○武部(文)
委員 考え方はわかりましたが、おれについてこい式ではやはりちょっと問題が残ると思うのですよ。ですから、もっと
理解を求めるような
努力を続けていかなければ、ぎくしゃくしてかえって無用の摩擦を起こすようなことがあってはならぬ。この点を私は特に考えておる者の一人でございますので、この機会に申し上げておきたいのであります。
さて、きょうは三十分近い時間ですから、私がローカル問題でいろいろ経験をしたことを申し上げてみたいと思うのであります。
昨年の暮れに、私が地元で
NHKの
ニュース番組を見ておりましたときに、その中に四国の愛媛県で
NHKと民放三局が共同で
番組を制作して、それが大変大きな反響を呼んだというスポットを見たのであります。大変関心を持ちまして、一度調べてみたいと思って、ついこの間、一月の中旬に私は四国を訪れまして、この内容を調べ、聞いてみたのであります。
今まで私が考えておりました
NHKのローカル
番組の
あり方と、私が聞き、見たこの四国の
状況は全く違っており、その
意味では大変に勉強になったのでありまして、この機会に紹介かたがた、私はぜひ
皆さんにこの問題を
理解をしていただきたいと思うのであります。
四国地方では、四国四県の
NHK四局と民放七社が、お互いの交流と
番組向上の場として四国
テレビ会議というものを持っておったわけでありますが、昨年の九月から十月にかけまして二カ月間、四国の美しい自然と人情を二十一世紀に向けて守り伝えるキャンペーン「ビューティフル四国」を
実施して、参加局十一局、これが三十秒間のミニ
番組を十一制作をした。それを二カ月の間に随時
放送して大きな反響を呼んだ。三十秒間のミニ
番組ですが、私は全部それを見させていただきましたけれ
ども、内容が非常にいい。
例えば、お遍路さんと地元の人々との触れ合いの場を撮っておる、あるいはそういうことを通じての四国の心を探るとか、あるいは、お遍路さんの札所がございますが、札所の門前にあるところの俳句茶屋の主人と旅人との触れ合いを描く、そういう内容のスポットでありました。これは一、二の例でありますけれ
ども。これが非常に心の触れ合うような内容を持ったものでありましたために、大変好評だったということを聞いたのであります。
そのことが大きく発展をしたのでしょうか、四国の十一局共同主催のイベントが行われた。これもいまだかつて聞いたことのないようなことでありまして、民放と
NHKが一緒になってこのようなイベントを開催したということはまだないなというふうに感じたのであります。
これと並行して、これから申し上げることでありますが、共同制作の生中継
番組を
計画をしたというわけであります。これは、
NHKの松山
放送局と南海
放送、愛媛
放送、この三者が昨年の十二月一日に、自然保護と心の触れ合いの視点で五十四分間、約一時間の六元生中継をやった、こういうことでございまして、その一時間の
番組を見せていただきました。
これは、
テレビ中継車が五台、ヘリコプターが一機、潜水撮影一クルー、SNG車一合、スタッフ九十人、こういう内容でございますが、一々この内容を申し上げる時間もございません。ただ、この内容が非常に現在の
社会情勢にマッチをした内容になっておる。
例えば、自然保護の石鎚山の情景を映しておりましたが、さらにミカン山の農民の暮らしの問題、あるいはセトガイをとる潜水漁師の見たところの瀬戸内海の汚濁、汚れの問題、八百段もある段々畑の農民の暮らしとか、そういう地方の特殊性のある問題をこの共同
番組が取り上げておるわけです。それで、これは非常に関心を呼んで、地元のマスコミもこれを大々的に
報道しておるということも、現実に新聞を見させていただきました。
このように、
NHKと民放がお互いの力を出し合って協力して地域の文化や福祉の向上に努めていることは大変大事なことだと思うのです。
もう一つ重要なことは、この共同制作を通して収穫は何だろうか。いろいろ聞いてみますと、現場レベルの
NHKの
皆さんが言うには、民放のスタッフと交流できたことは大変よかった、さらには、民放、
NHKがお互いに競い合って一緒に仕事ができたということは、
NHKにとって体験を通じて大変貴重なものを得た、こういうことを述べておるのであります。今までいつも私
どもここで取り上げてきたわけですが、こういうようなことを一度もここで発言をしたことを私は経験を持っておりませんし、聞いたこともない。そういうことが現実に四国で起きておる、起きた、これは非常にいいことだな、こう思ったのです。
先ほど申し上げるように、最近MICOの問題が出てから、あるいは地方の各種団体を
NHKがおつくりになる、そういうことで民放と
NHKとの間にぎくしゃくした、あるいはいろいろと感情の問題等が出て民放キー局はかりかりしておる。しかし、今の
状況から見ると、けんかは親に任せて子供は仲よくやっていこうというそういう態度が明白にこれはうかがえます。けんかは親が上の方でやっておけ、わしらは一生懸命に地方でそういう
放送の第一線でお互いが切瑳琢磨していい
番組を
提供しようじゃないか、そういう
努力が現実に今私が申し上げた中からうかがえるわけであります。
こういうことを現実に聞き、見、私は次のようなことを考えておるのです。
日本の今の全
メディアの広告費というのは五兆円を超す、こういう
時代になりまして、特に
テレビキー局の
収入というのは最高、大きな増収増益を得ておるわけです。中には前月比一六〇%増なんという局もあることを承知しています。地方の民放局がキー局に比べてとても及びもつかぬということはよくわかりますが、それでも地方の民放局もその地方においては高収益の法人の一つです。これはもう最上位の方にランクされていることも間違いない。また、民放各局の職員の給与も上位であります。
こういう中で、このたびこの
番組に参画をされた愛媛
放送の社長が、
日本経済新聞のトップインタビューに答えてこういうことを述べておるのです。「これからは
番組づくりにお金をかける
時代。」大変結構なこと、今まで聞いたことのないようなことが民放局のトップから出た。私は大変結構なことだと思う。高収益を上げて大変な増益でありますけれ
ども、もう
番組に金をかける
時代になったと民放のトップが言うような
時代になったということは、大変結構なことだと思うのです。そういう問題をぜひ我々はこれからの
放送の進展に伴って民放各局にそういうことがずっと伝わるように
努力していかなければならぬし、そういう
時代を迎えたのではないだろうかなということを考えるわけであります。
残念ながらここは
NHKの論議の場でありますが、かつて、当
委員会には民放連の幹部に来ていただいて、民放の
あり方についていろいろ論議したことがあるのです。それが絶えて久しくありませんが、私は、先ほどの四国の
状況あるいはさっきの愛媛
放送の社長の言い分等を聞いておって、ぜひ民放の指導者の
皆さんにもこの席へ来ていただいてこういう問題について論議をする機会をつくってもらいたい、そういうことをこの機会に
要望しておきたいのであります。
そこでお聞きをしたいのでありますが、こういう四国のような
状況というものは、例えば現地の局が一局で独断でできるものではないと思うのです。恐らくや
協会本部にこういうような企画を移されて指示を仰ぎあるいは相談をし、そういうことをおやりになったのではないかとも思うのですが、今私が述べたような四国の
状況というのは私は初めて聞いたことでございますし、全国でこのようなケースがほかにあるのか、それともそういうような点について
NHKの
協会本部としてはどういうふうにお考えになっておるか、それをひとつお聞きしたい。