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1991-08-02 第120回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年八月二日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 麻生 太郎君    理事 上草 義輝君 理事 金子原二郎君    理事 古賀 一成君 理事 古賀  誠君    理事 古賀 正浩君 理事 岩田 順介君    理事 岡田 利春君 理事 東  順治君       愛野興一郎君    北村 直人君       坂本 剛二君    三原 朝彦君       渡辺 省一君    佐々木秀典君       田口 健二君    中沢 健次君       細谷 治通君    藤原 房雄君       小沢 和秋君    高木 義明君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小里 貞利君  委員外出席者         資源エネルギー         庁長官     山本 貞一君         資源エネルギー         庁石炭部長   土居 征夫君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    征矢 紀臣君         自治省財政局交         付税課長    田村 政志君         自治省財政局地         方債課長    嶋津  昭君         参  考  人         (石炭鉱業審議         会政策部会長) 生田 豊朗君         商工委員会調査         室長      山下 弘文君     ───────────── 五月八日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(今後の石炭対策に関する問題)      ────◇─────
  2. 麻生太郎

    麻生委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件、特に今後の石炭対策に関する問題について調査を進めます。  本日は、参考人として石炭鉱業審議会政策部会長生田豊朗君の御出席をいただいております。  参考人からの御意見質疑応答の形で聴取することといたします。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本剛二君。
  3. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 平成年度以降の我が国石炭政策あり方について、過日答申のありました石炭鉱業審議会答申内容について、二、三質問させていただきます。  今回の石炭鉱業審議会では、需要業界労働組合地域代表あるいは石炭業界等の相対立するさまざまな意見が出たと聞いております。これを政策部会長として取りまとめに当たりました生田部会長には大変な苦労があったと思うわけでございますが、これらの意見答申案として取りまとめるに至るまでの経緯について御説明をいただきたいと思います。
  4. 生田豊朗

    生田参考人 石炭鉱業審議会政策部会におきまして慎重な審議を進めてまいって答申をまとめた次第でございますが、まず石炭の一般的な問題から出発をいたしまして、具体的な政策に入ります段階で三つのシナリオを考えました。  第一案と申しますのは、マーケットメカニズム市場原理にゆだねるという考え方でございます。いわば石炭需要家石炭産業との間の個別の話し合いで引き取りを決めていく、政府は介入をしないという考え方でございます。  それから、第二案は、現在の時点でもう既に必要な石炭産業構造調整は終了したと考えられるので、現在のような状態を今後も継続する、これ以上の構造調整あるいは市場原理にゆだねるというような方策はとらない、現状維持が第二案でございます。  第三案は、その中間の案でございまして、今後とも構造調整を進めていく、一九九〇年代を構造調整の最後の期間として、ある均衡点に到達するまでは構造調整を進めていくという中間案でございます。  この三案をベースにいたしまして議論をいたしましたけれども、なかなか委員意見が分かれまして、意見が一致いたしませんし、さらに具体的な検討を進める必要がありますので、一応の仮説として、その中間案の第三案を前提条件として、第三案をとった場合には個別の政策がどういう形になるかを検討いたしました。この場合も、特に石炭労働組合の方から、初めから第三案ということで決めつけてしまうのは困るという御意見がございましたので、これはあくまで仮説としてとるものだということを確認をいたしまして、第三案を前提条件として検討いたしまして、個々の政策の積み上げをしてまいりました。  そして、最終段階でまたもとへ戻りまして、第一、第二、第三案のうちのどれをとるべきかということを慎重に審議をいたしまして、その中では、利害関係者委員の方以外の委員、つまり中立委員でございますが、中立委員だけの会合も開きまして、最終的に第三案を採用したいということで、部会といたしましてこの第三案を基調としました答申案をまとめて、石炭鉱業審議会斎藤会長報告をした次第でございます。
  5. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 昭和六十二年以降行われてきております第八次石炭政策では、需要動向を勘案して、生産規模段階的縮小を図ることが基本骨格となっておるわけでございますが、この第八次石炭政策と比較したとき、今回の答申基本的考え方にはどのような違いがあるのかお伺いをしたいと思います。
  6. 生田豊朗

    生田参考人 第八次政策につきましては今先生が御指摘になったとおりでございますが、今回の新石炭政策におきましては、第八次策と基本的に違いますのは、先行きの減産規模と申しますか、数年後の生産規模を初めから確定してしまわないということが最大の相違点だろうと思います。したがいまして、先ほども申しましたように、一九九〇年代を構造調整最終期間にする、それで均衡点を模索していくということでございまして、現実の出炭規模、それに関連して残存炭鉱の数も決まってくるわけでございますが、これは各年度ごとにそのときどきの情勢を十分検討いたしまして石炭鉱業審議会の場でさらに検討を進めていく、それでいわば一歩ずつ足元を固めるような形で進んでいくということを考えているわけでございます。  したがいまして、第八次策の場合は、ともすれば最初にまず減産が起きてしまって、減産が決まった後で、その対応策として雇用問題でございますとかあるいは地域振興の問題がそれに追随して検討されるという傾向があったと思いますけれども、今回の新政策におきましてはそういう形はとらない、石炭産業全体として、あるいは各企業としての業種転換でございますとか、あるいは各種の対応策検討しながら、その都度、毎年の出炭量を決めていくという現実的な考え方をとった、この点が一番大きな違いだと考えております。
  7. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 八次策の答申では、国内炭エネルギー政策上相応の役割を果たすべきものと考えられておるわけでございますが、その後、原発の進展あるいは石油備蓄の充実、さらには海外炭価格の安定等々によりまして、国内炭役割程度は従来に比べて変化をしてきているのじゃないか、こんなふうに考えられるわけでありますが、八次策の答申後五カ年が経過した現在、国内炭の位置づけ、役割について、今回の石炭鉱業審議会答申ではどのように評価をしておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  8. 生田豊朗

    生田参考人 先生案内のように、国内炭出炭規模は残念ながら毎年縮小いたしまして、第八次策の目標としておりました一千万トンを割り込んだ実情にございます。一方で石油代替エネルギー利用が伸展をしてきておりますので石炭需要はその反対にふえていくという形でありますので、その中で国内炭ウエートと申しますか比重は減少する傾向にございます。現在、日本国内消費されます石炭消費総量の一〇%程度国内炭でカバーしているにすぎませんし、したがって、一次エネルギー全体の中に占める国内炭ウエートは一%余りと、大変少ない比率まで減少してきているわけでございます。  しかし、今回の答申におきましては、そういう実情ではございますけれども、例えばエネルギー安全保障セキュリティーの問題などを考えますと、やはり、シェアは小さくなったとはいいましても、国内炭にも相応の政策的な意味があるという位置づけをしているわけでございます。この辺が判断として大変難しい点でございまして、例えば石油などにつきましても、国内生産される石油の量は石油の総消費量の一%をかなり下回っている状況であります。国内炭よりもさらに比率が低いわけでございますが、それでもセキュリティー観点から石油資源開発を進めるという姿勢をとっておりますので、量の問題はございますけれども、質的にはやはり安全保障中心にして、国内炭重要性は現在の時点あるいは将来を展望しても依然として認められるという考え方でございます。
  9. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ありがとうございました。  次に、通産省並び労働省に御質問申し上げたいと思います。  今回の答申では、石炭業界構造調整努力に対する政府支援が必要である旨指摘をされておるわけであります。石炭業界自身が九〇年代を構造調整最終段階と位置づけ、親子一体となって自主的な努力を行おうとしているのでありますが、これは産炭地の地元の市町村も経営多角化業種転換等々には大賛成であるようでございまして、さきの現地の説明会でも大変な盛況だったと伺っておるわけでございます。  このような状況から、石炭業界構造調整努力に対しては政府としてもできる限りの支援を行うべきであると考えるわけでありますが、通産省並び労働省は、それぞれ具体的にどのような支援策計画検討しておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 山本貞一

    山本説明員 お答えいたします。  ただいま先生も御指摘ございましたが、今回いただきました答申の中でも今言われましたような趣旨のことを書かれております。一つは、構造調整の過程で石炭企業が行う経営多角化等に対する新たな融資制度創設等具体的支援策検討が必要である、それからまた、既存の補助金融資制度等の具体的なあり方については、構造調整の円滑な実施等観点から適切な見直しを行うべきであるといったようなことがこの答申に書かれております。私どもといたしましては、この答申趣旨を踏まえまして、来年度予算要求に向けまして今具体的な中身を詰めておるところでございます。  イメージ的に申し上げますと、今の石炭鉱業合理化臨時措置法を総合的な構造調整法に改正する、その中で、石炭業者等が作成します構造調整計画通産大臣が認定しまして、これに所要の助成策を講ずるといったようなことを考えておりまして、具体的な助成策としては、低利融資制度創設といったようなことも今考えておるところでございます。いずれにいたしましても、八月末までの概算要求に向けて、今最終的な検討、勉強をしておるところでございます。
  11. 征矢紀臣

    征矢説明員 御指摘のとおり、石炭鉱業審議会答申におきまして、石炭鉱業構造調整に即応した雇用対策といたしましては、経営多角化等対応した雇用対策面からの支援措置検討炭鉱離職者求職手帳制度活用等による炭鉱離職者の再就職の促進等が必要であるという指摘がされております。この答申を踏まえまして、私どもも来年度予算要求に向けて検討作業を進めているところでございまして、特に経営多角化等対応した雇用対策面からの、これは職業訓練中心とします支援措置検討でございますが、これは従来よりは新しい対策でございますので、その辺を中心検討いたしております。あわせまして、炭鉱離職者臨時措置法の改正問題につきまして、そういった措置を盛り込んでどうするか、通産省といろいろ御相談しながら検討を始めているところでございます。
  12. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 答申では、需要業界に対し、国内石炭鉱業構造調整期間程度に応じ弾力的な引き取り協力が期待されておるようでございますが、その実効性をどのように確保していくつもりなのか、通産省としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 土居征夫

    土居説明員 国内炭引き取りにつきましては、八次策まではいわゆる残存輸入制限によります輸入割り当て制度によりまして強制的に需要業界引き取りをお願いするという形で確保してきたわけでございますけれども、御承知のように平成年度からこの石炭引き取り需要業界も、それまでは電力業界のほかに鉄鋼、ガス、セメントその他一般産業ということで非常に広範な産業界があったわけでございまして、こういった担保措置も必要だったわけでございますが、今後は電力業界に絞られてくるということでもございますし、それから石炭電力需給当事者間の信頼関係というものも定着してきたということでございますので、そういう強制的な引き取り措置によって強制的に引き取らせるということではなしに、毎年度審議会の場で、これは両当事者も出てまいりますけれども構造調整計画上必要な生産計画とそれに対応する需要業界引き取り協力を踏まえた需要見通しを策定いたしまして引き取り協力実効確保していく、こういう体制で十分に確保されるものと考えております。
  14. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 産炭地域には、これは閉山後であってもいろいろな後遺症が実はあるわけでございまして、中には社会問題化してくるものも多々あるわけでございます。  特に、いわゆる鉱害地盤沈下とか落盤、陥没、こういう被害は直接人家に影響を与えるようなものもありまして、非常に危険なものも実はあるわけでございますが、今日までいわゆる鉱害復旧事業については復旧事業団が一生懸命になって対策をとってくださいまして、非常に成果が上がっていることは大変うれしく思っておるところでございます。  ただ、累積した鉱害についてはできる限り早い段階でこれを解消する必要がある、こう思うわけでございますが、浅所陥没については旧産炭地域においても引き続き断続的に発生しておるわけでございますので、これらに対して政府として積極的に対応していくべきではないかと考えるわけでありますが、通産省考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱害につきましては、先生今御指摘ありましたように、基本的には深いところを採掘したことによります非常に広域の累積鉱害というものがあるわけでございまして、こういったものにつきましては、これまでの十年間石炭鉱害対策によりまして相当程度進捗しておりますけれども、非常に関係者利害調整等難しい問題が残ってきて、これが今後の十年間の取り扱わなければいけない問題として残っているわけでございます。  そういったことから、平成三年六月の石炭鉱業審議会答申は、鉱害二法を十年間延長して、累積鉱害処理鉱害二法の新たな有効期間内の極力早い段階で順次完了させることが必要であるというような答申をしておるわけでございます。この答申の中で、鉱害解消を進めるに当たっては特に累積鉱害については早期に着実な完了を目指すというところがポイントでありまして、そのためには関係者協力を得ることが非常に重要であるということでございまして、政府といたしましてもその早期解消に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  また、御指摘がありました累積鉱害解消後の浅所陥没被害等の問題でございますけれども、これにつきましては、この答申におきましても、地域ごとの中核的な推進母体、こういったところに長期的な対応を図るための基金を設けまして、その運用益を活用してより簡素な手続のもとで処理を図るといった提言をいたしておるところでございまして、こういった答申の方向に沿いまして関係者関係機関十分協議をして、浅所陥没等処理体制早期確立に努めてまいりたい、このように考えております。
  16. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 最近地球環境問題が盛んに論じられておるわけでございますが、地球の温暖化酸性雨等々の問題の出現によりまして石炭初め化石燃料について別な意味で非常に関心が高まっておりますし、その反動として原子力発電所等々についての考え方もまたいろいろあるようでございます。  先ほどもお話ありましたように、我が国では現在の石炭一億トン強から西暦二〇〇〇年には一億四千万トン強へと石炭需要が大きく伸びることが考えられているわけでございます。石炭クリーンエネルギーとして使いこなしていくということがいろいろ諸般の事情からこれからは大切なことじゃないかな、このように思うわけでございます。既にCWMコール・ウオーター・ミクスチャーという新しい技術開発が進んでいると伺っておりますが、政府としてのクリーンコールテクノロジーに対する取り組み方についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  17. 山本貞一

    山本説明員 今先生指摘ございました石炭の今後の見通し、御指摘のとおりでございます。二〇〇〇年に一億四千二百万トン程度の想定をしております。ただ、石炭はコスト的に海外炭というのが安いわけでございますが、御指摘のようないろいろな問題がございまして、地球環境問題という点からCO2の問題あるいはSOx、NOx、ばい煙等解消あるいはハンドリングの途中における問題といったようなものを解決する必要があるわけでございます。  私どもとしては、そういう観点から従前からやっておりますが、一つ熱効率の向上をするための施策熱効率を向上すればCO2が相対的に少なくなるわけでございますので、そのための技術として、例えば加圧流動床燃焼複合サイクル発電技術といったようなもの、あるいは噴流床石炭ガス化複合サイクル発電技術、さらには製鉄関係ですが溶融還元製鉄技術といったようなものに民間等の活力も活用しながら技術開発を進めておるところでございます。それから、やはり御指摘のございましたCWM、あるいはCCS、コール・カートリッジ・システムと申しますが、そういうハンドリング技術についても既に民間関係者協力も得て研究開発かなり進めている段階でございます。今回いただきました答申の中でもこのことを非常に強く御指摘を受けておりまして、私どもも今言われましたクリーンコールテクノロジー開発、普及というのは、今後のエネルギー確保あるいは地球環境問題あるいは公害の防止のためにぜひ必要なことだと思っておりまして、今後とも、より力を入れていく所存でございます。
  18. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 いろいろありがとうございました。  この構造調整早期移行の実現、それからクリーンコールテクノロジー開発等につきましてはひとつぜひ一生懸命取り組んでいただきまして、できるだけ早く炭鉱関係者が安心して先々の生活設計ができるような体制政府としてもとっていただきたいと思いますし、また、人類が安心して生活できるような環境保持のためにいろいろ技術的な開発も頑張っていただきたいと思います。  時間を余しましたけれども、早いことはいいことでありましょうから、この辺で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  19. 麻生太郎

  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 昨年の九月二十五日に、通商産業大臣からポスト八次石炭政策について石炭鉱業審議会に諮問されました。ちょうど九カ月間を経て、今年の六月七日に答申をされたわけであります。その間、政策部会長として生田参考人が大変御努力されたことに関しまして、心から敬意を表する次第であります。  きょうは、答申中身を一体どう解釈すべきなのか、特に私は、私の担当の部面に限って御意見を拝聴させていただきたい、かように思うわけです。  かつて、第四次石炭政策を進めるときに、時の通産大臣田中角栄さんは、日本石炭産業というものは国に管理されている産業である、そのことはもう明確である、こう述べておるわけです。石炭関係法規、その内容等を考えても、いわばきつく管理されるか緩やかに管理されるかは別にして、我が国石炭産業はここ三十年間管理をされてきたものである、こういう理解は極めて当然ではなかろうかと思います。  長期的な需給計画通産大臣で承認をされ、毎年度実施計画通産大臣によって公示をされる。通産大臣によって基準炭価が決められる。そしてまた、それぞれの施策予算上付加されていく。こういう一連の体系石炭政策が進められてきたわけであります。いわば私企業の単位でその自助努力前提にしながらも国が一定の管理のもとに進めてきたという認識は間違いがないのではないかなと思うのですが、こういう私の認識について、これは生田参考人でも結構ですし、エネルギー庁長官でも結構ですが、御意見を拝聴させていただきたいと思います。
  21. 山本貞一

    山本説明員 今先生指摘石炭政策特殊性というか、それについて私どもも基本的には先生認識は同じじゃないかと存ずるわけでございます。  戦後、疲弊した日本経済を復興するためにエネルギーが必要である、石炭中心傾斜生産方式が大変な貢献をしたことは御存じのとおりでございます。そういう後を経まして、エネルギー流体革命という中で国内石炭鉱業競争力が実質的に落ちてきた、そういう流れが昭和二十年代の終わりごろ、三十年代に見えてきたわけでございます。通産省といたしましても、まずエネルギー政策として当時として相当大きな重要性があるということで、一つエネルギー源確保という観点から、あるいは地域振興あるいはその関係鉱害復旧というようなことから、石炭関係の処方を昭和三十年代に用意いたしまして、その体系の中では先ほど先生指摘政府かなり関与した形で、かつかなり予算も用意した形で進められてきたわけでございます。  その意味で、競争力を失った石炭企業に対して助成をすると同時に、ユーザーとの関係あるいは国際的な関係等もございましてかなりの規制も行われる、そういう形で、管理という言葉はちょっと言い過ぎだと思いますが、かなり政府の関与が進められてきたということは否定できないと思うわけでございます。これはエネルギー政策としての必要性、あるいは地域政策としての必要性、あるいは鉱害復旧という観点から必要なことであったと私どもとしては考えておる次第でございます。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 生田参考人にお伺いします。  この第九次政策政策期間 すなわち来年から十年間の期間でありますが、この政策期間内の国際的な石油需給価格動向についてどう見られておるかという点について御所見を承りたいと思うのです。  既にIEAの報告も出されておるわけです。我が国エネルギー政策は、二〇〇〇年においても石油は五一・六%を占めて三億八百万キロリットルの油を消費するということになるわけですから、やはり石油需給価格動向というものが極めてエネルギー政策の中で重要な地位を占めるもの、かように存ずるわけです。エネルギー専門家としての参考人の御意見を承りたいと思います。
  23. 生田豊朗

    生田参考人 世界的に見ました石油需給価格の将来の展望でございます。  まず需要面でございますが、世界経済安定成長を続けていくということは必要なことでございますので、それを前提といたしまして、特に発展途上国経済成長かなり高目で持続すると考えられますし、発展途上国におきましては例えば原子力、新エネルギーというような新しいエネルギー利用はまだ時間がかかると思いますので、化石燃料、その中でも石油消費が比較的多目に推移すると考えられます。したがって、これから約十年間あるいは二十一世紀の初頭までの二十年間を展望いたしますと、世界的に石油消費量はやはりふえていくと考えるべきだと思います。  一方で供給の面でございますけれども石油の場合は先生案内のように大変特殊な資源賦存状況がございまして、中東地域、特にペルシャ湾岸石油資源の大半、世界石油資源埋蔵量の四分の三ぐらいがペルシャ湾岸に集中をしているわけであります。ペルシャ湾岸地域というのは、面積としては世界面積の〇・二%程度の大変狭い地域でございますが、そこに石油資源の七五%程度が賦存しているという非常に特異な状況にございます。しかしその中東地区で、先般の湾岸戦争もございましたが、そういう紛争によって石油生産供給が阻害されるということが幸いにしてないということを考えますと、資源量は十分にございますので、それを開発し、生産力化するための必要な投資が継続的に行われれば、供給はそれほど逼迫はしないと思います。  ただ、問題といたしましてソ連の石油生産が大変問題でございまして、ソ連は世界最大の産油国でございますけれども、近年石油生産が減少し始めてきておりまして、最近一、二年では年率一〇%くらいの生産の減少を余儀なくされております。私、ソ連の石油の専門家とも会いまして見解を聞いておりますが、ソ連の石油専門家の見解でも、今後年率五%から七%の生産の減少は避けられないであろうし、それは一九九五年から先まで続くおそれが多分にあるということでございます。一方で、先ほど申しましたようなペルシャ湾岸地域の増産が可能ではございますが、ソ連の減産かなり大きく影響してまいると考えられます。したがって、戦争とか革命というような経済外的な要因でペルシャ湾岸あるいはその他の地域石油供給が大幅に制約されるということを別にいたしまして、正常な状態が続くといたしますとそれほど大きな供給不足はあらわれないけれども、どちらかというとややタイト目に推移すると考えた方が妥当だと思います。  したがって、価格でございますけれども需給がタイト目に推移をいたしますと、石油価格も徐々に上昇の傾向をたどって今世紀の末あるいは二十一世紀の初めに差しかかっていく、かように考えております。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 先生の御意見も大体IEAの需給価格見通しとほぼ同じように拝聴いたしました。  もう一つは、政策期間中に我が国の輸入炭、二〇〇〇年には一億四千二百万トンになるのであります。この石炭の貿易市場の総量に占めるウエートは今日二七%に達しているわけです。かつて三〇%に達したこともあるわけであります。したがって、この政策期間石炭貿易市場総量に占めるウエートの稚移ほどのように判断をされておりますか。
  25. 土居征夫

    土居説明員 IEAの統計によりますと、先生指摘のように一九九〇年の世界石炭貿易量三億九千九百四十万トンということでございますので、我が国の輸入量はこのうち一億三百三十万トン、二六%を占める世界最大の石炭輸入国になっております。  今後につきましては、日本需要見通しが、石炭は一九八九年の一億一千三百六十万トンから二〇〇〇年には一億四千二百万トンに増加するというふうに見込まれておりまして、世界の貿易量全体の趨勢につきましては、確たる数字は今手元にございませんけれども、引き続き相応の地位を日本は占めていくというふうに考えられます。そういったことも今度の審議会の議論の前提として作業をいたしておるところでございます。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭に対する依存も、国際的な経済の季節を迎えている各国の状況から考えれば、これもまた相当高い数字で依存度を深めていくのではないか、そういう意味では現行の我が国の依存度の二六、七%の水準は上がっても下がることはないだろう、私も実はこう判断をいたしております。  同時に、今回の答申をまとめるに当たって「石炭政策の歴史と石炭エネルギーの現状」ということをずっとまとめてあるわけでありますが、この中で世界埋蔵量とか、あるいはまた可採年数三百年などということを書いてありますけれども、一体我が国石炭資源をどう把握しているのかという点については全然触れられていないわけです。これは、最後の政策だと言われる点について、いささか欠落している部面ではないかなと私は思います。したがって、我が国の今日の石炭資源の賦存状態、理論及び可採埋蔵炭量についてはどういう把握をしているのですか。同時にまた、現行政策コストで求められる採掘可能炭量というものは一体どの程度に押さえておるのか、あるいはまた実収炭量についてはそのうちどの程度に見られているのか、この点欠落をしておりますので、この点についての御説明を願いたいと思います。
  27. 土居征夫

