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1991-03-15 第120回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十五日(金曜日)     午前八時五十分開議  出席委員    委員長 野中 広務君    理事 川崎 二郎君 理事 園田 博之君    理事 原田 義昭君 理事 前田 武志君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 武部  文君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    浅野 勝人君       小林 興起君    古賀 一成君       佐田玄一郎君    佐藤 守良君       鈴木 恒夫君    長勢 甚遠君       細田 博之君    真鍋 光広君       森  英介君    柳本 卓治君       山崎  拓君    秋葉 忠利君       上田  哲君    渋谷  修君       田中 昭一君    田並 胤明君       山下八洲夫君    吉岡 賢治君       坂井 弘一君    鳥居 一雄君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君  出席政府委員         郵政省通信政策         局長      白井  太君         郵政省電気通信         局長      森本 哲夫君         郵政省放送行政         局長      桑野扶美雄君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     島  桂次君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小山 森也君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事・技師         長)      中村 好郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋 雄亮君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     青木 賢児君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     三河内賢二君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾畑 雅美君         参  考  人         (日本放送協会         会長室経営企         画〕局長)   竹中  康君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   小林 興起君     細田 博之君   真鍋 光広君     浅野 勝人君   武藤 嘉文君     柳本 卓治君   秋葉 忠利君     渋谷  修君 同日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     真鍋 光広君   細田 博之君     小林 興起君   柳本 卓治君     武藤 嘉文君   渋谷  修君     秋葉 忠利君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ────◇─────
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 野中広務

    野中委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。関谷郵政大臣。     ─────────────  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  5. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  一般勘定事業収支におきましては、事業収入は五千四百二十七億三千万円、事業支出は四千八百六十九億二千万円となっており、事業収支差金五百五十八億一千万円は、四百二十一億九千万円を資本支出に充当し、百三十六億二千万円を翌年度以降の財政安定のための繰越金とすることとしております。  一般勘定資本収支におきましては、資本収入資本支出とも一千百十八億一千万円となっており、建設費六百二十八億円等を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、全国あまねく受信できるよう、テレビジョンにおいては、衛星放送設備整備を進め、ラジオにおいては、中波放送局及びFM放送局建設を行うこと、視聴者意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組提供に努めること、国際放送について、番組充実刷新を行い、あわせて受信改善に努めること、受信料制度周知徹底を図り、受信契約増加受信料の確実な収納に努めること等となっており、業務推進に当たっては、内部改革を行い、新しい時代公共放送にふさわしい業務運営体制を確立して、一層創造的で能率的な運営経営基盤の安定に努めることとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、お手元に配付されておりますとおり、平成年度事業運営に当たって特に配意すべき四点の事項を示した上で、おおむね適当なものと認めるとの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  6. 野中広務

    野中委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長島桂次君。
  7. 島桂次

    島参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  平成年度事業運営に当たりましては、世界が大きな変革の時代を迎え、我が国社会状況も変化しつつある中で、国際情報入手提供の強 化を図るとともに、先見性を持った番組視聴者の多様な要望にこたえる番組提供することといたしております。また、衛星放送普及とその他のニューメディア開発研究を促進いたします。  業務推進に当たりましては、内部改革を行い、新しい時代公共放送にふさわしい業務運営体制を確立して、一層創造的で能率的な運営経営基盤の安定に努め、公共放送としての役割を果たしてまいる所存でございます。  次に、平成年度の主な事業計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、衛星放送設備整備を進めるとともに、放送番組充実のための機器の整備を行うほか、老朽の著しい放送設備等の取りかえを実施することとしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  国内放送におきましては、視聴者意向を積極的に受けとめ、情報化国際化などの社会的状況に対応するため、国民的課題、二十一世紀に向けた地球的規模課題に積極的に取り組み、多様で質の高い番組提供するなど、公共放送使命達成に徹し、公正な報道と豊かな放送番組提供に努めてまいります。  衛星放送につきましては、国際情報を中心に魅力ある番組を編成して、一層の普及促進に努めます。  また、日本から世界に向けた映像情報発信が乏しい現状を是正するため、日本アジア各国情報を、世界提供いたしてまいります。  国際放送におきましては、海外日本人に多様な情報を的確に伝えるとともに、放送を通じて国際間の理解と親善に貢献いたします。また、海外中継を拡充して、受信改善に努めることといたしております。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納を図ることといたしております。  調査研究につきましては、番組視聴状況等番組調査と、新しい放送分野技術開発研究放送技術発展のための基礎研究推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することといたしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたって、業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内三百人の純減を行い、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額五千四百二十七億三千万円を計上し、このうち、受信料については、四千九百八十八億五千万円を予定しております。これは有料契約総数において、四十万件の増加を見込んだものでございます。  また、副次収入など受信料以外の収入につきましても、その増加に努めることといたしております。  これに対し、支出は、極力圧縮に努め、国内放送費などの事業運営費減価償却費支払い利息など、総額四千八百六十九億二千万円を計上しております。  事業収支差金五百五十八億一千万円につきましては、このうち、百八十億五千万円を債務償還に充て、二百四十一億四千万円を建設積立金に、百三十六億二千万円を翌年度以降の財政安定のため、繰り越すこととしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二十八億円、放送及びその受信進歩発達に必要な調査研究を行う法人等への出資に四億五千万円、建設積立資産への繰り入れに二百四十一億四千万円、放送債券償還等に二百四十四億二千万円、総額一千百十八億一千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、減価償却資金放送債券及び借入金など、合わせて総額一千百十八億一千万円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入三億四千万円、支出二億九千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上 日本放送協会平成年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会事業視聴者の負担する受信料により運営されていることを深く認識して、一層創造的で能率的な経営を目指すとともに、すぐれた放送実施して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願いしたいと思うわけであります。
  8. 野中広務

    野中委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  9. 野中広務

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君
  10. 長勢甚遠

    長勢委員 おはようございます。  時間が余りありませんので、簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。  最初に、今情報社会ということで、多メディア、多チャンネル化といったようなことがよく話題になっておるわけでございますが、これからの放送がどういうことになっていくのかということについてひとつ御認識をお伺いいたしたいと思います。  今、価値観また生活様式大変多様化をして、情報に対する欲求は大変強くなっておるわけでございますが、あらゆる話が、これらの情報欲求に何としてでもこたえようという方向で動いておる。放送行政もそういう方向が目指されておるような気がいたします。  これからどうなっていくんだろう。何か、地上波があり衛星放送もある。印象的に言いますと、上下左右から雨あられと電波が降りかかってくるといったような感じが実はするのでございますが、単純に感じまして、こんなようなことで、どんどん情報がふえていくということだけでいいんだろうか。余りに情報が過剰になれば、人間がみずから考える、あるいは情報自分選択する、また人と人とのつながりを通じて情報を交換するという、本来社会に必要なものがだんだん失われていくのではないかというような不安を実は感ずるわけであります。情報に左右される、あるいは依存をする社会というものについて若干の危惧を私自身持っておるわけであります。  特に放送は、簡単にまただれでも受けとめる、そういう情報の特性を持っておるわけでありますし、また有限な公共資源である電波を利用するという性格を持っておるものでありますから、この放送メディアというものをあらゆる情報ニーズにこたえるということで無限に拡大をしていけばいいということだけでは済まないのではないか。  そういうことをやっておりますと、今いろいろなところで、豊かな社会になって、そこにニーズがあるからということで商売が行われる、その結果として社会低俗化が進んだり、金もうけ主義が横行したりということがいろいろな面で起きておると私は思うのですが、放送についてもそういうことが起きたのでは大変まずいのじゃないかと私は思っておるわけであります。  そういうことで、いかに国民ニーズにこたえるといっても、この放送メディアについてはそれなりの限界があってしかるべきではないかというようなことを素人なりに考えるわけであります。これからの放送の将来について、衛星放送その他、大変数が多くなっていくような方向が目指されているような気がいたしますが、将来的にどういう方向を目指し、またどういう見通しなのかについて、ひとつ郵政大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  11. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 長勢先生指摘のように、近年の放送技術進歩に伴いまして、衛星放送であるとかハイビジョン放送あるいは多チャンネルのCATV、さまざまな放送ニューメディアが出現 をしてきておるわけでございまして、こうした流れ、動きというのは、御指摘のようにますます加速されてくるものと予想されるわけでございます。したがいまして、そういう中におきまして、これからは非常に情報過多になってくるわけでございますから、その受ける方もそれなり判断力また知識というものを持って、それを適切に消化していくということにまた努めていかなければならない、そのように思うわけでございます。  そういう中で、既存放送メディアとの調和にどのように配意しつつ今後のニューメディアの導入、普及を進めていくかということがまた私たち努力しなければならない問題点でございまして、特段にその点は注意をしていきたいと思っておるわけでございます。そうして、先生がおっしゃられましたように消化不良にならないような状態で、高品質化もしてまいりましょうし、あるいは高音質化もしてまいりますが、そういうようなすばらしい技術国民生活に定着したものに進めてまいりたい、そのように考えております。
  12. 長勢甚遠

    長勢委員 いろいろな質の問題、豊かさの問題、ニーズはありとあらゆるものがあるでしょうし、逆にまた技術進歩が進めば進むほどそれがニーズの掘り起こしにつながっていく。いつまでたっても無限になっていく。したがって、これはどういうことになっていくんだろう。そういうことでなくて、やはりどこかで、制限というのはおかしな表現かもしれませんが、抑制的でやってもいいのじゃないかなとすら思うわけであります。  そういう中でNHKあり方ということも論じられていかなければならぬと思うのでございますが、NHK会長さんはこの問題の大変権威でございますが、もし御見解がございましたら、簡単に一言教えていただきたいと思います。
  13. 島桂次

    島参考人 ただいま郵政大臣が御説明申し上げたとおり、最近ここ数年間、放送通信技術革新というのはまさに革命的なものがございます。この新しい情報化時代というのは、一言にして言えばメディアの数がどんどん技術的に可能な時代になってきたわけでございます。御存じのように、私どもは既にテレビ放送ラジオ放送以外に衛星放送も始めておりますし、ケーブルテレビジョンも、アメリカほどではありませんけれども日本でもだんだん普及しつつある。やがてハイビジョンもいよいよ放送されるような、少なくとも技術的な意味では完全に完成してきている。こういうメディアがたくさんふえますと、先生指摘のように、洪水のように情報が流れ出す、その受け手である国民皆さん方が戸惑いを感じているような状態が既に出てきていることは事実でございます。  しかし、この情報化社会というのは、多メディア時代というのは、今までは我々が限られたチャンネルを使って、こういう放送番組が一番いいんですよ、こういうニュースを一番皆さん聞いてくださいという形で私どもが一方的に送り出す、それを視聴者皆さん方が必要なものをチャンネルを回しながら判断するという時代だったわけです。それがこういうふうに多チャンネルメディアの数がふえてきますと、逆に今度は視聴者の方が、自分にとって必要な番組、必要な情報自分の手によって選択をできる、この選択の幅が非常に広がってくる時代、こういう言い方もできるのじゃないかと私は思っているわけです。  そこで今、日本には公共放送NHK商業放送民間放送コマーシャルステーションが並列して戦後やってきたわけでございます。そこへ新しいそういう時代を迎えてきますと、ますますこれから大変な時代になりますけれども、私は、放送がどんなにふえ、通信事業放送事業が境目のなくなるほど情報がはんらんしても、その中には必ず公共的なというか、最も国民の皆様にとって根源的、基本的なニーズとして必要な部分、そういうものは残るんじゃないか。そういうものが何かということを我々は公共放送の当事者としてこれから国民皆さん要望にこたえて、いろいろ積極的に開発していかなければならぬ。  つまり、洪水のようにあふれ出る情報の中で本当の意味国民生活に必要な、またコマーシャルベースでやっていけないそういうものを、新しい時代に新しい形で公共放送としてのあり方を探らなければいかぬ、まことに私たちにとって大変な時代を迎えているということを私は申し上げたいと思っております。
  14. 長勢甚遠

    長勢委員 若干納得できないというか、私自身もはっきり明確なイメージもない点もありますが、私はやはり視聴者の側で選択をするといっても、なかなか社会にとっていい形で選択が行われるのかどうか若干疑問を持っています。ですから、どうしても選択競争原理の中では低俗化方向に行ったり、もうけ主義方向に行ったりということもあり得ると実は思っております。ではどうしたらいいのかなということについてはなかなか確信が持てませんが、私も少し勉強していきたいと思っております。  それから、今会長さんもおっしゃいましたが、まさにNHK公共放送商業放送の一種のすみ分けと言っていいのでしょうか、そこの論理がいま一つ私自身も今の現状で読み取れないところもあります。ぜひそういう点を追求していただきたい、お願いを申し上げます。  時間もございませんので、一点だけに絞って御質問を申し上げたいと思いますが、今回湾岸戦争が起こり、ここの中で日本国際的な役割というものも見直され、また国際社会における我々が必要とする国際情報というものは大変多いんだということも知り、また日本国際社会にどれだけ情報を出しておるのかということについても、大変みんな問題意識を持ったのではなかろうかと思うわけであります。我々が我々の生活自体国際化社会に対応できるようにする、また日本国際舞台それなり役割を果たしていくという上で、この放送行政日本世界情報発信基地として大きくなるようにという方向を一つの方向として目指していっていただきたいものだと私は実は思うわけであります。  そういう役割は当然NHKだけということではないのでありまして、民放、NHKそれぞれ役割を分担をし、連携をしてやっていただかなければならないわけであります。NHKが一番最大の放送メディアでありますから、その役割は当然大きいわけであります。  そういう意味において若干気になっている点を御質問申し上げたいと思うわけでありますが、まず湾岸戦争報道等を通じて、たくさんの人々が国際情報入手について、NHKはほかの外国放送メディアに比べて十分な能力を持っておるのだろうかどうだろうか、もっと拡充しなければならぬのじゃないだろうかと感じた人は少なくないのじゃないかと思うわけであります。ぜひ、この我が国NHK国際情報入手についてもっともっと強化をしていただいて、我々が早く正確な情報を知り得るような状況にしていただきたい。そういう方向での現状また強化策についてお伺いをしたいと思います。  聞くところによりますと、国際情報については日本大変輸入超過になっておる。何か九五対五だとかという話も聞きますし、特に我々アジア情報というものは余り持っていないわけであります。また出してもいないんじゃないかということも心配をしておるわけであります。これは我が国を知ってもらう、特にアジアにおける日本ということを考えますと大変重要な問題ではないか、こういう問題にひとつ努力をしていただきたいと思います。  これに関連をして、何かNHKでは専用回線を設けられてニュース等情報交換を行われる。さらに、その上にテレビ・ジャパンを通じて出すということを計画し、また実施をされるというふうに聞いておるわけでございますが、こういう専用回線というのはどれくらいの経費がかかるものなのか。また、それは受信料から賄われることになっておるということが議論されているように聞いておるのでございますが、どうも我々の受信料外国の人、外国に住んでいる人のために使われるというのも何かちょっと変なような気もするし、 しょうがないのかなという気もするのでございますが、これは将来国際情報をどうやって提供していくかという根本にもかかわることかと思うわけでありますけれどもとりあえず今言ったような情報提供また入手等について、より機能を強化していただきたい、そういう観点から、現状また今後の方向についてどのようにお考えになっているか、ひとつ会長からお願いいたします。
  15. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 技術的なことにつきましては担当の者から後ほど報告をさせますが、まず国際放送充実の問題でございますが、先生指摘のように、このためには大変な努力もいたしておるわけでございます。  その前に、いろいろな東欧諸国のあのような大きな激変あるいはまた中東の状態報道等を見ましても、世の中の変遷、そしてまた変わっていくことに与えます放送メディアの影響というものがいかに大きいかというのは、ここ二、三年来私たち特段に身をもって経験をしていることでございます。そういう現状も見定めつつ、国際放送充実ということは、今後の日本国際社会の中でまことの正しい日本理解をしていただくためにも、なお進めていかなければならないと私は思っておるわけでございます。  先般の湾岸危機のときにおきましても国際放送は時間延長をいたしたわけでございまして、その全費用に当たります二億二千八百万円の増額を平成年度補正予算で認めていただいたりもいたしたわけでございまして、今後私は、この国際放送ということに対しましては、なおその努力をやっていきたいと思っておるわけでございます。  それから、情報入超過多で九五対五というような先生の御指摘もございましたが、今日まで日本からのそういうニュース提供というのは少なかったことも事実でございます。  この問題につきましては、私は二つの側面があると思うのでございますが、まず一つは、そのように確かに東南アジアに対しましても番組提供などというものが今までは非常に少なかったわけでございますが、今外務省とるるこの努力をし合いまして、諸外国に対しましていろいろな放送番組海外提供をやっていこうということで、財団法人放送番組国際交流センターというものを設立されるように現在準備を進めておるわけでございます。そういうような機関を通しまして、日本の真の姿を諸外国へ送り出していくということに努力をしていきたいと思っておりますし、また日本のすばらしい放送番組をぜひ得たいと期待をされている国もたくさんあるわけでございますから、外国語に吹きかえました番組を集積するような国際番組ライブラリーの運営であるとかあるいは放送関係者の交流なども進めていきたいと思っております。  それが一面と、もう一面は、そのように日本からニュース発信することができますように、日本国内のあらゆる分野での開発といいましょうか発展をまた求めていかなければならない。その二つの側面を充実をいたしまして国際放送充実を進めていきたい、そのように考えております。
  16. 島桂次

    島参考人 先生指摘のように、残念ながら今の日本情報発信基地、つまり情報がほとんどヨーロッパ、アメリカから流れ込んできて、こちらから送り出すものが非常に少ないという現状はまさにそのとおりでございます。これは言葉の問題もあり、文化の問題もあり、なかなか難しい面もあるのですけれども、私は、放送のインターナショナル化といいますか、日本の本当の意味での情報を、ニュースだけではございません、番組その他を通じましてこういったものを外国にキャリーするということの必要性が今ほど重要な時期はないというふうに考えております。  既にNHKとしては数年前から、外国放送局、ニュースエージェントといろいろ具体的な協力方法をつくっておりまして、今度の湾岸戦争でもアメリカABCと完全に協力体制をしきまして、かなりの効果を上げておるわけでございます。こういったものを全世界的に広げていくということを現実にもう既に一年ぐらい前からやっておりまして、できましたら日本発信基地とする機構、いわゆるニュースをディストリビューションする機構を一日も早くつくりたいというふうに考えております。  テレビ・ジャパンにつきましては、原則として視聴者の聴視料によらないでつくるということを考えておりますけれども、この問題につきましては青木理事の方からちょっと……。
  17. 長勢甚遠

    長勢委員 大変御答弁ありがとうございました。時間もないものですから恐縮でございます。  今申しましたように、国際化に対応する放送というのは、情報提供充実というのは、あれは国策だと思うのです。今テレビ・ジャパンのお話をいたしましたが、やはりこれをNHKさんの受信料だとか民放さんのスポンサー料で賄っていくということには無理もあるし、また問題もあるかもしれません。そういうことを考えますと、ぜひ何か工夫をしていただいて、今大臣から若干の御答弁もありましたが、ひとつ国で何らかの助成措置を講ずるという工夫をぜひしていく必要があるのではないかということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  18. 野中広務

    野中委員長 次に、森英介君。
  19. 森英介

    ○森(英)委員 自由民主党の森英介でございます。  このたびの湾岸戦争では、報道の面でも一昔前とはさま変わりといった感を深くいたしました。何しろリアルタイムでその戦場の様子が世界じゅうに伝わるわけですから、戦争の展開にもかなり影響を及ぼしたのではないかというふうに考えております。  それはさておきまして、先ほど長勢委員の御質問に対しましての御答弁の中にも若干ありましたけれどもNHKの湾岸報道は、NHKみずからが取材したニュースと同時に、ABCやCNNなどアメリカを初めとする各国報道機関のニュースを織り込み、国民に多角的な情報を迅速に伝えていただいたと高く評価したいと思います。  国際化情報化が進む中でグローバルなニュース国民提供していくには、今後ますますそういったことが重要になってくると思いますが、海外情報入手する体制の強化について、重ねてNHKの基本的な考え方を伺わせていただきたいと思います。
  20. 島桂次

    島参考人 先生指摘のように、絶対今必要な、最も重要な問題だと思っております。  私もかねがね、衛星放送を始めるに当たりまして世界の二十ぐらいの放送局とニュース交換協定を結んで、世界の主な国の主なニュースをほとんど現地と同じ時間で出すようなことを今やっているわけでございますけれども、それと同時に、NHK情報といいますか、日本国内の本当の意味での情報を、それをどうやって外国に送り出すかという問題につきまして、今CNNが全世界にアメリカのニュースをディストリビュートしているように、例えばアジアを中心にNHKが、アメリカをABCニュースが、ヨーロッパをEBUのニュースがというような形で、それぞれ三地域の代表が八時間ずつニュースを分担しましてワールドワイドに流そうというような計画がこの一年以内に実現するよう今考えておるところでございます。  その際、NHKといたしましては、アジア総局というのを東京に今度置きまして、アジア各国ニュース取材能力を格段と高めて、それで日本だけではなくてアジアニュース充実して、そういうものをできるだけ早く衛星回線を使いまして恒常的にアメリカ、ヨーロッパへ送り出すということを考えておるわけでございます。
  21. 森英介

    ○森(英)委員 ただいま会長から大変力強い抱負を伺いましたけれども、ぜひ実現に向けて頑張っていただくように心からお願いいたします。  また、次はハイビジョンについてちょっと伺わせていただきます。  ハイビジョンは、日本世界に誇る先端技術であると同時に、新しい映像文化という点でも大いに期待されていると思います。このハイビジョン普及させる上で重要な課題の一つは、ハードも さることながら、すぐれたハイビジョンソフトの開発ということがあるというふうに考えます。  現在、NHKでは具体的にどのようなハイビジョンソフトを開発しているのか。また、その現状をお示しいただきたいと思います。
  22. 青木賢児

    ○青木参考人 ハイビジョンにつきましては、御承知のように世界で最も進んだ技術日本は持っておりまして、現在既に、平成元年からハイビジョンによります放送を開始しております。NHKでは毎日一時間の実験放送を続けておるところでございます。  これの普及には、御指摘のようにすぐれたソフトが絶対に必要でございますので、我々は、このハイビジョンという新しいメディアをフルに効果的に発揮するために、テレビでもない映画でもない全く新しい次元の映像を開発するように努力しているところでございます。  そういう意味では、世界第一級の文化でありますとか芸術でありますとかイベント、そういったものを我々はこのハイビジョンで挑戦しながら今までにないようなソフトの蓄積ということに努力しておりまして、最近では、ミュンヘンの国立オペラ劇場におきます「ニーベルングの指輪」というオペラ、十五時間のソフトをつくるというようなことをやりました。さらに、去年は世界第一級のスポーツ、ワールドカップ・サッカーでありますとかあるいはウインブルドン・テニスでありますとか、こういったものもハイビジョンによりまして撮影しながら、スポーツの新しい表現というものに挑戦して、バルセロナのオリンピックでさらに効果的な放送をやりたいということで現在は準備をしている。  さらに、このメディアは、ドラマとか映画の部門、エンターテイメントの部門でも非常に大きな力を持っておりますので、イギリスのBBCと四時間分の「ジンジャーツリー」の共同制作を行ったり、あるいは世界第一級の映画監督と一緒に共同制作いたしまして、ことしも二本ほど世界的な大作にハイビジョンを使って、NHKのスタジオでこの制作を行うというようなことをやっております。  さらに、去年の十一月には世界ハイビジョン・コンクールというのをやりまして、世界六カ国から七十三本の参加作品を得て、そういった中で新しい表現というものをお互いに勉強し合うというような努力をしておりまして、現在NHKはおよそ四百本のソフトを既に制作して保有しているという現状でございます。
  23. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。  今の質問に関連いたしまして、ハイビジョン技術の開発並びにソフトの制作についての外国現状はいかがでございましょうか。
  24. 青木賢児

    ○青木参考人 ただいま御説明しましたように日本が非常に進んでおりますために、アメリカ、ヨーロッパにおきましても日本に追いつき追い越せということで、このハイビジョンに対する取り組みは非常に活発でございまして、ヨーロッパ、アメリカでもかなりの放送局、プロダクションがこのハイビジョンによるさまざまなソフトを制作しておる。イタリアでは、既に長編の映画も制作されておるというところでございます。アメリカでも非常に意欲的なさまざまな番組、音楽番組などがつくられておりまして、こういうものが、先ほど御説明した幕張メッセにおきますハイビジョンのコンクールなんかにも出品されてきておるというところでございます。しかしながら、ヨーロッパでは若干これがさまざまな理由で停滞ぎみでございますが、内容的にはやはり非常にレベルの高い演出が行われているというのが現状だと思います。
  25. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。  もう一つハイビジョンについて伺いますが、このハイビジョン放送以外の分野でも極めて応用範囲が広いと言われておりますけれども、どのような分野で利用できるのか。また、NHKとして放送以外の分野についてもハイビジョン技術を積極的に公開していくべきだというふうに私考えますけれども、その点についてのお考えを伺わせていただきたいと思います。
  26. 島桂次

    島参考人 もう既に我々は映画とか印刷とかその他あらゆる分野について全世界のいろいろな方々と共同研究しております。日本においても岐阜にハイビジョンの美術館というのができたことを先生御存じだと思うんですけれども、そういうふうにこのハイビジョンシステムというものはあらゆる産業に利用できますので、これからもますます放送だけではなくてあらゆる分野についてこの技術を開発したいというふうに考えております。
  27. 森英介

    ○森(英)委員 それとちょっと問題が変わるんですけれども、難視聴の解消というのが大きな問題で、現在のところ主としてこの問題については衛星放送によって対処していくというふうに聞いておりますけれども、私の選挙区である房総半島ではいまだに地上系のテレビが見えにくいという地域がありまして、もっとよく見えるようにしてほしいという要望もあるわけですが、衛星放送は必ずしも地上系の放送の代替物ではなくて、将来的にも異なった特徴を持つチャンネルとして発達していく可能性が十分にあると思います。平成年度衛星放送受信のための基金ができておりますけれども、地上系の難視聴解消についてもなお配慮していただきたいというふうに考えております。ついては、衛星と地上にわたる総合的な難視聴解消についての郵政省のお考えを伺いたいと思います。
  28. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 難視聴の解消問題といいますのは、放送行政上も重要な課題だというふうに私ども認識しております。  まず、NHKの難視聴解消につきまして申し上げますと、従来は中継局だとか共同受信施設といったようなものによって難視聴の解消をやってきておったんでございますけれども、だんだん地域があちこちに点在するようなところしか残ってないような形になっておりますし、また、その地域につきましても、一カ所で戸数もかなり少ないといったようなことになってまいったわけでございまして、ですから、昭和五十九年度以降は衛星でその解消を図ろうということに切りかえたわけでございます。  先生今御指摘になりましたように、昨年の三月に衛星放送受信対策基金を創設いたしまして、NHKの地上放送が良好に見えない、受信できないといったところにお住まいの方につきましては、衛星放送受信設備を購入する際の助成金を交付するという制度をおつくりしたわけでございます。  なお、地上放送の対策といたしましては、昨年の四月に施行をされました新過疎法におきまして、テレビジョン放送の共同受信施設を建設するということに対しましては、それに自治体が補助を行う場合には過疎債が利用可能ということになっております。また、辺地債につきましても自治体が同様な起債の対象にできるということにしようということで、現在郵政省、関係省庁と折衝中でございます。  また、民放の難視聴解消につきましては、従来から放送事業者に対しまして中継局を設置するように指導してまいっておるわけでありますけれども、先ほど申しましたような同じような措置も民法に適用しておりまして、中継局を設置する場合には、例えば財投の融資が受けられるとか、新過疎法で民放の中継局設置に対しまして自治体が補助を行う場合には過疎債の起債が可能だというようなことをやってきております。さらにまた、平成年度予算案におきましては、電気通信格差是正事業の一つといたしまして、民放が一波も見えないような地域に中継局を設置する場合には国が一定の補助を行うということをお認めいただいておりまして、新しい年度からこれが適用になるということで、私ども期待しているところでございます。
  29. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。  ちょっとまた話が戻るのですけれども、先ほど島会長から御答弁いただきましたけれども、重ねてお伺いいたしますが、激動する国際社会の中で日本は経済力に見合った役割を積極的に果たしていくことが諸外国から非常に求められております。そのためには海外のビビッドな情報を取り入 れて国民にこれを正しく伝えるとともに、これまで以上に日本情報海外発信していくということが肝要になってくると思いますが、こうした意味NHKの果たすべき役割というのはこれからいよいよ重大になってくるというふうに考えます。  会長は、かねてからグローバル・ニュース・ネットワーク構想ということを提唱されておりますけれども、ここで改めてその具体的内容についてお聞かせいただき、また、その実現に向けた抱負をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  30. 島桂次

    島参考人 先ほども申し上げましたように、私は二年ばかり前から、日本発信基地とするワールドワイドの映像ネットワークというのをつくるべく、今全力を挙げているところでございます。  たまたま湾岸戦争も起きましたし、アメリカABCの首脳部とも、ヨーロッパの放送局の首脳部とも、今鋭意作業を進めておりまして、ことしじゅうには、この日本アジアとアメリカとヨーロッパと、これをそれぞれ発信基地とする二十四時間映像配信機構というものを何とかつくろうということでほぼ見通しがたっておりますので、それができましたらかなりの日本のあるいはアジア情報が全世界にキャリーできるんじゃないかということで、そういった問題の先頭を切るということが公共放送の最も大きな任務だというふうに考えているわけでございます。
  31. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。ぜひその実現に向けてよろしくお願いいたします。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  32. 野中広務

    野中委員長 次に、佐田玄一郎君。
  33. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 森先生に続きまして、自由民主党を代表いたしまして質問をさせていただきます。私の場合は、平成年度事業収支について若干質問をさせていただきます。  もちろん、公共放送の立場から、NHKの場合は受信料を中心とした収入、しかしながら支出においては、良質で好感の持たれる番組をつくらなくてはいけない、そしてまた、放送設備の充実、または、先ほどもございましたように、衛星放送並びにハイビジョン、そういう先端技術の導入、非常に経費がかかるわけでございますけれども、今平成年度の予算を見せていただきましたら、平成年度受信料以外の収入も非常にふえているようにお見受けするわけでございます。  ここで第一の質問でございますけれども受信料のみの最近の伸び率と、本年度なぜこれだけ伸びたか、その内訳をまずもってお聞きしたい、かように思うわけでございます。
  34. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お答えいたします。  先生御案内のように、テレビジョンがかなり普及しておりまして、新しく受信者を確保するということは、大幅な増加というのはもうなかなか望めないのが現状でございます。したがいまして、NHKとしましては、世帯の増加に見合うだけは新たな受信契約者ということで契約をお願いするということで、大体平均しますと三十五万から四十万件くらいのところで毎年受信者をふやしてきているということでございます。  したがいまして、その意味で言うならば、平成年度、料額を改定させていただきましたけれども受信料の伸びもそれほど大きな伸びは期待できない状況にあります。
  35. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 私の質問がちょっと足りなかったのかもしれませんけれども平成年度につきまして特に受信料以外の部分がふえておる、この辺につきましてもう一度御質問させていただきたいと思います。
  36. 三河内賢二

