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土田政府委員 いろいろ多岐にわたるお尋ねでございますので、お答え漏れがあるかも存じませんが、気がつきました問題点について順次御
説明を申し上げます。
銀行の主な
融資先といたしまして、殊に大
銀行の場合を考えました場合に、伝統的に主な
融資先というのは、率直に言えば
企業、それも大
企業や中堅
企業というのがその主な
融資先であったかと思います。ところが、その大
企業の
銀行に対する
資金需要が、これは一つには
金融緩和の
進展、それからもう一つには、これはやや構造的な問題でこざいますが、
資金不足時代が終わり、
資金余剰時代に入りました結果、大
企業それぞれのいわば
金融資産の蓄積も進みましたために、
銀行に対する
資金需要というものが細ってきたというようなことから、やはり
銀行もそれにかわる
融資先を
拡大せねばいかぬというような
状況になりまして、そのような構造で
融資構造がだんだん変わってまいったということを冒頭の御
説明で申し上げたつもりでございます。
それから、コンピューターは確かに非常に普及しておりますし、恐らく日本の主要産業の中で
銀行業ほどコンピューター投資が大きなものはないのではないかと思います。しかし、片一方で、それはいわば省力化、
効率化の一環としてやってまいりましたわけでございますから、殊に都市
銀行などを見てまいりますと、職員数は趨勢的に減少を続けております。したがいまして、ほかにやる仕事がないからということでは決してないのでありまして、この全体的な厳しい
金融環境の中における新たな
収益機会を模索するという
観点からいろいろなことを新しく始めまして、そのやり方において行き過ぎがある面もあったというのが率直なところであろうと思います。
それから、信託
銀行の場合は、これは普通の
銀行と違いまして、信託業法によりまして併営
業務として
不動産の仲介
業務が認められておりますので、信託
銀行の
不動産部はそのような仲介をやっておるわけでございます。そのような
観点から、手数料収入がある意味では信託
銀行の
収益の一つになっておりますので、その辺に着目していろいろセールスをやった者も、それはあるかもしれないなというのがお話を伺ったときの私の感想でございます。
それから、
ノンバンクの問題は確かに非常に大きな問題でございます。本来
銀行が自分でやればいいではないかという御議論も、それはございましょうけれ
ども、やはり
銀行の
営業体制からいってなかなかそういうものに手を出せないような
分野につきまして、より専門的なノーハウを持つような他の業者、
貸金業者がおります場合にはその
貸金業者がそういうニーズにこたえるということは、それは現実に昔からあるわけであります。
多少これはお尋ねの問題からそれるかもしれませんが、そういう
ノンバンクを通ずる
融資に合理性があるような一例は、例えば消費者
金融などがそうでございまして、小口の無担保の消費者
金融というようなものは
銀行は決して得意でございません。そのところはむしろそちらの方にノーハウを持っております業者の方がおりますので、そういう方々がいわば何十万というような少額の
融資を例えばサラリーマンに行うというようなことで、
営業活動をやっておるわけであります。
ただ、
土地とかそういうデベロッパー的な
金融ならば
銀行が直接やれるではないかという話は、それは場合によってはあり得たかと思いますが、そこはそれぞれの
融資の管理能力の限界その他の問題から、自分では直接やらない、
ノンバンクにやらせるというような行動をとった者もあろうかと思います。
そこで、次のお尋ねでございますが、モラルだけでは片づかないというのは、それは私
どもの立場としては、そうでもあり、そうでなくもあるというのが率直な話でありまして、やはり世間が
銀行というものについて信用を置いておりますのは、
銀行は余りひどいことはしない、
銀行員はしっかりしておるという何十年にわたるこれまでの実績、積み重ねた信用というものがあり、それが
公共性のある
金融機関を支えているわけでありますから、そういうモラルが低下するということは一大事でありまして、そのようなモラルの問題は極めて重要な問題であると思います。
ただ、片一方で、ハッパをかけるだけでもなかなか現在の厳しい環境の中の
銀行経営は成り立たない。そう簡単にはもうからない仕組みになっておるわけでありますし、単にもうかるもうからないの話だけではなくて、これが一国の、日本という大きな
金融市場の中で最も効率的な役割を
発揮してもらうにはどうするかということになりますと、さっき申しましたが、そこには
制度問題のようなものも若干あると思いますということを感じておるわけでございます。
そこで、いずれにいたしましても、私
どもは
経営の
自主性、それから
自己責任の
原則、それが一つ、他方、
行政の
指導、
検査、これが一つ、その両者の調和を図りつつ、やはり
競争を直接制限することなく、
信用秩序を
維持していくために、いろいろ
経営語比率の
指導などを
中心とした
行政を行ってまいりたいと思うわけでございます。
それから、最後のお尋ねでございますが、
ノンバンク関係でどのような
状況であるかということは、実は私
ども数字を持ち合わせておりません。そこに一つ問題もあるわけでございますが、現在いわゆる一般の
貸金業者に対しましては、高利、暴利とか極端な取り立てを防止するという、債務者保護の
観点からの貸金業
規制法のようなものはございますが、その
貸金業者の
経営の内容を一々把握し、監督
指導できるようにはなっておりません。したがいまして、
貸金業者の
経営の実態について、ほとんど申し上げることができるほどのデータを持っていないというのが率直な
現状でございます。その辺に問題があるという御
意見も時々伺っておるところでありますので、今後の研究課題であると思っております。