を占めているということでございます。確かに、衛星を実施いたしましてから減価償却費の比率が高まっていることは事実でございます。  今も申し上げましたように、放送衛星についても、これは機械という位置づけで定率償却、しかも一般の機械設備等につきましては取得の翌年度からということにしておりますが、特に放送衛星については取得の翌月から減価償却を始めるという形をとっておりまして、最近放送衛星の償却率がかなりウエートを大きく占めてきているということで、全体の減価償却費が高くなっているという実態でございます。
  276. 中井洽

    中井委員 それでは衛星放送の方に移りますが、もうこれも各党それぞれ言われたわけでありますが、私も党の代表でありますので、念のために一応お尋ねをいたします。  3Hの今回の失敗で二十数億円の保険料が飛んだわけでありますが、これは会計処理上はどういう形で今年度の決算に出てくるわけですか。
  277. 中野正彦

    ○中野参考人 3Hの失敗によりまして、3Hの製作、打ち上げ経費、これはJSBと分担をすることにしておりますが、両者合わせまして八千八百万ドル、百三十億の支払いを済ませております。この百三十億の経費につきましては、御存じのように、これは打ち上げ失敗でございますので、全額保険金で返ってくるということでございます。  それから、保険を掛けるための必要経費ということで、保険料が総額二十六億ございます。このうちJSBの負担が九億、私どもが十七億ということでございます。この十七億の財政負担増につきましては、受信料を財源としているということに深く認識をいたしまして、諸経費の節減等でこれは吸収するべく今調整をしております。
  278. 中井洽

    中井委員 先ほどからいろいろと三チャンネル使えなくなってどうするのだという御議論がございました。私もそれらの御議論と違いはないわけでありますが、一番残念なことは、今国会延長がなければ逓信委員会でNHKの問題で議論をする時間はもうなかろうかと思います。ところが、五月の半ばまでどうするか対応が決まらない、こういうことであります。このことは僕は非常に残念だと思います。宇宙へ打ち上げるわけでありますから失敗もあります。当然のことであります。失敗したときにどうするのだという対応を早めることが利用者に対する信頼につながる、私はこのように考えております。  これからどういうふうにするのか知りません。例えば時間が短くなるのか、あるいはどういうふうになるのか知りませんが、そのときにはこういう形で料金はこういう対応をしますというのを早く出して、そしてきちっと御説明をする、そして、常に万全じゃないのだよということをおわかりいただく。今の国民、みんなそんなことわかります。それを、いつまでもずるずるとやっておる、長引く、どうなるんだろうという不安をかき立てられる、このことの方がかえってマイナスだ、このように考えます。そういった意味で、一刻も早く対応策を出す、このことをお約束をいただきたいと思いますが、NHK郵政省、それぞれいかがですか。
  279. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生の御指摘、もっともだと私受けとめておりまして、一刻も早く対応策の結論を得るように努力いたしたいと思います。
  280. 島桂次

    島参考人 中井先生のおっしゃるとおりでございます。一日も早く事後策をやりたいと思っております。
  281. 中井洽

    中井委員 もう一つお尋ねいたします。  この後もう一機国産で種子島から十月にお打ち上げになる。それで二機になるわけでありますが、今使われているもの自体、3aですか、それ自体がもう低下をしておる。そうすると、もう一機打ち上げなければいけないんじゃないか、こういう感じを持つわけであります。今回の打ち上げそのものもかなり綱渡り的でしたから、間々失敗もあるかと私どもは思っておりましたが、この失敗によってもう一機探さなきゃならない。今回打ち上げの衛星そのものも、世界じゅう探されてやっとあったよという形で、何かどこかから見つけてきて直されて打ち上げられた、こういうことでありましょう。  そうしますと、十月に打ち上げてそれが成功したとしても、さらにもう一機打ち上げなきゃならない、これをどういうふうに対処されようとしておるのか。世界じゅうないんだと思うんですね。つくっていこうと思ったら、やはり二、三年かかるんじゃないか、このように思います。これらについての対応をお聞かせいただきます。
  282. 島桂次

    島参考人 中井先生にお答えしますけれども、今度のものはロケット失敗でございます。ですから、ロケットは中継器と違いまして、簡単というか、比較的容易に都合がつくわけで、ヨーロッパのアリアンはいつでも準備できると言っているわけです。問題は、上に載せる方のあれでございます。これは普通、最小限度二年かかるわけでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、それを一日も早く、これからもしつくるとすればどのくらいの期間でできるのか、普通二年以上はかかるわけですけれども、それを一生懸命今我々はやっているわけです。その大体の見通しがついた段階で、郵政省の皆さん方と相談した上で、また皆さん方といろいろ御連絡したい、こういう段階でございます。
  283. 中井洽

    中井委員 ロケット失敗して、衛星もパアになったということはわかっております。だけれども、現実に今度のものだって成功するかどうかわからない。今飛んでいる3aですか、これももう出力が低下しているのです。きちっと三チャンネルでやっていこうと思ったのに、二機常に動いているということじゃないとだめだ、そうするともう一機要る。この秋に打ち上げて、それ以外にもう一機要るんじゃないか、それが二年ぐらいかかるんだということだと、その間の不安はどうするんです。その間の不安というのはないのですか。その四分の三に出力が低下したもの3aでそのまま二年ぐらい先の打ち上げまで間に合わせることができるのですか、こういうお尋ねをいたしておるわけです。
  284. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 ただいま上がっております3aは平生は三チャンネルとれるのですけれども、夏至と冬至の期間は二チャンネルに低下するということでございますが、二チャンネルにつきましては十分余裕があって、七年間の寿命を全うすることができるということでございます。  3bにつきましては今からでございますけれども、これは三チャンネル確保するということでございますので、そういう意味では、3bが成功すればひとまず私どもはほっとするということになるわけでございます。
  285. 中井洽

    中井委員 私どもは、そういう宇宙のことやらわかりませんけれども、例えば2bだって、使えば五月いっぱい何とか間に合うというけれども、これも実際どうかわからない。それから今、夏至の間だけ二チャンネルになるけれども、あと七年は大丈夫だなんていうけれども、これだって、それじゃ初めからわかっていてよさそうなものだ。夏至の間だけ四分の三、二チャンネルに低下する、打ち上げの前からわかっておったわけではないでしょう。打ち上げてそうなってしまったんじゃないですか、そうでしょう。そういう意味で、大丈夫だ大丈夫だじゃなしに、こういう不安はあるけれどもこういう対策はちゃんとやる、そうして、万一こうなったときには料金体制としてはこうだとか、そういったことを一つ一つ説明をして、その中で衛星放送契約をちゃんとしていく、受信者のああそうかという納得の上で契約を結んでいく。そういう体制をおつくりにならないと、大丈夫だ大丈夫だといってやったら半分失敗ばかりでは、どんどん信頼というものが低下する、私はそのように思います。  そういったことを強く要望して、質問を終わります。
  286. 野中広務

    野中委員長 以上で各件に対する質疑を終局いたしました。     ─────────────
  287. 野中広務

    野中委員長 日本放送協会昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書に対し、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会において協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び日本放送協会昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書に対する討論の申し出はありませんので、これより各件について順次採決いたします。  まず、日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  288. 野中広務

    野中委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  次に、日本放送協会昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  289. 野中広務

    野中委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  次に、日本放送協会昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  290. 野中広務

    野中委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  292. 野中広務

    野中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会