    ○三河内参考人 お答え申し上げます。  平成年度収入につきましては、一二%の伸びを示しておりますけれども、先ほど高橋理事の方から御説明申し上げましたように、その中で受信料につきましては六・二%の伸びを示しております。そのほか、名古屋の放送会館を建てますことにおきまして、民活を利用いたしました借地権料が二百四十一億、特別収入として計上しておりますので、この分を加えまして収入の伸びが一二%になっているというわけでございます。
  37. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 よくわかりました。名古屋の放送会館、今郵政省の方でも土地の高度利用ということが叫ばれておるわけでございますけれども、手前みそで大変恐縮ではありますけれども、私の住んでおる前橋におきましても、NHKのある土地というのはまさに一等地であります。そういうことを考えますと、地価対策というものを考えて、これからも有効利用をぜひともお願いしたい。  次の質問でありますけれども、これをこれから管理しなくてはいけない、そういうことを考えますと、これからNHK様は、いわゆるテナント業務であるとか、そういうものをやるわけでありますけれども、外郭団体をつくってこれを管理するのか、またはNHKの内部に管理主体を、そして、つくるとしたらその部署はどこか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  38. 三河内賢二

    ○三河内参考人 先生御案内のとおりに、これからの会館も高度利用を積極的に図らなければならない、かように考えております。名古屋につきましても、そのようなことを考えまして、先ほどお話し申し上げましたような数字をちょうだいすることになったわけでございます。特に名古屋につきましては、NHKといたしまして初めてのことでございますので、この運営関係につきましては慎重に検討を行っております。したがいまして、既存の関連団体を通じて管理を行うのか、名古屋市の協力も得て新しい会社をつくって経営をするのかということについて鋭意検討いたしました結果におきまして、名古屋市を中心といたしますNHKの名古屋放送センターの管理ということで、NHKも入りましてその関連会社をつくる、そしてそこで管理をするということにいたした次第でございます。
  39. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今の説明でよくわかりましたけれども、まさに民活というか、名古屋市も含めたような形で、第三セクターに近い形でありますけれども、こういう事業推進せられる、大変結構なことであろうと私も思っているわけでございます。まさに名古屋におきましても、放送会館をつくることによって放送設備も充実し整うわけでありますから、そういう意味におきましては、私も、これから将来に向けて大変大事な事業ではないか、このように思うわけでございます。  そしてまた、こういう事業を進めるに当たりまして、このような事業につきまして今後計画があるのかお聞きをしたい、かように思うわけでございます。     〔委員長退席、川崎(二)委員長代理着席〕
  40. 三河内賢二

    ○三河内参考人 先生指摘の今後の放送会館の計画でございますけれども、御承知のとおりに、NHKの地方の放送会館は、昭和三十年から四十年にかけましてテレビが発展期を迎えたときに地方放送会館の整備を行ったということでございます。したがいまして、最近の放送機器の発展を考えますと、それに対応できないような、もう老朽化しているということもございますし、さらには、最近のハイビジョン並びに文字放送などの新しい事業展開にも対応しかねるような状況になっていることは事実でございます。したがいまして、私どもは、財政状況を考えながら、このような新しい放送メディアに対応できるような会館をこれからもつくっていきたい、このような考え方に基づきまして名古屋をただいま実施しているところでございますが、今後につきましては、既に昨年から福岡の放送会館の建設に着手をいたしましたし、なおかつ広島放送会館、平成年度アジア競技大会を目指しまして会館整備を行わなければならないというような状況に至っておりますので、これを早く取り進めたい、このように考えている次第でございます。
  41. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 受信料以外の収入という意味におきまして、私も、NHKのスタジオを暇なときには違う民間のところにも貸す、そういうことも漏れ伺っておるわけでございますけれども、ぜひともそういう事業をふやしていただきたい。先ほども ございましたように、公共性はありますけれども受信料だけではなかなか賄えない部分があるわけでありまして、物価上昇率を考えた場合になかなか追いついていかない。  これは再度の質問になりますけれども、要するに放送会館であるとかテナント業務以外に副次的な収入というのはどういうものがあるか、お聞きしたいと思います。
  42. 島桂次

    島参考人 ニューメディア時代とか情報化時代というのは、NHKがつくった放送番組NHK放送するだけではなくて、多目的に、しかもインターナショナルに使える時代になってきたわけでございます。私どもは、NHKのつくったニュース番組がもっとより広く、国内はもちろんでございますけれども、二次使用的な、副次的な、第二、第三の使用のやり方として、メディアミックスというのですけれども、そういうことが全世界にできますので、大いにこの事業を活発にしなければいかぬな、そのために私は、関連団体の充実とか、あるいはMICOという新しい会社をつくって、そういった放送素材を全世界に供給、販売する事業、こういうものにもひとつNHK経営を何とか連動させていきたいというふうに考えているわけでございます。
  43. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 これからの国際化に向けまして、NHKが良質な番組、ソフトをつくり、そしてまた世界にそれを飛躍させる、大変大事なことではないかと私も考えるわけでございます。  そういう意味におきましては、やはり経費がこれからも必要になってくる。それを考えますと、もちろんNHKの基本となる公共性、中立性、平等性と申しますか、こういうことを守りながら、そういう平等性が阻害されないような事業によりまして安定した経営がこれからも保たれるよう努力していただきたい。それによってまた、先ほどもありましたような、そういう利益によりまして、過疎地の対策であるとか難視聴地域に対する対策であるとか、こういうこともぜひ充当していっていただきたい、かように思うわけでございます。  それでは次の質問でありますけれども放送受信料免除措置の廃止、これは私調べさせていただきましたら、昭和五十年から衆参の両委員会で附帯決議がされておるわけでありますけれども、今後の方針につきまして、これは漠然とした質問でありますけれども、御所見をお伺いしたい、かように思うわけでございます。
  44. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 放送受信料の免除につきましては、今、先生が御指摘されましたように国会での附帯決議もございますしNHKの長期展望に関する審議会の提言その他もございますので、私どもとしては、国などの財政措置をとっていただくということを前提にして基本的には廃止するということで、これまでも対応してまいってきているところであります。  それで、平成年度におきましても、関係各省に対しまして会長名で、国の財政措置をお願いしつつ、ぜひ受信料免除を廃止したいということをお願いしました。それに対しまして、文部大臣それから法務、厚生各大臣から、引き続き免除を継続されたいというお申し越しが来ておりますし、全国の市町村会等からも継続要望が来ております。  私どもとしましては、そういうような経過の中で円満にこの免除問題を処理していきたいということで、昨年郵政省それから関係各省と連絡会をつくっていただきまして、鋭意この問題について国などの財政措置をどうとるかということについて御検討いただいているところでございます。聞いておるところによりますと、平成年度には結論を出していただけるのではないかということで期待もしてきているところでございます。
  45. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 そういうことで、各市町村並びに地方公共団体からは廃止しないでくれ、そういう要望があるわけでありまして、わけても私、一番考えるのは、最近女性の、出生率の低下、そしてまた人口比率からしますと、ゼロ歳から六歳ぐらいまでの間が非常に少ないわけでありまして、幼稚園並びに保育園の経営内容も悪化しておる、そういう中におきまして、これまた手前みそになるのでありますけれども、群馬県においては、調べさせていただきましたら、保育園並びに幼稚園、これは管轄は違いますけれども、平均して大体十一から十二台ぐらいのテレビが置いてある。アンテナは一つなわけでありますけれども、この十二台、十三台からそれぞれにまた受信料を取るということになりますと、またこれ経営が悪化してくる。この辺につきましてはどういう御所見をお持ちか、お伺いさせていただきたいと思います。     〔川崎(二)委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先ほども申し上げましたように、基本的には施設の受信料免除の廃止については、私どもはこれを実現しなければならないというふうに考えております。ただ、そうは申しましても、今御指摘のようないろいろ、財政事情の問題も出てこようと思いますので、国あるいは地方公共団体等の財政措置をとっていただくことを前提に、円滑にこの免除廃止の問題を進めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  47. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 御説明は、すべてではないですけれども一部わかるのでありますけれども。  今回につきましては、文部省につきましてちょっと質問させていただきたいのです。  その前に、基地及び射爆場ですか、その周辺の受信者は、昭和三十九年から半額免除を実施してきておる。そしてまたその半額分につきましては、国、これは防衛施設庁でありますけれども、ここから充てんをされておる。そういうことを考えますと、幼稚園であるとか保育園、こういうものは文部省の管轄になるわけでございますけれども、具体的に折衝されているというふうなお話を今聞いたわけでありますけれども、どの辺まで折衝が行われているのかお聞きしたい、かように思うわけでございます。
  48. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先ほども申し上げましたように、関係各省の協議機関をつくっていただきまして、そこで鋭意検討していただいている最中でございまして、結論はできるだけ早く出していただきたいということをお願いしておりますが、目下のところでは平成年度ぐらいのところにはぜひ何とかめどをつけたいということで伺っております。
  49. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 よくわかりました。  いずれにいたしましても、こういうような形でできるだけ、先ほどの文部省関係だけではなくて、厚生省関係の、非常に恵まれない方々に対する今までの免除であるとかそういうものにつきましては、各省庁と検討の上、できるだけ廃止しないようにお願いをしたい、かように思うわけでございます。先ほどの質問にリンクするかもしれませんけれどもNHKの公共的な立場もございますけれども、これからも副次的な事業推進することによって、そういう利益を、廃止しないように、保育園並びに幼稚園の方のこういう受信料に充当するというか、そういうことをぜひともお願いを申し上げたい、かように思うわけでございます。  時間もだんだんなくなってまいりまして、最後の質問をさせていただきたいのですけれども、これは大臣にお伺いしたいのです。こういうふうな形で、経営内容を今質問をさせていただいたわけでございますけれども、これからのNHK役割、責務は重大になろうか、このように思うわけでございますけれども、将来に向けての経営基盤をこれからどういうふうにしようか、この辺のお考えを大臣にお伺いしたい、かように思うわけでございます。
  50. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、NHKに期待いたしますことは、公共放送としての高度な自律性それから中立性というものをあくまでも維持をしていただきたいと考えております。そのためには、先生指摘のように財政基盤、これは言うまでもなく受信料で賄っておるわけでございますが、その他例えば国際放送などにおきましては一部国が負担をいたしておりますが、そういうような部分をもっと充実をしていくとか、そういう中立性を維持していくためにも財政的な基盤というものはやはり 国の立場で強力に推進をしていきたいと考えております。
  51. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ありがとうございました。  もう時間がなくなりましたので、次の質問はまた次回に回すということで質問を終わらせていただきます。
  52. 野中広務

    野中委員長 次に、武部文君。
  53. 武部文

    ○武部(文)委員 湾岸戦争ニュース報道あり方とかその他の問題については、多くの同僚議員からいろいろ質問があるようでございますので、私は、これまでたびたびローカル番組の重視ということを取り上げてきたわけでありますが、本日もこれに関連をした問題についてお尋ねをいたしたいのであります。  最初に、NHKと民放との問題でありますが、我が国放送体制が受信料によって支えられておるNHK、コマーシャル料金によってそれを財源とする民間放送、その二つが調和のある併存体制を保ちながら放送文化の発展や福祉の向上に向かって寄与しておる、そういう関係を評価をしながらも、近ごろNHK民間放送との間にどうもぎくしゃくしているようなところがありはしないか。私のところにもいろいろと文書や話が参っているわけであります。  先ほどもお話が出ておりましたが、例のMICOに関連をする問題に端を発したわけでありますが、例えばジャパンマネーを結集して世界市場でのソフトの売買、ハリウッド映画への投資、あるいは情報国際配信を目指す会社ができる。これはこれで今日のメディア時代に必要なことではあるとは思うのですけれども、このことに対して民放の連中が一斉に反発をした。この会社とは一切取引しない、あるいは出資をしない、そういうことを発言しておるようであります。  また最近、NHKがつくり始めた各地の関連団体、地方にできかけておりますが、その関連団体につきましても、地元の民放との間でいろいろと問題が生じておるようであります。  去年の秋、私は広島に参ったわけでありますが、広島に設立をされましたNHKちゅうごくソフトプラン、この場合でも中国地方の民放十五社、これが公正な競争関係が損なわれるという理由でNHKに抗議をする、郵政省にも要望書を提出する、こういうことが現実にあったわけであります。私のところにも参りました。  同様なことが、北海道やあるいは東海、さらにはまだ会社が設立されていない東北や九州、そういうところにまで波及をして、全国的にそういうことが起きておるように思うのでありますが、郵政省はこの問題についてどういう見解を持っておられるか、最初にそれをお伺いしたい。
  54. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 国際メディア・コーポレーションにつきましては、事業化に至るまでに民放との間でいろいろ議論があったということは事実でございます。郵政省といたしましては、その過程で提起された幾つかの事項につきましてNHKにおかれましては十分その点を御留意されて、我が国放送事業放送文化の発展に適切に寄与するような活躍をなさるように期待いたしている次第であります。  また、地域関連団体を初めといたしますこのNHKの関連団体の設立、活動の主たる目的というのは、NHK業務を支援し、かつ、その効率化に資するということが基本でございます。またあわせて、地域関連団体でありますから、民放も含めまして地元との協調にも配慮されることが必要であろうというふうに存じております。  郵政省といたしましては、MICOあるいはその地域関連団体が本来の趣旨に沿って活動なさいますように、NHKにも状況に応じて御指導あるいは御助言申し上げたいと存じております。
  55. 武部文

    ○武部(文)委員 郵政省の方にも、そういうような内容の文書が全国各地から来ていますか。
  56. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 地方の電気通信監理局を通じまして、NHKに対して地方の民放その他の要望書の写し等は私どものところに届いております。
  57. 武部文

    ○武部(文)委員 今の問題についてNHKとしてはどのように対処してこられたか、どういう見解を持っておられるか、それをちょっとお伺いをいたしたい。
  58. 島桂次

    島参考人 私どもは、戦後長い間、公共放送と民放という二本立てでずっとやってきたことは事実でございますし、その間にそれぞれの特性を生かしながら共存共栄を図ってきたわけでございます。  ただ、先ほどから各先生方から御指摘されておるとおり、特にこの数年間、世界における放送技術、通信技術技術的な改革、それに伴う事業化ということがすさまじい勢いで進んでいるのですね。ですから私は、さらに放送の形態といたしましても、もうコマーシャルか、聴視料、受信料かというもの以外に、ペイテレビという、つまり見た分だけ払うという、例えば日本衛星放送、そういう概念もどんどんこれから広がってくるわけですね。  それから、もう一つの側面から申し上げますと、今までは我々放送業者、業者というのはちょっと言い方がおかしいのですけれども放送業に従事しておる者が放送番組をつくり、それをお互いに交換したり、あるいは交換しない場合もあったでしょうけれども、そこへ放送関係者以外の国際的な資本を持った方々がどんどん放送素材を買い取ってくる。これはもう、例えば一部日本の電機メーカーがハリウッドを一兆円かけて買収するとかということが、これは日本だけではなくて全世界に進行しておるわけですね。  そうなってきますと、我々のつくっている放送素材はまだいいですよ。しかし、これだけ放送素材というものが全世界的なマーケット、つまりNHK放送の中でもすぐれたほかの国の放送素材を使わなければいかぬ面だってあるわけですよね、極めてすぐれている。そういう供給販売経路をまたまた一方的にアメリカ、ヨーロッパの資本に押さえられてしまうだけではなくて、日本放送業以外の方々がそういうソフトをどんどん押さえていってしまう。  やはりこれは、民放も含めまして私どもは、非常にこれはこのままほっておけない問題じゃないか。それならば、さしあたって、民放も含めまして我々放送をやっておる人間が中心になって、日本には金のある方がたくさんいるわけでございますから、そういう人たちと協力しながら、ひとつ大きな、世界に通用するような放送素材の供給、番組共同制作、そういうものをつくろうじゃないかということで、それがお互いにNHKのためになり、民間放送のためにもなり、これから始まるケーブルテレビジョン、みんな日本放送業者の質的な向上、利益につながっていくんだということで今始めたのでございますけれども、若干その考え方とか、あるいはそれを話すタイミングとかその辺がずれまして、一部の誤解がMICOにつきまして民放側からあることは事実でございますけれども、私はきのうの晩も二、三の民放の首脳部といろいろ話もし、民放連の大会に私一人が乗り込んでいって百何十社の民放の、特に地方民放の社長さん方とも数時間にわたって話し合っております。  私たちの今までやってきたことが、余り性急に、余りコミュニケーションなく進めた部分もございますけれども、これはやはり単にNHKだけではなくて、日本全体のためにも、日本情報を全世界にキャリーするためにも、ぜひ必要なことではないかと思うので、これからもどんどん積極的に私どもの立場、公共放送としての節度を守りながら、民間放送のよさを、そういうパワーを集めながらやっていくということにつきましてはこれからも続けていきたい、こう考えておるところでございます。
  59. 武部文

    ○武部(文)委員 考え方はわかりましたが、おれについてこい式ではやはりちょっと問題が残ると思うのですよ。ですから、もっと理解を求めるような努力を続けていかなければ、ぎくしゃくしてかえって無用の摩擦を起こすようなことがあってはならぬ。この点を私は特に考えておる者の一人でございますので、この機会に申し上げておきたいのであります。  さて、きょうは三十分近い時間ですから、私がローカル問題でいろいろ経験をしたことを申し上げてみたいと思うのであります。  昨年の暮れに、私が地元でNHKニュース番組を見ておりましたときに、その中に四国の愛媛県でNHKと民放三局が共同で番組を制作して、それが大変大きな反響を呼んだというスポットを見たのであります。大変関心を持ちまして、一度調べてみたいと思って、ついこの間、一月の中旬に私は四国を訪れまして、この内容を調べ、聞いてみたのであります。  今まで私が考えておりましたNHKのローカル番組あり方と、私が聞き、見たこの四国の状況は全く違っており、その意味では大変に勉強になったのでありまして、この機会に紹介かたがた、私はぜひ皆さんにこの問題を理解をしていただきたいと思うのであります。  四国地方では、四国四県のNHK四局と民放七社が、お互いの交流と番組向上の場として四国テレビ会議というものを持っておったわけでありますが、昨年の九月から十月にかけまして二カ月間、四国の美しい自然と人情を二十一世紀に向けて守り伝えるキャンペーン「ビューティフル四国」を実施して、参加局十一局、これが三十秒間のミニ番組を十一制作をした。それを二カ月の間に随時放送して大きな反響を呼んだ。三十秒間のミニ番組ですが、私は全部それを見させていただきましたけれども、内容が非常にいい。  例えば、お遍路さんと地元の人々との触れ合いの場を撮っておる、あるいはそういうことを通じての四国の心を探るとか、あるいは、お遍路さんの札所がございますが、札所の門前にあるところの俳句茶屋の主人と旅人との触れ合いを描く、そういう内容のスポットでありました。これは一、二の例でありますけれども。これが非常に心の触れ合うような内容を持ったものでありましたために、大変好評だったということを聞いたのであります。  そのことが大きく発展をしたのでしょうか、四国の十一局共同主催のイベントが行われた。これもいまだかつて聞いたことのないようなことでありまして、民放とNHKが一緒になってこのようなイベントを開催したということはまだないなというふうに感じたのであります。  これと並行して、これから申し上げることでありますが、共同制作の生中継番組計画をしたというわけであります。これは、NHKの松山放送局と南海放送、愛媛放送、この三者が昨年の十二月一日に、自然保護と心の触れ合いの視点で五十四分間、約一時間の六元生中継をやった、こういうことでございまして、その一時間の番組を見せていただきました。  これは、テレビ中継車が五台、ヘリコプターが一機、潜水撮影一クルー、SNG車一合、スタッフ九十人、こういう内容でございますが、一々この内容を申し上げる時間もございません。ただ、この内容が非常に現在の社会情勢にマッチをした内容になっておる。  例えば、自然保護の石鎚山の情景を映しておりましたが、さらにミカン山の農民の暮らしの問題、あるいはセトガイをとる潜水漁師の見たところの瀬戸内海の汚濁、汚れの問題、八百段もある段々畑の農民の暮らしとか、そういう地方の特殊性のある問題をこの共同番組が取り上げておるわけです。それで、これは非常に関心を呼んで、地元のマスコミもこれを大々的に報道しておるということも、現実に新聞を見させていただきました。  このように、NHKと民放がお互いの力を出し合って協力して地域の文化や福祉の向上に努めていることは大変大事なことだと思うのです。  もう一つ重要なことは、この共同制作を通して収穫は何だろうか。いろいろ聞いてみますと、現場レベルのNHK皆さんが言うには、民放のスタッフと交流できたことは大変よかった、さらには、民放、NHKがお互いに競い合って一緒に仕事ができたということは、NHKにとって体験を通じて大変貴重なものを得た、こういうことを述べておるのであります。今までいつも私どもここで取り上げてきたわけですが、こういうようなことを一度もここで発言をしたことを私は経験を持っておりませんし、聞いたこともない。そういうことが現実に四国で起きておる、起きた、これは非常にいいことだな、こう思ったのです。  先ほど申し上げるように、最近MICOの問題が出てから、あるいは地方の各種団体をNHKがおつくりになる、そういうことで民放とNHKとの間にぎくしゃくした、あるいはいろいろと感情の問題等が出て民放キー局はかりかりしておる。しかし、今の状況から見ると、けんかは親に任せて子供は仲よくやっていこうというそういう態度が明白にこれはうかがえます。けんかは親が上の方でやっておけ、わしらは一生懸命に地方でそういう放送の第一線でお互いが切瑳琢磨していい番組提供しようじゃないか、そういう努力が現実に今私が申し上げた中からうかがえるわけであります。  こういうことを現実に聞き、見、私は次のようなことを考えておるのです。  日本の今の全メディアの広告費というのは五兆円を超す、こういう時代になりまして、特にテレビキー局の収入というのは最高、大きな増収増益を得ておるわけです。中には前月比一六〇%増なんという局もあることを承知しています。地方の民放局がキー局に比べてとても及びもつかぬということはよくわかりますが、それでも地方の民放局もその地方においては高収益の法人の一つです。これはもう最上位の方にランクされていることも間違いない。また、民放各局の職員の給与も上位であります。  こういう中で、このたびこの番組に参画をされた愛媛放送の社長が、日本経済新聞のトップインタビューに答えてこういうことを述べておるのです。「これからは番組づくりにお金をかける時代。」大変結構なこと、今まで聞いたことのないようなことが民放局のトップから出た。私は大変結構なことだと思う。高収益を上げて大変な増益でありますけれども、もう番組に金をかける時代になったと民放のトップが言うような時代になったということは、大変結構なことだと思うのです。そういう問題をぜひ我々はこれからの放送の進展に伴って民放各局にそういうことがずっと伝わるように努力していかなければならぬし、そういう時代を迎えたのではないだろうかなということを考えるわけであります。  残念ながらここはNHKの論議の場でありますが、かつて、当委員会には民放連の幹部に来ていただいて、民放のあり方についていろいろ論議したことがあるのです。それが絶えて久しくありませんが、私は、先ほどの四国の状況あるいはさっきの愛媛放送の社長の言い分等を聞いておって、ぜひ民放の指導者の皆さんにもこの席へ来ていただいてこういう問題について論議をする機会をつくってもらいたい、そういうことをこの機会に要望しておきたいのであります。  そこでお聞きをしたいのでありますが、こういう四国のような状況というものは、例えば現地の局が一局で独断でできるものではないと思うのです。恐らくや協会本部にこういうような企画を移されて指示を仰ぎあるいは相談をし、そういうことをおやりになったのではないかとも思うのですが、今私が述べたような四国の状況というのは私は初めて聞いたことでございますし、全国でこのようなケースがほかにあるのか、それともそういうような点についてNHK協会本部としてはどういうふうにお考えになっておるか、それをひとつお聞きしたい。
  60. 島桂次

    島参考人 実は先生、四国の番組の企画が進行しているときに私は現地に行ってまいりました。非常に画期的ないいことだし、こういう方法こそ、公共放送民間放送が併存している中での特に地域においては一番これが有効な方法だということで、全面的に協力してやろうじゃないかということで現地で私も見てまいりました。  それだけでありません。この六十三年度番組編成の中には、その四国なら四国のエリアだけで 放送が終わっている極めてすぐれた番組があるわけですね。それをNHKの定時番組の中で、例えば民放の秀作というような感じの番組の枠にしまして全国放送する。今までも散発的にはやっていたのですけれども、これからきちっとまとまってやるということも考えております。  あくまで私としては、これから先、難しい時代に入るニューメディア時代の中での公共放送あり方というのは、先ほど来の質問その他があって非常に難しいのでございますけれども、その以前の問題として、今ある公共放送民間放送ができるだけ競争的共存を図っていくということだと思います。そのためには、ちょっと今先生から御指摘があったように、我々が各地方に関連団体をつくりますね。そのつくった関連団体がそれぞれの地域の放送局のやってきた仕事を奪うような、それと競合するようなことは絶対避けろ、いわゆる民放の事業を圧迫するような形でのNHK民間放送との協力関係はあり得ないということで、そういう地方のNHKの関連団体のやり方についてはもう一度再検討する余地も若干あるんじゃないかということで、その指示も今やっております。  いずれにしましても、新しい時代の新しい放送界というのは新しい秩序をここでつくらなければいかぬところへ来ているのじゃないかということを考えておりますので、そういう観点に立ってこれからも大いに進めていきたいと考えております。
  61. 武部文

    ○武部(文)委員 現実に放送内容、ビデオを見ておられない方に私が述べたことがどの程度御理解いただけるかよくわかりませんが、確かに一時間の番組を見たりスポットの十一局の内容等を拝見をして、大変立派な内容だし、それが特に地方の文化あるいは住民の暮らしと大変結びついたものだ。また、公害の問題や福祉の問題を取り上げる、これこそまさに今の時代に求められておるところの地方の放送でなければならぬというような気がしてなりません。  ただ、おっしゃったように散発的に、いつか広島のことを私取り上げましたけれども、近畿もございました、それぞれ努力をしてやっておるようですけれども、散発的な内容になっておるようでありますが、この四国の四県というのは地理的な環境もあるかもしれませんが、大変よくやっておられる。努力をしておられる。たまたま生放送の実現は愛媛だけだったのですけれども、四国全部でそういうような動きもこれから出るだろうというようなお話もございました。これが四国だけではなくて他の地方にも反映をして、今申し上げたようなことをこれからのNHKのローカル放送重視の一つの重要な柱としてぜひひとつ広げていっていただきたい、そのことを特に要望しておきたいのであります。  たまたま行ったところが大臣の地元でございまして、この人は見ておらないと思うのです。知らないと思うのです。初めて聞いたような顔して聞いておりますが、そういうのがあなたの地元で起きておった。たまたまその後あなたは大臣になられたわけだから知らなかったかもしれませんが、大変いいモデルがあなたの地元に実はあったわけですから、ひとつ大臣ももう一遍見て、こういうことに関心を持っていただきたい、これを要望しておきたいと思います。  もう時間もございませんが、毎回の当委員会で審議の際にNHKの職員の給与の問題が出ます。このたび就任されました竹見経営委員長が記者会見でこの問題を取り上げておられました。NHK職員の給料は安過ぎる、これでは活力は維持できない、こういう発言が新聞に載りました。島会長は、またあなたも文芸春秋の対談で、もうちょっと突っ込んで給料のことを述べておられますね。大体竹見委員長と同じような内容でありますが、あなたの御発言は、NHKは給料が安い、私だけではなくて同業の民放の皆さんに比べてNHKの職員はかなり安い。あなた自身も安いということをお認めになっておるのですけれども、あなたのところは役員が上がらなければ下が上がらぬようになっておるようですね。そういうことからお述べになったと思うのですが、何とかして給料を上げたいと思っているが、なかなかうまくいかない、僕はもう命をかんなで削っているようなものだと言っておる、こういう発言がございました。  私は同感であります。このことがいつもこの委員会で問題になってき、少しずつ改善されておりますが、民放とNHKと今どの程度の差があるか、時間がございませんが簡単にお述べいただいて、何とかこれを改善してもらいたいと思いますが、あなたの決意をひとつ述べていただきたい。
  62. 島桂次

    島参考人 確かにNHKの給与が同業他社に比べて残念ながら低い水準であるということは間違いありません。しかし私は、公共放送というのはいい面もありますけれども、悪い言葉で言いますと親方日の丸的な要素もないわけではない。したがって、一人でできる仕事を二人でということがないか、もっと経営の効率化、合理化ができないかという一つの側面もあるわけですね。ですから、要するにむだを省いて、むだを省いた分だけを少なくとも一生懸命仕事をする人たち、特に若い人たちに何とか再配分できないかということで一生懸命経営的な努力をしているわけであります。  ですから、そういう意味で言いますと、私ども公共放送ですからそんな不当な月給を欲しいとかあるいは待遇が云々ということも、神様じゃありませんからそれは欲しいに決まっているのですけれども、ただ私としては本当に仕事に見合う月給、その給与を少なくともほかの我々と同じような仕事をしている人たちと同じレベルまでできるだけ上げたいという私の気持ちは、もう私が経営に参加して以来絶えず持っていることでございます。  これも急にはまだいきません。ですけれども、この数年間には少なくともかなりの、あくまで今やっている仕事を整理しながらという前提がありますけれども、そういうところまで持っていきたいなというふうに、今いろいろ五カ年計画その他職員制度の改正だとか組織改正とかもろもろのことを通じながら、入る金というのはある程度NHKの場合限定されておるわけですから、その中でどう工夫し一生懸命働いている方々の給与を上げるかということ、これは大変な課題でございますけれども、今一生懸命やっておる最中でございます。
  63. 武部文

    ○武部(文)委員 格段の努力を期待するものであります。  時間がありましたら大河ドラマの「信長」のことを聞きたかったのですが、もう切れますので、これでやめます。  以上です。
  64. 野中広務

    野中委員長 次に、上田哲君。
  65. 上田哲

    上田(哲)委員 協会は一昨日、会長会見をもって来年の大河ドラマ「信長」をNHKエンタープライズという会社で制作をする、つまり外注をするという発表をした。話題騒然。NHKの組合である日放労は緊急に反対の記者会見をした。組合はこの外注撤回を求める。会長はこれを撤回するか。
  66. 島桂次

    島参考人 結論だけ申し上げますと、撤回する意思はございません。  加えて申しますと、外注という言葉の問題、これにつきまして、上田先生と私と、かなり認識の差があるのではないかということで、私はこれを続けていきたいと思います。
  67. 上田哲

    上田(哲)委員 エンタープライズというのは、NHKの関連会社の番組制作会社。子会社と一般に言われておるわけですが、手続として、ここに制作スタッフが出向するわけですね。そこで、出向する全制作スタッフ、プロデューサー、技術要員等々、何人ですか。
  68. 小山森也

    ○小山参考人 「信長」に関しましては、現在、NHKエンタープライズに制作委託をするという方針は決めておりますが、どのような形で、その細部の計算をどうするか、また、人間をどうするかということについては、これから検討するということになっております。
  69. 上田哲

    上田(哲)委員 これは随分ずさんな話ですね。  それでは、別な切り口から聞きますが、今行わ れている「太平記」、この要員、どういう区分けと人数でやっていますか。
  70. 小山森也

    ○小山参考人 ただいまやっております「太平記」は、まだ目下制作中でございます。一本の番組の制作に当たる標準的な問題、これは「太平記」だけではございませんけれども、プロデューサー、ディレクター、フロアディレクター、デザイナー、効果要員、技術要員等がございます。現在十二、三名でやっておりますけれども、ロケーション等の有無とか、その期間の長短、それによりましていろいろ変わってまいります。また、その本人がほかの作品との兼務もするという場合もございます。したがいまして、大河ドラマの制作に要する要員は何名ということをここで明確に、今制作中の問題でございまして、申し上げるような段階になってない、まことに申しわけありませんが、そういう状態でございます。
  71. 上田哲