    土居説明員 世界埋蔵量につきましては、先生指摘のように一兆三千億トンという数字があるわけでございますが、日本につきましては、昭和二十五年から三十年にかけました全国的な埋炭調査によりまして、無煙炭から褐炭まで含めたもので約三十二億トンの埋蔵量があるということになっております。このうち、現存炭鉱あるいはその周辺区域、あるいは消滅鉱区の再開発開発可能なもの、こういったものに絞りますと約八億トンというふうに言われております。現在稼行しております大手六炭鉱の鉱区内におけるいわゆる可採埋蔵量というものにつきましては、そのうち、周辺の炭量を加えて約五億トンぐらいというふうに把握しております。  ただ、この推計に当たりましては、技術的な側面に加えましてやはり経済的なコスト面での検討ということになってくるわけでございまして、保安、採炭技術観点も含めそういったコスト的な観点を含めますと、例えば現行コストでどのぐらいさらに掘れるのかというあたりになりますとさらにこの数字は減ってくるということで、いろいろな試算はしておりますけれども、そういうことでございます。  こういった作業につきましては、当然の前提といたしまして、それ自体審議会の席上で議論をするということではございませんけれども審議会の事務局といたしまして作業をいたしたところでございます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 五億トンという炭量は、一千万トン掘れば五十年、五百万トンならば百年ある、こういう意味になるわけであります。既存六炭鉱では、この炭鉱を現時点で採掘中止した場合は一体どの程度になるのか、これは五億トンに近いものになるということだろうと思うのです。そして中止した場合に、この残存炭量は今後採掘の可能性が、経済情勢が変わればあるとお考えですか、それはもうないのが常識ですよというお考えですか、いかがでしょう。
  29. 土居征夫

    土居説明員 今お話ししました八億トンないし五億トンというのは現行の技術的な側面からの可能性で検討したものでございます。したがいまして、相当部分は開発投資の回収も含めまして現行程度の国民経済的な負担が課せられるということであれば、相当程度開発可能なものが残っておるということでございます。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、やはり最後の政策だと言うのですから、世界のことよりも、やはり日本石炭産業構造調整の最後の政策だと言っているわけですから、そういう点がぴしっと分析をされて示されなければならない問題ではないのか、いわば資源論というものが、資源愛護論というものが欠落しているじゃないかと思うのですね。継続的に可能炭量というのはあるわけでありますから、それはやはり慎重にどう対応するかという問題が議論されるのが当然だ、こう思うのです。そういう意味で、この答申を見てこういう大事なところが欠落しているのじゃないかなと私はしみじみと思うわけであります。  ただ、この答申の中に一つありますのは、我が国石炭鉱業は、巨視的に見れば、昭和三十年代後半五千五百万トンの規模から三十年の間に一千万トン以下の規模構造調整が続けられてきた、こうあって、これは国際的にも高く評価されるものである云々のくだりがあるわけですが、こういう評価を、結論的に三十年間の石炭政策を総括しているわけですね。これだけの総括があれば、第九次政策についてもそういう総括の気持ちが延長されなければならないし、そういう気持ちが込められた政策であることが当然ではないか、私はこの文章を読んでこうしみじみと実は感じたということを申し上げておきたいと思うわけです。  いわば世界に類例のない、高く評価をされる構造調整をやってきたというのが三十年間のこれは総括なんですよ。そして、我が国石炭と油のフィフティー・フィフティーは昭和三十六年でありますから、ことしはちょうど三十年目の第九次政策なんですよ。そういう意味で、この思いが実際に込められているかどうかということが問題になるのではないかなと私は思います。  そこで、石炭構造調整の問題について答申には、第一に石炭の合理化と安定化、第二には経営多角化と新分野の開拓、この二つが石炭構造調整の柱になっておるわけですね。そして構造調整計画というものが定められるということになっておるのであります。だが、この作成過程においては、特にIQ制度をなくするとか、こういう状況の中における需給の安定化、それを担保するものとして合理化法三条、四条の合理化基本計画及び毎年度実施計画、このことは当然今後の法律に引き継がれると説明されてきたのであります。いわば通産大臣がこれを定めるのでありますから、それは約束であるわけですが、この点については間違いございませんか。
  31. 土居征夫

    土居説明員 答申におきましても、石炭鉱業合理化臨時措置法の総合的な構造調整法への改正、延長という指摘がされておるわけでございまして、その考え方は、先生指摘のように現在の合理化法の合理化対策あるいは安定対策、こういったものに加えて、親企業も含めました総合的な石炭企業経営多角化、新分野開拓に関する事項を現行の基本的な考え方に加えていくということでございますので、通産大臣が合理化を含めました構造調整の基本的な指針を定め、さらに毎年合理化の部分についての実施計画を定めていくという基本的な考え方先生の御指摘のとおり変わってこないというふうに、今後の作業によるところはございますけれども、現在のところ検討しております。
  32. 岡田利春

    岡田(利)委員 この答申の中で、政府支援措置は従来の諸措置を継続する、補助金については適用要件について適切な見直しと書かれてあるわけです。私なりに補助金の分析と融資の分析をしてみたわけでありますが、変えるというものは一体何なのか。継続するというのが原則であって、変えるというものは何なのか。何か一つのイメージがあってこういう文章になったのではないかと思うのですね。原則は従来の諸措置を継続する、補助金については適用要件について適切な見直しとあるわけですが、どういうイメージか、御説明願いたいと思うのです。
  33. 土居征夫

    土居説明員 先生指摘補助金あり方の問題につきましては、今回の答申で、今後も引き続き稼行炭鉱対策とか閉山対策等の従来の諸措置は引き続き実施される必要があるということでございますが、補助金融資制度等の具体的なあり方につきましては、その適用要件、範囲等について構造調整の円滑な実施等観点から適切な見直しを行うべきである、こういうふうに指摘されているところでございます。現在その辺の検討作業をやっているところでございまして、現時点ではなかなかまだ結論が出ておりません。  ただ我々は、この答申趣旨は、今回の構造調整対策政策の重点というものが、従来の国内炭生産の安定あるいは生産の近代化、こういった政策目的から、経営多角化とか新分野開拓に対する対策の強化というようなことによりまして政策ウエートが移っているということでもございますので、そういった観点から補助金あるいは融資制度についての全体的な見直しを行っていくという趣旨でございまして、そういった作業を現在やっておるところでございます。
  34. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、今の部長の説明を聞いておりますと、補助金のうちの安定補給金、これは基礎補給金と縮小加算があって形成をされておるわけです。あとの低品位炭の円滑化交付金とか保安補助金とか坑道掘進補助金というのは炭鉱がある限り継続されるものではないかと思うのですね。その安定補給金というのは名称的にいってどうなのかという感じがしないでもないわけですが、いわば全般的な見直しではないわけでしょう。そういうイメージでこれを書いておるのじゃないでしょう、基本的には継続するというのですから。今の私の指摘についてはどう思いますか。
  35. 土居征夫

    土居説明員 先生指摘のように、答申でも、現行の稼行炭鉱対策あるいは閉山対策等の従来の諸措置は今後とも引き続き実施される必要があるという指摘を受けていまして、基本的にこれまでの対策というものは継続する、そういう前提での作業でございます。したがいまして、各補助金についての中身検討につきましても、そういった観点を踏まえ、さらに今度の答申の基本的な趣旨石炭鉱業構造調整のソフトランディングという観点もございます。経営前提になりますいろいろな施策環境が変わってしまうということに対するいろいろな問題もございますので、そういった枠組みを踏まえながら現在検討しておるところでございます。
  36. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は通産省とは見解を異にしておりますのは、平成元年の引き取り実績を基礎にして、先般、二年度から低品位炭円滑化交付金というのができたわけであります。これはもう端的に言うと三池炭は低品位炭と決めつけたわけですね。高カロリーの三池炭はクリンカーがあり、サルファが多い、その石炭を急に平成年度予算で低品位炭である、そのための円滑化交付金、引き取り交付金を出す、これは極めて重大な問題であったと思うのですね。私はその点を指摘しておるのですが、こういう規定の仕方がいかがなものかということを今でも思っていることを指摘をしておきたいと思うわけであります。  そうしますと、融資の場合は、近代化資金、整備資金、経営改善資金、この三つがNEDOであるわけでありますけれども、融資についても同様の、補助金と同じような考え方で継続されるのですか。
  37. 土居征夫

    土居説明員 融資につきましても補助金と同じように答申でも並列して書いてございまして、我々の考え方も現行の対策の継続、しかし中身についての検討、そういう立場で検討を加えていくところでございます。
  38. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産省からいただいた「石炭政策の在り方」、この一番先には政策の、今回の答申の骨子について述べられているわけですね。私はこれをよく読みました。そしてずっと読んでまいりますと、どうも答申と現実に動いている状況についての落差をしみじみと感ぜざるを得ないわけであります。  その中で、「石炭鉱業構造調整と総合的な石炭対策の実施」、「(1)親会社・子会社一体の企業の自己努力」これは第八次にもありますし、当然のことであります。さらには、「以下の対応に専心する」その中に「石炭企業間の協力」という一項 がちょっとあるのですね。これは骨子には全然出てこないのですよ。だから極めて軽い意味だということが、この骨子の中には一行もございませんから。骨子にはただ「親会社・子会社一体の企業の自己努力」とあるだけなのですよ。それから、後の方の「(3)総合的な石炭対策の実施」、「石炭鉱業構造調整に対する支援策」とあるのですね。ここにイ、ロ、ハと出ておるわけであります。ここにも別に何もないわけですね、企業間の問題は。  第六次と第七次政策については、我々は企業間格差の問題がある、石炭政策の歴史は、問題意識は体制問題なのですよ。しかし我が国はドイツと違って体制問題を嫌って、とにかく個別企業、そのことを基礎にして今日まで石炭政策を行ってきた。これがいつでも石炭政策を論議する場合の意識の違いであったわけであります。そして、第六次になって初めて企業間の格差を埋めなければうまくいかないのではないか、したがって一項立てて企業間格差という条項を設けて、そして安定補給金の傾斜配分をやったわけであります。既得権を剥奪をして傾斜配分をしたのですね。そして、第七次の政策においても同様に、これでも足りないということでさらに地域間の格差から地質的条件の格差、傾斜の格差、こういうものをつけ加えてやったわけですね。これも第七次政策にきちんと載っておるわけです。  どうして企業間の協力とここにちょっと書いただけで経理的な協力ができるのでしょうか。答申はそんなことを考えて答申したとすればこれは書き方が全然おかしいと思うのですよ。ですから、何かちょっと根拠が足りないわけです。会社と労働組合があって労働条件を下げても今やっておるわけですよ。そういう状況の中でここにぽっと書いて、後は何か知らぬけれども勝手にできるなんということは非常におかしいと思うのですが、真意のほどを聞きたいと思います。
  39. 土居征夫

    土居説明員 現在石炭業界の内部でこの構造調整対策、業界としての対応検討中でございますが、その中でいろいろと、今後の基準炭価あり方、これは政府検討するわけでございますが、それを前提として企業間の構造調整に対する協力をどう行っていくかということを検討中であるというふうに聞いております。  この企業間の協力につきましては、今先生指摘がありましたように、答申の中で今後の対策の最初の項目として出てくるわけでございますが、これにつきましては、実は今回の答申が出る前に審議会におきまして、石炭協会の会長が石炭業界の基本的な対応方針を表明しているわけでございます。その中でも、九〇年代が石炭鉱業構造調整最終段階認識しまして、適正な生産水準への移行と新分野開拓という大変革を実現するために業界全体として相互に協力、協調していく、こういう決意表明がなされているわけでございまして、こういった石炭業界の全体としての対応あり方の一環として検討されているというふうに伺っているわけでございます。この答申の表現の仕方の問題はあるかと思いますが、こういった石炭協会会長の決意表明を踏まえた対応というふうに考えておるところでございまして、その結果の推移を現在見守っておるところでございます。
  40. 岡田利春

    岡田(利)委員 今までの政策の中で、何か都合の悪いところは自主的にやりなさいというような、それで間接的コントロールをする、こういうやり方は非常にいかぬのだと思うのです。私は格差是正をだめだと言っているんじゃないのですよ。第六次や第七次のように、やるならきちんと書いてやりなさい。でなかったらどうしますか。労働組合の同意を求めないでできますか、そんなこと。経理的支援できますか。できると通産省はお考えなんでしょうか。これは組合の同意がなきゃできないですよ、そういう場合。会社だけでできるのでしょうか。そう言うのであればどういう御認識か承っておきたい。
  41. 土居征夫

    土居説明員 今度の答申最終段階におきましても、労働組合代表あるいは石炭経営者代表も含めた審議会の総会の席上で協会から、今後の対応については労使一体となって対応していくというような御発言もありました。当然のことながら、企業協力の問題につきましては、そういった組合の意向というものを十分踏まえた労使一体の体制が必要であるというふうに考えております。
  42. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういうことが議論されているならいいのです。議論されてないでしょう。私だって何にも知らなかったのだから。やっている作業を見たらとんでもない作業をしているのですよ。そういうやり方はいかぬと言っているのですよ。堂々とやりなさいというのです、やるなら。答申にも書いて。でなければどうしてこれが円滑にできますか。労働組合の代表だってそういう内容を知っていましたか、審議会で。全然知らぬでしょう、そんなことは。そういうやり方はいかぬと私は言っているのですよ。そういう点の反省はありませんか。
  43. 土居征夫

    土居説明員 先ほど先生からも、これまでの石炭政策について国家管理に近いのではないかというお話もございまして、それに対して長官から、ちょっと国家管理というのは言い過ぎだけれども、それなりの政府関与、私企業体制前提とした政府関与をして政策の遂行をしておるということでございます。基本的にそういうことで、今回の需給の問題とか炭価の問題とか、そういった政策の枠組みについては、国としては責任を持って対応していこうということでございますけれども、そういった制度の枠組みの中で石炭企業が相互に協力して現在の状況をどう乗り切っていくかという問題が残されておるということについては、それなりの部分があるのではないかというふうに考えておりまして、企業間格差という問題はございましたけれども、今後の構造調整を進めていく上において、日本石炭産業がやはりエネルギー政策上の位置づけをきちっと守りながら新しい役割を果たしていくということは、これはやはりそういう企業を超えたナショナルな対応の問題にもなってくるわけでございまして、その辺の対応を、業界の検討を踏まえながら、これは何も企業に任せるということではなしに、当然政策的な位置づけを踏まえながらやっていくということになるかというふうに考えております。
  44. 岡田利春

    岡田(利)委員 「総合的な石炭対策の実施」の中でも、「構造調整に対する支援策」「親会社・子会社一体となって、」云々と書いて、グループ企業関係業界と関係金融機関のは「協力」と書いているのですよ。国・地方は「支援」と書いているのですね。ですから、文脈からいっていかがなものかということを私は申し上げているし、こういう重大な問題というものは当然議論の対象になって、みんなが理解していなきゃいかぬのですよ、これは。それが何か協力ということで、いわゆる業界間だ業界間だとやったって、それはそれぞれ合理化をやり、そしてまたボーナスを下げてとにかく頑張っているわけでありますから、そういうのを不明朗だ、こう言うのですよ。やるなら堂々と一項起こしてやった方がいいと言うのですよ。そういう指針があるなら堂々と指針を出しなさい、こう言っているのですよ。株主が違う企業の、例えば石炭が子会社であっても、経理的支援をするのにそんな簡単なことですか。これはどうですか、商法上そんなに簡単にできることですか。重大なことでしょう、これは。政府の格差是正の配分よりも重大なことでしょう。じゃ、こういう私の認識は間違っていますか。そういう認識は間違っていますか、どうですか。
  45. 土居征夫

    土居説明員 これは、もちろん私どもも業界内部の調整についての現在の進捗状況は伺っているところでございますけれども、今現在進行中の問題でもございます。基本的にはそういう炭価の体系の問題にかかわる問題があるわけでございまして、非常に慎重に取り扱わなきゃならないということでございますし、今先生のお話のように、重大な問題であるということは十分認識しておるわけでございます。
  46. 岡田利春

    岡田(利)委員 ですから私は、昨年三池炭鉱の石炭を低品位炭と通産省が決めつけた、位置づけした、そのことが間違いだということを言ったのもそれと関連があるからであります。その点については極めて重要な問題であるということを申し上げておきたいと思います。  時間もございませんから最後に一つ均衡点の問題について、これは生田参考人に承りたいのですが、今後均衡点の問題については検討していく、こう書かれておるわけです。そして、均衡点が求められないとすれば、これは、その場合には均衡点というものはなくなるというお考えも含まれているのか、いや、そうではなくして、それ相応の位置づけをもって評価される均衡点というものは位置づけされるものである、こう理解するといいのでしょうか。  それともう一つ。札幌で生田参考人は、数量を示すことがむしろ雪崩閉山につながるという説明をされておるわけです。したがって、今示さないとするのであれば、この均衡点の求める時期は十年間あるわけですから、しかも、九〇年代に構造調整は終わる、こう言っておるのでありますから、大体私なりに考えますと中間点かな、こう思うのですが、そういう点について何かイメージがあればこの機会に承っておきたいと思います。
  47. 生田豊朗

    生田参考人 その均衡点でございますが、先生の御質問にございましたように、九〇年代のどの時点最終的な均衡点を決めるかというめどは、率直に申しまして私ども持っておりません。先ほどもお答え申し上げましたように、毎年毎年石炭鉱業審議会の場におきまして、需給のバランス、価格を見ながら、需要生産両業界の話し合いを誘導していくという考え方でございます。  ただ、先生の御指摘もございましたように、その均衡点という概念が大変あいまいな概念でございます。先ほども申し上げましたように、この均衡点という抽象的な概念を第八次策までの石炭政策におきます具体的な出炭量の明示にかえたわけでございますが、これは今御指摘もございましたように、私札幌での説明会でも発言をいたしましたように、今ここで具体的な均衡点、これを決めること自身が非常に難しいことでございますが、仮にある均衡点を決めたということにいたしますと、それで先行きの、何と申しましょうか、表現は適切ではないかもしれませんが、閉山の見通しがある程度はっきりしてしまうということは、過去の例に徴しましても恐らく雪崩閉山になるおそれが多分にあると考えますので、それを避けるためにも、毎年毎年一年ごとに決めていくという方式をとるしかないと考えている次第でございます。  均衡点意味でございますが、これはもう先生十分御承知のことではございますけれども国内石炭生産を残す必要があるのかどうかという問題、これは言いかえればエネルギー安全保障セキュリティーの問題にかかわる問題でございますので、その必要性の全国民的な認識と、それと裏腹に、国民がそれだけの負担を担う決意と申しましょうか、そういう気持ちがあるかどうかということとのバランスで決まってくるわけでございます。先ほど長官、石炭部長の答弁にもありましたように、これから関係法令の全面的な見直しをするということを通産省で考えているようでございますが、またいずれその場でこういう問題は議論されるかと思いますが、私はやはり、石炭鉱業の存続が必要であるのかどうか、必要であるとすれば、これは直接、間接に全国民的な負担の増大という形でしか解決できない、国民全体としてそういう負担の増大を認めるのか認めないのか、そういう基本的な問題をある時期に提示して、そういう国民の合意と申しますか、多数の意見をベースにして石炭政策を組み立てていく、言いかえますと均衡点を探していくということが必要ではないかと考えております。
  48. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣談話の場合にも最後に均衡点の問題が出ておりますし、エネ庁長官の談話の中にも均衡点の問題が出ておるわけです。これは今度の構造調整等いわゆる一定の技術の温存とか国際的な安定的石炭確保に対する協力、こういう面の必要性の柱として答申の中にある、こう理解されるのは当然だと私は思うのですよ。私はそういう理解を実はしておるわけです。今参考人の御説明もございましたけれども、これをきちっとしないと答申そのものの流れが狂ってしまうんじゃないかなと私は思っておるのであります。  時間もございませんからあれですが、そういう意味で、そうであるとするならば、十年間で、まさか九年か二、三年前にやるなんて、こんなことは考えられないことでしょう。すべて形づくって安定化させるためには、前段と後段があるのは政策上私は当然だと思うのですね。そうするとそれを、大体中間点ぐらいにそういう問題を整理しなきゃならぬということも、これはこの流れからいって、この答申を読んで、私は常識的に判断するのは当たり前だと思うのですが、私のこの理解の仕方は無理がありますか。いかがでしょう。
  49. 土居征夫

    土居説明員 均衡点につきましては、今、生田部会長あるいは岡田先生からお話がありましたいろいろな考慮要因があるわけでございますが、それに加えまして、石炭企業の今後の構造調整の進展状況、こういったものも一つの考慮要因になるわけでございまして、いつまでにこの均衡点が決まるんだ、そういう話につきましては、現在個々の炭鉱の経営方針、これは各社でも検討中でございますが、こういった検討中の経営方針にもかかわる問題でございますので、石炭鉱業のそういう構造調整の最後の姿が明らかになる時点で、当然この均衡点も明確化されていくということでございますので、そういったタイムスケジュールの中で、この九〇年代の中で決まってくるというふうに考えております。
  50. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから終わりますけれども、本当はやはり政治というのはその状況により決断をしなければならぬものではあります。そういう意味で考えますと、我々は長い間電発を中心にして石炭火力というものを守り、その技術開発に資してきた功績は、やはり石炭政策があったればこそ、今百万キロワットの石炭火力ができ上がっておるわけです。そして、そういう出資をし、そういう体制で継続されておるということも事実であります。ですから百万キロワットの火力発電所があれば、これは二百万トン弱の炭鉱が維持できるのですよ。五千八百平均カロリーですから、三池の場合は結構高いのですけれども、平均すると六千を切っているんですから、二百万キロワットの火力発電所があれば、これは四百万トン弱の安定的な需要確保できるのですよ。  私は、フランスの問題についても比較検討し、今まで議論をしてまいりました。私は一番、議論は堂々とやって、建前と本音の使い分けをしてはいかぬということを特に強調したいのであります。割り切るものは割り切っていくのですから、何もイージーに考えるのじゃないのですから。ただ、それが全然正面に議論もないものが進行していくというようなことはやめなさい。これはもう経理だって、全部経理規制法で通産省は監督しているのですから、そんなことやると言ったら、通産省の了解を得ないでできますか。全部そういう仕組みになっておるのですから、そういうことが陰でこそこそ行われることを私は非常に不愉快に思うのであります。しかし、今日我が国石炭産業が立たされておる状況は、エネルギー全体における状況についてそんなものを無視して議論をするなんという気持ちは全然ないのであります。今、最後の政策であれば最後の政策であるがゆえにオープンに、そして有終の美を飾る議論をしたらいかがでしょう。  八次政策中身に「むすび」というのがありますよ。「むすび」の中、この「むすび」という、八次策がありまして文章も書かれておりますけれども、この中に含蓄のある言葉も書かれておるのですね。そういう意味で私のこれからの議論の中でこういう問題を掘り下げてまいりたいと思いますので、きょうは指摘を申し上げて、生田参考人を前にして少しきつい議論になりましたけれども、お許しをいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  51. 麻生太郎