    上田(哲)委員 これはめちゃくちゃですね。ざっとネットで十二、三人。プロデューサー、ディレクター、フロアディレクター、デザイナー、効果要員、技術要員、こうなっています。新聞で出ているところでは二十名前後ということになっています。「信長」も大体その辺のところということになります。  「太平記」の制作費と「信長」の制作費は変わりますか。
  72. 小山森也

    ○小山参考人 従来の大河ドラマを標準的な形で考えまして、これは非常に参考になる数字だとは思っておりますが、今度の「信長」でどれくらいになるかということは、先ほども申し上げましたように、目下方針を決めたところでございます。放送は実際は来年の一月からでございますので、まだそこまでの細部について申し上げる段階にないということを申し上げます。
  73. 上田哲

    上田(哲)委員 この程度の話で出向だけが決まる、外注だけが決まるというところに、そもそも経営方針並びに制作方針についての不安や懸念が生ずるんですね。  ちなみに申し上げると、「太平記」の制作費は十三億二千万円、大体そんなものでしょう。おおよそそういう総枠で、はっきりこれは出向として行くのですから、細部はこれからですとおっしゃるが、細部はこれからにしても、大綱としてはほぼそうしたものでしょう。兼務をするとおっしゃるが、制作主体はエンタープライズという別の主体に移るのですから、二またではできないわけですね。  具体的に答弁を求めていても意味がないようですから、こちらの当然な常識として理解をしておくのですが、まあ十二、三名というのは最低限、あるいは二十名というところになるかもしれない。そこに大差はないとして、これは身分が変わるのです。出向で、給与もエンタープライズから出るのですから、兼務もあるなどというなまなかな話では、そもそも経営方針がはっきりしないことになります。  そこで、先へ行くのですが、ここで懸念さるべき一点は、一昨日の公式な労使交渉の中でも提示をされているように、新年度四百三十人の人員削減がある、振りかえもあるので、ネット、純三百人という人員減が提示されています。この三百人の中にエンタープライズへの出向が含まれるわけでありまして、これはつまり、人員削減計画番組制作計画より先にあるのではないか、こういう不安が組合には明確にあるわけであります。
  74. 小山森也

    ○小山参考人 ただいま先生がお話しになりました件で若干私の方から申し上げさせていただきたいのですが、十二、三億円という数字は今までの平均的な物件費でございます。人件費は含まれておりませんので、これは直接制作経費でございます。したがいまして、トータルコストでどうなるかということにつきましては、その経費の中に含まれておらないということを御承知おきいただきたい、御理解いただきたいと存じます。  それから、これは人員削減の問題ではないかというお話でございますが、私どもが委託をするに当たりまして一番基本的に考えておりますのは、いわゆる人員削減というような表面的なものではなしに、ひとつ活躍の場を広めまして、いろいろ多くの同業の方たちと競作をするというような場を広めまして、無論NHKの諸君は優秀でございます。優秀でございますけれども、一つの枠の中で仕事をしてきたことも否めない事実でございます。そこにまた一つの外からの刺激というようなものも加わりますと、さらにいい作品ができるのではないかという期待も込められているということを御理解いただきたいと存じます。
  75. 上田哲

    上田(哲)委員 個人的には言いたくはないけれども、小山さんは全く放送の素人で、今NHK放送制作の総責任者の放送局長なんです。制作費の問題をお話しになるのならば、当然もう少し具体的な内容を含めた御説明がなければならぬ。  十三億二千万円というのは、あなたの方からあらかじめ正式に求めた資料ですよ。この制作費の上にさらに人間を向こうへ持っていってそこで別な制作をするんだという方針です。しかも、大河ドラマの第一号で出る、公式に外部に出す。しかも組合にも提示したというのであれば、もっと具体的な資料をつくるのが当たり前でしょう。それ自体が問題でしょう。しかし、いずれにしても私が明確にしたいのは、まず次のことです。  これまでの「太平記」あるいは平均番組制作単価等々を考えると、私は常識的に言って、この大河ドラマというのはNHKの看板番組である、代表的な番組である、このことは否定しませんね。
  76. 小山森也

    ○小山参考人 おっしゃるとおり、非常に看板番組であることは間違いございません。
  77. 上田哲

    上田(哲)委員 その代表的な看板番組を外注するということを、放送制作総責任者としてどう思いますか。
  78. 小山森也

    ○小山参考人 そのように看板番組であればこそ、より広い形での人材その他機材等を利用いたしまして、より広い形での、高い次元でと申しますか、我々の制作スタッフが非常に優秀であると同時に、さらに次元の異なったところで考え方のある方もございます。また、いろいろ制作方法も変わる方もございます。そういったことの技術等も入りやすい形で、広がりのある中で、よりよい看板番組をつくっていこうという考えでございます。
  79. 上田哲

    上田(哲)委員 まことに異なことを承る。  そうすると、あなたがさっき御答弁になった話は矛盾する。大河ドラマの要員について、プロデューサー、ディレクター等々といった制作スタッフの数はどうなる。今のお話だと、エンタープライズへいくと人も機材もさらにふえるとでもいうのですか。
  80. 小山森也

    ○小山参考人 先ほど十二、三名と申し上げましたのは、一般的な従来の大河ドラマの制作要員として申し上げました。ただ今後、先ほど申し上げましたように「信長」を外注することによってどのような人員が必要になるか、あるいは物件費がどうなるかということは、これから詳細に検討することになっております。
  81. 上田哲

    上田(哲)委員 方向がなくて詳細に検討ができますか。これは答弁にならない。会長に伺うしかない。  この発表に当たって会見で会長が述べておるのは、「NHK本体だけでつくっていては経費もかかり能率的でないとこれまで言い続けてきた」こういうことなんですね。今の放送局長の答弁は、新しい機材や人員もさらに拡大してというふうに受け取るのですが、一体それが拡大であるのか縮小であるのか、私には疑問です。会長のこの発言の真意はどこにありますか。
  82. 島桂次

    島参考人 この大河ドラマの問題につきましては、上田先生、大河ドラマだけに限定して今問題にされているようでございますけれども、私は、ここ数年間NHKを代表する幾つかの番組を、私に言わせるとNHKグループですね、そこへどんどん既に積極的に移しております。そういう意味では、確かにエンターテイメント部分では今度の大河ドラマが第一号といいますか、そういうことになっているわけでございます。  なぜ私がそういうことをやるかというと、かねがねこれは私の経営哲学でございますけれどもNHKは残念ながらこの四十何年間にある種の国民的な、私の口から言うのもどうかと思いますけれども、実績を上げたことも事実ですけれども、同時に、悪い言葉ですけれども親方日の丸的な、一遍確保した要員は、一遍確保した金は必ず確保していく、そういう悪循環ということがこの経営の中にあることも事実だし、能力のある人間が本当に一生懸命つくる場合と、こういう言い方は言いたくないんですけれども、能力は余りなくて普通の、NHKが今まで続いてきた財政が極めて豊富な時代に続けてきたそのやり方でやる人間をやはり峻別しなきゃいかぬ。そこへ競争原理というものを働かせなきゃいかぬ。その競争原理も、弱者を切り捨て強者を助けるという方向じゃなくて、私は、少なくとも強者を大いにやりがいのあるような裏づけをしてやる。  ですから、そういう意味で、どうしてもNHKの本体というのは、上田先生御存じのように、長い間の労使間の積み重ねあるいは経営のもろもろのものがたくさんあるわけですね。時代は大きく変わってくる、その中で、やはり私がこの関連団体の刷新、NHKグループ構想を打ち出した最大のものは、質のいい番組をできるだけ効率よく、はっきり言えば安くつくる一つの実験劇場、そういうものをやった人間に対してさらに評価を与え、そういった人間に今まで以上の人、物、金をつけてさらに番組をよくしていくという、いわゆるこの数年間私のやっております一つのやり方としてやっているのであって、今度の大河ドラマの場合も、私も二、三回第一線の若いドラマのディレクターを私の部屋に集めました。それで、一体君たち、この四十何年間大河ドラマを君たちの先輩がずっとやってきて、君たちはこれからやろうとしているんだ、これをこのままの形、このままの演出、このままの構成、こういう形の中で何かもっとすばらしいもの、何かできやしないかということで随分話し合いもしました。  その結果、今度は我々のパワーが十分生きるようなシステム、形をつくってくれませんかということで、ドラマプロダクションの責任者とも話している間に、番制局長あるいはドラマのプロデュース、特に大河ドラマ関係の人間の中から、ひとつ今までの公共放送NHKの内部のやり方じゃなくて、一歩進んだ、先ほど私がるる言ったような、そういうメリットを持っているところへ行ってそれで一遍やってみたいということがありましたので、それは大いに結構なことじゃないかと。  これは、必ずしもNHKにあるものを関連団体に出してやるという方法だけじゃありませんよ。NHKの人間がNHK番組をつくらなきゃならぬかもしれませんけれどもNHKにいる人間よりもよりすぐれた人間がいれば、その方をNHKの中に、一年間契約でもいいし、来ていただければもちろんいいですし、そういう外の血を入れる。これが国内だけじゃありませんよ、外国の、世界的なすぐれたディレクターを入れてきてNHK番組、エンターテイメントをつくったって、これは視聴者皆さん方にとって質のいい番組をできるだけ視聴者への負担を軽くして出すという考え方から、私は、これはできるんじゃないかと。現に二、三ぽつぽつ実行しておりますけれども。  そういう番組制作について私が言いたいことは、四十何年間、まあ責任者である私が言うのもおかしいのですけれども、これは個人でも企業でもそうですよね、やはりかなりマンネリ化してきますよ、硬直化してきますよ。それを、これだけ新しい時代の新しい公共放送、これだけ放送を取り巻く諸条件が激動している中で、やはりソフトづくりもいろいろのバリエーションでもやってみなきゃいかぬ。だけれども原則的に、十三人とか二十人とかいろいろ今数字がやりとりされていましたけれども、私は、本当に質のいい番組を効率よく、この大河ドラマをつくるためにはどういう方法でどういうやり方がいいかということを、放送局長とエンタープライズの社長、それからドラマプロダクションの今度やる人間について、徹底的にひとつ検証してみろということで、今きょう今日ここで上田先生に、幾らで具体的にこうこうこう、こういうふうにしてやっていく、それがこうこうこう変わる、前の大河ドラマに比べてこう変わってきたという具体的数字を挙げるにはまだちょっと時間が足りませんので、後ほどそれがはっきりすればその時期に差し上げたいと思っていますけれども、私がなぜ先生の言う看板番組をこういう形に持っていったかという基本的な私の考え方はそういうことであるということをよく御認識願いたいと思います。
  83. 上田哲

    上田(哲)委員 「はっきり言えば安くつくる」という言葉がありましたけれども、そこだと思うのですね。あなたは会見の中で、「たとえば原資が10円で作れるものが、9円で作れたら、残った1円を次の作品にかけてやればいいではないか。」ここの発言に実は質が落ちるのではないかという心配をみんなが持つわけであります。  さらにあなたは、「海外でビデオで売れるか、メディアミックスの方法で百のものが百二十になればいいではないか」という。これは大変「売らんかな」という発想優先。文化を目指すとか芸術を目指すとか番組の質の向上というよりも、制作単価の方に傾いていく発想だということになるのではないか。  例えばこの脚本を担当する田向正健氏は、「外注を知ったのはこの二月後半で、驚いた。迷惑な話だ。いいものを作る努力はするが、海外でビデオで売れるようなものが作れるかどうか約束はできない」と、報道によれば大変釈然としない表情だったそうです。だれもがやはりこれは経費節減優先じゃないか、番組の質の向上は二の次ではないかという懸念を持つわけです。こうすればそんなにもうかるのですか。
  84. 島桂次

    島参考人 私は、これはドラマに限定しませんと話は相当広がってしまいますので、ドラマに限定しましても、それはドラマというものが、言葉の問題もありますし、いろいろの問題があって、例えば、ほかのドキュメンタリーとか自然物に比べてインターナショナル性を持たないという一つの制約があるということは認めますよ。しかし、その中であっても、あの一年間通してやるという、ああいう演出方法ですね、そういうものをもうちょっとコンパクトあるいはもうちょっとつくり方を変えていけば、将来かなり国際的なマーケットをつくる可能性がまだまだあるんじゃないか。  これはNHKがもうかるとか経費節減するという問題じゃなくて、我々がつくったものを全世界に見てもらう。黒沢明さんの映画じゃありませんけれども、先ほどの委員会以来るる、日本情報がいかに世界にキャリーできないで、世界情報がいかに一方的に日本に入ってきているか。こういう突破口をエンターテイメント、ドラマのところでもやっていただきたい。そういう新しい試みをやるときにはやはり新しい器に盛った方が、新しい器に新しい酒を入れた方が早いんじゃなかろうかな。  あえて申しますけれども、私は無理やり業務指示で強制したわけじゃないのですよ。ドラマの諸君の、私も若いディレクターと二回ばかりやりましたよ。私はドラマについて素人ですよ。やはりそういう意欲が出てきて、ドラマの担当者もそういう形でやってみたいと言ったら、結果として私は、今総局長といろいろ放送総局の中でエンタープライズと詰め合っているはずですよ、それが逆に金がかかることになったっていいんじゃないでしょうか。  私は、質を高め、できたら、ここから先はできたらですよ、必ずしもそれだけとは言いませんよ、できましたら、やはりインターナショナルに通用するような素材をつくること、これはドラマに限らずすべてのNHK放送あるいは日本全体の放送あるいは日本全体のジャーナリズムが今一番要求されていることじゃないかと思うのですよ。そういう意味での実験を、一番最後におくれていたエンターテイメントの分野で私はこれからやることにした、こういう認識をしていただけませんか。
  85. 上田哲

    上田(哲)委員 やはり伺っていると、ちらちらと売れるかどうか、あるいは海外ではどうか、こ ういう発想が先に出てくるのですね。誤解を恐れずに言えば、私は番組制作には他の多くを抑えてもたくさん金をかけるべきだ、これが少なくとも公共放送NHKへの一つの期待ではないか、こう思いますね。  そういうことで言うなら、今年度放送制作費九百八億円、衛星を除いていますが、この中でドラマ制作費は五・八%ですから、決して高いとは言えない。だから、このことにもっと金をかけるなら、私は放送制作の方向としては正しいと思うのですが、どうしても経費節減となる。よい番組づくりに金がかかってもいいじゃないかというのは乱暴な論理とされる。やはり経費節減の方向が第一義的になっていかなければならないのですね。  例えば、新しい皮袋とおっしゃるが、時代劇をつくるというのはノーハウがあるのですよ。急にちょんまげを借りてきて上に乗せて刀を持たせても時代劇にはならない。NHKには長い間の時代劇のノーハウがある。これをぽんとほかへ持っていけばうまくいくということにはならないという問題がある。これが私は伝統といいますか、文化制作の力だと思いますね。あるいは自主制作ということの意味だと思います。  こういうものを、何か売らんかな、あるいはただ新しくすればいいというふうな発想だけで転んでいく。半年でどうかということも発想としては検討されていいと思うが、やはりそれらを丸めていくと、NHKの内部の、制作者を含めて組合に代表される人々の考えは、番組づくりが商業主義に進んでいく道ではないか、結局NHKは自主制作を少なくする分だけ自主性を失っていくんじゃないか、こういうふうに懸念をするのです。
  86. 島桂次

    島参考人 上田先生は長い間NHKにいらっしゃっていてわかっていると思うのですが、これは民間放送が、全くある意味では関係のない、資本的にも人間的にもいろいろ関係のないところへ番組をつくらせるのが外注というものなんですよ、一般的な概念によれば。  我々は、全部とは言いませんけれどもほとんどNHKにいる人間が、同じ人間が場所を変えてやるわけですよ。それは場所だけじゃないですよ。つまり番組づくりのやり方を変えていくわけですよ。それは今までNHKの中でやってきた番組づくりが本当にパーフェクトだったのか、金の問題はさておいてももうちょっといいものができないか。そういう場合に上田先生、四十何年そこで同じような人間が同じ場所でつくっていればどうしてもマンネリ化、硬直化しますよ。ですから、そこにいる人間が、ほかの人間がたくさん入ってくるわけでも何でもないですよ、その人間が場所を変えて新しいもっといい方法があるかもわからぬ。これは人の金について、そういう方法をやりたいということがなぜ商業主義になり、なぜ質が下がるということですぐ短絡されるんですか。  私は、そういうことをやることによって、NHK放送の質が高まり、さらに、これは余計なことを前面に出したような形になりましたけれども、さらにその素材がNHK放送以外の場所で使われ、外国にこれがどんどんやられるようなことになれば、これは将来すぐにはできないでしょうけれども、それがNHKの何らかの形での、何といいますか利益と言ったらおかしいのかな、NHKに金が入ってきて、その金がまた番組再生産に役立つ。  さらにこの問題というのは、先ほど申しましたように日本のドラマが、これは現代劇、時代劇みんなそうですよ、それを外国の人により多く見てもらうということが、やはりこれだけ国際的に孤立した日本を、何らかの一つのそれを救うためのものになるんじゃないか。だからドラマに限らずすべての分野について、私はNHKの作品が、ニュースだけじゃありませんよ、あらゆるものがそういう形でやっていかなきゃいかぬし、それをやるためには映像という、カルチャーも言葉も違いますけれども、映像という共通項を持ったメディアである我々が日本の先頭を切らなきやいかぬな、こう考えている中での一つの方向としてこういう措置をとった、こういうことでございます。
  87. 上田哲

    上田(哲)委員 大変大きい声で強調されるんだけれども、強弁だと思います。つまり同じ職場と同じ人で外注でないとおっしゃるが、給与も編成権も全部エンタープライズに任されるわけです。そういう立場での制作主体はNHKでなく、まごう方なく外注なんです。そういう意味では、NHKの中の今の声を伝えておきたい。  看板番組まで外注をする。同じ人、同じ場所だとおっしゃるが、それならばなぜ職員でできないのかという疑問は当然残るわけです。看板番組まで外注するのは、ドラマ、エンターテイメントは全部このあと出ていくのではないか、近く報道だけが残るNHKになるのではないか、こういうことが非常に大きな不安となっています。  給与の問題が先ほども出ましたけれども、給与向上はぜひしていただきたい。いい番組をつくるに見合う賃金をぜひ保障してやっていただきたいが、それもやはり下請会社にいくということで、悪貨が良貨を駆逐するように低くなるのではないか。文化生産の立場から懸念の起きるのは当然であります。  私は、そういう立場ではNHKが単なる電波発射装置になってしまうことを憂える。やはり文化生産は、責任のある一貫制作という中でこそ保障されるものだと思います。言論の自由もそこにあると思います。今のNHKへの具体的な懸念として、看板番組まで出ていくことになると、ドラマ、エンターテイメントは全部出ていって報道だけになり、ついには報道すら出ていくことになるのではないかという疑問、これに明快に答えていただきたい。そして再度この方針は撤回さるべきではないか、このことを結論的にただしておきたいと思います。
  88. 島桂次

    島参考人 ちょっと考え方がかみ合わないというか、違うところもありますけれども公共放送が質のいい番組をできるだけ効率よくつくっていかないと、これだけ競争がたくさん、これから物すごい過当競争になってくるこの情報化社会、多メディア時代、その中で公共放送が生き残れないという点については、上田先生も同感だと思うのですね。NHKと、昔はラジオしかなかった民放と、それがテレビが出てきて、NHKと民放だけ、しかもドメスチックな範囲の中で採算がとり得た、あるいは公共放送として存在し得たという時代とは今大きく変わってきている。それが、四十年間続けてきた、例えばドラマについて言えばドラマのつくり方というものが果たして今までどおりでいいのだろうかということ。やはり、そういうものを実験的に、意欲的にいろいろのあれをやってみなければ公共放送として生き残れないという、そういう時代の変化というものも出てきているんだということをお考えいただけないのかな。もちろんそれがうまくいかなければ経営者としての私は失格でございますから、私はよかれと思ってやっているのですから、どうぞこれから先のことを見届けてくれませんか。
  89. 上田哲

    上田(哲)委員 答えてないですよ。ドラマ、エンターテイメントは全部出てしまうのかどうか。報道だけ残るのか、それも出すのか。そして、この方針を撤回すべしへの具体的な答えです。
  90. 島桂次

    島参考人 これは当分、二、三年間に限って言えば、五年、十年先は別ですよ、大体今ドラマだけではなくて、報道番組とかドキュメンタリーだとか、あるいは教育番組だとか、どんどん、私はそういう表現を使いたくないですが、外注していますよ。NHKグループがつくっていますよ。ですから、ドラマもさしあたって大河ドラマを今度持っていきます。それを検証しながら、あと一つ、二つ出ていく場合もあるかもしれません。しかし、それはあくまで当分の間、この三、四年から四、五年間はNHK本体、それからNHKの関連会社というところへ併存体制になってくるんじゃないかということで、全部すぐ行ってしまうということではないことは、ドラマ部門だけでなくて全部門について言えるんじゃないかと思います。
  91. 野中広務

    野中委員長 次に、田並胤明君
  92. 田並胤明

    ○田並委員 私は、平成二年から六年までの五カ年の経営計画収入面から見た実施見通しについ て幾点か質問させていただきます。  その第一点は、平成年度から六年度までの契約増加目標というのを経営計画で見ますと二百五万件というふうにしております。そこで、平成年度の契約増加目標が三十三万件でございますが、これを達成したという前提に立って計算をすると、二百五万件から三十三万件を引きますから百七十二万件になります。この百七十二万件を残り平成三年から平成六年までの四年間で単純計算をしますと、一年間で約四十三万件の新規契約が経営計画の最終年度までには必要になる。これは増加目標ではありますが、あくまでも経営計画の中の収入見通しとしてこれだけのものが必要だという計算で立てられたと思いますので、四十三万件に対して平成年度の契約の増加目標を四十万件に抑えたその理由、要するに四十万件でいった場合に果たして経営計画の最終年度までに当初目標である二百五万件の契約目標が達成できるのかどうか。  それと、もう一点は、平成年度、本年度の契約増加目標を当初三十三万件というふうに置いたと思うのです。聞くところによりますと、本年、平成三年の一月末現在で三十三万件に対して二十四万件の達成と聞いております。そうしますと、残り九万件を本年の二月、三月で達成しなければならぬという大変な努力が必要になると思うのですね。もちろん、日夜を分かたず全力を挙げて営業関係の人たちが契約の増加を図るために努力をされているというのはわかるのですが、その辺について今言った二点、とりあえずお答えを願いたいと思います。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  93. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生お尋ねの、最初の経営計画における総数の二百五万件の達成は可能か、こういうお尋ねでございます。  この目標達成は大変シビアであることは事実でございますが、かなり高いレベルの目標達成に向かって、NHKは従来、カラー契約の総数の増加ということだけをやってきたものですから、それに加えて平成年度の八月から衛星放送というものが加わりましたものですから、これを達成しなければならないという二つの課題を追いつつ、この目標にチャレンジしている段階でございます。  したがいまして、平成年度の総数の目標は三十三万件、それから今度の予算で平成年度の総数の目標は四十万件というふうにさせていただきましたけれども、足腰を鍛えつつ増加を図ってまいりたいという趣旨でございまして、特に平成年度の総数四十万件につきましては、これはテレビをお持ちでNHKと当然契約していただかなければならないという家庭は恐らく三十五万世帯はふえるだろうという認定でございます。それから事業所の方は五万件ふえるだろうということで、これをともかくとり切る、契約をお願いするということで四十万件を達成してまいりたい、それが当面この二百五万件を達成する足固めであるということでチャレンジしてまいりたいと思っておるわけであります。  それから、平成年度の三十三万件の目標は本当に達成できるのかという御指摘でございますけれども、これにつきましては二月末現在で三十一万二千件、九五%の達成でございます。したがいまして、かなりの努力は必要だと思いますけれども、三月末までには目標はやり切れるだろうというふうに自信を深めております。
  94. 田並胤明

    ○田並委員 その四十万件で本年度は目標を立てたということについては理解をいたしますが、このままいきますと当初目標の二百五万件というのはかなり厳しいという数字にならざるを得ないと思うのです。この辺のところの一層の努力をお願いすると同時に、次の衛星契約の関係についてもお伺いをしたいと思うのです。  衛星契約は、五カ年計画でいきますと契約の増加目標を七百六十二万件としております。そして平成年度には衛星契約数を九百万件にする、このようになっておるわけでありますが、今と同じような観点から見ますと、契約増加目標をカラー契約と普通契約で九十二万九千件、これを平成年度で達成をするということになっております。これが達成をしたということを前提にしてみても、残りが、七百六十二万件から今の九十二万九千件を差し引きますと約六百七十万件ぐらい残りの四年間で達成をしなければならない。そうしますと、年平均では百六十七万二千件程度平成年度から平成年度まで契約の増加をしなければならないという算術計算になります。  これに対して、本年度は百四十五万四千件というふうに増加目標を置いているわけです。算術計算からすると百六十七万件ほど伸ばさなければいけないのが百四十五万四千件というふうに下方修正をしておりますが、これでいきますと、平成年度までには果たして当初目標の七百六十二万件の増というのが実現できるのかどうかというのは非常に危ぶまれる計算になります。この辺のNHKの考え方を聞かせていただきたいと思うのです。  私がこういうことを言うのは、先ほど来出ておりますように、NHK国民皆さんに質の高い、しかも豊かな放送サービスをするためにはどうしても収入の大宗を占める受信料というのが入らなければ絵にかいたもちになってしまうわけですね。もちろん副次収入それなり努力をされるようですが、例えば平成年度NHK予算を見ても、受信料収入というのは九〇%を超えるNHK収入の大宗ですから、またこれがあるためにNHKなんですから、そういう意味で長期計画、五カ年計画を立てたとしてもこの収入が入らないことには絵にかいたもちになりますので、そのことを心配をして聞くわけであります。
  95. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 衛星の契約の目標とその伸びの状況経営計画どおりに目標が達成できるのかということでございますが、率直に申しまして、衛星の普及状況は、当初この経営計画を立てたときよりはかなりのテンポで普及しております。したがいまして、基本的には普及が広がっていけば畑が大きくなっていくわけですが、大変な努力が必要でございますけれども、可能性としては期待できるんではないだろうかということでございます。  それで、今年度の目標九十三万件でございますが、これは先生も前提として置かれたように、既に私どもは達成しておりまして、今月末には百十一万件の達成はできるだろう。そうしますと、三月末の有料契約数で予定しておりました二百三十一万件はクリアできるだろうということでございます。  そういう中で、来年度百四十五万件の有料契約をしたいという目標を掲げて努力しているわけでございますが、若干当初の計画よりは下回っております。先生指摘のように、それは確実にやはり収入を確保していかなければならないという前提で考えますと、総数をやりつつ衛星も目標どおりやっていかなきゃならないという厳しい現状の中で、特にこの四月からは民間の衛星放送会社が有料放送で始めます。そういう環境の変化もございます。それから景気の先行きも必ずしもはっきりしないということもございます。  そういう種々のNHKの営業を取り巻く環境を十分分析した上で、我々としては確実に目標達成できるような第一歩を確実に踏んでいきたいというところから、三年度は百四十五万件の契約増加の目標にさしていただいたということでございます。
  96. 田並胤明

    ○田並委員 今理事の方からもお話がありましたように、確かに本年の四月から日本衛星放送、いわゆる有料放送が民間でも今度始まるわけですね。月二千円を出せばその払った家庭にだけ映像を流す、こういうことになります。これが始まりますと、まだ一社でありますけれども、恐らく視聴者の方はNHK番組を見ようとこのJSBを見ようと自由になるわけですね。そういう環境の変化が一つ間違いなく出てきます。将来的にはもっと多チャンネル時代になると思うんですが、そういう時代に入りますし、しかも衛星放送受信者の普及数というのはここのところ増加の一途をたどっておりまして、現在の普及数とNHKの 衛星契約の契約化率、これは私が見た資料では、平成三年の一月末現在では、普及率に対して契約化率は五七%程度と六〇%までいってないんじゃないかという気がするんですね。  島会長のある月刊誌のインタビュー記事を見ますと、普及数が本年中には五百万になるだろう、それから三年ぐらいたつと一千万になるだろう、五年ぐらいたてば二千万くらいになるだろうと言われるほど実は普及が早いと思うんです、いい番組をどんどん提供しますと。  ところが、これに対して今言ったように、現在、普及数に対して契約化率が五七、八%、六〇%程度では、これはお金を払わないで見ているという人がいるということになるわけですから、非常に不公平ですね。しかし、今言ったように民間も有料放送を始める。おれはNHKの衛星テレビ見ないよ、民間のだけ見ていればいいのだからということでやられたら、これはもう契約化率というのはどうしても頭打ちしてしまうんじゃないだろうか。それだけに大変な努力が必要だと思うんですが、これらをやはり乗り越えていかないと、先ほど言った五カ年計画で示されたもろもろの事業というのは見直しをせざるを得なくなってしまう、このように私は思うんです。  ですから、その辺のNHKの現在の状況と今後起きる変化の上に立って、どのようにこの経営計画を完全に実施をするという考え方を持っているのか、これをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  97. 島桂次

    島参考人 先生指摘のとおり、この衛星放送をめぐる問題というのは、ある面ではかなり深刻な状態になっておると思っております。  と申しますのは、一つは衛星の普及が、衛星放送を見たいといって自分の意思でパラボラアンテナをつけるという形よりも、メーカーがパラボラつきの受像機をどんどん売り出してしまう。そうしますと、いつか買ってみたらそこへ衛星が入ってきた、そういうものまで我々は我々の受信料の対象になるわけですね。そういう意味で私は、我々があらかじめいろいろ計算をしてつくりました五カ年計画、それをはるかに上回る普及数が出てしまう。出てしまうおそれと言うのはちょっと言い方がまずいのですけれども、どんどん普及してしまう。  そうしますと、今度はその放送の内容でございますけれども、この放送素材というのは七〇%以上NHKでつくったもの以外の、主として外国が多いのですけれども、その素材を買ってこなければいかぬ。ところが、放送素材代というのが百万のとき十円のものが、五百万になると十円じゃないのですよね。それが二千五百万になるような、この放送素材の高騰という問題が今非常に重くのしかかってきておるわけです。  ですから、これは衛星放送自体を採算を合わせるということはかなり難しい問題でございまして、私はやはりNHK経営者としてこれをやり遂げなきゃいかぬと思っておりますけれども、やり遂げなきゃいかぬという問題と、それが本当に三年、五年我々が計画したとおりいくのか。つまり収支相調っていくのか。それはいろいろ、例えば日本衛星放送という、ペイテレビの出現ということがNHKにとってプラスするのかマイナスするのか。やがて通信衛星その他を使いました、ケーブルテレビを利用したようなあらゆるニューメディアがどんどん発達してくるわけですね。BS4の時代になってくるとさらに衛星ステーションもふえてくる。  これはやはりこの一、二年中にNHKは一体何と何をやっていくんだ、何と何をやっていく場合に、どういうきちっとした将来の展望、見通しがあるのかということを考えたときに、もうちょっと、一年ぐらい衛星については実績を見まして、それである程度の判断を、今のシステムと違うようなことをせざるを得ないのかという判断を下さざるを得ないということを考えるほど、非常に難しい事業になってきているということは言えるのじゃないかと思っております。
  98. 田並胤明

    ○田並委員 まさにそういう時代に入っていくと私は思うのですね。ですから、例えば五カ年計画をつくったとしても、必要に応じて、例えば三年たったらばそれをローリングをしてみて、どういうふうにすればなおNHK国民の信頼にこたえた放送サービスができるかということを真剣に考えていただきたいと思うのですね。  そこで、本当時間があと十分ぐらいしかございませんので幾つか飛ばしますが、NHKの将来の形態についてお伺いをしたいと思うのです。  というのは、別に私は何も持っているものじゃなくて、島会長がある月刊誌の中で、NHKの将来の経営形態というんでしょうか、これについて若干触れている部分があるんですね。これは、「島会長はさまざまな前提、仮説を付けながらも、NHKの将来像について、「どういう形にするかといえば、公共放送は一つしかないという例はないわけで、ヨーロッパのドイツとかフランスは全国放送公共放送とローカル放送公共放送の二本立てになっている。そういう分け方もあるし、場合によっては、衛星放送なり何なりをNHK以外のところに移すという方法もあるし」と、さまざまに思い描いているであろう構図の一端を漏らした。これは、将来、NHKの分割ないし民営化は必至と考えている何よりの証拠だろう。」最後の方は勝手に編集者がコメントしたものなんですが、というような記事が出ておりました。  そこで、ヨーロッパのドイツとかフランス方式というのは、NHKの地域分割ということが考えられるし、後者の場合はメディア別に経営を変えていく、いわゆるメディア別の分割、そういうふうに想定をされないわけではないわけであります、島会長の発言の内容を聞きますと。これは今会長も言われたように、ニューメディア時代に入り、非常にメディアが多くなるという時代、しかもテレビも近い将来三十チャンネルとか四十チャンネルになるだろう、このように放送衛星が上げられてなるんではないかというふうに言われております。  そうすると、国民、我々からしてみると、どの情報選択をしようと自由なんですね、料金を払うんですから。この放送がどうしても見たいということになればそこと契約をしてその番組提供を受ける。つまり国民が自由に情報選択できるという時代に入っていくということを示していると思うのですよ。そうなりますと、今のNHK受信料制度が果たしてもつんだろうかどうだろうか、そういう危惧も恐らく島会長の頭の中にあると思うのですね。これは大変な時代に入るだろうと思うのですよ。  その場合に、受信料収入NHK経営をしている会長からすれば当然その経営の形態について研究をするのはごく当たり前なんじゃないだろうか、その考え方がぼんと出てきたんじゃないだろうかというふうに我々は見るわけですよ。  ただ問題は、NHKを地域別にばらばらにしちゃったりあるいはメディア別にばらばらにする、そういうやり方を島会長が考えているとすれば、今まで長年培ってきたNHKに対する国民の信頼であるとかあるいは今日まで蓄積をされたいろいろなノーハウであるとかいろいろな問題が、要員面も含めてかなり大きな問題が発生をするような気がするのですよ。  ですから、最高の責任者としていろいろこれからの多メディア時代あるいはニューメディア時代NHKが生き残るためにはどうしたらいいかということを真剣に考えるのは当然だと思うのですが、その場合に当然対応するいろいろな組織がNHKの中にあるわけですし、また外部からの学識経験者であるとかいろいろな人たちがいるわけですから、こういう方々を交えて、もし今の会長の頭の中にそういうような将来的なNHKの形態について考えがあるならば、当然研究会とか何かをつくって具体的にどうしようかということを始める必要があるんじゃないだろうか。  私は別に地域分割しろとかメディア分割をしろというのじゃなくて、本当にNHK公共放送と して生き残るためにこれからの新しい情報化社会に向かってどのようにその存立をしっかりとしたものにして、しかも国民皆さんに期待される信頼される公共放送として生き残っていくなら、生き残るというよりもっともっと発展をするためにどうしたらいいかということは当然考えていいと思うのですよ。  その辺のところについて、ひとつこの月刊誌に書かれている内容について会長見解なり、あるいは郵政大臣の今考えている内容等についてもしありましたらばお聞かせ願いたい、このように思います。時間があと五分しかありませんから。
  99. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 内容につきましては会長自身からまた御説明があると思います。  先生の御趣旨でございますが、いずれにいたしましてもNHKあり方につきましては常に時代の要請に適切に対応していく、そういう見直しは必要であろうと私も思います。ただ、公共放送民間放送の共存共栄という現在の放送体制は現在うまく機能をしていると認識しておるわけでございまして、そういう考えも一方に持ちながら、NHKの適正な規模などにつきましてもまた先生のこの国会での御意見あるいはまた国民の皆様方からのるるいろいろな御意見ども今後的確に把握をしながらまた対処をしていく、そういうような時代の変遷のまず第一歩といいましょうか、入り口に来ていることは事実でございましょうから、そういうようなことをきちっと見据えて対処をしていきたいと考えております。
  100. 島桂次

    島参考人 田並先生指摘のとおり、今まさにその問題がNHKの重要課題で、それによってはNHKの命運が決まるというほど私は深刻に考えております。  と申しますのは、このまま衛星放送がどんどん普及していきますと一千万、二千万、三千万となっていきます。その場合、それならばそれ以外の、衛星放送以外の状況はどうなっているか、地上波がどうなっているか、ケーブルテレビがどういうふうになっているか、通信と放送事業のかかわるような事業をどういうふうに展開していくか。  いずれにしましても、一つの放送機関が余りに巨大化してくるということは、民主主義国においてはたとえ公共放送といえども許されることではないと私は思うのですね。その場合私どもは、少なくとも公共放送が今の日本にとって必要だ、思い上がりかもしれませんけれども絶対必要だというプリンシプルを前提にして、その公共放送を生き残らせるための適正規模がどういうものであるか、これは絶えず考えなければなりません。放送の内容面からいっても、公共放送になじむ放送また公共放送でなければできない放送というのは最後まで残るんじゃないか、それは私の信念でございますから、そういうものを中心に適正規模、それはこれから日本のあるいは世界情報化社会がどういうふうに進展するか、そのぐあいを見ながらフレキシビリティーに対応していかなければいかぬ。  ですから私は、そういう意味でいろいろのケース、今までは公共放送NHK一つしかなかったわけですね、あと民放があるという形。これがこのまま続いていくかといえば、もう既に放送業者だって、ケーブル業者もあれば衛星業者も出てくるわけでしょう。将来ハイビジョンみたいな質的に全く違う問題もいろいろ抱えているわけでしょう。ですから、そういう中で公共放送最後まで必要だという大前提に立ちながら、国民皆さん方からのニーズにこたえ、あるいは国民皆さんから批判を仰がない、むしろそういう形が一番いいんだというものをここ一、二年中にはある程度の青写真をきちっと示す時期が来ておるのではないか、そういうふうに考えております。
  101. 田並胤明

    ○田並委員 まだ、島会長がベスト・メンに選ばれたのにNHKの職員の中に女性が少ないからどういうふうに今後対応されようとするのかということだとか、番組が四月から編成がえになるようですが、その基本方針であるとか、あるいは要員問題についてお聞きしようと思ったのですが、時間がございませんので、その三点はまた別な機会に聞くことにして、以上で終わります。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 野中広務

    野中委員長 次に、鳥居一雄君。
  103. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 引き続きお伺いをしてまいりたいと思います。主として放送衛星、ハードウェアの面で伺ってまいりたいと思います。  まずNHK会長に伺いたいと思いますが、通信・放送衛星機構がございます。今日的にこのあり方が問われているというふうに私ども思うわけです。  つまり発足以来、本来業務から始まりまして、本来の業務というのは宇宙開発事業団に打ち上げをやってもらう、あるいは打ち上げられた軌道上の衛星の運用、管制、さらにまた広がりまして難視解消のための事業を引き受ける、またさらに高度情報通信の基盤充実のために一役買おうという形で機構そのものが本来業務からかなりかけ離れてきておりますし、またBS3b、ことしの夏打ち上げられるわけですが、この中のトラポン一系統を機構自身が保有しよう、こんな形に実はなってきているわけでありますが、一方におきましてこの通信・放送衛星機構そのものは民間に移行すべきではないのか、こういう非常に強い強力な意見もあります。出資をしているNHKとしてこの機構のあり方、どうあってほしいとお考えなのか伺いたいと思います。
  104. 島桂次

    島参考人 放送衛星につきましては先生御存じのようにBS2b、BS3、このa、b、まだbは上げておりませんけれども、a、bともに必ずしも順調に来ているわけじゃございません。さらに私どもは来月BS3hという補完衛星を別に上げますけれども、一応BS3bのシリーズまでは、これは十何年間やってきた延長線上でいいのではないかと私は思いますが、それから先の衛星、これは通信衛星も含めまして、放送衛星の問題につきましては、もう既にアメリカでは、一九九三年にヒューズなんかか通信衛星、放送衛星を一緒にした百何十チャンネルの機能を持つような星を上げる計画もあるわけですね。  そうなってまいりますと、やはり日本においても、既に通信衛星もかなり発達しておりますし、我々の放送衛星も三チャンネルからやがて八チャンネル時代、さらに、技術革新によってもっとふえてくるような時代になってきますと、今までのやり方を基本的に変えてここで組み直して、本格的な宇宙時代の新しい放送衛星、通信衛星のあり方というのはどうやったらいいのか。  特にこれは、外国資本との競合もございますし、その中でようやく今、郵政省の皆さん方を中心に、これからどうやったらいいんだというような、いろいろ話し合いが進んでおるところでございますけれども、我々といたしましては、少なくとも安定的に我々の持っているチャンネルを維持していただく。そのためには、一番安い費用でそれを維持していただくということで、基本的には、今衛星の一応のオーナーになっておるわけでございますけれども、場合によってはオーナーでなくて結構だ。ちょうど今我々は、地上回線もNTTから借りているのですが、それと同じように、場合によっては衛星回線も、ハード会社なり第三セクターなりどこかが上げて、それをNHKの必要な分だけ借りるという方法はないだろうか。したがって、今のBS3の機構全体、このやり方についてはいろいろ変え得る方法があるのではないかという基本的な考え方で、今いろいろ関係各方面と話し合いを進めておるわけでございます。
  105. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、既に郵政省では、次期放送衛星問題研究会が活動を開始して、NHKとしてもこの中のメンバーに加わっていますね。NHKとしてのお立場をこれまで表明されてきていると思うのですが、NHKとしてはこの方法でぜひお願いしたい、こういうお考えですか。今お っしゃられた、いわゆるリース式の調達法人なるもの、第三者にトラポンを持ってもらう、そして、それからリースという形でNHKが借り受ける、こういう方式だというふうにお考えをまとめていらっしゃるわけですか。
  106. 島桂次

    島参考人 まだNHKは、経営としてそういう案を正式に決めて郵政省の方に話しているということじゃなくて、そういうものを頭の片隅に置きながら、要はこれから日本では本格的な衛星時代に入るわけですから、当然NHKだけではない、放送業者だけではない、あらゆる分野の人たちがここへ参入しようとしているわけですから、これはあくまで相手側の主張とかあるいは政府としての考え方とか、そういうものをいろいろお聞きしながら、だめなものはだめ、できることはできるという、そういうことを整理する段階じゃないか。そういう意味合いで、一日も早く郵政省を中心にこの問題について決着をつけてもらいませんと、もうBS3が上がりますと時間的余裕というのは極めて少なくなってきますので、できたらことしじゅうぐらいにははっきりしていただきたいなと思っておるわけでございます。
  107. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 このBS3、これから打ち上げられますBS3の一系統を機構が保有する。この一系統はどんな使われ方をするのでしょうか。ハイビジョンの実験あるいは普及だというふうに公開されているわけですけれどもNHKが単独でこれを使う、こういう形であるとすると、衛星調達法人という前提になるんじゃないか、こういう危惧があるわけですけれども、いかがですか。
  108. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 ことしの夏に打ち上げが予定されております放送衛星三号bでございますが、これは産投出資によりまして通信・放送衛星機構がその三本のトランスポンダーのうちの一本の中継器を保有して、これをハイビジョン放送を行う者に利用させるということになっております。私どもといたしましては、この利用に当たってハイビジョン放送に関心をお持ちであられる方々が幅広く参加していただけるような仕組みを設けたいと思っておりまして、その仕組みを中心にハイビジョン試験放送を行って、ハイビジョン普及を図ってまいりたいというふうに思うわけでございます。  現在、このBS3bが使用可能となると見込まれております十一月ごろから、一日につき八時間程度のハイビジョンの試験放送ができたらいいなというふうに思っているわけでありますが、放送関係の皆さんとかメーカーの皆さんとか広く関係者の意見を踏まえて、今この利用体制について検討している最中でございます。
  109. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これまでにも述べられましたとおり、今我が国放送体系というのは、公共放送であるNHK、一方に民放、強いて言えば放送大学学園放送というのがあるわけですけれども、この民放と公共放送の両立、その上から、民放の皆さん意見というのも一方にやはり大きな位置を占めているわけですね。  それで、衛星調達につきまして、専門部会に対しまして基本的な考え方が今述べられております。放送事業者である衛星利用者が主体的に衛星の調達、運用に関与できることが大事だ。それから、実質的な管理支配権と責任、これを衛星利用者が持つことが望ましいんだ。自由濶達な事業展開、放送事業者の主体性の確保、これが大事だ。調達法人については純民間で、公的規制の排除、対外経済摩擦の緩和、こういう条件を挙げまして、拙速を避けるべきだ。こういうふうに主張しているわけですけれども、研究会における議論はどういう状況でしょうか。
  110. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 ただいま研究会、昨年の秋からいろいろ御検討いただいておるわけでありますけれども、端的に問題点というのを申し上げますと、一つは、すべての放送事業者というのが今まだ決定してない面があるわけでございますけれども、そういうすべての放送事業者が決定する前に、その放送事業者とは別の法人が八チャンネルの衛星の調達を開始して、将来その衛星放送事業者に対して設備を提供していくという方式と、もう一つは、現にNHKが二チャンネル、それからJSBが一チャンネル使っているわけでございまして、この利用者は決まっているわけですから、当面はそういった既存の放送事業者が利用する衛星だけを調達して、あとは新規の放送事業者をまず決めてから後で衛星のことは決めればいいのではないか。端的に言えばこういうふうな二つの典型的な議論が今あるように承っているわけでございます。  そうなりますと、それに派生していろいろな問題も出てくるわけでございますけれども、その辺の比較考量を今研究会でやっていただいて議論していただいている状況でございまして、近々その結論をいただければというふうに私どもも期待している段階でございます。
  111. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますとNHKとしては、衛星調達法人なるものができて、そしてそこからリースという形か、あるいは購入をする形であったとしても、別法人が調達をする、こういう形の方が受信者にとって利益がある、こういう御判断が前提だと思うのですけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  112. 島桂次

    島参考人 放送衛星については、御存じのように、もう十何年か前からNHKが大部分を負担いたしまして、若干国の補助もございましたけれども、それをずっと続けてきたわけでございます。  公共放送というのは先導的役割がございますから、今までのことはやむを得ないにしても、これから先やはり、さっきの田並先生のお話ではございませんけれども、この衛星放送自体の経営というのは非常に難しい時代に入ってきた段階で、今までみたいな形、つまりNHKが主なその経費を分担して、そこへ一部政府が加わる、しかも上げる材料は国産でしょう、ですから、アメリカ、ヨーロッパの費用の三倍ぐらいかかるわけですね。  そういった問題がいろいろありますので、私どもは、もうそろそろBS計画からは、これだけ需要とあれがふえてくる本格的な衛星時代になるわけですから、我々はもう次の段階では一ユーザーとしてやらなければ、とてもそういう大きな財政負担には耐え切れないんじゃないか。いかにロケットとか中継器が安くなるといっても、かなり大きなものを上げますとかなりの費用がかかるわけですね。それをNHKが保有するということはもうそろそろ限度かなという基本的な考え方の上に立って、そこから先は郵政省の方針もあるでしょうし、あるいはこれから衛星事業に乗り出そうとするほかの方々もいるでしょうし、その辺の意見をどういうふうにうまく調和させたらいいかなというのが現在の姿でございます。
  113. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昨年の六月、日米合意によりまして次のような合意ができ上がっています。「国の開発する人工衛星については、今後は、商用目的あるいは定期的サービスの提供のためには利用しない。」そして「オープン、透明かつ内外無差別の手続による」という合意ができ上がりまして、これを受けて既にCSに関してはポストCS3、ですから、平成七年以降のCS4計画については、内外無差別ということに手続が運んでいるようであります。  BSに関して、このリースという形が将来とれるのか、あるいは保有したままNHKさんがいく形になるのか、いずれにしても、この日米合意を受けて進んでいくことになると思うのですが、どんなふうに受けとめられていらっしゃいますか。
  114. 白井太

    ○白井政府委員 ただいま鳥居先生おっしゃいましたように、人工衛星の問題につきましては、昨年の日米の合意によりまして、国の開発する衛星につきましては商用目的のためにはこれを利用しないということになりました。したがいまして、BS3までのようないわゆる開発と実用との相乗りをするというような形での衛星の打ち上げはこれからはしないということになるわけでございます。したがいまして、今後はそうした実用に供する衛星と技術開発を目的とする衛星とは別々に打ち上げるということになるわけでございますけれども、実用を目的とした衛星につきましては、ただいま、先ほど来御議論が出ておりますように、 まだどうした形でこれを打ち上げるか、あるいはどうした形でこれを利用するかというのが最終的に固まっておりませんものですから、その辺についてはしかとしたことは申し上げられないわけでございますけれども、先ほど来先生も御指摘になりましたような日米の合意で出てまいりました線に従って、開発等あるいは打ち上げ等を行うということになろうかと思います。
  115. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 先ほどNHK会長も表明されているとおり、オープンの方が歓迎だということなんですね。  それで、BSというのはもう、研究的目的があったとしても、いずれにしても実用に供する、一定期間使う、そういう前提ですから、当然この合意の枠の中のものだと受けとめております。受信者の立場に立って、衛星運用あるいはこの安定とやはりコストだろうと思いますので、受信者利益をぜひ守っていただきたいことを申し上げておきたいと思います。  それから、前に取り上げ、そしてこれまでの経過がございましたが、中波のステレオ放送につきましてNHKのお考えを聞いておきたいと思います。  電技審にその後かかりまして、室内測定というのを経て、長い期間のフィールド実験が終わりまして、今、資料の収集、それからこの分析という作業が終わろうとしている状況で、一、二カ月で恐らく電技審としては中波のステレオ方式の決定ということになるだろうと私は見ております。それで、この決定がなされますと、いわゆるAMステレオを音声放送において民放各社が一斉にやるだろうと思います。これは、FMが県域という非常に狭い地域であるのに対しまして、AMステレオは関東地方全域をうまくカバーできるという特性から、自動車のラジオ、そういうのに非常に歓迎されるし需要が高い。世界の主な各国ではもう既に導入している。これまでの経緯の中から、標準化するのにかなりの作業時間がかかったようですが、NHKとしては、ラジオ放送に新たな投資はできないという状況なんだろうと思うのですが、お考えを伺いたいと思います。
  116. 中村好郎

    ○中村参考人 お答えいたします。  中波のステレオにつきましては、今先生がおっしゃいましたように、ことしの早い時期に技術基準が決まるというスケジュールで運んでいるように聞いております。  それで、NHKとしてどうするんだという御質問でございますが、NHKは今、音声波につきましては、ラジオ二波とFM一波でサービスをしております。それで、ラジオは当然中波でございますので、遠距離に伝搬するという特性を持っております。FMは、高品質でありますけれども、その電波の性質からいってあるエリアに限定されるということでございまして、それぞれのメディアに応じた番組編成をして今のところサービスをしております。  それで、この中波のステレオの問題になってきたときにNHKとしては、この中波が遠方まで届くということは、逆に言いますと、例えば夜間の電波混信の問題でありますとか、あるいはステレオ化したことによって、フリンジといいますか電波の弱いところでのサービスが若干でも低下するというような問題も逆のあれとして出てまいりますので、例えばラジオの第一放送は一応広域をカバーしておるということから申し上げまして、その地域のサービスの実態あるいは視聴者等の要望等も慎重に考えながら、あるいは建設投資も一定の限界がございますので、そういう中で総合的にこれから検討していくということになろうかと思います。
  117. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わかりました。民放が先を行くことになるだろうと思いますが、十分検討していただきたいと思います。  続いて、放送会館につきまして一、二お伺いをしておきたいと思います。  NHKの老朽化した名古屋の放送会館の建て直しをやることになりまして、民間企業と提携をしていわゆる土地の高度利用を図ったということでありますけれども、どんな手順でこれに取り組まれたのか。それから、地域に根差すという意味から、視聴者のためにどういう配慮をされたものなのか。名古屋会館の規模、建設経費、視聴者に対する配慮など伺いたいと思います。
  118. 三河内賢二

    ○三河内参考人 名古屋の件についてお答え申し上げます。  NHKといたしましては、放送会館の建設に当たりましては、最近の建設費の高騰がございます。鋼材並びに人件費関係が大変高騰しております。  それから、地域にいたしましては、地域の都市開発計画がかなり進んでまいりまして、この辺のことを勘案いたしまして、特に地域からはNHK放送センタービルについては多大な関心がございまして、都市計画の一環の要請を承っております。  したがいまして、可能な限り現在地並びに敷地を有効に活用しなければならない、このように考えておりまして、名古屋の放送会館につきましても、この建てかえに当たりましては可能な限り視聴者の負担を軽減するという考え方から、敷地の有効活用を図りたいということで、地域の総合整備計画に合わせまして、つまり名古屋市は、あそこに新しい美術館並びに市民ホールをつくりたい、NHKにも名古屋市から、栄公園地域の共同開発等についての要請も賜りました。したがいまして、地域の都市計画の一環の中の位置づけということで、NHKもここに参画をいたしまして、新しい会館を建設するということにしたものでございます。  これによりまして、提携事業体の建物の所有分に見合う土地賃借権料を二百四十一億特別収入として私どもはちょうだいすることになりましたものですから、先生ごらんの予算書の中にも、新たに建設積立金といたしまして、今後これを新しく建て直したり老朽更新する場合の建設費の活用ということにしたいということでしたものでございます。  名古屋放送センタービルにつきましては、土地面積が二千四百坪ございまして、この敷地上に二十一階建てのビルを建てます。地下は四階でございます。高さは九十メートルでございます。床面積で申し上げますと約八万平米ございます。そのうちNHKは二八%程度、一万七千平米をNHKの敷地面積といたしまして放送会館の建設をしているものでございます。建設経費につきましては、NHK建設費は建物と放送設備を合わせまして約百二十五億の経費を要しております。  新しい放送センタービルでございますし、先ほど申し上げましたような総合都市整備計画の一環のビルでございますので、私どもといたしましては、地域文化の向上に役立つということをまず前提といたします。いま一つは、開かれたNHKという考え方に立ちまして、かなり広いスペースにつきまして、特に三階から一階につきましては市民広場ということで開放したい、このように考えまして、市民参加のプラザだという位置づけにさせていただきたい、このような設計のもとにただいま建設をしているところでございます。
  119. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もう一つ、この一時金なんですが、建設積立金に積み立てるということになっているわけですが、この積み立てと取り崩しの考え方について伺っておきたいと思います。
  120. 三河内賢二

    ○三河内参考人 提携事業体から一時金といたしまして収入を得るものでございますけれども、一時金収入と申しますのは、土地の借り主が、提携事業体でございますけれども、提携事業体が土地を使用する権利、つまり建物を建てる権利、これを取得するために、土地の賃貸借契約によって、権利金として地主に、つまりこれをNHKに支払うということになるものでございます。これを土地賃借権料と申しているわけでございますが、この名古屋放送センタービルの土地賃借権料につきましてはこの割合を、一般市場におきましては六〇%から七〇%というのが常識でございますが、私どもは七〇%の割合でこの一時金収入の基礎ベースといたしたものでございます。  算出といたしましては、その土地面積に対します、先ほど申し上げましたように二千四百坪のものでございますので、センタービル全体に対する提携事業体の利用の割合が、先ほど申し上げましたように約七二%程度でございますので、したがいまして当時の坪単価にその割合を掛けまして土地価額が出てまいります。これは三百四十五億でございますけれども、この三百四十五億の金額に対しまして土地の価格の先ほど申しました七〇%を土地賃借権料という形になって二百四十一億円を算出して、お互いに協定したものでございます。
  121. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 終わります。
  122. 野中広務

    野中委員長 次に、秋葉忠利君。
  123. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会党の秋葉でございます。幾つか、主に三つの分野にわたって質問をしたいのですが、まず、答弁されている方、朝からで、ちょうどお昼どきで、さぞお疲れのことと思いますが、今の時点では私も空腹でございますので、条件は同じですので、よろしくお願いいたします。  まず最初に質問したいことは、実は後にも触れることとも関連があるのですが、最近議員会館内に、予算委員会等をテレビで実際に自分の部屋から見られる、そういう有線の装置が入りまして、同時にパラボラアンテナがつけられて衛星放送が見られるということになりました。  それに関連して、実はこれはNHKとしては、例えば我々逓信委員も含めて国会議員に、先ほど田並議員の方から問題提起がありました受信契約の実際の営業のやり方について、具体的に我々に実地体験をした上で、そのさまざまの問題について国会で批判をするなりあるいは称賛をするなりそういうことをしろという趣旨で、恐らくその受信契約をとるという目的のほかにそういった目的もあったんじゃないかと思いまして、あえて質問をさせていただくわけですが、この我々の議員会館内の事務所にNHK衛星放送の契約をとりに来た方々の契約促進の方法といいますか、それが実はかなり、よく言えば熱心であった、悪く言えば非常にあくどいものであった。強引と言ってもいいんですが、もうちょっとあくどいとあえて言わせていただきますが、そういう批判が非常に多く出てまいりました。  例えば虚偽の事実を、事実ではありませんけれども、虚偽を申し立てて勧誘するとか、あるいは脅迫まがいのことを言って契約を迫るといったようなこともあったわけですけれども、これを事実我々の事務所で秘書あるいは議員本人が経験をいたしまして、受信契約の促進のあり方について私はやはりNHKに一考を促さなくてはいけないんじゃないか、まさにそういった一考を促す資料としてNHK側としては正直にありのままの姿を我々に見せてくれたというふうに解釈しておりますので、一考を促したいのですが、それについて、今後の営業促進のあり方について再検討し、もっと本来のNHKらしい格調高い、しかも営業促進が同時に効果的にできるような方法を考えるといった決意をまず伺いたいと思います。
  124. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 厳しい御指摘でございましたけれども、対応の未熟さがあったということは報告を受けておりまして、その点では誤解を与えるような対応があってはいけない。特に、私どもとしては放送法に準拠して御契約いただいているわけではございますけれども、公共機関でもありますし、放送という文化事業でございますから、御納得いただくように説明してやらなければならないというふうに考えております。  今回の議員会館の対応につきましては、一年前からいろいろと関係方面とお話しした上で議員会館の方の措置が済んだということでございましたので、私の名前で各先生方にお願い申し上げた上で予告さしていただきまして御契約をお願いしたという経緯がございますので、その中で、もしも行き違いがあったとすれば、対応の未熟さだろうと思いますので、そういうことのないように今後はしていきたいと思っております。
  125. 秋葉忠利

    秋葉委員 ほかに幾つか問題がありますので、ともかく改善努力をお約束いただいたということで、とりあえず次の問題に移らしていただきたいと思います。  これは先日の質問でも触れたことなんですけれども湾岸戦争について二つの質問をさしていただきたいと思います。  まず最初ですが、先日も申し上げましたように、深夜放送の自粛ということを検討してほしい、そういう文書が放送事業者あて、さらに民間放送連盟あてに放送行政局長の名前でそういった文書が出されております。  これについて、一体どういう根拠で、一体どのくらいのことを目標にして考えていたのかということを伺いましたけれども、時間が十分ございませんでしたので、再びその点について伺いたいのですけれども、この呼びかけにこたえて深夜放送が例えばテレビで自粛された場合に一体どのくらいのエネルギーが節約される、そういった見通しがあったのかどうか。その時点で、要請文を出した時点でそういった見通しがなかったにしろ、その後計算をした結果大体どのくらいのものか、具体的に数字を挙げてお答えいただきたいと思います。
  126. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 その時点で具体的に計算があったのかという御質問でございますけれども、どちらかと申しますと、理念としての省エネルギーというものの意義を国民各層に広く訴えるということが主目的でございまして、具体的な数字というものをそのときに目標みたいにはじいたものが私どもにあったというわけではございません。  では、その後どうだというお尋ねでございますが、これも非常に難しい計算でございまして、計算といいますか、どういう計算をしていいのかわからないようなものでございますので、いろいろ仮定を置くわけでございますが、全国の放送局が二十四時間放送していたという前提で、例えば午前三時から午前五時の二時間、番組を打ち切ったというようなことをまた前提にいたしまして試算いたしますと、さらにまたテレビの電力だけでなくて、早く就寝することに伴う暖房だとか部屋の電灯などそういうエネルギーも含めて計算いたしたつもりでございますが、全国で一日当たり約九万キロワット時の電力、一日の全日本における使用電力量の〇・〇〇六%ぐらいかなというような数字が一応計算で私ども出してみたところでございます。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  127. 秋葉忠利

    秋葉委員 その計算をしていただきましたけれども、ということは実質的に後で計算した結果で結構なんですが、まず最初にこういった知る権利といいますか、表現の自由に関連して私たち国民の知る権利ということが非常に大切だと思いますけれども、そういった民主主義に、本当に本質的な権利を制限する、放送の時間を自粛するということはそういうことになるわけですが、その権利を制約するに当たって全電力使用量の例えば〇・〇〇五八%、そういった一%にもはるかに満たないようなエネルギーを節約するために放送の我々の知る権利あるいは表現の権利を制限してもよいという方程式を暗黙裏に頭の中に置かれていた、こういうことだと思いますが、これは実はかなりゆゆしき問題でありまして、この〇・〇〇五八%というのを油に換算することができますし、油はお金に換算することができます。そういたしますと、それを〇・〇〇五八で割って、全部の一〇〇%ということにいたしますと、私たちの知る権利が現金に換算されるということになります。  つまり、これだけの金があれば実は我々の知る権利を制限してもいいんだという間接的な、これは等式をずっとつないでいきますと、最初も最後も全部同じになるわけですから、論理的には正しいわけですが、そういうことを実質的にやられているということだと思います。  それほど我々の知る権利あるいは表現の自由、そういった民主主義の基本的な原理というのは安いものなのだ、そういう認識でこれをやっておられたのかどうかということをもう一度伺いたいと思います。     〔松浦(昭)委員長代理退席、園田委員長代理着席〕
  128. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 もちろん知る権利の大切さというものは私ども人一倍認識しているつもりでございます。ただ、昨年の秋のああいう中東湾岸危機状況のもとで、省エネルギーということの意味そのものの国民に対する訴え方というものについても、そういった比較にはなりませんけれども、大切なことであろうと私ども政府としては存じたわけでございまして、権力で制限するつもりは毛頭ございませんでした。  この間も御紹介いたしましたけれども、私の手紙というのは、この決定の趣旨を御理解の上、深夜におけるテレビジョン放送の時間短縮等について検討されますように御配慮をお願いしたいという趣旨の手紙を出しただけでございまして、その後どうだったかこうだったかということを行政的に指示したつもりもございません。  また、お金に換算できるのかというお話でもございますけれども、やはりエネルギーというのは、石油というのは人類の有限の資源でございますので、単なるお金だけでこっちとこっちを比較するのもどんなものかなという感じが私はいたすわけでございます。
  129. 秋葉忠利