    麻生委員長 中沢健次君。
  52. 中沢健次

    ○中沢委員 おはようございます。  私は、三十分の時間しかいただいておりませんので、できるだけ単刀直入に質問をしたいと思います。  それぞれ御承知のように、産炭法が法案としては成立をいたしました。しかし、新政策答申はいただいておりますけれども、法案審議につきましてはきょうは余り全体的には時間がない。恐らく国会が始まりまして相当集中的な議論をすると思いますから、その場に大きくは譲っていきたいと思いますけれども、したがって、きょうのところは産炭法の成立を受けてということに重点を置きまして、具体的に幾つかの問題について質問を重ねてまいりたいと思うのです。  その前に、今岡田委員の方からいろいろ指摘がされましたことにも関連をするのでありますが、まず最初に生田先生の方にお尋ねをしたいと思います。  いろいろありますが、一点に絞ってお尋ねをしたいと思いますが、今度の答申政策期間でいいますと、従来は五年という一つの中期的な政策期間石炭政策答申されておりました。今度は十年という政策期間にしたわけでありまして、これについて石鉱審でいろいろな意見があったと思うのでありますけれども、要約をして、五年の政策期間を十年に延長した、その主たる理由につきまして改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  53. 生田豊朗

    生田参考人 ただいまお尋ねございましたように、従来五年刻みで進めてまいりましたのを今回十年にした次第でございますが、これは、今回の石炭鉱業審議会での審議を通じまして、いわば大きな方向づけの要因になりましたのが石炭協会の会長からの意思表示でございます。御案内のように、一九九〇年代を構造調整最終期間として、業界を挙げて構造調整を進めていきたいという意思表示があったので、これを受けまして審議会での検討が進められた次第でございますが、そういうことで九〇年代、従来の二倍の期間ではございますが、それを展望してソフトランディングを考えていくということでございますし、産炭法の延長の問題もございますし、その他全面的な法令の改正もこれから進められるようでございますが、これも大体十年という期間を頭に置きまして検討が進められると考えますので、そのような法令的な面あるいは業界の動向考え方など総合的に考えまして、今回は十年間、九〇年代いっぱいを構造調整期間として政策を進めていくという考え方をとった次第でございます。
  54. 中沢健次

    ○中沢委員 以下、石炭部を中心に少し具体的にお尋ねをしたいと思います。  今、生田先生の方から十年にした根拠について概略御説明をいただきました。先ほどの議論にもありましたけれども一つはソフトランディングということに視点を据えて構造調整をやる、その期間として十年間が必要である、それから関係法案との整合性の関係で十年にした、そういう御趣旨だというふうに私は理解をしております。  そうしますと、毎年毎年生産体制について、石炭需給について石鉱審がその都度議論をして決めるんだ、そういうこれからの取り扱いなんでありますが、従来の石炭政策生産体制についてあらかじめ明示をされていた。生産体制が明示をされていないで、均衡点というそういう抽象的な一つの目安が示される。具体的には毎年毎年決まる。そうしますと、見方としては、それについては一定の評価をする向きは私はあると思うのですよ。しかし、もう一方、とりわけ石炭の労使の立場で言うと、生産体制が毎年毎年決まる、つまり、経営戦略にしても労使の経営方針の議論にしても、非常に中期的な見通しが立てづらい、やはりそういうマイナス部分もあるのではないかと思うのですね。  私はかねがね言っておりますように、今の生産体制一つ均衡点であって、新政策の少なくとも前半部分は、これを一つの目安にして、建前も本音も含めてそれを目安にしてやるべきではないか、これは冒頭お断りいたしましたように、政策論議の中心部分をなすと私は思うのですよ。ですから、きょう直ちにそのことについて石炭部の方で明快な私の質問に対する答えができないにしても、やはり少し予備的な議論をしたいと思いますから、まずそこのところ、少しお答えをいただいておきたいと思います。
  55. 土居征夫

    土居説明員 毎年需給部会国内炭生産量が決まるということでございますが、長期的な明示がないと不安な面があるという御指摘がまず第一点ございます。  これにつきましては、今回は、そういう需給の問題を特に需要サイドから先行して決めて、だんだんと生産段階的な縮小をしていくということでは全くございませんで、むしろ先ほどありましたように、石炭業界がやはりみずから構造調整をしていく、そういう宣言をしておりまして、それを答申としてフォローしておるわけでございますので、言ってみれば、こういった石炭鉱山の構造調整計画、これが先にあって、かつ、この石炭鉱山の計画も親子ぐるみで、生産段階的縮小が先にあるのではなしに、経営多角化とか雇用対策地域振興といったものを先行させてやっていこう、こういったことで、石炭サイドで今後の計画を決めていく、それに対して需要協力をしていく、そういう考え方でございます。基本的にはこれは石炭側の労使の希望に沿った方向として出ているものでございます。したがいまして、何かほかの要因で、石炭の自主的な要因以外の要因で今後の生産数量がいわば追い込まれるような形で決まっていくということではございませんので、むしろそういった不安は逆に石炭業界、労使の中にはないというふうに我々は考えております。  ただ、具体的に今後十年間でどういうふうにするのかという問題につきましては、総論は決まっておるわけでございますが、各石炭鉱山の、これは労使も含めてでしょうけれども、今後の対応というものは実は現在検討しておりまして、これからだんだんと決まっていくという性格のものでございます。しかも、それも経営多角化とか新分野開拓の方から先に決まってくるということでございますので、そういう形で今後決まってくる問題として慎重に見守っていきたいというふうに考えております。
  56. 中沢健次

    ○中沢委員 私の理解としては、今部長の方からお答えをいただいたような理解をしてはいるわけであります。ただ、正直言いまして、私の選挙区はまだ生き山が三つありまして、労使や産炭地自治体、多くの住民の不安からいいますと、そうは言っても本当に大丈夫なんでしょうか、通産側がいろいろな場面で見解を申し上げているようでありますけれども、それについての本能的なといいましょうか、かねてから政策閉山で被害を受けてきた、そういう現場の体験からいうと、やはり本能的な恐怖感みたいなものがあるわけなんですよ。ですから、あえて私はそのことを承知の上で、きょうのところはひとつ部長からその程度の答弁を引き出して、少なくとも山についていうと、無用な不安と混乱を与えない、こういうことでこれからもまた議論も深めていきたいと思っております。  さて、次の問題は、今の答弁の中にも関連をするのでありますけれども、新政策石炭経営側、いわゆる企業が、もっと言うとそれは労使ということにもなると思いますが、新分野の開拓あるいは多角経営、これを先行的にやるということだと思うわけですね。そうしますと、今ちょうど八月に入りまして、平成年度石炭予算概算要求の時期に来ているわけであります。恐らくまだ数字的にはきちっと整理をされていないと思いますけれども、今部長からお答えをいただいて、私が指摘をしたような新分野の開拓あるいは企業の多角経営について、平成年度の制度、予算、目玉としてどういうことを考えているか。できれば枠組みについて、あるいは具体的な目玉の内容についてぜひお聞かせをいただいておきたいと思います。
  57. 土居征夫

    土居説明員 平成年度の要求につきましては、現在まさに省内で検討を行っておるところでございますので確たる方向は出ていないわけでございますけれども、やはり答申指摘されておりますような、既存の対策については見直しをしながらも継続をしていくということで、それを踏まえて新しい政策としては、やはり経営多角化、新分野開拓への石炭鉱業構造調整努力支援する新しい対策をつくっていく。これは、答申にもありましたような新しい融資制度創設をしていく、あるいは、現行で平成年度予算からできました多角化のための補給金というものがありますけれども、こういったものを拡充していくというようなことを現在検討しております。さらには、これは先行的な地域振興をまた行っていくということでございますので、特に稼行炭鉱所在地域に対する対策の強化をいろいろな角度でやっていこうということでございまして、具体的な中身についてはちょっと差し控えさせていただきますけれども、鋭意今調整をしているところでございます。
  58. 中沢健次

    ○中沢委員 総論的には私自身はそのことは評価をしたいと思うのですね。ただ、具体的な内容はちょっと答弁を今の段階では差し控えたいと。  ただ、五日から国会が始まって、恐らく八月の末ぐらいにはもう概算要求通産省石炭予算の原案がまとまっていく、こういう状況だと思うのですよ。正直言いまして、この委員会を何回も開くという、そういう物理的なことにはなかなかならないのではないか。もっと言うと、その具体的な内容について、例えば新聞報道にも幾つか出されています、私もいろいろ聞いてはおりますけれども、公式発言になっていないわけですね。私は逆に、公式発言をきょうの委員会でなぜできないのか。このようにやりたい、その程度のことはぜひこの委員会で、もっと具体的な内容を含めて示すべきではないでしょうか。  もっと言いますと、新聞報道などでは、今度の新政策一つの目玉として多角経営の場合は無利子融資を企業に行う、三百億ぐらいは考えたい、五年間で三百億ということは単年度六十億ですよ。私は、これは大変すばらしいことだと思うのですね。そういう少なくとも目玉ぐらいは、部長、別に遠慮することはないと思うのですよ。これから大蔵省と綱引きやるのでしょうけれども、少なくとも党派を超えまして、石炭委員会に所属をする委員はそのことに全面的に協力すると思うのですよ。ですから、そこのところはもう少し大胆に、目玉はいろいろあるけれども、全部を言えとは言わないけれども一つ、二つぐらいはぜひやはり答弁をして、そして全体的に関係者一つの展望を見出していく。なるほど、ここのところはそういう意味での具体的な中身があるんだから、ひとつ山を残すためにしっかり頑張っていこうではないか、そういう具体的な気構えみたいなものがしっかりできるような、そういうやはり勇気ある発言みたいなものはぜひ期待をしたい。何も遠慮することはないと思うのです。改めてお尋ねをいたします。
  59. 土居征夫

    土居説明員 新聞報道は正式の発表ということではございませんし、やはり石炭対策特別委員会という公的な場になりますと、大蔵省との調整はもとより、通産省の中の調整も済んでいないというところでやはり公的な発言はできないわけでございます。先ほど来の答弁の繰り返しになりますけれども、新しい構造調整支援のための融資制度、こういったものにつきましては、先生指摘がありましたような新聞報道のイメージを念頭に置きながら最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  60. 中沢健次

    ○中沢委員 時間があればもう少し議論をしまして確認もしておきたいところでありますけれども、いずれにしても、これから十年間の新政策の目玉としては、やはりだれが考えましても今指摘したようなことが制度、予算の大きな柱になる。当然といえば当然でありますが、その実現に向かって石炭部を中心にしながらも私どもも一生懸命また応援をしたいと思いますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  さてそこで、私の選挙区は八次政策のもとで四つの炭鉱が閉山になりました。非常に残念であります。しかし、閉山になったからといって何もしないわけにいかない。したがって、雇用の問題ですとか産炭地の振興問題につきましては、通産省石炭部を中心にしながらも国の政策としていろいろなてこ入れをやっていただきました。私は、三つぐらいそのことを指摘をして、それをこれからの新政策の中における産炭地振興の大きな教訓にぜひしていただきたい、こういうことで、できるだけ簡単にそのことをまず申し上げたいと思います。  一つは、上砂川町、三井砂川の閉山がありまして、その後、いろいろ地域振興策を国のレベルでも随分頑張っていただきました。とりわけ、七月十七日に世界で初めての地下無重力実験センターが操業開始になりまして、私も地元でありますからお祝いに駆けつけました。あれは閉山後いろいろな経緯がありまして、当時の田村通産大臣あたりも陣頭指揮をとっていただいて、やはり砂川の立て坑の跡地の開発地域振興策からいって無重力の実験センターをぜひ上砂川町に誘導すべきである、私も委員会でも、あるいは直接大臣にもお願いをしたりいたしまして、文字どおり超党派で実現をしてようやく操業にこぎつけたと思うのであります。  問題は、あの無重力センターがこれから具体的にどういうように利用されるか。所管事項としては通産省の工業技術院でありますけれども産炭地振興策という観点からもこれを推し進めてきた、こういう立場からいうと、石炭部も今後十分ひとつ注目をしていただきまして、民間があのセンターを大いに利用するようにこれからも積極的に側面的な支援をすべきではないか、これが第一点であります。  それからもう一つは、三笠の場合でありますが、幌内炭鉱が閉山になった後の企業立地の観点で、当時の公団は、空知の中核団地がああいう状態なので新規の団地造成は非常に難しい、壁が厚かったわけでありまして、結果的に関係者の知恵を出していただきまして第三セクターで三笠に工業団地をつくる、こういうことで今作業が進行中であります。  ただ、正直言いまして私は、その後のほかの工業団地は何とか造成が公団の責任でされるようになりましたけれども、第三セクターでやったということについては、やはり緊急避難的にはやむを得なかったというふうには考えますが、結果的に財政力の非常に乏しい三笠の財政に大変な負担を強いる。北海道くらいの財政になりますとそれほど影響はないと思いますが、三笠市の財政に、第三セクターに対する協力、出資をさせましたから、やはり大変な被害を今日残しているんではないか、個人的にそういう私なりの反省もしているわけであります。ですから、もうああいう第三セクターということはこれからは考えないということでありますけれども、ぜひ今後のいろいろな問題の教訓として、団地造成については公団が責任を持ってこれからもやる、こういう腹構えを特に改めて確認をしておきたいと思うのです。  それから三つ目には、私の出身の夕張、昨年の三月閉山になりました三菱の南大夕張、あれはそれなりに用意をいたしまして閉山後も企業立地が順調に進みつつあります。今月の末に炭鉱跡地を利用いたしました四つの会社の操業が開始になりまして、あれはほかの閉山地区から見るとそれなりに順調に進んでいた、こう評価をしないわけにはいきません。しかし一面、雇用の受け皿ということからいきますと、当初の計画からやはり少しく目標を下回る、こういう問題等があるし、もっと言うと、閉山後の企業立地でいうと、三菱的な一つの準備はやったのでありますが、閉山後時間的に一年半かかっている。  そういうことなんか考えますと、これからの産炭地振興という観点からいうと、先ほどちょっと議論をいたしましたけれども企業の多角経営、新分野進出、これは言葉としては非常にすばらしいし、制度、予算もこれから大いに期待をしたいのでありますけれども、具体的な計画についてやはり相当早目早目にやっていかなければいけない、こういう思いがしきりにするわけでありまし て、今三つぐらいの具体的な事実を含めて申し上げましたが、ぜひひとつそういうことなどを十分参考にしていただきまして、これからの産炭地振興策について取り上げていただきたいと思うのです。少し長くなりましたが、そのことを一つ申し上げておきます。  さてそこで、今、産炭地振興計画については、それぞれ策定中だと思います。例の実施計画でいいますと、北海道段階で今一生懸命関係市町村とひざを交えて実施計画をつくっている最中でありますが、特にきのうきょう、北海道連合という労働組合関係者と一緒に、平成年度予算要求行動、私もつき合ってまいりまして、通産大臣にも会ってまいりました。  その中で特に指摘をしてお答えをいただきたいことは、石炭部の直接の所管事項でないことはあえて承知の上でありますけれども、空知の中核団地に素形材タウン構想という構想が、既に通産省の担当局の中で全国三カ所の調査地区の一カ所として指定をされている、これは事実でありまして、これは担当局が中心でありましても、産炭地の振興策ということでは中空知の産炭地の広域圏でもございますから、ひとつ石炭部としてこの構想について全面的な支援をお願いしたい、まずそのことをお答えをいただいておきたいと思います。
  61. 土居征夫

    土居説明員 時間の関係もありますので、最初の産炭地対策の具体的な三点の問題につきましては、いろいろと申し上げたいこともありますけれども省略させていただきまして、最後の実施計画の策定の現在の状況、その中での素形材タウンのお話につきまして答弁させていただきます。  現在、実施計画につきましては、先週各県から進捗状況についてヒアリングをしたところでございまして、最終的にはやはり九月を目途に原案を当省に出していただく、そういう作業を進めているわけでございます。  素形材タウンの構想につきましては、これは御承知のように石炭部の所掌の案件ではございません、機械情報産業局のいわば素形材タウンのニュー工場タウンの建設構想の中で進められているものでございますが、御指摘のように北海道空知地区が本年六月にモデル地域として指定されまして実施に移されているところでございまして、その間の経緯につきましては国会でも御報告いたしましたけれども通産省の中で石炭部と機械情報産業局との調整も進められたという経緯はございます。現在、そういうことでフィージビリティー調査をやっているところでございます。  したがいまして、現在の実施計画の中でも、いろいろとそれは地元の意向として取り上げられつつあるわけでございますけれども、いずれにしても、これはやはり実際の企業の判断というものも残っているわけでございますので、今後の実施計画の作業の中で、当方としてはぜひ前向きに検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  62. 中沢健次

    ○中沢委員 もう時間がありませんから、もう少し深めてみたかったのでありますが、通産大臣も、私もきょうの委員会でこの問題を取り上げますので、ということを申し上げましたら、石特の委員会としてもぜひ積極的に議論をしてもらいたい、大臣としても産炭地振興の観点からぜひひとつ省を挙げまして頑張りたい、こういうことでございましたから、今部長からお答えがありましたけれども、直接の所管でないことは十分承知をしておりますが、ぜひひとつ北海道の実施計画の中にきちっと入れていただいて、この実現方について全面的なお力添えをいただきますように重ねてお願いをしておきたいと思います。  さて、もう時間がありませんから、最後の問題についてお尋ねをしたいと思います。  これは通産側と労働省とそれぞれ関係があると思いますが、先ほど触れました三菱の南大夕張の閉山後の立地の企業に関連をいたしまして、通産側に一つお答えをいただきたいのは、資料をもらっていますが、立地企業、それからそこに雇用の受け皿としてどの程度雇用が保障されているかという内容、それとやや同じことでありますが、資料をいただいて、従来からのもそうでありましたけれども、同じような趣旨で要請をしたのでありますけれども、雇用数についてかなり労働省側の数字と通産省側の数字の開きがあるわけであります。私はその数字の相違についてとやかく言うつもりはありません。労働省側にお尋ねをしたいことは、産炭地は依然として雇用情勢は厳しい。これは単に概念的な問題ではなくて、実態がそうであります。しかし全国的には大変雇用情勢が好転をして人手不足である、こういうことについても象徴的に承知をしておりますけれども一つは有効求人倍率がどうなっているかということ、同時に新政策の中ではやはり炭鉱労働者の雇用問題は非常に重要であるということも言われております。  実は昨日も労働大臣にお会いした際にも、岡田委員の方からも指摘をしましたように、黒手帳の制度の充実について労働大臣にも申し入れをしております。したがって、労働省側としてこの点について少しく具体的なお答えもあわせてお願いをしておきたいと思います。
  63. 征矢紀臣

    征矢説明員 まず産炭地域の雇用情勢でございますが、御指摘のように全国的には非常に有効求人倍率が高い中で、全国的に一・四ぐらいでございますが、産炭地域について依然厳しい状況にあることは御指摘のとおりでございまして、例えば夕張ですと〇・七八というようなことで、一を割り込んでおります。そういう状況でございまして、そういう中で八次の石炭政策のもとにおきまして黒手帳制度等活用して、現在再就職の促進等行っておるわけでございますけれども、なお厳しい状況であるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、来年度以降の問題につきまして、これは先ほど申し上げましたように基本的には石炭鉱業審議会におきます答申を踏まえて、当面来年度予算についていろいろ検討しているところでございますが、観点は二つございまして、一つは従来の黒手帳制度に基づく離職者対策等について、これの存続と充実について、一部早期再就職等の対応策の充実を図るというようなことについて検討中でございます。あわせまして、経営多角化等に伴う対策といたしまして、特に職種転換のための職業訓練等を中心といたしまして、そういうものに対する雇用対策面での支援策についてどうするか、そういう点について検討しているところでございます。  したがいまして、そういうことを含めて、来年三月に期限が切れます炭鉱離職者臨時措置法について今後所要の手当てをした上で十年間の延長を図る。中身としましては、今言いました失業しないで対処し得る対策も含めた法律の中身にするようなことを検討しているところでございます。
  64. 中沢健次

    ○中沢委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  65. 麻生太郎

    麻生委員長 細谷治通君。
  66. 細谷治通

    ○細谷委員 最初に、通産省所管の地域振興整備公団の融資焦げつき問題というのが報道されておりました。これから産炭地振興に果たす公団の役割というのは大変大きいものがあると思います。資金というもののニーズはさらに拡大していくのじゃないかというふうに思うわけであります。そういう時期に当たりまして大変心配をされるわけでございますので、まずこの辺についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  概要をこちらから手短に申し上げますけれども、総合商社丸紅の元幹部の架空取引事件に関連しまして東京地検から摘発をされました鉄骨メーカー共和、これは二千億以上を超す累積債務を抱えて、御承知のように去年の十一月に倒産をしたわけであります。戦後五番目に大きい大型倒産と言われているのは御承知のとおりであります。  事もあろうに、この共和に八億円の公団の融資がなされ、それが焦げついている、こういうことであります。もちろん土地と建物がありまして、土地に対する担保というものもなされていたわけでありますが、果たして八億のうち一体幾ら回収できるかという問題もあるわけでありますけれども、もう一つ建物については、実は他の百億以上融資しているファイナンス会社が第一位の抵当権を設定している、そして公団は抵当権の設定ができていないということであります。これはまさに貸付契約の際に担保設定するということを両者で約しながら実はできていなかったということでありまして、そういう意味においては、このリース会社が設定をしてからなおかつ五カ月以上放置されていたという状況があったわけであります。  その結果、共和は倒産をした、そういうことでございまして、ことしの三月に至りまして、公団は御承知のように福岡地裁に損害賠償の提訴をした、こういう形になっております。これが概要でございます。  こういうことで、私はこの経過を見るにつけ、公団側の管理体制の甘さの問題が一つ指摘されなければならぬのではないかと思うわけであります。御承知のように、この公団の金というのは財投資金でありますから、これは財政資金、まさに貴重な財源でございますし、場合によっては、これが焦げついて返済不能ということになれば、石特会計からこれを補てんしていかなければならぬという事態も出てくるわけであります。大変事は重大であります。  そしてついでにもう一つ申し上げますと、最近どうも、貸付残高に対しまして回収不能、返済が滞っているというものが件数的にもかなり大きなものがありますし、金額的にも増加傾向をたどっているということであります。今後を見通しますと、御承知のようにバブルの崩壊ということでもございますし、企業の資金繰りは大変厳しくなっておりますし、企業の倒産というものもどんどん出てきているということは、状況はますます悪くなっていくということでありますから、公団として、そしてこれを監督する通産省として、今後これに対するどういうふうな融資の態度をしていくのか、そして都内の管理体制をどうしていくのかについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  67. 土居征夫