    秋葉委員 実質的にエネルギーを得るためにお金が必要なわけですから、その換算は意味があることなんですけれども、その点についてもう一つ申し上げておきたいのですが、確かにエネルギーを節約することが大切だ、そのために放送時間を自粛するという方法があるということはわかります。  ただし問題は、それ以外にも非常にたくさんのやり方があるということです。その中でどれが一番適切なのかということを判断をしなくてはいけない。判断をするためには基準が必要になります。その基準があいまいなままにこういった文書が出ている。ただこの文書を出しただけだ、検討を頼んだだけだとおっしゃいましたけれども、実質的にその要請文にこたえた放送局があります。ですから、それは実質的には制限をした、その原因をつくったことになっているわけですから、手紙を出しただけだということでは私は済まされない問題だと思います。  そこで重要なことは、今申し上げましたように、こういった報道の自由あるいは知る権利を制限する必要が生ずる場合というのは恐らくあるだろうと思います。絶対ないとは言えません。大事なことは、その場合に一体どういう判断基準でそれを行うかということだと思います。今回のこの件で私がお願い申し上げたいのは、今後こういった要請文を出す場合、知る権利あるいは表現の自由といったことを制限するような場合には、きちんとした判断基準をまず示していただきたい。それが国民全体にとって納得のいく基準であることがもちろん必要なわけですけれども、そのことをお願いして、この問題についてはまた再び触れなくてはならない日が来るかもしれませんが、来ないことを期待しておりますが、とりあえずこの件については、今の基準をしっかりつくっていただきたいということをお願いして、次の質問に移らせていただきます。  これはやはり同じ湾岸戦争に関連しておりますが、湾岸戦争についての報道の偏向ということであります。  昨年のこのNHK予算の審議において、特に受信料関係があったわけですけれども島参考人は、「一つの出来事について賛成、反対、できるだけ多様な意見を出すということは当然だと思う」ということをおっしゃっていらっしゃいます。  そのことについて、今回の湾岸戦争報道湾岸危機、昨年の八月二日からでも本当は結構なんですが、余りにも期間が長過ぎますので、一月十七日以降というところに絞って、湾岸戦争についての報道が公正であったのか、本当に中立の立場から、客観的な立場から放送することに徹することができたのか。島会長自身NHK放送については伺いたいと思いますし、放送行政局長には、民放も含めて郵政省としてこの放送の中立性、ひいては私たち国民がこの戦争についての態度を決定する上で、本当に大切な事実あるいは考え方といったものが広くそして多様に公正に伝わったかどうか、そこをどう考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  130. 島桂次

    島参考人 湾岸戦争というのは、テレビにとってもまさに画期的な出来事でございまして、バグダッドで開戦をして多国籍軍の爆撃が始まったと同時にその絵がリアルに全世界に流れるというようなこと。そういうことだけではなくて、この湾岸戦争に対してサダム・フセイン大統領はもちろん、アメリカ側のブッシュ大統領もフルに映像、テレビというものを利用して、自分たちの立場、考え方ということを全世界に向かって発信したことは事実でございます。  その間にあって私どもは、この戦争の実態というものを公正中立に客観的な立場に立って報道したと私は思っております。ただ、何せ長い期間の、NHKとしても累計にしますとかなりの時間数をやったわけでございますから、部分的にはあるいは出演する人間によっては、一つの特別な見方を発言するような場合も若干あったんではないか。記者のリポート、特に外国のコレスポンダントに頼んだときには、部分的にはそういう面も出たかと思いますけれども、いずれにしても番組全体、報道全体としては、あれだけ長い時間をああいう形で報道し得たということは、ひとつ私としてもよかったんじゃないかという、こういう評価をしております。
  131. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 放送におきましては、その公共性あるいは社会的影響力が大きいということでございますから、報道が適正に行われるべきであるということは、もう先生おっしゃるとおり私どももそのように思っております。  ただ、今回の湾岸に関連したいろいろな報道が公正に事実を伝えたかどうか、行政の立場としての感想を言えという御趣旨でございますけれども先生御承知のとおり、個人的に感想はいろいろ持ってはおりますけれども、政府といたしましてこういうことに対するコメントというものは申し上げる立場にございません。結局は、最終的には視聴者である国民の判断に任せるべき問題であろうというふうに存じておる次第でございます。
  132. 秋葉忠利

    秋葉委員 感想をというか、公正さということは、さまざまなはかり方があると私は思います。島会長は今、非常によかった、非常にがついたかどうかはちょっと覚えておりませんが、よかったとおっしゃいましたが、私は説得力を持つためにはただ単に感想では不十分だというふうに思っております。  特に公正さというような点からは、ある程度数量化が可能ですから、具体的にそのことをやってみました。その結果は私にとっては少なくとも、そしてこれは私の知っている学生約二十人の協力を得て、具体的にテレビを見てもらって、二月の六日から十一日まで、六時台、七時台、それからテレビ東京の場合には五時半ですが、大体夕方のニュース帯について、湾岸戦争についての報道ニュースソース、それがどこであるかということをチェックしてもらいました。これは二人一組になって、ビデオもとって誤りのないようにきちんと調査をした結果ですが、そのニュースソースをA、B、Cと、Aというのは多国籍軍に参加している国々がニュースソースである、それからBというのがイラク、ヨルダン、これは一応イラク側と見てもいいと思いますが、Cがソ連、イランその他の中立国という形でニュースソースを調べました。  その結果、例えばここに数字を申し上げますが、NHKの例で申し上げますと、二月六日から十一日、多国籍軍側、アメリカ側、ニュースソースが二十八です。それに対してイラク側が二、中立国三です。この二つを合わせたとしても五対二十八。約六倍も多国籍軍側のニュースソースが多くなっている。これはやはりアメリカ側のニュースばかり見ていれば、しかもアメリカ側のニュースが検閲されているということはかなりよく知られていた事実ですから、それはイラクも同じですけれども、いずれにしろ、プロパガンダとしては 非常に強いアメリカのプロパガンダになったということであります。  それからその他についても、一々数字を申しませんが、例えば一番よかったのはTBS「ニュースの森」、これはバランスがとれていたという意味ですけれども、多国籍軍側が、アメリカ側がと言ったら簡単ですから言いますが、アメリカ側が十四、イラク側が七、中立側が二です。ですから、十四と七をとりますと大体二対一。二対一と比べてNHKの二十八対二、十四倍というのは余りにも格差が大き過ぎるんじゃないか。それでもこれが本当にバランスのとれた、しかも昨年おっしゃいましたように、一つの出来事について賛成、反対両側をできるだけ公正に報道するということが言えるのかどうか、私は非常に疑問に思います。  やはりこういった、これが唯一の調査でないことはもちろんですけれども、公正だというからには、具体的にこれこれこういう数字があって、それからもう一つつけ加えておきますけれども、今のはニュースソースですが、一つのニュースについて平均的にアメリカ側のニュースの方が時間が長い。ですから、具体的な時間で言いますとこの格差というのは十四倍どころか恐らく二十倍、三十倍、それ以上になるかと思われます。それを考慮いたしまして相関関係を考えると、例えばアメリカの非常に圧倒的なブッシュ支持、それと日本における九十億ドル支援に七〇%もの世論が集まったということは、本当にこれは公正な報道の結果なのか、あるいはニュースソースが偏っていたために、そのニュースソースの偏りを国民がそのまま正直に反映してしまったのか、非常に大きな疑問が生じます。  その点について手短に、短くて結構ですから、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、そしてこういった偏りをこれからどういうふうに是正していこうとするつもりなのか、考えを聞かしてください。
  133. 島桂次

    島参考人 ある事件のある時間帯だけを物理的に計算されればそういうときもあったかもしれませんけれども、私に言わせますと、例えばサダム・フセイン大統領との直接インタビューを初め、バグダッドにも日本でただ一つの放送機関としてあそこへ随分長い間とどまっていろいろのことを報道していますし、我々が動員した軍事評論家、政治評論家の中には、随分放送中に余りひどいイラク支持があり過ぎるじゃないかというふうに指摘されたこともございます。  総体として私が公正だと言うのは、これはやはり何といいましても国連決議があるわけですね。国連決議があって、ああいう戦争に対する一つの現象があったということと、もう一つは情報の量、情報の質ですね、これはやはりイラクというのは非常に閉鎖された社会、現に入れなかったときも多かったですし、イラクに同情的なアラブ諸国というのもほとんど、ヨルダンを除きましてクローズ状態になっていたというようなこと。それからもう一点挙げれば、どうしても我々は残念なんですけれども、CNNとかABCとかアメリカの放送機関にニュースのネットワークとかいろいろなそういうものを頼らざるを得ないといういろいろな側面がありまして、物理的な感じで言えばそういうことかもしれませんけれども、私は全体を通じて決して偏向した放送をしたという感じではないわけでございますので、その点ちょっと先生とは違うんじゃないかと思います。
  134. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のは全然反論になっておりません。私は具体的に数字を申し上げました。これは具体的にはかった数字です。それに対して私の感じではというのは全く感じにしかすぎません。おっしゃったように感じというのは、個人の視点あるいは生活態度それから哲学、そういったさまざまのもので変わってまいります。心理学の原則を申し上げるまでもありませんけれども、客観的ということをおっしゃいましたが、客観的な数字に対してはそれが本当にごく一部しか代表していないものであれば、全体を総括した数字を出してください。その上できちんとした反論を行ってください。そうでなければ議論は全くできません。ですから、そういった数字がない以上、ここにある唯一の数字をとってやはり偏向していたという結論を出さざるを得ないと私は思います。  それからニュースソースの国々ですけれども、イラクは閉ざされていたかもしれませんけれども世界には百六十カ国、国があります。その中には例えばアフリカ諸国のように、この湾岸戦争によって例えば自国の飢饉が非常に大きな、さらに大きな危険にさらされている国もあります。それは直接戦争には関係のないことでありますけれども、しかしながら世界を考える上で非常に重要な問題です。  例えばそういった問題についてもNHK報道していない。例えばエチオピアの六百万人の飢餓の問題についても、それが直接湾岸の戦争の影響を受けてその状況が深刻になっていることについても報道しておりません。例えばさまざまな形で世界じゅうの本当にいろいろなニュースソースから、この湾岸戦争というものを全体的にとらえることが可能でした。しかし、それにもかかわらず、今申し上げたようにこの学生たちが調査したような圧倒的な偏りがあるということは非常に大きな問題だと思います。  公共性を名のられるからにはやはりそういった問題についても意を払われて、反論をされる場合には具体的に数字を挙げて、どこに客観性があるのか、そしてその数字の根拠はどういったことかということをきちんと挙げた上で反論をしてくださることをお願いして、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきます。
  135. 園田博之

    ○園田委員長代理 次に、上田利正君。
  136. 上田利正

    上田(利)委員 最初にNHKにお尋ねをいたします。  五カ年経営計画平成年度の予算の関連でございますけれども、先ほど同僚議員の田並委員からもこの御質問がございました。ダブらないように経営計画と予算の関係を質問していきたい、こう思います。  先ほども田並委員からも指摘されました。実は昭和六十一年から四年間にわたりましてNHKは赤字予算を本委員会に提案をしてまいりました。そして昨年の平成二年予算の段階で一八%というような形、約二百円になりましょうか、受信料の値上げというものを出しました。そしてその中では、今後は受信料値上げはもうできるだけやらない、そのためには経営計画を立ててそれに基づいて行っていきます、三カ年計画でなくて今度は五カ年のスパンをもって計画をして、そして料金値上げのないような形で着実に経営を行ってまいる、ですから今回の一八%という大幅な受信料の改定だけれどもぜひ認めてくれということで、昨年は本委員会の中でもいろいろな論議がございました。  結果的にその受信料の改定が通ったわけでございますけれども、そのときの経営計画、先ほど同僚議員の田並委員指摘をいたしましたけれども、そのときの経営計画に比べますと、昨年決めて九四年までということの五年間でございます。ことしが二年度ということになるわけでございますけれども、去年スタートを切りまして、ことしなんです。それがなぜこのように事業収入にしても落ち込むのか。地上波においても、言うならば受信料はこれだけ収益を、経営計画をやりますよというのが、二十五億円減っている。それから衛星におきましても九億円減る。基本収支の中では十六億と九億ということでございますが、総体的に受信料は二十五億円経営計画よりも収益がございませんということなんですね。  そして、あわせて事業支出の方を見ますと、何か節約したとかいろいろなことを言っておりますけれども、結局は経営計画によるところの収入が入らないものですから、衛星にしても、言うならば見る人はたくさんになったけれども、契約率は五七%でどうにもならないということの中から支出も抑えなければならない。効率的にということを言っておりますけれども、効率じゃないのですよ、支出を抑えなければ収入が入ってこないのだから、経営計画どおりに。だからつじつまを合わ せただけじゃないか、こういうふうに私はこれを直観的に見ているのです。  ですから、そういうことの中で考えて、なぜ経営計画平成年度の予算の食い違いが、収入についても支出についても違うのか、この点をまず最初にNHK側にお願いします。     〔園田委員長代理退席、川崎(二)委員長代理着席〕
  137. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えします。  去年は赤字財政を克服すべく国会にお願いしまして、五カ年計画というものをお示ししてこれを了承していただき、料金改定をさせていただきました。私ども衛星放送の料金を新設いたしまして、それとともに頭打ち状態になっております地上波の料金の双方で頑張るという、営業活動も非常に苦戦をしております。その中で先生にお届けしましたような予算書の内容になりました。これは極めて残念でありますが、目下営業の方で大変頑張っておりますので、この善戦を期待するわけでございます。  五カ年計画というのは、五カ年間のおよその事業計画収入を五カ年間に収支とんとんさせるということで設定いたしましたけれども、単年度ごとに我々は経営努力をしながら、国会でこういうふうに御相談申し上げるわけであります。当初の二年目でそういう狂いが出てきたということは残念でありますけれども、私どもはできるだけの受信増、収入増を目指すとともに、そこにお示ししておりますような組織及び仕事のやり方の整理を進めまして、五カ年間の二年目で計画を修正するというようなことはしないで、その五カ年間の枠内でできるだけこの計画が達成できるように努力いたしますということを申し上げたいと思います。
  138. 上田利正

    上田(利)委員 五カ年計画に去年からスタートしまして、二次年度でございますけれども、もう狂いが出てきたということ。本来ならば五カ年全体でやればいい、今こういうお答えでございますけれども、やはり計画を示して、これで料金の改定もしてくれ、視聴者には負担はかけるけれどもといって、これからは健全ですよといったものが、もう一年で崩れてしまったのだから、本委員会に出す場合については必ず経営計画の見直しを出しておいて、それで、これこれこうでございます、そして、来年の計画、来年は当初の計画よりも少し上積み、ことしの落ち込んだ分だけやりますよ、再来年もやりますよ、九四年までにはこうやりますよという、今度はそっちの方はふえていくわけなんでしょう、トータルでやろうということで。だから、そういうことをなぜやらないのですか。
  139. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えします。  目下の一番大切なことは、先生も御案内だと思いますけれども視聴者に対して放送サービスの向上、これが一番重要であろうかと思います。多チャンネル、多メディアの中で、しかも国際化が急速に進行してまいりますから、それに各チャンネルを使いまして、できるだけ放送を向上させていく。こういう内容において、もし欠けるところがあれば、これは国民に対して申しわけありませんけれども、この点については私ども計画どおり実行してまいりますし、それについては自信を持っております。  ただ、先ほどから営業総局長が何遍も繰り返して申し上げておりますように、受信者の伸びにおいて、これは双方頑張らなければいけませんので、衛星と地上波とどちらもおろそかにできませんから、この点で苦戦しておりますけれども、営業当局は必ず目的は達成するというふうに先ほども断言しておりますので、そういう努力を信じながら、放送のサービスの向上の面では一切低下を来さない、事業計画どおりやるという決意でございます。
  140. 上田利正

    上田(利)委員 事業計画どおりの決意はわかりましたけれども、私は、人の問題と絡めて言っているのです。上田委員も申しましたけれども、純三百名を減らすということでございます。これも支出を抑える一つの大きなものになるでしょう。そういう中で営業の人たちが一生懸命汗を流してやっている。やってもやっても、一年間やって、結局なかなか目標が達成できない。ことしもやるのだけれども、人は減る。減る中で去年よりも一・五倍ぐらいの仕事をやっていくのですね。その努力たるや大変なものです。  ですから、そういうもの等含めて考えますと、やりますやりますといっても人間には限度があるわけでございまして、仕事をしておって亡くなって、今問題になっている訴訟の問題などもございますけれども、そういうことであってはならないと思うのです。ですから私は、経営計画を立てたら、無理であれば無理であるようにしなさいよ、こういう意味合いも含めてこの問題提起をいたしておるわけでございます。  時間の関係もございますから、これ以上詰めませんけれども、ただ最後に、労働条件の関係、ちょっと触れました。職員の処遇の問題、民放に比べても低い。私は、昭和六十一年本院に参りましてから、毎年毎年ずっとそのことを言ってまいりました。会長も申しましたように、努力はされておる、多少改善にはなってきてはおりますけれども、これだけ一生懸命にやって、そしてすばらしい番組を何とかしてつくろうつくろうといって、少ない要員の中で本当にこの職員が頑張ってきている。一万五千体制も、まだそれを減らしてでもやろうということになっている。  そういう中で、ことし三百名を減らすのですけれども、この人件費、どのくらいになりましょうか。一人年間七百万になりますか、八百万になるかわかりませんけれども、八百万と見ますると二億四千万ぐらいになります。減った分はみんなでやるのですから、そのくらいのものは上積みをするというくらいの考え方でないと、人は減らしますよ、ここのところで使ってまいりますよ、処遇は改善しますよといっても、少しもそれが改善に具体的にならない。こういうことでは、NHKに働いている、あるいは日放労の労働組合の組合員の意識、意欲を低下させてしまうのではないか、こう思うのでありまして、これについてはもう答弁は要りませんけれども、そんなことを労働条件の改善の点で、この処遇の抜本的な改善の問題で御提起をして、そして来年を見守りたい、こう申し上げて終わっておきたいと存じます。  あと、衛星の関係でございます。私の御質問しようと思った点は同僚の鳥居委員指摘をしておりますが、それの中でダブらない点で、郵政省にまずお尋ねをしたいのでございます。  先ほどNHKからも通知をいただきましたがBS3h、BS2Xが昨年二月に打ち上げ失敗になりましてその代替ということでhを打ち上げるということで四月十八日の予定と聞いております。このhはBS3aの補完ということでトランスポンダーを三本保有しておるわけでございますが、この中の一本につきまして、何かマスコミ報道によりますと、BS3hにつきましては出力が二百ワットで、第五、第十一、第十五チャンネルの三系統のトランスポンダーを搭載している、そのうちのできれば第五チャンネルを郵政省として実験局という形で保有して使っていきたいというようなことでありますが、その考え方はどんなふうな考え方か、お尋ねをしたいと思います。
  141. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 hの実験でございますけれども、このhというのは、かなり今までと違った少し出力の大きい衛星でございますものですから、技術的にどういうふうな動きがあるのかというようなことを一遍見てみようじゃないかということで、NHKの方から私の方にお話がございまして、それでは、放送局といいますか電波を割り当ててその実験をしようじゃないかということを決めたというのが、先生のお目に触れた新聞の趣旨でございます。
  142. 上田利正

    上田(利)委員 そうすると桑野局長、どういうことになりますか。NHKが打ち上げるわけでございますから二チャンネルを使いまして、あとの一チャンネルは、この実験局というような形の中 ではどんなふうにいたすのでしょうか。出力は、もちろんBS3aから比べますと非常に大きいものでございます、普通は百二十ワットでございまして、二百ワットでございますからね。これは技術的なデータか何かを、三系統同時に二百ワットの出力を出した場合の技術的データなどを収録することにしている、そういう立場で実験をしたいということでございますが、それでよろしゅうございますか。簡単に答えていただきます。
  143. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 ちょっと御説明が足りませんでした。  要するに三本合わせて、強出力でございますので、どういうふうになるかということで、番組を通すわけではございません。単なる技術的な問題でございます。     〔川崎(二)委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 上田利正

    上田(利)委員 それでは次の問題で、これも先ほど鳥居委員が質問いたしましたが、昨年、衛星をめぐりましての日米の摩擦の問題がございまして、これは昨年解決をした。そして、その関係の中で、先ほど鳥居委員も申しましたように合意三項目、もう内容は省略いたしますけれども、合意三項目が出てまいりました。  そういうことになりますと、簡単に言いますと、もう我が国の宇宙開発事業団が打ち上げる衛星というのは、私は昨年もちょっと質問いたしましたけれども、研究用というかそういうものだけであって、あとの商業衛星と申しますか、白井局長は実験衛星、実用という言葉を先ほど使いましたが、いわゆる商業衛星についてはもう一応無差別だという形になって、公正入札になっていってしまう。だから、これはポストBS3、いわゆるBS4ですね。平成九年ごろにということが先ほどNHKの島会長からも出されましたけれども、それに向かっては、それはもう宇宙事業団としてはないと。しかも、もう今の我がロケット技術によりますと、HⅡのロケットということで、あのような大型の衛星は上げることができないわけですから、八チャンネルも入れるような形にはならない。そういうことになりますと、この宇宙事業団がどうなっていくのか。調達の問題を鳥居委員が言いましたけれども調達の関係はこれからということでわかりました。  それと、宇宙事業団と今度は機構の関係、これが出てくるのです。そして、高度情報通信のいわゆる基盤法の審議のときもやりましたけれども、やはり機構法そのものを全部変えていかなければならないような状態にもなっている。宇宙事業団はどういうふうな形に持っていくのかということもあるわけでございまして、その構想について、もう時間がございませんからひとつ郵政省から明らかにしてもらって、そして最後会長、ちょっと言っておりましたけれども、その衛星の問題でコメントだけあとちょっと伺いたい。
  145. 白井太

    ○白井政府委員 開発と実用とを相乗りしたような形での衛星の打ち上げはこれからはやらないことになったということは、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。したがいまして今までの、例えばBS3の打ち上げ母体でありました宇宙開発事業団につきましては、そのような仕事はこれからはやらないということに確かになるわけでございます。  ただ、この宇宙をめぐるいろいろな技術というのはますます重要さを増してきておりますし、そのために各種の技術開発を主として目的といたします衛星の打ち上げ計画も、いろいろとかなり具体的な日程に上っておるわけでございます。そのような仕事を宇宙開発事業団としては引き続き行っていくということでございますので、多少従来とは変わった形になるということはあり得るかと思いますけれども、宇宙開発事業団としての仕事の重要さというのはやはり残っていくのではないかと思っております。  それから、これにあわせまして機構の組織がどのようになるのかということでございますが、機構については、この仕事の量ということから申し上げますと、衛星の管制等がかなりその仕事の量としては今日においても大変大きいわけでございまして、機構の重要な仕事になっておるわけでございます。この重要な仕事については、ここ当分これが変わるということはないと思いますが、その将来の将来ということになりますと、これからの衛星というのがどのような形で打ち上げられ、またどのような形で利用されるのかということにかかわってくる問題でございますので、今日どうということは申し上げることはできないかと思いますが、いずれにしても、機構については将来のあり方についていろいろな角度から検討していきたいというのが私どもの立場でございます。
  146. 島桂次

    島参考人 放送衛星につきましては、長い間国と一緒にやってまいりましたけれども、今や、もうこれだけ技術も発達しましたし、安くて性能のいい安全な衛星を打ち上げてもらえばいいのであって、そのために我々は関係各方面と鋭意これから話し合っていきたい、こう考えております。
  147. 上田利正

    上田(利)委員 終わります。
  148. 野中広務

    野中委員長 次に、田中昭一君。
  149. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 きょうは時間も少ないわけで、触れまいかと実は思ったわけですけれども、昨年、私は、このNHKの予算、事業計画の問題について、この逓信委員会で初めて質問をいたしました。その内容はたくさんあったわけですが、いわゆるこのNHKというのは公共放送でありますから、受信料で、それを基本にして経営がなされておる、受信料収入がどうなっていくのか、これは極めて重要だ、こういう立場から当時、この受信料を拒否をする、払わない、NHKは見ていないとか見たくないとか、そういう拒否者に対してどういう手を打っていくのかという質問を実はしました。  その後、ある新聞でこの問題が取り上げられまして、私の実名入りで取り上げられました。ある放送評論家の方がNHK問題について連載をしているわけですが、この中で、「人減らしを渋るNHK側の身勝手」というその翌日、「お目付役与野党議員の質問に疑惑」そして「営業経費はかかっても仕方がないと擁護」、こういう見出しで私の質問が取り上げられているわけです。  私は、支持者からいろいろ苦情が参ったわけでして、実は困ったわけですけれども、私が当時質問した要旨というのは、いわゆる受信拒否者がたくさん出ておる、ふえつつある、こういう状況の中で、払いたくなければ払わなくてもいいという対応だけではいけないんじゃないかな、そういう意味では、いわゆる経営効率を上げるという意味で、人員削減などについて努力経営の側がすることについて理解ができたとしても、単にその受信料の集金については、アルバイト的な人だけでなくて、やはりある意味ではオルガナイザー的な人が専門的に回って、そういう拒否をする方についてのいろいろ説得であるとか説明であるとか、そういう努力も必要ではないかなという意味でそういうことを申し上げましたけれども、これが、経営効率化についてこれを擁護する、こういう取り上げられ方をいたしまして、私は個人的に非常に困ったわけです。  今NHKは、やはり公共放送ですから、商業化の問題であるとかいろいろ言われておりますけれども、この受信料を支払わない人、こういう人たちに対する対策というものは一体具体的にどういう対応をなされておるのか、これに対する、例えば払わない権利、NHKを見ない権利などという問題について基本的にどういうお考えをお持ちなのか、これをまずお聞きをしたいと思います。
  150. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 お答えいたします。  まず、御質問の最後の部分が一番大事だと思いますので、それからお答えしたいと思いますが、先生十分御案内のように、NHKは公共の福祉増進のための放送法に基づいて設置が認められました公共放送機関でございますので、NHKの仕事というのは放送法に基づいて活動をしているわけでございます。  その放送法の三十二条では、NHKを見られる受信施設を設置した者はNHKと契約を結びなさいということを明記されておりまして、私どもNHKに集金業務の義務が課せられたということ で、この条文に基づきまして営業活動をさせていただいているということでございます。  そういうことではございますが、我々は、公共放送としていわゆる文化事業を進めているわけでございますので、NHK事業内容なりそういった考え方なりを御理解いただいて円満に契約を進めなきゃならない、そういう格好で活動しておるわけであります。  しかし、先生指摘のとおり、契約ができながらも支払いが滞っている方が約九十九万件ぐらいございます。そのうち、それを分析してみますと、大体昨年末のあれで考えますと五十二万件ぐらいはなかなかお会いできない、特に大都市においては、単身世帯の方だとか共稼ぎの夫婦の方がふえたりしてなかなかお会いできないというのが大体五十二万件ぐらいでございます。  その残りの三十万件ぐらいが、NHK番組とか制度についての御理解が不十分なために支払いが滞る。その他、騒音だとかそういったようなことで、受信障害を理由に支払いを拒否される方もおられます。そういう方たちに対しましては、私どもは、定期的に伺いまして、お会いできれば、NHK事業内容とNHKのよって立つ理由を御説明申し上げ、また必要ならばそういったパンフレットも置きながら御理解を得て契約に結びつける。しかし、そうはいってもなかなかお会いできませんので、文書対策を強化しながら文書による契約あるいは支払いの勧奨というものをやっておるわけであります。  それから一方、契約していただいても、実際は払いたいんだけれども、なかなかそういう機会がないという方々のためには、口座の払い込みだとかあるいは継続振り込みといって、セブンイレブンなど含めたコンビニエンスストアからでもNHK受信料が払えるように昨年来しておりまして、その関係の店舗も今全国的に拡大を図って、支払う方の立場も、支払いやすいような状況も私どもは拡大していかなければならない。  一方、NHKについて契約そのものを拒否している者は約十六万件ございます。これについては、いろいろな状況をとらえながら一人一人対応していかざるを得ないわけであります、それぞれの理由がございますので。一遍に一方的にあるいは共通の対応というわけにいきませんので、そこのところは非常に努力を要しておるというのが現状でございます。
  151. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 きょうは時間もありませんので、これ以上申し上げませんけれども、やはり受信料収入というのが公共放送NHKの基本になるものでありますから、さらなる努力をされるように強く要請をしておきたいと思います。  次に、郵政省にお尋ねをしたいのですけれども、昨日、一昨日の新聞で電波の有料化の問題がかなり大きく報道をされております。この報道によりますと、電波政策懇談会の報告を受けて、今後電波利用者から電波利用料を徴収をする、こういう答申が何かきょう具体的にされる、こういう報道がございます。したがって、この電波の有料化の問題は、外国には例がございますけれども我が国では初めての問題でありまして、郵政省としてはこういう問題についてどういう立場で今後対応されるのか。  それから、もう一つお聞きしたいのは、公共放送であるNHKの各波について、これは九波あるわけでありまして、この各波についてどういうことになるのか。例外となるのか例外でないのか、このことを含めてお聞きしたい。また、NHK側としてはこれをどういうふうに受けとめておるのか、この点について御質問したいと思います。
  152. 森本哲夫

    ○森本(哲)政府委員 お答えいたします。  先生指摘ございましたように、現在郵政省では郵政大臣の私的懇談会として電波政策懇談会を開催いたしておりまして、この懇談会では、二十一世紀の活力ある電波利用社会の実現のための方策について幅広い検討をお願いしておるところでございます。  御指摘のように、きょう夕刻、この会合が最終会合になる予定でございますが、この中では、今後の周波数の逼迫への対処をどうするか、免許事務の増大への対処をどうするか、あるいは電波利用環境の悪化をどうするか、さまざまな問題についての解決方策についての提示があるわけでございますが、その中の一つとして、諸課題に対応するために電波行政経費の増大が避けられない、これについてどう対処するか、その際、免許人に受益者負担的な考え方も検討する要あり、こんなことが提示をされる予定にはなっておることは事実でございます。  いずれにいたしましても、郵政省といたしましては、この懇談会の提言を受けまして今後具体的に検討するという状況でございます。ただ、御質問ございましたNHKの問題について、仮にこうした受益者負担的な考え方を導入する際に、あるいは導入を検討する際には、この公共性の扱いについては、電波を利用している他の公共的なあるいは公益的な機関の公共性をどう考えるか、あるいは負担の公平性をどう考えるか、いろいろ問題も多々あるかと思うのでありまして、いずれにしましても今後の検討課題ということに相なるかと考えておるところでございます。
  153. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えいたします。  現在郵政省で検討中ということでございますので、NHKについてどうなるのかということをまだ伺っておりませんので、お答えのしようがございません。ただ、NHKといたしましては、先生指摘のように放送法に基づく特殊法人であるというNHKの公共性、こういうものに御留意をいただきまして検討していただくようお願いしてまいる所存でございます。
  154. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 先般の移動体の問題の際の議論もそうでありますけれども、新聞であれだけ具体的に報道されながら、今の御報告というのは私は極めて不満であります。しかし、きょうは時間がございませんから、これは非常に公共放送NHKにとっては重要な問題になってくるんじゃないかな、こういうふうにも思いますので、今後さらに私どもとしても検討させていただきたいと思いますし、また今後十分な御説明どもいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、NHK経営あり方についてでありますが、NHKも大変努力をされて、大変いい番組もたくさん出てきている、私こう思っております。そういう意味では、私はNHKファンでもございます。しかし一方、NHKに対する、先ほど放送評論家の問題を冒頭申し上げましたけれども、大変批判も多いわけでありまして、たくさんございます。  例えば、NHKが多くチャンネルを持ってチャンネルを支配するために巨大化し過ぎてしまっているという問題であるとか、商業化の問題であるとか、あるいは公共放送でなくなりつつあるのではないかなどという問題、それから民放連盟といいますか、私たちの方にも昨年も二回ほど要請書が来ておりますけれども、いろいろ批判がございます。それぞれ言い分があると思いますけれども、私はこれらの批判にやはりNHKとしてはきちんとこたえていくことが必要ではないかな、こういうふうに思います。  そういう立場から、一つはやはり公共放送としての目的を達成させるためには、経営の基本的な方針、そしてその権限と責任を持つ経営委員会の機能の充実というものが極めて必要ではないかな、こういうふうに思っております。今の経営委員会が全く機能していないとは申しませんけれども、例えば経営委員会の人選のあり方であるとか、あるいは討議内容をもっと国民皆さんの前にオープンにする問題であるとか、逆に国民皆さん方意見経営委員会が十分に吸い上げる問題であるとか、いろいろ検討をしなければならない点がたくさんあるのではないかなと思います。  ちなみに、例えば今日の経営委員の方々の年齢の平均は、失礼ですが私が計算をさせていただきますと六十六・五歳でございます。五十歳代は一人しかいない。私はやはり人間というのは三十代、四十代、働き盛り、この中では大変新しい発 想というもの、それから新しいニーズにどう対応するか、こういう発想が出てくるんじゃないかなと思います。そういう意味では、六十六・五歳で、六十歳以上、七十歳に近い方ばかりで経営委員会、これは広い経験と知識が必要だ、こういう立場から選ぶとすればそうなるということを言ってしまえばそうでありますけれども、それではいけないんじゃないか。  また、今地域から八名、それから全国的に四名という選出の仕方、地域から一名選ぶということになると、出てくれば大体同じような方が出てくる、こういうことになるんじゃないかなどということも含めまして、経営委員会の今後のあり方、機能の充実についてもっともっと検討することが必要ではないかな、こういうふうに思いますが、この点についての御見解をお聞きをしたいと思います。
  155. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 NHK経営委員会は、NHK経営方針その他重要な事項を決定する機関でございますから、御指摘のようにその機能充実というのはNHK運営にとって大変重大な意味を持つものと思います。  NHK経営委員会の委員の人選につきましては、放送法趣旨に従いまして、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する方が選ばれるわけでございますけれども先生がおっしゃっているようなことも私ども十分理解できるわけでございまして、今後の課題にさせていただきたいと思いますし、委員会の審議の内容をもっと国民に知らせるといったような立場も大変大切なことであろうと思います。  最近、新しい会長になられましてから、よく経営委員会の問題につきまして時々新聞記者といろいろお話しになっていらっしゃるようでございますし、そういったこともいい方法じゃないかなというふうに思うわけでございます。そのようなことも含めまして、今後さらに経営委員会がその機能を発揮していくにはどうしたらいいかということにつきましては、私どもよく受けとめて今後また対処してまいりたいと存じております。
  156. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 NHKの考え方をお聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、前田(武)委員長代理着席〕
  157. 島桂次

    島参考人 経営委員会は私どもの最高議決機関でございます。私は執行部でございますから、余り論評といいますか、そういうことはないわけでございますけれども、いずれにしましても経営委員会と執行部は一体でございますから、そういう意味で私は歴代経営委員長を初め経営委員皆さん方に、NHKの執行部も裸になって、国民皆さん方にいいも悪いも全部知らせて御批判を仰ぎ、国民皆さん方と一緒に歩こうということを私の主義にしておりますので、個人的ではありますけれども経営委員長あるいは経営委員会に対しまして、できるだけ外のNHK以外の人たちに対して経営委員会の内容を明らかにした方がいいんじゃないでしょうかという進言をしております。  事実、その進言に基づきまして、随分経営委員長努力されて記者会見に応じたり、場合によっては私の方の番組へ出演していただいたり、そういうことをこれからだんだん広げていって、経営委員会がどういうことをやっているんだということを国民皆さん方に知らせてあげた方がいいんじゃないかという考え方で進んできております。
  158. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 経営委員会というのは協会の基本的な方針その他の業務運営に関する重要事項を決定をする権限と責任がある、こうなっているわけで、したがって経営委員会が決めたことを執行部がそれを忠実に実践をするというのが経営の基本になっているわけで、執行部の言いなりになる経営委員会では、これはどうにもしょうがないわけでして、ここのところがやはり少し問題点があるのではないかなという気がしてならないわけです。  ですから、時間もありませんけれども、先ほど申し上げましたように、人選のあり方、選出のやり方、それから公開の仕方、意見の聴取、そういう問題を含めまして経営委員会の問題についてさらに今後検討されるように要請をしておきたい、こういうふうに思います。  そこで、時間もございませんけれども、これも先ほど若干触れましたけれども、今後の事業運営に当たっては公共放送としての筋をやはり通してもらわなければいけない。先ほど言ったように、民放からはNHKの巨大化に伴って民業を圧迫しておるという意見がかなりあります。また、今のNHK公共放送という基本から外れて商業化しているのではないか、あるいは商売をやり過ぎているのではないかという意見どもございます。  そういう意味では、やはりこういう批判にこたえて、公共放送としての節度を保ちながら運営をしていく。ですから、副次収入などの問題も九一年度予算では昨年度比大体四〇%増、金額にすれば大した金額ではないのですけれども、しかしNHKエンタープライズを初めかなり多くの子会社、孫会社がたくさんできている。そして、最近特に問題になっておるのは、いわゆるMICOという、これはNHKの孫会社だと私は思うのですけれども、MICOというものが設立をされて、それに対して民放挙げて反対をしておる、これも実態だと思います。  これは時間がありませんから詳しくは申し上げられませんけれども、そういうたくさんできている関連企業、特に今問題になっているMICOとNHKとの関係などについてどういうふうに国民皆さんの前に説明をするのか。そして今後のNHK運営に当たってそういう関連企業との関係は一体どうなるのか。そしてこの民業の圧迫であるとか商業化であるとかNHKの巨大化であるとか、そういう批判にどうこたえようとしているのか。時間もありませんけれども、少しお聞きをしたいと思います。
  159. 青木賢児

    ○青木参考人 お答えいたします。  NHKの民業圧迫、商業化ということを民放の方々から強く言われていることは我々もよく承知しております。  NHKの関連事業と申しますのは、先ほどからるる御説明しておりますが、NHKの新しい体質に対する効率的な運用、そういったものに対してこの関連事業が支援していく、公共放送目的を推進するためにバックアップしていくというのがこの目的でございます。と同時に、NHKが持っておりますさまざまなノーハウ、ソフト、こういったものが今社会の広い範囲から求められているということも事実でございまして、社会情報化していく、ハイビジョンシティーでありますとか、テレトピアでありますとか、広く社会の方々がNHKのノーハウを求めているというふうな事情もございますので、そういったところに関連事業を通じましてNHKの持っております資産、ノーハウを提供していくということがこの関連会社の仕事だというふうに心得ております。  そういった観点から、この事業運営に当たっては、節度ある運営というのは当然でありまして、我々はこれを営利事業として際限なく広げていくというようなことは全く考えておりません。そういった観点から、関連事業収入というのは二年度が五十八億円、来年度の予算では八十一億円を計上しておりますが、これはNHKの全収入の中の一・五%という割合で、我々はこれを際限なく大きくしていくという考え方はございません。  さらに、MICOにつきましては、御承知のように情報化社会が進展していく中で、多メディア、多チャンネルということで、大量なソフトの消費時代というのが参っておりまして、これは世界的に大きなマーケットになりつつあるということで、世界の巨大資本がこのソフトをめぐるさまざまな支配を始めているということでございます。  そういう観点から、ソフトがどんどん値上がりして、先ほどからあります日本外国の輸出入のアンバランスというのもますます拡大していく、輸入がふえていくというふうな実情にありますので、我々としては日本のソフトを外国に出していくという観点からすぐれた国際的なソフトを制作 する、そのためにこういった会社を通じまして国際的な共同制作をやる、日本情報発信していくというふうなことが、この会社の目的でございます。  しかしながら、民放からは、この会社を通じてNHKがソフトの買い占めをやるのではないかというふうな御指摘がございますが、事実としてはそのようなことはございません。そういう点が民放に対して十分に御説明できていないという点は十分に反省しておりますが、そういう観点から、我々としてもこの会社を節度ある形で有効に活用していきたいと考えております。
  160. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間が来てしまったわけですが、例えばMICOの問題についても今御答弁をいただいたわけですが、共存共栄で日本放送国民に対してやっていく。民放とNHKがこの問題で対立をしておるという状況ですから国民皆さんは大変な不信を持つ、こういうことだと思いますよ。ですから、民放といろいろ話し合いをやっておるといいますけれども、しかしこの話し合いがついていないわけでありまして、NHKと民放との間では、これらの問題についてはやはり最低意思統一がきちんとできるというぐあいの努力をすると同時に、これはもう時間もないのですけれども、いろいろ批判のあるNHKの巨大化の問題であるとかあるいは多チャンネル化の問題であるとか商業化の問題であるとか、そういう問題についてもNHKとしてきちんと国民皆さんに向かって対応しながら、公共放送としての立場を明確にしながら、今後努力をやるべきではないかということを最後に申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  161. 前田武志

    ○前田(武)委員長代理 次に、伏屋修治君。
  162. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私、けさ起きがけにNHKラジオを聞いておりましたところ、現在の日本技術革新の非常に先導的な役割NHK放送技術研究所が果たしておる、こういうような内容であったと記憶いたしておりますけれども、そういう面におきましてNHK技術関係の方々の日ごろの努力に対しまして、まず最初に敬意を表したいと思います。  これから質問に入るわけでございますが、限られた時間でございますし、多くの委員の方が多方面から質問されておりますので、重複する面があったらお許しをいただきたいと思います。  最初に、平成年度の予算総則の昨年度と異なる特徴あるいはまた事業運営の重点事項についてお聞きをしたいと思います。     〔前田(武)委員長代理退席、原田(義)委員長代理着席〕
  163. 三河内賢二

    ○三河内参考人 お答え申し上げます。  平成年度の予算総則の特徴でございますけれども、先ほど来各先生からも御質問がございまして、私の方からもお答えを申し上げております名古屋の放送センターに関連いたします会館の一時金の収入を新たに予算計上いたしました。したがいまして、これを建設積立金という形で科目としてとりました。したがいまして、予算総則に第十三条を新設いたしまして、建設積立資産への繰入額につきましての取り扱いを規定いたしまして、予算上新たに明記したものでございます。
  164. 伏屋修治

    ○伏屋委員 事業運営の重点事項については今お話触れられなかったわけでございますけれども、私の手元に資料をいただいておりますから触れられなくても結構です。  その中に、効率的な受信契約収納活動というのが四番目の項目にあるわけでございますが、先ほど来の御質問の中にもありましたけれども平成年度のいわゆる受信契約の目標三十三万件、これが二月で大体三十一万達成した、三月にはほぼ達成できるだろう、こういうようなお話がございましたけれども、再度その状況についてお聞きをしたいと思います。  また、平成年度におきましては四十万件という目標を立てておられるわけでございますけれども、聞くところによりますと、最初四十三万の計画であったのを下方修正して四十万、こういうふうにも聞いておるわけですが、その理由についてお尋ねしたいと思います。
  165. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 今年度の契約の総数三十三万件の目標の達成はいかんということでございますが、二月末現在で三十一万件を上回って契約を達成しておりますので、残る一カ月間の間に十分三十三万件は達成できるだろうというふうに考えております。  それから、平成年度において四十三万件を当初計画していたようだが実質的には四十万になったがどうかというお尋ねでございますが、私どもはこの四十万件を決める段階では、受信料を確実に収納する、現在総数をふやすと同時に衛星契約も伸ばしていかなきゃならないというような新しい事態を今迎えておりまして、そういう中でできるだけ営業経費は膨らまないように努力しようということに努めております。  まず確実に受信料をいただくためには、恐らくテレビをお持ちの方は三十五万件ぐらいふえるんではないだろうか、それから事業所は五万件ぐらい新たにテレビをお持ちになるんではないだろうかということを考えまして、この合わせた四十万件は平成年度内において確実に契約をとっていこう。そういう意味で、受信料を確実に確保するという前提から、営業としてはより現実的な長期五カ年計画の中で判断して、三年度はそういう目標にさしていただいたということでございます。
  166. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その御努力は多といたしますが、現在、滞納者数、契約しながら受信料を滞納しておる、その方々が非常に多いわけでございますが、そういう滞納者数の推移、その理由というのはどういうところにあるのですか。
  167. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 NHK受信契約を結びながらお支払いをいただいてない方は、現時点で大体九十九万件ぐらいございます。これは全体の数字で申しますと、契約総数の中では三%ちょっとだろうと思いますが、大体過去数年間、全体の姿としてはこんな経過で推移しているのが実情でございます。
  168. 伏屋修治

    ○伏屋委員 推移はついてはわかりましたが、それ以外にもまだ、意図的にもうNHKは嫌いだから契約しない、こういうような方の数も相当あると聞いておるわけですが、その推移についてもお聞かせいただきたいし、どうしてそうなるのか、その理由についても詳しくお聞かせいただきたいと思います。
  169. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 いわゆる契約を拒否するという方たちは、大体ここ数年同じような傾向をたどっておりまして、十六万件をちょっと超えたり、十六万件をやや下回るというような大体十六万件前後のところで、年によって若干異なりますが、そういう推移でございます。  これは、基本的にはNHK事業に対する認識の不足あるいはNHK番組に対する御理解が至らない、そういうような方が非常に多いわけでございまして、その点につきましては、我々は放送法に基づいてこの仕事をやっておりますし、そのことを十分御理解いただきながら、説得をしながら契約の勧奨をお願いしておるというようなことでございます。
  170. 伏屋修治

    ○伏屋委員 そういう滞納者、あるいは意図的に意地悪な面もあるかもわかりませんが、未契約という方々、そういう方々に直接触れておられる方、言うなればNHKの最前線で営業活動をやっておられる方々、そういう方々の活動状況というのを本当に幹部の方々がよく掌握されておるのかどうなのか、また、その活動状況についてどういうところに一つの困難点があるのか、その辺もお聞かせいただきたいと思います。     〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  171. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 私自身、地方の放送局長をやりましたときに自分で集金に歩いたこともございますので、営業の現場が大変苦労しているという実態は肌で感じております。  なかなか、率直なお話をすれば、NHKだということを言いますとドアをあけてもらえないというようなこともございますし、ドアをあけてもチェーンがかかっていて中に入れないというようなこともございます。そういう苦労を重ねながら営業現場は雨の日も風の日も目標に向かって努力し ておるわけでございまして、やはりその中には、NHKを見ているなあということがわかっても私どもが中に踏み込めないということもございますので、あくまでも本人から、やはりNHKを見ているんだから払ってくれということで御納得いただかなければならない、その上で契約をしていただくという手順を踏んでいるわけでございます。  そのほか、私ども一番、営業現場というのはバイクとかそういうようなことで走り回るわけでございますので、最近のように交通事情が複雑になってきますと事故の心配もしなければならない。そういうことを注意しながら、より確実に収納を積み重ねていくという努力を現場はしているというように思っております。
  172. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その貴重な活動による受信料によっていわゆるNHK放送事業というのは運営されておるわけでございますので、種々さまざまな御苦労があるわけでございますが、そういう御苦労に対して、その活動をしておられる方々に対するより一層の配慮をされる中で、やはり受信料を確実に納めていただく、そういうことを根気強くこれからもやっていただきたい、そういうふうにお願いを申し上げたいと思います。  その次に、やはり衛星放送の契約の状況あるいは衛星放送の多数契約一括支払い及び団体一括支払いという割引があるわけでございますが、平成年度においては利用状況はどうなっておるのか、その辺もお聞かせください。
  173. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 衛星契約の団体一括でございますけれども、二年度からこの制度を御承認いただいてやっておるわけでございますが、十五世帯以上まとめて一括して二カ月に一回代表の方からお支払いいただくというようなことでございますので、なかなか進んでないというのが実情であります。それで、その大きな理由として二カ月に一回の支払いということがどうも制約があるというような声も聞きますので、口座その他の前払いという制度を三年度からは団体一括にも適用して、できるだけ便利な格好で契約を結び、一括してお払いいただくような措置にしたいというように考えておるわけであります。
  174. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次に、受信料免除の対象、どういうところが対象になっておるのか、また関係機関の取り組み、契約種別件数の推移等についてお尋ねするわけでございますが、これは五十一年以降当委員会での附帯決議にもなっておるわけでございますが、現状が余り改善されておらないわけでございますが、そのあたりの御答弁をお願いしたいと思います。
  175. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 受信料免除の現況でございますけれども、福祉関係の施設あるいは個人、教育関係の施設、これは学校になりますが、そういうところが現在全額免除ということになっております。そのほか半額免除で福祉関係者の個人それから災害が起きたときに免除するというようなことがございます。それで、二年度の免除件数でございますけれども、百十七万件でございます。金額にしまして約百五十七億円というような現状でございます。  受信料免除につきましては、私どもは国会のこれまでの種々なる附帯決議とかNHKの長期問題を考える審議会の御提案その他もございますので、基本的にはやめるということで考えております。ただ、やめる場合も財政措置につきましては国その他でお考えいただきたいということでこれまでも関係各省にお願いを続けておる段階でございます。関係各省間でこの問題についてお話し合いをいただいておりますが、まだ具体的にいつからそういうような措置がとられるということには至っていないわけでございます。
  176. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今聞いていますとかなりの額になるわけでございますが、私も岐阜の各務原市に住んでおりまして、岐阜の実験航空隊の基地のすぐそばでございますので、私もNHK受信料は半額免除されております。そういう面で助かっておるわけでございますけれども、総体的に言いますとNHK事業収入はマイナスになっている。そういう関係省庁がそれに対して冷たい姿勢で続いていくならば収入が落ち込んでしまう、こういうことでございますので、関係省庁に対する取り組みについて放送局長の方からひとつ御答弁いただきたいと思います。
  177. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 関係省庁、私の方が音頭をとりましてNHKも入っていただきましてその問題について議論をしているわけでございますけれどもNHKの方からもお話ございましたようにできるだけ円満に解決していきたいという気持ちがございますので、お金にかかわる問題でもございましてなかなか合意に至らないというのが現実でございますが、なお今後とも努力してまいりたいと思っております。
  178. 伏屋修治

    ○伏屋委員 NHKとしては受信料免除というのは廃止していきたいという方針であるだけに、やはりこれから関係省庁の一つのかなめとして郵政省が音頭をとって、そういう免除に値する地域の方々はそれで恩恵を受けておるわけでございますので、そういう面を考慮しながら、関係省庁のかなめとしてそういうものが収入として入るようにこれからも御努力をいただきたい、こういうふうに思います。  それから次に、副次収入と受託業務勘定の現状、それからどういう努力をされているのか、その辺お聞かせいただきたいと思います。
  179. 三河内賢二

    ○三河内参考人 副次収入につきましては、先生御承知のとおりに、NHKの公共性の観点から見ましてある程度限界があるだろうと思います。しかしながら、NHKの許される範囲内で最大限の努力をするということは当然のことだと思いまして、私どもといたしましては特に六十三年度以降、放送法の改正によりまして九条三項業務が付加されました。NHKの持っているノーハウ、蓄積されたノーハウ、さらにはNHKの持っています施設等を活用することにおきまして新たな収入の道が開けました。それらを含めまして平成年度予算におきますところの副次収入は約八十一億を考えております。これは前年度に比較いたしまして二十三億、約四〇・一%の増加を見込んでおります。  その内訳を申しますと、先生御承知のように質のよい番組をたくさんつくるためにも、さらに国内向けの放送以外にも先ほど会長からもお話がございましたように海外との共同制作を積極的に行う、そのような番組の活用を行ったり、さらにはNHKはテキストを出しておりますので、テキストの出版権、これを確保いたしております。また技術につきましては、先ほど先生冒頭にお話がございましたように、NHK技術は大変な技術、ノーハウを持っております。特許もございます。そのような特許料などを入れまして、さらにはNHKホールの活用を行っております。このようなものをひっくるめましてただいま申し上げました八十一億円を平成年度は見込んでいるわけでございます。  冒頭申し上げました九条三項業務につきましてはNHKの施設並びにノーハウでございますので、地方自治体の方からNHK番組の制作ノーハウを使って地方自治体の映像によるところのPR、これらの仕事を委託されておりますし、なおかつスタジオなどにつきましても、さらには放送会館などにつきましても公開すると同時に、NHKの未使用の場合にはそこを活用していただくというようなことを考えておりまして、これにつきましての受託業務等勘定に受けているのは約三億円でございます。  以上でございます。
  180. 伏屋修治

    ○伏屋委員 もう時間もございませんが、合理化、効率化の関係についてお尋ねしたいと思います。経費節減の推進と合理化、効率化についてどのようなお考えで進めておられるのかお聞きしたいと思います。
  181. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 昨年度料金の引き上げをお認めいただきました。このような貴重な国民から預かる財源を非常にコンパクトな体制でもちまして非常に能率的に運営していくということを第一に考えております。  それで業務の効率化につきましては、職員制度 の改正、これは三十年ぶりに手をつけておりますし、それから組織の改正につきましても管理部門についてはできるだけコンパクトにいたします。一方で海外展開それから衛星放送それからハイビジョンの準備を進めなければいけません。そういったところの人の手当ても必要でありますので、今までの仕事の見直し、これは勇断を持って進めていきたいと思っております。  そうしたことで平成年度までの過去五年間に千四百四十四人、それまでの人員の九%を削減いたしましたけれども平成年度から五カ年間にそれを上回る、過去五年間は百八十億円の節減でしたけれども、今後の五年間は二百億円の節減を目指しております。平成年度は三百人の要員削減ということを実行してまいる所存であります。  そうした形で業務運営を多角化、徹底するとともに、そうした刷新体制で国民の期待にこたえていく所存でございます。
  182. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最後にお尋ねしたいと思いますが、平成年度郵政大臣の予算に対する意見書でございますけれども平成年度意見書の中には、第五項目として、「協会は、放送などの方法により、合理化、効率化の実施状況を含む経営の概況を受信者に対して随時明らかにすること。」ということが付記されておるわけでございますが、平成年度にはそれがないわけでございます。常に公共性を重んぜられるNHKであるとするならば、やはりそういう面も意見書の中に付記してはいかがか、このように考えるわけでございますが、どういう御意図でこれを外されたのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  183. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 受信料によりまして運営されておりますNHKが、経営の概況を受信者に対しまして明らかにするということは大切なことだと存ずる次第でございます。  平成年度におきましては、NHK収支予算受信料額の改定を含んでおりましたものですから、特に合理化、効率化の実施状況を含めて、経営の概況を放送などを通じまして国民にわかるような方法で随時明らかにしてほしいということを明記して、配意を求めた次第でございます。  平成年度、ことしの大臣意見でこのことを全く削除してしまったのかといいますと、そうではなくて、気持ちといたしましてはより包括的な趣旨で、「国民理解と信頼を得て公共放送としての役割を果たしていくため、国民意向の把握とその事業運営への反映に努めること。」ということで配意を求めて、その中に平成年度において配意を求めた内容というものを盛り込んだつもりでございます。
  184. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。
  185. 野中広務

    野中委員長 次に、吉岡賢治君。
  186. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 NHK平成年度予算は、昨年、受信料値上げを前提に立てられた向こう五年間の経営計画の第二年次としての具体的計画意味を持っていると思っております。  平成年度収支予算事業計画を見てみますと、一つには、平成二年、アメリカのCNNとの協定を結んでおられたおかげで湾岸戦争の映像を視聴者に届けることができたなど、先見的な国際化への対応がなされたことについて評価しているところであります。また二つには、地上放送におけるニュース番組強化など、公共放送の原点を踏まえた衛星放送普及促進など新しい公共放送を模索しよう、こういうふうにしておられることがわかるところであります。  しかし、細部にわたりますと、幾つかの点で疑問を感ぜざるを得ません。  そこで、まずNHK営業活動、とりわけ受信料収納業務についてお聞きをしたいと思います。  多メディアあるいは多チャンネル化視聴者価値観の多元化など受信料制度をめぐる環境は厳しくなりつつあります。現に、衛星放送普及は九〇年十二月末で三百四十九万であり、契約数は二百四万ということで、契約率は五八・四%と、現場の努力にもかかわらず、普及数と契約数の乖離が縮まっていないことを見ても明らかであろうと思うところであります。  収支予算事業計画案では、営業経費いわゆる契約収納関係経費と受信料収入の割合ということで載っておりますけれども平成元年には六百六十億円で一八・一%であったが、平成年度では七百十五億、一四・三%と減少させる、こういう方向になっております。  また、要員について全体で三百人を減らす、こういうふうに明らかにされております。営業関係要員は現在、職員が二千二百七十九人、委託集金員が三千二百七十八人、こういうふうに聞いており、これを二〇%減らすということを目標に置いておられます。それでいて新規受信契約を三百六十五万件と、平成二年とは約二割増の方向で目標を設定されておられます。加えて、受信料収納業務の省力化についてということで銀行振り込みをやっておられるわけでありますが、平成元年は七四・六%、こういうふうになっておりますけれども平成三年には七七・八%へ向上さす、こういうふうに言っておられるところでございます。  そこで、今申しますように、営業はそういう立場から、単に集金だけではなく、視聴者に対する理解促進と説得がメーンの業務であるということを先ほどからもるる述べておられるわけであります。要員減という中で不都合が起こるようなことがあったとすれば、この制度維持を危うくするというふうに思いますけれども、その点についてどうでしょうか。  二つ目に、CATVあるいは集合住宅共同受信、このことが営業担当者にとって大変な問題になっているわけでございます。これがむしろ契約率が六〇%台にとどまっている大きな要因というふうに考えているところであります。多数契約一括支払い三万三千件、〇・一%というのが平成元年であります。それを三年には一挙に十一万五千件、〇・四%まで上げる。あるいは団体の一括支払いを、平成元年では六千件であったものを平成三年では五万五千件、〇・二%に上げる。こういう目標を挙げておられるわけであります。私は、今日までの状況を見ておればなかなか困難だというように推察をするところであります。  CATV業者や、あるいは集合住宅のところでの一括契約制度の導入という問題について何らかの方法を考えておられるのか、そしてまた、郵政省としてもそれについて法改正も必要だ、こういうふうにお考えになっているのか。  まず二点についてお尋ねをしたいと思います。
  187. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 最初のお尋ねでございますが、受信料収入計画どおり確保していくということがこの受信料制度を守るということになるだろう、人を減らすことによってその業績が確保できなければ、協会自身の存亡にかかわるだろうということでございます。  私どもは、そういうような状況の中で、NHKの財源は国民皆さんからちょうだいする、お預かりする受信料だ、これによって事業を展開するんだということで、受信料の確保には全力を挙げて取り組んでおるわけでございます。  そういうことの中で、今年度の目標についても一応めどがついたということでございますし、さらに、来年度以降についても、確かに今年度の目標三十三万件を二一%上げて四十万件にするということは非常に厳しい環境ではございますが、経営全体の中で五カ年計画を遂行するという建前から、確実にできるというところでこの目標を設定しつつ、着実なる受信料の確保に邁進していきたいというように考えているわけです。  そのための施策といたしましては、おっしゃるように衛星もやっているわけですから、人手が足りないということは十分起こっておるわけでありまして、したがいまして、訪問してお金を集めるといういわゆる訪問集金というものをできるだけ省力化して、間接集金、つまり口座とかその他の機関を通じてNHKにお払いいただく、そういうようなことで進めてまいりたいというふうに考えているわけであります。そのことによって全体のパワーをアップしながら、確実な一歩を進めてまいりたいということであります。  それから、問題のCATVでございますが、先 生十分御案内のように、二年間、衛星の有料化以来いろいろとトラブルがあったことも事実でございますが、今は完全に文字どおり共存共栄の時代に入ったというふうに確信しております。CATVが求める高度のソフトをNHKは供給するとともに、昨年の暮れにも全国の五十三のCATVとNHKは共同して番組を約四時間ぐらいにわたって伝えるというようなこともやっておりますし、現に地域によっては、例えば瀬戸内海では、瀬戸内海地域のCATVとうちの岡山放送局なり高松放送局が協力して一緒に番組を出している。そういうような努力をしながらやっております。  一方では、CATVのレベルが上がることがNHK普及にもつながるわけでございますので、CATV関係者のNHKの手による研修というものも今年度三回やらせていただきましたが、そういったものも来年続けてまいりたい。そういうようなことで、文字どおり共存共栄を図りながら衛星の普及にも御協力を得ていきたいというように考えておるわけであります。
  188. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 CATVのことを言いましたら、もう番組編成だとかそういうことをおっしゃっておりますけれども、集金の関係をどうするのかということを聞いておるのですから、それはちょっとまた後で答えてください。  そこまでおっしゃるならひとつ聞きたいと思うのですが、平成六年、これを計画されたと思いますね。そこで衛星契約で九百万の計画をしておられます。本年度、第二次年度は百六十九万、これを獲得をする、こういう目標であったはずであります。これを見てみますと百四十五万に下方修正されている。これは何を意味しているかということは、困難を意味しているというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  189. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 最近の衛星放送普及の中で契約をとっているわけですが、平成年度の八月から有料化ということで、まだ一年八カ月でございます。ゼロからスタートしたわけでございますので、確かに普及と契約の間に乖離があることは事実でございまして、このことはカラーテレビ化が進んだときも同じようなことがございました。したがいまして、そういう実態を踏まえながら、私どもは予算の段階では、確実に契約収納して受信料をいただく、それに基づいて活動するわけでございますから、営業の立場として、総数をやりながら衛星もやるということですから、より堅実なる数字でもってお願いしておるわけでございます。
  190. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 私はこう考えているところであります。九百万という目標をどのように実現していくのかということでは、NHKそれなりに懸命な考察をしながら努力をされるだろうというように思うところであります。しかしながら、百六十九万を百四十五万に下方修正しなきゃならないという現実は、現場は先ほどからおっしゃるように一生懸命やっておる、こういうふうにおっしゃっているのです。その上で二〇%現場の人を減らすと。こういう方向の中で下方修正はそれに値するのか、もしくは、それが妥当であったとしても、なかなか困難だということをこの数字は物語っているというふうに思うのです。したがって、現場を切るということだけでは決して収納率を向上さすことにはならない、このように私は思うところであります。  むしろ、今申し上げます乖離がだんだん広がっていく。たくさん加入されます。一生懸命頑張っていかれます。銀行振り込みの方にやろうやろうとされます。次がだんだんまた出てきます。全戸を回るということが全然できていない現状の中で、人が足りないというのが現実であるにもかかわらず、むしろ減らそうとし、そして目標は下方修正されたと言いながら昨年よりかなり高い目標を設定しておられるということを考えるときに、現実に現場ではどうなんだろうか、このことを私は心配をいたします。労働組合とも十分検討していただかなきゃならぬ問題だろう、すぐれて労働条件にかかわってくる問題でありますから。その点について十分御検討いただきたいということをお願いしたいと思います。といいますことは、このことは何といってもNHKの土台にかかわってくることであろう、このように思うからであります。  最後に、島会長の方からお言葉をいただきたいと思います。
  191. 島桂次