    土居説明員 株式会社共和に対します融資は、同社が産炭地域振興臨時措置法による産炭地域であります福岡県稲築町に鉄骨加工工場を新設するための設備資金を融資したものでございまして、産炭地域振興という政策目的に沿ったものというふうに判断をしております。  ただ同社につきましては、いろいろなトラブルがあって現在倒産という状況になっておるわけでございますが、その回収につきましては、担保として徴しております土地について現在競売実施中でございます。こういった形で回収を担保するとともに、今御指摘がありましたように、貸し付けの過程で相手側の不誠実があって、現在その問題について地域振興整備公団として損害賠償訴訟を提起しているところでございます。  こういった回収遅延の問題につきましては、これは一般的に政府系金融機関それぞれのところでも全体の融資の中でそういう事態があるわけでございます。産炭地域振興の目的から行っておりますこの融資につきましても、こういう遅滞案件というのがあるわけでございます。ただ、これにつきましては、他のそういった政府系金融機関と比べてそれほど極端に地域振興整備公団の遅滞案件が大きいというふうには判断はしてないわけでございますが、本件の問題と、それから一般的なそういう遅滞案件の今後の発生防止という観点から、現在地域公団におきまして具体的なマニュアルの策定等の検討を行っておるところでございます。
  68. 細谷治通

    ○細谷委員 ほかの政府関係機関と比較して決して実績が悪くないんだということでは困るわけでありまして、公団は公団としてしっかりとした厳正な対応というものを私はぜひ求めたいというふうに思います。  さて、今後の石炭政策あり方についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  時間がありませんので端的に御質問申し上げたいと思いますけれども、まずこの中に述べられております、要するに構造調整の最後の十年、最後の調整過程ということでありますけれども、じゃ、一体到達点というのは何なのだ。それから、国民経済的な役割と負担の均衡点という言い方をされております。国民経済的ですね。国家的じゃないです、国民経済的という観点。それから、海外炭依存を前提として若干の技術の保持ないし活用といいましょうか、こういうことも述べられているわけです。そこで一体この最後の調整過程の到達点といい、この均衡点というのは何なのか。大変国民は今回の答申を読んでもわかりにくいわけです。石炭国内炭というのは一体どうなるのかということが見えてこないということだと私は思うわけであります。これは答申を出された側じゃなくてこれを受けた行政側である通産省として一体どういうふうにこの問題をお考えになっているのか、もう少し具体的に掘り下げて御質問したいというふうに思います。  まず、国民経済役割と負担の均衡ということでありますけれども、この均衡点に達したかどうかということを判断するファクターというのは一体どんなことが現時点では考えられるのか、その辺もしこんなことを、こういうことを注目するのだよということがありましたらぜひお聞かせをいただきたいと思います。  私が素人なりに考えますと、この均衡点というのは、まず一つ考えられるのは内外炭価格差の問題だというふうに思うのです。一体これは、内外炭価格差というのは今の約二倍と言われるものが本当に格差が縮まっていく可能性というものはあるのだろうか、この十年なら十年を展望して。為替の問題はどうなんだ、日本経済のファンダメンタルズを考えれば、とてもじゃないけれども為替レートがこれ以上円安に振れていくということは考えられないのじゃないか。またこの十年を見通してみた場合、海外の炭鉱の生産コストが大幅に上がっていくということも考えられない。私はそういう意味において内外炭価格差、しかももう一つ言えば、日本の炭鉱というのはもう合理化、近代化のぎりぎりのところまで行われているというふうに考えていいと思う。そうしますと、大変厳しい状況だと言わなければいかぬと思います。  それからもう一つ考えられるのは、石特会計からの財政負担があるじやないか。一千二百億か三百億ぐらいの財政負担、これを限りなくゼロにしていくのか。そうすれば均衡点に達すると言えるのか。例えばもう一つ言えば、石油関税に石特財源を求めている。もう今やこの石油関税に財源を求めるという論理的な、理論的な根拠が乏しくなってきているという状況も片一方であるのじゃないかと思うのです。  こういうことを考えてみますと、大きな二つの要素、内外炭価格差、石特会計の財政負担ということを考えてみて、これが好転していき、限りなくゼロに近づいていくということは私は到底考えられない。そういうことを考えた上で、なおかつ均衡点というのは何なんだ、構造調整最終到達点というのは何なんだ、私はどうしてもそれを頭の中に描くことができないわけであります。そういうことになると、どうもこの新石炭政策というのはこの十年の間に国内炭を全面撤退するということを暗に示しているというふうに国民がもしこれを読んだとしても、産炭地の住民や自治体が読んだとしてもやむを得ない、そういう内容になっているのじゃないかということを指摘したいのです。そういう意味において、この構造調整の到達点というのはどういうふうにイメージしたらいいのか、国民経済均衡点というのは一体何なのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。  一番不幸なことは、非常にあいまいになっていて、国内炭がどうなるのかわからない状況でずっと進んでいって、そして産炭地に対する例えば地域振興なり雇用対策なりというものが十全のものが行われなかったとするならば、その結果というのは大変惨たんたるものになるのじゃないか、最悪の事態になるのじゃないかというふうに私は思うわけでありまして、この辺について行政サイドとしての御見解を賜りたいと思います。
  69. 土居征夫

    土居説明員 国民経済的な役割と国民経済的な負担ということでございまして、役割の方につきましては、答申でも御指摘されていますように、エネルギー政策上の位置づけ、こういったものはあるということでございます。もう小さくなったけれども、ある。当然その中には資源論的な観点も含めて、資源の有効利用というような観点も含めてそういう役割はあるわけでございます。  一方、国民経済的な負担につきましては、先生指摘のように内外炭価格差、これは具体的には炭価という形になって電力業界、さらには国民の負担という形になっているわけでございますが、そういった問題があり、さらにはその内外炭価格差に加えまして、財政負担ということで国の会計の負担があるわけでございます。それだけではなしに、それだけの国民経済的な負担をやってもなおかつ石炭企業の方の赤字がまた続く、そういう国民経済的な負担もあるわけでございまして、それら総体としました現在の負担というのは役割と相関しているかということについては、やはり負担が大き過ぎるのではないだろうか、そういう判断が示されたものというふうに考えております。  しかし、この内外炭価格差の問題については確かに流動的な要素がありますが、飛躍的に縮小するかということについてはそれほど楽観的な見通しは持てないわけでございます。ただ、財政負担の方につきましては、全体としての今後の石炭対策の進捗は、稼行炭鉱数が現在かなり減ってきております。それから鉱害対策も相当進捗してきておるということもございます。それにあわせまして、雇用対策前提となります炭鉱従業員あるいは離職者、こういったものもそれなりに政策対象が縮小してきているということから、財政負担は将来にわたっては減少していく可能性があるわけでございます。さらに三番目の石炭企業の赤字の問題については、経営構造調整ということでこれから新分野開拓も含めて新しい対応をしていこうということでございますので、そういった石炭構造調整がどうなるか、いずれにしても流動的な要素がございます。  さらには役割の方では、国内炭技術を海外に役立たせていくというものについてもいろいろとこれは実績で明らかになってくる面もございます。そういった今後に判断をゆだねなければならぬ要素がございますので、今具体的にどういう均衡点の形になるのかというものははっきりいたさないわけでございますけれども、理論の問題としてはそういう役割がある、役割に対してある程度の国民経済的な負担をしてもその役割を果たす国内炭の存続の可能性はあるのだ、そういう答申になっているというふうに我々は理解しております。  ただ、具体的な問題は、もう一千万トンを切った状況にございますので、個々の少ない山の経営の問題になってきているという面もございます。したがって、そういう石炭企業経営の今後の持っていき方、そういった判断も加えて具体的にどうなっていくかという要素があるわけでございます。繰り返しになりますけれども考え方の問題としては、均衡点については我々はそういう理解をいたしておるわけでございます。
  70. 細谷治通

    ○細谷委員 必ずしも明確ではありませんけれども一つだけ具体的にお尋ねをしたいと思います。  国内炭技術、採炭技術の活用といいましょうか、それが将来の任務として考えられるということでございますけれども、一体どういうイメージを持ったらいいのでしょうか。どのくらいの山を持つのか、実際に国内の山を持たなくてもこの技術継承、活用というのはできるのかどうか。その辺ちょっと、イメージとしてどういうことをイメージしておいたらいいのかということについてお答えいただければと思います。
  71. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱業審議会答申におきましては、石炭生産関連技術の基盤を国内に維持することは今後の海外炭の安定供給確保の一助にもなる、そういう表現になっております。これは先ほど生田部会長からも石油の例が話になりましたけれども、要するに国内炭生産の維持を前提としてこういった技術的な貢献を考えるのかどうかという点については、非常に幅がある総体的な問題であると考えておりまして、この一助にもなるという表現もその辺をあらわしているのではないかと思います。  いずれにしても、そういう技術関連についての役割はあるということでございますけれども、具体的にはそれをどういう形で支えていくかという問題については、いろいろとこれは石炭企業経営の持っていき方の問題、その他もろもろの条件がございますので、そういったものを含めまして今後具体的に姿が明らかになってくるというふうに考えております。
  72. 細谷治通

    ○細谷委員 極めてあいまいでありますけれども、要するに生産現場があって初めて技術というのは維持継続することができるわけであって、それは山は海外にあればいいのだということでは必ずしもないのじゃないかと私は思います。今後この辺についてはさらに当委員会で詰めてまいりたいというふうに考えますが、このくらいにしておきたいと思います。  次に、産炭地振興対策の強化ということに関連いたしまして、特に新石炭政策において対象になります現行稼行炭鉱地域の振興対策の強化についてお伺いをいたしたいと思います。  現在産炭法に基づきます地域振興実施計画は作成中ということで、スケジュール、めどについては先ほど中沢委員の質問に対してお答えがありましたので省略いたしたいと思いますけれども、一体この実施計画の中に、新石炭政策の対象になるであろう稼行炭鉱地域に対する振興対策というものがこの時点でどういうふうに計画の中に繰り入れられていくのか。要するに、一層の、一段の強化策というものが今後施されなければならないということがこの答申の精神になっているというふうに私は思うわけであります。そういう意味において、計画策定に当たっての国としての基本的なスタンスということをまずお伺いをしたいと思います。
  73. 土居征夫

    土居説明員 実施計画につきましては、先生指摘のように、現在道県の原案作成段階で、その進捗状況を聞いておるという状況でございまして、正式の提案を待っておる状況でございますが、これはそういう手続の問題とは別にしまして、地方自治体とは十分な連絡をとりまして、来年度政策要求の中で必要な新政策検討していかなければいけないという状況でございます。  対策中身につきましては、答申でも指摘されておりますように、従来の産炭地対策に加えて、現行の稼行炭鉱地域に対しては特に対策を集中的に講じる必要があるということで、具体的な例といたしましては、実施計画早期策定、内容の充実以外に、団地の計画的な造成あるいは道路整備等公共事業の計画的な実施、さらには街づくり基盤整備事業の拡充、中核事業主体の早期設立、それから企業誘致、地場産業振興のための施策の拡充、自治体への財政支援の強化、こういった点についてこの稼行炭鉱地域中心とした対象地域につきましてさらに対策を強化していくという方向が指摘されておりまして、そういった方向で具体的な政策を今検討しておるという状況でございます。
  74. 細谷治通

    ○細谷委員 具体的に一つ例を出してお聞きをしたいと思います。  私どもの地元でございます有明生活経済圏の中心であります大牟田地域の振興ですね。もちろん、稼行炭鉱地域対策ということでございますけれども産業生活基盤の整備という点で考えてみますと、これはもう住民の長年の悲願でございますが、JR鹿児島線と西鉄大牟田線の連続立体交差の問題というものが大変重要な施策だというふうに私は思うわけであります。まさに、この地域中心であります大牟田の中心市街地を海と山側で二分しているということでありまして、産業活動、商業活動に対して大きな障害を与えているということであります。  この大牟田駅付近の高架化計画というのは、踏切道改良促進法に定めます一日当たりの踏切交通遮断量基準を大幅に上回っております。基準の約四倍程度だというふうに言われております。それで、今盛んに産炭地振興の一環で、海側に例えば物流団地をつくるとか、それからネイブルランド構想とか新規の事業がおかげさんで進んでおります。さらにこれからもどんどん計画が進んでいくわけであります。物流団地の構想もあります、いろいろあるわけであります。しかし、いずれにいたしましてもこれが人や物の交流にとりまして大変大きな阻害になると私は思うのです。したがいまして、この地域産炭地振興を考えた場合には、私はこの鉄道高架の問題というのが最大不可欠、緊急の課題だ、何をおいてもこれをやるべきだというふうに考えております。  鉄道高架に対する事業者の配分その他いろいろあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、仮に当該工事費が約四百億だといたしますと、自治体の負担が百六十億ぐらいあるわけであります。これは自治体の負担としては大変重いわけであります。そこで、この産炭地振興、特に新石炭政策との関係で、先取り政策としてこの大牟田付近の鉄道高架の問題について通産省サイドとしてもしっかりととらまえて、これを実現の方向に導いていっていただきたいと私は思うのです。  今、国の鉄道高架の場合の予算割合というのは建設省予算で約五五%と言われておりますけれども、これに対して特別加算をする、補助のかさ上げをするということも考えられましょうし、今御指摘ありましたけれども自治体の財政力をつけてやるということだって可能だと私は思うのです。ないしは、石特会計からこの予算に付加していくということだって考えられると思うのです。私はいろいろの方法があるというふうに今考えております。そういう意味において、その可能性と決意みたいなことについてお考えを承りたいと思います。
  75. 土居征夫

    土居説明員 大牟田市を含みます筑後産炭地域実施計画づくりにつきましては、まだ詳細に承っておりませんけれども、いろいろと重点対策があるようでございまして、南関インターからのアクセス道路の問題とか河川の改修の問題あるいは工業団地の計画的な造成の問題とか、そういった中で現在福岡県と地元市町村で協議しながら原案をつくっておるところでございまして、その原案の中で今先生指摘の高架橋の問題等がどういう取り上げ方をされるのかというところを見守っておるところでございます。いずれにしても、産炭地域振興実施計画は、今回はめり張りをつけた実効性があるものにしてもらいたいということで各県にお願いしているわけでございまして、そういったことになりますと、地元における事業の優先順位ということもございましょうから、その辺の判断を踏まえた計画が出てきた段階ではそれを通産省としては全面的に応援をさせていただきたいと思っております。  特に、自治体の財政負担の問題につきましては、これまでの答申にも述べられておりますけれども通産省としても産炭地域振興臨時交付金という自治体の財政支援の制度がございますけれども、これの拡充をしながら、特に今のような実施計画の重点対象については自治体への財政支援の強化を図っていきたいというふうに考えております。同時に、自治省等関係各省にも実は産炭法のときにもいろいろ御指摘がありまして昨年来お願いしておるところでございまして、一部自治省のいろいろな対応が実現しているというふうに伺っているところもございますけれども、そういった形でさらに努力をしてまいりたいと考えております。
  76. 細谷治通

    ○細谷委員 最後にもう一点だけお伺いをいたしたいと思います。  基準炭価の引き下げの問題でございますけれども、この石鉱審の答申にももちろんあるわけでありまして、「更に引き下げる方向での努力が不可欠である。」ということが指摘されております。それで、巷間約千円程度は引き下げなければいかぬという話を漏れ承るわけでございますけれども、その検討過程といいましょうか検討段階のことで結構でございますけれども、今どうなっているかということについて見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 土居征夫

    土居説明員 基準炭価につきましては、答申では、炭価の引き下げ努力が必要ではあるけれども、一方では構造調整期間程度に応じた弾力的な引き下げが必要である、そういう御指摘になっているわけでございまして、具体的な今後の対応につきましては平成年度以降の問題ということで、石炭鉱業審議会の議を経まして平成年度以降の基準炭価ということで決定してまいりたいと思っておりますけれども、現在、平成年度に平均トン当たり千円の引き下げを行って当分これを据え置くという方向で検討を進めているところでございます。
  78. 細谷治通

    ○細谷委員 トン当たり千円と言うけれども、大変大きな経営負担になるということだと私は思います。三池の例をとりますと、現在年産二百四十万トンということでありますから、千円引き下げると二十四億になります。今一人当たりの人件費というのは年間大体六百万ぐらいですから、これを換算いたしますと四百人の人件費に相当するのです。現在ぎりぎりの経営を続けているとするならば、一体どこからこの四百人分の人件費に相当する二十四億を引き出してくるのか、私は大変大きな負担になると思います。三池は既に三年連続の合理化が行われてまいりました。それは四、五百のベースで行われてきたのです。もし仮に、全部これが要員合理化というところにしわ寄せがいくとするならば大変な合理化になります。第四次の合理化がまた目の前に来ると言わざるを得ないと思うのです。  私は、この基準炭価千円の引き下げというのは、ただ単にその経営負担がふえるということも大変でありますけれども、さらにこれから石炭企業が新規分野や経営多角化を進めていくためにも、自己資金というのが必要になると思うのです。既に現在多額の累積債務を抱えている中で、なおかつこういうしわ寄せがなされるということは、私は大変大きな影響があると思います。構造調整を進めると言ってみても、実は私は大きな影響が出てくるのじゃないかというふうに大変心配いたしております。通産省として、将来にわたってこの合理化計画等については省の責任において関与していくという法律の建前を踏襲するということでありますので、一体この辺については、石炭企業に対するどういう指導をされようとしているのか、合理化計画を具体的にどういう形のものを構想されておるのか、それをお聞きしたいと思います。  そして最後に、この引き取り量についてはユーザーと石炭企業の言ってみれば自主的な契約でやりなさい、自主努力でやりなさい、ですから、見通しを聞いて一応需給計画らしいものはつくりますけれども、これは別に通産省が関与するわけじゃありませんよ、こういう話になる。炭価についてはこれはがっちりと通産省が関与するという形になっているわけであります。ユーザーの負担というのはもちろん申すまでもなく量掛ける炭価だ、量掛ける価格なわけですから、それで負担の絶対額は決まる。片一方は自由にしておいて、炭価だけは通産省がしっかり規制しておくというのは一体どういうことなのか。それについても御見解を賜りたいと思います。
  79. 土居征夫

    土居説明員 最初に、最後の方で申されました需給について通産省は関与しないということは申し上げておりませんで、これは従来どおり審議会需給部会需給当事者が出てまいりましていろいろ議論いたしますけれども、当然原案は事務局であります通産省が出して、審議会審議を踏まえてこの需給の問題については責任を持って関与をしていく。言われていますような市場原理に任せるということでは必ずしもございませんで、そういった政府の関与は続けていく、そういう意味においては需給、炭価ともに変わっていないというふうに御理解いただきたいと思います。  炭価の問題につきましては、いずれにしても答申自体の基本的な枠組みでございまして、やはり石炭鉱山の自主的な構造調整というものが先にあって、それに対して需要業界を初めとして国民が協力をしていく、そういう国民の協力と理解を得るということでやはり炭価の引き下げという方向は出ておりますし、一応構造調整期間程度に応じた弾力的な引き下げではあるけれども、引き下げが必要である、そういう方向が出ておるわけでございまして、この問題につきましては、答申の作成段階と並行いたしまして関係各社とも御相談しながら、具体的にこれを踏まえた長期的な構造調整見通しについていろいろと議論をして、実態を踏まえて考えているところでございます。  我々が漏れ聞いているところでは、各社はこれを前提とした構造調整について十分対応が可能ではないかというふうに我々は考えておるところでございまして、いずれにしても今後出てきます構造調整の具体的な計画づくりの段階で、こういった炭鉱経営の諸環境の変化という点については我々も十分認識しておりますので、その点を踏まえて構造調整が円滑にいくように考えてまいりたいというふうに考えております。
  80. 細谷治通

    ○細谷委員 これで終わりますけれども、いずれにいたしましても初めに炭価引き下げありきということではなくて、石炭企業経営実態、地域に及ぼす影響等、いろいろ総合的に勘案して御検討を賜ることを御要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  81. 麻生太郎

    麻生委員長 午後一時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  82. 麻生太郎

    麻生委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田口健二君。
  83. 田口健二

    ○田口委員 非常に限られた時間でありますから、私は具体的な問題について二つ、三つお尋ねをいたしたいと思います。  その一つは高島炭鉱でありますが、いわゆる八次策の中で閉山をいたしました。さきの委員会の中でも私も申し上げましたが、現状は全く予想以上に厳しく、惨たんたる状況にあると言ってもいいと思います。一例を挙げますならば、人口について見ましても、六十年の国勢調査で五千九百二十三名という数字が出ておりましたけれども、昨年の国勢調査では実にこれが一千二百五十六名、この五年間に四千六百六十七名も人口が減少しておるわけであります。七八・八%の減ということでありますから、まさに地域の崩壊と言ってもいいような状況にあります。  答申の中にも八次策影響地域地域振興ということが出ておるわけでありますが、一体通産省としてはこれまでこの高島に対する振興策としてどのようなことを考え、また実施をされてきたのか、あるいは今後の対応についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  84. 土居征夫

    土居説明員 三菱高島炭鉱の閉山、昭和六十一年の十一月、これに伴いまして、通産省関係各省は対策を講ずるということで行ってきたわけでございますけれども通産省といたしましては、やはり高島炭鉱の立地条件、これは離島という状況でございますので、なかなか島の中で全体の今後の石炭産業にかわる産業の振興等を全面的に図っていくということは難しいということから、広域的な観点でこれに対応しようということで、第一番目に当該圏域、生活圏域ということで広く考えて、佐世保テクノパークの造成事業、これを地域公団の工業団地の造成事業として着手したところでございます。これにつきましては、順調に進みまして予定どおり平成年度には公募、こういう段階に至っておるわけでございます。  高島町自体の振興につきましては、産炭地域振興臨時交付金あるいはその他関係石特勘定による助成を毎年行っておりまして、具体的に申し上げますと、平成年度までの五年間に石炭勘定だけで六億五千万の予算を計上して、自治体の財政支援を行ってきておるところでございます。そのほか、関係各省からも高島町の支援に対しては非常に大きな努力がされておるというふうに伺っています。  地域の振興のプロジェクトにつきましては、六十一年度以来、産炭地域の活性化支援事業ということで、まず海洋開発の構想についてビジョンの作成を六十一年度にやるということで八百万の助成をして以来、毎年海洋開発構想あるいは観光プロジェクトのビジョン、こういった形で自治体の今後のあり方についてのビジョンづくりについてまた御支援をしておるというところでございます。  そういう状況でございますけれども、一番最初に申しましたように、立地条件ということから炭鉱があった当時のような対応ということはなかなか難しいと思いますけれども、高島町の自治体の財政支援あるいは今後の振興、さらには高島町を含めます全体の長崎圏域あるいは佐世保圏域の産炭地の振興という形で、広域的な観点も含めて対策に現在取り組んでおるところでございます。
  85. 田口健二