    島参考人 先生指摘の問題は、本当に私も、大変NHKの命運にかかわる重大な問題だというふうに把握しているわけでございます。特に衛星放送につきましては、これからどんどんどんどん普及していくわけでございます。普及受信料の徴収が追いつきませんと、これは受信料制度自体を破壊することにつながりかねません。これは単に衛星だけではなくて、そのことがすぐ地上波に波及してまいります。したがって私は、この衛星放送普及と、それから我々が一体どれだけ料金の徴収をうまくできるかという問題、これについては、ここ一、二年、実に頭の痛い問題としてあるわけでございます。  ただ、営業マンも精いっぱいやっておると思いますし、要員の削減というのは、ある意味ではやっているのでしょうけれども、補強策、補完策というものも同時にやっていかないと、これは、仮に五百万、一千万というような普及の仕方になっていったときに、今のパワーで一体どこまでカバーできるか。この増強対策は、今までの営業の延長線上ではなくて、いろいろの新しい工夫もまたやらなきゃいかぬのかなということで、今鋭意この五カ年計画の、いろいろ問題はございますけれども、この営業問題が最も難しい問題であり、これをうまく持っていきませんと、公共放送自体の存続につながる重要な問題という認識ははっきり持っておりますので……。
  192. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひ、労働組合とも協議しながら、目的が達成されるようにお願いをしておきたいと思います。  二つ目に入ります。  先ほどもお話が出ております大河ドラマ外注化についてでございます。  新聞の各紙は、NHKは来年から大河ドラマを外注をするというふうに伝えております。私たち視聴者からすれば寝耳に水、こういうふうに思います。大河ドラマはことしが「太平記」で来年は「信長」、こういうふうに言われております。まさにNHKの顔である、こういうように思うところでありますが、外注することによってイメージの低下や番組の質的低下あるいはNHK本体の空洞化、こういうことが起こるのではないか、こういうマイナス面についてどうお考えになるのかということをお聞かせいただきたい。  それと同時に、朝の人気連続ドラマ「京、ふたり」が大阪局、教育テレビ「中学生日記」は名古屋で制作をされているというふうに聞いております。それが東京局の方に集中をされるというように聞いておるわけでございますが、私は、地方局の特色というものを引き出していくということは非常に重要だというように考えているところであります。したがいまして、地方の中でのいろいろな顔というものをつくっていく、こういう方向もぜひ残していただきたい、こういうように思っているところでございますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  193. 小山森也

    ○小山参考人 大河ドラマでございますが、先ほど上田議員からの御質問にもお答えしたとおり、これは人、物をいろいろ外の方と競い合って一つのものをつくることによりましてむしろ制作能力が高まるという観点から、下の方からむしろ我々はチャレンジしてみたいという一つの大きな意欲的な希望がございました。それに従いまして、私たちとしても当然、これからの制作能力を高めるという点からはこれは非常に好ましいことだということで、この方針を決めた次第でございます。したがいまして、制作能力が低下するということは私どもとしては想定していないし、これからこのような計画をしようとする者は意欲満々でございますことを、ひとつ御理解いただきたいと存じます。  それから次に、地方発信のドラマでございま す。これにつきましては、たまたま今回朝ドラが「君の名は」というようなことになりまして、東京で一年間ということになりましたけれども、これはたまたまのことでございまして、私どもは地方でのドラマ制作というのは非常に大事なことだと考えております。無論、この朝ドラにいたしましても、これは北から南まで非常に広範囲にわたっております。その中に笑いもありますれば悲しみもあり涙もありという非常にドラマチックなものでございますけれども、それぞれ地域におきまして放送局の局員の方々、北海道から名古屋、大阪、それから九州と、それぞれに共同してつくってまいります。  なお、当然我々といたしましては、地域放送というものが力を発揮すること、これが全国ネットを持ちますNHKというものの一つの特性と、地域に根差す放送局の両方で努力をして大きな力になるのではないかと思っておりますので、地域放送には重点を置いてまいります。
  194. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 「中学生日記」が抜けていますけれども、それはまあいいとして、大河ドラマと朝の連続テレビ小説、これに期待をかけている、こういう視聴者が多いと思います。それを裏切ってはならないと私は思います。むしろそういうことが公共放送の使命だというふうに思っているところでございます。事業部制などを強化をされる方向の中でもっとやられるべきで、外注ということを安易に考えるべきでないと思っています。  外注を強行するなら受信料不払いが起こるのではないだろうか、私はこんなことも思うのです。現在でもNHKの制度や番組批判による滞納が三十六万、それから意図的な未契約数が十七方に及んでいるのです。国民の気持ちあるいは視聴者の気持ちから考えていくと、一方的にやられることについて非常に問題だと思うのです。我々はアクセスがないわけですから、必ずきっちりやってくれよ、いい番組を見せてくれよ、こういうことにこたえていく姿勢が本来ではないのか、このことについて再度お聞きしたいと思います。
  195. 島桂次

    島参考人 大河ドラマにつきましてもその他番組につきましてもそうなんですけれども、外注という言葉の持つ響きが、今ちょうど民間放送がよくやっておりますように、自分たち放送する番組自分たちと関係のないプロダクションに金を渡してつくってもらうということのようにとられておりますけれども、私が今度NHKエンタープライズに大河ドラマを移すというのは、これはいわゆる十円かかるものを五円、七円で上げるとか、あるいは制作者の要するに延べ時間を削って効率よくやるという面でやるわけじゃないのです。  これはNHKも大河ドラマを昭和三十年代につくってから、もはや三十年以上たつのですね。当時この大河ドラマをつくった連中は、新しいテレビというメディアに真正面に取り組んで、新しいものをクリエートして大河ドラマという一つのあれをつくり出してきたわけですね。ですけれども、それがその後だんだんマンネリ化、硬直化しまして、ここで一つ新しい角度から新しいものをクリエートするためには、どうしても今までやっているところから環境その他を切りかえてやるというところにウエートがあるのでございまして、この点はぜひ、何か外注、節約、質の悪化ということをねらっているわけじゃないということを重ねて申し上げたいと思っています。
  196. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 いろいろ言われておりますけれども、環境を変えるというのはエンタープライズに持っていくということだけでないはずであります。考えていただきたいと思います。  最後に、衛星放送についてお聞きをしておきたいと思います。  衛星放送事業を安定的に継続していくということで、この四月にBS3h、八月にBS3bの打ち上げを決定し、実行に移そうということになっていますね。BS2の経費分担あるいはBS3の経費分担については宇宙開発事業団や、あるいはBS3についてはいわゆる通信・放送衛星機構ということで、それぞれ分担があったはずであります。BS3hはBS2xの打ち上げ失敗の保険料で賄えるとして、NHK独自で上げるとして予算措置はない、表に出ていない。そのうち一チャンネルをJSBの補完用というように考えてきますと、NHKがこんなにすべてリスクを負わなければならないのだろうか、こういうふうに思っておりますので、郵政省としての見解をお聞きしておきます。  続いて、ことしの十月に入りますとBS3bが稼働します。その場合、三チャンネルが補完機ということになるのか。もう一つの今言いましたhがありますから、それで補完は十分なんで、この三チャンネルは十分使えるというように思いますけれども、その点についてどうかということ。それからBS4aが八チャンネル計画というふうになっていますが、その利用計画も明らかにしてもらいたいというように思います。  ついでに申し上げておきますが、BS3bについて一チャンネルハイビジョンではないかというように聞いておるのですが、この点と、もしあとの二チャンネル余る分につきましてはSNGだとかニュース素材の伝送などに使う考えはないか、こういうことをお尋ねをしておきたいと思います。  最後になりますが、私は昨日ニューヨークの国連本部から帰ってきたところであります。いろいろ湾岸問題についての調査や、そして平和あるいは戦後復興のことについての考え方をそれぞれの方に聞いてまいりました。そういう状況の中で、UNEPのブラウン所長が、イラク、クウエートの空爆による油井の火災なり、あるいはガス兵器工場、原子力工場の爆撃による汚染、こういうものを本当に日本のマスコミは正確に伝えていない、こういうように言っています。  また、さらに明石事務次長は、CNNがずっと流しておるが、しかしアメリカの放送ですから本当にそれが公正な報道であるかどうかについては疑問があるんじゃないでしょうかというようなことも言っておられます。NHKや郵政省としてどうお考えになっているのか、これが一点であります。  それからもう一つは、国連が今非常に重要な位置にありますから、この国連がますます全世界に知られるということが必要で、そういうことでの放送システムなりあるいは通信システムなりをつくるということが非常に重要ではないだろうか、こういうことが言われており、私たちはそのことを提案しました。そうしましたら、そのことについて、非常に重要なことだからこれから検討をしていきたいというのが国連の態度であります。それについて、技術的な問題とかそのほかで郵政省として協力のお考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
  197. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 まず3hのお話でございますけれども、これは全くNHKの衛星でございまして、それをJSBに使うとかいうことは、将来そういう問題が起こる可能性がないわけではないと思いますけれども、ただいまのところはNHK、全く補完の用として調達することでございますので、あれをその他に使うつもりは今ないというふうに聞いております。  それから3bでございますけれども、ことしの夏に打ち上げられますこの3bの三本のトランスポンダーのうちの一本はハイビジョンで使うことが予定されております。将来、3bの後継機を調達します平成八、九年の時代になりましたときには、日本国際的に割り当てられております八つのチャンネルを全部使う予定でございます。  それから国連のお話で、まずは国連でメディアか何かそういうものについていろいろな構想がおありになりまして、我が国でもその構想につきまして御相談があるような場合には、それはそれとして私ども受けとめて、内容については検討させていただきたいと思います。  以上でございます。
  198. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 終わります。
  199. 野中広務

    野中委員長 次に、山下八洲夫君
  200. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、この間何を質問しようかなと考えておりましたら考えさせられることがご ざいまして、公共放送NHK受信料の関係、この辺を質問をさせていただきたいというような気持ちに変わってきたわけでございます。  それは何かといいますと、きょう秋葉委員の方からも少し触れられましたけれども、私は日本NHK受信料制度世界でも類を見ないすばらしい、いいものだ。これは何とか原則維持をして、そしてできれば発展させてもらいたい、こういう気持ちであるわけでございますが、実は、議員会館にCATVの関係で衛星放送受信できるようになった、こういう形で契約に回られたわけでございますが、この契約の回り方がかなり評判が悪うございまして、私のところにも同僚議員から随分、山下さん質問してくれよとか、あるいは社会党の国会対策の中でもかなりこの問題で激論になったわけであります。うちの上田理事なんかは盛んにやはりNHKをかばいながら一生懸命何とかおさめていこう、こういう気持ちもたくさんございましたし、できればそういう流れの中で我々もおさめてまいりたいという気持ちで私自身も発言をしたわけでございます。  その発言の中の重立ったものを拾ってみますと、極端な暴論的な言葉が出たわけでございますけれども、こんな契約の仕方はないではないか、一言で結論を申し上げますともう恫喝ではないかというような言葉も出ました。あるいは、もうおれは絶対にNHK受信料契約はしないぞ、そのような激しい言葉も出たわけです。  私は、第一線で一生懸命受信料契約をなさっている営業の皆さん皆さんがそうだとは一つも思っておりません。たまたま国会というところは島会長の精鋭部隊が契約をとりに来られたのかもわかりませんが、私は、このイメージというのは大変落としたと思うのです。せっかくみんなで協力して育てようという気持ちを落としたと思うのです。  その辺につきまして、会長のお耳にも入っておると思うわけでございますが、会長はどのように深刻に受けとめていらっしゃるのか、またこの状況をどれぐらい承知なさっているのか、この辺ひとつ確認させていただきたいと思います。
  201. 島桂次

    島参考人 議員会館内における衛星放送の料金徴収につきまして、国会議員の皆さん方からえらい批判があるということは何回か報告を受けております。具体的にやり方を聞いておりますと、やはり私はちょっとこれはやり過ぎだなということで、やった本人からいろいろ聞いてみますと、やはり国会ということで非常に緊張したし、ここでもし不払いなんということになってきたら大変なことになるということで、是が非でもとらなければいかぬという意欲が非常に強くあり過ぎてそういう意味での誤解を招いたということにつきましては、反省しております。
  202. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 この問題はこの辺にいたしまして、そういう上へ立ちまして、私はそれこそ未来の受信料制度、これについて若干不安やら心配をしているわけです。  確かに、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、現行の受信料制度、大変すばらしいものですし、何とか発展させてもらいたい。そういう中で、この受信料制度というのを私なりにちょっと調べてみますと、契約説でありますとか、あるいは税金説でありますとか、許可料金説でありますとか、あるいは公用負担税説とかいろいろとあるわけですね。だけれどもNHKがとっていらっしゃいますこの受信料、これはやはりすばらしいと思うのです。今申し上げたこの四点については、やはり大きな欠点をそれぞれ抱えているわけでございます。  また同時に、御承知のとおりこの受信料制度というのは昭和二十五年にスタートいたしまして、当時はラジオ時代であったわけでございますが、モノクロテレビに移り、それが今日カラーテレビが主流だと思うわけです。そして、いよいよこれからNHKも本当に力を入れているから、あのようなトラブルも起きたとは思うわけでございますが、衛星放送時代に入ってきたということだと思うわけです。  そういう中で、日本テレビ界と申しますか、こういう中では、一つはNHKを中心とします受信料制度、それからもう一つは民放の、ちょっと言葉は悪いかもわかりませんが、商業ベースと申しますか、あるいはコマーシャルベースと申しますか、この二通りの制度が今日行われておると思うわけです。それが、ことしの四月からはいよいよ民間の衛星放送JSBと、それからもう一つは衛星放送の独立音声でありますPCM音声放送が有料放送として始まってくる。  このような流れの中でどのように現行の受信料制度を、さっき申し上げましたようにしっかりと発展をさせていくことができるだろうかというようなことを考えますと、いよいよ民放も有料で始まってくるわけでございますし、その辺につきまして今後の受信料制度についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  203. 島桂次

    島参考人 先生指摘のとおり、戦後長い間、公共放送受信料コマーシャルステーション、この二本立ての中に新しくペイテレビという考え方が日本に入ってきたわけでございます。しかも、チャンネルの数はこれからどんどんふえていくわけでございます。現にアメリカのニューヨークにおきましては、百何十チャンネルのCATVも実現しております。そうなってきますと、受像機を置くことによって金をいただくというこの受信料制度がますます難しくなるということは、私は痛切に感じております。  しかし、私はどんな時代になっても必ずや公共的なもの、質のいい番組、文化性豊かな、あるいは少数の人たちにもきちっとしなければいかぬような、そういう公共的なものは必ず生き残れる。問題は、どうしたら生き残れるかということは、これはもう一言にして言えば、そういう文化性豊かな質のいい番組を、国民の最小限度のニーズに応じた番組をできるだけ安く、これも聴視料は三千円とか五千円とかというのでは取れません、できるだけ安く聴視料を抑えていくということをやれば、五十年、百年後は別にしましても、この五年、十年はこの聴視料制度を維持できるという自信を私は持っておるわけでございます。
  204. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は今、多チャンネル化、こういうお話が出まして、それだからこそ受信料が揺らいでくるのではないかというような心配もするわけです。NHKの場合は、もう読みませんけれども放送法七条それから三十二条に位置づけられているわけでございますが、一つは、そういう中でNHKの基本収支の見通しを見てまいりますと、平成年度から平成年度へ向かいまして、収支過不足累計というのは一応平成年度でゼロになってくるのですね。そのことを考えますと、当然NHKとしましても最大の企業努力をなさいまして、少しでも受信料の値上げはしたくない、また一年でも後ろに送りたい、こういうことは当然考え、また努力なさると思うわけでございますが、このような状況から見ていきましても、遅かれ早かれ、いずれまた受信料の値上げをしていかなくてはならない。  一方、先ほど申し上げましたとおり、民放の場合はこれからどんどんと、今度はコマーシャルベースではなくて対価方式への切りかえが進んでくると思うわけです。そうしますと、対価方式の場合でございますと、裏返せば受信料と同じような格好になってくるわけですよ。それだけに私は心配をしているわけです。  時間がなくなりますから先を急いで申し上げたいと思いますが、その後を考えますと、それこそ九七年あたりにはBS4が打ち上げられて、そして三十二チャンネルになるのではないか、あの帯域を狭くしまして。そうしますと、いよいよそれぐらいの衛星放送になってきますと、一つは、何といいましてもチャンネルがそれだけふえるわけでございますから、民放の場合は、あるいはいい世界的なスポーツを中心にした番組を組もう、あるいは音楽を中心にした番組を組もう、あるいは株を中心とした番組を組もう、映画を中心とした番組を組もう、いろいろとアメリカのように専門店化してくると思います。  そうしますと、例えばJSBで申し上げますと、三カ月前払いでございますけれども、視聴料六千円。一カ月二千円で一つ見ればいい、これぐらいの値打ちのものが一つあればいいというと契約をされるかもわからないです。比較的安いわけでございますし、同時に、この契約目標普及予測を見ますと、大変な勢いで計画がされているわけでございます。そうしますと、チャンネルがふえてくれば、本当にNHKの最大のまた競争相手にもなってくる。そうしますと今度は、おれはとにかくそういう専門店のを見ればいいんだ、NHK衛星放送は見なくていいんだ、そういう方もふえてくるという危険性もあると思います。そうしますと、受信料収納率、これがますます悪くなってくるのではないか、そういう危険性を一方では持っておると思います。  その点、NHKというのは公共放送ですから、あまねくみんなが見ることができる、これが基本になっておりますし、もう一つは、NHKというのはいろいろな各層の皆さん提供しなくてはいけない。そういう中から、どうしても百貨店と申しますかいろいろな商品を出さなくてはいけない、いろいろな番組を出さないといけない。そういう意味では教育番組がその一番のいい例だと思うわけです。視聴率は少なくても必ず出していく。これがやはりNHK受信料制度のすばらしいところであるわけでございますからぜひ守っていただくことは当然でございますが、そのような中での激しい競争になってくると思うわけです。そうしますと、百貨店の中でも本当に質のいい百貨店にしない限りは、この受信料制度を守っていくことはなかなか困難だろうと私は思います。  そういう中で、先ほどの外注説あるいはまた要員削減等やっていきますと、そういう激しい世界で生きていき得るだろうかということも心配しておるのですが、その辺につきまして会長はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  205. 島桂次

    島参考人 まさに先生がおっしゃるとおり、戦後公共放送が発足して以来最大の難しい局面に今来ているんじゃないか。この局面を将来にわたって公共放送として生き残るためには、少なくとも今までのやり方の延長線上ではいかぬ、何かそこに新しいものをクリエートしなければ絶対に公共放送は生き残るわけにはいかないのじゃないかということを、この数年間私は強調しているわけでございます。  しからばどういう形で生き残るか。これは先生御存じのように、今NHK放送、通信を取り巻く技術的な革新、あるいはそれに基づく一体どういう具体的な展開になるかということはなかなか先が見えない部分がございます。しかし最小限度、私どもは今の受信料制度による公共放送を少なくともあの五カ年計画の間はもたせる、そこから先も何とかもたせるためには、イージーな値上げなんということは考えられないのじゃないかということだけは深く肝に銘じながら、毎日毎日この新しい時代に対処しているというのが現状でございます。
  206. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 NHKの資料なんですけれども、滞納契約数の推移、昭和六十一年から平成元年あるいは平成二年の九月末、この推移を見ていきますと、九十九万一千件、あるいは最近で申し上げますと九十九万八千件、大体横ばいをしておるのです。もう大体九十九万件ぐらいの滞納契約者数の推移、これも余り変化がないのです。  それから、意図的未契約数の推移、これがだんだんふえてきているのです。昭和六十一年が十四万六千件、六十二年が十五万件、六十三年が十六万件、そして元年が十六万六千件、そして二年の九月末が十六万八千件、だんだん今度は意図的な未契約者の数がふえてきておるのです。  私は、これは大変危険な状態だと思うのです。ですから、先ほど申し上げましたとおり、多チャンネル化へなってどんどんそれぞれ専門的な番組を組んで、そして対価方式ということで来ますと、例えばJSBの衛星放送を見たい、そう思って受像機を買ってパラボラアンテナを立てたら、これはNHK衛星放送を契約しなさい、当然そうなっているのです、今の放送法からいきますと。だけれども、買った方からしますと、それを見るのではなくてJSBを見たいんだ、そっちはお金を払うけれども、こっちは嫌だ、こうなってくる可能性が出てくるのです。  ですから私は、一つは、冒頭申し上げましたとおり、本当に出先の営業の皆さんは大変な苦労をされていると思うのです。朝行ってもいない、昼行ってもいない、夜行ってもいない、いても今度はドアをあけてくれない、こういうような世の中になってきているのですから、大変な努力がある。そういう中で、先ほど前の委員が質問なさっていましたけれども、二〇%削減をする、ますます滞納がふえてくると思うのです。ですから、ぜひその辺のことをひとつ考えていただきたいということ。  それから、これはもう時間がありませんから大臣の方にぜひお答えいただきたいと思うわけでございますが、私は、今の受信料制度はいいわけですが、私なりにいろいろと考えてみたのです。だけれども、これから衛星放送の多チャンネル化へなっていく。そういう中でNHKというのは本当につらい立場にあると思うのです。公共放送を守らなくてはならない。それで放送の中身でいいますと、競争が激しくなればなるほどあまねく質の向上だと思うのです。今まではあまねくすべて公平に見ることができる、これがあったと思うのですけれども、これは正直言いまして今は民放でも見られるのですから、衛星時代になればなお見ることができるわけであります。それから、常に社会的弱者の立場を忘れてはいけない。教育番組でありますとかあるいは福祉の番組でありますとか、視聴率を考えなくて、そしてやはりいい番組を送り出していくということだろうと思うのです。  それから、先ほどちょっと触れたわけですが、そういうことをくくって総合的な高級な番組をつくり出す百貨店がNHKに求められているだろう、そのように思うのです。そういう状況と、もう一方では民放の専門店化、このことを考えますと、今の放送法の三十二条、この受信料をどのように見直したらいいのか。これは、正直言いまして私は考えを持っておりません。勉強すればするほど今の受信料制度がいいなと思っておるものですから、考えは持っておりません。  ただ、一つ言えますことは、冒頭申し上げましたこの間のトラブルのことなんかも考えますと、一つは、集金の場合、カラー契約で受像機を置いて衛星だと二千三百円です。そうではなくて、数字は別にしまして、仮に一カ月とにかく受像機を置けば二千円なら二千円だ、あるいは二千五百円なら二千五百円だ、これは付加方式といった方がいいのか、あるいは受益負担といった方がいいのか。それがカラーだったらカラーの分を上へ乗せますよ、あるいはそれが衛星だったら衛星の分を乗せますよ、このようなことを考えてもいいんではないかな。ハイビジョンになってきましたら当然今の受信料制度ではやっていけないと思うんです。また同時に、今のカラーテレビくらい衛星放送普及しますと、どっちかというと、またカラーの受信料制度その他がずうっと後ろへ追いやられてだんだん消えていく。昔ラジオがなくなったように、そのような形になっていくんではないかなというような気も私は一方ではするんです。  そうではなくて、衛星放送の受像機が入ったら何が何でも衛星で契約をしなくてはいけないんだというのではなくて、できればカラーであろうと何であろうと受像機を置いたということでまず契約をしてください、そういうことで契約の環境をつくり出していくということも大事な時期に来たんではないか。  そういう意味で、これでいいとは言いません。受信料の制度の見直しをする、検討をする時期に来たんではないかということを提起をしまして、大臣の決意を聞きまして質問を終わらせていただきたいと思います。
  207. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 るる先生あらゆる角度から御指摘をいただいたわけでございますが、その根底に 流れております山下先生のお考えの一つでございます、いわゆる受信料を財源として自主性そして中立性を財政面から確保した形での番組の作成のNHK、そのもとでの受信料をいかに徴収していくかという今の内容は決して否定するものではないというお考えが先生の基本にあると私は認識いたしました。私もそのように思っておるわけでございまして、今のNHK受信料によります運営ということは、私はそのこと自体も是正を認めますし、かつまた、そのことによります放送またマスメディアの今の大きな流れが変わっておるわけでございますが、その中で我々国民が求めますものが、そのものから余波としてまたその価値も認める人もたくさんいると思っております。  衛星放送にいたしましても、四月一日から民間で有料で放映をするようなそういう流れにもなってきております。今後いろいろ違ったメディアも出てくるだろうと思うわけでございますから、この機会に、受信料でやっておりますこの問題、それからまた徴収の方法等々も含めて研究をしていくときには来ているだろう、そのように認識をいたしております。
  208. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 終わります。
  209. 野中広務

    野中委員長 次に、菅野悦子君。
  210. 菅野悦子

    ○菅野委員 私は、NHK公共放送としての基本的な姿勢についてまずお伺いしたいと思います。  NHKは、国内番組基準の前文の冒頭で「世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する。」ということをうたっていらっしゃいます。最近、湾岸戦争ということがあったわけですけれども、平和と人類の幸福にとって非常に深刻で悲惨な事態に直面したわけなんですが、こんなときだからこそNHK自身が定めている「世界平和の理想の実現に寄与する」というこの国内番組基準が一層大切になるんではないか、日常の番組に貫かれる必要があるんではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  211. 島桂次

    島参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。
  212. 菅野悦子

    ○菅野委員 この国内番組基準につきましては、一九八二年のNHK予算案審議の場合で、私どもの村上議員の質問に対して、当時の坂本会長が、この世界平和に寄与するという番組基準は、憲法の平和主義を受けたものだというふうにその当時答弁していらっしゃるのです。戦争の放棄、それから武力の行使による国際紛争の解決、これを否定した日本国憲法の平和主義を受けたという国内番組基準だということで当時の坂本さんはお答えになったわけなんですが、島会長は、この点でどういうふうに受けとめておられるか、あわせてお聞きしたいと思います。
  213. 島桂次

    島参考人 NHK公共放送でございますから、当然憲法の精神を体しながら放送を行うということじゃないかと思っております。
  214. 菅野悦子

    ○菅野委員 次に、NHK公共放送としての基本的性格に関連してもう一つお聞きをしたいと思うんですが、それは磯村特別主幹の都知事選立候補問題でございます。  私どもは、政治活動の自由というのは、これは完全に保障されなければならないというふうに考えております。しかしあわせて、専務理事待遇というNHKの最高幹部ですから、その点では放送の不偏不党、政治的公平を守るという重い責任もあることも指摘しなければならないというふうに考えます。視聴者からいずれにしろNHKの磯村さんということで、この問題での疑問もたくさん出ているし、NHKが絡んでいるというふうな報道記事も相当出ているようですから、直接NHKにも電話なども来ているんではなかろうかというふうに思いますが、この問題でどの程度の電話がかかっているのか、また、その内容はどんなものか、お伺いしたいと思います。
  215. 小山森也

    ○小山参考人 反響の件数だけを申し上げます。  通常、番組等へのNHK意見要望は一日に平均一万二千件くらいございます。反響件数は、この件に関しましては四百七十件来ております。いろいろな意見がございます。反対意見もあれば、いわゆる一体どういうことなのかと問い合わせの意見、そのほか自己主張をする方等がございまして、一つに整理して申し上げるのはなかなか難しいという状況でございます。
  216. 菅野悦子

    ○菅野委員 私どもお聞きしたところでは、まあ苦情といいますか、そういうふうなものが四百件で、一般的な単純なる問い合わせが七十件ほどあったというふうにお聞きしているんですが、この点ではいずれにしろいろいろと報道もありまして、例えば毎日新聞の投書欄などには、公共性を標榜して国民から金を受け取る立場にある者ならば、辞職して出馬するにしても、絶対に要請を受けるべきではなかったんではないかというふうな、これは青年ですけれども、そういう意見ども出ているわけです。NHKは、この問題での視聴者の問いかけといいますか疑問にどう答えていらっしゃるか、お聞きをしたいと思います。
  217. 島桂次

    島参考人 磯村君が都知事選に出ることは基本的には磯村君の自由でございますし、彼が立候補したいという意思表明が私にあった時点でNHKをやめていただいたわけでございます。NHKはここにいらっしゃる上田先生以下、国会議員も十人近くおりますので、各個人がそれぞれNHKをやめてそれぞれの政治家となって活動されることは自由じゃないかと考えております。
  218. 菅野悦子

    ○菅野委員 私どもも政治活動の自由については、会長がおっしゃったようにその点では保障されなければならないというふうに思っているわけなんです。ただ、私がぜひ申し上げておきたいのは、いずれにしろNHKの動向というのを随分注目されているということはあろうかと思います。ですから、公共放送としてNHKへの疑問が広がることのないようにしていただきたいということを言いたいわけです。その意味でも今後の報道姿勢が大事ではなかろうかというふうに思いますので、視聴者に疑問、批判があることを十分認識した上で、公正中立な選挙報道、これをぜひ厳正に貫いていただきたいと思います。そのお考え、決意を伺いたいと思います。
  219. 小山森也

    ○小山参考人 公正中立な放送に徹してまいります。
  220. 菅野悦子

    ○菅野委員 では、次の問題でお伺いしたいと思います。  それはNHK職員の労働時間についてなんですけれども、今、日本人の働き過ぎが非常に問題になっておりまして、労働時間の短縮というのが政府におきましても何度も閣議決定されているところなんですが、残念ながら、その一方でいわゆる過労死問題というのが広がっております。特に、マスコミ関係は過労死予備軍とさえ言われておりまして、もちろんNHKもその中にあるわけです。  非常に残念なことなんですけれども、最近、NHK大阪局で朝ドラ「京、ふたり」の担当ディレクターが心筋梗塞で急死したということを聞きました。三十八歳の若さだったということ、そして局の近くのビジネスホテルでお亡くなりになったということ、そして家を新築なさっていたそうなんですけれども、ほとんど毎日自宅にも帰らずに泊まり込みで仕事をしていたと聞いております。この「京、ふたり」のスタッフは、ドラマのBKの灯を消すなということでかなり頑張っておられて、視聴者の反応も好評だったというだけに、本当に残念なことだと思うわけです。  そこで、お聞きしたいのですが、NHK職員の年間総労働時間はどのようになっているか、放送系、技術系などの職種別でどうなっているか、お聞きをしたいと思います。
  221. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 お答えします。  NHKの年間の総労働時間は二千百時間程度でございます。これは全産業平均三十人以上とほぼ同程度でございます。  一方、放送現場につきましては、放送系が二千二百五十時間、技術系が二千八十時間であります。社会値をかなり上回っております。放送事業業務運営の特殊性ということでありますけれども、私ども社会値に向かって、政府のガイドラインもございますので、できるだけ努力をしていく所存でございます。
  222. 菅野悦子

    ○菅野委員 放送系で二千二百五十時間ということでございますけれども、政府は年間の総労働時 間を来年度中には千八百時間にするという目標を掲げておりますので、その点で年間四百五十時間、全体の二割の労働時間を短縮するということが必要になってくるわけです。  さらに、実際の労働時間は相当この数字よりはるかに長いのではないかなということを率直に思うわけです。NHKは、労使協定で残業時間というのは二月で百時間を超えないようにということになっているということなんですが、そのため名目上は二月で九十九・五時間というのがずらっと並ぶという状況にあるやに聞いております。  ところが実態は、先ほどの例じゃありませんけれども、局の近くのホテルに泊まり込むとかというのが半ば当たり前のようになっているということも聞いておりますし、報道関係でも、「NHKスペシャル」をつくるために二日間完徹したとか、ホテル暮らしは当たり前という話も聞くわけです。  大体二月で残業が百時間以内で済むということなら、泊まり込みが半ば日常化するなどということはあり得ないわけで、しかも百時間を超える部分というのは、いわゆるサービス残業ということになっているのではなかろうか。そういう点で、こういう状況をもしそのままほっておくなら、時間短縮どころかまさに過労死予備軍になってしまうのではないかと本当に心配するのですが、いかがでしょうか。
  223. 尾畑雅美

    ○尾畑参考人 放送事業の特殊性、そういうことに甘えることなく、社会がゆとりを求めるという時代に行っておりますし、それから日本人の働き過ぎということも国際的に指摘されているところでありますので、私どもは全職場について管理職の、そういうことのないよう勤務管理それから仕事のあり方について厳しく指導してまいる所存でございます。
  224. 菅野悦子

    ○菅野委員 NHKでは、職員でない、いわゆる下請のスタッフ、これもメークとか照明補助ということで番組制作に携わっているということですが、私が聞いたところでは、そういうスタッフというのは月の残業時間が百八十時間になっているということなんですね。ですから、NHKの正規職員でも、同じ制作現場で働いているわけですから、実際にこれに近い残業をやっているのではないかというふうに思うわけです。家に十二時前に帰ると家族がびっくりするというふうな話も聞いているわけなんですけれども、現場ではいい番組をつくりたいという意欲もあるのでしょうけれども、これではもたないなというふうに思うわけです。  今労働基準法第三十六条の見直しということも本格化しようとしておりますが、残業や休日出勤が野放しでは、幾ら週休二日といっても、実態としての長時間労働とか過労死問題はなくならないというふうに思うわけです。  そこで、会長にもぜひお聞きしたいのですが、衛星放送の本格化で二波、放送がふえましたね。にもかかわらず、人の方はどんどん減っているということがあるわけで、しかも今度のように湾岸報道ということになって番組制作の即応性も求められるということで、結局徹夜し、泊まり込みして番組をつくるという方向に流れているというふうに思うのですが、NHKとしても、労働時間の短縮、これに本格的に取り組むときではないかというふうに思いますが、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  225. 島桂次

    島参考人 NHK、今大変な時代を迎えていろいろなことをやらなければいかぬときでありますけれども、当然のことながら、職員を必要以上に苦労させるということは、これはあってはならないことで、少なくとも世間の同じ放送業者並みに、それ以上に労働に負担がかからぬよう万全の注意をしたいと思っております。
  226. 菅野悦子

    ○菅野委員 職員の皆さんが頑張っているだけに、ぜひそういう形ですばらしい番組をつくるという点でも配慮をお願いしたいというふうに思うわけです。  では、次の問題に入りたいと思います。  NHKは、ことし四月からテレビ・ジャパンという事業を始めようとしていらっしゃいます。総合テレビニュース番組を主体にして一日八ないし十二時間に編集し、アメリカとヨーロッパでCATVに供給するということで、当面は在留邦人を対象とするが、将来的にはバイリンガルにしていく、大ざっぱに言うと大体そんな計画だと思いますけれども、このニューヨークとロンドンにつくられる現地法人、これはどのような企業が出資をして共同でつくることになるのか、お伺いしたいと思います。
  227. 青木賢児

    ○青木参考人 お答えいたします。  ニューヨークにはジャパン・ネットワーク・グループという会社ができる予定でございます。資本金は三十三億円の予定で、現在この資本を募集中というふうに聞いておりますが、これの主体になりますのはMICO、国際メディア・コーポレーション、それから伊藤忠、日本航空というような海外進出企業が中心になっているようでございますが、まだ最終的にこの株主がどういうふうな構成でこの株を構成するかということは決まっていないということで、現在募集中というふうに聞いております。  それから、ヨーロッパにはジャパン・サテライト・テレビジョンという会社が設立されまして、これを母体に放送することになっておりますが、こちらの方は資本金が二十六億円というふうな予定で、現在あります、既に存在しておりますジャパン・サテライト・テレビジョンという会社を増資する形でこの会社を設立するということで、これにもMICOが中心になって丸紅、三菱、フジテレビジョンというような会社が中心になってこの資本を賄っていくというふうに聞いております。
  228. 菅野悦子

    ○菅野委員 映像による国際交流とか在留邦人がNHK番組を見られるようにするということは非常に結構なことだというふうに思うわけですが、NHKが特定の商社などと共同の事業をするということになると、公共放送として問題が生じないかなという点を率直に疑問に思うわけです。  しかも設立される現地法人というのは番組にCMを入れるとしていますね。単発の番組海外に売るというのとはちょっと違ってくるなというふうに思いまして、リアルタイムの映像情報提供がうたわれており、一日のNHK番組をアメリカでは九時間半にして流す。その中にCMが入るということですからNHKのイメージにもかかわるのではないかなというふうに思うわけです。実際の事業はMICOを通じて行われるということですが、編集権というのはNHKにあるわけで、また編集の仕事はNHKネットワークに委託されるというふうに聞いております。  特に日本からの衛星回線、この点なんですけれども、これはビデオハイウエーと呼ばれておりましてNHKが設定するということになっていた。これに対して特定の事業者、営利事業NHKが回線を設定して便宜を与えるのは公共放送の範囲からの逸脱ではないかというふうな批判が出ておりましたね。民放連の機関紙にもその種のことが載っておりますけれども、そういうことだったのですが、NHKはこれに対してどういう対応をなさったのかお伺いしたいと思います。
  229. 青木賢児

    ○青木参考人 この事業に関するNHKの関係でございますけれども、これらの会社はNHKとは関係のない資本によって現地で独自につくられる会社でございまして、NHKはこれに共同事業という形では参加していないということでございます。  ではNHKはどういう立場かと申しますと、NHK番組を先ほどおっしゃったようにアメリカで九時間半、ヨーロッパで七時間、これはNHKだけじゃなくて民放の番組も入りますが、一緒に放送してまいりますが、この番組NHKはニューヨークとロンドンで提供していくというふうなことで、これは我々としては販売活動だというふうに考えておりまして、この番組に対する対価をこれらの会社からいただくというふうに考えております。  それから今御指摘国際回線につきましては、 NHK専用回線を持っておりますが、これを通じて送っていく。九時間半というとかなりの膨大な量になりますので、こういう回線を使う以外に送る方法がないのですけれども、これはそれなりの経費がかかりますが、これについてもできるだけNHKの出費にならないような形で賄うように現在検討している最中でございます。
  230. 菅野悦子

    ○菅野委員 この点につきまして三月三日付の民間放送連盟の機関紙「民間放送」では、このテレビ・ジャパンについて郵政省がNHKの関与の仕方を問題にしたというふうに報道しております。  そこのところを読んでみますと、「NHKが来年度予算案の中で郵政省に説明したのが、既に商社が関係者に「NHKの回線をリースして行う」と説明した後の一月下旬。郵政、NHKの間で検討を行い、NHKの態度決定を待っている状態が三週間以上も続いている」というふうにあるのですが、こうした経過があったのかどうか、それに対する郵政省のお考えをお聞きしたいと思います。
  231. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 放送番組海外提供というのは、国際間の相互理解を深めるという上で大変有益なことでありますから、私どもも積極的に推進したいと考えておるわけであります。NHK平成年度において今おっしゃったような計画を持っておるわけでございまして、現在その具体的な実施方法についてまだ今NHKから事情聴取をしているところでございます。
  232. 菅野悦子

    ○菅野委員 このテレビ・ジャパン計画なんですが、視聴者にもほとんど知られていない。それどころか、NHKの職員でさえこの全体像をつかんでいる人は少ないということさえ言われているのですね。国際的な新事業であるテレビ・ジャパン計画、これはこれまでのNHK海外放送局との共同制作とか海外放送局への番組の販売などとは質が違う。日本テレビ外国放送するという点で新たな問題だというふうに思うわけです。そういう事業を開始するに当たっての国民合意の形成それから郵政省や民放連の対応などで、こういうふうな報道を見ると疑問が残るわけです。  先ほど来、会長も相当熱心にこの計画を進めておられるようですけれども視聴者のほとんど知らないうちにこうした新しい質の事業を開始するということは公共放送あり方としていかがなものかと思うのですけれども、その点で会長のお考えをお聞きしたいと思います。
  233. 島桂次

    島参考人 お答えする前に、先ほど私の答弁の中で個人名を取り上げたこと、これは軽率でございます。取り消したいと思います。よろしくお願いいたします。  ただいまテレビ・ジャパンの問題でございますけれども、これはやはり公共放送としてやらなければいかぬなと思った最大の原因は、かなり多数の日本人の方々が外国で暮らしているわけでございますね。それでほとんど、例えばニューヨークにおきましてもスペイン語放送とか韓国語放送とか中国語放送、みんなやっているわけですね。それぞれの自分の故国の情報をかなり自由に聞いている。だとすれば、そういう事業NHKが積極的に協力すべきじゃないだろうか。これは同じ日本人、在留邦人でございます。向こうで仕事をして情報過疎の中にあるわけです。ですから、これはまさに公共放送として大いに協力してやらなければいかぬ事業だというふうに私としては考えておるわけでございます。  視聴者の知らない間ということにつきましては、これは今まだ実施すべくいろいろ検討しておる最中でございますので、きちっとできる見通しがつきましたら改めて番組なりを通じまして皆さん方にお知らせしたい、こう考えております。
  234. 菅野悦子

    ○菅野委員 四月からということのようですので、ぜひ急いでいただきたいというふうに思うわけです。  今のお話にもありましたように、会長放送のインターナショナル化といいますか国際化というのをたびたび言っていらっしゃって、グローバル・ニュース・ネットワーク構想というのも打ち上げていらっしゃいますね。この中でNHKアジア情報発信基地になるということを打ち出されているわけですけれども会長の年頭のあいさつの中でも、「アジア情報日本を中心として、アメリカの情報はアメリカの放送会社、ヨーロッパの情報はヨーロッパの放送会社というように、三者が一体となり、NHKが主導権をとりながら行うもの」と言っていらっしゃいます。  アジア放送番組情報というのが全世界に紹介されるということは非常に結構なことなんですけれども日本NHKアジアの中心、NHKアジア情報発信基地という構想は、アジア各国に存在し、自国民に対して放送している放送局の盟主にNHKがなるという姿も見えてくるように思うわけです。そうなればアジア各国からの反発は必至ではないかというふうに思うのですけれども、この点で会長の御見解はどうかお聞きしたいと思います。
  235. 島桂次

    島参考人 アジア情報が今全世界にほとんどと言っていいぐらい伝えられてない、これを何とかしようじゃないかということは、単に日本NHKだけではなくて、ABUの総会とかその他で絶えず我々アジアの同じ放送人仲間が大いにやろうじゃないかと言っていることでございます。私もこの問題につきましては中国を初め世界各国の放送局の皆さん方と協力しながらやっていきたい、こう考えておるわけであります。
  236. 菅野悦子

    ○菅野委員 公共放送としての基本的な姿勢を堅持していただいて、それから視聴者、そして番組づくりなど中で一緒に頑張っていらっしゃる職員の皆さんのことも配慮していただきながら、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思うわけです。  終わります。
  237. 野中広務

    野中委員長 次に、中井洽君。
  238. 中井洽

    ○中井委員 大臣も会長もお疲れでございましょうが、私で最後でございますので、簡潔にお答えをいただきますようお願いいたします。  まず最初に、先ほどからたくさん出ておりましたが、湾岸危機報道について幾つかの点でお尋ねを申します。  八月の五日から始まりました湾岸危機湾岸戦争、これでNHKは大変な、集中的な報道をなさいました。この特別に集中して行われた報道番組のために使われた費用というのは幾らぐらいになるか、御計算できているでしょうか。
  239. 三河内賢二

    ○三河内参考人 お答え申し上げます。  八月からの湾岸危機並びに湾岸戦争報道にかかわりました経費は、海外の取材経費並びに衛星中継の回線経費並びに「NHKスペシャル」などの各番組制作経費などを合わせまして約四十七億程度かかっております。
  240. 中井洽

    ○中井委員 これは、こういう報道がなくて普通の放送をされたときと比べてどのくらい予算オーバーになってしまうのか、それがこれからのNHKの決算体制にどう影響を与えるのか、それぐらいのお金なら内部の努力で五カ年計画どおりやっていけるのだ、こういうおつもりなのか、お聞かせをいただきます。
  241. 三河内賢二

    ○三河内参考人 ただいま申し上げました経費につきましては、これは年度当初に全く予期しない事件でございましたし、それにかかわった経費でございますので、私どものところでは支出のやりくりに大変苦慮いたしております。この経費につきましては、ただいま執行中の平成年度の予算の枠の中で処置するように、例えば報道の特集を行いましたら番組そのものが休止になっておりますので、その辺の予算のやりくりをするというような考え方をとっておりますが、何せ額が多うございますので、そのやりくりの中の一部を、予算総則の範囲内で認められております予備費の流用などを考えまして処置をしたい、このように考えております。  最終的には、湾岸報道の費用を含めた全体の決算といたしまして、国会でもお認めいただきましたただいま執行中の平成年度の予算枠の中でとどめるように努力をしたい。したがいまして、五カ年計画には影響はないというふうに考えております。
  242. 中井洽

    ○中井委員 今後も世界の中の動きを追うわけですから、突発的なあるいはお金のかかる問題が出 てこようかと思います。そういったことに柔軟に対応できるような予算体制あるいは資金的余裕、こういったものを郵政当局も含めて常にお考えいただきますよう要請をしておきます。  会長にお尋ねいたしますが、これは「週刊現代」という三月九日発行の週刊誌で、自民党の山口さんと会長が御対談になっておられます。その中で湾岸戦争のことについてお話がございました。会長は、「私は国連決議にそって、侵略者はイラクであるというスタンスで報道するよう指示しているんです。」こうお述べになられたと書かれておりますが、これは事実ですか。
  243. 島桂次

    島参考人 その部分だけ切り離されますとそういう表現になりますけれども、私が述べた真意は、山口さんの、一体どちらの、ブッシュ側についてやっているのか、それともサダム・フセインを評価してやっているのかという質問に対して、私が、これは見る立場によってかなりいろいろ違う問題だと思いますけれども、常識としては、やはり日本は平和憲法を持っており、国連にも加盟しておるわけでございますし、これは日本の大方の政治家の皆さん方も国連中心主義ということをとっている、したがってと、「したがって」以下が多分そういう表現になったのではないかと思います。
  244. 中井洽

    ○中井委員 私は別にけしからぬと言うているわけじゃありません。当然だと思っております。  ただ、郵政省にお尋ねをいたしますが、NHK会長が、ニュース報道、しかも大変大きな事件で、こういうことを主眼に置いて報道すべきだと指示をされるということは、放送法からいって何の問題もないと私は思いますが、郵政省の方はいかがお考えでしょうか。
  245. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 内部の問題だと思っております。
  246. 中井洽

    ○中井委員 先ほど同僚議員の質問を聞かせていただいておりましたら、NHK報道が偏向しておる、イラクの情報が少な過ぎるじゃないかという御指摘がございました。私は聞いておりまして、いろいろな方がおられるのだなと実は感じておりました。私は全く逆の立場からNHKさんに少し御質問を申し上げたい、こんなふうに考えているところでございます。  放送法の中には、公平に扱う、あるいは反対意見があるときには、対立する意見があるときには両方扱うのだ、こういうことが書かれております。中立公平であるということは当然のことでございます。しかし、会長がこの週刊誌でお述べになっておるように、今度のような大事件で世界じゅうがイラクと戦う、世界じゅうがイラクだめだよと言うているときに、イラクの理屈と世界の理屈を同じに扱えというのは全く不平等だと私は思うのであります。国連の決議だって百数十カ国が賛成、反対したのは三カ国くらいじゃないでしょうか。それを同じように扱うということが果たして報道の公平になるのか、中立になるのか、大臣、いかがですか。
  247. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ざっくばらんに申し上げまして、同意見でございます。
  248. 中井洽

    ○中井委員 そういった意味で、今回の各マスコミの報道というのは大変残念な報道が多かった、私はこのことを感じております。同時に、日本の世論をミスリードした、このようにさえ思っております。しかし、まあ国全体がいい勉強をしたとも思います。その中でNHKニュース、評論が他の局に比べて私はうんとまともであったと感じております。しかし、私の見聞きしました範囲でのNHK報道を見ますと、やはりどこか根本が違っておったな、間違いだったなと思うことがたくさんございます。  例えば、あの戦争がアラブ全体とアメリカの戦争であるというような解説がたびたびなされた、あるいはイスラム教とアメリカとの戦いだというような解説もあった。これは違うのだと思うのですね。僕は違うと思っております。あるいは戦争が長期化するのだ、長期化したときには、アメリカは大変苦しい立場になるのだ、あるいはイスラエルとアラブ世界との間が余計複雑になるのだ、こういう解説がたびたび行われました。しかし私どもは、あの戦争は短期に終わると考えておりました。私自身も、たまたま当たっただけでありますが、あちこちで二月には終わると言い切っております。終われば、逆に、イスラエルとアラブ世界の問題の解決は早まる、このように言い続けてまいりました。報道の自由というのはあります。しかし、責任というものもあると思うのであります。  こういう大きな問題で、NHKNHK報道なさる、そのときそのときは、それは自由でありましょうが、結果としてお間違えになったとき、あと内部でのチェック体制、こういったものはあるのかどうか、それらを含めてお答えいただきます。
  249. 島桂次

    島参考人 何せイラクのクウェート侵攻以来かなりの長い期間、戦争に入ってからもかなり長期間、しかも重点的にかなりの長時間、番組をやってまいりました。その中では先生の御指摘するようなものが全くなかったわけではございませんし、私自身報道局長以下現場にいろいろ意見を言ったり、あるいはいろいろのそのときそのときにそれを分析、検討してまいっております。NHKの中にも、考査室初めそういうチェック機構といいますか、そういうものも十分持っているつもりでございます。
  250. 中井洽

    ○中井委員 考査室におきましては、そういうニュースとかあるいは解説とか、やはりチェックを常にしている、こう理解をしていいのですか。
  251. 島桂次

    島参考人 絶えずチェックしておりまして、一カ月に一遍理事会に考査室長から正式に全分野について報告をいただいております。
  252. 中井洽

    ○中井委員 本当に、報道の自由ということがありますから、私どもも、中途半端なおかしげな批判は慎むべきだ、このように思います。  しかし、テレビというのは大変な影響を持っており、同時に会長は、しばしば日本があるいはNHK世界日本ニュースを送るんだ、こういうことを言われておる。あのNHKニュースですら、解説ですら、アメリカを初め世界の人々が湾岸危機の最中に見ておったら、日本はイラクの味方をしておるように見られる、こう感じて、ぞっとする思いで実は私は見ておったのも事実でございます。  そういった意味で、報道をなさる人、解説をなさる人、御勉強はいただいているとは思うのでありますが、ひとつ幅広く世界の中の動きあるいは考えをおつかみをいただく。同時に、内部でもう少し議論をしていただいて、やはり事前にもチェックをするということもお考えになるのが必要なんじゃないか。特派員の方、解説の方の自由な考えでおやりになる、そのことが後々取り返しのつかないことになるのじゃないか、こんな思いをいたしておりますが、会長、いかがですか。
  253. 島桂次

    島参考人 御指摘の点、まさにそのとおりでございまして、私初め放送局長あるいは報道局長以下、私自身もワシントン、ロンドンあるいはその他直接現場と随分話し合ったこともございますけれども、若干先生の御指摘するような面が全くなかったわけじゃございません。これから大いに研究していきたいと思っております。
  254. 中井洽

    ○中井委員 まだもう少し申し上げたいのであります。  例えば、この放送法の中には、事実を隠したりあるいはゆがめたりしてはならない、こういう規定がございます。例えばどういう隠し方かといいますと、戦争が終わった後、バグダッドで死者十何万だと言われているという御報告があった。それから、スタジオにおいては多国籍軍の死者はこれだけだった、こういう報道があった。それは事実なんでしょう。しかし、そこで終わるのですね。クウェートで何人死んだかだれも言わない。これは、やはりちょっと今度の戦争の報道として本質をゆがめる報道になるのじゃないか。どうしてこのときにクウェートの死者、イラク軍によってどれだけの人が虐殺されたか言われないのか。そういったところに、NHKは他の局よりもはるかに質の高い報道や解説をなさったけれども、残 念なことにゆがめられているところがあるのじゃないか、このように思います。  そして、それを海外の方が見られたら、どうしてあんなにイラクの味方をするのだろう、こういう疑問になって返ってくるんじゃないかという思いもいたしました。  それらの点も含めて、私どもも、対外的に難しいときの身の処し方、本当に国会議員としていい勉強をいたしました。また、これからも苦しい立場の中でお互いが頑張らなければならないと思います。同時に、そのときに国民全体がやはりバランスのとれた判断というものをやってもらわなければならない。そのときにやはり報道ニュースNHK、こういったものは大変大きな役割をすると思うのであります。余りにも公平中立という言葉だけにとらわれて、そしてこういった大きな物事で判断を狂わせないように御努力をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  255. 島桂次

    島参考人 報道というものは、それぞれの起きている事態を正確に取材をして、それに基づいて正確な解説と将来の見通しとか、そういうものをきちっとやはり位置づけなければいかぬ。そういう意味で、何せ今度の戦争に当たりましては、なかなか数少ない特派員とか、あれだけ膨大な戦場、あれだけ膨大な国の広がりの中で、素材そのものの収集について不十分な点もありましたし、その判断その他につきましても非常に難しい要素がございましたので、一時的にやや違ったような判断を下した解説員なり現場の記者がいたことも事実でございます。  しかし、それも含めまして、ただ全体としてはあれだけ極限された中で、私が言うのもどうかと思いますけれども、よくやったんじゃないかと思っておりますけれども、その中に、十分反省し、これから将来もっとさらに検討しなければいかぬことを含んでいることも事実でございます。
  256. 中井洽

    ○中井委員 同じような観点なのですが、もう一つお尋ねしたいのは、現場の方々のニュースに対する感覚、あるいはこれを記事としてニュースとして取材をするのだという判断というのは、現場の方々に任されていると思うのですが、それらが本当に全国的なニュースとして必要なのかどうかという判断は一体どこでやるのだろうと、私は時々NHKさんを見させていただいて思うことがございます。  例えば、本当に二、三十人の集会でも、何か反対運動であったら映す。しかし本当に、その反対運動というのは住民の中に、地域の中に大きな支持を持っておるのか。たとえ一割でも支持があるのかと考えたら、僕らから見ると〇・一%ぐらいしか支持がないのじゃないかというようなことでもお取り上げになる。それが逆にニュースになって広がる。時にはそういったことで私どもも啓蒙されるときもあります。また、行政側もその事件によって反省させられることもありますが、どうもそういったことで現場の自由、報道の自由に名をかりた自由の行き過ぎというものがあるのじゃないか、こんな感じがいたします。  去年の暮れに「紅白歌合戦」というのですか、私ずっと落選しておったものですから三年ほど見ておりませんで、今度当選して久しぶりに見ました。そうしたら、ベルリンからどなたか有名な歌手さんがお歌いになった。延々と歌われるのですね。どういうことだろうな、こう思いました。正月の間、友達なんかに会うと、紅白見たか、あれは何だろうと、何の意味があったんだろう、こう思うわけであります。  芸能番組、それは編集なさった方のあれでありましょうが、ああいったことも本当にチェックしてチェックして、そういう結果ああいうことにするんだという形になったのか、あるいは現場の自由という形でなっておるのか、その点についていかがですか。
  257. 島桂次

    島参考人 ニュース番組もそうでありますけれども番組につきましては、番組に対しての一応現場の責任者かおるわけでございます。基本的には、現場の責任者を中心に現場の連中が構成するというのがやはり放送を最もビビッドにすることでありますので、あくまで現場中心でやっておりますけれども、それを総括的にどういうふうに持っていくかあるいはやったことに対してどういうふうに指導するか、それは編集権を持っております私の仕事でございますので、ここに並んでいる経営のスタッフその他がその都度現場と話し合うという形で運営しておるわけでございます。
  258. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ、この問題はそれぐらいにいたしまして、次に料金の徴収について少し承ります。  衛星放送の契約受信料、鋭意御努力をいただいているわけでございます。この中で団体の割引という制度があります。二百五十円ほどおまけになるらしゅうございますけれども、今、各地で都市型のCATV会社が猛烈に広がっております。この都市型のCATVは大半が衛星放送と契約なすって、CATVを見れば衛星放送も自動的に見られる、こういう形になっておると思いますが、このCATV会社とNHKとの間で一括して受信料をお納めいただく、こういう契約を結んであるところはありますか。
  259. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 受信料制度の中で団体一括割引制度を活用しているCATVは、都市型では東京の東急ケーブルテレビジョンほか、地方でも幾つかのところがございます。まだそれほど全国的に普及しているという段階ではないと思います。
  260. 中井洽

    ○中井委員 なぜ普及しないのでしょうか。
  261. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 率直に申しますと、CATVは独自の料金を設定されておりまして、その上にNHK受信料を取るということについて、やや事業者の中に自分たち事業計画との絡みの中でちゅうちょする場面があったのではないかというふうに思っております。  そのことにつきましては、ようやくこれまでの長い話し合いあるいはNHKの協力によって氷解していただきまして、平成年度は、団体一括契約だけではなくてNHKにかわってそのCATV地域の受信契約なり移動その他についても前向きに話し合うというところまで今現在なっておるわけであります。
  262. 中井洽

    ○中井委員 都市型CATVというのは、二千件、三千件、あるいはもっと加入者をお持ちでございます。ここへ加入いたしますと衛星放送が見られるようになるわけであります。もともと衛星放送をお持ちになってCATV契約される方はおなれになっておると思いますが、CATVを入れたために突如、衛星放送を見ているじゃないか、お払いください、こう言われてCATV会社と受信者との間で往々にしてトラブルがあると私は承知いたしております。  ここにあります一括団体割引の制度というのは、大体団地とかあるいは議員会館とか、そういったところのことを対象にした割引であろうかと思います。CATVみたいなところを、どこんと一括にして、徴収もCATVでやっていただく、そしてそのかわりうんと割り引きます、こういった発想で衛星放送受信料収納の率を上げていく。はるかに合理的だと思うのですが、郵政省、いかがですが。
  263. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 現在、衛星放送の料金が九百三十円でございまして、十五件以上の団体の一括支払い割引の場合が先生おっしゃいました一件当たり二百五十円ということになっておりまして、割引率ということでいいますと二七%でございまして、私どもからいいますとこれは決してそう安くはないといいますか、そういうふうに思っております。  さらに割引率を高めるかどうかということにつきましては、まずNHKで検討していただく問題だと思いますけれども、ほかの一般受信料を払っている方との公平性と、あるいは一括することによってもちろんコストがかからなくなるわけですから、そういうところの節減できる経費、あるいはNHKに与える財政的な影響、こういったものを考慮なさってお決めになるべきだというふうに思っています。
  264. 中井洽

    ○中井委員 NHK、どうですか。
  265. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 今郵政当局からお答えがありましたように、いわゆる費用対効果のことを勘案しな がら、衛星契約を伸ばすという立場から、シーエーティブィ連盟を含めて今細かくお話し合いをさせていただいているところでございます。
  266. 中井洽

    ○中井委員 そのお話し合いしているというのは、CATVの個々とやっているのですか。CATV全体のあれで、何とかそういう形で一括でやれるような制度をつくるということで話し合っているのか。個々に説得しているという意味ですか。
  267. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 基本的にはシーエーティブィ連盟の足並みということがございますので、連盟の御了解を得て、あとは私どもの各放送局と地元のCATVさんと、これからお話し合いをさせていただきたい。先生御案内のように、CATVの成り立ちが地域によっていろいろございますし、規模も違いますので、一概な考え方ではできない、その基本だけを連盟と合意したということでございます。
  268. 中井洽

    ○中井委員 最後に、東京都庁舎が新しくできまして、大変立派な庁舎、うらやましい限りでありますが、その庁舎が完成をいたしました後、各地区でかなりの、想像以上の電波障害が起こっておると私どもは聞かしていただいております。  この東京都の新庁舎をおつくりになるときに、どういう電波障害対策あるいは乱反射対策がなされてきたのか、どのくらいのお金が使われてきたのか、にもかかわらず、どうして各地区で東京都庁の新庁舎がそういうテレビの障害になるという事実が起こっておるのか、またこれらに対してどういう対応を御指導をなさっておられるのか、承ります。
  269. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 ビルの建設などに伴う障害が起きた場合は、これはビルを建てた当事者、つまり原因を引き起こした事業者にそういう問題を解決するようにということでこれまでもお話をしているわけですが、東京都の場合は大変すばらしい、高いビルができるわけで、それに伴う影響というものは当然考えられます。  そこで、昭和六十年でございますが、東京都からNHKに、このビルを建てることによる電波障害はどうかという技術協力の依頼がございまして、それに基づきまして、私ども技術協力あるいは指導をしてきたわけでございます。  私どもの調査で、例えば東京都のあのビルができることによって二つ障害がございます。直接電波が遮断されて見えなくなる世帯はどのぐらいあるのか、あるいはその建てたことによって電波が反射して影響を受けるところはどのぐらいあるのかということでございます。  調査の結果、直接遮断されるのは一万四千五百世帯、それからさらにその先の方に六千世帯ばかり影響を受けるところがあろうかと思います。一万四千五百世帯につきましては、この三月、ビルが完成するまでに共同受信施設ということで対応が行われるということになっております。それから、ビルができることによって影響を受ける反射でございますが、これにつきましては千葉、神奈川方面で十六万六千世帯の影響が予想されましたので、これは大変お金がかかりますが、私どもにとっても大変な問題でありますし、視聴者も影響を受けるわけですので、電波が反射しないように吸収板をビルに取りつけていただきました。何だかんだこういう費用で、私ども伺っている予算は、東京都は約五十億円かけたのではないかというふうに推測しております。(中井委員「まだ、それでもあるというやつはどうですか」と呼ぶ)先の方については、これから個別の対策を行うということになっております。
  270. 中井洽

    ○中井委員 時間ですので終わりますが、大変御努力をいただいていることは私ども承知をいたしております。予算が本当に守られて、できる限り値上げがなしに経営ができるというのと同時に、先ほど申し上げましたように御努力いただいてさらに質を高めて、信頼されるNHKとして御活躍いただきますことをお祈りして、質問を終わります。
  271. 野中広務

    野中委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  272. 野中広務

    野中委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  273. 野中広務

    野中委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ─────────────
  274. 野中広務

    野中委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、原田義昭君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。原田義昭君。
  275. 原田義昭

    ○原田(義)委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送社会的影響の重大性を深く認識し、放送の不偏不党と表現の自由の確保に一層努めること。  一 協会の最高意思決定機関である経営委員会については、幅広く各界各層の意見を反映できるよう、またその機能が十分発揮されるよう特段に配意すること。  一 協会は、その経営視聴者の負担する受信料によることをさらに自覚し、一層創造的でかつ効率的な運営をめざすとともに、職員の処遇についても配意すること。  一 協会は、視聴者国民に対して経営内容を積極的に開示するとともに、受信料制度理解の促進と衛星料金を含む受信者の確実な把握と収納の確保に努め、負担の公平を期すること。  一 衛星放送については、難視聴解消の目的を十分踏まえつつ、番組充実普及に努めるとともに、ハイビジョンの実用化を促進すること。  一 協会は、国際化時代に対応して映像メディアによる国際交流を推進するとともに、国際放送充実に努めること。  一 協会は、地域社会の発展に貢献する情報番組提供する等、地域放送の一層の充実強化に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  276. 野中広務

    野中委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  277. 野中広務

    野中委員長 起立総員。よって、本件に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、関谷郵政大臣及び島日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。関谷郵政大臣
  278. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ただいま、日本放送協会平成年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、御承認いただき、厚くお礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、 今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。(拍手)
  279. 野中広務

  280. 島桂次

    島参考人 日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚くお礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えておる次第でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  281. 野中広務

    野中委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  283. 野中広務

    野中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十五分散会