    ○田口委員 今御答弁がありましたように、確かに高島町の場合には一町一島という、離島という立地条件、極めて厳しい条件があるだけに大変難しい問題もたくさんあろうかと思います。しかし、まだまだ多くの課題を持っておるわけでありまして、一々申し上げませんが、例えば非木造住宅などの撤去であるとか、たくさんの課題はあるわけでありますから、ぜひ通産省の方でも、今後これらに対応するように振興策について配慮していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  続いて自治省にお尋ねをいたしますが、今申し上げましたような現状でありますから、財政力が極端に低下をしてきております。国調の状況も今申し上げましたような状況でありますから、この財政支援について、例えば地方交付税の問題さらには地方債の問題も出てくると思うのでありますが、これらについて現状そして今後どういう対応をしていくのか、その辺の見解を伺いたいと思います。
  86. 田村政志

    ○田村説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  まず地方交付税でございますが、地方交付税の算定に当たりましては、人口が急減する団体について、他の団体に比べまして人口一人当たりの単価が割高になるということで、急減補正を適用いたしまして行政水準が維持できるよう配慮しているところでございます。さらに、炭鉱閉山などによりまして人口が短期間に急激に減少する市町村につきましては、これら市町村で非常に臨時的かつ緊急な措置を講ずる必要がございますので、このために必要な需要を算入いたしまして財政運営が円滑に行えるよう、昭和六十二年度に単年度限りの措置として、いわゆる短期急減補正を新設したところでございます。その後平成年度までの各年度においてもこの措置を講じてきているところでございます。平成年度においても、これらの市町村の実情にかんがみまして、この補正を適用する方向で現在、算定作業を進めているところでございます。  また、地方債の配分に当たりましても、団体の財政状況等を勘案して適切な配分を行ってまいりたい、このように考えております。
  87. 田口健二

    ○田口委員 今のことに関連をしまして、国庫補助事業及び地方債で建設した施設を廃棄または目的外に使用する場合、当然のことながら国庫補助金の返還であるとか、あるいは地方債の繰り上げ償還などという問題が出てくると思うのでありますが、こういう炭鉱閉山という特殊な条件でありますので、こういう場合についての適用の問題、どうでしょうか。
  88. 嶋津昭

    ○嶋津説明員 お答えいたします。  今お尋ねの件につきましては、六十一年の閉山以来、従来使われていた地方債をもって建設した公共施設でそれが不要になってしまうとか、あるいは別な目的に使うと、当然融資をする資金当局の方、貸付当局の方の考え方としますと、それは繰り上げ償還をするというのが原則になっているわけでございます。今ほど御指摘のとおりでございます。  ただ、高島炭鉱あるいはその他の地域でもそうでございますが、特にそういう閉山によって財政的な影響が大きいわけでございますから、直ちに、公用を廃止したから、あるいは目的外に使用したからといって繰り上げ償還をする財源もないわけでございますので、その点につきましては昭和六十一年の閉山のときにおきましても繰り上げ償還しなくても済むような措置を、融資機関と協議してそういう措置をしたわけでございます。なおかつまた、その繰り上げ償還を仮にする場合にはそういう資金についての財政措置をするというようなことを考えているわけでございまして、今ほど御質問のありましたのは、これからも恐らくそういう例が出てくるのではないかということでございますが、私どもも県の方からそういう事情があるということを聞いておりますので、具体的な例に即しまして、今御指摘がございましたように、なるべく町当局におきまして財政的にたえ得るような措置を考えてまいりたい、かように考えております。
  89. 田口健二

    ○田口委員 今度は逆の場合でありますが、同じ私の選挙区にあります外海町の池島炭鉱は、すなわち稼行炭鉱でありますから、今回出されました六月七日のこの答申に大変期待とあるいはまた同時に不安を実は皆さん持っておったわけであります。  中身については先ほど来議論がございましたから申し上げませんが、いわゆる出炭量が明示をされておらない、こういうことなどもありまして、かなり不透明な部分があるので、率直に言って地元の地域の皆さん方というのはさまざまな評価をしながら不安を感じておるわけですね。これはどうなんでしょう、やはり生産体制というのは、明示をされておりませんが、今後もそれはどういう形で示されていくのか。年度年度という話もございましたが、改めてそのことをもう一度お尋ねをしておきたいと思います。
  90. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱業の今後の生産活動の維持の問題につきましては、これは石炭鉱業審議会答申におきまして総論的に方向が述べられているだけでございまして、具体的な年度とか数量の明示がないわけでございます。  これにつきましては、これまでも御説明しておりますように、この総論的な方向を受けまして石炭鉱業経営を担っております石炭各社が親子ぐるみで、いずれにしてもどういう構造調整を進めていくのかという各論の検討に入っている状況でございまして、これを踏まえましてもちろん政府としても判断をして、具体的に今後の構造調整計画についてだんだんとこれを検討していく、こういう状況になっているわけでございます。  その検討の中でも、やはり地域振興とか経営多角化とか、こういったものについての先行的な対応ということを重視しているわけでございまして、そういった個別具体的な各石炭企業の取り組み、これが具体的に今後明らかになってくる過程で、長期的な対応についても地元とも協議しながら具体的な展望が図られて確保されていくというふうに考えております。
  91. 田口健二

    ○田口委員 関連をして、非常に皆さんが心配をしておる問題の一つに、やはり炭価の問題があるわけですね。構造調整期間程度に応じて弾力的に引き下げていくという方向が出ているわけですけれども、これは基準炭価の見直しを行った場合に、その後は八次と同様に据え置いていくという考え方であるのかどうなのか。この辺の炭価の問題について検討をいただきたいと思っています。
  92. 土居征夫

    土居説明員 基準炭価につきましては、答申では炭価の引き下げ努力が必要であるということでございますけれども、それは構造調整期間程度に応じた弾力的な引き下げが必要である、そういう付言がなされております。  こういった観点から、午前中も御答弁申し上げましたように、平成年度以降の炭価について石炭鉱業審議会の議を経て基準炭価として決めていくということになっていくわけでございますけれども、それについては平成年度以降トン当たり平均千円の下げということで現在事務的に検討しておるところでございまして、これにつきましては平成五年以降毎年下がるということではなしに、当分の間据え置く方向で検討を進めておるわけでございます。
  93. 田口健二

    ○田口委員 それから、先ほども出ておりました新融資制度創設の問題があるわけでありますが、これは具体的にどういうことを考えておるのか、内容がわかればひとつ説明をしていただきたいと思います。
  94. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱業構造調整の今後については、石炭鉱業審議会答申の作成過程から各社からいろいろと今後の見通しについてお伺いはしておるところでございますが、まず第一に産炭地域における新しい分野への進出あるいは経営多角化、これは既存の石炭鉱業で培ってきましたいろいろな技術だとかそういったものの延長線上にある事業もございますし、そこからさらに飛躍的に乗り越えたリゾートだとか全く新しい分野の事業もあるわけでございますが、そういった産炭地域における経営多角化、さらには国内石炭鉱業技術を活用した海外の石炭開発、その輸入、こういった総合的な新しい分野への進出を各社検討しておるわけでございまして、そういったものに対する施策の一環といたしまして、これに対する適用がなされるような新しい融資制度創設していくということで現在検討中でございます。
  95. 田口健二

    ○田口委員 もう時間がなくなりましたので、最後に、先ほど申し上げましたように外海町の場合でも、今回の答申が不透明性のところが非常に多いということから、今後の対応に非常に苦慮をしながら、どうこの地域の振興を図っていくかということでいろいろ考え、苦慮をしておるようなんでありますが、こういった構造調整が進むに当たって具体的なこういう地域の振興策、この辺について今どのようにお考えになっておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  96. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱業審議会答申におきましても、産炭地域の中で特に現在稼行炭鉱がございます稼行炭鉱地域につきましては、従来の施策に加えまして構造調整対応する先行的な地域振興策が集中的に講じられる必要がある、そういう答申を受けておりまして、現在旧産炭地も含めまして産炭地域振興実施計画の原案を道県にお願いしておるところでございますけれども、その実施計画の中でも、具体的にそういった石炭鉱業構造調整対応する、即応する先行的な地域対策ということで稼行炭鉱地域における実施計画づくりがなされておるというふうに理解しておりまして、これに対応する特段の対策を準備していく必要があるというふうに認識しております。
  97. 田口健二

    ○田口委員 終わります。
  98. 麻生太郎

    麻生委員長 岩田順介君。
  99. 岩田順介

    ○岩田委員 さきの国会で産炭法の延長が決まりました。先ほど議論にもございましたが、九月の基本計画の決定に向けて現地では大変な苦労が行われておるわけであります。なかなかスムーズにいかない、こういう現状もあるようでありますが、叱咜激励だけではなくて、国の県、道、市町村への御指導をまず冒頭お願いをしておきたい、かように考える次第であります。  労働大臣が途中で退席をされるというふうに聞いておりますので、まず労働省雇用対策の問題、旧産炭地の問題について一点だけお尋ねをしておきたいというふうに思うわけであります。  産炭地域における離職者対策につきましても長年にわたって継続をしていただきました。このおかげをもちまして、多くの離職者が救済をされただけではなくて、地域振興にも大きな役に立ってきた、こういうふうに存ずる次第であります。  ところで、今回の答申によりますと、今後のこれらの諸事業に関してあり方として触れられておりますけれども、所要の見直しを行いつつ適正な実施を図れということが基本になっておりますが、その中で特に心配になりますのは、緊急就労対策事業に関しては可及的速やかに終息をすること、こういうふうになっておりまして、この答申の行間から読みますと、すぐにでもこれは打ち切ってしまえというような感覚を持つわけであります。これは何回となく議論をされてきておりますけれども、そういう答申が出ているわけであります。  先ほども申し上げましたように、この制度は単に離職をした方々の生活の救済だけではなくて、往々にして産炭地というのは脆弱な市町村がひしめいている、こういう状況にあります。したがいまして、公共事業が非常に乏しい、そういう中にあって、長年この諸事業というのは公共事業の役割を大きく果たしてきた、こういうことが言えるかと思うわけであります。したがって、今回の答申に関しましても、関係自治体はこぞって比較的重点的な要求としてこれら諸事業の延長を要望している、陳情している、こういう実態にあるわけであります。今さらこれら諸制度ができてきた必然的な背景は私がここで言う必要もないと思いますけれども、減少したとはいえ、離職者が減ったとはいえども、現にかなり存在をしているわけであります。  したがって、要望と質問でありますけれども労働省としては検討されていく時期に入ると思いますが、一つは、これらを守ってきた労働組合なり団体との協議を慎重かつ現状を見詰めて行っていただきたい。なおかつ、答申にもありますけれども、この現状を勘案してしかるべき措置を講じていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、そういうことになりますと、この一、二年ぐらいはやはり検討期間、調整期間、こういうことが必要ではないかと思うわけであります。本人たちの不安を除去するためにも、ぜひとも慎重な対応をお願いしたい、こういうふうに思うわけでありますが、この点について御質問をしたいと思います。
  100. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいま先生もお触れいただきましたように、一般論的に申し上げましても、産炭地域がその地域社会、産業の発展のために貢献をいたしましたその功績は多大でございます。殊に、ただいま委員先生、言うなれば石炭産業の重要な一翼を担ってまいりました筑豊地区、それを背景にいたしまして、また先生は就労対策事業等の集中的な御検討をいただき、また平素御意見もお聞かせいただいておりまする方でございますが、それだけにただいまの御指摘いただいておりまする問題点、注目をいたしながら聞かせていただいておるところでございます。  今回のいわゆる石炭鉱業審議会答申、これは幾つかの柱がありますことはもう先生御承知のとおりでございまして、また別段私の方からるる申し上げる必要もないと思うのでございますが、いわゆる旧産炭地域におきまするもろもろの事業、その中でも特に離職者緊急就労対策事業あるいはもう一つの柱である地域開発就労事業等につきましては、申し上げるまでもなく、率直に申し上げましてこれを取り巻く環境の著しい変化、あるいはまた地域のそれぞれの、ただいまお話にございました、例えば関係自治体は財政力が脆弱でありますよ、したがって、それらの人々を総体的に救済する一つエネルギーも弱いのだというお話でございますが、まさにそのとおりでございまして、そのようなことも十分配慮をしながら所要の見直しを行わなければならぬ、これはまた避けて通れぬし、そして適正な実施、施策を工夫していかなければならぬ、さように考えております。  特に炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、ちょっとお触れいただきましたように可及的速やかにこれが終息を図る必要がある、その場合には就労者の実情等を踏まえまして事業の終息を図る検討を行う必要がある、そういうふうに指摘されているところでございまして、私どもも慎重に、かつまたその事実を率直に受けとめながら真剣に対応していかなければならぬ、今後の旧産炭地域の諸事業のあり方についてはその答申を踏まえまして適切に対処していかなければならぬ、こう思っておるところでございます。  特に先生がただいま後段で御指摘いただきました意味が、例えばそれらの一連のこういう厳しい諸情勢を克服していく上において関係労働組合等の意見も踏まえながら、参酌しながら知恵を絞っていけ、こういう意味であったかとも私はとったわけでございますが、もとより当然なことでございまして、私は平素、労使共栄主義者でございますから、特にそういう点はおもんぱかりながらひとつ対応していかなければならぬ、さように思っております。
  101. 岩田順介

    ○岩田委員 ひとつ慎重に、かつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、石炭鉱害について若干お尋ねをしてまいりたいというふうに思います。  石炭鉱害につきましても、今回の答申におきましてさらなる十年の延長の方向が示されたわけであります。答申によりますと、鉱害地の沈下現象というか沈下発生というのは終息をしている、こういうふうにほぼ断定をされておりますが、局所的な浅所陥没等については将来も発生をする、こういう見通しになっておるわけです。今回の鉱害量の残存量調査におきましては概算で平成年度初で三千七百億、こういう数字が出ているわけであります。私も旧産炭地に住んでおりまして、何としてでもこれは早急に解決しなければならない、十年間という期間が設けてありますが、今度こそは完全に完了しなければならぬ、こういうふうに思っているわけであります。  鉱害量の調査を見てみますと、三千七百億という来年度から十年間の予算が想定をされておりますが、前回、五十七年の鉱害量の調査が五十四年から二カ年かけて行われておりまして、その発表されたものを見ますと、例えば農地が六千ヘクタールであるとか家屋が三万三千六百戸、公共施設がなおかつ六百八十億円の鉱害被害がある、こういうふうに詳細に書かれてありますが、これにつきましては今回の調査で物件別にはどういう被害状況になっているのか、量及び復旧費額でもって教えていただければお示しをいただきたい。なお、有資力と無資力の残存量がどれくらいになっているのか、これにつきましてもお聞かせをいただいておきたいと思います。
  102. 土居征夫

    土居説明員 今回の鉱害調査につきましては、平成年度初における鉱害量として把握されたものでございますので、具体的な内訳はまず平成年度初ベースで説明させていただきたいと思います。  平成年度鉱害量はおおむね四千八百億円程度というふうに発表させていただいておりますけれども、工種別の鉱害量について見ますと、農地等が二千三百億円程度、公共施設につきましては四百億円程度、家屋等につきましては二千二百億円程度ということになっております。平成年度初から二年間を経ましてポスト八次の平成年度に至るわけでございますけれども、その二年間におきましておおむね一千百億円程度鉱害量の処理が現行の法律のもとでなされるというふうに前提を置きまして、平成年度初の鉱害量を三千七百億円としているわけでございます。  それから、この鉱害調査につきましての資力別の鉱害量につきましては、この四千八百億円のうち、おおむね一五%弱が有資力鉱害というふうに見込んでおりまして、それ以外が無資力鉱害であるというふうに考えております。
  103. 岩田順介

    ○岩田委員 次に、鉱害の十年間の見通しについても聞いておきたいと思うのであります。それとあわせて、鉱害問題というのは、歴史もたっておりますし、価値観も変わっておりまして、賠償義務者と被害者の間のいろいろな利害関係というのはふくそうしている、こういう状況もあるわけでありますが、とにもかくにもつつがなく終了をさせていかなければならない、とりわけ被害者の立場に立ってお取り組みをお願いしておきたい、こういうふうに思うわけであります。  昭和二十二年に食糧増産の見地から償還金制度というのが設けられたというのが戦後の鉱害復旧の歴史のようであります。二十三年には石炭プール資金による復旧措置、二十五年には戦争中の鉱害復旧をやるための特鉱法が設けられて、二十七年に臨鉱法が設定をされて今日まで来ている、こういう状況になっているわけであります。臨鉱法の歴史を見ても、五十年をたってようやく見通しがついたという難題であったわけであります。  先ほど説明いただきました残存量を見てみましても、向こう二年の間で一千億程度は減るであろうというふうに言われておりますが、なおかつ農地等を見ましても相当残るという現状であるわけです。恐らくこの期間に終了しないということはないと思いますけれども、この長い間の鉱害復旧の歴史の中で、一体なぜこういうふうに長い歴史が継続されてきたのか、長い期間鉱害復旧が継続されなければならなかったのか。この点につきましては、石鉱審の答申の中にも総括というか反省というか、そういった指摘は何点かありますけれども、実際に担当されてこられました通産省として、一体これだけ長い期間がかかったのはなぜなのか。今後の委員会等における具体的な質問をする際の参考にさせていただぎたいというふうに思っておりますので、総括点について、きょうは時間がございませんから多く聞くことはできないと思いますが、基本的な点につきまして通産省としての見解がございましたならばお伺いをしておきたい、こういうふうに思います。
  104. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱害の問題につきましては、いずれにしても、戦中戦後あるいは戦前から考えますと、日本石炭産業日本エネルギーを支える基幹的なエネルギー産業としてあったわけでございますが、そういった役割を果たす上で非常に大きな貢献を果たしてきました一方、地域におきまして大きな鉱害問題を残してきたということでございまして、その残された鉱害の問題の量的な大きさといったものが、これまで期間が長くかかってきたということの一番大きな要素ではないかと思います。同時に、一方ではなお、昭和四十年代、五十年代と相当規模国内炭の出炭がやはり継続されておりまして、稼行炭鉱がさらにまた鉱害を追加的に発生しているという事態があったということが指摘されるかと思います。  ただ、いずれにしても、昭和四十年代の後半の合理化によりまして、特に鉱害地域中心としましたところにつきましては、既に国内炭の採掘が行われなくなってからかなり期間もたちつつあるということでございますので、ようやくその鉱害の復旧につきましては終息の見通しが立つに至ったというふうに考えております。
  105. 岩田順介

    ○岩田委員 次に、今後新たに発生する鉱害というのはないかどうかという点について一点だけ、心配をしますので、お尋ねをしておきたいというふうに思います。  例えば赤水湧水の問題、赤水の問題につきましては今度の石鉱審の答申の中でちゃんと触れられております。完全な対策をしていただきたいというふうに思いますが、時間がございませんからあわせてお聞きをしておきたいと思いますけれども、今設置をされております揚水ポンプ、これらの施設は管理を移管をするという方向が示されております。どういう移管をするのか、移管先はどこであるかという点について簡単にお答えをいただきたい。  質問のもう一点は、確かに赤水対策はこれまでもとられてまいりました。むしろ、これまで九年の間の大きな新たな鉱害問題として重点を置かれてきた問題の一つではないか、こういうふうに思うのでありますが、つまり、今後湧水の心配はないのかどうなのか。私もこの夏に何地域か行ってまいりましたが、確かに、農地であるとか家屋であるとかを問わずに湧水問題の訴えがあっておるわけであります。  通産の方にも上がっておると思いますけれども、直方市の植木地域鉱害もまさに湧水鉱害ではないか。これにつきましては九年前ぐらいからマスタープランが計画されて、まだ実行に移されてないわけでありますけれども、この問題を質問するつもりはございませんが、あのマスタープランを今立てられている方向でいったとしても、湧水が残る確率はかなり多いのではないか、こういうふうに私は思うのですね。自然環境の変化だとか古洞に填圧されている水の、いわば水質の変化等々は予測されるわけでありまして、関係者に聞きますと、ないだろうという一応の見解は示されておりますけれども、私はこれは非常に心配である、こういうふうに思うのです。なおかつ、いわゆる農地などにこれが発生をいたしますと、言うまでもなくこれから先の日本農業というのは稲作一本ではだめである、むしろ裏作、畑作が重点になっていく、そういう転換がなされるであろうというふうに思うのでありますけれども、再度この問題について重点を置いて検討しておく、押さえておくべぎ問題ではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  106. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱業審議会答申におきましても、いわゆる広域沈下現象の累積鉱害、これは解消に向かいつつあるということでございますけれども、今御指摘がありました水処理の問題等々残された問題が確かにあるのは事実でございます。今回の答申は、そういったものについても最終的な処理体制をきちっとするような方向で具体的な答申をいただいているわけでございますけれども、最初のかんがい排水施設の維持管理の問題につきましては、御指摘のように、維持管理についての最終的な体制がなかなかおくれているという状況は事実のようでございます。これにつきましては、どういうところに維持管理最終的に行わせるのかという御指摘でございますが、これは答申にもありますように関係市町村等にお願いするという考えでございまして、そのための体制予算も含めてきちっと組んでいきたいというふうに思っております。  それから、湧水による被害がさらに生じないかという御判断でございます。  赤水湧水の問題については、現在処理が十分進んでいないところがあります。それにつきまして対策を強化するということでこれについての処理を行うわけでございますが、新たに生じないかという御指摘につきましては、これは炭鉱閉山に伴って採掘のために行っていた揚水が中止されて、その結果地下水位が上昇して農地等から湧水する、そういう現象でございますけれども、ほとんどの炭鉱が現在、鉱害地域におきましては閉山をしましてから既に相当年月が経過しておりますので、今後新たに発生する湧水被害はほとんどないものというふうに我々は判断いたしております。具体的な地域の御指摘がございましたけれども、具体的な問題についてはちょっと今御答弁の準備がありませんけれども、これはまた別途検討させていただきたいと思っております。
  107. 岩田順介

    ○岩田委員 湧水の新たな鉱害が発生しないということであれば、これはそれでうれしいわけでありますが、しかし坑内水がそのままの現状で移動もしくは変動しないかどうかというのはわからないわけですね。自然の環境の変化によってある場合だってありますし、この点については私の心配として申し上げておきたいというふうに思います。  次に、先ほど有資力、無資力の鉱害比率は大体において一五%程度だろうというふうにお答えをいただいたわけでありますが、問題は、向こう十年間で国は終わるという方針を示したわけであります。さらに有資力につきましても、ほぼ同じに終了するというのが最も望ましいことであるわけなんです。いろいろな要素が加わっておりますし、難しい問題も鉱害復旧につきましては山積をしているわけであります。したがって机上のとおりにはいかないと思いますけれども、例えば鉱害事業団等々の見解をお聞きしましても、一万二千件の申請件数、もう少しふえるだろうと思いますけれども、これらを過去のデータや何かでシミュレートしていくと十年以内に終わるであろうということも言われております。しかし、果たして、いわゆる有資力につきまして、有名無資力についてはこれは積極的に整理していくとありますけれども、その他の現存している資力のある有資力、これが一体十年で終わるのかどうなのか、この見通しについてお伺いをしたいと思います。
  108. 土居征夫

    土居説明員 有資力鉱害につきましては、先ほど説明いたしましたように、全体の鉱害量の中で一五%弱というウエートでございますが、過去の推移を見ますと、先生指摘のように、無資力鉱害に比べまして鉱害復旧処理が必ずしも順調に進んでいないということは言えるかと思います。ただこれは、有資力鉱害の抱えておる案件が非常に大型の復旧案件であるとか、いろいろと難しい複雑な調整を要する案件である、そういう特殊な要因が有資力に多いということもあるかと思います。いずれにしましても、今後の十年間で鉱害解消するということの中では、有資力、無資力ともにそういったことでバランスがとれた形でこれが進捗するように、強力な体制をとってまいりたいというふうに考えております。
  109. 岩田順介

    ○岩田委員 有資力の鉱害がおくれているという見解でありますが、現地におりましてもそういう実感がするわけです。確かに、土居部長おっしゃったように、大型の問題が比較的多いということもありましょう。これはそういうふうに思いますけれども、もう一方ではそれだけではないのではないかという気がしますのは、いわゆる訴訟、裁判に解決をゆだねるというケースがふえていることは御承知のとおりであると思います。これが将来どういうふうに発展をしていくかということを心配するわけです。  これは、有資力、無資力を問わず今後問題になっていきますのは、いわゆる鉱害であるかどうかという認定をめぐる問題がまず第一の問題、それから認定をしたとしても次は同意が得られるかどうかという同意の問題、こういうふうになっていくだろうと思います。不同意の問題は一時棚上げして、条件整備をして環境ができたときに着工するという方針がとられておりますけれども、その以前の問題として、いわゆる有資力の問題は部長がおっしゃった以外の問題を抱えているわけですね。  裁判の問題でもう少し申し上げますならば、被害者の方は個人の力でありますから、鉱害であるという立証をする挙証能力がないと僕は思います。私は、これはゼロに等しく、ないというふうに言っても過言でないと思います。そういう状況で民事に任していくということが一体果たしていいかどうか。強力な指導を行っていただく、これは当然であるわけであります。企業の方も資力との関係で――いわゆる憲法で保障された民事上の解決を図ることをだめだ、こういうふうに私は言っているわけではないのです。したがって、こういう点についてどういう見解を持たれているか、果たして将来に不安はないのかどうなのか、これについてお伺いをしておきたいと思います。
  110. 土居征夫

    土居説明員 有資力の場合には、鉱害問題は基本的には当事者の私権の調整という話にもなってまいりますものですから、これは当事者の一方である有資力の賠償義務者が訴訟に訴えるということは当然の権利として認められているわけでございます。ただ、この鉱害の問題につきましては、そういう当事者間の私権を尊重した対応という問題のほかに、公共的な見地から期限を切って国土復旧、民生の安定を図っていくという臨鉱法の建前もあるものですから、それだけではなしに、やはり有資力の賠償義務者については復旧促進についての一層の努力が求められているわけでございまして、これは去る六月七日の石炭鉱業審議会答申においても、そういった角度で有資力賠償義務者に対する努力の要請が規定されているところでございます。当省といたしましては、そういった答申趣旨に沿いまして、有資力の賠償義務者に対して必要な指導を行っていく必要があるというふうに考えております。
  111. 岩田順介

    ○岩田委員 時間がございませんから最後にしたいと思いますけれども、今確かにおっしゃったように、国の方としても、これは被害者と賠償義務者との間の自主的な交渉でありますから、調整がつかなければ裁判、これを国が介入したり強制権を発動する、こういったことはできないわけでありますから、それは百も承知の上で言っているわけでありますが、あえて私が申し上げているのは、国がやはり相当の資金を出して有資力の鉱害もやっているわけですね。したがって、この経営状況や賠償義務者の理論もあるわけでありますから一概には言えませんけれども、国はそれだけのお金を出している、財政を負担しているわけですから、これは公共的な色彩が強いからやっているわけでして、そういった観点からいって同じ被害を受けた、一方は十年以内に終わる、一方は二十年かかっても終わらない、僕は二十年というのは極端ではないんじゃないかというふうに思いますね。  したがって、民事上の解決に全部ゆだねるということは一体どうか。どういう御指導をされているか知りませんけれども、一層の指導強化をしないと大きな禍根を残して鉱害問題は終わりを告げる、こういうふうになるんではないかと思います。なおかつ有資力がもっと鉱害問題について促進ができるように、加速ができるように検討する余地がないのかどうなのか、この点については私のきょう提案するものはありませんけれども、ぜひ検討の余地があるんではないかということが言えると思います。ぜひお願いをしておきたい。  それから最後に一つ申し上げたいのは、鉱害問題でこれほど長くなりましたが、いろんな事件も起きました。これは何よりも残された未復旧の被害者が非常にかわいそうな問題ですね。いろいろな矛盾があることはきょうは申し上げませんけれども、公正、公平に、なおかつ被害者が一人も泣き寝入りをすることがないように、このことを原則にして進めていただきたいということを申し上げまして終わりたいと思います。
  112. 麻生太郎

    麻生委員長 藤原房雄君。
  113. 藤原房雄

    ○藤原委員 わずかな時間でございますので端的に御質問申し上げたいと思います。  参考人にはお体大変御無理なさいまして当委員会に御出席を賜りまして、いろいろ参考意見等をいただきましたことを心から敬意を表する次第でございます。何といいましても石炭鉱業審議会におきます答申、これが中心課題としてきょう御質疑ということになっておるわけでございまして、そう長い時間とりませんが何点かについてお尋ねをし、お答えをいただきたい、こう思う次第でございます。  一つは、国内石炭に対する基本的な位置づけということについては、このたびの答申で三点にわたりまして国内炭につきましてもそれなりの位置づけがなされておる。今まではどちらかというと余りこういう記述というのはなかった。議論の中にはあったのかもしれませんが明確な記述はなかったように記憶するわけであります。しかしながら、そういう評価をいただきながら、しかし現在の状況というのは非常に厳しいということだろうと思うのであります。  このたびエネルギー政策上、国内炭役割、これは今までもそうであったと思いますし、これからもそうであろうと思います。このたび評価された問題を記述するということは今後についても重要な意味を持つということで、また今後の大きないろんな社会情勢、国際情勢の変化の中でやはり国内炭の持つ意味というものはそれなりに消えるものではない、しかし現状としてはそう大きなウエートを持つものではないということだろうと思うのでありますが、国内炭のこのたびの答申におきます基本的な位置づけについて記述がなされたことにつきましてのいろんな審議会での討議、そしてまた今後も含めての国内炭に対する参考人の御意見等あわせてお伺いができればと思います。     〔委員長退席、古賀(正)委員長代理着席〕
  114. 生田豊朗

    生田参考人 御質問の点でございますが、私はかねがね、エネルギーの専門家といたしまして、エネルギー問題の基本的な柱の中で大変重要な柱の一本は、安全保障の問題、言いかえますと、エネルギー供給安定化の問題だと考えております。その観点から国内炭を考えてみた場合に、やはりその供給の安定化あるいはエネルギー安全保障の面からの価値あるいは位置づけをしっかりと議論しておくことが必要だというように考えておりました。審議が始まるに当たりまして石炭産業の側の方あるいは労働組合の代表の方から、国内炭エネルギーセキュリティー面での意義をもっと強く認識してもらいたいというような御要望がございまして、私も今申しましたようにかねがねエネルギー政策としての供給安全保障を重要だと考えておりましたので、この点は政策部会でじっくりと議論をいたしましょうということをお約束をいたしました。それで、政策部会におきましても重要な一項目としてその国内炭エネルギー安全保障全体の中に占める意義について検討したわけでございますが、今先生の御質問でもお触れになりましたように大変難しい問題でございます。  要点は、もう先生御承知のように、抽象的には確かに国内エネルギー資源開発して生産する、それを供給していくということは、エネルギー供給の安定化、安全保障の面で大きな意味があるわけでございますが、現在の状況では国内石炭消費の一〇%以下、一次エネルギーの総供給の中では一%台というごくわずかなウエートしか占めていないわけであります。したがって、質的な面でその国内資源の重要さは変わらないとは申しますものの、一次エネルギー全体の供給量の中で一%台というごくわずかなものが、果たしてどれほどのエネルギー安全保障としての役割を担い得るかどうかという点でいろいろの論議がございました。  最終的には、答申をごらんいただきましたように、エネルギー供給安全保障の面でも意味はないことはないというやや一歩後退したような書き方にとどめたわけでございますけれども、この問題は必ずしも石炭だけではございませんで、例えば国内石油、天然ガス資源開発にいたしましても、これもいろいろ進めてきてはおりますけれども、それでは例えば石油の総供給の中で国産の石油資源、国産の石油生産がどのくらいのウエートを占めるかというと、石炭よりもさらに小さい、一%以下でございます。それでも石炭と同じように安全保障面での位置づけがある程度残るんだということでそれを進めている次第でございますので、ぎりぎりのところで安全保障面の意味はないことはない。しかし、国内炭供給確保されればそれで日本エネルギー供給安全保障は十分だというものでもない、そういうちょうどぎりぎりの線のところで答申をまとめた次第でございます。
  115. 藤原房雄

    ○藤原委員 ただいま国内炭役割ということについて、エネルギーセキュリティー中心にしましての審議会での議論についてお話がございましたが、三つばかり国内炭役割について記述されておりますけれども、その中で「国内石炭資源技術の保持涵養」、こういうことが評価されておるようでございます。これは通産省、エネ庁に対してもお伺いをしておきたいのでありますが、現在、今日までの国内におきます石炭資源技術の保持涵養ということにつきましては、確かに今先端的な技術もあり、先導的な役割を担っている部門もあろうかと思うのでありますが、現在も石炭に従事していらっしゃる方が六千人、五千人前後ぐらいという状況の中にありまして、こういう技術をとどめる、保持涵養するということに対しましては、今までは閉山になりましても数多くの炭鉱があり、そしてそれぞれにいろいろな工夫をしてやっておったからいいのかもしれませんが、今日ここに参りますと、何らかの施策を考えませんと、記述は記述としまして、過去のものになってしまうのではないか。エネ庁としましても、今日まで先人が築いてまいりましたこの技術というものを保持涵養するための何らかの施策というものも今ここで新たに考えるべきときに来ているのではないかと思うのでありますが、このことについてはどのようにお考えでしょう。
  116. 土居征夫

    土居説明員 石炭技術の保持涵養の問題につきましては、現在も日本の採炭技術、こういったものは、例えばロングウオールの機械の海外での掘削への適用というような形でかなり広範に展開されておるわけでございますし、保安技術とか先端技術も含めて国際的にも評価されるところがあるわけでございます。そのために関係学界にも人材がおりますし、あるいは九州、北海道の大学でもそういう研究者もおるというような状況でございまして、海外からも発展途上国からはJICAベースで研修に参っておる、あるいは日本からも海外に出かけていく、そういった形で日本石炭関係生産、保安技術については現在維持涵養されておるわけでございます。  こういったものにつきましては、今後の国内炭構造調整の進展の中で、構造調整を進めつつも、その後のエネルギー政策上の役割の中で最も注目される点でございますので、そういった点についての今後の国内関係石炭技術の海外展開の実績等を踏まえながらも、施策面での対応を考えていきたいと考えております。
  117. 藤原房雄

    ○藤原委員 坑内掘りにつきましては、それぞれの坑道の形態、いろいろあろうかと思うのでありますが、八次策を見ましても大変な現状にかんがみますと、残された稼行いたしております炭鉱につきましても、今から相当いろいろな準備といいますか対応を考えておかなければならぬだろうということで申し上げた次第であります。  これは、八次策は緩やかにということでございましたけれども、今や一千万トンを割るような急激なこういう状況の中にありまして、これは決して緩やかとは言えない現状の中にあるのではないか。これからポスト八次は、今までのような五年刻みではなくて十年、二十一世紀を展望してという長期的な展望の上に立って見通すことの方が全体の上に立っていいのか、今までのように五年でいいのか、ここは午前中もいろいろ議論があったようでありますが、十年の長期にわたって今度は、今政策をしようということであって、今までの施策とは違うんだ、私どもにはそういうふうに受け取られるわけであります。  残された五つ、六つの稼行いたしております炭鉱を中心にしてのことでありますから、これらに対して、政府としましても今日までのいろいろな試行錯誤してまいりましたことを生かしていかなければならないことだろうと思いますし、そういうことについては十分に勘案して対策を講じておる、今まではどちらかというと物事が起きてからそれに対して対応するということですが、今度はそうじゃなくて、先導的に地域のこととか雇用対策とか、こういうことについては進めていこうということのようであります。  そういう点では評価のできる一面もあろうかと思いますが、しかし中身的には、生産目標の水準を明示しないということや、これは今後石鉱審でいろいろな協議をしながら進めていくということでありますから、実際地域の方々については一体先々どうなるのかということについては非常に不安感がぬぐい切れないという、段階的縮小の適正な均衡点、これはどういうふうに考えるべきなのか。毎年毎年そういう不安に駆られるということでは、今までとは違った、地域問題としては大変なことだと思うわけであります。  それから、引き取り問題等につきましても、今までずっと慣行としてやってきたから、それで十分に話し合いでやってもらいたいという記述でありますけれども、今日までもこの引き取り問題については厳しく議論がなされて、エネ庁の口添え等があってなされてきたものがそんなスムーズにいくのかどうか、なかなかこれは難しいことではないか、こういうようにこの答申を見て痛感をするわけであります。ここらあたりについては今日までとこれからの違いということでいろいろなことはありますけれども、この二点だけちょっと、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、またいろいろな議論の中でどういうことがあったのか明らかにしていただきたいと思うのであります。
  118. 生田豊朗

    生田参考人 ただいま先生の御指摘がありましたように、今回の答申におきましては、出炭規模を明示いたしませんで均衡点という抽象的な表現にとどめた次第でございます。  この均衡点の議論は何と何が均衡するかということでございますけれども、これは国内炭の国民経済的な価値とそれを維持するための国民全般の負担、それとがバランスする点が均衡点になるということでございます。これはなかなかその均衡点の発見は、率直に申しまして私は簡単にはいかないのではないかと考えておりますが、その前提といたしまして、先ほども申し上げましたようなセキュリティー観点から国内炭の存続がある規模で必要なんだということであれば、そのための負担は特定の産業なり特定の経済部門だけが負担するのではなくて、国民全般が負担するという形をはっきりと認識していただくということがその大前提になると考えている次第でございます。  何と申しましても市場価格の格差が大変大きい。輸入炭と比べまして国内炭価格が二倍以上でございますし、そのほかにも原重油関税を中心にいたしまして年間一千億以上の財政資金が投入されているということであります。高値の国内炭を引き取るということは、現在では鉄鋼、紙パルプその他の産業が撤退しておりますので、これからは電力だけになるわけでございますが、電力が高値の国内炭を使用するということは、とりもなおさず発電コストが高くなることでありますので、これは当然電気料金に反映されなければいけないことになります。したがって、国内炭を維持存続していくためには、国民が割高な電気料金を負担するという形でその代価を負担するということになるわけでありますし、それから原重油関税にいたしましても、その結果石油製品のコストがその分だけ高くなっているわけでございますから、石油製品を消費するという形で国民がその税金の負担をしているということになるわけでありますから、それでも、それだけの負担をしても国内炭をある規模で存続する必要があるのかないのか、これを国民がどう判断するのかというのが一番根本であろうかと思います。その点をこれからももっと明確に問題を打ち出してまいりまして、国民の判断、というのは国会での御判断になるかと思いますが、それをぜひ御討議、御判断をいただきたいと考えております。
  119. 藤原房雄

    ○藤原委員 与えられた時間はわずかでございますので、ちょっときょうは自治省の方をお呼びしておるのですが、時間もありませんから端的に申し上げます。  八次策を見ましても、今日までの産炭地の地方自治体を見ましても、企業が閉山になった後のいろいろな問題については地方自治体がその後始末を全部引き受けなければならぬ、下水道、上水道を初めとしまして、病院、各種の公共施設、炭鉱の施設等もそうですが、こういうことからいいまして、今日までの地方交付税のあり方、これは人口で国調や何かを基準にしてなさるわけであります。  これは一つの物差しとしては確かに大事なことだろうと思いますけれども、過疎地の規定とか、そういうところとは違いまして、一つ企業がつぶれますともう人口の何割に影響を及ぼす、急激な人口減、こういうことでありまして、それも黒手帳や何か、また職業紹介、職業あっせん、こんなことで一年、二年はいくかもしれませんけれども、そのうちに大半の方々が移動する、こういうことになるわけです。  そういうことにつきましては、自治省につきましてもこの地方交付税の措置としましてその他の経費、人口分ということで、産炭地補正ということで補正をしておりますし、また短期急減補正、こういうことでも面倒を見ていただいておる。そのほか、離職者緊急就労対策とか産炭地域開発就労事業とかこういうものについても、特交等も含めていろいろな措置をされていることは私どもも存じておる次第でありますが、この産炭地補正につきましても、平成年度までの措置としてアルファツー、これは元年〇・八からだんだん漸減していくという措置になっているわけですけれども、本年平成年度で終わるという、ですから三年度では一になるわけですね。  こんなことからしまして、この産炭地補正ということも確かに考えて、そういう制度もあるのですが、より現実に即した形で見ておりませんと、年度ごとにこういう補正値の数値を定めましても、どの時点で閉山になったかということやまた人口移動がどうかという、実態に即した形からしますとどうしても乖離が出てくる。その点についてはいろいろな計算方式を用いてやっていらっしゃることは私どもも十分わかるわけですけれども、特に不況地域とか何かとは違って、石炭があって、そこに人が集まって、一つ基幹産業として都市ができる、その炭鉱が閉山になるということはもうそこに働きの場を失うということであり、北海道の場合ですとほかの産業としてほとんどないわけでありますから、人口に相当大きなダメージを与えるということで、そういう急激な人口減ということからしますと、緩やかなところだったらこれでいいのかもしれませんけれども、ちょっとほかに類例のないこういう急激な場合には、今のこの交付税の算定方式ではちょっとなかなか財政運営も大変ではないか。  各地方自治体に参りますとその後始末のことで非常に悩んでいることはもう御存じのとおりであります。各市町村のことを一々申し上げる時間もございませんが、夕張なんかでも、平成年度の歳入計上一般財源総額に占める市税収入一五%ということですから、ほかの町村についてもやや似たような現況にあることは自治省の方がよく御存じのことだと思います。  今度ポスト八次ということで新しく産炭地域振興とか地域の活性化のための施策をするということであります。企業誘致や何かにつきましては地元でしっかり頑張ってください、お金はちゃんとつけますよという今までの通産省、エネ庁のような考え方じゃなくて、やはり産業部門をつかさどっております通産省としては、誘導策や何かをもっと積極的に進めていただきたいと思いますし、地方自治体につきましても、こういう財政事情の中で、それはいろいろ面倒を見ておりますと言うだけじゃなくて、実態に即した形でやっているかどうかということが問題なのであります。  そういうことからいいますと、地元でもいろいろ過疎債並みの措置を起債等につきましてもしてもらいたいとか、いろいろな要望がありますけれども、このポスト八次につきましては、この十年間にとにかく均衡を保つような状況にしたいということからしますと、相当思い切ったことをしませんと地方自治体として住民のニーズに即した形のものができ上がっていかないのじゃないか。企業立地に工業団地やいろいろなことについていろいろな施策をするということと、それから通産省につきましては、ぜひひとつこの企業誘致に対する誘導策についても力を入れていただきたい。それから地方自治体に対しまして、財政的な支援について、実態を把握しながら、それに即した形でポスト八次はしっかりひとつお力添えをいただきたい、このことを私は強く要望したいと思うのですが、自治省から一言ひとつ御答弁いただきたいと思います。     〔古賀(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  120. 嶋津昭

    ○嶋津説明員 今御指摘ございましたように、産炭地域の抱える財政問題、非常に根深いといいますか、問題がございます。私どももそれらの市町村と一緒に考えながらいろいろな措置をしていくという立場に立っているわけでございます。抜本的にあるいはもう今までの措置と全然変わったような措置ということを考えられるのかということにつきましては、私どもも地方債なりあるいは交付税措置という範囲内で地方財政措置を考えていくわけでございますので、今まで相当程度に私どもも対処してきたつもりでございます。これからも産炭地域のポスト八次の産炭政策、あるいはそれらの地域をめぐる今御指摘ございましたような新しい企業の誘致なり活性化のための施策ということの取り組み方をいろいろ御相談をしながら措置を考えていくべきではないか、こういうふうに考えております。  産炭地域は、特に北海道の四十市町村のうち三十市町村は過疎地域でございます。あるいはそれらの過疎債も、今までもそれらの団体、産炭地域であるということも含めまして重点的に措置させていただいております。あるいは一般的な施策でございますが、ふるさと創生関連で地域づくりの推進とか町づくりというようなことも当然産炭市町村も積極的に取り組んでおられるわけでございますので、そういうような地域づくりのためあるいは町づくりのための交付税の元利償還措置があるような地方債を優先的に配分するというようなことも含めまして、それらの地域実情を踏まえて積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  121. 藤原房雄

    ○藤原委員 ありがとうございました。
  122. 麻生太郎

    麻生委員長 東順治君。
  123. 東順治

    ○東(順)委員 先ほども旧産炭地鉱害問題についての議論がございましたけれども、私もこの点について何点か伺わせていただきたいと思います。  先ほどもお話がございましたが、この償還金制度あるいは特鉱法、復旧法あるいは臨鉱法等々の諸施策の中で石炭鉱害に対する施策というものが続いてきたわけでございますけれども、いよいよその局面というものが最終盤といいますか、そういう時代を迎えようとしておる。それだけに、逆にまた、これまでもなかなか難しかった、そういう問題が浮き彫りにされて、いよいよ絞り込まれて残ろうとしている、そういう状況だというふうに認識をしております。そこで私は、飯塚市の上三緒地区というところに実情を視察に行かしていただきまして、それを踏まえまして、現実現地でさまざまにお困りになっている、そういう状況のうち何点かを質問させていただきたい、このように思います。  最初に、この特鉱によって復旧された家屋の問題でございます。居宅、母屋の効用回復というものはその傾斜を修復するということで対処をされているけれども、倉庫とか納屋、こういったものについては、その排水処理等も含めた形で機能というものが回復をされていない、そのまま放置されている、こういう現状がございました。したがって、この臨鉱復旧の対象に納屋とか倉庫というものがならないのかどうなのか。鉱害は多少にかかわらず復旧するという原則というものがあるわけですが、ここに矛盾するのではないか、その整合性はどうするのか、こういったことを極めて率直な疑問として私は伺いました。まず第一点として伺いたいと思います。
  124. 土居征夫

    土居説明員 特鉱法というのは、戦争中の鉱害を早急に復旧するために昭和二十五年に制定されまして、この法律は既に失効しているわけでございますが、特鉱法の復旧の対象あるいはその賠償の対象になったものというものにつきましては、法律上は既に鉱害は消滅したものと解釈されますので臨鉱法の復旧の対象にはならないわけでございますけれども先生指摘のように、特鉱法上は母屋が対象になっておったわけでございまして、倉庫、納屋が対象になっていないということでございます。  基本的な考え方といたしましては、この倉庫、納屋について、いわゆる特鉱復旧とか金銭賠償等の賠償事績が過去になく、その当該物件が石炭採掘による影響によって効用阻害がなされているというふうに確認されれば、現行の臨鉱法による制度的な対応というものは可能であるというふうに考えております。
  125. 東順治

    ○東(順)委員 臨鉱復旧が可能であるということで、ぜひ精密な調査をしていただきまして、そして、その対象ということであればその手を打っていただきたいというふうに思うわけでございます。  私が行ったところはちょうど雨が降った翌日のときで、その特鉱復旧をされた方の敷地に入りますと、敷地そのものが斜めに傾斜しておりまして、降った雨が庭にしっかりたまっている。そして、その下の方に納屋があって、結局その納屋もねじ曲がった形で鉱害を受けていますので、その浸水の被害と、それから納屋としてもうなかなか正常に機能できないという二つの被害が重なり合わさったような状況でございまして、大変悩んでいらっしゃいました。ぜひとも、そういったケースにつきましてよろしくお願いをしたいと思います。  次に、ここの地区の農地の八七・五%、これが三十八・五ヘクタールということでございますけれども昭和二十七年から三十一年にかけてやはり特鉱によって復旧された農地ということでございました。当時の復旧というのは、年に一週間程度の冠水をするぐらいの状況であれば仕方がないだろうという程度の工事だった。なぜかといいますと、当時の苗というのは手植えでございまして、今よりも苗の背というのが高い。今は昔の三分の一以下の背の低い苗を機械植えみたいなことで、農業のそういう中身が違うといいますか、そういう状況であったので、一週間程度の冠水なら仕方がないということで、そういう工事だった。ところが今は、全般的に農地が低いわけですから、結局、それが湿田になって、雨季には冠水をして、すぐ横に流れている水路の水面よりも農地の方が低いという、そういう状況でございました。それで、当然のこと、ほとんど休耕田になる。しかも、今、石炭部長がおっしゃいましたように、もう特鉱救済というのは終わっておりますので、このことに対して相談する窓口がないということで大変悩んでいらっしゃいました。  この窓口というものは具体的にどうなのか、どこに相談すればいいのか。それからまた、こういう効用回復の道というのはこの特鉱の農地についてどうすれば開けるのか、この辺も伺いたいと思います。
  126. 土居征夫

    土居説明員 先ほど御答弁いたしましたように、基本的には、特鉱復旧済みの農地につきましては法律上既に鉱害が消滅しておるということでございますので、臨鉱復旧の対象にならないということでございます。その後浅所採掘によります二次被害が生じたとか、あるいは再採掘によります鉱害認定がなされるというような事例を除きますとそういうことでいかざるを得ないわけでございまして、基本的に、産炭地におきます住民の不安あるいは心配といったものについてはいろいろと我々も聞いておるわけでございますけれども、そのすべてを鉱害対策で対処するというわけにはいかないということでございます。  もちろん、鉱害問題につきましては石炭部あるいは通産局がいろいろと御相談を申し上げるという窓口は開いているわけでございますが、同時に、そういった地域の民生の安定とか振興という観点から、ぜひ自治体に産炭地振興対策の一環としてこういう問題についても相談の対応をしていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  127. 東順治

    ○東(順)委員 今回のこの答申を見ましても、「鉱害処理に関する市町村の相談窓口を整備、充実し、鉱害行政機関が懸案を円滑に処理できる体制を整備することが有益である。」このようにございます。それで、一般の自治体の窓口ということからもう一歩、こういう特鉱農地あるいは特鉱での家屋復旧についての窓口、ここに来れば大丈夫ですよという相談窓口というものをぜひ市町村に設置して対処していただきたい、こういうことを率直に思うわけですけれども、この辺のところをぜひお願いしたいと思います。  それから三番目に、裁定地区、既に裁定が下ったそういう地区の中での家屋の浅陥現象、浅所陥没が進んでおる、こういうところの問題でございますが、裁定地区であるけれども実際に今なお被害が進行中である、こういう家屋ですね。これは鉱害請求権は否認されているけれども、現実にやはり被害が進行しておるわけですから、これについての救済の道はどうなっておるのでしょうか。
  128. 土居征夫

    土居説明員 今先生お話しのような事例につきましては、具体的な事例ごとに検討していく必要があるというふうに考えますけれども、基本的には二次被害の地区でありまして、浅所陥没が発生したものでありますれば制度上は臨鉱法の対象になり得るものというふうに考えております。
  129. 東順治

    ○東(順)委員 具体的には上三緒地区のところに城ケ尾というところがございまして、ここに現在進行中の家屋がございました。私行きまして、やはり百聞は一見にしかずと言いますけれども、実際にうちの中まで入らせていただきました。大変にひどいもので、もう家そのものが傾いていて、例えば障子やふすまなんかを何回も直すのだけれどもまたすき間が出てきて、大工さんに入ってもらってまたやる。あるいはそのうちからお嫁さんを出す、そういったときに余りこうやって傾いていたら恥ずかしいので、ちょっとまた手直しでといって扱うみたいなことをちょこちょこなさってこられてもなおかつ進行している。こういう現実がありまして、やはり大変なものだなというふうに私、改めて驚いたわけでございます。  そういう中で、ある家は家そのものがねじ曲がって、ねじ曲がったがゆえに屋根から雨がどんどん漏り始めて、それで一部の修正じゃきかないから屋根そのものにトタンを全部かぶせてしまった。ところが今度は、その母屋と隣接した形でおふろ場があったのですけれども、ここのおふろ場が浴槽にひびが入って使えなくなってしまって、そこはもう完全に今は使わない状況で、建て増しをして新しい浴場を別のところにつくる。そういったことで、一生懸命少ない自己資金で少しずつ対応してきている。そうやって対応されるところはまだまだそれでも救われるのだけれども、やはりお金のないところというのはなかなかそういう対応も思うに任せない。  だから、現地の人たちの思いとしては、ともかく早く現地調査に来ていただきたい、現地調査に来てよく見ていただきたい、来ていただくためにはやはり被害状況というのは残しておかないと証拠にならないのだからという思いと、かといって早く修復はしたいという思い、この二つの思いが重なり合って、何とかしてくださいという思いが大変強い状況でございます。この具体的な地域名もございます。あるいはまた、そうやって被害を受けていらっしゃる方たちの名前も私存じ上げております。したがって、速やかに現地調査をしていただいて、そして救済の道を開いていただきたい、このように思うわけですけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、先ほどもお話が出ておりましたけれども、有資力の問題ですね。答弁がるるございましたけれども、私も重ねて伺いたいと思いますが、やはり複雑なのは、農地あるいは家屋で賠償義務者が複数に及んでいる場合、無資力とそれに有資力が一つとか二つ介在して、それで結果的には有資力が介在して、なおかつ石炭採掘の被害というものを否認して、それで結果的には裁判で争わなければいけないというような、そういう状況にまで立ち至ってしまう。そうすると、今度は被害者の側とすれば、裁判となると長期になってお金もかかる、とても対応できない、こうなってくる。そういうことで問題が長引いて、ところがこれからあと十年で切れますよ、こういうふうになってくると、被害者としてはもう結局自分たちだけが取り残されてしまうのじゃないかという不安がぐっと大きくなってくる。  そういうことで、こういう状況の場合、先ほども話がございましたが、裁判ということでそちら側に全面的に追いやるというよりも、行政サイドで何とか認定、救済の方法はないのだろうか。この答申の中にも、有資力賠償義務者に復旧促進について一層の努力が要請される、先ほど石炭部長こうおっしゃっていました、このようにうたわれておりますけれども、そこら辺のところを具体的にもう一つバックアップできる道はないのかどうなのか、そこのところが私が非常に悩んでいるところといいますか、現地の人たちも本当に行き詰まっている。もうなかなか前に進まないこの有資力の問題、この辺について伺いたいと思います。
  130. 土居征夫

    土居説明員 先ほどもございましたように、鉱業権者と被害者との間のいろいろなトラブル、特にそれが訴訟にわたるというような場合には非常に長期にわたりますし、被害者の負担も大変なものであるということはよくわかっております。ただ、そういう私権の調整の問題というのはどうしても前提に置かなければいけないということではございますが、一方ではやはり答申にも指摘されていますように公共的見地からの期限を切った復旧ということも一つの大きな政策の枠組みでございますので、その枠組みの中で問題解決が図られるように通産省としても最大限の努力をしてまいりたいと思っております。特にこれは、鉱業権者と被害者の問題だけではなしに、また被害者の中での意見調整の問題でいろいろと難航しているようなケースもございますし、今後次の国会でさらに十年間延長を仮にお願いするといたしましても、いずれにしても期限が切られた話でございますので、被害者が取り残されるというようなことがないようないろいろな対応政府としても一生懸命仕組みとして考えてまいりたいというふうに考えております。  それから、先生指摘の具体的な案件等々につきましては、改めて通産局にも照会してみたいと思っております。
  131. 東順治

    ○東(順)委員 重ねてで恐縮ですけれども先ほどから具体的に私が示させていただきましたこの案件につきましてぜひひとつ調査のほどを、これはよろしいでしょうか。――ありがとうございます。速やかにお願いしたいと思います。  それから次に、産炭地域振興実施計画の問題でございます。  今秋の産炭法延長に伴いまして、福岡県はその具体策として御存じのように実施計画の素案というものを策定いたしました。この素案の中で、幹線道路や鉄道の整備などに重点的に取り組む必要があるということで、具体的には柱が三本ぐらいあるわけですけれども、その中の一本として、JR篠栗線という福岡市と筑豊を結ぶいわば都市鉄道の電化、複線化をして、もって福岡、北九州両都市圏と筑豊を結ぶ環状鉄道を形成したい、こういうふうな素案になっておるようでございます。この七月二十五日に福岡県との進捗状況のヒアリングを行ったというふうに私、新聞報道で知ったのですけれども、これについてどのような状況であったのか、あるいはまた、どうこのヒアリングの内容を認識なさったのか、この辺について伺いたいと思います。
  132. 土居征夫

    土居説明員 産炭地域振興実施計画につきましては、福岡県からその進捗状況のヒアリングを行っておりますけれども、まだ正式に、具体的に原案が出てきたわけではないわけでございます。ただ、御指摘の篠栗線の電化、複線化の問題につきましては、かねてから当該地域産炭地振興の重要な柱であるということで地元にも構想がありまして、通産省としても九州の運輸局あるいはJR九州、福岡県、こういったところと四者の会合をセットしまして具体的な中身について検討をしてまいったところでございますし、さらには産炭地振興対策のプロジェクト支援事業といたしまして地元市町村に調査費を支出いたしまして、地元における対策検討、フィージビリティースタディーを行ってきているところでございます。  いずれにしても、この問題につきましては地元の市町村、県の判断と同時に、JR九州の経営方針の問題さらには地元における鉄道事業についての運輸省の判断というものが非常に重要になってくるわけでございまして、通産省としましては、産炭地域振興審議会答申にありますように、今後の産炭地振興の重点というのは、もちろん企業誘致といった通産省独自の政策も重要でございますけれども、その前提となります道路、鉄道等の基幹的なインフラの整備というものが非常に重要であるというふうに考えておりまして、そういった観点からこの問題については今後とも慎重に、かつ前向きにフォローをさせていただきたいというふうに思っております。
  133. 東順治

    ○東(順)委員 ことしの三月十三日、予算委員会の分科会で私はこのJR篠栗線の問題を取り上げさせていただきまして、運輸省の方に、要するにJRの採算性とかそういうことだけでこの鉄道を考えてほしくない、やはり旧産炭地というものを活性化させて振興していくために絶対に人口がふえなければいけない、そのためには鉄道である。博多と筑豊を結ぶ通学通勤のこの鉄道が単線であるから随分損をしている、これを複線化してなおかつ電化すれば博多との通学通勤時間がぐっと短くなって、その分人口が福岡の方から随分筑豊にふえてくる、これがまた筑豊全体の活性化につながる。だから、旧産炭地の振興という視点でもってJR線の電化、複線化ということをぜひ考えるべきではないか、このように私は質問しました。  そのときに運輸省側の答弁といたしまして、現在の鉄道整備等におきましては、地元の活性化のための先行投資あるいは産炭地域振興のためというような形での助成その他の仕組みというものは運輸行政上はございませんので、今後いろいろな観点から、各行政においてどのように取り上げられるかということも、我々検討材料の一つにさせていただきたい、こういう非常に消極的な、それでいて検討材料の一つにさせていただきたいというような、よくわからない答弁が返ってきたのです。  これは、この産炭地域振興基本計画の中に明確にうたわれておることは、「産炭地域振興実施計画実効性を高めるため、関係省庁間の連絡・協調を従来にも増して緊密なものとし、産炭地域振興実施計画に定められた個々の事業等の計画と国の支援策との有機的な連携を図ることとする。」こう明確にあるわけですね。つまり、平たく言えば産炭地の問題というのは通産省という一つの省だけの問題というよりももっと大きな問題であって、例えば運輸とかあるいは建設とかいろいろな省庁間がしっかり連携をとって、そのチームプレーで取り上げていかなければとても復旧できるような問題ではないのだ、なおかつ最後の十年というもうそういう時期に来ていて、ここで大事なことは、従来にも増して省庁間の緊密な連携、こううたっておるわけですね。それで具体的に浮かび上がってきたのが実は旧筑豊炭田の、旧産炭地における篠栗線という問題なんですね。これは当然運輸省と通産省との緊密な連携というものがなければできないわけでございます。  それで、私は分科会で質問したわけですけれども、同じ質問を今通産省にさせていただきたいと思います。どのような御感想でしょうか、この連携という問題につきまして。特に具体的に篠栗線の問題につきましてお願いしたいと思います。
  134. 土居征夫

    土居説明員 篠栗線の問題につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、もう既にかねてから地元にも構想がありますものですから、運輸省との関係につきましては地元の通産局が運輸省との連絡体制をとっておりまして、四者の連絡協議会ができて検討を進めているわけでございます。同時に、本省ベースでもことしに入りましてから数回の往復をいたしております。ただ、いずれにしてもまだ地元からあるいはJR九州から具体的な構想として運輸省にも上がってきていない状況でございます。  今後の手順といたしましては、産炭地域振興実施計画、こういったものの中でこの取り扱いが決まってくれば、これについて関係各省と協議するというステップになるものでございますから、そういった形で具体的に本省ベースでの各省の検討が始まる、正式の検討が始まるというふうに判断をしております。
  135. 東順治

    ○東(順)委員 具体的に連絡協議会等が設けられているということですね。大変に意を強くいたしました。九月中旬に実施計画最終的な原案をまとめて、関係省庁と協議の上、十月に正式決定に持ち込みたい、そういうことですね。こういう流れの中ですから、いよいよこれからが山場だというふうに私は思います。ただいま御答弁いただきましたようにこの連絡協議会というものを効果的にかつ頻繁に開いていただいて、ぜひとも篠栗線の電化、複線化という問題を取り上げていただいて、そして詰めていただいて実現の運びに持っていっていただきたいと思います。  鉄道という問題はやはり時間がかかる問題です。あと十年で切れるということでございますので、これから手をつけてぎりぎり間に合うかどうか。もしこれが実現されれば地元にとって大変な朗報だし、旧産炭地の救済で今日まで国が全力を挙げて頑張ってこられたその最後の大きな花がここで咲く、実を結ぶというふうになっていく可能性は大だと私は思うわけです。特に筑豊は日本の中でも大変大きな比重を占めてきた、高度経済成長日本を引っ張ってきた地域でございますので、ぜひともこの問題につきましては全力を挙げて実現されますように心から私は念願したいと思います。  今後とも状況に応じてこの問題については質問をさせていただきたい、このように思うわけでございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  以上で終わります。
  136. 麻生太郎

    麻生委員長 小沢和秋君。
  137. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の答申では、今後の国内石炭政策の基本的方向として、九〇年代を構造調整最終段階と位置づけ、経営多角化、新分野開拓を図りつつ、国内炭生産段階的縮小を図ると述べられております。  今回の政策の特徴の一つは、先ほど来議論されておりますように生産の目標トン数が全く示されていないことであります。これを示せばかえって閉山の動きを誘発するというようなお話もありますけれども、私は、いわばそういう目標トン数という最低の歯どめさえなく、段階的縮小の方向だ、そして具体的には需給当事者間の自主的な取引を基本にするということになれば、仮に年次的に目標を立てたとしても、海外炭の三倍近い国内炭を引き取ることは御免だという傾向が急速に強まって、結局十年もたたずに、今後数年のうちに国内炭はほとんどつぶされるということになりかねないのではないかと危惧するのですが、どうお考えでしょうか。
  138. 山本貞一

    山本説明員 ただいまの件につきましては、午前中から生田先生あるいは私どもの方から何度か御説明申し上げたと思います。答申でも、国内石炭産業エネルギー政策に占める位置づけ、あるいは今後海外炭確保していく上での国内炭の採掘等の技術的な意味というのも書かれておるわけでございます。  そういう意味で、そういうコンテクストの中で今後の内外炭価格差の動向がどうなるか、あるいは石炭企業等がこれから構造調整をどういうスピードで進めていくのか、そういういろいろな状況に応じて今後日本石炭鉱業がどういう状況になっていくかということになっていくと思います。その際には、再々申し上げておりますが、引き取りあるいは価格については何らかの形で政府も関与するわけでございます。今後そういう中で日本石炭鉱業の姿が描かれていくということだと存ずる次第でございます。
  139. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回のこの政策が最後の政策だというわけでしょう。だからそうすると、これから十年たって石炭産業が残っておるように今からかじをとっていくのか、段階的縮小ということでずっとやってみたら、気がついたら結局なくなっておったがそれはそれでもいいのだという立場でかじをとっていくのか、そこのところがさっきからはっきりしないわけです。どうなんですか。
  140. 土居征夫

    土居説明員 この政策につきましては、石炭のいわゆる環境変化に対応します構造調整対策としては最後の対策、そういう位置づけに答申でもなっておりますけれどもエネルギー政策としての石炭政策は、それとは別に海外炭対策もありまして進めておるわけでございます。  問題は国内炭についてエネルギー政策として一体どういう政策が残るのかというのが議論の焦点でございますが、これについては、答申にもありますように、エネルギー政策上の国内炭役割というものは明確に、小さくなってきてはいるけれども、あるというふうに言っているわけでございます。ただ、そういう国民経済的な負担と役割とのバランス等の問題があるので、現状のままではエネルギー政策としての国内炭役割と負担は均衡していない、そういう判断でございます。したがって、九〇年代に構造調整は進めるけれども、要するに、理論の問題としてはエネルギー政策上の国内炭役割は残る、それに対するバランスのとれた国民経済的な負担があれば残り得る、そういう情勢になっておるわけでございまして、そういうことを前提にしながら最後の構造調整を進めていく、そういう考え方でございます。
  141. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 しかし、今までにどんどん閉山されてずっと国内炭の比重は軽くなってきたというわけでしょう。今後さらにこの十年間にこの政策で残り切れない山は次々つぶれていくといったら、なお比重は軽くなっていく。そういうことならば、ほとんど意味はないということに大体十年たったらなりはせぬか。そうしたら、結局国内炭は十年目にはちょうどなくなるということになりかねないのじゃないでしょうか。
  142. 土居征夫

    土居説明員 国内炭エネルギー政策上の役割につきましては、質的な問題としては明らかにあるというふうに言っているわけでございますから、国内炭政策については、それにバランスのとれた国民経済的な負担を前提とした政策が残り得る、そういう前提で今政策を進めているわけでございまして、いわゆる総撤退を前提とした政策を進めているわけではございません。
  143. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は一昨日、国内電力事業者が今石炭などの程度消費しているかという資料をいただいたのです。これを見て改めて思ったのは、北海道電力だけは二百四十二万トン国内炭を使い、そして海外炭よりも余計使っているのですけれども、あとのところはもう本当に国内炭は微々たるものなんですね。北海道電力に続いて使っている中国電力だって八十四万トン、九州電力も六十七万トンという程度のことなんです。中には、東京電力などのように海外炭を使っているけれども国内炭は全く使ってない。中部電力も同じようですね。だとしたら、国内炭を、それだけを守っていこうという考え方があるのだったら、こういうような電力会社に対してもうちょっと国内炭を使うようにという積極的な要請を行えば、そのこと自体が市場の確保はおろか、これは拡大の可能性だってあるのではないかというふうにこの表を見ると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  144. 土居征夫

    土居説明員 電力業界として現在引き取り協力をいただいているわけでございますが、個々の電力ごとにそれはいろいろと発電施設が違っているわけでございまして、石炭火力の施設がキャパシティーが非常に大きいところと非常に小さいところといろいろあるわけでございます。その辺につきましては、電力業界内部の問題でございますので、これは公益事業としての電力行政の問題として処理していただくということで、我々としては全体として石炭需要をそういうふうに確保していくということがポイントであろうかというふうに考えております。  個々の電力について今お話がございました。例えば東京電力、中部電力等について国内炭引き取り消費の実績がないじゃないかということでございますが、こういったところにつきましては電気事業連合会を通じまして、例えば電源開発国内炭を使った電力が卸売されて、そういうところの各電力の負担になっているという面もございますので、一面的に各電力国内炭消費の実績だけで各電力会社の負担あるいは石炭消費の実態が反映されているということではないわけでございます。いずれにしても、先ほど申しましたような各電力会社ごとの設備の問題もございますし、それから供給サイドの炭質の問題もまたございます。その辺は、炭質と具体的なそれをたくかまとの見合いの問題等々、やはり経済原則にのっとってその理由は決められなければならないところもございますので、我々としては需給部会等を通じまして需要業界として全体の需要協力をいただくということで、具体的な対応については電力業界内部の問題として自主的に決定されるべきものというふうに考えております。
  145. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私、この問題で関係者の話を聞いて心配になりましたのは、今国内炭を使用している発電所はいずれも老朽化しているそうですね。そうすると、国内炭引き取りをやめて山をつぶすということと発電所もとめるということが並行して進行していったら、本当にこれは国内炭が息の根をとめられてしまうということになりはせぬかと思うのです。しかもその一方で、九電力の各社は海外炭専焼の発電所計画を次々に進めております。ですから私は、こういう発電所で国内炭も混焼するように初めから設備を考えてほしいというようなことを国としても積極的に指導をすることが、今後の国内炭需要確保する上で非常に重要ではないかということを考えるのですが、いかがでしょうか。
  146. 土居征夫

    土居説明員 電力業界協力につきましては、午前中来御答弁しておりますように、今回の答申前提といたしまして石炭鉱業の自主的な対応、こういったものに積極的に協力する、そういう基本原則が答申の中で確立されております。したがいまして、石炭サイドの経営多角化あるいは新分野開拓あるいは産炭地における新事業、こういったものの進展を見ながら生産段階的な縮小が図られていくわけでございますが、こういった構造調整に対する需要業界電力業界の全面的な協力が得られているわけでございまして、その中で具体的にどこで、どういう設備を、どういう形で補修しながらやっていくのかという問題が仮にあるとしても、それは電力業界内部の問題であって、我々としては、そういったマクロの協力が担保されることによって十分需給の問題については対応が可能だというふうに思っておりまして、具体的に電力業界の内部に立ち入った炭繰りの問題についての対応といったことはお願いしていく必要はないというふうに判断しております。
  147. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先ほどから、電力業界が、石炭各社がこういうふうにやっていきたいという青写真を示したら、それをもうほとんど無条件に受け入れて高い石炭でもどんどん買ってくれるような話に聞こえるのですけれども、私は、何の客観的な強制という力も働かなかったら、三倍近いものを電力会社がそういうふうに買うとは考えにくいのですよね。何かそこについて保証があるのかどうかということを改めてこの機会にお尋ねをしておきたいということと、それから、国内炭を今後そうやって使用努力をすればある程度電力コストにはね返るかもしれない、私は、それは電力会社が基本的には経営努力で吸収できる程度のものじゃないかというふうに思いますけれども、仮に若干それがコストにはね返ったとしても、先日私はここでドイツのコールペニヒの話をしましたけれども、それと同じように、国民経済全体の中でその負担を吸収していくという考え方に立てば、これは十分合理性のあることだということを改めて申し上げておきたいと思うのです。今の点、いかがですか。
  148. 土居征夫

    土居説明員 電力業界需要業界協力の保証の問題でございますけれども、今回の石炭鉱業審議会には電力業界の代表者が、責任者が参加をしておりまして、この答申考え方に全面的に賛成ということでございます。具体的には、均衡点の問題も含めて石炭の自主的な構造調整、これに全面的に協力していく、そういう対応になっておりまして、具体的にこれがどうなっていくかという問題についてはもちろんいろいろな問題が出てきますので、そういった面で今後具体的に対応していきたいと思っておりますけれども、基本的には、そういう形で需給の問題については、十分今後の政策の枠組みはでき上がっているというふうに考えております。
  149. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 残念ながら時間が極端にありませんので、あと私、石特会計の財源や、それから答申の中でいわゆる緊就事業の打ち切りなどの問題に触れられておりますので、質問したかったのですが、これは省略したいと思います。  ただ、緊就の事業については、後刻また機会を改めて議論したいとは思いますけれども、ただ紹介対象者が減ったということだけで、今でも旧産炭地で大きな役割をやはり果たしておるということを見ずに性急に打ち切るというようなことのないように、関係の自治体やあるいは就労している人たちの労働組合などと十分話し合っていっていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。  残りの時間について、鉱害問題で少しお尋ねをしておきたいと思います。  鉱害二法の十年延長も私は当然のことだと思いますし、答申の中には改善になる提言が幾つかあることも私は認めたいと思います。  私が特に鉱害問題でここで指摘したいと思いますのは、復旧が全体としてますますおくれる傾向が強まっていることです。例えば復旧申し出の処理にしても、未処理で繰り越されている分が、ここ数年は一万五千件程度のところでずっと張りついておってほとんど減らないのですね。それから、復旧の実際の作業状況について見ましても、これは予算額に対し決算額がどうなっているかということで私見てみたのですが、昭和五十九年には七百一億円に対して六百七十六億円、九六・五%執行されておったものが、平成年度は六百九十三億円に対し五百五十四億円、実に百三十九億円も残す、執行率も八〇%を切る、こういうように非常に全体としておくれてきているわけです。今回のこの答申を契機にして、これが抜本的に改善されるかどうかという点について明確にお答えいただきたい。
  150. 土居征夫

    土居説明員 石炭鉱害、特に累積鉱害につきましては、復旧の進展によりまして、いわめる複雑困難案件という極めて難しい案件がだんだんと残ってきておるというのは事実でございまして、そういった状況から今のような御指摘が出てきているのかというふうに考えております。  これは、先刻来出ておりますこの復旧の問題というのは私権の調整等々も伴う問題でございまして、一概に国が国土復旧の観点から私権を乗り越えて強行するべき性格のものではないものでございますから、被害者同士の意見調整の問題等々、極めて難しい問題が残っておるということで、そういった問題の取り扱いは今度の審議会答申でも触れられているところでございます。  ただ、この鉱害復旧につきましては、この答申にもありますように、九州地区以外は非常に早期に進展をしておりまして、九州の中でも佐賀、長崎につきましては、復旧法の今後の延長後五年ぐらいで累積鉱害処理は完了する可能性が高いという指摘もあるわけでございますが、いずれにしても、この残された十年という期間の中で早期にこの累積鉱害処理をしていくということでございまして、被害者の中の権利の調整の問題を含めてこの問題の解決をし、計画から工事着工、復旧完了までの手続を迅速に進めるように、事業団の事務処理から全体の仕組みについていろいろな仕組みが今回の答申の中でも答申されておりまして、これを受けて、今お話がありましたような非常に困難な事態についての解決のために最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
  151. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 このおくれについては、私は、政府当局自身の責任に属することも非常に多いと思うのですよ。先ほど話が出ました直方市植木の問題も私はその一つだと思うのです。  最近、直方市植木の被害者が、一カ月以上にわたって九州通産局前で座り込みを行っておるわけでありますけれども、これはなぜかというと、植木では二百数十戸が鉱害の認定を受けてもう十年にもなるわけでありますけれども、当局が復旧の工法をいまだに決定し切らない、そのために放置されたままになっているのですね。毎年のように洪水で苦しめられ、中には倒壊してしまう家屋も出始めているわけです。しかしまだ、いつになったら着工できるかの見通しも立たない、とうとう座り込みという事態になったわけであります。  お尋ねしたいのは、第一に、こういう事態を招いたのはまさに当局側の責任ではないのか。そして第二に、いつまでに工法を確定して、関係者の合意を取りつけ着工できるようになるのか。見通しを含めて明確にしていただきたいということであります。
  152. 土居征夫

    土居説明員 植木地区の家屋の問題につきましては、昭和五十六年度に二百二十戸が鉱害認定をされておりまして、関係学識経験者、関係行政機関の協議会を設けまして、昭和六十年に総合復旧計画、いわゆるマスタープランが制定されたところでございます。  この総合復旧計画によりますと、植木地区上流部のため池からの大雨のときの余水による浸水被害、これを避けるために、ため池と近接の河川を結ぶ放水路を敷設するとともに、地区内の既設水路を改修する計画になっております。ただ、この計画につきましては、関係機関あるいはため池の水利権者さらには地元の関係者、こういったところとの調整が長引いておりまして、復旧に着手できないのが実情でございます。これは、先刻来議論をしておりますような被害者の私権という問題があるものでございますからこういう状況になっておりますけれども、一方では被害者の早期復旧への希望ということを受けまして、通産省としても今後この水利権者等関係者への協力取りつけに最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  153. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、調整をするのに時間がかかっているようなお話なんですが、実は調整は今から始まったばかりなんですよね。今までは工法をどうするかということによってあなた方の方がもたもたしておって、それでようやく工法を大体決めて、今から調整をやるが、その調整は難航しそうでらちが明かぬというのでみんな腹を立ててしまったわけですよ。それで今言われるように今後努力をするということだから、これはもうしっかり見守っておきたいと思うのですが、私は最近陳情を受けた件も、これもやはり通産局側の責任が大きいなと思うのです。  余りこういうことを一件一件言いたくはないのだが、これもそういう例だという意味でもう一件だけ言いますと、飯塚市上三緒の農地と家屋の復旧問題、これは最近本省の方に陳情があったようですけれども当事者たちは既に無資力となった三社からの鉱害だと申し出ているのに、局側が四、五百メートルも離れている三菱、これは有資力ですね、これも関係している、だから三菱にも認めさせてこい、こういうふうに言われて、何遍も何遍もボールの投げ返しで、結局らちが明かないという状況なんです。常識的に見ても、四、五百メートルも離れた三菱に、本人たちはそんなことを全然主張もしていないのに、関係があるから了解をもらってこいというようなことを言って話が進まないというのは、これはやはり私は通産局の態度に大きな問題があるんじゃないかと思うのです。これもひとつぜひ解決するために努力していただきたいが、その努力の方向はどうかということもお尋ねしたい。
  154. 土居征夫

    土居説明員 飯塚市の上三緒地区の鉱害の問題につきましては、昭和四十四年に鉱業法の百二十二条に基づきます鉱業権者と鉱害被害者の和解仲介が行われておりまして、その際には鉱害被害をその当時の鉱業権者であります四社の競合鉱害ということで、そういう和解仲介が行われたという経緯がございます。そういった経緯を前提として、通産局として被害者の申し出に当たってこの四社との調整を求めてきたという事実はあるようでございます。この残されております有資力の三菱鉱業の採掘の影響の有無につきましては、技術的な問題でもございますので、改めて詳細な事実関係を通産局に照会してみたいと思っております。
  155. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、これで終わりたいと思いますけれども、最後にもう一つだけお尋ねしたいのは、私がこれまで何回か当委員会でも取り上げてまいりました鞍手郡小竹町の工業団地造成問題であります。
  156. 麻生太郎

    麻生委員長 時間が来ておりますので、手短にお願いします。
  157. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 現地からの報告ではようやく着工の見通しがついたと聞いておりますが、どうなっているのか、現状と見通し伺いたいのです。  それから、第三工区はどうするのか。古河に自社開発をさせるとしても、よく地元に相談をさせ、産炭地の発展に役立つものにさせるべきではないか。  それから最後に、私のところにも地元の中小建設業者などから、こういう工事があるのならぜひ参加させていただきたいというような陳情もありますが、工事の性格からいっても、地元業者の育成、そのための参加というようなことも重要な問題ではないかと思いますが、どう対処されるつもりか。  これで終わります。
  158. 麻生太郎

    麻生委員長 土居石炭部長。――質問はこれで打ち切ります。
  159. 土居征夫

    土居説明員 小竹工業団地の造成につきましては、やはりこれも具体的な地元の被害者と自治体、それからいろいろ関係者絡みまして、意見調整に手間取っていたということもございましておくれておったわけでございますが、ようやく関係者の合意もできまして、現在小竹町と地域振興整備公団が土地利用計画案についての事前協議に入ったところでございます。この協議が調いますれば今年度中に実施設計を作成いたしまして、農地転用、鉱害復旧工事関係手続を進めまして、順調に進めば平成年度に工事に着工、そういう段取りになっております。  第三工区の問題につきましては、これは県が今中心になって、関係者が入り、その取り扱いについて協議をしておるというところでございまして、この協議の状況を見守っておるということでございます。  地元の業者の活用の問題につきましては、いずれにしても地域公団の内部規定、これがありますものですから、その内部規定に沿いながらその範囲内で十分配慮するような指導を公団にしてまいりたいというふうに思っております。
  160. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ありがとうございました。
  161. 麻生太郎

    麻生委員長 高木義明君。
  162. 高木義明

    ○高木委員 労働大臣、御多忙のようでございますので、冒頭雇用問題からお尋ねをさせていただきます。  来年度以降の石炭政策につきましては、これまでいろいろ述べられておりますように、石炭鉱業審議会答申、これにつきましては今後さらに検討される部分が多い、そういう意味でまだまだわかりにくい、見えない部分はあるかと思いますけれども、しかし同時に、最もこの答申にそしてまた今後の政府施策にかかわり合いが深くて、そしてまた重大な関心を寄せておられるのは、ほかでもありません、石炭企業で働く約八千人に上る働く者、そして家族、私はこのように思うわけです。  九〇年代が構造調整最終段階である、こういう答申でございますけれども、私は、この構造調整がどのような形で進むのか、あるいはまたそれが雇用にどのように影響を与えていくのか、先行きは極めて不安なしとはしないわけであります。まさしく企業経営者にとりましては厳しい受けとめが必要になってくると思っております。  私も先般長崎県西彼杵郡の高島町に行ってまいりました。これは御承知のとおり八次策で閉山になりました一町一鉱山の炭鉱でございました。企業誘致あるいはまた雇用対策、大変厳しいものを私は見たわけでありますが、このような八次策の経験を十分に踏まえて、私は、今後は完全雇用を前提として先手先手の対策が打たれるよう石炭企業を指導するとともに、国としましても積極的な支援をしていかなければ大変なことになるだろう、このように認識をしておるわけであります。  構造調整による雇用調整はいかなるものになるのか、あるいはまた職種転換などに対する職業教育訓練、こういったものは十分なのか、こういうものはまだまだ不透明な中ではありますけれども、労働福祉行政を担当する所管大臣として、今後この答申を踏まえた雇用対策をどういう観点から対応していこうとしておられるのか、私は、基本的な気持ちと御所見をお尋ねしておきたいと思います。
  163. 小里貞利

    ○小里国務大臣 現実に生計をかけた、いわば稼働する石炭産業、山を背景にしての先生のお話でございまして、私も重々しく御質問をお受け申し上げておるところでございます。  お話しのように、答申を受けました石炭産業、その中におきまして現段階におきまして政府として徹底的に解析をし、対応を急がなければならぬ問題がたくさんあろうかと思います。先ほど通産省の立場からもお話がございましたが、私の立場から申し上げますと、先生お話がございましたように、答申を受けました石炭産業構造調整によるいわば雇用調整を初めとして雇用対策というものをどのように打っていくのか、施策を講じていくのか、極めて重要な問題であります。  特にその視点についてのお尋ねでございますが、今単純にここで即答できる筋合いの問題でもございませんけれども石炭鉱業審議会答申において、率直に申し上げまして、石炭企業は九〇年代を構造調整最終段階として、経営多角化等を図りつつ、構造調整についても自己努力を行うことが必要でありますよ、こういう形で指摘をされておるわけでございます。今回の答申に基づく石炭企業構造調整に伴ういわゆる雇用調整がどのように行われるかについては、率直に申し上げまして、現在のところ明らかに申し上げるわけにもいきませんけれども、いずれにいたしましても労働省といたしましては、石炭企業構造調整に即応するためにより積極的に、そして適切に対処をするために万全の対策をとっていかなければならぬ、さように私どもは重要に認識をいたしておるつもりでございます。  また、具体的には離職者求職手帳を発給し、あるいはまた再就職援助施策の実施、あるいはまた職業訓練活用等対策を推進していくことももとよりでございますが、石炭企業経営多角化等に伴い、いわゆる炭鉱労働者が新たな雇用機会に円滑に移行していくことができるための対策も必要である、このように認識をいたしまして、今後、石炭鉱業審議会答申を踏まえてさらに積極的に検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  164. 高木義明

    ○高木委員 今後、いわゆる現状ある制度を十分に見直されまして、より適切な、的確な措置ができるように十分に検討をお願いをしたいと思います。ありがとうございます。  さて次に参りますが、昨年秋からの石炭鉱業審議会の会長さん初め各皆さん方には、私は心から敬意を表する次第でございます。  ちょうど本日八月二日は、去年、イラクがクウェートを侵攻した日でございました。その時点から我が国エネルギーの問題がクローズアップされたと思っておりまして、まさに我が国エネルギー需給構造の脆弱さを大きく痛感をしたわけであります。そういう中での石炭鉱業審議会でございましたので、一定のエネルギー政策の中における国内炭役割と存在意義については十分な認識が行き渡っておるのではないか、したがって、この答申にもそういう最小限のコンセンサスが生きておるのではなかろうかというふうに私は思うわけでございます。そういう意味で私は、国内炭は今後とも生き残れる、こういう確信を持っておるわけでございますけれども、そういうふうに受けとめていいものか。石炭部長、エネルギー庁長官ですか、お答えをいただきたいと思います。
  165. 山本貞一

    山本説明員 これはたびたび先ほど来御答弁申し上げておるわけでございますが、今回いただいた答申の中でも、数量的には少ないにしても、エネルギー政策上の位置づけというのは国内石炭業にまだあるということを書いております。ただ、その負担、結局国民が負担するわけでございますから、その負担と生産量というか、それとのバランスを考える必要がある、そういう御指摘をいただいておるわけです。  これにつきましては、今後の国際石油情勢、あるいは国際的な石炭の情勢、あるいは為替、あるいは国内炭の合理化の努力等いろいろなことから内外炭価格差がどうなるかというような点、それから、国内炭企業等が努力するこれからの構造調整努力多角化の方向、あるいは地域との関係、いろいろな配慮から国内炭企業関係者とも話し合って、どういうように石炭企業の将来を持っていくかという、まず一次的にそこで検討されます。そういう動きは今後の今申し上げましたようないろいろな情勢を踏まえて行われることになると思うわけでございます。  さらに、先ほど来ございましたが、今後海外炭確保する上で日本石炭技術というのはどういう役割を果たすかというような配慮も必要であるということも答申にも指摘されておるわけでございます。  そういう意味で私ども、いつの時点でどうなるかということを今明確に申し上げることはできないわけですが、答申ではそういうことをるる書いているわけでございますので、それをお酌み取りいただきたいと存ずる次第でございます。
  166. 高木義明

    ○高木委員 昭和三十七年から第一次政策、そして平成年度まで第八次政策、こういうふうに言われてまいりました。今回は最後の石炭政策というふうな呼び方がされておりますが、第九次政策とは言われていないと思うのであります。なぜ第九次施策と呼ばなかったのか。この辺についてはいかなる背景があったのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  167. 土居征夫

    土居説明員 現行の第八次石炭政策の期限切れを三月末に控えまして、「今後の石炭政策の在り方について」ということで昨年の秋に石炭鉱業審議会に諮問されたわけでございまして、この六月に出ました答申につきまして当省としては別に九次策と呼ばないということとしているわけではございませんで、今後の石炭政策の呼び方については特に定まったものがないため、今後の石炭政策と呼んでいるだけでございます。
  168. 高木義明

    ○高木委員 私は第九次施策と呼んでもらいたいと思いながらのお尋ねでございます。  時間がありませんから次に参りますけれども、今回の特色の一つは、従来のように生産規模、いわゆる生産目標水準というものが示されていないということになっております。先ほどからも議論がありましたように、均衡点とは一体どういう実態を言うのか、これは私もぜひお聞きしたい点でございます。また、当面平成年度生産体制はどういうふうに考えたらいいのか、また平成年度については当面どう考えていったらいいのか、いかがでしょうか。
  169. 土居征夫

    土居説明員 均衡点につきましては、先ほど来御答弁申し上げていますように、今後長期的にこれから検討していくべきものということになるわけでございます。  来年度生産体制あるいは今年度生産体制でございますが、今年度につきましてはもう実施計画で決まっておるわけでございまして、来年度以降につきましては、来年度の問題はもちろんこの三月あるいは来年の三年、四月にかけて新しい改正後の、延長後の法律に基づく実施計画という形で来年度計画は決まってくるわけでございます。ただ、長期的にその辺がどうなってくるかという問題につきましては、これも先刻来御答弁申し上げておりますように、答申で総論としての今後の方向は示されておりますが、それを受けた各社ごとの構造調整の今後の計画あるいは方針、こういったものを今各社が検討しておるところでございまして、こういったものが明らかになってくる時点で、来年度あるいはその先の具体的な構造調整の姿あるいは生産の姿といったものが次第に明らかになってくるというふうに考えております。
  170. 高木義明

    ○高木委員 答申の中にはコスト低減のための経営努力というものが大きくうたわれております。私は、現状目いっぱいの合理化努力がされておるにもかかわらず、今後さらにまだそういう余地はあるのかと考えたくなるわけであります。もちろん親会社、子会社が一体となってこういう努力をすることはやぶさかではありませんが、炭価をトン当たり千円引き下げるということでありますので、これはまさしく大変に難しいことだろうと思っておるわけであります。  しかしやらなければならない。だとするならば、やはりそういうことを踏まえながらも設備投資、どんどん深く奥に入っていく、そういう環境の中にあって、そういう設備投資についても現状の設備投資に対する助成や補助を超えるそういうものがないと、それは直接働く者の労働諸条件に響いてくるのではないか、私はこういう危惧をするわけでありますが、ある意味では夢を持たなければならない、展望を持たなければならない。そういう中で、生きがい、働きがいを踏まえた中でそういうコスト低減ができるような環境整備、これは私は企業の自己努力とともに国が今までにない新たなものをつくらなければならないんじゃないかと思いますけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  171. 土居征夫

    土居説明員 コスト低減の努力あるいはその前提となります炭価の引き下げにつきましては、やはり石炭産業が自主的な構造調整を続けながらも需要業界関係国民の理解を得ていくための大前提として必要なものであるというふうに答申指摘されておるわけでございまして、これはそれを前提としてこれから各社が取り組んでいくということだと思いますし、各社の対応につきましては、事務当局であります石炭部としてもこれまでもいろいろ各社ごとにその計画あるいは今後の見通しにつきましては十分お聞きしておるところでございまして、各社もこういった前提条件をもとに最大限の努力をしていきたいというふうに申しておるところでございます。  その中で、確かに生産の安定あるいは近代化、こういった従来の対応あるいは坑内骨格構造の整備、こういった従来の合理化、近代化施策につきましては、これまでの対策前提としてさらに構造調整対策を追加していくということで、対策の継続ということが必要であるということは答申にも指摘されておるところでございます。そういったことで全体の補助金、融資の見直しを行いながら、構造調整を進めつつも一方では合理化、安定対策についても従来同様対策の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  172. 高木義明

    ○高木委員 お尋ねしたい問題はたくさんあるわけでございますが、あと一点に絞ってまいります。  今回の委員会の大きな意義は、新しい政策答申を受けまして、政府がこれから次期通常国会に向けて関連の法案なりあるいは予算措置をどうしていくのか、これを前にしたいろいろな議論だと私は思っておるわけであります。そういう意味で、企業に対する構造調整のための支援策や、あるいは雇用のノーハウを含めた指導、支援策、そういうものも私はもう来年度予算編成に向けてその中に組み込まれなければならない問題だと思っておるわけであります。したがいまして、ぜひ来年度予算編成の中に先取りをした政策が着実に組み込まれるようにお願いをしておきたいと思います。  ただ一点、ことしの春に成立しました産炭地法の中で、これは各都道府県が今後は地域振興実施計画をまとめる、これが大体九月中旬に原案ができるような段取りになっておりますが、既に概算要求は八月エンドがそうだと言われております。そこにはもう予算の時期にずれが生じておるのですけれども、私はこの辺が最も心配になるわけであります。一体こういう地域から出た実施計画が来年度本当に生かされるのかどうか、その辺は一体どうなるのでしょうか。ぜひ私は生かしていただきたいという立場から、明快なるお答えをいただきたいと思います。
  173. 土居征夫

    土居説明員 産炭地域振興実施計画につきましては、今先生指摘のように、平成年度以降始まるわけでございますから、その初年度であります平成年度予算に反映されるべく作業をする必要があるということは御指摘のとおりでございます。  ただ、全体の法律以降のスケジュールから、今お話がありましたように九月に道県から原案を正式に出していただくということでないと、なかなか道県の検討も進まないということでございまして、そういった体制になっておるわけでございますが、ただ事実上は、正式の原案の提出に先立ちまして、先ほど来お話ししておりますように、先週既に進捗状況のヒアリングをしております。それから各省の連絡会も開いております。  そういう形で、現実に原案の原案の段階から平成年度予算に反映させる問題も含めまして、既に非公式には地元自治体あるいは関係各省、さらには通産省自身の産炭地対策の中におきましても具体的な施策検討を並行して行っているところでございまして、それが最終的に九月以降の予算の要求あるいは実施計画の原案という形で結実していくものというふうに、スケジュールとしては段取りをつくっておる次第でございます。
  174. 高木義明

    ○高木委員 終わります。
  175. 麻生太郎

    麻生委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会